約 1,243 件
https://w.atwiki.jp/hangeimu/pages/13.html
スタイル、テクニック他 戦闘用語 † [編集] スタイル (Style) : 5HIT以上のコンボ、空中に浮かした敵への攻撃、敵に2人以上の同時攻撃により上がる。 コンボ (○○ Hit Combo!) : 連続攻撃。一定時間以内に続けてどこかに攻撃を入れればいい。防がれても時間内に攻撃を入れればコンボは続く エアリアル (Aerial) : 空中に浮かせて攻撃。(エリアル) ダブルアタック (Double Attack) : 同時攻撃。爆弾などでも可。 ダブル(Double) : 2人による同時攻撃 トリプル(Triple) : 3人による同時攻撃 クアドラプル(Quadruple) : 4人による同時攻撃 テクニック (Technic) : バックアタック、オーバーキル、カウンターをすることにより上がる。 カウンター (Counter) : 攻撃モーションの敵を攻撃。石投げてるとことか簡単。 バックアタック (Back Attack) : 背面から攻撃。 オーバーキル (Over Kill) : 最大HPの1/3以上のダメージ与えて倒す。 ※スタイルとテクニックの稼ぎ方については初心者ガイドを参考にしてください。 クリティカル (Critical) : 通常の1.5倍のダメージ。 ↑スキル攻撃力・防御力について † [編集] ■防御力とダメージとの関係 防御力は100につきダメージ10程度の軽減効果(一概にこの値が全てとはいえない) 防御力は相手とのレベル差、力・知能さらに体力・精神力の大小によって変化する 同じ防御力でも相手が高レベルであれば受けるダメージが増加し、相手が低ければ減少する。 体力とダメージの関係 体力1につきダメージを2程度の減少効果(一概にこの値が全てとは言えない) 属性防御とダメージの関係 火属性抵抗値15につき火属性ダメージを10%減少させる 水属性抵抗値15につき水属性ダメージを10%減少させる 光属性抵抗値15につき光属性ダメージを10%減少させる 闇属性抵抗値15につき闇属性ダメージを10%減少させる 属性抵抗値を150にすれば、その属性攻撃で受けるダメージはすべて1になる 鬼剣士は最初から光抵抗が-20なので、初期値だと光攻撃は約13%、 格闘家は闇抵抗が-20なので、初期値だと闇攻撃は約13%多く受ける。 ■ステータスの攻撃力・魔法攻撃力と力・知能との関係 物理攻撃力(魔法攻撃力)=武器攻撃力+武器攻撃力*力(知能)*0.004 力(知能)が高ければ高いほど攻撃力が高くなり、武器攻撃力が高いほど力(知能)1で上昇する攻撃力も高くなる。 上記式はスキル攻撃力にも適用される。 故に、固定攻撃力依存型スキルは力(知能)が上がるほどダメージが上がる。 ↑疲労度 † [編集] 疲労度とはその名の通りキャラクターの疲労度(基本は1日疲労度156まで)を示す。 疲労度は基本的にダンジョンで未開のフロアへ1つ進むごとに1づつ減ります。 1回入ったフロアに戻る場合は、疲労度は減りません。 (なお、ダンジョンに入ったときも同様に1減ります) アイテムインベトリ画面が開くアイコンの左にある中央アイコンにより残り疲労度を確認できます。 疲労度が0になるとそのキャラでダンジョンに入ることができなくなります。 ダンジョン内部で疲労度が0になっても、ダンジョンから出るまではフロアを進めます。 (つまり、1でもあればダンジョンに行けます) 毎日AM6 00を迎えるとキャラクターの疲労度は1日MAXの156まで回復します。 コンティニューコイン(1日1個支給)と同時。 上位メンバとなることで、回復することができます。 メンバーシステム参照。 ↑ダンジョンクリア時のスコア(ランク) † [編集] スタイルやテクニックや被ダメージ回数によりクリアのランクが変動。 ランクS以上を取ると経験値ボーナスがもらえる。 経験値ボーナスの割合は F(0~34点),E(35~39点),D(40~44点),C(45~54点) +0% B(55~69点) +5% A(70~84点) +10% S(85~94点) +15% SS(95~104点) +20% SSS(105~140点) +30% 「ランク○以上でクリア」というクエストも数多い。 最後に貰える金額もランクで変動。 ↑コンティニューコイン † [編集] 戦闘不能時に使用するとキャラクターが復活、HP、MPが全回復し、周りの敵を吹き飛ばす。(レベルアップ時と同じ動作) 復活してから3秒間ほどHP&MPを消費しなくなり無敵になる。 また、スコアのHit(被弾回数)が0に戻る 戦闘不能になった味方にもコインを使うことが出来る。 正式サービスの現在、AM6:00にコインが支給される。 支給されるコインはサーバーによって違う。 ・ディレジエ 2枚 ・カイン 1枚 (ハンコインでの購入分コインは別途計算される) 購入する場合は初期コインを使い切っておかないと支給コインはもらえない ↑ダンジョン † [編集] 一部クエスト等での制限がありますが、通常はランクに関わらず、 ダンジョンの推奨レベル下限の3レベル下からMAPに登場します。 推奨Lv ダンジョン(ボス) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● エルブンガード (入場制限なし) 01~02 ロリエン (Lv2 ゴブリン投擲兵) 02~03 ロリエン深部(Lv4 タウアーミー) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● グランプロリス (入場制限:ロリエン深部クリア) 03~05 マークウッド (Lv7 タウビースト) 04~07 マークウッド深部 (Lv9 クロガル) 07~10 サンダーランド (Lv11 電撃のキノル) 09~12 フロストマークウッド (Lv12 氷結のケラハ) ※要エピック 09~12 ポイズンサンダーランド (Lv13 フェンリル) 11~14 グラックカラック (Lv16 タウキングシャウタ) 13~16 燃え盛るグラックカラック(Lv17 火炎のビノーシュ) 17~20 闇のサンダーランド (Lv20 グールグウィシ) ※要エピック ―――――――――――――――――――――――――――――― ● 天城 (入場制限:Lv11~) 14~17 アモン下層 (Lv18 レッドセリマリオン) 16~19 アモン上層 (Lv19 マスタードグリ) 18~21 セパロタ下層 (Lv22 ヘブンエクスペラー) 21~24 セパロタ上層 (Lv25 ラキウス) 23~26 ミドルオーシャン浅海(Lv26 ゴールドプラタニ) 25~28 浮遊城 (Lv29 イーブルアイ) ※要エピック 26~29 ミドルオーシャン深海(Lv30 光の城主ジグハルト) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● ベヒーモス (入場制限:Lv25~) 28~31 神殿外郭 (Lv32 GBL教大司教、GBL教大司祭) 29~32 デンドロイドのジャングル(Lv33 ロディンクロー) 30~33 煉獄 (Lv34 マスターハンター) 31~34 白夜 (Lv35 ドルニアEX) 33~36 第1脊髄 (Lv37 グレートテンタクル) 35~38 第2脊髄 (Lv39 長足のロータス) 37~45 血獄 (Lv39 審判者マセラス) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● ストームパス (入場制限:Lv33~) 36~39 冷たい心臓の子 (Lv38 チャーリー) 43~46 稜線 (Lv47 氷牙シャバンテ,Lv48 ビーストマスタールーガー) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● アルフライラ駐屯所 (入場制限:Lv35~、第2脊髄ノーマルクリア) 38~40 シャローキープ(Lv42 メリス・モーガン) 41~43 蜘蛛の巣窟 (Lv45 アラクロッソ) 42~45 黒妖精の墓地(Lv47 死竜スピラッジの頭) 44~47 マグマケーブ(Lv49 アトラス、タイタン、ゴリアット) 48~51 王の遺跡 (Lv53 ハンマー王ボロディーン) ※要エピック ―――――――――――――――――――――――――――――― ● エルブンガード (入場制限:Lv47~) 50~53 ビルマルク帝国実験場(Lv55 ハイパーメカタウ) ※要エピック ―――――――――――――――――――――――――――――― ● ノースマイア(入場制限:Lv47~) 50~53 堕落した盗賊(Lv52 犬屋のミョジン) 50~53 誘惑の街ハーメルン(Lv52 ピーター・ザ・パイパー) ※要エピック ―――――――――――――――――――――――――――――― ■高ランク入場権限 EXPART'S ROAD:ノーマルダンジョンをクリア MASTER'S ROAD:エキスパートダンジョンをランクB以上でクリア KING'S ROAD :マスターダンジョンをランクS以上でクリア ↑敵のHP表示 † [編集] 高ランクダンジョンでは特にHPが多くなるが 赤→橙→緑→青→紫の順で増加、以降繰り返し。 (例えば、HPが7枚目まである場合、2周目の橙=オレンジから表示される) ダンジョンのレベルによってHPゲージが圧縮されている ボスだけに言える事だが全員が倒れてカウントが始まるとき異常な速度でHPを回復する ↑状態変化 † [編集] 拘束と睡眠を除いた行動不能系状態異常はボタン連打と方向キー左右連打で行動不能時間を短縮可能。 ボタンに連打機能を付けるとすぐに解除できる。 状態異常は相手がアーマーやガードやスタックしてもかかる。 名称 効果 感電 キャラから電気を発する。 被弾時に光属性防御無視追加ダメージを受ける。 感電攻撃力は感電スキルや効果に依存し、感電発動者の知能によって威力が向上する。 防御無視のため知能が高いと相手の防御がマイナス化し、結果的にさらに威力が増加する 出血 キャラが赤く点滅。 秒間固定ダメージを受ける。行動すると受けるダメージが1.5倍上昇。 ただしMobは上昇しない。 出血ダメージは、出血を与えるキャラクターの知能に影響する。 知能が増えれば増えるほどダメージが増す。 出血ダメージはあらゆる防御を無視する。 出血ダメージ=スキル出血ダメージ*(1+(知能*0.004)) 火傷 火属性の秒間固定ダメージを受ける。 また数秒ごとに周囲にいるキャラ(敵味方無関係)も火属性ダメージを受ける。 中毒 キャラが紫に点滅。 秒間固定ダメージを受ける。 防御力無視ダメージだが、中毒抵抗値によってダメージが軽減される。 暗黒 キャラ頭上を黒い物体が回る。 視界が制限され、自分の周囲1キャラ分程度しか見えなくなる。 気絶 キャラ頭上で星が回る。 行動不能。浮かされてる時やダウン中になると起き上がった後から解除が始まる。 石化 キャラの下半身が石化する。 行動不能。浮かない。ダウンしない。一定時間内に解除しないとダメージが入る。 凍結 キャラ全身が氷で覆われる。 行動不能。浮かない。ダウンしない。火属性攻撃を受けると即解除される。 睡眠 キャラがその場で倒れて眠る。 ダウン状態で行動不能になる。攻撃を受けると即解除される。 混乱 キャラ頭上に!?マークがでる。 移動方向が上下左右逆になる。(コマンド入力には影響しない) 拘束 移動、ジャンプ不可。攻撃可能。バックステップでは浮くが少しのため無意味。 ハイパーアーマー キャラが赤く発光する。 一定時間敵の攻撃などによる、ノックバック、ダウンが発生しなくなる。 カウンター攻撃を受けるとノックバック、ダウンが発生する。 加速 移動速度と攻撃速度が○%上がる。スキルレベルで効果が変化。 鈍化 キャラ足元に渦のようなものが出る。 移動速度と攻撃速度が○%下がる。スキルレベルで効果が変化。 祝福 キャラの周りに羽根のようなエフェクト。 ACT3で仕様変更を受け、効果が固定値に。設定された固定値分だけ全ての能力値が向上する。 呪い キャラの周りに黒いプツプツのエフェクト。 全てのステータスが呪いに設定された分だけ低下する。 透明 キャラが半透明になる。 攻撃を一切受けなくなる。(ただしDoT系にかかった場合そのダメージは食らう) 防御破壊 キャラの防御力が0になる。 一部の装備でのみ発生。(クロクタの犬歯でも発生確認) 武器破壊 キャラの攻撃力が0になる。 一部の装備でのみ発生。(クロクタの犬歯でも発生確認) ↑攻撃特性について † [編集] 武器種別、スキルによって攻撃ダメージに差が出ることなどから 武器、スキルには攻撃特性が設定されている。 攻撃特性には、近接、遠隔を表す攻撃形態、 殴打、斬突などのダメージの性質を表す特性の2種類があり、 すべての攻撃にはこの2つのパラメータが設定されている。 これらの組み合わせから、攻撃の種別は4つに分類される。 以下のとおり。 種別 形態 特性 該当する武器 特徴 打撃 近接 殴打 鈍器 ナックル・トンファー・ガントレット・拳闘グローブ スタッフ・ロッド・棒 十字架・数珠・トーテム・斧 近接タイプの攻撃が属し、打撃タイプのダメージを与える、 多くの武器が属する、打撃による攻撃特性。 ゴーレム系の一部には打撃以外の耐性があり、それらに対する有効打になりうる。 テンタクル系にはダメージを軽減される。 斬撃 近接 斬突 刀・小剣・大剣・光剣 クロー 槍 鎌 近接タイプの攻撃が属し、切るタイプのダメージを与える、 鬼剣士が主に使用する、斬撃による攻撃特性。 ストーンゴーレム系にはダメージを軽減され、ノックバックも大幅に減少する。 グランプロリスの草、ミドルオーシャンの海草を切ることができる。 斬撃に反応して自爆する敵(クレイジーイヴァン)も存在する。 射撃 遠隔 斬突 マスケット・自動拳銃・リボルバー・ボウガン 遠隔攻撃タイプの攻撃が属し、切るタイプのダメージを与える、 ガンナーのほとんどの武器が属する攻撃特性。 この特性は斬撃の特徴をすべて持ち、加えて以下の特徴を持つ。 遠隔攻撃によって攻撃した場合一部の敵がアーマー化する 該当する敵(一例) 一部ゴーレム類、エックスエクスペラー、バントゥ族の戦士等 斬撃の特性を引き継いでいるためクレイジーイヴァンは自爆モードになる 爆風 遠隔 殴打 ハンドキャノン 遠隔タイプの攻撃が属し、打撃タイプのダメージを与える、 ハンドキャノンのみが属する、爆風による攻撃特性。 打撃のすべての特性を持ち、遠隔攻撃としての特性を併せ持つ。 そのため、草や海草は切れず、テンタクル系にはダメージを軽減される。 射撃の特徴の一部を受け継ぐため、一部敵が攻撃に反応しアーマー化する。 該当する敵(一例) 一部ゴーレム類、エックスエクスペラー、バントゥ族の戦士等 無特性 - - 一部スキルのみ 武器にはない特性。 すべての相手の特殊防御などを無視してダメージを与えることができる。 基本的にスタックなどもない。 鬼神の波動、毒霧、感電効果、出血効果、中毒効果によるダメージはこれに分類される 表中の用語の意味 (※)殴打:鈍器等の鈍い一撃を与えるタイプの攻撃 (※)斬突:刃物や銃器などの鋭利な攻撃の性質を持つ攻撃 (※)近接:至近距離による直接攻撃を意味する (※)遠隔:離れた位置への攻撃を意味する スキルの攻撃特性一覧はこちら ↑MP自然回復量について † [編集] LV1時の自然回復量は各職業共に1分に付き60です。 レベルが上がるごとに自然回復量は増加します。 レベルアップ時のMP自然回復上昇量は各職業によって違い、 基本的にはクロースマスタリーがある職業ほど元々の自然回復量 が大きい傾向にあります。 例)メイジ系列、ソウルブリンガー、ネンマスター、メカニック 退魔士 ↑属性抵抗力 † [編集] キャラクターのステータス画面の下部にある属性抵抗力は、 その数値が15でその属性ダメージを10%軽減する。 逆に-15だとその属性ダメージが10%上昇する。 例えばソウルブリンガーで闇抵抗を150にすると、 闇属性攻撃(闇属性武器・鬼切り・トームストーン・ストーカーの攻撃等)が被ダメージが1となり決闘場でもダメージが1になる。 マイナス値を増やしてしまうと、その分だけダメージが大きくなってしまう危険であるのでバランスを考えた装備をするのが一番である。 光属性の敵には、闇属性攻撃が効果が高く、光属性攻撃は威力が減少します。 闇属性の敵には、光属性攻撃が効果が高く、闇属性攻撃は威力が減少します。 火属性の敵には、水属性攻撃が効果が高く、火属性攻撃は威力が減少します。 水属性の敵には、火属性攻撃が効果が高く、水属性攻撃は威力が減少します。 ↑入手経験値 † [編集] ダンジョン内でモンスターを倒した際に得られる経験値は、 自分のレベル・モンスターのレベル・モンスターの階級・ダンジョン難易度によって増減する。 自分のレベルが変わらないとき、同じレベルのモンスターなら種類・出現場所などが違っても入手経験値は変わらない。 例)サンダーランド ゴブリン隊長Lv9 ゴブリン投擲隊長Lv9 フロストマークウッド フラグシーガブLv9 いずれも、自分のレベルが同じ状態で倒した時入手経験値は同じ。 (モンスターのレベル-自分のレベル)の値によって入手経験値は変化する。 +5のとき最も多く、そこから離れるにつれ少しずつ減少していく。-4および+9から大きく減少していく。 モンスターの階級によって、入手経験値に倍率がかかる。 『燃え盛る~』『ひんやりした~』などの冠詞がつくチャンピオンモンスターは同レベルモンスターの2倍、 ダンジョンの最後に出現するボスモンスターは同レベルモンスターの4倍となる。 ダンジョン難易度(Expart's Road、King's Roadなど)によっても入手経験値に倍率がかかる。 同レベルのモンスターを倒した時、通常時に比べ Expart'sでは1.4倍、 同様に Master'sでは1.8倍、 King'sでは2.2倍となる。 ダンジョンクリア時の経験値報酬は ボスを倒すまでに得たモンスター撃破経験値の合計が基準となって決められる模様。 また、パーティー時はクリア時点で生存していないと経験値報酬が減少する模様。 クリアボーナスに加算される各種条件によるボーナスは以下のようなものがある。 ランク…クリアランクによるボーナス。ランクB以上で発生し、Bで5%、Aで10%、Sで15%、SSで20%、SSSで30%が加算される。 パーティー…2人以上のパーティーによるダンジョンクリアボーナス。詳細は未調査。 アバター…スタイリッシュアイテム装備によるボーナス。スタイリッシュアイテム着用時、ソロで2%、パーティーで5%が加算される。 ネットカフェ…ハンゲーム公認ネットカフェでのプレイによるボーナス。詳細不明。 イベント…特定期間の経験値アップイベントなどによるボーナス。 メンバー…メンバーシステム登録によるボーナス。上位メンバーがいる場合、クリアボーナスの10%が、メンバー経験値として加算される。 チャンネル…ダンジョンの属する地域と対応したチャンネルでのプレイによるボーナス。2%が加算される。 例)エルブンガード(ロリエン・ロリエン深部)ならch01でプレイ グランプロリス(マークウッド~闇のサンダーランド)ならch10~ch12でプレイ ダンジョン難易度とクリアランクによる経験値倍率表(やっつけ+α) N E M K C↓ 1.00 1.40 1.80 2.20 B 1.05 1.47 1.89 2.31 A 1.10 1.54 1.98 2.42 S 1.15 1.61 2.07 2.53 SS 1.20 1.68 2.16 2.64 SSS 1.30 1.82 2.34 2.86 ↑EXPテーブル † [編集] Act.3版(平成19年8月6日更新) Lv Next EXP Total EXP Lv Next EXP Total EXP Lv Next EXP Total EXP 1 450 - 21 205,824 1,123,028 41 3,953,368 23,801,948 2 1,014 1,464 22 240,789 1,363,817 42 4,388,407 28,190,355 3 2,046 3,510 23 280,150 1,643,967 43 4,857,901 33,048,256 4 3,486 6,996 24 318,319 1,962,286 44 5,318,965 38,367,221 5 5,366 12,362 25 355,185 2,317,471 45 5,852,818 44,220,039 6 7,718 20,080 26 412,062 2,729,533 46 6,371,193 50,591,232 7 10,574 30,654 27 469,513 3,199,046 47 6,974,574 57,565,806 8 13,966 44,620 28 532,999 3,732,045 48 7,620,211 65,186,017 9 17,926 62,546 29 593,079 4,325,124 49 8,238,729 73,424,746 10 22,486 85,032 30 668,036 4,993,160 50 8,962,686 82,387,432 11 30,028 115,060 31 879,085 5,872,245 51 14,809,915 97,197,347 12 36,739 151,799 32 990,868 6,863,113 52 16,175,505 113,372,852 13 44,286 196,085 33 1,113,237 7,976,350 53 17,631,362 131,004,214 14 52,721 248,806 34 1,230,530 9,206,880 54 19,057,749 150,061,963 15 62,089 310,895 35 1,372,901 10,579,781 55 ※20,680,257 170,742,220 16 83,080 393,975 36 1,508,090 12,087,871 - - 17 100,194 494,169 37 1,672,417 13,760,288 - - 18 119,883 614,052 38 1,850,285 15,610,573 - - 19 139,195 753,247 39 2,017,411 17,627,984 - - 20 163,957 917,204 40 2,220,596 19,848,580 - - ※lv55以上はレベルキャップ開放まで経験値をためることができない。 ↑SP早見表 † [編集] レベル 獲得 累積 レベル 獲得 累積 レベル 獲得 累積 1 - - 21 49 790 41 69 1980 2 30 30 22 50 840 42 70 2050 3 31 61 23 51 891 43 71 2121 4 32 93 24 52 943 44 72 2193 5 33 126 25 53 996 45 73 2266 6 34 160 26 54 1050 46 74 2340 7 35 195 27 55 1105 47 75 2415 8 36 231 28 56 1161 48 76 2491 9 37 268 29 57 1218 49 77 2568 10 38 306 30 58 1276 50 78 2646 11 39 345 31 59 1335 51 79 2725 12 40 385 32 60 1395 52 80 2805 13 41 426 33 61 1456 53 81 2886 14 42 468 34 62 1518 54 82 2968 15 43 511 35 63 1581 55 83 3051 16 44 555 36 64 1645 17 45 600 37 65 1710 18 46 646 38 66 1776 19 47 693 39 67 1843 20 48 741 40 68 1911 計算式 nレベル時の累計SP = {(n+58)(n-1)}/2 2007月8月2日現在、韓国のレベルキャップはLv60。 ↑画面の切り替え † [編集] ダンジョン内にいる時に[Tab]Keyを押すと、画面の表示を3段階に切り替えられる。 またチャット状態のときに[Tab]Keyを押すと通常からPT、メンバに替えられる。 同じくダンジョン内で[End]Keyを押すことでダンジョン進行状況表示のON/OFFが可能。 チャットウインドウで「//window」と入力するとウインドウ画面になる。 チャットウインドウで「//normal」と入力するとウインドウ画面になる。 チャットウインドウで「//full」と入力するとフルスクリーン画面になる。 ↑所持金上限額テーブル † [編集] ■レベル毎に所持できるお金の上限額一覧 現在、複数の報告から実際の数値と違っている可能性が高いと思われます。 正確な値を知っている方は下の米欄に報告お願いします。 レベル 所持限度額 レベル 所持限度額 レベル 所持限度額 1 100,000 21 11,400,000 41 2 200,000 22 12,600,000 42 3 300,000 23 14,200,000 43 110,500,000 4 500,000 24 15,800,000 44 132,700,000 5 700,000 25 17,500,000 45 157,XXX,XXX 6 1,000,000 26 19,200,000 46 7 1,200,000 27 20,900,000 47 300,000,000 8 1,500,000 28 22,700,000 48 9 1,800,000 29 24,600,000 49 300,000,000 10 2,200,000 30 27,700,000 50 300,000,000 11 2,700,000 31 51 300,000,000 12 3,100,000 32 32,800,000 52 300,000,000 13 3,800,000 33 35,600,000 53 300,000,000 14 4,400,000 34 38,900,000 54 300,000,000 15 5,100,000 35 42,300,000 55 16 6,000,000 36 17 6,900,000 37 50,000,000 18 7,800,000 38 19 8,900,000 39 59,200,000 20 10,010,000 40 64,900,000 ↑コメント欄 † 最新の10件を表示しています。 コメントページを参照 属性防御の欄、数値が一桁増やされてます。つきとめてきます -- 2008-02-08 (金) 13 49 25 LvUP時 上昇能力値の所で今現在は上昇能力値の統一化は行われてるんでしょうか?覚醒の場合とかも -- 2008-02-13 (水) 11 51 41 所持金 lv47 3oku -- 2008-02-25 (月) 13 47 28 えっと、天城のダンジョン名が変更されてます。 変更お願いします。 -- 2008-03-31 (月) 03 22 38 lv45 157,XXX,XXX の修正お願い申し上げる -- 2008-04-02 (水) 11 04 00 56Lv経験値:22.253.979 編集お願いします -- 2008-04-06 (日) 03 38 49 lv.41 76m 上限みたいです -- 2008-05-17 (土) 08 08 11 改定されたのかな? LV54 所持金額 260Mが上限のようです。 -- 2008-05-20 (火) 18 45 05 ↑LV51で271M持てているのでそれはないかと -- 2008-05-21 (水) 12 12 36 ↑BANどんまいです -- 2008-05-24 (土) 14 57 52 お名前
https://w.atwiki.jp/ifheta2ch/pages/456.html
30 / 401-500 404 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 03 43 55 ID ??? 懐ネタ 209 名前:鎖国人類0号 投稿日:2005/10/23(日) 18 36 11 ID JapanOTK どうでもいい話ですが、昨日久し振りにアジアの皆さんと食事をしたんです。 で、TV見てたら韓国さんが不意に思い出したように 「そうある、日本に聞こうと思ってた事があったんだぜ」とか言って、 「日本『のまねこ』って知ってるんだせ?」と。 えぇもちろん知ってますと答えたら、 「今ニュースで大変なんだぜ、著作権がどうとか(云々) でも『のまねこ』の元の絵を描いた人って誰だかはわからないみたいなんだぜ。 ・・・ねえ、もしかして日本のことなんだぜ? 前同じような絵パソコンで描いてたんだぜ」 うわぁ・・・('∀`) 違う違うを笑って答えても韓国さんはまだ怪訝そうでした。 ふっと見たら、韓国さんの手のひらに「のまねこ」と書かれていました。 きっとニュース見て、すわ隣国の一大事だと思って勉強したんでしょうね。 そして中国さんとかにのまねこの事聞いて回ったんだろうな。 中国さんの微妙な顔がうかびました。 405 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 07 34 17 ID ??? のまねこ騒動なつかしいw フラッシュ見れるとこ探しに行っちゃったよwww 407 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 08 22 51 ID ??? 唐突に天国だよ注意 926 :小鳥案名無い人:05/03/09 02 47 49 ID ??? 天国には「アヒルを踏んではならない」という決まりがあり、 その女はアヒルを踏まぬよう細心の注意を払って暮らしていた。 数年が経ったある日、彼女は意中の兄と鎖で繋がれることになった。 「嬉しいわ!兄さん兄さん兄さん!これはしばらくアヒルを踏まなかったご褒美に違いないわ…!」 「僕がアヒルを踏んだんだよ…」 408 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 09 42 27 ID ??? 110:スコーン名無しさん:2009/07/02(英) 17 48 55 ID ??? 会議の休憩中、隣の席でスーツの上着を脱ぐアメリカを何気なく見たら ベルトの上に腹の肉が乗っかっていた 「お前、その年で隠れメタボかよ…」と思わず呟いたら 「失礼だな、俺は全然太ってないぞ!君の基準が厳しすぎるんだよ! あの食事じゃ体格が貧相になるのも仕方がないけどね!XDDDD」って返された 「じゃあ他の奴にも聞いてみろよ!」 「OK!日本に聞いてみるよ!」 どうせならドイツかフランスあたりの方が率直な意見が聞けるのに… 日本だと『そんなことないですよ。全然太ってないですよ』とか言いそうだ そう思いながら、少し離れた席に座る日本の所に向かうアメリカについていった 「聞いてくれよ日本!イギリスが俺の事『隠れメタボ』って言うんだよ!」 突然話を振られた日本は、小首をかしげながら 「そんなことないですよ?」と言う ほらね!という顔でこちらを振り返るアメリカ。更に日本はこう続けた 「全然隠れてないです」 411 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 10 37 31 ID ??? 847 名前:親分さん@トマトいっぱい。:2009/05/17(西) 16 59 54 . 190 俺も似たような経験があるで 最初は普通に無言電話だったんやけど、俺が切らずに様子を窺っていると突然 相手「俺のパンツの色教えてやろうか?」 俺「なんでやねん」 ガチャ それから相手が一言ネタを言って俺がそれにツッコミを入れるっていうのが何回も続いたのち、 相手「ネタ切れだぜ!相方!!」 という台詞を最後に二度とかかってこなくなってん イタ電野郎相手に初めて友達になりたいと思ったわぁ 412 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 12 42 37 ID ??? 257 :ムーミン谷のの名無しさん:2009/07/03 12 14 33 オリンピックには射撃やクレー射撃はあるのに狙撃がないのは何故ですか? 何も実弾使えって言ってるわけじゃないのに… 413 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 13 07 24 ID ??? . 412 フィンランドがチートだからだよ 423 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 17 15 26 ID ??? 豆腐ハンバーグ 36 :おしお名無しさん 投稿日: 2007/07/22(日) 21 09 38 あれ、豆腐が背伸びしてるようにか見えません。 豆腐ハンバーグ自体は不味いとは思いませんが、豆腐は普通に豆腐の状態のまま食べたいです。 まぁ豆腐も、「見て見て!俺、ハンバーグにだってなれるんだヨ!」みたいな アピールしたかったんでしょうけど、そんな背伸びしてまですることじゃないと思うんですよ。 そもそも豆腐なんて和食物なんですから、洋食物のハンバーグなんてものに憧れるのは やめて豆腐は豆腐の道を突き進めばいいと思います。 なのになんなの?豆腐ハンバーグって。 牛肉ハンバーグよりヘルシーとかんなもの必要ありません。 ヘルシー求めるんならそのまま普通に冷やっこ食べます。 あれです、あなたみてるとなんか最近の日本の女子高生思い出します。 豆腐「っていうかー、豆腐とかもう世界的に見て時代遅れだしー、 なんかちょっと冒険してハンバーグになっちゃおうみたいなー」 知るかボケ 430 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 17 39 04 ID ??? 714 名無し音楽家@演奏中? 2009/07/01(水) 19 14 17 当時、嫁と地方都市郊外の築150年の広いお屋敷に住んでました。 天井裏にネコが住み着きまして、ガリガリ、ドドド、にゃあなどと上から音がします。 嫁「かわいそうだから追い出さないであげて下さいね」 私「いや、私もネコは好きですがが天井裏は困ります。…どこからそんなところに」 という会話をしていると、数日後、天井裏からミイミイと子ネコの声が。 私「子供が産まれましたね。どうしましょうか…」 嫁「ごめんなさい、こうなるとは… 連休になったら天井裏にもぐってみますね。そんなとこで粗相でもされたら困りますし」 ところが、次の日のこと。天井裏ではなく、壁の中から子ネコの声が。 嫁「大変です!。子ネコが壁の隙間に落ちちゃったみたいです!」 子ネコは助けを求めて必死で鳴いています。すると、ガサリゴソリと壁の中を降りてくる音。 私「あ、親ネコが助けに来たみたいです」 ゴソゴソゴソ!ふぎゃぎゃあああー。 私「もっと大変です。親ネコが壁の中にはさまってしまいました」 嫁「あぁああん、どいつもこいつもー!」 私「どうしましょう」 嫁「ノミとハンマーとノコギリもってきて下さい。家ぶち壊して助け出します!」 私(お下品ですが…仕方ありませんね) というわけで、我が家の夫婦部屋の壁には、大きな穴が4箇所開きました。 2箇所でよかったのですが、鳴き声で場所の見当つけて穴開けたら全然違ったりして、何度も開けなおしたのです。 大工さんは連休明けまで来てくれないので、当分、穴あき屋敷の生活です。 壁からつかみ出される際に興奮した親ネコに噛まれ引っ掻かれて大流血した嫁は病院送りになりました。 保護された親子ネコはテラスのダンボールで寝てます。 病院から帰ってきた嫁に「ごめんなさい、浅はかでした。痛かったでしょう、せめて私が助け出すべきでした。」と謝ると 「ネコは助かったし、家壊すのは面白かったからいいんですよ!音楽家の手に傷つけられませんからね」と笑ってました。 こだわらない性格の、優しい嫁が大好きです。 431 :1/2:2009/07/03(金) 17 39 47 ID ??? 36 :本当にやった怖い南下:1995/07/03(露) 16 06 55 ID KrkRkrKR 怖い話っていうのかなぁ。 何年か前…十何年前かな?それまで、僕んちの飛び地に建ってたお城があったんだ。 そこは戦争で半分壊れちゃってたから、いっそって爆破することになったんだよ。 それで、結構あの頃にしては立派なビルを建てたんだ。 僕たちはその飛び地が香港君ちみたいな感じで発展することを望んでたんだけど、 結局それも上手くいかなくなっちゃって、 余所からは「暗黒街」なんて呼ばれる始末。 折角建てたビルも、何故か全然人がよりつかない。 どうしてかって調査したらさ、その爆破したお城の地下にお墓があったらしいんだ。 地下にお墓の為に穴を掘ってたから、地盤が緩くて人が住めるようなものじゃなかったんだって。 怪奇現象があったのかどうかは聞いてないけど、 街がこんなになっちゃったのもお墓のせいだったりするのかなぁ。 今からでもお墓撤去しちゃった方がいいのかな? 37 :本当に生えた怖い眉毛:1995/07/03(英) 16 07 26 ID YoSeIsaN 墓動かすのだけはやめとけ つーかそれ、城爆破した呪いもかかってるんじゃないのか? 38 :本当に割れた怖い腹筋:1995/07/03(独) 16 25 42 ID MuKIJagA 兄がPCを見ていたと思ったら 突然ソファで毛布に包まって泣き出しながら 「フリードリヒ、ヴィルヘルム、フリードリヒ、ヴィルヘルム、ヴィルヘルム…」と 歴代の兄の家の上司の名を呼び始めた。ちなみに全員別の上司だ。 怖かったので書き込みに来たが 36で合点がいった。 とりあえず 36、そこにうちの領事館を作らせろ。 39 :本当にやった怖い南下:1995/07/03(露) 16 26 02 ID KrkRkrKR . 38 やだ 598 :本当にやった怖い南下:2005/11/24(露) 16 26 02 ID KrkRkrKR このスレの最初の方でお城の話した 36だけど、 とうとうその街にドイツ領事館できちゃった… 10年以上もやだって言い続けたのに… 599 :本当に漏れた怖い餡子:2005/11/24(日) 16 32 18 ID SoLtsOlT 10年以上ねばった 38さん乙です お兄さん元気出して下さるといいですね 433 :1/2:2009/07/03(金) 17 43 36 ID ??? 691塩鮭のある生活2009/05/09(土) 11 59 51.91 ID jp/SiooTa ラーメン道には整然とした決まりごとがございます。 「はい、お待ち」などといって目の前に熱々のラーメンが運ばれてきます。 当然のことですがカウンターに座るのは決まっています、 間違ってもテーブル席などに座る事のなきよう。 カウンターが埋まっている場合は出直します。 さて、運ばれたラーメンを鑑賞します、スープの色、麺とスープの 微妙な対比、表面に若干見える麺からスープの中に隠れる麺への移行は 天山山脈を抱くタクラマカン砂漠の稜線のごとくたおやかでなければ行けません。 そしてトッピング、昨今は色々訳の解らないものを載せたがる店が 多い中メンマとチャーシューだけは外せませんし外している店に 出くわしたら速攻金をたたきつけて退店するはラーメン道の本懐。 まず香りを味わいます、個々の店の腕の見せ所ですから、いきなり 蓮華などを持つのは決まりごとに反します、店の自慢のスープの香を 堪能します、そしておもむろに蓮華を持ち一掬い、蓮華へのこだわりも あります、ラーメン道を極めた者はマイ蓮華マイ象牙箸は必携、鼻の先で 改めてスープの香りを味わい蓮華を縦90度に運びユルリと口に運びます。 口中に広がる自慢のスープを舌で転がしスープ材を聞きます、 (スープにですぞ、店員にではありません) その時点で自分の経験値から不合格を感じたら金をたたきつけ退店します。 合格ラインに入っているなら喉を通してみます。 口の中のスープの残り具合、これは油っぽいということではなく良質の スープなら残りません、残り香の堪能も含めて味わうべし。 いよいよ麺に取り掛かりますが、箸で挟んで持ち上げてみて麺への スープの絡み具合を観察します、麺に沿って流れ落ちるスープは まさに黄河の如くたおやかでなければいけません、そして 柳に降る春雨の如く色気がなければいけません 傘のしずくの様な素っ気無い流れ落ち方なら代金たたきつけ物です。 麺を口に運び茹で具合、口中での太さのバランスを味わいますが、 この時点では失格物でも吐き出すことはラーメン道に反するので あえて飲み込みます、そして蓮華象牙箸を終い、ここまでこなければ 見抜けなかった己のラーメン道の未熟さに頭を垂れて引き下がりましょう、 合格ラインに到達していれば後はわき目も振らず一心に平らげましょう。 スープも残らず飲み干すのが合格者への礼儀です。 蓮華象牙箸を終いながら賛辞を贈りましょう、勝者への礼儀です。 445 :1/2:2009/07/03(金) 19 35 24 ID ??? ケンカを一言で止めたやつが優勝 53 名前: 以下、名無しにかわりまして普憫がお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 13 53 25.37 ID prussia 洪「いいわよ、続けて。今度の新刊のネタにさせて貰うから」 76 名前: 以下、名無しにかわりまして親分がお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 14 30 10.01 ID espana フランス「よし、こうなったらとことん腹割って話そう!お兄さんも付き合うよ。じゃあまずは裸の付き合いから…」 96 名前: 以下、名無しにかわりましてフツメンがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 12 44.23 ID lietuva 露「どうせ皆ロシアになるんだから下らない事で喧嘩しないでよ^J^」 110 名前: 以下、名無しにかわりましてメタボがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 45 42.06 ID america 英「お前ら腹減ってるからそんなにカリカリしてるんだ、待ってろ今スコーン焼いてるから」 なにが恐ろしいって体験談なんだぞ 111 名前: 以下、名無しにかわりまして全裸でお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 49 40.89 ID france . 110 優勝 112 名前: 以下、名無しにかわりましてムキムキがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 51 05.73 ID deutschland . 110 優勝 113 名前: 以下、名無しにかわりまして二次オタがお送りします [sage] 投稿日: 2009/07/03(金) 15 53 50.89 ID japan . 110 これは勝てませんね… 114 名前: 以下、名無しにかわりましてシスコンがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 54 36.51 ID helvetia こうして世界は平和になったのである… ―完― 115 名前: 以下、名無しにかわりましてメシマズがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 54 37.59 ID unitedkingdom やっぱりうまいモン食えばイライラも治まるよな! 116 名前: 以下、名無しにかわりまして誰?がお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 55 18.40 ID ???????? . 115 えっ 117 名前: 以下、名無しにかわりましてヘタレがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 16 00 40.84 ID italia . 115 ヴぇっ 118 名前: 以下、名無しにかわりましてヒマワリがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 16 02 54.69 ID Россия . 115 . 115 . 115 119 名前: 以下、名無しにかわりましてDAI語でお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 16 07 08.68 ID hongkong . 115 なにそれスキュアリー 450 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 20 08 38 ID ??? 国の発生の謎スレ 102 名前:にしん名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(一) 19 12 47 ID ippann 知人から国誕生の瞬間の話を聞いたんだがこれって新説かな。 19世紀、ある学者がある国で見かけた光景だ。 満月の夜に国民が100人ほど集まって殴り合いを始めた。 一晩かけた殴り合いが終わる頃には人々の数は101人になっていた。 殴り合いに参加した国民たちにも誰が増えたのかわからない。 この時の増えた一人がゆっくり自我を形成して国になっていったそうだ。 ちなみにそのある学者は、この光景を見て寝込んだそうで学説として発表には至らなかったそうだ。 103 名前:すずき名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(般) 19 22 50 ID itipann 怪しすぎるぞw都市伝説だろwww …うちの国だったら縄文人の殴り合いかな? 104 名前:かれい名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(人) 19 25 02 ID ninnin 関東人と関西人だろ 105 名前:いわし名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(達) 19 31 17 ID zinzin 弥生人と縄文人と関東人と関西人が混ざって殴り合ったんだろwJKwww 106 名前:韓韓名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(韓) 19 38 22 ID kankokku 醜い争いはやめるんだぜ! 日本は俺がコブシを痛めて生んだ子なんだぜ!! 107 名前:日日名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(日) 19 45 47 ID nihho-n . 106 こんにちは。 アメリカさんとロシアさんの殴り合いで生まれた方。 453 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 20 32 05 ID ??? ◆マイケル・ジャクソンのライブチケット払い戻し開始へ… 払い戻し放棄の場合、特別デザインのチケットを入手可能 185 名無しさん@米国です 2009/07/02(木) 15 18 33 ID WeL0VePOp 払い戻しなんてしない いつかわからないけど俺があっちに行った時に、チケット無くて公演みれなかったら困るんだぞXDDDD 455 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 20 51 15 ID ??? 昔を振り返るスレ 210:以下、名無しに変わりましてカンフーがお送りします 投稿日:2009/05/27(中) 13 20 14.22 ID Aruuuuuu0 うーん、四千年も前あるからうろ覚えある。 気が付いたころから戦ってた気がするある……はあ… 221:以下、名無しに変わりまして塩がお送りします 投稿日:2009/05/27(日) 13 25 10.66 ID nihonjpn0 私が国なのだと気付いたのは紀元前660年頃ですが、縄文時代の記憶がうっすらあります 粘土をこねこねして土器作って「わーい土器できたよー」なんて言ってました あと土器を飾り付けたくなって、余った粘土を土器にはっつけて「わーい模様ついたー」とか言いながらわいわいやってましたね 今思えばあの頃がある意味一番平和だったように思います 230:以下、名無しに変わりましてパスタがお送りします 投稿日:2009/05/27(伊) 13 31 53.02 ID 4wa8suta0 ヴェー、振り返ってみたけどあんまりいい思い出ないや… 238:以下、名無しに変わりましてゲルマンがお送りします 投稿日:2009/05/27(ゲ) 13 34 44.82 ID GeRU/manO 大移動きつい 458 :1/2:2009/07/03(金) 20 58 24 ID ??? フランス時間つか、一部お下品ネタ 思わず吹きだす世界史用語 3 名前: フランセーズ@名無史さん投稿日: 2009/01/30(仏) 13 05 00 0 金玉均 きんた(ry 7 名前: ドイチュラント@名無史さん投稿日: 2009/01/30(独) 13 43 33 0 マジマジ蜂起 23 名前: ユナイテッド・ステイツ@名無史さん投稿日: 2009/01/30(米) 13 46 58 O ニョロ王国 82 名前: ポルスカ@名無史さん投稿日: 2009/01/30(波) 14 06 50 0 マンコ・カパック え、何笑ってんの 歴史用語だし。クスコの王様だし 210 名前: ミスル@名無史さん投稿日: 2009/01/30(埃) 16 25 14 0 チョイバルサン 538 名前:ニホン@名無史さん投稿日: 2009/01/30(日) 16 27 10 0 『アメリカ合衆国皇帝にしてメキシコの守護者』 今の俺に触れるな!見えぬのか…邪気眼を持たぬ者には… 772 名前: イングランド@名無史さん 投稿日: 2009/01/31(英) 01 24 08 0 無敵艦隊 773 名前: エスパーニャ@名無史さん投稿日: 2009/01/31(西) 12 59 38 0 . 772 ちょっと話したいことがあんねん 後で来てくれる? 998 名前: ヂョングオ@名無史さん投稿日: 2009/01/31(中) 13 10 35 O 宇宙大将軍以外ありえねーある 1000 名前: シァンガン@名無史さん 投稿日: 2009/02/01(香) 08 31 11 0 1だけど、何こんなクソスレ1000まで伸ばしてんスか マジパネェ 466 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 21 31 24 ID ??? WW2中にアメリカがパソコン使ってたし 185 名前:以下、名無しにかわりましてメシマズがお送りします[sage] 投稿日:2009/07/02(英) 05 18 40.60 ID h0@ta/uk 以前弟がパソコン使ってるとき近く行ったら焦って消してたから何かと思って検索履歴見たら 独立の仕方とか検索してあった俺涙目ww 188 名前:以下、名無しにかわりまして普憫がお送りします[] 投稿日:2009/07/02(普) 05 24 49.37 ID pr0i1000 . 185 同じシチュに遭遇したもんで後でからかってやろうと思って履歴調べたら 「兄 プレゼント 嬉しい」でググっててちょっと泣いた 474 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 21 57 27 ID ??? 【どこで】国家の成人式【やった?】 1 :名無しさん@HOME :2009/07/03(金) 20 31 14 ID eros/0230 お前らどこで成人した?お兄さん昔過ぎて覚えてないけど若い国なら覚えてるだろ? 2 :名無しさん@HOME :2009/07/03(金) 20 42 36 ID usa/ice/0 育ての兄との独立戦争に辛勝した瞬間、戦場でだったんだぞ 雨は降ってるわ決着は付いたもののまだ互いの軍がマスケット構えてるわ 辛気臭くて辛気臭くて仕方なかったよ! 3 :名無しさん@HOME :2009/07/03(金) 20 53 41 ID dit/Muki0 ヴェルサイユ宮殿だったな そろそろ成人式だという話をしていたら兄貴が張り切って貸し切りにしたんだ オプションで戴冠式まで付いてきて、さすがにやり過ぎだと思ったが、今となってはいい思い出だ 4 :名無しさん@HOME :2009/07/03(金) 21 09 58 ID eros/0230 あー、特定したかも お兄さんそれどっちも参加してるわ というか 3、 い つ か お ぼ え て ろ よ 475 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 21 58 38 ID ??? 47 名前 二次嫁募集中。。。 投稿日 2009/07/01(日) 12 19 21.11 0 1000円の日なんで仕事さぼってエヴァ見に行ったら上司とばったり出会った 「こんな時どんな顔すれば良いか分からないの」って言ったら「笑えば良いと思うよ」て返された もう少しこの人が上司で良いと思った 479 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 22 33 51 ID ??? 344 名前:([∂]ω[∂]) [] 投稿日:2009/07/02(木) 16 48 20 0 アメリカの逆襲!「セクシーメイド・フィギュア」を日本に売るでゲイツ! メイド好きの日本に買わせるんだぞXDDDDDDDDDDDDDD http //www.null-box.com/cgi-bin/so/No_20916.jpg http //www.null-box.com/cgi-bin/so/No_20917.jpg 345 名前:cレ甘_甘)[] 投稿日:2009/07/02(木) 16 48 20 0 遺憾の意 489 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 18 07 ID ??? 194 名前:海上要塞名無しさん 投稿日:2007/06/18(海) 09 15 55 ID Sea-kun0 世界会議の打ち上げでカナダと話してたパパが 「俺もフィンもEU加盟は95年だなぃ」て言ったら、 その隣で飲んでたイギリスのやろーが 「95年とかつい最近じゃねーか、ひくっつーんだよ!」 とか叫びやがって場の空気が少し悪くなったですよ。 すると、向かい側にいたポーランドが 「95年でこんな空気なるんだったら2004年加盟の俺はどうなるんだしー」 って立ち上がったです。 さらにラトビアの隣にいた真面目そうなエストニアが 「かくいう僕も2004年加盟でしてね(メガネクイッ」 と立ち上がり、みんな大爆笑。 続いて、明らかに仮面つけてにやにやしたトルコが 「未加盟国の俺からすりゃ、お前らなんかまだまだよ!」 と立ち上がり、会場は大盛り上がり。 みんなは「未加盟キター!!」 2004年加盟の二人も 「未加盟は卑怯だし~」 「そうですよ~。僕なんかただでさえ2004年加盟国多くて埋もれがちなのに」 と続いて三人の独断場でした。 イギリスのやろーも最初は 「未加盟国と後発加盟国がなに勝手に盛り上がってんだよ?」なんて ブツブツ言ってたけど、最後には何も喋らなくなっていたですよー。 シーくんなんか未承認国だから、ちょっとスッキリしました。 494 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 29 36 ID ??? 74 ブルスト名無しさん 2007/04/10(火) 18 26 11 ID iMo/mUki 国家の大事な式典の間中、 フラワーロックンロールがスピーチに合わせてウネウネしていた。 隣の兄貴も揺れていた。頭の上の小鳥も一緒だった。 皆、笑いを堪えるのに必死だった。 76 エスカルゴ名無しさん 2007/04/10(火) 19 26 01 ID o23/Rose . 74 しまっとけよそんなもんw 501 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 46 36 ID ??? しまっとけって、兄貴までか? それとも小鳥もか? 502 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 51 21 ID ??? しまっちゃう兄さん 503 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 56 20 ID ??? しまった!兄さんが…! 30スレ目次 次
https://w.atwiki.jp/kakis/pages/10593.html
最上位標目 資料集 上位標目 新生アルカ資料集 同位標目 新生アルカ言語資料 新生アルカフォント資料 新生アルカ辞書資料 新生アルカ方言資料 新生アルカ文学資料 光景追憶資料 新生アルカ絵画資料 新生アルカその他資料 地図資料 新生アルカ音声資料 新生アルカ動画資料 下位標目 古期絵画資料 90年代ごろの古い絵画資料は古期絵画資料を参照 絵画varde ik sord 紫苑シリーズ 夢織シリーズ ねこの郵便屋さん 人工言語アルカ板 『アリスのアトリエ』luka t'arkatis 漫画ねこにっき登場人物 本編 紫苑の書 写真 絵画 セレン=アルバザード "pilp.jpg" 人工言語アルカ 08/02/24 ※人工言語憩いの場に出現した荒らしをからかったもの。 セレン=アルバザード "mel_lis.jpg" 人工言語アルカ 資料室 2008/07/08 13 21 GMT セレン=アルバザード "mel_keetoia.jpg" 人工言語アルカ axlei495 2008/07/15 10 11 GMT セレン=アルバザード "meltaso.png" 人工言語アルカ すっかりセレンとリディアに騙されてたのを知ったときの思春期メルたそ 2008/11/04 14 09 GMT セレン=アルバザード "mitora.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ 661レス 2008/11/28 0 13 ※mitora想像図 セレン=アルバザード "sanlxia.gif" 人工言語アルカ axlei697 2009/02/02 (月) 18 16 49 ※シア。したがき。 セレン=アルバザード "balmas.jpg" 人工言語アルカ アルカとは 2009/02/21 9 50 ※アルカの世界観を紹介するコラージュ作品、kakis, nias, mel, ridiaなどの作品が含まれる。 セレン=アルバザード "jikkenxia.jpg" 人工言語アルカ axlei747 2009/03/24 (火) 15 10 31 ※ミトラまたはxia arbazard セレン=アルバザード "xiaretoro.jpg" 人工言語アルカ axlei747 2009/03/24 (火) 15 10 31 ※ミトラまたはxia arbazard。線画に色をつける。 セレン=アルバザード "dasdaのコピー.jpg" 人工言語アルカ axlei747 2009/03/24 (火) 15 10 31 ※色をつけた線画。 セレン=アルバザード "しあけーぷ.jpg" 人工言語アルカ axlei748 2009/03/25 (水) 19 35 38 ※しあけーぷ セレン=アルバザード "lals.jpg" 人工言語アルカ axlei748 2009/03/25 (水) 19 36 33 ※しあけーぷの小型版 セレン=アルバザード "しあけーぷ3.jpg" 人工言語アルカ axlei748-2 2009/03/25 (水) 21 14 47 ※しあけーぷ。デジタル水彩 セレン=アルバザード "nekoxia.jpg" 人工言語アルカ kn2 2009/03/28 (土) 10 19 55 ※ねことしあ nias "luni sou.jpg" 人工言語アルカ板 録霊徒然草スレ2 28 2009/08/27(木) 01 07 00 撮影日 2009/08/27 0 49 ※ルニ=・д・= 擬人化 セレン=アルバザード "ridia_lutia_fian.jpg" 人工言語アルカ 芸術資料 2009/10/17 10 38 ※リディアの7歳前後の唯一の写真をもとに。 鉛筆画。18年ごろ。 ※正確には2007年9月23日に書いたと思われるmoitoiims.jpg 2007年9月24日 (月)の顔部分のアップであり、本来この絵はルシア=アルバザードが七歳の時の姿を想像して書いたものである(娘ルシアの肖像画と少女リディア)。 セレン=アルバザード "mel_keetoia_mana.jpg" 人工言語アルカ 芸術資料 2009/10/17 10 38 ※2007/07/16 03 03に公開されたpilmel.jpgの顔部分のアップと思われる(メル=ケートイア)。 セレン=アルバザード "yun_liiza_lutia.jpg" 人工言語アルカ 芸術資料 2009/10/17 10 38 ※リーザ先生。先生を元に。 鉛筆画。18年ごろ。 ※正確には2007年9月29日から30日に書かれたmanaxia.jpgの顔部分のアップであり、本来はルシア=アルバザード18歳の想像図である(lamka はじめての場所)。 varde ik sord セレン=アルバザード "varde1.jpg" 人工言語アルカ axlei498 2008/07/18 14 36 GMT セレン=アルバザード "varde_rein.jpg" 人工言語アルカ axlei500 2008/07/20 2 03 GMT セレン=アルバザード "vers1.jpg" 人工言語アルカ axlei500-2 2008/07/20 7 58 GMT セレン=アルバザード "vers2.jpg" 人工言語アルカ axlei500-2 2008/07/20 7 58 GMT セレン=アルバザード "varde.jpg" 人工言語アルカ axlei502 2008/07/22 9 45 GMT 紫苑シリーズ はじめてのアルカについては言語資料はじめてのアルカを参照。 nias "lein.png" 人工言語@BB arka アルカ An overview of Arka's structure translated into English 44 アルカの位相 2008/1/23 02 14 lein@アルカ改定中 セレン=アルバザード "unilein.jpg" 人工言語アルカ 08/02/02 ※レイン(猫) リディア=ルティア "genga.jpg" 人工言語アルカ 08/02/02 ※レイン(猫)の原画。リディア氏の自画像 セレン=アルバザード "ridiamizki.jpg" 人工言語アルカ axlei520 2008/08/09 22 07 ※水月リディア(幼女) セレン=アルバザード "manaxion.jpg" 人工言語アルカ らくがき帳 制服紫苑 2008/08/10 (日) 22 23 33 nias "xion_tati.RIF" 人工言語アルカ板 雑談スレ 545レス 2008/10/17 15 18 GMT ※紫苑の立ち絵。Corel Painterで起動。 nias "eletvetr.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ 545レス 2008/10/17 15 18 GMT ※紫苑の立ち絵(サンプル) セレン=アルバザード "xion_yuuyu.jpg" 人工言語アルカ板 雑談スレ 548レス 2008/10/17 16 54 GMT ※紫苑の立ち絵 nias "xion_tati.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ 549レス 2008/10/18 1 16 GMT ※紫苑の立ち絵。GIMPなどで遊べる模様 セレン=アルバザード "elet.gif" 人工言語アルカ板 雑談スレ 550レス 2008/10/18 4 50 GMT ※表情案 セレン=アルバザード "lein_ji.png" 人工言語アルカ レイン 2008/11/27 (木) 12 04 58 ※レイン nias "lein_tati.RIF" 人工言語アルカ板 雑談スレ 676レス 2008/12/01 14 53 ※レインの立ち絵(Corel Painterで開く) nias "lein_tati_vetr.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ 676レス 2008/12/01 14 53 ※レインの立ち絵。サンプル セレン=アルバザード "lein_lenas.jpg" 人工言語アルカ板 雑談スレ 677レス 2008/12/01 17 09 ※レインの立ち絵。nias氏の絵を組み合わせたもの。 セレン=アルバザード "lein_uniuni.jpg" 人工言語アルカ板 雑談スレ 678レス 2008/12/01 17 24 ※レインの立ち絵。nias氏の絵を組み合わせたもの。 nias "lein_tati_090127.RIF" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 377 2009/01/26 17 42 GMT ※レインの立ち絵。半目など追加 nias "xion_tati_090127.RIF" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 377 2009/01/26 17 41 GMT ※紫苑の立ち絵。半目など追加 nias "xien.png" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 409 2009/02/02 22 31 ※紫苑支援 nias "alisin.jpg" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 597 2009/03/28 4 56 ※紫苑の書の表紙『きんもくせいのさく頃に』 nias "lei e xion.psd" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 597 2009/03/28 4 59 ※紫苑の書の表紙。photoshopで開く。 nias "lei e xion_sink.jpg" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 659 2009/04/06 16 39 GMT ※紫苑の書 表紙 セレン=アルバザード "xion_kitleis.jpg" 人工言語アルカ axlei761 2009/04/07 (火) 14 21 41 ※羽月紫苑(口絵) セレン=アルバザード "lein_kitleis.jpg" 人工言語アルカ axlei761 2009/04/07 (火) 14 21 41 ※レイン=ユティア(口絵) nias "lei e xion_sink2.jpg" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 659 2009/04/07 16 59 GMT ※紫苑の書 表紙 ロゴ追加 nias "lei e xion_sink3.jpg" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 659 2009/04/07 16 59 GMT ※紫苑の書 表紙 文字を小さくして目立たなくし、40%薄くしたもの。 nias "lei e xion2.psd" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 659 2009/04/07 16 59 GMT ※紫苑の書 表紙 セレン=アルバザード "lei e xion3.jpg" 人工言語アルカ axlei762 2009/04/08 (水) 07 24 11 ※nias氏の作った表紙のロゴ色変更(青、元の色) セレン=アルバザード "lei e xion4.jpg" 人工言語アルカ axlei762 2009/04/08 (水) 07 24 11 ※nias氏の作った表紙のロゴ色変更(うぐいす色) セレン=アルバザード "lei e xion5.jpg" 人工言語アルカ axlei762 2009/04/08 (水) 07 24 11 ※nias氏の作った表紙のロゴ色変更(紫) セレン=アルバザード "aliaのコピー.jpg" 人工言語アルカ axlei762-2 2009/04/08 (水) 19 27 17 ※新キャラ(ペインターによる) セレン=アルバザード "alia3のコピー.jpg" 人工言語アルカ axlei762-2 2009/04/08 (水) 19 27 17 ※新キャラ(線画スキャン→デジタル水彩) セレン=アルバザード "lein763_zomk.jpg" 人工言語アルカ axlei763 2009/04/09 (木) 18 13 06 ※レイン。下絵 セレン=アルバザード "lein763_nim.jpg" 人工言語アルカ axlei763 2009/04/09 (木) 18 13 06 ※レイン。ブラシ:アクリル細密(稜線は10%程度で濃い色を。それ以外は20%以上)、ブレンド丸筆、紙目水筆、ぼかし セレン=アルバザード "lein763_nim.jpg" 人工言語アルカ axlei763 2009/04/09 (木) 18 17 59 ※上の小サイズ nias "3D_lein.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 18 2009/04/12 8 23 GMT ※カスタム美少女をつかったレイン nias "3D_xion.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 18 2009/04/12 8 23 GMT ※カスタム美少女をつかった紫苑 nias "xion.tdcgsav.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 21 2009/04/12 11 32 GMT ※カスタム美少女をつかった紫苑 nias "lein.tdcgsav.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 21 2009/04/12 11 32 GMT ※カスタム美少女をつかったレイン セレン=アルバザード "arxe_kitleis_lis.jpg" 人工言語アルカ板 録霊徒然草スレ 728 2009/04/28 13 10 GMT ※アルシェ 下絵 小 夢織シリーズ nias "axte.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 nias "flea2.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 nias "flea4.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 nias "gimel.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 nias "gimelhaiz.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 セレン=アルバザード "sae.jpg" 人工言語アルカ axlei517 2008/08/06 23 49 セレン=アルバザード "gimel.jpg" 人工言語アルカ らくがき帳 死神ギメル 2008/08/10 (日) 22 24 13 セレン=アルバザード "saelax.jpg" 人工言語アルカ板 雑談スレ 239レス 2008/08/20 10 15 GMT ※セルティアを欲しがる紗枝 nias "axte_wem_q.png" 人工言語アルカ板 夢織の最終話をコラボするスレ 34 2008/12/22(月) 20 08 08 2008/12/22 11 08 GMT ※『夢織 春』の紗枝が死神の目をアシュテに授けるところ nias "eria.png" Honeydew rain out of the blue pulleis 2009/02/18 (水) 21 25 42 より前 ※エリア=イネアート nias "fialent.png" Honeydew rain out of the blue pulleis 2009/02/19 (木) 02 58 34 ※悠姫と詩姫 nias "estel.png" Honeydew rain out of the blue pulleis 2009/02/19 (木) 23 41 22 ※エステル=ナオン セレン=アルバザード "xiervaik.gif" 人工言語アルカ 小説の1シーン 2009/02/21 10 02 ※『夢織 冬』の1シーン。挿絵はnias氏のestel.png セレン=アルバザード "sae_fels.jpg" 人工言語アルカ axlei752-2 2009/03/29 (日) 19 55 01 ※紗枝、制服 セレン=アルバザード "sae_leina.jpg" 人工言語アルカ axlei752-2 2009/03/29 19 54 ※紗枝、レイナ nias "4627887.png" pixiv 「xiki del diaset」 / 「nias」のイラスト[pixiv] http //www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=4627887 2009年06月08日 02 42 ※詩姫 nias "xiki_nim_alt.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 215 2009/06/08(月) 18 35 18 2009/06/08 18 33 ※詩姫 色違い nias "yuuk_nim.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 219 2009/06/09(火) 02 19 52 2009/06/09 2 19追加 2009/06/09 2 26更新 ※悠姫 nias "yuuk_nim2.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 222 2009/06/10(水) 02 37 52 2009/06/10 2 36 ※悠姫2 nias "gimel_nim.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 222 2009/06/10(水) 02 37 52 2009/06/10 2 36 ※ギメル nias "xiki.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 226 2009/06/11(木) 05 57 08 2009/06/11 5 54 ※詩姫(PSDファイル) nias "yuuki.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 226 2009/06/11(木) 05 57 08 2009/06/11 5 55 ※悠姫(PSDファイル) nias "gimel.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 226 2009/06/11(木) 05 57 08 2009/06/11 5 55 ※ギメル(PSDファイル) nias "lanvem_nim.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 229 2009/06/12(金) 02 54 13 2009/06/12 2 53 ※青鴉 nias "sae_leina.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 239 2009/06/13(土) 11 00 15 2009/06/13 10 58 ※紗枝(レイナ着用)と青鴉 nias "sae.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 239 2009/06/13(土) 11 00 15 2009/06/13 10 58 2009/06/13 10 59 ※紗枝(PSDファイル) セレン=アルバザード "melidia_alis.jpg" 人工言語アルカ 文学資料 2009/07/13 (月) 09 29 02 ※『夢織 秋』の表紙。nias氏のsae_leina.pngを加工したもの nias "yuuki2.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 372 2009/09/09(水) 06 43 42 2009/09/09 6 40 ※悠姫2 ねこの郵便屋さん セレン=アルバザード "luni1.jpg" 人工言語アルカ しあとルニの出会い 2008/09/10 21 49 45 ※しあとルニの出会い セレン=アルバザード "luni2.jpg" 人工言語アルカ ねこの郵便屋さん 2008/09/10 21 50 36 ※ねこの郵便屋さん セレン=アルバザード "luni3.jpg" 人工言語アルカ いってらっしゃい 2008/09/10 21 51 32 ※いってらっしゃい 人工言語アルカ板 Kakis Erl Sax slez_t_arka.jpg 人工言語アルカ板 2008/07/22 11 35 ※人工言語アルカ板の最初のヘッダー画像。絵はarka01ににあるunilei5による。使用フォントは明朝lutiaなど Kakis Erl Sax slez_t_arka2.jpg 人工言語アルカ板 2008/07/22 21 59 ※人工言語アルカ板の背景に使おうとしたが結局使わなかった。使用フォントは明朝lutia Kakis Erl Sax slez_t_arka3.jpg 人工言語アルカ板 2008/11/27 20 15 ※人工言語アルカ板の二代目のヘッダー画像。絵はlein_ji.png。使用フォントは明朝hailen, 恋文ペン字、明朝taphacである。 Kakis Erl Sax slez_t_arka4.jpg 人工言語アルカ板 2008年11月28日、18 21 20 ※人工言語アルカ板の三代目のヘッダー画像。明朝hailenの修正に伴い直した。 Kakis Erl Sax slez_t_arka5.jpg 人工言語アルカ板 2008年11月28日、20 41 56 ※人工言語アルカ板のヘッダー画像。実際には用いられることはなかった。元画像はmitora.png。フォントは明朝manahac、富士POPなど Kakis Erl Sax slez_t_arka6.jpg 人工言語アルカ板 2008年12月1日、22 27 00 ※人工言語アルカ板の四代目ヘッダー画像。元画像はlein_uniuni.jpg。フォントは明朝manahac、富士POP、明朝taphacなど 『アリスのアトリエ』 セレン=アルバザード "alis_pul.jpg" 人工言語アルカ axlei851 2009/07/06 (月) 06 26 36 ※アリス=アンシャル (白黒) セレン=アルバザード "alis_asp1.jpg" 人工言語アルカ axlei851-2 2009/07/06 (月) 10 52 24 ※アリス=アンシャル セレン=アルバザード "alis_asp2.jpg" 人工言語アルカ axlei851-3 2009/07/06 (月) 12 53 06 ※アリス=アンシャル セレン=アルバザード "alis_arzon11_lis.jpg" 人工言語アルカ axlei853 2009/07/08 (水) 19 44 12 ※『アリスのアトリエ』の表紙絵 セレン=アルバザード "alis_arzon12_lis.jpg" 人工言語アルカ axlei853 2009/07/06 (月) 12 53 06 ※『アリスのアトリエ』の表紙絵 luka t'arkatis Kakis Erl Sax "k-ixm0912091.gif 録霊徒然草 なんとなくお絵かきだよ。 2009/12/10 16 07 作成 ※"luka t'arkatis"イメージイラスト 1 Kakis Erl Sax "k-ixm0912092.gif 録霊徒然草 なんとなくお絵かきだよ。 2009/12/10 16 10 作成 ※"luka t'arkatis"イメージイラスト 2 Kakis Erl Sax "k-ixm0912093.gif 録霊徒然草 なんとなくお絵かきだよ。 2009/12/10 16 16 作成 ※"luka t'arkatis"イメージイラスト 3 漫画 ねこにっき 登場人物 セレン=アルバザード "xia.jpg" 人工言語アルカ しあ 2008/09/28 19 21 27 ※しあ(ねこにっき) セレン=アルバザード "miifa.jpg" 人工言語アルカ みーふぁ 2008/09/28 19 33 43 ※みーふぁ(ねこにっき) セレン=アルバザード "yuule.jpg" 人工言語アルカ ゆーれ 2008/09/28 19 40 50 ※ゆーれ(ねこにっき) セレン=アルバザード "feel.jpg" 人工言語アルカ ふぇーる 2008/09/28 19 49 20 ※ふぇーる(ねこにっき) セレン=アルバザード "liiza.jpg" 人工言語アルカ りーざ先生 2008/09/28 20 01 11 ※りーざ先生(ねこにっき) セレン=アルバザード "palue.jpg" 人工言語アルカ ひだまり 2008/09/28 20 06 08 ※ひだまり(ねこにっき) 本編 セレン=アルバザード "unilei1.jpg" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/20 8 46 GMT ※『ねこにっき』 「おぼえてるよ」 セレン=アルバザード "unilei2zomk.jpg" 人工言語アルカ axlei563 2008/09/21 8 14 GMT ※ねこにっき2の下書き セレン=アルバザード "unilei02.jpg" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/21 8 11 GMT ※『ねこにっき』 「転校しなくちゃ!」 セレン=アルバザード "unilei1.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/28 8 45 GMT ※『ねこにっき』1 「おぼえてるよ」 セレン=アルバザード "unilei02.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/28 8 45 GMT ※『ねこにっき』2 「転校しなくちゃ!」 セレン=アルバザード "unilei3.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/28 8 45 GMT ※『ねこにっき』3 「魔法少女ユーレちゃん」 セレン=アルバザード "unilei04.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/10/05 2 42 GMT ※『ねこにっき』4 「現実織」 セレン=アルバザード "unilei05.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/10/12 6 28 GMT ※『ねこにっき』5 「19.5cm」 セレン=アルバザード "unilei06.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/10/19 6 25 GMT ※『ねこにっき』6 「ひだまり」 セレン=アルバザード "unilei07.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/10/26 1 20 GMT ※『ねこにっき』7 「よく受かったね」 セレン=アルバザード "unilei8.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/11/02 10 44 GMT ※『ねこにっき』8 「いやちょっと引き算しようかとorz」 セレン=アルバザード "unilei9.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/11/09 0 12 GMT ※『ねこにっき』9 「♪大人の事情~ 」 セレン=アルバザード "unilei10.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/11/16 9 12 GMT ※『ねこにっき』10 「牛乳に相談だ 」 紫苑の書 nias "xalexion.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ 424レス 2008/09/20 20 14 GMT ※Comic Studioの体験版使用の『紫苑の書』の漫画。"lein! lein!"のシーン。 写真 光景追憶については光景追憶資料を参照 セレン=アルバザード "nalta.jpg" 人工言語アルカ axlei768 2009/04/14 (火) 14 45 08 ※naltaの語源になった道 最上位標目 資料集 上位標目 新生アルカ資料集 同位標目 新生アルカ言語資料 新生アルカフォント資料 新生アルカ辞書資料 新生アルカ方言資料 新生アルカ文学資料 光景追憶資料 新生アルカ絵画資料 新生アルカその他資料 地図資料 新生アルカ音声資料 新生アルカ動画資料 下位標目 古期絵画資料
https://w.atwiki.jp/atohone/pages/46.html
高位北国人+名パイロット+黒い舞踏子+ブリザードパイロット 高位北国人+名パイロット+黒い舞踏子+ブリザードパイロット設定文あるいは後ほねっこにおける日常の一幕 おまけの3コマ漫画+衣装デザイン+特別画像3つ 一般性能開示チェック用URL 設定文あるいは後ほねっこにおける日常の一幕 六つ斑飛行場の近く、稼業を終えたパイロットや整備士たちが集まる店がある。 ネオンと言うには慎ましい看板が点滅し、アスファルトをピンクや青に染めている。 「えっと、ここで良いのかな?」 たらすじは軽トラックの荷台から降りると、ローブのフードを跳ね上げる。 ぶんぶんと頭を振って灰色がかった白い髪を整える。 空色をした瞳が何となく不安げにその店をのぞき込んだ。 「航路さーん、歓迎会の集合場所……。ですよね、ここ」 答えるように軽トラックがばうんとはね、ぷしゅうと排気を漏らした。 そして、ドアが開きごろごろと転がりだしてくる有象無象。 「ぎゅむー、シートに乗ってたのに荷台のジャガイモみたいな心持ちですよう」 海の色の瞳、人の良さそうな魔法使いが立ち上がって土埃を払う。いも子である。 「む、く。飛行場の備品予算、そんなにけちってないのになぁ」 黒みがかった銀色の髪から埃を落としくしゃみを一つ。これはヤサト。 「ご、ごめん。車がまさかこんなにひどいとは」 運転席から降りてきたのは、2人とは異なるイエロージャンパー姿の航路。 航空用腕時計を見やると予定時刻の3分前、ギリギリセーフと言ったところ。 「書記官さんがいってたのは、このゲームセンターだと思うけど……」 そう言って4人は店に足を踏み入れた。 真っ先に気がつくのは、雑多な喧噪、耳を聾する電子音である。 どうやら間違いはないようで店の中には幾人も略帽やイエロージャンパー姿のパイロット達がいる。 壁際にピンボールが4つ、奥には三面連結モニタの大型筐体にレースゲームが並んでいる。 クレーンゲームやコインゲーム、プリクラなどは一切ない。 ついでに言うなら、色っけもにぎやかさもない。 世にはアミューズメント・センターなどの言葉もあるというのに、真っ向昔懐かし、ちょっといかがわしのゲームセンター。 いわゆるゲーセンだった。 「あ、『式神の城III』が稼働してるー」、「へー50円台なんてあるんだ」 置いてあるゲームの年代は幅広く、20年前のゲームすら現役稼働だった。 シューティング、アクションが多く対戦格闘は少なめ。 見れば壁には各ゲームのハイスコアが記されている。どうも月間で集計しているらしい。 眺めているうち航路はあることに気がつく。ランカーの名前に見覚えがあった。というか、これはコールサインである? 「ASIAって亜細亜ちゃんだよね?」「じゃあ、この最上位を独占しているFBKって、吹雪先生?」 「正確には、吹雪先生の奥さんだがな」 疑問に答えたのは、ほねっこの古強者Millbackだ。日に焼けた肌でにやりと笑う。 「あの車で無事たどり着けたか、おみごと」 と、ちょうど店の奥、パイロット連中がたむろっている一角で歓声が上がる。 どうやらケリがついたな……。 そう呟くとMillbackはたらすじ、航路、いも子をぐいぐいと引っ張ってゆく。 奥にあるのは、シートのついた大型筐体だった。 2台並んでおり、壁の大型スクリーンに画面が映し出されている。 到着した仲間を認め、藩王火足水極はにっかと笑って手を振った。 「よーう! 間に合ったな。これなら、歓迎会の前にランキング作れそうだ」 どーんと爆発音がして、大型筐体がゆれ、中からユーラが放り出されてくる。 ご丁寧だかなんだか、とんがり帽子をかぶせられ首からは“脳みそ半分飛びましたー”とカードがぶら下がっている。 「は、藩王。これ、実戦よりも難しくないですかっ!」 「ふふふ、星鋼京のI=D博物館で試作されてるの借りてきた特別製だからな。 筐体は実機のコクピットをそのまま利用し、描画エンジンや感覚フィードバックはシミュレータに手を入れた究極のゲームマシン! 子供の頃の夢今ここに、大人の力で復活! これが本当の大人買いってヤツだっ!!」 返答に困る航路、たらすじ、いも子。だからどーしろと? 「というわけで、歓迎会の前に各人の腕前を披露してもらおうっ! ふふふ何人生き延びることができるかなぁッ。規定点数に届かなかったヤツは航空基地で一週間の集中訓練をプレゼント!」 「「えええええ~~~ッ!」」 「そ、そんな。よりによって12ターン対応でパイロット外しているときにこんなことやんなくたってッ!」 だがしかし、藩王の命令は絶対。 こうして強制訓練にかり出されるか否かのデスゲームが始まった! 「ぎゃぼー」ヤサト、3面のほねっこ攻防戦にて撃墜。 「うぎゃー」たらすじ、3面の対白オーマ戦にて撃墜。 「わーん」いも子、同じく白のボラー戦にて撃墜。 「どうしたどうした! 根源力即死がないんだぞう、良いとこ見せてみろ!」 当時ボラーを見ただけで撤退した藩王が言えた台詞ではないのだけど調子に乗った馬鹿は止まらない。 まして、アーケードゲームのシューティング・ゲーム、3面以降は難易度が上がるのである。 「くっ、さすがにこれはッ!」航路、4面ダンジョンでダンボール無双中にエネルギー切れ。撃墜。 「っと、ケントなんて久しぶりだ」Millback、5面宇宙戦にて撃墜。 「ははは、どうしたどうした? だらしないぞみんな!」 自分が勝ったわけでもないのに勝ち誇る藩王、三下悪役ムーヴが板についてしまっている。 設定国民に見られたなら、それだけで国民流出が始まりそうな勢いである。 『……駄目だこいつ、早くなんとかしないと』 誰もがそう思った時、バンと店の扉が開いた。 その数は3人。 色鮮やかなイエロー・ジャンパーに濃紺の宇宙軍制服。 しかし、カスタムにカスタムを重ねた制服はもはや、本来の目的。画一化された威圧的なシルエットを備えていない。 裾の各所にレースをあしらい、上着と言うよりもビスチェというのがふさわしい。 しなやかな肢体がえがく美しい稜線、それを鋭角に彩る装いはあくまで挑発的。 「これ以上馬鹿な振る舞いは、たとえ藩王と言えど許しません」 短く切りそろえたプラチナブロンドに白磁の如き肌、その下から覗く頭環は高位北国人の証。 ショートパンツのボーイッシュな姿は凛々しく可憐。 「くーるしゅーたー、深夜。見参」 「しばらく秘書官業務で留守にしてたら……さぁ、どうしてくれましょうか?」 ウェーヴした髪を掻き上げ、ぎらりと目を光らせる。黒ストはデキる女の証。 「ひーとぶらすたー、南天。推参」 「え、えっと、無理を言うのは良くないんじゃないかと」 あふれる黒髪にちょこんと略帽を乗せ、かなり恥ずかしそうにもじもじしながら登場したのはニーソックスの後藤亜細亜。 問答無用、後ほねっこ男爵領のヒロインである。だが、何か言いかけて、口ごもる。 「ほら、亜細亜。教えたでしょう? 決める時に決めるのがヒロインってものよ! いいからやってあげなさい。ここは紳士の社交場、ルールを守って楽しくゲーム……」 うしろから、声を掛けるのはほねっこ最強の存在、吹雪先生の奥さんである。 「く、くいっくさんだー、亜細亜。参上」 そう言って真っ赤になる亜細亜。 そして後ろで満足げにうなずく吹雪先生の奥さんは、びしいっ、と火足水極を指さし言った。 「コイン一枚の前には地位も名誉も関係ないっ。 国王相手だからといって、弾のスピードが落ちる? 自機のボムが増える? 残り時間が増えたりする? しないわ、それが紳士の社交場ゲームセンターの掟。 そこにパワハラを持ち込むなんて、たとえ天が許しても私が許さないッ!」 「ああっ、あれは!」 「み、ミセス・ブリザードッ!」 「この間、50円三枚で3時間粘ってハイスコア全部書き換えていった!」 「ショットボタンが連射に耐えきれず砕けたって言うぜ」 「定規つかって連射してたヤツがフルボッコにされたって」 「やり過ぎてほねっこ城市のゲーセンすべて出禁になったんだろ」 「だから、こんな地の果てまで」 「かわいそ「ぐべらっ……!」 丁寧に紹介してくれたパイロット達、最後の言葉が不明瞭だったのは投げられた椅子を顔面でキャッチする羽目になったからだ。 『だれか吹雪先生に言いつけたほうがいいのでは』 摂政ユーラは言葉を飲み込む。その思慮が彼をここまで命長らえさせてきた。 だが、摂政という外付け良心の沈黙が馬鹿の増長を導く。 「ほほう、奥さんといえども藩王に向かってそのもの言いは無視できませんな? これはパワハラではありませんよ。そう、いうならば友愛のためのテストです、テスト。 いかがですかな? 一勝負」 「だ、だめだ。みんなっ…!」 航路が叫ぶ。 「このゲーム、普通のゲームじゃあ、ない! 途中から、敵の量がッ」 吹雪先生の奥さんはフンと鼻を鳴らす。 「その程度の勝負、あたしが出るまでもない。 あたしの弟子達“ブリザード・パイロット”なら、あのおとなしい亜細亜だって勝てるわ」 (注:ブリザード・パイロットは奥さんからの派生ではありません) 「えええええっ! そ、そんな?」 驚く亜細亜。 「いえ、亜細亜ちゃんが出るまでもないわ。 あの馬鹿藩王には少しばかり熱いお灸を据えてやる必要があるわね」と南天。 「南天さん、この責任まずは留守を預かっていた僕たちに任せてください」 すっくと立った深夜が筐体の前に立つ。 ちーん、音を立てて弾いたコインが、すっぽりと投入口に吸い込まれ「Player 1」と表示が出る。 「勝負です、藩王!」 「む、地上面であえて機体はケントを選ぶ?」 「高速一撃離脱機体で市街戦をクリアする気か?」 一面は地上戦、高速機体の取り回しは困難。そのはずだった。しかし、 「な、なんて精密な操作なんだッ!」 「あの猛攻に全然ひるむ様子がないぞ?」 「まるで精密機械だ」 「つ、冷たい。機体の動きに迷いもためらいもないっ?」 「いや、でも」たらすじが呟く。 「ここから、地獄が……!」 「「こ、これはっ!」」 お前らパイロットやめて解説で飯を食えとツッコまれそうなくらい息のあった掛け合いを続けていたギャラリーが息を呑む。 弾が六分、敵が三分、でたらめといっていい画面である。無理だ、誰もが思った。 「できるわ、ブリザード・パイロットなら」 にやりと笑う吹雪先生の奥さん。そのときギャラリーは信じられないモノを見た。 「ああっ、深夜が逆立ちしているッ!」 「なんであんな無理のある体勢で?」 「待って、あのジョイスティック捌きは」 「そうか、体重移動だ? 全身の体重移動がスムーズな機体操作を可能にしているッ!」 一つ、二つ、三つ。着実に敵を落としてゆく。 深夜、ブリザード・パイロットの面目躍如といったところである。 だがしかし、火足水極は蛇のように笑う。 そして高指向性スピーカーで深夜の耳にだけ届く言葉をささやく。 『ヤガミとは一体何があったのかな?』 「な!?」 瞬間、掌に溢れ出す汗。精妙なコントロールと体勢維持、それを崩すには十分な汗。 爆発音と共に、深夜が放り出される。三角帽で首には“マヌケここに眠る”のボード。 「おやおや、口ほどにもないようですなぁ」 けきょけきょとわらう藩王。突然の不調にはギャラリーは誰も気づかない。 しかし、ブリザード・パイロット達の顔には緊張が走る。 「く、ごめん。みんな!」悔しがる深夜。 その肩を叩いて、南天がステージに上る。 「大丈夫。仇は討つ」 選んだ機体はフェイクトモエリバー。宰相府でも扱った南天の愛機である。 ステージは空中迎撃。高空の覇者を駆って、破滅の炎をまき散らす。 大空の暴君のゆくところ敵は四散し、崩れ落ちる。 まさに破壊、蹂躙、大打撃。玉砕、粉砕、大喝采。といった有様。 「まるで、業火が機体の姿を取っているみたいだ……」呟くのはヤサト。 が、爆炎の中から敵機が一つ。高速機体の出現によりドッグ・ファイトに突入する。 そのとき、南天の目がぎらりと光り額の第三の目が覚醒した(ように見えた)。 風に気がついたのはいも子だった。『空気が、集まっている!?』 その感じ方は正しい。室内にもかかわらず、渺々と吹き付ける風がステージに向かって、いや、南天の筐体に向かって集まってゆく。 「こ、これは一体?」ここぞというタイミングで疑問を口にするたらすじ。 待ち構えていたように解説に入るのはMillbackである。 「上昇気流だ。南天の高速スティック捌きが熱を発し、上昇気流を生み出しているんだ!」 見よ、筐体の上には陽炎がたなびき、風が南天の周りを渦巻いてゆく。 カッと目を見開いた時、南天の体は上昇気流に乗って羽のように舞い上がる! 「な、なんて早いレバー入力!」 「そうか、空中浮揚によってレバー操作にかかる荷重を軽減してるんだ」 「羽毛が触れても動きを拾うほどに鋭敏なレバー操作だ!」 「なんて離れ業なんだ」 「み、見える。羽のように舞うフェイクトモエが!」 敵機を翻弄するフェイクトモエ。 その挙動はまさしく帝國が誇る翼にふさわしい。 だが、その操縦者の耳にまたも悪魔のささやきがきこえてきた。 『なぁ、南天さあ。さすがに現役女子高校生とならんでへそ出しって、年齢考えるとイタくないか?』 大ゴケした。 どっかーん、これは画面で機体が爆発する音。 べちゃ、これは南天が顔から筐体に落下した音。 それこそ、どっかのコントかなにかのように南天は見事なコケを披露し顔からスティックに突っ込んだ。 さすがの大惨事に、強者揃いのパイロット達も一瞬沈黙である。 ああ、アレはイタい。顔も、指摘も何もかも。 哀れ南天、三角帽で放り出される、首のカードには「ぽんぽん冷やしちゃいけません」 まるっきり子供扱いの恥辱である。 「ふふふ、口ほどにもないな南天。あとで、毛糸の腹巻きを医療費として予算計上しておいてやる」 得意絶頂、カリスマウナギ下がり。新国民歓迎の意味が全くなくなっている。 「こ、このままでは藩国の恥部がッ」焦るユーラ。 「大人げない、いろんな意味で大人げないッ!」ため息をつくMillback。 そして藩王は、唇を噛む吹雪先生の奥さんに語りかける。 「ブリザードパイロット。残るは亜細亜ちゃんのみか? どうです、そろそろ伝説のFBKが出ないと話にならないのでは?」 サンダルのまま前に出て、エプロンからがま口を取り出す吹雪先生の奥さん。 ギャラリーにざわめきが走る。 「つ、ついにFBKがッ!」 「どんな技を見せるんだ?」 ――だが、そのとき。 「……亜細亜?」 「やります」 一念発起。きりりと唇を引き締め、亜細亜はコインを弾いた。 「私が今まで遊んできた、このゲーム。絶対に負けない! ゲームでの戦いは、退かない!」 “Player 1 Entry!” 合成音声が弾幕舞踊の始まりを告げた。 「選択機体は、ダンボールか」航路が呟く。 シールドの量が多く、若干の被弾も許される。 何よりも低スピードで扱い易い。初心者向けの機体だ。 クリア重視の自機選択である。 ボムのじょり丸ファイアーも他の機体にくらべて一発多い。 「で、でも。あのゲームにおいてダンボはあくまで操作の習熟に使う機体じゃ」 たらすじが初心者騎士団での経験をもとに指摘。 「そ、そうだよ。銃砲は他に負けちゃいますよ」これはいも子。 その通り、火砲の充実性と機動性では他の機体に一歩劣る。ボス戦までの道中をパターン化していないと、辛い。 「フ、そうね。確かにみんなそう考えるわ」 不敵に笑う吹雪先生の奥さん。 「でも、このゲームでのダンボールの価値は火砲によらないわ」 「白兵戦?」ユーラが弾かれたように顔を上げる。 「たしかにこのゲーム、ダンボの白兵戦は強化されてます。けどっ!?」 「確かに、ダンボは白兵戦で性能を示した。 けれどアレは、陣地形成ができてたり、戦う場所を選べたからだ」 かつてダンボ無双を成し遂げたMillbackが冷静に指摘する。 「まず間合いに入らなければならない。弾幕を避けて敵の懐に入るなんて、そう簡単にはできない」 「どうかしら?」 「中ボス撃破!」 「一面ボスが来た」 「うわああ、すごい極太レーザーだ」 「避ける隙間がないぞっ」 「ああっ、亜細亜ちゃんが飛んだ!」 驚くギャラリー。 そう、確かに亜細亜はいま筐体の前で高く飛んだ。 そして、上空で両の手の甲をクロスし、一気に振るう。 電流火花がスパークし、ダンボールの動きが加速する。 「な、なんだ! あの動きは」 「ダンボールが、敵のレーザーをすり抜けている!?」 「いや、瞬間移動しているッ!」 「ダンボールが稲妻のようだ!」 「そう、あれこそがブリザード・パイロット奥義の一つ、ライトニングサンダー!」 「静電気干渉でゲームの基盤に直接干渉、自機のあたり判定を一瞬消失させるという荒技ですっ!」 拳を握り、三角帽子のまま解説する南天と深夜。 「……それってやっぱりチートなnごぺらばっ」 吹雪先生の奥さんの裏拳がヤサトの指摘に強制介入する。 というか、定規連射で人をボコにした人間があの技にはOKってどうなのよ。 「馬鹿ね、道具を使っていない以上、アレは技なのよっ」は、すみません。 亜細亜のダンボールは敵ボスに肉薄、スコップの打ち込みが唸り高速撃破する! ギャラリーの興奮は極大に達した。 「くぅ、このままではいかん」 二面、三面も着実に撃破されてゆき、スコアの伸びも順調。 まさか亜細亜がここまでやると思っていなかった藩王火足水極、亜細亜の弱みなど抑えてはいなかった! 「こうなったなら……!」火足水極は、もう一つの筐体に乗り込み、レバーでコマンドを入力する。 「↑↑↓↓←→←→BABAっと、エクストラステージ、後ほねっこ宮殿!」 ヴィーッ、ヴィーッ、ヴィーッと警報ブザーが鳴り、画面には”Caution!! Gate Open!”の文字。 「ええっ、一体何が?」とまどう亜細亜。 すると画面がぐにゃりと曲がり、ダンボールがそのゆがみに吸い込まれていく。 「こ、これは?」 「ゲートが開いた?」 「この場所は……」 「王城だ!」 その通り。 スクリーンに描かれたのは新王城、なじみ深い後ほねっこ男爵領の町並みである。 粉雪舞う王宮、その真正面に立つのは異形の大型I=D。 ハリネズミのように火砲を備えたそれは、禍々しい砲塔を亜細亜の駆るダンボールに向ける。 「ここまでやるとは、さすがといってやろう。しかし、この私に勝てるかな?」 雪の中から出てくる敵、敵、敵。 大型I=Dの援護射撃を受け、あまたの敵機がダンボールに集中する。 「ふははは! どうだ、怖かろう!!」 あっという間に、緊急回避にボムが費やされ、シールドが減ってゆく。 まがりなりにもクリアを前提に構成されているステージとは異なり、このエクストラ・ステージは藩王の思うがまま。 バランスなど知らぬとばかりに大口径レーザーと誘導ミサイル、浮遊機雷がばらまかれる。 「だ、駄目だ!?」 「残機ゼロ!」 のこるは、画面上一機のみ。 「か、勝てないの?」 呆然とスクリーンを見る亜細亜、そのとき吹雪先生の奥さんが叫んだ! 「亜細亜、忘れちゃ駄目。あなたは1人で戦ってるんじゃない! 確かに筐体の前では1人よ、でもその後ろにあなたの後ろに何人もの仲間がいるの! それを思い出して!」 「くっ」亜細亜は飛んだ、腕をこすり静電気干渉を起こす。 「ふはは、ライトニングサンダーで操作できるのはせいぜい一つの基盤! 二つの基盤に効果を及ぼす電気を腕の振りだけで起こせるモノか! そうれ、後一捻りッ!」 そのとき、ごうと風が吹いた。 「ああッ、あれは!」 「筐体の上に黒雲が?」 「雷雲だッ! なんでこんな所に?」 「深夜の『冷気』と南天の『炎』その強烈な温度差がさっき風を呼んだ。 けれど、亜細亜のオーラがさらにその風を局地的な低気圧とし、積乱雲を作り上げた!」 状況を分析するMillback。 「なんてこった、こんなことが可能だなんて!」 「聞いたことがあります」ユーラが続ける。 「かつて、夏の同人誌即売会中、参加者の熱気が建物の中に雲を作ったことがあるとか」 「今この場の熱気があれば、それくらいのことは可能よ」三角帽子のまま南天が言葉を裏付ける。 ――そう、1人じゃない。 亜細亜の瞳に星が映った。その輝きは、仲間達の信頼の輝き。ゲームに賭けた青春の輝き。 「今よ! 亜細亜、あなたならできる。あのわざを!」 空気がイオン化し、雷鳴がとどろく。 亜細亜の作り出した静電気が二つの筐体に雷撃の道筋を開く。 そして、迅雷の閃光が荒れ狂った! 「ライトニングサンダー……スパークノヴァ!!」 静電干渉場は局地的落雷を呼び、その落雷は火足水極の筐体をも撃った。 「見ろ、ダンボールのスコップが!」 「稲妻を受けて長く伸びてるッ!」 「まるで稲妻の大剣だ」 「く、いかん。まさかここまでの大出力とはッ」離脱をはかる大型I=D。 が、火足水極の操作が一切受け付けられない。 「ま、まさか? 静電気干渉でこちらの操作を奪うなんてッ」悲鳴を上げる火足水極。 「いきますッ!」 神速の踏み込みでダンボールが大型I=Dを捕らえる。 残像を残し、まるで数体ものダンボールがスコップを振るっているかのようだ。 その道筋に触れた敵機はそれだけで爆発し花道を飾った。 棒立ちになった大型I=Dのシールドが瞬くうちに削られた。 そして、轟音。 ”Enemy Defeated!” 静電干渉は筐体の射出システムにも及んだのか。 数倍の強さで放り出された藩王はゆっくりと宙を舞った。 「あれ、おかしいな。負けたのか。ここまでやって……」床に激突するまでの数瞬を火足水極は呆然と眺めた。 眼下で沸き立つパイロット達、藩国民達。そして、やはり空中にいる一足先に着陸する亜細亜。 愚王は見た、亜細亜の絶対領域、ニーソックスとスカートの間が作り出す聖域が、 今まさにこのアングルからのみ鉄壁の守りを崩そうとしているのを。 吹き飛ばされたこの角度、この位置、この高度からのみ、宙返り中の亜細亜の絶対領域のその上のあのロマンが ええと良いのかこれうわ見える見えるもう少しもう少し神様お願いあと数秒です風よ吹け嵐よ起これ後一吹きで ちらっとぴらっと見えそでみえない桃源郷が青春の1ページが甘酸っぱい記憶が…」どべちゃ」 この設定文がピンクの設定文として没になる直前、世界の善意が藩王の意識を刈り取った。 火足水極はゲーセンの屋根に頭を突っ込んで奇怪なオブジェのようにぶら下がった。 “Mission Complete!“、“Extra Stage Clear!“ 後ほねっこ男爵領、新着用アイドレス。 “高位北国人+黒い舞踏子+ブリザードパイロット+名パイロット”の華々しいデビューはこうして幕を閉じた。 その後のどたばたはみらのが連れてきた吹雪先生によって収拾された。 これにより藩王は一週間ほど首にギブスを巻くだけで済んだ。 吹雪先生が間に入らなかったら、12Tの外交団参加も危うかったろう。 危ういと言えば、ブリパの格好をしようとした奥さんに 「へそ出しする年じゃ……云々」を口にした誰かが藩王に隣に同じようにぶら下がったり、 みらのが亜細亜にゲーム勝負を挑んだりしたけどそれはまた別の物語。 たぶん、今日も後ほねっこ男爵領は平和である。 おまけの3コマ漫画+衣装デザイン+特別画像3つ 【文:火足水極 絵:南天 衣装デザイン:いも子 ページデザイン:ユーラ】 一般性能開示 L:ブリザードパイロット = { t:名称 = ブリザードパイロット(職業) t:要点 = 星の瞳,逆立ち,見えそうで見えない下着 t:周辺環境 = ゲームセンター t:評価 = 体格3,筋力3,耐久力3,外見2,敏捷3,器用2,感覚2,知識2,幸運1 t:特殊 = { *ブリザードパイロットの職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。 *ブリザードパイロットの位置づけ = ,,パイロット系。 *ブリザードパイロットのパイロット資格 = ,,搭乗可能({戦車,I=D,航空機,RB,宇宙艦船,水上艦船})。 *ブリザードパイロットの搭乗戦闘補正 = 搭乗,条件発動,(乗り物に搭乗して、戦闘する場合での)全判定、評価+2。 } t:→次のアイドレス = ブリザードアイ(職業),雪の魔女(職業),牧原輝春(ACE),ブリザードマシンの開発(イベント) } /*/ L:黒い舞踏子 = { t:名称 = 黒い舞踏子(職業) t:要点 = 細い手足,宇宙軍制服,黒い肌 t:周辺環境 = 船内 t:評価 = 体格2,筋力2,耐久力3,外見4,敏捷3,器用2,感覚2,知識1,幸運2 t:特殊 = { *黒い舞踏子の職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。 *黒い舞踏子の位置づけ = ,,{パイロット系,コパイロット系,舞踏子系,義体系}。 *黒い舞踏子の性別制限 = ,,着用制限(性別:女性)。 *黒い舞踏子のパイロット資格 = ,,搭乗可能(I=D)。 *黒い舞踏子のコパイロット資格 = ,,搭乗可能(すべて)。 *黒い舞踏子の搭乗補正 = 搭乗,条件発動,(I=Dに搭乗している場合での)全判定、評価+3。 } t:→次のアイドレス = ジジとその飼い主(ACE),超大型I=Dの開発(イベント),ウイングオブアジア(ACE),ヤバイ医薬品(アイテム) } /*/ L:名パイロット = { t:名称 = 名パイロット(職業) t:要点 = 略帽,イエロージャンパー,航空用腕時計 t:周辺環境 = コクピット t:評価 = 体格-1,筋力0,耐久力0,外見1,敏捷0,器用1,感覚1,知識1,幸運-1 t:特殊 = { *名パイロットの職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。 *名パイロットの位置づけ = ,,パイロット系。 *名パイロットのパイロット資格 = ,,搭乗可能({I=D,RB,航空機,水上艦船,宇宙艦船})。 *名パイロットの搭乗戦闘補正 = 搭乗,条件発動,({I=D,RB,航空機}に搭乗して、戦闘する場合での)全判定、評価+1。 } t:→次のアイドレス = 小さい舞踏子(職業),金髪舞踏子(職業),ホープ(職業),エリザベス・リアティ(ACE) } /*/ L:高位北国人 = { t:名称 = 高位北国人(人) t:要点 = 涼しげな服装,白い肌で美しい人材,白い髪,頭環 t:周辺環境 = 雪の中の王宮 t:評価 = 体格2,筋力2,耐久力0,外見2,敏捷0,器用0,感覚1,知識1,幸運0 t:特殊 = { *高位北国人の人カテゴリ = ,,高位人アイドレス。 *高位北国人の根源力制限 = ,,着用制限(根源力:25001以上)。 *高位北国人のイベント時食料消費 = ,条件発動,(一般行為判定を伴うイベントに参加するごとに)食料-1万t。 } t:→次のアイドレス = 呪術師(職業),吟遊詩人(職業),船乗り(職業),藩王(特別職業) } チェック用URL HQボーナスと適用範囲 SHQ 感覚+2
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6692.html
前ページ次ページゼロの黒魔道士 ピコン ATE ~とどかぬ想い~ 「――以上のように、建造物の破損、倒壊はかなりの件数にのぼりますが、住民の被害は軽微と言ってよろしいかと」 ラ・ロシェールの火災は、王宮から派遣された水メイジの手により沈静化していた。 その筆頭に立ったのは“波濤”という二つ名がして知られるモット伯であり、今報告を行ったのも彼だ。 艦隊が煉獄の炎を伴い落ちてきたことによる家々の崩落と火災は、駆け付けたトリステイン王軍の士気を著しく下げたが、 蓋を開けてみれば、突然の発光、爆発(この件については未だ情報が錯綜しており、正体不明となっている)によるアルビオン軍の壊滅、 及び住民の避難がほぼ完了していたことによる人的被害の軽減、 何より見目麗しくも勇ましいアンリエッタ姫殿下自身による鼓舞により、 主に残務処理となった軍の行動は着々と進んでいた。 「――軽微とはいえ、死んだ方が出たのですね……」 「おそれながら、アンリエッタ様。それが戦争かと」 と答えるものの、マザリーニ枢機卿は安堵していた。 軍人の被害は、当初の式典に参加していた者達の内に限られ、 民間人の死者は式典を危険な屋根の上や崖の傍で観覧していた無謀な輩のみだった。 数で言えば、軍・民間合わせ200人に満たない。 これはこの規模の戦闘行為から考えれば軽すぎる、とも言える。 軍人ではないマザリーニにしても、被害がここまで抑えられたことに驚嘆するしかなかった。 それは被害状況を視察に来た閣僚達も同様であった。 「被害に遭われた方、ならびにそのご遺族には国庫より何らかの保護を」 「そうなりますと今期の予算が――」 デムリ財務卿が苦言を挟む。 とはいえ、彼自身も予期していた軍事費を削れたことに胸をなでおろしていたはずだが、 それでも秋小麦収穫前の思わぬ出費は時期的に頭を悩ませることになっていた。 「我々のお給金を削るなり、必要無い予算を削ればよろしいでしょう」 「――確かに、この際ついでに不明瞭な予算を見直すのも手ですな」 「そ、そうですな。アルビオン軍が出てくることはもはや考えにくいですし――」 アンリエッタの言葉に、マザリーニが含んだ視線をリッシュモン高等法院長に向ける。 ここ数年のリッシュモンの散財ぶりが収入に合わないとする噂は耳に入っている。 流石に、高等法院長ということで易々と調査できないことから機会あればと常々狙っているのだ。 「――ところで、この街を守られた勇猛な方はどちらに?」 ・ ・ ・ ラ・ロシェールの玄関口であるビッグブリッヂ付近、そこに勇敢なる者達がいた。 「ひ、姫殿下!またご尊顔をたまわることは光栄の極みでして――」 跪く所作こそ貴族らしい優雅なものではあったが、ギーシュの身だしなみは酷いものだった。 メイジの象徴たるマントはズタズタに破け、フリルつきの特注のシャツは血と汗で汚れている。 自慢であろうハニーブロンドの髪もグシャグシャである。 しかし、それら全てが戦いを終えたという男の持つ独特の雰囲気とあいまって、戦士たる者であったことを主張していた。 「あぁ、よいよい、面をあげよ。ふむ、君だったのか。グラモン家の」 「はっ!不肖の四男坊、ギーシュ・ド・グラモンと申します!」 威風堂々とまではいかずとも、立ち上がって名乗る。 しかし、その膝は流石に疲れていたのか、笑いが止まらない様子であった。 「ふむ、そなたの活躍によりラ・ロシェールの民が守られたわけだ。いや実に素晴らしい――」 軍人であるド・ゼッサールがその髭面に似つかわしい豪胆な笑いでこの若き勇者を称える。 彼にとって、有望な若人は常に大いなる刺激であり、また期待を寄せる存在なのだ。 「あ、あの、そのことなのですが――実は私めよりもこの方が――」 「こ、こらっ、ギーシュ!?引っ張るなっ!?」 フラフラになった足取りで少年が橋の欄干の影より連れだしたのは、鎧に身をまとった妙齢の女性であった。 彼女もまた、ギーシュと同じく血と汗にまみれた良い姿になっている。 「――む、君は?」 「――アニエス、その後には何もつきませんよ」 不満たっぷりといった様子でその女は名乗った。 単純で明快な名前のみで苗字が無い。ハルケギニアにおいてその事実が示すこととは―― 「なんと、ミスタ・グラモン!?君は、君よりもこの平民の女性が活躍したとでも!?」 「えぇ、私めなどひよっ子もいいところです!しかし、アニエス先生の活躍はまさしく八面六臂! 敵をちぎっては投げちぎっては投げの大活劇!まるで紙の兵隊を相手にするような――」 まるで自分のことのように、まるで物語の英雄譚を思い出しながら語る子供のような表情で、 ギーシュがアニエスの活躍を語る表情は晴れ晴れとしており、そこには曇りは一点たりとも無かった。 「ギーシュ、やめろ。そう宣伝される武勲でも無い。第一、お前が来なければわたしは死んでいた」 頬をかき、苦い笑顔をつくりこれを聞くアニエス。なるほど、求道の武人らしく誇張を嫌う性質なのだろう。 ゼッサールは彼女が気に入り始めていた。武人の性さえあれば、男女の区別なしに気に入る彼もまた武人である。 「――ぬぬ、しかし、平民の活躍譚とあっては確かに喧伝するのは対外的に――」 これとは反対に、渋い顔をするのがド・ポワチエである。 彼は武人としてはそれなりの実力はあるのだが、身分や階級というものに固執するきらいがあり、 今回の若き者達の活躍譚も、素直に快く受け入れるだけの度量というものが無かった。 「あぁ、構いませんよ。わたしはただの平民です。以前、貴公方の警護役を務めましたが勝手にやめた無責任さですし」 アニエスの語ったことは真実である。 彼女が密かに抱いている目標のために、一時期“王宮警護官見習”という低い職を得たとはいえ、 剣士にあるまじき醜態を衆目に晒した負い目から自分探しの旅に出る際、 一言「一身上の都合で辞める」とだけ書いた封書を王宮に送りつけていた。 「――ならば、もう1度登用し、貴族の称号でも与えれば、対外的な言い訳も立ちますわね?」 「アンリエッタ様!?」 ここまでの話を、目を瞑りじっと聞いていたアンリエッタ姫がおもむろに口を開いた。 「アニエス、とおっしゃいましたわね。――此度の一連の出来事から、私どもも王宮銃士隊というものの結成を考えております。 主に、私の手足となっていただく部隊ですが――その初代隊長の任をおまかせしてもよろしいでしょうか?」 この発言は、メイジとしての地位がより重要視されるトリステインにおいては異例中の異例、前代未聞、空前絶後であった。 何より、いつも傍にいてアンリエッタのことを知るマザリーニにしても、このような計画は初耳であった。 「――身に余る光栄ですが、何か裏でも?平民の下衆な勘ぐりで申し訳ないですが」 アニエスの右目が猜疑の色に見開かれる。左目は今回の戦闘で血が少し入り、今は開けにくい状況だからだ。 「フフ、流石ですね。――貴女と同様、メイジもメイジを信用できなくなりつつあるのです」 アンリエッタの語ったことは真実である。 魔法衛士隊はグリフォン隊の隊長職であったワルド子爵の裏切り、 閣僚会議の情報が外部に流出しているらしいという伝聞、 トリステインの貴族社会は、今までに無いほど腐敗しているといっていいだろう。 ならばこそ、平民を登用し、腐った貴族達の牽制とする―― アンリエッタの狙いは施政者として的を射たものであった。 「――なるほどな。お受けするのは結構だが、大人しく飼われはせんぞ?」 そのしたたかな狙いを感じ取ったアニエスが不敵に笑う。 その狙いの意味するところは、彼女の密かな目標と合致するものではあるが、 貴族という存在を嫌う彼女としてはただの尻尾をふるだけの飼い犬になる気はサラサラ無かった。 「――貴様、先ほどから不敬にも程があるぞっ!!貴様のような平民が――」 ポワチエが吼える。もちろん、不敬であることを咎めるわけではない。 彼は危機感を抱いたのだ。平民を登用し、自分と同等以上の地位に上げられてしまうという事実に。 しかし、彼の咆哮はアンリエッタ自身の手により制止されてしまった。 「結構でしょう。フフ、貴女のような方と共にいれば、私も強く見えますかしらね?」 「――いえ、噂よりお強い姫様にはわたしなど不要でしょう」 「貴女ほどではありませんわ」 力強い笑みを浮かべる二人の若き女性の姿に、今は亡き前王の姿を重ね、 あの幼き娘が立派になられたと、マザリーニは1人歓喜の涙を心で流していた。 「ギーシュっ!!」 「やぁ、愛しのモンモン、無事だったグホブァっ!?」 それは、ただのパンチというには、あまりにも重い一撃であった。 走りながらの前傾姿勢、そこから生まれるダウンフォースは、重力というものを味方につける。 沈んだ体から放たれた右手は、自然のままにひねりが加えられていた。 そう、彼女の髪の毛と同じく、螺旋の軌道を描いて定めた目的点に到達した。 定められた到達点、そこはギーシュの肋骨の稜線の合わさる地点、 東方医学においては水月、すなわち鳩尾と言われる部分であった。 全てが本能のままに、自然に。 それは古に生きる肉食獣、虎をも戮すとされた拳、 “タイガーブレイク”とも呼ばれた技であることを、殴った本人すらも意識していなかった。 まさに天賦の才。ナチュラル・ボーン・ファイターとはこのようなことを言うのだろうか。 ゼッサールはそれを見逃さず、小さく「ほぅ」と感嘆の声をもらした。 「バカバカバカバカバカっ!!何勝手に突っ込んでるのよっ!!」 「あ、あの場で逃げてはカッコ悪いじゃないクベラッ!?」 その生来生まれついた格闘センスでもってひたすら殴り続けられるギーシュ。 だが、なおもそれに耐えているところを鑑みるに、彼もまた驚くべきタフネスぶりだ。 ゼッサールは将来の見込みのある戦士達が育っていること嬉しく思いながら、無骨な優しい瞳で見つめていた。 「だっからあんたは大馬鹿なのよっ!!あのねぇ、ほんとねぇ、私が、私が、どれだけ心配したか――」 「モンモランシー……」 「ギーシュ!」 だが、涙ながらに抱き会う若いカップルを凝視し続けるほど無粋では無いので、 すぐに視線を明後日の方向へとそらすのであった。 「――あの、ミスタ・グラモン?」 その傍から見て微笑ましくも鬱陶しい抱擁を破ったぬったのは、素朴な魅力のある女性の声だった。 「ん?あ、あぁ、シエスタ、ルイズ、キュルケ君も!みんないたのか?」 「さっきからいたわよ!も~見せつけてくれるわねぇ!妬けるわぁ~」 赤髪の少女がニヤニヤとする。これでまたからかうネタが出来たと手ごたえを感じていた。 「ギーシュ、ビビは!?ビビは、どこにっ!?」 周囲の笑顔を破る声は、桃色の髪の少女、ルイズから発せられた。 白き大爆発の後、あまりにも多大な精神力を消費し、眠りこけたのを友達に発見され、 目が覚めまず心配したのは自身の使い魔のこと。 彼の無事が、とにかく心配だった。 愛すべき使い魔であり、友であり、自身の進むべき道を示した大事なビビのことが。 「ビビ君――そうだ!?ビビ君はっ!?ビビ君は無事なのかっ!?」 「あんたと一緒じゃなかったの!?」 「ビビ君は敵の旗艦に1人立ち向かって――」 「ルイズ、何事ですか?」 彼女を支えた者達の慌てように、アンリエッタが眉をしかめる。 「姫殿下!!私のビビ、いえ使い魔が――」 ・ ・ ・ 「――敵の脱出船は粗方拿捕いたしました。しかし、お探しの少年は――」 即席の司令部がラ・ロシェールに作られていた。 といっても、近場で唯一焼け残った酒場を利用したものであるが。 そのため、あちこちに割れた酒瓶やマグが散らばっている。 帳面に敵方の捕虜の詳細な情報を急ぎ集め、献上するはめになった書記官の疲れた表情がそこにはあった。 「そんなっ!?それじゃ、まさか脱出が遅れて――」 「『レキシントン号』より脱出した捕虜の証言によりますと、船が謎の光に包まれて爆破した前後、 “お客”と戦闘をし腕を失ったとの情報も――」 書記官は表情を変えない。彼はあくまでも文官で事務的に物事を処理する性質だった。 そんな彼が、わずかに首を横にふる。それは、彼なりの精一杯の“ご同情申し上げます”という仕草だった。 「そんな――そんな――」 「まさか、ビビちゃん――」 「墜落した船群は破損が激しく、全てを調査しきってはおりませんが生存者がいる可能性は――」 書記官は、淡々と事実を述べていく。そこには嘘や冗談といったものの存在を許さない確固たる意志が存在していた。 「ビビさんが、そんな――」 「ビビ君――」 「ビビが――ビビ――ビビぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 少女の悲痛なまでの叫び声が、ラ・ロシェールの岩場に反響し、 遠く、高く、淡い黄昏色に染まる空に弾けて、やがて風になった。 目覚めた朝は、いつも喜びを願うんだ。 今日もいい日でありますようにって…… ……その日の目覚めは、深い水の底から上がってくるみたいに、 やっと光が見えたって感じのするものだったんだ。 「ル……イズ……おねえちゃ……ん……?」 寝ぼけた目で、辺りをキョロキョロと見渡したけど、ルイズおねえちゃんの姿は無い。 確かに、ルイズおねえちゃんの声を聞いたような気がしたんだけど…… 「……?ここ、どこ……??」 見慣れない壁、見慣れない天井、でも、窓の外の木漏れ日は、どこも変わらない優しいものだったんだ。 ゼロの黒魔道士 ~第四十一幕~ 忘却の森 ウエストウッド村 しばらく、ボーっとしていた。 なんか光を見るのが久しぶりって感じがして、目がショボショボした。 何十回目かの瞬きの後、軽い音がして、水の入ったマグを持った女の子がその部屋に入ってきたんだ。 「あ、気づいたんですか?よかった~!3日3晩寝てたんですよ?」 「……あ、えーと、君は……」 小鳥のさえずるような声。蜂蜜をこぼしたような髪の毛。 ニッコリ笑うその子は、とっても優しそうな女の子だった。 「ビビちゃん、ですよね?私はティファニアと言います。どうぞ、テファって呼んでね?」 「あ、う、うん……え、っていうか、どうしてボクの名前……それに、ここは……」 跳ねるようにしゃべるその子は、何故かボクの名前を知っていたんだ。 「ここはアルビオンのウエストウッド村というところです。あなたの名前は、あなたを助けた人から聞いたの」 「ボクを……助けた人?」 記憶がちょっとずつ戻ってきた。 ラ・ロシェールの上空で飛空挺同士の戦いがはじまって、 ギーシュと分かれて、一番大きな飛空挺の上までチョコボで駆け上がったら、 ワルドがいて、ワルドにやられて、光に包まれて、とりみだしたワルドに左腕を砕かれて…… 「そう、クジャさんって言う人なんだけど――」 「クジャ!?あいつが、やっぱりあいつがいるのっ!?」 記憶の最後に見た光景は、夢や幻では無かったみたいだった。 ボク達の世界で酷いことをしたあいつが、まだ生きてこっちの世界にいたんだ! いてもたってもいられなくなって、跳ね起きた。 「キャッ!?」 「……あ、ご、ゴメンなさい……」 そしたら、テファにぶつかっちゃった。 水が入ったマグがバランスを崩して、中の水が全部テファにかかってしまった。 「大丈夫ですよ、よくあることだし――やっぱり、クジャさんとお知り合いなの?」 「知り合い……そんなもんじゃ……」 テファが、この優しそうな子が、クジャをさん付けで呼ぶことにものすごく違和感があった。 それに、もっと違和感があったのは、テファが最初に言ったこと。 クジャが、ボクを助けた?右手で左腕の付け根をおさえる。 違和感も痛みも無く、つなぎ目すらも見当たらない。 左腕がちぎれたって記憶すら嘘に思えてしまう。 なんで、クジャがボクを?頭がグルグルしてきた。 「いい人ですよね、クジャさん。優しいですし」 「そんなわけっ……」 「?どうかされました?」 「う、ううん……なんでも、無い……」 そう言って途中で言い淀んでしまった。 ボク達の世界での、クジャの最後を思い出したからだ。 あのとき、自棄にんったクジャは、みんなを巻き添えにしようとして、ボク達に倒されて、その後は…… ジタンが、助けに行った。そこからのクジャを、ボクは知らない。 あのクジャが、そう変わるとは思えない。ボクがクジャを憎む思いも、そう変えられそうにない。 でも、クジャはボクを助けた。あのときも……あのときも? うまく言葉にはできない、モヤモヤとしたもので頭が一杯になって、ものすごく気分が悪くなった。 「あ、そうそう、ビビちゃんにクジャさんから伝言があったんでした!」 「クジャから?」 「えーっと、ちょっと待ってくださいね、長いのでメモが――あぁ、あったあった」 テファが、胸元の辺りから、小さい紙を取り出した。 さっきマグをひっくり返したときに、水がかかったからちょっとグシャグシャになっている。 ちょっぴり申し訳ない気持ちになっちゃったんだ。 「“二度目のお目ざめ、いかがかな?お久しぶりだね、ビビ君! 虹も出さずに戦乱に終止符を打った君達は、まさに最高だ! だがね、まだ第二部だ。終幕の音は近い。覚悟したまえ。 追伸。指輪に注意したまえ”――」 間違いなく、この言葉遣いはクジャだった。 何が終止符だ。何が最高だ。あいつは、あいつがやった酷いことは、あいつは…… 嫌な気持ちが、どんどんとボクを満たしていったんだ。 「あ、まだ続きがありますね。“さらに追伸。 許してもらえるとは思わないが、すまなかった”」 最後の追伸の意味が分からなかった。 すまなかった?許してもらえるとは思わないが? 誰に、謝っているの?なんで、何を、謝っているの? いや、それよりも、あのクジャが……謝った? こんがらがったグチャグチャが、声にならない喉元の辺りでうずまいてる感じがして、クラクラした。 「――色々、あったんですね?」 「……うん……」 色々、あった。本当にそれしか言いようが無さそうだった。 「とりあえず、起きれます?朝ごはんには遅いですけど、用意してますから」 「うん……」 ……ここにいたクジャって、この間ボクが見たクジャって、今までボクが知っていたクジャとは違うの? 頭はみっちりと、そういうわけわかんない考えで一杯だったけど、お腹は空っぽだったから、テファについていったんだ。 ・ ・ ・ ウエストウッド村って、静かな木漏れ日の中に細い道があって、どことなく、黒魔道士の村に似ている。 だから、村の中を歩いているだけで、なんとなくホッとして落ち着く。 「あ、テファ、ゴーレムのチェックレポートだけど――ゲ、チビ助!?」 「な、なんでフーケもがあふぁふぁ!?」 小道を抜けて、ちょっと大きめの家にたどりつくと、見知った顔があったんだ。 土くれのフーケ。ボク達を2度も襲った泥棒だ。 会ったと思ったら、いきなり口をフーケに塞がれてしまった。 「わ、わたしもこの村出身なのよ、オホホホ。いや、奇遇ね~、ビビちゃん?」 口を塞いでくる手が汗でじっとり湿ってきている。 ……テファに、フーケってことを秘密にしているのかなぁ? 「あら、マチルダねえさんもビビちゃんとお知り合いなの?」 「そ、そうさね。ちょっと、色々と、外でね。うん。」 どうも、テファはフーケをマチルダねえさんって呼んでいるらしい。 ……“フーケ・マチルダ”とかそういう名前だったのかなぁ? 「いいなぁ~!私も、色んな人と出会いに外に行きたいな!」 木漏れ日の間から、空を見上げるテファの顔に、黒魔道士24号さんの面影を見た気がするんだ。 いっつも、村の入口近くにいて、木の間から光を見ていたっけ。 みんな、もっと命が続けば色々見たかったって言ってたなぁ、とちょっぴりしみじみしちゃった。 「――いいかい、チビ助、私はあんた達に何するつもりも無いから、ここじゃマチルダかロングビルで頼む」 そんなテファを、チラチラ見ながら、ボクにだけ聞こえるような小声でフーケが言う。 テファを見る目が、子供を見守るお母さんのように優しいもので、 そんな目をするのがボク達を襲ったフーケであることに、なんか違和感があった。 「う、うん……」 「あ、ほら、ビビちゃん!ご飯、あっためなおしますから、早くっ!」 「ほら、じゃぁ行くよ、チビ助っ!」 「うん……」 ・ ・ ・ 「相棒ぉぉぉぉぉ!!無事で良かったわ!いやおれっちマジで心配しててよーっ!!しかしあれだな――」 デルフと再会して、遅めの朝ごはんを食べている間、ずっと考えていたんだ。 ……今まで会った悪い人たちって、本当に悪い人たちだったのかなって。 ピコン ATE ~渇いた望み~ タルブからほどほどに離れた林の奥、人立ち入らぬ泉の傍に2つの影があった。 「ちっくしょ…… ちくしょう……ちくしょう…… ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちっっっっくしょーー!!」 2度までも主の命を救ったグリフォンと、2度までも命を救われた男である。 「この俺がっ!!2度までもっ!!」 男は、グリフォンの労をねぎらいもせず、呪詛を唱え続けていた。 「あいつらさえ、あいつらさえいなければっ!!」 あの糞ったれのガキがいなければ、思い通りにならない元婚約者さえいなければ、 仮定の文章をいくら重ねたところで、事実は覆らない。 それは重々承知していたが、言わずにはおれなかった。 そして、一通り吐きだし切った後、身の振りを考える。 アルビオンに、レコン・キスタに戻る?答えはノーだ。 今回の戦は、必勝たるべく立てられた作戦であった。 であるからこそ、惜しげもなく戦艦を出陣し、奇襲を敢行したのだ。 だが、結果といえば、多くの残骸を作り、散り散りに燃え尽いただけ、 しかもトリステイン本軍はほぼ無傷の状態である。レコン・キスタは遅かれ早かれ瓦解するだろう。 しかも、である。最後の目を覆わんばかりの白い光は、恐らく“虚無”であろうと、ワルドは見当をつけた。 あれは魔法以外の何物でもなく、スクウェアたる自分をはるかに凌駕する威力を示した。 クロムウェルが見せた“虚無”などとは違う、圧倒的な力の存在。 思い当たる節は1人しかいなかった。思うが儘にならぬと切り捨てた少女の桃色の髪が浮かぶ。 あの力を見てしまえば、クロムウェルの“虚無”の力など羽虫もいいところだ。 そして、理想ではなく力のためだけにレコン・キスタに与していたワルドにとって、 力無き組織に戻ることなど、選択肢に入るわけが無かった。 では、トリステインに戻るか?それも論外だ。 今さらどうやって戻る?二重間者であったとでも言い張るか? 幼児の頭でも鼻で笑う稚拙な策だ。第一、ウェールズを始末したところは伝えられているだろう。 恋人を殺した男を、あの姫様が許すとは到底思えない。 帰るべき場所を失い、ワルドは落胆した。 力を求めれば、高みに登りさえすれば、全てが叶うと思っていたのに、 今や何もかもを失い、地に伏している。 だから、もう一度、苦渋の思いを吐きだすかのように「畜生っ!!」と叫んだ。 「ようよう、吠えてるな大将」 ガサリ、と茂みから音がして堂々たる体躯の男が、ワルドに近寄った。 左半身を覆う醜き火傷の痕さえ無ければ、獣と思ったことだろう。 事実、この男は人ではない野獣も同然の臭いがする。 「――メンヌヴィル、貴様も、嘲笑いに来たか!!」 メンヌヴィル、年齢で言えば、ワルドよりもずっと年上の歴戦の兵であるが、 その評判と言えば、畏怖こそされ尊敬はされず、軽蔑の声が多いという散々たるものである。 理由は、敵味方の区別無く、邪魔という理由で、否、“燃やしたい”という理由で相手を灰に変えてしまう残虐さにある。 その残虐さがゆえに、かつて上官を殺そうとし、反対に両目を焼かれ、正規軍を放逐されたという噂を聞いた。 今やかつての栄光をも凌ぐ非劣なやり口の傭兵として成り上がり、レコン・キスタにおいても相応の地位を築いている。 何を隠そう、ワルドをレコン・キスタに誘ったのもこの男だ。 「なぁに、お前さんの熱を確認しに来ただけだよ。まだ消し炭にはなってないようだな」 腐ったミルク色の両眼でギロリと見られても、既に粉々に砕かれていたワルドの心には何も影響が無かった。 「言っていろ!くそ、ちくしょう、ちくしょう――」 ただ、地面を見、呪いの台詞をつぶやくだけの人形と成り下がっていた。 「もっと、“力”が欲しいってか?」 それを見透かすのは焼け焦げた2つの目。 「貴様に、何が分かるっ!薄汚い傭兵風情にっ!!」 「もう同じ穴のなんとやら、だろ?いいから、答えろよ!“力”が欲しいか?」 煙で燻されたような、品の無い笑いと共に、メンヌヴィルが質問を繰り返す。 「――あぁ、欲しいとも!全てを蹂躙しつくす力が!万物を睥睨する力が!」 ワルドは、大声で答えた。 そうだ、地面にはいつくばり続けることに、誰が納得するというのだ? 力が、欲しかった。再び高みへと這い上がり、己を虚仮にしてきた連中を踏みつぶすだけの力が。 「――いい熱さだ。じゃぁお前さんも案内してやろう」 にやりと笑みを浮かべるメンヌヴィル。黄色い歯が鈍く光る。 「どこへ?」 「本当の“スポンサー様”のところへだ」 「スポンサー、だと?」 怪訝な表情を浮かべるワルド。とすると、この男はレコン・キスタに雇われたわけでは無かったというのか。 「あぁ!更なる“力”を、更なる“熱”をお与えくださるぜ!こんな風に、なっ!!」 軽く、拳に力をこめた。少なくとも、ワルドにはそれだけに見えた。 杖は手に持っていない。それだけなのに、である。 紅から紫色に揺らめく禍々しい炎が、メンヌヴィルの両の手から沸き起こり、 意志を持つかのようにのたうちまわってダンスをしている。 火力といい、速度といい、火は専門外であるとはいえ、ワルドとしては魅惑的な力が、その妖炎には煌めいていた。 「――ほぅ」 「どうだ?」 「――断る、とでも?」 力への渇望は、最早戻れないところまで来ている。 無詠唱による魔法の発動、それだけでも御の字のつく力だ。 あるいは、そのスポンサーとやらがさらなる力を与えてくれるヒントになるかもしれない。 ここまで来てしまえば、ワルドは悪魔にすら魂を売り渡すつもりであった。 「フハハハハハハハ!更なる地獄の業火へようこそ兄弟よっ!」 「ふん、貴様と兄弟になった覚えはない」 そう言いながら、立ち上がるワルドの顔には、悪魔よりも邪なる笑みが浮かんでいた。 前ページ次ページゼロの黒魔道士
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/702.html
*警告* 幻想郷ものです。 名無しの妖怪がゆっくりをゆっくりできなくします。 ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。 ↓以下本文 妖怪の山の裾野の森を、籠を背負い、釣り竿を担いだ少女が歩いている。人里離れた場 所で太平楽な顔をしている段階で、賢明なる読者諸氏にはその少女が妖怪であるというこ とはお察し頂けるだろう。その証拠に、諸般の事情で造形を説明することはできないが、 かの女は名状し難い帽子を頭に乗せていた。 少女はたまに立ち止まっては何かを探すように耳を澄ましていたが、やがて大きな茂み の前で声をあげた。 「ゆっくりしていってね」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 頷くと、少女は茂みをかきわける。その先には、彼女の期待通りの光景が広がっていた。 黒白のとんがり帽子をかぶった膝丈ほどのゆっくりが一匹と、その子供らしい拳大のもの が七匹、親子でゆっくりしていた。木漏れ日の差し込む森の中、柔らかい草をはむはむと 食んだり、丈の低い花を食べたり、下生えを這う虫を頬張ったり。とってもゆっくりした 可愛い子まりさたちに囲まれ、親まりさはあんこの底からゆっくりしていた。どの子もと てもゆっくりした、まりさの自慢の子だった。 「ここはまりさのゆっくりぷれいすなのぜ! おねえさんはゆっくりできるひとぜ?」 「釣りをしに来たのよ」 「つりってゆっくりできのぜ?」 「うーん、ゆっくりしないと釣れないわねえ」 「いっしょにゆっくりするよ!」 つりはゆっくりできる。ゆっくりブレインでそこだけゆっくり理解したゆっくり一家は、 少女を取り囲むように、足元でぽいんぽいんと跳ね回りはじめた。 「つりさん! つりさん! ゆっくりしていってね!」 「おねーちゃんまってね! ゆっくりおいかけるよ!」 追いかけっこをするもの、少女の足にじゃれつくもの、その場でぽむぽむ跳ねるもの。 幸せそうな声をあげて転がる子まりさたちに、少女は目を細める。 「じゃあ、手伝ってもらうね」 「ゆっ! おそらをとんでるみたい!」 「ずるいよ! まりさもとびたいよ!」 裾を払い、膝で潰してしまわないように気をつけてしゃがむと、少女は足元の子まりさ を次々につまみあげて小さな籠にひょいひょい放り込み始めた。二、三匹を取り上げられ たあたりで家族を襲った緊急事態にやっと気付き、親まりさは、ぷっくー、と頬をいっぱ いに膨らませて少女を威嚇する。まりさが頑張って膨れている間にも、少女は一切構わず 子まりさを残さず籠に運び終えていた。 「あらあら、そんなに膨れちゃって」 「まりさのだいじなちびちゃんたちをゆっくりかえすのぜ!」 まりさの渾身の威嚇に、少女は自分では一番怖いと思っている薄ら笑いで応えて見せた。 人間に見せたときには、あまり満足してもらえなかったようだけれど。そして、軽く振り かぶる。まりさの丸々と膨れた下膨れの中心に、思い切り拳がめり込んだ。柔らかく、程 良い質感と反発の皮と中身は、少女の拳骨を最高の感触で歓迎した。その殴り心地はまさ に幻想、夢心地。 「ゆ゙ぶっ!」 少女が手を引いても、まりさの造形は*の形に凹んだまま。ぴくりとも動かなければ、 中身のあんこを吐くこともない。あんこを吐けるお口は皮ごと内側にめりこんでしまって いるのだから。しばらく待てば、ぽこん、と間抜けな音をたてて元通りになることだろう。 凹んだ顔の奥で、ゆっゆっとくぐもった声をあげて痙攣し始めたまりさのお帽子をその 辺に適当に投げ捨てると、少女は腰を下ろした。不要なお帽子さえなければ、高さといい 座面の反発といい、まりさの座り心地は申し分なく、少女のおしりを包み支えるに相応し い、理想のアウトドアチェアであった。 「おぉ、おー、ちょうどいいわ。あなた今日から椅子として生きなさい」 「ゆ゙っ! おねえさんおもいのぜ! ゆっくりおりるのぜ!」 しばらくぶるぶる震えたあと、ぼこんっ、と音を立てて凹みの戻ったまりさが、少女の おしりの下で叫んだ。妖怪の膂力で破裂しない程度に思い切り殴られたため、顔の中心は まだ赤くなったまま。ずきずき痛むお顔に、まりさは涙声を上げる。こんなに痛かったこ とは、この山で生まれてゆっくり育って、一度もないことだった。ゆっくりしていただけ なのにちびちゃんを泥棒され、とっても痛いことをされるなんて。ゆっくりまりさには何 もかもが理解できなかった。 「そんなこと言わないで、今素敵なものを見せてあげるから」 「ゆえーん! ゆえーん! おかーしゃーん!」 「おねえさん! まりさのちびちゃんをゆっくりはなすのぜ!」 突然親から引き離され、籠の中でゆーゆーと泣き叫んでいる子まりさを一匹取り出すと、 少女は掌に乗せてにっこり微笑んだ。その笑顔に泣き顔の子まりさも釣られてにっこり。 笑顔をそのままに、少女の指が子まんじゅうにぐいぐい食い込んでいく。もぞもぞもが いていた子まりさは、食い込む指で中身のあんこが指の隙間へと圧迫され、ゆっくりして いた顔が歪に歪んでいく。指の隙間から見える小さな目玉を飛びだしそうなほどひん剥い て、子まりさは濁った悲鳴をあげはじめる。 「い゙や゙ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ゆっくりいそいでやめるのぜ! ちびちゃんがゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「いいから黙って見てなさい。これからがすごいんだから」 「ゆ゙ぎゅ……ぐるぢ……ゆ゙ぎ、ゆ゙ぎぎ……!」 押し出されそうになるあんこの噴出を、小さな頬をいっぱいに膨らませ、目とお口を力 一杯つむって子まりさは必死に耐え続けていた。手の中で身悶える感触に笑みを深め、少 女は嬉しそうにきりきりと締め上げていく。絞り出されたまんじゅうの皮は圧迫されたあ んこでぱんぱんに張り、おもちゃのカラーボールのように膨れていく。おもちゃという点 では同じでも、違いは食べられるかどうか、それと素材の強度。主に後者がカラーボール と子まりさの命運を分かった。子まりさを何とかして助けようと、尻の下でもにもに抵抗 するまりさに腰を落として黙らせ、少女はその手をぐっ、と握りしめた。 「ゆ゙ぼん゙!」 あんこ圧に押されて小さな目玉が飛び出し、ぱんぱんに膨れた頬が、もぞもぞ震えるお つむが、柔らかいあんよが裂け、親まりさの眼前で、内圧に耐えきれなくなった皮が爆ぜ 飛んだ。ぼとぼとと黒い塊が下生えに飛び散る。今はもう永遠にゆっくりしている、まり さのすてきなれいむといっしょにゆっくりした証。だいじなかわいいちびちゃんは、見ず 知らずの妖怪の、ほんの一握りで物言わぬあんこの塊となった。 「ばでぃざのぢびぢゃん゙ん゙ん゙!」 「おでえぢゃんがあ゙あ゙!」 傍らの籠から、尻の下から聞こえる愉快な声に目を細め、少女は丸めた帽子を芯に、あ んこと皮を混ぜておはぎのようにまとめていく。 「んー、これ手が汚れちゃうなあ……ん。おいし」 釣り針にあんこ玉をつけると、少女は指についたあんこを舐めとった。ゆっくり育って きたのに突然握り潰され、理不尽な暴力で永遠にゆっくりした子まりさのあんこは、十二 分に甘く味も深みを増していた。 「じゃ、これから一匹残らず餌になってもらうから、みんなゆっくり理解してね」 「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙い゙い゙い゙!」 「どぼじでこん゙な゙ひどいことする゙の゙お゙!」 「どうしてって……ゆっくり釣りやってみたかったのよ。それだけ」 「や゙ぢゃあ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ゆ゙っぐり゙ざぜでえ゙え゙え゙!」 「すこし黙ってねー」 あんこ玉を目の前で揺らして黙らせ、少女は茂みの向こうに、ひょいと釣り針を放った。 ゆっくりは自身が甘味でありながら、甘い物に目がない。「ゆっくりしていってね」と呼 ばわれば「ゆっくりしていってね!」と帰ってくる返事をもとに捕らえた、その辺の子 ゆっくりを潰せば餌は無料で手に入る。親ゆっくりがいれば腰掛けいらず。ゆっくり釣り は、好事家の間では珍しくもないレクリエーションである。 糸を垂らすことしばし。 「むーしゃ! むーしゃ! うっめ! これめっちゃうっめ!」 ウキがなくてもアタリが声でわかるのが、ゆっくり釣りの人気の一つ。少女は竿を引き、 慎重に糸を巻きはじめる。 「しあわせー! ゆ゙っ? ゆっくりひっぱられるよ!」 手応えはあまり大きくない。獲物が枝葉や糸でちぎれてしまわないよう、糸を繰ってそ ろそろと寄せていく。当然、獲物も跳ねて逃げようとするが、飲み込んだ釣り針が許さな い。少女は竿を巧みに操り、逃れようとするゆっくりを茂みの前から離さない。 「ゆ゙っ、ゆ゙っ?! いたいよ! どぼぢでにげられないのお!」 ゆっくりは唇を貫く釣り針から逃れようと、必死に跳ねては糸に引き戻される。糸を切 らないよう、少女は引いては緩め、ゆっくりの体力を消耗させていく。頃合いを見計らい、 大きく竿を振ると、ガサガサと葉っぱを散らしてあがってきたのは一匹のゆっくりれいむ。 一番多く見かける、縁起の良い紅白のおまんじゅうである。 「ゆ゙~、とれないよ! れいむをゆっくりおろしてね!」 「はいはいゆっくりしていってね」 竿を地面に立てると、少女はれいむを抱えてお口に手を突っ込んだ。あんこをごそごそ 掻きまわして針を外す。暴れるのも気にせず大きな方の籠に放り込むと、風呂敷を掛ける。 釣りはまだ始まったばかり。取り出した次の子まりさの邪魔な帽子を摘んで頬張ると、 怯えわななく可愛らしい小さなお口に、少女は白い人差し指を押しつけた。 「んゆぅ~」 突然親ゆっくりから引き離され、怖くてゆっくりできないおねえさんにぶにぶにされて いる。子まりさは恐怖に目をぎゅっと瞑り、掴まれて身動きもできない全身を捻り、少し でも逃れようと身悶える。その柔らかくくすぐったい抵抗に目を細め、少女は子まりさの お口を指先で塞ぐ。 「ん゙ゔぅ゙ゔ!」 鈍い音がして、細く煙が立ち上る。子まりさはお口を貫く激痛に目を見開き、絶叫をあ げ……ることができなかった。悲鳴を上げるべきそこは灼き潰され、まるで焼きゴテで焼 き付けられたような、濃いめの焦げ目だけが残されていた。 ゆっくりした愛情に包まれて育った子まりさは、生まれてこの方感じたこともない未知 の苦痛に小さな目玉をいっぱいに見開き、砂糖水の涙を垂れ流す。 お口が開けば、おかあさんの助けを呼べるのに。おねえさんにゆるして、たすけて、と 言えるのに。 「おねえさんやめるのぜ! いやがってるのぜ!」 もちろん何を言おうと少女は助けるつもりはなく、親まりさに助ける術はない。あんこ たっぷり生地の、生八ツ橋の美味しいお帽子を噛みながら、手の中でじたじた暴れる子ま りさをそっと撫でる。少女がその金色の髪に指をそっと宛うと、すぐにぶすぶすと細い煙 が立ち上り、子まりさの髪の毛が根元から焼け落ちはじめた。おつむを灼く激痛に手の中 でじたじた暴れる、指の腹の幅にハゲのできた子まりさを握る角度を変え、少女は不要な 髪を焼き捨てていく。一通り撫で終えると、天面にはすっかり美味しそうな焼き色がつい ており、髪の毛は一すじも残されていなかった。目をひん剥いてびくびく痙攣する焼きま んじゅうを裏返し、動けないようにあんよにも焼き色をつけて完成です。 「おいしく焼けましたー」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙?!」 「ばでぃざのぢびぢゃんがはげまんじゅうにいい?!」 少女の見せる、おいしそうな焼き色のついた焼きまんじゅうに、親まりさも子まりさた ちも一斉に悲鳴をあげる。どれもこれも目の幅に涙を流し、歯を剥いてガタガタ痙攣して いた。その反応に満足げに小さく鼻を鳴らすと、髪の毛のかわりに焦げ目のついた後部か ら釣り針を刺し、茂みの向こうに放る。釣り針がぶっすりしても、子まりさのお口は開か ず悲鳴も出ない。 あんこ玉と違って、焼きまんじゅう作りは手が汚れることはあんまりない。少女は地面 に竿を突き立てると、小さい籠から次の子まりさを取り出した。 「ゆ゙あーん゙! おでえぢゃんがあ゙! ゆっぐりぢでね! ゆっぐり゙ぢでね!」 「ええ、ゆっくりしていってね」 泣き叫ぶ子まりさを手に乗せ、少女はにっこり微笑む。微塵も邪気のない、まさにゆっ くりした表情に、子まりさも釣られて泣き笑い。 「ゆ゙ぐっ、ゆ゙あ゙……ゆ゙っぐり、していってね……?」 「あむっ」 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 食いちぎられたお帽子が、少女の尻に敷かれて動けない親まりさの前に、はらりと落ち た。親まりさは目をまん丸に見開いて見上げる。その目と、子まりさの片方しか残されて いない目が無言で見つめ合う。親まりさは言葉もない。子まりさにはお口がもうない。突 然姉妹を焼きまんじゅうにされ、絶望と恐怖を満喫したことで、子まりさは野生でゆっく り育ったとは思えない豊かな甘みを備えていた。美味しいゆっくりまんじゅうに舌鼓を打 ちながら、少女は震える親まりさに座り直す。 「む゙ー! む゙ー!」 あんよがいたくて、ぴょんぴょんできない。まりさはおねえちゃんよりはやいのに。 おくちがいたくて、うごかない。おくちがあかないと、ゆっくりしていってね、もでき ないし、むーしゃむーしゃもできない。 はげまんじゅうのまりさは、もうゆっくりできない。まりさのすてきなかみのけさんは とってもゆっくりしてたのに。 じくじく痛むあんよから地面に打ちつけられ、子まりさは苦痛に呻き、打ち震えていた。 どれほどの苦痛を味わったところで、二度と開くことのないお口からあんこが漏れ出るこ とはない。不意に、砂糖水の涙で歪んだ視界に、一匹のゆっくりの姿が映った。 「む゙……む゙む゙……」 「ゆゆっ! ゆっくりできそうなあまあまさんがあるよ! ゆっくりたべるよ!」 子まりさは開かないお口を必死に動かす。ゆっくりやめてね、ゆっくりしてね、と。ど れほど声を張り上げようとしても、焼け焦げて癒着したお口から、声が漏れ出る事はない。 焼きまんじゅうの美味しそうな焼き色に、通りすがりのゆっくりれいむは喜色満面、ぽい んぽいんといっさんに跳ねてゆく。その一跳ね一跳ねで、子まりさに望まぬ、逃れ得ぬ永 遠のゆっくりが近づいてくる。 「ばでぃざのぢびぢゃんはあばあばざんじゃないよ! ゆっぐぢや゙べでね゙!」 「おまんじゅうさんはまりさじゃないよ? ゆっくりできないこといわないでね!」 このままでは大事なちびちゃんが、食べられて永遠にゆっくりしてしまう。茂みの向こ うから聞こえる、れいむの嬉しそうな声に親まりさは大慌て。少女のおしりの下で、親ま りさは柔らかくもっちりしたおまんじゅうボディをたわめ、あんよを踏んばり、飛びだそ うと必死の形相で新作の創作ダンスを披露する。しかし今の親まりさは、少女のアウトド アチェアである。茂みの向こうで、見ず知らずのれいむに子まりさを美味しく頂かれるの を、ただ聞いていることしかできない。しかし、たとえ動くことが叶わなくても、お口は まだ動く。 「そのこはばでぃざのだいじなぢびぢゃん゙なの゙ぜ! おねがいじまず! しらないでいぶ は! ばでぃざのぢびぢゃん゙といっしょにゆっぐり゙に゙げてほしいのぜ!」 「ゆゆっ、ちいさいまりさなんてどこにもいないよ? れいむもうがまんできないよ!」 逃げることも叫ぶこともできない子まりさには、茂みの向こうから叫ぶ親まりさが、迫 るれいむにむーしゃむーしゃを諦めるよう説き伏せてくれることだけが、唯一の生き延び る可能性である。しかし、見ず知らずのはらぺこれいむに、地面に転がっている焼きまん じゅうを子まりさである、と理解させることなどできようはずもなかった。降って湧いた ゆっくりできるあまあまさんに、嬉しそうな顔でれいむは子まりさに近づいていく。もう おかあさんは助けに来てくれない。むーしゃむーしゃされて、永遠にゆっくりするしかな いのだ。ゆっくりした顔で大口をあけて近づいてくるれいむをただただ眺め、見つめ、絶 望に子まりさは泣き腫らした目を瞑った。ねっとり柔らかい感触のあと、やわらかおまん じゅうボディに歯が食い込み、押し潰す。くりっとした寒天の目玉がぶづりと潰れ、子ま りさの苦痛に歪む視界は完全に失われた。噛み合わされる歯から逃れようと転がることも、 焼き潰されたあんよでは果たせない。ついに皮が裂け、れいむがむーしゃむーしゃするた びに、子まりさの大事なあんこが溢れ出していく。そして、中身の絞り出される喪失感の 中、子まりさは永遠にゆっくりした。 「や゙べでね゙! ゆ゙っぐり゙ぢでね゙!」 「ゆ゙っ……」 「むーしゃ! むーしゃ! しあわせー!」 茂みの向こうから必死に叫ぶ親まりさの言葉など、とろけるような極上のあまあまに夢 中のれいむには、何の意味もなかった。地面で震える焼きまんじゅうを舌ですくいあげ、 砂糖菓子の歯が子まりさを咀嚼し、あんこの塊へと変えていく。お口いっぱいに広がる極 上の甘みに滂沱の涙を流し、れいむは歓喜の声をあげる。少女の尻の下、親まりさもまた、 ぼろぼろ涙をこぼす事しかできなかった。 「おっと」 「ゆっ! なんだかゆっくりできないよ!」 ぴん、と糸が張る。せっかくの餌を食い逃げされてはかなわない。少女は顔が半分も 残っていない、食べかけの子まりさを放りだして両手で竿を握る。すっかり小さくなった 食べかけのおまんじゅうは、ボトリと音を立てて親まりさの目の前に転がった。もはやぴ くりとも動かない虚ろな目をしたつぶあんのおまんじゅうを、親まりさは呆然と見つめる。 お帽子がなくても、1/3ほどに欠けていても、大事な大事な可愛い子供がわからないは ずがない。いつも元気で、かけっこが一番得意なちびちゃんは、食べられて永遠にゆっく りしてしまった。ぺーろぺーろしても、二度と動くことはない。もう一緒にゆっくりでき ないのだ。 「ぺーろ……ぺーろ……」 それでもまりさは舌をいっぱいに伸ばし、木漏れ日に黒々と輝く子まりさのつぶあんを 露わにした断面を舐めざるを得なかった。優しいお母さんとゆっくりしていただけなのに、 目の前で姉妹を潰されてあんこ玉にされるのを、ゆっくりできない焼きまんじゅうにるの を見せつけられ、そして自らはおやつにされた子まりさは、あまりにも美味しかった。舌 を貫く、いままで一度も口にしたことのない程のゆっくりした甘さに、親まりさは目を見 開いて稲妻に撃たれたかのようにその身を震わせる。 「うっ、う……っめ……これ、めっちゃ……う……め……」 その言葉が迸らないよう、親まりさは必死に歯を食いしばる。ゆっくりの本能に突き動 かされてあんこを舐め取ろうとする舌を身を切る思いで子まりさから離し、目をぎゅっと 瞑ってまりさは堪える。大事な子供なのに、しあわせーな味に、むーしゃむーしゃしてし まいそうだったから。 「おかーしゃん! おねーしゃんがいたいいたいだよ! ぺーろぺーろしてあげてね!」 「ぺーろぺーろすればゆっくりできるよね? いっしょにゆっくりできるよね?」 籠の中から、生き残りの子まりさが叫ぶ。しかし、親まりさは舌を伸ばすことができな かった。もう一舐めでもしてしまったら、可愛い子供なのに、むーしゃむーしゃを我慢で きなくなってしまうから。 「あ、それ食べていいよ」 糸を引っ張って跳ねていこうとするれいむの重さに、大きくしなる竿を引き絞り、少女 は親まりさの頬を両足でしっかと挟んで腰を落とす。おしりの下で震えている親まりさを 一顧だにせず、少女は大物との格闘を楽しんでいた。 「ぷっくー! おねーしゃん! ひどいこといわないでね!」 「そうだよ! まりしゃはたべものじゃないよ!」 「あははっ、何言ってるの? ゆっくりは美味しいおまんじゅうよ、っと、重い、わね」 小さな籠の中、小さな頬をいっぱいに膨らませて不満を表明する子まりさたち。親まり さはほろほろ涙をこぼしながら、ゆっくりブレインを必死に回転させて言葉を紡ぐ。 「ちびちゃんたち、よくきくのぜ! このこはこわいおねえさんにたべられて、えいえん にゆっくりしちゃったのぜ! ぺーろぺーろしても、もうゆっくりできないのぜ!」 「ゆ゙わ゙あ゙あ゙あ゙!」 「どぼぢでえ゙え゙え゙!」 一拍遅れてゆっくり理解すると、火が点いたように一斉に泣き叫び始める子まりさ。ぶ るぶる震えて砂糖水の涙を落とす親まりさは、悲しみの中でも、せめて残りの子まりさだ けでもゆっくりさせようと続ける。 「だから、このこのぶんまでゆっぐ!」 「どっせーい!」 「ゆ゙~っ! おそらをとんでるみたい! じめんさんゆっくりしべぼっ!」 少女が一気に竿を振り抜いた。台詞の途中で踏ん張る少女のおしりを頭にめり込ませ、 親まりさは呻く。そして、まりさは見た。少女の釣りあげた、丸々膨れた大きなれいむを。 一瞬の浮遊感にきらきら笑顔を輝かせ、そのまま勢いよく地面に叩きつけられるれいむを。 そして、その下敷きになった大事な子まりさを。 「ゆ゙ぎぃ゙……」 「ゆ゙……ゆ゙あ゙……ばでぃざのぢびぢゃ……」 「ふぅ、大物ねー」 椅子まりさとほとんど同じ大きさのれいむは、目をぐるぐる模様にして痙攣していた。 れいむの半開きの口から針を取り外し、籠に放り込もうとして、少女はれいむの頬にべっ とりこびりついたあんこを不思議そうに見つめる。 「あれ、なんでこれ汚れてるのかしら……汚いなあ」 「ゆっくりしてね! ゆっくりしていってよー!」 拭きとるのも面倒と、頬の汚れたれいむを籠に放り込んで風呂敷をかけ直すと、少女は 満足げに手拭いで汗を拭う。もにんもにん暴れるまりさに座り直すと、餌籠からゆんゆん 泣き叫ぶ子まりさを掴み出すと、鼻歌混じりで釣り餌へと作り替えていく。 「ゆ゙っ! ゆ゙ぴっ! ゆ゙げぇ゙」 「おでえざんっ! おでがいじばず! ばでぃざはどうなっでもいいでずう! だがら! ぢびぢゃんだぢを! だずげであげでぐだざい゙い゙!」 自身のゆっくりに代えても大事な子を守ろうと、親まりさは身も世もなく濁った絶叫を 上げた。こんなにゆっくりできないことは、今までに一度もないことだった。お口が張り 裂けんばかりの叫びも、砂糖水の涙とよだれでぐしょぐしょの悲痛な顔も、少女の心を動 かすことはなかった。 暢気そうに小首を傾げ、少女は泣きわめく子まりさに指を触れる。うるさいお口を焼い て潰して、邪魔な髪の毛を焼き捨ててハゲまんじゅうにしたら、逃げないようにあんよを 焼いて一丁あがり。 「む゙……! む゙……!」 「ばり゙ざのいぼお゙どがあ゙あ゙あ゙!」 「ん゙む゙! む゙む゙……!!」 「あれ、出ちゃった」 深く刺しすぎて寒天の目玉を貫通した釣り針が露出しないように引き戻すと、目玉は鋭 い返しで刻まれて光を失った。お口を、髪を、あんよを焼かれた上で片目の機能も失い、 理解不能の激痛にびくびく痙攣する子まりさを茂みの向こうへ放ると、少女は親まりさに 深く腰を下ろし、大きく伸びをした。構造上背もたれがないのが少々難ありではあるが、 ゆっくりの座り心地はそれを補って余りある。 そして、この日の釣果は上々であった。 「なんだかとかいはな すいーつ さんね! ひぎぃ!」 狩りのお手伝いもできる子まりさで作った餌でありすを釣り上げ、 「むきゅっ! あれはおまんじゅうさんだわ! む゙っぎゅゔぅ゙ぅ゙!」 妹思いの優しい子まりさで作った餌でぱちゅりーを釣り上げ、 「おまんじゅうざんゆっぐりぢでだのに! わ゙がら゙な゙い゙よ゙お゙お゙!」 一番下の可愛いがられてきた子まりさで作った餌でちぇんを釣り上げた。 「大漁大漁」 やがて夕陽が山の稜線と仲良くなる頃、手拭いで額やうなじの汗を拭きながら、少女は 心地よい疲労感に目を細めた。糸を巻いて釣り竿を籠にくくりつけ、釣果でずっしり重い 籠を背負うと、中からゆっくりゆっくり賑やかな声が上がる。 「も゙っと……ゆ゙っぐり゙……ぢだがっだよ゙……」 「ん?」 大事にゆっくり育てた可愛い子たちと、今日も明日もずっと一緒にゆっくりするはずだ ったのに。椅子としての慣れない長時間勤務でおつむをおしりの形に窪ませた親まりさは、 少女を見上げることしかできなかった。夕陽の中、少女は最初に見せたときと同じ顔をし て微笑んでいた。 小さく地面を蹴り、少女は夕闇の迫る空へと身を躍らせた。妖怪が空を飛ぶことは珍し くもないが、ゆっくりまりさにお空は遠すぎた。まりさは少女の姿が見えなくなっても、 寒天の目玉が灼けつきそうなほどの夕焼け空を見上げていた。 「ぢびぢゃんは……ま゙た……つくれ゙ば……いい゙……よ゙……」 少女の投げ捨てたまりさのお帽子は、森の下生えで静かに主を待っていた。まりさはお 帽子のつばを咥えておつむに乗せた。まりさのすてきなお帽子は、昨日までと同じように、 とってもゆっくりしていた。でも、ひとりぼっちのまりさはちっともゆっくりできない。 あんなにみんなゆっくりしてたのに。ついさっきまでは一緒にゆっくりしていた、今は もうみんな永遠にゆっくりした子まりさの分まで、ゆっくりしなくてはいけないのに。 「ばでぃざ……ゆ゙っぐり゙……じだがった、だけなのに……」 さっきまでは親だったまりさは、潰れた子まりさのあんこの痕に、力なく舌を這わせる。 この上なくゆっくりできる味なのに、ちっともゆっくりできない。お目々から、お口から、 砂糖水を垂らし、ぼいんぼいんと跳ねながら、まりさは森の奥へと消えていった。森の奥 では、ひとりぼっちの巣穴がまりさを待っている。 「ただいまのぜ……ゆっくりかえったよ……」 「うー!」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙! れみりゃだあああああ!」 なんと嬉しいサプライズ。ひとりぼっちでも、おうちで待っていてくれる誰かがいたな んて。まりさは死ぬほど歓迎されました。めでたしめでたし。 森に魚を求める とか書きました。 09/07/20 書き直し このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/538.html
第470話:THE GRAVITY OF DARK SIDE 完全に地の利を味方につけたサックスはそれでも追跡を気にしながら慎重に村から離れていた。 結果としてここが浮遊大陸であることが彼を助けたわけである。 けれど慎重を期した代償である些細なはずの時間経過が彼に次の不運を呼び込むのだ。 同じ場所を北へ、少し前に通過していったルカたちとの時間差はほんの30分程度でしかない。 しかしその時間のうちにカズスの入り口である北の峡谷部はゲストの到着を許していた。 勇者アルス。黒騎士レオンハルト。 悪の巣へと向けて歩みを進める彼らにはいまや戦いの緊張感と決意がみなぎっている。 そうして、南北から峡谷を抜けようとした彼らは出会った。 時間が欲しかった。たとえ答えが出なくても、迷いが深まるだけでももう少し一人でいたかった。 なのにフリオニールを振り切り村を離れられたと思ったらまた別の人達だ。 カイン達に騙されてカズスへ誘導されている人達だろうか。 ともかく、誰かと顔をあわせるということは会話するにせよ戦闘するにせよ決断せねばならないということ。 確かに勝利者になる決意はした。けれど、何の関係もない人を殺してしまう覚悟はまだぼやけたまま。 遭遇を回避するため岩陰に身を隠しつつサックスは切にギルダーへの問いを反復していた。 「隠れてないで出て来てくれ。そちらに悪意が無ければ害意を加える気なんてない」 夜の暗さにさらに濃淡を付ける岩陰、そこに感じた気配にアルスは呼びかける。 聞いた話が本当ならばカズスは来訪者を殺す罠、或いは殺人者達の砦。 だから、油断はしない。だから、身に付けた武装の端まで整った闘志が満ちている。 「僕はアリアハンのアルス。もう一度言う。…静かに、姿を現してくれ」 アルス? 聞こえた名乗り、名乗られた名前は彼女が仲間だと語っていたそれ。 平時のサックスであれば「信頼した仲間の仲間」というだけで心を許していたろう。 けれどゼル達に見放され、ルカ達に見放されて膨れ上がった孤独。 殺し合いの中で1人生き残る事を彼に唆すほどにまで育った孤独は今また恐怖を彼に囁く。 彼らが僕のことを悪し様に聞いていない保証はない。 それに嘘をつかずに自分の身の上、カズスでの出来事を説明して信じてもらえる自信もない。 いや、その前にフルートの死に責任がある自分を彼が許してくれるなんてなぜ簡単に思える? 彼女は確かに信頼した仲間だ、でも彼は僕にとって「初対面の他人」じゃないか。 もはやサックスの思考はネガティブな方向から逃れることができない。 そして揺らいだ精神が場に漂う緊張に堪えられなくなるまでほとんど時間は要さない。 逡巡の後、彼はこの場から逃れ去ることを決断した。 苦労してようやく抜け出してきたカズスへの後退を。 もしサックスが使い慣れた剣を手にしていたならば二人は暫し誰もいなくなった岩陰を警戒し続けていたかもしれない。 けれど、現実に彼の手にある不慣れな槍の長柄はそれを担ぐサックスの頭上から二人に微かな反射光を投げる。 それは些細な違和感を与える程度でしかないが満ちた緊張を行動させるには十分で。 「何だ、動くもの………!! 見張りだったか!? レオンハルトっ」 「わかっている。追うぞ!」 背後に追跡の気配を受けながらサックスは冷静さを乱しつつ走っていた。 地の利とマテリア:スピードの力で客観的に見れば追いつかれる道理はないのだがサックスには余裕がない。 どうする、二人と戦うのか? それともどこかに隠れて今度こそ何とかやり過ごそうか? 無意識に狭めた選択肢が彼の心理の姿を示している。 何の答えも出せぬまま急き立てられるように村の外れまで戻って来たところで立ち止まった。 いや、その先にある足を踏み入れたくない領域に押し留められたのだった。 「…気が付いたらサックスの姿が見えなくなっていたという訳か?」 「そうなるな」 「お前は何をやっていたんだ!?」 「迂闊だったと思っている」 「お前のミスだろうが!」 「はっ、カインよ、自分なら何のヘマもしないとでも言いたいのか?」 「もういい黙れ。……くそっ!」 ルカ、ハッサンに逃げられ、今またサックスまでもがカズスから姿を消した。 合流したフリオニールに彼の不在を問い詰め、その事実をカインは認識する。 サックスは殺されたのかもしれないとも思ったが、それを問うことをカインはしなかった。たいした差は無い。 ともかく苛立たしいやり取りの後、少し離れて立っているフリオニールとは口をきいていない。 どうすれば良いのか? 待ち合わせの時間:タイムリミットが迫っている。なのにシナリオは壊れきった。 二度三度にわたる弥縫策のもともとの原因もそれをさらに突き崩したのも、すべて隣の男のせいだ。 フリオニール。引き込んだ駒がこれほどマイナス要因になるとは考えていなかった。 期待しているスミスの帰還もまだだ。飛行と言う最良の移動手段を使えるスミスがこれほど遅れるのは、 どこかでトラブルに巻き込まれているか、…裏切られたか。 何もかもが上手くいっていない。何もかもが思惑を外れてしまっている。 計画はすべて放棄するべきかもしれない。そう、馬鹿の役立たずに全てを擦り付けて。 仕方ないがいいさ、もとより一人で戦い抜くつもりだったのだから。 どうしてやろうか? あからさまに不快感を示したカインとの決裂はもう取り返しはつかないだろう。 サックスを手駒とするのに失敗したのは痛いが自分にはエッジから奪い取った武器がある。 ザックの中に眠る大型の機械。ひとたび火を吹けば豪雨のように全てを抉る武器。 大型マシンガン。カインには教えてもいない。奴とてこれを浴びればひとたまりも無いはずの威力。 必要なのは設置して撃つ、そのための隙を作ること。 このゲームに勝者は一人、それは貴様も分かりきったことだろう? 目の前にはカズスの廃墟、後方からは追跡者。 思考は混乱し、なんら行動できないまま徒にサックスはタイムリミットを迎える。 「武器を捨てろ。それから両手を上げて振り向け」 アルスの声。追いつかれた。もう戦うしかないのか? ビーナスゴスペルを持つ手に緊張が走る。2対1だ。僕は死ぬのだろうか。 振り返ると共に槍で薙ぎ払おうとした動きはしかしレオンハルトにより阻まれる。 抵抗を察し一気に肉迫した彼の剣はサックスの手元に近い部分で槍を押さえ、容易にその動きを止めたのだ。 サックスを包んだ驚愕が晴れたとき、彼はその手から槍を奪われ取り押さえられていた。 「その顔はサックス、か」 「………」 「イクサスを殺したんだってな? お前もカインやフリオニールと組んでいると言うわけか」 「違う! …違うんだ」 「何が違う? 殺人者」 見上げたアルスの顔は紛れも無く正義を信じる者の冷たい顔で。視界の端には刃がギラリと映る。 死ぬのだと思った。自分は彼らに断罪されて死ぬのだと。 けれど、カインやフリオニールの同類だと言われたままなのは我慢がならない。 信じなくてもいい、聞いてくれ。サックスはそう静かに呟きこの世界で自分の見てきたものを語り始めた。 鉱山でのこと。ロランの事、イクサスの事、ギルダーの事、フルートの事、ゼル達への想い。 カインに襲われたこと。ルカ達に助けられた事。 カズスの村で見た面々のこと。マッシュとスコールの事。その後のこと。 そして、どうにか自分はそこから逃げ出してきたのだと言うこと。 「そして、君達に出会った。その後はこの通り。わざわざ言わなくてもいいだろう? ああ……結局、僕は何も護れなかった、な」 不思議と後悔はない。語りたいことはすべて語ったから。 アルスは先程と同じ表情のままでサックスを見下ろしているまま。けれどその視界から彼の命を奪う予定だった刃がスッと引かれて消えた。 「レオンハルト!」 「アルス。城で出会った二人の言葉を覚えているか。 『心を入れ替えて、生き直そうとしてるヤツでも殺すのか?』だ」 「覚えているさ」 「では貴様がそれになんと答えたかは?」 「…覚えている」 「『遺された人が悲しむ事を知っていて、なお他人を殺せる様な奴ならば』だったな。 この男はどうだ? そうでないように、見えるか?」 「………」 「悪を絶つ、その覚悟は立派なものだ。 だが手にした正義の光の前に目を閉ざしてはいけない、盲いてはいけない。 本当は彼をどうしたいか。貴様もわかってはいるのだろう? 見誤るな」 組み伏せられているサックスの上、沈黙が場を支配する。 アルスは黙してただ何かを考えている。レオンハルトは黙してただ彼の答えを待っている。 「嘘で無いならこの村に残っているのはカインとフリオニールだけか。 …サックス。君の罪は消えたわけじゃない。だが今は君よりその二人を討つほうが先決だ」 「アルス」 「レオンハルト。彼の身柄は君に預ける。どうするかの判断も任せよう」 捻り上げられていた腕を解かれ、地面とアルスの間からサックスが解放される。 肩透かしになった死の覚悟をぶら下げたままきょとんとするサックスを睨み、アルスは言い加える。 「サックス。僕はまだ君のことをそれほど信用しているわけじゃない。 でも大事なのは…。そう、大事なのは『これからの事をどう思っているのか』だ。 もう一度、その後で話を聞く。行こう、レオンハルト」 カズスの村の奥へと強い視線を移し、アルスは遮蔽物を利しつつその中心へと近づくべく離れていく。 その背中をじっと見つめたまま目で追うサックス。 「…贖罪の為に戦う。それならばサックス、貴様と俺は大して変わりはしない」 「え……」 「この生は俺にとって二度目の生。一度目は力に溺れた果ての終幕だった。 ほら、受け取れ」 ビーナスゴスペル。先程サックスの手から奪ったそれを、レオンハルトは差し出している。 「貴様も共に来い。 たった今、貴様は一度死んだのだ。ならば俺と共に贖罪の戦いへ身を投じないか?」 レオンハルトの言葉が熱く胸を打つ。二度と得られることは無いと思っていた信頼の言葉。 少なくとも目の前にいるこの人は僕を信じ、同道を許してくれる。こんな、僕を。 そっと伸ばされた手がしっかりと槍を掴み、サックスは立ち上がる。 視界を滲ませる熱いものを感じ、サックスは奮い立たせるようにそれを片手でぬぐう。 「ありが…ありが、とう、レオンハルト。僕は……僕は、本当は一人で、生き延びようと」 「言うな。言わなくていい。孤独、不安、絶望、それらは人の心を捻じ曲げてしまう。 人が堕ちるのは容易いものだ。だが、這い上がってくればいい、絶望の荒野に果てる前に。 さて。ではあまりアルスに一人で先行させるわけにもいくまい。我々も行くぞ」 「……あ………はい! はい、もう……もう大丈夫です、行けます! 行きましょう!」 「良し! 標的はフリオニール、奴の捕獲を第一目的とする。 サックス、ここで死ぬな。すべて為してこその贖罪、それはまだ続くのだぞ」 「はい!」 隙を突いて先手をとって動こうというつもりなのだろう。 明らかに解るであろう不快感をぶつけておいたため可能性もあると読んでいた通り、 うつむき加減で考えていたカインの視界の端からフリオニールの姿が消える。それを追って地を蹴ったカインは夜空へ舞い上がった。 この時点で二人の決別は確定した。 むしろ好都合、それならば、ラムザやユフィに語ったことを真実にしてしまえばいい。 爆発の後もまだ立体を保つ脆い足場へと軽やかに着地し、カインは影を追って跳ぶ。 要はマシンガンの発射準備までたどり着けるか、その前に死ぬかだ。 爆発になめされた村の中ではまだ遮蔽物が多く残る方向へと駆けるフリオニール。 無論、カインはしつこく追ってくるだろうからこちらはそれを退けねばならない。 まるでノミのように地面、柱、屋根と細かく素早く飛び跳ねながら追ってくる相手を認識して考える。 ならばどうしようか。走りながら、思いついた魔法を唱えるべく魔力を集める。 フリオニールにとっての嬉しい誤算、カインにとっての悪い誤算はその時に起こった。 幾度目かの飛翔の一瞬、全身を走り抜ける悪い予感にカインは咄嗟に跳ぶ角度を変え、地面へ向かう。 天を舞台とする優れた竜騎士なら荒天の日に感じることができる落雷の予感。だが、あまりに不自然ではないか。 訝しさは夜空より降ってきた一条の雷が吹き飛ばす。 「竜騎士カイン! 失われた命、貴様が奪った命に代わり僕がお前を討つ!!」 通電のショックに顔をしかめながらヒーロー気取りの名乗りの方を目で確認。 攻撃を挨拶代わりに現れた第三者の出現、事態は予想以上に悪い。 よりによってフリオニールとの共同戦線が崩壊したこのタイミングで現れるとは。 「フリオニール、どこだ」と叫ぶ聞き覚えある声がさらにカインに追い討ちする。 あれはレオンハルト。なるほど、奴が引き連れてきたという訳か。 偶然にしてはできすぎたタイミング、おそらくは自分達が蒔いたカズスへの誘引策を聞きつけたのだろう。 それが裏目に出たというわけだ。 リュカ達かゼル達かは知らんが接触による情報の広がりを考えるとかなり不味いことになっているのかも知れない。 苛立ちが募る思考は迫り来るドラゴンテイルにリセットされ、カインはギリギリでその爪を逃れる。 「フリオニール、どこだ! どこにいる!!」 全員を殺すつもりなのだから特定の相手にこういうのは可笑しいが、殺したい相手の声を聞いてフリオニールは哂っていた。 サンダーかサンダラか知らないが同じ雷の魔法を考えてカインを攻撃した奴がいる。恐らくレオンハルトの仲間だろう。 たなぼたで転がってきたノーマークの時間、フリオニールは捜索の時間から目を付けていた四方の壁が残る屋根のない廃屋へ。 速やかに死を運ぶ鉄塊を取り出し、鋼鉄の死神を組み立てる。 かつての崩壊前の姿、そして廃墟と化した現在の姿。 二つのカズスを脳内で重ね合わせながらサックスはレオンハルトに付き従う。 形ながらも遮蔽物として残っている壁や柱の影をおさえながらフリオニールの居所を絞っていく。 誰よりもこの地に精通しているサックスの助力を得て彼らは的確に動き、程なく一箇所に目星を付けた。 周囲から少しだけ孤立した位置に、バリケードのように壁だけが残っている廃屋。 「そこにいるのだろう、フリオニールよ! 姿を現せ! 剣を抜け! 尋常に、勝負せよ!」 返事は奇妙に澄んだ鋼鉄の死神の咆哮。廃屋の壁の一方を突き崩して飛び出し、爆発を生き残っていた壁を粉砕する。 同種の攻撃に晒された事のあるレオンハルトの即断に従い、二人は転がるように遮蔽物の裏へ。 大体でこちらの方向を把握したのか、それとも残った廃墟全てをあの攻撃で粉砕するつもりか、 断続的に続く機械の歌声と共に壁が、柱が、瓦礫の山までもが銃弾の雨に苦悶の合唱をあげる。 「あの狂人と同じ類の武器? なるほど、これが一網打尽の罠の本質か。 しかし…いつまでも誰もが驚愕すると思うな。すべて使うは人の手、限界は易々とは超えぬわ。サックス」 「はい」 「辛い役だが囮を頼む。奴の注意をこちらに釘付けのままにして欲しい。 攻撃は俺が近づいて止める。あの破壊の雨が止んだら一気に飛び込んで来い」 「はい、え、でも、どうやって……あっ」 疑問を差し挟むより早く取り出した何かの粉末を浴び、レオンハルトの姿がかき消えてゆく。 『フリオニールは必ず止める。だから…信じろ』 誰もいない空間から聞こえた声に、サックスは大きく、力強く頷いた。 それ程距離の離れていない規則的で耳障りな音が二人のBGM。 帯電したような自分の肉体が、周囲の空気が落雷の雰囲気をカインに予告している。 だが、その源は空に浮かぶ雲ではない。 悪を滅するいかづちの根源は正面で鞭を振るうアルスと名乗った青年。 そして、カインは今焦燥の極みにあった。 槍の穂先は青年をキッと指し、竜の尾は地面からカインを見上げる。 だが何よりもカインを焦燥せしめているのは自らの手で血を流す小さな引っ掻き傷である。 (この指輪…力がっ、失われているッッ!!?) 確かにかつて他人の指に見た際の妖しく紅い輝きはそこにない。 鋭き槍を止め、スミスのプレスからさえ持ち主を守ったその力は今カインを守ってはくれないのだ。 悪くなる状況の中でもカインを一段上の心理的な優位に置いていた要素が彼を見限っているのだ。 (何故、何故だ。馬鹿なあッ!) 焦燥は加速して、思考は減速していく。 思考時間を求め停滞を願う頭脳を笑うように青年の腕から柔らかに加速される鞭は判断の鈍ったカインに回避を許さず、槍と小手で受けることを強いる。 それは、再び彼の指に傷をつけ、単調な、繰り返しの、二度目のプロセス。 だから、再び動揺する。読みが甘くなる。程度を甘く見る。差異を見逃す。 アルスの姿が消えたのではない。見ていなかったのはカインのせい。 眼前に現れた青年から盾を放り捨て速度の乗った拳が顔面へと叩きつけられる。 久方ぶりの衝撃、ダメージ、痛みがカインの中を走りぬけ、かえってそれが温んだ脳漿を冷却する。 殴り飛ばされ地面に倒れたカインに冷酷に落ちる竜の尾撃を身をひねってかわす。 為すべき事は何か? 再起動した思考は短い言葉を連ねて提示してくる。奴は強い、だから、逃げろ。 響き続く、機械音。 「フリオニール! 僕だ、サックスだ。あなたからまんまと逃げおおせたサックスだ! 聞こえています? もう、止めませんか。戦いあっても仕方ないでしょう?」 打ち続く、機械音。 「魔女が、あんなに冷たく笑える魔女が救いを与えてくれるなんて本当に思っているんですか!?」 叩き続く、機械音。自分の声の残響が、心を撫でていく。 「勝利の果てで染み付いた罪まで誰かが赦してくれるなんて思っているんですか!?」 降り続く、機械音。必死の叫び、紡ぎだす言葉は己の身体へも潜り込む。 「汚れた手を大切な誰かに差し伸べるんですか!?」 引き続く、機械音。サックスの叫びはまるで自分の影へ呼びかけるようで。 「違うでしょう! 自分が不幸だからって人の命を奪っていいなんて!」 ただ続く、機械音。ここで出会った自分の形をした影に向けて必死に呼びかけているようで。 「気付いているんでしょう! 自分が間違っているって!」 ―――音が、止んだ。 自分を裏切り、のこのこと戻ってきた小僧の声に苛立ちつつフリオニールは引き金を引き続ける。 立場を逆転されて貶められただ足元で、心の底でざわめいていた影がわずかに起き上がってくる。 だが、抵抗もそこまでで押さえつけられたそれは哀しそうに揺らぐだけしかできない。 虚ろだったフリオニールの身体を満たした自分の影はもはやフリオニールそのもの。 例えそれが以前とどれほど違おうと、彼こそが現在のフリオニールであることは違いないのだ。 だから、レオンハルトのようなことを言うガキを憎んだ。むかついた。死を願った、この機械の牙で。 だが規則的に続いていた音の終わりは唐突に、横合いからの乱暴な衝撃がフリオニールを襲う。 『聞いたか、あの説得を? だが貴様は、相変わらず愚考に取り付かれたままか?』 奇妙に澄んだ残響がゆっくり倒れていくでくのぼうから抜け落ち、黒い空気へ霧消する。 痛覚より何が起こっているのか分からない驚愕が勝った状態でフリオニールはさらに見えない打撃を浴びる。 カインの方向にはしっかりと注意を割り振っていたはずだが、一体何が? 『もう逃がさんぞ。目を覚ませ、フリオニール』 「ッッ、レオンハルト!? レオンハルトか! 何をした? 姿を現せ!」 『誘いを断ったのは貴様の方だろうに。いまさらお願いか?』 激昂に乗って抜き放たれたラグナロクが何の手ごたえも無く空間を薙ぐ。 「どこにいる! 出て来い!」 「レオンハルトさん!」 聞こえた呼び声、近づいてくる足音、宙に浮かぶ半透明のロングソード。 像が構えを取る。時間切れの消え去り草の効力に合わせ少しずつ少しずつ人の形が浮かび上がる。 「さて…改めて話し合おうか。フリオニールよ」 「戯れ言を…。ふざけるなよ、兄弟!」 閃光の一合。気圧したレオンハルトの剣が武器の力を超え、フリオニールを下がらせる。 そして――――そこに、死が訪れた。 なお続く機械の音と誰かの叫び声を背景に二つの氷の意思が渡り合う。 はっきりとした視認が不可能な速度で舞い襲う鞭相手の殺陣、槍よりもさらに広い間合いを制圧できる相手にカインは攻撃を当てられないのがやっと。 だが、小手先の策はないわけじゃあない。 ぼろぼろでふらふらだった男が自分の攻撃を受けたときどのようにそれを脱したのだったか。 ツーアクション。 不意打ちでアルスめがけて投げつけられた暗赤色の指輪。 カチリとスイッチが入る隠し持っていた機械。 勇者が攻撃の合間に拾っておいた自身のドラゴンシールドで些細な反撃を止め、 反撃を再開する前にカインは彼が制している空間から逃れ去ることに成功していた。 あとは、再度鞭の間合いに飲まれる前に常人が持ち得ない跳躍力を持って宙空へ逃れるのみ。 彼の足が地を離れた瞬間、示し合わせたように耳障りな音が消えた。 眼下に捉えるは三方を壁に囲まれた中で呆けたようなフリオニール。 吹き上がるは憎悪、思考の努力を投げるほどの感情の炎。 アルスという青年にレオンハルト。この二人を相手にしてフリオニールに勝算があるとは思えない。 けれど、計算よりも損得よりも、カインに強く芽生えた憎悪はその手で奴に引導を渡すように唆す。 ワンクッション、降りた地面にかつてなく力をかけて一本の槍と化し天へ舞う竜騎士。 切り札にして自身最大の攻撃。一撃集中一点狙撃、軌道修正不能の高空からのジャンプ・アタック。 夜空から落ちる竜星は―――そこに、死を導く。 サックスは火が出るような二つの剣の激突を見、そして、流星を見た。 訳が、わからない。 剣を手にしたレオンハルトの勇姿が見えた、そう思ったはずなのに 彼の眼は串刺し刑のように一本の槍で縫い止められた彼の姿を見ていた。 声が、出ない。 激突の反発か、槍と共に流星はいずこかへ跳ね去り、そしてフリオニールの剣が黒騎士を肩口から裂く。 全てが、受け付けられない。 視界の端にアルスの姿が見える。遠さと暗さは彼の表情を読ませてはくれない。 けれど、その視線に非難、不信、憤怒が乗せられている気がしてサックスの心は震え上がる。 僕は、また。 黒い空へ飛翔し消えるカインがいた。近づいてくるアルスの姿がいた。 抱いた希望が反転した絶望はサックスがここに居続ける事を拒絶する。 ここにはいられない。僕はまた、一人で、やらなくちゃ。 駆け出していた。 前ではない方向へ。ここではないどこかへ。足のみが知る行き先へ。 血と鉄の臭気、夜と返り血のコントラスト。 望んだ勝利は望まぬ勝利、己が剣にあまりに呆気なく身を裂かれた親友。 砂のような虚ろな感触に漂い、落ちてきた憎悪が残した目を無感情に受け止める。 最も闇に近しい男は新鮮な肉塊と化した友を一瞥し、その名前だけを闇に閉じ込める。 それから、雷撃の勇者の声に気付いてフリオニールは顔を上げた。 その強さは昼間身をもって体験している。 素早く蹴倒されていた大型マシンガンをザックへと詰め込んで正面切って彼とぶつかることを避け、 フリオニールは廃墟の闇へと溶け込んでいった。 不吉をかきたてていた音の方角へと消えたカインを追って荒廃した建物の間をアルスは走り抜ける。 そして、 地に突き立ち跳ねる流星の如き一条の筋を見、 不自然に踵を返すサックスの姿を見、 廃墟の間へ揺れ隠れ消える憎むべき背中を見、 温かさを残したままに靴で凌辱された戦友の無残な骸を見た。 裁つべき悪は空へ逃し放してしまった。悔恨を信じた友は裏切られてしまった。 そして僕は、傲慢なままにただ立ち尽くす――― 影は纏い付くスモッグのようにアルスの心の目を覆い閉ざす。 揺れる枝に木の葉ずれの音を立てて降りる。 カインは一度だけ粉々に破砕された策謀の舞台を見返し、その後樹を蹴って跳ねた。 何の力か突然に姿を現し軌道に割り込んだ誰かがいなければカインの槍はフリオニールを捉えていたろう。 歯噛みするような失敗は自分の槍の下で誰が死んだのかさえ気に留めさせない。 けれど、戻るという愚行を犯さない程度の冷静さもまたカインには残されている。 これから、何をするか、どこへ向かうか。 逃れることを優先しなりゆきで向かう先は南西。暗く横たわる稜線が近い。 竜騎士たる自分の能力を持ってすれば常人では険しい山岳地帯もさほど労せず越えることができるだろう。 (南西……カナーンか。ラムザらの目的地でもあったな) 午後は本当に災難だったと今にして思う。利なく、意味なく、損と悪名ばかりがかさんだ。 明日は――、と考えかけてカインは自分の愚考をあざ笑った。 招待客の諸君にも一方的な通告は心苦しいが今宵のディナーの待ち合わせは破棄させてもらう。 スミス、貴様はどこで油を売っているか知らんがスミスよ、こんな事情だ、理解しろ。 暫くはそれぞれ独力で生き延びるとしよう。怨むなよ? 【アルス(MP3/5程度) 所持品:ドラゴンテイル、ドラゴンシールド、番傘、ロングソード、官能小説1冊 第一行動方針:フリオニールを追う 第二行動方針:倒すべき悪(アーヴァイン、スコール、マッシュ、フリオニール、カイン、サックス)を殺し、PKを減らす 最終行動方針:すべての悪を消す】 【現在位置:カズスの村】 【カイン(HP2/3程度、疲労) 所持品:ランスオブカイン、ミスリルの小手、この世界(FF3)の歴史書数冊、加速装置、 草薙の剣、ドラゴンオーブ、レオの顔写真の紙切れ 第一行動方針:カナーン方面への転進 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】 【現在地:カズスの南西 高山との境界付近】 【フリオニール(HP1/3程度、MP1/2) 所持品:ラグナロク、三脚付大型マシンガン(残弾5/10) 第一行動方針:来敵へのゲリラ戦での勝利を目指す 最終行動方針:ゲームに勝ち、仲間を取り戻す】 【現在地:カズスの村 廃墟の奥】 【サックス (負傷、軽度の毒状態、左肩負傷、心理的疲労) 所持品:水鏡の盾、スノーマフラー、ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) 第一行動方針:この場から逃走する(無意識にウル方面へ) 最終行動方針:出来ればこの現実を無かった事にしたい】 【現在地:カズスの村を出てウルの村へ】 【レオンハルト 死亡】 【残り 56名】
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1479.html
*警告* 幻想郷ものです。 名無しの妖怪がゆっくりをゆっくりできなくします。 ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。 ↓以下本文 妖怪の山の裾野の森を、籠を背負い、釣り竿を担いだ少女が歩いている。人里離れた場 所で太平楽な顔をしている段階で、賢明なる読者諸氏にはその少女が妖怪であるというこ とはお察し頂けるだろう。その証拠に、諸般の事情で造形を説明することはできないが、 かの女は名状し難い帽子を頭に乗せていた。 少女はたまに立ち止まっては何かを探すように耳を澄ましていたが、やがて大きな茂み の前で声をあげた。 「ゆっくりしていってね」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 頷くと、少女は茂みをかきわける。その先には、彼女の期待通りの光景が広がっていた。 黒白のとんがり帽子をかぶった膝丈ほどのゆっくりが一匹と、その子供らしい拳大のもの が七匹、親子でゆっくりしていた。木漏れ日の差し込む森の中、柔らかい草をはむはむと 食んだり、丈の低い花を食べたり、下生えを這う虫を頬張ったり。とってもゆっくりした 可愛い子まりさたちに囲まれ、親まりさはあんこの底からゆっくりしていた。どの子もと てもゆっくりした、まりさの自慢の子だった。 「ここはまりさのゆっくりぷれいすなのぜ! おねえさんはゆっくりできるひとぜ?」 「釣りをしに来たのよ」 「つりってゆっくりできのぜ?」 「うーん、ゆっくりしないと釣れないわねえ」 「いっしょにゆっくりするよ!」 つりはゆっくりできる。ゆっくりブレインでそこだけゆっくり理解したゆっくり一家は、 少女を取り囲むように、足元でぽいんぽいんと跳ね回りはじめた。 「つりさん! つりさん! ゆっくりしていってね!」 「おねーちゃんまってね! ゆっくりおいかけるよ!」 追いかけっこをするもの、少女の足にじゃれつくもの、その場でぽむぽむ跳ねるもの。 幸せそうな声をあげて転がる子まりさたちに、少女は目を細める。 「じゃあ、手伝ってもらうね」 「ゆっ! おそらをとんでるみたい!」 「ずるいよ! まりさもとびたいよ!」 裾を払い、膝で潰してしまわないように気をつけてしゃがむと、少女は足元の子まりさ を次々につまみあげて小さな籠にひょいひょい放り込み始めた。二、三匹を取り上げられ たあたりで家族を襲った緊急事態にやっと気付き、親まりさは、ぷっくー、と頬をいっぱ いに膨らませて少女を威嚇する。まりさが頑張って膨れている間にも、少女は一切構わず 子まりさを残さず籠に運び終えていた。 「あらあら、そんなに膨れちゃって」 「まりさのだいじなちびちゃんたちをゆっくりかえすのぜ!」 まりさの渾身の威嚇に、少女は自分では一番怖いと思っている薄ら笑いで応えて見せた。 人間に見せたときには、あまり満足してもらえなかったようだけれど。そして、軽く振り かぶる。まりさの丸々と膨れた下膨れの中心に、思い切り拳がめり込んだ。柔らかく、程 良い質感と反発の皮と中身は、少女の拳骨を最高の感触で歓迎した。その殴り心地はまさ に幻想、夢心地。 「ゆ゙ぶっ!」 少女が手を引いても、まりさの造形は*の形に凹んだまま。ぴくりとも動かなければ、 中身のあんこを吐くこともない。あんこを吐けるお口は皮ごと内側にめりこんでしまって いるのだから。しばらく待てば、ぽこん、と間抜けな音をたてて元通りになることだろう。 凹んだ顔の奥で、ゆっゆっとくぐもった声をあげて痙攣し始めたまりさのお帽子をその 辺に適当に投げ捨てると、少女は腰を下ろした。不要なお帽子さえなければ、高さといい 座面の反発といい、まりさの座り心地は申し分なく、少女のおしりを包み支えるに相応し い、理想のアウトドアチェアであった。 「おぉ、おー、ちょうどいいわ。あなた今日から椅子として生きなさい」 「ゆ゙っ! おねえさんおもいのぜ! ゆっくりおりるのぜ!」 しばらくぶるぶる震えたあと、ぼこんっ、と音を立てて凹みの戻ったまりさが、少女の おしりの下で叫んだ。妖怪の膂力で破裂しない程度に思い切り殴られたため、顔の中心は まだ赤くなったまま。ずきずき痛むお顔に、まりさは涙声を上げる。こんなに痛かったこ とは、この山で生まれてゆっくり育って、一度もないことだった。ゆっくりしていただけ なのにちびちゃんを泥棒され、とっても痛いことをされるなんて。ゆっくりまりさには何 もかもが理解できなかった。 「そんなこと言わないで、今素敵なものを見せてあげるから」 「ゆえーん! ゆえーん! おかーしゃーん!」 「おねえさん! まりさのちびちゃんをゆっくりはなすのぜ!」 突然親から引き離され、籠の中でゆーゆーと泣き叫んでいる子まりさを一匹取り出すと、 少女は掌に乗せてにっこり微笑んだ。その笑顔に泣き顔の子まりさも釣られてにっこり。 笑顔をそのままに、少女の指が子まんじゅうにぐいぐい食い込んでいく。もぞもぞもが いていた子まりさは、食い込む指で中身のあんこが指の隙間へと圧迫され、ゆっくりして いた顔が歪に歪んでいく。指の隙間から見える小さな目玉を飛びだしそうなほどひん剥い て、子まりさは濁った悲鳴をあげはじめる。 「い゙や゙ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ゆっくりいそいでやめるのぜ! ちびちゃんがゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「いいから黙って見てなさい。これからがすごいんだから」 「ゆ゙ぎゅ……ぐるぢ……ゆ゙ぎ、ゆ゙ぎぎ……!」 押し出されそうになるあんこの噴出を、小さな頬をいっぱいに膨らませ、目とお口を力 一杯つむって子まりさは必死に耐え続けていた。手の中で身悶える感触に笑みを深め、少 女は嬉しそうにきりきりと締め上げていく。絞り出されたまんじゅうの皮は圧迫されたあ んこでぱんぱんに張り、おもちゃのカラーボールのように膨れていく。おもちゃという点 では同じでも、違いは食べられるかどうか、それと素材の強度。主に後者がカラーボール と子まりさの命運を分かった。子まりさを何とかして助けようと、尻の下でもにもに抵抗 するまりさに腰を落として黙らせ、少女はその手をぐっ、と握りしめた。 「ゆ゙ぼん゙!」 あんこ圧に押されて小さな目玉が飛び出し、ぱんぱんに膨れた頬が、もぞもぞ震えるお つむが、柔らかいあんよが裂け、親まりさの眼前で、内圧に耐えきれなくなった皮が爆ぜ 飛んだ。ぼとぼとと黒い塊が下生えに飛び散る。今はもう永遠にゆっくりしている、まり さのすてきなれいむといっしょにゆっくりした証。だいじなかわいいちびちゃんは、見ず 知らずの妖怪の、ほんの一握りで物言わぬあんこの塊となった。 「ばでぃざのぢびぢゃん゙ん゙ん゙!」 「おでえぢゃんがあ゙あ゙!」 傍らの籠から、尻の下から聞こえる愉快な声に目を細め、少女は丸めた帽子を芯に、あ んこと皮を混ぜておはぎのようにまとめていく。 「んー、これ手が汚れちゃうなあ……ん。おいし」 釣り針にあんこ玉をつけると、少女は指についたあんこを舐めとった。ゆっくり育って きたのに突然握り潰され、理不尽な暴力で永遠にゆっくりした子まりさのあんこは、十二 分に甘く味も深みを増していた。 「じゃ、これから一匹残らず餌になってもらうから、みんなゆっくり理解してね」 「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙い゙い゙い゙!」 「どぼじでこん゙な゙ひどいことする゙の゙お゙!」 「どうしてって……ゆっくり釣りやってみたかったのよ。それだけ」 「や゙ぢゃあ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ゆ゙っぐり゙ざぜでえ゙え゙え゙!」 「すこし黙ってねー」 あんこ玉を目の前で揺らして黙らせ、少女は茂みの向こうに、ひょいと釣り針を放った。 ゆっくりは自身が甘味でありながら、甘い物に目がない。「ゆっくりしていってね」と呼 ばわれば「ゆっくりしていってね!」と帰ってくる返事をもとに捕らえた、その辺の子 ゆっくりを潰せば餌は無料で手に入る。親ゆっくりがいれば腰掛けいらず。ゆっくり釣り は、好事家の間では珍しくもないレクリエーションである。 糸を垂らすことしばし。 「むーしゃ! むーしゃ! うっめ! これめっちゃうっめ!」 ウキがなくてもアタリが声でわかるのが、ゆっくり釣りの人気の一つ。少女は竿を引き、 慎重に糸を巻きはじめる。 「しあわせー! ゆ゙っ? ゆっくりひっぱられるよ!」 手応えはあまり大きくない。獲物が枝葉や糸でちぎれてしまわないよう、糸を繰ってそ ろそろと寄せていく。当然、獲物も跳ねて逃げようとするが、飲み込んだ釣り針が許さな い。少女は竿を巧みに操り、逃れようとするゆっくりを茂みの前から離さない。 「ゆ゙っ、ゆ゙っ?! いたいよ! どぼぢでにげられないのお!」 ゆっくりは唇を貫く釣り針から逃れようと、必死に跳ねては糸に引き戻される。糸を切 らないよう、少女は引いては緩め、ゆっくりの体力を消耗させていく。頃合いを見計らい、 大きく竿を振ると、ガサガサと葉っぱを散らしてあがってきたのは一匹のゆっくりれいむ。 一番多く見かける、縁起の良い紅白のおまんじゅうである。 「ゆ゙~、とれないよ! れいむをゆっくりおろしてね!」 「はいはいゆっくりしていってね」 竿を地面に立てると、少女はれいむを抱えてお口に手を突っ込んだ。あんこをごそごそ 掻きまわして針を外す。暴れるのも気にせず大きな方の籠に放り込むと、風呂敷を掛ける。 釣りはまだ始まったばかり。取り出した次の子まりさの邪魔な帽子を摘んで頬張ると、 怯えわななく可愛らしい小さなお口に、少女は白い人差し指を押しつけた。 「んゆぅ~」 突然親ゆっくりから引き離され、怖くてゆっくりできないおねえさんにぶにぶにされて いる。子まりさは恐怖に目をぎゅっと瞑り、掴まれて身動きもできない全身を捻り、少し でも逃れようと身悶える。その柔らかくくすぐったい抵抗に目を細め、少女は子まりさの お口を指先で塞ぐ。 「ん゙ゔぅ゙ゔ!」 鈍い音がして、細く煙が立ち上る。子まりさはお口を貫く激痛に目を見開き、絶叫をあ げ……ることができなかった。悲鳴を上げるべきそこは灼き潰され、まるで焼きゴテで焼 き付けられたような、濃いめの焦げ目だけが残されていた。 ゆっくりした愛情に包まれて育った子まりさは、生まれてこの方感じたこともない未知 の苦痛に小さな目玉をいっぱいに見開き、砂糖水の涙を垂れ流す。 お口が開けば、おかあさんの助けを呼べるのに。おねえさんにゆるして、たすけて、と 言えるのに。 「おねえさんやめるのぜ! いやがってるのぜ!」 もちろん何を言おうと少女は助けるつもりはなく、親まりさに助ける術はない。あんこ たっぷり生地の、生八ツ橋の美味しいお帽子を噛みながら、手の中でじたじた暴れる子ま りさをそっと撫でる。少女がその金色の髪に指をそっと宛うと、すぐにぶすぶすと細い煙 が立ち上り、子まりさの髪の毛が根元から焼け落ちはじめた。おつむを灼く激痛に手の中 でじたじた暴れる、指の腹の幅にハゲのできた子まりさを握る角度を変え、少女は不要な 髪を焼き捨てていく。一通り撫で終えると、天面にはすっかり美味しそうな焼き色がつい ており、髪の毛は一すじも残されていなかった。目をひん剥いてびくびく痙攣する焼きま んじゅうを裏返し、動けないようにあんよにも焼き色をつけて完成です。 「おいしく焼けましたー」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙?!」 「ばでぃざのぢびぢゃんがはげまんじゅうにいい?!」 少女の見せる、おいしそうな焼き色のついた焼きまんじゅうに、親まりさも子まりさた ちも一斉に悲鳴をあげる。どれもこれも目の幅に涙を流し、歯を剥いてガタガタ痙攣して いた。その反応に満足げに小さく鼻を鳴らすと、髪の毛のかわりに焦げ目のついた後部か ら釣り針を刺し、茂みの向こうに放る。釣り針がぶっすりしても、子まりさのお口は開か ず悲鳴も出ない。 あんこ玉と違って、焼きまんじゅう作りは手が汚れることはあんまりない。少女は地面 に竿を突き立てると、小さい籠から次の子まりさを取り出した。 「ゆ゙あーん゙! おでえぢゃんがあ゙! ゆっぐりぢでね! ゆっぐり゙ぢでね!」 「ええ、ゆっくりしていってね」 泣き叫ぶ子まりさを手に乗せ、少女はにっこり微笑む。微塵も邪気のない、まさにゆっ くりした表情に、子まりさも釣られて泣き笑い。 「ゆ゙ぐっ、ゆ゙あ゙……ゆ゙っぐり、していってね……?」 「あむっ」 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 食いちぎられたお帽子が、少女の尻に敷かれて動けない親まりさの前に、はらりと落ち た。親まりさは目をまん丸に見開いて見上げる。その目と、子まりさの片方しか残されて いない目が無言で見つめ合う。親まりさは言葉もない。子まりさにはお口がもうない。突 然姉妹を焼きまんじゅうにされ、絶望と恐怖を満喫したことで、子まりさは野生でゆっく り育ったとは思えない豊かな甘みを備えていた。美味しいゆっくりまんじゅうに舌鼓を打 ちながら、少女は震える親まりさに座り直す。 「む゙ー! む゙ー!」 あんよがいたくて、ぴょんぴょんできない。まりさはおねえちゃんよりはやいのに。 おくちがいたくて、うごかない。おくちがあかないと、ゆっくりしていってね、もでき ないし、むーしゃむーしゃもできない。 はげまんじゅうのまりさは、もうゆっくりできない。まりさのすてきなかみのけさんは とってもゆっくりしてたのに。 じくじく痛むあんよから地面に打ちつけられ、子まりさは苦痛に呻き、打ち震えていた。 どれほどの苦痛を味わったところで、二度と開くことのないお口からあんこが漏れ出るこ とはない。不意に、砂糖水の涙で歪んだ視界に、一匹のゆっくりの姿が映った。 「む゙……む゙む゙……」 「ゆゆっ! ゆっくりできそうなあまあまさんがあるよ! ゆっくりたべるよ!」 子まりさは開かないお口を必死に動かす。ゆっくりやめてね、ゆっくりしてね、と。ど れほど声を張り上げようとしても、焼け焦げて癒着したお口から、声が漏れ出る事はない。 焼きまんじゅうの美味しそうな焼き色に、通りすがりのゆっくりれいむは喜色満面、ぽい んぽいんといっさんに跳ねてゆく。その一跳ね一跳ねで、子まりさに望まぬ、逃れ得ぬ永 遠のゆっくりが近づいてくる。 「ばでぃざのぢびぢゃんはあばあばざんじゃないよ! ゆっぐぢや゙べでね゙!」 「おまんじゅうさんはまりさじゃないよ? ゆっくりできないこといわないでね!」 このままでは大事なちびちゃんが、食べられて永遠にゆっくりしてしまう。茂みの向こ うから聞こえる、れいむの嬉しそうな声に親まりさは大慌て。少女のおしりの下で、親ま りさは柔らかくもっちりしたおまんじゅうボディをたわめ、あんよを踏んばり、飛びだそ うと必死の形相で新作の創作ダンスを披露する。しかし今の親まりさは、少女のアウトド アチェアである。茂みの向こうで、見ず知らずのれいむに子まりさを美味しく頂かれるの を、ただ聞いていることしかできない。しかし、たとえ動くことが叶わなくても、お口は まだ動く。 「そのこはばでぃざのだいじなぢびぢゃん゙なの゙ぜ! おねがいじまず! しらないでいぶ は! ばでぃざのぢびぢゃん゙といっしょにゆっぐり゙に゙げてほしいのぜ!」 「ゆゆっ、ちいさいまりさなんてどこにもいないよ? れいむもうがまんできないよ!」 逃げることも叫ぶこともできない子まりさには、茂みの向こうから叫ぶ親まりさが、迫 るれいむにむーしゃむーしゃを諦めるよう説き伏せてくれることだけが、唯一の生き延び る可能性である。しかし、見ず知らずのはらぺこれいむに、地面に転がっている焼きまん じゅうを子まりさである、と理解させることなどできようはずもなかった。降って湧いた ゆっくりできるあまあまさんに、嬉しそうな顔でれいむは子まりさに近づいていく。もう おかあさんは助けに来てくれない。むーしゃむーしゃされて、永遠にゆっくりするしかな いのだ。ゆっくりした顔で大口をあけて近づいてくるれいむをただただ眺め、見つめ、絶 望に子まりさは泣き腫らした目を瞑った。ねっとり柔らかい感触のあと、やわらかおまん じゅうボディに歯が食い込み、押し潰す。くりっとした寒天の目玉がぶづりと潰れ、子ま りさの苦痛に歪む視界は完全に失われた。噛み合わされる歯から逃れようと転がることも、 焼き潰されたあんよでは果たせない。ついに皮が裂け、れいむがむーしゃむーしゃするた びに、子まりさの大事なあんこが溢れ出していく。そして、中身の絞り出される喪失感の 中、子まりさは永遠にゆっくりした。 「や゙べでね゙! ゆ゙っぐり゙ぢでね゙!」 「ゆ゙っ……」 「むーしゃ! むーしゃ! しあわせー!」 茂みの向こうから必死に叫ぶ親まりさの言葉など、とろけるような極上のあまあまに夢 中のれいむには、何の意味もなかった。地面で震える焼きまんじゅうを舌ですくいあげ、 砂糖菓子の歯が子まりさを咀嚼し、あんこの塊へと変えていく。お口いっぱいに広がる極 上の甘みに滂沱の涙を流し、れいむは歓喜の声をあげる。少女の尻の下、親まりさもまた、 ぼろぼろ涙をこぼす事しかできなかった。 「おっと」 「ゆっ! なんだかゆっくりできないよ!」 ぴん、と糸が張る。せっかくの餌を食い逃げされてはかなわない。少女は顔が半分も 残っていない、食べかけの子まりさを放りだして両手で竿を握る。すっかり小さくなった 食べかけのおまんじゅうは、ボトリと音を立てて親まりさの目の前に転がった。もはやぴ くりとも動かない虚ろな目をしたつぶあんのおまんじゅうを、親まりさは呆然と見つめる。 お帽子がなくても、1/3ほどに欠けていても、大事な大事な可愛い子供がわからないは ずがない。いつも元気で、かけっこが一番得意なちびちゃんは、食べられて永遠にゆっく りしてしまった。ぺーろぺーろしても、二度と動くことはない。もう一緒にゆっくりでき ないのだ。 「ぺーろ……ぺーろ……」 それでもまりさは舌をいっぱいに伸ばし、木漏れ日に黒々と輝く子まりさのつぶあんを 露わにした断面を舐めざるを得なかった。優しいお母さんとゆっくりしていただけなのに、 目の前で姉妹を潰されてあんこ玉にされるのを、ゆっくりできない焼きまんじゅうにるの を見せつけられ、そして自らはおやつにされた子まりさは、あまりにも美味しかった。舌 を貫く、いままで一度も口にしたことのない程のゆっくりした甘さに、親まりさは目を見 開いて稲妻に撃たれたかのようにその身を震わせる。 「うっ、う……っめ……これ、めっちゃ……う……め……」 その言葉が迸らないよう、親まりさは必死に歯を食いしばる。ゆっくりの本能に突き動 かされてあんこを舐め取ろうとする舌を身を切る思いで子まりさから離し、目をぎゅっと 瞑ってまりさは堪える。大事な子供なのに、しあわせーな味に、むーしゃむーしゃしてし まいそうだったから。 「おかーしゃん! おねーしゃんがいたいいたいだよ! ぺーろぺーろしてあげてね!」 「ぺーろぺーろすればゆっくりできるよね? いっしょにゆっくりできるよね?」 籠の中から、生き残りの子まりさが叫ぶ。しかし、親まりさは舌を伸ばすことができな かった。もう一舐めでもしてしまったら、可愛い子供なのに、むーしゃむーしゃを我慢で きなくなってしまうから。 「あ、それ食べていいよ」 糸を引っ張って跳ねていこうとするれいむの重さに、大きくしなる竿を引き絞り、少女 は親まりさの頬を両足でしっかと挟んで腰を落とす。おしりの下で震えている親まりさを 一顧だにせず、少女は大物との格闘を楽しんでいた。 「ぷっくー! おねーしゃん! ひどいこといわないでね!」 「そうだよ! まりしゃはたべものじゃないよ!」 「あははっ、何言ってるの? ゆっくりは美味しいおまんじゅうよ、っと、重い、わね」 小さな籠の中、小さな頬をいっぱいに膨らませて不満を表明する子まりさたち。親まり さはほろほろ涙をこぼしながら、ゆっくりブレインを必死に回転させて言葉を紡ぐ。 「ちびちゃんたち、よくきくのぜ! このこはこわいおねえさんにたべられて、えいえん にゆっくりしちゃったのぜ! ぺーろぺーろしても、もうゆっくりできないのぜ!」 「ゆ゙わ゙あ゙あ゙あ゙!」 「どぼぢでえ゙え゙え゙!」 一拍遅れてゆっくり理解すると、火が点いたように一斉に泣き叫び始める子まりさ。ぶ るぶる震えて砂糖水の涙を落とす親まりさは、悲しみの中でも、せめて残りの子まりさだ けでもゆっくりさせようと続ける。 「だから、このこのぶんまでゆっぐ!」 「どっせーい!」 「ゆ゙~っ! おそらをとんでるみたい! じめんさんゆっくりしべぼっ!」 少女が一気に竿を振り抜いた。台詞の途中で踏ん張る少女のおしりを頭にめり込ませ、 親まりさは呻く。そして、まりさは見た。少女の釣りあげた、丸々膨れた大きなれいむを。 一瞬の浮遊感にきらきら笑顔を輝かせ、そのまま勢いよく地面に叩きつけられるれいむを。 そして、その下敷きになった大事な子まりさを。 「ゆ゙ぎぃ゙……」 「ゆ゙……ゆ゙あ゙……ばでぃざのぢびぢゃ……」 「ふぅ、大物ねー」 椅子まりさとほとんど同じ大きさのれいむは、目をぐるぐる模様にして痙攣していた。 れいむの半開きの口から針を取り外し、籠に放り込もうとして、少女はれいむの頬にべっ とりこびりついたあんこを不思議そうに見つめる。 「あれ、なんでこれ汚れてるのかしら……汚いなあ」 「ゆっくりしてね! ゆっくりしていってよー!」 拭きとるのも面倒と、頬の汚れたれいむを籠に放り込んで風呂敷をかけ直すと、少女は 満足げに手拭いで汗を拭う。もにんもにん暴れるまりさに座り直すと、餌籠からゆんゆん 泣き叫ぶ子まりさを掴み出すと、鼻歌混じりで釣り餌へと作り替えていく。 「ゆ゙っ! ゆ゙ぴっ! ゆ゙げぇ゙」 「おでえざんっ! おでがいじばず! ばでぃざはどうなっでもいいでずう! だがら! ぢびぢゃんだぢを! だずげであげでぐだざい゙い゙!」 自身のゆっくりに代えても大事な子を守ろうと、親まりさは身も世もなく濁った絶叫を 上げた。こんなにゆっくりできないことは、今までに一度もないことだった。お口が張り 裂けんばかりの叫びも、砂糖水の涙とよだれでぐしょぐしょの悲痛な顔も、少女の心を動 かすことはなかった。 暢気そうに小首を傾げ、少女は泣きわめく子まりさに指を触れる。うるさいお口を焼い て潰して、邪魔な髪の毛を焼き捨ててハゲまんじゅうにしたら、逃げないようにあんよを 焼いて一丁あがり。 「む゙……! む゙……!」 「ばり゙ざのいぼお゙どがあ゙あ゙あ゙!」 「ん゙む゙! む゙む゙……!!」 「あれ、出ちゃった」 深く刺しすぎて寒天の目玉を貫通した釣り針が露出しないように引き戻すと、目玉は鋭 い返しで刻まれて光を失った。お口を、髪を、あんよを焼かれた上で片目の機能も失い、 理解不能の激痛にびくびく痙攣する子まりさを茂みの向こうへ放ると、少女は親まりさに 深く腰を下ろし、大きく伸びをした。構造上背もたれがないのが少々難ありではあるが、 ゆっくりの座り心地はそれを補って余りある。 そして、この日の釣果は上々であった。 「なんだかとかいはな すいーつ さんね! ひぎぃ!」 狩りのお手伝いもできる子まりさで作った餌でありすを釣り上げ、 「むきゅっ! あれはおまんじゅうさんだわ! む゙っぎゅゔぅ゙ぅ゙!」 妹思いの優しい子まりさで作った餌でぱちゅりーを釣り上げ、 「おまんじゅうざんゆっぐりぢでだのに! わ゙がら゙な゙い゙よ゙お゙お゙!」 一番下の可愛いがられてきた子まりさで作った餌でちぇんを釣り上げた。 「大漁大漁」 やがて夕陽が山の稜線と仲良くなる頃、手拭いで額やうなじの汗を拭きながら、少女は 心地よい疲労感に目を細めた。糸を巻いて釣り竿を籠にくくりつけ、釣果でずっしり重い 籠を背負うと、中からゆっくりゆっくり賑やかな声が上がる。 「も゙っと……ゆ゙っぐり゙……ぢだがっだよ゙……」 「ん?」 大事にゆっくり育てた可愛い子たちと、今日も明日もずっと一緒にゆっくりするはずだ ったのに。椅子としての慣れない長時間勤務でおつむをおしりの形に窪ませた親まりさは、 少女を見上げることしかできなかった。夕陽の中、少女は最初に見せたときと同じ顔をし て微笑んでいた。 小さく地面を蹴り、少女は夕闇の迫る空へと身を躍らせた。妖怪が空を飛ぶことは珍し くもないが、ゆっくりまりさにお空は遠すぎた。まりさは少女の姿が見えなくなっても、 寒天の目玉が灼けつきそうなほどの夕焼け空を見上げていた。 「ぢびぢゃんは……ま゙た……つくれ゙ば……いい゙……よ゙……」 少女の投げ捨てたまりさのお帽子は、森の下生えで静かに主を待っていた。まりさはお 帽子のつばを咥えておつむに乗せた。まりさのすてきなお帽子は、昨日までと同じように、 とってもゆっくりしていた。でも、ひとりぼっちのまりさはちっともゆっくりできない。 あんなにみんなゆっくりしてたのに。ついさっきまでは一緒にゆっくりしていた、今は もうみんな永遠にゆっくりした子まりさの分まで、ゆっくりしなくてはいけないのに。 「ばでぃざ……ゆ゙っぐり゙……じだがった、だけなのに……」 さっきまでは親だったまりさは、潰れた子まりさのあんこの痕に、力なく舌を這わせる。 この上なくゆっくりできる味なのに、ちっともゆっくりできない。お目々から、お口から、 砂糖水を垂らし、ぼいんぼいんと跳ねながら、まりさは森の奥へと消えていった。森の奥 では、ひとりぼっちの巣穴がまりさを待っている。 「ただいまのぜ……ゆっくりかえったよ……」 「うー!」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙! れみりゃだあああああ!」 なんと嬉しいサプライズ。ひとりぼっちでも、おうちで待っていてくれる誰かがいたな んて。まりさは死ぬほど歓迎されました。めでたしめでたし。 森に魚を求める? とか書きました。 09/07/20 書き直し このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/true_tears/pages/154.html
前truetearsVSプレデター5 真っ白く連なる雪原の道で、一人の少年が自転車を転がしている。 空からキラキラと輝く結晶が舞い、辺りの家々ははシンシンと静かに眠っていた。 と、彼の背中を眩いライトが黄色く照らす。 「あら、眞ちゃん?こんな遅くに出歩くなんてダメじゃない」 ミニバンが少年の隣まで来ると、運転席の窓から女性が顔を出した。 その容姿はまだ20代といっても通じる美貌を維持しており、妖艶とさえいえた。 「送ってあげるから上に自転車載せなさい」 言われるまでもなく、助手席から坊主頭の少年が降りてきて、 眞一郎のハンドルをとる。 「ささ、どうぞ、坊ちゃんは助手席に。後は自分がやります」 自転車というのは、転がすには容易にできてるが、実はかなり重い。 しかし、普段から力仕事をこなしてる故か、軽々とそれを持ち上げ、 荷台にスルリと載せてしまう。 「・・・ん?」 ふと、眞一郎が違和感を覚える。 どこか何かがズレたような、だが確かにひっかかりを覚える。 「どうしたの眞ちゃん?」 「何か不味かったですか坊ちゃん?」 二人が口々に尋ねるが、なにか不快なことがあるわけではない。 長いあいだ、寒空の下を彷徨ってきたのだから、 いまようやく家族と会えてとてもホッとしているのだ。 それなのに、どこか合点のいかないこの感じ。 「比呂美がいないんだけど・・・知らないかな?」 様子から察するに期待はできないが、一応聞いてみる。 「さぁ、見つからないわ。明朝まで戻らなければ警察に連絡してみましょう」 「そっか・・・」 やはり見つかっていない。が、あの母が彼女を探しにでてくれただけでも嬉しいことだ。 それにもし危ない事件に遭遇したとして、 最近の子が一晩戻らないだけで警察はすぐには動いてくれないだろうし、 自分なりの当ては散々探したのだ。ここはやはり、一度家に戻って体勢を整えたほうがいい。 「じゃ、ほら早く乗りなさい」 「うん、・・・あ」 助手席に回ろうと丁稚の横を通ったとき、さきほどの違和感に気付いた。 彼の体から母親の臭いがするのだ。 香水などの類ではなく、普段慣れしたんで意識もしない、肉親独特の香り。 「どうかしました?」 丁稚が怪訝な顔をするが、それには応えず眞一郎はしばし熟考する。 一緒の車で、一緒に動き回っていたから臭いが移った、などという冤罪裁判のような言い訳は信じない。 というより、その‘気付き’に達した時点で十中八九結論は出ていた。 「母さん・・・悪いけど、先帰っててくんない?」 当然、驚く母親。雪はどんどん積もり、気温はますます低くなっていくというのに。 「あの子をまだ探すの?じゃあ私たちと一緒にいきましょうよ」 てっきり引き止められると思っていたのに、この提案は驚いた。しかしそうもいかない。 「え~と・・・その、つまり、ちょっとまだ気になってるとこがあってさ・・・」 「じゃあ車で行きましょ?ね?」 「坊ちゃん?」 参ったな。お世辞にも口が回るタイプではない。が、天啓というべきか丁度いいひらめきが降りてきた。 「学校の友達に聞いたんだけどさ、その、ストリップ・バーで比呂美に似た子がいたとかいないとか。 で、もしかしたらって思ったんだけどやっぱりあーいうとこは、女性がいくと不味いでしょ。 俺も心細いんだけど、彼(丁稚)とだったら大丈夫かなって。 あ、もちろん入らないよ、入れないし。ただ近くの喫茶店とかで張ってたらいるかもしれないでしょ? いや、いないと思うけどね。だから、万が一分の万が一だけど、イチオー行ってみようかと。 だから母さんはこないでね」 「・・・・・・」 眞一郎の長々しい話に呆気にとられた母だったが、比呂美を大事にしている眞一郎が 彼女の名誉を傷つけるような嘘はつかないと思ったのか、渋々といった感じで了承した。 役にたたない自転車は車で持って帰ってもらい、眞一郎と丁稚は夜道を歩く。 「でもまさか・・・いるわけないですよね?」 「・・・というか、あれは全部嘘」 「・・・?え、えぇー!?」 眞一郎を清廉潔白な正直者とも評していないが、あんな弁舌があるとは思わなかった丁稚が驚く。 「ははは・・・流石坊ちゃん。物語りの才がありますね」 「いやまぁ・・・うん。それはさておき」 「え。てことはホントに色町に行きたくて?・・・しょうがないっすねぇ。じゃあ今日はとっておきの・・・」 「あ、いや・・・じゃなくて」 とっておきの何なのか気になったが、もっと気になることを片付けておきたい。 「もし間違ってたら大変失礼なんだが・・・俺の勘違いだと思うし・・・非常に言いづらいんだが」 言葉をつっかえつっかえしながら、なんとか搾り出す。今ならまだ引き返せる・・・ そう、それに言ったところで俺はまたいらぬ混乱を作るだけ・・・ 「おれ奥さんと寝てるんです」 「え?」 眞一郎が喉まで出掛かった疑問を押さえ込んだとき、丁稚の少年が心を読んだように言葉を発した。 「・・・って、言ったら信じます?」 「あ・・・いや・・・その」 言葉に詰まる眞一郎。 二人の仲を疑ったのは何も体臭だけのことではない。その服のよれ具合、汗や髪の微かな乱れ、 仕事とは別の目線の呼吸、そういった仕草がどこか親密なそれを思わせたのだ。 なにも街中をゆくカップルの交際度判定ができるわけではない。 ただ、日常ごく親しい間柄の人たちにも、今まで自分が見ていたのとは別の側面があるのでは、と思い始めたのだ。 記憶を辿れば、丁稚と母はよく一緒にいる姿が浮かぶ。 それほど親しいとも思っていなかったが、逆にそんな素振りもないのに妙に連携がとれているというか。 子の贔屓目もあるが、同世代の親に比べて、眞一郎の母はとびぬけて美しい。 これは授業参観なり、出入りする業者たちの密やかな話からも確信しているし、内心自慢でさえあった。 が、この丁稚は我が家と近しい付き合いをしてるとはいえ、そんな美人妻に対してなんら青い性の欠片も見せないのだ。 淡白といえばそれまでだが。 ただその推理は半端としても、車内の2人の雰囲気が若干怪しかったのが決め手だ。 以前の自分ならそんなサインは、朴念仁のように見過ごしたろうが、 愛子の痴態を見たあとだと、致した直後の男女の気まずさのようなものが、読み取れるようになっていた。 その代償は大きかったが。 「信じるよ、というかそう思ったんだし」 眞一郎は平静にいった。内心、そう穏やかでもないのだが、どこか諦めてる節があったのもある。 ああ、またオレの知らないとこであった話か、という諦めが。 「驚きました」 「ん?何が」 「普通は殴ったり、怒鳴ったり、怒ったり、誤魔化したりするかと思って。・・・お父さんに似てるんですね、やっぱり」 父に似ている。そういわれるのは少し嬉しい。 顔は母に似てるとたまにいわれるが、からかわれているようで不遜だったからか。 「実はちょっとカルチャーショックがあって。しかもそれで失敗したせいかな。どうすればいいのか分からないんだ」 眞一郎の困ったような物言いに丁稚も少し戸惑う。何か計算があって告白したわけではない。 ただ、疑われた以上、下手に勘繰られるよりは自分が罪を引っ被るほうに仕向けられれば、と思っただけなのに。 「オレが知らなかっただけなら、知ったところで、 それは今までとなにも変わってないってことだもんな」 「坊ちゃん・・・」 「母さんが浮気してるなんてかーなーり、ショックさ・・・でも、だからって」 みんな大切なひとたちだ。比呂美や乃絵、愛ちゃんや三代吉もそうだったのに。 でもあのバスケットマンは例外だな。オレから何もかも奪いやがってからに。 まぁでも、それがあいつの欲してるもので、得ようと努力してるなら譲ってもいい。比呂美も乃絵も。 「そんなことで俺はいちいち変わりたくない」 「あ、あの坊ちゃん、なんかヤケになってません・・・?」 青臭かった眞一郎があまりにクールになってしまったので気味悪くなる丁稚。 「オレには他人の恋路にわけいって止めたり指南したり、なんてとんと縁がないし、素質も無い そんなやつが端から勝手気ままに何かいってどうなる。黙るのだって言葉のうちだ」 「坊ちゃんは何もできないひとじゃないっす」 「もちろん。でも、オレにはせいぜいこの穏やかな生活を守れるよう精進するのが限界で、 それにおれ自身、あくせく縛られて愚痴たれるのが割と好きなんだろう」 「愚痴るのがいいんすか?」 「いいんだ。いっちゃなんだが、母さんや比呂美は、きっと面倒ごとを愛してるんだろう、 そうと知らずゆえにか。 オレにとっては面倒は面倒でしかない。うまく収めるなんてできない。やっても掻きまわすだけだ」 「はは・・・まぁちょっとそうかも・・・」 「オレはオレの考える分かりやすい日常を見て、過ごして、守って、それが全部だ」 そこまでいって、父さんは丁稚と母さんがデキてるのを知ってるのだと気付いた。 丁稚と母さんはうまく隠したつもりだろうけど、全部知ってて黙ってる。 責めるような目つきも態度もせず、家族と部下を真摯に愛して、落ち着いた生活を守り続ける。 それが自分にあった生き方なんだ、というその考えはパズルの最後のピースがハマるようにしっくりときた。 そのとき、目を焼くような閃光と、地を揺るがす轟音が2人に向かってきた。 母さんが戻ってきたのかと思ったが、それは運送用の大型トラックだった。 キイィィィィィーーーーッッ! 「眞一郎!」 「乃絵・・・?」 トラックが道路の真ん中で止まると、ドアからなんと石動乃絵が出てきた。それも運転席側からだ。 厚手のコートと、右腕になにかおもちゃのような機械をつけているが変人だから気にしない。 「おまえ大型免許なんて持ってたのか?」 「そんなのいいから、早く乗って!湯浅比呂美の危機よ!」 女子高生が、雪道の無免許運転、恐れ知らずと責めるべきか、大した才能と褒めるべきか。 しかし、その顔には一点の悪ふざけのなく、真剣の一色だ。 「坊ちゃん?奥さん呼びますか?というか呼びましょう」 「だめよ!下手に動いたら殺されるわよ!」 「へ?な、なんすか?」 女子高生が‘殺される’なんていっても漫画も真似にしか見えない。だが眞一郎はそれを信じた。 「いったい何があったんだ乃絵?比呂美を知ってるのか?」 「いーかーらっ!早く乗っててばぁ!もう手遅れかも知れないのに! お兄ちゃんがあの女を殺すかもしれないんだってばぁ!」 「な、なんかヤバイ事件ですかね?警察行きましょう?」 丁稚の提案には応えず、眞一郎はトラックの助手席に向かう。 「母さんにはストリップ見てたって、伝えてくれ!」 「ちょっと?ストリップ見に行く気だったの?」 乃絵が頬を膨らませて食いかかる。 「あー、そういえばいいとこあるって言ってたなぁ・・・。すまん、説明だけしてくれないか?」 丁稚の台詞を思い出して、逡巡する眞一郎。露骨に嫌悪の顔色をする乃絵。 「みないとどうせ信じないわ」 「おまえがいうかね、そんな人並みな解説を。いいから話せよ、全部信じるから」 どこか落ち着いた眞一郎に妙な違和感を覚える乃絵だが、 いわねば動かないようなのでここは折れる。 「どこから言ったらいいのか・・・」 信じるというからには、嘘八百並べようかとも思ったが、一分一秒も惜しいのでなくなく真面目に徹す 「プレデターっていう宇宙人、こいつらは狩りをすることが大好きなモンスターなんだけどね。 そいつが今、ユタニっていう会社、ほらたまに聞くあの有名なやつの。 そのプレデターとユタニの秘密軍隊が今、あっちの山の向うで戦争やってんのよ。 あ、プレデターは一人なんだけど。 で、仲間のプレデターが武器を奪われたくないから、助けにきたんだけど、 掟がどーやらかーやかいって、いきなり家に押しかけてきて。 お兄ちゃんに確かシンビオート?黒くて気持ち悪いネバネバの宇宙生物を合体させて、 それはプレデターじゃないんだけど。 お兄ちゃんはハイになって、仮面ライダーの真似するし。 あ、そうしないと私のコレ(といって腕のガントレットをかざす)、 が爆発するの。無理にとっても腕を切り落としても爆発するんだって。分かった?」 矢継ぎ早に捲くし立てる乃絵。傍で聞き耳を立てていた丁稚は呆れていたが、 眞一郎は内容をじっくり租借する。 「それで、比呂美はいつ出てくるんだ?」 思い出したようにハッとする乃絵。 「そう!プロフェッサー?お兄ちゃんを改造したプレデターなんだけど、そいつが見せてくれた映像に湯浅比呂美が映ってたの」 その言葉には強く反応する眞一郎。 「そこに偶然居合わせて、巻き込まれたってことか?」 「えっと、切れ切れでよくは分からないけど最初はそんな感じだった。 でも、プロフェッサーがいうには、なんかすごく仲良いんじゃないかって。 プレデターって種族は平気で人殺すくせして、友情とかを感じると凄く大事にするそうで、今一緒に闘ってるらしいの」 「比呂美VSプレデターってことか?」 「じゃなくて、比呂美&プレデターみたいな。いや、一緒には闘ってないんだけど、一緒にいるのよ今」 「じゃあアニキにそう言えばいいだろ。倒すのは比呂美じゃないんだし」 その言葉には頷きつつ、悩む乃絵。 「そうなんだけど・・・お兄ちゃんもプレデターになっちゃうかもしれないの」 暗闇を覗くものは注意しなければならない。何故ならば、暗闇もまたこちらを覗いているのだから、だっけか。 「湯浅比呂美がプレデターの仲間になったら、2人とも殺しちゃうよ、きっと」 なんか既に比呂美は、平気で人殺して喜ぶ怪物の仲間として話が進んでる気がするが・・・。 「分かった?信じる?信じなくていいから早く乗って」 「信じるよ」 眞一郎の言葉に目を丸くする乃絵と丁稚。その言葉は冗談めいた雰囲気は一切無く、清らかに真っ直ぐだった。 「じゃあ・・・!」 「だが断る」 「え」 一瞬、ノリ突っ込みかネタかと思ったが、車体から離れる眞一郎に乃絵は慌てる。 「ちょ、ちょっと!だから信じなくていいからっ」 「信じる。だから行かないんだ」 どういうことだ。湯浅比呂美の危機とあらば、色々厄介ごとを起こす彼が、なんか迷いもなく断ってきてるんだが。 「分からないの!?どうなってもいいの!?命の危機なの!」 必死に訴えるが、どこまでも眞一郎の顔は冷静そのものだ。 「分かるし、そりゃどうにかせにゃ、な事態だが俺には何もできない」 「え?ちょ、ちょっと坊ちゃん?行ったほうがいいですよ!」 乃絵の話は信じないが、緊迫した雰囲気に偽りはない。いま、ついていくべきだとは丁稚も思う。 「いや、俺がいってもまた困らせるだけだよ」 「んな弱気なっ・・・!」 「弱気じゃない。分かるんだ。俺に比呂美は救えない、まして4番など論外」 乃絵がようやく理解したように、重く哀しく彼を見つめる。 「眞一郎。いま行かないと、見つからないよ・・・?」 「もう見つかったよ。比呂美は御淑やかで人気者で綺麗な幼馴染み。だから俺は家で待ってる」 「そんな女いないじゃない・・・そんな女じゃないって知ってるでしょ!!」 乃絵の激昂も眞一郎は受け流す。それは馬鹿にするでも揶揄するでもなく、ただ淡々と自分の考えを述べているだけだ。 「俺には比呂美を助けられないんだ。 でも帰ってきたら、血で汚れたアイツと今までと変わらずに過ごしたいと思ってる」 「いま、必要なのは待つことじゃない!動くことよ!」 「俺は待つしかできない。動いても大事なものを置き去りにして、取りに行ったものだってあとで捨てちまう」 「違う・・・そんなの、眞一郎じゃない・・・雷轟丸じゃないよ・・・」 乃絵の目じりに熱いものがこみ上げる。そんな気がしたが、そこからは何も流れなかった。 悔しい。とても悔しかった。 裏切られたのでも、見捨てられたのでもない。 眞一郎は籠の中を選んだのだ。翼はいらない、と決めたのだ。 湯浅比呂美が好きだ、といってくれたほうがずっとずっとマシだった。 そんな風に思うときが来るなんで思わなかった。 飛ぶことを諦めたのでも、逃げたのでもない。そもそも飛ぶことに興味がないのだ、眞一郎は。 (バッチコイ!) あのとき、地べたで自分を受け止めてくれた瞳はもう見えない。また、孤独になってしまった。 「分かってくれたか、乃絵?」 乃絵は応えず、助手席のドアを閉じると、ハンドルを回し、強引に元きたコースに戻っていく。 「いいんすか?」 あれほど大きかったトラックが、今は吹雪に包まれ、視界の遠く向うに消えていった。 「よくもないんだが・・・これが最善だよ」 哀しげに眞一郎が呟くと、つま先の方向を変える。 「で、さっきのとっておきだけどさ・・・」 「こんなとこで宇宙人を引っ掛けてるとは思わなかったぜ、流石富山の好色小町」 ヴェノム=石動純が地面に半分のめり込んだアームスーツの上から、舌を伸ばして比呂美に問いかける。 「そんなコスプレしてるひとよりはマシだと思うけど」 と強がったものの、内心はとびつきたい程嬉しかった。 疑問はつきないが、この状況で知った人間が助けに来てくれるとほど嬉しいこともない。 4番は伊達ではないということか。 「ははっ!なかなかイカした恰好だろ、ってうぉわっ!?」 足元の強化兵器がジャンプするように立ち上がると、純の片足を掴んで真上に放り投げた。 花火のように垂直に上昇して、その影はたちまち小さな黒点になる。 「砕けて燃えちまいなぁ!」 続けてアームスーツが背から煙を上げて空き缶サイズの弾頭を3発打ち出すと、 それが美しい放物線を描いて、鳥のように純目がけて飛んでくる。 一発でも喰らえば大気の塵となって富山の空と同化してしまうだろう。 「純君っ!」 比呂美が咄嗟に名前を叫ぶ。 「やぁばいっ!!」 空中で体を絞るように撓って最初の一発を紙一重でかわし、同時に両手首から黒い糸を放出した。 それで2発目と3発目を縛り上げてぶつけ、一編に爆発させると、ターンして背後の天空から一発目が戻ってきた。 超感覚─スパイダーセンス─で察知し、振り返って弾丸のように固めた糸を高速発射してそれも爆発させる。 「近すぎっ!!」 しかし爆風の衝撃で叩かれて、純の体は紙のように吹き飛ばされ、地面に埃を巻き上げて落下した。 「うわぃ!?」 慌てて踵を返した比呂美の鼻先に、後方にいたはずのアームスーツが降り立って視界を埋めた。 「ただの子どもにしか見えないが・・・あの化け物たちを惹きつける何かがあるのか?」 彼女の胴体をまるまる掴めそうな手の平が迫る。 「あ・・・ああぁ・・・う」 そのパワーとスピードを目の当たりにした比呂美は無抵抗しか最善の選択が浮かばない。 「ヴェノム・ウェブスロー!!」 そのとき、つんざくようなバイクのエンジン音が走ってきた。 体中に鉄や石の破片が突き刺さったままの黒い筋肉、赤い口の怪物純ヴェノムだ。 寄生体の一部を分離させて槍の形にし、それをアームスーツに撃ちながら向かってくる。 「効かん!!」 蚊が当たる程度にしか感じない鎧は、さらりと槍を受け、二の腕からグレネード弾を発射してくる。 「おれ様も効かん(当たらなければ)!」 純ヴェノムは雨粒を避けるような繊細なハンドル捌きでそれを潜り抜けると、 外れた弾頭が起こす爆炎を背に、天空に向かって高い稜線を描いてジャンプした。 「ヴェノム・トルネェエドッ!」 「ジャンプするだけか?」 上空の純に注意を惹かれる強化外骨格。 しかし、彼の腕から伸びた蜘蛛糸はバイクの車体に結ばれていて、振り子のようにその鉄の塊がアームスーツへ叩き込まれた。 「フン」 しかしアームスーツの腕がドリルのように回転すると、竜巻さながらのパンチをそれに打ち込む。 クレーンのように飛んできたバイクは中央から真っ二つに割れ、糸伝いに衝撃を受けたヴェノムはまた吹き飛ばされた。 それでも大地にペシャリと叩きつけられる寸前、猫のように身を返してからくも着地する。 「他愛ないわ」 ドウッドウゥッ! そのとき、遥か離れた鉄塔の真ん中辺りから、ぶら下がったプレデターがプラズマキャノンを撃ち込んだ。 アームスーツのセンサーは一瞬で干渉波クローを展開して、電磁バリアーで光線を綺麗さっぱり消滅させてしまう。 「まだまだぁっ!」 ビームに注意が及んだその短い隙に、大地を滑るように駆けてきたヴェノムがマシンの太い足にスライディングをかまして、 巨大なボディを大地になぎ倒すことには成功した。 そのとき、プレデターやヴェノムさえ予期しないほうから攻撃が追加された。 「おおおあああぁぁぁっっっ!!」 その隙に比呂美が純の放った寄生体を固めた槍を拾って、背の低くなったマシンに駆け寄る。 無論、彼女の腕力では、その強靭な槍を以ってしても、頑強な装甲を貫けるわけがない。 が、そこから生えた電磁フィールドを作り出す幾本ものアンテナのひとつ。その根元に、ズブリと黒い槍を突き刺す。 ドグォオンッ!! 「づぁああ!!?」 プレデターのプラズマ砲を防いでいたシールドのバランスが崩れ、 コントロールを失った熱エネルギーが暴れて、丸太のように太いアームスーツの右腕を根元から千切れ飛ばした。 本体から切り離され、大地に投げ出された腕は、ミミズのようにのたうち回り、獲物を求めてあさっての方向を引っ掻く。 「ひぅっ!!?」 しかし、その瞬間比呂美はパイロットの放つ、視線だけで殺せるような凍る憎しみを装甲ごしに受けた。 「おっと・・・って!」 触れただけでミキサーのように獲物を分解する腕をヴェノムがよけてる隙に、 胴体部分から蟻の足のように生えた2本の腕、パイロット自身の腕が比呂美の顔を掴んだ。 「ふぐっ!」 錠を噛まされたようにがっちりと締めてくる腕を外そうと、もがく比呂美。 プレデターも下手にキャノン砲を撃てば彼女に当たるため、照準を定めようとして撃ちあぐねる。 「もらっていくぞ、この女」 ロケットパックがオレンジ色の炎を輝かせ、空気を震わす排気音を通して、 アームスーツの巨体がふわりと宙に舞い上がる。 「ふ、ふぐぅーーっっ!!」 ヴェノムもプレデターも空は飛べない。逃げの一手をかまされたら防ぐ手は無い。 「石動ヴェノム・ファングゥ!!」 が、背後から跳びあがった黒く巨大な牙を揃えた口が鰐のようにガブリと喰いついて、強化外骨格を逃さない。 「石動ウェブ・クラッシュ!!」 そしてヴェノムの全身を覆う寄生体を限界まで膨張させ、 自らを巨大な網に変形させてアームスーツの全身をグルグルに包み込み、空中で拘束してしまう。 バリバリバリバリバリィッ!! アームスーツが装甲表面から高圧電流を放出して、ヴェノムを引き剥がそうとする。 「うえええっ、ぐぉおおっがが・・・!」 電気には耐性のあるシンビオートだが、あまりの熱にびっくりして、元の人型に戻ってしまうヴェノム。 それでも、その間に比呂美をパイロットの腕から引き剥がして、感電し炭の塊になるのを防ぐのは間に合った。 「きゃぁあっっ!」 落ちればぺしゃんこになってしまうという、高度に対する原始的恐怖で悲鳴を上げた比呂美だが、 美青年の面影がない純の首にしがみつくだけの冷静さはあった。 が、アームスーツは蜘蛛のように張り付く純から、比呂美を狙って手を伸ばしてくる。 「これはてめぇの女じゃねぇぇええっっっ!!」 ヴェノムがマシンの顔面に膝蹴りを刺すと、 右手首から蜘蛛糸を発射してアームスーツの胴体を縛りあげる。 さらに遠く鉄塔にいるプレデターに向かって自身と繋ぐように左手首からも蜘蛛糸を発射すると、 その怪物が横たわっている鉄柱へ幾重にも巻きつけた。 プレデターと純の視線だけが交わされ、生涯を寄り添った夫婦のように思考が通じ合う。 「死んでも振り落とされるなよ比呂美・・・・・・きばれマザーファッカアアッ!」 「カシャァアオォオエエエエエッッ!!」 プレデターの豪腕が柱に巻かれた蜘蛛糸をグイと掴むと、それを渾身の力で引っ張った。 プレデターの怪力がブラックホールのように鉄塔へアームスーツを吸い寄せられる。 純も糸が切れないよう、全身の筋肉の隅々まで力を漲らせて、寄生体と一体化する。 「俺の妹は富山一スウィイングウウウウウウッッ!!」 プレデターとヴェノムのパワーが合わさって、蜘蛛糸はバネのように撓んで収縮する。 「ううううううううううううううっっ!!!???」 比呂美は自分が回りすぎてバターになってしまうのではないかと考えた。 まるで洗濯機の中にいるような、この勢いなら自分の残像が見れるのではないかとさえ思った。 ジェットコースターのような振り回される遠心力で、純の首から引き剥がされてしまいそうだったが、 ヴェノムの首周辺の寄生体がガムのように彼女の腕をくっつけていたので助かっていた。 アームスーツは高い高い鉄塔の中間までその周辺をグルグルと回転しながら引き寄せられていく。 「キシャァアッッツ!!」 どちらからともなく合図の発した奇声。 蟻地獄のように鉄塔に向かっていくアームスーツがぶつかる直前に、 純の黒いボディがその身を離れて、宙に飛んだ。比呂美もその腕に抱えて。 「待たせたな・・・っておまえか」 一瞬、体にしがみついて腕に抱く感触から、妹を思い出した純だが、比呂美の顔を見て心底うんざりする。 一方、不覚にも声がよく聞こえない比呂美は、ヴェノムの裂けた赤い口と、牙のような白い目に、 その真っ黒い筋肉にお姫様だっこされて少し胸が高鳴ってしまった。 ゴガァラガアアンンッッ!! 耐震強度の保障された鉄骨が曲がるほどの衝撃で、アームスーツのボディが叩きつけられ、 鉄塔が貧乏ゆすりのようにブルブルビリビリと震動する。 この連携攻撃には強化外骨格も相当なダメージを受けて、動きが固まる。 つづく truetearsVSプレデター7
https://w.atwiki.jp/p-broken-in/pages/53.html
太陽が昇る前に私は目を覚ます。 太陽神トナティウに夜の暗闇を打ち破り世界に光をもたらした事を感謝するためだ。 そしてその時トナティウから力を貰い、右目で部族の未来を見なくてはならない。それが神官である私の務めだ。 今朝も皆が起き出す前に私は起きた。まだ隣で寝ている夫と息子を羽で撫でてから祈りの丘へと登る。 祈りの丘は人間で言う所のズイタウンに近い場所にある。かつてはそんな所に街など無かったのだが、私が小さい頃に最初の家が建った。人間という存在が珍しく、何度か見に行った事を覚えている。 その頃はうまく住み分けが出来ていたのだが、最近は人間が増えたようで街はどんどん大きくなっていた。そしてあろう事か牧場を大きくするために祈りの丘を切り崩そうとまでし始めたのだ。 勿論私達は人間が祈りの丘を穢さないように抵抗した。毎朝私が未来を覗くのもそのためだ。人間がどのような時間にどのような機械に乗ってどのようなルートで来るのかを知り、先回りして阻止するのである。 私が祈りの丘の祭壇に到着した頃には空が白み始めていた。木の枝で組んだ祭壇に手早くトナティウへの供物を用意すると、私は右目を凝らしいつでも未来を覗けるように準備する。 太陽光が稜線を越えて私の目に届いた。 夜の神テスカトリポカを見事に打ち倒した事を私は称える。そして未来を覗く力を分けて貰えるよう懇願した。 トナティウは捧げ物を気にいったようで、今日も力を分ける事に同意したらしい。私の右目に澄んだ空と太陽以外の光景が広がる。 赤。血の赤。 いきなり眼前に広がったそれに私は小さく声をあげてしまった。映像が消えかけたので、慌てて精神を集中させる。 そして知った。人間が総力戦で来る事を。 『集落が……!』 私は未来を覗かせてくれた事をトナティウに感謝もせずに集落へと飛び立った。 それがトナティウの怒りを買わなかったかもしれない。しかし私は集落に残してきた家族の死を見せ付けられ、それを考える事が出来なかったのだ。 私が村に着いた時にはもう手遅れだった。 木で編んだ巣は壊され、集落の者は捕まえられるか――撃ち殺されていた。 『誰かっ! 誰か生きている者は!?』 私は必死にテレパシーで呼び掛ける。崩れた巣の枝を払い、下敷きになっている者を探した。 だが残されているのは死体ばかりだった。未来を知り、穏やかに暮らしていた平和の民はもう存在していなかった。 私は立ち尽くして泣いた。涙が枯れ果て目が乾いてこようとも心の中で泣き続けた。 夫と息子の死体が見付からなかったのが唯一の救いだった。逃げたのか捕まったのかは分からないが、とにかくまだ生きているはずだ。 だが……私はどうすれば? 1匹だけで生きて行く自信など無い。集落の者からの貢物で身を立てていたのだ。そんな者が自分で獲物を取れる程自然は甘くは無いだろう。 途方に暮れて立ち尽くす。傍から見ればさっきまでとの違いは分からないだろうが。 その時だ、蹄の音が聞こえてきたのは。 「Yee-HAW!! 騎兵隊の到着だ! 赤肌の野蛮人はどこにいる!? 狩りの時間だぜ!!」 その男はギャロップに乗り集落に突進してきた。ズイタウンにうろついている人間の御多分に洩れずルンパッパのような格好をしている。 「……ありゃ、乗り遅れたようだな。チクショーダックハントに参加したかったのによぉ! 俺のウィンチェスターとSAAが火を吹く貴重なチャンスが!」 男は肩から下げた銃を手に取り八つ当たりするように発砲する。 その轟音でようやく私は気付いた。コイツは憎き仇だと。 「大体こんな早朝からやらなくてもよぉ。なんだ、俺が朝弱い事への当てつけか? そうなのか? 怒っちゃうぞ? おっ?」 ブツブツ呟いていた男が木が擦れる音に振り返り、そして私と……男に尖った方を向けた数多の枝に気付く。巣の枝を全てサイコキネシスでかき集め、矢の代わりにしたのだ。 「……いるじゃん。活きのいいのが」 『部族の仇……ここで取らして貰う』 舌舐めずりしながらモンスターボールを取り出す男にテレパシーで宣戦すると、私は枝を最高速で打ち出した。 幾らギャロップでも避けれない程の速度と密度で矢は押し寄せる。だが男はニヤけ顔を崩さずにモンスターボールを放った。 「ハニー、お・仕・事」 モンスターボールから発せられた閃光で一瞬男が見えなくなる。その間に矢は男のいる場所を通過し、後ろの木々に次々と刺さった。 やったか、と私は思ったのだが、 『マスター、いい加減土壇場でアタシを出すのを止めて下さい』 男の突き刺さるはずだった矢は空中で静止していた。寸前に出されたポケモン、サーナイトによって止められたらしい。 「おまっ! 来る時決めたじゃん! 今日はボニー&クライドで行くってさ! マスターじゃなくてダーリンって……」 『あまり知りもしない癖に何言ってるんですか。大体ボニー&クライドって禁酒法時代の人じゃないですか。服装とミスマッチです』 唐突に出された事にサーナイトは怒っているらしい。私を無視して男と口論し始めた。 私はこの隙に逃げ出す事を決めた。技を1発放てば相手の力量くらい読める。悔しいが私ではあのサーナイトには勝てない。 私が空に飛び立つと男が声を上げた。 「おっ! やっこさん、鴨役になってくれるようだぜ! よーしダックハントだ!」 男は銃を構えて私を狙った。みらいよちを使って避けようとしたが、どうみても銃口がこちらを向いているようには見えないので、使うまで無いだろう。 下方で火の咆哮が聞こえた。弾は私から逸れ、明後日の方向に飛んでいく。 男と私の距離はどんどん広くなり、銃声も微かに木霊するだけとなった。 ひとまず安心かなと私が息を吐く。 無事に逃げ出す事は出来た。しかしこれからどこに行けば…… 『あがっ……!?』 そこまで考えた所で、脇腹から火が出た。翼が力を失い、揚力を得る事が適わなくなる。 体を抱えてうずくまりたい衝動を必死で抑えながら滑空し、どうにか大したダメージを負わずに不時着する事に成功した。 『カフッ……う、撃た、れた?』 脇腹を見ると鮮血が流れ出ている。寒気がしてきたのに身を焦がすような痛みが私を襲った。 どうにか止血しようと翼で押さえるのだがそれも叶わず、血はどんどん地面に吸い込まれていく。 ここで死ぬのか、私は暗くなる意識でそう考えた。家族を思うと胸が痛むが、これも運命かと受け入れる。 最後に覚えているのは、段々と近付いてくるあの忌まわしい蹄の音だった。 「おい、起きろ」 『うっ……?』 顔を叩かれ私は目を覚ました。 目の前いっぱいにあの男の顔が広がる。 すかさず私はくちばしで男をつついた。まだ本調子ではなかったので男の脳漿は拝めなかったが。 ぐわぁあと転げまわる男を眺めている内に意識がはっきりしてきた。 どうやら私はどこかの部屋に監禁されているらしい。無駄に広い無機質な部屋だ。光源はあまり多くは無く、全体的に薄暗い。 私はというと部屋の中央に設置された十字架に翼を広げさせられて括り付けられている。外そうともがいてみたがビクともしなかった。 体を確認してみると不時着時の擦り傷や脇腹の銃創は消えている。しかしそれと一緒に念力あサイコキネシスの力も消えているのを感じた。 私がため息を吐いたのと同時に男が立ち上がた。 「おいこのFuck’nインディアンのコスプレ鳥!! テメェ自分の立場分かってんのか!! そのボケーとした顔少しはシャキッっとさせてやらぁああああああ!!!?」 男が殴り掛かってきたのでその軌道上にくちばしを持っていった。私はそれ以外に行動しなかったが、それなりに尖ったくちばしを全力で殴り付けたので男の拳から血が噴き出る。 「いって、いってっぇぇぇぇえええ!! こんのお糞ったれぶっ殺して……!」 『何やってるんですかマスター……』 サーナイトがどこからともなく現われた。彼女は男に近寄るとテキパキと応急処置を行う。 『このネイティオは殺してはいけませんって雇い主から言われてるじゃないですか。破ると罰金ですよ? 清貧なんてアタシはゴメンですからね』 「知るかっ! この生意気なポケモンは今すぐ殺しゅぅうぅ……」 サーナイトが男の首筋を掴むと最後まで言い終わらずに気絶した。 『マスター、話がこじれそうなので少し寝てて下さい』 落した後にサーナイトがそう言った。そしてこちらに顔を向けると近付いてくる。 『さてと……初めまして、アタシは……』 『お前の名前など聞く意味は無い』 挨拶してきたサーナイトに私が挑発的に言い返すと、サーナイトはクックッと笑いだした。 『言えてるわ。名前なんて意味は無いわよね。じゃあ簡単に貴女の状況説明しよっか……女の子で合ってるわよね?』 性別を聞いてきたが返事をする義理は無い。顔を背ける私を気にせずサーナイトは続けた。 『アタシ達はあるクライアントに依頼されたの。こちらの待ち伏せをして襲いかかってくるネイティオを捕まえろってね。どうも貴女のみらいよち能力に興味があるみたい。手元に置いておきたいんだけど、貴女達って重機相手に渡り合っていたでしょ? 相当危険視されてるわよ。どうも人間に懐く懐かないの次元じゃないようだし』 そういってサーナイトは男を一瞥した。 『てな訳でアタシ達の出番。ポケモンの調教業をやっております♪ どんな凶悪ポケモンでもアタシ達に掛かればイチコロ! 調教成功率100%! 以後お見知りおきを……嫌でも、だけどね』 『それなら私が最初の失敗例になってやる』 私が鼻で笑うとサーナイトもニヤけた。 『これはマスターが殴りたくなる理由も分かるわ~。まぁ最初はどのポケモンもそう考えるんだけどね。でも……』 サーナイトが密着してくる。私はその頭をつつこうとしたが、上手く死角に入られてしまった。 『何を……うっ!?』 サーナイトは私の体を撫でまわすと首筋を舌を這わせる。悪寒が背筋を走り、私はあらん限りの力で暴れた。 『あはは、このくらいでその反応するなら成功は確実ね。顔に似合わず可愛いじゃない』 パッと私から離れたサーナイトがそう言ってくる。私は今までに感じた事の無い程の屈辱と羞恥心で顔を赤くしてしまった。 『まぁ本格的な調教は明日からだから今日はゆっくり休んで。アタシも貴女と遊ぶ事を楽しみにしてるわ。じゃね♪』 サーナイトは言い終わると男の襟首を掴みながらテレポートする。部屋には私以外には何もいなくなり、心を侵してくる静寂と一緒に私は取り残された。 目を覚ました。いつもの習慣で空を見上げるが蛍光灯が光るのみで星は見える訳がなかった。 体内時計ではそろそろ日の出。だがそれを確かめる術は私にはない。 やる事が無いので翼に力を入れてみた。何度かもがいてみたが、やはり拘束が解ける気配はない。 諦めて状況を打開できるチャンスが訪れる事をじっと待つ事にした。 私の体内時計で太陽が天頂に昇る頃に昨日の男とサーナイトがテレポートで現われた。どうやらこの部屋には扉という物が無く、移動はテレポートのみで行っているらしい。 「おーおー糞鳥! いい気味だなオイッ! この暇さに少しは堪えたかっ! どうだ俺の戦略は!」 男が何やら喚いたが無視する。私達ネイティオはそもそもほとんど動かないので、今の仕打ちもいつも通りの事と言えばいつも通りだ。堪える訳が無い。 『……マスター、単に寝坊したのをそんな風に誤魔化すと逆に恥ずかしいです』 「う、うるさい! 昨日牧場主や土方の連中と記念の飲み会行ってたんだから仕方ねーだろ! ようやくあの忌々しい丘を切り崩せるからな。全く手間掛けさせやがって」 『うぐッ!?』 男が腹の辺りを蹴り上げてくる。私は少しだけ顔を歪めてしまったが、直ぐに元の表情に戻す。 「……つまんねー。つまんねーなコレ。まだ使えないからお手軽コースしかできねーしよ。お前に任せるわ」 『もうハニーって呼ばないんですか?』 「それも飽きた。戻って寝る。とりあえず俺が楽しめるようにしとけ」 『了解しました。おやすみなさい』 サーナイトはそう言うと男をテレポートさせた。 『じゃ、始めましょうか。ポケモン同士、仲良くしましょ?』 その言葉も私は無視する。サーナイトはその反応が気に入ったようでニヤニヤ笑った。 『やっぱ調教するならこうじゃないとね♪ それじゃあまずは……』 サーナイトの横に台が現われた。その上には沢山の得体のしれない器具が並んでいる。私には用途が皆目見当も付かなかった。 『あら、ディルドーやバイブ見ても結構冷静ね。勘のいいポケモンならこれで大騒ぎするのに』 キョトンとしている私を見てサーナイトが呟く。そして合点がいったようだ。 『あ、直立してるから忘れてたけどアナタ鳥ポケモンだったわね! そりゃ使い方分からないか!』 そうかそうかと頷きながらサーナイトは台からある物を取り出す。 効果は分からないがどのような物かは私にも分かった。 『少し身を固くしたわね? そして警戒心の中にちょっとだけ混じる恐怖……あぁやっぱりこの感覚はさいっこうっ! 心を読む力ってこういう時のためのものよね』 サーナイトは注射器を手にしていた。一度も打たれた事は無いが先端の針を見れば虫ポケモンが抵抗する時に出す毒針のような物だと判断出来る。 『そう、あの気持ち悪い虫達がどく状態にしたりねむり状態にしてくるヤツよ。まぁ一番近い状態は……メロメロかな?』 私の心を読んでサーナイトが説明した。注射器の針先を叩いて液を滴らせる。 『さぁアナタの旦那さんとのあつ~い夜を思い出させてあげる』 サーナイトが一切挙動せずに私の首筋に注射器を当てた。不意打ち過ぎて反応する事が出来ない。 『つっ……』 そして針が血管に侵入した。 痛いというよりも冷たいという感覚が首筋から昇ってくる。血管に直接打ちこまれた液体が頭に回ってくるのを感じた。 すぐにサーナイトをつつこうとしたがその前に離れられる。 『ガッツあるわねー。いい加減諦めたらいいのに。まぁそうじゃないと面白くないけどね。で、どう? 感想は』 サーナイトが何を聞いているのか分からなかった。こう離れられてしまっては何も出来ない。私はまた元のように無表情に戻り、じっと無視する事に決めた。 ……おかしい。 何故か体が熱い。体全体が言い様の無い焦燥感に包まれじっとしている事ができなくなった。思わず足をもじもじさせてしまい、それを止める事も出来ない。 『……何をした』 『あ、ようやく会話する気になったわね。まずはステップ1終了♪ じゃあ問題! 今の感覚は何回か経験した事があります。何でしょう? ヒント:毎年春に来るものです』 春に来てメロメロ状態に似ている状態…… 『無理矢理……発情させたのか』 『ピンポン。人間って凄いわよね。こんな下らない物を平気で作っちゃうんだから……苦しい?』 サーナイトの問いを無視したが、正直なところ少し苦しかった。焦燥感はいつの間にか倦怠感に形を変えて肥大化し、鼓動を無意味に高めている。 『う……げほっ……』 いつの間にか私は息を荒げていた。こんな感覚は普通の発情じゃない。普通は相手を求める欲求だけだが、これは……何かが、違う。 だが何がどう違うのかが分からない。そう思っている内にも体が火照り、異から内容物がこみ上げてくる。それをどうにか止めようと思ったが、体は一向に言う事を聞かなかった。 『が……げぇっ……!』 私は吐き戻してしまった。中に何も入って無かったので胃液しか出てこなかったが。 息が出来ない。呼吸は早くなったのに苦しかった。いくら吸っても体に酸素が行き渡らない。 暴れてもどうにもならないのに体が痙攣した。視界がどんどん暗くなる。 意識が無くなる寸前に、また私の首筋から何かが頭に駆け昇ってくるのを感じた。 冷たいそれが心臓と頭を冷やし、徐々に私は落ち着いてくる。 『はぁ……はぁ……ごほっ……』 私が息を荒げながらながら睨みつけるとサーナイトが謝ってくる。 『ごっめーん! 鳥ポケって交尾のやり方違うの忘れてた。雄にペニス付いてないもんねぇ。媚薬の成分そのままじゃ拒否反応起こるのかも。業務レポートに書かないとね』 『……絶対に……殺して、やる』 『あ~、謝ったのにその言い草? ならこっちにも考えがあるもんね! ここでバイブ登場!』 私が殺意を向けると、段々と変わってきた口調でサーナイトがそう言った。そして今度は台からサボテンのような物を取り出す。スイッチを入れるとそれはヴヴヴと音を立てながら回転し始めた。 『さ~あ覚悟しなさ~い?』 『何だそれは』 そう言ってサーナイトがにじり寄ってきたのだが、私が何をされるか全く理解してないので、出鼻を挫かれたように彼女は肩を落とした。 『……そっか。鳥ポケだもんね。分かんないよね……あぁもう面倒臭い! 習うより慣れろよ!』 『うわっ!?』 いきなり私を縛り付けている十字架が倒された。受け身も取れずに私は頭をぶつけてしまい、目の前に火花が飛び散る。 『さぁてご開帳~ごかい……ちょ、アナタのお尻ってどこにあんのよ?』 露わになった私の下半身を覗きこみながらサーナイトが呟いた。 『なぜそんな事……』 『まぁいいわ。まさぐれば見付かるでしょ』 『……ぁっ!?』 いきなりサーナイトが私の下半身に手を突っ込む。 『そうそうそういう声を待ってたのよ。もっと聞かせて』 『誰が……くっ』 ここか? ここか? とサーナイトが手の位置を変える度にくすぐったくて体を震わしてしまう。それが相手を満足させる事は分かっているのだが、止めようと思っても止めれない。 『あ、みーーけった! ……このコケシみたいなスカートホント邪魔ね。ヤる時はどうやるのよコレ』 『あっ!? やめろ! 触るな!』 サーナイトの指が私の総排泄孔の辺りを撫でた。見られている事で私の怒りと羞恥心がどんどん大きくなった。 どうにか離れさせようと必死でサーナイト足蹴にするが、それも直ぐにサイコキネシスで押さえられてしまった。 全く身動き出来なくなった私の総排泄孔をサーナイトが指で押し広げる。そしてバイブを構えたのが羽を通して感じられた。 『じゃあ1、2の3で行くわよ』 『あ、くぅ……やめろ! やめろぉっ!』 ここまでされたらやられる事は1つしかない。私は全身全霊で体を捩り、どうにかサーナイトの行動を阻止しようとする。 が、それも叶わず、バイブは私の中に吸い込まれた。 『あがっ……あ、あ、あ、ああぁあ!!? うああぁああぁああああ!!!』 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!!!!! お腹が破れる!! 痛い!! やめろ!!! やめて!!!! 『あ、ヤバ。また間違えた。あ~もうこういうのはマスター担当なのに』 私の腸を?き回していたバイブが止まり、私の体が一気に力を失う。撃たれた時も痛かったがなまじ意識がはっきりしている分こちらの方が辛かった。 『鳥ってホント面倒臭いわぁ。え~と卵管はこっち、かな?』 『んぅっ!』 バイブは一気に引き抜かれた後、今度は卵管に突っ込まれた。言い様の無い違和感に襲われ、私は身を強張らせる。 『っ……! 気持ち悪い、早く抜け!』 『だからそんな態度取っちゃったらスイッチ入れざるを得ないわよ~?』 カチリと音がするとバイブがまたうねり出した。卵管内をウネウネと動くが卵がある時に飛ぶ事に比べればなんて事は無い。十分に耐えられる。 『あら、こっちも全く感じず? 少しくらい濡れても……』 息は荒くなったが声をあげない私の様子をサーナイトは不思議がったが、やがて根本的な問題に気付いたらしい。 『あ、ペニス突っ込まれる事が無いから濡れる事も無いのか』 サーナイトはため息を吐いてからバイブを抜き取った。私は浅くなった呼吸を元に戻すのに必死で何も言わない。 『正直に白状するわ。鳥を調教するのは初めてなの。だから色々実験するけど我慢してね』 サーナイトはそう言うと今度はモンスターボールを取り出してきた。 『今度は何をする気だ』 『ん~ホントはもっと後の予定だったけどこのままじゃ調教しようがないし~。ちょっとだけ肉体改造』 『……』 何をするかは分からないがとてつもなくロクでもない事だけは分かった。 『じゃーぁメタモン出ておいで~』 モンスターボールからはメタモンが現われた。牧場に大量に預けられているのを見ているので用途は分かる。 『まさかお前……!』 『あーあーあー大丈夫その心配はナッシング。おめでたにするのはアタシ達の業務じゃないわ。とりあえず今は頼まれてないわよ。言ったでしょ? 肉体改造するって。女を楽しめる体にしてあげる。という訳でメタモン、やっちゃって』 メタモンは微かに震えると私の方へと這ってきた。そして私を包み込むように薄く広がる。 『がぽっ!? あ、あぇろ! はぁれろ!! ンんっ!?』 口と総排泄孔からメタモンが私の体内に入り込む。卵管から背骨に掛けて電撃が走り、私は体を跳ね上げた。 『あぁあああぁあ!! な、何をしたぁがあぁあああ!!?』 『卵管に性感帯新しく作ってるのよ。後卵管から快感を伝える神経バイパス作ってそれを受け取るシナプス回路作って……』 私は聞いてはいなかった。痛みでそれどころではない。 体を何回も跳ね上げ、メタモンの混じった涎をくちばしから垂らしてしまった。 どれくらいそれが続いたのだろう。いつの間にか痛みは止まっていた。 私の体の拘束も解かれている。久々に自由になった翼をさすった。うっ血し掛けているが動かすだけなら問題ない。 立ち上がりながらぼうっとした意識で辺りを見回すと、少し離れた場所でサーナイトが何かの本を読みながら椅子に坐っている。 私の視線に気付いたようで、熱心に読んでいた本からサーナイトは目を上げた。 『あ、気付いた? お疲れ様。手術は成功よ』 私は慌てて距離を取ろうとする。飛ぶ事もねんりきで移動する事も出来ないのでノロノロと後ずさる事ぐらいしか出来ないが。 『最初に比べれば表情が出るようになったわね。じゃあとりあえず今日のノルマを達成しちゃいましょうか』 サーナイトがまた注射器とバイブを手に近付いてきた。私は背を向けて駆けだしたが直ぐに彼女に捕まってしまう。 後ろから手を回され胸部と総排泄孔をこねくり回された。 『何故……拘束を解いた……!』 まさぐられる気持ち悪さを意識しないために私は質問する。 『そっちの方が燃えるんじゃないかな~と思って。じゃとりあえず第2ラウンド』 『あっ!?』 注射器を刺されたので声を上げて暴れた。すぐに体が熱くなり息も荒くなる。 だが前回とは違って焦燥感が倦怠感に変わる事はなく、下半身が何かを求めて焦がされる。 『うぅ……な、何だこれは……!』 初めての感覚に溜まらず私は声をあげた。足に力が入らなくなり、思わず足首を付いてしまう。 『ホントは最初からこの状態に持って行きたかったんだけどねー。あ、もう濡れてる』 『ふぁっ!?』 サーナイトの指が私の中に入ってきた。気持ち悪いはずだったそれは初めて経験する感覚に変わっている。 下半身から湿っぽい音が響いてきた。今体には何も入っていないはずだが私は漏らしてしまったのだろうか。 『違うわよーアナタの卵管から液が出てるの。これを突っ込みやすくするためにね』 目の前にバイブを突き出された。それは生理的嫌悪感をもたらす勢いで激しくうねっている。 こんなものでさっきと同じ事をされたら今のままじゃ……! 『……ふんっ!!』 『あたっ!?』 私は気力を振り絞ってサーナイトに後ろずつきを喰らわせた。怯んだ隙に思いきりもがいて彼女の手から逃れた。 だが足に力が入らず立ち上がれない。しょうがないので翼で這って逃げようとするのだが、私の体はそのような動きでは中々進まなかった。 『ふ、ふふ、ふふふふ……う~ん、やっぱ適度に抵抗が無いとね。燃える、燃えるわ。やっぱこういうシチュが一番よ』 何やらブツブツ言いながらゆっくりとサーナイトが近付いてきた。 『ち、近寄るな! これ以上近付いたら容赦しないぞ!』 もう奇襲は通用しないと思うと声が上ずる。床に這いつくばりながらそんな事言ったって脅しにもならないのは私にだって分かっていた。 サーナイトは黙ったままバイブを突き出してくる。それは彼女の手を離れ、私を目指してゆっくり飛んできた。 『あ、やだ……来るな!』 私の下半身に潜り込もうとするバイブを翼で押さえようとしたが、バイブの周りに球状のリフレクターで覆われているようで、つるつる滑って止めようがない。 遂に総排泄孔にバイブの先が触れた。 『っア”――!』 私はいきなり走った電撃に体を仰け反らせてしまった。 翼もバイブから離れてしまい、一気に中に入ってくる。 そして液体でグチャグチャになっている私の卵管の壁を擦り回した。 『ピぁっ!? あぁああぅ!! ……ヅアぁあ!! や、止め!! 無理!!』 体を弓なりに反らせながら逃れようとするがバイブが離れる事はない。 『……かはっ……! く、あぁあ……』 涙で視界が歪む。頭の中が真っ白になり何も考えられない。それでも快感は下半身からどんどん送られてくる。 部族の仇なのは分かっているが、勝手に慈悲を懇願する言葉が漏れ出るのを止められなかった。 『あがっ!! た、頼む!! と……止めて!! 止めてく……!』 『無理』 『そ、んあ!! あぁあああぁあアアア!!?』 今まで回転するだけだったバイブに抜き差しされる運動も加わる。 『――――ァッ!!』 何倍にも跳ね上がった快感に私は溺れ、意識を失った。