約 40,744 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2621.html
※ゆっくりと畑と野菜(1)からの続きです 数日後、優男と若い村人はあの『畑』のところに向かっていた。 成果の確認と次なる仕込みを施すためだ。若い村人はその為に使う材料を包んだ風呂敷を提げている。 二人は、ゆっくり達のテリトリー手前で立ち止まって周囲を確認した後、 これからの行動について確認した。 「さて、ここから別行動な訳ですが、やるべきことは分かっていますね?」 「勿論だ。ゆっくりには絶対に見つからないようにする」 「私の方でも、なるべくこちらに注意が集まるよう話を持って行きます。では、お願いします」 確認を済ませると、優男は堂々と山を進み、若い村人は隠れるようにして進んでいった。 優男が『畑』に到着した。 すると、まるで畑を見張るようにしていた長まりさと幹部達が優男に気付き、 ゆっくりらしからぬ素早さで駆け寄っていく。 「やあ、長。ゆっくりし――」 「ジジイ!どういうことなんだぜ!?」 優男の挨拶を遮るようにして長まりさが突っかかった。再びの喧嘩腰だ。 その一言で、作戦が上手く機能していることを見て取った優男が平然と続ける。 「そんなに興奮してどうしたんだい、長?」 「どうもこうもないのぜ!ジジイは嘘をついたのぜ!」 「むきゅう!あのはたけさんからは、おやさいさんがはえてこないのよ!」 「あのはたけはとんだいなかものだわ!」 興奮して優男をなじるばかりの長に代わって、ぱちゅりーとありすが説明する。 二匹の方も、長よりは冷静だが、それでも憤懣やるかたないといった空気を発している。 「つまり君たちは、あの『畑』から野菜を採れていないということかい?」 「さいしょからそういってるのぜ!!」 「ばかなじじいはれいむたちにあやまってね!」 頃合いだな、優男は内心で呟いた。 ゆっくり達は冷静さを失い、目先の野菜しか見えないようになっている。 作戦を次の段階に進める条件は揃っている。 「そうなのか……。でも、それはおかしいよ」 「ゆっ!?だからそういってるのぜ!はえてくるはずのやさいさんがはえてこないのぜ!」 「ああ、違う違う。そういう意味のおかしいじゃなくてね、 野菜が生えてこないはずがないっていうことだよ。だってそうじゃないか? 畑があるのに野菜が生えてこないなんてそんなゆっくりできないことはありえないだろう?」 その言葉に、ゆっくり達が一瞬返答に詰まったのを見逃さずに優男が畳み掛ける。 「ねえ、長。長だってあの『畑』をとってもゆっくりした畑だって認めてただろう?」 「ゆ。たしかにそういったのぜ」 「ぱちゅりーとありすも、人間の畑にそっくりだ、都会派だって喜んでたじゃないか」 「むきゅう」「とかいはなれでぃはうそはつかないわ」 「だったら、野菜が生えてこないはずがないだろう? これまで色んな畑と野菜を見てきたみんながお墨付きを与えた『畑』なのに」 優男のその言葉に、それでも納得できないように長まりさが反論する。 「で、でも、じっさいはたけさんにはやさいさんがないのぜ?」 「うん。だからね、考え方を変えなきゃいけないんだ。 あの畑から野菜が生えてこないはずがない。でも実際畑には野菜がない。 じゃあ、野菜が生えてこなかったんじゃなくて、誰かが生えてきた野菜をこっそり持って行ってしまった。 その可能性の方が高いんじゃないかい?」 優男が言っているのは無茶苦茶な理屈だった。 特に、あの見せかけだけの『畑』から野菜が生えるはずがないと知っている者にとっては。 しかし、『やさいさんはかってにはえてくるもの』と信じ込んでいるゆっくり達には効果覿面だった。 みんなで確認したとってもゆっくりした『畑』。そこに野菜が生えてこない訳がない。 でも、今、現実に畑には野菜がない。ならば、生えてきたはずの野菜はどうなったのか。 優男の言葉、その意味するところがゆっくり達の餡子に染み渡っていく。 「ゆうぅ~!?たいへんなのぜ!やさいどろぼうがいるのぜ!」 「れいむたちのはたけさんからおやさいさんをぬすむなんてゆっくりできないよ!」 「はんにんは、きっととんでもないいなかものね!」 「むきゅう、でもだれがそんなことを……。はんにんをつきとめなきゃいけないわ」 ぱちゅりーの言葉を燃料にしてゆっくり達の怒りが燃え上がった。 そうだ、犯人を捜さなきゃいけない。そして制裁してやる。 群れの宝に手を出したことを後悔させながら永遠にゆっくりさせてやる。 優男はゆっくり達のそんな内心の動きを的確に把握していた。 そして、その感情の矛先を都合のいいように操るべくゆっくり達に声を掛ける。 「じゃあ、一つずつ整理してみようか。 まず数日前に、僕らがここに来て人間とゆっくりの仲直りの証に『畑』を作った」 「むきゅ、そのとおりね」 「そして、『畑』作りを終えた僕らは山を下りた」 「ええ、とかいはなおみおくりをしたわ」 「それ以来、仲直りしたこともあって村人はゆっくりの山に近づいていない」 「ゆっ!たしかににんげんさんをみたってほうこくはされてないのぜ!」 「それなら、ここ数日間で畑に近寄れたのはゆっくりか動物か虫かっていうことになるね」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「ところで、この山で主に野菜を食べるのは一体誰だい?」 「むきゅ、もちろんぱちゅりーたちよ」 「とかいはなおやさいさんは、とかいはなありすたちにこそふさわしいたべものだわ」 「どうぶつさんたちはおやさいさんなんてたべないよ!」 「ゆっ!ゆっくりしたやさいさんは、ゆっくりしたゆっくりにたべられるのがしあわせ~なのぜ!」 張り切って答えるゆっくり達を見ながら、男は若い村人のことを考えていた。 さて、どうやらこちらは上手く行きそうだ。ならば作戦の成功は彼が上手くやるかどうかに掛かってくる。 どうか頑張ってください。 優男は、ゆっくり達に見つからないよう慎重に慎重を重ねて 山を進んでいるはずの若い村人に内心でエールを送った。 そして、気分を切り替えると、満を持してゆっくり達に破滅の言葉を投げかける。 「と言うことは、野菜を盗んだのはゆっくりの誰かである可能性が高いということだね。 だってこの山には野菜を食べたがるのはゆっくり達しか居ないんだから」 「ゆっ!?」「ゆぅ?」「むきゅ?」「ゆゆゆ?」 ゆっくり達は混乱しているようだ。 ただそれでも、必死で今の会話を反芻して何とか優男の言葉を理解しようと努めている。 普段は、ぱちゅりーを除けば頭を使いたがらない傾向が強いゆっくりにここまでさせるとは。 食い物の恨みは恐ろしい。 「ゆ、ゆっくり、りかいしたの……ぜ?」 「むきゅう、たしかにおにいさんのいううとおりだわ」 「むれにそんないなかものがいるなんてゆるせないわね」 「そんなことするゆっくりがいるなんて、れいむはゆっくりりかいできないよ……。」 ゆっくり達は優男の言葉をそのまま受け入れた。 これには優男自身も驚いている。 優男としては、さすがに身内に犯人が居ると言えば抵抗されるだろうと想定して 気持ちと反論の準備をしていたのだった。 しかし、現実はこの有様。 どうやら、村のどの畑よりも広い『畑』を作って野菜を提供したというのが、 予想以上にゆっくり達の心を掴んでいたらしい。 優男も下調べの段階で掴んでいた情報ではあったが、ここまで食い意地の張った群れはさすがに珍しかった。 「なら、ここに群れのゆっくりを集めてみればいいのでは? もし集まることを嫌がる怪しいゆっくりが居ればそれが犯人かもしれないし、 みんな集まったら集まったで犯人捜しがやりやすくなるよ」 優男は気を取り直してゆっくり達を更に都合のいい方に誘導しようとする。 自分の方に注意を集めて若い村人を援護する為には、 群れのゆっくり全てに一カ所にまとまっていて貰った方がいい。 「ゆっ!?さすがはおにいさんなのぜ!そうするのぜ!れいむ、ありす、ぱちゅりー! むれにひとりのこらずあつまるようつたえるのぜ!こなかったゆっくりははんにんだとみなすのぜ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」「とかいはなさくせんね」「むきゅ、けんめいなはんだんだわ」 長ともあろう者が、『さすがはお兄さん』と来た。 このゆっくり達はいまや完全に優男の掌の上に乗っていた。 しかも、本人達はそれに気付かず、むしろ『畑』を用意し、山から人間を遠ざけ、 野菜泥棒を捕まえる手助けをしてくれていると判断して全幅の信頼を寄せている。 その全てがここのゆっくり達を群れごと陥れるための仕込みだというのに! 先日、若い村人に注意をした身ではあるが、優男も笑い出したい衝動が湧き上がってくるのを感じていた。 必死で堪えて何でもない風を装っているおかげで表情や態度には変化がないが、 内心は狂ったように笑い出したいという気持ちで一杯だった。 掌の上で踊るゆっくり達の姿は、それほど哀れで惨めだった。 それからしばらく時間が経ち、群れの集合が完了した。 一人残らず集まるようにと厳命され、来なければ犯人と見なすと説明されているため、 本来ならまだ巣から出るべきでない赤ん坊から妊娠した大人まで様々なゆっくりが一堂に会している。 広い『畑』を作ってもまだそれなりに余裕のあった広場が埋まる程の数だった。 長まりさが少し高くなった斜面上にある切り株に乗り、幹部がその周りを固めた。 群れの集合では、幸か不幸か全てのゆっくりが集まって誰が怪しいか分からなかった。 そこで、これから犯人捜しを行うつもりなのだ。 「ゆっ!!みんなきくのぜ!!! まりさたちがてにいれたはたけさんに、やさいさんがないことにはみんなきづいてるとおもうのぜ!!! まりさたちがちょうさしたけっか、そのやさいさんはむれのだれかにぬすまれた かのうせいがたかいとはんめいしたんだぜ!!!」 集まったゆっくり達のあちこちから声が上がった。 自分は泥棒じゃないと主張する者、群れにそんなゆっくり出来ないゆっくりが居るなんてと怒る者、 野菜を楽しみにしていたのにと嘆く者。反応は様々だ。 幹部達が声を張り上げて、群れを宥める。 数分掛けてようやく静かになった。 長まりさが続ける。 「そこで、いまからはんにんさがしをおこなうのぜ!!! やさいさんをぬすんだゆっくりは、なのりでるのぜ!!! いまなら、ついほうだけでゆるしてあげるんだぜ!!!」 長まりさの言葉は勿論嘘だ。追放で許す気などあるはずがない。 野菜を盗んだゆっくりを永遠にゆっくりさせてやる気満々だった。 しかし、そう言ってしまえば名乗り出てこないだろうと考えて、 長まりさなりに知恵を働かせてああ言ったのだった。 しかし、当然誰も名乗りでない。 優男からすれば当たり前の結果だ。 そもそも、野菜泥棒どころか盗まれる野菜さえ存在しないのだから。 だが、長まりさは苛立った。 群れのゆっくり達が保身に走っていると考えた。 その感情の赴くままに更に続ける。 「あとになって、だまっていたことがばれたらひどいのぜ!!! いまのうちなんだぜ!!!」 群れのゆっくりも幹部達も誰も何も言わない。 沈黙が場を支配した。そのまま数分が経過する。 このままでは埒があかないと考えたのか、ぱちゅりーが長まりさに声を掛けた。 「むきゅう、だれもなのりでないわ。どうするの?」 「ゆゆっ」 長まりさは返答に詰まった。 そもそも、長まりさは優男に煽られた勢いのまま突っ走っていただけなのだ。 群れを集めて、犯人捜しをして、見つからなかったらどうするかなど考えているはずがない。 長まりさが助けを求めるように優男を見る。 優男はその時、自分の方に群れの注意を集めてから過ぎた時間を計算していた。 群れを集めるための時間、宥めるための時間、沈黙の時間。 充分だ。 若い村人が仕込みを行い、テリトリーから抜け出すのに充分な時間だ。 そう判断すると、にっこりと笑顔を作って、長まりさに助け船を出してやる。 ただし、その助け船の行き先は地獄であった。 「名乗りでないのであれば仕方がないね。 手当たり次第に家を捜索してみるのがいいかな。 あの広い『畑』から盗んだ大量の野菜を数日で食べきることは出来ないはず。 犯人の家には痕跡が残っているに違いないよ」 なるほど、長まりさは感心した。やっぱりお兄さんは頼りになる。 群れの方に向き直って宣言する。 「だれもなのりでないから、いまからみんなのいえにやさいさんがないかかくにんするのぜ!!! うらむならはんにんをうらむのぜ!!! れいむ、ありす、ぱちゅりー。そうさたいをけっせいするのぜ!」 長まりさの言葉の後半部分、自分たちへの指示を受け取った幹部達が動き出す。 自分に近しいゆっくりに声を掛けて、捜査隊として巣を改めに出かけていった。 長まりさがイライラと動き回っている。 捜査隊の出発から既に二十分ほど経っていた。 いつの間にか長まりさの相談役的な立場に納まった優男はそんな長まりさを宥めながら悠然と待っている。 作戦の成功を既に半ばまで確信していた。 そこへ一匹のゆっくりが口に何かをくわえて駆け込んできた。 幹部れいむと共に捜査隊として出てかけて行ったれいむだ。 捜査隊れいむが口にしていた何かを長まりさの前に置き、叫ぶようにして告げる。 「おさ、おうちからやさいさんのかけらがみつかったよ!」 「ゆぅ~!やっとみつかったのぜ!!だれのいえなのぜ!?」 「おおきなきさんのねもとにある、ちぇんとれいむいっかのすだよ!」 その言葉が発せられた瞬間、群れのゆっくりの一部がズザッという音を立てて動いた。 群れの中にぽっかりと空白ができたような状態になる。 その真ん中では成体のちぇんとれいむ、子供のちぇんとれいむ数匹が呆然としていた。 彼らがちぇんとれいむ一家であることは明白だ。 長まりさが目の前に置かれた何かを確認して言う。 「たしかにやさいさんのかけらなんだぜ! ちぇんとれいむいっか!!まえにでるのぜ!!」 長まりさが苛立ち混じりの声をぶつけるが、ちぇんとれいむ一家は動かない。いや、動けない。 嫌な空気に耐えながら早く犯人が見つかって欲しいと願っていたら、いきなり自分たちが犯人だと言われたのだ。 まともに物を考えられる状態ではとてもない。 しかし、そんな一家に周囲のゆっくり達は容赦しない。 最初はゆっくりと、徐々に激しく、罵声を浴びせる。 「どろぼういっかはゆっくりしないではやくまえにでてね!」 「このいなかものいっか!」 「みんなのおやさいをぬすむなんてわからないよー!」 そんな声に押し出されるようにして、ちぇんとれいむ一家はフラフラと長まりさの前に出た。 反論しようとしているのか、あり得ない状況に呼吸が乱れたのか、口をぱくぱくさせている。 そんな一家に長まりさは全く躊躇することなく告げた。 「おまえたちのいえからしょうこがでたのぜ! しかも、まりささまがなさけをかけてやったときになのりでなかったのぜ! ふたつのつみでおまえたちはしけいなんだぜ!ゆっくりしないでしぬんだぜ!」 そして、そのまま親ちぇんに飛び掛かる。 「わ、わからなべぇっ――」 無防備な状態で、通常の成体より二回り程大きな長まりさの体当たりを受けて、親ちぇんは吹っ飛んだ。 中身を盛大に漏らしながらピクピクと痙攣している。もう長くないだろう。 その光景にようやく我に返ったのか、親れいむが必死で弁解を始める。 「ま、まってね!れいむたちはおやさいさんをぬすんだりたべたりしていないよ!」 「じゃあどうして、いえからやさいさんのかけらがみつかったのぜ?」 「ゆ……。そ、それは……」 「それはなんなのぜ?」 「き、きっとちぇんがかってにやったんだよ!れいむとおちびちゃんたちはしらないよ!」 しかし、初めからこいつらが犯人だという結論ありきで裁いている長まりさは聞く耳を持たない。 「かたるにおちるとはこのことなんだぜ! いえのなかにやさいさんがもちこまれてきづかないはずないのぜ! どうせちぇんといっしょにたべたのぜ!」 親れいむの弁解を一蹴した長まりさが飛び掛かった。 そのまま何度も親れいむの上で跳ねて押しつぶす。 「しぬのぜ!しぬのぜ!」 「ゆげぇっ!やべでね゛!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛」 「おまえはゆっくりしないでいいのぜ!ゆっくりしないではやくしぬんだぜ!」 「も゛、も゛っどゆ゛っぐり゛じだがっだよ゛……」 親れいむが死んだ事を確認すると、長まりさは震えている子供達にも容赦なく飛び掛かる。 「わかないよー」 「たすけておかあさんんん」 「れいむたちどろぼうさんじゃな――」 「……」 そして、助けを求める子も泥棒じゃないと主張する子も呆然としていた子もまとめて潰された。 「ゆっ!あくはほろびたのぜ!」 長まりさは満足げだ。 だが、群れの悪夢はまだ終わらない。 今度は、幹部ありすと共に出てかけて行ったまりさが駆け込んできた。 捜索隊まりさは駆け込んだ勢いそのままに叫ぶ。 「ゆっ!おさ!がけのしたのどくしんありすのいえでやさいさんをみつけたよ!」 「ま、またなのぜ!?」 野菜泥棒をやっつけたぞと一仕事終えた顔をしていた長まりさはその報告に仰天した。 その様子を敏感に察知した優男が長まりさに釘を刺す。 「長、あれだけ広い『畑』から採れる野菜は一家族で食べきれる量じゃないはず。 残念だけど泥棒はまだまだ居るはずだよ」 「ゆぅ~。たしかにそのとおりなんだぜ。こうなったらてっていてきにやってやるのぜ! どくしんありす!!まえにでるのぜ!!」 今度は誰もその言葉に反応しない。 群の後ろの方で何かもめ事が起こっていて、そちらに注目が集まっている。 長まりさがヒートアップする。 「なにやってるのぜ!?しずかにするのぜ! どくしんありすははやくまえにでるのぜ!!」 すると、もめ事が起こっていた辺りから一匹のボロ雑巾のような有様のありすが運ばれてきた。 どうやらこれが独身ありすらしい。 独身ありすを運んできたゆっくり達に長まりさが尋ねる。 「なにがあったのぜ?」 「ゆ!このどろぼうはにげようとしたんだよ!」 「だからみんなでつかまえたんだね、わかるよー」 「ぁでぃずはちがぅぅ」 どうやらこの賢明な独身ありすは、さっきの一家を見ただけで 身に覚えがあろうと無かろうと前に出た時点で殺されると判断して逃げだそうとしたらしい。 しかし、あっさり捕まって袋だたきというわけだ。 優男がまたも長まりさの思考を誘導する。 「長、逃げるというのはやましいことがある証拠だ」 「おにいさんのいうとおりなんだぜ!このありすはしけいなんだぜ!」 広場は魔女裁判の様相を呈している。 前に出ればすぐに長まりさに殺され、逃げようとすれば袋だたきにされてから殺される。 死刑はすぐに執行された。 「ゆっくりせずにしぬのぜ!」 「ゅぅぅ」 既に虫の息だった、本当は無罪の独身ありすは 碌に弁解も出来ないまま永遠にゆっくりした。 独身ありすの死刑が終わった。 群れのゆっくり達は、誰が泥棒で誰が違うのかまともに判断出来なくなり疑心暗鬼に陥っている。 そんな全くゆっくり出来なくなってしまった群れに、三つの捜索隊がまとまって帰ってきた。 捜索隊の帰還に群れ全体が緊張している。 長まりさが捜索隊にねぎらいの声を掛けようとして戸惑って止めた。 捜索隊が妙に暗い雰囲気なのだ。 「どうしたのぜ?なんだかゆっくりしてないのぜ?」 「ゆぅ……。おさ、とかいはらしくおちついてきいてね……」 「むきゅう、じつはれいむのおうちからおやさいさんがでてきたの……」 「やめてね!そんなこといわないでね!れいむはなにもしてないよ!」 長まりさに衝撃が走った。群れのゆっくり達もざわめく。 よく見ると、三つの捜索隊のメンバーは単にまとまっているのではなく 幹部れいむを取り囲むように動いていることが分かる。 逃げられないようにするための措置だろう。 長まりさが衝撃の抜けきっていない、いつも以上に回らない頭で尋ねる。 「ど、どういうことなんだぜ?」 「むきゅ。ぱちゅりーが、おさの『みんなのいえをしらべる』っていうしじにしたがって ねんのためにれいむのおうちをしらべたら、かじりかけのおやさいさんがあったの」 「ゆぅ。そこにたまたまありすたちがとおりかかって、ぱちゅりーからそうだんされて、 とりあえずおさのところにれいむをつれてくることにしたの」 「れいぶなにもやっでな゛い゛い゛い゛!」 長まりさは困った。 野菜泥棒は許し難い。 でも、この群れの幹部はぱちゅりーもありすもれいむも 幼い頃から友達だった特別なゆっくり達だ。 殺したくはない。 許すべきか、許さざるべきか。 その時、群れのどこかから、やさいどろぼうはしけいだよ!と言う声が響いた。 それを皮切りに、これまで容赦なく犯人を死刑にしてきた長まりさが 幹部の時だけ躊躇っているのを見た群れのゆっくり達から死刑コールが起こった。 山中の広場にゆっくり達による死刑の大合唱が木霊する。 長まりさとぱちゅりー、ありすはもうどうすればいいのか分からないようだ。 先ほどからオロオロし続けている。 れいむは虚ろな目で、泣いているような、笑っているような不思議な顔になっている。 死刑コールを続ける群れの中程から数匹のゆっくりが押し出されてきた。 成体まりさ一匹と赤ちゃんれいむ、赤ちゃんまりさが数匹。 幹部れいむのつがいと子供たちだ。 まりさが母親役を務める珍しいタイプの夫婦らしい。 押し出された家族達の顔には深い絶望が刻まれている。 死刑コールは鳴り止まない。 その大音声の中で、自分が計算して作り上げたこの状況に 満足感を抱きながら優男が長に話しかけた。 「長、この状況でれいむ一家だけを許せば酷いことになる。決断を」 長まりさとぱちゅりー、ありすがびくりと震えた。 三匹揃って優男の顔を見る。三匹揃って惨めさを感じさせる表情になっている。 「ど、どうにか、どうにかならないのぜ?……」 「どうにもならないよ、長。」 頼りにしている優男に一蹴された長まりさの顔に深い苦悩の色が浮かぶ。 目は潤んでいて、今にも泣き出しそうだ。 ただ、それでも気力を振り絞って顔を上げると、震える声で言った。 「れ、れいむいっかはやさいどろぼうなんだぜ……。 やさいどろぼうは、し、しし、しけ、しけいなの、ぜ……」 長まりさは、群れの長として私情を封印した。 群れのために己を殺すその姿は、とかくの問題はあるにせよ 長まりさが指導者に相応しいゆっくりである証明だと言えるだろう。 その決断には人々に感動を与える可能性さえあった。 ただし、今のこの状況の全てが優男によって仕込まれた茶番にも等しい舞台だと言うことを除けばの話だが。 長まりさがれいむの方を向いて、下を向きながらぼそぼそと喋って告げた。 「……これかられいむいっかをしけいにするのぜ……」 群れのゆっくり達から歓声が上がった。 自分が死刑にしてやる、いいや自分がと執行役に名乗りを上げる声まで聞こえてくる。 ゆっくりには、他のゆっくりに対して平気で暴力を行使する一面が元々存在している。 それは、ゆっくりの群れによくある『他のゆっくりを殺した者には罰を与える』と言う規則からも窺い知れる。 この手の規則は、それがなければそういう行為に手を染める者が居るからこそ作られるのだ。 もしも、ゆっくりがそんなことなど考えもしない純粋無垢な存在であれば初めからそんな規則は存在しない。 そして、ゆっくりにとってのそんな規則は、欲望を煽り立て、恐怖におびえさせ、 そうしても良いんだという大義名分を与えてやればあっという間に有名無実化するのだった。 極度の緊張状態の中で野菜泥棒は死刑だという正義をすり込まれたゆっくり達は、 少しでも怪しい存在が居ればもはや平気でそれを殺すだろう。 幼い頃からの親友を目の前にして、ようやく目に光が戻った幹部れいむが絶叫した。 「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛お゛お゛!!」 それに釣られて、いつの間にか捜査隊にがっちり囲まれていた幹部れいむの家族達も叫び出す。 「まりさたちはやさいさんなんてしらないよ!わなだよ!いんぼうだよ!」 「たしゅけてみゃみゃぁぴゃぴゃぁ」「ゆっくちできにゃいよぉぉぉ」 「ゆあああああああああんん」「れいみゅたちをいじめにゃいでえぇ」 「まりしゃにゃんにもしてにゃいのにいいいい」 幹部れいむ達の叫びをかき消すように、再び群れから死刑コールが起こった。 そして、それに突き動かされるかのように長まりさが跳躍した。 渾身の体当たりが幹部れいむに突き刺さる。 「ゆあああああああああああ!!」 「ゆっべ!どうじでばりざぁ!?どうじでぇ!?」 「ゆああああああああああああああああああああああああ!!」 「ゆぶぅ!ゆごっ!やべでっ!ぼっ!びゅっう!」 れいむの声を振り払うかのように長まりさは絶叫しながら体当たりを続けた。 長まりさが冷静さを少し取り戻した時、もう幹部れいむはどこにも居なかった。 ただ、元はれいむと呼ばれていた汚い餡子袋が転がっているだけだった。 捜索隊の方では、捕らえられていた幹部れいむ一家が今まさに死のうとしているところだった。 どうやら、群れの狂気にあてられた捜索隊ゆっくり達が徹底的に暴行を加えたらしい。 「ゆっへ、ゆひ、ゆひひひひ」 親友一家を殺して、精神のタガが少し緩んでしまったらしい長まりさを見て、優男は潮時を悟った。 今日はこのくらいにしておかないと長まりさが完全に壊れてしまう。 今なら少し時間をおけば正気に戻るだろう。 それにこれ以上は自分が仕向けなくとも、ゆっくり達自身が勝手に暴走して 坂を転がり落ちるように破滅への道を突き進んでくれるはずだ。 「ぱちゅりー、ありす。」 「ゆ?」「むきゅう?」 優男に声を掛けられたぱちゅりーとありすが虚ろな目つきで反応する。 茫然自失状態の二匹に活を入れるように続ける。 「しっかりして下さい! 長も消耗しているようだし、群れがこの状態で犯人捜しを続けるのは危険です。 今日は解散しましょう」 「え、ええ、そうね。そうだわ。そうしましょう、ぱちゅりー」 「む、むきゅ……」 体の弱いぱちゅりーは、中身こそ吐いていないものの まりさとれいむの有様を見るだけで相当酷い体調になっていた。 仕方なく、ありすと優男で群れを解散させる。 群れの興奮状態はなかなか治まらなかったが、日が暮れる頃になってようやく 広場からゆっくりが居なくなった。 「ありがとうお兄さん。ありすひとりじゃどうしようもなかったわ……」 「いえ、これくらい。」 「ねえ、これからどうしたらいいのかしら?」 「長とぱちゅりーは体調を崩しているし、れいむは、その、あれですし、 ありす一人ではどうしもうもないでしょうから、しばらく様子を見た方が良いのでは?」 嘘だ。あの狂気に感染した群れのゆっくり達をしばらく放っておくなんて自殺行為だ。 本当なら、今すぐ長まりさをひっぱたいてでも正気に戻らせて、 無理にでも対処しなければならない状態だった。 いや、今すぐ対処してももう手遅れかも知れない。 「そ、そうね。そうしましょう」 「ええ、僕も今日のところは帰りますが、また数日後に様子を見に来ますよ」 「おねがい、かならずきてね」 優男がありすと別れて山を下りていくと麓の辺りで若い村人が待っていた。 「どうなった?」 「ほぼ完璧です。あなたの野菜クズの仕込みも見事でしたよ」 「それは何よりだ」 存在しないはずの野菜を使って、存在しないはずの野菜泥棒を存在させたカラクリがこれだった。 優男がゆっくり達の注意を引きつける。 その隙に、優男が群れ見学の建前で調べ上げたゆっくり達の巣の配置図を若い村人が利用して、 村から持ってきた野菜クズを巣に仕込んでいく。 あとはそれをゆっくり達が発見するよう仕向ける。 別に難しいことをやったわけではない。 しかし、効果は絶大だった。 「今回生き残ったゆっくりどもはどうする?」 「僕らが直接手を下すまでもないですね。 疑心暗鬼と正義感と狂気とに炙られて、仲間同士で徹底的に殺し合うはずです。 まあ、一応数日後に確認に行きましょう」 そうなのだった。 今や群れのゆっくり達は、誰かは分からねど確実に群の中に野菜泥棒が存在し、 その野菜泥棒を殺すことこそが正義であり、殺すことで自分がゆっくり出来るという状態に置かれているのだった。 まず間違いなく近いうちに、ゆっくり達は、ほんの些細な行き違いや不安や疑いで憎しみ合い、 親兄弟や友人相手でも平気で殺し合い続けるようになるだろう。 身も心も傷ついた最後の一匹が勝者となり、 見せかけだけの『畑』と存在しない野菜を手に入れて、 誰も野菜泥棒ではなかったと気付くその時まで。 終 過去作 ゆっくりいじめ系2720 ゆっくりいじめ精神系 ゆっくりいじめ系2818 れいぱーありすはゆっくりできない このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4636.html
※ゆっくりと畑と野菜(1)からの続きです 数日後、優男と若い村人はあの『畑』のところに向かっていた。 成果の確認と次なる仕込みを施すためだ。若い村人はその為に使う材料を包んだ風呂敷を提げている。 二人は、ゆっくり達のテリトリー手前で立ち止まって周囲を確認した後、 これからの行動について確認した。 「さて、ここから別行動な訳ですが、やるべきことは分かっていますね?」 「勿論だ。ゆっくりには絶対に見つからないようにする」 「私の方でも、なるべくこちらに注意が集まるよう話を持って行きます。では、お願いします」 確認を済ませると、優男は堂々と山を進み、若い村人は隠れるようにして進んでいった。 優男が『畑』に到着した。 すると、まるで畑を見張るようにしていた長まりさと幹部達が優男に気付き、 ゆっくりらしからぬ素早さで駆け寄っていく。 「やあ、長。ゆっくりし――」 「ジジイ!どういうことなんだぜ!?」 優男の挨拶を遮るようにして長まりさが突っかかった。再びの喧嘩腰だ。 その一言で、作戦が上手く機能していることを見て取った優男が平然と続ける。 「そんなに興奮してどうしたんだい、長?」 「どうもこうもないのぜ!ジジイは嘘をついたのぜ!」 「むきゅう!あのはたけさんからは、おやさいさんがはえてこないのよ!」 「あのはたけはとんだいなかものだわ!」 興奮して優男をなじるばかりの長に代わって、ぱちゅりーとありすが説明する。 二匹の方も、長よりは冷静だが、それでも憤懣やるかたないといった空気を発している。 「つまり君たちは、あの『畑』から野菜を採れていないということかい?」 「さいしょからそういってるのぜ!!」 「ばかなじじいはれいむたちにあやまってね!」 頃合いだな、優男は内心で呟いた。 ゆっくり達は冷静さを失い、目先の野菜しか見えないようになっている。 作戦を次の段階に進める条件は揃っている。 「そうなのか……。でも、それはおかしいよ」 「ゆっ!?だからそういってるのぜ!はえてくるはずのやさいさんがはえてこないのぜ!」 「ああ、違う違う。そういう意味のおかしいじゃなくてね、 野菜が生えてこないはずがないっていうことだよ。だってそうじゃないか? 畑があるのに野菜が生えてこないなんてそんなゆっくりできないことはありえないだろう?」 その言葉に、ゆっくり達が一瞬返答に詰まったのを見逃さずに優男が畳み掛ける。 「ねえ、長。長だってあの『畑』をとってもゆっくりした畑だって認めてただろう?」 「ゆ。たしかにそういったのぜ」 「ぱちゅりーとありすも、人間の畑にそっくりだ、都会派だって喜んでたじゃないか」 「むきゅう」「とかいはなれでぃはうそはつかないわ」 「だったら、野菜が生えてこないはずがないだろう? これまで色んな畑と野菜を見てきたみんながお墨付きを与えた『畑』なのに」 優男のその言葉に、それでも納得できないように長まりさが反論する。 「で、でも、じっさいはたけさんにはやさいさんがないのぜ?」 「うん。だからね、考え方を変えなきゃいけないんだ。 あの畑から野菜が生えてこないはずがない。でも実際畑には野菜がない。 じゃあ、野菜が生えてこなかったんじゃなくて、誰かが生えてきた野菜をこっそり持って行ってしまった。 その可能性の方が高いんじゃないかい?」 優男が言っているのは無茶苦茶な理屈だった。 特に、あの見せかけだけの『畑』から野菜が生えるはずがないと知っている者にとっては。 しかし、『やさいさんはかってにはえてくるもの』と信じ込んでいるゆっくり達には効果覿面だった。 みんなで確認したとってもゆっくりした『畑』。そこに野菜が生えてこない訳がない。 でも、今、現実に畑には野菜がない。ならば、生えてきたはずの野菜はどうなったのか。 優男の言葉、その意味するところがゆっくり達の餡子に染み渡っていく。 「ゆうぅ~!?たいへんなのぜ!やさいどろぼうがいるのぜ!」 「れいむたちのはたけさんからおやさいさんをぬすむなんてゆっくりできないよ!」 「はんにんは、きっととんでもないいなかものね!」 「むきゅう、でもだれがそんなことを……。はんにんをつきとめなきゃいけないわ」 ぱちゅりーの言葉を燃料にしてゆっくり達の怒りが燃え上がった。 そうだ、犯人を捜さなきゃいけない。そして制裁してやる。 群れの宝に手を出したことを後悔させながら永遠にゆっくりさせてやる。 優男はゆっくり達のそんな内心の動きを的確に把握していた。 そして、その感情の矛先を都合のいいように操るべくゆっくり達に声を掛ける。 「じゃあ、一つずつ整理してみようか。 まず数日前に、僕らがここに来て人間とゆっくりの仲直りの証に『畑』を作った」 「むきゅ、そのとおりね」 「そして、『畑』作りを終えた僕らは山を下りた」 「ええ、とかいはなおみおくりをしたわ」 「それ以来、仲直りしたこともあって村人はゆっくりの山に近づいていない」 「ゆっ!たしかににんげんさんをみたってほうこくはされてないのぜ!」 「それなら、ここ数日間で畑に近寄れたのはゆっくりか動物か虫かっていうことになるね」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「ところで、この山で主に野菜を食べるのは一体誰だい?」 「むきゅ、もちろんぱちゅりーたちよ」 「とかいはなおやさいさんは、とかいはなありすたちにこそふさわしいたべものだわ」 「どうぶつさんたちはおやさいさんなんてたべないよ!」 「ゆっ!ゆっくりしたやさいさんは、ゆっくりしたゆっくりにたべられるのがしあわせ~なのぜ!」 張り切って答えるゆっくり達を見ながら、男は若い村人のことを考えていた。 さて、どうやらこちらは上手く行きそうだ。ならば作戦の成功は彼が上手くやるかどうかに掛かってくる。 どうか頑張ってください。 優男は、ゆっくり達に見つからないよう慎重に慎重を重ねて 山を進んでいるはずの若い村人に内心でエールを送った。 そして、気分を切り替えると、満を持してゆっくり達に破滅の言葉を投げかける。 「と言うことは、野菜を盗んだのはゆっくりの誰かである可能性が高いということだね。 だってこの山には野菜を食べたがるのはゆっくり達しか居ないんだから」 「ゆっ!?」「ゆぅ?」「むきゅ?」「ゆゆゆ?」 ゆっくり達は混乱しているようだ。 ただそれでも、必死で今の会話を反芻して何とか優男の言葉を理解しようと努めている。 普段は、ぱちゅりーを除けば頭を使いたがらない傾向が強いゆっくりにここまでさせるとは。 食い物の恨みは恐ろしい。 「ゆ、ゆっくり、りかいしたの……ぜ?」 「むきゅう、たしかにおにいさんのいううとおりだわ」 「むれにそんないなかものがいるなんてゆるせないわね」 「そんなことするゆっくりがいるなんて、れいむはゆっくりりかいできないよ……。」 ゆっくり達は優男の言葉をそのまま受け入れた。 これには優男自身も驚いている。 優男としては、さすがに身内に犯人が居ると言えば抵抗されるだろうと想定して 気持ちと反論の準備をしていたのだった。 しかし、現実はこの有様。 どうやら、村のどの畑よりも広い『畑』を作って野菜を提供したというのが、 予想以上にゆっくり達の心を掴んでいたらしい。 優男も下調べの段階で掴んでいた情報ではあったが、ここまで食い意地の張った群れはさすがに珍しかった。 「なら、ここに群れのゆっくりを集めてみればいいのでは? もし集まることを嫌がる怪しいゆっくりが居ればそれが犯人かもしれないし、 みんな集まったら集まったで犯人捜しがやりやすくなるよ」 優男は気を取り直してゆっくり達を更に都合のいい方に誘導しようとする。 自分の方に注意を集めて若い村人を援護する為には、 群れのゆっくり全てに一カ所にまとまっていて貰った方がいい。 「ゆっ!?さすがはおにいさんなのぜ!そうするのぜ!れいむ、ありす、ぱちゅりー! むれにひとりのこらずあつまるようつたえるのぜ!こなかったゆっくりははんにんだとみなすのぜ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」「とかいはなさくせんね」「むきゅ、けんめいなはんだんだわ」 長ともあろう者が、『さすがはお兄さん』と来た。 このゆっくり達はいまや完全に優男の掌の上に乗っていた。 しかも、本人達はそれに気付かず、むしろ『畑』を用意し、山から人間を遠ざけ、 野菜泥棒を捕まえる手助けをしてくれていると判断して全幅の信頼を寄せている。 その全てがここのゆっくり達を群れごと陥れるための仕込みだというのに! 先日、若い村人に注意をした身ではあるが、優男も笑い出したい衝動が湧き上がってくるのを感じていた。 必死で堪えて何でもない風を装っているおかげで表情や態度には変化がないが、 内心は狂ったように笑い出したいという気持ちで一杯だった。 掌の上で踊るゆっくり達の姿は、それほど哀れで惨めだった。 それからしばらく時間が経ち、群れの集合が完了した。 一人残らず集まるようにと厳命され、来なければ犯人と見なすと説明されているため、 本来ならまだ巣から出るべきでない赤ん坊から妊娠した大人まで様々なゆっくりが一堂に会している。 広い『畑』を作ってもまだそれなりに余裕のあった広場が埋まる程の数だった。 長まりさが少し高くなった斜面上にある切り株に乗り、幹部がその周りを固めた。 群れの集合では、幸か不幸か全てのゆっくりが集まって誰が怪しいか分からなかった。 そこで、これから犯人捜しを行うつもりなのだ。 「ゆっ!!みんなきくのぜ!!! まりさたちがてにいれたはたけさんに、やさいさんがないことにはみんなきづいてるとおもうのぜ!!! まりさたちがちょうさしたけっか、そのやさいさんはむれのだれかにぬすまれた かのうせいがたかいとはんめいしたんだぜ!!!」 集まったゆっくり達のあちこちから声が上がった。 自分は泥棒じゃないと主張する者、群れにそんなゆっくり出来ないゆっくりが居るなんてと怒る者、 野菜を楽しみにしていたのにと嘆く者。反応は様々だ。 幹部達が声を張り上げて、群れを宥める。 数分掛けてようやく静かになった。 長まりさが続ける。 「そこで、いまからはんにんさがしをおこなうのぜ!!! やさいさんをぬすんだゆっくりは、なのりでるのぜ!!! いまなら、ついほうだけでゆるしてあげるんだぜ!!!」 長まりさの言葉は勿論嘘だ。追放で許す気などあるはずがない。 野菜を盗んだゆっくりを永遠にゆっくりさせてやる気満々だった。 しかし、そう言ってしまえば名乗り出てこないだろうと考えて、 長まりさなりに知恵を働かせてああ言ったのだった。 しかし、当然誰も名乗りでない。 優男からすれば当たり前の結果だ。 そもそも、野菜泥棒どころか盗まれる野菜さえ存在しないのだから。 だが、長まりさは苛立った。 群れのゆっくり達が保身に走っていると考えた。 その感情の赴くままに更に続ける。 「あとになって、だまっていたことがばれたらひどいのぜ!!! いまのうちなんだぜ!!!」 群れのゆっくりも幹部達も誰も何も言わない。 沈黙が場を支配した。そのまま数分が経過する。 このままでは埒があかないと考えたのか、ぱちゅりーが長まりさに声を掛けた。 「むきゅう、だれもなのりでないわ。どうするの?」 「ゆゆっ」 長まりさは返答に詰まった。 そもそも、長まりさは優男に煽られた勢いのまま突っ走っていただけなのだ。 群れを集めて、犯人捜しをして、見つからなかったらどうするかなど考えているはずがない。 長まりさが助けを求めるように優男を見る。 優男はその時、自分の方に群れの注意を集めてから過ぎた時間を計算していた。 群れを集めるための時間、宥めるための時間、沈黙の時間。 充分だ。 若い村人が仕込みを行い、テリトリーから抜け出すのに充分な時間だ。 そう判断すると、にっこりと笑顔を作って、長まりさに助け船を出してやる。 ただし、その助け船の行き先は地獄であった。 「名乗りでないのであれば仕方がないね。 手当たり次第に家を捜索してみるのがいいかな。 あの広い『畑』から盗んだ大量の野菜を数日で食べきることは出来ないはず。 犯人の家には痕跡が残っているに違いないよ」 なるほど、長まりさは感心した。やっぱりお兄さんは頼りになる。 群れの方に向き直って宣言する。 「だれもなのりでないから、いまからみんなのいえにやさいさんがないかかくにんするのぜ!!! うらむならはんにんをうらむのぜ!!! れいむ、ありす、ぱちゅりー。そうさたいをけっせいするのぜ!」 長まりさの言葉の後半部分、自分たちへの指示を受け取った幹部達が動き出す。 自分に近しいゆっくりに声を掛けて、捜査隊として巣を改めに出かけていった。 長まりさがイライラと動き回っている。 捜査隊の出発から既に二十分ほど経っていた。 いつの間にか長まりさの相談役的な立場に納まった優男はそんな長まりさを宥めながら悠然と待っている。 作戦の成功を既に半ばまで確信していた。 そこへ一匹のゆっくりが口に何かをくわえて駆け込んできた。 幹部れいむと共に捜査隊として出てかけて行ったれいむだ。 捜査隊れいむが口にしていた何かを長まりさの前に置き、叫ぶようにして告げる。 「おさ、おうちからやさいさんのかけらがみつかったよ!」 「ゆぅ~!やっとみつかったのぜ!!だれのいえなのぜ!?」 「おおきなきさんのねもとにある、ちぇんとれいむいっかのすだよ!」 その言葉が発せられた瞬間、群れのゆっくりの一部がズザッという音を立てて動いた。 群れの中にぽっかりと空白ができたような状態になる。 その真ん中では成体のちぇんとれいむ、子供のちぇんとれいむ数匹が呆然としていた。 彼らがちぇんとれいむ一家であることは明白だ。 長まりさが目の前に置かれた何かを確認して言う。 「たしかにやさいさんのかけらなんだぜ! ちぇんとれいむいっか!!まえにでるのぜ!!」 長まりさが苛立ち混じりの声をぶつけるが、ちぇんとれいむ一家は動かない。いや、動けない。 嫌な空気に耐えながら早く犯人が見つかって欲しいと願っていたら、いきなり自分たちが犯人だと言われたのだ。 まともに物を考えられる状態ではとてもない。 しかし、そんな一家に周囲のゆっくり達は容赦しない。 最初はゆっくりと、徐々に激しく、罵声を浴びせる。 「どろぼういっかはゆっくりしないではやくまえにでてね!」 「このいなかものいっか!」 「みんなのおやさいをぬすむなんてわからないよー!」 そんな声に押し出されるようにして、ちぇんとれいむ一家はフラフラと長まりさの前に出た。 反論しようとしているのか、あり得ない状況に呼吸が乱れたのか、口をぱくぱくさせている。 そんな一家に長まりさは全く躊躇することなく告げた。 「おまえたちのいえからしょうこがでたのぜ! しかも、まりささまがなさけをかけてやったときになのりでなかったのぜ! ふたつのつみでおまえたちはしけいなんだぜ!ゆっくりしないでしぬんだぜ!」 そして、そのまま親ちぇんに飛び掛かる。 「わ、わからなべぇっ――」 無防備な状態で、通常の成体より二回り程大きな長まりさの体当たりを受けて、親ちぇんは吹っ飛んだ。 中身を盛大に漏らしながらピクピクと痙攣している。もう長くないだろう。 その光景にようやく我に返ったのか、親れいむが必死で弁解を始める。 「ま、まってね!れいむたちはおやさいさんをぬすんだりたべたりしていないよ!」 「じゃあどうして、いえからやさいさんのかけらがみつかったのぜ?」 「ゆ……。そ、それは……」 「それはなんなのぜ?」 「き、きっとちぇんがかってにやったんだよ!れいむとおちびちゃんたちはしらないよ!」 しかし、初めからこいつらが犯人だという結論ありきで裁いている長まりさは聞く耳を持たない。 「かたるにおちるとはこのことなんだぜ! いえのなかにやさいさんがもちこまれてきづかないはずないのぜ! どうせちぇんといっしょにたべたのぜ!」 親れいむの弁解を一蹴した長まりさが飛び掛かった。 そのまま何度も親れいむの上で跳ねて押しつぶす。 「しぬのぜ!しぬのぜ!」 「ゆげぇっ!やべでね゛!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛」 「おまえはゆっくりしないでいいのぜ!ゆっくりしないではやくしぬんだぜ!」 「も゛、も゛っどゆ゛っぐり゛じだがっだよ゛……」 親れいむが死んだ事を確認すると、長まりさは震えている子供達にも容赦なく飛び掛かる。 「わかないよー」 「たすけておかあさんんん」 「れいむたちどろぼうさんじゃな――」 「……」 そして、助けを求める子も泥棒じゃないと主張する子も呆然としていた子もまとめて潰された。 「ゆっ!あくはほろびたのぜ!」 長まりさは満足げだ。 だが、群れの悪夢はまだ終わらない。 今度は、幹部ありすと共に出てかけて行ったまりさが駆け込んできた。 捜索隊まりさは駆け込んだ勢いそのままに叫ぶ。 「ゆっ!おさ!がけのしたのどくしんありすのいえでやさいさんをみつけたよ!」 「ま、またなのぜ!?」 野菜泥棒をやっつけたぞと一仕事終えた顔をしていた長まりさはその報告に仰天した。 その様子を敏感に察知した優男が長まりさに釘を刺す。 「長、あれだけ広い『畑』から採れる野菜は一家族で食べきれる量じゃないはず。 残念だけど泥棒はまだまだ居るはずだよ」 「ゆぅ~。たしかにそのとおりなんだぜ。こうなったらてっていてきにやってやるのぜ! どくしんありす!!まえにでるのぜ!!」 今度は誰もその言葉に反応しない。 群の後ろの方で何かもめ事が起こっていて、そちらに注目が集まっている。 長まりさがヒートアップする。 「なにやってるのぜ!?しずかにするのぜ! どくしんありすははやくまえにでるのぜ!!」 すると、もめ事が起こっていた辺りから一匹のボロ雑巾のような有様のありすが運ばれてきた。 どうやらこれが独身ありすらしい。 独身ありすを運んできたゆっくり達に長まりさが尋ねる。 「なにがあったのぜ?」 「ゆ!このどろぼうはにげようとしたんだよ!」 「だからみんなでつかまえたんだね、わかるよー」 「ぁでぃずはちがぅぅ」 どうやらこの賢明な独身ありすは、さっきの一家を見ただけで 身に覚えがあろうと無かろうと前に出た時点で殺されると判断して逃げだそうとしたらしい。 しかし、あっさり捕まって袋だたきというわけだ。 優男がまたも長まりさの思考を誘導する。 「長、逃げるというのはやましいことがある証拠だ」 「おにいさんのいうとおりなんだぜ!このありすはしけいなんだぜ!」 広場は魔女裁判の様相を呈している。 前に出ればすぐに長まりさに殺され、逃げようとすれば袋だたきにされてから殺される。 死刑はすぐに執行された。 「ゆっくりせずにしぬのぜ!」 「ゅぅぅ」 既に虫の息だった、本当は無罪の独身ありすは 碌に弁解も出来ないまま永遠にゆっくりした。 独身ありすの死刑が終わった。 群れのゆっくり達は、誰が泥棒で誰が違うのかまともに判断出来なくなり疑心暗鬼に陥っている。 そんな全くゆっくり出来なくなってしまった群れに、三つの捜索隊がまとまって帰ってきた。 捜索隊の帰還に群れ全体が緊張している。 長まりさが捜索隊にねぎらいの声を掛けようとして戸惑って止めた。 捜索隊が妙に暗い雰囲気なのだ。 「どうしたのぜ?なんだかゆっくりしてないのぜ?」 「ゆぅ……。おさ、とかいはらしくおちついてきいてね……」 「むきゅう、じつはれいむのおうちからおやさいさんがでてきたの……」 「やめてね!そんなこといわないでね!れいむはなにもしてないよ!」 長まりさに衝撃が走った。群れのゆっくり達もざわめく。 よく見ると、三つの捜索隊のメンバーは単にまとまっているのではなく 幹部れいむを取り囲むように動いていることが分かる。 逃げられないようにするための措置だろう。 長まりさが衝撃の抜けきっていない、いつも以上に回らない頭で尋ねる。 「ど、どういうことなんだぜ?」 「むきゅ。ぱちゅりーが、おさの『みんなのいえをしらべる』っていうしじにしたがって ねんのためにれいむのおうちをしらべたら、かじりかけのおやさいさんがあったの」 「ゆぅ。そこにたまたまありすたちがとおりかかって、ぱちゅりーからそうだんされて、 とりあえずおさのところにれいむをつれてくることにしたの」 「れいぶなにもやっでな゛い゛い゛い゛!」 長まりさは困った。 野菜泥棒は許し難い。 でも、この群れの幹部はぱちゅりーもありすもれいむも 幼い頃から友達だった特別なゆっくり達だ。 殺したくはない。 許すべきか、許さざるべきか。 その時、群れのどこかから、やさいどろぼうはしけいだよ!と言う声が響いた。 それを皮切りに、これまで容赦なく犯人を死刑にしてきた長まりさが 幹部の時だけ躊躇っているのを見た群れのゆっくり達から死刑コールが起こった。 山中の広場にゆっくり達による死刑の大合唱が木霊する。 長まりさとぱちゅりー、ありすはもうどうすればいいのか分からないようだ。 先ほどからオロオロし続けている。 れいむは虚ろな目で、泣いているような、笑っているような不思議な顔になっている。 死刑コールを続ける群れの中程から数匹のゆっくりが押し出されてきた。 成体まりさ一匹と赤ちゃんれいむ、赤ちゃんまりさが数匹。 幹部れいむのつがいと子供たちだ。 まりさが母親役を務める珍しいタイプの夫婦らしい。 押し出された家族達の顔には深い絶望が刻まれている。 死刑コールは鳴り止まない。 その大音声の中で、自分が計算して作り上げたこの状況に 満足感を抱きながら優男が長に話しかけた。 「長、この状況でれいむ一家だけを許せば酷いことになる。決断を」 長まりさとぱちゅりー、ありすがびくりと震えた。 三匹揃って優男の顔を見る。三匹揃って惨めさを感じさせる表情になっている。 「ど、どうにか、どうにかならないのぜ?……」 「どうにもならないよ、長。」 頼りにしている優男に一蹴された長まりさの顔に深い苦悩の色が浮かぶ。 目は潤んでいて、今にも泣き出しそうだ。 ただ、それでも気力を振り絞って顔を上げると、震える声で言った。 「れ、れいむいっかはやさいどろぼうなんだぜ……。 やさいどろぼうは、し、しし、しけ、しけいなの、ぜ……」 長まりさは、群れの長として私情を封印した。 群れのために己を殺すその姿は、とかくの問題はあるにせよ 長まりさが指導者に相応しいゆっくりである証明だと言えるだろう。 その決断には人々に感動を与える可能性さえあった。 ただし、今のこの状況の全てが優男によって仕込まれた茶番にも等しい舞台だと言うことを除けばの話だが。 長まりさがれいむの方を向いて、下を向きながらぼそぼそと喋って告げた。 「……これかられいむいっかをしけいにするのぜ……」 群れのゆっくり達から歓声が上がった。 自分が死刑にしてやる、いいや自分がと執行役に名乗りを上げる声まで聞こえてくる。 ゆっくりには、他のゆっくりに対して平気で暴力を行使する一面が元々存在している。 それは、ゆっくりの群れによくある『他のゆっくりを殺した者には罰を与える』と言う規則からも窺い知れる。 この手の規則は、それがなければそういう行為に手を染める者が居るからこそ作られるのだ。 もしも、ゆっくりがそんなことなど考えもしない純粋無垢な存在であれば初めからそんな規則は存在しない。 そして、ゆっくりにとってのそんな規則は、欲望を煽り立て、恐怖におびえさせ、 そうしても良いんだという大義名分を与えてやればあっという間に有名無実化するのだった。 極度の緊張状態の中で野菜泥棒は死刑だという正義をすり込まれたゆっくり達は、 少しでも怪しい存在が居ればもはや平気でそれを殺すだろう。 幼い頃からの親友を目の前にして、ようやく目に光が戻った幹部れいむが絶叫した。 「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛お゛お゛!!」 それに釣られて、いつの間にか捜査隊にがっちり囲まれていた幹部れいむの家族達も叫び出す。 「まりさたちはやさいさんなんてしらないよ!わなだよ!いんぼうだよ!」 「たしゅけてみゃみゃぁぴゃぴゃぁ」「ゆっくちできにゃいよぉぉぉ」 「ゆあああああああああんん」「れいみゅたちをいじめにゃいでえぇ」 「まりしゃにゃんにもしてにゃいのにいいいい」 幹部れいむ達の叫びをかき消すように、再び群れから死刑コールが起こった。 そして、それに突き動かされるかのように長まりさが跳躍した。 渾身の体当たりが幹部れいむに突き刺さる。 「ゆあああああああああああ!!」 「ゆっべ!どうじでばりざぁ!?どうじでぇ!?」 「ゆああああああああああああああああああああああああ!!」 「ゆぶぅ!ゆごっ!やべでっ!ぼっ!びゅっう!」 れいむの声を振り払うかのように長まりさは絶叫しながら体当たりを続けた。 長まりさが冷静さを少し取り戻した時、もう幹部れいむはどこにも居なかった。 ただ、元はれいむと呼ばれていた汚い餡子袋が転がっているだけだった。 捜索隊の方では、捕らえられていた幹部れいむ一家が今まさに死のうとしているところだった。 どうやら、群れの狂気にあてられた捜索隊ゆっくり達が徹底的に暴行を加えたらしい。 「ゆっへ、ゆひ、ゆひひひひ」 親友一家を殺して、精神のタガが少し緩んでしまったらしい長まりさを見て、優男は潮時を悟った。 今日はこのくらいにしておかないと長まりさが完全に壊れてしまう。 今なら少し時間をおけば正気に戻るだろう。 それにこれ以上は自分が仕向けなくとも、ゆっくり達自身が勝手に暴走して 坂を転がり落ちるように破滅への道を突き進んでくれるはずだ。 「ぱちゅりー、ありす。」 「ゆ?」「むきゅう?」 優男に声を掛けられたぱちゅりーとありすが虚ろな目つきで反応する。 茫然自失状態の二匹に活を入れるように続ける。 「しっかりして下さい! 長も消耗しているようだし、群れがこの状態で犯人捜しを続けるのは危険です。 今日は解散しましょう」 「え、ええ、そうね。そうだわ。そうしましょう、ぱちゅりー」 「む、むきゅ……」 体の弱いぱちゅりーは、中身こそ吐いていないものの まりさとれいむの有様を見るだけで相当酷い体調になっていた。 仕方なく、ありすと優男で群れを解散させる。 群れの興奮状態はなかなか治まらなかったが、日が暮れる頃になってようやく 広場からゆっくりが居なくなった。 「ありがとうお兄さん。ありすひとりじゃどうしようもなかったわ……」 「いえ、これくらい。」 「ねえ、これからどうしたらいいのかしら?」 「長とぱちゅりーは体調を崩しているし、れいむは、その、あれですし、 ありす一人ではどうしもうもないでしょうから、しばらく様子を見た方が良いのでは?」 嘘だ。あの狂気に感染した群れのゆっくり達をしばらく放っておくなんて自殺行為だ。 本当なら、今すぐ長まりさをひっぱたいてでも正気に戻らせて、 無理にでも対処しなければならない状態だった。 いや、今すぐ対処してももう手遅れかも知れない。 「そ、そうね。そうしましょう」 「ええ、僕も今日のところは帰りますが、また数日後に様子を見に来ますよ」 「おねがい、かならずきてね」 優男がありすと別れて山を下りていくと麓の辺りで若い村人が待っていた。 「どうなった?」 「ほぼ完璧です。あなたの野菜クズの仕込みも見事でしたよ」 「それは何よりだ」 存在しないはずの野菜を使って、存在しないはずの野菜泥棒を存在させたカラクリがこれだった。 優男がゆっくり達の注意を引きつける。 その隙に、優男が群れ見学の建前で調べ上げたゆっくり達の巣の配置図を若い村人が利用して、 村から持ってきた野菜クズを巣に仕込んでいく。 あとはそれをゆっくり達が発見するよう仕向ける。 別に難しいことをやったわけではない。 しかし、効果は絶大だった。 「今回生き残ったゆっくりどもはどうする?」 「僕らが直接手を下すまでもないですね。 疑心暗鬼と正義感と狂気とに炙られて、仲間同士で徹底的に殺し合うはずです。 まあ、一応数日後に確認に行きましょう」 そうなのだった。 今や群れのゆっくり達は、誰かは分からねど確実に群の中に野菜泥棒が存在し、 その野菜泥棒を殺すことこそが正義であり、殺すことで自分がゆっくり出来るという状態に置かれているのだった。 まず間違いなく近いうちに、ゆっくり達は、ほんの些細な行き違いや不安や疑いで憎しみ合い、 親兄弟や友人相手でも平気で殺し合い続けるようになるだろう。 身も心も傷ついた最後の一匹が勝者となり、 見せかけだけの『畑』と存在しない野菜を手に入れて、 誰も野菜泥棒ではなかったと気付くその時まで。 終 過去作 ゆっくりいじめ系2720 ゆっくりいじめ精神系 ゆっくりいじめ系2818 れいぱーありすはゆっくりできない このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/wrtb/pages/5907.html
クローン 名前:Kron デビュー:『ダイナソー』(2000年) 概要 生命の大地を目指す草食恐竜の群れを率いるリーダーのイグアノドン。ニーラの兄で、サブリーダーのブルートンを従えている。 強い者だけが生き残るという考え方を持っており、そのためなら弱者が犠牲になるのも仕方ないと考えており、新参のアラダーと対立する。 エピソード ダイナソー 小惑星の衝突により新たな土地を求めて旅をしていたアラダーとキツネザルの一家は砂漠で恐竜の群れを見つける。クローン率いるその群れは豊かな自然の残る生命の大地を求めて歩いていた。クローンや彼の右腕ブルートンは強い者だけが生き残ると考えており、イーマ、ベイリーンなどの年寄りや幼い者を軽んじていた。アラダーは弱い者のペースに合わせるべきだと主張したり、水源を見つける手柄を立ててクローンを苛立たせる。クローンはアラダーの手柄が気に入らないが、クローンの妹ニーラはアラダーの周りへ見せる優しさに好意を持つ。 クローンはカナタウルスの襲撃から逃げるためにさらにペースを上げ、アラダーや老人たち、更には負傷したブルートンまでをも置いて進んでいく。クローンとニーラらは生命の大地のある岩場の下に辿り着くが、恐竜たちにはその壁を登るだけの体力は残されていなかった。クローンは何としてもこの壁を登るべきだと主張するが、一足先に生命の大地に辿り着いたアラダーが駆けつけてきて、カナタウルスの襲撃を避けるために別の道を案内しようとする。遂にクローンの堪忍袋の緒が切れアラダーに襲いかかる。ニーラはアラダーに賛成し、群れとともにアラダーの案内を受けることに。ひとり取り残されたクローンがカナタウルスに襲われると、ニーラとアラダーは命がけでカナタウルスを追い払う。クローンは攻撃により致命傷を受けており絶命した。 登場作品 2000年代 2000年 ダイナソー ダイナソー (ゲーム) 声 サミュエル・E・ライト(2000年) 中田譲治(2000年)
https://w.atwiki.jp/ao_psp/pages/81.html
ブレイクオブジェクト破壊跡以外にもフィールドの光が存在する模様。 場所と得られたアイテムの情報を蓄積しよう。 セーブ&ロードにより、得られるアイテムが変化する。 第1章 西クロスベル街道 マップ②全40セピス宝箱付近:魔獣の卵×2、アカムシ×2 マップ③敵入宝箱付近:ミミズ×2 マップ④三叉路警察学校方面草地:アカムシ×2 第1章 ノックス森林道 マップ②登板路との合流手前の道中央:EP1 第1章 マインツ山道 マップ②滝を望む架台に向かう道中:水のセピス×10 マップ③全セピス×40の宝箱の右下:火のセピス×10 マップ③マップ④切り替え手前の路面脇:練り団子×2 マップ⑤人形工房手前石段下左:「何かが埋まっているようだ」 回避1、魔防1、行動力1、防御1、EP1、回避1、命中1、HP1、移動1、省EP1 ホーリーチェイン、ルミナスグラス、マーブルリング、クールネックレス フローラボトル、シルバーブローチ マップ⑥トンネル道。マップ④側道入り口からしばらく先:「何かが埋まっているようだ」 HP1、回避1、魔防1、妨害1 スティールリスト、ティンクルピアス、マーブルリング、クールネックレス 現段階での考察。 ブレイクオブジェクトからは、市販食材、釣り餌、魔獣食材×1、が得られる。 フィールドの光(便宜上、通常光)からは、釣り餌、魔獣食材×2、セピス、回復薬(状態異常のみ?)が得られる。 フィールドの光(便宜上、埋蔵光)からは、クオーツ、アクセサリーが得られる。 埋蔵光でも二度以上採取可能。山道分岐点の吊り橋下にて魔防2→スティールリスト取得。 メモ:埋蔵光を調べると敵が出現することがある。(マインツ大滝前でネペンテスの群れ出現を確認) 戦闘勝利後、ホーリーチェイン獲得。 (クロスベル東街道の灯台付近でサベージホーンの群れ出現を確認) 戦闘勝利後、回避3獲得 (ベルガード門の一つ前のマップでカエンギーヌーの群れ出現を確認) 戦闘勝利後、命中2獲得 (西クロスベル街道のセピス入り宝箱付近でエボニードローメの群れ出現を確認) 戦闘勝利後、EP2獲得 (西クロスベル街道の魔獣入り宝箱付近でブラックハンター×8の出現を確認) 戦闘勝利後、省EP1獲得 (1章西クロスベル街道のバス停マップ南西のカーブでカエンギーヌ×8の出現を確認) 戦闘勝利後、攻撃1獲得 コメント 終章初期、ランディ加入前のマインツへ向かう途中の滝前釣り場近くの光るオブジェクトから行動力3を拾いました -- 名無しさん (2011-10-15 22 56 12) 第2章1日目、ウルスラ間道の海岸線南端の階段を下りたところで埋蔵光から移動1が出た。戦闘なし -- 名無しさん (2011-10-15 23 21 34) ウルスラ間道・中洲の砂浜の光からケサランの群れ出現、EP2が拾えた(4章1日目) -- 名無しさん (2011-10-17 17 46 00) たぶん章によって拾えるモノがかわるんじゃないの?1章だと回避1ばっかりだったけど、4章だとEP3がでた。 -- 名無しさん (2011-10-17 18 00 36) 断章の森林道でEP2が埋まっていました -- 名無しさん (2011-10-18 15 04 37) 省EP3を4章で拾ったよ -- ken (2011-10-20 00 40 40) 地雷が埋まってるトンネルの中で攻撃3拾いました -- 名無しさん (2011-10-20 12 46 51) 第3章1日目、ウルスラ間道の病院前のマップ、階段の上で省EP1を拾った。戦闘なし -- 名無しさん (2011-10-22 00 36 03) 終章 大樹出現後、西クロスベル街道バス停上付近でガンテ?×8出現、倒して命中3だった -- 名無しさん (2011-10-22 19 22 07) 1章1日目 ノックス森林道②でホーリーチェイン埋まってました。 -- 名無しさん (2011-10-23 16 46 45) 「人形工房手前石段下左」最終章でマインツへ仲間を集めに行く際、人形工房寄り道中に調べたらグランドリュー(でかいモグラ)が出ました。バグかな?戦闘になりました。BGMは確かレベル付き宝箱のやつでした。 -- 名無しさん (2011-10-23 19 34 07) あ、すいません。説明文に敵が出ると書いてありました。 -- 名無しさん (2011-10-23 19 35 19) 第3章1日目、滝の釣り場の近くで埋蔵光からロックラッタx6出現、魔防2を入手 -- 名無しさん (2011-10-24 11 27 47) HP3拾いました -- 名無しさん (2011-10-29 08 44 43) 終章ウルスラ間道にて命中3ゲット。 場所は浅瀬があるマップの森に入る前にある袋小路。戦闘はなし。 -- 名無しさん (2011-10-29 15 49 42) 西クロスベル街道の埋蔵光にて、ガンテの群れと遭遇。HP3のクオーツでした。 -- 名無しさん (2011-11-02 15 37 24) 終章、アルモリカ古道の埋蔵光にてブレードファングの群れから精神3ゲット。 -- 名無しさん (2011-11-12 18 40 17) 終章。聖ウルスラ医科大学手前のMAP。クロスベル市方面入り口の近くと、星見の塔を望む高台(宝箱のあるとこ)で、埋まっている光を確認。それぞれ、敵なしで『行動力3』や『回避3』等を確認。たまに『防御2』などの一段階下のランクのクオーツも確認 -- 名無しさん (2011-11-16 21 26 15) 終章。ウルスラ間道の浅瀬。中央付近の岩のすこし東。上記と同じで1~3のランクのクオーツを敵なしで確認。たまにアクセサリーも -- 名無しさん (2011-11-17 00 03 14) ノックス森林道でハバネリアンの大群。 攻撃1を落としました。 -- BUMP OF HAYASHI (2011-11-27 13 24 36) ノックス森林道マップ②の埋蔵光?を加えました。複数のコメントがあったのに掲載されてなかったので -- 名無しさん (2011-11-30 13 27 19) 2章1日目 ベルガード門の一つ前のマップでカエンギーヌーの群れで勝利→ミスティストールでした -- 名無しさん (2011-12-05 00 05 45) 2章1日目ウルスラ間道の星見の搭方向への分かれ道付近でミミナガモンチの群れに勝利→回避1でした -- 名無しさん (2011-12-13 16 47 35) 2章1日目ウルスラ間道の星見の搭方向への分かれ道付近でミミナガモンチの群れに勝利→回避1でした -- 名無しさん (2011-12-13 16 48 24) 2章1日目ウルスラ間道の星見の搭方向への分かれ道付近でミミナガモンチの群れに勝利→回避1でした -- 名無しさん (2011-12-13 16 49 46) ↑、↑↑はサーバ混雑でミスりました -- 名無しさん (2011-12-13 16 52 22) 場所は(確か)ボート小屋の辺りでEP3をゲットしました。 -- 名無しさん (2011-12-27 17 29 16) 月の僧院前にて埋蔵光からの敵出現で、アビスワーム8体確認。超初期に行ったから、とても強くて経験値も大量に入りました。 -- 名無しさん (2011-12-27 17 32 30) ↑補足。ボート小屋のEP3は終章です。 -- 名無しさん (2011-12-27 17 34 37) ウルスラ浅瀬に8体のケサラン防御2 -- 誰か (2012-01-03 18 31 40) ノックス森林道でEP3見つけたよ? -- 名無しさん (2012-05-23 21 49 31) 4章1日目ノックス森林道でハバネリアン群れ→妨害2 -- 名無しさん (2012-08-21 00 50 35) 終章、ウルスラ間道の星見の塔へ分岐するマップの南側宝箱そばに埋蔵光。ゴーディオッサー8体出て、こっちは3人PTだったから最悪。倒したらEP3 -- 名無しさん (2013-11-30 18 41 21) 3章では、西クロスベル街道の宝箱付近の埋蔵光(ブラックハンター×8)より行動力2を入手できました。 -- 名無しさん (2014-03-13 00 20 57) あばばばばばば -- 名無しさん (2014-04-02 15 13 03) 1章 西クロスベル街道 セピス入り宝箱付近の埋蔵光にてエボニーメ×8を確認。 -- 名無しさん (2014-08-03 14 42 44) ↑戦闘勝利後にティンクルピアスを入手 -- 名無しさん (2014-08-03 14 44 11) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1613.html
絶対にゆるさなえ 9KB 虐待-凄惨 制裁 自業自得 群れ ゲス 希少種 自然界 人間なし 創作亜種 独自設定 あるゆ虐絵をみて我慢できずに書きました。今は反省ている 初投稿となります。 ※生温かい目でお願いします。 ※オリジナル設定並びにパロディがあります。ご了承ください。 ※希少種優遇注意 『絶対にゆるさなえ』 ある森のあるゆっくりの群れには、群れのどれいとして、さなえが捕まっていた。 群れの奴隷として、穴に閉じ込められ、虐げられていたさなえは、ある日、れいむとまりさのつがいに、徹底的に痛めつけられ、目をえぐられ、体に枝を突き立てられ、あげく、まりさに無理やり侵され、瀕死の重傷を負った。 そのさなえの姿に満足したれいむとまりさは、ゆっくりとした表情で、出て行くのを、残った片目で、見たさなえは、ぽつりとしかし、憎悪のこもった声で呟いた。 「ぜったいに、ゆるさなえ…」 暗い穴の奥から聞こえてきたさなえの声を聞いたれいむとまりさは、ゲラゲラ笑い出した。 「おお、こわいこわいv」 「やれるもんなら、やってみてね!!」 あんなボロボロの体で何ができるんだ。 れいむとまりさは、そう思いながら、自分たちの巣に戻って行った。 「ぜったいに、ゆるさなえ…ぜったいに、ゆるさなえ…ぜったいにゆるさなえ…」 二匹がいなくなった穴の前から、何度も何度も、さなえは恨みのこもった言葉を吐き続けた。 この群れに住むすべてのゆっくりに対して呪うかのように… 1か月後、れいむとまりさ達の群れでは、不思議なことが起こっていました。 夕方になっても、夜になっても、1日過ぎても、巣に戻ってこない子ゆっくりや赤ゆっくり、果ては、狩りに出かけた親ゆっくりが増えてきたのです。 最初は、能天気な餡子脳ゆえに気にも留めていなかった群れのゆっくり達でしたが、居なくなった数が増えるにつれ、どうしたんだと、なにがあったんだろうと、大騒ぎになっていた。 「むきゅ…いったいどうしたのかしら…?」 群れの長であるぱちゅりーも、この事件に頭を悩ませていると… 「ゆっ!!それなら、こころあたりがあるよ!!」 「きっと、あいつのせいにちがいないぜ!!」 そう叫んだのは、さなえを散々痛めつけたあのまりさとれいむのつがい―――巣に戻った後、れいむが生んだ3匹の子ゆっくりのいる夫婦だった。 このれいむとまりさは、あの時のさなえの言葉を思い出し、仲間がいなくなっているのは、さなえの性に違いないと騒ぎ出した。 その話を聞いた群れの一同は、とりあえず、手がかりもないので、まりさとれいむに、連れられて、さなえがいるはずの穴の前に集まった。 「ぜったいにゆるさなえ…ぜったいにゆるさなえ…」 耳(?)を澄ませると、さなえのいる穴の奥から、何度も何度も、「ぜったいにゆるさなえ」と呟くさなえの声が聞こえてきた。 群れのゆっくり達は、「ゆっくりしないでてきてね!!」、「はやくありすのとかいはのおちびちゃんをかえしてね!!」、 「そこにいるのは、わかるんだよー!!」と口々に、さなえのいる穴に向かって、非難の声をあげ、騒ぎたてた・。 しかし、穴にいるはずのさなえは、姿も見せずに、「ぜったいに、ゆるさなえ…」と呟くだけだった。 これに、腹を立てたまりさが、穴に近づくと、大声で怒鳴った。 「どれいのくせになまいきなんだぜ!!ゆっくりできないげすなさなえは、ゆっくりしないで…「ぜったいにゆるさなえから、ゆっくりしんでください」…ゆ?ゆぅうううううう!!」 「ま、まりざぁああああ!!」 次の瞬間、さなえのいる穴から何かが飛び出してきた瞬間、穴の近くにいたまりさを一瞬で穴の中に引き摺りこまれた。 まりさが、引き摺りこまれるのをただ見るしかなかった群れの一同が、唖然とする中、つがいであるれいむが、夫であるまりさが引き摺りこまれた穴に慌てて近づいた。 そして、穴に近づいたれいむは、穴の奥から響いてくるまりさの叫び声を聞いた。 「やべでぇええええ!!あんよさん、ひっぱら、いぢゃああああああいいいい!!ばりざのじまんのあんよさ…ゆ、やめて、ゆっくりやめで、やめでくだあああああ!! いぢゃい、いぢゃい!!ばぁりぃざぁのぎれいなおべべが、おべべがぁあああ!!いだあいぃいい!!ばりざのがみのげ、ひば・・ぎいいいいい!!だずげでぐだざい、だずげでぐだざいいいいい!! もう、いじめないがら、ゆるじでえぇえぇぇぇ!!ゆ、ばりざのぼうじざん、どら…いじゃいいいい!! ぼう、おうぢがえらぜで、ぐだざいいいいいいい!!でいぶ、だずげええええぇ…ゆぎゃああああああ!! ばりざのばがあああ、ばがぁあああ!!ゆ、ばりざのおぐぢ、あげないで、あげないで、あげ――――――――」 「まりさ?まりさ、ゆっくりでてきてね、ゆっくりででぎでね!!ばりざぁ、ゆっぐぢ、ででぎでよぉおおお!!」 穴の奥から聞こえてきたのは、痛めつけられるまりさの悲痛な声と何かが引きちぎれ、潰され、たたきつけられる―――まりさをなぶり殺している事を示す音だった。 やがて、穴の奥から聞こえていたまりさの叫び声が唐突に途切れた。 穴の近くにいたつがいのれいむは、穴の奥にいるはずのまりさに向かって、必死に呼びかけた。 だが、穴の奥からはまりさの姿が見えないどころか、声さえ聞こえなかった。 と次の瞬間、穴の奥から勢いよく何かが飛び出し、べちゃりと地面に、叩きつけられた。 「ゆ、ばりざ!!ぶじ…ゆがあああああああああ!!ばりざぁあああああ!!」 「「「「ゆぅうううううう!!」」」」 「むぎゅうううううう!!」 それ見た瞬間、つがいのれいむは、眼を血走らせ、あらん限りの叫び声をあげた。 群れのゆっくりたちも、おびえて後ずさり、長のぱちゅりーに至っては、ショックのあまり、おもわず、中身のくりーむをエレエレと吐き出した。 一応、まりさは穴から出てきた―――ただし、両目に枝で突き立てられ、全ての歯を抜かれ、髪の毛を引きちぎられ、帽子の代わりに口から下半分をかぶらされた状態で。 群れの一同が恐れおののく中、穴の奥からまた、さなえの声が聞こえてきた。 何回も何回も何回も何回も同じ言葉を… 「ぜったいにゆるさなえ…ぜったいにゆるさなえ…ぜったいにゆるさなえ…ぜったいにゆるさなえ・・・ぜったいにゆるさなえ…ぜったいにゆるさなえ…」 「「「「「ゆ、ゆあああああああああ!!!!!!!!」」」」」 「もう、おうぢがえるぅうううう!!!」 「どがいばじゃ、ないぃいいいいい!!!」 「わぎゃらないよぉおおおお!!!」 「みょおおおおおおん!!!」 その声を聞いた群れのゆっくり達は、まりさだったものに、目もくれず、叫び声をあげながら、ゆっくりらしからぬ速さで、さなえのいる穴から離れ、 急いでまりさの忘れ形見となった子ゆっくりであるおちびちゃんたちのいる安全な自分の巣へと戻って行った。 「ばりざあああ…ばりざがぁ…!!」 死んだまりさと、つがいだったれいむも、泣く泣くまりさの亡骸をそのままにし、泣き叫びながら、無我夢中で巣の中へ、逃げるように飛び込んだ。。 「ゆううう…まりさ…まりさぁああ…」 愛するまりさを失ったれいむは、我が子にも目もくれず、しくしくと泣き出した。 これまで、狩りは夫であるまりさにまかせっきりだったので、まりさが死んだ今、れいむが、子ゆっくり達を養うために狩りをしなければならなくなった。 夫を失い、しんぐるまざーとなった我が身を嘆くれいむだったが、心配はなかった。 なにしろ… 「ゆ、おちびちゃん…?」 「お、が…ぢゃ…」 「も…っど…ゆ…ぐ…ちっ…」 「ゆっゆっゆっゆっゆっゆっ…」 子ゆっくりの声がしないことに不審に思い、目を凝らしたれいむの目の前には、体をズタズタに噛み砕かれ、すでに死にかかっている子ゆっくり、そして… 「ぜったいにゆるさなえ…」 蛇のような胴体を、巣の奥にある壁から穴をあけてはいずり出し、頭の半分まで裂けた口の中にいる、子ゆっくり達をみせつけ、真っ赤に染まった目でニッコリと笑いながら、恨みの言葉を言うさなえがいたのだから。 「ゆぎゃぶうううううぅぅぅぅ!!!でいぶの、おぢびぢゃんがぁあああ!!もういやだぁああああああ!!!」 愛する我が子の惨状に、恐慌状態に陥ったれいむは、もはや子ゆっくり達にさえ目もくれず、我を忘れ、一刻も早く巣から飛び出そうとした。 「ゆっぐりじ、いぢゃいいいい!!!がまないで、でいぶのからだ、がまないでぇえええ!!」 しかし、飛びだそうとしたれいむの体は、地面から飛び出してきた何かに、次々と噛み千切られ、失速し、巣の入り口の手前で地面に落ち、痛みのあまり、地面をのたうちまわった。 「いだいいい…どぼぢででいぶが…ゆ?」 「ぜったいゆるさなえ…」 「ぜったいゆるさなえ…」 「ぜったいゆるさなえ…」 「ぜったいゆるさなえ…」 「ぜったいゆるさなえ…」 「「「「「「「ぜったいゆるさなえ…!!」」」」」」」 痛みに苦しむれいむが、目にしたのは、巣の壁という壁に穴をあけ、蛇のような体をくねらせ、次々と恨みの言葉をぶつけるお化けさなえの集団が、自分を取り囲んでる姿だった。 その口には、近所に住むありすやちぇんなどの群れのゆっくり達、そして、長ぱちゅりーの、大小様々なかざりが咥えられていた。 そして、どのかざりからも、ゆっくりにしか分からない死臭が、たっぷりとこびり付いていた。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ…」 もはや、逃げ場はなく、夫や子供、群れの仲間を皆殺しにされ、真っ赤に染まった無数の目に睨みつけられながら、体のあちこちを食いちぎられたれいむに許されたのは…。 「ゆ、ゆるじでぐだざいいいいいい!!!ごめんなざいいいい!!!あやばりまずがら!!!、ざなえざま、たずげでぐだざい!!でいぶが、わるがっだでずうう!!!どれいでも、げらいでもなるがら、だずげでぐだざいいいい!!!」 群れの奴隷であるのをいいことに、あれだけ見下し、蔑み、傷つけたさなえに対し、奥目もなく涙をたれ流し、頭を下げ、地面にこすりつけ、土下座しながら、ただ助かりたいが故の謝罪をし、ひたすら命乞いをすることだけだった。 もっとも… 「「「「「「「おまえらがしぬまで、ぜったいにゆるさなええええ!!!」」」」」」」 「ゆぎゃあぁあああぁぁぁああああ!!!!!!」 そんな都合のいいことを、憤怒と憎悪の塊となったお化けさなえは、聞くはずもなかったが。 「ゆぎゃ!!でいぶのあんよ、がまないでぇえええ!!」 「ゆううううう!!でいぶのびごびご、どらないでええ!!」 「いびゃい!!おべべおべべ、だべじゃいやああああ!!!」 「ばりざざあああ、だずげでぇ!!だすげでぇ!!ばりざあああああああ!!」 「ゆぎぃい!!でいぶのまむまむに、ばいらないで!!おでがいじまぁあああ、いじゃいいい!!!だべないで、でいぶのながをだべな、ゆぶううううううううう!!!」 れいむとまりさが住んでいた巣の中から、お化けさなえ達に噛み付かれながら、巣の奥へ引きずり込まれ、全身を食いちぎられ、まむまむから入り込まれて、 体の中を食い散らされ、穴という穴からお化けさなえが飛び出し、最大の痛みと絶望を味わないながら、断末魔の叫びをあげるれいむの声が、もはや誰もいなくなった森の中で響き渡った。 そして、あのさなえがいた穴の中には… 「ぜったいに、ゆるさなえ…」 一本一本が蛇の胴体のようになった髪を地面に突き立てながら、触手に備わった目に映る映像―――物言わぬ饅頭となったれいむの最期を見て、とてもゆっくりした表情で、恨みごとを呟くさなえの姿があった。 元ネタ絵 byM1 挿絵 byM1 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る すっきり―なら他のゲスとやれ。早苗は神なんだから。死に掛けのクラゲと神様がすっきりーしてるようなものだ -- 2021-03-13 19 20 26 劣等種ごときが口を聞いていいとでも…? -- 2021-03-13 19 14 30 希少種様は神なのです -- 2021-03-13 19 11 28 [かに星雲あき]れいむの またにてい だいあり のその後と捉えて見てすっきりした -- 2018-03-05 22 47 45 野良群れに生まれたさなえ種って似たような運命を辿るんだな こういうのを読むと人間も小学生の頃に同じことするよな~ 皆より優れた才能を妬み、皆より劣った容姿を蔑む。 その差別の解決方法は単純明快、しかしクリアレベルは最難度。 周りの連中はその才能を認めて、活躍させればいい。 (海外では元ハッカーをホワイトハッカーとして雇うらしい) -- 2018-01-09 14 27 03 ↓ふざけるな早苗に殺されろ -- 2016-08-30 06 35 41 みょん(ようむ)以外いなくなればいいのだ(^^♪ -- 2016-08-15 13 05 29 霊夢のゲス度(最大1000)1000 まりさ989群れ10000000 -- 2016-03-22 20 44 16 自業自得ですな(れいむとまりさに向かって) -- 2016-03-20 22 11 47 絵がめっちゃ怖い。さなえ~待ってろよ。今から劣等種全ゆぶっ 殺して来るから。(;^ω^)ゆっくりたち「\(^o^)/オワタ」 -- 2016-03-13 00 50 16 希少種好きな奴以外帰れ -- 2016-02-20 22 44 05 早苗…可哀想に…。 通常種は今すぐ死んでね!すぐでいいよ! -- 2016-01-31 12 04 28 希少種のさなえはいますぐしんでね!すぐでいいよ!それかれいむたちのどれいになってね! -- 2016-01-07 14 18 44 わたしは希少種が嫌いです -- 2015-09-14 16 38 37 早苗… -- 2014-03-15 11 10 37 早苗ゲスどもをキタねえ花火にしてしまえーーーーーヒャッハーーーーーーー汚物は消毒だーーーー -- 2014-02-26 18 00 42 緩さ寝府 -- 2014-01-30 03 36 59 でいぶとゲスまりさザマァ! -- 2013-07-30 18 50 02 Oh -- 2013-07-12 21 44 21 最古ーーーーーーーーーーーーーーー WW -- 2013-04-04 04 48 27
https://w.atwiki.jp/power99/pages/11.html
クリーチャー(12) 4 《アカデミーの伝承師/Academy Loremaster》 4 《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》 4 《竜亀/Dragon Turtle》 呪文(24) 4 《クアンドリクスの命令/Quandrix Command》 4 《提督の命令/Admiral's Order》 4 《凍氷破/Icy Blast》 4 《タッサの介入/Thassa's Intervention》 4 《群れの渡り/Herd Migration》 4 《腹背+面従/Failure+Comply》 土地(24) 4 《蔦明の交錯/Vineglimmer Snarl》 4 《神秘の神殿/Temple of Mystery》 1 《冠雪の森/Snow-Covered Forest》 10 《冠雪の島/Snow-Covered Island》 1 《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》 4 《伐採地の滝/Lumbering Falls》 アカデミーの伝承師を強く使うためのデッキ。伝承師と土地以外全てインスタントタイミングで動けるカードにしてドローゴーする。 夜群れの伏兵を維持してトークンを増やし、凍氷破でブロッカーをどけて狼軍団で2回殴ってフィニッシュするのが理想の動き。
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2474.html
オレンジジュースを買いに 16KB 虐待-普通 制裁 ギャグ パロディ 小ネタ 変態 同族殺し ツガイ 群れ 野良ゆ ゲス 希少種 現代 独自設定 スレでみたある童話を見て思いつきました ・この話にはちょっとだけ悪魔(?)というか妖怪が出てきます!そういう不思議な存在が苦手な方は読まないほうがいいかも ・色々とパロディがあります ・死なないゆっくりが出てくるので、全滅好きなかたには不満のある内容かも ・一部賢いゆっくりは漢字を使って喋ります ・作者に都合の良い独自設定があります ・これを書いたのはHENTAIあきです!HENTAIなおまけがあるので苦手な方は読まないでね! ・それでもいいというひとはゆっくりよんでいってね!!! 町から少し離れた山の奥にゆっくりの群れがあった。ゆっくりの中では善良な物ばかりであり、 長には希少種であるゆっくりゆかりが群れをまとめていた。 この群れには希少種であるらんがちぇんと番となり、群れの皆と仲良く暮らしていた。 人間もあまり来ることも無く餌も豊富にあるこの場所はまさにゆっくりプレイスと言わざるを得ない場所だ。 だがそんな平和な群れにある日ゲスの群れが襲ってきた。 幸いらんや群れの長であるゆかりの元で何とかゲスを追い返すことはできたが、群れの半数が死に幹部ゆっくりのほとんどが 重症というひどい有様である。その負傷した中にはちぇんの番であるらんも含まれていた。 「らんしゃまー!おねがいだからげんきになってねー!」 「大丈夫だよちぇん。らんはすぐに元気になるから・・・。」 ここは負傷したゆっくりを集めた長の家である洞窟である。そこそこの広さがあり、一ヶ所にまとめて看病しやすくしているのだ。 そんな中でおろおろするちぇんを不安にさせないために、痛みに耐えて気丈に振る舞うらん。 しかしその声に力は無くどうみても無理をしているようにしか見えなかった。 「どうにからんはげんきにならないかしらおさ?」 「難しいわね。ご飯さんはあのゲス共からいくらでも採れるけど。」 唯一ゲスとの争いに加わっていない幹部のぱちゅりーは長であるゆかりにどうにかならないかと問う。 ゆかりが言うご飯さんとは、襲ってきたゲスゆっくりを動けなくして無理やりすっきりーをさせて 生まれる前の赤ゆが実っている茎を収穫することである。同族食いはタブーであるが、 生まれる前であり食べるのは茎であるため同族食いには当たらないとゆかりが生き残った群れの一員に説明したのだ。 もちろん詭弁であるが、生き残っているゆっくりの半数はまだ成体前で狩りが出来ずに餌を採ることが出来ないためだ。 ゲスへの制裁も兼ねてあるが、食糧事情はなんとかなっている。 「でもごはんさんがいくらあっても、けがさんはすぐになおらないわ!このままだとみんなしんじゃうわよ!」 ぱちゅりーの言うとうり、豊富な餌さえあればたいていの怪我はゆっくりなら治ってしまうだろう。 しかしそれは命に係わるほどの怪我だと話が変わってくる。 体が回復する間に体力が無くなり、そのまま死んでしまうからだ。 「困ったわね。こんなときにオレンジジュースさんがあればどんな怪我でも治るのに・・・。」 元飼いゆであったゆかりは飼いゆ時代を思い出しそんなことを呟く。 その言葉にらんの心配をしていたちぇんが反応する。 「ちぇんがそのおれんじじゅーすさんをとってくるよー!ゆかりしゃまどこにいけばおれんじじゅーすさんはあるの?」 ちぇんの反応にしまったと思うゆかり。今この群れでまともに動けるものはちぇんぐらいのものだ。 他のゆっくりには負傷したゆっくりの看護や、ゲスの管理の仕事に懸かりっきりである。 ちぇんは足は早く狩りも上手いが、このような作業には向いていないためらんを心配しておろおろするぐらいしか出来ないのだ。 ゆかりも一類の望みをかけて、ちぇんに町まで行ってもらうことにした。 「良いことちぇん。町に行ったらゆっくりがたくさん居るお家さんに行くのよ。そこでこのぴかぴかさんを人間さんに渡して、 『オレンジジュースを下さい』と言いなさい。そうすればきっとらんの怪我も治すことができるわ。」 「わかったよー!にんげんさんのところにいくんだねー!」 ゆかりが飼いゆ時代に持っていた五百円玉をちぇんに渡し、オレンジジュースを買うための方法を教えた。 ゆかりが言っているお家とはペットショップであり、そこでならお金を持って行儀よくすれば例え野良ゆであろうと 店員は愛でお兄さんであろうから買い物が出来るだろうと考えたのだ。 「らんしゃまー、ちょっとだけまっててねー。すぐにちぇんがおれんじじゅーすさんをとってくるからねー。」 そう言ってちぇんは街に向かって走り始めた。 今まで町に行ったことはないが、ちぇんは町の場所をちゃんと理解している。 それは長であるゆかりが人間の強さを分からせるために、若いゆっくりとゲスなゆっくりを町の近くまで連れていくからだ。 ゲスなゆっくりにはあまあまが貰えると言って人間に近づかせ、人間の逆鱗に触れたゲスの死にざまを若いゆっくりに見せる。 人間の圧倒的な強さを見せることで、人間と関わろうとせずに生きていこうとさせるのが狙いである。 「にんげんさんはこわいけど、らんしゃまのためにがまんするよー!」 自分を奮い立たせるように、ちぇんは頭の中で番であるらんのことを考えて力強く走り続ける。 「ゆ!こんなところにみんなをころしたゲスなむれのゆっくりがいるよ!」 「ほんとうなんだぜ!せっかくまりさたちがゆっくりぷれいすにすんであげようとしたのに、おいだしたゲスなんだぜ!」 「なんでもいいからすっきりしたいわあああああああ!」 ちぇんが見つかったのは、ちぇんの群れを襲ったゲスゆっくりの生き残りだった。 数を頼りに襲ってきたが、優秀な群れのゆっくり達の強さを見て旗色が悪いとみるとすぐさま逃げ出したゲスの中でも 性質の悪いゲスである。当然一匹だけのちぇんを見つけるや、欝憤を晴らすためにこうしてちぇんを甚振ろうと考えたのだ。 「いまはゲスにかまってるひまはないんだよー、わかれよー。」 ゲスにかかわる暇はないんだと、無視してさっさと街へと向かおうとするちぇん。 しかしすんなり通すはずがない。何故ならこの三匹はゲスなのだから。 「よわむしのちぇんがにげるよ!れいむのためにごはんさんになってね!」 「ごはんさんのまえにすっきりよー!」 「ゆっへっへっへ!かくごするんだぜー。」 このゲス達は今まではぐれゆっくりや少数の群れを襲っては、備蓄した食料やその死体を食って生きてきた。 そのため同族食いへの忌避など無い。ただ目の前にいるゆっくりは自分たちの食糧、それだけである。 「ここはにげるんだよー!」 このまま闘っても勝ち目がないと判断したちぇんは、その俊足を生かしてひとまず逃げることを選んだ。 すばしっこいちぇん種なら確かに逃げきることも出来るかも知れない。 「にがさないよ!おとなしくれいむのごはんになってね!」 逃げるちぇんを追いかける三匹。同族を食すことにより通常よりも栄養状態が良く、その体力も速さもなかなかのものだ。 しかしながらやはり基本的な運動能力が違う、今まで狩りで鍛えたちぇんの足には中々追いつくことが出来ないゲス達。 「さっさとまりささまのごはんさんになるんだぜ!」 「いまだよー!!!」 最もちぇんに近づいていたまりさに向かってちぇんは振り返り、ゆっくりにしては鋭い犬歯でまりさの顔に噛みついた。 顔の全面がごっそりと食いちぎられたまりさは、体を痙攣させて地面に倒れこむ。 「まりさああああああああ!れいむをおいてゆっくりしないでえええええ!これじゃあごはんさんがとれないでしょおおおおお!」 「しょせんげすなんだねー。おともだちがゆっくりしちゃっても、じぶんのことしかかんがえないんだねー。」 まりさの死体に文句を言うれいむに呆れながら、ちぇんは無防備なれいむに噛みつく。 まりさの後を追うように体を痙攣させてれいむもまたこの世から永遠におさらばした。 「すきありよおおおおおお!さいごにわらうのはこのありすなんだからあああああああ!」 「やべでええええええええええ!わぎゃらないよおおおおおお!」 一番後からやってきたありすがちぇんの後ろから近寄り、ちぇんをれいぽぉしようと体を擦りつけはじめる。 ありすの湿った体に不快感を感じ、ちぇんは泣きながら抵抗しようとする。 「「すっきりりいいいいいいいいいいい!」」 だがありすによって無理やりすっきりーされてしまい、ちぇんの額からはすっきりーによって茎が伸び始めてくる。 だがありすは一回だけで満足することはなかった。 「まだまだいくわあああああああ!」 そう言ってありすは再びちぇんですっきりーしようと体を動かし始めた。 ちぇんは何とか反撃をしようと、すっきりーされながらも考える。噛みつきも体当たりも出来ないこの体勢でちぇんは 唯一動くある部分での反撃を思いつく。 「ちぇんにはまだこれがあったんだよおおおおおおおおお!」 そういってかろうじて動かす事の出来た二本の尻尾で、ありすの両目にねじりこんだ。 痛みでちぇんから離れたありすに、ちぇんは最後の力を振り絞りそのぺにぺにへと噛みついた。 「ありすのぺにぺにがあああああああああ!」 痛みとぺにぺにを失ったショックから、ありすはショック死してしまった。 なんとかゲス達との戦いに勝ったものの、ちぇんはありすのすっきりーによって大きく体力を消耗していた。 額に生えた赤ゆ達に栄養を奪われて死ぬことはないだろうが、このままではどのみち衰弱死してしまうだろう。 意識が朦朧としているちぇんの前に人影が近付いてくる。 「おや?何やら騒がしいと思えば、生首の物の怪かえ。」 そう言って面白そうに近寄って来た美女は、山の中というには不釣り合いな着物を着ており、 人間であればあるはずの無い尻尾があった。ちぇんは美女に気づいて虚ろな目でその人物を見た。 「らんしゃまなんだねー。ごめんね、ちぇんはおれんじじゅーすさんとってこれなかったよー。」 「ほほ。お主はなにやら勘違いしておるようじゃの。まぁよい、ちと心を覗かせてもらうぞ。」 ちぇんの弱った体に触れ、目をつぶって何やら口の中で唱える。しばらくしてから、立ち上がった美女は興味深そうにちぇんを眺める。 「なるほどのぉ。番と仲間の為に薬を取ってこようとは。少し助けてやろうかの。」 袖口から何やら札を取り出しちぇんの体に張り付けると、そのまま美女はどこかへと去っていた。 それからしばらく時間が過ぎてちぇんが目を覚ますと、自分の体が変化していることに気づく。 「わからないよおおおおおお!どうしてちぇんにへんなものがはえてるのおおおおお!?」 突然胴付きとなってしまって混乱するちぇんだが、少しして落ち着くと自分の体に力が漲っていることに気づいた。 今までより早く動けるようだと思い、恐る恐る歩いてみる。 「わからないけどなんだかいつもよりはやくうごけそうだよー。」 一歩一歩よろけながら歩いていくうちに慣れてきたのか、ちぇんは二本の足で走り始める。 「わかるよー!まるでかぜさんみたいなんだよー!」 楽しそうにちぇんは町へと走りだす。 ちぇんが町へと着いた時には、あたりはすっかり薄暗くなってきていた。 始めてくる街に戸惑いながらも、ちぇんは長であるゆかりに言われたとうりにゆっくりがたくさんいる店を探し始める。 「あったよー。きっとここがゆかりしゃまがいってたばしょだねー。」 ゆっくりが多くうろついていた店を発見したちぇんはすぐにその店へと入って行った。 薄暗い店内を歩いていると、ちぇんは店の主人と思われる老人に声をかけられる。 「もう店じまいなんじゃが。まぁいい、何のようじゃいお嬢ちゃん。」 ここは老人がひっそりと経営している雑貨店だ。猫好きな老人が外に猫の餌を用意しているのに惹かれて多くの野良ゆっくりが この店の前にやってくるのだ。もちろんゆっくりに食わせる為ではないので、老人はゆっくりを見かけ次第潰しているが。 「変わった服を着ているのお嬢ちゃん。それにあの猫そっくりなゆっくりの帽子まで被って。」 「ゆ!?ちぇ、ちぇんはちぇんのまねをしてるんだよー。だけどにんげんさんなんだよー。」 何やら老人の視線が険呑なことに気づき、とっさに自分は人間だと誤魔化すちぇん。 訝しげにちぇんを見る老人だが、どうでもいいというようにちぇんに尋ねる。 「それで、何が欲しいんじゃ?あいにくうちはそんなに品ぞろえは良くないぞ。」 「おれんじじゅーすさんをください。」 そう言われて老人はクーラーボックスに入れて冷やしてある、紙パックに入っているオレンジジュースを取り出す。 最近では子供が遊びでゆ虐をするために、オレンジジュースを欲しがるのでわざわざ加工所産の物を仕入れているのだ。 「ほれ、一本でいいんかの。」 「えっとこれでもらえるだけほしいよー。」 そう言って渡された五百円玉を取り出そうとするちぇんだったが、慌てて床に落してしまう。 すぐに拾おうとして屈んだちぇんだったが、うっかりお飾りであるぼうしが脱げてしまった。 ちぇんの頭から隠していた猫のような耳が出てしまい、老人にそれが見えてしまった。 すぐに帽子を被りなおして五百円玉を渡すが、老人は怪しそうにちぇんに視線を向ける。 「ちょっと待っておれ。奥からジュースを取ってくるからの。」 はらはらするちぇんを置いて、老人は店の奥へと引っ込んでいった。 ちぇんから渡された五百円玉を明りに照らして調べだす老人。表面に触り、本物かどうか店の五百円玉と見比べる。 試しに擦りつけたりしてみたが、本物であると思いちぇんのいるレジへとオレンジジュースを持っていく。 「これだけじゃな。これがお釣りじゃ。」 「おじさんありがとうねー!」 オレンジジュースとお釣りを受け取り、ちぇんは老人にお礼を言って店から出ていく。 老人は少し考えこむが、すぐに店じまいをする準備と表にいるゆっくりを潰すことを始めた。 「ただいまー!ちぇんはおれんじじゅーすさんをとってきたよー!」 笑顔で群れへと帰ってきたちぇんだが、しかし群れのゆっくりは胴付きとなったちぇんに奇異の視線を向ける。 その視線におろおろとするちぇんだったが、長のゆかりがやってくるのを確認すると安堵の表情を浮かべる。 「初めまして胴付きのちぇん。今日はゆかりの群れに何のようかしら?」 ゆかりの言葉にショックを受けるちぇん。あんなに優しくしてくれたというのに、まるで初めてあうゆっくりのようの言葉に、 ちぇんは涙目でゆかりに訴える。 「ゆかりしゃまああああ!ちぇんはらんしゃまのちぇんだよおおおお!いわれたとうりにおれんじじゅーすさん とってきたのに、どうしてそんなこというのおおおおおおお!」 「ごめんなさいね、でもゆかりの群れには胴付きさんなんていないのよ。」 そう言うゆかりの視線は非常に冷たいものだった。養豚場の豚でも見るかのように、 可哀想だけど明日にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのねという感じだ。 「ほらあああああああ!ちぇんのおぼうしさんだよ!ちぇんはちぇんなんだよおおおおお!わかってねえええええええ!」 必死に自分が群れのちぇんだということを証明するように、お飾りである帽子を見せつける。 それでもゆかりの視線は変わらない。 「残念だけど、群れに入るためにお帽子を盗むゲスは多いのよ。だからお飾りだけじゃ家のちぇんと認めるわけにはいかないわ。」 確かに今までも群れの噂を聞いて群れのゆっくりのお飾りを奪って紛れ込もうとするゲスはいた。 だが金バッジであったゆかりの前に見抜かれ、せいっさいを受けることになったが。 「残念だけど貴方をちぇんと認めるわけにはいかないわ。今ゆかりの群れは忙しいから、早く出て行ってね。」 そうゆかりが言うと群れのゆっくり達はそれぞれの仕事をするために帰っていく。 最後まで残ったゆかりは泣いているちぇんに声をかける。 「胴付きさんなら、きっと人間さんの街で飼ってもらえるわ。だから貴方は町へ行きなさい。早くしないと雨が降るわよ。」 それでもちぇんは群れに残った。番である大好きならんに会おうと、怪我人が集められている洞窟に向かう。 しかし、洞窟の入り口で見張りをしている枝を加えた子まりさに威嚇される。 「へんなゆっくりがちかよらないでね!ちかよったらこのえださんでぷすぷすするよ!」 赤ゆであったころ世話をしていた子まりさにそう言われて、ちぇんは泣く泣く群れから出ていく。 だが買ってきたオレンジジュースとお釣りを入口には置いて行った。 「わからないよー、どうしてみんなちぇんのことがわからないのー。」 ちぇんは一人寂しく木の下で悲しむ。そうするうちにゆかりが言ってたように少しづつ雨が降ってきた。 ちぇんはもうどうでもいいと思い、体が濡れるのもかまわずそのまま眠ってしまった。 よく晴れた朝に、ちぇんは目を覚ました。 昨日のことを思い出し、ちぇんは憂鬱な思いで体を動かそうとする。 「あれ?ちぇんのからださんもどってるよー!」 気づくとちぇんは自分の体が元に戻っていることに気づく。どういうわけかは分からないが、 ちぇんは再び群れへと戻った。 「ちぇん!?今まで何処に行っていたの!皆心配したのよ!」 昨日とは違い、ゆかりはちぇんに優しい言葉をかける。 それを聞いてちぇんは嬉しくなり、ゆかりに涙ぐみながら答える。 「げすにおそわれてけがをしたんだよー!でもやさしいおねえさんがたすけてくれたんだよー!」 「優しいお姉さん?もしかしてあの胴付きのちぇんのことかしら。」 勘違いするゆかりだが、それを訂正しようとはしないちぇん。自分でもよくわからないのだから。 泣きながらゆかりにすりすりをしていると、洞窟から番であるらんが出てくる。 「ちぇえええええええええええん!」 「らんしゃまあああああああああ!」 元気な声で自分を迎えてきたらんに、ちぇんも力いっぱい声を出してらんに飛びつく。 二匹は今までの寂しさを埋めるようにすりすりをしていた。 おまけ ゆかりが家出した理由 「んほおおおおおおお!ゆかりんの少女臭良い匂いいいいいいいいいい!」 「やべでおにいざん!ゆかりのはずかしいところを嗅がないでえええええええ!」 「何を言うんだゆかりん!ゆかりんの匂いを嗅がないとお兄さん一日の元気が出ないんだよ!」 「それでもいやあああああああああ!」 「ツンデレなんだねええええええ!ツンデレなゆかりんも可愛いいいいいいいいいいい!」 飼い主であるお兄さんの激しいスキンシップに嫌気がさしたゆかりは、身の回りの物をまとめるとそのまま家を飛び出す。 町の恐ろしさを知っているゆかりは、そのまま近くにある山へと向かった。 そこで長を亡くして混乱している群れに入れてもらい、その知識を群れの為に使いたちまち新たな長となった。 後日ゆかりがいなくなったことに気づいたお兄さんは裸で寝ていたにもかかわらず、ゆかりを探すために外に出て警察のお世話になることになった。 後書き これにて基本種胴付きコンプリート!元ネタというか、スレで『手袋買いに』という単語があったのでこのSSを思いつきました。 中々良いアイディアが湧かずにまた悪魔さんに頼ってしまいました。 本当は藍様を出そうと思いましたが、そのまま連れて帰っちゃうような気がしたので、日本に居たという玉藻前という 狐の妖怪にちぇんを胴付きにしてもらいました。 何でちぇんが戻ったの?と疑問に思う方、原作である東方の橙は藍様に式神を付けって貰っているんですが、 どうも水を被ると式神が外れてしまうようなんです。 SS中でも玉藻前に式神を付けってもらって胴付きにはなったけど、雨に濡れて結局元の胴無しに戻ったというわけです。 ごめんね、作者の力量不足で後書きで説明しないと分からなくて・・・。 餡コンペに向けてただいま苦悩中のHENTAIあきでした。 以前書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 993 初めてのおつかい ふたば系ゆっくりいじめ 1003 寂れた神社で ふたば系ゆっくりいじめ 1014 ゆーパチ「ヒャッハー!虐待だぁ!」 ふたば系ゆっくりいじめ 1024 めーりんの憂鬱 ふたば系ゆっくりいじめ 1036 別れと出会い ふたば系ゆっくりいじめ 1043 夜の怪奇現象 ふたば系ゆっくりいじめ 1058 S計画 作られたゆっくりたち ふたば系ゆっくりいじめ 1072 胴付きへの進化 ぱちゅりーの場合 ふたば系ゆっくりいじめ 1080 違うありす ふたば系ゆっくりいじめ 1087 まりさ家出する ふたば系ゆっくりいじめ 1099 てんこを良い子にする方法 ふたば系ゆっくりいじめ 1108 きめぇ丸?いいえしゃめい丸です ふたば系ゆっくりいじめ 1144 別れと出会い まりさのトラウマ編 ふたば系ゆっくりいじめ 1155 ゆっくりスクール ふたば系ゆっくりいじめ 1159 ゆっくりの寿命 ふたば系ゆっくりいじめ 1165 ゆっくりクラブ ふたば系ゆっくりいじめ 1178 まりさひどい目に遭う HENTAIあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ゆかり種って知能高いはずなのに、ちぇんに気付かないのか? リアル九尾はちぇんの記憶を読んでから変化させてるから、 同一ゆん物と判別できるヒントを残していると思うけど・・・? じゃないと「人間の少女」ではなく、わざわざ「胴付き」に変化させた理由が無い。 -- 2018-03-28 20 58 01 HENTAI兄さんが原因かいwww -- 2014-08-02 11 30 34 おにいさんのなかみはかすたーどさんなんだねー。わかるよー。 -- 2014-06-06 07 48 27 おにいさんは今自宅にいた嫌がるゆかりんの姿と怒る警官の姿を頭に浮かべながら・・・・・ -- 2012-07-27 19 53 39 かいゆっくりに嫌われるお兄さんもいるのか… -- 2010-12-11 00 25 16 東方オフスプを思い出した -- 2010-09-27 23 37 42 お兄さんはレイパーじゃないよ!ゆかりんが魅力的すぎるから、お兄さんは少女臭中毒になっただけだよ!! -- 2010-07-24 04 12 31 ゆかりん家での原因のお兄さんがレイパーじゃねーかwww -- 2010-07-24 04 06 55 少女臭の良さがわかるとは、良い感性をしてるね。 -- 2010-07-15 17 18 31
https://w.atwiki.jp/kuronekotyaya/pages/26.html
ゴブリン炭鉱 多くのゴブリン達が冒険者の息の根を止めに襲い掛かる。 かつてのダンジョンにはない弓兵、強化兵などが多く出現する。 地図 入場料・入場券枚数 炭鉱内特徴・敵情報。 注意ポイント 敵MOB対処法・対応 地図 クリックで拡大 入場料・入場券枚数 難易度 適正レベル 入場料 入場券 炭鉱内特徴・敵情報。 モンスター名 出現情報 注意点 ゴブリン 炭鉱の初っ端に20体程度で群れている。 一気にタゲが集中すると大ダメージを貰うので注意 ゴブリン司令官 2体以上で居る場合が多い。 赤い衝撃波を放って大ダメージを与える上に移動速度 防御値を30%下げるデバフを掛けられる。危険。 ゴブリン看守 中BOSS付近によく居る。 ゴブリン囚人を召喚する厄介な敵。ダメージ量も他に比べると高め ゴブリン囚人 ゴブリン看守に召喚される 看守が居なくなると一気に散るのでその前に一気に叩こう ゴブリンアーチャー 炭鉱の初っ端に15体程度で群れている。 弓だと言って侮っていると、HPの3分の1を持っていかれます。 ゴブリン守備兵 炭鉱の何処にでも居る。 サンドワーム カグロイルの周りや道中に群れている デバフを多用してくるらしく集中攻撃をされると即死しかねない(特にカグロイル戦 サンドワームマザー サンドワームと同様 炭鉱の亡者 クロキア前で7匹程度で待機 タゲが集中すると一気に仕掛けてくる。 最後に待っているのはカグロイルと呼ばれるゴブリンのピエロと大量のサンドワームの群れであり、その道中に多くの中ボスが待ち構える。 しかし、中ボス自体はあまり脅威ではない。むしろ、その周りに群れているゴブリン上位部隊が厄介である。 注意ポイント 1、炭鉱進入直後、大量のゴブリンと指揮官に歓迎される。 下手に突っ込むと、大ダメージどころか死亡危機に瀕する。 2、ゴブリン司令官が2体以上 他に群れている敵がいるポイントには注意! 高い攻撃力を持ち、適正レベルだと一発で600前後持っていかれる可能性がある。また、赤い衝撃派を放ち、移動速度と防御値を30%下げてくる為、要注意。 マジシャン系は衝撃波をモロに食らうと即死する可能性アリ。 3、火柱と石柱のトリックを抜けた先にある上下段に別れて進むルートは用心! ゴブリン看守や司令官、中BOSSが居る死亡頻度 大な場所。 必ずPTにプリーストが居ないと経験値が大幅に減る可能性アリ 敵MOB対処法・対応 + 適正レベルでいく場合。 PT人数は2人~3人をオススメする。 適正レベルならそこまでつまずく事なく、スムーズに進める…ハズ。 一人で突っ込んだり、多くの敵を一掃しようとして敵を引き付けて自滅する事はみっともないので止めましょう。(特に砂虫が群れている所やゴブリン部隊が多く居る所など) 特にPTの役割分担などをする必要などないが、ガーディアンクロンなどの自分のダメージを肩代わりするクロンが居ると楽である。 ただ、上の注意ポイントには十分に注意して欲しい。 対処法として、 ナイトにタゲを取らせる。 ガーディアンクロンを突っ込ませてその間に倒す。 そういった方法が考えられる。 αとして、プリーストが居ると安定するだろう。 + 適正レベル+2以上の高難易度の場合 マゾい。ただひたすらに、マゾい。 PT人数は5人居ると安定する。4人だと少々心細いかも? 上の注意ポイントを注意しているにも関わらず、死亡ポイントになりかねない。 役割として欲しいのが、ナイトとプリーストである。 ナイトがタゲを取って、プリーストが回復・支援の役割を担うと大幅にPTの負担が軽減する。(39レベル現在、プリーストとナイトが居ないPTで行くとPOT大の消費量が半端じゃない) また、ガーディアンクロンが居る場合でもHPが10000程度あろうとも昇天する可能性が高いのでメロン連打ゲーになりかねない。 まぁ大事なのは役割なんだよ!役割! また、敵の防御が異常な硬さを誇っているので、デバフ(状態異常)として防御ダウンとかしてると少し倒しやすくなる。 最も厄介なのは、最後に構えているカグロイル+愉快な砂虫達である。 誰か一人が突っ込むと、敵の意識が一気にその突っ込んだ一人に集中するので、 敵が集まってきたら一回バーニングで敵を気絶させ、その間を利用してクロンにタゲを取らせるなどの対処が可能である。 成功すれば安定する為、危機的な状況に陥った時にバーニングを発動するという感じでいいと思う。(ナイトが居ても居なくてもHPが危なくなったらバーニングを発動しても良い。) あとはHPの残りに注意しながら、敵のHPを削ると良い。
https://w.atwiki.jp/savagetide5th/pages/589.html
ロコ草の効能 豊穣祭の第7日、CY593年 ここ数日の間、私は島の北西の内陸湖近くで草を食んでいるアンキロサウルスの群れを観察している。この集団の中にいる1頭の雄が、とりわけ珍しい振る舞い、暴力的で非社会的な行動を示している。私はこれが単純に興奮したことによる行動であろうと考えていた。この出来事の間、群れの他の個体は彼を避けるべきことを知っていたようで、彼は届く範囲のあらゆるものに対して尻尾を振り回していた。彼が従順で、その植物の影響下にないときでさえ、群れの仲間や、その地にいる他の草食動物たちは、彼に十分なスペースを与え、彼の怒りのとばっちりを受けないようにしている。彼の傷だらけの向こう脛を見れば、最大級のディプロドクスですら彼を用心するに十分なようだ。 より多くの植物を食糧とするため、巨大な爬虫類にはより強力に作用したようで、その草が彼を極度に攻撃的にさせ、目に入るあらゆるものを攻撃するようにさせたようだ。この出来事の間、彼の遠近の感覚は狂っていたようで、昨日、彼が向こう見ずにもジャングルの木の幹に突撃を敢行しているのを発見した。彼は怒りに任せて30本以上の木々を薙ぎ倒し、そのままジャングルの中へと消え去って行った。 およそ2時間後、麻薬の効果が切れ始めた。かの個体は空腹、倦怠感、そして刺激への過敏性を失ったようである;これまで、その植物の効果で走り回った後、彼はどこででも卒倒していたものだった。彼がぐっすりと寝込むと、群れは再び日常的な草食みを始めた。 このアンキロサウルスはある植物への肉体的中毒を示しており、群れの他のメンバーに避けられていた。その草の繁茂している場所を見つけることができない時には、彼は極度のうつ状態になるが、彼がこのグループのはぐれ者になるその振る舞いこそが、社会的な拒絶を受けた理由なのであろう。 この草について原住民のパニトゥベ族に尋ねると、あたかも何か身内にだけ分かるジョークか何かのように、彼らは互いに顔を見合わせてにんまり笑った。それは彼らがそれの事を良く知っていると分かる態度だった。ふと彼らの1人が、それのことを“クアロコ・ツァカトゥル”と呼んでいるのが耳に入った。オーマン語で“怒り草”という意味だ。しかしながら、商用語を話すことができる数人の原住民たちは、それを乱暴に通訳して“ロコ草”と呼んでいた。 ⇒次の項目「テラー・バードの縄張り行動」へ ⇒前の項目「ファナトンの生態」へ 『ラリッサの日誌』トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2940.html
※ゆラディのクロス・・・になるんじゃないかな? ※あんまり強くないドス注意 ※俺設定なところもあったりなかったり その森はゆっくり達の楽園だった。 この森には人間が食べられるものは殆ど実らず、また芽吹かない。 にもかかわらず、ゆっくりの味を好まないが人間の天敵となる動物が生息している。 この2つの要素が合わさることで、森にはゆっくりの脅威となるものが皆無に等しかった。 「「「おにぇーしゃん、きょうはにゃにしゅるの?」」」 「ゆゆっ!きょうはね、ゆっくりみんなでむししゃんをとりにいくよ!」 「「「れーみゅ、ゆっきゅちとりにいきゅよ!」」」 だから、姉の子ゆっくりが3匹の赤ゆっくりを連れて森の中を散策するなんて光景を拝むことが出来たりする。 基本的には鬱蒼としていて薄暗い森だが、ところどころに日の光が差す場所があるので見通しは悪くない。 それに、迷子になってもその陽だまりでじっとしていれば大体成体ゆっくりが見つけて保護してくれる。 こういった要因も重なって大人たちも子どもだけでの行動を止めようとしなかったし、止める必要も無かった。 「おちびちゃんたち!ばんごはんのじかんまでにはゆっくりかえってきてね!」 「もりからでちゃだめだよ!どすとぱちぇにおこられちゃうからね!」 「ゆっくちりかいしたよ!」 「「「ゆっきゅちりきゃいちたよ!」」」 そればかりか、この森にはドスまりさが君臨している。 しかも、彼女のはにーとして森の賢者と呼ばれる大型のぱちゅりーが寄り添っていた。 体高4mほどとまだ駆け出しながらも大型で、どちらかと言えば強さがウリのドスまりさ。 その反面、若干思考の幼い彼女をしっかり補佐し、群れを導くぱちゅりー。 こちらも相当なサイズに達しており体高3mはあった。 「「「どす、きょうもとかいはのおうたをきかせてあげるわ!」」」 「「れいむたちもゆっくりしたおうたをうたうよ!」」 『ありすもれいむもありがとう!ゆっくりおうたをきかせてね!』 『ぱちぇもいっしょにゆっくりさせてもらうわ』 ドスまりさを中心としたその群れの生活の中心となる場所は森の真ん中の大きな広場。 もちろん、森の真ん中に都合よくそんな場所があるはずもなく、ここはドスまりさが頑張って作った場所だった。 雨が降って、近くの川が氾濫しても大丈夫な場所で、開けているために日当たりも悪くない。 それに雨が降ったとき対策も万全で、森の各所に雨宿りにつかえそうな場所を設置させていた。 「ゆゆっ!ゆうか、おやさいさんのようすはどうなんだぜ?」 「ゆ、まりさね。おやさいはゆっくりしているわ」 「ゆぅ〜・・・はやくたべたいんだぜ!」 「ゆっくりがまんしてね!」 この森では種族なんて関係なかった。 れみりゃでも、ゆうかでも、きめぇ丸でも・・・ここにいたいと願うなら、そして仲間を尊重できるならドスの比護を受けてゆっくり出来た。 いや、それどころか、彼女達を受け入れたことが外部から来るゲスへのけん制となり、群れはいっそう平和に暮らせるようになった。 それに、多様な種族が個性を活かして共生することであらゆる面で合理化が図られ、森での暮らしを豊かなものにした。 「まりさ〜、すっきりしましょうね!」 「ゆゆっ!ありすはひるまからせっきょくてきだぜ!でも、ひっにんはわすれちゃだめなんだぜ?」 「とうぜんよ!かんがえなしのにんっしんなんてとかいはじゃないもの!」 また、森の賢者や彼女の教育を受けた賢い個体を中心に他のゆっくりへの教育が推進されていた。 それにとって、この群れでは考えなしの繁殖をするものもおらず、限度を考えずに森の資源を浪費するものもいなかった。 ドスと森の賢者を中心に試行錯誤を繰り返し、この群れの生活圏内で最適なゆっくりの数は1000匹前後であることが判明していた。 その数を越えないように、にんっしんを統制し、アウトローを追放し、身の程知らずの血気盛んなゆっくりは修行の旅に出すなどの措置を行った。 2匹を中心とした群れのたゆまぬ努力が実を結んで、いつの頃からかこの森は「ゆっくりの森」と呼ばれるようになっていた。 ある日、そんな平和な森に見慣れぬゆっくりがやって来た。 赤い髪、猫耳、三つ編み・・・妙にごてごてしたそのゆっくりの名前はゆっくりおりん。 ゆっくりの死体を操る能力を持つと言われ、ゆっくりの間では忌み嫌われる種族だった。 「じゃじゃーん!ゆっくりしていってね!」 『ゆっくりしていってね!』 「おりんをむれにいれてね?」 『むきゅ〜・・・だめよ!』 ぱちゅりーは即座に断った。 確かにこの群れは捕食種も含めて来るもの拒まずのスタンスを取っている。 が、おりんのような異能持ちに関しては少々勝手が違っていた。 「どうして?」 『あなたののうりょくがゆっくりできないからよ!』 「ゆぅ〜・・・ざんねんだよ!ゆっくりあきらめるよ!」 おりんは思いのほかあっさりと引き下がった。 ぴょんこぴょんこと跳ねて群れを後にする彼女の背中を眺めながら、ドスまりさと森の賢者は安堵のため息をつく。 異能持ちはゆっくりの常識を、時には理を覆す。そして、それは必ずと言っていいほど面倒ごとへと発展する。 好き好んで得た力ではないだろうし、出来ることなら一緒にゆっくりしてあげたい。 が、彼女達は群れの長としての立場と責任があり、個人の感情に流されて大局を見誤るわけには行かない。 『『・・・ゆっくりごめんね』』 だから、彼女の背中が寂しそうに見えても、小さな声で謝ることしか出来なかった。 「じゃじゃーん!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちちていってね!」 「「「ゆっきゅちちていっちぇね!」」」 群れに加わることを認められなかったおりんは群れの住処から少し離れた場所を探検していた子ども達に元気良く挨拶をしていた。 その満面の笑みからは群れに入れなかったことへの失望などは微塵も感じられる、それどころか何処か晴れ晴れとしていた。 単に馬鹿なのか、それとも妙なポジティブ思考で入れなくてよかったと解釈しているのか。 「ねえ、おちびちゃんたち!おりんりんとゆっくりできるあそびをしようよ!」 「ゆゆっ!ゆっくちできるあそび?」 「「「ゆっきゅちできりゅあしょびしゃんちたいよ!」」」 「じゃあ、おりんについてきてね!」 そう言うと、おりんは子ども達でもついてこられる速さで何処かへ跳ねていった。 疑うことを知らない子ども達は首をかしげながらも、おりんの後をゆっくり追いかけていった。 もっとゆっくりしたいという無邪気で、実にゆっくりらしい動機に従って。 「じゃじゃーん!ここがゆっくりできるばしょだよ!」 「「「ゆゆっ!みちゃことにゃいしゃんはだあれ?」」」 「ゆゆっ!もしかしてにんげんさん?」 おりんについて行った先、そこで子ども達は生まれて始めて人間の男と出会った。 そして、その男やおりんと一緒にとてもゆっくり出来るひとときを過ごした。 子ども達はそれからも友達の子ゆっくりや赤ゆっくりを連れて毎日のようにそこに足を運んだ。 おりんはいつも笑顔で、人間さんはいつもゆっくりしていて、他の子ゆっくり達も満足げに遊んでいた。 少なくとも、同伴した成体ゆっくりの目にはそう映っていたはずだし、ドスまりさにおりんの動向を報告したゆっくり達は「おリンはとってモゆっくリできルこだヨ」と言っていた。 『ぱちゅりー、どうするの?』 『むきゅ〜・・・むずかしいわね』 おりんを群れに加えることを拒んだことはきっと正解だったのだろう。 人間と親しくしていると言う報告だけでも、その点に関しては確信が持てた。 この群れが人間とある程度距離を保っていたからこそ繁栄できたことを思えば間違いなくあの判断は正しいと思える。 が、問題はそこではない。 子ども達がほぼ全員懐柔されてしまい、またおりん自身が成体ゆっくりとも仲良くなってしまっている。 この状況こそ、ドスまりさと森の賢者を悩ませる最大の問題だった。 『もうむれにくわえたらどうかな?』 『むきゅ!それはだめよ!にんげんさんのゆっくりをくわえるのはあぶないわ!』 おりんを群れに加えれば群れと人間の間に接点を作ってしまうことになる。 かといって、無理矢理おりんを排除しようとすれば群れからの反発が懸念されるし、下手に傷つけたりすると人間とも衝突しかねない。 だが、このままずるずるとおりんと群れのゆっくり達の接触を許し、事実上群れの一員になってしまっては元も子もない。 『むきゅ〜・・・おりんののうりょくをいちどつかわれると・・・どうなるかわからないわ!』 『そうだね!しんだものはかえらない・・・あたりまえのことがこわれるとゆっくりできないよ!』 もし、何かの拍子に子どもが死んでしまったとしよう。それをおりんが生き返らせてしまったらどうなるのか? 流石に一介のゆっくりに過ぎないドスまりさ達にそれを正確に予測することは出来ないが、少なくとも蘇って良かったねなんて楽観的な感想を抱くほど愚かではない。 本当に何が起こるか予測できない。これだけでも群れに加えない理由としては十分すぎる。 しかし、既に群れのゆっくり達と仲良くなってしまったものをまだ何もしていないのに森から排除することは流石に躊躇われた。 こうして結論が出ないまま、群れとおりんの交流はなし崩しに続いていった。 1ヵ月後、3日間に渡って降り続いた雨が止んだ夜、群れの一部のゆっくりが何の前触れもなくドスまりさと森の賢者の寝床を襲撃したことで事態は急変する。 『やめてね!こんなことしてもなんのいみもないよ!』 『むきゅ〜・・・このこたち、なにかへんよ!』 「「「「「・・・ユっくりしテいってネ・・・ユっくりしテいってネ・・・」」」」」 壊れた玩具のように同じ言葉を繰り返しながらドスまりさやぱちゅりーに噛み付くゆっくり達。 にごった、虚ろな目をした彼女の身体からは何故か死臭が漂っている。 その臭いをかいだドスまりさは当然のようにおりんを疑った。 しかし、ほんの数日前までおりんの下へ行ったゆっくり達からは死臭なんて漂ってこなかった。 それにこの3日間は雨が降っていたため、誰もおりんと接触していないはず。 『じゃあ、どうして・・・?』 『むきゅー・・・わからないわ』 「「「「「・・・ユっくりしテいってネ・・・ユっくりしテいってネ・・・」」」」」 出来るだけ慎重に身をよじってゆっくり達に余計な傷をつけないように彼女らを振り落とすドスまりさとぱちゅりー。 死臭が漂っている以上、あまり意味がないように思えるが、心情的な問題と、未知の事態への警戒感が彼女達をそうするように導いていた。 もっとも、その振る舞いが既に死んでいるゆっくり達が何度も何度も立ち上がっては襲い掛かってくると言う結果をもたらしたのだが。 「「「「「・・・ユっくりしテいってネ・・・ユっくりしテいってネ・・・」」」」」 「「「「「・・・ユっくりしテいってネ・・・ユっくりしテいってネ・・・」」」」」 『ゆゆっ!?ぱちゅりー、ふえて・・・ぱ、ぱちゅりー!?』 『む、むきゅ・・・』 「「「「「・・・ユっくりしテいってネ・・・ユっくりしテいってネ・・・」」」」」 「「「「「・・・ユっくりしテいってネ・・・ユっくりしテいってネ・・・」」」」」 振り払えど振り払えど、多少壊れても平然と立ち上がり襲いかかってくるゆっくり達。 徐々にその数は増えて行き、気がつけばぱちゅりーを覆い尽くすほどの数に達していた。 その面子はおりんの下に行ったことのあるゆっくりばかりだった。 まだ幾つか疑問は残っている。しかし、この事態の元凶がおりんであることは疑いようがなかった。 ドスまりさはおりんを倒して死体を止めるべく重い腰を上げるが、その時、見計らったかのようにおりんが姿を現した。 「じゃじゃーん!ゆっくりしていってね!」 「やあ、ドスまりさ。お邪魔するよ」 『ゆゆっ!よくものこのことやってきたね!?』 出会い頭の先制攻撃。ドスまりさは何の警告もなしに、群れのゆっくりの死体を巻き込むことも辞さずにドスパークを放った。 先ほどまでは3日間の空白と死後にでも漂うはずの死臭がなかったことなどへの疑問がおりん以外に犯ゆっくりがいる可能性を残していた。 しかし、彼女のほうから姿を現し、この光景を見ても平然としている以上、そんな可能性は限りなくゼロに等しい。 それに犯ゆっくりがおりんだと断定できたということは、ドスまりさやぱちゅりーを襲うゆっくりが死んでいることも断定できた。 それゆえに躊躇うことなく先制攻撃を仕掛けることが出来たのだが・・・ 「おりん、きゃっつうぉーく!」 「ゆっくりりかいしたよ、おにーさん!」 問答無用の必殺の一撃はいとも容易く回避されてしまった。 男は思いっきり横に跳躍し、おりんは不思議な力で飛び上がり、ドスまりさの頭の上に着地した。 直後、ドスまりさは起き上がろうとしている男めがけて突進を仕掛ける。 『ゆゆっ!?』 「「「「「「「・・・ユっくりしテいってネ・・・」」」」」」」 『・・・ユっくりしテいってネ・・・』 しかし、つがいの森の賢者ぱちゅりーによって阻まれてしまった。 『どうしてじゃまするの?』・・・いったん距離を取ったドスまりさはそう彼女を問い詰めようと口を開く。 が、ぱちゅりーの皮が破れ、目玉が飛び出し、中身が漏れ出している悲惨な姿を見た瞬間に何も言えなくなってしまった。 ぱちゅりーは既に死んでいて、今ドスまりさの頭上で笑みを浮かべているおりんの支配下に置かれてしまっていた。 『ぱ、ぱちゅ・・・りぃ・・・!?』 「おりん、かえんのしゃりんだ」 「ゆっくりりかいしたよ!みんな、どすをおさえつけていてね!」 ぱちゅりーと無数のゆっくりのの死体に動きを封じられたドスまりさは、おりんの炎を纏った体当たりを喰らい、致命傷を負った。 『おにーさん・・・さいごに、ひとつおしえてほしいことがあるよ・・・』 「なんだ?」 『みんなはいつ・・・ころされちゃったの?』 もはや虫の息で、ドスパークはおろか、身動き一つ取ることの出来ないドスまりさ。 消え行く意識の中で、唯一つ最後まで消えることのなかった疑問の答えを男に尋ねた。 「一番最初に接触した子ゆっくりどもは1ヶ月以上前だな」 『でも、なんのにおいもしなかったよ?』 「そりゃそうだ、防腐処理したからな」 そう言いながら、男はぱちゅりーの巨体を手際よく修復していく。 食いちぎられて破れた場所に適当なゆっくりの皮をあてがって小麦粉と針で縫い合わせる。 漏れ出した餡子は出来るだけ不純物を取り除いてから、良く分からない薬品と混ぜ合わせて体内に戻す。 それから、餡子を引っ張り出しては薬品と混ぜ合わせる作業を繰り返して、それが終わると皮や目玉を再び丁寧に修復した。 『にんげんさんは・・・しんだこもなおすんだね・・・』 「エンバーミングって言ってな、疫病予防とか宗教上の理由で死体を腐りにくくするんだよ」 『だからにおいがしなかったんだね・・・』 「そういう事だな。優れた技術と資金と環境を持つものだと定期的にこれを繰り返すことで何十年も死体を綺麗なまま保存できる」 謎が解けたドスまりさは目を瞑り、静かに息を引き取った。 勿論、彼女の死体も男の手によって修復され、おりんの支配下に置かれることになる。 半ば強引に意識をこの世界に繋ぎとめられ、しかし身体の自由が一切きかないという、今まで想像したことさえもない苦しみ。 その苦痛の中でドスまりさは群れの仲間にこんな苦しみを味あわせていることを悔やみ続けた。 こうしておりんはゆっくりの森の頂点に君臨する存在になった。 そんな地位を欲したのも、屍の兵隊を量産したのも全ては愛するまりさのため。 かつて中堅のゆラディエーターとして闘技場で戦い続けていたあの頃、自分に希望をくれたまりさのため。 流石に死体の持ち込みは出来ない闘技場ではおりんはどんなに頑張ってもCクラス止まりだった。 当時、Cクラスにはきめぇ丸という桁外れの実力者が居座っていたために閉塞感が漂っていた。 今までの努力を圧倒的な力で否定し、弱いゆっくり達を勝負の美名の下になぶり殺しにする黒い翼の悪魔。 その怪物を倒してのけたのが一匹の、後にゲスであることが判明するまりさだった。 その勇姿を見たおりんはまりさに一目惚れしてしまった。 いや、最初はただの憧れだったのかもしれない。 しかし、そのまりさがAランクの戦いでゆっくりさとりに嫁にするという前代未聞の方法で勝ってしまった時に憧れは恋慕に変わった。 心を読む能力のせいでゆっくりから忌み嫌われるゆっくりさとり。 あろうことか、まりさはそのさとりを自分のパートナーにしてしまったのだ。 そして、おりんは確かな観察眼でまりさが何故さとりを気に入ったのかを見抜いていた。 強いから・・・ただそれだけのことだろう、と。 また、その事実はまりさが多様な強さを認めていることを如実に現していた。 普通のゆっくりなら「こころをよむなんてずるくてゆっくりできないよ!」と言うところだろう。 だが、あのまりさはその能力も含めてさとりの強さとして評価していた。 なら、おりんがさとりより強いことを証明できれば、さとりとまりさを倒すことが出来ればおりんとゆっくりしてくれるんじゃないだろうか? そう思った彼女は飼い主のゆっくりエンバーミングの専門家でもあった男性と一緒に街を飛び出し、自分達なりの強さを求める旅に出た。 この森での出来事はその成果の表れだと言えるだろう。 「ねえ、おにーさん!まりさはおりんのことすきになってくれるかな?」 「当たり前だろ?噂を聞きつけてやってくるからその時にまりさに勝てばきっと・・・な?」 男の頼もしい言葉を聞いたおりんは顔をほころばせ、嬉しそうに飛び跳ねる。 そんなおりんの姿を見た男もまた嬉しそうにしている。 そのゆっくりした様子は1人と1匹の周りで繰る広げられる阿鼻叫喚とはあまりに不釣合いだった。 「も゛うやだ!ずっぎぢぢだぐないよ゛!」 「くひっ・・・うふふ、うふ・・・」 「おお、じごくじごく・・・」 「「「ユっくりシてイってネ・・・」」」 「おね゛がいだよ゛!でいうのあがぢゃんをゆっぐぢざせであげでね゛!?」 「えびりゃのあがぢゃんーーーー!?」 「う゛ぅぅぅううぅ・・・ゆっぐぢぢね!」 「ぢぬ゛ぅ・・・ごでいじょうずっぎぢぢだらぢんぢゃううううう!?」 「「「ユっくりシてイってネ・・・」」」 幸せそうなおりんと男の周囲には我が子や、あるいはその死体を盾に取られて好きでもない相手とのすっきりを強制されるゆっくり達の姿があった。 生まれた瞬間に地獄絵図を目の当たりにして恐慌状態に陥る赤ゆっくりの姿があった。 あまりの惨状と恐怖に耐え切れず壊れてしまったゆっくりの、ゆっくりだった何かの姿があった。 腐り、餡子を露出させた酷い姿になってもなお動き続けることを強制される我が子の悲惨な運命に涙する親ゆっくりの姿があった。 ドスの死体を実用可能な状態に保つためだけに子どもを産まされる親ゆっくりの絶望があった 外に目を向ければ死体に監視されながら食料を集めるゆっくりや、いつか死体に加工されるときのためだけに修行に励む子ども達の姿があった。 死体は食料の補給など必要ない。それゆえ一匹辺りの分け前は以前とは比較にならないほど多くなった。 そして、以前よりもずっと早く子ども達が成体サイズに達するようになった。しかし、生きる喜びがなくなった。 ゆっくり達の悲鳴と嗚咽が止むことなく響き渡る森の中、そこにはゆっくり達の地獄があった。 その地獄は群れの外のゆっくりや、事態の解決に乗り出した血気盛んなゆラディエーターまでも巻き込んで今もゆっくりと広がっている。 1人と1匹のたゆまぬ努力と数多のゆっくりの苦しみが実を結んで、いつの頃からかこの森は「屍ゆっくりの森」と呼ばれるようになっていた。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ くそっ・・・レポートが終らん!? それはさて置き、レーニンの死体は今も綺麗な状態で展示されているそうです。 エンバーミングまじぱねぇ! byゆっくりボールマン