約 40,749 件
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/40424.html
魂の絆 アプル&オソニス C 光/自然文明 (3) クリーチャー:エンジェル・コマンド/グランセクト/レクスターズ 6000 ■ガードマン ■相手の多色カードを使うコストを2多くする。 ■レクスターズを召喚するコストは1少なくなる。 作者:餅キング フレーバーテキスト 無夢がB0-1-5h4-ckと対峙しているとき、クリーチャー達は幾つものB0-1-5h4-ckの群れと遭遇していた。1体だけでも次元・時空を容易く滅ぼすB0-1-5h4-ck。それが群れとなって襲ってくる絶望に、クリーチャー達は恐怖していたが、《A-v-a-l-o-n》が目覚め、一瞬にしてB0-1-5h4-ckの群れを1体を残し消し飛ばした。残っていた1体のB0-1-5h4-ckとも、死闘の末、無夢が王を倒したのと同じ時に撃破した。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jurassicw/pages/71.html
ステゴサウルス 群れで行動するのが大好きな恐竜です。 最低でも5匹一緒にいないと機嫌が悪くなります。 心地よさの閾値 55% 必要な草原の広さ ㎡ 13700 ㎡ 必要な森林の広さ ㎡ 11100 ㎡ 理想的な仲間の数 5~9 理想的な個体の数 5~15 ギガントスピノサウルス 肩に巨大な骨を持つ草食恐竜です。 群れで暮らす恐竜なので、4匹一緒にいないと不満を持ちます。 心地よさの閾値 55% 必要な草原の広さ ㎡ 10300 ㎡ 必要な森林の広さ ㎡ 9200 ㎡ 理想的な仲間の数 4~10 理想的な個体の数 4~16 ケントロサウルス 鋭いトゲがたくさん生えている草食恐竜です。 ステゴサウルスと同じように、群れでいるのを好みます。 心地よさの閾値 55% 必要な草原の広さ㎡ 13100㎡ 必要な森林の広さ㎡ 10800㎡ 理想的な仲間の数 3~11 理想的な個体の数 3~17
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2466.html
前 書きたかった事 とりあえず話を完結 大きめのゆっくりって猫より強いかもね 阿求の優しい暴行 サクちゃんは黒猫だったから新月の朔から命名されたよ ちぇえええええん(*´∀`) ちょっとくらい突然変異が特殊スキル持っててもいいじゃない いまさらだけど注意 前作ちぇんと猫.txt(fuku3438.txt) オリキャラの猫が出てきます(といっても名前があるってだけですが) 猫が賢いよ 阿求が出てきます 夏も終わりを告げうろこ雲が空を覆う頃黒猫と三匹は集落近くの森に頻繁に出入りしていた。 突然変異の三匹達も阿求の手厚い世話のおかげかすっかり成体サイズになり、 サクに引けを取らない程の跳躍や走りをみせていた。 帽子もなく風貌も他のゆっくりちぇんと異なる、その上猫の速さで跳ねていく三匹に 他のゆっくり達は「ゆっ!」と反応できるだけでゆっくりできてないとゆっくり文句を 言う事は叶わなかった。 猫ちぇん達は自分の母親の最期の場所に何度も訪れた。 見上げれば周りの木々の枝は不自然に折れているし、焦げ跡もある。 この場所の近くにはゆっくり達がまったくいないからとても落ち着けた。 ここに来ては兄弟やサクと遊んだり、クヌギに集まる虫を食べたりしてゆっくりした。 そして帰る時間になるギリギリまで空を見上げながら三匹で語り合うのだ。 サクは多くは語らないがサクから授乳された猫ちぇん達は彼女の記憶も受け継いでいた。 はっきりした記憶ではない。きっと彼女が生まれたばかりだからだ。 ゆっくりの群れに囲まれたサクの兄弟や母親は絶体絶命の状況だった。 睨み合いの均衡を破ったのはサクの母親で、一番前にいたゆっくりまりさに飛びかかっていく。 そこまでの記憶しかわからない。でもはっきりとした記憶だった。 「きっとちぇんたちとおなじなんだねーわかるよー」全身真っ黒の猫ちぇんは空に呟く。 二月くらいの間に兄弟達にくらべて随分毛が伸びて、邪魔にならないように阿求に結ってもらっている。 「ままはきっとさがしてるんだにゃー」「ちぇんたちもかたきをさがすにゃー」 皆同じ気持ちでいた。育ての親の、そして自分の親の二匹の敵ゆっくりを探し出す。 無論見つければこの手で殺めることも覚悟し、その気持ちを深めていった。 そして『帰ルヨー』とサクが三匹を呼ぶ声に飛び起きるまで遊んで、四匹はいつも仲良く帰宅するのだ。 夜は猫達の時間だ。 稗田家の庭では頻繁に猫の集会が開かれる。この集まりに猫ちぇん達もよく参加する。 いつもは家族の話や季節の話、面白い出来事の報告に終始する会合も、 秋めいてきた日の晩は参加者の間に張りつめた空気が支配していた。 議題はずばりゆっくりの群れの集落への接近とそれらの撃退についてであった。 ゆっくりたちは普段一家族や小さな群れで生活していて、その場合何の害もない。 しかし巨大な群れになればなるほど人間だけでなく、そのほかの動物にも多大な影響を及ぼすのだ。 無論稗田家の猫達も例外でない。大きい群れのゆっくり達は態度を増長させ攻撃をしかけてくるからだ。 人間にはダメージの無い体当たりでも猫には充分被害がでる。 あちこちで好き勝手に話し合っているところに一匹の猫の声が響く。 『ヒトマズコノ子ト偵察ヲスルヨ』とサクが猫目ちぇんと前へ出る。 新月が近い夜には森は闇に包まれる。すると黒猫のサクと暗闇でも目が利く猫目ちぇんは活躍できるわけだ。 『他ノ者達ハ己ノ身ヲ守ル方法ト、奴ラノ撃退方法ニツイテ話シ合オウ』 猫のリーダーの元で残った猫とちぇん達の会議が再開された。 夜が明ければまた穏やかな朝がやってくる。 昼には縁側で数匹の猫と一緒にちぇん達もゆっくり日向ぼっこしている。 ここは主人の天国だ。猫一匹一匹を撫でては体に顔をうずめる。 猫の毛の柔らかさ、なめらかさ、そして暖かさは阿求をヘブン状態にさせる。 並んでいる順番通りにきて次は猫ちぇん達の番だ。 猫達の睡眠を邪魔するのは気が引けるがちぇん達は別だ、一応ゆっくりだから。 ちぇんを持ち上げて正座した太ももの上に乗せて撫でる。この重さがたまらない。 「ごろごろごろごろにゃー」 「喉が無いからって発音するのはどうなのかしらね」とつっこむんでみるものの 「しあわせなんだにゃー。ごしゅじんもしあわせなんだね、わかるにゃー」 とあっさり流される。垂れ耳ちぇんはおっとりした子だ。一番猫っぽいのかもしれない。 尻尾の根本から先まで絞るようにすると、ぞわぞわと髪の毛が逆立つのがかわいい。 そっと髪を撫でているうちちぇんは「ゆっ…ゆっ…」と寝息を立てはじめる。 普段は見せないゆっくりらしい台詞や行動は無意識に自分が抑制させているのかと思うと阿求は申し訳なく思う。 これもそれも全ては悪いゆっくり達のせいだ。 やはり悪い素性に進化したゆっくりは滅ぼさなくてはならない。 知らず知らずのうちに出していた殺気に驚いてちぇんが目覚める。 「ごしゅじんなんでおこってるのー。わからないにゃー」 「ごめんね、あなた達のせいじゃないのにね」 頭にハテナマークを浮かべているちぇんを膝から降ろし、ゆっくりしてねと言い縁側から立ち去った。 それから数週間経ったとても静かな晩の事、 「今晩決行します」『今晩対決スルゾ』 人間側、猫側が別々の場所でしかし同時にゆっくりへの攻撃を開始する事を宣言する。 猫側は昼間は草陰からゆっくりの会話を盗み聞き、夜は不自然な群れの発見を急いだ。 そして昨晩ついに決定的なものを発見した。ドスまりさだ。 村に近づきつつあるゆっくりの群れ、中規模の群れの消滅、小規模の群れの恐れ……。 今それらがすべて繋がったためだ。 これらの事象の中心にいたのは一匹のドスまりさだった。 村から離れた場所に存在したゆっくりの中規模の群れはどすまりさ率いる群れに襲われたようだった。 毎回夜に襲撃することでゆっくり達の巣に集中すれば、 一匹たりとも逃がすことなくその群れを壊滅でき餌も大量に確保できた。 逃がさなければ他の群れに知られる事はなく、次々と近くの群れも陥落させることができた。 それがこのドスまりさのやり方だった。そしてどうやらこのドスまりさが猫ちぇんの親を殺した当事者であるようだった。 これ以上の凶行を止めなければならない。 今やドスまりさは襲うべきゆっくりの群れはなしと判断し、この集落に近づいてきているようなのだ。 『……トココマデガ今回ノ作戦内容ダ。最モ危険ナ役目ヲチェン達ニ負ワセルノハ 心苦シイガ』と猫達のリーダーが猫ちぇん達に頭を下げる。 昨晩探索に行ったサクと猫目ちぇんはドスまりさの居場所を突き詰めた。 しかしドスまりさを可視することができたのはドスの能力によりちぇんだけだったのだ。「わかるよー。ちぇんたちでおかあさんのかたきをうつよー」もはやちぇん達に迷いはなかった。 『調査ノ段階カラ協力シテモラッテイタカラ済マナイト思ッテイル。ソノ分我々モ最大限ノサポートヲ約束シヨウ』 猫ちぇん達は頷いて、鼻と鼻、頬と頬を擦り合わせて誓いの印とした。 ついに今夜、戦いの火蓋は切られた。 その頃村に向かうドスまりさを中心とした群れは高揚していた。 ドスまりさがこれまで味わった事のない質と量の食べ物をゆっくり達に約束したからだ。 ゆっくり達はもはや人間の集落は落ちたも同然だと確信していた。それはこのドスまりさの武勇伝からきていた。 ドスまりさの左目は縦に走る痛々しい三本の傷跡と共に失明している。 これは食物ピラミッド最上段の存在である熊との格闘で出来た物だと本人は語っていた。 人間よりも強い野生の熊を倒したとなるとゆっくりの餡子脳もドスまりさの凄さを納得し、 尊敬し、頼れば安泰の道があるとすっかり理解できた。 ドスまりさ達が群れ全体をゆったり包める森の広場に差し掛かったとき集団の動きが止まる。 「きゅうに止まってどうしたんだぜ」とドスまりさが先頭のゆっくりに問う。 「ゆっ!ゆっくりできてないちぇんがたちふさいでるの」 ドスまりさが群れの中央からよく見てみると三匹の帽子のない、しかも自分が嫌いなゆっくりちぇんがいることに気が付いた。 「どすまりささまにびびって動けなくなったのか。ともかくゆっくりできない奴は死ね」 そう言うが早いか先頭集団の子ゆっくり達がゆっくりちぇん達に襲いかかる。 黒髪ちぇんは今日の為に阿求にお願いしてもらった事がある。 髪の毛を結うときに笄のような小さい模造刀で結って欲しいと。 阿求の猫ちぇん達への思いからかあっさりと願いは叶えられた。 長さは人間の大人が手のひらを広げたくらい、切れ味は良くないが饅頭くらいなら切り捨てられる代物だ。 並ぶ三匹の左右にいた猫目ちぇんと垂れ耳ちぇんは黒髪ちぇんのかんざしから刀を抜き取り、 黒髪ちぇんは髪をほどいて尻尾で残った鞘を掴んだ。 「いっぴきものこさないにゃー」「かくごするんだよー」「わかったにゃー」 一番先頭にいたゆっくりまりさは功を急いていた。こいつらを倒せばドスに認めて貰えると。 近くにきて改めてちぇん達の風貌の異様さにたじろいだが後には引けない。 「ゆがぁぁああ、じねぇぇぇ」と向かって左にいた垂れ耳ちぇんに飛びかかった。 しかし飛びかかったのがまずかった。 垂れ耳ちぇんはまりさの下をくぐるように刀を振り落とし、まりさは縦に一刀両断され叫び声も上げぬまま絶命した。 刀と猫ちぇんの速さが相まって、今や模造刀は真剣の切れ味なのだ。 痛みの声が聞こえないものだから後続は恐怖もなくヘラヘラとした顔で体当たりしてきた。 突っ込んでくるゆっくり達に向かって刀をくわえたちぇん達が横回転をしながら跳ねる。 刀で真っ二つにし、尻尾で上半分をはたく。それは次から次へと流れ作業で繰り返された。 体を二つに分けられたゆっくりは「ゆ゛っ」「ぐげっ」など言葉にならない声を出すしかなかった。 そして先頭集団最後の一匹がようやく異変に気が付いた。 「どぼじでみんな゛うごがないの゛ぉぉぉ」状況が呑み込めず涙を流すほかない。 自分たちはゆっくりしているのに、自分たちは人間に勝てるのに、自分たちは正しいのに。 ゆっくりちぇんごときに何故この状態になっているのか分からずに泣くしかないのだ。 「わかるよー。それがぜつぼうだねー。いまらくにしてあげるよー」そういうと黒髪ちぇんは前転しながら二本の鞘を叩き付けた。 一瞬の出来事に群れ全体がざわついた。 自分たちの仲間がたくさん死んだ。しかし何故死んだのかは見えなかった。 あのゆっくりできてないちぇんがやったのか? わからない。 自分もあんなになるのか? それはいやだ。ゆっくりできなくなる。 不安や恐怖が群れを襲い集団は瓦解寸前だ。 「おまえらとくべつどすまりささまが相手になってやるぜ」 その一声で群れに活気が戻った。 そうだドスまりさがいる。あの強いドスまりさがいる。ドスまりさ来た!これでかつる! 烏合の衆だったゆっくり達がまた一気にちぇん達に殺気を向ける。 そして群れが左右に避けてドスまりさまでの道を作った。 三匹は他のゆっくりに警戒しながらドスまりさに近づく。ドスまりさの前まで来ると来た道が塞がっていくのがわかった。 「おまえら、死んだゆっくりのぶんまでここでゆっくりさせてやるぜ」 しかし三匹はドスまりさにまったく聞く耳を持ってなかった。それどころかわざわざ聞こえるように 「さくせんどおりにいくにゃー」「わかるよー」「どすはむしだにゃー」と言ってのけた。 こうなるとドスまりさの怒りが有頂天である。 「ゆ゛るさんんんんんん」と言いながら一気に三匹をつぶしにかかるという先程の発言の逆を行く行動を取り始める。 ドスまりさのタックルは並のゆっくりではちぇん種でさえ避ける事はできないだろう。 しかし三匹はいとも簡単に擦り抜け、さらに切り傷を入れていく。 「ゆっくりしてるにゃー」「ふとりすぎだにゃー」「ゆっくりしたけっかがこれだよ!」 「うがあぁぁぁああ」これまでこんなにも貶されたことのないドスまりさのプライドはずたずたに切り裂かれた。 こうなればあとは三匹が計画通りことを進めるだけだ。 ドスまりさを避けつつ周りを囲むゆっくり達の内周を斬りつけ叩きつぶすことが三匹の役割だ。 そしてあっという間にドスまりさの群れは地獄に落とされる。 「おがぁああざぁあん」 「ゆっぐりじだがったよ…」 「な゛に゛をずるのおおお!?」 「やめるんだぜ、まりさはわるくないんだぜ。わるいのはれいむだぜ」 「どほじでぞんだこどいうのぉぉぉおお」 「でいぶのおべべがあああああ」 「ぜんぜんどがいてぎじゃないぃぃぃぃ」 「い゛だい…い゛だい…」 「む゛ぎゅぅ……」 悲鳴と裏切りと混乱はあっという間に群れに拡がり、外周にいるゆっくり達が次第に森へと逃げていった。 森に逃げ切った群れのゆっくり達は一様に安心しきっていた。 「あんなところじゃゆっくりできなくなぐべっ」 「ここまでにげればだいじょうぶがっ」 しかしそこには別の地獄が待っていた。森の中には無数のハンターがいたのだ。 猫。猫。猫。 そうここは阿求の猫達の狩り場になっていた。 爪で引き裂かれ。牙で千切られ。脚で踏みつけられ。 森に入ったゆっくり達は無惨にも餡を吹き出しながら死んでいった。 今晩この広場周辺にはゆっくりできる場所など存在しないのだ。 そう時間もかけないうちにこの場所は黒い塊で埋め尽くされた。 半刻経った頃だろうか何度もタックルを避けられ、致命傷にならないものの 体に傷をつけられてドスまりさは疲労とともに冷静になり始めた。 このままではあんな下等な存在に敗北してしまう。 そう感じてかついに切り札のドスパークを使用した。 三匹に狙いを定めもせず自分の群れのゆっくりに当てぬよう中空に放った。 「「うおっまぶしっ!!」」 群れのゆっくりはそう叫び、猫ちぇん達も急に太陽が目の前に現れた状態に陥った。 ドスまりさの目的はそこにあった。つまり光線で焼きつくすことではなく光で目眩ましをさせることだ。 この方法で幾度も修羅場をくぐり抜けた。また相手が目が眩んでる間に押しつぶすこともできた。 これでようやく一匹を潰す事ができると目を瞑ってしまっている垂れ耳ちぇんに飛びかかった。 超重量とともに空から落ちてきたドスまりさにより森全体に振動と轟音が伝わる。 「ゆへへへへ、まずはいっぴきしんだぜ。どすまりささまにかかればこれくらいちょろいんだぜ」 目が血走った必死の形相で既に勝ち誇った様子でいる。しかしそれも一瞬のことだった。 「ねこだましだったにゃー」「おお、のろまのろま」「いしころのほうがいたいにゃ」 「な゛ぜ…だぜ……」ドスまりさが振り向くと離れた場所で三匹が擦り傷を負いながらもぴんぴんしている。 垂れ耳ちぇんが助かったのは猫目ちぇんのおかげだった。 猫目ちゃんはその瞳の能力にサクとの偵察中に気が付いた。 自分の意思で瞬時に瞳孔を開け閉めできる程度の能力だった。 ドスパークも瞳孔を閉めてしまうことで目も眩まず、 垂れ耳ちぇんを突き飛ばして圧死の危機から救った。 むしろ脅威だったのは着地の衝撃で飛んできた小石の弾丸のほうだったのだ。 おかげで内周に居た生き残りのゆっくり達もかなりの被害がでてしまった。 ドスまりさにとってもはや目の前の三匹は理解の範囲を超えた存在となった。 こうなれば三匹から感じるのは恐怖でしかない。 ゆっくりにとってゆっくりできなくことは死であり、ゆっくりできなくさせてくる存在は恐怖だからだ。 「あっ…」久しぶりに感じる恐怖。 「ごぶっ…」左目を失ったあの時以来の恐怖。 「お゛え゛ぇぇぇ」忘れていた恐怖に嘔吐する。 精神破壊を防ぐためドスまりさは拒絶反応のように嘔吐しはじめる。 それでも心の崩壊は止まらない。 ついに壊れる直前にドスまりさは叫んだ。 声にならない声で、天地を裂くようなエネルギーで。 猫ちぇん達はこの攻撃はまったく予想だにしてなかった。 あまりの音量音圧に他のゆっくりともども身動きが取れなくなった。 そこに白目をむき完全に意識を失ったドスまりさから二発目のドスパークが放たれる。 今度は完全にこちらを向き仲間を巻き込む形で魔砲は放たれた。 どれくらいの時間が経ったろう。 ドスまりさはゆっくり目が覚めた。 本人に叫んだときの記憶はないが、顎の痛みと伸びきって戻らない舌でうっすら理解した。 目の前いたはずの忌々しいゆっくりちぇんの姿はなく、先の森には一本の道が出来ていた。 木と仲間の焼けこげた匂いが香り、残った群れのゆっくり達から非難の声が聞こえてくる。 今は群れの事などどうでも良かった。自分はまた生き延びたのだ。それだけで良かった。 目を瞑りひとときの休息をえる事にする。これからのことはあとでゆっくり考えよう。 「あらドスまりささん、うちのペットがどうもお世話になったようで」 そのゆっくりタイムに割り込むように人間の声がする。 面倒ながらもゆっくり目を開けていく。そこには緑橙赤を基調としたモダンスタイルな袴を着た少女。そしてその手には 「っ……!?」 あの三匹が傷を増やしてはいるがまだ元気な様子で抱かれている。 「ふふふ、今日は少しあなたにお礼を差し上げようかと思います」 そういうが早いかゆっくりを空中に放り投げ、どこからともなく出した杭と槌で ドスまりさの舌と地面とを固定した。意識も戻りかけのため満足な悲鳴も出ない。 「貴方、舌を出していては茸の魔術も大声も出せないんじゃなくて?」 ドスまりさは気が付かされた。確かにこのままでは何もすることができないのだ。 あせるドスまりさをよそに少女は周りを見渡しながら呟いた。 「しかしよくもまあ不細工なゆっくりどもばかり仲間にしたんですね」 そう挑発して少女はドスまりさを見るも、ドスまりさの視点は背後のペットのほうを見て固まっている。 少女の後ろでは空中を回転して見事に着地した猫ちぇん達、そして稗田家の猫たちが近づいてきている。 「あれ? もしかしてあなた"猫"嫌いですか?」 少女の言葉に動揺しぎくっとしたのがばれなかっただろうかとドスまりさは思ったが、 こんな大きい体で気が付かない訳がない。少女は子悪魔のような表情で耳打ちをする。 「聞いてくださいな。私、一度試したかったことがあるんです。この世には山羊に足の裏を舐めさせる拷問がありましてね。猫でもやってみたいんです。 猫の舌はですね。骨に付いた肉をそぎ落とすようにトゲトゲになってるのよ。ということはどうなるか、あなたならゆっくりわかりますよね」 そして彼女は振り返り猫達に指令する。 「薄く皮を残し、すべて舐めて差し上げなさい。眼球もその対象です。手加減は無用です ので村人が来るまでの間に作業を完了してください」 光る眼と共に猫たちは飛びかかり、サクからの遺伝を引き継いだ猫ちぇん達ももちろん参加した。 エピローグ 「それにしてもあのときはしぬかとおもったよー」と髪を櫛ですいてもらいながら黒髪ちぇんが横のちぇんに言う。 「耳を閉じると音が聞こえなくなったにゃー」と垂れ耳ちぇんが返す。 垂れ耳ちぇんの耳は周りの音を消す程度の能力だった。まさかの騒霊キラーの誕生である。 ともかく音を遮断出来たおかげで自由に行動ができ、二人を森に放り投げて自分も無事ドスパークの射程範囲から離脱したわけだ。 猫目ちぇんは猫達に囲まれた猫団子状態でゆっくり夢の中にいる。 「わかるよー、あのばしょはあたたかいよりあついんだよー」 「まわりのねこさんがきもちいいにゃ」 二匹の猫ちぇんのゆっくりした会話を聞いて阿求から笑みがこぼれる。 黒髪ちぇんの髪も結い終わった頃、垂れ耳ちぇんはお腹というか足を上にしてゆっくりしすぎな格好で眠っていた。 阿求はまだ起きていたちぇんに向かって一つ提案をする。 「今度のドスまりさの群れの討伐は、ひとえにあなたたちの活躍があったからよ。それで何か私からプレゼントしたいのだけど何か欲しいものはない?」 しばらく考えたあと猫ちぇんは答えた。 「うーん、わからないよー。ここに居られるだけでじゅうぶんゆっくりできてるよー、ごしゅじんさまもゆっくりしようねー」 「うん、ゆっくりしましょうね」 終 あとがき とりあえず話を完結させてみた。 ちぇえええええん(*´∀`)な気分を味わって貰えれば幸いです。 虐待分が少ないのはまだまだ手ぬるいせいです。 妄想を文章にする程度の能力ほしいよ!! 垂れ耳ちぇんの能力がどこかの月精と同じだって?なんのことかな(゚3゚)~♪ 前作で感想くれた方ありがとう~!! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3895.html
『意地っ張りまりさ』 29KB 制裁 自業自得 飾り 群れ 野良ゆ ゲス 自然界 人間なし うんしー 作者はまりさが大好きです おさげあき まりさ以外のゆっくりは結構賢いです。 今回は比較的あっさり殺してます。 おさげあき 23作目 「「「「「おさぁぁぁぁ!しんじゃだめぇぇぇぇぇ!ゆっくりしようよぉぉぉぉ!」」」」」 「むきゅ……けほっ……こほっ……」 ここはとある山の中にあるゆっくりの群れ。 今、その群れの長であるぱちゅりーが寿命で永遠にゆっくりしようとしていた。 このぱちゅりーは優秀でここまで群れを維持出来てきたのもぱちゅりーのおかげである。 群れのために頑張ってきた長を心配し群れのゆっくりがぱちゅりーのおうちの前に集まった。 そんな群れの前にのそのそと姿を現す瀕死のぱちゅりー。 何故そんな無理をするのかと言うと群れのみんなに遺言をのこすためだ。 「ぱちぇは……もうだめね……わかるわ……だからこれからはおそらのうえでゆっくりするわ……」 「「「「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉ!?」」」」」 「ゆっくりのいのちはえいえんではないわ……だからわかれはいつかかならずやってくるものよ……」 「「「「「ゆ……ゆぅぅぅぅぅぅ……」」」」」 「……ぱちぇがしぬまえにひとついっておかないといけないことがあるわ……つぎのおさのことよ……」 「「「「「ゆっ……!」」」」」 「いまからぱちぇがつぎのおさになるゆっくりをしめいするからそのゆっくりがむれをまもっていきなさい。 だいじょうぶ、ぱちぇがしめいするゆっくりはとてもゆうしゅうよ、みんなもきっとなっとくしてくれるわ……」 誰が長に?群れのゆっくりがざわめいた。 その中でニヤリと笑う一匹のまりさが居た。 「(ゆぷぷ!ついにさいっきょう!であるまりさがおさになるひがきたのぜ!)」 はっきり言ってこのまりさはゲスである。 ある程度賢い個体の揃った群れとはいえバカなゆっくりやゲスゆっくりが多少混じってしまうのは仕方ない。 それでも排除されなかったのは群れのゆっくりが監視の目を光らせていたしそもそもまりさ種は大して強くない。 下手に暴れる事も出来ずゆっくりできない日々を送っていたまりさだがそれも今日まで。 これからは長として群れのゆっくりをこき使い思う存分ゆっくりするのだ。 決して叶わぬ夢物語を想像するまりさだが現実はそんなに甘くない。 「ぱちぇがおさにえらぶのは……みょん、あなたよ」 「みょ……みょんが!?」 「どぼじでぞんなごどいうんだぜぇぇぇぇぇ!?」 選ばれたみょんが驚き、そしてまりさが絶叫を上げた。 まりさの突然の絶叫に驚く群れのゆっくりだがすぐ視線をみょんに移す。 通常、みょん種が長になる事はほとんど無いがぱちゅりーはその理由を告げた。 「みょん、あなたはとてもまじめでたゆんへのきづかいもできるゆうしゅうなゆっくりよ。 かりもじょうず、けんかもつよい、そしてなによりむれのみんなからのしんらいもあつい。 あなたならきっとむれをただしいほうこうにみちびいてくれるわ」 「でも……みょんはおさみたいにあたまはよくないみょん……」 「あなたはじゅうぶんかしこいわ、じぶんをしんじなさい、それでもふあんならむれのゆっくりにてつだってもらえばいいわ。 それにぱちぇとまったくおなじほうほうでむれをいじするひつようはないわ。 ぱちぇはぱちぇ、みょんはみょんのやりかたがあるはずよ、もちろんぱちぇのやりかたをさんこうにしてもいいわ。 ……みんな、みょんでいいわよね?それともほかにおさにふさわしいゆっくりがいるかしら?」 「「「「「みょんはとてもゆっくりしてるからみんなさんっせい!だよ!」」」」」 「み……みんな……わかったみょん!みょんはがんばるみょん!」 「きまりね、それじゃ……」 「まつんだぜぇぇぇぇぇ!!まりさはなっとくしないのぜぇぇぇぇぇ!」 ここでまりさが異議を唱えた。 長を含む群れのゆっくりがまりさへ視線を移す。 そしてまりさは場違いなまでの言葉を吐いた。 「おさはさいっきょう!のまりさにこそふさわしいのぜぇぇぇぇぇ!みょんなんかじゃつとまらないのぜぇぇぇぇぇ! まりさをおさにするのぜ!そうすればみんなをゆっくりさせてやるのぜ!さあ!おさ!まりさをしめいするのぜぇぇぇぇぇ!」 「「「「「……」」」」」 呆れる長と群れのゆっくり、こんなゴミクズが長?そんな事をしたら速攻群れは崩壊してしまう。 それくらい誰でも分かった。 「ゆ?なにだまってるのぜ?もしかしてさいっきょう!のまりさのことばにみんなこえもでないのぜ? ゆぷぷ!そのきもちはわかるのぜ!さあ!さいっきょう!のおさのたんじょうにみんなかんっせい!をあげるのぜ!」 「それじゃみょん、あとはおねがいね……」 「ゆっくりりかいしたみょん!」 「どぼじでばでぃざをむじずるんだぜぇぇぇぇぇ!?」 華麗にスルーされたまりさは絶叫を上げた。 やかましい奴だと呆れる群れのゆっくり。 仕方ないのでぱちゅりーがまりさに説明した。 「むきゅ……まりさ……あなたはさいっきょう!ではないわ。 それにおさにひつようなのはさいっきょう!ではなくたゆんをきづかえるやさしいこころよ、ゆっくりりかいしてちょうだい」 「まりさはさいっきょう!なのぜぇぇぇぇぇ!どうしてそれをりかいしようとしないのぜ!? ちぇんよりはやくはしれて、みょんよりぶきのあつかいがうまくてけんかもつよくて、むれいちばんのかりのめいじんなのぜ! さらにまりさはめがみのようなぼせいとやさしさをかねそなえてるのぜぇぇぇぇぇ!」 「まりさ……あなたはくちだけなのよ……じつりょくがともなっていない、でもあなたはけっしてそれをみとめない。 いい?じぶんのよわさをみとめることもたいせつなのよ、ゆっくりりかいしてちょうだい」 「まりさはさいっきょう!なのぜぇぇぇぇぇ!そのじじつはけっしてくつがえらないのぜぇぇぇぇぇ! まりさがくちだけ!?くちだけなのはおまえのほうだろぉぉぉぉぉ!このむのうのおさがぁぁぁぁぁ!」 「「「「「いまなんていったぁぁぁぁぁ!?おさをばかにするげすはせいっさいするぞぉぉぉぉぉ!!!」」」」」 「ゆひぃぃぃぃぃぃ!?」 ぱちゅりーがこれまでどれだけ頑張ってきたのか、群れのゆっくりには分かっていた。 だからこそまりさのぱちゅりーを愚弄する言葉が許せず今にも襲い掛からんばかりの勢いでまりさを睨む群れのゆっくり。 無数の殺意のこもった視線にまりさはおそろしーしーを漏らす。 「おちつきなさい、ぱちぇはへいきよ、それよりまりさ……そんなにおさになりたいの?」 「ゆひぃ……、ゆゆ?と……とうっぜんなのぜ!まりさはおさになるべくしてうまれたのぜ!!」 「ならしけんをするわ、おさになるためのしけんよ」 「ゆゆ?しけん?」 「ええ、それにごうかくしたらまりさをおさにしてあげるわ」 「「「「「お、おさ!?こんなやつをおさにしたら……」」」」」 「だいじょうぶよ、このまりさにはけっしてごうかくなんてできないわ」 「ゆゆ!?なにをいってるのぜぇぇぇぇぇ!?」 「それよりしけんないようをつたえるわ、みんなにもきょうりょくしてもらうけどいいわね?」 「「「「「ゆ……ゆっくりりかいしたよ……」」」」」 「ごほっ……そろそろやばいわね……はやくしないと……」 長の命令とはいえ不安そうな群れのゆっくり。 だがぱちゅりーも不安要素を取り除いてからあの世にいかないと死んでも死にきれない。 ぶっちゃげまりさを追放するのが一番楽なのだが逆恨みしたまりさが群れのゆっくりを襲う可能性もある。 だから出来るだけ穏便に自分の無力さを実感させて諦めさせたほうがいいと判断したのだ。 ぱちゅりーは最後の力を振り絞って試験内容を伝え、後の事をみょんに任せてからあの世へと旅立った。 「「「「「おさぁぁぁぁぁ!あのよでゆっくりしていってねぇぇぇぇぇぇ!!」」」」」 ぱちゅりーの亡骸の前で号泣する群れのゆっくり。 「おい!いつまでまたせるのぜ!さっさとしけんをはじめるのぜ!そんなくさったまんじゅうをいつまでかこんでないてるのぜ!!」 「「「「「つぎにそのへらずぐちをたたいたらもんどうむようでぶちころすぞぉぉぉぉぉ!このごみくずがぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」 「ゆっひぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 群れのために最後まで尽くしたぱちゅりーへの暴言に群れのゆっくりの怒りは限界を突破しそうである。 それでも殺さないのはぱちゅりーの想いを無駄にしたくないからだ。 「……よういができたみょん、まずはひとつめのしけんだみょん」 「ゆゆ!?なんでみょんがしきってるのぜぇぇぇぇぇ!?」 「そんなことよりさっさとしけんをはじめるみょん、それともおさはあきらめるのかみょん?」 「ゆぐぐぐぐぐ!いいのぜ!さっさとはじめるのぜ!」 「まずはちぇんとのかけっこしょうぶだよー」 「ゆゆ!?」 まりさの背後でスタンバイしていたちぇんが口を開く。 そのちぇんは群れ一番の俊足を誇るゆっくりだ。 「まりさはちぇんよりはやいっていったよねー?ならちぇんにだってかてるはずだよねー?」 「あ、あたりまえなのぜぇぇぇぇぇ!まりさのかもしかのようなはやさをほこるあんよをみせつけてやるのぜぇぇぇぇぇ!」 「るーるはむれのまわりをいっしゅうしてからこのひろばにもどってくることだみょん」 「ゆっくりりかいしたんだねー」 「ゆぷぷ!らくしょうなのぜ!」 「いちおういっておくけどちかみちしてズルしたらだめだみょん」 「さいっきょう!のまりさがそんなひきょうなことをするわけないんだぜ!」 「それならいいみょん、それでは……すたーとだみょん!」 そしてちぇんとの駆けっこ勝負が始まった。 まりさは自慢のあんよで思いっきり地面を蹴って跳ねる。 出だしは好調、これから楽勝だと思ったまりさだが…… 「おそいよー!ちぇん、さきにいくねー!」 「どぼじでそんなにはやいのぉぉぉぉぉ!?」 一瞬で追い抜かれちぇんの姿はあっという間に見えなくなった。 「ゆ、ゆふふ!まりさはたいりょくおんっぞん!さくせんでいくのぜ!ちぇんはすぐたいりょくがつきてうごけなくなるのぜ!」 だが結局ちぇんの体力が尽きる事は無く大差でまりさが負けてしまった。 「ゆ、ゆひぃ……ゆひぃ……」 ぜーぜーと息を切らしながらようやくゴールへ到着するまりさ。 ちぇんは走り足りないのかそこらをぴょんぴょん元気に跳ねていた。 「あれ?やっとかえってきたの?まりさはおそすぎるんだねー!ちぇんにかてるんじゃなかったのー?」 「ゆぐぐぐぐぐ!」 「しけんはふごうかくだみょん、それじゃ……」 「ま、まつんだぜ!これはなにかのまちがいなのぜ!もういちどしょうぶするのぜ!」 「なんどやってもおなじなんだねー!わかるよー!」 「うるさぁぁぁぁぁい!きっとちぇんがひきょうなことをしたんだぜ!だから……!」 「まりさじゃあるまいしそんなことするわけないでしょー?というかまりさのほうがちかみちしてズルしてたよねー?」 「ゆゆぅぅぅぅぅ!?どぼじでばれてるのぉぉぉぉぉ!?」 「ふせいがないようにかんしのゆっくりをはいちしてたみょん、そのゆっくりからのほうこくだみょん」 「ぞ、ぞんな……」 「せいせいどうどうとまけたならまだしもふせいをしたまりさにおさのしかくはないみょん!」 「ま、まつんだぜ!まだしけんはのこってるのぜ!それをごうかくすればまりさのしょうりなのぜ!」 試験は全部で3つ、つまり2つ合格すればまりさを長にするという約束なのだ。 だが不正をした時点で本当は終わりにすべきだがまりさが納得するはずがない。 まりさに自身の無能っぷりを理解させるためにあえて今回のは不問にした。 「それじゃつぎはありすとのかしこさとびゆっくりしょうぶだみょん」 まりさの体力が回復するのを待ってから次の勝負へ。 今回は群れ一番の美ゆっくりとして愛されるありすとの勝負だ。 「こんにちは、なんだかたいへんなことになってるけどおたがいがんばりましょうね」 「ゆっ……」 自分に優しく声を掛けてきたありすにまりさは絶句した。 憧れの存在であったありすとこんなに近くで会話するなんて今まで一度も無かった。 ありすは群れの人気者で誰にでも優しく、おまけに賢くてぱちゅりーの相談相手にもなっていたゆっくりなのだ。 野生のゆっくりとしては体も綺麗で金髪の髪の毛も風になびいてサラサラと揺れる。 澄んだ瞳とお飾りであるカチューシャがとても美しかった。 ありすといえばれいぱーになりやすいがこのありすにはそんなものは一切無い。 まりさはいつかこのありすとつがいになる事を夢見ていたのだ。 「そ、それでかしこさとびゆっくりしょうぶってなにをするんだぜ?」 「なんでもいいみょん、じぶんのゆっくりをあぴーるしてみんなをゆっくりさせたほうがかちだみょん」 「ゆっ、ゆふふ!らくしょうなんだぜ!まりさのかしこさとうつくしさにみんなをめろめろにしてやるんだぜ!」 そして群れ全員が集められ勝負が始まった。 「えっと、ありすから?うーん……なにをすればいいのかしら……じぶんをあぴーるっていっても……」 可愛らしく悩むありすの姿に群れのゆっくりはもうメロメロだ。 「あ、そういえばこのまえおいしそうなきのこさんをみつけたんだけどあれはたぶんどくきのこさんよ。 おいしそうなにおいとみためでかんちがいしそうだけどたべるのはやめておいたほうがいいわ。 たしか……こんなきのこさんだったわ、みんなもきをつけてね」 ありすは木の枝で地面にきのこの特徴を描いた。 それはとても分かりやすく群れのゆっくりにも伝わったようだ。 「それからこのまえゆうがたにれみりゃのこえをきいたわ。 ゆうがたいこうはおそとにでないほうがいいわね、あとこれはぱちゅりーからきいたことだけど……」 その後もありすは群れにとって有益な情報を皆に伝えてくれた。 「ありすがつたえるじょうほうはこれくらいかしら?それじゃありすはこのへんで……」 「まってね!ひさしぶりにありすのおうたをききたいよ!」 「ありすのおうたはゆっくりできるからききたいよ!」 「そ、そう?それじゃおうたをうたうわね、あまりうまくないけどゆっくりきいてほしいわ」 そして始まるありすのコンサート。 ありすの美声に群れのゆっくりは例外なくゆっくりしていた。 もちろんまりさも。 「これでおわるわね、さいごまできいてくれてありがとう!」 「「「「「ゆっおおおおおおおおーーーーーーー!!!」」」」」 ありすの歌が終わると群れのゆっくりから絶叫に近い歓声が上がった。 もちろんアンコールも忘れない。 「ごめんなさいね、まりさをまたせてもわるいからありすのうたはこれでおしまいにするわ、こんどまたうたうからゆるしてね」 「「「「「ゆっくりりかいしたよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」 そしてありすと入れ替わりに今度はまりさが登場する。 「みんな!まりさのうつくしさにめろめろになっていくんだぜ!」 まりさがおさげを使って可愛らしくキラッ☆とウインクしてみせた。 「「「「「……」」」」」 さっきの盛り上がりが嘘のようにしらける群れのゆっくり。 「ゆ?まりさのあまりのかわいらしさにこえもでないのぜ?ゆふふ!かわいくってごめんなのぜ!」 「「「「「……」」」」」 殺意すら抱くまりさの言動に群れのゆっくりは全くゆっくり出来ていない。 「それじゃまりさはおいしいきのこさんをおしえるのぜ!あれはこんなかたちをしていたのぜ!みんなにおすすめなのぜ!」 まりさはありすに対抗意識を持ったらしく木の枝で地面にきのこの特徴を描く。 だがその絵はヘタクソで全然群れのゆっくりには伝わらなかった。 しかしまりさが言ったきのこの色などからそれが何なのか理解した。 それは食べると数時間後に下痢になってしまう毒きのこだった。 まりさもそれを食べて数時間後に下痢で苦しんだが都合の悪い記憶はうんうんと一緒に排出してしまうので既に忘れていた。 「「「「「……」」」」」 まりさの全く参考にならない話を聞いてもゆっくり出来ない。 ただまりさのおバカっぷりを広めただけだ。 そしてまりさは最後に歌を歌った ありすが歌ったから自分も歌う。 単純な理由だった。 「うつくしいまりさがゆっくりできるおうたをうたうのぜ!しっかりさいごまできいていくんだぜ!」 そして始まる歌という名の騒音、いや、殺ゆん音波。 歌とすら呼べない、うんうんをひりだしているかのような耳障りでゆっくり出来ない歌に群れのゆっくりは激しく悶絶した。 先ほどのありすも最初は苦笑いしながら聞いていたがあまりの騒音に意識を失ってしまう。 そんなゆっくりがちらほら出てきた所でついに我慢の限界が訪れる。 「「「「「そのゆっくりできないそうおんをいますぐとめろぉぉぉぉぉ!!ゆっくりできないぃぃぃぃぃ!!」」」」」 「ゆゆ!?おうたのとちゅうでなんなんだぜ!?だまってきくんだぜ!」 「だまれぇぇぇぇぇ!!もうげんっかい!だぁぁぁぁぁ!へたくそはさっさときえろぉぉぉぉぉ!」 「このうすぎたないごみくずがぁぁぁぁぁ!」 「あまりにゆっくりできないからありすがきぜつしただろぉぉぉぉぉ!」 「このくそまりさぁぁぁぁぁ!ぶさいくまりさぁぁぁぁぁ!」 「な、なんだとぉぉぉぉぉ!?かわいいまりさにむかってなんてこというんだぜぇぇぇぇぇ!?」 「「「いいからだまれぇぇぇぇぇ!!」」」 「ぶげぇ!!」 何匹かのゆっくりがまりさへ体当たりした。 まりさは派手に転がり木に激突すると痛みで激しく泣き叫んだ。 「い、いだいぃぃぃぃぃ!ばでぃざのぷにぷにのおはだがぁぁぁぁぁ!!」 「「「だまらんところすぞぉぉぉぉぉ!!このごみくずぅぅぅぅぅぅ!!」」」 群れからの殺意のこもった怒号でまりさは痛みも忘れおそろしーしーとうんうんを盛大に漏らす。 ようやく黙ったまりさにようやく落ち着きを取り戻す群れのゆっくり。 「さ、さあ、ありすとまりさのあぴーるはおわったからこれからどちらがゆっくりしてたかみんなにきめてもらうみょん……」 みょんもまりさの歌で頭がぐらぐらしていたが何とか自分を奮い立たせる。 「それじゃありすがゆっくりしてたとおもうゆっくりはそのばではねるみょん!」 当然全てのゆっくりがその場で跳ねる。 「それじゃまりさがゆっくりしてたとおもうゆっくりはそのばではねるみょん!」 シーン 当然誰も動かない。 「きまったみょん!このしょうぶはありすのしょうりだみょん!」 「どぼじでぇぇぇぇぇ!?」 当然の結果だろう。 まりさは不満のようだが群れのゆっくりが一斉に睨むと再びおそろしーしーとうんうんを漏らし始めた。 「まりさ、うんうんとしーしーをもらしてるところわるいけどこれでおわりみょん」 「ゆっ……!ま、まりさはうんうんもしーしーももらしてないのぜぇぇぇぇぇ!」 「どうみてももらしまくってるみょん、それよりしけんはこれでおわりみょん」 「ま、まつんだぜぇぇぇぇぇ!まださいごのしけんがのこってるのぜぇぇぇぇぇ!」 「ふたつのしけんでふごうかくだったまりさはもうおわりだみょん、やってもいみがないみょん」 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!まりさがあまりにゆっくりしてるからってみんなでまりさにいやがらせするなんてひきょうなのぜ!」 「じぶんがひきょうだからってみんなもひきょうよばわりするのはゆっくりしてないしょうこだみょん」 「うるさいうるさいうるさいうるさぁぁぁぁぁい!!まりさよりよわいみょんがえらそうなことをいうなぁぁぁぁぁ!」 「ならしょうぶしてみるかみょん?どのみちさいごのしけんはみょんとのしょうぶだったみょん」 「ゆ?」 「たしかまりさはいったみょん、みょんよりぶきのあつかいがうまくてけんかもつよいと、ならみょんにもかてるはずだみょん」 「ゆふふ!あたりまえなのぜ!みょんなんかいちげきなのぜ!」 「ならあしたみょんとしょうぶだみょん!」 「ゆ?きょうじゃないのかだぜ?」 「まりさはさっきこうげきされてけがしてるみょん、あとでひきょうとかいわれたくないからけががなおってからにしてやるみょん」 「ゆっふっふっふっ!あとでこうかいしてもおそいのぜ!」 「こうかいなんてしないみょん、まりさとちがって」 -翌日の午後- その日の狩りが終わった後、まりさとみょんは群れの広場で対峙していた。 もちろん群れのみんなに見守られながら。 「まりさがおさになるきねんすべきひにまりさにぼこぼこにされるなんてみょんはうんがいいのぜ!」 「……ごたくはいいからさっさとはじめるみょん」 「ゆひゃひゃひゃひゃひゃ!そのよゆうがいつまでもつかたのしみなんだぜ!! さあ!さいっきょう!のまりさのいちげきであのよにいくがいいんだぜぇぇぇぇぇ!!」 まりさは帽子から木の枝を取り出し口に咥えてみょんへ突進した。 「しねぇぇぇぇぇ!!」 「……」 ヒョイ だがみょんは軽々とそれを避けた。 「ゆぅ!?ま、まぐれなんだぜ!つぎでおわりなのぜぇぇぇぇぇ!」 ヒョイ またしても軽く避けるみょん。 「まぐれがいつまでもつづくとおもうなぁぁぁぁぁ!」 ヒョイ 「どぼじであだらないのぜぇぇぇぇぇ!?」 ヒョイ 「あたれぇぇぇぇぇ!さいっきょう!のまりさのいちげきなんだぞぉぉぉぉぉ!」 ヒョイ 「いちげきひっさつのこうげきがあたらないなんてなにかのまちがいなのぜぇぇぇぇぇ!」 ヒョイ 「ひきょうものぉぉぉぉぉ!せいせいどうどうとたたかうんだぜぇぇぇぇぇ!」 ヒョイ 「なんでだぁぁぁぁぁ!なんであたらないんだぁぁぁぁぁ!」 ヒョイ 「あたりさえすればおまえなんかぁぁぁぁぁぁ!」 ヒョイ 「あたれあたれあたれあたれあたれぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「……いいかげんあきてきたみょん」 まりさの単調な攻撃など当たるはずが無い。 瞬発力がちぇん以上のみょん種はゆっくりの中でも強い部類に入る。 そのみょん種に喧嘩を売ること自体がそもそも無謀なのだ。 「うごくなぁぁぁぁぁ!そのままさいっきょう!のまりさのいちげきをくらってしぬのぜぇぇぇぇぇ!」 「ふん!」 みょんははくろーけん(木の枝)でまりさの木の枝を叩き落すとそのままはくろーけんでまりさの頬を打った。 「ゆんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ばでぃざのすべすべほっぺがぁぁぁぁぁぁぁ!」 手加減したので頬が赤く腫れ上がるだけで済んだが痛みに弱いゆっくりにとってはかなりの苦痛だ。 まりさはしーしーを漏らしながら悶絶している。 「もうおわりかみょん?それならみょんはかえるみょん」 「ま、まつんだぜ……まりさはまだまけてないのぜぇぇぇぇぇ!」 まりさは木の枝を拾うと再びみょんに突進する。 「なんどやってもおなじみょん、そんなたんじゅんなうごきじゃみょんはたおせないみょん」 「だまれだまれだまれだまれぇぇぇぇぇ!!まりさはさいっきょう!なんだぁぁぁぁぁ!おまえにかてないはずがないぃぃぃぃぃ!」 木の枝を咥えながら器用に喋るまりさとみょんだがその差は歴然だ。 何度も突進してはみょんのカウンター攻撃を受けてボロボロになっていくまりさ。 そしてついに武器である木の枝すら破壊されてしまった。 「ゆぐぅ!?まりさのむてきのえくすかりばーがぁぁぁぁぁ!?」 「しょうぶありみょん」 まりさの眼前にはくろーけんを突きつけるみょん。 もちろんトドメを刺すつもりはない。 みょんは勝負が付いたと判断しはくろーけんを下ろした。 それを見てニヤリと笑うまりさ。 「すきありなのぜぇぇぇぇぇ!」 至近距離からみょんへ体当たりするまりさ。 この距離なら避けられるはずがない。 まりさは勝利を確信した。 ヒョイ だがあっさり避けるみょん。 「ど、どぼじでぇぇぇぇぇ!?」 「まりさのやることなんかおみとおしだみょん」 「ま、まぐれなのぜぇぇぇぇぇ!ぜんぶまぐれなのぜぇぇぇぇぇ!こうなったらぶきなんてかんけいないのぜぇぇぇぇぇ! まりさのさいっきょう!のたいあたりでつぶしてやるのぜぇぇぇぇぇぇ!」 「そうくるとおもったみょん、ならみょんもぶきをつかわずにたたかってやるみょん」 -数分後- 「ぼうやべでぐだざいぃぃぃぃぃ!ばでぃざがわるがっだでずぅぅぅぅぅ!」 そこには全身痣だらけになったまりさとそれを見下ろす無傷のみょんがいた。 「これでわかったみょん?まりさじゃみょんにはかてないみょん」 「ゆっぐ……えっぐ……どぼじで……どぼじでがでないんだぜぇぇぇぇぇ……」 「まりさがよわいからだみょん」 「そ、そんなわけないんだぜぇぇぇぇぇ!まりさはさいっきょう!なのぜぇぇぇぇぇ!」 「ひびのたんれんもしないでじぶんのことしかかんがえてないまりさがさいっきょう!なわけないんだみょん」 「まりさはてんっさい!なのぜぇぇぇぇぇ!たんれんなんてひつようないんだぜぇぇぇぇぇ! まりさはうまれながらのさいっきょう!にしてむてきのゆっくりなのぜぇぇぇぇぇ!」 「……さすがにこれはひどいみょん……あわれすぎるみょん……」 「ゆっがぁぁぁぁぁぁぁぁ!そんなめでまりさをみるなぁぁぁぁぁぁ!ゆっくりできないぃぃぃぃぃぃ!」 まりさのあまりの惨めっぷりに怒りを通り越して哀れすら感じるみょん。 その視線の意味に気づいたまりさは全くゆっくり出来ていなかった。 「とにかくこれでおわりみょん、まりさじゃおさはむりだみょん」 「な、ならみょんならおさにふさわしいとでもいうのかだぜぇぇぇぇぇ!?まりさはみとめないのぜぇぇぇぇぇ!」 「たしかにみょんはせんだいのおさみたいにかしこくないみょん、でもむれをおもうきもちはまけてないみょん! みょんはじぶんでできることをするだけみょん!できもしないことをさけぶだけのまりさとはちがうみょん!」 「だまれだまれだまれだまれだまれぇぇぇぇぇぇ!まりさはさいっきょう!だぁぁぁぁぁ!さいっきょう!なんだぁぁぁぁぁぁ!」 「「「「「うるさぁぁぁぁぁぁい!だまれごみくずがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」 「ゆゆぅぅぅぅぅ!?」 まりさとみょんを見守っていた群れのゆっくりがまりさへ憎しみのこもった声をぶつける。 その中にはまりさ種も含まれていた。 自分と同じまりさ種という事で共感出来る部分も少しはあったがこのまりさはあまりにゆっくりしてない。 同種とはいえ擁護する気にはとてもなれなかった。 「さっきからきいてるとまりさはさいっきょう!さいっきょう!とそればっかり!もううんざりだよ!」 「つごうがわるくなるといいわけばかり!みんなをひきょうものよばわり!まりさはよわむしなんだねー!わかるよー!」 「まりさがおさになりたいのはみんなをみくだしたいからでしょ!?れいむにだってそれくらいわかるよ!」 「こんなやつがおさになってもまりさはぜったいみとめないのぜ!もしまりさがおさになったらまりさはむれからでていくのぜ!」 「くちだけのまりさよりみょんのほうがずっとゆうしゅうだよ!まりさにみょんのわるぐちをいうしかくはないよ!」 群れからの罵倒にまりさは怒りをあらわにする。 ゆっくりしてないゲスは死ねとかまりさに嫉妬するなんて見苦しいとか叫ぶが圧倒的な数で応戦されてはまりさの叫びも無駄である。 そんな時だ。 「まりさ……」 「ゆっ……ありす……」 美ゆっくり勝負をしたあの時のありすが前に出てまりさに話しかけた。 「ねぇ……ずっとおもっていたんだけど……さいっきょう!ってそんなにたいせつなの?」 「あ……あたりまえなのぜぇぇぇぇぇ!さいっきょう!はゆっくりできるのぜぇぇぇぇぇ!!」 「でもいまのまりさはぜんぜんゆっくりしてないわ」 「ゆぐっ……」 「まりさ、いじをはらずにじぶんのよわさをみとめてすなおになりましょう?そうすればゆっくりできるわ、ありすもまりさをみすてたりしないから」 「まりさは……よわくない……さいっきょう!なのぜ……」 「よわくてもいいじゃない、ありすだってよわいもの、だからまりさをばかにしたりしないわ、ね?いっしょにゆっくりしましょう?」 ありすの優しい言葉。 一瞬その言葉を受け入れて素直になろうという気持ちが芽生える。 だがまりさのつまらないプライドがそれを許さなかった。 「でもっ……!さいっきょう!こそがまりさがまりさでいるためにはひつようなのぜぇぇぇぇぇ!!」 「きゃっ!」 まりさはありすを突き飛ばして群れから逃亡した。 群れのゆっくりが急いで追いかけようとするがみょんがそれを止めさせる。 「もうくらくなるみょん!いまそとにでたられみりゃにおそわれるかもしれないみょん!」 「「「「「ゆぐっ……」」」」」 「だいじょうぶみょん?ありす?」 「ええ、だいじょうぶよ……」 みょんに支えられながらありすが起き上がる。 「ありすのやさしさもまりさにはとどかなかったみたいみょん」 「ええ……ざんねんだわ……むれのなかまだしできることならいっしょにゆっくりしたかったんだけど……」 「たぶんまりさはれみりゃかほかのどうぶつにおそわれてしぬみょん……」 「……」 「でもそれはまりさのじごうじとくみょん、きにするひつようはないみょん」 「……ゆっくりがしぬなんてめずらしくないのはわかってるけど……やっぱりかなしいわね……」 「みょん……さあ、おうちにもどってゆっくりするみょん、みょんたちだっていつしぬかわからないみょん。 それならゆっくりできるときにいっぱいゆっくりするみょん、くいののこらないように……」 「……ええ、そうね」 ありすを見送ってからみょんはまりさの去っていった方角をチラリと見て呟いた。 「ただすなおにゆっくりするだけでいいのに……まりさ………どうしてわかってくれなかったんだみょん……」 -山中- 「やべでぇぇぇぇぇぇぇ!!ばでぃざはおいじぐないんだぜぇぇぇぇぇ!!」 「うっうー♪あまあまなんだどー♪」 予想通り、まりさはれみりゃに見つかって追いかけられていた。 だが群れから全力疾走で跳ねてきたまりさにれみりゃを振り切る余力はない。 そもそもまりさ程度ではどうあがいても捕まってしまうだろうが。 「うー、つかまえたんだどー♪」 「ばなぜぇぇぇぇぇ!ばでぃざをばなぜぇぇぇぇぇ!」 尻をぶりんぶりんと振って抵抗するまりさだが無駄である。 「うー、じゃまなぼうしはぽーいするんだどー♪」 「ゆぅぅぅぅぅ!?まりさのすてきなおぼうしがぁぁぁぁぁぁ!?」 れみりゃが帽子を咥えて遠くに放り投げる。 まりさの自称素敵なお帽子は夜の闇へ消えていった。 「これじゃもうゆっくりできないんだぜぇぇぇぇぇ!!」 「それじゃいただくんだどー♪」 そして頭に食いつかれそのまま中身の餡子を吸われるまりさ。 「やべでぇぇぇぇぇ!ばでぃざのあんござんずわないでぇぇぇぇぇ!!」 自分の命である餡子を吸われてまりさはどんどんしぼんでいくが突然れみりゃが吸うのをやめた。 「ば、ばでぃざ……だずがっだのぜ……?」 もちろんそんな訳がない。 「あとはおうちにかえっておちびちゃんといっしょにたべるんだどー♪」 「ゆゆぅぅぅぅぅ!?まりさ、おそらをとんでるんだぜ!!」 れみりゃによって宙に浮かんだまりさはお決まりの言葉を吐くがすぐに自分の末路を悟って暴れだした。 「やべでぇぇぇぇぇ!ざいっぎょう!のばでぃざをだべるなんでゆっぐりでぎないんだぜぇぇぇぇぇ!」 「いきのいいあまあまなんだどー、これならきっとおちびちゃんもまんぞくするんだどー♪」 「い、いやぁぁぁぁぁ!ばでぃざだべられだぐないんだぜぇぇぇぇぇ!ばでぃざはまだぜんぜんゆっぐりじでないのにぃぃぃぃぃ!」 山中にまりさの絶叫が響くが誰も気にしない。 野生は弱肉強食の世界、食うか食われるかの二択しかないのだ。 -れみりゃの巣- 「さあ、おちびちゃんたち!おおきなあまあまをたべてはやくおおきくなるんだどー♪」 「「「あみゃあみゃ!ゆっくちできりゅんだどー♪」」」 「ぎゃああああああああ!やべでぇぇぇぇぇぇ!ばでぃざのがわざんやぶらないでぇぇぇぇぇ!ながにはいっでごないでえぇぇぇぇ!」 まりさは親れみりゃによってあんよを食いちぎられ動けなくされてから子れみりゃ達の食料にされる事になった。 そして子れみりゃ達によって皮を食い破られ体内へ侵入され中から餡子を食われるという想像を絶する激痛を味わっていた。 「「「うっうー♪あみゃあみゃがもっちょあみゃくなっていくどー♪」」」 苦痛によってどんどん甘くなっていくまりさの餡子の味に満足そうな声が聞こえてくる。 それを見ていた親れみりゃは我が子達のためにもっと餡子を甘くするためまりさを苦しめる事にした。 「まずはこのきたないおさげをぶちんするんだどー♪」 「や、やべでぐだざいぃぃぃぃぃ!ぞれだげばぁぁぁぁぁ!ばでぃざのおざげざんだげばゆるじでぐだざいぃぃぃぃぃ!」 「ぶちん!なんだどー♪」 あっけなく引きちぎられるおさげ。 「ごみはぽーい!するんだどー♪」 そして外へ捨てられるおさげ。 「ゆんぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!ばでぃざのどらきゅらすらもうちほろぼすでんっせつ!のむちのようなおざげざんがぁぁぁぁぁ!!」 「こいつなにいってるんだどー?ちょっとあたまのおかしいまりさなんだどー」 「ゆっ……ゆえぇぇぇぇぇぇぇん!ゆえぇぇぇぇぇぇぇぇん!ゆえぇぇぇぇぇぇぇぇん!ごんなのびどずぎるよぉぉぉぉぉぉ!」 「「「ゆゆっ!?あみゃあみゃがもっちょあみゃくなっちゃんだどー♪」」」 おさげを失った悲しみと損失感でいい感じに餡子は甘くなったようだ。 ならばと今度は金髪を引き抜く親れみりゃ。 「ぞ、ぞれだげばぁぁぁぁぁ!ばでぃざのざらざらのぎんばづざんだげばぁぁぁぁぁ!ばでぃざのじばんのぎんばづざんなんでずぅぅぅぅぅ! ばでぃざにのごっだのばぼうぞれじがないんでずぅぅぅぅ!!だがらぁぁぁぁぁ!ごじひをぉぉぉぉぉ!!」 「ぶーちぶーちなんだどー♪」 「ぞ、ぞんなぁぁぁぁぁ!?ばでぃざのぎんばづざんがぁぁぁぁぁぁ!?」 あっという間にハゲ饅頭と化すまりさ。 金髪すら失ったまりさの餡子はさらに甘くなり体内の子れみりゃを喜ばせた。 その間にもまりさの餡子は着実に食われていく。 そして…… 「「「うっうー♪おいしそうなあみゃあみゃはっけんなんだどー♪」」」 どうやらまりさの中枢餡に到達したらしい子れみりゃ。 「やべで……ぞれだげば……ばでぃざのいのぢざんだげば……ゆるじで……」 既に瀕死のまりさだが生への執念だけは衰えていないようだ。 だがそんなまりさをあざ笑うかのように親れみりゃが残酷な一言を放つ。 「おちびちゃん!そのあまあまはとってもおいしいからぺーろぺーろですこしずつなめるといいんだどー♪」 「「「ゆっくちりきゃいしたんだどー♪」」」 まりさは即死する事も出来ずただ地獄のような苦痛を味わう事となった。 「……っ!!」 もう声すら出ない。 まりさはビクンビクンとズタボロの体を痙攣させるだけだ。 「うっうー♪おちびちゃん、とってもゆっくりしてるんだどー♪れみぃはしあわせでとてもゆっくりできるんだどー♪」 「……!!!」 親れみりゃの言葉を聞いてまりさはピクリと反応した。 『ゆっくりできる』それはまりさが手に入れられなかったゆっくりとしての一番大切なもの。 まりさにはゆっくりを手に入れるチャンスが何度もあったはずだ。 だがまりさはつまらないプライドのせいでそのチャンスをふいにし続けた。 最後の最後でありすが手を差し伸べてくれたがそれすらも無駄にしてしまった。 ようやくまりさは後悔した。 あの時、素直になってありすや群れのゆっくりとゆっくりしていればこんな事にはならなかったのに。 だが今さら後悔しても遅すぎるのだ。 「……っ!!」 まりさの口がパクパク動くが声は出ない。 きっと最後に何か叫びたかったんだろう。 それすら叶わなかったまりさは全くゆっくり出来ないゆん生の幕を下ろすのだった。 「「「みゃみゃ!あみゃあみゃのあんきょしゃんがなくなっちゃったんだどー♪」」」 「うー?それならのこったあんこさんもままといっしょにのこさずたべるんだどー♪」 「「「ゆっくちりきゃいしたんだどー♪」」」 全くゆっくり出来なかったまりさとは違い家族で仲良く食事をするれみりゃ親子はとてもゆっくりしていた。 れみりゃとまりさの違いは何だったのか。 だがこれだけは言える。 意地を張り続けたまりさには相応しい最後だという事を。 END
https://w.atwiki.jp/curseofstrahd/pages/35.html
スウォームキーパー 周囲の環境と深いつながりを感じている一部のレンジャーは、彼らの魔法的なつながりを通して世界に手を伸ばし、自然の精霊の群れと絆を結んでいる。この群れは戦闘では強力な力であり、レンジャーにとっては有益な仲間でもある。一部のスウォームキーパーは追放者や隠者であり、他の者に不快感を与えないように、自分自身と自分に付き添う群れを遠ざけておく。別のスウォームキーパーは彼らの群れの一部であると見なすすべての者たちの相互利益のために働く、活力ある共同体を構築することを楽しみとしている。 招集されしスウォーム 3レベルの“スウォームキーパー”の特徴 無形の自然の精霊のスウォーム(群れ)が君と絆を結び、戦闘において君を支援する。君が死ぬまで、このスウォーム(群れ)は君のいるスペースに留まり、君の体の上を這いずり回るか、君のスペースの中で君の周囲で飛び回ったり跳ね回ったりする。群れの外観は君が決定するか、「表:スウォームの外観」でロールして決めるかすること。 表:スウォームの外観 d4 外観 1 群れる昆虫たち 2 縮小版のトウィグ・ブライトたち 3 飛び回る鳥たち 4 遊び好きなピクシーたち 君の各ターンに1回、1体のクリーチャーに攻撃をヒットさせた直後に、下記の方法の1つでこのスウォームに君を援助させることができる: この攻撃の目標はこのスウォームから1d6[刺突]ダメージを受ける。 この攻撃の目標は君の呪文セーヴ難易度に対する【筋力】セーヴィング・スローを成功させねばならず、さもなければ、このスウォームによって君が選んだ方向に最大15フィートまで水平に移動させられる。 君は君が選んだ方向に水平に5フィートだけこのスウォームによって移動させられる。 スウォームキーパーの魔法 3レベルの“スウォームキーパー”の特徴 君はすでにそれを修得していないのであれば、メイジ・ハンドの初級呪文を修得する。それを発動するとき、この“手”は君に群がる自然の精霊の姿を取る。 また君はこのクラスの特定のレベルに達したときに、「表:スウォームキーパーの呪文」に示されているように、1レベル以上の追加呪文をも修得する。それぞれの呪文は君にとってはレンジャー呪文として扱われるが、君が修得できるレンジャー呪文数の勘定には入れない。 表:スウォームキーパーの呪文 レンジャー・レベル 呪文 3 フェアリー・ファイアー、メイジ・ハンド 5 ウェブ 9 ガシアス・フォーム 13 アーケイン・アイ 17 インセクト・プラーグ 身もだえする潮流 7レベルの“スウォームキーパー”の特徴 君は自分のスウォームの一部を使って君を持ち上げることができるほどに集中した塊に凝集させることができる。ボーナス・アクションとして、君は10フィートの飛行移動速度を獲得し、ホバリングできるようになる。この効果は1分間か、あるいは君が無力状態になるまで持続する。 君はこの特徴を使って君の習熟ボーナスに等しい回数までこの特徴を使用することができ、大休憩を終えたときに消費した使用回数すべてを回復する。 強力なスウォーム 11レベルの“スウォームキーパー”の特徴 君の“招集されしスウォーム”は下記のように成長する: “招集されしスウォーム”のダメージは1d8に上昇する。 クリーチャーが“招集されしスウォーム”によって移動させられることに対するセーヴィング・スローに失敗すると、君はスウォームを使ってそのクリーチャーを伏せ状態にもできる。 君が“招集されしスウォーム”によって移動させられるとき、君の次のターンの開始時まで君は1/2遮蔽を得る。 スウォームの中への分散 15レベルの“スウォームキーパー”の特徴 君は危険を避けるべく、君は自らを分解して自分のスウォームの中に紛れ込むことができる。君がダメージを受けたとき、君はリアクションを使って自分自身に対してそのダメージに対する抵抗を与えることができる。君はスウォームの中に消え失せ、君の30フィート以内の、君が見ることができる、何ものにも占められていないスペースにテレポートし、そこでスウォームと共に再出現する。 君はこの特徴を使って君の習熟ボーナスに等しい回数までこの特徴を使用することができ、大休憩を終えたときに消費した使用回数すべてを回復する。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/867.html
ゆっくりでも潰してやろうと森を歩いていると、妙なゆっくり一家を見つけた。 「きちゃないこがいるよ!」 「おおくちゃいくちゃい」 「こんなあかちゃんとはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりしね!」 1匹の、やけに黒い赤まりさを一家全員でボコっていた。 せっかくなので俺も参加した。 黒い赤まりさ以外を潰し、残った汚い子を手に乗せた。 「お前、なんでリンチされてたんだ?」 「ゆゅ・・・・まりしゃはきちゃないって・・・」 ゆっくりと説明する赤まりさ。 なんでも、生まれたときから全身が垢まみれだったらしい。 赤まりさならぬ垢まりさ。 あまりにも酷いスメルと汚らしいボディで生まれてからこの日までボコられっぱなしだったとか。 確かに、なんだか養豚場のような匂いがする。 左手で持っていたのを右手に移し替えたのだが、左手に臭いがこびりついている。 凄く臭い。 「よし、洗ってみよう」 近くの川に、無理やり垢まりさをつっこんだ。 ぼろぼろと、黒い塊が流れていく。 環境汚染だ。 「ゆぼぼぼぼ!!だぶげっぶべえええ!!」 溺れかかって必死なようだがしょうがない。 臭いものはしょうがない。 「どうだ?きれいになったかな?」 川から引きずり上げた垢まりさは、随分ときれいになった。 黒い垢が無くなっていたし、においもだいぶ発散している。 微妙にふやけているが、それはこのさいどうでもいい。 「ゆゅ!しゅ、しゅ、しゅっきりいいぃい!!?」 目をキランキランに輝かせ、垢まりさは大声を上げた。 「ちゃんと洗えば綺麗になるんだよ。理解してね」 「ゆっきゅりりかいしちゃよ!」 この森には、ゆっくりの群れがあった。 俺は垢まりさをその群れの長に押しつけることにした。 森には群れに属するゆっくりと、家族単位で勝手に住むゆっくりがいる。 群れに属するゆっくりは、村との関係も良好だそうで、虐待禁止になっている。 俺にとっては非常に迷惑だ。 リーダーのゆっくりは優しいヤツなので、このクソカスみたいなまりさでも生きていけるだろう。 数ヶ月後。 その群れは村人に崩壊されたという話を聞いた。 なんでも、悪臭を発するゆっくりが増加し、森が臭くてしょうがなくなったとか。 川は薄汚い垢で汚染され、魚がとれなくなったらしい。 虐待禁止も解禁され、おれとしてはとてもうれしい結末になった。 あの垢まりさには感謝である。 おわり。 垢ゆを書きたくてやった。 作:ユユー
https://w.atwiki.jp/pokemonsvshiny/pages/230.html
一覧へ戻る ・場所 ・行き方 ・厳選位置 ・出現ポケモン 場所 行き方 北1番エリアの物見塔へ飛び、端の方まで移動する。 ピクニックリセット推奨。 厳選位置 カメラ固定可能。 湧きが3か所になるよう立ち位置を調整する。 ピクニックができる程度前に出れば良い。 出現ポケモン(そうぐうパワー3発動) 昼と夜両方のデータを取っていませんので、時間帯によって湧きが変わる場合などはコメントで教えていただけると嬉しいです。 ※そうぐうパワーの効果が無いタイプは記載していません。 ※ノーマル、ひこうも効果はあるが出現ポケモンが多いため非推奨。 (ノーマル:イエッサン、ワシボン、メブキジカ+シキジカ、ヒメグマ+リングマ、プクリン+プリン) (ひこう:ルチャブル、ワシボン、チルタリス+チルット、夜はドンカラス+ヤミカラス) オススメ欄について 記載なし=出現するポケモンが多く、一点狙いの場合は効率が良いとは言えない。 △=一点狙いはしやすいが、他により効率の良いと思われる場所がある。 〇=複数のポケモンが出現するが、群れが多い、出現率が高い等の理由で比較的効率が良いと思われる。 ★=出現するポケモンが1系統に絞られるため効率が良いと思われる。 ★=全ての厳選場所において、ここが最も効率が良いと思われる。 そうぐうパワー 出現ポケモン 備考 オススメ ほのお スコヴィラン ブースター でんき デンリュウ+メリープ パモット+パモ 群れのみ 〇 くさ スコヴィラン メブキジカ+シキジカ ゴーゴート(群れ) かくとう ルチャブル パモット+パモ ルカリオ+リオル どく ゴースト+ゴース(夜) 昼はそうぐうパワー効果なし ★(夜) じめん バンバドロ+ドロバンコ 群れのみ ★ エスパー イエッサン クエスパトラ ブーピッグ+バネブー むし エクスレッグ ★ いわ ルガルガン 昼:まひる、夕方:たそがれ、夜:まよなか ★ ゴースト ハカドッグ+ボチ ゴースト+ゴース(夜) ★(昼) ドラゴン オノンド+キバゴ チルタリス+チルット 群れのみ 〇 あく エクスレッグ ドンカラス+ヤミカラス(夜) はがね ナカヌチャン ルカリオ+リオル 〇(ルカリオ+リオル狙い) フェアリー ナカヌチャン プクリン+プリン 〇(プクリン+プリン狙い) 暫定で赤星をつけましたが、湧きが3ポイント以上になる場所があれば単体湧きに関してはそちらが最高効率になる可能性は十分あります。情報お待ちしております。 -- 管理者 (2023-01-14 05 03 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4020.html
『こうっかん 中編』 56KB 制裁 自業自得 越冬 群れ ゲス 自然界 独自設定 中編 そして……。 「どういうことなのぜええええええ!こんなふざけたはなしを、うけいれろっていうのかぜえええええ!」 「いったいなんなの!このいなまものまるだしの、こうしょうけっかはああああああああああ!」 「どうもこうも、これがおさであるれいむのけつだんだよ!はやくこのけっかを、むれのみんなにつたえてきてね!」 ここは大きな群れにある長れいむのおうち。 長れいむは、長ぱちゅりーとの二匹だけの会議の後、すぐに自身の群れへと引き返していった。 そして会議の結果を幹部二匹に伝えたのだった。 しかし、長れいむの口から告げられたその内容を聞くや否や、声を荒げる幹部二匹。 その態度から長れいむの決断に不満があるのは明らかだった。 「ふざけるんじゃないのぜえええええ!おやさいぷれいすをてにいれるのはいいとして、 そのじょうけんが、まりささまたちのぷれいすをあけわたすことは、どういうことなのぜええええええ! そんなばかげたじょうけんを、ほんきでうけいれたのかぜええええええええ!」 「まったくあきれたわ!そんなありさまで、よくおさをなのってはずかしくないものだわね! もういいかげん、さっさといんたいしたらどうかしら?そのほうがこのむれのためよ!」 口々に長れいむの決定を非難する幹部まりさと幹部ありす。 長れいむの決断。 それは、長ぱちゅりーの提案した土地の交換を全面的に受け入れることだった。 「ゆふん!なんといわれようと、これはおさであるれいむがきめたことだよ! しょせんかんぶであるまりさたちに、もんくをいうけんりはないんだよ!」 「いくらなんでも、げんどってものがあるのぜええええええええ! ぷれいすがせまくなったら、せっかくどれいをてにいれても、ぞんぶにゆっくりできないのぜええええ!」 「まったくだわ!いなかものどもに、たっぷりとあいのこういをおしえるには、とかいはなひろいおうちがひつようなのに!」 「ゆゆ?ああそうだったよ!そういえばいうのをわすれていたよ! よていしてた、れいむたちと、ぱちゅりーたちとのむれのがっぺいのはなしはなしになったよ!」 「ゆへ?」 「なっ!」 長れいむの口から何気なくもたらされた事実に対し、驚きを口にする幹部二匹。 「ちょ、ちょっとまつのぜえええええ!それじゃどれいは? がっぺいのみかえりにえるはずの、まりささまのどれいのはなしはどうなったのぜええええええええ!」 「そんなもの、とうぜんなしにきまってるでしょ! だいたいぷれいすをこうかんするんだから、そのあとでむれをがっぺいしてもいみないでしょおおおおお! そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」 長ぱちゅりーからの受け売りをそのまま口にする長れいむ。 だがそんな理屈で怯む幹部たちではない。 「ゆがあああああああああああああああ!ばかなのはれいむのほうなのぜえええええええええええええ! ぷれいすはわたす、どれいもあきらめる、それだけやって、えるのがおやさいぷれいすだけじゃ、どうかんがえてもわりにあわないのぜええええええ!」 「そうよ!そうよ!ふざけないでちょうだい! だいたい、ありすにとってはおやさいなんかよりも、どれいたちにとかいはなあいをおしえるこういのほうだいじなのよおおおおお! あああああああああああ!ちきしょおおおおおおおおおおおお!ありすの、いちだいすっきりはーれむけいかくがあああああああああ!」 ぷれいすを渡す上に、当然得られると思っていた奴隷も得られないと知り、もはや幹部二匹は長れいむへの侮蔑を隠そうともしない。 「れいむ!いまならまだまにあうのぜ!もういちど、ぱちゅりーのところへいって、このはなしをことわってくるのぜ! そして、むれのがっぺいでもなんでもいいから、とにかくまりささまのどれいをてにいれるのぜ! おやさいぷれいすなんて、そのあとで、やつらからうばってしまえばいいだけのはなしなのぜ!」 「そうね!そうするべきだわ!そして、それがすんだられいむはそっこく、おさをやめなさい! それがあなたがこのむれにたいしてできる、いちばんのことなのよ! さぁぐずぐずしないではやくいきなさい!さっさとするのよ!」 怒りのためか本来の自分らの立場を忘れ、長れいむに協定の取り消しをするように迫る幹部まりさと幹部ありす。 今までは内々にその不満や野心を隠してきたこの二匹だが、ここまであからさまな態度に出たのははじめてのことである。 つまりはそれだけ腹に据えかねた事態だということだ。 「いいかげんにしてね!だれにたいしてものをいってるの!」 だがそれでも長れいむは全く動揺していなかった。 むしろ望むところだといった視線で、長まりさと長ありすを睨みつける。 「たしかに、まりさやありすのいうとおり、どれいがてにはいらなかったことや、ぷれいすがちょっとせまくなっちゃったことはざんねんだよ! でも、れいむはこんかいのけんで、おやさいがかってにはえてくるぷれいすをてにいれたんだよ! これはとりひきとしては、じゅうぶんすぎるせいかだよ! それに、もしこれいじょうをのぞむようならば、ぱちゅりーたちのむれとのせんっそうはさけられない! れいむはむれのおさとして、むれのゆっくりたちに、むだなぎせいをしいるせんっそうできないんだよ! ただじぶんたちがゆっくりすることばかりかんがている、まりさやありすとちがってね!」 群れ全体の利益のために、これ以上の要求をすると発生する戦争は出来ないと説く長れいむ。 本当は戦争をしたくない一番の理由は、戦闘になれば一番に自分が狙われるのを知っているからであるが、 もちろんそんなことはおくびにも出さない。 「ゆががああああ!せんっそうがさけられないというのなら、やってやればいいのぜええええ! いやむしろ、ほんとうにむれのゆっくりのことをかんがているのなら、せんっそうすべきなのぜええええ! それでゆっくりも、おやさいも、なにもかもあのぱちゅりーからうばってしまえばいいだけのはなしなのぜえええええ!」 「んほおおおおおおおおお!そのとおりよおおおおおおおおお! ありすもせんっそうはいやだったけど、もうそんなこといってられないわあああああああ! こうなったら、とかいはなあいをおしえるのは、せんっそうでつかまえたほりょでもかまわない! だから、むれをあげてのせんっそうめいれいをだすのよれいむ!」 「いやだよ!」 きっぱりと否定する長れいむ。 「なにをふぬけたことをいっているのぜれいむ! むれぜんたいのりえきのために、せんっそうするべきのぜ! むれのことをかんがえらないれいむは、おさしっかくなのぜ!」 必死に力説する幹部まりさ。 「ゆふん!なにがむれのためだよ!じぶんのゆっくりのためのくせに、ばかいわないでね! そんなにせんっそうがしたいのなら、まりさやありすたちがせんっそうしたいゆっくりをあつめてやればいいよ! それならべつにれいむはかまわないよ!」 「ゆなっ!なにをいっているのよれいむ!せんっそうはおさのしじによってはじまるのよ! そうじゃないとすべてのゆっくりがさんかしないわ!」 「だからこそだよ! れいむは、むれのみんなのゆっくりがだいじだから、せんっそうはしないといっているんだよ! でもまりさやありすがどうしてもせんっそうがしたいというのなら、せんっそうにさんせいしているゆっくりだけで、せんっそうしてかまわないといっているんだよ! それならじこせきにんだしね! でもこのままだまっていても、れいむのてがらでおやさいぷれいすがてにはいるというのに、わざわざせんっそうしたいなんてかんがえてるゆっくりが、 このむれにどのくらいいるのかなぁ?」 「ゆがっ!ぐっ!それは……」 痛いところを突かれたうろたえる幹部まりさ。 長れいむはわかっていた。 自分の決断に反対するゆっくりが少数派であることが。 「ゆふん!せんっそうなんて、このむれのゆっくりは、ほとんどそんなことのぞんでないんだよ! ほんとうにむれのことをかんがえてないのはどっちなの! わがままはよそでやってよね!」 見下したように言う長れいむ。 長れいむの予想は極めて正しかった。 実際に長れいむの提案が群れ中に知れ渡ったとして、その選択を非難するゆっくりは、 幹部まりさや幹部ありすのような、奴隷を得ることを楽しみにしていたような少数派だけである。 多くのゆっくりは、そんなことよりもお野菜ぷれいすの取得を望むだろう。 それがわかっているからこそ、長れいむは幹部二匹にこれほど否定的な態度を示されても余裕なのだ。 そもそもこの二匹が反抗的な行動を取るであろうことは、事前にした分析で予測済みのことである。 いまさら慌てることはない。 「ゆががががが!こんな!こんなことがぁあ!」 「なんなの!なんなのよ!れいのくせに!」 逆に幹部二匹の旗色はかなり悪いといえる。 期待していた奴隷は得られない上に、今回のれいむの功績が群れのゆっくりたちに支持されれば、 自分たちの長就任への夢は遠のくばかり。まさに踏んだり蹴ったりである。 苦肉の策として、しきりに長れいむに戦争をするように迫ったのも、別に群れの利益のためではなく自分らの欲望のためと、 戦争で出た犠牲の責任を、長であるれいむに押し付けて失脚を狙うためである。 しかしどうやらそのたくらみは完全に長れいむには看破されていたようであり、長れいむは絶対に戦争はしないと言い張っている。 つまりは完全にしてやられた形になる。 今まで実力は自分たちのほうが上であると、密かにバカにしていた長れいむにここまでやり込められるのは、 幹部二匹にとってはこの上ない屈辱である。 しかし現実問題として打つ手がない。 完全に手詰まりの状況であった。 「ゆふふふふ!りかいできたなら、さっさとこのこをむれのみんなにつたえてきてね! ぷれいすのいどうはあすだよ!」 うな垂れ、黙っている幹部たちに長れいむが笑顔で言う。 それは自身の判断が正解だったと確信する、まごうことなき勝利宣言であった。 一方その頃、長ぱちゅりーの群れでは。 「むきゅ!みんな急いで移動のための荷物をまとめて! できるだけ多くの食料を持っていくのよ! ただし!事前に説明した通り、畑に生えているお野菜はもっていっちゃダメよ! アレが今後の私たちの運命を左右することになるんだからね!」 「「「「ゆゆー!」」」」 てきぱきと指示を出す長ぱちゅりーと、それにそれに応じる群れのゆっくりたち。 今、長ぱちゅりーの群れでは明日の移動に向けての準備の真っ最中だった。 「でもくやしいみょん!くろうしてそだてたおやさいを、あのれいむたちなんかにわたすのは!」 「そうね、せっかく育てたお野菜を食べられないのはとても残念だろうけど、今回ばかりは諦めてもらうほかしかたないわね。 ここで欲を出して、群れが崩壊してしまっては意味がないもの。 でも大丈夫よ!お野菜はまた作ればいいんだもの、今度はもっと広い土地を活用してもっと沢山作れるようにするわ」 「みょん!それはわかってるみょん!」 流石に苦心して育てたお野菜畑を、あっさり明け渡してしまうという長ぱちゅりーの策には群れのゆっくりからも反対意見が出たが、 それでも奴隷になったり、戦争して滅びるよりははるかにましだ、ということで群れ内の意見は一致していた。 それに命さえあれば、今度は広くなった土地でお野菜はまた作ればいいのだ。 今やこの群れのゆっくりたちはそのことを理解していた。 ゆえに移動準備は長ぱちゅりーが思っていたよりも問題なくスムーズに行うことが出来た。 「わかるよー!ぜんゆっくり、いどうのじゅんびがかんりょうしたよー! あとはあすをまつばかりなんだねー!」 「そう、ありがと。 ここまでのところは作戦通りね。 あとは、あのれいむたちがどうでるか……」 「わかるよー!だいじょうぶだよー! きっとおさのさくせんどおりうまくいくよー! いままでだってそうだったんだからねー!」 「そうね!そうなるといいわね……」 長ぱちゅりーはふぅ、と溜息をつく。 (今ぱちぇがやっていうことは、人間さんでいうところの詐欺師ってところかしらね。 だまされているあのれいむにはまったく同情しないけど、これはあまり気分はいいものじゃないわね) 長ぱちゅりーは黄昏時の空を見上げながら、ふとそんなことを思ったのだった。 次の日。 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「うめぇ!これめっちゃうめぇ!」 「がーつ!がーつ!」 「びゃあ!うまいいいいいい!」 ここは元長ぱちゅりーが治めていたぷれいす。 そこに存在している今まで大切に育てられてきた野菜畑にて、我が物顔でお野菜を食い散らかしているゆっくりの一団があった。 言うまでもなく、元長ぱちゅりーのぷれいすに移住してきた長れいむの群れのゆっくりたちである。 このお野菜ぷれいすは正式な土地の交換の代償として手に入れたものなので、 別にこれらのゆっくりが悪いことをしているというわけではないのだが、 何故かこのゆっくりたちの態度には人を不快にさせる何かがあった。 「ゆふふふ!おちびちゃんあわてないで!まだまだたっくさんおやさいはあるからね!」 「すきなだけむしゃむしゃするよー!なくなったって、どうせおやさいはまたかってにはえてくるんだからねー!」 「みょん!こんなゆっくりとしたぷれいすをてにいれるなんて、さっすがおさだみょん!」 「ちぇんははじめからわかってたよー!おさはたよりになるよー!」 一通り満腹になるまでお野菜を食して満足したのか、次々に長れいむを賞賛し始める群れのゆっくりたち。 「ゆふふふふ!それほどでもないよー!ゆふふふ!」 それに対してこみ上げる笑みを隠せない様子で応える長れいむ。 実際長れいむは有頂天であった。 今まで群れのみんなからはなんとも思われてなかった自分が、こうして皆からはっきりと認められ、賞賛されている。 自分を密かにバカにしていたであろう、幹部まりさや幹部ありすをまんまと出し抜き、群れ中の支持を一身にあつめているのだ。 多少当初の予定とは多少狂ったものの、結果としては自分の望み通りとなった。 そうとも!これこそが長としての本来の自分の実力なのだ! もう誰にも親の七光りなんて言わせない! この群れの長は自分こそが相応しいのだ! 多少ぷれいすが狭くなったからといって、それがどうしたとういのだ! この『お野菜が勝手に生えてくるゆっくりぷれいす』さえあれば、自身のゆっくりは保障されたも同然だ! そろそろ迫ってきた越冬の季節もなんら恐れることはない! 全てうまくいく! 何故ならこのむれの長は、このれいむさまだからだ! 「ゆぷぷぷぷ!ゆふ、ゆふふふふふふふふ!」 いつまでもニヤニヤとしている長れいむ。 この瞬間、長れいむは今までのゆん生の中で一番のゆっくりを感じており、まさにゆん生を謳歌していた。 「ちっ、きにいらないのぜ!」 そしてそれを少し離れた端のほうからじっと睨んでいるゆっくりが一匹。 幹部まりさだった。 今回の件では幹部まりさは別段何か失態をやらかしたというわけではないので、自身の支持基盤を失ったというわけではない。 だが無党派層ゆっくりたちによって、長れいむばかりが賞賛されているこの状況を鑑みれば、これは事実上自分の完全なる敗北であった。 望む物は得られず、れいむの支持率が上がったことにより自分の長への道は遠のくばかり。 不満をぶちまけようにも、群れ全体が長れいむムードに染まっている現状、下手をすれば自分が悪者扱いだ。 何だってこうなった! 本来ならば、あそこで笑っているのは自分だったはずなのに! いや、もし自分が長だったらのならば、お野菜ぷれいすだけでなく土地も、奴隷だって一緒に手に入れていたはずだ! クソ!チキショウ!何だってあんな駄ゆっくりが! 「くそ!まりささまだって!まりささまだって……」 悔しそうに呟きながら、幹部まりさはガブリと乱暴にお野菜にかぶりついたのだった。 さて、こうして長ぱちゅりーのぷれいすと長れいむのぷれいすとのこうっかんは無事成功した。 このこうっかんは若干のシコリを残しつつも、双方ともに非常に満足の行くものであり、 通常の取引ならば、これでめでたしめでたしといったところであろう。 しかし残念ながら……。 いや、当然のことながら。 これで話が済むはずもない。 長れいむは……。 いいや、長れいむの群れのゆっくりたちは。 ある重大な勘違いをしている。 それは人間ならば誰の目にも明らかな事実。 いちいち偉そうに言わずともみんな気づいていることだ。 だがあえて言おう。 その勘違いとは。 『お野菜が勝手に生えてくるゆっくりぷれいす』なんて世の中をナメ切ったゆっくりの妄想の産物は、この世のどこにも存在しないということである。 そして月日は流れる。 始めに異変に気づいたのは子ゆっくりたちだった。 あるいは子ゆっくりは生まれてまだ間もないために、いわゆるゆっくり界に蔓延る思い込みがそれ程強固でないのが原因だったのかもしれない。 とにかく、始めに違和感を口にしたのは子ゆっくりたちだった。 「ゆゆ?なんだかおやさいがすくなくなってきているきがするよ?」 「そうだねぇ、まえはもっとたっくさんあったはずなのに、なんだかへってるかんじがするよ!」 畑を前にし、野菜の数が減ってきたと主張する何匹かの子ゆっくり。 そりゃそうだ、実際野菜の数は減っている。 ゆっくりが食べてしまった分だけ、野菜の数が減るのは至極当然のことだ。 なんらおかしいことではない。 だが、長れいむはそんな子ゆっくりたちに諭すように言った。 「ゆゆん!ばかなかこといわないでね!おちびちゃんたち! ここは、おやさいがかってにはえてくるゆっくりぷれいすなんだよ! むーしゃ!むーしゃ!したおやさいは、しばらくすればまたかってにはえてくるんだよ! おちびちゃんたちは、へんなことしんぱいしないでゆっくりしてればいいんだよ!」 長れいむは自信たっぷりに胸をはって主張する。 「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」 そしてその主張に元気よく返す子ゆっくりたち。 別に子ゆっくりたちだって、本気でお野菜ぷれいすがどうこうしたとか考えたわけではなく、 ただちょっと疑問に思ったことを口に出しただけで他意はない。 だがこういった日常のちょっとした変化が、大きな出来事の前触れであることは珍しくない。 優秀な統治者ならば、こういったことには常に気を配っていてしかるべきである。 しかし長れいむは自ら率先してこの変化の芽を握りつぶした。 こうして長れいむたちの群れのゆっくりは、一つの重大なきっかけを自ら見過ごすことになる。 今の段階で気づけていれば、まだいくらでも打つ手はあった。 だが、もう全ては遅い。 順調に、着実に。 その時は迫ってきていた。 そうこうしているうちにまた月日は流れ……。 「ゆん?なんだかおやさいぷれいすのようすが……」 「へんだねぇ……おかしいねぇ……」 「へってるよ!まちがいなくおやさいがへってるよ!」 畑へとやってきたゆっくりたちが、にわかに騒ぎ出している。 それも当然で、畑に生えているお野菜の量は初期に比べて今では半分以下にまで減少していた。 流石にここまで劇的な変化が起これば、いくら能天気なゆっくりたちといえど次第に認識しだす。 お野菜が減っているという事実に。 「ゆん?どうしたのみんな?へんなかおしちゃって!ゆっくりしてないよ!」 そこへ、のこのことやってくる長れいむ。 「おさぁあああ!なんだかおやさいさんがへってるみたいなんだよおおおお! どうなってるのおおおおおおおおお!」 「ゆん?おやさいさんが? ゆーむ!」 畑に集まっているゆっくりたちに指摘され、じぃーと畑を凝視する長れいむ。 確かに言われてみれば昔よりもだいぶお野菜が減っているような気がする。 だがしかし。 「ゆん!たしかにほんのちょっとだけおやさいさんがすくなくなってるかもね! で?それがどうかしたの?」 何の問題ですか?といった表情の長れいむ。 「ゆっ!だっておやさいがこのままへっていっちゃったら、いつかは……」 一匹のまりさが、不安げに長れいむに訴える。 始めこそ沢山あったお野菜だが、その数は目に見えて減ってきている。 このまま減り続ければ、いずれはお野菜がなくなってしまうのではないかと疑うのは至極真っ当な発想だ。 しかもこれが平時ならともかく、今の季節は秋の真っ只中を少し過ぎた時期なのだ。 本来ならとっくに越冬の準備に取り掛かっているところである。 だがこの長れいむの群れのゆっくりたちは、お野菜を当てにして殆どのゆっくりが全く越冬の準備をしていなのだ。 このような状況で、もしお野菜がなくなったら……と一部のゆっくりが危惧を感じるのは無理からぬ話である。 しかし長れいむは、そんな焦燥に駆られているゆっくりたちを子バカにしたような目で見つめ返す。 「はぁ?なにいってるの?あたまだいじょうぶなの? いったいなにをいいだすかとおもえば、なにもしらないようなおちびちゃんじゃあるまいし! そんなんで、おとなのゆっくりとしてはずかしくないの? おやさいはかってにはえてくる!これはじょうっしきだよ! そしてこのばしょには、おやさいがはえていた!だからまたここにはまた、たっくさんのおやさいがはえてくるんだよ! そのぐらいのことがわからないの?ばかなの?しぬの?」 心底呆れたような口調で長れいむが言う。 「ゆっ、ゆう!でももしはえてこなかったら……。 げんにおやさいのかずはへっているわけだし……」 「くどいよ! まったくなんなの!こんなにあたまのわるいゆっくりが、れいむのむれにいるなんておもわなかったよ! じゃあかってにすれば!れいむはきょうもこのぷれいすで、おやさいをむーしゃ!むーしゃ!するから! きょうも、あしたも、あさっても!ずっとずっと、えいっえんにね!」 それだけ言うと、長れいむは今では半分ほどに数を減らした野菜へと向かう。 「ゆっ、ゆう!おさがそういうんだったら!」 「そうだね!おやさいはかってにはえてくるものだしね!」 「わかるよー!しんぱいしすぎなんだねー!」 「…………」 長れいむが自信満々で畑に向かったの見て、オロオロしていたゆっくりたちもまた畑へと向かう。 多少の胸騒ぎを感じていたとしても、ここ最近好き放題食べているお野菜の味の魅力には到底抗いがたい。 ふらふらとひきつけられるようにお野菜へと集まっていくゆっくりたち。 そして今日も今日とて群れのゆっくりたちは、己の欲望の赴くままにお野菜を食い散らかすのであった。 そしてまたしばらく月日が流れ、秋の終わりをいよいよ肌で感じ始めた頃。 「ゆがあああああああああああああああ! はえてこないよおおおおおおおおおおお! ぜんっぜん、おやさいがはえてこないよおおおおおお! どじでえええええええええ!なんでなのおおおおおおおおおおおお! おやさいさああああああああああん!ゆっくりしないではえてきてねえええええええ!」 そこにはお野菜の九割を食いつくし、残りが約一割程度の量となった畑で慌てふためく長れいむたちの姿があった。 「おさああああああああ!どうなってるのおおおおおお! こんなちょっとじゃ、えっとうにまにあわないよおおおおおおおお!」 「はえてくるっていったのにいいいいいい!うそつきいいいいいい!どうするのおおおおおおおおおお!」 「わがらないよおおおおおお!なんとかしてよ、おさあああああああ!」 「しるかばかああああああああ!こんなのれいむのせいじゃないよおおおおおおおお! おやさいさんがわるいんでしょおおおおおおおおおおお! かってにはえてこないからああああああああ!れいむわるくないよおおおおおおおおおお!」 今やほとんどの面積が土だけになった畑で、大パニック状態の群れのゆっくりたち。 実際これはヤバイ状況だ。 前にも述べたが、この群れのほとんどのゆっくりたちはお野菜を当てにしていたために、 今ではもう間近に迫っている越冬の準備を全くといっていいほどしていないのだ。 このままでは確実に越冬失敗し、群れは壊滅状態におちいることだろう。 「みょん!おさがだいじょうぶだといったから、みんなあんしんしておやさいをたべたんだみょん! いまさらわるくないなんてはなしは、つうようしないみょん!」 「そうだ!そうだ!」 「このせきにん!どうとるつもりなの!」 「なんとかしてね!はやくなんとかしてね!」 「さっさとしろ!このぐず!」 「しね!むのうなおさはゆっくりしね!」 今までの賞賛とはうって変わって、掌を返すように長れいむを責め立てる群れのゆっくりたち。 「ゆがあああああ!ちっ、ちがうんだよ!これはなにかのまちがいなんだよ! おっ、おやさいさんはいまちょっと、きゅうけいしてるんだよ! きっとそうだよ!だっ、だからもうすこしだけまってね!そうすればきっと……」 「ゆっへっへっへっへ!もうすこしまてばなんだって? まりささまたちがむしゃむしゃしたいときに、おやさいがはえてこないぷれいすなんて、とんだけっかんぷれいすなのぜ! しょせんれいむがてにいれたおやさいぷれいすなんて、そのていどのものだってことぜえええええ!」 必死に弁解する長れいむの横から割り込むようにして、大声で主張するゆっくりがいる。 それはここ最近ではめっきりおとなしくなっていた幹部まりさだった。 否、別におとなしくしていたわけではない。 ただ虎視眈々と機会をうかがっていたたけだ。 今の状況のように、長れいむの信頼が揺らぐ絶好の機会を! 「みんなきくのぜええええええええ!みてのとおり、このむのうなおさであるれいむがてにいれたおやさいぷれいすは、 いつ、つぎのおやさいがはえてくるかもわからないような、けっかんぷれいすなのぜえええええええ! こんなおさについていくようじゃ、みのはめつはあきらかなのぜえええええ!」 ここぞとばかりに長れいむをこき下ろしはじめる幹部まりさ。 「でも、あんっしんするのぜえええええ! これからは、このまりささまが、むのうなれいむにかわって、このむれのおさになってやるのぜえええええ! まりささまがおさになれば、こんなちんけなものとはひかくにならないくらい、もっともっとすごいぷれいすでゆっくりできるのぜえええ!」 そしてついには自身の長宣言まで飛び出した。 これは事実上、現長であるれいむに対する宣戦布告であり、これを群れ中のゆっくりの前で宣言するということは、 もはや幹部まりさは冗談ではすまない領域へと踏み込んだことを意味する。 幹部まりさはこの機に乗じて本気で長の座を奪いにきたのだ。 「ゆあああああああああああ!なにいってるのおおおおおおおお! みんなだまされないでねえええええ! このばしょいじょうの、ゆっくりぷれいすなんて、あるはずないよおおおおおお! まりさがいってることはでたらめだよおおおおお!」 たまらず叫び返す長れいむ。 「でたらめなんかじゃないのぜええええええ! まりささまは、こんなちんけなおやさいぷれいすなんかじゃなく、もっともっとひろくて、 おやさいのかずなんてまったくきにしなくていいような、しんのおやさいぷれいすをてにいれてみせるのぜえええ!」 「なっ、なにいってるのまりさああああああああ! とうとうあたまがおかしくなっちゃったのおおおおおお? このやまに、ここいがいのおやさいぷれいすなんてあるわけないでしょおおおおお! ばかなこといわないでねええええええええ!」 「ゆっへっへっへっへ!これだから、れいむはむのうだというんだぜぇ! めさきのちいさなことばかりにとらわれて、ぜんたいがまるでみえてないんだぜぇ!」 長れいむを嘲笑しながら幹部まりさは群れのゆっくりたちに向き直り、そして大声で力説する。 「むのうのれいむにできることなんて、こんなやくたたずのちっこいおやさいぷれいすをてにいれるのがせいぜいなのぜ! だけどまりささまはちがうのぜえええええ! まりささまたちは、これからやまをおりて、くそにんげんどもの、おおやさいぷれいすをうばいにいくのぜええええ! さらに、そこにいるくそにんげんどもも、ねこそぎどれいにしてやるのぜえええええ! ひろいひろいとち!さらにおやさいがかってにはえてくるゆっくりぷれいす!そしてどれい! まりささまをおさとしてみとめ、したがうのならば、そのすべてがてにはいるのぜええええええ! さあ!まりささまといっしょに、みんなでやまをおりるのぜええええええええ!」 山を下り、人間の土地に侵略し、土地、野菜、奴隷の全てを手に入れる。 それが幹部まりさの提示した政策だった。 この政策は幹部まりさの内面が非常によく反映された考えだといえる。 長れいむは、お野菜が勝手に生えてくるぷれいすを手に入れたことで皆からの支持を集めた。 なればこそ幹部まりさは、それ以上の成果を上げることで長として認められなければ、自身の気がすまない。 長れいむに劣る成果など、幹部まりさのプライドが許さない。 その発想の結果が、この人間ぷれいすへの侵略計画なのである。 「ゆええええええええええ!なにいいだすのおおおおおお! このやまのしたは、にんげんさんたちのゆっくりぷれいすなんだよおおおおおお! しかも、そのばしょには、ぜったいにちかづいちゃいけないって、むかしからのおきててかたくきめられてるでしょおおおおおお! まりさはそのおきてをやぶるきなのおおおおおおおお!ばかなこといわないでねええええええ!」 長まりさの提示した政策に、珍しく正論で反論する長れいむ。 これは実際にその通りで、この掟は確かに実在し、今まで破られたことがない。 返しとしては至極まっとうな意見である。 だが、しかし……。 「はん!むれがほろびるかどうかってときに、そんなまりささまがうまれるずっといぜんからあるおきてのことなんざ、 しったこっちゃないのぜ! だいたいわるいのは、くそにんげんどものほうなのぜ! まりささまはしっているのぜ!このやまのふもとには、くそにんげんどもが、 たいりょうにあるおやさいぷれいすを、ひとりじめしてるってことを! そんなげすどもからぷれいすをうばって、どれいにしたところで、いったいなにがわるいっていうのかぜ!」 ゆっくりお得意のトンデモ思考で、自身の正当性を訴える幹部まりさ。 もはや何を言われたところで、民衆の面々で長宣言までしてしまった幹部まりさは後には引けないのだ。 ただただ猪のように突き進むのみである。 「さあ!このむのうなおさと、しみったれたぷれいすをすてて、えいこうをてにしたいゆっくりは、 まりささまのもとにあつまるのぜえええええ! そして、みんなでずっとゆっくりするのぜええええええ!」 ざわ…ざわ…。 幹部まりさの突然の勧誘に揺れる動く群れのゆっくりたち。 あまりの事態に皆動揺を隠せずにいた。 どのゆっくりも一様に、周囲をチラチラと盗み見て様子を窺っている。 だがやがて……。 「みょん!みょんはまりさについていくみょん! もうみょんは、おやさいのあじなしじゃやっていけないみょん! そのためには、こんなちんけなぷれいすじゃまんぞくできないみょん!」 「まりさも!まりさもいくよおおおおおお! こんなところで、のたれじぬのはごめんだよおおおお!」 「ありすもまりさについていくことにするわ! もうこんないなかぐらしはまっぴらよ!」 「れいむもおおおおおおお!こんなおやさいがすぐにはえてこないぷれいすなんかに、ようはないよ!」 「わかるよー!おさなんかよりも、まりさのほうがずっとたよりになるんだねー!」 次々と幹部まりさに賛同していく群れのゆっくりたち。 やはりすぐそこに迫った越冬の危機感と、もはやお野菜が僅かしか残っていない畑の視覚効果は大きいようだ。 次々に賛同者は増えていき、やがては群れの半分程のゆっくりたちが、幹部まりさとともに群れを降りる決断を下した。 この半分という割合は、突発的な提案にしては十分すぎる成果だと思われるが、幹部まりさとしては不満だった。 幹部まりさの当初の見込みでは、群れの八割ほどのゆっくりが自分にの味方になると考えていたからだ。 その目算は決して幹部まりさの思い上がりではなく、かなりの精度で正しいといえるものだった。 では何故半分程のゆっくりしか集まらなかったのか? その最大の原因は……。 「ありす!しょうきなのかぜ!こんなばしょにれいむとのこっても、ゆっくりはないのぜ! まりささまとくるのぜ!いまならひきつづきかんぶにしてやるのぜ!」 幹部ありすだった。 なんと幹部ありすと彼女を支持する取り巻きのゆっくりたちは、この場に留まるという選択をしたのだ。 てっきり幹部ありすも、自分と同じように長れいむに反目してると踏んでいた幹部まりさは、 幹部ありすたちのグループも、自分を支持すると計算に組み込んでいたのだ。 しかしここでまさかの幹部ありすの長れいむ擁護。 これにより幹部まりさの計算は狂い、賛同するゆっくりの数は半分程度に留まったというわけだ。 「ありす!いったいなにかんがえてるのぜ! いまらさられいむをしじして、いったいなんになるんだぜ!」 「べつにそういうわけじゃないけどね! ただ、ありすはまりさやれいむとちがって、おやさいぷれいすにそんなにしゅうちゃくがないだけよ! それに、すっきりするかちもないような、むのうでいなかものの、にんげんなんてどれいにしてもしょうがないしね!」 「ゆぐぐぐぐ!ふん!じゃあかってにするがいいのぜ! あとでなきついても、たすけてやらないのぜ! さあみんな!こんなやつらほっといて、さっさといくのぜ!あらたなる、まりささまのゆっくりぷれいすへ!」 そう捨て台詞を吐くと、幹部まりさはぞろぞろと群れのゆっくりたちを引きつれ、山を下りていく。 後に残されたのは長れいむ、幹部ありす、そして今ではその数を半分にまで減らした群れの面々であった。 「ゆっ、ゆゆうううう!あっ、ありがと、ありすううううううううう! ありすがれいむのみかたをしてくれるなんてえええええええ!」 幹部まりさが去った後、感極まった表情で幹部ありすに礼を言う長れいむ。 長れいむがいまだに長でいられるのは、幹部ありすがこの場に残っているおかげなのだ。 もし、幹部ありすが幹部まりさの誘いに乗り、群れを離れていたら、全体の八割以上のゆっくりが群れからいなくなることになり、 長れいむの群れは瓦解する。 そうなっていれば長れいむの命は恐らくなかった。 幹部まりさが生かしておかないからだ。 だが、今のように半分程度のゆっくりが残っている状況での長殺しは流石にまずい。 だからこそ、幹部まりさは長れいむに手を出さずに下界へと向かったというわけだ。 「ゆゆ!だいじょうぶだよありす!きっとなんとかなるからね! あんなくずまりさのことなんてわすれて、これからはにひきでがんばっていこうね!」 長れいむは幹部ありすが自分の味方と知って安心したのか、急にごまをするように擦り寄っていく。 「あら、かんちがいしないでほしいわね!」 だがそんな長れいむを、氷のように冷たい表情で見つめる幹部ありす。 「たしかにありすたちは、このばにのこるせんたくをしたけれど、れいむがむのうといういけんにかんしては、 ありすはまりさとおなじなのよ!」 「ゆっ、なっ!」 「そういうわけで、もうこんごいっさいありすたちは、れいむのしじにはしたがわない! あとはかってにやらせてもらうわ! それじゃいきましょみんな!」 「「「「ゆーーー!」」」」 言いたいことだけ言い終えると、ぞろぞろとその場を去っていく幹部ありすとその取り巻きたち。 その場にはポカンとした表情の長れいむと、どうしていいかわからずオロオロとうろたえるゆっくりたちが取り残された。 結果として群れの数はさらに減ることとなり、今ではもう全体の四分の一程度の数しかその場には残っていない。 最早ここまでくると群れとは呼べず、ただのゆっくり集団である。 「……えっと、あの……おさ…」 残ったゆっくりが、遠慮がちに長れいむへと話しかける。 が、憤怒の炎に身を焦がしている長れいむはまともに取りあおうとしない。 「ゆがあああああああああああ!だまってねええええええええええええええ! どいつもこいつも、だまってねええええええ!はえてくるよ! はえてくるんだ!もうすこし!もうしこしだけまてば!おやさいはかってにはえてくるんだよおおおおおおおおおお! だからだまれえええええええええええ!ちぎじょおおおおおおおおおおお! ふざげやがってええええええええ!このくそおやさいばたけがあああああああああ!」 体をブッルンブッルンと震わせながら、やけくそ気味に叫ぶ長れいむ。 そしてそのまま、僅かに残ったお野菜ところまでドスドスと跳ねていき、乱暴にお野菜にかぶりつく。 「むーじゃ!むーじゃ!じあばぜええええええええええええええええええ! はあああああ!こんなゆっぐりじだ、おやさいばたけをすてるなんて、どいつもこいつもおおばかだよおおおおおおおおおお! ちぎじょおおおおおおお!いまにみてろおおおおおおお!はえてくるにきまってるだろおおおおおお! そうなってからほえずらかくなよおおおおおお! ほらああああああ!ゆっくりしないで、さっさとはえでごいいいいいいいい! むれのおさである、れいむのめいれいがきけないのがああああああああ!」 叫びながらバン!バン!と地面を叩きつけるようにその場で飛び跳ねる。 誰がどう見てもまともな行動ではない。 お野菜が勝手に生えてくると信じること、それだけが長れいむのできる唯一のことだった。 だが、どれだけ叫ぼうと、どれだけ畑で飛び跳ねようと、ゆっくりの妄想に合わせて世界が動くことは決してないのだ。 こうしてこの日、長れいむの群れは大きく三つに分裂することになる。 新たなるぷれいすを求め、下界へと旅立った幹部まりさ。 お野菜が生えてくると信じ、ただただ畑で祈るだけの長れいむ。 そして、何が狙いか、不気味に沈黙する幹部ありす。 これらの三つの勢力である。 いや、正確には少し違った。 実はこれらのどこのグループにも属していない、少数の第四の集団が密かに存在していた。 その集団とは……。 「むきゅ!それで?あなたたちが、ぱちぇの群れに新しく入れて欲しいっていうゆっくりたちかしら?」 「そうだよ!まりさたちはもう、あんなおさや、かんぶたちにのおさめるむれにはついていけないよ! だからおねがいだよ!ぱちゅりーのむれにいれてね! ぜったいにめいわくはかけないよ!」 ところ変わってここは長ぱちゅりー群れ。 新たに広くなったぷれいすへと移住した長ぱちゅりーたちは、現在大混乱にある長れいむのたちの群れと違い、 順調に越冬の備えを終えつつあった。 特に大きな問題もなく、これならば無事計画通り上手くいきそうだと思っていた矢先、 突如として長れいむの群れに所属していた少数のゆっくりたちが長ぱちゅりーの下へとやってきたのだ。 何事かと身構える長ぱちゅりーだったが、やってきたゆっくりの口からは以外な言葉が飛び出した。 なんと、自分たちを長ぱちゅりーの群れに加えて欲しいというのだ。 「かんぶまりさはばかだよ!にんげんさんのぷれいすには、ぜったいにはいっちゃいけないって、むかしからおきてできまってるのは、 にんげんさんは、とってもつよくて、ゆっくりじゃぜったいにかてないのがりゆうなのに! にんげんさんのぷれいすをうばおうなんて、じさつこういだよ!」 「おさのれいむはおろかものよ! まだ、あのおやさいはたけにしゅうちゃくしているの! まえまえからおかしいとおもっていたけど、こんかいのけんでかくしんしたわ! たぶん、きっと、おやさいはかってにははえてくるものではないのよ!」 「あのかんぶありすはぶきみなのぜ! きっと、なにかよからぬことをかんがているのぜ! そしてそれはきっと、むれのゆっくりではなく、じぶんのゆっくのためなのだぜ! そんなかんぶはしんようできないのぜ!」 口々に長や幹部たちの不満を言うゆっくりたち。 だがそれらの不満は実に正鵠を得いていた。 「むきゅ!いいたことは分かったわ! でも多少不満があるとはいえ、群れを抜けるのは長に対する裏切りではなくて?」 「べつにうらぎったわけじゃないよ!むしろうらぎったのは、おさたちのほうだよ! まりさたちだって、いままで、おさやかんぶたちのむちゃくちゃに、さんざんがまんしてきたんだ! でもそのけっかが、おさたちとのしんじゅうだなんてじょうだんじゃないよ! まりさたちだって、べつにすきであのむれにうまれたわけじゃない! だいいち、むれをでていって、ほかのむれにはいっちゃいけないなんておきてはないからね! わるいことをしているつもりはないよ!」 「まっ、たしかにそれは道理かもね」 長ぱちゅりーは頷く。 「それにまりさたちだって、ただでむれににいれてもらおうなんておもってないよ! みんな!あれをだしてね!」 「「「「ゆゆ!」」」」 集まったゆくりたちが懐から何かゴソゴソと取り出す。 「あら!」 「みょん!あれは!」 「わかるよー!おやさいだよー!」 そう、集まったゆっくりたちが取り出したのは、かつて畑に生えていたお野菜だった。 「もしものときのために、たべずにとっておいたんだよ! このおやさいを、すべてわたすから、ぱちゅりーのむれにまりさたちをいれてね! そもそもまりさたちは、ぱちゅりーのむれにいれてもらったからといって、なにからなにまでせわになるきはないよ! えっとうのそなえぐらいかくじでちゃんとしている! ただ、このままあのむれにいるとゆっくりできなそうだから、ぱちゅりーのむれでほごしてもらいたいんだ!」 切実に訴えるゆっくりたち。 集まったゆっくりたちは、長れいむの群れにあっても、お野菜を食い散らかさずにきちんと越冬の備えをしていたごく少数のゆっくりたちだったのだ。 先見の明があったこれらのゆっくりたちは、これ以上あの群れに留まっているのは危険と考え(越冬の準備をしていないゆっくりたちに食料を力ずくで強奪される可能性が高い)、 長ぱちゅりーの群れへと移住を決意したのだ。 「むきゅ!なるほどね!ちゃんと考えあってのことらしいわね! わかったわ!あなたたちの、群れへの移住を許可します! ちぇん!みんなを群れに案内してあげて!」 「わかったよー!みんなこっちだよー!」 「「「「ゆっくりありがとね!」」」」 幹部ちぇんに連れられて、ぞろぞろと群れに入っていくゆっくりたち。 皆一安心といった表情で、笑顔だった。 「みょん!いいのかみょん? あんなにかんたんに、うけいれて? もしかしらた、れんちゅうはすぱいかもしれないみょん!」 幹部みょんが警戒するように言う。 「考えすぎ……とまでは言わないけれど、その可能性は限りなく低いわね。 越冬準備不足で混乱している長れいむたちの群れが、少数とはいえ越冬できるだけの食料を持たせてゆっくりを送り込んでくるなんて、 そんなこととても考えられない。 第一私たちの群れの一体何をスパイしようというの? 長れいむの様子を聞く限りじゃ、未だにはめられたことにすら気づいてないみたいじゃない?」 「みょん!そういわれてみればそうだみょん!」 納得したように頷く幹部みょん。 さて、今更あえて説明するまでのないことだが、一応ここでネタばらしをしておこう。 今、長れいむの群れを襲っている混乱。 その根源は長ぱちゅりーたちの策略によって引き起こされたものである。 かねてから奴隷か、戦争かの二択を迫っていた長れいむの無茶な要求に困り果てていた長ぱちゅりーたちは、 この現状を打破するためにある一計を案じた。 それこそがこの、土地のこうっかん作戦である。 そのやり方はこうだ、まずは今まで長い間群れの奥で隠しながら栽培していたお野菜の情報を大々的に流出させる。 この情報を早速耳にした長れいむたち幹部一同は、案の定お野菜畑にやってきて、物欲しそうな目をしだす。 そこで、長ぱちゅりーは長れいむに、この土地が欲しくないかと持ちかけるのだ。 ここで大切なことは、長れいむ一匹のみと交渉することである。 これには二つの意味がある。 その一つは、長れいむと幹部たちの不和を煽るため。 幹部ぱちゅりーは、風の噂で長れいむと幹部たちがあまり仲がよくないという話を知っていた。 また、定期的に開かれる群れの会議でも、幹部まりさ幹部ありすは長れいむに渋々従っているような節が見られていたのだ。 これを最大限利用するために、長れいむのみを交渉相手に指名し、幹部たちの嫉妬や功名心を煽ったのだ。 理由の二つ目は、やはり長れいむ一匹のほうが格段に交渉がやりやすいからである。 特に戦争の際に、長れいむだけを狙う等の話は、二匹だけの密談の間でないと話題に出しづらい。 仮に出しても、幹部二匹に押し切られてしまう可能性が高い。 ゆえに長ぱちゅりーとしては、長れいむと一対一で交渉することは重要な意味があったのだ。 そして最後の難関としては、実際に長れいむが土地の交換へと応じるかという問題があった。 この部分だけは本当に賭けだった。 もし長れいむが自身の犠牲をいとわずに、戦争を選択していたらと思うとゾッとする。 当然その可能性は0ではなかったのだから。 だが、何度かの会議で長れいむの性格をある程度熟知している長ぱちゅりーは、 かなり高い確率で長れいむが土地の交換へ応じると踏んでいた。 そもそもの前提として長れいむの側だって、戦争はなるべく避けたいのではないか? そう長ぱちゅりーは推測していたのだ。 もちろんそう考える根拠はある。 長れいむが提案した合併奴隷法を長ぱちゅりーが最初に断ってから、最終的に長れいむが戦争を宣言するまでに、 随分と間が開いているというのがその理由だ。 長れいむの短気で幼稚な性格を分析するに、もし戦争というカードが自由に使えるのならば早々に、 それこそ始めに長ぱちゅりーが始めに要求を断ったときに使っているのではないか? それをせずに、何度もまどろっこしく、ゆっくりできない交渉を長れいむにしては我慢強く続けたということは、 戦争は向こうにとっても都合がよろしくなく、なるべくなら避けたいものだということの証拠に他ならない。 以上の推論をもとに、長ぱちゅりーは強気の勝負にのぞんだ。 そして結果はごらんの通りである。 長ぱちゅりーと長れいむは、野菜畑と広大な土地とを交換した。 この交換は双方が満足いくものだったが、実際の価値はとても釣り合っているものとはいえない。 いくら野菜が生えているとはいえ、少量の土地と広大な土地ではとても同等ではないだろうことは明らかだ。 にもかかわらず長れいむが交換に応じたのは、この土地を『お野菜が勝手に生えてくるゆっくりぷれいす』と勘違いしているからだ。 一般的にはゆっくりに、お野菜は勝手に生えてこないという事実を認識させるのは難しいとされている。 過去には何度もゆっくりに、お野菜が勝手に生えてこないということを教えよう、という試みが話として伝えられ、 そのたびに結局は失敗に終わったり、あるいはこんな簡単なことを悟らせるのに、割に合わない苦労を強いられてしている。 この最大の原因は、ゆっくりたちがお野菜が勝手に生えてこないということを理解できないのではなく、理解しようとしないことにある。 ゆっくりがお野菜は勝手に生えてくると強く認識しているのは、そちらのほうがゆっくりにとって都合がいいからにほかならない。 だからゆっくりは口をそろえてそう主張するし、そう信じる。 どれだけ現実を見せ付けてもそう簡単に考えを変えようとしない。 そして長れいむの群れのゆっくりたちもその例にもれず、ほとんどが理解しようとしないゆっくりだった。 だから長ぱちゅりーはそこを逆手に取ったのだ。 今まで秘かに栽培していた野菜畑を、ある日突然生えてきたと偽り、まんまと長れいむたちの広大な土地と交換した。 予想通り長れいむたちはお野菜は勝手に生えてくると信じ込み、そろそろ冬が近いというのに越冬の準備を怠った。 そして必然的に畑の野菜が減っていくにつれ、長れいむは徐々に求心力を失い、 代わりに幹部まりさ、幹部ありすが台頭することにより群れは空中分解することとなる。 さらにに幹部まりさが群れの約半数のゆっくりを連れ、人間の領土に攻め込むとう暴挙に出たために、群れは大きく弱体化。 とどめとばかりに僅かに残ってた優秀なゆっくりたちも、全て長ぱちゅりーの群れへと亡命したことにより、現在長れいむの群れへと残っているのは、 駄ゆっくりばかりという状態だ。 正直ここまでの結果は長ぱちゅりーとて予想してなかった。 当初の予定では、越冬に失敗させ、長れいむの群れの国力を長ぱちゅりーの群れと同等程度まで削ぐ、くらいの腹積もりであった。 だが今や長れいむの群れは半壊滅状態にある。 仮に戦争となっても確実に勝利できるだろう。 いや、わざわざ手を下さなくても、春まで待ってれば勝手に越冬失敗して滅びるに違いない。 それもこれも全ては長ぱちゅりーが土地のこうっかんを促したからだ。 だが同情はしない。 もとはと言えば、長れいむが土地の合併奴隷法なんて馬鹿げた要求を迫ったからこんなことになったのだ。 要するに自業自得だ。 そして長れいむは今でも自分の過ちに気づかずに、畑の前でお野菜が勝手に生えてくると信じ込んでいるらしい。 まあ、そんなに勝手に生えてくると信じたいならば、勝手に信じていればいいのだ。 決して勝手に生えてくることのない畑の前で、延々と信じ続ければいい。 どれだけあからさまな真実を突き付けられても、いまだに生えてくると信じ、畑の前で祈っているという長れいむは、 愚か、いやむしろ憐れですらあった。 「むきゅ!れいむはどうやらもうだめね、まりさも人間さんのところに攻め込むなんてバカげたことをするわ」 「みょん!でもそんなことしてにんげんさんのいかりにふれないみょんか?」 最もな疑問をもらす幹部みょん。 「多分……大丈夫だと思う……一回くらいなら……。 山狩りは時間と手間がかかるから、めったなことではやらないと聞いたわ。 でもほとぼりが冷めるまでしばらくの間は、いかなる理由があろうとも山を下りないように群れのみんなに徹底しておく必要があるわね」 「りょうかいしたみょん!」 頷く幹部みょん。 実際今からでは手の打ちようがない。 人間がどう出るかについては運を天に任すしかないのだ。 「幹部まりさのことはもうしかたないとして、あと残っているのは幹部ありすね。 亡命してきたゆっくりたちの話だと、いまだに何かよからぬことを考えてるらしいから、要警戒しておかないと」 「みょん!どうせたいしたことじゃないみょん!」 「だといいんだけれど……」 若干不安気に言う長ぱちゅりー。 ゲスゆっくりというのは、時に正常な理屈からでは全く想像もつかないような行動を取ることがある。 ゆえにそれらの行動を予想するのは難しい。 たとえ大した脅威ではないとわかっていても、何が起こるかわからないというのは不安なものなのだ。 こうして一抹の不安を残しつつも、長ぱちゅりーの群れは順調に越冬の準備を進めるのであった。 そしてまた少し月日が流れ、いよいよ越冬が目前と迫りつつあった頃。 「はえてきてね……おねがいだよぉ! おやさいさん、ゆっくりしないではえてきて!れいむをたすけてね! なんでこんなにおねがいしてるのに、はえてきてくれないのぉ! いじわるしないでねぇ!どうして!どうしてなのぉ! れいむなにもわるいことしてないよぉ!いまならゆるしてあげるよぉ! だからはてえてきてねぇぇぇぇ!ゆっくりしないで、はえてきてぇぇぇぇぇ!」 今ではもうすっかりお野菜を食いつくしてしまい、ただの荒地となった畑にて、 ぶつぶつと念仏のように懇願を繰り返す長れいむの姿があった。 長れいむはすっかりやせ細り、薄汚れ、その目には生気というものがなかった。 最後のお野菜を食いつくしてからもうだいぶ日が経つ。 その間全く食事をしていないのだからこの衰弱は当然だ。 今までお野菜食い放題で贅沢三昧していた長れいむは、いまさら狩に行くような生活には戻れない。 できることといえばこうして畑で無駄な祈りを捧げることぐらいなのだ。 ところで、今この畑には長れいむの姿しか見られない。 他にいたゆっくりたちは今では長れいむを完全に見限り、幹部ありすについていったからだ。 つまりは事実上今の長れいむは一人ぼっちであり、もう長でも何でもないただの駄ゆっくりに成り下がったというわけだ。 ここまできてしまえば長れいむは群れのゆっくりたちに、こんな事態になったことに責任として制裁されてもおかしくない状況である。 だがそんなことにはならず、一匹畑に放置されたままでいるのは、今では群れの実権を完全に握っている幹部ありすによって、 長れいむに手を出せば自分らが容赦しないと宣言したからである。 本人は知る由もないが、この宣言によりかろうじて長れいむの命は繋がっている状況であった。 では何故幹部ありすはこんな宣言をしたのか? 長れいむの身を案じて? そんなわけがない。 全ては自分のためである。 幹部ありすは物陰から秘かに、ぶつぶつと畑に呟いている長れいむを覗き見る。 「ゆほほほほほ!ころあいねぇ! それじゃ、そろそろいこうかしら!」 じゅるりと舌なめずりをし、その場を離れる幹部ありす。 向かう先は長ぱちゅりーの群れ。 今まで不気味に沈黙していた幹部ありすが、ついに動くときがきた。 「おさーたいへんだよー!むこうのむれの、かんぶありすが、おさとかいだんをしたいって、やってきたよー! いま、いりぐちのところでまたせてるけれど、どうするのー!」 おうちでゆっくりしていた長ぱちゅりーのところに、幹部ちぇんの声が響き渡る。 「みょん!とうとうきたみょんか! しかしいったい、いまさらなんのようなのかみょん!」 その場に一緒にいた幹部みょんが疑問を口にする。 「さぁ? 単純に考えれば、越冬用の食料の援助要請かしらね? もしそうだとしたら、少しぐらいは援助してあげてもいいと思ってるわ、 あの群れの勢力を削ぐという当初の予定は十二分に達成されてるしね。 まあどんな話がくるにしろ、いまさらこちら側がピンチになるようなことはないとは思う。 でもこういう楽勝ムードのときこそ油断は禁物よ。 最後まで用心していかないとね」 「こころえたみょん!」 長ぱちゅりーと幹部みょんが気を引き締めていると、外からは何か揉めるようなけたたましい声が聞こえてきた。 「まっ、まってねー!まだおさはあうっていってないよー! かってにはいってこないでねー!」 「うるさいわね!このいなかもの!おまえみたいなしたっぱじゃ、はなしにならないっていってるでしょ! さっさとそこをとおしないさい!」 どうやら幹部ありすは、幹部ちぇんたちの静止を振り切り、勝手に群れ内に進入してきているようだ。 「やれやれ、何やってるのかしらまったく」 どういう状況になっているのか、嫌でも想像できてしまうような展開に溜息をつきながら、長ぱちゅりーおうちから出る。 するとそこには案の定、幹部ちぇんと群れのゆっくりたちに取り押さえられている幹部ありすの姿があった。 「おとなしくするんだよー!わかれよー!」 「さわらないで!けがらわしい!はなしなさいよしたっぱ!ありすをだれだとおもってるの! ありすはおさにはなしがあるのよ!それをとめるとはなにごとよ!これはじゅうようなもんだいなのよ!」 取り押さえられたままジタバタともがいている幹部ありす。 何があったかは聞かなくても大体分かる。 大方やってきた幹部ありすが、取り次ぐから待ってくれといったゆっくりの静止を聞かずに、 勝手に群れに入ろうとしたところを取り押さえられたのだろう。 バカバカしい話だ。 「ほら、ありす、お望みの通りやってきてあげたわよ! だから暴れるのをよしなさい! あなたたちも放してあげなさい」 「わかったよー!」 「ゆう!」 長ぱちゅりーがやってきたことにより、おとなしくなった幹部ありすを放すゆっくりたち。 「んぼぼぼぼぼ!ごきげんよう!ぱちゅりー!あえてうれしいわ! でもあなた、ぶかのしつけがなってないようね!いきなりこのありすをつかまるなんて、ぶれいにもほどがあるわよ! こんどからは、にどとこんなことがないように、よーくいいきかせておいてちょうだい!」 自由になった幹部ありすが頬を膨らませる。 「それはありすが勝手に群れをに入ろうとしたからでしょ。 まあ、そんなことはどうでもいいわ。 何かぱちぇに話があってきたんじゃないの? さっさとその話をしてちょうだい!」 「ゆほほほほ!きがはやいのね!これだからいなかものはゆっくりしてないというのよ! まっ、いいわ! きょうはぱちゅりーにとって、とってもみみよりなはなしをもってきたのよ!」 「耳寄りな話? いきなり胡散臭いわね。 今のありすたちが、ぱちぇたちの得になるような情報を持っているとは思えないのだけれど?」 訝しげな表情の長ぱちゅりー。 「ゆふふふふ!そんなことないわ! これはぱちゅりーにとって、とってもおいしいとりひきよ! ぜったいにきいてそんはしないわ!ほら!きょうみがでてきたでしょう!」 ニヤニヤと三流セールスマンの売り口上のようなセリフを述べる幹部ありす。 対して長ぱちゅりーは早くも呆れ気味である。 「ふぅ、まあいいわ。 どうせ言うまで帰る気はないんでしょう。 だったらとりあえず言うだけ言ってみなさいな。 「んほほほほほ!そんなふうに、むりしてきょうみのないふりしちゃって!つんでれなのね! でもいいわ!ありすはとかいはだからゆるしてあげる! それじゃさっそくほんだいだけど、ねぇぱちゅりー、あなたありすたちのむれのおさになるきはない?」 「!?」 長になる気はないか? 幹部ありすの突然の提案に、驚きの気配を隠せない長ぱちゅりー。 そんな長ぱちゅりーの様子に気をよくしたのか、嬉しそうに話を続ける幹部ありす。 「ゆふふふ!きょうみをもってくれたみたいね! とうぜんよね!だってもしありすたちのむれのおさになれたのなら、ぱちゅりーは自分のむれと、 ありすたちのむれの、ふたつのむれでおさになることになる! それはつまり、このやまぜんたいのおさになるということだものね! きょうみがないはずがないわ!」 相変わらずのニヤついた笑みを顔に張り付けながら、幹部ありすはさらに続ける。 「いまありすは、たちばしょう、いちおうはかんぶのちいにおさまっているわ! でもじっしつじょう、むれをおさめているのは、あのくずれいむじゃなくて、このありすなの! あのくずれいむのしたについているゆっくりは、もういっぴきとていないのよ! すべてのゆっくりは、ありすのしはいかにあるわ! このいみがわかる?つまりは、くずれいむのおさのしょうごうは、それこそ、ただのかざりものというわけ!」 淡々と己の群れの現状を説明する幹部ありす。 「んほほほほほ!あのむのうれいむは、いまでもおやさいはたけでいっぴき、ぶつぶつとやってるわ! だから、このありすがちょっとめいれをくだせば、いともかんたんにえいえんにゆっくりさせることができのよ! そして、そのあとにのこったしたいを、ぱちゅりーにさしだせばどうなるかしらぁ? むのうなおさはしに、そしてゆいいつのこったかんぶであるこのありすが、ぱちゅりーをつぎなるおさとみとめるならば、 だれのもんくもなく、ぱちゅりーがありすのむれのおさとなるのよ! どう?すばらしいはなしだとおもわない?」 「へー!ぱちぇのために、長であるれいむをありすがわざわざ始末してくれるってわけ? しかもその長の地位を、ぱちぇに譲るですって! そりゃ随分と至れり尽くせりな話じゃないの?」 「ゆほほほほ!かんちがいしちゃこまるわね!もちろんこのありすがここまでやるからには、かわりにじょうけんというものがあるわ!」 「ふん!でしょうね!」 長ぱちゅりーが鼻で笑う。 この幹部ありすが、誰かの得になるだけの行動をするわけがないのだ。 ゆえに何か条件をつけてくることなど容易に想像できていた。 「ありすは、おされいむのくびをさしだすじょうけんとして、このありすを、かんぶたいぐうで、ぱちゅりーのむれへとくわえることをようきゅうするわ! おうちは、たっくさんのゆっくりが、かいてきにすめるむれいちばんのおおきさのものをよういして! もちろんえっとうようの、しょくりょうもわすれずにね! それから、これがいちばんじゅうようなんだけど、このありすせんようの、どれいをよういしてちょうだい! かずはそうね……おおまけにまけて、じゅっぴきていどでいいわ!そのかわり、むれいちばんのびゆっくりをよこすのよ! まっ、とりあえずはそんなとこね! これがありすのようきゅうする、さいていげんのじょうけんよ!むれひとつてにいれるとしては、はかくのじょうけんでしょ!」 「…………」 「…………」 「…………」 幹部ありすの条件を聞いた幹部ちぇん、幹部みょん、それに周りのゆっくりたちはみな黙っていた。 言葉がない。 開いた口がふさがらない 二の句が告げない。 何を言っていいか、どうやってこの幹部ありすを罵っていいのか適切な言葉が瞬時にみつからないのだ。 「一つ聞きたいたいんだけど、あなたはその条件で満足かもしれないけど、残されたれいむの群れのゆっくりたちはどうなるわけ? そのあたりのことがまるで言及されてないんだけど?」 そんな中、全く表情を変えずに幹部ぱちゅりーは問う。 実はこれは、まるで意味のない質問だ。 聞かなくてもおおよそ答えはわかっているし、たとえどのような答えが返ってきたとしても、長ぱちゅりーがこれから下す決断はかわらないからだ。 だがそれでも聞かずにはいられなかった。 「あら、なにそれ?そんなのありすのしったこっちゃないわ! だいたいれいむをころして、ひきわたしたあとなら、もうありすはれいむのむれのかんぶじゃなくて、 ぱちゅりーのむれのかんぶになるんだから、もといたむれのゆっくりたちが、しのうが、えっとうしっぱいしようがなんのかんけいもないわ! あたらしく、むれのおさになったぱちゅりーが、せきにんをもって、えっとうようのしょくりょうをわたすなり、ほうちするなりするといい! それこそ、いちかんぶであるありすのかんよするところではないわ!」 「そう、わかったわ」 全てわかった。 要するに幹部ありすは、長れいむや、群れのゆっくりたちを見捨て、利用することで自分だけ甘い汁を吸おうというのだ。 もとよりそのためだけに、長れいむを生かしておき、群れのゆっくりたちのリーダーとなったのだ。 長れいむや、幹部まりさは、ゲスで愚かでどうしようもないゆっくりだったが、まだ多少は(ほんのちょびっとだけ)群れのことも考えていた。 だが幹部ありすは違う。 一から十まで本当に自分のことしか考えていない。 そもそも幹部ありすは長や幹部の地位、あるいはお野菜ぷれいすなどにはそれ程執着心がないのだ。 無論それらがあるに越したことはない、だが幹部ありす本当の目的は自分を中心としたすっきりはーれむを作り出すことなのである。 今までに幹部となり、さらには長の地位を狙っていたのは所詮そのための足がかりに過ぎない。 ゆえに、ゆっくり以外の人間を奴隷にしようとしていた、幹部まりさの誘いになど乗るはずもなく、 この山に残ったのは、群れのためでも人間を恐れたからでもなく、自分の目的のために群れを裏切る算段を思いついたからだ。 いや別に裏切ったわけではないか。 始めから幹部ありすは、群れのことなどこれっぽっちも考えていないのだから。 全ては自分が理想とする、はーれむぷれいすを作り出すため。 そのためならば他のゆっくりがどうなろうが、知ったことではないのだ。 「ゆほほほ!しつもんはそれだけかしら!それじゃけつだんをきこうかしらね! もっとも、かんがるまでもないはなしだとおもうけど!」 「そうね、考えるまでもないわ」 「あらあら、それはなかなかに、とかいはね! ぱちゅりーとはかんぶになってからも、うまくやっていけそうだわ! じゃあ、きくまでもないことだけど、みんなのまえではっきりとこたえをせんげんしてもらえるかしら! うたがうわけじゃないけど、れいむをしまつしたあとで、やっぱりそんなはなしなかった、なんていわれるとこまるからね!」 幹部ありすは左右を見回しながら言う。 今ここに集まっているゆっくりたちを、この話の証人にしようというわけだ。 「いいわよ別に。 じゃあ答えるけど、この取引はお断りよ! 到底受け入れられるものじゃないわ! さぁ、これで話はお終いでしょ。 さっさと帰りなさい。 そして二度とこの群れ来ないでちょうだい!」 「……ゆほ?」 キョトンとした目になる幹部ありす。 あまりにも自身が予想していた答と異なるために、理解が追いつかないのだ。 「みょん!いつまでそこでぼーっとしてるみょん!ようがすんだのならさっさとでていくみょん!」 「わかるよー!そんなところでつったってられると、じゃまなんだねー!」 いつまでも静止したままの幹部ありすに、幹部みょんと幹部ちぇんが帰るように促す。 周りにいたゆっくりたちもまた、そうだそうだと同調する。 「ちょ、ちょっとまちなさいよおおおおおおおおお! なんなのいったい! ことわるって、なによ! ちゃんとありすのいっていることのいみをりかいしているの! いまなら、ありすのようきゅうした、かんたんなじょうけんをのむだけで、おさになれるのよ! それをことわるなんて、しんじられないわ!もういちどしっかりかんがえなおしなさいよ!」 ようやく頭に理解が追いついたのか、納得いかないといった風にわめきたてる幹部ありす。 しかし長ぱちゅりーはとりあわない。 「はっきり言って、あなたたちみたいなゆっくりの群れの長をやれなんて、どんなに頼まれてもごめんなのよ。 それなのに幹部にしろ?おうちを用意しろ?奴隷をよこせ? バカじゃないの? まあ、実際バカなんだからこんなこと堂々とできるんでしょうけどね」 「ゆっ、ぐっ!なによ!そんなにこのじょうけんがきにくわないの! だったら、どれいはいっぴきへらして、きゅうひきでいいわよ!けちんぼね! ほら!これでもんくないでしょ!さっさとありすとのとりひきをうけいれるといいなさいよ!」 何を勘違いしたのか、要求を譲歩し出す幹部ありす。 そもそもそういう問題の話ではないということを、どうやら理解できていないらしい。 「恥ずかしいゆっくり!」 そしてそんなふざけた態度の幹部ありすを、幹部ぱちゅりーは怒気をはらんだ一言で切って捨てた。 「もう何も話すことはないわ。 これ以上ごねるようなら、力ずくで追い出すことになるわよ!」 「ゆっ、なっ、ゆぐぐぐぐぐぐぐ!」 悔しそうに唸る幹部ありす。 見れば先程から、幹部みょんと幹部ちぇんがじりじりと幹部ありすとの距離をつめてきている。 何か不審な動きをすれば、すぐさま取り押さえにくるだろう。 多勢に無勢、周りには他のゆっくりもいるし、今幹部ありすにできることはそう多くない。 「ちきしょおおおおおおおおおお!おぼえてなさいよおおおおおおおおおおお!こうかいさせてやるわああああああああ!」 そして幹部ありすは、許された数少ない選択肢である、おとなしく帰るという選択した。 その際に言い放った小悪党が言うような捨て台詞はもはやお約束である。 事実小悪党なんだからこれは仕方がない。 こうして、幹部ありすの愚かな企みは瓦解した。 それはつまり、長れいむの群れの脅威が完全に去ったことを意味する。 この瞬間、長ぱちゅりーたちはついに群れ始まって以来の危機を乗り切ったのであった。 つづく
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3672.html
『裏切り者の話』 30KB 観察 差別・格差 同族殺し 駆除 自然界 二作品目 比較的テンプレ? 比較的ゆっくりが頭いいです。 誤字脱字があるかも知れません。 裏切り者の話 人間の住む街から10㎞ほど離れた青々とした山の中。ここには100匹程度のゆっくりの群れが幾つも点在していた。 この山に人間は滅多に来ない。せいぜい山に住居がある者がたまに、申し訳程度に歩いている位ある。つまりは、ゆっくりにとって此処は楽園という事だ。 しかし山の資源は有限である。増えれば当然食糧は採れなくなる。そうなれば、さまざまな障害も生まれてくるものである。 「おさ!もうがまんできないのぜ!となりのむれにそうこうげきをかけるべきなのぜ!」 「このままじゃむれはぜんめつなんだねー。わかるよー」 「むきゅう……まりさ、そんなことをいったってこのむれにはもう、たたかえるようなゆっくりはいないわ……。つよいゆっくりはみんな、まえのたたかいで えいえんにゆっくりしてしまったし……」 「あのときはうんがわるかったのぜ!ふいうちさえされなければ、あんなことにはならなかったのぜ!」 とある、小さな群れのまりさが声を荒げている。このまりさはこの群れのナンバー2である。力も強く、狩りも上手で、群れのカリスマ的存在だった。 ……がそれも今は昔。この群れは現在、食糧をめぐって隣の群れと抗争中なのだ。その結果、半数以上のゆっくりが地面のシミとなった。 残っているのは子ゆっくりと番の片割れ、そして長と一部の幹部だけである。 この群れに逃げ道など無い。戦えば確実に敗北し、逃げ出した所でこの食糧難でぱちゅりー達を受け入れてくれる群れなど何処にもいない。 「ゆぅ……こうなったのもあのげすまりさのせいだよ!」 「れいむ!あのげすのはなしはするんじゃないぜ!」 「ゆ、ごめんなさいまりさ……」 それは一週間前に遡る。 その時はまだ、隣の群れとも共生し、少ない食事ながらも皆が何とか生き長らえていた。まりさは長の家へ向かい、今日取って来た食糧を納めに行った。 「ゆ!おさ!きょうはきのこさんがとれたのぜ!」 「さすがまりさだわ!とってもとかいはよぉ!」 「むきゅ、それをしょくりょうこにはこんで、それといたんできたきのみさんをそろそろたべないといけないからもってきてちょうだい」 「わかったのぜ、おさ!」 「さっすが、おさのみぎうでだね!れいむのおちびちゃんも、おおきくなったらまりさのようになってね!」 「わかったよ!まりさもまりさおじさんみたいにりっぱなゆっくりになるよ!」 「ゆへっ、あんなぐずになろうだなんて、そいつはたいしたものなんだぜ~」 「ゆ!?まりさ……!」 れいむの振り向くその先には、少し帽子が破け、顔に大きな傷のあるまりさが現れた。 「ゆ!なにしにきたんだぜ!?ここにはきてはいけないやくそくなのぜ!」 「ゆっへっへっひどい、いいぐさだぜ。ひさしぶりにあんこがからっぽのばかあねのすがたがこいしくなってわざわざきたというのに、だぜ」 「むきゅ、まりさ。あなたはいま、おきてをやぶってにんげんさんのおうちにいったばつをうけているのよ。わたしたちはあなたにしょくりょうをわけることはできない。 それをわかって……」 「なにいってるのぜ。べつにまりさはしょくりょうがほしくてきたわけじゃないのぜぇ、まぁここはひとまずたいさんするのぜぇ」 そう言うと傷まりさは何処かへと消えていった。 「まったく、あいつはなにをかんがえているのぜ。むかっしからゆっくりしていないおかしなやつだったけどきょうはいじょうなのぜ」 「むきゅ、しまいなのにあそこまでせいかくがちがうのもふしぎなものね」 「あんなのがじぶんのいもうとだとおもいたくないのぜ……」 少し時が経ち となりの群れにて…… 「しょくりょうこはおそらく、あとたいようさんがじゅうものぼればつきるのぜ。このむれのほうがゆんこうがおおいから、たいしてたしにはならないとおもうのぜ むれでとくにつよいゆっくりは…………」 「ごくろうだったわね、まりさ。ほうしゅうとして、さんさいさんをあげるわ。こんごも、とかいはでやくだつじょうほうをよろしくね」 「……ふん、もらっていくのぜ」 「ニヤァ」 「なんていうとおもったのかぜ!」ドスッ 「ぎゃあああああああああああああああ!?」 『おさぁああああああああああああああああああああああ!!?』 「まりささまをだまそうとするんじゃないのぜぇ。さんさいさんはにんげんにけんっじょうするのがこのむれのおきてだったはずだぜぇ? まぁそんなどくのにおいがぷんぷんするさんさいさんなんて、にんげんはたべないとおもうけどだぜぇ!」 「いだいいいいいいいいいいい!!!あのまりさをごろぜぇええええええええええ!!!」 「へっ、それだけげんきならしなないのぜぇ!」 「しねえええええええええまりさあああああああああああああ!ゆぎゃ!?」 「さっさとしぬみょん!!び!?」 「ちぇんにかてないんだねー。わかれ…びゃ!?」 「でてこなければやられなかったのぜぇ」 「れいむのおべべがぁあああああああああああ!!?」 「なにもみえないみょおおおおおおおおおおん!?」 「わぎゃらないよおおおおおおおおおおお!!」 「おさとかんぶたちがとなりむれのまりさにころされたよぉおおおおお!!」「これからはゆかりがおさになるわ!みんな!となりのむれにほうふくするのよ」 「そうなんだよー!これはおさたちのとむらいがっせんなんだねー。わかるよー!」『ゆっゆっおー!』 夕暮れ時 食糧庫の整理が終わった後、まりさは番のありすが待つ自身の巣穴へ向う。そして巣穴のある木が見えてきたところで、何故か近所のゆっくり達が群がっているのが分かった。 「ゆ!まりさがかえってきたよ!」 「ちーんぽ」 「ゆゆ!?れいむ、これはなんのさわぎなのぜ?」 「みょん……、まりさ、おちついてほしいみょん……」 「いったいどうしたんだ……ぜ?」 まりさは自分の巣穴の中を見た。そこはカスタードと餡子でグチャグチャになっていおりゆっくりの皮が其処彼処にへばり付いていた。それはまりさの子供たちであった。 「お……おちびちゃああああああああああああん!?れいむ!!これ、どういうことおおおおおおおおおおおおお!!?」 「れいむが…れいむのおちびちゃんとゆっくりしていたとき……、まりさのおうちからゆっくりできないこえがきこえてきたんだよ……。それでれいむはしんぱいになって ちぇんをよんだんだよ……」 「ちぇんがきたときには、なかはこうなっていたんだねー。そのあと、おそとをみまわしたらまりさがありすをひっぱっていくのがみえたんだよー」 「……まりさって、まさか!?」 「おぼうしとおかおにきずがあったんだねー。まちがいなくあのまりさだってわかったよー」 「ぐっ……!!!」 まりさは何が何だか分からなかった。なぜ妹のまりさはこんな事をしたのか。が、そんな考えはすぐにどうでもよくなった。 あの妹は生まれた時からゆっくりしていなかった。生まれた時、誤って石に顔面をぶつけてお飾りが破れ、顔に大きな傷を持った。破れたお飾りはゆっくり出来なかったが それでも他の妹達と同じよう平等に扱ってきてやったのに奴は全然ゆっくりしていないどころかゆっくりできない行動ばかりする。そうだ、あいつはそういう奴なのだ。 他ゆんの邪魔ばかりするどうしようもないゲスなのだ。それでも姉妹だからと色々面倒を見てやったのに結局はこれだ。 まりさの憎悪が渦を巻く。まりさは「奴を殺す」と心の中で誓った。 「まりさはげすをさがすのぜぇえええ!!!」 「今から!?もうおひさまがだいぶおちてきてるわ!いまいったられみりゃに……」 「まりさはれみりゃにまけるようなざこじゃないのぜぇえ!!!」 「ゆっ、それはしってるけど……」 「たたたたいへんだぁあああああああああああ!!」 「あら?あなたはおさのところのまりさちゃん。どうしたの?」 「となりのむれのゆっくりたちがせめてきたんだよぉおおおおおおおおおおおお!!!」 『な、なんだってぇえええええええええ!!?』 ゆかり率いるゆっくりの群れが、長に面会もする事無く、いきなりこの群れを攻撃してきたのだ。 殆どのゆっくりが個々の巣穴でゆっくりしている時の襲撃だ。あっという間に群れのつわもの達が殺された。いや、つわもの達だけが狙い殺された。 「おお、よわいよわい。それともれいむがつよすぎたのかもね!つよすぎちゃってごめんね!」 「おじびぢゃ……にげ……」 「ゆっひゃあーーーーーー!おぶつはまりさのぺにぺにでしょうどくなのぜぇえええええええええ!!!」 「ゆびゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「やめでぇええええええええ!!!!ちぇんのおじびじゃんにぃいいいいいいいい!!!」 「うるさいちぇんはさっさとしね!しね!」 「わぎゃらな……、もっと……ゆっぐり……」 「ここのしょくりょうはすべてとかいはなありすがいただくわ!!あなたたちはさっさとしんでちょうだい!!!」 「たんしょ!ほうけい!!」 「そ、それはあしたのためのだいじなゆぎゃあああああ!!!いだい!いだい!!やべでぇえええええ!ぷーすぷーすしないでぇえええええええええ!!!」 「「みゃみゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」 「むーしゃむーしゃ、うっめ!このちびめっちゃうっめ!!」 「やめでえええええええええ!!れいむのおぢびちゃんだべないでぇええええええええええ!!!」 「んほぉおおお!れいむとかいはなおしりねぇえええええ!!」 「いやあああああああああ!!すっすぎりいいいいいいいいいいいいい!!!…………もっどゆっぐり」 群れ中が阿鼻叫喚で溢れる。ゆっくりの中の倫理、掟、常識、ここでは全てが何の意味を持たない。ただひたすら下劣に汚されていく。 「ゆかりさま、よろしいのですか?このようなことをゆるして……」 ゆかりの右腕、参謀のらんが苦言する。この群れの中でもゆっくりとしての品性、プライドが高いこのらんは、今回の作戦が嫌だった。 群れの中でもゲスと呼ばれる物達を集め、攻めさせるのだ。報酬は各々がかつて起こした掟破りへの免罪符である。さらに、相手のゆっくりには何をしても良い というサービス付きだ。血の気の多いゲス共がこれを断る訳が無い。仮にこの作戦が失敗しても、死ぬのはゲスだけ。こちらには痛みが無い。群れの本来の兵は別にいるのだ。 「ふふふ、かまわないわ。なんであれ、このむれをつぶせればね。あとのことは……まぁなんとかなるでしょう」 「ですが……、こんなごろつきども、いつなにをしでかすか……」 「なにかしでかしたら、こっそりほうむりさればいいんだねー。わかるよー」 群れ一番の戦闘派、幹部のちぇんである。 「ちぇええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!」 「らんしゃまうっとうしいんだねー。いいかげんわかれよー」 「ちぇえええええん……」 「おさぁああああああ!たいへんですぅ!!」 「あらどうしたの?まりさ」 「てきのおさのいえにせめていったまりさのぶたいがぜんめつしましたぁああああああああ!!!」 「っ!……どういうこと?」 「じつは……おさのいえにはいろうとしたらむれのかんぶたちがうしろからせめてきて……」 「めいれいどおりにうごかなかったの!?」 「うごきましたぁああああ!!でもおうちにいなくて!!!」 「そう……そしてそのことをほうこくもせずにいたのね」 「ゆっ!?それはじかんがなくて……」 「そう?すっきりーするじかんはあったのに?あなたぺにぺにのところにかすたーどがついてるわよ」 ブスッ「ゆがぁ!!?」 ちぇんがまりさの体に枝を刺す。枝は真っ直ぐまりさの中枢餡を貫いた。 「やくたたずのくずはいらないんだねー。わかれよぉお?」 「ちぇ……ん!?もっど………ゆぐ……」ドサ まりさは苦戦していた。まりさの巣に集まっていた幹部と共に長の家へ向かった時にはすでに、群れの勇士の殆どが死に絶えていた。 「ゆぎゃ……!!!!?」 「ちぇん!?」 そして今も、長の子である子まりさが死んだ。子まりさは同世代の中ではズバ抜けて狩りが上手である事で有名だった……。これであとまともに戦えるのはまりさと 群れ一番のはくろーけんの使い手のみょんだけである。しかし敵は一向に数が減らない。後ろには長と非難した群れの仲間達、前方は敵の大軍勢、勝ち目はない。 と、その時である。上空からバサバサと羽音が聞こえてきた。そう、れみりゃだ。れみりゃの群れが死臭につられてやって来たのだ。 「うー、あまあまがたべほうだいなんだどー」 『れみりゃだぁあああああああああああああ!!!』 「まりささまはまだしにたくないんだぜええええええ!?」「れいむはこっそりにげるよ!そろーりそろーゆぎゃあああどおじでれいむをおそうのぉおおおおおお!!!?」 「ぐるなぁあああああ!!!れみりゃはぐるな!あ!やべでまりさのあんごずわないでぇええええええ!!」「んほぉ!とかいばああああああああああああああ!!」 「いまだみょん!」 敵は完全に混乱した。 倒すなら今しかない。まりさもみょんもそれを悟った。 「ゆべし!」「ゆぎゃぁあ!?」「どがい!?」 「ぶべっ!!」「ふぎゃあああ!!!」 れみりゃから逃げているものを枝で刺す。刺されたゆっくりは倒れ、れみりゃに食われていく。 襲ってきたれみりゃは容赦なく攻撃する。しかし殺さず、あくまで牽制としてだ。間違ってもやり過ぎて、れみりゃ達を撤退させる訳にはいかない。 「しようきあり!だみょん!……ゆ?」 敵の多くが死に絶え。れみりゃ達が腹を膨らませて帰っていく。 その中でみょんは、小さな崖の上でこちらを見つめている見覚えのあるゆっくりを見つけた。傷まりさだ。 「まりさ!ここをたのむみょん!みょんはとおくのてきをせめるみょん!」 「ゆ!?だいじょうぶなのかぜ!?ここのてきをたをしてすこしやすんだほうがいいのぜ!」 「だいじょうぶみょん!みょんのたいりょくはそこなしだみょん!」 「……そうか、じゃあたのむぜ!」 「みょん!」 みょんは傷まりさの事を教えなかった。教えれば周りが見えなくなり、ここの守りが脆弱になる。そして万が一、傷まりさを追ってまりさが死んでしまったら この群れはやっていけなくなる、そう思った。みょんは腕は立つが、まりさほど狩りは上手くない。だからこそまりさを生かしたいのだ。 しかし傷まりさを逃す訳にはいかない。だからこそみょんは行く。みょんの腕なら傷まりさに勝てる。ありすの事を聞き出し、制裁し、あわよくば生きて連れ帰る。そう踏んでいた。 「ずいぶんとくるのがおそかったのぜ」 「はぁ、はぁ、まりさ!ありすはどこだみょん!!」 みょんと傷まりさが対峙する。 「あぁ、あれならまりさのうしろにいるのぜぇ……?」 「!?」 まりさが体を退ける。するとそこに、黒くてグズグズになった何かがあった。しかし、それに付いているカチューシャによって直ぐにみょんは、それがありすなのだと解った。 頭には多くの茎が成っており、すっきりー死させられたのが安易に想像できる。 「そいつはもう用済みなのぜ……。あのくそまりさにありすは、まりささまとじょうねつてきなすっきりーをして、おおよろこびしながらしんでいったとつたえるのぜぇ……」 「このどくされげどうがぁ!!……みょん!!!」 みょんは枝を持って突進する。しかし度重なる戦闘の上、ここまで走って来たのだ。流石のみょんも疲労で思う様に動けなかった。 普段のみょんならば傷まりさを倒せただろう。しかし傷まりさは難なくみょんの攻撃を右に回避する。傷まりさはすぐに間合いを取り様子を見る。 「ふん!くさってもみょんだぜ……、ちかづけばさすがのまりささまもあぶないのぜ…」 「ならさっさとあきらめるみょん!」 「そうはいかないのぜ、なぜなら……」ペッ ドスッ「みょ……ん?」 傷まりさは、さっき右に避けた際、お下げの中に隠していた釘を口の中に含み、それをみょん目掛けて飛ばしたのだ。 疲労で動きの鈍いみょんは避ける事が出来ず、釘は下腹部に突き刺さった。 「ぐぅう……」 「じっえんど、なんだぜ」 「このぉ……!」 「おいおいそんなにうごいちゃなかみがでちまうのぜ。もはやしょうぶはついたのぜ。さっさとしっぽまいてかえるのぜぇ」 悔しいが傷まりさの言う通りだった。これ以上戦えば確実に出餡多量で死んでしまう。しかし今すぐ戻ればもしかしたら助かるかもしれない。 最も傷まりさが自分を逃がせばの話だが……。 「ぐぅ……おぼえていろみょん!」 このまま戦っていても勝機が無い事を理解しているみょんはトドメを刺されるのを覚悟しながら、一端群れへ戻ることを決める。 しかし傷まりさは逃げ行くみょんに目もくれずこの場から去って行った。 「ね、なんとかなったでしょう?」 ゆかりは高台からゆっくりの残骸を見下ろしながら言う。結局、ゲスの兵士達は殆どれみりゃと群れのゆっくりによって殺された。 「うー、こっちにもあまあまだどー!」 「しょうじょしゅう!」ハァー 「ぐざいどぉおお!!にげるんだどぉおおおおおおお!!!」 「けいかくどおりなんだねー。わかるよー。(あいかわらずばばあのいきはくさいんだねー、いいかげんわかれよー)」 「ゆかりさま、きずまりさがきました」 らんが言う。後ろには傷まりさが立っていた。 「よくやったわね、まりさ。あなたのおかげでこのあたりしゅうへんも、わたしたちのものとなるわ」 「ふん、まだおわってないのぜ。おさと……おさのみぎうでのまりさのしがいがないのぜ」 「みぎうで?」 「そいつをたおさないかぎり、このむれはしなないのぜ」 「……そう、ちなみにそのみぎうでとやらはつよいのかしら?」 「つよいぜ。まるごしどうしならむれのえいゆん、みょんにもまさるのぜ」 「ゆかりさまー。ちぇんはそのまりさとたたかってみたいよー」 「そう、すきになさい。ちぇん」 「ありがとうなんだねー。ちぇんはきっとそのまりさをあんこをはかせながら、ぜつぼうにうちひしらせてむごたらしくころすんだねー」 ちぇんは恐ろしい形相で、ニタリと笑いながら言う。らんはそんなちぇんの姿を見て恐怖した。 戦いが終わり、まりさは長の家にいた。そこには群れ中から生き残り達が集められ、怪我の治療や、食事などをしていた。その姿には一片の生気も無く 大人のゆっくりは皆、絶望に顔を歪ませており、子供のゆっくりはそれを不安そうに見つめている。 「そう……。おちびちゃんがしんだのね……」 「すまないのぜ、おさ……。まりさもがんばったけどまもってやれなかったのぜ」 「いいのよまりさ。あのこもむれのためにひっしにたたかった。きっとゆんごくでもそのことをほこりにおもっているとおもうわ」 長パチュリーは我が子の死を聞き、涙を流したかった。だがそれをここで見せる訳にはいかない。群れの生き残りたちに不安を与える訳にはいかないのだ。 「おさぁああああああ!たいへんだぁああああああああああああ!!みょんが……!みょんが……!」 「なにがあったの!?」 「どうしたんだぜ!?」 長とまりさが外へ出るとそこには餡子をダラダラと流し、今にも死にそうなみょんの姿があった。 「みょん!?どうしたんだぜ!!!」 「まりさ……。あいつにやられたみょん……」 「そんな!むれいちばんのはくろーけんのつかいのみょんがどうして……!?」 「だれだってまけるときはまけるものだみょん……。それよりまりさ……、すまないみょん……。ありすは……ありすはすでにころされていたみょん……」 「……!うそだ……うそだ!!うそなんだぜ!!!」 「すまないみょん……。せめて、あのうらぎりものだけでもたおそうとしたけど……このざまみょん……」 「だれか!みょんをはやくおうちにいれて!!」 「そのひつようはないみょん……。みょんは……もうておくれみょん」 「どおじでぞんなごどいうんだぜぇええええええええええ!!?みょんはこのむれのえいゆんなんだぜぇえええええええええ!!!?」 「そうよ!あなたはしんではいけないわ!!」 「むかしのはなしみょん……。」 かつてみょんはこの群れの危機を救った。それはまりさが独り立ちする少し前、村に侵入してきたふらんの群れに、たった一人で立ち向かい、撃退した。 実はまりさも、まりさの番のありすもふらんに襲われていた所をみょんに助けてもらい、それが元で両者は番となった。いわば恩人であり仲人なのだ。 「まりさはまだ、みょんにおんがえししてないのぜぇえええええええええええええ!!」 「おんがえしならしてもらったみょん……。みんながこわがって……いつもひとりだったみょんに……まりさとありすはいつもあかるく……ぐほぉ!」 「みょん!!」 「……だから、みょんは……まりさのきたいにこたえ…………ありす………」 「もうしゃべるんじゃないのぜぇ!!」 「まりさ……みょんのかわりに…………いきて………………」 「みょぉおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!?」 みょんは琴切れた。 ゆかりの群れ(前クイーンありすの群れ)はこの山で一番の規模を誇っていた。それは、この山のゆっくりの3割を占める程である。 なぜそこまで規模を拡大できたか、それは人間との協定である。ゴミ拾いや、山菜など人間も食べられる食料を毎月山に住む人間に納める事で群れの安全を保証されているのだ。 そして人間に保護されている事を知れば、余所から来たゆっくりは勝ち馬に乗る様にこの群れに入ろうとする。こうしてこの群れは強大な力を手に入れた。 が、しかし不安要素もあった。所詮、余所から来たゆっくりなど信用できない。しかしクイーンありすは来る物拒まなかった。数こそこの群れの力そのものと思っていた。 その事をゆかりは危惧していた。いずれ食糧難が起きると、そうなればよそ者はすぐに裏切るだろうと……。だから長のクイーンありすに争いのネタを持ちかけ 暗殺者として傷まりさを雇ったのだ。ゲスは全てこの戦いで処分し、よそ者中心で作った部隊で他の群れを攻撃すれば、群れを間引くのに丁度良いと思ったのだ。 そして現在、ここは群れと群れの間の駐屯地。先の戦いが終了し、本隊と合流した皆は勝利に酔いしれていた。次は早朝と同時に、あの群れを完全に落とすつもりだ。 「らん、あのまりさはどこへいったの?」 「きずまりさですか?やつなら……さっきどこかへいってしまいました」 「……みはりはちゃんとつけているの?うらぎりものはしんようできないわ」 「ごあんしんを……すでにつけています」 「そう、さすがらんね」 ゆかりは傷まりさを決して仲間として見ていない。しかしそれは傷まりさも同じであった。 「そういえばちぇんもいないわねぇ……?まぁ、ちぇんのことだからだいじょうぶだとおもうけど……」 その頃、まりさは 「ほんきなの!?まりさ!」 「ほんきだぜ……、やつらをやるには、まりさたちにかってゆだんをしているいましかないのぜ。あいてのおさをやれば……もしくは」 「けど……きけんすぎるわ!こんなまよなかにもりをあるくなんて……!!ふらんやれみりゃにおそってくれといっているようなものだわ!!」 「どのみちこのままじゃむれはぜんめつなのぜ!」 「……そうね、まりさのいうとうりだわ……」 「いってくるのぜ……、おさ……」 「ぜったいに、かえってきなさいよ」 「ああ、なのぜ」 まりさは外へ出て暗闇の中へと歩き始める。 傷まりさは生まれた時から他のゆっくりと違っていた。外見では無い。中身、頭がだ。 傷まりさはいつも疑問だった。「草や木の実は勝手に生える物」と大人達がこれを言う。しかしそれが理解できなかった。自分が何故ゆっくりしなければならないのか疑問だった。 ありす種のとかいはなこーでぃねーとが単に草花を散らかしているだけにしか見えなかった。みょん種の言うはくろーけんが単に枝を振り回しているだけにしか見えなかった。 そして何より、「人間さんはゆっくりしていない」これが一番理解できなかった。 傷まりさが初めて人間と会ったのは子供の時だ。子供の頃からゆっくり出来ない子供として煙たがられていた傷まりさは何時も一人で森を冒険をしていた。 そしてある日、傷まりさは一軒の人間の家を見つけた。そこには綺麗な花が咲いていてとてもゆっくり出来そうな場所だった。しかし、その近くにゆっくり出来ない物があった。 ゆっくりれいむとまりさである。二匹とも体中が痣だらけで今にも死にそうだった。その傍らには人間がいた。始めて見るのに傷まりさはそれを人間と理解した。 結局、双方とも人間によってあっという間に殺された。その光景を見て傷まりさはその夜、人間の事を両親に尋ねた。 両親は人間とは食べ物やゆっくりぷれいすを独り占めするくせに全然ゆっくりしていない愚かな生物だと言っていた。しかし傷まりさは 食べ物やゆっくりぷれいすはゆっくりだって独占している。その上ゆっくりは人間より弱いのに何故人間を馬鹿にするのか、と聞いた。両親は怒って傷まりさを制裁した。 傷まりさは思った。ゆっくりとはなんと弱くて頭の悪い生物だろうと。 「くるとおもったのぜぇ……くそあねェ……。おまえのことだからきょう、おさのくびをとろうとするだろうと……おもっていたのぜぇ」 「まりさ……おまえをころすのぜ」 まりさと傷まりさが対峙した。 「いまだからいうけどぉまりささまはあのむれがだいっきらいだったぜぇ。どいつもこいつもむのうであたまがわるくて、じぶんがせかいでいちばんのそんざいとおもっているのぜぇ」 「…………」 「おまえはいつもまりささまをじぶんのどうぐとしてつかってきたのぜぇ。ゆっくりできないいもうとをせわするりっぱなあねをえんじて、だぜぇ」 「たとえどんなにいわれようとも……、おまえのやってきたことはゆるされないのぜ」 「ゆるされない?げーらげらげら!!そもそもゆるされようともおもっていないのぜぇ!!!そしてゆるされることもないのぜぇ!!なぜならおまえはここで……!!!!」ガサァ 「ちぇんにころされるんだよー!」 草むらの中からちぇんが飛び出す。口には枝を咥えていた。 しかし、なんとまりさはその枝を口で受け止た。勢い余ったちぇんは枝が喉に刺さってしまう。 「あがっ……!!」 「ふん、こんなことでまりさがやられるとでも……ゆ!?」 「あまいんだぜぇ!!!」 傷まりさが横から枝を刺す。枝はまりさの頬を貫通した。思わぬダメージを受けたまりさは一端引いて様子を見る。ちぇんは軽く喉を傷つけただけで致命傷ではないようだ。 「ぎゃぁあああああああああああああ!!!よぐもじぇんののどをぉををををををを!!!?」 「ちっぃ!しぶといのぜぇ!!」 「ゆぐ!くそぉ!!」 ちぇんはあまりの痛さにそこら中を転げまわっている。まりさはちぇんの持ってた枝を構える。狙いは妹、傷まりさだ。 傷まりさも覚悟をしたのか枝を正面に構える。そして 「「ゆっくりしねぇえええええ!!!」」 両者、己の敵に向けて突進する。 「ゆべぇ!?」 「ゆぐぅ!!!」 傷まりさの枝がまりさの右目を突く。まりさの枝が傷まりさの右頬を破った。そして傷まりさは動かなくなった。 「ま、まりささまは……おまえのこと……だいっきらいだったんだぜぇ。おまえはあでぃすを……。あでぃすはやざじがっ……おばえなんがに……とられ……」 「はぁ、はぁ、ばかなやつなのぜ……」 そう呟いてまりさはこの場を去る。 ゆっくりとは頭の悪い生き物だ。都合の悪い記憶はすぐに忘れ、良い記憶は何時までも取っておくもの。しかし稀にそうでないゆっくりもいる。 それが傷まりさでした。傷まりさはゆっくりでありながら頭が良すぎた。故にゆっくりできない考えを多く持っていた。他のゆっくりと幾度となく対立した。 群れで傷まりさがゆっくりした事など数えるほどしか無かった。ある時傷まりさは自ら人間に会いに行った。そして色々な事を知った。数字、人間の住む町、飼いゆっくり、 野良ゆっくり、実に様々、知る事はとってもゆっくり出来た。しかし、何度も人間と会っていた事がばれてしまい、傷まりさは村八分状態に陥ってしまった。 そんな状態の傷まりさに唯一、優しく接してくれたのが幼馴染のありすであった。傷まりさは許せなかったのだ。ありすを姉に取られた事が。 「ぐぞぉおおおおおおおおおお!!ぐぞぉおおおおおおおおおおおお!!!」 「ちぇええええええええええええええん!!!」 ちぇんを心配し探し回っていたらんは、のた打ち回っているちぇんを発見した。 「らぁ、らんしゃまあああああああああああああああああああああ!!!」 「ちぇえええええええええええええええんぎゅえ!?」 「らんしゃまああああああ!!!ちぇんのためにごはんさんになってねぇええええええええ!!!あのくそまりさをちぇんはゆるせないんだよぉおおおおおおおおおお!!! だからおなかがすいてけがもしているちぇんのためにしんでねぇええええええ!!!がーつ!!がーつ!!」 「やめ……!ちぇ………………ん」 「……ふぅ、らんしゃまははじめてちぇんのためにやくにたったんだねー。だいすきなちぇんにたべられてきっとしあわせものなんだねー。わかるよー」 見つけた。ゆかり。あれが長だ。 草木の蔭からまりさはゆかりを発見した。 まりさはすぐにゆかりが長だと解った。他のゆっくりを見下しながらも、強大な威圧感、支配力、品性、まりさのゆっくりとしての経験と勘があれを長だと言っていた。 「やつを、……たおす!」 ゆかりの周りには誰もいない。やるなら今だ。 まりさは右目の傷跡から餡をドロドロと出している。最初で最後のチャンスだ成功しようが出来まいが、まりさの命はここで尽きるのだ。 「ゆおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 まりさ、ゆかり目掛けて突っ込む。だが 「ゆべぇ!!」 周囲に潜んでいたゆっくりの攻撃によってまりさは弾き飛ばされる。衝撃でまりさの右目から餡子が吹き出る。 「ざんねんだったわねぇ……まりさ」 「ゆげ……どぼじで…………」 「あなた……さっきまであなたのむれのうらぎりものとたたかっていたでしょう?あのまりさには、みはりがついていたのよ。」 「ゆぅ……!?」 「だからたたかいがおわったあとすぐにしったわ。あなたがここにくるって」 「ぞん……な……」 「まぁそんなにおちこまないで、あなたのむれはよていどうりちゃんところすから。あんしんしてしになさい」 「ゆっ…………ぐり……」 まりさは走馬灯を見た。楽しかった子供時代、番との間の初めての子供、優しい群れのみんな、全てが愛おしく、しかし全てが闇へと消えていった。 「むきゅう……まりさ……だいじょうぶかしら……」 「だいっじょうぶだよ!だってまりさだよ!?いままでなんどもむれのききをすくってきたんだよ!!だからきっときょうもだいじょうぶだよ!!!」 心配する長ぱちゅりーをれいむが諭す。しかし、大丈夫と言っておきながら、れいむの顔は真っ青だった。れいむだけじゃないこの群れ誰もが不安で仕方が無いのだ。 いっその事さっさと敵に攻めてこられた方が気が楽になるのではないかと思うが程に。 そんな時、そとから何かしらの物音が聞こえた。 「ゆっ!きっとまりさだよ!!れいむみてくるね!!」 「ちょ!れいむ!まちなさい!!」 「まりさおかえr」ベチョォ!! ゆっくり達がまりさの死体を処分する。放っておいても死臭でゆっくり出来ないからだ。 「さぁみんな!あすのたたかいにそなえてきょうはねるわよ!!けど、みはりはちゃんとわすれないようにね!!」 『ゆっくりりかいしたよ!』 「それにしてもらんとちぇん……どこにいったのかしら……」 「ちぇんならここにいるぞ」 あらぬ方向から声が聞こえた。そこには 『ゆ?』 「おい、どうした?皆でそんなに固まって」 『に……にんげんさんだぁああああああああああああ!!』 人間が立っていた。右手にはちぇんと見られる死骸があった。 「どぼじでにんげんざんがここにいるのぉおおおおおおおおおお!!!?」 「まりさはなにもわるいことしてないんだぜぇえええええええええええええええ!!!」 「たんしょう!ほうけい!!」 「に、にんげんさん。ゆかりたちになにかごようなの?ゆかりたちはなにもわるいことをしていないわ……」 皆、突然現れた人間に動揺する。ゆかりは逆らっても殺されるだけだと理解しているので。下手に人間の様子を探る。 「別に悪いことはしていないさ。ただ、今ならまとめて駆除できると思ったから来ただけでな」 その言葉でゆかりを含む、ほぼ全員の顔が凍りついた。 『く、くじょはいやぁあああああああああああ!!!』 「にんげんさん!みのがしてちょうだい!!ゆかりたちはべつに……!」 「悪い事はしていない。ただ隣の群れを襲っていただけだよな。ちなみに君達の群れだけど……既に駆除させてもらったよ」 「っ!どおしてぇええええええ!!!?」 「そりゃあ見張りも、まとめ役の長もいないんじゃ、夜中に襲えば一網打尽だろ?ゆっくりなんて夜は巣穴から出てこないし」 「!?どおしてむれのばしょをしっているのぉおおお!?それにゆかりたちのばしょもぉおおおおおお!!」 「それはね、とあるゆっくりから教えてもらったからさ。知ってるだろ顔と帽子に傷の付いたまりさを」 「な!?あのうらぎりもの……!」 「あいつはねぇ、あることを条件に俺と契約したのさ。情報提供の契約をね。だから君らの群れの場所も、戦っていた群れの場所も、何でも分かった」 「で、でもゆかりたちはにんげんさんときょうていを…………!ちゃんとやくそくをまもってきたわ!!」 「そうだね。でもここまで規模が大きくなるのは予想外だったからね」 「ぐう!!」 「君達だって知っているだろう?この森の食糧難を……これは全て君たちゆっくりが増えすぎたのが原因だ。だとすれば、最も規模の大きいこの群れを粛正するのが 最も手っ取り早い方法だろう?まぁどの道、この山の9割のゆっくりを駆除する予定なんだ。災難だと思って諦めな」 「ゆぐぐ……ここまで大きくなったのは……、まえのおさのせいで……」 「そんなの別に興味無いよ。ま、とりあえず君はこの箱に入ってね。ゆかりは高く売れるからね。君達通常種は悪いけどみんな死んでね」 『どぼじでええええええええええええええええええ!!?』 ゆっくり達が抗議する中、人間はガス銃を出した。弾は炸裂式のトウガラシ弾だ。弾はゆっくりの皮を破き衝撃で餡の中で破裂する。大抵のゆっくりを一撃で殺す優れものだ。 ちなみに使用には役所の許可が必要である。 パァン……! 「ゆぎゃあああああああからだがあづいぃいいいいいいいいい……もっどゆっぐりじだがった」 パァン……! 「ぶべ!!!」パァン……! 「どぼじで……でいぶが……」パァン……!、パァン……! 「もっどゆっぐじ……」 「じいぃいいんぼ………………」 「わぎゃらな…………」 「どが……いば…………」 「遅かれ早かれ……ただそれだけのことさ」 ゆっくりはあっという間に死に絶えた。 かつてのゆかりの群れは苦しみ悶えた表情の饅頭が散乱していた。 かつてのパチュリーの群れは其処彼処に餡子がこびり付き、甘い匂いが充満している。長の家は潰され、生き残った物の姿は見当たらない。 全てを終えて家に帰るとそこに、一匹の饅頭がいた。 「にんげんざ……やぐぞ」 傷まりさは頬から餡子を流している。地面にはナメクジの這った様な跡があった。 「ああ、お前のお陰で仕事がはかどったよ。約束はちゃんと守ってやる」 「ありが……ど……」 傷まりさはそのまま動かなくなった。 人間は家の中に入り。ゆかりの入っている箱を置く。ゆかりはもう色々と諦めているようにも見えた。 人間は今後の事を考える。とりあえずこれから殺したゆっくりの処理をしなければならない。でなければ明日には子蠅が集ることになるだろう。 それから明日、市役所に提出する報告書の制作……完全に徹夜である。 ゆかりは変態御用達のゆっくりパブにでも売ろうか。打算的な性格のこのゆかりはペットには向かないだろう。だがあそこならばモノ好きが高く買う。 それよりも問題はこっちだ。コレは売れるのだろうか?いや、しかし一応約束だからな。なんやかんやで、奴とも長い付き合いだった事だし。 人間はもう一方の箱を見る。その中には、カチューシャの無い一匹のありすが眠っていた。 あとがき 何も考えず本能赴くままに書いてみましたら、どうしてこうなった……。 最初は悪い人間とゲスゆっくりが手を組んで群れを壊滅させる。みたいな話を書く予定だったのですが ちぇんもラスボスにする予定がいつの間にかただの咬ませに(笑) あと実はゆかりんは殺してしまおうとも思ったのですが一応、希少種だしと生かすことに 前作にて誤字脱字が沢山あって本当に申し訳まりませんでした。 今回は「ばん」は無いと思います……多分。 過去作 anko3613(3610) ゆっくりを寝取ってみた
https://w.atwiki.jp/joboneyard/pages/241.html
別名;クロテナガザル 分布 インドシナ半島、中国南部 形態 体長43cm~68cm、体重5kg~10kg。 オスの体毛は黒く頬が白い、メスの体毛は白。 生態 殆どの時間を木の上で過ごして木の葉や果実を食べる。 一夫多妻で1頭のオスに最大で4頭のメスとその子供たちによる家族群で暮らしている。 主に朝方10分~30分間群れ全体で大きな声で鳴き声を上げ続けることがある、これは群れの結束力を高めたり 繁殖は2年~3年間隔で行う、7ヵ月~8ヵ月の妊娠期間を経て1頭の子供を産む、子供は7歳~8歳で群れを離れていく。 寿命は最長で25年。 状況 森林伐採による棲息地の縮小が最大の脅威となっている、法律で保護されているが珍味とされる肉を求めて人間に密猟される事もある。 個体数は2008年のIUCNの発表では1300頭~2000頭で減少傾向にある。