約 40,749 件
https://w.atwiki.jp/i-shura/pages/250.html
―――その名は以前のエイプリルフールイベント『虚実侵界線』の10連ガチャにて排出されていた修羅の中に見ることができたものの、永らく詳細不明の存在であったが…。 + 『異修羅 Blu-ray BOX特典書下ろし小説・翼の国』登場キャラクターにつき格納 「今日のお肉、おいしくなーい。これどこ産?」 登場話 異修羅 Blu-ray BOX特典書下ろし小説 翼の国 略歴 読み:はやみのアフゼグ 種族:鳥竜(ワイバーン) クラス:地主(ランドロード) 魔王の時代に最大規模の群れの統率個体として君臨した、鳥竜(ワイバーン)の メスガキ 魔王自称者。 人物 生意気で挑発的。他者を見下すような言動と、甘ったるい少女じみた口調。 これは、完全に、メスガキ、なのでは? 外見 幼体と見紛うほどに酷く小柄な、薄緑色の鳥竜(ワイバーン)。 通常、このような発育の悪い個体が群れの統率者として選ばれることはないはずだが…? 能力 土地を焦点としたその構造を司る工術及び化学的性質を操作する生術に関して、突出した才能を持つ。 不毛の砂漠や岩山を肥沃な田畑へと変え、沿岸部を操作して豊かな漁場を形成することが可能。 この能力により各地で生産した高品質な農水産物を他種族と『交易』することにより戦闘行為を経ずに 他種族、主に人間(しょくりょう) を獲得。結果として当時最大規模の群れを支配し、維持することに成功した。 その群れは今後も飢えることなく、他種族の強者さえをも取り込んで拡大を続けていくはずであったが……? 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1412.html
寒い寒い森の中。 冷たい地面の土からいきなり前触れも無く、 "ボコッ!!" と、黒く尖ったピラミットが地面から突き出した。 その奇妙な物が生えている周囲の土が、 "ゴゴゴゴゴゴッ!!" と、低い唸りを上げながら亀裂が走っていく。 「にょきりぃいいいいいいいいいいーっ!!」 地面から飛び出してきたのは巨大なドスまりさ。 体に土の破片を付けながら、穴の中からずーりずーりと這い出してくる。 「ゆっくりはえたよ!! どすはとってもげんきだよ!!」 プルプルと大きな体を振るわせながら土を周囲に撒くドスまりさ。 「…どすだ……」 「……どすだね」 「ゆ?」 ドスまりさは声のした方へと顔を向ける。 そこには、れいむとまりさのツガイが目を丸くして固まっていた。 まりさの方は今日の狩りで獲た食料を口からボロボロと地面に零しながら驚いている。 「どすだあああああああああっ゛!?」 「どすだよおおおおおおおおっ゛!?」 大声を叫びながら何処かに飛んでいくれいむ夫婦。 それを無言で見送るドスまりさ。 ツガイの姿はあっという間に茂みへと消えた。 「……? あっ!? たべものさんだ! ちょうどおなかすいてたんだよ~っ!!」 まりさが置いていった食料を遠慮なく食べるドスまりさ。 一口でペロリと平らげた後、ドスはツガイが消えていった方向へと移動を開始した。 木の枝に体を引っかけないように慎重に進んでいくドスまりさ。 少し進んだ後、木々の間が開けた小さな広場に辿り付く。 『『 どす!! ゆっくりしていってね!! 』』 「ゆ?」 そこに居たのは大勢のゆっくり達。 森で暮らす野生のゆっくり達だ。 「でもすこしおやすみしすぎだったよ!!」 「そうだよ!! もうすぐふゆさんがきちゃうところだったよ!!」 「ずっとゆっくりどすをまっていたんだよ!!」 ドスまりさの周辺に群れのゆっくりが集まっていく。 大きなドスの体に全身をすり寄せてくる小さなゆっくり達。 その誰もが歓迎の言葉を口にしていた。 「ゆ~ん!! どすはむれのおさにゆっくりなるよ!!」 『『 ゆっくりしていってね!! 』』 瞳に涙を溜めながら長宣言をしたドスまりさ。 周囲のゆっくり達も笑顔で答えた。 「さっそくおいわいのじゅんびをしてね!! どすはおいしいものがいっぱいたべたいよ!!」 ドスはお腹が空いていた。 先程食べた少量の食料では満たされる訳が無い。 「どす!! こっちにゆっくりきてね!!」 「ゆん? どすのおいわい……は……?」 群れは慌しく森の奥に消えていく。 一人取り残されたドスは後を追いかけるしかなかった。 群れとドスは大きな岩盤付近で停止した。 「ここにゆっくりあなをあけてねっ!!」 「どすならかんたんでしょ?」 大きな岩壁を指し示しながら、ドスにお願いをするゆっくり達。 『どうして?』と、ドスが聞いてみた所、理由が明らかになる。 今まで住んでいる木の根元や土壁の穴は崩れる危険性があるらしい。 冬の寒さと雪の重さに耐えれる住処、それは岩盤に掘られた洞穴が一番ゆっくりとの事だ。 『群れが住める広さの穴を掘って欲しい!』 との申し出を受けたドスまりさは、張り切りながらスパークを打つ準備に入った。 ここが今から皆で住む場所になるならば多少の労力は仕方が無い。 それに、 おさの力を群れに見せ付けるいい機会だ。 ドスは賢くて一番偉いと認識させる必要性がある。 と、ドスはしたたかに考えていた。 「ゆううううううううううううううううっ!!」 "ビガガガッ" と、口からスパークを放出するドスまりさ。 岩肌が削れて大きな穴が開いていく。 「……ゆっくりあいたよっ!!」 にこやかに宣言したドスまりさの足元を群れのゆっくり達が通っていく。 それぞれが自分の決めたゆっくりプレイスの場所に陣取ると、 頬いっぱいに詰め込んだ荷物を地面へと吐き出す。 「ゆ~ん! ここはゆっくりできるよっ!!」 「みゃみゃ!! ぺーりょぺーりょちてにねっ!!」 「ゆゆ~ん! いいこでかわいいあかちゃんだよ~!!」 「ゆふゅ~ん!! くちゅぎゅったいよっ!!」 「……」 全てのゆっくり達は、作業をしたドスに感謝言葉を掛ける事も無く、思い思いのままに寛いでいる。 ドスは目を点にしながらゆっくり達でいっぱいに詰まった洞穴の内部を凝視していた。 そこにドスまりさの体が入るスペースは無い。 「ゆ……ゆっくりべつのばしょをほるよ! おさはもっとおおきいぷれいすじゃなきゃだめだよね!!」 ここは群れが暮らすプレイスだと無理矢理自分を納得させるドス。 乾いた笑顔を浮かべながら移動をしようとしたドスまりさ。 「ゆえ~ん!! しゃむいよ~っ!?」 「ゆゆゆゆっ!? おちびちゃんすこしまっててねっ!! ……どす!! おねがいがあるよ!! あそこのきをたおしてね!!」 「………ゆえ?」 立ち去ろうとしたドスまりさにお願いをしてくるゆっくり。 枯葉を毛布にするらしい。 地面に降り積もるのを待っていられないようだ。 「どす!! はやくしてねっ!!」 「そうだよ!! おちびちゃんがかわいそうなんだよ!!」 「ゆっくりおねがいをきいてねっ!!」 周囲のゆっくり達も騒ぎ出す。 赤ゆは泣き出してより一層煩くなっていった。 「わかったよ!! いうとうりにするよっ!!」 ドスは体を縦に振って了承の合図を取るしかなかった。 ドスの目の前にあるのはそれなりに大きい木。 「どすはえらいんだよ!! ゆっくりかんしゃしてねっ!!」 そう叫びながら木に向かって突進した。 体当たりの旅に度に大きく揺れて枯葉が舞い落ちてくる。 ドスのお肌が赤く染まっていく。 痛みが体を駆け巡る。 それでも群れの為に体当たりを続けた。 「……ゆふ~。ゆっふ~ん……どう!?」 踏ん反り返って威張るドスまりさ。 それなりの集荷が得られたと自賛して態度が増徴していた。 「これだけじゃたりないよ!!」 「もっとまじめにおしごとしてねっ!!」 「どすはこんなこともできないのっ!?」 有頂天なドスに向けられたのは慈悲無き言葉。 実際、枯葉の量は足りないが、労いの言葉を掛けてくれないドスは相当へこんだ。 その後も瞳に涙を滲ませながら枯葉を落とし続けた。 「……ゆひぃいいいっ……ゆああああああっ゛……」 体の前面を真っ赤に腫らしたドスが地面に横たわる。 群れが満足がいく枯葉の量を集めるまでには相当な労力を必要とした。 ドスの視界の先では枯葉のベットに包まれた赤ゆが幸せそうに眠っている。 「ゆうううっ……どすはおなかへったよ……」 体当たりを繰り返した際、落ちた木の実を口にしようとしたら怒られたのだ。 保存食を食べるドスはゆっくり出来ないと。 だから何も口にせず、一心不乱にドスは群れの為に頑張った。 「むーちゃむーちゃ! ちあわちぇ~っ!!」 なのに、ドスの目の前では別の赤ゆが幸せそうにご飯を食べていた。 ドスはやりきれない気持ちで一杯だった。 硬くて冷たい地面の上でドスは静かに泣いていた。 「ゆっくりたべてねっ!!」 「…ゆ……ひっくっ?」 ドスが泣きしゃっくりを響かせながら視界を上げると、 そこには群れのゆっくり達がドスを囲むように集まっていた。 そっと差し出されたのはお団子のような塊。 ドスは笑顔を滲ませながら喜びを露にした。 これでドスは長に認められたんだね!? そう思いながらドスはお団子を口にした。 「むーしゃむーしゃ!! しあわせ~んっ!!」 あまり美味しくないお団子だ。 でも、ドスにとっては何よりのご馳走だったに違いない。 これは認められた証なのだから。 「ゆっくりどすもおうちにはいるよ!! ……はいるよ? ゆゆゆ? なんだか……」 ドスは体をフラフラとさせた後、 「ゆうううっ゛!?」 大きな音を立てて、うつ伏せに倒れた。 もぞもぞと体を動かすドスだったが、 (あんよさんが動かないよっ!?) 全く動かない足、いや、全身が思いどうりに動いてくれない。 「ゆっくりしようね!!」 「ゆっゆお~!!」 (何? 何なの!?) 聞こえてくるのは群れの声。 今から何かをしようとしている合図と雄叫び。 ドスまりさはゆっくり出来ない寒気を感じていた。 その悪い考えは的中してしまう。 周囲に集まったゆっくり達がドスの体を齧り始めたのだ。 「ああああああっ゛!? いだいいいいいいいいいっ゛!!」 容赦なく体に歯を立てられたドスまりさは悲鳴を上げる。 地面に触れたお口の中に泥が入り込み、土の味が口内全体に広がった。 「やべでええええええっ!! どずはおざなんだよっ゛!? えらいんだよっ゛!! とっでもゆっぐぢじでるのにいいいいいいっ゛!! どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおっ゛!?」 涙を地面に吸わせながらドスは叫ぶ。 それを聞いた群れのゆっくり達は、 『『 ゆ? なにをいっているの? 』』 「ゆぎいいいいいいいいいいいいっ゛!? どずのきらきらのかみのげざんがああああああああああっ゛!!」 ブチブチと髪の毛を引きちぎる。 ドスまりさの髪の毛はどんどん短くカットされていった。 『『 なにをいってるのかがわからないよ? 』』 「ゆあああああああああああっ゛!? どすのおおきなおぼうしざんがあああっ゛!? ゆっぐぢがえじでええええええっ゛!!」 大勢のゆっくり達がドスの大帽子を洞穴の中へと運んでいく。 『『 だってどすは…… 』』 「いだああああああああいっ゛!! もちもちほっぺさんをめぐらないでええええええええっ゛!?」 ベリベリと外皮を剥かれていく。 破かないように丁寧に、そして大胆に。 『『 かってにはえてくるんだよ? 』』 「おごああああああっ゛!? あんござんがああああああっ゛!! だいじなあんござんがああああああっ゛!?」 中身を貪り食われているドスには、ゆっくりの声が聞こえていなかった。 ドスはそれどころでは無い。 死ぬかどうかの瀬戸際に立たされていたのだから。 頬を大きく膨らましたゆっくり達が洞穴の巣に戻り、 黒いドスの餡子を吐き出した後、またドスの内部へと戻っていく。 そして、口いっぱいに餡子を頬張っていくゆっくり達。 「きらきらさんはほしくささんにまぜてたべるんだよ~」 「くろいものはおふとんさんにまぜようね!! ぽかぽかになるよ!!」 「はだいろさんはけがのちりょうにつかえるね!!」 「あんこさんはとってもゆっくりできるよ~」 そう呟きながら、忙しそうに洞穴を走り回るゆっくり達。 群れの全てがドスから剥ぎ取った物を加工するために世話しなく動いている。 これがこの群れの冬支度。 ドスは厳しい冬を乗り切るための重要なアイテム。 頑強な住みかを掘ったり、暖を取るための枯葉などをとる重機代わりにされ、 用が終わり次第、解体されて食料等に姿を変える消耗品。 『どすはかってにはえてくる』 その考えを持った群れはドスを長に迎えようとはしないのは当然。 このドスもバラバラに分解されて短いゆん生を終えた。 雪がちらつくお外の出口を塞ぐ群れのゆっくり達。 今から本格的な冬が訪れる。 これでお外の世界は当分見納めだ。 「ゆ~ん……おちょとであちょびたいよ……」 悲しそうな顔で呟く赤ゆ達。 遊び盛り、食べ盛りの状態でお外の世界から監禁生活になってしまうのは辛いだろう。 「これでゆっくりあそんでね!!」 「…ゆ? ゆーんっ!! こりぇはちゃきゃらもにゅにちゅるよっ!!」 "ゴロリ"と、地面に転がされた遊び道具はドスの大きな眼球だった。 それを奪い合うように眼球と一緒に転がっていく赤ゆ達。 ここには甘い食べ物も沢山蓄えがあり、ポカポカとした毛布も大量にある。 どのゆっくり達も幸せな表情を浮かべながらとてもゆっくりしていた。 「ゆ~ん。ふゆごもりさんはゆっくりできるよ~」 誰かが呟いた言葉に頷きながら枯葉の毛布に潜り込むゆっくり達。 " 来年の冬はドスが生えてこないのかもしれない。" そんな事態が起こるかもしれないとは誰一人考える事は無く、 暖かい毛布の中で眠りにつく群れのゆっくり。 今から快適な越冬生活が始まる。 ・どすが生えてくるお話 それを有効活用する群れの物語 ・明確な発生方法は無いので生やしてみました ゆっくりオーラ諸々の設定は曖昧です ・ぬえにも一本あげました 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 593 迷作劇場 ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心 ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ? ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2 ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5 ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値 ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語 ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償 ・他、4点
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3354.html
『まりさ伝説』 6KB ギャグ パロディ 群れ ドスまりさ 自然界 人間なし いつもの小ネタです まりさは、普通のゆっくりでした。 ですが他のゆっくりは、まりさを見ると逃げていってしまいます。 「ゆっぎゃぁぁぁぁ?!こっちにこないでぇぇぇぇ!れいむは、なんにもわるいことはしてないよぉぉ!!」 「ごめんなざいぃぃぃぃ!ありずがまちがってましだぁぁぁ!!ありずは、とかいはなんかじゃないでずぅぅぅ!ゆるじでぇぇぇ!!」 今日も森で出合った、れいむとありすが逃げていってしまいました。 まりさはただ呆然と固まるばかりです。 「ゆ?なんなの…ぜ?まりさは、なんにもしてないのぜ?」 まりさは、他のゆっくりと少し容姿が違っていました。 両目が釣り上がり、眉毛が非常に薄く、顔色がとても悪いのです。 目の下には、まるでクマでも出来ているかのように黒く、両目はやけに黒目が小さいのです。 「ゆっくりしていってね!」 まりさは笑顔で、仲間に呼びかけます。 「ゆっぎぃぃぃぃ!!こっちにくるんじゃないんだぜぇぇぇ!なんだかわからないけど、おまえはこわいんだぜぇぇぇぇ!!」 「にゃがぁぁぁぁ?!おもに、かおがこわいんだねぇぇぇぇぇ!!わからないよぉぉぉぉぉ!!」 「ちっちぃぃぃんぽぉぉぉぉ?!きょせい!ぱっぱいぷかぁぁぁぁっとぉぉぉぉ!!」 「むっきゅぅぅぅぅ?!ぱちぇにはわかるわぁぁぁ!!このまりさは、きめぇまるや、れみりゃよりこわいのよぉぉぉ!ぎゅむ!エレエレエレエレ…」 みんなまりさの顔をみただけで、震え上がってしーしーを漏らします。 他のゆっくりには、まりさはとってもゆっくり出来ない、恐いものに見えているのです。 そのせいで、まりさは今まで一人ぼっちでした。 ですがまりさは、とっても心優しいゆっくりなのでした。 まりさが新しく引っ越してきたので、群れに入れてもらおうと挨拶をしようとしただけなのに、どのゆっくりも話を聞いてくれません。 困ったまりさは、足の遅いれいむに声をかけました。 「れいむ、ゆっくりしていってね!まりさは、このむれのおさにようじがあるのぜ!あんないしてほしいのぜ!」 「ゆっくりしていって………ゆっぎゃぁぁぁぁ!れいむは、なにもわるいことはしてません!はらいますうぅぅ!はらいますからぁぁぁ!!」 所が、やっぱりこのれいむも、まりさの顔を見ただけで、うんうんを漏らして泣いてしまいました。 まりさは困ってしまい、れいむをなだめ様としました。 「ゆわぁぁ!ぐるなぁぁぁぁ!!このゆっくりごろじめぇぇぇぇ!れいむをたおしても、なんにもとくにはならないよ!やるなら、おさにしてねぇぇぇ!!お、おさなら、あっちだよぉぉぉ!」 れいむは両目をぐるぐると回しながら、歯をガチガチと鳴らして、もみ上げで一つの洞穴を指しました。 まりさは笑顔でれいむにお礼を言うと、れいむの指した洞穴を目指して跳ねていきました。 「ゆっびぃぃぃぃ!わらうなぁぁぁぁ!おもに、おもにえがおがこわいぃぃぃぃぃ!ゆぴっ!ぴぴぴぴぴーーーーー!!」 れいむは恐怖のあまり、白目を剥いて、気絶してしまいました。 そんな事とは知らないまりさは、洞穴の前で元気に挨拶をしました。 「ゆっくりこんにちは!まりさはまりさなのぜ!このむれに、いれてほしいのぜ!ゆっくりよろしくなのぜ!」 「ゆーん?ドスに何か用?群れに入りたい………ゆっぴぃぃぃぃ?!」 洞穴から出てきたのは、まりさよりも大きなドスまりさでした。 まりさは、ドスを見るとさわやかな笑顔を見せました。 所がドスには、なんだか物凄くゆっくり出来ない物に見えました。 (な、なんなの、このまりさは?!なんだか、とってもゆっくり出来ないお顔に見えるよ!いったいドスに何の用なの?ま、まさか、ドスの群れを乗っ取りに来たの?!) ドスは物凄く怯えていました。 ドスはれみりゃから、群れを守った事もあります。 野犬さんも、ぷくーで追い払った事もありました。 ですがこのまりさは、それよりも遥かに恐ろしいものに見えたのです。 体が勝手にガタガタと震えて、変な汗が額を伝うのがわかりました。 「ゆ…ゆっひぃぃぃ!お前は、いったい何なんだぁぁ!!ドスの群れは、ドスの物だよぉぉぉ!お前なんかに、渡さないよぉぉぉ!!」 「ゆゆ?なにをいってるのぜ?まりさは、このむれに、いれてほしいだけなのぜ!よろしくなのぜ!」 「ゆっぴぃぃぃぃ!やっぱり、群れを乗っ取るきかぁぁぁ?!ドスを睨むなぁぁぁ!恐くなんか、恐くなんか、ないんだよぉぉぉぉ!!」 まりさは、怯えるドスを不思議そうに眺めると、爽やかに、凛々しい顔をしました。 ですがドスには、すさまじい形相で睨んでいる様に見えたのです。 ドスは、恐くて恐くて仕方ありませんでしたが、群れの長として逃げ出す訳にもいかず、必死で耐えていました。 (ゆぅ?このどすは、なんだかかおいろがわるいのぜ。どこかびょうきなのかもしれないのぜ!これはたいへんなのぜ!まりさがなんとかしてあげるのぜ!) 「ゆけっ!ゆっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!(どす、だいじょうぶなのぜ?!しっかりするのぜ!!)」 「ゆっひぃぃぃぃぃ?!くるなぁぁぁぁ!!こないでぇぇぇぇ!ドスは、まだ死にたくないんだよぉぉぉぉ!!」 まりさは、ドスの具合が悪いと勘違いして、大あわてでドスに向かって跳ねていきました。 このまりさは慌てると、自分でも何を叫んでいるのか解らなくなりました。 ですがその姿は、誰から見ても奇声を上げて襲い掛かってくるようにしか見えません。 ドスは恐怖に耐え切れず、大慌てで逃げていきました。 「ぐるなぁぁぁ?!こないでぇぇぇぇ!!どすすぱーくうつよぉぉぉ!ほんきだよぉぉぉ! 『ドカッ!』 ゆひっ?!ゆっぎゃぁぁぁぁぁ!!」 「ゆけぇぇぇぇぇ!!ゆけっしゃぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃ!!(どす、そっちはあぶないよ!どすぅぅぅぅぅぅ?!)」 何と言う事でしょう。 ドスまりさは逃げる事に夢中で、足元の石に気がつかず、つまづいた拍子に坂から転げ落ちていきました。 「ゆげっ!ごがっ!ひぎぃ!ぶべっ!いがっ!ゆがっ!ゆごぉぉぉぉぉ!!」 木や岩にぶつかりながら、ドスまりさは一気に坂を転がり落ちていきました。 そしてやっと止まった頃には、ドスの体はボロボロになっていました。 「ゆひっ…ゆひっ…ごめんな…ざ……むれは…あげま…ず…ゆるじ…で…ゆご…ご…ぎぎ…」 それからしばらく経ちました。 まりさは、坂の下で死に掛かっていたドスまりさを助けました。 群れ一番のお医者さんの、えーりんに頼んで治療をしてもらったのです。 その際にも、何故かえーりんは、まりさに命乞いをしていました。 「ゆ!ドス、おはよう!ゆっくりしていってね!」 「ゆっひぃぃぃ!まりさ様、おはようございます!ゆっくりしていってください!!」 元気になったドスまりさは、まりさに群れを譲りました。 まりさは必死に断ったのですが、ドスが泣いて頼むので、仕方なく長をやる事になりました。 「ゆっひぃぃ!おさぁぁぁ?!れいむは、ゆっくりしています!わるいことはしていません!だから、ゆっくしていってくだざいぃぃぃ!!」 「ゆぎゃぁぁぁ!おざぁぁ?!こんなところに、なんのごようでしょうかぁぁぁ?!ありすは、むれのおきてをやぶったりしてないですぅぅぅ!!」 「ゆひぃぃぃ!おさぁぁぁ?!ちぇんは、にんげんさんのはたけには、いったりしてないんだよぉぉぉぉ!わかってねぇぇぇぇ!!」 まりさが群れの様子を見回ると、何時も緊張したように硬くなる群れのゆっくり達。 まりさはそれを、長が来たから硬くなっていると思っていました。 そして不思議な事に、特に罰も決めていないのに、まりさの決めた群れの掟は、誰も破る事はありませんでした。 完 徒然あき
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1839.html
長の役割 41KB 虐待-普通 自業自得 実験・改造 群れ 赤子・子供 現代 独自設定 お話長めです 緑溢れる山を飛び回るゆっくり達。 狩りに向かう大黒柱のお目当ては、近くに生えた美味しい木の実。 豊富な栄養を蓄えた木の実をツガイと赤ゆに与えてゆっくりとした日々を生きる。 その群れの長は、紫髪のぱちゅりー。 月のお飾りが帽子に煌く、頭脳明晰なゆっくりだ。 「れいむのあかちゃんっかわいいでしょっ!?」 「まりさのあかちゃんも、かわいいんだぜっ!」 「ありすのとかいはなあかちゃん、とってもすてきだわっ!」 「……むきゅ~っ」 長が住む巣穴の近辺では出産ラッシュを迎えていた。 何処を見ても、赤ゆ自慢の家族で溢れかえっている。 とても幸せそうな表情を浮かべた群れのゆっくり達。 この出産ラッシュの原因は美味しい木の実が関連していると思われる。 豊富な栄養を定期的に摂取できる環境になると、安心して繁殖行動をとる固体は多い。 「…こまったわ。どうしたらいいのかしら?」 賑やかな喧騒の中で、ぱちゅりーは頭を伏せて小さく唸る。 今、この群れに起きている重大な危機の訪れを嘆いていた。 「むーしゃむーしゃ! しあわせ~っ!」 「れいむっ! それは、まりさのだよっ!? かってにとらないでねっ!」 「れいむは、にんっしんっ! しているんだよっ!? たべないとしんじゃうでしよぉおぉおっ゛!? まりさはばかなのっ? しぬのっ!?」 「まりさだって、おなかぐーぐーなんだぜっ!? あかちゃんが、たべたいってささやいているんだぜっ!!」 頭に生えた茎を左右に揺らしながら喧嘩を始めたれいむとまりさ。 小さな木の実を奪い合っているようだ。 どちらも必死の形相で互いに一歩も譲らない。 小規模な争いが、群れの各地で勃発していた。 先発で誕生した食欲旺盛な赤ゆ達が木の実を欲望のままに食らい尽くした結果、 必然的に山の食料は枯渇していき、親の口に入る栄養は日に日に少なくなっていったのだ。 お腹を空かせたゆっくり達は森に溢れ、いーらいーらを溜めて争いを繰り広げる群れの一部。 それを解決させる手段となる食べ物を狩るのは現状では難しい。 ぱちゅりーが納める群れは、壊滅を仄めかす食糧不足の初期段階に立たされていた。 この森に住む群れの一派、元は全てが街野良だった。 長であるぱちゅりーも例外では無い。 つい最近の出来事、ぱちゅりーは飼い主の家で粗相をして捨てられた。 ダンボールに入れられて、寒い風が吹き付ける路地裏に投棄された。 飼いゆ用に育てられたぱちゅは、多少丈夫な体の構造をしている。 そして、生きてゆっくりしたい!と、言う未練を断ち切れず、街を徘徊して糧を得る日々。 這いずり回って生きて行く事に疲れきったぱちゅりーは、ある噂を耳にする。 『ゆっくりぷれいすにいこうっ!』 その言葉を発するゆっくり達に着いていけば幸せが訪れる。 疲れていたぱちゅりーは、藁にも縋る気持ちで声を上げるゆっくりを探し始める。 それは、意外と早く見つかった。 体を黒くしたゆっくりの集団。 大きさは成体から赤ゆまで満遍なく揃った街野良の集まり。 希望に胸を膨らませながら、大移動をしているゆっくり達。 集団が辿り着いた場所は、都会から少し離れた山の奥。 美味しい木の実が成り茂る理想卿。 ここには、自分達を脅かす人間も存在しない。 「「「 ここをゆっくりぷれいすにするよっ! 」」」 大勢の発した声が、上空の広い空に吸い込まれていく。 ビルなどは無い。視界に飛び込むのは穏やかな緑。 排ガスの臭いなどはしない。感じるのは地面から香る土の匂いだけ。 それぞれ、意気揚揚と森に散らばった。 久しぶりにお腹いっぱいに食べたゆっくり達は、大きな群れを形成していく。 長を決める際、紫色の髪を地面に広げたぱちゅりーに白羽の矢が立つ。 決め手は、木の実を数えるときに、三以上数える頭の良さを見せ付けた事だろう。 群れの中に、ぱちゅりー種は一体しか居ないのも、高評価だったのかもしれない。 任命されたぱちゅは、少し照れながら長の役職に付いた。 それが、つい数週間前の出来事。 無尽蔵にあるかと思われた美味しい木の実は、数えられる位にしか残されていない。 子を優先して木の実を与えていた親達は、日が経つごとに痩せ細っていた。 「ゆっくりたべてねっ? たべないとしんじゃうよっ!」 早い時期に食べる物が無くなったと認識した親達の一部は、 巣穴近辺に生えていた雑草を刈り取って赤ゆ達に与える。 むちゃむちゃと噛んで柔らかくする事もなく、雑草を無造作に床に広げた。 唾液を混ぜて甘く感じさせる努力も行わないお粗末な昼ご飯。 雑草は何時も与えて貰っている黒い木の実とは外観は違っていたのだが、 世の中にある物は、全て甘い物だと誤認していた赤ゆ達は、一切迷い無く頬張ってしまった。 雑草を口に含んだ赤ゆは、強い苦味と噛み切れない繊維の硬さを鮮明に感じ取る。 「「「…ぐぎゅっ、にぎゃいよぉおっ゛!? ゆげぇえっ゛!」」」 「うわぁああっ!? しっかりしてぇえぇええっ゛おちびちゃあぁああんっ゛!」 げろりと吐き出した赤ゆ。 その吐射総量は、明らかに摂取した雑草の大きさを簡単に上回る。 不味さにビックリして体の内部に入れてしまったのだろう。 体を形成する餡子が、ゆっくり出来ない成分に犯されて外部に排出を要求している。 それは全く留まることを知らず、赤ゆの小さな体から餡子を搾り出していく。 「「「…ゆっ…もっぢょ…ゆっぐぢ……ゆげぇえぇっ゛」」」 「おちびちゃぁああぁあああああああああんっ゛!?」 また、赤ゆが数体天に召された。 完全なる親の過失。 しかし、親は解らない。 与えてはいけない毒物を理解していないのだ。 今までの街野良環境とは全く違った森の中。 過酷な野良生活を辿ってきた親ならば、苦い草も我慢すれば多少は食べられ事を知っている。 しかし、黒い木の実しか食べていない新生児のゆっくりは苦味に耐えられない。 直ぐに弱って死んでしまう。 しかし、甘い食べ物を探そうにも、美味しそうな果物は頭の遥か上方に実っている。 これまで容易に狩れる黒い木の実を主食にして来た元野良ゆっくり達の群れ。 野良で会得した狩りはゴミ漁りが中心だったので、果物を落とす方法は思いつかない群れの面々。 群れのゆっくり達の狩れる物、食べれる物は、黒い木の実だけ。 今まで完全に偏った食生活を送って来たのだ。 「…むきゅ~っ」 遠くで聞こえた親の悲鳴を聞きながら、長のぱちゅりーは考えている。 「ぱっくーんっ! しっ…しあわせ――っ!?」 「ゆああぁあああっ゛!? まじざとあかちゃんのぉあまあまさんがぁああぁあっ゛!」 緑色の茎を頭に実らせたゆっくり達は争いを終えた。 勝者となったれいむは、お口に木の実を含んで飲み込んだ。 れいむは黒い木の実を食べて元気いっぱい。 それを見たまりさは大号泣。 ありすは虚ろな目をしながら奥で倒れていた。 ピクリともしない危険な状況。 これらは、第三世代の認可を受けたゆっくり達だ。 先程の苦い草で昇天した赤ゆは第一世代に入る。 長の了承を取らなければ、親は新しい赤ゆを作ることは許されない。 群れの長であるぱちゅりーは、申請に認可を与える役割を担っていた。 しかし、ぱちゅは強く頼まれると嫌とは言えない性格をしている。 それに加えて森の現状など把握していなかった。 元街野良なのだ。 物は数える事は出来ても、森の無害食材などサッパリわからない。 理想郷としていた山が、牙を剥いて群れに襲い掛かってきた。 「ゆっくりそだってねっ! れいむのかわいいあかちゃん、げんきにそだってねっ」 「ゆわぁあぁあああんっ゛! おながずいだぁあぁああああっ゛!? れいむのばかああああっ゛!」 まりさは泣きながられいむに突進する。 小さく跳ね飛ばされたれいむは、負けじと応戦した。 巣の内部は醜い修羅場と化す。 これが、群れの現状だ。 一刻の猶予も残されていない。 「…むきゅっ、けつっだんっ! するときなのね…」 ぱちゅりーは決意を込めた眼差しで地面に開かれた手紙を見下ろす。 奥歯を噛み締めながら、苦々しい顔で全身を軽く縦に振った。 山に移り住んだ群れは人間達を受け入れない。 自分達を捨てた人間などは、神聖なるゆっくりぷれいすに踏み入れる事を許さない。 長のぱちゅりーは、この提案を即決で容認する。 群れを集め、特訓した攻撃方法は、華麗なるぷくーっ!。 空気をいっぱい吸い込み、丸々と膨らんだ体で威嚇を行う方法だ。 『これ以上何かすると、群れで痛い目をあわせるよっ!?』 ぷくーには、そう言う最終警告も含まれている。 今まで領域に進入した人間達は、" ぷくーっ! " と、威嚇すると情けなく逃げていった。 撃退した群れは愉快に笑いながら互いに健闘を称えあう。 自分達を苦しめてきた人間は、こんなに弱いものだったのかと語り出す。 捨てた飼い主に復讐をするべきだの意見も群れの中で飛び交った。 しかし、野良を捨てて野生を選んだ群れのゆっくりは、寛大な心を持って元飼い主を許す。 それに、この場所を移動している隙をついて、他の野良に取られてしまう可能性も危惧された。 主に後者の問題を考慮して群れは復讐を断念する。 せめて、復讐の代わりに得たこの理想郷は死守せねばならない。 群れのゆっくり達は、その思いを強めて進入者を全て排除してきた。 「ゆっくりかんしゃしてねっ!? おさが、じきじきにおはなしをしてあげるよっ!」 「こうえいにおもってねっ!? あまあまもくれてもいいよっ!」 「とかいはなありすについてきなさいっ! れつをみだしてはだめよっ!?」 「ほっほっほ。元気じゃのう」 れいむ達の後方に年老いたお爺さんが続く。 お爺さんの側には、黒服を着た青年と、家政婦の衣装を身に纏った女性が寄添っていた。 一団が進む山道には、ぷくっと膨れたゆっくり達の列が並び、歩いて来た人間達を威嚇している。 「むきゅっ! よくきたわね。わたしがおさのぱちゅりーよっ」 この群れの状況を打破するために、人間と交渉の場を設けたぱちゅりー。 頭に深く被っていた帽子の隙間から覗くお手紙。 手紙には、" おはなしをしませんか? " との文面が達筆で描かれていた。 本音は人間を森に入れたくは無かった。 だが、長は致し方ない事だと思っているのだろう。 群れのとの問題を照らし合わせての苦渋の決断。 全滅は、なんとしても避けたい事柄だったのだから。 会議をする場所に選ばれたのは、長が住む巣穴外の大きな野外広場。 広場上空に覆う緑色の葉で編まれた屋根は、とてもゆっくり出来ると評判だった。 長が中央の石に座る。 お爺さんは近くの大きな石に腰掛けた。 寡黙な青年は後方で待機。 これから群れの食糧供給を中心とした、重要な会議が行われる。 「むきゅっ! これは、とってもゆっくりできる、ていっあんっなのよっ!」 ぱちゅりーは、息を荒げながらお爺さんに迫る。 ある程度の譲著は行ったと言わんばかりの表情だ。 それを聞いていたお爺さんは笑顔を崩さない。 「ほっほっほ。面白い事を言うもんじゃのう」 お爺さんの側に寄添う青年の指先は、滑らかに動き続けていた。 ぱちゅりーの提案事項を手帳に記録しているようだ。 書き終えた手帳の中身を見たお爺さんは、細く開けた瞳を長に向けて再度確認を行う。 「まずは…、山の管理について。じゃったかの?」 「そうよっ! ぱちゅりーたちのゆうしゅうなむれが、やまをきれいにしてあげるわっ!」 「それの見返りとして、美味しい木の実を寄越せと?」 「むきゅっ! おなかをすかしては、うごけないわっ! とうぜんのけんりねっ!」 「更に、赤ゆ達の保護もして欲しいと?」 「とうぜんねっ! ゆうっしゅうっ! で、すてきなむれのあかちゃんたちなのよっ? ほごするのは、あたりまえのことだと、ゆっくりにんしきしてほしいわっ!」 黒服の青年は手帳を閉じてから、一歩後方へと下がる。 お爺さんは大きな石に腰掛けたまま、両目を瞑り考え込む。 長のぱちゅりーは、自信に満ち溢れた表情を崩さない。 提案を飲むのは当然の流れだと盲信していた。 「却下じゃな」 「むきゅっ!?」 目を開いたお爺さんは、開口一番で拒否を進言。 それを受けた長の両眼は驚きで見開かれる。 周辺に寄添う親衛隊も同様の表情を浮かべて固まった。 「どうしてっ!? こんなにゆっくりできる、ていっあんっさんでしょっ!」 「ほっほっほ。どう考えてもおかしいのは明白。受ける理由は無いのぉ」 強めの口調で畳み掛ける群れの長。 それを受け流すような、淡々とした人間の行動が気に入らないらしい。 長と親衛隊の面々は、お爺さんを囲むように陣形を展開していく。 「ようきゅうを、ゆっくりのみなさいっ! いたいめにあいたくはないでしょっ!?」 「脅しをするのかい? それは、ゆっくり出来ないのぉ」 ニヤリと笑ったお爺さん。 黒服の青年は、何時の間にかお爺さんの側に寄添っていた。 「ゆっくりできないにんげんさんは、むれの " いだいさ " を、りかいしてねっ!?」 ぱちゅりーを含む数体のゆっくりは、口を大きく開けて空気を吸い込んでいく。 大気を内部へと充填し、思いっきり膨れ上がった群れのゆっくり達。 「「「 ぷく――っ!! 」」」 最終警告を伴なう威嚇行動。 今、群れはゆん生で最高のぷくーを人間に炸裂させた。 「ほっほっほ。……それで?」 「ぷっ!?」 冷たい言葉を口にするお爺さん。 群れの長と親衛隊は、膨れたまま固まった。 「交渉決裂、じゃな」 お爺さんは、軽く手を上に移動させた。 それを確認した青年は、速やかに通信機器を取り出して連絡を取り始める。 電話向こうで会話していた女性の了承の声を最後に通信は途絶えた。 「「「 ――ゆんやぁああああっ゛!? 」」」 「「「 やめてぇえぇえええっ゛!? 」」」 その直後、山道で甲高い悲鳴が湧き上がる。 群れのゆっくり達は、膨れた姿のままあっさりと捕まって、麻袋の中に収納されていく。 「「「 ここは、せまくてゆっくりできないっ! 」」」 「「「 もう、おうちかえるぅうううぅっ゛!? 」」」 狭い袋の中で暴れるゆっくり達。 圧殺をなるべく防ぐ対処法として、大きさごとに分けて袋詰。 それを実行しているのは、黒服を着た数人の男達。 家政婦の衣装を着た女性が指揮をして迅速な作業を行っている。 「「「 ゆーゆーっ!? 」」」 赤ゆ達は透明な箱へと纏めて収納された後、丁重に運ばれていく。 その魔の手は、長であるぱちゅりーの巣穴まで伸びていた。 長を守るために駆け出した親衛隊達。 「「「 うわぁあああああっ゛!? 」」」 あっさりと御用。 麻袋の中にみっちりと詰まった親衛隊達は泣きながら退場。 他の群れゆっくり同様に乱暴な扱いを受けながら運ばれていく。 「むきゅっ!? ふしゅるるる~っ!」 空気を吐き出して威嚇行動を辞めようとしたその時、 体から完全に空気を抜ききる前に、口に湿布状の物体を貼られて排気を止められてしまう。 長の周辺には、濃厚なオレンジの香りが漂い始めた。 これは、オレンジエキスがたっぷり含まれている医療用シート。 瀕死のゆっくりでも、瞬時に息を吹き返す栄養分を蓄えている。 「むぎゅっ!? むぎゅぅうぅうっ゛!」 暴れる長を持ち上げた黒服の青年。 音も無く忍び寄って、黄色いシートを長のお口に張り付けたのは、この寡黙な青年だ。 目線にまで持ち上げられたぱちゅりーを見たお爺さんは、 満足そうに首を縦に振った後、年寄り臭いかけ声を放ちながら重い腰を上げる。 「ほっほっほ。さて、いきますかのぉ」 捕らえた群れの長と一緒に山道を下る。 シートを貼られて栄養過多になった元気漲る群れの長。 脱出しようと暴れるが、青年の掴む手は決して緩まない。 そのまま、大きな出来事も無く、奇妙な御一行は山道を進んでいった 山の麓に聳え立つ建物。 ここは、町外れにある敷地を贅沢に使った広大な研究施設。 素晴らしい総面積を誇る建造物は、遠くからでも良く目立つ。 (ぱちゅりーはおさなのよっ! あやまっても、ぜったいゆるさないわっ!) 長い廊下を進むぱちゅりー。 その口元には黄色いシートが貼られて、言葉を発することは出来ない。 ぱちゅは、むーむーと唸る声しか外部に漏れない、静音仕様に生まれ変わった。 あんよに食い込む青年の両手。 どれだけ暴れても逃れることは出来ない。 それでいて、食い込みすぎて肌を突き破ることは決して無い。 この技術は当然のスキルと言わんばかりに、冷静な顔を崩すことはしなかった。 (ゆっくりさせなさいっ! どうして、いうことがわからないのっ!?) 涙を流しながら訴えているぱちゅりー。 その声は届かない。 しかし、笑顔を浮かべたお爺さんは優しく語り掛ける。 「ゆっくりさせなさい。じゃろ? ほっほっほ。ゆっくりはそれしか言えないからのぉ」 ぱちゅりーは首を縦に振る。 冷静になったぱちゅりーは、アレだけ空いていたお腹が満たされているのを感じていた。 貼られたシートは鬱陶しいの一言に限る。 しかし、このシートから湧き出る元気成分が体に吸収されていくことは明白。 これを群れ全体に提供をしてくれるのならば、維持など楽勝と考えているぱちゅりー。 その後、腹を見せるように仰け反った。 泣き顔から一転して良い笑顔を見せる群れの長。 浮かべた笑顔は、打算的な希望の現れだったのだ。 「ほっほっほ。ここを見てみなさい」 お爺さんはガラスの扉を指し示す。 ぱちゅりーに拒否権などは無い。 強制的に運ばれて内部を見ることになるだろう。 しかし、未来の希望に満ち溢れたぱちゅりーは、疑いの欠片も見せずにガラスの向こう側を眺めてしまう。 向こう側には、見知った群れの仲間達。 その全てが泣き顔以外の顔を浮かべていない混沌たる世界。 地面に敷き詰められた土を齧って掘り下げる群れの面々。 必死な形相をしながら上目使いで見つめる先には、透明ケースに入れられた我が子の姿。 「「「 いま、ゆっくりたすけてあげるからねっ!? 」」」 群れのゆっくり達は、叫びながら深い穴を掘っていく。 その一部始終を見ていた長のぱちゅりー。 思い描いていた未来と現実の差が大きすぎる為にフリーズ中。 両目を極限まで開き、食い入るように見入っていた。 「これが、お前のお仲間さんじゃ」 ぱちゅりーは、その声に釣られるように視線をお爺さんへと移す。 お爺さんの表情は微笑から変わらない。 (どういうごどなのおおぉおおぉっ゛!?) 状況を理解した長は、くぐもった声を漏らしながら暴れ始めた。 目の前の人間を少しでも信じた自分を悔いているに違いない。 群れと同じ熱い涙を頬に流しながら、仲間の開放を訴えるぱちゅりー。 「素晴らしいじゃろ? ゆっくりの有効活用じゃ。コスト削減とも言えるかのぉ」 お爺さんは黒い木の実を取り出す。 それを群れの長に見せ付けた後、ガラス向こうのゆっくり達を指差す。 「あいつらが材料じゃ」 事も無げに言うお爺さん。 群れの長は信じない。 そんな共食い行為など、簡単に認められる訳は無いのだ。 元は飼いゆだった経歴を持つゆっくり程、その思考は根強く残っている。 教育過程での必須科目にされているためだ。 共食いと合わせて他のゆっくりを噛む行為はいけない事だと教え込まれてきた。 この教育が災いして、先発野良に遅れをとる固体も多い。 今、生き残っている野良達は、ある種の強運を持った固体と言えなくも無い。 「信用していない顔をしているのぉ? まあ良い、まあ良い」 小さな木の実を懐にしまうお爺さん。 ガラス向こうで繰り広げられている、地獄の鑑賞会はまだまだ続く。 群れの長はここから逃げられそうも無い。 広い室内で一心不乱に掘り進むゆっくり達。 土は柔らかいのだが、石交じりで歯にはとっても優しくない。 「いだいぃいぃいっ゛!? まじざのおくばさんが、ばっきんしちゃったぁあああっ゛!」 「れいむのまえばさんっ、どこいったのっ゛! ゆっくりかくれないで、おかおをだしてねっ!?」 ボロボロと口から歯の欠片を零すまりさ。 その横では、前歯を欠いた間抜けな表情をしているれいむが、顔を地面に擦りつけながら探索中。 前歯の発見はとても困難だろう。 今から、掘った穴を直ぐに埋めなければいけないのだから。 「おらぁあああっ゛! 掘ったら、さっさと埋めろぉおおっ゛!?」 野太い声をした監守はゆっくり達に激を飛ばす。 手に持った鞭を地面で打ち鳴らし、群れの内部に一瞬で緊張感を植え付ける。 それでも躊躇するゆっくり達に対しての脅しは簡単だ。 「おらおらぁあぁぁっ゛! 赤ゆ達が死んじまうぞっ? それでも、ゆっくり出来るのかぁあっ!?」 「「「 ゆっくりできないいいいいっ゛!? 」」」 涙を流しながら掘った穴を即座に埋める群れのゆっくり達。 全ては赤ゆを助けるための行動だ。 かわいそうに泣き喚く赤ゆ達の声は、母性本能をダイレクトに刺激していた。 ここに収納されてから掘ったり埋めたりを繰り返してきた群れの集団。 赤ゆを取り戻すために、一生懸命土木作業を頑張るゆっくり達。 メインで使うのは頑丈な前歯。 しかし、焦りながら掘り進めていく過程で、大きな石を口中の奥に取り入れてしまうミスを連発。 勢い余って噛み締めた際に、真っ白奥歯を誤って砕くゆっくり達が続出したのだ。 「「「 ゆぐぁあぁあっ゛!? いだいぃいぃいっ゛! 」」」 歯の砕けた箇所目掛けて、大きな土砂が飛び込む。 これは、歯が完全に抜けた方がマシとも思える、耐えがたい苦痛をゆっくり達に与えた。 舌を奥歯に乗せて土砂を取ろうとするのだが、食い込んだ石は動く気配を見せない。 逆に押し込む形になって、自爆による激痛をその身で受ける羽目になった。 「痛いなら俺が抜いてやるよっ!」 痛みで身をよじるまりさに近づく監守。 その手には巨大なペンチが握られていた。 「だだだだっ! だいじょうぶだよっ!? まりさは、へいきだよっ!」 「遠慮するなよっ? 俺は名医なんだぜっ! 心配には及ばねぇっ!」 ガッシリと頭をホールドアップ。 まりさは逃げ出すことが出来ない。 「なおったよっ! まりさのおくばさんは、へいわになったとつうたつをうけたんだよっ!?」 「意味わかんねよっ!? どれどれ…? ヒャッハーッ!? 大穴奥歯たまんねぇーっ!」 鼻息を荒くした監守の顔がまりさに接近する。 まりさは、生温い風を受けて気持ち悪くなる感情を打ち払うかのように、 目線の下から見える大きなペンチ。それが口中へと侵入した時、全身の感覚は恐怖のみに支配されていくのを自覚した。 「我慢できねぇっ!? ヒャッハーッ!」 「おげべぶえぇっ゛!?」 奥歯をペンチで挟んで強引に抜き取られたまりさ。 詰まった土砂の痛みは確かに無くなった。 しかし、今度は抜歯の激痛がまりさを襲う。 「ゆぎゃぁあぁあああっ゛! いだいぃいいぃいっ゛!?」 土の上を転がるまりさ。 痛みに耐えるその姿を見ている赤ゆ達は、ストレスを感じて吐き出した。 吐いた赤ゆを心配した群れのゆっくり達は騒ぎ出す。 赤ちゃんが死んでしまうと、口々に喚き始める。 「さっさと埋めろやぁあっ!? お前等の歯も抜いてやろうかあっ!」 恐怖を感じたゆっくり達は、埋める作業へと戻る。 まりさと同様に、身をよじらすゆっくりに飛んで行って抜歯を行う。 それを見た赤ゆが吐き出す。 また、激を飛ばして~、の繰り返し。 「早くしないと赤ゆ達はしんじまうぞぉっ!? あと、三回掘って埋めろぉっ!」 「「「 ゆっくりできないいいいいいいっ゛!? 」」」 赤ゆ達の足元には黄色いシートが敷かれてあって死ぬことは無い。 いや、死ぬことは許されない。 赤ゆ達は、大事な生餌なのだから。 いっぱい焦らして濃厚な甘味を内部に蓄えていくゆっくり達。 親子の再会は、大きな箱の中で確定済みだった。 互いに餡子の塊となって混じり合うその日まではお預けだ。 赤ゆ達を返してくれると信じながら、親達は穴を掘って埋め続ける。 全く報われることの無い希望を目標に変えて。 ただ、ひたすらに地面を穿る群れの姿。 「赤ゆを盾にすると、大概の願いは聞き届けてくれるのじゃ」 見放した赤ゆ達には、トコトン厳しく卑劣な選択も辞さないゆっくり達。 それが、奪われた悲劇の赤ちゃんになると、親は取り返すために全力を尽くす行動を見せる。 自分が決めた判断以外で不慮に居なくなる選択は、気にいらないと思っているのだろうか? それとも、可愛い赤ちゃんを目の前で奪われると、母性本能が極限まで増幅される為なのだろうか? 詳しくは解らない。 でも、この状態のゆっくり達はとても扱いやすい。 命令通りに動いてくれる。 「どうじゃな? 理解は出来たかのぉ? ゆっくりの長よ」 ぱちゅりーは、嗚咽を漏らしながら泣いていた。 シートに含まれた豊富な栄養が、ぱちゅりーの生クリームを絶え間なく刺激する。 お爺さんの緩やかな説明を少しだけ理解した。 赤ゆを粗末に扱っていると言う部分だけは理解したのだ。 群れの長は、赤ゆに非道な行いをする人間を強く睨む。 その視線を軽く受け流したお爺さんは、黒服の青年に目配せをする。 青年は携帯を使わず、無線で内部に居る監守へ連絡を早急に伝えた。 ガラス向こうの監守は頷いて、赤ゆ達が満載に詰められている透明ケースへと足を運ぶ。 その中から、一体の赤ゆを摘んで持ち上げた。 『おら~っ! この赤ゆを返して欲しいかーっ!?』 『ゆっ!? それは、れいむのあかちゃんだよっ! かわいすぎてごめんねっ!?』 見せびらかすように頭上に振り上げた赤れいむ。 それに素早く反応したのは、少し遠く居た親れいむだった。 『かえしてねっ! れいむのあかちゃんかえしてねっ!?』 持ち場を離れて勝手に接近して来た親れいむ。 監守の足元で、世話しなく跳ね続ける。 『そうだ、まりさの赤ちゃんも返してやってもいいぞ?』 『ゆっ!? ほんとにっ!』 側に居た無関係なまりさに声を掛けるお兄さん。 まりさは、降って湧いたような幸運に、嬉しそうな表情を顔に浮かべた。 お兄さんは、手に持った赤れいむをまりさが掘っていた穴の中に投入する。 土色に体を染めていく赤れいむ。 穴の中で苦しそうにもがくが、土の壁は脆く這い上がることは出来ない。 よじ登っては、仰向けに転がる事を繰り返していた。 『そいつを埋めろ。完全に穴を埋めたとき、まりさの赤ちゃんは返してやる』 『ゆゆゆっ゛!?』 過酷な条件を突きつけられたまりさは固まる。 視線の先で蠢くのは、他ゆっくりの赤子。 しかし、" これを埋めれば……" との考えが、まりさを惑わせる。 静かに足を穴の縁に移動させるまりさ。 掘って積まれた土山を、少しずつ穴の内部へと流し込む。 『まりさのあかちゃんは、いきるけんりがあるんだよ! しらないあかちゃんは、ゆっくりしんでねっ!?』 『ゆっくちーっ! ゆえぇえ~んっ゛!?』 見知らぬ赤ゆの代償を持って、自分の赤ゆを救う。 まりさは、この赤れいむを生贄に選んだのだ。 虚ろな瞳でお得意の責任転化を実行中。 これは、非道な役割を行う際に、自分へのストレスを軽減させるテクニックの一つ。 赤れいむの体に土砂が降り注ぐ。 全身は埋まってしまった。 『しらないあかゆを、せいっさいっしたよっ! まりさにのあかちゃんは……』 『れいむの、かわいすぎるあかちゃんをうめたまりさはっ! ゆっくりぜずにしねぇええぇええっ゛!?』 最高の笑顔を浮かべて振り向いたまりさの体に、肌色の物体が突貫を行う。 大きな口でまりさの頬を噛み締めた親れいむ。 赤れいむを目の前で埋められた状況を見せ付けられて、怒り心頭のご様子。 ガッシリと食い込んだ前歯の力を緩める気は無いとの気迫が漲っている。 『いだいいいっ゛!? まじざの、やわらかほっぺさんがぁあっ゛!』 まりさは号泣しながらお尻をバタつかせる。 お尻をビチビチと世話しなく振る度に、れいむの前歯は頬の内部へ食い込んでいく。 『れいむっ゛ゆっくりゆるしてねっ!? あれは、できごころだったんだぜっ!』 『ゆっくり……』 『だがら、おくちをあけてねっ!? まりさのほっぺださんが、ちぎれじゃうよぉおおっ゛!』 『ゆっくりせずに……まりさはしんでねっ!』 がぶりと音を立てたれいむの前歯。 噛み締めていたまりさのホッペに歪な歯形を残す。 大きな致命傷を与えられたまりさは、ふらふらとおぼつかない足で地面を迷走し始める。 積み上げた土砂に躓いて顔面から転倒したまりさ。 その衝撃で、頬の大穴から内部の餡子が大量に流出して足元に広がる。 体を何度か小さく弾ませた後、一際大きく跳ね上がったのを最後に完全停止。 透明なケース内部で、ガラスに張り付くようにしながら状況を目視していた、まりさ似の赤ちゃんが餡子を吐き出す。 まりさは、可愛い赤ちゃんが見ている前で、……死んだ。 『ごべんねっ! ごべんねっぇええっ゛!? がだぎはどっだよぉおぉぉぉっ゛!』 まりさを噛み殺した親れいむは、赤れいむが埋まった穴を覗き込みながら泣いていた。 赤ちゃんを助けられなかった自分の不甲斐なさに溢れる涙が止まらない。 今は亡き最愛の赤ちゃんに片方の仇を討った事を報告した。 『残念だったなっ! れいむは親としてどうなのよ?』 『じじいが、れいぶをおさえていたから、うごけなかったんでしょおおぉおっ゛!?』 赤れいむが埋められた瞬間に駆け出したれいむ。 しかし、監守の大きな足で踏まれたれいむは、自由に動くことが出来なくなってしまった。 目の前で埋められていく我が子を見ながら悲痛を訴えたれいむ。 拘束を解かれたときには、既に赤れいむは全身を埋められていた。 まりさに制裁を与えて殺すことを瞬時に決める。 不意をついのて完全制覇。 これに調子づいたれいむは、監守に向かって接近していく。 『…つぎは、じじいのばんだよ? こうかいしながら、ゆっくりせずにしんでねっ!』 『おい? そこで何か動かなかったか』 赤れいむが死ぬ原因を作り出した、もう片方の仇を倒すために駆け出したれいむの足が急ブレーキ。 監守は赤れいむが埋まっている穴を指を挿しながら大声を上げていた。 『早くしないと助からないんじゃないか? ほら、早く早くっ!』 『ゆっ! ゆゆゆっ!?』 埋められた赤れいむを助ける為に、大きな口を開けて土砂を頬張る親れいむ。 しかし、先程の堀り埋め作業感覚で乱暴に噛み締める大失態。 直後、親れいむの顔が歪みだす。 舌を口内で動かし何かを確認している。 疑惑が確信に変わる。れいむの顔色も青へと変わる。 悪い夢であって欲しいと願いながら地面に内容物を広げる親れいむ。 その視線は、黒い塊に釘付けとなる。 『…ゆっ、ゆぁあっ゛? ゆ…、あああぁああっ!?』 『噛み殺しやがった! なんて、残酷な仕打ちをするのだろう!?』 監守はまるで悲劇が起きたようなオーバーリアクションをとり始めた。 れいむは黒目を激しく振動させる。 体の震えは増すばかり。 『…あがぢゃん……あがぢゃん、ごべんねぇええぇえっ゛!? ゆっぐぢぃゆるじでねぇええぇえっ゛! 』 『あーあ、赤ちゃん殺しのゆっくりなんて最低だよな。子育て上手とか良く言えるもんだよ』 『ゆわぁあああんっ゛!? ごべんなざいっ! ごべんなざぁああぁあああいいっ゛!?』 『赤ちゃん殺しをしたゲスは、ゆっくりせずに死んでね?』 監守は掘られていた穴にれいむを落とす。 斜め上方を見つめるれいむの瞳には、今は亡き可愛い赤ちゃんの幻覚が映る。 五割増に美化された森の生活が餡子脳で展開されていく。 赤ちゃんを自らの歯で磨り潰したれいむは、薄ら笑いを浮かべながら短く声を呟き始める。 『――ゆげっ゛! ゆげへっ!?』 短く乾いた笑い声を漏らす。 目の前に居た赤ゆを奪い返せず、止めを刺した母親失格の重い烙印は、 れいむの体内にある大切な部分を完全に焼き切ってしまった。 『おらーっ! てめぇらもこうなりたいのかーっ!? さっさと、穴を埋めやがれっ!』 『『 ゆっぐぢりがいじだよっ!? 』』 凄惨な現場を特等席で見ていた他のゆっくり達は、慌てて掘った穴を埋め始めた。 作業効率は以前と比べて格段にあがっている。 これからも掘って埋める作業を繰り返すことだろう。 翁は杖を廊下に打ち付けて、群れの長であるぱちゅりーと向かい合う。 ぱちゅりーは、ガラスの奥で繰り広げられている地獄を垣間見た恐怖で涙が止まらない。 「あのゆっくり達は、赤ゆを返してくれると信じているんじゃのぉ」 (むきゅ……!?) 長い顎鬚を細い指先で触れながら楽しそうに語りだす。 口元を黄色いシートで塞がれいるぱちゅは、もごもごと呟きながら青年の胸元で暴れていた。 「ほっほっほ。あの子らは、" 第二世代 " なんじゃろ? 長が許可すると赤子を成せる群れの約束事。なかなか、面白い仕組みを考えるのぉ」 群れの決まりを人間が知っている訳が無い。 この人間の言っている事は、何かの間違いだ。 迷いを宿したぱちゅりーの抵抗は、段々と緩やかに治まっていく。 「ワシは何でも知っておるぞ? ゆっくりプレイス宣言から長任命。 第三世代には木の実が枯渇して食糧難。そして、ワシらとの会談の場を嫌々ながら設けた事もな。 やっぱり、物の数しか解らないゆっくりには、長は重荷じゃったのかのぉ?」 翁は笑いながら嬉しそうに微笑む。 ぱちゅりーは顔を青くして押し黙っていた。 「あの子らは、じっくりと甘味を増した後で、赤ゆとの感動の再開を果たす。 ほれ、見えるじゃろ? あそこの大きなミキサーの中でな」 今まで見ていたガラス内の施設を、翁達は数段高い所から見下ろしていた。 視線を右へ向けると奥には巨大な機械が口を開けている。 その中に、別のゆっくり集団が放り込まれていた。 (…むきゅーっ! まりさーっ! ありすーっ!?) 投げ込まれるゆっくりを見たぱちゅは、いきなり体をくねらせながら暴れ出す。 群れを結成した際の古い顔馴染が、小さな赤子と一緒に銀色の内部へと消えていく。 「あれは、第一世代のようじゃの。針で全身を貫く物理的な刺激を与えたメンバーじゃ。 とりあえず、すぴーど優先で初期餌を作らないと、計画に支障が出るのからのぉ」 機械は大きな振動音を奏でた後、緩やかに内部が回転していく。 蓋を締められてしまったので、内部の詳しい様子は解らない。 苦しむ声も翁達の所までは聞こえてこなかった。 しかし、透明な確認窓から覗く流れる餡子の塊は、ぱちゅに絶望的な状況を伝えてくる。 (みゅぎゅーっ゛!? おざのめいれいよぉおっ゛! あれをどめなざあぁあいっ゛!?」 泣きながら停止を求める群れの長。 翁に付き添う寡黙な青年、側に佇む家政婦の女性は、その声を聞き流す。 ここは、翁が納める群れの中。 ぱちゅに誰も従うはずは無い。 作業を終えた機械は、小さな塊を横の出口から排出していく。 それは、ぱちゅが良く知っている森の恵み。 美味しくて、とってもゆっくり出来る黒い木の実さんだった。 「ぱちゅりーくん。これで、理解したかね? 黒い木の実は、君達の仲間で作られていたんだよ」 翁は懐から黒いお菓子の塊を取り出しながら楽しそうに語り始める。 ぱちゅりーは、理解したくない事実を、理解してしまった。 廊下を歩く翁達。 ぱちゅりーは、泣き疲れてぐったりしていた。 「先日は、我が子を賭けたゆっくり同士のデスマッチを行ったのじゃよ。 でも、失敗したと報告を受けたのぉ。ぐちゃぐちゃに散らばって回収が大変だったらしいからの」 ほっほっほ。翁は楽しそうに思い出を語り出す。 ぱちゅは相手にせずに黙秘を決め込んだ。 シートからは絶えず栄養が流れ込み、体の状態に異常は見受けられない。 (ちゃんすをまって、……まちへとにげるわっ!) 野心を持ちながら転機を伺う群れの長。 しかし、その機会は永遠に訪れないことを、ぱちゅりーは直ぐに認識する。 絶望の未来はそう遠くない。 「さて、次はここじゃ」 翁御一行は、次の会場へと足を踏み入れる。 この室内も見下ろし式の視察部屋になっていた。 広い作業場の中で、第三世代のゆっくり達が群がっている。 第三世代は、子作りの認可を得たのは最近なので、赤ゆを茎に実らせた状態で収容されてきた。 今か今かと赤ゆが誕生するのを心待ちにしていた幸せいっぱいの親達は……、 「あぁあああっ゛!? あがぢゃん、うばれでごないでねっ!」 「うばれじゃでばだよっ゛! おかあざんおごるよっ゛! あっあっ!? だべぇええっ゛!」 「あんよざんっうごいでねっ!? どぼじで、まじざのいうごど、ぎいでぐれないのおおぉおっ゛!」 「あがぢゃんがぁああっ゛!? ごんなのとかいはじゃないわぁああっ゛!?」 現在、生まれてくる赤ゆ達を必死の形相で睨んでいた。 頭上の茎から生まれ落ちると鉄板に触れて焼け死ぬ運命を回避することは難しい。 ならば、生まれてくるのを拒むしかない。 「ほっほっほ。やっぱり、焼くのは良い。 加減を調節すれば、ゆっくりを即死させることなく、内部と外部に異常を与えて活動を制限させる。 これほど、扱いやすい糖度増しの方法はないのぉ」 第三世代は、床に敷かれた鉄板の上でもがき苦しんでいた。 餌に釣られてまんまと中心に誘き寄せられた第三世代達は、 空に浮かぶ餌目掛けて体を伸ばしながら、舌を絡ませようとしている最中に火を入れられた。 中心に纏まっていた第三世代達は、徐々に襲い来る足下の熱気に耐えられなくなり、急いで脱出を計った。 しかし、四方を壁に囲まれた為、何処にも逃げ場なく焦りだす。 困ったあげく、側に居た他ゆの頭に体を乗せて、熱さから逃れる足場を作り始める非道な輩も少なくは無かった。 だが、そんな輩は悲惨な末路を迎える。 バランスを失って転げた落ちた時に、背中や逆さまになって頭を焼かれる個体が続出した。 翁達が見下ろす第三世代の焼き具合の割合は、足底4割、他所3割、残りは絶命か虫の息と言った所だろう。 (やべでぇええっ゛!? おざに、こんなものみせないでぇええっ゛!) 栄養を多く含んだ涙が流れ落ちる。 新たな地獄を見下ろしながらぱちゅは悲痛に身を捩じらせて抵抗していた。 ぱちゅの両眼は、女性の両手で強制的に開放されている。 拒否を理由に瞳を閉じることは許されない。 見ている最中にも、凄惨な状況は続く。 茎から生まれた赤ゆ達は、熱気立ち込める鉄板の上に垂直落下。 『ゆっくち、うみゃれぇるよっ!?』 などと、叫んでいるお気楽な固体も見受けられた。 生まれる直前までは目を瞑っているので、外界を確認できないからだと予想される。 茎から離れた瞬間に世界を認識する赤ゆ達。 そこは、熱気漂う暖かい季節などではなく、命を瞬時に奪う鉄板地獄。 着地するまでの短い飛翔中だけが悲劇を回避できる唯一の時間帯。 「あじゆっうっ゛!? ゆぎゅうっ゛!」 「ゆっぐぢっ゛! ゆっぐぢいいいぃぃぃっ゛!?」 「ゆぎゃぁあああぁあっ゛!」 なすすべなく落ちて命の危機に瀕する赤ゆ達。 様々な箇所から鉄板に張り付いて、全身を赤く染めた後、墨色に姿を変えていく。 親達は涙を流しながら赤ゆ達に呼ぶかける。 今、第三世代達を口にしたら、とても凶悪な甘さになっているだろう。 「ゆっくりうけとめたよっ! もうはなさないよっ!?」 「ゆーん! ゆーんっ!?」 中には、茎から滞空している赤ゆを舌で包み込んだ兵も存在する。 強い母の愛が成せる技だ。 「ゆっくり……おくちか、あたまにのせるよっ! ゆぎぎぎぎっ!?」 「ゆえーんっ゛! ゆえぇえええんっ゛!?」 舌に力を込めて赤ゆを持ち上げる。 体力は残り少ない。 全身全霊を込めて赤ゆの幸せな未来を掴み取ろうとしていた。 「ゆぇえーんっ゛!? あちゅいよぉぉおっ゛!」 「お、おちびちゃんっおとなしくしててねっ!? ゆっくりしてよぉおおおっ゛!」 鉄板から立ち上る熱気を浴びた赤ゆは暴れ出す。 包まれていた親の舌は、上下に激しく揺れ始めた。 最後の赤ちゃんを守るために、綱渡りのような緊張感で救出作戦を行う親ゆっくり。 しかし、幸福な未来など、針の隙間さえも存在しなかった。 つるりと舌から滑り落ちた赤ゆは、鉄板の上へと落下する。 「「うわぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?」」 予想道理の残酷な結末を迎えた第三世代の親と赤ゆは、絶叫を合わせながら悲痛と不運を訴えた。 目の前で炭と化していく新生児を見ながら、自分を二の次にして助け出そうとする涙ぐましい母の愛。 しかし、既に足は動かず、舌は鉄板に張り付いてしまいどうにもならない。 その無力な母の頭の茎から、体を小刻みに振動させた後、産声を上げながら新たな命がこの世に誕生する。 幸せな未来など影も形も存在しない、鉄板が織り成す灼熱地獄の世界へ赤ゆは落ちていく。 ぱちゅは見ていた。 あの日、巣穴の近所にいた第三世代の親を瞳で捉えていた。 れいむとまりさとありす。 黒い木の実を奪い合っていた新しい母達は、見るも無残な容貌になっていた。 甘い実をたっぷり食べて、色艶が良かったもちもちホッペは真っ黒に焦げている。 ありすに至っては前面が焼かれていて、顔を確認できない。 ドロドロに溶けた金髪は体に絡み付いている。 都会派な赤ゆは既に全滅しているようだった。 「さてと、…頃合じゃのう あーあっ、えー、ゆっくり諸君!」 翁は差し出されたマイクに声を通す。 鉄板に焼かれながらも存命していた第三世代は揃って顔を上げた。 「「「たずげでねっ゛!? ここから、だずげでねっ゛! あぢゅいよぉおおぉおっ゛!?」」」 悲鳴を上げる第三世代。 それぞれの口調は微妙に違ってはいた。 要約すれば、この地獄からの救援依頼。 それを無視して翁は用件を伝えていく。 「ここに居るぱちゅりーくんは解るかね? この度、森の長を辞退して我々の仲間となった事を伝える! 過去を捨てる条件を快く承諾してくれた。君達は砕いて有効活用させてもらおうかのぅ」 ぱちゅりーは固まる。 寝耳に水の言葉だった。 翁の発表した内容は、森の長であるぱちゅりーが、群れを裏切って人間の仲間になったと言う事を意味していた。 鉄板の上に居る第三世代の反応は様々だ。 疑う者、信じない者、罵倒する輩と千差万別な纏まりの無い集団。 その纏まりの無かった集団は、翁が行った作戦の一部であっさりと騙される。 「嘘ではないぞ? ほれ、待遇もバッチリじゃ」 口が塞がれて抱きかかえられたぱちゅりーの横に、銀製のトレイが横付けされる。 女性が差し出したトレイの上には、美味しそうなお菓子が山のように盛られていた。 しかし、これは先程の第一世代を加工して作られた食品。 側に居たぱちゅりーは、盛られた黒い塊に拒否反応を示していた。 だが、遠めで見ている鉄板乗りには解らない。 待遇の違いに腹を立てて、その怒りは天をつく程に膨れ上がっていく。 そして、第三世代の心は一つになる。 群れの長、ぱちゅりー。 我々を人間に売り、自分だけゆっくり出来る楽なゆん生を選択したのだと。 「「「――――――――――――――っ!!!」」」 施設の内部が第三世代の罵倒で揺れる。 口汚い言葉の全てが、長に対する非難の声だった。 鉄板に落ちる赤ゆを放棄して思いの丈をぶちまける第三世代。 (……むぎゅうううっ゛!?) ぱちゅりーは否定したい気持ちでいっぱいだった。 群れを裏切った行為は何一つしていないと。 先程の脱走計画も気の迷いだった。 人間に頼った自分が愚かだったのだ。 そう心で反省しているぱちゅりー。 しかし、思いは群れに届かない。 「ふむふむ。解りましたよ、ぱちゅりーくん」 翁はわざとらしく頷いた後で軽く右手を上げる。 それを確認したスタッフは、鉄板の温度調整レバーを最大にまで切り替えた。 「「「ゆっ゛ぎゃぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?」」」 白い煙が立ち昇り、苦悶の表情で焼かれていく第三世代。 外皮が墨色に変わっても、短時間ならば中にある餡子に支障は無い。 最後までゆっくり出来る安らかな気持ちを何一つ与えずに殺しきる。 「ぱちゅりーくんのプレゼントだそうだ。 ありがたく思いながら、ゆっくりと味わいなさい」 「「「 ――は、じねぇえええぇえええええええっ゛!? 」」」 声を揃えての断末魔。 それは、ぱちゅりーの記憶に焼きついた。 恐怖と不甲斐なさで震えが止まらない。 「…処理を」 寡黙な青年が言葉を口にする。 スタッフに向けて残骸に対する今後の指示をしているようだ。 そして、抱えていたぱちゅりーも差し出す。 群れの長は、白服を着た研究員に委ねられた。 「それでは、ぱちゅりーくん。" また、あとで "」 翁から言葉を掛けられたぱちゅは、両開きの頑丈な扉の奥へと姿を消した。 精神的苦痛を与えられた群れの長。 疲労は見えるが、衰弱はしていない。 ぱちゅの命を支えていた口に貼られた湿布のような小さなシートは、 オレンジエキスを濃縮して栄養を与え続けて延命措置をとる医療品だった。 しかし、そのエキスは枯れ切って本来の役割を果たさない。 今からぱちゅりーに致命的な事が行われても、助けてはくれないだろう。 「…んっ! んんんっ!?」 口を塞ぐシートの表面から苦しそうな声が漏れてくる。 ぱちゅりーは手術台の上に寝かされて、体を黒いゴムで縛られていた。 脱出しようと試みるが、体は左右にも振ることは出来ない捕縛状態。 「んぐっちゅ゛!?」 まむまむとあにゃるに異物を挿入された。 その器具は、鋭い返しが付いた特注品。 抜けないことを前提に作られた道具は、体内の壁へと鋭く突き刺さる。 今までのゆん生で受けたことが無い激痛に悶えるぱちゅりー。 『赤ちゃんを作れなくなった!?』 ぱちゅはそんな的外れで暢気なことを考えている。 赤ちゃんを心配している場合ではないのだ。 (むきゅうぅうっ゛!? あんよさんがいだぁああぁああいっ゛!) 研究員は、注射器のような物をぱちゅの足裏へと突き刺した。 ゆっくりの足裏はびちびちと元気に動くのでしっかりと抑えてから針先を注入。 傷が広がってしまうと美しい物は作れない。 (むぎゅうっ゛! ばぢゅのなかみがっ゛! みゅぎゅううっ゛!?) じゅるじゅると音を立てて吸引開始。 ぱちゅりーの中に詰まっている生クリームは、床に置かれた小さなタンク内部へと移動していく。 (ばぢゅのながみっ! がえじでぇええっ゛! がえじでよぉおおぉおっ゛!?) 膨らんでいたお腹の部分が、みるみる内に萎んでいった。 内容物を吸い取られていく苦痛に耐え切れず、ストレス過多で吐いてしまう。 しかし、口に貼られたシートに邪魔されて流出を食い止められてしまい、頬を大きく膨らませた。 (…ゆ……むきゅあっぁ゛) 浮かんでは消えていく走馬灯。 飼いゆから始まって、些細なことで捨てられた不幸なゆん生。 その後訪れた森の生活は、とってもゆっくり出来た。 ずっと続くと思っていた。 でも…、群れは引き裂かれて人間に加工されてしまった。 人間はゆっくり出来ない。 関わってしまうから、こんな目に合ってしまうのだ。 ならば、それを提案したのは誰だったのか? それは群れの長を勤めるぱちゅりーだった。 自ら進んで人間に交渉と言う話し合いの場を作れば円滑に進むと思っていたのだ。 間違った自信をつけて慢心したぱちゅりーは、群れを壊滅に追い込んだ張本人。 (ああああああああああああああああああああああっ!?) その反省も記憶も。 奇麗サッパリに小さな容器に移された。 内容物を全て吸い取られたぱちゅりーは、ぺらぺらの皮になって手術台に横たわる。 少し膨れていたぷくーの面影は完全に無くなった。 一人の研究員が、ぱちゅりーの全てが詰まった容器を持ち上げて搬送準備を行う。 今から、この生クリームも加工されて黒い木の実の一部となる。 もし、ゆっくりの記憶が内容物に情報として蓄積されているのならば、この吸い取られた生クリームにも残っているはず。 機械の内部で再開した群れのゆっくり達に、ぱちゅりーは責めたてられる事だろう。 この原因を作ったのは長のせいだと決め付けて数で威圧を与える。 そんな身勝手な群れの姿が容易に想像できるのだ。 大きな部屋の豪華なソファーに翁が座る。 目の前に森の様子を映すモニターが数台設置されていた。 各ポイントには、水分を乾燥させて特別な加工をした黒い木の実を器具に取り付けている。 これを好んで食べる個体は、周辺の草や虫など見向きもしなくなる。 山の恵みと安定は常に保たれるのだ。 街の野良対策の一環で始めたこのプロジェクトに自分の土地を提供した。 山の一部に収容して、一網打尽にする計画を主とした県の試み。 これは、餓死を見据えた長期的な作戦にすると、共食いによって延命される為に見直された新しい計画。 「翁」 一言呟いた青年が入室した。 大きなトレイを両手で持ち上げている。 その上には、剥製と姿を変えたぱちゅりーが鎮座していた。 「ほっほっほ。ぱちゅりーくん、またあったのぉ」 嬉しそうに笑い出す。 翁は仕事をしながら趣味を満喫していた。 趣味は、群れの頂点に立つ歴代長の剥製集め。 この部屋の特設スペースには、数代に渡る個性豊かな加工済みの長が陳列していた。 青年は、新しいコレクションを台座の上に乗せる。 「ぱちゅりーくん。野生ごっこは、楽しかったかね?」 その問いに群れの長は答えなかった。 でも、少し悲しそうな表情をしたのは気のせいだろうか? 物言わぬぱちゅりーは、前回に群れの長を勤めたゆっくりの隣へと腰を落ち着けて、静かに佇んでいた。 ・翁の役割のお話 県に限らず時々無駄に思える政策を行う ・一部他作者様の設定をお借りしています 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 859 ほりはり ふたば系ゆっくりいじめ 814 ばうんてぃはんたー 希少種狩り ふたば系ゆっくりいじめ 802 我らっ!すっきりーっ!を熱く語る ふたば系ゆっくりいじめ 779 そうだ、駆除しよう ふたば系ゆっくりいじめ 764 たまたま ふたば系ゆっくりいじめ 752 おらべならい ふたば系ゆっくりいじめ 742 お呼び出し ふたば系ゆっくりいじめ 718 完全予約制 ふたば系ゆっくりいじめ 710 基本種 ふんどしれいむの復讐 ふたば系ゆっくりいじめ 683 あんらっき~を乗り越えて ふたば系ゆっくりいじめ 665 基本種 れいむの受難 ふたば系ゆっくりいじめ 638 ばうんてぃはんたー ふたば系ゆっくりいじめ 612 かってにはえてくる ふたば系ゆっくりいじめ 593 迷作劇場 ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心 ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ? ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2 ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5 ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値 ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語 ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償 ・他、7点 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 何でゆっくりは人間様と対等と勘違いするんだろな -- 2016-02-07 21 50 45 ↓↓だから黒い実で舌を肥えさせたんだろ -- 2016-01-08 23 10 19 単に村を挙げて大規模な虐待をしてたのか それとも何か意図があったのか。山の資源を食い荒らされないためかな -- 2010-11-23 20 32 42 なるほど、黒い木の実でゆっくりを偏食にさせるのか。 街野良に対してのみ友好な戦術っぽいなー コスト高そうな気がするし、雑草等食べれる親ゆっくりには効かなさそうな気がするよー -- 2010-11-17 22 07 22 創造性のないコメントだな、つまらないっつーんなら理由ぐらい挙げろ それとも内容が理解できないくらい頭が悪いの? -- 2010-07-26 11 21 17 で? -- 2010-07-09 03 49 06
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/570.html
・このお話しは、「anko1502 平等なルールの群れ」と同じ世界観、同じ登場人物のその後の時系列の話しとなっています。 それぞれの話しは独立していますが、前回を読んでいないと、一部登場人物の言っていることの意味がわからない可能性があります。 ・死なないゆっくり、人間と仲のよいゆっくりがでます。 ・独自設定が出てきます。 ・タグに制裁がありますが、前編ではそこまで話しが進みません。ごめんなさい。 ・また無駄に長くなる予定です。ほんとすいません。 以下の点をご注意ください。 とある建物の一室で、男女が向かい合って話しをしていた。 「それじゃあオレは先輩の代理で、そのドスの群れの現地視察に行けばいいんですね」 「そういうことだ。すまないな、帰ってきたばかりなのに。どうしても出席しなければならない会議があってね、 他に手の空いている者が丁度今いないのだ」 多分本当に申し訳ないと思っているのだろう。やや心苦しそうな顔で女は言う。 「いやー、何の何の。他ならぬ先輩の頼みですから。無問題です」 それに対して、男は手をひらひらさせながらいたって軽い口調で答える。 「それにオレは現場回りのほうが性に合ってるんですよ。ずっとデスクワークばかりだと息が詰まる。 お偉いさんの会議とか、そういのはこの先もなるべくごめん被りたいところですね」 そう軽口を叩く男に対して、女の方はやや表情を険しくし、 「ふむ。今はそれでいいかもしれんがな、ずっとこのままというわけにはいかんぞ。 いずれ君も人を使う立場になるときが来る。その時にそなえてだな……」 「あーっと、この視察対象のドスの群れの話ですがね」 なんだか苦手な話題に突入しそうな気配だったため、やや強引に話を変える男。 「報告書を一通り見せてもらいましたが、このドスの群れは協定を結んで以来 麓にある村に被害を与えたことは一度もないし、スッキリ制限もしっかり守ってて 過去のチェックでもいつもギリギリとはいえ、一度も制限数を超えたことはなし。 目立った反抗態度も見られず、極めて優秀なドスって感じみたいですね」 「うむ。そうだな。表面上は何の問題もない」 頷く女。が、そこに何か含むものを感じ取ったのか男は尋ねる。 「おや?表面上とあえて言うからには裏で何か怪しい動きでも?」 「いや、それもないよ。報告書の通りさ、具体的な証拠は何もない。 だがね、何かこう、引っ掛かるのだよ。単なる私のカンで根拠はなにもないんだがね…」 そう言うと、何ともいえないバツの悪い表情をする女。 不確定な情報で変な先入観を男に与える訳にはいかないと思っていても、 あえて忠告せずにはいられない。そんな微妙な違和感を彼女はその群れから感じていたのだ。 「あー、カンですか。そりゃおっかないですね。先輩のカンはよく当たるから」 「いや、まあ大丈夫だとは思うが一応気にかけておいてくれ。 それにもしも何かあったとしても、当然責任は私が取るから気楽にな」 「はあ…そりゃどうも…」 そっちのほうがよっぽどプレッシャーかかるんだがなぁ、と男は思ったがあえて口には出さなかった。 男はある国営機関の職員兼研究員である。 その機関の活動は、ゆっくりの生態調査や研究からはじまり、ペットゆっくりのバッチ検定試験の作成、 ドスなどの巨大ゆっくりに対しての代理交渉、自然維持を目的とした駆除活動や時にはや絶滅寸前の希少種保護まで多種に及ぶ。 国が創設したいわばゆっくりに対しての専門機関、スペシャリスト集団なのである。 男の今回の仕事はドスが治めるゆっくりの群れに対しての視察だった。 森などに生息するゆっくりは、家族単位でバラバラに住んでいる場合は問題ないのだが、優秀な長が治める群れや、 ドスタイプなどの庇護下にあるゆっくりたちは稀に異常なまでにその数を増やし、森を食い潰すほどの規模の群れとなることがあるのだ。 そういった事態にならないよう、事前に群れの長に対してお互いの利益のために、 すっきり制限などをするように協定を結ぶのが彼らの仕事の一つである。 そんなめんどうくさい事しなくても、潰してしまえばいいと思うかもしれないが、 群れができるたびに、いちいち山狩りをしていたのでは時間がいくらあっても足りやしないのだ。 それならばいっそゆっくり自身に数を管理してもらった方が合理的であると言える。 もちろん、それは優秀な長であることが大前提で、そうでない群れの場合は速やかに消えてもらうこともある。 そういった選別もまた彼らの仕事である。 今回男が向かうドスの群れはもう既にそれらの協定は済ませてある状態であった。 要するに視察とは、きちんと約束通りゆっくりの数が規定数以下に保たれているかの定期的なチェックのことなのである。 「と、言う訳で北の方のドスの群れに行くことになりましたとさ」 突然そう宣言する男に対し 「むきゅ。ようやく本部に帰ってきたばかりなのに、またずいぶんと急な話しなのね?」 と答えるぱちゅりー。 男が突拍子もないことを言い出すのはよくあることだったが、今回はまたえらく急だった。 「人生の出来事はいつだって突然さ、しっかり準備ができていることのほうが稀だ。 まあ、先輩直々の頼みなら断れんさ。個人的な借りもあるしな」 「むきゅ。そうね。人間さんがぱちぇの居た群れに来たのも突然だったわね」 このぱちゅりーは過去に男が調査した群れで出合ったゆっくりであった。 そこでの出来事は省略するが、結果的に男のちょっとした思いつきのせいで、ひどい目にあわせてしまった償いや、 やや人間に近いタイプの考え方のゆっくりであったことから、男はこのぱちゅりーを連れ帰り面倒を見ることにしたのだ。 ただ、当たり前のことだがつい最近まで山で暮らしていたぱちゅりーは人間社会のことを全くというほど知らなかった。 そのため現在は社会勉強もかねて、男の仕事に付き合ってあちこち移動する毎日を送っていたのであった。 「ずいぶんと大きな群れみたいね?」 今回視察に行く群れの説明を一通受けた後、ぱちゅりーは男に問いかけた。 「ああ。そりゃドスが治めている群れだからな、それに群れがある山もでかい。 当然その分だけゆっくりの上限期定数も多くなるってわけだ」 「それだけの数のゆっくりがいて、何も問題がないなんてすごいわね。ぱちぇとは大違いだわ」 「…まあ、ドスはゆっくりのボスみたなもんだからな。 無条件でゆっくりを従わせる力みたいなのがあるんだろうよ」 「やっぱりゆっくりは理屈よりも力で従わせるしか方法がないのかしら?」 ぱちゅりーが尋ねる。 「残念だがいまのところそれが一番合理的な方法だろうね。 小規模な、しかも善良な個体ばかりの群れなら上手くまとめることも可能だろうが、 これだけでかい規模になると、どうしたってゲスなゆっくりは出てくる。 ゲスゆっくりには基本何をいっても無駄だからな」 「むきゅ。そうね、それは身をもってよくわかってるわ」 「やれやれ、あのな……」 男が何かを言おうとしたそのとき、 「あらぁん、どうしたのお二人とも辛気臭い顔しちゃってぇ」 どこからともなく底抜けに明るい声が聞こえてきた。 「二人とも本部にいるなんて珍しいわねえ。どお?お姉さんのお部屋でコーヒでも飲んでいかない? ぱちゅりーちゃんにはオレンジシュースもあるわよお」 「……お前はあんまり悩みとかなさそうだよな」 この女性は男の同僚であった。 部署は違うものの昔からの腐れ縁で、時々仕事を手伝ったり手伝わされたりといった関係である。 また、ぱちゅりーと会うこととなった群れの始末も最終的には男ではなく、彼女が行ったのだがそれはまた別の話しだ。 ちなみに彼女はゲスゆっくりには容赦がないが、それ以外のゆっくりに対してはまったくの無害である。 「やあねえ、失礼しちゃうわぁ。ぱちゅりーちゃん、こんな男の人ほっといて、一緒にお姉さんのお部屋に行きましょうか?」 「む、むきゅ!せっかくだけど遠慮しておくわ…」 ぱちゅりーが恐る恐るといった感じで断る。 「てめえの気色悪い部屋なんざ、用があるとき以外誰が行きたがるかっての。 それに俺たちはもうすぐに出かけなきゃならないんだよ」 「あらぁ、なに?また外回りなの?帰ってきたばっかりじゃないのぉ?」 「ああ。先輩の代理でちょいと北にあるドスの群れまで視察にな」 「なんですってー。ぐぎぎぎぎ、あの年増女めー、後輩をアゴで使いやがってぇー許せないわぁ、これは訴えるべきよお」 「いや、年増って、別に俺らと対して変わらねえだろ。てか、何でお前はいつもそうテンション高いんだよまったく」 「んふふふふ。まあいいわあ、それじゃあまたゲスなゆっくりを見つけたらお姉さんに教えてねぇ」 「ああ、そうするよ。わかったからさっさとどっか行け」 男はシッシッと手を振って追い払う動作をした。 女はそれを見てもたいして気にした風もなく、またうふうふと笑いながらいずこかへ去っていった。 「あーなんかどっと疲れたわー」 「むっきゅうー」 初っ端から出鼻を挫かれ、なんか今回の視察はいやーな予感がするなぁと思う男とぱちゅりーであった。 「どうも、いつもの担当の者が来れなくなったので、今回の視察は私が担当することになりました。以後よろしくお願いします」 「おう、話しは聞いてるぜ。いつものべっぴんのねえちゃんといいあんたといい、まだ若いのに大したもんだな。 滞在中は村の宿屋を遠慮なく好きに使ってくんな」 「恐れ入ります」 群れがある麓の村の村長はなかなかに豪快なおっさんで、その歯切れのよい話し方に男は好感を持った。 「どうですか、村長のあなたからみてドスの群れは?何か変わったことは?」 早速男は話を聞くことにした。 群れのすぐ近くに住む住民たちならば、群れに不穏な空気があれば気づくはずだ。 「あん?そうだなー、あいつら全く山から降りてこねえからなあ、こちとら接点がねえんだわ。 山によく登る連中はちょくちょく姿を見かけるらしいんだがよ、見つかると悲鳴を上げながら、 凄い勢いで逃げてっちまうらしいのよ。別に取って食いやしねえってのにさ。 そんなわけであいつらの様子はよくわからねえんだわ。すまんね」 「いえいえ、それを調べるのが本来私どもの仕事ですから」 男はそれほど期待はしてなかったのか、別段落胆の様子はない。 「ああ、でも、そういやさ…」 と、急に何か思い出したように村長が呟く 「はい?」 「いやよう、前にべっぴんのねえちゃんが帰ってからすぐの頃だったかな? ボロボロのゆっくりが村の畑の近くで倒れてるのが見つかったんだよ。 こりゃ珍しいな、何だろうなと思ってたら、こんどはドスまで下りてきてよう、いやあの時はビックリしたぜ。 で、そのドスの話しだとそのゆっくは人間の野菜を奪おうとしたげすだから制裁するって言うわけだ。 俺たちはさ、村にゆっくりが下りてきたのは協定以来はじめてだし、 被害もなかったからそこまでしなくていいって言ったんだが、ドスはいや、これはけじめなんだってことで、 まだ意識のないそのゆっくりをぶっ潰しやがってね。それから迷惑かけたって、山へ帰っていったわけだ。 まあ、特別なことって言えばそれだけだ。悪いな大した話じゃなくて」 「……ふむ。いえ、とても参考になりました」 男は一礼して部屋を後にした。 「さてさて、これから行くドスの群れの話しを聞いてみたわけだが、どう思うかなぱちゅりー?」 村長と話した後、ドスがいる山へと向かう道すがら、男がぱちゅりーに尋ねた。 それはどこか試すような口調だった。 ちなみに、一言も喋らず、空気と化していたが、実はぱちゅりーも村長との会話の場にいたのだ。 ただ男と村長の重要な話しに口を挟むほど愚かではなかったというこどだ。 ただじっと黙っていることのできるゆっくりはそれだけで優秀と言える。 「むきゅ。とっても優秀だと思うわ。きちんとゆっくりたちに人間さんたちのことを教育してるみたいだし、 同じゆっくりだからって、甘やかしたりしてないみたい」 「はい正解。徹底して人間の恐怖を教え込んでるし、ルールを犯したゆっくりも甘やかさず、きちんと制裁もおこなってるみたいだ。 模範的といえる群れの納め方だね。だがしかし…」 「むきゅ?今までの話になにか問題でもあるの?ぱちぇは特に何も感じなかったけど…」 男の思わせぶりな口調に対して、素直に自分の疑問をぶつけるぱちゅりー。 「いや、別に問題はないよ。ただ、必ずしも言葉で聞いたことが全てではないってことだ。 あの村長は本当のことを言っているだろう。先輩の報告書も正しい事が書いてあるだろう。 これらを総合するとドスは人間にとって優秀な長という結論が出る。それはいい。 だが…ね、それは所詮物事を一面的にしか見た結果でしかないってことだ。 別の視点からみるとまた違った結果が見えてくるかもわからないってことさ」 「む、むきゅきゅん???」 ぱちゅりーは男の言っていることに困惑している様だった。 いったい男が何をいっているのか意味がわからないのだ。 「あーいや、ごめんごめん。今のはただかっこいいこと言ってみたかっただけだからあんま気にしなくていいよ。 まーそれじゃ実際に会ってみようじゃないの。その優秀なドス様とやらにね」 混乱するぱちゅりーをよそに、ドスの群れがある山へと意気揚々と歩き出す男であった。 「ようこそにんげんさん!ゆっくりしていってね!」 山の森を少し入ったところでドスに出迎えられる男とぱちゅりー まさかわざわざ待っているとは思わなかった男はちょっと面食らった。 今日来るということは知っていただろうが、こんなところでいちいち待機していたとはマメなことである。 それだけ人間との関係を重要視しているということだろうか。 「こりゃわざわざどうも。ドスゆっくりしていってね」 「こんにちわドス。ゆっくりしていってね!」 素直に挨拶を返す男とぱちゅりー。 それに対してドスは 「ゆゆゆ?いつものにんげんさんとちがうよ?どういうことなの?」 と、もっともな疑問を口にする。 「ああすまんね。いつもの担当は今回はちょっと用事でこれなくなってしまってね オレはたちはその代理でやってきたんだ。 まあいつもと何かが変わるってわけじゃないから特に心配しなくていいよ。 しばらくの間よろしくなドス」 「よろしくね。ドス」 そう説明する男 「ゆっくりりかいしたよ!よろしくねにんげんさん、それにぱちゅりー」 ドスはそう言いながら、ちらちらとぱちゅりーの方を盗み見ていた。 どちらかというと来る人間が変わったことなどよりも、一緒にいるぱちゅりーのことのほうが感心が高いようだ。 同じゆっくりでありながら、当然のように人間といるぱちゅりーはドスからすれば気になる存在なのかもしれない。 「あーこいつはさ、ほらオレの助手みたいなもんだ。 世間勉強がてら、優秀なドスの群れでも見学させようと思ってさ」 視線に気づいた男がそうドスに解説する。 「ゆゆーん!そうなんだ!とってもゆっくりしたぱちゅりーだね! どう?どすのむれにはいらない?きっといまよりとってもとってもゆっくりできるとおもうよお!」 よほどぱちゅりーのことが気に入ったのか、くねくねしながら自分の群れに入るように勧めるドス すぐそばに持ち主であろう人間がいるのに図太いというか結構いい度胸をしている。 ただ男はその様子を見ても、別段気を悪くしたふうでもなかった。 「ありがとうドス。でも気持ちだけ受け取っておくわ もうぱちぇはゆっくりの群れで暮らすつもりはないの。ごめんなさいね」 あっさりと断るぱちゅりー。 男はこういう結果になるとわかっていたので、ドスの言動を対して気にしなかったのだ 「ゆがーーん!」 反対にドスは断られるとは思ってなかったのか、若干ショックを受けたようだった。 「あー、それじゃ早速で悪いんだけど、群れに案内してくれるかな 何せこの辺りは初めてでね、勝手がよくわからないんだわ」 なんかほっとくといつまでも落ち込んでそうなので、さっさとしろよと男が促す。 「ゆっ!そ、そうだねそれじゃあむれまであんないするよ! どすについてきてね!」 そう言うと、気を取り直したのか森の奥へ向かって移動しはじめるドス。 その後に続く男とぱちゅりー。 今のところは特に異常と呼べるものはなかった。 「さあむれのちゅうしんぶについたよ!ゆっくりしていってね!」 森の奥のやや開けた場所で、そうドスが宣言する。 なるほど、たしかにそこではゆっくりの巣らしきものがちらほらと見られ、 様々な種類のゆっくりが思い思いの方法でゆっくりしていた。 流石に希少種と呼ばれるゆっくりはいないようだが、基本種は全種揃っているようだ。 どのゆっくりも野生のわりに丸々と太っており、とってもゆっくりしているように見える。 と、そこであることに気づく男。 「あれ?ちょっとまりさ種が少くなくないかい?」 「むきゅ!ほんとだわ。どうしちゃったのかしら?」 中心部にいるゆっくりたちは、まりさ種だけほかの種族と比べて数が少ないように見えた。 「それはそうだよ!みんなかりにいったり、ほかのばしょにおうちをつくったりして、いそがしいから、 ここにはいないこもおおいんだよ! まりさたちは、はたらきものなんだよ!ゆっへん!」 「ふむ。それはそうかもね…」 つまりは、今この場にいるのが群れの全てのゆっくりではないというわけだ。 ドスの説明はそれなりに理にかなったものだったので、男も深く追求しなかった。 「みんなにはきょうにんげんさんがくるっていってあるからね!そのうちかえってくるとおもうよ!」 「「「「「「「「ゆっゆっゆっゆっ!」」」」」」」」 ドスの言った通り、森の奥のほうから次々とゆっくりたちが集まってきた。 成る程、確かにこうしてみるとまりさ種も沢山いる。 しかし、後から集まってきたゆっくりのほとんどは……。 「…むきゅ!人間さん!」 何かに気づいた様子のぱちゅりーが男に訴えようとする。 しかし男は片目をつぶりながら差し指を口元に運び、何も言わないようにとぱちゅりーに合図する。 「…むきゅ…」 男の意図を察し、黙る事にするぱちゅりー。 おそらく自分には及ばない深い考えがあっての指示だろう。 「ドス、これで群れのゆっくりはぜんぶかな?」 男が和やかに問いかける。 「ゆっ!そうだよ!これでぜんぶだよ!かくしたりしてないよ!ほんとだよ!」 「そりゃ勿論そうだろうさ、オレはドスを信じてるぜ。そんじゃま、数の確認をするかな」 そう言いゆっくりの数を数え始める男。 ドスは緊張した様子で冷や汗をかいていたおり、ぱちゅりーはそのことに気づいていたが、男には言わなかった。 ここにきてぱちゅりーはドスが何か隠し事をしているのではないかと疑っていた。 その隠し事とは、ドスは群れのゆっくりの数を誤魔化しているのではないか?ということだった。 そう思う根拠は、ドスの不審な様子だけではなく、出発前の資料にはいつも規定数ギリギリの数だと書かれていたこともあった。 今ここにいるのが全てのゆっくりではなく、どこか別の場所に隠れているのではないか?ぱちゅりーはそう考えたのだ。 一番隠れてそうなのは、あそこにある一番大きな洞窟だろうか? 実はもう一つ気になる点はあったが、それについてはぱちゅりーがどうこう言う筋合いの事ではなかったので、 深く考えないことにした。 「はい、終わりっと。今回もギリギリだったみたいだね。まあ、何はともあれ管理ご苦労さん」 そうこうしている内に男は広場にいるゆっくりを全て数え終えたようだった。 「ゆふー。ありがとねにんげんさん!けんささんはなんどやってもきんちょうするよ!」 「まあ、そう緊張しなさんなって。ちょっとオーバーしたぐらいでいきなり群れを潰したりはしないからさ」 男とドスは和やかに会話を続ける。 「時に、ドス。オレは初めてこの群れに来たから良く知らないんだが、あそこのでかい洞窟はドスの住処かなんかかい?」 そう男が水を向ける。やはり男もあそこを疑っていたのかと知って、ぱちゅりーはちょっと嬉しくなった。 それに対してドスは、 「ゆゆ!そうだよ!それとしょくりょうこもかねてるんだよ! にんげんさんもなかをみてみる?せっかくだからあんないするよ!」 と、中を見るように進めてきた。 てっきりあの洞窟にゆっくりが隠れているものと思っていたぱちゅりーはやや拍子抜けしたが、 男は表情を全く崩すことなく 「そんじゃせっかくだから拝見しようかね」 と、平然と返した。 「ゆっくりまかせてね!」 そう言うドスを先頭に一同は洞窟へと向かった。 「こりゃすげえ量だな」 「ほんと。すごいわ」 洞窟内の様子にしきりに感心する男と、ぱちゅりー。 ドスが食料庫と称した洞窟にはゆっくりなど一匹もおらず、代わりに大量の食料が備蓄してあった。 乾燥させた木の実や食べられる草、男が見たことのないキノコまである。 これだけの量があれば、群れのゆっくりが全く狩りをしなくてもしばらくの間は全く問題ないだろう。 「ゆっへん!もしものときにそなえてみんなであつめてるんだよ!なにかあってからじゃおそいからね!」 そう胸をはるドス。 その様子を見て、考え違いをしていたぱちゅりーはちょっと恥ずかしくなった。 「ふーん。いや、大したもんだねえ」 「もしものときに備えた準備がちゃんと出来ているなんてほんと優秀ね」 「ゆふふふふ!それほどでもないよ!」 男とぱちゅりーに褒められて気をよくしたのか表情を崩すドス。 得意満面といったところだった。 だが、その笑顔が長く続くことはなかった。 「そんじゃま、そろそろ外に出るかな」 そう言い、男が出口に向かって足を向けたそのとき事件が起こったからだ。 「ゆー!いまだよ!ゆっくりしてないどすにかわって、みんなでにんげんさんをやっつけるのぜ!」 「「「「「ゆおーーー!!!」」」」」 そう雄叫びをあげながらまりさを先頭に複数のゆっくりたちが、男に対して明らかな敵意を持って流れ込んできたのだ。 「ゆあああああああああ!なにやってるのおおおおおおおおおおおおおおお! おまえらあああああああああああああああああ!」 これに対して驚愕の声を上げたのはドスであった。 ドスは、じきじきに出迎えたり群れを案内したりと、今までの様子から人間との関係を大事にしているのは明らかである。 だが、このまりさたちの愚考によりそれらの努力が一気に台なしになることを恐れたのだ。 群れに視察にやってきた人間に対してゆっくりが攻撃を仕掛けるなど、もしかしなくても大問題だ。 ドスはこの群れの長。いわば責任ゆんである。知らなかったでは済まされない。 最悪管理能力不足ということで駆除もありえる事態だった。 「ゆー!まりささまのたいあたりをくらうのぜ!」 先頭のリーダー格らしいまりさが男の足にボスンボスンとぶつかっている。 もちろん男にはまったくなんのダメージもない。 いくら非力なゆっくりとはいえもう少し威力があってもいいだろうと思えるくらいだった。 「ゆゆ!なんてことだみょん!」 「わからないよー!」 先に洞窟内へと入って来たまりさたち一団とは別に、 後からみょんとちぇんのを先頭に群れのゆっくりたちも何事かと洞窟に入って来た どうやらこのゆっくりたちは、まりさたちのように人間に敵対する気はないようだ。 「みょん!ちぇん!それにみんな!てをかしてね!みんなでこのげすどもをとりおさえるよ!」 そう言うとドスは暴れるゆっくりたちに向かっていった 「りかいしたみょん!」 「わかるよー!げすはゆるさないよー!」 すぐさま他のゆっくりたちも加勢に入る。 そして…… 「ゆがー!はなすんだぜえ!」 「おとなしくするみょん!」 すぐに騒動はおさまり、まりさ一同は全員取り押さえられた。 もともとそれほど多くの数がいたわけではない上に、ドスが直接動いたのだのだから当然だ。 もちろん男とぱちゅりーは無傷。群れのゆっくり側も被害はない。だがそんなことは問題ではなかった。 「ゆっ…その、にんげんさん、これは…」 「…………」 ドスが気まずそうに男に声を掛ける。 男は騒動の最初から最後まで終始無言無表情であった。 動きも危ないからとはじめにぱちゅりーを持ち上げたぐらいで、 ゆっくりに対しても反撃はおろか、その場から一歩たりとも動いていなかった。 「に、人間さん?」 沈黙が逆に恐ろしいのか男に持ち上げられているぱちゅりーが声を掛ける。 「…………」 男はなお無言でドスのところまで歩いていき、 ポンと軽くドスの身体に手を置く ビックと震えるドス。男は、 「いやードス、お前もいろいろと大変だね」 と、軽い口調で声を掛けた。その顔は笑顔だった。 「ゆ、ゆふうーーーーー」 とりあえず男の心証がそれほど悪くないということがわかり、 全身の緊張がとけたのか大きく息を吐き出すドス。 「まあ、これだけでかい群れだ、ゲスが出ることもあるわな」 そう今回の事態に理解を示すような発言をする男。 「ゆーん!にんげんさんごめんなさい。 このげすたちは、どすがせきにんをもって、いまこのばでせいっさいするよ!」 取り押さえられているまりさたちに向き直るドス 「ゆがー!まりさはわるくないのぜ!どすのかわりににんげんさんをやっつけようとしただけなのぜ」 「さっきからなにわけのわからないこといってるのおおおおおおおお!このげすはああああああああああああああ! どすがにんげんさんをやっつけるわけないでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 「うるさいのぜ!とにかくこんなじたいのなったのはどすのせきにんなのぜ! にんげんさんはどすをゆるすべきじゃないのぜ!」 「だまれえええええええええええええええええええ!もういいよ!げすなまりさたちはさっさとせいっさいするよ!」 「あーちょっと待ってくれるかい」 「ゆ?」 まさにドスがまりさを潰そうとしたとき、男が間に入る。 「このまりさたちはオレが連れ帰って直接制裁することにする」 「ゆっ、で、でも…」 「このままじゃオレの気がおさまらないんだよ。簡単に潰しちゃつまらねえ、じわじわなぶり殺しにしてやらなとなぁ。 それに狙われたのはオレだ、文句はないだろ?」 「ゆゆ!そ、それもそうだね!ゆっくりりかいしたよ!」 ドスはまだ何か言いたそうだったが、うかつにごねて男が機嫌を悪くしてもまずいと思ったのか、簡単に引き下がった。 「それじゃ悪いんだがこのリーダーまりさ以外のゆっくりを、しばらく殺さずに預かっておいてくれないか もちろんその間こいつらの食い扶ちは後できっちり埋め合わせするからさ」 「ゆゆ、わかったよ!そういうことならもんないないよ!」 頷いて肯定を示すドス。 「よし、それじゃあ帰ろうか、ぱちゅりー」 「ゆがあああああ!はなすんだぜえええええ!まりさがはんらんしたのはどすのせいなのぜ! にんげんさんはどすをせいっさいするべきなのぜ!」 男はまだ何か騒いでいるまりさを掴んで持ち上げると、さっさと群れを出て行ってしまった。 (さて、そこと、あっちと、あとあそこかねぇ…) 男は帰りの道すがら、辺りをキョロキョロと見回しながら何事か思案していた。 男たちが去ったその後、ドスの洞窟ではドスをはじめとした群れの幹部ゆっくりたちが集まって会議をしていた。 今日の失敗の反省でもしているのだろうか?否、それにしてはゆっくりたちの様子がおかしかった。 「ゆっひゃっひゃっひゃっひゃ!いちじはどうなるかとおもったけど、ばかなにんげんさんでほんとたすかったよ! いつものおねえさんならあぶなかったかもしれないけど、こんかいのおにいさんはほんとばかでまぬけだねぇ! これならどすがわざわざあんないするひつようもなかったかもね!ゆっひゃっひゃっひゃっひゃ!」 そう品のない笑い声を上げているドス。 「わかるよー『どす、おまえもいろいろたいへんだね』だってさ、ゆぷぷぷ! ちぇんはわらいをこらえるのにくろうしたよ!げらげらげらげれげら!」 「ちーんぽ!あのにんげんさんは、そうどうのさいちゅうも、びびってうごけなかったみたいだみょん! まったくとんだこしぬけだみょん!ゆぷぷぷぷ!」 男を見下すような発言をする幹部ちぇんと幹部みょん。 「ゆゆう!れいむもにんげんさんのまぬけなすがたをみたかったよ! しかしげすなまりさたちにはほんとにこまったね! いままではれいむのこそだてがあますぎたみたいだけど、これからはもっとびしばしといくよ!ゆふふふふ!」 サデスティックな笑みを浮かべる幹部れいむ。 「んほおおおおおおおおおお!いままでがまんしてたけど、いよいよけいかくを、じっこうするときがきたのねえええええ! こうふんするわああああああああああああ!」 気色悪い笑みの幹部ありす。 「むぎゅ!わらいごとじゃないわみんな!もうすこしでけいかくがつまずくところだったのよ! ちぇん!みょん!しっかりどれいどもをみはってないとだめじゃない! それかられいむ!どすさまのいだいさを、もっとちゃんとこどもたちにきょういくするのよ! ありす!けいかくのほんかくてきなじっこうは、にんげんさんがほんとうにかえってからよ! はやまっちゃだめ!わかった!」 まわりに注意を促す幹部ぱちゅりー。 「いや、かまわないよぱちゅりー!けいかくのしっこうをすこしはやめることにするよ!」 ドスがぱちゅりーに向き直る。 「ゆっ…でもどすさま、きけんじゃないかしら?」 ためらいがちなぱちゅりー 「ゆふふ、だいじょうぶ!いつものおねえさんとちがって、あのにんげんさんはぜんぜんたいしたことなかったよ、これならばれっこないね! そんなことより、どれいゆっくりたちのぼうそうのほうがきになるよ! きょうのそうどうのけんや、まえにしゅうだんで、にんげんさんのむらへ、おりていっちゃったこととかね!」 「みょん!あのときはくろうしたみょん!」 「わかるよー!いっぴきだけ、ほういもうをとっぱされちゃったんだよねー!」 過去を懐かしむようにうなずく幹部みょんと幹部ちぇん。 「だんだんどれいたちのふまんがおさえられなくなってきてるみたいだから、けいかくをはやめたほうがいいよ! どうせいまのどれいたちは、つかいすてだからね!」 「むぎゅ!わかったわ!どすさまがそういうならそうしましょう! ありす!でばんよ!きょうからたくさんあかちゃんをつくりなさい!すっきりせいげんなんてむししていいわ!それにこのときのためにためこんだしょくりょうをたいりょうにむしゃむしゃしていいわ!」 「んほおおおおおおおおおおおおおお!まってましたあああああああああああああああ! みんなよろこぶわああああああああああああああああああ!」 「ゆゆ!こそだてはれいむたちにまかせてね!どすさまのいだいさを、みっちりおしえこむよ!」 張り切る幹部ありすと幹部れいむ。 「むぎゅ!それじゃあけんじゃのぱちぇは、れいのもののじゅんびをつづけるわ!」 そう発言した幹部ぱちゅりーを最後に会議はお開きとなった。 おのおのの役割を果たすためにそれぞれ散っていく幹部ゆっくりたち。 広い洞窟内にはただ一匹ドスだけが残った。 「ゆふふふふ!いよいよ!いよいよだよおおおお!どすがおうになるときがきたんだよおおおおおおおおおおおおおお!」 興奮さめやまぬ様子でドスは洞窟内にて雄叫びを上げた。 前編その2へつづく
https://w.atwiki.jp/tenngetu/pages/40.html
ま行 みy みおみちゃw 無降かw 群れ群れかw 夢z化しイねw
https://w.atwiki.jp/homuhomu_tabetai/pages/2017.html
作者:khwWrOZi0 489 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/28(水) 22 22 02.35 ID khwWrOZi0 ケージの中に一匹の白まどがいる。 髪の毛はぼさぼさで、本来なら純白のまど服も汚れボロボロになっている。 自慢の羽はむしり取られ、外骨格たる弓矢も壊されてしまった。 目の前にはりぼほむの生首が液体で満たされた瓶の中に入れられていた。 自分をこんな状態にした憎き張本人だが、かつて自分が最も愛した番でもある。 せめて取り出すだけはしてあげようと頑張ったのだが、きつく閉められた蓋をあけるには白まどは非力すぎた。 りぼほむの表情は死の恐怖に目が開かれ、かつての凛々しさは面影もない。 そしてりぼほむの象徴たるリボンはその頭には存在していなかった。 白まど「マド…」コドモ…ミンナ… りぼほむとの愛の結晶たる仔りぼほむと仔白まどをはじめとした群れの仲間たちも別の場所に連れ去られてしまった。 引き離される時に言われた言葉が耳から離れない。 「おとなしくいうことを聞かなければ、こいつらもそのりぼほむと同じ…いや、もっと悲惨な目にあうぞ」 その言葉に白まどは暴れることもできず、食べたくもない、考えるだけでおぞましい食事も平らげなければならなかった。 白まど「マドマド…」ミンナ ゴメンネ 自分の食べているものは仲間の身体の一部だ。 見た目はそうとわからないようにしているが、食事の様子をニヤニヤと見ている人間の考えることなどみんな同じだ。 白まど「マドォ…」ドウシテ… なぜ自分たちはこんな目に合わなければならないのだろうか。 自分たちが何か悪いことをしたというのだろうか。 ただひっそりと仲間たちと暮らしていただけなのに… 白まどは思い返す。 自分たちに降りかかった不幸の始まりを。 白まどはある野良の群れに属していた。 決して大きな群れではないが、町はずれの人間が滅多にこない場所で巣を作り 仲間のほむほむやまどまどと平和に暮らしていた。 ほ虐好きの人間の元から逃げ出し野良となった白まどは、ほ食種のみならず最大の天敵である人間の脅威を知っていた。 そのため、希少種としての誇りに殉じて町のすべてのほむほむとまどまどを守るのではなく、 自分たちの群れを守ることに徹し、人間と接触しないように心掛けてきた。 そのおかげで白まど達の群れは豊かとはいえないもののキュウベェを主食に戻すことを本能的に思い出し、 巣の中からあまりでなくて済む環境を作り上げた。 陽の光の元で満足に遊ぶこともできず、居場所がばれないようにするため大きな声で鳴くこともできない。 それでも群れの仲間との生活は楽しかった。 人間にいつ虐待されるか脅えて暮らす日々と違い、仲間との触れ合いがとても暖かかった。 だから白まどは己の力をこの仲間を守るためのみに使った。 しかし、りぼほむは違った。 りぼほむもまた人間の元から逃げ出したのだが、白まどとは違い可愛がられてきた飼いりぼほむだった。 飼い主も優しい人物で何不自由なく暮らしていたが、町中に響くほむほむの悲鳴に心を痛め、 ついに我慢できずほむほむとまどまどを救うために飛び出し、いつしか群れに合流し白まどと番となったのだ。 りぼほむは自分たちだけではなく、同じような境遇のほむほむとまどまどを救うべきだと理想を持っていた。 そのことで自分や群れの仲間と何度も喧嘩した。 自分は見てきた。 りぼほむのように理想を掲げたものの挫折し、守ろうとした仲間からすら罵声をあびて惨めに殺された希少種たちを。 毒を持つ。瀕死のほむほむとまどまどに力を分け与えれる。 希少種のもつ奇跡の力。 でも人間はその毒を克服し、束になったほむほむとまどまどをゴミのように踏み潰す。 そんな光景を見てきたからこそ、まだ見ぬ仲間を見捨てることになったとしても、 白まどは自分の群れを大切にしたかったのだ。 だが、りぼほむを説得することはできなかった。 群れの巣からそう遠くない場所から、ほむほむたちの悲鳴が聞こえてきたあの日、 必死にりぼほむを止めようとする自分を振り切り、りぼほむは飛び立っていった。 日も暮れ始めた頃、りぼほむは羽と手足を引きちぎられ、縛られた状態で巣に戻ってきた。 ほ食種の中でも最もほむほむとまどまどを探すことに長けたあんあんに引きずられ、 ほむほむとまどまどにとって最悪の敵である人間と共に。 りぼほむもまた理想に敗れ、群れを滅ぼす災厄となったのだ。 群れは阿鼻叫喚につつまれた。 人間はあんあんに巣の中を蹂躙させ、自らは逃げ出そうとする仲間を片っ端から捕えていった。 もちろん自分も応戦した。 「大人しくしないと番のりぼほむを殺すぞ?」 そう脅されたが、自らの理想を追い求めて返り討ちにあい、挙句の果てには人間を呼び寄せてしまった。 そんな自分の愛する番よりも、力を持たない周りの仲間の方が大切だった。 りぼほむが「まどまど、私を見捨てるの!?」と泣き喚いていたが、 偉そうに理想を語っていたりぼほむと同一とは思えない程惨めで情けない姿だった。 りぼほむなど、自分にはもはやどうでも良いことだった。 ただ仲間を助ける。それだけしか頭になかった。 そして、自分も敗北した。 仔どもはみな生きたまま捕えられ、親たちも足だけををちぎられた状態で捕えられた。 自分も羽をもがれたが、自分だけは手足をちぎられることはなかった。 人間の意図はわかる。仲間のために何もできないうえ、自分だけ手足が無事なことで 自分に仲間に対する罪悪感と無力感を与え絶望させようとしているのだ。 実際弓矢を壊され透明な何かに閉じ込められた自分の力では仲間を助けることもできず、 仲間が悲鳴をあげながら捕えられていく姿を見る事しかできなかった。 捕えられた仲間は皆りぼほむを罵った。 お前が余計なことをするからこうなったんだと。 りぼほむは涙目で必死に叫んでいる。 自分はほむほむとまどまどを守るために頑張ってきたんだ、みんなのために生きてきたんだ。 自分は何も悪くない、悪いのはこの人間だ。 しかし、群れの反対を顧みることなく飛び立っていったりぼほむの言葉など誰も聞く耳をもたない。 りぼほむ「ホムゥ…マドカァ…」ナミダメ 白まどはわかってくれるよね? 涙と鼻水で汚れた哀れな顔でりぼほむが話しかけてくる。 白まど「マド」 りぼほむ「マドカァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!」 それに対する自分の答えは簡単だった。 りぼほむが悪い。 それを聞いたりぼほむは信じられないものを聞いたという表情をした後、 すがるように何度も自分の名前を叫んでくる。 昔はあんなに好きだった相手に対して、嫌悪を通り越して呆れしか出てこない。 耳障りな雑音から逃れたくて、仲間の方を見ていた。 人間とあんあんはそんな私たちの様子をおぞましい笑顔で見ていた。 自分たちの絆など、偽りのものだといわんばかりの表情だ。 悔しかった。 自分と仲間の絆を嘲り笑われたことが。 そして、自分の番をついに説得できなかった自分の不甲斐なさが。 こうして群れは壊滅し、自分たちは囚われの身となった。 まずりぼほむが見せしめのために最後の時を迎えた。 失われた手足を目の前で食べられ、刃物で下半身から薄い輪切りにされていく。 そしてりぼほむの力の根源であるリボンをゆっくりとほどかれていき、 自分が自分で無くなる恐怖の中でその命を終わらせた。 その後、自分と仲間たちは別々にされ、今自分はこうしてりぼほむの首と共に捕えられている。 仲間がどのような虐待を受けているのか、自分にはわからなかった。 自分の聞いてきた悲鳴など、悲鳴と言えないのではないかというくらい凄惨な叫びだった。 息絶えている仲間も少なくないだろう。 自分の食事になっていることからも想像に難くない。 自らの命を絶つことも考えた。 だが、仲間の叫びを仲間を守れなかった自分への罰だと思い、最後の悲鳴が途絶えるまで生きる。 それが自分にできる唯一のことであり、人間への抵抗だ。 いつ自分に人間の手がのびてきても構わない。 それが人間を喜ばせることになったとしても、助けは請わず死んでいこう。 決意を固める自分の耳に自分の仔の悲鳴が聞こえる。 今夜の食事は間違いなくあの仔だ。 せめて早く命を失って楽になるように祈った。 終 ジャンル:りぼほむ コロニー殲滅 仲間割れ 強制共食い 白まど 稀少種虐待 虐待 野良 感想 すべてのコメントを見る ならお前も殺されるとき何も文句言えんわな、殺す方が強いんだから。 かっこ良くねーよ。なぜ自分達がこんな目に?なんて馬鹿な疑問を抱く糞虫だしな 答えは簡単、人より弱いからだよ。ほむまど共も自分達より弱いキュゥべえを捕食してる、つまり人間より弱いんだから何されても文句は言えないわな 白まどがカッコいいwww 白まどもリボほむもあんあんも糞だね そしてリボほむをとっととヤったこの作者も糞 ほむほむ共は虐殺される為に生まれて来たからね そんなことより気に食わないのはあんたんテメーだよ ほ虐されて当然 自分達だってキュゥべえ食ってんだろ こうしたコメを書いてくれる人がいると 今まで知らなかった傑作に出会える 無能な味方(りぼほむ)は有能な敵(人間)より厄介とはこういうことか、白まどのカッコ良さが引き立つ良作
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1764.html
※前作の設定を使っていますが、前作を読まないとわからないような設定は特にありません。 ※既出ネタの可能性があります。 ※スレで出たネタを使わせていただきました。 サラウンド この群れの全てのゆっくりが住む洞窟の一室で、ドスまりさは困り果てた。 越冬の食料が圧倒的に足りないのである。 山になった餌は、それでも長い冬を越えるには少なすぎるものだ。一ヶ月生き延びればいい方だろう。 そのドスはある日突然ごく普通のまりさがドスとなったもので、「ドスはゆっくりをゆっくりさせてくれるもの」というしきたり(?)にのっとり、群れのリーダーとなったのだが、なにぶん経験不足すぎた。 ドスになる前からの妻であるれいむ、参謀となった元リーダーのぱちゅりー、そしてまりさの子供のまりさやれいむがドスの経験不足を補ってはいたが、それでもまだ足りない。 「どす! またあかちゃんうんじゃったけどいいよね!」 「ゆゆっ!? またすっきりーしたの!? だめだよ、ふゆをこせなくなるよ!」 「でもあかちゃんはかわいいよ!」 「ゆっくちー」 「ゆっ、ゆっ」 「「「「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!!!」」」」 「ゆぅぅ……でも……」 「どす! えさがもうないんだぜ! もっとほしいんだぜ!」 「ゆゆっ!? あれはいっしゅうかんぶんのえさだよ! どうしてみっかもたってないのにぜんぶたべちゃうの!?」 「だってたりないんだぜ! まりさのれいむはにんっしんっしてるんだぜ! あんなえさじゃぜんぜんたりないんだぜ!」 「だからおおめにえさをわけたのに……ゆぅ……」 とまぁ、こんな風に、群れの事情を省みずにすっきりーする夫婦がいたり、配給制となってる餌の配分を考えずに満腹になるまで食い散らかすゆっくりがいたりで、食料はどんどん無くなっていく。 どれもこれも、ドスの優柔不断さが原因ともいえるが、ドスや妻のれいむ、ぱちゅりーはゆっくりのポジティブ精神で乗り切っていた。 「しかたないよね! あかちゃんはかわいいもんね!」 「むきゅ、にんっしんっしてるならしかたないわ!」 「なんとかなるよおかーさん!」 「ゆっ! そうだよね! きっとゆっくりできるよ!」 本人たちは乗り切ったつもりでいるが、単なる現実逃避である。 遂に冬が来た。逃げ続けていた現実がやってきた。 そのドスの群れの食料は、冬であるにも関わらず、尽きかけていた。 「どぼじでだべものがないのおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 ドスの太く低い声が洞窟内に響き渡る。 後先考えずにどんどん餌を渡していった結果がこれである。ドスは絶望のあまり気絶した。他のゆっくりはドスの放った莫大な音量で既に気絶している。 やがて全員が気絶から覚めると、一斉にドスを非難し始めた。 「なんてむのうなどすなのかしら!」 「やくたたずのどすはゆっくりしないでね!」 「おなかすいたよ! ゆっくりできない!」 「わからないよー!」 「ちーんぽ!」 「はやくどすはかわいいあかちゃんたちにたくさんたべものをよういしてね!」 「やくたたずのどすはきらいだよ!」 「やくぶそくのどすはいらないよ!」 役不足は褒め言葉だが、そんなことゆっくりにわかるわけがない。 そもそも越冬に必要な餌の残量を気にせず食い潰していったのが問題なのだが、ドスを非難するゆっくりたちはドスが原因だと信じて疑わなかった。 ドスとはゆっくりを例外なくゆっくりさせる存在。ゆっくりできないのはドスが無能だから。 ゆっくりのポジティブ精神は時に、自分に責任が来るとその責任を他の、たとえば群れのリーダーに転嫁させることがよくある。 そして責任を押し付けられたドスは、自分の責任を誰に移せるか探した。だが、そんな相手などいるはずがない。 れいむは無能な自分を支えてくれた。責任? あるわけがない。 ぱちゅりーは無能な自分以上に働いてくれている。責任? あるわけがない。 子供たちは。責任? そんなもの絶対にあるわけがない。可愛い子供に責任なんてない。 じゃあ責任は誰にある? 自分しかいない。 このドスがゲスゆっくりならば、責任をぱちゅりーなりれいむなりに押し付けただろう。だが、いかんせんこのまりさは小心者であった。 小心者故にすっきりーを制限させられない。生まれた子を間引きなんてできるわけがない。 小心者故に餌をよこせと言われたら差し出してしまう。自分がリーダーとして群れの全てのゆっくりをゆっくりさせなければならないから。 小心者故に責任転嫁が出来ない。苦し紛れの現実逃避もかなわない。 「ごべんね゛ぇぇぇぇぇ! む゛の゛う゛な゛どずでごべんね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 ドスは泣いた。泣いて謝罪した。 しかしそんなことで群れの自分本位な要求を満たすことなどできはしない。 ようするに、この群れは何もかもだめだったのだ。 ドスに経験が無かった。さらに優柔不断で小心者だった。 ぱちゅりーもれいむもドスの子も、ドスの足りないところを補うだけで、ドス自身に経験を積ませなかった。 群れのゆっくりも、ドスが全てなんとかしてくれると思い込んで、好き勝手し放題した。 誰が見ても、この群れがすぐに全滅するのは目に見えていた。むしろ全滅しないほうが奇跡である。 当然そんな奇跡は起きなかったが、この群れの全滅の仕方は、少々特殊であった。 「どうも、清く正しいきめぇ丸です」 突然、洞窟に響く不快な声。ドスは青ざめた。群れのゆっくりも青ざめた。 『『『 き め ぇ ま る だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 』』』 「おお、うるさいうるさい」 洞窟を影が横切る。気がつくと、ドスの帽子の上に一匹の胴付ききめぇ丸がいた。 うるさそうに首をぶんぶんと振るきめぇ丸に、群れに戦慄が走る。 ゆっくりでありながらゆっくりすることを何よりも嫌い、ゆっくりをゆっくりさせないことを好むきめぇ丸(もしくはうぜぇ丸)は、時には捕食種以上に恐れられる。 ゆっくりとしては例外扱いされるほど高い知能、人間でも驚くほどの素早さ、捕食種をほとんど相手にしない力に、本当にゆっくりの一種なのかという疑問の声もよく上がる。 ドスは確信した。自分の群れはこのきめぇ丸によって全滅させられる。 「どうも、清く正しくうざい顔に定評のあるうぜぇ丸です」 なんかもう一匹来た。 群れの全員が、開いた口を閉じられなくなった。 「どうも、清く正しくうざくきもい顔に定評のあるきめぇ丸です」 さらにもう一匹。気絶するゆっくりが出始めた。 「どうも、清く正しくうざくきもくゆっくりできないことに定評のあるうぜぇ丸です」 まだまだ来る。ドスは真っ白になった。 「どうも、清く正しく副音声な右きめぇ丸です」 「どうも、清く正しくステレオな左きめぇ丸です」 今度は二匹。 「どうも」 「清く」 「正しい」 「射命丸様にお仕えする」 「妖怪の山の」 「「「「「うぜぇ丸ファイブです」」」」」 五匹がポーズを決めながら。 「左前です」 「右前です」 「真中です」 「低音です」 「左後ろです」「右後ろです」 「「「「「「5.1サラウンドのきめぇ丸です」」」」」」 六匹が円陣を組みながら。 「どうも」 「清く」 「正しく」 「うざい顔に定評があり」 「きもい顔にも定評がありつつも」 「くどいことに定評があるような」 「それでいてきれいな顔にも定評のある気がしつつ」 「やっぱりうざくきもい」 「うぜぇ丸ナインです」 「補欠のうぜぇ丸です」 ⑨匹+1で飛んできたり。 「野次馬のきめぇ丸です」 「火事場のうぜぇ丸です」 「通りすがりのきめぇ丸です」 「子持ちのうぜぇ丸です」 「役場のきめぇ丸です」 「きめぇ丸なのかうぜぇ丸なのか正直わからないうぜぇ丸です」 「ついでにきめぇ丸です」 「おかわりでうぜぇ丸です」 「トドメにきめぇ丸です」 全部で35匹もの胴なし胴付き関係なしのきめぇ丸の大群が、洞窟の天井を埋め尽くしていた。 なんだこれ? どうなってる? なんでこんなに? ドスの理解の範疇を超えた大群に、群れのほとんどのゆっくりが気絶していた。子供の中には餡子を吐いてしまっているものもいる。 一番最初に来たきめぇ丸が口を開く。 「無能なドスがいると聞いて」 すると、次々に他のきめぇ丸も口を開いた。 「人里の近くにドスが出現したと聞いて」 「野次馬で」 「加工所でゆっくりが必要になったので」 「「人里の近くにドスが出現したと聞いて」」 「「「「「人里の近くにドスが出現したと聞いて」」」」」 「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」 「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」 「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」 「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」 「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」 「野次馬で」 「野次馬のつきそいで」 「たまたま通りすがったので」 「子供の玩具用に一匹必要なので」 「人里の近くにドスが出現したと聞いて」 「きめぇ丸なのかうぜぇ丸なのかわからなくて」 「ついでで」 「おかわりで」 「トドメで」 『『おお、うざいうざい』』 ……どうやらきめぇ丸がここに来た理由をそれぞれ語ったらしい。だが、群れのゆっくりはそんな理由などもはや聞いてなかった。 ドス含め全員気絶していた。 無理も無いだろう。たとえ人間でも部屋の中におびただしい数のきめぇ丸がいたら気が遠くなる。心の弱いゆっくりなら精神崩壊してもおかしくない。 気絶した群れを眺める一匹のきめぇ丸が、他のきめぇ丸たちに聞く。 「どうしましょう?」 別のきめぇ丸が返した。 「起こしましょう」 全てのきめぇ丸が頷いた。 次の瞬間、きめぇ丸たちの顔が、一般種ゆっくりのそれになる。 「おお、ゆっくりゆっくり」 そして全員、息を吸い込んで──── 『『ゆっくりしていってね!!!』』 『『『ゆっくりしていってね!!!』』』 哀しきゆっくりのサガ。その言葉を聞けば、ゆっくりはどんな状態であろうとその言葉を返さざるを得なくなる。 洞窟に反響した声は、群れの全てのゆっくりに届き、例外なく強制的に気絶から覚めさせた。 目覚めたドスたちが見たものは、群れを囲むように飛び回る、ふてぶてしくもうざったらしい顔の、 『『『 き め ぇ ま る だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 』』』 ドスの群れは不幸なことに、そして奇妙なことに、きめぇ丸によって全滅させられることになった。 その一部始終を、科白のみでお送りしよう。 「き・めぇ・丸! う・ぜぇ・丸!」 「やべでぇぇぇぇぇぇぇ!」 「おお、ゆっくりゆっくり(笑)」 「がお゛を゛ぶん゛ぶん゛じな゛い゛でぇぇぇぇぇぇ!」 「おお、はやいはやい」 「ゆ゛っぐり゛じでよ゛ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「か・こう・じょう! か・こう・じょう!」 「がごうじょうい゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「副音声です」 「ステレオです」 『おお、ダブルでうざいうざい』 「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ぎぼぢわ゛る゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃ!」 「赤はリーダーの証。きめぇ丸レッド!」 「おお、さむいいろさむいいろ。きめぇ丸ブルー!」 「真夜中では保護色になります。きめぇ丸ブラック!」 「一番年上です。きめぇ丸シルバー!」 「もう一人います。きめぇ丸レッド!」 「「「「「五人そろって、きめぇ丸ファイブ!!!」」」」」 「どぼじでれっどがふたりいるのぉぉぉぉぉぉ!?」 「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある右前方うぜぇ丸です」「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある左前方うぜぇ丸です」 「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある正面うぜぇ丸です」 「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある低音うぜぇ丸です」 「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある右後方うぜぇ丸です」「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある左後方うぜぇ丸です」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「むぎゅ……」 「う゛るざい゛ぃぃぃぃぃぃ……」 「一番です。おお、きもいきもい」 「二番です。おお、きもいきもい」 「三番です。おお、きもいきもい」 「四番です。おお、きもいきもい」 「五番です。おお、きもいきもい」 「六番です。おお、きもいきもい」 「七番です。おお、きもいきもい」 「八番です。おお、きもいきもい」 「⑨番です。おお、きもいきもい」 「補欠です。おお、うざいうざい」 「ゆべべべべべべべ……」 一度気絶した群れをわざわざ目覚めさせて、あらためて直接気絶させるきめぇ丸たち。 ドスは、その惨状をただ眺めるしかなかった。 ゆっくりを例外なく強制的にゆっくりさせるゆっくりオーラも、ドス特有の攻撃技ドスパークも、ドスになったばかりのこのドスまりさには使えない。 「あ゛……あ゛あ゛……」 呆然とするドスの目の前に、一匹の胴なしきめぇ丸が飛んでくる。 「残念でしたね。ふふ、おお無念無念」 首を横に振りながら嘲笑うきめぇ丸に、ドスは叫んだ。 「どぼじでごんな゛ごどずるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 「あなたが無能でしたので」 さらりと返すきめぇ丸。 「ちゃんと群れの管理が行き届いている賢いリーダーは、われわれを見てもあまりうろたえません。 しかし、あなたのように無能なリーダーならば、この通り簡単に群れを崩壊させられますので。おお、無能無能」 愕然とするドス。 自分が無能だったから食料がなくなってしまったのはわかる。だが、無能であることときめぇ丸によってゆっくりできないことがどう繋がるというのだ。 ドスは理解できなかった。なぜ? どうして? その答えは出るはずも無い。 「おお、無能無能」「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 やがて一匹、また一匹と、無能コールが増えていく。 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「ゆ゛ぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛ら゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 群れのゆっくりの半数は発狂した。発狂したゆっくりの中にはドスの姿もあった。 大半のゆっくりは加工所の職員によって連れて行かれて処分され、残りのゆっくりはきめぇ丸たちによって巣に運ばれていった。 ふと一匹のきめぇ丸が空を見上げると、白い粒子がゆっくりと降り注いでいた。 あとがきかもしれない 流石うぜぇ丸ッ!私たちにできないサラウンドを平然とやってのけるッ! // ヽ, ,.└ "´ ̄ ̄ `ヽ、 ,. ´ 、、 ヽ ヽ ノ , lヽ j /、lヽ ト、_,,. , r ´ r "イ .ノ\| .レ r=;ァ レ { } おお、うざいうざい { !、 l rr=- / ` l. ‐ .、 レヽ.,ト ー=‐ / l 、,,_,,ノ ,,r ゙i\ ,} , /ヘ, /レ ,/ ‐、  ̄ ̄ ̄`゛ ┘., 7 ´レ1 ヽ 人ル レ ,r i、_ノ 、 ,. ` 、 レ~i ノ ノ , .,,_、イ ,r l、\ j ,r l , !、 , ヘー‐- 、 l | | { } レ rr=r レ. |/(,. ト゛ 、` 、 -‐ノ .ヘー‐-ィ ヽ ||、. ‐ .l ` ゙i -=;ァ l ,.! } "//ヽー、 ノヽ∧ / |(,,,_,,、 l ゙i ‐=ー レ.,r レ //^\ ヾ-、 | ハ / ノ |.\, J゙i ,ベi , {, } ,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)ノ l ーー<. / |. ヽヽ人 ,r 「レ`ー- ..._ / ^_,.イ `r‐ ゙ ヽ \ `丶、 |、 \\゛ ) _ ,. ,r `i~レ/ `ヽ \___,/| ! l、 \ \| \ \ヽ / ノ ↑のAAがなんか素敵だった。 大量のきめぇ丸は書いてて楽しかった。 反省はしている。 後悔はしていない。 相変わらず中途半端です。ごめんなさい。 以上、EGSでした。 過去に投稿したもの 実力の無い話 つよいよわいつよいよわい 独善的シーソーゲーム 愛なき世界 長屋緩慢饅頭百景 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/seven_thousandwars/pages/21.html
魔獣 +目次 魔獣ガルム ゲルマ エルミ わんわんお! ガルムはHPは多少多いが攻撃力はそれほど高くないため、ムインの次に戦いやすい? ガルム 団名 Lv HP 攻撃力 防御力 参加可能人数 制限時間 貢献度 資源(最大) アイテム 備考 ガルム 1 2500 120 110 5 01 30 00 1 木25石40鉄70 ガルムの狂った頭蓋ガルムの旋風爪ガルムの尻尾ガルムの剛毛獣の皮獣の爪 複数攻撃発動条件:HP半分以下 2 3000 144 110 3 3500 168 110 強牙のガルム 強牙の群れ 1 370000 260 180 100 10 00 00 200 木材600石材600鉄材600 真・猟師の弓女神の小果実ガルムの狂った頭蓋ガルムの旋風爪ガルムの尻尾移動力ポーション(小)ボロい包帯 瞬牙のガルム 瞬牙の群れ 1 370000 260 180 明牙のガルム 明牙の群れ 1 420000 312 180 突牙のガルム 突牙の群れ 2 480000 372 150 木材800石材鉄材 ゲルマ 団名 Lv HP 攻撃力 防御力 参加可能人数 制限時間 貢献度 資源(最大) アイテム 備考 ゲルマ 1 40000 330 180 10 05 00 00 12 木60石60鉄190 ゲルマの燃えさかるたてがみゲルマの旋風爪ゲルマの尻尾ゲルマの剛毛獣の皮獣の爪 複数攻撃/攻撃強化発動条件:HP半分以下 2 48000 396 180 3 56000 462 180 4 64000 526 180 俊足のゲルマ 俊足の群れ 1 450000 370 190 100 10 00 00 - 木材石材鉄材 真・黒猫の杖女神の小果実ゲルマの燃えさかるたてがみゲルマの旋風爪移動力ポーション(小)ボロい包帯 血吸のゲルマ 血吸の群れ 2 540000 468 190 八つ裂きのゲルマ 八つ裂きの群れ 2 540000 480 190 赤たてがみのゲルマ 赤たてがみの群れ 3 630000 580 190 木材1300石材鉄材1300 エルミ 団名 Lv HP 攻撃力 防御力 参加可能人数 制限時間 貢献度 資源(最大) アイテム 備考 エルミ 1 100000 540 240 10 12 00 00 60 木材270石材270鉄材340 エルミの長老髭エルミの旋風爪エルミの尻尾エルミの縞模様皮エルミの剛毛獣の皮獣の爪 複数攻撃/攻撃強化発動条件:HP半分以下 2 120000 648 240 3 140000 756 240 4 160000 864 240 好奇心旺盛なエルミ エルミ偵察隊 1 750000 1140 280 100 12 00 00 - 木材400石材400鉄材400 真・キクイチモンジ女神の果実エルミの長老髭エルミの旋風爪エルミの尻尾エルミの縞模様皮移動力ポーション(中)包帯 エルミの村長 エルミ守備隊 1 950000 2400 290 20 00 00 - 木材石材鉄材 真・早駆け靴女神の果実エルミの長老髭エルミの旋風爪エルミの尻尾エルミの縞模様皮移動力ポーション(中)良い包帯 エルミの老中 エルミ護衛隊 2 1200000 2880 300 エルミの大老 エルミ親衛隊 3 1400000 3360 300 エルミの長老 エルミ近衛隊 5 1800000 4320 300 コメント やぁやぁ! 編集したいけどwikiの編集がわからない…なんてことはないかい!実はおいらもなんだ。 そういう時はここに書き込んだら、えろい人・・・?がかわりにやってくれるかもしれないらしいぞ! -- バルディバル (2011-10-23 14 09 24) ゲルマの燃えさかるたてがみ、確認済み -- 拳王 (2012-01-18 15 36 13) ヴィム ウルクロルサ 赤たてがみのゲルマ LV 3 HP 630000 ATK 588 DEF 190 制限時間 10 00 00 人数上限 100 特徴 複数攻撃/攻撃力強化 -- 名無しさん (2012-02-04 09 26 54) ヴィム ウルクロルサ 俊足のゲルマ LV 1 HP 450000 ATK 370 DEF 190 制限時間 10 00 00 人数上限 100 特徴 複数攻撃/攻撃力強化 -- 名無しさん (2012-02-04 09 31 32) ヴィム クガイの隠れ里 血吸のゲルマ LV 2 HP 540000 ATK 468 DEF 190 制限時間 8 00 00 人数上限 100 特徴 複数攻撃/攻撃力強化 -- ぽちょむきん (2012-02-05 14 13 40) ↑制限時間10 00 00でした -- ぽちょむきん (2012-02-05 14 16 15) 八つ裂きのゲルマ LV 2 HP 540000 ATK 480 DEF 190 制限時間 10 00 00 人数上限 100 特徴 複数攻撃/攻撃強化 -- ぽちょむきん (2012-02-05 14 38 21) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3590.html
『野性のゆっくりとゆっくりしてみた2』 6KB パロディ 小ネタ 群れ ドスまりさ 誰かに似ている?だから気のせいだってば! 「ゆっくりしていってね!どすはどすだよ!」 「……ああ。ゆっくりしていってね……!」 俺は年がら年中、気の向くままに放浪している。 今年で五十になる老いぼれだが俺には家族も財産もなにもねえ。 いつも軽装で手にしているのはわずかな金と身の回りのもの……それと自分自身。 ククク……それで充分だ。俺には上等なほどの所持品……! 俺は放浪の途中、とある山中にてゆっくりの群れどもと出会った。 まあたまには饅頭どもと戯れるのも悪くはないだろう…… 俺はそう思ってその群れで少しの間、ゆっくりさせてもらうことにした。 「ここはどすがおさをしているむれだよ!にんげんさんはゆっくりできるひと?」 「ククク……どうだろうな?まあ……麓の店で何の気なしに買ったクッキーぐらいならある。ほらみんなで食いな」 「ゆわーい!にんげんさんがあまあまをくれたよ!」 「にんげんさんありがとう!」 「ゆっくりみんなでわけるよ!みんなでびょうっどうにわけるよ!」 「おちびちゃんたちにはすこしおおめにあげましょうね!」 「おちびちゃんはむれのたからものだしね!」 「ゆーん♪まりちゃ、いっぴゃいあみゃあみゃをたべちぇおおきくなるのじぇ!」 「ゆー♪ゆっくりあまあまさんをたくさんたべてね!」 ふーん……なかなか善良な群れじゃねえか。 俺は群れのゆっくりどもに歓待されて、今夜は連中が住んでいるという廃坑に野宿することにした。 そしてその夜……俺は長のドスまりさとやらと月を見ながら飲み交わすことにした。 飲むといってもドスが飲むのは飴玉を溶かしただけの、ただの水だが…… 俺は飲みながらドスから色々な話を聞いた。 ある日いきなりドス化したこと…推戴されて群れの長になったこと……群れの食料調達……捕食種の退治…… 巣の拡張……群れのゆっくり達から受ける様々な相談や問題……その解決に奔走したこと…… 人間と協定を結んだり……協定を守らないで畑にいこうとするゲスを制裁したり……まあ様々だが。 とにかくドスの治世は大成功だよ!きっとこれからも成功していくよ!という内容のものだった。 やがてドスは飲みながら気分が良くなってきたのか、普段我慢していた人間批判を始めた。 「ごーくごーく……ゆふー!それにしてもにんげんさんはかわいそうないきものだね! ゆっくりにうまれればもっとゆっくりとしたゆんせいをおくれるのに! にんげんにうまれたからほんとうにゆっくりしてないね!かわいそうだよ!」 「ククク……ところが…そうかわいそうって訳でもねぇ。上から下を見下ろすように そうあっさりと決めつけられちゃちょっと不愉快だ……俺からすりゃあ……ドス。お前の方がかわいそうだ」 「……ゆっ?か、かわいそう?どすが……?」 「そうさ」 「ど、どぼじてっ!?」 「簡単だ。ドスも気付いてるはずだ薄々は……お前は今ろくにゆっくりしていない……! ドスは今ろくにゆっくり生きていねぇ……!苦しむぜそれじゃあ……死の淵…死の際で……!」 「な、なにいっでるのっ?に、にんげんさんがなにをいいたいのかどすにはまるでわからないよ!」 「……積みすぎたってことさ」 「つ、つむ…?」 「お前は成功を積みすぎたってことさ……!フフ……」 「ゆ、ゆぁ~~~ん?なにをいいだすの!わ、わるいっていうの?どすがせいこうすることが!? どすにしっぱいしてろっていいたいのぉぉぉ!?」 「そうは言わねぇ。勝つこと……成功は必要だ。なにしろ死んじまうんだ勝っていかねえとな…… だから成功は目指さざるをえない。ただ……『成功』って奴はなかなか曲者でよ。一筋縄じゃいかない代物……」 「ゆぅ……!?」 「最初は必要な意味ある『成功』だったはずだ。勝ってゆっくりすることによって、ゆっくりの命は輝き 光を放つ……そういうゆっくりの輝きと成功は……最初は繋がっていた。だがどういうわけか…… 成功を積み上げていくとある段階からスッと性質が変わる」 「……」 「いつの間にか『成功』そのものが……ドスを乗っ取りにかかってくる。 成功を積みすぎると群れのゆっくり達が成功し続けるゆん生を要求してくるのさドスに……! 本当は……あえて失敗する……もしくは焦らずにゆっくりする…… そんな選択肢だってドスにはあったはずなのに……積み上げた成功が群れがそれを許さない……!」 「ゆ、ゆぅぅぅ!?そ、そ、それは……!」 「ドス……正直に言ってみ?お前いま窮々としているだろ……?」 「ゆぐっ……!ゆぅぅぅぅっ……!」 「ククク…どんなに権力やゆっくりプレイスを手に入れても実は窮々としている。 成功って奴はドスを自由にしないのさ。ハダカを許さない……装うことを要求してくる。 つまり大物らしく振舞うことを要求してくる……!となりゃあ……いちいちメソメソしてられねえよな?」 「ゆ、ゆええええええ……!に、にんげんさぁぁぁん!ど、どすは……どすはほんとうはねぇぇぇぇっ!」 「わかるさ……ましてやお前はこの辺一帯の巨大な群れの長、さぞや窮屈だろうぜ。悲しい時に泣けず…… おかしくても笑えず……怒りが込み上げてきても安々と爆発なんかできねえ。 我慢しているはずだ相当……!そんなストレスの固まりのような日々をお前は営々とこなしているんだよな?」 「ゆうぅぅぅっ!ゆえええええええんっ!!」 「なんだそれ……?まるで分からねぇ……!ありのままの自分がどこにもねぇじゃねぇか? ゆっくりプレイスや家来をいくらもっていようと……俺は毛ほども羨ましくなんかねえ。みすぼらしいゆん生だ……」 それでゆっくりしていると言えるのかいドス……? 棺さ……ドスは「成功」という名の棺の中にいる……動けない。もう満足にドスは動けない……! 死に体みたいなゆん生さ……! 「……そうだよ。どすはかんじょうをおしころしているよ!やることはふゆさんまじかのえっとうっ!までびっしりあるよ! どすはそのおしごとをえいえいとこなすかかりさん!ゆっくりできないよ……! どすだってゆっくりしたいよ……!そうだよ!あのおじいさんのようにどすもじゆうにいきればいいんだよ! つみあげた「せいっこうっ」をくずせばいいんだよ!さっそくきままにゆっくりするよっ!」 「やべてどすぅぅぅ!びちくしていたごはんさんをたべないでぇぇぇぇっ!!」 「どすー!はやくすをかくちょうしてよー!でないとむれのみんながはいこうさんにすめないんだよー!?」 「どすがかりにいかないと、もうごはんさんがないわぁぁぁっ!!」 「れみりゃがでてむれにひがいがでたよ!どすはゆっくりしてないでたいじしでね!?」 「むきゅぅぅぅ!むれのゆっくりがにんげんさんのはたけにいっちゃったわぁぁぁっ!」 「つれもどしにいくんだぜどす!はやくするんだぜっ!?」 「みょぉぉぉん!にんげんさんがむれをくじょしにきたみょぉぉぉぉんっ!?」 「なんでどずはゆっくりばかりして、むれのためにはだらいでぐれないのおおおおおおっ!?」 「どすはゆっくりしているよ!これがしんっいきっのおとこのゆっくりなんだよ!すごいゆっくりなんだよ! わかったらくぞにんげんはとっととあまあまをどすに……ゆげべえっ!!?」 あらら……ドスがドゲスになっちまったか。 まあいいさ。どうなろうとそいつのゆん生はそいつのものだからな。 ドスもさぞ最後のあたりはゆっくりできただろうぜ……なにせ自由気ままにゆっくりできただろうしなあ。 ただドスよ……自由になるのはいいがそれは……群れを出てひとりでやらなきゃな? そうでないと迷惑かかるぜ周囲に……!だから俺はいつも1人さ……ククク……! さーて……なんか久しぶりに麻雀打ちたくなってきたな。麓の町へ降りて雀荘にでもいくか……!