約 1,243 件
https://w.atwiki.jp/moedra/pages/214.html
お、おじちゃんに逆らうのもなんか怖いし・・・もう少し様子を見てた方がいいかな・・・ 僕は明るい外から半分だけ顔を出して洞窟の中を覗き込むと、今まさに犯されようとしている雌竜の痴態を震えながら見つめていた。 僕に対してもそうだったように、おじちゃんは彼女に対してもそれほど酷いことはしないだろう・・・多分・・・ ズブ・・・ズブ・・・ 「あっ・・・や・・・やぁ・・・」 極太の肉棒に身を貫かれる恐怖と逃げ場のない快感に彼女が暴れる度、おじちゃんのモノが少し、また少しと赤毛の森の中へと沈んでいく。 そしてもはや大声で叫ぶ力もなくなってしまったのか、彼女が切ない顔に大粒の涙を浮かべて喘いでいた。 「あぅ・・・あうぅ・・・・・・」 ハァハァと荒い息をつきながら徐々に突き入れられる肉棒の感触に、憐れな雌竜が成す術もなく身を震わせる。 ジュブ・・・グチュッ・・・ズリュリュッ やがて堪えようもなく溢れ出した大量の愛液がおじちゃんのモノを押し包んだかと思うと、半分ほど彼女の中に突き入れられていた巨根が一気に根元まで小さな膣の中へと消えていく。 「ああっ!」 突如全身を襲った甘美な刺激に、彼女が悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げて勢いよく仰け反った。 「グフ・・・グフフ・・・どうだ、ワシのモノの味は・・・?」 「は、離して・・・離してよぉ・・・お願いだから・・・あんっ・・・」 そう言いながらなおも力なく抵抗しようとする彼女を黙らせるように、おじちゃんがグイッと腰を突き上げた。 その瞬間、外で見ていた僕にも聞こえるほどのブシャッという激しい射精の音が辺りに響き渡る。 秘所の最奥に撃ち込まれたその熱い一撃で完全に逆らう気力を奪われてしまい、彼女がとぐろの上に寄りかかるようにしてクタッとうな垂れた。 「う、うぅ・・・ひどい・・・こんなのひどいわ・・・」 声を押し殺して泣きながら、彼女が小声で弱々しく呟く。 「フン・・・礼儀を知らぬ小娘がでしゃばるからこうなるのだ」 そう尊大に言い放つと、おじちゃんがぎっちりと巻きついていた彼女の体をそっと離してやった。 「まだこの洞窟に住みたいというのなら、わかるな・・・?」 返事のない彼女をその場に残し、おじちゃんがノシノシと外に向かって歩き出す。 それと入れ替わるようにして、僕は恐る恐る洞窟の中へと入っていった。 おじちゃんとすれ違う際にジロリと睨まれたものの、僕に対しては特にお咎めはないらしい。 傷心の彼女を気遣うようにゆっくりと近づくと、くしゃくしゃになった赤毛に覆われた顔が持ち上げられる。 「だ、大丈夫・・・?」 彼女の性格を考えればきつい一言が返ってきそうで僕は内心身構えていたものの、意外にもその口から漏れてきたのは僕を呼ぶ小さな声だった。 「うん・・・ちょっと、こっちにきて・・・」 慰めの言葉も見つけられずに彼女のそばまで近づくと、僕は突然その小さな体にガシッと抱きつかれた。 「あ、ねぇ、ちょっと・・・」 「いいから・・・もう少しじっとしててよ・・・」 戸惑いを隠せぬまま胸に押しつけられた彼女の顔を見下ろしたその時、シクシクという何とも悲しげな嗚咽が僕の耳へと届いた。 「・・・泣いてるの・・・?」 「バカ・・・あたしが泣いてるわけ・・・ひぐ・・・うぐ・・・」 反論しようとして抑えていた涙が溢れ出してしまったのか、俯いた彼女の目の周りの毛がじわりと濡れていく。 まあ、彼女のような若い雌竜があんな目に遭わせられたのでは、泣いてしまうのも無理のないことだろう。 なにしろこの僕だって、あの時は泣きながらおじちゃんに謝ってたくらいなんだから。 「すごく・・・怖かったんだね」 「・・・・・・うん・・・」 僕の体を抱き締める腕に力を込めながら、彼女が意外と素直に頷く。 「あたし・・・どうしてもここに住みたい・・・でも・・・」 言葉を切ると同時に視界の端で赤毛が靡く彼女の尻尾が揺れ、僕の右足にくるりと優しく巻きついた。 フルフルと震えるその体から、胸の厚い甲殻を通してほんのりとした温もりが伝わってくる。 さすがに、彼女はもうあんな目には遭いたくないのだろう。 それでもこの洞窟に住みたいというのなら、毎日とまではいかないまでも定期的にあのおじちゃんから容赦なく慰み物にされてしまうのだ。 だが、もしかしたら彼女を無事にここへ住まわせてやる方法があるかもしれない。 「僕に考えがある・・・おじちゃんが許してくれるかどうかわからないけど、ここに住めるかもしれないよ」 「ほ、本当に・・・?」 初めて出遭った時のような彼女の強がった態度は、いつしか僕へ依存する心の裏へと息を潜めてしまったらしい。 「本当だよ。だから外で待ってて」 「・・・うん・・・」 恐怖と悔しさと情けなさに打ちひしがれていた彼女を促して洞窟の外へと出ると、僕は彼女をその場に待たせて独り湖の辺へと近づいていった。 再び眠りについてしまったおじちゃんをまた起こすのはなんとも気が引けたが、これは僕の説明不足のせいで酷い目に遭わされてしまった彼女に対する僕なりの償いなのだ。 「おじちゃん!ごめん!もう1回出てきて!」 どれほど不機嫌な顔で出てくるのかと内心ハラハラしていたものの、半ば呼ばれることを予期していたのかおじちゃんはすぐに湖面から顔を出して僕を睨みつけた。 「今度は何だ小僧?」 「あ、あの・・・さ・・・彼女のことなんだけど・・・」 おじちゃんを前にしていざ話を切り出そうとしてみると、胸がギュッときつく締めつけられるような緊張感に苛まれてしまう。 「ぼ、僕の洞窟に一緒に住まわせてあげるっていうのは・・・だめかな?」 「フン・・・あの小娘はそんなにワシの相手が嫌だというのか」 その言葉とともにおじちゃんのギロッという鋭い視線に射抜かれて、思わず声の調子を落とす。 「う・・・うん・・・」 躊躇いながらも漏れた正直な返事に、おじちゃんがフゥーッと大きな溜息をついた。 「・・・好きにするがいい」 「え?」 予想だにしていなかったおじちゃんの返事に、僕は思わず聞き返していた。 「あの洞窟はワシが小僧に貸しているものだ。だから、あれをお前がどう使おうと文句を言うつもりはない」 おじちゃんはそれだけ言うと、僕の返事も待たずに再び水の中へと潜っていってしまった。 また交換条件でも出されるものかと思っていたが、無気味なほどにあっさりと話がついて拍子抜けしてしまう。 だがとりあえず、僕はこのことを彼女に伝えるために洞窟の方へ向かって歩いていった。 「ど、どうだったの・・・?」 不安げな面持ちで洞窟の前に蹲っていた彼女は、僕の姿を認めると顔を上げた。 「うん・・・僕と一緒の洞窟にだったら、そのまま住まわせてくれるってさ」 それを聞くと、彼女の顔を覆っていた短い赤毛がまるで花を咲かせたかのようにパッと広がった。 「本当!?ありがとう!」 今度は嬉しさのあまり僕に飛びついてきた彼女の体を受け止めながら、僕はそのフサフサの頭を撫でてやった。 新たな住み処が見つかったという彼女のこの嬉しがりようは、僕にも経験があるのだ。 だが彼女を連れて洞窟の中へと入っていく僕の後姿を水面に顔を出したおじちゃんがじっと見つめていたことに、僕は全く気がつかなかった。 僕の住んでいる洞窟を覗いた彼女は、細枝で作った大きな寝床が地面に敷かれているのを見て感嘆の声を上げた。 「すごく住み心地がよさそうね」 「気に入ってくれて嬉しいよ」 僕がそう応じると、彼女は早速尻尾を左右に振りながら寝床の上へと飛びこんでいった。 そして僕の方へチラリと視線を投げ、短い爪の生えた手で僕を手招きする。 それに引き寄せられるようにして彼女に近づくと、彼女は僕の腕を掴んでグイッと寝床の上へと引き込んだ。 「な、何するの?」 「さっきのお礼、まだしてなかったでしょ?」 彼女がそう言いながら寝床の上で大の字・・・いや木の字に体を広げ、先程おじちゃんに責められた秘裂を僕の前へと曝け出す。 「い、いいの?」 「うん・・・あなたにだったら構わないわ」 快い了承の返事を聞いて、僕は彼女の暖かい尻尾に自分の鱗と甲殻で覆われた尻尾をグルリと絡ませた。 そして左右に淫らに広げられた彼女の足を手で押え、じわりと愛液の染み出した膣の周りをペロリと舐め上げる。 ペロッ 「あんっ!」 こそばゆさと快感がない交ぜになった甘い刺激に、彼女がビクンと体を反らせた。 ただでさえも赤い彼女の顔がさらに紅潮し、切ない視線が僕の方へと向けられる。 ペロ・・・チュパ・・・クチュ・・・ 「あふっ・・・あっ・・・ひん・・・」 舌先が膣の周りを艶かしく這い回る度、彼女がグネグネと身を捩った。 だがそれは決して拒絶の反応などではなく、むしろ逃げ場のない快楽責めを愉しんでいるようだ。 「あ、あんまり焦らさないで・・・よ・・・」 すでに恍惚の表情を浮かべながら息を荒げさせている彼女のか細い声に、僕は自分の肉棒が興奮で固くそそり立っていくのを感じていた。 下半身で熱く疼いている張り詰めた肉棒を抑えながら、いよいよ彼女の中へと舌先をそっと滑り込ませていく。 ニュル・・・ヌル・・・ 「あぅ・・・」 僕はあまり急な動きはしないように気を使ってはいたものの、敏感な秘裂を割って生暖かい軟体が侵入してくる感触に彼女が上ずった声を漏らした。 そのまま動きを止めることなく、舌の根元までもが膣の奥深くまでどっぷりと沈み込んでいく。 そして行き場を失った愛液が抉られた肉洞の間からゴボコボと溢れ出し、僕の舌に甘酸っぱい味を広げていった。 固くしこった肉棒とは違う不思議な舌責めに、彼女が期待と不安の入り混じった表情を浮かべて喘いでいる。 グリュッ 「ああっ!」 ほんの少し舌先を捻っただけで膣壁全体が分厚くザラついた舌でこそぎ上げられ、洞窟中に喜びの声が響いた。 毎夜毎夜おじちゃんとの行為を通して、僕にもある種の経験が積み上げられていたようだ。 元々抵抗する気が無いとはいえ、今なら彼女を僕の思う通りに操れそうな気がする。 次々と愛液を噴き出す膣がグイグイと舌を吸い込んで締めつけるせいで声は出せなかったものの、僕は上気した彼女の顔に視線を送ってその意思を確認した。 そしてこれまで1度も触れなかった彼女の最奥、最も快楽に敏感な小さな突起を舌先で探り当て、ねっとりと時間をかけて擦り上げる。 ズリュ・・・ズリ・・・リ・・・ 「ああ~~~~ん!」 最大の弱点を責め立てられ、彼女が激しく体を仰け反らせた。 そして堪えようもない快楽の波が押し寄せ、彼女を絶頂の縁へと押し流していく。 やがて細長く尖った舌先がその快感の核をシュルッと駆け上がると、彼女は小さな手をビクッと持ち上げて限界を迎えていた。 「は・・・ぁ・・・あ、あなた・・・上手いのね・・・」 息を切らしながら呟いた彼女の言葉に、僕はたっぷりと愛液の纏わりついた舌を膣から引き抜くと笑顔を返した。 「まだまだこれからだよ」 「ウフ・・・そうね・・・今度はあたしだって・・・負けないんだからね」 ゆっくりと身を起こした彼女の目が僕の怒張へと向けられ、その淫靡な視線に背筋をゾクゾクと興奮が駆け上がっていくのを感じる。 外にはすでに煌煌と燃え上がった夕日の手が伸びてきていて、山の稜線に半分だけ身を隠した太陽が静かな湖面に己の姿を映していた。 その洞窟の中に差し込んでくる橙色の優しい光線を受け止めながら、彼女の柔らかい体を上からのしかかるようにしてそっと抱き抱える。 「早く・・・もう待てないわ・・・」 「うん・・・実を言うと、僕もなんだ・・・」 そうやってお互いの間に愛が芽生え始めていることを確認すると、僕はすでに十分すぎるほどに潤っていた彼女の膣へと自らの肉棒をゆっくり、しかし力強く突き入れていった。 グブ・・・グブ・・・ 「は・・・あ・・・」 温かい粘液の海に沈んでいく肉棒に与えられる快感を、この上もない幸福感が何十倍にも増幅していた。 舌を突き入れた時とは比べ物にならぬほど、彼女の体内に響くあらゆる命の脈動が直に僕の体に伝わってくる。 そしてギチギチに張り詰めた雄の侵入を体内に受け入れる度に、彼女が僕の背中を覆った鱗に爪を突き立てた。 快感に声を上げぬように歯を食い縛っているのか、彼女のきつく閉じられた口の端から時折熱い吐息が漏れる。 「く、苦しくない・・・?」 その問に、僕の胸に顔を押しつけた彼女がブンブンと首を振る。 まるで声が出せないほどの激しい快楽の刺激を必死に耐えているかのようだ。 舌などよりも遥かに長く伸びた肉棒の先が膣の最奥の突起を容赦なく突き上げ、恍惚の表情を浮かべた彼女の体から徐々に力を奪っていった。 「あ・・・い、いい・・・・・・」 半ば呆然としたような虚ろな目で僕を見上げながら、彼女が今にも消え入りそうな声を漏らす。 大きく胸を上下させながら呼吸をする度に、肉棒を押し包んだ膣壁が少しずつ収縮を始めていた。 ギュゥッ 「はぅ・・・き、気持ちいい・・・」 彼女にはそのつもりはないのかもしれないが、肉棒の敏感な部分を舐め上げるように肉襞が蠢く度に 例えようもなく甘美な電流にも似た刺激が股間から全身へと流れていく。 「んっ・・・んっ・・・」 だが一生懸命僕を責めようと体を揺らしている彼女の様子に、思わず反撃の意思が顔を出す。 今にも熱い精を吐き出してしまいそうな肉棒にグッと力を込めると、僕は少しだけ腰を引いて思いきり彼女の中を突き上げた。 ズブシュッ 「きゃっ!」 「ふあっ・・・!」 その強烈な一撃でお互いに堪えていたものを噴き出させてしまい、僕は彼女の上に覆い被さるようにして力尽きた。 「ど、どお・・・?すごいでしょ・・・降参する・・・?」 「き、君の方こそ・・・」 快楽に痺れてしまってもはや体もロクに動かせないというのに、僕達は精一杯虚勢を張り合った。 つい先ほどまで朱に染まった夕焼けを映し出していた湖面が天空に輝く無数の星々の煌きを湛え始めた頃、ワシはいつものように湖の辺に仰向けに寝そべって小僧が出てくるのを待っていた。 今日から新しく暮らすことになったあの娘のことは気になるが、小僧のことだ、上手く寝かしつけるなり説得するなりしてすぐにでもワシの所へとやってくるのに違いない。 そよそよと吹きつける冷たい風が湖水に濡れた体を冷やしていくのを感じながら、ワシは満天の星空を眺めてしばし物思いに耽っていた。 「・・・小僧の奴、一体何をしておるのだ・・・?」 ワシはたっぷり1時間ほども湿った土の上で小僧が来るのを待っていたものの、闇に沈んだ洞窟から誰かが出てくるような気配は一向に感じられなかった。 その静寂に流石に痺れを切らして、待ち惚けを食らった己の間抜けな姿に目を向ける。 そして微かな怒りを胸にゆっくりと起き上がると、ワシはなるべく足音を立てぬようにして小僧の住む洞窟へと近づいていった。 洞窟の外からそっと首だけを出して暗い穴の中へと目を凝らすと、水色と赤色に染まった2匹の仔竜達が互いに絡み合っている。 交互に敏感な首筋に舌を這わせ、螺旋状に巻きついた赤と水色と肌色の3色の尻尾がまるで焼石の上のミミズのようにウネウネとのたくっていた。 雌雄の仔竜の雌雄たる部分はしっかりと奥深くまで結合され、小僧が時折腰を振って快楽と興奮を貪っている。 やがて2匹の体にビクッという衝撃が走ると、もう何度目になるのかわからぬ絶頂の調べが燃え上がった互いの筋肉を弛緩させていった。 「う、うぬぬ・・・あやつら・・・」 一瞬頭に血が上り、思わず2匹の間へと飛び込んでいきそうになってしまう。 だが幸せそうな表情を浮かべた小僧と小娘が何やら小声で睦言を呟いてそのまま眠りに落ちてしまうと、ワシは何故だか胸の内に燻っていた怒りの炎がスッと鎮火してしまったのを感じていた。 「・・・フン・・・老いぼれにはもう用はないというのか・・・」 そう呟きながら眠っている2匹を起こさぬようにそっと洞窟の中へと忍び込み、満足げな笑みを浮かべた若者達の顔をしげしげと見つめる。 「この裏切り者が・・・・・・せいぜい幸せに暮らすがいい・・・」 ワシはポツリとそれだけを漏らすと、暖かい空気の満ちた洞窟を後にした。 「この歳になって今更かも知れぬが・・・ワシも、この湖で共に暮らせる伴侶を探すとしよう・・・」 キラキラと輝く星の明かりで埋め尽くされた空を見上げながら、遅まきながら新たに芽生えた決意を空っぽになった胸の中へと注ぎ込む。 そして鬱蒼と木々の生い茂った森の入口までいくと、ワシは洞窟の方を振り返った。 「ワシはしばらく出掛けてくるが・・・留守の間は頼んだぞ、小僧・・・」 どうせ小僧に聞こえはせぬというのにそれを言葉に出すだけ出して満足すると、ワシは新たな花嫁探しの旅へ意気揚揚と出発した。 「あっ!」 翌朝、僕はおぼろげな意識の中で思い出した重大なことに大声を上げて飛び起きた。 「ど、どうしたの?」 その僕の声に驚いたのか、彼女の方も大きな目をパチクリとしている。 「ちょ、ちょっとここで待ってて。すぐ戻ってくるから」 「う、うん・・・」 そう言って彼女をその場に待たせると、僕は慌てて洞窟の外へと飛び出した。 そして湖のそばまで走っていき、いつものように澄んだ湖水の中を覗き込む。 「おじちゃん!おじちゃん!」 あの洞窟に住むために交わした約束を忘れて、おじちゃんはきっと物凄く怒っていることだろう。 僕は一体何をされるのかと内心ひどく怯えていたものの、おじちゃんには謝らなくてはならない。 いくら呼びかけてみてもおじちゃんが湖面に顔を出してくれることはなかったが、僕は悲しげな静寂を保った湖に向かって泣きながら謝っていた。 「ごめん、ごめんよおじちゃん・・・」 だがその時、僕は湿った地面に何やら点々と足跡がついているのに気がついた。 誰かが湖の辺からあちこち歩き回った後、森の中へと入っていったのが見て取れる。 「これ・・・おじちゃんの足跡だ・・・」 僕はしばらく足跡の続いている森の方をじっと凝視していたが、やがて諦めて彼女の待つ洞窟へと戻っていった。 「どうしたの?急に飛び出していったりなんかして・・・」 「ううん、なんでもない。僕の勘違いだったよ」 「そう・・・」 怪訝そうな顔をしていた彼女を何とか誤魔化すと、僕は洞窟の入口で蒲鉾形に切り取られた明るい空の方へと視線を向けた。 おじちゃんは、僕達を置いてどこかへ行ってしまったのだろうか? いや・・・きっとおじちゃんはいつかここに戻ってくるだろう。 何の確証もなかったが、僕は何故かそんな予感がした。 だからおじちゃんが再びあの湖を治めるその時まで、僕がこの縄張りを守らなくてはならない。 「いつでも戻ってきてね・・・おじちゃん・・・」 誰にも聞こえないように小声でそう呟くと、僕は彼女と一緒に笑いながら森へ狩りに出掛けていった。 完 感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/1811.html
嫁の話が出たのと新しい薄い本が良作揃いだったので久し振りに投下。 257重てええええって叫びたくなるぐらい重い依存を目指してみた。 スレチの危険要素も無いと思うんで直貼りで良いと思うんだが。 冬の間。 いつもより少し阿求の風邪が長引くな、と思ったところでその熱が重くなりほとんど起き上がる事さえ出来ない状態が長く続いた。 その熱がようやく引いて竹林の医師から、もう心配ない峠は越したと太鼓判を貰う頃には梅に蕾み生じる時節となっていた。 ようやく布団の上に体を起こして話が出来る程度に回復した阿求は頻りに残念がっていた。 随分顔色が良くなってきたな阿求。 ――ええ。あなたが付きっ切りで看病して下さったからです。ご迷惑をおかけしました。 何を言う。お前が元気になったのだ。その為なら迷惑などであるものか。 ――でも……でも……。私はいつもこんな調子で。 何故泣く。せっかく快方に向かっているのに。 ――だって。だって……。一緒に初詣も行けませんでした……。ほ、他にもっ……いろいろ、あなたと色々しようと、思っていたのにっ 泣き止め。治るものも治らんぞ。 ――だって。だって。 そういう時は快気祝いだな。 ――え? 病で寝付いていた時間が惜しいならその分を取り返すよう楽しめばいい。お前が完全に治ったら新しい着物でも贈ってやろう。それを着て俺と春祭りでも如何か。 ――そ、そんな。ただでさえこの冬はあなたにお世話され通しだったのに受け取れません。 ならばお前からも俺に何か贈ってくれ。夫婦で贈り物を交換するというのも面白かろう。 そう言って笑って見せると萎れていた阿求の顔に柔らかな光が当たったように生気が戻った。 ――……はい。……はい! きっと、きっとあなたに喜んでいただける物を考えます……! お前の快気祝いなのだから俺の事など気にしなくて良いが。 ――いいえ。あなたがお側に居てくださらなければこの身が癒える事はありませんでした。日頃の感謝と……あ、愛を込めて。 そうか。それなら俺も楽しみにしていよう。さ、今夜はもう眠れ。俺も少し仕事を片付けたら休むから。 沈んでいた阿求を元気づけようと適当な事を言ったのだが阿求の喜びようは予想以上であった。先程までとは違う温もりの篭った涙を浮かべる阿求の背中に手を添えてゆっくり布団に向けて倒してやる。 阿求はその軽やかな体重を俺の掌に預けて横たわるまでの間も幸せそうに笑っていた。 ――あなた、あなた。春祭り楽しみにしていますからね。お約束ですよ。 まだ朝に夕に冬の名残を感じるが春告精が春到来を触れ回ってから数日後の事であったから暦の上ではすっかり春なのだろう。 肌を蕩かすような温もりを含み始めた日差しの下、本復した阿求と約束通りに春祭りを楽しんだ。 一冬の間寝込んでいたとなれば勢い阿求の喜びようは大変な物で降り注ぐ陽光の下、春を喜ぶ里の人々の誰よりもその笑顔を輝かせていた。 夕刻になり祭りが終わって帰路についた後もその花のような笑顔は絶える事が無かった。 「うふふ。来年も絶対また行きましょうね」 「楽しんでくれたようで何よりだな」 「はい。本当に楽しかったです。それにあなたがこんな素敵なお着物も下さいましたし……。どうです? あなた。似合っていますか? 」 歩きながら軽やかな足取りでくるり、と阿求は回って見せた。この質問は今日四度目である。 「ああ。似合っている。甲斐ある話で嬉しいぞ」 俺が贈った藤色の着物の袖がくるくると楽しげに宙を舞う。普段の着物も見飽きる事はないが、藤の花の旺盛な生命を写し取ったように溌剌とはしゃぐ今の阿求にはこちらも似合っている。 いつも阿求が付けている花の髪飾りが良く映えるに相違あるまいと選んだ着物だが果たしてその目論見は外れなかった。 この目出度き春の日、幻想の里に椿の花が咲き誇って候。 「このお着物、大事にします。宝物にしますからね。ふふ。あなたが夫婦で贈り物を交換しようって仰ってから私楽しみで楽しみで仕方なくて……すぐに治ってしまいました」 「ん? ああ。そういえば交換するという話だったか」 「もう。忘れてしまったのですか。私からもあなたにちゃんと贈り物をご用意してあるのに」 本当は覚えていたが、生気を取り戻してくれた阿求の姿が胸に迫るようで気付けば間の抜けた答えを返してしまっていた。 「そうなのか。どんな物だ」 「えへへ。とっても素敵な物ですよ。本当はもっと時間が掛かるのですが以前から目ぼしい物に当たりを付けていたのと大急ぎで仕上げて頂いたので何とか今日に間に合いました」 やけに勿体をつけるな。と思っている間に家路を歩き切り稗田家の門前に立っていた。 しかし阿求は屋敷に入ることなくそこで立ち止まり俺の方に向き直る。 「ええと。それで私からの贈り物なのですがここには無いのです」 阿求の奇妙な物言いに首をかしげた。 「それは未完成だというような意味か? 」 「まだ完全ではないといえばそうなのですが……ちょっと持ち運べるような物ではないのです」 まるで謎掛けである。物自体が巨大であったり遠くにあったりするのか、はたまた物体ではなく概念的なものか。 頭の中で当て推量をしていると阿求が俺を促した。 「付いて来ていただけますか。こちらです」 言いながら阿求の足は稗田家の玄関へではなく屋敷の裏手へ向かった。 どうやらその贈り物とやらは野外にあるらしい。 「お足下にご注意くださいね」 どこへ行くのかと思えば阿求は屋敷の裏手に回り人気のない道を辿って稗田家の裏山に入っていく。誘われるままに俺は阿求の小さな背を追った。 稗田家の管理下にあるこの小高い裏山には偶に使用人たちが薪を求める他は立ち入る者もいない。季節によって折々の花や木々が生き生きと咲き誇るが他にこれといって見るべき所無く広くもなければ高くもない。 屋敷の裏手に位置するので便宜上、裏山と言っているが山というより丘と呼んだ方が正しかろう。 しかしその小さな山からの景色でも振り返れば幻想郷の人里の長閑さが良く分かる。秋には黄金色に輝く水田が、今は夕日を照り返して茜色に眩しく疎らな人家からは飯炊きの煙が昇っている。 その煙が棚引く遥か先、春霞の中に深い山々の峰が並び連なっていた。 外界からやって来た俺のような男の目にはあの山々が人跡未踏の深山のように幽玄に映るのだが、あれらですら幻想郷の里人たちには慣れ親しんだ里山である。真の人跡未踏、妖怪たちの山はあれら霞んだ山々の遥か先で太古の姿そのままに猛々しく険しく聳えている。 ここからでは見る事も出来ない。この世界では自然の規模その物が異なるのだ。 そういえば夫婦になる以前、阿求があの視界の遥か彼方で霞んでいる山々を指さして――あの山を三つ超えた辺りまでが稗田家の土地です――と事も無げに言って度胆を抜かれた事がある。 今となっては微笑ましい思い出であるが。 「あなた」 在りし日の思い出を山の稜線に浮かべていると不意に阿求が言った。 「あなたがこの里にいらしてからもう随分立ちますね」 「どうした突然」 俺が答えても阿求は振り返ることなく山道を行く。その足は病み上がりと思えぬほどに速かった。 「いえ……ただ。聞きたくなったのです。あなたがこの里での生活に満足していらっしゃるのかどうか」 阿求の声は冷たく固かった。怒っている、というよりまるで何かを押し殺しているようだ。 「概ね気に入っているぞ。人も妖怪もこの里も。外よりはずっと面白味がある」 「でも外界からいらしたあなたには退屈ではありませんでしたか? 」 「いや毎日充実しているぞ。何もする事がない日はあっても何も感じない日というのが無いからな。外の世界とは逆だ」 「それでも以前いた世界が懐かしくなるのでは? 」 「無いこともないが……さっきから何の話だ」 「私と……」 ふと阿求が足を止めた。何故かその時俺にはその小さな背が更に小さく見えた。 「私と夫婦になって良かったと思いますか? 」 問い掛けと共に阿求は振り返った。その顔は真剣そのものである。 「これからもずっと一緒にいてくれますか? 阿求の奇妙な様子に合点がいった。固い声も表情も、小さく縮こまった背中もこの質問に対する俺の返答を恐れての事らしい。 俺に甘えるのが好きなくせに甘え下手な事だ。全く世話の焼ける妻である。 「ねぇ。あなた? 何か仰って下さい? 」 納得したと同時に少々腹が立った。今更そんな事を不安に思われていたとは。 俺はずんずんと大股で阿求の眼前まで歩み寄った。 「あ、あなた……? 」 気圧されて阿求が一歩下がる。 俺はその肩を両手で掴み思い切り抱き寄せた。 ひゃっ。と胸の中で阿求が小さく悲鳴を上げる。目を白黒させている阿求の耳に口を寄せた。 「当たり前だ。今更離すか」 阿求は暫く俺の胸に顔を埋めたまま固まっていた。が、やがてその体から力が抜けて今度はそのまま、すんすんと啜り泣き始めた。 「良かった……良かった……。あなたにもう嫌になったって言われたらどうしようかって……私……」 「心外だな。そんな事で悩んでいたのか」 「ごめんなさい。だって私お正月だってずっと寝たきりだったからきっとご迷惑だったでしょうし」 「気にするなといつも言っているだろう」 確かに阿求の介護に新年から追われていたがそれを苦と思ったことはない。 「はい……。ごめんなさい。でも本当に良かったです。あなたにそう言って頂けて。これなら贈り物もきっと気に入って頂けると思います」 そういえばそう。贈り物とやらを見に来たのだった。 「もうすぐそこです。こちらへ」 その指示した先に綻び始めた蕾を付けた桜の木立がある。 阿求は涙の滲んだ瞳のまま嬉しそうに笑うと俺を木立の中へと誘った。 「あ。やっと見えてきましたね。ちょっと遠いですけれどこれぐらい人気のない場所の方がいいですよね。静かですし二人きりになれますし」 背の高い桜木に守られるように。光沢を放つ長方形の石柱があった。加えて言うとそれは外界でも幻想郷でも良く見かけるものである。 だがそれがそこにある意味もそれが贈り物だという意図も分からず俺は漠然とした問を阿求に投げかける事しか出来なかった。 「……阿求? これは」 「うふ。何だと思います? いえ。私も少し早いかな? って思ったんですけど。せっかくの機会ですし……えへへっ。思い切って用意しちゃいました」 阿求はまるで手編みの襟巻でも贈る少女のように可愛らしい照れ笑いを浮かべている。 俺は少し目眩がする。 「阿求。もう一度聞くぞ。これは何だ? 」 「もうっ。あなたったら分かっている癖にっ。ふふ。言わせたいのですか? 」 阿求の指が石柱の表面をつるりと撫ぜる。 「お墓です。私とあなた二人だけの」 木立の中を先程までの陽気が嘘のような木枯しが一筋薙いだ。 「稗田家先祖代々のお墓では二人きりになれませんから。四季様のお手伝いが終わった後ならお許しがいただけます。 ねぇ、あなた。素敵だと思いませんか。私たちは死後この下で絶対に誰にも邪魔されることなく永遠を過ごすんです。私たちは霊魂だけになってもずっとずぅっと一緒ですからね。 えへへ、な、なんてさすがに照れてしまいますね」 阿求はまるで――実はあなたに初めて名前で呼んでいただけた日の夜は嬉しくて眠れなかったんですよ――と打ち明けた時と同程度の気安さではにかんでいる。 「御影石で良かったと思いますか。少しありきたりのような気もしましたが、あまり外観に拘るのもどうかと思いまして」 はは。と先ず乾いた笑いが無意識の内に俺の喉から発せられて相槌の代わりとなったが次いで肩がずんと重くなった。 いや。重いなどというものではない。体全体を真っ直ぐこの地に押さえつけられているようだ。まるで阿求の愛の如くに。 この病弱で細身の清楚可憐、純粋無垢なる小さな少女が俺に向ける愛はそれほどまでに重く強い。 「も、もちろん私たちは生きている間もずっと一緒ですし、お墓なんて無くても死後も変わらず一緒ですけれど。 やっぱり完全に外界から隔絶された石の部屋と結界の中で無限の時を寄り添っているんだって考えるととってもロマンがあるじゃないですか。 い、いえ我ながら少し少女趣味だなという事は分かっていますよ? ただやっぱり結婚して何年経ってもそういうお互いを想い合う心をはっきりとした形で伝え合うのは大事な事だって思うんです私。 ふふ、いつもあなたが私にして下さっているように」 そして阿求は自分がどれだけの重さをその言の葉に籠めているのか自覚が無い。結婚前から度々感じることはあった。幻想郷の女たちの、特に阿求の恋愛観は外来人のそれと大きな大きなズレがある。 比べ物にならないほどに重く、密に、苛烈なほど純粋な方向へ。 「私たちが二人溶け合って見下ろすこの山の下でまた新たな御阿礼の子が産まれこの里の歴史を記していく姿。それを先達たる私たちが二人きりで見守っていく……。とても素晴らしい事です」 幻想郷の女たちにとって伴侶は唯一、心身の秘めたる領域を許し得る者。魂ですら躊躇なく曝け出すたった一人。 人妖の別無く伴侶という絆に見出す強さが外界の比ではない。そこを見誤ったり気付かなかったり耐えられなくなったりした外来人が刃傷沙汰に巻き込まれ或いは命を落とす事例が後を絶たなかった。 「ここが私たちの魂の終の棲家。未来永劫の奥都城です」 その中にあっても阿求の愛の重さは人一倍であろうが。 「あ、あの。あなた? お気に召しませんでした……か……? 」 どういう反応を返したものかと物思いに耽っている俺の顔を阿求が不安気に覗き込んだ。 その思いを受け止めなければ阿求の心が壊れかねないと知っているから俺は慌てて誤魔化した。 「いや……気に入った……。ただ、どうせなら桜が満開の時に来れば更に美しい場所であったろうなと思ってな」 「あ、そうでしたか……。でも本当に仰る通りです。私もどうせなら桜吹雪の中でご覧になって頂きたかったのですが……。 春祭りだというのに今年は開花が遅くて……残念ですよね」 その場凌ぎの嘘で阿求は胸を撫で下ろし、その顔から不安げな色が消えた。だが本当に安堵したのは俺の方である。 「そ、それであなた? 墓碑銘に刻む詩を幾つか考えてきたのですが。漢詩と和詩ではどちらがお好みですか? 」 更に。阿求がもじもじしながら差し出してきた紙には幾編かの詩が認められていた。 いずれも流麗にして優雅、古の大家に勝るとも劣らぬ傑作であると思われたが俺は同時に最近阿求の書架に古今の詩集が増えた理由に思い至って、それらの美文が頭の中を上滑りするばかりであった。 ああ。成程。病の床の中でさえ擦り切れるほど何度も何度も詩集を捲っていたのはこういう訳か。 再び乾いた笑いが出た。 「実はもう一つ贈り物があるのです」 「……まだあるのか」 夜も更けた寝室への襖の前で阿求が言った。一瞬身構えたが、あれ以上のものはそうは出てくるまい、と考え気を落ち着ける。 「い、いえ実はお見舞いに来て下さった紫様に贈り物に関して御相談したのですが……もっとお手軽な物の方が絶対良いって強く言われまして」 隙間妖怪の引き攣った顔が想像できる。 「でもその時には既に石材屋さんに頼んでいましたし、やっぱり私はあれがいいって心に決めていたので……。それで二つ贈り物を用意すればどちらへ転んでも喜んでいただけると思ったのです」 八雲紫は最悪の場合、俺があの贈り物に、通俗的な言葉を用いればドン引きして稗田家九代目当主の夫婦仲に亀裂が生じた結果、幻想郷の史記に影響が出かねないとまで先読みしただろう。 胡散臭く見えて意外に苦労人なのだ。 阿求の贈り物に関する意思が文字通り石の如く固いと知った時の八雲紫の苦笑いが目に浮かぶ。 「それで紫様が一緒に選んで下さったのが……それが、そのぅ、これなのですが」 すぅと襖が開くと見慣れた寝所が桜の色に染まっていた。 いつも二人で使う一組の布団が新しいものに変わっている。 「い、如何でせう? お布団を変えてみたのですが……」 見ればその布団の生地はわずかに薄桃色に染められており、それが明かりを照り返して室内が淡い桜色の輝きに満たされるのである。 だが決して目に痛い色ではない。じんわりと肌に温もりを与えるような、気持ちの安らぐ発色である。その桜色より余程、紅に染まっているのが阿求の頬だ。 「い、いえ分かっていますよ。桜色のお布団なんて、ちょっと慎しみに欠けますよね。いえ、違うんですよ。 もう一つ贈り物を決める際にあなたのお疲れを少しでも癒せる様な物にしようと決めたので新しい寝具にしようと思い至ったのですが……。 紫様と一緒に稗田家で贔屓にしている寝具屋さんにお邪魔したところ、お若いご夫婦の売れ筋といえばこちらでゴザいますと勧められまして、 それで紫様も絶対あなたが喜ぶに違いないからって強く仰いまして。それで。つい……」 今度は八雲紫のにやにや笑いが目に浮かぶ。 墓石を贈る等という行為をさらりと行う一方、たかが布団の色一枚でこんなに恥らって必死になって喋っている。 前述のとおり幻想郷の女たちの、特に阿求の恋愛観にはズレがある。そのズレが愛おしく思えるようでは俺もいよいよ年貢の納め時だ。 魅力を増すために女は様々に着飾るものだが阿求は俺のために寝具の色で着飾った。その奥ゆかしい夜の支度。 品良く淡い、におい立つような薄桃の布団と不安や恥じらいで赤みのさした阿求の白過ぎる肌の対比はどんな女の化粧よりも俺の心を熱くした。 「あ、あなた? ちゃんと明かりを消して下さい。せっかくの布団が見えないって……そ、そんな、もう……」 あの桜木の木立の中もこの寝室の桜色も距離にすれば目と鼻の先。大した違いなどありはしない。 生きている間阿求の隣で眠る事が決まっているのと同じように死んだ後、眠る場所も決まっている。ただそれだけの事だ。 その夜は桜桃の園で阿求と蜜月を過ごす夢を見た。
https://w.atwiki.jp/wiki9_alternative/pages/230.html
用語あ か さ た な は ま や ら、わ フォネティックコード(phonetic code) 分類について 用語 あ 作中表記 読み 英表記 分類 備考 艦橋構造物 アイランド island 軍用語 F-15・ACTV アクティヴ・イーグル ACTIVE Eagle=Advanced Control Technology for Integrated Vehicles 兵器 戦術機先進制御技術統合機 仮想敵部隊 アグレッサー Aggressor 軍用語 補助腕 アシストアーム Assist arm 兵器 戦術機の腕 総合電子制御装置 アビオニクス Avionics メカニック レーダー、通信、管制、識別、火器管制等全てを含んだ総合的な電子システム装置 MiG-27 アリゲートル Алигатори 兵器 戦術機 楔参形 アローヘッド・スリー Arrow-Head-Three 陣形 12・5事件 国連軍207戦術機甲小隊 楔形弐陣楔弐型 アローヘッド・ツー Arrow-Head-Two 陣形 甲21号作戦 国連軍特殊任務部隊A-01 楔壱型 アローヘッド・ワン Arrow-Head-One 陣形 アルゴス試験小隊 未確認機不明機 アンノウン Unknown 軍用語 待ち伏せ アンブッシュ Ambush 戦術 敵に発見されることなく偽装して目標を観察し、適時において奇襲を加えるという攻撃 ERA イー・アール・エー =Explosive Reactive Armour 軍用語 爆発反応装甲。T-80UM-1などが着装 F-15F-15J イーグル Eagle 兵器 戦術機 F-15乗り イーグルドライバー Eagle Driver 軍用語 欧州宇宙機構 イーサ =European Space Agency その他 ESA ETA イー・ティー・エー =Estimated Time of Arrival 軍用語 到着予想時刻 英国式 イギリスしき 軍用語 狙撃時の射撃姿勢のひとつ 伊 イタリア Italy 地名 砲撃支援 インパクトガード Impact Guard ポジション 珠瀬 壬姫、柏木 晴子 帝国斯衛軍 インペリアル・ロイヤルガード Imperial-Royal Guard 軍用語 後方危険円錐域 ヴァリネラブルコーン Vulnerable Cone 軍用語 戦乙女中隊 ヴァルキリーズ Valkyries 部隊名 伊隅大尉の戦術機中隊は従来女性衛士のみで構成されていたことから伊隅・--と呼称していた=国連軍特殊任務部隊A-01 F-16 ヴァイパー Viper 兵器 戦術機 鞭 ウィップ Whip BETA 要塞級の触手のこと 闘士級 ウォリアーきゅう Warrior Class BETA 傘壱型 ウェッジ・ワン Wedge-One 陣形 WS-110A ウェポンシステムいちいちまるエー Weapon System 110A 兵器 XG-70のオルタネイティヴ計画内呼称。00ユニットの機能拡張構想の一つ WSO ウェポンシステムオフィサー =Weapon System Officer 軍用語 兵装システム士官 航空支援 エアカバー Air Cover 戦術 空挺作戦 エアボーン Airborne 戦術 機密扇 エアロック Airlock メカニック XG-70のメインハッチ~コクピット間にある隔壁 曲技飛行隊 エアロバティック・チーム Aerobatic Team 戦術機 HSST エイチ・エス・エス・ティー 兵器 再突入型駆逐艦 AH エー・エイチ =Anti Human 軍用語 対人類 ALM エー・エル・エム =Anti LASER Missile 兵器 対レーザー弾頭弾 XM3 エクセムスリー XM3 メカニック 白銀 武が考案した戦術機向け新型OSの量産型向け名称 SES009 エス・イー・エス・ゼロゼロナイン SES009 軍用語 スーパーエリートソルジャー計画中、9番目に生まれたスーパーエリート。ゼロゼロナンバーを持つ最後のスーパーエリート S-11 エス・イレブン S-Eleven 兵器 自決装置等に組み込まれる、非常に強力な爆弾 火器管制 エフ・シー・エス =Fire Control System 軍用語 FCS 二機連携半小隊2機編隊 エレメント Element 部隊単位 =戦術機分隊 主機 エンジン Engine メカニック 通常は「しゅき」と発音されるが、甲21号作戦 プランG内で伊隅が発言 自律制御 オートパイロット Autopilot メカニック XG-70を00ユニット無しで機動・制御を行うプログラム 分解整備 オーバーホール Overhaul 軍用語 開放 オープン Open 軍用語 無線の状態のこと か 作中表記 読み 英表記 分類 備考 誘導路 ガイドウェイ Guideway 軍用語 喀什 カシュガル Kashgar 地名 オリジナル・ハイヴが存在。 荷電粒子砲 かでんりゅうしほう Charged Particle Cannon 兵器 迎撃後衛 ガン・インターセプター Gun Interceptor ポジション 伊隅 みちる、宗像 美冴 右翼迎撃後衛 ガン・インターセプター・ライト Gun Interceptor Right ポジション 強襲掃討 ガン・スイーパー Gun Sweeper ポジション 榊 千鶴、涼宮 茜 起重台座 ガントリー gantry メカニック 背部兵装担架 ガン・マウント Gun-mount 兵器 突撃砲用マウント 軌道降下兵団 きどうこうかへいだん Orbit Divers 部隊種別 作中CGでは「Orvit Divers」。スペルミスと思われる。 散弾炸裂弾 キャニスター Canister 兵器 120mm滑腔砲の砲弾 貨客室 キャビン Cabin メカニック 不知火・弐型 きゅうよんセカンド 94-Second 兵器 戦術機 要撃級 グラップラーきゅう Grappler Class BETA BM-21 グラート Град 兵器 ソ連軍多連装ロケットランチャー 地上要員 グランドクルー Ground Crew 軍用語 門 ゲート Gate ハイヴ KIA ケー・アイ・エー =Killed In Action 軍用語 戦闘行動中における死亡。死亡が確認されない場合はMIA(=Missing In Action)と呼ばれる あ号標的 コア Core BETA 硬隔貫通誘導弾弾頭 こうかくかんつうゆうどうだんだんとう The Penetration Guided Missile - Strengthened The Warhead 兵器 CP コマンドポスト =Command Post 軍用語 指揮所 CP将校 コマンドポストオフィサー Command Post Officer ポジション 涼宮 遙 情報端末塔 コムポスト =Communication Post メカニック COM Post 即応体勢 コンディション・レッド Condition-Red 軍用語 戦闘証明実戦証明済 コンバット・プルーフ combat proof 軍用語 新規装備等が戦闘に耐えうる性能・耐久力等を持つか調査・証明すること。バトル・プルーフとも さ 作中表記 読み 英表記 分類 備考 円壱型陣形 サークル・ワン Circle-One 陣形 12・5事件 国連軍207戦術機甲小隊 噴射地表面滑走 サーフェイシング Surfacing 戦術機操縦 副腕 サブアーム Sub arm 兵器 戦術機の腕 枝坑 サブ・ドリフト Sub Drift ハイヴ 米国諜報機関 シー・アイ・エー =Central Intelligence Agency 軍用語 CIA アメリカ中央情報局 CIC シー・アイ・シー =combat information center 軍用語 戦闘情報センター Tu-22 シーラ Шило 兵器 ソ連軍爆撃機 戦争神経症 シェルショック Shell shock 軍用語 支援突撃砲 しえんライフル Support Rifle 兵器 ロングバレルの狙撃仕様突撃砲 自決装置 じけつそうち Self-Destruction Device 兵器 S-11を用いた、戦術機の自爆装置 統合仮想情報演習システム ジャイブス JIVES 軍用語 噴射起立起動 ジャックナイフ Jack Knife 戦術機操縦 日本人形 ジャパニーズドール Japanese Doll その他 縦坑 シャフト Shaft ハイヴ 電子欺瞞 ジャミング Jamming 軍用語 殲撃 ジャンジ 兵器 統一中華戦線の戦術機呼称 跳躍 ジャンプ Jump 戦術機操縦 跳躍ユニット ジャンプゆにっと Jump Unit 兵器 Su-27Su-27SMSu-37 ジュラーブリク Zhuravlik 兵器 戦術機 短距離跳躍 ショートブースト Short Boost 戦術機操縦 Mi-24MkⅡ スヴィエル・クラカヂール Крокодил 兵器 ソ連軍戦闘ヘリ F-14EX スーパートムキャット Super Tomcat 兵器 戦術機 紅の姉妹 スカーレットツイン Scarlet Twin その他 クリスカとイーニァのタックネーム 艦長 スキッパー Skipper 軍用語 地下茎構造巨大トンネル群 スタブ Stub ハイヴ 操縦桿 スティック Stick メカニック 鋼の槍 スティルランス Steellance 部隊名 帝国本土防衛軍第12師団相馬原基地所属戦術機甲連隊 突撃前衛 ストームバンガードストライクバンガード Storm VanguardStrike Vanguard ポジション 白銀 武、御剣 冥夜、彩峰 慧、速瀬 水月(甲21号作戦時)。桜花作戦の作戦説明時のみ、なぜか香月 夕呼がストライクバンガードと言っている。強襲前衛の間違い? 突撃前衛長 ストームバンガード・ワン Storm Vanguard-One ポジション 白銀 武(横浜基地襲撃時)、速瀬 水月(甲21号作戦時) F-15E ストライク・イーグル Strike EagleStrike 兵器 戦術機 強襲前衛 ストライクバンガード Strike Vanguard ポジション 狙撃 スナイプ Snipe 軍用語 逆噴射機構 スラストリバーサー Thrust Reverser 兵器 逆噴射制動 スラストリバース Thrust Reverse 戦術機操縦 跳躍ユニットを機体前面に展開して急制動・急速後退をかける 偽装縦坑 スリーパー・シャフト Sleeper Shaft ハイヴ 入り口が薄い構造材で閉塞されている枝坑 偽装横坑 スリーパー・ドリフト Sleeper Drift ハイヴ 入り口が薄い構造材で閉塞されている枝坑 安全装置 セーフティ Safety 軍用語 電感 センサー sensor メカニック 戦域情報欺瞞 せんじゅつじょうほうぎまん JTIDS Fraud Measures=Joint Tactical Infomation Distribution System 戦術 戦略航空機動要塞 せんりゃくこうくうきどうようさい strategic HIgh Maneuver AERonautic Fortress 兵器 HI-MAERF た 作中表記 読み 英表記 分類 備考 菱壱型隊形 ダイアモンド・ワン Diamond-One 陣形 12・5事件 米軍第174戦術機甲大隊 F-5 タイガー Tiger 兵器 戦術機 EF-2000 タイフーン Typhoon 兵器 戦術機 吹雪 タイプ・きゅうなな Type-97 兵器 戦術機 不知火 タイプ・きゅうよん Type-94 兵器 戦術機 武御雷 タイプ・ゼロ Type-zero 兵器 戦術機 AL弾頭 たいレーザーだんとう Anti LASER Warhead 兵器 誘導路 タクシーウェイ Taxiway 軍用語 異機種間戦闘訓練 ダクト =Dissimilar Air Combat Training 軍用語 DACT 戦車級 タンクきゅう Tank Class BETA チェックシックス チェックシックス Check Six 戦術 六時方向警戒 随伴機 チェイサー Chaser 軍用語 随伴 チェイス Chase 軍用語 Ka-50 チェルナヤ・アクラ Черная акула 兵器 ソ連軍戦闘ヘリ Su-37Su-37M2Su-37UB チェルミナートル Terminator 兵器 戦術機 MiG-23 チボラシュカ Чебурашка 兵器 戦術機 超水平線砲 ちょうすいへいせんほう =Over The Horizon Cannon 兵器 超直列式電磁場発生装置 ちょうちょくれつしきでんじばはっせいそうち Synchrotron Generator 兵器 奇瓦瓦狗 チワワ Chihuahua その他 タリサのこと CNI つうしんこうほうしきべつ =Comunication Navigation Identification 軍用語 通信航法識別 自走対空砲 ツングースカ Тунгуска 兵器 ソ連軍 TEL ティー・イー・エル =Transporter Erect Launcher 兵器 車載起倒式発射機 DOR ディー・オー・アール =drop on request 軍用語 任意除隊 情報連結 データリンク data link メカニック 試験空域 テストエリア Test Area 軍用語 試験衛士開発衛士 テストパイロット Test Pilot 軍用語 突撃級 デストロイヤーきゅう Destroyer Class BETA 甲板 デッキ Deck メカニック 艦船の 死重量 デッドウェイト Deadweight 軍用語 防衛基準態勢 デフコン =Defense Readiness Condition 軍用語 Defcon 三角弐型 デルタ・ツー Delta-Two 陣形 BETA奇襲 A207小隊 格闘戦 ドッグファイト Dogfight 軍用語 F-14 トムキャット Tomcat 兵器 戦術機 横坑 ドリフト Drift ハイヴ 縦壱型隊形 トレイル・ワン Trail-One 陣形 12・5事件 国連軍207戦術機甲小隊&帝国斯衛軍第19独立小隊 標的機 ドローン Drone 兵器 パイロットが搭乗しない、射撃訓練用の標的機、対レーダー囮弾、偵察機などを指す 増槽 ドロップタンク Drop Tank 兵器 熱帯標準軍装 トロピカル・アーミー TropicalArmy 軍用語 な 作中表記 読み 英表記 分類 備考 近接戦闘用短刀 ナイフ Knife 兵器 米国航空宇宙局 ナサ =National Aeronautics and Space Administration その他 NASA 海軍 ネイビー navy 軍用語 音響欺瞞筒 ノイズメーカー Noise Maker 兵器 AH(対人類)装備 は 作中表記 読み 英表記 分類 備考 垂直軸反転 バーチカルターン Vertical Turn 戦術機操縦 垂直跳躍 バーチカルブースト Vertical Boost 戦術機操縦 T-80UM-1 バールス Барс 兵器 ソ連軍主力戦車 強行着陸 ハードランディング Hard Landing 戦術 画像情報診断プログラム バイタルアナライザー Vital Analyzer メカニック 衛士 パイロット Pilot 軍用語 暴風 バオフェン 部隊名 統一中華戦線・試験小隊名 支援砲撃後衛 バックアップ Backup 戦術 受動 パッシブ Passive メカニック 野外格納庫屋外格納庫 ハンガー Hangar メカニック 鎚壱型隊形 ハンマーヘッド・ワン Hammer-Head-One 陣形 12・5事件 帝国斯衛軍第19独立小隊 硬隔貫通誘導弾弾頭 バンカーバスター bunker buster 兵器 PX ピー・エックス =Post eXchange 軍用語 軍基地内購買。横浜基地では食堂も兼ねる BDU ビー・ディー・ユー =Battle Dress Uniform 軍用語 戦闘服のこと 悪役 ヒール Heel その他 F-16 ファイティングファルコン Fighting Falcon 兵器 戦術機 F-4F-4J ファントム Phantom 兵器 戦術機 感覚欺瞞機能 フィードバック Feedback メカニック 強化装備の機能の一つ 場 フィールド Field メカニック ラザフォード場のこと VLS ブイ・エル・エス =Vertical Launching System 兵器 垂直発射システム 噴射跳躍 ブーストジャンプ Boost Jump 戦術機操縦 跳躍ユニットを使用し、ジャンプを行う機動 反転全力噴射 ブーストリバース Boost Reverse 戦術機操縦 噴射跳躍中に更に跳躍ユニットを使用して戦術機の機動を急激に変化・反転すること(と思われる) 噴射降下 ブーストダイブ Boost Dive 戦術機操縦 噴射滑走 ブーストダッシュ Boost Dash 戦術機操縦 補助加速装置 ブースト・ロケット Boost Rocket メカニック 要塞級 フォートきゅう Fort Class BETA 隊形陣形 フォーメーション Formation 軍用語 楔弐型編隊 フォーメーション・アローヘッド・ツー Formation Arrow-Head-Two 陣形 バオフェン試験小隊 楔参型隊形 フォーメーション・アローヘッド・スリー Formation Arrow-Head-Three 陣形 九-六作戦 ブレード中隊 鶴翼参陣 フォ-メーション・ウィング・スリー Formation Wing-Three 陣形 12・5事件 クーデター軍(帝国本土防衛軍帝都守備連隊) 鶴翼複五陣 フォーメーション・ウィング・ダブルファイブ Formation Wing-Double-Five 陣形 甲21号作戦 帝国斯衛軍第16斯衛大隊 傘壱型隊形 フォーメーション・ウエッジ・ワン Formation Wedge-One 陣形 ジャール大隊 フォックス1 フォックス・ワン Fox-One 軍用語 攻撃時、味方に伝える警告宣言。装備している中で一番射程の長い兵装の使用を示す。自律制御型多目的ミサイル。 フォックス2 フォックス・ツー Fox-Two 軍用語 攻撃時、味方に伝える警告宣言。装備している中で2番目に射程の長い兵装の使用を示す。120mm滑空砲。 フォックス3 フォックス・スリー Fox-Three 軍用語 攻撃時、味方に伝える警告宣言。装備している中で一番射程の短い兵装の使用を示す。36mm突撃機関砲。 CWU-45 フライトジャケット Flight Jacket 兵器 飛行計画書 フライトプラン Flightplan 軍用語 FBL制御 フライ・バイ・ライト Fly by Light メカニック 目隠し機動制御 ブラインドマニューバー Blind Maneuver 戦術機操縦 制圧支援 ブラストガード Blust Guard ポジション 鎧衣 美琴、風間 祷子 強襲支援 ブラストバンガード Blust Vanguard ポジション ジャール大隊 平面機動挟撃 フラットシザーズ Flat Scissors 戦術 12・5事件 クーデター軍(帝国本土防衛軍帝都守備連隊)・国連軍207戦術機甲小隊 光点 ブリップ Blip 軍用語 青9暗号 ブルーナイン Blue Nine 軍用語 完全分解整備 フルオーバーホール Full Overhaul 軍用語 背部兵装担架 ブレード・マウント Blade-mount 兵器 長刀用マウント 緊急脱出 ベイルアウト Bailout 軍用語 Mi-26 ヘイロー Halo 兵器 ソ連軍重輸送ヘリコプター BETA ベータ Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race BETA 正面対峙 ヘッドオン HEAD-ON 軍用語 HQ ヘッドクオーター =Head Quarters 軍用語 司令所 孔 ベント Vent ハイヴ 失速域機動 ポストストールマニューバー Post-Stall Maneuver 戦術機操縦 NOE ほふくひこう =Nap of the Earth 戦術機・航空機操縦 匍匐飛行。地平面・稜線にそって飛行する 広場 ホール Hall ハイヴ 水平噴射跳躍 ホライゾナルブースト Horizonal Boost 戦術機操縦 跳躍ユニットを使用し、水平ジャンプを行う機動。前ダッシュ 白き牙 ホワイトファングス Whitefangs 部隊名 帝国斯衛軍・中隊名 ま 作中表記 読み 英表記 分類 備考 可動兵装担架 マウントパイロン Mount pylon 兵器 銃口炎 マズルフラッシュ Muzzle Flash 軍用語 海兵隊(員) マリーン Marine 軍用語 MLRS マルス =Multiple Launch Rocket System 兵器 多連装ロケットシステム ML機関 ムアコック・レヒテきかん Moorcock-Lechte Drive メカニック 2S19 ムスター・エス Мста-С 兵器 ソ連軍自走榴弾砲 主腕 メインアーム Main arm 兵器 戦術機の腕 主縦坑 メインシャフト Main Shaft ハイヴ 首席開発衛士 メインテストパイロット Main Test Pilot 軍用語 主広間 メインホール Main Hall ハイヴ 地表構造物 モニュメント monument ハイヴ や 作中表記 読み 英表記 分類 備考 ら、わ 作中表記 読み 英表記 分類 備考 突撃砲突撃銃 ライフル Rifle 兵器 ラザフォード場 ラザフォードフィールド Rutherford Field メカニック 打撃支援 ラッシュガード Rush Guard ポジション 主脚走行 ラン Run 戦術機操縦 資源観測衛星 ランドサット Landsat メカニック 再突入殻 リエントリーシェル Re-Entry Shell 兵器 予備機 リザーヴ Reserve 軍用語 最終直線加速器 リニア・アクセラレーター Linear Accelerator 兵器 新人 ルーキー Rookie 軍用語 光線級 レーザーきゅう Laser ClassLaser BETA 電磁投射砲電磁速射砲99型砲 レールガン Railgun 兵器 受容体 レセプター Receptor メカニック 本来は分子生物学あるいは分子生理学上の専門用語 照星 レティクル Reticle メカニック 開発報告 レポート Report 軍用語 露軍迷彩 ロシアンカラー Russian Color 軍用語 帝国軍富士教導隊(団)の機体色 フォネティックコード(phonetic code) ここにあげているのは現実での航空系フォネティックコード。 作中でのフォネティックコードとは異なる可能性が大きい。 また、フォネティっクコードは国によっても方言が多少あり、例えば日本国内ではジュリエットよりもジャパンが好まれズルーよりザンジバルが好まれる。理由は推して知るべし。 作中表記 読み 英表記 日本国内で使われる別表現 A アルファ Alpha アメリカ B ブラボー Bravo ベーター C チャーリー Charile コロンビア D デルタ Delta デンマーク E エコー Echo イングランド F フォックストロット Foxtrot G ゴルフ Golf H ホテル Hotel I インディア India J ジュリエット Juliet ジャパン K キロ Kilo カッパ L リマ Lima ロンドン M マイク Mike N ノーベンバー November O オスカー Oscar P パパ Papa Q ケベック Quebec R ロメオ Romeo レディオ S シエラ Sierra T タンゴ Tango U ユニホーム Uniform V ヴィクター Victor W ウイスキー Whisky X エクスレイ X-ray Y ヤンキー Yankee Z ズルーまたはズール Zulu ザンジバル 分類について 軍用語 軍隊内で使われている用語(実在、作品独自問わず) 陣形 作戦行動時における部隊陣形の呼称 戦術 作戦行動時における戦術の呼称 戦術機操縦 戦術機における操縦技能の呼称 地名 ハイヴ ハイヴ関連用語 部隊種別 部隊の役割を示す種別 部隊単位 部隊を構成する単位 部隊名 部隊名称・呼称 兵器 武器・兵装と、その支援設備や関連機器 BETA BETA関連用語 ポジション 部隊内での役割呼称 メカニック 電気・機械・情報等の技術関連用語
https://w.atwiki.jp/feg2/pages/138.html
/*/ 遥か上空より、青森の大地へと降下した軍勢。 彼らは部隊ごとに集結し、偵察を行って敵部隊の把握へ 勤めた後、戦うために偵察兵の報告した敵部隊位置の 方角へ進軍していく。 その中に、今回新しく実戦に投下されたWD「咆月」を 身に纏った部隊もいた。「咆月」は対アラダ、対絶技を 想定された、精霊回路搭載の最新型WDである。 「咆月」を装備したWD兵達は、敵部隊の集結する土地へ 進軍し、敵部隊と遭遇した。戦闘開始。こちらの攻撃より早く、 敵の攻撃が始まった。攻撃がWD兵達に降り注ぐ。 取れる手段はただ一つ。そう、防御である。ただ防御するだけ では、たいした効果など期待できない。ましてや相手は強大だ。 部隊長は防御のために必要な作戦を記憶から引き出して、部下に伝えた。 作戦 雪上戦闘基本事項 基本的な戦闘行動や戦術は、通常の陸戦とほとんど変わらない。 兵士や車両、機材などの装備に対して十分な防寒対策をとる必要がある。 【地形】 雪山 雪崩に注意し、自分たちが山間、谷間の場合戦闘は避け平原又雪崩の恐れが少ない場で戦闘 囮部隊で雪崩が発生しやすい場所に誘い込む 【装備】 <生身> 重ね着:重ね着することで体を暖められ、さらに必要に応じて脱着すれば体温調節が容易にできる。 帽子の大切さ:頭部や凍傷になりやすい耳を守るため防寒用の帽子の着用を徹底する。 手袋:指が凍傷になったり、金属性の装備の冷たさを防ぐために着用する。 雪上用靴:対雪用のものをえらび、なるべく靴下を取り替えたり乾かしたり履き替えたりすることで足先の凍傷を防ぐ。 氷点下での防水:寒冷地でぬれたまま風に吹かれると低体温症になるので、水につかる場合はかならず防水用の装備をする。 かんじき:雪上で移動しやすくするための靴 スキーストック:雪上で移動する際に足にかかる負担を減らせる 足に唐辛子、指にはクリームや油を塗って保温に勤める。 靴と靴下、肌着と衣服の間など、隙間には新聞紙など紙を挟んで保温と寒気の遮断に努める。 金属の装備に、直に触れない。また、可能な限り金属部分を露出させず、防寒用の覆いを被せる。 防寒具のうち、時に衣類が濡れた場合に即座に着替えられるよう、最低でも予備の着替えを一着は装備する。 氷結した食糧は消化できず、寧ろ失調し下痢など体力低下・戦闘不能の原因となるので、固形燃料などで温めた食事が摂れるようにする。湯を確保できるならカップラーメンでも可。但し、直ぐに凍結するので速やかに配食できる場合以外、食事は無理。 通信機などの機械も、低音や付着する氷雪により機能停止する為、アンテナに電熱装置をつける等、防寒対策を施す。 世界忍者などが防具として鎖帷子を着用する場合は、極寒の地では通常と異なる着用法を行う。事前に暖かい室内などで素肌の上に着け、その上から肌着など着衣を着ける。鎖の網目と肌着の間の空気が体温で温もり、保温性を高める。(通常は、身体の擦過傷や汗による鎖の腐食、極寒時以外は耐え難い篭り熱の為、肌着の上に着ける。) <機械> ゴム部品の取り扱い:ゴムは寒冷地では弾性が失われ、砕けることもあるのでなるべく外気や雪に触れさせないようにする。 燃料の凍結防止:燃料や潤滑油が凍らないように取り扱いには十分気をつける。寒冷地用のものを準備する。 バッテリーの用意:気温が低いと出力が落ちたりするので予備のものを多くもっていく。 稼動時:アイドリングで十分部品を暖めてから動かす。 停止時:エンジンの凍結を防ぐためヒーターを装着したり、シートをかぶせる。 <武器> カバー:小火器のようなものは寒冷地では潤滑油が凍ったり金属・プラスチック部品が壊れたりするので、使わないときは雪や外気に触れないようカバーにしまっておく。 予備のパーツ:壊れた部品が速やかに交換できるように予備のパーツを用意しておく。 外気温への冷却:外に持ち出したときに、武器についた水分が凍るのを防ぐために少しずつ武器を冷やす。 金属変形への対処:撃って熱くなった銃身は雪の上においてしまうと変形したり水分がついてしまうので、扱いに注意する。 照準器の取り扱い:呼吸の際に息を誤って光学照準器にかけてしまうと凍って使い物にならなくなるので注意する 金属が氷点下では強度が低下するので注意。特に、日本刀は簡単に折れる為、要注意。 【体術】 雪が深く積もって堅くなっている急斜面の歩行は、足を大きく雪に沈めて体力と時間に体温を消耗する事を防ぐ為、輪カンジキを利用する。軽金属と化学製品の品でも、古来からの素材の品でも、藩国の国柄に合わせる。 平地や緩やかな斜面の移動には、スキーを利用する。 行軍時の吹雪で遭難しないように、各人がザイルを着用する。 固まった雪を煉瓦の代りに積み上げて戦闘時の陣地や吹雪の時の雪洞を作る為のショベルを携帯する(軍隊装備なら必須なので、言うまでも無いかもしれませんが)。 重量物は、橇で曳く。場合によっては、犬橇を用意する。 外装の色は、雪原に溶け込む白で揃える。 平原なら兎も角、山間部や谷間では雪崩を誘発しない為に、発砲を控える。白兵突撃時の吶喊は問題ないので、盛大に叫ぶ。 敵が雪崩に遭いそうな地形に存在する時には、間合いが遠く此方の砲が寡少の場合でも、先制攻撃を加えて雪崩を誘発させる。 白兵戦の場合、得物を構えるのは野外である点、雪上であるので森林でない可能性も高い点から、構えは右八双に揃える。集団で陣形を組む場合、肩に担ぐ右八双以外は同士討ちの危険が高くなる為。 射撃の場合、立射と伏射を併用し、射撃時にのみ静止する。 待ち伏せの時に、吐息(白くなっている)で露見しないように呼吸は深く緩やかに。 蹴り技は足許が雪上なので、出来るだけ使わない。 握り拳の拳打よりも、手刀を用いる。場合によっては、掌を相手に重ねて体移動の打撃で内臓に衝撃を伝える。 ≪市街地≫ 道路が整備されており、速やかに部隊展開が出来る 街路や建物を背景として敵の姿を確認しやすい。 隠蔽や防御に使える建築物がたくさんある。 放置されている車両に身を隠せる。 建物の中や、屋根の上で身を隠せる。 移動するときは常に建物の壁を背にして敵から見えにくい位置を取る。 建物の中に敵が潜んでいることを警戒し、身をかがめながらすばやく通過する。 建物が壊れているので、瓦礫の山に身を隠せる。 見慣れている風景なので異質な存在である根源種族は見つけやすい 市街地詳細地図の存在による敵の侵攻経路・展開等の予測 大規模な軍隊(根源種族)は市街地では侵攻展開速度が比較的鈍る 市外には下水など地下の通路が発達しており、歩兵には移動、伏撃、包囲、離脱など様々な局面で有利である。 入り組んだ路地は大型の平気には邪魔でしかない為、歩兵には攻防共に有利である。 屋内や狭い道では素早く接近でき、また距離を離されにくい 攻撃班は市街地であることを利用し、敵を狭い路地で攻撃。攻撃面を限定することで、数の不利をカバーする。 ≪市街地・歩兵系≫ 下水道や建造物内部を使って敵の側面へと移動できる 市街地での狙撃には主にアサルトライフルを使う。 市街地では機関砲は主に制圧射撃に使用し、なるべく高い場所から撃つことで効果的である。対空対地に使えフルオートも可能な歩兵携行装備では最強の装備。 建物などの遮蔽物を利用した待ち伏せで近距離から迫撃砲や火砲による強力な砲撃を行える。 手榴弾やグレネードランチャーは狭い路地や建物内部などで効果的である。 対戦車兵器は屋根の上などの高い位置から射撃することで命中率をあげることができ、さらに装甲の薄い上部を狙える。 狭い場所で対戦車兵器を使うことで、破壊した建物の壁などが破片のように飛び散り敵を無力化できる。ただし、後方爆風に気をつけ、ヘルメットや耳栓をする。 動かない人造物が多いので銃を固定すれば高い精度で連射しやすい 市外には下水や路地など隠蔽された通路が発達しており、歩兵には移動、伏撃、包囲、離脱など様々な局面で有利である。 入り組んだ路地は大型の兵器には邪魔でしかない為、歩兵には攻防共に有利である。 ≪全般≫ 攻撃の的にならないよう、稜線や丘の上などの高所をさけ、低地を移動する。 地形地理や自然条件、建築物などを盾や目くらましとして使い、防御・回避を行う 予め攻撃が来る方向を予測しておき、遮蔽になるであろう物を見つけておく。 凹凸のない場所はなるべく避ける。 【装備】 ≪全般≫ 銃身への迷彩:草原、森、砂漠などの地形に応じて銃身にカモフラージュペイントを施すことで周囲の背景にとけこんで目立ちにくくなる。 迷彩によって距離感を狂わせる 発煙弾、閃光弾を発射。敵の視界を奪う。 ≪歩兵≫ イヤマフを耳に装備し、銃撃時に発生する射撃音から耳を保護する。 ヘッドセット(ゴーグルつき):頭部を衝撃や銃弾から防御するとともに、小型無線機や小型ライト、ナイトビジョンを装備する。 無線機:長距離通信や、高速データ通信が可能なものを使用して連絡をとりあい、部隊間・部隊内での状況把握や連携をスムーズにする。 双眼鏡・目標距離測定装置:目標の正確な位置を測定できる。 プレート入りの防弾ベストによる高い防御性能 煙幕手榴弾によって敵の視界を妨害 迷彩服着用、フェイスペイントをしておく。 ≪WD≫ WDの装甲と人工筋肉、繊維装甲フレーム贅肉内部機器などなどによる防御 WD装備であるシールドによる高い防御性能 WDの各種センサー系を利用しての敵攻撃の観測 【陣形】 敵の攻撃を集中させないようにできる限り広く分散する。 四方八方にちらばることで間隔をできる限り広く取る。 分散移動することで敵の照準を絞りにくくする。 有視界内では仲間との連携をブロックサインで密に取る。 【体術】 ≪全般≫ レーザーを防ぐために煙幕や土煙を利用する。 相手が攻撃してきた際は体全体を攻撃線からはずすようにして防御する。 回避するときは常に建物の壁を背にする。 遮蔽物や塹壕、地面のへこみなどを利用して直接敵の攻撃をくらわないようにする 各員が常に情報リンクする事で、敵情報を速やかに伝達し、回避がスムーズにできる。 防御に使える物は全部使い、伏せの可能不可能に関わらず身を限りなく低くする。 敵の射戦に対して、90度に移動するようにする。 敵に対して装甲の厚い面を極力見せるようにする。 防御するため、しっかりとした足場を立ち回れるようにする 敵に接近して走り回ることで相手の視界から見えなくなり反撃を防ぐ 部隊員と死角を補い合う 力みすぎないよう心がける(動きに柔軟性がなくなるから) 相手の勢いや距離、間合いを意識する 自分にとってベストの間合いで戦うことを意識する 気を抜かず、最後までしっかり防御に集中する 即座に行動できるよう自身の姿勢を意識し、常に維持する 敵の攻撃を回避する時はただ後ろに下がるのではなく斜め前方か後方に移動して回り込みすぐに反撃できるように体勢を整える。 敵の目の動き(赤い光の動き)から回避動作を選択する 夜目の効く猫妖精・鼻の効く犬妖精に判断を仰ぎながら戦う 視界が不良でも、オペレートによって位置情報を連絡してもらうことで、統率の取れた防御動作が可能となる。 敵の挙動をつぶさに観察し、少しでも不審な動きをすればすぐに回避行動を行う 望遠ズームやセンサーを最大限駆使し敵情報を速やかに得ることで回避がスムーズにできる。 不正規機動(重心を揺らしてふらふらと移動する)で、予測射撃を防ぐ。 歩兵はI=Dも利用しつつ防御 シールドを使って防御 シールドを斜めに傾けることで 受け流す効果も発生させる ≪対白兵防御≫ 相手の攻撃が来た場合、銃や杖、刀など手持ちの装備を使って防御する。 攻撃の軌道を見極め上段・中段・下段の防御を使い分ける。 攻撃を受けても動きが止まらないように受け流す 一度に攻撃されないように一対一を繰り返すように立ち回る ≪対爆発防御≫ 敵の爆破系攻撃時には遮蔽物の陰に伏して耐衝撃姿勢を取る (爆破系攻撃に対して)衝撃で鼓膜を破られないように口をあけておく 《対詠唱》 魔法を分散させて当てる事で敵の動きを止める 理力使い部隊により、相手の理力攻撃・詠唱戦行為を妨害、拡散させて防ぐ。 敵が先ほどにこちらの理力攻撃を止めた姿を見ている。実例が目の前にあったので、対処方が全く無いわけではない。 先ほどの詠唱戦行為に使った魔法陣を防御に転用、そのままぶつけて相殺する。 理力使い系のアイドレスが理力障壁を展開し、敵の攻撃を僅かでも防ぐ 風を追うものの能力により、敵の技を無効化する 前方に詠唱によって防御壁を展開する ≪オペレータとの連携による防御と回避≫ オペレーターからの情報で敵の陣形が判っており、敵攻撃の弱い方向へ移動する オペレーターからの情報で敵の種別が判別しており、敵の攻撃に関する情報がある オペレーターからの情報で敵の移動ルート及び移動速度が判別しており、最適な回避・防御行動が取れる オペレーターからの誘導で、火力を展開するのに適切な配置が行われている オペレーターからの誘導と地図から、最適な移動ルートがとれている 地形情報のオペレートをうけることで、隠蔽がとれる地形が判っている 地形情報のオペレートをうけることで、安定した射撃姿勢が取れるポイントが判っている 会話をすることで緊張をほぐせる その作戦を各自記憶にしっかりと叩き込ませ、防御体勢を取る。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 (歩兵防御:あやの 再利用イラスト) #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 (歩兵防御:あやの 再利用イラスト) 「咆月」は、これまでのWDに比べて装甲が二倍の厚さとなって いる。さらに装甲表面及びインナースーツに搭載された精霊回路 によって、絶技を受けた時、破壊される代わりにその効果が 着用者に及ぶのを防ぐのだ。 その代わり、士族・藩王・摂政しか着用することができない。 しかし、今回「咆月」を着用しているのは、高位西国人の士族達 ばかりである。その能力は高く、当然防御力も高い。 しかし、圧倒的な敵の数に押され、内心で気圧されていた。 その彼らを励ます声が、聞こえてきた。 * RP その声に自らを奮い立たせ、防御体勢を維持するWD兵達。 そう、此処で負けるわけには、倒れるわけにはいかないのだ。 サーペント@FEG : 「みんな遮蔽物に身を隠すんだ!」 たぐ@FEG : 「いくら咆月とはいえ直撃するわけには行きません!皆さん、隠れてやり過ごしましょう!」 周船寺竜郎@FEG : 「ビルの影に隠れるんだ!!」 周船寺竜郎@FEG : 「(シールドを構えて)ここで耐えずにいつ耐える!!」 サーペント@FEG : 「最低でもツーマンセルで互いのシールドを重ねて防御力を倍にしよう!」 とよのか苺@FEG : 「当たらないのが一番!隠れます」 左木@FEG : 「キャー、顔はやめてー。しっかり身は潜めます」 あやの@FEG : 「隠れます!」 とよのか苺@FEG : 「切り抜けて、みんなで生きて帰らなきゃ」 ジャイ@FEG : 「ビルやら木やらあるでしょうから、それを使いましょう」 サーペント@FEG : 「みんなで耐えてみんなで生き残るぞ!」 周船寺竜郎@FEG : 「ここは耐える!だが、必ず反撃してやる!!!」 広瀬都@FEG : 「人の柔軟性を活かせるのを忘れないで上手く避けていきましょう」 たぐ@FEG : 「シールドで体を庇いつつ避けましょう」 あやの@FEG : 「皆で生きて帰りましょう!待ってる人がいるもの!」 周船寺竜郎@FEG : 「耐えられなくなったら、避ける!!避けられなくなったら、耐える!!」 イクト@FEG : 「うわッ、シールドで防御!!」 広瀬都@FEG : 「直撃さえ食らわなければ弾ける攻撃もあるから、冷静にね」 周船寺竜郎@FEG : 「了解!!冷静に冷静に。」 左木@FEG : 「避ける。避ける。よけ藩国さんから学んだもんね」 とよのか苺@FEG : 「怖いけど、眼を閉じずに攻撃をよく見極めないと」 たぐ@FEG : 「落ち着いて、攻撃を見極める……」 あやの@FEG : 「冷静に。了解です。」 サーペント@FEG : 「データリンクで攻撃を予測しよう!全弾回避しよう!」 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 (歩兵防御:あやの 再利用イラスト) * 敵の攻撃が降りかかる。 「――――過激な歓迎ですねぇ。せっかく時を越えて参上したって言うのに・・・。」 「いやー、だから迷惑がられてるんだと思いますよ(苦笑)」 咆月装備であるシールドで攻撃を防ぎながら、 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 (歩兵防御:とよのか苺 再利用イラスト) 雪国は視界が悪い、そのため攻撃の命中率は下がる。 敵の猛攻を受けながらWD部隊は的を散らす為に散開する。あるものは建築物を盾に、またある者は凹凸の地形に身を隠し、またある者はWD咆月の装備であるシールドで身を隠していた。 新しいWD咆月の性能は当社比で約二倍であり、当然装甲も飛躍的に向上している。そのうえ新しく製作されたシールドも装備されている。 「あの(大気圏突入)恐怖を乗り越えて、ここまで来たんだ!!こんなところで敵の功撃なんかに負けてられないんだ!!!」 「よく言った!!男だぜ!!!!」 刹那、爆音が隣りから発生する。 「―――――――敵の照準が正確になってきている?。」 「相手もバカじゃないって事ですね。天候が良くなっていますし」 シールドも建築物も無限の攻撃に耐えてくれるわけではない。視界に慣れてきたのか敵の命中率が上がってきている。 そうと分かれば判断は迅速にすべきだ。無線で情報をやる取るすると今度はWDの機動性を活用し攻撃の回避に専念し始める。 そして、敵が我らを見失えばまた、建築物やシールドを利用しての防御へと切り替える。 /*/ 敵の攻撃の手が緩まり始める。ようやくこの時が来たか? 何も彼らがこの地に降り立ったのは攻撃を受ける為でも、避ける為でもない。 勝ちに来たのだ。勝利を、笑って終われるエンディングを、勝ち取る為にここまで来たのだ。 ―――――――――――――――反撃の時はもうすぐだ。 SS:かすみ 作戦:作戦ライブラリ切り出し作業 周船寺竜郎 編集、ページ作成:高渡&川原
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4240.html
541 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 01 50 ID bD+MbxpG キュルケの部屋は甘い匂いがたちこめていた。香水がいくつも 混じりあったような香り。 「――お久しぶりね」 「う、うん。顔はよく、合わせるのにね」 「そうね。二人っきりで会えるなんて、いつ以来かしら」 久方ぶりに見るキュルケは、縦のプリーツとたっぷりとした ドレープ使いの、まっさらなブラウスだけを着てベッドの上に 半身を起こしていた。天然の巻き毛をかきあげて、ふらふらと 起きあがる。 才人は部屋に一歩踏み込んだところで、オロオロしていた。 一発で部屋の妖しい雰囲気に飲まれてしまったのだ。 キュルケはその手をそっと取ってやると、透ける楕円ぎみの 薄茶の乳輪を、ことさら才人に見せつけるように二の腕使って かき合わせ、その谷間に導いた。 「あたしの情熱、ようやく受け入れてくれる気になったのかしら」 才人はなんとも答えようがなくて、ぎこちなく笑みを浮かべた だけだった。 「……いらっしゃいな」 キュルケは才人の腰に手を回すと、ベッドの上に促した。 シーツは真新しく皺ひとつなく、キュルケが今日はひとり寝 だったことを物語っている。ベッドの頭部とナイトテーブル には、ゴールドのごてごてしいチェーンやネックレスや、その 他なんだかよく分からないアクセサリがたくさん散らばっていた。 ベッドの縁に腰掛けさせると、キュルケは才人を後ろから 抱きすくめた。豊満な胸に頭ひとつまるごとうずめられて しどろもどろの才人に目を細めて笑うと、手早くベルトを 解きにかかった。 真上を向いて自己主張する海綿体を愛しそうににぎって、 キュルケはふふ、とまた笑う。優艶な含みのある笑いである。 昨日からあれだけの目にあって一度も放出していない才人は、 キュルケに握られて、それだけでたまらなくなった。 542 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 03 41 ID bD+MbxpG 「あ、あの、キュルケ、俺あんまり持たないかも」 「みたいね。ほら、もう、先っぽから沢山出ちゃってるもの。透明なのが」 キュルケのやさしく自信に満ちた手つきが才人の亀頭のてっぺん、 尿道口をじわじわと刺激していく。 「う、うわっ、待って、ヤバいって」 「いいのよ――このぶんだと、ずいぶん我慢してたのね。かわいそうに」 キュルケはやわらかく全体をグリップすると、慣れた手つきで 上下にシェイクし始めた。安定した強烈な刺激に、才人はあっと いう間に昇りつめていく。裏筋を親指全体で巧みに絞り、枉げた 中指で笠の出っ張りをこすこすとやさしく刺激し、竿全体をやや きつめの握力でしっかりと掴み、ねっとりと情熱的にコスって いるのである。 才人はそれでも耐えた。技巧をツボから外そうと尻の肉を逃が していると、それもキュルケに感づかれた。 「我慢なんか、しなくてもいいのよ。二度目もすぐに立たせて あげるわ」 ぎゅむ、きゅむ、きゅ、ぎゅむと、キュルケは握る手に 変則的な圧力をかけた。それがひき金になって、才人は とうとう頂点に達した。 「う、あ、――だめだ、キュルケ、俺、もうッ!」 「いいの、いいのよ、楽になっちゃっていいの――」 女の子のように何事か呻き、身を震わせながら、才人は 大量に吐精した。ぶる、と最後におおきく武者震いをし、 どくん、と打ち止めの玉を放つころには、キュルケの指の 間から白い澱がつうっとしたたるほどの量になっていた。 「すごい。これだけで妊娠しちゃいそうだこと」 掌に溜めた精液をとろりとぼろきれになすりつけながら、 キュルケは呆れたように耳打ちする。 「ごめん、いままでずっと、我慢してたから」 「ふふ、なんとなく分かるわ。どうせ、ルイズがあなたを 中途半端にして追い出したんでしょう?」 追い出したのではなく、才人が勝手に怒って出てきたの だが、才人はあいまいに頷いた。 「怒らないでやってちょうだいね。生娘が気まぐれなのは、 仕方のないことなのよ」 「でも」 才人はすっきりした頭で反論する。ふつふつとたぎる不満を もすべて吐き出してしまいたくなっていた。 「あいつ、自分から誘っておいて、結局嫌だって」 「まァ。あのお子ちゃまが、自分から」 キュルケはくすぐったそうに笑う。――才人の耳もとに ぴったりと唇をよせて、低い声で笑うキュルケは、それだけ でどきどきするほど色っぽい。 「分かってあげて。あの意地っ張りには、それが限界だったのよ」 「でも、毎回我慢するこっちの身にも――」 「初めてなのよ。怖いのよ。ましてそれがルイズなら」 544 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 05 09 ID bD+MbxpG 「……なんだか、妙にルイズの肩を持つんですね」 才人がいじけて言うと、キュルケはその頭を胸の奥深くへと うずめてやりながら、 「そうね。あの子は鼻持ちならないけど――でも」 才人の耳を軽く噛んだ。ちゅ、と鳴らした唇が、いやに耳の 中で響いて艶かしい。 「わたしにも、初めてのときはあったから」 同情しちゃうのよね、と、キュルケは、ほとんど息だけで囁いた。 「どんな風だったの?」 「気になる?」 「うん」 「ふふ。妬いてくれるのかしら?」 「はは、そうだね、キュルケみたいな人の最初の相手になれる なんて、羨ましいかも」 キュルケはつかの間遠い目をした。 「――とても好きな人だったわ、とだけ」 「それだけ?」 「ええ。それ以上は秘密」 「覚えてないだけだったりして」 「まさか。いまでもありありと思い出せるくらいよ」 「……痛かった?」 「もちろん」 「痛いからやめてって言ったりした?」 「したわ」 「そのときその男、どうしたのさ?」 「やめなかった」 「無理やり?」 「なかば、ね」 「……最低だね」 「とんでもない」 「嫌じゃなかったの?」 「嫌だったわ」 才人は子どものように唇をとがらせる。 「じゃあひどいじゃないか。嫌がってるのにむりやり するなんて」 キュルケはしばらくきょとんとしていたが、それから ふ、ふふ、と笑い出した。 「……なんだか、百%じゃないといけないみたいね」 「え?」 「"好き"か、"嫌い"か。"したい"か、"したくない"か。 ゼロか百かしか存在しないのかしら」 「……え」 「人の気持ちって、そんなにはっきりと割り切れるもの だったかしら」 546 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 07 09 ID bD+MbxpG キュルケはつぶやいて、才人の顎に手をかけた。舌を 出さずに、唇だけを重ねて、押し付けてくる。ぼんやりと キュルケの肉感的な唇を感じながら、才人はルイズの、 子犬のような、かわいらしい舌先を思い出していた。 唇同士をたっぷりとすり寄せて、満足したのか、 キュルケは陶然と才人を見つめる。微熱を帯びたような 挙動で才人の肩に頭を寄せて、体重をかけて才人を ベッドの上に押し倒してしまった。 「……っ!」 才人はキュルケの大きなおっぱいに押しつぶされる。 窒息しそうになりながら、前留めのサテンリボンが 目の前一センチで、しゅっと音を立てて外されるのに、 なんとなくどきりとした。爪にまぶした金粉がきらりと 才人の視界に焼けつきを起こす。 ぱらり、とはだけるブラウスの合わせ目。そこに鼻づらを 否応もなく押しつけられたまま、なすすべもなく才人は、 あが、とケモノのように歯を立てる。 「こー、ら」 キュルケはくすくす笑った。才人の黒髪に頬をくっつけて、 おかしくてたまらない、といった具合にぐりぐり寄せる。 才人は胸元にじゃれつくふりをして、服を左右に流してやった。 いやらしい色の乳首が、生意気そうにツンと上を向いて、現れる。 才人は噛みつくのをやめた。ちゅ、と唇を鳴らしてくちづけ たかと思うと、胸の一番深い谷間から、急角度でこんもりと 盛りあがる玉の肌の頂まで、ゆっくりと唇を這わせていく。 乳首を口に含むと、キュルケはくすぐったそうに笑った。 「ふふ……あはは。なんだか、子どもみたいね」 才人はなんだかばつが悪くなってきた。 投げやりにグラマラスな体をベッドに横たえているキュルケは、 昨日のルイズのように陶酔の極地にいるわけでもなければ、 シエスタのようにめくるめく非日常に瞳を輝かせているよう にも見えず、ひどく眠たそうに見えた。 緊張して、期待しているのは、才人だけのようだ。 火をつけてやりたくても、どうすれば焚きつけられるのか、 才人には分からない。 547 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 08 50 ID bD+MbxpG 「どうしよっか」 キュルケがささやく。才人からは見えないところで、 キュルケは硬さの取れない才人の分身を、手遊びに いじくりまわしている。けだるくにぎにぎする手つきには、 親身な優しさがあり、だから才人も再び臨戦態勢を取り 戻しつつあった。 「俺、たぶんうまくできないよ」 言い訳がましく言う才人に、キュルケはちょっとだけ 手をとめた。すぐに緩慢な加圧を再開し、亀頭の丸みから 竿にかけて脈動するように力を込めながら、ゆっくりと、 言葉を選ぶように、問いかける。 「……うまくできないと、ダメなの?」 「いやほら、俺テクとかないっすから」 「まるであたしが、とんでもない玄人みたいな言い方ね」 キュルケは重たげに上半身を起こすと、ずずず、と重い 荷物をひきずるようにして、柔らかな塊を才人の体に這わ せてやりつつ、両の胸を才人の頭から腰元へ移動させた。 違うのか? とは、さすがに言えなかった。なんだか とても失礼な気がした。 「怖いの? あたしに、気に入られないかもしれないって」 「うん。たぶん。がっかりされそうだし」 キュルケは、ふうん、と気のない返事をした。 「だったら、動かなければいいじゃない」 「でも、それはやっぱり、男として」 「いいじゃないの。ああしろ、こうしろって、偉そうにしてれば」 キュルケはあっさりと切り捨てる。 「男の人はね、堂々としてるのが一番よ。ちょっと ぐらい傲慢でもね」 言い切ると、キュルケは才人の竿のいちばん根元に、 唇と舌を添えた。 ちろりちろりと繊細な動きで、三枚いっぺんに使って くすぐりながら、一気に裏筋を滝のぼりのようにかけあがる。 亀頭のてっぺんで、今度は淫猥な音を立ててじゅっぷりと 吸いついた。じゅぷ、ぐじゅ、と、蜜月のように甘く 唇と棒と舌とを絡めあいコラボレートさせながら、 惜しむように遅々と下っていく。長い名残を残して粘膜同士の 熱い抱擁を引き剥がすと、今度は亀頭のてっぺんに唇をつけた。 したたる唾液でぬめる唇をいやらしく滑らせて、しずしずと 亀頭をその内部へと吸い込んでいき、すぐ裏の頬肉を 突き出して先端すべてを肉の質感でみっちりと包みこんでやる。 548 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 10 45 ID bD+MbxpG キュルケは吸った。シェイクを飲むときでもこうまで 顎の筋肉を使うまいというほどの勢いで頬をへこませ、 ぬぢゅうぅ、ぢゅ、ぱちゅうぅっ、と、すごい勢いで いやらしい音をさせながら、フライングで垂れた透き通った 体液をあまさず口腔内に吸いあげる。 ぬぽっ、と、重いコルクが外れたときのような音を させて、キュルケは口を離した。間断おかず、今度は 竿ごとひとのみにして、舌の腹を蛇のようにくねらせ 始める。じゅぷじゅぷと口全体を胎動させて、亀頭を 上顎の裏に打ちつける。 と――そこでキュルケは思い出したように居住まいを 直して、釣りがねのようなおっぱいで、才人の幹の根元を 挟んだ。ぬめらかな幹から、つうっ、と熱した体液が一筋、 灼けた肌を玉になって滴る。 そこをもろとも両手で押しつぶし、抱き込んで、 ほとんどぴったりと張り合わせるようにして、キュルケは おっぱいを激しく上下にグラインドさせた。 にちにちにちにちゃっ! と、粘性たっぷりの摩擦音が こだまする。 才人の筋が、きゅうっ、と反応した。 「う、わ、ちょ、キュルケ!」 「こういうの、お嫌いかしら?」 「違うよ、すごすぎて、なんだか――」 才人は悲鳴を押し殺した。急速に速射の体制が整い、 今では呼吸するのにも気が抜けない。ちょっと油断すると すぐにリミットが外れそうになる。 「どうする? このまま胸か、それとも」キュルケは 才人の袖をひき体を見せつけて、股間の茂みを指し示す。 「ココか。ふふ」 キュルケのおっぱいは片手では支えきれずに、ずりゅっ、 と幹が滑って軌道をはずれ、胸の肉布団の外に飛び出した。 それを無理やり捉えてこすると、にゅぐっ、とまたあらぬ方向に 竿が逃げる。その不規則な動きがいっそう気持ちいい。 「……キュルケは? したいの?」 肩を妖艶にくねらせて、胸を情熱的にゆすりたていたキュルケは、 涙袋を浮かべて笑った。 549 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 12 30 ID bD+MbxpG 「ご自分でお改めになってはいかが」 その声は、ぞくっとするほどかすれていた。身を焦がす 情熱の前に昂ぶり、固唾を飲む女しか出せない声色。 キュルケは才人から上半身を離した。つぅっと体液の 混合物が一本、糸を引いてはかなく消える。 スプリングをきしませて膝立ちになったキュルケは、 唖然と見守る才人の眼前で、肉の花びらのつぼみを、 そっと押し拡げてみせた。 そこはとっぷりと濡れそぼっていた。もはや絡め 留めておけなくなった体液が肉ひだの隅々を潤し、 茂みまでをも濡らして、いまにもしずくが滴り落ちて きそうですらある。 キュルケは、ぺたん、と尻持ちをついた。 濡れた陰部で、才人の屹立したもののうえを、 ぬらり、と這った。 「んん……」 この期に及んではじめて聞く、キュルケのせつなげな ため息。くぷ、と才人の硬いところに自分の水も同然に 柔らかいところを押しつけて、続けて何度も、くぅん、 と鼻を鳴らした。 「才人……」 懇願するように、キュルケが囁く。濡れた赤目でじっと 見つめ、もの欲しそうに唇をたゆませる。そうやって 射すくめられるとよく分かる、キュルケは迫力のある 美しい顔立ちをしている。続くデコルテのラインの たわわかな曲線。この谷間の稜線の存在感と美しさに 悩まされた奴は大勢いるだろう。 「欲しい」 「ん……うん」 才人の屹立したものに指をかけて、傾斜を上向きに 修正すると、キュルケは腰をあげてその先端に敏感な 部分を寄せる。 そして少しずつ、体重を乗せて、体を沈めていった。 「……んっ……ん、んん、う、ふっ――あぁ……っ!」 さきほどと同じように、ぺたんと才人の上に座りこむと、 キュルケは喉あごを仰け反らせて体を震わせた。たまらない、 留めがたいというように、うずく結合部を腰全体をくねらせて すり合わせる。 「――く……っああぁ……っ!」 遠慮がちな腰のスライドが加速度的に深度を増しうねりを増し、 リズムを伴って、すぐにひたむきな上下運動になった。 キュルケの大きな乳房が左右ばらけてバウンドし、才人の視線を 釘づけにする。 550 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 14 15 ID bD+MbxpG とろみを帯びた激しい抽送がダイレクトに脳髄にこだまする。 甘味によく似た脳内物質が頭いっぱいに氾濫し、喫水線をはるかに 越えて体を蝕み、どんどん目先の快楽に溺れさせる。 ぬちゅ、ちゅぷっ、ぐぷ、ずちゅっ―― キュルケの動きは、ほとんど暴力的なほどに激しい。ともすると 痛みに耐えているのかと思うほど眉根を寄せて、壊れそうな くらいに腰をくねらせ、結合部をめちゃくちゃにかき乱している。 それに合わせて才人も、少しずつ、突く動作をくわえはじめた。 「――っ!」 声にならない、人間には出せない高音を搾り出すように、 キュルケが乱れた息を吹きこぼす。大きなおっぱいがぶるりと 揺れて、才人の動きに合わせて踊る。 キュルケは惚れ薬を飲み干したような顔つきをした。 才人を歓喜の瞳で恋焦がれるように見つめ、まとまらない 思考をそのままナマのままぶつけてみせる。 「あっ、いいのいいそう、いい、あっ、してちょうだ、 あっ! あぁっ!」 キュルケは自分の大きな胸に指先を食い込ませた。 勃起しきって充血している胸の先端をくすぐるように いじりながら、弾む乳房の塊を乱暴にゆさぶってみせる。 「ああんっ――すご、すごい才人、もっと、そう、そう、 そうよ素敵、あっあぁ……!」 いっとう奥深くまで貫かれるたびに、キュルケはぽってり とした唇の端から涎を垂らさんばかりの、弛緩しきった 艶かしい表情を見せ、揺れる重たげな胸を才人の 視界いっぱいにそらしてみせる。キュルケの胸は、 激しすぎる振動でちぎれそうになっている。 キュルケ自身も息が切れて、肺がちぎれそうになっていた。 「あ、あ、あ――!」 ビートを勝手に刻まれて思うように声も出せない ようだ。小刻みに母音をとぎらせながら、かすれた声で ささやきつづける。 「才人、才人っ、ああっ、さいこぉっ、ああうぁっ、 んぅうっ!」 キュルケが豊かなふとももをひらめかせる、おなかから のけぞってみせる、背骨を限界まで反り返す、ちゅぐちゅ ぬちゃっ! ――挿入口が派手な音を立てて抜き差しを 繰り返す、柔らかい生身同士を痛くなるぎりぎり手前で すり潰し合う、キュルケの胸が振動で形を変える。 551 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 15 15 29 ID bD+MbxpG 「いやぁっ、だめぇっ、もう、もうだめ、才人、さいとっ!」 キュルケが上半身をそれまでで一番くねらせて、才人の胸に 頭をうずめた。ゆっさゆっさと揺すり揺すぶられつつも、 キュルケのからだがそれまで以上に反応しはじめているのが 才人にも分かる。全身に緊張を張り巡らせ、キュルケは ひくりまたひくりと肢体を痙攣させている。 「たし、も、だめ、才人、あくぅうっ、これいじょ、はっ」 「キュルケ、いけそう?」 キュルケは物憂げな瞳を頷かせてみせた。細い鎖骨の下に 凶悪なほど大きな胸がぶらさがって揺れている。細い肩が 折れてしまうのではないかというほどの動的な律動。 才人は懸命に突きを繰り返す。あまりにも深く突きまた あまりにも先端まで抜くので、ともすると外れてしまい そうになる。ずぬぷっ、と限界まで甘い果実を貪り食い、 ちゅぷぬるっ、とかなりの苦労を割いてねっとりと 引き剥がす。 「さいっ……ああんっ! ね、もう、いっても、あぁっ、 ねえ、さいとっ」 「いいよ、俺も、そろそろ」 「あっ、あっ! ああぁっ! くうぅっ! いく、 いくいっちゃうぅっ!」 ふるるっ……と、キュルケの肩に、腰に、震えが走った。 びくんっ! と、強烈な痙攣が才人の屹立したものを 締め付ける。 それが誘爆源となり、才人の肉棒も連鎖を起こした。 視界もろとも才人の脳内がホワイトアウトを起こし、びくん、 と震えたのをきっかけに、めちゃくちゃな快楽を引き起こし ながら、猛烈に体液を暴れ散らす。 びくびくびくんっ! と、なおもキュルケの内部は痙攣し 収斂し、才人の分身を一滴余さず搾取し吸い尽くし、 しごきあげていく。 「ああぁ――ッんんん……!」 キュルケはハスキーな嬌声をおなかをしぼって吐き出し きり、やがて力尽きて、才人の上に折り重なった。
https://w.atwiki.jp/arcoiris/pages/122.html
広大な夜の沙漠。かつての繁栄の影をうかがわせるものを求めて、クォールは遠景を追う。 あの稜線の影に城でもあるのか、渓谷に財宝でも隠したか。 歩くうちに、段々と砂丘は人の手を加えられた建造物じみた姿を見せ始める。 空間を捻じ曲げ、風の吹かない大地に都を築くほどの繁栄を極めた文明。塔の資料を調べてさえその全貌はうかがえない。滅びた理由も曖昧模糊と歴史の幕の彼方にある。未だ地下迷宮の探索が続く状態では無理もない。だが滅びたことだけは事実だ。この都もまた、放棄された。 世代を超えて人が住める場所でもあるまいに、地の底や虚空に空間を繋げ街を並べて悦に入る。その虚栄が都を遺跡に変えたのだろう。 クォールは記憶を頼りに、二人の影を求めて歩く。時の流れた気配すらそこにはなく、走ればかつての二人並ぶ背中に追い付けるような錯覚さえ覚える。 靴にまとわりつく沙が時折星明かりを金色に変えて反射する。かつての都の建材の破片が、踏む者にその壮大と壮麗とを未練げに示す。 クォールは虚空を仰ぎ、崩れた街のかつての姿を思い描く。“虹星の叡智”程の塔も珍しくはなかったのやも知れぬ。だが結局は手にあまり、維持できずに崩れ去った。 さぞ惜しかったろう。立ち去りがたかったことだろう。だから都人は、廃都の記憶を保存しようとしたのだ。いつの日にか彼等が帰還した時に役立つようにと、叶わぬと知ればこそ夢を見て。 彼等は“都守り”を置いて都を放棄した。千年でも万年でも待たせようと。おそらく戻れぬと思いつつ、戻るまで都を守れと被造物に命じるほどに傲慢な創造主を“都守り”は持った。 「それこそ業というものだ」 呟くかつての少年の前に、金属ウサギが幾体も現れる。昔聞いたその名をクォールは思い出せなかった。 「妹を探しに来たんだ」 クロィェクの鋏で切断されていたモノ。それは考えない様にして少年は“都守り”に、その背中に声をかける。二人は崩れかけ、それでも地に逆らってそびえる都の中心部を歩いている。 「妹を探して来たんだ。ここに迷い込んでないかな。あいつ小さいから、さっきの鉄ウサギに捕まっちゃってるかもしれない。あいつ馬鹿だからこんな日記帳なんか持ち出して」 “都守り”は聞いているそぶりもなく、安全な所とやらに少年を先導すると言ってここまで来た。何度か呼びかけて、ようやく“都守り”は肩越しに鷹揚に手を振る仕草で遮った。 「まず僕の部屋に行こう」 「でも。お父さんに怒られる」 「僕は君のためにお茶を淹れる。少し休んでいくと良い。一緒に遊ぼう。僕の部屋には遊ぶものはたくさんある。君が見たこともないものがあると思うよ。飽きたら、それから二人で君の妹を探せばいい」決定に近い声で“都守り”はそう告げる。 「大丈夫。この辺には隠れる場所はたくさんある。ここは秘密を隠す場所なんだ。僕の部屋に行けばきっと役立つものがある」 たどりついた部屋は、少年には部屋と呼べるような所ではなかった。小さな砂丘に崩れた壁。その壁に寄り添うように、いくつかの豪奢な家具が置いてある。 「ここに、住んでいるの?」 「そう。ここが僕の部屋。ここには雨も風もないからね」 そう言う“都守り”は、丘の上に立つとその向こうの地平を指す。 「見て。これを見せたかった」 追い付いた少年は、ぞっとするほど美しい青い大きな“月”が昇りつつあるのを目にして絶句した。今まで見た全ての美しいと思っていた物、それが溶けて行くような光景。 「僕はいつも青い月光を浴びて過ごしてる。素晴らしい部屋だろう」 “都守り”は自慢げに言う。だが言葉とは違い、やはり表情はない。強いて言えば憂鬱げに見える。 「そうだね」 確かに感動しながら、少年は心のどこかで思う。でも、一人では広すぎる。静かすぎる。 「さ、こっちへ」 “都守り”は少年を壁際にある水晶の卓の前に案内する。その卓は上に人が寝られるほど大きく、その天板はおろか中央の太い脚まで透き通る水晶だった。どこにも継ぎ目が見えない。削り出しで作ったとしたら、どれほど巨大な水晶か想像もつかない。同じく水晶で出来た細い輪郭の椅子が二つ、並べてある。 「座って。今お茶とお菓子を用意する。好きな玩具を選んで」 進んで壁の向こうに曲がる“都守り”の細い背。ますますこの“都守り”の言う部屋は広すぎると思う。どれだけ贅沢で美しくても、静寂があまりも重い。誰かほかに住んでいないのかと思うが、何故だかそれは聞いてはいけないことに思えた。 卓の上には色とりどりの玩具が並んでいた。見たこともないものばかりで、“都守り”が玩具と言わなければそれもわからなかったろう。だいたいは複雑なフレームを組み合わせたような形状で、材質は石か金属のよう。だが持ってみると驚くほど軽い。 「決まった?」 しばらく見ていると“都守り”がカップと皿を持って帰って来る。薄いハーブの匂いが流れる。さらには白く薄いビスケットが乗っている。 「うん。これを」 「へえ。地味なのが好きなんだね」 唯一遊び方が理解できそうなもの。盤と駒で遊ぶ遊具を示す。 「いいよ。人間と指すのは久しぶりだ」 相手がその言葉の不可解さにぞっとしていることも気づかず、“都守り”は駒の用意を始める。 いちいち破壊する手間が惜しい。クォールは確信はなかったが、透明化を試してみる。人に眼には見えなくなる上級汎用魔術。これもまた塔修了者ならば誰でも使える程度のものだが、存外にあっさりと金属のウサギはクォールを見失ったようだった。 ウサギたちの鋭利な耳をすり抜けて、クォールは栄華の跡を進む。クォールに気付かぬウサギたちは、都の中で忙しそうに立ち働いている。 建物に積る沙をかき出し、どこからか持ってきた煉瓦とタイルを積み上げる。崩れそうな塔を補修し、道を敷き直す。そういう健気な努力をウサギはしているようだった。 何が猛獣か。 やがてクォールは記憶にあった砂丘を望む。砂色の“都守り”は、水晶の卓に一人で座っていた。さすがに“都守り”は近づくクォールの気配に視線を上げる。 姿を現したクォールは、軽く手を上げて挨拶をする。一応、これは邂逅なのだから。 食べたお菓子はほとんど甘味のない、それこそ沙じみた味だった。 その遊びはやはりシャトラグル、騎士や姫や城壁を操るゲームだった。何度か父とやったことがある。美麗な装飾を施された輝石の駒は、他の駒を取る時に一人でに動いて決闘を演じた。目を見張る少年に“都守り”は簡単な魔術の品だ、と詰まらなそうに言う。 「何度も、何万回も見たよ」 何万回の経験の差か、“都守り”には一度も勝てなかった。 シャトラグルは覚えてすぐに父には勝てたのに。何故負けたかもわからないうちに、面白いほどあっさり負ける。 「駒を取るゲームじゃないよ。これは流れを取るゲームなんだ」 これほどに力量に差があれば面白くないのではないか、と幼いながら少年は思う。それでも彼の陣営を打ち負かすたびに、“都守り”は奇妙に熱心に駒を並べ直し、もう一度指すように勧めるのだった。常に彼は先手を譲ってくれていた。 「もう、止めよう」 耳が痛いほどの静寂に駒を盤上に落とす硬質な音だけが響く。そういうゲームを何度かして、少年は初めて続行を断った。彼の分も駒を並べ直していた“都守り”が手を止める。 「そうだね。何か、別のものを―」 「僕は、帰る」 沈黙。酸性の沈黙。 もう耐えられない。二人で遊んでいても、この空間はあまりにも静かで。段々自分の存在が消えて行くような奇妙な感覚を感じて。 「――まだ他にも面白いものはたくさんあるよ。遊び方がわからないなら、僕が」 「妹を探さなくちゃ」 少年は心から思った。煩い妹に会いたい。泣き声で良いから聞きたい。ここは寂しすぎる。 おそらく、少年は理解していた。彼はそこにただ一人なのだ。 「それに、そろそろお母さんが心配してると思うから。お昼を食べに帰らないといけないし、それに午後から友達と約束があるんだ。キモに餌をやるのも僕の仕事で、だから」 “都守り”に、言い訳をするように少年は思いつくまま言葉を並べる。 「だから、ぼくは帰らなくちゃ」 入ったそばから澄んだ黒い空気が言葉を貪ってしまうようだった。最後には半ば泣きながら少年はそれを言う。 「そうか」 初めて、感情が“都守り”声にかすかに交じった。その感情は、沙に似ていた。 くん、と奇妙な感覚がして世界が揺れる。星空が見え、髪を垂らす“都守り”が見える。 「え……ぇ」 喉を締め付けられる少年が呻く。全く間を感じさせずに、“都守り”は少年を卓上に押しつけていた。なぎ倒されたシャトラグルの駒の一つが少年の背の下に転がり、水晶と背を傷つける。 「君は、少し無礼だ。君は僕に名前も名乗っていない」 全くの無表情のまま、“都守り”は言う。この時漸く少年は彫像じみたこの相手が表情と言うものを知らないのだ、と悟った。 「久しぶりだね」 穏やかに向き直る“都守り”の姿は何も変わっていない。何年経とうがその程度の時はここでは流れないとでも言うように。存在の希薄な歓迎の声を曖昧に流す。それが出来る程度にはかつての少年は大人になった。 「覚えていてくれてありがとう。確かにずいぶん久しぶりだ」 「忘れないよ。君は友達だ」 「そうか。自己紹介が大変遅れたが、私はセオドア・クォール。今は“土地殺し”などと呼ばれることもある」 「やっと友達の名前が聞けて嬉しいよ。前にも名乗ったと思うけど、“都守り”。それが与えられた名前なんだ」 「元気そうで何よりだよ。君は風邪ひとつひかなかったろうね」 これも以前と同じ部屋を水晶の卓にクォールは向う。視線は高くなったが、感想は変わらない。この“部屋”は広すぎる。 「せっかく来てくれたんだ。少し遊ぼう。僕たちはずいぶん久しぶりなんだから。ずっと待っていたんだよ」 そう言ってかつてのように、“都守り”は相手に椅子を礼儀正しく勧める。 怖くて、泣きそうで、息苦しくて。名を名乗るどころではなかった。 「僕たちは友達になれるよね」 怖かった。ずっと怖かった。でもわかっていた、こんなところに住んでいるのは魔物でしかないことを。 泣きながら頷く。何度も何度も頷く。僕を殺さないで、そう心の中で叫びながら。 「ありがとう。そう言ってくれると思ってた」 笑ったことが無い “都守り”はただ礼を言った。 そして、少年の手を取った。ゆっくり自分のなめらかな手を重ね、口元に持っていく。 “都守り”は少年を食いちぎった。 思えば。あの時、曖昧で緩やかに自らを育てる術を失い、少年はセオドア・クォールになったのだと思う。“都守り”が“友人”になったように。 ごりっ、ごりっ。自分の指を口の中で転がす“友人”。骨を口の中で幾度も噛み肉を歯で掻き落とす。それを目の当たりにする。すい、となめらかな“都守り”の顎に赤い血が流れる。幼いクォールの体を流れていた血だ。 じゆじゆと血が流れる手を押さえながら、食い入るように自分が“友人”に食べられているところに見入る。クォールはあの時痛みに呻く事も忘れていた。 “友人”は心から幸せそうに、本当に美味しそうに少年の一部だった肉を食む。こくっと“友人”の細い喉を通って少年が飲みこまれていく。 やがて少年と共に生きていた肉を全て飲んだ“友人”は、沙の上に骨を吐きだす。血の通っていた名残の紅がかすかに混じった、小さな白い骨。永遠に失われた一部。 少し涙を浮かべて笑いながら“友人”はクォールの肩に手を回す。確かに記憶の中で、彼は笑っていた。泣いていた。不器用で慣れない表情。 「ありがとう」 頷くことも、目をそらすことも。記憶から消すこともできない決定的な刻。 月明かりのように透明な無邪気な“友人”の笑顔。自分の中まで透明にされていくような、何とも言えない気持でクォールはあまりに完成された“友人”と向き合う。自分が透明になっていく。色を失っていく。それが悲しくて、クォールも泣いた。 月の荒野で向かい合って涙を流す二人。 「ありがとう。君は温かい。ありがとう」 青い大きな月が出ていた。 「3―Dの城壁を騎士で攻略」 水晶の卓にはシャトラグルの駒が刻んだ傷が残っていた。兄弟とも言うべき傷がクォールの背にも残っている。骨はさすがにもう転がっていないようだが。 「同、戦車」 「4-Aに赤の天使」 風も吹かない沙の上で、十数年の時を経て二人は向かい合う。クォールは四本の指で美麗な駒を繰り“友人”と渡り合う。五分の戦いが盤上に展開される。 少年は大人になった。力と知識と経験を得て、沙を踏んで戻って来た。 “友人”は変わっていなかった。外見も、本質も。子供を大人に変えた豊穣な時は、“友人”の上には流れなかった。 ほんの少しだけ、かつての少年はそれが悲しいと思う。 「君は、強くなった」 かつて一勝もできなかった“友人”はそうクォールを称賛する。これは三度目だ。クォールは一度勝ち、一度引き分けた。 「練習した。随分ね」 「楽しいよ。盤だけを相手に打っていても退屈だった」 「そうだろうと、思う。想像もつかないほど退屈だったろう」 同情することさえ遠い、無に近い時。つかの間手に取った駒を弄びながらクォールはそれを思う。塔の駒だった。 「君を、滅ぼしに来た」 手元を照らす青い光。かつての友に静かにその言葉を向ける。4-B、塔。 「僕に怒っているのかな」2-Bに逃げる赤の天使。 「違う。ただ、業を滅ぼさなければ私は前に進めない」 しばらく“都守り”はその言葉を考えているようだった。業、業。何度か口にする。 「僕は都の人たちが返って来るのを待たなきゃいけない。それが、業だと言うのかな」 「私にとっては小指が業だ。欠けた指を思い、君を思う。月を見上げるたびにそこにある私の骨を思う」 さらさら、と“都守り”の髪が鳴る。おそらく違うだろうが、それは笑っている仕草にも見えた。 「わからない。僕には理解できない。都はそれを理解するようには作ってくれなかった」 クォールもまた、理解されるとも思っていなかった。“都守り”は理解によって関係性を育むことはない。 8-E、戦車。地下水脈と呼ばれる陣形が盤上に完成する。 「どうやら、また負けたみたいだね。君は本当に強くなった。あんなに弱かったのに」 奇妙なことだが、指を失った後二人でまた少し遊んだ記憶がある。指が痛くて短くて、盤上のコマを動かすのにやや不便だった。 痛みに泣きながら、“友人”と石の戦争を戦う。少年が痛みに顔をしかめるたび、“友人”は気遣った。手を撫でてくれた。甘い飲み物を出してくれた。月の世界の冗談を教えてくれた……冗談は意味がわからなかったが。 そうして、ゆっくりと青い月が沈むまで遊び、少年は帰って来た。“都守り”は誰でもそうするように友人を見送った。はっきりとそうわかる、バラバラになった人体を途中で見た。その脇を無言で通り抜け二人は境界にたどりつく。草の生い茂る夏の丘と沙漠の境界に。 残念だ。クロィェクの前に僕が見つけていればよかったんだけどね。本当に残念だ。“都守り”はそう言ってくれて、手を撫でて、お土産にいくつか玩具をくれた。残念だよ。僕はここから先には行けないんだ。 クォールは交換に日記帖を差し出した。 これにはどれだけ書けるのかな。“都守り”はそう聞いた。十年、とクォールは答えた。 十年。十年。十年が意味を持つ日が来るなんて。それが最後に聞いた月の友人の言葉だった。 帰って、泣いて、そして倒れた。高熱を出して悪夢とも言えない奇妙な夢を見た。その熱が、さなぎのように一度クォールを溶かして、作り直す。 意志を超えてる感情、その記憶。あまりに強すぎて自分の存在そのものと癒着してしまったような、痛くて切実な過去。 つまりは業だ。その後のクォールを形作るもの。 「いい加減断ち切りたい。何故断ち切りたいのか、それさえ終わってみなければ整理できないだろうけれど。これが私の業だ」 「僕は君と友達になりたかった」 「それは最初から不可能だった。ようやく今になって言える。あれは不当な出来事だった」 勝負の見えた盤上を行き来する駒。それをはさんでの月の思い出話。 「日記は、書いてもらえたか」 終盤手を指しながらふとクォールがそれを問う。 「君が来たことは書いた。その後は何も。書くようなことは何も起きなかった。ねえ、止めないか。僕は都を守らなければいけない。僕は強い魔法を知っている。与えられている」 かつてなく饒舌に語りかける“都守り”。 「もう少し遊んで、また帰ればいい。僕は友達を無くしたくないんだ」 平板な声。クォールはその声に確かに真実味を感じとって、それでも首を横に振る。 「できないんだ。君が“都守り”であることを止められない様に」 「どうして。またお土産をあげるよ。玩具も、この盤だってあげてもいい。もう一人で遊ぶのはつまらないからね」 「私は、もう大人だ」 クォールの指揮する軍が盤上で“都守り”の王を追い詰める。間もなく王は討ちとられる。 諦めたのか、“都守り”は別の疑問を口にする。 「外は、どんな感じなのかな」 「大きな街になっている。たくさんの人が暮らしている。騒々しい街だ」 答えて、虹の街の導師は決定的な手を打った。剣を持った姿を彫られた天使の駒。それが王を追い詰める。逃げ場はない。 とん、と“都守り”は自分の王を倒し負けを認める。そして、そのままその手をクォールに差し伸べる。 「残念だ。『 』」 あふれる劫始の光と熱を呼ぶ失われた呪文。 はるかな太古の呪文の詠唱。地上では失われた力ある囁き。瞬時に完成する『核撃』を“都守り”は行使する。行使する以外の選択肢を持たないがゆえに。都を脅かすものを退ける、そのために造られたのだから。 「残念だよ」 何事も起こらず。「何故」とも言えない“都守り”の前でクォールは立ち上がる。 「会った瞬間に打ちこむべきだったんだ。この地は君にとってもはや不毛だ。何の力も提供しない」 クォールを中心にして、沙の上に奇妙な亀裂が走っていた。目を細めないと見えないほど微細な、銀色の空間を裂く亀裂。薄く輝く蜘蛛の巣じみた亀裂が沙丘全体を覆い今もゆっくりと広がっている。 「 」 声も上げずに、与えられた使命の命じるままその場を離れようとする“都守り”。その手をクォールの左手が掴んで押しとどめる。 「さようなら、“都守り”」 ついに友人と呼ぶことはなく、眩い一閃の月光が瞬いた。
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1483.html
餡動戦士ゆんだむ 14KB 虐待-凄惨 悲劇 理不尽 現代 虐待人間 初投稿になります。多分3部作の第1弾です。よろしく! はつっとうっこうっです。 よろしくおねがいします! 多分、3部構成ぐらいになりそうです。 コメントではハード虐待とか書いてありますが、 この1部では、まだ導入と舞台説明くらいで、虐待とかは全然出てきません…。 でも、2部と3部では出てくると思いますので、一応入れておきました。 良ければ、読んでやってくだされませ。 2010年、1月――――。 『ゆっくり』達は、人々の記憶から、忘れ去られつつあった。 2000年代初頭、唐突に現代人の生活圏の中にその姿を現した『ゆっくり』は、 その存在の不可思議さ、不可解さ、不気味さで、おおいに人々の心をかきみだした。 人類にとってみれば、いわば、初めて遭遇する、人間以外の知的生命体である。 (ゆっくりが知的生命体であるのかどうなのかは、未だ学者などの間でも、 議論の尽きぬ問題ではあるが) 生まれながらに人語を解し、帽子やリボンといった装飾品を身につけ、 自らの意思で動き回り、食べ、飲み、排泄し、また、 別の個体と生殖し、子を産み、育て、家族や群れといったコミュニティをも形成し、 やがて寿命をまっとうし、死してゆく―――。 そんな、ソフトボールからバスケットボール大の球体の姿をした、いきもの。 他の地球上の動物からすれば、高度と言っていい人語や、情愛までをも 理解しているらしいのだから、その中にはさぞかし高度に発達した脳が 詰まっているのだろうと思って解剖してみれば、中には餡子がみっちり詰まっていただけ。 人々は、このあまりに不可思議な存在について、議論を戦わせずにはいられなかった。 魔法生物説、生体兵器説、果ては集団催眠説から、いよいよ世界の終末を告げる為に やってきた使者だという説まで、マスコミ、学会、お茶の間までを巻き込み、 社会的なシンドロームとなっていった。 しかし結局、人々がその答えを得られる事はなかった。 それでも当のゆっくり達はどこ吹く風、人々の当惑をよそに、のうのうと 自らの生の営みを、ただゆっくりと続けていくだけである。 やがて人々は、その存在を問い質そうとすることをやめ、 より現実的な、実際的な対応を、考えていくようになった。 即ち、突然自分達の世界に飛び込んできたこの物体生物と、どう関わっていくのか? という問いである。 幸い、このゆっくり達は、見た目通りに脆弱でのんきな生物であるらしく、 とりあえずは、直接に人間の命を脅かしたり、深刻な脅威となったりすることはない、 ということが分かってきた。 となれば、対応と言っても気楽なものである。 人語を解するということは、会話が成立するということである。 コミュニケーションを深め、家族や友人と見做したり、愛玩動物として手元に置く者。 はたまた、その脆弱さをいいことに、面白半分に暴力を加え、 潰したり、苦痛を与える事でストレスを発散したり、楽しんだりする者。 人々は、そういった益をゆっくりから享受するようになり、 やがて、不可解ではあってもその存在を受け入れ、日常の一部とまで認識するようになっていった。 しかし、個々の人々はそうやってゆっくりを受け入れていっても、 社会全体としては、様々な問題を発生させてしまうことが、徐々に分かってきたのだった。 まず、『野良』と呼ばれ、人の庇護や管理の下ではなく、都会に住み着き、 生活するゆっくりの問題がある。 この野良ゆっくり達は、飽きた、あるいは負担になった、という理由で、飼育していた人間達が 捨てたゆっくり達が主であるが、厳しい自然環境に嫌気がさして、また都会への憧れから、 山や森から移ってきたゆっくり達もいた。 野良ゆっくり達は、食料の確保のため、人間のゴミを漁る。 知能は人間よりは低いとはいえ、カラスなどとは比べ物にならない程高いので、 ゴミ捨て場にネットなどをかけても、余程厳重にやらない限りは、全く効果がない。 また、野良ゆっくり達は、頻繁に人間の住居や、店などに侵入したがった。 野外の寒さをしのぐため、また、その中にふんだんに蓄えられているであろう、 人間の食料を狙って。 そのために、家の窓ガラスが割られる、冷蔵庫が荒らされる、汚い体で家中を這い回られる、 などの被害が、決して少なくない件数相次ぎ、民家はもちろん、飲食店などの被害は、 無視出来ない程甚大なものだった。 また、ゆっくり達の中に、『どす』などと呼ばれる、体が人間の子供に匹敵する程大きく、 例え大の大人であっても危険と言える程の戦闘能力を持つ個体までが現れ始め、 それらは、力の弱いお年寄りや、障害者などを襲って食べ物や金品までをも奪い取り、 時には怪我をさせ、命まで奪ってしまうという、人身に対する痛ましい損害も、 相次ぐようになっていった。 さらには、ゆっくりを発端とする被害は、飼いゆっくり絡みの人間同士の トラブルにまで発展することもあり、ゆっくりが及ぼす社会的な損害は、 その存在そのものの不気味さなどより、余程深刻な、現実的な物となっていたのである。 2005年、ついに政府によって、通称『ゆ防法』、『ゆっくり損害活動防止法』が、 一部の左派勢力や愛護団体の抵抗に遭いながらも可決され、 都会地域からの、ゆっくりの駆除、追放が大々的に行われる事になったのだった。 その結果、人々の生活する街の中から、ほぼゆっくり達は姿を消し、 人々はその存在に大いに困惑させられたことも、迷惑させられたことも、 時には利益を得ていた事も忘れ去り、ゆっくりと関わる人間は、 生物学的な探求を諦めない学者や、法の目を掻い潜るマニアなど、 ごく一部の人々のみとなっていった。 ――――そして2010年1月、現在。 人々は、100年に一度の大不況だ、大物芸能人の薬物による逮捕だ、 政権交代だ、と騒ぎ暮らし、一昔前に社会を賑わせたゆっくりのことなど、 記憶の片隅からも消し去ろうとしているかのようだった。 そんな時代のこと―――ここは、とある大きな街の郊外である。 そこは丁度、ごみごみと汚い人間の都会と、豊かな美しい自然環境との、 境目のような場所だった。 右を見渡せば、深い林と森の向こうになだらかに広がる山の稜線が見え、 左を見渡せば、そこにはもう整然とした住宅街が、巨大な碁盤の目のように広がっていた。 それは見る者が見れば、なにか人間と自然との関わりについて、 哲学的な思索をでも導き出しそうな、ある種、美しい景色だったとも言えるかも知れない。 しかし、そこには、その異なる二つの風景が混じり合い、思わぬ醜い姿を晒してしまった、 とでも言うような、大抵なら、誰でもが目を背けたくなるような場景もが、あった。 都会の側から延びた、一本の道。 それは、自然の側に入って程なくのところでアスファルトの舗装が途切れ、 土や石を踏み固めただけの、粗野な車輪の轍と穴ボコだらけの、荒れ道となり、 森と、丈の高い雑草に覆い尽くされた空き地の間を、区切るように、向こうへ向かって延びていた。 それは隣町か、農家の家へでも続いているのか。しかしそれだけであったのなら、 別に取り立てて、目を覆うような場景、という訳ではない。 その道に面した、空き地側の部分――そこには、道に沿うように、びっしりと、 ゴミの山が築かれていたのである。 見た所、主に山を成しているのは、古タイヤが多い。 しかし、所々に、テレビ、冷蔵庫、ビデオデッキといった家電、ダンボールの山や、 窓ガラスのすっぽり無くなったような廃車、おまるやベビーベッド、 子供の玩具のようなロボットや人形、あるいは、何かわけのわからぬ金属の部品のような物まで、 ありとあらゆると形容したくなるほど様々な物が、ひしめきあっていたのである。 しかも、その中にはいくつか、生ゴミのようなモノまで混じり、 周囲に、そこはかとない悪臭をも放っていた。 「ゆ~んゆゆゆ~♪ゆっくり~のひ~はまったり~のひ~♪ゆっくり~していって~ね~♪」 その場に、あまりにも場違いな、素っ頓狂で下手糞で間の抜けた、 歌声とも言えないような、歌声(?)のようなシロモノが、響いた。 「ゆゆっ!?れいむ!しずかにするんだぜ!」 また別の声が響く。こちらも、素っ頓狂で間の抜けた、という表現がふさわしい声であったが、 叱責するような響きが含まれていた。 「むきゅ、まりさのいうとおりよ、れいむ。このじかんなら、まずにんげんさんはとおらないはず だけど、まんがいちということがあるわ。おうたは、おうちにかえってからにしてね」 今度の声はまた、妙にか細く、間延びして、微妙ないらつきを誘うようなものであった。 しかし、先の二つよりは幾分落ち着いた、冷静そうな声ではあった。 「ゆゆ~ん、だけど、ありすはれいむのきもちもわかるわ。こんなくさくてとかいはじゃないところ、 おしごととはいえ、おうたでもうたわなくちゃやってられないもの」 最後に響いた声は、やけにきゃぴきゃぴした、耳障りでカン高いギャルのようであった。 その、人間達は、通称『ゴミロード』と呼んでいる、うず高い不法投棄のゴミの山脈に面した道を、 ゆっくりと移動している四つの丸い影…それは、これを読んでいる皆様には言うまでもなく、 ゆっくりであった。 ゆっくりには、いくつかの種類がある。その中でもこの4匹は、それぞれ、いわゆる『基本種』 と呼ばれる四種――れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありすの4匹であった。 「ゆうう、さすが、ありすはわかってるね!れいむのありすにしてやってもいいよ! でも、れいむにいけんするばかなまりさとおさはだめだよ!ゆっくりりかいしてね!ぷくううう!」 「ゆううう!?れいむ!まりさはともかく、おさにまでそんなゆっくりできないこといったあげく、 ぷくーまでするなんて、どういうりょうけんなんだぜえ!?ゆっくりあやまるんだぜ!ぷくううう!」 「むきゅうう…ふたりとも、いいかげんにしてね…さっきもいったけど、いつにんげんさんかくるか、 わからないのよ…さっさとおしごとをおわらせるために、ぱちゅのいうことをむっきゅりきいてちょうだい。 むきゅん…ありす、なにか、むっきゅりできそうなものはみつかったかしら?」 れいむとまりさが、不毛に言い争い、膨らせた顔を突き付け合っているのを、 いい加減にたしなめておいて、ぱちゅりーは、さっきからしきりとゴミの山を眺め回しては、 なにかを探す風だったありすに、声をかけた。 「ゆっ、このありすの、とかいはなおめめにまかせてね!すこしでもゆっくりできるものがあれば、 けっしてのがさないとかいはなおめめにかかれば…ゆっ!?」 その「とかいはなおめめ」がなにかを捉えたらしく、きらりと光った。 「ゆっ!おさ!あそこに、だんぼーるさんがたくさんあるわ!」 「むきゅ…あら、ほんとだわ。これで、あめさんでふやけちゃったおうちを、なおせるわね…。 ほかには、なにかない?」 「ゆゆん、そうせかさないでね…あら?あれはなにかしら…?」 再び何かを発見したらしいとかいはなおめめが、今度は怪訝そうに、細められた。 「むきゅ?ありす?どうしたの?」 「あれは…そうだわ、おさのだいすきな、『まどうしょ』じゃないかしら?」 「むきゅっ!?ありす、ほんとう!?」 それまで、「おさ」と呼ばれ、冷静ぶっていたぱちゅりーだったが、その言葉を聞いた途端、 表情は興奮でだらしなく緩み、口からは砂糖水の涎がだらだらと流れ出した。 「むきゅっ!どこ?ありす?どこ?むっきゅりおしえてね!」 「えーと、ほら、あそこの、てれびさんのうえのところに…あっ、おさ!ゆっくりまってね!」 ありすに促され、求める物の姿を確認したぱちゅりーは、まっしぐらにその『まどうしょ』 めがけて、突進していった。一般に、ぱちゅりー種というのは他の種に比べて、 知能が高い分体力や運動能力が虚弱であると言われるが、それが嘘のような俊敏な動きであった。 「むきゅ!こ…これは…!」 「ゆふぅ、ゆふぅ…どうだったの、おさ?やっぱり『まどうしょ』だったの?」 ようやく追い付いて来たありすが、息を切らしながらたずねた。 「ごくり…むきゅ、これは、あるいみでは、『まどうしょ』よりも、きちょうでむっきゅりした ものなのよ…これは、『きみつぶんしょ』だわ!」 ぱちゅりーは、ものすごく重大な秘密を打ち明けるようなノリで、凄みを利かせて宣言した つもりだったが、それを聞かされたありすの方は、全くピンと来ていない、 相変わらず怪訝な顔のままだった。 「ゆぅ…?『きみつぶんしょ』…?それは、なんなの?とかいはなもの?」 「むきゅう…これだから、むのうものはこまるわね!これさえあれば…そう、 せかいをめつぼうにおいこむような…そんな、ものすごくむっきゅりした…いえ、 むっきゅりしてない『へいき』さんだって、つくることができるのよ…!」 ぱちゅりーは、ノリノリで、まるで今にも世界が滅亡するのだとでも言いたげな、 深刻そうな凄みを利かせた言い方でいったが、ありすの方は、ますます頭の上に ?マークが増えるばかりである。 「ゆっくりしてない…?なんだかしらないけど、ゆっくりしてないものなんて、 だれもいらないとおもうわよ?もちろんありすだっていらないし…だって、ありすはとかいはだし…」 「むきぃぃーっ!ほんとに、なにもわかってないむのうなのね、ありすは! そうね、ありすみたいなむのうなばかにも、わかるたとえでいうと……」 ぱちゅりーは、いかにも低能なありすを憐れむように、蔑むように、やれやれという感じで おさげを額にあてると、その「ゆうしゅう」な餡子脳を働かせ、この重大な事実を、 ばかなありすにもわかるように伝えるためには、なんと言えばいいか、考え始めた。 「むきゅぅぅん………………むきゅ!」 やがてなにかに思い当たったらしく、その顔がぱああと輝く。そして、わざとらしく 咳払いをしてから、口を開いた。 「この『きみつぶんしょ』でつくった、おそろしい『へいき』さんがあれば…… そう、にんげんさんにでも、かつことができるのよ…!」 「に、にんげんさんにかてる…!?」 今度こそ、ぱちゅりーの言葉は、ありすに、意図した衝撃を与えることが、出来たようだった。 ありすはその驚愕に、つぶらな目ん玉をひんむき、そして、がたがた震えだした。 「ゆ、ゆうう…そんなに、おそろしいものなの…!?」 そして、いかにも恐る恐る、という風に、ぱちゅりーの持つ『きみつぶんしょ』の、 風雨で白茶けた表紙を盗み見た。 「そのとおりよ…むきゅ、そのぶん、えらばれたものにしか、よむことはできないんだけどね… だけど、けんじゃであるぱちゅにならば、よむことがむっきゅりかのうだわ。 むきゅ、どれ、どんなすごい『へいき』さんがふういんされているのか、すこしぱちゅが よんでみるわね…」 そういって、ゆっくりにできる、最大限に厳かな仕草で、本の表紙におさげをかけた。 その本は、絵本だったが、表紙は風雨に晒されて白茶けていて、ほとんど判別が出来なかった。 しかし、僅かに浮かんでいる色や模様を何とか読み取ると、その表紙には、ひらがなとカタカナで、 『きどうせんしガンダムのひみつ!』と、大きな字で載っているのが読み取れた。 ロボットの顔のような絵も、なんとか見て取ることができる。 「むきゅ…なるほど…これは…すごいわ。よそういじょうね…!」 なにがわかっているのかいないのか、ゆっくりとページをめくりながら、 ぱちゅりーはしきりとうなづき、「すごい」だの「やばい」だのといったセリフを、連発している。 ありすはぱちゅりーのその様子に、ただただ不安を煽られ、絵本とぱちゅりーの顔を、 おろおろと交互に眺めるばかりである。 絵本の中身の方は、表紙程には劣化していなく、ほぼ完全に判読することができた。 その全てのページには、古臭い絵柄で白いロボットが躍動しており、 ところどころに注釈のような文字があり、「じゅうぶんに くんれん を つんだ アムロ が のる。」 などと書かれていた。 やがてひとしきり絵本をめくると、ぱちゅりーは本を閉じ、疲れたような声で、 額の汗をぬぐいながら言った。 「むきゅう…ここでは、これいじょうのかいどくはむりね…。 おうちにかえって、『しりょう』にかけてみないと…。 かえりましょう、ありす。もう、きょうのおしごとはおわりでいいわ」 「ゆっ、わ、わかったわ」 そして元来た道を戻る二匹。ぱちゅりーは脇に、例の『きみつぶんしょ』をしっかりと抱えている。 「むきゅ…あんたたち、いつまでぷくーしあってるの?もうかえるわよ…あ、そうそう、 だんぼーるさんは、しっかりおうちまではこんでね。 ぱちゅりーはこの『きみつぶんしょ』を、ちゃんとしっかりぶじにもってかえらなくちゃいけないから、 てつだえないわ」 「ゆうう!?なにいっでるのおおお!?おさだからって、そんなたいまんはゆるされないんだよ! おさこそ、かわいいれいむのすてきなおうちのために、ゆっくりだんぼーるさんをもってかえってね!」 「れいむ…わがままもいいかげんにしないと、つよいつよいまりささまがせいさいしてやるんだぜ?」 「ゆううう!?どぼじでぞんなごどいうのおお!?せいさいやだあああ!いたいのやだあああ! れいむおうちかえるううう!」 「はいはい、だからこれからおうちにかえるんでしょ、れいむ。ちゃんとだんぼーるさんを いっしょにもってかえれば、ありすがまりさに、せいさいしないでってたのんであげるわ。 ほら、そっちのはしっこを、ゆっくりもってね?ありすはこっちのはしっこをもつから」 「ゆううう!おもだいいい!づがれだああ!おながずいだあああ!」 ぱちゅりーは、家路につきながらも、いかにも何かを考え込む風で、しきりとぶつぶつつぶやいている。 どうやらこの日はまだ、波乱の予感を含みながらも、ゆっくり達の日常が、平穏に過ぎてゆきそうである。 しかし、間も無く降り注ぐ、ゆっくり出来ない大事件を、今はまだ四匹共、知る由も無い…。 つづく トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ぷくーとかやるれいむにせいさいするよ -- 2011-07-12 19 31 36 この中ではありすが一番賢いなw -- 2011-06-22 07 54 31 れいむ死ね -- 2010-07-29 18 49 10 都筑和 -- 2010-02-13 19 40 33
https://w.atwiki.jp/orirowaz/pages/417.html
緋の稜線が山々と空の境を彩り、茜色の夕空と藍色の夜空が黄金比率で混じり合う。 大自然の作り出す絶妙なコントラストは、この村が地獄の中心だという現実を忘れさせるほどの絶景だ。 この昼と夜の境目の時間帯の呼び名は、逢魔時。 大禍時という表記を源とするこの刻は、この世とあの世とが混じり合う時刻だと言われている。 ならば現世に地獄を顕現した山折村の夕暮れは、まさに逢魔時と呼ぶにふさわしいのだろう。 そんな魔の領域でスヴィアが待っているのは、しかし呪いでも魔物でもない。 村人たちを執拗に追跡し、殺戮する死神部隊、SSOGである。 珠たちの姿は迫り来る闇の奥へととうに消えた後。 長谷川真琴のレポートを再び一読し終えたころだろうか。 待ち人が姿を現した。 スヴィアの耳を以てしても聞き逃すほどのわずかな足音を伴い、確かな存在感を放ちながら現れた。 「ここにいましたか、スヴィア博士。あなたの身が無事で何よりだ」 天の言葉遣いは変わらず柔和で物腰柔らかい。 しかしスヴィアはその声色にどこか擦り切れた印象を感じ取った。 険しく思いつめたような雰囲気を纏わせ、マスクの奥から覗く瞳の光は乾ききり、その視線は猛禽類のように冷たく鋭い。 研究所に突入して僅か数時間。 スヴィアと別れてからの時間はさらに短い。 たったそれだけの間に、一体何が起こったというのか。 「こちらの都合で監督に回れなかったことは申し訳ないですが。 研究所内の騒動はすべて解決しました」 「花子さんは、いないのかい?」 「それも含めて、すべて解決済みです。 スヴィア博士。もし成果が出ているのであれば、お聞かせ願いたい」 もし欺くのであれば一切の容赦はしない。 言外に、そう言われている気がした。 天たちは運がいいのか悪いのか、村の呪いにかち合うことがなかったのだろうか。 花子と合流するという当初の目的はかなわないらしい。 彼女は研究所で彼らに敗れ、命を散らした。 必然的に、スヴィアが出すべき成果は特殊部隊への足止めということになる。 創や雪菜はいない。武力で切り抜けることはできない。 誠吾はいない。言葉とハッタリで切り抜けることはできない。 逃亡を目的とするならば絶望的な状況下、だがスヴィアの目的は会話による時間稼ぎである。 そして、ここまで欲を出すつもりはないが、勝利条件も実は明快だ。 特殊部隊に村人を殺すのではなく、生かすことを選択させられれば勝利である。 ゴールテープを切るのに必要な要素は武力でもハッタリでもない。情報の組み立て方と、相手に怯まない覚悟の持ち方だ。 それに、勝算というほど大それたものではないが、及第点は取れるはずだと信じている。 なにせ、珠は足止めに反対しなかった。 運命すら視通すように進化した異能の持ち主が、スヴィアをここに残したのだ。 なれば、珠はスヴィアの戦略的勝利を視たのだと信じよう。 ハッピーエンドに向かって奔走する珠を信じて、後方の憂を断ち、送り出すことに邁進しよう。 ――命を落とした与田や海衣をも救うと豪語した珠の異質さが、すべてを視通す金色の光が、スヴィアの脳にフラッシュバックする。 果たして彼女が目指す「ハッピーエンド」が、彼女が語る「救い」が、スヴィア自身の価値観と合致したものであるのか。 そんな不安は拭いきれないが。 あの底知れない違和感を、スヴィアは理想と信条で塗りつぶし、天と対峙する。 「伝えるべきことはいくつかあるが……」 珠や春姫から赦しを得たことで、心理的な重荷は解消した。 肉体的には変わっていないし錯覚なのだろうが、随分気が楽になったように感じる。 たどたどしくもはっきりと言葉を紡ぎ、気を張るように再度息を吸い直す。 ここからが正念場だ。 「……まずは、いいニュースだ。 女王感染者を殺さず無菌者へと戻す方法が一つ、見つかった。 天原創。彼の異能に依存した方法ではあるが……、理論上はゾンビ含めた全村人を治療できる」 「なるほど、さすがだ。 この短期間で一定の成果に辿り着くとは。 ……天原創とは、あの彼のことですね? 彼の異能は他者を昏倒させる異能と理解していましたが」 「本質は別物だよ。昏倒は副次的要素に過ぎないが、キミたちにとって大した違いはないだろう?」 「ふむ、まあいいでしょう。 しかし、彼が既に命を落としているのなら、その案は利用できない。 そして我々がウイルスの調査を行っていた理由は、パンデミックの第二波を防止するため。 そこの理解は相違ありませんか?」 「後者は一切問題ない。無菌者となった時点で抗体が出来上がり、二度と保菌者となることはない。 長谷川部長の研究結果だ、論文にも書かれているから間違いないよ。 女王感染者を治療した時点で、VHは収束するだろう」 「それは僥倖」 「…………随分と、素直に信じるんだね」 「研究者として、質問が多いほうがお好みで? ……貴女が自分の命惜しさに虚言を弄すのなら、そのような情報を私に提供しない。 まだ調査途中だとうそぶき、期限ギリギリまで引き延ばしを謀るはずだ」 やはり乃木平天は人をよく見ている、とスヴィアは評する。 処理ターゲットにすぎない死にかけの小娘一人に対して、意志と個性のある一個体として接している。 それこそ、教師にでもなれば生徒一人一人に寄り添えるよい教師になれるだろうに、と残念に思う。 「それから、天原君の生死は、それこそキミたちのほうが詳しいだろう? 空を飛び回るドローンがハッタリだとは言わせないよ」 創が死んでいれば彼女の案はすべておしゃかとなるのだが、そうはならないはずだと言い聞かせる。 ここでつまずくならば珠も足止めは任せないだろう。 他人の異能に10割依存した根拠のない断定は非常に気持ちが悪いものだが、ポーカーフェイスでしのぎ切った。 天は印象的な灰色の片目をつぶり、スヴィアの回答を噛み砕いている。 緊急脱出口から外に出た直後、真っ先に通信機の件と研究所での死者については伝えた。 早ければ、まもなく軍用回線の遮断も解除されるだろう。 スヴィアの目の前で通信をおこなうかどうかという点を除けば、創の生死を確認することは難しいことではない。 「当初私が貴女に求めていた成果という意味では上々です。 ただ……、無償で我々に情報を提供するところが引っかかる。 それに、いいニュースがあるということは、悪いニュースもあるはずですね?」 「ああ。今、ゾンビ以外に、この村で生き残っている者はほとんどいない。 特殊部隊も、無事なのはキミたちのところだけだ」 「…………」 表の部隊歴も長い天の脳裏に、全滅という二文字が浮かんだ。 もっとも一般的な軍と違って、SSOGは任務達成まで負傷者の収容に手を割かないため、全滅は10割死傷の時点ではあるのだが。 「……それは確かに我々にとってはバッドニュースだ。 貴女方にとっては好都合なのでしょうがね」 衝撃的な情報のはずなのだが、今となっては衝撃よりも納得が先行する。 それほどまでに今回の任務が過酷であることは、僅か18時間で思い知った。 「これ以上続けるならば双方多大な犠牲が出るぞと脅し、次に落としどころを提示するというところですか。 なるほど、手打ちへの道筋としては実にオーソドックスな手法ですね」 「ああ、先に言ってしまうのか……。 キミたちがボクらを殺しに来ていることは知っているが、 ボクらはキミたちと敵対したいわけじゃない。 女王の治療法も分かった。一時休戦、というわけにはいかないかな?」 「スヴィア博士は私を騙すつもりはないのでしょう。 ですが、素直に飲み込むわけにはいきませんね」 実際にその治療法を一度試すのにどれだけの時間がかかるのか。 果たして生き残った感染者たちはそれに応じてくれるのか。 そもそも創は生存しているのか。 治療を終えたとき、女王殺害の場合と同じ効果を得られるのか? ここでスヴィアの案に飛びつくなら、そもそも女王の斬首作戦などはじめから取らない。 もし村に降り立った直後なら、天はうろたえてスヴィアにペースを握られていただろうが。 今、彼が動揺することはない。 「それに、双方の犠牲と言いますが、我々は結局のところ実行班の一つだ。 仮に、私たちが全滅したとしてだ。 残り30時間、我々の隊が手をこまねいていることはあり得ない。 すぐに次なる部隊が送られてくる。そう考えたことは?」 「その通りだね。だが……。 だからこそ、『花子さん』が研究所の上層部と交渉をしたのだろう?」 「…………」 スヴィアたちはスヴィアたちで取り込んでいたため、研究所の二階の様子にまでは気を割けてはいない。 だが、スヴィアが花子と別れてから、真理がなりふり構わず大声をあげるまで、与田が地下三階に逃げてくるまで、かなりの時間的余裕があったと記憶している。 交渉が実ったのか決裂したのか、そこまで知る術はないが、何かしらの進展はあったと信じている。 「沈黙は肯定と受け取っていいのかな」 「抜かりない論理の組み立て方をするんだな、と感心していただけですよ。 貴女が『花子さん』の意図を知る機会はごくわずかな期間だった。 日野珠さんに聞いたのですね? それとも、彼女の異能でしょうか?」 「彼女に直接聞いた話さ」 「…………」 スヴィアとハヤブサⅢが接触したあのとき、その異能を用いて研究の助手をさせるという体で、珠を見逃すことを確約した。 だから、天は珠の異能を知っている。スヴィアから聞かされている。 イベントを可視化する異能だと知っている。 加えて、異能の進化。 ハヤブサⅢには異能の進化がおこったと考えている。 彼女は未来を視ていた。戦場全体を視ていた。その異能を以て、SSOG四人を手玉に取った。 直前の例に引っ張られたというのもあるが、イベントを可視化する異能から、未来の出来事を可視化する異能へと進化しても特別違和感はない。 ただ、一つだけ、喉につっかえた小骨のように引っかかることがある。 (聞いた通りの異能ならば、通信機を見逃すことはありえないはずだ) ハヤブサⅢが持っていた通信機。 特殊部隊の動きを大きく制限する最重要アイテム。 仮に当時は逃げるだけで精いっぱいだったとしても、熊の首を刎ねた者に回収を頼むことはできる。 だが、通信機は海衣の遺品として放置されていた。 ハヤブサIIIから海衣が受け継ぎ、真珠が命をかけて奪回を試みた最重要機器は、この局面で路傍の石のように転がっていた。 (よもや、私が通信機を回収することも視通していた、ということですか? 私が本部との通信を復活させることを前提に動いている?) 芽生えた異能を使うことを否定する気はないし、そもそも天は彼女たちを殺しにきている立場の人間だ。 糾弾する口など持ち合わせていない。そんな意志もない。 仮に天に珠の異能が芽生えれば、やはり存分に使い倒すだろう。 ただ、大田原に芽生えた異能と同等程度におぞましい異能にも思えてしまう。 (人間一人が悩み抜き、苦渋の末にくだした決断は、あらかじめ定められたものなのだとでも?) 最良の結果を生み出す選択をあらかじめ見いだせる異能。 確かにうまく使えば幸福を掴むことができるだろう。 しかし、異能に使われてしまうようならば、異能者の自由意志そのものが失われる。 ディストピアの住人のごとく、ハッピーエンドの奴隷として幸福を選ぶ義務を果たすだけのマシーンと化すだろう。 天が感じているおぞましさの根幹だ。 スヴィアはその考えには至らないのか、それとも目を背けているのか。 内心は分からない。 「邪推を失礼」 考えすぎた。これは可能性にすぎない。 おかしな情がうつらないように機械的に情報をシャットアウトする。 「ですが、その交渉の結果を知ることはなかったはずだ。 スヴィア博士、あなたは何を言おうとしているのです?」 「研究所の意向はキミたちとは別にあるはずだ。 そしてキミたちも研究所を無下にはできまい。 仮にキミたちが独自基準で秘密裏に動いていたとしたら、これは別の問題を引き起こす。 ――『Z』。心当たりはあるかい?」 『Z』。ハヤブサⅢの遺言、そして真珠からの『伝言』だ。 重要度の高さ以外は何もかも不明な、何かを指し示す隠語。 「『Z』ですか。それはこちらから尋ねたかったことでもある」 「『Z計画』。私の口から言うには、あまりに壮大で……、あまりに荒唐無稽だ。 自身の目で確かめてみたまえ」 スヴィアから手渡されたのは長谷川真琴の署名が為されたレポート。 いずれ来たるZデー、それに対する『Z計画』と研究所の理念について余すところなくまとめられた門外不出の機密事項だ。 「ボクも元研究員。48時間の猶予……その意図を理解した。 そして、錬がなぜこのような凶行に及んだのかも理解はした。できてしまった」 パラパラと論文をめくっていく天。 そのマスク越しに覗く表情を注視しながら、スヴィアはゆっくりと言葉を紡ぐ。 「研究所の側はできる限り引き延ばしをはかり、女王感染者含む感染者のデータを取りたかった。 ボクらがキミたちによって殺されることは望んでいなかったはずだ。 なぜなら、『Zデー』は8年後。 進捗をみるに、研究自体は成果にたどり着くだろう。 だが、そこから終末の日を迎えるまでの時間はあまりに短い。 成果は早ければ早いほどいい」 さわりを読み、天は額に深い皺を寄せる。 謎に包まれた研究のベールが少しずつ剥がれていく。 『Z』に触れて動揺しない人間など数えるほどしかいないだろう。 そんな『Z』初心者に対して、スヴィアはやさしく撫ぜるように言葉を刷り込んでくる。 「花子さんの活動によってキミたちの暗躍は明るみに出た。 研究所はキミたちの独断専行に不信を抱いているかもしれない。 どちらの組織も政府の懐刀。 キミたちと研究所の仲違いは望まないはずだ。 そしてボクらも無駄な犠牲を望まない」 双方の犠牲を減らす。これだけで説得できないのなら、より高次のレベルからはたらきかける。 交渉人が碓氷なら、彼は素面でこれくらい言うだろうが、残念ながらスヴィアにそんな才能はない。 珠と別れてから今まで、考えに考えた時間稼ぎだ。 自分たちを殺しに来ているSSOGと研究所には共感など一かけらもないが、内心の気持ち悪さをすべて呑み込み言葉を紡ぐ。 「ボクも自分のカードキーを持っている。 花子さんが研究所の上層と接触できたのなら、ボクも接触は可能なはずだ。 ほんの一時間でいい。研究所に特殊部隊、そして村人。 全員まじえて、話をするのも悪くないんじゃないかな?」 スヴィアの考えた、できる限りの足止めだ。 これで会議に持ち込めれば御の字。時間稼ぎとしては最大級の成果。 隊員の壊滅を上回る、世界滅亡という衝撃的な事実で疲弊させた心につけこむ悪辣なやり方だ。 研究所の上層と接触し、女王の仮説について尋ねてみたいという私欲があることも否定はしないが。 実際のところ、このVHと『Z』は、関連性こそあるものの、本来まったくの別物だ。 『Z』のために作戦を変更する必要はない。 故に任務に忠実な兵士には効かない。 だが、将には効く。 天や真珠のような柔軟性を併せ持った隊員。 そして真理のような現金な隊員には絶対に通用すると踏んだ。 そして、天にとって、スヴィアの考えている段階よりもさらにもう一段階、選択肢が降りかかっていた。 それは、時刻。 時間はもうじき18時にさしかかる。 それは、司令部と研究所副所長の間でおこなわれる定例会議の開催時刻。 ここに至って、軍用回線がついに回復した。 今や村内に展開した特殊部隊は天だけだが、これで司令部とリアルタイムで通信をおこなうことができるのだ。 これまでに得た情報。 レポートで概要を把握した『Z計画』。 ハヤブサⅢと研究所との密談。 そして解決策が見つかったというVH。 矢継ぎ早に進化していく異能。 そして、天の推測ではあるが……スヴィアは女王感染者についても何か情報を握っているのではないか。 彼女と研究所を接触させることで、さらなる有用な情報を引き出せる可能性すらある。 スヴィアを他勢力と接触させるか否か。 それは定例会議の前か後か、それとも『最中』か。 研究所はどこまで把握している? 司令部の方針は? 情報の津波が天に降りかかる。 何もかもが初見、何もかもが専門外。 それでいて、祖国の未来を決定づけるかもしれない重大な情報がいくつも混ざる。 刻一刻と時間が迫ってくる中、天に再び決断が委ねられる。 さあ、選択の時間だ。 【E-1/草原・地下研究所緊急脱出口前/一日目・夕方】 【スヴィア・リーデンベルグ】 [状態]:重症(処置中)、背中に切り傷(処置済み)、右肩に銃痕による貫通傷(処置済み)、眩暈、日野珠に対する安堵(大)及び違和感(中) [道具]:研究所IDパス(L1)、[HE-028]のレポート [方針] 基本.VHを何としても止めたい。 1.特殊部隊ないし研究所との交渉による事態収拾策を考える。 2.特殊部隊相手に時間を稼ぎ、犠牲者を減らす 3.『Z計画』や女王について知る 4.上月くん達のことが心配だが、こうなれば一刻も早く騒動を収束させるしかない…… 5.……日野くん。君は…… [備考] ※黒幕についての発言は真実であるとは限りません ※日野珠が女王であることを知りました。 ※女王の異能が最終的に死者を蘇らせるものと推測しています。真実であるとは限りません。 ※『Z計画』の内容を把握しました。死者蘇生の力を使わなければ計画は実行不能と考えています。 【乃木平 天】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、精神疲労(大) [道具]:拳銃(H K SFP9)、サバイバルナイフ、ポケットピストル(種類不明)、着火機具、研究所IDパス(L3)、謎のカードキー、村民名簿入り白ロム、ほかにもあるかも?、大田原の爆破スイッチ、長谷川真琴の論文×2、ハヤブサⅢの通信機(不通) [方針] 基本.仕事自体は真面目に。ただ必要ないゾンビの始末はできる範囲で避ける。 1.VHを最適解で終わらせる道筋を考える 2.大田原を従えて任務を遂行する 3.犠牲者たちの名は忘れない。 [備考] ※ゾンビが強い音に反応することを認識しています。 ※診療所や各商店、浅野雑貨店から何か持ち出したかもしれません。 ※ポケットピストルの種類は後続の書き手にお任せします ※村民名簿には午前までの生死と、カメラ経由で判断可能な異能が記載されています。 120.白き墓標にて 投下順で読む 121.幼神レクイエム 時系列順で読む 対特殊部隊決死作戦「CODE:Horus」 乃木平 天 ミーティング『Z』 『厄災・隠山祈』 スヴィア・リーデンベルグ
https://w.atwiki.jp/ogasawara/pages/464.html
乃亜I型@ナニワアームズ商藩国様からのご依頼品 真夜中のサーカス【Le cirque de Minuit】 * 乃亜Ⅰ型は恋をしている。 お相手はハリー・オコーネル。 第6世界人。 外見年齢40代。 元太陽系総軍大尉。 夜明けの船RBパイロット。 長身に銅貨の色の髪と鍛え上げられた肉体を持つ偉丈夫であり、年輪を魅力に変えられる希有な男であり、騎士の魂を持つ戦士であった。 彼の人に対して乃亜がどれだけ入れ込んでいるのか、ナニワに住む者なら多分ハンガーの野良猫だって知っている。そしてその誰もが乃亜の恋が惚れたはれたといううわっついた感情ではなく、魂からの渇望に近いものだということを理解していた。 だからこの件に関しては全ナニワ藩国民が応援していると言っても過言ではあるまい。少なくてもわたしはそう思う。 その日、我が藩国の凄腕サイボーグパイロットにして藩国の国庫の半分を賄ったという噂のある腕利き技族である乃亜は、彼女にしては実に珍しく、女性用の浴衣を着込んでめかし込んでいた。 何でも夏頃から用意していた手縫いらしいから気合いの入りようが解るというものではある。 かのオコーネル氏に会いに行く前夜から緊張して顔を赤らめたり青ざめたり、にやにやしていたかと思うと急にばったり倒れたりしたりしている、いわゆる『ぐるぐる』状態の彼女を馴染みの藩国士官達は微笑ましく思う一方で死地に向かう兵士を送り出す心持ちで見ていたのに違いない。 「じゃじゃじゃじゃあ、行ってくる!」 浴衣を着てびしっと敬礼した乃亜は右手と右足が同時に出るような歩き方でナニワを後にした。 あの調子で小笠原への瓶が出る旅行社まで無事にたどり着けるのだろうか。少し心配になった。 ああそれにして神様、もしもいるならば、どうか。 彼女の恋を成就させて下さい。 相手が例え石すら根負けするという鉄の朴念仁ハリー・オコーネルであったとしても。 めでたしめでたしで終わらない物語なんて、わたし達には要らないのだから。 『出陣当日のお姉様を見送り-ナニワアームズ商藩国文族 久遠寺那由他の日記より抜粋』 * 赤い夕日が稜線の向こうに沈む刻限。 昼間はこれが冬か、と思うような日差しの照り付ける小笠原にも海から運ばれる風と共に少しだけ涼がもたらされる時間。乃亜はその風で漸く頭を冷やして落ち着きを取り戻し始めていた。 相手はなんといってもハリーである。粗相があってはならないと彼が来る前に素早く身だしなみを再チェックする。 化粧、オッケー。浴衣、オッケー。帯、曲がってない。草履、鼻緒が切れる心配がない強化繊維製にしてきた。お財布は持っているし、陳鉢もちゃんと額にある。 当方に迎撃の準備あり。いつでも来い! かれこれ8度目になるチェックを済ませ、待ち合わせ場所に指定した薄暗がりの神社、赤い鳥居の前で乃亜は一人気合いを入れた。 彼との逢瀬もこれが3度目、急に親密になりたいとか挨拶代わりのお姫様抱っことか欲張りな事は言わない。手を握ってくれたらいいなぁ、とか思っている乃亜であった。 そんな乃亜の元へ、当のハリーが歩いてきた。 いつものように鍛え上げられた肉体を総軍の青い制服で鎧っている。現役のエースでありながらそんな雰囲気を感じさせない物腰はまるで彼の歩んできた人生を表しているようだな、と乃亜は実物を前にして少々埒もない考え事をした。 石段の前に立つ乃亜の元へハリーはゆっくりと歩み寄ってくる。乃亜はなるべく優雅に、と心がけて深くお辞儀した。 ハリーも会釈を返す。 「お待たせしただろうか」 「こんばんは。お呼びして申し訳ない」 「今日は、他の方は?」 「私一人なのだ」 「そう・・・なのか」 ハリーは乃亜の前で顎に手を当てると気難しげに眼を細めた。 「てっきり破廉恥なのがついてきて、護衛をすると思っていた」 いぶかしげに周囲を見回すハリーを見て乃亜は思わず背中に冷や汗をかいた。前回ハリーと会ったとき、一人では心細いという彼女に付き添いを申し出たのは同僚のイズナであった。 その後色々とあって・・・ハリーの中では彼とナニワという藩国は『破廉恥』の三文字で捉えられてしまったようだった。 乃亜はこっそり仰ぎ見た夜空に星空バックで親指を立てて笑顔で決めたイズナの幻影を見た気がした。 「祭りに来たかったのだが、他のものとは予定が合わず。少々心細くて、お呼びしてしまった。 ・・・申し訳ない」 申し訳なさそうに再び頭を下げた乃亜にハリーは納得したように小さく頷いた。予定が合わなかったのは本当だが、一番の理由は『破廉恥』認定されたイズナが自粛したためである。 表情から察するにハリーはあの破廉恥漢では護衛の役に立つどころか逆に危険だ、と思っているようだった。 「あの、護衛をお願いしても、よろしいだろうか?」 「承知した」 不安げに言葉を重ねた乃亜に向かってハリーは頭を下げた。 このお嬢さんを守ってやらねばなるまい。ハリーの中で彼の行動原理である義務感が芽生えたようである。 「ありがとうございます!砂漠では、女が一人で出歩くと攫われる」 「面白い話が出来ればいいのだが。自分はギャグの一つも理解しない 」 「おお、それでも、ギャグの概念は記憶したのだな」 「・・・失礼した」 嬉々として尋ねた乃亜の言葉にハリーは苦い物を堪える表情になると軽く目を閉じて顔を背けた。鉄の朴念仁。自覚は多少なりともあるらしく、彼のコンプレックスを刺激してしまったらしい。 今の台詞ももしかしたら冗談のつもりだったのかも知れない。 それに気付いた乃亜は慌てて言葉を継ぐ。 「いや、もしかして、失礼なことを言ってしまったか?もしそうであれば申し訳ない」 しかしハリーは微かにかぶりを振ると乃亜に視線を戻した。 「どこについていけばいいのだろう」 「ええと、まず、お社にご挨拶をしたいと思っていたのだが、ハリーさんは、どこか見たいところは?」 「自分は護衛だ。護衛に意思はない。 石のように、黙って貴方を守ろう 」 ハリーはそれきり黙ってしまった。苦心して用意した冗談が滑ったのが堪えたのか、若い女性と並んで歩く事に気後れするのか、それとも単にお腹が空いているのか。 その表情からは内心の葛藤までは読み取れない。 乃亜は内心で密かに歎息すると提案した。 「では、まずはお社へ行こう。 ・・・貴方の隣を歩くことを許可して頂けるだろうか?」 ハリーは黙って頷いた。本気で無言の守護者の誓いを守るつもりなのか、そのまま乃亜を伴って歩き出す。 しん、と神寂れた境内の空気が二人の間に切ない距離感をもたらす。 乃亜は小笠原に来るときにした決意を実行に移した。 そっと、右手を差し出す。 しかしハリーは気付かなかったのか、黙って前を見据えて歩みを続ける。 その様子に乃亜は内心で微かに首を傾げた。皮膚接触が叶わず落胆したわけではない。 いうなればそれ以上に深い意味の意思表示だったのだが。 (そうなのか?) 二人は沈黙したまま、一筋の明かりもない神社の石段を登る。祭がある、という事前情報とは異なり、本来なら夜店でにぎわっているべき境内からは深閑とした気配しか感じられない。 「・・・お祭りがあると聞いていたのだが・・・日にちを間違えてしまっただろうか」 もしそうなら呼びだてしたハリーに申し訳ない。 段々心細くなってきた乃亜が呟くと、ハリーは立ち止まって背筋を伸ばし、目をつぶった。 「・・・?」 乃亜は怪訝そうに隣に立つハリーの顔を見上げた。目を閉じたままのハリーが低く言葉を発する。 「そんなことはないようだ」 「音・・が聞こえる?」 祭があればお囃子や、笑いさざめく人々の声やはしゃぐ子供の歓声が聞こえるだろう。 しかし乃亜の優れた聴覚を持ってしても相変わらず境内は静けさを保ったままだった。 「火星の海が見える」 低く呟いたハリーに倣って同じように背筋を伸ばして目をつぶってみた。 何も見えない。 彼と同じ物を見るにはまだ、心に距離がありすぎた。それでもさして落胆もせず、乃亜は目を開くと静かに尋ねた。 「どんな海なのだ?聞かせてもらっても良いだろうか?」 「皆が死ぬ海だ。美しい海だ。自分もいつかは、そこに帰るのだろう。戦死かどうかは解らないが」 「・・・・」 沈黙した乃亜にそれと解らないほど微かに微笑むと、ハリーは虚空をみつめて声を上げた。 「知恵者、聞こえるか」 長い石段の踊り場ごとに二基ずつ置かれている石灯籠に一つずつ、明かりがつき始めた。 その幽玄な明かりに照らされ、本来なら社のあるべき闇の中に巨大なテントが浮かび上がった。 首を曲げないとその尖った頂きが見えないほどにそれは大きく、まるで生き物が呼吸するかのように膨張と収縮を繰り返している。 乃亜は呆然とテントをみつめ続けた。と、ハリーのみつめる闇の先から声がした。 『20マイルだ』 「マイル?」 「・・・なにが、だろうか」 「謎かけか」 「いや、通貨の一種だ。 ・・・・私の知っているものと一緒ならば、だが」 「なるほど。中に入るには20マイルか。夜中のサーカスとは」 ハリーが納得したように頷いた。乃亜は財布を取り出そうと袂をごそごそした。 「行くなら、払おう。 ああ、ええと、 私が払える、と云う意味だ。・・・言葉は難しい」 「大丈夫だ。知恵者、私はこのお嬢さんにきれいなものを見せたいのだ。 がっかりさせないように」 ハリーの言葉を受けて巨大なテントの入り口があいた。帳を左右に引き上げたそれは、黄金色の光と靄が立ち籠めて中の様子を窺い知る事は出来ない。 『デートチケット。二枚』 「お知り合い、なのだろうか?・・・デートチケットは持っていな・・・」 再び袂や懐をごそごそし始めた乃亜を尻目に、ハリーはポケットから色のついた紙片を二枚取り出すと、地面に置いて臆する様子もなくテントの中へと入った。 「奇人だが、立派な人物だ」 生真面目に答える声が離れている事に気付いた乃亜が、ぎょっとしたように地面に置かれたチケットとハリーの入っていったテントの入り口を見比べて声を上げる。 「い、いいのか?貴方のものであろう?」 「ああ。自分が使えるとは到底おもっていなかったが。 船ではせいぜい、美人と豪遊したと嘘をいうつもりだ。来ないのか? 」 「 美人と豪遊すればいいのに、とも思うが。・・・ありがとう」 内心でじゃあ私は美人じゃないのか!?とか、美人と豪遊するような人じゃないよなぁとか、そんなハリーさんだったらこんなに苦労はしてないとか。色々複雑な心境で考えつつ、乃亜は勢いよく石段を駆け上がるとハリーを追ってテントの中へ入った。 「申し訳ない、そして感謝を」 中で待っていたハリーに告げたかどうか、乃亜の身体はふわり、と高いテントの空中に投げ出された。 ビルの四階ほどの高度がある。 見下ろせば下ではハリーが見上げていた。 「・・わ!」 乃亜は空中を無限に落ちていくような錯覚にとらわれて、浴衣の裾が乱れるのも構わずにじたばたとしながらハリーの方へ手を伸ばした。 その手にたぐり寄せられるようにハリーもふわり、と空中に浮かび、大きな掌で乃亜の手を握った。 「哎呀・・・」 あまりにもあまりな状況に、2つ以上の意味で焦りながらしっかりと手を握り返した乃亜から思わず意味不明の言葉が口をついて出た。 「落ち着いていい」 「はい」 ハリーのいつもと同じ冷静な言葉に全然落ち着いていない乃亜が即答する。 鬱金の闇をたゆたったのも束の間、周囲の景色が一変した。 二人は草原の中にいる。 乃亜は草原を見下ろしていた。まるで天をいく鳥のように。 鳥瞰で望む草原は何処まで行っても緑で、乃亜は飛行訓練で乗ったI=Dや航空機のキャノピー越しの景色は全て嘘だったと思った。 「・・・綺麗、だな。これ、は・・?」 「ホログラムではないな。知恵者、操作したい」 乃亜の手を取り共に天を漂うハリーが再び虚空に向かって話しかけた。大きく背がのけぞり、顔が歪んだ。 「・・・!!大丈夫か!!」 頭を振ったハリーは慌てて声を上げた乃亜になんでもないように答えた。 「ああ。降りて、見られるか?それとも季節をすすめるか?」 「 何を・・・というか。ええと、もう、大丈夫、なのだろうか?痛そうだったので心配だ。」 「ああ。アイドレス記述言語をインストールされただけだ。お好みは?」 「降りて、みたいとは思うが」 「R:乃亜は降りる」 「なるほど、理解したと思う」 納得したように頷くと、見えない手でそっと動かされるようにして乃亜は一人で草原に降りたった。久しぶりに地に足がついてほっとしつつ不満そうに空に留まったままのハリー見上げる。 「できれば、ハリーさんと、一緒に」 見渡す限りの草原には風が吹いている。 風は、緑の草の匂いがした。 乃亜の言葉を受けてハリーも降りてきた。 静かに乃亜の隣に立つ。 「ホログラムではないのに、操作が出来る、とは・・・」 「服を着替えることも出来る。風を動かすことも。自分は姿を消してさしあげよう。」 感心したように辺りを見回していた乃亜がハリーの言葉にちょっとだけ眉根を寄せた。 「一緒に居て下さると、私はとても心強く思うが」 「わかった」 ハリーの長い髪が風に揺れている。ぽつりと口を開いた。 「故郷のようだ」 天を行く白い雲が束の間陽光を遮り乃亜とハリーに影を落とす。 雲はながれていき、二人の周囲はまた日向に戻った。 「・・・ハリーさんの故郷・・?美しいところだな」 優しく吹き渡る風に髪を踊らせる二人の頭上では凄い速度で雲が流れている。 「時間が流れているのか?」 「R:戦士の衣装を」 この不可思議な空間の天を見上げて雲の移動と時間の経過の関連について思いを巡らす乃亜。ハリーは再び虚空に声をかけた。 その瞬間、総軍の制服は霞むように消え去り、それが収まったときには民族衣装を着ていた。 剣を帯びている。まるで古代の絵巻から抜け出てきたような、威風堂々とした戦士の装いだった。 これがきっと彼の本質の姿なのだろう。乃亜は優しく微笑んだ。 「とても、素敵だ。貴方に似合う」 「着替えてみるか?貴方も」 「はい、是非お願いする」 「姫君の衣装を」 「っ~!!?」 ハリーのリクエストに激しく狼狽する乃亜。しかし時既に遅く、瞬く間に浴衣からスカート姿になっていた。 細かい刺繍が施されている長いスカートとふんわりと広がった袖が、風に揺れている。 二人並ぶと、一枚の絵のようにお似合いだった。 銀髪をリボン代わりの長い陳鉢と風にそよがせる異国の姫君と剣を携えて側に侍る赤銅の騎士。 「わ、私にはもったいない衣装だな。とても素敵だ」 「そんなことはない」 古風なドレスのあちこちを引っ張ってみたりして顔を赤らめる乃亜にハリーは真面目な顔でそう言った。 「これで、少し 貴方と一緒に歩いてみたい。・・・如何だろうか?」 乃亜は勇気を総動員して提案すると『如何だろうか?』と伺うように首を傾げた。 ハリーは頷いた。 「自分は貴方の護衛だ」 「今は、ここでは、護衛はいらないであろう?」 軽く膝を折って再びハリーにそっと、手を差し出した乃亜を前に、ハリーは恭しく礼儀に則って跪いた。 貴婦人に拝謁する騎士のように、乃亜の手を取ってキスをした。 「姫君。仰せのままに」 「~っ!!?」 ナニワのタコヤキに入っているというアカシのタコに勝る勢いで真っ赤になった乃亜は声にならない叫びを上げた。 無言のまま硬直する本人に代わって腰部に接続された外付けバッテリーパックが甲高いアラームを鳴らし出す。 『本体温度急上昇-冷却のため全予備電源投入開始-冷却完了まで180分を予定-義体出力を停止』 乃亜は棒のように前のめりに倒れる瞬間、知恵者の『いいとこで残念だが、時間切れ』という声を聞いた気がした。 * 次に乃亜か気が付いたときには小笠原と旅行社間を結ぶ送迎用の船の甲板でベンチに横たえられていた。 心配で様子を見に来たらしい新米文族の那由他が付き添っている。 「気が付かれましたか?」 「ここは・・・送迎船の甲板だな?今は何時だ」 「ナニワ標準時で23時を回りました。オコーネル氏が気を失ったお姉様を連れて見えられてからほぼ三時間です」 「ではハリーさんと神社に行ってから殆ど時間は経過していなかったのか?」 乃亜はベンチに身体を起こすと自分の身体を改めた。 緊急停止の引き金になった身体温度上昇、要するに顔から火が出るというやつだ、は収まり外付けバッテリーも正常値を示している。 気を失う瞬間に身に纏っていたドレスは浴衣に戻っていた。 「あの草原、夢だったのだろうか・・・」 そう呟いて潮風になびく髪をかき上げた刹那、緑の香りが鼻先を掠めた。頭に手をやると、頭頂近く、猫耳と髪の間に一輪の花が挿してあった。 ハリーと二人で降り立った、何処とも知れない一面の草原。 そこで風に揺れていた名も知らない小さな白い花だった。 気絶した自分が髪に花を飾る余裕があるはずもない。 乃亜はその花をそっと両手で包み込むと、祈りを込めるように両手で胸に押し頂いた。 「・・・言い忘れてましたけれどお姉様、その浴衣、似合ってますよ」 何だか的外れなことを嬉しそうに言って耳をぴょこぴょこさせた那由他に小さく頷いて、乃亜は涙を一粒、落とした。 乃亜Ⅰ型は恋をしている。 お相手はハリー・オコーネル。 乃亜が宇宙で一番、素敵だと思う男である。 * /*/ 納品させていただきます。 毎度の拙文ですがどうぞお納め下さいませ。 http //www16.ocn.ne.jp/~nayuta/idress/sircus.htm ログ用の浴衣イラストをお借りさせていただきありがとうございます。 これで指定分のイラストも付けばパーフェクトですねv 作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) 名前 コメント ご発注元:乃亜I型@ナニワアームズ商藩国様 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=274;id=gaibu_ita 製作:久遠寺 那由他@ナニワアームズ商藩国 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=564;id=UP_ita 引渡し日: counter: - yesterday: -
https://w.atwiki.jp/saraswati/pages/582.html
スーパーサラスヴァティ大戦登場キャラクター 参戦キャラとは別の、SSWオリジナルキャラクターのページ。 ・主人公 【名前】キリエ・バッヘム 【所属】グレーサー職員 【性別/年齢】男性/23歳 【身長/体重】176cm/70kg 【瞳色/髪色】碧/金 あどけなさが抜け切らない精悍な顔立ち。何かに集中する時に、父の形見のモノクルを掛ける癖がある。 歴代最年少でグレーサーの正職員となった若き召喚学者。 召喚学、魔物行動学など様々な分野の発展に多大な貢献をしながら、 権威主義を遠ざけ続けたが為に認められる事の無かった「姿無き賢人」である父。 宗教国家ブランクレアの司祭の家に生まれたにも関わらず、 遺跡の発掘事業や召喚機研究による生活レベルの向上などに血道を上げた母。 彼らの功績は遠くグレーサーにも音高く、口さがない者には親の七光りだと非難される事も屡。 しかしキリエは父親譲りの探究心と、母親譲りの温和さを併せ持っている。 要は凄まじくマイペースな人間である為、それらの悪罵は耳の穴を通り抜けていく。それもまた、疎まれる一要因になっているのだが。 確かに彼自身才気溢れる人間ではあるのだが、弱冠16歳でグレーサーの正職員になれたのは、残念ながらキリエの独力とは言えず かつて父親のフィールドワークに同行した際に、偶然にも保護した奇妙な「相棒」。人ならざる元混沌騎士の助力に依る所が大きい。 巨大次元侵略国家である蛛の帝国の中でも、最精鋭と謳われる混沌騎士であった相棒の薫陶を、幼少時から受けていたキリエは 特に召喚学に関してはアル・カウンに比肩しうる者がいないほど、深い知識を持っている。 余人には理解できないほどに。 彼が疎まれている最たる理由は、結局の所はそれである。 彼の言っている事、やろうとしている事を理解できる人間が、彼自身と相棒を除いて一人もいない。要は傍から見れば彼は狂人も同然なのだ。 言ってしまえば腐っても成果主義のグレーサーに身を置いているからこそ、遠巻きにされ、陰口を叩かれる程度で済んでいる。 とはいえ、彼が迂遠にではあるが主張している「召喚機使用の制限」という主張には グレーサー内外で賛同する者も少ないながらにもおり、それを通じて友人関係になった相手なども存在する為、けして孤独という訳ではない。 そもそも彼が帝国の襲来に備えているのも、そういった隣人・友人を守りたいという素朴な願いからである。 勿論その友人の一人である相棒たっての頼み、というのも比重としては大きいが。 ・相棒 【ソキウス】 年齢性別:2098歳 男性 真名:混沌騎士“永訣のローヴァルト” 所属:反帝国レジスタンス“ネスカリバー” 外見:有機ELめいた光紋が流動する一繋ぎの鎖。生前の姿はアサシンめいた老人。 性格:帝国潰すマンにして面倒見のいいおじいちゃん。苛烈な憎悪と冷酷さの奥に、情深い男の残滓が沈む。 武器:述界兵器『吾が名は夜、愛に非ず ゴルディアス・ノクトゥス 』 備考: 主人公が幼い頃に星導器(召喚機)で何処かから引き寄せた、人語を解する知性ある鎖。 主人公に“蛛の帝国”の脅威を伝え、出所も知れぬ膨大な知識・技能を教え込んで、 来たるべき侵略に備えさせた。ワールドウェポンキャンセラーを開発させたのもソキウスである。 そのオリジンはとある世界の忍者。生まれ育った世界を帝国に滅ぼされ、家族も知己も喪った過去を持つ。 長じて創世軍へ入り、やがて叙任考査をパス、混沌騎士“永訣のローヴァルト”として 蛛の帝国の無限侵略作戦を支えた。だが彼は初めから反帝国レジスタンスのエージェントとして 1000年単位の遠大な潜入作戦を実行していたのであり、ときに仲間を、ときに無辜の民を 手に掛けながら、述界兵器の秘密を握るため帝国内部での地位を高めていった。 やがて高位の騎士となり、述界兵器を無効化するシステムを密かに開発していたが、 レジスタンスのスパイであることが露見し、キャンセラーの完成を待たず逃亡。 追撃を受けるなかで肉体は滅ぼされるが、騎士位を剥奪される前に述界兵器の力で 保険として切り離しておいた魂を鎖型デバイスに憑依させ、自らの死を偽装した。 その後、レジスタンスの仲間に自分を回収させる手筈であったが、“偶然の事故”により アル・カウンへ召喚されてしまう。自分を呼んだ少年に、彼はソキウスという偽名を名乗った。 主人公に対し、はじめは肉体を持たぬ己に代わる反帝国闘争の駒を育て上げるつもりで接していた。 しかし偽りの名の通り自分を“友”として扱う少年の心に触れ、帝国での永い潜入生活に 荒廃しきったローヴァルトの心にもまた、彼とその周囲の人々への愛着が湧き始める。 アル・カウンに眠る星導器の正体を、ローヴァルトは薄々ではあるが察している。その力を 活用すれば、己の属するレジスタンス勢力は帝国に対抗する強力な武器を手に入れることができる。 だが彼は迷う。使命に殉じ、己の魂を殺し続けてきた冷徹な戦士が、いま初めて強いられる葛藤。 自分は反帝国の闘士ローヴァルトであるのか。それとも、この子のソキウス(友)であるのか。 遂に訪れた帝国の侵攻を迎え、彼は主人公に敵から逃れるための助言を与える。 守るべきものは何か。もの言う鎖の心は、誰にも推し量れない。 かつて与えられていた“解”の述界兵器『吾が名は夜、愛に非ず ゴルディアス・ノクトゥス 』は、 結界領域内において、有形無形を問わずあらゆるものを「分解」する力を持った鍵状のデバイス。 物体をそのパーツごと、分子や原子ごと、あるいは素粒子のレベルまで分解する――などというのは 初歩の用法で、その真価は有形物から「属性」や「概念」、「機能」などを分離できることにある。 たとえば一本のナイフがあったとする。『吾が名は夜』の力で、そのナイフの「機能」を分離すると、 何物も切れなくなったナイフと、ナイフが元々持っていた切断能力(機能)が残ることになる。 ここで取り出した「機能」を他のものに与えることも可能であり、本来あり得ない能力を持った道具や いくつもの生命を持った生きものなどを作り出すことができる。概念矛盾や論理パラドックスすら簡単に 引き起こせる危険な能力であり、ローヴァルトは混沌騎士としても上位の実力を有していた。 自身の死を偽装するに際しては、己の“魂”をあらかじめ物理肉体と分離させていた。 あえて追い詰められて肉体を殺させることにより、自律行動能力を付与された魂魄のみで監視包囲を脱し、 仮に偽死を見破られても足跡の手掛かりが得られないようにしていたのである。 果たして皇帝はローヴァルトの生存を看破しており、あと一歩でその所在も掴むところであったが、 折しもローヴァルトの魂を封じた鎖がアル・カウンからの召喚を受けたことにより、彼を追っていた 混沌騎士団は最優先確保すべき裏切り者を十数年にわたって見失うという失態を演じた。 混沌騎士 SSWのボスキャラ。述界兵器(ワールドウェポン)と呼ばれるやばいのを持っている。 本来ならサラスヴァティ界のDr.マンハッタンこと万理にゃんですら勝てないかもしれないくらい強い。らしい。 ・「紅蓮」のジュデッカ 述界兵器【白銀世界・嘆きの地獄(コキュートス・ジュデッカ)】 闇色の女。 腰まで伸びるカラスの羽の様な色の髪は、その双眸をも隠し、夜の様なドレスは首元からつま先までを完全に覆っている。 唯一露出した口元には、常に張付いたような笑みが浮かんでいる。 述界兵器の形状錆びた錫杖であり、その石突は物質から熱を「抽出」し、先端から射出する機能がある。 述界兵器を起動すると、まずジュデッカ以外のあらゆる人間は無限の広さを誇る平原に閉じ込められる。 第一階層カイーナ。そこは猛雪が吹き荒ぶ雪原であり、常人ならば即座に見当識を消失する全き白が広がっている。 そこには巻き込まれた人間と、小柄な人型の雪人形。そして紅色の「花」があるのみである。 雪人形は全てで614体に及ぶが、両足でヨチヨチと近付き、手にした氷の剣で斬りつける以外の行動は何も出来ない。 また、氷の剣で傷つけられても傷を負う事はない。ただ温度を奪われるのみである。 この雪人形を全て破壊すると、吹雪がピタリとやみ、周囲の情景が徐々に見えてくる。 はるか遠方に峻厳たる山脈の稜線を浮かばせる曇天と、深雪の積もった起伏の少ない平原が、そこにはある。 第二階層アンテノーラ。先ほどの雪人形と共に、今度は巨大な氷の彫像の様なものが現れる。 雪人形はカイーナの物よりも組織的に行動するようになっているが、装備は温度を奪う氷の剣のままである。 彫像は鈍重な動きながらやはり組織的に動き、敵を拘束して口に入れようと行動する。 また、損傷度合いが一定を超えると爆散し、極低温の風と氷の破片を周囲にばら撒く。 それらを全て破壊すると、地の底から響くような轟音と共に、遠方の山が迫ってくる。 山は平原を直径一キロ程度円形になるまで迫ると、其処で停止する。 第三階層トロメア。敵の最も親しき友、恩人の姿をとった何かが大量に現れる。それは敵の知る声で、口調で、声音で、態度で謝罪を口にし 「頼むから殺されてくれ」と懇願しながら殺傷しようとする。 その手に持つ氷の剣は温度を奪うと共に、実際に殺傷能力をも持ち合わせている。 それらはある程度損壊させると恨み言を漏らして雪と砕ける。 それらを全て砕くと、カイーナのそれよりもさらに激しい雪が吹き、やがて急激に止む。 そこで漸く、その階層と同じ名前を関す混沌騎士ジュデッカが佇む氷室へと辿り付くことが出来る。 20メートル四方の狭苦しい部屋には、ジュデッカが腰掛ける玉座以外は殆んど何もなく、ジュデッカも特に何もしようとしない。 ただ玉座の両脇にある天使像が、侵入者を殺傷しようと飛翔する。 なお、氷室の内部は絶対零度である。 ・老騎士モスケーニッヒ 白髪頭で鷲鼻でしゃくれた顎に白髭をたくわえた老人。飄々としつつも忠義を重んじる歴戦の猛者。首回りに白いファーの付いたゴツい茶色の鎧を着た大剣の使い手だぞ! ゲーム中の性能は機動力は低いが攻撃力と防御力、HPが高い歩く要塞だ! 述界兵器:錦大燕『クリスィリディア・リフェウス』 モスケーニッヒ自体が蛾の王って意味だから世界一綺麗な蛾の学名にした 形状は蛾の片羽根を模した形の刃を持つ大剣 詳細なデザインはニシキオオツバメガの羽根を参照 剣を振るうことであらゆる物を重くする鱗粉を放つことができる重力の述界兵器 その効果は重ねるほどに増し、最終的には人体や建物を自重で潰れさせてしまうほど 鱗粉はキラキラしてて幻想的でとても美しい 本気を出せば重力の鱗粉は周囲1kmにまで散布することができる しかし、あくまで剣と剣での戦いを好むモスケーニッヒはその能力をフルに使わず補助程度にしか思っていない 既に老いた身で戦場にその身を散らすことを美徳としているモスケーニッヒは自分の死地を見つけた時にのみ述界兵器本来の能力を開放する ゲーム中の効果はダメージを与えた相手の機動力をダウンさせる 本気バージョンの効果は……どうしよう 全画面攻撃+機動力ダウンとか? ・冥海のラビリア 年齢性別:732歳 女性 所属:混沌騎士団 ディスオーダー 外見:人間の若い女。波打つ銀の長髪。鎧ともコートともつかぬ服を纏う。 性格:正義と慈愛の人であるが、己の正しさを疑わない。強すぎる意志はときに独善となる。 武器:述界兵器『偲べ、すべての汀を アルケアノス 』 備考: 蛛の帝国が誇る最強戦力、混沌騎士のひとり。“水”の述界兵器 ワールドウェポン を持つ。 帝国に併呑された海洋世界の出身者で、述界兵器を拝領する以前から天性の水使いだった。 故郷が征服される折に父母や親友を喪い、一時は帝国を憎悪したものの、その明敏な知性は 帝国の支配下に入ったことでむしろ発展し始めた世界の姿を、客観的に認識できてしまった。 戦前よりも豊かになった故郷は、彼女にとって動かしがたい現実であり、結果だった。 帝国は、悪ではない。ラビリアはそれを理性で悟り、まず消化し得ぬ憎悪の対象を慎重に移し替えた。 憎むべきは帝国そのものではなく、帝国の威光を借りて悪を働く不届き者どもである。 異界併合の折に不要な虐殺を行う指揮官。皇民となるべき占領地の民を蔑み迫害する政務官。 そのような輩を粛清すれば、万界に対応する統治のノウハウと先進的テクノロジーを持ち、 強大な軍事力が盤石の安全保障をも与える帝国は、理想の国家に近づくはずである、と。 ラビリアは故郷を出て、敵と定めた「帝国内部の腐敗」に立ち向かうための力を求めた。 創世軍に入り、水使いの力と高い知性を活かして活躍した。その才覚は実力主義の帝国において 瞬く間に彼女を一兵卒からひとかどの指揮官にまで出世させたが、ラビリアは創世軍の高官に収まって 満足するつもりなど毛頭なかった。狙う地位はただひとつ。創世軍内部への監査権と 新参領界の統治代行権を持ち、それらの権力を絶対的武力によって何者にも無視させぬ存在。 彼女は学び、鍛え、己を高め続けた。混沌騎士の座を手に入れるために。 比較的新しい領界の生まれであるラビリアが混沌騎士となるのは、容易ではない。 混沌騎士団の上位騎士や、最終適性判断を下す皇帝その人にコネクションを持たない以上、 叙任考査で実力と人格をアピールする以外に取れる手段がないのである。 すでに混沌騎士の位も述界兵器も、皇帝の権力基盤を織り成す支配のツールとして 多分に政治的な意図を持って与奪されるようになって久しい。なればこそ、彼女は努力した。 才能なくば手を届かせることもかなわぬ考査の合格水準を、越えてなお学問や武芸を磨いた。 結果としてラビリアはトップの成績で考査をパスし、晴れて混沌騎士の位と述界兵器を授かる。 爾来、精神的負担から辞任も少なくはない混沌騎士の激務を、泣き言ひとつ漏らさずこなしてきた。 すべては帝国の正義を信じるがため。そして、父母と親友の犠牲を無駄にしないためであった。 述界兵器『偲べ、すべての汀を アルケアノス 』は四つの“海”を内包した槍状のデバイス。 それぞれの海を展開することで、水や水のエレメントにまつわる様々な能力を行使する。 第一の海“涙の水”は流体状の精神感応物質で満たされた世界。ラビリアの思念に反応して 自在に形や物性を変えるこの海は、単純な物理攻撃よりも精神攻撃や情報戦で威力を発揮する。 “涙の水”は触れた思念がラビリア以外のものだった場合でも、そのイメージを再現する。 うまく思考を誘導すれば秘密を暴き出すことも、相手の恐怖の対象を具現化することもできる。 巨大な心的外傷を抱えた相手なら、その再現だけで戦意を喪失させてしまうこともある。 なお、海によるイメージの再現は誰にでも起こるが、海および再現されたイメージを 操作できるのはラビリアのみ。敵がこの海を思念で操ろうとしても、ラビリアはそれを 自分の命令で一方的に打ち消すことができる。 操る水の量とパワーでは第三の海に劣るが、精度と速さではこちらの方が上。 第二の海“創造の水”は様々な世界の物質を溶け込ませた液体の世界。ラビリアはこの中で 化学反応や生物の発生過程を自在にコントロールし、モノと生命を創り出すことができる。 “涙の水”が再現した物質はあくまで一時的なもので、ラビリアが海の展開を解除すれば 消えてしまっていたが、“創造の水”が作り出した物質は展開を解いても消えることはない。 ただし水から分離した物質はラビリアの意志ひとつでコントロールできるわけではない。 異なる世界の物質同士を合わせて新物質を生み出すなどの応用も可能で、戦闘以外にも 医療や工兵任務や兵站といった後方支援から研究まで幅広く使われる。戦闘中の使用としては 自分自身のダメージを修復する使い方が多い。 第三の海“大海”は最も広大な世界で、一般的な宇宙がいくつも納まる空間を水が埋め尽くしている。 ここの水は単純にラビリアの意志で動かせるというだけだが、物理攻撃が有効な相手には それだけでも呆れるほど多くの攻め手が存在する。高速で噴射してもよし、水圧で圧し潰してもよし、 体内に流し込んで水蒸気爆発させてもよし。シンプルながら最重要の能力と言える。 莫大な水の圧倒的質量ゆえに、水圧を偏らせれば水中にブラックホールを作り出すなどの 変則的な攻撃も可能。行動の自由を奪われた状態で回避するのは難しい。 第四の海“偽りの海”は奇妙な世界で、あらゆる物質とエネルギーが流体状に振る舞う。 石であろうと、鉄であろうと、草木であろうと獣であろうと、そして人であろうと―― その海に呑まれた瞬間、水のようになってしまう。熱されて融けるのではない。 温度の変化はなく、ただ物性にまつわる情報が解体再構築され、すべての物質は液体としてしか 存在を許されないようになるのである。 この世界で自由に行動できるのはラビリアと、元々流体状の身体を持っていたものだけ。 人間のように固体の身体を持つ生物は、液状化した身体の動かし方など知らない。 液化し崩れた輪郭のまま“偽りの海”から出されれば、崩壊した姿のまま固体に戻ってしまう。 実はラビリアの本体ともいうべき“生命の水”がこの世界に隠されており、 これを滅ぼさぬ限り、人型の肉体は何度でも第二の海から復活する。 ほとんどの混沌騎士は、このようになんらかの形で「死なない」工夫をしているものである。 戦闘能力概要: 四つの“海”を使い分けて戦う 第一の海→水に触れるとイメージを具現化される。秘密やトラウマ持ちは危ない 第二の海→水から物質や生物を創造する。自己回復も可能 第三の海→宇宙を何百個も並べて水没させるくらいの水を操る。水圧でブラックホールも作れる 第四の海→領域に入ったものを水(のような物性)に変える。発動→解除だけで人間とかは死ぬ ・Unknown 性別:???? 年齢:???? 述界兵器:???? 外見:???? 性格:???? 厨二オリキャラサラスヴァティ 王立魔法図書館