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(二日目)12時14分 第一二学区。 周囲には高層ビルが立ち並び、四車線の交通が可能な交差点の真ん中に彼女はいた。四ツ角にはそれぞれ歩道橋があり、中心くり抜いた四角形になっている。高層ビルと歩道の間には植林が立ち並んでいる。 七天七刀が舞う。 甲高い音を立てて、コンクリートの地面が抉れていく。六本の鉄線は、常人の目には映らない程の音速を超えた斬撃となり、『魔神』を襲った。 その斬撃を、『魔神』は音速を超えた速度で回避する。 神裂火織の眼前に、『魔神』は歪んだ笑みを浮かべて現れた。 彼女は反応する間もなく、豊満な胸囲がある胸元に、握りしめられた拳を叩きこまれた。 「――――ッ、ぶごっォオ!」 強烈な衝撃を受けた神裂火織は、五メートルほど吹き飛ばされ、息を整えながら距離を取った。 神裂は意識が薄れつつも、刀を構え、敵から視線を外さない。左手で口元に滴る血をに拭うと、両手で刀を握った。 「うおおおっ!!」 バスタードソードを握りしめた牛深が、大声を張り上げて、『魔神』の頭上にある歩道橋から飛び降りた。 腕力に思い切り力を入れて、一〇〇センチを超す刀剣を、迷いなく『魔神』の頭部に振り下ろす。 だが、 ガキィイン!という音がアスファルトとの衝突によって引き起こされた。長身の男性は、我が目を疑った。眼前に迫っていた『魔神』が視界から消えたのだ。 そして、足が地面に着く前に、彼は『魔神』との再会を果たす。 『魔神』の強烈なキックが、中年男の右頬を的確に捉えた。 剣を振り下ろした反動で猫背になった長身の体は、顔だけ左に仰け反るような格好でアスファルトに着地する。『魔神』の蹴りで意識が跳びかけた男は、体の条件反射ですぐさま立ち上がるが、バスタードソードは手から離れていた。 男は、『魔神』と正面を向き合いながらも、中枢線を晒すような無防備な状態になっていた。 ズンッ!と『魔神』を起点とした半径三メートルほどの円が、アスファルトに亀裂を刻んだ。常人を逸した『掌逓』をくらった長身の男は、約10ほどメートル吹き飛んだ。 枝々が折れる音と共に、植林に身を突っ込んだ男には、既に意識は無かった。 カラン、カラン…と、空しい金属音と共に、バスタードソードはひび割れたアスファルトに落ちた。 『魔神』は足でそれを蹴って、バスタードソードを手にする。 ヒュン!という音がなる亜音速の剣筋は、後ろに迫っていた老人の斧の根本を切断した。 斧の刃の部分だけが、宙を舞った。 一瞬の出来事で呆気にとられた諫早の顔面に、重い右ストレートが直撃する。 意識を失い、膝を着いて項垂れる老人の体躯に、『魔神』は容赦なく腹部に強烈なキックを突き刺した。 『魔神』は放射線を描いて、空を舞う老体を見上げた。 この間、僅か一〇秒足らず。 30メートル程の『魔神』の背後で、ダンッ!と地面を踏みしめる音が聞こえた。 一陣の風と共に、神裂火織は『魔神』との距離を一瞬にしてゼロにした。 『聖痕(スティグマ)』を発動し、斬撃が『魔神』を捉えた。 神裂の魔力が一気に跳ね上がる。 『魔神』はそれをバスタードソードで受け止めた。 ドバァン!と聖人の人間離れした攻撃力が『魔神』の生身を襲った。アスファルトの亀裂はさらに増し、生じた爆風が破片を巻き上げた。 二つの刃は火花を散らせ、ギィィイン!と大きな金属音ともに聖人と魔神は交差した。 一〇メートルほど距離に神裂火織は降り立った。 空中で数回転した刃が、聖人の傍に落ちた。 『魔神』は手元にある剣を見た。 バスタードソードは根本から折れていた。 「……ふむ」 何の感慨もない表情で、『魔神』は折れた剣を見つめていた。 そして、剣として役目を終えた物を『魔神』は捨て去った。無機質な音が鳴り響く。 だが、それは『魔神』だけでは無かった。カランッという音が同時になった。 七天七刀が地面に落ちる。 「ぐぅッ…!」 神裂は膝を折り、肩から血を流していた。 この間、僅か〇,一秒足らず。 右腕に深い切り傷を負った神裂は、腕にチカラが入らず、刀を落としてしまった。 それだけはない。神裂の発動した『聖痕(スティグマ)』は、『魔神』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』によって強制的にキャンセルされてしまった。 水が噴き出している間欠泉に、いきなり蓋をされてしまったようなもので、神裂の魔力が暴走し、彼女の意識は朦朧としていた。 血が流れ落ちる右腕を無視して、左手で七天七刀を握り、立ち上がった。 こうして意識を保つだけで、彼女は精一杯だった。 その様子を見た『魔神』は呆れた口調を返した。 「『魔王』との余興で、右の肺を潰してしまってな。呼吸が少々苦しいのだ。その余を息一つ乱せないとは、貴様らに殺す価値も見出せぬぞ」 ゆっくりとした歩調で、『魔神』は彼女に近づいてくる。 (…私たちは、ただ…遊ばれている、だけなのですか…いくつもの戦場を駆け抜け、腕を上げてきたというのにっ…!) 天草式は、すでに戦闘不能に追い込まれていた。 『魔神』は右手に宿る『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と、体術しか我々に使っていない。だが、それでも翻弄され続けた。 仲間たちは死んでいないが、意識が奪われて倒れている者が半数以上、他も何らかの傷を受け、万全の状態ではない。のらりくらりと策略や攻撃を回避され、確実に的確な一撃を叩き込まれていく。 連携は一〇分も経たずにズタズタにされた。 『魔神』と単体でやりあえる魔術師は聖人である神裂火織しかいない。 しかし、すでに彼女も手傷を負っており、次の攻撃で確実に戦闘不能にされる。 (私たちは…こんなものだったのですか?……私たちは…彼の…足元にすら…及ばなかったのですか?…) 「――――ってください…」 誰かの声が、神裂の耳に届いた。 それは『魔神』の耳にも聞こえたらしく、彼女に近づく足を止めた。 声がした方角を二人は見た。 神裂の四〇メートル程の視線の先には、『海軍用船上槍(フリウリスピア)』に体を預け、必死に立ち上がる少女の姿があった。 着ていた白のジャケットは、所々が破け、黒い汚れが付いている。破れているハーフジーンズはさらに傷みが広がり、彼女の素足は、膝の擦り傷の血で濡れている。 中に着込んでいるネットの黒シャツは破け、ピンク色のブラジャーと、白い素肌の胸が晒されていた。 五和は左手で、顔に付いた汚れと汗を拭い、敵を目視する。 『魔神』を睨みつける五和の眼光は鋭さを増していた。 大きな声が木霊した。 「当麻さんの体から、さっさと出て行ってください!!」 その殺気を感じ取った『魔神』は、何の感情もなく、彼女を見た。 五和の周囲には、数人の天草式のメンバーが倒れていた。 『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を構え、五和は破れた靴を脱ぎ去った。素足でアスファルトに立つ彼女は、大きな深呼吸をした後、言葉を紡いだ。 “Cuando los brillos de fuego, exigiré el agua.…El agua me rodea y me protegerá―――” (我が光り輝く炎を求める刻、我は凍てつく水を求めるだろう――) 神裂はゾッとした。 五和が唱え始めた魔術は、天草式のものではない。 彼女が単体として使う魔術だった。 「――五和ッ!」 神裂の叫びも、彼女には届かなかった。彼女の頭にあるのは、『魔神』ただ一人。 魔術の魔力を感じとった天草式メンバーの一人が、負傷している体を起して、叫んだ。 「五和ちゃんっ!」 “Cuando el agua me exige, exijo el agua!!” (我が凍てつく水を求める刻、凍てつく水は我を求める!) 五和の素足に『水』が巻きつき、水面を滑るがごとく、滑らかな動きで『魔神』に突進していった。 彼女の魔術と同時に、ヒュン!という疾風の攻撃が『魔神』を襲う。 七教七刃。 鋼糸を張り巡らせ、七方向から同時に攻撃するという、彼女が編みだしたオリジナルの技。 速度はますます加速し、五和はさらに言葉を紡いだ。 “Cuando el fuego me exige, exijo el fuego―――” (清らかなる炎が我を求める刻、我は炎を求め――) 両手で『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を一回転させ、上半身を大きく捻った。「突き」の姿勢をなし、氷の上を滑るような動きで、『魔神』との距離を一気に縮めた。 七教七刃は『魔神』を攻撃したが、七つの線撃は『魔神』の足元で消滅した。七教七刃が生じた風が、『魔神』の黒髪を揺らす。 “La llama de la purga pasa por usted!” (清らかなる炎は、全てを浄化する!) ボワッ!と『海軍用船上槍(フリウリスピア)』の矛に炎を纏った槍は、ついに射程距離範囲に入った。 五和は、全身の回転モーメントを注ぎ込んだ一撃を『魔神』の左胸に放つ。 バギンッ! 『魔神』の右手に『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を捉えられ、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』に、練りこまれた魔術の細工ごと、炎は打ち消された。 『魔神』はグイッと槍を翻し、五和のバランスを崩そうとした。 だが、既に彼女は『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を手放していた。 それだけではなかった。五和は『魔神』の視界から消え失せていた。 「っ!?」 『魔神』の目が初めて見開かれる。 そして、 “La llama de la purga pasa por usted!” (清らかなる炎は、全てを浄化する!) 五和は大声で、魔術を唱える。 炎を纏ったナイフを手に、五和は『魔神』の背後に回っていた。素早い動きで身を一回転させ、背中に隠し持っていたナイフを左手で握り、押し込むことを前提とした突きで、右手を柄に添える。 七天七刃と『海軍用船上槍(フリウリスピア)』の二重のフェイク。 完全に『魔神』の後ろを取った五和は、咆哮した。 腹の底から、絶叫する。 「当麻さんから、出て行けぇぇえエエッ!!」 掠れた彼女の声が、『魔神』の耳に届く。 五和は、上条当麻を愛していた。 一目惚れだった。 その恋は、内気な彼女を突き動かしてきた。昔も、そして今も。彼の力になりたいと願い、彼の為に強くなりたいと願い、人に見えない努力を積み重ねてきた。 「浄化の炎」は、邪悪なものを断ち切る魔術。 『魔神』は一瞬で身を翻し、彼女に振りかえった。 襲いかかる五和を見て、『魔神』は心の底から笑った。 炎を纏ったナイフは直進した。 ドスッ! という音が鳴り、五和のナイフは『魔神』の左胸に突き刺さった。 鮮血が顔に飛び散り、五和は驚愕した。 「―――えっ?!」 決死の手段だったとはいえ、自分の攻撃が当たるとは思っていなかった。 水を使う魔術は、かつて対峙したアックアの魔術を見よう見まねで編みだしたものであり、火の魔術はその術式の色彩を「赤」に変えたものである。 短剣から流れ落ちる『魔神』の血を見て、五和の喉は冷えあがった。 それは人間と同じ、赤い血。 人格は違うとはいえ、自分が愛する男の身体を傷つけたのだ。『魔神』の白いYシャツに、赤い血が徐々に広がっていく。 身を焦がしていた敵意は一瞬で消え去り、五和は凍りついた。肉を突き破った生々しい感覚と罪悪感から、身を引こうとした瞬間、 『魔神』は左手で、ドガッ!と五和の頭部を鷲掴みにした。 「うぐっ?!」 彼女は、軽い脳震盪に襲われた。 ナイフは衝撃で引き抜かれ、地に落ちる。 五和の意識が徐々にはっきりしてくる。 そして、眼前には愛しい男の顔が迫っていた。 「…良い目だ。気に入った」 『魔神』が微笑みを浮かべて、五和の顔を覗き込んでいた。 顔は、意中の男性とはいえ、精神はドラゴンに乗っ取られている。 恐怖に心を掬われた五和は、 「ッ!離せ!」 と、蹴りを叩き込もうとしたが、『魔神』右腕が腰に手を回され、胸から下の身体が密着した状態となって、五和の動きが封じられた。 五和は、『魔神』に抱きしめられていた。 彼女と『魔神』の顔の間は数センチの距離で、彼女の吐息が『魔神』の顔に当たるほど、接近していた。 五和はさらに驚く。 意中の男性の顔が、目の前にあるのだ。 戦闘中だというのに、五和の冷静な殺気は失われ、『魔神』は、不敵な笑顔を浮かべたまま告げた。 上条当麻には似つかわしくない、邪悪な笑顔と甘い囁きで。 「余の『僕(しもべ)』になれ。五和」 「――んッ?!」 五和の唇は唐突に奪われた。 熱い感覚が、彼女の口内にねじ込まれた。 ネチュ、という卑猥な水音が五和の思考を奪う。 乾いた唇を潤す、温かいキス。 右腕で彼女の身体は抱きしめられ、左手は彼女の顎を持ちあげ、顔を固定されていた。 五和はパニックに陥る。 彼女はキスをされている。 愛しい男の姿をした『魔神』に。 彼女はファーストキスは、唐突に奪われた。それも恋焦がれた男性の唇に奪われて、予期せぬ形で成しえてしまった。 奪われたのは彼女の唇だけではなく、口内まで蹂躙された。 クチャァ…と、粘着ある唾液を引き、二人の唇は離れた。 茫然自失としている五和の耳に、『魔神』の声が囁いた。 「上条当麻はお前と違う女を心底愛している。そなたに振り向くことなど、一度たりとも無い。そなたの一途な恋心が実を結ぶことなど、決して無いのだ」 「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――え?」 五和は、凍りついた。 そして、目の前が真っ暗になった。 見たこともない風景が映っていた。 自分と上条当麻が仲睦まじく、過ごしていた。 天草式の皆と、笑い合っている。 自分の手と上条当麻の手は指をからめ合って、繋がれていた。 一緒に映画館に出かけたり、 一緒にレストランに出かけたり、 皆に隠れてキスしたり、 二人で夜をベッドの上で過ごしたり、 他の女の子に好かれる上条当麻に嫉妬したり、 天草式のメンバーから二人の熱愛ぶりを冷やかされたり、 恋人となった上条当麻との日々が、目の前にあった。 それは自分が望んだ現実であり、その光景に心が満たされる。 しかし、その幻は一瞬で崩れ去った。 気づけば、五和は暗闇に一人佇んでいた。 (ここは…どこ?) 一筋の光があった。愛しい男の背を照らしていた。 あのツンツンとした髪型は、一日たりとも忘れたことは無い。 「!当麻さ…」 彼女の声はそこで途切れた。 周囲が徐々に明るくなるにつれて、彼が一人ではないことがわかった。 当麻の傍に他の女がいた。 他の女が手をつないでいた。 手を取り合いながら、彼女は当麻に微笑みかける。 彼も彼女に微笑みかける。 彼の笑顔は、自分と一緒にいた時よりも輝いて見えた。 なぜ、隣にいるのは自分ではない? こんなにも好きなのに。 誰よりも好きなのに。 彼の為に、誰よりも努力してきたのに。 彼の為に、可愛くなったのに。 彼の為だけに、尽くしてきたのに。 なんで、自分に振り向いてくれないのか。 五和は、叫んだ。 「…い、……いやああああああああ!!」 「―――――――――――――――――――――っ…―――あっ……」 気づけば、『上条当麻(ドラゴン)』は眼前にいた。 自分の瞳は、涙に濡れていた。 「それはお主が望んだ幻想。だが、それは有り得なかった現実ではない。お主と上条当麻が結ばれる運命は、確かに『在』ったのだ」 五和にはそれが、分かった。 先ほどのビジョンが真実であることが理解できた。 この世に「並行世界」というIFがあれば、自分と上条当麻が結ばれ、愛を語り合えた未来があったことは確かだった。 あのキスの感覚、抱擁された時の感覚。 愛の温もり。 芯から蕩けるような幸福の感情。 在ったことなのだ。 自分が、もうちょっと手を伸ばしていたなら、 もっと積極的に接していれば、 上条当麻と少しでも長く傍にいれば、 彼は私を見てくれた。 愛してくれた。 「……あ、ああ…ああ…あ、あああーっ……」 涙が止まらない。 感情が制御できない。 上条当麻が、御坂美琴を選んだことを知った時、自分は諦めると思ったのに。 あの時、彼を慕う人たちと一緒に思いっきり泣いたのに。 この涙は、まだ枯れていなかった。 彼女の涙を、『魔神』はそっと拭った。 愛しい男の顔が眼前にある。そして、甘い声が彼女の耳に囁かれた。 「『余』はお前を愛してやる。この身に抱かれることを光栄に思え」 もう一度、『魔神』は五和に唇を重ねた。 舌を入れ、彼女の口を再び蹂躙する。熱い感情が五和に湧き上がり、脳内を揺らすほど刺激する。 涙はそれでも止まらなかった。 だが、徐々に冷え切ったに生ぬるい温度が満たされていく。 何度も、彼女に濃厚なキスが襲ってくる。それを成すがままに五和は受けいれていた。 熱い。 温かい。 …欲しい。 手に入らなった愛情が欲しい。 彼女は、『魔神』の甘美な囁きに耳を傾けてしまった。 五和は自らの意思で、『魔神』の舌に、自分の舌を絡めた。 神裂火織は眼前で起こっている現象に絶句していた。 五和は『魔神』と唇を貪り合っていた。 だが、彼女が注目しているのはそれではない。 『魔神』の右肩から生えている巨大な『何か』だ。翼のような、腕のような…このようのものとは思えない、不思議な物質だった。 四本の長い指先のような先端から、一本の毛糸のようなものが出ており、それが五和の頭に繋がっていた。 五和は『魔神』に抱きしめられて、その異様な物体が見えていないだろう。 神裂火織は『それ』を『識』っていた。 この世全ての万物を操り、変換し、願望通りに物体を作りかえる神の領域の力を持つ腕。 かつて『神の右席』の『右方のフィアンマ』が所有していた、『ドラゴン』の一部。 『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』。 あの腕のせいで、『禁書目録(インデックス)』や自分たちがどのような被害をこうむったか、神裂の脳裏にまざまざと蘇った。 その事件は、「科学」と「魔術」との戦争の芽となり、「ドラゴン」が覚醒を始めることとなる事件だった。 彼女は力一杯に歯を食いしばり、唇を噛み切ってしまった。 「ドラゴンッ!!貴様、何をしているッ!!五和から離れろォォおおお!!!」 七天七刀を握り締め、神裂火織は何の考えもなしに突進した。 アスファルトは聖人の脚力で蹴り砕かれた。『聖痕(スティグマ)』を発動し、魔力を爆発させた。 石柱すら一刀両断する刃は、『魔神』を捉え、右腕の傷から血が飛び散ることも恐れず、両手で刀を握り、『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』の一指を斬り落とした。 『魔神』は五和から体を離すと、常人離れした脚力で跳び上がり、歩道橋の手すりに足を止めた。 斬り落とされた指と五和の頭に繋がっていた糸は霧散し、『魔神』の右肩から生え出ていた『竜王の鉤爪(ドラゴンクロー)』はゴキゴキという音と共に、『魔神』の身体に潜り込み、その姿を消した。 神裂の腕に、五和は倒れこんだ。 傍には、術式が打ち消されたナイフと『海軍用船上槍(フリウリスピア)』が転がっている。 神裂は射殺しかねない視線で、『魔神』を睨みつける。 「ドラゴンッ!!五和に何をしたあああああああああ?!」 左手で七天七刀を振りかざし、太陽を背に立っている『魔神』に吼えた。 Yシャツの左胸あたりが血で赤く染まっており、『魔神』は唇をそっと舌で舐める。 不敵な笑顔を取りつくろい、神裂火織の神経を逆なでする口調で、 「何を言っている?貴様も見ていたであろう?余は、五和を余のモノにすると決めただけだ」 「ふざけるなっ!お前はただの下種だっ!神を名乗る資格も無い!」 「ふはははははっ!余は神を殺すための神だ。それ以外の義務は無い。人を殺そうが犯そうが蹂躙しようが所有しようが、余の気まぐれだ。余はその人間が気に入った。それだけだぞ?聖人よ」 神裂火織の頭は激怒で沸騰した。 『竜王(ドラゴン)』は神でも、例外中の例外であり、神を殺す権限と能力を与えられている『怪物(カイブツ)』である。 人には災いや破壊を齎す神でもあるが、それは邪悪なものにしか適応されない。偉人を導き、絶大な力を宿し、世に平定を齎す象徴ともなる神でもあるのだ。 だが、強すぎるがために人に畏怖され、そして、肉体をバラバラにされ、人間に封印された。 よって、人間という『穢れ』と『強欲』を知った『竜王(ドラゴン)』は、ただのカイブツに成り果てていた。 その原因が人間であり、人間はその罪を忘れて、ただ『竜王(ドラゴン)』を恐れていたのだ。真に罪深き者は人間である。 だが、神裂火織は『識』らない。 『魔神』は怒りに身を焦がす聖人を見据え、笑いながら、 「聖人よ。貴様は何か勘違いをしていないか?」 「ッ!!どういうことだ?!」 『魔神』の言葉に嫌悪感すら覚える彼女に、冷静な思考はとうに失われている。 心にあるのは、『魔神』に対する憎悪と、仲間を想う情のみだ。 (ちっくしょうッ!これ以上仲間を失ってたまるか!建宮も、対馬も、香焼も死なせて、私はッ!皆を守るためにここにいるのにっ!私の為に天草式があるんじゃない!天草式のために私がいるんです!) 神裂は自分の弱さと激情に駆られ、瞳には涙すら貯めていた。 『魔神』は顔を歪ませる神裂を笑いながら見つめ、 告げた。 「五和は、自ら余のモノになることを受け入れたのだぞ?」 ドスッ… 鈍い音が響いた。 赤い血の斑点が、アスファルトを濡らし始めた。 数秒、神裂は反応が遅れた。 「か――――はっ…」 彼女は、目の前の現実が受け入れらず、途切れ途切れに声を吐いた。 なぜなら、 彼女の腹に、 五和が『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を突き刺さしていたからだ。 喉から込み上げた血を手で抑えながら、神裂は呟く。 「……五、和?………何…をっ?…」 「なに、余に籠絡されただけのことだ」 『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を神裂の腹部から引き抜いた五和は、立ち上がって無機質な瞳で彼女を見つめた。 大量の血が流れ出る腹部を抑え、神裂火織はアスファルトの上をのたうった。 「きゃあああああああああああああああああああ!!」 「プ、『女教皇(プリエステス)』様ぁああ!」 「五和ぁあ!お、お前何をッ?!」 他の天草式十字凄教のメンバーはその光景に目を疑った。 ある者は悲鳴を上げ、またある者は言葉を失ったまま、茫然としているだけだった。 『魔神』は高らかに声を上げる。 「ふはははははははははははっ!良い!実に素晴らしい!五和!なかなかに愉快な景色ぞ!誇るがよい!」 ぺたぺた、と五和は素足でアスファルトの上を歩き、『魔神』が立っている歩道橋の下まで近寄った。彼女は『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を捨て、『魔神』を見上げた。 「ハイ…当麻、様」 無感情な五和の返答は、『魔神』をさらに悦ばせた。 「ふはっはっはっ!意識を嫉妬と欲望に流されながらもそれでもなお、上条当麻に恋焦がれるか!なんとも色欲に素直な人間か!だがそれで良い。それこそ人間のあるべき姿だ。気に入った! これは神の加護ぞ!心して身に受けるがよい!」 『魔神』の背中から白の翼が発現する。4メートルほどの大きな片翼が、五和の体を覆い尽くした。 翼の形をした『何か』は、外形を崩し、白い液体のような粘着性を持ったモノへと変貌した。グチャグチャと音を立てながら、五和を包み込んでいく。 フワリと、その『何か』地面から浮き上がり、『魔神』と同じ高さまでになると上昇を止めた。ボタボタと白い液体が垂れ落ちるが、みるみる硬化が始まり、楕円の繭のようなものが形成された。 全長は三メートルをで、幅は二メートルほどある。 歩道橋の手すりから『魔神』は離れ、ゆっくりと浮遊し、白い繭に近づいた。そして、『魔神』は右手を触れる。 パリンッ。 ガラスが割れたような音が鳴り、『魔神』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が反応した。 白の繭に亀裂が走り、その隙間から強烈な光が漏れだした。 辺りは眩い光に包まれた。 太陽の光を浴びた羽が舞い降りる。 天草式十字凄教のメンバーは奇怪な現象に目を疑った。 「なんだ?…これ」 周囲が光に包まれ、五和や神裂火織の様子は分からない。ただ、無数の羽のような白い物体が空から降り注いでいることが分かった。傷ついた仲間に手を貸している者が多くいる中、一人がその羽のような物体を掴もうとして、 「熱っ?!これ、ただの羽じゃないぞ?!」 ジュウッ、と音を立てて掌に火傷を負った。 他の天草式のメンバーも被害を受けて、急ぎ早に物陰に避難した。 羽のような物体は、人間や植物には被害を及ぼすが、アスファルトや鉄で出来た信号や歩道橋には全く変化が見られなかった。まるで雪が解けるように霧散していく。その神秘的な光景に目を奪われつつ、天草式十字凄教のメンバーは『魔神』の方角に目をやった。彼は言葉を失った。 天使。 左胸のあたりを赤く血で濡らしたワイシャツを着て、両手を黒ズボンのポケットに入れている一人の『魔神』と、同じ高さに浮上している『天使』がいた。 白のローブを身に纏い、金色のラインが入った純白の甲冑を着ていた。銀色の金属ブーツが光沢を発していた。無機質な紫色の瞳を宿し、紫色の髪を靡かせている。 背中には大きい白の翼が生えていた。 天草式十字凄教のメンバーは息を飲んだ。 「………五、和?」 ガチャン!と白い繭は地面に落ちて、割れた。 空に浮かび、繭から生まれた『天使』は五和の容姿をした少女だった。 二重瞼が特徴的な瞳に、肩にかかる長さのショートヘアーをした容姿は、五和そのものだ。だが、彼女の表情に、感情は宿っていない。 『天使』は右腕を水平に突きだした。 彼女の周囲に散乱していた羽が急速に集まり、純白の槍を形成する。 少女の全身の二倍ほどある翼が動き出し、槍を天草式の人々に入る方角に向けた。 空気が戦慄する。 一帯を覆い尽くしている羽が、一斉に天草式のメンバーに襲いかかった。 「―――――――ッ!!?」 吹雪のように降り注ぐ白の無数の羽。 咄嗟に武器で身を防ごうとするが、間に合わない。 生物の肉体のみを焼き尽くす羽は容赦なく、彼らに向かっていった。 それは彼女も例外では無い。 交差点の中心で倒れていた神裂火織は、穴が開いた腹部を抑え、仰向けにその光景を見ていた。彼女は朝日に照らされる『天使』と『魔神』を見つめ、茫然としたまま死を悟った。
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0409:血塗れの死天使たちへ ◆kOZX7S8gY. 「――――――――――――――――――――…………………っ……」 息を呑んで、脚を動かして、耳を傾けて。 私――姉崎まもりは、走り続けていた。 『――ご機嫌いかがですかな、皆さん』 放送が始まっても、走り続けて。 『あなた方は実によく働いておられる。このゲームを企画した側としても、実に嬉しく思いますよ』 主催者の下らない戯言には興味ない。 私が知りたいのは、ただ一つ。 あの子の、生死だけ。 私は、死亡者が読み上げられるのを待った。 大阪へ向け、全力で疾走しながら。 『藍染惣右介』 一人目――私が殺したあの人だ。 『ウソップ』 二人目――知らない名前だった。 『小早川瀬那』 三人目―――――――――――――――――――――――― 「……………………………………………………………」 その瞬間、私の世界が止まった。 『大空翼、キン肉スグル、ウォーズマン、ブローノ・ブチャラティ、志々雄真実、ボンチュー、マミー』 その他の死亡者の名が読み上げられる。でも、聞こえない。 「…………………………………………………………………………………………………………………………え」 聞き間違いや幻聴ではない。 確かに、読み上げられた。 小早川、瀬那。 「こばやかわせな」 金魚みたいに口をパクパクさせているのが分かる。 止めようと思っても、止まらない。 「こばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせな」 私の口は、壊れてしまった。 同時に、思考も崩壊し始める。 走った。 今聞いた名を、振り払いたくて。 「こばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせな」 「こばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせな」 「こばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせなこばやかわせな」 音が反響して聞こえる。 ここはいったいどこなんだろう? 周囲の景色が目に入らない。 なのに、脚は止まらなくて。 脳では、あの子の名前が鳴り続けて。 気持ち、悪い。 「――――――――――」 ひょっとしたら、喉が潰れてしまったのかもしれない。 そうなるくらい、あの子の名前を呼び続けたのかもしれない。 言葉が出せなくて、何も喋れなくなって。 でも不思議。 脚は、大阪へ向かって一直線に進んでる。 変だよね? あの子は、もう死んじゃったのに―― ゴッ イタっ。 何かが、頭にぶつかった感触がした。 その衝撃に躓いて、私は盛大にすっ転ぶ。 唇に土の味が行き渡って、初めてそこがどこか認識する。 森だ。地面は雨に濡れたせいか、グチョグチョに滑っていた。 気持ち悪い。服や髪に泥が付いちゃった。 泥だらけになった身なりを気にしていると、ふいに頭部から発せられる激痛信号を察知した。 米神のあたりに手を触れてみる。 ドロリ、と、ヌメヌメした感触が。 あ、血だ。 それもいっぱい。 こんなに出血して、大丈夫かと不安になる。 でも、たしか米神とか額って、大袈裟に血が流れるものなのよね。 なら、見た目ほど酷くはないかも。 ん……でも、痛い。 何でこんな怪我をしているんだろう、私。 疑問に思って、足元に落ちていた血まみれの石を発見する。 私は立ち上がりながら、その石を摘み上げて監察。 ドロっとして、生暖かい。これ、私の血だ。 ああ、そっか。これが、私の米神に当たったんだ。 石は硬いから。どうりで、血も流れるはずだ。 ………… これ、ぶつけたの…………だぁれ? 女の子が、立っていた。 綺麗な顔立ちの、お人形さんみたいな女の子。 顔だけ見ればアイドルに思えなくもない……でも。 彼女の着ている服には、夥しい量の血液が付着していて。 木陰から顔を覗かせるその姿は、アイドルというよりも幽霊みたいで不気味だった。 「……あなたが、石、ぶつけたの?」 変だ。 喉が渇いているのか、うまく喋ることが出来ない。 「ねぇ、なんで? なんで、こんなことをするの?」 私はただ、大阪へ向かおうとしていただけ。 あの子を守るため、精一杯走っていただけ。 今回ばかりは、誰を殺そうとか、そういう考えは全部忘れていたのに。 「どうして……邪魔するの?」 女の子は、答えてくれない。 私の顔を、監察日記をつけるような熱心さで凝視したまま、いっこうに目を放さない。 私の顔に、何か変なものでも付いてるのかな。 分からない。分からなくていい。 知りたいのは、一つ。 あなたは、私の邪魔をするのかどうか―― ♪ 月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月月 『やったよ月! ミサの投げた石、あの女の頭に命中したよ!』 『ああ、よくやったぞミサ。彼女も相当なダメージを受けているようだ』 ライトライトライトライトライトライトライトライトライトライトライトライト 『でも……あの女、ひょっとしたらすごく強かったり……しないかな?』 『何も不安がることはないさ。僕の推理では、彼女はただの人間。ミサでも問題なく殺せる』 らいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいとらいと 『本当!? ミサでもやれるかな?』 『もちろんさ。さぁ、頑張って殺しておいで――僕のために』 LightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLightLight 『うん! ミサ頑張るから……だから、月。ちゃんと傍で……見てて、くれるよね?』 ♪ 女の子が迫ってくる。 その細い腕に、先端の尖った棒を携えて。 私に向かって、ゆっくりと。 一歩、 二歩、 三歩、 危機感を感じていないわけではなかった。 ただ、頭がふらついて、どうにも足取りが重い。 一歩、 二歩、 三歩、 石をぶつけられた衝撃が、私の動きを鈍らせているようだった。 本当ならこのまま気絶したい気分……でも、彼女が迫ってくる。 一歩、 二歩、 三歩、 逃げなきゃ――そう思ったときにはもう、遅かった。 ぽすっ 優しく、彼女の身体が私に圧し掛かる。 軽い。全身を預けられているというのに、酷く軽い。 きっと食事もあまり取っていないんだろうな。 すぶり 私がどうでもいい心配している最中も、彼女の狂気は納まらなかった――そのことに、気づけなくて。 小さな水音と、腐ったような悪臭がして。そこから、腹部に痛みを感じた。 ぽたぽた 一瞬、ああ、また雨が降ってきたんだな。と錯覚した。 でも、空は曇っているだけで、何も落としてはいない。 雫の垂れるような音の正体は、私のお腹から滴る血だったんだ。 ぐりぐり 私のお腹の中で、彼女の握った槍が回転を始める。 ドライバーでネジを回すみたいに、中の色んなものをかき混ぜてしまう。 それを自覚すると、もうあとは痛みしか感じなかった。 痛い。やめて。痛いから。やめて。お願い。本当に。お願い。お願い。死んじゃう。 死んじゃうよぉ。死んじゃったら、死んじゃったら、死んじゃったら、死んじゃったら。 もう、あの子が守れなく―― 「…………こばやかわせな」 私は、枯れた喉から彼の名を搾り出した。 「小早川、瀬那」 あの子の、私が守ってあげなくちゃいけない、弱いあの子の名前を。 「セナ!」 掛け替えのない、存在を、守るため! 「あっ!?」 私は精一杯の力で彼女の身を引き剥がし、そのまま体当たりで吹き飛ばした。 べちょっ、という汚らしい音を鳴らし、彼女の身体は泥の中へと倒れこむ。 とりあえず窮地を脱した私は、腹部に突き刺さった槍を力任せに引っこ抜く。 私の血がべっとり付いた槍……見ているだけで気持ち悪い。 私はそのまま槍を握り締め、倒れたままの彼女に向かって投擲した。 「ッ痛い!」 へろへろな軌道で放られた槍は彼女の綺麗な生足を掠り、一筋の血線を残して地に転がる。 串刺しにするつもりで投げたものの、頭部と腹部から来る痛みのせいか、少し狙いを外してしまったようだ。 それでも効果は覿面。彼女は痛みに悶え、泥だらけの地面を転げ回る。 滑稽だった。そうだ。私の邪魔なんてするから、こういう目に遭うんだ。 私を殺そうとするなんて、そんな―― 「……小早川、セナ君は……死んだよ」 呟く。 「え?」 「放送、聞いてなかったの? 私、少し前まで彼と一緒だったの。セナくんは、パピヨンっていう蝶々仮面の変態に殺された」 え? 「あなた、ひょっとして姉崎まもりさんじゃない? セナくんの友達だっていう」 私は、彼女が何を言っているのか理解できなかった。 だけど脳は、必死に命令を下す。 ――武器を手に取れ。 ――あいつを殺せ。 そんな風に。 私が持っている唯一の武器である鉄パイプ。それを躊躇いもなく取り出したのは、本能が呼びかけていたからなんだと思う。 「逢いたかったんでしょ? でもざんねん。あいつはね、ミサが武器をあげたにも関わらず、Lを殺すことができなかった。 本当にざんねん。すっごい無駄死に。グズの上に、クソの役にも立たない。生きてる価値もない、どうしようもないダメ人間」 ああ、そっか。 私がずっと彼女に抱いていた嫌悪感の正体は、これだったんだ。 そのことに気づいた私は咄嗟に駆け出し、鉄パイプを強く握り締め、振り上げる。 私の行動に口を黙らせた彼女を目下に、腕に思い切り力を込め、振り下ろした。 ガスンッ 彼女はセナを知っている。 セナが死んだことも知っている。 知っておきながら、その死を嘲笑う。 なぁんだ。 セナを虐めていたのは、彼女だったんだ。 ガスンッ ガスンッ 振り下ろす、振り上げる、振り下ろす。 ガスンッ ガスンッ 何度も何度も、音が鳴り響く。 ガスンッ ガスンッ 「痛い……痛い……」 ガスンッ ガスンッ 彼女の言葉は、聞こえない。もう、聞かない。 ガスンッ ガスンッ 「痛い……ね、べぇ……ご、でぇ……本当に、いだい、ぐげっ、」 ガスンッ ガスンッ 「や、べて……ミサ、アイド、どぅだから……痛いの、や、だか、ら……」 ガスンッ ガスンッ さっきから口を動かして、何か言っている。 知るもんか。セナはもっと痛い思いをしたんだ。 ガスンッ! ガスンッ! よりいっそう力を込めたら、彼女は口を動かすのをやめた。 死んだ? ううん、まだ生きてる。単に抵抗するのをやめただけだ。 ガスンッッ!! ガスンッッ!! 「あべぇっ」 ――喉の奥底から、搾り出したような嗚咽が聞こえた。 ……死んだ? 死んだの、かな? まだ分からない。もっと叩かなきゃ。 私は、休まず鉄パイプを振り上げる。 「――――まもりちゃん!」 もう何度目か分からない殴打の最中、私の身体は何者かに体当たりされて、吹き飛ばされた。 泥だらけの地面の上、仰向けに倒れてしまった私はすかさず身を起こし、謎の襲撃者に対処しようと試みるが、 「もうやめて、まもりちゃん!」 ――上半身だけ起こしたところで、私の身体は、麗子さんの手によって羽交い絞めにされてしまった。 お互いに抱き合ったような状態で、二人の距離は完全にゼロ。 幸いにも手から鉄パイプは離れていなかったが、この密接した状態では殴るに殴れない。 鬱陶しいのに、引き剥がせない。 私は、セナを虐めたあの娘を粉々にしなきゃいけないのに。 「もういい! もういいのよまもりちゃん! あなたはもうこれ以上、罪を重ねる必要はないの!」 何が、もういいって言うの? セナが死んだから? ……認めない。私は、絶対に認めない。 「うるさい……私は……セナのために……あの女を殺……」 「バカ!」 全部言い切る前に、私の言葉は麗子さんの一喝によって掻き消された。 「あなたもう、十分頑張った! もうこれいじょう頑張る必要はないの! もう休んで、普通の女の子に戻っていいの!」 頑張った――――私が? そんな、だって私は、まだセナを守れてない。 「あなたが守りたかったセナちゃんは、もう死んでしまったのよ!」 「――!」 聞きたくなかった。 でも、耳が受け入れてしまった。 その言葉を。覆しようのない、その事実を。 「悲しい気持ちは分かる! 悔しいって思いも分かる! でも……でももうどうしようもないの! まもりちゃんが足掻く必要は、もうどこにもないの!!」 ――痛いよ、麗子さん。 そんな正面から正論をぶつけられたら、私、どうしていいか分からなくなっちゃうよ。 「う……」 私が守りたかった。 死なせたくなかった。 小早川瀬那。 生きてて、欲しかった。なのに。 「……っぐ」 どうして。 「ぐっ……うぇ」 ……どうして……セナが……死んで…… 「……どうして……セナが……死んで……」 あの子は、何も悪いことしてないのに…… 「あの子は、何も悪いことしてないのに……」 ……なんで、なんで殺されなきゃ…… 「……なんで、なんで殺されなきゃ……」 う、っぐぇ……うう……っ……~~ 「う、っぐぇ……うう……っ……~~」 「まもりちゃん……」 麗子さんの両腕が、私の血塗れの身体を優しく包み込む。 聖母さまみたいな印象を感じた。 どんな罪も洗い流してくれるような、そんな気さえしてしまう。 「ぅ――――――――――――ぁ――――――――」 「悲しさを、閉じ込めないで。あなたはもう、泣いていいから」 「ぅわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」 安心した私は、思い切り泣きじゃくった。 セナという掛け替えのない存在を失ってしまった悲しみに、ただただ打ちのめされて。 狂気も全部、悲しみで埋め尽くして。 泣いて泣いて泣いて、泣き続けた。 押し寄せてくる涙は、決壊したダムのように止め処なく。 麗子さんはただ黙って、私を優しく包みこんでくれた。 視界はとうに水没してしまい、麗子さんがどんな表情をしているのかさえ分からない。 ザッ もう一度、セナに会いたかった。 人殺しになった私を見て、軽蔑されてもいい。 それでも、もう一度セナに会いたかった。 ザザッ 私がついてるから、大丈夫。 私が守ってあげるから、大丈夫。 最後はヒル魔くんも生き返って、もう一度クリスマスボウルを目指せるからって。 ザザザッ 言ってあげたかった。 安心させてあげたかった。 今さら後悔しても仕方がないけど。 ドスッ 私は、セナに会い…………!? 「………………あ、れ?」 ヌルリとした感触が、手の平いっぱいに広がる。 同時に、腹部の辺りにも痛みを感じた。 そのせいか、涙でぐじょぐじょになっていた視界は一瞬で晴れ、目の前の光景を映し出す。 傍には、私を抱いたまま苦悶の表情を浮かべる麗子さん。 その奥には、どこかで見たセーラー服の女性が立っていて―― 「ぁ」 ――津村、斗貴子。 どうして、彼女がここに? ううん。それよりも。 どうして、麗子さんの背中にあんなものが―― ♪ 救いたかった。 殺し合いなんていう馬鹿げた呪縛から、あの子達を解き放ちたかった。 キルアちゃんも、リョーマちゃんも、星矢ちゃんも、まもりちゃんも。 こんな世界にいるべき人間じゃないから。 それが大人としての義務であり、警察官としての仕事だから。 こんなの、私の自己満足かもしれないけど。 でもやっぱり、何の力もない子供達が殺し合うっていうのは、間違ってると思う。 胸が痛い。 視線を落とすと、私の胸部を金属の刃が貫いているのが分かった。 その刃は深く貫通し、まもりちゃんの腹部にまで届いている。 いけない。まもりちゃんが不安そうな顔をしている。 笑わなきゃ。痛いけど、頑張って笑って、この子を安心させてあげなくちゃ。 「……大丈夫よ。まもりちゃん」 怯えないで。私は、平気だから。 「星矢ちゃんが、言ってたでしょ? ハーデスを倒せば、きっとみんな生き返る。セナちゃんとも、きっとまた会える」 そうよ。そうすれば、圭ちゃんや部長さんにも、また会える。 もちろんその時は、両ちゃんも一緒に。 また、亀有公園前派出所に戻れる。 今頑張れば、きっと日常を取り戻せるから。 だから、ねぇ、 笑いましょ?―――――― ザンッ ボトッ コロ…… コロ…… コロ………… ♪ 初めから、こうすればよかったんだ。 そもそも、『臓物をブチ撒ける』なんていうのは、憎きホムンクルスに苦痛を与えるための殺し方だ。 相手がなんの罪もない、ただの人間であるというならば――苦しめず、楽に逝かせてあげるのが、せめてもの情けだ。 こんな風に、『首から上』を斬り落とせば。 胴体と脳を完全に遮断してしまえば、痛みを感じることも死を実感することもなく、楽に死ねる。 もっと早く、このやり方に気づいていればよかった。 最初からこうしていれば、両津や星矢も苦しまなかっただろうに。 今、一時だけ、『すまない』と言っておこう―― 「麗子さん……首が……首が、ないよ…………?」 私には、まだ任務が残っている。 秋本麗子だけではない。彼女も殺さなくては。 バルキリースカートを振り上げる。 狙いは、首だ。 大丈夫、一瞬で楽になる。 だから、どうか、安心して―― ♪ ぴちゃ ぴちゃ 「麗子さん……首が……首が、ないよ…………?」 私に身を預け、力なく項垂れる麗子さん。 その頸部には、血の断面図が浮かび上がっていた。 ぴちゃ ぴちゃ 触れてみると、新鮮な水音が鳴って、手が真っ赤に染まった。 ぴちゃ ぴちゃ 何度触っても、それは変わらない。 いつまで経っても、頭の質感に辿り着けなくて。 ごぷ ごぷ 触りすぎたせいだろうか、断面図からは、湯水が湧き出るように血が溢れてきた。 本来なら脳に送られるべき血液が、全部体外に放出されてしまう。 ――そんな―― ――どうして、麗子さんが?―― ――どうして、どうして―― ――麗子さんが、殺された―― ――あの女に、津村斗貴子に―― 「――――――」 何も言わず、麗子さんの身体は、糸の切れたマリオネットみたいに崩れていく。 私は、その身を支えることができなくて。 麗子さんの死体は、ぐしょっ、と地面に投げだされた。 泥と、まだ暖かい血が頬に飛び散る。 実感した。 麗子さんは、死んだ。 どうしようもないくらい悲惨で容赦なく潰され徹底的に壊された上で死んだ。 それを実感したら、とてつもなく悲しくなって。 でも、それ以上に。 激怒した。 「ぁ――――――――――」 悲しみを閉じ込めて、立ち上がる。 鉄パイプを握りなおし、ありったけの力をこめる。 許せない。 許せない許せない許せない許せない。 許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない。 駆け出した。 何もかも、ぶっ壊したくて。 「な――!?」 麗子さんを殺したあの女を、粉々にしたかった。 「うおアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 声なんて、とうに枯れたと思ってた。 でもそれは、錯覚だったんだって気づく。 私はまだ、叫べる。怒ることが出来る。 津村斗貴子に向かって、死ねと叫べる。 「死んでくれ」 そう言ったのは、誰だったか。 え? 今の、私じゃない。 「――がふっ!」 決死の思いで突攻を試みた私の身体は、津村斗貴子の太腿に装着された四本の鎌によって、宙に投げ出された。 体重の軽い私は、空中で六回転半ほど回って、木に激突。その時の衝撃で、私の上に何枚か木の葉が舞い落ちる。 不思議と、痛みは感じなかった。 それほど大したダメージじゃないのか、打ち所が良かったのか。 とにかく、私はまだ生きてる。 今の内に、あの女を殺しに行かなきゃ。 「ぁ、れ」 おかしいな、身体が、動かない。 それに、手足がみんな、ありえない方向を向いている。 あれ、左肘のところ、骨が飛び出してる。 おかしい。こんなの、絶対におかしい。 だって、全然痛くないのに。 なのになんで、思うように動いてくれないの? 「苦しめたくなんか、ないんだ」 ピクリとも動かなくなった私に、津村斗貴子はゆっくりと歩み寄る。 「頼むから、抵抗しないでくれ」 嫌だ。抵抗する。お前を殺して、この悲しみを振り払うんだ。 「頼むから、大人しく死んでくれ」 私の眼前まで来て、彼女は、無表情だけど――どこか、悲しそうな瞳で訴えていた。 知るもんか。 私は、こいつを殺す。 麗子さんは、駄目っていうかも知れないけど。 それじゃあ、私の気が治まらないから。 だから、許してね。 「………………やー、はー…………………………」 ザクッ ドサッ ブシャァァァァ………………… ♪ 「……武装錬金、解除」 血に塗れたバルキリースカートを核鉄の形状に戻し、私は、終焉を迎えた現場を直視する。 血の海と形容するには十分な――地獄絵図が、その場に広がっていた。 私が自らの手で斬り落とした、二つの首と首なし死体。 それに、おそらくは姉崎まもりに撲殺されたのであろう、血塗れの少女の死体が一つ。 皮肉なことに、全員が私の顔見知りだった。 「本当に、無残だな……」 何を言う。 これは、私自身がやったことではないか。 人を殺すと、私が決めたことじゃないか。 今さら悲しんだり哀れんだりするのは、卑怯だ。 「……大丈夫。何を隠そう、私は人殺しの達人だ……」 こんなことを言ったらカズキ、キミは怒るのだろうな。 ……クソッ。 私は自分の頬を引っ叩き、俯きかけていた気持ちに気合を入れる。 ウジウジするのはもうやめだ。私にはまだ、やらなければならないことが残ってる。 カズキ。キミに怒鳴られる覚悟など、私はとっくに出来ている。 キミがなんと言おうと、私は進むぞ。 ――――東へ。 ♪ ………………………………………………………………勝った。 勝ったんだ。 もう、怖い人は行ってしまった。 でも、まだ生きてる。 生き延びた。 あの女は、二度もミサの名演技に騙されたわけだ。 「ふ…………ふふ」 立ち上がって、あたりの惨状を確認する。 ミサを袋叩きにしてくれたあの女は、津村斗貴子の手によって首チョンパされていた。 清々しい。なんていい気味なんだろう。 物言わなくなった首に歩み寄り、私は満面の笑みを披露する。 残念でした。あんなへろへろな攻撃じゃ、ミサは死にませーん。 結局は、津村斗貴子が現れて去るまで、ずっと死んだフリをしていたミサの一人勝ちってワケ。 悔しい? 死んじゃって悔しい? きっとあれだね。ミサに酷いことしたから、神様に罰を与えられたんだね。 あ、ひょっとして月かな? 月が、天国からデスノートでこいつを裁いてくれたのかな。 やっぱり、月はミサの王子様なんだ。月が付いていてくれれば、ミサはなんでもできる。 羨ましいでしょ。セナ君みたいな無能なガキじゃ、こんなことしてくれないでしょ。 戦うための力も、生き延びるための演技力も持っていないのに、ミサに歯向かうからこうなるんだ。 ホント、いい気味。 …………。 ……ねぇ、何か言いなさいよ。 「…………」 そのどんよりと曇った瞳が、ミサを馬鹿にしているようで。 なんだか、無性に腹が立った。 ミサを馬鹿にする奴は、許さない。 そんな奴には、キラの制裁が必要だ。 私は拾った槍を逆手に握り締め、頭の上まで振り上げた。 この女に、制裁を与えるために。 ミサのカワイイ顔をボコボコにしてくれたこの女に、もっと惨めな死を与えるために。 「ふんっ!」 首へ、振り下ろす。 ザクッ ザクッ 「死ね! 死ね! 死ね!」 ザクッ ザクッ 尖った槍の先端が、首の表皮や髪の毛を削り取っていく。 鮮血が飛び散り、ミサの服を赤色に染め上げる。 ザクッ ザクッ まだだ。 顔の皮が全部削り取れて、脳ミソが飛び出て頭蓋骨が見えるまで許してやるもんか。 ミサは、ひたすら熱心に槍を振り下ろし続けた。 邪魔する奴はいない。 月だけが、見守っていてくれる。 ミサは、最強なんだ。 しばらくして、ミサは手を休めた。 あの女の頭部はもはや原型を失い、グロテスクなだけの汚物と化していた。 ねぇ月、これ、ミサがやったんだよ。ミサが、月のためにやったの。 褒めてくれる? くれるよね。やりィ。 「あは……あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははぁっ!」 こんなに気持ちいいの、生まれて初めてだった。 今まで、もうこんなの嫌だ――って思ってたけど。 ここに来て初めて、殺し合いの世界っていうのも、 悪くない。そう感じるようになった。 「あれ」 急に、身体がフラついた。 私の身体は、そのまま泥だらけの地面に倒れこむ。 やだ、気持ち悪い。でも、眠い。 疲れちゃったのかな。ごめんね月。ちょっと休ませて……。 起きたらまた、月のために、たくさん殺すから―――― ♪ ひょっとしたら、この世界に神さまはちゃんといるのかもしれない。 それはもう完全無欠に立派で公平な人格者で、強い者にも弱い者にも、ただ公平に見守るだけ。 宇宙人とか魔王とか冥界の王とかがくだらない盤上の遊戯に勤しんでいても、 なんの力もない子供が己の力を誇示してばかりの醜い大人に惨殺されたとしても、 少ない希望を頼りに必死に生き残る道を模索するグループがバラバラに分解されたとしても、 決して手は出さずに、ただ黙って静観するだけなんだ。 あぁ、なんてありがたい神さまなんだろう。 死んじゃえ。 【大阪府/日中】 【津村斗貴子@武装練金】 [状態]:軽度疲労、左肋骨二本破砕(サクラの治療+核鉄効果により完治) 右拳が深く削れている 顔面に新たな傷、核鉄により常時ヒーリング 絶対に迷わない覚悟 [装備]:核鉄C@武装練金、リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし [道具]:荷物一式(食料と水を四人分、一食分消費)、子供用の下着 [思考]1:さらに東へ。 2:クリリンを信じ、信念を貫く。跡を継ぎ、参加者を減らす。 3:ドラゴンボールを使った計画を実行。主催者が対策を打っていた場合、その対策を攻略する。 4:ドラゴンボールの情報はもう漏らさない。 5:ダイを倒す策を練る。 【兵庫県南東部/森林/午後】 【弥海砂@DEATHNOTE】 [状態]:気絶、重度の疲労、殴打による軽い脳震盪、全身各所に打撲、口内出血、右足に裂傷 精神崩壊、重度の殺人衝動、衣服が血と泥に塗れている [装備]:魔槍@ダイの大冒険 [道具]:荷物一式×3(一食分消費) [思考]1:会った人を殺す。 2:強い人に会ったら、逃げるか演技で取り入って、後で殺す。 3:ドラゴンボールで月を生き返らせてもらう。 4:自分が優勝し、主催者に月を生き返らせてもらう。 5:友情マンを殺し、月の仇を取る。 6:ピッコロを優勝させる。 【秋元・カトリーヌ・麗子@こち亀 死亡確認】 【姉崎まもり@アイシールド21 死亡確認】 【残り27人】 時系列順で読む Back 0408 明日の勇者 Next 投下順で読む Back 0408 明日の勇者 Next 0410 暴走列島~信頼~ 0395 善でも、悪でも 姉崎まもり 死亡 0407 彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 秋本麗子 死亡 0407 彼女の功績はあまりに大きく、あまりに残酷 津村斗貴子 0414 一人で出来るもん 0405 カーニバル 弥海砂 0412 アマネミサと異常な愛情
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ここは、どこだろう? 五月に見た夢と似ているような気がする。 だけど、違う。 あそこは邪悪な世界じゃなかった気がする。 あの建物をぶち壊していた巨人もあたしの味方だったような気がする。 だけどここは…。 決してあたしの味方じゃあない。 巨大な洞窟の中のようにも見える。 ただっぴろい、大きくくりぬかれたような空間。 それでも中の様子はよく見える。 岩壁には、鍾乳石のように垂れ下がった岩のようなもの。 それが天井だけじゃなく、ウニのトゲのようにすべての壁に生えている。 きっと太陽の光など絶対に入ってこない、地中の奥深く。 早くここから逃げ出さなきゃいけない。 そう思った途端、まわりの細長い岩が生き物のようにするする伸びて、あたしの両腕にからみついた。 「放しなさいよ、バカッ!」 あたしの叫び声にもかかわらず、そのからみついたモノはみるみるあたしの体を持ち上げ、洞窟の中央にぶら下げてしまった。 「何する気?! ヘンなことをしたら承知しないわよ!」 すると目に見える限りの鍾乳石みたいなものがうねうね動き出した。気持ち悪いわね…。 と思った途端、そのイソギンチャクの触手のようなものが、突然槍みたいに鋭く尖った! その矛先は全てあたしの方を向いている…。 磔にされたあたしには、逃れるすべはない。 無数の槍がいっせいにあたしに向かって伸びてきた! 「くっ…。」 目をつぶった時、ものすごい大音響と、瞼の内側からでもわかるような閃光があたしの耳と目を貫いた。 おそるおそる目を開ける。 大爆発が起きている。あたしを襲おうとした触手たちが、ぶすぶすという音を立てて焼け焦げている。 「涼宮さん…、大丈夫ですかあ?」 下を見た。あたしから見て右側の岩壁の近く。栗色のウェーブのかかった長髪。あどけない声。どでかい胸。 みくるちゃん? みくるちゃんはレザーのような質感の、ライダースーツのようなものを着て、ゴーグルをかけている。手には流線形の、SFマンガに出てくるような銃を手にしていた。 「光線銃です。ビルの一つや二つふっとびますよ! それより、わかりますよね。こいつらは鈴宮さんの敵。SOS団の敵です! あたしだって団員です。鈴宮さんを守りますよ!」 みくるちゃんは銃を乱射し始めた。狙う必要はないらしい。そこら中が敵だから必ず当たる。 音響と閃光で何がなにやらわからなくなった。煙がもうもうとたちこめる。みくるちゃんが撃つのをやめた。と同時にさっきの無数の槍が、今度はみくるちゃんに狙いを定めている。 いっせいにみくるちゃんの小さな体に向かってそいつらが突進する! そいつらが体に突き刺さる一瞬前に、みくるちゃんの姿が消えた。 どういうこと? と思う前にみくるちゃんがそこから三メートルくらい左側に突然姿を現した。 ほっとしたのもつかの間、やっぱりみくるちゃんはみくるちゃんだった。 バランスを崩したのか、何かにつまずいたのか、ころんでしまった。 こんな時にドジッ子属性を発揮しなくてもいいじゃない! ってあんた、銃を落としてどうするのよ! 「みくるちゃん、うしろ!」 「きゃあああっ!」 みくるちゃんが口をおさえる。くそ、あたしの体さえ動けば、あんな奴ギッタンギッタンにしてやるのに! そいつが体を貫く前に、みくるちゃんの姿が消えた。 「みくるちゃん……?」 今度はみくるちゃんは姿を現さなかった。 敵によって消されてしまったのだろうか。それともさっきのように姿を消して逃げることができたのだろうか……。そうであると信じたい。 さっきの触手たちが再び針のように尖る。 確実にあたしに狙いをつけている。 今度こそ最期だ。 もう目をつぶらない。 そんなのはあたしらしくない。 しっかりと見てやる。 いっせいにそれが飛びかかってきた時、空中に二メートル位の紅い玉がぼうっと現れた。 あたしの体の前にある紅い玉にあたって、無数の槍がべきべきと音を立てて折れる。 「味方……なの?」 「当たり前じゃないですか。」 紅い玉は声が出せるらしい。 「誰……?」 「おやおやひどいですね……。副団長をお忘れですか、団長殿?」 「まさか……あなたは……。」 「僕です。古泉一樹ですよ。」 まさか…、紅い玉になって空を飛べるなんて…。だけど、さっきみくるちゃんは光線銃を持っていたし、どういうことなの? 「申し訳ないですが、今は説明している暇がありません。忙しくなりそうだ…。」 無数の槍があたしたちを襲う。だけど古泉君の戦いぶりには危なげがなかった。 火の玉のようなものを次々と発射し、槍を確実に撃ち落とす。それでいて本体はあたしの前から微動だにしない。 さすが副団長、頼りになるわ。みくるちゃんとは違うわね。 助けてもらってあんまりだけど、さっきはあたしの方がハラハラさせられたし。 と、一本の槍が古泉君の火の玉をくぐり抜けて迂回し、あたしの背後に回った! 「古泉君!」 「大丈夫です!」 後ろを振り返ると左側から槍があたしに迫ってくる。それを紅い玉が右上方から二倍以上のスピードでぶちあたり、殴り飛ばすように撃ち落とした。 「ふう……。」 「驚かせてしまってすみません。以後気をつけます。」 こういう所が紳士なんだわ、古泉君は…。どっかの誰かに見習わせたいわね…。 だけど槍は何本でも伸びてくる。キリがない。それになんだか紅い玉の光がだんだん弱くなってきているような気がする。 「古泉君、このままじゃ…。」 「わかってます。僕は時間稼ぎにしかすぎません。バトンは渡しましたよ、長門さん!」 紅い玉がぼうっと消えた。 代わりに空中に浮かんでいるのは、セーラー服に小柄な体、見慣れたショートヘア…。 後ろ姿だけど見間違えようもない。 「有希なの……?」 「話しかけないで。気が散る。」 何よあんた、愛想がないわね…。キョンの前ではけっこうしゃべるくせに…。 妬いてる場合じゃないけど。 だけどあたしがいちばん不安なんだから、話し相手になってくれてもいいじゃない…。 その点古泉君は偉いわね。あたしを守るだけじゃなく、不安にさせないようにしてくれたみたいだし。 無数の槍は相変わらずこちらに伸びてくる。ワンパターンの攻撃ね。つまんないわ。 有希が手をかざすと、槍が次々に消えていく。古泉君はいちいち撃ち落としてたけど、こっちの方がスゴイ。 三人ともすごいけど、有希がいちばん強いんじゃないかしら…。 ついに有希は全ての槍を消してしまった。 岩壁は尖った岩も触手もなにもないのっぺらぼうになっている。 急に静かになった。 「やったの…?」 「だいじょうぶ…。」 あたしはやっと安堵のため息をついた。どうにかなったらしい。 だけどみくるちゃんと古泉君は大丈夫だろうか…。 「ねえ有希、みくるちゃんと古泉君は…。」 「来る。」 来るって、何が来るのよ…。 するとさっきまでのっぺらぼうだった全ての岩壁に、にょっきりと無数の槍がいっせいに生えてきた! 「何よ! ずるいじゃない!」 今度は伸びてくるんじゃなくて、弓矢のように飛んできた! 「うかつ。」 有希が手をかざす暇もなかったらしい。 ドスッ、ドスッ、ドスッ、ドスッ、ドスッ…。 いやな音がする。 有希の体に無数の槍が突き刺さっている。 一本は肩から脇腹にかけて、一本は胸から背中にかけて、一本はお腹から肩にかけて、一本はお腹から背中にかけて、もう一本は脇腹から背中にかけて…、小さな体を貫いていた。 空中に浮いていた有希がゆっくりと下降していく。 「有希! 有希! ゆきぃ……。返事をしなさい! ゆきいっ!」 下を向いて大声で叫ぶ。 何も聞こえない。 有希は大丈夫だろうか。 あんなことになったんだ。大丈夫なはずがない。 不安と焦燥と恐怖がたちまちあたしを包み込む。 もう、あたしを守ってくれるひとは誰もいない。 みんなが守ってくれたのにこんなことを考えるのは利己主義的だとは思うけど、やっぱり死ぬのは怖い。 岩壁にあった無数の槍がつぎつぎに収斂して一本の巨大な棒になっていく。 完成したそれはあまりにも禍々しく、気持ち悪かった。 そしてそれはなんのためらいもなく、あたしに向かって飛んできた! 今度こそ本当に最期なのだろう。 と思った時、下降していった有希が岩の床を蹴って、天井に向かってジャンプした。 有希は天井近くでトンボを切ると、そのまま下降してあたしの前にふさがった! ドスッ。 のあとに、 メキッ。 という音がした。 ビシャッという音がして、あたしの体になにかがかかる。 ひいっ…血? 有希は自分の体の幅の七割くらいある太いものに貫かれている。 さっきまで体を貫いていた五本の槍は、これに押し出されてしまったらしい。 どこかから声がする。きっと敵の声だ。 「有機結合情報連結解除。」 何のことだかわからないけど、有希にとってよくないことをしようとしているのは気配でわかる。 「情報連結、解除開始……。」 声がやむと、有希を貫いている太い棒と、有希の体が棒のそばから光っていく。 光は粒子となる。光の粒がまるで砂粒のように崩れ落ちていく。 みるみるうちに有希の全身が崩れていく…。 「ゆ…有希…。」 もう有希の体は首から上しかない。 ヨカナーンの首のように空中に浮いている。 有希が首だけであたしの方に振り返った。 「へいき。」 「へいきって…。」 「まだ彼がいる。」 「彼って…アイツのこと…?」 「そう。わたしも時間稼ぎ。もうすぐ彼が来る。あなたを守る、最後の砦…。」 「ちょっと待ってよ!」 有希はそれだけ言うと、結晶となって消えていった。 呆然とした。 有希が消えて、やっぱり古泉君とみくるちゃんも逃れたのではなく、どこにもいなくなってしまったのではないかという気がしてきた。 「ハルヒ、大丈夫か?」 「大丈夫なわけないじゃないの、バカ!」 姿を捜す前に怒鳴りつけてしまった。 下を見るとアイツが制服のポケットに手をつっこんだまま、やる気のなさそうな顔をしてこっちを見上げていた。 けっこう遠くにいるようにも見えるけれど、声ははっきり聞こえる。 「なあ、おまえ、けっこう子供っぽいところがあるんだな。」 「なに言ってんのよ!」 「おまえは上にいて、おれは下にいるわけだ。」 「だから何よ!」 「それで、おまえは制服の、わりと短いスカートをはいているわけだ。」 ま、まさかこいつ……。あわててスカートを押さえ…たかったんだけど両手が動かない。 足をぶらんと垂れさせていたのを、無理に空中で閉じた。多分こんなことをしても無駄だろう。なんかこんなことをすること自体が屈辱的。 「かわいいと思うぞ、俺には紐属性は無いし。」 「この、えろっきょおおおおおおん!」 い、いつもはそんなこと絶対言ってくれないくせに、こんな時に「かわいい」って…。 ちっとも嬉しくないわよ! 大体その「かわいい」っていうのはあたしじゃなくて、あたしのパンツのことなの? その上「子供っぽい」って最初に言われたら、「かわいい」って言われても素直に受け取れないわよ! あんたに見られると知ってたら、あたしだって、少しは気を使ったわよ! って、何考えてるのよ、あたしは。 そうじゃなくて、あんたに「かわいい」なんて言われても嬉しくないわよ! それに、たとえ見えてしまったとしても、それを言わないのがマナーでしょ! その点古泉君は紳士だわ。 絶対に下に回ろうとしなかったし、紅い玉になってたからよくわからないけど、あたしの背後に危険が迫っていてさえ後ろを振り向かなかったみたいだもの。 だけどしまりのない表情をしていたキョンが、急に真顔になった。 「ハルヒ……。」 あの三人に関する大事な話かもしれない。 「なに。」 「似合ってるぞ。」 最っ低! 最っ低! 最っ低! あ、あたしがいちばん大切にしている思い出を、本人のあんたがよごすなぁぁぁぁぁっ! これから先、あの時のことを思い出すたびに「子供っぽいパンツが似合ってる」って言われたことも思い出さなきゃならなくなるじゃない! 「あ、あんた、あたしを怒らせたいの?」 「そうだ。」 そうだって…。 「どういうことよ!」 「だけどこれくらいじゃあ、どうにもならないようだなあ。」 「あんたねえ、みくるちゃんと古泉君と有希が…。」 「今は敵側の攻撃も止んでるな。それには理由があるんだ。だからおまえのパンツの話もできる。 そしてあの三人は……おまえ次第だ。」 「だから、どういうことよ…。」 「前にも言ったが、長門は宇宙人で、朝比奈さんは未来人で、古泉は超能力者だ。今なら信じられるな。」 「信じるわ。それぞれが何なのかはよくわからないけど、三人とも普通じゃなかった。」 「いちばん普通でないのはおまえだ。」 「どういうことよ。」 「自律進化の可能性、時空の歪み、神様、SOS団団長。」 「最後の以外はよくわからないわ。」 SOS団団長が普通だとは思わないけど。 「要するに、おまえは何もないところから情報を生み出すことができる。」 「どういうことよ。」 さっきからあたし、「どういうことよ」ばかり言っているわね。それほどコイツの話はワケがわからないわ。 「ここでおまえが捕らわれの身となり、あの三人が消えてしまったという情報を上書きすることができる。つまり、なかったことにできるわけだ。」 「あたしにそんなことができるわけがないでしょ。」 「おまえはその力があるが、制御することができない。そこで外部から情報爆発を起こす必要がある。」 「どうするのよ。」 「『あるモノ』をおまえに見せれば、おまえは情報爆発を起こす。おまえはここから脱出することができる。」 「その『あるモノ』ってここにあるわけ?」 「ねえな。」 「あんたねえ……。」 「どこぞの神様が言ってたな。ないモノは作ればいいんだよ。」 「あんたが今から、ここで作るわけ?」 「そうだ。朝倉がそう言っていた。 俺にはそれだけの影響力があるとは思えないが、試してみる価値はある。というより俺にはそれしか方法がない。 それを見ればおまえは完全に心のタガが外れる…らしい。」 「らしいって何よ…。」 「俺は普通の男子高校生だ。 朝比奈さんのように未来の道具を使えるわけじゃない。 古泉のように超能力が使えるわけじゃない。 長門のように宇宙的パワーを使えるわけじゃない。 それでも、おまえを守るすべを何も持たないとは思わないでくれ。 俺はただの男だが、おまえの鍵だ。『鈴宮ハルヒの鍵』だ。」 「だから、『あるモノ』って何よ!」 「それはな、ハルヒ…。」 こんなに遠いのにアイツがニヤリと笑うのがわかった。 「おれの死体だ。」 こ、こ、こ、このバカ、何を言い出すのよ! 「今までおまえがこれだけのことをされながら情報爆発を起こさなかったのは、怒りより恐怖を感じているからだ。しかしこれを見れば、おまえは怒りのあまり恐怖を忘れる…、俺がおまえの能力を開く鍵となる。」 「あ、あんた…自分が何言ってるか、わかってんの?」 「わかってるぞ。うまくいけばあの三人は帰ってこれるし、おまえも脱出することができる。」 「あんたは?」 「おまえはあの三人が消えたところを見ただけだから、あの三人は帰ってくる可能性はあるが、死体を見てしまえば俺の死を受け入れざるを得ないだろうな。まあ、死にっぱなしだ。」 「自惚れないことね。あんたが死んだくらいであたしがそんなにショックを受けるわけが…。」 「さっきも言っただろう。俺には他の方法なんかないんだよ。」 「あんた……、怖くないの?」 「バカ言え。これから死ぬんだ。怖え。今にもゲロが出そうなほど怖え!」 「だったらやめなさい!」 「ハルヒ、俺はおまえを三日間だけ永遠に失ったことがある。だから今の俺は、おまえを失うくらいならどんなことでもするんだよ。」 「団長命令よ! 今すぐここから逃げなさい!」 「抗命する。俺が本当は頑固なことをおまえは知っているだろう? それにおまえにはさんざんバカにされてきたが、やっぱりおまえに軽蔑だけはされたくない。臆病者だと思われたくない。」 「ふざけるんじゃないわよ! あたしはあんたを軽蔑したことなんか一度もないわ!」 さっきの…、のぞき行為は…、許してあげるわよ! 「なぜこんな話をおまえにしたかわかるか? これは情報爆発を起こすことが目的なんだ。死ぬのが目的じゃあない。 だからおまえには、俺が死んでいくところをしっかり見てもらわなきゃならない。 さらに、何で敵側の攻撃がさっきから止んでいるかわかるか?」 「あたしにわかるわけがないでしょ!」 「この敵っていうのは…。まあ、おまえに説明しても無意味だから『敵』ですませるが、あいつらの目的も、おまえに情報爆発を起こさせることなんだ。それを観測したいらしい。 だからさんざんおまえの肉体を、損傷させることまで見切って攻撃してきた。 その直後におまえが死んでもかまわなかったようだ。 しかしあの三人がそれを邪魔した。 そこでこいつらは俺を使うことを考えたんだ。俺がおまえに説明する猶予を与えたのもそのせいだ。 おまえが俺の死体を見て、あいつらの情報を上書きするほどの、つまりあいつらを消すほどの情報爆発を起こせば俺の勝ち。 ただのサンプルデータになってしまえば俺の負け。 つまり……。」 「おまえに賭ける。」 「トークタイムは終わりだ。 今、おまえの体のそばには敵によって結界のようなものが張られている。 だから古泉や長門は近くに寄ることができたが、普通の肉体を持った俺や朝比奈さんは異物として排除される。 まあ、俺の場合は排除されるというより攻撃されるわけだが、それを利用する。 今からそこに突っ込む! それに俺は……、死ぬんなら1センチでもおまえの近くがいい…。」 あいつは、本当にこっちに走ってきた! 「来るな、バカァ!」 触手の一本があいつの体に向かって伸びる。左腕を取られてあいつの体が宙に浮く。そのまま岩の床に叩き付けられようとした時、あいつは右腕を伸ばして受け身を取ろうとした。 その瞬間、別の触手が右腕にからみついた。あいつはバランスを崩して受け身を取れず、尖った岩が脇腹にぶつかる。 な、なんて陰険な……。 「ぐえええっ!」 あいつは四つんばいになってゲエゲエやっている。 「キョン、もう一回命令するわ。いますぐ逃げなさい!」 「くそ。簡単には死なせないってことだな。わかってるな、あいつらも。 俺の死に方がみじめならみじめなほど、おまえが怒ることがわかってるんだ。 だから、ハルヒ。 ちゃんと見てろよ。 おれの死体を見ておまえが何のリアクションも取らなかったら、 俺は死に損だ!」 からみついていた触手があいつの体をほどいた。あいつが立ち上がる。また走り出した。 今度は足に触手がからみつく。勢いよく転んだ。顔面から血が出ている。 よつんばいになったあいつの体のそばに、触手がゆっくりと移動する。 触手は槍ではなく、ドリルのような形状になった。 ドリルの先端があいつの右肩の、腕の付け根に触れる。 きりを揉み込むように、ぐいっ、ぐいっと回転しながらあいつの体に入っていく。 「ぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっ……。」 ドリルが停止した。 あいつは肩で息をしている。 と、いきなりドリルがズボッと抜かれた! 「ぎゃああああっ!」 傷口からあいつの血と、なんだかわからないものが一気に噴き出した。 「はあっ、はあっ、はぁっ、はあっ…………。」 それでもあいつは立ち上がろうとする。 左手を肩の傷口に添え、片膝立ちになって右手を膝に添えると、勢いをつけて立ち上がった。 よろよろ歩きながらこっちに来ようとする。 ……見ていられない。 胸が痛い。心が痛い。ぎりぎり痛い。 涙がボロボロこぼれる。 「キョン、お願いよお……。 お願いだから逃げてよお………。 今ならまだ逃げられるでしょ……。 あんた、あたしの命令に従わなかったことはたくさんあったけど、 あたしのお願いを無視したことだけは一度もなかったじゃない…。 あの時も、あたしがいっしょうけんめいお願いしたら、ちゃんと目を覚ましてくれたじゃない……。」 「……ハルヒ、忘れないでいてくれ……、おれがここにいたことを。」 「何言ってんのよ、バカ! あんたはなんにもわかってない! あの時あたしがどんなに怖かったかわかってない! あの時あたしがどんなに嬉しかったかわかってない!」 触手があいつの背中に回る。あいつは気がついているのだろう。 それでもあいつはこちらに向かって歩いてくる。 槍があいつの背中を串刺しにした。 いやな音を立てて槍が抜かれる。 あいつが口から血を吐いて倒れる。 あいつが倒れたのは何回目だろう。 「急所は……、外したようだな……。わざとか……。」 あいつはそれでも、立ち上が……れない。 あいつは這ったままこちらに来ようとする。 触手があいつの前方に回り込んで待ちかまえている。 「来……来ちゃだめ。」 表情がはっきりと見えるところまであいつは来ている。 さっきは不思議とあいつがニヤリと笑ったのがわかったけど、 あいつがどんな顔をしているかわかっても不思議じゃないところまで来ている。 あいつの顔を……見るのが怖い。 「見ろよ、ハルヒ。 おまえが見てなきゃ意味がねえんだ。」 悔し涙がボロボロこぼれる。 みくるちゃんも古泉君も有希も、そしてキョンも、あたしを守ろうとする。 あたしはただ守られるだけの存在なんだろうか。 みんなを守ることなんてできないのだろうか。 なにが団長だ。 あたしにものすごいパワーがあるとあいつは言ってたけど、あいつを守ることができない力なんて、あったってしょうがないじゃない! 前方にあった触手はフェイントだったらしい。 あいつの背後から触手が伸び、あいつの首にからみついた! あいつは……、首にそれを巻き付けたまま、前に出ようとしている! そんなことをしたら……。 あいつが前に出ようとするたびに、気管がぎりぎりしめつけられているのがわかる。 あいつの顔を見てしまった。 顔色は土のようだったが、なんだか笑っているようにも見える。 「こ、こないで……。」 「ハ、ハルヒ……、すこしでも……おまえのそばで……。」 ……こいつはあたしのお願いを聞いてくれない! こいつはあたしのお願いを無視しようとしている! 猛烈に腹が立った。 ちっくしょぉぉぉぉぉぉ! 「こっち来んなあ! バカキョン!」 叫ぶと同時にあたしは立ち上がった。 立ち上がった? みくるちゃんが口に手を当ててあわあわしているのが見える。 有希が本から視線を上げて、こちらをじっと見ているのが見える。 古泉君があっけにとられたような顔をしているのが見える。 部室? 「なんだよ、うなされてるから起こしてやろうと思ったのに…、こっち来んなって……。」 こいつは根本的な勘違いをしているみたいね。 「なんだ、おまえ泣いてるのか? そーかそーか。泣くほど俺がいやか。」 キョンが背中を向けて団長席から遠ざかろうとしている。 あんたが拗ねてもかわいくないわ。 「待ちなさい。」 あんたが誤解しているのはわかっているけど、解いてやらないわよ。 そんな気分じゃないし。 あたしは涙を拭いて鼻をかんだ。 「その椅子をこっちに持ってきてここに座りなさい。」 「なんだよ、来るなって言ったり、来いって言ったり……。」 「いいから早く!」 キョンはいつもの「やれやれ」の表情を浮かべてあたしの前に座った。 「キョン、あたしは真面目に聞くから、あんたも真面目に答えなさい。」 「いきなり何を言い出すんだ? 俺が真面目に答えたらからかおうっていう魂胆か? まあ、いつものことだからいいけど。」 なんかムカツクわね。だけどこれは聞かなきゃならない。 「あんたさあ……、あたしを失うくらいならなんでもするとか考えてる?」 いつものキョンだったらここで皮肉か何かで返すだろう。それならそれでいい。 キョンがため息をひとつついた。 「やれやれ……何で知ってる? おまえにはそれを言ったことはないはずだが。 まあ、これはおれの勝手な思いだから、おまえには関係ないことだ。 真面目に答えたぞ。からかいたかったらからかえばいいさ。おまえにバカにされるのは慣れてるんだ。」 「余計なことまで言わなくていいわよ。それで、『なんでもする』っていうのは、命を失うようなことでもするっていうことなの?」 「ああ、多分な。 もちろんその場面になってみなければわからないが、今のおれはおまえを失わないためなら死ぬことだってできるような気がする。 それは嘘じゃない。」 キョンの顔は真剣で、嘘を言っているようには見えなかった。 「ただ……その時は、死ぬ瞬間には、おまえの笑顔が見たいな。」 「キョン……、あんたって……」 「最低ね。」 夢でも現実でも。 五月の悪夢の行為は許してあげるけど、今日のはどうしたって許せないわよ! 「あたしを失うくらいなら死ぬって、結局自分のことしか考えてないってことじゃないの!」 渾身のビンタをかましてやった。 「痛ってえ、なにしやが……。」 「あんたはそれでいいかもしれないけどね、あたしはどうなるのよ!」 今度は左手で思いっきりひっぱたく。往復ビンタだ。 「しかもあたしの目の前で死ぬって……、あんた、あたしを殺す気?!」 最後はグーで締めた。完璧だ。いや、もう一つ残っていたわね。 「最後にもう一つ……おまえが死んで、あたしが笑うかぁぁぁぁぁぁぁっ!」 キョンの顔をおもいっきりひっつかむと、渾身の頭突きを叩き込んでやった。 「脳震盪が……、おまえ、世界を狙えるぞ。今からでもジムに通ったらどうだ?」 何わけのわからないこと言ってるのよ。 あたしは椅子にすわったままのキョンの頭を、思いっきり抱え込んだ。 まだ言うことが残っている。こうしていれば逃げられないはず。 こいつの体温をじかに感じる。 あたしの胸の鼓動がこいつの頭に当たって、トクトクいっているのがわかる。 それがこいつの鼓動のようにも感じる。 まぎれもない、こいつは生きている! 「だから……、どんなことがあったって死なないって言ってよぉ……。あたしのお願いを聞いてよぉ……。」 「おやおや、今日の鈴宮さんはずいぶん素直ですね。 思いのたけをすべてぶちまけていらっしゃいます。」 「………まさに、情報爆発。」 「ふええ、長門さん、上手いですねえ……。」 外野がなんか言ってるわ。うるさいわね。 「ハルヒ、あたってるから放せ。」 あたしは飛び退いた。 「あててるわけじゃないわよ、バカ!」 「あのなハルヒ、さっき『こっち来んな』とか言ってたけど、夢の中のおれがおかしなことでもしたのか?」 「した。最低の行為をした。」 あたしの目の前で死のうとした。 あたしを殺そうとした! 「だから、責任取りなさい!」 「いや、おまえの夢の中のおれの行為に全て責任取るのはな。まだ覚悟ができてないっていうか。心の準備ができてないっていうか……。」 「だけどキョン君はいつものようにヘタレですね……。 『おまえを失うくらいだったらなんでもする』って言えたのに……。」 「彼自身は言っていない。鈴宮ハルヒの質問に肯定の返事を与えただけ。」 「心の準備をするのに百年以上かかりそうですね。」 だから外野、うるさいわよ! 「今までのことはいいの。そっちはまあ、今はまだ許してあげるから。だけど、今日のことは許せないわ!」 あたしはビシッと指を突きつけた。 「今からあんたの家に連れて行きなさい! 駐輪場まで腕にぶら下がらせなさい! 自転車の後ろに乗せなさい! あんたのご家族と晩ご飯をご一緒させなさい! その時はあんたの隣に座らせなさい!」 「ああわかった、わかった……。いま家に連絡するからちょっと待ってろ。」 「それだけじゃないわよ……。今夜はあんたの部屋に泊めなさい!」 「なんだ、泊まるつもりか? しょうがねえな……って、俺の部屋って、ええええ?」 あたしのパンツ見たんだからね! 当然その責任も取らせるわよ!
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作者:飛崎 琥珀 タイトル:Prologue ネオンに彩られる遊楽街。 深夜を回る時間にあって、その人通りは途絶える事がない。 行き交う人間は愉のしみを求めて彷徨よい、誰もが街のあちこちに潜む危険に気づかない。 休憩や待ち合わせに使われる噴水の側。其処に一人の少年が立っていた。 例年以上の寒さを記録している冬の夜にしては、少年の姿はズボンにパーカーと軽装であり、その外観は場所と時間も相まって目立たずにはいられない。 しかし、少年の前を行き交う人々は、誰一人として少年を気にも留めない。 少年の横のベンチに座って戯れるカップルも、横で立ち尽くす少年を気にすることなく、赤裸々にその情事を続けている。 そう、誰も彼を気に止めない。――気づかない。 少年は、そんな周囲を軽く見渡してから、既に一時間程、一点だけを見つめていた。 自分と対岸に当たる噴水の前。 ロングコートを着た、どちらかといえば背の高い女性。 茶色く染めた髪は艶やかで、控えめながらも整えられた化粧の貌は、すれ違えば異性が振り向いてしまうくらいに美人である。 しかし、その表情は暗く沈み、何度目かの時間の確認を、左腕の腕時計でしている。 一時間以上、其処に立っている彼女が待ちぼうけをしているのは、同じ様に其処に立ち尽くしていた少年には明白であった。 はっきり言えば、彼女は少年の好みの女性である。 周囲を眺めていた少年は、その自分の好みの女性が待ち合わせをしているのを見つけて、どんな彼氏が来るのか見届けてやろうとしていた。 そわそわと待つ女性の顔が、二度、三度と時計を気にし始め、その表情を暗くするにつれ、少年は彼女が約束をすっぽかされたことに気づいていた。 それでも、じっと待ち続ける女性に、少年は遅れてでも良いから、彼女の――そして、自分のために彼氏が約束の此処にやって来ることを願った。 しかし、とうとう時計の長針が二週目を過ぎようとした時、女性は、そっと時計を見るのをやめた。 少年は、その姿を見て何か胸の奥がぽっかりと空くのを感じた。それと同時に、何か言いようのない怒りが胸の奥からこみ上げてくる。 そして、その場を動き始めた女性の姿を見て、少年は、やっとその棒立ちだった足を動かして、彼女の方へ駆け寄った。 「お姉さん」 「――え!?」 ◇ 「へえ。雄二“ゆうじ”くん、月明の学生なんだ。そうだよね、見たまんままだ未成年だし」 女性――片岡 彩香“かたおか さやか”は、自分に声を掛けてきた少年――藤代 雄二“ふじしろ ゆうじ”と話をしながら、遊楽街の外れにやってきていた。 約束をすっぽかされた事に気づいた彩香は、泣き出しそうになる自分に気づき、急いでその場を離れようとした。 あと少し、自分に声を掛けるこの少年に驚かなければ、自分は往来の場で泣き出していたかもしれないと、彩香は顔を赤くする。 声を掛けてきたのが子供だと気づいた時、言いようのない落胆と同時に、何処か安堵する心が、彩香の中にはあった。 控えめに見て美形と言える雄二の貌に微笑まれた彩香は、言いようのない救いを感じていた。 「でも、本当によかったの? 彼氏と待ち合わせしてたんでしょ」 気を許せば、約束の場所から離れて此処まで、執拗に話しかける雄二に段々と笑みを見せると、雄二は申し訳なさそうに、そんな問いを発していた。 一瞬、言葉に詰まった彩香は、しかし、表情に笑みを戻すと――、 「いいのよ、あんな奴。元々、最近会ってなかったし。きっと他に女ができたんだと思う。 本当はさ。私、友達にあいつの女グセの悪いところ聞かされてたんだ。それで、そんな話はウソだって、本人に会って言って欲しかったんだけど…」 結果はごらんの通り、約束すら守ってくれない奴だった、と彩香は笑って答えた。 その顔があまりにも痛々しくて、雄二は思わず彩香の顔をじっと見つめる。 「彩香さんみたいな綺麗な人を裏切るなんて、きっとそいつ、女性を見る目がないんだよ」 雄二の真剣な顔に驚いた彩香は、しかし、目に涙をかすかに浮かべて微笑んだ。 「キミ、意外と年上殺しだね。でも、ありがとう」 彩香は涙を拭うと、雄二の手をとった。 「え、ちょっと彩香さん!?」 「ほら早く! 今夜は私が何でも奢ってあげるから、最後まで私のエスコートしてね」 戸惑う雄二の手を引いて、彩香は楽しそうに雄二へと向き直る。最初は戸惑っていた雄二も、次第に戸惑いを笑みに変え、彩香と共に夜の街へ繰り出した。 ◇ 「はぁ――、堪能した。久しぶりに童心に帰った気がするわ」 少し休もうと言い出した彩香は、二人して人気のない公園へやってくると、夜風を一心に浴びるように伸びをする。 街のイルミネーションを見て周り、ゲームセンターで熱くなって、ラーメン屋で早食いをする。 二人して街に繰り出してからの彩香は、雄二の目からもまるで同年代の少女の様に思えた。 だが、自然と雄二の目には、そんな彩香が見劣りする様なことはなかった。 気持ちよさそうに伸びをする彩香の横顔も、雄二には、見ていて飽きない絵画のように見えている。 「どうしたの?」 自分をじっと見る雄二に、彩香は爽やかな笑みを向ける。 「あ…、えっと、す、座ろうよ!」 突然声を掛けられ、慌ててベンチを指差して雄二は先に向かってしまう。 その姿を見て笑う彩香も、雄二に続くようにベンチに腰を下ろした。 互いに声を発することなく、しばしの沈黙が続く。 気まずさを感じた雄二は、何かを言おうとして彩香を見つめ――その瞳が晴れ晴れとしていることに気づいた。 その瞳に吸い込まれそうになって、雄二はまた言葉を失う。 「どうしたの、雄二くん?」 また自分を見ている雄二に気づいた彩香が、そう訊ねる。 「あ、いや。彩香さんが元気になってくれてよかったな、て…」 思ったままに口にした雄二の言葉に、彩香は笑みを濃くする。 「うん、雄二くんのおかげだよ。あのまま帰ってたら、私きっと今頃は大泣きしてるところだったかも」 だからね、と彩香は雄二の顔を覗き込む。 その貌が、何処か女を感じさせる艶を出している事に、雄二は気づいていた。 「ん――」 突然吹いた風に、彩香は僅かに身をすくませる。 その様子に、雄二は自分の心がひとつの衝動に染まっていくのを実感する。 「――寒い?」 雄二の声音は、既に落ち着きを取り戻していた。 「うん、ちょっとだけ。でも、雄二くんの方が寒いんじゃない? ずいぶんと薄着だけど」 「うん。だから彩香さんで暖めて欲しい」 「――もう。ませたこと言うんだから」 くすりと笑う彩香だが、雄二が一息、二人の顔の距離を詰めることで、その笑みが止まった。 頬を赤らめ恥ずかしがる彩香は、年下の少年から視線を逸らしそうになって、しかし年上としてのプライドがそれをとめた。 「僕、彩香さんで温まりたいな。身体も――心も」 「もう。本当はこういうのを期待してあそこにいたんじゃないの? 実は私も他の子と同じ様に騙されたのかしら」 「どうだろ。――でも、彩香さんみたいな綺麗な人は、初めて出会ったよ」 「本当に、口がうまいんだから――あ、」 彩香の手に、雄二の手が添えられる。その事に驚いている間に、彩香は雄二の唇を許していた。 「ん、うん――」 軽い口付けから段々と激しくなっていく雄二の口付けに、彩香はなす術もなくされるがままとなる。 息が苦しくなり始めたところで、そっと雄二の唇が離れた。 つう、と二人の間に引く糸に、彩香は恥ずかしさと高まる感情に身体を疼かせた。 「もう、本当に上手なんだから――え!?」 そっと胸元に添えられた雄二の手に、彩香はそのままベンチへと押し倒される。 「こんな、ところで…?」 「大丈夫だよ。誰も来ないから。――僕が彩香さんを暖めてあげる」 「あ、待って――、」 彩香の制止の声が、雄二の口付けで遮られる。 再び自分の口に進入する暖かさに、強張っていた彩香の身体は、徐々に硬さを失っていった。 耳に、頬に、首に、胸に、雄二の手と舌が這い、彩香は甘い声を吐き出す。 年下とは思えない、女を知り尽くした雄二の愛撫に、彩香は今まで感じたことのない高ぶりと、なす術のない悔しさが浮かんでいく。 その二つの感情が、彩香の疼きをいっそう強いものにしていた。 「ん、――はあ、はあ…。痛っ!!」 徐々に思考が薄れていく中、不意に胸に突き立った痛みに、僅かに意識を取り戻した。 「ちょっと、雄二くん。あんまりがっつかないで――、」 若さに暴走しようとする雄二を落ち着けようとして、しかし、彩香は声を失った。 自分の乳房を押さえる雄二の手。――そう、雄二の手であるはずのそれが、鋭利な爪を持ち、薄黒い毛に覆われていたからだ。 「どうしたの、彩香さん? ほら、服を脱がすよ」 愉しそうに笑う雄二の手が、彩香の上着を肌蹴させ、白いシャツに爪を立てる。 「ひぃっ!」 ジリジリとシャツの繊維だけを切り裂いていく爪に、彩香は小さな悲鳴を上げる。 爪によってシャツと下のブラまで切り裂かれた彩香は、薄桃色の乳首をあらわにする。 「綺麗なおっぱいだね、彩香さん。僕、しゃぶりつきたいよ」 そう言って、乳房に噛み付こうとする雄二の歯は、鋸のような犬歯が並んでいた。 「い、いや! 止めてぇ!!」 此処に来て、彩香は全身に恐怖が沸き立つのを感じた。と同時に、昔々の歌のフレーズを何故か思い出してしまった。 さっきまで心を許していた年下の男が、薄黒い毛に覆われた手をしていて、その口は獣のように牙を剥き出しにしていた。 「良かった。彩香さんもやっぱりそういった類の才能があったんだね。他の人はこの姿の僕が見えていないから、ただ殺して食べるだけなんだけど。 ――彩香さんだけは、優しく、生きたまま食べてあげるよ」 彩香には、その訳の分からない言葉を理解する余裕は既になくなっていた。 何度も泣き叫び、自分に圧し掛かっている存在から逃れようとするが、その声が誰かに届くことも、その身を押しのけて逃げることも叶わなかった。 「どうしてそんなに嫌がるの。僕はただ、彩香さんの悲しみを癒してあげたいだけなのに。ほら見て、僕の姿を…」 「い、いやっ…!」 彩香に圧し掛かる影は既に人ではなかった。 全身を薄黒い体毛に覆われたそれは、先に尖る様な口を持つ犬の顔をしていた。 その異形に恐怖が臨界にまで達しようとする中。 剥き出しになる犬歯が彩香の胸に喰らいつこうとして、彩香は最後の力を振り絞って叫び声をあげた。 「止めてぇ――!!」 瞬間。目の前からその顔が消えた。 「えっ?」 驚きに目を見開く彩香は、遠くで大きな何かが引きずるような音を耳にした。 「――大丈夫か?」 すぐ側で、無愛想で――しかし、何処か優しさを感じる男の声がした――かと思えば、そっと黒い外套が、あらわになった胸を隠すように自分に掛けられた。 そっと見上げれば、一目で長躯だと分かる男の背中があった。 すらりと引き締まった足も、身体も、黒いズボンと長袖の服に覆われ、無駄のない体躯が伺える。 背中まで伸びた黒髪は艶のある癖毛で、右目を隠していた。 その髪の隙間から、見えている茶色の瞳とは違う、銀の三白眼が微かに覗いた。 その、一目で異性の心をときめかせる様な整った顔立ちで、自分の前に立つ青年は彩香を見下ろした。 「――もう大丈夫だ。少し休んでいろ」 先ほどと同じ、無愛想ながらもたくましい声が、まるで呪文の様に彩香の身体の緊張を解く。 強張っていた身体が力を失えば、それに繋がるように意識が薄れていった。 「――――あ、駄目…」 眠ってはいけないと思う心と、このまま全てを忘れてしまいたいと思う心が、僅か、数回の瞬きの間に葛藤する。 しかし、身体がベンチの上に横たわる頃には、彩香の意識は静かな眠りへと落ちていった。 ――彩香が次に目を覚ました頃。 其処には、真上に昇る太陽と、無残に抉られた公園の地面、薙ぎ倒された木々が残っているだけだった。 ◇ 静まり返っていた公園に、破砕音が広がった。 アスファルトの路面を抉り、土煙を上げる場所には、無様に倒れる黒い塊が蠢いている。 体毛に覆われ、身体の至るところが埃で汚れている。 しかし、十メートルという距離を殴り飛ばされたにも関わらず、その身体には傷ひとつ存在しなかった。 「――男は狼なのよ、気をつけなさい♪」 調子っぱずれま歌を口ずさんでゆっくりと立ち上がる影は、赤い三白眼を自分を殴りつけた相手に向けた。 黒い服の――まだ青年とも呼べる男。 無愛想な顔をこちらに向けているのが気に食わないのか、狼男は牙をぎらつかせて笑みの形を作る。 「おじさん。彼女は僕が初めに見つけたんだ。後から出てきて横取りしないでくれないかな」 既に声も変質させた雄二は、ガラガラと擦れた声を上げて、既に敵と認識した青年を睨み付ける。 「ほら。その大きなケースで一撃を入れた事は忘れてあげるから。早く何処かに行っちゃいなよ。僕、男を喰らう趣味はないんだよね」 だから、例外なく男は八つ裂きに切り刻んできた事を、雄二は口にしない。 目の前の青年が背中を向ければ、一息にその鋭い爪の餌食にするつもりだ。 「本当はさ。今回は最初からうまく行ってなかったんだ。 最初は、あの女を彼氏の目の前で、犯して喰らってやろうと思ったんだけど。肝心の男の方があの女を捨てちゃったでしょ。まあ、年下の女にすぐ股を開くような尻軽女じゃ、捨てられて当然だろうけどね。 まあだから、せめて彼女は愉しく食べたいと思っていたんだ」 饒舌に喋る雄二を、青年は無愛想なまま、雄二の話を聞いているのかも分からない表情で立ちつくしている。 「なのにさ。いざって時になって、おじさんみたいなヒーロー気取りがやって来て…。 ――本当、僕今、マジでムカついてるんだけど」 殺気を膨らませて、今にも襲い掛かろうと雄二は青年を威嚇する。 しかし、雄二の殺気に晒される青年の表情は、何処までも涼しげなものだった。 その表情が、雄二の愉悦感を根こそぎ削ぎ落とす。 「その貌を、やめろって行ってんだろ!! お前、この俺が何か分かってんのか? 狼男だぞ、狼男! お前みたいな人間、この爪で、この牙一発でお陀仏なんだよ! どうだ、びびったか!? ――なら、その澄ました貌を止めろ!!」 我を忘れて激昂する雄二に、青年は初めて表情を変えた。さもつまらないと言いたげな、何処か侮蔑を含んだ目を向け――、 「違うな…」 ぼそりと、しかしよく通る声で青年は呟いた。 「お前は狼なんかじゃない。――ただの駄犬だ」 さも事実のように、簡潔に述べた青年の言葉に、雄二と青年の間にある空気が割れた。 身体を震わせる雄二は、カタカタと噛み合わない歯を揺らし――いちどだけ。歯を噛んだ。 「アンタ、殺してやるよ!」 雄二はアスファルトを踏みしめた足を膨らませ、弾丸のように青年へと飛びかかった。 人の肉眼では、プロの野球選手すら視認することが難しい、百五十キロメートルを超える超弾丸速。 十メートルという距離は、刹那の間にゼロと化していた。 必殺の手ごたえを持って、雄二は黒衣の青年に肉薄していた。 それも、直線ではなく必殺を期した二段階の直角軌道。 くの字を描くように、青年の前髪で隠れた視界から攻め込んだ雄二は――気がつけば、人とは思えない銀の三白眼に捕らえられていた。 「――えっ?」 自分の動きが見透かされている事への驚きか。それとも、その瞳を見てしまったがための、内に出ていた恐怖の自覚か。 何れにせよ、その声が――藤代 雄二の最後の言葉となった。 青年に爪を届かせる距離まであと五ミリという距離で、狼男の顔面が、横から振り上げられた黒い塊に殴り飛ばされていた。 自分が持つ速度をそのままに、軌道を逸らされた巨体は、そのまま青年の後ろにある木々へと突っ込んだ。 圧倒的な暴力で薙ぎ倒される木々に、気を失った狼男が、だらりと力なくぶら下がっていた。 骨を折る勢いで繰り出された一撃も、人ではない異形の存在には、脳震盪を起こすに留まっていた。 しかし、青年は構わないとでも言うように、狼男から視線を逸らすと、ベンチで倒れる女性――彩香へと歩き出した。 穏やかに眠る彩香の寝顔に、青年はどうしたものかと、困った顔をする。 その、感情らしい感情をはじめて浮かべた青年に――、 「ご苦労様です、沙耶”さや”」 突然現れた少女が、笑みを浮かべながら名を呼んだ。 ◇ 惨状の広がる公園に現れた少女――烽火“のろし”は、何処からか持ってきた毛布を抱えたまま、青年――沙耶”さや”の横を通り過ぎて、彩香の眠るベンチへと向かう。 沙耶の外套を抱きしめて眠る、無防備な彩香の姿を赤縁の眼鏡越しから見る目は、呆れた色を映し出していた。 それが同じ女としてのものなのか。それとも、自分より年上の人間のだらしなさに対する苦笑なのか。 烽火は乱暴に外套を彩香から取り上げると、それを沙耶に渡して持っていた毛布を代わりに掛けてやる。 一向に目を覚ます気配のない彩香を無視して、烽火は外套を着て皺を伸ばしている沙耶へと向き直った。 着直した外套のポケットから、沙耶は女物のハンカチを一枚取り出していた。 彩香が外套を抱きしめている間に、皺になったりしていないかと確認する沙耶に、烽火は今度は酷く冷めた視線を向ける。 それに気づいた沙耶は、黙ってハンカチをポケットに戻すと、思い出した様に木々に突っ込んだ狼男に向き直る。 「――また、外れみたいですね。これで十人目ですけど、思ったよりも相手は数が多いようですね」 不満そうな声を発しながら、烽火は伸びている狼男の方へ向き直る。既にその身体は獣のそれではなく、裸をあらわにした高校生の――人間の姿だ。 「《感染者》-フォースデーモン-の拘束、処理も勿論重要ですけど。今回は数を増やしているのは《真祖》-トゥルーデーモン-と思われる一人だけです。《真祖》自体を拘束しなければ、いつまでも《感染者》が増え続けることになります」 思ったよりも、面倒な任務になりましたね、と烽火は楽しそうに沙耶を見る。 「そんな事はいつもの事だ。それより、その肝心の《真祖》の匂いは覚えた」 「本当ですか!? いつもより時間が掛かってたんで、そっちの方は今回は当てにしてなかったんですけど」 沙耶が有する有益な特徴が、まだ発揮している事に烽火は喜んだ。 「この街は、異形の匂いが多すぎる」 「それは当然ですよ。全ての異形が集う始まりの地。そんな風に言われている街なんですから。 本当は私、こんな任務はとっとと終わらせて、会ってみたい人がいるんですからね」 「――“鬼殺し”の少女、か」 「そうですよ。本当はこんな任務、私の予想では十日ぐらいで済んでしまうはずだったんですから」 欧州からこの地へ逃れてきた異形――“狼男”と分類されるそれが、この天夜市にいることが分かってから。 その危険性と欧州側からの救援要請に急かされ、ちょうど休暇を与えられるはずだった一人の《傭兵》-マーセナリー-とそのパートナーが、何の因果か借り出された。 気乗りのしない《傭兵》の胸中を無視し、《討滅対象》-ターゲット-の潜伏先を知ったパートナーが、一言返事で返してしまった。 単純な任務だと、内容を見た傭兵も納得したが、蓋を開けてみれば、現状の様子だった。 当初は、日本に逃れたターゲットを追い詰めるだけと思われていたこの任務も、様々な不幸が重なって、思ったはかどりを見せていなかった。 「それで、あっちからの増援は何時来るんだ?」 「まだ内部抗争の事後処理に追われているみたいですね。増援組がこっちに着くのも、あと三日は掛かるかと…」 「――そもそも、あっちが主導で動くはずの任務だろ」 元々、沙耶たちは日本側での彼ら――“聖ラザロ騎士団”の後方支援――バックアップが任務であった。 しかし、いざ蓋を開けてみれば、欧州からやって来る《追跡者》-チェイサー-は、本部で起こった内部抗争に追われ出発を延期。天夜市に置かれているはずの支部もまた、本部の問題に掛かりきりで、こちらとの接触すら持たない。 「俺たちのことなんか、忘れてしまったようだな」 「統括組織内でも、早くこちらに合流するように言ってあるんですけどね。――ほら、あっちは独自色が強いですから」 騎士団内の派閥争いは、統括組織や協会本部側でも有名な話だ。 そもそも、今回の内部抗争も派閥争いの延長線上にあり、ある一派が、今回のターゲットを国外に逃した事による他派閥からの糾弾によって発展した抗争である。 「――迷惑な話だ」 沙耶の言葉は最もだが、いま言っても詮無いことである。 「――さて。とにかく、この《感染者》はこのまま組織に引き渡すとして…。 どうします、今日はもう戻りますか?」 烽火は、着ているコートから携帯電話を取り出すと、短縮ダイヤルを押しながら沙耶を見る。 烽火の提案に応じようと周囲をもう一度だけ辺りを見渡した沙耶は――、 「―――!」 一際強い風が沙耶たちの間を吹きぬけた瞬間、沙耶は微かに――しかし、確かにその匂いを嗅ぎ取った。 「まだ、奴らがいる。――それに、この匂い」 「――え?」 電話に集中していた烽火は、沙耶の言葉を聞き逃した。 しかし、烽火が沙耶に聞き返す前に、沙耶は烽火に背を向けると、雲ひとつない満天の夜空へと飛翔した。 ◇ 遊楽街に聳えるビルの屋上にたどり着くと、沙耶はそのまま次のビルへと飛び移る。 間隔、十メートル以上はくだらないビルとビルの間を、沙耶は何でもないかのように渡っていく。 冬の夜空を疾駆する姿に隙はなく、外套をはためかせる姿は、眼下を移動する人々の目には留まらない。 やがて、ネオンの明かりを失った土地にたどり着けば、ビルの姿はなくなり、綺麗に舗装された道が網目のように広がる住宅街へとたどり着く。 沙耶は、その家々の屋根を伝い、風に混じった匂いを追いかける。 そう。先ほど倒した獣じみた異形の匂いに混じって、つい先日記憶したあの太陽の様な匂い。 「―――!」 煉瓦色の屋根を飛び降りた先――先ほどの公園とは規模も金の掛け方も違う、何処にでもある小さな公園。 其処には、二つの人影があった。 一人は、近所の学校のものと思われる制服姿の少女。短く切った髪は、まるで怒りに逆立つように風に遊ばれている。 一見、華奢としか表現できない体躯のその少女は、自分と同じくらいの背格好をした少女を、その細い片腕で首を絞め、相手を持ち上げていた。 その栗色の髪と、苦しげに表情を歪める横顔に、沙耶は確かに記憶した通りの相手を認識した。 「―――!!」 沙耶は、恐ろしいほどの速さで――しかし、正確な動きでケースの留め金を外した。 幾度も繰り返された動作に、沙耶は意識することなく蓋を開ける。 赤い内色の中から顔を覗かせたのは、一本の刃を持った鉄の塊と、整然と並べられた金の薬莢の並び。 自分の腕以上はあるソレを取り出した沙耶は、剣と呼ぶにはあり得ない部分に手を添える。 人の拳ほどの大きさの――輪胴式の弾装。 大口径の銃弾を収めるドラムタイプのリボルバーを、沙耶は黒皮のグローブを嵌めた手で乱暴に開く。 収まっている六本の弾薬を確認した沙耶は、リボルバーを元に戻して刃を下に向けた。 そして、柄となる場所の上部に取り付けられた引鉄を――引いた。 夜気に混じる、凶悪な惨劇を告げる、乾いた三発の音。 激鉄によって撃ち出された弾は、刃の根に全て激突した。 全てが高速で撃ちだされ、そして、三弾異色の弾が、刃に降りかかる火花となって散った。 瞬間――それは起こった。 「え?」 人を持ち上げていた少女が、その異変に驚く。 それが起きた原因である沙耶に気づいた瞬間、それは全て終わっていた。 ◇ まず起きたのは、銃弾の衝突によって振動した刃だ。 黒と青と無色の火花を浴びた刃は、その白銀の鏡面を漆黒へと変えた。 夜気を照らした面は、全ての光を飲み込む闇となり、その刃を構えた沙耶は、首を絞める少女の腕へと切り払った。 間合いの外にあった少女の腕は、確かに間合いの外にあり――そして斬られた。 沙耶が繰り出した斬撃は夜の空間を割って、その腕を絶つ間合いへと飛んだのだ。 次元を超え、斬撃を届かせる。 そんな魔法染みた現象を起こしたのは、たった三発の銃弾。 そんなふざけたトリックによって自分の腕が切り落とされた少女は、その弾の価値を知ることなく、痛みと怒りの恐怖を沙耶へと向ける。 しかし、拘束を逃れて尻餅を着いた少女が、腕を切られた少女を見上げた時には、沙耶の漆黒の刃はその胸へと突き立とうとしていた。 沙耶が勝利を確信した一瞬――それは起きた。 「駄目ぇ―――!!」 突然声を上げた少女の声。 それが、大切な友人を守る一声であった時、沙耶の身にそれは起きた。 必殺の突きを決めるために踏みしめた足が、糸が切れたように力を失う。 突き立てるように込めた腕の力が、まるで見えない壁に阻まれる様に進むことが出来なかった。 驚いた沙耶は、叫びを上げ、自分たちを見上げる少女を見た。そこには、月光を反射する――、 「――涙」 それは、致命的な隙であった。 前髪に隠れた沙耶の視界から、無事な腕が沙耶の顔面へと伸びていた。 白い体毛に覆われた、爪の付いた腕。 そう。相手は異形であるはずなのに、自分はこの少女の叫びと涙に逡巡してしまった。 「――そんなはずはない!」 その様な感情――沙耶は、認めない。 だが、現実はまったくいうことを聞かない己の肉体だった。 そして、沙耶は全ての思考の終着点として、その爪が己の眼に突き立てられることを覚悟した。 -To be continued- - - - よろしければ、コメントをおねがいします。 「まだまだ拙いですが、温かく見守ってください by琥珀」 テスト -- (琥珀) 2009-02-05 02 51 20 テスト完了 -- (琥珀) 2009-02-05 16 36 51 テステス -- (グリム) 2009-02-14 23 37 47 初めまして、読ませて頂きました。 傭兵のように特定機関に属さない退魔士っていいですね。 浪漫です。 全体的な雰囲気がいい感じ。 沙耶の成り立ちも少しばかり気になるとこです。 続編お待ちしております。 -- (グリム) 2009-02-14 23 41 41 グリムさん、コメントありがとうございます。 一度のタイトルに長々と書くので、大変読みづらいなあと思います(苦笑) 一応、私は仕事をしていて、あまり執筆に時間をかけられない生活をしていますが、 月にひとつは出せるようにがんばりたいと思っています。 グリムさんの生み出した世界に、少しでも彩を添えられたら幸いです。 これからもよろしくお願いします。 閑話休題。 次の章。本編の話を今書いています。 2月中には出せるようにしたいと思っているので、 どれどれ、とお待ちください(笑) -- (琥珀) 2009-02-15 03 18 15 名前 コメント すべてのコメントを見る ※あと、普段のネットを携帯でおこなっているので、ircに参加する方法がよくわかっていません。 なので、ここでグリムさんたちからお言葉をいただけたら幸いですm(._.)m
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【作品名】ねこきっさ 【ジャンル】4コマ漫画 【先鋒】ティラノサウルス 【次鋒】ザッハトルテwith佐々木一郎 【中堅】ドラゴンバス 【副将】竜宮城withねこきっさ竜宮城臨時支店 【大将】空中レストランバビロン 【世界観】作中には、主な舞台となる魔界の他に、人間界、地獄道、餓鬼道、天界が存在する 各世界の広さに関しては ・人間界 人間界に行った時のドラゴンバスの目的地表示に「日本」、「中国」が登場し 源十朗が料理人修行で人間界にいる時に作った料理に「地球~我が第二の故郷~」という料理があることから、人間界の広さはどれだけ狭く見積もっても地球規模以上はあると思われる (源十朗の故郷は地獄にある) ・魔界 どれだけ狭く見積もっても ・ミレクリニック(ルーシアの家)~ねこきっさ東魔界支店間の距離が、ルーシアが普通に飛んで10分以内でたどり着ける程度 ・東魔界高校(ルーシアとクリムが通う高校)から「ドラゴンバスで3時間」かかる地点に「無良」がある ・また、無良の近く(修学旅行のコースに一緒に入る程度)に凶都があり、凶都にあるうずまき映画村では魔界で撮影される時代劇のほとんどが撮影される ・ねこきっさ東魔界支店~ねこきっさ南魔界支店間がぱくの足だと30分以内でたどり着くのは無理だが、墨を吐いてロケットのように飛べば30分以内にたどり着いて開店準備まで出来る程度の距離 ・「端から端まで歩くのに半日はかかる」という広さの魔界大学(魔界唯一にして最大の最高学府)がある(建物等の配置は現実の千葉大学西千葉キャンバスを大きさ相当まで広くした程度か) ・クリムの家が「森の結構奥にある」ため、「(ねこきっさ東魔界支店から)徒歩で行くにはなかなか遠い」程度の距離がある 以上の条件を全て満たす程度 ・地獄道 どれだけ狭く見積もっても温泉街程度 ・餓鬼道 詳細一切不明 ・天界 「あらゆる食材が無限に実る肥沃の地」であり、空中レストランバビロンで使用される食材は全てここから仕入れている、という設定があるため、それが実際に実行可能な程度はあるか ということが判明しているので、次鋒の全能の範囲は少なくとも上記全ての世界の合計程度はあると思われる 【共通設定】・オリハルコンの密度 クゥがマヤに指摘されるまでオリハルコンだと気付かなかった以上、喫茶店で使用される皿相当と思われる ・オリハルコンの攻撃力 ルーシアの肩の高さからオリハルコン製の皿を落とし、革靴を履いた鍛えた成人男性相当の足に突き刺さる ぱくがブレード部分がオリハルコン製(と思われる)スケート靴を履いて、スケートリンクとして使われている湖の氷上を歩き、氷を切断した クリムがオリハルコン製の斧で森の木を斬ったところ、あっさりと切断するだけでなく、手からすっぽ抜けた斧がそのまま周囲の木を切断し続け そのまま切断した木の生き埋めになり、丸二日木に埋もれた状態で過ごすことになった ・オリハルコンの皿の防御力 マヤによって壁に投げられても、割れないどころかひびも入らなかった 超満潮:100年に一度発生するすごい満ち潮のこと 沿岸部からある程度離れた場所にあるねこきっさ東魔界支店の1階部分が完全に水没し、ねこきっさ東魔界支店から結構離れた森の奥にあるクリムの家(一階建てのログハウス)が ねこきっさ東魔界支店の近くまで流れてきた なお、テンプレ内に登場する建造物は、全てこの水圧に耐えられるものと思われる(魔界建築基準はこの水圧を想定しているため) ちなみに、ねこきっさ東魔界支店の一階部分は、源十朗より大きめの鬼が前傾姿勢にならずに行動可能な程度の高さがある 【先鋒】 【名前】ティラノサウルス 【属性】ティラノサウルスの霊が宿った、ティラノサウルスの化石(全身像) 【大きさ】ティラノサウルスの全身の骨格相当 【攻撃力】ティラノサウルスの噛む力は8tに及び、鉄格子も噛み切れる 【防御力】ティラノサウルスの骸骨相当 【素早さ】ティラノサウルス相当 【特殊能力】長い時を経て、知性を得ている(少なくとも人間相当はある) 【長所】噛む力 【短所】成仏した 【備考】骨動物園の特別従業員 【戦法】噛みちぎる 【次鋒】 【名前】ザッハトルテwith佐々木一郎 【属性】猫人(勇者)とランプの魔人 【大きさ】成人男性相当 【攻撃力】猫魂:日本刀(妖刀) 勇者以外の者が身につけると、徐々に生気が吸われ死に至る 刀としての攻撃力は、刃の部分が半分ほど欠けた名刀相当か 素の攻撃力は成人男性相当 【防御力】猫なので、体温調節が苦手(呼吸でまかなっている) カラスの飛んでいる高さから落下しても無傷 超満潮に耐えられる強度の塀を貫通する勢いで放たれたスイカの種が頭に直撃して気絶(17日後には頭からスイカが生えた) 2~3mほどある大きさの炊飯器に閉じ込められ、その状態で坂を転がり落ちても、死にはしなかった 日本刀が頭に突き刺さっても行動可能 中堅に丸呑みされても、消化されずに下から脱出できる(内臓構造等は大きさ相当のワニと同じか) エレベーターに押しつぶされても死にはしなかった 爪に火を灯しても普通に行動可能(文字通りの意味で、左手の全ての爪が点火している) スケートリンクとして利用されている湖で、ウェットスーツとシュノーケルという装備で素潜り可能 【素早さ】5mほどの距離からマヤが放った臼と杵で搗いた餅を、手に持った鎌で切り餅サイズに切り分けることが出来る(切り分けられた後に餅は落下していた) サンタクロースの衣装を着たまま、屋根の上を跳び回れる 勇者加速(ユーシャアクセル):ただ速く走るだけ 「速さで誰にも負けたことがない」という自称があり 「漆黒の弾丸」というあだ名が付けられた(ただしこちらも自称)ということから考慮すると、大きさ相当の猫より速い程度か (長距離移動の際にこの技を使おうとしたため、ここでは移動速度とした) 【特殊能力】猫族のため、頭が通る隙間さえあれば体も通る 魔法のランプ所持 魔法のランプからは、佐々木一郎(3メートルほどの、7・3分けでスーツ姿の魔人)が出て来る 佐々木一郎は ・法的、人道的に禁じられていること ・三大原則 以外なら願いを3つまで叶えることができる 【長所】ランプの力で砂漠に囲まれた最果ての洞窟から生還した 常人より速い反応の任意全能 弱いキャラとして描かれているため、描写が拾いやすい 【短所】ランプの力で砂漠に囲まれた最果ての洞窟に戻された 妹(青葉クゥ)に避けられている 実際に願いを叶えるのは佐々木一郎の方なので、結局常人反応相当になる 佐々木一郎はカレーで死にかけた 【備考】三大原則:魔人が決して叶えられない三つの項目のことで ・生き物を殺すこと ・恋愛感情を操ること ・死んだものを生き返らせること を指す 佐々木一郎は常人反応で、指を振ることにより願いを叶える 【戦法】ランプの力で勝利を願う 【中堅】 【名前】ドラゴンバス 【属性】ドラゴンバス 【大きさ】路線バスの3倍くらいの大きさのあるドラゴン 【攻撃力】炎を吐くことが出来る 射程は自身の全長ほどで、威力は遠く(少なくとも自身の全長程度は離れている)から見て仕掛け花火に見える程度 寝返りで、周辺のビルを破壊できる 羽ばたきによる風圧で、木の枝にすずなりになって乗っている猫を片っ端から落とせる 体当たりで、ねこきっさ東魔界支店の壁に大きな穴を開けたことがある 綱引きの際、尻尾を動かすだけで源十郎を含む相手チーム全員を跳ね飛ばした(綱は尻尾に結びつけられており、相手チームは源十郎含めて少なくとも7名いる) 【防御力】大きさ相当か 【素早さ】現実世界のバスと同じくらいの速度で空を飛べる(高度は飛行機よりは低いくらいか) 木の上から落下した猫を着水前にキャッチできる反応速度(超満潮時のねこきっさ周辺での出来事) 【長所】デカイ 【短所】メインキャラを副将に乗せる関係で、単独で参戦するはめに 【副将】 【名前】竜宮城withねこきっさ竜宮城臨時支店 【属性】旅館(元お城)とそこの家族と従業員とそこで臨時営業した喫茶店とその従業員 【大きさ】和風の城を頭に乗せたタコ相当 【攻撃力】足を水面に叩きつけることにより、海を幅は自身の全幅の7割強程度、長さは幅の5倍以上の範囲にわたって割ることが可能 【防御力】基本は大きさ相当のタコ並 それ以外(頭の上の竜宮城含)は少なくとも水深200m程度の水圧には耐えられる 【素早さ】大きさ相当のタコ並 【特殊能力】全体に魔法がかかっており、旅館内に海水が入ってくることはない (少なくとも水深200m程度の水圧には耐えられる) AEDとして電気クラゲを大量完備している 【長所】デカイ メインキャラ勢ぞろい 【短所】こうまでしてメインキャラ出したかったのか? 電気クラゲは毒クラゲの別名で別に電気は出さないんだけどな… 【備考】100年に一度起こるという「超満潮」の際のねこきっさ竜宮城臨時支店が開店している状態で参戦 中にいるキャラは参考テンプレ1~9参照 【大将】 【名前】空中レストランバビロン 【属性】天界からやってきたレストラン 【大きさ】少なくとも各種類の料理の専門店+休憩所+エステ店+マッサージ店+露天風呂+宿泊施設+それらを繋ぐ廊下相当はある (出現してから一週間で街全体の人がバビロンに行く関係で消えたため、どれだけ小さくてもそれだけの人数を収容できると思われる) 【攻撃力】【防御力】大きさ相当の建造物程度はあると思われる 【素早さ】雑巾が40cm程度落下する程度の時間で、バケツの直径程度の距離は飛行可能と思われる 反応速度は常人相当か 【特殊能力】高度100m以上の地点を飛行している 飛行できない種族でも、底部から射出される光線に乗ることにより、中に入ることが可能(出る時も同様) 【長所】「あらゆる食材が無限に実る肥沃の地」である天界から食材を仕入れているため、全サービスを無料で受けられる 【短所】金の力に負けた 【備考】オーナーおよび従業員は天使族(羽根と頭の輪以外はテンプレ上人間と大差ない) 【戦法】基本体当たり、何があっても光線は出さない 【参考テンプレ1】 【名前】大津ぱく 【属性】タコ魔族 【大きさ】小学校中学年程度の女児(実際には20歳)相当 【攻撃力】5メートル近く離れたねこきっさ東魔界支店の壁を貫くほどの勢いでタコ墨を吐く 軽くタコ足を払うことにより、ミルクを弾き飛ばせる タコの吸盤の力により、天井に張り付いたまま歩くことが可能 全身を縄でがんじがらめに縛られても、無理矢理引きちぎることが可能(タコの柔軟な肉体のほとんどは筋肉で出来ているため) 出刃包丁で自分の腕を切り落とせる 【防御力】基本は体積相当のタコ並 錐揉み回転による摩擦で自身に着火した際、黒焦げになるものの、行動可能 クリムの持つ鉄製の斧が頭上に落下した際は、頭で一回バウンドした(ダメージ自体はなし) タコの吸盤により、ルーシアとクリムが鯉のぼりの鯉のようになるほどの風の中を普通に歩行可能 スケート靴のブレードで脚を切断しても、そのまま行動可能 腕が熱々のステーキの鉄板に長時間(動かしづらくなる程度)触れていても、本人は鉄板に触れていることすら気付かなかった 【素早さ】運動の苦手な大学生相当か 【特殊能力】タコなので、骨、痛覚がない タコなので、心臓が3つある タコなので、猫が食べるとお腹を壊す タコなので、一度に3万~6万個のタマゴを産む 擬態能力:自らの姿をその場に合った姿に自由自在に変えることが出来る 大学の授業の代返が複数人分出来る程度の時間で姿を変えることが出来る (ただし、体積相当までの大きさでしか擬態できない上に、ディテールが細かいものに擬態するのは大変らしい) なお、気を抜くとすぐに保護色で見えなくなる 再生能力:腕などを切り落とされても、再生する 基本は短時間で再生するが、顔相当にまで小さくなった時は、倍近くの体積まで回復するのに数日掛かった 一族の共通設定として、年をとるごとに大きくなる(現在20歳で、100年後には1.5倍の大きさになる) 船底に張り付いて「ヒッチハイク」をした事がある以上、水中でも行動可能と思われる(というより実家である竜宮城が海の中にある) 【長所】再生能力 最終的には妊娠してる 【短所】テンパると墨を吐く癖がある 【参考テンプレ2】 【名前】ぱくの父 【属性】タコ魔族 【大きさ】足の先端部のみで成人男性相当の体積があるタコ 【攻撃力】【防御力】【素早さ】体積相当のタコ並み 【特殊能力】怒り狂うことにより、海は荒れ、海底火山は噴火する 一族の共通設定として、年をとるごとに大きくなる(詳細は大津ぱくのテンプレ参照) 擬態能力:自らの姿をその場に合った姿に自由自在に変えることが出来る(保護色で見えなくなることも可能) 身体の一部のみを擬態することも可能 【長所】デカイ 擬態能力 【短所】親バカ 【参考テンプレ3】 【名前】ナツメ 【属性】元・吸魂人形 【大きさ】日本人形相当 【攻撃力】障子に指で穴を開け、障子を破壊した(本人曰く、「ちょっとしたコツ」らしい) 【防御力】中に96203円(全て小銭)入った状態でベビー用椅子から落下しても、無傷のまま人形のふりを続けることが出来る ぱくの墨(描写上垂れ流し状態になっている)を目の辺りに受けても、視界を奪われるだけですむ 【素早さ】中に96203円(全て小銭)入った状態で、自身の全長の2~3倍程度の距離を跳べる 中に8290円(こちらも全て小銭)入った状態でもクゥとルーシアが息を切らすほどの速度および距離を飛行可能 参戦時は小銭が入っておらず、その代わりに体積相当の海水が入っている 【特殊能力】後頭部にある穴から魂を吸うらしいが、描写が一切無いので考慮不可か 【長所】魂を吸える 【短所】魂を吸った描写なし 物理的に満たされている 【備考】参戦時の状態では本編では一切登場していないが、作者がHP上で「あの大人数を収容している中あくせく働いてた」とのコメントを残したため 「実際に中にいる設定がある」とみなし、参戦している 【参考テンプレ4】 【名前】鬼瓦マヤ 【属性】ねこきっさ東魔界店副店長兼経理(ドラゴン) 【大きさ】ドラゴンの尻尾と角の生えた成人女性相当 【攻撃力】30センチはあるゴキブリを踏み潰せる 非常食用の缶詰程度なら、缶切りを使わずに開けることが可能 イノシシやクマなら、特に苦戦することなく退治することも可能 ホオジロザメとの水中戦も、「さすがに危なかった」くらいで、退治自体は可能 自身の誕生日ケーキに刺してあるロウソクの炎を、数回(少なくとも5回以上)に分けて吹き消せる (ケーキは少なくとも5段重ねで、ロウソクはケーキの側面にも刺さっており、端から見るとケーキの直径の8~9倍ほどの高さの火柱にしか見えない) バナナの皮で転び、ねこきっさ東魔界支店の壁を突き破ったことがある 口からスイカの種を吐き出し、超満潮に耐えられる強度の塀を貫通した 【防御力】クゥが何度もビンタしても、一切反応なし 業務用冷凍庫の中で冬眠しかける ベニテングダケ(毒キノコ)を普通に食べることが可能 尻尾を切られても、「ちょっと痛い」と感じるくらい(3ヶ月ほどで元に戻る) 源十郎より一回りほど大きい魔獣に何度も囓られて無傷(囓る際に「ゴリゴリ」という効果音がしていた) 包丁で指を切断し、絶叫するだけ 【素早さ】リレーのバトンパスの際、隣のレーンの相手と 隣「どうやら…勝ちはいただいたようじゃのう…」 マヤ「あんまり油断してますと、後でほえ顔をかくことになりますよ」 隣「フッ…ホネ顔は生まれつきじゃあ」 という会話を0.5秒で行い、しかもこの間に隣のレーンの相手のバトンを掏りかえることが可能 移動速度は運動神経の良い成人女性相当か 【特殊能力】クシャミをすると炎を吐く(そのような癖がある) 範囲は5メートル前後で、自身の入った棺おけを中から燃やすことが可能なほど 殺気のみで死の映像を与えるらしい クゥがマヤの誕生日会の様子をクリムとルーシアに伝えた時は、マヤが「3本ローソクが多い」と言った後からは幻が見えていたらしく、それ以降の様子は語れなかった 度を超して怒ると高熱を発する 温度としては、5m程度の距離にいるルーシアが「空調が壊れている」と感じるほどで、2m以内に近づくとルーシアは思わず逃げ出した また、この際手に持っていたコップ1杯の水が沸騰していた 自身の使用していた(と思われる)子供服が風化した以上、実年齢はそれ相応はあると思われる(ただし、作中では彼女の年齢に関する話はタブーとなっている) 【長所】その尻尾と角は伊達じゃない! 【短所】業務用冷凍庫で冬眠しかける 空は飛べない 自分の母子手帳を発見するまで、自分の年齢を間違えていた(しかもその母子手帳が古代文字の書かれた石碑のようなモノ) 画力が小学校一・二年くらい(by.ルーシア) 【参考テンプレ5】 【名前】鬼瓦源十郎 【属性】ねこきっさ東魔界店店長兼料理長(鬼) 【大きさ】3メートル程度 【攻撃力】台座に突き刺さった包丁(「今まで誰も抜いたことのない」と書かれている以上、常人の力では抜けない程度か)の柄を 片手で持ち、台座ごと持ち上げることが可能 (ちなみに、包丁も台座もオリハルコンで出来ている) 非常食用の缶詰程度なら、缶切りを使わずに開けることが可能 鉛製の防護服や防護メット等(自身の体重も含めて総重量1tにおよぶ)を身につけて行動可能 【防御力】銃弾程度なら軽く弾く 豆腐が後頭部に直撃し、気絶した(鬼のため豆に弱い、という設定らしい。なお、味噌汁を作っている描写があるため、直撃しなければ問題ないか) 自身より一回りほど大きい魔獣に何度も囓られて無傷(囓る際に「ガキーンガキーン」という謎の金属音がしていた) 落花生を食べて気絶(東北など一部地域では節分に大豆ではなくピーナッツをまくため、という設定らしい) たった一人で客のこない喫茶店に丸一日取り残されて、落ち込んでいた(ただし空気は重くなっていなかった) 【素早さ】マヤの5メートルほど前方にいる状態で、マヤが「お友達からでよければ…」と言っている時間でマヤの背後に回りこみ、尻尾を切断可能な反応速度 海底を魚と同じくらいの速度で走ることが可能な水中移動速度 陸上での移動速度は、「見かけによらず速い」とのことなので、大きさ相当の一般人より速いくらいか 【特殊能力】閻魔大王の賽の河原時代の先輩(どうやら作中で鬼は昇進制らしい) スランプなどにより度を超して落ち込むと、周囲の空気が「文字通りの意味で」重くなる 範囲は広く見積もって喫茶店の厨房相当で、描写上落ち込んだ度合いによって重さは異なり、光が逃げ出せないほど重くなったこともある 地獄時代は鬼たちの炊事当番で、作った料理の匂いが地獄道を包み、餓鬼道まで届いていた 【長所】台座ごと持ち上げる攻撃力 【短所】豆腐の角に頭ぶつけて気絶 ハゲを気にしている(「激しく」や「アメリカン」に反応し、「現実逃避はもうだめ」を「現実頭皮はもうだめ」と聞き間違えるほど) 空気が一番重くなった原因が「妻の年齢を間違える」というもの 【備考】このテンプレの攻撃力欄にある包丁および台座が、後に共通テンプレの「オリハルコンで出来た皿」になる 短所欄の「アメリカン」とは、「アメリカンコーヒー(薄いコーヒー)」のこと マヤと源十郎のテンプレに登場する「魔獣」は、最終的には仕留めているのだが、マヤと源十郎のどちらが仕留めたかは不明 【参考テンプレ6】 【名前】ルーシア・ミレクリス 【属性】ヴァンパイア系3世 【大きさ】小学校低学年相当(実際には高校生) 【攻撃力】ヘッドスライディングの要領でミルクを突き飛ばしてねこきっさ東魔界支店のガラス(描写上表に面している)に直撃、大破させ、ミルクに生死の間を彷徨わせた ミルクが押しつぶされるくらいの重さのアルバムを持って、ねこきっさ東魔界支店~自宅間を超音速で移動できる 静電気で自宅玄関の扉を破壊した事がある 全治1ヶ月の怪我をした状態のクゥを背負って空を飛ぶ事が出来るが、重さの関係で地上25cmの高度しか出せなかった(最終的には地面に擦るような高度になっていた) 【防御力】走行中のドラゴンバス(背中に学校で借りるような大きさのバスを乗せた、バスの3倍くらいの大きさのあるドラゴン)の屋根の上で3時間風を受け続け、ダウンしかけていた 3mほどの大きさの炊飯器に閉じ込められ、炊き出されてもホカホカするだけですむ 頭の上のアホ毛(描写上一本の髪の毛)に鍛えた成人男性の力で投げられた野球ボールが直撃すると、行動不能になる 熱帯夜の日に、棺桶の中で安眠できる(この棺桶は、超満潮の際に海に投げ出されても浸水せず、そのまま漂流できる程度の気密性がある) 3mほど離れた位置にある、虫を気絶させる超音波を発生させる装置のスイッチが入って、気絶した(耳からは大量出血した) 源十郎の周囲の空気が光が逃げ出せないほど重くなった時に、喫茶店で使用するお盆半分程度の距離にいて無事に逃げ出せた(持っているお盆は半分ほど巻き込まれたが、手に違和感を感じる程度で無傷) 花見の夜に、洗面器一杯分の石鹸水を頭から浴び、風邪を引いた 喫茶店で使用される照明(大分熱を帯びている)にしがみつき、多少は耐えられる(最終的にはかなり熱がる) 1mも無い程度の距離から放たれたぱくの墨を顔面に喰らい、墨まみれになるだけ 超満潮に耐えられる程度の強度がある水道管やガス管に穴を開けられる八太郎(カラス)の羽根を6枚ほど喰らって、墜落した エレベーターで1階から837階まで一気に上っても酸欠状態にならない(837階にはドラゴンバスが直立でいられる程度の高さがある格納庫があり、そこで勤務する新人が高山病になる程度の高度がある) 【素早さ】通常時は歩くよりは多少速い程度の速度で飛行可能 しかし、その気になれば音速の壁を越えることも可能 (走る速度は走るのは好きだがマラソンは苦手な女子高生相当か) 自身とほぼ同じくらいの大きさのクラゲの触手を、1mも無い程度の距離でギリギリ回避可能 【特殊能力】針金一つあればピッキングをすることが可能 学校の正面玄関くらいなら52秒で開錠可能 超音波(コウモリ)能力:超音波を放ち、周囲の様子を探ることが可能 範囲は数メートル程度で、物陰に隠れた人間の内臓の異常をも探知することが可能 吸血鬼の血が薄いため、吸血鬼らしい弱点(日光、ニンニク、十字架等)はない 【長所】超音波 吸血鬼らしい弱点が無い 【短所】いろいろと小さいのを気にしてる 履歴書を捏造している(身長とか胸とか) アホ毛という弱点丸出し 蛭相手に吸血対決で負けた 【参考テンプレ7】 【名前】クリム・フォウル 【属性】ワーウルフ 【大きさ】狼の耳と尻尾が生えた女子高生相当 【攻撃力】イノシシやウサギ、魚を「お弁当」として「生きたまま」食べているため、少なくともこれらを同時に持ち運べるだけの力はある 川魚(種類は不明だが、30センチ以上はある)を、それを銜えた狼ごと釣り上げることが可能 試食用の爪楊枝を口にくわえた状態でくしゃみをし、車の上にいる演説中の代表(成人男性相当か)に爪楊枝が突き刺さり、一撃で気絶させた 【防御力】3メートルほどの大きさの炊飯器に閉じ込められ、炊き出されてもホカホカするだけですむ ベニテングタケ(毒キノコ)を普通に食べることが出来る 森の中で野生の熊に襲われて、全身擦り傷だらけになる(中には逃げる最中についた傷もある) クゥが二日酔いになる程度の量のウーロンハイを飲んでも、翌日普通にバイトが出来る 【素早さ】落ち葉で地面が覆いつくされた森を全力で走ると、通った場所の落ち葉が舞い上がり道ができるほど 時速30キロで一晩中走れるスタミナを持つ 毛糸の一方が体に結びつけられた状態で、もう一方に結びつけられたルーシアが宙を舞うくらいの速度で移動可能 反応速度はオオカミ並 【特殊能力】裸眼の視力がかなり悪いが、おおよその輪郭と匂いで判別可能(それによると、ルーシアは「おいしそう」らしい) また、矯正後の視力は抜群に良く、小学生時代に、ペース配分を一切考えずに一時間ほど走り続けて「あと半分くらい」の距離にいる、倒れた人間を見つけることが出来た(この時点でかなりバテていた) 骨だけで生前何の生き物だったかが分かる 【長所】凄い嗅覚 凄すぎる矯正後の視力 【短所】ひどい花粉症(ガスマスクのようなものを装着するほど) 種族が絶滅の危機に瀕している バイトのきっかけが「店頭の食品サンプルを弁償するため」 【参考テンプレ8】 【名前】青葉クゥ 【属性】猫人 【大きさ】ネコの耳と尻尾の生えた女子中学生並み 【攻撃力】ドラゴンバス(路線バスを背負ったということ以外は中堅と同じか)の座席を何度も叩いて、ドラゴンを脳震盪にさせた オリハルコンで出来た皿を投げ、次鋒の持つ日本刀を真っ二つに折った ルーシア、クリム、ミルクと彼女達の荷物が入った炊飯器(の着ぐるみ)を着たまま普通に行動可能 ねこきっさ東魔界支店の壁を引っ掻き、爪痕を残せる(当人は無意識で引っ掻いている) 500円玉(銅5.0g、亜鉛1.4g、ニッケル0.6gの金属片)を踏みつけて、床にめり込ませた 【防御力】猫なので、体温調節が苦手(呼吸でまかなっている) 攻撃力欄のドラゴンが飛んでいる高度から源十郎に肩車されているミルクの頭の上に真っ逆さまに落下しても、軽症で済んだ ミルクに擬態しているぱくを頭の上に乗せたところ、重さの関係で首をやられ、数分気絶した 多少ならばチョコレートを食べても平気(チョコレートは猫にとって有毒であるテオブロミンを含んでいるが、このサイズなら多少は平気) 万華鏡に見せかけた望遠鏡で太陽を直視し、激しく暴れ回る 超満潮に耐えられる程度の強度がある水道管やガス管に穴を開けられる八太郎(カラス)の羽根を喰らって、痛がるだけ 【素早さ】2mほど離れた地点から放たれたぱくの吐くタコ墨を、間一髪で回避することが出来る反応速度 移動速度は女子中学生相当か 【特殊能力】猫人なので、猫と会話が出来る(但し、彼女の猫語は訛りがひどいらしい) 猫なので、霊が見える 猫族のため、頭が通る隙間さえあれば体も通る 猫なので、ごく僅かな光でも感知できるくらい夜目が利く(この状態で懐中電灯を向けられると、目が眩む) 【長所】主人公 最終的にはねこきっさのオーナーになった 【短所】度を越した守銭奴 【参考テンプレ9】 【名前】ミルク・シルフィード 【属性】猫 【大きさ】30センチ程度の猫 【攻撃力】アルマイトのお盆に入ったアイスコーヒーを配膳可能(ただし、作業効率は凄く悪い) 【防御力】全身ワックスまみれにされ、モップ代わりにされた挙句、そのまま長時間(ワックスが固まるくらい)放置され、その状態で洗濯機に放り込まれ、洗濯されて重傷を負う 業務用冷凍庫の中でカチコチに凍り、その状態で釘を打たれ(「バナナで釘を打つ」のバナナのような感じ)無傷(ただし解凍するまでは行動不可) 3メートルほどの大きさの炊飯器に閉じ込められ、炊き出されてもホカホカするだけですむ シガレットチョコで一服(多少銜えた程度か)して気絶(チョコレートに含まれるテオブロミンが猫にとっては有毒) 寝ぼけた状態でトイレに流されても、マンホールから脱出可能 幼児用椅子の上からナツメ(この状態では小銭のみで96203円入っている)が頭の上に落下しても、痛がるだけ オオクワガタに前足を挟まれ、そのまま振り回されても絶叫するだけ クゥが開けたシャンメリーの栓が顔面に直撃し、大量の鼻血を流す ドクターフィッシュが放たれている足湯で溺れ、全身をドクターフィッシュに食べられて、騒ぐだけ クリムによって釣り針に刺され、そのまま川に放り投げられても、凍えるだけ(少なくとも放り投げられるまで釣り針に刺さっていることに気付かなかった) 人混みの中で、「文字通りの意味で」踏んだり蹴ったりな目に遭い、重傷を負っても、翌日には普通に仕事が出来る 掃除機のホースに閉じこめられても、かなり苦しみながらなんとか脱出できた ボウリング場のボールに顔全体を銜えられ、その状態でクリムにボールを振り回され、絶叫する ベンチ型ハエトリソウ(大きさはベンチそのもの)に閉じこめられ、軽傷を負う 掘り炬燵の中に一晩放置されて、干涸らびた 【素早さ】草野球の際、ピッチャー(鍛えた成人男性相当か)が投げたデッドボール狙いの球を9イニング終了まで全打席で避けきれる反応速度 移動速度はクリムとほぼ同じ程度か 【特殊能力】100年後には猫又になる(が、テンプレ的にあまり意味は無い) 人間の言葉を話すことが可能 「A5ランク和牛を遙かに超えた伝説のアヴァロン・ミート」と言われている(ミルクの入った風呂の残り湯をクゥとルーシアが飲んで「おいしい」とコメントした) 猫なので、霊が見える 猫なので、ごく僅かな光でも感知できるくらい夜目が利く(この状態で懐中電灯を向けられると、目が眩む) 【長所】24歳独身 猫のわりにハイスペック 色々と悲惨な目に遭っている分、防御力が上がる 【短所】人間年齢に換算すると約112歳 愛煙家 バイトの同期のクゥがオーナーになっても、まだ研修期間のまま 将来的には量産される可能性大(遺伝子工学的な意味で) 参戦 vol.88 22-28,250,578 修正 vol.103 553-564,566-567
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127 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03 43 01.40 ID 2HPc1QEF (2/10) ……マジで気が狂いそうだった。 とにかく痛い。 痛すぎる。 激痛なんて日本語は、まさしくこの瞬間のために生み出されたんじゃないかと思えるほどだ。 具体的には、血が滴る傷口に固形物を無理やり突っ込まれて、さらに上下前後左右にえぐられる感じと言えば少しは想像できるだろうか? あまりに酷すぎる痛みの前には人間は無力になると、どこかの小説で読んだが、どうやらそれは正しかったらしい。 この拷問が始まって最初の数分は、痛さのあまり陸揚げされた魚みたく体をのたうたせることもできたが、今ではもう、腕も足も麻痺したかのように力が入らない。 出来ることと言えば、せいぜい歯を食いしばって、眉間が引きつるほどに目を閉じるくらいだ。 もっとも、見方を変えればこの激痛に助けられてるとも言える。 この非現実的な痛さのおかげで、俺はいま、自分の情況を冷静に認知するという、人間として当然の理性の働きから解放されているとさえ言えるのだから……。 「兄さん、誰が目をつぶっていいと言ったんですか? ちゃんと上目遣いに、あたしを見なさいと“命令”してあったでしょう?」 その声と同時に、傷口をえぐっていた固形物の動きが止まり、俺の髪は強引に引っ張り上げられる。 “あたし”という女言葉がまったく似合わない、変声期を経た男の低音ボイス。 それも当然と言うべきか、俺が瞼を開いて最初に視界に飛び込んできたのは、醜く歪んだ嗤いを浮かべる男の顔だった。 もっとも、この男の名誉のために言っておくと、彼はオカマでもゲイでも同性愛者でもない。 何故それが分かるかと言えば、俺はこいつをこれ以上ないほどよく知っているからだ。 いや……もう取り繕っても仕方が無いので、この際ハッキリ言ってしまおう。 眼前にいる男は「俺」――すなわち世間から俺自身と認識されているはずの存在だった。 俺はいまセックスをしている。 もっともそれは、いわゆる恋のときめきとか愛の営みなどといった情感とは完全に無縁な一方的な性行為――つまり、いわゆる強姦というやつだ。 俺はこの男に押さえつけられ、無理やりにチンコを挿入されている。 ……とだけ言えば、完全にホモによるホモレイプにしか聞こえない情況だが、そうではない。 なぜなら、俺の意識はいま女の――妹の肉体に封じ込められているからだ。 そして、妹の体になった俺の処女膜をレイプしているこの男の名は佐藤明――つまり、早い話が「俺」であり、さらに正確に言えばこいつも「俺」そのものではなく、俺と意識を交換した一歳下の妹――佐藤静香なのだ。 「自分の甘酸っぱい“初体験”の相手をちゃんと見なさいよ兄さん。せっかく女の子にしてあげたんだから、こんな一生に一度のイベントでそんなひどい顔されちゃ、殿方に失礼ってもんでしょ?」 そう言いながら妹――の憑依した「俺」――は、そのまま俺――の憑依した「妹」――の唇に、貪るようなディープキスをした。 それが自分自身のものである事を理解しながらも、初めて飲まされる「男」の唾液の気持ち悪さは、吐き気を催させるに充分なものだったが、これ以上こいつを挑発したくない一心で、俺は懸命に我慢し、その汚液を嚥下した。 128 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03 50 01.15 ID 2HPc1QEF (3/10) 「「「「「「「「「「「「「「「「 俺の妹――静香は確かに“普通”の枠内に収まる女ではなかった。 静香はいわゆる“魔法少女”という存在であったらしく、俺とこいつがいま互いに肉体交換を成立させているのは、もちろん常識的な物理ではなく、静香の非常識な“魔力”とやらのおかげであるらしい。 らしい……というのは、そこら辺の詳細な事情は、こいつの兄である俺も知るところではないからだ。 もちろん俺は、自分の妹が生まれたときからこんな化物じみた超能力を発揮する存在ではなかった事を知っている。 だから、静香がこんなパワーを獲得した過程に関しては、俺は何も知らない。おおかた、どこぞの神か悪魔かフェレットかに貰ったとか、そんなところだろう。 しかし、妹のやつが小学生の頃から玩具めいたステッキを振り回して、近所の爺さん婆さんにお節介を焼いていた事や、クラスメートのトラブルを解決していた事は俺も知ってる。 まあ、こいつがここまでガチの魔法少女だったとは俺も今朝初めて知ったんだが。 もっとも妹が「リリカル~~」さんや「~~マギカ」さんみたく、変身してどっかの誰かとバトルするために魔法少女をやってたんだとしたら、さすがに兄として少しは心配しただろうけど、どうやらそうじゃないらしいという話なので、俺も安心してたんだが。 でも、その、なんだ……そこら辺はどうでもいい。 俺が静香に関して普通じゃないといいたい部分は、そんな“些細”なことではないからだ。 妹が明らかに常軌を逸している最大の点は、俺に向ける異様な情愛だった。 あいつが生まれながらの魔女ではないとさっき言ったが、とはいえ、このブラコン(という言葉で括るには妹の感情はあまりにも攻撃的だったが)に関しても実は、俺はまったく気付いていなかった。 というより、そこまで妹の存在に関心など無かったと言ってもいい。 だから数ヶ月前、こいつから、 「あたし、兄さんが好きなんです」 という、愛の告白めいたカミングアウトを聞かされても、俺としてはどういう顔をしていいかわからず、目をぱちくりさせながら、 「いやいや、何言ってるんだよオマエ、そりゃ人としてダメでしょ?」 と、半笑いで漫才のツッコミめいた拒絶をしてしまい、わんわん号泣されてしまったのだが、しかし当時普通にカノジョさえいた俺からすれば、他にどう答えればよかったのか、今でもわからない。 だからこいつが、その翌日から明らかに俺から距離をとるようになったのも、その方がまあ面倒臭くなくていいかな、とさえ考えていた程なのだ。 そりゃそうだろう。俺にだって気まずさはある。なにしろ俺は、妹をフッてしまった兄なのだから。 事態がおかしくなったのは、その一週間後からだった。 食事の時間にさえリビングに下りてこず、俺を避けていたはずの静香が、その日から全く何事も無かったかのような顔をして俺の前に顔を出すようになった。 それだけではない。 ことさら俺にべたべたとスキンシップを図るようになり、まるで幼児のような無邪気さで俺に甘えるようになった。 俺の登校下校に可能な限り自分も同伴しようとしたり、昼休みに弁当を持って俺の教室に現れたり、夕食時にわざわざ俺のテーブルの隣に座ろうとしたり……等々といった風にだ。 まあ、俺も一度は妹を拒絶してしまった身だ。これ以上こいつの泣き顔を見るのも本意ではなかったし、これでも一応兄貴である以上、人並みに家族愛も兄妹愛も持ち合わせてるつもりだった。 なにより、そんな程度のスキンシップなら、まだ俺としても全然許容範囲だったからだ。 だが……困った事に静香の言動は日増しにエスカレートしていった。 家族として同じ家に住んでいるにもかかわらず、俺の携帯に一日に何十件もメールをよこし、眠れないと言っては夜中に枕を持って俺の部屋に押しかけ、背中を流すといっては俺が入浴中の風呂に乗り込んできたりした。 挙句の果てに、俺のカノジョに嫉妬して暴言やら罵倒やらを吐くようになったとくれば、さすがにもう笑って済ませるわけにもいかない。 129 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03 51 29.23 ID 2HPc1QEF (4/10) で、言っちまったんだよ。 「もういい加減にしようや」 ってさ。 「これ以上はもうシャレにならんぜ静香。どっちにしろ俺とオマエが結ばれるなんて結末は普通に在り得ないんだから、そろそろ前の俺たちに戻ろうや」 で、挙句がとどめの一言だ。 「ぼちぼち気も済んだろ?」 我ながら酷いことを言ったもんだと思う。 さすがに静香はショックを受けた顔をしてたが、それでも俺は発言を撤回する気にはならなかった。 なぜなら俺は何一つ間違った事は言ってないのだから。 あいつが俺の言葉を聞いて何を思ったかはわからない。 でも、多分泣いたんじゃないかとは思う。 多分……というのは、それから静香は自室に閉じこもったきり出てこなかったからだ。 晩飯も食わず、風呂にも入らず、部屋のドアに鍵をかけて、いくら呼びかけてもアイツは返事一つ寄越さなかったのさ。 それが昨日の夜の出来事だ。 で、今朝目が覚めたら、俺は女に――「妹」になってたってわけだ。 」」」」」」」」」」」」」」 驚いたかと訊かれれば、そらそうだと言うしかないが、それでも実は、前後不覚になるほど動揺を覚えていたというわけでもないんだ。 無論それは俺が鋼鉄の精神力を所有していた――などというわけではない。 たまげた――というより、あきらかに在り得なさ過ぎるシチュエーションに現実感が全く沸かず、なにか悪い夢を見てるような感覚しかなかったからだ。 この身を貫く破瓜の激痛も、むしろ現実感の喪失に一役買ってたと言ってもいいだろう。 だから何が言いたいかといえば、つまり、そんな野郎にパジャマのボタンを引きちぎられてベッドに突き飛ばされたとしても、ここにいたのが普段の俺だったなら当然のように反撃したはずだったってことなのさ。 実際DQNやヤンキーを気取るわけじゃないが、そこまで喧嘩と無縁な学生生活を送っているわけじゃない。十代後半の青少年として当たり前の血の気くらいは持ち合わせているつもりだ。 だがまあ……この体が思ったとおり動かないんだわ全く。 今から考えれば、朝イチの起きぬけってのも原因の一つなのかも知れないが、この妹の体ってのが、さっぱり動かねえ。まるで背骨に鉛でも詰まってるみたいだ。ギニュー隊長のボディチェンジよろしく慣れない体じゃ自由に動けないとか、そういう設定なのかも知れん。 まあ、もともと妹は体育会系の部活もやってないし、スポーツが得意だとも聞いてねえ。 むしろ家でポエムでも書いてるのが似合うようなキャラだと思ってたんだが……よくよく考えれば、俺は静香の事を本当に何も知らなかったんだなと心底思い知らされたよ。 (まあ、普段大人しいやつほどキレれば何するかわからんって言うけどさ) そう思いながら目を開ければ、そこには「俺」に覆いかぶさって懸命に腰を振る男がいる。 まあ、てめえの顔と言ったところで、一日数回鏡越しで見る程度の顔だ。付き合いこそ長いが、クラスメートや部活のチームメイトたちと比べても、さほど馴染みがあるツラというわけじゃない。 そんな見慣れぬ男が、必死にエクスタシーをこらえながら腰を使っているザマは、ある種の滑稽ささえ含んでおり、破瓜の激痛に身を晒しているさなかとはいえ、思わず笑えてくる。 (そういや、アイツとはじめてヤった時も、実際に突っ込んで五分と持たなかったっけな) 一応、カノジョ持ちの俺は、年頃の青少年のサガというか……早い話が童貞じゃない。 まあ、海千山千のおっさんというわけでもないので、何百回も経験があるわけじゃないが、それでも性行為に対する自分の肉体の感度も当然わかってる。つまり早い話が……俺は結構早いし、受けに回ると割と弱い。 だから、この眼前の男が(というか、その「中」にいる静香が)かなりの努力を費やしながら、射精をこらえているという想像が、たまらなく俺の笑いのツボを刺激する。 が、俺のその反応は、静香を必要以上に挑発しちまったらしい。 130 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03 53 22.74 ID 2HPc1QEF (5/10) 「なによ、その顔……ッッ!!」 その声と同時に頬が張られた。 「何がおかしいのよ!! そんな人を小馬鹿にしたような顔して……兄さん、自分の立場がまだわからないの!?」 いや、わかんねえって。 こんな意味不明なシチュエーションで、冷静に状況判断なんて出来るわけねえだろ。 俺はどこにでもいる当たり前の高校生なんだぜ? 「つーかよ……俺のツラでその口調で喋るなよ……キモさが一周してもう笑うしかないんだよ……」 その瞬間、俺をレイプし続ける「妹」の顔色が変わった。 どうやら俺はこいつをからかい過ぎたらしい。眼の光が怒りから殺意と呼ぶべきものへと変化を遂げる。 「いい加減にしなさいよ……ッッ!!」 その言葉と同時に、正常位で俺に覆いかぶさっていた「妹」の左手が「俺」の首をガッキとつかみ、頚骨も砕けよとばかりに枕に押さえつけて、「俺」の呼吸とおしゃべりを封じてしまう。 いや、こいつの攻撃はそこで終わらない。 さらに残った右手を握り締めると、その拳を俺の鼻っ柱に叩き込んできやがったのだ。 「ふざけないでよッッ!! ふざけるんじゃないわよッッ!! なんで兄さんはいつもいつもそうやってッッ!! あたしの言うことを真剣にッッ!! 真剣に聞いてくれないのッッ!!」 三発目。 四発目。 五発目。 「兄さんがそんなだからッッ!! 兄さんがいつもいつもそんなだからッッ!! あたしはッッ!! あたしはこうするしかッッ!! こうするしかなかったんじゃないのッッ!!」 六発目。 七発目。 八発目。 「こうなったのは兄さんのせいなんだからねッッ!! 兄さんの自業自得なんだからねッッ!! あたしは悪くないんだからねッッ!! 兄さんが!! あたしの告白を笑った兄さんが全部悪いんだからねッッ!!」 ……まあ「中」にいるのが妹であるとはいえ、客観的な絵で言えば、平均的な体力を持つ男子高校生が、一歳年下の女の細首を押さえつけながら、ガチの下段突きを顔面に入れているのだ。 おそらくあと一分その状態のままだったら、俺は多分死んでいただろう。 状況描写が「死んでいただろう」という推測文なのは、俺は結果的に死ななかったからだ。 九発目のパンチを入れたその瞬間、射精をこらえていた「妹」の集中力が途切れたためだろうか……「俺」の膣内にねじ込まれていたペニスが一気に暴発しやがったのだ。 ――どくん!! どくんっ!! どくんっっ!! 「~~~~~~ッッッッ!!!」 眉間に皺を寄せ、歯を食いしばって懸命にエクスタシーをこらえた「妹」は、その後しばし瞑目していたかと思うと、そのまま「俺」の首を絞め続ける左手もろとも脱力し、荒い呼吸に身を震わせながら「俺」の体に覆いかぶさってきた。 重ね合わせるバスト越しに「妹」の心臓の鼓動が、まるで早鐘のように鳴りまくっているのがわかる。 131 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03 56 01.87 ID 2HPc1QEF (6/10) (よっぽど良かったらしいな) などと冷静に考える余裕が、何故その時の「俺」にあったのか――それはもう、自分でもわからない。 処女膜破れたてのバージンまんこにチンコを突っ込まれて、ピストンされ続ける痛みなどとは全く異質な、直接的な“暴力”によるダメージにさらされ、俺はもう身動き一つ出来ない。 熱いザーメンを中出しされて気持ちよかったかって? それどころじゃねえよ、まったく。 切れた唇や鼻血は当然のこと、歯も何本か折れているだろうし、窒息しかけていた喉や気管も焼け付くように痛む。ぶん殴られた衝撃で脳震盪も起こってたのかもしれない。 が、そのとき俺の頭にあったのは暴力や強姦の痛みではなく(いや、それらの傷も充分痛かったが)たった一つの疑問だった。 ――静香のやつは、俺と肉体を交換した謎パワーを使って、なぜ俺の心を支配しないのか。 ――なぜ静香は、その“魔法”で、俺を自分に惚れさせないのか。 「……そんなことして、何の意味があるのよッッ!!」 その叫びと同時に「俺」の顔面がポッと温かくなり、鼻や唇や口内から痛みがみるみる消えていく。 重い瞼をむりやり開くと、「俺」に手をかざしてピンク色の魔力光を浴びせている「妹」が見える。 これはアレか、ホイミかべホイミか。 「魔法で好きになってもらっても!! 魔法でむりやり好きになってもらっても!! そんなの意味ないじゃないッッ!!」 おいおい、待て待て。 「だからあたしは……だからあたしは、兄さんの心にまでは手を出さないッッ!! 魔法で愛してもらっても、それはあたしにとっても兄さんにとっても――いや、あたしの魔力自体に対しても侮辱でしかないからッッ!! だから断じてそんな事はしないッッ!!」 いや、だからちょっと待てって静香……心には手を出さないとか何かいい台詞っぽく言ってるけど、それでお前が今やってるこの肉体交換の上のレイプって行為が、少しでも正当化できるとでも……。 「でもね……!!」 「妹」の口元がニヤリと歪んだ。 10発近くぶん殴られた顔の傷は、もうほとんど痛みを主張しない。口の中でカラカラ言ってた折れた奥歯もいつのまにか治っていたようだ。どうやら奴のホイミの威力は本物のようだ。 まあ、元をただせばこの顔は「妹」にとっては自分の顔なのだ。明日以降の日常生活に支障が出るような痕をそのままにしておくはずも無いだろう。 だが、こいつがホイミで回復させたのは、あくまで殴打の傷だけだ。 処女をぶち抜かれた内臓を引き裂かれたような激痛に関しては、まったく放置のままだ。 「兄さんにはあくまで、もっともとっと苦しんでもらいます。これからの日常は、今日の処女喪失なんて比較にならないくらい辛くて痛くて恥ずかしい目に遭ってもらいます。その上で兄さんを、あたしに惚れさせてみせます!」 「へ……?」 「兄さんを犯して犯して犯しぬいて、あたしなしでは生きていけない体にしてあげます!!」 妹が兄に告げるにはあまりにも異様な宣言ではあるが、しかし現に俺は、今やこいつに手も足も出ない。おそらく静香がその気になれば、ただの人間に過ぎない兄など、死体さえ残さず消し去る事も造作も無いのだろう。 「…………そっか」 132 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 03 59 11.20 ID 2HPc1QEF (7/10) かすれた声で俺も答える。 ならば、俺にできる事なぞ知れている。 せめて兄としての余裕を気取って苦笑を浮かべながら、気の利いた言葉の一つでも返してやるくらいか。 というより、この状況においてもなお、俺はこの「妹」に一分の恐怖も抱いていなかったのだ。 理由を訊かれれば、やはり静香に対する兄としての信頼があるとしか言いようが無い。 どれほど怒り狂っていようが、やはりこいつが俺に対して、取り返しのつかない真似をするはずが無いという、「家族の絆」とでも呼ぶべき無言の確信があるからだ。現にさっきの撲殺未遂のときも、最後の一線を越える寸前でこいつは俺を解放したじゃないか。 それに何より……俺には、こいつにどんな目に遭わされても仕方の無い理由がある。 俺はこいつを泣かせてしまったのだ。 静香に女性としての魅力を感じていたかと訊かれれば、真顔で俺は首を横に振るしかないだろう。だが、それでも兄として、妹を傷つけた男を許すわけには行かない。たとえそれが「俺自身」だとしてもだ。 だからこそ、安易に許されたいなどと思えるわけが無かったのだ。 「いいぜ……存分にやれよ……それでお前の気が済むならな……」 「妹」の目が、一瞬何かに射抜かれたように動揺する。 だが、さっきの会話で理解したが、こいつは魔法で俺の思考を読める。 俺の本音が静香への贖罪だと瞬時に知った妹は、さらに怒りに口元を歪ませると、 「上等よ……じゃあ思う存分好きにさせてもらうわ……!!」 と呟き、いまだ血まみれまんこに挿入しっぱなしになっているチンコをさらに激しく動かし始める。 (ぐうッッ!!) 再開された激痛に俺は思わず目を閉じ、歯を食いしばる。 いや、それだけではない。 「妹」は、ふたたび掌にピンク色の魔力光を溜め、「俺」の下腹部にそれを押し当てる。 その瞬間だった――。 「ひゃあああああああッッッ!!! なっ、なにこれ……ひぎいいいいいいいいッッ!!!」 下半身から俺の全身に向けて発信されていた激痛が、突如その姿を変えたのだ。 そう、男として知るセックス――射精感の数倍、いや数十倍のエクスタシーが、俺の全身をまるで嵐のように蹂躙し、翻弄したのだ。 生傷を木刀で直接えぐりまわされるような痛覚が、その瞬間に俺自身も未経験の膨大な快感に変換されたのだ。それこそ俺の理性などひとたまりも無かったと言うべきだろう。 「はひっっ!! はあああああああっっっ!!!」 あえぎ声など叫ぶ余裕も無い。「俺」の口から出るのはまさしく悲鳴だった。 もしも今この瞬間、この家の前を通りすがった通行人がいたなら、最悪の場合警察に通報されていたかも知れなかった。俺の声はまさしく理性をなくした者にしか出せない叫びのはずだったからだ。 『どう兄さん? いま兄さんが味わっているのが、いわゆる“女の悦び”というやつよ』 駄々をこねる幼児のように首を振り、息の続く限りわめき散らしてエクスタシーの海で溺れ続ける俺の脳髄に、静香の囁き声がダイレクトに届いてくる。 これもおそらく妹の魔法のなせる業なのだろうが、むろん俺に返事をする余裕などあろうはずがない。 『兄さんが泣いて許しを請うまで痛い目にあわせてやろうと思ってたけど……気が変わったわ。そんな単純な痛みなんかで許してあげない』 そうテレパシー(?)で俺に宣告しながら、「妹」はさらに深くチンコを突き立て、二度目の射精を容赦なく子宮にぶち込む。 133 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 04 01 01.16 ID 2HPc1QEF (8/10) その一撃――というより、まんこ深くに直接ぶち込まれた熱い生ザーメンの感触によって、これまでに倍する快感が俺の意識を襲い、とどめを刺す。 (これがいわゆる“絶頂”ってやつか) (中出しが気持ちいいってのは結構マジなんだな) ……などと考える余裕は、今度こそ無かった。 「~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!」 もはや声すら出せず、口や瞼を閉じる事さえできずに涙やよだれを撒き散らしながら「俺」はエビのようにのけぞり返る。 『発狂寸前になるまで追い込んであげる。痛みの何十倍もの気持ちよさでね!!』 その声とともに、俺は意識を失った……。 「「「「「「「「「「「「「「「「「 口から泡を吹き、マラリヤ患者のように痙攣しながら失神した「兄」……いや、自分の肉体を見下ろしながら、あたしはそこで始めて血まみれのペニスを引き抜いた。 その途端、どろり――という形容詞が意図せず浮かぶほどの様々な液体が、あそこからこぼれ落ちる。その光景……というより、その大量の体液が発する臭気に、さすがの私も顔をしかめざるを得ない。 赤いのは初体験での出血として、白いのは二度の射精で排出された精液や、おそらく本気汁というやつであろうか。そして黄色いのはやはり尿なのだろう。気持ちよすぎると失神と同時に失禁してしまうことは珍しくないとレディースコミックに描いてあった通りだ。 魔法で多少は快感を増幅したとはいえ、ここまで自分の肉体が敏感だったとは、さすがに自分のことながら驚かずにはいられない。 でも……、 (あたしと兄さんの体が、こんなに相性がよかったなんて) そう思うと、あたしの心が何か暖かいもので満たされていく。 「$%&’>?”#」 脱ぎ捨てた服からステッキを取り出し、呪文を唱える。 立ちくらみのように目の前が真っ暗になり、次の瞬間、あたしは尻餅をついていた。 (肉体交換って初めて試してみたけど……結構くらくらするんだ) 目を開けてみてみると、元の姿に戻った兄さんは相変わらずベッドの上で失神したままだし、あたしの股間は、それはもうスゴイ事になってる。 なにより、さっき兄さんを失神させたアクメの余韻が、まだ体の芯に残ってる。意識の入れ替わりでそれも大分リセットされたはずだけど、それでもまだ足元がおぼつかないくらいだ。 (はやくシャワーを浴びよう……) そう思って引き出しから新しいショーツを取り出し、お風呂場に向かう。すでに全裸になってしまっていることだし、むしろ早く熱いお湯を浴びないとこのままじゃ風邪を引いちゃうかも知れない。 134 :魔法少女マジカルしずか [sage] :2012/06/05(火) 04 03 22.38 ID 2HPc1QEF (9/10) 股間から溢れるジュースはまだまだ止まらない。 振り返って見てみると、廊下に点々とこぼれた水滴みたいに光ってるのがわかる。 途端に恥ずかしさが溢れて、あたしはステッキを振って雑巾を出し、急いでそれらを拭き取る。 『!”#$%&’(?』 ステッキに搭載された人格AIのレイジューノ君が、魔法で蒸発させればいいじゃないかと念話で言ってくるけど、あたしは無言で首を振る。 この魔法というパワーはあまりにも便利すぎて、使い慣れすぎると日常にちょっと思わぬ支障が出そうなので、あたしはなるべく使わないようにしてるのだ。 もっとも、兄さん相手にこんな使い方ができるなんて、昨日までは思いつきもしなかったのだけど。 (兄さん……) いかんいかん、兄さんのことなんか思い出したら、とてもじゃないけど終わらない。雑巾がけをしながら水をこぼして回ってるみたいな状況になっちゃう。 あたしは構わず浴室に飛び込んでシャワーの蛇口をひねり、熱いお湯を頭から浴びた。 わかってる。 なんで興奮が収まらないのか。 これからのことを思わずにはいられないからだ。 魔法を使うなら、出来るプレイの選択肢はそれこそ無限だ。 二人とも透明人間になって授業中の教室でだって本番ができるし、審議中の国会や公演中のコンサートホールとか、リビングで夕食中の両親の前でだってできる。 あたしのクリをペニスサイズに巨大化させて兄さんのアナルに挿入することだってできるし……いやいや、兄さんの体を人形サイズに縮めて、一日中あそこにバイブレーター代わりに入れっぱなしにすることだってできる。 それこそ、どんな不可能なプレイだって無茶苦茶なプレイだって思いのままだ。なんといっても、あたしは“魔法少女”なのだから。 でも、魔法を使ってあたしを愛させるっていうのだけはNGだ。 そんなことで簡単に終わらせてなんてあげない。 兄さんが心からあたしを愛するようになるまでは、徹底的にやってやる。 その結果、兄さんがどうなったとしても許してなんかあげない。ストレスで心が壊れたら治せばいいし、自殺したとしてもすぐに生き返らせるだけの話だ。 (そうだ……どうせなら、兄さんをもっともっと追い込んでみよう) (兄さんの友達を全員洗脳しよう、みんなが兄さんに嫌うように) (いや、どうせなら兄さんを女にして、その友達全員にマワさせるっていうのもアリかな) (どっちにしろ兄さんのカノジョには、一番ひどいやり方で兄さんを裏切ってもらわないとね) べとべとだった体はとっくの昔にシャワーで洗い流されていたけど、考え始めたら、もう止まらない。 あたしの興奮は、どうやら当分収まる事は無さそうだ……。
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「また会ったな。科学で無知な少年。」 その一声と共に、不倶戴天の敵である尼乃昂焚は姿を現した。 あまりにも予想以上に斜め上の出来事に神谷稜は口に含んでいたジュースを彼に吹きかけた。 「昨日のリベンジをするのは別に構わないが、人にジュースを拭きかけてしまったら、まず言うことがあるだろ?」 「バラの香りがする豆乳しゃぶしゃぶコーラよりはマシじゃねえか。」 稜は片手に1本の閃光真剣を出す。今、昂焚はハンカチで顔を拭っている。完全に無防備であり、絶好のチャンスだった。すぐ目の前であることもあって、彼が気付いて回避する前に閃光真剣で斬ることが出来る距離だ。 しかし、稜は閃光真剣を振らない。 「そのプラズマブレードを振らないのは・・・都牟刈大刀の自動防御の方が早いと判断したのか。だとしたら、良い判断だ。あの戦いだけでそこまで見極められるなら、それなりに場数を踏んでいるとみた。」 昂焚が言っていることは全て当たっていた。閃光真剣がプラズマであることも、稜が閃光真剣を振らない理由も、何もかもお見通しだった。 「それに―――――」 昂焚が稜の腹部を軽く小突く。稜はグフッ!と声を出し、痛そうに腹を抱えてその場に蹲る。 「昨日の戦闘の傷はまだ完治していないみたいだな。これではろくに戦えまい。」 (それでもこうして出歩ける程度まで回復させるから、学園都市の医療技術は恐ろしいな。ニコライが欲しがるのもよく分かる。) 蹲る稜を昂焚は再び見下す。哀れみもある、だがそれ以上に静かな怒りが感じられる。 突如、稜の閃光真剣が屈折しながら伸長し、昂焚の頬を掠める。プラズマ、電荷、電磁波、電場などを精密に計算しなければ自分を殺しかねない非常に高度な攻撃だ。 (ちっ・・・外したか・・・。) 正確には外したわけではない。都牟刈大刀の枝の一つが布を突き破って現れ、剣から発生した電撃によって計算を狂わせ、閃光真剣をずらしたのだ。 「これは驚いたな。随分と面白い隠し玉があたのものだ。」 昂焚は一切回避しようとせず、絶対的な余裕を以って稜を圧倒する。戦闘力もそうだが、精神的な余裕の差も2人には大きかった。昨日の戦いの身体的ダメージと都牟刈大刀が与える恐怖が稜を鈍らせた。 「まぁ、攻撃するからにはその対策を講じさせてもらうがな。」 都牟刈大刀の枝がもう1本現れ、稜の掌に刃を突き刺した。貫通するほどではないが、深々と突き刺さった刃に肉を抉られ、血が流れる。稜はその痛みに悲鳴を上げたかったが、あまりの痛さに声にすらならなかった。 「諦めろ。少年。お前にだって家族や愛する人がいるだろ?次は手加減するつもりは無い。」 「ふざ・・・けんな。諦められるかよ・・・。」 両の掌と腹部の痛みに耐えながらも稜が立ち上がる。満身創痍というほどではないが、身体的ダメージはあるはずだ。稜に警戒し、都牟刈大刀の刃が稜の首元に刃先を向ける。しかし、それに一切動じることはない。その姿は溢れ出る力と勇気を感じさせる。 「お前の信じる正義は・・・そうまでする価値があるものなのか?」 「“己の信念に従い正しいと感じた行動をすべし”」 「・・・・」 「俺は風紀委員だ。俺の信念に従い、俺が正しいと信じたもののために行動する。お前は学園都市のルールを破った。俺の仲間を傷つけた。“俺たち”が信じる正義を否定した!俺がお前を追う理由なんて、それで十分だ!」 「なるほど・・・やはり、君に対する認識は間違っていなかった。」 昂焚は稜の腹部を膝蹴りし、怯んだ隙に彼の髪を掴み、彼の後頭部を背後の壁に打ちつける。 「つまらなくて――――― 頭から血を流し、倒れた稜に追い討ちをかけるように昂焚は彼を足蹴りし続ける。 「無知蒙昧で――――― 憎悪に満ちた表情を浮かべながら、彼の傷ついた手を踏み付け、頭を踏み付け、徹底的に稜に屈辱を与えた。 「見ていると吐き気がする。嫌悪感の塊のような存在だ。」 昂焚は、辛辣で憎悪に満ちた言葉を浴びせかけながら、このまま殺す勢いで稜に無慈悲な暴力を振るい続けた。普段の飄々とした姿など跡形も無い。今、尼乃昂焚という男を善か悪かで判断するのであれば、彼は確実に“悪”だった。 「て・・・・め・・・え・・・」 脳震盪を起こし、朦朧としたまま稜は立ちはだかる昂焚の足に手を伸ばす。しかし、決して届く事は無く、稜は意識を失った。 「随分と彼には辛く当たるのだな。」 稜の元から立ち去ろうとする昂焚の前に双鴉道化が姿を現した。ワイヤーに吊るされているかのように上空からゆっくりと地上に降り立つ。 「覗き見とは趣味が悪いな。いつから見ていたんだ?」 「最初からだ。」 ふふんと双鴉道化は鼻で笑うと、昂焚を通り抜けて稜の前に立つ。 「あれほどまでに感情を露にする君を見たのは初めてだよ。この少年はそんなに君の気に障ることを言ったのか?私には分からなったが・・・」 双鴉道化の問いかけに昂焚は黙秘し、彼から眼を逸らす。答えたくないという意思が表情と態度から読み取れる。その様は反抗期の子どものようだ。黙秘し、相手を困らせることで自分の我が儘を押し通そうとしている。 「黙秘か・・・。まぁ、良いだろう。人間、例え親友でも話したくないことの一つや二つある。だが、君に対する認識は少し変えなければならないようだ。」 双鴉道化は仮面の奥にある眼で気絶している稜の顔を凝視する。 「それにしても、この少年に興味が湧いて来た。」 「は?」 「ポーカーフェイス・・・とまでは言わないが、あまり本心を表に出さない君がここまで憎悪を露にした相手だ。彼の何が君をそうさせたのか、実に興味深い。しばらく、彼を私の管轄下に置いても構わないかい?」 「俺に許可を取ってどうする?それに強欲なる者の頭領なんだろ?許可なんて気にせず、好きなようにすればいい。」 「ふふっ・・・それもそうだな。」 そう言うと、双鴉道化のマントが変形し、巨大な3本指の巨大な腕、いや、鴉の脚のような形状になる。変形したマントが意識を失った稜を鷲掴みした。 「親友として、スポンサーとして、天地開闢計画の成功を祈る。」 そう言い放ち、双鴉道化と神谷稜は大量の黒い羽根に包まれながら消えて行った。 * * * 新作アニメ試写会&姫野七色ライブ 開始まであと2時間 完全屋内のライブ設備を持つオービタルホール。円形のドームの様な構造の建物だ。 日が暮れ始め、太陽が完全に沈みかける黄昏。メインゲートは既に開き、そこにあった長蛇の列はゾロゾロと中に入った。イベントの開始まではまだまだ時間があり、席も指定されているので座席争奪戦をする必要は無い。 オービタルホールの周囲には既に警備スタッフが立ち並び、駐車場のゲートにも既にスタッフが警備に当たっていた。 1台のワゴンと後続のバイク集団が駐車場のゲートに訪れる。 「すみません。ここは関係者専用の駐車場です。パスの提示をお願いします。」 警備服を着た警備スタッフの一人がワゴンの運転席の近くへと向かう。ワゴンの窓が開き、中から大学生ぐらいの男が現れる。 「クラヴマガ警備の学生スタッフです。」 男はそう言って、パスを出した。警備スタッフはそれを受け取ると、スキャナーのレーザーをパスに当ててパスをスキャンする。スキャナーの画面にはどこの所属でどこを担当するのかが表示される。 「あ・・・。申し訳ありませんが、警備の方に急遽変更がありまして、このパスはお通しすることが出来ません。」 運転手の男はふっと笑うと、後部座席の方を振り向いた。 「そうだとよ。お嬢さん。どうする?」 後部座席にいたのは軍隊蟻のメンバー樫閑恋嬢と他数名のメンバー達だった。 「おかしいわね・・・。」 すると、樫閑のスマホに連絡が入る。相手はクラヴマガ警備の部長、軍隊蟻を警備に無理矢理ねじ込んだ張本人だ。 「私よ。」 『突然のことで悪いですねぇ。パス使えないでしょう?』 「ええ。これはどういうことかしら?」 樫閑は少し怒り気味の口調で応対する。 『まぁまぁ、怒らずに聞いてください。あなたからの例の電話があった後、警備員がウチにやって来てね。客の中に指名手配中の逃亡犯がいるって、イベントと警備の全てを睨まれている状態なんだよぉ。そこに前科持ちで武装疑惑のあるスキルアウトを組み込んだら・・・』 「獅子の檻に頭を突っ込む羊ってわけね。」 『はい。そういうことなので・・・・』 「ありがとう。お金はそのまま受け取っていいわよ。今後とも御贔屓に。」 そう言って、樫閑は通話を切った。 「で?どうなったんスか?お嬢。」 樫閑の隣に座る迫華が訊いて来た。 「逃走中の犯人が客に紛れ込んで、会場は警備員の巣窟になっているそうよ。」 「マジすか!?私らヤバいんじゃないすか?」 「まぁ、今回は武装を会場内に持ち込むわけじゃないから、『即☆逮☆捕☆』なんてことは無いでしょうけど、問題は私たちが飛び入り参加ってこと。中に入り込んだ逃走犯を外部へ逃がす手助けをすると疑われる可能性があるわ。」 「で、どうするんだ?」 助手席に座っていた狼棺が樫閑の方に振り向く。 「仕方ないけど、会場入りはナシ。会場の外側、第六学区と他の学区を繋ぐ交通機関とこの学区の宿泊施設を押さえるわ。見張るだけなら許可なんて要らないでしょ?」 「でもこの人数じゃ足りねぇんじゃねえか?」 「一応、来れるメンバーを集めてみるわ。―――――ってことで、色々と尼乃さんを見つけ辛くなったわ。」 樫閑は後方を振り返り、三列目のシートに座るユマと智暁の方を見る。 ユマは黙り込んだまま、顎に手を当てて何かを考えていた。その仕草は高等な教育を受けた者のように感じられ、彼女がかつての恩人から受けた教育・教養の高さがうかがえる。 「昂焚は絶対に中に居る。」 「でしょうね。とにかくここで張り込むしか無いわ。寒いけど、みんな我慢してちょうだい。」 ワゴンとバイク集団は関係者駐車場を離れると、一般駐車場に車を停めた。そして、ホールを囲むように最初に選定された12人のメンバーが配置に付いた。 * * * オービタルホール 警備スタッフ室 そこそこの広さを持つ警備スタッフ室、壁の一面には大量の監視カメラの画面が配置され、監視スタッフがまじまじと画面を見つめている。数人の警備スタッフが椅子に座って休憩を取り、その部屋の端の方でスーツ姿の中年男性が携帯電話で小声で通話していた。周囲の目を気にしながらこそこそとして怪しかった。 「そこに前科持ちで武装疑惑のあるスキルアウトを組み込んだら・・・はい。そういうことなので・・・」 中年男性は通話を切った。 「どなたとお電話ですかな?」 背後から突然声をかけられ、男は「ヒッ!」と似合わない悲鳴を上げる。男が振り向くと、そこにはオールバックの金髪にサングラス、黒い堅実なスーツを着た男が立っていた。その容姿は持蒲鋭盛と瓜二つ・・・と言うより、持蒲鋭盛本人が変装した姿だ。 「か、蒲田さんですか。驚かせないで下さいよ。」 「で、どなたと電話ですか?」 「アルバイトの学生です。指示通り、学生の警備スタッフは退却させました。」 「分かりました。では、今からの警備は我々、警備員対テロ部隊“ATT(Anti Terrorism Tactics)”に一任、クラヴマガ社は我々のサポートに廻って下さい。」 「わ、分かりました。」 蒲田こと持蒲が連れてきたATT。存在するが誰も見たことの無い幽霊部署であり、これは死人部隊が警備員として活動する際に用いる部署の名前である。 持蒲がATTに扮する死人部隊とクラヴマガ社の警備スタッフに指示を出し、警備状況とセキリュティの確認、テロが発生した場合の誘導などの手順を確認する。綿密に何度もそれを繰り返し、1時間以上続いた。 すると持蒲のスーツの胸ポケットが小刻みに震える。 「少し失礼する。」 持蒲が警備室から出て行き、通路に誰もいないことを確認して電話に出る。 「俺だ。」 『持蒲さん。今良かと?』 電話の相手は星嶋だった。 「ああ。構わない。」 『とりあえず、メルトダウナーは出せる状態にしたばい。他の駆動鎧は今も整備中。』 「ああ。メルトダウナーだけでも出せると助かる。他の駆動鎧の整備は死人部隊に任せて、お前は待機。出撃直前まで身体を休めておけ。」 『分かった。あと、岬原は会話できる程度までには回復したばい。』 「そうか・・・。後は、上条当麻の生存が確認できる情報でもあれば良いんだがな。」 すると、壁の向こう側、ホールのメインステージの方から観客たちの拍手と歓声が漏れて聞こえ出す。 「そろそろ時間だ。」 『分かったばい。』 持蒲は通話を切ると、再び警備スタッフ室に戻ってきた。 「ついに・・・始まったな。」 * * * メインステージの方では壇上に主演を務める姫野と他2人の声優、監督とプロデューサーがパイプ椅子に座り、アニメに関するエピソードや収録秘話などを語る。 「そういえば、静香さん収録中に突然、姫ちゃんのおっぱい揉みしだいたらしいですね。俺、その現場にはいませんでしたけど。」 「だって、そこにおっぱいがあるなら揉むしかないじゃない!」 「いやいや、女の子同士でもそれはいけないでしょ。」 「揉まれた時、『これって拒否するべきなのかな・・・でも相手はベテランの方ですし・・・』ってちょっと迷っちゃったんですよね。」 「いやいや、そこは拒否するべきだよ君ぃ。静香くんは常習犯だからね。」 「この前、酔った勢いで僕にドロップキックをかましてましたよね。」 「監督とプロデューサーまで酷い!1日1揉みはちゃんと守ってますよ!」 「毎日やってるんかい!」 「出たー!ツッコミ役に定評のある浩志くんの生ツッコミー!」 「まさか、今日もこのステージで揉むつもりじゃないでしょうねぇ?」 「そこは大丈夫!もう楽屋で思う存分揉んだから!」 男女のベテラン声優と姫野、監督とプロデューサーの軽快なトークにHAHAHA!と笑いが溢れる。ほぼ満席の観客から出て来る笑いと拍手は壮大なものだ。 一般人の中に上手く紛れ込み、尼乃昂焚もトークショーを楽しんでいた。すると、ショーの途中に入場し、彼の隣の空席に一人の男性が座りこんだ。 金髪金目でシャツとスラックスを優雅に着こなしており、イギリス紳士のテンプレートを絵に描いたような優男だ。 「やっと来たか。ショーはもう始まっているぞ。ディアス=マクスター。」 「ついさっきまで計画の準備をしていたのだ。言い出しっぺのお前が呑気に学園都市観光をしている間、我々は通常、1ヶ月かかるであろう工程を2日で済ませたのだ。労いの言葉ぐらいは欲しいものだ。」 「ご苦労様。」 そう言うと、昂焚はディアスに1枚のメモ紙を差し出した。ディアスはそれが何かすぐに理解し、それを受け取ると握ったままポケットに手を突っ込んだ。 『言っておくが、その1ヶ月かかる工程を2日で済ませるための下準備を数年にわたって俺は続けていたがな。学園都市とその周囲の土地の地脈・龍脈、世界の力の流れの向きを観測し、尚且つ土地の建設・開発計画によって生じる流れの“狂い”を計算に入れなければならない。その上、これらの流れの予測方法には――――』 ディアスの頭の中に昂焚の声が直接流れ込んでくる。超能力者で言うテレパシーのようなものだ。これも初歩的な魔術の一種であり、昂焚が渡した紙をディアスが触れ続けることで互いの意思を声に出さずに伝達することが出来る。声を出さなくていい為、会話内容を誰かに聞かれることも読唇術で読まれることも無い。また、騒がしい場所でも滞りなく意思伝達できるメリットがある。 『開口一番(?)で超高度な魔術理論を展開させるな。頭がどうにかなりそうだ。』 『そんなに難しかったか?』 『並の魔術師なら発狂している。私でも理解するのがやっとだ。そもそも、貴様と双鴉道化の魔術の知識量が異常なのだ。貴様はあらゆる宗教の魔術に手を広げる日系魔術師、片や双鴉道化は強欲鴉魔《マモン》によるコピーだ。』 コピーをして、それを扱うということはコピーした対象を“どのようにして扱うか”を理解する必要がある。魔術ならばなおさらの話である。 『まぁ、俺も今の双鴉道化も同じ人から魔術を教えてもらったからな。』 昂焚の口からさらりと日常会話の様に驚愕の事実が放たれる。双鴉道化の素性はイルミナティの中では最上級の極秘事項であり、年齢も性別も誰も知らず、尼乃昂焚のみがその素性を知ると言われている。 そして、ディアスは尼乃がうっかり(それとも意図的に?)言ってしまった極秘情報を聞き逃さなかった。 (尼乃昂焚と双鴉道化の共通点・・・こいつの過去を探れば、もしかしたら・・・) 『ちなみに俺の過去を探っても無意味であることを付記しておく。』 (だろうな・・・。) 『ところで、天地開闢計画の準備はどこまで出来た?』 『ほとんど完成している。後は最終工程だけだ。リーリヤに至っては昨日の内に済ませたらしい。流石は元殲滅白書と言ったところか。』 『なるほど・・・。ご苦労。最終工程は俺がやる。後はこの学園都市で好きにすればいい。』 『言われずともそうさせて貰う。』 そう言って、ディアスは昂焚から渡された紙をポケットから出し、差し出された昂焚の手に置こうとする。 『―――と言いたいところだが、』と言ったと同時に昂焚の手の直前で紙を止め、再び自分のポケットに戻した。 『丸々2日も作業させられたのだ。我々にも天地開闢計画の全容を知る権利がある。』 『じゃあ、ここは魔術師らしく、作業工程から想像してみてはどうかな?』 不敵に笑みを浮かべる昂焚、ここ最近、彼の感情が顔に出ることが多くなったように思える。 ディアスは今までの作業工程、場所、わざわざ学園都市で行う理由、学園都市の外壁に書かされた隠匿魔法陣の宗派などを思い出し、自分なりの答えを導き出す。 (まず作業工程と魔法陣、あれらは錬金術の流れを汲んでいるのは間違いない。彼がひたすらローズと会っていたのもそのためだろう。彼女は優秀な錬金術師だからな。そして、“全ての強欲に終止符を打つ計画”これが重要なワードだ。強欲に終止符を打つということは、強欲が満たされる・・・何もかもが自分の思い通りになるということ。) そして、ディアスは気付いた。わざわざ学園都市を術式の場に選んだ理由はまだ分からなかったが、この都市と所縁のある錬金術が存在する。 『お前・・・まさか黄金錬成《アルス=マグナ》を再現するつもりか?』 黄金錬成《アルス=マグナ》 世界の全てを呪文と化し、それを詠唱完了することで行使可能となる錬金術の到達点。それを実現すれば、神や悪魔を含む『世界の全て』を己の手足として使役する事ができる。世界の完全なるシミュレーションを頭の中に構築することで、逆に頭の中で思い描いたものを現実に引っ張り出す魔術。端的に言えば、自分の思ったことは何でもかんでも現実にする魔術だ。 元ローマ正教の隠秘記録官《カンセラリウス》のアウレオルス=イザードが完成させ、この学園都市で行使したとされている。しかし、現在、アウレオルス=イザードは行方不明になっており、死亡したとも噂されている。そのため、黄金錬成の実現は再び膨大な時間をかける必要がある。 『全然。はずれだな。黄金錬成なんて無理無理。発動に何百年かかると思ってるんだ?その“途中過程”を利用する術式であることに間違いは無いんだけどな。』 『途中過程だと?』 『ああ。錬金術の―――――おっと、そろそろアニメ1話の試写会が始まるから、続きはライブが終わってからな。』 『おい。ふざけたことを言って―――――ブチン 回線の切れる様な音と共にディアスのポケットに入っていた紙はバラバラに千切れて自壊した。ディアスは昂焚を睨みつけるが、そんなことを気にせずに昂焚は新作アニメに釘づけだった。 * * * オービタルホールから少し離れたホテルの一室。豪華絢爛をそのまま体現したルームで双鴉道化はソファーに踏ん反り返り、目の前の戦利品を眺めていた。椅子に固定され、手錠を掛けられた神谷稜の姿だ。彼の椅子を中心として何かしらの術式が張られていた。 「さて、そろそろ起きたらどうかね?」 双鴉道化が指をパチンと鳴らすと、催眠術が解けたかのように稜が眼を覚ます。 「ん・・・あっ!クソ!待ちやが――――って、ここはどこだ?俺になにをするつもりだ?そんで、あんたは誰だ?」 意外と冷静に周囲の状況を把握し、稜は双鴉道化に問いかける。 「熱血漢だと思っていたが、意外と冷静なんだね。あと、手錠を壊そうとしたら君の身体が爆発するから気を付けるように。」 (身体が・・・爆発?) 別に身体にダイナマイトが括り付けられているわけではない。だが、目の前にいる不気味な人物の言葉は異様にそれを信じさせる。同時に稜は昨日、狐月に言われた「君は早急に爆発すべきだ。」というセリフを思い出した。 (狐月・・・。お前の言う通り、俺、爆発寸前だ。) 「とりあえず、君の質問に答えておこう。まず、ここはオービタルホテル。君が倒れていた場所のすぐそばだ。窓の外を見れば分かるだろう?」 双鴉道化が指さす先には巨大な窓があり、そこから第六学区を一望できる。オービタルホールもすぐ目の前だ。 「私の目的は君に興味が湧いたから、少しばかり話し合いがしたかった。そして、私の名は双鴉道化。まぁ、本名でないことは君の頭でも理解できるね?魔術結社イルミナティのリーダーを務めている。」 「魔術・・・結社?じゃあ、あんたも魔術師って奴か?」 稜の反応に双鴉道化は面を喰らった様なリアクションを取る。素顔は仮面で隠れているので本当に面食らった顔をしているのかどうかは分からない。 「驚いたね。学園都市の住人でありながら魔術を知っているのか。」 「昨日戦ったからな。あと、夏休み前にも。」 「ああ。そうか。昂焚なら君に魔術師だって自己紹介してそうだ。さて、今度は私からの質問だ。君の名前と所属を語ってもらおうか。」 「拒否権は?」 「あると思うかい?」 稜は深く息を吐いた。 「神谷稜。15歳。映倫中学3年。風紀委員一七六支部所属。」 「ほぅ、ここの治安維持組織に所属しているのか。だとすれば、君が彼を追う理由は“使命”というやつかね?」 「黙秘する。」 「ここで黙秘か。まぁ、良いだろう。使命とはっきり答えられない時点で察しはついた。君が昂焚を追うのは個人的な理由だろう?おそらく、昨日の戦いで昂焚は危険だと判断され、上位機関である警備員に捜査権が移った。だが、君は命令を無視して昂焚を追った。違うかい?」 稜は絶句した。何もかもをこの人物は言い当てたからだ。図星にも程がある。彼の仮面には人の心理を読み解く能力でも備わっているのかと考える。 「・・・・・・」 稜は再び、答えを拒絶した。これ以上、学園都市側の捜査情報を漏らすわけにはいかない。目の前にいるのは明確な敵であり、そして彼がこのまま自分に何もしない保証は無かった。 「また黙秘か。強情だな。まぁ、良いだろう。やはり刃を交えてこそ語り合えるものがあるということか。」 双鴉道化が再びパチンと指を鳴らすと、稜を拘束していた縄と手錠が解錠され、自由が取り戻される。稜は双鴉道化の対応に戸惑いながらも椅子を囲む術式の陣から出る。 「何故、俺を解放する。お前は、尼乃の仲間じゃないのか?」 「ああ。仲間だ。同時に旧友でもある。」 「俺は諦めるつもりは無いぞ?」 「むしろその方が助かる。ジャンジャンドシドシ彼と戦ってくれたまえ。また新しい昂焚の一面が見れそうだからね。」 稜は静かに舌打ちすると、双鴉道化の動きに警戒しながら恐る恐る部屋から出て行った。そして、部屋から出た途端、どっと大量の汗が噴き出して来た。 (何だ・・・あのプレッシャーは・・・。今まで戦ってきた奴らとは桁違いだ。尼乃って奴よりもヤバい。) 眼の前に敵軍の大将が居たのにもかかわらず、解放された後も彼に刃を向けなかった。風紀委員としての勘が戦うなと告げる。しかし、それ以上に生命としての本能が危険信号を爆発的に出していたのだ。 (駄目だ・・・あいつには手も足も出ない。俺でも・・・ウェイン・メディスンでも・・・界刺得世でも・・・。) * * * オービタルホール メインステージ 大画面に映されたアニメ1話の試写会が終わった。観客の反応はかなり好評だったようで、「今期の神アニメ決定だろ。」「これ切る奴とかアホの極み。」「うぉぉぉぉ!マジでバーニングな展開だぜ!」「おいおい。これから放送までお預けとか拷問じゃねえか。」等の声が上がっている。 客席にいた昂焚もアホみたいに口をあんぐりと開けたまま唖然とし、ただただ拍手していた。 隣席のディアスは凄いことは分かったが、何がどう凄いのかは分からなかった。 するとステージ全体の証明が消え、目の前が真っ暗になる。 『それでは!本日のトリを飾るのは人気急上昇中のアイドル声優、姫野七色!アニメ主題歌の『Next G』をどうぞ!』 ステージに響き渡るアナウンスと同時に観客がウォォォォォォォォ!と歓声を上げ、虹色のサイリウムを持ち出す。昂焚も例に漏れず、隣のディアスにもサイリウムを持たせようとするが、ディアスはそれを拒否する。 ステージのスポットライトが1つだけ点灯し、ステージ上に立つ姫野七色だけを輝かせる。 ぱっちりした目に長い睫毛、透き通るように白い肌の美少女。黒髪のボブスタイルで顔のサイドに垂らしてある房だけ少し長く、毛先が巻かれている。いかにもアイドルらしい衣装を着こなし、手にはマイクを握っていた。 彼女が歌うNext Gのイントロが流れ出す。それと同時に観客たちの高揚感も増していく。 ―――――が、突如、イントロが途切れ、全ての音響がストップする。 観客も、そして姫野本人も戸惑う。 そして、もう一つのスポットライトが点灯し、姫野の隣にいる少女を映し出した。 若干水色がかった銀髪にサイドポニー、柔和な顔つきをした高校生ぐらい少女の姿が映し出される。しかし、その表情は暗く、非常に思いつめていた。 「すげー美人。」 「女神?いや、妖精だ。」 「え?何?ユニットの発表?」 突如現れた美少女を前に観客は戸惑いを隠せず、同様に姫野七色×謎の美少女のユニットを密かに期待する。だが、これがユニット発表で無いことを一番理解していたのはディアスだった。 (あいつ・・・まさか、アリサ=アルガナン!なぜ、学園都市に!?) この状況が全く飲めず、姫野もステージ上で戸惑っていた。 「えっと・・・あなた、誰?」 姫野が声をかけるが、妖精のような少女はそれを無視し、自分が持っていたマイクを握った。 そして、復讐の惨歌は始まった。
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銃弾と人外が飛び交うこのバトル・ロワイアルも2時間が経ち、既にいたるところで殺し合いが行われている。 その殺伐さとこれまで無縁でいられたうちはサスケは、数百メートル離れた警察署を眺めながら思案していた。 (何も起きないと思ってたが、今度はいきなり起きすぎてるぜ。) 冷や汗が頬をつたうのをそのままにして、サスケは気を張る。 また一つ銃声がした。 サスケのこれまでの経過は全て吉永双葉の尾行で言い表せるものだった。 突然に拉致され、謎の生物に殺し合えと言われて、どことも知れぬ森の中に放り出される。まずは幻術を疑い、次に彼が所属する木の葉隠れのなんらかの抜き打ちテストを疑い、最終的に自分が謎の勢力に拉致されたと結論づけた。彼がいた木の葉隠れの里の警戒網を突破してそんな幻術をかけられるのならば、自分を拉致するのもさほど不可能ではない。あるいは考えにくいものの、自分が忍界でも名門中の名門であるうちは一族の末裔ためにどこかの里の陰謀を、そして復讐すると誓っている兄のイタチの関与を疑う。 そこまで考察したところで見かけたのが双葉だった。右も左もわからぬ森では他にあてもなく、ただその場にとどまり続けるよりはマシだと彼女をつけ始めた。その途中で寺の鐘のような音や街を見かけても彼女を追いかけ続けてたのは、惰性によるところが大きいだろう。他に目当てになりそうなものがあっても乗り換えることに恐怖と忌避感があった。これが中忍試験を経たあとのサスケならば、もっと積極的に動いたであろう。しかし今のサスケは波の国での再不斬たちとの戦いから帰ってきて日の浅い頃、まだ命のやり取りをする経験値がかけていた。 しかし、そのサスケが今は双葉の追跡をやめてビルの屋上の物陰から周囲を伺っている。原因は明白である。双葉が入っていた警察署から爆音が聞こえるのだ。 銃というものが皆無と言っていい忍界では、爆発音とは起爆札の存在と同義である。チャクラが無くても使えるそれはどこの里であっても使われるありふれたものだ。当然サスケもその存在は知っているが、そんな彼の下へと聞こえてくるのは『奇妙』な音。銃によって違う銃声というのはサスケからすると不審な起爆札の音として聞こえる。そして必然考えるのは、爆音を立てて戦う忍の存在。わざわざ大きい音を立ててまでの死闘をしているのではと考える。単に銃を持った参加者がいるという以上の脅威をサスケは感じていた。 (写輪眼!) しばらく眺めていたサスケの目の色が文字通りに変わる。赤い瞳には黒い紋様が浮かぶ。うちは一族に伝わる血継限界、写輪眼は類稀な視力と洞察力でサスケは戦場を見渡した。 続く爆音。即座に発生源と思わしき一画を見定める。するとそこから侍風の男が飛び出してきた。別のところではチャクラのような力を2ヶ所で感じる。そこでサスケの目の色が変わった。素早くビルの壁面を駆け下り、一気に走り出す。 目指すのは双葉が入っていった一画や侍らしき男が飛び出してきたのとはまた別の方向。警察署から少し離れた位置の路上へとひた走る。 息せき切って辿り着いたサスケの目の前には、2人の同年代の子供がいた。 「サスケェ!」 「チッ……お前も巻き込まれてたか。」 「だ、誰なん? 知り合い?」 「ああ、コイツがさっき言ってたサスケだってばよ!」 「忍が仲間の情報をペラペラ話すな。」 呼びかけられた声にクールに返しながらも、内心では安堵していた。 その金髪にオレンジのジャージは、まさしくサスケと同じく第七班の忍者、うずまきナルトであった。 (狙われたのは、木の葉の忍か?) 「……面倒な話になったな。お前がここにいるってことは、サクラやカカシもいるかもしれない。」 「? どういうことだってばよ?」 「このデスゲームの主催者は、適当に参加者を選んだんじゃなく、オレたち第七班を狙っているかもしれないってことだ。」 「マジかよ。それムチャクチャヤベえじゃねえか。」 担当上忍であるはたけカカシはともかく、春野サクラは単独で戦うには不安がある。いくら一般人よりは強いと言っても、天才である自分や波の国での意外な活躍を見せたナルトと比べると、直接的な戦闘力では劣るというのがサスケの見立てだ。もっとも世渡りという意味では一番得意そうであるし、なにより意外性がありすぎて何をしでかすかわからないナルトよりも遥かに安心できはするのだが、自分の目の届かない所となるとやはり心配になる。 「それで、ソイツは?」 一旦サクラから離れて棒立ちで戸惑っている少女に水を向ける。「実は……」と話しだしたナルトの話を聞いて、サクラの時とは比にならない頭の痛さをサスケは覚えた。 一般人の子供同士で撃ち合ってしまい幼児が死に、保護してくれそうな侍と出会ったが警察署で戦闘になったので彼女を連れて逃げてきた。話をまとめると、先程警察署から飛び出してきたのは、その侍が敗走してきたからだろう。 明らかにメンタルが通常ではないニ鳥に、危険人物と足止めで戦い逃げることになった五エ門なる侍、もとい五エ門をそこまで追い込んだ銀髪の男。サスケが森をさまよっている間に他の参加者は後戻りが難しくなるほどに殺し合っているらしい。ハッキリと主催者打倒を目指しているわけではないがこれには閉口した。 「……そういえば、その銃っていうのはそれか?」 とりあえずナルト話の中で気になったものについて聞いてみてお茶を濁す。そんなことしてる場合ではないだろうとサスケ自身思うが、子供でも人を殺せる武器というのは知っておく必要があると納得して聞く。 「ああ、ここを引くと。」 そして銃弾がサスケの脇を通り過ぎていった。 「危ねえなドアホ!!」 「ごめんってばよぉ!?」 サスケは思った、やっぱりサクラよりコイツと先に合流できて良かったと。 それはともかく、サスケは改めて銃を見る。なるほど先からやたら聞こえてくる爆音はこれかと理解した。小さな爆発を起こして礫を打ち出す武器だと、写輪眼で見切った。その上で思う。手裏剣で良くないか?と。 手裏剣術を得意とするサスケから見ると、銃というものの不便さが見て取れた。かさばり、音が大きく、臭いもする上に、弾道は単純。速さはスゴいが、これで使い物になるのかと。 それは比較的オーソドックスな忍者の視点だ。特に木の葉隠れのある火の国は森が多く、交戦距離も近い。そういえば波の国でガトーが似たような物を持っていた気もして、サスケから見るとますます忍向きではない武器に思えた。手裏剣を使う筋力が無くても打てそうだが、忍ならば近接戦闘ができる間合いでなければ当たりそうもなく思える。 (さっきコイツが打ち合いになったって言ってたが、コイツもその仲間も当たってないんじゃな。) 真っ青になっているニ鳥を見ながらそう結論付ける。どうやら今のでトラウマをフラッシュバックさせたらしい。パニックを起こされても困るのでどう落ち着かせるかということに思考を切り替えたところで、「なあこれってよ」とナルトの声がした。 このあとすぐにサスケはナルトの意外性に驚かされることになる。そしてそれは、警察署周辺の全ての参加者も同様だった。 一番早く気づいたのは、石川五エ門だった。 ナルトが二鳥を連れて警察署から離脱したことと雪代縁を園崎魅音から引き離すために、戦闘を切り上げた警察署の外に出た彼は、縁の様子を伺うために未だ警察署の近くにいた。魅音からは敵視されてはいるが縁の毒牙にかけさせていいとは思わない。というわけで囮半分怪我半分で飛び出た窓からわざと見える位置で縁の追撃を待った。 想定外だったのは、縁が魅音とも別方向の内部にいた誰かに襲いかかり戦闘になったことだ。それはサスケが見送った双葉と後からやってきた神楽だったのだが、そこまでは五エ門も見ることができず。もう一度内部に突入して助太刀をと考えたところで、視界の端にオレンジ色のものが複数見えた。 「なにっ。」 思わず二度見しかけて目を見開く。そこにいたのは『ナルト達』だった。手に手にライフルを抱えたナルトが計16人駆け寄ってきていた。 ──これさ、これさ、こんだけあるんなら打ちまくれば当たるんじゃね? ──打ってる間に手裏剣でもクナイでも投げられるだろ。 ──だったら一度に何人も打てばいいだろ。 ──オレたち2人しかいねえの忘れてんのかこのウスラトンカチ。 ──だから、人数増やせばいいんだろ! ──影分身の術! それはナルトの四人一組だった。影分身16人で1個中隊を作り、警察署周辺、警察署1階正面、警察署1階裏口、警察署屋上に合わせて4隊を展開、64人からなる1個大隊が警察署へと殺到した。 当のナルトは元の喫茶店までニ鳥を連れて戻り、1個中隊で卍の陣を組み、もう1個中隊を伝令兼増援に、自分を含む1個小隊でニ鳥を護衛する。総数100体のナルトが一度に警察署近辺へと現れたのだ。 「あ、いたぞ! 五エ門のオッチャン!」「大丈夫かー!?」「よし、伝令よろしく!」「オレじゃねえってばよ! コイツ、いやアイツか?」 「お主、いやお主たちは、ナルトか?」 「おうっ! 迎えに来たぜ。」「へへっ、チャクラすんげー使っちまったけど、これなら直ぐ見つかるからな。」「忍術使うチャクラはねーけど、銃なら撃てるからな。」「しょうがねえからオレが戻るってばよ。」 五エ門に元の調子でナルト達は返事をする。その様子に毒気を抜かれるどころか神妙な面持ちを崩さない。 五エ門はすぐに察した。銃を持った人間が突然多数現れる意味を。ナルトの分身術と銃がいくらでもある環境の組み合わせの脅威を。 (もし、ナルトのような忍でなくとも、次元のようなガンマンが分身したら……背筋が寒くなるな……) 次元ほどのガンマンもそういなければ分身できる人間もそういないだろうが、つい想像してしまう。ろくに銃を撃ったことのないナルトでもどこに飛ばすかわからない銃弾と高い身体能力という厄介さがあるのだ。これが確かな技量と戦闘経験のある同じ数のガンマンなら、いかに五エ門といえど無傷で切り抜けられるかは難しい。斬鉄剣を持ってしてもその制空権はせいぜい自分の周囲3mほど。銃撃に手榴弾などの搦手を混ぜられれば十分に危うい。とはいえ、これだけの技に何ら代償がないとも思えない。 「いや、警察署に戻らねばならん。さっきの男が別の参加者を襲っている。」 「大丈夫だって、そっちにも分身送ってるからよ。」 「すさまじい……随分と多いな。」 「まあそのかしあんま長く出してらんないんだけどな。」「チャクラほとんど使っちまったから術使えねえし。」「でもコレがありゃ戦えるだろ。」「だからオレらも着いて行くってばよ。」 時間制限に能力制限と、本来ならデメリットも多いのだろう。しかしそれを打ち消すほどに火力と手数がある。それを産んでいるのは、会場にばら撒かれた銃。主催者はここまで考えてナルトを参加者にしたのかと考えつつ警察署に向かってすぐに、激しい銃声と爆音が聞こえてきた。と同時にナルトの叫ぶ声。警戒を強めた五エ門の目が窓越しにナルトの姿を見つけ、直後にそれが煙に変わった。 「なんだ?」「おい今やられなかったか?」 「来るぞ、気をつけろっ。」 五エ門の言葉通りに、窓から人が飛び出してくる。銀髪に片手に持った番傘。 雪代縁はナルト16人を瞬殺し五エ門の前へと現れた。 警察署周辺のナルトたちが五エ門と合流した頃、警察署1階裏口から突入したナルトたちは、ほぼ同時に2グループの参加者と遭遇していた。 1つは山田奈緒子、天地神明の部屋に隠れていたグループ。もう1つは吉永双葉と神楽、そして彼女たちを殺さんとする雪代縁のグループである。 神楽が足止めする縁から這うように逃げる双葉、彼女がドタバタとした気配に気づき顔を上げ、「なにっ」と同じ顔が4人いることに驚いた次の瞬間、「なんだぁっ」と更に驚愕の声を上げざるを得なかった。 「おい! 大丈夫──」そうセリフを言い終わるより早く、縁の銃弾がナルト×4を射殺した。ナルトの登場で縁も神楽も一瞬意識をそちらに向けたが、敵か味方か判断する神楽に対して縁は自分以外全て敵である。狭い廊下という戦場もあり、適当に掃射するだけで瞬く間に駆逐する。 「な、なんだったんだアイツ……」 「……なんなのねアイツ?」 (何なのだあれは。) 各員が困惑しながらも戦闘は継続する。縁は二度三度の打ち合いで神楽の筋力を察したため倭刀術から銃撃を主体に変え、一方の神楽は後ろの双葉に弾が行かないようにいつでも傘を広げられるようにして戦う。戦況としてはほぼ互角。連戦でわずかに息の上がる縁と、そこそこの距離を徒歩で移動した直後の神楽、自分以外全て敵の縁と、守るべきものを背後に抱えての神楽。一進一退の攻防が続く。その均衡を破ったのは、またもナルトだった。 「行くってばよ!」「ギャフンと言わせてやるってばよ!」「おっしゃぁっ!」 気合いの雄叫びを上げながらまたナルトが現れる。しかし前の二度と違って、縁の背後からだ。 「ホントにナルトじゃねぇカ!?」 今度は神楽の判断が早かった。神楽はジャンプを読んでいるのでナルトを知っているが、縁にとっては妙なトリックを使う西洋人にしか見えない。その差で神楽の突然のグラップリングに対応できなかった。それまで振るってきた傘を手放し両手で掴みに行く。意表を突くその動きにこちらも武器を捨てなんとか捌く縁だが、それは背後に大きな隙を生む。 「サンキュー!」 「ぐあっ……!」 ギリギリでクナイは躱すが、蹴りがパンチが、縁に突き刺さる。一撃入れたら消えていったが、今度は体が振るわれる。手を掴んでのジャイアントスイングの体勢に入られた。 「ふんぬらばあっ!」 グルグルと回していた縁の身体が、それまでの横から縦へと振られ地面に叩きつけられる。これで決める。そう思って振るった神楽だったが。 ドン! 人間が床に叩きつけられて出た音とは思えない音が響く、が、神楽の顔に焦りが生まれた。 叩きつける瞬間に離した手を、縁は即座に受け身へと使った。同時に体勢を入れ替えて脚から落ちる。そして震脚の要領で衝撃を受け止め、流し、拳へと勢いを乗せる。無手での虎伏絶刀勢! 「オオォォォッ!」 「おおおおっ!?」 裂帛の気合いと共に放たれるそれが顎へと突き刺さる寸前で、神楽は両手を重ねて滑り込ませた。ギリギリで間に合ったガードごと殴られ頭が揺れる。しかし、脳震盪をなんとか免れる。かすむ視界で、ナルトが双葉をおぶっているのが見えた。 「やっべ! しっかりつかまれ!」 「逃さ、ムッ?」 「とっとと行くネ!」 先程殺し損ねた少女がまたも現れたナルトにおぶわれ逃される。さっきの3人はこのための陽動かと判断するも武器は無く、駆け出そうとしたところに神楽がまとわりつく。舌打ちをすると、手近にあった消火器を投擲した。それが何なのかも重いということもわからなかったのでこれを神楽に使っても殺しきれないと思ったが、ナルトが脆いことは既に把握済みだ。 「おい後ろ後ろ!」 「え、なにぃっ!?」 まるで砲丸でも投げたような勢いで消火器が飛ぶ。双葉の声で気づいたナルトは、目を白黒させながらも咄嗟に自分の体を盾にした。ボフンという気の抜けた音と一緒にナルトは消え、悲鳴を上げた双葉が投げ出される。これで奴は逃げられない。先に神楽を殺してから次はと算段を立てる縁の耳に、またナルトの声が聞こえてきた。 「悪ぃ、コイツ頼んだ!」 (何人いるんだ?) 痛みにうずくまる双葉が2人のナルトによって廊下の角へと引きずられていき、その横を2人のナルトが駆けてくる。これで警察署1階裏口の16人のナルトは全てだが、縁からすると無限湧きしてくるようにも思える。 (まずはコイツだ。) となると優先順位は完全に神楽が上に来た。羽交い締めされかけたのを倒れ込むことで振りほどき、ナルトへと駆け出す。双葉を引きずっていた2人も加わり4人になったナルトを狙う、というわけではない。欲しいのは、床に転がる神楽の傘。そしてこの位置取り。 手に取り引鉄を神楽に引いた。その威力を知る神楽は咄嗟に飛び退きながら両手を顔の前でクロスさせる。ガードした腕に、そして肩にと弾丸が突き刺さった。 「テメェ!」 後ろからナルトがアサルトライフルを乱射する。予想通りの行動に、縁は顔色を変えることなく体を反転させつつ横へとズレた。そして傘を広げる。これに防弾性があるのは既に把握している。ナルトの乱射した弾丸はその大多数が当たらず、残りも傘で防がれ、そして大多数の弾丸は。 「バッカ野郎ォォォォォォォォォ!!!」 「わっ、悪ぃ!」「撃つな撃つな撃つな!」 大多数の弾丸の何割かは後方の神楽へと向かった。バックステップを続けてギリギリのところで横っ飛び、廊下の角へと飛び込む。その短い間に縁は傘から銃撃を加える、1人また1人と倒されついに16人が全滅した。 だがナルトたちを倒しても縁の動きは止まらない。すぐさまに後ろに向き直り、神楽へと追撃を行おうとする。その視界が赤く塗り潰される寸前、縁は傘を振るった。反射的行動、傘が何かにぶつかる、その正体は、消火器。直後、雄叫びを上げながら迫る神楽が傘ごと窓の外へと縁を蹴り飛ばした。 意趣返し言わんばかりの一撃は、偶然にも五エ門が突き破った窓から縁を放り出す。それでも猫のように空中で体勢を立て直すが、目にした光景にそれまでの無表情が崩れた。 先程辛勝した五エ門、そしてさっきさんざん殺したはずのナルトが待ち構えていた。 「こいつさっきの奴だってばよ!」「みんなやられたのか?」 「チィッ……!」 混乱する声を上げるナルトをよそに突っ込んでくる五エ門に銃撃で足止めしながら警察署内へと退避しようとする。このままでは五エ門に勝ててもハチの巣にされてしまう。狭い廊下と違って屋外では傘のガードなど信用できない。しかし、ああ逃れられない、後ろから叩きつけられた気配に慌てて身を投げ出す。真上を赤いチャイナ服が通り過ぎていった。 「傘パクってんじゃねえぞ銀髪ブタ野郎。今謝るなら半殺しで済ませてやるネ。」 「助太刀しよう。拙者も奴には借りがある。」 「……邪魔ダ。」 五エ門と神楽、2人の猛者を前に縁の頬を汗が伝う。しかしそれでも微塵も闘争心が陰ることなく、戦いは新たな局面を迎えた。 同時刻、警察署1階正面側。 裏手での戦闘に1個小隊が向けられてもなお10人を超すナルト達はライフルを持って探索している。 同じ姿同じ顔の人間が銃を持って練り歩くという光景は、見る者によっては大きな恐怖を感じるだろう。 ましてそれが、つい先程撃ち殺したのと同じ相手ならば。 (なんで? なんで何人もいるの?) (わ、訳がわからねえ……幻覚でも見てるのか?) たまたまほとんど空のロッカーを見つけて、園崎魅音と前原圭一はそこに隠れ潜んでいた。 五エ門の一件で縁の存在に気づいた2人はすぐさま後退し、その後双葉たちと戦いだしたことで山田の回収に向かったのだが、その間にナルト達の突入を受けてしまった。最初は迎撃も考えたが自分たちが殺したはずの顔が何人も現れたことで一転逃げることになり、しかしそれもできずにロッカーに滑り込むのがやっとであった。 狭い空間にぎゅうぎゅう詰めになりながら、魅音と圭一は隙間から外を伺う。何度見直しても死んだはずの人間が10人以上に増えて銃まで持っているのだ。募るのは恐怖と困惑である。 互いの吐息が首筋にかかり、痒みを引き起こしても身動ぎできずに息を潜め続ける。2人とも何らかのトリックなのだろうとは思っている。思わなければやっていられない。これまでの殺し合いであれだけの人数と出会うことすら今までなかったのに、突然二桁の参加者が死人の顔をして現れたのだ。魅音は圭一の、圭一は魅音の心臓の早さで負の感情が煽られていく。 汗でじっとりと濡れた互いの肌が張り付く。無意識の内に互いを抱きしめるように回した腕には、冷たい銃が握られている。またこれを使うべきだろうか? そう考えだした魅音の前でナルト達に動きがあった。1か所に集まって何か話し出す。よく聞き取れないがいくつかの単語はなんとなくわかった。「撃たれた」、「銀髪」、「山田」と。 「山田さん、もしかして……」 小声で呟く圭一に咄嗟に注意しようとして、しかし魅音は無言で圭一と目を合わせた。魅音も同じことを考えてしまう。さっきからの銃撃戦と動けない山田、そして今のナルト達の言葉。「山田奈緒子は殺されたのではないか」と。 荒唐無稽な考え、とは思えない。既に2人の目の前でつい先程銃や爆弾を使った殺し合いがあったばかり。山田も巻き込まれたかもしれない、2人が名を知らぬ侍の五エ門に見つかって斬られたかもしれない、名前どころか姿すらろくに見えなかった縁が投げた手榴弾が当たったかもしれない、なによりナルト達に撃ち殺されたかもしれない、次々に嫌な想像が頭を巡る。 「落ち着いて、今出て行ったらヤられる。」 「わかってるぜ、でもよ。」 小さく言葉を交わす2人の耳にどかどかと足音が聞こえてきた。何があったのかはわからないが、10人ほどのナルト達が揃って駆け出す。実はこの時、縁との戦いの情報が入ったことでのナルト間での話し合いの末に、3個小隊が裏手への増援として向かった。残された4人は1人が本体へと伝令に向かい、残る3人で捜索を再開する。しかしナルト達が部屋から出て行っても魅音達は動けなかった。裏手へ向かったということは山田のいる方へ向かったということ。魅音達としては助かったがむしろ迎えに行くのは難しくなったとも言える。そして直ぐに銃声が聞こえ始めた。 「ダメだ、助けにはいけない。逃げよう圭ちゃん。」 「でも、それじゃあ山田さんが……」 「無理だよ。アイツら、みんな同じ顔に見えるんだ。何か毒を食らったみたい。」 「でも逃げるったって、どこに。」 「大丈夫、着いてきて。」 魅音はしっかりと圭一の目を見ながら言った。暗いロッカーの中でも圭一の顔がナルトでないことを確かめるように。 (忍者にヤクザ、何でもありだな……) 苦笑いするしかない。双葉をナルトから預けられた天地神明はとりあえずお姫様だっこしながら山田の車椅子を押していた。 縁の戦闘音は同じ階にいた2人にも当然聞こえていて。身動きがまともにできない山田がいる以上、その後のナルト達との遭遇も不可避のものだった。 事情が変わったのは、遭遇した裏口から突入したナルト達が神楽の援護に回ったことだ。1人のナルトと自己紹介しているうちにどんどんやられていき、最後には負傷した双葉を押し付けられることになった。 一体誰がこんな展開を予想できただろう。分身する金髪少年忍者にチャイナ服の片言少女、おまけに銀髪のヤクザときた。どう考えても少年漫画にでてきそうなメンツであって少女漫画にはでてこないタイプだ。自分が少女漫画のイケメンのようなキャラだと自覚のある天地からすると、ノリが違いすぎてお近づきにはなりたくない。彼らの中では強みが生かせないのだ。 (ただ、アイツらでも銃で殺せそうなのは幸いだな。不死身の化け物でないならやり方はある。話し合いにさえ持ち込めるのなら丸め込める。) しかしながら、状況の悪さは否めない。迂闊に逃げても流れ弾で死にかねないし、怪我人2人を置いていくのは悪評のリスクもある。それを避けるために口封じしようとすれば更にリスクを負うことになるし、現状としてはあの銀髪ヤクザに死んでもらうしかない。できれば共倒れしてもらいたいが流石にそれは望み薄だろう。 結局のところ、天地は少年漫画と上手く付き合うしかないという結論に達した。あのレベルのチートがありなら、他の参加者にも同レベルの化け物が入る可能性を無視できない。現に警察署に入る前には翼の生えたイケメンが空から降りてくるのも目撃している。だったらまだ話が通じそうな化け物を丸め込む方向で動こう。 (車椅子の美女に気絶した少女、カードとしては悪くない。これを足手まといだと言うような合理的な人間なら、自然と他の参加者から孤立していく。組むなら頭の少し悪いお人好しだな。) 「天地さん、あれ。」 「あれは、またナルトくんたちですね。」 「やばっ、同じ顔が3人に見える。」 「大丈夫です、僕も同じですから。」 【0217 『南部』 繁華街・警察署】 【うちはサスケ@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】 【目標】 ●大目標 殺し合いから脱出する。 ●小目標 ナルトと共に春野サクラを捜索する。 【うずまきナルト@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】 【目標】 ●大目標 殺し合いとかよくわかんねーけどとにかくあのウサギぶっ飛ばせばいいんだろ? ●中目標 サクラを探す。 ●小目標 ニ鳥を守る。 【宮美二鳥@四つ子ぐらし(1) ひみつの姉妹生活、スタート!(四つ子ぐらしシリーズ)@角川つばさ文庫】 【目標】 ●大目標 生き残る。 ●中目標 あの男子(圭一)を殺す。 ●小目標 忍者? 分身? なんやこの……なんや? 【石川五エ門@ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】 【目標】 ●大目標 殺し合いからの脱出。 ●中目標 二鳥やナルトなどの巻き込まれた子供は守る。 ●小目標 縁を斬る。 【雪代縁@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】 ●大目標 人誅をなし緋村剣心を絶望させ生地獄を味合わせる。 ●中目標 緋村剣心と首輪を解除できる人間を探す。 ●小目標 侍(五エ門)と襲ってきた子供(神楽)を殺す。 【吉永双葉@吉永さん家のガーゴイル@角川つばさ文庫】 【目標】 ●大目標 こんなことしでかした奴をぶっ飛ばす! ●小目標 ??? 【神楽@銀魂 映画ノベライズ みらい文庫版(銀魂シリーズ)@集英社みらい文庫】 【目標】 ●大目標 バトルロワイヤルとその主催者を潰す。 ●中目標 病院と首輪を外せる人間を探す。 ●小目標 変態(縁)をぶちのめす。 【園崎魅音@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第二話 綿流し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】 【目標】 ●大目標 生き残る。 ●中目標 家族や部活メンバーが巻き込まれていたら合流する。 ●小目標 警察署から脱出する。 【前原圭一@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第一話 鬼隠し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】 【目標】 ●大目標 生き残る。 ●中目標 山田さんを助けたい。 ●小目標 魅音に着いていく。 【天地神明@トモダチデスゲーム(トモダチデスゲームシリーズ)@講談社青い鳥文庫】 【目標】 ●大目標 生き残る。 ●中目標 信頼されるように努めて、超人的な参加者から身を守れる立ち回りをする。 ●小目標 チート参加者を丸め込んでグループを立ち上げる。まずはナルトだ。 【山田奈緒子@劇場版トリック 霊能力者バトルロイヤル 角川つばさ文庫版@角川つばさ文庫】 【目標】 ●大目標 生き残る。 ●小目標 このトリックは…?
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耳鳴りがする。 ナチス研究所を囲む庭園の一角は、絶対零度の空間と形容すべき痛々しい沈黙に支配されていた。 いや実際には、この血なまぐさい情景には不釣り合いな程に優雅なクラシックと 荒木の愉快そうな、それでいてどこか間延びした放送が流れていたのだけれど。 誰も言葉を発しない。顔を見合わせもしない。呼吸音すらも聞こえない。 どうしてこうなった?何故報われない?救われやしない? 最善を尽くした。尊い犠牲も伴った。神はこれ以上何をしろと仰せなのか。 傍から見ればほんの一瞬、それでいて永遠とも思える、独りよがりな押し問答が堂々巡りする。 そして止まった時間は再び動き出し、どうしようもなく非情な現実が訪れる。 結末はいつだって残酷だ。だからこそ甘美で、数多の人間を魅了して止まないのである。 ◇ ◆ ◇ 思えば、アンラッキーな要素が重なり過ぎていた。 怪物がまだ生きている?放送が始まった?それだけではない。 ブチャラティの性格だ、自らの身に起きた『異変』に気付くや否や、迷わず死を選んだに違いない。 だが彼の身体全体を縛る強い力に阻まれ、それでも彼は仲間にとって最良の策は何であるのかを理解した。 そして自己崩壊の恐怖と諦念を必死に押し殺しながら、リゾットに『助けてくれ』ではなく『殺してくれ』と嘆願したのだ。 エシディシを倒すのにこれ以上のチャンスは無い。むしろ今を逃せば、多大なる犠牲と苦労は全て水泡に帰す。 分かっていた。ブチャラティがそれを真に望んでいる事も。しかし、彼らとて所詮は人間だった。 ブチャラティの悲しい覚悟は、皮肉にもギャング達をほんの少しだけ躊躇させてしまった。 「殺させやしねーッ!!まずはてめーら全員地獄に叩き落としてやるッ!!グシャシャシャシャアーッ!」 『運命の車輪』は確実に回転していく。悪夢はまだ、終わらない。 我に返ったジョルノがゴールド・エクスペリエンスの拳を振り上げるも、既に手遅れだった。 コキリ、と首を鳴らすブチャラティ。その狂気に囚われた面様にボコボコと血管が浮かび上がる。 声色は最早エシディシのそれであり、すっかり散瞳した目には何も映っていない。 と思う間もなく、ジョルノの顔面に鮮やかなカウンターがヒット。 運悪く背後に立っていたフーゴもろとも、彼の体はまたしても壁面へと殴り飛ばされた。 「なんて執念だ……エシディシ…。」 失神したジョルノを庇いながら、フーゴはブチャラティをぼんやり見つめる。 自分にはどうしようもない何かに押し流されていく感覚に、フーゴはただただ戦慄するのみだった。 「そういうセリフは、終わってから言うもんだぜ。」 「MU?」 リゾットは既に動いていた。 瀕死のエシディシが完全にプッツンしている今の内に手を下そうと、直ちに『メタリカ』を発動、 ブチャラティの心臓部に鋏を作り出した。そのまま心臓をくり抜き余分に持っている首輪で消し飛ばせば、 いくら究極の生物とてひとたまりもない筈だ。まさに完璧な作戦である、不可能という点に目を瞑れば。 「てめーの次のセリフは『残念だったな。お前は既に出来上がっている』だ!」 「残念だったな。お前は既に出来上がっている…ハッ!?」 だがむしろ、功を焦り冷静さを失っていたのはリゾットの方だった。 初っ端から急所を叩く見え透いた攻撃など愚策も愚策。それどころか逆に武器を与えてしまったも同然。 エシディシは大切な心臓へ何のためらいもなく手を突っ込むと、いとも簡単に鋏を引き抜いた。 拳が空けた大穴はエシディシの細胞が即座に塞ぎ、さながら世にもグロテスクなコイン貫通マジックといった所か。 「俺の心臓を狙ってんのはバレバレなんだよォ!チンボコ野郎!」 暗殺者の勘が成せる業だろうか、超人的な反射神経で後ろにのけ反ったリゾットの鼻先を、銀色の光が一閃する。 留め金を壊しメス状になった刃が頭巾と額を浅く裂き、背後で鋭い刺突音が響く。 エシディシは無理な体勢に尻餅をついたリゾットを一瞥し、この機を逃さんとばかりに 西部劇に出てきそうな植物達が群生する茂みへとバックステップし、その姿を眩ました。 何の事は無い。体を殆ど失い大幅に弱体化したエシディシが三人のスタンド使いを相手にするなど、土台無理な話だ。 事にリゾットの能力なら、人間の脆い体など簡単に破壊されるだろう。彼の狙いは最初から逃亡だったのだ。 「クソ………ッ!!」 悔しそうに顔を歪めるリゾット。あの殺気立った口ぶりに完全に騙されてしまった訳だ。 ここでエシディシを見失いダメージを回復されれば、次に俺達が勝てる見込みはもう無い。 深追いは禁物などと悠長に言ってられない。奴はちょっとでも押せば倒れる、 草の根を分けてでも探し出し、エシディシをここで始末する! 「ジョルノ、フーゴ!いつまでも寝てんじゃあないッ!!ホルマジオとブチャラティが死を賭して作り出したチャンス、 断じて無駄には出来ん!ここでエシディシを取り逃がせば、俺たちに勝ち目は無いぞッ!!」 僕達を叱咤激励しつつ草むらへ飛び込んだリゾットを見送りながら、僕は渋々身を起こした。 全く…。簡単に言ってくれますね。あと少しで喉元に喰らい付けるって所で引き下がる訳にいかないってのは 重々承知してますが。こっちは顔面に二発もいいのを貰って脳震盪を起こしかけてるんですよ。 それにブチャラティだって…ああいけない。ちょいと投げ遣りになっていましたね、僕らしくもない。 「ジョルノ、意識はあるか?手を…。」 すっとフーゴが手を差し出す。とにかく感傷に浸っている場合ではありません。 僕はしばらく戦えないかも知れないが、生きている限り能力は有効です。仲間の負傷を手当てし、 ブチャラティの血液を基にしたあの鋏を使って、エシディシを追跡する事だって可能だ。 命が尽きるその時まで精一杯、与えられた役割をこなす事がギャングの宿命ですからね。やれやれです…。 一応礼を言おうとフーゴの顔を見上げた僕は、掴みかけていた手をはたと止めた。 僕を無表情に見下ろすその瞳は、マンホールの底に似た空虚で吸い込まれそうな闇を湛えていた。 彼が何を考えているのか分からない。一切の喜怒哀楽が取り払われたその顔つきを、僕は能面みたいだなと思った。 唐突に不安に襲われました。仲間であるフーゴに言い知れぬ恐怖を感じたのは、きっとこれが最初で最後だったでしょう。 ――――フーゴ、何故そんな顔をしているのですか?…そうか、フーゴ。君は ◇ ◆ ◇ 「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~~ッ!」 灼熱地獄と化したナチス研究所内で蠢く一つの影。 中央には体の半分近くが欠損した、B級ホラー映画の小道具そっくりな死体が寝転がされている。 その屍骸に誰かが指を突き立てていた。と、瞬く間に死人の体がミイラ状にしぼみ、 逆に片膝をついて血を絞り取るその怪物にみるみる血色が戻り、負傷が癒えてゆく。 「切断面が塞がれている…。なかなか気の利いた心遣いじゃあないか、ジョルノ。」 ニタリ、と笑うエシディシ。彼が単なる柱の男であったのなら、人間に臓器の一つや二つが取り憑いた所で 血液を沸騰させ、その体もろとも爆散する程度が精々だ。しかし今の彼は身一つであらゆる生物を創造する究極生物。 先程まで力強く拍動していた胸部の肉塊を細胞レベルにまで分解し、あちこちの組織に付着して代謝機能を支配。 そしてブチャラティの体内で栄養を摂取し癌細胞の如く増殖、同時に失った部分を再生しつつあった。 「とはいえ、これっぽちの屍ではまだまだ足りないか…。もっと新鮮で大量の血を吸う必要がある。」 呟きつつ目を瞑り、精神を集中させる。と、体から黄色のスライムがウジュリと吹き出し、全身が覆い包まれる。 彼の本体は遥か遠くのエリアに流され最早回収の術は無いが、共に水流の藻屑となったホルマジオごと 取り込まれたDISCが、黄の節制を再び呼び戻した。身に纏う程度ならコントロールも可能らしい。 もっとも司令塔とも言うべき今の体にDISCが差しこまれていない分、自由自在にとはいかないだろうが。 エシディシには、カーズのような卓越した頭脳も、ワムウのような天才的な戦闘のカンも無い。 しかし、自らの性格を把握し、精神をどん底に追い込まれてもすぐにスイッチを切り替えられる沈着さ、 誇りを捨てても、醜いと罵られてでも生きようとする執念深さは、裏を返せば強い精神力の現れだと言える。 人間も吸血鬼も、柱の男すらぶっちぎりで超越した究極生命体が、ギャング五人ごときに敗北を喫したのは何故か。 エシディシには『覚悟』が足りなかった。手足をもがれても、とびっきりの苦痛を伴った死を目前にしても尚、 標的に一矢報いようとする究極の自己犠牲の精神を、死の危険と無縁の彼は持ち合わせていない。 エシディシは油断していた。悲願である究極生物への到達、それで全てが終わりではない。 忘れてはならない、所詮参加者達を奮起させる駒として、いいように荒木に踊らされている事実を。 「認めよう…。俺は貴様らよりも『劣って』いた。貴様らにあって俺には無い強みとは一体何か。 それは身体能力でもスタンドや流法でもない。あらゆる困難に立ち向かい、打ち勝つ『黄金の意志』!」 スタンドも復活し、不死身さに拍車をかけたかに見えるエシディシだが、 ブチャラティの体をあらかた喰らい尽くすまでは、柱の男ならではの身体能力も当然失われたままだ。 この不便な体で再生の為のエネルギーを集めなければならないのは、むしろ不安要素の方が大きかった。 「俺の精神はまだまだ未熟だった。この醜態は、自らの愚かさが招いた罰として受け入れよう。 この屈辱はいずれ晴らす。そして次こそは、真の究極生物として貴様らの前に対峙してみせる!」 エシディシはまだ勝負を捨てていない。 更なる高みへと辿り着き、頂点に返り咲くその時まで決して諦めようとはしない。 誇りなぞ知った事か!俺は雪辱を果たし、最後の一人まで勝ち残って見せる。 せいぜい楽しみにしていろ荒木、次に血祭りにあげるのは貴様の首だ!フハハハハッ!! ◇ ◆ ◇ 「(奴はまた建物内に戻ったのか?とはいえ、俺が探れる範囲はここまでだ。)」 リゾットに残された時間はあと僅かだった。 この放送で20人もの死者と、ナチス研究所の禁止エリア指定まで宣告された。 首輪解除に必要な人員と設備は露と消え、このままでは荒木の悪趣味な遊戯をぶち壊すどころの話ではない。 エシディシの件を抜きにしても、最悪のシナリオはもう目の前だ。 一刻も早く決断を下さねばならない。ところでジョルノとフーゴは一体何をしているのだろう、やけに遅い。 背後に人の気配を感じた。 矢庭に振り返ったリゾットの目に映ったのは、血走った目のエシディシが脳天に鋏を振り下ろす瞬間 …ではなく、幽鬼の如く虚ろに佇むフーゴの姿だった。 「な・・・・フー・・・ゴ・・・?」 リゾットの顔色がさっと青ざめた。 考えたくない事だった。常に頭の片隅で懸念はしていた。だがこの状況、タイミングでまさか そんな早まった真似はしないだろうと、楽観的に捉えていた部分もあった。 「・・・・予想外、でしたか・・?」 隣に居なければならない筈のジョルノは、どういう訳かフーゴの腕の中にすっぽりと収まっていた。 トレードマークとも言える前髪の三つのカールは鷲掴みにされ見る影も無く、 滴り落ちる血と脳漿が金色の髪と見事なコントラストを形成している。 粗雑な切り口から鮮血をぼたぼたと垂らし、首だけになったジョルノはどんよりとリゾットを見つめていた。 動悸が高まる。苦しい、ひどく息苦しい。 くらくらとする頭を抱えながらも、しっかりと放送を聞いていたジョルノ。 ペッシ、ジョージ・ジョースター1世、岸辺露伴、グェス、川尻早人、ホルマジオ、リンゴォ・ロードアゲイン…。 彼らの死は聞くまでもなく知っている。悼む気持ちはあったが、今更後悔しても無駄だと半ば割り切っていた。 だがテレンス・T・ダービー、シーザー・アントニオ・ツェペリ、音石明、虹村億泰、吉良吉影…。 次々と連ねられてゆく死者達の名に、ジョルノはひたすら絶句していた。 僕達の行動に意味はあったのだろうか?別行動を取った仲間達はこれで悉く死んだ。この人数でどう荒木に対抗する? 勇敢かつ頭の回転が速いジョルノだが、今度ばかりは悲嘆に暮れるよりほかなかった。 フーゴの心境も同様だった。 ナチス研究所には、ここで殺されるだろうなと半ば覚悟しつつ足を踏み入れた。 だがブチャラティはそんな彼を目の当たりにして、怒りを見せるどころか共に闘う申し出を受け入れてくれた。 フーゴが犯した罪を知りつつも、いずれ制裁を与えると宣言しつつも、彼を部下として信頼し背中を預けてくれたのだ。 だから再び忠誠を誓った。命を懸けて怪物に立ち向かった。 しかし結果を見てみろ、ああなってしまった以上ブチャラティは助からないだろう。 疑惑が確信に変わった瞬間、フーゴの中で微かに輝いていた何かが完全に消え失せた。 残っているのは敵対チームのリーダーと、どんな音楽が好みなのかも知らない浅い付き合いの新人ギャングだけ。 この同盟にもう価値は無い。あの時もフーゴの参入に肯定的だったのはブチャラティだけだった。 結局僕には、一つしかない椅子を巡って殺し合う運命がお似合いって訳だ。結構な事じゃないか。 フーゴは荒木の恐ろしさを嫌と言うほど知っている、対峙するなぞもっての他だし、 ボスに敵視された以上、パッショーネに戻る事も叶わない。組織を乗っ取るまでは行かなくとも、 ディアボロ含めた全員を殺して優勝しなければ、裏切り者のフーゴが生き延びる術は無いのだ。 勝率は限りなくゼロだとしても、フーゴは立ち止まれない。茨の道を死ぬまで進み続けなければならない。 パープル・ヘイズに羽交い絞めにされ銃口を向けられても、ジョルノは力なく項垂れるのみだった。 ブチャラティはもういない、元の世界で仲間だったフーゴにすら裏切られた。 フーゴの狂気を跳ね除ける力は残っていなかった。心に巣食った底無しの闇の中に、ジョルノは深く堕ちて行った。 …そうか、フーゴ。君は絶望しているんですね。 僕と同じに。 仲間との決別、優勝への殺戮を選んだフーゴ。仲間の解放、荒木への挑戦を選んだリゾット。 二人の道は今、完全に別たれた。彼らの道が再び交わる事はもう無い。 【F-2 ナチス研究所 庭/2日目 深夜】 【リゾット・ネエロ】 [スタンド]:『メタリカ』 [時間軸]:サルディニア上陸前 [状態]:頭巾の玉の一つに傷、左耳と左手の小指消失(止血済)、額に切傷、身体ダメージ(極大)、 身体疲労(極大) [装備]:フーゴのフォーク、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(2/15) [道具]:デイバッグ&基本支給品(リゾット、ホルマジオ、ブチャラティ、ジョルノ、億泰、テレンスのもの そのうち一食だけ水と食料なし) 不明支給品残り0~1(億泰のもの)、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC 首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット、妨害電波発信装置 ペッシの首輪、重ちーが爆殺された100円玉(一枚)、ジョルノの『探知機』となっている小石 紫外線照射装置、、承太郎のライター、シャーロットちゃん、スージーの首輪、ワンチェンの首輪 包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器、不明支給品0~2(確認済:ジョルノのもの) [思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする 0.嘘だろ、フーゴ…!? 1.エシディシの息の根を止め、ブチャラティを呪縛から解放する。 2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。 カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる。 3.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。 [備考] ※リゾットの情報把握 承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握) F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ) ※リゾットのメモには以下のことが書かれています。 [主催者:荒木飛呂彦について] 荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能) → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない 開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない→この線は薄い 『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない ※荒木に協力者がいる可能性有り 【以下ブチャラティのメモの写し】 ①荒木飛呂彦について ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービーにもいることが確実。 ②首輪について ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる? ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力? →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい) ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。 ③参加者について ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち? ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから 【パンナコッタ・フーゴ】 [時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻) [状態]:身体ダメージ(極大)、 身体疲労(極大) [装備]:ナランチャのナイフ、S W M19(6/6) [道具]:基本支給品×4、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発) 鳩のレターセット、メサイアのDISC、ジョルノの『探知機』となっている小石 S W M19の予備弾薬(24/30) [思考・状況] 基本行動方針:未熟な過去に打ち勝ち、新しい自分となる 1.完全にゲームに乗った、優勝の為ならどんな汚い手も辞さない。 2.単身でディアボロとエシディシに勝てるかは分からないが、やるしかない。 3.優勝したら、組織の手が届かない何処か遠い所で新たな人生を歩もう。 [備考] ※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測) ※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。 ※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません ※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。 ※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました。 ※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。 ◇ ◆ ◇ ほぼ同時刻、ナチス研究所から数百メートル離れた空き地に二人の男が佇んでいた。 放送で告げられた死者の多さに愕然とし、憂いを含んだ表情を浮かべる学生服の少年、花京院典明は やや離れた場所から様子を窺う中性的な顔立ちの男、ナルシソ・アナスイの気配に気付いていなかった。 背中がガラ空きだぜ?花京院。 さっきの放送でどれだけショックな内容を言われたのか知らないが、 「ポルナレフ」とか「たったの12人」だのブツブツ言いながら歩き回るザマはどう見てもアブナイ奴だぞ。 生き残りの12人が心配みたいだが、後ろで俺に狙われている事にも気付けないんじゃあ世話ないな。 さっきはティムの野郎が邪魔して仕留め損ねたが、同じ目的地に向かっていたのがお前の運の尽きだぜ。 悪く思うなよ。じゃあな、花京院。 思わず口角が緩む。指先を花京院の後頭部にポイントし、どんな死に様を用意してやろうかと思いを馳せる。 『おい!』と大声を出して花京院の絶望に満ちたツラを拝んでやるのもいいかもな。などと考えていた矢先、 ドゴォッ!! 花京院の姿をしっかりと捉えていたはずの視界は暗転し、 頭部を熟れたトマトの如く弾けさせるつもりだったF・F弾は虚しく地面を穿つ。 状況を把握するのに少しだけ時間がかかった。どうやら俺は地べたに這いつくばっている。 何故なら後ろからタックルをかましやがったクソ野郎に組み伏せられ、腕と頸動脈の辺りを極められているからだ。 何て事だ!花京院をブチ殺すのに夢中で、周囲の警戒を怠っていたとは! それだけじゃない…。こいつ、俺を押さえつけながら…血を吸ってやがる……! 「クソッ!!離れやがれこのダボがァ!!」 「…チィッ!」 関節を無理矢理外し、凄まじい力で俺に圧し掛かる吸血野郎にF・F弾を放つ。 苦しい姿勢から撃った弾丸はダイバー・ダウンのパワーが上乗せされ、野郎を簡単に吹き飛ばした。 すぐさま体勢を立て直し、首筋の傷穴をプランクトンで埋める。横をちらりと見やると、 流石にこちらに気付いたらしい花京院がぽかんと口を開けて俺を見ていた。 「何してやがる!早くここから逃げろ!そのままナチス研究所へ行くんだ、俺の仲間がいる!」 人の血を吸うだなんてえげつない真似をしておきながら、至極真っ当な台詞を吐くんだな。 ん?こいつ…。暗がりでよく見えなかったが、ブローノ・ブチャラティじゃないか? こいつ、吸血鬼だったのか?いや、あのジッパーを操るスタンドが傍らに居ないし、何だか様子がおかしい。 F・F弾に抉られた脇腹の傷がグジュリグジュリと治り、しかも撃ち込んだフー・ファイターズ達が悉く死滅している。 「フン、ちっぽけな人間風情が、大人しく眠っていろ。」 ブチャラティの目の色が急に変わり、声もまるで別人の如く低くなった。 俺の中で警鐘が鳴り響いた。この声を、身に纏う絶対的な強者のオーラを、俺は知っている。 突然、体のあちこちに焼け付く痛みを感じた。慌てて自らをよく見渡すと、 吸血してる隙にくっついたのだろう、黄色いスライムが俺の肉をほうぼうで貪り喰らっていた。 「第三ラウンドを始めようじゃあないか。え?それとも最終ラウンドか?フー・ファイターズよ。」 【F-2 やや北東/2日目 深夜】 【花京院典明】 [時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前 [状態]:精神消耗(極大)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、激しい自己嫌悪 [装備]:なし [道具]:ジョジョロワトランプ、支給品一式 [思考・状況] 基本行動方針:打倒荒木 1.ブチャラティの指示通りナチス研究所に行くか、それとも此処に留まり戦いに加わるか決めかねている。 2.結局ポルナレフには会えなかった。僕は無力な人間だ…。 3.ナチス研究所に本当に仲間が居るのだろうか?それは僕の味方なのか? 4.打倒荒木、巻き込まれた参加者の保護、をするにはもう遅いのかも知れない。 [備考] ※荒木から直接情報を得ました。 「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」 ※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。 ※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。 ※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。 【ナルシソ・アナスイ with F・F】 【スタンド】:ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ 【時間軸】:アナスイ…「水族館」脱獄後、F・F…DアンG抹殺後 【状態】:貧血、首に指先を突き立てられた傷(プランクトンで処置済み)、黄の節制に食われ中、全身にF・Fの細胞が寄生し、共存している。 【装備】:なし 【道具】:基本支給品×5、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー2つ(スイッチOFF)、ラング・ラングラーの不明支給品(1~3。把握済)、テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、ノートパソコンの幽霊 ※基本支給品はアナスイ、ラングラー、ティム、ヴェルサス、音石の五人分です。 音石の水はF・Fが回復に利用しました。その他食料、水がどれだけ残っているかは不明です。 【思考・状況】 基本行動方針:空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる。そのために、徐倫以外の全ての参加者を殺害する。 0.お前、エシディシなのか!? 1.エシディシと決着をつけ、花京院を始末する。 2.ナチス研究所にも参加者がいると確定したので、そちらも始末する。 3.徐倫には会いたくない。 【ブローノ・ブチャラティ with エシディシ】 【ブローノ・ブチャラティ】 [スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』 [時間軸] 護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後 [状態] 瀕死、意識昏迷状態、エシディシに全身を乗っ取られている [装備] ジョルノの『探知機』となっている小石、スージーの指輪 [道具] メタリカの鋏の欠片 [思考・状況] 基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出 0.・・・(気絶中) 1.自分はきっと助からないので、せめてエシディシを巻き込む形で自殺したい。 [備考] ※代謝機能を持続させる為だけにエシディシに生かされています。今後どうなるかは分かりません。 ※基本的に体の主導権をエシディシに握られていますが、ほんの一瞬だけ意識を取り戻す事もあります。 ※極端に衰弱しており、もうスティッキー・フィンガーズは使えません。またエシディシの細胞に浸食されているので意識があっても体を満足に動かせません。 【エシディシ】 [スタンド]:『イエロー・テンパランス(仮)』 [時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間 [状態]:ブチャラティと同化、少しずつ能力を取り戻しつつある。 [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:リゾット達に再起を誓う。力を取り戻し、究極生物として荒木をも超越する。 1.F・Fと決着をつけ、花京院の血を吸って力の回復を図る。 2.ブチャラティの体を馴染ませる為、もっと人間を捕食したい。 3.いずれリゾット達にリベンジを果たす。もう慢心はしない。 [備考] ※現在ブチャラティの体の30%程度はエシディシの細胞であり、今なお増殖中です。 ※イエロー・テンパランスの能力の一部が使えます。これはDISCよりもエシディシに芽生えたスタンドの才能による部分が大きいです。が、コントロールには疲労を伴います。 ※ブチャラティの体を乗っ取っている状態なので、あくまでも人間が出せる限界+αの身体能力しかありません。具体的に言えば吸血鬼と同程度と言った所です。 【ジョルノ・ジョバァーナ 死亡】 【残り 11(12)名】 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 205 BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ リゾット・ネェロ 212 終幕 バトル・ロワイアル(前編) 205 BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ パンナコッタ・フーゴ 212 終幕 バトル・ロワイアル(前編) 205 BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ ジョルノ・ジョバァ―ナ GAMEOVER 206 何もない明日が来る瞬間は 花京院典明 212 終幕 バトル・ロワイアル(前編) 204 寄生獣 F・F 213 黄金の精神は、此処に ① 204 寄生獣 ナルシソ・アナスイ 213 黄金の精神は、此処に ① 205 BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ ブローノ・ブチャラティ 213 黄金の精神は、此処に ① 205 BROKEN GLASS SYNDROME Ⅰ エシディシ 213 黄金の精神は、此処に ①
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続いて武器アビです。 ~~~~~~~~~~~~~~ 大剣/レイドバスター(近) 【KO効果:戦闘不能】 2レイドアップ プラスワン 3フレイムピラー 業炎 4アッパースイング T+18 71 80 72 90 5ファイアースラッシュ P+36 43 70 44 80 6グランドディバイダー P+78 41 110 42 120 ・火柱を伴う強烈な斬撃で、近距離の敵を斬り上げます。 ハンマー/ハンマーホームラン(近)【KO効果:戦闘不能】 2かっ飛ばす 吹き飛ばし 3ジャストミート 必中 4力任せの一撃 防御封じ 5フルスイング PT+13 106 110 107 120 6サヨナラホームラン PT+124 105 220 106 230 ・ホームランスイングで、近距離の敵を弾き飛ばします。 斧・アックスソード・ハルバード/エッジアバランチ(遠)【KO効果:戦闘不能】 2標的拡大 プラスワン 3標的拡大 プラスワン 4オーラエッジシュート S+10 39 40 40 50 5エッジストーム P+21 48 60 49 70 6気刃雪崩 P+45 44 80 45 90 ・斧を振るって大量のオーラの刃を撃ち出し、敵を斬り裂きます。 剣/ダンシングソード(遠)【KO効果:戦闘不能】 2鎧外し ブレイク 3武器絡め 4マヒ 4ラピッドショット T+19 80 90 81 100 5飛剣の舞 P+36 43 70 44 80 6飛剣縦横無尽 P+66 43 100 44 110 ・鎖を付けた剣で、遠距離の敵を攻撃します。 -- (アヤカ) 2011-04-28 16 43 02 盾・シールドスピア/シールドブレス(近) 【KO効果:戦闘不能】 2しゃがみ防御 自分盾 3上から押さえつける 連携チャージ 4脳震盪落下 暴走 5押し潰す S+14 35 40 36 50 6ハイジャンププレス P+130 38 160 39 160 40 170 48 170 ・跳び上がり、盾の上に乗って近距離の敵を押し潰します。 トンファー/ライジングトンファー(近)【KO効果:戦闘不能】 2腕に力を集める 自分剣 3カウンター狙い 反撃 4飛翔膝蹴り T+12 77 80 78 90 5飛翔肘撃ち P+25 44 60 45 70 6飛翔アッパーカット P+53 36 80 37 90 ・近距離の的に、飛び上がりながらの打撃を繰り出します。 太刀/鬼斬剣(近)【KO効果:戦闘不能】 2鬼脈斬り バッドキラー60 3破魔突き ブレイク 4斬気放出 防御封じ 5鬼斬・直斬り S+7 32 30 33 40 6鬼斬・零の太刀 PP+136か137 31 190 32 200 36 200 37 210 ・鬼を纏いて鬼を斬る、必殺の秘剣を放ちます。 弓/精密射撃(遠)【KO効果:戦闘不能】 2青き炎 必中 3腕を射抜く 3マヒ 4足を射抜く 4マヒ 5武器を射抜く P+13 36 40 37 50 6急所を射抜く T+124 75 190 76 200 85 200 ・オーラで視力を超強化し、敵を正確に射貫きます。 -- (アヤカ) 2011-04-28 16 43 30 槍/槍地獄(近)【KO効果:戦闘不能】 2地獄絵図 プラスワン 3足を貫く 3マヒ 4鮮血の海 呪詛 5モズの速贄 S+39 30 60 31 70 6串刺し地獄 T+131 78 200 79 210 ・地面から大量の槍を生やし、敵を下から貫きます。 エアシューズ/震脚(遠)【KO効果:戦闘不能】 2練気 プラスワン 3内気功を練る チャージ 4大地崩し 防御封じ 5震動波 P+21 38 50 39 60 6崩壊震動波 T+85 84 160 85 170 ・大地を強烈に踏みつけ、敵に震動波を飛ばします。 アイスレイピア/雪月華斬(近)【KO効果:戦闘不能】 2氷剣抜刀 キュア 3壱之剣・静雪 P+23 36 50 37 60 4弐之剣・弧月 P+28 41 60 42 70 5参之剣・散華 T+36 73 100 74 110 6死之剣・朱氷 T+57 72 120 73 130 ・氷の華を描くが如き連続攻撃で、近距離の敵を斬り裂きます。 暗殺シューズ・ナイフ/アイアンドラゴン(遠) 【KO効果:戦闘不能】 2多頭竜進化 プラスワン 3小鉄竜従属 自分術 4鋼鉄の咆哮 暴走 5刃尾薙ぎ P+4 35 30 36 40 6鋼鉄竜疾駆 T+87 72 150 82 160 83 170 ・無数のナイフで鋼鉄の竜を作り出し、敵を襲わせます。 -- (アヤカ) 2011-04-28 16 43 56 杖・仕込み杖/ディスインテグレート(遠)【KO効果:戦闘不能】 2地面を削る 3マヒ 3防具を削る 防御封じ 4背中を削る T+17 82 90 83 100 5腹部を削る S+40 39 70 40 80 6正面衝突 S+94 35 120 36 130 45 130 46 140 ・触れた物を消滅させるエネルギー球を解き放ちます。 大鎌/水晶髑髏 GUTS消費:150 2嗤う髑髏 GUTS減らない 3水晶の輝き 自分術 4叫ぶ髑髏 チャージ 5溢れる光 T+63 76 130 77 140 6髑髏との融合 S+264 45 300 46 310 ・魔力溢れる水晶の髑髏を召喚し、自らの術力を高めます。 竪琴・ソードハープ・ロックギター/サウンドボンバー(遠)【KO効果:虚脱】 2爆弾装填 プラスワン 3二連鎖爆発 P+8 41 40 42 50 4四連鎖爆発 P+15 44 50 45 60 5八連鎖爆発 S+22 37 50 38 60 6十六連鎖爆発 S+45 44 80 45 90 「音の爆弾」をばらまき、敵の感覚器官を破壊します。 鞭/ナインテイルウィップ(近)【KO効果:捕縛】 2ペインヒット バッドキラー60 3九字印 キュア 4時間差鞭打 S+20 39 50 40 60 5九尾鞭打 T+40 79 110 80 120 6九尾十八連撃 T+84 75 150 76 160 ・鞭が9本に分裂し、近距離の敵を激しく打ち据えます。 -- (アヤカ) 2011-04-28 16 44 26 爪/次元断爪(近・剣・防御封じ) 【KO効果:戦闘不能】 2爪を鳴らす 自分剣 3次元の陥穽 防御封じ 4空間引き寄せ T+14 75 80 76 90 5次元断ち S+36 33 60 34 70 6旋回次元爪 S+94 35 120 36 130 ・近距離の敵を、周囲の空間ごと引き裂きます。 扇/鳴神演舞(遠)【KO効果:戦闘不能】 2大放電 プラスワン 3黒雲招来 自分術 4雷鳴招来 暴走 5迅雷破 S+8 41 40 42 50 6破邪の雷電 T+83 76 150 77 160 ・舞の力で雷を呼びよせ、敵を撃ち貫きます。 棍/棍旋風(近)【KO効果:戦闘不能】 2静の心 キュア 3棍障壁 自分盾 4高速回転 反撃 5回転棍撃 P+28 41 60 42 70 6暴風旋棍撃 T+116 75 190 83 190 84 200 85 200 ・棍を眼前で回転させながら、攻防一体の攻撃を行います。 ナイトランス/ドリルインパクト(近)【KO効果:戦闘不能】 2浄化の螺旋 キュア 3回転数上昇 自分チャージ 4螺旋突き T+15 74 80 75 90 5ドリル乱れ突き P+34 45 70 46 80 6スパイラルインパクト P+77 42 110 43 120 ・ナイトランスを回転するドリルに変形させ、敵を突き刺します。 魔鍵/パラダイスブリンガー(遠) GUTS消費:150 2芳しき香り GUTS消費なし 3広大なる楽園の光景 プラスワン 4極楽鳥の歌 キュア 5降り注ぐ陽光 S+147 42 180 43 190 6虹の円環 T+224 75 290 76 300 ・魔鍵を天に掲げて「楽園の門」を開き、仲間の傷を優しく癒します。 -- (アヤカ) 2011-04-28 16 44 54 アヤカさん、大量のデータ調査ありがとうございます。 事後報告になりますが、該当ページに追加させていただきました。 -- (編集スタッフ:フィリル) 2011-04-28 19 52 37 更新お疲れ様です キャラクター作成シミュレータの方で気づいたんですが Lv36アビリティが表示されないっぽいです お気づきになられましたらお時間があるとき対応お願いします -- (通りすがり) 2011-04-29 00 41 55 通りすがりさん、ご指摘ありがとうございます。 確認を行いました所、バッドステータスの【侵食】が表示されていなかった不具合がありましたので、 こちらに関しては修正を行わせて頂きました。 しかし、こちら側ではLv36のアビリティが表示されないという現象は確認できませんでしたので、 お手数ではありますが、以下の点についてご回答をお願いできないでしょうか? (操作内容に関する確認) Q1. 選択された「キャラクターのLv」は「36」以上でしょうか? もし36以下であれば、36以上に再選択をお願い致します。 Q2. 選択された「ジョブ」は「天誓騎士」でしょうか? 天誓騎士の36Lvアビリティに関しては、まだデータがありませんので未登録となっております。 (ご利用環境に関する確認) Q3. 現象が確認できた際に、ご利用頂いていたブラウザは以下のどれでしょうか? 可能であれば、ご利用中のバージョンも添えて頂けると助かります。 -Microsoft Internet Explorer 系(SleipnirやLunascapeもこちらを選んでください) -Mozilla Firefox 系 -Opera 系 -Google Chrome 系 -Apple Safari 系 -携帯電話のフルブラウザ -その他の環境 -- (管理人:アダルバート) 2011-04-29 22 03 02 こちらはFirefox3を使用しています 確認した所Lv36アビリティは今はきちんと表示されていました こちらにコメントする前にQ1、Q2(天誓騎士は除外していた)はしっかりと確認した上での投稿だったのですが 更新を楽しみにしていて、ほぼ更新された直後に見ていた可能性が有り何かCookie辺りが変だったのかもしれません(原因はわかりませんが) 何にせよお手数をおかけして申し訳ありませんでした これからも運営頑張ってください -- (通りすがり) 2011-04-30 01 31 43 通りすがりさん、ご報告頂き、ありがとうございます。 正常に動作したようで何よりです。 投稿頂きました時間帯から考えますと、 おっしゃられている通り、更新をかけた直後であった可能性が高いものと思われます。 恐らく、ブラウザ側のキャッシュの影響により、 データファイル側が更新されていなかったのでは無いかと推測しております。 こちら側では「これで大丈夫」と考えている面もありますので、 バグがある事に気付かない事もあります。 どのような些細な点でも結構ですので、また何かお気付きの点がありましたら、何時でもご報告下さい。 -- (管理人:アダルバート) 2011-04-30 22 02 39 こんにちわ、いつも編集お疲れ様なのです。 36に到達したので、天誓騎士の第6アビの報告です。 ==================== 星霊グランスティード(近) 【KO効果:戦闘不能】 2 気高き嘶き 自分【剣】 3 ひづめを蹴立てる 自分【チャージ】 4 後ろ足蹴り S+10 39 40ダメ 40 50ダメ 5 スティードダイブ P+24 75 90ダメ 76 100ダメ 6 グランインパクト P+56 83 130ダメ 84 140ダメ ・軍馬の星霊グランスティードを召喚し、騎乗突撃します。 ==================== -- (アレクサンドラ) 2011-05-01 09 54 15 アレクサンドラさん、貴重なデータをありがとうございます。 早速、追加させていただきますね。 -- (編集スタッフ:フィリル) 2011-05-01 19 45 13 レベル40属性の報告です。 このような防具を得ました。 形状:鉄壁守護黄昏ウィズローブ レベル:41 能力値:11/16/24 41レベルウィズローブは素の状態で 4/12/24なので鉄壁と黄昏、 どちらかがP+4もう片方がT+4のようです。 -- (アヤカ) 2011-05-01 21 42 09 報告です。 5月返却の難易度:普通の通常シナリオの獲得EXPは378でした。 また、キャラ作成シミュレータで、 星霊グランスティード[4]の効果がプラスワンになっていましたので、修正をお願いします。 -- (トレノ) 2011-05-01 23 05 31 アヤカさん、属性の情報、ありがとうございます。 どちらか確定していないという扱いで、記載させて頂きたいと思います。 トレノさんは、獲得Expの情報、並びに、 シミュレータのミスに関するご指摘、ありがとうございます。 獲得Expの方は直ちに反映させて頂きたいと考えておりますが、 現在、出先により、@tools側の編集が行えない状況にあります。 3日には対応を行えるようになりますので、 申し訳ありませんが、しばらくお待ち頂けますよう、お願い申し上げます。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-02 06 12 06 こんにちわ、ギガで拾いました40Lv属性の報告です。 シミュレーションではP属性+4かと思われます。 =========================== 名称 :作業着 種別 :防具(コレクション) 形状 :呪装魔骸作業着 (動きやすさを追求した作業着。) 設定 :動きやすさを追求した作業着。 レベル :40 能力値 :12/16/19 入手場所 :ギガンティア「ロックリムラウンダー」 ============================= -- (アレクサンドラ) 2011-05-02 17 27 04 アレクサンドラさん、属性の情報をありがとうございます。 早速、追加させていただきますね。 -- (編集スタッフ:フィリル) 2011-05-02 21 45 26 魔獣戦士Lv36では ドラゴンブレレス3も【炎】→【業炎】に強化されるようです -- (名無しさん) 2011-05-05 00 58 46 名無しさん、貴重な情報、ありがとうございます。 早速、魔獣戦士のページに反映を行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-05 20 22 25 オフ情報 TRPG版サプリメント「上級ルールブック 山斬烈槍アマツカグラ」 * 絶賛、発売中です! 「左」さんが、他社から色々と怒られながら1ヶ月かけて書き上げた表紙が目印。 アマツカグラではなくランスブルグかと思います。 -- (キヨカズール) 2011-05-06 15 57 41 御指摘ありがとうございます。早速修正させて頂きます。 -- (編集スタッフ:アッシャー) 2011-05-06 19 20 21 入手したレベル40属性防具を幾つかご報告いたします 形状:絢爛黄昏儀礼服 レベル:40 能力値:12/23/12 (Lv40絢爛儀礼服:12/19/12) 形状:鉄壁硝子魔女服 レベル:40 能力値:8/20/20 (Lv40硝子魔女服:4/20/20) 形状:勇気彗星蛮族鎧 レベル:41 能力値:24/7/16 (Lv41彗星蛮族鎧:20/7/16) 黄昏がT+4、鉄壁と勇気がP+4のようです -- (シェナム) 2011-05-07 08 45 39 シェナムさん、属性の情報ありがとうございます。 早速、追加させていただきますね。 -- (編集スタッフ:フィリル) 2011-05-07 12 58 12 【指摘】 遠 星霊ジェナス 2 突き刺さる鮫牙 Lv35:バッドキラー60 ですね。 Lv25扱いになっていましたので一応。 失礼します。 -- (クィ) 2011-05-08 00 10 12 クィさん、ご指摘ありがとうございます。 修正させていただきました。 -- (編集スタッフ:フィリル) 2011-05-08 18 23 16 【指摘】 キャラクター作成シュミレーターですが 自由農夫36アビの「ブレイドホリィ」の6目が実際の物と異なっているようです シュミでは「P+154」となっていますが実際は (細かい数値は当方では調べられませんでしたすみません) 「PS+数値」のようです お手数ですが修正などよろしくおねがいします -- (通りすがり) 2011-05-12 01 02 31 通りすがりさん、ご指摘、有難うございます。 現時点で活性化されている方のデータから計算しました所、 「PS+118~121」の範囲である事が確認できましたので、 該当箇所の記述をこちらに改めさせて頂きたいと思います。 (詳細なデータに関しては、現時点ではこちらも調査できませんので…) また、シミュレータ、並びに、簡易データベース側のデータに関しては、 一時的に最低値の「PS+118」への設定のし直しを行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-12 21 08 03 ブレイドホリィ、調べてみましたが… PS 威力 88 200 89 200 90 200 91 210 94 210 95 210 98 210 PS+110みたいな気がします。 -- (名無しさん) 2011-05-13 00 00 19 真上の名無しです。 すいません。 PS+119ですね。 慣れてないもんですいません。 -- (名無しさん) 2011-05-13 00 17 54 名無しさん、検証結果のデータ提供、ありがとうございます。 こちらで確認できない範囲のデータは、本当に助かります。 早速、各所に反映を行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-13 22 01 32 些末なことで恐縮ですが、非戦闘アビリティ一覧で、天誓騎士アビの修得レベルが誤っているようです。 -- (名無しさん) 2011-05-15 01 17 42 名無しさん、ご指摘ありがとうございます。 修正させていただきましたので、ご確認くださいませ。 -- (編集スタッフ:フィリル) 2011-05-15 02 26 35 私のステと、こちらのデータに齟齬があったので調べてみました。 LV35 フェアリーストーム6強化 T +51ダメージ → T +71ダメージ が正解だと思うんですが、よろしくお願いしますね~。 -- (クゥナ) 2011-05-16 06 45 53 クゥナさん、調査ありがとうございます。 確認出来次第、修正させていただきますね。 -- (編集スタッフ:フィリル) 2011-05-16 19 39 49 クゥナさん、フェアリーストームに関するご指摘、ありがとうございました。 こちらでもT+71である事が確認できましたので、該当部分の修正を行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-16 21 03 24 Lv37にて星霊ヒュプノス[5]の成長が入ったので確認してみました。 アクセサリ補正 + S値 ダメージ 84 + 96 220 84 + 97 230 以上から Lv37: S +49ダメージ と思われますので報告といたします。 -- (プレノア) 2011-05-17 17 33 37 プレノアさん、貴重な情報をありがとうございます。 早速、追加させていただきますね。 -- (編集スタッフ:フィリル) 2011-05-17 20 19 24 ロックリムラウンダーのマップ「四竜と邪神座す塔」のTdのすぐ上でランダム戦闘を確認しました。 -- (フォレス) 2011-05-19 16 12 22 ロックリムラウンダーのマップ「四竜と邪神座す塔」のTcとE1のあるスペースの内部入口付近でランダム戦闘を確認しました。 -- (フォレス) 2011-05-19 20 08 09 フォレスさん、ロックリムラウンダーに関する情報、ありがとうございます。 どちらのランダム戦闘も、確認後、マップに反映を行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-19 20 29 22 ロックリムラウンダー[レクイエムは誰が為に]での《車輪の街》マップで以下の場所でランダム戦闘があるのを確認しました 位置表示はこちらのサイトで掲載されているマップの座標を使わせていただきます。 ・縦3~4、横10~11 あたり(R1の戦闘の所から左へ突き当りの所付近) ・縦23、横19~21の、空いた宝箱の側付近 -- (tyr) 2011-05-25 02 24 13 妖精騎士のLv37強化の報告です フェアリーサークル4強化 T+85 T44=120 T45=130 と思われます。 -- (ヘミソフィア) 2011-05-25 21 50 23 以下、ジョブアビ37強化の報告です 情報量が多いので分けます 城塞騎士 バトルアーマー6強化 TP+449 TP81=530 TP80=520 魔獣戦士 ビーストクラッシュ5強化 S+50 S70=120 S69=110 群竜士 剛鬼投げ6強化 PP+66 PP74=140 PP72=130 スカイランナー ロデオグラップル4強化 S+51 S69=120 S68=110 -- (ヘミソフィア) 2011-05-25 22 48 09 魔法剣士 残像剣4強化 P+31 P29=60 P28=50 狩猟者 ポイズンニードル6強化 T+46 T54=100 T53=90 デモニスタ デモンフレイム5強化 T+41 T39=80 T38=70 魔曲使い ハピネスダンス6強化 T+90 T50=140 T49=130 魔想紋章士 クイーンランサーの紋章4強化 S+45 S85=130 S84=120 -- (ヘミソフィア) 2011-05-25 22 50 07 自由農夫 マジックマッシュ6強化 P+67 P43=110 P42=100 ライフベリー6強化 P+157 P43=200 P42=190 自由農夫の強化が2つあるのか それとも既に記載されてるものが違うのかは、現時点では分かりませんでした また、上級ルルブのはがきをだしていないので、天誓騎士のデータはとれませんでした -- (ヘミソフィア) 2011-05-25 22 52 49 tyrさん、ギガンティアに関する情報、ありがとうございます。 こちらでも確認後、マップに反映を行わせて頂きたいと思います。 ヘミソフィアさんは、いつもアビリティの情報、ありがとうございます。 こちらのデータも、早速、反映を行わせて頂きたいと思います。 なお、自由農夫のアビリティにつきましては、 既存データの調査ミスの可能性も考えられますので、 確認が出来次第、反映という形にさせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-25 22 55 01 更新お疲れさまです 表示が崩れた部分に気づいたので報告を ジョブアビリティのページで魔法剣士のところの表示がおかしくなってます -- (名無しさん) 2011-05-26 09 36 42 名無しさん、ご指摘ありがとうございます。 ご指摘頂きました箇所の修正を行わせて頂きました。 また何か気にかかる所がありましたら、いつでもご連絡下さい。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-26 20 34 42 37レベルでのアビリティ強化を確認したので報告 仕込み杖 居合斬り[4]強化 T=37 90ダメージ T=38 100ダメージ T+62ダメージ 魔鍵 リペアキー[4]強化 P=37 170回復 P=38 180回復 P+142回復 -- (アウル) 2011-05-29 19 49 52 アウルさん、いつもアビリティのデータ提供、ありがとうございます。 提供頂きましたデータは、早速、反映を行わせて頂きたいと思います。 また、対応に時間がかかってしまい、申し訳ありません。 -- (管理人:アダルバート) 2011-05-31 22 05 51 【エメラルドパレス】失われたチョコを求めてのマップ「静寂なる湖」のT6のある広場の橋付近でランダム戦闘を確認しました。 -- (フォレス) 2011-06-01 08 02 25 フォレスさん、いつもギガンティアに関する情報、ありがとうございます。 ご報告頂きました戦闘の確認後、マップに反映を行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-06-01 21 17 50 大鎌の所の死の一撃、出目「6」の場所が「4」になってます。 現在:4 斬首連撃 -- (エミリオ) 2011-06-04 18 58 14 いつもお疲れ様です。 鞭のLv37、捕縛撃[4]の強化についてです。 S80=120 S81=130 以上より、S+49と思われます。 -- (サノーザ) 2011-06-05 01 22 17 エミリオさん、サノーザさん、アビリティに関する情報、ありがとうございます。 どちらも、早速、該当箇所に反映を行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-06-05 20 05 11 【ロックリムラウンダー】レクイエムは誰が為にのマップ「車輪の街」のG4のすぐ下のスペースでランダム戦闘を確認しました。 -- (フォレス) 2011-06-06 08 25 54 フォレスさん、いつも貴重な情報、ありがとうございます。 発生範囲を確認後、反映を行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-06-06 23 12 26 こんばんは。 38レベルのアビリティ強化。 取り急ぎ今のジョブと武器の強化のみ報告します。 掃撃棍4P+21→P+46 43 80 44 90 竜撃拳5 P+50→P+90 39 130 40 130 -- (アヤカ) 2011-06-09 21 07 58 すいません、もう一つあったので追加です。 気咬弾5 P+37→P+52 97 140 98 150 -- (アヤカ) 2011-06-09 21 18 25 ロックリムラウンダーのマップ「白彩庭園」のX11,X12,Y0,Y1くらいの範囲でランダム戦闘を確認しました。 -- (フォレス) 2011-06-10 11 14 38 魔道書のデータです。 以下の補正数値はレベル37での調査結果です。 ・マインドブラスト 遠 2 精神吸収光 ドレイン 3 狂乱光 【暴走】 4 反射光線 T+39ダメージ 5 ブラスター S+44ダメージ 6 ダブルブラスター S+44ダメージ 精神を破壊する「紫色の光線」を、敵に放ちます。 【KO効果:虚脱】」 ・戦闘詠唱術 自 GUTS150消費 2 生命消耗要素排除 GUTS減らない 3 運命阻害要素排除 キュア 4 積層魔方陣展開 【術】 5 肉体修復陣展開 P+215回復 6 戦闘魔術力憑依 S+234回復 戦闘用高速詠唱モードへと移行します。 ・ストーンカース 遠 2 護り崩し ブレイク 3 腕部石化 【3マヒ】 4 脚部石化 【4マヒ】 5 蛇群の睨み T+38ダメージ 6 絡みつく蛇群 s+96ダメージ のろいの蛇影を放ち、敵を石化させます。 【KO効果:石化】 ・フォースボルト 遠 2 領域拡大 ブラスワン 3 ブレイクフォース ブレイク 4 ガイドフォース 連携【チャージ】 5 フォースアタック S+32ダメージ 6 フォースインパクト T+66ダメージ 見えない衝撃を撃ち出し、敵の武器を弾き飛ばします。 【KO効果:武装解除】 ・ポイズンクラウド 遠 2 毒素を纏う 自分ハイパー 3 毒煙巨大化 プラスワン 4 毒汚染 【毒】 5 毒煙噴出 T+4ダメージ 6 致死毒ガス S+102ダメージ 敵を包み込む毒煙を放ちます。 【KO効果:毒瀕死】 ・封印儀式 遠 2 「天地根源を縛する者よ」 【3マヒ】 3 「我が名において命じる」 【侵食】 4 「書の盟約を実行せよ」 【防御封じ】 5 「ガルトゥース」 T+28ダメージ 6 「アルファザール」 SS+98 禁断の儀式魔術を発動し敵を封印します。 【KO効果:封印】 -- (謎の太刀使い) 2011-06-10 14 49 37 こんにちは。 魔道書38のデータを投稿します。 魔道書38LV マインドブラスト6 S+44→S+68 41 100 42 110 ポイズンクラウド4 毒→猛毒 -- (アヤカ) 2011-06-10 20 03 27 アヤカさん、謎の太刀使いさんはアビリティの情報、 フォレスさんはギガンティアの情報、ありがとうございます。 現在、調査と更新作業を並行して進めておりますので、 反映完了まで、しばらくお待ちいただけると助かります。 -- (管理人:アダルバート) 2011-06-10 23 06 23 ええと、棍の37レベルの報告です。 こうなってます。 37LV 練刺棍5 P+26→P+39 40 70 41 80 -- (アヤカ) 2011-06-11 06 38 49 アヤカさん、連日のアビリティデータの提供、本当にありがとうございます。 早速、該当ページに反映させて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-06-11 09 29 15 『生死不明状態でできない事』です。 エルフヘイムで地位を得て、現在復帰しています。 依頼で生死不明(療養5日)となりましたが、 『エルフヘイムに戻り元の地位に就く』ことができなくなっていました。 あまり需要は無い情報と思いますが、ご報告まで。 -- (桜) 2011-06-13 17 03 24 桜さん、貴重な事例のご報告、ありがとうございます。 早速、反映を行わせて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-06-13 20 55 14 いつもまとめお疲れ様だよ。デスマーチを40~50回繰り返していると黒いデスマーチバーの下に「デスマーチを続ける場合はリコッタのアイコンをクリック!」って選択肢が出て、並んだICの中からリコッタ姉のIC(ランダム配置)を選択しないと続けられなくなってたんだよ。多分ボット対策だと思うけど…。 -- (シンルー) 2011-06-15 17 13 09 シンルーさん、ギガンティアに関する情報、ありがとうございます。 私自身はまだ確認しておりませんが、同様の事例の報告を、他の方からも頂いておりますので、 簡易的ではありますが、「そのような事例がある」と言う形で掲載させて頂きたいと思います。 -- (管理人:アダルバート) 2011-06-15 21 21 25 シミュ不具合 魔道書の封印儀式のアクション名がポイズンクラウドのものになってした -- (通りすがり) 2011-06-16 19 26 15