約 1,243 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1363.html
【5】天空に舞う希望 BARSITY 後半 2番機のアルトマンに対し、シグナムの駆るフルクラムが烈しい機動を見せた。 《では、無理矢理にでもこちらへ振り向かせてやる》 翼端から雲を長く曳きながら、バレルロールした機体をスライドさせ、アルトマンの背後を窺う距離に付く。 だが、アルトマンもイェーガーを援護できる位置でありながら、 シグナムからの攻撃は回避できる絶妙のポジショニングを取る。 《隊長、そろそろ決めにかかってください》 《弱音を吐くとは珍しいなライナー》 隊長のイェーガーは振り切ろうとするフェイトの動きだけではなく、後方のアルトマン、更にその後方のシグナムの動きも考えていた。 《さすがにこれほどのパイロットから回避を続けるのは骨です》 囮役を務めるだけあって、キレの良い動きを見せるフェイトのF-20タイガーシャークは決定的なチャンスを掴ませない。 ファイトはカウンターアタックで背後に回ろうとする動きは見せたものの、 積極的に格闘戦で背後に回りこもうという動きはみせなかった。 その飛行は囮役としては当然の事だったが、 フェイトは自分の囮としての役割をゲルプ隊に見破られた事には気がついていなかった。 敢えて策に乗られているとは全くの想定外していない。 上空ではなのはが攻撃開始のタイミングを図れずに躊躇していた。 「ありゃ?予定、狂っちゃったね」 敵のフォーメーションを崩して2機を引き離すのが目的だったが、 シグナムを後ろに従えながら、ゲルプ隊がフェイトを追っていた。 単純化すればフェイト・イェーガー・アルトマン・シグナムの順で追いかけっこをしているように見える。 アルトマンがシグナムの攻撃を振り切ろうとしなかったのは誤算だ。 <シグナムさん。私も下に降りて援護します> <助かる。強敵とはいえ、戦う気がないので、上手くかわされる。仕掛けられん> 機体をロールさせ、一気に高度を落とすと雲を曳くフルクラムの位置が容易に特定できた。 「あれだね・・・」 軽く呟くと相棒に確認する 「レイジングハート? 行くよ!」 「All right My Master」 なのはがスロットルを全開にしながらフェイトにも指示を出す 《フェイトちゃん? 方位1-5-0 高度11000まで上昇》 《了解!》 F-20タイガーシャークのエンジンノズルが開き、蒼い炎をちらつかせながら、フェイトが急上昇を始めた。 イェーガーはタイガーシャークの飛行パターンが唐突に変化したことに訝りながらも、 急上昇をチャンスとみて、ミサイルトリガーに親指を乗せ、力を込めようとした。 瞬間、そのタイミングに併せて別の敵機が迫ってくる気配を感じた。 ゲルプ隊の2機はフェイトを追って急上昇を行っているが、 その後ろ、ウスティオのフルクラムが追従していないことに違和感を感じたのだった。 シグナムが追尾を止めて、そちらにゲルプ隊の意識を集めさせた隙に なのはが2番機アルトマンめがけてアフターバーナー全開で突っ込んできた。 《頂き!》 翼下のパイロンからAAMが放たれる。 《アルトマン 狙われているぞ》 《ちっ・・・あまり・・・やりたくないが》 なのはは絶対の自信のある距離でミサイルを放ち、 高機動のSu-37といえども逃さないという気迫をもってミサイルの誘導制御に集中していた。 ミサイルからの回避運動は恐ろしく神経と体力をすり減らす。アルトマンとしては起死回生の賭けに出ざるを得ない。 なのはの目の前を遠ざかっていったアルトマンの機が一瞬だけ奇妙な動きを見せた。 それまでの激しく鋭いがダンスのように流れるように華麗な一連の飛行から、一転した明らかに不調和な飛び方だった。 「えっ!?・・・」 その直後、ファントムめがけて白い煙が迫ってくる。 白煙はやがて長細い白い槍に変わり、コクピットの右に流れさろうとする。 「ミサイル!」 突然の出来事で全く予想していなかった展開に、なのはの中で視覚以外の五感が完全に停止していた。 一瞬の出来事をなのははスロー再生のビデオのようにゆっくりと、 だが、 何の反応もできないままミサイルが自らの愛機に命中するのをじっとに見守った。 強烈な衝撃がなのはの全身を包む。 「きゃぁぁぁぁぁぁあああ」 ファントムの右主翼が裂け、爆発に包まれる。 なのはを乗せたまま、きりもみ状に急速に高度を落としていく。 まだ生きているが幾つかアラームが鳴り響くコクピットで、なのはは懸命に操作しようとしていた だが、急激なG変化に耐え切れず、やがて意識を失った。 右主翼を完全に失い2基のエンジンも破壊された白いF-4Eファントムがなのはを乗せたまま 不規則な回転をしながらぶざまに落下していった・・・。 アルトマンが土壇場で行った奇襲は、意外なほどあっけなくなのはのファントムを撃墜したが、 アルトマンもなのはのミサイルで損害を蒙っていた。 ミサイルの追われているという極限状況の中でもアルトマンは なのはが無警戒な飛行をしていることに気がつき、 ミサイルの誘導を中断させようと、突然無理な機動で逆撃をしかけていた。 結果的にファントムは撃墜できたが、回避に専念する飛行から急に反撃行動に移ったことで 後ろを執拗に追い回していたミサイルに食いつかれてしまった。 《痛っ・・・やられた!》 但し、なのはと違ってミサイルに追われている状況を冷静に検討するだけの余裕があった。 被弾する直前に機体を捻り、主翼やエンジン重要部にダメージを受けるのを避ける。 《こちらコルモラン2、後部警戒レーダーと右エンジンノズル、エルロン周りを吹っ飛ばされた。》 《戦線離脱しろ。命令だ》 いくらTOPエースでも大きく損傷した機体では空戦を勝ち抜くことは難しい。 《2対4ならともかく、1対3ではな。 勝てなければ負けないようにする》 ゲルプ隊の隊長イェーガーはどこまでも冷静だった。 「「なのは!」」 白いファントムが落ちていく場を目撃したフェイトとシグナムは、 首筋の辺りからぞっとするような恐怖が心の中に入り込んでくるのを感じた。 飛行魔法も十分に使えないこの世界では戦闘機から飛び出して救難に向かうこともできない。 「クソッ!」 機体の限界まで追い込んだ旋回と自身の魔法による空力・重力制御の相乗効果で タイガーシャークはSu-37に負けない機動を見せたが、中の人には大きな負担がかかっていた。 重力制御の許容を超えた旋回でフェイトは意識が徐々に途切れそうになるのを必死で踏ん張る。 《テスタロッサ、そのまま右ロール。後ろを取りにいくぞ!》 シグナムが僚友にサポートの声をかけながら、もう一人の僚友に通信を送っていた。 《シャマル! タカマチが落ちた》 元々口数が少ないシグナムだが、 その切羽詰った様子は低空で機会を伺っていたシャマルにも只事でないとはっきりとわかるものだった。 《嘘っ・・・・》 シャマルは衝撃の大きさに声を失ってしまい。シグナムに言葉を返せなかった 《北東方向に向かって落ちていった。捜索を頼む!》 聞かされる者は俄に信じられないが、自分の目で確認した者の言葉は受け入れやすい。 それでもショックは大きい。 《わかりました!》 シャマルも俄には納得しがたいが、シグナムが戦いの場で冗談を口にするとは考えられない。 シグナムのサポートもあって、意識を半分失いかけながらも フェイトは機体を右に捻りこみ、高度を下げた。 《こいつか!?》 そのSu-37は飛ぶのがやっとというぐらいに大きく損傷していた。 「なのはを落としたのはコイツだ。」 直感的に理解したフェイトの心にどす黒い感情が湧き上っていた。 《この・・野郎・・・殺してやる!》 普段の穏やかで秀麗な顔に似合わないと殺意と憎悪に満ちたフェイトの声は、 ゲルプ隊の2人にも無線が入っていた。 《変わった娘だな・・・自分達が無敵だとでも思っていたのか?》 どこか嘲笑するようにも聞こえるし、呆れたようにも聞こえる。また諭すようにも聞こえる声は フェイトの前を飛ぶ傷ついたSu-37、アルトマンのものだった。 不思議な事に真後ろにフェイトが迫るにも関わらず動揺する気配をみせなかった。 《おのれ、貴様!》 フェイトは自分でも気がついていないほどの烈しい感情に駆り立てられていた。 こいつは、赦さない。地獄に叩き落してやる・・・・・! ミサイルで落とすのは容易いと思ったフェイトは敢えてガンアタックを選択した。 さらに距離を詰める。 意識を集中させ、HUD越しに傷ついたSu-37の後姿が大きくなると操縦桿の発射ボタンに指をかけた。 だが、あまりに意識を前に集めすぎていたため、後方ががら空きになっていた。 そんな単調な飛行をイェーガーが見逃すはずも無く、 機動を絡めあっていたシグナムのMiG29フルクラムを強引に引き離し、 部下の危機を察知して全力で接近してきた。 フェイトはアルトマンの背後に迫ってからは特に空戦機動をとってはいなかったので、 あっという間に距離が詰まる。 タイガーシャークの機内で後方警戒レーダーが鳴り響き、バルディッシュが警告する。 《Bandit s aprroaching direction 1-8-5》 執念深い憎悪に燃えていたフェイトもアラームで咄嗟に冷静さを取りもどし、 堪らず機体をロールさせ、深いバンクのナイフエッジターンで追いかけてきたイェーガーの機体を確認する。 《貴様達、まとめて片付けてあげるよ!》 相手は最新鋭とはいえ、大型機。 軽量なタイガーシャークなら十分に勝算はあった。 互いに長い雲を曳きながら後ろを奪い合う。 上昇、旋回、減速、急降下、フェイトの操縦技術もこの世界に来たころと比べれば随分上達していた。 本来の空戦技能でも元々中距離攻撃に重点をおいているミッド式魔法でSランク保持者であり、 個人的に得意な間合いは中近距離、と極めて高いレベルでバランスしており、魔導師の理想形に到達している。 ただ、フェイトは魔法に頼らなければ戦闘機での空中戦では技量はともかく、体力が持たない事を判っており、 いつもなら強烈なGを和らげるために制御魔法を使っていた。 「バルディッシュ、重力制御、モードリリース」 身体への負担は承知のうえで、できるだけミサイルの誘導に注力しようと考えていた。 「I do not recommend turning off the gravity control.」 ひとこと反論しながらも主人に忠実なバルディッシュは、素直に従った。 「ぐ・・・、負ける・・・か!」 途端にズン!と全身に襲い掛かるGがフェイトを襲う。 奥歯を軋ませて踏ん張ろうとしたところに、 横合から飛び出してきた薄紫の機影がフェイトの視界を遮った。 バランスを崩し、ふらふらと挙動を乱すタイガーシャークがようやく立て直した所で、 邪魔者の正体を確認した 《シグナム!? 邪魔しないで!》 《テスタロッサ、憎悪を糧に戦うな。逆にやられるぞ》 《頭ではわかってる。でも、心が納得しない!》 一旦フェイトの横に並んだシグナムが、騎士としての忠告をする。 《受け入れろ。タカマチが落ちたのは誰のせいでもない。タカマチ自身の責任だ》 キツい言葉だったかもしれないが、弁舌爽やかな政治家ではなく、必要なことを最小限で語るシグナムの言葉は、 フェイトには残酷なまでに無慈悲に響いた。 《だからといって見逃す訳にはいかない》 《ああ、無論だ。上手くいくか判らんが、策がある。聴く気はあるか?》 フェイトはシグナムが説明した作戦でこの忌々しいSu-37を落とすことに同意した。 フェイトのF-20タイガーシャークがシグナムのMiG―29フルクラムの真後ろにへばりつく。 イェーガーのSu-37が正面から突っ込んできた。 シグナムが照準ロックもかけないままにAAMを連続して発射する。 が、 イェーガーに判るはずもない。堪らずバレルロールで回避していた。 《今だ》 シグナムのフルクラムが急激に機首をもたげて、迎え角を極端に大きくとる。 プガチョフコブラとよばれるトリッキーな動きでイェーガーの注意をひきつける。 その動きは敵に機体の腹を晒すという危険なものだった。 こちらの予測通り、イェーガーがシグナムの機に攻撃を仕掛けようと速度と針路を微妙に調整した。 どれほどエースパイロットであっても攻撃の始まる直前と攻撃中はしっかりと安定した飛行姿勢をとる。 それが狙いだ。 フルクラムの後ろにぴったりと隠れていたフェイトがイェーガー機を狙う。 フェイトは前を飛ぶフルクラムが機首をもちあげて壁のように立ちはだかっても、躊躇することはなかった。 ほぼ正面を向いているが、敵はもう一つの味方機を狙っているので、タイガーシャークの攻撃に対応する間は無い。 一瞬の迷いにつけこんで、イェーガー機のカナードと右主翼に風穴を穿つ。 フェイトは攻撃に手応えを感じなかった。 確実な戦果を確認するまでは発射ボタンを押す手を緩める訳にはいかなかった。 だが、Su-37はフェイトのガンアタックで多少のダメージを喰らったものの、 優美で鋭い翼が折れる事はなかった。 それどころか、腹を晒しているフルクラムに機銃を浴びせているではないか! 《この・・・・・・っ! 落ちろぉぉ!》 ウスティオ軍の2機とベルカ軍の1機が交叉した一瞬の戦いは、 そのままイェーガーのSu-37が全力離脱したことでそのまま幕切れとなった。 既にアルトマンの機体も遠方に離脱を果たしており追撃は困難な距離だった。 ウスティオ軍側にも燃料の問題もある。 《してやられたな。 ここは退くぞテスタロッサ。あとはシャマルに任せるんだ》 《え?・・・ええ、判った・・・・糞っ ガン!》 低く毒づいてから、 フェイトはタイガーシャークのコクピットパネルに拳を乱暴にたたきつけた。 シグナムは無線越しに聞こえてくるフェイトの荒れように対してかける言葉を必死で捜していたが、 自らの表現力の乏しさを嘆きつつ、無言で見守るしかなかった。 シャマルにとってシグナムからのなのは被弾の連絡は俄に信じがたいものだったが、 戦いの最中に冗談をいうような人物ではない。 《こちらシャマル・・・・・捜索を開始します!》 シャマルはトーネードの可変翼を一杯に広げ、超低速に速度を落とすと周囲を捜索を始めた。 ただ、戦闘機のコクピットから下の地面を見るというのはなかなかに難しい。 「んもう!地面が見ずらいわねぇ・・・っ!」 誰に聞かせるでもなく、シャマルは一言ボヤくと機体をロールさせ、トーネードを背面飛行させた。 そして背面飛行したトーネードの大きな垂直尾翼が森の木にぶつからないように少しだけ高度を高くとる。 背面飛行でなら操縦席から上をみれば地面が良く見える。 地面を舐める超低空での背面飛行を難なくこなすあたり、 シャマルも空中戦とはまた異なる点で良い腕を隠し持っていた。 4つ目の山の稜線を背面飛行で超えた先、 ソーリス・オルティスの北東に広がる森林地帯に黒煙が不気味に立ち上っていた。 《黒煙を発見、確認に向かいます》 その一帯は空挺部隊が降下した地点とソーリス・オルティスを挟んだ反対側で、 運の悪いことにその森はまだベルカ軍の勢力地帯だった。 シャマルが黒煙が立ち上る周囲に接近すると、戦闘機の部品が周囲に散乱しているのが見えた。 墜落時に炎上したらしく、それは黒っぽい金属の塊のようだったが、 よく目を凝らしてみると、周辺に白地に青ストライプが入った機体の外装らしいものが散乱していた。 「嘘・・・でしょ?」 目を凝らして見直せば網膜に映る情景が訂正されると信じてシャマルは戦闘機の墜落現場の上空を定円旋回しつづけた。 「なのはちゃん・・・」 ようやく状況を受入れ、なのはの消息を探そうと周辺探索を行おうとした時に トーネードのミサイル警報が狂ったように鳴り響いた。 「敵!?」 それは携帯SAMだったが敵勢力下の上空で単調な旋回飛行をしていたトーネードは絶好の標的だった。 シャマルはトーネードの可変翼を折りたたんで、急上昇を開始し、後ろから迫るミサイルを右に左にと回避する。 ミサイルをかわしきり、高空へ一旦逃げたシャマルは公式通信で連絡を入れた。 《こちらガルム4タリズマン。ガルム1サイファー機の墜落を確認、場所はソーリスオルティスから北東40km地点》 《こちらイーグルアイ、報告了解。パイロットの消息は確認できたか?》 《いいえ、まだです。対空攻撃を受けたので、周辺を制圧してから確認に移ります》 上品な口元を強い意志で結んだシャマルは再びトーネードを低空に降下させた。 そのシャマルのトーネードを出迎えたのは散発的な対空機関砲の攻撃だった。 だが、突進するトーネードを捉えることができない。 「邪魔しないで!」 軽く機体をジンクさせながら、ミサイルを対空砲に叩き込み、吹き飛ばす。 もう一度、ファントムの周囲を探索したところ、クラールヴィントが森の中を進むベルカ地上部隊の存在を告げた。 墜落した機体の調査とパイロットの身柄確保にやってきた連中だろう。 なのはちゃんのファントムには近づけさせない! 「次元の彼方まで吹っ飛ばしてあげる!」 まだ残弾のあるJP223ディスペンサーで広域制圧するつもりだ。 クラールヴィントが示した位置に向かって、突き進んでいたトーネードが可変翼を一瞬広げ速度を微調整した。 針路良し、高度良し、投下まで5、4、3、2 <シャマルさん ダメ!> <なのはちゃん? なのはちゃんなの?> いきなり思念通話での呼びかけはなんとも嬉しい驚きだった。 シャマルも慌てて攻撃軸線から機体を旋回させ、周辺の探索を行う。 <どうにか、脱出できたけどね。周りに敵の兵隊さんが一杯。今は隠れている所だよ> <じゃあ、なおの事、一気に吹きとばして・・・> <それで、敵と一緒に私も吹き飛ばすの?> 声を立てずに笑う声は思念通話であっても元気そうに感じられた。 <って、そんなに近いの?> <目の前、3メーターってところかな。靴しか見えないけど、20人ぐらいは居そう> <なのはちゃん、怪我は?> <あちこち打ち身とか捻挫とか・・・あ、大した怪我は無いよ大丈夫。けど> 言葉の最後を逆接の接続詞で結ばれ、 シャマルは心臓を氷の手でつかまれたように感じた。 <けど?> シャマルは続きを聞くのが怖かった。 <疲れた。動けない> <とにかく、じっと隠れて休息を取ること。いい?医務官としての忠告よ> <はい。シャマル先生> 苦笑とともに聞き分けの良いなのはの返事が返ってきた。なのはは医者の言う事は良く守る。 <みんなには私から連絡するから。魔力も温存してね> <シャマルさんも早く戻って。敵が対空ミサイルを展開しようとしているみたいだよ> <判ったわ。救難が来るまで待っててね> <できれば黒塗りの高級リムジンで> シャマルは意識して大きく笑った。 <手配するわ。なのはちゃん> こちらを安心させようとしているのかもしれないが、 冗談をいう余裕があるのはいいことだ。と思いながらシャマルはヴァレー基地に針路を取って全速力でソーリス・オルティスから離脱した。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1867.html
* 自然界のゆっくりの生態系のひとコマみたいな短編 ぬる虐め * ゆうかスペック高め れいむとまりさは酷い目に それでもよろしければ楽しんでね ころころ転がって競争したり、姉妹や両親にすーりすーりしたり、 おっきなお父さんまりさに帽子のふちでたかーいたかーいして貰ったり、かくれんぼや鬼ごっこしたり、 背の低い雑草が生え揃ったその草原は、ゆっくりたちの絶好の遊び場。 今日も沢山の子ゆっくり姉妹が仲良く楽しく遊んでいた。 「ゆっゆぅ~ん、れいむのおちびちゃんたち。とてもゆっくりしているよー」 おかあさんれいむは、目を細めて上機嫌の子供たちを見守っている。 此の一家、最近になって麓の森から丘陵へ移り住んできた群れの一員である。 おかあさんれいむとおとうさんまりさ、そしてちびれいむとちびまりさが四匹ずつで計十匹の大家族。 おもいきっておひっこししてほんとうによかったよ。 おかうさんれいむは本当にそう思った。 以前住んでいた麓の広葉樹林は、狸や狐、蛇、犬、鳥、鼠などゆっくりの天敵が数多く棲息しており、常に気の休まる間もなかった。 ゆっくりの総数に比して余りにも少ない良質の餌場を巡ってゆっくり同士が絶えずいがみ合い、 棲むのに適した広い巣穴も滅多になく、梅雨や台風の度にゆっくりたちは壊滅的な打撃を受けていた。 そんな全然ゆっくり出来ない生活に嫌気がさしたれいむとまりさは、思い切って近くの丘陵へと移住して来たのだ。 八匹の子ゆっくりを連れてのお引越しは大変な冒険だったが、幸いにも一匹も欠ける事無く、新しいおうちへと辿り着いた。 ゆっくり一家を待ち受けていた其処は、期待にそぐわぬ素晴らしいゆっくりぷれいすだった。 外敵は少ないし、雨や風から身を守るのに適した大きな洞窟が無数にある。 岩場や表土が剥き出しの場所も多く、取れる食べ物がやや少ないのが唯一の不満だったが季節は春。 普段は苦い多年草の雑草なども、今の季節は青々とした若草も多く、贅沢を云わなければ充分食べられた。 「ゆんゆんゆゆ~ん」 「ゆっくちー」 子供たちの楽しげな歓声に、れいむとまりさは目を合わせてそっと微笑んだ。 「ゆうぅ~ん、れいむのおちびちゃんたち、かわいいよぉ」 体の大きなお母さんれいむには、体中に沢山の傷が在る。 その傷は全て子供たちを守ろうとして付いた云わば勲章。 だから子供たちは、皆、優しい両親に信頼をよせて、とても慕っていた。 幸せな家族の生活。きっと何時までも続くんだと皆が信じることができた。 沢山遊んだ後は、お気に入りの場所で一家揃って日向ぼっこ。 燦々と降り注ぐ陽光に皆、ご機嫌。ぽかぽか陽気がとても体に気持ちいい。 「ゆぅ、おなかすいたよぉ」 家族と一緒に日向ぼっこはとてもゆっくり出来るけど、其れで空腹が満たされる訳でもない。 ずっと遊んでいてお腹のへった長女れいむが、何か食べられる物はないかと周囲を見回した。 「ゆっ、ゆゆゆぅ?」 道の向こうからやってくるのは、見た事もない美しいゆっくりだった。 見事な緑の髪にお母さんよりも立派な躰。そして髪にとても大きくて美味しそうな花をつけていた。 「ゆゆっ!」 れいむは驚きの声を上げた。 なんて美味しそうなお花だろう。黄色くて大きくてまるでお日さまみたい。そうだ!食べさせて貰おう! ぽよんと道に飛び出した。一緒に気づいた一番下の可愛い妹も付いてくる。 「ゆっくりちぇいっちぇね!」 「ゆっくちー!」 冷やかな声で応える緑の髪のゆっくり。 「……はい、はい。ゆっくり」 れいむ姉妹は、ニコニコしながらその大きなゆっくりを見上げる。 「おいししょーなおはにゃさん。れいみゅにちょーだいね!」 「おはなちょらーいにぇ!」 ぴこぴこ 妹と一緒にもみあげを動かしさせながら微笑んで、精一杯の可愛さをあっ☆ぴーるする。 こうすればおかーさんは何時も目を細めて、れいむの云う事を何でも聞いてくれるのだ。 なのに、向日葵の飾りのゆっくりはチラッと横目で見ただけで、無視して通り過ぎようとした。 「まっちぇね!きゃわいいれいむにおはなさんむーしゃむーしゃさせてね!」 「させちぇね!」 慌てたれいむはご飯を逃がすまいと一生懸命、お花さんをつけたゆっくりの前に回り込む。 気づいたお母さんれいむも、おちびちゃんに応援の声を送っていた。 「ゆっ!?ゆうかはいじわるしないでおちびちゃんたちにさっさとおはなさんをあげてねっ!」 と、緑の髪のゆっくりは今度は微かに不快そうに眉根を寄せ、冷たく輝く紅い瞳で子れいむ姉妹を見下ろした。 「……ゆぅ」 何を考えているのか全く窺う事の出来ない物静かな紅い瞳にじっと見つめられ、 子れいむは心中に怯みを覚えたが、食欲がなけなしの勇気を後押ししたのか辛うじてその場に留まった。 「何で貴方にお花を上げないといけないの?」 「れいみゅ、きゃわいくっちぇごめんにぇ」 「ぎょめんにぇ」 精一杯、もみあげをぴこぴこ。れいむ姉妹はお花を貰おうと一生懸命。 「れいみゅきゃわいいでしょ?だきゃら……」 「全然、可愛くないわ」 「……ゆっ?」 まるで理屈になってないれいむの要求は、だが真正面から否定された。 冷たい声にれいむの体に動揺が走る。姉妹の揉み上げのぴこぴこ運動が止まった。 「お花のほうがずっと綺麗で可憐よ。いえ、比べるのが失礼ね。寧ろ貴方たちは『醜い』わ」 「ゆゆっ?」 「ゆいっ?」 れいむの体の芯がすっと冷える。今まで感じた事無いような寒さにも似た不快感が体を掛け抜けた。 今まで家族の暖かい愛情に包まれて育ってきたれいむ。こんな酷い言葉を今まで掛けられた事なんてなかった。 れいむの激しい動揺にも気づかないのか、或いは気づいていても如何でもいいのか。 緑の髪の綺麗なゆっくりは、冷酷な言葉をれいむに叩きつけ続ける。 「貴方は薄汚れて、そこら辺に幾らでも転がってる塵みたいなれいむの『幼虫』じゃない」 「ゆっ?」 「此の向日葵はとても綺麗なのに、如何して『醜い』『塵れいむ』の『幼虫』に上げなきゃいけないの?」 「……ゆっ」 「まったく意味が無いわ。馬鹿ね。死になさい」 「…………ゅ」 緑髪をしたゆっくりは、静かに酷い言葉を紡いでれいむ姉妹にそう言い聞かせた。 淡々とした口調には悪意も敵意も無く、ただ己の信じている事実をそのまま告げたと言う風情があった。 少なくともれいむの目の前にいる凄く綺麗な緑髪のゆっくりにとって、今告げた事は本音なのだろう。 多少なりとも感受性らしきものを持っていた子れいむは、相手の本音をそのまま感じ取ってしまった。 だから、凍りついた。物凄い悪意にぱくぱくと口を開いたまま何も云えなくなった。 とても綺麗で清潔で大きなゆっくりに、とても酷い言葉を掛けられて、子れいむの頭は真っ白になっていた。 近くで聞いていた両親や他の姉妹たちも同じだった。 「ゆっゆっゆっ……れいみゅがぎょみ?れいみゅはようちゅうしゃん?」 涙ぐんで、向日葵の髪飾りのゆっくりの言葉をそのまま繰り返す。 「ええ、貴方たちには全く価値が無い。貴方もあまあまとそこら辺の雑草を交換しないでしょう?」 むしろ優しいとさえ云える声で掛けられる酷い言葉。子れいむの全身に悪寒の震えが広がっていく。その震えはすぐに姉妹全員に伝染していった。 「理解したら道を開けてね?潰してもいいんだけど、『害虫』に触れるのも嫌だから自分でどいて頂戴」 「ゆっ、ゆうかはなにいってるの?!れいむのおちびちゃんはこんなにゆっくりしてるでしょおお!」 狼狽から立ち直った母れいむが、ゆうかに喰ってかかる。 父まりさも怒った口調でゆうかを攻撃する。 「ゆうかはみるめないの?ばかなの?しぬの?」 「まえにいたむれのありすもぱちゅりーもれいむのあかちゃんをみてとてもゆっくりしているねっていってくれたんだよっ!」 ゆうかはそんな両親に冷やかな視線を向けた。 「きっと褒める所のない汚い赤ちゃんだから、他に云いようがなかったんでしょうね」 「……ゆっ?!」 「ぱちゅりーもありすもこんな醜い取り柄のない子を見せられて、きっと困ったでしょうね」 「ゆぎぃっ?!」 「普通、綺麗なら綺麗、可愛いなら可愛いと伝えるもの。 赤ちゃんが、ゆっくりしているねですって。当たり前じゃない。ゆっくりなんですもの 取り柄がない赤ちゃんを褒める時は、取りあえずゆっくりしているねが無難なのよ。 ああ可笑しい。貴方、それを真に受けたの?」 「……ゆっぎぎぎぎぎ」 父まりさは歯軋りしたが、こんなに大きくて強そうなゆうかが相手では勝ち目がない。 悔しそうに睨み付けるのが精一杯だった。 「いじわるなゆうかはさっさとどっかいってね。ゆっくりできないよ!」 結局そう吐き捨てるのが精一杯だった。 「云われなくても……邪魔よ」 「ゆぴぃ!」 ゆうかに小突かれた長女れいむ、痛みに甲高い悲鳴を上げてころころ草むらへと転がっていく。 そこで母れいむが切れた。 「ゆがああ!もうかんべんできないよぉお!!いじわるなゆうがはじねぇえ!!」 母れいむは、歯を剥き出しにした鬼のような表情でゆうかへと飛び掛った。 「おきゃーしゃん!」 子供たちが顔を輝かせる。 そうだ。おかあさんがいた。あったかくてやさしくてとてもつよいおかーさん。 こんなゆっくりできないことをいうゆうかは、きっとおかーさんがせーさいしてくれるよ。 「とりけせぇえええ!!れいむのおちびちゃんはがいちゅうじゃないぃい!! とてもゆっくりとしたかわいいおちびちゃんだぁ!!」 ゆうかはちょっと力を溜めると、母れいむの突進に真正面から体当たりした。 どむっと云うおおよそゆっくり同士の体当たりでは発生しない激しい音と共に弾き飛ばされた母れいむは、 三メートルもごろごろ地面を転がると、切り株に当たって漸く止まった。 「ゆっ……ゆぐうう」 口の端から泡を吹き出し、完全に目を回している。 「れっ?……れいむぅううう!!」 顔面蒼白になったまりさが目を点にして叫んだ。 「……面倒ね」 緑の髪のゆっくりは心底面倒臭そうに溜息を洩らすと母れいむに近づいていく。 「やめちぇね?おきゃあしゃんをいじめにゃいでにぇ」 「まりちゃおきょっちぇるんじゃよ。ぷきゅー」 立ちはだかる子供たちの声を無視して緑の髪のゆっくりがふっと音も無く飛んだ。 重い音と共に母れいむの上に着地する。 ぶじゅッ!!ぽん! 子供たちが濁声で絶叫した。 「ゆぁあああ、なにじてるのぉおお??!!!」 「ゆびゃああっ!!おきゃあしゃあああんのおめめがぁああ?!」 「ゆびぃいい!きょわいいいい!!」 母れいむの右目は軽く飛び出し、口とまんまんとあにゃるから餡子が吹きだしていた。 「……ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 母れいむが重症のゆっくりに特有の例の痙攣を始める。 それでも緑の髪のゆっくりは随分と手加減していた。半日も経てば目も覚めて動けるようになるだろう。 長女れいむはあれほど陽気な顔をしていたのに、脅えた顔をして言葉を繰り返していた。 「……れいみゅはごみ……れいみゅはがいちゅう……」 よっぽどショックだったのだろう。まだぶつぶつと呟いている。 此れは此れで面白いので放置して、ゆうかは残った子供たちとまりさに視線を転じた。 「あっあっあっ」 恐ろしいゆうかに睨まれて、揃っておそろちーちーを盛大に噴出する子ゆっくり姉妹。 子れいむの一匹など、姉まりさのしーしを背中に浴びて己の体が溶けかけているのにも気づかず震えていた。 「おちょーしゃん。おきゃあしゃんがぁああ!」 「おちょーしゃん、たちゅけちぇええ ゆっくりできないよぉおお!」 「掛かってこないの?」 泣き叫ぶ子供たちを前に、ゆうかの明白な挑発にもまりさは動けない。 まりさは優しくて誠実だったけど臆病だった。そしてそれを自分でも知っていた。 自分より一回りも大きなれいむが一撃で叩き伏せられてしまったのだ。 まりさがゆうかに掛かっていても、かなう筈ないと諦めてしまっていた。 れいむや家族を愛しているのに、戦いたいと思うのに、まりさの体は竦んで動けない。 「そう……臆病者ね。なら、其処で見てなさい」 へたれまりさの目の前で、残った子供たちがゆうかに散々小突きまわされていく。 ピンポン玉のように転がりながら、甲高い悲鳴を上げ、助けを求め続ける子ゆっくりたち。 「ゆべっ!!……ゆびっ!!……」 「びぎぃ!!おとーしゃ……」 「いじゃ!おとーしゃん」 「ぴぽっ!ぱぽっ!」 「ゆげっ!!たちゅけちぇ!」 「ゆぼっ!!ゆっがああっ!!」 時々、軽く噛んだり、圧し掛かったり、揉み上げや帽子の一部を噛みちぎったりして、ゆうかは遊んでいる。 「へたれいむのおかーさんはぱちゅりーより弱いわ。くずまりさのおとーさんは臆病者で貴方たちを見捨てた。 両方、屑ね。屑の親もやっぱり屑なのね。」 ゆうかは言葉のメスを巧みに操りながら、子ゆっくりたちの心をずたずたに切り裂いていく。 「ゆぎぎぎぎっ!」 その光景を歯軋りしながら、まりさは見続けるしかなかった。 まりさの頬から溢れ出た涙が滴り落ちて地面へ大きな滲みを作っていく。 「おちょーしゃぁん!……みちぇないじぇたちゅけちぇ!」 最後までまりさは、動けなかった。 幸い、ゆうかはお腹が空いていなかったのか、気まぐれで慈悲を掛けたのか。一家の命までは取らなかった。 傾き始めたお日様が、西の山の稜線に差し掛かる頃、ようやく一家は解放された。 「ずびばぜんでじだぁああ、ゆるじでくだざい」 結局は散々痛めつけられた親まりさも、そして親れいむも、ぺたんぺたんと間抜けな擬音と共に土下座を繰り返している。 「次に見かけたら、殺すわよ」 緑の髪のゆっくりは退屈そうに呟くと、再び来た道をすーりすーりと這いずって去っていった。 残されたのは卑屈に命乞いをした両親を呆然として見つめる子れいむと子まりさだった。 「……ゆぅー……ゆっ……ゆぅ……」 親れいむと親まりさ。そして子れいむたちと子まりさは全身ボロボロとなり、心はそれ以上に痛めつけられていた。 体のあちこちに無惨な噛み跡が付いており、突き飛ばされた跡は紫色の無残な痣となってぱんぱんに腫れあがっている。 れいむの揉みあげは両方引き抜かれ、まりさの帽子は大穴が開き、子供たちの髪には所々十円禿の噛み跡が残っている。 痛みを堪えながら巣穴へずーりずーりと戻っていくゆっくり一家。 朝はあんなに楽しくてゆっくりしていたのに、どうして今はこんなに悲しくてゆっくり出来ない気持ちなんだろう。 「おきゃーしゃん……れいみゅはごみにゃの?」 「ちがうよぉ、れいむのおちびちゃんはせかいでいちばんゆっくりしたかわいいこだよぉ」 長女れいむのおどおどした問いかけに、母れいむは精一杯の愛情をこめたすーりすーりで応えた。 「ゆっゆっ?」 母れいむは懸命にすーりすーりを続けた。 お母さんの頬はとても暖かくて、柔らかくて、長女れいむはまるで凍ってしまった餡子が解けていくように感じた。 「ゆっくち、ゆっくちぃ」 笑いだす長女れいむ。他の二匹の子ゆっくりたちも心温まる光景にきゃっきゃっと機嫌を直した。 「おきゃーしゃん、まりしゃにも!まりしゃにもすーりすーりしちぇ!」 「れいみゅもしちぇ!」 ぽよんぽよん跳ねる可愛い子供たちの笑顔を見て、母れいむは胸の奥底がじんわりと暖かくなるのを感じた。 ああ、この子たちを守れるのは自分だけなんだ。自分が折れる訳にはいかない。 はやく辛い事は忘れて、楽しいことだけを記憶して生きていこう。 泣いた烏がもう笑うを地で行く感情の移り変わりの早さだが、そうでもないと野生のゆっくりは生きていけない。 良くも悪くも、其れがゆっくりの生き方だった。 「やめちぇね?まりちゃにいちゃいこちょしないじぇね?」 「ゆゆぅ、れいみゅおいしきゅないよ?ゆうかはこっちこないじぇね」 足を噛み砕かれ、逃げる事も目を逸らす事も出来なくなった子ゆっくりたちがゆうかの前でぶるぶる震えていた。 庭園で花に水をやり、害虫駆除を済ませ、土を耕したら、もう夕方に差し掛かっていた。 今日は此れから餌集めと巣の改築もする予定だったのに。 ゆうかは、遅めの昼御飯を摘まみながら、昼間のれいまり一家との出会いを思い返して微笑んだ。 うん。でも、道草は食ってしまったけれど、今日は美味しい子ゆっくりも五匹も手に入ったし悪くないかな。 「ゆんやぁあああ、きゅらいよぉおおお!!きょわいよぉおおお!!」 「ゆああっ!まりちゃ!はなしちぇね?れいみゅおこっちぇるよ?」 ゆうかの口の中で必死に泣き叫び、互いを呼び合う子ゆっくり姉妹。 今は雪解けの季節。 どうせあの一家を殺しても、その縄張りが空けば別の若いゆっくりの番が移り住んで来る。 それならトラウマを植え付け、精々、自分に関わらないようにする方がまだ多少は効率がいい。 多分、無駄だろうけれど。 ゆうかはアンニュイな溜息を洩らした。 どれだけ言い聞かせて、痛い目に会っても、三日もすれば再び同じゆっくりが草原にやって来る。 三日前も、一週間前も、十日前も、ゆうかはゆっくりたちと同じようなやりとりを繰り返していた。 ゆっくりたちは、ゆうかの花を要求したり、花を食い荒らしたり、巣に乱入しておうち宣言したり、 その度に群れの数は減り、最初は七家族居たのが、今はあの一家だけで在る。 覚えていないのか、懲りないのか。本当に不可解な不思議饅頭である。 何で独り立ちしたばかりの若いゆっくりたちって、あんなに愚かなんだろう? 私も、一歳の時はあんなものだったのだろうか? それほど覚えている訳ではないが、もうちょっと慎重に行動していたような気がする。 或いは、辛いことを覚えていては生きていけないほど身も心も脆弱な生き物であるゆっくりが、 自分の身を守る為に発達させた自己欺瞞能力なのかもしれない。 「いじゃい、やめちぇ、ちゃべないじぇえええ」 「いぎぃっ れいみゅのあんよがぁあ」 舌先で子ゆっくりたち転がしたり甘噛みして、反応を見ながら獲物の恐怖と絶望の感情を楽しむ。 だけどそんなゆうかも、時々はほんのちょっと、ほんのちょっとだけ、 楽天的で能天気なゆっくりたちの生き方が羨ましくなったりもしていた。 私の本性も、ゆっくりということかな。 或いは、人間や妖怪も偶にはゆっくりしたいなんて考えたりするのかしら。 自分より遥かに高等な種族のことなど理解できるはずもないが、そんな想像をゆうかは良くする。 「ゆぎぃっ、ゆふっ、きゃらだぎゃ!れいみゅのきゃらだがどげでぎだぁあ!」 「だじでっ!ごごがらだじでぇ!まりちゃなんにもわりゅいことしちぇないのにぃ!」 腹の中で生きながら溶けていく子ゆっくりの踊り食いを堪能しながら、ゆうかは考える。 ゆっくり絶滅してくれないかなぁ……ああ、私もゆっくりか。 埒もない空想をしていても意味がない。やるべき事は多々在るのだ。 今日も此れから、餌を取り、ついでに肥料となる落ち葉や枯草を集めて廻らなければならない。 「やじゃあ、れいみゅ れいみゅ じにだぐないよぉお ゆんやぁああああ!」 「ゆっぐじぃ!まりちゃゆっぐぢじだいぃ!ゆっぐぢじだいぃいい!」 枝の剪定と巣の改築は、明日に回そう。 最近では、数年後の収穫を目指して庭園に木苺やグミの苗を庭園に植えていた。此れからますます忙しくなる。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 「……ゅ……っ……ゅ……」 お腹の中で最後までもがいていた末っ子れいむが、段々と言葉が不明瞭になり、体が弱々しく死の痙攣を始める。 子ゆっくりの断末魔の痙攣をお腹の中で楽しみながら、ゆうかは気合いを入れなおした。 さぁ、明日もゆっくり頑張ろう。
https://w.atwiki.jp/tohohopeacewalk/pages/254.html
画1_14_4t "日本兵の服装は偽造か?_4" http //www21.atwiki.jp/tohohopeacewalk/pages/148.html http //pipponan.fc2web.com/gazokensyo_1/ga-14_4.htm ------------------------------------------------------------- [14]日本兵の服装は偽造か? ピッポ 05/3/20(日) 21 12 [15]Re(1) 日本兵の服装は偽造か? ja2047 05/3/20(日) 22 59 [16]Re(2) 日本兵の服装は偽造か? ピッポ 05/3/21(月) 0 24 [18]日本軍の便衣行為 ja2047 05/3/21(月) 21 55 [19]例外だらけの装備品 ja2047 05/3/21(月) 22 02 [20]軍装の例外[2] ja2047 05/3/21(月) 22 28 [21]階級証の例外 ja2047 05/3/21(月) 22 37 [22]Re(1) 階級証の例外 ja2047 05/3/21(月) 22 37 [25]Re 軍装の不統一 軍隊生活の自分史サイト ピッポ 05/3/22(火) 11 01 [26]Re軍隊生活の自分史サイト ja2047 05/3/22(火) 21 14 [28]Re(1) Re軍隊生活の自分史サイト とほほ 05/3/22(火) 22 29 [30]Re(1) 階級証の例外 第十八聯隊史より 渡辺 05/3/23(水) 1 31 [33]ちょっとお遊び 熊猫 05/3/24(木) 2 05 [34]さらにお遊び ja2047 05/3/24(木) 6 23 [40]日本側の武装市民 ja2047 05/3/24(木) 20 58 [27]腰より上の水筒の例 ja2047 05/3/22(火) 22 19 [68]片手剣の練習 ja2047 05/3/28(月) 22 23 [126]Re(1) 片手剣の練習 熊猫 05/4/2(土) 22 43 [228]>航空隊 ja2047 05/4/15(金) 22 13 [272]Re(1) >航空隊 熊猫 05/5/4(水) 1 34 [273]Re(2) >航空隊 ja2047 05/5/4(水) 7 11 [82]わわ、いかん 訂正 <(_ _)> ja2047 05/3/29(火) 21 10 [113]Re LIFE 1937年10月11日号 ピッポ 05/4/2(土) 0 40 [114]Re(1) Re LIFE 1937年10月11日号 渡辺 05/4/2(土) 1 41 [120]Re(2) Re LIFE 1937年10月11日号 ピッポ 05/4/2(土) 14 55 [137]Re LIFE 1937年10月11日号 高橋担 渡辺 05/4/5(火) 18 35 [343]うーん ja2047 05/5/7(土) 19 11 [354]戸山流と高山流 ja2047 05/5/8(日) 19 32 [355]Re(1) 戸山流と高山流 ピッポ 05/5/8(日) 22 01 [359]Re(2) 戸山流と高山流+鳥飼先生 渡辺 05/5/8(日) 23 39 [363]Re(3) 戸山流と高山流 ja2047 05/5/9(月) 6 10 [413]服装がバラバラですが 熊猫 05/8/14(日) 1 43 [414]Re(1) 服装がバラバラですが ピッポ 05/8/14(日) 9 18 [415]作業衣なんですけどね ja2047 05/8/14(日) 17 22 [417]そうでもないかもよ 熊猫 05/8/15(月) 22 56 [418]これで結論かな ja2047 05/8/16(火) 16 14 [422]Re(1) これで結論かな:多謝 渡辺 05/8/17(水) 0 57 [423]Re(1) 片手剣の練習 熊猫 05/8/27(土) 10 15 [429]出た出た ja2047 05/8/29(月) 21 16 [440]否定派さんに画像サービス 熊猫 05/9/1(木) 21 01 [442]Re(2) 片手剣の練習+銃剣=多謝 渡辺 05/9/3(土) 16 10 [493]短剣術の訓練 熊猫 05/9/26(月) 22 32 [105]パナイ号の写真 ja2047 05/3/31(木) 21 28 [115]パナイ号関連資料 ja2047 05/4/2(土) 10 15 [116]Re(1) パナイ号関連資料(謎の管理人の正体) とほほ 05/4/2(土) 10 27 [147]Re 謎の管理人の正体 とほほ 05/4/6(水) 14 15 [271]ポケットの位置は? ja2047 05/5/1(日) 9 54 [282]恥の写真帳 写真68 ja2047 05/5/5(木) 14 11 [283]帽垂れ ja2047 05/5/5(木) 14 25 [416]Re(1) 帽垂れ 熊猫 05/8/15(月) 0 14 [419]Re(2) 帽垂れ ja2047 05/8/16(火) 18 31 [420]Re(3) 帽垂れ 熊猫 05/8/17(水) 0 16 [421]失礼!訂正します。 熊猫 05/8/17(水) 0 32 [424]Re(1) 靴が違う? ピッポ 05/8/29(月) 18 22 [425]Re(2) 靴が違う? msq 05/8/29(月) 20 22 [426]Re(3) 靴が違う? ピッポ 05/8/29(月) 20 50 [428]Re(4) 靴が違う? msq 05/8/29(月) 21 03 [427]「識者」ではないですが (^^; ja2047 05/8/29(月) 20 57 [430]Re(1) 「識者」ではないですが (^^; msq 05/8/29(月) 21 28 [431]あーそうか ja2047 05/8/29(月) 21 45 [432]Re(1) あーそうか msq 05/8/29(月) 22 03 [433]Re(2) 引導渡し ピッポ 05/8/29(月) 22 53 [434]Re(3) 引導渡し msq 05/8/29(月) 23 26 [435]Re(4) 夜襲にも役立ちます ピッポ 05/8/30(火) 1 31 [436]まだ成仏してませんが ja2047 05/8/30(火) 23 16 [439]地下足袋の話でしたら ゆう 05/9/1(木) 20 57 [441]もう一つ謎が解けたかも ja2047 05/9/2(金) 18 20 [437]南京戦は地下足袋を履いておりました。 熊猫 05/8/31(水) 0 15 [438]Re(1) 南京戦は地下足袋を履いておりました。 ピッポ 05/8/31(水) 9 35 [559]Re(1) お腰につけたものは何? ピッポ 05/11/11(金) 20 45 [560]Re(2) お腰につけたものは何? ピッポ 05/11/11(金) 23 18 [561]Re(3) お腰につけたものは何? ピッポ 05/11/11(金) 23 24 [562]Re(4) お腰につけたものは何? ピッポ 05/11/11(金) 23 39 [565]どなたか精細な写真をお持ちでないですか ja2047 05/11/13(日) 11 02 [566]Re(1) どなたか精細な写真をお持ちでないですか msq 05/11/13(日) 21 14 [567]ちょっとどちらとも言えないですね ja2047 05/11/13(日) 22 10 [563]Re(2) お腰につけたものは何? 渡辺 05/11/11(金) 23 46 [564]Re(3) お腰につけたものは何? ピッポ 05/11/12(土) 0 10 [584]勝手ながら ja2047 06/4/4(火) 21 38 [585]Re(1) 勝手ながら ピッポ 06/4/5(水) 11 00 [586]Re(2) 勝手ながら ja2047 06/4/5(水) 12 51 [587]Re(3) 勝手ながら ピッポ 06/4/5(水) 19 53 [590]Re(4) 勝手ながら ja2047 06/4/6(木) 6 06 [591]フォロー 熊猫 06/4/6(木) 7 58 [595]Re(1) フォロー ピッポ 06/4/7(金) 23 03 [588]Re(1) 勝手ながら 熊猫 06/4/5(水) 23 03 [589]防暑帽かな ja2047 06/4/6(木) 6 04 [596]鉄兜二題 ja2047 06/4/9(日) 9 10 -------------------------------------------------------------------------------- [442]Re(2) 片手剣の練習+銃剣=多謝 ←back ↑menu ↑top forward→ 渡辺 - 05/9/3(土) 16 10 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : Life37s.jpg ・サイズ : 82.1KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : Ken1.jpg ・サイズ : 79.5KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : Ken2.jpg ・サイズ : 64.3KB 熊猫さん、jaさん、毎度ありがとうございます。 1937年10月11日号LIFE他の写真は、結局、教本の型どおりだったということになります。 ご教示ありがとうございました。 (画像の出所は、順に、LIFE 1937年10月11日号、『剣術教範』昭和9年、東京武揚堂書店p.32、同書 p.19) ▼熊猫さん: 短剣術の教練を示す適当な資料が手許にありませんでしたので、他ページへのリンクをご紹介します。 昭和9年発行の「剣術教範」には短剣術が記述されています。 軍刀であろうが、銃剣であろうが「あり」です。 3,703 hits -------------------------------------------------------------------------------- [493]短剣術の訓練 ←back ↑menu ↑top forward→ 熊猫 - 05/9/26(月) 22 32 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : tanken02.jpg ・サイズ : 51.5KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : tanken.jpg ・サイズ : 42.1KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : tanken03.jpg ・サイズ : 36.7KB ヤフオクに出品していたので、落札使用かどうか悩んだのですが、必要ないと思い入札はしませんでしたが・・・・・・ 短剣術の画像だけ拝借(^^) 3,748 hits -------------------------------------------------------------------------------- [559]Re(1) お腰につけたものは何? ←back ↑menu ↑top forward→ ピッポ - 05/11/11(金) 20 45 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : c-83.jpg ・サイズ : 57.2KB 東中野本、写真83(P145) これについて、WEB上に、 これも悪名高い写真です。そもそも、僧侶の態を為していない。阿弥陀に軍帽をかぶった日本兵、腰の箱は一体何か? の一文あり。腰の箱が何か、について識者の見解を請います。 4,386 hits -------------------------------------------------------------------------------- [560]Re(2) お腰につけたものは何? ←back ↑menu ↑top forward→ ピッポ - 05/11/11(金) 23 18 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : cc_007.jpg ・サイズ : 33.7KB 似たもの写真です。 4,372 hits -------------------------------------------------------------------------------- [561]Re(3) お腰につけたものは何? ←back ↑menu ↑top forward→ ピッポ - 05/11/11(金) 23 24 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : c-101.jpg ・サイズ : 29.2KB そういえばこの写真も 写真101(P166) 将校用ショルダーバッグ(?嚢) でしょうか? 4,378 hits -------------------------------------------------------------------------------- [562]Re(4) お腰につけたものは何? ←back ↑menu ↑top forward→ ピッポ - 05/11/11(金) 23 39 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : nihongun.jpg ・サイズ : 49.2KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : nihongun2.jpg ・サイズ : 36.1KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : nihongun3.jpg ・サイズ : 37.1KB 将校用ショルダーバッグ(?嚢) でしょうか? あったあ!! 自己レスです。 まさかと思って、「将校用バッグ」でGoogleってみたところ・・・ http //camp-jp.com/antique/nihongunbag.htm 日本軍将校用バッグ \7140 正式名称はなんてんのかな? 4,409 hits -------------------------------------------------------------------------------- [563]Re(2) お腰につけたものは何? ←back ↑menu ↑top forward→ 渡辺 - 05/11/11(金) 23 46 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード ▼ピッポさん: 東中野本、写真83(P145) これについて、WEB上に、 これも悪名高い写真です。そもそも、僧侶の態を為していない。阿弥陀に軍帽をかぶった日本兵、腰の箱は一体何か? お探しのは、これでしょうか? 士官用図嚢 http //www.ne.jp/asahi/ouka/kush/shikanyouzunou.htm なお、阿弥陀には帽子をかぶってないと思います。影でそう見えるのでしょう。 4,368 hits -------------------------------------------------------------------------------- [564]Re(3) お腰につけたものは何? ←back ↑menu ↑top forward→ ピッポ - 05/11/12(土) 0 10 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード ▼渡辺さん: お探しのは、これでしょうか? 士官用図嚢 http //www.ne.jp/asahi/ouka/kush/shikanyouzunou.htm なお、阿弥陀には帽子をかぶってないと思います。影でそう見えるのでしょう。 「士官用図嚢」 なるほど。肩に掛けてブラブラしないように腰に留める。ストラップが2重になっていますね。 ※ なおその阿弥陀サイトでは、渡辺さんが指摘した北村稔の誤訳をまったく逆さにして、洞冨雄さんの訳を「捏造」としていますよ(笑)。 4,388 hits -------------------------------------------------------------------------------- [565]どなたか精細な写真をお持ちでないですか ←back ↑menu ↑top forward→ ja2047 - 05/11/13(日) 11 02 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : sankou.jpg ・サイズ : 44.8KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : j_marines2.jpg ・サイズ : 51.7KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : j_marines3.jpg ・サイズ : 49.6KB ▼ピッポさん: そういえばこの写真も 写真101(P166) この写真、東中野センセは「日本軍の肩章は横長ではなく、縦長、また、この兵士の軍服は詰め襟ではない」というコメントを付けています。 このコメントどおりの内容が本当にこの写真から読みとれるか確認したいのです。 もしこのコメントどおりの内容であるとするとどういうことになるかというと、「日本式の戦闘帽を被り、詰め襟でない横長の肩章付の軍服を着た軍人」を探せば済むだけのことなんです。 P176、写真108の右上を見て下さい、写ってますね、そういう人物が。 昭和12~13年頃にそういう服を着た軍人というのは、「海軍陸戦隊」の隊員に他なりません。 上中の写真は昭和13年広東で、上右は昭和14年廈門で撮影されたものですが、東中野センセのおっしゃるような、そういう姿です。 あと、これが軍人ではなく、軍属などである可能性もあります。 従軍用の軍服にはこういう仕立てのものが存在し、たとえば、成瀬関次氏の従軍服もこのような仕立ての写真が残っています。 http //www.secrets-of-shuriken.com.au/naruse_kanji_bio.htm なお、私はこれが成瀬氏であることを疑っているわけではありませんので、この点は念を押しておきます。 4,501 hits -------------------------------------------------------------------------------- [566]Re(1) どなたか精細な写真をお持ちでないですか ←back ↑menu ↑top forward→ msq - 05/11/13(日) 21 14 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : sy114.jpg ・サイズ : 20.0KB この画像は史詠本p114の部分で、手持ちでもっともボケていないものです。これが東中野本のコピー元と思います。肩章の向きは仏山の写真ように見えます。肩の線に沿っているようです。 気分を悪くされないよう読んでいただきたいのですが。教授が肩章が「縦長」だといっているのは、画面に対して「縦」だといっているのではないでしょうか。その点だけは「ウソ」ではない。「203頁参照」とは書いているが、「203頁と同じ」とは書いていない。それほど、「でたらめ」はしないだろうとは思いますが、ないともいえない。 ついでながら、東中野本p166、写真101の写真横の説明では『ザ・レイプ・オブ・南京』(=アイリス本)のp114に、東中野本p166本文では『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』(=史詠本)にあると書いていますが実際は、史詠本のp114にあります。教授自身が混乱しています。 4,433 hits -------------------------------------------------------------------------------- [567]ちょっとどちらとも言えないですね ←back ↑menu ↑top forward→ ja2047 - 05/11/13(日) 22 10 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : sankou2.jpg ・サイズ : 20.0KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : epolette.jpg ・サイズ : 60.5KB ▼msqさん: お、写真の提供ありがとうございます。 肩章の向きは仏山の写真ように見えます。肩の線に沿っているようです。 「仏山の写真」というのがピンと来ませんでしたが、ここで言う「肩の線」とは、肩の稜線のことではなく、肩口の縫い目の線ということでしょうか。 教授が肩章が「縦長」だといっているのは、画面に対して「縦」だといっているのではないでしょうか。 http //t-t-japan.com/bbs2/c-board.cgi?cmd=one;no=16;id=imgbord#16 の【3、階級証】を見て下さい。(上右写真) 東中野本では、「軍服に日本軍の縦長の階級証が付いていない」とありますが、ここでは「縦長」は「画面に対して縦長」とは読みようがないと思います。 私は「縦長」とは、人体の直立状態での前後方向に平行な方向、という意味だと思います。 でないと、203を見ても、何の解説にもなりません。 ともあれ、写真101について、東中野教授が「これは肩の稜線に沿った階級証であって、肩の縫い目に沿っていないではないか」というのであれば、陸軍の軍服とは相違していても、陸戦隊の軍服(ただし夏服)と同じであり、 陸軍の軍人でないという推測の根拠にはなっても、日本の軍人ではないという根拠にはならないということです。 で、ご呈示の写真を見る限りでは、「この写真からは階級証(肩章)の形状や構造は特定できない」としか言えないのではないかと思います。 それほど、「でたらめ」はしないだろうとは思いますが だといいんですけどね。 4,457 hits -------------------------------------------------------------------------------- [584]勝手ながら ←back ↑menu ↑top forward→ ja2047 - 06/4/4(火) 21 38 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : elpis2.jpg ・サイズ : 206.2KB ▼ピッポさん: ちょっとアプローダ代わりに使わせていただきます。 3,212 hits -------------------------------------------------------------------------------- [585]Re(1) 勝手ながら ←back ↑menu ↑top forward→ ピッポ - 06/4/5(水) 11 00 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード ▼ja2047さん: ちょっとアプローダ代わりに使わせていただきます。 今まで見た中では一番鮮明な写真ですね。 東中野本「・・・を検証する」では、168ページの写真102。 msqさんは ご自分のサイトで http //www11.ocn.ne.jp/~nbbk/143/143_102.html (2)写真102の出典について、『写真集 南京大虐殺』(エルピス 1995年)には共同通信提供となっているが、(東中野は(ピッポ註))その点にまったく触れていない。 とおっしゃっていますが、 ja2047さん この写真の初出誌はご存知ですか? 3,182 hits -------------------------------------------------------------------------------- [586]Re(2) 勝手ながら ←back ↑menu ↑top forward→ ja2047 - 06/4/5(水) 12 51 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード ▼ピッポさん: ja2047さん この写真の初出誌はご存知ですか? 掲示したのは、『写真集 南京大虐殺』(エルピス 1995年)のスキャンです。 実は、私もそれ以前の掲載は知らないのです。 チャンの「レイプオブナンキン」はさらに後の出版ですしね。 3,196 hits -------------------------------------------------------------------------------- [587]Re(3) 勝手ながら ←back ↑menu ↑top forward→ ピッポ - 06/4/5(水) 19 53 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード ▼ja2047さん: 掲示したのは、『写真集 南京大虐殺』(エルピス 1995年)のスキャンです。 『写真集 南京大虐殺』(エルピス 1995年)のキャプション等はどうなっているんですか? 3,201 hits -------------------------------------------------------------------------------- [588]Re(1) 勝手ながら ←back ↑menu ↑top forward→ 熊猫 - 06/4/5(水) 23 03 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : kihei.jpg ・サイズ : 46.0KB 鉄甲の形状が、気になっていたのですが面白い写真を見つけました。 3,205 hits -------------------------------------------------------------------------------- [589]防暑帽かな ←back ↑menu ↑top forward→ ja2047 - 06/4/6(木) 6 04 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : hikaku3(2).jpg ・サイズ : 62.5KB ▼熊猫さん: 鉄甲の形状が、気になっていたのですが面白い写真を見つけました。 隴海戦制圧という記事内容からして1938年初夏の徐州作戦頃の写真かと思います。「小野騎兵部隊」というのは第十三師団騎兵第十七大隊(小野良三中佐)かと。 被りものは鉄兜の上に(または代わりに)防暑帽ではないでしょうか。 3,269 hits -------------------------------------------------------------------------------- [590]Re(4) 勝手ながら ←back ↑menu ↑top forward→ ja2047 - 06/4/6(木) 6 06 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード ▼ピッポさん: ▼ja2047さん: 掲示したのは、『写真集 南京大虐殺』(エルピス 1995年)のスキャンです。 『写真集 南京大虐殺』(エルピス 1995年)のキャプション等はどうなっているんですか? すんません、図書館に返しちゃいました、 お持ちの方、フォローお願いします m(_ _)m 3,233 hits -------------------------------------------------------------------------------- [591]フォロー ←back ↑menu ↑top forward→ 熊猫 - 06/4/6(木) 7 58 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード キャンプションはありません。「共同通信社提供」となっています。 3,235 hits -------------------------------------------------------------------------------- [595]Re(1) フォロー ←back ↑menu ↑top forward→ ピッポ - 06/4/7(金) 23 03 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード ▼熊猫さん: キャンプションはありません。「共同通信社提供」となっています。 熊猫さん、Ja2047さん、有難うございました。 3,254 hits -------------------------------------------------------------------------------- [596]鉄兜二題 ←back ↑menu ↑top forward→ ja2047 - 06/4/9(日) 9 10 - -------------------------------------------------------------------------------- 引用なし パスワード -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : hikaku5.jpg ・サイズ : 45.6KB -------------------------------------------------------------------------------- ~添付ファイル~ ・名前 : hikaku4.jpg ・サイズ : 65.1KB 南京事件関連で当時の写真と推定されているものについて、何かと「テツカブトの形」が問題になることがあります。 特に有名なのが、東中野「南京事件 証拠写真を検証する」の「写真84:溝に捨てた死体を見下ろす陸軍士官」なのはご存じの通りです。 http //www.geocities.jp/pipopipo555jp/143photos/s-files/s-84a.jpg この写真、小林よしのりが「このヘルメットは米軍のM1である」と断言しちゃったもので、いまだにそう信じている人が多いようなのですが、1938年10月の「チャイナ・ウィークリー・レビュー」に掲載された写真に1941年制式のM1ヘルメットが写っているはずもありません。 では日本軍のテツカブトなのか。 写真が不鮮明なので断定はできませんが、大まかな形状を比較した限りでは、九十式鉄帽と見てもよいように思います。 左の比較写真を御覧下さい。特に後部の形は九十式鉄帽と同じアウトラインを示していることがおわかりいただけると思います。(右上部分の斜めのカットは元写真の縁) また「折り襟」については、1938年の徐州攻略戦では6月の「服制中改正」に先だって98式軍衣の先行使用が行われていますので、徐州での写真という「チャイナ・ウィークリー・レビュー」の解説は正確であるものと考えられます。 ついでに、某所で東中野「南京事件 証拠写真を検証する」の「写真102:陸軍士官による斬首写真」のヘルメット形状が話題になっていますので、これが当時の制式の九十式鉄帽と判断されるかどうか検証してみたいと思います。 http //t-t-japan.com/bbs2/data/imgbord/file/elpis2.jpg この写真では帽体の形状が明瞭に写っていないので、全体のプロポーションと帽体中央部の影から帽体形状を読みとることになりますが、右の比較写真に見るとおり、プロポーションは九十式鉄帽とほぼ同じであることが判ります。 これも大まかな形状を比較した限りでは、九十式鉄帽と見てよいようです。 3,437 hits --------------------------------------------------------------------------------
https://w.atwiki.jp/norikurass/pages/11.html
乗鞍サマースクールの用語集です。 凡例 【サマースクール】 意味:8月上旬に行われる大野川小学校の子供たちとの触れ合いの場。外で遊んだり、実験や工作を楽しんだり、おいしい料理を作ったりと、様々なことを行う。 例文:明日からいよいよサマースクールが始まるぞ。 ア行 【eins zwei drei (アインツ、ツヴァイ、ドライ)】 意味:皿洗いじゃんけんや歌会など、乗鞍寮でよく用いられる掛け声。ドイツ語で「1、2、3」を表す。英語の「one、two、three」と起源は同じらしい。山小屋である乗鞍寮のOBはその多くが登山をやってきた人であり、また山用語にはドイツ語由来のものが多いためか、乗鞍用語にもしばしばドイツ語が顔を出す。 例文:皿洗いじゃんけん、eins,zwei,drei♪ 【荒川バージョン】 意味:歌会における原初形態。主な相違点は以下の2点。 1、ピクニックの歌ではヤギさんの声は「メー メー」ではなく、「メー」と一度鳴くだけでよい。 ex)ランラララ ララララ ララララ あひるさん (ガアガア) ララララ 山羊さんも (メェーー) 2、夏山の歌は何かが取り憑いたかのようにかけ声をかけるのがポイント。 ex)夏山は(オラオラオラ) 荷を背負って(オラオラオラ) さあさ登ろよ針ノ木の稜線 (中略) こっの野郎~(オラオラオラ) お花畑は3年生からだ~ *また、突如涙を流すのも良い。 例文:次、夏山の歌、荒川バージョンで。 【歩き隊】 意味:走り隊の進化系。走り隊に比べ一歩一歩確実に地面に足をつき、その動作を2時間近く継続するという要素まで加わるという、まさに大変な人たちである。更にはお弁茶を担う人までいるというから凄い。 例文:あ、歩き隊も来たよー。 【Ich will kobold um mich haben】 意味:チュザックリードのサビの部分に出てくる文言。ニーチェの「ツァラトゥストラかく語りき」(Also Sprach Zarathustra)の一節に出てくると言われる。当然ドイツ語である。Ichは「私」を表す代名詞、willは不規則動詞wollenの第一人称単数、koboldは男性名詞であり、「いたずら好きの小妖精コボルト」を意味する。umは4格支配の前置詞で「~の周りに」を意味し、michは「私に」を意味する。habenは「持つ」を表す動詞であり、この場合willが助動詞的に使われているため原形で用いられている。文全体としては、「私は私の周りにいたずら好きの妖精がいてほしい」ということを意味する。文意をとれば、私は自分の側に困難が降りかかることを恐れはしない、いや困難さえ恐れぬ強い私は寧ろ喜んで困難を甘受しよう、ということになろう。 例文:Aber , ich will kobold um mich nicht haben.(でも、やっぱり僕は困難なんてない方がいいな。) 【ういろう】 意味:未来の首都、名古屋名物の和菓子。Yさんがサマーにいらっしゃる時はいつも持ってきて下さる。最近はエビせんべいなどのバリエーションもある。ちなみに漢字では「外郎」と書く。これを韓国語読みすると「ウェロ」になると思われるが、何か関係があるのだろうか。 例文:♪味噌煮込み えびフライ あわゆきういろう ユニモール サカエチカ 女子大小路 【ウッシ】 意味:山賊の歌の最後のフレーズ。みんなで歌う掛け声の部分は、とりわけ強調して大きな声で歌うのがポイント。おしまいの前にリフレインがかかることもある。 例文:波が(波が) 立てば(立てば) 舟は(舟は) 沈む(沈む) ウッシ(ウッシ) ウッシシシ(ウッシシシ) 沈んだ(沈んだ) ものは(ものは) ウッシ(ウッシ) ウッシシシ(ウッシシシ) おいらの(おいらの) ものさ(ものさ) (おしまい) 【歌会】 意味:夏。乗鞍寮周辺では、夜も更けてくるとどこからともなく歌声が聞こえてくるという。その声は明らかに一人のものではないため、いつからか「何かが集まって歌っているのだ」と言われるようになり、これが歌会と称されるようになった。 例文:もう10時か。そろそろ歌会が始まるぞ。 【大野川小中学校】 意味:松本市立大野川小中学校。その名の通り小学校と中学校が同居している。8月上旬に行われるサマースクール本番の舞台であり、触れ合う対象もここの小学校の子どもたち。何かしら特別な補助金が出たのであろうか、校舎の設備はとかく綺麗で立派という他ない。2005年3月までは「安曇村立大野川小中学校」であった。余談だが、「へき地2級」という称号をもつ。さすがは山だ。 例文:大野川小中学校の子どもの中には、1日数本のバスを使って通学する子もいます。 【エッセン番】 意味:人が生きてゆくにあたって第一に必要なものは何であろうか。これを考えると命が尽きるまで時間がかかってしまいそうであるが、ともかくもここでは「食事である」、としておきたい。乗鞍寮において、この食事を司っているのがエッセン番、いやエッセン番様である。夏の間、我々が生きてゆけるのはこのエッセン番様のお陰といっても過言ではない。そう、彼女らはもはや女神様とも言うべき対象であり当然のことながら神聖不可侵の存在である。当然のことながらエッセンさんに下ネタを言ってはいけない。また彼女らの部屋である「エッセン箱」への侵入も御法度。男子(特にR元校長)の立ち入りは厳禁である。どうしても入りたいなら、女装するかそれとも夏が過ぎるのを待つしかない。傍論ながら、免許取得率が一番高いのは寮委員でもサマーでもなく、実は彼女たちである。 例文:エッセン番様は、普段は女子栄養大学の学生をなさっておられます。(→が、今年度はカリキュラム改訂の都合があるそうです。涙) 【岡谷ジャンクション】 意味:中央道から長野道が分かれるジャンクション。長野道の起点にして、サマースクールのメンバーが乗鞍の行き帰りに必ず通る場所である。ここでは様々な伝説が繰り返されてきた。 例文:岡谷ジャンクション直前で追越車線に陣取って先輩と差し違えようぜ! 【お弁茶】 意味;サマースクールの朝、歩き隊の朝食を管理する責任者。通常は最下級生がやる。必ずしも自分で運ぶ必要はなく、管理だけすればよい。 例文:明日お弁茶やってくれる人? カ行 【カレー】 意味:甘くておいしい食べ物。 例文:わ~い、今日のお昼ご飯は料理講座からの差し入れのカレーだ(^o^) 【グリーンだよ】 意味:緑であること。お酒のCMの言葉。 H谷氏が講座中に叫んだ。その後、野外講座のメンバーを中心に 酔った時、衝動的に何かを発したくなったときに叫ばれることとなる。 用例:A 「グリーンだよ!」 B 「グリーンだよ!!」 【痙攣】 意味:あれはいつのことだったろうか。反省会か、説明会か、あまり定かではない。二日目の夜、皆いつも通りお酒を飲んで盛り上がった。お酒を飲みながら歌を歌ったり、ゲームをやったり、山小屋の飲み会は色々である。皆楽しそうにしていて、自分も校長をやっててよかったな、なぁんて思っていた。これで今回の合宿も無事に終わる、楽しい記憶として残るであろう。そう思っていた。しかし、そんな安堵感は、翌朝に脆くも崩れ去ることとなってしまった。翌朝目覚めると、左でO川君がなんか小刻みに震えているではないですか。そして、「S水さん、やばいんですけど。震えが止まらないんですけど。もう死ぬ」と言った。・・・その後は救急に電話したりして、結局車でO川を病院まで送り、あれよあれよと時間が過ぎていった。その結果、お医者さんの診断は、「疲れているのでしょう」だけ。そんなことがありましたな。それ以来、めんどくさい人のことを痙攣と呼ぶことになったとかならないとか。・・・けど、体がヘンなときはすぐに校長か誰かに言いましょうね。健康第一ですから。 例文:O川のやつ、まぢ痙攣なんだけどー。 【下界】 意味:乗鞍寮、または乗鞍一帯から指した麓(松本側)を指す。しかし諸OB方からすれば乗鞍寮でさえ下界のものらしい。 例文:乗鞍にいすぎて下界に馴染むことができません。 【校長】 意味:乗鞍サマースクールでは、サークルの代表責任者を「校長」と呼ぶ。校長をやるとシモくなると言われる。 例文:さすが校長先生、今年も大人気ですね。 サ行 【サマースクール】 意味:8月上旬に行われる大野川小学校の子供たちとの触れ合いの場。外で遊んだり、実験や工作を楽しんだり、おいしい料理を作ったりと、様々なことを行う。 例文:明日からいよいよサマースクールが始まるぞ。 【皿洗い】 意味:食器類についた汚れを水や洗剤などを用いて落とす行為。乗鞍寮では食事の後、じゃんけんで最後まで残った者に与えられるという、まさに栄誉ある特典である。この栄典をめぐる闘いに参加する権利は、エッセンさんを除き全員に例外なく与えられる。 例文:よっしゃぁぁ!これで3回連続皿洗いだぁぁ!!orz 【スポーティア乗鞍】 意味:合宿やサマースクール本番における宿泊場所。別称乗鞍寮、VSA、銀鞍荘、東大ヒュッテなどとも呼ばれる山小屋。東京大学運動会が所有し、夏の間のみ運動会運動部員(寮委員)の手で運営される。そもそもサマースクールは寮委員の発案により始められたたものである。 例文:スポーティア乗鞍には、時折ストッキングをかぶって与作をする男が現れます。 【線香花火】 意味:黒色火薬に発色剤を詰めて玉としたもの。1本ずつ火をつけると、花のような美しい閃光を発散する。10本以上まとめて一気に火をつけると、それはそれは非常に華やかな炎があがり、胸を熱くさせるといわれる。後者のような凶悪な犯罪を思いつく人など滅多にあるものではなく、こういった事態が本当に起こりうるのかはきわめて疑わしい。 例文:O川君の線香花火を見てないなんて、何のために今年のサマーに参加したの? 【全体講座】 意味: 例文: 【総長賞】 意味:東京大学において最も権威があるとされる賞。毎年、特に優れた業績をあげた個人や団体が表彰されている。東京大学乗鞍サマースクールは、平成19年度総長特別賞を受賞した。「大学生が小中学生に様々な知識・思想を伝えながら交流するという精神を受け継ぎながら、双方に大きな効果を及ぼしている」、というのがその理由らしい。ただし、正確には50年の歴史ではなく、「2007年度サマースクール」そのものが評価されたようである。 例文:今度の総長賞受賞記念パーティーに参加する人は連絡を下さい。 タ行 【タクシー】 意味:飲み会の後に乗る乗り物。電車で帰れない時もしくは電車で帰りたくない時に利用する。 例文:吉祥寺から帰宅するには、やっぱりタクシーだよね。 【タム】 意味:大野川小中学校で飼われているちょっと(?)臆病な白い犬。大人が近づくとほえる。学校最大のアイドルにして、テレビへの登場経験もある。 例文:みんなが上からなでなでするからタムは臆病になっちゃったんだよー。(子ども談) 【チュザックリード】 意味:歌会において、手始めに連続して歌われる3曲。「アルトハイデルベルグの歌」「彷徨の歌」「スキーの寵児」を指す。「チュザック」とはTUSAC、即ち東京大学運動会スキー山岳部のこと。 例文:ではチュザックリードいきまーす、eins zwei drei♪ 【天才】 意味:一般人の予想を遥かに超える行動をとる男。「天災」と表記されることもある。毎年数々のサプライズを起こしてきたことから、「サプライザー」としての地位を確立するに至る。 例文:今年は天才が何をやってくれるのか、心配でもあり、実はちょっと楽しみである。 【東大生は必要ありません】 意味:サマーの構成員が東大・東女・聖心を主とすることはいうまでもないが、例外的状況において東大生の参加を拒絶する際に用いられる言葉。 例文: A 「今日の新宿での飲み会、僕も参加した方がいいですかねぇ。」 B 「うーん、私も最近欲求が溜っててねぇ。今日は私が楽しみたいので東大生は必要ありません。」 (注)↑この会話はあくまでもイメージです。 【ドクター】 意味:医師でもなければ、博士課程でもない。 例文: A 「いよいよ、今月末は参議院選挙だね。」 B 「東京選挙区は大激戦って報道されているけど、ドクターは今度こそ当選するかなあ」 A 「う~ん、選挙は最後の最後まで分からないからねぇ。」 B:「何はともあれ、国民としての義務を果たすべく投票には行きましょう!」 【とく兵衛】 意味:新島々にあるお蕎麦屋さん。帰京する際の昼食場所として用いられる。あまりおいしくないという噂も。波田総合病院からも近く、たとえ痙攣を起こした後でも歩いて行くことができる。 例文:じゃぁお昼はとく兵衛で。 【トトロ】 意味:宮崎アニメの人気キャラクター。乗鞍に生息しているとの説もあるが、天才にしか見えない。 例文:暗闇の向こうにトトロが見える~。 ナ行 【日本兵】 意味:乗鞍のメンバーの一人で、子供たちから親しみを込めて「日本兵」と呼ばれる。別に軍事教育をサマースクールの場に持ち込もうとしているわけではないと思うが、風貌は1940年代の戦地にいても違和感はない。天皇への忠誠心と玉砕覚悟の特攻は、鬼畜米英の大きな脅威となった。ちなみに将来の夢は戦死であると言われる。 例文:戦後60年たった今も、旧日本兵がアジア各地に残した傷跡は決して癒えることはない。 【日曜日のエンターテイナー】 意味:サマー本番の休日に現れる名物OB。乗鞍ではリアクション芸人として著名だが、下界では名古屋市水道局に勤務している。彼に反抗的な態度を取ると、お家の水道が止められたり、水道メーターが勝手に操作されていたり、と恐ろしい程の権力を持つ。夜遅くまで増築の2階で騒いでいると、翌朝「全員集合、昨日騒いでたの誰?」といった具合に怒られるので注意しよう。水道管に対する思い入れは人一倍強く、水道管撤去の際にはプロフェッショナル意識を余す所なく発揮してくれる。また、反省会の時に自作のレジュメを配るなど熱い心の持ち主である。花嫁募集中。 例文:なんだかんだ言って、日曜日のエンターテイナーさんがいないとサマーの中日は味気ないものとなってしまう。 ハ行 【ハイデルベルク】 意味:歌集の冒頭のアルトハイデルベルクの歌に出てくるドイツの地名。ドイツ語ではHeidelbergと表記する。ドイツの南西部Baden-Wurttemberg州(バーデン=ヴェルテンベルク州)に位置する。ここにはドイツ最古の大学ハイデルベルク大学があった。同じく歌に出てくる「ネッカー川」はこの大学の近くを流れていた。中世以来広い意味でドイツには文化的まとまりがあり、ドイツの大学制度では、学生は時期によって色々な大学に行って良いとされていた。(日本でいうと、春は東大、夏は北大、冬は九州大に通うことも許されるようなもの。)そのため、ドイツの大学では連邦各国から学生が集まっており、「遠き国よりはるばると」というのはこのことを示すと思われる。 例文: A 「ハイデルベルク大学って、歌会の最初の歌に出てくる大学だよね。」 B 「多分、そうだったと思う。」 A 「マックス=ウェーバーは若い頃この大学で学んだらしいよ。20世紀に入ってからはヤスパースもここを拠点に活躍したし。アーレントやハーバマスもこの大学に在籍していたみたいだね。」 B 「O川君、そんな哲学の話ばっかりしてちゃ、またドクターに怒られるよ。」 【走り隊】 意味:歩き隊の進化系。毎朝寮から学校まで走っていく稀有な人々の総称。1時間はやくでているため、車隊より早くつくこともある。というか車隊が出発する頃には既に学校に着いていたり。お弁茶を免除されるため、1年生がやるとお得という話もあったりなかったり。 例文:明日走り隊の人は? 【波田総合病院】 意味:長野県東筑摩郡波田町にある総合病院。総合病院としては乗鞍寮最寄りの施設であり、寮からの道のりは約0.0000000000038光年、同じ東大の施設である東大付属病院と比べても遙かに近く、寮最寄りのコンビニとも大差ないというから、その至便さがわかろうものだ。なおこの病院の診察券は天才の証でもある。この病院のブドウ糖の点滴は絶品である。 例文:ヒュッテ口を下界に向かい、右折して右折すればすぐ右手に波田総合病院が見つかります。いやはや、便利だ。 【ぴーや】 意味:小島よしおのギャグ。小学1年生のあの子が使う姿を見てチューターの間で大ヒットした。場を読まずにいつでも使うことができるオールラウンダー。ちなみに、『Yahoo!知恵袋』では「小島よしおは最近『ぴーやぴーや』と言ってますが流行ってますか?」という質問に対し、「あんまり流行ってないと思いますね。」がベストアンサーに選ばれている。 例文: 【ヒュッテブック】 意味:乗鞍寮に昔からある雑記帳のようなもの。暇な時に読んでいると、古いOB方々の微笑ましい記録が残っていて面白い。ちなみに若かりし頃の谷垣前財務大臣の似顔絵や書き込みもある。ドイツ語ではHutte Buchと表記し、正確には「ヒュッテブーフ」と発音する。 例文:ヒュッテブックの書き込みを見るに、寮委員には少林寺拳法部員の他に小林寺拳法部員の存在も確認される。 【VSA】 意味:Villa Sellae Argentiの略称。ラテン語である。Villaは「別荘、田舎屋敷」を意味する第1変化名詞の主格。Sellaeは「座席、腰掛け」を意味する第1変化名詞Sellaの属格。Argentiは「銀」を意味する第2変化名詞argentumの属格。まとめると、銀の鞍の別荘、つまり「銀鞍荘」を意味する。 例文:VSAの会は乗鞍寮に少しでも関係のある人であれば(お客さんでも)誰でも入会することができる。 【非通知】 意味:自らの電話番号を相手に知らせないまま、発信する電話のこと。相手に対しての不信感が強い時にとられる手段。 例文:またあの人から夜中に非通知で電話がかかってきたよ~orz マ行 ヤ行 【野外講座】 意味: 例文: 【山】 意味:平地よりも高く隆起した部分の総称。人の額(ひたい)にこっそり書かれていることもあるので気をつけたい。 例文:「山」の借りは絶対に忘れません。by Y 【夜泣峠】 意味:寮への林道、一ノ瀬への遊歩道が県道(バス通り)へと出てくる地点の地名。「峠」とあるがあまり峠のような形態をしてるようには見えない。どうやら昔はヒュッテ口のことを「夜泣峠」と言っていたらしい。 例文:驚くべきことに、寮の下見に参加した我々四人は、夜泣峠において文字通り下を見たのだ。 ラ行 【理科工作講座】 意味: 例文: 【料理講座】 意味: 例文: ワ行 【Yスポット】 意味:寮付近は、au以外の電波事情があまりよろしくなく、圏外になることもしばしばである。その寮にあっても建物南東角付近のベランダの上は、比較的docomoの電波が入りやすいといわれる。これを発見したY氏の功績を讃え、そのスポットが「Yスポット」と呼ばれるようになったのである。 例文:寮内の聖地Yスポットには、今日も巡礼者の人だかりができている。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7163.html
前ページ次ページLouise and Little Familiar’s Order 「済みません。馬車なんて手配してもらって……」 「別に気にすることじゃないわ。本当は竜籠の方が良いけどお金がかかるし……」 時刻は午前六時を少し過ぎた頃、朝靄のかかるトリステイン魔法学院の正面門には一台の御者付き二頭立て馬車、そして四つの人影があった。ルイズとミーとシエスタ、そしてヒメグマである。 今日はミーがシエスタの帰省に同行する約束の日であった。 見送るルイズはいつもの制服姿で、シエスタはいつものメイド服とは違う簡素な色合いの服を、そしてミーは以前虚無の曜日に買ってもらったという優雅な他所行きの服をしている。 しかし服の意匠なども手伝ってか、見ようによってはミーが実家に帰る人間で、シエスタが御付きの者という風に見られなくも無かった。 御者と駿馬付きの馬車に関しては、二人がなるたけ早く帰って来れるようルイズが手配したものである。 本当はシエスタでも御者を務める事は出来るのだが、彼女の帰省に自分の使い魔も付けるのだからと、ルイズが見栄を張った結果だった。別に親切心からきた物ではない。 それに……国内事情の深刻さを知っているルイズにとっては、二人が出かけている数日間で何がしかの不測の事態が起きた時に、直ぐ自分の所に戻って来れるよう考えて取った最善の処置だった。 「それでは……行ってまいります。」 「ふぁ……いちいち断るようなもんじゃないわ。それに今行かないと野宿することになるわよ。」 深々とお辞儀をするシエスタに対し、ルイズは欠伸混じりの眠そうな返事をする。普段は今のような時間にはまだ目覚めていないからだ。 だが数日前、図書館にある地図で確認したがここからタルブの村までは、馬車に乗って行っても三日はかかる距離がある。 それから陽は未だ山の稜線から完全に出きっていなかったが、行程は弾丸旅行その物なのでそれでも急ぐ必要はあったのだ。 そしてシエスタは、眠りこけているヒメグマを抱え、先に馬車に乗る前に、もう一度ルイズに声をかけた。 「あのう、いいんですか?」 「何が?」 「ミーちゃんと十日だけでも会えなくなるんですよ。その……何も、言わないんですか?」 何も何年間も会えなくなるというわけではあるまいに。それに別れ際の挨拶をどうするかなど人の勝手じゃないか。 ミーに関して色々と恩義があるとはいえ、メイドにそんな事を指摘されるとは思ってもみなかったルイズの表情は、忽ちにして曇っていく。 しかしミーは、何かを言ってほしい様な表情をルイズに向けたまま。 仕方なくルイズはミーに対してやっと聞こえるくらいの小さな声で、しかしぶっきらぼうに「いってらっしゃい」と言った。 すると、ミーも同じくらいの大きさの声で「いってきます」とだけ答える。 傍から見れば物凄くぎこちない挨拶だったが、その様子に少しは満足したらしく、シエスタはミーの手を取って馬車に乗る手助けをする。 それから直ぐに馬車は走り始め、一分としない内に見えなくなっていった。 十日間、十日間だけ二ヶ月くらい前の状態になる。ルイズはそう思いながら寮に戻るために元来た道を引き返し始めた。 Louise and Little Familiar s Orders「Secreted factories in Tarbe」 白の国とも称されるアルビオンには幾つか軍工廠が立ち並ぶ町が存在している。ここロサイスもその一つであった。 首都ロンディニウムの郊外に位置するその町は、特にアルビオン空軍にとっては重要な町である。 今、正に町はこれまでに無いほど活気付いている。路地には各地から木材という木材が運び込まれ、製鉄所を象徴する巨大な煙突群からは大量の煙が出ている。 だがそれもこれも、空軍の発令所の近くに並んでいるある物に比べればなんてこと無い物に過ぎない。 そこにあったのは全長320メイル、全幅50メイルはある巨大戦艦であった。 見る者に否応無く威圧感を与えるそれは、嘗て王党派の旗艦『ロイヤル・ソヴリン』として華々しい活躍をしていた。 だが今は『レキシントン』と名が改まり、操る者達も王党派から『レコン・キスタ』に変わっている。 盤木に乗せられ改修工事が急ピッチで行われているその『レキシントン』のすぐ側で、四人の男達が視察を行っていた。 「これはまた素晴らしい艦じゃないか!このような艦があれば世界を手中にすることも出来そうだ!そうは思わんかね?艤装主任?」 「我が身には有り余る光栄ですな。」 少々興奮気味に話す男の名はオリヴァー・クロムウェル。 緑で統一された衣服を纏った、腰の低い聖職者のような出で立ちの彼はレコン・キスタの総司令官でもあり、一応現アルビオンこと神聖アルビオン共和国の皇帝に当たる人物である。 そしてそのクロムウェルの問いに素っ気無く答えたのは、艤装主任のサー・ヘンリ・ボーウッド。 彼は元々、内心の心情としては王党派、しかも武人として政治には関わらないという姿勢を持っていたのだが、上官が王家に反旗を翻したため、已む無く王家の簒奪者である『レコン・キスタ』につくという形となったからだった。 そしてすぐ隣には年にして20代後半くらいという、羽帽子を被った口髭の凛々しい精悍な顔立ちの若い男が立っている。 その男の名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。祖国であるトリステインと婚約者のルイズを裏切り、名誉ある魔法衛士隊の地位まで捨ててまで『レコン・キスタ』側についた人物であった。 クロムウェルの話を聞きながら資料に一通り目を通したワルドは、艤装主任のボーウッドに内心浮かんできたある疑問を投げかける。 「ですが『レキシントン』の元の大きさは全長200メイル。これだけ大きく改修すればここから浮上させるだけでも大量の風石が必要になると思われるが、それを調達出来る当てはあるのですか?」 「なに、ワルド君。それには及ばんよ。技術主任によれば……」 その言葉の後を引き取ったのは残った一人の男だった。 「両翼に二発ずつ取り付けられた回転する羽が、水蒸気機関による動力によって高回転域に達した時に出港したなら、必要とされる風石の量は、150メイル級戦艦一隻がトリステインまで往復するのに必要な量と等しい程度で済みます。 加えて巡航速度は一般的な戦艦の倍近くあるので、目的地へも可及的速やかに向かう事が出来ます。」 「おお、そうだったな。技術主任どの!」 ワルドは技術主任に当たる男を見つめる。 自分より10サントほど背が低く髪の色素も薄い。おまけにハルケギニアのどこにも見られない妙な服を纏っている。 だが、狡猾さも伺えそうな整った目鼻立ち、引き締まった体躯は簡単に自分とほとんど変わらない年齢を想起させた。 訝しげに技術主任を見つめるワルドを余所に、クロムウェルは尚も上機嫌に話し出す。 「彼は東方の『ロバ・アル・カリイエ』からやって来たのだ。そこで得られた知識……我々にとっては未知の知識も同然だが、それを元にこの『レキシントン』の改修に着手なされたのだ。 それだけじゃない!20リーグ先まで射程に収めることの出来る50サント型カノン砲に、焼き討ち船の数を従来の半分ですませることの出来る、画期的且つ強力な焼夷弾も開発し設計の主任もなされた! 勿論それらは『レキシントン』に搭載される予定だ。更に、そうした艦を今後六ヶ月の間にあと四隻建造することをもう議会は決定したし余も承認した。 それだけすればこのハルケギニアで我等に逆らおうなどと言う不埒な輩は存在しなくなるだろう。 残った国家を余す箇所無く統一し、にっくきエルフ共を成敗した後、聖地を奪還した暁には私は君をハルケギニア大王に推挙するだろう!」 「いや、そこまでお褒め頂くほどの事ではありませんよ、閣下。それに先程閣下が仰られた技術は私の使っていた様々な道具の祖先的な物から片鱗とも言える部分を再現しただけです。 何分この世界……いや、この国には技術も人も少な過ぎますので。」 技術主任は謙遜した感じで恭しく頭を垂れる。 終始黙って話しの内容を聞いていたボーウッドは、ちらとすぐ近くの様子を見つめた。 確かに四つ横に等間隔で並んでいる盤木の内、一つには既に『レキシントン』と同じくらいの大きさを持つ戦艦のキールが全体の半分近くまで組みあがっている。 そしてもう一度『レキシントン』を見返した時には、彼の心の中である感情が湧き上がっていた。 小回りの効く強襲用前衛としっかり構える支援用後衛の運用バランスは均等でなければならない。となれば当然ながら、戦艦はこれ以外の小規模な物も作っていかなければならなくなる。 その条件を満たすために、今後どれだけ必要な物が出てくるのであろうか?金、木材、人員……消費される物を考え出せばきりが無い。 そしてそれらの何れか一つが欠けるような事が起きれば戦争の継続なぞ不可能なのだ。 そして、そうしたかかる負担が貴族も平民もなしに、アルビオン国民全員にかかる事になるのだ。首脳陣はそれを全て承知の上で、今後一切の計画表を作っているというのだろうか? それに戦争に限らず、物事には常に不測の事態というものが付き纏う。今でこそ居丈高な態度をとっているが、今後その計画表と符合しない事実が出て来た時にどう振舞うつもりなのか? ボーウッドは悟られないよう、改めてクロムウェルを軽蔑の眼差しで見つめる。 するとワルドが、そんなボーウッドの心境を推し量ったかのような言葉をクロムウェルにかけた。 「しかし、共和制を布いている我が国への賛同意見は未だ一国からもありません。何がしかの策が無ければ統一は順風満帆とはいかないのではありませんか?」 「それに関しても当座の間は案ずることは無い。 ゲルマニアは我々が持っている技術を最大の餌にしてやれば、トリステイン王家との一件込みで懐柔できる望みはあるだろう。 ガリアには現政権に不満を持つ者が多い。そこで我々に賛同する者達を極秘に、しかし大量に送り込み、時が来れば合図と同時に内部から反乱を起こし、切り崩していけば可能性はある。 それからロマリアは宗教国家だ。聖地奪還を掲げている我々を足蹴にするつもりはないだろう。上手くすれば聖堂騎士隊を貸与してもらえるかもしれん。 さて、我が国から最も近い位置にいるトリステインに関してだが、あれは最早死に体だ。子爵が見つけてくれた件の手紙以外にも、大義名分を翳せば幾らでもつけ入る隙はある。 余は当初ガリアと同じ手段を行使しようとしていたが、技術主任殿がここにいる事から方針を変えた。 この方法なら他国に対しての脅しにもなる、『レキシントン』を始めとする諸戦力の効果的なデモンストレーションにもなる、しっかりとした橋頭堡を築くことも出来ると良い事尽くめだ。 尤も、それを計画・立案したのも技術主任殿だがね。えー、あの戦法名はなんと言ったかな?」 ワルドは若干の驚きをもって技術主任と呼ばれた男を見る。マントを羽織っていない事からメイジでもない、軍工廠にいる一介の技術者が、国政の一端にまで口出し出来るとは一体どういうことなのだ? そんな視線を気にすることも無く、その技術主任は澄ました様に答えた。 「電撃戦ですよ、閣下。」 学院を出発してから三日後のイングの曜日の夕暮れ時。シエスタとミーを乗せた馬車はタルブの村の領地内に入った。近くには領主でもあるアストン伯の邸宅も見える。 昼食時以来、特に何もする事が無く長いこと馬車に揺られていたためか、ミーはシエスタの膝元に頭を預け軽い寝息をたてている。 シエスタはそれを退ける事も無く、ただ微笑ましげに見つめている。こういう事は昔から実家でも幼い弟妹達相手に何回とやってきたからだ。 そんな昔の思いに浸りながらシエスタはミーの主人、ルイズの事をふっと思い出す。 彼女にとっては、何故彼女があそこまでミーに対して酷な扱いが出来るのか、不思議でならなかった。 彼女の家の素性をシエスタはよく知らない。まあ、シエスタとは反対に‘下に誰もいなかった’というのなら、子供のあやし方もよく分からないという理由付けくらいは誰にだって出来る。 だがシエスタはそれ以外に、人には向き不向きがあるのではないかと考えるようになった。 ルイズと深く関わるようになったのはここ数週間程の事。だが、あの素直になれない面、結構短気な面を持ち合わせていた上で子供をあやすのは難しい。 それならば、どうあっても周りがフォローなりサポートなりしてやらねば、上手くいく物も上手くいくまい。本人がそれを拒まなければ尚良いのだが。 そんな事をぼんやり思っている内に馬車は止まり、年若い御者から「着きましたよ。」という元気そうな言葉が出る。 見ると村の中央広場に少し入った辺りで自分達は止まっていた。囲むようにして建っている家々の戸口や窓からは村人達が、一体どこのお偉いさんが来たのだろうというような顔をこちらに向けている。 シエスタはミーを揺り動かして起こし、一言礼を告げてから馬車を降りる。するとシエスタの家族を中心に、村人達がわあっと出て来た。 「あれまあ、どこの貴族様かと思ったらシエスタだったのかい!随分とまあ立派な馬車に乗って一体全体どうしたんだい?」 最初にシエスタの母が吃驚仰天といった感じでシエスタに駆け寄る。少し戸惑ったような調子でシエスタは事のあらましを説明した。 すると母親は「今時豪放な性格の貴族様がいたものだ」としきりに感心していた。 その内、村人達の興味の対象はミーとヒメグマに移る。 ミーは知らない人達に囲まれておどおどとした感じであったが、誰も自分に対し敵意を向けてないという事が分かると、訥々と質問に答えるようになった。 ヒメグマはというと、可愛い物好きなちびっ子達に余程気に入られたのか、よってたかってもみくちゃにされている。 一頻り再会の喜びに浸った後、シエスタの父が本題とばかりに話しかけてきた。 「ところでシエスタ、この子なのかい?手紙で話していた‘ポケモンの事を知っている人’とは?」 「ええ、そうなの。この馬車を貸してくれた貴族の方の使い魔でもあるの。 ねえ父さん、曾御祖母さんの形見と私達の家族が守ってきた工房をこの子に見せてあげたいの!何か分かる事があるかもしれない!」 「ほお、そうか!だが、まずは長旅の疲れを癒した方が良い。今頃着くだろうと見当をつけていたから、風呂も食事もちゃんと用意してあるぞ。さ、こちらに来なさい。」 空に浮かぶ双月が、煌々とした光を部屋の中に送り届ける。その部屋にいるミーにとって今日はこの世界に来て以来初めての暖かで長閑な一日となった。 風呂場ではシエスタと一緒に背中の流し合いをしたし、家族の人達といろいろな事を話しながら晩御飯も楽しんだ。 シエスタの家族は、みな一様にミーの事を快く受け入れてくれた。まるで本当に家族が一人増えたかのような……そんな感じだ。 ずっとここにいればいいのにとも言われもしたので、ミーは幼子なりにそうしたいと言いかけた。 だが、そんな事をすれば主人のルイズが必ず連れ戻しにやって来るだろう。この場所のことは話してあるので分からないという事は無いだろうし。 そもそも何故ルイズが自分を独占しようとするのか。 しょっちゅう怒鳴ったり、鞭で叩いたりして自分から嫌われるような事をやっているにも拘らず、手元から離れようとすると強引にしてでも自分の元へ引き戻そうとする。 キュルケやギーシュといった学院の生徒なら、その理由の想像は容易につくだろう。 しかし、今は周りにそんな人はいない上に、この世界の構造や仕組みどころか、人生経験があまりにも無さ過ぎる5歳のミーにとってその理由は全く分からなかった。 やがて夜も遅い事に気付いたミーは寝巻きに着替えて眠ろうとする(ヒメグマはすでに寝ていた)。だがその時、『コン、コン!』と扉を軽く叩く音が聞こえた。 誰だろうと思いながら扉を開けると、戸口にはシエスタとその父親が立っていた。二人ともまだ昼間の格好のままである。 「どうしたの、お姉ちゃんとおじさん?」 「ミーちゃん。ちょっと見せたい物があるんだけど来てくれるかな?」 シエスタに頼まれたミーは「うん」と小さく頷く。それから直ぐに、三人は廊下の突き当たりのところまで歩き出す。 そこに着くと、シエスタの父が暖炉で使う火掻き棒を廊下の隅から持って来て、それの尖った方を床のある部分に向けて引っかけた。 そしてそれをゆっくり上の方に持ち上げる。するとそこに、地下に向かう石造りの隠し階段が姿を現した。 それからシエスタが、持ち上げられた床板を完全に外し、自分の隣にあった壁に立てかける。 その事を確認したシエスタの父は、ゆっくりと目の前にある階段を降り始める。シエスタとミーもそれに続いた。 光が先まで届かない事もあって階段は長いように思われたが、意外にも地下一階と二階の間ぐらいのところで一枚の扉を前に終わっていた。 そこに着いた時、シエスタの父が簡素なランプの明かりを頼りに、ポケットから小さくいやに錆びついた一つの鍵を取り出した。 それを扉についている鍵穴に入れ捻る。すると、長いこと油を差していない事が分かるような甲高い音をたてつつ、ゆっくりと扉が開いた。 当然の事ながら中は真っ暗で何も見えない。そこでシエスタの父が扉のついている壁にある松明にランプの明かりを移した。 どうやら松明は等間隔で幾つも壁にあるらしく、シエスタが残ったそれに明かりを灯していく。するとそこには、地上に建っている家の総面積より広く感じるほどの部屋があった。 部屋の中には、様々な色の木の実や難しい言葉で書かれた書類、珍しい科学実験の道具に錆び付いた工具など非常に沢山の雑多な物がある。 しかし、それらはきちんと分類分けされているので、不思議と散らかっているといったような印象はなかった。 始めミーはその様子にキョトンとしていたが、一つの台に乗っている籠に入った木の実に駆け寄ると驚いたような声を出した。 「ぼんぐりだ!!」 ミーは眠くなっていたのも忘れて木の実を眺めた。その様子を見ていたシエスタと父親は、わが意を得たりというような顔をしてお互いに顔を見合わせる。 それからシエスタがミーの元に駆け寄り、静かな声で訊ねた。 「ミーちゃん、この木の実は何なの?」 「これはね、ぼんぐりっていうの!これでモンスターボールを作れるんだ!」 「もんすたあぼうる?」 シエスタにとっては生まれて初めて聞く単語である。だがミーはきらきらとした目でそれを見つめている。 他の村人達からは一緒くたに‘がらくた’と呼ばれ続けていたが、それでもこれらの品々は一家が長きに渡ってきちんと管理しながら守り続けてきた物である。 今やっと、隠されていたベールが剥がされる時が来たのだった。 前ページ次ページLouise and Little Familiar’s Order
https://w.atwiki.jp/moedra/pages/289.html
「おお、こいつはまたでかい獲物だな!それにここらじゃ滅多に採れない薬草までこんなに!」 「全部で幾らだい?」 「これなら金貨10枚は払うよ。それで譲ってもらえるならワシとしては安い買い物だ」 目の前に並べられた大きな2頭の猪と化膿止めや痛み止めに効果のある薬草の束。 それらを目にして、町の通りに露店を開いていた老齢の店主が喝采の声を上げる。 「よし、それで売ろう」 その提案に快く交渉成立の声を上げると、俺は彼から金貨の入った麻袋を受け取った。 空を見上げれば茜色に染まった山々の稜線が、町の周囲をグルリと取り囲んでいる。 もう日が落ちる・・・町の外で待たせている彼女も、そろそろ痺れを切らしてくる頃だろう。 「ありがとうよ、若いの!」 帰りがけに背後からかけられたご機嫌な店主の声に片手を上げて応えると、俺は家への帰路につく人々の群れに混じってそっと山道へと続く町の門を潜った。 薄暗い森の中を1歩1歩進む度に、騒がしい人々の生活の気配が彼方へと遠のいていく。 そしてやがて人目につかない森の中程まで辿り着くと、俺は声を潜めてそっとある名前を呼んでいた。 「エルダ、出てこいよ」 「きゅくぅ!」 その声に呼ばれて木の陰から姿を現したのは、美しい赤鱗を身に纏った小さな雌ドラゴンの子供。 嬉しそうに駆け寄ってくる彼女の姿を見て、俺は束の間の緊張をフッと緩めていた。 もう2年以上も前、俺はこれでも町や村を回りながら人間に仇成すドラゴンを殺すドラゴンスレイヤーだった。 だがドラゴンを殺す職業に就いているはずの俺が、ある時ふとしたきっかけで巨大な雌の火竜と心を通わせ合い、短い間だったが彼女とともに洞窟の中で暮らしたことがある。 俺がエルダと名づけた彼女は、崖から落ちて怪我をした俺にこの上もなく優しく接してくれた。 そんな彼女のあの柔らかな腹の感触や竜族だとはとても思えない穏やかな笑顔は、長い時間がたった今でも忘れることができないでいる。 だが残酷な運命の悪戯か、近隣の村から生贄を取っていた彼女を、俺はやむなくこの手にかけてしまったのだ。 あれ以来、俺はもう剣を握ることもなく竜殺しの仕事からは完全に足を洗っている。 俺と彼女の間にできたこの仔竜に母親と同じ名をつけて無事に育てること・・・それが彼女の遺言だったからだ。 幸い、ドラゴンスレイヤーとして身につけた狩りの技術や採集の知識は、人々の目を避けるようにして暮らすことになった今となっても十分に役に立っている。 そして様々な町や村を転々としながら、俺は今この小さなエルダとともに安住できる土地を探し続けていた。 「エルダ、今日は何が食いたいんだ?」 「きゅぅ!きゅるるぅ!」 いかにも空腹を我慢しているかのようなエルダの様子にそう尋ねてみると、彼女がさっきまで隠れていた木の陰からそそくさと何かを引っ張り出してくる。 それは、さっき俺が町まで売りにいった獲物に勝るとも劣らない程に大きな2頭の猪だった。 その全身には無数の爪や牙の跡、それに火傷の跡までがたっぷりとつけられていて、俺がいない間に彼女が必死になって狩り出した獲物なのだろうことはすぐに見て取れる。 きっと彼女は、父親の俺が戻ってくるまで早く獲物を食べたいのをずっと我慢していたのだろう。 「はは、まだ小さいとはいっても流石はドラゴンの・・・いや、エルダと俺の子だな」 「きゅっ!」 誉められたことが伝わったのか、エルダが誇らしげに小さな胸を張る。 「じゃあ、早く食べようか」 俺がそう言うと、彼女は待ってましたとばかりに仄かに香ばしい香りを漂わせる獲物の肉に食らいついていた。 「どうだ、自分で獲った獲物は美味いか?」 「きゅっ、ふぐ・・・うきゅぐむ・・・」 肉を食いながら返事をしようとしているのか、エルダが咀嚼音に混じって甲高い声を漏らす。 「ほらほら、食べるか喋るかどっちかにしろよ」 「・・・・・・」 ガツッ・・・モグ・・・ そんな俺の言葉に、彼女はどうやら食べる方を選んだらしい。 全く・・・彼女の母親の方はなんていうかこう、もっと気高い気品に満ちていたっていうのにな・・・ 夢中で獲物に齧りつく仔竜を眺めながら、俺は自分の食事に手をつけることも忘れてしばし昔を思い出していた。 あの赤鱗を纏った巨大な火竜と初めて遭ったのは、ある岩山の中腹にある大きな洞窟の中だったと思う。 彼女は崖から足を踏み外して川に落ちた俺を拾って、目を覚ますまで顔を舐めて介抱してくれたのだ。 "・・・怪我はないか・・・?" それは今でも記憶の底にこびりついて離れない、初めて聞いた彼女の声。 初めて目にする巨大なドラゴンを前に怯えていた俺が、彼女のその穏やかな第一声にどれほど救われたことか。 そんな彼女の双眸に輝いていた赤い体とは対照的な美しい蒼い瞳は、目の前で黙々と腹を満たしている小さなエルダにもしっかりと受け継がれている。 そういえばこのドラゴンの母娘と長い間生活をともにして気がついたことなのだが、ドラゴンというものは声や仕草以上に眼に感情を込める生物らしかった。 まだロクに言葉を話すこともできないエルダとこうして互いに意思の疎通ができているのも、深く訴えかけてくるような彼女の視線のお陰だといっても過言ではないだろう。 かつてのエルダが終始俺に向けてくれたあの優しげで暖かな笑顔も、今から考えれば本当に心の底から俺のことを大切に思ってくれていた証だったのかもしれない。 「きゅう・・・?」 「ん・・・」 やがて心配げなエルダの一声で、俺は唐突に現実へと引き戻された。 見れば、すっかり1頭の猪を平らげてしまったエルダがまだ足りなそうな様子で俺とその目の前にあるもう1頭の猪とを交互に見比べている。 きっと俺の分の肉も食いたくて仕方が無いのだろう。 「ああ、食いたいなら俺の分も食っていいぞ」 「ふきゅきゅぅ!」 そう言った途端に、エルダが面白いほどに予想通りの反応を示しながら嬉しげに新たな肉へと食いついた。 可愛い子だ・・・彼女の姿は紛れも無く立派なドラゴンだというのに、自分と血が繋がっているというだけでこんなにも愛しさを覚えるものなのだろうか。 「それを食い終わったら、今日はもう寝るんだぞ。明日はサファス山の麓の村まで、半日以上は歩くんだからな」 今度はコクコクと首を縦に振りながらも相変わらず食事の手は止めようとしないエルダの様子に、俺は苦笑を浮かべながら頭を掻いていた。 その翌朝、俺は幸せそうな顔で眠っているエルダをそっと揺り起すと野宿のために建てていた小さなテントを片づけ始めていた。 地域や周囲の環境によっていくらか程度の差はあるのだろうが、多くの町や村はドラゴンという生物に対してあまりいい印象を持ってはいないものだ。 それはかつてドラゴンスレイヤーとして様々な地域を渡り歩いた俺の持つ、一種の経験則と言ってもいいだろう。 まあ中には仔竜くらいなら受け入れてくれる所もあるのかも知れないが、流石に突然エルダを人目に晒したりすればいずれ大きな騒ぎになるのは目に見えている。 それ故に、ここ最近はいつも人里から離れた山や森の中で彼女と身を寄せ合って夜を過ごしていた。 「これでよし、と・・・」 やがて暗い茶色の幌でできた目立たぬテントを元の小さな荷物に畳み込むと、俺は未だに寝ぼけた頭をブンブンと振って目を醒まそうとしているエルダに目を向けた。 もう2歳になるとはいえ未だに子供らしい仕草が目立つのは、もしかしたら俺の影響なのかも知れないな・・・ 「さ、エルダ・・・そろそろ出発するぞ」 「きゅっ!」 だがそんなことを考えながらエルダの頭を一撫でして出発を促すと、彼女はすぐに元気な声を上げていた。 今日の目的地はここから40キロ程西に聳える、霊峰サファスの麓に佇む小さな村。 サファス山は元々は巨大な死火山であり、大昔に大規模な火山爆発があったために山の形が円錐を深く削り取ったかの様な歪な三日月型をしていることで割と世界的に知られている。 その三日月の切れ間に広がっている平地に、目的の村が静かに存在しているのだ。 山脈でもない1つの山に3方を囲まれているという奇妙な立地の村ではあるのだが、その大きさの割に村民は100人近くもいるらしい。 収益も農業ではなく近隣の他町村と山で採れる山菜を取引して得ているということだから、生活水準も決して低くはないことだろう。 尤も村へいく目的は、サファス山の向こうにある別の町へ行くに当たって山越えの準備をするためなのだが・・・ 昼を過ぎてしばらく経った頃、前方に薄っすらとかかった霧の向こうに、巨大な山とその麓に佇む小さな村の影が浮かび上がってきた。 もう村まで後数キロといったところだろう。 「ほらエルダ、見えてきたぞ」 「きゅう・・・?」 朝から7時間近く休みなく歩いているせいか、エルダが疲れ切った声でそう呟きながら顔を上げる。 まあ、無理もないだろう。 旅などとうに慣れたはずの俺でさえも、山を越え丘を越えひたすらに歩き続けるのは辛いものなのだ。 ましてやエルダの方はと言えば、狩りの時間もないままに出発してきたお陰で朝から何も食べていない。 できることなら少し休ませて何か食べさせてやりたいところなのだが、平原の続くこの辺りでは彼女の食事になるような獲物の存在はまず見込めなかった。 「大丈夫か?どこかその辺で少し休んだ方が・・・」 「うきゅ・・・きゅっきゅぅっ!」 だが辛そうなエルダの身を心配してそう声を掛けると、彼女が両手と尻尾を大袈裟に振ってそれを拒絶する。 あと少しだから我慢するとでも言いたげに気丈な眼差しで俺を見つめるその蒼い瞳には、彼女の母親からも幾度か感じられた有無を言わせぬ迫力が滲み出していた。 「そうか・・・じゃあ、早いとこ向こうに着いて休もうな」 「ふきゅっ・・・」 やがて返事とも溜息とも取れる小さな声を漏らして再び歩き出した彼女に少しばかり感心すると、俺は間近に迫った村の様子を遠くから窺うかのようにじっと目を凝らしていた。 それからまた1時間程歩いた頃だろうか・・・ 俺とエルダはようやく目的の村のすぐそばまで辿り着くと、村の中で何やら慌ただしく歩き回る人々に見つからぬように少し離れた所から様子を窺っていた。 一見すると何だか騒ぎが起こっているようにも見えるのだが、ここからでは詳しいことは何もわからない。 「よしエルダ、俺はあの村に行ってみるから、お前はいつものように山の中で待ってるんだぞ」 「きゅう!」 その元気のいい返事を聞くと、俺はそっとエルダを町から離れた森の方へと放してやった。 あの様子なら、この半日何も食べていなくとも狩りをする元気くらいはあるのだろう。 やがて可愛い彼女の後姿が薄暗い森の中へと吸い込まれるようにして消えていったのを見届けてから、しばしの間離していた視線を再び村の方へと戻す。 夕焼けに染まり始めた空の下、広大なサファス山の懐に抱かれた村はある種の殺伐とした喧騒に満ち満ちていた。 ザワザワ・・・ 村の入口にあった簡素な門を潜ると、予想以上に大きな村の全景が目の前に広がった。 農業はしていないと聞いていたものの、自分の村で消費する野菜や穀物程度は自給自足しているのか比較的大きめの田畑がそこかしこに点在している。 家々を結ぶように村内を貫いた幅広の通路は山を背にした村で1番大きな村長の家へと続いていて、その途中に村人達が数人ずつ集まっては焦燥に駆られた様子で何かを頻りに話し合っていた。 そんな騒がしい村の中を一介の旅人を装って歩き回っている内に、何やら不安げな表情を浮かべた村人達の話し声がプツプツと断片的に耳へと届いてくる。 「今度はマーサが森から帰ってこないのか?」 「ああ・・・これでもう若い娘ばかり5人目になるぞ・・・皆、どこかで遭難してるんじゃ・・・」 「馬鹿なことを言うな!彼女に限って、あの歩き慣れた森で迷うなんてことがあるわけないだろ!」 どうやら彼らの間から漏れ聞こえてくる話を繋ぎ合せてみると、森に入った娘達がもう何人もサファス山の裾野に広がる森へ入ったまま帰ってきていないらしい。 まあ、ここでは山での採集が村人達の貴重な収入源になっているということだから、娘達が山へ入ること自体はさして珍しいことではないのに違いない。 だが娘達の失踪の原因が何であれ、俺には全く何の関係もない話だ。 さっさと村長に軽く挨拶の1つでもして、適当な買い物を終えたら村を出るとしよう。 やがて長い長い道を1人の村人に見咎められることもなく村長の家の前まで歩き通すと、ちょうどその大きな家の中から老齢の夫婦が姿を現していた。 あれがきっと、この村の村長とその妻なのだろう。 最近になって急激に痩せたと見えるその華奢な体と頬のこけた顔は、彼が今この村を襲っている不気味な失踪事件に対して真剣に頭を悩ませていることを如実に物語っていた。 「おや・・・そなたは・・・?」 村中で様々な憶測が飛び交う様子を悲しげな目で見回す内にそばに立っていた俺の存在に気がついたらしく、村長がやや驚きの表情を浮かべて誰何の声を上げる。 「ああ、俺はその・・・山越えの準備のためにこの村へ寄ったんだ。旅をしている最中でね・・・」 「そうですか・・・今この村は、山へ入った娘達が何人か帰ってこんお陰でご覧の有様でな・・・」 そう言いながら遠く村人達の方へと視線を移した村長に釣られて、俺もついつい背後を振り向いてしまう。 「ワシらでは旅の方には何もお構いできんですが、どうぞゆっくりしていってくだされ」 「ああ、ありがとう・・・そうするよ」 そして俺とそんな簡単な挨拶を交わすと、年老いた村長夫妻は再び家の中へと入っていってしまった。 村の行く末を心配しているというのに自らの力ではどうすることもできないという切ない虚無感・・・ 彼はきっと、これまでにも何度となくそんな苦い思いを味わってきたのに違いない。 竜殺しの仕事に手を染めていた頃の俺だったなら、こういった問題を抱えている村は何とか救ってやろうと知恵を絞っていたことだろう。 何故なら、それこそが正に俺の生活の糧となっていたからだ。 だがエルダを連れて人目を忍ぶ旅をするようになった今、俺は苦悩する村長の姿にほんの少し胸を痛めるだけの傍観者になってしまった自分を酷く恥じていた。 雲1つない空が次第に鮮やかな朱色に染まり始めた頃、俺は数人の気さくな村人達から夜を過ごすための幾許かの食料を水をもらうと、彼らに手を振って村を後にした。 もちろん彼らには昨日の町で得た金貨を必要な分だけ支払ったし、これから森を抜け山を越えるつもりだと告げたことで失踪した娘達について色々と話を聞かされたりしたことは言うまでもない。 まあ、村人達も何故最近になって立て続けに行方不明者が出始めたのかについては皆目わからないということだから、今更通りすがりの俺が気にしても仕方のないことなのだろう。 やがて村の背後でサファス山の稜線に夕日が沈みかけているのを目にすると、俺は森が完全な闇に包まれぬ内にと足早にエルダの消えていった森の中へ入っていった。 地面の上に点々と刻まれたエルダの小さな足跡を追うようにして、薄暗い森の中へと足を踏み入れていく。 森の入口からはまるで過去に何人もの人間が通ってできたかのような不自然な獣道が伸びていて、エルダの足跡も自然とその小道に沿って延々闇の奥へと続いていた。 これは、採集のために村人達が使っている通路なのだろうか・・・? いや、数年に1度程度の頻度で往来があるというのならわかるが、毎日のように山へ採集に向かう人々が使っている道にしてはここは野生の色が残り過ぎている。 それに、あの村は入口のある方角を除いて3方が全てサファスの森に囲まれているのだ。 少なくとも俺には、わざわざ一旦村を出てから再び森の中に入っていく理由が何1つとして見当たらなかった。 恐らく、採集のために山へ入る道は別の何処か・・・恐らくは村の中から伸びているのだろう。 やがて森へ入ってから約30分程経った頃、ようやくエルダの足跡がそこら中に見られるようになった。 恐らくは手頃な獲物を見つけることに成功して、空腹を堪えながら必死に追い掛け回した跡なのに違いない。 だとすれば、エルダが待っているのも恐らくこの近くのはずだ。 「エルダ?いるんだろ?」 「・・・きゅう・・・」 何処からともなく耳へと届いてきた、エルダのか細い声。 その声の出所を探るようにして、鬱蒼とした森の中を手探りで進んでいく。 快晴の空にはどうやら明るい満月が出ているらしく、所々木々の葉の薄い所では幻想的な淡い銀光が森の中へと降り注いでいた。 「エルダ・・・?」 ややあって心許無い月明かりの残滓に身を委ねながら何とかエルダの居場所を探り当てると、彼女が尻餅をついたまま力なくその場にへたり込んでいる。 「大丈夫か?」 どこか具合でも悪いのだろうか・・・? だが可愛い雌竜の無事を確かめるかのようにその背を摩ってやったその時、俺は初めて彼女がブルブルとその身を小刻みに震わせていたことに気がついた。 寒がっている・・・というよりは寧ろ、頻りに何かに怯えているように見える。 しかも小さく身を縮込めているのにもかかわらず、エルダの視線はずっと前方を見上げたまま固まっていた。 そのエルダの視線を追うようにゆっくりと顔を上げ、辺りの様子をグルリと見回してみる。 そこにあったのは森の木々がある一帯をぽっかりと避けるように立ち並んだことで形作られている、自然の広場。 まあそれだけならこの広大な森の中のこと、別に珍しい光景でも何でもないだろう。 だが空から漏れてくる微かな月明かりが周囲の状況をほんのりと照らし出したその瞬間、俺はザワッと背筋が冷たく凍りついていくような感触を味わっていた。 広場の片隅に静かに聳え立つ、一際大きな1本の大木。 そのささくれた幹のあちらこちらに、無数の麻縄の跡が刻みつけられている。 更に恐ろしいことにその大木の根元に近い地面の上には、朽ち果てた麻縄の残骸に混じってほんの数ヶ月前のものと思われる真新しい縄の切れ端までもが散乱していた。 他にも広場を取り囲んでいる木々には深く巨大な爪跡が幾条も刻まれていて、この広場そのものが極めて異質で不穏な空気を辺りに漂わせている。 「こ、ここは・・・」 早鐘のように打ち始めた鼓動を沈めるべくゴクリと息を呑みながら数歩後ろに後退さると、俺は思わず背後で震えていたエルダと不安げな視線を絡ませ合ってしまっていた。 無条件に見る者の恐怖心を煽るこれに似た光景を、俺は前にも1度見たことがある。 エルダと初めて出会う直前に、ある小さな町を脅かしていた雄ドラゴンの退治を依頼された時のことだ。 町のそばに広がる深い森で見つけたドラゴンの住み処・・・ その中型の洞窟の周辺に並んでいたたくさんの木々の幹にも、こんな痛々しい爪痕がいくつも刻みつけられていたのを覚えている。 あの時は猛り狂ったドラゴンが見境なしに爪を振るった跡だろうくらいにしか考えていなかったものだが、今ならこれが一体何を意味しているのかは容易に窺い知ることができた。 かつて見た物などとは比べ物にならぬ程に大きなその無数の爪痕は、ドラゴンの住み処や安息の場所に余計な生物達を近づけぬようにするための無言の威嚇。 つまりこれは雄のドラゴンによる縄張りを示すためのマーキングであり、それと同時にこの広場で定期的にドラゴンに対して生贄が捧げられてきたことを物語っていた。 「に、逃げよう・・・エルダ・・・」 ガタガタと震えるエルダを何とか落ち着かせようと体を抱き起こして静かにそう囁いてはみたものの、不覚にも不安と恐怖に震えた声が余計に彼女の恐れを煽ってしまう。 「きゅ・・・ふきゅ・・・」 ブルブルと震えたまま1歩もその場を動こうとしないエルダの様子から、俺はいかに彼女がまだ見ぬ巨大な同胞に恐れの感情を抱いているのかがよくわかった。 だが今は、一刻も早くこの森を抜け出すことが先決だ。 爪痕の巨大さを考えれば、恐らくこの森に棲むドラゴンはこれまでに見たことがない程の巨竜に違いない。 もしこの闇の中で何の武器もなしにそんなドラゴンに出遭ってしまったとしたら、到底勝ち目などないことは火を見るよりも明らかだった。 すぐにこんな森など抜け出したいのはやまやまなのだが、ここは森の入口から30分も歩いた先にある闇のど真ん中。 1度パニックに陥ってしまったせいか、どうやってここまで辿り着いたのかがまるで思い出せない。 だが相変わらず自分からは動こうとしないエルダを半ば引き摺るようにして広場から遠ざかると、俺は少しでも樹木の生え方が疎らな方角を選んで歩き始めていた。 森から抜け出せるかどうかは別としても、とにかくあの広場からは早く離れた方がいい。 マーキングがあったということは、少なくともこの近くに巨大で凶暴なドラゴンの住み処があるはずなのだ。 生い茂った葉の間から漏れてくる薄い月明かりが暗い森の中をゆらゆらと不規則に照らし出し、視界の端で何かが動いているかのような錯覚がさらに俺とエルダの不安を募らせていく。 やがて手探りのまま1本の獣道らしき細い通りを見つけると、俺はエルダを引っ張ったまま心なしか足を速めていた。 「きゃ・・・・・・あ・・・」 「・・・どうかしたのか、エルダ・・・?」 「ふきゅ・・・?」 しんと静まり返った森の中で唐突に聞こえた、今にも消え入りそうな程の小さな小さな声。 俺は一瞬エルダが漏らした声なのかと思って背後を振り向いたものの、彼女の方も声の出所を探るかのように辺りをキョロキョロと見回している。 この夜の森に・・・俺達以外の誰かがいる・・・? 「・・・や・・・・・・て・・・」 本当に微かにではあるものの、森の中を通り抜ける涼しげな風に乗って確かに誰かの声が聞こえてくる。 だがその声に導かれるようにして進んでいく内に、やがてその断続的な声が意味のあるものへと変化していった。 「もう・・・やめて・・・・・・お願い・・・」 「クククク・・・まだ随分と元気があるではないか・・・もう少し楽しませてもらうぞ・・・」 果たして暗い闇の奥で絡み合っていたのは、涙ながらに助けを訴える若い娘の声と、高圧的で野太い雄の声・・・ やがて茂みの陰からそっと声のする方の様子を窺った俺の目に最初に飛び込んできたのは、全身に黒鱗を纏った巨大なドラゴンに捕らわれて強引に犯されている、1人の小柄な娘の姿だった。 そしてその俄かには受け入れ難い光景を目にした瞬間、俺は麓の村で次々と娘達が消えている原因を悟っていた。 ギュッ・・・ミシ・・・ミシッ・・・ 「ああっ・・・は・・・」 やがてしなやかに蠢くドラゴンの長い尾が、既に逆らう気力も失われた娘の体をゆっくりと締め付け始める。 漆黒のとぐろの中で喘ぐ全裸の彼女の秘部には到底収まり切らぬようなドラゴンの巨根が強引に捩じ込まれ、一切の身動きを封じ込められた獲物をグイグイと無慈悲に蹂躙し続けていた。 「そら、もっと鳴かぬか・・・ククククク・・・」 「うあぁっ・・・い、いやぁ・・・」 まるで血のように真っ赤に輝く2つの竜眼が、そんな悲痛な声を上げる娘の歪んだ顔を満足げに眺め回す。 規格外の肉棒に貫かれたまま徐々に体を締め上げられるという苛烈な責め苦を受けて、娘の体力がみるみる奪い取られていく様子が少し離れた茂みの陰から様子を窺っていた俺にも見て取れた。 もし彼女が村で話題になっている"行方不明になった娘達"の1人だとするならば、少なくとももうかれこれ数時間はあの悪竜の玩具として弄ばれ続けていることになる。 そして体力を消耗しきったあの娘がもう使い物にならなくなった時、彼女を待ち受けているであろう運命はたったの1つしかない。 だが仮にいざその瞬間を目の当たりにしたとしても、今の俺にそれを食い止める方法などあるはずもない。 ブシュッ 「ひあっ・・・」 唐突に辺りに響き渡った鈍い水音とともに押し殺したような娘の悲鳴が上がり、今にも張り裂けんばかりの緊張を保っている結合部から熱く煮え立つドラゴンの精が勢いよく噴き出す。 もう何度目の射精になるのか尻尾のとぐろに持ち上げられた娘の足元には既に白濁の水溜りができていて、その上にまた新たな粘り気のある雫が垂れ落ちていった。 「も、もう・・・やめ・・・あうぁ・・・」 そして一方的な快楽の余韻を味わい尽くすと、ドラゴンがまるで小さな子宮を一杯に満たしたであろう自らの精を絞り出すかのように命乞いをする娘の体を再びきつく締め上げる。 「くそ・・・なんて惨いことを・・・」 いつまで経っても終わりの見えぬ地獄の苦しみに声を上げることもできなくなってしまったのか、憐れな娘は醜く顔を歪めたまま揺れる尻尾のとぐろの中でぐったりと項垂れていた。 「フン・・・もう呻き声すら上げられぬのか・・・つまらん獲物だな」 力尽きた娘を眺めながらそう呟いたドラゴンの眼から、嗜虐的な喜悦の色がスウッと消え去っていく。 それは最早狩るべき獲物に対する殺意や敵意ですらない、後は食い尽してやるだけの骸を見つめる冷たい視線。 グギュッ 「ぁ・・・っ・・・・・・」 やがて娘がかろうじて呼吸が止まらぬ程度に加減されたと見えるとどめの一撃にも蚊の鳴くような声しか上げられなくなったのを確認すると、ドラゴンが弛緩した獲物の体を天高く持ち上げる。 そしてその真下でガバァッという音とともに巨大な顎を広げると、ズルリととぐろの中から滑り落ちた娘の体が一瞬にしてドラゴンの口内へすっぽりと収まってしまっていた。 ヌチャッ・・・クチュ・・・ 「ひっ・・・た、助け・・・やあぁ・・・」 口中に捕らえた獲物を逃すまいと娘の体には長い舌が幾重にも素早く巻き付けられ、反射的に脱出を試みようとした彼女の儚い抵抗はあっさりと捩じ伏せられた。 食い殺される恐怖に戦慄く獲物の悲鳴を一声も聞き逃すまいとしているのか、半開きのドラゴンの口の中で今度は舌のとぐろに巻かれた娘の体がゴロゴロと左右に舐め転がされる。 熱い唾液が露出した柔肌にたっぷりと塗りつけられる度に、耳を覆いたくなるような引き攣った叫びが暗い森の中へと響き渡った。 「ああ・・・いや・・・だ、誰かぁ・・・」 やがてずらりと生え揃った恐ろしい牙の間から、唾液に塗れた細腕がほんの少しだけ口の外へと突き出される。 だが決して差し伸べられることのない助けの手を求めて虚空を掻くその生白い娘の腕にもシュルリと這い出したドラゴンの舌先が絡みつけられたかと思うと、最後の微かな希望が再び暗い口内へと引きずり込まれていった。 「あ・・・ああ・・・」 身も心も執拗に嬲り弄ばれて力尽きた娘のか細い断末魔が、なおも薄ら笑いを浮かべるかのように微かに開けられたドラゴンの口内から漏れ聞こえてくる。 まだ息のある獲物の震えと絶望を喉の奥で感じているのか、天を仰いで娘を飲み下す憎むべき悪竜の顔には至福の笑みが宿っていた。 やがて大きな膨らみがゆっくりとドラゴンの喉を流れ落ち、幾人もの命を呑み込んできた腹の中へと消えていく。 「ああ・・・なんてことを・・・」 自分のすぐ目の前でうら若い娘がドラゴンに凌辱され食い殺されたというのに、力がないばかりに何もしてやれなかったやり切れぬ悔しさ・・・ かつて胸に抱いていた俺の竜殺しとしての気高い矜持は、エルダとの邂逅ですっかりと溶かされてしまっていた。 「ふ・・・きゅぅ・・・」 ふと隣りに目をやれば、初めて目にする巨大な同胞が犯した恐ろしい所業にエルダが目を伏せている。 産まれた時から人間の俺とともに暮らしていた彼女にしてみれば、たった今しがた眼前で繰り広げられた光景はさぞ衝撃的なものだったのに違いない。 パキッ・・・ 「・・・!」 その時、信じられないものを見てしまったとばかりにヨロヨロと後退さったエルダが、背後に落ちていた細い木の枝を後足で踏み折った。 静寂に包まれていた森の中にその弾けるような音が無情なほどに大きく響き渡り、その場を立ち去ろうとしていた黒竜の足が止まる。 「・・・何の音だ・・・?」 まずい・・・今あいつに見つかったら、確実に殺されてしまうだろう。 エルダも自分のしてしまった失策に気がついたのか、今にも泣き崩れそうな顔で俺の方を見つめていた。 彼女はきっと、自分よりも俺の身を心配してくれているのに違いない。 ドス・・・ドス・・・ だがドラゴンの優れた聴覚は暗い森の中でも正確に音の出所を捉えていたらしく、恐ろしい死神は微塵も迷う様子すら見せずに真っ直ぐ俺とエルダの潜んでいる茂みの方へと近づいてくる。 もう、覚悟を決めるしかないだろう。 仮に今更逃げ出したところで、この深い森は奴の庭のようなものなのだ。 今日初めてこの森に足を踏み入れたような俺が、あのドラゴンから無事に逃げ切れる道理などあるはずもない。 くそ・・・もうだめか・・・ だがそんな諦観が頭の中を支配し始めた正にその時、さっきまでひたすらに怯え震えていたエルダがキッと顔を上げたかと思うと、あろうことかバサッという音とともに茂みの中から勢いよく飛び出していた。 「きゅうう~~!」 ボォウ! そして甲高い威嚇の声を上げながら、エルダが自らの何倍も大きな敵に向かって小さな炎を吐き出す。 「な、なんだお前は・・・ウヌ・・・」 だが黒竜はエルダの突然の出現と炎の熱に一瞬たじろいだものの、すぐにその巨大な腕で仔竜の吹き上げる火炎を振り払っていた。 「ふきゅっ!きゅきゅぅ~!」 更に敵を攪乱するかのように小さな体を生かして黒竜の周りを跳ね回りながら、エルダが黒竜を必死に挑発する。 あ、あいつ・・・一体何を・・・ 「おのれ・・・突然飛びだしてきて何をするかと思えば・・・鬱陶しいぞ小娘が!」 バシッガスッ! 「ふきゅっ!」 次の瞬間、ブンという音とともに大きく振り回されたドラゴンの太い尾が跳ねたエルダを見事に捉えていた。 そして撥ね飛ばされた先で大木の幹に強か背中を打ちつけ、エルダが苦しげな呻き声を上げる。 「う・・・ふ・・・ふきゅ・・・」 エ、エルダ・・・ やがてそのままぐったりと気を失ってしまったエルダを、黒竜がつまらぬ奴だとばかりに傲然と見下ろしていた。 エルダはきっと、あのドラゴンの注意を俺から逸らすために敢えて自分から飛び出していったのだろう。 いかにあの黒竜が凶暴極まりないとはいえ、同胞ならば少なくとも殺されることはないと踏んだのに違いない。 だがそれは、何1つ確証のない危険な賭け。 俺は苦しげな表情を浮かべたまま木の根元に力なく転がっているエルダの姿に、彼女の母親の最期を重ねていた。 大切な者の身を守ろうと自らを犠牲にするエルダに、俺はまたしても救われたのだ。 そんなエルダの体に、黒竜がゆっくりと長い尾を巻きつけていく。 エ、エルダ・・・! 今にも彼女の名を叫びながら茂みから飛び出していきそうになる衝動を、俺は必死に押し殺していた。 もし今あいつに見つかったら、エルダの命懸けの行動が全くの無駄になってしまう。 大丈夫だ・・・尻尾で絡め取ったということは、奴はきっとどこかへ・・・ 恐らくは自分の住み処へとエルダを連れ帰るつもりなのだ。 後を尾けなくてはならないだろう・・・絶対に気づかれぬように・・・エルダを助け出すために・・・ やがて小柄なエルダの体を余す所なく尻尾でグルグルに包み込むと、ドラゴンがクルリと踵を返す。 やはり、このまま住み処へ帰るつもりに違いない。 俺は枯葉や枯れ枝の散らかる地面をできるだけ音を立てないように慎重に歩きながら、今にも闇の中に溶け込んで見えなくなってしまいそうなドラゴンの後姿を視界の中に捉え続けていた。 そして極度の緊張に胸が痛くなるようなドラゴンの追跡を開始してから約20分後、ようやくあのドラゴンが棲んでいると見える山肌に掘られた大きな洞窟が見えてくる。 その入口の周囲に立ち並んでいる木々の幹にはあの生贄の広場と同じく無数の禍々しい爪痕が残されていて、俺には淡い月明かりに照らされたその洞窟の光景がまるで地獄への入口にように感じられた。 そんな近づくことさえも躊躇われるような深い闇の中に、エルダを捕らえたドラゴンが静かに消えていく。 「待ってろよ、エルダ・・・少し時間はかかるかも知れないが、絶対にお前を助け出してやるからな・・・」 エルダにというよりは寧ろ自分に言い聞かせるかのようにそう呟いて強く拳を握り締めると、俺は無力な自分に腹を立てながらも来た道を引き返し始めていた。 「きゅ・・・ふ・・・う・・・」 おぼろげながらもようやく意識を取り戻した私は、光らしい光が何1つ見当たらない完全な闇の中にいた。 地面に触れているらしい私の頬にあるのは湿った土のそれとは違う、硬くて冷たい岩の感触。 何とか体に力を入れようとしてみても、ただただ背中に鈍い痛みが広がるばかりで何故か一向に動く気配がない。 まるで、私の意思など最初から存在すらしていないかのようだった。 やがて自分が生きているのかそうでないのかも判然としないまま、ぼんやりとした脳裏にいくつかの疑問が浮かんでは消えていく。 ここは一体何処なのだろう? あの人は、無事にドラゴンから逃げ出すことができたのだろうか・・・? 「グルルゥ~~・・・」 な、何・・・?今の声は・・・? 突如として闇の中に響き渡った不気味な唸り声に、私は思わずビクッと身を縮めていた。 「グルゥ~~・・・グルッ・・・ルルゥ・・・」 なおも断続的に聞こえてくる野太い空気の震え・・・これはもしかして・・・あの黒いドラゴンの寝息・・・? じゃあ私は、気を失っている間にあの恐ろしい巨竜の住み処へと連れ込まれてしまったのだろうか? 逃げなくては・・・そんな焦燥にも似た思いが、覚醒した私の頭の中を一瞬にして埋め尽くす。 だがどうやっても動かない体に妙な違和感を覚え、私は恐る恐る自由の利く顎の先で体の周囲を探ってみた。 ズ・・・ズズ・・・ やがて下顎の先端が硬く滑らかな何かに触れ、皮膚と鱗の擦れる何とも言えない摩擦音が静寂の中にこだまする。 ああ・・・そんな・・・ それは私の全身に隙間なくみっちりと巻き付けられた、あのおぞましい黒竜の尾の感触だった。 道理で全く体が動かせないはずだ。 このまま朝を迎えて彼が目を覚ましたら・・・私は一体・・・? つい先程目の前で凌辱されていた人間の娘の姿が脳裏を過ぎり、私は次々と湧き上がる恐怖と不安に押し潰されそうになるのを必死に牙を食い縛って耐え忍んでいた。 ギ・・・ギュゥ・・・ 「きゅ・・・・・・」 目覚めているのか、それともしばらくは止みそうにない私の小刻みな震えに反応しているのか、時折体に巻き付いた黒竜の尾が微かに締め付けてくる。 だが恐ろしさと息苦しさで小さな声を上げる度に黒竜の目覚めを早めてしまうような気がしてしまい、私は何も出来ぬままに複雑な心境で朝の訪れを待つことになった。 折しも洞窟の中には白み始めた外の光がそろそろと足を踏み入れ始め、隣りで悠然と寝息を立てている主の輪郭を視界の端に浮かび上がらせ始めている。 山のように大きな黒鱗の怪物・・・それが、初めてこのドラゴンを目にしたときに私が感じた第一印象だ。 自らの存在以外は皆悉く敵か餌だとでもいうような不遜な立ち居振る舞いには、最早嫌悪などというような生易しい感情を通り越してただひたすらに恐怖を覚えるしかない。 あの時の私は・・・きっとあの人の命を守りたくて必死だったのだろう。 もしもう少し明るい場所でもう少し冷静にこの黒竜の姿を目にしていたとしたら、果たしてあんな行動に出られたかどうかは甚だ疑わしいものだった。 ズッ・・・ とその時、私の耳に重々しい何かが蠢く不穏な音が聞こえてくる。 それと同時に、まるで私の存在を確かめるかのように漆黒のとぐろが左右に軽く揺すられた。 そして巨大な顎を地面から持ち上げた黒竜が、ゆっくりとあたしの顔を覗き込むように首を巡らせる。 「ふ・・・う・・・・」 身動き1つ取ることができぬまま深紅に血塗られた巨大な竜眼に睨みつけられる恐怖・・・ もし私がここから無事に逃げ延びてこの先の長い生涯を歩むことになるとしても、今この瞬間に味わった身の竦む思いは一生忘れられないだろう。 やがて一頻り獲物の怯える様を愉しんだのか、黒竜が太い指先に生えた鋭利な鉤爪の先端で私の顎を掬い上げた。 ツツ・・・ 「は・・・ふ・・・きゅ・・・」 背中とは違って柔らかな白い皮膜に覆われている喉元が鋭く研ぎ澄まされた切っ先に晒されて、チクチクと断続的な痛みを送り込んでくる。 た、助けて・・・助けてぇ・・・ 今にも泣き崩れてしまいそうになるのを必死に堪えながら心の中で誰にともなくそう叫んでみたものの、こんな邪悪な巨竜の巣食う薄暗い洞窟には助けなど来るはずもない。 「ククク・・・恐ろしいか・・・?」 「ひきゅぅ・・・」 いつしかそんな黒竜の望み通りの悲鳴を上げさせられていたことに気がついて、私は悔しさを滲ませた目で愉悦に浸った雄竜の顔を見上げていた。 「何故貴様のような小娘が我に挑みかかってきたのかは知らぬが、愚かなことをしたものだな・・・クク・・・」 私は・・・やはりあの人間の娘のように無残な嬲り殺しの憂き目に遭わされるのだろうか・・・ 怯えきった同胞の子を見つめる彼の眼には温情や憐憫などとは無縁の嗜虐的な笑みが浮かび、新たな玩具を手に入れた子供のような期待感がその巨顔を綻ばせている。 やがて彼はおもむろに地面の上へ仰向けになると、尻尾で巻き取った私の顔を大きく広げた両足の間にじりじりと近づけていった。 フワ・・・ 「う・・・うふ・・・」 突如として鼻を突く、咽返るような濃い雄の臭い。 恐る恐る顔を上げた私の眼前には醜悪な姿を露わにした歪で巨大な肉棒が突き出され、その向こうから黒竜がニヤニヤと不気味に笑いながらこちらを眺め下している。 「そら・・・いくら幼い貴様とて、何をすればよいのかくらいはわかるだろう・・・?」 そんな・・・まさか・・・い、嫌よ・・・こんなの・・・こんなの・・・ だが慈悲を求める私の弱弱しい視線を軽く受け流しながら、黒竜が更に先を続ける。 「ほう・・・何だ、嫌だというのか・・・?クククク・・・仕方ない・・・」 ギリ・・・メキ・・・メキキ・・・ 「う、うきゅ・・・きゅ・・・きゅうぅ~~!」 突然何の予告も無く全身が締め上げられた苦しみに、私は悲鳴を堪えるのも忘れて大声で泣き叫んでいた。 「どうだ・・・少しは従順になったか?」 やがて全身を締め潰されるかのような容赦のない締め付けに意識が朦朧となりかけた頃、ようやく黒竜の尾がほんの少しだけ緩められた。 「か・・・かふ・・・ぅ・・・」 そんな荒い息をつきながら憔悴した表情を受かべていた私の顎を片手で持ち上げるようにして、黒竜がこの上もない優越感に浸った邪悪な笑みの前へと無理矢理に怯えた視線を向けさせる。 同胞の命を奪うことにすら微塵の逡巡も見せぬ黒竜の前に、私は涙ながらに小さく頷くことしかできなかった。 「フン・・・最初からおとなしく我に従っておれば、何も痛い目に遭わずに済んだのだぞ」 そう言いながら、黒竜が私の全身を絡め取っていた尻尾を半分だけ解いて両腕をとぐろの外へと解放する。 そしてすっかり抵抗する気力を殺ぎ落とされた私の前へ、再び巨大な怒張が突き付けられていた。 つづく
https://w.atwiki.jp/junrei/pages/41.html
記紀 + ... 古事記【原文】 古事記【現代語】 日本書紀【現代語】 日本書紀【原文】 備考 次に海と川と山を生み、次に木の祖先である句句廼馳を生んだ。次に草の祖先である草野姫(野槌)を生んだ。 次生海、次生川、次生山、次生木祖句句廼馳、次生草祖草野姬、亦名野槌。 伊弉諾尊と伊奘冉尊は相談し、「私達は大八洲国や山川草木を生んだ。そろそろ天下を治める者を生むべきだ。」そこで一緒に日神を生み出し、大日孁貴(天照大神、天照大日孁尊)と名付けた。 既而伊弉諾尊・伊弉冉尊、共議曰「吾已生大八洲國及山川草木。何不生天下之主者歟。」於是、共生日神、號大日孁貴。大日孁貴、此云於保比屢咩能武智、孁音力丁反。一書云天照大神、一書云天照大日孁尊。 三貴神出生(伊弉冉)├岐阜県:恵那神社├岐阜県:血洗神社├島根県:鯛ノ巣山└島根県:陰陽竹 この御子は、華やかに光り麗しく、国中を照らした。二神は喜び、「我が子たちはたくさんいるが、こんなに凄い子はいない。この国ではなく、高天原の仕事をさせよう。」 此子、光華明彩、照徹於六合之內。故、二神喜曰「吾息雖多、未有若此靈異之兒。不宜久留此國。自當早送于天而授以天上之事。」是時、天地、相去未遠、故以天柱舉於天上也。 当時は、天と地はそんなに離れていなかったので、天御柱をたどって、天上に送り上げた。 是時、天地、相去未遠、故以天柱舉於天上也。 次に月神をお生みになられた。太陽に次いで光り輝いていたので、太陽と並んで治めるのがよいとし、これもまた天に送った。 次生月神。一書云「月弓尊、月夜見尊、月讀尊。」其光彩亞日、可以配日而治。故、亦送之于天。 次に蛭児を生んだが、この子は三年経っても足が立たなかったので、天磐櫲樟船に乗せて、風のままに放流した。 次生蛭兒。雖已三歲、脚猶不立、故載之於天磐櫲樟船而順風放棄。 次に素戔嗚尊(神素戔嗚尊、速素戔嗚尊)を生んだ。この神は勇敢で残忍な神だったが、常に泣きわめくため、国内の人々を多く若死にさせ、青山を枯山にした。 次生素戔嗚尊。一書云「神素戔嗚尊、速素戔嗚尊。」此神、有勇悍以安忍、且常以哭泣爲行。故、令國內人民多以夭折、復使靑山變枯。 「国内の人々(國內人民)」は、どこからやって来たのだろう。 それで父母の二神は素戔嗚尊に、「お前は大変無道である。だから天下を治めることができないので、遠い根国に行きなさい。」と言って、追放した。 故、其父母二神、勅素戔嗚尊「汝甚無道。不可以君臨宇宙。固當遠適之於根國矣。」遂逐之。 別伝1では、伊弉諾尊が「私は天下を治めるべき子を生もうと思う。」と言い、左手で白銅鏡を取った時に生まれた神が大日孁貴である。右手で白銅鏡を取った時に生まれた神が月弓尊である。また、首を回して後ろを見た時に生まれたのが、素戔嗚尊である。 一書曰、伊弉諾尊曰「吾欲生御宇之珍子。」乃以左手持白銅鏡則有化出之神、是謂大日孁尊。右手持白銅鏡則有化出之神、是謂月弓尊。又廻首顧眄之間則有化神、是謂素戔嗚尊。 このうち大日孁貴と月弓尊は、ともに人格者だったので、天地を照らし治めさせられた。素戔嗚尊は、乱暴者だったため、下にくだして根国を治めた。 卽大日孁尊及月弓尊並是質性明麗、故使照臨天地。素戔嗚尊、是性好殘害、故令下治根國。珍、此云于圖。顧眄之間、此云美屢摩沙可梨爾。 別伝2では、日と月とが生まれた後、蛭児が生まれたが、三歳になっても足が立たなかった。最初、伊弉諾尊と伊奘冉尊が、柱を回られたときに、女神が先に喜びの言葉を言われたが、陰陽の道理にかなっていなかったため、蛭児が生まれた。 一書曰、日月既生。次生蛭兒、此兒年滿三歲、脚尚不立。初、伊弉諾、伊弉冉尊巡柱之時、陰神先發喜言、既違陰陽之理、所以、今生蛭兒。 次に素戔嗚尊が生まれた。この神は性質が悪く、常に泣いたり怒ったりしていたため、国の人々が多く死に、青山を枯山にした。それで父母が、「お前にこの国を治めさせると、失敗するだあろうから、お前は遠い根国を治めなさい。」と言われた。 次生素戔嗚尊、此神性惡、常好哭恚、國民多死、靑山爲枯。故、其父母勅曰「假使汝治此國、必多所殘傷。故汝、可以馭極遠之根國。」 次に、鳥磐櫲樟船を生み、この船に蛭児を乗せて放流した。次に火の神の軻遇突智を生んだ。そのとき伊奘冉尊は、軻遇突智のために火傷をして、お亡くなりになった。その亡くなる際に、横たわったまま土の神である埴山姫と、水の神である罔象女を生んだ。軻遇突智は埴山姫を娶って稚産霊を生んだ。この神の頭の上に蚕と桑が生じた。臍の中に五穀が生まれた。 次生鳥磐櫲樟橡船、輙以此船載蛭兒、順流放棄。次生火神軻遇突智、時伊弉冉尊、爲軻遇突智、所焦而終矣。其且終之間、臥生土神埴山姬及水神罔象女。卽軻遇突智、娶埴山姬、生稚産靈、此神頭上生蠶與桑、臍中生五穀。罔象、此云美都波。 別伝3では、伊奘冉尊が火産霊を生むとき、子のために焼かれて死んだ。その神の死なれようとするときに、水の神・罔象女と土の神・埴山姫を生み、また天吉葛を生んだ。 一書曰、伊弉冉尊、生火産靈時、爲子所焦而神退矣、亦云神避。其且神退之時、則生水神罔象女及土神埴山姬、又生天吉葛。天吉葛、此云阿摩能與佐圖羅、一云與曾豆羅。 別伝4では、伊奘冉尊が、火の神・軻遇突智を生もうとするときに、熱に苦しめられて嘔吐した。これが金山彦という神となった。次に小便をされ、罔象女が生まれた。次に大便をされ、埴山媛が生まれた。 一書曰、伊弉冉尊、且生火神軻遇突智之時、悶熱懊惱。因爲吐、此化爲神、名曰金山彥。次小便、化爲神、名曰罔象女。次大便、化爲神、名曰埴山媛。 別伝5では、伊奘冉尊が火の神を生むときに、体を焼かれてお亡くなりになった。それで紀伊国の熊野の有馬村に葬った。土地の人がこの神をお祭りするには、花のときに花をもってお祭りし、鼓、笛、旗をもって歌舞してお祭りする。 一書曰、伊弉冉尊、生火神時、被灼而神退去矣。故葬於紀伊國熊野之有馬村焉。土俗、祭此神之魂者、花時亦以花祭、又用鼓吹幡旗歌舞而祭矣。 三重県:産田神社三重県:花窟神社 別伝6では、伊弉諾尊と伊奘冉尊は協力して大八洲国を生み出した。そして、伊弉諾尊が、「我らの生んだ国は、朝霧がかかっているが、良い香りがいっぱいだ。」と言って、霧を吹き払われた。その息が級長戸辺命(級長津彦命)という風の神になった。 一書曰、伊弉諾尊與伊弉冉尊、共生大八洲國。然後、伊弉諾尊曰「我所生之國、唯有朝霧而薫滿之哉。」乃吹撥之氣、化爲神、號曰級長戸邊命、亦曰級長津彥命、是風神也。 また、飢えて気力のないときに生んだ子を、倉稲魂命という。生んだ海の神たちを、少童命という。山の神たちを山祇という。海峡の神たちを、速秋津日命という。木の神たちを句句廼馳という。土の神たちを埴安神という。そして、のちに万物が生まれた。 又飢時生兒、號倉稻魂命。又、生海神等號少童命、山神等號山祇、水門神等號速秋津日命、木神等號句句廼馳、土神號埴安神。然後、悉生萬物焉。 既生國竟、更生神。故、生神名、大事忍男神、次生石土毘古神訓石云伊波、亦毘古二字以音。下效此也、次生石巢比賣神、次生大戸日別神、次生天之吹上男神、次生大屋毘古神、次生風木津別之忍男神訓風云加邪、訓木以音、次生海神、名大綿津見神、次生水戸神、名速秋津日子神、次妹速秋津比賣神。自大事忍男神至秋津比賣神、幷十神。 このように国々を生み終って、更に神々をお生みになりました。そのお生み遊ばされた神樣の御名はまずオホコトオシヲノカミ、次にイハツチヒコノカミ、次にイハスヒメノカミ、次にオホトヒワケノカミ、次にアメノフキヲノカミ、次にオホヤヒコノカミ、次にカザモツワケノオシヲノカミをお生みになりました。次に海の神のオホワタツミノカミをお生みになり、次に水戸の神のハヤアキツヒコノカミとハヤアキツヒメノカミとをお生みになりました。オホコトオシヲノカミからアキツヒメノカミまで合わせて十神です。 此速秋津日子・速秋津比賣二神、因河海、持別而生神名、沫那藝神那藝二字以音、下效此、次沫那美神那美二字以音、下效此、次頰那藝神、次頰那美神、次天之水分神訓分云久麻理、下效此、次國之水分神、次天之久比奢母智神自久以下五字以音、下效此、次國之久比奢母智神。自沫那藝神至國之久比奢母智神、幷八神。 このハヤアキツヒコとハヤアキツヒメの御二方が河と海とでそれぞれに分けてお生みになった神の名は、アワナギノカミ、アワナミノカミ、ツラナギノカミ、ツラナミノカミ、アメノミクマリノカミ、クニノミクマリノカミ、アメノクヒザモチノカミ、クニノクヒザモチノカミであります。アワナギノカミからクニノクヒザモチノカミまで合わせて八神です。 次生風神・名志那都比古神此神名以音、次生木神・名久久能智神此神名以音、次生山神・名大山上津見神、次生野神・名鹿屋野比賣神、亦名謂野椎神。自志那都比古神至野椎、幷四神。 次に風の神のシナツヒコノカミ、木の神のククノチノカミ、山の神のオホヤマツミノカミ、野の神のカヤノヒメノカミ、またの名をノヅチノカミという神をお生みになりました。シナツヒコノカミからノヅチまで合わせて四神です。 此大山津見神・野椎神二神、因山野、持別而生神名、天之狹土神訓土云豆知、下效此、次國之狹土神、次天之狹霧神、次國之狹霧神、次天之闇戸神、次國之闇戸神、次大戸惑子神訓惑云麻刀比、下效此、次大戸惑女神。自天之狹土神至大戸惑女神、幷八神也。 このオホヤマツミノカミとノヅチノカミとが山と野とに分けてお生みになった神の名は、アメノサヅチノカミ、クニノサヅチノカミ、アメノサギリノカミ、クニノサギリノカミ、アメノクラドノカミ、クニノクラドノカミ、オホトマドヒコのノカミ、オホトマドヒメノカミであります。アメノサヅチノカミからオホトマドヒメノカミまで合わせて八神です。 次生神名、鳥之石楠船神、亦名謂天鳥船。次生大宜都比賣神。此神名以音。次生火之夜藝速男神夜藝二字以音、亦名謂火之炫毘古神、亦名謂火之迦具土神。迦具二字以音。 次にお生みになった神の名はトリノイハクスブネノカミ、この神はまたの名を天鳥船といいます。次にオホゲツヒメノカミをお生みになり、次にホノヤギハヤヲノカミ、またの名をホノカガヒコノカミ、またの名をホノカグツチノカミといいます。 因生此子、美蕃登此三字以音見炙而病臥在。 この子をお生みになったためにイザナミノミコトは御陰が燒かれて御病気になりました。 火の神・軻遇突智が生まれるとき、その母である伊奘冉尊は、身を焼かれてお隠れになった。そのとき、伊弉諾尊が恨んで言われたのが、「ただこの一人の子のために、我が愛妻を犠牲にしてしまった」そして、伊奘冉尊の頭や足のあたりを這いずり回って、泣き悲しみ、涙を流された。その涙が落ちて神となった。これが丘の上の木の下に現れる神で、啼澤女命という。 至於火神軻遇突智之生也、其母伊弉冉尊、見焦而化去。于時、伊弉諾尊恨之曰「唯以一兒、替我愛之妹者乎。」則匍匐頭邊、匍匐脚邊而哭泣流涕焉、其淚墮而爲神、是卽畝丘樹下所居之神、號啼澤女命矣。 多具理邇此四字以音生神名、金山毘古神訓金云迦那、下效此、次金山毘賣神。次於屎成神名、波邇夜須毘古神此神名以音、次波邇夜須毘賣神。此神名亦以音。次於尿成神名、彌都波能賣神、次和久產巢日神、此神之子、謂豐宇氣毘賣神。自宇以下四字以音。 その嘔吐でできた神の名はカナヤマヒコノカミとカナヤマヒメノカミ、屎でできた神の名はハニヤスヒコノカミとハニヤスヒメノカミ、小便でできた神の名はミツハノメノカミとワクムスビノカミです。この神の子はトヨウケヒメノカミといいます。 故、伊邪那美神者、因生火神、遂神避坐也。 かような次第でイザナミノミコトは火の神をお生みになったために遂にお隱れになりました。 伊弉諾尊はついに、腰に下げた十握剣を抜いて、軻遇突智を三段に切った。その各々が神となった。また、剣の刃からしたたる血が、天安河のほとりにあるたくさんの岩群となった。これは経津主神の先祖である。また、剣の鍔つばからしたたる血が注がれ、神になった。その名を甕速日神という。次に熯速日神が生まれた。その熯速日神は、武甕槌神の先祖である。または甕速日命、次に熯速日命。次に武甕槌神が生まれたとも言われる。また、剣の先から滴る血が注がれて神となり、その名を岩裂神という。次に根裂神。次に磐筒男命が生まれた。ある言い伝えには、磐筒男命と磐筒女命と言っている。また、剣の柄頭から滴った血が神となった。その名を闇龗という。次に闇山祇。次に闇罔象が生まれた。 遂拔所帶十握劒、斬軻遇突智爲三段、此各化成神也。復劒刃垂血、是爲天安河邊所在五百箇磐石也、卽此經津主神之祖矣。復劒鐔垂血、激越爲神、號曰甕速日神、次熯速日神、其甕速日神是武甕槌神之祖也、亦曰甕速日命、次熯速日命、次武甕槌神。復劒鋒垂血、激越爲神、號曰磐裂神、次根裂神、次磐筒男命、一云磐筒男命及磐筒女命。復劒頭垂血、激越爲神、號曰闇龗、次闇山祇、次闇罔象。 天安河原└宮崎県:天安河原 自天鳥船至豐宇氣毘賣神、幷八神。 天鳥船からトヨウケヒメノカミまで合わせて八神です。 凡伊邪那岐、伊邪那美二神、共所生嶋壹拾肆嶋、神參拾伍神。 すべてイザナギ・イザナミのお二方の神が、共にお生みになった島の数は十四、神は三十五神であります。 是伊邪那美神、未神避以前所生。唯意能碁呂嶋者、非所生。亦姪子與淡嶋、不入子之例也。 これはイザナミノカミがまだお隱れになられる前にお生みになりました。ただオノゴロ島はお生みになったのではありません。また水蛭子と淡島は子の中に入れません。 別伝6に黄泉国編があるため、別伝7~11は、黄泉国編の後ろにある。 ゆかりの寺社(御朱印視点) 引続き調査中ですので、掲載もれがあるかも知れません。 【おススメ度 ☆☆★★★】普通の御朱印です。 都道府県 寺社名 所在地 備考 岐阜県 恵那神社 中津川市中津川字正ヶ根3786 【由】伊装册命が天照大神を産み、その胞衣を祀っている。 三重県 花窟神社 熊野市有馬町130 【-】産田神社の本務社。 三重県 産田神社 熊野市有馬町1814 【伝】伊弉冉尊が火神の軻遇突智神を生んだがために亡くなった場所。御朱印は花窟神社で拝受可能。 宮崎県 天安河原宮 西臼杵郡高千穂町岩戸1073-1 【由】天岩戸神社西本宮から岩戸川に沿って徒歩で約10分、天照大神が岩戸にお隠れになったさい、天地暗黒となり八百万の神がこの河原に集まり神議されたと伝えられる大洞窟。別名「仰慕ヶ窟」とも呼ばれています。 【おススメ度 ☆★★★★】御朱印が頂けるか不明です。 都道府県 寺社名 所在地 備考 岐阜県 血洗神社 中津川市阿木6872-1 【由】伊装册命が天照大神を産み、その胞衣を洗ったところ池が赤く濁ったことから、血洗の池と呼ぶようになった。 【おススメ度 圏外】寺社以外の関連施設です。 都道府県 寺社名 所在地 備考 島根県 鯛ノ巣山 仁多郡奥出雲町上阿井 【伝】伊弉冉尊が身ごもられ、七日七夜岩穴に籠られてお産をされた。このとき生まれたのが、天照大神、月夜神、素戔嗚尊。この「めでたい」をとり「鯛の巣山」と名づけられた。 島根県 陰陽竹 安来市伯太町横屋 【伝】イザナミが出産の際比婆山に登り、手に持っていた杖を地中に立てたところ、根を出し葉を広げ陰陽竹になったといわれています。 鯛ノ巣山 大万木山を中心とする南西から北東に連なる頂稜の東端にある山で、麓の阿井地区から見る姿は独立峰のようですが、背後は毛無山へと稜線の連なる縦走可能な山になっています。古事記によればイナザギ命とイザナミ命がこの地に降臨され、イザナミ命が身ごもられました。このお産をする際に七日七夜岩穴に籠られ、お産をされたと伝えられます。このときお生まれになったのが、天照大神、月夜神、スサノオノミコトです。この「めでたい」をとり「鯛の巣山」と名づけられました。登山道は整備されていて、3合目に鯛流水、清流水、6合目にこうもり岩、ブナ・ミズナラなどの林を抜けると山頂からは中国山地の大パノラマが広がり、目の前には「猿政山」が望め、神話の里の風景が広がります。 奥出雲町観光協会 産田神社 産田神社は弥生時代からの古い神社で、伊弉冉尊(イザナミノミコト)とその子の軻遇突智神(カグツチノミコト)を祀っている。『花の窟』が伊弉冉尊の御陵に対して、産田神社は火神の軻遇突智神を生んだがために亡くなった場所として一対的な意味合いがあり、神々が生活した古郷ともいえる。古代の神社は建物がなく、ここでは『神籬(ひもろぎ)』(神の宿るところ)と呼ばれる石で囲んだ太古の祭祀台(祀り場)へしめ縄を張り神を招きました。左右の2カ所残っており、古さをものがったています。毎年1月10日の大祭の『奉飯の儀』では子供が丈夫に成長することを願って、汁かけ飯、骨付きさんま寿司、赤和え、御酒の膳いただきます。産田神社はさんま寿司発祥の地とされています。 熊野市観光公社
https://w.atwiki.jp/yukiusagi-ml/pages/39.html
2002シーズンレポート 01/13 池の平 [XC] ■集合 01/13 09 30 湯の丸スキー場 ■コース湯の丸スキー場~池の平~湯の丸スキー場 [10 30] 出発 [12 00] 池の平着 お昼 [13 00] 外輪山めぐり [15 30] 湯の丸駐車場 ■装備クロカン/テレマークセット 昼食 ツアー用具一式(ホームページ参照) 01/14 根子岳 [BC] 根子岳 ■コース 奥ダボススキー場~根子岳~奥ダボススキー場 [10 00] 出発 [13 00] リフトなし~ヘリポート~山頂~ヘリポート(御飯) [14 00] 出発 [14 30] 奥タボス駐車場 ■装備 テレマークスキー(山スキー) 昼食 ツアー用具一式(ホームページ参照) (XCスキーでも可能ですが、辛いと思います) 03/03 霧ヶ峰・八島ガ原湿原 [XC] 八島湿原をバックに ■コース 沢渡ゲート前→八島湿原→14 40頃沢渡ゲート前で解散 今回のツアーは 「北アルプスをバックにした気持ちの良い雪原散歩」と 言えるでしょう(^_^) 昨年の「吹雪の中の雪中行軍」とはうって変わった 楽しい、のんびりツアーでした。 (くまさんランチの紹介) 当日の昼食、5名が「くまさんランチ」であった。 森のくまさんこと、清水さんの定番ランチである ことから、この名を私が付けた。まず、真空パックのおでんをバーナーで温め、 一杯やりながら、ホクホクのおでんをつつく。 その後、そのお汁を使い、うどんをいただく。 お腹いっぱい、至福のひとときである。 (キャプテン) 八島ガ原湿原を雪が無ければ入ってはいけないところを闊歩しまくったクロカン でしたね!。 天気は best, くまさんランチも good, 楽しい一日でした。 感謝、 謝々。 (飯塚) 朝 白樺湖に向かう時回りの樹氷の美しさに目を奪われてしまいました。 この所の春めいた暖かさに山々はすっかりはげ山状態になっていてクロカン 出来るか不安でしたが歩けて良かったですね。お昼には美味しいおでんを頂き ご馳走さまでした。 (桜井) 初めてのゆきうさぎ参加でどんな人たちが来るのか 不安でしたがみなさん親切にしてくださって どうもありがとうございました。 (小長井) 今回はほんとに滑るところがなく歩くだけでした。いままで滑るところが 多かったので、こんな楽しみ方もあるんだと思いました。 (行き(上り)はヨイヨイ、帰り(滑り)はコワイだった場合が多くて。 そのときは、写真を撮る余裕もなく、ブルーです(^^;)) (牛島) 03/08-10 栂池高原(白馬)BCF [BC] 栂池~天狗原 ■集合 A 03/08 22 00~23 00 JR八王子駅北口東・京王プラザホテル前 B 03/09 08 00 栂池高原スキー場・BCFブース前 C 03/10 08 30 栂池高原スキー場・BCFブース前 ■コース 03/09 1)各種講習等を受講 2)ゲレンデで練習 5)オフピステをガンガン滑る 6)日帰りショートツアー 03/10 3)ゲレンデで練習 4)白馬周辺でXCスキー 5)オフピステをガンガン滑る 6)天狗原~白馬乗鞍スキー場 ■装備 通常の日帰りツアー装備+昼食(出来ればバーナー持参でラーメン等が良い) (強風のため行動食を取り、早めに行動開始、若干名ラーメンしか ないとのことで、みそラーメンを食べていた人もいたが・・・) ■備考 8日夜は、白馬ローソンにて車中泊(寝袋のない人は増島用意) (オデッセイはかなり寝ごこち良し) 9日夜は、P.テントキーパー泊(天然素材を生かした料理が絶品) 03/13 三田原山 [BC] 三田原山から妙高山 ■コース 09 25 杉の原ゴンドラ 10 10 三田原第3リフト上 11 50 三田原山13 10 15 00 スキー場内1650M地点 15 45 杉の原ゴンドラ乗り場 16 20 平日にもかかわらず、4名が集まり(仕事休んでいいのかなあー) 三田原山ピークに立ち、日本海から北アルプスや八ヶ岳が眼下に見える景色を堪能しました。 皆、ピークを上り詰めた途端、雄叫びを上げていました(^O^) (嵐を呼ぶ男@増島だったはずが、どうしたことやら、またまたピーカンでした(^^;)) 雪質はまずまず(^_^)v 登り返しもほとんどなく、快適なダウンヒルだったよ。 しかし今回はトラブル続き。まずは、清水さんの板が流れ止めを付け忘れため、30~40mほど流され うまく、木の所で止まったので、悲しい事態は避けられましたが、もし、見つからなかったらエライところでした。 次は小長井さん。 滑り始めて約20分、標高2千m付近でロッテフェラーのケーブル式ビンディング(右足)が切れてしまいました( _ ) (特に大転倒したわけではなかったのにねーえ)なんとか清水さんのアイデアで、ケーブルの替わりに幅2cmほどのバンド を当て、私が何とかその板で滑って降りて来ました( _ ) 右足は、かかとを上げてしまうと、すぐバンドがはずれてしまうので、 左ターンはテレマーク、右ターンはヘンなアルペンで何とか滑って来ました。私としては良い経験をさせてもらいました(^o^) やはり、ケーブルの予備は自身のものを持っていくのが良いと思いました。皆さん気をつけましょう! (増島) 03/17 北八ヶ岳・白駒池 [XC] 北八ヶ岳 ■コース 10 30 メルヘン広場 13 00 麦草峠手前五辻分岐のあずまや 14 30 15 30 メルヘン広場 16 00 石遊(いしやす)の湯 今回のツアーは、ゆきうさぎMLによくある 宴会突入モードとなり、白駒池までは 行けず、麦草峠手前のあずまやで昼食品評会と化したのんびりXCツアーでした。 お日よりも良く、蓼科山から赤岳までバッチリ見えました(^^;) 雪もそれなりにありましたよ(少し心配しましたが・・・) (増島) 始めての長いツアーで大汗をかき、頭から湯気が出ていました(^^) いろいろと教えていただきありがとうございました。皆さんにとっては、大分物足りず、私を待つために寒い思いを させてしまったのでは・・・と考え、申し訳なく思います。でも、雄大な景色を見ることが出来、お昼ごはんもいろいろと 食べられとても美味しく、私にとっては楽しいツアーでした。次回は少しは体力をつけ、スキーもうまくなれるよう練習してきます。 またよろしくお願いいたします(^_^)(美江) 10年振りのスキーが、はじめてのXCスキーツアーとなりました。 踵が上がるというのが驚きでした(@_@) 最初登る時、ちょっととまどいましたが、だんだん慣れ、下りは少し楽しめました(^_-) 皆さん、私のペースに合わせてくれ、また何かとバックアップして くれてありがとうございました。石遊(いしやす)の湯、疲れが取れ、明日からまたバッチリ仕事が 出来そうです(^_^)v とても楽しかったです。 またご一緒させて下さい。(横田) 久しぶりに野山でゆきうさぎになって来ました。 ポカポカ陽気に包まれ(風はかなり強かったが)お昼寝したくなるのを 堪えて、ウサギは宴会場へ直行したのでした。 (依田) 03/21 池ノ平湿原 [XC] ■コース 12 00 湯ノ丸スキー場 13 10 池ノ平湿原(宴会モードで雪原を眺める)14 00 14 30 湯ノ丸スキー場 20・21日と家内と2人で、霧ヶ峰と池の平に行ってきました。そのレポです。今回は無垢の木の板、竹のストック、ゴム長靴というクラシカルな出で立ちで、家内とのハンディを埋めるようにして、クロカンをして来ました。20日午前、車山スキー場で家内へスキーの基礎の基礎の鉄の特訓!(でも、あまり変わらないなあー:けど本人には、だいぶ良くなったねと言った)午後、八島ヶ原湿原へ、3月3日に行った時、約80CMほどあった雪が融け、湿原は「ハゲちゃびん」状態で湿原西側の斜面に残った雪を捜しながら、スキーで歩く。木の板でも快適だ。食事が豪華で、大人の雰囲気の宿、鷲ヶ峰ヒュッテ(八島ヶ原湿原すぐ横)泊 21日午前中、湯ノ丸スキー場へ移動。一番奥の高速カプセルリフトは強風のため動かず。他のリフトを使い、林道入口へ。 そこから約40分で池の平湿原へ。 7・8人の人に会う。本日はラーメンを2人で食べ、滑降開始。 ゴム長靴はやはり相当不安定だ。 林道をショートカットした途端、足をすくわれコケる! (家内に笑われる)ゲレンデに出た途端、余りの不安定さに足がすくむ。 (通常の道具だったら何ということのない斜面なのに) おかげで家内とスピードもぴったし!汗をかきかき降りて来ました(^_^) ふう。(増島) 03/30-31 乙妻山 [OB] ■コース 03/30 08 20 戸隠・大橋~佐渡山南方鞍部 14 20 1600M地点(雪洞泊) 03/31 08 00 1600M地点 10 40 乙妻山(2318M) 11 10 11 40 1600M地点~佐渡山南方鞍部 16 00 戸隠・大橋 16 40 黒姫温泉 静かな山行、初めての雪洞泊、山頂直下の 広大な急斜面(約40度)の滑降と大満足でした(^_^)v 距離は約10kmあったけれど、登りと下りがはっきりしたルートで、ツアー向きと言えるでしょう。以下その時系列的レポです。少し長くなりましたが、ご容赦を_(._.)_ 3/30(土) 08:20、戸隠大橋発(1130m)、半晴。 10分ほど前に先行パーティーあり。 奈良県の山岳会のメンバー4名。 08:50、大ダルミへの分岐着(1290m) ここからしばらくは林道(地図に無い)歩きだったが、 佐渡山・五地蔵山鞍部までは25~30度の急登と なり、重い荷物(約15kg)で大汗をかく。 (最近重い荷物を背負ったことなかったものなあー) 10:50、佐渡山南方鞍部着(1540m) ここからはトラバース気味の下りだ。 11:50、氷沢川1400m分岐着、昼食。 今年は雪が少ないせいか、川を渡る箇所が1箇所しか なかった(幅4・5m)エイヤッと渡る。 GPSに記憶しておいたルート集のポイントに やはりスノーブリッジはあった。このポイントのみ 渡ることができるのだろう。奈良県の山岳会のメンバー も私達の後について来た。彼らはGPSを持っていない ため、煩雑に地図と高度計で位置をチェックしていた。 GPSがなく、初めての場合ルートチェックに苦労する だろう。 雪洞予定地点の1600mまでは、尾根を巻きながらの 緩やかな登りだ。1泊分の食料とシュラフ等でザックが 重い。 14:00、雪洞泊予定地点着(1600m地点) ここから眺める乙妻山は、白い衣を身にまとい、荘厳な まで美しい。しかし斜面は急だ。明日はここを登るのだ と思うと、否が応でも身が引き締まる。 やはり、泊まるには、この場所がベストだろう。ここから 上部は、所々にデブリが見られ、危険だ。 担ぎ上げたビールがうまい(^_^) 16:00、雪洞完成。雪洞泊のベテラン!?清水氏の案で大きな 雪洞を作った(所要時間、約2時間:ひざを立ててなお 天井まで50cm余裕あり)そのおかげで快適な宴会が 出来る! 増島:おでん+うどん+おにぎり+ブランデー 清水:鮭ごはん+豚の角煮+牛丼+焼酎+ワイン その他もろもろ、飲んで食べて(歌ってない)大いに 語り合い、盛り上がる。 確かに少しは寒いが、3本ローソクを点けた所、思いの ほか洞内が暖かくなった。 20:00、就寝(清水氏はまだ飲み足りないらしく、シュラフに くるまりながら、ワインをくびっと飲んでいた(^_^)) 防寒対策バッチシのため、ぐっすり眠る。 3月31日 06:00、起床。外はもう完全に明るい。雪洞内は思ったより暖かい。 08:00、雪洞発。快晴。 斜面はまだガリガリ状態。慎重に25~30度の斜面をシール 登行。途中より雪がゆるみ出し、気持ちの良い登りとなる。 ピッケル&アイゼンで私達を追い越す夫婦あり。聞けば 昨晩は、佐渡山鞍部にテント泊とのこと。かなり早いペースだ。 登る毎に斜度は増し、40度近くになって来る。 滑落のないよう慎重に登る。 10:25、高妻山と乙妻山鞍部に到着。 視界が開け、気持ちが良い。 10:40、乙妻山頂着。快晴。遠く北アルプスの山々、この前登った 三田原山や妙高山、火打山、近くには、高妻山、戸隠山等の 頂きが自身の目線で見え、全周が一望できる。 今までの労苦が吹き飛ぶ。 先行した富山の登山者夫婦としばし歓談。 (4名の奈良の人たち(山スキー)は、私達と同様の場所に テント泊したのだが、乙妻登頂はあきらめ、 早々に帰着したらしい) 11:10、滑降開始。ナイフリッジを慎重に滑る。雪質は良く ターンも決まる。先行の登山者をあっという間に抜く。 スキーは楽し!!! 40度の斜面は慎重に! 30度くらいの斜面になって滑りを少し楽しむ! 雪洞近辺の25度の斜面になったら、ウエーデルンをと思って いたのだが、疲れて足が言うことを利かない。 11:40、だらだら滑りで、雪洞着。 登りは2.5時間もかかったのに、下りはわずか30分。 しかしこの乙妻山の北斜面、木はほとんどなく、広大な一枚 バーンだ。シュプールを描くスキーヤーは私達だけだ。 12:45、雪洞発。食料+飲み物が無くなった分、軽いはずの荷物が めちゃくちゃ重く感じる。ここから、氷沢川分岐までの 1kmはゆるやかな下りで、滑りを楽しめるはずだが、 荷物にふられる。 13:10、氷沢川分岐着。緩やかな登りの始まりだ。シール登行開始。 相棒の清水氏はステップソールなので、軽やかに登る。 佐渡山鞍部までの登りが終われば、後は滑り降りるだけ。 GPSのおかげで後何mで鞍部というのがよくわかり 気分が楽になる。 15:00、佐渡山鞍部着。ここからの滑り出しは、やはり25~30度 の斜面、おまけに木が茂っている。1ターンずつ慎重に決める。 林道に出て、後はだらだらの直滑降で終点の大橋に。 16:00、戸隠大橋着。無事に降りてこれてほっと一息。 16:40、黒姫温泉に浸かる。 温泉から上がり、ビールを一杯。ぷはっ!(増島) 04/04-05 戸隠 [XC] ■コース 04/04 13 00奥社入口~隋神門 14 15鏡池~森林植物園 16 00奥社入口(昼食は戸隠名物のそばを食す) 16 15リフトの終了した戸隠スキー場にて簡単な テレマークポジションの練習(山周りターン) 04/05 A 09 30戸隠キャンプ場~牧場 10 40戸隠キャンプ場 B 09 15戸隠スキー場~高デッキ山中腹(1368m地点) 10 40戸隠キャンプ場~(くまさんランチ) 13 30樅の木山荘 14 00戸隠「神つげ温泉」15 05 平均年令は?才と若干高めでした。 円熟した大人のクロカン&ちょこっとダウンヒル ツアーでした。 まだまだ戸隠には雪はありました。 森の中で約1mはありましたよ。 5日は、AとBと2つのコースに分かれ、キャンプ場で合流の 後、くまさんランチを皆で食べました。 Bのコースは少しの登りと長い10度くらいのブナの疎林の滑りが あって、初心者の人にはもってこいのルートでした。 超初心者の家内も楽しく滑られましたよ(^^;) (増島) 04/06-07 大渚山 [BC] ■コース 04/06 白馬八方尾根スキー場で足慣らし 小谷温泉山田旅館泊(TEL0261-85-1221) 04/07 09 25 大草連(夏道) 10 05 990M地点(尾根伝いに直登) 12 20 大渚山13 50 14 50 大草連 熱湯荘に浸かり 16 45 解散 ■備考 宿泊場所:山田旅館(TEL 0261-85-1221) 参考資料:日本スキーツアールート集(P32) ★上記ルート集に記載されている熱湯経由のルートは 熱湯直上の林道が雪崩危険地帯のため、一般向きではない。 また、大草連から行く場合も970M地点より尾根に取り付くより 990M地点まで林道伝いに登り、台地に出てから 尾根に取り付くのがベター。 土曜日の足慣らしには、残念なことに参加できなかったので、一人寂しく 22時に川崎を出ました。豊科~白馬の辺りでは大雨に遭い、「皆さん来なかったらどうしよう」と圏外表示の PHS を睨みながら不安に思っていたのですが、朝の集合時刻にはなんとか止んでくれたのが良かったですその後、登るにつれて天気が良くなっていき、更に頂上ではピーカンだったのは、本当にラッキーでした。大草連の集落からの登りは、最初は良かったのですが斜度が強くなってくると日頃の運動不足がキツかったです。後で知ったことには、私が今回の最年少だったそうですが、皆さん歳を感じさせないくらい元気です ^^;頂上では、まだ大部分が雪に埋もれている展望台を椅子代わりに 晴れ上がった空と 360度の山風景を見ながら気持ちの良い昼食。でも、余りにも暖かいので、せっかく持ってきたコンロは使わず終い。大河原さん、ビールごちそうさまでした。ところで私にとっては、そこからの下りが大問題でした。もともと初級者なのに今シーズンの山は初めて、ゲレンデも一回滑っただけという状態ではすっかり身体がターンを忘れていたようです ^^;あちこちで盛大に転びながら滑り落ちてきました。無理をしてでも前日の足慣らしに参加するべきでしたね。皆さん、お待たせてしまってごめんなさい。でも、いくら転んでも、いや転んだ分だけ余計に楽しかったです。下山後の熱湯荘は初体験でしたが、ぬるぬるして気持ちの良い温泉でした。向こうに見える山田旅館の湯の重厚な感じとは趣が違って、非常に明るくて開放的な良い感じです。なぜか脱衣場や休憩スペースにパセリが植えてあるのが謎でしたが。(近藤) 大渚山へ参加された皆さん、大変お世話になりました。登りの後半でバテてしまいましたが、天気も良く、最後は温泉に浸かり疲れも吹き飛びました。体力増強やペースの配分、ザックを背負っての滑り等は今後の課題です。初参加の不安も、前日の八方尾根スキー場での足慣らしで解消されました。また、MLの共有フォルダにある写真に 写っている清水さんを、増島さんと思い込んでいたことも 判明しました。 (大河原) 04/06-07 バックカントリースキーラリー IN 妙高 [BC] ■工程 4/6 09 00 前山ショートツアー 19 20 妙高ラリーのオリエンテーション 20 00 ウエルカムパーティー 4/7 08 00 妙高ラリー競技開始 15 00 表彰式 ■大会要項(抜粋) 踵の開放できるスキーなら種類は問わない 各チェックポイント、ゴールを必ず3人一緒に通過すること 1チーム3名とし、男性3人だと-1点、女性3人だと+1点 スタート時に装備検査あり、不携帯で減点 無線機を携帯し、大会本部から支持を受けられるようにすること ■備考 参加費¥4000(保険、記念品込み)+パーティー代¥1000 (エントリーは私が行います。) 宿は各自確保。田所はユアーズイン屋根裏か、車中泊予定。 人数がまとまれば宿を確保しても良いですね。 妙高ラリー参加してきました。結果から言うと5/22位! p(^o^)qタイムは2時間チョットでした。コースはゴンドラ駅から三田原の中腹を目指して池の峰の東側を通るルートでした。当日、大河原さんが熱を出して参加できず、今西さんと2人での参加になりました。メンバー足りず、無線装備なしで、女性なしの3ペナ(5分/1ペナ)で順位が下がるのが心配でしたが、無事、ゴール順位と変わらない結果でした。3ペナルティ以上の大河原ペナが居なかったので無事5位入賞を果たせました。ありがとう大河原ペナ。賞品は電池が切れたリチウムヘッドライトと、フリースの帽子とレディースの山用アンダーウエアでした。疲れたー。相変わらず体力ないなー俺。けど、楽しかったデス。 今西さんおつかれさまでした。 来シーズンも参加しましょうね。(トツゲキ) 04/14 鍋倉山 [BC/XC] ■コース A 田茂木池~鍋倉山~黒倉山~関田峠~田茂木池 B 田茂木池~鍋倉山~登った斜面~田茂木池 [09 30] 集合 [10 00] 出発 [12 30] 別班の大河原@高崎さんに抜かれる [13 00] 山頂にてごはん [14 00] 出発 [16 00] ご~~~~~~~る 今回のツアーはドタ参加が3人も含め10人のツアーです。のぼりはいつもの通りののんびりで少なくとも30分ぐらい後には出ている大河原@高崎さんにも抜かれるほどのんびりびりびりその反動で後はずるずると時間が押してゆき「ごーる」したのは日も沈みかけた4時になってしまいました。ふう、危ないアブナイ。 ついでに前日までの疲労+アルコールにて危ないアブナイ。そして今回の下りはそれぞれの状況に合わせて分班しそのままのんびり班と滑り班とそれぞれなりそれぞれに楽しんで降りてきました。さて来年は滑りコースで行ってみようかな? (小野田) 鍋倉山のあのドキドキは今年も健在でした。思ったよりも雪があり関心してしまった。前2回はシールなしで登頂。でも今年はシールを付け楽をしてしまいまいた。外野では色々な声がありましたが全て無視して。今年はブナの実を殆ど見かけず、実だと思ったらウサギのうんちでした。まん丸でとってもかわいかった。稜線のせっぴも崩れた後でコースは結構広くなっていましたのでこちらのドキドキは皆無に近かった。春霞で日本海はみえなかったけど、あっちが海ね、と長野県人として物思いにふける一時もあり、稜線コースを満喫して来ました。(依田) 04/13-15 八甲田山 [BC] 八甲田山 ■コース 04/13(土) 13 00八甲田ロープウェイ山頂駅13 30→(銅像ルート)→ 14 00前嶽→14 45銅像茶屋(みぞれで停留)→16 10田代元湯入口 →16 45田代元湯(廃屋)直前の沢17 15→18 00田代元湯入口→ 18 40酸ヶ湯温泉(自炊泊 \3000) 04/14(日) 酸ヶ湯温泉09 10→ロープウェイ山頂駅10 50→12 00赤倉岳→ (箒場岱ルート)→14 35雛岳中腹(1100M地点)→15 20レストハウス 箒場岱→16 10酸ヶ湯温泉 04/15(月) 07 10酸ヶ湯温泉→07 20猿倉温泉→09 20猿倉岳→10 00猿倉温泉 →10 20谷地温泉(入浴)11 15→11 25酸ヶ湯温泉(昼食) 12 00解散 4月13日(土) 06:05 銅像茶屋着、八王子から約8時間半で到着。八王子組の3人で 効率良く運転したため、昨年より1時間早い。 09:00 日差しが強く、車内が暑くなり目がさめる。 10:00 八甲田山麓(と言っても青森市内)のGSで捕油。山内丸山遺跡 の看板をU氏が発見、行こうと言い出す。 10:25 山内丸山遺跡着、5500年前の縄文時代の大集落跡は圧巻で あった(^o^) 11:45 八甲田スキー場着。若林氏と合流後、ロープウェイで山頂へ 13:00 山頂駅着。オリジナルの銅像ルートは、前嶽の東を巻いていく のだが、前嶽を登ろう(約15分)ということになる。 14:00 前嶽山頂着。銅像茶屋への直下の斜面は30度の急斜面だ。 慎重に滑り降りる。あっという間に滑り降りれば、あとは だらだら斜面が茶屋へ続く。 14:45 茶屋へ到着。同時に雨混じりのみぞれが降って来る。 (おでんを食べ、停滞) 16:10 田代元湯入口着。さあ、今晩は廃屋でお泊まりだ! 16:45 元湯直前の沢着。沢のスノーブリッジが切れていて渡れない。 あちこち捜すがダメ。上海雑伎団と言われるU氏は、持ち前の フットワークを生かし、うまく板切れを渡し、一人元湯へ。 元湯健在は確認したものの、4人が重たい荷を持ち、安全に 渡沢できる確率は少ないと判断し、撤退。 18:40 酸ヶ湯温泉・自炊泊。元々自炊の用意をしていたので、すんなり 自炊。土曜夜なので、宿も満杯かと思われたが、懇願したのが 効を奏したか、何とか泊まれた。 例によって皆それぞれの食料&酒で宴会となる。 白濁の混浴風呂であるこの出湯は、いつ来ても趣がある。 4月14日(日) 07:00 起床。今日は八甲田の一般ルートで一番長い「箒場岱ルート」の 滑降だ!昨晩、大雨が降って心配したが、今朝はその雨も上がり、 上々の日よりだ。 酸ヶ湯を出ようとした所、突然見知らぬ美人に声をかけられる。 おっと朝から縁起がいいなあー(^_^)誰かと思ったら、今年2月 ニセコのTAJ講習会で一緒だった女性なのだ。奇遇なものだ。 彼女は、八甲田で一番骨のあるコース「高田大岳へ登って滑る」 へ今日行くという。大岳頂上直下は、40度近い斜面と聞く。 10:50 山頂駅発。快晴になってきた。 12:00 赤倉岳山頂着。八甲田山塊が間近に全周に見える。絶景かな! 同山頂直下で昼食を取る。 おにぎりをほおばりながら、こんもりとした大岳や高田大岳を 見る。さすがにこれらの山に今から登って滑ろうという気は 起こらないが(U氏はどうだったか・・・)一番東の雛岳は ルートの途中にあり、登れそうだ。しかも東側斜面は急斜面 だが、気持ちよさそうだ。結局、行くことになる。 実際登り始めるとかなりの傾斜だ。シールを付けても時々ずれ る。 14:35 雛岳中腹(1100M)で登頂断念決定。ここから先もかなり急傾斜 だ。加えて木立が密となっているためだ。しかしここから 箒場岱ルートへ戻る斜面が、木立のない気持ちの良い一枚バーン だ。 15:20 レストハウス箒場岱へ到着。本日のツアー終了。 ぐっと飲むビールがうまい。 酸ヶ湯温泉泊(自炊) 4月15日(月) 05:30 起床。本日最終日。正午までには、八甲田を出たい。皆手早く 身支度を整える。薄曇りだ。風は強い。 07:40 猿倉温泉発。4月下旬より営業開始とのことでまだ閉まっている。 20数年前にU氏が登ったらしいが、全く記憶にないとのこと。 指導標も全くなく、地図とGPSでのルートファインディングが 必要だ。北東の尾根に出る。この尾根は北東面に広大に延びてい て視界制限時には嫌らしい所だ。 09:20 猿倉岳山頂着。山頂より北八甲田の山々が良く見える。南八甲田 の乗鞍岳も目の位置だ。 北斜面は斜度30度、滑りごたえがあるが、そこを滑るとすぐだ らだら斜面になってしまう。結局登ってきた斜面を滑り降りる。 頂上直下は20度位で快適に皆ターンが決まる。 10:00 猿倉温泉着。滑走は僅か20分だ。でも満足したツアーだった (^^) 10:20 近くの谷地温泉に入る。脱衣所を出た途端、おばちゃま連に湯船 で出迎えられる。ここも混浴だ。白濁湯と透明の湯と2種ある。 11:25 酸ヶ湯温泉の名物「凍み豆腐」を皆でおみやげに買う。 12:00 解散。 19:40 大宮駅着。 東北道をU氏がすっとばしたおけげで予定より1時間早く大宮駅 に到着。(すっとばしたのはいいのだか・・・とある人から高い おみやげをいただくことになった・・・詳細はU氏自ら説明する でせう) 21:10 八王子の自宅着。ふっと一息、ぐびっとビール。 急峻な尖峰はない八甲田だか、雄大な景色の中に溶け込むように 立ち並ぶ山々は、心がなごむ。いいですよー。 5月上旬に乗船がほぼ決まり、スキーもこのツアーで最後だ。 今シーズンを振り返れば、私が行ったツアーは、ほぼ8割ドピー カンだった。嵐を呼ぶ雨男は返上することにしよう! 04/28-29 妙高・火打山 [OB] ■ コース 要相談。雪解けが早く、黒沢からは登れないことが予想される。夏道を登る ことになるやも知れず。 帰りは高谷池尻谷コースも考えられる。 くわしくは下記清水携帯まで連絡されたし。 登山口から黒沢を渡る所までは雪もあり順調に進みました。そこから夏道の十二曲ルートは地形図上の1790mまで巻いて行くのですが、直登している跡があったので板を担いでそれを追いって行ったら、はまりました。無駄なトラバースがあります。ここは素直に夏道のように巻いたほうがいいですね。ある程度まで板を履いたまま行けると思います。1790mから富士見平までは夏道をはずしてしまい(たぶん自分たちが少しだけ右にずれていたと思います)急斜面の藪漕ぎはつらかったです。板を担ぐところは安全のため急斜面の一部だけですね。登山口からヒュッテまで昼食含めて3時間半ほどでした。ヒュッテから火打山まではのんびりペースで2時間。くだりはあっという間、でも気持ちがいい。上り返しが1時間くらいでした。 4/29 高谷池ヒュッテ~三田原山~涸沢を道路までこのまま来た道を下るのはつまらないので、三田原山に向かうことにしました。ヒュッテから三田原山までは、ほぼ一直線のルートを取りました。のんびりペースで2時間ほどです。黒沢岳北から黒沢池までの斜面もいいですね。三田原山を下るところは地形図上の2347m付近からです。このあたりの斜面も広くていいですね。標高1800mあたりから沢に入って下りました。1500mから下は、小さな滝を巻いたり板を外すところも出てきます。藪漕ぎも少しありました。強引に板を履いたまま滑った後があったけど、怪我をしたくないので・・・。三田原山から下の道路までは、昼食とルート確認しながら2時間半ほどかかりました。久しぶりのツアーで不安だったけど、天気もよく滑りも楽しめたので良かったです。雪がもっとあれば、もっともっと良かったでしょう。ヒュッテの自炊設備が整っているので、仲間が多ければ、おいしいものを作れます。次に行ったときには有効に使いたいともいます。高谷池ヒュッテで滝沢さんと会いました。鍋倉谷を下りたようなので、その辺の話も聞きたいですね。 06/30 犀川舟遊び [舟] 万水川 ■コース 生坂ダム湖(水鳥公園) 万水川~犀川) ■備考 荒天時は中止、小雨決行 川下りは様子を見て行います。 カナディアンカヌー1機 ダッキー(ゴムボート)2機 リバーカヤック、複数ありの予定 天気予報では雨が降るのか曇るのか、まったくつかめませんでしたが現地に着いてみるとうす曇で時々太陽が見えるぐらい。でも、川は冷たかったです。冷たくて、おもわず泳がせなかったぐらい。ダム湖では泳ぎましたよ ~ダムでの泳ぎ方~ 1.カナディアンに1人で乗り一番後ろに座る。 2.仰向けになりちょこっと傾ける。 すると自然に川の中。2番のちょこっとかたむけるは必要で後ろに倒れただけではまだ不足です。その後、カナディアンを起こしても中に水が大量に入っていたためすんごい重く、しかも喫水が低くなるので少しでも傾けると簡単に川の中に入れます。午後からですが前回はまさに激沈隊がゆくでしたが今回はメンツ的にも撃沈しないだろうから万水~犀川~中村マレットまで行きました。配船はそれぞれ自分の舟、自分はカヤックで下るつもりだったけど、ダッキー本来の使い方(・・初めての女の子を乗せて下ると言うとっても「こころざし」の高い使い方。そうそれを漢と言う。~魁・男塾~より)で心の高さで遊べたのでいいでしょう。須藤君は初めての流れだったので少し波が立っていただけですが心臓が止まるぐらい楽しんだ模様です。でも、一番大きな瀬がただの流れになっていたので心臓を止める事ができなかった事は残念です。それから小野田・須藤・前川隊はファインビュー温泉へ風呂場はファインビュー松、隙間から松本市街が見える程度で少しがっかり 景色がいいのはフロントだけとは・・・ ソーセージ製造機欲しくなってきた。 (小野田) 09/08 犀川でGo!! 犀川 ■集合 08/25 09 00 大岡の道の駅 ■コース [09 00] 集合 [10 30] さざなみ荘(船場) [12 00] お昼 [13 00] 後半戦スタート [16 00] ご~~~~~~~る ■装備 舟・ライジャケ・メット・ウエットスーツ(ある人だけ) 水着(ぬれてもいい格好)・着替え・ぬれてもいい靴・めがねバンド 昼ごはん(必須) 私にとっては、今年2度目のカヤックでの川下りで前回の万水川同様、緊張の連続でした~スタートして間もない、そこそこの瀬でいきなりマジ沈食らって、かなりあせりましたというか、よく覚えてないんですが・・・しかし、今までの血のにじむような?特訓が実を結んだのか、なんとかロールで復帰できましたぁ~(1回目は勢い余って、逆沈しましたが)(笑) 自分にとっては、流水&マジ沈でのロール成功だっただけに、感無量でした(おおげさ?)(須藤) 案外天気も良く、初めて川を下れてとても嬉しかったです。 企画してくれてありがとうございました。 海ばかり行ってたので川のスピード感、緩急の変化、瀬の涼しさが 新鮮でやっぱ川もいいなーと思いました。 (若林) お蔭様で充分楽しませて頂き 貴重な体験が出来ました。スリルがあって怖さと 面白さで時間のたつのも忘れてしまいました。皆さんは技術も素晴らしく 華麗に漕いだり潜ったりしてましたが自分の事がヤットの思いで 余り見惚れている余裕が無く残念でした。今回は二人で漕ぎ 思う様な所になかなか進まず 息を合わせて漕ぐのがなかなか 難しかったです。それでも沈む事無く 無事最後まで着けて感動でした。 (桜井) 「小野田さんは水の掛け方は教えてくれたけど漕ぎ方は教えてくんな~~いぃ。」 川に入ると怖いとか何とか、躊躇している余裕はありません。ひたすら流れていってしまうので対応して行くだけです。初めの瀬で、この日最初で最後の沈脱者となり、皆さんを楽しませて? しまいました。(依田) 10/27 鬼ヶ城(長野県真田町角間温泉)ハイキング ■集合 A 09 00 あゆみ保育園駐車場 B 09 30 真田角間温泉 ■日程 角間温泉から1周2時間ほどのハイキングコース 11/03 横谷峡紅葉ハイク ■集合 9 30 立科町役場駐車場 ■コース 横谷峡~蓼科(友人の知人の別荘)泊 11/03-04 八方尾根初滑り ■集合 07 00 八方尾根アダムゴンドラ下の駐車場 11/10 海谷取水口高地(新潟県糸魚川市)トレッキング ■集合 A 07 00 上田あゆみ保育園駐車場 B 09 00 現地三境峠キャンプ場 ■日程 越後の上高地と言われている所 片道2時間位のトレッキングコース 11/17 奥只見丸山スキー場 初滑り ■コース 09 00 奥只見丸山スキー場 14 00 非常に良い天気で気温も上がり汗をかいたお陰で風邪が治ったようです。リフト待ちはほとんど無く快適でしたが、雪質は春先のようで午後から膝の違和感を感じ早々に退散してきました。 若林さんとも色々と話をする事ができ楽しい一日になり ました。若林さんは温泉通で地元の人間よりよく知っていられるのにはびっくりしました。また機会があればご一緒お願いします。 (飯野) 11/17 Yeti 立山直前対策セミナー ■集合 Yeti 現地あいのり集合 集合時間自由FLEX(開園8 30) コアタイム12 00 ■コース Yeti http //www.yeti-resort.com/ ■持ち物 各スキー、一応山装備、遊び道具 ビーコン、アバランチプローブ、シャベル(一応練習) お風呂の用意 ■備考 お昼は七輪でBBQをやります。 一応、BBQ道具と肉は用意しますが、 好きな食材、自分の分のお酒は持参してくださいね HPで割引券あり\2000⇒\1800になる 11/22-24 立山雪遊びツアー 三田原山から妙高山 ■宿泊先 みくりヶ池温泉 ■参加費 宿代2万1600円、アルペンルート7650円(JAF割り含む) ■コース 1日目 小野田・清水・松田・・一の腰 [13 00] みくりが池温泉出発 [16 00] みくりが池温泉着 田所・大河原・小長井・渡辺・北川・・一の腰&展望台 [11 00] バスターミナル出発 [16 30] みくりが池温泉着 2日目 [09 00] みくりが池温泉出発 [12 30] 剣御前小屋~剣沢へ [13 30] 剣御前小屋~雷鳥沢~地獄めぐり [16 00] みくりが池温泉着 3日目 帰った ■装備 各自の行動予定の用具装備 夜の飲み物&つまみ 昼飯(小屋へも頼めます。バスターミナルにも食堂あり。) 悪天候時にはビーコン、救急法の練習をします。ビーコン、ゾンデ 、シャベルを持っている人は持ってきてください。 立山に参加の皆さんご苦労様でした。怪我も無く、無事に下山できて良かったです。3日とも晴天で雪も多く、21日に降った雪が、気持ちよく、室堂でのんびりする予定がついつい、出かけてしまいました。一の越のノートラック地帯、雷鳥沢の長い斜面、今考えてもヨダレものです。今年はどこでも滑れるためか、どこもすいていて、良かったです。しかし、雷鳥沢の長い登りと長い下りで、足はヘロヘロ、地獄谷を通ってみくりが池への登りには、泣きが入ってしまいました。そのためか、次の日はもう帰ろうモード!!他の人もお帰りモードで、ひと安心でした。 失敗談 其の壱 昨シーズン、靴のひもが切れたので、はずしたが、そのままヒモを持たずに来てしまった。其の弐 小屋締めのパーティーが無いので余分に液体を持ってきたが、消化できず多量に持ち帰ってしまった。さて、今年来たくてもこれなかった人も、XCの人も来年も、また企画しますのでよろしくお願いします。 12/01 テレマークスキー練習会in湯の丸 ■場所 長野県湯の丸スキー場 ■集合 9時 レストハウス ファミリー前(第5トリプルリフトのそば横)予定 何時に来てもかまいません。随時来て練習しましょう。お昼ぐらいに 集まって食事でも。 ■装備 スキー道具 お風呂セット 自炊の人は昼ごはん 3人でそれぞれ練習をするがリフト1本分のゲレンデ。お昼過ぎには飽きが来て温泉モードで奈良原温泉へ直行。貸しきり状態で滑っているより長く入っていました。(清水) 12/09 テレマークスキー練習会inスノーウェーブパーク白鳥高原 ■場所 スノーウェーブパーク白鳥高原 ■集合 10時 センターハウス前予定(リフトは8時より動いています) ■装備 スキー道具 12/21 テレマークスキー練習会in湯の丸スキー場 ■場所 湯の丸スキー場 ■集合 9時半 レストハウス ファミリー前(第5トリプルリフトのそば横)予定 ■装備 スキー道具 大雪でした。特に午後から吹雪いてきて、パウダーなので滑る分にはとっても楽しかったんですが、吹雪&用事がある、のツーアタックで後ろ髪引かれながら2時ごろには撤収しました。こんなに上手かったん?ってぐらい快適でしたよ。吹雪いていなければ・・・。 よく見るゲレンデで丁寧にターンをしてくる人の様に丁寧に降りてきましたが、これをやると疲れますね。いい加減に滑ってきたほうが楽チン。到底まねできない (小野田) 12/28~31 シャルマン火打 パウダー合宿 ■参加費 宿代 + リフト代 ■装備 ゲレンデスキー装備ですが深雪を想定してください できれば太板 ゴーグル必須 パウダーリングのストック ながぐつ 雪かきグッズ 車止め ■12/28 快晴 前日の夜に15cmほど降った模様。できれば、吹雪いてて欲しかったけど一日中晴れでした。当然アサイチリフトに乗って、ノートラックの斜面に突っ込む。雪質は超軽いドライパウダーでした。深さはひざ程度でかなり幸せ状態。お昼は山頂の小屋のイクラ丼と氷結でご満悦。夜は信テレやシーハイルの方々と忘年会。パウダーとうまい料理&酒でまたまた幸せ。ひさしぶりに記憶が無くなるほど飲みました。 ■12/29 雪 朝起きると、ふもとで20cm程度の積雪。すぐにシャルに向かう。これぞシャル!という降り方で昨日のトラックは無くなっている。昨日に比べると重めの雪だが、私は深いほうが好みなので奇声をあげながら高速で突っ込む。途中、調子こいて5mぐらいの段差を転げ落ちるも、無傷。やはり私にヘルメットは必要ですね。この日の夜は5人で宿泊。雪は降り続いている。 ■12/30 快晴 朝起きると、ふもとで15cm程度の積雪。またまたシャルに向かう。思ったより山には雪が積もっていない。15cmぐらいかな。場所によってはトラックがうっすら残っている。踏まれていない所でもスピードが出る雪質で、ちょっと怖い。でも、食い残しを探しながら滑る。(トツゲキ)
https://w.atwiki.jp/orirowaz/pages/341.html
森の中を自在に駆け抜ける少女。 その後ろ、ぴったり100メートルの距離を保ち、迷彩服の男が後を追う。 ここはトンネルの左右に広がる広大な林。 岡山林業の主たる作業現場となる人工林である。 きっちりと手入れされた人工林は見通しもよく、足場も安定し、移動には困らない。 だが、人工林といえども林は林。早朝時刻といえども夜は夜。 そして今は地震の直後だ。 平時の真昼間の草原とはわけが違う。 木々の太い根や背の低い草葉が進みゆく者の足を絡める。 地震によって柔らかくなった土砂は、天然の落とし穴のように口を開けている。 闇の中、突如現れる段差が足を中空に浮かせる。 太い樹の幹が闇から湧き出てきたように目の前に現れ、行く手を遮る。 六月の日の出時刻は午前4時40分。 その時刻をまわれば多少はマシになろうが、それはまだ10分以上先のこと。 いまだ朝日は差さず。 そんな林を全力で走り抜けるなど、目をつぶって通勤時間帯の品川駅を通り抜けるようなものだ。 熟練の猟師ですら慎重に慎重を重ねて歩くであろう早朝の人工林。 ターゲットの少女、クマカイは、まるで自宅の庭を走り回るかのように、暗い林を駆け去っていく。 ―――田舎の娘ってのは、こうも容易く山林を走り抜けられるもんなのかね? こいつの親は手を焼いていそうだな、と少しばかり同情する。 少なくとも、娘の三香は、目の前の娘と同い年になってもこれほどまでに野性的で開放的になることはないだろう。 そうなった場合、それはそれで歓迎するだろうが。 将来は世界に名だたるアスリートか、それとも大自然を護るレンジャーか。 自分にはない才が花開いたことに驚喜するだろうと、そこまで考えて苦笑する。 SSOGとして、三樹康もまた、常人ならば一日で音をあげる厳しい訓練と任務を毎日のようにこなしてきた。 スナイパーという役割を担うことが多いため、実任務では動くより『待ち』の時間のほうが圧倒的に長いが、 身体能力は常人とは比べるべくもない高みにある。 暗闇の中で気配だけを頼りに、ターゲットの脳天を狙撃したことだって一度や二度ではない。 そんな三樹康でも、クマカイを見失わないために、培った運動能力と、感覚を最大限まで研ぎ澄ます必要があった。 これは三樹康に限ったことではないだろう。 乃木平天であろうが黒木真珠であろうが、そして大田原源一郎であろうとも、 山林地帯においてクマカイに逃げに徹されれば、追いつくことは不可能だと断言できる。 彼女と並走できるとすればそれはおそらく美羽風雅のみ。 それも膂力に任せて邪魔な障害物を粉砕して進むことが前提である。 もっとも、今の三樹康とクマカイは追いかけっこをしているわけでもなければ、狩人と獲物として追い追われているわけでもない。 あくまで三樹康がクマカイを監視しているだけだ。 クマカイはすでに人工林を抜け、林業会社の敷地内へと足を踏み入れ、この村でもはやお馴染みとなったゾンビと対峙していた。 クマカイの姿は身長150センチにも満たないのではないかと思われる小柄で長髪の中学生女子。 その行く手に立ちふさがったのは、身長190センチにも届こうかという角刈りの大男・菅原分蔵。そのゾンビだ。 訳の分からない言葉を喚き散らす大男のゾンビに対し、 クマカイは人工林を駆け抜けていたときとは打って変って、媚びるように、探るように、もじもじとした動作を見せる。 男であれば気まずく目を逸らしてしまうような仕草ではあるが、ゾンビにそのような感情はない。 一切の戸惑いなど見せず、捕食せんとばかりに両腕を伸ばしてつかみかかる。 方や殴り合いなど一度もしたことがなさそうな、線の細い非力な少女。 方や還暦とはいえ屈強な肉体を持つ大男のゾンビ。 筋肉量、体格、体重。 すべてにおいてゾンビが上回る。 捕まれば、抜け出る術はないだろう。 傍から見れば、勝敗など火を見るよりも明らかである。 しかし、つかみかかったゾンビの腕は空を切る。 まるで抱き上げた猫が腕をすり抜けていくように、クマカイの肉体はゾンビの腕と腕の間を縫ってするりと抜け出していく。 そのしなやかさと柔軟性を用いて、身体の上を滑るように、脚、背、そして肩へとよじ登っていく。 獲物を見失ったゾンビはキツネにつままれたように呆けていた。 身体によじ登っていたクマカイに気付いたときには、もう遅い。 発達した首とアゴの力に任せて、犬歯が首へと突き立てられていた。 噴き出した血はクマカイの唇を赤々と濡らす。 ゾンビはたまらず小さな襲撃者を振り落とそうとするも、彼女はゾンビの背と一体化したかのように、決して背から離れない。 クマカイはその体格に見合わぬ咬合力で首をがっちりと抑え込み、クマのようにアゴを振ってその首ごとゾンビの頭をシェイクする。 首を支える筋肉に重大な損傷を加えられ、頭を揺られては、さしもの巨漢ゾンビも体幹を支えきれない。 半端な姿勢で頭から崩れ落ちたその肉体の哀れさは、羽をもがれた鳥に等しい。 それでもクマカイは勝利の余韻に浸ったりはしない。 獲物に執着するクマのように、周囲の警戒は怠らないまま、ツメで、キバでその肉を斬り裂き、食いちぎっていく。 朝日に照らされて、噴き出す鮮血がきらきらと輝いた。 ―――怖い怖い。ありゃあ、まさにケモノだな。 ゾンビがクマカイに襲いかかってから、返り討ちに遭うまでに20秒も経っていない。 ゾンビはすでに俎板の上の鯉に等しく、そして三樹康にはゾンビの被食シーンに興奮する趣味など一切ない。 唯一確認すべきは、捕食をトリガーとした異能の発動であり。 ―――奴さん、厄介なことで。 尾行中にもかかわらず、思わず舌を打ってしまう。 小柄な少女が大男の肉を飲み込んだかと思えば、ゾンビとなっているはずの大男の姿に変化したのである。 であれば、少女の見た目も擬態だと考えるのは自然なことであろう。 ―――本当に人間じゃあないのかもしれないな。 ―――野犬か、野良ネコか、それともクマか? ―――害獣駆除はSSOGの領分じゃないんだがな。 まさかこの村にカニバリズムが根付いていることもあるまい。 発展著しいという山折村に人肉食が根付いていたとなれば一大スキャンダルだ。 記者に動画配信者、ジャーナリストが飛びついて、週刊誌や動画サイトで因習村だのなんだのとわめき立てるだろう。 もちろん、そんな噂は一切聞いたことがなく、上からの説明でもまわってこなかった。 人間と見誤って真正面から対峙した挙句、一皮めくると狂暴なツキノワグマが登場という事態はさすがに笑えない。 今の装備で正面対峙した場合、急所に早撃ちで全弾撃ち込めば動かなくなるだろうが、正直割に合わないので勘弁してほしいところではある。 もっとも、異様な身軽さからして、さすがに正体がクマということはないのだろうが。 「正体不明のウイルスを周囲にまき散らす人間擬きのプレデター、ね。 ま、正しく人類の敵ってやつだなありゃ。それで……だ」 食事を摂るクマカイを観察するため、木々の影に隠れてじっと観察する三樹康。 その背後から迫りくるのは二体のゾンビだ。 村に降り立ったばかりのころは、ゾンビ狩り改め正当防衛も楽しめたが、狩れども狩れども芸を持たないゾンビばかり。 十数体狩ったあたりで、狩るたびに感じていた高揚は鎮まっていき、作業感が現れてくるのもやむなし、であろう。 種として同格の生物が、知恵を絞って逃げ回り、必死に抗い、怯え、怒り、ときに意を決して立ち向かってくる、 そんな人間たちの生への渇望を圧倒的な暴力でへし折り、摘み取るからこそ人間狩りは面白いのだ。 ゾンビは単純なプログラムで組まれた機械のように、目の前にいる生物を襲うだけである。 そこには生への執着も、心震わせるような慟哭もない。 その駆逐で満足できるのなら、三樹康はわざわざ自衛隊になど入らず、ハトの駆除業者でも選び、 娘にハトさんがかわいそうだよと言われてたじたじとする平和な暮らしを送っていただろう。 もはやゾンビには視線を合わせることもせず、視界の隅に姿だけを収める。 まず直線的に襲いかかってきた若い女ゾンビの首を逆手に持ったナイフで斬り裂く。 そのまま円を描くような足取りで、もう一体のサングラスをかけた女ゾンビに近づき、痛烈な蹴りを腹に叩き込んだ。 ゾンビは身体をくの字に追って地に倒れ、その頭を踏みつぶせばジエンド。 胴に突き刺さった足からの反衝撃が想定以上に小さかったことで、そんな未来予想は少しだけ逸れた。 まるで衝撃高吸収のクッションに蹴りを入れたような感覚だった。 「なんでボディアーマーを着込んだゾンビがいるんだ……?」 襲ってきたゾンビに興味を示す。 これがゲームであれば、場面が進むごとにヘルメットをかぶったゾンビや拳銃を数発撃たなければ倒れないゾンビが出てくるが、 実際の現場で出てくるのはさすがに不自然すぎる。 大柄の女のゾンビだ。 服自体はただの村人にしか見えないが、その肉体は明らかに鍛え上げられており、何らかの訓練を受けたものと推察される。 「ああ、まさかとは思うが、お前がハヤブサIIIか? なら、我らが黒木特務隊員殿は当てが外れてお怒りだなこりゃ」 鍛え上げられたしなやかな肢体に、卓越した判断能力と頭脳を誇る一流エージェント。 もし正気であれば厄介な敵であったろう。 だが、今の相手は目の前の獲物に飛びつくしか能のないゾンビである。 両手を伸ばしてつかみかかってくるだけの女ゾンビの手を取り、まるでダンスを踊るかのように背後へと回った。 重心を崩されたゾンビの身体は力の向かう先を見失い、そのまま地へと倒れ伏した。 十数秒ほど余計に時間を無駄にしただけで、ゾンビが死亡する未来に変わりはない。 頭部をざくろのようにはじけさせたゾンビの肉体がぴくぴくと痙攣する。 哀れなゾンビの亡骸にはもはや興味はなく、情報を求めてその懐をまさぐる。 欲しいのは名刺などの身分を示す何か、あるいはスマホ。 身分証明書はダミーの可能性は高いが、たとえば指令メールがこの混乱の中で無事に残っている可能性もある。 ―――浅野雅。村の雑貨店の経営者、か。 ハズレのようだ。 小さな村に根付く商店の経営者など、村人全員に知れ渡っているだろう。 そんなバレバレのダミーを用意するエージェントなどいない。 では、ただの村人がなぜボディーアーマーなどを着込んでいるのか。 ただのヤクザか、研究所御用達の商店なのか、あるいは研究所お抱えの雇われ特殊部隊か。 「っと、ビンゴだ」 未来人類発展研究所、警備主任。 お抱えどころか、当事者グループそのものを示す身分証明兼カードキーが出てきた。 それと、未だ上着の内ポケットに入っていたスマホ。 いまだ温かいゾンビの指を用いて、強引に指紋認証を突破する。 だが、メールやメッセンジャーは昨日日付の私用のメールばかり。 写真についても、もう一人のゾンビ……雑貨店の店員、浅野唯による死体廃棄写真ばかりだ。 おおかた、マヌケなエージェントが研究所員に見つかり、証拠隠滅のために森の中に埋められていたのだろう。 この写真は、その証拠写真と思われる。 ほか、唯一目を引くのはトンネルの爆破装置の起動用と思われるアプリだが、 すでに崩落したトンネルをもう一度爆破したところで何の意味もない。 何より、電波妨害によってそのアプリ自体が意味を為さない。 もはやこのスマホには価値はなさそうではあるが、いざというときの照明程度には使えるだろう。 指紋認証を解除し、持ち去ることにした。 「それよか、こっちだな」 二つのカードキー。 名札を兼ねたカードキーに書かれたLevel2という文字。 それと、用途不明のカードキーだ。 警備主任という立場から考えれば、十中八九、研究所の出入りにかかわるカードキーであろう。 残念ながら、今チームのミッションは女王感染者の暗殺であり、研究所の調査は対象外なのだが、欲しがる者はいるかもしれない。 たとえば、正常感染者であった場合のハヤブサIIIやその関係者、それを追う黒木隊員、などが有力候補である。 ―――さて、向こうはどうだ? ―――奴さん、朝ご飯は食べ終わったのかね? 双眼鏡にてクマカイを確認する。 少女の姿はどこへやら、今や筋骨隆々の大男だ。 その本体は、もはや原型が分からないほどに無惨に食い散らかされていた。 だが、数秒ののち、クマカイは再び長髪の少女の姿へと戻っていた。 姿は切り替えが効くらしい。 ―――年頃の女の子の食欲ってのは目を見張るものがあるな。 ―――俺ももう少し、家計を見直したほうがいいのかね? ―――あれの食欲は、そういうものじゃないだろうが。 あの身体のどこに食ったものが入っているのか。 異能の発動によって食った肉が消費されるのか、あるいはウイルスの適応によって底なしの胃袋を手に入れたのか。 いずれにしろ、あの少女を放置していれば、この村のゾンビはいずれ全員、奴の腹の中なのだろう。 食事をしていたクマカイは未だ警戒を解かず。 その視線は、木々の合間に身をひそめる三樹康のほうにも一瞬向けられた。 ―――おっかねえことで。 ―――監視はこの距離が限界だな。 距離にしておおよそ150メートル。 拳銃の有効射程範囲のおおよそ三倍の距離だ。 三樹康といえども、この距離で相手の急所を正確に射抜くのは至難の業である。 ―――さて。どうするかね? 毎回姿が変わるとなれば、これは面倒極まりない。 少女――大男を追ったのは、感染者同士の戦いによる漁夫の利のほかにも、 生物を食うことで発動するという異能の確認もあった。 正常感染者にドッグタグなどついていない以上、姿を頻繁に変えられるのは混乱の温床にしかならない。 クマカイは何かを見つけたのか、岡山林業敷地内に積まれた木材の影に身を隠している。 三樹康のいる場所からは見えないが、西からほかのゾンビか正常感染者が向かってきているのだと推察できる。 東から上る朝日を逆光に利用しようというのだろう。 ―――この機に、こいつは始末するか? ―――もう一人が正常感染者なら、なおさら好都合だ。 クマカイの位置。 クマカイの予測移動経路。 襲撃するであろうポイントと、狙撃ポイント。 そこへ到達するまでに必要な秒数と、遮断物の数。 瞬時に計算し、はじき出す。 クマカイ、そしてその哀れな犠牲者の到達を待つ。 ■ クマカイは内心、嘆息する。 人間のメスの振りをして年を取ったオスに近づいてみたはいいものの、結果は予想外……というより、期待外れだ。 人間のオスはか弱いメスを保護するでもなく、コミュニケーションを取るでもなく、いきなり襲いかかってきた。 それも目的は決して交尾などではない。捕食を目的とした襲撃である。 深夜に仕留めたメスからは確かに知性を感じたというのに、 仕留めたオスからは知性のひとかけらも感じなかった。 獣は獣なりに、知恵をまわし、理性と本能とを切り替えつつ大自然を生き抜いている。 知恵も理性も捨てた本能だけのケモノなど、厳しい大自然を十数年にわたって生き抜いてきたクマカイの敵ではない。 ―クマより凶暴、だけどクマとは比べ物にならないほど弱い。 ―イノシシのほうがまだ知恵がありそうだ。 ―ニンゲンも、共食いするのかな? ―それとも、こいつは何かの病気なのか? ―もう少しだけ、様子を見ようか。 思考もそこそこに、本日二度目の食事にありつく。 人間の異様さも気にはなったが、それ以上にどうしても確認しておきたいことがあったのだ。 ぐちゃり、ぐちゃりと肉をはむ。 口いっぱいに頬張った人肉を、喉の奥へと押し込める。 肝臓、心臓、脳。 僧帽筋、肋間筋、大円筋。 脊柱起立筋、腸腰筋、大殿筋。 腹直筋、外腹斜筋、大腿二頭筋。 あらゆる肉を、生命に満ちた臓器を、上から下まで余すところなく腹に収める。 それに気付いたクマカイに湧き上がる感情は、歓喜であった。 比喩でなく、いくらでも食べられるのだ。 60歳の人間の平均体重は70kg弱と言われている。 菅原分蔵は鍛え上げられた巨漢、少なく見積もっても80kgはゆうに超えるだろう。 骨やその内側の肉、脂肪、食事に適さないいくつかの臓器。 それらの重さを差し引いても、可食部分は20kgをゆうに超える。 これはクマの一日の食事量に勝るとも劣らない。 いくら育ち盛りの若いメスといえど、野生児といえど、人間種に過ぎないクマカイが一日に一人で消費しきれる量ではない。 だのに、食べきることができている。 食べても食べても満腹にならない。 永遠の飢餓の呪い……などの大層なものではなく、 食べた肉をまとうという異能の副作用として、腹に収めた肉が消失しているのである。 空腹をスパイスにするか。 飽食による満足感を得るか。 選ぶのは自由だ。 朝日が稜線から顔を出し、村の中が太陽で照らされる。 人間の巣は盆地一杯に広がっている。 このオスのように理性を感じられない、よろよろと歩く人間たちが遠目に見える。 それはイコール、獲物の数だ。 食うも寝るもより取り見取り、まさに幸せの村である。 ―だけど。 それだけじゃ満たされない。 食事は命を頂くこと。 他生物の命を奪い、腹に収めて自らの血肉とすることだ。 それはすなわち、命の征服である。 両親からの愛情を一身に注がれたであろう幼年期。 同世代の子供たちと駆け回ったであろう少年期。 肉体を鍛え上げ、知恵をつけ、一人立ちを始めたであろう青年期。 知恵を生かして、若い世代を導き育て上げたであろう壮年期。 人間一人一人、動物一体一体にドラマがあり、生の彩りと輝きがある。 その生を断ち切り、未来を閉ざし、生の輝きひとつひとつを自らの糧とする。 これが食事であり、捕食という征服行為である。 大自然という荒波に揉まれてきた者ほど美味い。 壮絶な生を送ってきたものほど美味い。 生に執着する者ほど美味い。 舌という器官から取り入れる味覚こそ同じでも、その旨みは比ではない。 自分で苦労して獲った獲物こそ美味しい。 新鮮な食材こそ美味しい。 今は亡き母熊に与えられていた、何の背景も分からないただの肉を腹に収めたときとは比較にならない美味しさ。 僅かな表情の揺れから獲物のバックボーンに想いを馳せ、悔恨と生への執着を断末魔とともに断ち切る高揚感。 これこそが狩りの報酬であり、醍醐味である。 ―それにしても、イヤな感じだな。 村の領域に降りてきてからずっと感じていた、ねっとりとまとわりつくような視線が消えない。 かつて幼いころのクマカイを獲物とみなした巨大なアオダイショウが向けてきていたような、粘ついた視線を覚えている。 昨日、一度湖の南岸から村を眺めていた時に、湖の中から感じた正体不明の冷酷な視線を覚えている。 自身が獲物として狙われているのだ。 視線に気付いたとき、森を行く速度を上げたが、振り切れないまま朝を迎えた。 つかず離れず追い回し、獲物が疲れたところで襲撃に移る。 獲物同士の争いを眺め、勝者も敗者もまとめて収穫する。 クマカイ自身、これまでもおこなってきたことだ。 人間を仕留めた瞬間に現れるでもなく、食事の最中に襲ってくるでもない。 林のほうに目を向けると、その視線は霧散したが、しばらくするとまた感じるようになった。 狩人はずいぶんと慎重派らしい。 ―そちらから来ないというなら、それでもいいけれど。 逸って姿を現した時こそ最期である。 それよりも、今は新たに現れたもう一人の獲物。 まだらの布に身を包んだ異様な姿の人間が走ってくる。 今纏っている男とは明らかに異質。 最小限に足音を抑え、警戒を解かないその様子は、夜闇に紛れ獲物を襲うキツネを思い起こさせる。 先ほどのオスは弱かったが、今度のオスは強そうだ。 「そこにいるのは、分かっています。 隠れても、ムダですよ」 徐行し、足を止め、何かをしゃべるマダラのオス。 この行為を、クマカイは威嚇であると判断した。 両手で持っているのは武器なのか、銃を知らないクマカイにそれはわからない。 けれども、威嚇の体勢に入った獣や虫は例外なく自身の持つ最強の武器を向けてくる。 スズメバチのような毒針が飛び出すか、ヘッピリムシのような毒ガスが噴き出されるか。 いずれにせよ、受けるべきではない。 まずはマダラのオスを倒そう。 布に付着した土や泥はまだ乾ききらず、直前まで激しい戦いをおこなっていたのだと理解できる。 冬の山でしか見られない氷が右手に張り付いているのは異様だ。 少なくとも万全の状態ではない。 一撃で仕留められればそれでいい。 そうでなくとも、息つく間も与えずに猛攻を加えれば勝ちの目は十分にあるだろう。 そして、未だ姿を見せない狩人が気にはなるが、山林に比べればずいぶんと見晴らしがいい。 不意を打たれることはないだろう。 一歩ずつ歩を進めてくるマダラのオス。 徐々に昇りくる朝日、その中央がクマカイ自身に重なる瞬間だった。 爆発的な速度でクマカイはマダラのオス、乃木平 天の前へと踊り出し、襲いかかった。 ■ ハヤブサIIIとの戦いから離脱した天は、追っ手が来ていないことを確認し、30分ほどの小休止を取っていた。 村に降り立った直後のワニ軍団との連戦。 ゾンビ溢れる中での診療所の探索。 そして逃亡者を追う最中での、ハヤブサIIIとの遭遇戦。 たった3時間の間に立て続けに起きたこれらの出来事は、肉体のパフォーマンスを目に見えて落としていく。 任務前にこそ十分な休息を取ってはいるが、以降通常の方法では食事を摂ることはできず、水分の補給すら不可能。 仮眠程度は可能であるが、経口摂取による体力の回復は見込めない。 そして六月の盆地に容赦なく降り注ぐ日光は、防護服の下の肉体から確実に体力を奪っていくであろう。 そもそも、任務は最長で48時間である。 最大のパフォーマンスを丸二日ぶっ通しで発揮するなど、人間という生物である限りは不可能である。 サイボーグである美羽ですら、熱の放出という形での休息が必要だ。 長期戦になると分かった以上、それを見越した行動に切り替えなければならないのだ。 まずはハヤブサIIIの目撃情報の連絡だ。 4時に回収されていくであろうドローンに向け、ハンドサインを送る。 F-3。 ハヤブサIIIとの交戦箇所である。 本部において、山折村全体はA~H・1~8の64エリアに分割されて管理される。 その座標をドローンに向けて指し示したのだ。 自身の経路、そして医師風の男が同行していたという事実より、おそらく診療所を目指していたことは間違いない。 本部からの追加支援と同時に、その情報は真珠にも届けられる。 現在の経路までは想定不可能だが、真珠であれば確実に痕跡を辿っていくだろう。 もっとも、真珠がその情報を受け取れる状況にあるかはまた別の話。 たとえば、分身するクマの群れと交戦するハメになるかもしれない。 情報を受け取れない状況に陥る可能性は十分にある。 そうでなくても、同行者の異能まではハンドサインでは到底伝えきれない。 合流できるのであれば、それに越したことはない。 特に氷使いの異能についてはそれ自身が命取りになりかねないのだから。 (黒木さんは、おそらく南部から村に入っていたはず。 ならば役場のほうに向かえば、合流できる可能性があるのでしょうね) 真珠がハヤブサIIIを追い抜いていることは考えづらく、またわざわざ木更津組のほうからやって来ること考えられない。 東から向かってきて合流できたのであればそれでよし、 古民家群や放送局のほうに行ってしまったのであれば、ヘタに動かず役場周辺でアプローチを待つほうがいい。 気絶(?)したゾンビが商店街の表通りに転がっているが、おそらくハヤブサIIIが対処したのであろう。 余計な遭遇戦が避けられるのであれば、それに越したことはない。 広い林業会社を間近に捉えたとき、東の山の稜線から朝日が昇ってきた。日の出の時刻だ。 この地獄の村の様相とは似つかわない美しい朝焼けが東の空を彩っていく。 暗闇の村に光が差し込み、そして光が強くなるにつれて影も濃くなっていく。 (ん? この影?) 積まれた木材の山によって陽光が遮られ、長い影が天の足元にまで伸びてきている。 その影が、わずかに動いているのだ。 背の高い草の葉などではなく、熱に揺れる陽炎でもない。 何か長いものが木材の間から覗いており、風に吹かれてゆらゆら揺れている。 (髪の毛? 女性の長髪、といったところでしょうか) 逆光になって見えづらいが、確かに10数メートル先の木材の影に何かがいる。 天は銃を取り出し、両手で構えを取った。 「そこにいるのは、分かっています。 隠れても、ムダですよ」 殺害する以上、声をかける意味はないのだが、そうしなければ人間性がどこかに置いていかれそうで。 手をあげて姿を現すか、それともノータイムで攻撃に移ってくるか。 徐々に昇る朝日が目を眩ませる。 瞼を細め、採光量を絞ったそのとき、黒い影のようなものが飛び出してきた。 (またもや子供ですか? いや、だが速い!?) 逆光により、姿は見えない。 長い黒髪を持つ女子と推測はできるが、そこまでだ。 クマカイの口元から未だ滴る血も、ギラギラと光る野獣のような眼光も、天の網膜には届かない。 即座に最大限の警戒網を敷くべきであるという視覚情報が、天の意識に届くのが少しだけ遅れた。 ――パン、パン。 一発、二発。 乾いた音が澄んだ空気に反響する。 放たれた弾丸は一直線に、0.3秒前までクマカイの心臓があった空間を穿つ。 クマカイは最短距離を詰めるのではなく、螺旋のように大きなカーブを描いて迫ることを選んだ。 当初天が想定していた射線からは大きく逸れ、銃弾は当たらない。 カーブを描いて迫りくるクマカイ、銃弾二発を外した時点で互いの直線上の距離は10メートルを切った。 2秒あれば容易に接触できる距離である。 ならばとすばやくナイフを引き抜き、接近戦の構えを取る。 それに呼応したように、急激に天への最短距離を詰めてくるクマカイ。 天は慌てることはなく、カウンターを狙う。 腰を落としてクマカイの挙動一つ一つに注目するも。 (なっ、分裂した!?) どこから飛び出してきたのか、少女とは別に大男が天に迫りくる。 大男は天から見て若干左寄りの上空から、少女は天から見て右寄りの下方から。 上から飛び掛かるものと、下から突き上げてくるもの。 ワニのように分裂する異能者を思わせる、しかし明らかに体格も質量も違う二人の人間。 集中が途切れる。 (男ではなく、皮? 本体は……下側か!?) 大男のほうが皮でできたダミーだと気付く。 だが、どのみち高速で射出される20kgの人肉は立派な質量攻撃である。 この場での『待ち』では大男の肉と皮を避けきれない。 接触までに一秒もない。 地走りのように地すれすれを高速で移動する相手に対し、ナイフによる迎撃は不向きだ。 何より、防護服と下前に飛び出たガスマスクが下方への視界を阻害する。 地面に転がり回避する手もあるが、少女は待っていましたとばかりにキバを突き立ててくるだろう。 右足を軸に最小限の足運びで左回転し、大男の皮を目と鼻の先でかわす。 同時に後ろ回し蹴りの体勢に移行。 回し蹴りというには軌道を外れすぎたその暴力のターゲットは、地面すれすれに突っ込んでくるクマカイの頭部である。 が、それすらを予測していたかのか。 クマカイはさらに速度をあげて前方右斜め前に飛び込み、 毛皮の間に入ったクロスズメバチを引きはがすクマのように、くるくると素早く地面を二転、三転。 その軌道は射出された人肉の真下。 天のローキックの軌道と同じ回転方向、そしてそのちょうど反対側である。 天の蹴りがクマカイの頭を捉えるどころか、背後まで回られた。 さらなる追撃に移ろうにも、クマカイは体中のばねを活用し、がら空きの背中に飛び込み、組みつく。 傍から見ればおんぶをおこなう兄妹のようにも見えるが、強引におっかぶさられる側はたまったものではない。 (狙いは首……いや、マスクか!?) クマカイとの遭遇からたった10秒、天の思考にはっきりと焦りの色が生まれる。 ストラップを付けてしっかりと固定しているとはいえ、マスク自体は素手で着脱可能だ。 これを外されれば、瞬く間に天はゾンビになり、そのまま殺害されてしまうだろう。 ハヤブサIIIと違い、最初から殺る気満々で襲ってきた村人だ、殺す以外に活路はない。 一方でクマカイも決め手に欠けた状況に困惑を覚える。 素肌が出ているならそこを集中して攻撃すればよい。 多少の布があろうとも、ヒグマの毛皮を超える分厚さの布はそうそうない。 ならば耐久性を上回る力で引き裂けばよいだけだ。 だが、マダラのオスがまとった布は咬撃を通しそうにない。 ツメを通さず、ならば歯を通すこともないだろう。 その僅かな思考の隙を縫うように叩き込まれたのは、天の渾身の肘撃ちだった。 「ギぁッッっ!」 脇腹を正確に撃ち抜く一撃である。 天は初めてクマカイに有効打を与えた。 しかしワニ吉との死闘、海衣に与えられた右手の凍結、そしてハヤブサIIIとの接近戦による身体全体への負荷。 これらは高々30分の小休止で回復できるものではない。 特に高負荷をかけられた右手の神経細胞に、脳からの指令は100%反映されなかった。 万全の一撃ならば効果はあっただろう。 此度の一撃は、クマカイを引きはがすには程遠い。 ならばと自ら後方に倒れこむことで、体重を乗せてクマカイの後頭部ごと地面に叩きつけることを狙う天。 防護服の強度に任せた荒業である。 自身の全体重をかけたボディプレスを狙い、足にぐっと力を込める。 だが、それを黙って見過ごすクマカイではない。 クマカイは天の尻を蹴って自らの下半身を引きはがす。 天の下半身を貫くように炸裂したその蹴りは、彼の下半身への力みを妨害する。 しかしながらクマカイの全身が天から剥がれるわけではなく、腕だけはがっちりと天の肩をキープ。 体操選手のように、腕の膂力で全体重を支え、後方へ向かいたがる自身の下半身を腕と腹の力で強引に引き戻す。 その反動を用いて再度、蹴りを炸裂させた。 その力の向かう先は、天の膝裏である。 体幹を前後にぐらぐら揺らされ、強引に膝折れを起こされた天は、たまらず膝を折ってしまう。 天は機転こそ効くが、大田原ほどの瞬時の判断力を有していない。 遭遇からたった15秒、視界外とはいえ、三手もの行動を相手に許してしまい、完全にマウントを取られたことを自覚する。 正面から地面に倒れ込み、背を晒したこの状態で逆転するのは至難の業。 ナイフを入れる暇もなし、そもそもこの襲撃者はそのような隙を与えてはくれないだろう。 死を覚悟した天の耳が、パン、と乾いた音を拾う。 自分は銃を撃っていない。 では何者が? ただちに地を転がってうつ伏せから仰向けの体勢へ。 状況を確認すると、そこにいたのは二人の同じ顔をした少女である。 ぼさぼさの長髪を垂らした全裸の少女が、長髪の少女を盾にしていた。 いや、大男と同じように、人間の肉を射出して盾にしたのだと理解した。 銃弾は寸分たがわず長髪の少女の脳天を貫き、心臓を貫き、 わずかに歪められた軌道でぼさぼさ髪の少女の右の耳輪を貫き、右の脇腹の肉をかすめ取っていた。 クマカイの判断は迅速であった。 天が地に倒れ伏した時、縦長の瞳がカッと見開かれるようなイメージが浮かんだ。 猛烈にイヤな予感を覚えたクマカイは、相手の姿を確認することもなく、まとっていた皮を放棄した。 ほぼ同時に、斑のオスの威嚇と同じ乾いた轟音が空気を震わせ、脇腹と右耳に猛烈な熱さを感じたのだ。 ――勝てない。 そう瞬時に判断すると、工場の建物の影まで全速力で移動して、射線を切る。 だが足音が近づいてくる、斑のオスも起き上がろうとしている。 ならばと真向いの商店街へと飛びこみ、室外機が設置された店と店の間のわずかな隙間に身を滑り込ませた。 クマカイに気付いた一体のゾンビがそれを追うも、ゾンビの体格では隙間に入らない。 残されたのは、人肉と皮の塊――熊田清子と菅原分蔵の成れの果てだけであった。 それもまた、胃酸に溶かされたようにぐずぐずと溶けだし、やがて消失していった。 ■ 「はぁ、はぁ、はぁ……。 助かりましたよ、成田さん」 「お前、ずいぶんいいようにやられてたじゃないか」 醜態、と糾弾するのは容易いが、三樹康自身も下調べゼロで圧倒できる相手だとは思わない。 訓練なら蹴りの一つでも入れてやるところだが、これは実戦だ。 ゆえに、軽い叱責にとどめる。 三樹康の存在自体は、クマカイには気付かれていた。 もちろん、それ自体は承知の上だ。 ゾンビの捕食を観察していたときに視線が交差したのは、そういうことなのだと理解していた。 そのうえで、銃撃は問題ないと判断していた。 ただ、クマカイが襲撃した相手が天だと分かったことで、 多少の無理を押してでも攻撃に移らなければならなくなったというだけのことだ。。 『H K SFP9』のカタログスペックとしての射程範囲は50メートル。 三樹康が発砲したのは、おおよそ80メートルといったところか。 その位置から敵の脳天と心臓を正確に狙える力量は確かなものだが、 捕食した肉を盾として利用してくることだけは想定外であった。 おかげで銃弾は急所を逸れ、手傷を負わせるに留まったのだ。 「まあ、あれは逃げたな。 大方さっきのでストック切れだろうが、ゾンビはいくらでもいる。 また姿を変えて姿を現すだろうよ。んで、だ」 三樹康は商店街を一瞥し、ため息をつく。 そこでようやく、天のほうへと視線を向けた。 「そっちの状況を報告しろ。ずいぶん動きに精彩を欠いてたようだが」 「先ほどのを含めて交戦は四回。人数は五人。確実に殺害したのは一人、生死不明が一匹。そして二回は命を拾った気がします。 どれをとっても、先ほどの相手と同じく、やりにくい相手ばかりでした」 交戦回数は実に三樹康の四倍である。 全員が食人の感染者と同レベルだとすれば、むしろ天はよくやっているほうであろう。 「随分感染者に好かれてるな。 やっぱそこも社交性が大事なのかね?」 「いや、確かに任務ではありますが、矢継ぎ早に猛者が集中するのはあまり嬉しくありませんよ」 「言うねえ。 トンネルの方は丸坊主だよ。 戦果ゼロ、正常感染者の一人もいやしない。 で、森の中に凶暴そうなのが一人いたんで、あれは使い道があるかと泳がせておいたんだが……」 「ああ、なんていうか、すみません」 「世話の焼ける……と言いたいところだが、 まだ一人も仕留めてない俺が言えた義理じゃないんだよな。 ほんと頼むぜ、乃木平次期隊長補佐官殿?」 「その呼び方は勘弁してくださいよ……」 SSOG隊員はそれぞれに特筆すべき強みを持つ。 その観点からすると、乃木平の強みはあらゆる隊員に気後れせずにモノを言えるその社交性となるだろう。 天は博愛主義者である。 殺人自体に悦楽を覚える三樹康とは、思想信条は正反対。 それでいて、後輩から特に恐れられがちな三樹康に臆せず狙撃の指導を乞える時点で、その社交性は特筆するものがある。 真理からは、成田さんめっちゃ怖いんで乃木平さんから一言話通しておいてくれません? と体よくパシられ、 大田原からも飯代と共に、訓練後の新人たちへのフォローを頼まれるほどだ。 大田原にメタメタにしごかれた新人に飯を奢り、口数の少ない大田原の代わりに今日の訓練の真意を伝える役目はだいたい天である。 舌戦において百戦錬磨の官僚や政治家たちを相手取る以上、社交性・折衝力・調整力は必須である。 そういう意味で、天は隊長補佐官候補として、適任といえよう。 もちろん、現場を知らない者の意見など傾聴に値せず、だからこそ現場での実績は必須だ。 甘やかしはしない、だが実力が一段劣ることなど最初から分かっている。 「俺はこれから役場の正面にある雑貨屋に向かう。 しばらくそこに用があるから、お前も来い。そこで一回しっかりと休め。 まだ40時間以上あるってんのに、開始早々ダウンは笑えんのでね」 「申し訳ありません……」 これが訓練中の出来事ならば、胸ぐらつかんで投げ飛ばしてしごくところだが、今は任務中だ。 優先すべき特別任務があるわけでもない。 同じ地域を担当することになった以上、へばった隊員は有無を言わせず休息させるのも仕事である。 三樹康は趣味も兼ねてSSOGに所属しているが、任務である以上、趣味を最優先することは許されない。 「浅野雑貨店。ま、交通の要所だな。ここに銃器があると睨んでる。 少なくとも、防具は確実にある。 村のやつらに奪われて面倒なことになる前に、こっちで潰しとく。 あとは逃がしたやつらの異能を全部話せ。俺も見た分は全部話す。 連中、相当に厄介なようだからな」 「了解しました」 話はまとまった。 二人の隊員は村の入り口の雑貨店を目指し、歩を進める。 ミッションスタートから、もうすぐ五時間。 地獄の任務は、まだまだ長い。 ■ シャッターの閉まった人気のない商店街をクマカイは駆ける。 この村の状況、病か何かが蔓延しているのだろう。 ゆったりとした動きでうろつく冷たい人間は、腹を満たすだけのエモノ。 ただ目の前の相手を襲うだけの、ただの生きた肉だ。 最初に食ったメスのような、熱のある人間の立ち位置はまだ分からない。 あれが本来の人間の姿なのかもしれない。 であれば、あの手の人間は慎重に近づく必要があるだろう。 そしてマダラの人間はきっと狩人たちだ。 あるいは、あいつらが人間達のボスの子飼いなのかもしれない。 強く、油断ならず、そして奴らはきっと腹も心も満たせるほど美味いだろう。 そして、横槍を入れてきた蛇のような目の男。 村に来てからずっとクマカイを追っていた狩人。 ―あいつだ。 ―あいつがきっと一番美味い。 ―絶対に、食ってやる。 【E-4/商店街/1日目・早朝】 【クマカイ】 [状態]:右耳、右脇腹に軽度の銃創 [道具]:なし [方針] 基本.人間を喰う 1.銃創の手当 2.理性のない人間を食う 3.特殊部隊は打ち倒し、捕食する 4.理性のある人間は、まず観察から始める 【F-4/岡山林業敷地内/1日目・早朝】 【成田 三樹康】 [状態]:健康 [道具]:防護服、拳銃(H K SFP9)、サバイバルナイフ、双眼鏡、研究所IDパス(L2)、謎のカードキー、浅野雅のスマホ [方針] 基本.女王感染者の抹殺。その過程で“狩り”を楽しむ。 1.乃木平 天の休息と見張りを兼ねて、朝までは浅野雑貨店を探索。銃器や殺傷力の高い武器があれば破壊 or 没収。 2.「血塗れの感染者(クマカイ)」に警戒する。 3.「酸を使う感染者(哀野雪菜)」も探して置きたい。 [備考] ※乃木平 天と情報の交換をおこなっています。 【乃木平 天】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、精神疲労(小)、手が凍結(軽微) [道具]:拳銃(H K SFP9)、サバイバルナイフ、医療テープ [方針] 基本.仕事自体は真面目に。ただ必要ないゾンビの始末はできる範囲で避ける。 1.朝までの警戒は成田さんにお願いし、しっかりした休息を取りましょう。 2.ハヤブサⅢは黒木さんに任せましょう。 3.あのワニ生きてる? ワニ以外にも珍獣とかいませんよね? この村。 4.某洋子さん、忘れないでおきます。 5.美羽さん、色々な意味で大丈夫でしょうか。 6.能力をちゃんと理解しなければ。 ※ゾンビが強い音に反応することを察してます。 ※もしかしたら医療テープ以外にも何か持ち出してるかもしれません。 ※成田 三樹康と情報の交換をおこなっています。 054.諦めの理由を求めて 投下順で読む 056.パニックハウス 053.山折村血風録・序 時系列順で読む 刹那の夢 クマカイ かつて人だった獣たちへ 追跡者 成田 三樹康 旭日昇天前 対特殊部隊撃退作戦「CODE:Skadhi」 乃木平 天
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/25.html
「はぁ……疲れた」 俺は腰を叩き、大きくのけぞった。ここは提督執務室。 隣には秘書官である加賀さんが立っている。 「呆れてモノも言えないわ」 「ははは…加賀さん、悪いけどお茶入れてくれる?」 「もう入れました」 ドンと机に置かれる緑茶…にしては何か濃すぎる色してるけど。 加賀さんの眼は冷ややかだ。口調もいつもどおりだが、何か非難しているっぽい。 「あ、ああ…ありがと」 「貴方の性欲が旺盛なのは結構だけど…睦月、如月、皐月、文月、長月、菊月、 三日月、望月……あの睦月型姉妹達と何度も何度も…耐久力が低いからといっても限度を考えて」 「い、いやぁ…皆、可愛くて…素直な娘ばかりだし」 「ロリコン、どうしょうもない変態ね。これ明日のスケジュールよ」 「明日?」 「彼女達の催促がしつこいので提督へのお仕置きの意味もこめて受託したの」 「か、加賀さん、このスケジュールは!?」 「睡眠時間を3時間として、複数の艦娘と性交してもらうわ。士気高揚の意味も 含まれているから提督に拒否権はないわ。あと個人的に電報をもらっているの」 金剛=英国産戦艦金剛デース。溜マッテ溜マッテ、限界デス。 提督の濃いLove、私に注いで下サーイ 千歳=もう水上機だけのなんちゃって母艦はいやなんです。 きっと満足させますから、軽空母に改修してください 千代田 =わ、私も!絶対に満足させるから 千歳姉と同じ軽空母にして下さい。千歳お姉、千歳お姉と同型に なると思うだけで、もう手が勝手に…はぁ 扶桑=爆沈させて、もう我慢できない ……最後の扶桑さんだけ内容が短い文、怖い。 欠陥品、違法建築、ジャックと豆の木、ジェンガ、九龍城、垂れ乳 ババア等々、不名誉なあだ名が山ほどある分、日頃のうっぷんがたまっているんだろう。 「加賀さん…体力のない俺にこの艦娘達、その辺りの解決策は大丈夫だよね?」 「もちろんよ」 「待ちくたびれマシタ。私に提督の特濃Love注いで下サーイ」 はあはあと女豹のように俺に迫る金剛さん。英国淑女とは程遠い。 外国産戦艦はなんと淫らなんだろう。 「ご開帳デース!提督、英国産のオッパイどうデスか?」 ぷるんと零れる真っ白なおっぱいは確かにイイ。 その天辺に鎮座している桜色の乳首も素晴らしい お尻も逆さハート型の柔尻。色白の英国のかほりが香しい。 クンカクンカスーハースーハーして頬ずりしたいが何とか押し止まる。 「……もうちょっとお淑やかな方がいいかも」 「何とでも言うデース、シャイな提督ネ。私の騎乗位で昇天ヨー!」 それが金剛の最後の台詞だった。 「どうしたの?金剛さん、落馬しちゃダメじゃないか」 「あひ…はひッ…だ、出し…う、動いちゃ…NO~」 最初の方こそOhOh…come!come!SOgood!と俺の上で 腰を振っていたが、5回目くらいから段々と腰使いが弱くなり 『提督…ちょっとtimeデース、き、休憩ヨ…』 と言いだし結局、落馬。なので馬みたいに立ちバックで種付け。 「どうしたの、もう終わり?」 既に8回は絶頂を迎えたであろう、俺は金剛さんに 埋め込んだまま掻き回した。 「またイ…イク…げ、限界…デ」 金剛さんの痙攣する膣に射精し、自身を引き抜く。 が、それは一向に萎える様子はない。 加賀さんのあのお茶は、かなり強力な精力増強剤だったようだ。 「英国産の金剛さんも言うほどたいしたことないなぁ…これじゃあ 改造や増強の件はなしだね?」 「うっ…無念デス…」 動くたびにお尻の谷間からドロリと流れ出る白濁液。ずるずると床に倒れ 満足に起きあがることもできない金剛さんはふてくされたように言った。 「提督の性欲monkey…腰振りdoll…lowestネ」 「あっあっあっ…提督、提督、私の中はどうですかぁん」 次の相手に水上機母艦の千歳さんだった。千代田のお姉さんだけあって しっかり者でお淑やかな千歳さん。が、水上機を射出するカタパルトをもっている だけあって見かけによらず耐久力はかなりある。それだけに腰使いは激しかった。 「あはっ…素敵です。もっともっと、もっとぉ!て、提督何か飲みますか?」 「もちろん、千歳さんのおっぱい」 「ああッ、は、はい…どうぞ」 ぽるんと飛び出してくるおっぱいを寄せて両成敗。給油も欠かさない。 「あ、ああッ!おっぱい、おっぱいから出てるぅ!ふぁああん」 俺は千歳さんの細い腰を掴み、一気に下から挿入したまま押し上げた。 コツンと奧に俺の先端が当たる。なんて気持ちいいんだろう。 白い背が反り返り、豊満なおっぱいを突き出したまま千歳さんは身を震わせた。 「はぁ…は…はあ…相変わらずお強いですね…も、もう一回、どうぞ…」 ぐったりと俺の胸板に頬を擦りつけ、千歳さんは甘い声で言った。 胸板で潰れるおっぱいの感触が最高だ。普段からは考えられないくらい乱れた千歳さん。 そして4回目の膣内射精の後、大きく胸元をひろげ、おっぱいをさらけ出して 下は捲り上げ、ドッキング部からはトロトロと溢れ出す精液を見ながら 「さぁ、次で5回目ですね。まだまだ頑張れそう……これで念願の航空母艦になれます」 「あああって、提督、そ、そんなに激しくされると…わ、私」 もともと明るく活発な千代田さんは、性交の時に声を出すタイプらしい。 恥ずかしがって、うじうじしてる千代田さんが望ましかった俺は少し幻滅した。 が、提督の決断は迅速さが肝心だ。俺は嬌声を上げる千代田さんを徹底的に犯すことにした。 「出して、提督の精子…の、飲ませて下さい。私のタンクに!提督の燃料で タンクいっぱい、いっぱいにして欲しいのォ!千歳お姉みたいにしてぇ!」 千歳さんより積極的な千代田さんは既に全裸。 四つん這いの格好で俺と交わっていた。元々、そういったM気があるのかもしれない。 年齢に不相応な豊かな双乳が後ろからパンパンと突く度に ぷるんぷるんと揺れおどっている。千歳さんよりも大きいのは内緒だ。 「あっあああっ、提督の提督の大砲に千歳お姉のエッチなお汁が! 千歳お姉の!千歳お姉の!エッチなお汁が私の中に入ってる!あはああ!、 千歳お姉大好き!愛してる!も、もうエンジン爆発しちゃう!!」 びくんびくんと尻を震わせ、これで5回目になる射精を千代田さんに解き放つ。 千歳さんと同じ回数だ。 「熱い…提督のが出てます…提督と私…これなら正規空母並みですよね…ああ、 千歳お姉…」 「あひぃ、もっともっと罵ってぇ!わたひは、わたひは欠陥戦艦でしゅううう!」 一応、超弩級戦艦?とは思えないほどの嬌声を上げ、扶桑さんは乱れた。 色々と溜め込んでいた欲望が一気に吹き出たのだろう。 (思えば修理ドックにオナ禁状態で、整備員にいじくりまわされるどころか 見向きもされず。修理の毎日。それでこの痴態か…むしろここまでくると 逆に引いちゃうな……) 「い、いつもすましてる顔してるけど、エッチなことばっかり考えてる 淫乱戦艦なんでしゅうう!う、裏で出回ってる、エッチな写真!、 私のだけ無くて、あッはああッさ、寂しいのォ!山城や日向、伊勢はあるのにィ!」 「あ、あの扶桑さん…そろそろ出るけど」 「主砲の火力だけは自慢にゃの!防御力と速力たりゃないけろ!欲しいけど! い、いま、いまは提督の西村艦隊!わたひのレイテ湾に突入して欲しいのォォ! 提督で妄想オナッってる雌豚扶桑を爆沈させてえええ!!」 ……ここまで乱れる扶桑さんはかなり危ない。適当に出撃させてストレス解消 させないと何かの拍子に弾薬庫が爆発してガチ爆沈になりかねない。 下半身のアレは未だに強度を保っているが、そろそろ切り上げよう。 「これで最後だ、淫乱扶桑さん、爆沈だ」 「て、提督うううう!扶桑のおっぱいでるでるの おっぱいでるのおおイク、イクッ、扶桑いっちゃいましゅうううう!!」 と、さんざん犯してきた俺だが、 (お、おかしい…い、一向に萎えず未だに勃起している) 執務室に戻って時間が時間だ。 未だに勃起がおさまらないモノは昨夜の睦月達から 「僕達のぶっかけ用でーす」とか「全裸写真だよ」「お尻なんだ、エッチ♪」 「いっぱい使ってね」と渡された写真で抜くか…と考えていた時、後ろから声が掛かった。 「お帰りなさい、提督。今夜の予定よ」 また別の艦娘から誘いがあったのだろう。俺はうんざりとして言った。 「加賀さん…もう今夜は…」 「まだ提督のアソコが勃起したままでしょう?」 「加賀さん?」 「最後の御相手を務めるのは私、正規空母『加賀』よ」 俺は椅子にもたれた背をビクっと反らせた。 加賀さんがジッパーを開き、勃起しているモノを舌でチョロチョロと舐めたのだ。 「申し訳ないわ。薬の量が少々多すぎたようね」 軽い鳥の囀りのような接吻。ゾクゾクゾクと背筋を登ってくる快感に 俺はまたしても背をのけ反らせた。 「ど、通りで……で、治るの…クッ」 加賀さんは俺が言い終わる前にズボンをずり降ろし、下半身を顕わにした。 「ええ、薬が切れるまで勃起が持続し、どうしょうもない程の性欲にかられるわ。 でも、そのままでは赤城さんや蒼龍さん、飛龍さん、それに他の艦娘に被害がでる恐れが あるから私が提督を相手をします。勘違いしないでくださいね、これも仕事ですから」 ガチガチに勃起している俺のモノに舌を這わせ、指先で 鈴口を軽くノックするように指を使う。普段から抜いてくれる所為か、上手い。 俺の弱いところを的確に攻めてくる。 「う……」 「ん…あはっ、猛々しい…ん、ちゅ」 竿に添わせ、歯で軽く甘噛みしながら、唾液を擦りつけ始めた。 「くッ…はぁ!?さ、加賀さ!」 俺は段々と荒くなる息を押さえ、股間に踞る加賀さんの頭部に手を添えた。 「私の顔に、何かついていて?」 上目使いに加賀さんは俺を見た。その表情には微笑が浮かんでいた。 「……くっ…あ…さ、加賀さん…くはっ」 「提督、舌だけでなくこちらも使わせて頂くわ」 加賀さんは着物の胸元を開き、たわわなおっぱいをさらけ出した。 いつもおっとりとしている赤城さんには及ばないが、 白いお椀型のおっぱいの上に申し訳程度についている桜色の乳首。 俺は生唾を飲み込んだ。 加賀さんはその反応に満足して、起立したモノを挟み込んだ。 「うっ…く…ぁ…」 圧倒的な圧迫感に俺は思わず唸った。ぐにゅぐにゅと脈動する 極上の柔乳に挟み込まれる感覚は何とも形容しがたい。 「ん……ピクピクッってしてる……ん、ちゅ…はぁん、ちゅる、にゅちゅ…」 ゆっくりとおっぱいを上下させ、先端が飛び出る瞬間を狙って、 そこを口で責め、裏筋を舌を這わせ、硬く勃起した乳首を剛直に擦りつける。 「ぐう…あっ…さ、加賀さん」 おっぱいを両手で抱えシュッシュッとリズムよく扱き上げる加賀さんの 淫らな性技に俺は思わず天を仰ぐ。隙間なく肉棒を扱く乳肉の猛烈な圧迫感は 昼間の艦娘達にはなかったものだ。 「提督、我慢しないで、面倒だからそのまま出して」 俺が拳を握りしめ、モノがビクンビクンと大きく反応する。それを見て射精の 前兆と悟った加賀さんは扱くスピードを早めた。 「ぐ、うう…も、もう……あああっうっ…ぐう!」 俺がついに限界に達した。それを加賀さんは見逃さず、剛直の先端に 唇を被せた。モノの先端がビクビクと震え、グワッと大きくなると 透明な液がピュッと出され、続いてドロッとした大量の白濁液が加賀さんの口にぶちまけられた。 「ん…はぁんくううっ、はむ…んぐんっんんっ」 唇を深く被せ、手で竿を扱きながら加賀さんは俺の射精を口内で受け止めた。 「ぐ…あ、ああ……か、加賀さ…ンンっ」 腰をガクガク振るわせながら、身をかがめ加賀さんの頭部に手を回し、 腰を突き出す。加賀さんは眼を閉じ、肉棒を舌で絡め取るように動かした。 「うっ…ううう…く…」 ようやく長い射精を終え、俺は萎えた肉棒を加賀さんの唇から引き抜いた。 その口元からとろりと白濁液が垂れ落ちた。 「んぐぐ…ううん…んっんっんん…ケホッケホッ…濃すぎね…ん…ちゅ」 加賀さんは頬に付着した精液を舐め取ると、口を漱ぎ 愛おしそうに俺の唇にねっとりとした唇を重ねた。 「まだ、満足していないわね……こっちを味わって」 加賀さんはそう言って立ち上がると、机に手をつき、スカートをたくし上げ、 お尻を露わにさせた。黒いニーソックスは正規空母ならではだ。 他の艦娘にはない艶ののったお尻に食い込んでいる下帯は何とも淫靡だった。 「提督…私のアソコに魚雷を撃ちこみたい?」 加賀さんは妖艶に笑いながら言った。 「加賀さんの中で俺の魚雷を爆発させたい」 「素直ね……提督、履かせたままでも、引き裂いても構わないわ。 正規空母、加賀を堪能して下さい」 加賀さんはそう言って、さらにお尻を突き出した。 たわわな尻肉がさらにT字の下帯からはみ出し、俺の魚雷を高ぶらせた。 「……加賀さん」 「提督…」 加賀さんは豊満な尻を突き出し、ゆっくりと弧を描いてみせた。 たわわな、それでいてぷりっと引き締まった官能的な女の尻が俺の魚雷を 誘っている。俺は夢遊病者のようにふらふらと歩き、加賀さんの後ろに立った。 盛り上がった尻肉に手の平をあてがい、ぐにゅと捏ねた。指が沈むような錯覚。 きゅっと引き締まった加賀さんの尻は扶桑さんとまた異なった色気がある。 スカートの下で揺れ踊る尻肉を不本意ながらも横目でみていた事や、 風に捲れたお尻を見た時はそのまま襲ってしまいそうな衝動にかられた。 「あ…はっ…提督…手つきが…あっ」 俺は加賀さんの声を遮り、尻肉に頬をあて、太股とつつーと舌で舐めた。 白い肌と黒ニーソックスがまた雄を滾らせる。限界であった。 俺は立ち上がり、下帯の両端に指を引っかけ一気に太股までずり下げた。 その反動で尻肉がぷるんと揺れ踊り、中心がきゅっと締まるのがわかった。 既に下腹部に当たるように反り返っている自身を加賀さんの秘部にあてがい、一気に貫いた。 「ああ…さ、加賀さん…加賀さん…くう…はぁああ」 そして俺は加賀さんの濡れそぼった秘部に後ろから挿入したと同時に腰が 砕けそうな快感が走った。眼下で加賀さんの中に入っている俺の魚雷が 十分に潤んでいる柔肉にくわえ込まれている。 「んんんん…いきなり…あ…か、硬い…」 押し込むとどこまでも沈み、引き抜くと未練がましそうに食らい付いてくる。 さすが古参の虎の子機動部隊の航空母艦だ。 すっかり俺の形を覚え、その形にフィットするようになっているのだろう。 「うう…はっ…んう…ああ」 獣のような後背位での性交。加賀さんの黒髪に顔を埋め、うなじを舐め回し 丸い尻に腰を叩き付けた。ぬぶっという粘着音とぷりんとした尻肉の感触が たまらない。 「あッ…暑いわ……そ、それに…ン、この感触… …ふっ、ゴ、ゴムなしなんて…度胸あるのね」 加賀さんはとろけたような表情で俺の剣突を嬉々として受け入れていた。 「加賀さんの膣中…まとわりついて…締めすぎだ…もう…んあああっ!」 「あはっ提督の…特大魚雷…ンン」 「…あんん…こ、こんな……止められないよ…ぐうう」 「うん…うふ…はあ…提督の…中で大きっく…んんんっ!」 俺は眼を閉じ、背後から加賀さんの零れるような双乳を両手で鷲掴み、 その背に舌を這わせた。つきたての餅のような感触が、 熟した桃のような尻肉が痛いほど雄の本能を刺激する。 「あは…提督…あん…はああ」 「な…何…だい?加賀さんくうう…ん」 「…顔…私に…ん…見せてくださ…提督の顔を…」 加賀さんが妖艶に微笑み、俺と繋がったまま、こちらを向いた。 「あっあっわ、私の…おっぱいどうですか?」 「あ…ああ…ん…はあああ、や、柔らかすぎるよ」 加賀さんのおっぱいの谷間に顔を埋め、猛り狂ったように腰を進ませ スパートをかけた。パンパンパンと拍手のような音が執務室にこだます。 「あッあッあッあッ!」 加賀さんの色っぽい声がピストン運動とハモって聞こえる。 「う…ダ、ダメだ……で、出る…さ、加賀さん」 「うっんんんっ…わ、私も…な、中に…中にいいわ 私に、提督の魚雷で撃沈させ…はっんんんう!」 「あっあっああっく…ううっ!」 指をぐにゅうと加賀さんの豊満な尻に食い込ませ、 俺は一滴も漏らすまいと肉棒を最奧までたたき込んだ。 「で、出る―――うっ!」 「て、提督―――」 絡みつく加賀さんに肉壺が一滴も逃すまいとぎゅううと収縮した。 ボビュッドブッと俺の特濃の白濁魚雷が加賀さんの中で爆発した。 「加賀さん!加賀さん!おっ…おおっ……ん」 眉間に皺をよせ、歯を食いしばって最奥で射精を続ける。 加賀さんの唇を貪りながら、ようやくその射精が終わった。 「はぁ…ああ…爆発してる…すごく濃いの…私の中で爆発してる…」 俺は汗だくになりながら性交を終えると倒れ込むようにファ沈んだ。 加賀さんは机の上で仰向けから、うつ伏せになり、はあはあと息をついている。 捲り上げたスカートから覗くお尻、秘部からドロリとした白濁が太股を伝ってゆっくりと 流れ落ちてくる。 「はっ…はあはぁ…最高…だ…加賀さん」 「はあはあ…具合はよかったようね…提督、まだ治まってないわ、後ろからして」 未だにおさまらない勃起。お尻を突き出す加賀さん。 「も、もうおかしくなりそうだ、エロすぎるよ加賀さん」 乱れた衣服のまま荒い息をつくお尻に欲情した俺は加賀さんの バックからねじ込んでさらに3回ほどイッた。 「は…はあ…な、治った…か」 「提督…悪いけど……そ、そこの小物入れから錠剤を取って」 ソファに横たわる加賀さんの服はかき乱れ、額、顔、頬、鼻、うなじ、胸元、腹部 ありとあらゆるところに精液を付着させ、膣からは未だに精液が垂れ落ちている。 「こ、腰が…あ、上がらなくて……申し訳ないわ」 「無理につきあわせてごめんね、はい、コレ」 加賀さんは小物入れから錠剤を出すと、用意してあった水と共に一気に煽った。 「加賀さん、どこか具合でも悪いの?」 「いえ、これはアフターピルです。提督に用意したアレは精力増強剤でも 特に強力な物で、膣内射精は妊娠する確率がかなり高くなるわ。 昼間の艦娘達には当然、ゴムを使うから問題ないけど、 私は生出しだから……仕事に私情を挟むことはいけないけど、 もし子供が欲しくなったら言って、私の一番、危ない日に生出しして孕んであげてもいいわ 提督の母艦になってあげる。母艦でないと子供を生めないもの」 「……………え?」 顔を赤らめて身支度を始めた加賀さんとは対照的に俺は真っ青になった。 そして後日…… 「これはどういうことかしら?」 「………はい、すいませ―――」 「もう一段追加」 おごッ…加賀さんの往復ビンタを何度も何度も食らい ボロボロにされた後、正座のまま足を縛られた。 そして三角形の木を並べた台の上に正座させられ、 背後の柱にしっかり括り付けられた。これはもしかして江戸時代の 拷問、い、石抱ィ!? 一枚45キロもある石がどんどん追加される。 追加される度に三角の木材の鋭角の稜線が体重で脛に食い込んで…も、もうヤバイ。 「か…がさ…こ、これ―――」 「何枚くらいで生命の危機に及ぶのかしら?」 まず膝の上に乗る石の板は4枚。今、追加されて5枚目。 その加賀さんの手には電報の束があった。 「まずは金剛さんと扶桑さんから電報『この間の生出しで妊娠デス 責任とって戦艦空母に改修ネ、しないと艦砲射撃するデース』 『提督の御子を授かりました。認知して戦艦空母に改修して下さい 認知しなければ私、このお腹の子と海の底へ自沈します』 さらに千歳さんと千代田さんから『先日の営みで姉妹共々で孕みました。 これで軽空母艦に改修決定♪約束は守ってくださいね』と続けて電報がきてるわ」 「だ、だから…俺」 「もう一枚追加」 あががががが、も、もう脚!脚!! 「百歩譲って千歳姉妹はいいとしても貴重な戦艦を戦艦空母に改修? 提督は『気が狂った』『私とは遊びだったの?』『このゲス野郎』『ケダモノ』 と他の艦娘から抗議の電報が殺到してるわ。 特に睦月姉妹からは『氏ね』と2文字だけ。もう一枚追加」 「や、やめてくれ!ほ、本当に悪かった!加賀さん、や、やめてくれ! そ、そうだ!これからは飛行機の時代だから、機動部隊を作ろう!ね、加賀さん」 「そうね、その強化は良い判断ね」 加賀さんはニッコリ笑ってさらに5枚の石板みを用意した。 「あ、あはは…か、艦載機の練度上げた…ず、瑞鶴や翔鶴も―――」 「五航戦の子なんかと一緒にしないで」 ドスン、メリメリメリ………バキ。 おしまい