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象の像の人 ◆Nap/gUKt9Eの凸装備 58 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 34 21.63 ID LnT2lPIj0 さて、俺の探索遍歴を語り終えたところで、探索装備について考えていきたいと思う。 何を大げさな、と思われるだろうが、にわかミリタリーマニアの俺としては、装備には拘っておきたいのだ。 お金は無いけど。 59 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 36 44.76 ID LnT2lPIj0 出来れば意見なども言って欲しい。 只、俺も凄い眠たいので、何時落ちるかわからないし、此のスレも何時落ちるかわからない。 返事が無くても許して欲しい。 60 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 38 02.19 ID LnT2lPIj0 あと、保守がてらの行動なので、文章が小出しなのは目をつぶっていて欲しい。 決して眠たいからではないんだ。 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 08 41 02.17 ID rMxcK6wF0 この企画でガチで幽霊と遭遇した事あんの? 62 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 45 03.69 ID LnT2lPIj0 先ずは服装だ。 今現在、イラク戦争真っ只中なので、本物のBDU、所謂戦闘服は手に入りづらい。高いしな。 そこで、服装については動きやすい、汚れても良い服装としか言えないのが現状だろう。 それこそが究極のチョイスだと思われる。 因みに俺は、メーカー不明の偽BDUを着込んで探索している。頭おかしいのは今も同じだったのだ。 色はOD色。良く見る軍隊チックな緑色だ。 これは、低視認性を獲得したいが為の選択だった。 何故か。 結局、日本には私有地と国有地しかないのだ。見も蓋もない言い方になるが、人に見つからないようにしたいのだ。 遭難したときは地獄なんでしょうね。 矢張り、偽者の為か、破れやすそうな印象を受けている。 63 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 46 52.36 ID LnT2lPIj0 61 俺に関して言えば、無い。 只、今回の象の像は、存在する地区が何かしら暗いイメージを伴っていたので、後味は嫌な感じだった。 64 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 54 12.00 ID LnT2lPIj0 さて、話が聊かずれてしまったが、次は靴だ。 御他聞に漏れず、廃墟は荒れている。自然の淘汰能力は恐ろしい。 ヴェトコン並みのトラップを随所に仕掛けていることも多々ある。 例えば釘。 並みの靴では踏み抜いてしまい、足を怪我すること請け合いだ。 しかも、その釘が錆びていたら、シリアスプロブレムとなる。 足が腐り落ちてしまうぞ。 靴底が厚いもの、ソールが比較的新しいものがベストだろう。 因みに俺は、心斎橋の軍用品店で購入したジャングルブーツを履いている。 これには踏み抜きようの鉄板が内蔵されている為、気楽に廃墟を走破できるのが魅力だ。 防水性能は無い。 雨の日に廃墟には行かない。 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 08 58 07.36 ID jhOxkZQN0 すげー拘ってるwwwwwwww 釘は怖いな確かに 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 08 59 09.83 ID oNExmalnO サバイバルwwww 67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 01 20.89 ID qe0uq5iB0 廃墟にかかわらず雨の日は嫌だな 68 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 02 45.71 ID LnT2lPIj0 そして、グローブ。 意外に軽視されそうだが、此れが以外に重要なファクターを占めている。 やはり廃墟というのは荒れている。 足場が不安定な場合、手腕により体制を保持せざるを得なくなる。 その際、手がむき出しだと、いらぬ負傷をする可能性が高い。 それを防ぐ為、グローブは着用すべきだ。 また、寒さが堪える此の季節、防寒用具としてもグローブは必需品だと思う。 因みに俺は、自衛隊勤務時代に購入したOD色の革手を愛用している。 軍手より丈夫だし、なにより保温性も高い。 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 10 49.38 ID qe0uq5iB0 本格的だな。 ライトはどんなの使ってる? 70 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 16 09.45 ID LnT2lPIj0 65 コスプレイヤーの気持ちは、友人の中では俺が一番理解している筈だ。結局は頭がおかしいんです俺。 66 矢張り、これくらいは揃えるべきだと声高に主張しても聞き入れてもらえない俺涙目。 67 俺としては雨は好きなんだが、友人達が嫌がる。 被服装備としての最後は頭部。 理想を言えばフリッツヘルメットなんだが、これは単に俺の趣旨だったりする。 安全ヘルメットでも、戦場ではないから、十分に頭部を保護してくれるだろう。 只、その姿は異常な様相を呈すること請け合いなので、ここではキャップを推奨する。 落下物による頭部への負傷を抑えるのだ。 むき出しの頭では、裂傷に発展しかねない落下物も、キャップを被ることにより鈍痛に押さえることが期待できる。 出血というのは、意外にストレスを感じるものである。 只でさえ、廃墟という非日常空間で活動しているのだ。余計な心理的負担は予防するべきであろう。 因みに俺は、これまた偽ファティーグキャップを使用している。勿論ODだ。 71 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 32 07.57 ID LnT2lPIj0 69 それについては、今から語ろうと思っていた。 被服関連はこれで網羅したと思う。抜けがあれば指摘して欲しい。自信があるわけではない。勉強したいのだ。 さて、次は探索用具となる。 先ずは照明器具。 廃墟探索は夜間が多い。人が少ない時間でもあるし、何より雰囲気を楽しみたいなら、矢張り夜間だ。 となると、必要なのは照明器具だ。 多く見受けられるのは、防災ライトと呼ばれる、手提げ式の赤いライトだ。電気屋等で叩き売られているのを目にすることが多いだろう。 大雑把に言えば、広範囲を照らせればいいのである。 只、用途によって使い分けたほうが良い。 室内などの閉所であれば蛍光灯系のライト、野外であれば通常の豆球ライト。 避けたいのは常備灯のような小型サイズのライトだ。 はっきり言えば意味をなさない。 因みに俺は、マグライトとシュアファイアを併用している。 使用法は次に示す。 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 34 31.41 ID YlK6QXTnO む 73 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 42 00.75 ID LnT2lPIj0 マグライトはバトンサイズを2本所持している。 ショートサイズの1本は腰のホルダーに予備として刺し、通常はロングサイズを使用する。 これは、例えば避けたい事態であるが、遭遇戦に陥った際、相手を威嚇し、攻撃を躊躇させ、その場を離脱する為に使用する。 余程の身体的危険を予測できる情況以外では、絶対にこちらから攻撃してはならない。正当防衛に当てはまらない可能性があるからだ。そんな度胸も無いしな。 また、野外に於いて野生動物が襲ってきた場合の護身用具にもなる。 但し、トンファーグリップを装備してしまうと、それは武器となってしまうので、外で持ち歩けなくなってしまう可能性がある。あくまでもライトなのだ。 シュアファイアは上記のような、遭遇戦にも効果を発揮するが、探索に於いてはその光量に注目したい。 匍匐姿勢での照明確保には、ペンサイズでありながら、LED以上の光量を有するシュアファイアは強力なパートナーとなるだろう。 因みにマグライトは照らす範囲を調節できる。 野外の道では広範囲設定で、室内などでは狭範囲設定で使い分けることができる。 74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 47 01.31 ID YlK6QXTnO 73 つまりLEDよりもマグライトの方が効率的って奴か… 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 48 18.75 ID YlK6QXTnO マグライトとシェアファイアだったな 76 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 58 36.80 ID LnT2lPIj0 次は携行するべき物品についてだ。 先ずは救急用具。 何も衛生兵のようにショルダーを携えろとは言わない。 携行するのは小型の軟膏、消毒液、絆創膏、ガーゼ、包帯だ。 これらを防水性のある入れ物に入れて携行しておくのだ。 これならある程度の傷には対応できる。 また、骨折などは、付近の適当な硬さを持った棒状の物を添え木とし、包帯で固定してやれば応急処置は済む。 それ以上の大きな負傷、例えば開放性の骨折や貫通創は、最早俺達素人の出番ではない。 速やかにその場を離脱し、プロに任せるべきだ。 理想を言えば、チームで一人、衛生担当が欲しい。救命講習を受けているのであればベストだ。 因みに救命講習は地域の消防署が主催で行っているので、受けに行くと良い。 大阪では無料だ。まあ、俺はまだ受けに行ってないんだが。 77 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 05 52.16 ID LnT2lPIj0 74 LEDでも、照度を調節できるものが在る筈だから、使いやすいほうを選んだほうが良い。 俺は個人的趣旨が多めに入っているから此のチョイスになった。 LEDの長所は長持ちすることであり、維持費が安い。 只、目に付きやすい光だから、他人に発見されやすいと俺は考えている。 また、バトンサイズのLEDライトもある。 先述のような機能をLEDに求めることも可能だ。 78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 08 12.08 ID qe0uq5iB0 サバイバルというかゲリラ戦というか本格的だな。 ヘッドマウントのライトもあったほうが良くないか? 79 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 09 15.48 ID LnT2lPIj0 無線は個人的趣味によるものなので割愛する。 只、携帯の電波が届かないところでの探索では必要になる可能性がある。 まあ、複数チームに分かれての探索に於いてだが。 80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 12 06.55 ID qe0uq5iB0 昔持ってたアマチュア無線のトランシーバーに ロングライフバッテリーを装着すると鈍器完成ww 81 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 17 25.49 ID LnT2lPIj0 78 それは盲点だった。 確かに両手は自由に使えたほうが良い。 それの購入も検討する。 只、光度、スイッチの操作性を検証しなければならないと思う。 俺は実物を持っていないので、実物を持っている方は是非、使用感をレポートして欲しい。 今、ざっと妄想してみたが、可搬式のライトの利点は照明方向の自由性にあると思う。 例えば、自分は前を注視しつつ、後ろを照らしたい、等の状況では、可搬式ライトのほうが分があると思う。 使ってみなければ解らないのだが。 あと、俺は矢張り格好にも拘りたいのでマグライトを推した。 と、情けない言い訳を言ってみる。 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 17 51.70 ID YlK6QXTnO 救急箱、デジカメ、地図、資料、ライト、メモ用紙しか持ってない俺には詳しい説明は助かるな 車の中にはノートパソコン。車中泊用の布団とカーテンが入ってるが…。 83 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 18 49.80 ID LnT2lPIj0 80 兎にも角にも、身を守る手段をどれに求めてもいいと思う。 が、矢張り俺は格好に(ry 84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 22 36.96 ID gooAU1s9O つまり、自衛隊時代に購入した迷彩服と半長靴、テッパチ(新型)、マグライトを所持していて 救命講習、応急救護講習を終えていて尚且つスキー場でのレスキューを4年ほどしていたので実践経験があって オマケにアマチュア無線の免許も持ってる俺は廃墟探索には最強ってわけですね? あ、偽装網とドーランは必要ですか? 85 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 23 24.01 ID LnT2lPIj0 82 それだけでも凄い装備だと思う。 地図は防水マップケースに入れれば、長時間の活動や雨露にも対応できる。 俺は、付近の詳しい地図はグーグルマップ等の印刷したものを併用している。皆も一緒だと思うが。 それらも防水マップケースに入れれば長持ちする。 資料は何の資料だろうか? 86 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 27 49.33 ID LnT2lPIj0 84 最強。 チームを編成する際、必要な人材、というかリーダーだと思う。 是非、ぐいぐい引っ張っていって欲しい。 また、今まで俺が述べてきたことに添削もして欲しい。いやまじで。 因みに俺は海上自衛隊だった。 基地防備訓練の指導に来た陸上自衛官が「ええ、敵は殺しますよ」と真顔で言ったのに肝っ玉冷やしたのは秘密だ。 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 31 50.01 ID YlK6QXTnO 85 ライブドア地図と廃墟探索の証拠物件を集めた宝の地図だな。 だいたい場所も書いてあるので推理して探すことになるがな 88 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 31 53.95 ID LnT2lPIj0 あと、記録器材についても、俺が貧乏だという理由で割愛させて頂く。 持ってないんだよね、デジカメ。 携帯のカメラしかないんだよね。 89 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 33 36.98 ID LnT2lPIj0 87 素晴しい。 俺もそのように記録していこうと思う。 片付けが出来ない子だが。 90 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 35 26.12 ID LnT2lPIj0 84 ああ、あとテッパチは譲って欲しい。 91 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 37 04.46 ID LnT2lPIj0 本当なら、編成等にも言及したかったが、遍歴で語ったように、 行動を共にする友人がいまや一人になってしまったので割愛する。 92 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 42 39.57 ID LnT2lPIj0 どうだろうか、参考になっただろうか? 間違っている点や意見が在ればどんどん言って欲しい。 あくまで保守的な意味で。 探索者 ◆M2JESBg.7cの凸装備 377 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 09 40.87 ID mjxy4seRO えーっと、昨日の象の象の人が書いてた探索の際の装備を 俺の好みを多分に織り交ぜて書いていこうと思うんだけど、いいかい? 380 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/20(木) 11 12 38.34 ID W8qR2+TEO 377 要望を出した、俺の口からは何とも言えない。 保守がてら、ということにして、メインの話題が来たら止めるという方向がベストではないだろうか。 382 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 17 55.07 ID mjxy4seRO まずは、頭。 像の人も言っていたけど、怪我を防ぐためにもせめて帽子の着用はした方が良いと思う。 今の時期は寒いから、防寒という点を考えると ニット帽は最適だと思うんだ。 あるならドカヘルとかなら安全だけどね。 ただ、いくら安全でもバイクのフルフェイスはオススメできない。 384 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 20 30.23 ID mjxy4seRO メインの話題が出たら止める、ね、了解した。 携帯からだから若干のラグは許してちょーだい 386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 11 23 43.64 ID 592lTPNf0 いいよ~ メインなんてないからどんどん書いて 391 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 45 48.24 ID mjxy4seRO んじゃ続けるね~。 次に服装ね。 今は寒いから半袖なんていないだろうけど、真夏でも長袖長ズボンはデフォな。 んで、寒いからといって着込んで行くと、動き回ってるうちに汗をかいて その汗で逆に体温を奪われるなんて事もあるから、あまり厚着はおすすめしない。 機能性インナーなんかあると重宝するよ。 予算に余裕があるなら「ゼロポイント」とか「アーマー」とか 余裕が無いなら確かユニクロにもあった 392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 11 48 51.12 ID aWV6TpSQO あと質問。夏冬とも作業服凸ってどうなの? 俺よくやってるんだけど 393 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 54 35.03 ID mjxy4seRO 手は素手は厳禁な。 像の人が言ってたとおり、ケガが怖いし、自衛官ぐらいしか破傷風の予防接種なんて受けてないだろうし。 なので、手の装備でオススメは皮の手袋。 皮の手袋から滑り止めのついた軍手を装着すれば最強かな。 靴は底とか爪先に鉄板が入ってる奴を推奨。 ただ、履き慣れてないと靴擦れとかが怖いから、履き慣れたスニーカーなんかでもいいかも。 そこは各自の判断に任せる 394 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 56 43.28 ID mjxy4seRO 392 作業服凸は悪くないと思うよ。 汚れても問題ないし、普通の服よりは生地もしっかりしてるだろうから。 後は季節に合わせたインナー選びじゃないかな 395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 11 58 42.27 ID aWV6TpSQO 394 了解しましたー。 396 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 02 47.39 ID mjxy4seRO じゃあ、次から持ち物書いてくね。 質問があったらどんどん書いていってー。 まずは、ライトからいこうか。 ライトは俺もLEDよりマグをオススメするかな。 確かにLEDは輝度も高いし明るいんだけど、見にくいんだよね。 あとLEDの特性なんだけど、視認性は高いけれど照明性はイマイチなんだ。 言い換えると、相手からは見やすいけど、自分はイマイチ見にくいって感じ。 だから、マグを一つくらい持ってた方がいいかも。 像の人が言ってたとおり、場所や状況に応じて使い分けるのがベストだけどね。 ヘッドライトはあったらとても便利だと思う。 397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 02 52.49 ID 47TB5sgHO まぁ、気楽に凸しようぜぃ 398 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 07 47.10 ID mjxy4seRO 397 そうそう、気楽が一番。 ただ、安全第一で凸してもらいたいのと、これから凸してみたいって人の参考になれば良いなと思って書いてるんだ。 399 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 17 19.29 ID aWV6TpSQO あと安全靴のスニーカーてのもどこかに売ってあるんだよな。 それとこれが気になった。 http //m.rakuten.co.jp/arde/i/10021942/?aftk=S7h3Lda.FjKjUYkq0ufV67IXbpf3ofhdKz.DWveBGtPrRGbNnU(携帯用) 400 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 20 37.04 ID 5rEmqEO70 トレッキングシューズとかいいんじゃね? 401 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 22 10.87 ID mjxy4seRO 後は軽いケガにその場で対応出来るように応急救護セット。 最低でも絆創膏、ガーゼ(できれば滅菌ガーゼ)、化膿止めの軟膏、包帯、水は用意した方が安心。 知識があるなら、包帯じゃなくて三角巾がモアベター。 三角巾は一枚あれば何でもできる優れものなので、あると便利です。 402 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 25 37.16 ID mjxy4seRO 399 安全靴のスニーカーはワークマンとかホームセンターで3000円しなかったかな。 そのインナーソール良いね。俺も買おうかな。 400 トレッキングシューズも悪くないと思う。 歩きやすいのが一番! 403 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 29 01.83 ID mjxy4seRO 後は下着の着替えは持っていったら安心だと思うよ。 んで、持ち物は防水対策をちゃんとした方が良いよ。 防水対策に便利なのは、ジップロック。 衣類はジップロックに入れて圧縮すればかさばらないし、防水にもなるから、非常に便利なのでぜひ使ってもらいたい 404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 30 35.55 ID 47TB5sgHO たしかに備えあれば憂いナッスング とりあえず高いところから飛びおりるときは足元確認を! 405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 32 50.75 ID l74pBjj+O 段差がないかとかね 落ち葉で見えにくいしね 406 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 34 07.28 ID mjxy4seRO 箪笥飛び降りオ(ryの際は要注意って事だなwww 407 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 44 21.98 ID l74pBjj+O 大した高さじゃなくても足捻ったらいたいしねー 411 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 13 02 40.84 ID mjxy4seRO 後は持っていって便利なものを書いていこうか? 414 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 13 26 33.78 ID mjxy4seRO 凸レポ用のカメラは必需品だろ? ライターと10得ナイフみたいなのもあると便利かも。 後は、高いけどポケナビがあると便利だよ~。 ポケットサイズのGPSナビで、現在地の座標と方角が表示されるから、山奥なんかの凸の際は重宝するはず。 目的地の座標がわかればナビゲートもしてくれるし 415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 30 01.28 ID l74pBjj+O ポケナビ…便利な世の中になったものです!ポケットピカチュウ! 416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 36 30.11 ID EpNJwhGLO 10得ナイフ欲しいなー…… あと新しいデジカメ 修理出しても直るかどうか…orz 417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 40 16.48 ID l74pBjj+O 刃物怖いですぅ<●><●> 418 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/20(木) 13 43 17.40 ID W8qR2+TEO 休憩保守をかます。 詳しい説明が有り難い。 勉強になる。 420 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 13 49 27.91 ID mjxy4seRO ポケナビは登山用品扱ってるスポーツ用品店ならあると思う。3万くらいだったかな 10得も安いやつでいいんだけどねー。 他には何か聞きたいことある? 421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 50 19.41 ID l74pBjj+O 3万… 422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 54 07.17 ID 5rEmqEO70 携帯のナビ機能で我慢するわ。 電波はいらないと使えんかったような気もするが・・・。 423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 55 09.31 ID EpNJwhGLO とりあえずはEZナビウォークでもいいじゃない! 10得ナイフの代わりになるもの、何かあった気がするけど思い出せない´` 425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 14 02 05.35 ID bPaIJvk40 420 今までの実績をよろしく! (経験談など) 426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 14 07 21.12 ID aWV6TpSQO あと地図なんだけど、スーパーマップル関西道路地図06版と姫路圏道路地図があるんだよ。 それでおk? 427 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 14 08 44.12 ID mjxy4seRO 俺の実績かい? 俺は廃墟凸は数回しかないんだぜ。 ただ、山登りとか、雪山のバックカントリースキーとかが好きだから、装備が充実してるのだ。 429 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 14 12 42.18 ID mjxy4seRO 426 その地図装備で十分だと思うんだぜ。 行く前にグーグル先生に場所教えてもらうと安心なんじゃない? 探索者気分を味わうならポケナビ買ってグーグルアースで座標だけ調べて座標のみで向かうとか最高に楽しいんだけどなー
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Vivid Survivors(後編) 不屈の夢の彼方まで ◆Oe2sr89X.U 痛ましい、絶叫だった。少女として生まれ、数多くの戦いとドラマを経験した彼女が、その人生で間違いなく最大の声量での絶叫をあげた瞬間だった。 無理もない。純粋な痛みもさることながら、彼女が今受けた傷はファイターとして致命的すぎるものだ。 アインハルトはもう、左の拳を握れない。片手落ちの戦士がどれだけの不利を被ることになるか、想像するだけで背筋が凍る。彼女は今、まさにそうなってしまった。 だがジャック・ハンマーは止まらない。人間だった頃ならいざ知らず、只の殺戮者と成り果てた今ならば、彼の親孝行を止めることが出来る悲鳴など、この世のどこにも存在はすまい。 「てめぇッ!!」 発砲したのはホル・ホースだ。至近距離であるにも関わらず、誤射の可能性を完全に排して銃撃が行えるのは彼のスタンド特有の強みである。 ジャックの潰れた右視界を切りながら進む弾丸は、見事意表を突くことに成功した。 一瞬ジャックが怯んだ瞬間を、激痛とショックに支配されていても尚見逃すこと無く俊敏に動き、アインハルトはホル・ホースを背負うようにしてその場から離脱を図った。 しかしそれは逃走する、という意味ではない。袋小路を遠ざける程度の効き目だ。 ジャックが、追い掛けてくる。 その速度は今や、アインハルトよりも速い。 ホル・ホースはこの時ほど、自分の『皇帝』に装弾数の概念がないことに感謝したことはなかった。 もしも弾切れなどを引き起こし、一瞬でも手を止めていたならば、その瞬間にジャック・ハンマーは自分達を殺すことが出来る。この男は、それだけ強い。 DIOとは違う意味での強さだった。ホル・ホースの脳内には今も、DIOの暗殺に失敗した時の記憶と恐怖が染み付いている。彼の強さが底の知れない強さなら、此奴の強さは理解の出来ない強さと言うべきか。 眼球は絶対に鍛えることのできない部位で、尚且つ脳髄にまで直結している。 そこを撃ち抜かれて死なない人間など百人に一人居るかどうかといったレベルの確率であろうし、よしんば助かったとしても、その後すぐにこんな速度と猛威で追い立ててくることなど絶対に不可能だ。 尋常ではないタフネス。人間を超えているスペック。これでは、もはや――人間を『やめている』。 「ちくしょうがッ! 何だってんだ、てめぇはよォ~ッ!!」 「ジャック・ハンマー。今は何者でもない」 「知るかタコッ!!」 叫ぶと同時、眉間に向けて発砲。撃ってすぐにホル・ホースは、しまった、と思った。 そして予想は的中する。あまりにも分り易いその狙いを読んだジャックは頭を大きく横へ逸らすことで弾丸を回避し、軌道変更のそれも回避。体勢を立て直そうとするアインハルトへ追い縋り、その足を勢いよく払った。 小さなうめき声とともに、アインハルトの体が揺らぐ。 ホル・ホースは宙へ投げ出され、地面により痛む体に鞭打つ勢いで衝撃を与えられた。 しかしこの瞬間、彼が案じたのは自分の身ではない。今狙われるのは、どう考えてもアインハルトの方だ。そして彼女を殺されれば、自分が生き延びられる可能性も完全に潰える――それに子供とはいえ、女性をこれ以上嬲らせ、ボロ雑巾のようにされるのはむかっ腹が立つというのもあった。 「貴様は後だ」 銃口をどうにか向けた時、もうそこにジャックの姿はない。 いつの間にか自分の傍らへ移動していたその爪先が脇腹を抉り、骨の一本が折れた感触と痛みが伝わってくる。 そこへホル・ホースを守るべく果敢に跳びかかったアインハルトの拳は片手落ち。迎え撃つなど、ジャックにしてみれば造作もない話であった。 拳と拳の衝突。力比べの趨勢が決する前に、ジャックが彼女の右手を掴み取る。 咄嗟に左手でそれを払おうとする彼女だが、手首から先が食い千切られて指の一本さえ残っていない身でやれることには限度がある。そのまま彼女は腕を起点に、勢いよく地面へ投げ付けられた。 肺に溜め込んだ空気が、一気に逆流していくのを感じる。ジャック・ハンマーは柔道家ではないが、逆に言えば専門でないからこそその投げは容赦も型もなく、剣呑さと粗暴さが同居したアウトローなものに仕上がっていた。 起き上がろうとするアインハルトを、ジャックは躊躇なく踏み潰す。 肩がごりりと嫌な音を立て、アバラはぼりぼりと砕け、バリアジャケットの下の白い皮膚には内出血の跡が所々滲み始める。アインハルトの悲鳴は、最早戦いではなく、虐待か何かを連想させるものへ変わりつつあった。 女性に優しい男を自負するホル・ホースでなくとも、こんなものを見せられて怒りを抱かない人間は異端だろう。 「いい……加減にしろ、ってんだ……この仏頂面野郎ッ!」 「後だ、と言ったはずだが」 「がッ!?」 ジャックの爪先が、ホル・ホースの左目に突き刺さった。 眼球が一撃で潰れ、尋常ならざる激痛が襲いかかってくる。 堪えずことも出来ずに声をあげて悶絶する彼を尻目に、ジャックは再びアインハルトを破壊していく。 踏み付けられ続け、体の各所を破壊されていった彼女の抵抗はもう弱々しい物になりつつある。永くはないだろうとジャックは認識。止めを刺す為に、その体へ馬乗りの姿勢を取る。 こうなれば、もう努力ではどうにもならない。格闘技でマウントを取られることの意味は、絶対的な不利を意味する。満艦飾マコという少女――ジャックが今纏っている極制服の本来の持ち主であった少女のように。 後はただ、潰されるだけだ。 (ちくしょうちくしょうちくしょうッ!! まさかあのクソ悪魔の居る方へ行った方がマシだったなんて思わなかったぜッ!! こんなイカレ野郎がいると分かってりゃ、絶対に来なかったのによぉ~~ッ!!!!) ホル・ホースは心の中で、あらん限りの後悔を吐き出していた。 鏡がないので傷口がどうなっているかは分からないが、まず間違いなく目は元に戻らないだろう。こんな筈ではなかった。もっと上手く立ち回って、もっと賢く生き残る筈だったのだ。 それがこのザマ。この化け物みたいな格闘家のせいで、何もかもが台無しになろうとしている。 アインハルト・ストラトスは殺されるだろう。 可哀想だとは思うが、ああなってしまっては、もう絶対に生き延びることは不可能だ。 相手に遊びがあるならばともかく、あれほど無感動な顔で殺しに来れる相手なら、完全に詰んでいると言っていい。 そしてその後はまず間違いなく自分だ。先の脳震盪の影響も、腹を蹴られたダメージも、目の痛みも全部残っているのだから、逃げきれるとは到底思えない。 彼女も自分も、詰んでいる。高い所から誤って落ちた時の感覚に似ていたが、先に待つのは底の知れない死という奈落だ。挙句ホル・ホースは、自分は天国に行けるとそう思えるような人生を送って来なかった。 「クソ、ッ……死にたくねえ……死にたくねえぜ、おれはよ……!」 這ってでも生きてやる。こんな所でくたばるなんて、めっぽう御免だ! 痛む体に鞭打って動き出そうとし、そこで一度だけ振り返った。 そこにあったのは、あまりにも無残な――アインハルト・ストラトスの姿であった。 清潔感のあるバリアジャケットの白が土埃でどろどろに汚れ、手から流れた血で地面を真っ赤に染め上げながら、しこたま殴られた顔面は無残な有様になっていた。 折れていた鼻が醜く潰れ、頬骨が陥没し、歯など一本も残っていないだろう。 その姿を見た瞬間、ホル・ホースは思った。ああ、これが『絶望』というやつなのかと、心の底からそう思った。 返り血と自らの血で真っ赤に染まったジャック・ハンマーの姿は、まるで地獄の鬼(オーガ)か何かのようだった。 その背中に鬼の貌は浮かんでいなかったが、血に染まった凄絶な彼の姿を前にして、ジャック・ハンマーが鬼の血を薄くしか引いていないなどと言える人間は、当の範馬勇次郎以外には間違いなく一人も居ないだろう。 ジャック・ハンマーは、鬼(オーガ)だ。範馬勇次郎という存在の死で完成した、一体の鬼。 「………フー」 彼の拳が、振り上げられる。 目が見えているのかどうかも怪しいアインハルトを確実に仕留める、最大の力が籠もった拳だ。これを叩き付ければ少女の頭など、軽々粉砕してしまえるだろう。 ホル・ホースはもう、銃口を向ける気にもならなかった。 寧ろアインハルト・ストラトスという少女にとっては、殺された方が幸せだろうと、そう思えたから。どの道死ぬのなら苦しみは短い方がいいだろうと、その行く末を哀れんだゆえだった。 「さらばだ、覇王流とやら」 断頭台から落ちてくるギロチンのような無情さで、王の命を潰す鉄拳が――落ちた。 ◆ ◆ 諦めていたのは、ホル・ホースだけではなく、当のアインハルトもまた同じであった。 只の逆境で膝を屈するほど、アインハルトは弱くない。だが今の彼女はホル・ホースが称した通り、死に体の状態だ。人間としても、ファイターとしても。再起不能レベルの傷を負って、朽ち果てかけている。 体に付いた傷など改めて語るまでもない。しかしその中でも、食い千切られた左の手だけは話が別だった。 失うだなんてことを考えもしなかった自分の拳が、もう二度と戻らない。それを自覚した瞬間、アインハルトの中の何かがぷっつりと切れた。 彼女は覇王の記憶を継ぐ者だが、それはそれとして、一人の歳相応の少女である。 十代半ばにも届かない年齢の少女にとって、身体部位の欠損というのがどれほど大きなショックか。まして彼女はファイターなのだから、ショックの度合いは更に跳ね上がる。 もう拳は握れない。覇王流の技にも、二度とは繰り出せないものが出てくるだろう。 それどころか戦いを続けられるかも分からない。それ以前に、この男には勝てない。この場を生き延びて、ミッドチルダの大地を踏むことは二度とないのだ。 アインハルトは優れたファイターであったから、余計に強くそのことを理解してしまった。 結果、心が砕けた。人より強かった心はグシャグシャにされ、踏み潰され、絶望の底に沈んでいた。 コロナや、この会場で出会った仲間にもう一度会えないのは悲しい。それを思うとやり切れない気持ちになる。 特にコロナはヴィヴィオを失い、自分が死んでしまったなら、元の世界からの知り合いはもう誰もいなくなってしまう。どうか彼女には最後まで立ち続け、生きて帰って欲しいと心からそう思う。 (ヴィヴィオさん……) 独りぼっちで戦い続けるしか出来なかった自分は、いつの間にか沢山の仲間に囲まれていた。 皆でトレーニングをしたり、合宿をしたりして過ごす日々はとても楽しく、満ち足りた時間だった。 だからこそ心のどこかで思ってしまっていたのだ。汗を流し、夜が来て、寝て起きれば。当たり前のように愛すべき日常が広がっていて、そこから誰かが欠けることは決してありえないと。 日常は壊された。繭という少女の道楽で、アインハルトは友人を失った。 そして今――アインハルト・ストラトスは自分の使命さえも失い、静かに朽ち果てようとしている。 ただ。これでいいのかもしれないとも、アインハルトは思っていた。 高町ヴィヴィオは、聖女オリヴィエの記憶を継ぐ少女はもうどこにもいない。繭の思惑の前に、無情に消えた。もう彼女と会うことも、友誼を育むこともなければ、再度拳を合わせることもない。 ――もしも。死んだ先にもしも続きのようなものがあるのなら、今度こそ彼女とずっと一緒にいたいと思う。 理不尽な何かに引き裂かれることもなく、ずっと。アインハルト・ストラトスが愛した日常を繰り返しながら、他の皆がやって来るのをずっと待っていられたなら。 それに優る幸せはきっと、ない。そう思ったから、アインハルトは諦めることを受け入れた。 ――――アインハルトさん! だが、それを許さないぞと脳裏に響く声がある。それは愛らしい少女のもので、アインハルトが今一番聞きたいと思っていた好敵手の声でもあった。 ――――これで、いいんですか? あなたは……本当に、これでいいんですか!! 高町ヴィヴィオ。 その声が、頭の中でうるさいほど大きく響いている。 頭の中のヴィヴィオは怒気すら含んだ大声で、今まさに全てを諦め、死という未来に身を委ねようとしているアインハルトを一喝していた。 薄れかけた意識が鮮明さを取り戻すくらいに、彼女の声はアインハルトの頭の中に深く、深く響いてくる。 ――――違うはずです。私が好きだったアインハルトさんは、こんな所で諦めたりなんてしないッ!! ハッと、アインハルトは腫れた瞼を見開いた。 ヴィヴィオが好きだった、アインハルト。それはきっとインターミドルに備え、毎日のように鍛錬を共にしていた頃の自分のことだろう。 間違っても戦いの勝利を諦め、楽な方向へと逃避しようとしている情けない少女のことではない筈だ。 ヴィヴィオだけではない。頭の中には、皆がいた。リオが、コロナが、ヴィヴィオが、ナカジマ家の皆が、なのはが、フェイトが、皆まっすぐにボロボロのアインハルトを見つめ、小さく頷いてみせた。 (でも……でも! 私は、もう……!!) ――――大丈夫。私が、皆が、アインハルトさんには付いてます!! 頭の中に居た皆が、アインハルトを応援していた。諦めないで、立って、生きてと、皆思い思いの言葉をぶつけてくる。そして先頭に立つヴィヴィオも、まっすぐに自分の目を見据えていた。 その姿を視界でなく、心で認識した途端、アインハルトの目から一筋の涙がこぼれ落ちた。 頭の中で手を差し伸べる美しい瞳の彼女の姿は、まさに記憶に残る、聖女オリヴィエの勇姿そのもので…… (そうだ……わた、しは…………) 振り落とされる拳が見える。それに向けて、隻腕も同然になった腕を動かす。体勢は馬乗り。体はボロボロで、頭がふらつくどころか噛み締める歯の一本も残っていない。 そんな有様になっても、いや、だからこそか。アインハルトは諦めるという選択肢を、自然に思考の内から外していた。残った拳を握る――使えなくなった左手は盾で、こちらが剣だ。 ああ、と思う。役割が明確に分かっているなら、やりようなんてものは幾らでもあったのだ。 「ヴぁ、おう、ひゅうッ――」 覇、王、流。呂律の回らず、ただ空気が抜けていくだけの口で、それでも名乗り上げる。 「――アインハルト・ストラトスッ!!」 ハイディ・E・S・イングヴァルトとしてではなく、彼女たちとともに戦った一人の戦士として。 左手で落ちてくる拳を止め、骨がバリアジャケット越しに砕ける激痛など意にも介さず、ジャック・ハンマーの顔面を真正面から右拳で殴り抜いた。 破裂音にも似た音を鳴らして炸裂した拳は、だが威力で言えば然程でもなかった。 死に体同然の少女が、魔力もろくに込めず放った一撃なのだ。極制服の強化を受けて魔人になったジャックを仕留めるには力不足も甚だしいと言わざるを得ない。 しかし、アインハルトの拳を受けたジャックは大きく仰け反り、彼女が馬乗りの体勢を脱せるほどの大きな隙を作る結果に至ってしまった。 何故、この屈強なるファイターが、たかが気力だけの拳を前にこれだけの有様を晒したのか? その答えは、まさしく彼の超人性を後押ししていた極制服にこそあった。 (くッ……!) 喧嘩部特化型二つ星極制服――生命戦維で編まれた、本能字学園の技術の結晶。特にこの喧嘩部特化型極制服はジャックによく合った性能を持っていたが、その分燃費がひどく悪い欠点を制限により加えられてもいる。 それこそ戦闘を不用意に続ければ、限界点がものの数分でやって来てしまうほどに。 (此処で、かッッッッ!!) アインハルトの猛攻もさることながら、ホル・ホースの『皇帝』が大きかった。放たれる弾丸を時に避け時に叩き落としとする中で、極制服の消耗は着々と進んでいたのだ。 そしてちょうど今、極制服がもたらすアシストが完全に尽きた。そう、完全にだ。極制服は再度、休眠する。 残るのは極制服が与えた疲労。それはジャックのパフォーマンスを目に見えて劣化させ、その瞬間を偶然にも縫って炸裂した拳が、予想以上の戦果を挙げた。 更に言えば、ジャックの切り札……マックシングの発生にも期待できない。 半日間以上のステロイド非摂取、殺し合いに運ばれる前の時間から合わせれば非摂取時間は更に伸びる。もしもこの会場で、彼が薬物ドーピングを行う機会があれば別だったろうが、生憎とそれはなかった。 だが、それまでだ。片手の消えたファイターなど、極制服の力なくしても押し切ることは難しくない。 アインハルトの姿は生きているのが不思議なほどだ。もはや油断だとかそういう次元でもなく、頑然たる事実として楽勝と認識してしまうのが普通だろう。 それどころかジャックには、立ち上がってきたのが理解できない程だった。しかしそこは、彼もファイター。そして強い信念の下に動く身だ。 すぐに悟った――この少女も、朽ちる訳には行かなかったのだ。 ならば潰そう。その意気も諸共に叩き潰し、勇次郎を甦らせるための糧としよう。 ジャックは待ちの体勢を取るアインハルトに勢い良く踏み込み、強烈なボディーブローの一撃を叩き込んだ。 抵抗も出来ず、ボディに拳が吸い込まれた。……かのように思われたが、実際には、アインハルトの左肘を前に攻撃は止められていた。 それと同時に拳へ走る鈍痛。防御主体の鋼性の構え、『牙山』だ。手がなくとも腕だけで繰り出せる技として駆使されたこれは、十分にその役割を果たす。 ――小癪な真似を―― ジャックは再び強く拳を握り、アインハルトの残り少ない体力を削り切るべく猛攻を仕掛けにかかった。 しかし吹き飛ばされたのは彼の方だった。痛烈なアッパーカットを受け、両の足を地から放し、口から血さえ吐き出しながら宙を舞っていた。 カウンターのように放たれた一撃が、彼の顎を抉ったのだ。何もそれは、大それた技ではない。 「ヴぁ、おう、ひゅぅ」 繰り出されるは覇王流が奥義、覇王空破断。拳撃と共に衝撃波が飛び、空中のジャックを強く打ち据えた。 されどジャックも強者だ。そこは吹き飛ばされながらも脚力で耐え切り、それ以上の後退と痛手を避ける。 だがそれも、明らかに以前に比べて衰えが見えている。極制服の使用で溜まりに溜まった疲弊が、ジャック・ハンマーが誇る鋼の肉体に綻びを生んでいる。 次いで、足取りも覚束ずに、アインハルトが迫ってくるのが見えた。 繰り出す技は読める。覇王断空拳――彼女が誇る、絶大な威力を持った拳撃だ。以前ならば受け止めることも容易だったが、今の状態でそれをすることが良いとはとても思えない。 ならば先手を取る。 技が出る前に潰せば、脅威は存在しない。 ジャックの算盤が弾き出した最適解は、確かに的を射ていたと言えるだろう。 繰り出される技が本当に断空拳であったなら、だが、それが一番手早い解決法であった筈だ。 しかし繰り出されたのは、あろうことかまたもカウンターだった。ジャックの拳を逆に打つべく放たれた、多量の魔力を帯びた一撃。衝突の瞬間、ジャックは思わず拳を引いた。魔力の多分に込められたそれと真正面から張り合えば自分の拳が無事では済まないと、そう感じ取ったからだ。 ジャック・ハンマーは知る由もないことだが、この技はアインハルトが誇る覇王流の技ではない。 技の名は、アクセル・スマッシュ――かつて高町ヴィヴィオという少女が必殺技として用いていた、守りさえも攻撃に回す一閃必中の技であった。 無論アインハルトはこの技を会得するために訓練したわけではないのだから、ヴィヴィオのものに比べれば細部は大きく異なっている。 だがアインハルト・ストラトスが記憶の中で垣間見た、好敵手にして友であるヴィヴィオの一撃を思い返し、その極意を借り受けたのには違いない。 今、アインハルトは一人で戦っているのではなかった。記憶の中の皆と、共に戦っているのだ。 ジャックの拳が、アインハルトの顎を跳ね上げる。 ぐらりと揺らいだ隙に、その顔面に右フックを打ち込むジャックだが、彼女がそのまま屈み込むと同時に繰り出された奥義・破城槌が生んだ衝撃で逆に体勢を崩される。 復帰したアインハルトの、今度はれっきとした覇王断空拳の一打。 受け止めるジャックは、しかしその顔に紛れもない焦燥の色を浮かべ始めていた。 「ヴ、おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉッッ!!!!」 猛進してくるアインハルトの体力は、可視化したならもう1ミリ程度しか残っていないほどに減退しているはず。 なのに、どういうわけだか彼女を攻め切れない。ほんの少しが削れない。そしてもう一つの不可思議として、アインハルトのパフォーマンスが徐々に向上しているような気さえする。 今のアインハルトはまさに、最後の力を燃焼させている状態だった。 その身に培った経験、残されたセンス、全てを全力で発揮し、文字通りの全身全霊でジャックに向き合っている。 アインハルトが、ジャックの懐まで飛び込んだ。 ボディーブローを受けた彼は吹き飛びこそせず持ち堪えたが、流石にダメージを受けるのは避けられない。しかしジャックは至近距離、絶対に外さない間合いでアインハルトへ文字通り牙を剥く。 勝負を決めるための手段として、ジャック・ハンマーが用いたのはあろうことかまたもバイティングだった。 最大の得意技にして、最も凶悪な攻撃。それをもって覇王の生涯に幕を引かんとしている。アインハルトも即座にそれを察知して拳を振り上げた。こうなると、もう勝敗を決める要素は一つしかない。 バイティングを切り札とするジャック・ハンマーの驚異的な顎の力を打ち砕き、へし折るほどの力がアインハルトにあるかどうか。それだけが、勝負の分かれ目だ。 しかし、しかしだ。此処で悪辣な運命は、今度はアインハルトに矛先を向けた。 ――振り上げた拳が、接触を待たずに脱力する。 出血多量、脳震盪、顎へのダメージ、崩壊した顔面、全てがアインハルトの生命力を現在進行形で蝕んでいた。それが限度まで達し、アインハルトは今この瞬間、まさしく『死にかけた』のだ。 ジャックの歯が、アインハルトの首に突き刺さらんと迫る。少女の細い首など、ジャックにかかれば簡単だ。骨を噛み砕くような真似は不可能でも、頸動脈を切り裂けば出血多量気味の人間は数秒足らずで死ぬ。 届かないのか。あと一歩で、届かないのか――アインハルトの胸に満ちる焦り、失意。しかし運命は彼女の敵に回ったが…… ――――メギャンッ!! メギャンッ!! メギャンッッ!!! 『皇帝』は、変わらず彼女の味方だった。 不規則な軌道で誰にも気付かれずに飛来した銃弾がジャックの口に炸裂し、その前歯をへし折り喉を貫く。 ぐおんと跳ね上がる顎。その瞬間はまさに、千載一遇の好機であった。アインハルトは最後の力を振り絞り、握り締めた拳を――ジャック・ハンマーの腹筋に、全ての力と思い出を込めて、叩き込んだ!! くの字に曲がる体、吐き出される胃液。あと一撃だ。それさえあれば、事足りる。 「な、め、……」 だが。 「ナメルナヨッッッッ!!!!」 全身全霊、命全てを燃やして戦っているのは、ジャック・ハンマーも同じなのだ。 ジャックの拳が、アインハルトより一瞬速く、彼女の顔面を貫いていた。顔を破り、頭蓋に届くまで深く突き刺さった拳。それを受けたアインハルトの腕が、だらりと、今度こそ完全に脱力する。 「が……ががががが、がが」 ガクガクと痙攣さえしながら、動く拳。 それはジャックの体へ一度だけ、ぽこ、と軽い音でぶつかり…… 「……終わりだ」 「がぁ……がガガ……がががががぁぁぁぁぁ…………が、ガヘッッ!!」 少女は、完全に動かなくなった。手を喰われ、体中を砕かれ、顔を潰されても戦い続けた勇敢な子は、死んだ。 勝ったのは、鬼(オーガ)だった。拳を顔から引き抜くと、アインハルトの体は完全に力を失い、地面へ俯せに倒れ臥す。それからジャックは、自分の血に汚れた手を見ながら、今の戦いを回想する。 覇王流という技術体系は、遊戯の域を出ていない。自分は確かに、そう言った。その認識は今も変わっていない。 だが、アインハルト・ストラトスというファイターに対しては評価を改めねばならないと、彼は今そう思っていた。平和島静雄のような化け物じみた強さがあるわけでは決してないが、それでも、弱くはなかった。 強かったと、そう評してもいい。最後の猛攻は、ジャックをして焦りを禁じ得ないほどのものだった。 「おめでとよ、兄ちゃんの勝ちみてぇだぜ」 そしてファイター二人の戦いを締め括るゴングの代わりに鳴り響いたのは、冷たく弾ける銃声。 極制服の酷使による疲弊、度重なる連戦で蓄積されたダメージ、それらが一斉に伸し掛かっているジャックにそれを回避する術は何一つとしてない。 軌道の変更すらされないまま突き進んだ銃弾は、ジャック・ハンマーの眉間へ突き刺さり、その脳を撃ち抜いて向こう側へと貫通していった。 (勇次郎よ……俺は………) 蘇る、地獄のような鍛錬の光景。殺人の記憶。 それだけしても、自分は範馬勇次郎を越せなかった。 目的の一つも果たせなかったのだから、父の域に至れている筈もない。 (俺は……ッッッッ) 最後にあったのは、底のない無念。まだ生きたい。やはり死ぬ訳にはいかない。勇次郎を生き返らせねばならないのだ。そして勇次郎を越さなければ、生きていた意味がない。 だから動け俺の身体と、ジャックは自らを鼓舞する。 (動け) (動け) (動け) (動け) (動け) (動け) (動け) (動け) それでも、彼の体は微動だにすることなく。 「俺はッッッッッッッッ、まだ死ねんッッッッッッッッ!!!!」 絶叫の中、止めの弾丸でこめかみを撃ち抜かれ、ジャック・ハンマーは完全に沈黙した。無念の形相を浮かべたまま死に果てた男へと、未だ硝煙の立ち上る銃を持ったガンマン――ホル・ホースは冷たく言い放つ。 「だが最後に勝つのは、おれだったな」 フッと微笑んで決め台詞を言い終えるなり、ホル・ホースはその場に仰向けに倒れた。 体の節々が痛む。中でもやはり潰された目が訴えかけてくる激痛は凄まじい物があり、今や意識を維持しているだけも相当な負担になっている。 出来ればどこか屋内で休むべきなのだろうが、生憎と、もう一歩だって歩ける気がしなかった。 凄腕の格闘家にボコボコに殴られ、痛め付けられて、今まで気絶せずにいるだけでもホル・ホースにしてみれば勲章ものの奮闘という話だ。 薄れゆく意識の中、過剰なほどに眩い日差しに照らされながら、ホル・ホースはらしくない真似をしたもんだと呆れたように述懐した。したが、しかしすぐに「いいや、おれらしい行動だったか」と彼はへらへら笑う。 なんてったってホル・ホースは、世界で一番女に優しい男なのだから。 ホル・ホースは諦めていた。自分もアインハルトも此処で殺されるのだと決めつけ、それは彼女も同じだと勝手に納得していた。だが、違ったのだ。アインハルトは諦めてなどいなかった。 ボロ雑巾のように痛め付けられ、生きているのが不思議なほどの状態になりながらも拳を振るい、果敢に戦った。 結果彼女は勝てなかったが、本来なら、ああやって戦うことすら不可能だった筈。 奇跡のような善戦で命を繋ぎ、その生き様を拳で語った彼女の精神は、気高い黄金色に輝いていたように思う。 「嬢ちゃんよ…………さすがのおれも……『敬意』ってやつを評するぜ。後は精々、ゆっくり休みな……おれもちょっとばかし疲れたからよぉ、少し、眠る…………ぜ………………」 アインハルト・ストラトスという少女が今際の際に見た友人たちの姿は、身も蓋もないことを言ってしまえば単なる走馬灯の亜種、幻影に過ぎなかったのだろう。 それでも彼女の中では、あの時見た皆の姿と言葉はまごうことなき真実だった。 走り続けた覇王は眠りに就いた。聖女も去り、覇王も去り。彼女たちが戦う勇姿を見ることはもう二度とないだろうが、その鮮烈(Vivid)な生き様は、人々の記憶の中に永遠に残り続ける。 不屈の夢の彼方まで羽ばたき続けた二人の少女に、どうか安らかな眠りがあらんことを。 【アインハルト・ストラトス@魔法少女リリカルなのはVivid 死亡】 【ジャック・ハンマー@グラップラー刃牙 死亡】 【G-2/一日目・日中】 【ホル・ホース@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [状態]:疲労(大)、肋骨数本骨折、左目失明、気絶 [服装]:普段通り [装備]:デリンジャー(1/2)@現実 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:不明支給品0~2、タブレットPC@現実 [思考・行動] 基本方針:生存優先。女は殺さない……つもり。 1:休む。つーか休まないと死ぬ 2:ジョースター一行やDIOには絶対に会いたくない。出来れば会う前に野垂れ死んでいてほしい。 3:アインハルトの生き様に、強い『敬意』。 4:夏凜にちょっぴりの『敬意』。 5:どうするかねえ、これから [備考] ※参戦時期は少なくともDIOの暗殺に失敗した以降です ※犬吠崎樹の首は山の斜面にある民家の庭に埋められました。 ※小湊るう子と繭について、アザゼルの仮説を聞きました。 ※三好夏凜、アインハルト・ストラトスと情報交換しました。 支給品説明 【メルセデス・ベンツ@Fate/Zero】 アインハルト・ストラトスに支給。 エンジンは排気量2966cc、直列六気筒SOHCのM198エンジン。最高時速は260キロ。ガルウィングのドアが特徴的。 第四次聖杯戦争時に切嗣が、アイリスフィールとセイバーの冬木における足として運び込んでおいた物。元々は本国のアインツベルン城にあった、アイリスフィール曰く「切嗣が持ち込んできてくれた玩具」のひとつ。 時系列順で読む Back Vivid Survivors(前編) 引き合うように重なる拳 Next 夢の跡、帰れない思い出の城 投下順で読む Back Vivid Survivors(前編) 引き合うように重なる拳 Next 夢の跡、帰れない思い出の城 159 Vivid Survivors(前編) 引き合うように重なる拳 ジャック・ハンマー GAME OVER 159 Vivid Survivors(前編) 引き合うように重なる拳 アインハルト・ストラトス GAME OVER 159 Vivid Survivors(前編) 引き合うように重なる拳 ホル・ホース 167 リボルバーにくちづけを
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今までのバトン渡し16 第3901回目~第4100目 3901回LaRa ラジオのやりかた忘れたw http //203.131.199.131 8060/etcgbu.m3u 3902回大塚フルフル クリスマス中止の署名↓にどうぞ・・・ http //203.131.199.131 8020/apathy.m3u 3903回ムーミン=カバ 初めまして。ふつらじデビューです。 http //203.131.199.131 8060/kamome.m3u 3904回ニャンチュー臭太 よろしくお願いします http //203.131.199.131 8090/piyopiyo.m3u 3905回マス男 三回目の放送になります http //203.131.199.131 8070/test1117.m3u 3906回pandaです 雑談 傷と消毒について・・・etc http //203.131.199.131 8070/test1117.m3u 3907回kura 初ねとらじです 30分トークが続くか不安です http //203.131.199.131 8030/kura.urontya.m3u 3908回肉男(怒) 相変わらず雑談です http //203.131.199.131 8080/Kreanga.m3u 3909回イカやろう テスト前です 集え聖戦士たち 色々改良してみた http //203.131.199.131 8070/bakaaaaa.m3u 3910回撫シコ 忙しくなってまいりました 熱しやすく冷めやすい 最近思うこと http //203.131.199.131 8060/nadesiko.m3u 3911回なかの フリーダム、風邪時々腹痛 http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 3912回ゆま 絶賛不調中。原稿終わらん。寒い。 http //203.131.199.131 8070/yuman.m3u 3913回ニャンチュー臭太 姉フラグがやばかったら終わってしまうかも・・・ http //203.131.199.131 8020/piyopiyo.m3u 3914回増田ジェゴロウ saku×2風gdgdトークショー♪ 今日のゲストは中川翔子ちゃん! http //203.131.199.131 8010/futsunisuckx2.m3u 3915回 ゆうたろう(仮) http //203.131.199.131 8070/yutaro15.m3u 3916回ゲイリーターナー 初ラジオよろしくおねがいしましあ 性格と胸の大きさ(二次) http //203.131.199.131 8050/onryoutest.m3u 3917回キャナルジ(神主) ちょっと設定変えてみた iPodのトップレート 冷え性 http //203.131.199.131 8090/canaldi.m3u 3918回肉男(美) 相変わらず雑談です http //203.131.199.131 8080/voevoda.m3u 3919回ニャンチュー臭太 こんばんわ http //203.131.199.131 8020/piyopiyo.m3u 3920回(なしまる) 23才 声優・アニメ・(最近やってないけど)泣きゲ好き 復帰後3回目は通算10回目くらい記念ということで、過去放送第3回のスタイルで。 http //203.131.199.131 8040/nashimaru.m3u 3921回タミフル おでんの美味しい食べ方 http //203.131.199.131 8060/realtinker.m3u 3922回初放送でDJ名はない 詳しくないけどアニメ、漫画が好きですね。 http //203.131.199.131 8050/test76.m3u 3923回綾丸 ゲップーが強すぎる件について(ハエ蜜・フラッシュβ使用不可縛り) http //203.131.199.131 8070/smelsba.m3u 3924回J 久々にDJ“J”の悪魔のラジオ!チョイ悪ジャン! http //203.131.199.131 8010/nageyariradio.m3u 3925回AVM 音楽を流しながらトークメイン http //203.131.199.131 8020/alvenis.m3u 3926回牛乳 14歳DJ いろんな意味でテスト\(^o^)/ http //203.131.199.131 8010/milk.m3u 3927回ニャンチュー臭太 よろしくお願いします。 http //203.131.199.131 8090/piyopiyo.m3u 3928回増田ジェゴロウ saku×2風gdgdトークショー♪ 今日のゲストはRaLaさんでーす! http //203.131.199.131 8010/futsunisuckx2.m3u 3929回大塚フルフル またCD買っちまった\(^o^)/ ブログの改造楽しいです http //203.131.199.131 8020/apathy.m3u 3930回綾丸 出落ち それだけ(涙 http //203.131.199.131 8070/smelsba.m3u 3931回ysd Xmas クリスマスに家でニコニコ見る俺は間違いなく勝ち組www http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 3932回マス男 二回目の放送です。つまらないと思いますけど,お聴きくださいましたら幸いです。 http //203.131.199.131 8050/test76.m3u 3933回高速ティッシュしおりちゃん ktsIGLOOスペシャル http //203.131.199.131 8020/shioriradio.m3u 3934回あべなつこ おねがいしまーす http //203.131.199.131 8020/opan2.m3u 3935回マンバ・ケーン 初出勤\(^o^)/ ズッコケ三人組についてでも語ろうかと思う。 http //203.131.199.131 8060/bunnbunn.m3u 3936回DJ名募集中 ばっちり童貞20歳男 http //203.131.199.131 8100/normal.m3u 3937回タンポポ のろけ http //203.131.199.131 8060/tanpopo.m3u 3938回ロドリゲス 転載どうも。 http //203.131.199.131 8030/enfonios.m3u 3939回牛乳太郎 何話したらいいですか? http //203.131.199.131 8070/gyunyu-.m3u 3940回LaRa ラジオのやりかた忘れたw あちこちガタがきてる http //203.131.199.131 8060/etcgbu.m3u 3941回大塚フルフル クリスマス中止の署名↓にどうぞ・・・・ http //203.131.199.131 8020/apathy.m3u 3942回ムーミン=カバ 初めまして。ふつらじデビューです。 http //203.131.199.131 8060/kamome.m3u 3943回ニャンチュー臭太 よろしくお願いします http //203.131.199.131 8090/piyopiyo.m3u 3944回マス男 三回目の放送になります http //203.131.199.131 8070/test1117.m3u 3945回pandaです 雑談 傷と消毒について・・・etc http //203.131.199.131 8070/test1117.m3u 3946回kura 初ねとらじです 30分トークが続くか不安です・・・ http //203.131.199.131 8030/kura.urontya.m3u 3947回肉男(怒) 相変わらず雑談です http //203.131.199.131 8080/Kreanga.m3u 3948回イカやろう テスト前です 集え聖戦士たち 色々改良してみた http //203.131.199.131 8070/bakaaaaa.m3u 3949回撫シコ 忙しくなってまいりました 熱しやすく冷めやすい 最近思うこと http //203.131.199.131 8060/nadesiko.m3u 3950回なかの フリーダム、風邪時々腹痛 http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 3951回ゆま 絶賛不調中。原稿終わらん。寒い。 http //203.131.199.131 8070/yuman.m3u 3952回ニャンチュー臭太 姉フラグがやばかったら終わってしまうかも・・・ http //203.131.199.131 8020/piyopiyo.m3u 3953回増田ジェゴロウ saku×2風gdgdトークショー♪ 今日のゲストは中川翔子ちゃん! http //203.131.199.131 8010/futsunisuckx2.m3u 3954回ゆうたろう(仮) http //203.131.199.131 8070/yutaro15.m3u 3955回ゲイリーターナー 初ラジオよろしくおねがいしましあ 性格と胸の大きさ(二次) http //203.131.199.131 8050/onryoutest.m3u 3956回キャナルジ(神主) ちょっと設定変えてみた iPodのトップレート 冷え性 http //203.131.199.131 8020/canaldi.m3u 3957回肉男(美) 相変わらず雑談です http //203.131.199.131 8080/voevoda.m3u 3958回ニャンチュー臭太 こんばんわ http //203.131.199.131 8020/piyopiyo.m3u 3959回(なしまる) 23才 声優・アニメ・(最近やってないけど)泣きゲ好き http //203.131.199.131 8040/nashimaru.m3u 3960回タミフル おでんの美味しい食べ方 http //203.131.199.131 8060/realtinker.m3u 3961回kura レッズ勝利おめでとう!!!!!! http //203.131.199.131 8010/urontya.m3u 3962回ぶちゃ夫 初めての保守放送 なので何も考えてません http //203.131.199.131 8010/himatsubushi.m3u 3963回募集中 緊張してますがよろしくお願いします>< http //203.131.199.131 8070/auau.m3u 3964回動詞 初めてですが、よろしくおねがいします。 http //203.131.199.131 8040/verv.m3u 3965回AVM 音楽を流しながらトークメイン http //203.131.199.131 8020/alvenis.m3u 3966回なかの ビッグショットにハマった俺、そしてフリーダム http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 3967回増田ジェゴロウ saku×2風gdgdトークショー♪ 今日のゲストは押尾学さんです! http //203.131.199.131 8010/futsunisuckx2.m3u 3968回ニャンチュー臭太 こんばんわ http //203.131.199.131 8020/piyopiyo.m3u 3969回ばんそーこー 4回目のねとらじです http //203.131.199.131 8020/bandaid0512.m3u 3970回枕 なぞかけ http //203.131.199.131 8060/pillow.m3u 3971回ゲイリーターナー ocnユーザー歌 「アクセス規制が解除されない」 http //203.131.199.131 8050/onryoutest.m3u 3972回高速ティッシュしおりちゃん キングライオンvs負け犬スペシャル http //203.131.199.131 8020/shioriradio.m3u 3973回キャナルジ(神主) 初の2日連続 誤爆とかネタレスが滑ると悲しいよね 誰がうまいこといえと 謎かけ(?)のりうどん http //203.131.199.131 8020/canaldi.m3u 3974回イカやろう 2008年度流行語大賞を審議 http //203.131.199.131 8070/bakaaaaa.m3u 3975回マンバ・ケーン 保守兼ね この時間帯に放送するのは初めてなんです>< http //203.131.199.131 8060/bunnbunn.m3u 3976回バファリン 第二回放送ですよろしくお願いします バッファがひどいのは仕様です http //203.131.199.131 8070/auau.m3u 3977回動詞 2回目です><保守がてら、酒とか音楽とかその他もろもろ http //203.131.199.131 8040/verv.m3u 3978回マス男 4回目です。頑張ります http //203.131.199.131 8020/test1117.m3u 3979回増田ジェゴロウ saku×2風gdgdトークショー♪ 聴いた時点であなたの負けですm9(^Д^)プギャー! 今日のゲストはhy○eさんです! http //203.131.199.131 8010/futsunisuckx2.m3u 3980回ニャンチュー臭太 こんばんわ http //203.131.199.131 8020/piyopiyo.m3u 3981回DJてく 新しくBGMを手に入れたので流したい放送 話すこと?・・・えーと・・・んーと http //203.131.199.131 8020/narronace.m3u 3982回MOM団の長門有希 似てないと思いますけど、長門の声真似放送orz http //203.131.199.131 8080/momnagato.m3u 3983回AVM 音楽を流しながらトークメイン http //203.131.199.131 8020/alvenis.m3u 3984回ニャンチュー臭太 こんにちわ http //203.131.199.131 8020/piyopiyo.m3u 3985回ムーミン=カバ 今年の漢字決定。あなたが決める「今年の漢字」とは http //203.131.199.131 8060/kamome.m3u 3986回 尾腐れ∴リア充かもしれない 彼女が淫乱。クリスマス寂しい。明日カラオケ http //203.131.199.131 8100/ogusare.m3u 3987回なまえはまだない さむい、さみしい http //203.131.199.131 8040/unko.m3u 3988回さむい、さみしい ばっちこーい! http //203.131.199.131 8060/kakko-warai.m3u 3989回なかの 究極のフリーダム http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 3990回ニャンチュー臭太 こんにちわ http //203.131.199.131 8020/piyopiyo.m3u 3991回ゆま 冬と時間と私の人生。プリンは美味しい http //203.131.199.131 8070/yuman.m3u 3992回タンポポ バイト http //203.131.199.131 8060/tanpopo.m3u 3993回綾丸 未来・過去・現在 哲学的な話? 実際にタイムマシンを造った男 http //203.131.199.131 8070/smelsba.m3u 3994回チン深爪 眠いです http //203.131.199.131 8060/deeptume.m3u 3995回てなよし 冬休みしか眼中にないよw 今日からてなよし復活って感じだよw http //203.131.199.131 8050/lirux.m3u 3996回なかの フリーダム http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 3997回ysd カヲル 俺のネタとさ、この気温って比べるとどっちが寒いのさ http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 3998回小太郎 テスト\(^o^)/結果 竹とんぼランデブー。 http //203.131.199.131 8070/kurokuro.m3u 3999回ふたギスカン(・´ω`・)放送96回目 適当 http //203.131.199.131 8020/futafuta.m3u 4000回高速ティッシュしおりちゃん ゆるふわもてかわスリム愛され自分へのご褒美 スイーツスリーエフのねーちゃんスペシャル http //203.131.199.131 8020/shioriradio.m3u 4001回(´・ω・`)ショギョーン 下腹部に鈍痛が・・・at秋葉原 http //203.131.199.131 8080/syogyo-n.m3u 4002回枕 一人ぼっち http //203.131.199.131 8060/pillow.m3u 4003回マンバ・ケーン とりあえずズッコケ中年三人組age41は読んだ。 この時間帯に放送できて万歳\(^o^)/ http //203.131.199.131 8060/bunnbunn.m3u 4004回牛乳太郎 学校が休みで一日暇になりそう どうやって貴重な休日を過ごすか悩み所 http //203.131.199.131 8070/gyunyu-.m3u 4005回カロリーメイト大好き少年(53歳・男) だいぶ久しぶりの放送 http //203.131.199.131 8010/kmdboy.m3u 4006回イカやろう テスト\(^o^)/オワタ http //203.131.199.131 8070/bakaaaaa.m3u 4007回ysd カヲル こんなに寒くても俺のハートはギンギンさ http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 4008回なかの 今宵、初のゲスト登場!!!! http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 4009回増田ジェゴロウ saku×2風gdgdトークショー♪ 今日のゲストはあのアニメキャラ! http //203.131.199.131 8010/futsunisuckx2.m3u 4000回ゆま 今日出かけるのに寝れない自分\(^o^)/ http //203.131.199.131 8070/yuman.m3u 4011回タミゾウ☆デーブ ふたご座流星群今がピーク 首が痛いww http //203.131.199.131 8060/kakko-warai.m3u 4012回ニャンチュー臭太 こんばんわ http //203.131.199.131 8020/purapura.m3u 4013回マス男 もう早朝といった時間ですね http //203.131.199.131 8020/masu1117.m3u 4014回(なしまる) 声優・アニメ・(最近やってないけど)泣きゲ好き http //203.131.199.131 8040/nashimaru.m3u 4015回ysd ↓ダウナー↓ スロットいってきたよー>< テンション低いのは仕様 http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 4016回ゲロ太郎 がんばりまっす。 http //203.131.199.131 8100/abc.m3u 4017回♂!番長 日曜から地獄の20日間が始まるお( ^ω^) みんなが休みの日に働く仕事です。鬱です。寒いです( A`) クリスマスケーキ誰か買ってwwwwお願い誰かwwww ケーキの予約の締め切りは16日だから安心・・・今日じゃねぇかwwwww 年末もクリスマスもバイトバイトバーイトー♪ お腹すいた・・・2日前から何も食べてない・・・orz http //203.131.199.131 8010/tabako.m3u 4018回うみんちょ 真性ゆとりがやるラジオ。 風邪ひいた。 アコギの弦換えてみた。クリスマス中止のお知らせ。 http //203.131.199.131 8040/gomyway.m3u 4019回増田ジェゴロウ saku×2風gdgdトークショー♪ 今日のゲストはタイガージェットシーンさんです! http //203.131.199.131 8010/futsunisuckx2.m3u 4020回マンバ・ケーン 初体験しちゃいました>< http //203.131.199.131 8060/bunnbunn.m3u 4021回ニャンチュー臭太 こんばんわ http //203.131.199.131 8020/purapura.m3u 4022回ちえたん 今日だけ部屋にパソコンがあるのです。 http //203.131.199.131 8100/chietan.m3u 4023回せっちゃん(せつなさ。) 過疎ってる時にやるのが私だろうね http //203.131.199.131 8010/setunasa.m3u 4024回なかの 歌唄うお!それとフリーダム http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 4025回ysd まごころを君に 凸られたら口説こうと思う http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 4026回♂!番長とかマジうけるんですけどー(笑) 高橋さんは相変わらずマジうけるんですけどーの反応 クリスマスケーキ予約してきた。自分の分・・・orz 先月の給与明細をゲット。まずまずの手ごたえですた http //203.131.199.131 8010/tabako.m3u 4027回高速ティッシュしおりちゃん 実写にするなよwスペシャル http //203.131.199.131 8020/shioriradio.m3u 4028回動詞 勘違い?フラグ?違いはなんやねん! 生肉あたったかも FF6始めました http //203.131.199.131 8040/verv.m3u 4029回ニャンチュー臭太 また自分ででサーセン http //203.131.199.131 8020/purapura.m3u 4030回ゆま リアルに厨二病の人がいてテラ吹いた事件 http //203.131.199.131 8070/yuman.m3u 4031回AVM 音楽を流しながらトークメイン http //203.131.199.131 8020/alvenis.m3u 4032回マス男 6回目かな? http //203.131.199.131 8020/masu1117.m3u 4033回ちえたん 部屋パソが6時までになった腐女子が授業短縮で早く帰ってきたから愚痴。 http //203.131.199.131 8100/chietan.m3u 4034回ニャンチュー臭太 月見うどんについて http //203.131.199.131 8020/purapura.m3u 4035回てなよし 喉枯れてますが気にせずに… 明日から歌いまくってやんよ! 冬休みのバイトの件。 http //203.131.199.131 8050/lirux.m3u 4036回大塚フルフル 注文したお http //203.131.199.131 8020/apathy.m3u 4037回ysd カヲル http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 4038回DJてく 2回目書くのは面倒なので略 http //203.131.199.131 8020/narronace.m3u 4039回枕 まだ諦めません なぞかけ http //203.131.199.131 8060/pillow.m3u 4040回特になし 音楽を流したりするかもです。好きな物はニューメタル http //203.131.199.131 8010/nerd.m3u 4041回てなよし 宅配物来ないよ! 5時からバイトあるよ! 桃鉄ってやっぱ楽しいよ! http //203.131.199.131 8050/lirux.m3u 4042回大塚フルフル これなーんだ? http //203.131.199.131 8020/apathy.m3u 4043回ニャンチュー臭太 月見うどんについて http //203.131.199.131 8020/purapura.m3u 4044回ksk クリスマスなんて・・ http //203.131.199.131 8010/hiroshi.m3u 4045回なかの お寿司買ってきた、そしてフリーダム http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 4046回ysd with キャナルジ ガチホモぎゅーっとキャナルッジ http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 4047回ふたギスカン(・´ω`・)放送97回目 献血やった インフルエンザ もうすぐ冬休み http //203.131.199.131 8020/futafuta.m3u 4048回動詞@4回目 予告どおり&お望み通り情熱の律動歌ってやんよ! 深夜なのに無意味にハイテンション http //203.131.199.131 8040/verv.m3u 4049回♂!番長 不幸話でもしていけばいいと思うよ。明石家サンタ的な意味で http //203.131.199.131 8010/tabako.m3u 4050回マス男 メールフォーム作ってみました。 http //203.131.199.131 8030/masuotoko.m3u 4051回マンバ・ケーン OCN解除ひゃっほー( ^ω^) これ笑うしか無いだろ・・・常識的に考えて・・ http //203.131.199.131 8060/bunnbunn.m3u 4052回ナ・ガーレ☆彡 36回目 ネオ 若い頃にかっこいいと思っていたこと 19vs70 http //203.131.199.131 8020/nagaare.m3u 4053回日南丈 久しぶりですが2回目です^^よろしくお願いいたします。 http //203.131.199.131 8100/hinan.m3u 4054回マンション久保田 読針術は俺に聞けm9`・ω・´) http //203.131.199.131 8010/kubota.m3u 4055回ぬこ 期限がやばい http //203.131.199.131 8020/nyaa.m3u 4056回(´・ω・`)ショギョーン 今日もgdgdとカラオケのバイトでの出来事とゲーセンについて http //203.131.199.131 8080/syogyo-n.m3u 4057回J この時間帯はかなり久しいの~。凸デモなんでもこいやー! http //203.131.199.131 8010/nageyariradio.m3u 4058回肉男(笑) トーク内容は全てフィクションです http //203.131.199.131 8080/voevoda.m3u 4059回ちえたん 声真似しつつ雑談。にょろーんとかやってますってヴぁ http //203.131.199.131 8100/chietan.m3u 4060回尾腐れ∴リア充かもしれない 彼女の名前「John」に決定。Jam Projectが腐女子間でブーム。 http //203.131.199.131 8100/ogusare.m3u 4061回ニャンチュー臭太 てんぷらうどんについて http //203.131.199.131 8020/purapura.m3u 4062回苦労人 手帳・カラオケ・ココア缶・ごっすん・その他色々 http //203.131.199.131 8100/lightnovel.m3u 4063回なかの 明日休みいやっほいいいいい!!!ソングtoフリーダム http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 4064回ブラックめがね ocnユーザーと喜びを分かち合いたい http //203.131.199.131 8020/jac.m3u 4065回人間モルモット ヒナギクは俺の嫁 俺のクラスが崩壊した http //203.131.199.131 8040/morumotto.m3u 4066回ksk マジックザギャザリングと俺とじいさん http //203.131.199.131 8010/hiroshi.m3u 4067回ちえたん たぶんこんどこそ今期最後。 http //203.131.199.131 8100/chietan.m3u 4068回マンバ・ケーン 卒論\(^o^)/ MTG勢が多くてびっくりした http //203.131.199.131 8060/bunnbunn.m3u 4069回ゆま 貧弱すぎる自分に吹いた http //203.131.199.131 8070/yuman.m3u 4070回ysd カヲル 凸◎ コンタクト追加◎ 男スネーク△ 女スネーク× http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 4071回アクエリアスR 夏影練習中 P90用資金たまりましたぜ http //203.131.199.131 8050/akueriasuR.m3u 4072回せつなさ。 出かけよう出かけようと思ってもなかなか出かけられない。冬休みこないで。 http //203.131.199.131 8010/setunasa.m3u 4073回募集中 新人なんで適当にいじってくださいw http //203.131.199.131 8020/real.m3u 4074回セクシャルバイオレット吾郎 二回目です ysdさん前はほんとうに失礼しました http //203.131.199.131 8030/sgr.m3u 4075回綾丸 悲惨な出来事 http //203.131.199.131 8070/smelsba.m3u 4076回チン深爪 こたつってほんといい物ですね http //203.131.199.131 8020/deep.m3u 4077回ニャンチュー臭太 うどんについて話すかもわかりません http //203.131.199.131 8020/purapura.m3u 4078回なかの ワックスのつけ方が・・・、ギターは楽しい、クリスマスどうすっかな・・・ http //203.131.199.131 8060/nakano.m3u 4079回タミゾウ(略)デーブ センターまであと1ヶ月って?またまたwwww http //203.131.199.131 8060/kakko-warai.m3u 4080回マンバ・ケーン 保守兼ね 卒論 出勤 チロル http //203.131.199.131 8060/bunnbunn.m3u 4081回つるぞう スーパーハイパーサンダーウルトラメガ冬休みタイムだお! http //203.131.199.131 8060/ouka.m3u 4082回サイボーグ159 クリスマスシーズンですね。だからどうしたーヽ(`Д´)ノプンプン http //203.131.199.131 8050/sai159.m3u 4083回肉男(美) トーク内容は全てフィクションです http //203.131.199.131 8080/voevoda.m3u 4084回ニャンチュー臭太 うどんについて話すかもわかりません http //203.131.199.131 8020/purapura.m3u 4085回綾丸 寒い季節にピッタリ 怖い話♪(体験談や有名な話) 相変わらず体調不良 http //203.131.199.131 8070/smelsba.m3u 4086回ysd 恋愛局 たまにはこういうのもいいだろ・・・常考 http //203.131.199.131 8040/hentai.m3u 4087回あーるあい 前に一回やったきりなんですが・・・! 話すことないけどいっぱい喋ります(`・ω・´) http //203.131.199.131 8000/ri.m3u 4088回ksk 決めた!わし!おしゃれになる!! クリスマスなんか企画やれよ・・・ だれか http //203.131.199.131 8010/hiroshi.m3u 4089回吾郎 3回目です 誰かいいうpろだ教えてください http //203.131.199.131 8020/popopo.m3u 4090回マス男 メールフォーム作ってみました。 http //203.131.199.131 8030/masuotoko.m3u 4091回DJてく 音楽かけながら朝っぽくマッタリしましょう http //203.131.199.131 8020/narronace.m3u 4092回DJ名募集中 サッカーとryぷりが好きです http //203.131.199.131 8050/test.m3u 4093回高速ティッシュしおりちゃん 来年のクリスマスイブまであと367日しかないスペシャル http //203.131.199.131 8020/shioriradio.m3u 4094回(なしまる) 声優・アニメ・(最近やってないけど)泣きゲ? http //203.131.199.131 8040/nashimaru.m3u 4095回大塚フルフル 初めての・・・・・ 冬休みの宿題・・・・・orz クリスマスと正月どうしよう・・・・・ http //203.131.199.131 8020/village-vanguard.m3u 4096回DJてく 今日のテーマは『プレゼント』 http //203.131.199.131 8020/narronace.m3u 4097回薄汚い枯れ声ですみません(名前特にないです 初めてなんで優しくしてくだしあ>< http //203.131.199.131 8020/karegoe.m3u 4098回ブラックめがね 明石家サンタ直前! 一人で過ごす事うけ合いのねとらじリスナー様(笑) http //203.131.199.131 8020/jac.m3u 4099回募集中 gdgdになりそうです http //203.131.199.131 8050/nishiura.m3u 4100回綾丸 かなり酔っ払っててゴメンナサイwwwwwwww 酔ってるから出来る若気の至り話wwwwwwwwww http //203.131.199.131 8070/smelsba.m3u
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515 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/09/18(土) 20 20 10 ID A2YAi/a8 Be もうひとつSSです。乱文ですがどうぞお付き合いください。 「くらげ」 気が付くと真奈美は見慣れない畳の一室に敷かれた寝床に横になっていた。 身体全体が熱を帯びていて、びりびりとした鈍痛が手足の先に感じられていた。全身に濡 れたタオルのようなものが押し当てられていて、それで冷やされているようだった。 「あら、気が付いたのね」 穏やかな中年女性の声がした。 「うっ……うん、ここ、どこ?」 水際で軽く泳いでみようとした矢先になにかに刺された記憶はあったのだが、そこまでだ った。後の記憶は一切残っていない。 「お嬢ちゃん、あなたね、クラゲに刺されてしまって気を失ってしまったのよ」 ああ、そうか、と真奈美は自らの失われた記憶を繋ぎ合わせた。 高校生活での最後の夏休みを過ごそうと、都心から離れたこの海岸へとやってきた真奈美 だったが、楽しい思い出づくりのはずが、とんだハプニングである。 立ち泳ぎをしていた自分の四方から音も無くゆらゆらと近づいてくる半透明の一群に襲わ れて、彼女は意識を失ったのだった。 「ねえ、あなたのお名前、真奈美ちゃんって言うのよね、お友達から聞いたわ」 女性は真奈美の額のタオルを外すと、話しかけていた。 「ええ、それで……ミホたちはどこですか?」 真奈美の視界の中に映っていたのは四十くらいの年齢のやや肥満気味の女性だった。温和 そうな目元に落ち着いた物腰で、見る者に安心感を与える容姿だった。 「うん、彼女たちには先に帰ってもらったわ。あなたの手当には時間がかかると思ったから」 とは言え、日はまだ高いうちにある。 「えっ、でも、まだ昼過ぎごろですよね」 真奈美は少し不審げに尋ねた。 「ええ、そう。だけどあなたが刺されたのから二日後の、ね」 女性はおだやかな口調で諭すように言った。 「そんな……あの、クラゲってそんなにひどく刺すものなんですか?」 真奈美は彼女自身の全身をきっちりと包んでいるガーゼに目を配ってから、女性に尋ねた。 「ええ、そうね。ちょっとこの辺りでも珍しいヤツでね、ギゼンヤコウエボシっていう猛毒 を持った種類なのよ。刺され方によっては死んでしまうことだってあるほどなのよ」 死ぬ、という言葉を突きつけられて、真奈美はびくん、と身を固くしてしまった。すると 女性は表情を少しだけ緩めて、 「ああ、でも大丈夫よ。私、ユウコっていうんだけど、これでも医者の端くれでね、一応の 解毒処理はしておいたから、だからそこまでの心配はいらないわ」 女性が医者だとわかって、真奈美はほっと息を吐く。だが、彼女に向ってさらにユウコが 続けるのは、 「……でもね、あなたにはかなりショックかもしれないけれど、だけど現実は受け入れても らわなければならないわ」 眉間にぎゅっと皺を寄せて、同情の意味を言葉に孕ませながら、ユウコは真奈美の目を見 つめた。 「現実……って、なんですか、それ」 その言葉に直接答えることはなく、ユウコは真奈美の腕を覆っていたガーゼのテープを外 してそれらを露わにした。 「辛いだろうけど、あまり心を揺らさないようにね」 するすると巻き付けられていたガーゼの下から現れたのは、締まりなく弛んだ二の腕と、 そこから繋がるぱんぱんに膨れた手の甲と、そして芋虫のような太い指だった。 真奈美はよく事態が飲み込めずに、少しの間、ぽかんとしてしまった。 その間にもユウコはガーゼを外す作業を続けていた。 肉割れを起こしつつあるむっちりとした足が両方現れ、そして臀部のだらしなく垂れた肉 が、腰部のぼっこりと段を作る弛みが、そして重力に完全に敗北している胸の膨らみが、じ ょじょに現れるうちに真奈美の顔色はさあっ、と真っ青になっていく。 「あわわ、何、何、何、なんで、なんで?」 真奈美が恐慌に陥ったのも無理はないことである。だって、それらは完全に彼女の知って いた彼女自身の、すばらしい肉体とは別物だったから。 ユウコは手鏡を差し出して、真奈美に持たせた。 「さあ、そしてこれが今のあなたの顔なのよ」 おそるおそる視界のうちにずらしていく鏡面には、今まで見たことのない中年女性の緩ん だ顔が映っていた。そしてわずかに、そこに自分の顔の名残りがあることが認められた。 「ひいっ!」 恐ろしさのあまり、真奈美は鏡を投げ出す。そして、それらが本当ではないことだと願っ て頬に沿わせる指先に期待をこめていた。 しかし、それはむなしくかなわないことだった。 彼女の手に触れた頬には指先に余るほどの弛みを生じていて、それらが顎の側面部にまで おちこんでしまっている。顎にしても同様で、首筋にまでも脂肪は付着してしまっていた。 対して眼窩はくぼみ落ち、眉と目の間にはかさかさとした嫌な感触があった。 「これは違うわ、これ……こんなおばさん私じゃない!」 自らにおこった変貌を信じられずに大きくかぶりを振る真奈美。 「そうね、わかっているわ。私のところにあなたが運ばれてきたとき、あなたの姿はとって も素敵な女の子だったもの。とてもスマートで、胸も大きくて、そして顔もとっても端整で 健康的な美人だったもの」 慰めるようにユウコは真奈美の背中を抱きしめる。 「だけどね、あのクラゲの毒は遅効性でじわじわと身体の形質を変異させてしまうのよ、あ なたはみるみるうちにその姿を歪めていって、そしてそうなってしまったわけなの」 「いや、そんなの。戻して、はやく戻してよお」 涙をこんこんと湧かせながらユウコの手にしがみつく真奈美。しかし、ユウコは首を横に 振る。 「それは……すぐにはできないことよ。それこそ何年もかけてゆっくりと治療していくしか ないわ」 「……何年もかけて、なんて、そんな」 今の真奈美の姿はほとんど眼前のユウコと変わらないほどの年代に見える。これから先の 青春をこの姿で生きていけと宣告されるのはもはや死刑宣告と大差ない。 「大丈夫よ、きちんと食事を節制して、運動して、それからコラーゲンやヒアルロン酸注射 なんかを定期的に受けるようにしていけば、元に戻るとまではいかなくても、きっとそれに 近いレベルにまでは回復するはずよ。すぐにとは言えないけど、いつか、また」 真奈美にとって、自らの容姿は唯一にして最大のステータスだった。大多数の男子を魅了 しながら、大多数の女子に羨望の念を植え付けるしなやかな肢体と整った顔と。 勉強にも運動にも才能がない彼女にとって、それだけが彼女の拠り所だったのだ。 しかし、今、彼女の明るい栗色のロングヘアーの下にある顔は、紛れもない中年のもので ある。身体もまた、見苦しいとまでは言わなくとも魅力的とはお世辞にも言えないほどに、 ダウングレードしてしまっていた。 「……私、いやよう、いやだよう」 すんすんとすすり泣く真奈美をきゅっと抱き寄せて、ユウコはしばらくの間、彼女が泣き 疲れて眠るまでの間を支えてやっていた。 「大丈夫よ、ホントにおばさんの私なんかと違って真奈美ちゃんは若いんだもの。新陳代謝 がきちんと働けば、きっとまた、魅力的な姿に戻れるわよ」 小さく震える背中をぱんぱん、と軽く叩いてやりながら、ユウコは何度も何度も励ましの 言葉をかけ続けてやったのだった。 「昨日は本当にすみませんでした」 ようやく回復して帰り支度が終わった段階でようやく真奈美はユウコに迷惑をかけ続けて いたことに気付き、そして謝罪をしていた。しかし、そんなことは構わない、という様子で ユウコも手をぱたぱたと振る。 「いいのよ、あんな辛いことがあったんですもん。誰だって取り乱すのが普通よ」 真奈美は、ユウコからブラウスと丈の長いスカートを借りて着衣していた。元着ていたも のはサイズがあわないということもあったが、それ以上に今の姿を他者の人目に触れさせた くないという理由でそれらを譲り受けていたのだった。その上からつばの広い帽子でもって 完全防護の格好だった。 「ん、大丈夫よ。あなたが思っているほどその格好も悪くないわよ」 ユウコの言葉にお世辞はなかった。その感情を受け取って、ようやく、真奈美の顔にも明 るい表情が戻ってきていた。 「私ですね、これからきちんと勉強して大学に行こうと思うんです」 「んん、そうなの?」 「ええ、ちゃんと勉強して内面を磨いて、それから……この外側もそれまでになんとかして」 くっ、と暗い感情を飲み込んで、 「ちゃんとした美人になろうと思うんです」 そう決意した真奈美の目元には、細かな皺がいくつも浮かんではいたけれども、それでも 彼女の表情には将来今まで以上にいい女になれるだけの片鱗がありありと浮き出ていた。 わずかに揺れ動く下腹の弛みや、内股に擦れる違和感を感じながらも、真奈美は背を伸ば して歩きだしていた。 日差しを纏った真奈美のその眩しさに少しだけ目を伏せながら、ユウコは去りゆく真奈美 にずっと手を振っていた。 舞台はその日の深夜、ユウコの診療所兼一人暮らしの海の家でのことだった。 ユウコはその日の残った仕事を全て片付けると、戸に『しばらく休業します』の札を掛け 付けて、そして奥へと戻っていった。 今かかりつけている患者の全員に、他の医院への紹介も済ませていた。もう、彼女を縛る ものは何もない。 彼女は上下を脱ぎ捨ててバスタオル一枚だけの姿になってシャワー室へとゆっくりと歩い ていく。手には黒い何かの布切れと、コーヒー缶くらいの小さなプラスチックケースに入っ た何かの液体が握られていた。 シャワー室の片隅に置かれている潮干狩りなどで使う程度の小さなバケツの蓋をユウコは 外す。そして、その中に入っているわずかに発光している半透明の生物に視線を落とした。 「偽善……夜光……エボシかぁ、我ながら安直な名前を付けたものね」 桃色に輝きながらひしめきあうそれは、間違いなく真奈美を襲ったクラゲだった。それが どうしてここにあるのかは、仕掛けた本人であるユウコのみが知りうるところである。 苦笑しながらユウコはそこに手にしたケースから薬剤を垂らしていく。 するとクラゲはじゅうっ、と音を立てて溶解していき、どろどろになってゲル状のピンク の液体になってしまっていた。 クラゲはもともと不思議な生命体であるが、その中でもひときわ特異なカツオノエボシと 同様の機構的生命体であるこのクラゲは、ユウコの研究により生み出された産物である。 「……それにしても、はあ、真奈美ちゃんくらいなら、まだマシな方じゃないかな」 手にした布切れとバスタオルとを脱衣場に投げ出したユウコは、姿見に映る自らにこぼし ていた。 「齢取ってるだけじゃないものね、これって」 下腹の弛みは掴めるほどにまで肥大しており、段になることもなく大きく前方にせり出し ている。彼女は別に不摂生というわけではなかったが、もともとが太りやすい体質だったの だ。もちろん、首筋も足も尻も同様に肥満していて中年女性の悲哀を物語っていた。 「……若い頃から、ずっとこうだったもんね。そりゃあ、彼氏の一人もできやしないか」 寂しそうに呟く彼女はもちろん独り身であった。のみならず四十半ばにして生娘だった。 恋愛はもとより見合いにすら上手くいかないこと続きで、詐欺まがいの被害にあったこと さえもある。ユウコはずっとそれらを飲み込んで一人でずっと過ごしてきたのである。 「だから……いいわよね、少しくらい幸せをわけてもらっても」 視線に暗い影をおとしながら呟く彼女の手はバケツにかけられていた。 ユウコはゆっくりとそれを持ち上げ、そして内容されているどろどろの液体を呷るように 飲みはじめた。 ぐぷぐぷっ、とおよそ四リットルほどもあるバケツの中身はユウコの喉へと流し込まれて いく。途中、苦しさのあまりにわずかに吐き戻すことはあってもその気色悪さを押し込めて 涙をにじませながらも、さらにユウコはそれをおのれの中へと流し込む。 口の端からこぼれ出した液体をユウコは左手で自らの首筋に、頬に、乳房にローションの ように塗りたくっていく。すると、それらは全て、砂漠の砂に吸われる水のように、肌の内 へと吸収されていくのだった。 はあはあ、と喘ぎ声を漏らしながら、ユウコは嘔吐感と格闘した。今、これらを吐き出し てしまえば全ての計画が水泡に帰してしまうのだ。顔色を紫に変色させながらも、彼女は手 で口を押さえつけて、必死に口の中に残ったもの全てを胃の腑へと留めようと奮戦した。 ついに、ユウコがそれら全ての障害にうちかったとき、彼女の身には大きな異変がおこっ ていた。 まず、全身から吹きあがるように蒸気が立ちこめて、その次の瞬間には肌の表面に、強い 臭みを伴った、黄褐色の堆肥のようなものをじわじわと生じさせていたのだった。 顔となく、腰となく、足となく、全身をびっしりと覆い隠すその泥は、しばらくの間、ず りずりと湧き出し続けていたが、七、八分ほどの時間を経て、その発生を終了させていた。 全身が泥人形のようになり、目も開けられないほどのユウコだったが、手探りでシャワー のバルブをひねり、熱い湯でそれらを洗い流していく。 と、厚い層となって彼女を覆っていた腐臭のする泥が清められていくユウコの姿には、劇 的な異変がおこっていたのである。どろどろと、まるで蝋人形が熱で溶けていくような変化 の中で、彼女の姿は細く引き締まったものに変化していたのであった。 「ん……ふ、んふふふふふ、やったわぁ」 肌には以前とは比べ物にならないほどのハリと潤いが戻り、まるでハイティーンの輝きで あった。 肥満していた尻は半分ほどに縮小しながら上向きになり、果実のような形の良さに引き締 まっていた。 「この細いウエスト……大きな胸。そしてこの小顔、まさに計算通りかそれ以上ね」 アンダーバストの無用な脂肪が溶け失せた胸元には形良く張り出したバストが再形成され ウエストはぐっと引き締まり、コントラストが絶妙であった。そして、顔に付着していた余 分な弛み、皺、くぼみにてかりが消え失せて、彼女の顔は目鼻立ちのくっきりとした若い娘 のそれになっていた。 「ひい、ふう、みのよ、と……凄いわね、七頭身半もあるわ。やっぱり最近の若いコの身体 ってモデル並なのね」 鏡の前で細まった腰を軽くひねったり、半身に立って細くしなやかな足を組んでみたりと、 ユウコは新しく生まれ変わったおのれの身体を存分に堪能していた。 「うふふ、腰をひねってもお肉がつっかえないだなんて、なんて素敵なのかしら」 もう、読者の皆様にはお分かりだっただろう。かのクラゲが持っているものは強いショッ クと肉体を劣化させる毒だけではなく、相手の形質そのものを剥奪してしまう吸収能力なの だということを。 そして、それらを溶解し、飲み干すことによってユウコは、真奈美の備えていた若く美し い肉体の形質を自らの形質と置き換えてしまったのである。彼女の生来の形質は、今はもう 風呂場の排水から流れていき、今頃は下水を漂っていることだろう。 ユウコは脱衣所に投げ出してあった黒い布切れを手に取った。 「ふふふ、最近の若いコって大胆な水着を着るのね、なんだか恥ずかしいわ」 それは真奈美が忘れていった水着だった。いや、持って帰ったとしても、もはや今の彼女 の身体では着こなすことができないものだったので、故意に置いていったのかもしれない。 棚の上から安全カミソリを取り出して、腋下や下腹部の毛を剃り落とした後、ユウコは面 積の少ないその光沢のある黒い布切れをその起伏に富んだ肉体にまとわせる。 艶やかに輝くスパンコールで飾られた三角水着は彼女の肉体の隆起にあわせてぴったりと フィットしていた。あたかも、彼女が正当なこの水着の持ち主であるかのように。 「まあ、ぴったりね。じゃあ、仕方ないからコレ、貰っちゃいましょっ、と」 嬉々として水着の縁を何度も手でなぞるユウコ。彼女は今までの人生の中で一度として、 こんな水着を着たことも、買ったことも、そしてこんな水着を着る機会を与えられたことも なかったのだった。 「これなら……きっと、手に入れられるわ。愛だって、恋だって、きっと……人並みに…… いいえ、それ以上に……う、ううっ」 鏡の中に美しく佇む若々しいユウコの姿は、やがてその双眸から吹き出すように涙を流し ていた。 ひとしきりの昂奮の後、ユウコは自らを情けなく、そしてあさましく感じてしまったのだ った。何の罪もない少女のたった一度きりの青春を吸血鬼のように奪ってまで、若さや美し さを手に入れた自分自身のザマを、とても醜く感じてしまったのである。 もはや、ユウコは真奈美に謝ることさえもできなかった。それをする資格さえ無いものの ように感じられたのであった。 「……だけど、仕方ないじゃないの」 俯いていた顔を上げ、鏡の中の自分自身にユウコは言った。 「人は誰だって他人から何かを奪いながら生きていくものなんだからね!」 人生は究極のゼロサムゲームである。恋愛ならば誰かが笑う陰で誰かが泣き、競技の中で あれば勝利の栄冠を受ける一人の足元に数多の敗者が暗澹たる気に押しつぶされる。それは 人間として生まれついた全ての命に課せられた業なのである。 それを悟った瞬間に、ユウコの涙は涸れていた。もう、優柔な瞳はそこから消え失せて、 かわりに虚無を知識った深淵のように深く暗い輝きがそこには湛えられていた。 彼女が手に入れられた若さと美しさは、真奈美に語った新陳代謝の話の真逆で、そんなに 長期にわたって保持し続けられるものではなかった。せいぜいが、二、三年ほど。その後は またつまらない、取り柄のないただの肥満気味の中年女に戻ってしまうのだ。 それでもいい、とユウコは嗤った。 たとえ、一瞬の際にでも、花火のように大輪の花を打ち上げることがたった一度の人生の うちにあるのならば、もう、何も悔いはないのだ、と。 一度でも、どんな類いのものであっても、愛を、愛情を己の空虚な身に注いでもらえるの ならば、私はもう他に何もいらないのだ、と。 黒い水着のその上から引っ詰めたスカートと持っている中では一番派手なデザインの白い チュニックだけを羽織り、よそいきのサンダルをつっかけて、安物のポーチを掴み、ユウコ はふらふらと夢遊病者のような足取りで繁華街のネオンの輝きだけを目印に歩き出した。 その後の彼女の消息については、これはもう、この話の中では語るだけの価値もないこと である。 海岸沿い、誘蛾灯に惹かれる虫たちがバチっバチっと小さくかわいた音を時折立てる他に は、ただ波音が湿った響きを持つ韻律を、絶えず刻み続けるだけだった。 おわり
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注意 現代モノです。 俺設定があります。 善良なゆっくりがゆっくりできない目に逢います。 赤ぱちゅりーはとある森の中で産声を上げた。 ハンサムで逞しい父まりさと優しく物知りな母ぱちゅりーの間に生まれた赤ゆっくりであった。 胎生妊娠で産まれた一人っ子で姉妹はいなかったが、その分両親の愛を一身に受けて恵まれた生活を送っていた。 父まりさは狩りの腕に優れ、いつも山ほどのお花さんや虫さんを巣に運び入れてくれる。 家族団欒の一時にはよく子ゆっくり時代の武勇伝を聞かせてくれた。 博識な母ぱちゅりーは、ゆっくりとした生活の合間に豊富な知識を披露してくれる。 自分達ゆっくりのこと、捕食種のこと、この森のこと、そして人間のこと。 野生の一ゆっくりとして生きるのに必要十分な知識を遥かに上回る情報量を赤ぱちゅりーに惜しげもなく与えてくれた。 赤ぱちゅりーにはよく分からなかったが、父まりさも母ぱちゅりーもかつては人間と一緒に暮らしていたらしい。 母ぱちゅりーは血統書付の優良個体で、ペットショップで過ごした子ゆっくり時代には既に銀バッジを取得していた。 もしも飼い主にやる気があったなら金バッジ取得も夢ではなかったかもしれない。 父まりさは元々は街に住む野良だった。 その毎日は決してゆっくりとはできなかったけれど血湧き肉踊るような冒険の日々は充実していた。 人家の玄関で昼寝していた犬さんの食べ物を命からがら掠め取って来たり、 襲ってきた野良れみりゃを撃退した時の興奮などは鮮明に記憶に残っている。 そんなある日、街で飼い主とお散歩していた母ぱちゅりーと偶然出合ったのだった。 一目見た瞬間にお互い惹かれ合い、二匹はすぐさますーりすーりを始めた。 当然飼い主から追い払われそうになった父まりさだが、生粋の野良ながらも なかなかの美まりさであったことが幸いして母ぱちゅりーの飼い主のお家に招待されることになった。 そして、翌日には飼いゆっくりの登録とともに銅バッジも取得し、 その後は母ぱちゅりーと一緒にゆっくりとした日々を送っていた。 だが、ある朝目が覚めると二匹は森の中にいた。飼い主の姿はどこにも見当たらない。 いくら名前を呼んでも返ってくるのは自分達の木霊だけだった。何が起こったのか全く理解できない。 しかし母ぱちゅりーはこれまで得た知識から、そして父まりさは本能的に、自分達は捨てられたのだと悟った。 それから程なくして二匹はこの森で生きていく覚悟を決めた。 温室育ちの母ぱちゅりーはもちろん、元野良の父まりさにとっても森は街とは勝手が違う。 だが、二匹は手近な木のうろに巣を構えると、力を合わせて少しずつ堅実に食べ物を蓄えていき、 巣も拡張して、ついには初の赤ゆっくりにも恵まれた。もしも母ぱちゅりーの蓄えた知識、 そして父まりさの培ったバイタリティがなければ初日で途方に暮れていたかもしれない。 「まりさとぱちゅりーのあかちゃんは、ほんとうにゆっくりできるあかちゃんだね」 「むきゅーん。もしもにんげんさんにかわれていたなら、きっとぎんばっじもらくしょうよ」 銀バッジ?赤ぱちゅりーにはそれも何のことだかサッパリ分からなかった。 分からなかったが……しかし何故かそれはとてもゆっくりできるモノのような気がした。 そう思ったから母ぱちゅりーに聞いてみた。 「みゃみゃ。ぎんばっじってぇ?」 「むきゅー。ぎんばっじはぎんばっじよ。がんばったゆっくりだけがもらえるくんしょうみたいなものよ」 「くんしょー?」 「そう、くんしょうよ。ままのおぼうしについてるこれよ。これがあればにんげんさんはゆっくりさせてくれるのよ」 母ぱちゅりーの帽子には銀色に輝く丸いものが付いていた。 通常、飼いゆっくりが捨てられる際はバッジを毟り取られるのだが、母ぱちゅりーたちの飼い主はそれを忘れていた。 「むきゅ。でも、ぱぱはぎんばっじついてないの?」 「ゆゆっ!ざんねんだけどまりさはしけんにおちたんだよ。どうのばっじはもってたけど……なくしちゃったよ……」 父まりさも捨てられた際は銅バッジが付いたままだった。しかし野生の環境は厳しい。 幾多の狩りの中でいつのまにか銅バッジはそれを付けた帽子の箇所ごと抉れてなくなっていた。 「むきゅー。しんぱいないわ、まりさ。いつかまたにんげんさんがむかえにきてくれたら、 こんどこそぎんばっじをとれるわ。ゆっくりしたまりさならきっとだいじょうぶよ」 「ゆゆ~……ありがとう~、ぱちゅりー」 すーりすり、すーりすり 仲良くすーりすーりする両親の姿は赤ぱちゅりーにはとてもゆっくりして見えた。 そんな両親の姿を眺めるのが赤ぱちゅりーの一番の幸せだった。 そして赤ぱちゅりーは母ぱちゅりーの帽子に鈍く光る銀のバッジからも目が離せなかった。 「むきゅ。ぎんばっじしゃんきゃあ。ぱちゅも、ぎんばっじしゃんほしぃなぁ」 そんなゆっくりした生活が数週間続き、赤ぱちゅりーは子ゆっくりに成長していた。 野生のゆっくりに銀バッジは無縁だ。しかし子ぱちゅりーにとってそんなことはどうでもよかった。 博学なぱちゅりー種としての本能からか銀バッジを取得すること自体がゆん生の目標になっていたのだ。 母ぱちゅりーはそんな我が子の情熱を喜んだ。 飼い主が戻ってきて連れ帰ってくれる保障なんてどこにもないが、それでも我が子の勤勉さが嬉しかった。 そして、このまま、ゆっくりしたゆっくりに育ってくれたならご褒美に自分の銀バッジを与えようと心に決めていた。 父まりさもまた子ぱちゅりーの頑張る姿が微笑ましかった。 曲がりなりにも銀バッジ取得試験に挑んだ身として、それが簡単なことでないのは分かっている。 それでも愛する母ぱちゅりーとの間に生まれた我が子ならばきっと成し遂げると信じていた。 父まりさは子ぱちゅりーの成長を支えるべく一層狩りに精を出すようになった。 そして冬篭りを控えたある日のこと。この一家の幸せは唐突に幕を下ろすことになる。 それはいつものように夕食後の団欒を終え、家族が眠りにつこうとしていたところだった。 「まま。きょうのおはなしはとってもきょうみぶかかったわ。 ぱちぇたちもにんげんしゃんをゆっくちさせちぇあげられりゅのね……」 「むきゅー。あしたもっとくわしくおしえてあげるわね。きょうはもうおねむにしましょう」 「ゆゆん。ゆっくりおやすみ……ゆゆっ?」 唐突に父まりさがビクッと顔を上げた。 「どうしたの?まりさ?」 「……なんだかゆっくりできないけはいがするよ……」 「むきゅ~?」 耳を澄ますと、すぐ近くからガサゴソという音がしている。 すると、ふいに巣の入り口のバリケードが一瞬にして取り払われた。 同時に昼のお外のような眩い光が巣の中を照らす。 「ゆっ!?」 「お、いたいた。おーい、いたぞ~。やっぱりこの木のうろには入ってやがったか」 「おっ!やっとかよ。今年はこっち側はハズレだったなぁ。崖向こうの斜面は大量だって話なのに」 「こっちは去年一昨年と派手にやりすぎて覚えられちまったのかもな」 人間の男の二人組だった。 「ゆー!ここはまりさたちのおうちだよ!」 「え~と、クズが一匹、成体が一匹と……子供が……一匹だけか」 「ゆっくりできないにんげんさんはゆっくりしないででていってね!!」 「少ないな。まぁいいや、空袋のままで帰ったらまたうるさいからな」 父まりさが体を膨らませて威嚇するが男達は気にした様子もない。 「だな。さてと……とっとすませるか。っと、おい!このぱちゅりーバッジ付きだぜ!」 どうやら母ぱちゅりーの銀バッジに気が付いたらしい。 「マジかよ。なんでこんなところにいるんだ?」 「おおかた麓の町から攫ってきたってところだろうな」 男の一人がニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら母ぱちゅりーを素早く捕まえた。 母ぱちゅりーは男の顔の高さまで持ち上げられる。 「むきゅー!にんげんさん、ぱちゅたちはなにもわるいことしてないわ!だから……」 「ほほ~、こいつはなかなかの上玉だぜ」 「む、むきゅー!?」 「ゆゆっ!」 父まりさは慌てて男の足に体当たりする。 「ゆゆー!ぱちゅりーをゆっくりしないではなせーーー!!」 「むきゅー!まりさ、だめよ!おちびちゃんをつれてはやくにげるのよ!」 「ゆっくりできないにんげんさんはゆっくりしないで、ゆべっ!!」 ズドムッ!! 瞬間、鈍い音が巣の中に木霊した。父まりさが男に蹴り飛ばされたのだ。 宙を舞った父まりさは隣の木の幹に派手に打ちつけられる。 「む……むきゅーーー!!まりさーーー!!エレエレ……!!」 その様子を見た母ぱちゅりーは絶叫を上げると、そのまま生クリームを吐き出して動かなくなった。 男は持っていたズタ袋に母ぱちゅりーを放り込むと、そのまま父まりさに歩み寄っていく。 父まりさはもはや白目を剥いて痙攣するのみだ。その体の側面には大きな穴が開いて餡子を垂れ流している。 男は父まりさの顔を平手打ちして叩き起こした。 「おい、起きろよ。ゲス饅頭」 「ゆ……ゆ……」 「お前……飼いゆのぱちゅりーを攫って無理遣りすっきりしたんだろ」 「ゆ……ゆ……まりさは……そんな、こと、してない、よ」 「じゃあ、何でぱちゅりーにバッジが付いてるんだ?」 「……まりさと、ぱちゅ、りーは……つがい、なんだよ」 もう一人の男が声を掛ける。 「どうした?」 「いやな。飼いゆを攫ったゲスを制裁してやろうと思ってな」 「ゆ……ゆ……ちが、う、よ……まりさは……」 男は懐から筒状の道具を取り出した。発炎筒だった。 「はいはい。ゲスはみんな自分の都合にいいように解釈するもんさ。お前は飼いゆを攫ったゲスなんだよ」 「まり、さは……げすなんか、じゃ……」 「ゲスは報いを受けなきゃな。判決……死刑。あの世で反省しろよ」 男はそう告げると、発炎筒を父まりさの大きく裂けた傷口に乱暴に挿し込み、一気に紐を引き抜いた。 「ゆ、ゆがああああああああああああああああああああ!!!!!!」 父まりさの絶叫とともにその体内で業火が荒れ狂う。 両目は弾け飛び、大きく開いた眼窩と口からは炎が勢いよく噴出する。 だが、それも一瞬のことだった。今度は父まりさの体全体が激しく燃え上がる。 今や父まりさは一本の火柱と化していた。 「おいおい!山火事になったらどうするんだ!!」 「もうちょいしたら土かけて消すから大丈夫さ」 子ぱちゅりーはその様子をただ見ていることしかできなかった。 恐怖で動けないのではない。何が起こっているのか理解が追いつかないのだ。 「む、む、む……」 無理もないことだった。巣のバリケードが払われてからまだ三分ほどしか経っていない。 今までずっと一緒に暮らしてきた両親……。 つい先ほどまで優しく語り掛けてくれた母ぱちゅりーはズタ袋の中に入れられピクリとも動かない。 今の今まで家族を守ろうとしてくれた父まりさは子ぱちゅりーの目の前で激しく炎上している。 「む、む、む……むきゅー!……エレエレ」 そして理解が追いついたその瞬間、子ぱちゅりーもまた生クリームを吐き出し意識を失った。 それは子ぱちゅりーにとって産まれて初めての嘔吐だった。 ゴトン 「むきゅ?」 お空を飛んでいるような……そんな浮遊感を覚えていたら唐突に地面に落ちた……。 そんな気がして子ぱちゅりーは目を覚ました。そこは狭い透明な箱の中だった。 天井は開けていたが子ぱちゅりーの身体能力では届く筈もない高さだ。 透明な箱の外を見ると、子ぱちゅりーと同じくらいの大きさの無数のぱちゅりー種が、 自分と同じように透明な箱に入れられ一列に並べられている様子が伺えた。 その表情は哀しげだったり困惑していたりと様々だ。自分の箱はその列の一番端に置かれていた。 ここがどこなのか、あれからどれだけの時間が経ったのかはは全く分からない。 当然ながら両親の姿はなく、檻の中は自分の他には何一つない。 子ぱちゅりーは、今までのことをゆっくりと思い出していた。 父まりさは自分の目の前で酷くゆっくりできない方法で永遠にゆっくりしてしまった。 母ぱちゅりーはどうなったのか分からない。が、あの男達の様子からして、きっとゆっくりできてはいないだろう。 あれは一体何だったのだろう?自分達が何をしたというのだろう? 子ぱちゅりーは自分達の身に降り掛かった理不尽な悲劇に涙するしかなかった。 子ぱちゅりー自身は気付いていなかったが実はあれから三日が経過していた。 男達に連れ去られた子ぱちゅりーは、すぐさまこの施設に引き渡され、ゆっくり用の睡眠薬を打たれ眠っていたのだ。 その間、子ぱちゅりーは体を綺麗に洗浄され、毎日定期的に特殊な栄養剤と薬剤を注射されていた。 そして、今日は子ぱちゅりーに対する“処理”の最終工程が施される日だった。 ガシャン 突然、ゆっくりできない大きな金属音が響き渡った。 それと同時に子ぱちゅりーの入った透明な箱が一箱分前に進んだ。 いや、子ぱちゅりーの入った箱だけではない。この箱の列全体が一箱分前進していた。 ゴトン そして、やや遅れて、進んだ自分の箱のすぐ後方に、新たな透明な箱が降ってきた。 その中には、たった今、落下のショックで目覚めたと思しきぱちゅりー種がキョロキョロと辺りを見回していた。 「……???」 ガシャン 数分後、再びあの大きな金属音が響き渡った。 それと同時に箱の列全体がまたも一箱分前進している。そして、またもや後方には新しい透明な箱が降って来た。 状況は理解できないが、どうやら自分を乗せたこの箱の列は少しずつ前方の黒いカーテンに向かって前進しているようだった。 カーテンは真ん中で割れており、箱の列が前進する度に一箱だけその奥に吸い込まれていった。 前方のぱちゅりー達も後方のぱちゅりーたちも皆揃っておろおろするばかりだ。 そして、ついに子ぱちゅりーの箱がカーテンの奥に進む番がやってきた。 黒いカーテンを抜けた先、そこには優しそうな初老の男性が座っていた。 男性は柔らかい笑顔を湛えながら子ぱちゅりーの身体を優しく手に取り透明な箱から出してくれた。 巣を襲ったあの男達は全くゆっくりしていなかったが、目の前の男性はゆっくりした人間のように見える。 銀バッジ取得試験に向けて特訓中だった時の母ぱちゅりーの言葉が脳裏をよぎる。こういう場合はまず自己紹介だ。 「むきゅー。はじめまして。ぱちぇよ。ゆっく……びぃぃ!!!?」 満を持しての挨拶は男性が手にした鉄箆によって遮られた。 真っ赤な焼けた鉄箆を口に押さえつけられる。痛みで声が出ない……のではない。 柔らかな唇が一瞬にして溶けて癒着し、それ以上言葉はおろか異音を発することさえ出来なくなってしまったのだ。 痛みと混乱で気を失いかける子ぱちゅりーを次なる痛みが襲った。 そのしなやかなあんよに高温の激痛が走る。 「……!?……!!!!!!!」 男性が片手に持った子ぱちゅりーの底部をバーナーで炙っているのだ。 その恐ろしいまでの高熱は子ぱちゅりーのあんよからどんどんしなやかさを奪っていく。 たっぷり十数秒炙られた後、子ぱちゅりーはバーナーから開放された。 底部全体が焼け焦げたあんよは鈍痛を信号として送ってくるだけで もはや自分の意志ではピクリとも動かせなかった……だがそれだけではない。 あんよはゆっくりにとってあらゆる動作の根幹となる部位である。 あんよを奪われるということは、跳躍や這いずりだけでなく、 体をよじることすら困難な体にされてしまったということなのだ。 無理に大きく体を動かそうものなら、焦げ付いて硬化したあんよがヒビ割れたり、 あんよと接する柔らかい部位の皮が引っ張られて破れてしまうだろう。 絶望的な喪失感に苛まれる子ぱちゅりー。だが男性の暴虐は止まらない。 さらなる苦痛が子ぱちゅりーを襲う。今度は子ぱちゅりーの恥ずかしい部位に激痛が走った。あにゃるだった。 「!!!!」 悲鳴を上げようにも声が出せない。生クリームを吐きたくても吐き出す口がない。 そして、それはもう既に上の穴も下の穴も同じことであった。 体の危機に体が反応したのか、子ぱちゅりーの意志を無視して口の下の小穴からしーしーが流れ出る。 流れ出たしーしーは子ぱちゅりーの下膨れを伝い鉄箆へと到達する。 だが、その些細な反撃は真っ赤に焼けた鉄箆には文字通り焼け石に水でしかない。 そして鉄箆はそんなしーしーの穴をも容赦なく蹂躙した。もはや叫びすら無く涙を流し続けるしかない。 涙で視界がぼやけて見える。だがぼやけていてもハッキリ見えた。子ぱちゅりーの眼球に迫る鉄箆……。 声は出せない。体も動かない。生クリームを吐くことすらできない。 それでも視覚を焼かれるより先にぱちゅりーは何とか意識を手放すことに成功した。 ……遠ざかる意識の中で、何かが聞こえたような気がした。 「鬼井さ~ん!営業の餡野さんから~。外線……」 帰宅途中、俺はいつものように商店街のペットショップの前で足を止めた。 ショーウィンドウからは毛並みの良いゆっくりたちがニコニコとこちらに向けて微笑んでいる。 窓の一つ一つに貼られた値札には全て六桁・七桁の数字が踊っていた。 はぁと溜息をつく。貧乏学生がおいそれと手を出せる金額ではない。 俺はとある大学のゆっくり医学部に通うしがない学生だった。 だが、いつかは金を溜めてちゃんとしたゆっくりを購入しようと心に決めていた。 ちなみにお目当てはぱちゅりー種だ。あの落ち着いて優雅な感じが好みなのだ。 ふと、商店街の一角に人だかりが出来ているのに気が付いた。 近くに寄ってみると、どうやら福引をやっているらしい。 そういえば、さっきパン屋で福引券を貰ったっけ。 どうせ今日は暇だし、と福引会場に向かい奥にある景品を眺めてみた。 すると透明な箱に入った一匹のゆっくりと目が合った。成体のぱちゅりーだった。 かなりの美ぱちゅりーであった。帽子には金バッジが輝いている。 そして予想通りぱちゅりーは一等の景品だった。俺の持つ福引券はたったの一枚。 分の悪い賭けだが負けたところで失うのは紙切れ一枚だけだ。 紅白巫女姿の受付嬢に福引券を渡し、箱の中から折り畳まれたカードを一枚取り出した。 ジャラン♪ジャラン~♪ 安っぽい鐘の音が鳴り響く。 「おめでとうございます。二等です。二等が出ました~」 愛想笑いを浮かべつつ妙に事務的な声で俺と周囲に当たりを知らせる受付嬢。 おおお、一等は逃したが二等か。俺のクジ運も意外と捨てたもんじゃないな。 そういえば二等って何だっけ?一等のぱちゅりーに目が行ってそれ以外は気にも留めていなかった。 「はい。二等の生ぱちゅりー饅頭です」 受付嬢が化粧箱を差し出してくる。 両目と口を焼き潰されたぱちゅりー種のカラー写真が印象的なパッケージ。 テレビで見たことがある。これはあの有名なぱちゅりー牧場の生ぱちゅりー饅頭じゃないか! 敷地内の森でゆっくり育った天然の子ぱちゅりーを、贅沢にも丸ごと生きながらに饅頭に加工した一品。 主に富裕層のギフト向けに供される超高級菓子であった。 パッケージ側面の解説文によると、何でも覚醒させた子ぱちゅりーの口を嘔吐される前に素早く焼き塞ぎ、 あんよを狐色になるまでしっかり焼いて、あにゃる~しーしーの穴~両目を同様に塞いでから 最後にぱちゅりーしゅ特有の長髪が狭くて動かせない程度の箱に生きたままの状態で梱包しているのだそうだ。 子ぱちゅりーは恐怖と絶望に曝されることで甘みを増し、同時に余計な身体機能を殺すことで、 生命活動を最低限維持させ、絶食状態でも長期の延命・保存が期待できるらしい。 確かに五感の大半を視力に頼るゆっくりは目を潰されれば周囲への恐怖から積極的に動こうとしなくなる。 さらにあんよを焼かれれば肉体的にも歩行や跳躍を半永久的に封じられてしまうだろう。 一切の身動きを封じられれば、脆弱なぱちゅりー種は恐怖とストレスから致命的な分量の中身を吐き出しかねないが、 それも先手を打って全身の穴を塞いでいる為、加工された子ぱちゅりーは身悶えすることしかできないに違いない。 ちなみに、これらの処理は熟練の職人が個体毎に微調整を加えながら手作業で行うらしい。 本当に手間暇掛けてるよなぁ。本来なら俺みたいなヤツが食べられるシロモノじゃない。 金バッジぱちゅりーが手に入らなかったのは残念だが、元々勝算は低かったしこれはこれで驚きの収穫だ。 去り際にふと金バッジぱちゅりーに目を移すと、あのパッケージ写真にショックを受けたのか白目を剥いて気絶していた。 家に帰ると早速、生ぱちゅりー饅頭に齧り付くことにした。 化粧箱を開けると全身の穴とあんよを焼き潰されたパッケージ写真そのままな子ぱちゅりーたちが転がり出る。 全部で四匹入りだ。ソフトボールより一回り大きいくらいなので二匹も食えば満腹だろう。 ふと、密封状態から開放されたことで表皮が外気を敏感に感じ取ったのか 生ぱちゅりー饅頭たちは皆揃ってぷるぷると震えだした。パッケージの解説通り四匹ともしっかり生きているようだ。 おもむろに一番手近な一匹を手に取る。手に取った瞬間ビクッと体が跳ねた。 その反応が妙に可愛かったので両手で全身をゆっくりとこねくり回してみる。 両目と口が焼き固められていて表情は判らないが、その心中はきっと恐怖で一杯なのだろう。 必死な様子で全身を小刻みにピクピクと震わせている。生き饅頭に許された最大限の抵抗なのかもしれない。 さて、それじゃそろそろ十分に感触を楽しんだので、まずはあんよから頂くことにする。 「それじゃ、いただきまーす」 バリリッ!(ビックンッ!) 噛み付いた瞬間、生ぱちゅりー饅頭の体が大きく仰け反った。 両手でしっかり押さえているので生クリームが飛び散ったりはしない。 ムシャムシャ!(ビクビクッ!) 焼けたあんよの表面はクッキーのような味と食感だった。黒焦げではないので苦味は全くない。 さらに口の中であんよの表皮の内側にごっそり付着した生クリームが別の生き物のようにのた打ち回る。 この感触はクセになりそうだ。続けて生ぱちゅりー饅頭のまむまむの辺りを食い千切ってみた。 ムシャリッ!(ビクビクビクン!) ふむふむ、ここはシットリとした食感だ。これはどんどん行けるぞ! こうして気が付けば生ぱちゅりー饅頭はペラペラの頭皮に付着した紫色の毛髪と帽子を残して俺の腹に収まっていた。 ふぅ、さすがはあのぱちゅりー牧場謹製の銘菓なだけのことはある。 少々がっつき過ぎな気もするが早速二匹目行ってみるとするか。 そして頭皮と帽子を口に押し込みながら残る三匹に手を伸ばそうとして……そこで視線に気が付いた。 さっきは気付かなかったが、よく見ると一匹のぱちゅりーが両目を見開きダクダクと涙を流しながらこちらを見上げていた。 あれ……両目は潰してあるはずじゃ……ううむ?潰し忘れの不良品か。 まぁ、加工食品に見つめられるのは気持ち悪いが、別に食べられないほどの欠陥というわけでもない。 何なら今この場で両目を潰してしまえばさっき食ったのと何ら変わらない饅頭に……。 と、そこまで考えてふと思いついた。このぱちゅりーを治療してペットとして育てられないかと。 ぱちゅりーは身体の複数の重要器官を潰されているが、その目は怯えていながらも決して正気を失っている様子はない。 生ぱちゅりー饅頭のパッケージの成分表に目を通す。流石に人の口に入るものとあって諸々の予防接種は受けているようだ。 これは憧れのぱちゅりー種を入手するチャンスだ。失敗してもどうせただで貰った饅頭だ、惜しむほどじゃない。 ……だが果たしてうまくいくかどうかは正直不安だった。 学生とはいえゆっくり医学が専攻なので、ゆっくりの所見には実習も通してそこそこ自信がある。 ぱちゅりーは両目が無事とはいえ口もあにゃるも焼き塞がれている。しーしーだって出来ない。 あんよも動かせないだろう。自力で食料摂取と排泄ができなければ座して死を待つばかりだ。 とりあえず治療プランを練ることにしよう。治療に優先順位を付けて一つずつ目標をこなしていけばいい。 そうなるとまずは何より口の再生が最優先だ。食料摂取もさることながら、 意志表示の手段を与えてやらねばゆっくりを飼う面白みがない。 それに口の再生が成功したとしても、俺の飼いゆっくりになるかどうかは、ぱちゅりー自身の意志を確認しておきたかった。 野生に帰りたいなら帰してやってもいい。無理に飼いゆっくりとして引き止めても良好な関係は得られないからだ。 だが加工のトラウマで自らゆん生を放棄しようとしていたり、性格があまりに酷いゲス個体ならば、 やはり食用饅頭としての役目をまっとうさせてやらねばなるまい。 ゆっくりの体は未だ謎だらけだ。だが人間も含めた既成の生物とは異なり妙にいい加減な生態であることは判明している。 例えば体に穴が開いても、餃子の皮や小麦粉で簡単に修復できることはよく知られている。 さらに成功確率はやや落ちるものの、ゆっくり間の移植手術も人間同士の移植手術に比べ遥かに敷居が低い。 そして、それは異種族間でもそれなりに通用することが確認されている。 例えば眼球を喪失したれいむ種の眼窩にまりさ種の眼球を嵌め込んで視力が回復した例は少なくない。 もう一度ぱちゅりーの口元をよーく確認する。焼かれた唇は溶け焦げて完全に塞がっている。 さっき食った一匹の口周辺の食感を思い出してみる。パリっとしていた。 そうだな。まずは現状の口元を削り取り、小麦粉で新たに口を作り直すことにしよう。 「よし、ぱちゅりー。お前は助けてやるぞ。これから治してやるからちょっと痛いけど我慢しろよ」 そう一方的に宣言してぱちゅりーの表情を探ってみた。 ぱちゅりーはといえば、信じる信じない以前に状況が判断できずにむしろ混乱しているように見える。 無理もない。助けてやるとはいっても、それはつい今しがた目の前で仲間を食い殺した人間の口から出た言葉なのだ。 まぁどうせ返答はできないだろうから今は勝手にやらせてもらおう。 俺は箪笥や台所から適当に必要なものを準備した。そして、ぱちゅりーの両目をハンカチで縛って目隠しをする。 これは恐怖で精神崩壊させない為の処置だ。あとはぱちゅりーが痛みに耐えてくれることを願うしかない。 ぱちゅりーの体を片手でしっかりと持ち、荒めの紙ヤスリで口元を抉るように削っていく。 ガリガリ、ガリガリガリガリ。 ぱちゅりーは細かく振動している。今削っている箇所は恐らく痛覚ごと焦げ付いており痛みはない筈だ。 だが、だからといって自分の体が少しずつ削り取られていく感触に平気でいられる筈もないのだろう。 ふと、ぱちゅりーの体がビクッと跳ねた。紙ヤスリの一部が痛覚の残っている箇所に触れたか。 ここからは目の細かい紙ヤスリに持ち替えて慎重に焦げて硬くなっている部分を削っていく。 そして、ぱちゅりーが反応する度に削る箇所を変えて、口元の壊死した皮はあらかた取り除くことに成功した。 削っていた箇所の中央は口内まで貫通し、ぽっかり開いた穴からは微かに前歯が覗いている。 次に小麦粉をオレンジジュースで溶いてペースト状にし、それを薄く引き延ばして即席の皮を作る。 削ったぱちゅりーの口元にもオレンジジュースを満遍なく塗り、 湿った皮が柔らかくなるのを待って、作った皮を貼り付け指で周囲と癒着させていく。 そうすると、ぱちゅりーは完全な口なし状態になった。 もちろん色白な本来の肌とオレンジジュースで黄ばんだ即席の皮は色合いが違うので、どこが治療箇所かは一目で分かる。 俺は耳掻きを手に取り、黄ばんだ皮の部分に慎重に切れ目を入れていく。 新たな口元はさっき福引会場で見た金バッジぱちゅりーを参考にした。 よし。これで口元の見た目は何とか整った。だが、ぱちゅりーの口が言葉を紡ぐ様子はない。 それも当然だ。ぱちゅりーの新しい口元はまだ単なる小麦粉細工でしかない。 時間が経てば、本来の肌との結合部から次第にぱちゅりー本体と同化して、色合いも機能も取り戻すことだろう。 さて、次は排泄器官だ。まずは口のすぐ下に位置するしーしーの穴に的を絞る。 作業にあたり、残る二匹の饅頭のうち一匹をバラして焼き塞がれた箇所の損傷がどの程度か入念に調べることにした。 口元の再生を行う前にやっておけばよかったが、まぁ治療プラン自体が思いつきなので作業が前後するのも仕方ない。 ぱちゅりーの目隠しはしたままなので、この光景が大事に発展することもないだろう。 結論から言うと、しーしーの穴もあにゃるも、焦げているのは比較的浅い層だけのようだった。 (ちなみに調べ終わった後のバラバラの饅頭はその場でおいしく頂きました) しーしーの穴に紙ヤスリを当てる。作業自体は口元の時とあまり変わらない。焦げた箇所を目の粗い紙ヤスリで大雑把に削り、 目の細かい紙ヤスリで微調整してから小麦粉とオレンジジュースで作った皮を周囲の肌と癒着させていく。 そして最後にキリで丁寧に小穴を開け、爪楊枝を慎重に挿して尿道と繋がっていることを確認した。 これで暫くすれば、ぱちゅりーは再びしーしーが出来るように筈だ。 とりあえず今はこの辺にしておくか。続きは口としーしーの穴の機能が回復してからだ。 二、三日も放置すれば最低限の機能は取り戻すことだろう。 俺はぱちゅりーの目隠しを取り外すとクッションの上に寝かせることにした。 賢いぱちゅりー種ならば、今日の処置は最初に語り掛けた通り“治療”であると判断できた筈だ。 実際、その目にはまだ怯えの色が残っているものの状況を察したのかだいぶ落ち着いてくれたようだった。 (中編へ?)
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ハーレム?3 6スレ目 829 眠い。ひたすらに眠い。 朝が来た事は重々分かっている。理解している。合点承知の輔している。だが、この肌 寒い中、布団という蟲惑的かつ包容力豊かな防御壁から抜け出せと言われて、至極簡単に 外へ旅立てる存在はどこのどなた様だと、小一時間程問い詰めたい。 加えて、ここは周囲より高い位置にある神社。部屋から部屋に旅する風共の冷たさは、 とにかく耐え難い。寒風摩擦なんて考えるとそれだけで吐き気がしてしまう。 自分が悪いのは分かっている。『妹紅と輝夜のインペリシャブルナイト ~特番! 正直 者の十番勝負~』二時間SPを全部聞いたら夜が明けてしまう時間になる。 わかっててもやってしまう事って誰も一つや二つはある。絶対ある。足の親指の爪を切 り取って、何故か嗅いじゃって悶絶したりとか。 ま、まずい……睡眠時間が三時間ぐらいだ。作業中に寝たら、お頭に大目玉を食う。 どうにかしてこのまま眠り続ける方法はないだろうか。 障子の開く音がする。甲斐甲斐しく自分を起こしにきてくれるその心には非常に感謝を しているが、今日ばかりは見逃して欲しい。 「あさー、朝だよー。朝ごはん食べて、お仕事だよー」 軽快な足音が近づく。寝ている俺の隣まで来て……頬をつつかれる。 「おにーちゃん、早く起きないとごはんなくなるよー」 目を開き、視界が濁る。若干波打った萃香の笑顔が全面に映し出されている。 「うぅ……ねむーぃさむーぃ合掌ひねりーぃ」 最後の一言は自分でも良く分からない。睡魔と戦っていると変なものを思いつく。 「むぅ。じゃあ、暖かくなればいいの?」 「おーぅ、なったら起きるぜぇ……」 考えも無しに言ってしまったが、結果的に暖かくなる。萃香が布団の中に入ってきてべ ったりと蛸の吸盤になってくれた。 「あははっ、おにーちゃん冷たい」 「ほぁぁぁぁ~っ、湯たんぽ萃香は極上品じゃぁ~」 このまま寝れたらどれだけ幸せか。この柔らかでいて弾みのある肌の感触。幸せ通り過 ぎて昇天まである。 「ねぇ、萃香、お兄ちゃん起こした? ……って何してんのよ!」 地を踏み荒らす振動と共に、布団が吹っ飛んだ──正直スマンカッタ。 恐る恐る見上げると、青筋立てて顔をヒクつかせている仁王立ち霊夢。 「あー、いや。これはだな。俺って抱き枕ないと安眠が得られなくて」 「言い訳はそれだけ?」 「う……ごめんなさい。すぐ起きます」 無駄に言葉を連ねれば連ねるほど墓穴。人間素直が一番だ。 萃香から離れ、部屋を出ようとする。だが、霊夢に袖を掴まれて止められた。 「まだ、怒ってる?」 「怒ってません」 口で言ってても霊夢の表情は正直だった。人を射殺す目をしている。 「まだ、朝の挨拶してないよ」 「あー……悪い。そうだな」 のっけから普段と違った起き方をしたので忘れていたが、毎日の定例がある。恥ずかし い事この上ないが、霊夢も萃香も喜んでるし俺も気にしてはいけない。 仕事場の同僚に知られたら……確殺されてしまう。 袖を掴む霊夢の腕を取って引き寄せ、できるだけ小さな力で包む。尖りきっていた顔は 瞬時に溶け、惚けた瞳を向けてくる。 「おはよう、霊夢」 「おはようございます」 背伸びをしてきた霊夢に応え、軽く唇を交わす。横文字で言うとフレンチキスだかモー ニングキスとかいう習わしなんだとか。教えてくれた寺子屋の先生はその時だけ顔を真っ 赤にして説明していた。 顔が離れ、霊夢は頬に紅を塗ってはにかんだ。 「私もおにーちゃんと挨拶ぅー」 「はいはい、おはよう。萃香」 「おはよー!」 豪快に飛び込まれて俺を軸に四回転決めた後、萃香に口を押し付けられた。音で表現す るなら『むっちゅぅぅぅ』ぐらい聞こえそう。 「萃香っ、長い! 私より三秒ぐらい長い!」 「え~、いいじゃん。おはようには変わりないよ~?」 「全っ然違うから! なんで萃香ばっかり、お兄ちゃんも何か言って!」 頼むから俺に振らないで下さい。ずるい狐と同じ顛末になりかねない。 後から聞いた話だが、二人とも俺が夜更かししていたのを知っていたらしい。それなら 注意しに部屋にきそうなものだったが、どっちが行くかで揉めてしまい結局疲れて寝てし まったとか……何をしているんだ、この子達は。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/∋゚)_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ なんとか、作業中に寝ぼける事はせずに済んだ。霊夢が淹れてくれたコーヒーがかなり 効き目あった。竹筒に入れてまで携帯した甲斐あって、色々と助かった。 今日で作業は一括りついているので、数日は部屋でだらけるか、近場の民家で畑仕事を 手伝うかぐらいだろう。 ここ数ヶ月は作業詰めだったし、せっかくだから可愛い妹達の為に時間を割くのは大い に有りじゃないかと思う。 血は繋がってないが。 「ただいまー」 縁側から入り、部屋の中へ入るが誰もいない。二人とも出かけているのか、卓袱台に料 理が置かれているわけでもなく、茶を飲んだ跡があるだけだ。 腰を落として休もうとしたが、すぐに霊夢が部屋に戻ってきた。近場の農家で貰っただ ろう野菜を抱えている。 「おかえり、霊夢」 「あ、お兄ちゃん。帰ってきてたんだ」 「たぶん、すれ違いっぽいけどな」 苦笑する俺を見て、霊夢は野菜を投げ捨てんばかりに卓袱台へ転がし、胸元に張り付い てきた。誰が見てもわかる、活きた笑顔。 「まーったく、甘えん坊だなぁ」 「いっつも萃香ばかり贔屓してるんだから、たまには独り占めしてもいいじゃない」 「贔屓しちゃいないって。まぁ、萃香の押しが強いってのはあるか?」 「じゃあ、私も押しを強くしたらいいのね?」 言うが早いか、全体重を乗せられて後ろへ倒された。尻餅をついて倒れたので頭を打つ には至らなかったが、俺を下敷きにして霊夢が覆いかぶさる形になった。 「こ、腰がっ」 「オヤジ臭い」 押し倒された挙句に酷い投げかけ。涙の一つでも流して困らせてやりたいぐらいに。 「萃香が帰ってくるまで、こうしてていい?」 「……いいよ。たーだーし、俺に甘えても金も食い物も出てこないからな」 「期待してません」 これは酷い。盥が上から落ちてきて爽快な音を共に頭を強打された気分。 ため息ひとつ、俺の胸元にある霊夢の頭を撫でる。嬉しそうな笑い声が小さく漏れる。 だが、こちらが身じろぎしようものなら、密着しているふたつの突起物と擦れ合って、脳 内革命起こしてしまうので断じて動いては…… そこで思考を止めた。そして切り替える。なんで既に感触があるのか、と。 「霊夢、お前まさかサラシしてないんじゃ──」 「してないよ」 電撃が走った。脳内が緊急事態の警鐘を鳴らしている。 霊夢は俺から少し離れて、四つん這いになると、俺の手を取って……何の躊躇もなく自 分の胸に押し当てた。 「ほら」 電撃が走った。大火災だ。 ほら、とか簡単にやってしまう霊夢に末恐ろしさを感じる反面、煮え滾る何か。 「な、なんで今日に限って……?」 できるだけ平静に。ここで何かをしてしまえば、雪崩が起きる。男の悲しい性たるや、 なんと如何わしいものか。ここを耐えずに、どう男でいられようか! 「触ってもらうと大きくなるって。サラシしてたら意味ないと思うし、前に胸が大きい方 がいいって言ってなかった?」 「あ、いや、まぁ……言ったような、そうでもないような」 思い出せない。確かに、この前の新聞で『美人死神女性特集』やってた時、小野塚って 子の胸がやたらでかいと同僚達で盛り上がっていたが……霊夢に話した覚えはない。 「でしょ? サラシの上からじゃ意味ないと思うし」 「萃香とやればいいんじゃないか」 「話しちゃったら、萃香まで大きくしようとするじゃない」 それはそうだ。いつもこの二人は妙な所で張り合ってるから、こういった考えが出てき ても納得してしまう。 なんといういじらしさ。頭に血が上りすぎて鼻から噴出しかねない。 「それにね、お兄ちゃん」 離れていた身体がまた密着し、自分と霊夢の目線が一致する。鼻の頭がくっつき、互い の息の温度が相手に伝わる。 「お兄ちゃんに……して欲しいの」 言い切って、真っ赤な顔で視線をそらした。 会心の一撃。燎原の火は世界を包み込んだ。自分の中の全てが赤い。 ──ここを耐えずに、どう男でいられようか!── 終了。 ──据え膳食わぬは男の恥── 新装開店。 「霊夢! 部屋……行こうか」 「う、うん」 言葉が急に畏まったが、俺に抱き上げられても、嫌な顔一つしていない。むしろ、これ からに対する期待の笑みがこぼれている。 雪崩が起きても構わない。理由はない。 自分が何を想像し、幻視しているのか全くわからない。霊夢を連れて部屋に戻れば後は 野となれ山となれ。向かう所は一直線。 「今夜はお楽しみでしたね……? って私に言わせたい?」 氷河期がきた。 ξ_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/∀・)_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 真っ直ぐ行ってぶっ飛ばす。を萃香に地でやられて数時間後、意識が戻った。布団に寝 かされていて、一撃の重みがまだ残っているのか、全身が軋む。 霊夢に買い物を頼まれて戻ってみれば霊夢が抜け駆けしていた。俺達の一部始終を見ら れていたらしい。萃香の力なら俺や霊夢の完全監視なんて朝飯前なのだろうけど、してい なかったという事は、それだけ信頼があった証拠だ。 悪かったとは思うが、本気で殴られるとは。まだ頬が痛い。 もう深夜になる頃か。できれば、萃香に謝っておきたい。誤解も含まれるが自分が暴走 したのも原因の一つ。 とはいえ、どう説明したものか。 「はぁ……莫迦か、俺は」 「おにーちゃん。起きてる?」 「萃香?」 部屋に明かりはない。真っ暗で何も見えないが、萃香がこちらに来る音だけわかる。 何も言わず布団に潜り込み、顔の隣に萃香の顔が並んだ。うっすらとでしかわからない 状態だが、特に怒っている様子もなく、普段と変わらない笑顔だ。 朝と同じく、蛸の吸盤になる萃香。「いつものー」とねだる姿に気分が和らぎ、謝罪の 意も込めて両腕で強めに抱いてやると、素直に喜んでくれた。 「さっきはごめんね。痛かった?」 頬を撫でられ、痺れを感じる。だが、声を上げる程ではない。 「大丈夫。こっちこそゴメンな。まぁ、あれはちょっと……」 「ううん、あれは霊夢が抜け駆けしようとしただけだから。もしあの状況で霊夢の誘いを 簡単に断れたら、おにーちゃん病気だよ」 何の病気だ。 「だから、おにーちゃんは何も悪くないよ?」 「そういってくれるのはありがたいけど。ならなんで殴られたんだ?」 素朴な疑問。まぁ、一時的な感情がどうのと言われれば納得せざる終えない。ついカッ となってやった、今は反省している。みたいな心境は良くある話だ。 そういう返答なのかと萃香を見たが、表情はとてもバツが悪そうに見える。 「それは、その……私と霊夢で色々と"オハナシ"したいなぁって。おにーちゃんに聞かれ たくなかったし、ごめんね? いたいのいたいのとんでけぇ~」 頬を撫でられ、布団の中で小さくバンザイをしてみせる萃香。すごくはぐらかされた気 分だが、オハナシの内容は恐くて聞けそうに無い。少々霊夢が心配になった。 気にはなるが、二人の仲はかなり良いし朝方霊夢を見たら灰になってました、なんて展 開は絶対ないから大丈夫。喧嘩したとしても、ちょっとした弾幕ごっこだ。 「でね、でね。私もおにーちゃんにお願いしにきたの」 「胸触れとか、そーゆーのは駄目だ」 「むぅ、やっぱりだめかぁ。でもいいや」 お願いしようとしてたのか。 「他にね、お願い──うぅん、ちょっとおにーちゃんにしてほしいことがあるんだー」 「まぁ、できることならいいけどさ」 何かを一緒にしたいと言いたげな笑顔。一緒に寝るとかなら既に萃香は布団の中だし、 その程度のことなら俺に言うまでもなく勝手に実行してくる。 「で、俺は何をすれば?」 「うん。おもいっきりベェーってして。舌を、べ~って」 「は……舌? んぁ、ふぉうは?」 大きく口を開け、伸ばせるだけ舌を萃香に向けて出す。何をする気だろうか。まさか、 やっぱり霊夢との一件を怒っていて、舌を切られるとかじゃ…… 「おにーちゃん。そのまま、だからね」 「お……っ!?」 両腕を首に回されて引き寄せられた途端、突き出した舌が萃香に食いつかれた。突然の 事に引っ込めようとしたが、歯を立てられていて鈍痛が走る。一寸先で俺を睨む萃香の目 は、『そのままでいろ』と訴えかけている。 諦めて従うと、突き立てられた杭は抜かれ、唇に挟まれては撫でられる。舌は萃香が持 つ同じ肉に這い回られ、内部を駆けずり、時折耳に届く粘着質の音が腕を痙攣させる。本 来味覚を司る部品はさながら、萃香を愉しませるアイスキャンデー。このまま舐め尽くさ れて融けきってしまうのではと不安さえ混じる。 今まで生きてきた知識の中で理解も判断も不可能な、形容しきれない感覚と時間。仕舞 いに、蕎麦を啜る流音と共に、混濁した液体が全て萃香へと移動していく。 強烈な眩暈を呼び起こす"して欲しいこと"が終わったらしい。今でも意識がはっきりせ ずに映像がゆらゆらと揺れている。 「どうだった? おにーちゃん」 「う……ぇ、っは、はは……」 頭痛が酷くて、状況がよくわからない。夜なのに、何故か視界は白い。 「おにーちゃんの味がした。すっごく美味しかったよっ」 脳が金槌で殴られた。周りが白い……限りなく、白い。 萃香の口がまだ動いていたが聞き取れず。世界は真っ白になった。 自分の意識が吹き飛び、無意識の間にもう一人の自分が現れてやらかしちゃった挙句に 『責任……取ってね、おにーちゃん』と慎ましやかにお腹擦られるとか、最終奥義を突き つけられる展開を恐れたが、どうにか回避できていた。真っ白になった後、死んだように 寝ていただけらしい。 なんで萃香が、あんな超絶技術……失礼。変な事をしてきたのか。答えは意外でも予想 外でもなく、腹立たしいが納得してしまうもので、単刀直入に言えば『男に一発で首輪を 掛けて飼う方法』というとんでもない内容の教えを受けたのだ。 萃香や霊夢の知り合いに、人をからかって遊ぶのが大好きだと外見でも性格でも見て取 れる女がいて、情報源はそこ。わかってしまえば、なんと簡単な情報源だろう。 最近は友人の家に入り浸っているようで、外来式の服で着飾って彼女の流行である"最近 の若い娘は"ごっこで遊んでいるらしい。近々友人の家に行って、変な入れ知恵をしないで くれと伝えておこう。声を大にして伝えておこう。あの二人については勝手に大人の階段 のーぼるーしてて下さいと放置するが、こちらはそうもいかない、絶対にだ。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/。(・)|/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 「──さて」 本日すべき作業が終了し、片付けに入る。同僚達から居酒屋に女手品師が来るとかで見 に行かないかと誘いがあったが、丁重に断った。興味はあったが、俺には余所見をしてい る余裕はあまり無い。 同僚達も結局『妹さん達の面倒を見るのも大変だなー』と苦笑交じりに理解してくれて はいるが……面倒の一括りで終わる話じゃないと内心突っ込みたい気分で一杯だ。 人里から離れ、神社へ続く道を歩く。人の手が施されていないので、普遍的な道とは呼 べないが。 「お兄ちゃーん!!」 お迎えが来たようで、遠く先で霊夢が大きく手を振っている。萃香も一緒だ。二人のも とへ到着し、間に挟まれ一列に並び、歩幅をそろえる。 「昼間でお仕事終了なんて、みんなのんびりだねー」 軽快に笑う萃香に「そんなもんだよ、俺の仕事場は」と相槌を打つ。俺が神社にいない 間の行動は萃香が見ているので、帰り時や職場の話なんかはほぼ全て筒抜けている。安易 に霊夢に担ぐような言葉を口にしようなら、帰った途端に那由多の星になる。 「居酒屋に来る手品師が見たくて、同僚もお頭も鼻息荒くして行っちまったよ」 「それって咲夜のことでしょ? 新しい金稼ぎでもしてるのかな」 霊夢が顎に指を添えて考えに耽る。あの館を見る限り、住人達はさぞ裕福に暮らしてる のだろうと思っているが、中身は案外質素だったりするのかもしれない。 「まぁ、金はともかく。ほら、咲夜さんて若くて綺麗だしさ。お頭もいい年して鼻の下伸 ばしてるからなぁ~。手品見たいってよりは、下心の集合体じゃないか?」 笑い飛ばして──困惑した。霊夢の足が止まり、こちらを睨んでいる。なんでそんなに 怖い顔をしているのか、俺は萃香と顔を見合わせたが、二人揃って首をかしげた。同僚や お頭を笑ったらいけません、みたいな老人じみた説教だろうか。 「お兄ちゃんて、咲夜みたいな女の人が好きなわけ?」 「は……? 綺麗だとは思うけど。だからって好きとは言ってない」 確かに綺麗だし、性格もよさそうだし、しっかりした人に見える。が、好意については 全くの別物。 霊夢と萃香の二人は、自分にとって特別だからな。 「ほんとう、に?」 まだ疑われているらしい。 「本当だって」 真実を口にしたが、まだしかめっ面だ。 「うわぁー、霊夢妬いてるんだー」 萃香に図星を突かれたようで、肩を震わせながら「違う! 妬いてなんかない!」と怒 鳴って俺達を通り越して先を歩き出した。 どうしたものか、と肩を竦めると萃香がケラケラと笑う。 「複雑なお年頃ってやつか?」 「おにーちゃんて甲斐性なしだもん」 冗談ぽく言われたが、非常に痛いお言葉。冗談じゃないなら立ち直れない。 「俺ってそんな風に見られてたのか……ぁー、涙が出てきそう」 目から滝が流せるなら、今まさに流したい。しかし、このまま干渉に浸って霊夢を放置 するのも問題だ。頑固な娘だから、時間が経つと状況が悪化しかねない。 「行ってあげれば? おにーちゃん」 「そうだな。仕方ないなぁ、まったく」 早足で追いかけ、霊夢に追いつく。振り向かず、膨れっ面のままだ。「待てって」と呼 びかけても反応のはの字も返ってこない、これは重症だ。 こうなれば強引だが…… 「霊夢!」 大声と、霊夢の身体を抱え上げる行動を瞬時にやってのける。お姫様なんちゃらって形 に収まった霊夢が呆然と俺を見つめている。 「変な話して悪かった」 それが引き金になったのか、また視線が鋭くなり「降ろしてよ」と声色低く、投げやり に言ってそっぽを向かれた。 「断る」 こちらも投げやりに返し、神社に足を進める。その後何度か「降ろせ」と「断る」のい たちごっこが続き、駄々をこねる子供のように胸元やら肩やら頭を乱打された。どれ痒い 程度で、やがて疲れたのか大人しくなった。 やれやれ。と軽く嘆息し、霊夢を見る。敵意ある様子は崩れ去り、後悔とも困惑とも取 れる塞ぎ込んだ顔。 「なによ、お兄ちゃんの莫迦」 「己の信じる先を行く一本気莫迦ではあるな。あーあ、嫌われてしまったかね、俺」 わざとらしく苦笑してみせると、霊夢は頭を大きく横に振った。 霊夢と萃香の為なら、莫迦にもなれる。男ならそういう道を選んでもいいはずだ。自負 であって、それが正論かと問われれば否定するけど。 「……ごめんなさい。ちょっと──ほんとにほんのちょっぴり、綺麗って聞いて悔しかっ たかな」 ほんのちょっとじゃないだろと言おうとして、薮蛇なので言葉を引き戻す。また怒らせ て陰陽玉で殴られたのでは洒落にならない。 霊夢は口を尖らせて、俺の胸板でのの字を書いている。なんとなく、自分のやってしま った失敗を理解するが、くすぐったくて思考がブレる。 「三年……いや、二年か?」 「にねん?」 意図の掴めない俺の一言にきょとんとする霊夢。 「今だって霊夢は十二分に可愛くて綺麗だ。二年経ってみろ、咲夜さんなんて眼中になく なるほどすっげぇ女になる! 俺が保証してやる」 咲夜さん以上になるかはこの際誇大発言だが、綺麗になるのは間違いない。こういう時 は大げさに言ってみるのも一興だろう。 「……じゃあ、お兄ちゃんは二年後の私に大好きって言われたら、どうする?」 「そりゃーもう、即刻連れ去って悪い蟲がつく前に結納済ませちま……ぁ?」 大げさに言ってみるのも一興。ただ、勢い余って脱線した気がする。しかし、時既に遅 し、霊夢の紅潮しながらも輝く瞳に気圧される。 「お兄ちゃん、男だから二言はないよね? 確約だからね?」 「え、ちょっ」 反論は許されない。途中で霊夢の唇に塞がれた。あまりにも積極的な姿に自失しかねた が、背後からくる尋常ではない凍える風が全身を強張らせた。 脊髄反射で首が勝手に動き、霊夢の唇を剥がすが「ダメ、もっとするの」と官能的な色 を出されて拒否する力が奪い取られ、延長戦。 唇から来る霊夢の暖かさと背中を冷やす無言の萃香に板ばさみにされ、死活問題だと血 が騒いでは混乱する。最凶の甲斐性無しと自負できそう。 「れ~い~む~? 今日という今日は、しっかり"オハナシ"しないとだねぇ?」 耳に入らず脳に伝わる轟音が萃香を包んでいる。霊夢が未だに離れてくれないので表情 は伺えないが、きっと目がイってる。絶対、琴線に触れてる。 名残惜しさもひとしおに俺との延長戦を終え、存分に堪能したと舌なめずり。 「えぇ、そうね。私もちょうど萃香と"オハナシ"したかったのよ」 ゆっくりと俺から降り、大きく胸を張って萃香を見下す霊夢。 なんという挑発的な目だろう。従属属性持ちがこれに射抜かれたら瞬殺される。 冷静に状況を判断しているように見える俺でさえも、殺気に全面包囲されて今にも発狂 しそうな程、手足が冷たい。血の気がみるみる引いていくのを実感している。 どうするの? どうすればいいの!? どうするのよ俺!! 『霊夢と萃香次第』 こんだけしかねーのかよ!! 「おにーちゃんを誑かして、そんな確約だなんて通じると思ってるのかなぁ?」 「当たり前じゃない。私なら二年後と言わず、今でもね。ねー、お兄ちゃん」 俺に振らないで下さい。 ──その後、数日間による修羅場、弾幕戦、よくわからない対決が続いたが……まぁ、 これは別の話だ。聞くも血の涙、語るも血の涙。察してくれ。 現状? 三人一緒の布団で寝れる仲だぜ。言ったろ? 俺は一本気の莫迦なんだ── 終? うpろだ292 幻想郷に来て俺は今まで様々な命の危機に出くわしている 妖怪に食われそうになったり、酒を大量に飲まされて急性アルコール中毒になりかけたりその他色々と ……よく生きてたな俺 まあ今では紅魔館で執事として働いている 毎日大変ではあるが充実してて楽しい……はずだったんだよな ドゴーーーン!!! 「○○!なにをぼうっとしてるの!?死ぬわよ!」 「目の前の惨劇に少々現実逃避を」 チュドーン!! 「お姉さまの馬鹿ー!!」 「な!?馬鹿って言った方が馬鹿よ!!」 「バーカ、バーカ!お姉さまのバーカ!」 「また言ったわね!しかも三回も!」 俺の眼の前の惨劇を引き起こしてるのはこの館の主レミリア=スカーレット(通称お嬢様)と その妹であるフランドール=スカーレット(通称妹様)が戦っているからである 「元を正せば貴方が原因よ何とかしなさい!」 「そりゃ俺に死ねってことですか?咲夜さん!?」 「原因が亡くなれば止めるかもしれないじゃない」 「字が!字が違う!ある意味では合ってるけど」 そもそもこの惨劇が起こったのは今日の茶会で珍しく妹様が出席し、姉妹同士の他愛無い話が原因だった ―回想開始― 「ねえねえお姉さま、お願いがあるんだけどいい?」 「お願い?いいけど外に出るのは駄目よ」 「外には出たいけどそれとは違うの そのお願い聞いてくれたらずっと館の中で暮らすよ」 「へぇ……どんな願いか言って見なさい」 「○○がほs「却下ーーー!!」なんでー?」 「○○はここ紅魔館の執事よ、つまり紅魔館の主である私のものだからよ」 「ぶー、お姉さまの横暴ー!」 「横暴だろうと何だろうと○○は私のものよ!」 「いいもん私の眷属にするから、そしたら私のものになるもん」 「私がさせると思う?」 「邪魔するならお姉さまでも殺すよ」 「はっフランが、私を?面白い、やれるものならやってみなさい」 「言われないでも!!」 ドゴーーン!! ―回想終了― ……やっぱ俺が元凶か? この状況を何とかできるパチュリー様は二人の戦いが始まるやいなや 図書館に引っ込んでご丁寧に入って来れないように結界まで貼っている 畜生、覚えてろ紫もやし、ことが終わった後煮立ったお湯に入れた後塩コショウふって炒めてやる それまで俺が生きていればの話だけど 「で、どうする気?あのままじゃ本当にどっちかが死んでしまうかもしれないわよ」 「それは……勘弁願いたいですね」 「そう思うなら何とかして止めなさい、この場を止められるのは私でもパチュリーさまでも白黒でも紅白でもない 貴方だけなのよ」 「分かりました、死ぬ気で止めてきます」 「死んだらお嬢様たちが悲しむから死ぬのはやめときなさい」 「了解!!お嬢様!!妹様!やめてください!!」 そういうと俺は今尚続いている姉妹喧嘩に突っ込んでいった 「禁忌『レーヴァテイン』!!」 「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」 カッ!! 「「「あ」」」 ピチューン!! 「……いったたたたた」 「○○おきたの!?!よかったわ、何があったか覚えてる?」 「確か俺はレーヴァテインとグングニルに挟まれて……」 そうだ、俺は確かにレーヴァテインとグングニルが当たったはずだ 単純な破壊力なら幻想郷屈指のスペルを二つ同時に 「何で生きてるんですか?俺 痛みはありますけど五体は無事ですし、傷跡もないですよ」 「それに関してはその……」 咲夜さんにしては妙に歯切れが悪い、いったいなにをしたんだ俺の体に 「それについては私から説明するわ」 「あ、真っ先に逃げて引きこもったパチュリー様(紫もやし)じゃないですか」 「……なにか言葉に棘があるわね」 「気にしないで下さい、ささ、続きを」 「なにか釈然としないわね、まあいいわ、二人のスペルで貴方の体は右半身と下半身は吹っ飛んだの」 ……よく生きてたな俺、すごいね人体って 「まあそれでもかろうじて息が合ったみたいだからレミィと妹様の血で貴方を吸血鬼にしたのよ」 「はあ……吸血鬼にしたのはまあ納得いきますけどなんでお嬢様と妹様の血の両方を入れたんですか?」 「どっちが貴方を自分の眷族にするかで揉めてね、このまま放っておくと死にそうだったから 妥協案として二人の血を混ぜて貴方に飲ませたの」 「飲ませたってどうやって」 パチュリー様の話が本当なら俺は血を飲む力もなかったはずだ 「ああ、それは咲夜が口移しで飲ませたのよ」 「パ、パパパパパチュリー様!?」 真っ赤になりながらどもる咲夜さん、マジ可愛い 「え、まじっすか?」 「まじよ、これもまた二人が揉めてね、埒が明かないから三番目の選択肢として咲夜に頼んだの」 「はぁ……スイマセンね咲夜さん、乙女のキスを俺なんかに」 「べ、別に構わないわよ、気にしないでむしろ……ウレシカッタカラ////」 「後半あまり聞こえなかったんですけど何か言いました?」 「べ、別に何も言ってないわよ」 「そうですか、そういえばお嬢様に妹様は?」 そういえば先ほどから二人の姿が見えない 俺が目覚めたのならすぐにでも飛んできそうだけど……自意識過剰かな? 「ああそのことなら咲夜が貴方にキスすることになってうるさかったからロイヤルフレアで黙らせた後 地下の妹様の部屋に放りこんだわ」 ひでぇ、仮にも親友とその妹にする仕打ちじゃねーぞ 咲夜さんもその時のことを思い出して苦笑いになってるし 「まあそんなわけだから早いとこ二人の所に行きなさい 二人が目を覚まして側に貴方がいないといろいろとうるさいことになりそうだし」 「そうですね、それじゃ行って来ます」 そう言い俺は地下の部屋に歩いていった これから大変なことが起こるだろう けどきっと大丈夫だ頼りになる人がここにはたくさんいる 一人では駄目でも皆ならきっと何とかなる それに……俺は吸血鬼になったんだそうそう死ぬことはないだろう 後日あのまま死んでた方がよかった目に合ったがそれはまた別の話である
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真夏だというのに、いやに空気の冷たい日だった。 『スタンド』の気配を感じる方向へと、なじみのない街を駆け……やがて、俺は『そこ』にたどり着いた。 比較的作りの新しい、二階建てのアパート。……『ゴッド・ロック』の意識が感知した『スタンド』の気配は、この建物から発せられている。 二階。ゆっくりと、一歩づつ、確認するかのように、階段を上る……一歩ごとに、『気配』は強くなっている。 いったい、どうなっているんだ。何故、そこに『スタンド』の気配があるというんだ……? まさか、佐々木か橘かのどちらかが、『スタンド』を……? 「……ここだ」 階段を上った、目の前の部屋。表札には、何の名前もない……しかし、確かに、この部屋の中から感じる。 ゆっくりと、ドアノブを掴む…… 「ひっ」 同時に。扉の向こうから、声がした。 ドアの隙間から室内を覗き込むと……玄関の目の前に座り込み、自らの体を抱いている、俺の見知った少女の姿があった。 「キョン……怖い、怖いよ……橘さんが……橘さんが……」 それは、つい十数分ほど前、俺を眠りから覚ました人物。 ……『佐々木』だ。 キョンの憂鬱な冒険 -アフターロック- 第23話『西宮市のどこかで鎮魂曲が奏でられる①』 「佐々木……大丈夫か? 俺が来るまでに、誰も来なかったか?」 震える声帯を押さえながら、俺がたずねると。佐々木は、泣きはらした顔面で俺を見上げ、二度、肯いた。 よかった……間に合ったのか。だが、まだ問題がある。 俺は意を決すると、半開きにしてあった戸を閉め、念のために施錠をし、『橘の部屋』に足を踏み入れた。 ……女子高生の部屋にしては、いやに落ち着いているな。それが、俺の第一印象だった。 そう部屋は多くない。キッチンと合体したフローリングのダイニングの奥に、小さな和室と、カーペットの敷かれた居間があるのみだ。 その、居間に置かれた、ベッドの上。力なく四肢を放り出し、空ろな瞳で空中を見つめる少女の姿が、俺にも見て取れた。 橘だ。橘京子が、ベッドの上に横たわっている。 「橘!」 声を荒げながら、俺は、その元へと駆け寄る。 ……様態は、佐々木に聞いたとおり。青白い顔で、空中を見つめている。 「……キョン、さん……」 空ろな瞳が、ふと、俺の目と合い、橘は、ぽつりと言葉を零す。どうやら、意識はあるようだ。しかし…… 橘の衣服と、ベッドと掛け布団を染める、真紅の液体。これは……おそらく、橘の血液なのだろう。 その出所は……俺は、躊躇せずに、橘の上半身を覆うカットソーを、『ゴッド・ロック』の力で引きちぎる。 まともに脱がせるよりは、こちらのほうが、傷に影響をもたらさずにすむだろう。 スポーツ・ブラジャーのみを身に付けた橘の上半身。白い肌。その透き通った肌色を汚す、いくつかの傷。 これは……銃創だ。右肩と、左わき腹。見ると、右手の甲にも、同様の傷跡が或る。 それらの傷からあふれ出した血液が彼女の体と、その周囲を、真紅に染めたのだろう。 そして、最後の。四つ目の傷跡……橘の『喉』に刻まれた、切り傷。 半分近く閉じ掛かっているものの、いまだ血液を滲ませることをやめていない傷。 「なんだ、こりゃ……橘に、何があったって言うんだよ!?」 ……ふと。気づく。 首の傷は別として、橘の体を汚している、三つの銃創。 その、位置。 「これは……!!」 そうだ、この位置には、見覚えがある…… これは! 昨夜、ミスタの『セックス・ピストルズ』が、『小野大輔』に撃ち込んだのと、同じ『傷』だ!! 「佐々木……お前が来たときには、もう?」 玄関にうずくまる佐々木を振り返り、訊ねる。 佐々木は、声は出さずに、頭を抱えた体制で、三度ほど肯き、俺の問いかけに答えた。 ……何故。『小野』が負っているはずの傷を、橘が負っているというのか。 ひとつの可能性として、俺が、ある仮説を組み立てるのに、そう時間は掛からなかった。 「これは、もしかして……『スタンド』なのか……?」 ……妙だとは思っていた。 俺が佐々木からの電話で告げられたのは、『何故かわからないが、橘が傷を負っている』ということだけだ。 そして、俺は『スタンド』の気配を察知し、この場所までやってきた。 つまり……この部屋にいる誰かが。『スタンド能力』を発動しているのだ。 「『ゴッド・ロック』!!」 漆黒の像を発動すると同時に、佐々木の顔を見てから、すっかりと失念していた、『スタンド感知能力』を発動する。 そして、その全神経を、目の前の少女……橘京子に集中させる。 ……やはり、だ。 「『わずか』だ……とても『わずか』だが、『スタンド』を感じる……橘から!」 ……橘の空ろな瞳が、俺の背後……そこに立つ、黒い『像』を見ている。 橘には、『ゴッド・ロック』が見えているのだ。……間違いない。『橘京子』は、『スタンド使い』だ! しかし、依然疑問は残る。何故、橘が、『小野大輔』の体に或るはずの傷を負っているのか? そして、この首の傷は…… 「とにかく、手当てを―――」 ……俺が開きかけた口を、無理矢理に遮ったのは。 その瞬間、強烈に感じた、『スタンド』の気配と……俺の背後から放たれた、『声』だった。 「WRYYYYYYYYYYY!!!」 ……いったい、その声は、『誰』が発したものだったのか。 どこか聞き覚えがあり、それでいて、奇妙に聞き慣れない声。 「きゃあっ!!?」 次に聞こえたのは、佐々木の声だ。普段の声色と比べて、随分と甲高いが、俺には、それが佐々木の声だということが分かる。 長年の付き合いを甘く見るなよ。 「『佐々木』っ!?」 ……玄関口を振り返った、俺の目に映ったもの。 それは―――瞬間的には、理解しがたいものだった。 「……『0.5秒』……予定より早く、『時』が『動き出し』てしまったか」 ……つい、先ほどまでは。その場にいなかったもの。 佐々木の目の前に立ち……背後に、黄金色の『像』を携えた、男。 その黄金色の『像』は、右手のこぶしを、佐々木に向けて突き降ろそうとしており…… そのこぶしを、俺の『スタンド』……『ゴッド・ロック』の掌が、受け止めていた。 「……『小野ぉぉぉぉぉ』!!」 つい昨晩出会ったばかりの、その男の顔が。まるで、長年の付き合いを経てきたもののように、俺の脳へと染み渡ってゆく。 『小野大輔』。 目を見開き、怯える佐々木の前に……その男が、立っていた。 「ひっ……キョン、なに、これ……わからない、わからないよ……この『人』は、何なの……っ!?」 佐々木が、全身を小刻みに震わせながら、喉を奮わせる。 俺は、橘のいるベッドを離れ、突如として現れた、『小野』を向き直る。 「何故……どうして、お前が『ここ』にいるんだ、小野ォ!」 「……それは、こちらの台詞だ、『ジョン・スミス』。 ……いいや、予想はしていたけれどね。まさか、僕よりも早く『ここ』にたどり着いているとは…… 君の邪悪な運勢の賜物なのかな、これも。 ……いいや。あるいは、『僕』と『君』は、引き寄せあう運命にあるのかもしれない」 小野が言葉をつむぐ間にも、『世界』は、『ゴッド・ロック』の掌によって阻まれたこぶしを突き進めようと、力を込め続ける。 俺は―――俺のスタンド、『ゴッド・ロック』は。それをさせまいと、必死に『世界』のこぶしを握り締める。 こいつは……何をしようとしている? 見れば分かるその疑問を、空中にぶつける……答えは、単純明快だ。 『世界』のこぶしの矛先は……『佐々木』。俺の中学時代の親友である、その少女に向けられている。 「テメーの『目的』は……おれとハルヒじゃあなかったのか!? 何故、『佐々木』を……お前が狙ってんだよ!? 答えろ、『小野大輔』!!」 俺の怒号を浴びた小野は、やれやれ。とでも言いたげに、頭を振るうと…… 「わからないのか、ジョン。その『スタンド感知能力』をもってしても……彼女の、『正体』が」 「何、だって……『佐々木』の、正体?」 ……その言葉を聴き、不意に気づく。 この世のものではないものを見るような瞳で、『そいつら』を見比べる、佐々木の視線。 その視線が、明らかに―――『ゴッド・ロック』と、『世界』に向けられていることを。 「……『佐々木』、お前は、まさか……ッ!?」 ……即座に、『ゴッド・ロック』の『スタンド感知能力』の標的を広げる。 今まで、『橘』に集中していたそれが、部屋全体に広がり…… そして―――俺は『理解』する。 「……『佐々木』から! 『スタンド』を感じる……それも、特別『グレート』なやつを……!! なんだ、これは……こんな、『スタンド反応』は、初めてだ……!!」 脳漿が焼きつき、神経が千切れそうに為るほどの、強烈な『反応』。 ……以前にも、一度だけ覚えがある。あれは―――そう。『観音崎スミレ』の事件の時。 『岸辺』たちが目を覚ます寸前に、俺が『北高』の位置から感じたもの。 「……ようやく、ぼくにも分かったよ、ジョン。この少女……『佐々木』の正体が」 小野が、『世界』の手を休めずに、呟く。 「……彼女は。『宇宙(ザ・ユニヴァース)』の能力と、とても似た『能力』を持つという、この少女は。 ……『スタンド』だった―――。『宇宙』の持ち主である、『涼宮ハルヒ』の『スタンド能力』の化身…… この少女は。おそらく、君が『涼宮ハルヒ』から、『宇宙』を引き出したと同時に発現した……『スタンド』なんだ」 「……何、だって?」 ギリギリギリギリ。と、言葉を交わす間にも、『世界』と『ゴッド・ロック』の腕力の拮抗は留まらない。 漆黒の肉体と、黄金色の肉体が、力を圧し合う……『佐々木』の左胸の寸前で。 「わかるだろう、ジョン。『この少女』の存在が、どんなものなのか。 君の能力なら……把握できるはずだ。 彼女は、そう。涼宮ハルヒのスタンド、『宇宙(ザ・ユニヴァース)』の『像』の一部なんだ。 おそらく、君たちの言う……『閉鎖空間』を作り出す『能力』を操作する個体」 ……不思議なほどに。小野の言葉は、俺の脳裏に、容易くしみこんで言った。 『佐々木』は、ハルヒの『一部』……ああ、なるほど。そう肯きたくなるくらいだ。 「……だが。彼女は、同時に『人』でもある………… 自意識を持つ『スタンド』ではない。一人の『人間』としての意識を……持っている。 ……僕が、それが。その『事実』が、あまりにも『悲しい』……!!」 ……言葉とともに。小野の『左手』が、右胸にあてがわれた。 その、瞬間! 「あ……」 ……その瞬間を、『観る』ことはできなかった。 俺の視覚に、次の光景が飛び込んできた時には…… 『佐々木』の胸を。『世界』のこぶしが、貫いていたのだ。 「これで……いい。『苦しみ』は一瞬だ。 ……そして、『涼宮ハルヒ』も……自らのスタンドの『像』を破壊されれば―――」 小野が、なにやらを呟いている。が、俺の耳には届かない。 俺が『理解』できたのは、ただ一つ―――『世界』が、『佐々木』を、『殺した』ということだけ―――― 「……『小野』ォォォォォォォォッ!!!」 ……俺の怒声とともに、出現したのは。 『世界』の時止めでも、『ゴッド・ロック』のこぶしでもなかった。 窓ガラスを突き破り、室内へと舞い降りてくる、『赤い』影。 「―――――『ミツケマシタ』ワァ!!」 ……それは。鶴屋さんの―――『ファンク・ザ・ピーナッツ一号』だ! 「何ッ……!?」 「なっ……どうして、お前が『ここ』にッ!?」 ……驚愕に心を染めたのは、俺だけではなかったようだ。 『小野』……やつの表情も、また。目の前の光景を信じられないという、『驚愕』に染まっていた。 「『セツメイ』は、後デモ『出来ル』!! 『今』スルベキコトは――――『ミスター・キョン』!! アナタヲ『オ連レ』スルコト! デスワァ!」 言葉が早いか、行動が早いか。 『ファン・ピー一号』は、その小さな体躯からは想像もつかない威力の『蹴り』を……俺の脳天に、叩き込んだ!! 「ってぇ!!」 痛みに叫ぶと同時に。俺の体が、物理法則を無視した、不条理な力で、空中へと吹き飛ばされる。 焦る脳裏に、うっすらと浮かぶ……以前、鶴屋さんから聴いた、『ファン・ピー』の能力。 小柄な『一号』が攻撃した対象を、『二号』の元へと引き寄せる能力!! 「ソシテ……『テメー』モダ!! 『小野』ォォォォ!!」 破られた窓ガラスを突き破りながら、空中へと放り出された俺の耳に、その声が届く……何、だって? 次の瞬間。俺の目に飛び込んできたのは……たった今、俺が突き破ったガラス戸の穴を突き抜けながら、空中へ踊りだす、『小野』の姿だった。 「うおおっ!!」 『小野』が猛る声が、俺の耳にも届く。 ……察するに。俺の登場はお前の想定内だったとしても、『ファン・ピー』の登場までは、予測していなかったってところか。 「『ミスター・キョン』!! モウシワケアリマセン、独断デ、『ヤツ』もお連れシマシタ!!」 不意に。空中を突き進む俺の耳元で、声がする。『ファン・ピー』の声だ。 「今、オジョウサマは『病院』にイラッシャイマス! ソシテ、『SOS団』のメンバーが『集マリ』ツツアル――― ワタクシの『引き寄せ』力は、『確実』デス! ヤツハ決して! 逃レラレナイ!! タトエ『ワタクシガキエヨウ』トモ! アナタタチハ、必ズ『病院』へ『引き寄せ』ラレルノデスワ!」 鶴屋さんとよく似た声で、『ファン・ピー』は言う。『病院』……そこまでたどり着ければ、古泉や鶴屋さん……それに、会長やミスタたちとも合流できる。 ここからあの『病院』まで、どれくらいだ? 『引き寄せ』スピードは……遅くはないが、そう早くはない。自転車程度だ。 直線で向かっても、十数分は掛かる……その間! 俺は小野と『戦わ』なければいけない!! 「ジョン……『ファンク・ザ・ピーナッツ』! 君たちは、僕をそこで『倒そう』というわけだな……っ! だが、無駄だ! その『病院』へとたどり着くのは、僕一人―――ジョン! 君はこのまま誰とも会えないまま、死んでもらう!」 『引き寄せ』られる力の先に背を向け、俺は背後を振り返る。 右胸に手を当てた体勢で、俺を睨み付ける小野と、その『スタンド』……俺たちの間合いは、10メートルほど。 お互い、同じスピードで『引き寄せ』られているため、その距離は、縮まりも広がりもしない。 俺の『ロック』は、この距離で、『世界』と戦えるか……!? 「『ミスター・キョン』! オシャベリガ長くなって申し訳アリマセン! モウヒトツ…… アナタニ、コレヲ!」 言葉と同時に、俺の手の中に飛び込んでくる、二つの物体。携帯電話と――――『拳銃』!? 「何だ、こりゃあっ!? 『ミスタ』のか!?」 「『セツメイ』をスルベキ時は、いまではゴザイマセン! アナタハ『戦う』ノデス!」 ……確かに。眼前に『世界』が迫ってきているこの状況で、のんびりおしゃべりはしていられないな。 「『ゴッド・ロック』!! 『やれ』ぇ!!」 俺の体から噴出す黒い人影が、迫り来る『世界』に向けて、こぶしを繰り出す。 こぶしは『世界』の両腕に着弾する。どうせこの程度ではダメージはないのだろう。 俺が可能な『攻撃』といえば……如何にかして、『世界』に隙を作る! そして、その隙に……この『銃』で、『本体』を『撃つ』しかない!! 「『世界(ザ・ワールド)』……! 『思い知れ』!!」 「ヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレェ!!」 兎に角、『世界』の攻撃を食らったらお仕舞だ! こいつの破壊力は、いわれなくったって、もういやというほど思い知らされている。 『ゴッド・ロック』にできるのは、せめて、攻撃の隙を作らせないために、『殴り』続けること! 「『やれ』ェ――!!!」 ガン。一際大振りに放った一撃が、一瞬、『世界』の体を揺らす。そして―――その『像』が、消えたっ! 『今』かっ―――! 俺は、右手の中で、あらかじめ準備しておいた『銃』を、『小野』に向ける……頼む。当たってくれ! しかし―――『引き金』を引こうとした瞬間。 小野は―――『俺の前』から、『消えて』いたっ!? 「ぐっ……」 同時に、腹部に感じる鈍痛。内臓がかき混ぜられるような、重たい感覚。 ……馬鹿か、俺は。こいつの……『世界』の、『これ』を、忘れてたなんて…… 「『時止め』ッ……!!」 「……ふうん。確かに、『ファンク・ザ・ピーナッツ』のこの『能力』は、『確実』なようだね。 何しろ……『時』を『止めた』というのに、僕が『引き寄せ』られる力だけは『止まら』なかった。 そして、僕と衝突し、『止まった時』の中を『動かさ』れたと同時に、君の『引き寄せ』も再発動した……たいした『スタンド能力』だ」 ……こいつは! 『止まった』時の中で、自分が『引き寄せ』られる事を利用して、俺に『突進』してきたのかっ! まずい……小野と俺の距離は、『ゼロ』! 「……『ジョン』。安心しろ、このまま、君を『世界』で、一思いに殺したりはしない…… 『病院』までは……君の『寿命』までは、まだ少しだけれど時間がある……その間、僕は君に『罰』を下し続ける。 君には自らの『罪』の重さを『思い知ら』せてやる。……この僕の『世界』がッ!」 同時に、小野の体から湧き出す、黄金色の『像』―――!! 「ヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレヤレェ―ッ!!」 「知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れ知れェ―――!!」 密着した俺と小野の頭上で、『ゴッド・ロック』と『世界』が、こぶしの雨を降らせあう!! ……なんてパワーだッ! 一撃一撃が、それこそ、まるで『弾丸』のように熱い…… 「思い……知れェッ!!!」 一呼吸の後の咆哮とともに、『世界』が、一際大きく腕を振るう。向かってくるこぶしを、『ゴッド・ロック』が、左拳で殴り返す……! ――――衝突! 「ぐ……うおおおおッ―――!!?」 バキリ。……あまり聞きたくない、鋭い音が頭上から降り注いだ直後。 俺の左手が―――『割れ』た!! 「……今のは、彼女。『橘』さんの分……ってとこかな」 俺の手から噴出した血液で、背中を汚しながら。小野が呟く。 「『橘』だとッ……!?」 「彼女もまた……君に『スタンド』を引き出され、邪悪な運命を身に纏ってしまった人だった。 もっとも……彼女は未だ、昨夜の時点では、『覚醒前』だったけれどね。 君の『妹』の『スタンド攻撃』を目の当たりにして、覚醒してしまったんだろう」 ! ……何だと? 今、なんて言った……俺の『妹』!? 「てめぇ、小野……妹を! あいつをどうしたんだ!?」 「どうにもしていないさ。今でも、あの部屋で眠っている…… 彼女は今、とても不安定だ。だから、すこし強い『薬』で眠らせてあげているんだよ。 ……あの子は、すぐに精神科に診せてやったほうがいい。……全てが終わって、彼女が少し落ち着いたら、僕が連れて行ってやる。だから、安心していい。 昔のコネで、身元のはっきりしない人間を診てくれる宛てはあるからね」 『引き寄せ』によって、俺の胴体に密着した顔面を、ナメクジのように上に向け、俺の顔を見つめながら。小野は言った。 「これも『罰』の一つだ。君に『幸せ』を奪われた人々が、どれほど悲しい運命の下にいるか……教えてやるよ、ジョン。そして、己の罪を『知れ』…… ……きっと、まだ混乱していたんだろうね。彼女……君の『妹』は、橘さんの部屋で目覚めて……僕を見た瞬間。『鋏』で、自分の喉を『切った』んだ」 「なっ……!?」 ……不意に。昨夜のあいつの姿が。華奢な肉体が、歩道橋から落ちてゆく、その光景が、俺の脳裏を掠める。 「『時』を止める暇も無かった……そして、彼女の『スタンド』は、『僕』を標的と認識した。……喉を切られるってのは、いいもんじゃないと、勉強になったよ。 ……君に『負けた』と思ったよ。あの時は……君の生んだ『不幸』の渦を消そうとして、僕は、逆にそれに飲み込まれてしまうのかと……」 小野は、彫刻のような無表情で、俺を見上げながら、淡々と言葉をつむぐ。 そして、俺たちの頭上では……僅かな間合いを取りながら、臨戦態勢の『スタンド』同士が、睨み合い続けている。 「だが。……僕は、助かった。『橘』さんの『スタンド』が、覚醒したんだ。僕の意識がフッ飛ぶ直前に…… ……彼女のスタンドも……『悲しみ』しかもたらさないスタンドだ。決して『幸せ』には繋がらない…… そんな『スタンド』のおかげで、僕はこうして、君を『処罰』できているという事実が、とても悲しいよ」 ……そこで、気づく。 『小野』の体に……あの、昨夜の『傷』が無いことに! そして、『橘』の身体に在った、あの『傷』……つまり、橘のスタンドは! 「他人の『傷』を、『自分』に移すッ! ……それが、『橘』のスタンドかッ!?」 「Exactly(そのとおりだよ)」 ……小野の声が、わずかに低くなった。 「橘さんは、君の妹の『ローテク・ロマンティカ』が『治し』かけていた、僕の首の傷を、自分に『移した』んだ……きっと、無意識のうちに、だろう。 そして、君たちから貰った傷も、すべて。僕の身体から奪い取った」 まっすぐに俺を見上げる小野の眼の端から、ぽつりと。一滴の涙が零れ、頬を伝って、俺のシャツの生地に染み込んでいく。 「ジョン。これは『手向け』だ……君に引き出された『スタンド』によって、死んでいく彼女への…… 君に運命を狂わされた、全ての人への『鎮魂曲(レクイエム)』だ。 僕が……君を『裁く』。それが、たった一つの…… 全てを『知る』ことのできる、僕。『ジャスト・ア・スペクタクル』を授かった僕の、使命なんだ……ッ!」 ドン。頭上で鳴り響く、鈍い音……『世界』の放ったこぶしを、『ゴッド・ロック』が、右腕で防御した。 その反動で、俺と小野との距離が、僅かに開いた。 すぐさま体勢を立て直し、『ゴッド・ロック』を眼前に立たせる……『ロック』の『左手』は、もう使い物にならないだろう。 同様に、『世界』を自らの傍へと引き寄せた小野が、明らかな敵意を孕んだ瞳で俺を睨み付けながら、左手を右胸に当てる…… 「きっと。僕がこれだけ話をしてやっても……自分には何の罪もないと思っているんだろ。 自分を『悪』だと思っていない『悪』。この僕が、最もおぞましいと思うものの一つだ」 「……その言葉を、そのまんまテメーに返してやるぜ」 ……正直なところ。頭が上手く働かない。全てを『理解』しようとしても、しきれない。 『妹』が……あの、うっとうしいくらいに眩しかった、『妹』が。『死』を望むようなことになっちまった。 そうさせてしまったのは、俺……それが事実なら。俺は、あいつの運命を狂わせちまったことになる。 知らずにとはいえ、『罪』に他ならない……妹に、どんな償いをすればいいのかもわからない。――だが! 「……テメーは、おれを『裁く』だとかって目的のために、何人もの人を『利用』した!」 小野は、空中を『引き寄せ』られながら、微動だにせず、俺を睨み続ける。敵意に満ちた目で。 俺の『スタンド』は、やつには敵わないが……ヤツに負けない、とびっきりの『ガン』を飛ばすぐらいなら、俺にだってできる。 「『スミレ』や、『榎本』先輩や、一番初めの、あの『チンピラ』やら、その他にも、無関係なヤツらにおれたちを攻撃させた! あいつらを巻き込んだのはテメーだ! テメーの都合で、『矢』に『スタンド』を引き出されて、『利用』された! 『幸せ』がどうだと聖人ぶりながら、テメーは無関係の奴らを、非日常に引きずり込んだ!」 血まみれの人差し指を突き出し、叫ぶ。 「それに……テメーは、橘に『手当て』をしてやることもしなかった! あいつの傷は、何の処置もされていなかった……お前は、動けないようなけが人になっちまったあいつを、丸一日も放置しやがった! 正義感ぶるわけじゃねー……だが、テメーのその行動! おれは『悪』だと認識するぜ!」 頭の中で、ことの顛末が、種明かしのように嵌ってゆく。 先刻、こいつが口にした、佐々木の『正体』。……こいつは、怪我をした橘を『利用』して、佐々木をおびき寄せた。 佐々木がハルヒと似た存在だということを、橘から聞いたのだろう。 そして、佐々木を『殺す』ことが、ハルヒの『死』に繋がる可能性に思い当たった! そして―――橘の目の前で! こいつは……『佐々木』を。俺の『親友』を……『殺し』たんだ!! 「テメーは……『悪』だ」 ―――忘れちまっていたわけじゃない。 ただ、あまりに事が唐突過ぎて―――未だ、信じられずにいたのかもしれない。 俺は、確かに見た……『世界』に、胸を貫かれた、『佐々木』の姿を…… 頭の奥から、炎が湧き上がってくるような感覚。 熱が全身に染み渡っていくのが、わかるかのように思えた。 「橘を『見殺し』にして……佐々木を『殺し』た……」 「彼女たちは、『幸せ』になったじゃあないか」 ……小野が、呟く。 「君のいう『スミレ』さんという子や、『榎本』さんたちも、そうだ。 スミレは終わりのない夢から解放され、『榎本』さんはすばらしい『能力』を手に入れた。 ……橘さんには、申し訳ないことをしたと思う。 けれど……僕は彼女の目の前で、佐々木さんを殺したくは無かった」 ……呟く。 「佐々木さんの死を前にすれば、彼女はとても『不幸』になる…… そして、おそらくその後で、僕は彼女のことも『殺さ』なくてはならなかっただろう。 ……彼女は、何も知らないまま。これ以上『不幸』にならないままに。 あのまま『眠っ』てもらおうと、思った。……それだけだよ。 何も『知ら』ずに済むというのは、とても『幸せ』なことだと、思わないかい?」 ……ひび割れた左手を、握り締める。……痛みが、一瞬、快感に変わった気がした。 『アドレナリン』ってやつだろうか。ありゃ、確か、『怒る』と出る脳内麻薬だったよな? 多分、正解だろう。 何しろ、俺は……多分、これまでの人生で一番。『プッツン』しているのだから。 「佐々木さんについては……言うまでも無いだろう? 彼女は君の『スタンド』が生み出してしまったものなんだ…… ……すべてのことは。ジョン。 『君さえいなければ』起きなかった『不幸』なんだッ!」 「『やれェェェェェェェェェ』ッ!!」 今の俺には、やつが何を言ってるかなんざ、もはや分からない。ただ、湧き出す怒りに任せて。 俺は――『ゴッド・ロック』は、目の前の男を『攻撃』した! 本体名 - 橘京子 スタンド名 - テイタム・オニール 再起不能? to be contiuend↓ ――――――――――――――――――――――――― スタンド名 - 「テイタム・オニール」 本体 - 橘京子(17歳) 破壊力 - - スピード - - 射程距離 - 視認できる範囲 持続力 - 本体の生命力の限り 精密動作性 - - 成長性 - B 能力 - 本体と一体化しており、像はない。 他人の物理的外傷を自分の身体へと移し、相手の肉体を健康状態に戻す。 ただし、これらの能力は、発現したばかりの時点でのものであり 時が経てば、変化していった可能性もある。 ――――――――――――――――――――――――― スタンド名 - 「スーパー・ノヴァ」 本体 - キョン(発現当時13~12歳?) 破壊力 - - スピード - - 射程距離 - ? 持続力 - - 精密動作性 - - 成長性 - C 能力 - 本体が13歳の頃に発現したと思われるスタンド。 本体と一体化しており、本体と『かかわり』をもった人間から 『スタンド能力』を引き出す能力を持つ。 能力の発動に要される条件は非常に曖昧であり 約一時間ほど行動を共にしたのみで発現したパターンもあれば 本体と知り合ってから、ほぼ毎日顔を合わせていても 半年ほど発現に時間が掛かったパターンもある。 本体が16歳の時、矢に射られたことによって このスタンドは『ゴッド・ロック』へと変化し、この能力は消滅した。 ―――――――――――――――――――――――――
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THE 最終局面(後) ◆jVERyrq1dU (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第215話 ジアースVS対主催決戦 奇妙な光景がひたすら続く。ハルヒの顔が近付いたり離れたり伸びたり歪んだり…… まるで例のカオスワールドのような光景がひたすら続く。気を失ってからずっとだ。これがあの世の光景と言うやつなのか? ハルヒはあの世の神、というわけだったのだろうか……わけがわからない……。 博之は後ろを向き、ハルヒの幻から逃げる。ここがどこなのかすらわからない。 明らかに殺し合いの会場ではない。どちらかと言うと、やはりあのカオスワールド、あれに近い。 「何なんぞ……お前…」 博之は思い切ってハルヒの幻に話しかけてみる事にした。反応はない。 相変わらず気味の悪い笑顔を振りまいている。博之の心に得体のしれない恐怖心が芽吹く。 なんて気持ち悪い光景だ…………… 「ゃ……………………………………………………………………………………」 「ッ!?」 今……何か聞こえたような…… 全身から一気に汗が噴き出す。意味の分からない恐怖に襲われ博之は体を震わせた。 「ひゃ…………………………………………………………………………………」 「…………また、聞こえた……」 ここで博之は気づく、訳の分からない声は、ハルヒの幻の方から聞こえてきている。 その事に気づいたとたん、ハルヒの両目が思いきり見開かれる。眼玉が飛び出しそうなほどに。 博之は恐怖で尻もちを吐いた。歯をガタガタと言わせ、幻の行方を凝視する。 「けひゃ……ハロー、博之」 今度ははっきり聞こえた。そんな馬鹿な…… 「くひひ、震えちゃってるじゃなぁい。貴方の体に今何が起きているか説明してあげようか」 博之は絶句し、ただ凝視する。 「無視するんじゃないわよ! この食人野郎ッ!!」 ハルヒの声が大音量で響いた。博之は痙攣したかのように身を震わせる。 「もういいわ、教えてあげる。あんた……私の体を食べたわね。 くひひ、食べる前によぉーく探ってみるべきだったわねぇ、デーモンの記憶を」 「で、デーモンの記憶……?」 漸く声が戻ってきた。 「そうよ。さあ思い出しなさい。デーモンはどうして四つの人格を持っていたと思う?」 博之は記憶の海にダイブし、デーモンの記憶に検索をかける。 四人格……四人格…… 「ひ、瀕死の時に……死体を食べたら、デーモンの中で人格が、目覚めた……」 「首輪がついていたら、そんな事にはならなかったわ。 あの時、デーモンには首輪の制限はなかった……そして貴方にも制限はかかっていない」 博之はかつてないほど悔いた。デーモンの性質をもっとうまく見極めていれば……! いや、待てよ……。小骨が引っ掛かったような感覚。何かおかしい。博之は再度デーモンの記憶を探る。 「お、おかしいぞ。デーモンは確かに瀕死の時に死体を食ったんやが、あくまで主導権はデーモンやった 四人格はただ、能力と口調をデーモンに貸しとる……みたいな状況やったはずやが!」 博之がそこまで言うとハルヒはけたたましく笑い始めた。 「そこまで分かったならもう少し考えなさいよ、けひひ! うどんげよ!今度はうどんげについて思い出しなさい!」 そう言われたとたん、博之の表情は一変し、硬直する。 「うどんげは数回、デーモンの体を乗っ取りかけたわ。激しい殺意によってね。 デーモンに隙はなかった、うどんげの人格が急激に強くなったからよ。今回のケースはそれとは逆……けひゃ♪」 「お、俺が……食人したせいで鬱になって……俺の精神に隙が出来て、それでお前が出て来たって言う事か……」 ますますハルヒは破顔する。耳を劈くような高笑いが響き渡る。 「一度表層に出たら後は簡単だったわ!うどんげの記憶を検索し、主人格を乗っ取るにはどうすればいいか、どうすれば失敗するのか。 貴方がパクリロボットと戦ってる間、学んでおいたわ! うどんげの人格は本来とかけ離れたものだったけど、私は違う! そのまんまの私!くひゃ! 神だからねぇ……汚いウサギとは違う……」 博之が慌てふためく。ハルヒはぴたりと笑うのを止め、底冷えするような眼で博之を薄く睨んだ。 「さあ、出ていきなさい博之……この体はもう、私のモノなのよ……けひひひ」 巨大なハルヒの幻が消え、博之の目の前に、普段のハルヒが現れた。 こういった光景は前にもあった。以前はデーモンとこんな風に戦い合ったものだ。 即ち、魂の殴り合い。デーモンの時は辛くも勝利したが……今回は…… 「こんの!! 腐れ外道がぁッ!!」 ハルヒのストレートが博之の頬に当たる。博之はぶち倒れる。 「よくも人間を食ったわね!この化け物!狂人! あんたそれでも人間なの!? くひゃひゃひゃひゃひゃ」 倒れた博之をハルヒは何度も何度も踏みつけた。暴力よりも言葉が辛い。 元々博之に勝ち目はなかった。食人という行為をして、博之の精神は荒れに荒れていた。 こんな状態で、魂の殴り合いを制するのは、不可能と言わざるを得ない。 「あんたの兄貴や母親はどういった眼であんたを見ていると思う!? この極悪人めぇッ! ひゃっはっはっはっはっはっはっ!」 ハルヒに甚振られ、言葉攻めをされ、博之は涙を流した。 生きたい……生きたいが……ハルヒには勝てない… もう、どうすればいいのか俺には──── 博之の体が脈動し、震える。自分の体に決定的な何かが起こりつつある。 消えて行ったデーモンとは違う種類の異変。博之は頭を抱える。 何かが起ころうとしている。ハルヒは何を思ったのか、ちっ、と舌を鳴らした。 「ハァッ! ハァッ!」 古泉はジアースから逃げきった後、仲間達を探すため、各地を走り回っていた。 もう体力も限界に近いが、ハルヒだけは何としても見つけ出さなければならない。 古泉はふらふらと走り続け、前方に何かを見つける。 一瞬何なのか分からなかった。いや、冷静になってよく観察しても、これが何なのか分からない。 無理やり目の前のものを表現してみると、肉塊、巨大な肉の塊が蠢いていた。 ときたまぶるぶると脈動する。気持ち悪い。 「ああ! やめろ! 俺は……!!生きなあかん!!」 突然肉塊が声を上げた。訳が分からない。もうどうにでもなれ…… 「逃がさないわよ!この狂人めッ!」 今度は女の声で肉塊が叫ぶ。この声は…… 「これは……?」 古泉の目の前で肉塊が一度大きく震えたかと思うと、次の瞬間、肉塊は二つに割れる。 「はあ……はあ……はあ……」 片方の肉塊がおっさんの声で苦しそうに喘いだ。 少しずつ、粘土をこねる様にして形が整っていく。人間のような形になっていく。 「ひろ………ゆき…………だと!?」 肉塊が博之へと変わった。もう蛾でも少女でもない。 普通のおっさんに戻っていた。いや……魔人の力はまだ残っているようだ。 「あああああ……俺、は、食いたあて、食ったわけやない……うぅぅ……」 博之は古泉に何の興味も示さず、目を擦る。相当錯乱しているようだ。 食人という行為は博之の心に大きな傷を残したのだ。 「けひゃひゃ!嘘よッ!! だってあんた初めこそは気持ち悪がってたけど、だんだん慣れてきたじゃないッ! ひょっとして美味しいなんて思ってたんじゃないのぉ!?」 もう片方の肉塊が嘲笑する。古泉は気づく。これはハルヒの声だ。なんというしぶとい女…… 博之は涙を流しながらハルヒの肉塊を情けなく見つめ、悲鳴を上げながら逃げて行った。 博之はハルヒから逃げながら自身を責める。 もう、俺は人間やない……!正真正銘の化け物になってもうた! もう……もう俺は……!! 【D‐1 /二日目・夕方】 【永井博之@永井先生】 [状態]:健康、食人した事への後悔、悲しみ、精神錯乱、精神的疲労極大、魔人ピロ(紫)、ひろが如く 、翼が生えた [装備]:ぼろぼろの陵桜学園の制服@らき☆すた [道具]:なし [思考・状況] 1.とにかくハルヒから逃げる 2.人を食ってもうた…… ※ローザミスティカの力を得て魔人覚醒をしました。身体能力は遥かに向上、そしてどうやら水銀燈の力は行使出来る様です。 しかし、まだ魔人の能力を行使出来るか不明です。 ※水銀燈の見てきた全ての記憶・感情を得ました。またデーモンの記憶を持っています。 ※水銀燈の羽根は人間形態の時にのみ存在します。 ※塔組の推理メモ、塔の『バグ』について纏めた紙の内容を完璧に覚えています ※ハルヒに肉体の半分を奪われました。博之側に残ったのは魔人の能力、水銀燈の能力、服です。 「けひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! 逃げちゃったわあの狂人、けひひ」 肉塊が博之が消えた後もまた嘲笑う。 少しずつ、ハルヒの肉塊も形を整えていく。元通りの姿へ。途中、肉塊は繭のようなモノを体から捻り出した。 恐らく必要のないものと判断したのだろう。アレは確か……DMカード、進化の繭。あんなものまで混ざっていたのか。 古泉は呆然として眼で肉塊を凝視する。 「くひゃひゃ、ゴッド・オブ・エンプレス フッカーツ!」 古泉の目の前に裸のハルヒが出現した。服は博之の方に行ったというわけなのだろう。 ハルヒは全く恥ずかしがらなかった。むしろ胸を張り、気分良さそうに仁王立ちする。 「けひ、こっちの方が神らしいわ……今更人間どもに肌を見られてもなんてことない……くひゃ」 ハルヒは視線を下に落とす。古泉を見つけにたりと笑んだ。 言ってしまえば、ハルヒはデーモンと一つになったのだ。 外見と人格はハルヒでも、身体能力、特殊能力などは完全にデーモン。神の能力もまだ残っているかもしれない。 紛れもない……神だ。もはや笑えない。 「涼宮……さん……どうして、裸?」 古泉が、漸く言葉を取り戻し、発した言葉がそれである。ハルヒを見つけた。やっと見つけた……古泉はため息を吐く。 「古泉……久しぶりね。どうでもいい事気にするんじゃあないわよ。神なんだから何でもありなのよ? それより見てよこれ」 ハルヒはそう言い終わった後、空中にジャンプする。古泉はぽかんと口を開ける。なんてジャンプ力だ。 ハルヒは背中の辺りに力を込め、デーモンの翼を生やし、飛び回る。 なんて身体能力だ。まるでデーモンじゃないか…… 「けひひ……どう?」 ハルヒが古泉の前に降り立つ。すごいですねと古泉は言った。 「私は完全に生まれ変わったわ。そうね……また新しい名前を考えようかしら……神聖究極魔神HALなんてどう?」 ハルヒは顎に手を当て考える。え、何が? 古泉がまず思った事はそれである。 「何呆けてんのよ!私のニックネームに決まってるでしょ!? ハルヒのハルをとってHALよ! そうねえ、ホーリーアルティメットゼウスHALって呼び名はどう?ああでも漢字の方がカッコいいかしら……」 ……なるほど……凄いセンスだな……いろんな意味で… 「さあて……これからどうしようかしら……あの異常者追いかけてもいいけど、まずは永琳と合流した方がいいかしら そろそろあの浮いてる城に行ってもいいし……迷うわねぇ」 ハルヒは相変わらずマイペースだ。古泉はハルヒの見えない角度で深くため息を吐く。 はあ……もうどうにでもしてくれ…… 【D‐1 城の跡/二日目・夕方】 【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:ご満悦、神聖究極魔神HAL(ホーリーアルティメットエンペラーHAL)、全裸、デーモンの肉体、神への覚醒、首輪なし、超機嫌、古泉達を信頼 [装備]:デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、 [道具]:支給品一式*3(食料・水一食分消費)、DIGIZO HYPER PSR(残り二十分程度)@現実、千年パズル、 テニスボール*2、雛見沢症候群治療セット1.5日分(C-120、注射器、注射針)@ひぐらしのなく頃に 、マウンテンバイク@GTASA、花粉防止用マスク、ドリルアーム [思考・状況] 1 これからどうしようかな 2. 対主催、運営の様子を見極めた結果、対主催の掃討を優先。 3.古泉と永琳に従い、遊戯を利用する。どちらも用済みになったら殺すつもり。でも遊戯どこ行ったかなあ 4.三つ巴の状況をうまく利用し、勝利する。 5.主催者や対主催を皆殺しにして新世界を創造する。神である私が絶対である世界に。 6.能力が復活したら、世界の破滅を救う神として、すべての世界に名を残す。 その際、世界を破滅に導くため、悪の化身を作り出したい。 7.ニコニコ動画という動画サイトが若干気になる ※狂いました。それを自覚していません。 ※自分の能力を信じました。神人を召喚したりなど、能力を使えるようになりましたが、 会場全体にかけられた制限があるためまだ完璧ではありません。またデーモンの能力と混じったためかなり弱まってしまいました。 結界が解除されても全開にはならないでしょう。 ※神なので古泉も呼び捨てにします。 ※神人はまた死にました。もしかしたら三匹目を召喚出来るかも知れません ※一度死にましたが、博之の体を半分奪い、転生しました。 外見、人格ともハルヒですが、身体能力やその他の能力はデーモンと同じです。 デーモンの四人格の能力も使えます。神の力はハルヒの肉体が消滅したため、弱まっています。 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:首輪なし、超能力者として覚醒、重傷、頭部鈍痛、ろっ骨を骨折(応急処置済み)、疲労極大、八意永琳に少し不審 [装備]:ゆめにっき@ゆめにっき(手の形に血が付着) 、トカレフTT-33(8/8) 、逆刃刀@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版) [道具]:支給品一式*16(食料6食、水15食分消費)、赤甲羅@スーパーマリオシリーズ、笛@スーパーマリオ3 糸(あと二メートルほど)、裁縫針、武器になりそうな薬物、DCS-8sp、退魔の剣@怪~ayakashi~化猫、アニマルマスク サラブレット@現実、ダンボール@メタルギアシリーズ、ヴェルタースオリジナル@ヴェル☆オリ、携帯電話@現実、 庭師の鋏@ローゼンメイデン、おたま@TOD、 カワサキのフライパン@星のカービィ、ワイン(残り半分)、傘@現実 、 A.C.E.3@現実(少し詩音の血がついている)、塔組の推理メモ、塔の『バグ』について纏めた紙 、バルサミコ酢@らき☆すた、 グルメテーブルかけ(残り16回)@ドラえもん、時計型麻酔銃(予備針残り0本)@名探偵コナン、アイスソード@ロマン シング・サガ、スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン、ケンジのカメラ@ポケットモンスター、 津田英治ブロマイド(音声付き)@大変な途中下車シリーズ、ビー玉(30個ほど)@ピタゴラスイッチ、 黄色甲羅@スーパーマリオシリーズ、 【DMカード@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 使用可:死者蘇生、黒騎士の魔剣少女、セイバー 深夜まで使用不可:ブラック・マジシャン・ガール、ホーリーエルフの祝福、ゴキボール、強制脱出装置 次の朝まで使用不可:オレイカルコスの結界、オシリスの天空竜、オベリスクの巨神兵】 次の午前まで使用不可:エネミーコントローラー [思考・状況] 1.博之も殺したいところだが、八意さん探したい 2.遊戯と博之を始末。彼の影響で永琳に不審 3.千年パズルを人質にして遊戯を無理やり従わせる。 4.三つ巴の状況を上手く利用する。 5.ゆめにっきを上手く使って闘う。 6.殺し合いにのっていない参加者を優先的に始末。相手が強い場合は撤退や交渉も考える。 7.八意永琳、涼宮ハルヒと協力する。 8.仕方ないので涼宮ハルヒに従い、彼女を生かすため、守る。 9.全てが終わった後、ハルヒに「合法的に愛しの彼とニャンニャンできる世界」を実現させてくれと頼む。 10.支給品を配分しないといけませんね。 ※古泉は絶対に脱出なんて出来ないと考えていましたが、クッパ城を見て考えを改めました ※ゆめにっき@ゆめにっき 本編には出てこない日記、絵本の形式で書かれています。 2m以内で最後のページを見た人は強制的にゆめにっきの世界に飛ばされます。出てくるには日記が開いている状態で頬を抓れば出てこられます。 一部監視が行き届いていない所がありますが2人は知りません。あと薬が塗られているので並大抵の事じゃあ燃えません。 ※主催者側に強い疑いを持っています。そのため、永琳と共にハルヒを神とし、彼女を守ります。 ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 「あ……!」 「ああ……お前か……生きてたんだな」 「貴方も……生きてたんですか……?」 なんとかな……、目の前の男は言った。背中には一人の女を背負っている。 「まだ俺は上を目指せるらしい……嬉しいぜ。ところでそいつ……死んでるのか?」 「まだ、ぎりぎり……」 レナは背負ったアリスの様子を見る。だんだん息が途切れてきた。もう、後がない。 霊夢を背負った日吉は、心配そうにアリスを見つめる。彼らは生きていた。 レナの隣には、幼女クラモンがアリスを心配そうに見上げている。 ジアースに殴られる直前、日吉はどたんばでKIを振り絞り、AT(ANTI-TUPPARI)フィールドを展開させギリギリのところで凌いだのだ。 そして日吉が吹っ飛ばされた先には偶然霊夢が気絶していた。彼女もジアースの一撃をシールドなどで防いだのだろうか。 こればかりは聞いてみないと分からない。 あのヒゲはまだ生きているだろうか。アリスを見て、日吉の不安はますます高ぶる。 そういえばレナはアリスをどこに連れて行っているのだろうか。 「アリスちゃんの希望です。彦麿さんの隣で死にたいと……」 レナはこう答えた。しかし、もうアリスは死んでいるのではないか? 見事なまでにボロボロで、ぴくりとも動かない。 レナと日吉は無言でしばらく歩く。遠くには壊れたジアースが横たわっている。 結局、誰がアレに止めを刺したのだろうか。アリスか? いや、まさかな…… 彦麿の死体が見えてきた。潰れて原型が残っていない。レナは少し迷う。 こんなひどい死に方をしてる彦麿さんの隣に寝かすなんて……拷問だよ…… レナが躊躇していると、アリスがか弱い力でレナの頭を触った。 構わない…… レナはアリスの声が聞こえたような気がした。 優しくゆっくりと、アリスを彦麿の隣に寝かせる。 アリスは安心したかのように、ふっと眼を閉じる。 レナと日吉はしばらく二人を見守っていた。 啜り泣きのような声が日吉の耳に届いた。隣を見ると、レナが泣いていた。 「……あの大きなロボットに止めを刺したの……アリスちゃんなんだよ?」 「ッ!? 本当かよ!?」 日吉は素直に驚いた。あのロボット相手に最後まで戦い抜いたのだ。なんて奴だ。 「私がもう少し早く目覚めていれば……」 レナが後悔する。 「罪滅ぼし……だろ?」 城で聞いた。レナの境遇について。その中に度々出てくる罪滅ぼしと言う言葉。 まさか忘れたわけじゃないだろうな……お前がアリスに犯してしまった罪も一緒に償えばいいんだ。 そうしてくれ……俺だって償うからさ……。 しばらく日吉とレナは沈黙する。アリスは勿論何も喋らない。 もう指一本動かす事すら出来ない。あの巨大ロボットを倒した英雄がこんな事になるなんて……あんまりじゃないか。 ふと見ると、レナは表情を一変させていた。恐怖と緊張に張りつめた顔。 「あ………」 「どうした?」 レナが気の抜けた声を出す。アリスを見つめている。 「あ……ああああ…」 そのままレナの足腰は崩れ、地面に中腰になる。 「どうしたんだよ……!? さっさと言えよ!?」 日吉はレナの表情を見て、何が起こったのかだいたい理解していた。 それでも、心が否定する。どうしても認めたくない。 もう答えは分かってるんだ!今更焦らすんじゃねーよ! お前なんかより俺の方が奴と関わった時間は長いんだ!俺の方が辛いんだよ! 「なんだ!? どうしたんだ!!」 日吉はレナの胸倉を掴み叫んだ。 レナは涙を湛え、きっぱりと言い放つ。 「アリスちゃんが死んだ────」 アリスの死に顔はとても綺麗だった。少なくとも日吉にはそう見えた。 肉塊となった彦麿に身を寄せ、静かにこと切れていた。 【愛してその人を得ることは最上である…愛してその人を失うことはその次によい ウィリアム・M・サッカレー】 ジアース打倒に成功した伝説の英雄、アリス・マーガトロイド ここに眠る──── 【矢部野彦麿@新・豪血寺一族シリーズ 死亡】 【コイヅカ@現実? 死亡】 【アリス・マーガトロイド@東方project 死亡】 【残り14名】 【E‐2 焼け野原/二日目・夕方】 【日吉若@ミュージカル・テニスの王子様】 [状態]:全身に大量の打撲と切り傷、疲労極大、悲しみ 肋骨損傷・左の腕と肩にごっすんくぎ(共に治療済み) [装備]:霊夢 [道具]:支給品一式*7(食料一日分、水二本消費)、ネギ@ロイツマ、長門の首輪、コイン*2@スーパーマリオワールド 孔明ブロック(大)@スーパーマリオワールド、 サテライト30@真赤な誓い、ピーピーマックス ことのはの鋸、プラスパワー*5@ポケットモンスター、炎道イフリナのフィギュア@ふぃぎゅ@メイト、首輪の残骸、上海人形 レヴァンティン@くらっとけ!スターライトブレイカー、カワサキのフライパン@星のカービィ、テニスボール [思考・状況] 1.これからどうしようか 2.無我の境地を完璧なものにする。 2.いつか天衣無縫の極みを会得し、主催に下克上する。 3.亜美にボブ術の基本を教える。亜美の安否が気になる 4.下克上の障害は駆除する。 ※ひらりマントは燃えました 【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:悲しみ、健康 [装備]:リアルメガバスター(145/300)@デッドライジング、メタルブレードのチップ、サイレンサー付き拳銃(1/6)@サイレンサーを付けた時とry 、鉈@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式*13(食料3・水2消費)、日本酒(残り半分)テニスボール*2、オミトロン@現実?、モモンの実*5@ポケットモンスター、鉄パイプ、本『弾幕講座』、アイテム2号のチップ@ロックマン2、 暗視ゴーグル@現実、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、初音ミク@現実、オボンの実*4@ポケットモンスター、ポケモンフーズニ日分(四食分消費)@ポケットモンスター、 ほんやくコンニャク(1/4)(半分で八時間)@ドラえもん、テレパしい@ドラえもん(残り2粒)、五寸釘@現実、フタエノ極意書@ニコニコRPG、雛見沢症候群治療セット1日分(C-120、注射器、注射針)@ひぐらしのなく頃に、 桃太郎印のきびだんご(24/25)、ウルトラスーパー電池(残り30%)@ドラえもん、ゼットソーハードインパルス@現実、ハイポーション×2、北米版パッチ、 DMカード@遊戯王DM(マジックシリンダー・攻撃誘導アーマー(使用可)・光の護封剣(次の日中まで使用不可))、飛行石のペンダント@天空の城ラピュタ、十得ナイフ@現実、 毒針@ドラゴンクエストシリーズ、ナイフとフォーク×2、包丁、首輪の機械部品、包帯、オクタン(HP1)@ポケットモンスター、MASTER ARTIST01~10@THE IDOLM@STER、 壊れたオセロ@現実、ノートパソコン(バッテリーほぼ満タン)@現実、RPG-7(残弾0)@GTASA、富竹のカメラ@ひぐらしのなく頃に、スタンガン@ひぐらしのなく頃に、ピッキング用針金、 盗賊の棺桶@勇者の代わりにバラモス倒し(ry、フィルム、ピーピーマックス*2@ポケットモンスター、Fooさんの笛@ニコニコ動画(γ)、 宝石みたいな物@呪いの館、 ウィンチェスター M1895/Winchester M1895(狙撃銃、残弾1)@現実、無限刃@るろうに剣心(フタエノキワミ アッー!)、 きしめん@Nursery Rhyme、 たいやき(残りHP50%)@ポケモン金コイキングだけでクリアに挑戦、SIG P210(残弾1)@MADLAX、鬼狩柳桜@ひぐらしのなく頃に、 10円玉@現実?、札束(1円札百枚)、琴姫の髪、iPod@現実(【残り16時間】) [思考・状況] 1.少数派による運命の打開 これからどうしようか 2.クラちゃんは一応信用しておく。 3.博之に関してはKASに一任……大丈夫かな? 4.圭一、ティアナの思いを継いで、対主催思考の仲間を探す。 5.ハルヒはしばらく泳がしておき、計略を為ったと見せかけておく。 6.罪滅しをする。アリスちゃんを助けられなかった分も ※八意永琳が何か知っていると思っています。 ※時期は大体罪滅し編後半、学校占領直前です。 ※雛見沢症候群は完治しました。 ※身体能力が向上しています。それによってレナパンが使えるようになりました。 ※158話で感じた違和感の正体が、ハルヒに自分達の情報を教えたと推理しました。 また、ハルヒ達の計画を大まかながら把握しています。 ※Niceboat.船内地図を把握しています。 ※ジェバンニ@デスノート?は海馬の死体の横に落ちています。 ※オクタンはきあいのはちまきの効果で生き残りました。 ※棺桶の中に全部入れていたので、支給品はすべて無事です。 ※ノートパソコンに海馬の残した何らかのファイル(飛行石関連その他)とメッセージがあります。 メッセージは打開が成功したら読め、との事です。 ※レナはジアースと直接は相対しなかったので、ロボ入りiPodは発動しませんでした ※クラちゃんはレナの傍に付いています 【博麗霊夢@東方project】 [状態]:??? チート巫女、バリアジャケットの腋・袖・腹部分破損、魔力消費小(かなり回復)、血霧の巫女、気絶、日吉に背負われている [装備]:レイジングハート@魔法少女リリカルなのはシリーズ、巫女風バリアジャケット@巫女みこナース、KASの帽子、博麗アミュレット(80/200)、陰陽玉*2@東方project、 [道具]:支給品一式*5(パンは一個だけ・水は一式分)、フリップフラップ@ニコニコキッチン、首輪、ドリル@ミスタードリラー、メモ用紙(10/10)、魔理沙の帽子、 気合の鉢巻き@ポケットモンスター、クマ吉の手錠@ギャグマンガ日和、全自動卵割機@サザエさん、億千万の思い出@現実、 キーボードクラッシャーの音声(の入ったiPod)@キーボードクラッシャー、萃香の角*2、ワルサーカンプピストル@現実(1/1)(26.6mm信号弾残り6発) [思考・状況] 1.気絶 2.ヴァンデモンは見つけたら殺す。 3.もう私は迷わない! 4.先ほどから近くで起きてる戦闘の激化が気になる。 5.怪しい人には無理のない程度に接触、無害なら適当に交渉 6.今回の事件の解決(主催者の打倒) 7.クロスミラージュを調べたい。 8.つかさが自分にとって敵か知りたい。洩矢諏訪子の帽子が気になる。 ※クロミラの事を変態だと認識しました。 ※船橋前の通路には霊夢の張った結界があります。 物理的な効果はありませんが、船内でのみ、霊夢はそこを何かが通ったことを知ることができます。 ※霊夢はカイバーマンたちと情報交換をしました。霊夢は大方把握しています。 ※萃香側の情報を大まかに把握しました。 ※制限は解除されていません。 ※霊夢の怪我の程度は次の書き手さんにお任せします。 ジアースの攻撃を上手く防いだかもしれませんし、防いでいないかもしれません。 ※Niceboat.は破壊されました。 E‐2に残骸が落ちています。探せば何かあるかも。 ※ジアースの残骸がE‐2に落ちています。 ※ジアースが暴れた事によって、城、塔が完全に崩壊し、町が荒れまくっています。 各地にレーザーによって出来た巨大なクレーターがあります。 sm215:THE 最終局面(前) 時系列順 sm216:第七回定時放送 sm215:THE 最終局面(前) 投下順 sm216:第七回定時放送 sm215:THE 最終局面(前) 柊つかさ sm221:ちょっと言葉さんで結界解除してくる(準備編) sm215:THE 最終局面(前) 矢部野彦麿 死亡 sm215:THE 最終局面(前) アリス・マーガトロイド 死亡 sm215:THE 最終局面(前) 日吉若 sm217:ふたりひとり sm215:THE 最終局面(前) コイヅカ 死亡 sm215:THE 最終局面(前) 博麗霊夢 sm217:ふたりひとり sm215:THE 最終局面(前) 竜宮レナ sm217:ふたりひとり sm215:THE 最終局面(前) カービィ sm219:クッパ城で会った怖いマルクに屈しない sm215:THE 最終局面(前) クラモンD sm232:青の炎Ⅰ ~ラスボス空~ sm215:THE 最終局面(前) 武藤遊戯 sm220:えーりんと闇AIBOに死ぬほど言葉攻めされて涙目なピエモンB(前編) sm215:THE 最終局面(前) 永井博之 sm218:神様ゲーム sm215:THE 最終局面(前) 涼宮ハルヒ sm218:神様ゲーム sm215:THE 最終局面(前) 古泉一樹 sm218:神様ゲーム sm215:THE 最終局面(前) 八意永琳 sm220:えーりんと闇AIBOに死ぬほど言葉攻めされて涙目なピエモンB(前編) sm215:THE 最終局面(前) 武藤遊戯(ATM) sm220:えーりんと闇AIBOに死ぬほど言葉攻めされて涙目なピエモンB(前編) sm215:THE 最終局面(前) ピエモン sm220:えーりんと闇AIBOに死ぬほど言葉攻めされて涙目なピエモンB(前編)
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狂信者としての運命しかないならば。 狂信者として重ねた罪を背負ってでも、重ねてでも、己が意志で生き続けよう。 どんな者にも、歩くのを止めなければ、新世界は平等に見えるのだから。 ☆ 倒れたと思ったクッパは、むくりと起き上がった。 「これでもまだ倒せぬか……」 メルビンは再び、グランドクロスを撃とうとする。 「おもいだした……思い出したぞ……ワガハイは……。」 気づいていた。 メルビンだけではない。リンクも、ルビカンテも、キョウヤも、ローザも。 この場にいた者全員が気付いていた。 彼の瞳から、淀みが消えていたことを。 「クッパ大魔王だー―――――――――――――――――っ!!!!!!!」 その迫力に、誰もが気圧される。 見た目は全く変わっていない。 だが、先程までの生ける屍のような有様から、別人のような変貌ぶりだった。 目覚めると早速、クッパはチェーンハンマーを捨てる。 こんな重たくて仕方がないものは不要だ。 敵が武器を失ったはずなのに、全く有利になったようには思えない。 むしろクッパという罪人の、鎖を外れたように見えた。 「速い!!」 重たい鉄球を捨てたことで、突進の速さが先程までとは別人のようだった。 「リンク殿!!」 咄嗟にメルビンが、リンクを守る。 彼は無事だった。だが、老兵は空中を吹き飛んで行く。 「おい、大丈夫か?」 キョウヤとローザが、メルビンを受け止める。 彼は致命傷を負っていない。だが、今までの中で一番の強敵だと分かった。 「ウヌ……ギリギリ避けたか……だが、この勝負、ワガハイが勝つぞ!!」 今のクッパがやることはただ一つ。 この場にいる者たち全員に勝利し、主催者の下へ行き、その力を奪う。 そして、ピーチを生き返らせる。 はっきり言って、難易度は途方もなく高いはずだ。 「正気に戻ったのか…?なら、もう戦わなくても良いはずだ。」 「戦わなくていい?オマエたちを倒し、この殺し合いを開いた奴等を倒し、ピーチを生き返らせる。間違った方法では無かろう?」 そんなことは、クッパが一番わかっている。 だが、彼のライバルであるマリオはそんな難関を何度も潜り抜けて来たのだ。 それに、スクィーラに操られたからと言って、襲った者達の仲間に入れてもらう図々しさなど、彼は持ち合わせていない。 「そうか、ならば斬るしかないな。」 「ガハハ。そうでなければ張り合いが無い。」 その瞬間、一筋の閃光が走った。 「はああああああああああ!!!!!」 「ガアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」 リンクの雄たけびと、クッパの慟哭がぶつかり合う。 激突するのはボイスだけではない。リンクのマスターソードと、スクィーラがクッパに渡した入れた炎の爪のパーカッションも混ざる。 リンクが右へ、左へと剣を振るう。 それをクッパが、対応する手で打ち払う。 「教えてくれないか?オマエもこの世界で失った者がいたはずだ。なぜ壊れなかった?」 勝利する前に、クッパには聞いておきたかったことがあった。 なぜお前は違うんだと駄々をこねる訳ではない。 絶対に負けない強さではなく、失っても、敗れても、決して折れない強さ。 それこそが、自分がマリオに何度も敗れた原因だと、今になって分かったからだ。 「分からない。けれどそれは俺に力があった訳じゃ無く、きっと何かの偶然でしか無かったのは確かだ。」 なぜクッパがこの殺し合いの中で壊れ、リンクがそうならなかったのか。 それは誰にも分かりはしない。 分かるのは、リンクが善行を積んだから、彼が闇を寄せ付けぬほど努力をし続けた、そんな簡単な理由ではないことだ。 「そうか。」 リンクの返答に、短い言葉で納得した。 彼らの戦いに、それ以上の言葉はいらない。 新世界を見るために必要な目と、そこへ進むための足。そして邪魔者を退かす両腕だけだ。 「待て。」 ルビカンテが制止をする。 「回復してやろう。」 クッパの瞳を見ただけで、彼は分かった。 目の前にいる男こそ、ルビカンテが求めていた戦うべき相手なのだと。 かつて戦った、エブラーナのエッジと同じ、自分の炎より燃える闘志を感じる。 そんな相手には、彼は必ず万全の状態で戦えるよう、回復魔法を唱える。 さすがに回復魔法が制限されている中、ここまで負った傷全てを回復させることは叶わなかった。 それでも風前の灯火だった命の火に、油を注ぎ込んだ。 「感謝はせんぞ。オマエがしたことだからな。」 そんなルビカンテを、咎める者は誰もいない。 この場にいるのは、ただ己を貫き通そうとする者のみ。 ルビカンテがしたこともまた、その一環でしかない。 「行くぞ!!」 クッパに包まれた光が消えるとすぐに、リンクは斬りかかる。 メルビンが気絶し、キョウヤは直接の戦闘には参加出来ず、ローザは魔力が切れている。 よって今正面から戦えるのは、リンクとルビカンテしかいない。 高く跳躍し、唐竹の一撃をクッパの額に見舞おうとする。 だが、それをクッパの爪が止める。 そしてがら空きになったリンクの腹を、もう片方の手で引き裂こうとする。 「ファイガ!!」 「流石は赤色といった所か。 だが、リンクに生まれた隙をカバーするのが、ルビカンテの役目だ。 彼が放った火球が、迫り来るクッパを押し返す。 クッパの爪がリンクに入る距離から遠ざかった。 「ウガーーーーーーーッ!!」 だが、それでも油断は出来ない。 近付けば爪と噛みつき。そして遠ざかれば、ファイヤーブレスが襲い来る。 「てえやああああああ!!!!」 当たれば、リンクもルビカンテもただでは済まない。 リンクはぐるりと体を回転させ、白銀の円を象った斬撃を繰り出す。 アイスナグーリの力も相まって、氷の竜巻のように見えた。 氷の加護を受けた聖剣の力により、炎は瞬く間に水蒸気へと帰す。 それはただの氷に非ず。炎にも溶けず、炎をも打ち払う魔法の氷だ。 「ミドリのくせにやるではないか。」 目の前にいた二人を、かつて自分に何度も煮え湯を飲ませた赤と緑の兄弟に重ねる。 そして、クッパは再び突進してくる。 「火焔流!!」 炎の竜巻が、クッパを襲う。 だが、両手に付けた炎の爪が、炎の竜巻を切り裂いた。 「なんと!!私の炎を破るとは……」 今のクッパを縛る枷は無い。ただ悪の大王の矜持を貫き通すために、直進あるのみだ。 それをたかが竜巻ごときで止められるわけがない。 手始めに狙うのは、最前線に立っていたリンクだ。 だが、それこそがリンクの待っていた瞬間。 クッパの斬撃が彼を切り裂く瞬間、トルナードの盾を構える。 ――弐の奥義 盾アタック 風の精霊の力を込めた盾を押し出し、クッパのバランスを崩す。 守りに身を固めていない相手でも、盾アタックは敵の拳をタイミングよく受け流せば、バランスを崩せる。 ――肆の奥義、兜割り 続けざまに、高く跳躍してのジャンプ斬り。 だが、クッパは頭を傾け、その斬撃を角で弾き返す。 その合間を縫って、ルビカンテが火球を打ち込もうと、ローザが矢で射ろうとする。 だが、どちらもクッパの火球で吹き飛ばされてしまう。 「ならば……」 クッパが爪で攻撃してきた瞬間、リンクは身を低くする。 そのまま敵の懐に潜り込み、ゴロンと身を翻し、そして背後へと回り込む。 ー-参の奥義 背面斬り 狙いは敵の甲羅が守り切れぬ場所。すなわち尻尾とコウラの間。 先の戦いで、一度成功させた攻撃だ。 勿論その技だけで倒せるとは思わないが、とにかく一発技を入れ、それを反撃の糸口にしていくつもりだ。 「甘い!!所詮ミドリはミドリよ!!」 しかし、一度聞いた技がもう一度通用するほど、クッパは甘い相手ではない。 身をよじり、その反動で大きく振られたトゲトゲの尻尾が、リンクを弾き飛ばす。 「リンク!!」 ローザが彼のことを心配する。 今こそがチャンスだと、キョウヤがバズーカの照準を合わせて発砲する。 だが、クッパは咄嗟に殻に籠り、攻撃をシャットアウト。 一人で戦い抜くと決めたからには、時として防御をする判断力も供えている。 だが、すぐに戦線復帰したリンクが、クッパへと突きを見舞う。 心臓を貫かれれば流石に分が悪いと感じたクッパは、甲羅から出て、炎の爪で斬撃を止める。 そしてもう片方の手で、ルビカンテを殴り飛ばす。 炎の力を込めた爪と、氷の力を込めた剣がぶつかり合い、ドライアイスのような煙が火花と共に散る。 爪は人間の世界でも売られているありふれた武器なのに対し、剣は伝説の名を冠する逸品だ。 だが、クッパが持つ力は、その差を補って余りある。 「なんて力だ……!」 ガノンドロフ以上の力をその腕に感じる。 つばぜり合いの最中に、クッパの手にも氷が纏わりつくが、炎の爪の影響か、すぐに融解してしまう。 さらに、リンク達目掛けて炎が吐き散らされる。 つばぜり合いをキャンセルし、姿勢を低くして辛くも躱した。 今のクッパは、まさに大王の名を冠するにふさわしい存在だ。 生半可な攻撃では、どんな偶然が起ころうと倒せる相手ではない。 それが分かったリンクは、すぐさまアイスナグーリを捨てた。 確かに氷の力を付与するバッジがあれば、敵の炎攻撃からその身を守ることが出来る。 だが、リンクはそのバッジの欠点に気付いていた。 氷を込めた斬撃は、明らかに体力を消費することに。 魔力の限界などあってないようなものだったガノンドロフと異なり、リンクの体力は人間の域を出ない。 従って、このバッジは敵との戦いを有利に進められても、勝利に貢献することは無いと考えた。 そして、クッパを倒せるとしたらあの技しかないと。 ガノンドロフを結界ごと破り、その心の臓を鎧ごと斬り裂いたあの技だ。 この場に、あの時の戦友はいない。 だが、そんなことで尻込みするわけにはいかない。 目の前の敵は、覚悟を決めているということが言葉ではなく、心で分かる。 戦う前から失敗を恐れていては、勝ち負け以前に、目の前の敵に対し礼を欠く行為であろう。 「ルビカンテ。」 「あの技を使うつもりか。良いだろう。」 リンクは技を手の力を抜き、ゆっくりと肺に空気をため込んでいく。 最初は両脚の力を徐々に入れていき、一気に地面を蹴りだす。 防御を捨てて、攻撃のみに力を注ぐ捨て身の一撃。 おおよそ安全とは思えないやり方だが、クッパを倒せるとしたらこの技しかない。 リンクが走り出した瞬間、ルビカンテが魔法で、マスターソードに炎を纏わせようとする。 だが、その瞬間だった。 クッパが吐いた火球が、ルビカンテのファイガを弾き飛ばしたのだ。 「その技は使わせん!!」 「!?」 かつて似たような技を、リンクに似た服装の少年から受けたことがある。 剣に炎を纏わせ、自分を斬りつけようとすると踏んだクッパは、先にその出所を撃ち飛ばした。 連携を崩すと、すぐにクッパはリンク目掛けて突進する。 今度は彼を守る老兵は気絶している。トルナードの盾でのガードも、間に合わない。 「ぬうううううううう!!!」 しかし、前線に出たルビカンテが、クッパの突進を止めた。 2つの炎の爪がぶつかり合う。 だが、炎の術を中心とするルビカンテでは、腕力の差は歴戦。 すぐに守りは崩されそうになる。 「退けええええええ!!!!」 「そうはさせぬぞ。その緑帽子を倒すのは私の役目だ。それとも先に倒されるのはお前か?」 「温いわ!!」 鋭い爪が、ルビカンテの胸をマントごと切り裂く。 「ルビカンテ!!」 出血量から、深刻なダメージだとはリンクにも分かった。 そして、肉弾戦を止められても、クッパには炎がある。 口を大きく開け、ルビカンテとリンクを丸ごと焼こうとした。その瞬間、ルビカンテの身体が、真っ白な光に包まれた。 (これは……まさか?) 奇跡が起こったのは、クッパだけではない。 この場で現実に膝を屈し、思考も誇りも捨て、悪の傀儡になった苦い思い出があるのも、クッパだけではない。 試練の山でのパラディンになる試練は失敗に終わったが、初めて仲間を守ったことで、闇に墜ちた自身に打ち勝ったことで。 かつて黒魔導士だった彼は覚醒したのだ。 ――そのまさかだよ。きみも自分に勝ったようだね。 自分と戦ったパラディンの声が聞こえる。 彼の意志は、たとえ死しても消えることは無かった。 「うおおおおおおおおおおおおお!!!」 「何いいいいいいいいい!?」 急に増した敵の力に、クッパは押し返される。 肉弾戦のみでは勝てぬと判断したクッパは、激しく燃え盛る炎をルビカンテに吐きかける。 「吹雪よ来るがよい、ブリザガ!!」 激しい氷の嵐が、クッパの炎を消し飛ばす。 自分が壊れる原因になった、父親が得意としていた魔法だ。 だが、過去を乗り切った彼は、そんなしがらみなどで止められない。 その力は、かつて彼が憎んでいた氷使いの父親をも超えていた。 「雷鳴よ轟け響け、サンダガ!!」 「ガアアアアアアアアアア!!!」 続けざまに、激しい雷鳴がクッパを焼く。ルビカンテは出来なかったはずの技だ。 光がクッパを焼いた後、間の抜けたかのようなタイミングで、ゼウスのドラムが辺りに響いた。 ルビカンテは神など信じない。 信じるものは己より強き者だけだ。 けれどそれはまさに天恵。そしてクッパに下るは天罰の雷。 試練に打ち勝った彼は、新たな世界へと足を踏み入れることに成功した。 その名も聖魔導士(ホーリーメイジ)。 マントは赤いものから、白銀のものに。 今までの赤覆面が消え、精悍な顔付きを辺りに見せた。 彼のことを元の世界にいた時から知っていたローザは勿論のこと、他の仲間も驚きを隠せなかった。 「助かったよ。しかし、その姿は?何が起こったんだ?」 リンクは戦友の咄嗟の変貌に、少し慌てている様子だった。 朗報か悲報かと言われれば、間違いなく前者の方だが、試練の山のことなど知らぬ彼には、さっぱり分からぬ状況だった。 「おまえには知らなくても良い事だ。それよりもう一度、先の技を使うぞ。」 「姿が変わっても素直じゃないのは変わらないか…。」 まずはリンクが、クッパ目掛けて爆弾を投げる。 そんな物では到底相手を倒すのには至らない。 だが、ルビカンテが剣に炎を纏わせる時間を、確かに稼いだ。 「今のはさすがに驚いたぞ。だが、ワガハイの勝ちは変わらん!!」 それを迎え討とうとするクッパ。 最早遠い昔、リンクに似たような帽子の少年から受けた斬撃を思い出す。 だがあの時とは違い、彼の心に恐れはない。 逃げも隠れもせず、むしろ逃げ場を自分から捨てるかのように、どっしりと踏み込んだ。 「ヘイスト!!」 ルビカンテの魔法が、リンクを加速させる。 元々彼は白魔法にも長けていたが、聖魔導士になったことで、魔法の範囲がさらに増えた。 「受け取れ!!ファイガ!!」 炎を帯び、ルビーのごとき紅蓮の光を放つ剣が、クッパに迫る。 両手をクロスし、その剣が身に届く前に、敵を切り裂こうとするクッパ。 「ヌ!?」 だがその瞬間、キョウヤが発砲したバズーカが、クッパの隙を作った。 直撃はしなかったが、爆発が敵を怯ませる。 「行くぞ!!」 満を持して、リンクの魔法剣が目の前の壁を切り裂こうとする。 だが、クッパは彼の技の元になったギガスラッシュでさえ、耐え抜いたほどだ。 聖なる雷を受けているわけでもなく、その真似でしかない一撃では、クッパを倒すのは難しい。 だが、その壁を乗り越えるのが仲間の力だ。 ――大丈夫だよ。リンク。そのまま行って! (そうか、アンタもいるんだな。) 共に力の魔王を倒した時の戦友の声が、聞こえたような気がした。 アルスとセシル。 この殺し合いで命を失ったはずの2つの英雄の命が、今生きている者達の未来を拓く。 なぜ今友の声が聞こえたのかは分からない。それでも、足をさらに早め、腕の力をさらに入れる。 一人じゃないということはこんなにも安心出来る事なんだと、今さらながら実感できる。 リンクは敵目掛けて疾走。最低限の動きで、炎の爪の斬撃を躱す。 「てえやあああああああああああ!!!!」 満を持して、袈裟懸けの一撃を敵に見舞う。 炎を纏ったマスターソードが、クッパを斬りつけた瞬間。 その斬撃と対になっていたかのような、彼の古傷が光り出した。 忘れるなかれ。それはかつてクッパがアルスからもらい受けた、聖なる光の一撃の痕。 黄昏の勇者の一撃により、そのダメージが共鳴したのだ。 魔王を滅した奥義、ギガ・クロススラッシュが、今ここに再誕する。 影に覆われた世界を、勇者の光が照らす。 その十字の光は、先程メルビンが撃ったグランドクロス以上に、カゲの世界に美しく映えた。 「グアアアアアアアアアアアアア!!!」 全員の鼓膜をつんざくような悲鳴を上げ、クッパが吹っ飛んだ。 ドスンと、受け身も取らずに地面に墜ちる。 「やったか!?」 遠くからであったが、それでも聞こえるほどの強い光。凄まじい衝撃と、それよりも大きい慟哭。 小野寺キョウヤは、確かに勝利を確信した。 勝利を確信しても悪くは無い。 「ガハハハハハハ……今のは死ぬかと思ったぞ……。」 どくどくどくとその腹から大量の血が流れている。 背中の甲羅のトゲや牙は折れ、一歩進むごとに鱗の一部が剥がれ落ちる。 全身が炎に包まれ、おおよそ生きることを許されているようには思えなかった。 だというのに、この場でその様子を哀れと思うものは誰もいなかった。 なぜなら、鋭い瞳はリンク達を見据えていた。血で汚れている中でも、その瞳はギラギラと輝き続けていた。 「あのネズ公に感謝せねばな……操り人形にされた痛みが無ければ、今の一撃でワガハイは負けていたはずだ。」 さらに力を増したクッパが、突進してくる。 「ブリザ……。」 「遅いわ!!」 クッパの蹴りが、ルビカンテの腹に入る。 その一撃が、一分一秒が勝敗を分けるこの死闘で、確かに功を奏した。 「ヘイスト……くそ、魔法が出ん!!」 クッパのボディーアタックは、『コマンド封じ』の追加効果を持つ。 直撃してしまえば、特技か殴打か、はたまた呪文か道具か。何かが使えなくなるのだ。 今度はリンクが聖剣でクッパに斬りかかる。 しかし、クッパも負けじと拳で応戦。 彼の強肩から放たれるのは、シンプルな右ストレート。 だが、それを剛力の修羅が行うことで、破壊の一撃を生む。 慌ててリンクは身を護るも、盾を握る右手に鈍痛が走る。 今のクッパは、修羅を通り越して戦神。 戦いにおいて、あらゆる勇者や戦士を前に、戦い抜ける力を身に着けた。 リンクにも分かっていた。 先の一撃は、この怪物にはもう通用しない。 先程のギガ・クロススラッシュと同じくらいの技か、はたまたそれ以上の技でなければ、間違いなく倒せない。 手はある。 古の勇者から教わった、終の奥義、大回転斬り。 タートナックの強靭な鎧さえ破壊し、リザルナーグの鱗を粉砕する最強にして最後の一撃だ。 クッパでさえも当たれば倒すことが出来るはずだろう。 (けれど……使えない……!!使えるだけの体力がもう無い……!!) 大回転斬りは、体力・気力共に万全な状態でなければ撃てない技だ。 既に幽体だった古の勇者が使えなかったのも、それが原因である。 リンクの身体は、ユウカとの連戦で、既に悲鳴を上げていた。 戦えない訳ではないにしても、万全というには程遠い。 勝つ手段を失った。絶望と共にリンクは、一瞬思考停止に陥った。 その瞬間は、確かにクッパにとって板金にも勝る一瞬だった。 彼の鋭い爪が、リンクを貫こうとする瞬間。 ルビカンテが、その間に立ちはだかった。 「馬鹿者が!!殺し合いの最中に考えるな!!」 パラディンの仕事は、仲間を守ることだ。その守りは要塞のごとし。 炎の爪が、聖魔導士の身体に深々と刺さっている。 だが、クッパの太い腕をその状態で掴んだ。 「ガアアアアアアアアアアアア!!」 「やめろ!!」 リンクはルビカンテに対して制止を懇願する。 もう仲間は失いたくない。 そんな自分の弱さに付き合った結果、死んでしまう人が出るのはもう沢山だった。 そしてクッパは、炎の爪の力で、彼の体内から炎を流し込む。 「見事……ぐううううううあああああああ!!!!」 いくら炎の使い手と言え度、パラディンになることを許された身であれ度、身体の中から業火で焼かれれば命は無い。 どさりとルビカンテは地面に倒れる。 「手こずらせおる……ようやく1人か……。」 荒い呼吸をしながらも、クッパは倒れることを見せない。 彼もまた、失った者の為に、大切な人のために戦い続けている。 そこに裏も表もあったりはしない。 「ルビカンテ!!」 ――バカかよ、考えるのもアリだけどさ、思いっきりぶつかってみるのもいいかもしれないぜ。 影に墜ちたリンクに、影の世界の女王の言葉が聞こえる。 だが、その言葉に耳を傾ける間もなく、クッパの凶刃がリンクに襲い掛かる。 しかし、炎の爪は、またも別の者に弾かれた。 「メルビンさん!」 「お待たせしたでござる。」 先ほどは手ごわい相手だと思ったが、味方になると頼もしいことこの上ない相手だ。 だが、リンクの手は震えが止まらない。 先ほどは自分のせいで、戦友を死なせてしまった。 今まで勇気を奮って戦い抜いてきたが、その反動がここへ来てやってきた。 (俺は……どうすればいい?) 戦おうにも、この戦神を破る方法が見当たらない。 ちょっとやそっとの小細工で、どうにかなる相手でもない。 ――何ガタガタ震えてるんだよ。前見ろ、前。 どこか小憎らしい、けれど懐かしい声が耳元で響く。 そう言われて、仕方なしに目の前を向いた瞬間。 リンクの身体を、炎の竜が飲み込んだ。 ゴワッという爆炎の音を聞き、メルビンも驚く。 「リンク殿!!?」 そして、炎の竜は次第に小さくなり、聖なる剣の先に集まって行く。 それだけではない。リンクの全身を、力が駆け巡る。 死す寸前に遺した、聖魔導士の力だ。そして、この場にはいないミドナの力だ。 何故その力が黄昏の勇者に宿ったのかは分からない。 「分かったよ……怖くて怖くて仕方ないけど……思いっ切り前向いて、戦ってやろうじゃないか。」 今なら、あの技を確実に出せる。 その確信がリンクにあった。 「行くぞ!!!!」 リンクは走り出す。 メルビンは攻撃をしない。ただ若き勇者を守るため、防御魔法をかける。 その瞬間、ローザの矢と、キョウヤのバズーカがクッパの目をくらませる。 つまらない小細工をするなとクッパは腕を振るう。 「ガアアアアアアアアアアア!!!」 「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 クッパが炎を吐く。 それがリンクを飲み込もうとする。 だが、彼が放った一撃は。 「大・火焔流・斬り!!!」 クッパの炎さえも呑み込む、全てを擲った一撃だった。 渦を巻く真紅の龍を彷彿とさせる一撃が、クッパを爪ごと切り裂いた。 「マリオよ、ピーチよ!!ミドリのヒゲ!!そして我がクッパ軍団よ!!」 凄まじい龍の一撃に切り裂かれながらも、大王は叫ぶ。 「ワガハイは、最後まで戦い抜いたぞ!!!!!!」 太陽と見紛うほどの炎が、クッパを包み込んだ。 今度こそ、今度こそ、クッパは倒れた。 黄昏の勇者は、聖なる剣くるくると回した後、鞘に収める。 先ほど聞こえた声は、確かにミドナだと分かった。 (ありがとう。ルビカンテ。そしてミドナ。君たちのおかげで勝てたよ。) だが、それでも。 奇跡には代償がある。 (それでも、もう一度、君に生きて会いたかった。) リンクの目に、涙は無かった。 あるのは、この殺し合いを開いた者を絶対に倒し、生きて帰るという意志だけだった。 オルゴ・デミーラが開いた殺し合いが始まって、ちょうど18時間。 この時点で生存者が10人となった。 メルビン 小野寺キョウヤ カイン・ハイウインド ローザ・ファレル ヌ・ミキタカゾ・ンシ 野比のび太 朝比奈覚 大魔王デマオン クリスチーヌ そしてリンク。 この10名の中で、殺し合いに乗ろうとする者は、もう残されていなかった。 [川尻早人@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 死亡] [スクィーラ@新世界より 死亡] [吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 死亡] [ルビカンテ@Final Fantasy IV 死亡] [クッパ@ペーパーマリオRPG 死亡] [残り 10人] 【D-5/一日目 夕方】 【リンク@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス】 [状態]:ハート1/15服に裂け目 所々に火傷(大) 凍傷(治療済み) 疲労(特大) [装備]:マスターソード@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス トルナードの盾@DQ7 アイスナグーリ@ペーパーマリオRPG チェーンハンマー@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス [道具]:基本支給品 ランダム支給品0~2 水中爆弾×1@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス アルスのランダム支給品1~2 (武器ではない) 正宗@Final Fantasy IV 柊ナナのスマホ@無能なナナ 火縄銃@新世界より 美夜子の剣@ドラえもん POWブロック@ペーパーマリオRPG 基本支給品×2(ユウカ、ピーチ)、遺体収納用のエニグマの紙×2@ジョジョの奇妙な冒険 陶器の馬笛@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス、虹村家の写真@ジョジョの奇妙な冒険、ランダム支給品×1(佐々木ユウカでも使える類)、愛のフライパン@FF4 ディフェンダー@ FINAL FANTASY IV 魔法の盾@ドラゴンクエストVII まだら蜘蛛糸×2@ドラゴンクエストVII [思考・状況] 基本行動方針:主催を倒す 1.仲間と共に戦う。最後まで。 【メルビン@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】 [状態]:HP1/2 喪失感(中) [装備]:勇気と幸運の剣@ジョジョの奇妙な冒険 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~5(一部ノコタロウの物) [思考・状況] 基本行動方針:魔王オルゴ・デミーラの打倒 ※職業はゴッドハンドの、少なくともランク4以上です。 ※ジョジョ、無能なナナ、FF4、ペーパーマリオの参戦者に関する情報を得ました。 【小野寺キョウヤ@無能なナナ】 [状態]:健康 [装備]:モイのバズーカ@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス (残弾0/5) [道具]:基本支給品(切符消費)、替えの砲弾×5 ランダム支給品(×0~1 確認済) 鬼は外ビーンズ×8@ドラえもん のび太の魔界大冒険 セシルの首輪 首輪に関するメモを書いた本@現地調達 [思考・状況] 基本行動方針:主催者が何を考えてるのか。少なくとも乗る気はない。 1.首輪や主催に関する更なる情報を得る 2.あの扉は何だったんだ?脱出経路だといいが…。 ※参戦時期は少なくとも犬飼ミチルの死亡を知った時期より後です。 ※不老不死の再生速度が落ちています。少なくともすぐには治りません。 ※死亡した場合一度死ぬと暫くは復活できません。 ※別の世界の存在があると理解しました。 ※この殺し合いが強力なスタンド使いを作るため、と言う仮説を立ててます。 ※ジョジョ4部、DQ7、FF4、ペーパーマリオの情報を得ました。 【ローザ・ファレル@Final Fantasy IV】 [状態]:HP 1/10 MP 0 決意 [装備]:勇者の弓@ゼルダの伝説+矢10本 トワイライトプリンセス ふしぎなぼうし@ドラゴンクエストVII [道具]:基本支給品、 カチカチこうら@ペーパーマリオRPG×2ランダム支給品0~1 偽クリスタル@現地調達、その他首輪の素材 [思考・状況] 基本行動方針:クリスチーヌと共に、リンク、およびマスターソードを探す。 1:どうして首輪の素材に、クリスタルのようなものがあるの? ※参戦時期は本編終了後です。 ※この殺し合いにゼムスが関わっていると考えています。 ※ジョジョ、無能なナナ、DQ7、ペーパーマリオの参戦者に関する情報を得ました。 地上での決着が終わった後のこと。 激しい戦いの衝撃により目覚めた朝比奈覚が、地下で見たのは幻覚だった。 「お前は……瞬!?」 記憶ごと消されていた旧友の顔が、はっきり映っていた。 東京でもその顔を見たと早季が言っていたが、こうして覚の前に現れるのは初めてだ。 「助けて……僕達の未来が、思い出が……消え……。」 ノイズのように、言葉が途切れ途切れになる。 一体何を彼が伝えたかったのか。主催者たちは何を思ってこの殺し合いを開いたのか。 それを聞く前に、少年の姿は消えてしまった。 「分かったよ。もう少し頑張ってやるしかないな。」 覚は立ち上がり、地上へと進んだ。 [D-5 地下 一日目 夕方 【朝比奈覚@新世界より】 [状態]:精神的疲労(大) [装備]:なし [道具]:基本支給品、北風のテーブルかけ(使用回数残り17/20)@ドラえもん のび太の魔界大冒険 ランダム支給品0~2 [思考・状況] 基本行動方針:仲間を探し、脱出する 1.瞬?お前、どうして? ※参戦時期は26歳編でスクィーラを捕獲し、神栖66町に帰る途中です。 Back← 097 →Next 096 赤くて痛くて脆い(前編) 時系列順 098 第三回放送 From Players 投下順 095 しかし、誰が4枚目のカードになるのか? 野比のび太 朝比奈覚 吉良吉影 GAME OVER デマオン 川尻早人 GAME OVER 096 赤くて痛くて脆い(前編) リンク 098 第三回放送 From Players ルビカンテ GAME OVER メルビン 098 第三回放送 From Players 小野寺キョウヤ 094 見え始めた光明 ローザ・ファレル クリスチーヌ 085 破滅の足音1 疑心 悪鬼を呼ぶ スクィーラ GAME OVER クッパ
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『舞園さやかの場合』 深夜0時、学生寮一階、廊下。 「ホントにゴメンね、舞園ちゃん…」 朝日奈は申し訳なさそうに、舞園の背中に詫びた。 「さくらちゃん、もう寝てるみたいで…でも、一人で行くの、恐くて…」 「気にしないでください。こんな夜中に一人で行動するのも、危ないですし」 アイドルの笑みを崩さずに、舞園は部屋の扉に鍵をかける。 「えっと…食堂でしたっけ?忘れ物」 「うん…ゴメン」 「謝らないでくださいってば!さ、行きましょう」 先に進んだ舞園の背中に、勢いよく朝日奈の両腕が伸びる。 「えっ!?ちょっ…」 「ホントに、ゴメンなさい…!」 朝日奈は、謝りながらも舞園の口にハンカチをあてがった。 必死に舞園は抵抗したけれど、運動している朝日奈の体力には及ばない。 吸気とともに、彼女は深い眠りに落ちていった。 眠気からか、頭に鈍痛が走る。 まぶたが開かない。一瞬だけ無理に開けようとして、とてつもない眠気に誘われる。 もう少し、このまま眠っていたい。 「…起きろっつってんだろ、ビチグソがぁあ!!」 どなり声が聞こえて、舞園は眠りから引きずり出された。 「っ…せ、セレス…さん…」 まだ視界もおぼつかないまま、思い頭をもたげる。 声の主は確かにセレスだが、舞園の知る彼女は、こんな怒声を張り上げたりはしない。 ピン、と背中に緊張が走った。 「おはようございます、舞園さん。よく眠れましたか?」 セレスはまたたく間に、普段通りの笑顔を浮かべる。 自分で起こしておいて、よく眠れたも何もないだろうに。 「ここ…私の部屋じゃない…?」 舞園は辺りを見回した。家具や装飾の配置に、見覚えがない。 「ここは朝日奈さんの部屋ですわ」 セレスの言葉で、昨日の出来事がフラッシュバックする。 そうだ、自分は。 朝日奈に騙されて…おそらく薬品を吸気させられた。 「誰かを殺せば、卒業できる」。朝日奈は自分を殺そうとしたのか? でも、殺されていない。生きている。 舞園は混乱した。 殺さないなら、どうして朝日奈はあんなことを… 「ああ、どうか朝日奈さんを責めないで上げてください。彼女は私の言葉に従っただけなのです」 芝居がかった泣きまねをして、セレスは言った。 「もっとも、あなたをその格好に縛り上げるまでやったのは、朝日奈さんですが」 そこで舞園は自分の体を見て、ようやく自分の置かれた状況を理解した。 そしてそれと同時に、彼女は余りの恐怖に、パニックに陥った。 「あ、あ…き、きゃあぁあああああっ!!」 着ていた服は全て取り払われ、彼女はベッドの上に転がされていた。 膨らんだ胸は、桃色の尖端は乳輪に埋もれており、身体を捩るたびにふるふると震えている。 大きく開かれた股から、未開の秘部が覗いていた。 必死に足を閉じようとするも、膝と膝の間につっかえ棒のような拘束具があって、閉じられない。 手は足首に固定されており、彼女はありのままの自分を外気にさらけ出すしかなかった。 「乳首が陥没しちゃってますわね…ふふ、可愛らしいこと」 「やだぁああっ!!離して、見ないでぇっ…」 「女同士で、何をそこまで恥ずかしがることがあるのですか」 「いやっ、いやぁああっ!!」 「朝日奈さんなど、もっと酷い恰好をしているというのに」 セレスがあごで示した先には、地べたにはいつくばる『スイマー』の姿があった。 「あ、朝日奈さ…っ…」 その姿に、思わず舞園は息を呑む。 朝日奈は、舞園のように拘束こそされていないが、同じように裸に剥かれ、息を荒げて地に臥していた。 首には首輪のようなものがつけられ、そこから紐が伸び、机の脚に縛り付けられている。 同性でも当てられてしまいそうな、色っぽさ。 時々「ぁ…ぅ…」と小さく呻いては、汗にまみれた身体をぴくぴくと震わせている。 「朝日奈、さん…?」 舞園の呼びかけにも、彼女は応じなかった。 「あなたが起きるまで暇だったので、少し可愛がってあげたのですわ」 セレスは朝日奈に歩み寄って、彼女のポニーテールを掴み、顔を無理矢理あげさせた。 朝日奈の顔はこれ以上にないくらいに蕩け、しかしそれでも何かを求めて、口をパクパクとさせている。 「『イけない体』をさんざん弄ばれた心地はどうですか?」 「ふっ、んっ…ぅ…」 「私があの言葉を口にしない限りは、どれだけ身体に快感を溜めこんでも絶対にイけない…そういう催眠ですものね。 ふふ、もうイきたくてイきたくてたまらない、って顔してますわ。 無理矢理イかされたくなければ、と脅されて、舞園さんを誘拐させられたのに、 今度は無理矢理絶頂を奪われて悶えている…うふふふ、今どんな気持ちですか?」 ゾクッ、と、舞園の背中に戦慄が走る。 恐怖とともに、漠然とした理解。 朝日奈が何をされているのか、何をされていたのかは、全く分からない。 けれど自分は、きっと今から彼女と似たような目に合わされるのだ。 朝日奈はもう、身体に力が入らないようだった。 自分の力では起きられず、地面に臥したまま、セレスに懇願する。 「お、お願いします…もう、イかせて、イかせて下さいぃ…」 「…では、舞園さんに謝りなさい。自分の快楽のために利用してゴメンなさい、と」 「あ、あぅ…ま、舞園ちゃん…ゴメン、なさい…」 息も絶え絶えに謝ろうとする朝日奈に、舞園は恐怖さえ覚えた。 彼女の姿は、表情は、これ以上になく官能的で、そしてこれ以上にないくらいに異様。 初めて見る、朝日奈の蕩け顔。快楽を求めて身をよがらせる、女の顔。 下ネタを聞くたびに顔を真っ赤にさせていた彼女に、いったい何があったのだろうか。 「…よろしいでしょう、イかせて差し上げますわ。ただしあなたは、そのまま謝り続けること。 途中で言葉を止めれば、また先ほどまでのように、寸止めしますわよ」 「ひっ…」 朝日奈の顔が、一気に青ざめる。 「あ、う…ま、舞園ちゃん、ごめんなさいぃ!!」 「一本調子ならまた止めますわよ。5、4…」 何が行われているのか、舞園にはわからなかった。 何かに怯えるように謝り続ける朝日奈と、その横で愉快そうにカウントダウンを続けるセレス。 それが何を意味するのか、恐怖に染められた彼女の頭では、判断ができない。 「自分の、ため、に…っく…ぁ、ま、舞園ちゃんを騙しましたっ!私は最低の雌犬ですぅっ!!」 「その調子ですわ。もっと自分を貶めなさい。3…2…」 カウントダウンが進むにつれて、青ざめた彼女の表情が再び赤く上気する。 カウントダウンは酷くゆっくりで、その変化はよく見て取れた。 「さんざんセレスちゃんにイかされてっ…脅されて、舞園ちゃんをっ、騙した、のにっ…あ、はぁああぁあっ!!… ぅっ…今度、は…自分から、イこうとしている、変態女ですぅうっ!!」 朝日奈は謝罪の言葉というより、自分を蔑む言葉を連呼する。 その言葉を放つ自分自身に、恍惚としているようだった。 業界での経験も長い。舞園はどこかで、今の朝日奈のような顔を見たことがある。 そうだ、先輩のアイドルが麻薬に手を出した時の、その表情。 舞園にも勧め、当然ながら断ると、彼女は自分ひとりで麻薬を服用し、そして舞園の目の前で自慰に耽りだしたのだ。 朝日奈の蕩け顔は、その時の彼女の表情に、そっくりである。 興奮とは違う。いうなれば、「発情」。 何が起きるのか分からないまま、舞園は二人を見ていた。 「1………」 「はぁ、あぁあああぁあ!!も、もう我慢できないぃいいっ!!イかせて、イかせてぇええっ!!」 涙や涎で顔をぐちゃぐちゃに濡らし、朝日奈はセレスに縋りついた。 「ふふ、必死になっちゃって、かわいいですわ…腰もがくがく震えてますわよ?」 セレスはカウントダウンを進めず、触れるか触れないかの程度に朝日奈の腰をなでまわした。 「ひっ、はぁあああぁあっ!!」 朝日奈の体が跳ねあがる。 『ゼロ』を目前にした彼女の体は、いわば絶頂の寸前で止められているということになる。 「雌犬なら雌犬らしく、鳴いてご主人様にアピールなさい」 「わ、わぅん!!わん、わんっ!!」 理性を凌駕する、絶頂への本能。 今の彼女は、すでにセレスのいいなりと化していた。 「ふふ、うふふふふふふ…あははははははははっ!!」 まるで魔女のように高笑いしたかと思うと、 「良い、最高ですわ、朝日奈さん!!決めました…あなたはこれから私のペット…人間の言葉を話すことを禁じますわ!返事は?」 「あ、あぁ…も、ダメ…」 「…上手にお返事ができたなら、御褒美を差し上げますわよ?」 「わ、わぅんっ!!」 朝日奈の耳元に口を寄せて、 「『ゼロ』」 そう、吐息を吹きかけるようにささやいた。 瞬間、朝日奈の顔が恍惚に歪み、 そしてその直後。 「あがッ!!!!」 朝日奈の体が跳ねあがった。 「え…?」 舞園は、いよいよ当惑する。 「あっ、ぐ、ふに゛ゃあぁああぁあああああぁあ!!!」 ブリッジのように、朝日奈の腰が天へと伸びる。 ひときわ大きな胸を震わせ、舌を突き出して、目は虚ろ。 絶頂している。 それだけは見て取れた。 思わず舞園の顔も、赤く染まる。 プシャアアアアア 愛液やら小水やらが撒き散らされ、床一面は水浸しになった。 「あ゛っ、いっ、はぁっ!!」 絶頂の後も快楽は身体から抜けないらしく、自分の体を抱きしめて、朝日奈は地面をのたうちまわった。 「さぁて…」 朝日奈が悶える様を一通り眺めた後で、くるり、とセレスがこちらを向いた。 「次はあなたが悶える番ですわ、舞園さん…」 「ひっ…」 逃げられないとは理解していながらも、舞園は必死に拘束具を揺らした。 余裕の表情でセレスはそれを眺め、自分も服を脱ぎ、下着姿となって、白い地肌をさらす。 「いやっ、いやぁあっ!!」 「ホントは朝日奈さんに、もう少し働いてもらう予定だったのですが…ついつい弄んでしまいましたわ。 彼女には少し、休んでいてもらいましょう。代わりに私が、お相手しますわ」 「いらないですっ、離して…!」 喚く舞園に、ずい、とセレスが身体を寄せる。 「大丈夫、間違っても危害を加えたりはしませんわ…あなたには」 「…?」 「私が獲物と定めた、もう一人の生徒…あの澄ました女のプライドをへし折るのが、私の最終目標。 そのためには、私の手となり足となる駒が必要なのです。 舞園さんには、その駒になるため、快楽に堕ちて、素直になってもらうだけですわ。 間違っても、あなたの綺麗な身体を傷つけたりはしません…そこだけは、安心してください」 「あ…」 その言葉に少しでも安心してしまった自分を、すぐに舞園は呪った。 結局、自分が彼女の好きにされることには変わりはないのだ。 けれど、一度警戒心を解いてしまえば、彼女の頭を縛る恐怖は溶けだしてしまう。 そこに、快楽を期待する、女としての性欲が付け入る隙ができてしまう。 「そ、そんなことはどうでもいいんです…これを解いてください!」 自分を諌めるように、がしゃがしゃと拘束具を揺らすが、セレスは穏やかに笑うだけ。 「あら、解いていいのですか?」 「ふぁっ!?」 するり、と彼女の手が、舞園の太ももを伝い、上ってくる。 そのくすぐったさに、舞園は悲鳴を上げた。 「ここはもう、こんなに期待しているみたいですけれど…」 「あっ、ん…」 ひっそりと閉じた割れ目を、セレスの指が開く。 朝比奈の痴態にあてられて、そこは既に湿りを帯びていた。 「私、テクニックには自信がありますのよ。舞園さん…オナニー程度しか、したことはないでしょう?」 「っ…」 舞園は羞恥から顔を背ける。 「比べ物にならないくらい、気持ちいいことしてあげますわ」 潤、と、素直に下の口から恥ずかしい液が伝う。 一瞬だけ指を這わせると、セレスの指に愛液が絡みついた。 「朝日奈さんのは、おしっこみたいにサラサラですけど、舞園さんは結構…濃いのですね」 「なっ…!?」 親指と人差し指に愛液を伝わせ、それを舞園の目の前で開くと、指の間を糸が伝う。 一瞬で、彼女の顔が真っ赤になった。 「へ、変な事言わないでください…!」 「あら…朝日奈さんといい、ここには恥ずかしがり屋さんが多いのですね」 セレスの裸体は、朝日奈のように豊満ではないが、どこか妖艶な魅力を宿していた。 絹のようになめらかで、病人のように白く、枝のように細い。 神話に出てくる女神のような、そんな気高さと妖しさがある。 けして肉付きこそよくないが、形容し難いその「エロさ」に、同性ながら舞園は魅了されつつあった。 そして、 「ふふ…舞園さん」 セレスが肌を擦り寄せてくると、舞園の鼓動は早鐘を打つ。 香水の香りにまぎれて、彼女自身の神秘的な体香が、鼻孔をくすぐった。 「さすがアイドル、ですね…朝日奈さんに負けずとも劣らないプロポーション…ちょっと羨ましいですわ」 胸こそ朝日奈には及ばないが、同世代の中では巨乳と呼べる部類に入るだろう。 所属していたアイドルグループのメンバーと比べあった時も、彼女の胸が一番大きかった。 水着撮影などもあるため、肌や無駄毛の手入れは欠かせたこともない。 歌唱力のために、と、筋トレやランニングも繰り返している。 舞園の体は、女性らしい丸さを残しつつも、すっと引き締まっていた。まさに、理想のプロポーションだった。 その体つきを確かめるように、セレスは舞園の体をなぞる。 舞園は、たまらず身体を捩らせた。 「さ、触らないでください…」 せめてもの抵抗の声にも、もう力は宿らない。 「ふふふ…」 「ひゃっふあ!?」 乳の脇側をくすぐられて、自分でも知らない感覚に、舞園は背筋を張った。 「あらあら…ここが気持ちいいのですか?」 「やめっ!っ、ん…ふ、く…はぁあっ…!」 セレスは、子供がじゃれるように、舞園をくすぐる。 首筋、脇腹、内股に足の裏。 そのたびに舞園は敏感に声をあげ、身体を捩った。 「はぁ、はぁ…あ、ふっ…」 セレスの責めに悶えながらも、舞園は恐怖から解放された頭で考えていた。 先ほどのセレスとは、人が変わったみたいに、責め方が異なっている。 朝日奈への責めは、言葉を当てはめるとすれば「蹂躙」。 情けも容赦もなく、ただ自分のサディズムを満足させるために、朝日奈を快楽の地獄につき落とした。 対して自分には、もぞもぞと指を這わせてはその反応を見て、楽しんでいる。 そう、楽しんでいる。 朝日奈への責めも、ベクトルは少し違うが、彼女は楽しんでいた。 そして先ほど、セレスは自分達のことを、獲物と表現していた。 「何がしたいんですか、セレスさん…」 息を落ち着かせて、舞園は尋ねた。 「…具体性に欠ける質問ですわね」 足の裏を舐めながら、セレスは答える。 足先を震わせながらも、くすぐったさに負けて身を捩らないように、舞園は続ける。 「朝日奈さんをあんな目にあわせて、私のことを弄んで…そして、もう一人狙っているって… 何がしたいんですか…?女の子同士でこんなことして、楽しいですか…!?」 「ええ、楽しいですわ」 迷うことなく、即答。 そしてセレスは、冗舌に語りだした。 「こんな閉鎖空間に閉じ込められ、『誰かを殺せば卒業』だなんて…馬鹿げたルールを背負わされて。 しかもあのあと、モノクマは口を滑らせ『誰にもバレなければ他の全員の命と引き換えに卒業、バレたならその場で処刑』と説明しました。 そんなリスクの高い選択肢を迫られ、殺人に踏み切る度胸は私にはない…それは多分、他のみなさんも同じでしょう。 資源には不足せず、法を犯しても取り締まるものもいない。まさに「自由」そのものの中に、私たちはいます。 そう、今すぐ殺人を犯す必要はない。だからこうして、私たちは膠着状態に陥っているのです。 しかし、耐えられないのは「退屈」という苦痛。ここには私の趣向に合った娯楽が、ほとんどないのです。 雑誌?プール?メダルゲーム?そんなもの、幼稚園のお遊戯と同レベル!クソ喰らえですわ…! 私が求める「遊び」とは、まるで断崖に立たされているかのような、スリルを伴った勝負事なのです。 ああ、きっとあなたは軽蔑なさるでしょうが…私は知っての通り、『超高校級のギャンブラー』。 今まで幾度も、自分の命や、それに準ずるものをベットにして、勝負を挑まれ…そして、ことごとく打ち勝ってきた。 そんな争いを強いられるうちに、私は…人の身体や、命や、人生を弄ぶこと…その楽しさを知ってしまったのです。 …軽蔑、したでしょう。いえ、軽蔑してください。けれどこの病気ばかりは、もう治らない。 退屈が原因でも、人は死ぬのです、舞園さん。こんな場所に閉じ込められていては、私はいずれ頭がおかしくなってしまう。 だから、面白そうな何人かに狙いをつけて、その人たちを弄ぶ…それが私の見つけた、ここでの退屈しのぎですわ。 一人目は、朝日奈さんです。一番エロい身体をしているくせに、下ネタを聞けば真っ赤に頬を染める…虐めたくなるのも、わかるでしょう。 …実は彼女を落とすまでは、聞くも涙・語るも涙の苦労話があるのですが…ここでは割愛しますわ。 二人目は、名前はまだ出しませんが、あなたも薄々気が付いていることでしょう。あの澄ました女のことです… ああいうのを見ると、どうもそのプライドを完膚なきまでにへし折ってやりたくなるのです。勝負師の性、でしょうか。 三人目は…男子、とだけ伝えておきます。 そして、あなたもです、舞園さん…正直、こんな状況でなければサインをねだっていました。実家の家族があなたの大ファンなのです。 そんな国民的アイドルを辱められるのは、またとない機会でしょう?この状況を楽しむには、もってこいの相手じゃありませんか」 長たらしい声明を終えると、セレスはそこで一息つき、再びほほ笑んだ。 舞園は、口を開けて聞き入っていた。まさに呆気にとられた、という言葉が似合った。 流れ込んできたセレスの言葉は、とても現実離れした響きを伴っていて、理解の範疇を越えていた。 「…長々と話してしまい、すみませんでした…語るに堕ちてしまっていたようですね」 唐突に、セレスの指が、それまで触れなかった舞園の乳房を揉みしだく。 「ふっ、あっ!?」 「ほったらかしにしてしまって、さぞ身体が疼いていたことでしょう…」 「そんな、ことっ…んぁっ…」 あまりの唐突さに、脳が付いて行かない。 「ここからは、ちゃあんと期待通り…気持ちよ~く、してあげますわ」 「し、してませんし、いりませんっ!」 「あら…やはり私なんかに触られるのは、御不満が?」 セレスが不思議そうに首をかしげると、舞園はどうしていいか分からない気分に襲われた。 このまま彼女を拒むのが酷く不憫にさえ思える。 自分は被害者、そのことさえ忘れてしまいそうになる。 そして、断りきれない理由がもう一つ。 自分が目を覚ました時に、確かに聞こえたセレスの激昂の声。 舞園は、それを恐れていた。下手に刺激してはいけない。 「あっ、違…わないけど、違って、その…セレスさんがダメとか、そういうんじゃなくて、 その…女の子同士でこんなこと…おかしいと思いますし…」 「あら、あなたがそれを仰いますか?同じアイドルグループのメンバー同士で、肌を重ねたこともあるくせに…」 「なっ…!!?」 ウィッグを揺らしながら、セレスがにこやかにほほ笑む。 これほど邪気のない笑顔を恐ろしく感じたことはない。 一瞬で顔から血の気が引いた。マネージャにすらバラしていない、自分達だけの秘密。なぜ、知っている? 冷静に考えれば、どこかの芸能人の裏話を集めた掲示板での情報や、口コミで伝わる根も葉もない話を、 真実かどうかも分からないまま、セレスがブラフで使ったのだろう。 しかし、混乱から抜け出せない舞園の頭には、効果は絶大だった。 相手の顔に同様の色が浮かべば、セレスにとってはもう勝ったも同然。 「やはり私では役者不足ですか…?」 「あ、う…」 「ねえ、舞園さん…」 顔が迫り、ふ、と耳に息を吹きかけられ、ビクン、と舞園は体を震わせた。 自分がおかれた状況に対する混乱。 秘密を知られたことに対する恐怖。 そして、セレスや朝日奈の姿に当てられた、情欲。 体の自由を奪われ、隠していたはずの秘密を知られ、どうしていいかわからない。 今の舞園は、酷く無防備な状態だった。 「…そうですわ」 思いついたように、セレスが目を見開いた。 「私に直接触られるのが嫌なのであれば…こんなものは、いかがでしょう?」 ベッドの下から、ごそごそと箱を取り出す。 某同人作家から押収し、朝日奈を最初に責めた時にも使った、道具の数々。 見るなり、舞園はますます顔を赤く染めた。 何に使う道具か、説明されずともわかってしまう、自分の知識が嫌だった。 セレスの言うとおり、メンバーと肌を重ねた経験は、幾度かある。 厳しい業界に放り込まれた人間は、別のベクトルに歪むケースが多い。 ましてやデビュー当時の彼女たちは幼い子供、その重圧には耐えかねる。 上手くストレスの発散場を見つけてやらなければ、精神をおかしくしてしまい、末路をたどるのみ。 禁断の果実は、目の前に山のように転がっていた。 麻薬、恋愛沙汰、飲酒や喫煙。周りの人間は、みな手を染めている。 バレるかバレないか、それだけの違い。 そして、成熟してきた肉体を持て余す彼女たちが行きついたのが、性行為だった。 別に同性愛ではない。人並に、男子への興味はある…特に、共に生活を送るあの一名に。 舞園にとって、メンバーとの交わりは、恋愛などとは別の次元の話で、 それこそ一緒に買い物や映画を見に行くのと同じ、遊びの感覚だったのである。 笑い合いながら互いの乳房を揉み、慰めるように唇を奪った。 その禁忌に逃げていた舞園だからこそ、目の前に転がる道具の山にはなじみがある。 「その様子では、どれが何に使うものかは、説明の必要はなさそうですね」 「そんなこと…」 する、と、胸の尖端をセレスが撫であげた。 「あっ…」 桃色の吐息が漏れる。 舞園の乳首は、乳輪に埋もれていた。 「陥没乳首…というものですか?初めて見ましたわ」 「うぅ…」 恥ずかしさか、快感からか、目に涙がにじむ。 「ふふ…可愛らしい」 「ねえ、舞園さん?陥没乳首は普段外気に触れない分、刺激されると気持ちいい、という噂がありますわね」 「知りません、そんなの…!」 顔を真っ赤にしたまま、拗ねたように舞園がそっぽを向いた。 「あら、ウソはいけませんわ…他のメンバーと身体を重ねるくらいエッチな事をしてきた舞園さんが、 まさか自分で試していないわけはないでしょう…?」 埋もれた乳首の穴を、セレスが爪先でほじる様に弄ると、 「ひぁっ、あっ!!」 たまらず舞園も、嬌声をあげた。 クスクスと笑いながら、セレスが乳房を口に含む。 「んっ、あっ!?せ、セレスさ…ぁんっ!」 乳房の尖端に口を当てて吸い出され、埋もれた乳首を無理矢理引き出して、刺激を与えられる。 鋭い快感が、右胸全体を駆け抜けた。 「は、あっ、やぁあ~~~~っ!!!!」 身悶えさせようにも、身体は拘束されたまま。 抵抗する術もなく、むき出しの乳首を良いようにセレスになぶられる。 まるで、胸の先がクリトリスになってしまったかのような、激しい快感。 「あっ、やぁああっ…やめ、止めて…ふ、ひぃんっ!!」 赤子のように胸に吸いつくセレスに、いいようにされてしまう。 「やっ、いやぁあああ…」 「ん…ぷは…」 セレスが口を離す頃には、舞園はとっくに出来上がっていた。 紅く上気した顔は、もう朝日奈と大差はない。とろん、と蕩けた目で、セレスをただ見ている。 身体は熱を持ち、意思に反して、次に訪れる快楽を待ち望んでいる。 無理にセレスが引きずり出していた乳首は、彼女の口が離れると、元通りに埋まってしまった。 「なんというか、可愛いというか…愛着の湧く乳首ですわね…」 「…やぁ…」 涙目を歪ませても、言葉にはもう力が入らない。 「では…まず、これでそんな乳首を弄ってあげましょうか」 セレスは、一つ目の道具に手を伸ばした。 アイポッドのような機器――おそらく電源――から、二本のコードが伸びていた。 コードの先には、UFO型のゴムのパッド。胸にあてるためのものだろうと、推測できる。 乳首に位置する部分には、スポイトのようなものが付いている。 パッドの内側には、取り外し可能のアタッチメントがついており、セレスがどれを装着させようか悩んでいる。 「乳首専用のローターですわ。結構値段も結構張るようで…さすがにこれは、見たことはないでしょう?」 セレスは本当に楽しそうに、まるで自分のオモチャを自慢する子どものように、舞園に話しかけた。 二つのゴムのパッドを、舞園の乳房に押し当てる。 アタッチメントはちょうど乳首にあたり、素材はシリコンか何かだろうか、ゼリーのようにプルプルで柔らかい。 セレスがスポイトをつまむと、 「ひゃうぅ!?」 パッド内の空気が絞り出され、吸盤のように舞園の乳房に吸いついた。 「あ…っあ…」 吸いつかれているため、自然に埋まった乳首が顔を出す。 淡いピンク色の、小さな豆が飛び出している様は、本当にクリトリスのようでもある。 外気にさらされるだけでも、鋭敏な乳首が、舞園に刺激を与えた。 「吸われただけでそんなによがっていては…後が持ちませんわよ?」 また、可笑しそうにセレスが笑う。 「はぁ、はぁ、ぁうっ……な…なんなんですか、コレぇ…んっ…」 「言ったでしょう?乳首専用のローター…」 そうは言われても、舞園の知るローターとは、まるで形が違う。 「吸盤のように乳首に吸いついて、簡単には外れない。パッド中央のアクセサリが乳首にあたり、電源を入れると回転を初める。 アクセサリはアタッチメントとして取り外し可能、数パターンの中から好きなものをチョイス。 アタッチメントと、複数通りの回転パターンを駆使し、自由自在に快感をアレンジ…と、説明書には書いてありました」 吸われだした乳首が、ちょうどそのアタッチメントに当たって擦られ、それだけで舞園は身を悶えさせる。 「右の乳首は、私個人のおススメ…少し硬い、フィンガータイプですわ。指で乳首をこねくり回される感覚は、リアル以上です。 左の方は朝日奈さんのお気に入り、ブラシタイプの一番柔らかいもの…たとえるなら、触手タイプとでもしましょうか」 セレスが電源を入れると、スポイトからローションがにじみ出て、舞園の乳首を伝った。 「これ…本当にすごいですわよ」 耳元で、セレスがつぶやく。 舞園は、ごくりと唾を飲み込んだ。 「……ふぁっ!!?あっ、あ、はぁあぁあああっ、や、んあぁああっ!!」 アタッチメントが緩やかに回転を始め、舞園は背中をのけぞらせた。 「あぁ、ああぁあ、んっ……ひゃうぅっ!!」 右のパッドでは、二本の指が乳首の周りを、ぬるぬるとローションをかき混ぜてなぞる。 ゆるやかに回転して乳首を転がされたかと思えば、時々高速で逆回転して乳首を弾く。 左のパッドでは、細いシリコンの束が乳首全体を覆い、回転も早くなったり遅くなったり、自在に這いまわる。 フィンガータイプとは違い、柔らかいそれが乳首を撫でまわす。 「ダメっ…これ、ダメですぅうっ…んぅううっううぅっ…!」 舞園は、胸を突き出すように背をそらした。 特別敏感な乳首を、吸い出されたまま弄ばれる、今までにない快感。 「ひゃあぅっ!!」 ビクン、と、舞園がいっそう背をのけぞらせて震える。 連続で乳首を指で弾かれ、それだけで軽くイってしまった。 「あ、あ、んっ…はぅうっ…」 大きく瞳を見開き、苦しそうに息を吐く舞園を見て、セレスは絶頂を確認した。 「あらあらあら…そんなに敏感じゃ、将来赤ちゃんができた時、大変ですわよ?舞園さん。 子供におっぱいをあげるたびにイってしまう、エッチなお母さんになってしまいます」 「だ、だって、だってぇ…!これ、ダメ…っ、ダメ、ダメぇえっ…んあぁああぁっ…!」 「ふふふ…すごいでしょう?」 「止めて、止めてくださいっ!」 イって敏感な乳首を、同じ調子でローターが責め続ける。 右はローションを混ぜるように、左は泡立てるように。 「ぐすっ…えぅ…んっ…」 乳首だけでイってしまった、それも人の目の前で。 加えてセレスの責め句が、さらに舞園の羞恥心を煽り、思わず泣き出してしまう。 「あら…」 さすがにセレスもモーターの電源を切り、何事かと顔を寄せる。 人形のような美しい顔立ちに惹かれるが、それでも涙は止まらない。 「そ、そんな恥ずかしいことではないですわ、舞園さん」 「ぐすっ……私…お嫁に、行けない…」 「…これが朝日奈さんであれば、遠慮なく責め続けるのですが…」 今度はセレスは、困ったように笑って、舞園の頭を撫でた。 本当に、先ほどまでとは別人のようだ。 「あ、そうですわ!ほら、こっちも弄れば、もっと気持ちいいでしょう?」 そう言って、セレスは舞園の秘部に指を伸ばした。 「ひぁっ…?」 「お詫びといってはなんですが、ちゃんとこちらも気持ちよくして差し上げます。 こっちでイけば、何も恥ずかしいことはありませんわよね?」 訂正。別人どころか、先ほどまでと何一つ変わらない。 「やっ、やだ、嫌ですっ…セレスさんっ!」 「ほら、暴れないでくださいな…スイッチ、入れちゃいますわよ?」 「っ…」 意味はないとわかっているのに、舞園は反射的に暴れるのを止めてしまった。 暴れても無意味、それどころかまた乳首を弄ばれる。 パッドは胸に吸着したまま止まっているが、体を捩るたびにぬるりとアタッチメントがずれて、刺激を与える しかしこのままでは、無防備に、一番敏感な所を責められてしまう。 と、そこで、 「…ぅ、ん…」 それまで気を失っていた朝日奈が、目を覚ました。