約 1,243 件
https://w.atwiki.jp/revival/pages/749.html
10月末にもなると日が昇るのがずいぶん遅い。 時計ではもう午前5時を回っているはずなのだが、夜が明ける気配はない。 真っ暗な夜空に無数の星々が瞬いている。 今日は新月なので、一欠けらの明かりもなかった。 大地も山々の稜線も全て暗闇の中に溶け込んで、星々切れ目だけ僅かにそれが天と地の境目だという事を教えてくれる。 その真っ暗な早朝の荒野に、三機のモビルスーツが歩いていた。 シグナスと呼ばれる、リヴァイブの主力モビルスーツだ。 その彼らは普段の武装の他に、それぞれ巨大な円筒形の筒をいくつか持っている。 それをある程度歩いてその辺に突き刺す。 すると円筒形の筒は地面に潜っていった。 彼らはその作業を場所を変えつつ何度も繰り返していた。 『ローゼンクロイツの部隊は上手くやってくれるでしょうか?』 中尉の声が大尉のコクピットに流れる。 「……こればっかりはあちらさんを信用するしかないな。俺達は俺達の仕事をするしかない」 『それは、そうですが』 「不安か?」 モニターに覗く中尉の表情はいつもと変わらない。 だが僅かに漂う気配から、彼が多少の不安を抱えているのが大尉にはすぐにわかった。 だてに長年付き合っているわけではない。 「なにせこの三機だけで、アリーの街に攻撃を仕掛けるんだからな。正直、俺も怖いさ。だがここまで来たら開き直るしかないだろうよ」 『確かにそうですね。すでに賽は投げられたわけですし』 「そういう事だ」 フッと笑みを交わす二人。 この辺の阿吽の呼吸は今も健在だ。 するとその時、もう一つのモニターに軽薄そうな男が映る。 少尉だ。 『こっちは大体埋め終わったぜ。取りあえず準備はバッチリだ』 中尉と違って、少尉はむしろ楽しそうに見える。 この男なりには不安なのだろうが、少尉はそれをおくびにも出さない。 性格の差、といえばそうだが中尉が不安がるからこそ、少尉も脳天気でいられるのだろうと大尉は思う。 『貴方はなんでそう、脳天気なんですか?もう少し真剣に考えて下さい』 『んな事言ってもよぉ、今更考えても仕方ねーじゃん』 このような会話が出来るのはお互いの信頼関係に寄るものだろう。 「おい、もうそろそろ行くぞ。気合いを入れろよ」 大尉はうっそりと二人に言うと、遥か遠くに見えるアリーの街の明かりを確認する。 このコーカサス州の中では有数の大きな街の筈なのに、街灯の光は満足に見えなかった。 辛うじて、今にも消えそうな微かなともし火が、いくつか見えるだけだ。 単に占領されただけでそうなってるわけではない事は、大尉にも分かっていた。 コーカサス州全体がそうであるように、ここも飢えと貧しさとは無縁ではないのだ、と。 大尉は時計を確認すると、もうすぐ午前6時になろうとしてた。 まもなく夜が明けるだろう。 一日の始まりとともに、たった三機の無謀な喧嘩が始まろうとしていた。 荒野の中をサイドカー付きのバイクが砂塵を上げて走る。 シンとコニールだ。 コニールは砂に足を取られぬように、慎重に運転している。 サイドカーの席上ではシンが、目を閉じて黙り込んでいる。 これからの作戦のために、少しでも力を残しておきたいのだ。 ふと、コニールが口を開く。 「ねえ。あんた、ソラの事どう思ってるの?」 「何だって?」 「ソラよ。あの子の事をどう思ってんのって聞いてるの!」 そこにAIレイが口を挟む。 《この朴念仁にそういう質問は限りなく無意味に等しいぞ》 「お前、こんなにダストと離れていてもまだ通話出来るのか?」 《そうでもない。もうそろ……通話が出来な……る距離だ》 通信にノイズが走り始める。 電波が途切れそうになっている証拠だ。 「……シン、あのさ」 「コニール、今は作戦の事だけに集中しろ」 「……わかったわ……」 もうそれ以上、シンは何も言わなかった。 ただ無機質なバイクの走行音だけが二人の間に流れていく。 シンがこんな問いに答えないだろう事はコニールにも分かっている。 この男にはそういう話は無意味なのだと。 しかしそれでもコニールは確かめたかった。 つい聞いてしまった出撃前のシンとソラの会話。 そこでコニールは、ソラの気持ちが少しずつシンに向かっている事に気づいてしまったから。 かすかだが言いようの無い不安が彼女の中で頭をもたげる。 戦場で感じるそれとは全く異質なもの。 それが何なんか今のコニールには全く分からなかった。 (ダメだ。シンの言う通り今は作戦に集中しなきゃ) 雑念を振り払うように彼女は遠くを見やる。 「あ!見えてきたわよ!」 視線の先に目標物があった。 アリーの街より数キロの地点にある観光名所でもある遺跡『バルアミー鍾乳洞』。 そこが、シンとコニールの目的地だった。 「むぅっ……」 徴用した官舎の中に用意させた仮眠室で、アデルは大きく伸びをして体をほぐす。 昨日は結局、一睡もできなかった。 積年の恨みが果たせるという興奮からか、眠気が全く起きなかったのだ。 「クックックッ。イカンな、これではまるで初年兵のようではないか」 収まらぬ自分の気持ちの高ぶりに、アデルはたまらず苦笑する。 (昨日の内に来る、と思っていたんだがな。……ならば、今夜か?) 戦力が大幅に劣るリヴァイブが取れる選択肢は少ない。 相手の戦力が低い場合、守備側が気をつける事は『奇襲』だ。 戦力が戦力として機能しないタイミングを狙う、それは勝負の鉄則である。 新月で月明かりも期待できない昨夜であれば、それは絶好のタイミングであっただろう。 それ故、アデルは夜襲で来ると判断し、そのための布陣を敷いた。 だが実際には彼らはいつまで経っても来なかった。 そこでアデルは部隊を二部隊に分け、半数をそのまま警戒に、残りを休ませた。 設営した司令部に入ると、アデルは夜通し働いた兵達を労わりつつ、現状を聞く。 「どうだ?」 「いえ、未だ異常はありません」 「……そうか。あと30分したら、交代をよこす。お前達も少し寝て来い。意外に長丁場になるかもしれんぞ」 「はっ!」 ぼけた頭を覚まそうとアデルは当番兵にコーヒーを持ってくる様に言う。 するとその時、レーダーを監視していた士官が興奮した叫び声を上げる。 「ア、アデル大尉!アリーの街より九時方向、モビルスーツを三機確認!識別は“シグナス”、リヴァイブです!!」 「な、何!?」 よもやの来襲に一瞬アデルも慌てるが、直ぐに頭を切り換えて怒鳴りかえす。 「確かなのか!?この朝っぱらにか!?」 「間違いありません!!映像センサーでも確認されました!」 「どういう事だ?奴ら兵法も知らんのか!?」 「敵モビルスーツ、移動開始!真っ直ぐ街に向かってきます!」 しかしチャンスには違いない。 アデルの口元に思わず笑みが浮かぶ。 「よぉし!全モビルスーツ隊機動!敵モビルスーツを迎撃せよ!俺はムラマサで出る!!」 すぐにアデルはムラマサの格納庫へ向かう。 あの三機が出てきている、という事は例のガンダムタイプも居るはずだからだ。 アデルは勝利を確信していた。 兵法も知らぬ馬鹿を相手に負けるはずがない、と。 この時、その『馬鹿』に負け続けたという事実は、アデルの頭の中から完全に抜け落ちていた。 ルタンドの機動は早い。 とにかく現場からの声を聞いて作り上げられたモビルスーツだけに、機動シークエンスなどの手順は驚くほど簡略化が成されていた。 “搭乗者に優しい”という謎めいたキャッチフレーズ通り簡略化をコンセプトに作られたこの機体は、各機体の中でも真っ先に立ち上がる。 次いでゼクゥ。 バクゥの後続機種として作られた四脚モビルスーツで、よりスマートなシルエットをしている。 こちらも素早く機動していく。 両機とも迎撃用モビルスーツとしての特性を十分に兼ね備えていた。 そして最後に大型連装砲門を持つザウートゆっくりと動き出す。 砲撃戦には未だ威力を見せる地上戦用モビルスーツだが、こちらは旧式だけに少々手間取っているようだ。 ルタンドとゼクゥの混成部隊が街の中から出撃してくる。 それらの動きは、当然大尉達のシグナスのモニタでも捕らえていた。 『前方、敵モビルスーツ確認!ザウート3、ゼクゥ5、ルタンド5!』 中尉が叫ぶ。 三機のシグナスは緩やかに蛇行しながら、街目指して荒野をまっしぐらに走り抜ける。 すると彼らに向かって幾重ものビームが放たれた。 いくつもの光弾が横を通り抜ける。 遠くに見えるアリーの街の前で立ちはだかる、政府軍のモビルスーツ部隊が撃ってきたのだ。 まだ有効射程外だというのに。 「来るぞ!気合いを入れな!」 『了解!』 『おっしゃあ!』 あの可変モビルスーツ、マサムネの姿はまだ見えない。 第一次攻撃はマサムネが動き出すまでだ。 とにかくそれまでの間に、ある程度のダメージを与えておきたい。 大尉は決断する。 「ライトニング=フォーメーション!Act.アルファ!!」 大尉がそう言った直後、シグナス達の動きが一変する。 今まで蛇行していたその動きが一変する。 大尉と少尉が左右に分かれ、さらにスピードを上げて突撃してきた。 しかもその動きは一層鋭角的に大きな軌道を描くようになったのだ。 それに合わせるかのように、政府軍のモビルスーツ隊も左右に分かれた両機に次々と砲火を浴びせる。 ザウートの砲火が轟き、少尉機の直ぐ側で爆炎が上がる。 「んな、ヘナチョコ弾に当たるか!」 こんな程度で萎縮する少尉ではない。 ますます大胆にシグナスを駆る。 前衛のルタンドとゼクゥにビーム突撃銃を乱射する。 当たる当たらないではない、とにかく牽制だ。 同じように大尉機も乱射する。 大きく左右に動き回るシグナス二機と、街を背に陣形を取る政府軍モビルスーツ隊。 両陣営から放たれた無数のビームがいくつも交差し、宙を焦がす。 だがどちらにも致命打は与えられない。 やや戦線が膠着の様相を見せたその時、一条のビームが後列にいた後列に居たルタンドの頭部を破壊した。 「やったぜ!」 少尉が叫ぶ。 中尉のスナイパーライフルだ。 まるで針の穴を通すかのような見事な狙撃で、敵陣に穴の開ける。 中尉は大尉達が敵の攻撃を霍乱しているさなか、一旦下がったように見せかけ、その実後方から狙っていたのだ。 これが大尉達が編み出した戦術「ライトニング=フォーメーション」である。 三機一体で織りなす戦術の数々の中核であり、ここから数々の基本戦術が生み出されている。 そのうちの一つがAct.アルファと呼ばれるもので、少尉と大尉が敵を引きつけ、中尉が攻撃するというコンセプトのフォーメーションだ。 少尉と大尉が左右に大きくジグザグ動いて、敵の注意を引きつける。 一旦下がったように見せかけた中尉から敵の目を目をそらしつつ、スナイパーライフルで相手を狙撃。 すかさず離脱し体勢を立て直すという、所謂一撃離脱用のフォーメーションである。 勿論、中尉は一番後列から狙撃するので、撃った弾が少尉や大尉に当たる恐れはあるが、これまでも中尉は誤射をした事は無い。おそらくはこれからも。 陣形に穴を空けられ、一瞬政府軍モビルスーツ隊の間に動揺が走る。 「よし!マサムネが来る前に逃げるぞ!ライトニング=フォーメーションAct.ブラボー!!」 大尉がすぐさま指示を飛ばす。 『了解!』 『あいよっ!そこらじゅうに”目くらまし”をばら撒いてやるぜ!』 すぐさま少尉が前面にチャフの混ぜられたスモーク弾を発射する。 大尉達のシグナス隊と政府軍モビルスーツ隊の間に、真っ白い煙の壁が立ちはだかった。 Act.ブラボーは『撤退戦用の陣形』なのだ。 後詰め、いわゆる殿(しんがり)に少尉が当たり、大尉が指揮、中尉が支援砲火を行う陣形である。 チャフが混入したスモークの前ではセンサーも役に立たない。 視界を封じられた政府軍モビルスーツ隊、ゼクゥとルタンドの部隊が一気に突撃してきた。 その様子にコックピットの中で大尉はニヤリと笑う。 三機のシグナスはゼクゥ、ルタンド隊を引きつけながら撤退を図っていく。 かねてからの作戦通りに。 一方、リヴァイブ基地。 ローエングリン砲要塞を再利用したこの基地には、今人がほとんどいなかった。 基地の人員は戦闘のためにほとんど出払っていて、今残っているのはごくわずかな非戦闘員しかいない。 その中には指揮官たるロマもいた。 前線指揮は大尉に任せ、今回の彼の役目はリヴァイブとローゼンクロイツとの協調を取るための、前線に必要な情報や指示を送る事だった。 そのためにはすぐに情報が集められ、かつローゼンクロイツの上層部にもすぐに連絡が取れる基地の方が、何かと好都合だったのだ。 刻々と新しい情報が入ってくる。 ロマの見たところ、状況は今のところ順調のようだった。 「“釣り野伏せ”?」 耳慣れない言葉にソラはきょとんとする。 初めて聞く言葉なのだろう。 よく分からないみたいだ。 「大尉曰く“古き良き伝統”の戦い方、だそうだよ」 食堂で休憩に入れたコーヒーを飲みながら、ロマはそう言った。 彼の傍らには、いつでも対応できるように通信機が置いてある。 ロマが休憩に食堂を訪れると丁度そこではソラが、夕食の仕込みのためにジャガイモの皮むきをしている所だった。 すると作戦の状況が気になったのか、ロマの姿を見るや否や状況がどうなっているのか聞いてくる。 それはもうしつこいぐらいに。 出撃したシン達を心配しているのだろう。そこである意味やむなくロマはソラに状況を教えてやる事にしたのだった。 持っていた地図の上にチェスの駒を置いていく。 駒は大尉達と相手方のモビルスーツ隊の動きを表していた。 「大尉達は、まず敵部隊に一撃を加えて、そのまま攻め込むとみせかけて全力で離脱する。敵を引きつけながら、ね」 チェスの駒を動かしならが、ロマは説明を続ける。 戦略などソラには縁遠い内容の話だが、なんとなく言いたい事はわかった。 「敵を引きつけて罠にかける、という事ですか?」 ソラは歴史が好きだったから、軍記物なども良く読んでいた。 その中には撤退戦を仕掛け、相手を罠にかけるシーンが何度と無くある。 「それだけじゃあ無いんだよね、大尉の考えたシナリオは。あの人が味方で、本当に良かったよ」 「……はぁ」 “釣り野伏せ”とは数ある撤退戦術の中でも有名な戦法だ。 日本の戦国時代では島津義久が得意とした戦術であり、当時の天下人、豊臣秀吉に対しても一矢報いた程の有力な戦術である。 この戦術が成立する条件は二つ。 ①まず接触した部隊が、退却しつつ攻勢を加えていく。 ②①に呼応するように別働隊が敵側面を突く。 「これだけ見れば簡単そうなんだけどね。でもね、これが結構難しいんだ」 そういうとロマはまたチェスの駒を動かしていく。 「この作戦の重要なところは、実行には撤退をする部隊が敵を引きつけなければならない所にあるんだ。でも損害を与えすぎてはいけないし、損害を受けすぎてもいけない。損害を与えすぎると敵が追撃を諦めてしまって、戦力の分散ができなくなるし、逆にこちらの損害が大きすぎると、撤退すらできなくなる。微妙な匙加減が必要なんだよ」 「そ、それって凄く難しいんじゃありません?シンさん達だけでなんとかなるんですか?」 「そういう事。勿論、これだけじゃあ勝てない。なにせ今回の敵はとにかく数が多いからね」 ロマの説明にソラも頷く。 それぐらいは素人の彼女にも解る。 何故ならこちらの戦力だけでは①はともかく②をクリア出来ないからだ。 そんなソラの顔を見ながら、ロマは満足げに笑った。 「そこで僕が用意した『奇策』が生きてくるのさ」 シンとコニールはバルアミー鍾乳洞に着くやいなや、バイクでそのまま乗り込み、鍾乳洞内を走っていた。 「もっとマシな道は無かったのかよ!」 シンが叫ぶがコニールは意に介さない。 「仕方が無いでしょ!?こういう道しかないんだから!」 「これは『道』なんて言わない!大体、お前が教えてくれる『道』で良い事があった試しがあるのか!?」 バイクが大岩を飛び越え、その向こうの小道に着地する。 その横には断崖があり、一歩間違えばそこに落ちてしまうタイトロープのような有様だ。 (また鍾乳洞の中を行くハメになるとは思わなかったぜ……) ふとザフト時代の記憶が甦る。 当時シンはローエングリン砲台を陥落させるためにコアスプレンダーで飛んだ。 あの時もかなり肝を冷やしたが今度はバイクだ。 (アリーの街に着くまで、俺は生きて居るんだろうか……?) 今更愚痴を言っても仕方が無い。 仕方なくシンはシートに深くふて寝する事にする。 「……着いたら、起こしてくれ」 隣のコニールのやけに楽しそうな横顔を見ながら、シンは胃がキリリと痛むのを感じていた。 敵の三機のシグナスは牽制しつつ、撤退していく。 一方こちらは、ルタンドの一機が頭部を吹き飛ばされて行動不能になった他は、味方のゼクゥ・ルタンド隊が順調に敵を追い詰めていた。 この後さらにマサムネ隊が支援に加わる予定だ。 上空のムラマサから戦況を観察していたアデルは、テロリスト達が何を考えているのか推測していた。 (……罠、か。この戦力差ではそれしかないが) テロリスト達の狙いは、言うまでもなくアリーの街の奪還だとアデルは睨んでいた。 そのためにはアデル達政府軍を退けさせなければならない。 そう考えていくと、今のシグナス達の動きは『こちらを罠にかけるために動いている』と見るのが妥当だと、アデルは考えていた。 かといってアデルに兵を引かせる考えは無い。 アデル達の目的はアリーの街を守る事では無く『アリーを利用して、出てきたテログループを殲滅する』のが目的なのだから。 ならば多少の罠であろうと打ち破るつもりでいた。 それ故、アデルは敵の思惑が丸見えの撤退戦に付き合う事にした。 万が一の時はこのムラマサで支援してもいい。 戦力にはまだ余裕がある。 それが今のアデルに戦況をゆっくりと観察するゆとりをもたらしていた。 しかし、同時に彼は思考の隅に引っかかるものも感じていた。 (……戦力比を考えても奴らの方が劣勢なのは明らかだ。ならば同じ罠を仕掛けるにしても、夜襲で使うなり、奇襲を狙うなり、もっとこちらの隙をうかがう攻め方があったはず。なのに何故テロリスト共はそうせず、あえて白昼堂々攻めてきたのだ?) 今現在戦っているのはリヴァイブのモビルスーツ、シグナス三機のみ。 それが逆にアデルを不安にさせる。 (こっちのモビルスーツ隊を街から離させた後に、歩兵部隊でアリーの街を奪還するつもりか?いや、だとしても街に駐屯するこちらの部隊の方が数は圧倒的だ。それが分からん連中でもあるまい。一体どういう事だ……?) ゲリラは隠密行動に徹するから利があるのだ。 そこに罠を張るから、効果も上がる。 それすらもかなぐり捨てたリヴァイブの戦略に、アデルは不可解なものを感じていた。 (罠を仕掛けているのは間違いないだろう……?しかし一体どうやって?奴らの戦力にはもう余裕はないはずだ。それともまだこっちが掴んでいない隠れた戦力でもあるというのか?) 思考が答えの見えない疑問の迷宮に嵌る 疑心暗鬼。 これこそが、大尉の考えていた戦術の効果である。 中途半端に相手の戦力を知っているだけに、逆に一度疑いが生じるとどこまでもキリが無くなるのだ。 さらに彼を疑心暗鬼に陥れるのが……。 (しかも例の”ガンダムもどき”はまだ見えないと来ている。奴は何処だ!?何処から来るつもりだ!) この時アデルは自覚していなかったが、彼は焦っていた。 アデルの本当の目的は”ガンダムもどき”――すなわちダストの撃墜だった。 一機とはいえダストの戦闘力は既に証明されているように、十分な脅威といえる。 しかもその相手に二度も苦渋を飲まされているのだ。 (奴だけは俺が倒す……!) ダスト打倒への執念がアデル自身をシグナス隊追撃に向かわせず、ここに留まっていた強力な動機となっていた。 もちろん戦況が不利になれば、その限りでは無かったが。 だがそれはある意味、大尉の戦術が予想以上に成功していた事を意味していたとは、当のアデルは気づくよしもなかった。 この時ゼクゥ、ルタンド隊に続いてアデルがムラマサ隊までを戦線に投入していれば、シグナス達は捌き切れなかったかも知れない。 数が違う上に、空と地上からの二面攻撃を受けては、さすがの大尉達ももたなかっただろう。 だが逆にアデルはザウート隊とルタンド隊を街に戻した。 既に一機が中破していたし、追撃させるにはルタンドはゼクゥの機動力に付いていけず連携が難しかった。 現に前を行くゼクゥとルタンドの間はかなり距離が離れていた。 更に都市防衛の面で歩兵部隊だけでは如何にも不安があったからだ。 そして何より未だ姿の見えぬダストの存在が、アデルにそういう判断を余儀なくしていた。 (ゼクゥの支援はマサムネ隊に任せるから、まあ大丈夫だろう。あとは、奴だけだ……!) アデルはムラマサのコックピットの中でどこかに潜んでいるであろう、ダストの気配に神経を尖らせていた。 かくて大尉のシナリオ通り敵部隊は攻撃部隊にゼクゥ及びマサムネ隊、防衛部隊にルタンド、ザウートと分断された。 戦術とは、効果的に兵を配置し、運用する事だ。 その点に置いて大尉は『敢えて兵を見せない』事で敵戦力を分断させ、『時間単位における戦力差』を減算させる事に成功しつつあった。 つまり、敵に遊兵(この場合は戦闘に参加しない兵)を作らせる事に成功したのである。 “兵は欺道なり(戦争とは敵を欺く行為である)”とは、この事だろう。 結果的に政府軍の戦力は二分され、大尉達を追撃する戦力も減った事になるが、では彼らが楽になったかというと、そうでもなかった。 『でー!!ルタンドが居なくなってからの方が、ゼクゥが生き生きしてやがる!』 『そりゃそうでしょう。あっちの方が明らかに足が速いんですから!』 少尉と中尉が悲鳴を上げる。 砂塵渦巻く荒野の中で、四つ足のモビルスーツに追い立てられた三機のシグナスは、まさに四苦八苦の様相を呈していた。 ゼクゥはバクゥの後続機種である。 地上での機動力、速力は他の追随を許さず、ここにおいてもその威力を遺憾なく彼らに見せ付けていた。 「ルタンドがいなくなったら、こいつら急にスピードを上げやがった!!」 大尉機がビーム突撃銃を乱射する。 だがゼクゥは難なくそれをかわし、逆に背部にある連装ビーム砲を撃ち返してきた。 「くそぉ!」 なんとかかわす。 だが別のゼクゥが横に回り込む。 大尉機の死角だ。 「チッ!」 後ろを取られたか、大尉がそう覚悟をした瞬間、スナイパーライフルが数発がゼクゥをかすめいった。 すると形勢が不利と見たのか、そのゼクゥはあっと言う間に後方に下がっていく。 『大尉!大丈夫ですかか?』 「スマン、中尉!」 大尉達は機動性の高いゼクゥ隊を捌くのに、必死にならねばならなかった。 シグナスとて足は速いが、流石に平地ではゼクゥの速力に敵うものでは無い。 幸い撤退したタイミングがかなり早かったので、包囲される事はなかったが、ゼクゥ隊は隊列を整え、ジリジリと三機のシグナスを追い詰めてくる。 さらに。 『!?……二時方向、マサムネ来ます!』 ――新手が来れば、また問題は別だ。 「中尉、対空散弾!!」 大尉が言葉少なに指示を出す。 中尉は直ぐに動いた。 『了解。フォロー願います!』 少尉と大尉のシグナスが、ゼクゥ隊と中尉機の間を塞ぐように移動する。 精密射撃をする時はどうしても足は止まるか、そうでなくとも単調な動きになる。 この状況下で足を止める事がどれ程危険な事かは、言うまでも無い。 『散れっ!手前……ラァッ!!』 少尉が温存していたミサイルポッドを全弾発射する。 同じように大尉もミサイルを射出する。 弾幕に視界を遮られ一端距離を取るゼクゥ隊。 ――そして数瞬出来た隙に中尉は対空散弾の狙いをマサムネに定め、撃つ。 かろうじてマサムネはそれを回避する。 外れた散弾は地上のゼクゥに雨の様に降り注ぐ。 しかし散弾はゼクゥの装甲に少しの焦げを作っただけで、ダメージと言えるほどのものは与えられなかった。 「……焦らせやがって!そんなオモチャじゃ何発喰らっても効かないぜ!!」 マサムネのパイロットが吼える。 彼は散弾の弾幕は脅威足りえないと判断し、攻撃を仕掛けてきた。 それこそ中尉達の狙いだとも知らずに。 中尉は再び狙いを定め対空散弾を放つ。 が、威力を見切ったマサムネはかわそうともせず距離を詰めてくる。 そしてそのまま散弾の弾幕の中に飛び込んだ。 「な、何!?」 マサムネのパイロットは驚愕する。 突然、コックピット内に警告ブザーが鳴り響き、機体がコントロールを失ったのだ。 咳き込んだような音を立て、エンジンが止まる。 マサムネは機体に一体何が起きたのか理解する前に、地上に墜落していった。 それを見た残り二機はあわてて上空へ退避する。 『いよっしゃぁ!』 まんまと嵌った敵の姿に少尉は、中指を立てカッツポーズを見せた。 中尉の射出した対空散弾とは俗称で、正式に配備されている弾頭では無い。 レジスタンスが開発した“対戦闘機用のエリア攻撃兵器”という代物だ。 ある一定距離を進んだ後に爆発し、かなりの広域に散弾を散布する。 その散弾一つ一つは鋼鉄ではなく強化プラスチックに溶液を浸した様なもので、とても戦闘機を撃墜できる威力は無い。 だが、この武器が効果を発揮するのは『その弾が一つでも戦闘機のエアインテークに吸入されてから』なのだ。 強化プラスチック内の溶液は気圏戦闘機に使われる航空燃料と良く反応し、小規模ながら爆発を起こす。 それが一つでも内部で爆発してくれれば、たちまち内部機構が破壊され、機体は動作不能に陥るのである。 マサムネ隊は見かけの威力に騙され、回避を怠った為、見事引っかかったのだ。 一機撃墜。 しかし喜んでいる場合ではない。 大尉が叫ぶ。 「馬鹿、喜んでる場合か!避けろ!」 一機のゼクゥが肉薄し、口に構えたビームサーベルが少尉を襲う。 間合いが近すぎて大尉達もフォローができない。 『……なろおっ!!』 少尉は無理に避けようとせず、そのままゼクゥに体当たりをかける。 ビームサーベルがシグナスの左腕を切り裂きそのままボディを切り裂こうかという寸前、シグナスはゼクゥをかち上げた。バランスを崩し、ゼクゥの体が宙に吹き飛ぶ。 思い切りのいい少尉で無かったら死んでいただろう。 「油断するな、少尉!」 『す、すんません大尉!』 すぐさま大尉が少尉のフォローに入り、再び三機のシグナスは撤退戦を続行する。 彼らは待っていたのだ。 戦局が変わる瞬間――ロマが提案した『奇策』が実行される時を。
https://w.atwiki.jp/moedra/pages/328.html
ギュウッ・・・! 「ウガッ・・・グ・・・グアァッ・・・!」 やがて必死に快楽に耐えようと歪めていたワシの顔をうっとりと眺めながら、突然雌竜がそのドロドロに蕩けた火所に呑み込んでいる無力な贄を思い切り押し潰す。 そして堪えようもなく迸ったその雄の悲鳴を堪能すると、雌竜が肉欲に火照った艶のある声を漏らしていた。 「おやおや・・・この様子だと、今夜もたっぷりと快楽に泣き叫ぶ声を聞かせてくれそうだねぇ・・・」 「ア・・・ガゥ・・・こ、これ程までにワシを弄んで・・・い、一体お前は何が望みなのだ・・・?」 「お前はあの村の人間どもを守りたいんだろう?だから、あたしがその望みを叶えさせてやってるのさ」 望みを叶えさせてやっているだと・・・? ワシの望みは、あの村の人間達とともに平和に暮らすことだけだ。 なのにこ奴は村人の1人を無残に食い殺したばかりか、彼らが神と崇める存在を自らの手で貶めさせたのだぞ。 それの・・・それの一体どこがワシの望みだというのだ! だがそんな轟々と胸の内に湧き上がる怒りの炎へ、雌竜が更に油を注いでいく。 「お前が生きている間は、もうあの人間どもに手を出しやしないさ。でもお前が力尽きたらその時は・・・」 こ奴・・・ワシが力尽きた時はあの村を滅ぼすとでも言うつもりか?ふざけるな! 「グ・・・か、彼らがお前に逆らわぬ限りは手を出さぬという約束だったであろうが・・・!」 そしてそう言いながらあっさりと約束を反故にしようとする雌竜に鋭い視線を突き刺した次の瞬間、いかにも意地悪げな表情を形作るその巨大な口から思いもかけない言葉が発せられた。 「フフフ・・・もしお前が死んだら、あの人間どもがただ黙ってあたしに従うとでも思うのかい・・・?」 「なっ・・・!?」 まるで雷に撃たれたかのような激しい衝撃が、ワシの脳天を一直線に刺し貫いていった。 そうだ・・・もしワシが死んだということが村の者達に伝わったとしたら、いくら恐ろしいとはいえ彼らがこの雌竜の言うことにおとなしく従っているはずがないではないか。 雌竜の命令でワシをここに縛り付けようとしていた時の彼らの顔には、こ奴に逆らいたくても逆らえぬことに対する深い無念の表情がありありと浮かんでいた。 だがそれでも何とかそれを表に出さずに堪え切れていたのは、自分の命が惜しいからということ以上にこのワシの無事を心の底から願ってくれていたからに違いない。 ワシが彼らの命を守るべくして屈辱的な無抵抗を押し通したのと同じように、彼らもまたワシのために耐え難きを耐えて仮初めの従順を装っていたのだ。 「フフフフ・・・約束は守ってやるよ。でもあの人間どもの命も、結局のところはお前と一蓮托生なのさ!」 ゴシュッ、グシュッ・・・! 「ウアッ!アアッ!」 その途端、忘れかけていた強烈な圧搾が再びワシの肉棒に襲いかかってきた。 きつい締め付けがまるで肉棒を扱き上げるかのように根元からゆっくりと駆け上がり、次々と溢れ出す沸騰した愛液がワシの理性をジワジワ焼き尽くしていく。 そしていよいよワシの忍耐力に致命的な亀裂が走ったのを見届けたのか、がっしりと地面を踏み締めた雌竜が肉棒を咥え込んだまま腰を左右に激しく振り回した。 「ほぉら、遠慮せずに泣き叫ぶんだよ!」 ズリュッゴシャッグリュグリュッ・・・ジュルルッ! ブシャッドブッドブドブッ・・・ 「グ、グワアアア~~~!」 勢いよく吐き出された白濁が一瞬にして雌竜の膣を満たし、射精中の肉棒がグチャグチャと乱暴に揉み潰される。 長時間に亘る生殺しのような甘い責めに最早悲鳴を押し留める気力は跡形もなく崩れ去り、煮立った蜜壷の妖しい蠢きに滅茶苦茶に嬲り回された雄槍がその主の口から甲高い嬌声を吐き出させていった。 ドスッ・・・ドスッ・・・ 「ん・・・お、おい、起きろ。あいつが出てくるぞ」 朝露にしっとりと湿った地面を伝わる断続的な微振動で目を覚ますと、俺はサッと地面に身を伏せて背後で眠っている2人の仲間をそっと揺り起こした。 欝蒼と茂った厚い梢に隠れて朝日は見えなかったものの、明るい森の中を冷たい朝風が通り抜けていく。 そして洞窟から姿を現した雌竜に見つからぬように茂みの陰でじっと息を潜めていると、やがて大地を揺らす大きな足音が次第に木々の向こうへと遠ざかっていった。 「よし・・・もういいだろう。さあ、竜神様を助けに行くぞ」 その声に大きく頷いた2人の男が、やはり心のどこかではあの雌竜の存在に怯えているのか静かに足音を殺しながら俺の後ろにぴったりとついてくる。 だがいよいよ巨大な洞窟の前へとやってくると、彼らは竜神様の安否を確かめるべく薄暗い穴倉のなかへ我先にと駆け込んで行った。 「こ、これは・・・」 ふとした拍子にうっかり先を越されてしまった2人の男を追い掛けるようにして巨洞の奥へと入っていくと、やがてその先に地面に縫い付けられた竜神様の姿が見えてくる。 そして竜神様の傍に駆け寄ったその瞬間、俺は思わずゴクリと息を呑んでいた。 グッタリと地面の上に力無く投げ出された太い両腕。 前に見た時よりも更にズタボロに破られている痛々しい翼膜。 辺りに立ち込める濃い精と愛液の臭いの中で、虚空を仰ぐ竜神様が今にも消え入りそうな細い息を漏らしている。 「なんて無残な・・・」 一切の抵抗を封じられたまま夜通しあの雌竜に心身を弄ばれ続けた1匹の雄の末路が、そこに転がっていた。 丸2日間飲まず食わずでこんな洞窟に拘束されているだけでも苦しいだろうに、あの性悪な雌竜にきっと俺達には想像もつかないような激しい責苦を味わわされたのだろう。 それもこれも全部、俺達の命を守るために竜神様が甘んじて受け入れた選択なのだ。 「竜神様・・・竜神様・・・!」 耳も聞こえていないのか、焦点の定まらぬ竜神様の目がフラフラと辺りを泳ぐ。 だがしばらくして俺達の必死の呼びかけに多少は正気を取り戻したのか、竜神様がきょとんとした顔をこちらへと向けていた。 「お、お主達・・・どうしてここへ・・・?」 遠い意識の奥から何者かに語り掛けられるような感覚に、ワシは靄のかかった頭を振って辺りを見回した。 その眼前に、心配そうにワシを覗き込む3人の男達の顔が飛び込んでくる。 「ああ、よかった・・・竜神様、今助けます」 「ま、待て・・・今更ワシを解き放ったところで、あ奴には太刀打ちできぬ。無駄なことは止めるのだ」 「そんな・・・たとえ力では敵わなくたって、俺達は竜神様なら何とかしてくれると思ってここにきたんですよ」 確かに敵対的な巨竜に支配されるという未曾有の脅威に曝された彼らにとって、曲がりなりにも竜族であるワシの他に誰も頼れる者がいないというのは紛れも無い事実だろう。 だがそこらの森を闊歩しているような猛獣や野蛮な人間が相手というのならともかく、強大な力を持つ同族が相手ではいくらこのワシでも流石に勝ち目がないのだ。 「それじゃあ竜神様は、俺達にこのままあの雌竜の言いなりになれと言うんですか?」 「そうは言っておらぬ・・・だが、もうあ奴はこのワシの手にも負えぬのだ・・・」 それを聞くと、男達の顔に深い悲しみの表情が浮かんでいた。 きっとここに来るまでの間、彼らは一心にワシを信じながら冷え込む森の中で夜風を凌いでいたのに違いない。 そんな村人達の期待を裏切るのはあんな雌竜から受ける仕打ちなどより何倍も辛いものの、力の無き者が気ままに生きていけるほどこの世は甘くはできていない。 「さあ・・・お主達も早く村に戻るといい。こんなところをあ奴に見つかったら、確実に命はないのだぞ」 だがそう言って勇気ある村人達を追い返そうとしたその刹那、ワシの脳裏にある光明がキラリと閃いていた。 そうだ・・・この弱肉強食の厳しい自然界においても、力の弱き物が強者を捻じ伏せる方法があるではないか。 「わかりました・・・でも竜神様、俺達はまた・・・」 「いや、待つのだ・・・ワシに1つ考えがある。いくつか頼みがあるのだが、聞いてくれるか?」 やがて唐突に卑屈な態度を改めたワシの様子に、男達が微かな希望の表情を浮かべながらゆっくりと頷いていた。 サク・・・サク・・・ 高く昇った真昼の太陽が照らす森の中へ、乾いた草を踏む軽快な音が響き渡る。 竜神様の頼みを聞いて山から下りるその途中、俺達は手分けして森に住む野兎を捕らえていた。 とは言っても、山奥の洞窟に縛り付けられた竜神様への供え物というわけではない。 あっという間に手慣れた様子で1人で数匹ずつ捕らえたその獲物は、村の洞穴に棲み付いたあの憎たらしい雌竜へ捧げるためのものだ。 「あんまり気乗りはしないけど・・・こんなのでいいのかな・・・?」 そう言いながら、男の1人が手にした小さな野兎の耳を掴んで吊り下げる。 「竜神様の言ったことだ。それに、気の立っているあの雌竜を少しでも油断させるためには必要なんだろう」 「とにかく、問題は今夜だ。あいつには絶対に勘付かれないように、村の皆へ話すのは夜になってからにしよう」 そんな風にして2人の男達を纏め上げると、俺は獲物を手にしたまま何食わぬ顔で村へと戻っていった。 全く・・・なんてつまらない暮らしなのだろうか。 不気味なまでの静寂に包まれた村の洞穴の中で、あたしは地面の上に蹲ったままフンと大きく鼻息をついていた。 村の人間どもはどいつもこいつもこのあたしを恐れて捧げ物の1つも持ってこないばかりか、じっと家に閉じ籠もったまま外に出てくる気配すらない。 ひ弱な人間どもなんてほんの少しばかり脅してやるだけで簡単に操れる連中だと思っていたものの、どうやらこの村にはまだあの老いぼれの影響が色濃く残っているらしかった。 昼は黙っていても人間どもから獲物を捧げられ、夜は夜であたしに楯突いたあの雄竜を思う存分いたぶって楽しく暮らそうと考えていたというのに、これでは全く当てが外れたというものだ。 こんなことならとっととこの村も滅ぼしちまって、あの老いぼれの嘆く顔でも見た方がずっと楽しいに違いない。 だがそんな物騒な物思いに耽っていた正にその時、あたしは不意に数人の村人達が洞穴の中に入ってきた気配を感じ取っていた。 「・・・?」 まさかこのあたしに、あの人間どもが何か美味そうな捧げ物を持ってきたとでも言うのだろうか? いや・・・つい昨日まであたしに姿も見せようとしなかった程の臆病な連中が、急にあの老いぼれへの信仰を捨ててこのあたしに忠誠を誓いに来るなどとはとても考えられない。 そして洞穴に入ってきた者達の真意が読めぬままじっとその場で待っていると、程なくして両手に小さな野兎を持った3人の男達があたしの前に姿を現していた。 やがていつもとは違う禍々しい気配に怯えながらも洞穴の最奥にまで辿り着くと、そこへ蹲っていた山のように巨大な雌竜がその大きな頭をゆっくりと持ち上げる。 そして次の瞬間、空気の震えるような重々しい声が辺りに響き渡っていた。 「何だい、お前達は・・・?まさか、あたしに供え物を持ってきたなんて言うんじゃないだろうねぇ・・・?」 まるで心の奥底まで見透かされてしまいそうな鋭い深みのある視線が、俺の目を真っ直ぐに覗き込んでくる。 その迫力に一瞬気圧されてしまいそうになったものの、俺は心中に湧き上がる恐怖をグッと押さえ付けると竜神様から言われた通りに雌竜に向かって挑発的な言葉を投げつけていた。 「ああ、その通りだ。でも俺達は、まだお前を本当にこの村の竜神様だなんて認めたわけじゃないからな!」 「何だって・・・?」 それを聞いた途端雌竜の顔に微かな怒りを孕んだ危険な表情が浮かび上がったものの、不思議なことにその殺気立った不穏な空気もものの数秒で完全に消え去ってしまう。 「フン・・・まあいいさ・・・今日のところは特別に聞き流してやるよ。とっととそいつを置いて出ていきな」 そして再び地面に顎を擦り付けながら小声で呟かれた雌竜のその言葉に、内心本当に殺されやしないかとビクついていた俺はほっと胸を撫で下ろしていた。 この雌竜にしてみればたとえそれがいかに反抗的な物言いだったとしても、今後のことを考えれば初めて食い物を持ってきた人間を無碍に扱うわけにはいかなかったのに違いない。 やがて雌竜への供え物をその場に置いて無事に洞穴から生還すると、俺達は各々の家で静かに夜の訪れを待つことにした。 経緯はどうあれ俺達の持っていった供え物を受け取ったことで、取り敢えず今日に限ってはこれ以上あいつが他の村人達に干渉する心配はないだろう。 どうして竜神様がわざわざ俺達の命を危険に晒してまで雌竜を挑発させたのかはわからなかったが、きっと竜神様には竜神様なりに何かしらの作戦があるのだ。 ここまできたら後はもう、竜神様があの雌竜を何とかしてくれるのをひたすらに信じるしかない。 そしてそんな若干の不安が拭えぬ未来に思案を巡らせながら家に戻ると、俺は森での夜明かしで冷えた体を温めるように熱い風呂を沸かし始めていた。 時の経過とともに洞窟へと差し込んでくる光が少しずつ弱まっていくのを見つめながら、ワシはあの村の人間達のことを一心に気にかけていた。 縄張りを奪われた上に村を襲ってきたあの雌竜に手も足も出せずに敗れたワシを、彼らはまだ村の守り神として慕ってくれている。 そして今頃あの3人の男達が、村を救うために決意を固めているのに違いない。 だがもし今夜ワシが失敗すれば・・・ワシはもちろんあの村の者達も決して無事には済まぬことだろう。 彼らのささやかな平和をあんな粗暴な雌竜に奪わせぬためにも、ワシは奮い立たねばならんのだ。 チャラ・・・チャララ・・・ そうして腕に巻き付けられた鎖の鳴る音に覚悟を決めると、すっかり漆黒に染まった外の景色がいよいよ村の運命を決める夜の訪れを告げていた。 ドス・・・ドス・・・ やがて朱色の絵具で空を塗り潰していた夕日が山の稜線の向こうへ静かに消えていくと、真っ暗な闇に包まれた村の中に再び重々しい足音が鳴り響いた。 まだ事情を知らぬ他の村人達はその災厄の気配が村から遠ざかっていく様子に安堵しているのかも知れないが、俺達が明日の朝を無事に迎えることができるかどうかは全て今夜の竜神様にかかっている。 しばらくして村から雌竜の気配が消えてなくなると、俺は家の外に出て他の村人達を静かに集め始めていた。 昨夜俺とともに山へ入った他の2人も、いつの間にか辺りの家々へと声を掛けている。 そして村中の男達が不安げな面持ちを浮かべたまま家の外へと出てきたのを確認すると、俺は彼らに向けて今朝竜神様から言われたことを話し始めていた。 「そろそろか・・・」 しばらくすると、長い間地面に押し付けられている背中から雌竜が地面を踏み締める微かな震動が伝わってきた。 刻一刻と決戦の瞬間が近づいてくるその気配に、生まれて初めて緊張の染み込んだ冷や汗をかいてしまう。 そして次第に大きくなっていく足音が洞窟の中にも響き始めると、ややあって目の前に悠然と姿を現した雌竜が妖しげな笑みを浮かべながらワシを見下ろしていた。 「フフフフ・・・ほぉら、お楽しみの時間だよ・・・寂しかっただろう・・・?」 「む、村の者達は・・・無事なのであろうな・・・?」 「あの村はいたって平和さ・・・今日なんか、このあたしに供え物を持ってきた奴らまでいたくらいだよ」 勝ち誇ったかのような優越感に満ちたその雌竜の声が、静かな洞窟の中にそっと尾を引いていく。 わざわざワシにそんなことを教えるということは、さぞかしワシの驚く顔を期待しているのに違いない。 ここは1つ、その思惑にまんまと乗ってやるとしよう。 「な、何だと・・・!?でたらめを言うでない!彼らがお前などに与するはずがないであろうが!」 そんなワシの様子を目にして、雌竜が愉快そうに眼を細めていた。 「でたらめなものかい。生意気な態度だったけど、人間どもからもらった兎の味はまた格別だったよぉ・・・」 ふむ・・・どうやらあの者達は、上手くこ奴を調子付かせることに成功したらしい。 これならば、万が一ワシがしくじったとしてもあの村にはさして被害は及ばぬかも知れぬ。 「この様子じゃあ、お前があの村の連中に忘れ去られるのも時間の問題なんじゃないのかい?フフフ・・・」 「グ、グウゥ・・・」 その仮初めの悔しさを滲ませた苦悩の表情が余程気に入ったのか、雌竜がワシの顔を間近で覗き込もうと大きな顎を近づけてきた。 そして完全な勝利を確信したかのように輝くその視線が、微かに潤んだワシの双眸へと真っ直ぐに注がれる。 今だ・・・! 次の瞬間ワシは両手の内に隠し持っていた数個の小さな木の実を握り潰すと、ドロリと溢れ出した透明な果汁を指先の爪に塗しながら思い切り腕を振り上げていた。 ジャッジャララッズボッ! その勢いで予め緩められていた数本の鉄杭が地面から引き抜かれ、一瞬にして両腕の肩から先が自由になる。 「なっ・・・!」 そして反射的に身を引こうとした雌竜の頭を素早く片手で掴むと、ワシはもう一方の手の爪を驚きに見開かれたその眼へと躊躇うことなく突き刺していた。 ドスッ・・・! 「ガッ・・・グアアアアアッ!」 雌竜の眼に突き刺した右手の指先に残る、何とも言えぬ柔らかな感触。 次の瞬間、凄まじい咆哮にも似た雌竜の悲鳴が広い洞窟内をビリビリと震わせた。 そして苦痛に任せてワシの腕を振り払った雌竜が、ゴロンと地面の上に引っくり返って小刻みな痙攣を始める。 その痛々しい顔の傷口から引き抜かれたワシの手の先には、真っ赤な雌竜の血に混じって小さな黒い木の実の殻ととろみのある透明な液体がべったりと纏わりついていた。 猛毒の果汁を湛えた黒い鈴のような実を付ける毒樹・・・スズヒノキ。 そのスズヒノキの毒を眼に受けて、今やあ奴は全身に跳ね回る激しい痛みと倦怠感に苛まれていることだろう。 「ウ・・・ガフッ・・・」 やがて血を吐くような雌竜の苦悶の声を聞きながら久方ぶりに自由になった両腕で残りの鎖も体から取り外すと、ワシはドタドタと洞窟の中に駆け込んでくる人間達の気配に顔を上げていた。 「竜神様!」 雌竜が洞窟の中に入ってから数分後、静寂に包まれた森の中に突然悲痛な叫び声が響き渡ると、俺達は松明に火を灯しながら一斉に闇に沈んだ洞窟の中へと駆け込んで行った。 その深い暗闇の奥底で、全身に絡み付く鎖を取り外していた竜神様の前にあの雌竜がグッタリと仰向けに転がって荒い息をついている。 竜神様から外の大木の傍に落ちている木の実を取ってくるように言われた時は一体何に使うのかと思ったものの、今思えばあれが先日村に咳と熱の病を蔓延させた危険な毒樹の実だったのだろう。 そして状況を見る限り、きっとこの雌竜はその強力な毒を塗った竜神様の爪で眼を貫かれたのに違いない。 「さぁお主達・・・今の内に、そ奴をこの鎖で縛っておくのだ」 やがてその場にいた誰もが既に無力となった村の仇敵に黒々とした怒りを燃やしていると、すっかり全身の自由を取り戻した竜神様がその身を縛めていた幾本もの鎖の束を俺達の前に差し出していた。 「この雌竜・・・生かしておくんですか?」 しばらくすると、ワシの手から鎖と鉄杭を受け取っていた男達の中から不意にそんな声が聞こえてきた。 確かに彼らにとっては、村の若者を食い殺した上にワシを手酷く痛めつけたこの雌竜は到底憎んでも憎み切れない不倶戴天の敵に見えていることだろう。 恐らくはワシが制止しなければ、彼らは今にも手にした鉄杭を雌竜の体に突き刺し、煌々と燃え上がる松明の炎でその身を焼き焦がしてしまうに違いない。 だがいかにこの雌竜が様々な許し難い悪行の限りを尽したとはいえ、ワシもほんの20年前にはこ奴と同じようにあの村の平和をを脅かそうとしたことがあるのだ。 それを考えれば、たとえ村の人間達を護るためとはいえこの仕打ちは少々やり過ぎてしまったようにも思える。 ならば、せめて命だけは取らずにおいてやるのが同族のよしみというものだろう。 「そ奴は最早毒に冒されて動くことも出来ず、両眼の光も失っておる。もう、十分に罰は受けておるであろう?」 「そうですか・・・竜神様がそう言うのなら・・・」 ガッガッ・・・ジャララ・・・ やがてワシにそうした時よりも抜群に精力的な働きで雌竜の全身に鎖を巻き付け終わると、村人達の顔にようやくかつての明るい表情が戻ってきていた。 「ア・・・ウゥ・・・」 そんな緩んだ空気の中に、苦しげな雌竜の呻き声が空しくこだまする。 これでもう、こ奴があの村を脅かすことはないだろう。 そして鎖に繋がれたまま苦悶に喘いでいる雌竜をその場に残すと、ワシは大勢の村人達を引き連れて洞窟を後にしていた。 それから5日後・・・ 人々の記憶からようやくあの雌竜の恐怖が薄れてきたのか、村は再び元の平穏を取り戻していた。 ボロボロに破かれてしまったワシの翼膜も少しずつだが回復の兆しを見せ始めていて、時折供え物を持ってくる者達もそんなワシの様子に皆安堵の息をついている。 1度折れてしまった自慢の角だけはもう元には戻らないだろうが、これは村に降り掛かった脅威に対して力及ばなかったことへの戒めとして胸に留めておくとしよう。 だがこれから先も今回と同じようなことが決して無いとは言い切れぬだけに、ワシはもちろん村人達の中にもまだ内なる不安を抱えている者がいるに違いない。 「竜神様・・・具合はどうですか?」 とその時、ぼんやりと考え事をしていたワシの目の前に突然2人の人影が立っていた。 「む・・・お主達は・・・」 2人とも、よく見覚えのある顔だ。 数日前にあのスズヒノキの花粉で苦しむ息子を救うべくここへ相談に訪れた娘と、もう片方は山中の洞窟で磔にされていたワシを助けに来てくれた男達の1人だろう。 そう言えば、彼らは村でも評判の随分と仲の良い夫婦だったな。 「今日は先日のお礼に上がりました。竜神様のお陰で、息子も随分と元気になりましたわ」 「それはよかったのぉ・・・だがこれしきの事、そう改まって礼を言いにくる程のことではなかろうに」 だがワシがそう言うと、娘の隣にいた夫がおずおずと話を切り出し始めた。 「俺達・・・竜神様にはとっても感謝してます。でもあの雌竜の1件で、村の皆も少し考えを改めたんです」 「考えを改めたとは・・・?」 「今まで俺達は、困ったことがあれば何でもかんでも事あるごとに竜神様に頼ってきました。だから・・・」 そこまで言うと、俺は少し言葉を切って心を落ち着かせていた。 「竜神様がいなかった数日間、この村は酷い状態でした。雌竜の存在とは関係なしに、皆不安だったんです」 「それは・・・村を纏め上げている者が誰もいなかったからじゃな・・・?」 「ええ・・・この村には村長もいないし、もしまた竜神様がいなくなったりしたらと思うと・・・」 それを聞いて、竜神様がほんの少しだけその顔に悲しげな表情を浮かべる。 きっと竜神様は、村人達の心を弱らせてしまった自分に幾許かの責任と後悔を感じているのだろう。 でもこれは、決して竜神様を悲しませるための話ではないのだ。 「だから他の皆と話し合って、俺・・・この村の村長を務めることにしたんです」 「ほう・・・」 眼前の若者が放った意外な一言に、ワシは思わず目を見開いていた。 だが確かに、この男なら村の者達を立派に纏め上げてくれることだろう。 恐らくはあの雌竜に捧げ物を持っていったときも、危険を承知で挑発的な啖呵を切ったのは彼なのに違いない。 「成る程・・・それは良い考えだ。ワシも、できる限りお主の力になることを約束しようぞ」 「はい、ありがとうございます!」 そしてそんな元気のいい村長夫婦の声が周囲に響き渡ると、ワシは洞穴から出ていく彼らを見送って遅い昼寝についていた。 その日の深夜、ワシは昼間村人達からもらったお供え物の野兎を2匹ばかり手の中に隠し持つと、村の者達が皆寝静まった頃を見計らって静かに洞穴から出て行った。 そして努めて足音を立てぬよう慎重に歩きながら、村外れの森の中へと足を踏み入れていく。 山奥の洞窟に残してきたあの雌竜は、今もまだスズヒノキの毒に酷く苦しみ続けているに違いない。 だが村人達が雌竜の恐怖を克服し始めた今となっては、これ以上あ奴を苦しめておく必要はないだろう。 たとえワシらのような老齢の竜族といえども、飢えと猛毒に長らく耐え続けるのは至難の業なのだ。 やがて真っ暗な森の中を歩くこと十数分、果たして夜の帳の向こうにあの洞窟が見えてきていた。 その洞窟の手前に、先日ワシが樹皮を引き剥がした跡のあるスズヒノキの木がそっと佇んでいる。 「フン・・・このワシも、随分と情に脆くなってしまったものだな・・・」 そうして誰に言うとでもなくポツリと一言呟くと、ワシはおもむろに尖った爪を立ててスズヒノキの樹皮を剥ぎ取り始めていた。 大木の幹を引っ掻くガリガリという音が静まり返った森の中へと響き渡り、あっという間に妖しい艶のある数枚の黒い樹皮が手の内へと溜まっていく。 そして首尾よく手に入れた解毒薬と僅かばかりの食料をチラリと一瞥すると、ワシは一握りの憐れみを胸に秘めたまま漆黒の闇に沈んだ洞窟の中へと静かに体を滑り込ませていった。 完 感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/p-broken-in/pages/61.html
太陽が昇る前に私は目を覚ます。 太陽神トナティウに夜の暗闇を打ち破り世界に光をもたらした事を感謝するためだ。 そしてその時トナティウから力を貰い、右目で部族の未来を見なくてはならない。それが神官である私の務めだ。 今朝も皆が起き出す前に私は起きた。まだ隣で寝ている夫と息子を羽で撫でてから祈りの丘へと登る。 祈りの丘は人間で言う所のズイタウンに近い場所にある。かつてはそんな所に街など無かったのだが、私が小さい頃に最初の家が建った。人間という存在が珍しく、何度か見に行った事を覚えている。 その頃はうまく住み分けが出来ていたのだが、最近は人間が増えたようで街はどんどん大きくなっていた。そしてあろう事か牧場を大きくするために祈りの丘を切り崩そうとまでし始めたのだ。 勿論私達は人間が祈りの丘を穢さないように抵抗した。毎朝私が未来を覗くのもそのためだ。人間がどのような時間にどのような機械に乗ってどのようなルートで来るのかを知り、先回りして阻止するのである。 私が祈りの丘の祭壇に到着した頃には空が白み始めていた。木の枝で組んだ祭壇に手早くトナティウへの供物を用意すると、私は右目を凝らしいつでも未来を覗けるように準備する。 太陽光が稜線を越えて私の目に届いた。 夜の神テスカトリポカを見事に打ち倒した事を私は称える。そして未来を覗く力を分けて貰えるよう懇願した。 トナティウは捧げ物を気にいったようで、今日も力を分ける事に同意したらしい。私の右目に澄んだ空と太陽以外の光景が広がる。 赤。血の赤。 いきなり眼前に広がったそれに私は小さく声をあげてしまった。映像が消えかけたので、慌てて精神を集中させる。 そして知った。人間が総力戦で来る事を。 『集落が……!』 私は未来を覗かせてくれた事をトナティウに感謝もせずに集落へと飛び立った。 それがトナティウの怒りを買わなかったかもしれない。しかし私は集落に残してきた家族の死を見せ付けられ、それを考える事が出来なかったのだ。 私が村に着いた時にはもう手遅れだった。 木で編んだ巣は壊され、集落の者は捕まえられるか――撃ち殺されていた。 『誰かっ! 誰か生きている者は!?』 私は必死にテレパシーで呼び掛ける。崩れた巣の枝を払い、下敷きになっている者を探した。 だが残されているのは死体ばかりだった。未来を知り、穏やかに暮らしていた平和の民はもう存在していなかった。 私は立ち尽くして泣いた。涙が枯れ果て目が乾いてこようとも心の中で泣き続けた。 夫と息子の死体が見付からなかったのが唯一の救いだった。逃げたのか捕まったのかは分からないが、とにかくまだ生きているはずだ。 だが……私はどうすれば? 1匹だけで生きて行く自信など無い。集落の者からの貢物で身を立てていたのだ。そんな者が自分で獲物を取れる程自然は甘くは無いだろう。 途方に暮れて立ち尽くす。傍から見ればさっきまでとの違いは分からないだろうが。 その時だ、蹄の音が聞こえてきたのは。 「Yee-HAW!! 騎兵隊の到着だ! 赤肌の野蛮人はどこにいる!? 狩りの時間だぜ!!」 その男はギャロップに乗り集落に突進してきた。ズイタウンにうろついている人間の御多分に洩れずルンパッパのような格好をしている。 「……ありゃ、乗り遅れたようだな。チクショーダックハントに参加したかったのによぉ! 俺のウィンチェスターとSAAが火を吹く貴重なチャンスが!」 男は肩から下げた銃を手に取り八つ当たりするように発砲する。 その轟音でようやく私は気付いた。コイツは憎き仇だと。 「大体こんな早朝からやらなくてもよぉ。なんだ、俺が朝弱い事への当てつけか? そうなのか? 怒っちゃうぞ? おっ?」 ブツブツ呟いていた男が木が擦れる音に振り返り、そして私と……男に尖った方を向けた数多の枝に気付く。巣の枝を全てサイコキネシスでかき集め、矢の代わりにしたのだ。 「……いるじゃん。活きのいいのが」 『部族の仇……ここで取らして貰う』 舌舐めずりしながらモンスターボールを取り出す男にテレパシーで宣戦すると、私は枝を最高速で打ち出した。 幾らギャロップでも避けれない程の速度と密度で矢は押し寄せる。だが男はニヤけ顔を崩さずにモンスターボールを放った。 「ハニー、お・仕・事」 モンスターボールから発せられた閃光で一瞬男が見えなくなる。その間に矢は男のいる場所を通過し、後ろの木々に次々と刺さった。 やったか、と私は思ったのだが、 『マスター、いい加減土壇場でアタシを出すのを止めて下さい』 男の突き刺さるはずだった矢は空中で静止していた。寸前に出されたポケモン、サーナイトによって止められたらしい。 「おまっ! 来る時決めたじゃん! 今日はボニー&クライドで行くってさ! マスターじゃなくてダーリンって……」 『あまり知りもしない癖に何言ってるんですか。大体ボニー&クライドって禁酒法時代の人じゃないですか。服装とミスマッチです』 唐突に出された事にサーナイトは怒っているらしい。私を無視して男と口論し始めた。 私はこの隙に逃げ出す事を決めた。技を1発放てば相手の力量くらい読める。悔しいが私ではあのサーナイトには勝てない。 私が空に飛び立つと男が声を上げた。 「おっ! やっこさん、鴨役になってくれるようだぜ! よーしダックハントだ!」 男は銃を構えて私を狙った。みらいよちを使って避けようとしたが、どうみても銃口がこちらを向いているようには見えないので、使うまで無いだろう。 下方で火の咆哮が聞こえた。弾は私から逸れ、明後日の方向に飛んでいく。 男と私の距離はどんどん広くなり、銃声も微かに木霊するだけとなった。 ひとまず安心かなと私が息を吐く。 無事に逃げ出す事は出来た。しかしこれからどこに行けば…… 『あがっ……!?』 そこまで考えた所で、脇腹から火が出た。翼が力を失い、揚力を得る事が適わなくなる。 体を抱えてうずくまりたい衝動を必死で抑えながら滑空し、どうにか大したダメージを負わずに不時着する事に成功した。 『カフッ……う、撃た、れた?』 脇腹を見ると鮮血が流れ出ている。寒気がしてきたのに身を焦がすような痛みが私を襲った。 どうにか止血しようと翼で押さえるのだがそれも叶わず、血はどんどん地面に吸い込まれていく。 ここで死ぬのか、私は暗くなる意識でそう考えた。家族を思うと胸が痛むが、これも運命かと受け入れる。 最後に覚えているのは、段々と近付いてくるあの忌まわしい蹄の音だった。 「おい、起きろ」 『うっ……?』 顔を叩かれ私は目を覚ました。 目の前いっぱいにあの男の顔が広がる。 すかさず私はくちばしで男をつついた。まだ本調子ではなかったので男の脳漿は拝めなかったが。 ぐわぁあと転げまわる男を眺めている内に意識がはっきりしてきた。 どうやら私はどこかの部屋に監禁されているらしい。無駄に広い無機質な部屋だ。光源はあまり多くは無く、全体的に薄暗い。 私はというと部屋の中央に設置された十字架に翼を広げさせられて括り付けられている。外そうともがいてみたがビクともしなかった。 体を確認してみると不時着時の擦り傷や脇腹の銃創は消えている。しかしそれと一緒に念力あサイコキネシスの力も消えているのを感じた。 私がため息を吐いたのと同時に男が立ち上がた。 「おいこのFuck’nインディアンのコスプレ鳥!! テメェ自分の立場分かってんのか!! そのボケーとした顔少しはシャキッっとさせてやらぁああああああ!!!?」 男が殴り掛かってきたのでその軌道上にくちばしを持っていった。私はそれ以外に行動しなかったが、それなりに尖ったくちばしを全力で殴り付けたので男の拳から血が噴き出る。 「いって、いってっぇぇぇぇえええ!! こんのお糞ったれぶっ殺して……!」 『何やってるんですかマスター……』 サーナイトがどこからともなく現われた。彼女は男に近寄るとテキパキと応急処置を行う。 『このネイティオは殺してはいけませんって雇い主から言われてるじゃないですか。破ると罰金ですよ? 清貧なんてアタシはゴメンですからね』 「知るかっ! この生意気なポケモンは今すぐ殺しゅぅうぅ……」 サーナイトが男の首筋を掴むと最後まで言い終わらずに気絶した。 『マスター、話がこじれそうなので少し寝てて下さい』 落した後にサーナイトがそう言った。そしてこちらに顔を向けると近付いてくる。 『さてと……初めまして、アタシは……』 『お前の名前など聞く意味は無い』 挨拶してきたサーナイトに私が挑発的に言い返すと、サーナイトはクックッと笑いだした。 『言えてるわ。名前なんて意味は無いわよね。じゃあ簡単に貴女の状況説明しよっか……女の子で合ってるわよね?』 性別を聞いてきたが返事をする義理は無い。顔を背ける私を気にせずサーナイトは続けた。 『アタシ達はあるクライアントに依頼されたの。こちらの待ち伏せをして襲いかかってくるネイティオを捕まえろってね。どうも貴女のみらいよち能力に興味があるみたい。手元に置いておきたいんだけど、貴女達って重機相手に渡り合っていたでしょ? 相当危険視されてるわよ。どうも人間に懐く懐かないの次元じゃないようだし』 そういってサーナイトは男を一瞥した。 『てな訳でアタシ達の出番。ポケモンの調教業をやっております♪ どんな凶悪ポケモンでもアタシ達に掛かればイチコロ! 調教成功率100%! 以後お見知りおきを……嫌でも、だけどね』 『それなら私が最初の失敗例になってやる』 私が鼻で笑うとサーナイトもニヤけた。 『これはマスターが殴りたくなる理由も分かるわ~。まぁ最初はどのポケモンもそう考えるんだけどね。でも……』 サーナイトが密着してくる。私はその頭をつつこうとしたが、上手く死角に入られてしまった。 『何を……うっ!?』 サーナイトは私の体を撫でまわすと首筋を舌を這わせる。悪寒が背筋を走り、私はあらん限りの力で暴れた。 『あはは、このくらいでその反応するなら成功は確実ね。顔に似合わず可愛いじゃない』 パッと私から離れたサーナイトがそう言ってくる。私は今までに感じた事の無い程の屈辱と羞恥心で顔を赤くしてしまった。 『まぁ本格的な調教は明日からだから今日はゆっくり休んで。アタシも貴女と遊ぶ事を楽しみにしてるわ。じゃね♪』 サーナイトは言い終わると男の襟首を掴みながらテレポートする。部屋には私以外には何もいなくなり、心を侵してくる静寂と一緒に私は取り残された。 目を覚ました。いつもの習慣で空を見上げるが蛍光灯が光るのみで星は見える訳がなかった。 体内時計ではそろそろ日の出。だがそれを確かめる術は私にはない。 やる事が無いので翼に力を入れてみた。何度かもがいてみたが、やはり拘束が解ける気配はない。 諦めて状況を打開できるチャンスが訪れる事をじっと待つ事にした。 私の体内時計で太陽が天頂に昇る頃に昨日の男とサーナイトがテレポートで現われた。どうやらこの部屋には扉という物が無く、移動はテレポートのみで行っているらしい。 「おーおー糞鳥! いい気味だなオイッ! この暇さに少しは堪えたかっ! どうだ俺の戦略は!」 男が何やら喚いたが無視する。私達ネイティオはそもそもほとんど動かないので、今の仕打ちもいつも通りの事と言えばいつも通りだ。堪える訳が無い。 『……マスター、単に寝坊したのをそんな風に誤魔化すと逆に恥ずかしいです』 「う、うるさい! 昨日牧場主や土方の連中と記念の飲み会行ってたんだから仕方ねーだろ! ようやくあの忌々しい丘を切り崩せるからな。全く手間掛けさせやがって」 『うぐッ!?』 男が腹の辺りを蹴り上げてくる。私は少しだけ顔を歪めてしまったが、直ぐに元の表情に戻す。 「……つまんねー。つまんねーなコレ。まだ使えないからお手軽コースしかできねーしよ。お前に任せるわ」 『もうハニーって呼ばないんですか?』 「それも飽きた。戻って寝る。とりあえず俺が楽しめるようにしとけ」 『了解しました。おやすみなさい』 サーナイトはそう言うと男をテレポートさせた。 『じゃ、始めましょうか。ポケモン同士、仲良くしましょ?』 その言葉も私は無視する。サーナイトはその反応が気に入ったようでニヤニヤ笑った。 『やっぱ調教するならこうじゃないとね♪ それじゃあまずは……』 サーナイトの横に台が現われた。その上には沢山の得体のしれない器具が並んでいる。私には用途が皆目見当も付かなかった。 『あら、ディルドーやバイブ見ても結構冷静ね。勘のいいポケモンならこれで大騒ぎするのに』 キョトンとしている私を見てサーナイトが呟く。そして合点がいったようだ。 『あ、直立してるから忘れてたけどアナタ鳥ポケモンだったわね! そりゃ使い方分からないか!』 そうかそうかと頷きながらサーナイトは台からある物を取り出す。 効果は分からないがどのような物かは私にも分かった。 『少し身を固くしたわね? そして警戒心の中にちょっとだけ混じる恐怖……あぁやっぱりこの感覚はさいっこうっ! 心を読む力ってこういう時のためのものよね』 サーナイトは注射器を手にしていた。一度も打たれた事は無いが先端の針を見れば虫ポケモンが抵抗する時に出す毒針のような物だと判断出来る。 『そう、あの気持ち悪い虫達がどく状態にしたりねむり状態にしてくるヤツよ。まぁ一番近い状態は……メロメロかな?』 私の心を読んでサーナイトが説明した。注射器の針先を叩いて液を滴らせる。 『さぁアナタの旦那さんとのあつ~い夜を思い出させてあげる』 サーナイトが一切挙動せずに私の首筋に注射器を当てた。不意打ち過ぎて反応する事が出来ない。 『つっ……』 そして針が血管に侵入した。 痛いというよりも冷たいという感覚が首筋から昇ってくる。血管に直接打ちこまれた液体が頭に回ってくるのを感じた。 すぐにサーナイトをつつこうとしたがその前に離れられる。 『ガッツあるわねー。いい加減諦めたらいいのに。まぁそうじゃないと面白くないけどね。で、どう? 感想は』 サーナイトが何を聞いているのか分からなかった。こう離れられてしまっては何も出来ない。私はまた元のように無表情に戻り、じっと無視する事に決めた。 ……おかしい。 何故か体が熱い。体全体が言い様の無い焦燥感に包まれじっとしている事ができなくなった。思わず足をもじもじさせてしまい、それを止める事も出来ない。 『……何をした』 『あ、ようやく会話する気になったわね。まずはステップ1終了♪ じゃあ問題! 今の感覚は何回か経験した事があります。何でしょう? ヒント:毎年春に来るものです』 春に来てメロメロ状態に似ている状態…… 『無理矢理……発情させたのか』 『ピンポン。人間って凄いわよね。こんな下らない物を平気で作っちゃうんだから……苦しい?』 サーナイトの問いを無視したが、正直なところ少し苦しかった。焦燥感はいつの間にか倦怠感に形を変えて肥大化し、鼓動を無意味に高めている。 『う……げほっ……』 いつの間にか私は息を荒げていた。こんな感覚は普通の発情じゃない。普通は相手を求める欲求だけだが、これは……何かが、違う。 だが何がどう違うのかが分からない。そう思っている内にも体が火照り、異から内容物がこみ上げてくる。それをどうにか止めようと思ったが、体は一向に言う事を聞かなかった。 『が……げぇっ……!』 私は吐き戻してしまった。中に何も入って無かったので胃液しか出てこなかったが。 息が出来ない。呼吸は早くなったのに苦しかった。いくら吸っても体に酸素が行き渡らない。 暴れてもどうにもならないのに体が痙攣した。視界がどんどん暗くなる。 意識が無くなる寸前に、また私の首筋から何かが頭に駆け昇ってくるのを感じた。 冷たいそれが心臓と頭を冷やし、徐々に私は落ち着いてくる。 『はぁ……はぁ……ごほっ……』 私が息を荒げながらながら睨みつけるとサーナイトが謝ってくる。 『ごっめーん! 鳥ポケって交尾のやり方違うの忘れてた。雄にペニス付いてないもんねぇ。媚薬の成分そのままじゃ拒否反応起こるのかも。業務レポートに書かないとね』 『……絶対に……殺して、やる』 『あ~、謝ったのにその言い草? ならこっちにも考えがあるもんね! ここでバイブ登場!』 私が殺意を向けると、段々と変わってきた口調でサーナイトがそう言った。そして今度は台からサボテンのような物を取り出す。スイッチを入れるとそれはヴヴヴと音を立てながら回転し始めた。 『さ~あ覚悟しなさ~い?』 『何だそれは』 そう言ってサーナイトがにじり寄ってきたのだが、私が何をされるか全く理解してないので、出鼻を挫かれたように彼女は肩を落とした。 『……そっか。鳥ポケだもんね。分かんないよね……あぁもう面倒臭い! 習うより慣れろよ!』 『うわっ!?』 いきなり私を縛り付けている十字架が倒された。受け身も取れずに私は頭をぶつけてしまい、目の前に火花が飛び散る。 『さぁてご開帳~ごかい……ちょ、アナタのお尻ってどこにあんのよ?』 露わになった私の下半身を覗きこみながらサーナイトが呟いた。 『なぜそんな事……』 『まぁいいわ。まさぐれば見付かるでしょ』 『……ぁっ!?』 いきなりサーナイトが私の下半身に手を突っ込む。 『そうそうそういう声を待ってたのよ。もっと聞かせて』 『誰が……くっ』 ここか? ここか? とサーナイトが手の位置を変える度にくすぐったくて体を震わしてしまう。それが相手を満足させる事は分かっているのだが、止めようと思っても止めれない。 『あ、みーーけった! ……このコケシみたいなスカートホント邪魔ね。ヤる時はどうやるのよコレ』 『あっ!? やめろ! 触るな!』 サーナイトの指が私の総排泄孔の辺りを撫でた。見られている事で私の怒りと羞恥心がどんどん大きくなった。 どうにか離れさせようと必死でサーナイト足蹴にするが、それも直ぐにサイコキネシスで押さえられてしまった。 全く身動き出来なくなった私の総排泄孔をサーナイトが指で押し広げる。そしてバイブを構えたのが羽を通して感じられた。 『じゃあ1、2の3で行くわよ』 『あ、くぅ……やめろ! やめろぉっ!』 ここまでされたらやられる事は1つしかない。私は全身全霊で体を捩り、どうにかサーナイトの行動を阻止しようとする。 が、それも叶わず、バイブは私の中に吸い込まれた。 『あがっ……あ、あ、あ、ああぁあ!!? うああぁああぁああああ!!!』 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!!!!! お腹が破れる!! 痛い!! やめろ!!! やめて!!!! 『あ、ヤバ。また間違えた。あ~もうこういうのはマスター担当なのに』 私の腸を?き回していたバイブが止まり、私の体が一気に力を失う。撃たれた時も痛かったがなまじ意識がはっきりしている分こちらの方が辛かった。 『鳥ってホント面倒臭いわぁ。え~と卵管はこっち、かな?』 『んぅっ!』 バイブは一気に引き抜かれた後、今度は卵管に突っ込まれた。言い様の無い違和感に襲われ、私は身を強張らせる。 『っ……! 気持ち悪い、早く抜け!』 『だからそんな態度取っちゃったらスイッチ入れざるを得ないわよ~?』 カチリと音がするとバイブがまたうねり出した。卵管内をウネウネと動くが卵がある時に飛ぶ事に比べればなんて事は無い。十分に耐えられる。 『あら、こっちも全く感じず? 少しくらい濡れても……』 息は荒くなったが声をあげない私の様子をサーナイトは不思議がったが、やがて根本的な問題に気付いたらしい。 『あ、ペニス突っ込まれる事が無いから濡れる事も無いのか』 サーナイトはため息を吐いてからバイブを抜き取った。私は浅くなった呼吸を元に戻すのに必死で何も言わない。 『正直に白状するわ。鳥を調教するのは初めてなの。だから色々実験するけど我慢してね』 サーナイトはそう言うと今度はモンスターボールを取り出してきた。 『今度は何をする気だ』 『ん~ホントはもっと後の予定だったけどこのままじゃ調教しようがないし~。ちょっとだけ肉体改造』 『……』 何をするかは分からないがとてつもなくロクでもない事だけは分かった。 『じゃーぁメタモン出ておいで~』 モンスターボールからはメタモンが現われた。牧場に大量に預けられているのを見ているので用途は分かる。 『まさかお前……!』 『あーあーあー大丈夫その心配はナッシング。おめでたにするのはアタシ達の業務じゃないわ。とりあえず今は頼まれてないわよ。言ったでしょ? 肉体改造するって。女を楽しめる体にしてあげる。という訳でメタモン、やっちゃって』 メタモンは微かに震えると私の方へと這ってきた。そして私を包み込むように薄く広がる。 『がぽっ!? あ、あぇろ! はぁれろ!! ンんっ!?』 口と総排泄孔からメタモンが私の体内に入り込む。卵管から背骨に掛けて電撃が走り、私は体を跳ね上げた。 『あぁあああぁあ!! な、何をしたぁがあぁあああ!!?』 『卵管に性感帯新しく作ってるのよ。後卵管から快感を伝える神経バイパス作ってそれを受け取るシナプス回路作って……』 私は聞いてはいなかった。痛みでそれどころではない。 体を何回も跳ね上げ、メタモンの混じった涎をくちばしから垂らしてしまった。 どれくらいそれが続いたのだろう。いつの間にか痛みは止まっていた。 私の体の拘束も解かれている。久々に自由になった翼をさすった。うっ血し掛けているが動かすだけなら問題ない。 立ち上がりながらぼうっとした意識で辺りを見回すと、少し離れた場所でサーナイトが何かの本を読みながら椅子に坐っている。 私の視線に気付いたようで、熱心に読んでいた本からサーナイトは目を上げた。 『あ、気付いた? お疲れ様。手術は成功よ』 私は慌てて距離を取ろうとする。飛ぶ事もねんりきで移動する事も出来ないのでノロノロと後ずさる事ぐらいしか出来ないが。 『最初に比べれば表情が出るようになったわね。じゃあとりあえず今日のノルマを達成しちゃいましょうか』 サーナイトがまた注射器とバイブを手に近付いてきた。私は背を向けて駆けだしたが直ぐに彼女に捕まってしまう。 後ろから手を回され胸部と総排泄孔をこねくり回された。 『何故……拘束を解いた……!』 まさぐられる気持ち悪さを意識しないために私は質問する。 『そっちの方が燃えるんじゃないかな~と思って。じゃとりあえず第2ラウンド』 『あっ!?』 注射器を刺されたので声を上げて暴れた。すぐに体が熱くなり息も荒くなる。 だが前回とは違って焦燥感が倦怠感に変わる事はなく、下半身が何かを求めて焦がされる。 『うぅ……な、何だこれは……!』 初めての感覚に溜まらず私は声をあげた。足に力が入らなくなり、思わず足首を付いてしまう。 『ホントは最初からこの状態に持って行きたかったんだけどねー。あ、もう濡れてる』 『ふぁっ!?』 サーナイトの指が私の中に入ってきた。気持ち悪いはずだったそれは初めて経験する感覚に変わっている。 下半身から湿っぽい音が響いてきた。今体には何も入っていないはずだが私は漏らしてしまったのだろうか。 『違うわよーアナタの卵管から液が出てるの。これを突っ込みやすくするためにね』 目の前にバイブを突き出された。それは生理的嫌悪感をもたらす勢いで激しくうねっている。 こんなものでさっきと同じ事をされたら今のままじゃ……! 『……ふんっ!!』 『あたっ!?』 私は気力を振り絞ってサーナイトに後ろずつきを喰らわせた。怯んだ隙に思いきりもがいて彼女の手から逃れた。 だが足に力が入らず立ち上がれない。しょうがないので翼で這って逃げようとするのだが、私の体はそのような動きでは中々進まなかった。 『ふ、ふふ、ふふふふ……う~ん、やっぱ適度に抵抗が無いとね。燃える、燃えるわ。やっぱこういうシチュが一番よ』 何やらブツブツ言いながらゆっくりとサーナイトが近付いてきた。 『ち、近寄るな! これ以上近付いたら容赦しないぞ!』 もう奇襲は通用しないと思うと声が上ずる。床に這いつくばりながらそんな事言ったって脅しにもならないのは私にだって分かっていた。 サーナイトは黙ったままバイブを突き出してくる。それは彼女の手を離れ、私を目指してゆっくり飛んできた。 『あ、やだ……来るな!』 私の下半身に潜り込もうとするバイブを翼で押さえようとしたが、バイブの周りに球状のリフレクターで覆われているようで、つるつる滑って止めようがない。 遂に総排泄孔にバイブの先が触れた。 『っア”――!』 私はいきなり走った電撃に体を仰け反らせてしまった。 翼もバイブから離れてしまい、一気に中に入ってくる。 そして液体でグチャグチャになっている私の卵管の壁を擦り回した。 『ピぁっ!? あぁああぅ!! ……ヅアぁあ!! や、止め!! 無理!!』 体を弓なりに反らせながら逃れようとするがバイブが離れる事はない。 『……かはっ……! く、あぁあ……』 涙で視界が歪む。頭の中が真っ白になり何も考えられない。それでも快感は下半身からどんどん送られてくる。 部族の仇なのは分かっているが、勝手に慈悲を懇願する言葉が漏れ出るのを止められなかった。 『あがっ!! た、頼む!! と……止めて!! 止めてく……!』 『無理』 『そ、んあ!! あぁあああぁあアアア!!?』 今まで回転するだけだったバイブに抜き差しされる運動も加わる。 『――――ァッ!!』 何倍にも跳ね上がった快感に私は溺れ、意識を失った。 リクエストはこちらから リクエスト用/リクエスト
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/440.html
*警告* 幻想郷ものです。 名無しの妖怪がゆっくりをゆっくりできなくします。 ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。 ↓以下本文 妖怪の山の裾野の森を、籠を背負い、釣り竿を担いだ少女が歩いている。人里離れた場 所で太平楽な顔をしている段階で、賢明なる読者諸氏にはその少女が妖怪であるというこ とはお察し頂けるだろう。その証拠に、諸般の事情で造形を説明することはできないが、 かの女は名状し難い帽子を頭に乗せていた。 少女はたまに立ち止まっては何かを探すように耳を澄ましていたが、やがて大きな茂み の前で声をあげた。 「ゆっくりしていってね」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 頷くと、少女は茂みをかきわける。その先には、彼女の期待通りの光景が広がっていた。 黒白のとんがり帽子をかぶった膝丈ほどのゆっくりが一匹と、その子供らしい拳大のもの が七匹、親子でゆっくりしていた。木漏れ日の差し込む森の中、柔らかい草をはむはむと 食んだり、丈の低い花を食べたり、下生えを這う虫を頬張ったり。とってもゆっくりした 可愛い子まりさたちに囲まれ、親まりさはあんこの底からゆっくりしていた。どの子もと てもゆっくりした、まりさの自慢の子だった。 「ここはまりさのゆっくりぷれいすなのぜ! おねえさんはゆっくりできるひとぜ?」 「釣りをしに来たのよ」 「つりってゆっくりできのぜ?」 「うーん、ゆっくりしないと釣れないわねえ」 「いっしょにゆっくりするよ!」 つりはゆっくりできる。ゆっくりブレインでそこだけゆっくり理解したゆっくり一家は、 少女を取り囲むように、足元でぽいんぽいんと跳ね回りはじめた。 「つりさん! つりさん! ゆっくりしていってね!」 「おねーちゃんまってね! ゆっくりおいかけるよ!」 追いかけっこをするもの、少女の足にじゃれつくもの、その場でぽむぽむ跳ねるもの。 幸せそうな声をあげて転がる子まりさたちに、少女は目を細める。 「じゃあ、手伝ってもらうね」 「ゆっ! おそらをとんでるみたい!」 「ずるいよ! まりさもとびたいよ!」 裾を払い、膝で潰してしまわないように気をつけてしゃがむと、少女は足元の子まりさ を次々につまみあげて小さな籠にひょいひょい放り込み始めた。二、三匹を取り上げられ たあたりで家族を襲った緊急事態にやっと気付き、親まりさは、ぷっくー、と頬をいっぱ いに膨らませて少女を威嚇する。まりさが頑張って膨れている間にも、少女は一切構わず 子まりさを残さず籠に運び終えていた。 「あらあら、そんなに膨れちゃって」 「まりさのだいじなちびちゃんたちをゆっくりかえすのぜ!」 まりさの渾身の威嚇に、少女は自分では一番怖いと思っている薄ら笑いで応えて見せた。 人間に見せたときには、あまり満足してもらえなかったようだけれど。そして、軽く振り かぶる。まりさの丸々と膨れた下膨れの中心に、思い切り拳がめり込んだ。柔らかく、程 良い質感と反発の皮と中身は、少女の拳骨を最高の感触で歓迎した。その殴り心地はまさ に幻想、夢心地。 「ゆ゙ぶっ!」 少女が手を引いても、まりさの造形は*の形に凹んだまま。ぴくりとも動かなければ、 中身のあんこを吐くこともない。あんこを吐けるお口は皮ごと内側にめりこんでしまって いるのだから。しばらく待てば、ぽこん、と間抜けな音をたてて元通りになることだろう。 凹んだ顔の奥で、ゆっゆっとくぐもった声をあげて痙攣し始めたまりさのお帽子をその 辺に適当に投げ捨てると、少女は腰を下ろした。不要なお帽子さえなければ、高さといい 座面の反発といい、まりさの座り心地は申し分なく、少女のおしりを包み支えるに相応し い、理想のアウトドアチェアであった。 「おぉ、おー、ちょうどいいわ。あなた今日から椅子として生きなさい」 「ゆ゙っ! おねえさんおもいのぜ! ゆっくりおりるのぜ!」 しばらくぶるぶる震えたあと、ぼこんっ、と音を立てて凹みの戻ったまりさが、少女の おしりの下で叫んだ。妖怪の膂力で破裂しない程度に思い切り殴られたため、顔の中心は まだ赤くなったまま。ずきずき痛むお顔に、まりさは涙声を上げる。こんなに痛かったこ とは、この山で生まれてゆっくり育って、一度もないことだった。ゆっくりしていただけ なのにちびちゃんを泥棒され、とっても痛いことをされるなんて。ゆっくりまりさには何 もかもが理解できなかった。 「そんなこと言わないで、今素敵なものを見せてあげるから」 「ゆえーん! ゆえーん! おかーしゃーん!」 「おねえさん! まりさのちびちゃんをゆっくりはなすのぜ!」 突然親から引き離され、籠の中でゆーゆーと泣き叫んでいる子まりさを一匹取り出すと、 少女は掌に乗せてにっこり微笑んだ。その笑顔に泣き顔の子まりさも釣られてにっこり。 笑顔をそのままに、少女の指が子まんじゅうにぐいぐい食い込んでいく。もぞもぞもが いていた子まりさは、食い込む指で中身のあんこが指の隙間へと圧迫され、ゆっくりして いた顔が歪に歪んでいく。指の隙間から見える小さな目玉を飛びだしそうなほどひん剥い て、子まりさは濁った悲鳴をあげはじめる。 「い゙や゙ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ゆっくりいそいでやめるのぜ! ちびちゃんがゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「いいから黙って見てなさい。これからがすごいんだから」 「ゆ゙ぎゅ……ぐるぢ……ゆ゙ぎ、ゆ゙ぎぎ……!」 押し出されそうになるあんこの噴出を、小さな頬をいっぱいに膨らませ、目とお口を力 一杯つむって子まりさは必死に耐え続けていた。手の中で身悶える感触に笑みを深め、少 女は嬉しそうにきりきりと締め上げていく。絞り出されたまんじゅうの皮は圧迫されたあ んこでぱんぱんに張り、おもちゃのカラーボールのように膨れていく。おもちゃという点 では同じでも、違いは食べられるかどうか、それと素材の強度。主に後者がカラーボール と子まりさの命運を分かった。子まりさを何とかして助けようと、尻の下でもにもに抵抗 するまりさに腰を落として黙らせ、少女はその手をぐっ、と握りしめた。 「ゆ゙ぼん゙!」 あんこ圧に押されて小さな目玉が飛び出し、ぱんぱんに膨れた頬が、もぞもぞ震えるお つむが、柔らかいあんよが裂け、親まりさの眼前で、内圧に耐えきれなくなった皮が爆ぜ 飛んだ。ぼとぼとと黒い塊が下生えに飛び散る。今はもう永遠にゆっくりしている、まり さのすてきなれいむといっしょにゆっくりした証。だいじなかわいいちびちゃんは、見ず 知らずの妖怪の、ほんの一握りで物言わぬあんこの塊となった。 「ばでぃざのぢびぢゃん゙ん゙ん゙!」 「おでえぢゃんがあ゙あ゙!」 傍らの籠から、尻の下から聞こえる愉快な声に目を細め、少女は丸めた帽子を芯に、あ んこと皮を混ぜておはぎのようにまとめていく。 「んー、これ手が汚れちゃうなあ……ん。おいし」 釣り針にあんこ玉をつけると、少女は指についたあんこを舐めとった。ゆっくり育って きたのに突然握り潰され、理不尽な暴力で永遠にゆっくりした子まりさのあんこは、十二 分に甘く味も深みを増していた。 「じゃ、これから一匹残らず餌になってもらうから、みんなゆっくり理解してね」 「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙い゙い゙い゙!」 「どぼじでこん゙な゙ひどいことする゙の゙お゙!」 「どうしてって……ゆっくり釣りやってみたかったのよ。それだけ」 「や゙ぢゃあ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ゆ゙っぐり゙ざぜでえ゙え゙え゙!」 「すこし黙ってねー」 あんこ玉を目の前で揺らして黙らせ、少女は茂みの向こうに、ひょいと釣り針を放った。 ゆっくりは自身が甘味でありながら、甘い物に目がない。「ゆっくりしていってね」と呼 ばわれば「ゆっくりしていってね!」と帰ってくる返事をもとに捕らえた、その辺の子 ゆっくりを潰せば餌は無料で手に入る。親ゆっくりがいれば腰掛けいらず。ゆっくり釣り は、好事家の間では珍しくもないレクリエーションである。 糸を垂らすことしばし。 「むーしゃ! むーしゃ! うっめ! これめっちゃうっめ!」 ウキがなくてもアタリが声でわかるのが、ゆっくり釣りの人気の一つ。少女は竿を引き、 慎重に糸を巻きはじめる。 「しあわせー! ゆ゙っ? ゆっくりひっぱられるよ!」 手応えはあまり大きくない。獲物が枝葉や糸でちぎれてしまわないよう、糸を繰ってそ ろそろと寄せていく。当然、獲物も跳ねて逃げようとするが、飲み込んだ釣り針が許さな い。少女は竿を巧みに操り、逃れようとするゆっくりを茂みの前から離さない。 「ゆ゙っ、ゆ゙っ?! いたいよ! どぼぢでにげられないのお!」 ゆっくりは唇を貫く釣り針から逃れようと、必死に跳ねては糸に引き戻される。糸を切 らないよう、少女は引いては緩め、ゆっくりの体力を消耗させていく。頃合いを見計らい、 大きく竿を振ると、ガサガサと葉っぱを散らしてあがってきたのは一匹のゆっくりれいむ。 一番多く見かける、縁起の良い紅白のおまんじゅうである。 「ゆ゙~、とれないよ! れいむをゆっくりおろしてね!」 「はいはいゆっくりしていってね」 竿を地面に立てると、少女はれいむを抱えてお口に手を突っ込んだ。あんこをごそごそ 掻きまわして針を外す。暴れるのも気にせず大きな方の籠に放り込むと、風呂敷を掛ける。 釣りはまだ始まったばかり。取り出した次の子まりさの邪魔な帽子を摘んで頬張ると、 怯えわななく可愛らしい小さなお口に、少女は白い人差し指を押しつけた。 「んゆぅ~」 突然親ゆっくりから引き離され、怖くてゆっくりできないおねえさんにぶにぶにされて いる。子まりさは恐怖に目をぎゅっと瞑り、掴まれて身動きもできない全身を捻り、少し でも逃れようと身悶える。その柔らかくくすぐったい抵抗に目を細め、少女は子まりさの お口を指先で塞ぐ。 「ん゙ゔぅ゙ゔ!」 鈍い音がして、細く煙が立ち上る。子まりさはお口を貫く激痛に目を見開き、絶叫をあ げ……ることができなかった。悲鳴を上げるべきそこは灼き潰され、まるで焼きゴテで焼 き付けられたような、濃いめの焦げ目だけが残されていた。 ゆっくりした愛情に包まれて育った子まりさは、生まれてこの方感じたこともない未知 の苦痛に小さな目玉をいっぱいに見開き、砂糖水の涙を垂れ流す。 お口が開けば、おかあさんの助けを呼べるのに。おねえさんにゆるして、たすけて、と 言えるのに。 「おねえさんやめるのぜ! いやがってるのぜ!」 もちろん何を言おうと少女は助けるつもりはなく、親まりさに助ける術はない。あんこ たっぷり生地の、生八ツ橋の美味しいお帽子を噛みながら、手の中でじたじた暴れる子ま りさをそっと撫でる。少女がその金色の髪に指をそっと宛うと、すぐにぶすぶすと細い煙 が立ち上り、子まりさの髪の毛が根元から焼け落ちはじめた。おつむを灼く激痛に手の中 でじたじた暴れる、指の腹の幅にハゲのできた子まりさを握る角度を変え、少女は不要な 髪を焼き捨てていく。一通り撫で終えると、天面にはすっかり美味しそうな焼き色がつい ており、髪の毛は一すじも残されていなかった。目をひん剥いてびくびく痙攣する焼きま んじゅうを裏返し、動けないようにあんよにも焼き色をつけて完成です。 「おいしく焼けましたー」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙?!」 「ばでぃざのぢびぢゃんがはげまんじゅうにいい?!」 少女の見せる、おいしそうな焼き色のついた焼きまんじゅうに、親まりさも子まりさた ちも一斉に悲鳴をあげる。どれもこれも目の幅に涙を流し、歯を剥いてガタガタ痙攣して いた。その反応に満足げに小さく鼻を鳴らすと、髪の毛のかわりに焦げ目のついた後部か ら釣り針を刺し、茂みの向こうに放る。釣り針がぶっすりしても、子まりさのお口は開か ず悲鳴も出ない。 あんこ玉と違って、焼きまんじゅう作りは手が汚れることはあんまりない。少女は地面 に竿を突き立てると、小さい籠から次の子まりさを取り出した。 「ゆ゙あーん゙! おでえぢゃんがあ゙! ゆっぐりぢでね! ゆっぐり゙ぢでね!」 「ええ、ゆっくりしていってね」 泣き叫ぶ子まりさを手に乗せ、少女はにっこり微笑む。微塵も邪気のない、まさにゆっ くりした表情に、子まりさも釣られて泣き笑い。 「ゆ゙ぐっ、ゆ゙あ゙……ゆ゙っぐり、していってね……?」 「あむっ」 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 食いちぎられたお帽子が、少女の尻に敷かれて動けない親まりさの前に、はらりと落ち た。親まりさは目をまん丸に見開いて見上げる。その目と、子まりさの片方しか残されて いない目が無言で見つめ合う。親まりさは言葉もない。子まりさにはお口がもうない。突 然姉妹を焼きまんじゅうにされ、絶望と恐怖を満喫したことで、子まりさは野生でゆっく り育ったとは思えない豊かな甘みを備えていた。美味しいゆっくりまんじゅうに舌鼓を打 ちながら、少女は震える親まりさに座り直す。 「む゙ー! む゙ー!」 あんよがいたくて、ぴょんぴょんできない。まりさはおねえちゃんよりはやいのに。 おくちがいたくて、うごかない。おくちがあかないと、ゆっくりしていってね、もでき ないし、むーしゃむーしゃもできない。 はげまんじゅうのまりさは、もうゆっくりできない。まりさのすてきなかみのけさんは とってもゆっくりしてたのに。 じくじく痛むあんよから地面に打ちつけられ、子まりさは苦痛に呻き、打ち震えていた。 どれほどの苦痛を味わったところで、二度と開くことのないお口からあんこが漏れ出るこ とはない。不意に、砂糖水の涙で歪んだ視界に、一匹のゆっくりの姿が映った。 「む゙……む゙む゙……」 「ゆゆっ! ゆっくりできそうなあまあまさんがあるよ! ゆっくりたべるよ!」 子まりさは開かないお口を必死に動かす。ゆっくりやめてね、ゆっくりしてね、と。ど れほど声を張り上げようとしても、焼け焦げて癒着したお口から、声が漏れ出る事はない。 焼きまんじゅうの美味しそうな焼き色に、通りすがりのゆっくりれいむは喜色満面、ぽい んぽいんといっさんに跳ねてゆく。その一跳ね一跳ねで、子まりさに望まぬ、逃れ得ぬ永 遠のゆっくりが近づいてくる。 「ばでぃざのぢびぢゃんはあばあばざんじゃないよ! ゆっぐぢや゙べでね゙!」 「おまんじゅうさんはまりさじゃないよ? ゆっくりできないこといわないでね!」 このままでは大事なちびちゃんが、食べられて永遠にゆっくりしてしまう。茂みの向こ うから聞こえる、れいむの嬉しそうな声に親まりさは大慌て。少女のおしりの下で、親ま りさは柔らかくもっちりしたおまんじゅうボディをたわめ、あんよを踏んばり、飛びだそ うと必死の形相で新作の創作ダンスを披露する。しかし今の親まりさは、少女のアウトド アチェアである。茂みの向こうで、見ず知らずのれいむに子まりさを美味しく頂かれるの を、ただ聞いていることしかできない。しかし、たとえ動くことが叶わなくても、お口は まだ動く。 「そのこはばでぃざのだいじなぢびぢゃん゙なの゙ぜ! おねがいじまず! しらないでいぶ は! ばでぃざのぢびぢゃん゙といっしょにゆっぐり゙に゙げてほしいのぜ!」 「ゆゆっ、ちいさいまりさなんてどこにもいないよ? れいむもうがまんできないよ!」 逃げることも叫ぶこともできない子まりさには、茂みの向こうから叫ぶ親まりさが、迫 るれいむにむーしゃむーしゃを諦めるよう説き伏せてくれることだけが、唯一の生き延び る可能性である。しかし、見ず知らずのはらぺこれいむに、地面に転がっている焼きまん じゅうを子まりさである、と理解させることなどできようはずもなかった。降って湧いた ゆっくりできるあまあまさんに、嬉しそうな顔でれいむは子まりさに近づいていく。もう おかあさんは助けに来てくれない。むーしゃむーしゃされて、永遠にゆっくりするしかな いのだ。ゆっくりした顔で大口をあけて近づいてくるれいむをただただ眺め、見つめ、絶 望に子まりさは泣き腫らした目を瞑った。ねっとり柔らかい感触のあと、やわらかおまん じゅうボディに歯が食い込み、押し潰す。くりっとした寒天の目玉がぶづりと潰れ、子ま りさの苦痛に歪む視界は完全に失われた。噛み合わされる歯から逃れようと転がることも、 焼き潰されたあんよでは果たせない。ついに皮が裂け、れいむがむーしゃむーしゃするた びに、子まりさの大事なあんこが溢れ出していく。そして、中身の絞り出される喪失感の 中、子まりさは永遠にゆっくりした。 「や゙べでね゙! ゆ゙っぐり゙ぢでね゙!」 「ゆ゙っ……」 「むーしゃ! むーしゃ! しあわせー!」 茂みの向こうから必死に叫ぶ親まりさの言葉など、とろけるような極上のあまあまに夢 中のれいむには、何の意味もなかった。地面で震える焼きまんじゅうを舌ですくいあげ、 砂糖菓子の歯が子まりさを咀嚼し、あんこの塊へと変えていく。お口いっぱいに広がる極 上の甘みに滂沱の涙を流し、れいむは歓喜の声をあげる。少女の尻の下、親まりさもまた、 ぼろぼろ涙をこぼす事しかできなかった。 「おっと」 「ゆっ! なんだかゆっくりできないよ!」 ぴん、と糸が張る。せっかくの餌を食い逃げされてはかなわない。少女は顔が半分も 残っていない、食べかけの子まりさを放りだして両手で竿を握る。すっかり小さくなった 食べかけのおまんじゅうは、ボトリと音を立てて親まりさの目の前に転がった。もはやぴ くりとも動かない虚ろな目をしたつぶあんのおまんじゅうを、親まりさは呆然と見つめる。 お帽子がなくても、1/3ほどに欠けていても、大事な大事な可愛い子供がわからないは ずがない。いつも元気で、かけっこが一番得意なちびちゃんは、食べられて永遠にゆっく りしてしまった。ぺーろぺーろしても、二度と動くことはない。もう一緒にゆっくりでき ないのだ。 「ぺーろ……ぺーろ……」 それでもまりさは舌をいっぱいに伸ばし、木漏れ日に黒々と輝く子まりさのつぶあんを 露わにした断面を舐めざるを得なかった。優しいお母さんとゆっくりしていただけなのに、 目の前で姉妹を潰されてあんこ玉にされるのを、ゆっくりできない焼きまんじゅうにるの を見せつけられ、そして自らはおやつにされた子まりさは、あまりにも美味しかった。舌 を貫く、いままで一度も口にしたことのない程のゆっくりした甘さに、親まりさは目を見 開いて稲妻に撃たれたかのようにその身を震わせる。 「うっ、う……っめ……これ、めっちゃ……う……め……」 その言葉が迸らないよう、親まりさは必死に歯を食いしばる。ゆっくりの本能に突き動 かされてあんこを舐め取ろうとする舌を身を切る思いで子まりさから離し、目をぎゅっと 瞑ってまりさは堪える。大事な子供なのに、しあわせーな味に、むーしゃむーしゃしてし まいそうだったから。 「おかーしゃん! おねーしゃんがいたいいたいだよ! ぺーろぺーろしてあげてね!」 「ぺーろぺーろすればゆっくりできるよね? いっしょにゆっくりできるよね?」 籠の中から、生き残りの子まりさが叫ぶ。しかし、親まりさは舌を伸ばすことができな かった。もう一舐めでもしてしまったら、可愛い子供なのに、むーしゃむーしゃを我慢で きなくなってしまうから。 「あ、それ食べていいよ」 糸を引っ張って跳ねていこうとするれいむの重さに、大きくしなる竿を引き絞り、少女 は親まりさの頬を両足でしっかと挟んで腰を落とす。おしりの下で震えている親まりさを 一顧だにせず、少女は大物との格闘を楽しんでいた。 「ぷっくー! おねーしゃん! ひどいこといわないでね!」 「そうだよ! まりしゃはたべものじゃないよ!」 「あははっ、何言ってるの? ゆっくりは美味しいおまんじゅうよ、っと、重い、わね」 小さな籠の中、小さな頬をいっぱいに膨らませて不満を表明する子まりさたち。親まり さはほろほろ涙をこぼしながら、ゆっくりブレインを必死に回転させて言葉を紡ぐ。 「ちびちゃんたち、よくきくのぜ! このこはこわいおねえさんにたべられて、えいえん にゆっくりしちゃったのぜ! ぺーろぺーろしても、もうゆっくりできないのぜ!」 「ゆ゙わ゙あ゙あ゙あ゙!」 「どぼぢでえ゙え゙え゙!」 一拍遅れてゆっくり理解すると、火が点いたように一斉に泣き叫び始める子まりさ。ぶ るぶる震えて砂糖水の涙を落とす親まりさは、悲しみの中でも、せめて残りの子まりさだ けでもゆっくりさせようと続ける。 「だから、このこのぶんまでゆっぐ!」 「どっせーい!」 「ゆ゙~っ! おそらをとんでるみたい! じめんさんゆっくりしべぼっ!」 少女が一気に竿を振り抜いた。台詞の途中で踏ん張る少女のおしりを頭にめり込ませ、 親まりさは呻く。そして、まりさは見た。少女の釣りあげた、丸々膨れた大きなれいむを。 一瞬の浮遊感にきらきら笑顔を輝かせ、そのまま勢いよく地面に叩きつけられるれいむを。 そして、その下敷きになった大事な子まりさを。 「ゆ゙ぎぃ゙……」 「ゆ゙……ゆ゙あ゙……ばでぃざのぢびぢゃ……」 「ふぅ、大物ねー」 椅子まりさとほとんど同じ大きさのれいむは、目をぐるぐる模様にして痙攣していた。 れいむの半開きの口から針を取り外し、籠に放り込もうとして、少女はれいむの頬にべっ とりこびりついたあんこを不思議そうに見つめる。 「あれ、なんでこれ汚れてるのかしら……汚いなあ」 「ゆっくりしてね! ゆっくりしていってよー!」 拭きとるのも面倒と、頬の汚れたれいむを籠に放り込んで風呂敷をかけ直すと、少女は 満足げに手拭いで汗を拭う。もにんもにん暴れるまりさに座り直すと、餌籠からゆんゆん 泣き叫ぶ子まりさを掴み出すと、鼻歌混じりで釣り餌へと作り替えていく。 「ゆ゙っ! ゆ゙ぴっ! ゆ゙げぇ゙」 「おでえざんっ! おでがいじばず! ばでぃざはどうなっでもいいでずう! だがら! ぢびぢゃんだぢを! だずげであげでぐだざい゙い゙!」 自身のゆっくりに代えても大事な子を守ろうと、親まりさは身も世もなく濁った絶叫を 上げた。こんなにゆっくりできないことは、今までに一度もないことだった。お口が張り 裂けんばかりの叫びも、砂糖水の涙とよだれでぐしょぐしょの悲痛な顔も、少女の心を動 かすことはなかった。 暢気そうに小首を傾げ、少女は泣きわめく子まりさに指を触れる。うるさいお口を焼い て潰して、邪魔な髪の毛を焼き捨ててハゲまんじゅうにしたら、逃げないようにあんよを 焼いて一丁あがり。 「む゙……! む゙……!」 「ばり゙ざのいぼお゙どがあ゙あ゙あ゙!」 「ん゙む゙! む゙む゙……!!」 「あれ、出ちゃった」 深く刺しすぎて寒天の目玉を貫通した釣り針が露出しないように引き戻すと、目玉は鋭 い返しで刻まれて光を失った。お口を、髪を、あんよを焼かれた上で片目の機能も失い、 理解不能の激痛にびくびく痙攣する子まりさを茂みの向こうへ放ると、少女は親まりさに 深く腰を下ろし、大きく伸びをした。構造上背もたれがないのが少々難ありではあるが、 ゆっくりの座り心地はそれを補って余りある。 そして、この日の釣果は上々であった。 「なんだかとかいはな すいーつ さんね! ひぎぃ!」 狩りのお手伝いもできる子まりさで作った餌でありすを釣り上げ、 「むきゅっ! あれはおまんじゅうさんだわ! む゙っぎゅゔぅ゙ぅ゙!」 妹思いの優しい子まりさで作った餌でぱちゅりーを釣り上げ、 「おまんじゅうざんゆっぐりぢでだのに! わ゙がら゙な゙い゙よ゙お゙お゙!」 一番下の可愛いがられてきた子まりさで作った餌でちぇんを釣り上げた。 「大漁大漁」 やがて夕陽が山の稜線と仲良くなる頃、手拭いで額やうなじの汗を拭きながら、少女は 心地よい疲労感に目を細めた。糸を巻いて釣り竿を籠にくくりつけ、釣果でずっしり重い 籠を背負うと、中からゆっくりゆっくり賑やかな声が上がる。 「も゙っと……ゆ゙っぐり゙……ぢだがっだよ゙……」 「ん?」 大事にゆっくり育てた可愛い子たちと、今日も明日もずっと一緒にゆっくりするはずだ ったのに。椅子としての慣れない長時間勤務でおつむをおしりの形に窪ませた親まりさは、 少女を見上げることしかできなかった。夕陽の中、少女は最初に見せたときと同じ顔をし て微笑んでいた。 小さく地面を蹴り、少女は夕闇の迫る空へと身を躍らせた。妖怪が空を飛ぶことは珍し くもないが、ゆっくりまりさにお空は遠すぎた。まりさは少女の姿が見えなくなっても、 寒天の目玉が灼けつきそうなほどの夕焼け空を見上げていた。 「ぢびぢゃんは……ま゙た……つくれ゙ば……いい゙……よ゙……」 少女の投げ捨てたまりさのお帽子は、森の下生えで静かに主を待っていた。まりさはお 帽子のつばを咥えておつむに乗せた。まりさのすてきなお帽子は、昨日までと同じように、 とってもゆっくりしていた。でも、ひとりぼっちのまりさはちっともゆっくりできない。 あんなにみんなゆっくりしてたのに。ついさっきまでは一緒にゆっくりしていた、今は もうみんな永遠にゆっくりした子まりさの分まで、ゆっくりしなくてはいけないのに。 「ばでぃざ……ゆ゙っぐり゙……じだがった、だけなのに……」 さっきまでは親だったまりさは、潰れた子まりさのあんこの痕に、力なく舌を這わせる。 この上なくゆっくりできる味なのに、ちっともゆっくりできない。お目々から、お口から、 砂糖水を垂らし、ぼいんぼいんと跳ねながら、まりさは森の奥へと消えていった。森の奥 では、ひとりぼっちの巣穴がまりさを待っている。 「ただいまのぜ……ゆっくりかえったよ……」 「うー!」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙! れみりゃだあああああ!」 なんと嬉しいサプライズ。ひとりぼっちでも、おうちで待っていてくれる誰かがいたな んて。まりさは死ぬほど歓迎されました。めでたしめでたし。 森に魚を求める? とか書きました。 09/07/20 書き直し このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/527.html
リーン・・・・ リーン・・・・ リーン・・・・ 草むらの奥で羽虫が歌う草原。 その真ん中を幾重にも重ねた線状に掘られた塹壕。 足を運ぶのも憚られるような静寂。 ジャリ・・・・・ 足首の痺れに我慢ならず重心を移したのだが、その僅かな動作ですら窘められる。 「夜間戦闘においてウサギが何でこんなに恐れられているか分かりますか?」 息を殺しているマサミとユウジ。 さっきまで聞こえていた同行者のうめき声が段々と小さくなっている。 「頼む 殺してくれ 奴らに 捕まりたくな・・・・・ パッハーーーン ブズッ・・・・ 「我々の耳は左右に開いています」 「えぇ」 「ネコやイヌなどは上を向いて放射状です」 「はい」 「しかし、ウサギだけは前を向いているんです」 パッハーーーン ッキュイーン! 「今のは危なかった」 「あれは誰なんですか?」 「カミ・ハイハ ウサギのスナイパーです」 「スナイパー・・・・」 「ウサギの耳は前を向いている。立体で音が聞こえるんですよ」 「しかも、その耳が良い」 「だからこの会話も奴には聞かれているでしょう」 墨を流したような漆黒の闇。 大きな二つの月が雲に隠れ星明りですらも失われている。 正真正銘の闇。 自分の手すら目を凝らしても見えない。 「ノクトビジョンは?」 「高周波の作動音でここに居るぞと知らせているようなものです」 「そんなに耳が良いんですか」 「えぇ、100m先のネズミの屁の音まで聞こえますよ。彼らは」 「そう考えると、ヒトの世界の文明の利器ってのは本当にすごいんですね」 「そうですね。でも、そんな都合の良い物は中々持ち出せないです」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 平原で正確に撃たれる恐怖から塹壕に飛び込んだ2人。 進退窮まる状態と言うのはこういう事を言うのだろうか。 ユウジの手にするAKの残弾数は既に10発を切った。 まともな銃撃戦なら3秒で終わるだろう。 だが、今ここでは・・・・ およそ100mの距離を挟んで1匹のウサギと2匹のヒトが息を殺して対峙している。 手榴弾は届かない。迫撃砲も意味が無い。 通常の小銃では必殺距離は足りていても確実殺傷を与えるには照準条件が悪すぎる。 「打つ手無しですね」 「えぇ、その通りですよ」 「撃たれれば痛いよなぁ・・・・」 「あとは慈悲深い神が苦しまずに殺してくれる事を祈りましょう」 自嘲気味に笑ったユウジ。 音を立てぬよう深く溜息をついたマサミ。 こんな事になるんじゃ・・・・・ 後悔先に立たず。 午後にルカパヤンを出て夕暮れ前に峠を越えるつもりだったのだが。 しかし、すでにこの場所で8時間以上釘付けにされている。 そして、事態の改善は望めそうにも無い。 あの時の勢いで応えてしまった自分を今更ながらに撲殺してやりたいほど、深く深く後悔していた・・・・・・ ************************************************************************************************************************ 時計の針を少し戻して、その日の日中・・・・ 「我々の正面戦力は彼らと比べ頭数以外は劣っていません。ですが、逆に言えば嵩に掛かって力攻めに転じられると弱いです」 「つまり、一人でも多くの協力者が欲しいのです」 「それもヒトの協力者です。他の種族の応援を仰げば、戦後になってそれが利権になる」 「つまり、我々の力だけで事を成し遂げなければなりません」 「ご理解いただけますかな?」 常任理事会と呼ばれるヒトの男が口々に話を続けている。 それも、畳み掛けるような勢いでだ。 マサミはただ黙ってその話を聞いていた。 忍耐強く1時間も黙ったまま。 「マサミさん。あなたの立場と目的に我々は協力を惜しみません。それは我々にとっても利権となりえます」 「ですが、それには見合うだけの対価が必要なのです。我々はここでは何も生み出せない」 「そうです。正直に言えば落ちてくるのを待つしかない。それも、偶然に落ちる物ばかり」 「望むものが落ちてくる事は稀です。大概はどうでも良いものばかり。一度など生ゴミの袋ですら落ちてきました」 「ですが、先人らは100年以上の時を掛けて少しずつ蓄積してきました。ここにあるヒトの世界の物は全て・・・・」 「誰かしらの犠牲の上に成り立っています」 マサミと同じく黙って事の成り行きを聞いていた車椅子の老人。 かつてマサミに銃火器を手渡したその老人もまた理事の一人のようだ。 決して老人ではないが、しかし、若者でもないヒトの男達。 「マサミさん。我々はあなたの協力が必要だ」 「この世界へ望まずにやってきた者達の、その最後にして究極の願いを成し遂げるチャンスかもしれない」 「安心して死ねるところを我々は作りたいのです」 男達の射抜くような視線がいっせいに注がれるマサミ。 気圧される事無く向き合えるのは、執事として様々な立場の獣達と対峙して来た場慣れ的な部分だろう。 理事と呼ばれる者達を一人ずつジッと見つめ返し、その眼差しの意味を探る。 「・・・・私には妻がいます。もちろん、ヒトの妻です」 何処から話をすれば良いのか。 マサミもその取っ付きを探しきれていない。 「それは存じています」 「ご長男の件は残念でした」 「もしそれがヒトの国であれば、最初から様々な処置が出来たでしょうね」 フゥ・・・・ 一つ溜息をついたマサミが目を閉じる。 その仕草にですら理事たちの眼差しは鋭い。 「主を裏切るのは人倫に悖る行為です。例えそれが獣の主であっても。私はそう考えます。ただ、その上でこの街の危機と支援を求める要望は理解できますし、私の暮らす地域への支援を考えれば謝意を持って応じなければならぬ事もまた人倫でしょう。でも・・・・」 目を見開き理事たちを睨み返すようにしたマサミ。 「奥様の事ですね」 例の車椅子の老人がやっと口を開いた。 ずっと黙って聞いていたのだが、最後の最後で大物登場と言ったところだろうか。 「えぇ。その通りです。妻の身を何とかしなければ、私は死んでも死に切れない」 「ならば、どうされる?」 「一度スキャッパーへ戻ります。その上で再度考えたい」 「・・・・わかりました。マサミさん、あなたの望むとおりにしましょう」 議長!それでは! 声を荒げて理事が席を蹴り立ち上がった。 だが、議長と呼ばれた老人は手をかざし続く言葉を制すると、ジッとマサミの目を見ていた。 「あなたの主と妻と未来の子供たちにとって最も良い選択肢をあなたが選ぶ事を私は希望します」 「仰るとおりです」 「護衛をつけましょう。最近では武装強行偵察の小規模集団が街の周りをうろうろしています」 「・・・・物騒ですね」 「えぇ。街に出入りするヒトと物を見ているのでしょう。そして、稀に暗殺まがいの戦闘が発生します」 「暗殺・・・・」 「既にこの街の南西約15kmの所で彼らはベースキャンプを作りました。この街を攻略する橋頭堡です。既に1万を越える陸上戦力が結集しているのを確認しています。まぁ、重火器や野砲を彼らが装備していないのは福音でしょう」 ゴクリ・・・・ 思わず生唾を飲み込んだマサミ。 「正直に言えばあなたをイヌの国へと送り出すのは得策では無いのです。あなたが援軍の特使としてイヌの国へ戻ると彼らは見るでしょう。つまり、なにが何でもあなたには死んでもらわないと彼らは困るわけです。イヌの国軍がイヌの貴族の、それも公爵の持ち物であるヒトの執事の回収を名目にこの街へ進駐してくる事を恐れています。あなたが街を出てイヌの国へ帰る前に、なにが何でもどんな手段でも殺そうとします。そしてもっと言えばこの街の中ですら暗殺の危険性があります。絹糸同盟を最初に考えた者の愚かさが今になって響いている訳ですよ。イヌは自衛戦闘は出来るんです。他国への武力侵攻が出来ないだけなんです。ですから・・・・」 老人とマサミの視線がまるで火花を散らすようだ。 理事たちは黙って事の成り行きを見ているしか出来なかった。 「つまり、私はル・ガルにおける全ての立場ですら捨てて来なければならない・・・・」 「その通りです。逆の見方をすれば、今のままにあなたが我々の支援をすると言う事はイヌの貴族がそれを認めた事になり、それは絹糸同盟の禁止条項に抵触します。つまり、事と次第によってはル・ガルが危険に晒され、そして・・・・」 ぷっつりと切れた言葉の続きを捜すように、その場に居合わせた者達の目に見えない先の取り合いが行われていた。 だが、非常に難しいその言葉のラリーの続きを見つけ出す事は容易ではない。 いたずらに時間は流れ、その場の者達が痺れを切らし始めている。 「私は妻も主も帰る家ですらも棄てて参戦せねばならないのですね」 参戦・・・・ マサミの口から前向きな言葉が漏れた。 理事たちが色めき立つなか、老人だけはいつもの様に冷静だった。 「その通りです。そしてこれは私の本音です。あなたは最悪のタイミングでここへ来てくれた。既に現状でこの街は危険に晒されているのです。ですから、今すぐにでもこの街から出て行って欲しいくらいです。あなたの存在は災厄だ」 「・・・・こう言っては何ですが、自分より交渉上手な人を初めてみました」 「しかも脅迫ですら上手い。そういう事ですね」 「えぇ」 「伊達にあなたの3倍近く生きていません」 老人は初めてニヤリと笑った。 好々爺の様でしたたかで。そして、計算深い。 「あなたに付けた護衛が何らかの事情で命を落とせば、それは我々にとって決して小さくない痛手です。余計な事で戦力を失いたくは無いのですが、それでもそれをしなければならない。無駄な犠牲をあなたの為に払わされるのは我々に取っても良い迷惑です」 「今まで様々にお世話になりましたが、でも・・・・ 非情ですね、あなたは」 苦虫を噛み潰すように歯を喰いしばるマサミ。 歯軋りの鈍い音が響く。 「えぇ、非情です。呪うなら私を呪っていただきたい。私はこの街の凡そ5000人のヒトの命を預かる立場です。恨まれ呪われ怨嗟の声を受ける事にも慣れました」 床へと目を落とし一つ溜息をついた老人。 肩を落としうな垂れているようで、それは普段の姿の様でもある。 重責を背負う老人の苦悩と焦慮。 この街は今、かつて無い危機に直面していた。 チリーン・・・・ ドアの呼び鈴が唐突に鳴り、その直後にドアが開いた。 「稟議中に失礼します」 今までみた事の無い若い男が入ってきて、小さなメモを読み上げ始めた。 「街外れの川岸で他殺体が発見されました。被害者は若い女性、推定年齢は18才ないし25才。背の低い赤い髪の女性です。致命傷は刀傷と思われますが、その前に魔法による傷害を受けたようです。おそらく何らかの情報を引き出したかったのか、さもなくば・・・・」 その言葉が詰まり、報告は途切れた。 「犠牲者に性的な傷害の痕跡は?」 「・・・・初見報告をした警邏隊の報告では、おそらく強姦中のショック死と思われますが、死姦の可能性も有ると」 「遺体の損傷は?」 「両乳房に噛み千切った跡が。また右わき腹には深い裂傷が。一部臓器が抜き取られ岩で潰されて・・・・」 報告を聞いていた理事たちはそれぞれに首を振ったり目を閉じたりと否定的な意思表示をしている。 その異常とも思える行動が何を意味するのか。 「根絶やしにすると言う意思表示と見て間違いないでしょうな。マサミさん、これもこの街の現状です。彼らは・・・・無情です」 「無情・・・・ 非情と無情」 「えぇ」 静かにざわめく理事たち。 ヒソヒソと会話する声が少しだけ聞こえている。 概ね強硬派しかいないと思っていた理事だが、その漏れてくる会話からは弱気な言葉が伝わってくる。 やはり、獣の軍隊と戦うのは得策ではない。ただ単純に数の差だけではなく、その原始的な戦闘に手馴れている事も大きい。 そして、魔法の存在。 「マサミさん。我々ヒトはこの世界では消耗品です」 「・・・・奴隷とか財産とか言われてますが」 「そんなの建前ですよ」 車椅子の車輪が甲高く軋む音を立てる。 窓の外へ眼差しを贈る老人の顔には深い皺があった。 どれ程の苦労をしたのであろうか。 どれ程の苦痛を味わったのだろうか。 どれ程の屈辱が、今までこの人物の上を通り過ぎて行ったのだろうか。 「若い男でも女でも。遊び道具を前提にヒトを買い求める層があります。その手の連中に取っては飽きたヒトなど無駄飯食いです」 「・・・・・・・・でしょうね」 「幸せな生活? 愛のある家庭? 信頼と愛情? そういう物は確かにあるでしょう。しかし、それは氷山の一角でしかない」 車椅子の向きをクルリと変えて老人はマサミに向き直った。 「棄てられても良い。ただ、闇雲に殺さないで欲しい。突き詰めればそれだけなんですよ。ここへ棄ててくれれば良い。最後の受け皿を作りたいのです。ヒトの世界を思い出して欲しい。裕福な男が自らの裕福さを示すために紙幣へ火をつけて灯にした話しがあるでしょう。あれと同じでね、ヒトの男を2人用意して剣で戦わせる遊びがあるのですよ。遠い昔の剣闘士です。それだけじゃない、性的に倒錯し四肢切断や精神崩壊を招く拷問を加えられ、心を病んで壊れて死んでしまうヒトも少なからず居るのです」 痛いほどの静寂。 静まり返った会議室。 理事の一人がボソリと呟く。 「せめて人間らしく死にたい」 僅かに頷き唇を噛む男。歯を喰いしばり慟哭する男。 この理事たちは今まで何を見てきたのだろう。 あまりに辛い現実を幾つも見たのかもしれない。 それがどれ程の物なのか・・・・ 「私個人の力は微力でしょう。ですが、この世界のバランスへ投じる一石となるならば、私は協力を惜しみません」 おそらく、その言葉は理事たちや車椅子の老人の期待するものだったのだろう。 静かに頷いて悲しそうな笑みを浮かべた。 「マサミさん、あなたの身辺を整理してください。安心して死ねるように」 「えぇ。そうしましょう」 車椅子を滑らせてマサミへと近づいた老人は懐から小さな封筒を取り出した。 その中から出てきたのは一枚の小切手。 「これはネコの国の中央銀行による小切手です。額面は1000万セパタあります。あなたの身辺整理に使ってください。ネコの国のさる富豪の名義になっています。もちろんそれは偽名です。ですが、その小切手を割る事を拒否する事は無いでしょう」 差し出された小切手を受け取るかどうか。 マサミは一瞬だけ逡巡した。 「あなたのご家族の為に使ってください。今のあなたならばネコの国にも多少のコネクションがあるでしょう」 「・・・・そうですね」 受け取った封筒を懐に収めたマサミは理事たちを順番に見た。 「一旦帰ります。後日またお会いしましょう。それでは」 部屋を出て行くマサミの背中に理事たちの視線が突き刺さる。 痛いほどに視線を集めたその背中が部屋を出ると、理事たちは堰を切ったように話し始めた。 その言葉をドアの裏で聞くマサミ。 曰く、イヌの貴族の持ち物に落ち着いたヒトを信用できるのか? あいつはイヌの女の遊び道具だぞ? このまま逃げたりはしないだろうな? 再びここへと戻ってくる保証が無いのに、なぜ小切手を与えたのだ? そしてあの車椅子の老人の声。 信じる事を忘れたらヒトはヒト足りえない。 我々に出来る事は信じる事だけだ。と。 廊下の外れではユウジが待っていた。 静かに笑みを浮かべ外を指差す。 窓の外では無邪気に遊ぶヒトの子供たち。 「さぁ、行きましょう。もう時間が無い」 「えぇ、よろしくお願いします」 建物の外ではさらに別のヒトの男が馬を連れて待っていた。 道のりは長くないが、急がねば夜になってしまう。 迷う事無く走り始めた一行を会議室の理事たちが見ているのだった・・・・・ ************************************************************************************************************************ 「で、どうしましょうか?」 「どうにもなりませんね。彼はこの状況ですと最悪の敵です」 塹壕の中で空を見上げたユウジ。 満天の星空が2人を見下ろしている。 「このまま明日の朝を待つしかありません。陽が昇れば我々も彼を目視できる。そしたら撃ち返せます」 「でも、明日の朝までに殺されない保障はありませんよね」 腰のホルスターからベレッタを抜いたマサミ。 息を殺してそーっと塹壕から頭を上げるのだが・・・・・ パッハーーーン ッシュン! 頭を出したマサミの右の耳の、そのおそらく5cm以内を弾丸が通過した。 腰の力が抜けるように塹壕へと崩れたマサミ。 右の耳たぶの一番外側の辺り。 通過した弾丸が掻き混ぜる空気の渦流裂傷で血を滲ませる。 「痛いというより熱いって感じですね」 「痛みを感じてるうちは死にませんから大丈夫です」 「そりゃどうも。安心しますね」 無謀とも言えるマサミの暴挙にユウジが呆れた笑いを浮かべる。 「あなたは度胸があるのか無謀なのかわかりませんね」 「馬鹿なんですよ。ようするに」 「しかし、こんな良い条件で珍しく奴は外したな・・・・」 「ユウジさんはあのウサギのスナイパーをご存知なんですか?」 「知ってるも何も、奴に銃の使い方を教えたのは私ですよ。彼は・・・・」 遠い目をして漆黒の空を見上げるユウジ。 だが、言葉の続きを待っていたはずのマサミは信じられない物を聞いた。 ―― あんたを殺したくは無い!素直に投降してくれ!待遇は保障する 「ハイハ!今回の雇い主は誰だ!」 ―― それは聞いちゃいけないことだろ! 良いから素直に投降してくれ! 「せっかくの誘いだが断る! かまわず撃ち殺せ お互いプロだろ」 ―― あんたには世話になった! 殺したくは無いんだ! 「まだまだ甘いぞ! それじゃ傭兵は務まらん!」 ―― どうしてもダメか 「あぁ ダメだ!」 風の無い夜とは言えこれほど音の響く環境も珍しい。 ふとマサミはそんな事を思った。 だが、そんな思考をあざ笑うかのようにユウジはボソリと言った。 「あなたにも聞こえるように伝達の魔法を使っていますね」 「そんなのがあるんですか?」 「えぇ、電話代わりですよ。 しかし、奴は何をそんなに焦っているんだろう・・・・」 息を押し殺して様子を伺うユウジとマサミ。 日の出までまだたっぷり3時間はある。 こう着状態で痺れてくる状況なのだが、事はそう簡単ではない。 「最後の手段です」 ユウジは腰の弾薬ケースから手榴弾の入ったアルミの箱を取り出した。 無言で手榴弾を抜き取り、それと同時に周囲から砂利を集めて箱に収める。 蓋を開けたまま箱を左右に傾ければ、様々な大きさの石や砂利が箱の中を転がって賑やかな音を立てた。 ジャラジャラジャラジャラ 「良いですか?」 ジャラジャラジャラジャラ 出来る限り小声で話掛けるユウジ。 同時に箱が揺れて声に邪魔かが入る。 ジャラジャラジャラジャラ 「手榴弾を投げます。爆発した瞬間の衝撃波で彼は一瞬聴力を失います」 ジャラジャラジャラジャラ 「その間に出来る限りジグザグに走って遠くへ逃げましょう」 ジャラジャラジャラジャラ 「40m走るともう一本塹壕があります。そこへ飛び込みます」 ジャラジャラジャラジャラ 「思案してる暇はありません」 ジャラジャラジャラジャラ 「良いですね?」 「良くない」 「え?」 唐突な声に箱を揺する手が止まってしまったユウジ。 塹壕から見上げるとそこにはウサギの男が立っていた。 全身古傷だらけの壮絶な容貌だ。 手にしている銃はスコープすら付いていないボルトアクションの古い銃、モシン・ナガン、モデル189だった。 「・・・・ハイハ」 「戦場では音を立てるな。そう教えたのはあんただぜ」 薄暗闇の中で見ても分かるその姿。 両目は完全に白くなっている。 おそらく視力は無いだろう。 失明状態なのだが、普通に立っていると言うのは・・・・・ 「ハイハ。構わず撃て。何故撃たない?」 「あんたを殺したくは無い。あんたは恩人だ」 「まだまだ甘いな」 「その銃に弾は残って無いだろ。音で分かる」 「いや、入ってるぞ」 ユウジは迷う事無く銃口を空に向けて引き金を引いた。 ダン! 「弾が残ってるのに何故俺を撃たなかった」 「撃っても当たらなかった。それだけだ」 ユウジとウサギの男が会話する中。 マサミは出来る限り音を立てずにベレッタをウサギに向ける。 「そっちのヒトの男。マサミと言ったな」 「何故私の名前を?」 「さっきの会話を聞いてた」 マサミは唸った。 あの距離を離れて会話を聞き取れるのだろうか? これは驚いた。本当に・・・・ 「とりあえず銃を降ろせ」 「見えるんですか?」 「いや、音で分かる。銃の表面を風が流れると独特の音がする」 こいつは驚いた・・・・ 「参ったな」 マサミは音の立つ事を意に介さず、立ち上がってホルスターに銃を収めた。 「ハイハ、目的はなんだ?」 「あんたとあんたの連れがイヌの国に帰って援軍を呼ばないようにしてくれと依頼された」 「誰に?」 「それは言えない」 ユウジとマサミは顔を見合わせた。 このウサギの男は嘘は言ってない。 そんな確信があった。 「ハイハさん。私は・・・・ 援軍を呼ぶのではなく、家と主を捨てに行くのですが」 「そんな嘘は信用ならない」 「嘘じゃない・・・・と言っても信用してくれないんじゃ一緒ですね」 ガッカリといった感じでマサミは腰を下ろした。 大きな岩の上に座ってジッとウサギを見る。 「ハイハ。マサミは本当に全てを捨てに帰るんだ。そしてそのままイヌの国へは戻らない」 「あんたまで嘘をつくのか?」 「嘘なものか」 ユウジも腰を下ろしてしまった。 立っているのはハイハだけ・・・・ 「ハイハ、じゃぁこうしよう。マサミはここから一人で帰る。俺はおまえとここでマサミの帰りを待つ。もし援軍が来たなら、おれは責任もってマサミを撃つ。そしてお前が俺を打つ」 「あんた、そこまでこの男を信用するのか?」 「当然だよ。このヒトは嘘をつかない。だから皆に信用されている」 しばらく黙り込んで考え込むハイハ。 ユウジもマサミもジッと答えを待っていた。 「ここから北の方に行くと俺のテントがある。そこでお前の帰りを待っている。お前が分からなくとも俺はお前の足音が分かる。そしたら迎えに出る。それまでユウジは俺が預かる。2日以内に戻って来い。それが条件だ」 「えぇ、分かりました。それだけ譲歩してくれるなら十分です。ただ」 「ただ、なんだ」 「あなたが今射殺したこっちのヒトの男をルカパヤンへ届けて欲しい」 「それはお前がやれ。帰ってきたらな」 月を隠していた雲が晴れて草原に光が落ちる。 片方だけだが満月と言う事もあって、夜にもかかわらず驚くほど明るい。 「お前の足音が聞こえなくなるまでここにいる。俺の耳はお前の足音を覚えた。さぁ早く行け」 「後ろから撃たれるのはごめんです」 「俺は撃たない。ここには俺しか居ない。もし誰かがお前を撃ったら、俺が責任もってそいつを殺す。俺も嘘はつかない」 「分かりました」 やおら立ち上がって歩き始めるマサミ。 ユウジは心配そうだった。 「ユウジさん。そう言うわけなんでよろしくお願いします」 「あぁ、早く帰ってきてください。ウサギの寝床に同衾なんて考えただけで悪夢だ」 ペロッと舌を出して笑うユウジ。 だが、ハイハは少し機嫌が悪い。 「俺はそんな趣味は無い。ウサギが全部変態だと思われるのは心外だ」 「それは以外ですね。でもまぁ、信じますよ」 「お前は信用していない」 ハイハはライフルのボルトを引いて次の弾を装填した。 「ハイハ。相変わらず冗談が通じないな」 「あんたは知っているだろう」 「あぁ」 ボリボリと頭を掻いたユウジ。 何かを思い出したかのように一息ついた。 「何年か前の話です。私がルカパヤンに来て・・・・確か3年目くらいでした」 「えぇ」 「ある日、落ち物のパトロールに出たらウサギの商人と遭遇しまして・・・・・」 ウンザリと言う表情を浮かべつつ、ユウジは溜息をこぼす。 「当時、13歳だったかの少年を連れてましてね、その子が見つかってしまったんですよ。ウサギに」 「・・・・あらら」 「で、まぁ例によって変態揃いなウサギのヒト商人ですからね、早速剥かれて味見してみようと言う事になったんですが、その時の商隊で見習いだったんですよ。ハイハは」 首だけ振ってハイハを見るユウジ。 ハイハはどこか遠くを見ていた。 「でね、彼はね・・・・ 出来ないんですよ、房事が」 「そうなんですか」 「そんな事をするなと止めに入ったら、ウサギの商人が怒り出して、それでまぁ、気が付けばハイハは4人のウサギを相手に孤独な戦いって奴で」 「気が付いたら大変な事になっていたと」 このあまりに酷い風貌はその時の傷か。 マサミはなんとなく理由が分かった。 裏切り者の存在をウサギはゆるさない。 一人だけ寂しく行動するなんて考えられないほどに連帯意識の強い種族だ。 一人ぼっちだと文字通り死んでしまいかねない。 だが、どんな物にも例外はある。 このウサギの男はその例外なのだろう。 「マサミといったな。生きたまま魔法の炎に焼かれる苦しさは理解できるか?」 「そういう経験が無いからわからないな」 「じゃぁ経験してみるか?」 「遠慮しておきます」 マサミは出来る限り後ろを振り返らないよう、早足で歩き始めた。 スキャッパーとルカパヤンを隔てる山の稜線がほんのり明るくなり始めた。 もうすぐ夜が明ける。あと1時間と少しだろう。 急いで山を越えねば・・・・ 自然と早足になるマサミ。 気が付けば半ば走っている様な状態だった。 ハァハァ・・・・・ 息を切らせて振り返ると、随分高度を稼いでいた。 遠くに見える塹壕線には、すでに人影が無い。 「急がなければ・・・・」 手にしていた物を整理して走りやすい格好になったマサミ。 それっ!とばかりに走り出して峠を目指す。 残された時間はおよそ40時間。 走れメロスってこんな心境だったのか・・・・ 誰にと言うわけでなくそう一人ごちてマサミは走り続けていた。 ルカパヤン戦役編 第2話 了
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/89.html
小学一年の秋だったと記憶している。 ようやく背中に馴染んできた赤いランドセルを揺らしながら、悪山エリスは住宅街を歩く。小さな歩幅。変わるはずもない金髪に碧 眼。子どもっぽい髪型も今と同じく。祖父から貰った青いリボンのために、頭の左右が少し重たい。 先生の言いつけを破って、日が暮れるまで友達と遊んでの帰りだった。 灼きつくオレンジの光を発しながら、太陽が西方の大地に溺れている。もう間もなく、安らかな夜が来るのだろう。わけもなく涙が 滲む、不思議な時間だった。 エリスはふと爪先を止めた。 (……あれ?) 夕陽の中に、何かがいる。猫の瞳のように太陽を分かちながら、それは立っていた。古代中国人が太陽に棲む烏だと説明したという、 肉眼黒点などでは断じてない。エリスの行く手に待ち受けていた何者か。 彼は、いちおうは、人間だった。痩せていて背が高く、きちっとした黒いスーツを着て。 足下から伸びる十字の影は、朱に染まる車道を冷たい黒に切り抜く。それは地獄に通じる門で、恐ろしい魔物達がこちらをじぃっと 覗いている。絵本が大好きだったエリスは、そんな想像をして震えた。 「おかえりなさい、悪山エリスちゃん」 不気味な猫撫で声。聞き覚えはない。知らない男の人。 腕を左右に広げるのは、危害を加えるような物は持っていないという表明だったのだろう。しかし、幼い少女の目にそれは、獲物を 通せんぼうする、巨大な猛禽の翼としか映らない。そしてその解釈は、正しかった。 「エリスちゃんのおじいちゃんのことで、お願いがあるんだけどね」 磔にされたようなシルエットの男が近づいてくる。足捌きは軽やか。一歩。また一歩。気がついたときにはもう。 逃げたいけれど、足が棒のように竦む。悲鳴を上げたいけれど、心臓を鷲掴みにされたように息ができない。 「協力してくれるの? ありがとう! まさに奇跡だ」 男は強引に決めつけ、確かそういった。奇妙な言い回しを覚えている。 暗闇を纏った怪人の魔手が、人形を弄ぶ手つきでエリスの頬に伸ばされる。強く眼を瞑った。 (そのあと) 悪夢が覚める。 悪山エリスは、十年分の時間を取り戻した。 胸を痛いほどに荒々しく突き上げる心臓。細首の裏を血流が駆け昇っていく。体の硬直はそのまま、碧眼だけが見開かれている。 そこは既にあの恐怖の街角ではなく、自室に備えつけた寝台の上だった。柔らかな布団にくるまれて。カーテンの隙間から、金色の 陽射しが降り注いでいる。 (そのあとは、どうしたのだっけ?) 危険な男に誘拐されそうになったという、幼い頃の記憶。 それまでは十年前とは思えないほど鮮烈だというのに、以降のビジョンは鋏で切りとったかのように不自然な空白になっていた。男 のいう“おじいちゃん”にも訊ねたことがあったが、彼らしくもないボケた振りで躱された。 何事もなく済んだ。しかし何かがあったのだ。 エリスは無意識に、やけに大きなティラノサウルスのぬいぐるみを枕元から手繰り寄せていた。それもエリスに甘い祖父・悪山悪男 からの贈り物だった。怖い夢を見ても、それをぎゅぅっと抱き締めていれば、心が落ち着くまでそれほどの時間は要らない。 掛け布団を押し退ける。カーテンを開いて、エリスは東を向いた窓から外に目をやった。 山の稜線から、夜明けの光。 希望の朝を迎えて、それなのにエリスは、未だ悪夢の冷めやらないような薄ら寒さを感じていた。 ※ 繁栄を極める国際都市テクニッ京、人類の叡智が集密する大メカロポリス区の地下奥深く。無限の闇黒に、蟻の巣のように張り巡ら された空間があることを知る者は少ない。 三次元の拡がりを持つ広大な迷路だ。 ひと度そこに足を踏み入れれば、まずもって生きては帰れまい。いかな洞窟探検の達人であろうとも。あらゆる障害を予測した完全 装備であろうともだ。 幾重にも続く気の遠くなるような試練の門を越えたとしても、かのラビリントス大迷宮を思わせる複雑な構造が侵入者を阻むだろう。 一寸先の闇に待ち受けるのは、殺人をも厭わぬ番兵か、死の罠か。 「相変わらずここは、昆虫の死骸のような臭いがしますね」 しかし見よ。魔物が棲むとしか思えぬ陥穽のことごとくを鮮やかに躱しながら、鈍色の迷い路を我が物顔で進む男がいる。骸骨のよ うな痩身に黒いスーツ。 染みついた殺気を眼鏡でも覆い隠しきれない、それは危険なかほりの男。 「悪くない感じよ」 軽く振り返って、ワインでも嗜むように湿った空気を吸ってみせる。 唇に能面のような微笑を貼りつけた魔人こそが、この地下迷宮『魔窟Mk-Ⅱ』の主。暗号名をイッツァ・ミラクルと自ら名乗る、 さる巨大犯罪組織の重鎮である。 「恐縮です。最上級ワルジェント、イッツァ・ミラクル」 男の四歩ばかり後ろを追従する秘書が、眼鏡の傾きを整えながら、はきはきと答える。その名をレディ(女史)・ビジョン。限りな く黒に近い灰色のスーツを着こなす女だ。『エージェント』をいちいち『ワルジェント』と言い習わすのは組織の意向でも何でもなく、 イッツァ・ミラクル個人のどうでもいいこだわりだったが、彼女は心酔する上司に己を同一化させる。 「ところでレディ、セイギベース3についての調査に進展はありましたか?」 報告を催促するイッツァ・ミラクルの声は、働きを試すような響きを帯びていた。 レディ・ビジョンは弾かれたように電子化されたバインダーを展開する。 「はっ。ネクソンクロガネのパイロット・田所カッコマンの正体が判明しております」 イッツァ・ミラクルは目を細めた。さながら鮮血を味わう悪鬼の相だった。 「早かったですね。あなたのような有能な部下を持てたこと、イッツァミラクル(それは奇跡です)」 「恐縮です」 最大級の賛辞に緩み掛ける口許を慌てて引き締め、レディは続けて詳細の説明に入る。 「まずロボヶ丘市を中心としたセイギベース3の管轄区及びその周辺一帯の男女について、姓名・性別・年齢による絞り込みを行いま した。過去の出撃当時の現場不在証明がされた者を省きながら音声分析に掛け、声調や口調、言葉の組み立てや語彙などから性格・体 型・環境・教育的なバックボーンなどを推定。最後にロボットの操縦から推測される動作の癖と照合し、一名に特定されました。ドク トルポイズンによれば、97パーセント強の確率で、彼が田所カッコマンです」 イッツァ・ミラクルはしきりに頷きながら、眼鏡のレンズに転送される膨大な資料に目を通していた。悪の巨大頭脳・ドクトルポイ ズンが暇に飽かせて追加したという機能は多岐に渡る。 悪のマッドサイエンティスト・悪山悪男の場合は、あくまで自らの技術力の優越を披露したいがために、最強無敵ロボ・ネクソンク ロガネと真っ向からぶつかり合った。 一方で武闘派市民団体E自警団の無力化を差し当たっての作戦目的とするイッツァ・ミラクルらは、当然のように組織力を背景にあ らゆる手段を講じるのだ。プロファイリング捜査まがいの諜報活動もその一環である。 これまでとは全く違うタイプの“悪”に、田所カッコマンの危機が迫る! 「ふむ。前提として、タドコロという苗字を偽っている可能性はないのですか?」 暗闇をゆく悪の主従の質疑応答が始まる。 「偽名ですか? 念のため検索の条件には幅を持たせてありますが、ほぼ有り得ないと断言できます」 背筋を伸ばしたレディ・ビジョンの態度からは、根拠に裏打ちされた自信が見てとれた。 「というと?」 「やつらは阿呆です」 聞いた途端、イッツァ・ミラクルは大笑した。 確かに、これほどまでにあっさりと敵勢力に機密情報を掴まれるなど、危機管理が杜撰であるとしか言いようがない。そもそも消耗 品の雑兵ならばともかく、貴重な巨大ロボットの専属パイロットを調達するにしてはやり方がいかにも手緩い。 「田所カッコマンには、既に万全の包囲網を敷いてあります。いつでも始末できますが、いかがいたしますか?」 「悩みますね。……しばらくは現状維持でもいいでしょう」 最強無敵とまで名乗る巨大ロボットを倒せば、死の商人としてはそれなりに宣伝効果もあるだろう。 イッツァ・ミラクルとしては、レディの調査がどう転ぼうとも、近いうちに私兵を投じて実力行使に出るつもりでいた。それに加え て、直属ではないものの顔の利く巨大ロボット部隊“シロガネ四天王”を投入できるともなれば、勝利の未来はもはや揺るぎない。 「……フフ。悪の組織力を侮っているうちは、とてもミラクルなど起こせませんよ」 イッツァ・ミラクルは、自らの後ろ盾として聳える巨大な組織について思いを馳せる。 それを巨悪の中の巨悪と言い表す者もいる、諸悪の根源と形容する者もいる、一切の希望を残さぬ悪徳の匣と喩える者も少しは。 十数世紀に沙漠の七海を股に掛けた死の隊商に端を発するという、国際犯罪組織だ。 産業革命以降の人類の飛躍的な発展に寄生して肥大化を遂げた、巨悪の全貌を知る者はいない。悪名轟く現大首魁、ドン・ヨコシマ ですら、恐らく。 一説には超大国の陸海空軍をも凌駕すると噂される、精強なる一大私兵団をちらつかせて、地球上のあらゆる利権に食い込み、貪欲 に利潤を追求してきた、彼ら。 すなわち、“ワルサシンジケート”! 恐るべき、真にもって恐るべき、悪の総本山がそれなのだ! イッツァ・ミラクルはほくそ笑んだ。 「あなたのヒロイックサーガもそろそろお終いです、田所カッコマン、いえ……」 黒スーツの男は血塗られた五指を握り込んでゆく。必死に足掻く憐れな獲物の姿を掌上に見る。 「暇な大学生・田所育男(たどころ いくお)!!」 組織の最上級エージェントが人違いに気づいたのは、折しも悪山悪男の機械恐竜がロボヶ丘に現れ、どこからともなく駆けつけた最 強無敵ロボがそれをぶちのめした時だった。 ※ 敢えて言うまでもないが、悪のマッドサイエンティスト・悪山悪男の野望は潰えていない。 最強無敵ロボ・ネクソンクロガネが会得した必殺技ネクソンクロガネアニヒレイターは、器物の心に訴え掛けることはできるが、決 してそれらを洗脳するものではない。人間の性に善悪の違いがあるように、器物にもそれぞれの性がある。“心が宿る”とはそういう ことだ。悪党の銃は悪に染まりやすいなど持ち主の影響についても予想があり、ネクソンクロガネアニヒレイターを浴びせたとしても 穏便に事態が収束する可能性は低いのではないかというのが、はぐれ研究員・龍聖寺院光の見解だった。 実際に、先の戦いでは沈黙したゴクワルレックスだが、その時には年寄りの冷や水を諌めるような心境だったというだけの話らしく、 その後も何食わぬ顔で悪山悪男の悪事に付き合っている。一筋縄ではいかないのは、器物の心でも同じだった。 つまるところネクソンクロガネアニヒレイターは大仰な名前の割に効果の安定感に欠け、最強無敵ロボ・ネクソンクロガネは依然と して戦力に多大な不安を抱えているといってよかった。 何故かここにきて悪山悪男謹製のゴクワルリフレクティブシールドをごり押しで突破できるほどに、最強無敵ロボ・ネクソンクロガ ネの基礎出力が上がっているのが幸いだった。今ならば、殴り飛ばして説教して撃退できる。 (だが、必殺技は何とかしないとな。なるべく早いうちに) 田所正男が、昼休みにロボヶ丘高等学校の図書館を訪れているのはそういう理由である。必殺技のためにロボット工学や基礎の物理 学、スポーツ理論や格闘術などについて少しでも知識を得ようと、涙ぐましい努力を続けているのだった。 (むう。さっぱり分からん……。先生方に相談してみるか、小学校の教科書あたりからやり直すべきだろうか) 鈍器業界期待の新星となり得る分厚さの専門書の埃を払い除けながら、田所正男は書架の間で唸った。一行目から既に関連書籍をハ シゴしても理解できそうもない難物を引いていた。自分の不甲斐なさに呆れながら、それは本棚に戻すしかなかった。せめて次の機会 にはもっと物理の素養のある人物に掻き出してもらえるようにと願っておく。 (おや?) まばらに席が埋まった読書スペースに目をやった田所正男は、顔見知りの美化委員が座っていることに気がついた。 悪山エリスだった。 田所正男にとっては、必殺技ネクソンクロガネアニヒレイターの件できっかけを与えてくれた、尊敬に値する少女である。 相変わらず表情に乏しい娘だったが、本を眺める目許は心なしか綻んでいるようでもあった。真昼の日溜まりに近いせいかもしれな いが、纏う雰囲気もいつになく柔らかい。 (まるで金色の野に群青の花が咲いているようだな……) 髪とリボンの色合いを喩えて詩人を気取りながら、田所正男は彼女のいる方向に足を向けた。 「やあ、悪山さん」 「……田所先輩。こんにちは」 「何を読んでいるんだ?」 「図書館ではお静かに。……恐竜のビジュアル資料をまとめた本です」 悪山エリスは、田所正男にも表紙が見えるように両手で本を傾けた。縁で口許が隠れるのが何となく可愛らしい。それから深い意味 があるのかないのか、ぽつりと「最新版なので」と付け加えた。 なるほど大判のページには、恐竜の化石や模型の写真、太古の想像図などが掲載されている。端に綴られている恐竜の名前は、子ど もの頃は生き物の図鑑に目がなかった田所正男にも、まるで覚えのないものだった。ブランクにちょっとした感慨を覚える。 「ほう。今はこういうことになっているんだな」 釘を刺された手前、田所正男は声量を囁き声に落とした。それでも他人の癇に障ることはあるが、幸いにも一帯に人影はない。この 機会に少しお喋りがしたい気分だった。 悪山エリスは、立ち去らない先輩の存在にも特に気兼ねすることなく、手にした本を読み進める。田所正男の見立てでは、歓迎して いるふうではないが、かといって鬱陶しがってもいないようだった。 (おっ?) 悪山エリスの傍らには幾冊かの書籍が積み重ねられ、綺麗に背表紙が揃っていた。彼女が運んできたものに間違いない。 改めてタイトルを確認すると、『両生・爬虫類のじょうずな飼い方』『世界最強の毒ヘビ・ベスト40』『暴れん坊ティラ野サウル 子さんの冒険』『まだらの紐』とあった。それでちょうど、この図書館で一度に借りられる上限と同じ冊数だった。 探偵小説を読まない田所正男には最後の一冊だけは謎だったが、ほか四冊の共通点から可憐な後輩の意外な興味の対象が垣間見えた。 「こういうの好きなのかい? 爬虫類とか」 「……少し、懐かしくなっただけです」 場所が場所だけに悪山エリスの声はか細い。無意識に顔を寄せていたことに気づいて、田所正男は慌てて身を引いた。それにしても 他人と囁き合うというのは、何だか面映ゆいような不思議な感覚がするものだ。 「そういやあまり関係ないけれど、北の火山のあたりに恐竜の生き残りがいると噂になっていたね」 「灼熱地岳(しゃくねつじたけ)の、シャクネッシーですか」 話題の種としての旬はとうに過ぎ去っていたが、意外にも悪山エリスの反応は悪くなかった。 数か月前のこと、ロボヶ丘の北方に聳える大火山・灼熱地岳(嶽)の麓で体長数十メートルという巨大生物が目撃されたという。何 でもその皮膚は凝固を忘れた熔岩のように赤く、太陽光を浴びて光り輝いていたという。当時は暗いニュースが続発していた反動かた いそう話題になり、未確認生物について特集を組むメディアも続出した。 「悪山さんは、いると思う? シャクネッシー」 「……いると素敵だと思います」 悪山エリスは少し考えてから、はにかんだような、田所正男のこれまで見たことのない表情を浮かべた。 「そっか」 正直なところ、シャクネッシーに限らず古代の大型爬虫類の生き残りなどというものは全て眉唾だと田所正男は考えている。目撃し たのが事実だとしてもこの巨大ロボットの時代だ。もっともらしい説明をつけてしまうのは容易だった。 しかし、そういったものに心を躍らせているらしい悪山エリスの姿を見ていると、そういうロマンのある考えもいいかもしれないと、 そんなふうに思えたのだった。 ※ 「あなたは今、愛に目覚めたカッコマンと、話しているのですよ……きりりッ!」 『ホントにー? ホントにそんなこといったんですかぁ? あはははは! かっこいー惚れそー』 「む?」 放課後にいそいそとセイギベース3に赴いた田所正男。彼が耳にしたのは、お馴染みのはぐれ研究員の芝居掛かった台詞と、聞くも かしましい女子の笑い声だった。明朗闊達とした響きは彼にも覚えがある。 「失礼します」 自動開閉式のドアを潜って司令室に入ると、龍聖寺院光が片手を上げて挨拶を寄越した。 画像通信が繋がっており、壁の一面を占有する大型モニタに溌剌とした笑顔が映っている。明るい茶髪を耳に掛かる程度に刈った、 いかにも行動力のありそうな娘だった。 『やっほー。戻ったー? 愛に目覚めた田所くん』 「お帰り。ちょうど今、セイギベース3、4、5の合同訓練の意義について、激論を交わしていたところさ……」 「博士なぜそんな嘘をー!!」 いけしゃあしゃあと言ってのけるはぐれ研究員・龍聖寺院光の神経の太さに舌を巻く。ただし、もう一人との意思疎通はうまくいっ ておらず、誰も誤魔化せない。 龍聖寺院光とモニタ越しの井戸端会議に興じていた彼女は、海老原カッコウーマン。本名を海老原良子(えびはら よしこ)という 花の女子大生にして、セイギベース4の一撃必殺ロボ・ネクソンアカガネの専属パイロットである。田所正男の先輩に当たり、今一つ 頭の上がらない人物だった。 女性同士ということもあり、龍聖寺院光とは姉妹のように仲が良い。もっとも私的な雑談のためだけにこの回線を繋げるようなこと はしないはずで、何らかの連絡事項があったことが予想できる。 「何かあったんですか? 海老原先輩」 『え? ああ、そうそう。そうだったよ』 海老原良子の表情がやや硬くなる。 『田所くんはさ、ワルサシンジケートって知ってるかな』 「それはもちろん……。悪の総元締めという程度の認識ですが」 田所正男は怪訝そうに眉を寄せた。 国際犯罪組織・ワルサシンジケート。その名を聞くのは久し振りだった。 巨大ロボット製造のノウハウの流出元でもあり、悪の破壊活動の大規模化の元凶のひとつといえる。恐ろしく古い歴史を持つらしい が、その存在が世間に知れ渡ったのはここ数年のことだった。 『なんか不穏な動きがあるらしいんだよね。かなりの大物が日本に来てるって話だし』 「大物?」 『詳しいことは分かんない。でもかなり特殊な立場にいるやつらしくて、諜報部のみんながぜえぜえいってた』 言いようは世間話の延長のようだったが、それだけに生々しい現実感があった。 『ネクソンタイプがあれば負けることはないと思うけど、かえって狙われやすいかもだから、用心しといてよ』 「なるほど。分かりました」 隕石に含有される稀少物質ネクソニウムの力を利用したネクソンタイプは、巨大ロボット群の中でも別格だった。特筆すべきはその 物質の限界を超えた常識外れの装甲強度であり、ネクソニウムが大量に確保できるなら近代兵器に革命が起こるともいわれていた。 E自警団の保有するネクソンタイプは日本国内の基地に限れば、セイギベース3の最強無敵ロボ・ネクソンクロガネと、セイギベー ス4の一撃必殺ロボ・ネクソンアカガネしか存在しない。それでも戦力としては破格だった。 『あれ』 けたたましいアラームが、セイギベース4において鳴り響いた。 『タイミング悪いなぁ、出撃要請だ……。あ、なんか悪いロボットが現れたみたいだから、ちょっと行ってくるね』 挨拶もそこそこに、海老原良子が傍らに備えてある赤いヘルメットを引っ掴む。 秘密基地・セイギベース4は大都市圏に近く、巨大ロボット犯罪もそこそこの頻度で発生する。悪山悪男のような血気盛んな常習犯 がいないのが幸いといえば幸いだった。 『あ、田所くん。必殺技のことで悩んでるんだったよね?』 格納庫で出番を待つ一撃必殺ロボ・ネクソンアカガネのもとに向かおうとする海老原良子が、ふと思い出したようにカッコウーマン の表情で振り返った。 『使いづらい必殺技って思ってるかもしれないけどさ。ネクソンクロガネアニヒレイターを会得したことの意味はね、たぶん、すっご く大きい……。きっと、田所くんが思っているよりもずっと』 「は? それはどういう……」 『愛と勇気がカンジンなの! 悩め田所カッコマン!』 惚れ惚れするような姉貴分の笑顔が、田所正男の目に焼きついた。 彼女の底抜けの明るさが翳るようなことは、未来永劫ないように彼らには思えた。 だが。 それから数刻ののち、田所正男と龍聖寺院光は、信じられない光景を目撃することになる。 海老原カッコウーマン、一撃必殺ロボ・ネクソンアカガネの敗北。 そして、秘密基地・セイギベース4の壊滅だった。 ※ 「っち……ちくしょー……っ! ネクソンアカガネブレイクが、通用しないなんて……!」 一撃必殺ロボ・ネクソンアカガネは、満身創痍の機体を燃える大地に横たえていた。赤銅色の装甲が無惨にも剥がれ落ち、空虚な金 属音を奏でる。操縦席では海老原カッコウーマンが屈辱に罵声を吐き出すが、ごまめの歯軋りだった。 破壊の痕跡はネクソンアカガネだけでなく、セイギベース4の全域に及んでいた。隔壁や機材が強引に引き千切られ、最新鋭を誇っ ていた設備は見る影もない。 今や火の海となった秘密基地は、一撃必殺ロボ・ネクソンアカガネよりもなお赤い。宗教にいう煉獄の顕現だった。 「あなたがたには」 圧倒的な破壊をもたらした謎の敵は、物静かな聖職者の口調で言い放つ。 マッスルポージングひとつで爆炎を弾き飛ばす、それは白亜の巨人。 「筋肉が足りない」 哀れみの篭った視線が、焦土を舐める敗者を見下ろしていた。 E自警団が蓄積する膨大なデータにも該当するものが存在しない、新型の巨大ロボット。 我らが最強無敵ロボ・ネクソンクロガネよりも肩幅が広く、四肢も二周りは太い。逞しい前腕や下腿には、筋繊維を意匠としたらし い赤い模様が幾筋か、異民族の入れ墨のように走っていた。全身に纏う威圧感は、かの暴君竜をも上回る。 驚くべきことにその機体は銃砲火器に頼むでもなく、凄まじい膂力のみに物を言わせて、これだけの阿鼻叫喚を演出したのだ。巨大 ロボットとして見ても規格外と表すしかない、強大無比の駆動力だった。 「私シロガネ四天王いちのマッシブ、ニック・W・キムと」 ムキッ。サウナさながらに湯気の立ち篭る操縦室。その中を、所狭しと巨漢の筋肉が躍動していた。 「剛力無双ロボ・シロガネマッスル」 ムキッ。息継ぎの度にいちいちポーズが変わる。 「我ら夢の最強タッグは、いつでも強敵を待っているぞぅ!」 目を見張るような筋肉の隆起のために、厳選素材のパイロットスーツもはちきれんばかりだ。一箇所だけ露出した頭は綺麗に禿げ上 がっており、髪の毛一本残っていない。じんわりと汗が滲み、木魚のような滑らかさで照明の光を弾いていた。 「うん! 次の挑戦者はきみに決めた! 最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ! その名に違わぬ筋肉を見せてくれたまえよ!」 パイロットたるニック・W・キムの動作を忠実にトレースし、筋肉を誇示する姿勢を再現する巨大ロボット。どういう駆動系の働き なのか、ビクンビクンと生々しく上半身が波を打つ。濃密な汗の臭いを発したような気がした。 (うざい……) 海老原カッコウーマンは口許を押さえようと手を持ち上げたが、そのまま意識を手放した。 一撃必殺ロボ・ネクソンアカガネの碧眼が光を失う。それが、彼女たちの果敢ない抵抗の終わりとなった。 ※ 「なんてことだ……。あの海老原カッコウーマンが!?」 最悪の結末を見届けた田所正男の声は悲鳴になっていた。 海老原カッコウーマン操る一撃必殺ロボ・ネクソンアカガネは、E自警団でも随一の攻撃力を誇る。必殺技のネクソンアカガネブレ イクの破壊力は、並みの巨大ロボットならばただの一撃で三機を葬り去るのだ。それで仕留め切れなかったという事実。 「いつもの、悪のマッドサイエンティスト・悪山悪男じゃあない。あいつは全く別種の……敵だ!!」 龍聖寺院光が声を張った。新たな激戦の予感に、セイギベース3に緊張が走る。 そんな時だった。 セイギベース3の直上から、悪魔の嬌態を思わせる歌が聞こえてきたのは――!! 『the Roots of All Evil~諸悪の根源~』 作曲/ドクトルポイズン 作詞・歌/カッコマンエビル ※the Roots of All Evil 禁じられたチカラ 今この手に 陽射しの裏 街の影 強くなる闇の濃度 最も忌むべきそれは ただ奇跡を乞い願う家畜 抉り出せ 己が爪で 仔羊のはらわたを 欲望の全てを叶えよう 人間として生まれたからには ※くりかえし 笑顔の意味 甘い罠 むせかえる虚飾の色 最も醜きそれは 被害者になりたがる敗者 突き立てろ 強き牙を 雛鳥の首筋に 貪欲に全てを食らおう 勝者となり生き残るために the Roots of All Evil 胸の奥のホノヲ 今解き放つ 見せつけよ 悪の爪牙 太陽に背を向けて 敵と味方を問わず砕け 誰よりも本気で生きるなら ※くりかえし 「この歌詞の放つ激烈な思春期臭……まさか!?」 龍聖寺院光の顔色が蒼白に転じた。 激しいリズムで肺腑を突く悪の賛歌は、吐き気を催すほどの禍々しさを孕んでいた。直に味わうコンサート会場の熱気にも似て、メ ロディの及ぶすべてを一種の異界へと変質させてしまう魔力を秘めている。 「出てきなよ、最強無敵ロボ」 誰かが言った。若い男。言葉には挑発するような含みがある。 続いてセイギベース3を衝撃が襲った。 余韻が覚めるのを待たず、空の高みより降臨する巨大な物体。平和な世界を蹂躙するかのごとく着地は荒々しい。しかも、鎧袖一触 全てを切り裂く衝撃波を纏っている。 「シロガネ四天王いちのスピード。この神速飛翔ロボ・シロガネソニック」 それは、腕の代わりに翼を拡げたスーパーロボットだった。 銀色掛かった白い外装は、最新鋭の航空機を思わせる。美しく青が映える飾り線は、流線型をなぞる疾風さながら。 一対の眼には、正義の味方をすら震える獰猛さ。 死を告げる堕天使を思わせる姿だった。 秘密基地であるはずのセイギベース3を、狙いを過たずに翼端が射抜く。気障な仕草だった。 「ボクの名前はカッコマンエビル。分かりやすくいうなら、悪のカッコマン……さ」 機械仕掛けの鳥人に抱かれ、白に染められたカッコマンスーツの男は嗤う。ヘルメットの奥に、くつくつと魔女の大釜が煮えるよう な音が篭っていた。 こうして悪夢の夜会は開幕する――!! セイギベースを強襲する巨悪の尖兵たち! 彼らは、四つの大罪の化身だとでもいうのか!? 弾ける筋肉・ニック・W・キムのシロガネマッスル! 悪のカッコマン・カッコ マンエビルのシロガネソニック! そして、まだ見ぬ二人操る超級の巨大ロボも、影より密やかにセイギベース3に忍び寄っている! 泣く子も黙るシロガネ四天王に、ロボヶ丘が戦慄! きみならば、きみならばヤツらを倒せるのか!? 田所カッコマン! お前がやらずに誰がやる! 最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ! つづく ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) + ... 名前
https://w.atwiki.jp/battle-operation/pages/2140.html
連邦軍:支援 機体概要 数値情報機体 移動方向補正 パーツスロット 主兵装 副兵装 スキル情報 備考「行くよ!いつものように這いつくばって!」キャンペーン 「週間任務 豪華報酬キャンペーン」 機体情報 機体固有の特徴 機体考察 主兵装詳細 副兵装詳細 スキル カスタム 運用変形時の攻撃力の変化について 機体攻略法 コンボ一覧 アップデート履歴 投票 コメント欄 機体概要 ガンタンクの前身である試作戦闘車両をベースに改良した試作機体. ジオンが開発していたMSへの対抗手段として,後のガンタンクの開発に繋がる戦闘車両RTX-44をベースに兵装の強化を施し,対MS戦用機体として急遽開発された. ガンタンクは自走砲的な側面を備え持つMSとして開発させたが,本機では 突撃砲形態への可変機構 を内在させ,獲得した高い機動性は, 高威力のタックル性能 を生み出すこととなった. また, 豊富な重火器を装備 し,陸上戦艦への対抗手段や,陣地制圧などに用いられることもあったようだ. 数値情報 機体 支援 LV1 LV2 LV3 LV4 LV5 LV6 LV7 LV8 Cost 250 275 300 325 350 375 400 425 機体HP 11000 11500 12000 12500 13000 13500 14000 14500 耐射撃装甲 37 51 65 79 93 107 121 135 耐ビーム装甲 37 51 65 79 93 107 121 135 耐格闘装甲 26 射撃補正 66 70 74 78 82 86 89 93 格闘補正 0 スピード 通常 95 突撃砲 245 スラスター 110 112 114 116 118 120 122 124 旋回速度[°/秒]※2 通常 80 85 90 95 100 105 110 115 突撃砲 48 51 54 57 60 63 66 69 ジャンプ高度 - カウンター タックル 必要階級 少尉01※1 中尉02 大尉03 少佐03 中佐03 中佐10 大佐07 少将05 レア度 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆ ☆ ☆ 開発% 12% 12% 12% 10% 8% 4% 4% 3% 必要開発費 24000P 32400P 42700P 50000P JPY309 68000P 74700P 80000P 復帰時間 17秒 19秒 21秒 22秒 24秒 26秒 28秒 29秒 NEW MSボーナス 3000 3650 4300 4950 5600 6250 6900 7550 ※1: キャンペーン期間中のみ、全階級でLv1設計図がドロップします キャンペーン終了までにLv1設計図が揃っていない場合完成しません また適正階級に達していない場合「演習場(自由に行動)」意外では出撃できません ※2:(2016年2月10日アップデート後) 変形前後で旋回速度が切り替わるように修正される 突撃砲形態は通常形態の0.6倍の旋回速度になる フィールドモーターは通常形態、突撃砲形態両方で有効例)LV4にフィールドモーターLV3を装備した場合通常形態:95 + 15 = 110°/秒 突撃砲形態:110 * 0.6 = 66°/秒 移動方向補正 前 100% 横 0% ▲ 0% 後 100% パーツスロット LV1 LV2 LV3 LV4 LV5 LV6 LV7 LV8 近距離 5 6 7 8 18 20 21 22 中距離 5 6 7 8 13 15 16 17 遠距離 4 5 6 7 8 10 11 12 主兵装 武器名 LV 威力 発射間隔 弾数 リロード速度 射程 DPS 備考 必要ポイント 4連装ボップガン LV1 350 3発/秒 24 6.7秒 350 1050 単発発射ひるみ・よろけ無し部位補正:1.0倍武装切替:0.5秒 機体同梱 LV2 368 26 1104 17100P LV3 385 28 1155 22100P LV4 438 34 1314 JPY205 LV5 455 36 1365 33600P LV6 473 38 1419 38900P LV7 490 40 1470 46200P LV8 508 42 1524 50400P 副兵装 武器名 LV 威力 発射間隔 弾数 リロード速度 射程 DPS 備考 徹甲榴弾装填220mmキャノン LV1 2000 5.0秒 8 20秒 500 - 射撃時静止よろけ有り曲射部位補正:1.0倍武装切替:1.5秒 LV2 2100 LV3 2200 Lv4 2500 10 Lv5 2600 Lv6 2700 Lv7 2800 11 Lv8 2900 榴散弾装填220mmキャノン LV1 1200 4.5秒 8 20秒 350 - 射撃時静止散弾武装切替:2.0秒 LV2 1260 LV3 1320 Lv4 1500 10 Lv5 1560 Lv6 1620 Lv7 1680 11 Lv8 1740 2連装改良型ボップガン LV1 600 4発/秒 16 10秒 150 2400 単発発射ひるみ・よろけ無し部位補正:1.0倍武装切替:1.0秒 LV2 630 17 2520 LV3 660 18 2640 Lv4 750 21 3000 Lv5 780 22 3120 Lv6 810 23 3240 Lv7 840 24 3360 Lv8 870 25 3480 56連装ロケットランチャー LV1 200 2.4発/秒 56 15秒 500 480 左右2発交互発射ひるみ・よろけ無し武装切替:0.5秒 LV2 210 504 LV3 220 528 Lv4 250 600 Lv5 260 624 Lv6 270 648 Lv7 280 672 LV8 290 696 スキル情報 スキル名 機体LV 効果 説明 高性能レーダー 1~8 強化されたレーダー性能.有効範囲が300mから500mに拡張される。 飛行状態の歩兵も捕捉可能。有効範囲と捕捉性能が強化。 高性能スコープ 1~8 高性能のスコープが使用可能 スナイプモード時に左スティックで倍率の調整が可能 観測情報連結 1~8 レーダーで捕捉した敵MSのHPを、自軍メンバーが視認可能になる 所持する機体が1機いれば有効 クイックブースト 8 ジャンプ時の溜め時間を短縮。 ジャンプ性能向上。 強タックル 1~8 タックル時のダメージが通常より高くなる 基本威力は機体Lvによって異なる(基本Lvダメージ1800).近接突撃用増加推進器や勲章によりダメージはさらに増加する.公式のスキル情報には載っていない隠れスキル. 変形 1~8 通常形態から突撃砲形態に変形できる.変形時はダウン以外のよろけと怯みを無効化し,スピードが増加する.代償として攻撃力・防御力共に低下する. L2ボタンによって、突撃砲形態へと変形可能.変形中は攻撃力が20%・防御力が30%低下する.タックルの与ダメージも影響を受ける.公式のスキル情報には載っていない攻略wiki独自表記スキル. なんともないぜ装甲 1~8 突撃砲形態において常にダウン以外のよろけ・怯み攻撃や格闘攻撃による相打ちダウンを無効化. ダウン効果のある射撃や下格闘によるダウンは防げない.公式のスキル情報には載っていないWiki独自表記スキル. 備考 「行くよ!いつものように這いつくばって!」キャンペーン イベント期間2015/7/23 14 00~2015/8/6 13 59 まで イベント内容イベント期間中のみ設計図報酬として特別な支援タイプ1機の設計図がドロップします ドロップするMS設計図陸戦強襲型ガンタンク Lv1 適正階級少尉 Lv1 注意事項本イベント期間中はプレイヤーの階級に関係なく対象のMSで出撃可能です。 本イベント期間終了後、対象のMSの【適正階級】未満のプレイヤーは、本イベントで入手したMSで出撃ができなくなります。 所有リスト内から消えるわけではなく、出撃だけができない状態となります。 【適正階級】まで昇格することで本イベントで入手したMSは再び利用可能になります。 「週間任務 豪華報酬キャンペーン」 イベント期間2015/7/02 14 00~2015/7/16 13 59 まで イベント内容イベント期間中のみ設計図報酬として特別な支援タイプ1機の設計図がドロップします ドロップするMS設計図陸戦強襲型ガンタンク Lv1 適正階級少尉 Lv1 注意事項プレイヤーの階級に関係なく対象設計図は入手可能です。 キャンペーンによって対象の機体を完成させても、【適正階級】未満のプレイヤーは入手したMSでは出撃ができません。 【適正階級】まで昇格することで、入手したMSで出撃が可能となります。ただし、ルームコメント「演習場(自由に行動)」のルームであれば、【適正階級】に関係なくすべてのMSで出撃ができます。 機体情報 初出はOVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 重力戦線』 RX計画の発動によって本格的にMS開発に乗り出した連邦軍だったが、前線ではまだまだMSの配備数は不足していた。そこでガンタンクの前型にあたる実験機に武装と実験的な変形機構を施したのが本機である。 急造徴用機であるため機体バランスは悪く、砲戦用でありながら近距離兵装も有するなどコンセプトが統一されていない。その代わりにタンク系としては破格の汎用性を有した。 作中ではアリーヌ・ネイズン技術中尉率いる3機が独立混成第44旅団の懲罰部隊に配備されオデッサ作戦に参加。3機の連携と圧倒的な火力、機動力により、ドムやグフ・カスタムを含む多数のMSとマゼラ・アタック戦車を撃破。さらにはダブデ級陸戦艇の撃破に貢献するも、最終的には全機が自爆またはダブデへの特攻により失われている。 そもそもが徴用機であり、ガンタンク系の運用問題や実戦配備された本機も全機ロストしていることから、後続機が開発されることはなかった。 機体固有の特徴 機体考察 本作初の 変形機構 を搭載したガンタンク。同コストのガンタンクⅡとは互換機に当たる。 変形状態では速度が格闘機並に早くなり、さらに新実装の「なんともないぜ装甲」によってよろけと怯みを受けなくなる。これによって従来のガンタンク系では不可能だった素早い戦闘ポイントへ移動や、格闘機からの 高い逃走能力 を得た。 一方で変形状態では 攻撃力と防御力が低下 するため、戦闘をする場合は通常状態に戻ることが望ましい。特に防御力は30%低下(被ダメージが30%増加)するため、ゴリ押し逃走しようとしたらワンコンボでやられてしまったということもあり得る。そのため、単発高威力+ダウン属性を持った格闘機との相性は最悪。ダウン攻撃には「なんともないぜ装甲」が効かない上に防御力まで下がるために一発爆散も。 武装は主砲の射程が短い代わりに高火力であり、追撃兵装も強力で豊富。ワンコンボの火力もフルアーマーガンダム並と高コスト支援機と比べて見劣りしないものがある。 主砲の射程500mは他のタンク系と比べると100m短く「キャノン系二脚MS並」となっている。追撃兵装の射程は更に短いため、敵支援機との撃ち合いでは苦戦を強いられる可能性がある。 スキルや兵装はリッチだが、基本ステータスは心許ない。ガンタンクⅡと比べるとステータスは二回りほど低く、HP以外では量産型ガンタンクに負けている。さらにはタンク系としては遠距離スロットが少ないため、装甲盛りも難しい。 適切な戦闘距離の確保と変形を使いこなし、なおかつ差し引きに長ける必要があるなど、タンク系の中でも使いこなしが難しい機体。 主兵装詳細 4連装ボップガンタンク系おなじみの連射追撃兵装。 射程が追撃兵装の中では榴弾と同じと長く、中距離の追撃で使える。 右腕からしか発射しないため、ガンタンクのように真ん中が抜けるといった心配はないが、射線は若干右よりになることには注意したい。 片腕しか無いためか威力はガンタンクの半分程度。一応量産型ガンタンクよりは高い。 追撃兵装として見た場合は、命中率と安定性で榴弾に若干譲ってしまう。怯みもないため積極的に使う理由はないだろう。 副兵装詳細 徹甲榴弾装填220mmキャノン連邦としては初となる曲射単装砲。 他のタンク系のような命中力はないが、カス当たりによるダメージ減衰がなく、また威力もマドロックと並んでトップクラスである。 射程は500とタンク系としては短く、ガンキャノンと同程度。そのためスナイパー系との相性は悪い。もっとも、追撃兵装はどれも射程350以下なので、気にする必要もないかもしれない。 本兵装でよろけさせ、各種追撃兵装で追撃するのがセオリー。ただしキャノン単体でも十分な威力があるため、難しいなら無理に追撃する必要もないだろう。 榴散弾装填220mmキャノンこちらも単装になったため歩兵狩りや命中力で弱体化したものの、威力はタンク系トップである。 距離350では追撃が本兵装と4連ボップガンの二択ななるが、威力ではあちらが、命中率と安定性ではこちらに軍配が上がるため、距離350に近づくほどこちらのほうが有効になる。 2連装改良型ボップガン射程は150と90mmマシンガン並に短いが、DPSはかなり優秀。回転率も悪くないため、理想的にはこの兵装で追撃することが望ましい。 左腕からしか撃たないため、射線が若干左よりになることに注意。 56連装ロケットランチャーキャタピラの両サイドから2発ずつ交互に撃つ、ザクⅡ(重装備仕様)の3連ミサイルポッドに似た兵装。 扱いづらい上にDPSも低い。 弾数と射程は優秀であり、弾幕や平地での歩兵掃討に使うのが望ましいか。 スキル 強タックル 変形 なんともないぜ装甲 カスタム 強化フレーム 運用 変形時の攻撃力の変化について 「通常形態で攻撃力アップ」「突撃砲形態で攻撃力ダウン」となるが,形態による攻撃力の変化は 射撃時の状態ではなくて着弾時の状態が反映される .下記のような攻撃を行った場合には,着弾時の形態が反映されるために通常時の威力でダメージ計算される. 【突撃砲形態(攻撃力Down)】→【射撃】→【変形して通常形態(攻撃力Normal)】→【着弾】 逆に,砂漠等で稜線を使ったハルダウン攻撃を行う場合に 【通常形態で射撃】→【射撃後変形して隠れる】→【着弾】 といったヒットアンドアウェイ攻撃を行うと攻撃力が減少してしまうので注意が必要である. 機体攻略法 コンボ一覧 密着時の生当てや地面に当てると爆風でこちらもよろけるので要注意. 共通コンボ榴弾キャノン→散弾 榴弾キャノン→2連装ボップガン本機の基本コンボ、非常に強力だが近距離でないと2連装ボップガンが当たらないため要注意. 強タックル→ゼロ距離榴弾榴弾で自らもよろけてしまう為、要注意. カウンター中の無敵がなく、乱戦ではまず使用禁止.追いかけてくる敵を引きうちで削った後、とどめとして使用する場合が多い. カウンター→榴弾キャノン→強タックル 4連装ボップガン榴弾キャノン→ボップガン×3~4本機の基本コンボ、武器予約必須. 榴弾キャノン→下がりながらボップガン→強タックル ※コンボ内にある表中の略号については、コンボ一覧表を参照。 アップデート履歴 2015/07/02:新規追加 2015/07/23:通常キャンペーンで追加 2015/10/01:Lv4、4連装ボップガン Lv4追加 2015/10/15:兵装の性能強化4連装ボップガンの性能を強化威力を強化Lv1:250→350、Lv2:262→368、Lv3:274→385、Lv4:310→438 一部性能を強化リロード時間短縮10秒→6.7秒 56連装ロケットランチャーの一部性能を強化連射速度強化2発/秒→2.4発/秒 2015/11/26:Lv5、4連装ボップガン Lv5追加 2016/2/10:性能の調整突撃砲形態に変形後、通常形態に再度変形すると、旋回速度が突撃砲形態時のまま戻らなくなる不具合を修正 突撃砲形態の旋回速度を強化LV1:40→48、LV2:40→51、LV3:40→54、LV4:40→57、LV5:40→60 2016/05/19:Lv6、4連装ボップガン Lv6追加 2016/07/21:Lv7、4連装ボップガン Lv7追加 2016/09/08:性能強化機体HPを増加+1000(Lv1:10000→11000) 2017/02/16:Lv8、4連装ボップガン Lv8追加 2017/05/30:サービス終了に伴う特別処置によりLv5と4連装ボップガンLv4を開発ポイントで開発可能に変更 投票 + ... 「突撃砲形態に変形する」「変形時はよろけ・怯みを無効化する」「変形時は攻撃力・防御力・移動速度が変化する」機体固有の特徴にwiki独自の名前を付けよう. 順位 選択肢 得票数 得票率 1 変形 86 29% 2 突砲《トッポ》形態 49 16% 3 トランスフォーム 32 11% 4 よっこらせっと 22 7% 5 変態 20 7% 6 突撃砲形態 19 6% 7 やぁってやるぜ、ヨロケンサー! 9 3% 8 コンボイ隊長 7 2% 9 チェィンジ、よろけなし・オーン! 5 2% 10 モビルスーツってのはこの程度かい装甲 5 2% 11 這いつくばって装甲 5 2% 12 よろけないし!でも痛いし! 4 1% 13 喰らわない(喰らわないとはいってない)形態 4 1% 14 どりちん形態 3 1% 15 スーパーアーマー 3 1% 16 79式戦車 2 1% 17 モードエレガント 2 1% 18 変形機構 2 1% 19 強変形 2 1% 20 芋虫形態w 2 1% 21 進撃のタンク 2 1% 22 鋼耐 2 1% 23 高速移動形態 2 1% 24 DRS 1 0% 25 ただの戦車形態 1 0% 26 スライディング土下座 1 0% 27 タンク伏せ 1 0% 28 伏せ態 1 0% 29 強タン 1 0% 30 強化装甲 1 0% 31 特攻 1 0% 32 耐衝撃バランサー(変形時) 1 0% 投票総数 298 コメント欄 愚痴・修正要望のコメントは予告なく削除・書込禁止処置 を取る場合がございます.ご了承下さい. カスパ談義用テンプレ(コピーしてお使い下さい)脚部21 簡易脚部21 頭部21 強フレ654321 新フレ21 簡易フレ21 射プロ54321 格プロ54321 高出力21 耐衝7654321 耐弾7654321 耐ビ7654321 シールド補強54321 強化装甲321 噴射54321 高スラ21 ホバー4321 クイブ アブソ321 フィルモ 4321 デタベ21 クイロ321 補助ジェネ321 リング21 近凸21 タイプ特化21 簡易特化21 【HP20000 射補 格補 耐衝 耐弾 耐ビ スラ】 過去ログ 1 名前 途中から好きになりました。ありがとう - 名無しさん 2017-08-01 07 49 50 狙われたら下がってタンク状態でスナイプ砲撃とミサイルに徹して仲間の壁を越えようとする敵を集中的に叩いたり、変形で頭部隠して射線切るチョロ逃げ高所タンクでもやればいい。狭所へは入らず砲撃爆風と壁裏に散弾を繰り返して生き残ってりゃ自然に勝てる。なんせ目の前の1よろけや転倒でカット無効8000以上の追加攻撃できるからな。 - 名無しさん 2017-06-30 19 37 49 デゲルに出くわしたが相性最悪だな。見つかるともうどうしようもない - 名無しさん 2017-06-15 01 34 08 逆に言えばこいつの脅威はデゲルGLAくらいだからまぁ多少はね - 名無しさん 2017-06-15 12 34 25 隙間に挟まったとこにゾゴッグが蓋したら出られなくなってて草生えた。対格もセオリー通り積んでなかったみたいでボコボコにされてた。やっぱランダムマップで出るのはリスク高いな。 - 名無しさん 2017-06-12 14 23 48 こいつって耐格200まであげてHP伸ばす方向でいいんすかね? - 名無しさん 2017-06-01 18 29 41 個人的には対格より対弾対ビ - 名無しさん 2017-06-08 19 13 26 よろけた敵に物凄い速さで近付いてカット無効で3秒あればHP0に出来るなんてコイツしか無理だろうなぁ - 名無しさん 2017-05-11 20 55 18 ないファーさんの動画で火力特化で汎用MSすぐ溶けます。まあ防御面は・・・支援機火力最強はこの子? - 名無しさん 2017-05-03 07 21 47 使っててふと思ったんだけどこの機体の主砲、本当にCT6秒なんだろうか?もっと短いように感じる - 名無しさん 2017-04-11 22 42 58 ミス…6秒でなく5秒やった…でもそれにしても短いと思う - 木主 2017-04-11 22 55 24 まあ、撃ったら武装切り替えでその武装の切り替えもちょっと時間かかるから時間が短いように見えるかもしれない - 名無しさん 2017-04-25 22 56 36 主砲の弾頭が最後爆発するまで射程以上に伸びてるのは元より、56連も山なりに飛んで落ち際に爆発するまで結構射程以上に飛んで行くな - 名無しさん 2017-03-30 22 29 19 変形時は足元撃ちしても爆風よろけないから、揉み合いでも相手だけ一方的によろけさせて距離を開けるのが可能なんだよなー - 名無しさん 2017-03-18 23 39 46 この機体は立ってても這いつくばっててもよろけないのか!? - 名無しさん 2017-03-16 09 52 40 伏せ砂「俺達と一緒だな!」 - 名無しさん 2017-04-11 22 39 43 結局リクタンって耐弾耐ビーガン積みが安定するかな - 名無しさん 2017-03-08 15 50 03 脚部 - 名無しさん 2017-02-19 21 28 52 ないと壊れた時に変形状態でノロノロになってた気がするけど違ったっけ - 名無しさん 2017-02-21 20 48 50 変形状態ではいつもよりすっごく遅い。だが、ゴッグは追いつけない。変形は普通の速度でしてる。 - 名無しさん 2017-03-09 23 11 40 Lv.8がきたな - 名無しさん 2017-02-16 16 12 18 少将06くらい? - 名無しさん 2017-02-16 17 07 37 少将5からだな。 - 名無しさん 2017-02-16 23 31 18 中間距離で変形撃ちをして逃げ回り誘い込み連携して叩き、味方に格闘を振られている所に駆けつけタックルで援護、味方が敵が転かしたら近付き起き上がりリロっておいた満タンの改ボップで追撃殺して変形して風のように去っていく(すまない!) - 名無しさん 2017-02-07 01 59 18 こ、こいつッ!変形でドム高の横格回避できるとかまじかよ - 名無しさん 2017-02-06 13 39 15 伊達に這いつくばってないな - 名無しさん 2017-03-09 23 12 28 耐久できない&ヘイト高い…使いこなせているプレイヤーは尊敬します。 - 名無しさん 2017-01-14 22 33 48 動き回って撹乱してるのに、物珍しそうに味方もこっち見ていて敵機がずっと自分を追い掛けて来てるからな・・・ - 名無しさん 2017-01-15 01 19 27 こいつの再開発なんにしました?HP射補タックルにしてあと1つ迷ってます - 名無しさん 2017-01-09 12 41 49 HP・射撃・タックル・カウンター・再出撃。転倒してる敵に近付きながら改ボップトドメタックルの機会が結構あるし、よろけ無視でスルスル動きながら無動作で出せるカウンター確率も高い。被撃破3くらいなるので短縮。 - 名無しさん 2017-02-25 11 12 45 この機体耐久振っても振らなくても撃破されるスピード変わらないよね?と最近思ってる 皆さんどう思う? - 名無しさん 2016-12-20 01 11 37 個人的には、耐弾伸ばしたら若干生き残れるようになった気がした。 - 名無しさん 2016-12-20 08 33 56 対格伸ばしてもあまり意味ないけど対弾対ビ伸ばすと生存率が格段に上がる感じ。最低限の耐久ないと火力も出せない - 名無しさん 2016-12-20 08 55 45 こいつが敵にいた時、心の中で「デザゲーッ!!早く来てくれーッッ!!」って叫んでる - 名無しさん 2016-11-29 12 33 53 デゲル「別に倒してしまっても構わんのだろう?」 - 名無しさん 2017-02-17 14 40 20 最新の20件を表示しています.全てのコメントを見る MS一覧表 MS 連邦軍 ジオン軍 汎用 ジム - ジムWD隊仕様 - ジム改 - ジム寒冷地仕様 - デザート・ジム - 装甲強化型ジム - ジム・コマンド - ジム・ナイトシーカー - ジムSPⅡWD隊仕様 - パワード・ジム - 陸戦型ジム - 陸戦型ガンダム - 陸戦型ガンダム(ジム頭) - ガンダムEz8 - ブルーディスティニー3号機 - スレイヴ・レイス - ペイルライダー・デュラハン - ペイルライダー・キャバルリー - ペイルライダー(軽装備仕様) - ペイルライダー - ガンキャノン重装型D(レイス仕様) - ガンダム - G-3ガンダム - フルアーマーガンダム陸戦タイプ - ガンダム4号機 - アレックス - ジーライン・スタンダードアーマー - ガンダム試作1号機 - ガンダム試作2号機(MLRS) - ザクⅡF2型(連邦軍仕様) ヅダ - ザクⅠ指揮官用 - ザクⅡ - ザクⅡS型 - ザク・デザートタイプ - 陸戦高機動型ザク - ザクⅡF2型(ジオン軍仕様) - ザクⅡ改 - ザクⅡ改(Bタイプ) - 高機動型ザク - 高機動型ザクⅡ後期型 - グフ(VD) - ゲム・カモフ - ハイゴッグ - ズゴックS型 - ゾゴック - イフリート - ドム - ドム(重装備仕様) - ドム・トローペン - ドワッジ - リック・ドムⅡ - ペズン・ドワッジ - アクト・ザク - アクト・ザク指揮官用 - ガッシャ - ゲルググ - 先行量産型ゲルググ - ガトー専用ゲルググ - 陸戦型ゲルググ(VD) - 高機動型ゲルググ - 高機動型ゲルググ(VG) - 高機動型ゲルググ(ユーマ機) - ゲルググJ - ガルバルディα - ケンプファー - ブルーディスティニー2号機 - ペイルライダー(VG) - ガンダム試作2号機(BB仕様) - ガーベラ・テトラ 格闘 ジム・トレーナー - 「先行配備」ジム・ライトアーマー - ジム・ライトアーマー - ジム・ナイトシーカーⅡ - 陸戦用ジム - ジム・ストライカー - ジム・ストライカー(重装備仕様) - ジム・インターセプトカスタム - ジム・ガードカスタム - ジム・カスタム - ブルーディスティニー1号機 - プロトタイプガンダム - ガンダム・ピクシー - ガンダム5号機 - ジーライン・ライトアーマー ザクⅠ - 「先行配備」ザクⅡFS型 - ザクⅡFS型 - ザクⅡFS型(シン・マツナガ機) - グフ - グフ・カスタム - ゴッグ - アッガイ - アッグガイ(クロー装備) - ズゴック - ラムズゴック - ズゴックE - ドム高機動試作機 - イフリート(シュナイド機) - イフリート改 - イフリート・ナハト - ギャン - ギャン・エーオース - ゲルググG - ゲルググM - デザート・ゲルググ 支援 ジム・キャノン - ジム・スナイパー - ジム・スナイパーカスタム - ジム・スナイパーⅡ - ジムSCシモダ小隊仕様 - アクア・ジム - 「先行配備」陸戦型ジムWR装備 - 陸戦型ジムWR装備 - 陸戦型ガンダムWR装備 - ガンダムEz8WR装備 - フルアーマー・スレイヴ・レイス - 量産型ガンタンク - ガンタンク - 陸戦強襲型ガンタンク - ガンタンクⅡ - 量産型ガンキャノン - ガンキャノン - ガンキャノンSML装備 - ガンキャノン重装型 - ガンキャノンⅡ - ジム・キャノンⅡ - ガンナーガンダム - フルアーマーガンダム - ヘビー・ガンダム - マドロック - ジーライン・アサルトアーマー ヒルドルブ - ザクⅠ・スナイパータイプ - ザクⅠ・スナイパータイプ指揮官用 - 「先行配備」ザクⅡ(重装備仕様) - ザクⅡ(重装備仕様) - ザク・キャノン - ザクハーフキャノン - ザク・キャノン(ラビットタイプ) - ザクタンク(砲撃仕様) - 水中用ザク - ジュアッグ - ギガン - 陸戦型ゲルググ - 陸戦型ゲルググ指揮官用 - ゲルググ・キャノン - ゲルググM指揮官用 乗物 マゼラ・アタック - 61式戦車 - ワッパ ▲トップに戻ります▲
https://w.atwiki.jp/poem_toukou/pages/351.html
ページ:1 2 3 作品 ■▲▼ 69 のの下を引っ張って向きを変えさせると6 のの右側をトンと下へ押してあげると9 のはとってもいやらしいひらがな 355 名前:69[sage] 投稿日:2006/03/09(木) 21 38 20 ID 4lBZs3tR 【コメント】 920 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 17 23 49 ID LHU8fFe4 355 69 >のはとってもいやらしいひらがな いやらしいと書いてしまっているからいやらしさが半減してしまってるよ 確かにそうなんだけど(平仮名の中でもいやらし系なかな) 69は「の」の仲間だったのか 形が似ているだけじゃないよ ついて回る形ぢゃーないか ってそもそも69は行為図が似ているからそう数字を当てはめて表現がメジャーになったんじゃないかな それで「の」はどうなんだと 多分ね「の」に見える数字はあっても 数字に見える「の」は希有だと思う これが何故かと考察するのも面白いかもね 928 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 08 42 ID 5YyDiLlb 355 69 ははは。言われてみるとそうだね。平べったいのだけど。 ■▲▼ ダス・コンリクランダマ・ヂングス・シンガッケン ゆるしがたきしあわせ あまりにもありがたく 通り過ぎるものののお のののののののののめ のののぬののめのののののののん おのののののののん おののののん おののののののののぬののの おおおののののののののののののののん おめぬのののののん おおののののめののののののののん おのののののののののののめ おおおののののののめののののののん おののめのぬん 356 名前:ダス・コンリクランダマ・ヂングス・シンガッケン[] 投稿日:2006/03/10(金) 02 12 59 ID oJ2j52S1 【コメント】 920 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 17 23 49 ID LHU8fFe4 356 ダス・コンリクランダマ・ヂングス・シンガッケン 騒がしく でも騒いでいるのは言葉としての意味じゃなくて 「の」暴走したかのような「の」 おのんononオノ~ン おめぬのんomenunonがおめでとうに読めたりする 「の」の連打によって泣きべそかきながら 嘘なきぎみの語感とテンポを醸したかったのだろうか 作意は面白い 928 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 08 42 ID 5YyDiLlb 356 ダス・コンリクランダマ・ヂングス・シンガッケン このお題はドイツ語かな?よくわかんなかったんだけどもよければ説明プリーズ。。 でもって、内容は のおんおんおんおんおんおんおんって音がさ響いてるようだった。 21 名前:ユリーカ[] 投稿日:2006/03/16(木) 22 56 48 ID st2FJAJx 340 現代ノ現代詩 354 東西! 356 ダス・コンリクランダマ・ヂングス・シンガッケン 以上、三作投稿しました、ユリーカです。 本スレ 375氏よりご指摘あったように、すべて私の投稿ですのでルール違反で御座いました。 他意はありませんでしたが、お騒がせしたことをお詫び致します。ゴメンナサイ。 御審査戴いた皆様方、ありがたうございます。 取り急ぎ用件まで。 ■▲▼ ののちゃん のりとはさみで野原を作る ののちゃん、お空 切り取って、のりのりぺたた ののちゃん、地面も 切りとって、のりのりぺったん ののちゃん、草の花の虫の鳥の川の沼の石の砂のキリ絵きりきり ののちゃん、雨の晴れの影の風の雲の雪の霧の吹き絵ぷうぷう ののちゃん、裏返して 夜の月の星の影絵はりはり のねずみさんこんにちは、のぶたさんこんにちは のらいぬさんもいらっしゃい のらねこさんおひさしぶりですね 「ののちゃん?」 「うーん、まだなんかさびしいの」 それでは、コホン。 「おおかみさんがきましたよお」 がぶがぶがぶのがぶのがぶ 357 名前:「ののちゃん のりとはさみで野原を作る」[] 投稿日:2006/03/10(金) 09 50 13 ID UBPtn7A8 【コメント】 385 名前:あぶく ◆OPBYKkBBNQ [] 投稿日:2006/03/13(月) 21 27 26 ID YRV2dpRh 357ののちゃん のりとはさみで野原を作る 「の」づくしですね。 楽しいです。平易な言葉と擬音・擬態語が、リズムにのって、中盤少しもたつき感もあるけれど、とても楽しいです。 とーっても私的な感慨で恐縮なんですけど、坂口安吾の『文学のふるさと』が思い浮かびました。安吾は、童話の『赤ずきんちゃん』のモラルのなさ、救いのなさに惹かれて愛読したらしーんですけど、私にはサッパリわかりませんでした。 空虚が残るナンセンスな結末は、けっこー小気味のよいものであるな、と思いました。 って、ほんと私的感想ですみませんです。 作者の意図は、ほどほどのところで満足せず、世界破壊を招いちゃったののちゃんを楽しく描いただけかも、とは思うのですが。 920 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 17 23 49 ID LHU8fFe4 357 「ののちゃん のりとはさみで野原を作る」 個人的に好きな作品 ののちゃんはまだ 「後は野となれ山となれ」という言葉さえ知らない子供だと想像出来るんだ 自由に思うまま のりの匂いを漂わせながら楽しくちょきちょきぺたぺたやっている姿が微笑ましい 最終連から想像出来るのは おおかみが来た→ののちゃん泣きだして野原(紙を散らかす)を作ったのかなと思えた とても可愛らしい作品だっ 限定の無いおわり方で 読み手の中で広がる好きなオチでもある 929 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 10 41 ID 5YyDiLlb 357 :「ののちゃん のりとはさみで野原を作る」 徹底的に韻を踏みましたなあ。 12 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/15(水) 09 48 37 ID TCLlbVpL 「ののちゃん、のりとはさみで野原を作る」 を書きました。評くださった方、点くださったあぶくさんありがとうございます。 竹輪さん おめでとうございます。 準チャンプさん おめでとうございます。 穢土さん、竹輪さん、ななしさん、まとめありがとうございました。 >穢土さん あの作品さ、正直で好きだったよ。こんちくしょおお って気分が伝わってきて。 【得点】 1点 あぶく ◆OPBYKkBBNQ:1点 ■▲▼ もののなささぐし 雲は形によって名を変え 空は色によって名を変え 人は何も変わらないのに友人になったり先生になったり恋人になったりで 俺としての一人の俺はとにかくもいま路上に立つ、立って空を見上げるわけだ 一人になったとき俺には名前は要らなくて きっと空にもとうに要らないんだと気付く きっと世界にもとうに要らないんだろうが、だからって言葉がないと俺達はあんまり寂しい 動物が鳴くように俺達だって鳴くんだ じゃあ形容詞と感嘆符だけでなぜいけなかったんだろうか きっといけなかったんだろうが、だけどそれではやっぱり寂しい 世界中で全てのものは名前に縛られてきゅうきゅうと鳴いている 全てのひとは貼り付いた名前の向こうに自らの姿を隠されている 全てのものも全てのひとも名前によってばらばらに解かれたんだ 複雑な情報を伝えるために名前が必要だったなら 俺は今複雑な情報が寂しい この空を見上げると寂しい 358 名前:もののなささぐし[] 投稿日:2006/03/11(土) 02 13 57 ID iqt5bqCu 【コメント】 921 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 17 25 43 ID LHU8fFe4 358 もののなささぐし 変貌に着目している所 内容はとてもいい 形状 状態により物質の名称も 人間が持つ伝達手段の一つである「言語」 人間が勝手にそう呼び名を決めてよんでいるだけにすぎない事について 虚しさを覚えるのも当然で着眼点が良いのだけど 言いたいことは伝わるのだけど メインになっているものは「名」についてだと思う 漠然と「空」とするより空のリアルな描写が一行でもあったなら 脳内思考から外へ向かった主張として 印象はぐっと違ったと思う 929 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 10 41 ID 5YyDiLlb 358 :もののなささぐし 言葉って寂しい。 いいテーマですね。 >全てのものも全てのひとも名前によってばらばらに解かれたんだ これが、の の形のイメージと重なったんかな? ほどけた何か。 ■▲▼ 昼の夢における朝 無数にチカチカする星の世界 ベッドの上で枕に頭を押し当てて 両足を思い切りあげて ひざを強く瞼に押し付ける 瞼の裏 夢でもないけど現実でもない 野野野野野野野野野野野野野野 野野野野野野野野野野野野野野 野野野野野野花野野野野野野野 野野野野野野野野野野野野野野 野野野野野野野野野野野野野野 夢の中のあの子は 平凡な日が好きだといった 子猫とキス 裸体にワカメ そんなまどろっこしい感覚が ねばねばまとわりついて取れない どんどん膿んでいく モンタージュのように記憶が摩り替わって 夜明け前にはリセットされる ぐるぐると繰り返す感情 でもいつか終点はあるよ 繰り返す繰り返す幕開け 花よりも好きなものは無い 言ったあの子の唇はりんご飴のように甘かった 平凡な日 白いシーツ のの字に丸くなった僕 でもいつか終点はあるよ のの字に丸くなった僕 このままじゃ煙草に火も点けられない ステンレス製のベッドの足が錆びている 359-360 名前:昼の夢における朝[] 投稿日:2006/03/11(土) 02 32 56 ID OZR+pm76 【コメント】 921 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 17 25 43 ID LHU8fFe4 359-360 昼の夢における朝 発火寸前のネズミ花火みたいな白昼夢なら 最終連でベッドのサビた足など見つめたりしなかったと思われる 朝は自分が起きだした時刻に朝が始まるならいいのに 関係なく時は過ぎる 一存在の気分になどかまわずにね >モンタージュのように記憶が摩り替わって >夜明け前にはリセットされる このフレーズが良かった 切羽詰まった焦りの描写は無いけれど 思いっきり社会から置き去りにされている怠惰の情感はある 後退するのが「の」なら行き止まりはある 野の中の花一つ これを効果的に別フレーズで咲かせてみても良かったかななんて思うけど この作品にはこのままで十分魅力はある 引き籠もった「の」の魅力ね 929 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 10 41 ID 5YyDiLlb 359 :昼の夢における朝 ののじになった男の子の姿ってちょっとおかしいぞ。 いや、かなりおかしいぞ、、、 ■▲▼ 青少年の軸、穴に向かう先、「の」 朝起きて 一昨日買ってきた「の」を眼球から飲んで下の方から搾り出してから カレンダーの二月分を今更ながらめくったら 二枚同時に破けてしまった つまり三月になるはずが 飛んで四月になってしまったのだ 俺はその瞬間三月を無くした 外は花粉舞う三月の真っ只中だけど 三月が終わるまでの残りの三週間近く 俺はこの世にはいなくなる それじゃあ 机の上の昨日買ってきたばかりの「の」の賞味期限がいつかの二月二十九日、相当に時代遅れの「の」で 文句の電話をかけようと思っていた俺の熱意はどこにやったらいいのだろう 俺はこの三月には存在しないというのに だけどもし俺がその賞味期限の切れた「の」を危うく吸い込んで消化しまっていたら きっとここにはいないはずの俺はぶりっかえして もう三日は使い物にならなくなる そんな羽目になってただろう あの「の」を昨日580円で買ったコンビ二に いや、あの「の」を売り出している出版社に 電話をかけるべきか かけぬべきか うっかりカレンダーを二枚同時に破ってしまった ただそれだけで 俺の古臭い弛んだ「の」への文句の情熱がどこか遠くですっと流されてしまった気がした 最近では手軽に手に入るようになった「の」 近所のコンビ二のドアを開けてすぐ右手に広がる本の嵐の一番奥 しかも袋とじにまでされた、いわば秘部な紙質にも ウィルスに亀甲縛りされてピクピクと痙攣するインターネットの掲示板にも レンタルビデオ店の暖簾のかかった奥地でだって 「の」はどこでだって簡単に手に入るようになった でも本来は 滅多にお目にかかれない 高級な代物だったはずだ そう、「の」はロマンだった 「の」は情熱で 青少年の愛ですらあったのだ だからそこらのコンビ二で簡単に手に入るような「の」は「の」ではない 俺はそう思い返し やはり俺には三月はないのだと 賞味期限がいつかの二月二十九日の腐った「の」と 買いおきしてあるたくさんの「の」たちを 躊躇なく一気にゴミ袋に突っ込んだ 「の」を神社で拾わなくなってから 日本の子供たちはおかしくなったのだと俺は思う 丸いフォルムのちゅうぶらりん 静止された情景に甘美な波を打つ蠢き そして 穴に向かう先の頑ななまでに上に向かおうとする軸 神社で「の」を始めて見た時のあの衝撃は 今でも忘れられない 「の」って誰が描いても一見大差のない、一般認識のようだけど 実は、というか、だからこそ そのなかに個性が出るんだと思うんだよね そんで 人間の個性の基盤を作る物は神社で 人生で初めて出会った「の」がなんだったかによって そいつの今後の「の」は左右される これは言い過ぎではないだろう? 俺はゴミ袋いっぱいに入れた「の」の袋に黒マジックで大きく「の」と 少年達にもわかりやすいように目印を書き 電話の変わりに今からこの袋を これから穴に向かう健全な青少年のために神社に捨てに行こうと 思い立った 俺に 今 三月はないんだから 361-363 名前:青少年の軸、穴に向かう先、「の」[sage] 投稿日:2006/03/11(土) 15 49 10 ID nzOSlx79 【コメント】 929 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 10 41 ID 5YyDiLlb 361 :青少年の軸、穴に向かう先、「の」 こののは、「の」はポルノの「ノ」だな。 3月がなくなって4月に飛んでしまうところがいい。なんかここで詩が始まる気がする。 3月がなくなった主人公にはもう「青少年」がなくなってしまったんだと思う。 青少年がなくなった主人公には、もう「の」の追憶しかなく、感傷を込めて 次代の青少年へ「の」を送るのだ。 中盤がやや冗長気味だったと思う。 3 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [] 投稿日:2006/03/15(水) 00 08 44 ID TFAh5czP 早速 361-363 青少年の軸、穴に向かう先、「の」 「の」ははじめビニ本かと思った けど賞味期限もありどこでも売っていて 掲示板でも「の」は入手可能だというなら 物質の様で 実態の無い 「攻撃本能を掻き立てる物」なのだろうか と思いつつ読み進めた この作品の中においての「の」は不特定多数の要素を持っているから限定しないで 話の筋を「の」の性質に拘らず読んだほうが面白い 青少年はたやすく「の」を手に入れることで「の」の価値や扱い方 「の」に対する アピールの仕方や抱き締め方さえ研究してしおうとハングリーにはなれなくなっていっているのか 「物が溢れイージーテイクなイマドキの青少年」 「の」に自分の青少年としての思い入れを重ねて楽しむ読み方をしてしまった私であるけれど 題材とモチーフを置いた背景と切り口が優れているなと思った 「の」は青少年の中に待機している 未成熟でも有り余る体力にほとばしる遺伝子の匂いもする うまさは非常に感じます 24 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:2006/03/17(金) 10 01 44 ID yPleBYOo 青少年の軸、穴に向かう先、「の」をかきました。 あの詩でいう「の」というのは大きな意味で性的なものを示したいと思って書きました。 自分は平仮名で書く「の」というものにどこかしらエロチズムを感じ、それは人間の性的な部分に似ているように思ったのです。 (けれど結局自分の力量の問題で、うまく表現できませんでしたが・・・。) 今回のテーマは難しかったですが、書いているときはとても楽しかったです。 審査員の皆様、本当にありがとうございました。 【得点】 1点 葉土 ◆Rain/1Ex.w:1点 ■▲▼ 最終音 向かう先の同じ4人の仲間 はじまりは静かなガレージから ライブハウス 音楽番組 全国ツアー どこであろうと俺たちの歌声は 親と友と環境が教えてくれた 平仮名に忠実だった 雑音から選り好みをして ただ一文字一音を探求する 趣味を超えて生きがいのように かき鳴らす喉と弦 濁音を打楽器で 静音を弦楽器で 足りなければ声を荒げて 俺たちは平仮名を イメージのままに捻り出してきた 四十九音を操れるようにはなったが 一音は扱いがたいどころか見つからなかった さながら難攻不落の要塞のようで 大抵の楽器は絞りつくしたのに出てこない 喉も五度つぶした が 駄目だった どれだけ崇高なのだろう 遠く果ての無い音に思えた 「す」はインクの漏れ 「ん」は押し殺した激情 「づ」は長恨の叫びの入り 「ぶ」は墓場の空 「ぱ」は諦めを希望に変える論拠 それらは貴くも求めた一音には遠く 万策尽きて 単振動する楽器から手を離した すべて打ち止めて目を閉じて静寂も跳び超えた そのときに 「の」が 響いた まるで不意打ちのようだった とにかく急いで 求めていた音に 耳を澄ました の の の の の の の の の の の の の の …………。 …。 あきれるほど傲慢で無責任な低音に 俺たちは失望を隠せなかった けど 憎いほど「の」は奔放だった …それ以来 音も文字も記号さえも 誰にとっても一瞬の所有物なのだと、妙に得心がいった いっときだけ所有された「の」の音が教えてくれた 俺たちは 言葉を支配したかっただけなのだと 364-366 名前:最終音[sage] 投稿日:2006/03/11(土) 16 35 24 ID md6QLnpl 【コメント】 929 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 10 41 ID 5YyDiLlb 366 最終音 のは低音で、傲慢で、無責任で、奔放で どうしたって、支配ができない音なのだ。すべての言葉と同様に。。。 のを完全に音で捉えたこの詩は新鮮でした。 3 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [] 投稿日:2006/03/15(水) 00 08 44 ID TFAh5czP 364-366 最終音 音としての「の」の表現で興味深く 「の」を音とし文章にする挑戦はすばらしい発想ともいえる 感想としてはイメージしづらかったけれど つかまえることも意のままに扱えるものでもない「の」の低音感は 非常に新発見であり刺激的であったし アイディアが良かった 26 名前:b4 ◆2WgbgFgdIs [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 13 30 32 ID lV5q3Sqp 「最終音」書きました。 新鮮とか刺激的とか、嬉しい評が書かれていると一瞬早合点しましたが それは裏を返せば完成度が低いということですね。 まだまだ精進が必要なようです。 審査員の皆さん、お疲れ様でした。 ■▲▼ 楽したいの 楽したいの 何でもするから 楽したいの 死んでもいいの 楽したいの 仕事以外なら 楽したいの 結婚以外なら それは飛行機が墜落するように似て それでも楽したいの 現実逃避しすぎた代償かしら もうもどれない だらだらと堕落してきたの ただ、楽したいの でも誰にも甘えられなかった の 367 名前:楽したいの[sage] 投稿日:2006/03/11(土) 19 21 51 ID zVE4OAEg 【コメント】 930 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 23 12 ID 5YyDiLlb 367 楽したいの これも韻なわけだが、接尾語オンリーというところが弱い。 内容は、まあ、なんつか、がんがれ!! 3 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [] 投稿日:2006/03/15(水) 00 08 44 ID TFAh5czP 367 楽したいの 「の」の質感がか弱い 「の」が無ければ呟き 最後の「の」のみは下睫毛に引っ掛かってる涙みたいな「の」だ 堕落したいなら徹底的すればいいのだけど 「の」の形状や性質からいって 「の堕落の地獄」は迫力に欠けるかもわからない 楽したいの という言い回しを一ヶ所アクセントとして別の言葉に置き換えてしまったり 苦しみやらを一行 表皮に持ってくるといいかもと思った 言葉に頼りすぎてしまっているから 「の」が付属品になって弱くなっていると思うな でも本音の香りがする 素直に書くのもいいことだよ 飾りっけなしに そう見て取ればだよ「の」もいとおしいだろう 25 名前:タブノキ ◆ObFLc2r/72 [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 13 08 43 ID vQ55qNPy 「楽したいの」を書きました。 お題が難しく、最終日の最後の30分でむりやり作りました。 むずかしかったよーーーん。皆さん、すごいです。 審査員の皆様、お疲れ様でした。 優勝したメタリック竹輪〔Remodeling〕さん、おめでとうございます。 ■▲▼ 君がため 春の野にいでて 若菜摘みもうしておりますと 差し伸ばした腕に雪きよらに仄降りまして 無論わたくしの腕のみに降るはずもなく 菜の緑にふいと訪れた白は それはそれは美しいものではございましたが わたくしは 己の肌に落ちるや否やじんわりと溶けはじめる 名残の雪の冷ややかさに心をつかまれ 差し伸ばした腕をゆるやかに胸元引き寄せ その溶けゆくさまを眺めておりますうちに涙があふれ 最早溶けているのは雪ばかりではございませず 頭をあげれば 遥か山の稜線は幾重にも揺れ 嗚呼もう二度とあの人の温もりに触れることは無いのだと 哀しみが今更のごとくに押し寄せまして 然りとて只じっと堪えるより他になく わたくしが泣けど笑えど 此奴らは季節めぐれば人の哀しみなど知らぬ存ぜぬ まこと呑気に蕾をつけおって 舞血侮知誣蚩奉躓 種より芽吹き 今まさに種を為さんとしつらえた穂の先を 舞血侮知誣蚩奉躓 丸まり土に還るがよい あの人おらぬ春なぞいらぬ 縹の空に屠るべし 368-369 名前:君がため[] 投稿日:2006/03/11(土) 21 40 01 ID 89eLePif 【コメント】 381 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [] 投稿日:2006/03/12(日) 14 10 30 ID oInQFYOY 368-369 君がため >舞血侮知誣蚩奉躓 繁体だからきっと文章の中でアクセントになったみたいだ 愚かさを知り躓く事を知っていると この血潮(鮮血の語意にも取れるが) 平仮名の「の」感は削げてるけど痛い程気持ちが伝わってくる 文体から「の」に託した本音がこだましてくる心情の形 春の訪れと止まない絶望と「の 野 退」の加速がよいビリビリ痛く伝わる 930 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 23 12 ID 5YyDiLlb 368 君がため これは百人一首からですね。 なんとなく劇を見るような感じ、作者の心情とは少し離れたとこにあるんじゃないかと思いました。 技巧的で、うまい。 4 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [] 投稿日:2006/03/15(水) 00 12 12 ID TFAh5czP 368-369 君がため 語り口調の丁寧さと移ろう調子が春独特のもの寂しげで 悲しいほど静かな躁のぬくみを持っている 本スレに書いた部分が決め手 解釈は特に必要ないと思う 技術に優れて 巧み 尚更痛く伝わった ○採点しました 14 名前:あぶく ◆OPBYKkBBNQ [] 投稿日:2006/03/15(水) 18 10 49 ID iq2mgI05 審査してくださった皆さま、ありがとう&お疲れさまでした。 『君がため』書きました。 「の」に通じるものを探しあぐね、漢字からよくぞ柔らかい平仮名をつくってくれたものだ、ありがたや、と先人に思いをはせ、リーフレインさんご指摘の百人一首にまで行きついてしまいました。好きなんですよね~、あの歌。 「の」って発芽した種に見えなくもない(←なんてアヤフヤ)ので、最後にそれも織りこみました。 竹輪さんの評はありがたく、そして少し自分が恥ずかしかったです。 リーフレインさんの評の《劇を見るような感じ》、感情を作り事に見せちゃあいかんな、と思いました。 お二方から技術の点での言葉をいただき、嬉しいのと同時に、実は私は技術を知らないからこそ、巧くみせよーとしていたんだなぁ、と思いあたった次第です。 これからは素でいくべ(笑) 【得点】 1点 メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo:1点 ■▲▼ の で始まる終末 飲み屋でコップ一杯の日本酒に肯き、隣のヴィレッジヴァンガードの流れ者を酔態させ、噂と愚痴に酔い痴れ、日付変更線を越える 脳味噌はアルコールで蕩け、思考を失った口は幸せの皺とだらしなさを刻み、カウンターの包丁は葱を刻み、葱汁を待つその心持ちは八丁先の味噌 のりにのりを塗り付け、それを両眉に貼り付け村山総理こんにちは。明日は明日の風が吹くというけど、明日は又寒いってさ のに今日はポカポカ陽気。季節は何を告げ何を言いたいの のしのし歩くそのホッカイロを掴んでいる手は全身に新宿鮫を掴み卸す 脳内妄想まっしぐらなノルウェー人は今日も日本に遊びに来た。ノウメンツクーラー、ツタンカーメンにキッス 野に酔い、石に土塊を塗り付けその先に佇む野良犬にぽっぽっぽっ~ 恐い ノルアドレナリンで一杯なお頭は足に背走の命令をダシンし忠実な両脚は今日も昨日へ逃げ込みました。幸福とはお酒ではごまかせない ノートに刻むその愛 もうアイリッシュはごめん 来世はネアンデルタール人と グッドバイ 374 名前:の で始まる終末[] 投稿日:2006/03/11(土) 23 38 05 ID +o5Zxc/8 【コメント】 930 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20 23 12 ID 5YyDiLlb 374 :の で始まる終末 これも の で韻を踏んでみた詩です。 飲み屋、脳味噌、のり、のに、のしのし、脳内 野、ノルアドレナリン、ノート 4 名前:メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆o0rnnbHBHo [] 投稿日:2006/03/15(水) 00 12 12 ID TFAh5czP 374 の で始まる終末 映画を見ているような気分だった 建物のの壁4面に複数のプラズマテレビがあってさ それぞれさまざまな画像を垂れ流している中に放り込まれたみたいな もしくは書物を切り貼りして脈略なく読んでいるような 構成と流れが(韻の踏み具合がすばらしいな)面白くて何回も読んだ ページ:1 2 3 ページ先頭へ トップページ
https://w.atwiki.jp/jp-summons/pages/619.html
初めて編集したので間違っているところがある可能性が高いです。間違いを見つけた方は訂正をお願いします。 - 編集者 (2018-07-07 14 48 27) チハたんは歩兵相手なら相当強い。 - 名無しさん (2018-07-07 17 10 08) 歩兵戦車だからな - 名無しさん (2018-07-07 23 09 39) 進んだ技術のく - 名無しさん (2018-07-08 23 27 00) すまん。盛大にミスりました。 - 名無しさん (2018-07-08 23 27 20) 進んだ技術の愚帝ですらこれってことはケイン神王国は菱形戦車かそもそも戦車がないのか? - 名無しさん (2018-07-08 23 28 48) せめてルノーTFや八九式ぐらいの性能のがいれば… - ドリフ提督 (2018-07-09 11 58 21) グ帝の最新鋭の戦車がコレだから多分89式擬きも普通に現役 - 名無しさん (2018-07-09 14 04 50) ケイン神王国、ほぼ詰んどるやん… - ドリフ提督 (2018-07-09 15 19 34) 軍事面全てで劣ってるからね。ソ連より上でコレは重症 - 名無しさん (2018-07-09 16 08 58) せめて三式中戦車ならワンチャンあるかな? - 名無しさん (2018-07-13 17 43 57) ムーに勝てる戦車で一番機動力が高くて数が確保できる戦車が最適解だろう、スピードと数以外の差は日本に相手だとほぼ戦闘結果に影響しない - 名無しさん (2018-07-17 16 59 38) つか、チハ相当の戦車相手なら、日本車改造のテクニカルでも互角以上に戦えそう。 - 名無しさん (2018-07-18 10 55 18) チハでも砲兵の阻止砲撃弾き返せるぐらいなのに、テクニカル如きでは話にならんだろ - 名無しさん (2018-09-18 00 24 28) 本来は無理よ、米軍の段幕射撃でチハはバラバラになったという記録があるらしい。装甲厚倍で溶接の一式だと耐えるとか。 - 名無しさん (2019-02-09 11 46 59) それ米軍がハ号かテケあたりと勘違いしてない?少数例だけど硫黄島でチハ砲塔で跳弾したり、というか阻止砲撃の時は榴弾だからね?AP弾じゃなく - 名無しさん (2019-03-03 14 17 43) というかバラバラになったっていうソースは?デマは駄目よ - 名無しさん (2019-03-03 14 18 57) チハは15cm砲より威力の高い50kg爆弾に耐えられるんだぞ。何がバラバラだよ嘘ながすな。 - 名無しさん (2019-03-15 18 25 30) 大方の予想通りグ帝の戦車が10TKにフルボッコにされてる - 名無しさん (2018-12-26 05 59 59) チハたんと10式じゃあしかたがないね - 名無しさん (2018-12-26 15 48 17) イシツブテでメタグロスに挑むみたいなものだしね - 名無しさん (2019-12-15 13 20 28) 47ミリ砲を搭載しているような描写があったが、果たして誤字なのか、それとも57ミリ砲を搭載したタイプと47ミリ砲を搭載したタイプがあるのか・・・。 - 名無しさん (2018-12-26 22 25 28) 誤字です、作者が訂正すると言ってる。 - 名無しさん (2018-12-26 23 21 16) ま、結局チハ単だしね。元々歩兵支援用の戦車だから74式どころかそれ以前の61式でも勝てるくらいだよね?貧弱な知識ですみません。 - 笠三和大 (2019-01-20 22 29 12) 61式で負けることが出来たら逆にすごいレベル。当時のアメリカの軽戦車とすらまともに戦えないのに - 名無しさん (2019-01-20 22 36 43) 61式の開発時には米軍の援軍なしで、少なくとも単独でT34-85を撃破できるようには考えられてたぞ - 名無しさん (2019-04-29 01 05 07) だから61式でこいつに負ける方が難しいって言ってるじゃん - 名無しさん (2019-10-06 23 20 50) 対戦車能力はドイツの2号戦車にも大きく劣るよ。チハたんの57mm砲は対装甲力皆無(利点として肩持ちの安定力で行進間射撃ができる) - 名無しさん (2019-02-03 23 43 45) いくら低いといっても貫通さえすれば徹甲榴弾だから乗員の殺傷力は高いよ - 名無しさん (2019-03-03 18 42 46) 2cm機関砲距離300mにて36mm鋼板貫通、97式57mm戦車砲距離350mにて25.7mmだが、57mmは徹甲榴弾の為内部で爆発する事を考慮する事と、これは94式徹甲弾の数値の為、グ帝が一式徹甲弾かAPCBC-HEを持ってるかも知れない事も考慮しないと。 - 名無しさん (2019-03-08 13 02 30) それどころか供与装備のM24ですら… - 名無しさん (2019-08-02 21 34 10) 高値騒音と低いインカム技術で会話できないからパンチキックで会話してた旧軍よりだいぶ車内通話機の技術は上なのかな - 名無しさん (2019-02-09 11 49 18) 旧軍は早々に電磁遮断とかの研究を行って、使用可能レベルまで漕ぎ着けているよ。パンチキックは車内ではやってたかもしれないけど、咽頭マイクを主に使ってたし、パンチキックを証明するソースが無いし。 - 名無しさん (2019-03-08 12 55 48) 公式がMLRSの破壊力を誤認してた様で、実際にはこのクラスの戦車では殲滅されるから書籍化の際には訂正される可能性ありか? - 名無しさん (2019-04-29 01 02 35) 機甲部隊の数増やしたりとかで調整はありそう。というか訂正しないとご都合主義どころの話じゃ… - ドリフ提督 (2019-05-01 21 24 17) 仮に全部パンターに変えても同じ運命だから意味がない同じ展開に持っくなら10個師団に増やして撃ち漏らしが出たにしたほうがいい - 名無しさん (2019-04-29 09 59 34) そもそも弾き返されたムーの大砲ってどのくらいの技術レベルなんだろうな。有坂砲(19世紀末)くらい? それとも38式野砲(20世紀初頭)くらい? - 名無しさん (2019-05-01 18 59 06) 榴弾しか無かった可能性が微レ在(まぁ第一次の戦車って榴弾で簡単に潰れるし、チハ15cm榴弾に耐えれるし。) - 名無しさん (2019-05-03 13 45 39) いいや、チハもM1897でも撃破可能なんですが… - 名無しさん (2019-08-02 22 46 22) 榴弾って知ってる?知らないかぁ - 名無しさん (2019-08-03 08 40 25) ペリリューのハ号が75mm徹鋼榴弾が過貫通するから75mm榴弾の遅動信管を撃ったってのは有るけど、チハがm1897の榴弾が貫通した事例って有った? - 名無しさん (2019-08-03 08 51 48) ムーの採用砲は、はっきり言って日露時代はピンキリです。ちょうど黒色火薬と無煙火薬のコルダイト、後座駐退機の開発が重なっていて、戊辰戦争レベルのアームストロング砲と第一次初期レベルの野砲が入り混じった状態かと。黒色火薬レベルの砲で榴弾なら、四号初期型の主砲よりもエネルギーは低くなりますし、弾殻が柔らかい榴弾なら弾かれるかと。ただ、三笠の副砲レベルなら充分貫通はできるのですが・・・陸は保守的なのか、それともカサミ級にしか配備できないほど、生産歩留まりが悪いのか・・・ - 名無しさん (2019-12-12 08 09 20) 三笠の副砲って152mmじゃん。何で75mm野砲の話に重砲クラスの話を始めるんだ? - 名無しさん (2019-12-12 18 01 09) 無色火薬を用いて、弾殻が硬くなったら"榴弾"でも貫通できると思ってるの?徹甲榴弾じゃないんだからさぁ - 名無しさん (2019-12-12 18 06 47) なんか酷く誤解招いたみたいですいません。。副砲については単に技術レベルの話です。陸上で無煙火薬かつ駐待機付野砲は第一次大戦で使用されるレベルなので、装甲を破壊できるぐらいの野砲はありそうという所感です。。弾殻の件は徹甲弾がないからって意味しかなかったです、はい。黒色火薬と無煙火薬は採用有無でだいぶ初速変わるので、使う使わないで変わると思いますね。あとは榴弾でも炸薬によってはだいぶ効果変わりそうです。 - 名無しさん (2019-12-12 20 24 15) そりゃ砲なら有るだろうよ、38式野砲やM1897野砲だって徹甲弾込めれば立派な対戦車砲よ。でもね装甲を貫く為の専用の弾が無けりゃ意味無いよ。実際にWW1にてマークIVに対峙したドイツ軍では、野砲では集中射撃するしかないから、専用の7.92mm徹甲弾か13mm徹甲弾が有効と報告しているのも有る。しかもFK96は徹甲弾を作った。 - 名無しさん (2019-12-12 22 28 39) いくら初速を上げても榴弾は榴弾だよ。それに炸薬減らして弾殻を厚くしたら、それはもう徹甲榴弾かベトン弾だよ。それとも炸薬を変えて爆発力を変えたら装甲を貫徹できると言うわけでも無いよ。結局表面で爆発するだけだから。炸薬でどうこうしたいならHEAT弾じゃないとね。 - 名無しさん (2019-12-12 22 33 05) 155mmHEより37mmAPのほうが威力高いとかあり得んわ、M4が12cm榴弾の直撃で撃破されたことあんのに - 名無しさん (2019-05-03 15 37 50) 貫通と爆発の区別ぐらい付けようや? - 名無しさん (2019-05-04 12 53 53) 37mmAPつっても、距離350mまで引き付けないといけないがな。距離500mで37mmAPに耐えると言う基準には一応満たしているし。 - 名無しさん (2019-05-05 11 50 13) Ref.C01001741100と言う資料では50kg爆弾(炸薬は7kgかな?)の至近弾では1~2時間戦列を離れる程度の損傷(これを撃破と言うのであればまぁ解らなくもないが)であり、バラバラにはならないと言うらしい。なお15cm榴弾の炸薬は大体6kg前後。(参考として75mm榴弾の炸薬は600~700g) - 名無しさん (2019-05-05 12 00 56) 大体弾が弾かれたって事は弾体強度が低い榴弾の信管が作動しなかったと言う事でな。口径が大きくても弾体強度低かったら弾かれる事位知ってるだろ?大きけりゃ良いんだったら何でチハ短砲身がm3軽戦車に苦戦したか説明付かんだろうが。 - 名無しさん (2019-05-05 12 05 28) チハ車が75mm砲弾いた事例は硫黄島で機動戦と稜線射撃中のチハに対するもので文字通りの戦車戦でトーチカや火点もないような滑走路なんかが中心。果たしてその中で態々榴弾を装填する間抜けが居るのだろうか?? - 名無しさん (2019-12-10 14 59 33) そもそも37mmはどこから来たんだ? - 名無しさん (2019-08-27 21 59 00) チハが耐えれたやバラバラになったのがデマっていうのは確証のない一説だからな、M3やM4が榴弾の至近弾でイカれたことだってあるのに - 名無しさん (2019-05-03 16 13 48) 特例で一次資料を否定するのは如何な物だと思うぞ。m4だって撃破されたと言ってもキャタピラぶっ飛んだだの弾薬に引火しただの乗務員戦死とかだろう - 名無しさん (2019-05-04 12 53 25) 自分の主張(と言うより前から言われてた通説)を絶対視して一次資料をデマと言い出すとは、いやぁ恐ろしいなぁ。そこまで榴弾耐える説をデマと言い張るんならソースだせば? - 名無しさん (2019-05-05 00 09 57) だから耐えられるのもあくまで一説だといってるんだよ、言い方悪かったかもしれないけどさ - 名無しさん (2019-05-05 00 22 29) 一次資料を確証の無い一説を言い切っているのだから、それを上回る資料を持っているとも聞き取れるが、是非ともご掲示願いたいものですな。 - 名無しさん (2019-05-05 11 48 39) 122mmHEで虎を撃破とか何度もあったらしいけどな、もしかしてHEなら戦艦クラスでもHEならチハで防げるとか思ちゃってる? - 名無しさん (2019-08-02 10 14 14) 至近弾と直撃の違いも解らないのか? - 名無しさん (2019-08-03 08 39 29) SU-152の152mm徹鋼榴弾がティーガーの装甲を叩き割ったっては有るけど、122mmのHEが貫通ってどこ情報? - 名無しさん (2019-08-03 08 49 07) 戦史調べりゃいくらでもあるし榴弾が重戦車に通用した理由も書いてあるだろうがよ、いつからチハは重戦車より頑丈になったんだ? - 名無しさん (2019-08-03 11 02 57) 貫通じゃなくて撃破って書いたんだけど…ゲームのやりすぎで貫通しないと撃破できないと思っちゃた? - 名無しさん (2019-08-03 11 05 40) 戦艦クラスが、重戦車並みの装甲がって言われたから勘違いされたんじゃないの? - 名無しさん (2019-08-03 15 14 43) 話の発端は榴弾の至近弾でバラバラになったかとの話でしょ?撃破がどうとかは何処から出てきたの?論点ずらしはいけないんじゃないかな? - 名無しさん (2019-08-03 15 24 46) 至近弾でバラバラにならないからって、直撃で撃破までハードル下げて、おまけにゲーム脳って決めつけるって相当ヤバイやろ。 - 名無しさん (2019-08-03 23 19 58) ティーガー殺ったのって152mm徹甲榴弾じゃん、榴弾じゃないじゃん。ソース出せっていってるのに戦史調べろとか………。 - 名無しさん (2019-12-10 18 56 10) いくらチハがショボそうに見えてもアイツ同世代の中でもかなり重防御な代物だからな?連合軍側からの評でも高品質であるといわれ意外にも質の良い鉄鋼を使っていたのと表面硬化装甲だからかも(M4との違い) - 名無しさん (2019-12-10 14 53 55) 良質な装甲を作れると言われているイギリスにも一目置かれてるし、ソ連が滷獲したのを検分して自国より優秀って言ってるぐらいだからな。海軍のクロム・モリブテン装甲の技術提供の賜物だな。ただし都合よく無視される模様、解せぬ。 - 名無しさん (2019-12-10 17 54 12) そうそう。チハができたぐらいの時の戦車の中ではまあまあな性能だった。 - 名無しさん (2020-03-02 00 55 49) 何しろコイツが出てきた時の戦車って殆ど軽戦車だし、中戦車だって4号か3号か、T-28かM2の様なチハより装甲が同じかもしくは劣る敵ばかりだもんな。 - 名無しさん (2020-03-02 07 27 02) チハたんは登場当時は正しく世界水準だった,問題はそのまま終戦まで後継に恵まれなかったに尽きる - 名無しさん (2020-03-02 22 50 08) 榴弾が戦車に効かないなら対戦車榴弾なんて物は存在しないっていう - 名無しさん (2019-08-02 13 06 19) 榴弾とHEATは構造が違うだろwwww - 名無しさん (2019-08-03 08 37 36) 粘着榴弾でT55は撃破できるけど彼らの考えだとチハには通用せんのだろうなww - 名無しさん (2019-08-02 16 49 56) まぁ、粘着榴弾が効果を発揮しない可能性は…(メソラシ)ムーは、近接砲撃は榴散弾って刷り込みで榴散弾使ったとか? - 名無しさん (2019-08-02 21 27 57) 目裏返ってそう - 名無しさん (2024-03-04 12 38 26) え?ムーは粘着榴弾を使用したって事?そんな記述何処にも無いけど。 - 名無しさん (2019-08-03 08 38 36) 相手を言い負かす為だけに、作品に登場してない兵器を出すのは良くないよ。 - 名無しさん (2019-08-06 09 46 45) ユグドでは多砲塔戦車は考えられていたのだろうか? - 名無しさん (2019-08-02 18 23 42) とりあえず正式名が欲しい。艦船の級名が星座、航空機は一等星だから…星団からとってM2戦車とかヒアデス戦車とか、なんか名前くれと思う - 名無しさん (2019-08-25 03 47 57) 遂にチハたんモドキに名前が……それなりに強そうなだけに地球大戦時戦車を考慮すると残念感が漂う……気がする - 笠三和大 (2020-02-28 10 46 36) 対歩兵戦車として考えれば十分以上に強力だぞ? リアル世界のチハだって主目的は歩兵の火力支援の為の対歩兵戦車で、同時期の同様の戦車と比べればかなり上位の性能だった。対戦車戦前提の重戦車と比べればそれは火力も装甲も下だけど、それは目的の違いだから比べる対象が違うよとしか。基礎工業力の差や資源の問題もあって、空のゼロと同じく後継型が難産だったからこれを主力とし続けなければならず苦戦を強いられたけど、それはまた別の話だし。 - 名無しさん (2020-05-05 01 18 17) 燃費が良かったり車幅が狭くて他の戦車が入れない所を移動できるのが強みだから 中国大陸の道路にドイツの猛獣軍団押し込んでもすぐに動けなくなる - 名無しさん (2021-11-26 17 11 56) 旗信号で通信してた戦車が同世代にいるなか、通信機を全車標準装備してるだけでも非常に先進的よ - 名無しさん (2020-05-05 23 53 51) これでも前世界じゃ最強だったしねぇ〜 - 名無しさん (2020-11-08 23 41 16) ユグドでは戦車戦はあんまり無かったのかな? - 名無しさん (2021-02-13 15 51 05) というか元の世界で戦車持ってたのグ帝しか無かった筈。 - 名無しさん (2022-07-23 12 05 18) シェイファーとかハウンドってどう言う基準で名付けられてるんだろう?星なのか? - 名無しさん (2020-02-29 09 44 46) ちょっと調べてみたが、大した意味はなさそう。漫画のシェイファー・ハウンド から辺りからじゃね。 - 名無しさん (2020-03-06 09 09 54) やっぱりあれシェイファー・ハウンドなのか?ハウンドはりょうけん座、シェイファーは牛飼い座だと期待してたんだけど。 - 名無しさん (2020-03-06 11 07 35) 満州国と堅洲国は別物だ。 - ムスカ大佐 (2020-12-01 19 42 05) オイ車とか来ないかな?グテイマウン作ってるしいけるでしょ。 - 名無しさん (2022-04-03 22 15 59) 技術的にはイケるだろうけど、コスト度外視(グマウも同様)、正規部隊壊滅、無視出来ない経済悪化の状態で造ろうとはならんでしょうな。 - 名無しさん (2022-07-23 12 15 08) 試験的に作ってある可能性もあるけど、ミ帝の戦闘機以上の相手がいたアンタレスでさえ後継機作りサボられる体たらくだからなぁ…… - 名無しさん (2022-07-23 12 20 28) チハと同じくリベットを多用しているならグ帝は溶接が欧州と比べて未熟ということになる チハ自体が変に凝りすぎて量産性が低い上(発動機や足回りの)信頼性も低い代物なのだが、そこは工業力でごり押してるのだろうか? - 名無しさん (2022-05-25 22 51 21) 見た目は日本軍だけど中身は違うって作者本人から明言されてるんだけど知らないの? - 名無しさん (2022-05-28 18 49 18) 確かに零戦の防弾など、日本と少し違う所もあるが大体は本家と一緒なんじゃなかった? そんなに違うの? - 名無しさん (2022-05-28 21 17 13) そりゃ殆ど同じだろうが、何でもかんでも一緒って訳じゃ無いでしょ、明言された訳でもなしに。アンタレスが零戦の上位互換なのだから、ハウンドも何かしら本家より性能良いだろ - 名無しさん (2022-05-28 23 55 39) チハと同世代はリベット多いんですけどね。 - 名無しさん (2022-09-25 23 39 39) なんかムーの榴弾砲には粘着榴弾が有るみたいなレス有るのですが、それは6巻の何ページ辺りなんですかね? - 名無しさん (2023-03-28 13 33 53) それガセネタじゃないです?6巻は何度か再読してますが、そんな情報どこにも無いような……(考察とか推測とかの場合は知りません) - 名無しさん (2023-03-28 19 53 00) なんか榴弾でもチハ撃破出来るってデマ流して言い負かされたかのが気に入らなかったのか粘着榴弾なら撃破出来るって主張する残念な子がココにいるだけで本編には一切関係ないですはい。 - 名無しさん (2024-02-14 19 27 44) 2kmの距離から75mm級野砲の榴弾でも30度傾斜の25mm装甲を貫通できるから、まあ倒せるけど素直に徹甲弾使った方がいいのはそう - 名無しさん (2024-03-09 00 38 17) その75mm級野砲とは?90式とかM1897とか何のデータを元に言ってるんです?あとそれを言うならチハの57mm砲だって350mで25mm、100mで30mmだけどM3の装甲を貫通したとは言われてないから理論値では? - 名無しさん (2024-03-10 11 21 29) 2kmで25mm貫通とか、T-34の高速徹甲弾に匹敵するんですがそれは……… - 名無しさん (2024-03-10 11 27 28) 2kmで30傾斜25mmとかドイツのpak40の徹甲弾に匹敵するんだが、AP-HEをHEと間違えてらっしゃる? - 名無しさん (2024-03-10 11 34 20) 「https //twitter.com/FHSWman/status/1298106351755726850」←ソ連が他の口径も含めて榴弾の装甲貫通実験したのが有名だね(榴弾は炸薬で割る関係上距離による貫通力低下は徹甲弾よりかはない傾向) - 名無しさん (2024-03-10 21 28 05) でもこれ……対コンクリート榴弾と言う、榴弾と言うより徹甲弾に近い弾丸なんだが………… - 名無しさん (2024-03-10 21 57 18) 122mm以上の口径砲はそうだけど、それ以下の107mmや76mmは只の榴弾で試験よ - 名無しさん (2024-03-10 22 01 24) それはそうと疑ってスマンかったわ…… - 名無しさん (2024-03-10 22 13 07) そう言えばソ連って、他国では100%貫通したら貫通した扱いだけど、75%貫通だったり一応一発でも貫通したら貫通扱いで、話し半分の数値って聞いたがそこはどうなんだろうか? - 名無しさん (2024-03-10 22 29 11) ソ連だとAP弾でも装甲破片が戦車内部で飛びちってた場合(どちらにせよ乗員は死ぬ)は貫通扱いになるね。ただ粘着榴弾しかり装甲剥離で殺傷するタイプの砲弾の貫通判定だと何処の国も同じ(車内に破片が飛び散ったか)だけどね。 - 名無しさん (2024-03-10 22 54 41) はぇー初めて知ったわソレ、つー事はソ連にとっては粘着榴弾も徹甲弾みたいな雰囲気なんかね? - 名無しさん (2024-03-10 23 09 58) 75mmM1897(M2A1榴弾砲架台)じゃ、M72AP(かの有名な無炸薬AP、初速619m/s)2000ヤード(1828.8m)で傾斜30°の25mmなんだが、距離2000mで30°傾斜25mm貫通の榴弾ぶっ放す野砲とかどんなバケモノなんだ………? - 名無しさん (2024-03-10 11 53 46) 上ではソ連野砲は榴弾で()25mm貫通らしいが - 名無しさん (2024-03-10 22 14 24) バグった 上ではソ連野砲は榴弾(680m/s)で25mm貫通らしいが、60m/s違うだけで榴弾に負ける貫徹力しかないアメリカ75mm砲って相当なヘボ砲弾か? - 名無しさん (2024-03-10 22 15 35) やっぱアメリカって大した事ねーんじゃねぇの?これだから硫黄島でチハごときに砲弾弾き返されるんじゃなかろうか? - 名無しさん (2024-03-10 22 26 55) そらAP弾は弾速が命だから長距離ではガクッと貫徹力が落ちるのはしょうがないでしょ - 名無しさん (2024-03-10 22 59 12) でもよシャンクス……ソ連榴弾砲より貫通力無いのはちょっと…… - 名無しさん (2024-03-10 23 08 05) ちなみに硫黄島で75mm弾き返したチハは状況的にめっちゃ至近距離やで(飛行場の取り合いのためクッソ近いし数回やり合ったのにここでは両軍ほぼ脱落無しだった…) - 名無しさん (2024-04-01 22 55 06) やっぱこの戦車が弾いてた75mm砲って、有坂砲じゃなくて初速510m/sの38式野砲か、上で提示された底部信管じゃなく瞬発信管の榴弾だったんじゃねぇの?んで14式10加に近いだろうイレール105mmにベトン弾でも撃ち込まれたか? - 名無しさん (2024-03-10 22 23 47) つまり一応は貫通はするんだな、75mm榴弾で。なんか時代は変わったみたいな心境だわ - 名無しさん (2024-03-10 23 22 29) 戦車内部の破片散るとかボルト外れるみたいなソ連式だとそうなりますね。でもやっぱ75mm野砲程度じゃ加害力は知れてるんでチハ相当の戦車には不適切なんよな榴弾。 - 名無しさん (2024-04-01 22 50 18) 中の戦車兵が死傷するレベルの装甲剥離が発生したら貫通扱いよ。それに装甲剥離が発生した場合、凡そ弾頭重量と同程度の破片が飛ぶから75mm級でも4~5kgの破片が車内に飛び散ることになるから、ケプラー装甲で内張りがない時代だと大惨事になる - 名無しさん (2024-04-02 22 05 34) あれ?じゃあこの理論で行くと、M3軽戦車の装甲を貫通出来なかったから装甲を破壊する方向で行ったと言われてるチハの57mm砲も、一応50mm装甲を貫通した分類になるんじゃね? - 名無しさん (2024-04-03 18 27 37) 「https //twitter.com/Berchilingen/status/1474719908537991168」M3の側面装甲(25mm)を300mmの距離から、小隊3両集中射で榴弾を当てると装甲板に穴を開けることには成功した実験結果はある。まあ一発で抜けん時点で貫通試験的に出来たとは言えんけどね - 名無しさん (2024-04-03 22 52 19) でも榴弾ぶつけてんだし、一発の時点で破片は発生してるだろうから300mで25mm貫通で良いんじゃない? - 名無しさん (2024-04-03 23 34 08) まぁ97式57mm砲の前の90式57mm砲の92式徹甲弾(349m/s)ですら350mで25mm貫通だし。開発者曰く420m/sに向上してるらしいし、この状況で一式徹甲弾使ったらまぁ40~50mmは行くんじゃないの? - 名無しさん (2024-04-04 07 16 59) あれ?でも日本軍って全弾貫通を貫通したとして諸元にして、6発中3発半貫通だが……みたいなのは別にしてなかったっけ?アメリカが戦後やった日本軍の奴も全弾貫通を諸元にしてるけど、これってアメリカ軍が日本軍に合わせたって事?広義的には貫通ではあるが、これを貫通として扱うかは各国によるみたいなモンじゃないの?まぁ、米英日独に上記の砲も含めて、榴弾の貫徹力の数値を計測してないから意味解らん事になってるだけかも知れないけどね - 名無しさん (2024-04-09 19 30 39) それとムーの野砲弾が弾かれたのを"外"からムー砲兵が見たのであって、これが装甲剥離起こしてるかはまぁ見えないんだから。破片がどうとか粘着榴弾がどうとかはスレチかも知れないんじゃない?それはそれとして、ソ連砲兵のデータ上げてたくれたのは大変有難いけどね - 名無しさん (2024-04-09 19 33 02)
https://w.atwiki.jp/p2-eroparo/pages/70.html
平穏が破られる時は必然として訪れた。 翌年度の県大会。 兄と私が入った後、六花と久瀬北が初めて対戦することになる舞台だった。 何かが起きないはずがないのに、私はなお現実から逃げ続けていた。 その代償は安くなかった。 「エリス」 会場に入った直後、稲妻で打ったかのように身体を硬直させる声が私を呼び止め、次の瞬間、私の唇は公衆の面前で奪われていた。 お姉様の前で。 ……よりにもよって、ヒロムの目の前で。 たっぷりと吸い上げられ、暴力的に差し込まれた舌が私の口の中をおぞましくも蹂躙する。 それを見た会場中の大騒ぎなど衆愚の拍手にしか聞こえていないのだろう。 そんな中で晒し者にされながら、私の下半身は悲しいことに、兄のことを忘れていなかった。 治りかけた薬物中毒患者が猛毒を注入されたようなものだ。 瞬時にして、玩具として弄ばれた城での記憶が脳裏から溢れ出て、身体全体に火がついたように熱くなる。 全身を撫でる指の感触の記憶、這いずり回る舌の感触の記憶、骨まで見通しそうな視線の感触の記憶。 おぞましいけがらわしいみにくいきたないはなせさわるなよるなちかよるな!! ドイツ語ではなく日本語で、ありったけの嫌悪の念を頭の中で募らせても、身体は兄の手を振り払ってくれなかった。 久々に間近で嗅がされる兄の体臭は媚薬にも似ていて、スパッツの中はあっという間にぐしゃぐしゃに濡れてしまった。 城にいたときでさえこんなに反応しなかったのに、私の身体は飢えていたかのように反応していた。 それが城の中ならばまだいい。よくはないが、それでも我慢できた。 だけど今は、久瀬北で一年間過ごしてきた私の立場があった。 天才美少女マネージャーとして、久瀬北の面々と過ごしてきた時間があった。 失いたくない、今の私の立場があった。 お姉様とともに、ヒロムの傍で築き上げてきた今の私の立っていたい場所が。 山雀先輩の持ち込んだエロ本とエロビデオを怒りにまかせて焼却した清純なはずのエリスという少女が、 実は娼婦にも劣る奴隷のような玩具の肉体の持ち主だと知られたら、 どうしようどうしようどうしよう……! 何よりも、ヒロムに、今濡れていることが知られたら、どうしよう……! それでようやく私は、この一年、どうして兄が私を放置していたのかを理解した。 だからといって私の身体を離してはくれなかったが。 こんな現実離れした光景ながら、既に兄の名は轟いていた上に、 私と兄が兄妹だということは知られていたためか、誰も止めようとしない。 ドイツ人がみんなこんな変態だと思わないで欲しい。 「ここは日本だ、自重しろ、ハインリヒ」 もう一つ、聞き慣れない声のドイツ語が横から掛けられて、 そちらに興味が向いた兄はようやくにして唇を離した。 そこにいたのは、どこかで見覚えのある長身の西洋人の男だった。 しかし、どこで見たのか思い出せない。 何かいやな記憶と結びついているような…… 「サシャ・クリングバイルか、気にするな、ただの妹との挨拶だ」 思い出した。 ドイツでアキラ……ああ、こんな奴の顔も名前も思い出したくない……につきまとっていた長身のむっつり男が確かそんな名前だった。 ということは、こいつはドイツでの私と兄を知っているということ。 面識がなかったとしても、そもそも兄は有名人で、私もVIP扱いされていたから知られていたとしても何ら不思議は無い。 だけど、どこまで知られているのか、は考えるだに恐ろしかった。 「ようやく会えたな、俺の可愛い小鳥」 ドイツ語だったので、小鳥呼ばわりされた事実をヒロムに知られずに済んだのは 最悪の不幸中のほんの僅かな幸いだった。 しかし次の瞬間、私は心臓が凍るかと思った。 「……エリスは、嫌がってます。離して下さい」 意を決したようなその声は、ヒロムのものだった。 どうして、わかるの? どうして、私がそうだって、疑いもせずに言えるの? その感触は途方もなく暖かくて、だからこそ私はヒロムを止めなければならなかった。 対戦相手を打ち砕くことを躊躇するはずがない兄の前に立ちはだかれば、ヒロムがタダで済むはずがない。 しかし、苦しいほどに強く腰に回された右腕一つで、私は籠の中に囚われたも同然で、 身体はおろか喉さえ動いてくれなかった。 その手が、不意にほどけた。直後に嵐のようなものが吹き抜けていった。 「俺に触るな、ニーベルング風情が」 鋭く発せられた兄のドイツ語から、なんとなく事態が推察された。 ニーベルングとは北欧神話に登場する小人族のことだ。 兄にはチビのヒロムが小人に見えたに違いない。 ヒロムが、私を拘束していた兄の手に触れて、兄がそれを振り払ったのだ。 おかげで私は兄の手から離れることができたのだが、ヒロムの立ち位置は先ほどからわずかに後退していて、左の頬に微かな腫れがあった。 ヒロムの動体視力の良さは知っていたが、よくかわせたものだ。 格闘技をさせても一級の兄の攻撃を、まがりなりにもよけるなど。 案の定、兄はかわされたことが意外であり、心外だという表情をしていた。 「うちのちびっこ二人に公衆の面前で変なことせんでもらえますかねえ、お兄さん」 さらに横から割って入った声に、私は再度愕然となった。 今のドイツ語を喋ったのは……遊部だった。 彼がどの程度話せるかはともかく、ある程度ドイツ語を理解していて、先の兄の言葉を理解されてしまったことだけは、確かなようだ。 そういえば遊部はアキラと親交があったとか言っていたが、その関係か。 「評判通りの暴君ぶりだな、ハインリヒ」 こちらは日本語で、川末が、ヒロムと私をかばうように兄の前に立ちはだかった。 妹がドイツに行っていたのだから、川末の方がドイツ語をよく憶えているはずだけど、こちらはわざと日本語で喋ったのかも知れない。 遊部がドイツ語で喋って注意をひきつけ、喧嘩となったら自分のリングに引っ張るつもりなのかと思った。 「フン、子供の躾もなっていないのに偉そうな親鳥どもだな」 もっとも、兄は既に日本語をネイティブに近いレベルで話していたけれど。 「身の程を教えてやろう。雛ではなく、親鳥どもにな」 その自信に満ちた言葉は、絶対的な実力に裏打ちされたものだった。 大会の会場である体育館には、試合用の卓球台だけでなく、練習用や調整用の卓もある。 兄はそこに遊部と川末を連れてくると、とんでもないことを言い放った。 「二人同時に相手してやろう。王者に楯突いたことの愚かさをその魂に刻んでくれる」 これを日本語で告げるのだから、恐ろしい。 「ふざけんな根暗ワカメ!破王の二人を同時になんてできるわけねーだろ!」 山雀先輩が言ったワカメというのは、兄の髪の毛のことらしい。 こんな状況だというのに、私は思わず吹き出しそうになってしまった。 さすがに兄の眉がぴくりと動いたのを見て、私は初めて山雀先輩に感謝した。 「……つくづく雛の躾がなっていないな」 「いや、山雀はウチらと同い年やねんけどなー」 気軽に応えつつ、遊部はどうやら受けるつもりのようだ。 「おい、本気でこんな無茶な話を受ける気か」 「ええんとちゃうか。川末ちゃんも、本戦の前にアイツの実力を見てみたいやろ」 強いということは知っていた。 その強さを知っていたはずだった。 でも、今の私が知っている、底なしの強さを持っている川末と遊部の二人を同時に相手にして、 「こいつは……」 「洒落にならんわ……」 10-1って……。ありえない。 遊部が時折手を抜いて自分にプレッシャーを掛けることはあるけど、今の遊部の表情はそういうものじゃない。 普段ダブルスに慣れていない二人の隙を突いたとか、そんなレベルじゃない。 かといって、何かとてつもない魔術を使ったわけでもない。 ただただ、スピード、パワー、テクニックのいずれもが、あり得ないレベルで高すぎる。 卓の縁スレスレをわずかにかすめる絶妙のコースに、 常人どころかトッププレイヤーでさえ目で追えるかどうかという超高速で、 白球が弾丸のように突き刺さる。 それを、サーブ時だけではなく、どんな体勢からの返しでも。 勝てるわけが、ない。 わずかに一点、奇跡的にうまく行った川末の返しが完全に逆サイドに決まったのが 唯一の失点だった。 「一点、取れただけでも凡夫としては過ぎる戦果だと一応誉めて遣わそう。だが、これで終わりにしてやろう」 そう言って、おそらくは人類最速であろうサーブが繰り出されようとしたとき、 「ハインリヒ!何をしている!」 空を裂く声が練習場に響き渡った。 見れば、六花のジャージを着た面子を従えて、多分六花の監督らしき男が入ってきていた。 「何と言われても、見てわからないか、監督」 「……なるほど。遊部くん、川末くんも、怪我はないか」 その監督は兄の心配をする、などという愚行は犯さず、むしろ対戦相手の二人を心配した。 どうやら兄のことをよくわかっているらしい。 あの兄が他人の介入でサーブを止めるなんて珍しいと思ったが、 どうやら兄が指揮下に収まることを承服する程度の、――それは多分かなりのものだ―― 実力者だということなんだと思う。 ……そんな人を眞白が複雑な顔で睨んでるのは、なんでかわからないけど。 「いやー、すんませんな監督さん。おかげで負けずに済みましたわ」 「私も怪我はありません。ご心配には及びません」 はあ、と六花の監督(らしき人)はため息をついた。 「ハインリヒ、久勢北とは本戦で当たるはずだ。それまで自重しなさい」 「その気力が残っていればいいがな。命拾いをしたことがわかったのは誇ってよいぞ、凡夫」 兄は最後に私を笑顔の視線で射すくめてから、颯爽とその場から出て行った。 監督(らしき人)もこちらに一礼した後、六花の面子を従えて出て行った。 「まあ、大体どういう程度の実力かはわかったかな。ところで。どうや、ヒロムちゃん。見えたか?」 振り向いてヒロムを見た瞬間、背筋に寒気が走った。 ヒロムは、私が今まで見たことが無い険しい表情で、兄の動いていた卓の向こう側を見つめ続けていた。 確かこういう顔を、鬼気迫る、というんだ。 それが、兄のプレイスタイルを目に焼き付けていたのだと、後になって気づいた。 この大会の途中経過なんて私にとって些末なことだった。 心配していたのはただ一点。誰が、六花戦で兄と当たるのか。 兄はここまですべて大将で出ていた。 うちで順当に考えれば、遊部か川末になる。 しかし、あの実力差を見た後では、監督を含めて誰もが悩んだ。 そして、私はもっと別の心配をしていた。 本気になった兄と戦えば、たとえ卓球であってもただでは済まない。 空間全てを支配するようにして罠にかけ、テニスで相手を再起不能にしたこともあるのだ。 「まあでも、絶対無敵ではないわな」 わずかに1ポイントだが、川末の取ったポイントにはつけ込む点があると遊部は言った。 結果、大将に川末を当てることになった。 アキラと違って、川末自身は嫌いじゃないから心配になった。 しかし、両チームのオーダーが明らかになったとき、会場にどよめきが走った。 兄は、先鋒だった。 副将に下がったことすらない兄が、本来ならばそんな立場に甘んじるはずがない。 だが、こちらの先鋒はヒロムだ。 どう考えても、狙ってやったに決まっている。 先ほどの余興で、遊部と川末には十分にお仕置きをしたつもりなのだろう。 そして、打擲を加えていないヒロムに制裁を加えるつもりなのだ。 兄の思考回路が手に取るようにわかる自分の頭がいっそおぞましい。 あの兄を相手にヒロムが勝てるわけがない。 いや、誰であっても勝てるはずがない。 それもただ負けるだけならまだいい。 対戦中に、再起不能にされてしまったら……。 「ヒロム……」 恐怖にかられてヒロムに声を掛けても、返事は無かった。 ヒロムは、場内の全てを振り切ったような目で、真っ直ぐに、兄を見据えていた。 ただ、卓に向かって踏み出す直前に、わずかに、私の方を見て、それから、 絶望的な戦地へと向かった。 第一セットの展開は、概ね会場中の予想した通りだった。 ヒロムは一ポイントも返せないまま終わった。 だけど、それが兄にとって不本意な結果であることに、何人が気づいていただろう。 兄はこのセットの間、ヒロムに幾度かトラップを仕掛けていた。 極端に左右に振ったり、卓の縁スレスレに拾わざるを得ない球を繰り出したり、 それで傷つけばヒロムの選手生命に関わるような、そんな攻撃だった。 それを、ヒロムは凌いでいた。 兄の顔には、隠しきれない不機嫌さがあった。 その顔は、第二セットの開始と共に、屈辱に歪むことになった。 1ポイント、2ポイント、先に取ったのは、ヒロムだった。 会場中がざわめきを通り越して、ひっきりなしのどよめきでひっくり返った。 兄が1ポイントを許したことすら、公式戦ではほとんど無い。 それが、連取など。 「ありえないわ……、そんな、こと」 一瞬、兄の敗北の姿を想像して、私は即座に頭の中からそれを打ち消した。 勝てるはずがない。 勝てるはずがないのに。 「そうでもないで、エリスちゃん」 遊部が軽々しい口調に似つかわしくない真剣な顔で近づいてきた。 「ヒロムちゃんはうちらの試合でも、自分の第一セットでもひたすらに見ることに徹していた。 自分の一番強いところが目だと割り切って、その目でなければ倒せないと踏んだんやろな。 理に叶っとるわ。そんな一点集中でもなければ、あの最強なお人には勝てん」 「多分今、アイツの目には、ハインリヒのわずかな筋肉の動き……それこそ目を動かす筋肉まで見えている」 補足するように川末が挟んできた言葉の内容はにわかに信じられない領域の話だった。 でも、それは真実だと思えた。 兄を見据えるヒロムの視線は、あらゆるものを貫く矛にさえ見えた。 「よく見といたりや、エリスちゃん。少なくともあのヒロムちゃんが激怒しているのは、君のためやで」 不意に続けられたその言葉は、何の抵抗もなくさっくりと私の心の心臓部にまで入ってきた。 ヒロムが5ポイント取ったところで、不意に轟音が響いた。 それが、兄の右拳と、それが叩きつけられた額から出た音だと理解した瞬間、場が静まりかえった。 今の低く響く音が鳴るほどの一撃は、どれほどの威力かと。 兄は非公式ながら、四階級上のボクシングチャンピオンと闘っても勝っている。 その拳が、自らの額を打ち叩くのに使われることを誰が想像しただろう。 眉間から鼻の稜線を割って二手に流れ落ちる赤い筋が、兄の顔を彩っていた。 その顔に浮かんだ怒りの凄まじさは、私でさえ見たことが無いものだった。 「ニーベルングと侮った我が身の愚かさよ。貴様をファフニールと思うことにする」 英雄シグルズと闘った巨竜の名を、兄はヒロムに向かって投げつけた。 だけど、それは立場が逆だろうと心の中だけで呼びかけた。 その時私の目には、ヒロムの持つラケットが神剣グラムに見えていた。 英雄伝説は止まらない。 全力を振るう邪竜の咆吼を、吐き出す炎を、空を切る爪を、 小さな勇者は身を翻し、その剣で受け止め、邪竜へ向かって切り込んだ。 邪竜の挽回力も恐るべきもので、デュースにまで持ち込み、激しい攻防が繰り広げられた。 会場の誰もが、その戦いを見ずにいるのは不可能だった。 飛び交っているのがわずか40ミリの白球だと信じられようか。 その速度も、それに反応する速度も人智を超えている。 TGVや新幹線を超える速度で飛び交う弾丸が、前後左右に自在に跳ね回るが、 その全てを読み切っているかのように、……多分、見切っているんだろう…… 勇者は打たれた瞬間には正確に弾丸に向かって追いついている。 打つ前に動かないのは、さしもの邪竜もひとたび吐き出した炎の向きは変えられないからだろう。 幾度の応酬があっただろうか。 「やあああああああっっっ!」 ただ静かに剣を振るっていた勇者が、ついに裂帛の気合いを発した。 邪竜に勝るとも劣らぬ速度で放たれる白銀の一閃。 それは、追いつめられていた邪竜の心臓を貫く、鮮やかな一閃だった。 どう、と。 邪竜が床に倒れる音は、神話の舞台ではなく体育館の床らしいひどく現実的な音で。 その音が、劇場の幕が下りて、現実に返ったことを示すように、観衆に罹っていた魅了を解いた。 爆発的な歓声が会場を地鳴りか津波のように揺るがした。 それまで、誰一人として為し得なかった偉業が達成されたことに、驚き、祝い、いくばくか妬み、誉めあげる叫びの渦だった。 だけど。 「……あかん」 「これは、勝てん」 絶望的な色に染まった遊部と川末の言葉を、私は否定することができなかった。 邪竜には、心臓が二つあるのだ。 今貫いたのは、そのうちの一方に過ぎない。 勇者は、デュースに持ち込まれる前に一つ目の心臓を貫かなければならなかった。 全ての人を魅了した驚異の応酬は、無限に近い体力を持つ邪竜には単なる時間経過だが、 人一倍身体の小さい勇者の身体には、限界以上の負荷を掛けることになったはずだ。 筋肉の動きさえ見きった視力も、どれほどの精神力を消耗するものか、想像だにできない。 勇者の全身は、その小さな体躯に比して危険なほどの汗でぐっしょりと濡れていて、 それが、真紅に染まったような幻視を覚えて、私は背筋が凍る思いがした。 「あと……1……ゲーム」 呼吸すらままならないのか、息も絶え絶えな中で、その燃えるような瞳だけは、死んでいなかった。 「いかん、それ以上は……」 「監督!」 多分、監督は試合放棄を申し出ようとしたのだろう。 しかし、立ち上がろうとした彼女を、血を吐くような叫びが止めた。 遮るように、真横に向けられた神剣。 既に幕は上がっていると言わんばかりに、邪竜もまた立ち上がっていた。 その顔からは何の表情も伺えない。 もう、私にさえ計り知れない。 その表情が凍てつかせた怒りが、どれほどのものか。 その口も何も語らない。 両者が視線を交わし、余りにも結果が見えた第三幕は、静かに始まった。 ただその寸前に、わずかに、ヒロムが、こちらを見た気がした。 しかしそれを確かめる間もなく、邪竜の爪が一閃した。 もう、圧倒的だった。 あれだけの激闘を演じた後だというのに、邪竜の動きはいささかも衰えていない。 対する勇者は既に満身創痍だ。 それでもなお、まだその身体は動く。食い下がる。立ち向かう。 どこにそんな力が残っているというの。 邪竜の身体に一太刀、二太刀、三太刀。 気が付けば、私は泣いていた。 その、涙で滲んだ視界の中で、決して一つたりとて見逃さないように最後まで見届けた。 ゲームセット。 最後に邪竜が振るった爪が、勇者の剣を叩き折り、長い戦いは終わった。 審判の声が途切れるより早く、私は駆け出していた。 受け止めようとする手は間に合わず、ヒロムは受け身も何も取らずに顔面から床に崩れ落ちた。 直後に背後が慌ただしくなった。 「担架だ!救急車も呼べ!」 監督の指示で遊部が動き、川末が携帯を取り出すのを意識の端で確認しながら、 慌てて抱き起こした身体は、人間の正常な体温ではなかった。 あの化け物と渡り合うのに、どれほどのエネルギーを使ったのか、想像を絶する。 「ヒロム!」 「ヒロムくん!」 お姉様と……、なんでアンタが来るのよ。 追い払いたかったけど、そんなことをやっている場合じゃないとさすがに自重した。 「氷!保冷剤!とにかく冷えるものなんでも持ってきて!」 「お、おう!」 山雀先輩が慌てて持ってきた氷でヒロムの動脈に近い部分を冷やしつつ、三人がかりで担架に乗せた。 救急車が来る体育館の外までひとまず運んでいくことにして、動き出そうかというところで、 「……」 兄が感情の見えない表情で、傍に来ていた。 それまで気づかなかったけれど、兄も全身が汗だくだった。 ほとんどのスポーツを汗一つかくことなく勝利してきた兄のこんな姿を、誰が想像できるだろう。 そもそもそんな姿を衆目に晒すことすら兄は嫌っていたはずだった。 そんな兄がわざわざ試合後に来るとは、どういうつもりだろうか。 「そいつの名、ヒロムと言ったか。指輪はひとまず貴様に預けておくと伝えろ」 それだけ言うと兄は、試合前の私への干渉やヒロムへの関心からは意外なほどあっさりと部屋から出て行った。 お姉様とブラコンは首を捻った。 何のことかさっぱりわからなかったのだろう。 おそらくニーベルングに掛けた言葉のあやだろうが、大体想像はつく。 何故小鳥から言い換えたのかはわからないが、指輪、とは私のことだろう。 そもそもこの戦いは、私の身体を弄んでいた兄をヒロムが止めたところからエスカレートしたのだ。 預けておく、ということは、兄はしばらく私に手を出さないと宣言したことになる。 そうと宣言したら、兄は自らの誇りに賭けて覆すことはないだろう。 しかし、渡すのではなく預けると言った。 猶予期間は、次にヒロムと対戦するときまで、ということだろう。 それも単なる練習試合では兄の気が晴れるはずもない。 公式戦で次にぶつかる時まで待つ気でいるに違いない。 そしてそのときには、完膚無きまでにヒロムを叩き潰して、私を手中に収める気なのだ。 いわば抹殺予告に等しい。 それでも、私にとっては、つかの間の平穏を与えて貰ったことになる。 ヒロムのおかげで。 少なくとも次にヒロムと兄が対戦するまで、私は兄の玩具ではなく、ヒロムの占有物になった。 ひどく、心が軽かった。 一時の夢とわかっていても、それがどれほど心安らぐことか。 お姉様とブラコンとともに救急車に乗り込みながら、私はさほど焦っていなかった。 兄がああ言ったということは、ヒロムが再起できることを確信していたことになる。 あれでも、人を見抜くことに間違いはないのだ。 ヒロムはきっと大丈夫。 少なくとも、次に兄と戦うときまでは。 その確信を裏付けるように、医者の診断結果は良好なものだった。 脱水症状と極度の疲労で数日の入院が必要と言われたものの、心配されていた脳や神経、筋肉などへの損傷は無かった。 それはそうと、どうして川末の実家の病院なのか。 ブラコンはそれに理由を付けて、ヒロムにつきまとう気らしい。 マネージャーでもないアンタにヒロムを任せてたまるものか。 私はもうヒロムの……ヒロムの、何だろう。 ああ、そうか。 不意に、思い至った。何故私が指輪なのか。 あれは、絶望の予告だった。 小鳥は愛でるものだろうが、 指輪は、嵌めるものだ。 私は兄にとって、性交の対象になったということだ。 その後の試合の結果は私にとって意味のないものだった。 ヒロムは当然その後の試合は出場停止であり、私はブラコンとの鍔迫り合いに忙しかったから。 それからしばらくは平穏な日々が続いた。 ヒロムにとっては色々とあっただろうけど、私にとっては少なくとも平穏だった。 終わることがわかっている日々ではあったけど、逃げ回っていたときとは明らかに違っていた。 次なる決戦が来るまでは、ヒロムの傍は安心できる場所だった。 幸いなことに、ヒロムと兄との公式戦はそれから長らく機会が訪れなかった。 六花と久勢北とがトーナメントでぶつかることが様々な要因によって妨げられたからだ。 他のチームとて無能ではないことを示すように、久勢北が途中敗退することもあり、 兄だけでは団体戦に勝てないということを示すように六花が敗退することもあり。 もちろん、些末なことはいくつもあった。 ドイツの別の変態とヒロムが激突した後、ヒロムがブラコンとよろしくないことになりかけたのを 絶妙のタイミングで邪魔してやったときはどれほど胸がすく思いだったことか。 アンタはあのシスコン兄とよろしくやってればいいのよ。 ただ、腹は立った。 邪魔する直前まで覗いていたあのブラコンの身体は、本当に、綺麗だった。 兄に弄ばれてもいない、汚れのない無垢な身体。 羨ましくて、妬ましくて、ノートに書くことがまた増えた。 ……せっかくそんな綺麗な身体なんだから、焦ってヒロムにあげようとしなくてもいいのに。 一方で、私には時間がなかった。 決着がついたとき、私は兄に……される。 それまでに、と思う気持ちは逸るけど、お姉様の家に居候している身分ではなかなかそんな機会はない。 何度か絶好のタイミングが訪れたこともあったけど、自分自身がそれを押しとどめてしまった。 仮にもローゼンベルクの令嬢がそんな簡単に股を開いていいのか、なんて下らないプライドはとっくの昔に消えている。 ここにあるのは兄に弄ばれた肉人形だ。 でも、兄のペニスから逃げるために他のペニスを銜え込もうとすること自体欺瞞ではないか。 そう思うと自分で自分がわからなくなる。 処女を兄に奪われるのを避けたところで、何になるのだろう。 最後は結局兄の奴隷に戻るだけなのに。 永劫に犯され続ける日々が来るのに、最初の一回だけ逃げることの意味を自嘲気味に考える。 それに、それをしてしまえば、ヒロムとのこの日々は間違いなく変わってしまう。 ブラコンとの危ういところでの応酬を見ている限り、ヒロムはまだ経験が無い。 ならば、何も知らないでいて欲しい。 兄と私が知っているような、淫らで爛れた世界など知らずに、どこまでも真っ直ぐあって欲しい。 太陽のように、手が届かない世界ででも、私を照らして欲しかった。 そして何よりも、私がヒロムと交われば、心から私を慈しんでくれるお姉様を裏切ることになる。 私が城での日々をフラッシュバックして泣き叫ぶと、お姉様は何度でも私を抱きしめてくれた。 眠れない夜にはベッドで朝まで抱きしめ続けてくれたことも一度や二度じゃない。 お姉様がいなければ私はとうに破綻していたろう。 どれほど感謝してもし尽くせない。 そのお姉様が、何年も前から全力で育ててきた最愛の存在がヒロムだった。 私が抱いているような恋心なんか遙かに超越して、試練も安らぎも与えるその姿勢は、シグルズを守るブリュンヒルデにさえ見えた。 その手から、シグルズを奪う資格などあるはずがない。 いっそ太陽にまで駆け上がれ。 兄との対決後、ヒロムは翼でも生えたかのように強くなっていった。 ブリュンヒルデの庇護の下、一年、二年と過ごしたシグルズの成長を、 私は間近で見ることが出来ただけで、喜ぶべきなのだと無理矢理自分に言い聞かせた。 だが、時は誰にでも過ぎる。 長らく対決が無い日々に、あの化け物が焦ったはずはないだろうが、我慢ができなくなったのかもしれない。 ローゼンベルクの政治力を使って、とんでもないことをやっていたことに、気づいたときには遅かった。 詳しくはわからないが、ドイツと中国のスポーツ担当省に圧力を掛けたらしい。 この二国は卓球の世界では恐ろしく影響力がある。 ここが動けば国際的な卓球連盟がそもそも動かざるを得ない。 そうして、気がつけば私の回りにいる者たちが軒並み参加させられていた。 ユース以下年齢無制限、国際個人戦決定戦。 兄はそれを、ヒロムとの決着のためだけにお膳立てしたのだ。 その大会の名前を、Prime Player杯、……P2、という。