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ブチャラティ達は、進み続ける。 九郎の背には、見るからに重態の少年がおり、まさにその命は風前の灯に見えた。 フレンダも、この状況では逃げ出すわけにもいかず、二人の後をついていく。 「ブチャラティさん、あとどの程度ですか?」 「もう少しのはずだ。とにかく急ごう」 ブチャラティは周囲の警戒を怠らないまま進む。 こんな状況でも、襲い掛かろうとする不埒な参加者がいないとも限らないからだ。 向かう先は、病院。 とにかく、今はそこを目指すだけだったが人影が見えた。 そこにいたのは、一人のホスト風のスーツ姿の若い男。 傍らには妙な帽子姿の人形(?)に、銀髪のオカッパ頭の少年がいる。 一応、警戒は解かないが、少なくとも即座に攻撃を仕掛ける意思はないようだった。 相手の男はこちらを見て、少し驚いたように目を見開き、 「……お前ら、ブローノ・ブチャラティとライフィセットか?」 こちらから何か喋るよりも先に、男が訊ねた。 前者はともかく、後者の名前に関しては心当たりはない。 男の向けた視線の先から自分の事かと九郎も思ったが、 「2号!?」 「ら、ライフィセット!? どうしたんでフか!?」 銀髪の少年と、帽子姿の人形が背中にいる少年の方へと近寄ってくる。 スーツ姿の男の視線もよくみれば自分ではなく先ほど、あの魔王から保護した今も重態の少年へと向けられている事に気づく。 九郎に変わってブチャラティが、 「この少年の知り合いなのか? いや、それよりも何故、俺の名を――」 それを訪ねようとした矢先、 『――参加者の皆様、ご機嫌よう――』 ここで、あの忌々しい声が響く。 この会場にいる皆が知っているであろう声が。 ゲーム開始直後。 そして、前回の放送で多くの者に怒りと絶望を与えた声。 だが、それを聞いて相手の男は「ちょうどいいか」と呟く。 「俺の名は垣根帝督。テメエら、話を聞く気があるなら着いて来い。歩きながら、話してやるよ」 そう言って、背を向けて歩き出した。 「……どうします?」 九郎がブチャラティに問いかける。 「ちょ、ちょっと待ってよ! な、何だかあの男は怪しいし、やめた方がいいかなー、何て私は思うわけよ」 ……と何故だか、異様な焦り具合を見せるフレンダが口を挟んでくる。 「いや、行くべきだろう」 だが、それをブチャラティはバッサリと切り捨てる。 「確かにこんな状態で会った相手を、すぐに信頼しろというのは難しいかもしれないが、少なくとも奴には問答無用で攻撃してこようという気はないらしい。奴の口ぶりから、ジョルノの情報も手に入るかもしれん」 何より、と九郎の背にいるライフィセットへと視線を動かす。 「奴の歩いていった方向は病院だ。どちらにせよ、目的地だしあの男――垣根とやらを怪しんでここで足踏みしていたら、この少年が危険だ」 「そうですね。僕も同意です」 「……っ!」 2体1となり、自分の意見を押し通す事が難しくなったフレンダは黙りこむ。 「納得してくれたようだな。行くぞ」 そう言うと、ブチャラティは足早に垣根の後を追った。 続いてライフィセットを背負った九郎と、それを心配そうに銀髪の少年と帽子の人形が追った。 「ああもう!」 それを見て、ひとり残されたフレンダは頭を掻きむしる。 「こうなったら、覚悟を決めていくしかないってわけよ……」 それから肩を落としながら、その後を続いた。 ◇ ◇ ◇ 病院は、幾度かの戦闘によりひどい有様だ。 それでも、病院としての機能はある程度は残っており、薬や治療用の機材もある。 幸いというべきか、ギャングとして抗争の経験の多かったブチャラティも、不本意な経緯ながらも様々な治療法に関する知識のあった九郎が少年――ライフィセットの応急処置をしてベッドへと寝かせた。 だが、少年を蝕む謎の火傷のような痕は、二人の知識をもってしても原因が掴めない。 今もビエンフーとシルバ――聖隷と言う存在だと説明を受けた――ら二人で心配そうに傍らにいる。 それでも一旦は、落ち着いた事もあり、ようやくまともに話しあいがはじまろうとしていた。 「ジョルノが……」 垣根は病院まで向かう間、それにブチャラティ達がライフィセットの治療をしている間にも簡易な経緯の説明をしており、そして放送によって確定してしまった事実。 ジョルノの死。 ブチャラティにとって、それはとてつもない衝撃だった。 垣根の話によればマギルゥというこの少年の仲間と出会い、組まれた臨時チーム『スクール』。 そして、そのチームでの主催打倒を目指したという流れ。 なるほど、いずれも自分の知るジョルノ・ジョバァーナという少年らしい行動であり、彼がジョルノとチームを組んでいたという事に疑いは持たなかった。 だからこそ、先ほどの放送とも合わせて垣根から知らされた事実は衝撃だった。 ――ジョルノが死んだ。 相手は、鬼舞辻無惨というらしい驚異的な再生能力持ちの怪人物。 いや、この際は誰が相手などという事実よりもジョルノが死んだという事実にブチャラティは衝撃を受けていた。 ブチャラティは目を閉じて回想する。 ジョルノとの出会ってからの期間は、極めて短い。 『涙目のルカ』の一件から接触し、『ボス』への反逆まではわずか数日間の出来事だ。 この会場に来てから出会った者達と比べても、そこまで差はない。 だが、それでもジョルノという存在の死に予想以上にブチャラティは衝撃を受けていた。 パッショーネの『ボス』がトリッシュの件で裏切る前にしていた、もう一つの裏切り。 ブチャラティにとっての禁忌である、麻薬の売買。 その事実を知った時、ブチャラティの心は死んだ。 生きながらも死んだ状態だった。 ジョルノは、そんなブチャラティを再び生き返らせてくれた存在――まさに黄金の風だった。 その衝撃は大きかった。 間違いなくジョルノは死んだのだろう。 放送がデタラメを言っているわけでも、垣根が嘘をついているとも思わない。 垣根のこれまでの話から、間違いなく自分の知るジョルノ・ジョバァーナだと確信が持てる。 「ブチャラティさん……」 前回とは逆に、今回は九郎の知人――といっても、元々の知人で残されたのは岩永琴子のみであるが――の犠牲者は出ていない。 前回の放送の時とは真逆の立場に立つ事になった九郎から、不安そうに声をかけられる。 「こっちは話してやったんだ。お前らのここまでの話も聞かせろ」 垣根からしても、ジョルノやマギルゥへの義理立てのみで情報を話したわけではなかった。 見返りとしての、情報交換――いわば当然ともいえる要求である。 「……ああ、そうだな」 「ブチャラティさん、僕の方から話します」 それに応じようとするブチャラティを止め、九郎から話し始める。 これまで、臨時チームともいうべき自分達のまとめ役のような役割をやってきていたブチャラティだが、先ほどの放送を聞いてから明らかに気落ちしているように見える。 それゆえの配慮だった。 それが伝わったのか、ブチャラティも「頼む」とのみ小さく言った。 そして、九郎は話し始める。 これまでの経緯。キースやジオルドといった「乗った側」に襲われた事や、ホテルで別れたアリアや新羅の事。 最後に、列車でのあの魔王との戦闘やライフィセットの救出の事などだ。 一通り語り終えた後、 「とりあえず、岸谷先生が心配ですね」 九郎が放送を聞いてまず気になった事を口にする。 先ほどの放送で呼ばれた者の一人。 ――セルティ・ストゥルルソン。 岸谷新羅にとって大事な人。 特にゲーム開始直後から一緒にいた九郎にとっては、散々その名前を聞かされており、彼女とは直接会っていなくてもどれだけの思いを聞かされている。 そんな存在を失ったとなれば、新羅がどう動くか。 「それに、神崎さんの方も心配ですね」 もし仮に、新羅がマーダー化しようものなら、真っ先に犠牲になるのは同行しているはずのアリアだろう。 さらには彼女の知り合いと聞いた高千穂麗まで退場している。 「ああ。だが、彼女も無力な存在ではない。最悪の場合でも、何とか切り抜けてくれると良いのだが……」 ブチャラティもキースとの戦闘でアリアの実力は見ている。 だが、ここで問題となるのがアリアの性格だ。彼女の性格からして、逃げ出そうとするのではなく不殺を守り何とか新羅を無力化しようと考えるだろう。 それが裏目に出なければ良いが、と内心で少し不安になる。 「ま、ここにいねえ奴らの事を心配しても仕方がねえだろ」 そんな風に話す二人に、冷たい口調で垣根が話を戻す。 彼からすれば、どちらも一度も会っていない相手であり文字通り他人事なのだろう。 「それより、お前の話を聞いてジョルノの事で少し気になってる事がある」 垣根の知る「ジョルノ」は間違いなくブチャラティの知る「ジョルノ」だった。 だからこそ、一つの疑問が生まれる。 それは、垣根が聞いたジョルノとの話の間に生じた矛盾。 「ジョルノは、チョコラータとやらと戦い、コレッセオに向かう途中だと――そう言ったんだな」 垣根達、『スクール』は当初の予定では元々ジョルノの目的地だったコロッセオに向かい、その後にマギルゥら仲間が集う可能性が高いバンエルティア号へと向かう予定だった。 ところがその途上でチョコラータに屠られた参加者(妖夢)の死体を発見し、病院へと向かい、その予定も事実上消滅してしまったわけだが、こうして当初の目的を達してしまったのは皮肉というほかない。 「ああ。俺の知る限り、ジョルノがチョコラータとやらと交戦した記憶はない」 つい先ほど、垣根達が戦ったという相手、カビを用いて戦うスタンド使いでありボス親衛隊だというチョコラータ。彼は、元々の世界でも敵対した相手だったらしく、ジョルノの話によるとブチャラティもその相方と戦ったという。 だが、ブチャラティにその記憶はない。 「俺の知る限り、組織を、『ボス』への裏切りを決意したのがここに来る最後の記憶だ」 「だが、俺の知るジョルノの奴はそうじゃなかった」 垣根も詳細までは聞いてはいないが、大まかな流れは聞いている。 ジョルノらの所属していた組織『パッショーネ』から離反から、暫く経っていたらしく、『ボス』への反逆を決意した直後から来たというブチャラティの話とは矛盾している。 ブチャラティも、垣根が嘘をついているともジョルノが垣根に嘘をついたとも思っていない。 こんな意味不明の嘘をつく理由がなく、汗で見抜くまでもない。 ――そうなると、だ。 「呼ばれた時間が違う、んじゃないかな」 不意に、ブチャラティや九郎にとって初めて聞く少年特有の高い声で答えがきた。 ◇ ◇ ◇ (ここ、どこ……?) 草木の類は見えず、ただ暗いだけの闇が続いている。 身体が浮き上がり、今にも消えてしまいそうな現実感のない感覚。 朦朧としながらも、ライフィセットは理解する。 (これは、夢……?) だが、ひたすらに暗く深い。 夢は夢でも悪夢だ。 どこか、あの地脈と似た感覚の場所。 光らしきものも、生を感じさせるものがなく、ひたすらに暗い。 そんな中――それを見つけた。 一人の見覚えのある少女の姿。 「えれ、のあ……?」 一度目の放送で死を告げられた少女。 ゲーム開始からさほど経っていなかった頃。 この病院の地で、一人の参加者が命を散らした。 エレノア・ヒューム。 ライフィセットの器であり、元は敵対していた聖寮の退魔士の少女。 同じく参加者であるメアリ・ハントの『死の水』によって命を落とした。 そのような事情は、当然ライフィセットも知らない。 『ライフィセット』 エレノアは告げる。 「エレノア、僕は……」 ここは、死後の世界だというのか。 なんで――と思いかけた時、同時に思い出した。 (そうだ、ベルベットが……っ!) ようやく会えたと思った存在。 何よりも大事だったはずの存在。 だが、そのベルベットは何かがおかしかった。 ――そして。 (――っ!!) 全ての記憶が戻る。 様子のおかしかったベルベットに自分は殺され――、 『いえ、貴方は生きています』 そんな中、どこか憂いを帯びた表情のままエレノアが告げた。 『ですが、このまま私のところに来てしまった方が幸せかもしれません』 「どうして……?」 『起きても、苦しい事や嫌な事ばかりかもしれませんよ』 別人と豹変したベルベット。 いつ死んでもおかしくない重傷。痛くて、苦しい状態。 今もどこかで死んでいるかもしれない、他の仲間達。 問題は山積み。 このまま、意識を永遠に手放してしまった方が楽かもしれない。 『ですので、このまま――』 「嫌だ」 だが、エレノアが最後まで言う前に、ライフィセットが告げる。 「確かに生きてるって事は、悲しい事や苦しい事だってあるかもしれない。けど――それ以上に楽しい事だって、やりたい事だってやらなきゃいけない事だってある。だから僕は、生きる」 生きる者――そう名付けてくれたベルベット。 そして、目の前の少女に対しての答えだった。 「それに、ムネチカだって、僕のために戦ってくれた。その気持ちを裏切りたくない」 『そうですね。貴方ならそう言うと思っていました』 そんな返答を予想していたのか、エレノアも小さく笑う。 『ならば、多くを語る必要はありません。ただ――生きてください』 それだけを告げると、そこにいたエレノアが薄れていく。 「エレノア!?」 これは、少年の見たただの幻だったのか。 それとも本来、二人に契約の繋がりがあった事によって起きたバグのようなものだったのか。 ――あるいは、最期を迎える瞬間にもエレノアがライフィセットの行く末を案じた事によって起きた正真正銘の奇跡だったのか。 それは誰にも分からない。 (ん……) だが、一つの事実として朧気ながらも、ライフィセットは意識を取り戻していた。 全身が重傷で、全てを覆いつくさんばかりの暗い穢れに蝕まれたこの状態で、まさに奇跡ともいうべき出来事。 そんな中、漠然と、耳の中に入って来る声。 朦朧としながらもあの場から、この場にいる者達に助けられた事。 聞き覚えのある声もする。片方は、よく知る仲間の一人。 そして、もう片方も――記憶の中にある声と一致するものがある。 そんな会話が繰り広げられる中、身体をまともに動かす事すらできない状態のためか、逆にあの時の事を今になって冷静に回想できた。 あのベルベットとは、色々と嚙み合わない事が多々あった。 『やっぱりあんたは、ラフィじゃない』 彼女の言い様ではまるで、ライフィセットの事を仲間である「フィー」ではなく、実の弟の「ラフィ」であるライフィセット・クラウを騙っているかのような言い方だった。 先ほどから、ブチャラティ達の会話を聞いていて――もし、彼女が自分と出会うタイミングから来ていたとした――そんな推測がガッチリと噛み合った。 もしかしたらあのベルベットはこの会場に――。 「呼ばれた時間が違う、んじゃないかな」 気が付けば、声が出ていた。 「ら、ライフィセット!? 気が付いてたんでフか?」 「に、2号、大丈夫なの……?」 部屋にいた者達、全員がこちらを見て、ビエンフーとシルバが不安そうに声をかける。 「うん。ビエンフー。それにシルバもいたんだね」 「2号……」 「ううん。僕は2号じゃなくてライフィセットだよ、シルバ」 顔色の悪いまま、ライフィセットはそう訂正する。 ビエンフーはともかく、シルバはあのカノヌシによってドラゴン化してしまい、自分の意思を持ち、話していたシルバという聖隷としては完全に死んでしまった。 そんな相手と再開できた事はこんな状況でさえなければ、手放しで喜べた事だった。 「えっと……」 そんな中、代表する形でブチャラティが前に出る。 「ああ、改めて自己紹介をしよう。俺はブローノ・ブチャラティだ、ライフィセット」 「うん、助けてくれてありがとう。その、ムネチカは……?」 未だに顔色は悪く、全身を蝕む穢れや激痛にこらえながらもライフィセットは同行者だった女性の事を口にする。 「ムネチカ、というのは一緒にいた獣耳の彼女の事か?」 状況的におそらくは間違いないとは思うが、確認の為に訊ね、ライフィセットが頷いたのを見てブチャラティは答える。 「すまない。彼女までは助けている余裕がなかった。だが、先ほどあった放送でもその名前は呼ばれてはいない。ひとまずは安心していいはずだ」 実際のところ、安心などできない。 あのような危険な連中の虜囚となった可能性が高く、生きているからといって何をされているか分からない。 だが、それをわざわざ口にする事はなかった。 それでもそれが分かっているからか、ライフィセットはその表情をさらに悲痛なものへと変える。 「それよりもだ。呼ばれた時間が違うってのはどういう事だ?」 だが、それに構う事なく垣根が口を挟む。 「いや、その前にお前の知っている事を教えろ。ここに来てからこれまでの全部だ」 「か、垣根さん、ちょっとそれは……」 「ううん、ビエンフー、いいから……」 奇跡的に意識を取り戻しているとはいえ、半死人状態の少年を相手に情報提供を要求する垣根に、ビエンフーが苦言を呈そうとするが、ライフィセットは苦し気に顔を歪めながらも、話はじめる。 ここに来てからムネチカと会った事、ジオルドと名乗る相手との遭遇や、列車で意識を取り戻してからの戦闘。そして、噛み合わないベルベットとの会話などをだ。 「ジオルド・スティアート、か」 「ええ、やっぱりと言うべきですか……」 キース・クラエスと同様に、カタリナ・クラエスのために殺しあいに乗った者。 実際にその様を見ている九郎が、当時の事を思い出す。 案の定、殺しあいにのったまま、未だに会場のどこかにいるようだ。何とかすべき存在である事に変わりないが、今は他に問題がある。 「そ、それじゃあベルベットはずっと前の状態で呼ばれたって事でフか!?」 「うん。そう考えるしかないと思う」 ビエンフーの言葉にライフィセットは頷く。 「それも確かに気にかかるが――そのベルベットとやらと手を組んでるって奴は多分、俺の知ってる奴だな」 「そうなのか?」 「ああ、同じ学園都市の第四位のレベル5だ」 ライフィセットの語る外見的な特徴や能力から垣根はそう推測する。 これまでずっと黙っているフレンダがビクリと動いた気がしたが、垣根は気にする事なく続ける。 「けどまあ、それよりもだ。単に過去から来たってだけじゃあ、説明がつかねえ事がある。そうだろ」 あれは、ベルベット・クラウであってそうでない者へと変貌した。 「もしか、したら、何か、されているのかもしれない。もし、そうなら、何とかして……」 そう言いかけた時、先ほど以上に顔色の悪くなっていたライフィセットの意識が再び闇に落ちた。 「ら、ライフィセット!」 ビエンフーとシルバが慌てて近づくが、再びライフィセットは深い眠りについているようだ。 「無理もない。この状態だ。これまで話せていた事が奇跡だ」 穢れを抜きにしても、身体全体にダメージを受けており、両腕もないまま。応急処置こそしたものの、未だに重傷のままだ。 奇跡的に意識を取り戻していたとはいえ、喋ることすらきつかったはず。 「凄まじい精神力、ですね」 「ああ」 そんな状態で話していた事に、九郎も驚き、ブチャラティも頷く。 幼い身体でありながらも、彼の目には弱っていても決して折れない強い意思の力を感じた。 (そうだな。俺も落ち込んでばかりいられないな、ジョルノ) ブチャラティは今は亡き部下に改めて近い、意識を切り替える事にした。 再びライフィセットは寝かせられ、ここで九郎が口を開く。 「それで、何ですが一ついいですか?」 「ああ、どうした?」 「その、ここに来てから話そうとしていた事があるんですが」 そう言って、九郎は話始める。 ――鋼人七瀬。 天然のものではなく、現代を生きる人間達の妄想や願望によって生み出された『想像力の怪物』。 かつて、九郎の従姉である桜川六花が放たれた存在であり、岩永琴子によって消滅させられた。 九郎もそれに助力したため、当然ながらよく覚えいている。 七瀬かりんという亡くなったアイドルに対するイメージから生み出され、誹謗中傷をした世間への復讐心から夜な夜な人を襲う怪人となり、実際に人を襲い始め、ついには死人が出てしまう。 これを放置すれば、完全に手のつけられない化け物へと変貌し続けてしまうと考え、九郎の恋人であり知恵の神である岩永琴子と共に無力化し、ついには消滅させる事に成功した存在を。 「それと今の話に出て来たベルベット・クラウが、似ていると?」 ブチャラティとしても、今更九郎の言葉を疑いはしない。 スタンドだけでなく、魔法だ聖隷だ超能力だと言った話が出てきているのだ。 想像力の怪物などといった存在を聞かされても、嘘だとは思わない。 「ええ。何を、と言われても説明には困るんですが」 だが、これは鋼人七瀬と実際に対峙し、直接戦った九郎だからこそ分かる感覚であり、ブチャラティにそれを伝える事は困難だった。 (想像力の怪物、ねえ) そんな中、垣根は二人の会話を聞きながら、冷静に思考を進める。 超能力は、オカルトの類ではなく科学的な力によってつくりだされたものだが、その根幹となるものは『自分だけの現実』であり、ある意味では妄想であり、思い込みに近い。 だが、それはあくまできっかけとなるだけのものであり、科学的な力の補助を受け、開発とカリキュラムを進め、ようやく身に着ける事ができる。 「おい、ビエンフー」 ここで、垣根はビエンフーに視線を向ける。 「なんでフか?」 「ベルベット・クラウは、元々そんな力は持っていなかったんだよな」 「そうでフねえ、ベルベットは喰魔っていう特別な業魔だったでフが、そんな力はなかったでフよ」 おそらくはビエンフーがベルベット達、災禍の顕主御一行に加わったのは、マギルゥがエレノアからビエンフーを奪い返して以降の話。 少なくともライフィセット合流前の段階らしいベルベットのようだが、そんな力を持っていたという話も聞いていない。 「となると、その力に目覚めたのは、この会場に来てからって事か。という事は、だ。やっぱりコレが関係してるかもしれねえ」 そう言って、ジョルノやマギルゥの首輪を取り出す。 「それは、首輪か」 「ああ、俺達をこんなクソみてえなゲームに縛り付けてる元凶だ」 ブチャラティの言葉に、垣根は苦々しげに答える。 「さっきも言ったように、こいつには色々と書かれてあった」 色々と優先して話す事があったため、後回しにしていたが、改めてこの首輪に関して書かれてあった事を垣根は話す。 仮想世界。さらには、自分達が生み出された存在であるかのような書き方にさすがのブチャラティも九郎も目を瞬かせる。 「メビウスをベースとした世界だの、生み出した存在だの色々と気になる事が書かれてありますね」 「ああ、だがそれなら納得してしまう事もある」 ここが生み出した世界、あるいは仮想世界だというのはブチャラティにとってある意味、説得力がある答えでもあった。 何せ、ブチャラティの身体はあの時、『ボス』によって完全に殺されていたのだ。 ジョルノによって与えられた奇跡でも、決して長くは持たないと思われていた。 それが、確かな肉体を持って蘇っている。 あの時のブチャラティを拉致して会場に連れて来て、新しく肉体をつくりだしたなどと考えるより、よっぽどか説得力が出る。 そしてそれは、九郎にとっても同様。 何せ、この人魚の力とくだんの力を身に着けた身体はあらゆる意味で手の施しようがなかった。 力を失う事もできず、だからこそ六花は様々な策を取ろうとしていたのだ。 にも関わらず、その片割れである未来予知の力があっさりと失われている。 身体に手を加えて改造した、と考えるよりはくだんの力は再現しなかった、と考える方が説得力が出てしまう。 「垣根。お前はここが作られた世界で、俺達も作られた存在だと考えているのか?」 ブチャラティの質問に、垣根は「いや」と返す。 「今の時点じゃ、結論は出せねえ。都合の良い事ばかり考える脳ミソお花畑のつもりはねえが、何もかも悪い方にばかり考えてウジウジと悩み続けるつもりもねえ。今の時点じゃ、コイツに書かれてある文章のみだ。それも、こんな風にご丁寧にわざわざと書かれた、な」 別の場所で考察を進めている、岩永琴子やレインとは違い、垣根の手元にあるのメビウスに関する情報源は首輪の説明のみ。 二人と違い、バーチャドールや楽士といった情報源がない以上、考察という点では後れを取らざるをえなかった。 「それに俺は俺だ。このクソみてえな殺し合いに従う気なんざ微塵もねえし、ぶち壊す気でいる」 「……そうだな。少なくとも俺も、『ブローノ・ブチャラティ』としての心を持っている。ならば、やるべき事は変わらない」 ブチャラティも納得したように、垣根の言葉に頷いて見せる。 ジョルノを失った喪失感からも立ち直りつつあり、強い決意の力を瞳に宿しはじめていた。 「それで、話を戻すぞ。ここがメビウスとやらかは置いておいて、かなり特殊な空間だって事に違いはねえ」 だからこそ、起こりえた事。 「お前の言う、鋼人七瀬とやら以上に意思やら妄想やらの力がモロに影響を受けやすいのかもしれねえ」 「それが、あの魔王のような変貌を果たしたと?」 「ああ、まあ、実際にはそんな単純なものじゃねえだろうが、色々と条件が重なったんだろうな」 垣根としては、この戦いの目的として異能力者達を戦わせる事によって既存の存在とも違う存在を生み出そうとしているのではないか――と推測もしているが、これはあくまで推測。 それ以上は話す気はなかった。 「まあ、良い。俺はそいつと関わる気はねえ。何かする気があるなら、お前らで相談でもしてな」 マギルゥとの約定は、あくまで災禍の顕主の御一行であるベルベット・クラウに対してのもの。 この会場にいるベルベットがその枠組みから外れた存在であるならば、何の義理もなく関わる気もない。 もちろん、襲ってくるというのであれば返り討ちにする気ではあるが。 あの魔王ベルセリアについての話は、いったんここまでとなり、垣根は次の議題へと移る。 「俺はこの後、あの触手野郎――鬼舞辻無惨をぶっ潰す気でいる」 無惨という男が、ジョルノを含む垣根の仲間達を殺した事は既に聞いている。 「仲間の復讐なんて言う気はねえが、あのクソ野郎がのうのうと会場をうろついているってだけで虫唾が走るんでな」 「……そうか」 ジョルノの仇を殺すと宣言する垣根に、ブチャラティの返答はあっさりとしたものだった。 「自分の手で部下の仇討ちをする気はねえのかよ」 「ああ。ジョルノの奴なら、自分の仇討ちを優先しろとは言わないだろうからな」 ――ブチャラティ、それよりも他の事を優先しましょう。 ブチャラティの脳裏に、部下だった黄金の少年の言葉が聞こえた気がした。 ジョルノの意思を継ぐのであれば、この状況下でブチャラティ一人でとび出し、どこにいるかも分からない鬼舞辻無惨という男を討つべきだ――などとは間違っても言わないだろう。 「確かに、アイツならそう言うだろうな」 半日ほどの付き合いでしかなかったが、垣根もそれに同意する。 冷静で、思慮深く、それでいて行動力もある。窮地でも落ち着いて行動のできる優秀な男。 そんな男が、 『――後は頼みます』 「――っ!」 最期の場面が、垣根の中で再生される。 (クソが。だったら、頼むのは俺じゃねえだろうが) 最後の希望を垣根に託し、ジョルノは逝った。 「どうかしたのか?」 「なんでもねえ。それよりもだ」 ジョルノの顔を脳裏から振り払い、垣根は続ける。 「テメエらのボス――ディアボロも見つけ次第、俺が殺す。そっちにも文句はねえな」 ブチャラティやジョルノの所属する組織『パッショーネ』のボスであり、リゾットにとっての仇でもある人物。 リゾットの部下であるソルベとジェラートを殺した実行犯は、先ほどリゾット自らが屠ったチョコラータであっても命令したのは間違いなくこちらだ。 もしリゾットが生き残っていたのであれば、間違いなく追い続けていただろう。 「ディアボロ――それがボスの名前か」 ブチャラティにとって、その名前を知るのはもう少し後の時間軸の話。 このブチャラティにとっては初めての事だった。 「ボスも、この殺し合いに巻き込まれていたとはな」 複雑な思いを抱えながら、ブチャラティは呟く。 ブチャラティにとって、参加者名簿の中で知っている相手はジョルノのみのはずであり、アリア達にもそう答えていた。 しかし、実際にはチョコラータやリゾット、そしてディアボロのような存在までいたのだ。 「そいつも俺の獲物だ。構わねえな?」 無念の思いを抱えて死んだリゾットの代理などという気持ちはない――つもりだ。 それに、垣根がディアボロに対して好印象を持っていなかったのは事実だ。 自身は安全圏から見下ろし、リゾットらに危険な仕事をやらせながらも冷遇した存在。それが、学園都市上層部とどこか重なっていた。 一方、ブチャラティにとって、ディアボロことボスは許せない存在ではある。 しかし、ボスを倒そうとしたのは、あくまでトリッシュを、そして仲間の安全のため。 さらには組織を牛耳り、麻薬を国や街から排除しようというジョルノの思いに共感したからだ。 ボスの命そのものには、そこまで執着はなかった。 最も、この殺し合いに参加しているというのであれば、ボスが大人しくしているはずはない。向こうから狙ってくるのであれば、別である。 その時は、絶対に排除する必要のある相手だ。 だが、少なくとも現状で自分から動く気はない 最も部下であるレオーネ・アバッキオがボスによって始末された後の時間軸から来ていたのであれば多少は優先順位が変わっていたかもしれないが。 「俺は無理にボスを狙う気はない。お前がどう動いても止めはしない」 その答えに垣根も「そうかよ」とのみ答えた後、 「それで、お前らの方こそこれからどうする気だ?」 「とりあえずは、彼――ライフィセットをどうにかする方法を探そうと考えている」 相変わらず眠り続けている、ライフィセットを見る。 先ほど意識を取り戻せていたのが奇跡か何かのように、再び深い眠りについている。 「そうですね。身体の欠損だけなら、何とかなる方法があるかもしれませんが……」 九郎の言う事は、決して気休めではなかった。 九郎の再生能力、さらにはブチャラティの知るジョルノのゴールドエクスペリエンスのように身体の部品をつくるような能力者もいる。 重傷であるライフィセットの身体を治す方法もあるかもしれない。 だが、問題は、 「これ、ですよね……」 ライフィセットの身体を蝕む強力なナニか――ビエンフー曰く彼の元の世界にあった穢れと呼ばれる存在に近いもの。 「ビエンフー。これはお前の知る穢れとやらに近えんだよな」 「そうでフね。全く同じとはいえないでフが……」 「その穢れっつうのは、器とやらと契約しちまえば何とかなるはずだな」 本来、聖隷と呼ばれる存在である彼は人が発する穢れは猛毒らしく、清純な存在である器と呼ばれる存在と契約する必要があるらしい。 「なら、話は簡単だ。聖隷契約とやらをしてみれば何とかなるかもしれねえぞ」 「ええ!? でも、これは単なる穢れとは明らかに違うでフ。そんな事をしても何とかなる保証はないでフよ?」 「このままなら、間違いなく死ぬぞ」 垣根の言葉に、ビエンフーも黙り込む。 何も手を打たず放置するか、何とかなる「かも」しれない手を打ってその可能性にかけるか。 その二択しかない。 「だが、俺達はその契約とやらのやり方を知らないぞ」 「いや、そのやり方ならここに書いてある。本来なら、対魔士とやらじゃねえとできねえらしいが、ここでは問題ないようだ」 ブチャラティの言葉に、垣根が数枚の紙片を差し出す。 それは、マギルゥの遺品を整理している時に、見つけたものだった。 『これを読んでいるという事は、儂は死んでいるというという事じゃろう。おお、何という悲劇、この大魔法使いの葬儀は盛大にするのじゃぞ! 具体的にはお主の全財産の半分くらいを使ってな♪』 そんなふざけた――マギルゥらしい書き出しからそれははじまっていたが、そこからの内容は真面目なものだった。 非常時に備え、万一の場合があった場合、シルバと契約するようになっている事。 スタンド使いのジョルノにはそれが難しい事。 先ほど、ビエンフーと話した推測通りの内容だ。 途中から、様々なパターンを想定した事が書かれてある。 今、実際にそうなったようにマギルゥとジョルノが死んで、垣根が生き残った場合。 マギルゥのみが死んだ場合。 そして今渡したのは、マギルゥと垣根が死んでジョルノが生き残った場合のパターンのものだ。 その場合のフリーになった聖隷――シルバを他の参加者と再契約する場合を想定して、聖隷と契約するための手順の説明が書かれてある。 それを垣根はブチャラティに手渡す。 「いいのか?」 「ああ。俺はもう目を通した。必要ねえよ」 「感謝する」 ブチャラティが受け取ったのを確認する。 「だが、契約とやらをしたところで何とできるかは……」 「それ以上は、俺は責任を持つ気はねえ」 そこまで言うと、垣根は立ち上がった。 「さて、とだ。話す事はこんなものか」 「行くのか?」 「ああ。悪いが、いつまでも仲良しこよしってのは性に合わねえ。ここから先は好きにさせてもらうぜ」 垣根からすれば、あの鬼舞辻無惨やディアボロを討ち、さらには主催者も討つ気でいる。 義理は果たし、情報交換もすませた以上、いつまでも病院に留まる気はなかった。 ここにいる面子で再び対主催チームを、という気も起きない。 あのメンバーこそが特別であり、他のチームなんて考えられない――というわけでもなかった。 単純なチームとしての相性の問題だ。 ジョルノやマギルゥの話からも聞いていたし、実際に出会ってからのやり取りでも分かったが、 ブチャラティはギャングではあるが、義侠の者。目の前で窮地に陥っている者を放ってはおけない。初見の相手であるライフィセットを窮地から救ったりした事からも分かる。 ライフィセットや九郎にしても、そちら側だろう。 垣根は悪党を自称しているし、必要のない鬼畜行為を行うような外道と呼ばれるまでに堕ちる気はないが、必要とあれば非道な手であろうが、垣根は取る気でいる。無惨やディアボロ、そして主催打倒のためなら手段を選ぶ気はない。 こうして情報交換を交わす程度ならば問題はないだろうが、長期的に行動を共にすれば、そういった事に対する意識のズレはいずれ綻びとなって出てくるだろう。 「それに、さっき言ってたテメエらの仲間。何かあれば伝言程度は伝えてやるよ」 「アリア達の事か?」 新羅が放送の後、どうなっているかは分からない。だが仮に二人とも、無事で何事もなかったにせよ、このまま池袋駅に向かわれても合流できないかもしれない。 「それなら、こちらに――病院に向かうように言ってもらえませんか?」 「……分かった」 九郎の言葉に垣根は頷く。 今の状態で、下手に病院から動くのは逆に危険だろう。 さらにいうなら、問題のセルティ・ストゥルルソンがこうなってしまった以上、池袋駅に集合する理由も一つ減っている。 首輪の解析についても必要がなくなったため、研究所に行く必要性も薄れた。 「ありがとうございます」 「あくまでついでだ。会えなかったとしても、文句言うなよ」 「いや、それでも感謝する」 今度はブチャラティが言う。 「それより、お前ら。こんな目立つところにいつまでも留まるつもりか?」 病院は、地図にも表記されており、遊園地や映画館などといった場所とは違い、怪我人の出やすいこの状況では人が集まりやすい。 事実、ブチャラティ達がここに来たのもそれが理由だ。 「そうせざるを得ないからな」 だが、ライフィセットの事がある以上、下手に動くわけにもいかない。 とはいえ、「乗った」側が来てしまえば、窮地に陥る事は間違いない。 (何か罠でも仕掛けておいた方がいいかもしれんな) 幸いにも、フレンダが色々と使えそうなものを持っていたはずだ。少なくとも足止め程度はできる罠を設置できるかもしれない。 垣根は「そうか」と頷いた後、続けて先ほどから、心配そうにライフィセットに付き添ったままの少年――シルバへと視線を動かす。 「それでお前はどうする気だ?」 「!!」 「俺は今言ったように、ここから去る。お前がそいつの所に残りたいなら、好きにしろ」 「え? いいの……?」 思わぬ言葉に、シルバは驚いたように目を瞬かせる。 「残りたいならはっきり言やいい。嫌がってる奴を無理に働かせても大した力にはならねえよ。敢えていうぞ、命令じゃねえ。お前の意思で選べ」 「……」 シルバは黙り込む。 暫しの沈黙の後、小さくだがはっきりとした言葉が出た。 「その、僕は2号と、ライフィセットと残りたい」 「そうか」 垣根の返答は短かった。 それに込められていたのはいかなる感情か――少なくとも、未だ幼いままのシルバには分からなかった。 「そ、その。また会える、よね……?」 そう言ったシルバに垣根は「違えよ」と修正する。 「……会えるか、じゃねえ。また会うんだよ。テメエ自身の力でな。邪魔な連中倒し続けてりゃあ、どうせそのうちまた会えるだろ」 「はい!」 そう頷いたシルバに背を向け、垣根は今度こそ病院を出ていった。 ◇ ◇ ◇ 「ま、待って欲しいでフ~」 病院を出た垣根は、背後から来たビエンフーの方を向く。 「ああ、そういえばお前もいたな」 「ひ、ひどいでフ!?」 今気づいたと言わんばかりの態度の垣根にビエンフーは近づいていく。 「一応、離れていても聖隷術とやらは問題なく使えるみてえだし、テメエも残ったところで別に良かったんだがな」 「そんな冷たい事言わないで欲しいでフよ……」 ビエンフーとて、旅の仲間であるライフィセットが心配でないはずがない。 重傷を負い未だ危機的状況にある状況にあるのだ。 だが、あちらにはブチャラティ・九郎・フレンダ、さらにはシルバが着いているのに対し、垣根は仲間を皆失って一人のままだ。 亡き主の意思もあるし、現時点の主でもある垣根をこのままにはできない。 それに、このまま放任しておけば何処かで誰にも知られずに亡くなりそってしまいそうであり心配だった。 が、それを口にする事はなかった。 それを口にする事は間違いなく垣根はそれを否定するだろうし、ビエンフーも素直に口にする事はできない。 「そういえばあの金髪の娘、一言も喋って来なかったでフね」 そんな思いを誤魔化すように、ビエンフーは何故か一言も喋ってこなかった少女の事を、ふと口にする。 何やら驚いたり、焦ったりしている様子はあったので、聖隷2号時代のライフィセットのように意思を封じられているというわけではないようだが。 「ああ、あいつは多分、俺の口から都合の悪い事を話されたくなかったんだろうな」 「ええ!? あの娘の事、知ってたんでフか?」 「アイツは、俺と同じ出身だ」 顔写真付きの参加者名簿にもしっかりと書かれてある。 フレンダ=セイヴェルン。 ここに来る直前――本当にここがメビウスとやらならそれも怪しくなるが――返り討ちにして、情報を引き出した「アイテム」の女。 「じゃ、じゃあ、どうして言わなかったんでフか!?」 「別に必要ねえからな」 フレンダを助けるつもりも、糾弾する気もなかった。 ただ、別に必要がないと判断した。それだけの事だった。 奴も学園都市の暗部組織の人間ではある。あの反応からして、おそらくブチャラティ達に全てを語っているわけではあるまい。ただの巻き込まれた一般人として振る舞っているのかもしれない。 垣根も学園都市の暗部の人間。 人の事をどうこう言うべき立場にないし、咎める資格もない。 そしてそれは、つい最近までカタギだったらしいジョルノはともかく、マギルゥやリゾットにしても同様のはず。 この会場に来る前の事など、どうでも良かった。 脱出の為に協力できる存在であるか、無惨のように邪魔な存在か、何の役にも立たない存在。 過去の事などどうでもよく、垣根にしても大事なのはそこだ。 問題なのはここに来てからの行動だった。 共闘ができ、主催者打倒という目的を持っていれば殺人者だろうがテロリストだろうがどうでも良い事だ。 故に、敵対する気がない限り放置。 それが、垣根の対応だった。 ――最も、垣根は知らない。 ここに来てから、フレンダは様々な問題を起こしている事を。 流竜馬を罠に嵌めた事を。さらには、その竜馬の悪行をでっちあげ、他の参加者に広めていた事を。 そして、その悪行を知る参加者が各地で出始めていた事を。 最もそれを知ったところで、どうする気もなかっただろうが。 垣根はフレンダの事など、気にする事なく歩を進めていった。 【E-6/一日目/日中】 【垣根提督@とある魔術の禁書目録】 [状態]:疲労(小)、全身に掠り傷、強い決意 [服装]:普段着 [装備]:なし [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3、ジョルノの心臓から生まれた蛇から取り出した無惨の毒に対するワクチン、ジョルノの首輪、マギルゥの首輪、妖夢の首輪、リゾットの首輪、ビエンフーテイルズ オブ ベルセリア@、土御門の式神(数個。詳しい数は不明)@とある魔術の禁書目録、マギルゥの支給品0~1、ジョルノの支給品0~3、顔写真付き参加者名簿、リゾットの支給品2つ [思考] 基本方針: 主催を潰して帰る。ついでにこの悪趣味なゲームを眺めている奴らも軒並みブッ殺す。 0:とりあえず、大いなる父の遺跡の方角に向かいアリア達に伝言を伝える 1:あの化け物(無惨)は殺す。 2:リゾットの標的だったボスも正体を突き止めていずれ殺す。 3:未元物質と聖隷術を組み合わせた独自戦法を確立する。道中で試しながら行きたい。 4:異能を知るために同行者を集める。強者ならなお良い。 [備考] VS一方通行の前、一方通行を標的に決めたときより参戦です。 ※ジョルノ、リゾット、マギルゥの支給品も垣根が持っています。 ※未元物質を代用した聖隷術を試しました。未元物質を代用すると、聖隷力に影響を及ぼし威力が上がりますが、制御の難易度が跳ね上がります。制御中は行動が制限されます。 ※首輪の説明文により、自分たちが作られた存在なのではないかと勘繰っています。 ※ブチャラティ達と情報交換をしました。 ◇ ◇ ◇ 「ああもう!」 フレンダは、一人で頭を抱えている。 「結局、状況は何も改善してないってわけよ……」 警戒も兼ねて外の見張りをしてきて欲しい、というブチャラティの頼みにより、病院の周囲を歩きながらぶつぶつ呟く。 自分を警戒しているであろうブチャラティが、自分を外して九郎と何か相談でもしたいのだろう――と想像はつくが、断る事もできずに従っていた。 「あの第二位が何も言わなかったのは助かったけど……」 垣根帝督――あの麦野が対抗意識を強く持っていた相手であり、学園都市の第二位。 何か自分の不利益になるような事を言いだすのではないかと、ずっとハラハラしていたが、特にそんな事はなかった。 「とにかく、何か考えないとまずいってわけよ」 ふう、と一つ息をついてから、先ほどまでの会話を頭の中でまとめる。 様々な情報が彼らの間で飛び交っていたが、フレンダは最後まで口一つ挟む事はしなかった。 放送が流れ、この会場で知り合った彩声の退場を知ってもそこまで心は動かない。第一回放送で亡くなっていたのであれば、自分のせいかもという罪悪感も多少はあったかもしれないが、第一回放送の時点では生き残っていた。 おそらく自分とは無関係の原因で亡くなったのだろうと素早く割り切る事にした。 同じ『アイテム』である絹旗の退場を知っても、弔いどころか驚きの言葉すら口にする事はできなかった。 何せ、自分の知り合いは浜面と滝壺のみだと、ブチャラティと九郎には話してしまっている。 ライフィセットの口から、麦野らしき人物について触れられた時も同様だった。 何かしら矛盾が出てしまえば、自分が窮地に追いやられる。 レインの時も、もう少し大人しく立ち回っていれば、もっとうまくやれたかもしれないという後悔もあった。 (なんだってこんな事に……) 放送によれば、あの流竜馬も平和島静雄もレインも未だに存命。 あれから既に何時間も経っているのだ。逆に自分の悪評を他の参加者にバラまかれている可能性は高い。 時間が経てば経つほど、自分の首は絞まっていくだろう。 竜馬を嵌め、悪評をばらまいていった行動は完全に裏目に出てしまっている。 さらには、麦野はあの化け物とさらにもう一人と手を組んでいる可能性が高い。 それだけでも問題なのに、向こうが気づいているかは分からないが、その麦野から獲物を搔っ攫うような真似の手伝いをしてしまったのだ。 もしバレていれば、マズい。とてつもなくマズい。 その上で、自分の失態の尻拭いなど頼めるはずがない。 もはや麦野との合流という選択肢も潰れてしまったに等しい。 退路は完全に塞がれ、頼れる味方もいない。 こうなると、残された手段は。 (ブチャラティ達に本当の事を話して、守ってもらう?) 竜馬ならわからないが、ブチャラティも九郎も問答無用に自分を処断するような真似はしないだろう。付き合いは短いがそれは分かる。 曲がりなりにも、ライフィセット救出の際には役立ったのだ。その功績もある。 だが、それでも今後の行動に大きく制限をかけられるかもしれないし、再度裏切ったり出し抜く事は絶望的になるかもしれない。 やっぱり、それはやめてこれまで通りにうまく立ち回ろうとするべきか。 そう考えた時、 『俺は生きたいと願う気持ちは否定しない。だから考えろ。犯した罪にどう向き合うかは、きみ次第だ』 不意に、第一回放送で散ったあの炎の男の言葉が脳裏に蘇る。 あの後、結局は竜馬や静雄への謝罪という道を取る事はできなかった。そして、その後にあったシグレ達に、そしてブチャラティ達に本当のことを言う事なくズルズルきてしまい、気がつけばこの状態だ。 まるで、真綿で首でも絞められているかのように、じわじわと追い詰められ、取れる選択肢を失い続けてきている。 (私は――) 悩むフレンダだが、その結論を出すまでに考える時間はあまり残っていないかもしれない。 なぜなら竜馬からフレンダの悪行を知らされた、博麗霊夢とカナメがこちらに近づいてきているのだ。 彼女に残された決断までのタイムリミットは、決して長くなかった。 「フレンダさん、大丈夫でしょうか……」 垣根とビエンフーに続き、フレンダも外に出ているため、一気に人口密度の下がった部屋で九郎は呟く。 この「大丈夫」というのは、フレンダの事を心配しての言葉ではあるが「何かしでかすのではないか」という警戒心からの意味も含まれている。 垣根との情報交換の間もフレンダは挙動不審な様子であり、ブチャラティほど警戒していなかった九郎からみても、明らかに怪しかった。 「何事もなければ、それに越した事はないのだがな」 ブチャラティとしても、フレンダがシロだというのであればそれに越した事はない。 だが、あまりにも怪しい言動が多かった。 かといってクロだという確定的な証拠があるわけでもなく、現状ではこうやって行動を共にしながらも警戒し続ける事しかできない。 「腹を割って話す事ができれば良いんだが、そう簡単にはいかんな」 結局のところ、今のままではフレンダは「とても怪しい」止まりなのだ。 何か隠し事をしているようだが、無理に暴くわけにもいかない。 「それよりも、当面の問題は」 「ええ」 二人の視線が、未だに眠り続けるライフィセットに向けられる。 シルバも不安そうにそのそばにいる。 先ほど、意識を取り戻せていたのが嘘のように深く苦し気な眠りだ。 傷口への手当はしたものの、黒い火傷のような穢れは消えておらず、誰がどうみてもまずい状態だ。 「問題はこの穢れ、というのに近いコレを何とかする必要がある事ですね」 「ああ、聖隷契約とやらは俺では難しいらしいが……」 垣根らの説明によるとスタンド使いでは、聖隷契約ができない可能性が高い。 かといって、色々と疑わしい事が多いフレンダにやらせるわけにもいかない。 となれば、消去法で九郎という事になるが、その場合も問題がないわけではない。 聖隷の器とは、聖隷が穢れないよう本来は清純さを維持した存在がなるものらしい。 だが九郎は人ならざる者であり、妖怪やら物の怪などと言われる存在からも異常な存在らしい。 不死の力や、こちらに来てから使えないとはいえ未来予知の力もある。 そんな存在と契約を結んでしまえば、どんなイレギュラーな事態になるかわからない。 「そうですね。いざとなったら僕がするしかないでしょう」 だが、それでも試さないと確実にライフィセットは死ぬだろう。 ハイリスクだろうが、躊躇っているうちに死にましたなどという事は避けなければならない。 今は応急処置をしつつ、何とか延命させているがいつまで持つかもわからない。 「そうだな。絶対に助けなければ」 ブチャラティにとって、幼い子供のような存在は絶対に守るべきものだ。 あのように、強い意思を見せた存在であればなおさら。 ブチャラティは知らないが、ライフィセットの間にはある共通点があった。それは、ある人物と出会うまで両者ともに「生きて」いなかった。 ライフィセットは、意思の封じられた聖隷2号として、そこに自分の意思は存在せず、主であるテレサに従うだけの生きながら生きていない状態。 ブチャラティはジョルノと出会うまで、麻薬を憎みながらも麻薬を売る パッショーネの一員として活動するという矛盾を抱えながらも生きながらも死んだ状態だった。 そんな状態からライフィセットはベルベットと、ブチャラティはジョルノと出会う事によって再び「生きる者」となったのだ。 そういった事からの、無意識でのエンパシーでもあった。 「ところで九郎。お前の言う鋼人七瀬とやらは、最後は消滅したんだったよな」 ライフィセットの件もあるが、あの魔王ベルセリアへの対策も必要だった。 今は後回しにしても、いずれは対処する必要がある。 「はい。ですが、鋼人七瀬は無から生まれた存在ですので、今回のケースとはだいぶ違っていますが」 鋼人七瀬は桜川六花が無から生み、育てた存在だ。 あくまで、何かしらの外付けの力があったらしい、このケースとは異なっている。 だが仮に。 ベルベット・クラウが、完全に別の存在と成り果てた時、魔王ベルセリアの消滅はベルベット・クラウの消滅と同義になるかもしれない。 これはもちろん、仮定に仮定を重ねた話だ。 実際にどうなるかは分からない。 (その時に、最悪の場合は――) もし、彼がここまで慕うベルベットを元に戻す方法がなかったとしたら。 あるいは、消滅という手段でしか残されていなかったとしたら。 (――すまない) わずかな会話だけでもこの少年がベルベットという女をどれだけ慕っているかはわかる。 だが、あれは放置するにはあまりに危険だ。 その時は、この目の前の少年にどれほど怨まれようと決断を下すしかない。 そうブチャラティは密かに決意していた。 【D-6/病院/一日目/日中】 【フレンダ=セイヴェルン@とある魔術の禁書目録】 [状態]:全身にダメージ(小)、心痛、右耳たぶ損傷、頬にかすり傷。衣服に凄まじい埃や汚れ、腹下り(極小)。 [服装]:普段の服装(帽子なし) [装備]:麻酔銃@新ゲッターロボ [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1、『アイテム』のアジトで回収できた人形爆弾×2他、諸々(その他諸々の内パラシュート3つと、入っていた全てのばくだんいし@ドラゴンクエストビルダーズ2は使用済み)。レインの基本支給品一色、やくそう×2@ドラゴンクエストビルダーズ2、不明支給品1つ(確認済み)、鯖缶複数(現地調達) [思考] 基本方針:とにかく生き残る。現状は首輪の解除を優先するが、優勝も視野には入れている 0:ブチャラティ達にこれまでの事を話す? 1:ブチャラティは要注意。ボロを出さないようにしないと。 2:煉獄の言う通りに竜馬と出会うことがあれば、謝る? 3;麦野との合流は、諦めた方がいいかも… 4:絹旗、彩声、死んじゃったんだ…でも、私のせいじゃないよね? 5:煉獄、死んじゃったんだ… 【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】 [状態]:疲労(小)、フレンダへの疑念(中)、強い決意 [服装]:普段の服装 [装備]: [道具]:不明支給品1~3、スパリゾート高千穂の男性ロッカーNo.53の鍵) サーバーアクセスキー マギルゥのメモ [思考] 基本:殺し合いを止めて主催を倒す。 0:ライフィセットの容態を何とかする。 1:放送を聞いた新羅への不安と、アリアへの心配。何とか合流したい。 2:病院に何か罠でも仕掛けておいた方がいいかもしれない。 3:魔王ベルセリアへの対処。 4:余裕ができてから高千穂リゾートを捜索。 5:フレンダを警戒。彼女は何かを隠している。 6:あかり、高千穂、志乃、ジョルノ、カナメ、シュカ、レイン、キースの知り合いを探す。 7:カタリナ・クラエスがどのような人間なのか、興味。 [備考] ※ 参戦時期はフーゴと別れた直後。身体は生身に戻っています。 ※ 九郎、新羅と知り合いの情報を交換しました。 ※ 画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。 ※ 新羅から罪歌についての概要を知りました。 ※ 垣根と情報交換をしました。 【桜川九郎@虚構推理】 [状態]:健康 静かに燃える決意、魔王ベルセリアに対する違和感 [服装]:ホテルの部屋着 [装備]: [道具]:基本支給品一色、不明支給品0~3 [思考] 基本:殺し合いからの脱出 0:ライフィセットの容態を何とかする。 1:あの彼女(魔王ベルセリア)、何とかしかければ……。 2:フレンダは、念のため警戒。 3:岩永を探す 4:ジオルドを始めとする人外、異能の参加者、流竜馬、仮面の剣士(ミカヅチ)を警戒 [備考] ※ 鋼人七瀬編解決後からの参戦となります ※ 新羅、ジオルドと知り合いの情報を交換しました。 ※ アリア、ブチャラティと知り合いの情報を交換しました。 ※ 画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。 ※ 新羅から罪歌についての概要を知りました ※ 魔王ベルセリアに対し違和感を感じました。 ※ 垣根と情報交換をしました。 【ライフィセット@テイルズ オブ ベルセリア】 [状態]:気絶、穢れによる侵食(重大)、両腕欠損、全身のダメージ(大) [服装]:いつもの服装 [装備]:ミスリルリーフ@テイルズ オブ ベルセリア(枚数は不明) [道具]:基本支給品一色、果物ナイフ(現実)、不明支給品2つ(本人確認済み)本屋のコーナーで調達した色々な世界の本(たくさんある)、シルバ@テイルズ オブ ベルセリア [思考] 基本:ベルベットを元に戻して、殺し合いから脱出する 0:(気絶中) 1:ブチャラティ達と行動する 2:ムネチカへの心配 3:ベルベットの同行者(夾竹桃、麦野)への警戒 4:ロクロウ達との合流 5:エレノア……。 [備考] ※参戦時期は新聖殿に突入する直前となります。 ※異世界間の言語文化の統一に違和感を持っています。 ※志乃のあかりちゃん行為はほとんど見てません。 ※魔王ベルセリアによる穢れを受けた影響で、危険な状態です。このまま何の処置もせず放置すれば確実に死ぬでしょう。 ※呼ばれた時間に差がある事に気づきました。 ※マギルゥの死に関してまだ聞いていません。 前話 次話 カウントダウン 投下順 Revive or Die Again(前編) 前話 キャラクター 次話 最後に笑うは 垣根帝督 ギャクマンガ虚獄 ~ムギノインパクト~ Liber AL vel Legis -THE WORLD REVOLVING- ブローノ・ブチャラティ 過去が今、私の人生を収穫に来た Liber AL vel Legis -THE WORLD REVOLVING- 桜川九郎 過去が今、私の人生を収穫に来た Liber AL vel Legis -THE WORLD REVOLVING- フレンダ=セイヴェルン 過去が今、私の人生を収穫に来た Liber AL vel Legis -THE WORLD REVOLVING- ライフィセット 過去が今、私の人生を収穫に来た
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目の前のこの光景は何なのだろう。 田村さんとその先輩達、それと双子の姉が盛り上がっていて、こなちゃんがハブられている。変なの…こういうの、ヲタク談義って言うんだろうか、そういうのだったハズなのに… 「ねぇゆきちゃん。なんでこうなったんだろうね」 「何故なんでしょうね?泉さんが何かネタ…というような台詞をかがみさんにふったのが発端だったのはわかりますが」 4×2=?(声ネタを自重しないものとする) ある日曜日。私達四人(ひーちゃんはデート、日下部さんはサークルでいない)はゆきちゃんお奨めの喫茶店に来ていた。 「そんで、みさきちがレポート表紙つけ忘れてさ」 「あぁ、私もやったわ。大学指定レポート表紙でしょ?こっちはレポートなんて初めてなんだから大目に見て欲しいわよね」 「だよね~、引用部の書き方とかめんどいしさ。みゆきさんも大変じゃない?」 「そうですね。書き間違えると一枚全て書き直しですから、参考文献の処も気が抜けません」 「あれ、そういうのって、パソコン使うんじゃないの?」 「「「………つかさ(さん)、世の中には、手書きしか認めない堅物教授もそんざいするんだ(の)(です)よ」」」 何か触れてはならない事だったみたい。あれ、でもみんな違う大学……どんだけ~。 「ここだここ。紅茶専門店」 「だから言ったんだよ、たまきに道案内させるなって」 「でも言い出しっぺも店知ってるのも山さんなんだけど」 「まぁまぁ、奢りなんだからいいじゃん。ひよりんの」 「私っスか?!あれ、泉先輩達?」 「おやひよりんじゃない」 別のお客さんが来たと思ったらひよりちゃんだった。他の人達は…あれ、ゆたかちゃん達じゃないんだ。他に友達居たんだ。意外。 「あ、泉先輩じゃないですか。この前はどうも」 「あ~、こないだコスプレしてきたOGさんか」 「てことはあのラブレターの人もいるのかな?」 「…今のでわかったわ。陵桜のアニ研の人達ね」 「かがみさん、ラブレターって何の話でしょうか?」 ゆきちゃんにはそういえば話してなかったっけ。というかこの人達はアニ研の人達なんだ。 「…とりあえず、みんな座らない?先輩達に自己紹介しなきゃなんないし、ついでに店の人の視線も痛いから」 自己紹介も注文も済んで、一段落。 「じゃあ、別にヲタクのイベントが近くであった訳じゃないんだ」 「まぁ山さんのリラッタヌグッズ買うのの付き添いですけどね。皆さんは?」 「ああ、私達は「くっくっく、タダじゃ教えられないねぇ」…またアンタは」 「タダって、何なら言いんです?トーストにジャムとマーガリンをつけましょうか?」 「たまき、それ店のサービス以下だから。で、一体何ですか要求は」 思えばこの一言を言ったのがこなちゃんの運のツキだったと思う。 「かがみと契約して魔法少女になってよ」 …沈黙が訪れていた…何言ってるのこなちゃん。 その沈黙を破ったのは八坂さんだった。 「とりあえずひよりん、ティロフィナーレしよっか」 「いやいや、髪からすれば私はほむほむっス」 「黙れ、黙ってマミれ」 「じゃ毒さんはおりこね」 「漫画のキャラなの私」 …私とゆきちゃんは未だ沈黙中。えっと、魔法少女?契約?何の話? そんなことを考えていたら、お姉ちゃんがある言葉を発した。 ひよりちゃん曰く「この瞬間、『ダメー!』と叫べば良かったかも知れないっス」とのこと。 「…アンタは毎度毎度…この前は人にランドセル背負った蝸牛やれと言ったと思ったら…おっけぃ、こなた」 「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」 全員が退いていた…こなちゃんなんか顔面蒼白だった。お姉ちゃんの顔、すごく怖い。お姉ちゃんの堪忍袋の緒が切れちゃったみたい。 「おぉ、ヤンデレだ」 「ヤンデレだね、結局、ロシアまで追うヤンデレ」 「かがみ先輩、義手義眼になっちゃいますよ。ひよりん、鮭弁当買って来な」 「超了解っス。ついでに超鯖缶買ってきます」 「急げ、先輩がせん/ぱいされる前に」 …超鯖缶って何? あれ、アニ研の子達は退いてない…普通にしてる。あ、お姉ちゃんが息を吐いた。 「…助かったわ。理解してもらえて」 「いやいや、魔術側の方が好きなんで反応遅れてすいません」 「やさこ、科学側苦手だっけ?」 「あ、滝壺誰かやらなきゃ」 「毒さんやりなよ。私フレンダしちゃったし」 「え、なら私浜面?」 「だいじょうぶ、そんなやさこをわたしはおうえんしてる」 「そこは応援しないで」 「えっと…つまりはかがみんのアレ、何かのネタだったの?」 「何かって…禁書の麦野ですよね」 「そう。こなたの暴走が酷い時のために使おうと思ってたんだけど…予想以上だったわ。まぁ…」 こいつはアニメを選んだじゃないの…ドラマCDじゃなくて。 ってよくわからない台詞をお姉ちゃんは呟いた。 ドラマCD?アニメ? 「出てない私達への挑発ですかそれは」 「やさこはゲーム出てるじゃんか…はっ」 「どしたたまき。ろくでもない事思い出したみたいだけど」 「かがみ先輩が今生きていると言うことは…世界は泉先輩の手で滅びる!」 …はぃ?こなちゃんが世界を?なんで? 「…山辺さん。蝸牛ひっぱるのやめてくれない」 「世界の危機だ。しかも滅亡確定の」 「山さんー、帰ってこ~い」 「今すぐ過去に飛ばないと。さぁキスショットさん!」 「へっ、わ、わたし?キスショット?誰?」 「先輩、そこは『元』をつけるとかしないと。それにかがみ先輩が二十歳になるまでは無事っス」 「あと一年くらいだけど…というか私をトラックに引かせる気?それにこなたアニメでしか知らないから。だから化物語しかわからないわよ」 「…え~。ならミスドとかも」 「通じないわよ」 「携帯食も家のあちこちにしかない存在の跡も」 「それ羽川さんネタじゃないむしろ」 「風呂場での千枚通しも」 「月火よねそれ。いや和解シーンだけどさ」 「撫子にフルボッコされるのも」 「え、何それ。新作のやつ?ちょっと私まだ読んでないんだけど!」 …こんな感じで今に至る。誰かこなちゃんに助け舟出さないかな。私やゆきちゃんが話しかけたら 「…」 と無言だった。 「何か調子狂っちゃうね」 「ま、まぁ、かがみさんも以前『ラノベの話がしにくい』『こなたはバカテスの良さをちゃんと理解してない』と言っていましたから。これはその反動ではないかと」 ストレス溜まってたのかなぁお姉ちゃん。 変な光景だけど…まぁお姉ちゃんには気分良いのかも知れないね。 「私って、ホント馬鹿…」 Q 4×2=?(声ネタを自重しないものとする) A あり得ない1がハブられて1:2:5に別れてしまう。 コメント・感想フォーム 名前 コメント 契約ネタしかわからん(笑) 誰か詳細教えてくれ ↑ggrks -- 名無しさん (2011-08-05 15 52 19)
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廻れ、廻れ。 全ての夢と希望を乗せて。 それが真なりと詠嘆し、廻り続けよ。 月より来たりて常世を覆うがいい、盲目の皇。 おまえは太極、おまえは森羅、おまえは万象、おまえは聖杯。 星々の瞬きを祈りと代え、廻り出すがいい。 宝具の銘は、『万仙陣』。あらゆる願望を叶える無限の夢よ、全ての衆生を今こそ救い奉れ。 ◆ 銃声が炸裂した。 人通りの少ない道であるため、憚る必要もない。 それに。日毎拡散される都市伝説で混迷化したこの鎌倉市に限っては、今更銃声程度で驚く者も居るまい。 凶行の主は、夜闇に紛れるのに適した黒服を纏った、数人の男達であった。 想像に漏れず、彼らは堅気の人間ではない。所謂ヤクザ。暴力団の人間である。 彼らが受けた命令は一つ。――"鎌倉に存在する、聖杯戦争のマスターと思しき人間を片っ端から暗殺する"ことだ。 最初こそ当惑した彼らではあったが、流石に荒事には慣れている。 このように、深夜帯の夜道を一人で歩く明らかに不自然な人物を狙い撃っているだけでも成果は上々だった。 当然ながら仕損じることも、時には"間違える"こともある。 鎌倉市内の殺人事件や不慮の事故の数は、これまでの数倍ほどにまでこの数週間で増加している。 その数字に紛れているだけで、彼らが誤殺した元からの鎌倉市民も少なからず存在するのだ。――かつての彼らならば仁義に反するとし、只では済まさなかったろう蛮行。しかし今となっては、異論一つ唱える者はなかった。 街が日を追うごとに変わっていくように。外から現れた支配者を前に、彼らも着々と人格性を変貌させつつある。 だが少なくとも今夜、この"殺人現場"に居合わせた者達はその点幸運だと言えよう。 彼らはもうこれ以上、聖杯戦争などという儀式の都合で狂うことはなくなるのだから。 「……あ?」 引き金を引いた男の胸に、薙刀のような武器による傷が刻み込まれていた。 当然、致命傷だ。男は呆気なく、まるで砂の城が崩れるように膝を尽き、血を流し続ける蛇口と化す。 下手人が誰かなど、言うまでもない。彼らが銃口を向け、射殺せんとしたマスターの少女である。 「て、手前ッ」 連続する銃声。 しかし、只の一発たりとも少女に傷を付けられない。 弾は確かにその奇矯な衣装を捉えている。 なのに、全てが彼女をすり抜けて向こう側へと抜けてしまうのだ。 まるで、水か何かを撃っているように。 茫然とする殺し屋たちは、一転狩られる側へと立場を変貌させる。 背中を向けて逃げ出す彼らだったが、当然、逃れられる筈もなかった。 彼らがマスターであるだけの無害な少女と思い、喧嘩を売った相手は、断じて単なる少女ではない。 『逆凪綾名』は魔法少女である。魔法少女、『スイムスイム』である。 見た目が如何に可憐であろうとも、その身体は最早人間のものを超越している。 弾丸程度では傷付けられず、よしんば傷付けられたとしても、彼女の魔法がそれを許さない。 スイムスイムは、自らが手にかけた男達を見、考える。 ――数時間前、神父より本戦開始の連絡があった。 そしてこの彼らは、明らかにその筋の人間だ。 帯銃もしていたのだ。よもや、一介の通り魔ということもないだろう。 つまり彼らは何らかの目的があって、スイムスイムを狙ったのだ。 「マスター狩り」 であれば、それを糸引いているのが何であるか。 改めて確かめるまでもない。サーヴァントだ。サーヴァントが、何らかの手段で重役を獲得し、人材を操っている。 スイムスイムは彼らが残した総数四丁の銃のみ回収すると、死体には目もくれず、何事もなかったかのように再度歩き始めた。キャスターは今、何をしているんだろうか。そんなことをぼんやりと考えながら、凶行の現場を後にする。 『叢』がその惨状を目の当たりにしたのは、スイムスイムが去ってから三分ほど後のことであった。 闇夜に轟いた銃声を聞き、得意の隠密を維持しながら現場へと現れた次第だったのだが。 彼女が見たものは四つの死体。ある者は胸を、ある者は首を、ある者は顔を、ある者は腹を斬られている。 傷の形からして、重量のある刃で斬り付けられたのだろうと叢は推測する。 恐らく、そんなものを振り回して実戦へ及ぶなど、この時代の人間には不可能だ。 そういう経験があったり、何か特別に鍛えているなどの事情があれば話は別だが、それでも四人を次々に斬り倒すとなれば相当だ。何より、彼らの手。いびつに歪み、中には無理に引き千切られているものもあるが、その形には一定の共通点がある。この手付きは――銃を持つ手だ。下手人は帯銃した相手を四人同時に相手取り、皆殺しにしたことになる。 「……サーヴァント。もしくは戦う力を持った、異世界のマスター」 叢は冷静に分析する。 そして、自分の傍らへ霊体化した状態で控えている英霊へと命じた。 「アサシン。念には念をだ。周囲を探し、それらしい人物を発見次第報告しろ」 「……分かった」 「もしも襲って来るようなら、交戦しても構わない。だがサーヴァントと戦うのは極力避けるように」 闇色のコートを羽織った、骸骨の顔を持つアサシン。 彼は従順に頷けば、この惨状を引き起こした者を探す為に姿を消した。 叢もまた、周囲へ細心の注意を払いながら彼らを殺めた者の追跡にあたる。 しかし彼らは結局、殺人現場の主を見つけ出すことは出来なかった。 忍と暗殺者、その双方を持ってしても、である。 徒労に終わる追跡を続ける叢を嘲笑うように、路傍の端で黒猫が黄金に瞳を輝かせていた。 ◆ その翌日。 部下が返り討ちに遭ったとの報せを受けたライダーの英霊は、ただ「そうか」と言って笑うだけだった。 ドンキホーテ・ドフラミンゴ。仁義を重んずる則を踏み潰して君臨した、悪逆非道の天夜叉。 彼にすれば、一朝一夕の付き合いにも等しい雑兵共などは端から仲間ですらないのだろう。 事実ライダーは幾ら部下が潰されようと、動かせる手駒が減って厄介程度にしか思ってはいなかった。 彼も馬鹿ではない。一度のマスター狩りに差し向ける数は最小限に止め、今回のようなアクシデントが起こった時でも損害を最小で止められるように采配している。無論、そこにあるのは断じて人情などではなかったが。 彼を見る度、『乱藤四郎』は無力感に打ちのめされる思いだった。 聖杯は欲しい。何としても手に入れなくてはならないし、その為にはライダーの力が必要不可欠だ。 しかし――彼のやり方は嫌いだ。彼が犠牲の報を笑う度、反吐が出る想いに包まれるのを堪えられない。 勿論、令呪を使って従わせることは出来る。 だが彼の戦術が聖杯戦争を勝ち抜くということに関し、的を射ているのは紛れもない事実。 実際にライダーの"マスター狩り"は予選段階だけでも五人以上の戦果を挙げている。 だから、乱は彼を諌めることは出来ない。どんな綺麗事を並べ立てても、結局の所乱も同じ穴の狢なのだ。 聖杯の為。自分の願いを押し通す為に他を踏み台にする、自分勝手な最低のクズである。 「いち兄……」 朝の日差しを浴びながら、乱は浮かない顔で町を歩いていた。 マスターが無闇矢鱈に出歩く危険性は承知しているが、あんな所に引き篭もっていては息が詰まってしまう。 乱は毎日数時間は、こうして外を歩く。 いろんなことを考えて、いろんなことを思い返しながら、ただ目的もなく鎌倉の町を練り歩く。 普段ならば。誰と話すでもなく、ただ自分とだけ向き合い、結局何も得られずに帰途へ着くのだったが。 ほんの気まぐれで、彼は八幡宮へと寄ってみることにした。 八幡は観光名所だ。当然昼間は混むし、そんな場所を歩けば必然的に他のマスターとエンカウントする危険も増す。 そう思い、これまでは足を運ぶこともなかったのだが――偶には良いだろうかと思い、彼は八幡へ足を向けた。 案の定、休日の八幡は混雑していた。 これではお参りも出来ないかな。苦笑しつつふと視線を反らせば、道の隅でぼうっと立っている少女が見える。 何も、何十という参拝者の中から特別に彼女を見つけ出したわけじゃない。 彼女の見た目が、あまりにも目立つものだったのだ。雪のような白髪と赤い瞳。小柄な背丈ながら、将来はきっと凄い美人になるだろうと見る者へ確信させる――月並みに言って、美少女だった。 正直、シチュエーションがシチュエーションならば妖精や精霊の類と見間違えても可笑しくはない。 しかし八幡に現れた雪の妖精はぼうっと虚空を見つめ、ぽつんと一人で立ち尽くしている。 人が通りたがっていてもお構いなしだ。まるでそんな連中、視界に入ってすらいないように―― 「そっか……目が、見えないんだ」 妖精はどこか慌てた様子を見せている。 あの覚束ない所作は、盲目の人間特有のものだ。 乱は少しだけ悩んだが――人々が次第に舌打ちや彼女への文句を呟き始めた所で、見ていられなくなった。 「ごめんなさいっ。――ほら、こっちだよ」 「え? あっ……うん」 妖精の手を引いて、物陰へ。 彼女は突然のことに困惑気味だったが、助けてくれたことは分かったようで。 妖精の手を引いて、物陰へ。 彼女は突然のことに困惑気味だったが、助けてくれたことは分かったようで。 「君、お父さんやお母さんは?」 「……いないわ」 「……じゃあ、迎えに来てくれそうな人はいる?」 「いる。待ってろって言われたから、あそこにいたの」 なんて無責任な保護者だ。 乱は他人事ながら、少しむっとした。 少女はまだ、目が見えないということに慣れていないように見える。 そんな人間をこんな人通りの多い道へ放置して目を離すなんて、あまりにも無責任ではないか。 「君、お名前は?」 「イリヤスフィール」 「……いりや、す……?」 「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。イリヤでいいわ」 『イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』の名前は、海の外の文化に疎い乱には馴染みのない形式だった。 イリヤスフィール、イリヤスフィール、イリヤスフィール。 三度ほど反唱して、乱はやっと満足したように頷く。 「イリヤ、ね。ボクは乱藤四郎っていうんだ」 「トウシロウ?」 「あー……ちょっと複雑な事情があって、ボクの兄弟には"藤四郎"が沢山いるんだよね。 だからボクのことは"乱"でいいよ。そっちの方がボクとしてもしっくり来る」 藤四郎の名前を冠する刀は、彼を除いても相当数存在する。 乱の居た本丸では全種揃ってこそいなかったものの、それでも六振りは居た筈だ。 だから、他人と会話する時は乱が名前のようなものだった。 「ミダレ――ミダレは、女のヒト?」 「ふふ。ボクはこれでも男の子だよ。よく女の子にも間違えられるけど」 目の見えないイリヤにはわからないだろうが、乱の服装はどこから見ても年頃の少女のそれだ。 長く伸ばした橙色の髪にスカート姿。肌はシミ一つなく、目もくりんとしていて実に可愛らしい。 「……ミダレは、面白いヒトね」 イリヤはそう言って、くすりと笑った。 花が咲くような満面のものではなかったが、それ故にどこか儚げな美しさを秘めている。 よく可愛い可愛いと言われる乱も、この少女には敵わないと素直に思えた。 だからこそ、盲目なことが痛ましい。 その朱瞳でもっと沢山の景色を見て、笑って生きていってほしい。 そこまで願ってから、この世界の平穏を脅かしているのは他ならぬ自分でもあることを思い出し――唇を噛んだ。 イリヤには伝わっていないだろうが、苦々しげな表情をしていたと思う。 その時だった。 乱の身体が、影に隠れる。 咄嗟に後ろを振り向くと―― 「ふむ。どうやら、面倒を掛けたようだな」 ――そこに居たのは、イリヤに負けず劣らずの淡麗な容姿を持った、金髪の青年だった。 イリヤのものと同じ色の、朱い瞳が乱を見下ろす。 最初彼は、イリヤの保護者が現れたなら一言文句でも言ってやろうと思っていた。 勿論イリヤに余計な不安を抱かせないよう配慮しながらのつもりだったが、今の乱にそんな余裕はなかった。 見下ろす瞳と、瞳が合う。男の眼は、まるで何かを見定めているようだった。乱の眼は、戦慄の色を帯びていた。 サーヴァントとて、人の形をしているのなら現代の営みへ溶けこむことは難しくない。 逆に、自らをまともな人間ではないのだと認識させることも容易い。 ましてそれが聖杯戦争の参加者相手なら尚更である。 伝説を生きた経歴は伊達ではない。そしてこの英霊は、特にそういうことには長けていた。 「まあ、良い」 乱は――動けなかった。何かを言うことも出来なかった。 眼前に立つ未知のサーヴァントを前にして、蛇に睨まれた蛙が如く、完全に硬直していた。 彼の使役するサーヴァントの手で、間接的に敵を排除してきたことならある。 しかし当の彼は未だ自分の呼んだ英霊以外とは出会したことさえなかったのだ。 これが、英霊――日頃戦っていた"歴史修正主義者"や、"検非違使"が束になろうと、この男には敵わないだろう。 もしも彼がもっと剣呑な手合いだったなら、この場で乱藤四郎は屍と化して転がっていた筈だ。 「行くぞ、イリヤスフィール。見物も終えた。どうやら、近くに英霊の気配も無いようだ」 「分かったわ。……それじゃあね、ミダレ。さっきは助けてくれてありがとう」 黄金の英霊に手を引かれ、雪の妖精は乱の前から去っていく。 その間際、一度だけ彼女は振り返った。 「次会うときは、貴方のサーヴァントも一緒にね」 一人残された乱は、拳を握り締めて奥歯を鳴らした。 自分の弱さを痛感させられたような思いだった。 いつもより、拠点へ帰る足取りが重かった。 ◆ 聖杯戦争が始まる。 その報せを受けた『すばる』も、例に漏れず浮かない顔をして海岸線を歩いていた。 吹き付ける海風が気持ちいい。見れば、防波堤がちょうど腰掛けやすそうな高さと幅をしている。 座ってみようと思い――やめた。特に理由があるわけでもなく、ただなんとなく、気が乗らなかった。 見ると、物思いにでも耽っているのか、海を眺めてじっと動かない青年の姿が確認できた。 後ろ姿しか見えないが、それでも引き締まった身体の持ち主だと分かる。 彼も何か問題に直面し、彼なりの形で向き合おうとしているのだろう。 根拠もなく、すばるにはそう思えた。 そして、まだどうしようもない不安を抱えたままの自分の体たらくを見て、また少し落ち込んだ。 「わたしもあの人くらい鍛えたら、東郷……アーチャーさんの役にちょっとは立てるのかな……」 想像してみる。 筋肉で引き締まった自分の身体。 おお。少し絵面はアレだが、決して悪くない。 ただ、こんな短期間に行う一朝一夕のトレーニングで筋肉が付かないことくらい、すばるにも分かった。 肩を落として去っていくすばる。 そんな彼女の存在にすら気付かず――水平線の彼方を見つめる青年、『衛宮士郎』は呟く。 「いよいよか」 自分を守り、共に戦うサーヴァントは今此処にいない。 他ならぬ士郎自身が、彼女の同行を断ったのだ。 今は一人になりたかった。一人で――色々と、物を考えたかった。 真の聖杯戦争。 本来の様式とは異なる、二十一騎の英霊によって行われる神秘の蟲毒。 あらゆる世界線から垣根を越えて呼び寄せられた英傑達に、誰一人として易しい相手はいないだろう。 この本戦に立つ資格のなきマスターも、サーヴァントも……皆、予選の内に淘汰され尽くした筈だ。 断言できる。断じて、ここから先の戦いに楽な局面は存在しない。 一瞬でも気を抜けばそれが詰みに繋がる。鎌倉は、恐怖と絶望が常に隣り合わせのキリングフィールドと化す。 ――けれど、俺だって狩られる側では終わらない。終わることは出来ない。 投影魔術。 神秘を模倣し、放つという業。 時にはサーヴァントの心臓すら射止め得るだろう、士郎にとっての最大の牙だ。 そこにアサシン・アカメの宝具が加わることで、奇襲性能・暗殺能力は至大と化す。 至近距離ではアサシンが一撃必殺の猛毒を振るい、遠距離からは士郎が撃ち続けるのだ。 必ず勝つ。いや、勝たねばならない。そして、勝てる望みは確かにある。 「美遊――」 己の守るべき存在であり、かつて守れなかった存在の名を呟いて。 衛宮士郎は、もう一度拳を強く握り、水平線の彼方を睨みつけた。 「ばふっ!?」 その頃。 すっかり落ち込みムードで俯きながら歩いていたすばるは、前から歩いてきた誰かと衝突していた。 見上げると――すばるより、確実に四つ以上は年上だろう。 長い茶髪の綺麗な女性だった。――しかしやや不機嫌そうに顔を顰めている。 「ちょっと、いつまでそうしてんのよ。取って食いやしないから、さっさと離れなさいな」 「す、すみませんっ」 慌てて離れようと後ろ歩きで下がるすばる。 ……案の定。まるでテンプレートのように、彼女はすってんころりん転倒した。 言っておくが、そこに障害物らしいものは何もない。 綺麗に舗装されたアスファルトの地面だった。 「いった~……」 「……どんくさいわね。そんなんじゃ今後、苦労するわよ」 そうとだけ言い残すと、女の人はすばるを置いてさっさと歩いて行ってしまう。 もしかして急いでいたのだろうか。 だとしたら悪いことをしてしまった。 此処はすばるにとって、単なる聖杯戦争の舞台ではない。 街の人々にもそれぞれの暮らしや個性があって、自分達の都合でそれを蔑ろにしてはならないと思っている。 だから素直に申し訳ないと思った。すばるは確かに鈍臭い少女だったが、人一倍優しい娘でもある。 「わたし、このままで本当に大丈夫なのかな……」 ぽつり呟いた言葉は、潮風に巻かれて消えてなくなった。 生まれて初めて関わる……本来なら、きっと今後一生関わることもなかったろう、戦争という儀式。 アーチャーは頼れる。まるで近所のお姉さんみたいな、不思議な安心感を感じさせてくれる。 ――でも、自分は……ちゃんと彼女を支えることが出来るだろうか? 足手まといになるだけではないのか? 「みなとくん――」 此処にはいるはずもない、温室の少年の名を呟いて。 すばるはまた、俯き加減で歩き出すのだった。 「意外だったわ、マスター。てっきり殺しに掛かるかと思った」 「……あのねえ。アンタ、私を快楽殺人犯か何かと勘違いしてないかしら?」 「あら、違ったの?」 『麦野沈利』は暗部の人間だ。 それも、あらゆる科学技術の結集した超能力の街、学園都市の闇を生きる人間だ。 人殺しになど今更躊躇いは覚えないし、そもそも殺すことを目的として聖杯戦争に参加している。 「私が殺すのは敵と、ムカつく奴だけよ。殺す相手くらい選ぶっての。 第一、あんまり殺し過ぎるとあのクソ鬱陶しい教会サマに睨まれる。ま、あんな似非神父程度、私一人でも余裕だけど。それでも無駄な労力は使いたくないし、余計なリスクも好んで背負いたくはないでしょ?」 「誤殺上等の大量虐殺をやった人間の台詞とは思えないわね」 「そりゃ、マスターかもしれない奴なら話は別よ」 麦野は霊体化したままのランサーへと微笑する。 勘違いしてはいけないが、麦野沈利という女は決して寛大な心の持ち主ではない。 喧嘩を売られれば、たとえ一般人相手だろうと躊躇なく能力を使う。 まして今の彼女は復讐の鬼だ。落ち着いているようにこそ見えるが、その内心は沸騰した鍋の如く闘志が滾っている。 彼女は必要とあれば、街の全住民さえ殺すだろう。表情一つ変えずに、得意の能力を連射して。まるで逃げ惑う蟻を潰すような気軽さでもって、最後の一人まで念入りに撃ち殺すだろう。 麦野沈利とは、そういう女であり。そういう怪物(レベル5)だ。 ランサーは彼女を嫌悪する。その低俗な思想を穢らわしいものと侮蔑している。だが、麦野を認めてはいた。 こと人を殺すという事に於いて、彼女は間違いなく一級品である。能力、人格、執念――全てを兼ね備えた彼女がもしも化外としてこの世に生まれ落ちていたなら、ひょっとするとこの自分でも―― そこまで考え、不快になったレミリアは思考を打ち切った。 「例えばさっきのガキなんて、どっからどう見てもマスターとは思えない。 あんな鈍臭い奴がマスターだったとしたら、何のための予選だって話よね」 くつくつと笑う麦野と、空返事で同意するレミリア。 二人の共通点は一つだ。――こうしている今も、水面下で互いを心底気に入らないと思っていること。 力以外の要素を致命的なまでに欠落させた彼女たちの聖杯戦争は、果たして如何なる旅路になるのであろうか。 ◆ 『アンジェリカ』は、不意に見つけた違和感を前に足を止めた。 ある山道で、彼女はサーヴァント、及びマスターの索敵にあたっていた。 鎌倉の聖杯戦争では身分が与えられない。故に当然、拠点を確保できなかったマスターは路傍を彷徨うことになる。 かと言って馬鹿正直に街中を歩いていれば、それでは自分が聖杯戦争の参加者であると名乗っているようなものだ。 その点、山は便利だ。身も隠せる上、魔術師の工房を作るにも打ってつけであると言える。 少なくとも漫然と敵を探しているよりかは、余程望みがあると判断した次第だった。 「これは――墓か」 不自然に草の消えた地面。 見れば、周囲と土の色も違う。 明らかに誰かによって一度掘り返され、それから埋め直された痕跡だ。 数は四つ。――ペットを埋めるにしては多すぎる。となれば、この下に埋まっているものが何かは自ずと知れた。 「何処の誰かは知らんが……もしも聖杯戦争の参加者がこれを作ったのだとすれば、とんだお人好しもいたものだ」 倒した敵の墓穴を作り、弔う。 アンジェリカには考えられない行いだった。 彼女だけでなく、聖杯戦争に参加するような人間の大半にとっては理解の及ばない行動だろう。 甘いと誹られても可笑しくはない。その甘さに付け込まれ殺されてはまったくの無意味だ。 この墓を作った何者かは、本戦へ進めたのだろうか。だとすれば気の毒だ――これより先の争いは、お人好しには耐え難い様相を呈してくる。聖杯を巡る原始的な闘争の前に、情けなどという言葉は散って失せる。 魔力の反応も感じられない。ならば興味もなしと、アンジェリカは踵を返して――そこで一度、鋭く明後日の方向へ視線を向けた。さながら威嚇する猛禽のように鋭い眼光で、数秒ほどその方角を睨み付けて。 「……気のせいか」 呟き、再び向き直って彼女は帰途へと着いた。 それを木の影に隠れながら見届け、『エミリー・レッドハンズ』は小さく息を吐く。 彼女もまた、アンジェリカと同じ考えで山へと入った聖杯戦争のマスターだ。 特に目立つ成果も挙げられず、そろそろ下山しようとした矢先――何やら地を見つめ、立ち尽くしている若い女の姿を見つけた。登山にしては軽装すぎる装いや独特の雰囲気から、エミリーはすぐに彼女がマスターであると見破った。 そこまでは良かったが、よもや監視に勘付かれるとは思わなかった。極力殺気を殺していたにも関わらず、である。 エミリーはこの外見だが、プロである。殺気を隠そうと思えば幾らでも隠せるし、その技術は素人に見破られるほど程度の低いものではない。――あのマスターは、相当やれる。先の一瞬だけでも、そう理解するには十分だった。 今はまだ、消耗を控えて堅実に立ち回る時期だ。 これからいよいよ本戦だというのに、その序盤で息切れを起こしてしまっては笑い話にもなりはしないだろう。 あくまで確実に殺せる相手のみを襲撃し、一人ひとり排除していく。 サーヴァント戦はシュライバーの独壇場だ。事実あのバーサーカーは、予選期間に二十を超えるサーヴァントを単騎で撃破している。――ならばマスターを殺すのは此方の役目。引いたカードは最強クラス、聖杯に辿り着く望みは高い。 必ず聖杯を獲り、願いを叶える。改めて強い意志でもって己に言い聞かせ、エミリーはアンジェリカとは別方向より下山すべく、深緑の木々を縫い進み出すのだった。 ◆ アンジェリカが発見した墓穴を掘った張本人、『アイ・アスティン』はその頃学園の屋上に居た。 言うまでもないが、アイは此処の生徒でも、関係者でもない。 まったくの部外者である。にも関わらず彼女がこんな所にいる理由は、彼女のサーヴァントによるものだ。 「……俺の通ってた学校の方が景色は良かったな」 セイバーはやや不服そうだったが、当のアイは興奮したように目を輝かせている。 今は夕暮れ時だ。 夕日の黄金色が町を照らし、すっかり見慣れてきた鎌倉の町並みはある種幻想的なものに変わりつつある。 そしてアイにとっては、こうして街を一望するのは初めてだった。 生まれて初めてと言っても間違いではない。窓枠から飛び移るというややアクロバティックが過ぎる方法には参ったが、それでもこんな景色が見られたのなら別にいいかなと思えてくる。 ある魔術師が甘すぎると辛辣に評価した彼らもまた、熾烈を極めた予選を脱した。 どうやって居場所を知ったのかは定かではないが、言峰神父がそれを伝えに現れたのが昨夜のことだ。 本戦――激戦を制した正真正銘の強豪達が集い繰り広げられる、本物の聖杯戦争。 これまでのようには行かないだろう。少なくとも、出会い頭の一撃で倒せるほど弱いサーヴァントにはお目にかかれないだろうと踏んでいる。これまでの予選など、それに比べれば準備運動だ。 「セイバーさん」 真剣な面持ちで、アイがセイバーへ振り返る。 夕日を背にした墓守の姿は、歳相応の少女そのもので――しかしやはり、黄金の光に染められて幻想的な姿と化していた。セイバーにそういう趣味はないが、単純な感想として綺麗だと思う。 「これから――なんですよね。これからが、本当の聖杯戦争」 「ああ」 「……勝てそうですか?」 「さあ、どうだろうな。良くも悪くも相手次第だよ」 聖杯戦争では、神霊を召喚することは出来ない。 だから、かの黄金の獣や水銀の蛇のような正真正銘次元違いの怪物達は現れない。 しかし、それは自分も同じだ。今ある力など、所詮は水銀を討った時の力に比べれば断片程度のもの。 相性や力比べの結果次第では、十分遅れを取る可能性はある。 無論、此方にとってのやりやすい相手と出会えば一方的に殺せる可能性もあるわけだが。 「セイバーさん。私、セイバーさんと出会えて良かったです」 「…………」 「だから、勝ちましょうね。どうか、私に力を貸してください」 「……あのな」 セイバーは、アイの頭へ手を伸ばす。 アイは撫でられるものだと思い目を細めたが。 「――そういうのは死亡フラグって言うんだ、この莫迦」 「あだっ!?」 落とされた手刀の痛みに頭を抑えて涙目になる、墓守の少女なのだった。 「――あ! もう一つのがっこう、はっけーん!」 アイ達が兄弟か親子のようなやり取りを交わしている丁度その時。 彼女らがいる学園とは正反対の方向にある廃校の屋上で、ひとりの少女が学園を指差し叫んだ。 見える景色は幻想的だが、少女の背後へ広がる有り様は退廃的だ。 罅割れ、崩れ落ちたコンクリート。散らばる廃品、埋め尽くす落書き。 まず真っ当な神経を持つ人間なら、こんな所に住みたいとは思わないだろう不気味な廃墟。それが、この廃校の現実である。使われなくなって長いのか、その荒れ方は相当なものだった。 されども、彼女にとって此処は大好きな学校なのだ。 物理実験室は変な機械がいっぱい。 音楽室。綺麗な楽器と怖い肖像画。 放送室。学校中がステージ。 なんでもあって、まるで一つの国のよう。こんな変な建物は他にない。 「ねえねえみーくんっ! 見て、ほらあそこ! 此処とは違う学校が見えるよ!!」 虚空へ語りかける彼女の中ではそうなのだ。 それが確たる現実であり、冒すことの出来ない真実である。 『丈槍由紀』は夢を見る。夢を見続ける。 聖杯戦争の始まりすら自覚せず、少女はただ、この永遠に続く『がっこうぐらし』を謳歌していた。 ◆ 『笹目ヤヤ』は、鎌倉市内のとある飲食店を訪れていた。 時刻はそろそろ夜の七時に差し掛かる。 所謂夕食時だった。書き入れ時ということもあり、空いている店を探すのには随分苦労させられた。 どうせ物を食べるなら、多少混んでいても美味しいところがいい。 ライダーはそう不平を漏らしたが、ヤヤは彼の頬を再び抓ることで異論を黙殺した。 先日のやり取りと奇しくも似た形とはなったものの――ヤヤの内心は、あの時よりも幾分か切羽詰まっていた。 「本戦……」 昨日の夜のことだ。 宿とする予定だったホテルへ戻ろうとした矢先、ヤヤの行く手を遮る者があったのだ。 ――聖杯戦争の監督役。神父・言峰綺礼。 ヤヤが彼と会うのは二度目だったが、少なくとも決して良い印象は抱いていなかった。 聖杯戦争なんて怪しげな儀式を取り仕切っているというだけでも良からぬ匂いがするのに、言峰本人の言動からもヤヤは胡散臭いものを多分に感じ取った。 ライダーも同じだったようで、声にこそしなかったものの、落ち着かない様子が伝わってきたのを覚えている。 警戒するヤヤ達を彼は軽く笑うと、要件だけを告げてさっさと教会まで帰ってしまった。 その要件というのが、"予選期間"の終了。本日零時を以って、聖杯戦争は"本戦期間"へと移行する――というものだ。 これまで、ヤヤ達は初日の一戦以外でサーヴァントと戦っていない。 理由は単に出会さなかったからという単純なものだが、彼らの手で齎されたのだろう痕跡はいくつも見た。 爆発事故? ガス会社の不祥事? ――いいや、違う。あれはサーヴァントの手で引き起こされたものだ。 そんな日々を過ごし続ける内。ヤヤは胸中の不安が少しずつ、確実に肥大化していくのを感じていた。 本当に……本当に自分は生きてこの鎌倉を出られるのだろうか? その矢先に、この知らせだ。ヤヤは人目をなるだけ避けようとするようになった。 どんな些細なことからマスターとバレるか分からない。常に死が隣り合わせにある、気持ちの悪い焦燥感。 それに耐えられるほど、笹目ヤヤという少女は強い女の子ではなかった。 ライダーは霊体化させることにした。 彼はどちらかと言えばお気楽なサーヴァントだが、マスターの心の機微もわからないほど愚鈍ではない。 一人で、あまり味の良くないパスタをすすりながら――ふとヤヤは、店員の一人が自分を見ていることに気付く。 年はヤヤとさほど変わらないくらいだろうか。 綺麗な髪飾りを付けた、どことなく大人びた雰囲気の少女だった。 「……何か?」 「……あ、ごめんなさい。ただ……なんだかすごく思い詰めたような顔をしてたから」 余計なお世話だ。そういう気持ちがなかったわけではない。 しかし彼女は、それを口に出そうとはしなかった。 見知らぬ街で、頼れるのは自分のサーヴァントだけ。 そんな切迫した状況だからこそ、自分を慮ってくれる人物の存在が本当にありがたく思えたのだ。 「……ありがとう。でも、私は大丈夫だから。心配しないで」 「そう。ならよかったわ。――……って、ごめんなさい。私ったら、余計なお世話だったわね」 慌てた様子を見せる店員の少女に、少しだけヤヤは緊張が解れた思いで苦笑した。 怖いことには変わりはないけど、もう少し。もう少しくらい、前向きになってみてもいいかもしれない。 何も一人ってわけじゃないんだから。霊体化させているライダーのことを考え、小さく頷いて。 笹目ヤヤは、皿の上に残ったパスタをすべて平らげ、入店した時よりもどこか晴れやかな面持ちで店を後にした。 「如月ちゃん、さっきあのお客さんと何話してたんだい?」 「すみません。少し世間話に花が咲いちゃって」 「ははは、そうかあ。年が近いから話が合ったのかもねえ。でも勤務中のお喋りは程々にね」 「はいっ、以後気をつけます」 そんな彼女が、自分の討つべき敵の一人であるなどとは露知らず。 『如月』はヤヤの背中を見送り、再び店員としての業務へ戻っていった。 ――鎌倉へやって来て早数週間。もう、この町の暮らしには大分溶け込んだ。 収入先も、仮初めの住居も確保したし、顔見知りの住民も当初に比べれば格段に増えたと感じる。 此処はいい街だ。活気もそこそこで、住む人々の人柄も大らか。 もしも艦娘という存在がお役御免になる日が来たなら、こんな所に住んでみたいと心から思えた。 しかし、そうはいかない。あくまで此処は如月の居るべき世界ではなく、如月にとっては戦場である。 如月がヤヤに声を掛けたのもまた、人と話すことで不安を少しでも紛らわせたかったからだった。 あの少女が何を悩み、不安に思っていたのかは分からないけれど――上手く行けばいいなと素直にそう思う。 同時に願った。ああいった娘や如月のお世話になった人達が、どうかこの戦争に巻き込まれることのないようにと。 "都市伝説"は蔓延をし続けている。如月のサーヴァントであるランサーに該当するような噂話もこの前耳にした。 聖杯戦争は今や、漂流者達のみの問題ではない。 鎌倉に存在している限り、あらゆる人物が、英霊同士の殺し合いに巻き込まれる可能性を抱えている。 心苦しく思う。申し訳なくも思う。しかしそれでも、如月には止まれない理由がある。 「待っててね、睦月ちゃん……」 何を犠牲にしてでも、帰りたいのだ。 約束したっきりの、妹のような少女のところへ。 ◆ とあるアパルトメントの一室で、『アティ・クストス』は膝を抱えていた。 部屋は薄暗い。カーテンが閉じられているのだから当然だが、それにしても暗澹とした空気に満たされている。 現在アティは此処を仮初めの拠点としているのだったが、転がり込むまでには相当骨が折れた。 途方に暮れる彼女の前へと現れた、市職員を名乗る者達。 幸い撒くのは難しくなかったものの、それから程なく、この街では浮浪者狩りなるものが行われていることを耳にした。 聖杯に願いたいことはある。 けれど、本当にそれでいいのかは分からない。 願いと呵責が振り子のように揺れ動き、その振動が彼女を苦悩させていた。 それでも、みすみす殺されるつもりはない。 浮浪者狩りだかなんだか知らないが、もし身柄を拘束されるようなことがあればその時点で詰みだということは分かった。 だから住まいを探すことにした。 強盗紛いの真似をする気にはなれず、かと言って目ぼしい空き家などそうそう転がっているものではない。 そんな中彼女が目を付けたのは、長期出張だとかで家を留守にしているらしいとある住人の部屋だ。 人間、やろうと思えば出来ないことはない。 留守を任された親戚と嘘を吐き、まんまと転がり込むことに成功した。 家主は最低でも一ヶ月、長ければ二ヶ月は戻らないらしいので、途中で帰宅され面倒事になる心配は幸いない。 斯くして、浮浪者狩りの魔の手から逃れることは出来た。の、だが。 「――あたしは」 あたしは、どうしたいんだろう。 揺れ動く感情のペンデュラムが、触れ止むことはまだ、ない。 その手はまだ、伸びないままだ。今は、まだ。 ◆ 鎌倉市に新市長が就任してから、ある方針に基づいた"狩り"が始まった。 それは浮浪者、及び不法滞在者に対するものだ。 町の至る所に屯する彼らを捕縛しては身分を明らかにし、適正な措置を施していく。 当然、失業などの止むを得ない理由で浮浪者の立場に甘んじていた層は激怒し、抗議デモを起こす者さえあった。 だが。そのデモ活動も、一日二日新聞の片隅に掲載された程度で収束してしまった。 あれだけ市長のやり方に怒りを露わにしていた者達は、いざ彼と会話した途端、すっかり戦意を失ったというのだ。 市長は素晴らしい。市長のやり方は正しい。間違っていたのは我々のような屑の方だった。 マスコミはこぞって市長の手腕を賞賛した。一般人達も、町の治安が良くなるとして喜んだ。 彼と"対話"し、自らの意見をねじ曲げた者達。 彼らの目が、まるで精神死でもしてしまったかのような虚ろなものへと変化していたことは――誰も語らなかった。 話題沸騰の市長、『浅野學峯』はある豪邸を訪れていた。 白磁の外壁と広大な敷地を兼ね備えたその外観は、學峯の住む高級マンションさえ優に凌駕する。 學峯がこの邸を訪れた理由は他でもない。市長としての仕事の一環である。 政(まつりごと)は綺麗事ばかりでは成り立たない。 前任市長は此処の主と癒着し、多額の支援金や各方面への圧力という形で援助を受けていたという。 正門のインターホンを押すと、使用人らしき老齢の男性が出迎える。 それに会釈をし、學峯は秘書を連れて男性に先導され、豪邸の内部へと足を踏み入れた。 余談だが、この秘書も既に學峯の傀儡と成り果てている。 最早浅野新市長の周囲には、彼へ異論を唱える存在など一人も残ってはいない。 そして――これから面会する人物に対しても、學峯は自らへ叛く可能性を先回りして潰す気でいた。 前任のように思い通りに利用されるつもりはない。それに相手は有力者。 駒とした暁に齎されるリターンも非常に大きく、これを使わない手はないだろう。 「失礼します、百合香お嬢様。市長が参られました」 市長。 前任を下し、新たに町の支配者として君臨したという敏腕。 『辰宮百合香』の耳にも、当然その評判は入っていた。 彼女が鎌倉へやって来て、家長の座を奪い取るよりも前から――この家と市は、先祖代々癒着していたと聞く。 百合香にしてみれば心底どうでもいい話だったが、仮初めの身分とはいえ今の自分は此処の長である。 「どうぞ」 透き通った声で――内心は少しばかり気怠げに。青薔薇の君は、市長を己の寝室へと迎え入れた。 斯くして二人は邂逅する。 その結果はと言えば、実に退屈なもの。 特に波風が立つこともなく。 百合香が學峯の話に耳を傾け、相槌を打つ。そんなやり取りが、小一時間ほど続いただけだ。 彼らは傍から見れば実に和気藹々とした様子で会談に臨み、そして何事もなくそれを終えた。 「それでは、今日はありがとうございました。今後もどうぞよしなに」 「もちろん心得ております。益々の活躍を期待していますよ、浅野市長」 浅野學峯が席を立つ。 来客が帰るとあれば、せめて玄関先までは見送るのが礼儀というもの。 しかし百合香に、腰掛けた椅子から立ち上がろうとする様子は見られなかった。 それは暗に、自分の方が立場は上であるのだと示すような不敬であったが――彼女へ指摘できる者などいないだろう。 「そういえば、百合香さん。最後に一つだけ伺っても?」 「はい?」 「貴女はこの家に、"養子"という形で引き取られたと聞いています。 ――いえ、別に勘繰っている訳ではありませんよ。ただ、血の繋がりがない人間が由緒ある名家の当主として認められるなど、そうそうあるものではない。きっと先代様にとって、貴女は余程"特別"な人物だったのでしょう。 ですが、今日会ってみて確信しました。成程、確かに貴女は"特別"だ」 「あらあら、おだてても何も出ませんよ?」 冗談めかして笑う百合香に見送られ、彼女の部屋を後にした學峯は、今終えたばかりの会談について述懐する。 辰宮百合香という女は、この時代には似つかわしくないほどの完璧な女性だ。 礼儀作法を弁え、しかしながら他人をごく自然に下と据え、相手に此方が目上なのだと錯覚をさせない。 貴族の社会は侮られれば負けだ。 なまじ金を潤沢に有しているからこそ、易い相手と見られれば途端に血筋の価値は零落れる。 學峯も教鞭を執る中で様々な人間を見てきたが、あの年頃で、あれだけ"出来た"人間には未だお目にかかったことがなかった。養子? 馬鹿を言え。話に伝え聞く先代当主よりも、彼女の方が余程貴族の何たるかを弁えている。 「辰宮百合香――成程」 學峯の去った部屋では、百合香もまた先の会談を思い返していた。 表情に浮かんでいるのは、微笑。そのきっかけとなっている人物は言わずもがな、浅野學峯という"怪物"である。 百合香の生きた大正時代。この現代を扱き下ろす訳ではないが、今よりも日本人は遥かに傑物揃いであった時代だ。 彼は本来、もっと昔に生まれるべき人間だったのではないか――百合香は彼へそんな感想を抱いた。 現代の政に明るくない百合香ではあったが、それでも解る。彼が野心を出せば、この国の支配程度は容易いだろう。 此処を訪れた本来の意図にも察しは付く。百合香の身を覆う"香"の事もあり、どうやら目的の達成には失敗したようだったが、そうでなければさしもの彼女でも聊か危なかったかもしれない。 「浅野學峯――成程」 市長と令嬢は多くを語らない。 ただ、二人は一様に笑みを浮かべていた。 微笑。それはさながら好敵手を見つけた棋士のような笑みであり、しかしそれと縁遠い剣呑さを裏に孕んでいる。 片や弓兵、エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグを従えて。 片や狂戦士、デッドブルー・玖渚友を従えて。 彼と彼女はただ笑みを浮かべ、水面下でお互いを討つべき敵であると全くの同時に認識していた。 「「あれは確かに、侮れない」」 ◆ 『直樹美紀』は、身を隠す場所を探していた。 もうじき、時間は深夜帯へと差し掛かる。 補導員や警察が躍起になって彷徨き始める頃合いだ。それらと出会せば、当然面倒なことになる。 美紀は聖杯戦争に参じたマスターだが、この世界の住人からすれば単なる未成年の非行少女でしかない。 事情も知らない者たちに拘束され、時間を浪費するほど不毛なこともないだろう。 ――かと言ってバーサーカーの力を使い、無闇矢鱈に部外者を虐殺するのは気が引ける。 バーサーカーは常に霊体化させている。 災害という言葉を体現したようなあのサーヴァントは、自律行動を許すには少々危険すぎた。 だが逆に言えばそれは、いざという時、自分の英霊と離れていて窮地に陥る――という最悪の展開が発生する可能性をある程度抑制できることと同義だ。 相手がサーヴァントやマスターだったなら、美紀はバーサーカーを出すことに躊躇いはない。 重ねて言うが、面倒なのは全くの部外者だ。 彼らは何の事情も知らないから、好き勝手にこちらへ介入してくる。 そして都合の悪いことに、どういうわけか最近、その活動が活発化しているようだった。 索敵がてらに散歩などしていれば、嫌でも耳に飛び込んでくる話だ。 曰く、新市長の方針による浮浪者狩り。不法滞在者のたぐいも、片っ端から摘発されているという。 浮浪者というデリケートな存在にまで踏み込んでいく運営方針が、このご時世に罷り通ったことからして驚きだが。 その政策は、美紀たちのような聖杯戦争のマスターにとっては最悪の障害となるものだ。 鎌倉へ喚ばれたマスターたちは、基本的に身分を持っていない。 つまり、新市長が掲げる弾圧政策は覿面に作用する。 当然相手はただの人間。サーヴァントで捩じ伏せてしまえばそれまでという話ではあるが――。 (誰だか知らないけど、本当に面倒なことを……) 頭が痛くなる思いだった。 美紀はある事情から、戦うことには同年代の少女より遥かに慣れている。 それでも、人間を殺した経験はない。 たとえ間接的なものであろうとも、出来ることなら殺人は控えたいのが心情だった。 だから結局は、狩られることから逃げる鼠の立場に甘んじるしかない。 耳を澄ましながら、ロクに把握もしていない土地を手探りで探索する女子高生。 とてもではないが、二十一世紀の日本でそうそう見られるものではないだろう。 それを屈辱とは感じない。ただ、面倒だった。誰とも知れない"市長"へ、本気で苛立ちを覚えるくらいには。 舌打ちをし、曲がり角を右折。その時、美紀の視界にある建物が飛び込んできた。 「植物園……?」 傍目からでも管理が放棄されているだろうことが窺える、荒れ放題の植物園だった。 温室の硝子は所々が割られ、生い茂った蔓がそこから飛び出てさえいる。 ――そうだ、あそこなら。 小さく頷くと、美紀は急ぎ足で廃墟と化した温室へ向かい、古びて立て付けの悪くなった扉を抉じ開けた。 中は荒れ放題だったが、暑苦しくもなく、かと言って寒くもない適度な気温が保たれているのはありがたかった。 懐中電灯のように便利なものは持っていない。足下に気を付けながら、半ば手探りで進んでいく美紀。 すると、少し進んだ所で埃を被ったベンチを見つけることが出来た。 恐らくかつては休憩スペースとして使われていたのだろう。 どこも壊れていないし、汚れていることに目を瞑れば十分身体を休める場所として使えそうだ。 手で埃を軽く払い、そっと身を横たえ、天井を仰ぐ。 不思議な感覚だった。 警察の存在があるとはいえ、以前よりは遥かに安全に外を出歩ける環境。 此処には跋扈する屍達もおらず、聖杯戦争さえ無ければ平和そのものの街だ。 なのに――何故だか、美紀の心には常に寂しさがあった。 呑気な彼女たちに苛立ち、反発したこともあったが、何だかんだ言ってあの暮らしを気に入っていたのだと実感する。 そして、だからこそ決意はより強く固まった。 彼女たちを助ける。 町を元通りに戻して、皆で幸せに暮らせる世界を作る。――その為に、私は必ず。 「必ず……聖杯を…………」 気が抜けたからか、一日中歩き回った疲れが眠気に姿を変えてどっと押し寄せてくる。 美紀は為す術もなく目をとろんとさせ、うつらうつらと頭を揺らし……程なくして、くうくう寝息を立て始めた。 眠りに落ちる前、最後に見たのは割れた硝子越しに見る星空。 こんな状況にも関わらず腹立たしいほど綺麗な星空だった。 「……やれやれ。呑気なものだな」 美紀が寝付いたのを確認してから、闇夜の底より長髪の少年・『みなと』はゆっくりとその姿を現した。 彼女がやっとの思いで見つけたこの廃温室には、彼という先客が居たのだ。 もっとも当の美紀は、それに気付きもせずに眠ってしまったが。 この様子を見るに、余程疲れていたようだ。みなとは気が抜けたように嘆息する。 彼の従者、ライダーは現れない。 あの重戦車は忠実だが、あくまでも彼はマスターの傀儡だ。 相手がサーヴァントならば兎も角、一介のマスター程度、彼には興味を覚えるにも値しないのだろう。 さて、どうしたものか。 こんな夜中に廃墟を訪れ、あろうことか寝泊まりしようと考えるなど、どう考えてもまともではない。 ホームレスというには若すぎる見た目から察するに、彼女は聖杯戦争の参加者と見て間違いない筈だ。 となると、霊体化した状態でサーヴァントも近くに居るのだと考えられるが…… みなとのサーヴァントは強力だ。狂化の影響を受けていようと、大概の英霊では鋼の求道に追随すら出来まい。 つまり、此処で殺しにかかることは至極簡単なわけである。 みなとは逡巡の後、ライダーへと抹殺の指示を出そうとし――。 「――まあ、少し話してみてからでも遅くはないだろう。利用できる可能性もある」 やめた。 彼女が牙を剥いてくると言うなら臨むところだが、利用価値があるなら話は別になってくる。 幾らライダーが強力とはいえ、敵は多い。少しでも闘いを有利に進められるなら、それに越したことはない。 もう一度少女の寝顔に視線を落とすと、彼は溜息混じりに苦笑した。 ◆ 孤児院で、一人の少女が星を見ていた。 日本人離れした可憐さを持った彼女――『キーア』がこの院へやって来たのは、今から凡そ一週間前の出来事だ。 院では、沢山の子どもたちが暮らしている。 それこそ赤ちゃんから、もうすぐ社会人になる高校生まで。 しかしそのいずれもが、突然やって来たこの美しい童女に思わず見惚れた。 特に多感な男子児童など、早くも彼女を巡った水面下での抗争が始まっているほどだ。 親に捨てられたわけでもなければ、親を失ったわけでもない。 ただぼんやりと町を彷徨っていたところを、偶然院長が見つけてきたという謎の多い娘。 ――ひょっとして、どこかの国のお姫様とかなんじゃねえの。 誰かが冗談めかして呟いた言葉に、反論できる者はいなかった。 やがてそんな噂話は、にわかに真実味を帯びてくる。 誰かが言った。息を荒らげながらも潜めた声で。なんと、彼女に出自を聞いてきたのだという。 『キーアはお姫様なのかい?』その質問に、彼女は困ったように笑ってみせた。 肯定はしなかったが、否定もしなかったのだ。 平穏な日常に、霹靂のように現れた謎の美少女キーア。 ただ見た目が可愛いだけならいざ知らず、彼女は性格もよかった。 人の悪口は決して言わない、進んで皆が嫌う仕事をしようとする。 年幼いはずなのに、その一挙一動からはどこか母性に近いものすら感じられる。 そんな彼女を嫌ったり訝しんだりする人間は、日を追うごとにいなくなっていった。 今やキーアは院のマドンナだ。皆が彼女を好ましく思い、孤独なはずだった少女の日常を彩ろうと努力している。 ただ一人を除いては。 「いい加減、うんざりするわね」 夜のベランダ 皆が寝静まった時間に、夜風の吹き込むそこで葡萄ジュースを片手にし、『古手梨花』はたそがれていた。 本当はワインが良かったのだが、院には貯蔵がないようで泣く泣く断念した次第だ。 別に他の酒でも悪いわけじゃない。けれども、飲酒の形跡が発覚すれば面倒なことになる。 只でさえ聖杯戦争という面倒事で手一杯なのだから、これ以上心労は増やしたくなかった。 そんな彼女の願いを真っ向から裏切るように、その傍らへと顕現する者があった。 「きひひ。嫉妬は見苦しいでよ」 「煩いわね。そういうのじゃないわよ、別に」 人頭の蛇を両腕に刻み込んだ、書生姿の奇人。 全面禁煙の規則に憚ることもなく、彼は煙管を銜えて紫煙を燻らせる。 キャスターのサーヴァント、壇狩摩。彼は梨花を聖杯まで導く相棒のような存在だが、梨花はこの男が嫌いだった。 軽薄な言動に配慮というものは一切存在せず、盲打ちを自称する通り行動の意図は皆目掴めない。 そして何より、梨花の事情を知った上でどこか嘲るような口振りだ。それが一番、癪に障る。 もしも彼が自分の背中を預けるサーヴァントでなければ、梨花は関わろうとすらしなかった筈だ。 「ただ、あまり見ていて気持ちの良いものじゃないってだけ」 キーアは、きっと裏表のない人物だ。 百年にも及ぶ時間を繰り返してきた梨花には分かる。 聖人君子と言えば語弊があるが、彼女ほど誠実でまっすぐな人間はそうは居ない。 表向きはそう装っている梨花ですら、裏はこうなのだから。それなのに、キーアにはそれがない。 彼女を見ていると感じる苛立ちのようなものは、やはりキャスターの言う通り嫉妬なのだろう。 色々なものを欺きながら、心を削って、這いずるように此処までやってきた。 そんな自分だから、彼女の姿は余計に眩く見えるのだ。 『おぉっと。噂をすれば何とやら、じゃの。そら、皆のお姫様のご来訪じゃ。うははははッ』 「なっ!?」 思わず素っ頓狂な声をあげる梨花。 一方のキャスターはといえば、既に要領よく霊体化を済ませていた。 その抜け目のなさに改めて苛立ちを感じながら振り返ると、そこには寝惚けているのか、目をぐしぐしと擦りながら立っている黄金の髪の少女。 梨花はいつも通りの『古手梨花』として、キーアへ話しかけた。 「みー? どうしたのです、キーア?」 「梨花こそ、どうしたの? こんな時間に」 「……少し、星が見たくなったのですよ」 嘘だ。 別に、星を見たいなどと願ったことはない。 天文部めいた活動には興味もなかったし、ただこうして晩酌まがいのことをしていたかっただけだ。 なのにキーアはそれを疑おうともせず、にこりと微笑んだ。 「あたしも」 彼女は梨花の隣に立つと、無限大の広がりを見せる星空を見上げた。 その視線には、まるで星空をすごく珍しいものと思っているような、そんな熱意があって。 「あたしも、星、見たかったの」 ――――ああ、やっぱりこいつは苦手だ。古手梨花は、苦々しげにそう思わされるのだった。 ◆ 鎌倉を襲う数多の都市伝説。 聖杯戦争の副産物として生じるそれらの数は、予選の終了に至ってもまるで減少する気配を見せない。 既に死し、この都にはいないはずのサーヴァントが、彼らの噂では生きている。 まさしく地獄絵図だ。ありもしない目撃談と本当の目撃談が混沌とした様相を作り上げる。 だがその中でも――今、一際話題を集めている怪談があった。 "鎌倉の屍食鬼"。 胡乱な足取りで彷徨い歩くそれに咬まれた者は、それと同じ屍食鬼に変貌してしまう。 まるでどこかのゲームやパニック映画でありそうな、凡そ現代日本とは結び付かない都市伝説。 ある者は創作だと笑い。またある者は真実だと熱弁し。またある者は、屍食鬼と接触しようと動き出しそれきり。 嘘か真か、それを知る術は彼らにはない。知ろうともしない。 それでも、一つだけ確固たる事実があった。 屍食鬼の目撃報告は、日を追うごとに増加している。 さも、仲間を増やしているという噂が本当であると裏付けるように。 『佐倉慈』に知能はない。 彼女は謂わば、マスターとして呼ばれたバーサーカーのようなものだ。 音と光に反応し、生体へと襲い掛かる程度の行動ルーチンしか持たない彼女。 その脳裏にごく潜在的に残った願いを頼りに聖杯戦争へ辿り着いた――ある意味でのイレギュラーな存在である。 揺々とおぼろげな足取りで徘徊する彼女。それを見て、懐中電灯を持った警官服の男が悲鳴を上げて腰を抜かす。 にぃ、と表情を歪めた屍食鬼は這って逃げようとする彼へ覆い被さり、その首筋を噛んだ。 それで、哀れな警官の命運は尽きる。 彼は真面目な人物だった。 週末には家族サービスを忘れず行い、平日には正義感溢れる警察官として犯罪者を捕らえる。 最近、一番上の娘の結婚が決まった。――しかし、彼にここから先の未来はない。 屍食鬼は増え続けている。 このまま繁殖が続けば、遠からぬ内に鎌倉は死の都となるだろう。 佐倉慈という教師が見てきた、あの地獄のように。 佐倉慈は理性を失っている。 自我のようなものはほぼ残っておらず、ただ人に害成し続ける魔物と化している。 だから彼女は、自らの行き遭った無我の存在に嵌らなかった。 こうなっていなければ、間違いなく夢の坩堝に堕ちていただろうことは、どうしようもない皮肉だったが。 『幸福』のキャスターは踊り続ける。 楽しげな姿を象って、出会う全てを夢に落とし込む。 災厄の具現であり救済の顕現。 それが彼女であり彼である。 ――幸福に嘘も真も存在しない。あなたがそう願えば、それが本当の幸福なのだから。 ――だからあなたも幸せになって。わたしはそれだけで満たされるから。 歪な救いが跋扈する。 古都・鎌倉は着実に、魔都へと変貌する準備を整えつつあった。 ◆ 魔界と化した軍艦の内には、歪な大聖堂が広がっていた。 基督の教義を原本に置いてこそいるが、その実情は全くの別物だ。 呪わしく、悍ましく、惨たらしく、冒涜的の一言に尽きる異界聖堂。 飾り立てられた十字を背景に、白衣の男が黙して座し、壁の向こう側より漏れ聞こえる潮騒の音色に耳を傾けている。 静かだ。しかしこうしている今も、鎌倉は淀んだ戦火に脅かされ続けている。 にも関わらず、民草達の浮かべる反応は皆一様だ。 犠牲者が出れば眦を顰めて死を悼み、その原因となったであろう事象或いは存在へ怒りを燃やす。 だがその実、彼らは誰一人としてこの現実(ユメ)を忌んでいない。 異常だ。 それでいて、正常でもある。 誰もが人として普遍に持ち合わせるとある欲求。 即ち、非現実的事象の具現化による華やかで、壮絶な物語を楽しみたいという我儘だ。 彼らは現在進行形で、決して叶うべくもなかった願いを成就され続けている。 さぞかし嬉しく、楽しみなことだろう。 胸が踊る。 次は何が出る。 そんなことを心の中では誰もが考えながら、異界化していく世界を楽しんでいる。 成程、痴れている。『トワイス・H・ピースマン』は言葉にはすることなく、あくまで胸中のみでそう独りごちた。 歴史に語り継がれる多様な魔都の伝説と比ぶれば、聖杯戦争の舞台となった鎌倉市はまだ序の口だ。 彼らには指先で地を割る力はない。腕の一振りで熊の首を砕き折る芸当も出来ない。 空を飛ぶことも、海を歩くことも、光より速く走ることも、永遠に生き続けることも。 人間という生物の枠組みに縛られている限り、どれだけ長きを生きたところで絶対にそんなことは不可能である。 だが、夢を見ることは出来る。それは人間のみに許された創造行為であり、この都市を魔都たらしめる最大の所以。 こうなれば、最早カウンターストップの概念を期待するのは無意味だ。 今後聖杯戦争が時を重ねていくにつれ、鎌倉はその形を変えていく。 無粋な祈りと痴れた発想で重ね塗りされて原型を失い、やがては最悪の魔都へと変貌するに違いない。 ――だが。 「甘粕正彦」 トワイスのサーヴァントたる、彼。 原初の勇者。 光の魔王。 第一の盧生。 軍衣の怪物。 全人類を一人で相手取れる男。 彼の存在こそが、或いは鎌倉という街にとっては最大の救いとなり得るのかもしれない。 あれが自らの前で奏で、紡ぎ上げられる素晴らしき人間賛歌を目にした時、己を抑えられる筈がないのだ。 彼は人の勇気へと、見合うだけの愛の鞭で応えるだろう。 ライダーは物事を考える理性を持つ。弁は達者であり、一見すると知的なものをすら感じさせる。 だが、トワイスは既に確信している。あれは莫迦だ。あの男は、いざとなれば己の願いすらも投げ捨てるだろう。 その時、この街は――この聖杯戦争はひとつのピリオドを迎えるに違いない。 終幕であれ、分岐点であれ。 その時彼は有り余る勇気の讃歌を以って、蠢く闇を打ち払い、高らかに万歳三唱を唄い上げる。 滅多なことにはならないといいのだが。 トワイスは吐息をひとつ漏らすと、再び静かに目を瞑った。 ◆ そして。 聖杯戦争の幕開けと共に、仮初めの存在はその役割を終えようとしていた。 帳の落ちた闇の底に佇む教会。礼拝堂の壇上にて、神父『言峰綺礼』がふむ、と呟く。 呟いた体は、最早半分ほどが人間の形を保っていなかった。 光の粒子が解けるように、加速度的に原型を崩壊させている。 元より彼の役割はこれまでだった。裁定者のサーヴァントが顕現するまでの間を繋ぐため、月に編まれた仮想人格。 それが言峰綺礼という名前を持ったこのシステムの全てであった。 「判っていた結末ではあるが、いざ訪れてみると存外に惜しいものだな」 この様子では、あと数分と保つまい。 少なくとも夜が明ける頃には、紛い物の神父は影も形も残らずその姿を消すだろう。 偽りの器に人格を芽生えさせるにしては聊か短すぎる期間であったが、言峰は名残惜しむように微笑する。 されども、並行世界の一つで悪徳を尽くした男の名を象るだけはあり。 彼は末期の時に辿り着いてなお、命乞いの一つとして口にすることはなかった。 「では、一足先に失礼しよう。私は在るべき月の底へ還り、桃の香に微睡むとする」 既に身体の八割を損失した器で、しかし彼は堂内に顕現したその"気配"を感じ取り、破顔した。 小刻みに快音を響かせて、靴音を鳴らし消え行く前任者へ近付くは裁定者。ルーラーのサーヴァント。 だがその英霊は、これまでに召喚されたどの英霊とも異なる気配と存在感を有していた。 仮初めであるとはいえ、神父はルーラーの紛い物として遣わされた身だ。 この存在は、本来決してヒトが召喚できるモノではない。 神霊の召喚は不可能であるという聖杯戦争の不動のセオリーを真っ向無視した暴挙。 歪み狂い廃せる音色に覆われた、この聖杯戦争だからこそ成立した人選。 「皮肉なものだ。王の号など、あの桃に染まった星に於いては不名誉でしかないだろうに」 聖杯戦争。 願いに集いし人々。想い。英霊。 すべて、すべては戯れに過ぎない。 そして己自身も。箱庭。遊具。彼ではない、この世界に於ける月の王は、不幸のない世界をこそ望んでいる。 「だが、見届けよう。そう願われ喚ばれたならば、この見知らぬ箱庭で踊ることを良しとする」 「く、くく――聖杯も妙な者を喚ぶものだ。最期に問おう。おまえは、何だ」 「語るに及ばない」 遥か高みの玉座にて。 今も、君臨するものは語る。救われてくれと。 今も、君臨するものは囁く。俺を使うがいいと。 慈愛の王は、募りゆく悲しみを惜しんでいる。 「《月の王》と呼ばれるモノ」 その意味する所を、月面の演算機――ムーンセル・オートマトンの叡智より即座に掴み取った神父は。 「ふ、ははは。そうか、そうか」 消滅間際の身体を小さく震わせて笑い、嗤い。 芽生えつつあった自我を愉悦の相に狂わせて、憂うのだった。 聖杯を望んで遥々世界を超えたマスター達。 なんと哀れなことかと憂い、そしてもう一度惜しんだ。 全てを知った彼らの浮かべるであろう表情を想像し――最高の美酒にありつけなかったような、そんな気分を知った。 神父は哄笑と共に消滅する。 それを無感動な瞳で見届け、月の王はステンドグラス越しの天空を見上げた。 「果てなきものなど 尊くあるものなど すべて、すべて、 あらゆるものは意味を持たない」 静かに告げて。 玉座の主は、深い笑みを浮かべる。 人のような笑みではあるが、 鮫のような笑みではあった。 憐憫の一切を思わせない"笑み"でだった。 嗤い続ける月の瞳そのものの双瞳で、チクタクと、音を、響かせて。 君臨した神(ルーラー)は、今こそ告げる。 笑みを絶やすことなく。 残酷に。冷酷に。 「たとえば―― 忘れてしまえば、何の意味も、ない」 痴れ者たちの踊る姿を俯瞰して、時計のルーラーが一人嘲笑っている。 聖杯戦争。血塗られた宴の最果てに待ち受けるのは、必ずしも黄金の結末とは限らない。 【クラス】 ルーラー 【真名】 ロード・アヴァン・エジソン@紫影のソナーニル-What a beautiful memories- 【性別】 男性 【属性】 混沌・悪 【パラメーター】 筋力:??? 耐久:??? 敏捷:??? 魔力:??? 幸運:??? 宝具:EX 【クラススキル】 対魔力:EX 魔術を受け付けないという概念の極致。 一般的な対魔力スキルと異なり、魔術を打ち消すのではなく逸らすだけ。 なので広範囲の大魔術となると本人以外は助からない。 無論、月の王にとってそんなことは瑣末なことである。 真名看破 EX 月の王。 時計仕掛けの神。 彼は全てを識る。 聖杯戦争に名を連ねる限り、その叡智より逃れることは叶わない。 隠蔽の宝具、スキル、その全てが最早小賢しいのだ。 神明裁決:A ルーラーとしての最高特権。 聖杯戦争に参加した全サーヴァントに二回令呪を行使することができる。 【保有スキル】 神性:EX 神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。 ???:EX ??????????? 【宝具】 『発狂の時空・時計人間(ロード・チクタクマン)』 ランク EX 種別 対人宝具 レンジ - 最大補足 - 史実の世界から訪れた外なる神の一柱にして、時計人間(チクタクマン)と呼ばれる存在。 いわば、ルーラーというサーヴァントそのもの。時を這い寄る昏き意志。 謎の存在とされてはいるが、彼を奉ずる集団も存在する。 『大機関時計(メガエンジンクロック)』 ランク EX 種別 対星宝具 レンジ 1~100000 最大補足 1 黒い直方体。形質は中世期の柱時計に酷似し、装飾は古代カダス遺跡の一部遺跡に近似。 全長数マイル~数十マイル級の物が複数存在しており、主な構成成分は炭素。核として一つの時計が埋め込まれている。 これは惑星の中心核へとその先端を潜り込ませ、生きる全てを塵芥と化す邪悪の円柱(カルシェール)。 風の王の力をもって水の王を目覚めさせる機能を持ち、物理の死を、世界の終わりをもたらす対星の宝具。 【人物背景】 白いスーツに身を包んだ長身の男。髪は白いが肌は黒く、瞳は赫い。 年若い男性に見えるが、彼に纏わる数多の風説が仮にすべて事実であるとすれば、その年齢は百を超えることになる。 体の半ばを精密機械に置き換えたとか、カダスの秘匿技術を用いているという噂もある。 彼は外なる世界より召喚された時計人間。 彼は神霊であるため、本来聖杯戦争で呼び寄せることは出来ない。 その不可能が可能となっている所からも、この聖杯戦争の異端性が垣間見える。 【サーヴァントとしての願い】 ??? ◆ そして――そんな彼らを俯瞰して、事態のすべてをただ見ているモノがある。 『キーア』の幼き強さと、『アーサー・ペンドラゴン』の騎士道を。 『アイ・アスティン』が掲げる歪な理想と、死者の存在を認めぬ『藤井蓮』のその価値観を。 『アンジェリカ』が謳う苛烈なる正義と、それと相反した『針目縫』の滅びへ向かう願いを。 『すばる』が友へ向ける優しさと、彼女へ負い目を感じながらも決して止まれない『東郷美森』が抱える悲愴を。 『イリヤスフィール』の朧気ながらも確かな生への渇望と、何にも媚びることなき『ギルガメッシュ』の王道を。 『辰宮百合香』の抱える複雑怪奇した内面と、炎の如く激しい想いへ焦がれ続ける『エレオノーレ』の忠誠を。 『アティ・クストス』が追い求める忘却の縁と、静謐のままに月を映す『ローズレッド・ストラウス』の剣を。 『麦野沈利』が求めてやまぬ復讐、それを侮蔑しながらも手綱を引かれる『レミリア・スカーレット』の在りようを。 『如月』が友との再会へ懸ける思いと、そんな彼女を寡黙に守り続ける箱舟の騎士『Ark Knight』の誠実さを。 『佐倉慈』が屍と成り果てて尚願い続ける生徒への慈愛と、彼女を信じて真っ直ぐ拳を握る『結城友奈』の眩さを。 『笹目ヤヤ』が望む日常への回帰願望と、頼りなげながらも戦争へ確と向き合う『アストルフォ』の疾走を。 『みなと』が叶えんとする優しくも儚い望みと、ただ死を望み、終焉の時を探す『マキナ』の英雄譚を。 『乱藤四郎』が亡き兄を想う気持ちと、永遠の命を望み聖杯を狙う『ドンキホーテ・ドフラミンゴ』の策謀を。 『トワイス・H・ピースマン』が謳う人の尊厳と、『甘粕正彦』が礼賛する人の意思を。 『古手梨花』の幻視する旅路の終着点と、万象を笑い飛ばしながら不確かな一手を繰り返す『壇狩摩』の道楽を。 最後まで幻想に浸り夢死した哀れなマスターへ代わり、単身万人の幸福を願い踊り続ける『幸福』の救済を。 『逆凪綾名』の追い求める憧れの最果てと、奇跡を騙って演出し続ける『ベルンカステル』の嘲笑を。 『叢』が走る修羅道の果てで待ち受ける反魂の結末と、確たる願いを持たぬ『スカルマン』の暗躍を。 『丈槍由紀』が過ごし続ける偽りの日々の華やかさと、偽りと知って尚黙し従う『ハサン・サッバーハ』の茨道を。 『衛宮士郎』が辿り着いた悪の境地と、赤眼を煌めかせ怨敵を斬る『アカメ』の闘いを。 『エミリー・レッドハンズ』の述懐する父と過ごした思い出と、狂乱の内に皆殺す『シュライバー』の死世界を。 『浅野學峯』が信じ疑わぬ教育方針の在り方と、支配を支配す『玖渚友』が統べる死線を。 『直樹美紀』の夢見る光り輝く世界と、現れるだけで世界をも狂わせる『アンガ・ファンダージ』の暴虐を、 ――ただ一つの例外もなく尊いものだと賞賛し、だがその実まったく理解しないまま、ここに瞬く星の悉くを是と謡い、それは無限の中核に微睡んでいた。 その存在を定義することはまだ出来ない。名乗りをあげるに相応しい状況が整っていないから、それは何にもなれずにいた。そして、何にでもなれる可能性を持っていた。 眠り、揺蕩う夢の中、聖杯戦争の中心点である巨大な暗黒。 ここから始まり、広がっていく。 盲目の痴れ者たちが奏でる音色に魅せられて、自らも盲目的に願い続ける。 人よ、今こそ救済しよう。我こそおまえたちの理解者である。 賛歌を謡え。願いを想え。それらすべては、正しく普遍で不変なり。 ああそうだとも。おまえが信じるならばそれが正しいことなのだよ。 閉じろ。そして目を塞げ。世界はそうして完結するのだ。 げらげらと嘲り笑い倒しながら、我が認めてやると開戦の号砲を形にした。 月に根付く暗黒の正体が、此処に紡ぎあげる夢の波動。 声なき祝福が痴れた宇宙に響き渡る。 この聖杯戦争は淀んでいる。 最早修正不可能な程の莫大な質量を孕んだことで、あらゆるシステムが狂い始めている。 だがしかし。誰一人、それを咎める者などいないだろう。少なくとも、この鎌倉市に於いては。 因果? 知らんよどうでもいい。 理屈? よせよせ興が削げる。 人格? 関係ないだろうそんなもの。 善悪? それを決めるのはおまえだけだ。 おまえの世界はおまえの形に閉じている。 ならば己が真のみを求めて痴れろよ。悦楽の詩(ウタ)を紡いでくれ。 下劣な太鼓とフルートの音色が満たす月の中枢。 嘗て人類史を永久に記録し続ける機械であった月(それ)は、最早本来の役割を果たしていない。 データの末端に至るまで桃の煙に浸かり、揺蕩う白痴の存在へ子守唄を奏でている。 それはさながら常世の楽園、阿片窟。 0と1を快楽に浸し、演算を放棄しその技術で夢を見、良いぞ良いぞと酔い痴れているのだ。 ――この聖杯がまともな筈はない。ひとたび起動されれば間違いなく、人類史上最大の救済(やくさい)となって杯は地球を満たすだろう。されども、欲望の徒がそれに気付く道理はない。 だから、彼らの希望は奏でられる。 "ソレ"の玉座に響き渡る。 何処とも知れぬ海の底。あるいは天の彼方。もしくは深淵。 無限の中核に棲む原初にして沸騰する渾沌の願望器は、暗愚なる実体を揺らめかして無明の房室にさざめく音色を愛でていた。 彼は今も眠っている。 自らを讃える冒涜の言辞は絶えずふつふつと膨れ上がり、下劣な太鼓と呪わしきフルートの連打さながらに、あまりにも愚かしすぎる人のユメとはなんたる愛しさであることかと、彼の無聊を慰めている。 おまえたちは盲目だ。等しく何も見ていない。 他者も、世界も、夢も、現も、いつも真実とはおまえたちそれぞれの中にしかないのだろう? 見たいものしか見ないのだろう? 愛い、愛い。実に素晴らしい。 その桃源郷こそ絶対だ。その否定こそ幸福だ。 おまえたちが気持よく嵌まれるのなら己は何も望まない。玉座に夢を描いてくれ。 ここは太極より両儀に分かれて四象に広がる万仙の陣。 無窮にして不変である。ゆえに限界など存在しない。 さあ、さあ、さあ、奏でろ――痴れた音色を聴かせてくれ。 己はそれに抱かれて眠る。輝ける未来よ、降り注ぐ夢を見たい。 そう願う聖杯こそ、己がおまえに捧げる人間賛歌の顕象ならば。 万能の器? おまえがそう思うならそうなのだろう。おまえの中ではな。それがすべてだ。 神とも、渾沌とも、英霊とも、聖杯とも。 未だ定義できない超重量の闇が渦巻く房室で、爆発的なエネルギーを沸騰させつつ膨張するそれは嗤った。 己を取り囲む白痴の星々、その中でも今現在、一際輝く祈りたちに向けて真なりと詠嘆したのだ。 太極より両儀に分かれ、四象に広がれ万仙の陣――終段顕象。 素に揺蕩うフルートの音色。祖に微睡み痴れる鴻鈞道人。 昏き宵には至福を。崑崙を桃に染め、紫禁の城へ座し、楽園に至る虚夢は循環せよ。 閉じよ(とじよ)。閉じよ(とじよ)。閉じよ(とじよ)。閉じよ(とじよ)。閉じよ(とじよ)。 繰り返す都度に五度。 ただ、満たされる刻を夢想する。 閉じよ。 汝の身は我が望みに、我が命運は廃せる汝に。 仙境の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。 誓いを此処に。 我は羽化登仙に至る者、我は永遠の幸福に沈む者。 汝廃せる御霊を抱く八等、悪夢の輪より来たれ、桃源の担い手よ――! . 「ふはは、ははははは、あははははははははは――――!」 聖杯戦争、ここに開幕。 願いに集い踊り狂う二十三の主従を、たった一人の■■が俯瞰している。 BACK NEXT -001 直樹美紀&バーサーカー 投下順 001 夢見る魂 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT -023 キーア&セイバー キーア 002 錯乱する盤面 セイバー(アーサー・ペンドラゴン) -022 神亡き世界の鎮魂歌 アイ・アスティン 001 夢見る魂 セイバー(藤井蓮) -021 アンジェリカ&セイバー アンジェリカ 016 白狼戦線 セイバー(針目縫) -020 すばる&勇者アーチャー すばる 004 ここには夢がちゃんとある アーチャー(東郷美森) -019 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン&アーチャー イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 023 嘘つき勇者と壊れた■■ 055 世界救済者を巡る挿話・その2 アーチャー(ギルガメッシュ) -018 辰宮百合香&アーチャー 辰宮百合香 002 錯乱する盤面 アーチャー(エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ) -017 瞳に月を宿す者たち アティ・クストス 012 熱病加速都市 アーチャー(ローズレッド・ストラウス) -016 如月&ランサー 如月 005 ヒュプノスの祝福 ランサー(No.101 S・H・Ark Knight) -015 麦野沈利&ランサー 麦野沈利 008 メルトダウン・ラヴァーズ ランサー(レミリア・スカーレット) -014 佐倉慈&ランサー 佐倉慈 007 天より来るもの ランサー(結城友奈) -013 みなど&ライダー みなと 006 幸福の在り処 ライダー(ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン) -012 笹目ヤヤ&ライダー 笹目ヤヤ 017 旅路 ライダー(アストルフォ) -011 乱藤四郎&ライダー 乱藤四郎 007 天より来るもの ライダー(ドンキホーテ・ドフラミンゴ) -010 トワイス・H・ピースマン&ライダー トワイス・H・ピースマン 009 播磨外道 ライダー(甘粕正彦) -009 古手梨花&キャスター 古手梨花 002 錯乱する盤面 キャスター(壇狩摩) -008 幸福という名の怪物 キャスター(『幸福』) 001 夢見る魂 -007 坂凪綾名&キャスター 坂凪綾名 009 穢れきった奇跡を背に キャスター(ベルンカステル) -006 闇の仮面 叢 021 善悪の彼岸 アサシン(スカルマン) -005 丈槍由紀&アサシン 丈槍由紀 004 ここには夢がちゃんとある アサシン(ハサン・サッバーハ) 013 暗殺の牙 -004 衛宮士郎&アサシン 衛宮士郎 008 メルトダウン・ラヴァーズ アサシン(アカメ) -003 エミリー・レッドハンズ&バーサーカー エミリー・レッドハンズ 003 貪りし凶獣 バーサーカー(ウォルフガング・シュライバー) -002 トリコワシティ 蒼色サーヴァントと教言遣い 浅峰學峯 028 陥穽 バーサーカー(玖渚友) -001 直樹美紀&バーサーカー 直樹美紀 006 幸福の在り処 バーサーカー(アンガ・ファンダージ) Advent ルーラー(ロード・アヴァン・エジソン) 019 狂乱する戦場(後編)
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【作品名】とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲(レールガン) 【ジャンル】漫画 【名前】御坂美琴 【属性】超能力者 7人しかいないレベル5の第三位 【大きさ】女子中学生並 【攻撃力】パンチ一発で女子中学生を数m吹っ飛ばす。 男子高校生を背中から蹴っとばして4・5mほど転がす。 発電能力者であるため、さまざまな特殊攻撃が可能。 超電磁砲(レールガン):電磁誘導でコインを加速させて撃ち出す。 射程50m程で、それ以上飛ぶとコインそのものが溶ける。 威力は直撃しなかった自動車が着弾時の衝撃波で上空10mぐらいに吹き飛ぶ。 直撃の場合5・6m程の怪物の胴体に2mほどの穴を開けて貫いたり、縦に突き刺さった電車のレール三本を容易に貫いたりする。 砲弾初速・秒速1030m(約マッハ3.03) 連発能力・1分間8発(7.5秒に一発) 電撃:10億ボルトの高圧電流を自在に操る事が可能。基本的に思考発動。以下作中の使用パターン。 ・前髪から飛ばした電撃で十数m先の電柱にあて電灯を破壊。 ・自身の周辺7・8mほどの範囲に電撃を放射して7人の人間を黒焦げにして気絶させる。 ・5・6m上空にばら撒かれた空き缶爆弾100個以上を落下する前に電撃ですべて打ち落とす。 ・陶器爆弾の破片をすべて打ち落とす。 ・本気で撃つと横10m程の太い電撃となる。射程数十mほど。 5・6mほどの怪物に放った際、相手は誘電力場で直撃を避けたが体表面が電気抵抗の熱で消し飛んでいる。 磁力:周辺の金属や砂鉄を磁力によって操る事が可能。基本的に思考発動。以下作中の使用パターン ・砂鉄を操って剣状にして相手に切りかかる。ブレード部分が振動してチェーンソーのようになっている。 ムチ状にしてリーチを4・5m伸ばしたりもできる。 剣として手に持たなくても地面に手をついて磁力を操る事で11の鞭状の砂鉄剣を作り出して相手に襲い掛からせる事が出来る。(射程10mほど) 5・6mほどの怪物の腕を切ったり、コンクリートに突き刺さったり、2・3mほどの氷柱を砕いたりした。 ・柱の一部を磁力で抉り取って相手に投げつけたり、周辺にある電車のレール百本近くを操って相手の頭上から落としたりできる。 ・砂鉄を磁力によって高速回転させ、10数mほどの砂鉄の竜巻を作って相手を巻き込む。射程10mほど 数十秒ほど時間が有れば自然落雷を誘発させる事が出来る。 【防御力】 自身を中心に雷球を発生させた際、20m程の爆発が起きたが自身は無傷。 三日三晩まともに休憩せず行動し、暗部組織と連戦を行うなどなかなかにタフ。 自身と同様の電撃系の能力の場合、数十mは離れて壁越しでも攻撃の出を察知して捻じ曲げる事が可能。 作中では麦野沈利の使う粒子・波形のいずれでもない『曖昧な状態』に固定した電子を放つ粒機波形高速砲を 感知して捻じ曲げている。(複数の高速砲にも対応) 磁力:磁力によって近くの金属や砂鉄を集める事で盾代わりにすることが可能。金属はほぼ一瞬で集める事が出来る これにより近距離で起こった爆弾の爆発を防いでいる。 崩落してきた建物の瓦礫をすべて斥力で跳ね除けて回避したりもしている。 【素早さ】4m程の位置で爆発した陶器爆弾の破片が2mほどの距離に近づいた時点で電撃で打ち落とす。 10m程の位置から発射された超小型ミサイルに反応して数mの距離に迫った時点で磁力により大ジャンプして天井に張り付くなどの反応。 全力で走って十数m離れた距離から落下してくるバッグを空中でキャッチ出来る。 前を走るチンピラ集団に後ろから走って追いつける。 磁力:建物内で磁力を最大にする事で高速で天井に飛んだり壁に張り付いたりすることが出来る。 超小型ミサイルが数mほどの位置に来た時点で天井に回避したりしている。 これを利用する事で建物内では3次元的に動く事が可能。 【特殊能力】 10億Vの高圧電流、電磁波、磁力などを自在に操れる。(作中説明) 電磁波:全身から微量に発している電磁波の反射を受ける事で死角の位置にあるものも探知が可能。 そのためスタングレネードで目と耳がやられていても超小型ミサイルを感知して天井に飛んで避けた。 また、機械の遠隔操作などが可能であり、監視カメラ、赤外線センサーなどを無効化、 警備ロボットを3m程離れた物陰から操る他、暴走させて故障させたことあり。 ハッキング:ネット経由でサイバーテロを起こす事が可能。だがスレ的には意味ないっぽいので割愛。 【長所】いろいろ特殊能力持ちで強力な攻撃持ち 【短所】素の防御面 0ld-- 【作品名】とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲(レールガン) 【ジャンル】漫画 【名前】御坂美琴 【属性】超能力者 【大きさ】女子中学生並 【攻撃力】パンチ一発で女子中学生を数m吹っ飛ばす。 発電能力。 特殊能力欄参照 【素早さ】鍛えた女子中学生並。全力で走って十数m離れた距離から落下してくるバッグを空中でキャッチ出来る。 上条当麻の右手を掴める(砂鉄の剣出して防がれた後なので1~数mから) 【特殊能力】超電磁砲(レールガン):コインを加速させ撃ち出す。 射程20m程度。直撃しなかった自動車が着弾時の衝撃波で上空10mぐらいに吹き飛ぶ。 砲弾初速・秒速1030m(約マッハ3.03) 連発能力・1分間8発(7.5秒に一発) 雷撃の槍:前髪から電撃を飛ばす。射程十数m。発動は一瞬。 威力は電柱に当たって電灯を破壊する程度。生物への威力は不明。 10億ボルトの電流を自在に操る事が可能らしい。 【防御力】女子中学生並 【長所】攻撃力 【短所】防御力の描写がほとんど無い 【戦法】とりあえず雷撃の槍連発。倒せなかったら超電磁砲 ※上条当麻の反応 全ジャンル敵役最強スレの上条当麻(漫画)のテンプレより、美琴の超電磁砲に50mから対応する反応とする 3スレ目 335 :格無しさん:2011/01/01(土) 16 39 30 ID 3B5pWi7F みなさんあけましておめでとう。 御坂美琴(漫画)再考察。 銃弾反応の壁から。戦法は即広範囲電撃、それでも生きてるか見るからに機械っぽいなら超電磁砲 ○ 大島アリサ 殺し続け勝ち ○ 園﨑魅音>音無小夜 広範囲電撃勝ち ○ 飴谷千歳 相手の攻撃に耐えて広範囲電撃勝ち ○ 閻魔あい>亞夜子 不思議攻撃だし倒せるか ○ 楠奈美 電撃勝ち ○ 神崎・H・アリア 相手の攻撃に耐えて広範囲電撃勝ち ○ モーラ 電撃で弱った所を超電磁砲勝ち ○ 神楽 戦闘速度すごいけど広範囲の電撃で倒せる ○ 毛利蘭 超電磁砲勝ち ○ 珠瀬壬姫 超電磁砲勝ち ○ ポポミ 電撃勝ち ○ 久遠 超電磁砲なら倒せるか × セレネさん ビッグバン負け × シャナ 封絶負け × レヴィ 電撃撃つ前にぶん殴られ負け × 高町美由希 超スピードで斬られまくり負け 戦闘速度が低いのが裏目に出たか セレネさん>御坂美琴>久遠
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第十五話 『守りたい!』とマジになる時 真紅「ミキシトランス、ティラノ!」 花子さん「変身した!?」 真紅(ティラノ)「食らえ、古代の牙!」 白鹿あき4「花吹雪!」 真紅(ティラノ)「くそっ!」 白鹿あき1(化身)「おらぁ!」 真紅(ティラノ)「うわー!」ドカーン 沙砂「…」 白鹿あき1(化身)「ガキが! このまま引導を渡してやる!} 沙砂「…渡さナイ、ヨー」 静水久「同感…なの」 加耶「全く、人が大人しくしてれば良い気になって」 沙砂を中心に、二人が脇を固める。 腹の底から叫んだ言葉が力となり、小さな力は大きな存在へと形を変える。 沙砂&静水久&加耶『一夜城!』 その存在はまるで一夜で築き上げられた城のように大きく、そして力強かった。 城は壁となって白鹿組の前に立ちふさがり、彼らを茫然とさせる。 白鹿あき1「なん…だと…?」 沙砂「沙砂達の仲間は奪ワセナイ…守るンダ」 超太郎(あんな子供の妖怪が頑張ってるってのに…俺は情けねぇな) 超太郎の脳裏に、嫁である麦野沈利の記憶が蘇る。 がさつな性格ではあったが、基本的に優しい彼女が超太郎は好きだった。 その嫁が、今や未来からの侵略者の手によって失われようとしている。 この戦いに負ければ、アインによって自分達も彼女のようになってしまうだろう。 負けられない。 嫁や仲間を守るために、超太郎は自らを震え立たせた。 白鹿あき2「調子に乗りやがって! 行くぞ、俺!」 白鹿あき3「おう、俺! 火縄バレット!」 白鹿あき2「着火!」 再び強烈な炎の弾丸が放たれる。 一度この技に敗れた超太郎は再び、意を決して自ら飛び込んだ。 超太郎「護星神スタープラチナ!」 空条超太郎は考える。 オラオラッシュも通用しない。化身の力も通用しない。 ならば、残る手段はただ一つ! 超太郎(化身)「エルドラドの野望は、俺が、俺達が! 打ち砕ーくっ! アームド!」 スタープラチナが光となって、超太郎の体を包み込む。 星の白金の輝きを持った鎧が、彼に新たなる力を与えた。 超太郎(アームド)「異次元・ザ・ハンド!」 超太郎が地面を叩き付けると、まるでガラスが割れたかのように彼の目の前の空間が割れた。 炎の弾丸はその中に吸い込まれて消え、巻き戻し再生するかのように空間は元へと戻っていく。 瞬きの暇すら起きない、一瞬の出来事であった。 超太郎「や、やった! 第十五話、完!」 真紅「終わってねーよ!」 たから「アームドをした上に新技とは…やるじゃない」 エヴァ「……」 カズキ「エヴァちゃん、焦っちゃダメだよ。俺達だって、きっと出来るさ」 エヴァ「…ああ」 白鹿あき1「くそ! 妖鬼カマイタチ!」 花子さん「…あんまり私を怒らせないで。ミキシトランス、戦神美粧(バトルスタイル)!」 花子さんの体が炎に包まれ、その姿を変える。 等身は上がり、体付きも大きく成長し、衣装も凛々しく変わる。 花子さん(戦神美粧)「みたまヨーヨー!」 炎を纏ったヨーヨーが、白鹿あきの風の刃を呑み込み、化身ごと貫いた。 白鹿あき1「お、俺の化身がぁ!」 カズキ「良し、トドメだ!」 カズキは銀色に輝く槍を取り出した。 槍に巻かれたマフラーが山吹色に輝く。 彼は腰を深く落とし、槍を後ろに大きく振りかぶる。 カズキ「伝・来・宝・刀!」 山吹色の光が槍より伸びて、大きな刃と化す。 大きく腕を振り上げると同時に、その光の刃を解き放った。 白鹿あき達「うわぁぁぁ!」 カズキの放った一撃は白鹿あき達を吹き飛ばした。 アイン「…やはり、無理でしたか」スッ 真紅「あ、逃げやがった!」 明夏羽「さて、今のうちにこいつらを縛っておきましょ」 沙砂「助かったヨー、アリガトウ」 静水久「こいつらは私達が責任持ってしかるべき場所に突き出しておくから安心しろーなの」 加耶「とんでもない借りが出来ちまったようだね」 エヴァ「なに、気にするな。どんな時代でも困った時はお互い様と言うからな」 花子さん「どんな時代…?」 エヴァ「あ、いや気にするな」 捕縛した白鹿組を引きずり、彼女達は去って行った。 エルドラドの力添えが無くなってただの人間に戻った彼らではもう彼女達を捕えることが出来ないだろう。とりあえずの危機は去り、たから達はほっと胸を撫で下ろした。 アイン『…申し訳ありません。作戦に失敗しました」 トシアキ議長『ふむ…』 アイン『何故、あのような回りくどい事をして、我々を使わなかったのです?』 トシアキ議長『歴史に深く介入し、傷跡を残せば、タイムパラドックス崩壊が起き、時間の中にブラックホールを生むことになる。非常に危険なのだ』 アイン『ではこのまま彼女達の行動を放っておけと…』 トシアキ議長『そう焦るな、アイン。その歴史にあるものを使えば良い』 アイン『…! 今川義元!』 トシアキ議長『そうだ。追って指示を出す。それまでは待機だ』 アイン『Yes.マスター』 超太郎「白鹿組が今川義元の手の者だって!?」 花子さん「いきなり大声を出すんじゃないよ…」 超太郎「ごめん。で、誰だっけ、そいつ?」 カズキ「知らないで驚いてたのかよ!」 超太郎「え、だってここ驚く場面じゃん?」 ネロ「お師匠…それだと自分はバカだって宣伝してるようなものだよ…」 たから「今川義元と言えば……東海の辺りで最も有力な武将とされる人物ね」 斗貴子さん「変なキャラは加味されてはいるが、元は天下一に一番近いとされていた人物だったな」 花子さん「今川義元が、天下統一を果たすために色々な勢力を取り込んで言っているらしい。それが私達妖怪だった、と白鹿組が口を割った訳さ」 カロメ「妖怪を戦力に…?」 花子さん「そうさ。力有る物が国を支配する、そういう思想の元に怪しげな術であっても、戦力となるのであればどんどん採用するらしいね」 たから「それをどうして私達に?」 花子さん「何…あんた達にはそれを知る権利があるし、私としても聞きたい事があってここに来た。他の子達…特に静水久と沙砂は妖怪として目立つからね。だから一人で来たんだよ」 大阪「確かめたい事~?」 花子さん「…あんた達こことは異なる世界から来た、そうだろ?」 皆「!?」 花子さん「私は他の子達と違って、『気』の感度が強くてね。その私が感じているのさ。あんた達はこの世界の、この時代の波動ではないって」 メロン「ぬぅ…何と言うチート能力…!」 真紅「それが本当だとして、どうするつもりだ?」 花子さん「別にどうもしないよ。ただ、興味があっただけ。こんな戦乱の時代に一体どんな用事があるのかと」 エヴァ「真紅、どうする?」 真紅「うーん…」 ウラ「じゃあ僕が説明してあげるよ」 ネロ「うわまた出たな!」 ウラ「人を害虫みたいに言うのは良くないなぁ、ネロちゃん♪」 (続く)
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拠点在住 拠点設備 [部分編集] 拠点在住 やる夫の手持ち 水銀燈、チンク、アルフ(元ザフィーラ)、ぽっぽ、ウマ、金色の闇、羽入、アスタロット、ディード、オットー 貴音 真 しぐれ エヴァ 黒雪姫 翠星石 真紅 薔薇水晶 リュカの手持ち ウマ改、ぽっぽ改、ジャックブラザーズ(このユニットは制御枠を2使う) 頻繁に移動 ()の中は現在地 ルリ(ラクーン) 陽蜂(ラクーン) ラクーン拠点 リインフォース姉妹、月詠、BMG、イカ娘、斗貴子、フェイト、ゼロ、モモ、みくる(メイド+留守番)、麗夢 、浅間、ミーナ、美緒 やらない子在住 小屋 在住:束、「闇霊使い」ダルク、ユーミル率いるドワーフ達、レオン(TS改造完了)木山、アムロ、ビリー、夢美 美琴 黒子 ルキア 麦野 プレシア セシリア アルアジフ アナザーブラッド 鈴音 琴音 シャーリー シオニー シルヴィア、杏子、ネーナ、朝倉、言葉、三四、レヴィ、シュテル、ディアーチェ、レイレイ、ヲ級 刹那 ティエリア シーマ ドライゼ ベルンカステル 曹操及びその配下 ローラ シエル シャルロット ラウラ ロックオン アレルヤ ハレルヤ バナージ インデックス ミーア 箒 由女 ドロレス 雪泉 桜 知世 小狼(TS改造完了) 直葉 アナスタシア 触手寄生:170:技術手伝い32・偽ザボエラ・VR部隊310(VR208・キャリアー102) 未配置7 捕虜:冒険者/能力400の男2人+女2人、冒険者(能力350)女3人、傭兵(能力500)1人 モブ女11人、モブ男3人 モブ人間821人 モブ魔族16人 ジャギ カプセル:モブ女(337日触手妊娠開始)モブ女(217日触手妊娠開始)モブ女(219日触手妊娠開始) モブ女(477日触手妊娠開始) モブ女×10(480日即産触手×3 妊娠開始) 空き36つ 淫獣の檻行き: 回復中:盗賊/能力500×3(256日から) 冒険者(能力300)女5人(304日から) VR:アファームドバトラー・41 アファームドストライカー・20 ライデンMk2・21 ドルドレイ・21 テムジンMk2・21 フェィイエン エンジェラン スペシネフ ボックス・ダン:210 マイザー:60 ライデン(Mk3):60 アファームドJ:80 ランド系:キャリアー6 キャリアー2・32 ランドキャリアー(最新型)・24 チェイサー10 ランドストライカー・60 戦車1式・19 戦車二式・30 戦車三式:30 戦車4式:30 KMF系:ランスロット・3 紅蓮・3 その他:ベースジャンパー・96 ナデシコ エステバリス・16 PT・AM:ゲシュペンスト・10 リオン・10 製造中:テムジンMk4:120 ライデンMk3:60 ランドキャリアー:50 グンマー拠点 カルラ、アーニャ、澪、リュカ、アデーレ、アスナ メドゥーサ在住 その他在住など:織莉子・キリカ(商業都市) セルベリア(アマゾネス) 傭兵など・能力2000×5 能力1000×20 能力500×100(合計125名) [部分編集] 拠点設備 ラクーン拠点 地下にポータルA点設置 隠し部屋にポータルB点設置(小屋と接続) 小屋 カプセル&アクセス機フル増設10セット(50個) オプションとして肉体改造、妊娠生物成長促進を追加済み 調教部屋、牢屋、研究施設あり 地下にポータルA点設置(ラクーン・グンマー・学園都市・商業都市・淫獣の住処と接続) モブに設置させたポータルA1(繋がってない) A2(繋がってない) A3(繋がってない) <縮退炉を設置中> 「縮退炉」を入手したことで小屋地下のエネルギーは、ほぼ無尽蔵になる。 とりあえず「カプセルのエネルギーの減産分は今後考えなくて良い」し、 更なる施設の拡張なども、問題なく出来てスペース的な話もしなくていい。 レアなものほど時間は掛かるが「特殊な金属の複製も出来るようになる」 それにより「SKANA」も量産可能。 ただしその系統は、おもな能力が10しかない状態でしか作れないので育てるのが面倒ではある。 (ドワーフ達を小屋地下に迎え入れ、武具作成の費用が半額になるが作成に時間が掛かる ) +武具作成・必要時間と値段表、ルールや関連能力について 値段票 市販品 作成武具 10/ 銀貨20 銀貨10枚・単独では作ってくれない 20/ 銀貨40 銀貨20枚・単独では作ってくれない 30/ 銀貨80 銀貨40枚・単独では作ってくれない 40/ 金貨1枚・銀貨60枚 銀貨80枚・単独では作ってくれない 50/ 金貨3枚・銀貨20枚 金貨1枚・銀貨70枚・1時間半(45分) 60/ 金貨6枚・銀貨40枚 金貨3枚・銀貨20枚・3時間(1時間半) 70/ 金貨12枚・銀貨80枚 金貨6枚・銀貨40枚・6時間(3時間) 80/ 金貨25枚・銀貨60枚 金貨13枚・銀貨10枚・12時間半(6時間15分) 90/ 金貨51枚・銀貨20枚 金貨25枚・銀貨70枚・25時間半(13時間45分) 100/ 金貨102枚・銀貨40枚 金貨51枚・銀貨20枚・51時間(25時間半) 110/ 金貨204枚・銀貨80枚 金貨102枚・銀貨40枚・102時間(51時間) 120/ 金貨409枚・銀貨60枚 金貨204枚・銀貨80枚・205時間(102時間半) 130/ 金貨819枚・銀貨20枚 金貨409枚・銀貨60枚・410時間(205時間) 140/ 金貨1638枚・銀貨40枚 金貨819枚・銀貨20枚・747時間(373時間半) 150/ 金貨3276枚・銀貨80枚 金貨1638枚・銀貨40枚・1638時間(819時間半) ┌ ┐ 一週間は168時間。 ユーミル参加時は〈武具知識〉〈武具作成〉〈冶金学〉の能力点が合算される。()内は参加時。 現時点での〈武具知識〉による期間短縮に関しては最大50%だが、将来的に最大70%か80%軽減になる可能性もある。 (『技術書「高度加工技術」 武器の作成時間が25%短縮される』を入手したことで『最大75%短縮』となった?) それと単独で作ってくれない所は、基本サブ的につければいいもので金は掛かるが時間の追加はなし なお、武具作成時に能力に比例した成長点が入り、ドワーフ職人集団も成長する ┌ ┐ 〈武具知識〉武具に対しての知識。見た武具の能力の中で一番高い物がこの能力点以下だった場合武具の能力を鑑定できる 進化:段階は無く、(能力点÷20)%武具作成の時間を短縮する<ただし〈武具知識〉のみでは最大50%まで> 〈武具作成〉武具を作成する技術。この能力点分まで武具の能力を伸ばすことができる 進化:100毎に行われる。進化段階+1まで作成する武具に能力を付与できる。ただし、一つ増やすごとに 作成できる能力の最大値が10%低下する 〈冶金学〉金属強度などに関しての知識 進化:100毎に行われる。作成した武具に進化段階×10点の能力点ボーナスを与える 複数能力が合った場合は10点毎に均等に配分され、端数は前の方から配分される グンマー拠点 調教部屋・隠し部屋あり ポータルB点設置(小屋と接続) 商業都市拠点 ただの賃貸の家 ポータルB点設置(小屋と接続) 商業都市拠点2 王留美が購入した家 学園都市拠点 ただの賃貸の家 ポータルB点設置(小屋と接続) 戻る
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一人の漢が歩き続ける。 剛腕のヴライ。 仮面の者(アクルトゥルカ)にして、ヤマト八柱将の一人。 シドーとの闘いを経て、わずなか小休止をしただけで再び動き出した。 当初はシドーの後を追う気でいたが、今は見失ってしまっている。 だが、帝の遺物を傷つけられた怒りはなおも消えていない。燃え上がるような怒りを抑えながらも歩き続ける。 参加者を見つける。 その参加者を屠る。 ヴライのやる事は変わらない。 下らぬ小細工も、同盟者も不要。 それは今後も変わらない。 本来であれば、このような方針は愚策もいいところ。 ヴライといえども、侮れない実力を持った参加者が多数、参加しているこの戦いで、単独で活動し、力押しのみで優勝しようなどは不可能に近い。 事実、この戦いでもトップクラスの実力を持つ参加者達も、早々に単独での優勝、あるいは主催打倒の困難を悟り、利害の一致による同盟や、本性を隠して集団に溶け込もうとする者達が続出した。 そんな中、ヴライは一切の妥協をすることなく単独での生き残り方針を 変えず、ただひたすらに戦い続けた。 だが、逆に言えば。 このような方針を続けながらも、参加者が三分の二にまで減じた二度の放送を生き残っているのは彼の実力あっての事だといえる。 放送がはじまって退場者の名前が呼ばれ続けても、ヤマト最強の漢は歩みを止めない。 もとより、全ての参加者を殲滅し、ただ一人で勝者となる気でいるのだ。何人の名前が呼ばれたところで、ただ退場する順序が変わるだけだ。 それでも。 『――ミカヅチ――』 ただ一人、今回呼ばれた中では唯一の同郷である名前が呼ばれた時にはわずかな間ではあるが足を止めた。 ミカヅチは間違いなく仮面の者(アクルトゥルカ)に選ばれるだけの力もある。 だが、そんな相手ですら放送二回目にして退場した。 彼とは帝への忠誠という点では、間違いなく同じだったはずだ。 だが、帝の子であるアンジュに対する評価には大きな隔たりがあった。 あの漢は、アンジュの事も帝の後継たる器があると認め、変わらぬ忠誠を誓っていた。 その時は、失笑した。 ただあの偉大な御方の子というだけで、寵愛を受ける小娘を盲目的に忠誠を向ける滑稽さを嘲笑った。 (だが、違った。それは我の誤りだった) 今は認めよう。 ミカヅチは正しかった。 アンジュは、確かに帝の地位を引き継ぐに足るだけの気概と器があった事をこのヴライに確かに見せつけたのだ。 しかし、それでも帝そのものではない。帝を継ぐ資格があっただけ。真の覇者たるものはこのヴライ。 あの御方の後継たるは自分のみ。 その思いは変わらない。 一瞬だけヴライは瞳を閉じ、わずかな間をおいてから、再び進みだす。 ヴライの方針は、今もなお変わらない。手あたり次第に参加者を見つけ、屠る。 それを繰り返すだけだ。 そして最終的にはこのような下らぬ催しを企んだ女共も一片の慈悲も与える事なく、屠り尽くす。 ただそれだけの話だ。 再びヤマト最強は動き出す。 シドーを見失い、オシュトルの居場所も分からない今、明確な目的地はな い。ただ、人が集まりそうなところへと向かっていくだけだった。 ◇ ◇ ◇ 「……」 病院の一階。 いわば、ここは法廷だった。 被告人であるフレンダの、これまでの罪の有無を問うための法廷だ。 検察側は、カナメと霊夢。 弁護側――というべき立場なのがブチャラティと九郎なわけだが、現状は中立寄り。 彼らも多少の差はあれどもフレンダを疑っており、この際だから聞いておくべきか、などといった態度。 そんな四人を前に、フレンダは悩む。 「えっと、その……」 「できる事なら自分の口から話したら? その方がコッチとしては楽なんだけど」 竜馬のような凶悪な面というわけでもないが、見る者を威圧するだけの力が霊夢の瞳には浮かんでいる。 「う……」 何か手はないか、とこの期に及んでも考える。 「その、まださっきのスタングレネードの影響で声がよく聞こえなくて……」 「ちゃんと反応してるじゃねえか」 「えっと、そういえばライフィセットは大丈夫なのかなー、と心配に思うわけよ」 「今はシルバについてもらっている。何か容態が急変すれば、すぐにでも呼ぶように言ってある。それよりも、今は君の話を聞きたい」 「ぐぐ!?」 せめてもの時間稼ぎを考えるフレンダだが、その悉くが論破されていく。 「ねえ、やっぱりコレの方が手っ取り早くない?」 そんなフレンダに業を煮やしたのか、霊夢が再び針を手にする。 「あ、えっと、その……」 タイムリミット。 やはり万事休すか、と思われた時。 「待ってください」 これまで、フレンダへの尋問を見ながらも外の様子を伺っていた九郎が口を開いた。 「誰か来ます」 「何?」 新たな来客に、皆の様子も変わる。 「すみません。ちょっと、対応してきます」 そう言って九郎が出ていく。 乗った側が来てしまえば危険ではある。 だが嫌な言い方にはなるが、この中で最も危険に晒して問題が少ないのは九郎だ。 くだんの力が使えないとはいえ、人魚の力がある以上、王のような初見殺しの一撃を食らっても致命傷にはならない。 とはいえ、不死者相手に攻撃できる手段や能力が存在する可能性がある以上、完全とはいえないが、それでも最も安全な事に代わりはない。 そんな中、フレンダ裁判は中断され、新たな来客が来るまで沈黙が場を支配する。 乗った側か。 むしろ、主催打倒の側か。 あるいは、ただの一般人。 この中に知り合いはいるのか。 皆が警戒心を高め、様々な可能性が全員の頭の中で駆け巡る。 そんな中、唯一フレンダだけは、 (キターっ! やっぱり、まだ運は尽きてなかったってわけよ!) 予期せぬ来客に、内心で歓喜する。 何とか有耶無耶にできるかもしれない、と考えたフレンダだが、すぐに冷静さを取り戻した。 (けど待って! そいつがまた竜馬やレイン達から話を聞いてきた参加者の可能性だってあるし、むしろそっちの方が高い気が……) 会場内でフレンダが自分優位な事を吹き込む事ができてなおかつ、今も生存しているのは、ブチャラティ達を除けばシグレとメアリのみ。竜馬ら三 人から自分の悪事をバラされた参加者の方が圧倒的に多いはずだ。 かといって、どちらの悪評も聞いていない者ならばとりあえず中立となり、良くて九郎とブチャラティと同じ立場になるだろう。 (やっぱダメ! 来るならもっと、この状況を滅茶苦茶にしてくれるヤツ!) いっその事、麦野でも来てくれないかと思うが、残念ながら麦野は麦野でいろいろとマズイ要素が多い。 最悪、自分が最優先ターゲットにされてしまうかもしれない。 こんな詰みの局面をひっくり返してくれるのは、もう盤上ごとぶっ壊してくれるヤツ以外にない。 (もう殺し合いにのっているヤツでも何でもいいから!) そうなってしまった場合、当然自分も危険に晒される羽目になるわけだが、それに気が回らないくらいには今のフレンダは追い詰められていた。 自分を殺しかけた仮面の漢でもこの際いい――などと思い始めた時、九郎が再び参加者を連れて現れた。 残念ながら、フレンダの期待は裏切られた事を悟る。 素直に九郎の案内を受けている事から、問答無用で襲い掛かるような輩ではないようだ。 しかもその相手には一瞬、こちらの姿を見てから、 「フレンダ=セイヴェルンか?」 などとフレンダの名前を呟かれた。 ◇ ◇ ◇ 梔子が、病院へと到達したのは、静雄とレインと別れてさして時間をおかずにの事だった。 炎ほどのトラウマがあるわけではないが、病院は好きではない。 どうしても、最期に面会した姉の事を思い出してしまうからだ。 もっとも、病院は様々な死に関連する施設。事故だけでなく、病気などもある。 梔子のような特殊ケースでなくとも、家族との別れの場となる事が多く、あまり良い思い出があるという者はいないだろう。 その入口で出会った桜川九郎と名乗った男に案内され、病院の内部に入る。 が、その中は無残な状況だった。 あちらこちらにある戦闘の後に加え、大量の針がささっている。 明らかにただ事ではない。 そして、その中心にいる少女。 見覚えはない。だが、外見がこれまでの同行者達から聞いていたある参加者と一致する。 フレンダ=セイヴェルン。 梔子が彼女と会うのはこれがはじめて。 だが、これまでの同行者達とは何度も関わっている。 彩声に偽りの情報を吹き込み、竜馬といらぬ対立を生み出し。 煉獄の死には大きく関与している可能性が高く。 静雄にも偽りの情報を吹き込んで竜馬と対立をさせた。 レインには見破られ、彼女を叩きのめして支給品を巻き上げたらしい。 完全に危険人物といってよく、個人的にもあまり好印象を抱けない相手だった。 だが、その事をすぐには指摘しなかった。 まだ、どういう状況か分からない。 一見すると、訊問でもしているように見える状況だ。 少なくとも、凶悪な参加者に襲われた哀れな被害者を見る目で見られてはいない。 彼女がこの時点で属しているグループでどういう立ち位置にいるかはわからない。 彩声や静雄のように利用されているだけの集団なのか、それとも分かった上で彼女と共犯関係にある琵琶坂のような外道の集団なのか。 それによって、こちらの対応もまるで変わる。 (そんなに悪い人達には見えないが) この場にいるのは、九郎以外にブチャラティ、博麗霊夢、カナメと名乗った者達。 それ以外にも、病室にも他の仲間がいるらしい。 あくまで、梔子の第一印象の話ではあり、彼らも何かしらの本性を隠している可能性もある。 それでも、かつて幼かった頃、若きエリート弁護士として紹介された時の琵琶坂のような胡散臭さは感じない。 フレンダにしても悪事が露呈して問い詰められている――そんな風に見えるが完全に警戒は解かない。 「なあ、アンタ。コイツの事を知っているのか?」 名乗られる前からフレンダの名前を知っていた事を疑問に思ったらしく、梔子にカナメが問いかける。それに梔子が答えようとするよりも先に、 「待って」 霊夢がそれを止めて、フレンダに視線を移す。 「その前に、コッチを優先させた方がいいんじゃないの? 後付けで、適当な出まかせを言い出されたら困るし」 「……そうだな」 その言い分に納得したようにカナメも頷いた。 適当な事をフレンダが言い出したとしても、矛盾があれば即座にそれを指摘する。そういうやり方でいった方が良さそうだ。 「う、その……」 フレンダは、視線をずらして周囲を見渡す。 カナメ・霊夢は言うに及ばず。 ブチャラティと九郎も中立を貫く様子。 ライフィセットは病室のまま。 梔子という新たな参加者も、竜馬、あるいは静雄やレインと接触している可能性が高い。 何とか適当な自分優位な話をしようかとも考えるが、カナメや梔子がどこまで知っているかが分からない以上、矛盾が出てしまう可能性がある。 この状況下でさらに嘘を重ねれば、今は中立の九郎達ですら敵に回ってしまう可能性もある。 たっぷり――といっても時間にして十数秒ほど――の沈黙の後、フレンダも決断せざるをえなくなった。 ――そして、フレンダは話し始めた。 この会場に来て幾度目かの、それでありながら嘘がいっさい混じらないこれまでの軌跡を。 最初に会場に来て竜馬との接触して殺害しようとしたのも失敗した事。 彩声を利用――これに関しては勝手に暴走してしまったのはフレンダからしても想定外だったものの――した事。 静雄とレインと出会い、彩声同様に利用しようとしたものの途中でレインに見破られたので支給品を奪って逃走した事。 その途中、仮面の漢に殺されそうになったところを煉獄と名乗った男に助けられた事。 そこから他の参加者二名に出会った後、ホテルに来た事。 今回に限ってはいっさいの嘘偽りない話をした。 ある程度、話を聞いていた様子のカナメと霊夢。それに梔子はそこまで動揺した様子はないが、何か隠し事をしていると疑っていたとはいえはじめて聞いた九郎とブチャラティは少し驚いていた。 難しい顔をして二人とも考え込んでいる。 「……それで、何か弁明はあるのか?」 そんな中、全てを話し終えたフレンダに、最初に尋ねたのはカナメだった。 その言葉にフレンダはもじもじとしながら、 「べ、弁護士を呼んで欲しいかなー、何て」 「いや、こんなところにいるわけねえだろ」 とフレンダの言葉を、呆れた様子でカナメは切って捨てる。 霊夢もそれに同意しかけるが、 「いや、そういえばいたわね」 と不意に思い出したように言った。 早苗達と情報交換をしている際に、みぞれという少女が話していたはずだ。 「確か、参加者の一人に横領だか何かしたっていう弁護士がいたはず――」 「――何!?」 言いかけた霊夢を、これまでほとんど会話に加わる事のなかった梔子が食い入るように声を荒げる。 「その話、詳しく聞かせろ!」 「ちょ、ちょっと。そんなに迫らないでよ」 これまで大人しく聞いているだけだった梔子の豹変に、この場にいる者も戸惑っていたが、ブチャラティがそれを諫めた。 「落ち着いてくれ。そんな風に詰め寄られては話せるものも話せなくなるだろう」 「――っ! す、すまない」 梔子も思わぬところから情報が入ってきて興奮してしまったが、それを抑える。 「どうやら、君も何か求めている情報もあるようだ。ここは、落ち着いて情報交換をしないか?」 本来なら、もっと早くにやるべきだったかもしれないが、フレンダから話を聞き出すために後回しにしていた事だ。 霊夢たちも納得したように頷き、互いの知る情報が出し合われた。 「なるほど、確かにあんたの言っている事に間違いはないようね」 霊夢がフレンダを見て言う。 ひとまずは、梔子の証言からフレンダの言っていた事の裏付けがされた。これまでの彼女の同行者だった煉獄、彩声、静雄、レイン。 全てがフレンダ被害者の会といってもいい面子だ。 唯一竜馬のみがいないが、彼についても静雄とレインから話を聞いてはいる。 そんな彼ら、彼女らから話を聞いていた梔子の話からも概ね、先ほどの自供は真実と見ていいだろう。 ただ唯一、煉獄殺しの疑いのみは証人がいないため、潔白が証明はできなかった。 その相手――ミカヅチは既に退場済みでありフレンダはその名前すら知らないままなので、証明しようがない。 (俺の名を騙っていたという存在。やはりあんたなのか? ボス) 続いて、ブチャラティも、霊夢やカナメの知る「自称」ブチャラティについての詳しい話を聞いて考える。 話を聞く限り、表面的には何か問題を起こしているわけでもなく善良な人物として振舞っているようだ。 フレンダのように、ジョルノやリゾットといったブチャラティ以外にも始末したいであろうターゲットの悪評を流したというわけでもないようだ。 だからといって安心していい相手ではないし、要警戒といったところだ。 ちなみに、霊夢とカナメとして二人のブチャラティ問題に関しては保留とした。 このブチャラティに怪しい点はないが、もう一人のブチャラティの方も、それなりの時間を共に行動していた早苗に聞く限り露骨な問題行動を起こしたというわけではない様子なのが二人の判断を迷わせた。 元はリゾットの支給品であり、今は垣根の持っている顔写真付きの参加者名簿のようなものでもない以上、この話は水掛け論となる。 「ひとまず、佐々木志乃さんの無事が確認できたのは良かったですね」 九郎が呟くように言う。 アリアの言っていた佐々木志乃。 罪歌、という問題はあるにせよ、ひとまずは無事だった事が判明した。 「ああ、例のジオルドも無力化されているならば、それはそれで安心ではあるが……」 さらには、問題人物であるジオルド・スティアートも大人しくなっているようだし、洗脳という箇所に抵抗感はあるにせよ懸念事項が一つなくなった事になる。 とにかく、この件はアリアが任せろと言っている以上、彼女に一任する気でいた。 もっとも、あの直後にシドーらの乱入によって、志乃やジオルドらが戦闘に巻き込まれた事を霊夢は知らない。 よって、ブチャラティと九郎がひとまずは無事でいた彼女らを下の優先順位に置いてしまう事は仕方のない事だった。 「あんたらもあいつに襲われていたんだよな」 「ああ、正確にいうなら俺は襲われていない。九郎とこの場にいない新羅。それに今も病室で寝ているライフィセットという仲間だ」 こちらはフレンダ被害者の会とは別に、ジオルド被害者の会ともいえる一同である。 「大丈夫なのか?」 カナメも先ほど、九郎の言っていたグレネードから庇ったという相手であろう事を思い出す。 「良くない。今も安定している、とは言い難い」 「……そうか」 ブチャラティの言葉に、カナメも険しい顔になる。 王やフレンダのような輩ならともかく、巻き込まれた側の者だ。当然、心配にはなる。 だが、カナメはカナメで優先すべき事がある以上、こちらの問題はブチャラティ達に任せるしかない。 そして、今現在片付けなければいけない問題の存在へと視線を動かす。 霊夢も気づいたのか、同様の相手の方を向く。 「……さて、一通り済んだ事だし、まずは目の前の問題を片付けちゃいましょう」 霊夢の言葉にフレンダがビクリと固まる。 情報交換をしている間、判決は先延ばしにされたいたが、ついにその時が来たのだ。 「正直な事を言えば、俺は今でも殺すべきだと考えている」 その言葉に、フレンダの顔は先ほど以上に青くなる。 情報交換している間は、刑の執行が先延ばしにされとはいえ、フレンダの処遇は未だ決まっていない。 「けど、それをやるべきなのは、コイツに騙された竜馬やレイン達だ。無関係の奴らに裁かれましたなんて言われても、気は晴れねえし満足なんてしねえ」 その事は、カナメ自身がよく知っている。 (あのクソ野郎がくたばった時に、よく分かった) 王は、今この瞬間にも、目の前にいれば八つ裂きにしてやりたい存在だ。その王が死んだなどと、霊夢から聞かされ、放送でも確定した。 その瞬間、カナメの心は晴れなかった。それどころか、鬱屈とした思いを抱える事になっただけだった。 だから、分かる。 ここで、カナメがフレンダを殺したところで竜馬もレインも、会った事はないが静雄という男も喜びはしないだろう。 無関係の第三者によって達成される復讐など、空しいだけで何の意味もない。 「でも、コイツを生かしておいた方が危険なんじゃないの?」 霊夢はその言葉を咎めるでも激昂するでもなく、尋ねる。 許す許さないなどといった感情的な問題はともかく、フレンダは殺し合いを加速させる要因になりかねない。 「ああ。だが、コイツの評判は既に最低。もうかなりの人数がこいつの悪行を知った。悪評を振りまく策はもう使えねえ」 今や、フレンダの悪評は多くの参加者に広まってしまった。 ここの病院組に加え、北宇治高校にいる面々。さらには、レインや静雄。 彼らは知らないが遺跡にいる者達も竜馬経由でそれを知り、麦野らのグループとは敵対確定。 もはやフレンダの事を知らない他の参加者に竜馬達の広めようにも、それは難しいだろう。仮に、ここから逃げ出し、他のグループに取り入ったところでいずれはフレンダの悪行を知るグループと接触してしまう可能性が高い。 単独で優勝できるような圧倒的な力がフレンダにない以上、仮にこの場から逃げ出したところでフレンダは詰みなのだ。 「それでどうするの? 無罪放免?」 「まさか。さっきも言っただろ。コイツに罰を与えていいのは竜馬やレイン達だって」 「つまり?」 結論を促す霊夢にカナメが答える。 「フレンダから被害を受けた連中。竜馬や、レインと一緒にいるらしい静雄って奴に、コイツを任そうと思う」 その言葉に「え」と固まるフレンダをよそに、霊夢が重ねて聞く。 「そいつらに処遇を委ねるっていうの?」 「ああ。幸いにも、レイン達は近くにいるようだしな」 「コイツを連れていく気?」 「ああ」 幸い、梔子がレイン達と別れてからさほど時間は経っておらず、距離もそこまで離れていない。 別れた場所からして、禁止エリアの関係で西の方に行った可能性は低く、さらに梔子とは別方向という事である程度は場所が絞り込める。 「そう言っているけど、あんたらはどうなの?」 「確かに、お前たちの言う事は正しい。この催しで最も警戒すべきは、主催者だが、それに次いで危険なのは積極的にのる参加者だ」 チョコラータや王のような輩はもちろんとして、恐怖に負けて殺し合いにのる者達もそれは同様。 被害者となった参加者からすれば、それは関係のない事なのだから。 だが、とブチャラティは続ける。 「それでも彼女は俺達のチームとして、助けられもした。それに、殺し合いに乗っているからといって殺してしまっては主催の思うツボだ」 そこまで言ったブチャラティに、フレンダも一瞬、目を輝かせるが、 「――だから、殺させるのだけは止めてくれ」 次の言葉に再び固まる。 フレンダの殺害には断じて反対するが、ある程度の制裁は許容する。それがブチャラティの決断だった。 何せ、やった事が事だ。 お咎めゼロにしてしまう事はできない。 九郎も特に異論はないようだ。中立な立場に徹していた彼からしても、過剰な制裁を望む気はないいが、さすがにこのまま何もなしではフレンダ被害者の会の面々も納得しないだろう。 「分かったわ。つまり、殺されるのだけは止めればいいのね」 「え、えっと……」 フレンダは口ごもる。 死を免れたのは良かったが、あの竜馬や静雄から制裁を受けるのは覚悟しなければらない。 そのまま勢いで殺されました――などという事にならないだろうか。 「何か不満でも?」 「――ぐ、わ、わかったってわけよ」 だがフレンダからしても、とりあえず死刑判決は覆り、減刑されたのだ。 これ以上、下手に抵抗するのは逆効果と判断し、項垂れる。 とにかく、竜馬や静雄に会ったなら、土下座でも何でもして少しでも処罰を軽くする事に尽力するのみだ。 多少は殴られはするかもしないが、やりすぎとなれば今のブチャラティとの約束もあるし止めてくれるだろう――と半ば自棄になりながらも納得する。 「あんたもそれでいい?」 霊夢の言葉にそれらのやりとりを黙って聞いていた梔子も、頷く。 「構わない」 レイン達との証言にも矛盾はない。そして、フレンダは梔子がレイン達と会っていることすら言っていない。 この点から、適当なことを言ったわけではなく、彼女の言ったことはおそらく本当だろう。 その上で、ブチャラティ達が受け入れる方向でまとまるというのであれば口を挟む気はなかった。 直接の仇ではなかったにせよ、煉獄の死には関与しているし、竜馬が本当に危険人物であったならば彩声もその時点で死んでいた。 そういった点から、思う事もあるし、フレンダに対する感情は良くない。 だが、それでも糾弾する事はなかった。 (すまない、天本彩声、煉獄さん) 既に亡くなっている二人に心の中で謝罪する。 二人の件で、フレンダに思う事はある。だが、ここでまとまった空気をぶち壊し、会ったばかりの霊夢やブチャラティ達との関係を悪化させない方を優先したのだ。 それに、ようやく手にした仇の情報。 その事が、自分が虚構かもしれないという事実を多少は薄れさせてくれる。 (琵琶坂永至……) 可能性としては低いが、自分と出会う前。そして弓野家への放火の前からであるなら、復讐心に戸惑いが生まれたかもしれない。 しかし、間違いなく自分の仇敵である琵琶坂永至だと確信が持てた。 霊夢の言うみぞれという少女の証言を聞く限り、間違いないだろう。 可能であれば、直接会って話を聞いてみたい気もしたが、残念ながら彼女が会っていたのはゲーム開始直後でわずかな期間。今の霊夢の証言以上の情報は期待できないだろう。 「その上で一応聞くが、フレンダ。煉獄さんを殺したのはお前ではないのか?」 「ち、違! 今更、嘘はつかないからっ」 フレンダはものすごい勢いで首を左右に振る。 結局、煉獄殺しの無罪を証明する事がフレンダはできない。 あの場で唯一の証人になれるミカヅチは既に放送で名前を呼ばれており、フレンダはその名前も知らないままなのだ。 「どうだか」 そんなフレンダに霊夢は疑わし気な視線を送る。 はっきり言って現時点でのフレンダへの信用は最低といってよく、当然といえば当然だ。 そんな空気の中、ブチャラティが口を開く。 「しかし、その煉獄という男の言っていた鬼舞辻無惨という奴が垣根の言っていた鬼舞辻無惨と同一人物の可能性は高いな」 梔子からジョルノの仇でもある無惨の情報が入った事は、ブチャラティにとっても僥倖ではある。 だが、残念なのは梔子の知る情報は今は亡き煉獄からの又聞きの情報に過ぎないという点か。 鬼と呼ばれる一味の首魁である危険人物である事など、基本的な情報は分かるが詳細までは分からない。 「それでも、垣根に知らせれば多少の助けにはなるかもしれないが……」 そんな情報であっても、ないよりはマシかもしれない。 また会う機会があれば、一応垣根は伝えようとブチャラティは考える。 「その垣根帝督、だっけ? そいつも無惨って奴を狙っているのよね」 「そうだ」 現状、魔理沙の件がある以上、ウィキッドを優先するが、鈴仙の事がある無惨も機会があれば顔ぐらいは拝んでやろうと考えた相手だ。 相応の実力を持つようだし、場合によっては対無惨で共闘を考えてもいいかもしれない。 ――もっとも、無惨とウィキッドの両名はこの時点で同じ場所にいるわけだが、そんな事を霊夢は知るはずがなかった。 さらには無残は早苗からの情報によれば、「冨岡義勇」あるいは「月彦」と名乗っている人物と同一人物の可能性が浮上した。 霊夢はどちらも本物を知らないがブチャラティの例もあり、名を騙っている可能性が高い。 「あー、そういえばアンタ、Storkの仲間だったんだよな?」 ここでふと思い出した様子でカナメが梔子に声をかける。 「一応はそうなる」 楽士達はお互いに隠し事はあり、心の壁があった。みんなが固い信頼関係で結ばれた仲間です――などとは口が避けても言えないが、それでもStorkとも、最初に殺された少年ドールとも悪い仲ではなかった。 「すまなかった。俺がもっとうまくやっていれば、アイツが死ぬ事もなかったはずだ」 Storkの件に関して、カナメは謝罪する。 「状況を考えれば、仕方がないと思う。気にしないでくれ。むしろ、最期を伝えてくれて感謝している」 Storkの変態行為に関しては思う事はありはしたが、別に嫌いではなかった。誕生日会で倒れかけた時などにも、即座に助けに動いてくれたし、根本の部分では真面目な人間だったと思う。 少なくとも、琵琶坂やウィキッドなどと比べればずっと。 この世界が虚構かどうかの問題はいったん、置いておくとして、その死を悼みはするし、死に際の様子を知れた事で多少は救われた。 「それでアンタ、ウィキッドに関して何か情報でもないの?」 霊夢が傍らから口を挟む。 彼女らがウィキッドをターゲットにしている事は聞いているが、別に止める気も妨害しようという気もない。 一応は仲間だったとはいえ、こんな状況で庇う気はないし、何より彼女らがウィキッドを狙う動機は十分に理解できてしまうから。 「それほど知っている事は多くない」 だが、残念ながら梔子からしてもウィキッドに関してそれほど多くの情報を持っているわけでもないが、一応は知りうる限りの事は話した。 「それでカナメ。これからどうする気なの?」 「まずはレイン達との合流だな。そこに、コイツもつれていく」 「ちょ!? 痛いって、引っ張らないでよ!」 カナメはフレンダの腕を掴んで立たせる。 「まあ、レインってあんたの仲間との合流は元々の予定だし、当然といえば当然ね」 「さっき言ったように、コイツにもそこで謝罪させる」 カナメとしては、リュージとレインを秤にのせるつもりはないが、現時点で優先すべきはすぐ近くにいると分かっているレインだ。 ブチャラティからリュージの初期情報が手に入ったとはいえ、半日も前の情報だ。明確な目的地があるわけではなかったようなので、今はどこにいるかも分からない。 ならば確実にレインと合流し、フレンダにけじめをつけさせた上で奪った支給品も返却させる事が先。 それが、当面の目標だった。 「それじゃ、私も付き合うわ」 「いいのか?」 「ええ。アンタ一人じゃ、何かのきっかけでコイツを殺しかねないし。コレの借りがある分、殺させないって約束ぐらいは守ってやるわよ」 そういって、しっかりとくっつけられた二本の指を見せつける。 霊夢にとっての病院に来た目的である指の接合は、ブチャラティのスタンドによって思ったよりもあっさりと、先ほど話をしている間に達成できてしまった。 霊夢は魔理沙と比べればドライな性格ではあるが、借りのある相手との約束を破るほど無責任でも身勝手でもない。 この指の借り分ぐらいは、しっかりと返す気でいた。 フレンダがそんな霊夢に縋るような視線を向けるが、 「大丈夫よ。静雄って奴に殺されそうになっても、命ぐらいは守ってやるから。 ……アンタが余計な事をしない限りね」 最後にボソッと小声で付け加えた言葉に、無言のまま凄まじい勢いでフレンダは首を縦に振る。 「なら、急いだほうがいいか。あんまり時間をかけるとレイン達が遠くに行っっちまう」 「そうね。じゃ、いくわよ」 「いたたた! だから、引っ張らないでってばっ」 フレンダが引きずられるようにされながら、病院の出口へと二人は向かっていく。 「さっきも言ったが、くれぐれも」 「だから分かってるって。さすがに、やりすぎと判断したら止めるわよ」 ブチャラティの言葉に、霊夢は頷く。 「頼む」 本来ならば、ブチャラティもそれを見届けるべきなのだろうが、今この病院残る事になるのは、不死身の力を持つとはいえ、際立って高い戦闘能力を持たない九郎。それに、重傷のライフィセット。一応は自衛程度の力は使 えると言っているが、実力に関してまだ未知数の梔子。戦う力は持っていても、精神的にはまだ幼いシルバとなる。 この状況下で、病院からブチャラティまで離れるわけにはいかなかった。 「まだ暫くはこの病院にいるつもりだ。そっちが、仲間と合流できたのならば、また届けてくれ」 「ああ、分かった」 とりあえずは、レインと静雄に合流してフレンダにけじめをつけさせてからは、再びフレンダをブチャラティ達の元へと戻す。 居場所が分からないが、遠方にいる可能性が高い竜馬に関しては後回しという事で話はまとまりを見せた。 一応、フレンダの処遇を巡っての話はこれで終わり、ひとまずはこの病院でのいざこざも落ち着く事ができた。 だが、この近くに新たな災害が近づいてきている事を彼らはまだ知らなかった。 ◇ ◇ ◇ シドーを見失ったヴライは、ひとまずは参加者が集まりそうな箇所へと移動を続けていた。 ここで、距離的には近い大いなる父の遺跡へと向かう道を選んでいれば、そこで念願のオシュトルとの再戦も叶った可能性があるのだが、それはしょせんはIFの話である。 ヴライの視界に病院が入ったのは、最も太陽が高くなる時間での事だった。 ――戦の匂いがする。 病院に近づくにつれ、まずヴライが感じた事がそれだった。 それは、理屈ではない。根っからの武人であり、多くの戦場での経験があるヴライの第六感ともいうべきものが告げている。 それも一人や二人ではない。 複数人が、何度かに至ってやりあっている。 そんな怨念が病院からは漂ってくる。 「……ふん」 ヴライは、歩を進めていく。 誰も残っていないのであれば、それはそれで良い。 いるならば、見つけて屠る。 それだけの話だ。 「奇怪な」 ヤマトに生きるヴライにとって、この病院は見慣れない建物だ。 病院だけでなく、ここまでに見てきた会場内の建物の数々も同様であり、気にはする。だが、それだけだ。 同郷のクオンや、この会場にはいないネコネなどからすれば違うだろうが、ヴライはそういった事に興味はない。 だが、人やヒトが集まりそうな場所だ。 それだけを判断材料に、ヴライは病院へと近づいていった。 前話 次話 明日の方舟たち(ArkNights)-「終幕」或いは「序章」- 投下順 裁定、そして災害(後編) 前話 キャラクター 次話 過去が今、私の人生を収穫に来た ブローノ・ブチャラティ 裁定、そして災害(後編) 過去が今、私の人生を収穫に来た 桜川九郎 裁定、そして災害(後編) 過去が今、私の人生を収穫に来た フレンダ=セイヴェルン 裁定、そして災害(後編) 過去が今、私の人生を収穫に来た ライフィセット 裁定、そして災害(後編) 過去が今、私の人生を収穫に来た カナメ 裁定、そして災害(後編) 過去が今、私の人生を収穫に来た 博麗霊夢 裁定、そして災害(後編) Origin regression 梔子 裁定、そして災害(後編) いつしか双星はロッシュ限界へ ヴライ 裁定、そして災害(後編)
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神裂火織 「名乗らせないでください。できればこの刀を抜きたくはない」 神裂火織 特徴 戦い方 キャラクターデータ技データ支援要請 技詳細□ACTひざ蹴り 回し蹴り 突き 払い △ACT七閃 往 七閃 薙 七閃 浮 返しの手 復 返しの手 薙 返しの手 沈 オーバードライブ真説 "唯閃" コンボ基本火の術式 水の術式 壁際 唯閃 パートナー使用コンボ 永久関連中央 壁際 共通 サポート・対戦考察上条当麻 御坂美琴 ステイル=マグヌス 一方通行 御坂妹 白井黒子 土御門元春 サーシャ=クロイツェフ オリアナ=トムソン 五和 風斬氷華 後方のアックア 麦野沈利 インデックス 打ち止め 特徴 基礎的な機動力が高く、各アクションも安定した性能でスキが少ない。 しかしそれは彼女の在り方の1つに過ぎない。 一撃必殺の破壊力を持つ死力解放「真説”唯閃”」が走る時、 勝負は決着する。 最強クラスの攻撃力で一気に戦闘を終わらせる 「クリティカルフェンサー」。 戦い方 近〜中距離で真価を発揮するインファイター。 敵を七閃、返しの手で引き寄せて離さずに、 術式コンボでダメージを稼ぎつつゲージを溜めるのがお仕事。 ゲージが溜まったなら各攻撃から唯閃を叩き込み一気に決着をつけよう。 火力・機動力ともに非常に高く、ゲージ効率も良い。代わりに紙装甲だったりもしないので基本性能からしてかなり強い。 近距離の技の発生も軒並み速く、かわされても七閃でフォロー可能だったリとにかく隙が無い 自動サーチな七閃で、中距離に置ける制圧力もそこそこ高く、割となんでも出来るハイスタンダードキャラと言える キャラクターデータ HP:10500 機動力:S 攻撃力:A コンボ:A 技データ 名称 コマンド ダメージ 補正 説明 弱 ひざ蹴り □ 300 90% 発生の早い蹴り。 回し蹴り □ □ 400 90% ひざ蹴りから連続ヒット。【激突】 突き ↑□ 600 90% リーチの長い突き。「火の術式」の発動基点 払い ↓□ 500 90% 範囲技。「水の術式」発動基点 強 七閃 往 △or↑△ 450 90% 敵をサーチして斬撃。 七閃 薙 横△ 400 90% 敵をサーチして横薙ぎ。 七閃 浮 ↓△ 450 90% 敵をサーチして打ち上げ。【うち上げ】 返しの手 復 七閃 △or↑△ 400 80% 引き寄せ効果。 返しの手 薙 七閃 横△ 400 90% 「七閃 薙」とほぼ同性能。 返しの手 沈 七閃 ↓△ 600 90% 空中にいる相手を叩き落とす。強制ダウン 特 火の術式 ↑□ 七閃 通常 400 100% 火球を飛ばす。密着もしくは遠距離での威力が高い 密着 500 遠距離 500 水の術式 ↓□ 七閃 150?×2 95% 敵の両脇からビーム。 必 真説 "唯閃" ◯ Lv1 2800 75% 威力の高い居合い切り。【激突】 Lv2 3400 Lv3 4000 支援要請 名称 ダメージ 補正 説明 L 七閃 薙 350 90% R 七閃 浮 650 90% LR 真説 "唯閃" 3000 85% 技詳細 □ACT 近距離の基本となる技。 ひざ蹴り ここから回し蹴り、突き、払いに移行出来る。 コンボの始動に。 回し蹴り ひざ蹴りからのみ派生。 □を連打してるとひざ蹴りを回避されたときスカ発動して反撃をもらう。 激突効果があるので壁に押し込んだり永久の始動に使える。 突き メイン攻撃。 「火の術式」の基点。リーチが長い。 コンボ始動や繋ぎ、牽制にと用途は広い。 払い 「水の術式」の基点。範囲が広く、敵の横回避を狩れる事も。 空振り 七閃で術式を絡めた遠距離攻撃が可能。 △ACT 中〜遠距離の牽制用に。 七閃の発動後素早く追加入力することで、七閃をキャンセルして返しの手を発動させる事も出来る。 七閃 往 コンボの繋ぎや遠距離の牽制に。 以外と範囲が広くサポートを潰せる事も。 七閃 薙 メイン遠距離武器。 横範囲が広い上、敵をサーチしてくれるという高性能な技。 ダウン追い打ちも可能。 とりあえず撃っとけ。 七閃 浮 コンボの繋ぎに。 ダウン状態の敵も打ち上げるので唯閃の追撃にも使える。 壁際でヒットさせると激突が発生する。永久の始動に。 返しの手 復 相手を引きつける。コンボの繋ぎに重宝。 唯閃で一気に削るなり、サポートで繋いでゲージを溜めるなりお好きに。 ダウン追い打ち可能。 返しの手 薙 遠距離牽制その2。 七閃を外してもこっちは別でサーチしてくれるので回避硬直を狩るのに便利。 ダウン追い打ち可能。 返しの手 沈 空中の相手を叩き付け強制ダウン。「七閃 浮」と併せてコンボの〆に。 他よりもダメージが高い。 実は地上の相手にも当たる。 オーバードライブ 気力ゲージを消費して発動。ドライブクラックを誘発しやすい。 空中の相手に当てると激突が発生する。 真説 "唯閃" 七天七刀による圧倒的超高速の居合い斬りを仕掛ける。 ODレベル2 威力強化 ODレベル3 さらに威力強化 発生が早く威力が高いのでコンボの繋ぎや回避狩りに。 単発なのでコンボ補正によってダメージが減りやすく、また、アイデンティファイの恩恵も大きい。 射程は、トレーニングの足下のパネルを基準にすると、 Lv1 3枚分、LV2 3.5枚分、LV3 4枚分 と、Lvが上がる程長くなる。 コンボ 主力になるのは火の術式コンボ。ダメージとゲージ回収に優れている。 ゲージが溜まったら唯閃コンボ。一気に体力を奪うことができる。 壁際で激突を起こしたなら突きから永久へいく事も出来る。 ていうかひざ蹴りか突きが当たればどこからでも永久可能。 永久を使いたい場合は事前に相手の承諾を得たほうがいい。くれぐれもリアルファイトにならないように。 突き(↑□)や払い(↓□)はひざ蹴り(□)からも繋がる。 蹴り以外を回避された際、七閃の入力を少し遅らせることで、敵の回避硬直を狩る事もできる。 基本 □ □ 蹴り。距離を離したいときや、壁際で激突を起こしたい時に便利。 回避されると確反もらう。 背面ヒット時は↓△ ↓△で追撃出来る。 横△ 横△ 七閃・返しの手薙は敵をサーチするため全ての距離で活躍できる。 一発目を回避されても二発目がサーチしてくれるため回避の硬直を狩りやすい。 火の術式 ↑□から七閃に繋げると発動。 繋げやすく、ダメージも高い。 火がヒットするまで△長押し、当たってからボタンを離すようにすると七閃と返し手が全段ヒットしやすい。 ↑□>△or横△>追加△ 引きつけるのでサポートから追撃や、唯閃を絡めたりいろいろできる。 横△で繋げた場合は△よりも少しだけダメージが下がるが、 敵のサポートを潰しやすいので状況によって使い分けよう。 ↑□ ↓△ 追加↓△ サポートも呼べずゲージも無いときはこっち推奨。 浮>沈は他の七閃 返しの手よりもダメージが大きい&強制ダウンなので強い。 水の術式 ↓□から七閃に繋げる事で発動。 敵をサーチし、その両脇から水ビーム。 主に遠距離戦で活躍。 ↓□(空振り可) △or横△ △or横△ 復で引き寄せた場合、距離によってサポートから追撃や唯閃を絡めたりできる。 ↓□(空振り可) ↓△ ↓△ 攻勢支援に繋ぐことも可能。 ↓□ ちょい溜め△or横△ △or横△ 背面限定。サポート潰しとして優秀。 七閃ヒット 術式ヒット 返しの手となるように繋げる。 距離によっては復でなくても引き寄せる場合がある。 壁際 ↑□ 横△ △or横△ (背面)↓□ 横△ △or横△ 壁際で引き寄せる場合は中央と違い七閃を薙にしないと繋がらない。 唯閃 唯閃を絡める事で火力が大幅にアップする。 蹴り以外のどこからでも発動するので容易に高ダメージを叩き出す事ができる。 また、唯閃後は七閃 返しの手やアシストで追撃が可能。 どうしてもダメージが欲しい場合は薙 薙。 ただし距離が離れてしまうので、近距離で戦いたくない相手や、殺しきれる時に。 浮 沈で強制ダウン推奨。ダメージにもさほど変わりはない。 ◯ ↓△ ↓△ 基本追撃。 これだけでLv3なら5000を叩き出せる。 ↑□>△>△>○>↓△>↓△ 引き寄せた時にゲージがある場合はこれでダメージアップが可能。 △or横△ △ ◯ ↓△ ↓△ 牽制からの唯閃。使う場面は多い。 (背面)↓□ △or横△ △or横△ ◯ ↓△ ↓△ 返しの手薙は引き寄せない事もあるので注意。 (□ )↑□ △ ◯ ↓△ ↓△ 壁際限定。 補正の大きい返しの手復を省いた型。 牽制ヒットから大ダメージ。Lv3で背面なら6000を軽く超える。 Lv3なら突きを密着で当てれば中央でも繋がらないこともない。 パートナー使用コンボ (□>)↑□>↓△>L+R>近寄って↓△>ディレイ○>↓△>↓△ 確定ダウンする攻勢用の安定コンボ。威力は非常に高く状況によってはダメージが7000を超える。 最後の追撃は唯閃で遠くに吹っ飛んだ場合は走って近寄ってから出す。あまりに遠くに吹っ飛んだ場合は 入らないので注意。といっても神裂はやたら足が速い上に七閃はかなり遠くまで届くので滅多にそうはならないが。 (□>)↑□>↓△>L+R>○>↓△>↓△ 確定ダウンを奪えない攻勢の場合はこちら。基本的には確定ダウンの方と変わらないが 唯閃は浮いた相手が落ちてくる途中に直接当てる。慣れればさほど難しくないので安心(※)。 吹っ飛びの大きい風斬の攻勢も壁激突時に高さがあるので暗転中からスティックを倒しておけば、 神裂の機動力なら大抵間に合うだろう。対角線のように斜めに飛んだ場合などは間に合わない事もあるが。 また、追撃の七閃は入らないキャラもいるので注意。 ※ただしステイルは除く。 ステイルの攻勢は浮きが低いせいで猶予が短い為ややシビア。暗転中入れっぱで少しだけ走り直ぐに唯閃を出せば LV2以上ならギリギリ繋がる。そこまでしてステイルをパートナーにする必要性があるかどうかは知らない 永久関連 □か七閃を一発当てればどこからでも永久へ行ける。 七閃にギリギリまでディレイをかけるのがポイント。 中央 {□ ↑□ 横△ホールド ディレイ解放 前回避}*n {□ ↑□ 横△ホールド ディレイ解放 △ホールド ディレイ解放}*n 背面空中{□ ↑□ ↓△ホールド ディレイ解放 前回避}*n 背面空中{↑□ ↓△ホールド ディレイ解放 (斜め前移動)}*n ※火の術式は画面端だと裏当てになるので背面コンボ中は前面当てになってしまう、そのためそれを用いた永久は厳密に言えば永久ではない。 しかし□を挟まない方は繋ぎまでの猶予時間が長いので横軸を調整する事で画面端に到達せずぐるぐる回りながら永久となる。 尚下記の物も含め背面系の永久は距離にも多少左右されるが全て○ ↓△(ホールド ディレイ解放) ~可能。 壁際 {□ ↑□ 横△ホールド ディレイ解放}*n {(□) ↑□ ↓△ (激突)}*n ※低い位置で激突した場合も↑□で拾えれば永久へ持っていく事が出来る。 背面空中{□ □ ↓△ホールド ディレイ解放}*n 共通 背面空中{□ ↓□ ↓△ホールド 最大ディレイ解放 (水の術式スカ)}*n ※中央画面端問わず可能だが□・↓□・↓△だけの永久なので減りは遅い、その上最大気味ディレイ解放 最速気味□と難易度は無駄に高め、 おまけにタイミングが悪いと水の術式が当たって相手の向きが変わるため継続出来ないと三重苦の永久・・・ネタw。 サポート・対戦考察 気づいた事あったら書いていってください。 神裂火織-サポート・対戦考察 上条当麻 【サポート】 能力の強いキャラクターに幻想殺しを利用することができる。 これ以外に使い道はコンボの繋ぎには使えないことはないが余り期待できない。 【対戦考察】 至近距離で打ち合うのは上条の↓□がブロック不能かつ、低姿勢で攻撃を避ける為分が悪い 七閃・薙やサポートを使い中距離で主導権を握り、相手の回避硬直狩りやブロックをスカしてから攻撃すると良い。 御坂美琴 【サポート】 ゲージ回収用のコンボの繋ぎ、苦手な遠距離のサポートと、非常に相性がいい。 悩んだらとりあえずコイツにすれば問題ない。 【対戦考察】 リーチと範囲を併せ持ち、コンボ始動にも使える砂鉄が厄介。 無理に攻め込まずに様子を見て、相手が飛び道具を使って来たらガード 薙から反撃しよう。 ちぇいさーは後ろ回避で避けないと狩られる。 ステイル=マグヌス 【サポート】 コンボ繋ぎには相性がいい方である。しかし、技の発動が遅いため入力を早くしなければいけない。 中近距離での戦いになることがこのペアの弱点である。 【対戦考察】 ルーンを撒かれると厄介なので開幕からドンドン攻める。 撒かれたルーンは七閃・往や七閃・薙を通過させれば消せることも覚えておこう。 一方通行 【サポート】 コンボカットには有効な血液操作(アシストR)を活用する。 コンボ繋ぎとしては余り機能しないことに注意しよう。 【対戦考察】 突風(↑△)が七閃よりも出が早く、地震(↓△)は七閃よりもリーチに優れる為、中距離以遠は分が悪い。 さらにこちらの攻撃が先に到達する状況でも飛行(方向キー+□)で逃げられたり反射つきの各種行動で潰されがち。 相手にゲージが無い時(=反射が機能しない時)に近距離戦を挑もう。 それまではガードや回避で我慢。 御坂妹 【サポート】 アシストに軽いホールド技があるためそれを始動にしてコンボを組むことが可能。 【対戦考察】 アサルトライフルをブロック出来れば格段に戦いやすくなる。もしくは通常移動で射線を外すことを推奨。 離れるとアサルトライフル+各種ミサカスクランブルで手を付けられないので、ひたすら近距離戦を挑もう。 白井黒子 【サポート】 いわずと知れたコンボカッター。 近距離で先に手を出しても保険が効くので、相性は良好。 攻勢支援の性能も良い。 【対戦考察】 ドロップキックのプレッシャーぱない。うかつに七閃を撃ったりするとすかさず吹っ飛ばされる。 しかしスカさせれば背面アタックのチャンス。 各種鉄矢からの派生回避をかいくぐりつつ近づき、コンボチャンスを狙う。 相手にODゲージがある場合にうかつな火の術式、七閃、サポートでの攻撃は厳禁。見てから当身余裕でしたとなる。 土御門元春 【サポート】 【対戦考察】 近距離は相手の手数、ブロックからのリターンを考えるとやや分が悪い。 かと言って離れすぎても折紙(△)を設置する時間を与えてしまうのでこれもよろしくない。 七閃・薙の届く間合いを維持しつつ、相手の行動に対処していくと良い。 相手のODゲージが溜まっていて折紙も設置済みの時は要注意。 零距離赤ノ式(ダッキング中に△)と黒ノ式(←or→□中に△)、寝ていろ(ダッキング中に↑□)から5000~8000の高ダメージコンボが存在する。 サーシャ=クロイツェフ 【サポート】 【対戦考察】 波よ薙ぎ払え(↑△)を回避で避けてしまうと次の設置を許してしまうので極力ブロックで対処。 ブロック不能の滝よ叩き潰せ(↑△)には注意。 サーシャはLv3.ODが非常に強力な為、出来る限り起死回生発動前に倒してしまいたい。 オリアナ=トムソン 【サポート】 【対戦考察】 五和 【サポート】 コンボの繋ぎに非常に優秀。 だが近接攻撃しか無いため遠距離戦になるとやることがなくなったりすることも。 【対戦考察】 長いリーチと範囲のため、中距離で攻められると一気に終わってしまう事も。 遠距離で七閃、返しの手を使って削っていくといい。 相手が出来るのは術式付加して飛び道具を作る程度。 飛ばして来たら遠慮なくガードしてゲージを溜めさせてもらおう。 またコンボダメージの差が大きい(五和は術式やサポートを含めても神裂の通常コンボ程度のダメージしか出ない。ODをコンボに組み込んでもHit数補正で低ダメージ)ので、 近距離戦に持ち込んでしまえば意外とダメージ勝ちでなんとかなることも。 風斬氷華 【サポート】 【対戦考察】 狂乱の一打(□)派生や烙印の羽根(↓□)、遊撃の羽根(↑□)、絨毯(↓△)とコンボ始動となる技が多彩。 ダメージも確定補正切りの光の繭(△)やOD、攻勢支援を組み込まれると非常に痛い。 また離れすぎると烙印の羽根(↓□)を設置されてしまう。 幸い狂乱の一打(□)派生以外の攻撃は発生が遅めで、OD以外にブロック不能の攻撃も存在しないため、 中距離(七閃が届く間合い)を維持しつつ、相手の攻撃にブロックを狙っていこう。 高ダメージコンボをもらわなければ、相手体力の低さも相まって勝てるはず。 後方のアックア 【サポート】 【対戦考察】 中距離で七閃をばら撒いてばかりいると高速切り払い(↑+□)のアーマー特性で反撃を受けてしまう。 個々の技のモーションが大きいので、相手の動きを見つつブロックと回避を使い分けて七閃を読まれない程度にけん制に使い攻めていきたい。 麦野沈利 【サポート】 【対戦考察】 各種ビームをガード出来れば特に困る事はない。 復で引き寄せて近距離にもっていけばかなり楽になる。 突きは障壁越しでも普通に殴れるので覚えておこう インデックス 【サポート】 Lはコンボカットとして優秀。 Rはゲージ回収だが神裂自体のゲージ回収率が良好の為、必要な状況はあまり訪れないかもしれない。 打ち止め 【サポート】 コンボカット、繋ぎ共に優秀。 特にRサポは拘束時間が非常に長く、回り込んでコンボ後半を背面アタックで繋げる事も出来る。 また、拘束中壁に追い込むように回り込み、 回し蹴りで激突を起こせば容易に永久へ移行することができる。
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~7月下旬 第7学区 常盤台新寮~ 絹旗 「」ペラ...ペラ... 絹旗 「むむむ、あの監督の超新作?」 絹旗 「これは要チェックですね」カキカキ <ガチャ 白井 「ただいま戻りましたの」 絹旗 「あ、おかえりなさい」 白井 「はい、封書が届いてましたの」つ□ 絹旗 「封書? 超古風ですね。誰からですか」 白井 「統括事務局からです。わたくしと絹旗さん、それぞれに」 絹旗 「お! もしかして、アレですか!」 白井 「ええ、おそらくは」 絹旗 「うーん、実感が超湧いてきますね」 ~時は遡り7月初旬 第7学区 隠れ家的喫茶店~ 絹旗 「だー、外出申請とか超めんどくせー」チュー 番外個体 「残念、それを出さないと外に出れないんだけどね」フキフキ 絹旗 「せっかく沖縄行きが決まったのに、準備がめんどくさすぎです」 番外個体 「旅行の準備も旅行のうちだよ。なんだかんだ言って楽しんでるでしょ?」 絹旗 「超バレバレでしたか」テヘ 番外個体 「絹旗さんは水着買い換えるの?」 絹旗 「いやー、特に拘りもないんで去年と超同じヤツで」 番外個体 「ふーん」 絹旗 「ミサワさんは買うんですか?」 番外個体 「うん、妹のは準備しないとないし。私も去年のはキツイかもしれないし」 絹旗 「ああ、そういえば妹さんも来るんでしたっけね」 番外個体 「行きたいってうるさかったからね。婚后さんの度量の広さには感服だよ」 <カランカラン♪ 番外個体 「いらっしゃいませー」 黒夜 「絹旗ちゃーん! 見つけたぞ!」 絹旗 「げえっ! 本当に超しつこいですねあなたは!!」 黒夜 「何とでも言え! 今日こそは私と勝負を」 番外個体 「で、なんにする?」 黒夜 「へ?……あっ、じゃあ、ミルクティーをホットで」 番外個体 「はいはーい」 絹旗 「外ならともかく、友達の店にまで押しかけないでくださいよ」 黒夜 「いや、たまたま中覗いたら居たから」 絹旗 (超不幸です……) : : : 黒夜 「はあ!? 沖縄だぁ!?」 絹旗 「? なんかおかしいですか?」 黒夜 「聞いてないぞ!?」 絹旗 「言ってませんし」 黒夜 「なんで誘わないんだよ!」 絹旗 「機会を超逃しました」 黒夜 「」 絹旗 「?」 黒夜 「ハブにしやがってェェェ!! もォ許さねェからなァァァァ!!」ヒュゴォォ 絹旗 「わっ、あぶなっ!」 黒夜 「絹旗ちゃーン? 逃げるしか芸がないンですかねェ?」ケラケラ 絹旗 「こんの……危ないじゃないですかァ!」 番外個体 「……」ハァ 黒夜 「今日こそは私が勝ってやらァ!!」 絹旗 「手から吹出すだけの能無しが本気で勝てると思ってンですか!!」 黒夜 「どっちか能無しか分からせてやンよォォ!!」ヒュゴォォォ 絹旗 「やれるもンならやってみろっつゥンです!!」 番外個体 「店ん中で……暴れてんじゃねー!!」ピシャーン 絹旗黒夜 「「あbbbbbb」」 黒夜 「ごめンなさい」プスプス 絹旗 「超すいませんでした」プスプス 番外個体 「ったくもう……あなたたち、幼馴染みたいなもんなんでしょ? 仲良くすればいいのに」 絹旗 「いや、この窒素女が超一方的にケンカ売ってくるんですよ」 黒夜 「世の中の全ての人間が、仲良しこよしになりてェとか思ってンじゃねェぞ」フン 番外個体 「黙れクソガキ」ズビシッ 黒夜 「ぎゃふン」 絹旗 「で、なんですか。そんなに一緒に行きたかったんですか」 黒夜 「勘違いするな。私は絹旗ちゃんと違って多忙なんだよ」 絹旗 「そーですかー」チュー 黒夜 「だからお土産買ってこなかったら窒素爆槍1000本飲ませるからな! あ、ごちそうさま」ピュー <カランカラン♪ 絹旗 「相変わらず超騒々しいやつですね……」 番外個体 「あの子代金払い忘れちゃったみたいだから、絹旗さんに請求しておくね」ニヤニヤ 絹旗 「……あンのやろォォォォォ!!」フギャー ~今に至る~ 絹旗 (なんか超余計なことまで思い出しちゃいましたね) 白井 「絹旗さん?」 絹旗 「あ、なんでもないですよ」 白井 「とりあえず、中身を確認しておいてくださいまし」 絹旗 「そうですね。万が一にも申請をハネられてたらどうしましょうか」ビリビリ 白井 「夏休み中は帰省もございますし、審査は緩くなってますので大丈夫かと」 絹旗 「はは、そうですよ、ね……?」 白井 「?」 絹旗 「"この度申請頂きました外出届けにつき、下記事由により不受理とさせて頂きます。何卒、ご承服の程"……」 白井 「えっ、そんなまさか……!」 絹旗 「」 白井 「ちょ、ちょっと貸してくださいな」パシッ 絹旗 「」 白井 「……確かに不受理と……ん? 不受理?」 絹旗 「あなたがこの手紙を読んでいる頃、私はきっと」カキカキ 白井 「絹旗さん!」 絹旗 「なんですか、私は超忙しいんですよ」 白井 「下記事由、のところ。ちゃんと読みましたか?」 絹旗 「?」 白井 「"申請書類の不備"とございますが」 絹旗 「えっ」 白井 「考えてみれば、不承認ではなく不受理と書いてあるところで気付くべきでしたの……」 絹旗 「どこか間違ってましたかね?」 白井 「……この同封されているのは原紙でしょうか」ガサガサ 絹旗 「あってますよね? どこかおかしいですか?」 白井 「……絹旗さん。住所は"常盤台寮"だけでなく、正確に書いてくださいまし」 絹旗 「あー、それだけじゃ通じませんか。超仕方ないですね、書き直しましょう」 白井 「急いでください。間に合わなくなっても知りませんの」 絹旗 「そ、それは超困ります!」 ~同日 第7学区 浜滝邸~ フレメア 「ねーねー、沖縄って大体どんなところ?」 浜面 「俺も去年行ってねえからな……どんな感じなんだ?」 滝壺 「去年行ったときはね……」 フレ面 「「」」wktk 滝壺 「すごく暑かった」 浜面 「そうだな! 暑いよな!」ウンウン 滝壺 「あと、海がすごい綺麗だった」 フレメア 「海……」 浜面 「フレメアは海見たことあるか?」 フレメア 「飛行機からなら、見たことある」 滝壺 「きっとこっちに来るときにみたんだね」 フレメア 「でも、大体泳いだことはない」 浜面 「そうかそうか。今回は泳げるぞ!」 フレメア 「……」 滝壺 「どうしたの?」 フレメア 「大体……私も、行ってもいいの?」 浜面 「何言ってんだ! みんないいって言ってるんだから、いいに決まってんだろ!」ワシャワシャ フレメア 「に、にゃあ」 滝壺 「もしかしたら、お友達できるかもよ」 浜面 「ああ、ミサワの姐さんの妹さんだっけか? 連れてくるみたいなこと言ってたな」 滝壺 「うん。……あ、フレメアって水着持ってる?」 フレメア 「大体学校で使ってたのがある」フンス 浜面 「折角南の島に行くっていうのに、スク水ってのも味気なくないか?」 滝壺 「」ピンポン フレ面 「「?」」 滝壺 「たしか、みさわ妹のも買う必要があるって言ってた」 浜面 「おお」 滝壺 「買い物に誘ってみたらどうかな?」 浜面 「いいんじゃねえかな。仲良くなれるなら早いに越したこたないだろ」 滝壺 「じゃ、連絡してみるね」カチカチ フレメア 「みさわ妹ってどんな人?」 浜面 「俺も見たことねえからな……」 滝壺 「むすじめから聞いた話だけど、顔はすごいそっくりらしいよ」カチカチ 浜面 「姐さんがそのまんま小さくなったようなもんか」 フレメア 「ミサワお姉ちゃんに大体そっくりなんだ」 滝壺 「返信来た。明日おkだって」 浜面 「おし、フレメア。どんな水着がほしい?」 フレメア 「ええとね。(ゴソゴソ)大体こういうヤツ」←新約表紙の服 滝壺 「大きい店に行けばあるんじゃないかな」 浜面 「ここいらでデカイ店つうと、セブンスミストだな」 滝壺 「明日はそこにいこう」 フレメア 「♪」ピョンピョン 浜面 「おいバカ、人の膝の上に座ってるときに跳ねるな」 滝壺 「あ、そうだ。去年行ったときの写真があるよ」 フレ面 「「おー」」 滝壺 「ええとね(ピッピッ)あ、これ砂浜の写真」 浜面 「すげえな。テレビでみる南の島そのまんまじゃねえか」 フレメア 「海が透きとおってる」 滝壺 「これはみんなで撮った写真だね」 浜面 「全員水着とか眩し過ぎだぜ。だが海原、テメエは邪魔だ」 フレメア 「あ、絹旗だ絹旗だ」 滝壺 「フレメアが知らない人もいるかな」 フレメア 「このお姉ちゃんとこのお兄ちゃんは、大体、知らない。にゃあ」 浜面 「お嬢と海原か。海原はまあいいけど、お嬢は今回の旅行のスポンサーだぞ」 フレメア 「すぽんさー」 滝壺 「今度紹介するよ」 浜面 「さて、フレメア。明日に備えて今日は早めに寝ておかないとな」 フレメア 「にゃあ」コクリ 浜面 「だからブラッド&デストロイは今日はお預けな」 フレメア 「ふぎゃぁぁぁぁぁ!」 ~同日 第18学区 婚后邸~ エカ 「( ゚-゚)」シュルシュル 婚后 「ええ、予定通りにお願い致しますわね」 執事 『仰せのままに』 エカ 「♪」 婚后 「また世話になりますわね」 執事 『なんの。この老いぼれにとっては、孫が増えたようで楽しみでもございますからな』 婚后 「増えるといえば、今年は小さな子もおりますので何か用意したほうが良いかもしれませんわね」 執事 『確かに。夜になってしまえばお子様には少々退屈な土地かもしれませんな』 婚后 「わたくしに一つ考えがございます。荷物を少々お送りすることになると思うのですが」 執事 『左様で。では、現地に届くように手筈は整えておきましょう』 婚后 「お願いしますわね」ピッ 婚后 「ふう……関係各所への連絡も一段落ですわね」 エカ 「(゚-゚)」ペロペロ 婚后 「こらこら、くすぐったいですわ」クスクス エカ 「♪」 婚后 「さてと……貴女のことも、ちゃんとしなければなりませんわね」カチカチ Prrカチャ 店員 『お電話ありがとうございます! ペットホテル鹿鳴館でございます!』 婚后 「会員なのですれけれも、ロイヤルスイートを一部屋お借りしたいのですが」 店員 『畏まりました。それでは、会員IDをお願い致します!』 婚后 「ZXC741ASD852QWE963、ですわ」 店員 『すっ、すみません。もう一度お願いします』 婚后 「はい。ZXC741ASD852QWE963、になります」 店員 『……か、重ね重ね申し訳ございませんが、もう一度お願いします』 婚后 「? ええ、ZXC741ASD852」 店員 『す、すみません! 3桁ずつでお願いします!』 婚后 「は、はあ……?」 ~同日 第7学区 海原結標邸~ ショチトル 「」ペラ...ペラ... ショチトル 「なるほど、これがオキナワという土地か……」 結標 「今回行くのは離島だから、観光名所とかは見れないと思うけど」 ショチトル 「えっ」 ショチトル (この水族館っていうのに行ってみたかったのに) 結標 「どこか気になるところがあった?」 ショチトル 「……水族館」 結標 「今回は難しいわね……空港からは変に遠いし」 ショチトル 「えー……」 結標 「あっ、あの、学園都市にもあるから! 水族館!」 ショチトル 「そうなのか?」 結標 「そうそう、私も行ったし。だから今度お兄ちゃんと行ってきなさい」 ショチトル 「なっ、なんであの男と……あ、いや、行ってきます……」 結標 (損な性格よね。見てる分には可愛いけど) ショチトル 「では、今回は海であれこれするのが主目的ということなんだな」 結標 「そういうことね。……ところで貴女、水着はあるの?」 ショチトル 「……あるには、ある」 結標 「へー、どんなの? よかったら見せてもらっていい?」 ショチトル 「ああ。ちょっと待っててくれ」 <ゴソゴソ 結標 「にしても、今年はずいぶんと大所帯ね」 ショチトル 「あった、これだ」ピラーン 結標 「……」 ショチトル 「何か言って」 結標 「い、いいんじゃない? オリエンタルでセクシーな感じがステキ」 ショチトル 「分かってる! 分かってるの! 私だってこんなの着るのすごい恥ずかしい!」 結標 「じゃあなんでそれにしたのよ」 ショチトル 「通りすがりの人に選んでもらった」 ※佐天さんのことです 結標 (どういう状況だったのかしら……) ショチトル 「そうだ。私も聞きたいことがあったんだ」 結標 「なにかしら」 ショチトル 「たしか、外に出るには外出申請? というのが必要だったと思うのだが」 結標 「ええ、必要ね」 ショチトル 「それは、私のようなモグリでも出せるのか?」 結標 「出せない」キッパリ ショチトル 「……じ、じゃあ、どうすれば……」 結標 「抜け道は2つあるわよ。まず1つは、海原みたいに別人に成りすます」 ショチトル 「リスキーだな。本人も申請してた場合はどうなるんだ?」 結標 「ええ、その通りね。去年はたまたま助かったみたいだけど」 ショチトル 「もう1つは?」 結標 「私が外に飛ばす」 ショチトル 「」 結標 「最大距離で飛ばせば、多分衛星監視にも引っかからないと思うのよね」 ショチトル 「……成りすましよりは危険は少ないだろうが」 結標 「ま、なんとかなるわよ」 ショチトル 「それにしても、海か……私の身体、大丈夫かな」ブンブン 結標 「見た目には問題なさそうだけど……まだ、動かすときに違和感があるんだっけ?」 ショチトル 「激しい運動とかはまだ難しい」 結標 「ただ浮いてるだけでもいいじゃない」 ショチトル 「……ないかな」ゴニョゴニョ 結標 「?」 ショチトル 「海水、しみないかな」 結標 「だ、大丈夫よ。多分。私だってしみなかったし」 ショチトル 「え?」 結標 「あれ? 言ったことなかったっけ? 私、脚の皮膚全部剥がれたのよ」 ショチトル 「え? え?」 結標 「でもほら、今は綺麗でしょ?」キラン ショチトル 「護符を作るなら、そんなに必要ないぞ?」 結標 「?」 エツァリ 「違いますよ。変身するために剥がしたわけじゃありません」ニコニコ ~翌日 第7学区 一方通行邸~ 番外個体 「じゃ行ってくるから。留守番お願いね」 一方通行 「はいよォ」 打ち止め 「お昼は素麺が冷蔵庫に入ってるから食べてね! ってミサカはミサカは準備できる女をアピールしてみたり」 <ほら最終信号、帽子。 <わ、わ、前が見えない!ってミサカはミサカは慌てふためいたみたり。 <ガチャ バタン 一方通行 「素麺ね……どれ、一応確認しておくか」 一方通行 「ついでに珈琲でも」ガチャ 【山のような素麺】ドン! 一方通行 「……オイ……オイ。これ一人で食えってのかよ」 一方通行 「まさか晩飯も込みでこの量なのか? いや、だが夜は帰ってくるって……」ブツブツ ~30分後 第7学区 セブンスミスト付近~ 番外個体 「いい? 打ち合わせ通りにね? 名乗るときはIDカードの名前だよ?」 打ち止め 「ミサカに任せろ! ってミサカはミサカは大船に乗せてみたり」 番外個体 「そろそろ来るから……あ」 滝壺 「お待たせ」ノシ 浜面 「いやー、今日も暑いな!」 フレメア 「ミサワのお姉ちゃん、大体久しぶり」ピョンピョン 番外個体 「久しぶり、なのかな?」 浜面 「お、こっちのちっちゃい姐さんが話に聞いてた妹さんか」 番外個体 「うん、妹の最終……じゃなくて、静琴。ほらほら、挨拶」 打ち止め 「お姉ちゃんがいつもお世話になってます!」ペコリ 浜面 「これはこれはご丁寧に。浜面っていいます」ペコリ 滝壺 「私は滝壺。……ほんとに似てるね」 フレメア 「」トテトテ 打ち止め 「?」 フレメア 「」ジー 打ち止め 「??」 フレメア 「私、フレメアっていうの」 打ち止め 「フレメア、だね。よろしくねー」 フレメア 「大体、よろしくね」ニパー 打ち止め 「♪」ニパー 浜面 「フレメアにも同年代のお友達が増えたか……」グス 滝壺 「はまづら、お父さんみたい」 打ち止め 「このお兄さん、いつもこんな調子なの?」 番外個体 「大体ね」 フレメア 「大体にゃう」 滝壺 「それじゃ行こう」 フレ止め 「「♪」」ピュー 番外個体 「……速ぇ」 浜面 「おい、転ぶなよ」 ~その頃 第7学区 某所~ 婚后 「さて……執事には大見栄を切ったものの」 婚后 「どこに行けば売っているのでしょうね……」 婚后 「どなたかに尋ねてみましょうか」カチカチ Prrrr Prrrr <ヒビキアウー ネガイガイマ ピッ <はい、白井ですの。 婚后 「え?」クルッ 白井 「あら」 絹旗 「おや」 婚后 『まあまあ、真後ろにいらっしゃったのですか』 白井 『これは奇遇ですの』 絹旗 「あの、相手が前に超いるんですから電話で話さなくても」 婚后 「それもそうですわね」ピッ 絹旗 「婚后さんも超買い物ですか」 婚后 「も?」 白井 「ええ、わたくたちも買出しに来ておりましたの」 絹旗 「旅行時に超必要そうな小物類などを」 婚后 「……あ、そうですわ。それで聞きたいことがあって電話したのです」 白井絹旗 「「聞きたいこと?」」 婚后 (ルームメイトになってから、すごく息が合うようになりましたわね……) 絹旗 「それで、超聞きたいことというのは?」 婚后 「今度の旅行で使おうと思っているのですが――」 : : : 絹旗 「なるほど、それは超面白そうですね」 白井 「フレメアや、大きいお姉様の妹さんに限らず、わたくしたちでも楽しめそうですの」 婚后 「フレメア?」 絹旗 「あれ? 婚后さんにはまだ紹介してないんですか? これだから超浜面は……」 婚后 「ま、まあまあ。わたくしも高校入学直後でバタバタしておりましたし」 白井 「浜面さんと滝壺さんで保護している、小学生ぐらいの子ですの」 婚后 「その話は伺っておりました。フレメアという名前なのですね」 絹旗 「ええ。超目立つ外見なので見たら忘れないと思いますよ」 白井 「良い意味で、が抜けてますの」 婚后 「まあ、対面が楽しみでございますわね」 絹旗 「もしかしたら、超そこいらで会うかもしれませんね」 白井 「わたくしたちの行動範囲もなんだかんで決まっておりますし」 婚后 「お二人の買い物は?」 絹旗 「婚后さんが先でいいですよ、私らも超急いでるわけでもないですし」 白井 「ええ。必要なのは消耗品だけですので、最悪コンビニでも買えますの」 婚后 「まあ、なんだか申し訳ないですわね」 白井 「絹旗さんも、自分が使う分を選んでおきたいのですよ」 絹旗 「なっ……なんでそうなるんですか!」ムキー 婚后 「本音は?」 絹旗 「選ばせてください」 白井 「はい、決まりですの」 絹旗 「ゆ、誘導尋問です! 超無効です!」ウガー 婚后 「まあまあ、そう仰らずに。楽しんだものが勝ちですわよ」 白井 「さて、どこから参りましょうか」 絹旗 「この時期ならどこ行っても売ってるんじゃないですか?」 婚后 「どうせならド派手なものを選びたいですわね」 白井 「学園都市製ですから、何が飛び出るか分かったものじゃございませんの」 絹旗 「そういえば、やったことないですね」 絹旗 「学園都市製の花火、どんなもんか超楽しみです」 ~その頃 第7学区 とある病院~ ショチトル 「」ガッシャン ガッシャン ガッシャン 結標 「……あれってもうリハビリじゃなくて筋トレよね」 エツァリ 「入院中に衰えた身体を鍛え直すという意味ではリハビリなのでは?」 結標 「そうなのかもしれないけど。あんなに運動して大丈夫なの?」 エツァリ 「うーん……ここ最近はより気合が入ってるように見えますね」 結標 「理由はなんとなく分かるけどね」 エツァリ 「おや、なんですか?」 結標 「ナイショ。ヒントだけあげると……女の子の考えそうなことよ」 エツァリ 「?」 ショチトル (他人の前で水着になるんだから、無様な肉体を晒す訳には……!)ガッシャン ガッシャン 結標 「貴方だと考えても分からないかもね。あの子に直接聞いてみたら?」 エツァリ 「はは、殴られますよ」 結標 「それで済むならいいんだけどね。そろそろ終わりそうだから、飲み物買ってくるわ」 ~とある病院 歓談スペース~ 結標 「たしか自販機はこの辺……あら」 麦野 「あれ、座標移動じゃん」 結標 「麦野さんか……休憩中?」 麦野 「サボリ中」ダラダラ 結標 「いいの?」 麦野 「私らみたいなのが暇ってのはいいことでしょ?」 結標 「サボるのは別問題じゃない」 麦野 「細かいこと気にしてんじゃねーよ」 結標 「まあ、いいけど」 麦野 「アンタは今日も付き添いなの?」 結標 「そんなところね」ピッ ガコン 麦野 「あの一緒にいたイケメン君はどなたかにゃ?」 結標 「それは……アレよ」 麦野 「ふーん……この間、一緒に来た優男とはどうみても別人だけど」ニヤニヤ 結標 「」 麦野 「あれ? あれあれ? もしかしてなんかマズいこと聞いちゃった?」ニヤニヤ 結標 (そうだ、なんでアイツ素のまま来てるのよぉぉ!) 麦野 「大丈夫よぉ、誰かに言いふらそうなんてつもりはないから」 結標 「」ダラダラ 麦野 「関係ないけど、最近甘いもの食べてないのよね。誰かケーキバイキングとか奢ってくれないかにゃー」 結標 (ど、どう言い訳すれば……) 麦野 「」ジー 結標 (真相を話すわけにもいかないし、かといってこのままだと浮気女扱い……) <しずりーん!ミサカ一人に掃除押し付けてどこいきやがったぁぁ! 麦野 「あっ、やべ」 結標 「?」 麦野 「私逃げるから。じゃね」ピュー 結標 「……い、今は助かったの、かな?」 : : : エツァリ 「おや、お帰りなさい」 ショチトル (汗かいちゃった)フキフキ 結標 「」ジー エツァリ 「?」 結標 (ま、許してやるか。ショチトルも喜んでたみたいだし)ハァ 結標 「もう終わったの?」 ショチトル 「ああ。今日の分は終わりだ」 エツァリ 「この後どうされます?」 結標 「お昼食べて帰りましょ。そろそろ旅行の準備もしないといけないでしょ」 エツァリ 「そうですね。まだ何も準備できていませんし」 ショチトル 「待っててくれ。着替えてくる」パタパタ 結標 「」ジー エツァリ 「……あの、先程からどうされたんですか」 結標 (これはこれでありなんだけどなぁ) ~同日午後 第7学区 とあるデパート~ 婚后 「まあ、色々ございますわね」 絹旗 「婚后さん婚后さん、コレ超お勧めですよ」つ―> 婚后 「? これはどう使うんですか?」 絹旗 「この棒を持ってですね、ここのヒモを引っ張るんです」 婚后 「引っ張ると?」 絹旗 「この先っぽについた弾頭がパヒュッと飛んでいきます」 婚后 「だ、弾頭?」 白井 「ダメですの! これは危険すぎますの!」 絹旗 「超ちょっと派手なクラッカーみたいなもんですよ」 白井 「派手すぎますの!」 婚后 「なるほど、このヒモを引っ張ると……」クイクイ 白井 「引っ張らないでくださいましぃぃ!!」 絹旗 「むー、しょうがないですね。これは次回にということで」 白井 「こんな火薬満載のところで危ない真似はよしてください……」 婚后 「これは……また変わった花火ですわね」 絹旗 「なんか小さいですね。これじゃ味気なくないですか」 白井 「……超電磁砲花火?」 婚后 「指先に装着して使うようですわね……絶対に人に向けて撃たないようにともありますわ」 白井 「まさか、お姉様がこんな形で商品化されているとは……」 絹旗 「これ、超やってみたいんですけど」 白井 「危険ですの」 絹旗 「危険を超恐れるばかりでは何もできませんよ」 白井 「むう」 婚后 「まあまあ、もう子どもでもありませんし」 絹旗 「そうですよ、超子どもじゃありません」フンス 白井 「そこまで仰るのであれば……」 絹旗 「さて、浜面は耐えることができるでしょうか」 白井 「絹旗さぁぁん!?」 : : : 【カゴ】<ドッサリ 婚后 「これぐらいあれば事足りそうですわね」 白井 「あの、この大量のロケット花火は?」 絹旗 「あ、それ私のチョイスです」 白井 「戦争でもするおつもりですの?」 絹旗 「……そっか、それも超面白そうですね」 白井 「だーめーでーすーの!」 絹旗 「いやまあ、大量のロケット花火を一度に点火ってやってみたかったんですよ」 白井 「は、はあ」 婚后 「では、とりあえず会計を済ましてきますわね」 絹旗 「あ、私もちょっと出しますよ」 白井 「わたくしも。なんだかんだで選定に関わりましたし」 婚后 「ではお気持ちだけ」クスクス ~その頃 第7学区 セブンスミスト~ フレメア 「それは大体可愛くないと思う!」 打ち止め 「えー、可愛いもん!」 フレメア 「こっちの方が大体可愛いもん!」 打ち止め 「えー、ヒラヒラしすぎててなんかなー」 浜面 「おい、お前ら。ケンカすんなよ」 フレ止め 「「だってこの子が!」」ビシィ 番外個体 「はは、困った。自分のを選ぶ暇がなさそうだ」 滝壺 「大丈夫なの?」 番外個体 「んー、去年のがあるしね」 <じゃーこっち! <大体こっち! 浜面 「いや、ガキってのは元気がいいな」ゲッソリ 番外個体 「子守乙」 浜面 「滝壺と姐さんは買わなくていいのか?」 滝壺 「去年のがあるから」 番外個体 「私も去年のを使うことになりそうだね」 浜面 (去年の……あの写真のだよな) 浜面 (あ、やべ、鼻血が)ボタボタ 滝壺 「はまづら?」 番外個体 「えっ、やーだー。何想像してんのー?」 浜面 「ばんでもございばぜん」 フレメア 「浜面お兄ちゃん、大体こっちのほうが可愛いよね!?」 打ち止め 「そんなことないよね! こっちだよね!」 浜面 「いや、どっちもいいと思うぞ!」ポタポタ 番外個体 「……ねえ、まさか浜面さんの鼻血の原因って」 フレ止め 「「?」」 滝壺 「そんなはまづらは流石に応援できない」 浜面 「ち、違うぞ! 誤解! 誤解だぁぁぁ!」 番外個体 「二人とも、こっちおいでー」 フレ止め 「「??」」トテトテ 浜面 「露骨に距離とらないでぇぇ!!」 滝壺 「とりあえず鼻血止めて」つ【ポケットティッシュ】 浜面 「ひゃい」ツメツメ 番外個体 「うちの妹に欲情しないでくれない?」ジトー 浜面 「違うんだよぉぉ、畜生ぉぉぉ!」 フレメア 「浜面お兄ちゃんは大体どうしたの?」 番外個体 「んー、病気?」 打ち止め 「病気なんだ……大変なんだね」 浜面 「一方通行……今ならお前の気持ちがちょっと分かるぜ」グスッ 番外個体 「で、二人とも水着は決まったの?」 フレ止め 「「これにする!」」 滝壺 「じゃ、お会計だね」 浜面 (これからはロリ面とか呼ばれるのか……辛いな、一方通行) ~同日 第7学区 某所~ フレメア 「買えた買えた♪」 打ち止め 「着るのが今から楽しみー♪」 滝壺 「よかったね、気に入ったのがあって」 番外個体 「あれだけ時間かけて選べばね」 浜面 「しっかし小腹が空いたな」 番外個体 「うん、なんか軽く食べたいな」 打ち止め 「クレープ食べたいクレープ!」 滝壺 「クレープ?」 フレメア 「私も、食べたい。にゃあ」ピョンピョン 浜面 「おし、食いにいこうぜ!」 フレ止め 「「♪」」ピュー 番外個体 「……また速いこと」 滝壺 「あっ、危ない」 ~その頃~ 絹旗 「いやー、随分買ってましたね」 白井 「あの荷物、どこに送っておりましたの?」 婚后 「実家です。執事の方で、現地に送ってもらえる手筈になっておりますわ」 絹旗 「おお、執事さんが」 婚后 「そういえば、執事の方も何か考えがあるようでしたが」 白井 「お世話になりっぱなしで、申し訳ないですの」 婚后 「いいえ、向こうも楽しんでやっておりますから、お気になさらずに」 絹旗 「さて、すこし休憩でも」 <二人とも!前!前! <え?わーーー! 絹旗 「げほっ」ドカァ <ビターーンx3 婚后白井 「「」」ポカーン 白井 「い、今何が?」 婚后 「何かが、すごい勢いで絹旗さんに突っ込んでいったとしか……」 絹旗 「」ピヨピヨ 打ち止め 「」ピヨピヨ フレメア 「」ピヨピヨ 婚后 「子ども? お二人とも、お怪我はございませんか?」ユサユサ 打ち止め 「うーん……頭がグラグラ……」 フレメア 「にゃあ……あ、絹旗だ」 番外個体 「二人とも、ちゃんと前を見ないから!……あれ?」 白井 「あら、大きいお姉様?」 浜面 「すいませんすいません! うちのがご迷惑を……あっ、なんだ、絹旗か」 絹旗 「なんだとはなんですか! 人を超撥ね飛ばしておいて!」 滝壺 「大丈夫だった?」 絹旗 「ええまあ、どうにか」 婚后 「滝壺さんにミサワさん? ということは、こちらの子たちが……」 番外個体 「えーと、うん。そっちの茶髪のほうは私の妹」 打ち止め 「えと、えと、お姉ちゃんの妹で打ち、じゃなくて静琴です」フラフラ 婚后 「まあ、そっくり……それより、大丈夫ですか?」ナデナデ 打ち止め 「は、はい、もう大丈夫!」キリッ 白井 「ち、小さい大きいお姉様!? まあまあまあまあ、なんと可愛らしい!」ハァハァ 番外個体 「落ち着け」ズビシッ 絹旗 (超久々に白井さんらしいところをみました) 滝壺 「この子は、今私たちの家で預かってるの。ほら、ご挨拶は?」 フレメア 「私、フレメア=セイヴェルン」ペコリ 婚后 「お人形さんのような子ですわね。わたくしは婚后と申します」 フレメア 「婚后……すぽんさーのお姉ちゃん?」 婚后 「?」 浜面 「ああ、悪い。俺が旅行のスポンサーだって教えちゃったんだよ」 婚后 「まあ、スポンサーと言えばそうかもしれませんわね」クスクス 絹旗 「まさかこんな形で出会うとは、超びっくりですね」 フレメア 「ねー、絹旗。今日はユリコは?」 絹旗 「超お留守番です」 フレメア 「ぶー」 打ち止め 「ユリコって?」 フレメア 「絹旗のネコさん」 番外個体 「そうだ。ユリコだったらあなたでも触れるかもね。私からも逃げないし」 打ち止め 「え!? ホント!? ホントにホント!?」 婚后 「ところで、みなさんは何を?」 滝壺 「買い物帰り。でクレープ食べたいっていうから行くところだった」 浜面 「お嬢たちも、よかったらどうだ?」 白井 「では、ご一緒させて頂きますの」 番外個体 「ほら、みんな行くよ。遅くなっちゃうから」 絹旗 「……フレメア。他の人はお兄ちゃんかお姉ちゃんなのに、なんで私だけ絹旗なんですか」 フレメア 「大体絹旗だから」 打ち止め 「絹旗もクレープ行こうよ」グイグイ 絹旗 「ほら、超伝染しちゃったじゃないですかぁ!」ムキー ~第7学区 とある公園~ 浜面 「買ってきたぞー!」フンス フレメア 「ちょうだいちょうだい」 番外個体 「はい、あなたはトリプルベリーであってるよね?」 打ち止め 「うん、それ!」 滝壺 「みさわのって、カフェオレ味?」 絹旗 「ミサワさんって何食べるにしても超コーヒー系統なんですね」 番外個体 「好きで食べてるんだから、ほっといてよ」 打ち止め 「」ハムハム フレメア 「」ジー... 打ち止め 「……」 フレメア 「」ジー... 打ち止め 「一口味見してみる……?」 フレメア 「えっ、いいの?」 打ち止め 「う、うん。一口だからね」 フレメア 「♪」ハムハム 婚后 「まあ、なんと微笑ましい光景でしょうか」 白井 「あまりにイノセントすぎて、直視できませんの」 絹旗 「にしても、この二人いいコンビですね」 婚后 「……あの、こう言ってはなんですがトリオでは?」 絹旗 「?」 白井 「偶然なのでしょうが、3人並んで座ってる光景をみると」 番外個体 「ちびトリオ」ケラケラ 絹旗 「なっ、なんで私まで序列に加えられてるんですか! 超おかしいですよ!」 フレメア 「ねーねー、絹旗のも大体一口味見させて」クイクイ 打ち止め 「こっちにも一口ちょうだい」クイクイ 絹旗 「超ダメです。これは私のです」 フレ止め 「「超ケーチー」」 絹旗 「真似しないでください!」ムキー 浜面 「まあ、似たようなもんだろうな。うん」 滝壺 「きぬはたとフレメアはすぐ仲良くなれたしね」 番外個体 「へー、そうなの?」 浜面 「アイツにも思うところはあるんだろうけどよ……結果良ければすべて良しってな」 フレメア 「ねー、絹旗ー」 打ち止め 「一口ー」 絹旗 「ダメですってば! 私だってクレープなんて超久々なんですから!」 滝壺 「二人とも、きぬはたも困ってるよ」 フレ止め 「「はーい」」 : : : フレメア 「超おいしかった、にゃあ」 浜面 「たまには甘いものも悪くねえな」 番外個体 「浜面さんが追加注文するなんて思わなかったよ」 浜面 「クレープなんてハイカラなもん、こんなときじゃねぇと食えないだろ」 絹旗 「確かに、浜面が一人でクレープを買ってる姿を超想像したらぶふぃー」 浜面 「笑うな、自覚はある」 <おや、偶然ですね。 白井 「あら、海原さん」 海原 「皆さんお揃いで」ニコニコ 結標 (あっぶない。慌てて変身させたけど、見られてないわよね?) ショチトル 「……義姉さん、知り合いか?」 結標 「え? ええ、みんな友人よ」 婚后 「そちらの方は?」 海原 「いい機会なので紹介します。彼女は僕の義理の妹ですよ」 ショチトル 「え、えと」 結標 「名前」ボソッ ショチトル 「あ、ショチトル、です」 絹旗 「絹旗っていいます。超よろしく」 浜面 「おお、海原の妹さんか。俺は浜面っつうんだ。こっちのちっこいのは」 フレメア 「フレメア=セイヴェルン」パタパタ 滝壺 「滝壺です」 結標 「あら、フレメア。会うのは2回目かしら」 フレメア 「大体2回目、にゃあ」 ショチトル (血縁には見えないな、私と似たようなものなのかな) 白井 「わたくし、白井と申します。よろしくお願い致します」 婚后 「婚婚と申します。お兄様とは仲良くさせて頂いておりますわ」ペコリ ショチトル 「これはご丁寧に。出来の悪い兄で苦労をかける」ペコリ 婚后 「そんなとんでもないことです。紳士な方で素敵ではございませんか」 ショチトル (そ、そうなのか) 番外個体 「……あなたって、もしかしてうちの店に来たことある?」 ショチトル 「……あっ、マスター? マスターじゃないか?」 結標 「あれ? 会ったことあるの?」 番外個体 「前に、道を教えてほしいって店に迷いこんできたことが」 ショチトル 「まっ、迷っていたのではなく! あくまでも確認のために」 番外個体 「ともかく。私はマスターじゃなくてミサワって呼べばいいから。こっちのアホ毛は」 打ち止め 「妹でーす」ミョンミョン ショチトル 「あ、ああ。改めてよろしく」 フレメア 「お兄ちゃんは?」 海原 「海原と申します。よろしくお願いしますね」ニコニコ フレメア 「大体よろしく」 絹旗 「海原さんたちも超買出しですか?」 海原 「いえ、今日は病院の付き添いですよ」 婚后 「退院できたとはいえ、大変ですわね」 ショチトル 「大丈夫。日常生活に支障はない」 結標 「偶然だけど、これで旅行に行くメンバーが全員揃ったことになるのね」 番外個体 「いや、うちの人がいないんだけど」 結標 「あら、うっかり」 番外個体 「わざと?」 結標 「何のこと?」 海原 「お二人とも、それぐらいになさってください」ナデナデ 結標 「っ……まあ、貴方がそこまで言うなら」 婚后 「せっかくですので、当日の動きも確認致しましょう」 滝壺 「たしか、現地集合だったよね」 浜面 「え、沖縄にか?」 白井 「いえ、合流ポイントは羽田空港ですの」 フレメア 「羽田空港って大体どこ?」 結標 「東京都の端っこよ」 打ち止め 「なんでみんな一緒に行かないの?」 結標 「さすがに人数が多すぎるからね」 絹旗 (まるで保母さんですね) 番外個体 「チェックインは何時からだっけ?」 婚后 「8時半からですわね」 白井 「とすると、そこそこ早く出発しないとなりませんの」 滝壺 「フレメア、寝坊しないようにしないとね」 フレメア 「にゃあ」 番外個体 「あなたもだよ」 打ち止め 「むしろあの人の心配をしたほうがいいかも」 浜面 「ま、当日は遅れないようにってことだな!」 絹旗 「遅れたら超容赦なく置いていかれますので」 海原 「後日、そこには一人取り残された絹旗さんの姿が」 絹旗 「超ないですから! 私には目覚ましでテレポ屋さんの白井さんがいますから!」 白井 「絹旗さんはわたくしをなんだと思ってますの!」 ショチトル 「賑やかだな。いつもこうなのか?」 結標 「一年以上前からずっとこうよ」クスクス 婚后 「ささ、日も傾いてきましたし、そろそろお開きとしましょう」 滝壺 「次に会えるのは空港かな?」 絹旗 「そうですね、何気に超もうすぐですし。では、また当日に」 ~同日夜 第7学区 常盤台新寮~ <ガチャ 白井 「はぁ、門限には間に合いましたの」 絹旗 「いやー、暑い中歩きまわると超疲れますね」 白井 「ユリコは?」 絹旗 「ちゃんと寮監から回収してきましたよ」 ユリコ 「(・ω・)」プンスコ 絹旗 「遅くなっちゃったのは謝りますから、怒らないでくださいよー」 白井 (これ、怒ってるんですの?) 絹旗 「ほら、海苔ですよ海苔」つ■ ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」 白井 「絹旗さん、シャワーはどうされますか?」 絹旗 「超お先にどうぞ」 白井 「では、お先に頂きますわね」 絹旗 「はいはい、ごゆっくり」 ~シャワーシーン省略~ 白井 「絹旗さん、空きましたの」 絹旗 「超了解です。じゃ、これ続きお願いします」 白井 「……ねこじゃらし?」 ユリコ 「(・ω・)」ジー 白井 「ああ、そういうことですの」 絹旗 「帰りが予定より遅くなったせいで、超ふてくされ気味なので」 白井 「そういうことであれば、仕方ございませんわね」フリフリ ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」 絹旗 「あれー。私のバスタオル見ませんでした?」ゴソゴソ 白井 「いえ、知りませんが」 絹旗 「おっかしいですねぇ」ゴソゴソ ユリコ 「(*・ω・)」ゴロゴロ 白井 「そういえば」 絹旗 「はい?」 白井 「今回の旅行、ユリコもお連れするおつもりで?」 絹旗 「超当然です。ユリコにとっては思いっきり外を走り回れる数少ない機会ですし」 白井 「まあ、ほとんど室内飼いですものね」 絹旗 「だって、もし、もしですよ……外に放して車に轢かれでもしたら、私、きっと……」 白井 「……」 絹旗 「スト2のボーナスステージみたいに、車を超フルボッコにしちゃいます」 白井 「」 絹旗 「いや、それでも収まるかどうか……」 白井 「ト、トラブルを避けるための室内飼いはわたくしも賛成ですの」 絹旗 「ですよね。で、バスタオルが超本格的に見つからないんですが」 白井 「ユリコが鎮座してるこれは違いますの?」 絹旗 「あっ」 ユリコ 「( -ω-)」 ~同じ頃 第18学区 婚后邸~ 婚后 「ただいま戻りました」 エカ 「(゚-゚)」クルッ 婚后 「いい子にしてましたか? 今、食事を用意いたしますわね」 エカ 「♪」 婚后 「あ、そうそう。連絡もいたしませんと」カチカチ Prカチャ 執事 『何かご入用でございますかな』 婚后 「いえ、業務連絡ですわ」 執事 『左様で』 婚后 「先日お話した品、今日付けでお送りいたしましたので」 執事 『畏まりました。後はお任せください』 婚后 「ええ、頼みますわね。花火とはいえ火薬ですので、扱いには気をつけてください」 執事 『心得ております』 婚后 「そういえば、貴方の方でも何か用意していると言っていましたが」 執事 『ええ。夕食に少々の工夫を』 婚后 「工夫ですか?」 執事 『天気と相談になりますが、星空を見ながらの食事など、洒落ておりましょう』 婚后 「あら、素敵ですわね」 執事 『本音を言いますと、私が楽をするための口実でございます』 婚后 「お上手ですこと」 執事 『ふふ、では当日を楽しみにしておりますぞ』 婚后 「ええ、それではまた現地で」ピッ エカ 「( ゚-゚)」シュルシュル 婚后 「はいはい、今用意いたしますわ」 エカ 「♪」 ~同じ頃 第7学区 番外通行邸~ <ガチャ バタン 一方通行 「ン、戻ったか」 番外止め 「「ただいまー」」ダキッ x2 一方通行 「ひっつくな、暑い重いウゼェ」 番外個体 「口ではそう言いながら、実力行使には絶対でないんだよね」ペロペロ 打ち止め 「あなたのツンデレっぷりはもう周知の事実なのだ! ってミサカはミサカは現実を突きつけてみたり」ベタベタ 一方通行 「……メンドクセェ」ハァ 番外個体 「そう言わずに。今から夕食の準備するからさ」 打ち止め 「ミサカはお風呂の準備してくるね! ってミサカはミサカはお風呂場に猛ダッシュしてみたり」ピュー 一方通行 「オイ、帰ったばかりで騒々しくすンな。ちっと休ンでからでいい」 番外個体 「でもお腹空いてない?」 一方通行 「ガキじゃあるめェし、メシの1つや2つ待てるっつうの」 <え?なに、素麺全部食べたの? 一方通行 「なンかマズかったか?」 番外個体 「いや、よく食べ切れたなーと思って。あんなチャレンジメニューみたいの」 一方通行 「……多いって認識はあったのか」 番外個体 「うん、手滑らせてありったけの素麺お湯に落としちゃって」 一方通行 「」 番外個体 「どうせ余るだろうから、なんか手加えて夕飯にしようと思ってたのに」 一方通行 「言われなきゃ分からねェに決まってンだろ!」 番外個体 「分かれよ」 一方通行 「フザけンな!」ムキー 打ち止め 「お風呂30分ぐらいでわくからねー、ってミサカはミサカは報告してみたり」 番外個体 「はーい、お疲れ様ー」ナデナデ 一方通行 「俺が悪ィのかよ、ったく……」カシュッ 番外個体 「すーねーるーなーよー。夕飯はあなたが大好きなもんにしてあげるから」 : : : 番外個体 「はい、珈琲淹れた」コトッ 一方通行 「あァ、悪い」 番外個体 「ちょっと気になってるんだけどさ」 一方通行 「ン?」 番外個体 「今の状態でも、本っ当に最低限の反射は出来てるんだよね?」 一方通行 「紫外線ぐらいしか反射できねェぞ」 番外個体 「あ、なら十分だ」 一方通行 「出来てなけりゃ、今頃皮膚がやられてるだろォが。見た目通りの軟弱肌なんだからよ」 番外個体 「うん、それ心配してた。南国の日差しなんて耐えられるのかなって」 一方通行 「大丈夫だ、心配すンな」 番外個体 「うん、よかったよ」 打ち止め 「ワーストお風呂はいろー、ってミサカはミサカは誘ってみたり」トテテテ 番外個体 「はいはい、今行くー」 ~同じ頃 第7学区 浜滝邸~ 浜面 「フレメア、さすがにそれはよろしくないぞ」 フレメア 「やーだー」 滝壺 「どうしたの?」 浜面 「いやな、今日買ってきた水着着てフロ入るっつうんだよ」 フレメア 「だって大体早く着てみたいもん」 浜面 「いや、着るだけならフロじゃなくてもいいだろ? 水着でフロってなマナー違反なんだぞ」 フレメア 「やーだー」 滝壺 「ねえ、フレメア。お楽しみは後にとっておいたほうがいいと思うよ」 フレメア 「ぶー」 滝壺 「うーん……はまづら、お風呂ってもう沸いてる?」 浜面 「いや、まだ水だぜ」 滝壺 「じゃフレメア。ちょっとだけね」 フレメア 「?」 滝壺 「お風呂が沸くまでの間、水着でお風呂場に行っていいよ」 フレメア 「やったやった」ピョンピョン 滝壺 「じゃほら、着替えておいで」 フレメア 「♪」ピュー 浜面 「よかったのか」 滝壺 「試着せずにサイズだけで見てたみたいし、ちょうどよかったかも」 浜面 「なるほどなぁ」 <浜面ー、手伝ってほしいー。 浜面 「ああ? はいはい、ただいま」 滝壺 「」グイッ 浜面 「いでででで!? 耳引っ張らないで! 耳痛い!」 滝壺 「私が行く。はまづらは待ってて」 浜面 「……そ、そうだな。それがいいよな!」 ~10分後~ フレメア 「ねー。似合う? 似合う?」クルクル 浜面 「おお。すげぇ似合ってるぞ!」 滝壺 「サイズもぴったりでよかったね」 フレメア 「なんか海、すごい楽しみ」wktk 浜面 「そうだな。海なんて俺も久しぶりだからな、楽しみだぜ」 フレメア 「♪」ピョンピョン 浜面 「……ところで滝壺、どう言いくるめて着替えさせるんだ?」 滝壺 「そこまで考えてないよ」 <ピー 浜面 「おっと、フロが沸いたか」 フレメア 「えっ? えっ? 大体、水遊びは?」 滝壺 「お風呂沸くまでの約束だったから、おしまいね」 フレメア 「ふぎゃぁぁぁぁぁ」 ~同じ頃 第18学区 結標海原邸~ ショチトル 「私で最後の筈だから……お風呂のお湯は抜いてしまっていいか?」 エツァリ 「あ、ダメです。明日の洗濯に使いますので」 ショチトル 「……わ、分かった。しかし、今日は疲れてしまったな」 結標 「それ以上に焦っちゃったわよ」 ショチトル 「?」 結標 「だって、こいつが素顔のときにみんなと出くわすなんて想定してないもの」 エツァリ 「困らせてしまったようで、恐縮です」 結標 「まあ、いいけどね」 結標 (やっぱり素顔のほうが) ショチトル (いいなぁ) エツァリ 「?」 結標 「そういえば貴方たち、準備は進んでるの? 直前でバタバタするのはご免よ」 エツァリ 「必要なモノは揃えてあるので、あとは詰め込むだけですよ」 結標 「やれるなら早いうちにやっちゃったほうがいいと思うけど」 エツァリ 「仰る通りですね」 ショチトル (どうしよ……何も手をつけてない) エツァリ 「ショチトルは、問題なさそうですか?」 ショチトル 「え? あ、ああ、問題ない」 結標 「早めに準備するのも大事だけど、すぐ必要になるものをしまってもダメだからね」 ショチトル 「分かっている」 結標 「さーて、私先に寝るわね」 ショチトル 「え? もう?」 結標 「夜更かしはお肌の大敵なのよ。じゃ、オヤスミ☆」 <バタン ショチトル 「……私もそろそろ」 エツァリ 「ええ、お休みなさい」 ショチトル 「うん。お休み」 ~2時間後 結標海原邸 ショチトル個室~ ショチトル 「荷造りはこんなものかな……」 ショチトル 「疲れたし、いい加減寝るとしよう」 ショチトル 「あれ? 寝るときの服……あー!」 【キャリーバック】 ショチトル 「この中だ……」 ショチトル 「しかも部屋着類は一番奥の方じゃないか」 ショチトル 「……出す、しかないよね」 【キャリーバッグ】<カパッ ショチトル 「……」 ショチトル 「うう……面倒くさい。眠いのに……」 ショチトル 「……義姉さんに頼めば出してもらえるのかな、ってもう寝てるんだ……」 ~8月上旬早朝 第7学区 常盤台新寮エントランス~ 絹旗 「ユリコー、これに入ってください」 ユリコ 「(・ω・ ) ) )」 絹旗 「目的地に着くまで、超ちょっとの辛抱ですからね」 白井 「超ちょっとという時間でもないと思いますが……」 絹旗 「超大丈夫ですよ。ユリコはこの中大好きですから」 白井 「まあ、ユリコは賢いですし」 絹旗 「飼い主に似て、超賢くて超可愛いでしょう」フンス 白井 「え?」 絹旗 「いや、そこでその反応は超おかしくないですか」 白井 「絹旗さんは可愛い部類でしょうが、淑女たるもの、自分で言うものでもございませんの」 絹旗 「えー。そんなもんなんですかね」 白井 「そんなもんですの」 絹旗 「まあ、私の魅力など私が言わなくても超伝わるでしょうけども」 白井 「自然に伝わってこその魅力ですの」 絹旗 「なんか分かる気もします」 寮監 「なんだ、お前たち。もう出るのか」 白井 「寮監、おはようございます」 絹旗 「おはようございます」 寮監 「分かっているとは思うが、羽目を外さぬようにな。特に絹旗」 絹旗 「え、なんで名指しなんですか」 寮監 「普段の自分の行いを鑑みてみろ」 白井 「ですの」 絹旗 「むう」 寮監 「白井が付いていれば大丈夫……きっと大丈夫だ……うん、大丈夫だろう」 白井 「寮監!? なぜそこで自分に言い聞かせますの!?」 絹旗 「」プギャー 白井 「笑うところではございませんの!」 寮監 「滅多にない機会だからな。常識の範疇で、思い切り楽しんでこい」 白井 「か、かしこまりました。では、行ってまいりますの」 絹旗 「お土産には食べ物と置物、どっちがいいですか?」 寮監 「食べ物」 絹旗 「超了解です。じゃ、楽しんできます」 ピーッ ガチャ バタン 絹旗 「さて、どこから行きましょうか」 白井 「第11学区のゲートに向かいましょう。そこから表に出れるハズですの」 絹旗 「この時間じゃバスも動いてませんね」 白井 「ええ。まだ始バスの時間までちょっとございますわね」 絹旗 「てことは、テレポかタクシーで移動するこ「さ、タクシーを捕まえましょう」 絹旗 「超即断ですね」 白井 「先は長いのに、こんな早朝から疲れ果てるのはご免ですの」 絹旗 「疲れるといえば。制服のままも超疲れますし、どっかで着替えちゃいましょうよ」 白井 「学園都市の外に出てからにしますの」 ~タクシーで移動中~ ブロロロロ... 絹旗 「……あ! 止めてください!」 白井 「え?」 キキーッ ゴンッ 白井 「いたたた……おでこが……どうしましたの、急に」サスサス 絹旗 「あれ、婚后さんですよね?」 白井 「あら」 絹旗 「婚后さーん」ノシ 婚后 「あら、絹旗さん?」 絹旗 「超奇遇ですね。ゲートまで行くなら、乗ります?」 婚后 「まあ、よろしいのですか?」 絹旗 「せっかくですし」 白井 「運転手さん、友人なのですが乗せても平気ですか?」 運転手 「大丈夫だ、問題ない」 婚后 「では失礼いたしますわ」バタン 絹旗 「じゃ、運転手さん。引き続きお願いします」 ブロロロロ... 婚后 「? 白井さん、おでこが赤いですが」 白井 「なんでもございませんの」 絹旗 「」プププ 白井 「笑わないでください!」 婚后 「?」 絹旗 「この分だと、超早く到着できそうですね」 婚后 「そうですわね。この時間ならゲートの手続きも混んでいないでしょうし」 白井 「余裕がある分には問題ないかと」 絹旗 「さて、皆さん時間までに来るといいのですが」 ~その頃 第7学区 番外通行邸~ 番外個体 「最終信号、準備は?」 打ち止め 「おk! ってミサカはミサカは準備万端であることをアピールしてみたり!」 番外個体 「で、あの人、まだ起きてないの? もう置いてこっか」 打ち止め 「ダーメーなーの! ミサカが起こしてくるから待ってて!」ドタタタ <起きて起きて起きてー! <ドンガタッバゴン <ごォォォ!? 番外個体 「狙い通り」ニヤニヤ : : : 一方通行 「」ポケー 番外個体 「時間も余裕ないから、ご飯食べてる暇ないよ」 一方通行 「珈琲だけくれ。缶でいいから」 番外個体 「はい」ポイッ 一方通行 「ン」パシッ 打ち止め 「もー。ちゃんと起きてって言ったのに。ってミサカはミサカはぶーたれてみる」ブーブー 一方通行 「慣れないことはするもンじゃねェ」 番外個体 「困るわ、それじゃ。まったく、本当に朝弱いんだから」 一方通行 「まだ遅刻確定って時間でもねェだろ?」 打ち止め 「でも、余裕もそんなにないよ、ってミサカはミサカは時計を気にしつつ指摘してみたり」 一方通行 「はいはい。じゃ、行くとしますかねェ」 番外個体 「バッテリは?」 一方通行 「夜中に充電した。問題はねェ」 番外個体 「よろしい」 打ち止め 「仮に切れたとしても、ミサカかワーストが充電してあげるからね!」 一方通行 「まァ、万が一のときには頼むかもな」 番外個体 「できるならそうならない方がいいんだけどね」 一方通行 「覚えておく」 打ち止め 「じゃ、しゅっぱーつ! ってミサカはミサカは手を振りあげてみる!」 番外個体 「帽子忘れてるよ」ポスン 打ち止め 「わっ、わっ、前が見えない!」 一方通行 「オマエ、人に偉そうなこと言っておいて自分も忘れもンかよ」ケラケラ 番外個体 「人のこと言えないのは同じでしょ。はい、杖」 一方通行 「ああ、悪ィ」 打ち止め 「じゃ、じゃあ改めてしゅっぱーつ! ってミサカはミサカは帽子を直しつつ宣言してみたり」イソイソ 番外個体 「しゅっぱーつ」 一方通行 「今度こそ忘れもンはねェな」 番外個体 「大丈夫だよ。こっちゃあなたが寝てる間にも準備してたんだから」 一方通行 「そりゃ結構なことで」 打ち止め 「ワースト、テーブルに携帯置き忘れてるよ、ってミサカはミサカは指差しつつ教えてみたり」 番外個体 「」 一方通行 「お、いいねェその表情。今まで見た中じゃ2番目にイイ表情だぜェ」ニヤニヤ 番外個体 「……ぅ、ぐぬ……」プルプル 一方通行 「さァて、今度こそ行くとするか」 打ち止め 「しゅっぱーつ!」 ~その頃 第7学区 とある大通り~ 浜面 「おーい! おーーーい!」ノシ 滝壺 「あっ、行っちゃったね」 フレメア 「タクシーが全然捕まらない、にゃあ」 浜面 「なんでだよ、なんで回送か送迎しか走ってねぇんだよぉぉ!」 滝壺 「この時間だとタクシーも仕事終わりなのかも」 浜面 「参ったな。流石にゲートまで歩くには途方も無い距離があるからな……」 滝壺 「とりあえず大通り沿いに歩きながら。タクシーが見えたらまた挑戦すればいいよ」 浜面 「今はそれが一番か……仕方ねぇ!」 フレメア 「大体歩くの?」 浜面 「少しだけな」 フレメア 「少しだけ」 : : : フレメア 「」カチカチ 浜面 「おい、フレメア。歩きながら携帯いじるのは危ないぞ」 滝壺 「何やってるの?」 フレメア 「みさわ妹からメール来たから、返信してたの」 滝壺 「もう出発したって?」 フレメア 「うん、大体出発したって」 浜面 「向こうも出発したのか」 滝壺 「みんなも移動してるのかな」 浜面 「この時間ならもう移動してるんじゃねぇかな」 フレメア 「あっ」 滝壺 「どうしたの?」 フレメア 「今タクシーに乗ったってメールがきた」 浜面 「なにぃぃ! くそ、なぜだぁぁ! なぜ俺達はタクシーに振り向いてもらえない!」 滝壺 「大丈夫だよ、タクシーに嫌われてるはまづらも応援してる」 浜面 「嫌われてんの!? そりゃ庶民だからタクシーなんて滅多に乗らねぇけどさ!」 フレメア 「大体、私がやってみる」フンス 浜面 「フレメアが? タクシー止めんの?」 滝壺 「それじゃ、やってみて」 フレメア 「まかせて」トテトテ 浜面 「大丈夫なのか?」 滝壺 「何事もチャレンジだよ」 <キキー 浜面 「えっ」 滝壺 「あっ」 フレメア 「タクシー止めた、にゃあ」トテテテ 浜面 「」 滝壺 「やったね、フレメア」ナデナデ フレメア 「♪」 滝壺 「はまづら、乗ろうよ」 浜面 「そ、そうだな、乗ろう」 ~その頃 第11学区 とある路地~ 結標 「さーて、この辺ね」 海原 「事前に場所もリサーチ済みとは、恐れいります」 結標 「適当に飛ばして地面に埋まったら、ショチトルが可哀想でしょ」 ショチトル 「それは確かにイヤだが」 結標 「待ち合わせ場所は、駅の改札ね」 海原 「心得ています」 結標 「大丈夫だとは思うけど、なんかあったらイヤだから。飛ばしたあとはさっさと離れてね」 ショチトル 「ああ、分かった」 結標 「じゃ、準備はいい?」 ショチトル 「ま、待ってくれ」 結標 「どうしたの?」 ショチトル 「転移されるのは初めてなんだが……痛かったりしない?」 海原 「大丈夫ですよ、ちょっとふわっとするだけです」 ショチトル 「本当に?」 海原 「本当です」 結標 「大丈夫よ。自分以外を飛ばすときの精度なら自信があるわ」 ショチトル 「……分かった、信じる」 結標 「じゃ、一人ずつ飛ばすからね」 海原 「いっぺんに、じゃないんですね」 ショチトル 「手間じゃないのか?」 結標 「手間だけど。いくらお兄ちゃんでも、物理的にくっつくのは嫌でしょ?」 ショチトル 「ぅ……でも、お兄ちゃんなら……」ゴニョゴニョ 結標 「はいはい。じゃ、いくわよ」 フッ ショチトル 「あ、消えた」 結標 「次は貴女の番ね」 ショチトル 「え、ちょ、ちょっとま」 フッ 結標 「これでよし、と」 [[携帯電話]]<アイシアウー フターリー シーアワセノー ソラー♪ 結標 「はい、もしもし」 海原 『あ、僕です。こちらは問題ございませんので』 結標 「当然でしょ。私が飛ばしたんだもの」 海原 『ふふ、ごもっともですね』 結標 「じゃ、後で。改札でね」 海原 『お待ちしております』ピッ 結標 「さーて。私もさっさといかないとね」 チンピラ 「よう、姉ちゃん。朝帰り?」 チンピラ 「俺達と延長戦とかどう?」 結標 「邪魔」 フッ x2 結標 「もー、朝から気分悪いなぁ。早くここ離れましょ」コツコツ ~同日朝 羽田空港 第一旅客ターミナル~ 絹旗 「いやー、超寝てたら着いちゃいましたね」 白井 「婚后さんが起こしてくれなければ、危うくそのまま引き返してしまうところでしたの」 婚后 「いいえ、わたくしとて直前まで微睡んでおりましたから」 絹旗 「で、まだ誰も来てないようですね」 婚后 「待ち合わせの時間まではまだございますし」 絹旗 「ところで、どっか着替えれる場所ってないですか」 婚后 「着替えですか?」 白井 「制服だと疲れるそうで」 婚后 「エアポートラウンジならシャワールームもございますが、たしか入室条件があったかと」 絹旗 「むー、超仕方ないですね。現地まで耐えますか」 白井 「耐えるというほどのものでもございませんでしょうに」 絹旗 「あっ、お手洗いっていう手が」 白井 「やめてください、お願いですから」 絹旗 「超冗談ですよ。さすがにそこまではしません」 白井 「ならよいのですが」 婚后 「絹旗さんも相変わらずですわね。良い意味で」 絹旗 「私は超ブレませんので」フンス : : : 絹旗 「」モフモフ 婚后 「まあ。では、朝食をとらずにここまで?」 白井 「今にして思えば、前日にパンなり用意しておけばよかったのですが……」 絹旗 「」ゴクン 婚后 「それで、今軽く食べてるということですのね」 白井 「ですの」モフモフ 絹旗 「それにしても、誰も来ませんね」 婚后 「まあ、まだ時間には余裕がございますし」 絹旗 「そうだ。誰が最初にくるか予想してみませんか?」 白井 「予想ですか」 絹旗 「はい。で、正解者には何か超お得な特典を」 婚后 「特典と申しますと?」 絹旗 「んー……ケーキバイキングにご招待とか」 婚后 「よろしいですわ。受けて立ちましょう」 白井 「あら、ここでわたくしだけ引き下がるのも不公平ですわね」 絹旗 「超決まりですね」ニシシ 婚后 「誰か、と申しましたがおそらく、いえ確実に3グループに分かれていらっしゃる筈です」 白井 「ですの。3家族、とも申しましょうか」 絹旗 「滝壺さんのところ、ミサワさんのところ、結標さんのところですね」 婚后 「この中で、次に到着しそうな人たちと申しますと……」 白井 「考えてみると、トラブルにでもあわない限り大幅に遅刻しそうな方はおりませんの」 絹旗 「超僅差っぽいですよね」 婚后 「これは接戦ですわね」 絹旗 (滝壺さんはしっかりしてるように見えて実は超のんびり屋さんです。加えて超浜面とフレメアもいるとなると……) 絹旗 (除外ですね。ミサワさんと結標さんでは……) 絹旗 (割と几帳面な海原さんを抱える結標さんが超有利でしょうか。いざとなればテレポですし) 白井 (子どもというのは、イベントの日には驚くべきポテンシャルを発揮するもの) 白井 (フレメアか、小さい大きいお姉様がいち早く起きて家人を叩き起こすことは十分考えられますの) 白井 (大きいお姉様も、振る舞いはラフに見えて内面しっかりしている方。これは決まりでしょうか) 婚后 (ミサワさんは以前愚痴っておりましたわね。彼は朝が弱い、と) 婚后 (となると、滝壺さんか結標さんか) 婚后 (……滝壺さんでしょうか。どんな時でも平常心で動いておられますし) 絹旗 「シンキングタイム超終了です」 白井 「お二人とも、結論は出ましたか?」 婚后 「ええ、色々な可能性を考慮した上で、わたくしなりに出させて頂きました」 絹旗 「では超発表といきましょうか」 白井 「よろしいですの」 絹旗 「はい、せーの」 絹旗 「結標さんで」 白井 「大きいお姉様ですの」 婚后 「滝壺さんかと」 絹旗 「おお、見事にバラけましたよ」 婚后 「勝者は一人だけ、ということですわね」 白井 「いつだって勝者は一人ですの」 絹旗 「では、後は結果待ちですね」 ~10分後~ 絹旗 「! あ、あの姿はまさか!」 白井 「絹旗さん、ご存知ですの!?」 婚后 「白井さんもお分かりでしょう」 絹旗 「ああ、私の手からケーキバイキングが零れていきます……」 白井 「負けは負け、ですの」 フレメア 「あ、お姉ちゃんとお姉ちゃんと絹旗だ」トテテテ 浜面 「なんだ、お嬢たち早いな」 滝壺 「おはよ。……きぬはた、どうしたの?」 絹旗 「敗者の余韻を噛み締めているんです」orz 白井 「みなさんも、お早いですわね」 浜面 「いやな、学園都市で捕まえたタクシーの運転手がフッ飛ばしてくれてな」 婚后 「?」 滝壺 「はまづらが"ちと遅れ気味だなぁ"って呟いたら"お急ぎですかい?"って」 フレメア 「クレイジータクシーみたいで楽しかった、にゃあ♪」ピョンピョン 浜面 「死ぬかと思ったわっ」 婚后 「わたくしだと無事では済まなかったでしょうね……」 絹旗 「超畜生……私の分析は超カンペキな筈なのに……」 白井 「ほら、いつまで凹んでますの」 フレメア 「絹旗はどうしたの?」 婚后 「甘いものが食べれなくなって残念がっているのですよ」 浜面 「なんだなんだ、甘いもんが欲しいのか?」 絹旗 「超浜面には関係ないです」 滝壺 「フレメア、あれちょっと分けてあげて」 フレメア 「わかった」ゴソゴソ 絹旗 「?」 フレメア 「はい、絹旗にあげる」つ【ミルキー】 絹旗 「……」 婚后 「絹旗さん、よかったですわね」 白井 「これ、とても美味しいんですよね」 浜面 「よかったな、絹旗!」ナデナデ 絹旗 「私をなんだと思ってるんですかぁー!」ゴスッ 浜面 「ほが」 フレメア 「すごいすごい、ヘッドバットだ」 滝壺 「今のはちょっと痛そうかも」 浜面 「いやいや、なんともないぜ!」ポタポタ ~更に10分後~ <あ、フレメアー フレメア 「あ、みさわ妹だ」トテテテ 白井 「はっ、大きいお姉様」トテテテ 婚后 「……なんといいますか」 番外個体 「ほら、もー、寝ながら歩かないでよ! 危ないっつの!」 一方通行 「」ウトウト 浜面 「なにやってんだ、超能力者」 絹旗 「あ、あれ……私は最下位予想をしたつもりじゃ……」 滝壺 「みさわ、あくせられーたは大丈夫なの?」 番外個体 「これ、貨物室でいい?」 白井 「あ、あのそれはあまりに無体かと」 打ち止め 「あっ、その帽子可愛いー」 フレメア 「ふふん、大体いいでしょー」フンス 番外個体 「ほら、起きて。初対面の人もいるでしょ」ゲシッ 一方通行 「イテッ……あァ、初対面?」ジロリ フレメア 「大体白い」 打ち止め 「フレメア、見た目はちょっと怖いけどいい人だから、仲良くしてあげてね」 絹旗 「あ、ど、どうも」 白井 「はじめまして」ペコリ 婚后 「お噂はかねがね伺っておりますわ、ええと……」 一方通行 「一方通行でいい。うちの性悪が世話になってるな」 番外個体 「性悪!? あなたに言われちゃお終いだねぇ」 一方通行 「あァ!? 性悪に手足が生えたようなヤツが何吠えてやがる」 番外個体 「ンだとゴルァ」ビリッ 一方通行 「上等じゃねェかオルァ」バチッ 打ち止め 「視線をビビビするの禁止ー!!」 白井 「ま、まあまあお二人とも、それぐらいに」 フレメア 「ミサワのお姉ちゃんと白いお兄ちゃんはいつもこうなの?」 滝壺 「この二人にとっては挨拶みたいなものだから」 絹旗 (これが第一位……なんかイメージと超違います。取っ付き易そうですね) 一方通行 「ンじゃ、全員揃ったら起こしてくれ」ポスン 番外個体 「来るときの電車でも寝てたクセに……」 婚后 「大目に見てあげてくださいな」 フレメア 「寝てる顔可愛い」 打ち止め 「でしょでしょ♪」 番外個体 「誰か油性ペン持ってない?」 打ち止め 「ダーメー!」 ~更に10分後~ 海原 「おや、どうやら僕達で最後のようですよ」 結標 「そりゃね……間に合ったのが不思議なくらいだもの」 ショチトル 「なんだか申し訳ないな」 滝壺 「あ、むすじめだ」 結標 「ゴメンなさい、遅くなっちゃった」 白井 「なにかトラブルでも?」 海原 「それが乗る電車を間違えてしまいまして」 浜面 「間違えた? 何に乗ったんだ?」 結標 「空港行きに乗ったつもりが、普通の快速特急だったのよ」 ショチトル 「あれは焦ったな。空港に向かう線路から離れていくんだから」 婚后 「それで、引き返してきたということですのね」 海原 「ええ。お恥ずかしい限りです」 ショチトル 「……この白い人は?」 一方通行 「」スピー 結標 「あれ? 会ったことなかったっけ?」 ショチトル 「ない」 番外個体 「まあ、ないでしょ。今はヒキニートだし」 ショチトル 「待て、白い……もしや、マスターの恋人か?」 番外個体 「へ?」 ショチトル 「義姉さんから色々聞いてて。例えば」 結標 「」ガシッ ショチトル 「モガ?」 結標 「これで全員よね? ほら出発よ、それ起こして」 番外個体 「う、うん」ビリッ 一方通行 「おォっ!?」ガバッ 番外個体 「そろそろ行くよ」 一方通行 「あ、あァ」 フレメア 「いよいよ出発だ」ピョンピョン 打ち止め 「楽しみー♪」ミョンミョン 絹旗 「もうチェックインできますかね?」 婚后 「この時間なら大丈夫かと」 白井 「では、参りますの」 番外個体 「ね、海原さん」チョイチョイ 海原 「どうしました?」 番外個体 「飛行機でさ、淡希すっごい乱れると思うから。優しくしてあげてね?」 海原 「? え、ええ。わかりました」 番外個体 「去年もねー、色々と」 結標 「ちょっと何吹きこんでんのよ!」 番外個体 「べっつにー。ほら、行こ行こ♪」ガシッ 一方通行 「おい、引っ張ンな」 フレ止め 「「待ってー」」トテテテ 滝壺 「はまづら、私たちも行こうよ」 浜面 「おう、そうだな。いよいよ出発だぜ!」wktk ショチトル 「……義姉さん、大丈夫か。顔色が優れないようだが」 結標 「大丈夫よ……ええ、大丈夫」 海原 「無理はなさらず。何かあればすぐに言ってくださいね」 結標 「……うん」 ――約一名を除き爆睡していたため、機内の模様は省略します。 ~同日正午 那覇空港~ 結標 「……」 ショチトル 「だ、大丈夫か」 結標 「何度も……起こしたじゃない……バカ」 海原 「いや面目ないです」 絹旗 「なんか今日は天候が悪かったらしいですね」 白井 「少々揺れていたらしいですが……婚后さんは大丈夫でしたの?」 婚后 「ええ、熟睡さえしてしまえば乗り物酔いも怖くないですわ」 番外個体 「やっぱり離陸の加速時のGがクセになっちゃう☆」 一方通行 「あー、オマエああいうの好きそうだな」 打ち止め 「ワーs……お姉ちゃんはきっとジェットコースターとかも好きになりそうだよね」 番外個体 「今度連れてってよね、遊園地とか」 一方通行 「その内な」 浜面 「これが沖縄か! いやぁ、暑いな!」 フレメア 「すごい空が綺麗」 滝壺 「晴れてよかったね」 浜面 「で、こっからどうすんだ?」 婚后 「去年同様、迎えが来てる筈なのですが……」 絹旗 「執事さんですか?」wktk 婚后 「ええ」 執事 「お呼びですかな?」シュタッ 絹旗 「うひゃぁ!?」 婚后 「まあ、相変わらず人が悪いですわね」 執事 「これは少々悪戯がすぎたようですな」 白井 「執事さん、お久しぶりですの」 浜面 (ホント、執事って感じだな) 一方通行 (……このジジイ、只者じゃねェな) フレ止め 「「執事さん?」」 執事 「はい、執事さんですよ、お嬢様方」 番外個体 「ほら、お世話になるんだから。ちゃんと挨拶して」 フレ止め 「「よろしくお願いしまーす」」 執事 「おやおや……こちらこそ、よろしくお願い致します」ペコリ 結標 「相変わらずシブイ人ね」 ショチトル 「本当にいるんだな、ああいう人って」 海原 「あの方はプロですしね」 執事 「それでは、皆様。こちらの準備は整っておりますので、いつでも出発できます」 滝壺 「みんなもう準備はいいよね」 婚后 「では、早速向かうといたしましょう」 絹旗 「超いよいよですね!」 白井 「ええ、実感が湧いてきましたの」 執事 「どうぞ、こちらへ」 フレ止め 「「♪」」ピュー 浜面 「おお速い速い」 ~移動中~ フレメア 「すごいすごい!」 浜面 「すげぇ!」 打ち止め 「こんな色の海初めて見た! っていうか海初めて見た!」 絹旗 「浜面が混ざってる光景って超シュールです」 白井 「去年はそこのポジションには絹旗さんが入っていたのですが」 絹旗 「え、私あんなでしたか!?」 一方通行 「しかしプライベートジェットとは洒落てるねェ」 婚后 「お気に召して頂けました?」 一方通行 「悪くねェ」 番外個体 「飛行機とか持ってないの?」 一方通行 「必要に迫られなかったしな」 婚后 「所有していたところで、早々使うものでもございませんし」クスクス 番外個体 「だろうけどね。……で、あの二人は何やってんの?」 海原 「……あの、結標さん」 結標 「なによ」ガシッ 海原 「あ、いえ、なんでもありません」 ショチトル 「ここまで飛行機が苦手とは思ってなかったな」 ショチトル (ていうか、いいなぁ。お兄ちゃん独り占めで) 滝壺 「去年色々あったみたいだから。隣に座ってたみさわが詳しく知ってるかも」 ショチトル 「マスターが? なあ、何かあったのか?」 番外個体 「んー? あ、去年も来たんだけど。行き帰りの飛行機でね」 ヒュッ ゴン 番外個体 「っ!?」ジーン 一方通行 「? オイ、どうした」 滝壺 「棚の上から荷物が落ちちゃったみたいだね」 番外個体 「ち、ちがっ……今のは絶対……」ズキズキ <皆様、まもなく到着致します。 ~婚后さん私有地~ 絹旗 「いや、一年ぶりですね」 白井 「何も変わっておりませんの」 滝壺 「本当に、すっごい静かなところだよね」 フレメア 「大体、何もない」 打ち止め 「すっごーい」 婚后 「もともと、引き篭もるための土地でしたし」 浜面 「いやぁ、でもいいな、こういうところも」 一方通行 「コンビニは?」 番外個体 「ある訳ないだろ、バカ」 海原 「結標さん、もう大丈夫ですから」ナデナデ 結標 「帰りも……乗らなきゃ行けないのよね」 ショチトル 「ま、まあ、そのときはそのときだ」 執事 「皆様、ひとまで宿泊先までご案内致します」 ~宿泊先の別荘~ 番外個体 「いやー、もう来るだけで疲れちゃったね」 打ち止め 「ねー、海は? 海行かないの?」 フレメア 「行かないの?」 滝壺 「もう午後だしね。明日の朝にしない?」 フレ止め 「「えー」」 白井 「あのやりとり、まるっきり去年の絹旗さんですの」 絹旗 「私あんなでしたか!? 超本当に!?」 浜面 「でも、見に行くだけならいいんじゃないか?」 ショチトル 「着替えなければ海に行ってはいけないという訳でもないだろう」 結標 「そうね。確か去年もそうしたんじゃなかった?」 海原 「ええ。たしかそうでしたね」 フレ止め 「「いーきーたーいー」」グイグイ 番外個体 「あー、分かったから引っ張るな」 一方通行 「なァ、コーヒーねェか?」 番外個体 「自分でやれ」 執事 「コーヒーですか? ただいまご用意致しましょう」 婚后 「絹旗さん、ユリコは?」 絹旗 「あ、そうでした。ユリコー、超到着ですよ」カパッ ユリコ 「(・ω・三・ω・)」 フレメア 「あ、ユリコだユリコだ」 打ち止め 「この子がユリコ? う、でも……」 番外個体 「大丈夫、ユリコだったら逃げないよ」 打ち止め 「ユ、ユリコ。さわってもいい?」 ユリコ 「( ( ( ( ・ω・)」 打ち止め 「あっ、きた! こっちきたー!」ナデナデ フレメア 「ユリコ、大体久しぶりー」ワシャワシャ ショチトル 「これは普通の猫だったら逃げてるだろう」 結標 「大丈夫でしょ。ユリコだし」 海原 「それで、どうされます? 少し外を歩いてみましょうか」 滝壺 「うん、いいじゃないかな」 フレメア 「ユリコもいくよね?」 ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」 打ち止め 「かわいすぎる……」 絹旗 「あ、超待ってください。着替えだけさせてください」 白井 「そうですわね、制服を汚してもいけませんし」 一方通行 「あァ、俺もこれ飲ンから出たいしな」ズズ... 番外個体 「なに自分だけ飲んでるの」 執事 「どうぞ、皆様にも冷たいものをご用意しております」 絹旗 「あ、超頂きます」クピピピ 白井 「ほらほら、絹旗さん。皆さんを待たせているんですから」ズルズル 絹旗 「あっ、ちょっと、引きずらないでくださいよ!」 結標 「私たちも荷物だけ置いてきましょうか」 ショチトル 「そうだな。ここに置きっぱなしもよくないだろう」 ~30分後~ 絹旗 「超出発です!」 婚后 「では、ちょっと出て参ります」 執事 「お気をつけて」 結標 「みんな日焼け止めは塗った?」 白井 「抜かりございませんの」 婚后 「バッチリですわ」 滝壺 「一応」 結標 「貴女は?」 ショチトル 「いや……私はもとがこれだし」 番外個体 「なくてもいいでしょ、別に」 一方通行 「紫外線なンざ反射しとけ」 白井 「できるもんならやってますの」 浜面 「大変だな、女性ってのは」 海原 「女性は僕らの知らないところで努力してるんですよ。結標さんを見てると実感します」ニコニコ 浜面 「kwsk」 海原 「僕の命と彼女の名誉に関わるので、お話はできません」 フレメア 「大体、早く行こうよ」 打ち止め 「早く早くー」 滝壺 「そんなに急がなくても大丈夫だよ」 番外個体 「気持ちは分かるけどね。じゃ、行こっか」 : : : フレメア 「すごーいきれーい」トテテテ 打ち止め 「海ひろーい!」トテテテ ユリコ 「三三ノ・ω・)ノ」ポテテテ 浜面 「おい、転ぶなよ」 絹旗 「去年はたしか向こうに見える丘にも行ったんですよね」 白井 「ええ、あそこからの長めは最高でしたの」 滝壺 「あっちにも行ってみようよ」 婚后 「そうですわね、砂浜の次はそちらに行ってみましょうか」 一方通行 「俺もう帰っていいよな?」 番外個体 「あの子の説得ができるならね」 打ち止め 「♪」ミョンミョン 一方通行 「砂浜だったな? さっさと行くぞ」 海原 「天下の一方通行さんも、あの笑顔には勝てませんか」ニコニコ 一方通行 「オマエの笑顔になら勝てる気はするな」 海原 「おや、では笑顔勝負といきますか?」 結標 「二人ともやめなさいよ」 ショチトル (白い人は義姉さんの言う通り血気盛んなんだ) ショチトル (でも、あれだけ凄まれて動じないなんて……さすがお兄ちゃん) フレメア 「あ、砂浜見えてきた!」 打ち止め 「すごいきれーい!」 浜面 「おお、こりゃ見事だな」 絹旗 「砂浜も変わらぬ白さですね」 海原 「驚きの白さ」 一方通行 「なンでこっち見て言うンだ」 打ち止め 「ねー、海入ってもいい?」 一方通行 「そのまま入ンのか。ダメだろ」 番外個体 「膝から下ってことでしょ?」 打ち止め 「」コクコク 一方通行 「……なンかあったら危ねェしな。オマエ一緒に行ってやれ」 番外個体 「はいはい」 フレメア 「大体私も!」ピョンピョン 滝壺 「一緒に行こう」ウズウズ 打ち止め 「ねー早くー」 番外個体 「急がなくても海は逃げないよ」 一方通行 「コケるンじゃねェぞ」 <うひゃー冷たい! <大体きもちいー <ドボン <あ、滝壺さん! 浜面 「あ、滝壺が」 海原 「派手に転んでしまいましたね」 絹旗 「あれ? なんか去年も……」 浜面 「滝壺、大丈夫かー」 <大丈夫だよー ショチトル 「」ウズウズ 結標 「行ってきたら?」 ショチトル 「え、で、でも……」 海原 「ここで待ってますから、行ってきてください」 ショチトル 「……うん、行ってくる」トタタタ 白井 「そういえば……」 婚后 「はい?」 白井 「あの花火は、どうなさるおつもりで?」 婚后 「今夜にでも開けてしまおうかと思っています」 絹旗 「えっ、早速今日なんですか」 婚后 「明日海水浴と考えると、皆さんも夜はお疲れでしょうし」 白井 「確かに、泳いだあととなると疲れてるでしょうね」 絹旗 「なるほど、それで今夜ですか」 婚后 「それに……わたくしも詳細はわかりませんが、明日の夜は……」 白井 「明日の夜は?」 婚后 「執事が何か用意してるらしくて」 絹旗 「それはそれで超楽しみですね」 白井 「何が出てくるのでしょうね」 婚后 「さあ。夕食とは行っておりましたが……」 絹旗 「ここは超楽しみにしておきましょう」 滝壺 「」プカプカ フレメア 「滝壺お姉ちゃん、大体開き直っちゃった」 番外個体 「あー、思い出した。たしか去年もこうだった」 打ち止め 「そうなんだ……」 番外個体 「ダメだよ、真似しちゃ」 打ち止め 「わ、分かってるもん!」 ショチトル 「そっちの人は大丈夫なのか?」ザブザブ 滝壺 「大丈夫だよー」プカプカ 一方通行 「アイツ、いっつもああなのか?」 浜面 「滝壺は独特のテンポで生きてるからな」 結標 「なんか分かる気がするわ」 海原 「いつも自分のペースを崩さないのも、強さではないでしょうか」 ~30分後~ 婚后 「そろそろ行きませんこと?」 白井 「そうですわね。そろそろ移動しても……」 絹旗 「ほらほら、呼んできてくださいよ」 一方通行 「あァ、そォだな。ちっと呼んでくる」 浜面 「おい、無理すんな。砂場じゃ歩きづらいだろ。俺が行ってくるぜ」 海原 「いやいや、ここは僕が」 浜面通行 「どうぞどうぞ」 結標 「面倒だから、全員まとめて行ってきなさい」 フッ 絹旗 「あ、消えた」 白井 「能力の無駄遣いですの」 婚后 「空間転移って第一位さんにもきくのですね……」 <ドサッドサッドサッ 番外個体 「? 何今の音」 フレメア 「大体、お兄ちゃんたちが降ってきた」 滝壺 「えっ」ザブ 一方通行 「イッテェな、あのショタコン」 浜面 「ひ、膝、膝打った」ジンジン 海原 「結標さんも手厳しいですね」 打ち止め 「あ、波が」 海浜通行 「!?」ザザザザ 番外個体 「ナイス回避」ケラケラ ショチトル 「それで一体どうしたんだ?」 海原 「ああ、そうでした。そろそろ移動しようかと、呼びに来たんですよ」 番外個体 「そういうことね。ほら、次行くって」 フレ止め 「「はーい」」 白井 「あら? そういえばユリコの姿が見えませんが」 絹旗 「さっきから海で超ハントしてますよ」 <フミャーーオ <バシャバシャバシャ 婚后 「まあ、見た目に似合わずワイルドなことを……」 結標 「本能を刺激されちゃったのかしらね」 ユリコ 「ミ`・ω・´ミ」フモー 絹旗 「いやいや、持ってこなくていいですよ!」 結標 「せっかくご主人のために捕ってきてくれたのに?」 白井 「これではユリコが報われませんの」 婚后 「絹旗さん、ちゃんと功を認めてあげませんと」 絹旗 「……ユ、ユリコ、超ありがとうございます」 ユリコ 「ミ`・ω・´ミ」ドヤサ 絹旗 (ていうか、ユリコが捕ってきたコレはなんですか……?) 一方通行 「オイ待て、脚拭くぞ。そのまま上がったら砂まみれだからな」 打ち止め 「お願いしまーす♪」 フレメア 「白いお兄ちゃん、私も」ピョンピョン 一方通行 「あァ、順番な」 浜面 (フレメアは怖い顔が好みなのか? 駒場のリーダーにも懐いてたし) 海原 「ミサワさんたちもタオル使いますか?」 番外個体 「いや、サンダルのまま入っちゃったしね。いいよ」 滝壺 「私も」 浜面 「」ブーッ 番外個体 「滝壺さん。水に濡れたせいで服透けてるから」 滝壺 「これだけ日差しが強かったらすぐ乾くよ」フンス 一方通行 「オイ、ガキども。そこで鼻血噴き出してる三下2号に近付くな。伝染る」 浜面 「伝染るって何が!? ていうかヒドくね!?」 フレ止め 「「?」」 海原 「滝壺さん、やはりタオルを……その、色々透けてますので……」 滝壺 「そう?」 ショチトル 「」ジトー 結標 「」ジトー 海原 「あ、む、結標さん? いつの間に」 結標 「貴方の視線はどこに釘付けにされてるのよ」 海原 「」 ショチトル 「サイテー」 海原 「ご、誤解です、これは……!」 結標 「ショチトル、行きましょ。みんな待たせてるし」 ショチトル 「ああ、そうだな」 海原 「」 一方通行 「海原」ポン 浜面 「生きてりゃ色々あるよな」ポン 海原 「なんですか、なんなんですか、あなたたちは」 滝壺 「あの3人はどうしたの?」 番外個体 「んー、傷の舐め合い?」 ~林道~ 打ち止め 「おー、ハイビスカスだ」 フレメア 「すごい、本物だー」 結標 「髪にさしてみる?」 打ち止め 「やってやって」 結標 「少しだけじっとしててね」プスッ 番外個体 「ちょっと待って。なんで頭のてっぺんに差してるの? 普通サイドじゃないの?」 結標 「これ可愛くない? アホっぽくて」 打ち止め 「?」 ショチトル 「」プスッ 海原 「おお、ショチトル。よく似合いますね」 白井 「まあ、違和感がございませんの」 ショチトル 「そ、そうか?」 婚后 「ええ、お似合いですわ」 ユリコ 「(・ω・)」モシャモシャ 絹旗 「ユリコ! ハイビスカス食べちゃダメですよ!」 一方通行 「……さっきから思ってンだが、オマエすげェな」 滝壺 「ゆりこはスーパーキャットだから」 浜面 「たまに猫の形をした何かなんじゃないかと思うぐらいだしな」 フレメア 「ねー、浜面。あの大体高いところにあるのはなに?」 浜面 「あれか? なんか木の実っぽいけど、なんだろうな」 フレメア 「もっと近くで見たい。あれやってあれやって」ピョンピョン 浜面 「しょうがねえな。ほら、乗れ」 フレメア 「♪」ヨジヨジ 打ち止め 「……いいなー。肩車なんて、私してもらったことない」 番外個体 「無茶振りはダーメ。一方通行じゃできっこないって」 一方通行 「なっ……肩車ぐらいどォってことねェ!」 浜面 「ハハッ、ぬかしおる」 フレメア 「ぬかしおる」 婚后 「まあまあ。杖を使っておられるのですし。二人して怪我などしては大変ですわ」 一方通行 「……チッ」 海原 「では、僭越ながら僕が」 結標 「」バシッ 海原 「い、痛いですってば」 結標 「貴女がしてあげればいいじゃない」 番外個体 「へ? 私が?」 打ち止め 「お姉ちゃーん、肩車ー」グイグイ 番外個体 「分かったよ、もう」 : : : 打ち止め 「落とさないでね! 絶対落とさないでね!」ガッチリ 番外個体 「落とさないから髪掴むな! 痛いっての!」 婚后 「こうやってみると、本当によく似ておりますわね」 白井 「絹旗さんは、どちらか持って帰れるならどちらにいたします?」 絹旗 「なんですか、その質問は」 ショチトル (肩車か……小さい頃はお兄ちゃんがしてくれたなぁ) 一方通行 「オイ、どこまで登りゃいいんだ」 白井 「たしか、もう少しで見晴らしの良い場所に出れるかと」 浜面 「下から見たときはそうでもないと思ってたが、登ってみると結構あるんだな」 打ち止め 「そこに行くと何か見えるの?」 番外個体 「海」 ショチトル 「海は海なんだろうけど」 結標 「もっと言い方あるでしょ」 絹旗 「あのですね、超綺麗な海が見えますよ!」 婚后 「昨年来たときは絹旗さんが感動で固まってしまうぐらいでしたね」クスクス 滝壺 「(∵)←こんな顔してたよね」 絹旗 「いや、それぐらい超素晴らしいってことじゃないですか!」 浜面 「フレメア、カメラの準備しとけ。絹旗を激写するぞ」 フレメア 「大体ラジャー」 絹旗 「させませんよ!?」ムキー 海原 「そろそろ着くんじゃないですか?」 婚后 「そうですわね。そこを登ったところになります」 ~見晴らしのいい高台~ 絹旗 「おー、去年と変わらない超見事なオーシャンビューですね」 浜面 「……こりゃすげぇ。こんな世界、テレビでしか見たことねぇぞ」 一方通行 「なるほど、悪くねェな」 フレ止め 「「」」ポカーン ショチトル 「この高さからでも海の底が見えるのか。すごい透明度だな」 海原 「ショチトル、危ないですよ。流石にここから落ちたら助けられません」 滝壺 「ここから日没って見えるのかな」 結標 「もう陽が傾きかけてるけど……」 番外個体 「この分だと、西は反対方向だね」 滝壺 「」ムー 白井 「綺麗な景色というのは何時間見ていても飽きないものですのね」 婚后 「このへんは光源がございませんので、夜は暗いだけですわよ」 白井 「ならば月明かりと星空を堪能するまでですの」 結標 「あら、いいじゃない。そういうのも」 浜面 「いいか、二人とも。いちたすいちは?」 フレ止め 「「田んぼの田ー」」 浜面 「お、いいぞ! いい笑顔だ!」カシャカシャ 絹旗 「あ、そうだ。写真といえば」スチャ 婚后 「携帯ですか? カメラをお持ちなのでは?」 絹旗 「いいんですよ。これは超送りつける用ですので」カシャ 白井 「あら、またですの? そろそろお許しになってあげては」 ショチトル 「誰に送るつもりなんだ?」 絹旗 「黒イルカです」 滝壺 「きぬはたのライバルだっけ?」 絹旗 「超自称ライバルですよ。こっちは何かと勝負吹っかけられて超疲れちゃいます」 番外個体 「ああ、あの子か……いいぞ、もっとやれ」ケラケラ 海原 「さあ、落ち着いたら戻りましょうか。みなさんもそろそろお疲れでしょう」 一方通行 「それもそォだな。喉も渇いたしよ」 打ち止め 「私も喉乾いたー」 婚后 「では、そろそろ戻りましょう」 ~別荘~ フレメア 「ただいまー」 打ち止め 「ただいまー」 ユリコ 「ノ・ω・)ノ」 執事 「おや、お帰りなさいませ」 婚后 「夕飯まではまだ少々ございますわね」 執事 「ええ。日没に合わせて出来るようになっております」 婚后 「……今宵、アレを使いますわ」 執事 「アレでございますか」 婚后 「アレでございます」 執事 「畏まりました。すぐに持ち出せるよう、準備をしておきましょう」 フレメア 「アレ?」 打ち止め 「アレってなに?」 婚后 「夕食後のお楽しみですわ」ナデナデ 打ち止め 「えー、気になる気になる」 婚后 「あっ、そういえば貴女のお名前。漢字ではどう書くんですか?」 打ち止め 「んーとね、んーと……あれ?」 結標 「たしか、静かな琴って書いてしずきよね」 絹旗 「ミサワさんの下の名前って真琴ですよね。一文字違いですか」 番外個体 (私の名前もそうだけど、先生が考えてくれたんだよなー) 一方通行 「オイ、コーヒーないか?」 番外個体 「自分で頼んできなよ」 一方通行 「言い方が悪かったな。オマエが淹れたコーヒーが飲みたい」 番外個体 「……」スッ <あのー、キッチンお借りしてもいいですか? <ええ、どうぞ。 結標 「うまく言いくるめたものね」 一方通行 「アイツのが飲みたいってのは嘘じゃねェよ」 浜面 「なにさり気無く惚気けてやがんだ。爆発しろ」 海原 「浜面さんに言う資格はないでしょう」ニコニコ ショチトル 「なあ、義姉さん」 結標 「どうしたの?」 ショチトル 「今日はどこで寝ればいいんだ?」 結標 「寝る場所……そういえば決めてなかったわね」 滝壺 「去年は大部屋で雑魚寝だったよね」 浜面 「なんだそれ、修学旅行みたいで楽しそうだな。……ん?」 滝壺 「どうしたの?」 浜面 「去年って海原もいたんだよな。一緒に寝たのか?」 結標 「そ、それはほら……流れってヤツで」 浜面通行 「「……」」 海原 「なんですか、その目は」 ショチトル 「?」 浜面 「殴っていい?」 一方通行 「血流操作していい?」 海原 「やめてくださいよ!」 <南の島でハーレムってそれなんてエロゲ? <見損なったぜ、海原さンよォ…… <いやいやいや、お二人が想像するようなイベントはありませんでしたよ!? 白井 「なんといいますか、殿方らしい争いですの」 絹旗 「男って超バカばっかです」 結標 「……悲しいけど」 滝壺 「否定できないね」 番外個体 「アレでも学園都市最高の頭脳なんだよ……」 フレメア 「大体、お兄ちゃんたちはなんでケンカしてるの?」 打ち止め 「なんでだろうね」 ショチトル (お兄ちゃんは、もう……素敵すぎるのも考えものだなぁ)ハァ 執事 「お嬢様、そろそろ食事の準備が整います」 婚后 「あら、お疲れ様。みなさん、そろそろ夕食に致しましょう」 ~夕食後~ 番外個体 「……浜面さん。そのシャツ、何?」 浜面 「これか? いや、ワゴンセールで安かったからよ。部屋着用に買ったんだよ」 結標 「歩く教会? って何?」 滝壺 「外国の観光客が着てるのみたいだね」 絹旗 「あー、あの意味も分からずに超それっぽい漢字を並べてるシャツですか」 一方通行 (ねェわ……このシャツはねェわ) 婚后 「みなさん、寝る前にもう1つ余興があるのですが」 白井 「あら、満を持して出番ですのね」 フレメア 「何かあるの?」 婚后 「執事、あれを」パンパン 執事 「はい、こちらに」ドンッ 浜面 「これは……花火か?」 海原 「それも結構な量ですね」 フレメア 「これ、やってもいいの?」wktk 打ち止め 「今から? 今から?」wktk 婚后 「ええ、今からみんなでやりましょう」 フレ止め 「「キターーー!」」 番外個体 「ね、ここに電流流したらどうなるかな」 絹旗 「超やめてください! 危なすぎですよ!」 滝壺 「はまづら、運んであげて」 浜面 「任せろ!」 執事 「こちらに火器とバケツもございますが」 海原 「それは僕が持ちましょう」 ショチトル 「花火って……どういうのだ?」 結標 「聞くよりは見たほうが早いわね」 フレメア 「ねー、早く早く!」 白井 「慌てなくても、時間はございますの」ナデナデ ~夜の砂浜~ 婚后 「いいですか? くれぐれも人に向けないように」 フレ止め 「「はーい」」 結標 「じゃ、火付けるからね」シュボッ シュパーー 打ち止め 「すごーい!」 フレメア 「きれーい!」 滝壺 「」パチパチ 一方通行 「ンでオマエは初っ端から線香花火なんだよ」 滝壺 「線香花火っていいよね。儚くて、でも最後まで燃え尽きて、まるで人生みたい」 一方通行 「オマエが言うとちと洒落にならねェぞ」 番外個体 「淡希ー、ライター貸して」 結標 「はい」ポイ 番外個体 「♪」 絹旗 「ミサワさん、超待ってください! それは」 番外個体 「Fire」シュボッ バシュゥーーーーーッ 番外個体 「おっ、これたーのしーい☆」 白井 「大きいお姉様! それは地面に固定するタイプの花火ですの!」 浜面 「おいバカこっち向けんなぁぁぁぁぁ!」ダダダダ ショチトル 「マスター、それはさすがに危ない」 結標 「あれが悪い見本よ。真似しちゃダメだからね」 フレメア 「あっ、大体消えちゃった」プスプス 打ち止め 「こっちも消えちゃった」プスプス 婚后 「消えたのはこのバケツに入れて。ちゃんと水に浸してから次の花火ですわよ」 フレ止め 「「はーい」」 海原 「今回ばかりは、この中に発火能力者がいないのが少しだけ残念ですね」 <パンパン <パパパパン 打ち止め 「うひゃ!?」ビクッ フレメア 「銃声!?」 婚后 「いえ、向こうでロケット花火合戦が勃発してしまいまして」 一方通行 「オイ、どうした三下2号! ガッカリさせンじゃねェぞ!」 浜面 「舐めるなよ、第一位! 勝負はこっからだぜ!」 結標 「二人とも近づいちゃダメよ、危ないしバカが伝染するから」 フレメア 「でもちょっと面白そう」 番外個体 「バカが伝染るって……」 滝壺 「でも、あれ見てると否定できないよね」 絹旗 「ていうか、私の超ロケット花火……」 結標 「それにしても、流石学園都市製ね。色も鮮やかだし長持ちするし」 婚后 「火薬が違うのでしょうか」 滝壺 「線香花火きれい」パチパチ 白井 (ひたすら線香花火を続ける滝壺さん……軽くホラーですの) フレメア 「消えた……バケツに入れて」チャポン 打ち止め 「次いってみよー!」 結標 「はいはい、じゃ火つけるからね」シュボッ ショチトル 「な、なあ。義姉さん」 結標 「どうしたの?」 ショチトル 「あれは、どうすればいいんだ?」 婚后 「あれと申しますと?」 海原 「あれですよ、あれ」ニコニコ 白井 「?」 一方通行 「うまく方向を調整してセッティングしとけよ!」 番外個体 「言われなくてもやってるよ」プスプスプス 絹旗 「浜面! ありったけ束ねて超点火しますよ!」 浜面 「よっしゃ!」ゴソゴソ 一方通行 「点火だ!」 番外個体 「弾幕薄いよ! 何やってんの!」 絹旗 「超しっかり持っててくださいよ!」 浜面 「おう、きやがれ!」 <パシュパシュパシュパシュパシュ <バンッパパンパン スパンッ 結標 「……」 ショチトル 「怖くて近寄れない」 結標 「もう放っといていいわよ」 白井 「そうですの、下手に突入するのも危なそうですし」 滝壺 「あっ、消えた」ポトッ ~1時間後~ 白井 「すっかりやりつくしてしまいましたわね」 フレメア 「楽しかった、にゃあ♪」 打ち止め 「お姉ちゃん、ありがとー」 婚后 「楽しんで頂けて光栄ですわ」 滝壺 「あとは、ちゃんと綺麗にしてから帰らないとね」 海原 「さあ、みんなでゴミ集めといきましょう」 結標 「貴女たちもよ。ロケット花火回収してきなさい」 絹旗 「いや、それが超たくさんありまして」 番外個体 「海に向かって飛んでいったのはないと思うけど」 浜面 「なんせ数が数だしな」 一方通行 「オマエの座標移動でなンとかなンねェか?」 結標 「自分で拾ってこい! 一本残さず!」 ショチトル 「まあ……後始末は自分ですべきだな」 : : : 絹旗 「超疲れました……」 番外個体 「まー、これで全部でしょ」 婚后 「お疲れさまでした。では、そちらも水に浸しておきましょう」 浜面 「こ、腰が……」 一方通行 「バッテリー残量がやべェな」 滝壺 「もう今日は寝るだけ?」 結標 「そうね。順番にシャワー浴びて休みましょ」 ショチトル 「なんだかあっという間だったな」 白井 「結構な弾丸スケジュールですし」 フレメア 「でも大体疲れちゃったかも」 打ち止め 「」ファーァ 絹旗 「では、戻って寝る準備をしましょうか」 ~別荘 就寝部屋 女性チーム~ ショチトル 「……ふはー」ホコホコ 結標 「シャワー、貴女で最後よね」 ショチトル 「うん、そのハズ」 ユリコ 「」スピー フレメア 「」ウトウト 滝壺 「流石に疲れちゃったんだね」 白井 「今日は移動もいたしましたし、無理もないかと」 婚后 「むしろよくここまでもったとすら思えますわね」 絹旗 「おりゃーーー!」ボスン 番外個体 「いたっ……やったな、この!」 結標 「枕投げ禁止。起こしちゃうでしょ」 打ち止め 「」ウトウト 絹旗個体 「「はーい」」 絹旗 「で、明日は何時に起きましょうか?」 番外個体 「別に何時でもいいんじゃないの?」 滝壺 「でも、寝坊しちゃうと勿体無い気がする」 白井 「では遅すぎず早すぎずで、7時ぐらいを目安に」 婚后 「執事が起きるのはいつも5時なので、それぐらいで丁度良いですわね」 ショチトル 「随分早いのだな」 結標 「私たちだけゆっくりするのもなんか申し訳ないわね」 婚后 「お気になさらず。本人も楽しんでやっておりますから」 絹旗 (明日はこっそり早起きしてお手伝いして好感度超アップです) 番外個体 「ほら、寝るならちゃんと自分の場所で寝な」チョンチョン 打ち止め 「ふぁーい……」 滝壺 「あほ毛がへにゃへにゃだ。余程眠いんだね」 ショチトル 「アンテナみたいだな……」 打ち止め 「」モゾモゾ 番外個体 「こらこら、ここは私の陣地」 婚后 「良いではないですか。姉妹なのですから」 白井 「わ、わたくしもその中に」 番外個体 「ゴメンね、この布団二人用なんだ」 フレメア 「」ジー... 滝壺 「おいで」 フレメア 「♪」 絹旗 「フレメアも、寝るときはいつもそんな感じですか」 滝壺 「いつもは3人で寝てるね」 フレメア 「大体浜面も一緒」 ショチトル 「……私なんて一人部屋で一人寝なのに」 結標 「貴女ぐらいの歳になればね」 ショチトル 「でも、義姉さんは毎晩兄と寝てるじゃないか」 結標 「ちょっ」 滝壺 「さすがむすじめ」b グッ 番外個体 「私たちに出来ないことを平然とやってのける。そこに痺れる」 結標 「憧れなくていいから! ほらもう寝るわよ!」 婚后 「あら、折角なのですし後学のために詳しいお話を」 結標 「しない!」 白井 「3行で説明を」 結標 「しない!」 絹旗 「超ちょっとよく分からないんで、図か画像で解説を」 結標 「しないから!」 ショチトル 「義姉さんがここまで弄られてるのは初めて見た」 結標 「貴女のせいだもん」 滝壺 「程良く疲れたところで、みんな寝よう」 ゴソゴソ モゾモゾ オヤスミー オヤスミナサイ 絹旗 「……ユリコ、なんで私の布団の超ド真ん中で寝てるんですか。私寝れないじゃないですか」 ユリコ 「」スピー ~就寝部屋 男性チーム~ 海原 「それではオープンです」 一方通行 「」パシッ 浜面 「」パシッ 海原 「」パシッ 浜面 「俺の勝ちだな」 海原 「エースのフォーカード……いや、これは参りました」 一方通行 「クソ、今日はダメだな」 海原 「今の浜面さんは飛ぶ鳥も落とす勢いですね」 浜面 「自分でも恐いぜ。今年の運をここで全部使い果たしてるかもな」 一方通行 「ハッ、だったらオマエだけ帰りの飛行機は別便な」 海原 「いや、それはダメでしょう。他のお客さんを巻き込むことになります」 一方通行 「よし、泳いで帰ってこい。体力なら自信あンだろ」ニヤニヤ 浜面 「ゴメンなさい、調子に乗りました」 一方通行 「しかし負けっぱなしつゥのもムカツクな」 海原 「ではもう一勝負と行きましょうか」 浜面 「ははっ、かかってきなさい」 海原 「趣向を変えて、神経衰弱などいかがです?」 一方通行 「俺はなンでも構わねェよ」 海原 「それではカードをバラまきますね」パッパッ : : : 浜面 「」←獲得:0ペア 海原 「いやぁ、惜しかった。もう一歩だったのですが」←獲得:12ペア 一方通行 「こンなもン、めくったカード覚えときゃ楽勝だろ」←獲得:15ペア 浜面 「そんなたくさん覚えれるかよ……」 海原 「浜面さんの強運もここまででしたか」 一方通行 「運に頼るようじゃまだまだってことだ」 浜面 「ちくせう……」 海原 「では運を使い果たしたところで、寝るとしましょうか」 浜面 「そうだな。襖の向こうも静かになってるし、あいつらも寝てんだろ」 一方通行 「海原、場所代わってくれ」 海原 「ええ、構いませんが」 一方通行 「コンセントが近いほうが都合がいい」 浜面 「ああ、充電か。大変だな、お前も」 一方通行 「慣れさえすればどォってことねェよ」 海原 「携帯電話みたいなものなのでしょうかね」 一方通行 「まァ、似たよォなもンだ」 浜面 「おし、寝るか! 俺朝弱いから、寝坊しそうだったら起こしてくれな」 一方通行 「そンときゃ手段選ばねェぞ」 浜面 「優しくしてくれ」 海原 「うわぁ……」 一方通行 「ねェわ……」 浜面 「すまん、今の俺の発言は忘れて」 ~一日目 終了~ ~二日目 就寝部屋 女性チーム~ チュンチュン... 打ち止め 「起きて起きて起きてー!」ガッシボカッ 番外個体 「い、いたっ、痛い!」 打ち止め 「朝だよ、起きて」ポカポカ 番外個体 「起きる、起きるから叩くな……今何時よ?」ガシガシ 打ち止め 「6時半だよ」 番外個体 「はー……ちと早いけど起きるか」 フレメア 「お姉ちゃんたち、起きるの?」 打ち止め 「あれ? フレメア起きてたの?」 フレメア 「うん、大体さっきから。ね、私喉渇いた、にゃあ」 打ち止め 「ミサ……私も私も」 番外個体 「はいはい。じゃ水でももらいにいこうか。まだみんな寝てるから静かにね」 : : : 白井 「」パチ 絹旗 「」スピー 白井 「……?」 絹旗 「」スピー 白井 (な、なぜわたくしと絹旗さんが同じ布団に?) 絹旗 「」ゴロン 白井 (お、落ち着くのですのよ黒子! これは間違い! 何かの間違いですの!) 絹旗 「」フニャー 白井 (こんなところを見られてはあらぬ誤解が……ここはこっそり抜けますの)ソローリ ショチトル 「……」 滝壺 「……」 白井 「」ブーッ ショチトル 「仲が良いのだな」 滝壺 「そんな大胆なしらいなら私も応援する」 白井 「ご、誤解ですの……!」ワタワタ ショチトル 「それより、マスターがコーヒーを作ってくれたそうだ」 白井 「マスター……あ、大きいお姉様が?」 滝壺 「フレメアとみさわ妹がコーヒー牛乳ほしいっていうから作ったんだって」 白井 「まあ、あの子たちも起きてましたの」 ショチトル 「飲むか?」 白井 「是非!」 滝壺 「朝ごはんまでもう少しあるみたいだから、それ飲んで待ってよう」 ショチトル 「……そうだ。ついでに義姉さんも起こしておくか」ユサユサ 結標 「ん……」 ショチトル 「そろそろ起きては?」 結標 「もうそんな時間? すっごい寝た気分ね」ノビー 白井 「7時間ぐらいは寝ておりましたし」 ~別荘 リビング~ フレメア 「あ、お姉ちゃんたちおはよー」 打ち止め 「おはよー」 白井 「おはようございます。お二人とも早いですわね」 結標 「先越されちゃったわね」 番外個体 「おや。二人が髪降ろしてるのは久々に見た」 滝壺 「滅多に見れないよね」 フレメア 「大体初めて見た」 結標 「そんなに珍しいかしら」 ショチトル 「家でもなければ解かないしな」チュー 白井 「確かに外だとそうそう解く機会もございませんわね」 打ち止め 「髪結んでなくても可愛いと思うよ!」ミョンミョン 白井 「可愛さでは、小さい大きいお姉様のアンテナには適いませんの」 結標 「たしかにね」クスクス <ガラッ 絹旗 「おはよーございまーす」トテトテ ユリコ 「( ( ( ( ・ω・)」ポテポテ 婚后 「皆さんお早いですわね」 白井 「まあ、絹旗さん。寝グセが……」 絹旗 「さっきまで超熟睡してましたし」 滝壺 「みさわヘアーになってるよ」 絹旗 「えっ、そりゃ超マズイですね。ちょっと直してきます」 番外個体 「オイ、どういう意味だ」 ショチトル 「毛先が外にハネてるってことじゃないか?」 番外個体 「いやそうじゃなくて」 結標 「あ、今の内に私も髪結んでこよ」 白井 「ではわたくしも」 執事 「お嬢様、そろそろ朝食の準備が整いますが」 婚后 「はい、お疲れ様。……殿方陣はまだ起きておられないのですね」 番外個体 「しょうがないね、ホント」 滝壺 「はまづらは朝そんなに強くないから」 ショチトル 「おにい……兄は寝坊癖はない筈なのだけど」 フレ止め 「「私たちが起こしてくる!」」 滝壺 「お願いしてもいい?」 番外個体 「いつものアレやったげて」ニヤニヤ フレメア 「突撃ー、にゃあ」トテテテ 打ち止め 「ごー!」トテテテ 執事 「おやおや、これは頼もしいですな」 <ドスンガタッ <ゴトゴトゴトゴト <ドズズ...ン ユリコ 「(・ω・)?」 ショチトル 「……何が起こっているんだ」 ~朝食後~ 浜面 「朝からひでぇ目にあった」 一方通行 「ガキどもは容赦しねェからな……」 海原 「元気で良いではないですか。あいたたた」 フレメア 「海はいつ行くの?」 滝壺 「ご飯食べたばかりだから。もう少し休んでからね」 打ち止め 「今日は水着で泳いでいいんだよね?」 番外個体 「うん、今日はみんな水着だよ」 ショチトル (水着か……結局アレ持ってきちゃったんだよね) 婚后 「みなさん、水着は新調されたのですか?」 結標 「私は去年と同じね」 番外個体 「私も」 絹旗 「私も去年のが着れましたので」 滝壺 「私も同じ」 白井 「買おうかと思いましたが気に入ったのがなくて……結局同じですの」 番外個体 (同じってことは、白井さんはまたあのヒモか……) 婚后 「では去年参加したメンバーは全員同じ水着なのですね」 海原 「あれ、僕聞かれてませんが」 一方通行 「誰がオマエの水着に興味持つンだよ」 浜面 「自重しろ、海原」 海原 「ですよね」ニコニコ 番外個体 「あのさー、3人」 海浜通行 「「「ん?」」」 番外個体 「先に着替えてさ。荷物持って砂浜に先行しててくれない?」 浜面 「おお、お安い御用だぜ」 結標 「決まりね。助かるわ」 海原 「お気になさらず。そういうことであれば、僕たちはそろそろ準備を」 滝壺 「うん、急がなくていいからね」 ~砂浜~ 浜面 「よっこらショット」ドサッ 海原 「シートはどこらへんに広げましょうか?」 一方通行 「ここらへンでいいだろ。俺らしかいないンだしな」 浜面 「パラソル立てるぞー」ドスッ 一方通行 「ここ俺の寝床な」 海原 「寝るつもりなんですか」 一方通行 「俺いなくてもよくね?」 海原 「僕はいいですが、ミサワさんたちはどう思いますかね?」 一方通行 「……分かったよ」 浜面 「よし、あとは姫様たちのご到着を待つばかりだな」 海原 「少々時間がかかりそうですね。あの人数ですし」 一方通行 「女ってないつも準備時間かけやがる。待つ方の身にもなれってンだ」 浜面 「しかしなんだ、お前たちがそんな格好してるとチンピラみたいだな」 海原 「変ですかね?」 ※水着+派手Yシャツ前開け 一方通行 「本家チンピラのオマエに言われたくねェな」 浜面 「ま、まあ、チンピラ出身だけどよ。街中でこの格好はしねェよ」 一方通行 「学園都市にゃ妙な格好してるのはゴマンといるが、これはねェわな」 浜面 「露出狂でもあるまいしな」 海原 「いや、結標さんだって普段は普通の服装してますよ?」 一方通行 「ンでそこでそいつの名前が出てくンだ?」 浜面 「結標の姐さんの話はしてないだろ?」 海原 「え、あっ、そ、そうでしたね! いやー、暑さで頭がやられてしまったみたいです!」 浜面通行 「「……」」 海原 「……いやー、ははは」 浜面 「…………あっ、露出狂→結標の姐さんと連想したのか! なるほどなるほど!」 一方通行 「分かってなかったのかよ」 : : : 浜面 「……遅いな」 海原 「時間かかってますね」 一方通行 「ったくよォ、何してやがンだか」 浜面 「お、そうだ!」 海原 「なにか?」 浜面 「ただ待ってるのも暇だしよ。これ膨らましておいてやろうぜ」ガサガサ 海原 「浮輪にビーチボールですか」 浜面 「このデカイ浮輪は俺がやるから、残りは分担してくれ」 海原 「では、肺活量のなさそうな一方通行さんはビーチボールをお願いします」 一方通行 「」ムカッ カチッ 浜面 「~~~~~っ!……あー、こいつは強敵だぜ」 海原 「急ぎすぎてもダメですよ、こういうのは」 一方通行 「はい、終了」ポンポン 浜面 「はやっ!? え、なんで!?」 海原 (能力使用モードですか……) ~15分後~ 打ち止め 「お待たせー!」トテテテ フレメア 「大体遅くなっちゃった」トテテテ 浜面 「おっ、やっと姫君のご到着か」 打ち止め 「ねー、似合う? 似合う?」クルクル 一方通行 「はいはい、似合いすぎて眩しいわ。うお、まぶしっ」 打ち止め 「真面目に答えて!」ムキー 番外個体 「ごっめーん、遅くなっちゃった」 一方通行 「全くだ。俺たちを干物にでもするつもりか」 番外個体 「だから謝ってんじゃん」 フレメア 「? みんな、まだ海に入ってないの?」 海原 「皆さんを待っていたんですよ」 浜面 「他の連中はどうしたんだ?」 フレメア 「大体すぐ来るよ」 番外個体 「あ、浜面さんすごい。腹筋割れてる」 浜面 「ははっ、肉体しか取り柄がないからな」キラッ☆ 番外個体 「うちの人とは大違い……触ってもいい?」 滝壺 「ダメ、これ私の」ガシッ 浜面 「た、滝壺!? いつの間に!」 浜面 (スライムが! スライムが当たってる!) 番外個体 「そう言われたら引き下がるしかないなー」 絹旗 「さっそく浜面の目がケモノになってます。超不潔です」 婚后 「すみません、遅くなってしまいまして」 海原 「いえいえ、時間ならありますから」 ショチトル 「……」 海原 「? ショチトル、なぜTシャツを?」 結標 「お兄ちゃんの前で水着になるのが恥ずかしいのよ」クスクス 白井 「まあ、初々しい」 番外個体 「白井さんも見習って少しは恥じらえ」 一方通行 「ンだその水着。バツゲームか?」 白井 「いえいえ、わたくしなりのチョイスですの」 浜面 (ほとんどヒモじゃねぇか……拝んどこ) 滝壺 「はまづら」グイ 浜面 「痛い痛い! 耳引っ張らないで!」 打ち止め 「ねー、この浮輪使っていい?」 フレメア 「私も浮輪使いたい」 海原 「どうぞ、お二人のために用意しておきましたから」 打ち止め 「じゃー、海にごー!」トテテテ フレメア 「ごー!」トテテテ ユリコ 「三三ノ・ω・)ノ」ポテテテ 滝壺 「あの子たちだけじゃ危ないかな」 結標 「私たちも行きましょ」 ショチトル 「あっ、私も行く」 番外個体 「ゴメン、ちょっと先行ってて」 絹旗 「後から行きますので」 白井 「大きいお姉様の妹さんの安全はわたくしが確保しますの!」ハァハァ 一方通行 「……オイ、大丈夫なのか?」 婚后 「万が一、過ちを犯すならば……わたくしが友人として決しますので」 一方通行 「悪い、すぐにうちの寄越すからな」 <とりゃー! <バシャバシャ <ひゃっ、冷たいじゃない! <浮いてるのが気持ちいい。 浜面 「しっかしまあ、みんなスタイルいいよなぁ……それに比べてお前ときたら」 絹旗 「なんですか浜面。殴ってほしいなら超素直にそう言ってくださいよ」 浜面 「いやいやいや!」 絹旗 「私は超優しいですから、満足するまで殴ってあげますよ」ニコニコ 海原 「ところで、お二人はどうして残ったんですか?」 絹旗 「あ、それなんですけどね……浜面」 浜面 「なんだよぅ」 絹旗 「背中にコレ塗ってください」つ【サンオイル】 海原 「お二人は日焼け派なんですね」 番外個体 「まあね。淡希たちは日焼け止めガッチリだけど」 浜面 「背中に塗ればいいんだな」 絹旗 「はい、超よろしく」 番外個体 「ねー、一方通行ー。私にもやってー」スリスリ 一方通行 「自分でやれよ」 海原 「では僭越ながら僕が」 一方通行 「オイ、さっさと背中向けろ。三下2号、それ寄越せ」 浜面 「ほらよ」ポイ 一方通行 「ったく、こンなもン使わなくても日焼けぐらいできンだろ」ヌリヌリ 番外個体 「気分だよ、気分。ひゃぅん☆」 一方通行 「変な声だすなアホ」バチーン 番外個体 「いったぁぁ!?」 打ち止め 「手放さないでね! 絶対放さないでね!」バシャバシャ 白井 「大丈夫ですの。ちゃんと持ってますから、そのままそのまま」 婚后 「まあ、泳ぎの練習ですか?」 打ち止め 「うん! 浮輪無しでも泳げるようになりたいから!」 婚后 「大丈夫ですわ、コツさえ掴めば簡単なのですから」 滝壺 「」プカプカ フレメア 「滝壺お姉ちゃん、浮いてるだけ」プカプカ 滝壺 「こうやって空を眺めてるのも楽しいよ」プカプカ 結標 「流されないようにしてよ」 滝壺 「流されたらむすじめが助けてくれると信じてる」 結標 「まあ、いざとなれば座標移動で助けるけどさ……」 フレメア 「あ、これ大体楽しい」プカプカ ユリコ 「( -ω-)=3」 フレメア 「ユリコだ、ユリコが私のお腹で休んでる」プカプカ ショチトル 「泳ぎまでこなすなんて、すごいなお前は」 絹旗 「お、やってますね」バシャバシャ 番外個体 「お待たせー」ザブザブ 結標 「二人して何してたのよ」 絹旗 「超ちょっと準備を」 番外個体 「ところでさ、ビーチボール持ってきたんだけど」 婚后 「あら、昨年も使ったものですわね」 番外個体 「誰かキャッチしてねー、それっ」ポンッ 結標 「そっち行ったわよ」 ショチトル 「えっ、そんな急に……あっ」コテッ バシャン ショチトル 「……」ポタポタ 滝壺 「派手に転んじゃったね」 ショチトル 「私としたことが」 白井 「こういうこともございますの」 ショチトル 「さすがに濡れた布が肌に付くのは不快だな……」ヌギヌギ 結標 「あ、ちょっと!」 婚后 「まあ……」 番外個体 「それ、踊り子の服?」 ショチトル (あっ、しまった!) 白井 (海原さんの義妹さんということはわたくしとほぼ変わらない年齢、なのに……) 絹旗 「なんというプロポーション……超負けました」 ショチトル 「あ、ち、ちがっ……これ……」プルプル 結標 「ま、まあ、ちょっと大胆だけど白井さんに比べれば大人しいわよね」 白井 「なぜわたくしを引き合いに出しますの」 ショチトル 「言われてみれば……」 打ち止め 「お姉ちゃんの水着、なんかかっこいいね」 ショチトル 「そ、そうかな?」 結標 (ナイスフォローよ) 絹旗 「では気を超取り直して。ショチトルからサーブどうぞ」 ショチトル 「よし、行くぞ」バスッ <そっち行ったー! <おりゃぁぁぁ! <超ヘッドダイビングです! <推して参ります! 浜面 「……なあ、海原」 海原 「どうしました?」●REC 浜面 「地上にも女神っていたんだな」 海原 「同感です」●REC 一方通行 「女神ねェ……」 海原 「姫君といった方がしっくりきますか? ナイト殿」 一方通行 「くっだらねェな」 浜面 「それも照れ隠しだろ? 俺らにはもう分かってるんだぜ」バンバン 一方通行 「気安く叩くンじゃねェ」 打ち止め 「とりゃー」ポン 白井 「ナイストスですの」 絹旗 「もらいました!」 打ち止め 「えい」ポイ 絹旗 「え、浮輪投げtふぎゃ」ボフン ボチャン 婚后 「あら、残念ですわ。ビーチボールが着水してしまいました」 打ち止め 「絹旗の負けー」 フレメア 「絹旗残念賞ー」 絹旗 「超ズルイです!」ムキー 打ち止め 「使えるものは使うのだ」 番外個体 「その通り」フンス 結標 「妹にあまり変なこと教えるんじゃないわよ」 フレメア 「お姉ちゃん、喉渇いた」 滝壺 「私も」 結標 「そろそろ休憩しましょうか」 打ち止め 「ねー、浮輪に乗るから後ろから押してって」 番外個体 「はいはい」 婚后 「ショチトル、先ほど脱いだシャツは?」 ショチトル 「……あれ?」 結標 「はい、流されてたわよ」 ショチトル 「ああ、済まない」 絹旗 「うー、あんな負け方超納得いきません」 白井 「勝負は非情なものですの」 絹旗 「ぐぬぬ……」 白井 「それっ」ポイッ 絹旗 「へ? あ、ちょっと、わっ!」バシャン 白井 「ナイスキャッチですの」 浜面 「お、戻ってきたぞ」 海原 「休憩ですか?」 結標 「そ、いったん一休み」 滝壺 「はまづら、飲み物ちょうだい」 フレメア 「私も私も」ピョンピョン 浜面 「おう、ちょっと待ってな」ゴソゴソ 婚后 「みなさんは海に入らなくてよろしいのですか?」 海原 「留守番みたいなものですよ」ニコニコ ショチトル 「私たちしかいないのだから気にすることないのに」 打ち止め 「せっかく来たんだから入ればいいのに」 白井 「そうですの。次がいつかなんて分からないのですし」 一方通行 「いいンだよ、俺は」 番外個体 「ちょっとぐらい飲んでったら? 海水」 絹旗 「私はもう超たっぷり味わいましたけど」 浜面 「フレメア、海はどうだ?」 フレメア 「超楽しい♪」 絹旗 「大体、超って使っていいのは私だけです」 ショチトル 「去年もこんな感じだったのか?」チュー 結標 「ええ、ほとんどこんな感じね」 海原 「ゆったりと過ごしてましたよね」 滝壺 「時間の流れ方がなんか違う気がする」 打ち止め 「去年も連れてきてくれればよかったのに」 結標 「ゴメンねー、お姉ちゃんが黙ってたせいだからねー」 番外個体 「えっ、私のせいなの?」 打ち止め 「ズルイズルイ」 一方通行 「我侭言うな」ナデナデ 打ち止め 「」フニャー 白井 (か、可愛い……) 打ち止め 「ねー、シャベルない?」 番外個体 「シャベル? ないでしょ」 フレメア 「ぶー」 滝壺 「何につかうの?」 浜面 「シジミでも集めるのか?」 絹旗 「夕飯の確保ですか」 結標 「なんでよ、砂遊びでしょ」 打ち止め 「」コクコク 婚后 「スコップや鶴嘴なら別荘にあったかと思いますが」 白井 「砂遊びというにはあまりに大袈裟ですの」 ショチトル 「手でもできないことはないぞ? ほら」ザッザッ フレメア 「あ、ホントだ」 打ち止め 「どうやったの?」 ショチトル 「コツはあるんだが……」 結標 「教えてあげてくれない?」 ショチトル 「あぁ、構わない」 フレメア 「早く早く」 打ち止め 「お姉ちゃん、教えてー」 ショチトル (お姉ちゃん……悪くない) <砂で何か作る、にゃあ。 <何作る? <簡単な構造のものにしてくれ。 絹旗 「あっ、砂遊びといえば」 滝壺 「いえば?」 絹旗 「これから私たちで砂に穴を超掘りますので、そしたら浜面入ってください」 浜面 「は?」 絹旗 「浜面が入ったら穴を超埋めますので、そこで一言お願いします」 浜面 「お前なにしれっとすごいことを大喜利みたいなノリで言ってんの!?」 一方通行 「面白そォだな。上半身だけ埋めてやれよ」ケラケラ 海原 「そしたら砂面さんになっちゃいますね」ニコニコ 浜面 「死ぬよね!? そんなことしたら俺死んじゃうよね!?」 番外個体 「埋めるっていってもアレでしょ? 砂風呂みたいな」 婚后 「よく映画やドラマのシーンでも拝見しますわね」 浜面 「ああ、ああいうのか……まあ、それだったら」 滝壺 「あれは埋めるっていうより砂をかけるって感じだね」 絹旗 「さあ、浜面。そこになおれです」グイグイ 浜面 「わかったわかった。せっかくの海だしな。付き合ってやるよ」 一方通行 「」カチッ 結標 (何か企んでるわね) 浜面 「ここらへんでいいか」ゴロン 白井 「ではみなさんで砂をかけて差し上げますの」 一方通行 「オラァァ!」ブンッ ヒュゴォォォォォン 滝壺 「ひゃっ」 婚后 「砂嵐……!?」 結標 「みんな、目と口と鼻ふさいで!」 パラ...パラパラ... 絹旗 「収まりましたか……ユリコ、大丈夫でしたか?」 ユリコ 「ノ・ω・)ノ」ビシィ 番外個体 「このバカセラレータ! 誰が砂嵐起こせなんて言ったんだよぉ!」 一方通行 「埋めるの手伝ってやったンじゃねェか」ニヤニヤ 海原 「ぐっ、目をやられたようです……!」 白井 「大丈夫ですか? はい、お水で洗い流してください」 絹旗 「あれ? 浜面は?」 浜面 「……うぉーい」 滝壺 「あっ、すごい。もう埋まってる」 一方通行 「渦の中心と砂の着地点もキッチリ計算したからな」 結標 「才能のムダ使いよね……」 打ち止め 「あっ、崩れちゃった」 フレメア 「やり直しだね」 ショチトル 「ちょっとずつ砂を足して、ちょっとずつ固めていくんだ」 打ち止め 「ちょっとずつちょっとずつ」サラサラ ショチトル 「そうそう、それぐらいでいい」 フレメア 「ここのフォルムがもうちょっとこう……」ガリガリ ショチトル (フォルムって……) 打ち止め 「ここもうちょっと足したほうがいいよね?」サラサラ フレメア 「大体待って。そうするとこっち側とのバランスが」 打ち止め 「だから、こっちのほうを少し斜めにして」 フレメア 「じゃあこうするといいかも、にゃあ」 ショチトル (……うん? ちょっと待って) 打ち止め 「ここに高さがほしい……」 フレメア 「うん、ここはもう少しほしい」 ショチトル (何が出来上がろうとしているの……?)