約 40,750 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2848.html
注意事項 虐待が薄い 文章力低い 死なないゆっくりがいます。 ゆっくりの言葉に漢字が紛れ込みます。 実験を始めてみたいと思う (前からの続きものです、前回の物を読んでおかないと状況がつかみづらいです。 実験を始めてみたいと思う (後 私にはゆっくりを虐待する趣味はない、しかしゆっくりには興味がある。 虐待お兄さんでもないし愛でお兄さんでもない、お兄さんと呼ばれるほど若くもない。 私というのはそういう男だ、それ以上でも以下でもないと認識しておいてほしい。 今回はゆっくりで簡単な実験をしてみようと思う、手順は以下のとおり 1・ゆっくり2匹を何もない部屋に入れる。 2・どちらか片方を喰い殺せば助けると説明。 3・残ったゆっくりを1の状況に戻す。 基本的にはこんな感じだ、しかし2の項目ではそのまま2匹とも何もしないで餓死されると 時間の無駄になる。 なので餌は朝昼晩と3食与えることにする、しかしそうするとゆっくりは相手を喰い殺さない。 そうなると3に進めないので時間制限を与えることと家族などを人質にすることで対処する。 また3で2の約束と食い違うことになるがそこでも人質などで対処できるだろう。 そして今回の実験での目的はこの状態を生き残ったゆっくりはどうなるのか?ということである。 さぁそれでは実験を始めてみたいと思う。 コンクリートの部屋で二匹のゆっくりが睨みあっている。 一匹は黒髪に赤いリボンが特徴のゆっくりれいむ、もう一匹は金髪にとんがり帽子が特徴のゆっくりまりさ。 普通に森で出会っていれば仲良くできたかもしれない、しかしもう出来ない、なぜできないかといえば人間に捕まったからだ、その人間がゆっくりを可愛がる 趣味がなかったからだ、その人間がゆっくりで実験をするのが趣味だったからだ、もうお互いどちらかしか生き残れない、どちらかの人質しか生き残れない。 私はのぞき窓から二匹を観察している、今は均衡を保っているが次に餌をもっていくまでこの状態でいられないだろう、私はそう予想する。 いや、これは予想ではなく確信に近い。 この実験はこの二匹だけで行っているものではない、ほかにもこの部屋と全く同じ部屋がいくつかありそこでここと同じ実験が行われている、単純に多くのデータ が欲しいからだ、この二匹とも五匹の同族を喰らっている、そして三匹目以降は二度目の餌を運ぶ前にどちらかが食われていた。 これはほかのゆっくりも同じような結果が出ていた、三匹目以降は二度目の餌はいらなくなる、ちなみにそれまでは時間ぎりぎりまでかかっている。 ここまでで特に優秀な成績を収めているのは(所要時間の少なさ)まりさ種のとある一匹だ、今回の実験に使ったゆっくりはお互いとは交流をしていなかった 2つの群れをまるごと使っている。 このまりさは群れのリーダーだった、賢く、仲間想いで、そこらの人間よりも誠実だった。 私がどの群れを今回の実験に使用するか観察しているときもこのまりさは今まで見たゆっくりの中で一番好感がもてた、しかしそれは過去の話、つい二日前 の話だ。 このまりさは一匹目から早かった、まず餌に手をつけず相手のれいむに向かって跳ねた むろんれいむは驚き初動が遅れる、こんなに躊躇なく、同族に襲われるなんて思わない、人間だってこんな状況ならまず驚く。 まりさが一度目の跳躍が終わると同時にれいむはまりさの方向に飛びかかろうと底部に力を込めた 「ゆっくりしていってね!!!!!!」 まりさが叫んだ 「ゆっゆっくりしていってね!」 れいむもゆっくりの本能で叫んでしまう 叫んだことで底部に込めた力が抜ける、まりさが二度目の跳躍 口を大きく開く、れいむに焦りの表情が見える 焦るのが遅すぎる 私はそう思った、だって私はこの結果がこの二匹を部屋に入れた時点で分かっていた、焦るのであれば目を合わせた瞬間が正しい。 それにしてもゆっくりが自身の習性を利用するとは驚いた、まさかゆっくりに驚かされる日が来るとは思わなかった。 そんなことを思っていると グチャン! と汚い音がのぞき窓越しに聞こえた。 一分とかからなかった。 この後もまりさはこのペースでゆっくりを喰い続け、28匹のゆっくりを喰っている、ただし5匹目以降は食いちぎっただけだ、許容量オーバーなのだろう。 実験は続いた、まりさも他のゆっくりたちも相手を噛みちぎり、噛みちぎられ、そのたびに私は透明な箱にハンマーを振った。 そしてストックしていたゆっくりも数がなくなる、とうとうこの実験も佳境だ。 結果としては最後に残ったのはリーダーまりさとれいむだった。 リーダーまりさはまだ正気を保っていたが相手のれいむは気が狂っていた、まぁこの状況なら気が狂っていないまリさの方が異常だと言えるだろう。 私としてはまりさに勝ってもらいたい、ゆっくり殺しの元リーダーが森に帰ったらどんな行動をするのかが気になるからだ。 私は二匹を地面に下ろした、そして餌を置き、時計を進める。 ここで今までなら隣ののぞき窓の部屋まで行くところだが決勝戦は生で観戦することにした、折りたたみの椅子を出して腰掛ける ギシリと椅子が音を立てた それが合図にでもなったのだろうか、二匹は一斉に飛んだ。 まりさは本能で感じていた。 このゆっくりを殺せば自分は、自分とつがいのパチュリーは、パチュリーの中に宿る命を守ることができるのだ。 最初に同族を喰い殺した時に自分は一切躊躇しなかった、するわけがない、できるわけがない。 自分の一番大切なものを守るためならば何でもできる、同族でも群れの仲間でも親友でも喰い殺してやる。 今までだって自分の大切な仲間や、伴侶のために、尽力してきた。 群れで食糧が足りないゆっくりがいれば自分の食糧庫から分けた。 新入りが巣をつくるのに手間取っていれば手伝った。 独り立ちをして群れから出ていくゆっくりがいれば運びきれないほどの食糧を分けた。 レイパーが来れば容赦なく殺した。 ゆっくりできない同族が群れを襲ってくれば容赦なく殺した。 群れの中で不穏分子があれば容赦なく殺した。 だからまりさは一番大切なパチュリーを守るために同族を殺した。 群れの仲間も食い殺したし、親友も食い殺した、あとはこのれいむを殺せば自由! またパチュリーと一緒にゆっくりできる、新しい群れをまた1から作るのもいいかもしれない。 このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを このれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむをこのれいむを 殺せば。 ギシリ まりさは無意識で前へ飛んだ、れいむを喰い殺すために、パチュリーやこれから生まれる子供たちとの未来をつかむために!! まりさはこの状況で喜んでいた!興奮していた! 生きるために、自由をつかむために、この抑制された世界を粉砕し森に帰るために自分が動いていることがうれしい! あぁ生きているってすばらしい!!!!!! ここで急に話は変わるが、人間の脳が一番よく働くのは危険にさらされた時だ、特に生命の危機ならそれはものすごい勢いで働く。 生命の危機に瀕した時自分の生い立ちなど、これまでの思い出がチカチカとめぐる事がある、私は感じたことはないがあるらしい。 確かその現象の名前は『走馬燈』というらしい。 今このまりさも似たような感じなんじゃないか? ゆっくりの思考を描写しているにはあまりに難しい言葉が多すぎるのも餡子が生命の危機でフル回転しているのだとすると納得はできないが百歩か千歩譲れば 自分に言い聞かせられないかい? まりさの目の前に大きな大きな黒が広がった、一瞬まりさにはこれが何か分からなかったがれいむの口だと理解した、いつのまにか目の前まで移動してきていた。 それにしてもこのれいむはゆっくりしているな、自分までもう少しなのに何をやっているのだろう?おや?避けようとしているのに体が動かない。 ゆっくりと口が近づいてくる いやだ!くるな!!自分は生きるんだ!ゆっくりと森でパチュリーと子供たちで・・・・・!! なくしてしまった友達や、食べてしまった同族や群れの仲間や親友の分までゆっくりすると決めたんだ!!! おまえなんかにいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ喰われてたまるかぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ガチュ!! 私はこの実験の結果がわかってしまった、れいむの勝ちだ。 まりさとれいむは同時に飛んだがスピードが違った、まりさは理性にとらわれすぎていたんだ。 本能だけで迷いも、まともな思考も捨て去ったれいむのような速さを出せなかったのだ。 食いちぎられる寸前で身をひねり即死は免れたがもうお終いだろう。 私はハンマーを握り椅子から腰を上げる。 グチャン!! 汚い音が部屋の中に響き、実験の終了を私に知らせた。 まりさは死の直前に何がいけなかったのか考えていた。 もう目も見えず喰われなくても死が待っているのは自分でもわかっていた、でもだからこそ考えた、何をどう間違ったのか。 ふつうのまりさとれいむのつがいの間に生まれ、近所に住んでいたパチュリーから様々な知恵を教えてもらい、姉妹たちと共に成体になるまでなに不自由なく育った。 独り立ちして加わった群れで狩りやれみりゃを撃退するなど功績をあげ、若いうちからリーダーになった。 群れ一番の美ゆっくりのパチュリーにプロポーズをしてOKの返事をもらった時は生まれて一番喜び、叫び、涙を流した。 群れの教育は徹底し、子供のころに教えてもらったとおり人間の里には近づかなかったし、野菜も盗まなかった。 群れの中には盗みなどを働くゲスもいたが、誰にも見つからないように殺した。 そして3日前にパチュリーが念願のにんっしんをした、生まれてくる子供たちのために準備に精を出した。 そして人間に捕まってからも自分の大切なもののために精一杯頑張った。 なんだ・・・・なにもしていないじゃないか・・・・ ゆっくりだったからこんなところに連れてこられて、こんな目にあって・・・ まりさの意識はそこで途絶えた 結局ゆっくりに生まれたことがこのまりさにとっての間違いだった。 私の目の前には狂ったゆっくりれいむとその家族の残骸、まりさとつがいのパチュリーの亡骸が転がっている。 パチュリーは私だがゆっくりれいむの家族はれいむ自身がやった。 わかりきっていたことだ、れいむが勝った時点でこのような結果になることは。 私はれいむを外に放してやった。 れいむはその場でとどまっていた、私が扉を閉めるまで。 次に扉を開けたときには消えていた、近くにはいくつかのゆっくりの飾りと少量の餡子が残っていた。 おまけ 私は実験室のある離れから台車を押しながら母屋に向かう、台車には透明な箱に入ったゆっくりたちだ。 実は2つの群れを実験に使ったがもうひとつ目星を付けていた群れがあってその群れから30匹程度捕獲してきたものだ。 そしてこのゆっくりたちには今回の実験のすべてをビデオカメラに収め見せておいた、程よい甘さになっていることだろう。 私は台所にいる妻に呼びかける。 「あら、今回もいい感じに下ごしらえができてるじゃない♪」 私の妻は家事全般得意だが料理に関しては特に得意でプロ級の腕前を誇る、もちろん菓子作りもお手の物だ。 ちなみに台車のゆっくりたちには私たちの声は聞こえているので、これからどうなるのかはわかっている、いい表情で泣いている。 「今回の実験はどうだった?楽しかった?」 「いや、それがあまりいい結果が出なかったんだ。」 「ふぅ〜ん、じゃあさどこが悪かったか一緒に考えてあげるから後でビデオで見ようよ、どうせ撮ってあるんでしょ」 妻がほほ笑みながら提案してくる、もちろん私はうなずく。 「そこに君のお菓子があれば最高だな」 「じゃあすぐにできるお菓子がいいわね、あなたちょっと手伝って」 「あぁ、いいとも」 実験はとてもいい、こんな風に妻との会話のきっかけにもなるし彼女の作るお菓子の材料調達にもなる。 しかし一つだけ問題がある。 「そういえばあなた太った?顔が丸くなってきてる気がするのだけれど。」 「それならば君も太ったことになるぞ、私と同じ量食べているんだから。」 「あなたポッチャリな私が好きなんでしょ」 甘い物の食べすぎで太ってしまうことだ・・・ 「運動でもするかな・・・」 「じゃあ私のゆっくり虐待に付き合ってよ、あれ結構いい運動になるよ♪」 妻は小悪魔的な笑みを浮かべ取り出したゆっくりに包丁を入れた。 ゆっくりの悲鳴が台所に響く。 あとがき なんだか虐待していない気がする、なんだかひどい黒歴史生まれてしまった気がする。 やっぱり虐待してないってこのSS。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1374.html
前 書きたかった事 とりあえず話を完結 大きめのゆっくりって猫より強いかもね 阿求の優しい暴行 サクちゃんは黒猫だったから新月の朔から命名されたよ ちぇえええええん(*´∀`) ちょっとくらい突然変異が特殊スキル持っててもいいじゃない いまさらだけど注意 前作ちぇんと猫.txt(fuku3438.txt) オリキャラの猫が出てきます(といっても名前があるってだけですが) 猫が賢いよ 阿求が出てきます 夏も終わりを告げうろこ雲が空を覆う頃黒猫と三匹は集落近くの森に頻繁に出入りしていた。 突然変異の三匹達も阿求の手厚い世話のおかげかすっかり成体サイズになり、 サクに引けを取らない程の跳躍や走りをみせていた。 帽子もなく風貌も他のゆっくりちぇんと異なる、その上猫の速さで跳ねていく三匹に 他のゆっくり達は「ゆっ!」と反応できるだけでゆっくりできてないとゆっくり文句を 言う事は叶わなかった。 猫ちぇん達は自分の母親の最期の場所に何度も訪れた。 見上げれば周りの木々の枝は不自然に折れているし、焦げ跡もある。 この場所の近くにはゆっくり達がまったくいないからとても落ち着けた。 ここに来ては兄弟やサクと遊んだり、クヌギに集まる虫を食べたりしてゆっくりした。 そして帰る時間になるギリギリまで空を見上げながら三匹で語り合うのだ。 サクは多くは語らないがサクから授乳された猫ちぇん達は彼女の記憶も受け継いでいた。 はっきりした記憶ではない。きっと彼女が生まれたばかりだからだ。 ゆっくりの群れに囲まれたサクの兄弟や母親は絶体絶命の状況だった。 睨み合いの均衡を破ったのはサクの母親で、一番前にいたゆっくりまりさに飛びかかっていく。 そこまでの記憶しかわからない。でもはっきりとした記憶だった。 「きっとちぇんたちとおなじなんだねーわかるよー」全身真っ黒の猫ちぇんは空に呟く。 二月くらいの間に兄弟達にくらべて随分毛が伸びて、邪魔にならないように阿求に結ってもらっている。 「ままはきっとさがしてるんだにゃー」「ちぇんたちもかたきをさがすにゃー」 皆同じ気持ちでいた。育ての親の、そして自分の親の二匹の敵ゆっくりを探し出す。 無論見つければこの手で殺めることも覚悟し、その気持ちを深めていった。 そして『帰ルヨー』とサクが三匹を呼ぶ声に飛び起きるまで遊んで、四匹はいつも仲良く帰宅するのだ。 夜は猫達の時間だ。 稗田家の庭では頻繁に猫の集会が開かれる。この集まりに猫ちぇん達もよく参加する。 いつもは家族の話や季節の話、面白い出来事の報告に終始する会合も、 秋めいてきた日の晩は参加者の間に張りつめた空気が支配していた。 議題はずばりゆっくりの群れの集落への接近とそれらの撃退についてであった。 ゆっくりたちは普段一家族や小さな群れで生活していて、その場合何の害もない。 しかし巨大な群れになればなるほど人間だけでなく、そのほかの動物にも多大な影響を及ぼすのだ。 無論稗田家の猫達も例外でない。大きい群れのゆっくり達は態度を増長させ攻撃をしかけてくるからだ。 人間にはダメージの無い体当たりでも猫には充分被害がでる。 あちこちで好き勝手に話し合っているところに一匹の猫の声が響く。 『ヒトマズコノ子ト偵察ヲスルヨ』とサクが猫目ちぇんと前へ出る。 新月が近い夜には森は闇に包まれる。すると黒猫のサクと暗闇でも目が利く猫目ちぇんは活躍できるわけだ。 『他ノ者達ハ己ノ身ヲ守ル方法ト、奴ラノ撃退方法ニツイテ話シ合オウ』 猫のリーダーの元で残った猫とちぇん達の会議が再開された。 夜が明ければまた穏やかな朝がやってくる。 昼には縁側で数匹の猫と一緒にちぇん達もゆっくり日向ぼっこしている。 ここは主人の天国だ。猫一匹一匹を撫でては体に顔をうずめる。 猫の毛の柔らかさ、なめらかさ、そして暖かさは阿求をヘブン状態にさせる。 並んでいる順番通りにきて次は猫ちぇん達の番だ。 猫達の睡眠を邪魔するのは気が引けるがちぇん達は別だ、一応ゆっくりだから。 ちぇんを持ち上げて正座した太ももの上に乗せて撫でる。この重さがたまらない。 「ごろごろごろごろにゃー」 「喉が無いからって発音するのはどうなのかしらね」とつっこむんでみるものの 「しあわせなんだにゃー。ごしゅじんもしあわせなんだね、わかるにゃー」 とあっさり流される。垂れ耳ちぇんはおっとりした子だ。一番猫っぽいのかもしれない。 尻尾の根本から先まで絞るようにすると、ぞわぞわと髪の毛が逆立つのがかわいい。 そっと髪を撫でているうちちぇんは「ゆっ…ゆっ…」と寝息を立てはじめる。 普段は見せないゆっくりらしい台詞や行動は無意識に自分が抑制させているのかと思うと阿求は申し訳なく思う。 これもそれも全ては悪いゆっくり達のせいだ。 やはり悪い素性に進化したゆっくりは滅ぼさなくてはならない。 知らず知らずのうちに出していた殺気に驚いてちぇんが目覚める。 「ごしゅじんなんでおこってるのー。わからないにゃー」 「ごめんね、あなた達のせいじゃないのにね」 頭にハテナマークを浮かべているちぇんを膝から降ろし、ゆっくりしてねと言い縁側から立ち去った。 それから数週間経ったとても静かな晩の事、 「今晩決行します」『今晩対決スルゾ』 人間側、猫側が別々の場所でしかし同時にゆっくりへの攻撃を開始する事を宣言する。 猫側は昼間は草陰からゆっくりの会話を盗み聞き、夜は不自然な群れの発見を急いだ。 そして昨晩ついに決定的なものを発見した。ドスまりさだ。 村に近づきつつあるゆっくりの群れ、中規模の群れの消滅、小規模の群れの恐れ……。 今それらがすべて繋がったためだ。 これらの事象の中心にいたのは一匹のドスまりさだった。 村から離れた場所に存在したゆっくりの中規模の群れはどすまりさ率いる群れに襲われたようだった。 毎回夜に襲撃することでゆっくり達の巣に集中すれば、 一匹たりとも逃がすことなくその群れを壊滅でき餌も大量に確保できた。 逃がさなければ他の群れに知られる事はなく、次々と近くの群れも陥落させることができた。 それがこのドスまりさのやり方だった。そしてどうやらこのドスまりさが猫ちぇんの親を殺した当事者であるようだった。 これ以上の凶行を止めなければならない。 今やドスまりさは襲うべきゆっくりの群れはなしと判断し、この集落に近づいてきているようなのだ。 『……トココマデガ今回ノ作戦内容ダ。最モ危険ナ役目ヲチェン達ニ負ワセルノハ 心苦シイガ』と猫達のリーダーが猫ちぇん達に頭を下げる。 昨晩探索に行ったサクと猫目ちぇんはドスまりさの居場所を突き詰めた。 しかしドスまりさを可視することができたのはドスの能力によりちぇんだけだったのだ。「わかるよー。ちぇんたちでおかあさんのかたきをうつよー」もはやちぇん達に迷いはなかった。 『調査ノ段階カラ協力シテモラッテイタカラ済マナイト思ッテイル。ソノ分我々モ最大限ノサポートヲ約束シヨウ』 猫ちぇん達は頷いて、鼻と鼻、頬と頬を擦り合わせて誓いの印とした。 ついに今夜、戦いの火蓋は切られた。 その頃村に向かうドスまりさを中心とした群れは高揚していた。 ドスまりさがこれまで味わった事のない質と量の食べ物をゆっくり達に約束したからだ。 ゆっくり達はもはや人間の集落は落ちたも同然だと確信していた。それはこのドスまりさの武勇伝からきていた。 ドスまりさの左目は縦に走る痛々しい三本の傷跡と共に失明している。 これは食物ピラミッド最上段の存在である熊との格闘で出来た物だと本人は語っていた。 人間よりも強い野生の熊を倒したとなるとゆっくりの餡子脳もドスまりさの凄さを納得し、 尊敬し、頼れば安泰の道があるとすっかり理解できた。 ドスまりさ達が群れ全体をゆったり包める森の広場に差し掛かったとき集団の動きが止まる。 「きゅうに止まってどうしたんだぜ」とドスまりさが先頭のゆっくりに問う。 「ゆっ!ゆっくりできてないちぇんがたちふさいでるの」 ドスまりさが群れの中央からよく見てみると三匹の帽子のない、しかも自分が嫌いなゆっくりちぇんがいることに気が付いた。 「どすまりささまにびびって動けなくなったのか。ともかくゆっくりできない奴は死ね」 そう言うが早いか先頭集団の子ゆっくり達がゆっくりちぇん達に襲いかかる。 黒髪ちぇんは今日の為に阿求にお願いしてもらった事がある。 髪の毛を結うときに笄のような小さい模造刀で結って欲しいと。 阿求の猫ちぇん達への思いからかあっさりと願いは叶えられた。 長さは人間の大人が手のひらを広げたくらい、切れ味は良くないが饅頭くらいなら切り捨てられる代物だ。 並ぶ三匹の左右にいた猫目ちぇんと垂れ耳ちぇんは黒髪ちぇんのかんざしから刀を抜き取り、 黒髪ちぇんは髪をほどいて尻尾で残った鞘を掴んだ。 「いっぴきものこさないにゃー」「かくごするんだよー」「わかったにゃー」 一番先頭にいたゆっくりまりさは功を急いていた。こいつらを倒せばドスに認めて貰えると。 近くにきて改めてちぇん達の風貌の異様さにたじろいだが後には引けない。 「ゆがぁぁああ、じねぇぇぇ」と向かって左にいた垂れ耳ちぇんに飛びかかった。 しかし飛びかかったのがまずかった。 垂れ耳ちぇんはまりさの下をくぐるように刀を振り落とし、まりさは縦に一刀両断され叫び声も上げぬまま絶命した。 刀と猫ちぇんの速さが相まって、今や模造刀は真剣の切れ味なのだ。 痛みの声が聞こえないものだから後続は恐怖もなくヘラヘラとした顔で体当たりしてきた。 突っ込んでくるゆっくり達に向かって刀をくわえたちぇん達が横回転をしながら跳ねる。 刀で真っ二つにし、尻尾で上半分をはたく。それは次から次へと流れ作業で繰り返された。 体を二つに分けられたゆっくりは「ゆ゛っ」「ぐげっ」など言葉にならない声を出すしかなかった。 そして先頭集団最後の一匹がようやく異変に気が付いた。 「どぼじでみんな゛うごがないの゛ぉぉぉ」状況が呑み込めず涙を流すほかない。 自分たちはゆっくりしているのに、自分たちは人間に勝てるのに、自分たちは正しいのに。 ゆっくりちぇんごときに何故この状態になっているのか分からずに泣くしかないのだ。 「わかるよー。それがぜつぼうだねー。いまらくにしてあげるよー」そういうと黒髪ちぇんは前転しながら二本の鞘を叩き付けた。 一瞬の出来事に群れ全体がざわついた。 自分たちの仲間がたくさん死んだ。しかし何故死んだのかは見えなかった。 あのゆっくりできてないちぇんがやったのか? わからない。 自分もあんなになるのか? それはいやだ。ゆっくりできなくなる。 不安や恐怖が群れを襲い集団は瓦解寸前だ。 「おまえらとくべつどすまりささまが相手になってやるぜ」 その一声で群れに活気が戻った。 そうだドスまりさがいる。あの強いドスまりさがいる。ドスまりさ来た!これでかつる! 烏合の衆だったゆっくり達がまた一気にちぇん達に殺気を向ける。 そして群れが左右に避けてドスまりさまでの道を作った。 三匹は他のゆっくりに警戒しながらドスまりさに近づく。ドスまりさの前まで来ると来た道が塞がっていくのがわかった。 「おまえら、死んだゆっくりのぶんまでここでゆっくりさせてやるぜ」 しかし三匹はドスまりさにまったく聞く耳を持ってなかった。それどころかわざわざ聞こえるように 「さくせんどおりにいくにゃー」「わかるよー」「どすはむしだにゃー」と言ってのけた。 こうなるとドスまりさの怒りが有頂天である。 「ゆ゛るさんんんんんん」と言いながら一気に三匹をつぶしにかかるという先程の発言の逆を行く行動を取り始める。 ドスまりさのタックルは並のゆっくりではちぇん種でさえ避ける事はできないだろう。 しかし三匹はいとも簡単に擦り抜け、さらに切り傷を入れていく。 「ゆっくりしてるにゃー」「ふとりすぎだにゃー」「ゆっくりしたけっかがこれだよ!」 「うがあぁぁぁああ」これまでこんなにも貶されたことのないドスまりさのプライドはずたずたに切り裂かれた。 こうなればあとは三匹が計画通りことを進めるだけだ。 ドスまりさを避けつつ周りを囲むゆっくり達の内周を斬りつけ叩きつぶすことが三匹の役割だ。 そしてあっという間にドスまりさの群れは地獄に落とされる。 「おがぁああざぁあん」 「ゆっぐりじだがったよ…」 「な゛に゛をずるのおおお!?」 「やめるんだぜ、まりさはわるくないんだぜ。わるいのはれいむだぜ」 「どほじでぞんだこどいうのぉぉぉおお」 「でいぶのおべべがあああああ」 「ぜんぜんどがいてぎじゃないぃぃぃぃ」 「い゛だい…い゛だい…」 「む゛ぎゅぅ……」 悲鳴と裏切りと混乱はあっという間に群れに拡がり、外周にいるゆっくり達が次第に森へと逃げていった。 森に逃げ切った群れのゆっくり達は一様に安心しきっていた。 「あんなところじゃゆっくりできなくなぐべっ」 「ここまでにげればだいじょうぶがっ」 しかしそこには別の地獄が待っていた。森の中には無数のハンターがいたのだ。 猫。猫。猫。 そうここは阿求の猫達の狩り場になっていた。 爪で引き裂かれ。牙で千切られ。脚で踏みつけられ。 森に入ったゆっくり達は無惨にも餡を吹き出しながら死んでいった。 今晩この広場周辺にはゆっくりできる場所など存在しないのだ。 そう時間もかけないうちにこの場所は黒い塊で埋め尽くされた。 半刻経った頃だろうか何度もタックルを避けられ、致命傷にならないものの 体に傷をつけられてドスまりさは疲労とともに冷静になり始めた。 このままではあんな下等な存在に敗北してしまう。 そう感じてかついに切り札のドスパークを使用した。 三匹に狙いを定めもせず自分の群れのゆっくりに当てぬよう中空に放った。 「「うおっまぶしっ!!」」 群れのゆっくりはそう叫び、猫ちぇん達も急に太陽が目の前に現れた状態に陥った。 ドスまりさの目的はそこにあった。つまり光線で焼きつくすことではなく光で目眩ましをさせることだ。 この方法で幾度も修羅場をくぐり抜けた。また相手が目が眩んでる間に押しつぶすこともできた。 これでようやく一匹を潰す事ができると目を瞑ってしまっている垂れ耳ちぇんに飛びかかった。 超重量とともに空から落ちてきたドスまりさにより森全体に振動と轟音が伝わる。 「ゆへへへへ、まずはいっぴきしんだぜ。どすまりささまにかかればこれくらいちょろいんだぜ」 目が血走った必死の形相で既に勝ち誇った様子でいる。しかしそれも一瞬のことだった。 「ねこだましだったにゃー」「おお、のろまのろま」「いしころのほうがいたいにゃ」 「な゛ぜ…だぜ……」ドスまりさが振り向くと離れた場所で三匹が擦り傷を負いながらもぴんぴんしている。 垂れ耳ちぇんが助かったのは猫目ちぇんのおかげだった。 猫目ちゃんはその瞳の能力にサクとの偵察中に気が付いた。 自分の意思で瞬時に瞳孔を開け閉めできる程度の能力だった。 ドスパークも瞳孔を閉めてしまうことで目も眩まず、 垂れ耳ちぇんを突き飛ばして圧死の危機から救った。 むしろ脅威だったのは着地の衝撃で飛んできた小石の弾丸のほうだったのだ。 おかげで内周に居た生き残りのゆっくり達もかなりの被害がでてしまった。 ドスまりさにとってもはや目の前の三匹は理解の範囲を超えた存在となった。 こうなれば三匹から感じるのは恐怖でしかない。 ゆっくりにとってゆっくりできなくことは死であり、ゆっくりできなくさせてくる存在は恐怖だからだ。 「あっ…」久しぶりに感じる恐怖。 「ごぶっ…」左目を失ったあの時以来の恐怖。 「お゛え゛ぇぇぇ」忘れていた恐怖に嘔吐する。 精神破壊を防ぐためドスまりさは拒絶反応のように嘔吐しはじめる。 それでも心の崩壊は止まらない。 ついに壊れる直前にドスまりさは叫んだ。 声にならない声で、天地を裂くようなエネルギーで。 猫ちぇん達はこの攻撃はまったく予想だにしてなかった。 あまりの音量音圧に他のゆっくりともども身動きが取れなくなった。 そこに白目をむき完全に意識を失ったドスまりさから二発目のドスパークが放たれる。 今度は完全にこちらを向き仲間を巻き込む形で魔砲は放たれた。 どれくらいの時間が経ったろう。 ドスまりさはゆっくり目が覚めた。 本人に叫んだときの記憶はないが、顎の痛みと伸びきって戻らない舌でうっすら理解した。 目の前いたはずの忌々しいゆっくりちぇんの姿はなく、先の森には一本の道が出来ていた。 木と仲間の焼けこげた匂いが香り、残った群れのゆっくり達から非難の声が聞こえてくる。 今は群れの事などどうでも良かった。自分はまた生き延びたのだ。それだけで良かった。 目を瞑りひとときの休息をえる事にする。これからのことはあとでゆっくり考えよう。 「あらドスまりささん、うちのペットがどうもお世話になったようで」 そのゆっくりタイムに割り込むように人間の声がする。 面倒ながらもゆっくり目を開けていく。そこには緑橙赤を基調としたモダンスタイルな袴を着た少女。そしてその手には 「っ……!?」 あの三匹が傷を増やしてはいるがまだ元気な様子で抱かれている。 「ふふふ、今日は少しあなたにお礼を差し上げようかと思います」 そういうが早いかゆっくりを空中に放り投げ、どこからともなく出した杭と槌で ドスまりさの舌と地面とを固定した。意識も戻りかけのため満足な悲鳴も出ない。 「貴方、舌を出していては茸の魔術も大声も出せないんじゃなくて?」 ドスまりさは気が付かされた。確かにこのままでは何もすることができないのだ。 あせるドスまりさをよそに少女は周りを見渡しながら呟いた。 「しかしよくもまあ不細工なゆっくりどもばかり仲間にしたんですね」 そう挑発して少女はドスまりさを見るも、ドスまりさの視点は背後のペットのほうを見て固まっている。 少女の後ろでは空中を回転して見事に着地した猫ちぇん達、そして稗田家の猫たちが近づいてきている。 「あれ? もしかしてあなた"猫"嫌いですか?」 少女の言葉に動揺しぎくっとしたのがばれなかっただろうかとドスまりさは思ったが、 こんな大きい体で気が付かない訳がない。少女は子悪魔のような表情で耳打ちをする。 「聞いてくださいな。私、一度試したかったことがあるんです。この世には山羊に足の裏を舐めさせる拷問がありましてね。猫でもやってみたいんです。 猫の舌はですね。骨に付いた肉をそぎ落とすようにトゲトゲになってるのよ。ということはどうなるか、あなたならゆっくりわかりますよね」 そして彼女は振り返り猫達に指令する。 「薄く皮を残し、すべて舐めて差し上げなさい。眼球もその対象です。手加減は無用です ので村人が来るまでの間に作業を完了してください」 光る眼と共に猫たちは飛びかかり、サクからの遺伝を引き継いだ猫ちぇん達ももちろん参加した。 エピローグ 「それにしてもあのときはしぬかとおもったよー」と髪を櫛ですいてもらいながら黒髪ちぇんが横のちぇんに言う。 「耳を閉じると音が聞こえなくなったにゃー」と垂れ耳ちぇんが返す。 垂れ耳ちぇんの耳は周りの音を消す程度の能力だった。まさかの騒霊キラーの誕生である。 ともかく音を遮断出来たおかげで自由に行動ができ、二人を森に放り投げて自分も無事ドスパークの射程範囲から離脱したわけだ。 猫目ちぇんは猫達に囲まれた猫団子状態でゆっくり夢の中にいる。 「わかるよー、あのばしょはあたたかいよりあついんだよー」 「まわりのねこさんがきもちいいにゃ」 二匹の猫ちぇんのゆっくりした会話を聞いて阿求から笑みがこぼれる。 黒髪ちぇんの髪も結い終わった頃、垂れ耳ちぇんはお腹というか足を上にしてゆっくりしすぎな格好で眠っていた。 阿求はまだ起きていたちぇんに向かって一つ提案をする。 「今度のドスまりさの群れの討伐は、ひとえにあなたたちの活躍があったからよ。それで何か私からプレゼントしたいのだけど何か欲しいものはない?」 しばらく考えたあと猫ちぇんは答えた。 「うーん、わからないよー。ここに居られるだけでじゅうぶんゆっくりできてるよー、ごしゅじんさまもゆっくりしようねー」 「うん、ゆっくりしましょうね」 終 あとがき とりあえず話を完結させてみた。 ちぇえええええん(*´∀`)な気分を味わって貰えれば幸いです。 虐待分が少ないのはまだまだ手ぬるいせいです。 妄想を文章にする程度の能力ほしいよ!! 垂れ耳ちぇんの能力がどこかの月精と同じだって?なんのことかな(゚3゚)~♪ 前作で感想くれた方ありがとう~!! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/dragoncage/pages/481.html
ジャイアント・ブラック・ツナ モンスターレベル11 種族動物並み 知能動物並み 知覚五感 言語なし 知名度16 弱点値20弱点雷属性ダメージ+2 先制値18 移動速度50(水中) 生命抵抗力14(21) 精神抵抗値14(21) 攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP 体当たり 15(22) 2D+14 12(19) 11 80 22 特殊能力 水中専用 水中で呼吸でき、水中の行動によるペナルティ修正を受けません。 ただし、自ら上がると行動不能となります。また、転倒に関する効果を一切受けません。 水上にいるキャラクターを対象に攻撃することはできません。 泳ぎ続ける(影走り相当) この魔物は一手番に30m以上の移動速度で泳ぎ続けています。 通常移動を行うとき、戦闘特技≪影走り≫を習得しているものとして扱います。 また、眠った場合には、30mの移動速度で周遊(往復)します。 魔法等の影響で移動できない場合には、移動できなかった手番につき5点の無属性の魔法ダメージを受けます。 漆黒の弾丸/13(20)/回避力/消滅 一直線に突進し、進路にあるもの全てに突撃します。この能力は射程50mの「形状:突破」の攻撃として扱い、射程上にて対象となるキャラクター全てに対して近接攻撃を行います。対象となったキャラクターに対する攻撃が命中した場合には「2d+11」点の物理ダメージを与えます。 また、5m以内に全ての部位が行動していない「ブラック・ツナの群れ」がいる場合には同時に突撃に参加します。この場合、「ブラック・ツナの群れ」の部位1つごとに命中力を+1し、かつ、物理ダメージを+3点します。 この能力を使用した場合には、この魔物及び突撃に参加したブラックツナの群れは回避力に-2のペナルティを受けます。 耐える力 生死判定は2d+18で行います。また、1ゾロによる自動失敗はありません。 ▼戦利品 自動:ジャイアント・ブラック・ツナの肉(ただし、パーティが行動不動にさせた場合のみ) 2~6 :なし 8~12:宝石(1d×500G) 13~ :シャイニングリング(売値5000G) ブラック・ツナの群れ モンスターレベル8 種族動物並み 知能動物並み 知覚五感 言語なし 知名度13 弱点値17弱点雷属性ダメージ+2 コア部位なし 先制値14 移動速度50(水中) 生命抵抗力9(16) 精神抵抗値10(17) 部位 攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP ツナ1 体当たり 10(17) 2D+8 9(16) 6 55 11 ツナ2 体当たり 10(17) 2D+8 9(16) 6 55 11 ツナ3 体当たり 10(17) 2D+8 9(16) 6 55 11 ツナ4 体当たり 10(17) 2D+8 9(16) 6 55 11 ※一つの群れの部位数は4~8の間で適宜調整してください。 特殊能力 水中専用 泳ぎ続ける(影走り相当) ジャイアント・ブラック・ツナと同じです。 突撃/9(16)/回避力/消滅 この能力は全ての部位(ツナ)が行動な場合にのみ使用できます。 一直線に突進し、進路にあるもの全てに突撃します。この能力は射程50mの「形状:突破」の攻撃として扱い、射程上にて対象となるキャラクター全てに対して近接攻撃を行います。 対象となったキャラクターに対する攻撃が命中した場合には「2d+5+(残りの部位数×3)」点の物理ダメージを与えます。 この能力を使用した場合には、この魔物及び突撃に参加したブラックツナの群れは回避力に-2のペナルティを受けます。 耐える力 生死判定は2d+11で行います。(1ゾロによる自動失敗の可能性があります) ▼戦利品 自動: ブラック・ツナの肉(ただし、パーティが行動不動にさせた場合のみ) ロシレッタ外洋に生息するといわれている幻のブラック・ツナです。群れで行動することが多いのが特徴です。 また、ごく稀に普通のブラック・ツナよりも一回り以上大型の「ジャイアント・ブラック・ツナ」が見られることがあります。ジャイアント・ブラック・ツナは、その希少価値から市場では破格の価格で取引されるといわれています。 また、ジャイアント・ブラック・ツナは難破船等からこぼれれ落ちた宝石を飲み込んでいることがあると言われています。 製作者Swind
https://w.atwiki.jp/awdrgyjilpqsefthuko/pages/48.html
ポポ 反り返った巨大な牙が特徴の草食モンスター。 群れで生活しており、群れ内の子供を守る際には非常に勇敢になる。 その肉は栄養価が高く、特に舌は珍味として愛好家も多い。
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1839.html
長の役割 41KB 虐待-普通 自業自得 実験・改造 群れ 赤子・子供 現代 独自設定 お話長めです 緑溢れる山を飛び回るゆっくり達。 狩りに向かう大黒柱のお目当ては、近くに生えた美味しい木の実。 豊富な栄養を蓄えた木の実をツガイと赤ゆに与えてゆっくりとした日々を生きる。 その群れの長は、紫髪のぱちゅりー。 月のお飾りが帽子に煌く、頭脳明晰なゆっくりだ。 「れいむのあかちゃんっかわいいでしょっ!?」 「まりさのあかちゃんも、かわいいんだぜっ!」 「ありすのとかいはなあかちゃん、とってもすてきだわっ!」 「……むきゅ~っ」 長が住む巣穴の近辺では出産ラッシュを迎えていた。 何処を見ても、赤ゆ自慢の家族で溢れかえっている。 とても幸せそうな表情を浮かべた群れのゆっくり達。 この出産ラッシュの原因は美味しい木の実が関連していると思われる。 豊富な栄養を定期的に摂取できる環境になると、安心して繁殖行動をとる固体は多い。 「…こまったわ。どうしたらいいのかしら?」 賑やかな喧騒の中で、ぱちゅりーは頭を伏せて小さく唸る。 今、この群れに起きている重大な危機の訪れを嘆いていた。 「むーしゃむーしゃ! しあわせ~っ!」 「れいむっ! それは、まりさのだよっ!? かってにとらないでねっ!」 「れいむは、にんっしんっ! しているんだよっ!? たべないとしんじゃうでしよぉおぉおっ゛!? まりさはばかなのっ? しぬのっ!?」 「まりさだって、おなかぐーぐーなんだぜっ!? あかちゃんが、たべたいってささやいているんだぜっ!!」 頭に生えた茎を左右に揺らしながら喧嘩を始めたれいむとまりさ。 小さな木の実を奪い合っているようだ。 どちらも必死の形相で互いに一歩も譲らない。 小規模な争いが、群れの各地で勃発していた。 先発で誕生した食欲旺盛な赤ゆ達が木の実を欲望のままに食らい尽くした結果、 必然的に山の食料は枯渇していき、親の口に入る栄養は日に日に少なくなっていったのだ。 お腹を空かせたゆっくり達は森に溢れ、いーらいーらを溜めて争いを繰り広げる群れの一部。 それを解決させる手段となる食べ物を狩るのは現状では難しい。 ぱちゅりーが納める群れは、壊滅を仄めかす食糧不足の初期段階に立たされていた。 この森に住む群れの一派、元は全てが街野良だった。 長であるぱちゅりーも例外では無い。 つい最近の出来事、ぱちゅりーは飼い主の家で粗相をして捨てられた。 ダンボールに入れられて、寒い風が吹き付ける路地裏に投棄された。 飼いゆ用に育てられたぱちゅは、多少丈夫な体の構造をしている。 そして、生きてゆっくりしたい!と、言う未練を断ち切れず、街を徘徊して糧を得る日々。 這いずり回って生きて行く事に疲れきったぱちゅりーは、ある噂を耳にする。 『ゆっくりぷれいすにいこうっ!』 その言葉を発するゆっくり達に着いていけば幸せが訪れる。 疲れていたぱちゅりーは、藁にも縋る気持ちで声を上げるゆっくりを探し始める。 それは、意外と早く見つかった。 体を黒くしたゆっくりの集団。 大きさは成体から赤ゆまで満遍なく揃った街野良の集まり。 希望に胸を膨らませながら、大移動をしているゆっくり達。 集団が辿り着いた場所は、都会から少し離れた山の奥。 美味しい木の実が成り茂る理想卿。 ここには、自分達を脅かす人間も存在しない。 「「「 ここをゆっくりぷれいすにするよっ! 」」」 大勢の発した声が、上空の広い空に吸い込まれていく。 ビルなどは無い。視界に飛び込むのは穏やかな緑。 排ガスの臭いなどはしない。感じるのは地面から香る土の匂いだけ。 それぞれ、意気揚揚と森に散らばった。 久しぶりにお腹いっぱいに食べたゆっくり達は、大きな群れを形成していく。 長を決める際、紫色の髪を地面に広げたぱちゅりーに白羽の矢が立つ。 決め手は、木の実を数えるときに、三以上数える頭の良さを見せ付けた事だろう。 群れの中に、ぱちゅりー種は一体しか居ないのも、高評価だったのかもしれない。 任命されたぱちゅは、少し照れながら長の役職に付いた。 それが、つい数週間前の出来事。 無尽蔵にあるかと思われた美味しい木の実は、数えられる位にしか残されていない。 子を優先して木の実を与えていた親達は、日が経つごとに痩せ細っていた。 「ゆっくりたべてねっ? たべないとしんじゃうよっ!」 早い時期に食べる物が無くなったと認識した親達の一部は、 巣穴近辺に生えていた雑草を刈り取って赤ゆ達に与える。 むちゃむちゃと噛んで柔らかくする事もなく、雑草を無造作に床に広げた。 唾液を混ぜて甘く感じさせる努力も行わないお粗末な昼ご飯。 雑草は何時も与えて貰っている黒い木の実とは外観は違っていたのだが、 世の中にある物は、全て甘い物だと誤認していた赤ゆ達は、一切迷い無く頬張ってしまった。 雑草を口に含んだ赤ゆは、強い苦味と噛み切れない繊維の硬さを鮮明に感じ取る。 「「「…ぐぎゅっ、にぎゃいよぉおっ゛!? ゆげぇえっ゛!」」」 「うわぁああっ!? しっかりしてぇえぇええっ゛おちびちゃあぁああんっ゛!」 げろりと吐き出した赤ゆ。 その吐射総量は、明らかに摂取した雑草の大きさを簡単に上回る。 不味さにビックリして体の内部に入れてしまったのだろう。 体を形成する餡子が、ゆっくり出来ない成分に犯されて外部に排出を要求している。 それは全く留まることを知らず、赤ゆの小さな体から餡子を搾り出していく。 「「「…ゆっ…もっぢょ…ゆっぐぢ……ゆげぇえぇっ゛」」」 「おちびちゃぁああぁあああああああああんっ゛!?」 また、赤ゆが数体天に召された。 完全なる親の過失。 しかし、親は解らない。 与えてはいけない毒物を理解していないのだ。 今までの街野良環境とは全く違った森の中。 過酷な野良生活を辿ってきた親ならば、苦い草も我慢すれば多少は食べられ事を知っている。 しかし、黒い木の実しか食べていない新生児のゆっくりは苦味に耐えられない。 直ぐに弱って死んでしまう。 しかし、甘い食べ物を探そうにも、美味しそうな果物は頭の遥か上方に実っている。 これまで容易に狩れる黒い木の実を主食にして来た元野良ゆっくり達の群れ。 野良で会得した狩りはゴミ漁りが中心だったので、果物を落とす方法は思いつかない群れの面々。 群れのゆっくり達の狩れる物、食べれる物は、黒い木の実だけ。 今まで完全に偏った食生活を送って来たのだ。 「…むきゅ~っ」 遠くで聞こえた親の悲鳴を聞きながら、長のぱちゅりーは考えている。 「ぱっくーんっ! しっ…しあわせ――っ!?」 「ゆああぁあああっ゛!? まじざとあかちゃんのぉあまあまさんがぁああぁあっ゛!」 緑色の茎を頭に実らせたゆっくり達は争いを終えた。 勝者となったれいむは、お口に木の実を含んで飲み込んだ。 れいむは黒い木の実を食べて元気いっぱい。 それを見たまりさは大号泣。 ありすは虚ろな目をしながら奥で倒れていた。 ピクリともしない危険な状況。 これらは、第三世代の認可を受けたゆっくり達だ。 先程の苦い草で昇天した赤ゆは第一世代に入る。 長の了承を取らなければ、親は新しい赤ゆを作ることは許されない。 群れの長であるぱちゅりーは、申請に認可を与える役割を担っていた。 しかし、ぱちゅは強く頼まれると嫌とは言えない性格をしている。 それに加えて森の現状など把握していなかった。 元街野良なのだ。 物は数える事は出来ても、森の無害食材などサッパリわからない。 理想郷としていた山が、牙を剥いて群れに襲い掛かってきた。 「ゆっくりそだってねっ! れいむのかわいいあかちゃん、げんきにそだってねっ」 「ゆわぁあぁあああんっ゛! おながずいだぁあぁああああっ゛!? れいむのばかああああっ゛!」 まりさは泣きながられいむに突進する。 小さく跳ね飛ばされたれいむは、負けじと応戦した。 巣の内部は醜い修羅場と化す。 これが、群れの現状だ。 一刻の猶予も残されていない。 「…むきゅっ、けつっだんっ! するときなのね…」 ぱちゅりーは決意を込めた眼差しで地面に開かれた手紙を見下ろす。 奥歯を噛み締めながら、苦々しい顔で全身を軽く縦に振った。 山に移り住んだ群れは人間達を受け入れない。 自分達を捨てた人間などは、神聖なるゆっくりぷれいすに踏み入れる事を許さない。 長のぱちゅりーは、この提案を即決で容認する。 群れを集め、特訓した攻撃方法は、華麗なるぷくーっ!。 空気をいっぱい吸い込み、丸々と膨らんだ体で威嚇を行う方法だ。 『これ以上何かすると、群れで痛い目をあわせるよっ!?』 ぷくーには、そう言う最終警告も含まれている。 今まで領域に進入した人間達は、" ぷくーっ! " と、威嚇すると情けなく逃げていった。 撃退した群れは愉快に笑いながら互いに健闘を称えあう。 自分達を苦しめてきた人間は、こんなに弱いものだったのかと語り出す。 捨てた飼い主に復讐をするべきだの意見も群れの中で飛び交った。 しかし、野良を捨てて野生を選んだ群れのゆっくりは、寛大な心を持って元飼い主を許す。 それに、この場所を移動している隙をついて、他の野良に取られてしまう可能性も危惧された。 主に後者の問題を考慮して群れは復讐を断念する。 せめて、復讐の代わりに得たこの理想郷は死守せねばならない。 群れのゆっくり達は、その思いを強めて進入者を全て排除してきた。 「ゆっくりかんしゃしてねっ!? おさが、じきじきにおはなしをしてあげるよっ!」 「こうえいにおもってねっ!? あまあまもくれてもいいよっ!」 「とかいはなありすについてきなさいっ! れつをみだしてはだめよっ!?」 「ほっほっほ。元気じゃのう」 れいむ達の後方に年老いたお爺さんが続く。 お爺さんの側には、黒服を着た青年と、家政婦の衣装を身に纏った女性が寄添っていた。 一団が進む山道には、ぷくっと膨れたゆっくり達の列が並び、歩いて来た人間達を威嚇している。 「むきゅっ! よくきたわね。わたしがおさのぱちゅりーよっ」 この群れの状況を打破するために、人間と交渉の場を設けたぱちゅりー。 頭に深く被っていた帽子の隙間から覗くお手紙。 手紙には、" おはなしをしませんか? " との文面が達筆で描かれていた。 本音は人間を森に入れたくは無かった。 だが、長は致し方ない事だと思っているのだろう。 群れのとの問題を照らし合わせての苦渋の決断。 全滅は、なんとしても避けたい事柄だったのだから。 会議をする場所に選ばれたのは、長が住む巣穴外の大きな野外広場。 広場上空に覆う緑色の葉で編まれた屋根は、とてもゆっくり出来ると評判だった。 長が中央の石に座る。 お爺さんは近くの大きな石に腰掛けた。 寡黙な青年は後方で待機。 これから群れの食糧供給を中心とした、重要な会議が行われる。 「むきゅっ! これは、とってもゆっくりできる、ていっあんっなのよっ!」 ぱちゅりーは、息を荒げながらお爺さんに迫る。 ある程度の譲著は行ったと言わんばかりの表情だ。 それを聞いていたお爺さんは笑顔を崩さない。 「ほっほっほ。面白い事を言うもんじゃのう」 お爺さんの側に寄添う青年の指先は、滑らかに動き続けていた。 ぱちゅりーの提案事項を手帳に記録しているようだ。 書き終えた手帳の中身を見たお爺さんは、細く開けた瞳を長に向けて再度確認を行う。 「まずは…、山の管理について。じゃったかの?」 「そうよっ! ぱちゅりーたちのゆうしゅうなむれが、やまをきれいにしてあげるわっ!」 「それの見返りとして、美味しい木の実を寄越せと?」 「むきゅっ! おなかをすかしては、うごけないわっ! とうぜんのけんりねっ!」 「更に、赤ゆ達の保護もして欲しいと?」 「とうぜんねっ! ゆうっしゅうっ! で、すてきなむれのあかちゃんたちなのよっ? ほごするのは、あたりまえのことだと、ゆっくりにんしきしてほしいわっ!」 黒服の青年は手帳を閉じてから、一歩後方へと下がる。 お爺さんは大きな石に腰掛けたまま、両目を瞑り考え込む。 長のぱちゅりーは、自信に満ち溢れた表情を崩さない。 提案を飲むのは当然の流れだと盲信していた。 「却下じゃな」 「むきゅっ!?」 目を開いたお爺さんは、開口一番で拒否を進言。 それを受けた長の両眼は驚きで見開かれる。 周辺に寄添う親衛隊も同様の表情を浮かべて固まった。 「どうしてっ!? こんなにゆっくりできる、ていっあんっさんでしょっ!」 「ほっほっほ。どう考えてもおかしいのは明白。受ける理由は無いのぉ」 強めの口調で畳み掛ける群れの長。 それを受け流すような、淡々とした人間の行動が気に入らないらしい。 長と親衛隊の面々は、お爺さんを囲むように陣形を展開していく。 「ようきゅうを、ゆっくりのみなさいっ! いたいめにあいたくはないでしょっ!?」 「脅しをするのかい? それは、ゆっくり出来ないのぉ」 ニヤリと笑ったお爺さん。 黒服の青年は、何時の間にかお爺さんの側に寄添っていた。 「ゆっくりできないにんげんさんは、むれの " いだいさ " を、りかいしてねっ!?」 ぱちゅりーを含む数体のゆっくりは、口を大きく開けて空気を吸い込んでいく。 大気を内部へと充填し、思いっきり膨れ上がった群れのゆっくり達。 「「「 ぷく――っ!! 」」」 最終警告を伴なう威嚇行動。 今、群れはゆん生で最高のぷくーを人間に炸裂させた。 「ほっほっほ。……それで?」 「ぷっ!?」 冷たい言葉を口にするお爺さん。 群れの長と親衛隊は、膨れたまま固まった。 「交渉決裂、じゃな」 お爺さんは、軽く手を上に移動させた。 それを確認した青年は、速やかに通信機器を取り出して連絡を取り始める。 電話向こうで会話していた女性の了承の声を最後に通信は途絶えた。 「「「 ――ゆんやぁああああっ゛!? 」」」 「「「 やめてぇえぇえええっ゛!? 」」」 その直後、山道で甲高い悲鳴が湧き上がる。 群れのゆっくり達は、膨れた姿のままあっさりと捕まって、麻袋の中に収納されていく。 「「「 ここは、せまくてゆっくりできないっ! 」」」 「「「 もう、おうちかえるぅうううぅっ゛!? 」」」 狭い袋の中で暴れるゆっくり達。 圧殺をなるべく防ぐ対処法として、大きさごとに分けて袋詰。 それを実行しているのは、黒服を着た数人の男達。 家政婦の衣装を着た女性が指揮をして迅速な作業を行っている。 「「「 ゆーゆーっ!? 」」」 赤ゆ達は透明な箱へと纏めて収納された後、丁重に運ばれていく。 その魔の手は、長であるぱちゅりーの巣穴まで伸びていた。 長を守るために駆け出した親衛隊達。 「「「 うわぁあああああっ゛!? 」」」 あっさりと御用。 麻袋の中にみっちりと詰まった親衛隊達は泣きながら退場。 他の群れゆっくり同様に乱暴な扱いを受けながら運ばれていく。 「むきゅっ!? ふしゅるるる~っ!」 空気を吐き出して威嚇行動を辞めようとしたその時、 体から完全に空気を抜ききる前に、口に湿布状の物体を貼られて排気を止められてしまう。 長の周辺には、濃厚なオレンジの香りが漂い始めた。 これは、オレンジエキスがたっぷり含まれている医療用シート。 瀕死のゆっくりでも、瞬時に息を吹き返す栄養分を蓄えている。 「むぎゅっ!? むぎゅぅうぅうっ゛!」 暴れる長を持ち上げた黒服の青年。 音も無く忍び寄って、黄色いシートを長のお口に張り付けたのは、この寡黙な青年だ。 目線にまで持ち上げられたぱちゅりーを見たお爺さんは、 満足そうに首を縦に振った後、年寄り臭いかけ声を放ちながら重い腰を上げる。 「ほっほっほ。さて、いきますかのぉ」 捕らえた群れの長と一緒に山道を下る。 シートを貼られて栄養過多になった元気漲る群れの長。 脱出しようと暴れるが、青年の掴む手は決して緩まない。 そのまま、大きな出来事も無く、奇妙な御一行は山道を進んでいった 山の麓に聳え立つ建物。 ここは、町外れにある敷地を贅沢に使った広大な研究施設。 素晴らしい総面積を誇る建造物は、遠くからでも良く目立つ。 (ぱちゅりーはおさなのよっ! あやまっても、ぜったいゆるさないわっ!) 長い廊下を進むぱちゅりー。 その口元には黄色いシートが貼られて、言葉を発することは出来ない。 ぱちゅは、むーむーと唸る声しか外部に漏れない、静音仕様に生まれ変わった。 あんよに食い込む青年の両手。 どれだけ暴れても逃れることは出来ない。 それでいて、食い込みすぎて肌を突き破ることは決して無い。 この技術は当然のスキルと言わんばかりに、冷静な顔を崩すことはしなかった。 (ゆっくりさせなさいっ! どうして、いうことがわからないのっ!?) 涙を流しながら訴えているぱちゅりー。 その声は届かない。 しかし、笑顔を浮かべたお爺さんは優しく語り掛ける。 「ゆっくりさせなさい。じゃろ? ほっほっほ。ゆっくりはそれしか言えないからのぉ」 ぱちゅりーは首を縦に振る。 冷静になったぱちゅりーは、アレだけ空いていたお腹が満たされているのを感じていた。 貼られたシートは鬱陶しいの一言に限る。 しかし、このシートから湧き出る元気成分が体に吸収されていくことは明白。 これを群れ全体に提供をしてくれるのならば、維持など楽勝と考えているぱちゅりー。 その後、腹を見せるように仰け反った。 泣き顔から一転して良い笑顔を見せる群れの長。 浮かべた笑顔は、打算的な希望の現れだったのだ。 「ほっほっほ。ここを見てみなさい」 お爺さんはガラスの扉を指し示す。 ぱちゅりーに拒否権などは無い。 強制的に運ばれて内部を見ることになるだろう。 しかし、未来の希望に満ち溢れたぱちゅりーは、疑いの欠片も見せずにガラスの向こう側を眺めてしまう。 向こう側には、見知った群れの仲間達。 その全てが泣き顔以外の顔を浮かべていない混沌たる世界。 地面に敷き詰められた土を齧って掘り下げる群れの面々。 必死な形相をしながら上目使いで見つめる先には、透明ケースに入れられた我が子の姿。 「「「 いま、ゆっくりたすけてあげるからねっ!? 」」」 群れのゆっくり達は、叫びながら深い穴を掘っていく。 その一部始終を見ていた長のぱちゅりー。 思い描いていた未来と現実の差が大きすぎる為にフリーズ中。 両目を極限まで開き、食い入るように見入っていた。 「これが、お前のお仲間さんじゃ」 ぱちゅりーは、その声に釣られるように視線をお爺さんへと移す。 お爺さんの表情は微笑から変わらない。 (どういうごどなのおおぉおおぉっ゛!?) 状況を理解した長は、くぐもった声を漏らしながら暴れ始めた。 目の前の人間を少しでも信じた自分を悔いているに違いない。 群れと同じ熱い涙を頬に流しながら、仲間の開放を訴えるぱちゅりー。 「素晴らしいじゃろ? ゆっくりの有効活用じゃ。コスト削減とも言えるかのぉ」 お爺さんは黒い木の実を取り出す。 それを群れの長に見せ付けた後、ガラス向こうのゆっくり達を指差す。 「あいつらが材料じゃ」 事も無げに言うお爺さん。 群れの長は信じない。 そんな共食い行為など、簡単に認められる訳は無いのだ。 元は飼いゆだった経歴を持つゆっくり程、その思考は根強く残っている。 教育過程での必須科目にされているためだ。 共食いと合わせて他のゆっくりを噛む行為はいけない事だと教え込まれてきた。 この教育が災いして、先発野良に遅れをとる固体も多い。 今、生き残っている野良達は、ある種の強運を持った固体と言えなくも無い。 「信用していない顔をしているのぉ? まあ良い、まあ良い」 小さな木の実を懐にしまうお爺さん。 ガラス向こうで繰り広げられている、地獄の鑑賞会はまだまだ続く。 群れの長はここから逃げられそうも無い。 広い室内で一心不乱に掘り進むゆっくり達。 土は柔らかいのだが、石交じりで歯にはとっても優しくない。 「いだいぃいぃいっ゛!? まじざのおくばさんが、ばっきんしちゃったぁあああっ゛!」 「れいむのまえばさんっ、どこいったのっ゛! ゆっくりかくれないで、おかおをだしてねっ!?」 ボロボロと口から歯の欠片を零すまりさ。 その横では、前歯を欠いた間抜けな表情をしているれいむが、顔を地面に擦りつけながら探索中。 前歯の発見はとても困難だろう。 今から、掘った穴を直ぐに埋めなければいけないのだから。 「おらぁあああっ゛! 掘ったら、さっさと埋めろぉおおっ゛!?」 野太い声をした監守はゆっくり達に激を飛ばす。 手に持った鞭を地面で打ち鳴らし、群れの内部に一瞬で緊張感を植え付ける。 それでも躊躇するゆっくり達に対しての脅しは簡単だ。 「おらおらぁあぁぁっ゛! 赤ゆ達が死んじまうぞっ? それでも、ゆっくり出来るのかぁあっ!?」 「「「 ゆっくりできないいいいいっ゛!? 」」」 涙を流しながら掘った穴を即座に埋める群れのゆっくり達。 全ては赤ゆを助けるための行動だ。 かわいそうに泣き喚く赤ゆ達の声は、母性本能をダイレクトに刺激していた。 ここに収納されてから掘ったり埋めたりを繰り返してきた群れの集団。 赤ゆを取り戻すために、一生懸命土木作業を頑張るゆっくり達。 メインで使うのは頑丈な前歯。 しかし、焦りながら掘り進めていく過程で、大きな石を口中の奥に取り入れてしまうミスを連発。 勢い余って噛み締めた際に、真っ白奥歯を誤って砕くゆっくり達が続出したのだ。 「「「 ゆぐぁあぁあっ゛!? いだいぃいぃいっ゛! 」」」 歯の砕けた箇所目掛けて、大きな土砂が飛び込む。 これは、歯が完全に抜けた方がマシとも思える、耐えがたい苦痛をゆっくり達に与えた。 舌を奥歯に乗せて土砂を取ろうとするのだが、食い込んだ石は動く気配を見せない。 逆に押し込む形になって、自爆による激痛をその身で受ける羽目になった。 「痛いなら俺が抜いてやるよっ!」 痛みで身をよじるまりさに近づく監守。 その手には巨大なペンチが握られていた。 「だだだだっ! だいじょうぶだよっ!? まりさは、へいきだよっ!」 「遠慮するなよっ? 俺は名医なんだぜっ! 心配には及ばねぇっ!」 ガッシリと頭をホールドアップ。 まりさは逃げ出すことが出来ない。 「なおったよっ! まりさのおくばさんは、へいわになったとつうたつをうけたんだよっ!?」 「意味わかんねよっ!? どれどれ…? ヒャッハーッ!? 大穴奥歯たまんねぇーっ!」 鼻息を荒くした監守の顔がまりさに接近する。 まりさは、生温い風を受けて気持ち悪くなる感情を打ち払うかのように、 目線の下から見える大きなペンチ。それが口中へと侵入した時、全身の感覚は恐怖のみに支配されていくのを自覚した。 「我慢できねぇっ!? ヒャッハーッ!」 「おげべぶえぇっ゛!?」 奥歯をペンチで挟んで強引に抜き取られたまりさ。 詰まった土砂の痛みは確かに無くなった。 しかし、今度は抜歯の激痛がまりさを襲う。 「ゆぎゃぁあぁあああっ゛! いだいぃいいぃいっ゛!?」 土の上を転がるまりさ。 痛みに耐えるその姿を見ている赤ゆ達は、ストレスを感じて吐き出した。 吐いた赤ゆを心配した群れのゆっくり達は騒ぎ出す。 赤ちゃんが死んでしまうと、口々に喚き始める。 「さっさと埋めろやぁあっ!? お前等の歯も抜いてやろうかあっ!」 恐怖を感じたゆっくり達は、埋める作業へと戻る。 まりさと同様に、身をよじらすゆっくりに飛んで行って抜歯を行う。 それを見た赤ゆが吐き出す。 また、激を飛ばして~、の繰り返し。 「早くしないと赤ゆ達はしんじまうぞぉっ!? あと、三回掘って埋めろぉっ!」 「「「 ゆっくりできないいいいいいいっ゛!? 」」」 赤ゆ達の足元には黄色いシートが敷かれてあって死ぬことは無い。 いや、死ぬことは許されない。 赤ゆ達は、大事な生餌なのだから。 いっぱい焦らして濃厚な甘味を内部に蓄えていくゆっくり達。 親子の再会は、大きな箱の中で確定済みだった。 互いに餡子の塊となって混じり合うその日まではお預けだ。 赤ゆ達を返してくれると信じながら、親達は穴を掘って埋め続ける。 全く報われることの無い希望を目標に変えて。 ただ、ひたすらに地面を穿る群れの姿。 「赤ゆを盾にすると、大概の願いは聞き届けてくれるのじゃ」 見放した赤ゆ達には、トコトン厳しく卑劣な選択も辞さないゆっくり達。 それが、奪われた悲劇の赤ちゃんになると、親は取り返すために全力を尽くす行動を見せる。 自分が決めた判断以外で不慮に居なくなる選択は、気にいらないと思っているのだろうか? それとも、可愛い赤ちゃんを目の前で奪われると、母性本能が極限まで増幅される為なのだろうか? 詳しくは解らない。 でも、この状態のゆっくり達はとても扱いやすい。 命令通りに動いてくれる。 「どうじゃな? 理解は出来たかのぉ? ゆっくりの長よ」 ぱちゅりーは、嗚咽を漏らしながら泣いていた。 シートに含まれた豊富な栄養が、ぱちゅりーの生クリームを絶え間なく刺激する。 お爺さんの緩やかな説明を少しだけ理解した。 赤ゆを粗末に扱っていると言う部分だけは理解したのだ。 群れの長は、赤ゆに非道な行いをする人間を強く睨む。 その視線を軽く受け流したお爺さんは、黒服の青年に目配せをする。 青年は携帯を使わず、無線で内部に居る監守へ連絡を早急に伝えた。 ガラス向こうの監守は頷いて、赤ゆ達が満載に詰められている透明ケースへと足を運ぶ。 その中から、一体の赤ゆを摘んで持ち上げた。 『おら~っ! この赤ゆを返して欲しいかーっ!?』 『ゆっ!? それは、れいむのあかちゃんだよっ! かわいすぎてごめんねっ!?』 見せびらかすように頭上に振り上げた赤れいむ。 それに素早く反応したのは、少し遠く居た親れいむだった。 『かえしてねっ! れいむのあかちゃんかえしてねっ!?』 持ち場を離れて勝手に接近して来た親れいむ。 監守の足元で、世話しなく跳ね続ける。 『そうだ、まりさの赤ちゃんも返してやってもいいぞ?』 『ゆっ!? ほんとにっ!』 側に居た無関係なまりさに声を掛けるお兄さん。 まりさは、降って湧いたような幸運に、嬉しそうな表情を顔に浮かべた。 お兄さんは、手に持った赤れいむをまりさが掘っていた穴の中に投入する。 土色に体を染めていく赤れいむ。 穴の中で苦しそうにもがくが、土の壁は脆く這い上がることは出来ない。 よじ登っては、仰向けに転がる事を繰り返していた。 『そいつを埋めろ。完全に穴を埋めたとき、まりさの赤ちゃんは返してやる』 『ゆゆゆっ゛!?』 過酷な条件を突きつけられたまりさは固まる。 視線の先で蠢くのは、他ゆっくりの赤子。 しかし、" これを埋めれば……" との考えが、まりさを惑わせる。 静かに足を穴の縁に移動させるまりさ。 掘って積まれた土山を、少しずつ穴の内部へと流し込む。 『まりさのあかちゃんは、いきるけんりがあるんだよ! しらないあかちゃんは、ゆっくりしんでねっ!?』 『ゆっくちーっ! ゆえぇえ~んっ゛!?』 見知らぬ赤ゆの代償を持って、自分の赤ゆを救う。 まりさは、この赤れいむを生贄に選んだのだ。 虚ろな瞳でお得意の責任転化を実行中。 これは、非道な役割を行う際に、自分へのストレスを軽減させるテクニックの一つ。 赤れいむの体に土砂が降り注ぐ。 全身は埋まってしまった。 『しらないあかゆを、せいっさいっしたよっ! まりさにのあかちゃんは……』 『れいむの、かわいすぎるあかちゃんをうめたまりさはっ! ゆっくりぜずにしねぇええぇええっ゛!?』 最高の笑顔を浮かべて振り向いたまりさの体に、肌色の物体が突貫を行う。 大きな口でまりさの頬を噛み締めた親れいむ。 赤れいむを目の前で埋められた状況を見せ付けられて、怒り心頭のご様子。 ガッシリと食い込んだ前歯の力を緩める気は無いとの気迫が漲っている。 『いだいいいっ゛!? まじざの、やわらかほっぺさんがぁあっ゛!』 まりさは号泣しながらお尻をバタつかせる。 お尻をビチビチと世話しなく振る度に、れいむの前歯は頬の内部へ食い込んでいく。 『れいむっ゛ゆっくりゆるしてねっ!? あれは、できごころだったんだぜっ!』 『ゆっくり……』 『だがら、おくちをあけてねっ!? まりさのほっぺださんが、ちぎれじゃうよぉおおっ゛!』 『ゆっくりせずに……まりさはしんでねっ!』 がぶりと音を立てたれいむの前歯。 噛み締めていたまりさのホッペに歪な歯形を残す。 大きな致命傷を与えられたまりさは、ふらふらとおぼつかない足で地面を迷走し始める。 積み上げた土砂に躓いて顔面から転倒したまりさ。 その衝撃で、頬の大穴から内部の餡子が大量に流出して足元に広がる。 体を何度か小さく弾ませた後、一際大きく跳ね上がったのを最後に完全停止。 透明なケース内部で、ガラスに張り付くようにしながら状況を目視していた、まりさ似の赤ちゃんが餡子を吐き出す。 まりさは、可愛い赤ちゃんが見ている前で、……死んだ。 『ごべんねっ! ごべんねっぇええっ゛!? がだぎはどっだよぉおぉぉぉっ゛!』 まりさを噛み殺した親れいむは、赤れいむが埋まった穴を覗き込みながら泣いていた。 赤ちゃんを助けられなかった自分の不甲斐なさに溢れる涙が止まらない。 今は亡き最愛の赤ちゃんに片方の仇を討った事を報告した。 『残念だったなっ! れいむは親としてどうなのよ?』 『じじいが、れいぶをおさえていたから、うごけなかったんでしょおおぉおっ゛!?』 赤れいむが埋められた瞬間に駆け出したれいむ。 しかし、監守の大きな足で踏まれたれいむは、自由に動くことが出来なくなってしまった。 目の前で埋められていく我が子を見ながら悲痛を訴えたれいむ。 拘束を解かれたときには、既に赤れいむは全身を埋められていた。 まりさに制裁を与えて殺すことを瞬時に決める。 不意をついのて完全制覇。 これに調子づいたれいむは、監守に向かって接近していく。 『…つぎは、じじいのばんだよ? こうかいしながら、ゆっくりせずにしんでねっ!』 『おい? そこで何か動かなかったか』 赤れいむが死ぬ原因を作り出した、もう片方の仇を倒すために駆け出したれいむの足が急ブレーキ。 監守は赤れいむが埋まっている穴を指を挿しながら大声を上げていた。 『早くしないと助からないんじゃないか? ほら、早く早くっ!』 『ゆっ! ゆゆゆっ!?』 埋められた赤れいむを助ける為に、大きな口を開けて土砂を頬張る親れいむ。 しかし、先程の堀り埋め作業感覚で乱暴に噛み締める大失態。 直後、親れいむの顔が歪みだす。 舌を口内で動かし何かを確認している。 疑惑が確信に変わる。れいむの顔色も青へと変わる。 悪い夢であって欲しいと願いながら地面に内容物を広げる親れいむ。 その視線は、黒い塊に釘付けとなる。 『…ゆっ、ゆぁあっ゛? ゆ…、あああぁああっ!?』 『噛み殺しやがった! なんて、残酷な仕打ちをするのだろう!?』 監守はまるで悲劇が起きたようなオーバーリアクションをとり始めた。 れいむは黒目を激しく振動させる。 体の震えは増すばかり。 『…あがぢゃん……あがぢゃん、ごべんねぇええぇえっ゛!? ゆっぐぢぃゆるじでねぇええぇえっ゛! 』 『あーあ、赤ちゃん殺しのゆっくりなんて最低だよな。子育て上手とか良く言えるもんだよ』 『ゆわぁあああんっ゛!? ごべんなざいっ! ごべんなざぁああぁあああいいっ゛!?』 『赤ちゃん殺しをしたゲスは、ゆっくりせずに死んでね?』 監守は掘られていた穴にれいむを落とす。 斜め上方を見つめるれいむの瞳には、今は亡き可愛い赤ちゃんの幻覚が映る。 五割増に美化された森の生活が餡子脳で展開されていく。 赤ちゃんを自らの歯で磨り潰したれいむは、薄ら笑いを浮かべながら短く声を呟き始める。 『――ゆげっ゛! ゆげへっ!?』 短く乾いた笑い声を漏らす。 目の前に居た赤ゆを奪い返せず、止めを刺した母親失格の重い烙印は、 れいむの体内にある大切な部分を完全に焼き切ってしまった。 『おらーっ! てめぇらもこうなりたいのかーっ!? さっさと、穴を埋めやがれっ!』 『『 ゆっぐぢりがいじだよっ!? 』』 凄惨な現場を特等席で見ていた他のゆっくり達は、慌てて掘った穴を埋め始めた。 作業効率は以前と比べて格段にあがっている。 これからも掘って埋める作業を繰り返すことだろう。 翁は杖を廊下に打ち付けて、群れの長であるぱちゅりーと向かい合う。 ぱちゅりーは、ガラスの奥で繰り広げられている地獄を垣間見た恐怖で涙が止まらない。 「あのゆっくり達は、赤ゆを返してくれると信じているんじゃのぉ」 (むきゅ……!?) 長い顎鬚を細い指先で触れながら楽しそうに語りだす。 口元を黄色いシートで塞がれいるぱちゅは、もごもごと呟きながら青年の胸元で暴れていた。 「ほっほっほ。あの子らは、" 第二世代 " なんじゃろ? 長が許可すると赤子を成せる群れの約束事。なかなか、面白い仕組みを考えるのぉ」 群れの決まりを人間が知っている訳が無い。 この人間の言っている事は、何かの間違いだ。 迷いを宿したぱちゅりーの抵抗は、段々と緩やかに治まっていく。 「ワシは何でも知っておるぞ? ゆっくりプレイス宣言から長任命。 第三世代には木の実が枯渇して食糧難。そして、ワシらとの会談の場を嫌々ながら設けた事もな。 やっぱり、物の数しか解らないゆっくりには、長は重荷じゃったのかのぉ?」 翁は笑いながら嬉しそうに微笑む。 ぱちゅりーは顔を青くして押し黙っていた。 「あの子らは、じっくりと甘味を増した後で、赤ゆとの感動の再開を果たす。 ほれ、見えるじゃろ? あそこの大きなミキサーの中でな」 今まで見ていたガラス内の施設を、翁達は数段高い所から見下ろしていた。 視線を右へ向けると奥には巨大な機械が口を開けている。 その中に、別のゆっくり集団が放り込まれていた。 (…むきゅーっ! まりさーっ! ありすーっ!?) 投げ込まれるゆっくりを見たぱちゅは、いきなり体をくねらせながら暴れ出す。 群れを結成した際の古い顔馴染が、小さな赤子と一緒に銀色の内部へと消えていく。 「あれは、第一世代のようじゃの。針で全身を貫く物理的な刺激を与えたメンバーじゃ。 とりあえず、すぴーど優先で初期餌を作らないと、計画に支障が出るのからのぉ」 機械は大きな振動音を奏でた後、緩やかに内部が回転していく。 蓋を締められてしまったので、内部の詳しい様子は解らない。 苦しむ声も翁達の所までは聞こえてこなかった。 しかし、透明な確認窓から覗く流れる餡子の塊は、ぱちゅに絶望的な状況を伝えてくる。 (みゅぎゅーっ゛!? おざのめいれいよぉおっ゛! あれをどめなざあぁあいっ゛!?」 泣きながら停止を求める群れの長。 翁に付き添う寡黙な青年、側に佇む家政婦の女性は、その声を聞き流す。 ここは、翁が納める群れの中。 ぱちゅに誰も従うはずは無い。 作業を終えた機械は、小さな塊を横の出口から排出していく。 それは、ぱちゅが良く知っている森の恵み。 美味しくて、とってもゆっくり出来る黒い木の実さんだった。 「ぱちゅりーくん。これで、理解したかね? 黒い木の実は、君達の仲間で作られていたんだよ」 翁は懐から黒いお菓子の塊を取り出しながら楽しそうに語り始める。 ぱちゅりーは、理解したくない事実を、理解してしまった。 廊下を歩く翁達。 ぱちゅりーは、泣き疲れてぐったりしていた。 「先日は、我が子を賭けたゆっくり同士のデスマッチを行ったのじゃよ。 でも、失敗したと報告を受けたのぉ。ぐちゃぐちゃに散らばって回収が大変だったらしいからの」 ほっほっほ。翁は楽しそうに思い出を語り出す。 ぱちゅは相手にせずに黙秘を決め込んだ。 シートからは絶えず栄養が流れ込み、体の状態に異常は見受けられない。 (ちゃんすをまって、……まちへとにげるわっ!) 野心を持ちながら転機を伺う群れの長。 しかし、その機会は永遠に訪れないことを、ぱちゅりーは直ぐに認識する。 絶望の未来はそう遠くない。 「さて、次はここじゃ」 翁御一行は、次の会場へと足を踏み入れる。 この室内も見下ろし式の視察部屋になっていた。 広い作業場の中で、第三世代のゆっくり達が群がっている。 第三世代は、子作りの認可を得たのは最近なので、赤ゆを茎に実らせた状態で収容されてきた。 今か今かと赤ゆが誕生するのを心待ちにしていた幸せいっぱいの親達は……、 「あぁあああっ゛!? あがぢゃん、うばれでごないでねっ!」 「うばれじゃでばだよっ゛! おかあざんおごるよっ゛! あっあっ!? だべぇええっ゛!」 「あんよざんっうごいでねっ!? どぼじで、まじざのいうごど、ぎいでぐれないのおおぉおっ゛!」 「あがぢゃんがぁああっ゛!? ごんなのとかいはじゃないわぁああっ゛!?」 現在、生まれてくる赤ゆ達を必死の形相で睨んでいた。 頭上の茎から生まれ落ちると鉄板に触れて焼け死ぬ運命を回避することは難しい。 ならば、生まれてくるのを拒むしかない。 「ほっほっほ。やっぱり、焼くのは良い。 加減を調節すれば、ゆっくりを即死させることなく、内部と外部に異常を与えて活動を制限させる。 これほど、扱いやすい糖度増しの方法はないのぉ」 第三世代は、床に敷かれた鉄板の上でもがき苦しんでいた。 餌に釣られてまんまと中心に誘き寄せられた第三世代達は、 空に浮かぶ餌目掛けて体を伸ばしながら、舌を絡ませようとしている最中に火を入れられた。 中心に纏まっていた第三世代達は、徐々に襲い来る足下の熱気に耐えられなくなり、急いで脱出を計った。 しかし、四方を壁に囲まれた為、何処にも逃げ場なく焦りだす。 困ったあげく、側に居た他ゆの頭に体を乗せて、熱さから逃れる足場を作り始める非道な輩も少なくは無かった。 だが、そんな輩は悲惨な末路を迎える。 バランスを失って転げた落ちた時に、背中や逆さまになって頭を焼かれる個体が続出した。 翁達が見下ろす第三世代の焼き具合の割合は、足底4割、他所3割、残りは絶命か虫の息と言った所だろう。 (やべでぇええっ゛!? おざに、こんなものみせないでぇええっ゛!) 栄養を多く含んだ涙が流れ落ちる。 新たな地獄を見下ろしながらぱちゅは悲痛に身を捩じらせて抵抗していた。 ぱちゅの両眼は、女性の両手で強制的に開放されている。 拒否を理由に瞳を閉じることは許されない。 見ている最中にも、凄惨な状況は続く。 茎から生まれた赤ゆ達は、熱気立ち込める鉄板の上に垂直落下。 『ゆっくち、うみゃれぇるよっ!?』 などと、叫んでいるお気楽な固体も見受けられた。 生まれる直前までは目を瞑っているので、外界を確認できないからだと予想される。 茎から離れた瞬間に世界を認識する赤ゆ達。 そこは、熱気漂う暖かい季節などではなく、命を瞬時に奪う鉄板地獄。 着地するまでの短い飛翔中だけが悲劇を回避できる唯一の時間帯。 「あじゆっうっ゛!? ゆぎゅうっ゛!」 「ゆっぐぢっ゛! ゆっぐぢいいいぃぃぃっ゛!?」 「ゆぎゃぁあああぁあっ゛!」 なすすべなく落ちて命の危機に瀕する赤ゆ達。 様々な箇所から鉄板に張り付いて、全身を赤く染めた後、墨色に姿を変えていく。 親達は涙を流しながら赤ゆ達に呼ぶかける。 今、第三世代達を口にしたら、とても凶悪な甘さになっているだろう。 「ゆっくりうけとめたよっ! もうはなさないよっ!?」 「ゆーん! ゆーんっ!?」 中には、茎から滞空している赤ゆを舌で包み込んだ兵も存在する。 強い母の愛が成せる技だ。 「ゆっくり……おくちか、あたまにのせるよっ! ゆぎぎぎぎっ!?」 「ゆえーんっ゛! ゆえぇえええんっ゛!?」 舌に力を込めて赤ゆを持ち上げる。 体力は残り少ない。 全身全霊を込めて赤ゆの幸せな未来を掴み取ろうとしていた。 「ゆぇえーんっ゛!? あちゅいよぉぉおっ゛!」 「お、おちびちゃんっおとなしくしててねっ!? ゆっくりしてよぉおおおっ゛!」 鉄板から立ち上る熱気を浴びた赤ゆは暴れ出す。 包まれていた親の舌は、上下に激しく揺れ始めた。 最後の赤ちゃんを守るために、綱渡りのような緊張感で救出作戦を行う親ゆっくり。 しかし、幸福な未来など、針の隙間さえも存在しなかった。 つるりと舌から滑り落ちた赤ゆは、鉄板の上へと落下する。 「「うわぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?」」 予想道理の残酷な結末を迎えた第三世代の親と赤ゆは、絶叫を合わせながら悲痛と不運を訴えた。 目の前で炭と化していく新生児を見ながら、自分を二の次にして助け出そうとする涙ぐましい母の愛。 しかし、既に足は動かず、舌は鉄板に張り付いてしまいどうにもならない。 その無力な母の頭の茎から、体を小刻みに振動させた後、産声を上げながら新たな命がこの世に誕生する。 幸せな未来など影も形も存在しない、鉄板が織り成す灼熱地獄の世界へ赤ゆは落ちていく。 ぱちゅは見ていた。 あの日、巣穴の近所にいた第三世代の親を瞳で捉えていた。 れいむとまりさとありす。 黒い木の実を奪い合っていた新しい母達は、見るも無残な容貌になっていた。 甘い実をたっぷり食べて、色艶が良かったもちもちホッペは真っ黒に焦げている。 ありすに至っては前面が焼かれていて、顔を確認できない。 ドロドロに溶けた金髪は体に絡み付いている。 都会派な赤ゆは既に全滅しているようだった。 「さてと、…頃合じゃのう あーあっ、えー、ゆっくり諸君!」 翁は差し出されたマイクに声を通す。 鉄板に焼かれながらも存命していた第三世代は揃って顔を上げた。 「「「たずげでねっ゛!? ここから、だずげでねっ゛! あぢゅいよぉおおぉおっ゛!?」」」 悲鳴を上げる第三世代。 それぞれの口調は微妙に違ってはいた。 要約すれば、この地獄からの救援依頼。 それを無視して翁は用件を伝えていく。 「ここに居るぱちゅりーくんは解るかね? この度、森の長を辞退して我々の仲間となった事を伝える! 過去を捨てる条件を快く承諾してくれた。君達は砕いて有効活用させてもらおうかのぅ」 ぱちゅりーは固まる。 寝耳に水の言葉だった。 翁の発表した内容は、森の長であるぱちゅりーが、群れを裏切って人間の仲間になったと言う事を意味していた。 鉄板の上に居る第三世代の反応は様々だ。 疑う者、信じない者、罵倒する輩と千差万別な纏まりの無い集団。 その纏まりの無かった集団は、翁が行った作戦の一部であっさりと騙される。 「嘘ではないぞ? ほれ、待遇もバッチリじゃ」 口が塞がれて抱きかかえられたぱちゅりーの横に、銀製のトレイが横付けされる。 女性が差し出したトレイの上には、美味しそうなお菓子が山のように盛られていた。 しかし、これは先程の第一世代を加工して作られた食品。 側に居たぱちゅりーは、盛られた黒い塊に拒否反応を示していた。 だが、遠めで見ている鉄板乗りには解らない。 待遇の違いに腹を立てて、その怒りは天をつく程に膨れ上がっていく。 そして、第三世代の心は一つになる。 群れの長、ぱちゅりー。 我々を人間に売り、自分だけゆっくり出来る楽なゆん生を選択したのだと。 「「「――――――――――――――っ!!!」」」 施設の内部が第三世代の罵倒で揺れる。 口汚い言葉の全てが、長に対する非難の声だった。 鉄板に落ちる赤ゆを放棄して思いの丈をぶちまける第三世代。 (……むぎゅうううっ゛!?) ぱちゅりーは否定したい気持ちでいっぱいだった。 群れを裏切った行為は何一つしていないと。 先程の脱走計画も気の迷いだった。 人間に頼った自分が愚かだったのだ。 そう心で反省しているぱちゅりー。 しかし、思いは群れに届かない。 「ふむふむ。解りましたよ、ぱちゅりーくん」 翁はわざとらしく頷いた後で軽く右手を上げる。 それを確認したスタッフは、鉄板の温度調整レバーを最大にまで切り替えた。 「「「ゆっ゛ぎゃぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?」」」 白い煙が立ち昇り、苦悶の表情で焼かれていく第三世代。 外皮が墨色に変わっても、短時間ならば中にある餡子に支障は無い。 最後までゆっくり出来る安らかな気持ちを何一つ与えずに殺しきる。 「ぱちゅりーくんのプレゼントだそうだ。 ありがたく思いながら、ゆっくりと味わいなさい」 「「「 ――は、じねぇえええぇえええええええっ゛!? 」」」 声を揃えての断末魔。 それは、ぱちゅりーの記憶に焼きついた。 恐怖と不甲斐なさで震えが止まらない。 「…処理を」 寡黙な青年が言葉を口にする。 スタッフに向けて残骸に対する今後の指示をしているようだ。 そして、抱えていたぱちゅりーも差し出す。 群れの長は、白服を着た研究員に委ねられた。 「それでは、ぱちゅりーくん。" また、あとで "」 翁から言葉を掛けられたぱちゅは、両開きの頑丈な扉の奥へと姿を消した。 精神的苦痛を与えられた群れの長。 疲労は見えるが、衰弱はしていない。 ぱちゅの命を支えていた口に貼られた湿布のような小さなシートは、 オレンジエキスを濃縮して栄養を与え続けて延命措置をとる医療品だった。 しかし、そのエキスは枯れ切って本来の役割を果たさない。 今からぱちゅりーに致命的な事が行われても、助けてはくれないだろう。 「…んっ! んんんっ!?」 口を塞ぐシートの表面から苦しそうな声が漏れてくる。 ぱちゅりーは手術台の上に寝かされて、体を黒いゴムで縛られていた。 脱出しようと試みるが、体は左右にも振ることは出来ない捕縛状態。 「んぐっちゅ゛!?」 まむまむとあにゃるに異物を挿入された。 その器具は、鋭い返しが付いた特注品。 抜けないことを前提に作られた道具は、体内の壁へと鋭く突き刺さる。 今までのゆん生で受けたことが無い激痛に悶えるぱちゅりー。 『赤ちゃんを作れなくなった!?』 ぱちゅはそんな的外れで暢気なことを考えている。 赤ちゃんを心配している場合ではないのだ。 (むきゅうぅうっ゛!? あんよさんがいだぁああぁああいっ゛!) 研究員は、注射器のような物をぱちゅの足裏へと突き刺した。 ゆっくりの足裏はびちびちと元気に動くのでしっかりと抑えてから針先を注入。 傷が広がってしまうと美しい物は作れない。 (むぎゅうっ゛! ばぢゅのなかみがっ゛! みゅぎゅううっ゛!?) じゅるじゅると音を立てて吸引開始。 ぱちゅりーの中に詰まっている生クリームは、床に置かれた小さなタンク内部へと移動していく。 (ばぢゅのながみっ! がえじでぇええっ゛! がえじでよぉおおぉおっ゛!?) 膨らんでいたお腹の部分が、みるみる内に萎んでいった。 内容物を吸い取られていく苦痛に耐え切れず、ストレス過多で吐いてしまう。 しかし、口に貼られたシートに邪魔されて流出を食い止められてしまい、頬を大きく膨らませた。 (…ゆ……むきゅあっぁ゛) 浮かんでは消えていく走馬灯。 飼いゆから始まって、些細なことで捨てられた不幸なゆん生。 その後訪れた森の生活は、とってもゆっくり出来た。 ずっと続くと思っていた。 でも…、群れは引き裂かれて人間に加工されてしまった。 人間はゆっくり出来ない。 関わってしまうから、こんな目に合ってしまうのだ。 ならば、それを提案したのは誰だったのか? それは群れの長を勤めるぱちゅりーだった。 自ら進んで人間に交渉と言う話し合いの場を作れば円滑に進むと思っていたのだ。 間違った自信をつけて慢心したぱちゅりーは、群れを壊滅に追い込んだ張本人。 (ああああああああああああああああああああああっ!?) その反省も記憶も。 奇麗サッパリに小さな容器に移された。 内容物を全て吸い取られたぱちゅりーは、ぺらぺらの皮になって手術台に横たわる。 少し膨れていたぷくーの面影は完全に無くなった。 一人の研究員が、ぱちゅりーの全てが詰まった容器を持ち上げて搬送準備を行う。 今から、この生クリームも加工されて黒い木の実の一部となる。 もし、ゆっくりの記憶が内容物に情報として蓄積されているのならば、この吸い取られた生クリームにも残っているはず。 機械の内部で再開した群れのゆっくり達に、ぱちゅりーは責めたてられる事だろう。 この原因を作ったのは長のせいだと決め付けて数で威圧を与える。 そんな身勝手な群れの姿が容易に想像できるのだ。 大きな部屋の豪華なソファーに翁が座る。 目の前に森の様子を映すモニターが数台設置されていた。 各ポイントには、水分を乾燥させて特別な加工をした黒い木の実を器具に取り付けている。 これを好んで食べる個体は、周辺の草や虫など見向きもしなくなる。 山の恵みと安定は常に保たれるのだ。 街の野良対策の一環で始めたこのプロジェクトに自分の土地を提供した。 山の一部に収容して、一網打尽にする計画を主とした県の試み。 これは、餓死を見据えた長期的な作戦にすると、共食いによって延命される為に見直された新しい計画。 「翁」 一言呟いた青年が入室した。 大きなトレイを両手で持ち上げている。 その上には、剥製と姿を変えたぱちゅりーが鎮座していた。 「ほっほっほ。ぱちゅりーくん、またあったのぉ」 嬉しそうに笑い出す。 翁は仕事をしながら趣味を満喫していた。 趣味は、群れの頂点に立つ歴代長の剥製集め。 この部屋の特設スペースには、数代に渡る個性豊かな加工済みの長が陳列していた。 青年は、新しいコレクションを台座の上に乗せる。 「ぱちゅりーくん。野生ごっこは、楽しかったかね?」 その問いに群れの長は答えなかった。 でも、少し悲しそうな表情をしたのは気のせいだろうか? 物言わぬぱちゅりーは、前回に群れの長を勤めたゆっくりの隣へと腰を落ち着けて、静かに佇んでいた。 ・翁の役割のお話 県に限らず時々無駄に思える政策を行う ・一部他作者様の設定をお借りしています 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 859 ほりはり ふたば系ゆっくりいじめ 814 ばうんてぃはんたー 希少種狩り ふたば系ゆっくりいじめ 802 我らっ!すっきりーっ!を熱く語る ふたば系ゆっくりいじめ 779 そうだ、駆除しよう ふたば系ゆっくりいじめ 764 たまたま ふたば系ゆっくりいじめ 752 おらべならい ふたば系ゆっくりいじめ 742 お呼び出し ふたば系ゆっくりいじめ 718 完全予約制 ふたば系ゆっくりいじめ 710 基本種 ふんどしれいむの復讐 ふたば系ゆっくりいじめ 683 あんらっき~を乗り越えて ふたば系ゆっくりいじめ 665 基本種 れいむの受難 ふたば系ゆっくりいじめ 638 ばうんてぃはんたー ふたば系ゆっくりいじめ 612 かってにはえてくる ふたば系ゆっくりいじめ 593 迷作劇場 ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心 ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ? ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2 ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5 ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値 ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語 ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償 ・他、7点 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 何でゆっくりは人間様と対等と勘違いするんだろな -- 2016-02-07 21 50 45 ↓↓だから黒い実で舌を肥えさせたんだろ -- 2016-01-08 23 10 19 単に村を挙げて大規模な虐待をしてたのか それとも何か意図があったのか。山の資源を食い荒らされないためかな -- 2010-11-23 20 32 42 なるほど、黒い木の実でゆっくりを偏食にさせるのか。 街野良に対してのみ友好な戦術っぽいなー コスト高そうな気がするし、雑草等食べれる親ゆっくりには効かなさそうな気がするよー -- 2010-11-17 22 07 22 創造性のないコメントだな、つまらないっつーんなら理由ぐらい挙げろ それとも内容が理解できないくらい頭が悪いの? -- 2010-07-26 11 21 17 で? -- 2010-07-09 03 49 06
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2789.html
『まりさはゆっくりできない』 22KB 虐待 制裁 自業自得 群れ ドスまりさ テンプレまりさいじめ 「ゆっくちちていっちぇにぇ!」 「「ゆっくりしていってね!」」 とある森の中にあるゆっくりの群れ。 そこでまりさは誕生した。 自分が元気良く挨拶すると両親も元気に挨拶を返してくれた。 まりさはゆっくりした両親の元に生まれてきた事をとても喜んだ。 親は両方まりさ種であった。 というかこの群れ全てがまりさ種しかいなかった。 その理由を両親はゆっくりの中で一番強く優しく素敵なまりさだけがゆっくり出来るからと教えてくれた。 その他にも両親は色々な事を教えてくれた。 まりさはそれらの知識や経験を全て吸収しすくすくと育っていった。 やがてまりさも成体へと成長し自立する時がやってきた。 まりさはもっと色々な世界を見て歩き自分の群れを持ちたい事を両親に告げた。 だが季節は秋から冬に変わろうとしている。 両親は春になってから旅立ったほうがいいと言ったがまりさはすぐに旅立つつもりだった。 最強のまりさなら冬なんかへっちゃらだと。 両親も我が子の力強い言葉に感動しまりさの意思を尊重する事にした。 群れを治めるドスも「ドスにまけないむれをつくってね!」と激励してくれた。 まりさは嬉しかった。 自分はなんて幸せなゆっくりなんだろうと。 優しい両親、頼もしいドス、そして大切な群れの仲間。 こんなゆっくりした仲間にめぐり逢えた事をまりさは心の底から感謝した。 こうしてまりさは皆に見送られながら輝かしい第一歩を踏み出したのである。 「ここね、ゲスまりさの群れってのは」 だがその第一歩は地獄の幕開けでもあった。 「ゆ?」 突如やってきた胴付きゆうか、その手には一匹のまりさを掴んでいた。 「ド、ドス……たすけて……」 掴まれたまりさは全身傷だらけで今にも永遠にゆっくりしそうなほど弱っていた。 それを見たドスは驚くと同時にゆうかを睨みつけ叫んだ。 「おまえ!そのまりさになにをしたぁぁぁぁぁ!!」 「何って、見ての通り、ゲスなまりさを制裁したのよ」 ドスの大声にも全く怯まず涼しい顔のままゆうかは説明を始めた。 ゆうかは人間から畑の一部を提供してもらいそこで野菜を育てて生活していた。 人間との関係も良好で野菜作りの合間に人間達に可愛がってもらいとてもゆっくりしていた。 だがそんな時、一匹のまりさがゆうかの畑にやってきて野菜を盗もうとした。 当然未遂に終わったがまりさは意味不明な事を叫び続けゆうかの話を聞こうとしなかった。 まりさが叫び続けたのは「おやさいをひとりじめするゆうかはゆっくりできないのぜ!」だった。 いくら説明しても聞く耳持たないまりさを拷問しドスの群れの場所を吐かせたのだ。 「単独で行動してるような感じじゃなかったしね、どうせどっかの群れの一員だと思って連れて来てもらったの」 「ななな……」 「で、群れの長としてドスはどう責任を取ってくれるのかしら?」 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!そのまりさはなにもわるくないだろうがぁぁぁぁぁ!!」 ドスはゆうかの説明を聞いて怒鳴った。 「おやさいをひとりじめしてるおまえがどうみてもわるいだろぉぉぉ!それをぎゃくぎれしてなにさまのつもりだぁぁ!」 「やっぱりそういうと思ったわ」 ゆうかは半ば予想していたようでドスの言葉にも驚かなかった。 「そればかりか、たいせつななかまをそんなめにあわすなんてぇぇぇ!かくごはできてるんだろうなぁぁぁ!!」 「はいはい、とっくに出来てるわよ、こんな風にね」 「ぶべぇ!!」 ゆうかは用済みとなったまりさを踏み潰した。 「!?」 「無様に生き恥を晒しているまりさを一思いに永遠にゆっくりさせてあげたわ、ゆっくり感謝してね!」 まりさを念入りに踏み潰しながらニッコリ微笑みかけるゆうか。 それがドスの怒りを爆発させた。 「このゲスゆうかがぁぁぁ!!いますぐしねぇぇぇぇぇ!!」 ドスは長いチャージの後、ドススパークを放った。 「はいはい、ワンパターン乙」 ゆうかはなんと片手でドススパークを防いだ。 手から煙が上がっていたがゆうかは特に気にせず手をパンパン叩いて煙を散らす。 これに驚いたのはドスだ。 自分の最大の必殺技が効かなかったのだから当然か。 「どぼじできかないのぉぉぉぉ!?」 「いつまでもそんな子供だましが通用すると思わないことね、所詮まりさ種の技などたかが知れてるし」 「そんなことないぃぃぃ!!ドスのわざはさいきょうなんだぁぁぁぁぁ!!」 「あっそ、私には関係ないけど」 その直後、ゆうかが消えた。 「ゆ?」 ドスが姿の消えたゆうかを探すがすぐ見つかった。 何故なら自分の目の前にそのゆうかが立っていたからだ。 「いつのまに……」 そう呟くドスだがその直後、凄まじい衝撃を顔面に受けた。 ゆうかがドスをぶん殴ったのだ。 「ぶげぇ!!!」 吹っ飛ぶドス。 その体が大木に叩きつけられ今まで味わったことの無い激痛に泣き叫ぼうとした時だった。 「ぶげ!ぶげげげげげげげぎゃごががががあああぁぁぁぁぁ!!!」 ゆうかの無数の連打でサンドバックにされ泣き叫ぶ暇も与えられないドス。 「ほらほら、どうしたの?少しは抵抗してほしいものね!まあクズのまりさ種じゃこの程度が限界でしょうけど!」 ドスの体は痣だらけになり以前のような凛々しく威厳に満ちた面影はどこにも無い。 ただのデカイ饅頭と化したドスはただ痛みに悶え続けた。 そしてそんな無抵抗のドスに飽きたゆうかは攻撃を止める。 「弱すぎてつまんないわ、そんなんでよく群れの長なんてしてられたわね」 「あ……が……」 既に瀕死のドス。 別にこのゆうかが特別強いわけではない。 胴付きのゆうかは野良作業で足腰が鍛えられておりこれくらいは朝飯前なのだ。 ドススパークも通常のゆっくりに対しては効果があるが人間に通用するかというと疑問が残る。 人間を殺せる威力というのはただの都市伝説、そもそも饅頭であるゆっくりにそんな事ができるはずがない。 ぶっちゃげチャージにかなりの時間を要するので技としては全く使えないのだが。 結局全てはゆっくりの思い込みでしかないのだ。 「それじゃ弱くて身の程知らずのゲスに本格的な制裁を加えようかしら」 「ゆぐぅ!?」 本格的!? ドスは恐怖した。 これから地獄以上の苦しみを味わう事を想像するとそれだけでうんうんとしーしーが漏れてしまう。 「相変わらずすぐ漏らすのね、まあゲスまりさじゃしょうがないか」 ゆうかはポケットから唐辛子を取り出してそれをドスのまむまむにぶち込んだ。 「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!いだいぃぃぃぃ!!ドズのまむまむがぁぁぁぁ!!!」 「どうかしら?まむまむで味わう唐辛子の味は?ゆっくり味わっていってね!」 ドSの顔をしたゆうかがドスの無様な姿を見て笑っている。 「ふふっ、唐辛子はまだまだいっぱいあるからたっぷり味わってね!」 ゆうかはドスのあにゃる、口など様々な穴に唐辛子をねじ込んでドスの醜態を観察していた。 そしてそんな様子を見て硬直していた群れはというと…… 「まりさはにげるのぜぇぇぇぇ!!」 「こわいよぉぉぉぉ!!」 「ドスがまけたのぜぇぇぇぇ!このむれはもうだめなのぜぇぇぇ!!」 「すたこらさっさなのぜぇぇぇぇ!!」 最強のドスがやられて戦意が喪失したのか一斉に逃げ出す群れのまりさ。 しかし…… 「ヒャッハー!ゲスは逃がさないよ!」 「俺達がたっぷり可愛がってあげるよ!」 「可愛がるといってもあまあまをあげたり美ゆっくりを用意したりするんじゃないぞ?痛めつけるという事だ!」 「説明せんでもいい!いや、餡子脳じゃ説明しないと勘違いするかもね!」 突如現れた人間達。 そう、ゆうかは一人でやってきたわけではない。 群れを壊滅させるために人間に協力を頼んだのだ。 可愛いゆうかの頼みを断れるはずもない人間は様々な虐待道具を持ってついてきたのだ。 群れを完全に包囲していた人間達はまりさ達がパニックになったと同時に一斉に現れ逃げ惑うまりさを虐待し始めた。 「すぐには殺さないから安心してね!大好きなまりさはたっぷり可愛がってあげるね!」 「やめてぇぇぇ!!ぎゃくたいはゆっくりできないぃぃぃぃ!!」 「はなすのぜぇぇぇぇ!!まりさをはなすのぜぇぇぇぇ!!」 「やめろぉぉぉ!!ばでぃざのずでぎなおぼうじぃぃぃぃ!!」 「すべてをみとおすまりさのせんりがんがぁぁぁぁ!!」 「な、なんなのぜ……これは……」 輝かしい第一歩を踏み出した冒頭のまりさが地獄の中で呟いていた。 あんなにゆっくりしていた群れが何故こうなったのか。 「そ、そんなことよりみんなをたすけるのぜ!」 「だめだよ!」 「まりさはいますぐにげてね!」 仲間を助けるべく動き出そうとしたまりさを止めたのは両親だった。 「まりさだけにげるなんていやなのぜ!まりさもたたかうのぜ!」 「さっきやくそくしたでしょ!?じぶんのむれをもってゆっくりするって!」 「そうだよ!みんなのねがいをむだにしないでね!」 「で、でもまりさは!」 「まりさはみんなのきぼうなんだよ!まりさにはみんなのぶんまでゆっくりしてほしいんだよ!」 「だから、いまはたえてね!」 「ここにひみつのぬけあながあるよ!ここをとおればにんげんにもみつからずにげられるよ!」 「おとうさん、おかあさん!」 「まりさ、できることならまりさのおちびちゃんをみてみたかったよ」 「さようなら、まりさ、ゆっくりしていってね!」 両親は最後の挨拶をまりさにすると秘密の抜け穴にまりさを突き落とした。 「これでこころのこりはないよ、あとは……」 「お前らを虐待するだけだーーーー!!」 「ゆゆぅぅ!?にんげん!?」 「やべでぇぇぇぇ!!つやつやのかわをはがさないでぇぇぇ!!」 「なかみのあんこさんをとらないでぇぇぇぇ!!」 「大丈夫!すぐには殺さないからね!」 「た~っぷり時間をかけてゆっくり殺してあげるから安心してね!」 「「ごろじでぇぇぇ!!もうごろじでぇぇぇ!!」」 まりさは両親の絶叫を聞きながら抜け穴をコロコロ転がっていった。 「ふぅ、これで終わりね」 ゆうかは全身から餡子を噴出して絶命しているドスの前でゆっくりしていた。 ドスの顔はこれ以上ないくらい歪んでいた。 最後の最後までゆっくり出来なかった事が見て取れる。 「ゆうか、こっちも終わったぞ」 「ありがとう、おにいさん!おかげでゲスを始末できたわ」 「こっちこそ思う存分虐待できたし気にしないでいいよ」 「そういえば一匹のまりさが逃げたみたいだが追うか?」 「別にいいわ、だって……」 ゆうかの言わんとすることを理解した人間達はニヤリと笑った。 「だな、この森でまりさ種が一匹で生き残れるはずないな」 「ええ、この場で死んでたほうが幸せだったと後悔する事になるでしょうね」 ゆうかもまた人間達と同じ笑みを浮かべていた。 「ゆぅ……」 まりさは意識を取り戻した。 どうやら気絶していたようだ。 「みんな……」 みんなの安否が気になる、だが後ろを振り返る事はしない。 だって自分は両親と約束したから。 「まりさはみんなのぶんまでゆっくりするのぜ!それがまりさのけついなのぜ!」 決意を新たにするまりさ。 「まずはすてきなおうちをみつけることからはじめるのぜ!」 まずは住居を確保しなければ。 だがまりさには不安は無かった。 何故なら両親やドスから色々な事を学んだしゆっくりの中で最強のまりさに出来ない事など無いと思ったからだ。 だがまりさはすぐ厳しい現実を突きつけられる。 「ここはれいむのゆっくりプレイスだよ!でていってね!」 「ぱちぇのおうちにかってにはいってこないで!」 「ありすのとかいはなおうちからでていきなさい!」 「かってにおうちせんげんしないでね!ゆっくりできないんだねー、わかるよー!」 「ゆっくりしてないまりさはさっさときえるみょん!」 ゆっくり出来そうなおうちを見つけてもそこには既にゆっくりが住んでいた。 そして例外なくまりさは追い出される。 「ゆふん!ゆっくりしてないやつばかりだぜ!やっぱりまりさいがいはまるでだめなのぜ!」 ぷんぷんと怒りをあらわにするまりさ、勝手におうちに入った事に対する反省は無いようだ。 「クズゆっくりのあいてをしてつかれたのぜ!まずはたべものさがすのぜ!」 住居よりも食事を優先する事にしたまりさ。 「ゆ?さっそくはっけんなのぜ!やっぱりまりさはかりのめいじんなのぜ!」 目の前に野いちごが生えているではないか。 滅多に食べられないあまあまに飛びつくまりさ。 「あまあまはっけん!さっそくもってかえるんだねー!わかるよー!」 「ゆゆぅ!?」 突然草むらから出てきたちぇんが野いちごを咥えるとそのまま元気良く跳ねていった。 「ま、まつのぜ!それはまりさのものなのぜ!」 まりさは必死にちぇんを追いかけるがちぇんの速度に付いていけずやがて見失ってしまった。 「どぼじでしゅんそくをほこるまりさのあんよでおいつけないのぜぇぇぇぇ!?」 カモシカのように美しく鍛えられたあんよの前では誰もそのスピードに付いていけないと思い込んでいた。 それなのに何故ちぇんに追いつけなかったのか? まりさは必死に考えていた。 「きっとまりさのあんよのちょうしがわるかっただけだぜ!ちぇんはうんがいいのぜ!ありがたくおもうのぜ!」 惨めな言い訳をして自分を納得させたまりさだったが全速力で跳ねた事で余計お腹が減ってしまった。 「ゆぐぅ、でもかりのめいじんのまりさならすぐにあまあまをみつけられるのぜ!」 だが現実は厳しい、そう何度もあまあまを見つけられるわけが無い。 「おかしいのぜ、ぜんぜんあまあまがみつからないのぜ、まりさはかりのめいじんなのに!」 その後も必死で探したがあまあまを見つける事は出来なかった。 「ゆっぐ、しかたないのぜ、くささんでがまんするのぜ……」 空腹で我慢の限界に達したまりさはその辺に生えていた草にかぶりついた。 「むーしゃ、むーしゃ、ふしあわせー」 当然草程度では幸せなど感じる事はない。 「ゆぅ、どうしてあまあまがないのぜ、おとうさんとかりをしてたときはすぐみつかったのに……」 以前暮らしていた群れのあった場所は比較的食べ物が豊富だっただけだ。 当然そんな場所があちこちにある訳もない。 それに冬が迫ってきている影響でほとんどの食料は越冬用に狩りつくされてる。 少し考えれば分かる事だがまりさは自分に都合の悪い事は考えない餡子脳なので無駄だった。 「ゆぅ、そろそろくらくなるのぜ、はやくおうちをみつけないとゆっくりできないのぜ」 夜はれみりゃなどの捕食種がうろつく時間だ。 いかにまりさが最強だとしてもれみりゃには苦戦するだろう。 無用な戦いは避けたい、まりさはそう思った。 「しかたないのぜ、べつのむれにすこしのあいだ、いれてもらうのぜ」 自分より劣る他種のゆっくりの群れに入るのはプライドが傷つくが贅沢は言っていられない。 そう思い、近くの群れへと向かうまりさだったが…… 「ゆべ!」 「さっさとでていってね!」 「まりさはゆっくりできないよ!」 いきなり群れから追い出された。 「なにをするんだぜ!まりさはただちょっとのあいだむれにいれてもらおうと!」 「うるさいよ!ゆっくりできないまりさはいるだけでふこうをよびよせるんだよ!」 「やくびょうがみはさっさときえてね!」 「な、なにをいってるんだぜ!?」 「いいからでていけ!!」 「ゆべ!」 複数のゆっくりに体当たりされ転がるまりさ。 いかにまりさが最強だとしても複数を相手にするには分が悪い。 悔しいがここは一度退くしかなかった。 「ゆぐぐぐ!なんなのぜ!あのむれは!ぜんぜんゆっくりしてないのぜ!」 だが別の群れでも同じ対応だった。 「なんでなのぜ!?まりさがなにをしたというのぜ!ひどすぎるのぜ!」 怒り心頭のまりさ、そんなまりさだが懲りもせず三つ目の群れへとやってきた。 そこはぱちゅりーが長を務める群れだった。 「はぁ、まりさがなんのようなの?」 ぱちゅりーはまりさの姿を確認しただけでため息を漏らす。 そのゆっくりしてない言動にまりさは腹が立ったが話を始める。 「まりさをむれにいれてほしいのぜ」 「いや」 即答だった。 「なんでなのぜ!りゆうをいうのぜ!」 「まりさがゆっくりしてないからよ」 「まりさはゆっくりしてるのぜ!」 「そうおもってるのはまりさだけよ」 何だコイツらは。 何故ここまでまりさを嫌うのか? まりさはその事を訪ねた。 するとぱちゅりーはこう言った。 「あなた、ドスのむれのまりさでしょ?」 「そうだぜ!それがどうしたのぜ?」 「あのむれはにんげんさんにせいさいされてぜんめつしたはずでしょ?」 「なんでそんなことをしってるのぜ!?」 「それくらいのじょうほうはすぐつたわってくるわ、で?あなたは?」 「まりさはさいごのいきのこりなのぜ!ゲスなにんげんとゆうかにみんなころされたのぜ!」 「ゲスはまりさのほうでしょ?」 「ゆぅ!?なにをいいだすのぜ!?」 「どうせにんげんさんのおやさいをぬすんでそのせいさいをうけたんでしょ?ちがう?」 「ちがうのぜ!あれはゆうかとにんげんがおやさいをひとりじめしてたのをなかまがちゅういしただけなのぜ!」 「ほら、やっぱり!ゲスはまりさのほうじゃない」 「まりさのどこがゲスなのぜぇぇぇぇ!?いいかげんにするのぜぇぇぇぇ!!」 「もうおやさいをひとりじめしてたってことでいいわ、とにかくあなたたちはにんげんさんをおこらせた、そうでしょ?」 「あれはただのぎゃくぎれなのぜ!まりさたちはわるくないのぜ!」 「はぁ……やっぱりまりさとはなしてるとすごくつかれるわ、そうやってじぶんのあやまちをみとめないところがいやなの」 「まりさたちはまちがってないのぜ!まりさたちがせいぎなのぜ!ぜったいなのぜ」 「……」 ぱちゅりーは呆れていた。 まりさのあまりに自分勝手な言い分に。 ゆっくりは基本的に自分勝手だがまりさは特に酷い。 それがよく分かった。 「いい?まりさ、よくききなさい」 ぱちゅりーは無駄だと知りつつもまりさに伝えた。 どうしてまりさが皆から嫌われてしまったのかを。 かつてのドスの群れがそうだったようにまりさは自分達こそが選ばれたゆっくりだと思っていた。 狩りが上手く喧嘩も強くかけっこも負け知らず。 もちろんそれは思い込みだったがまりさにはそれは真実だった。 そして自分達以外のゆっくりはゆっくりしてない劣悪種だとバカにした。 ある時、狩りの途中で会った他のゆっくりから「ゆっくりしていってね!」と挨拶されてもまりさ達は答えなかった。 劣悪種にする返事など自分達には無いとばかりに。 傍から見ればゆっくりしていってね!と返事すらしないまりさのほうが劣悪種なのだが。 無視だけならまだしも時にはあからさまにバカにするような言葉を吐く事もあった。 一匹で行動していたゆっくりを大勢で囲み劣悪種と罵りながら苛めた事もある。 理不尽な苛めを咎めるためドスの群れまで抗議しに行ったゆっくりも居たが一匹も帰ってこなかった。 お前達がゆっくりしてないのが悪いと逆に言いがかりを付けられ全てドスに殺されたのだ。 そんな事を繰り返したまりさは完全に他種から嫌われ無視されるようになった。 これがまりさがこの森のゆっくりから嫌われている理由である。 実はぱちゅりーの群れにもまりさは居た。 だが全員あのドスの群れに行ってしまった。 返事を返してもらえなかったのはこいつらがゆっくりしてないから。 劣悪種だから苛められても文句は言えない。 ゆっくりしてない奴と一緒に居てもゆっくり出来ない。 そう言い残して。 あまりに身勝手なまりさ種に皆嫌気がさしていた。 そんな時にやってきたのがこのまりさである。 ぱちゅりーは自分達の素直な気持ちをまりさに伝えた。 もう来るな、自分達に関わるな、姿もみたくないと。 それを聞いたまりさは…… 「ゆふん、つまりゆっくりしてるまりさにしっとしてるだけってことなのぜ?みぐるしいのぜ」 まりさは呆れ果てた顔でぱちゅりーを見下した。 「さいきょうのまりさにしっとするのもしかたないけど、だからってこんないやがらせはゆっくりできないのぜ」 ぱちゅりーは無言のまま、まりさの言葉を聞いている。 「まあもともとおまえたちはゆっくりしてないからこんなことしかできないのぜ?ゆひゃひゃひゃ!!」 「……」 「あー、もういいのぜ!こんなうんうんにもおとるゲスゆっくりのむれなんかまりさからおことわりなのぜ!」 「……」 「それじゃまりさはもういくのぜ!おまえらはまりさのうんうんでもくってろなのぜ!」 まりさは最後にぱちゅりーに向かって尻を突き出し排泄をした。 もりゅん!と盛大にあにゃるから排出され、ぱちゅりーの目の前に落ちるうんうん。 それを見届けたぱちゅりーは 「やれ」 冷静に、そして静かな怒りを込めた低くドス黒い声を響き渡らせた。 「ゆ?」 異変を察知したまりさだったがその姿はすぐに無数のゆっくりによって見えなくなった。 なにやら悲鳴が聞こえるが些細な事だ。 こうしてまりさは自ら地獄の底へと飛び込んだのである。 あれから数日が経った。 「こんにちは、まりさ、ゆっくりしてる?」 「ゆっ……」 死んでいるのか生きているのか分からない表情のまりさに声を掛けるぱちゅりー。 その顔は満面の笑みだった。 「ゆっくり……できない……」 「あら、そう?わたしはゆっくりしてるわ」 「どぼじで……」 「ん?」 「どぼじで……ごんなごど……」 「ここまでされてもまだりかいしてないのね、まあそれがまりさだしね、でももうどうでもいいわ」 「ゆ……」 「あなたがわたしたちのかんがえをりかいしないのとおなじようにわたしたちもあなたをりかいしようとおもわない」 「……」 「あなたたちまりさはゲス、それがわたしたちのこたえでありしんじつよ」 「ちが……」 「ちがわない、だってまりさはゲスだもの」 まりさはあの時、集団暴行を受け瀕死の重傷を負ったがぱちゅりーの判断で生かし続けることにした。 このどうしようもないゲスを簡単に殺してなどやるものか。 命尽きるまで延々と絶望を味合わせてやる。 ゲスまりさにはそれが相応しい。 まりさの傷が回復した頃、ぱちゅりーはまりさに一つの賭けを提示した。 それはまりさが群れのゆっくりと一対一で戦って勝てたら見逃してやるというものだ。 まりさはそれを喜んで受け入れた。 最強のまりさ様が一対一で負けるはずがない。 だが結果はまりさの惨敗だった。 ちぇん、みょん、ありす、にとり、てんこ、ゆうかなど様々なゆっくりと戦ったが全てに負けてしまった。 この群れにはれいむは居ないのでもしかしたられいむになら勝てたかもしれない。 こんなはずはない、まりさが負けるはずない。 見苦しい言い訳を繰り返すまりさにぱちゅりーは自分と戦って勝ったらそれで許すと言った。 まりさは今度こそ勝利を確信した。 病弱なぱちゅりーに負けるはずが無いと。 だが結果は惨敗だった。 「むれのおさたるもの、つよくなければやってはいけない、とうぜんよ」 このぱちゅりーは強かった、病弱という言葉とは無縁なほどに。 群れの皆を引っ張っていくにはそれなりの力が必要。 当然だ、病弱ですぐ死んでしまうような奴に長の責任が果たせるはずがない。 そんな事も分からないまりさはぱちゅりーにボコボコにされて再び瀕死になった。 このまりさが特別弱いわけではない。 かつてのドスの群れの中では中の上くらいの実力だった。 それなのに何故この群れのゆっくりには勝てなかったのか? 単純にまりさ種の力がその程度だという事だ。 病弱なぱちゅりーや特徴の無いれいむには勝てるだろうがその程度の実力しかない。 万が一他のゆっくりに勝てたとしてもそれは卑劣な手段を用いての勝利だ。 当然そのような手が毎回通用するはずも無い。 「それじゃまりさにはわすれられないおもいでをつくってあげるわね」 それ以降のまりさにはまさに忘れられない地獄の連続であった。 代わる代わるすっきりーの相手をさせられ茎が実った直後にそれをへし折られ口の中へ放り込まれる。 自分のおちびちゃんを食わされる絶望にまりさは毎日のように涙を流した。 やがてまりさのまむまむは使い物にならないほどガバガバになった。 まりさは父親になる事を望んでいたので犯された事が相当ショックだったのかそれ以降だぜ口調ではなくなった。 心と体に大きな傷を負ったまりさだが今度はあにゃるを蹂躙された。 あにゃるもガバガバになるとまりさのカモシカのようなしゅんそくのあんよを木の枝でズタズタにされ二度と動けなくなった。 自慢のあんよまで破壊されてむせび泣くまりさのガバガバのまむまむとあにゃるに無数の木の枝を突っ込まれた。 木の枝で自分の大切な器官を傷つけられまりさは絶えず激痛に苦しむことになった。 そしてついにまりさのお帽子を破かれおさげも引き抜かれた。 まりさの目の前にボロボロの帽子を置きその中に引き抜いたおさげと共に群れのゆっくりのうんうんを大量に流し込まれた。 ついでにまりさの金髪にも大量のうんうんとしーしーでコーディネートしてあげた。 自分の大切なお飾りをうんうんまみれにされてまりさは悲痛な声で泣き叫ぶ。 そしてまりさはその状態で今日まで放置された。 餓死しないように定期的にうんうんを食わせてはいたが。 よほど長時間うんうんが入っていたのだろう。 真っ黒で素敵だった帽子は不気味な色に変色してしまっている。 綺麗な金髪もうんうんと多大なストレスによって茶色に変色して悪臭を放っている。 もし金髪と帽子からうんうんを全て取り除いてもこの悪臭と色は落ちることはないだろう。 これならいっそ捨てられたほうがマシである。 ゆっくり出来ない帽子を見てるだけでまりさの心は悲しみでいっぱいだった。 「ころ……して……まり……さ……を……」 ついにまりさは死を懇願するようになった。 無論ぱちゅりーにその願いを聞いてやる義理も義務もない。 それにこれは群れ全員で決めた事だ。 仮にぱちゅりーがその願いを聞き入れても群れの皆が承諾しない限りこの地獄は終わらない。 だからぱちゅりーは決定的な一言を告げると去っていった。 「いや」 簡潔だが分かりやすい拒絶の言葉を聞いてまりさはただ声を殺してすすり泣く。 どこで間違えたのだろう、まりさには分からない、自分はいつだって正しかったはずだ。 でもこれだけは分かる。 自分は今後一切ゆっくりを味わう事無く無様に死ぬという事を。 「ゆっくり……させてよぉぉぉぉ……」 もう両親や仲間との約束などどうでもよかった。 ただゆっくりしたい。 まりさの心はそれだけを望んだ。 「さぶぃぃぃ……ゆっくりできないぃぃぃぃ……」 季節は冬、まりさの愚かで無意味なゆん生の終焉はすぐそこだ。 今まで書いたもの anko2672 お飾りを操る程度の能力 anko2161 まりさには不幸がよく似合う anko2051 流行り物の宿命 anko2027 まりさと図書館でゆっくり2 anko1982 れいむはゆっくりできない anko1949 まりさと図書館でゆっくり1 anko1875 幽々子のゆっくりいじめ anko1838 まりさつむりはゆっくりできない 挿絵:○○あき
https://w.atwiki.jp/pokemonsvshiny/pages/240.html
一覧へ戻る ・場所 ・行き方 ・厳選位置 ・出現ポケモン 場所 行き方 フリッジタウンから南西方向へ飛ぶ。 厳選位置 前すぎると前方右と後方左にも湧きが発生して効率が良くない。 2つある草むらの中心より少し後ろあたりでピクニックリセットが良いと思われる。 出現ポケモン(そうぐうパワー3発動) 昼と夜両方のデータを取っていませんので、時間帯によって湧きが変わる場合などはコメントで教えていただけると嬉しいです。 ※そうぐうパワーの効果が無いタイプは記載していません。 ※みずも効果はあるが出現ポケモンが多いため非推奨。 (コイキング、コダック、ゴルダック、マリルリ+マリル、フローゼル+ブイゼル、バスラオ、カジリガメ+カムカメ、カマスジョー) オススメ欄について 記載なし=出現するポケモンが多く、一点狙いの場合は効率が良いとは言えない。 △=一点狙いはしやすいが、他により効率の良いと思われる場所がある。 〇=複数のポケモンが出現するが、群れが多い、出現率が高い等の理由で比較的効率が良いと思われる。 ★=出現するポケモンが1系統に絞られるため効率が良いと思われる。 ★=全ての厳選場所において、ここが最も効率が良いと思われる。 そうぐうパワー 出現ポケモン 備考 オススメ でんき ズピカハラバリー+ズピカ 群れもあるがかなり少なめ ★ かくとう カラミンゴ 地上の湧きはカラミンゴだけになるが水上の湧きは水ポケモンがお構いなしに湧いてくるため非推奨 ひこう カラミンゴ 地上の湧きはカラミンゴだけになるが水上の湧きは水ポケモンがお構いなしに湧いてくるため非推奨 いわ カジリガメ+カムカメ 群れのみ ★ ゴースト ドラメシヤ(バイオレット) ★ ドラゴン ドラメシヤ(バイオレット) ★ フェアリー マリルリ+マリル 群れのみ ★ カジリガメ+カムカメ、ドラメシヤ、マリルリ+マリルはオージャ第2物見塔の裏の方が厳選しやすい(見やすい)かもしれない。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2034.html
[甘い話には裏がある] fuku3059の続き 1.ドスまりさに出てもらいました 2.人間は直接手を下しません 3.制裁でも、虐待でもないと思います 4.行間を読まないとすっきりできないかもしれません それでもよろしければ、読んでください。 おかしい。ドスまりさはいぶしがった。 このところ、群れのゆっくりたちのいざこざが増えている気がする。 警察活動を担当しているみょんに確かめても同じ答えだ。 餌が集まらないのか?いや、群れの誰もがつやつやもちもちとしてる。 ならば、縄張り問題か?いや、バラバラに5組のゆっくりに確かめて見てもそんな様子はなかった。引っ越す前の場所ならともかく、自分達が今いる場所は天然の洞窟も枯れ木も存分にある天然の要塞だ。住む場所が見つからないなど考えにくい。第一、群れに新しいゆっくりが入ってきた様子もない。 どういうことだろう……ドスまりさは悩んだ。 「ゆー、ゆー。ゆ゛っ゛く゛り゛つ゛か゛れ゛た゛ー!!もううごけなんだぜ!」 「まりさ、しっかりしてね!とかいはらしくないわ」 まりさとありすの二匹がとてとてと道を歩いてはや1里。もうまりさは限界だと根を上げているのに対し、ありすは疲れきっているもののまだ大丈夫そうだ。同じ体格なのにこの差は性格によるものだろう。まりさ種の方が元来は体力があるはずなのだから。 ぎゃーぎゃー騒ぎながらも二匹は一軒家の前に来た。 「おおきいね、ここをまりさとありすのゆっくりプレイスにするんだぜ!!」 「ゆゆ?なにいってるの?ばかなの?ありすたちはみんなからたのまれておつかいしているんだよ?しごとをこなせないゆっくりはとかいはじゃないわ。おつかいがおわってからゆっくりプレイスにしようね!!」 「ゆっくりりかいしたよ!!」結局、ゆっくりプレイスにはなるようだ。 「ゆっくりあけていってね!!」 きんきん響く金切り声を上げて中の人を呼び出す。 「はいはい、今行くよ。ん?君たちは……あの群れのゆっくりかな?」 「はいはいっかいだぜ!!そんなこともわからないの?ばかなの?」 「ああ、ごめんね。それで、用事は何かな?交換かな?」 「そうだぜ!!むれのみんなからあつめたきのことわらびをもってきたんだぜ!とっととあまあまをもってくるんだぜ!あとれいむもよぶんだぜ!」番のアリスと一緒なのにいい度胸である。 「あ~、ちょっとまってね。今もってくるから。れいむはちょっと用事があって外してるんだ。ごめんね?」 「つかえないおじんだぜ!ゆっくりしないでさっさとしぬんだぜ!」 「まりさ!いくらいなかものにたいしてもれいぎってものがあるわ。ほんとうのことでもこころのなかでおもっててね。ほんにんのめのまえていうのはとかいはじゃないわよ。」 「ゆっくりりかいしたよ!!」耳打ちは他人に聞こえないようにすべきだと思うがな。 「よっと、こんなもんかな?」 「ゆゆ?すくないんだぜ!もっとよこすんだぜ!つかえないじじいはし……しばかりにいくんだぜ!」 ありすに言われたことを気にしていたのか、取り繕ってさっきより多少ましな口調で男をののしるまりさ。 当の男はというと、全く気にするそぶりもなく、最初に渡したのと同じ量を二つの瓶に分けて渡した。 「そんなことないよ。人里で確認してくればいいんだけど、妥当な取引だと思うよ?こちらも原価が高いからね。それに、あんまり多くても君達二人じゃあ運べないだろ?」 「おじさん、ありがとー!そんなにきをつかわないでいいよ!いなかもののおじさんがはこんでくれるのでがまんするよ。」それは気を遣いすぎだろ。 「それじゃあ、群れのみんなによろしく。ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!そこはまりさたちのゆっくりプレイスだから、つぎくるときまできちんとかんりするんだぜ! 「ゆっくりしていってね!まりさがしつれいなこといったかもしれないけど、いなかものでたんきなおじさんにわるいってあとでおこっておくわ!」 「気にすることないさ。なくなりかけたらまた来てね」 季節は巡ろうとしている。果実が豊富な秋も終盤に近づき、秋の味覚を集めることも困難になっていく。 群れは困っていた。越冬よりも切実な理由で。 「あれ?今回の交換品は少ないねぇ。それだとこれぐらいしかあげられないよ?」 「ゆゆ!!それはこまるんだぜ!もっとよこすんだぜ!」 「あいかわらず、まりさはゆっくりしてないね!ぷんぷん」今日はいた美れいむ。 「ふ~ん、いいのかな?そんな態度で。別に君達に交換してもらわなくとも僕は別に困らないよ。ほかの人達に売っちゃうだけだから。」 「どぼじでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛ー!!おじざん゛ごべんだざび!!!あ゛り゛す゛た゛ち゛が゛わ゛る゛か゛っ゛た゛です゛ぅ゛……こ゛でがさ゛い゛ごな゛ん゛で゛す゛ぅ゛!!あ゛り゛す゛た゛ち゛は゛い゛な゛か゛も゛の゛で゛い゛い゛か゛ら゛、く゛う゛き゛の゛よ゛め゛な゛い゛お゛じさ゛ん゛の゛お゛ん゛じ゛ょ゛う゛をー!!」 「ゆっ!おにーさん、れいむからもおねがい!まりさたちをたすけてあげて!ゆっくりがゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 「しょうがないなぁ~。」 「ゆゆっ?ただでくれるんだぜ?おじさんのくせにたすかるんだぜ」 「今回はだめ。次回来るときに多少おまけしてあげるよ。別に嫌なら買わなくてもいいよ。」男はいつになく鋭い目つきをしながら答えた。 「まりさ、よかったね!これでゆっくりできるよ!!」裏表のない純粋な笑顔で喜ぶれいむ。 「ゆぐぐ……かんだいなまりさはれいむにめんじてゆるしてやるんだぜ!」ほんとうにしかたないけど、れいむがみているのだからしょうがないんだぜ。いつかじぶんがひとりできたときにれいむとすっきり!!するためにはたしょうのじょうともひつようだよね。ここはうつわのおおきいところをみせないとね。 まりさ自身は自覚していなかったが、このまりさが人里から帰ってこれた最大の理由は鋭さであった。例え口先でなんと言おうと、まりさは自分が人間に勝てないことを本能で理解していた。目の前で自分を除く一家が皆殺しにされたのだから。 だからこそ、まりさは生き延びてきた。人間が饅頭相手に本気で怒る瞬間を見つけるのが上手かったから、ギリギリのところで媚を売ったり、早々に率いてきた仲間を見捨て命だけは残っていた。 「まって、まりさ!ありすたちはもうつぎにもってくものがないわよ!」 「ああ、成る程ね。本当に困っているんだねぇ~。みんなにあげてるアレは甘いものでしょ? だから、 “ 甘 い も の ” と な ら 交 換 し て も い い よ。カカカッ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「あまいものをさがしてくるわ。いなかもののおじさんがちっちゃいのあたまをしぼってかんがえてくれただけあってたすかるわ。ありがとー!!」 「うん。じゃあね。」 ゆっくりたちは希望を持って群れに帰ったものの、抜本的な解決にはなっていない。 “甘いもの”なんて野生にはほとんどない。そんなものあったらとっくに食べている。 いつもおつかいをしていた二匹は自然とこの問題を群れから任された。 ……思いつかない。このままではアレがもらえなくなってしまう。それは困る。あれだけゆっくりできる食べ物はそうはないのだから。 「ゆー、困ったんだぜ……。」 「まりさ、げんきだして!とかいはのありすもいっしょにかんがえるわ!」 そういって、ありすはまりさを元気付けようとほお擦りをし始めた。 「ゆ~……ゆっ!すーりすーり」 まりさも負けじとほお擦りを仕返す。まったりとした空気が流れる中、だんだんとスピードをあげていく二 匹。いつの間にか体もぶるぶる小刻みに震る。目つきがとろんとしてくる。 最近は冬の準備で忙しくてゆっくりできなかったが、若い二匹のことである。劣情に駆られてしまうのを止めるのも野暮なものだろう。特に今日はあの美れいむを見た後である。たまりにたまっている。 さいきんはいつもよりすっきりするかいすうがおおいきがするんだぜ。 当然、交尾の時間となる。 「ゆっゆっゆっ……」 ねちゃねちゃとした、粘っこいものが糸を引きそうな音を出してこすり合わせる。 「ゆゆゆゆ……ゆっゆっゆっ……」 「ゆぅ……ゆゆゆぅ……」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 二匹のほお擦りは加速していき、こすれ合う頬は摩擦で真っ赤になっていた。 「ゆっゆっ……んほぉぉぉぉ!!!」 「すっきりー!!!」 二匹の交尾は終わった。 ありすの頭から茎が伸びていく。 ああ、まりさのおちびちゃんができるのか。いまはどうでもいいや。あのあまあまをもらうためにあまあまをみつけることかんがえなきゃ。 まりさは赤ん坊どころではなかった。前にもらったアレはもうなくなりかかっている。どんどんなくなるのが早くなってる気がするが、まりさには原因がよくわからなかった。群れのみんなから案を出せと言われてからもう三日にもなる。ゆっくりの三日といえば相当長い。 まりさは全くゆっくりできなかった。 ふと、まりさが見上げると赤ん坊が微笑んでいた。 はぁ、おちびちゃんにかまってるばあいじゃないよ。このままじゃみんなからまりさがゆっくりできないとおもわれちゃうよ。 群れから買出しを頼まれていることからも分かるように、ドスまりさ一派からは良く思われていなかったがまりさは群れのみんなから尊敬されていた。ときどき人里に行って野菜を少しちょろまかしてきたこともある。れみりぁと死闘を繰り広げ、なんとか群れの被害を最小限に抑えたこともある。 もうまりさは一匹だけでゆっくりすることはできなくなってしまった。 群れのみんなから凄いねと言ってもらうこと。ドスまりさから苦虫をつぶしたような顔で感謝の言葉を述べてもらうこと。最愛のありすにほめてもらうこと。お高くとまった側近のぱちゅりーとありすの目を盗んですっきり!!したあとに体を預けられながらぱちゅりーの賞賛をきくこと。 もし、自分が今回の問題を解決できなければ今まで築き上げた名声が崩れてしまう。もうみんなにゆっくりしてもらえなくなる。それはだめだ。何とかしなくては。 おちびちゃんたちはいいよね!!じぶんでえさとることもないし、まりさとありすにゆっくりしてもらえるし。あんこがたりないあたまがうらやましいよ!ぷんぷん 待て、今なんだって?餡子が足りない頭? あ ん こ が た り な い あ た ま。 餡子って何だっけ? ゆっへっへっへ。まりさはてんさいなんだぜ!! そばで見たありすはこう回想したことだろう。今迄で一番ゆっくりした笑顔だったと。 「クカカカカ……悲劇だ、実に悲劇だ。自分達の現状を弁えずに交換に出るなど…奴等は持ってくるな、間違いなく。」 「うまくいったね!おじさん!だかられいむに“ごほうび”ちょうだいね!!」 「クカカカカ……アレがほしいのか?だが、今回あの饅頭どもは既に追い詰められていた。お前の功績など無きに等しい。だめだね」 「どぼじでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛ー!!」 家の中で、男はずっと失笑を浮かべていた。 男は強制するつもりなどない。交換することも、しないことも。そう、強制するつもりなど一切ないのだ。 おかしい。ドスまりさはいぶしがった。 このところ、群れのゆっくりたちから見せられる赤ちゃんゆっくりの数が減っている気がする。 管理しているありすに確かめても同じ答えだ。 餌が集まらないのか?いや、群れの誰もがつやつやもちもちとしてる。 ならば、すっきりー!!を控えている?いや、バラバラに5組のゆっくりに確かめて見てもそんな様子はなかった。顔を真っ赤にして報告してくれたけど。 冬篭りしている最中ならともかく、今は子供を生む最後のチャンスだ。冬になれば自分が凍死や餓死することは経験上わかっているゆっくりが多いため、種の本能に従うのだ。だが嘘をついているなど考えにくい。第一、夜な夜などこかからか嬌声が聞こえてきて自分は眠れないくらいだ。 どういうことだろう……ドスまりさは悩んだ。 そして、動いた。 今までにない事態が起こっているのか?問題が重なるように出ているのに、原因が分からない。どういうことだ。群れを率いる者としてもう黙って見ているわけには行かない。 最近は寒いのか、外に出ないゆっくりも多くいる。気が進まないが、ドスまりさはあのまりさのところに行ってみることにした。悔しいが、若いゆっくりの間での人気は抜群だし、それなりに実力もある。 巣を覗いてみて、ドスまりさは戦慄した。 巣の中から生気がしない。目の前に二匹のゆっくりがいるにもかかわらず、だ。 違和感に気づいた。二匹は目がうつろなのだ。何を考えるのでもなく、目の前にいるドスまりさにさえ反応しない。いつものまりさなら、常にドスまりさを侮蔑するような色を目の奥にたたえているのに、だ。 ある意味、最もゆっくりしているといってもいい。 「ゆっくりしていってね!!」 「……………………………」 「……………………………」 どういうことだ?この二匹はゆっくりの本能であるこの言葉に全く反応しない。 いつも気障で外見を取り繕うありすでさえ、だ。 ふと見ると、二匹は餌を食べに行くようだ。 群れの頭首である自分を目の前にしてこの無礼。一体どうしたのだろう?謀反でも起こすつもりか? 「ぺーろ、ぺーろ、しあわせ♪」 「ぺーろ、ぺーろ、しあわせ♪」 「ゆっ?ドスまりさ、なにしているんだぜ?ゆっくりしていってね!!」 「ありすたちのとかいはなぺんしょんでゆっくりしていってね!!」 あり得ない。この二匹は今私に気付いたというのか?こんなに体が大きいのに? なら、なぜ二匹とも今なんだ? 何かを舐めた後だ。それはなんだ? 「ゆっくりみせてね!!」 「ゆゆ!!これはまりさたちのもんだぜ!ドスまりさといえどぶれいはゆるさないんだぜ」 「そうよ!ひとのものをとるゆっくりはいなかものだわ!!」 「黙っててね!!」 ドスまりさは二匹の抗議に目もくれずに目の前の食べ物を舐めてみた。 「ぺろっ!これはあまあま」 「ゆ!ドスまりさのくせにまりさたちのあまあまに手をつけたんだぜ!!ゆっくりしね!ゆっくりしんでってね!!」 「そうよ!ひとのものをとるいなかものはしねばいいんだわ!」 おかしい。いくらまりさが反抗的とはいえ、たかが1舐めくらいで私と全面戦争でもするつもりなのか?人間よりも強い私に? それにこの甘いのはどこかで舐めた気がする……。 「どこから盗ってきたか、ゆっくり白状してね!!」 「ゆゆ!!まりさたちはぬすんでなんかいないんだぜ!!せーとーなたいかだぜ!!」 「そうよ、ひとのことをぬすっくりあつかいするなんて!ああ、いなかもの、いなかもの。」 「嘘言わないでね!!自然でこんな甘いもの取れるわけないでしょ!!」 「うそじゃないんだぜ!!けちんぼなじじいとつーしょーしたけっかがこれだよ!」 「そうよ、ありすとまりさにゆっくりあやまってね!!」 じじい……そうだ、これはあの優しい人間ときれいなれいむ(ポッ)が持ってきた食べ物だ。 でもあの人間は二回しかここに来ていないはずだ。しかもずっと前に。さらに言えば、ああまい物を持ってきたのは最初の一回だけだ。 この二匹が嘘をついていないとしたら、人間と交換をしたはずだ。二匹の様子を見ていると、嘘をついたとは到底思えない。 「ゆっくり全部話してね!!」 ドスまりさは理解した。群れの献上した餌が減った原因を。群れのいざこざが増えた原因を。群れの赤ゆっくりの顔見せが減った原因を。 ドスまりさは泣いた。自分が油断した結果がこれだよ!人間なんて信用するもんじゃない。 ドスまりさは怒った。「条約」を結んだ自分たちは守っているのに、人間が勝手に破った。 ならばどうする?よろしい、ならば制裁だ。 「ぱちゅりー、群れのみんなを呼んでね!!」 「むきゅ、ドスまりさ。どうするの?」 「ゆっくり戦争だよ!!!!」 群れを全部見渡して、ドスまりさは現状の深刻さを把握した。 皆が無気力でドスまりさの話など聞く耳持たない。 どうにか、ぱちゅりーの人望でみんなを集めたのはいいけど、これでは戦争も何もできない。 仕方がない、この手を使うしかないか。 「みんな、ゆっくり聞いてね!!あの人間があまあまを独占しているんだよ!!そんなずるい人間を倒してみんなでゆっくりしようね!!」 「ゆっくりりかいしたよ!!」 「あまあまだねーわかるよー。」 「ひとりじめにするんて、あのにんげんはいなかものだわ!」 今まで自分達で奪いに行くことは無理だったが、ドスまりさがくれば話は別だ。「対価」は残り少なくなったし、いつまでも交換できるものでもない。現状に不安を覚え始めたゆっくりたちはドスまりさの煽動に乗ることにした。 これは兵隊ではない。ただの暴徒だ。人間を制裁した後、アレの摂取を止めさせる手段は分からない。人間の里に襲撃をかけるゆっくりが出てくるかもしれない。最終的には、人間と真っ向対立しかねない。 かまうものか!!自分が育て上げたこの群れを壊した人間など生かしてはおけない。どうせ、この群れはもうだめなんだ。ならば、死なばもろともだ。 頭に餡子が上ったドスまりさは決断した。 あとがき 次で最終話にします。 「美味しい物→ゆっくりの舌が肥えて働かなくなる→人里に行くor群れ崩壊」 テンプレ乙というべきこの内容でどうやって予想外の結果に持っていけるかね。 勘のいい人は「アレ」とか、結末に気付いたかも。 捻りがないのは仕様です。。 続き このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1764.html
※前作の設定を使っていますが、前作を読まないとわからないような設定は特にありません。 ※既出ネタの可能性があります。 ※スレで出たネタを使わせていただきました。 サラウンド この群れの全てのゆっくりが住む洞窟の一室で、ドスまりさは困り果てた。 越冬の食料が圧倒的に足りないのである。 山になった餌は、それでも長い冬を越えるには少なすぎるものだ。一ヶ月生き延びればいい方だろう。 そのドスはある日突然ごく普通のまりさがドスとなったもので、「ドスはゆっくりをゆっくりさせてくれるもの」というしきたり(?)にのっとり、群れのリーダーとなったのだが、なにぶん経験不足すぎた。 ドスになる前からの妻であるれいむ、参謀となった元リーダーのぱちゅりー、そしてまりさの子供のまりさやれいむがドスの経験不足を補ってはいたが、それでもまだ足りない。 「どす! またあかちゃんうんじゃったけどいいよね!」 「ゆゆっ!? またすっきりーしたの!? だめだよ、ふゆをこせなくなるよ!」 「でもあかちゃんはかわいいよ!」 「ゆっくちー」 「ゆっ、ゆっ」 「「「「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!!!」」」」 「ゆぅぅ……でも……」 「どす! えさがもうないんだぜ! もっとほしいんだぜ!」 「ゆゆっ!? あれはいっしゅうかんぶんのえさだよ! どうしてみっかもたってないのにぜんぶたべちゃうの!?」 「だってたりないんだぜ! まりさのれいむはにんっしんっしてるんだぜ! あんなえさじゃぜんぜんたりないんだぜ!」 「だからおおめにえさをわけたのに……ゆぅ……」 とまぁ、こんな風に、群れの事情を省みずにすっきりーする夫婦がいたり、配給制となってる餌の配分を考えずに満腹になるまで食い散らかすゆっくりがいたりで、食料はどんどん無くなっていく。 どれもこれも、ドスの優柔不断さが原因ともいえるが、ドスや妻のれいむ、ぱちゅりーはゆっくりのポジティブ精神で乗り切っていた。 「しかたないよね! あかちゃんはかわいいもんね!」 「むきゅ、にんっしんっしてるならしかたないわ!」 「なんとかなるよおかーさん!」 「ゆっ! そうだよね! きっとゆっくりできるよ!」 本人たちは乗り切ったつもりでいるが、単なる現実逃避である。 遂に冬が来た。逃げ続けていた現実がやってきた。 そのドスの群れの食料は、冬であるにも関わらず、尽きかけていた。 「どぼじでだべものがないのおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 ドスの太く低い声が洞窟内に響き渡る。 後先考えずにどんどん餌を渡していった結果がこれである。ドスは絶望のあまり気絶した。他のゆっくりはドスの放った莫大な音量で既に気絶している。 やがて全員が気絶から覚めると、一斉にドスを非難し始めた。 「なんてむのうなどすなのかしら!」 「やくたたずのどすはゆっくりしないでね!」 「おなかすいたよ! ゆっくりできない!」 「わからないよー!」 「ちーんぽ!」 「はやくどすはかわいいあかちゃんたちにたくさんたべものをよういしてね!」 「やくたたずのどすはきらいだよ!」 「やくぶそくのどすはいらないよ!」 役不足は褒め言葉だが、そんなことゆっくりにわかるわけがない。 そもそも越冬に必要な餌の残量を気にせず食い潰していったのが問題なのだが、ドスを非難するゆっくりたちはドスが原因だと信じて疑わなかった。 ドスとはゆっくりを例外なくゆっくりさせる存在。ゆっくりできないのはドスが無能だから。 ゆっくりのポジティブ精神は時に、自分に責任が来るとその責任を他の、たとえば群れのリーダーに転嫁させることがよくある。 そして責任を押し付けられたドスは、自分の責任を誰に移せるか探した。だが、そんな相手などいるはずがない。 れいむは無能な自分を支えてくれた。責任? あるわけがない。 ぱちゅりーは無能な自分以上に働いてくれている。責任? あるわけがない。 子供たちは。責任? そんなもの絶対にあるわけがない。可愛い子供に責任なんてない。 じゃあ責任は誰にある? 自分しかいない。 このドスがゲスゆっくりならば、責任をぱちゅりーなりれいむなりに押し付けただろう。だが、いかんせんこのまりさは小心者であった。 小心者故にすっきりーを制限させられない。生まれた子を間引きなんてできるわけがない。 小心者故に餌をよこせと言われたら差し出してしまう。自分がリーダーとして群れの全てのゆっくりをゆっくりさせなければならないから。 小心者故に責任転嫁が出来ない。苦し紛れの現実逃避もかなわない。 「ごべんね゛ぇぇぇぇぇ! む゛の゛う゛な゛どずでごべんね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 ドスは泣いた。泣いて謝罪した。 しかしそんなことで群れの自分本位な要求を満たすことなどできはしない。 ようするに、この群れは何もかもだめだったのだ。 ドスに経験が無かった。さらに優柔不断で小心者だった。 ぱちゅりーもれいむもドスの子も、ドスの足りないところを補うだけで、ドス自身に経験を積ませなかった。 群れのゆっくりも、ドスが全てなんとかしてくれると思い込んで、好き勝手し放題した。 誰が見ても、この群れがすぐに全滅するのは目に見えていた。むしろ全滅しないほうが奇跡である。 当然そんな奇跡は起きなかったが、この群れの全滅の仕方は、少々特殊であった。 「どうも、清く正しいきめぇ丸です」 突然、洞窟に響く不快な声。ドスは青ざめた。群れのゆっくりも青ざめた。 『『『 き め ぇ ま る だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 』』』 「おお、うるさいうるさい」 洞窟を影が横切る。気がつくと、ドスの帽子の上に一匹の胴付ききめぇ丸がいた。 うるさそうに首をぶんぶんと振るきめぇ丸に、群れに戦慄が走る。 ゆっくりでありながらゆっくりすることを何よりも嫌い、ゆっくりをゆっくりさせないことを好むきめぇ丸(もしくはうぜぇ丸)は、時には捕食種以上に恐れられる。 ゆっくりとしては例外扱いされるほど高い知能、人間でも驚くほどの素早さ、捕食種をほとんど相手にしない力に、本当にゆっくりの一種なのかという疑問の声もよく上がる。 ドスは確信した。自分の群れはこのきめぇ丸によって全滅させられる。 「どうも、清く正しくうざい顔に定評のあるうぜぇ丸です」 なんかもう一匹来た。 群れの全員が、開いた口を閉じられなくなった。 「どうも、清く正しくうざくきもい顔に定評のあるきめぇ丸です」 さらにもう一匹。気絶するゆっくりが出始めた。 「どうも、清く正しくうざくきもくゆっくりできないことに定評のあるうぜぇ丸です」 まだまだ来る。ドスは真っ白になった。 「どうも、清く正しく副音声な右きめぇ丸です」 「どうも、清く正しくステレオな左きめぇ丸です」 今度は二匹。 「どうも」 「清く」 「正しい」 「射命丸様にお仕えする」 「妖怪の山の」 「「「「「うぜぇ丸ファイブです」」」」」 五匹がポーズを決めながら。 「左前です」 「右前です」 「真中です」 「低音です」 「左後ろです」「右後ろです」 「「「「「「5.1サラウンドのきめぇ丸です」」」」」」 六匹が円陣を組みながら。 「どうも」 「清く」 「正しく」 「うざい顔に定評があり」 「きもい顔にも定評がありつつも」 「くどいことに定評があるような」 「それでいてきれいな顔にも定評のある気がしつつ」 「やっぱりうざくきもい」 「うぜぇ丸ナインです」 「補欠のうぜぇ丸です」 ⑨匹+1で飛んできたり。 「野次馬のきめぇ丸です」 「火事場のうぜぇ丸です」 「通りすがりのきめぇ丸です」 「子持ちのうぜぇ丸です」 「役場のきめぇ丸です」 「きめぇ丸なのかうぜぇ丸なのか正直わからないうぜぇ丸です」 「ついでにきめぇ丸です」 「おかわりでうぜぇ丸です」 「トドメにきめぇ丸です」 全部で35匹もの胴なし胴付き関係なしのきめぇ丸の大群が、洞窟の天井を埋め尽くしていた。 なんだこれ? どうなってる? なんでこんなに? ドスの理解の範疇を超えた大群に、群れのほとんどのゆっくりが気絶していた。子供の中には餡子を吐いてしまっているものもいる。 一番最初に来たきめぇ丸が口を開く。 「無能なドスがいると聞いて」 すると、次々に他のきめぇ丸も口を開いた。 「人里の近くにドスが出現したと聞いて」 「野次馬で」 「加工所でゆっくりが必要になったので」 「「人里の近くにドスが出現したと聞いて」」 「「「「「人里の近くにドスが出現したと聞いて」」」」」 「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」 「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」 「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」 「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」「ゆっくりできなくなったドスを笑いに」 「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」「なんとなく」 「野次馬で」 「野次馬のつきそいで」 「たまたま通りすがったので」 「子供の玩具用に一匹必要なので」 「人里の近くにドスが出現したと聞いて」 「きめぇ丸なのかうぜぇ丸なのかわからなくて」 「ついでで」 「おかわりで」 「トドメで」 『『おお、うざいうざい』』 ……どうやらきめぇ丸がここに来た理由をそれぞれ語ったらしい。だが、群れのゆっくりはそんな理由などもはや聞いてなかった。 ドス含め全員気絶していた。 無理も無いだろう。たとえ人間でも部屋の中におびただしい数のきめぇ丸がいたら気が遠くなる。心の弱いゆっくりなら精神崩壊してもおかしくない。 気絶した群れを眺める一匹のきめぇ丸が、他のきめぇ丸たちに聞く。 「どうしましょう?」 別のきめぇ丸が返した。 「起こしましょう」 全てのきめぇ丸が頷いた。 次の瞬間、きめぇ丸たちの顔が、一般種ゆっくりのそれになる。 「おお、ゆっくりゆっくり」 そして全員、息を吸い込んで──── 『『ゆっくりしていってね!!!』』 『『『ゆっくりしていってね!!!』』』 哀しきゆっくりのサガ。その言葉を聞けば、ゆっくりはどんな状態であろうとその言葉を返さざるを得なくなる。 洞窟に反響した声は、群れの全てのゆっくりに届き、例外なく強制的に気絶から覚めさせた。 目覚めたドスたちが見たものは、群れを囲むように飛び回る、ふてぶてしくもうざったらしい顔の、 『『『 き め ぇ ま る だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 』』』 ドスの群れは不幸なことに、そして奇妙なことに、きめぇ丸によって全滅させられることになった。 その一部始終を、科白のみでお送りしよう。 「き・めぇ・丸! う・ぜぇ・丸!」 「やべでぇぇぇぇぇぇぇ!」 「おお、ゆっくりゆっくり(笑)」 「がお゛を゛ぶん゛ぶん゛じな゛い゛でぇぇぇぇぇぇ!」 「おお、はやいはやい」 「ゆ゛っぐり゛じでよ゛ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「か・こう・じょう! か・こう・じょう!」 「がごうじょうい゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「副音声です」 「ステレオです」 『おお、ダブルでうざいうざい』 「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ぎぼぢわ゛る゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃ!」 「赤はリーダーの証。きめぇ丸レッド!」 「おお、さむいいろさむいいろ。きめぇ丸ブルー!」 「真夜中では保護色になります。きめぇ丸ブラック!」 「一番年上です。きめぇ丸シルバー!」 「もう一人います。きめぇ丸レッド!」 「「「「「五人そろって、きめぇ丸ファイブ!!!」」」」」 「どぼじでれっどがふたりいるのぉぉぉぉぉぉ!?」 「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある右前方うぜぇ丸です」「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある左前方うぜぇ丸です」 「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある正面うぜぇ丸です」 「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある低音うぜぇ丸です」 「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある右後方うぜぇ丸です」「どうも、清く正しい、うざい顔に定評のある左後方うぜぇ丸です」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「「「「「「おお、5.1サラウンドでうざいうざい」」」」」」 「むぎゅ……」 「う゛るざい゛ぃぃぃぃぃぃ……」 「一番です。おお、きもいきもい」 「二番です。おお、きもいきもい」 「三番です。おお、きもいきもい」 「四番です。おお、きもいきもい」 「五番です。おお、きもいきもい」 「六番です。おお、きもいきもい」 「七番です。おお、きもいきもい」 「八番です。おお、きもいきもい」 「⑨番です。おお、きもいきもい」 「補欠です。おお、うざいうざい」 「ゆべべべべべべべ……」 一度気絶した群れをわざわざ目覚めさせて、あらためて直接気絶させるきめぇ丸たち。 ドスは、その惨状をただ眺めるしかなかった。 ゆっくりを例外なく強制的にゆっくりさせるゆっくりオーラも、ドス特有の攻撃技ドスパークも、ドスになったばかりのこのドスまりさには使えない。 「あ゛……あ゛あ゛……」 呆然とするドスの目の前に、一匹の胴なしきめぇ丸が飛んでくる。 「残念でしたね。ふふ、おお無念無念」 首を横に振りながら嘲笑うきめぇ丸に、ドスは叫んだ。 「どぼじでごんな゛ごどずるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 「あなたが無能でしたので」 さらりと返すきめぇ丸。 「ちゃんと群れの管理が行き届いている賢いリーダーは、われわれを見てもあまりうろたえません。 しかし、あなたのように無能なリーダーならば、この通り簡単に群れを崩壊させられますので。おお、無能無能」 愕然とするドス。 自分が無能だったから食料がなくなってしまったのはわかる。だが、無能であることときめぇ丸によってゆっくりできないことがどう繋がるというのだ。 ドスは理解できなかった。なぜ? どうして? その答えは出るはずも無い。 「おお、無能無能」「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 やがて一匹、また一匹と、無能コールが増えていく。 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「おお、無能無能」「おお、無能無能」 「おお、無能無能」 「ゆ゛ぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛か゛ら゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 群れのゆっくりの半数は発狂した。発狂したゆっくりの中にはドスの姿もあった。 大半のゆっくりは加工所の職員によって連れて行かれて処分され、残りのゆっくりはきめぇ丸たちによって巣に運ばれていった。 ふと一匹のきめぇ丸が空を見上げると、白い粒子がゆっくりと降り注いでいた。 あとがきかもしれない 流石うぜぇ丸ッ!私たちにできないサラウンドを平然とやってのけるッ! // ヽ, ,.└ "´ ̄ ̄ `ヽ、 ,. ´ 、、 ヽ ヽ ノ , lヽ j /、lヽ ト、_,,. , r ´ r "イ .ノ\| .レ r=;ァ レ { } おお、うざいうざい { !、 l rr=- / ` l. ‐ .、 レヽ.,ト ー=‐ / l 、,,_,,ノ ,,r ゙i\ ,} , /ヘ, /レ ,/ ‐、  ̄ ̄ ̄`゛ ┘., 7 ´レ1 ヽ 人ル レ ,r i、_ノ 、 ,. ` 、 レ~i ノ ノ , .,,_、イ ,r l、\ j ,r l , !、 , ヘー‐- 、 l | | { } レ rr=r レ. |/(,. ト゛ 、` 、 -‐ノ .ヘー‐-ィ ヽ ||、. ‐ .l ` ゙i -=;ァ l ,.! } "//ヽー、 ノヽ∧ / |(,,,_,,、 l ゙i ‐=ー レ.,r レ //^\ ヾ-、 | ハ / ノ |.\, J゙i ,ベi , {, } ,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)ノ l ーー<. / |. ヽヽ人 ,r 「レ`ー- ..._ / ^_,.イ `r‐ ゙ ヽ \ `丶、 |、 \\゛ ) _ ,. ,r `i~レ/ `ヽ \___,/| ! l、 \ \| \ \ヽ / ノ ↑のAAがなんか素敵だった。 大量のきめぇ丸は書いてて楽しかった。 反省はしている。 後悔はしていない。 相変わらず中途半端です。ごめんなさい。 以上、EGSでした。 過去に投稿したもの 実力の無い話 つよいよわいつよいよわい 独善的シーソーゲーム 愛なき世界 長屋緩慢饅頭百景 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1884.html
※M1あきさんのネタ振りに触発されて書きました ※独自設定垂れ流し 森の中をいっぴきのゆっくりれいむが歩いていた。 かわいらしいゆっくりだった。 しっとりとした濡れ羽色の髪。赤と白のおりぼんは汚れ一つなく、黒髪をきらびやかに飾 っている。つやつやモチモチとした肌は野生にはなかなか見られないものだ。 まぎれもなくこの付近の群れ一番の美れいむだろう。 きっと、とてもゆっくりと暮らしてきたゆっくりに違いない。 しかし。 今、れいむはゆっくりしていない。 ひそめられた眉。その瞳もまた、不安をたたえている。 ゆっくりとはいずる姿もどこかおっかなびっくり、何かに脅えているかのようだ。 だが、れいむにはどうして自分がゆっくりできていないのかわからない。 心配することなどなにひとつないはずなのだ。 ゆっくりできないことなどすべて排除されたはずなのだ。 なぜなら、れいむのいる群れは、人間のおにいさんによって、完全無欠に守られているの だから。 制裁は誰がために ある日突然、そのおにいさんはやってきた。 おにいさんの笑顔と持ってきてくれたたくさんのあまあまは、群れに大いに歓迎された。 そして、おにいさんは群れに提案した。 「僕にこの群れを守らせてくれないかい?」 不審に思うゆっくりもいたが、そのたびにおにいさんは新しいあまあまを出した。 そして、群れはおにいさんを受け入れた。 * * * れいむは歩く。 今まで、こうして歩いていればゆっくりに出会った。「ゆっくりしていってね」と、定番 の挨拶を交わしていたはずだ。 だが、出会わない。 ふと、一つの藪が目に入った。 そこではかつて、まりさを見かけることが多かった。 れいむは美ゆっくり、引き手数多だった。そんな中、一匹のまりさと許嫁になった。 だが、れいむは断った。両親が一方的に決めた許嫁だったし、許嫁のまりさは好みではな かった。 許嫁のまりさはショックを受け、それからその妹のまりさがつきまとってくるようになっ た。 「ストーカー? それは許せないな! おにいさんが制裁してあげるよ!」 おにいさんに相談すると、早速妹まりさを制裁してくれた。 どんな方法か、れいむは知らない。ただ、群れの隅々まで三日三晩、妹まりさの悲鳴が響 いた。 藪を後にし、れいむは進む。 やがて、森が開けた。 よくゆっくりが集まっていた広場だ。 今は一匹もいない。 れいむはよく、仲良くしていたゆっくり一家とここで遊んだものだった。 そのゆっくり一家はもういない。 梅雨時、雨が続いた日。その一家は食料の備蓄に失敗した。結果、末っ子が犠牲として飢 えを凌いだ。 脆弱なゆっくりにありがちな、やむを得ない犠牲。 だが。 「子供を食べて生き延びた? それは許せないね! おにいさんが制裁してあげるよ!」 そのことを聞きつけると、おにいさんは一家を制裁した。 どんな方法か、れいむは知らない。ただ、群れの隅々まで三日三晩、一家の悲鳴が響いた。 れいむはため息を吐いた。 ふと、見上げると、広場の中央にある平べったい石が目に入った。 その上ではかつて、乱暴なまりさがよく声を張り上げていた。 乱暴なまりさは弱いゆっくりをよく虐めていた。 「弱いモノいじめ? それは許せないね! おにいさんが制裁してあげるよ!」 そのことを聞きつけると、おにいさんは乱暴まりさを制裁した。 どんな方法か、れいむは知らない。ただ、群れの隅々まで三日三晩、乱暴まりさの悲鳴が 響いた。 「まりさはほんとうにわるいゆっくりだったのかな……?」 れいむにはわからない。 ただ、乱暴まりさがいなくなってから、群れの十数匹が人間さんの畑を襲いに行った。 乱暴まりさは虐めていたのではなく、無謀なゆっくりを力で押しとどめていただけかも知 れない。 畑を襲いに行ったゆっくりは大半が帰ってこなかった。畑で人間さんに「始末」されたら しい。 命からがら逃げ帰ってきたゆっくりたちも、 「畑荒らし? それは許せないね! おにいさんが制裁してあげるよ!」 おにいさんに制裁された。 問題を起こすゆっくりは次々とおにいさんに制裁された。 制裁は常に三日三晩、ほとんど間を置かず行われた。 「なんだかさいきん、ゆっくりできないきがするよ」 友達のありすに、そう漏らしたことがある。 ありすは微笑み答えたものだ。 「そう? わるいゆっくりはみんな、おにいさんがやっつけてくれたわよ? げひんでな んぱなゆっくりも、すぐにちからをふるうゆっくりも、くうきのよめないゆっくりも…… とってもしずかでゆっくりしたむれになったわよ?」 そう言っていたありすももういない。 おにいさんに制裁された。れいぱーだったから、ということだが、れいむはありすがれい ぱーだと思ったことは一度もない。 群れはもう、かつての半分もゆっくりがいなくなってしまった。 れいむは群れの隅々まで響いたゆっくりの悲鳴が忘れられない。 制裁は常に三日三晩行われた。 「三」。ゆっくりに数えることのできる数字。 ゆえに忘れることができない。妹まりさが、ゆっくり一家が、乱暴まりさが……みんなの 悲鳴をわすれることができない。 「ゆっくりできないよ……」 誰に問うわけでもないれいむの呟き。 それに、答えるものがいた。 「やあれいむ! どうしたんだい? なにがゆっくりできないっていうんだい?」 「ゆゆっ!?」 いつの間に現れたのか。れいむの背後にはおにいさんがいた。 「れ、れ、れいむはゆっくりしてるよ!」 「そうかなあ? いま、ゆっくりできないって言っていなかったかな?」 「そんなことないよ! ゆ、ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 れいむにはわけがわからない。 だが、恐かった。 おにいさんは恐ろしい存在ではないはずなのに。 群れをゆっくりできるよう、悪いゆっくりを制裁してくれるおにいさんなのに。 わからずに脅える。わからないから脅える。 混乱に包まれるれいむを、おにいさんは優しく持ち上げた。 「ほら、れいむ。落ち着いて」 穏やかに抱かれて、優しく撫でられて、れいむはようやく落ち着きを得る。 そうだ、このおにいさんはゆっくりできる人なのだ。群れをゆっくりさせてくれる人なの だ。なにも恐れることはない。 「れいむ。僕は君の味方だよ。なにかゆっくりできないことがあったら相談してね。おに いさんが悪いゆっくりを制裁してあげるからね」 「だ、だいじょうぶだよ! れいむはとってもゆっくりしているよ!」 「本当に? なにか困ってることはない? 遠慮しないで言ってみてよ!」 「ゆんゆん! だいじょうぶだよ! れいむはすっごくゆっくりしているよ!」 「でも、少しくらいゆっくりできないことはあるでしょ? ほら、言ってごらん」 「ないよ! ゆっくりしていってね!」 「またまたあ。ほら、遠慮しないで! 言ってごらんってば」 「……ゆ? れいむはゆっくりして……」 「言えよ」 おにいさんの腕の力が強くなった。痛みと驚きにれいむは悲鳴を上げそうになる。だが、 おにいさんに素早く口を押さえられてしまった。 「そう言えばれいむ、君を見ているとかわいすぎてムラムラして落ち着かないって話を聞 いたなあ……落ち着かないってつまり、ゆっくりできてないってことだよね。君はゆっく りをゆっくりさせない、悪いゆっくりなんだね」 れいむはおにいさんを見上げた。 笑顔が見えた。晴れ晴れとした笑顔だった。目も笑っていた。れいむはその奥に、禍々し い輝きを見た。 「れいむは悪いゆっくりだ。制裁しなくちゃね!」 「!」 れいむは暴れた。だが無駄だ。今までどんなゆっくりもこのおにいさんから逃れられたこ とはない。 暴れるれいむを軽く押さえ、おにいさんは微笑みのままに語る。 「ねえれいむ。ちょっと話を聞いてくれるかな。僕はね、虫を殺すのもためらうような弱 虫なんだ。だって、虫だって一生懸命生きているし、どんな生き物にだってちゃんと役割 がある。それを軽々しく殺すなんてできないよ」 それはおかしい。 おにいさんは群れのために何匹ものゆっくりを「制裁」してきたのだ。「制裁」されたゆ っくりは決して帰ってくることはなかった。 「だからゆっくりをいじめるのも抵抗があったんだ。ゆっくりにだってちゃんと役割が… …いや、ゆっくりにはないかな……とにかく! ゆっくりだって無意味に虐めることはで きない! でも、無意味じゃなければ話は別だ。僕だって綺麗事ばっかり言わないよ? 生きるためには肉だって野菜だって食べなきゃいけない。生き物の命を奪わなきゃいけな い! それと同じで、悪者をやっつけるのには抵抗無いよ。だって正しいことだからね」 れいむは身をよじり、どうにか口の端を腕のスキマから出した。 そこから精一杯叫ぶ。 「れいむはわるいゆっくりじゃないよ!」 その言葉を受けて、しかし、おにいさんは何一つ動じない。 微笑みを顔に貼り付けたまま、ただ、語り続ける。 「正しいことだから、悪いゆっくりをやっつけてきたよ。でも、困った。もうずいぶん 『制裁』しちゃって、悪いゆっくりはすっかりいなくなっちゃったんだ。でもれいむ、今 日は君がいた。これで三日三晩楽しめるよ。ありがとう」 れいむはぞっとした。餡子が冷えた。 おかしい。なにかが決定的におかしい。 「ねえ、れいむ。最後に聞いてあげるよ。なにかひとこと言ってごらん?」 「おにいさんだよ! わるいゆっくりなんていなかったんだよ! おにいさんがわるいん だよ!」 れいむは直感のままに叫んだ。 確かに、妹まりさはれいむのことをつけまわした。だがそれは話し合いで解決できたはず だ。 一家は確かに末の娘を食べて飢えを凌いだ。だがそれは仕方ないことだったのだ。 乱暴まりさもまた、必要悪として群れに必要な存在だった。 友達のありすだって、きっとれいぱーだったんじゃない。 悪いのはおにいさんだ! れいむの言葉を受け、おにいさんは笑みを深くした。 「おや困った。それじゃあ、僕は僕を制裁しなきゃいけないのかい? でもすまない。そ れはできないんだ」 おにいさんはれいむの口に手を突っ込んだ。そして、舌を掴むと、 「だって僕は『悪者を制裁しに来た』んじゃなくて、『僕が悪いと思ったゆっくりを虐待 しに来た』んだからね!」 一気に引っこ抜いた。 「ゆあああああああーっ!!」 舌を失ったれいむは、これでもう意味ある言葉は喋れない。 だが、黙ることはない。叫び続けるだろう。 きっと、三日三晩休むことなく。 苦痛の叫びを、制裁の名の下に。 了 by触発あき * 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 163 バトルゆ虐! ふたば系ゆっくりいじめ 172 とてもゆっくりした蛇口 ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ! ふたば系ゆっくりいじめ 181 ゆっくりばけてでるよ!後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 199 ゆっくりたねをまいてね! ふたば系ゆっくりいじめ 201 ゆっくりはじけてね! ふたば系ゆっくりいじめ 204 餡小話の感想れいむ・その後 ふたば系ゆっくりいじめ 211 むかしなつかしゆーどろ遊び 上記以前の過去作品一覧は下記作品に収録 ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね! 元ネタ:M1