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ジェットリー尾崎はこう考える基本方針例外:「人間以外の生物の権利」が「人間の権利」よりも優先される条件 前提となる考え方 動物の区別ごとの理想の関係食用にする動物(人間の生存目的,娯楽目的)a.に該当する例 b.に該当する例 殺されないけど成果物を利用される動物 愛玩動物(人間の娯楽目的) 使役動物(人間の娯楽目的) 使役動物(人間の福祉目的) 使役動物(人間の労働補助目的) 食用以外に殺す動物(人間の嗜好) 食用以外に殺す動物(人間の福祉,科学教育) 害獣/害虫として駆除される動物(人間の生存目的) 事故で死ぬ動物
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理想の果て(前編) ◆W.hp1QcmWc 衛宮士郎と両儀式。 互いに相手の存在の抹消を宣言して始まった二人の戦い。 ここに来るまでの生き方、ここに来てからの戦闘経験。 それら全てにおいて式が勝っている。 その差は、両者が遭遇した信長との戦いが顕著に示している。 式はガンダムチームの2人と組んで立ち向かい、劣勢ではあったものの無傷でその場を切り抜けた。 一方の士郎は信長を相手にして生きながらえているものの、ほぼ限界まで力を使い尽くし、少なからずの犠牲を払った。 ここに至ってアンリ・マユによる強化を受けた士郎だが、それでも式には及ばない。 直死の魔眼による士郎の死。 それがこの場で最も可能性が高い展開。 ―――しかし。 「うおおおおおおおーーーーー!!」 「チッ……!!」 この剣戟が重なり始めてから十数分。 両者は未だ傷一つないままに戦いを続けていた。 「―――トレース・オン(投影開始)」 士郎は式に剣を叩きつけつつ、すかさず投影を開始する。 これに対し、式は叩きつけられた騎士剣を殺しつつ、体勢を整える。 「またそれか……さて、”次は”どっちだ?」 ◇ ◇ ◇ 時は戦闘開始時まで遡る。 出会い頭の邂逅において、士郎が持つ漆黒の騎士剣はただの一撃で”殺された”。 これによって、凄まじいまでの違和感が士郎を襲う。 いくら贋物とはいえ、士郎が持ちたるは騎士王の幻想。 いかな名刀が相手であろうとも一手に壊されることは考えがたかった。 故に、士郎は相手に何らかの能力が備わっていることを確信した。 他ならぬ剣特化の魔術師である士郎だからこそ、その判断が真っ先についていた。 剣閃が邂逅し、騎士王の剣が殺され続けること、数度。 ここで両者共に動き出す。 「そろそろその能力にも飽きてきた。次で殺すぜ」 珍しい能力だと様子見しながら戦っていた式だが、既に士郎の太刀筋を見切り始めていた。 このまま続けるのであれば、次で殺す。 そのような気概を込めて、九字兼定を振る。 「―――トレース・オン(投影開始)」 「―――トレース・オン(投影開始)!」 だが、士郎はここで一気に2つの投影を行う。 そして両手に携えたそれをこれまでと同じように式に叩きつける。 「こいつ……!!」 いきなりの二刀流を前に、さすがの式も僅かばかり対応を遅らせた。 加えて速さだけなら達人レベルまで達している士郎が相手。 両の手の騎士剣を殺すことは出来たものの、宣言通りに担い手を殺すことは出来なかった。 ここで、両者共に間合いを遠くする。 「……ようやくお前の能力が分かってきた」 「―――へえ。今までのでそれを確かめてたって訳か」 面白いじゃないかと呟きつつ、式は突進する。 士郎はその場に留まり、次の手に出る。 「―――トレース・オン(投影開始)」 士郎の手に現れたのは漆黒の騎士剣ではなかった。 式の持つ九字兼定と同じく日本刀、それも竜の爪と呼ばれる刀であった。 独眼竜の生き様を表すかのようなその絢爛な佇まいも、今は瘴気をまとい邪悪竜の爪といった様相になってしまっていた。 「やっぱり日本刀も作れるんだな。敵にしとくにはもったいない能力だ」 ここで殺すんだけどなと嘯きつつ、式は攻撃を仕掛ける。 得物を変えたとはいえ、相手の太刀筋は見切っている。 二刀流も次は通用しない。 普通に考えれば、もう負ける要素は無い。 ―――それならば何故、死の気配を感じるのか。 「……ッ!!」 急に立ち止まる式。 その眼前を”予想外の角度”から通りすぎる剣閃。 さすがの式もこれには驚きを隠せなかった。 「……太刀筋がまるで違う」 士郎が格上と渡り合える理由はここにあった。 今の士郎自身には、確固たる太刀筋があるわけではない。 それを持つには一対の短剣が必要になるが、士郎はそれを持ち得ない。 であれば、今現在の太刀筋はどこから生み出しているのか。 それは剣の記憶。 騎士剣に刻まれた騎士王の剣舞。 竜の爪に刻まれた独眼竜の爪撃。 士郎は得物を変えた瞬間から、すぐさま太刀筋を別物に出来た。 それは見切りに長けていればいるほどに惑わされるという一種の達人殺しのような能力。 これも剣に特化した士郎にしか為し得ない唯一無二の技。 「DEATH FANG Blade Works―――」 「面白い芸当だが、それでもオレは殺せない」 下段から斬り上げる士郎に対し、式は九字兼定を振り抜く。 その瞬間、式は士郎の太刀筋を「クリア」していた。 見切りが通用しないのならば、端から全て初見と思えば良い。 起源が『虚無』である式ならではの芸当。 「くっ―――トレース・オン(投影開始)!」 騎士剣を楯にして後方に跳ぶ士郎。 式も騎士剣を殺しつつ、士郎を追う。 だが、士郎もまた次の武器を投影し、むしろ突っ込んできていた。 「ライナー/エア・ブレードワークス!!」 突進しながら漆黒の騎士剣を突き出す士郎。 剣が纏う瘴気を警戒して、式は横に大きくステップを踏む。 そこに合わせて士郎は横に薙ぐが、その剣閃は騎士剣を殺される事で消滅する。 今度は六爪を投影して袈裟斬りするもこれまた避けられ、その次の邂逅で竜の爪が折られる。 投影しては殺され、殺してはまた投影される。 ただひたすらに騎士王と独眼竜の幻想が殺され続ける戦いが繰り広げられる。 九字兼定を持ち、万全である式ですら、今の士郎を相手にしては攻めあぐねていた。 今やどちらが勝っているとか劣っているとか、明確な判断がつかない。 ここに生死を紙一重とした互角の攻防が実現していた。 式以上の使い手でない限り、士郎にしか為しえぬ快挙。 しかし、その互角は長時間保たれるものではなかった。 もう何度目になるか分からない邂逅を終え―――両者の何らかの思惑が一致したのか―――大きく距離を置いて対峙した。 「いい加減面倒だ。そろそろ決めるぞ」 時間は有限であり、周りの情勢は刻々と移りゆく。 ここでいつまでも敵と剣戟を交わしているような余裕はない。 式は己が集中力を最大限まで高めていく。 強力すぎるためかあまり発揮されない自らの能力。 今、この一瞬だけでもソレを行使し、この難敵を斬り伏せる。 「―――トレース・オン(投影開始)」 一方、士郎もまたこの敵を相手に一切の余裕がなかった。 これまでの邂逅で判明した敵の能力は「何らかの条件であっさりと物質を斬る」力。 試す気はないが、人体ですら例外なく斬れると見た方が良いだろう。 全てに死が連想される一撃を受け続け、士郎の精神は次第にすり減らされていた。 今は無尽蔵の魔力があるとはいえ、投影する身はただの人間に過ぎない。 投影するたびに魔術回路を駆け巡る刺激にも、慣れた訳ではない。 故に、敵が乾坤一擲の勝負に出たのを幸いと、自らも勝負に出る。 「―――憑依経験、共感終了」 脳裏に描くは無数の剣。 それらの設計図を準備していく。 そのほとんどはこの地に来てから見たもの。 これまでの士郎と剣の結びつきをこの一手に篭める。 「―――ロールアウト(工程完了)。バレット(全投影)、クリア(待機)」 極限まで高められる殺気と戦気。 両者の準備は整い、あとはきっかけがあれば爆発するだろう。 二人はそのきっかけを、待つ。 ―――そして。 『う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』 1つの悲鳴が響き渡る。 それは驚愕と恐怖が入り交じった叫び。 (秋山……!?) 思いもよらぬきっかけが到来し、式の心に僅かなゆらぎが起こる。 その隙を今の士郎が見逃すはずもなく。 「―――フリーズアウト(停止解凍)、ソードバレルフルオープン(全投影連続層写)!!」 空間より出現した無数の剣が式に向けて射出される。 「チッ……!!」 式は思考を切り捨て、目の前に迫る死へと向かう。 一瞬の後、凄まじい音が辺りに響き渡る。 ◇ ◇ ◇ 舞台はまた遡って戦闘開始直後。 自分を殺そうとする士郎、自分を守ろうとする式。 その二人を省みず、澪は自らの行いを回想する。 桃子に頼まれて、ギャンブル船を攻撃。 士郎・美穂子との戦闘。 美穂子の殺害と、自分に憎しみを向ける士郎。 「そうだ……私が殺したんだ」 自分の意志で。あの女を。 澪にとって美穂子は決して相容れてはならない相手だった。 唯を通じて出会った二人。 その出会いは決して穏やかなものではなかった。 澪は唯の信頼を勝ち得ていた美穂子に嫉妬し、死地へと誘った。 当然、死んだと思った。 これからは自分が唯を守るのだと意気込んだ。 だが、結果は逆だった。 死地に向かわせたはずの美穂子は生き残り、自分が守るはずだった唯は死んだ。 第三回の放送を聞いた時、澪は内心動揺を隠せなかった。 そして、思ってしまった。 『もしあの女が唯と一緒にいたままなら、唯は死なずに済んだのではないか?』 ルルーシュらと共に歩む事に必死だった澪はその疑問をあまり考えずに済んだ。 だが、ここに来て美穂子を一目見た時、その疑問が大きく膨れ上がっていた。 それからいいようにやられ続け、澪の精神は極限までに達し、あれほど嫌った起源を受け入れた。 そして――― 「そうだ、殺してやった!! あのいけすかない女を!!」 澪は見た。士郎をかばって死んだ女の最期を。 生きながらに咀嚼された女の最期を。 自らが劣等感を感じた女の最期を。 「私があいつを殺した以上、私はあいつより強い。 なら―――あいつがいたとしても唯は守れなかった!」 単純にして酷く歪んだ真理を澪は導きだす。 仮に美穂子より澪は強いとしよう。 だからといって何が変わるのだろうか? 澪は自己の正当化のために美穂子の死を利用した。 それは一種の『逃避』。 澪は全てから『逃避』し続ける。 罪からも、敵からも、そして現実からも。 そこまで考えた澪はようやく心を落ち着かせる。 そして、未だ危険な場所にいる事を思い出し、辺りを見回す。 一番に飛び込んでくるのは、眼前で戦っている式と士郎の姿。 「そうだ……式を助けないと」 思惑はどうあれ、窮地だった澪を救ってくれた式。 不安を抱くほどに変質した桃子に比べ、式は出会った時から何一つ変わっていない。 そんな式だからこそ、澪は今や一番の信頼を置くに至っていた。 澪は再度周りを見回し、自らの乗機・サザーランドへ近づく。 先程の戦いで損傷したとはいえ、動けないほどではないはず。 このサザーランドで、殺す。 「私を助けてくれない正義の味方なんているもんか……!! 衛宮士郎、お前は私が殺してやる!!」 「それは困るな、秋山澪」 後方からの声。 え、とこぼしつつ、澪が振り返ったときにはもう何もかも遅かった。 「、王顕」 呟かれた言葉と共に射出される右腕。 それが唖然とする澪の腹部に叩き込まれ、そのまま振り切られる。 「ぐあっ……!?」 強烈な衝撃と共に澪の身体が吹き飛ぶ。 数メートルほど飛び、接地したあともゴロゴロと転がり、ようやく止まる。 その最中にドラムスティック以外の手荷物は手放してしまっていた。 「あ、あ……?」 何が起こったのか分からない。 あまりの痛みと唐突な展開に頭の中が真っ白になる。 一時的に焦点が合わなくなった目を辺りに向けると、近づいてくる人間が見えた。 「う、うあっ、うあああぁあ!!」 咄嗟にオレンジ色のトランクケースに手を伸ばす。 この魔物でアレを殺す。 「不具、」 「……なんで!?」 「金剛、」 「な、動かな……!?」 「蛇蝎、」 「ぐっ、ぐぅぅ……」 だが、荒耶による六道結界により、まず伸ばした腕を静止され、足を静止され、身体も静止された。 身動きの取れない澪は呻きをあげつつ抵抗を試みるが、全く何も出来ない。 「ここまでの舞台を作ってくれたお前には感謝するが、ここから先に介入することは許可できんな」 「ぐぅぅ……お、お前、誰だ……?」 「私か? 私は魔術師、蒼崎橙子。まぁ、お前に覚えてもらっても意味の無い名だが」 そんな事を語りつつ、荒耶はトランクケースを取り上げる。 あっ、と澪がその様子を見て声を挙げる。 「そ、それはっ、私のっ……!!」 「ほう、これを使いたいというのか。お前にその覚悟があるか?」 「何を言って……」 私はこれまでそれを上手く使ってきた、とでも言いたげな表情を澪は作る。 荒耶はその様子を睥睨しつつ、言葉を重ねる。 「なるほど、今まではお前の思う通りに動いたのだろう。 だが、今となっては状況が違う」 「デタラメを言うな! それは私のモノだ!!」 「そうか。そう思うのなら使ってみるがいい」 「……え?」 荒耶はあっさりと六道結界を解き、あまつさえトランクケースを澪に手渡す。 あまりの出来事にまたも澪の脳内は真っ白に染まっていく。 「な、何で……?」 「使いたいのだろう? 是非使ってみるといい」 好きに使いたまえ、と余裕の塊のような態度を取る荒耶。 だが、その態度こそ、澪をさらなる疑問へと落とし込んでいた。 (これを使うとどうなるっていうんだ……!!) 疑問が胸を渦巻き、どうしても開けることが出来なかった。 「ふむ、私の言葉と態度が気になって仕方が無いようだな。 理由を聞きたいかね?」 「……」 澪は沈黙を以て返事とした。 すなわち、肯定。理由を聞きたいと。 「よかろう。それの中に入っているモノは福路美穂子を捕食した。そうだな?」 「あ、ああ……」 コレが美穂子を喰らったこと。 それは他ならぬ澪こそが最もよく知る事実。 「だからだ」 「……なんだって?」 「『福路美穂子を喰らった』。それこそがその魔物の使役を困難にする要素だ」 「そ、そんな!! あの女のせいで!? そんな事が……!!」 信じられない。 澪に浮かんだのはそのような面持ち。 本当にそれが事実だと言うのならば、どこまで私の邪魔をするのだろうか。 もしや、私を死へと誘う気なのか。 澪に浮かんだのはそういった類の思考だった。 「正確にはアレ自身が作用しているわけではない。アレの中にいたモノがその要因だ」 「福路美穂子の中にいたモノ……?」 「アンリ・マユ。この世全ての悪と称される異物だ」 「この世全ての悪……?」 「お前では説明してもわかるまい。 そうだな、今の衛宮士郎と同じ状態にあると言えばわかるか」 「衛宮士郎と同じ……?」 ここでようやく澪の顔に怯えの色が浮かぶ。 この世全ての悪だとか、そういった言葉では全く分からなかった。 だが、今の士郎の状態と同じというのであれば、澪にも理解が及ぶ。 美穂子が殺された途端に澪を殺しにかかった士郎。 それと同じような状態にあるものを使役できるはずもない。 「だが、もしかしたら、正常のまま使役できるかもしれんぞ?」 「……」 やってみなければ分からない。 荒耶は暗にそう言ってのけた。 影絵の魔物が狂気に染まっているのかいないのか。 それはトランクケースを開けてみなければ、分かることはない。 まさしく、シュレディンガーの猫を彷彿させる状況だと言う事。 澪はハッタリだと思う気持ちと、本当かもしれないという気持ちで揺れ動いていた。 そもそも、美穂子を喰らってから士郎への攻撃も上手くやっていた。 汚染されているというのならば、美穂子を喰らった時点で言う事を聞かないのではないか? その一方で、あれが魔物の独断でやったことなのかもしれないとか、時間が経った今だからこそ狂気に染まっているのかもしれないという思考も浮かぶ。 結局の所、どちらとも分からない。フィフティフィフティ。 そんな可能性の中、澪が取った行動は―――。 「……ッ!!」 何も出来なかった。 むしろ、そのケースを手放した。 澪は恐ろしかったのだ。 自分も美穂子のように生きたまま咀嚼されるのかと思うと、手の震えが止まらなかった。 「なるほどな。秋山澪、お前の起源は『畏怖』と『逃避』か」 「!! どうしてそれを……」 「私は人の起源を見ることに長けている。それにしても、起源を認識していたか」 「そ、そうだ! でも、『畏怖』だとか『逃避』だとか、そんなものが起源だと言われたって今更私は変わらない。 その起源を利用してでも、私は生き続けなきゃならないんだ!!」 澪は宣言した。起源を受け入れてでも生き延びてやると。 それを聞き、荒耶は少なからず感心した。 『畏怖』と『逃避』。およそいいイメージを抱きはしないだろう言葉。 澪自身も嫌悪しただろう。 だが、それを受け入れてでも自分は目的を果たすと言ったのだ。 同じ世界出身の中野梓とは大違いで、及第点と言ってもいい。 「では、この私から『逃避』してみせよ、秋山澪」 「ひっ……!?」 唐突に会話を終了させ、構える荒耶。 その構えと威圧感に先程の痛みを思い出し、震え始める澪。 その姿は紛れもなく『畏怖』。 「……行くぞ」 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 叫び声を上げながら後ずさる澪。 荒耶はそれを油断なく見つめながら距離を詰めていく。 そして、距離は荒耶の拳の射程圏内に入る。 「、戴天」 言葉と共に再び撃ち出される右腕。 その軌道は澪の顔面を正確に捉えるものであり、下手をすれば頭蓋を砕かれかねない。 「こ、こんな所で死ねるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 だが、澪はここであえて足を突っ掛け、後ろに身体を倒す。 一瞬後に自分の顔があった場所、そして自分の顔の鼻先を通り抜ける拳を見て息を飲む。 仰向けに倒れた衝撃で一瞬息が止まるが、それを無視して素早く荒耶から距離を取る。 いや、荒耶にとっては狙う隙などいくらでもあったのだが。 「ハァ……ハァ……!!」 少し大立ち回りをしただけで息を上げてしまう澪。 それを冷ややかに見つめる荒耶はそのまま構えを解く。 「この場から去れ、秋山澪」 「……え?」 「二度は言わんぞ。死にたくなければ今すぐここから去れ。 さもなくば……」 「……ひっ!!」 再び構えを取った荒耶を見て再び畏怖を覚える澪。 逃げるのならば、危害は加えない。 ならば、一にも二にも逃げを打つのが上策じゃないか。 ……でも。 でも、自分を助けに来た式はまだここにいる。 その式を放って自分だけ逃げるのか。 葛藤を始めようかという澪。 だが、それに対し、圧力を掛ける荒耶。 (っ……大丈夫。式は強い。足手まといの私は早くここから逃げたほうがいいんだ!!) 結局、澪はこの場から逃げることを選択した。 何故、蒼崎橙子が自分を見逃すかは分からないが、この機を逃す手はない。 向かう先はルルーシュや桃子のいるホバーベース。 今は誰でもいい、この場所をなんとか出来る人間を探し求めるのみ。 「式、待っていてくれ。必ず助けに戻るから!」 優勝を目指すとはいえ、未だ仲間を見捨てるという境地までには至らない。 少女はただひたすら北西へ向かう。 今や偽りとなった仲間たちに助けを求めに。 【E-3/南西/二日目/黎明】 【秋山澪@けいおん!】 [状態]:両頬に刀傷、全身に擦り傷、腹部に痛み [服装]:龍門渕家のメイド服@咲-Saki- [装備]:田井中律のドラムスティック [道具]:基本支給品一式×3、千石撫子の支給品0~1個(確認済み)、FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん! 下着とシャツと濡れた制服、法の書@とある魔術の禁書目録、モンキーレンチ@現実、 桜が丘高校軽音楽部のアルバム@けいおん!、軽音楽部のティーセット、発信機@現地制作、通信機@コードギアス ジャンケンカード×5(グーチョキパー混合)、ナイフ、一億ペリカの引換券@オリジナル×2、中務正宗@現実、ランタン@現実 [思考] 基本:もう一度、軽音部の皆と会うために全力で戦う。 0:ルルーシュか桃子に助けを求める。 1:ひとまず桃子と内密に組む。 2:この集団を利用し、目的を果たす。 3:軽音部全員を救う方法を探し、見つけ次第実行する。 手段を選ぶつもりはない。 4:サザーランドを乗りこなせるようにする。 5:式とのコネクションは秘密にしておく。 6:憂の精神状態に相当の疑念。 7:一方通行を警戒。ユーフェミアに対して『日本人』とは名乗らないようにする。 8:蒼崎橙子……一体何がしたいんだ? 9:正義の味方なんていない……。 10:私は間違ってない……よな? [備考] ※本編9話『新入部員!』以降の参加です。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。 ※エスポワール会議に参加しました。 ※ブラッドチップ(低スペック)の影響によって己の起源を自覚しました。起源は『畏怖』と『逃避』の二つ。 ※黒の騎士団全員の情報を得ました。また、ルルーシュたちの作戦を把握しました。 ※サザーランドは手と足の部分が多少腐食して稼働率が下がりましたが、まだ動くかもしれません。 損傷の程度はのちの書き手にお任せします。 ※コクピットからの脱出時に忍びの緊急脱出装置@戦国BASARAを使用しました。 ◇ ◇ ◇ 眼前を埋め尽くす圧倒的な死の気配。 男の掛け声と共にそれらは飛来する。 男の狙う先には一人の少女。 すなわち、両儀式。 その式はこの状況にあってまだ戦意を高く保っていた。 「ふっ……!!」 式が動く。 それも、射出された剣が届く”前に”。 やがて到達した剣閃は先を読むかのような式の行動により、ことごとく避けられていく。 終盤に至ると的確な回避ではなくなっていくが、式に致命傷を与えることはなく、結局は肌を数回浅く斬ったのみに終わる。 命の危機が去ったのと同時に式は眼前の敵を打ち捨て、悲鳴が聞こえた方向へ走る。 そこに待ち受けていたのは蒼崎橙子”らしきモノ”。 「式か。戦いを捨ててくるとはお前らしくないな」 「秋山はどこへ行った」 「ああ、アレなら逃げたよ。目的地は決まっているのか、一目散に北西へな」 澪が逃げていったとする方向を指差す荒耶。 その方角はホバーベースがある方向であり、式も澪が逃げるのならその方向だろうと納得した。 そして、式は目の前の”誰か”に対してさらなる問いを出す。 「……それで、お前は誰だ」 「おいおい酷いじゃないか、式。私の顔を忘れ―――」 その直後、荒耶は振り切られた刀を避けていた。 「……何のつもりだ?」 「生憎、お前じゃあいつの嫌な感じを再現する事なんか出来ない」 「フッ、奴も嫌われたものだな」 魔術師という人種はどこかが破綻している場合が多い。 蒼崎橙子もその例に漏れず、気に入らない相手を一人除いて全てぶち殺した事績のある人物である。 そんな人物をトレースするのは荒耶を以てしても、無理が生じるというものだった。 「やっぱり生きてたんだな、荒耶」 「さすがにお前には気付かれるか、両儀式」 「色々小細工してるみたいだが、ここでまた殺してやるよ」 「フン、その心意気は買うが、私一人に固執していていいのか?」 「……ッ!!」 思わせぶりな言動をする荒耶をよそに、式は殺気漲る後方へ振り返る。 そこには高く跳躍する士郎の姿。 「PHANTOM DIVE Blade Works―――!!」 「チッ……!!」 さすがに受け切れないと判断した式は小さく跳んで後退。 士郎は重力に導かれるままに両手に携えた六爪を地に叩きつける。 「なんていう刀の使い方だよ、お前」 式の眼に映るは奇怪な刀の用い方をする男。 今は亡き独眼竜が用いた六爪流。 それを体現する最後の人間がここにいる士郎だった。 式から見るとそんな握り方で威力が出るものかと思うのだが、現にその刀を叩きつけられた地面は抉れていた。 何の冗談かとも感じられる。 「衛宮士郎、まずは刀を狙え。そこの女は刀がなければ弱体化する」 「……分かった」 式が脳内で六爪流に突っ込みを入れていると、荒耶が士郎に助言する。 式との再戦の機を期した荒耶は式について入念な調査を加えている。 これも式を制する上での策の一つである。 士郎は味方と考えている荒耶からの助言に素直に頷き、得物狙いへ目的を変える。 (さすがにこの状況は面倒だな……秋山も退いたみたいだし、オレもこの場を離れるかな) 荒耶と士郎が組んでいる事を理解した式はここからの脱出を図ることにした。 士郎一人ですら全力を出さないと討ち果たせそうにないのに、荒耶まで介入してくるとあっては式といえども勝利は難しかった。 「後退は許さんぞ、両儀式」 だが、いざ退こうとした式の後ろを鉛玉が数十発ほど飛来していく。 飛んでくる方向を見れば、そこには澪の手から離れたミニミ軽機関銃を設置してトリガーを引く荒耶の姿。 「ここでお前を逃がすわけにはいかんな、両儀式。大人しく衛宮士郎と戦え」 「何を考えてるんだ? 今、ソレでオレを狙えば殺せたじゃないか」 「お前をただ殺すだけでは根源には到達できん」 「またそれか。魔術師って連中はよくもまあ飽きないな」 「お前に魔術師の悲願はわかるまい。そら、無駄話していていいのか?」 またも示唆する荒耶。 言われるまでもなく、式は眼前の敵に少したりとも油断はしていない。 六爪流となった士郎は今まででも最強の状態――― 「うおぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!」 「ふっ……!!」 再度繰り返される剣閃の応酬。 状況は先程までと変わらず、投影しては式が避け、さらに斬りかかっては得物を殺され、その隙を突こうとする式を新たな投影で牽制する。この繰り返しだった。 しかし、この繰り返しは回数を増すごとに速さを増して行き、すでに常人には全く反応できない領域まで加速していた。 その様子を鋭い目付きで見つめる荒耶は両者の速さ・立ち位置を勘案した、自身に有利な状況を待ち続ける。 そして、その状況は訪れた。 「衛宮士郎、私に策がある。大技を使え」 そう言い放つや否や、荒耶は再度弾を撃ち始める。 それは式が士郎の投影に対して体勢を立て直そうとした時の事だった。 「くっ……!!」 式は自分が進もうとしている方向に死があることを直感して、無理に大地を踏みしめる。 そのおかげで体勢を立て直すどころか、むしろ崩れていってしまう。 「WAR DANCE Blade Works―――!!」 そこに士郎による竜の乱舞が襲いかかる。 後ろには圧倒的な制圧力を誇る無数の銃弾。 前には剣に特化した魔術師による六爪流の爪撃。 この絶体絶命な状況においても、式はひるまず前に出る。 「「……ッ!!」」 交錯する刀。 そこから決定的な破壊音が奏でられる。 交錯を終えて離れた式の手元には折れた九字兼定が握られていた。 あの一瞬、体勢を崩しながらも式は迫る士郎の剣閃に対応して、竜の爪を殺していった。 刀を持ち、生死の境目に立った式ならば、これほどの事でも不可能というわけではない。 しかし、英霊に近い速度まで達するようになった士郎の攻撃を前に、全てを殺しきることが出来なかった。 それ故に生まれた鍔迫り合い。 それだけならば九字兼定が折れることはなかっただろう。 だが、九字兼定にとって不幸だったのは、敵がアンリ・マユをその身に宿した士郎だということ。 絶えず刀から放出される瘴気に九字兼定はその刀身を腐らせられ、ついには折れてしまう。 九字兼定が折れた勢いを利用し、式は上手く士郎の攻撃をいなす。 後方を顧みれば、機関銃の弾は尽きたのか、すでに鉛玉の雨は止んでいる。 式はそのまま大きく間合いをとってデイパックから次の得物を取り出――― 「はあぁぁぁぁぁ!!!!」 「チッ……!!」 せない。 さすがに取り出そうとする隙を見過ごす訳も無く、士郎が前に出る。 刀を失った式では、士郎の反応速度には到底ついていけない。 左手に持っていたデイパックを薙ぎ払われ、デイパックが遠くに飛ばされていく。 しかし、この一瞬の間にもデイパックの中から柄らしきものを掴んでいた式は迷うことなくそれをデイパックから引き抜いていた。 「よりによってこれか……」 式がデイパックから引き抜いたもの。 それは期待していた刀ではなく、ルールブレイカーという短刀だった。 もっとも、長さのある日本刀を引きぬく余裕はなかったとも言え、得物になるものを取り出せただけでも僥倖と言えた。 刀でない以上、式の戦闘力はガタ落ち。 九字兼定がない以上、結界も使える。 最早、迷う余地なし。 荒耶はこれを機として、最後の勝負に出る。 時系列順で読む Back 殺意の火薬庫 Next 理想の果て(後編) 投下順で読む Back 殺意の火薬庫 Next 理想の果て(後編) 281 おわりのはじまりⅣ「アリー・アル・サーシェスと秘密の鍵」 衛宮士郎 284 理想の果て(後編) 281 おわりのはじまりⅣ「アリー・アル・サーシェスと秘密の鍵」 荒耶宗蓮 284 理想の果て(後編) 281 おわりのはじまりⅣ「アリー・アル・サーシェスと秘密の鍵」 両儀式 284 理想の果て(後編) 281 おわりのはじまりⅣ「アリー・アル・サーシェスと秘密の鍵」 秋山澪 288 GEASS;HEAD END 『離別』
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しかし、ただ一人、みんなは気付いていなかったもしれないけれど私は微妙な変化に気付いていた。 彼女だけは放課後ティータイムがバンドとして認められていくたび変わっていった。いや、本来の無理をする彼女の性格が表立ってきたと言うべきなのだろうか。 だが、私がその全てを知ることは最後までなかった。あの時ほどあいつを理解してやれなかった自分が歯がゆく憎かったことはない。それはまるで今の私のような彼女の姿だった。懐かしい記憶は同時に何も出来なかった辛い過去である。 私はその先を思い出すことに恐怖し眠ってしまった。 スタジオ練習を終えた面々は数日後に控えたライブに並々ならぬ思いを込めている。もちろん私もだ。 「ドキドキだよね! レコード会社の人たちがライブを観に来てくれるんだもん!!」 ギターを我が子のように抱きかかえている唯のこの言葉に、 「そうね! 私たちのこと気に入ってくれているようだし、実際の演奏を聴いてもらえれば絶対契約してくれるわ!!」 珍しく息巻くムギが答えた。 私たちに大手レコード会社から連絡が入ったのは少し前だ。大型新人として検討しているらしく、最後の一押しとして私たちの演奏を聴いてみたいそうだ。ついにやってきた最大のチャンスにメンバー全員が息巻いている。 「じゃあ今日は解散だな」 つなげて話の続きはファミレスでしようと私はもちかける。唯、梓、ムギが期待に満ちた笑顔で肯定の相槌を入れてくれたのだが、ただ一人、リーダーだけは首を横に振った。 「悪い! 私このあと用あるから先に抜けるわ!」 「そうなんですか、残念ですぅ」 目の前のマタタビを取りあげられてガッカリした猫のように梓が声をあげた。そんな視線に心の底から申し訳なさそうにした律は、 「ごめん! そんじゃーまたな!!」 私にしかわからないであろう、いつもと違う笑顔でその場から消え去った。 明くる日、大学が休講になった私はなんとなく母校の桜高へ出向いた。たまには母校の軽音部で指導でもしようなどと先輩風を吹かせる気はさらさらないが、ことあるごとにさわ子先生が、 「サミシー! さみしーーのよーー私はーーーー!! 澪ちゃんをおもちゃにしたいのよおおおおお!!!」と絶叫してくるのでたまに顔を出しているのだ。 もっとも在学中のような辱めにあうこともなく、さわ子先生は嬉しそうな顔をして出迎えてくれる。卒業生がくると先生は嬉しい気持ちになるんだろうたぶん。 しかし音楽室の扉を開くとそこにはドラムを叩く一人の姿しかなかった。そしてそのドラムを叩いている人間はここにいるはずのない人間であった。 「澪、あれ……どうして」 彼女はドラムスティックを握り締めたまま硬直している。私も声が出ない。だってそうだろう、ドラムを叩いているのが軽音部の生徒でなければ先生でもない――――幼馴染の田井中律だったんだから。 「とりあえず、どうして高校にお前がいて軽音部の人間が誰もいないんだよ」 ようやくまともに会話できるようになった私は律に聞きたいことを要約して尋ねる。 「いや……ちょっとさわちゃんに頼んで軽音部の後輩達には教室やら小ホールで練習してもらっているんだ! ははは!!」 律は尋ねられた答えをわかりやすく私に伝える。なるほどね、それはわかったのだが、 「そもそもどうしてお前がここで練習してるんだ? こないだ練習したばかりじゃないか」 毎日練習できれば理想だろうが私たちも忙しい。まともに練習できる日なんて一週間で一日か二日だ。 しかも「練習だりー」とか「ぶっつけでいいじゃーん」とか「もっと楽なドラムソロにー」とか――言い出すとキリがないな――とにかく一番練習嫌いな律がこう練習している姿は新鮮であり私を不安にさせる。そう、 「いやさ、なんか私がバンドの足引っ張ってるから……」 やっぱりそうだ。こないだのいつもと違う笑顔を思い出す。あの笑顔の裏に焦りや不安の色をうかがえたんだ。 「バカ言うなよ。お前のリズムキープやパワーあるドラムがどうして足を引っ張ってるんだよ」 自分のドラムをどう思っているかは知らないが、みんなに不安や不満などは何一つない。 「そうじゃねーよ。その……」 しかし私にとって杞憂だと思えたからこそ、彼女にとっては問題のようである。 「みんなすごい技術があるのに……。なんか私だけ取り残されてさ。みんなが……みんながバンドの中で『唯一』の存在なのに私はそうじゃない。そう思ってさ」 「律……? 何を言ってるんだ、お前がいなきゃバンドも再開できなかったしお前がいたから」 そんな私の言葉をさえぎるように、 「違うんだって。澪たちには必要とされているかもしれないけど、バンド、ファン、会社にとって私は必要とされてないんだ」 律はこう言ったきり俯いてしまった。 律が何を言っているのか理解できない。うちらは五人揃って放課後ティータイムなんだ。それを律はバンドに必要とされてないだの何を言っているんだ。 「なあ律、どうしたんだよいきなり。うちらはみんな同じだろ?」 ただならぬ雰囲気に飲まれ私は不用意に口を開く。 「いきなり……? ずっとだよ。ずっと」 俯いたままだった律は顔を上げ、 「澪やみんなに憧れていたんだよ!!!」 私の不用意さを叱りつけるように張り詰めた思いを爆発させた。 「前に話したこと覚えてるか? みんなそれぞれ楽器が上手で高校のときから恵まれた環境でバンドしてたんだなって。絶対音感があってリズムの取り方が今まで会ったどのギタリストよりも上手い唯が羨ましかった」 いつも唯がいた場所を見つめながら律は話し続ける。 「唯だけじゃない。しなやかで私には思いつけないようなメロディを作り上げるムギが、長年の知識と親の七光りでギターを自分の半身のように扱う梓が、なにより」 律の突然の告白に私は硬直している。そんな私にもっとも重い言葉が降り注ぐ。 「毎日一緒に練習してベースがどんどん上手くなっていく澪が……私は羨ましかったんだよ!!」 叫びの後、静寂。私は律の気持ちを体全体でも受け止めきれずよろめきそうになっている。 かける言葉を探しても見つからない私に何を感じたのか、律は憎き相手を射抜くような視線で睨みつけてきた。 「わからないよな、澪や唯たちには。必死に練習してどんなに頑張っても普通を越えられないんだ。練習したさ、叩かなかった日なんて風邪で寝込んだときぐらいだよ。高校のときから毎日毎日」 「だから! だから律も上手くなったじゃないか!!」 律のかつてない眼力に堪えかねた私も感情をあらわにした。 「ああ上手くはなったよ! リズムだってしっかり取れてるさ!!」 私の声を飲み込むような激情を律はぶつけ続ける。 「だけどそれだけなんだよ! 私はお前達みたいに『唯一』の存在になれないんだ! 私じゃなくてもいいんだよ!!」 そして私を睨みつけ、 「代わりがいくらでも立つんだ!!」 そう自分自身の存在価値を吐き捨てた。 「馬鹿律! お前はお前だろ! 代わりなんかいない!!!」 自分をいらない人間だと決め付けた律が許せなかった私は律にこう言い返していた。しかし、 「だから澪には絶対わからないことなんだよ!!」 律は私には理解できないことだと一点張りだ。それがさらに腹立たしかった。 「決め付けるな!!」 そんな律の言葉に否定語を重ねる。私たちは気付けば舌戦を繰り広げていた。 「澪さ、私も最初は澪と楽器を練習しているとき何も思ってなかったよ。澪のベースが褒められている姿を見て嬉しい気持ちだったさ! あの時は『ああ、澪は特別なんだな』と思うだけだった。だけど高校に入ってそれも変わった……唯に出会ってからな!!」 律は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら思い出の音楽室を見回し独白を続ける。 「初心者なのにぐんぐんギターの技術が上達して……それだけじゃない、唯にはセンスがあった、澪と同じようにさ。ムギにもだ。凄い作曲センスがあいつにはある。おまけに梓も」 私は律の言葉を受け続ける。 「それを目の当たりにしたときさ、『澪だけが特別なんじゃない、私だって練習すれば』と思ったよ。……その結果がこれだよっ! いくら練習しても理想像が霞んでいくばかり。本気になってバンド活動すればと思ってみんなを集めても結果は同じだった!」 まるで私を友の仇とばかりに睨み続ける律に、返す言葉がなくなっていた。 「最初から唯一の存在だった澪にはわからないだろ!! 私はバンドが上にいくたびに焦って、ファンや会社がつくたびに自分の存在価値に怯えていたんだ! 私にしかわからないんだよ! お前にわかってたまるかよ!!!」 ぱんっ―――― 乾いた音が室内に反響した。私が律の頬を平手打ちした残響である。これが私の答えだった。そう、わからなかった自分……わかってもらおうとしなかった律に腹が立っていた。それだけだった。 「……澪……?」 律は覇気の消えた死人のような表情を浮かべ、赤く腫れた頬に涙を伝わせた。 「…………る……」 律の小さな口がさらに小さく震え言葉を紡いでいたが私には聞き取れない。 「ごめん」 手をあげたこと、そして自分と律に対して謝罪した。しかし私の言葉は律には届いていない。彼女は口ごもっていた一言に続けてこう話した。 「私脱退する……。もう、バンドやめるよ。これ以上みんなの足は引っ張れないしさ。ごめんな澪、怒鳴り散らしたりして。頑張れよな。お前なら絶対売れると思うからさ。期待、してるから」 そのまま道具も何もかも置きっぱなしにして律は音楽室を飛び出していった。 私は、追いかけることが出来なかった。 追いかけたかった。しかし、追いついた先でなんと彼女に言葉をかけるべきなのだろうか。見つからない、思いつかない。だから追いかけることが出来なかった。 わからない、なぜ律が一人で思いつめていたのか、無理していたのか。何を言うべきなんだ、何を……行うべきなんだ? カツーン。 置かれていたドラムスティックが何かの拍子に落下した。それは、律が飛び出してから数秒か数十秒の間か、その程度の間であったように思う。けれど、私にとっては永遠に感じられた時間だった。 静寂にまみれた世界に響くただ一つの音、それが残響となり跳ね返り、こだまし続ける。 スティックの落ちた音は、それからずっと私の中に留まっていた。 この日を境に律と私の関係は途切れ、放課後ティータイムも活動休止となった。 それでも私はバンド時代によくしてくれていた会社からソロでやってみないかと声をかけられデビューすることになった。 そして今、ここにいる。さわ子先生やメンバーが私を勇気付けてくれたのはもちろん、律の最後の言葉が頭から離れなかった私は彼女との約束を果たすため単身勝負の世界に踏み込んだのだった。 すっかり目の覚めた私は何をするでもなくぼうっとしていた。久しぶりにお昼の時間に昼食を摂れた私はあの日の出来事を思い出す。そう、あの時に戻りたい、今の私なら、律を追いかけ必ずもう一度一緒にやれる。 あの時の律はまさに今の私と同じ気持ちでずっと過ごしていたんだろう。思えばお互いよく似ていた。だからこそ飲み込んだ想いがたくさんあってそれがあの日に全て吐き出されてしまったのだ。 夢や願いを追い求めるばかりで自分自身に迷う日々。律はそんな毎日をどんな気持ちで過ごしていたのかな。 律―― わかるよ、今の私なら。 律がどれほど辛かったのかが。 どれほど耐えていたのかが。 しかし、それももはや叶わぬ願いになってしまった。いや、それだけではない。私自身が破綻しかけているのだ。そもそも律の、放課後ティータイムのいない音楽を続ける必要があるのか。いや、ないだろう。 私はここまで駆け抜けてきた。必死に、必死にきたから、何も考えなかったからここまではこられた。けれど、もうこれ以上は意味が無いのではなかろうか。このまま、立ち止まってしまいたい。 「もう、終わりにしてもいいよね……」 一人ごちる。言の葉を紙に踊らせながら、あの日を思い返した。 いつの間にか夜になっている。昔に浸っていた私はシンセサイザーを立ち上げ、あいつが好きだと話していたキーボードソロを弾く。綺麗な旋律はいるはずない聴き手を求め部屋中を彷徨い、そして消失した。 「聴こえるかな」 微睡の中、青白く燈る真空管のヒカリを眺めながら永久に辿り着けぬ理想をぼんやりと描く。 結局一人では何も出来なかった。耐えられなかった。消失した旋律と共に私も消え失せてしまいたい。 こんなことを幾日も繰り返している。昔を思い出し全てが壊れたあの日の出来事と自分自身を呪う。 日に日に自分の精神が磨耗していくのを実感していた。やっぱり私一人では何も出来なかった。唯のとぼけた可愛らしい振る舞い、ムギの柔らかい笑顔、梓の元気な姿、先生の微笑み、そして律の存在……。 それがなければ私は私ではない。部室で演奏した『ふわふわ時間』を思い出す。あの日のみんなの笑顔は、もうどこにもない。何もかもが、全て壊れてしまったのだと、一人結論に達した。 終わりにしよう。 私はそう思うようになり、それを遂に実行することにした。 いつものように歌い終わった私に割れんばかりの歓声が突き刺さる。私はこの歓声を全て裏切ることをこれから行う。 けれど罪悪感はまるでない。だってそうだろう。こんなこと、誰より私を信じてくれたあいつに対して私がしたことに比べれば、何も問題ないじゃないか。 ライブのアンコールで再びステージに上がった。今ステージには誰もいない。ギター、ベース、ドラムが担い手を失い鎮座していた。今の自分にピッタリな場面だと思い、ひとり自嘲した私は段取りにない話を始める。 4
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その他作戦/斎藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 2006/04/22 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出開始 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 OPセレモニー 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 参加要綱&エントリー 事実1:源は竜造寺にとって、正真正銘のヒーローであり自らの理想像である(限定版ブックレットより) 事実2:源は幻視で他者の考えが限定的にわかる(緑の章54より) 事実3:斉藤は芝村に惚れている 事実4:斉藤が芝村に惚れているのは隊内のほぼ全員が承知している。 推論1:人間が危機的状況に陥ったとき、まず助けを求めるべく考えるのは、その人にとってのヒーローであると考えられる。 つまり、竜造寺は源に助けを(心の中であろうが)叫ぶと考えられる。 推論2:竜造寺は必死にこの状況を逃れられる状況を考えるはずであり、その際におもいつく中に「芝村がきて斉藤が見張りなんか忘れるくらいメロメロになってくれればいいのに」という内容も入ると想定される。 推論3:叫びをききつけた源は(一番信頼できる)芝村に相談するとおもわれる。 推論4:芝村は苦渋の決断(隊の家族の苦境を救うため)、自分がおとりとなって竜造寺の危機を救う方法を進言する。 以上より、竜造寺を救うのは、自らが決死の覚悟で囮となった芝村と、救いに来る源。 いま英吏がくる、その隙に連れて行けってことだ、よくわからんが」 真琴 2006/04/22 10 30 落ち着け、落ち着くんだ、竜造寺紫苑。 何か、連絡できる道具を探すんだ。 じゃないと、助けが呼べないぞ! (コレで、大丈夫かな? 不安だ・・・。) 光で輝き 2006/04/22 10 44 第1ターンは 真琴さんと光で輝きさんが選ばれました。 10時50分までの書き込みから選んでいます。 芝村 2006/04/22 11 08 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第1ターン 真琴・ 光で輝き 「源も役に立たない。それなら英吏に頼もう。かれならきっとお前を助けてくれるはずだ!(……多分な)」 と言うわけで、英吏さん頑張れ~! ナナシ 2006/04/22 11 12 今日は土曜日…ってことは体育があるよな? こちらの事情を理解して協力してくれそうな人、 そして斎藤さんが必死になるであろう人、 やはり英吏か、彼にちょいと転んでかすり傷とかを負ってもらえないかな…? (※こっちと向こうの曜日が同じかどうかは分からんのですが…) AS 2006/04/22 11 33 第2ターンは ナナシさんと ASさんが選ばれました。 11時50分までの書き込みから選んでいます。 芝村 2006/04/22 12 38 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第2ターン ナナシ・ AS 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第2ターン追記 (斉藤さんがが暇なことが問題。ならば斉藤さんに何かたのべばあるいは、)ってことでリンゴが食べたいとかなにか頼み時間を稼ぐ。 古村 2006/04/22 12 47 第2ターン追記から、源に怪我フラグが立ち、 喧嘩状況いかんによれば英吏、深澤も奈津子に治療を迫られ 身の回りの世話どころではなくなる。 とりあえず男としては女子にお願いするのは後回しにしたいので、 残る奴は先内、牧原、國分の三人だが先内は盲目なので やはり他人の身の回りの世話には向かないだろうし、牧原は 精神ショックを受けた妹の事がある。となるとここで 連絡を取るのに妥当なのは"話がわかり""結構無理も聞いてくれて" "前作戦で漏らした経験のある"國分政昭その人であろうと予想します。 竜造寺!國分に連絡を取るんだ!! というか妥当な路線はとっとと潰して 窮地に陥る竜造寺を楽しむゲームですよねこれ。 あれ、違うんですか?(笑) トオコ 2006/04/22 13 48 第3ターンは トオコさんと 古村さんが選ばれました。 13時50分までの書き込みから選んでいます。 芝村 2006/04/22 14 32 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第3ターン トオコ・ 古村 竜造寺は多目的リングをつけているはずである。これによって助けを呼べる。 ここは空歌に助けてもらいましょう。 何かと縁もあることですし・・・ 竜造寺「身の回りの世話をお願いしたいんですが・・・」 歌月 2006/04/22 13 58 何かおしゃべりをする事によって自分の気も紛れ、さらに脱出のヒントを掴むことができるかもしれません。 だから、「斎藤さん…さっき見てた押し花、それどうしたの?」と、話を振るのはいかがでしょう? 寂しそうな顔をして眺めていたというのなら、何か謂れのある品ではないでしょうか。 誰かさんにもらった花を、枯れない様にわざわざ押し花にして保存していたとかなんとか…。 磯辺 2006/04/22 15 28 第4ターンは 歌月さんと 磯辺さんが選ばれました。 15時50分までの書き込みから選んでいます。 芝村 2006/04/22 17 02 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第4ターン 歌月・ 磯辺 瀧川に事情を話し、石津と一緒に病室に来てもらう。 来てもらったら斉藤を部屋の外に出して、実際の作業は瀧川にやってもらう。 瀧川が来てもらうように説得するには、 自分を愛している人に下の世話をさせるのは我慢できるのか 瀧川君は、そのカッコ悪さを我慢できるのか。 と問いただしてみる。 瀧川には、恋人がいるぶん(緑の章でのそんな記述は記憶に無いですが) よけいな嫉妬補正もつかなそうですし適任と思います。 あ、小を我慢するときは、手の小指の第一関節の外側を押すといいらしいですよ。 佑 2006/04/22 16 03 工藤こないかなー。 工藤と斉藤はペンタ同士で相通ずるところはあると思いますし。斉藤の気持ちを理解しつつも何とかあしらえるんじゃなかろうかと。 それに、工藤は萌がつきっきりで看病しているみたいですが、意識戻ってたら一連の騒動と竜造寺の怪我の原因を知って申し訳なく思って竜造寺の看病をしだすんじゃないかと思うのですが。 問題は工藤の容態と、工藤がぱっと見女性なことでしょうか(笑 竜造寺がんばれー。ってか、男って単純やな(笑 とよたろう 2006/04/22 16 39 第5ターンは 佑さんととよたろうさんが選ばれました。 (ちなみに瀧川は外出、工藤は生死判定中のため出てこれません) 17時50分までの書き込みから選んでいます。 芝村 2006/04/22 18 31 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第5ターン 佑・ とよたろう まずは斉藤なっちゃんに 「僕は看護されるならナース服に着てもらったほうがいいな」と言って斉藤を遠ざけて 「いや~恥ずかしい思いはしたくないな~」とか言えば 例のナース服を着た奥様戦隊の善行が面白おかしく登場して場をかき混ぜてくれるのではないかと期待 う~む受動に期待してるだけではダメかな? 三水酉 2006/04/22 18 11 よし、今のうちだ竜造寺!ってくーちゃんにトイレに連れて行ってもらうのは難しそうだし、尿瓶は論外だろーし、ここはひとつ源でも呼んできてもらいましょう。(たぶん源は、くーちゃんの頼みはことわらないと思うし) ただ、英吏が行くのを止めようとするとか、美樹ちゃんが「私もいく!」とか言いそうだけど。(笑) つづみ 2006/04/22 19 12 第6ターンは つづみさんと三水酉さんが選ばれました。 19時50分までの書き込みから選んでいます。 芝村 2006/04/22 20 35 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第6ターン つづみ・ 三水酉 当初の目的に添い、男子に頼むとすると龍造寺が通信をしていないor動きを把握していないメンバーは作内、深澤、牧原兄、善行である。 だが深澤は不幸、または幸せにも金城の蹴りで負傷していて、再起不能である。 そこで頼めるメンバーは三名。 この中で頼りやすいのは牧原兄である。口説き文句は 「頼む。牧原君。親父殿と君のご実家の関係についてあえてここで言わせないでくれ」 (NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(35)より) RF11 2006/04/22 19 53 「今がチャンスだ!柱さんにトイレに連れて行ってもらえ!」 斎藤は直接説得がムリだけど、柱さんならきっと連れて行ってもらえるぞ! さくらつかさ 2006/04/22 21 39 第6ターンは RF11さんとさくらつかささんが選ばれました。 21時50分までの書き込みから選んでいます。 なお、新スレッドでは書き込み制限が外れます。 再挑戦組にもチャンスがありますので、よろしくお願いします(笑) 芝村 2006/04/22 22 24 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第7ターン RF11・ さくらつかさ 先内に頼め、彼なら見えん。 仮に彼が盲目でなかったとしても、彼なら黙っていてくれる。 斉藤は先内経由で雪子ちゃんに抑えてもらえばいい このよのさん 2006/04/22 21 59 事実1:源は瀕死の仲間を隊長命令無視して仲間を連れて撤退戦まで運ぶ事がある(ゲーム内より) 事実2:竜造寺は瀕死(笑) 事実3:源はゲーム内のそのイベントで必ず仲間を助けている 事実4:イベント内は例え地獄の4月でも必ず助けている 事実5:ペンタ討伐戦でも必ず助けている 事実6:斎藤はペンタ 以上より、あの斎藤からでも我等がヒーローはマブダチ竜造寺を助けてくれるに違いない!! 頑張れ源!! 負けるな源!! なっちゃんから友達護るのだ!!! 姫つつじ 2006/04/22 22 29 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第8ターン 姫つつじ・このよ 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 参加要綱&エントリー2 深澤を呼ぶのはどうでしょう。 女の子にパンツ洗われるのを恥ずかしがっていた深澤なら 竜造寺の気持ちを分かってくれるに違いない。 金城の蹴りで撃沈したままならアウトだけど・・・ こまち 2006/04/22 23 15 結城火焔に勇気を出して告白するんだ! そうしたらなっこちゃんを追い払ってくれるし、故意も成就するし最高じゃないか! 白竜 2006/04/22 23 16 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第9ターン 白竜・こまち 言っちゃったー!! 紫苑くん、人前で言っちゃったー!! もうお婿にいけない!! 助けてスーパーガ―――――ル!! 少年をトイレに―――!! もう火焔本人も来ていて聞かれててもかまうものか―――!! 言っちゃったものは仕方ない! 力押しで乗り切れる唯一の人材を呼ぶんだ!紫苑!!(必死) 雨花 2006/04/22 23 50 最後に滑り込みで(間に合うかな?) ここまで来たら火焔とコガにトイレまで連れてって貰うしか! alneco 2006/04/22 23 59 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 最終ターン alneco 雨花 4月23日0時10分までを参加賞対象とします。 芝村 2006/04/25 01 08 アンコール。 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出外伝 斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 リザルト&感想の部屋 今回は初心者用読者参加企画ということで、ペナルティや死亡などのシリアスはなし、エンディングランクもなし、でお送りしております。 さて、今回の参加、および恩典対象についてです。 まず、今回の件で参加した=書き込みしたすべての人に100根源力(Aマホ)を差し上げます。 次の小儀式魔術でお使いください。 この上で採用された20人の方には300根源力をさしあげます。 なお、後への影響があまりないゲームではありますが、微妙に運命が変わった件が一個あるので、お知らせしておきます。 本文中で古関里美に竜造寺は一目ぼれすると書きましたが、この運命が介入によって変化しました。火焔との関係次第になります(笑) 参加者リスト その他作戦/斎藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出/参加者リスト 戻る→その他作戦
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本橋麻里をお気に入りに追加 本橋麻里とは 本橋麻里の41%は砂糖で出来ています。本橋麻里の20%は回路で出来ています。本橋麻里の18%は下心で出来ています。本橋麻里の8%は雪の結晶で出来ています。本橋麻里の4%は濃硫酸で出来ています。本橋麻里の4%は厳しさで出来ています。本橋麻里の2%は蛇の抜け殻で出来ています。本橋麻里の2%は記憶で出来ています。本橋麻里の1%は真空で出来ています。 本橋麻里@ウィキペディア 本橋麻里 本橋麻里の報道 ロコ・ソラーレ、五輪への挑戦始まる 本橋麻里氏「ロコの色にできれば、絶対勝ちはついてくる」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 北京五輪記念! 忘れられない冬季五輪美女アスリートたち (2021年12月7日) - エキサイトニュース 【十勝】大規模停電情報(随時更新) - nhk.or.jp 【カーリング】北京五輪出場へ ロコ・ソラーレが目指す理想像「過去最高のパフォーマンスを」 - auone.jp カーリングの聖地へようこそ - nhk.or.jp ロコ・ソラーレへのメッセージ - nhk.or.jp ラプターズ渡辺雄太、開幕ロースター決定的に 本契約選手上限15人に残る - ニッカンスポーツ 代表決定!ロコ・ソラーレ北見市表敬 - nhk.or.jp 車椅子アスリート 土田和歌子選手とロコ・ソラーレ代表理事 本橋麻里選手が 女性アスリートを取りまく環境や多様性と調和について語る - PR TIMES 日本代表の座をかけた「氷上のカーリング娘」の熱い表情(FRIDAY) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース カーリング本橋麻里「お互い本当に辛かった…」ライバル道銀への思いつづる(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【カーリング】ロコ・ソラーレ崖っぷちから2連勝 代表の行方は最終決戦へ - SPREAD 【カーリング】日本代表決定戦 北海道銀行vsロコ・ソラーレの勝敗の行方を占う - SPREAD 女子カーリング ロコ・ソラーレVS北海道銀行 戦いの歴史を振り返る! - NHK NEWS WEB 小さな目標から達成を カーリング本橋さん、長岡でオンライン講演 - 新潟日報 北京五輪シーズンのカーリング開幕戦 “どうクラ2021” 出場全チーム紹介 〈女子編〉(竹田聡一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース カーリング吉田知那美、藤沢五月ら「美女ばかり」浴衣ショットに「綺麗どころ勢揃い」(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「なぜ日本はオリンピック一択?」 カーリング本橋麻里が国際舞台で感じた、価値観の違いと真のダイバーシティ | - ラブすぽ 長さ38センチ カーリング本橋さん監修「長いサイロ」販売 - 毎日新聞 - 毎日新聞 【スポーツSDGs】カーリング本橋麻里・サラヤとはじめる、子どもたちの未来プロジェクト「ONE」が始動!コミュニティメンバーの募集を開始! 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No.3065 ヒエロニュムス・フォン・ミュンヒハウゼン 前のサーヴァント:四狗スブタイ 次のサーヴァント:源頼政(鵺(おかん)) データ 登場歴 データ ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ ≪クラス≫:ライダー ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━┓ 【真名】:ヒエロニュムス・フォン・ミュンヒハウゼン 【属性】:秩序・中庸 ┣━━━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━┻━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓ 【筋力】:A 【耐久】:A 【敏捷】:A 【魔力】:A 【幸運】:A 【宝具】:A- ┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫ ////メ///,>.、 _ //////////>、//,>..、_, ヾ、//>...、 ノ///////////////゙77777} `</////≧ミx///////////////////,j `<'" )//≧x//////////////,'リ , ' //ァ'  ̄`Y/≧x//////////' , ,. >'´ . .///<///≧三三リ! / / ' . /. .` <//`ーミ三三{.、___ ,. ´ ∠斗ミ,. .γ⌒ヽ マ////////////////,フ -- ミ ,' ____j' 乂__ノ. .`</////>= '"´ ` < j '" Y .○. ! \ ノ ,...斗j_,ノ. ,' ,>≦77777≧f´ / ./. / ////////'//,ヘ≧-----彡' / / ///////j//'. . . . . . `メ//∧-彡'.` ー- ___ -‐ ´ ._ //////ソ/f. . . . . . . . . . . }//∧////,メ |////{≧s..。_ > '/ ,フ` メ.、 //>'////|. . . . . . . . j. . ハ///}///////\´ ̄V!メ.、`ヽ ≧' / / / ヾ ,-----ミ、 //{//!{///!. @., イ. . ハ////!/` <////∧ V´ ヽ ヽア ,' / ,. 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V`< >< AA:球体紳士(2chオリジナル) ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【クラススキル】 ◆対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 ◆騎乗:C 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、 野獣ランクの獣は乗りこなせない。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【保有スキル】 ◆嘘から出た真実:C++ 語り手としての話術の才能が、物語としての真実となったスキル。 一度口に出せば、彼の語る作り話は全て存在し得るモノとなってしまう。 例え滅茶苦茶で不可能な理論だとしても、彼は出来ると言ってしまえば成し遂げてしまうのだ。 ◆無辜の英雄:A+++ 多くの人間に語り継がれ、時代とともに多くの英雄譚を取り込んだ作られた英雄。 風評によって語られ、望まれ、作り上げられた偽りの英雄は、本物の英雄にすら届きえる。 しかし、それでも彼は“偽りの英雄”である。 それを暴かれてしまえば、英雄としての彼は脆く消え去ってしまう。 ◆彼方への想い:E- 憧れ、恋い焦がれ、だが届くことは決してなかった彼方の夢―――。 この儚き夢(イマ)を守ることこそが、彼の戦いを最後まで支える原動力である ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ ____ (巛ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡ミ彡) / \ ,,从. / ̄ ̄\..彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡) / ─\ 人./ _ノ \ .彡ミ彡)ミ彡彡) / (●) \ ,,..、;; ~''"゙゙ | ( ●)(●) ..ミ彡ミ彡)ミ彡) | (__ノ)イ_,,..、;; ~- ''"゙⌒゙ .| (__人__)...ヽ 彡" ./ ̄ ̄.三 \ ____| ゙ ゙ | ` ⌒´ノ .ミ彡)彡'" ./ ヽ. 三 ....../ く \/` / ̄ ̄`丶、 ;;,_ | },,ノ彡~''" ....(◎)(◎) u 三 / ヽ , -―'-=、 \ `゙"''~-、,, .....ヽ } .| |. U 三 /  ̄ 三 \ ヽ ."⌒.,ノ.ヽ、.,__ __ノヽ .|__`_ U ......三 .// .,. -─- 、 ..\/^\/ハ /_\ ヽ ノ . / `ー-、__ .{r┬-| 三 |./ \.._ ヽ10/ Vl| .,. -‐'´. . |! . ヽヽ、ヾ__ ー | ...  ̄``ー-、 .{ ┴-' .....ノ/⌒ ̄ ̄' ̄ ̄). / `、.‐ハ 6 |i/..r'´. . . . .. . ∧ . . . (__) | . . . ... r \ ヽ 三三三三 ◯ ○ l .ニー| |' _ . . . . . l |! . ハ |;;;; . . . >.... .| .. 、 ヽ (⌒ヽ、 / ヽ 三 ..l l .ニ= !/ /)__ノn)).___ヾ . . . . .| ∨ ┴…'´ー‐-、| . . .. \ | . . |、 .. .\ ヽ /\ 三 、 /..l | 〈 , - ―'_ノ′. . . . . ``ー-、L.. __〉.'" \ . . . . . .ヽ . ./ . . / \ .....\__/ \ 三 .\ / / / rノー/ ̄./-、 . . ... __ . Y´ _,. =ミ . \_;;;;;V;;;/ヽ l / ノ 三 .__` ー- -‐´___./ ノノ 〈 -`二l. ノ|! _}‐‐ . . .. ,r‐'´ ノ. . lr'´ " ;;;| . .`ー'⌒ | | / /\ 三 ./^\ ̄厂/_,/(二 ノ `¬ァ┘./⌒| . _;. -'´... / . l! . ;;;;;| . . ', ∧ { ────ヘ.. ./,二 〉 ー「广T´_ `\ ( /`ヾ| レ'ヽ . . . / . . . . . . . . .|! . . ... rぅ... .;;;;; ∧ . . . ヽ. | \ \____ソ | / /^.,..¨ ̄ ̄¨丶.. /-――' . .| / /r─  ̄〉. . . . . . .人;;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;/ ∧ . . . ...... ヾ \ ヽ{: {/ \,,.,,,,.,,,,,.,,,,.,,.,,.. . . / /. . /__ノィ' ̄〉‐一'´___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄lヾ、 / \_ . . l| ヽ ヽ./ \、 ヽ, ミ /[|_|ュ__ ─ i - ソ /-|,-‐-、|] ( ●) / ミ |__l {◎}l|. ´ / ミ ミ 《===》⌒ / __f` ト、 ≧、 l| __ |l` fゞ'/ 、‐-く ! ヽ |丶`‐| [r‐‐ュ]|'´ ヽ`ゞ´/ / | / l ヽ ,r〉/.皿 l.| ト´、/メ _ |_/ | r‐,Υ⌒_〈|ノ⌒ヽ_! | _ ニ  ̄ ,|____ rヾ、 ,〉 ','´-ヽ{ r |i _ - / !ヽ、 _, -`=ー-- 、 / __ l `y‐ゝ( )y'`´ r/lヽ -ー- / ! ヽ、 `ヽ、 rゝ‐ /l ヽ、`_´ _.ノ l l`ヽ、 ,〈 ゙,' \ \ { ' | l T` ´_ / | ! / ヽヽ \ ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【宝具】 ◆『ほら吹き男爵の冒険譚(アーヴェントイアー・デス・フライヘア・フォン・ミュンヒハウゼン)』 ランク:A- 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- ライダーの語る奇想天外な冒険譚の数々。 その物語の中で欠かせない彼の4人の部下と愛馬を召喚する宝具。 ”快速男(あしじまん)のバートホールド” ”鉄砲名人(てっぽうじまん)のアドルファス” ”千里耳男(みみじまん)で風吹き男のグスタヴァス” ”怪力男(かいりきじまん)のアルブレヒト” そして”愛馬のブケパロス” それぞれ単体で召喚もでき、ブケパロス以外の4人はサーヴァント(従者)のクラスで召喚される。 彼ら4人の従者の正体はライダー/ミュンヒハウゼンの深層心理から作り出された彼自身のそれぞれの理想像。 ライダーの精神による物が大きく、それが大きく崩れ去ってしまうと彼らは霊基を保てなくなる。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【来歴】 ほら吹き男爵の名で知られるミュンヒハウゼン男爵。 実際は18世紀のドイツに実在していた貴族の一人である。 若いころロシアの軍に所属、オスマン帝国との戦争にも参加している経歴を持つ。 彼は英雄願望が強かった 様々な物語で語られる英雄たちの業績。 望むものなら自分もその一人になりたかった。 しかし結果は戦争から運よく生き残りはしたものの決してよい戦果は挙げられずそのまま軍を退役。 ミュンヒハウゼン家の後を継ぐこととなった。 それから数十年と言う時がすぎ、彼の領に住む子供たちが彼の下へとやってきて彼の話をしてほしいと聞いてきた。 彼は老後の娯楽として自身を主人公とした嘘真っ赤で奇想天外な冒険譚を子供達に聞かせていった。 大人たちは遂に領主はボケたかと鼻で笑ったが、子供たちにとって見ればその物語は魅力的であり そしてそれを語るミュンヒハウゼン男爵は憧れの的となっていった。 そして彼も老後の楽しみとして語っていた物語に引き込まれていき、その物語の自分に憧れを抱くと同時に今の何もない自分に劣等感を抱いていった。 その後彼の物語は誰かの手によって一冊の本として作られていく。 1797年 彼は貴族としてはごく平凡な人生を送りこの世を去った・・・・・。憧れの自分になりたいという未練をこの世に残して。 死後彼の物語は様々な民話から繋がっていき、その冒険譚は数多くの英雄達の物語にも匹敵するほどの物となっていく。 そしてひょんなことから彼の願いは叶うこととなる・・・。 【能力】 ◆嘘から出た真実により自分有利のフィールドを展開することが出来る。 ステータス上は全てAランク相当となっているがこれは◆無辜の英雄によるもの。 彼の真名が明かされた瞬間、宝具・スキルが全て使用不可能となってしまう。 【性格】 一人称は『吾輩』 誇り高く英雄である自分に絶対的な自信を持ち 自分の真名を相手に名乗ることも厭わない。 派手好きで尊大、自分を大きく見せるような立ち振る舞いには思わず苦笑いがこぼれる。 だがこれは彼本来の性格では無い。 本来の一人称は『私』 本来のフリードリヒ・ヒエロニュムスは英雄願望の強い小心者の男である。ただし仕事には誠実であった。 英雄になりたくて戦場に出た者の何の戦果も得られず帰ったことに強いコンプレックスを持って居る。 その為現在ライダーのサーヴァントとして、ミュンヒハウゼンという英雄像を必死で守ろうと執着している。 【聖杯への願い】 ミュンヒハウゼンの願いそれは【憧れの自分になること】。 しかしそれは自身がサーヴァントとして召喚されることにより叶ってはいた。 だがそれはあくまで一時的なもの もし聖杯戦争が終われば彼の夢は終わり、普段の自分に戻る。 それは彼にとって耐えがたい苦痛でもある 故に彼は執着する【この夢が永遠に続くこと】を。 【その他コメント】 かつてパスタイムさんのところで使用されたサーヴァントのリメイク。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 登場歴 【二次創作聖杯戦争】Fate Pastime Game【募集鯖】 16代目(第一次四大家戦争) 1( 473~) 2 3 4 (リメイク前のデータが登場している)
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171 : ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 21 10 ID VNEswL9I とりあえず上書きの番外編と捉えてください。 172 :甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 25 25 ID VNEswL9I 「加奈~!早くしないと先行くぞ~!」 「ちょっと、もうちょっとだから待ってよ誠人くんー!」 今日もいつもと変わらないやり取りで朝が始まる。 半開きのドアから漏れる声が朝の寝惚けてる耳に心地良い。 加奈を迎えに行って登校するまでのこの些細な一時の幸せを噛み締めつつ、俺は手でメガホンを作って声を通す。 「置いてくぞ~!」 そんな気持ちはさらさらない、加奈が隣にいない通学路なんて考えられない。 それでも、俺のこんな一言を単純に信じてくれる加奈の反応を期待すると、つい意地悪な気持ちになる。 「お願いだからー!もう少しだけ!」 加奈の声の震え具合いから必死さを感じ取って、制服に手を通しながらトーストをくわえてる様子が浮かんだ。 そんな情景を思い描けただけで辛い朝の早起きが苦に感じなくなる。 やがて半開きのドアが勢い良く開く。 全開のドアから居心地の良い慣れた匂いが流れ込む。 そして、目の前には少々息荒げにこちらを見つめてくる加奈の姿が映る。 口元がやや不器用に動いている、どうやら俺の想像は当たってたようだ。 数秒間お互い目を合わせたまま制止し、しばらくしてから加奈が口の動きを止め、真剣な眼差しを送ってくる。 「ごめーん!」 手を合わせ頭を大袈裟に下げると、その長い黒髪が一斉に垂れる。 姿勢を低くしてるからか、地面についてしまいそうだ。 「気にすんなよ、いつもの事だ」 「”いつもの事”ってどういう意味よ!」 「そのまんまの意味だよ」 「もう!」 顔を上げ頬をわざとらしく膨らませてこちらを睨んでくる加奈、口元が笑っているのが微笑ましい。 「さ、行こうか」 すぐに踵を返し、手慣れた通学路へと足を踏み入れる。 すると加奈が何かを思い出しのか、「あっ!」と珍妙な奇声を発した。 「誠人くん!取ってくるから待ってて!」 そう言い残すと慌ただしく再び家に入っていった。 しかし”何を”取ってくるのかが分からない。 鞄は今目の前に置いていったし…なんて思案する間をほとんど与えず加奈は戻ってきた。 靴を履き直してるその隣には、小さな可愛いらしい袋が一つ置いてあった。 こんな袋には最近見覚えがある…というより袋の中央にデカデカと英語で文字が書いてあった。 「それじゃ行こ!」 袋を大事そうに右手で持ち、残った方の手で軽そうな鞄を持ち上げている。 その間もその袋を見てニヤニヤしている姿を見て、俺まで思わずニヤけてしまった。 「今日はバレンタインか…」 物欲しそうな態度でいるのはなんだか格好悪いので、加奈に聞こえない程小さな声で囁いた。 174 :甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 32 07 ID VNEswL9I 「ルン・ルルン・ルルン・ル・ルルルン~♪」 俺の隣で気持ち良さそうに鼻歌を歌っている加奈、いつも先を歩く俺をスキップして自然に抜かしている。そんな子供みたいな態度を、子供みたいな体で取るか ら本当に子供みたいに見える。 背中に美しく垂れている長い黒髪がかろうじて2、3歳大人びさせている。 「誠人くん~」 突然後ろを振り向く加奈。 歩き始めてからずっと鼻歌を歌っていたから通学路での会話は今日がこれで初めてだ。 「何だ?」 「今日何の日か知ってる~?」 終始笑顔の加奈。 何かを期待している表情を浮かべている。 ニコニコこちらを伺っている加奈を見てなんとなくわかった、どうやら加奈は俺の口から”バレンタイン”という単語を出させたいらしい。 きっと俺の事からかいたいのかななんて思いながら、反抗期の子供のような対応をしてみる。 「セント・バレンタインが殺された日だろ?」 「…」 無言の加奈、俺の回答を聞くと一瞬ジト目で見つめながら、すぐに背を向けてしまった。 俺の答えが気に入らないらしい、当の俺はそんな加奈の反応がおかしくて仕方がない。 加奈とはクラスが違うから知らないけど、クラスでもこんな感じなのかな? 「嘘だよ」 「別に嘘じゃないでしょ。2月14日はセント・バレンタインさんが殺されちゃった 日だよ…」 俺と目を合わせる事なく答える加奈。 まいったな、本当につまんなそうな感じだ…。 本当に子供じみてるというか、純粋というか騙されやすいというか…そこが好きなんだけどね。 当然そんな事恥ずかしくて言えないので、僅かながら譲歩してやる。 「今日はバレンタインですね!私、沢崎誠人はその恋人の城井加奈様からチョコ が欲しいです!」 言い終わって予想以上に大きかった自分の声に驚く。 周りに人がいなかったから良かったものの、駅でやっていたら赤面ものだ。 若干うつ向く俺の反応に満足したのか、下から覗き込むようにして見上げた加奈の顔は満面の笑みで彩られていた。 白い歯が溢れる。 何秒か俺を見ながらクスクス笑った後、加奈は徐に大切に提げていた袋の中から更にもう一つの袋を取り出す。 綺麗に装飾が施された袋の中から僅かにメインの物が見えた。 それをわざと凝視してやると、そんな俺の様子を加奈が楽しそうに見つめている。 これでとりあえずはご機嫌が取れたなと思った。 ホッと胸を撫で下ろす俺をよそに、加奈はその袋と俺の顔を交互に見返す。 意地悪そうな、悪巧みを企んでいる子供の目だ、完全に。 「沢崎殿、欲しいですか?」 そう言うと加奈は見せびらかすように袋を持った左手を動かす。 ようやく気付いた、これがしたかったんだなって事に。 普段少し意地悪な俺への細やかな復讐って訳か…。 いつもなら”やっぱいい”と言ってコンビニのチョコを買ってやるところだが、今日は特別な日だ。 特に女の子にとっては、自分の意中の相手へ”想い”を形にして贈る訳だから、非常に重要なイベントのはずだ。 俺は手を合わせ軽く頭を下げる。 「とても欲しいです、加奈様」 「3個か!?甘いの3個ほしいのか?3個…イヤしんぼめ!!」 楽しそうに勝手に自分の中で話を進めていく加奈、「1個しかないだろ」とツッコんでやりたかったが、わざわざ気分良さげな加奈が作ったこの空気を壊す必要もない。 親指、人差し指、中指の3本を立て「うお」と連呼する。 「誠人くんおかしい~!」 腹を抱え笑う加奈、しかし不思議と不快な気分じゃない。 加奈の幸せそうな顔が見れた事で俺の心は満たされていた。 この笑顔が見られるなら加奈に一生ついていくのも悪くないなと思った。 175 :甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 32 43 ID VNEswL9I ようやく笑いの収まった加奈が真剣な面持ちになり、一度気をつけの姿勢を取った後、小学生が卒業証書を受け取る時のようなガチガチの動きで俺に袋を明け渡す、勿論無理のない最高の笑顔を添付して。 「誠人くん、バレンタインチョコ受け取って下さい!」 差し出された袋を手に取る、そこから袋の中に入っていながらも甘いほのかな香りが漂う。 「ありがとな、加奈」 さっきのお返しとばかりに俺も最高の笑顔を加奈に贈る。 そんな俺を見て、加奈は俺に抱きついてきた。 頭を俺の首下辺りに猫のように擦り付けてくる。 「えへへ」とはにかむ、そんな汚れを知らない無垢な少女の姿を見て、それとは逆に思わずよこしまな事を考えてしまう。 危ない妄想を寸でのところで止め、俺も加奈を抱き返す。 「本当にありがとな…!」 「誠人くん、好き!」 物欲しそうに抱き締められたまま俺の顔を見上げる加奈。 今日は特別…だから加奈の期待通りな事をしてやるべきだ。 「俺もな」 「あたしの方が誠人くんの事好きだよ?」 「何を言う!俺の方がお前の十倍は好きだな」 「じゃあたしは億倍だよ!」 「急に桁変わったな!」 互いにおかしく思い笑い合う。 こんな馬鹿丸出しの俺ら、周りから見たら冷やかしを喰らう、絶対に。 でもいいんだ、俺らは俺らの”世界”にいるんだから。 誰も入り込めない俺と加奈だけの”世界”にいるんだから…。 「じゃ早速貰おうかな」 俺が袋を開けようとする、それを加奈がやや緊張しながら見つめてくる、そしていよいよ袋を開ける―――――――――― 176 :甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 37 08 ID VNEswL9I そこまでしか俺は想像できなかった…。 幾ら甘い幻想…いやきっと現実になったはずなのに…目の前にいる目の輝きを失った少女の圧倒的存在感に想像はストップする。 「早く早く早く!!!早くしないと誠人くんがっ!」 さっきまで俺が作り上げた理想像…その本体はあまりにも狂気的な目線で俺を襲う。 俺の家の裏でさっきから加奈に殴られ続けている鼻からはとめどなく血が流れる。 それでも加奈にとってはまだ足りないようだ………”上書き”し切れていないようだ。 永遠にも感じられる苦痛の惨劇に俺が踊らせているのには、れっきとした理由がある―――――――――― 今日の朝の朝食は…何故にか”チョコ”だった。 母親が何かの会に入会しているんだが、その会の集まりでバレンタインの日に女性会員が男性会員にチョコを振る舞う事になったらしい。 年甲斐もなく俺の母親もそんなイベントに参加しようとしたらしいが、十何年ぶりのチョコ作りとあってか、作り過ぎてしまったらしい。 その超過分の消費役として朝から父親と一緒に無数のチョコを食らわされた訳だ。 確かに美味かったが、チョコなんて飯の代わりになる訳がない。 甘ったるい気持ち悪さにさいなまれる中、何とかして親から掲示されたノルマをクリアした俺は、慌てて加奈を迎えに行こうと思ったその時、驚く事に加奈が俺を迎えにきたのだ、いつもなら今頃慌てて準備しているって時に。 「加奈、どうしたんだよ?今朝はやけに早いな」 「だって今日は…」 モジモジしている加奈を良く見て、手に持った小さな紙袋を確認し、そして理解した。 わざわざ俺に早く渡したいから早起きしたのかと感動している矢先、加奈が突然表情を曇らせた。 「誠人くん…甘い匂いがする…」 「えっ!?」 177 :甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 37 44 ID VNEswL9I 俺と目を合わせず言う加奈に不安を覚えた。 まさかしっかり歯磨いたというのにまだ匂いが残っていたとは…油断したと後悔した。 とりあえず、本当の事を伝えようと思った、”変な誤解”されたらかなりヤバいと直感が告げたからだ。 「加奈!これは確かにチョコの匂いだが、朝飯で食っただけだからな!あっ、決してバレンタインに自分でチョコ買ったなんて思うなよ!母さんが作り過ぎてだな………って加奈?」 俺が我に帰ると、その時既に加奈の目に色はなかった。 こんな表情の時の加奈はとにかくヤバい…でも、そんな顔させるような事俺はしてないはず…何故? 自問の答えは簡単だった…。 加奈が俺の顔に突然触れた、下から掬い上げるように。 その手に付着している”もの”を見た瞬間、背筋が凍った。 「…血…?」 自分で顔を手探りしてその手を見ると、加奈と同じように血が指先を染めた。 そしてようやく鼻に鼻水の時と同じ違和感を感じ確信した…俺が鼻血を出している事。 アホらしい話だった、今時チョコ食って鼻血なんて聞いた事もない。 しかし、あれだけの量なら納得は出来た…。 「ハハ…アハハッ…」 「…加奈…?」 加奈は笑っていた、目を除いて。 肩が上下し、俺を見ているはずなのに視線が交錯する事はない。 壊れたラジオのように繰り返しただ笑っているだけだ。 「加奈、違うんだ!これは…」 「アハハ!」 俺の声を笑い声で吹き飛ばし、想像のつかない無尽蔵の握力で俺の腕を掴むと、そのまま家の裏まで半ば引きずられるような形で連れていかれた。 この間俺の頭にあったのは、ただ絶望感…。 (終わった…) 178 :甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 41 55 ID VNEswL9I 裏まで連れていかれた俺は壁に押し付けられる。 笑うのをやめた加奈にこれから何をされるのかにただ脅えるだけだ。 目を閉じ天命を待つ事数秒………何もアクションが起きないので加奈の方を細目で見ると、「早く」と小声で呟きながら先程まで大切そうに持っていた紙袋を引き千切って何かを取り出そうとしている。 強引に袋を破り、中から出てきたのはチョコだった。 僅かだが、ハートマークの真ん中に俺の名前が書いてあるのが見える。 それを俺が確認した瞬間、加奈はそのチョコを俺の口をこじ開けねじこんだ。 さすがに予想外の行動に驚く俺。 ポカンとしながら加奈を呆然と見つめていると、「早く食べて!」と加奈が怒鳴ってきたので慌ててそのチョコを飲み込んだ。 飲み込むまでの間、僅かだが加奈のチョコの甘い味を噛み締められた…それが嬉しかった。 どんな形にせよ彼女からのチョコを食べられたのだ、男にしてみれば最高の気分だ。 もしかしたら、これが加奈にとっての”上書き”なのではなんて今飲み込んだばかりのチョコより甘い想像もした…それは一瞬で打ち砕かれた。 「そんな…!あたしのチョコ食べても血出さない!これじゃ誠人くんの鼻の傷” 上書き”出来ない!」 加奈にとって、今俺にチョコ食わせたのも、あくまで鼻血を出させて自分がしたように”上書き”するたもの手段に過ぎなかったんだ…それに気付いて一気に現実に突き落とされた。 今の加奈の頭には俺の傷を”上書き”する事しかない…それがわかって絶望した。 「そうよ…!大丈夫大丈夫大丈夫…誠人くん、痛いのはすぐ終わるから大丈夫だ よ…アハハ!」 だから…加奈が笑いながら俺の鼻を拳で殴りかかってきてもあまり動揺しなかった―――――――――― 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!」 加奈が謝っている…本当に深刻そうに…。 意識朦朧とした頭で必死に状況を整理した。 先程、鼻から鈍い音が響き、血が制服を真っ赤に染めるところまできて、ようやく加奈は満足したのか、俺を殴るのを止めた。 血の出過ぎで思考が上手く出来ない。 それでも、俺の血で真っ赤に染まった手で必死に俺の顔を擦る加奈を見て、許してやるべきだって事だけは理解出来た…。 むしろ悪いのは自分なのだ、加奈が悲しむような事をしなければ加奈がこんなに必死に謝る事も、俺がこんなにボロボロになる事もなかったんだ…そう頭に念じながら、やっとの思いで腕をあげ加奈のフワフワした髪を撫でる。 「ごめんな…加奈。折角のバレンタインだったのに…」 「誠人くん泣かないで!あたしが全部悪いの…ごめん…!」 加奈に指摘され目を擦ってみる、でも付着したのは血だけ…必死に笑ったつもりだったが、泣いているのだろうか…俺は…? 「すぐ手当てに行こ!あたしの家でしっかり治療して…」 そう言って家へと向かおうとする加奈を俺は何とかスカートの裾を掴む事で止めた。 「止めてくれ…」 ただ懇願した。 「でも!早くしないとこんなに血が…」 「このままお前の家行ったらおばさんに見つかる、そしたらどう説明するんだ!俺は加奈と別れたくないよ…お願いだよ…」 情けない話だが、今度こそ俺は泣いていた。 加奈と別れるなんて嫌だ、加奈はいつも俺と一緒にいた存在…離れるなんて…悲し過ぎる。 「誠人くん、ごめん…ありがとう!ごめん…」 いつの間にか泣きじゃくる加奈を見て、残された力でその小さな体を抱き締めた。 「もう謝るな…」 「ごめ…ありがとう…ありがとう…!」 俺の言葉を聞いて加奈が笑顔になる。 これが俺にとって最高の至福だ…。 「加奈、チョコ美味かっよ、ありがとう…」 「誠人くん…」 涙目で笑う加奈を見て、理想通りにならなかったけど、この笑顔が見れたんだからそれでいいやと思った。 口の中に残るかすかな甘味を思い出しながら、俺はお返しにその味を加奈にも教えてやった。 甘い世界 END
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使用人の朝は早い。布団の外へ差し出した手に触れる、外気のあまりの冷たさに驚く。ウンディーネデーカンの月も半ばに差し掛かったというのに、冬の寒さは一向に衰えを知らない。 ガイは意を決しベッドから滑り降りると顔を洗う為、洗面所へ向かった。 今日は買出しの仕事がある。使用人の仕事も四年ともなれば大分板について来たもので、様々な仕事がガイにも回ってくるようになった。 厨房へ向かい、朝食を済ませると中庭へ向かう。先に起きていたらしい同郷の庭師がガイに気付いた。挨拶にガイも軽く手を上げて返す。 「お早いですな、ガイラルディア様」花壇に手を差し込んだままペールが言った。周囲に人の目がない事を確認してから、ガイは老人に近付く。 「ルーク様でしたら朝の礼拝かと。買出しついでにお迎えに行って差し上げるくらいで丁度良いでしょう」 口元に浮かぶ微笑は穏やかですらあるというのに、言葉に含まれる意味合いを思うと酷薄さすら感じさせる。そんな老人の様子に、ガイは自然と笑みを溢した。この屋敷に来てからというものの、そんな風に笑いあえるのはこの老人をおいて他にいなかった。 それから他愛のない言葉を交わしあい、老人の昔話が本格的に長くなる前にガイは買出しに向かった。 エントランスではいつものように、使用人達が朝の清掃をしていた。挨拶をすれば返されて、それは故郷にいた頃と何ら変りのない生活のように思えた。けれどそれは酷く遠い、酷く残酷な日常でしかなかった。立ち並ぶ柱の中央に飾られた宝剣に目配せをし、ガイは扉をくぐった。気をつけてね、と日頃から仲の良いメイドが声を掛けてきた。返事をしようかとも迷ったが、結局上手く笑顔を作れる自信がなかったので、聞こえなかったふりをした。 朝の礼拝を終えた人々が教会から出てくるのが見えた。小さな「主殿」は、奥の礼拝堂を貸し切っている筈なので、もう暫らくは掛かるだろう。これなら一度屋敷に荷物を置いてから、再度出迎えに来るくらいの余裕はありそうだ、とガイは思った。 今朝早くに定期連絡線で、ダアトを経由して来たマルクトの物資が仕入れられた所為か、いつものこの時間に比べると集合商店の中はかなりの人込みになっていた。その間をすり抜けるようにして、器用にガイは覚書きに記された品物を購入していく。両手に合わせて三つ袋を抱えて、残りの荷物は後で屋敷の方へ届けてもらえるよう算段をつける事に成功した。両手に余る程の荷物だったが、ガイはそれを危なげなく抱えて歩く。見張りの兵士が気をつかって扉を開けてくれた。それにガイは礼を言うと会釈し、そのまま集合商店を後にした。 屋敷前へ直通の昇降機に向かう途中、林檎を落とした。その拍子にずり落ちそうになる紙袋を慌てて抱え直したところで、通り掛かりの男が石畳に転がった林檎を拾い上げた。男は十代後半ほどに見えたが、大柄な体躯とローレライの教団服とが、随分と落ち着いた印象を与え実年齢を曖昧にしている。 「あ、あの……」と口早にガイは礼を言う。「すみません、有難うございます」 男は少し驚いたような顔をして、それからすぐに微笑んだ。そんな男の笑顔に理由のない懐かしさを感じ、ガイは思わず俯く。 「家のお使いか?偉いな」 男は林檎を紙袋へ戻しながら言った。 「あ、いえ!俺はファブレ家の使用人で……あ」 頭を振った拍子にまたしても林檎が落ちた。足元を紅い玉が転がって行く様を、ガイも男も言葉を無くして目で追った。 居た堪れなさに閉口していると、そんなガイの様子に堪り兼ねたかの様に男が笑い出した。そしてそれから再び林檎を拾い上げ、袋の中へ戻すとそのままガイの腕から袋を二つ抜き取った。 「手伝おう」 「『神託の盾(オラクル)』の騎士様に、そんな事はさせられません!俺が怒られてしまいます」 ガイは突然軽くなった両腕と、男の唐突な行動に困惑した。必死に紙袋を返してもらおうと試みるが、男はただ笑うばかりだ。こんな事なら無茶をせずに、二袋に留めておけば良かったろうか、と数分前の自身をガイは呪った。 「久しぶりに笑えた気がした。これはほんの礼だ。気に病む事はない」 そう言って笑う男の顔がどうしようもなく淋しげで、それでいて何処か過去を懐かしむようであったからガイはそれ以上何も言えなくなる。 自分自身とこの男との印象が重なった所為かも知れない。遠い昔、まだ自分が陰謀も裏切りも知らずただ幸せであった頃、兄の様に、影の様に付き従っていてくれた使用人に、この男の笑顔が何処か似ている気がしたからかも知れない。 昇降機に向かって歩き出す男の後を追う。屋敷の前で荷物を返され、男と別れてからガイは名前を聞くのを忘れたな、と思った。 屋敷に戻ってすぐに、エントランスでペールに出くわした。土に汚れた軍手もそのままに、ガイを待っていたようだ。 午後からの客人を公爵家総出で出迎えなくてはならないらしい。紙袋を受け取ると、ペールは教会へ行くよう促す。ガイは後から届く荷物があることだけを伝えると、今来た道を引き返した。 階段を下りてすぐに、教会の前に目的の人物を見つけた。 公爵子息、ルーク・フォン・ファブレは深緋の髪を肩口に掛かる程度まで伸ばしている。何度か公爵夫人に髪を切るよう勧められていたが、結局そのままで来ているようだ。特に手入れをしているといった話を聞いた事はない。長さも疎らで前髪も目元に掛かっていたが、不思議と鬱陶しさは感じさせられない。 ガイの姿を見止めると、彼は「ガイ!」と嬉しそうに顔を綻ばせ駆け寄って来た。年はガイより四つ下だったと記憶している。並ぶと、頭一つ分と少し低いところでルークの赤毛が揺れた。 「悪い悪い、ちょっと遅れたか」 「平気。ガイ忙しいのに、いつもごめんね」 一転して、ルークの表情が少し曇る。またこれか、とガイは思いながら苦笑いを浮かべる。 貴族だろうと使用人だろうと、彼は心をくだき過ぎる。そんなルークを見る度に、ガイは少しの罪悪感と、そこから来る苛立ちを覚えた。 「ばーか、気にすんなって。あんま暇な使用人ってのも、格好がつかねぇからな」 「それに朝は免除されてるし」と付け加える。 「とはいえ、目と鼻の先の教会を行き来するのにわざわざ送り迎えを付けて、その上教会の内院貸し切るっていうのも結構、過保護な話だと思うけどね、実際」 貴族の子息らしからぬ気安さで、肩を竦めルークが言う。言いながら、それでも顔に浮かぶのは屈託のない年相応の笑みだった。 「それはまぁ、なぁ」 曖昧に笑みを浮かべて、ガイは適当な相槌を打った。 ルークの言うことはいつも正しい気がした。発せられる言葉の端々に、幼いながらも王族としての知性と教養とが見え隠れした。そこには誠実さこそあれど嫌味はなく、育ちの良さを感じさせる。人の上に立つべく育てられた、理想像ともいうべき姿なのだろう。そしてガイは、それを少しの羨望と、昏い情念の篭った目で見つめる。 「そう云えばさ、今日面白いことに気付いたんだ」 「また、か」 ルークの考えは面白い。自分より年下だというのに、時折真理をつくような難しいことも言う。言葉は年相応に拙いが、聡い子供だった。 「うん。あのね……」 「まあ、お前の言うことは難しくて、俺にはよく解かんねぇんだけどな」 言い掛けたルークの言葉をガイは遮った。ガイをそうさせたのは、煩わしさというより嫉妬だった。 遠い昔に、故郷と共に死んでしまった己の影を、彼の中に見つける度ガイは堪らなく辛い気持ちになる。もしかしたら今も自分は、こうして何の憂いも陰りもなく笑っていられたのかも知れない。何の恨みも憎しみも知らず、世界を美しいものだと捉えられていたのかも知れない。ガイがルークに抱く感情は、いつだって憐憫を孕んだ憎悪だった。 「そっか」 大して気にした風でもなくルークはそう言って笑った。ガイがこうしてルークの言葉を遮るのは初めてではなかったからかも知れない。 そして理不尽にも、ガイはそんなルークの態度に苛つく。言い掛けた言葉を飲み込み、自身を抑制する凡そ子供らしからぬ態度を、ガイは不快に思う。まるでガイのつまらぬ嘘や虚勢などお見通しなのだと、嘲られているように感じられるからだ。 遠くで教会の鐘が鳴る。今日も良い天気だ。 昼食を終え暫らく経った頃、屋敷の中が少し騒がしくなった。夫人に手をひかれながら、不満そうなルークが応接室に消えて十五分後のことだった。例の客人が来たのだろう、と思ったがガイには特に興味の惹かれる事ではなかった。一度だけ中庭からエントランスの窓の方に目を向け、またすぐに手元に戻す。今のガイには上流階級の社交よりも、花壇の害虫駆除の方が重大な任務だった。 一通りの作業を終えると、後は薬を撒くだけですから、と庭師に言い渡された。土いじりは昔から嫌いではなかったので、多少の名残惜しさを感じながらガイは中庭を後にした。 手を漱ぎながら、空いた時間をどう潰したものか、と考える。結局やる事もないので、ガイはエントランスへ向かった。怪しまれるかとも思ったがこの屋敷で心安らぐ場所など、そう多くはない。 飾られた宝剣を仰ぎ見た。金色の柄にはホド独特の文様が細工され、隼をあしらっている。真っ直ぐに伸びた刀身は細身で、蒼く輝いている中に、古代イスパニア文字で書かれた預言が薄く浮かび上がっている。 その剣の名を、心の中で唱えた。優しい呪文のように、それはガイの胸に広がる。決心を新たに迷いを拭う。それでも、矢張りガイはまた揺れる。その繰り返しだ。 応接室の扉が開き、教団服に身を包んだ男が数人出て来た。慌ててガイは柱から離れ部屋の隅に寄る。頭を下げ、視線は床に落とす。どうやら話は長く続くようで、合間に休憩が入ったらしい。公爵の案内で、そのまま中庭へ向かったようだ。一息ついて、それから改めて顔を上げる。そしてまだ部屋の中に人が残っている事に気付き慌てて再度頭を下げようとして、とどまった。 エントランスの丁度中央に、その柱はある。白亜の柱に飾られた宝剣は、かつてホドの地を収めていた領主の首級と共にファブレ侯爵が持ち帰ったものだ。それを、一人の男が見上げていた。 ローレライの教団服を着たその男は、つい数時間前に会ったあの男だった。その横顔から、感情は読み取れない。けれどガイはそれに一つの確信を抱く。無感動な眼差しは、いつも自分が剣に向けるものと同じだったからだ。 男が、ガイに気付いた。すぐに今朝方会った子供なのだと思い当たったようで、柔らかな笑みを浮かべてこちらに近付いてきた。 「また会ったな」 言って笑う男に、ガイは何と声を掛けて良いのか分からなかった。握り締めた拳が、汗で滑る。目の奥が熱い。反射的に俯くガイを、男は怪訝そうに見つめている。しゃがみ込んで、顔を覗きこまれる。 「どうした?」と訊かれ、頭に手を乗せられる。堪らなくなって、ガイの目から涙が溢れる。涙と一緒に、言葉も溢れた。 「ヴァン……!」 男の顔から笑みが引いた。驚きに目が見開かれて、彼は言葉を失う。そんな彼とは対象にガイは嗚咽と共に、今度こそ明確な意志を以ってを吐き出した。 「ヴァン、デス……デルカ……ッ」 こんなところを人に見られたらどう言い訳をして良いか判らないというのに、ガイは感情を抑えられなかった。六年、その歳月全てが台無しになるかも知れない。それでも、とガイは男の名を呼んだ。呼んで、ただ泣きじゃくった。男は言葉を失ったまま、それでもガイを抱きしめた。 「ガイラルディア様!」やっと紡がれた男の言葉は震えていた。ガイはただ泣きながら頷いた。 </>
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087 溢れ出る気持ちは誰のもの? ◆BEQBTq4Ltk ――もしも、またみんなと一緒に笑えたら。 それはとっても嬉しいなって―― 島村卯月が目を覚ましたのは放送よりも前だった。 彼女は運が良い。寝過ごしては大事な情報が手に入らないから。 「……ひっ」 寝起きの彼女が真っ先に取った行動は歯磨きでも洗顔でもない。 普通の少女に似合わない挙動で腕を首に回した。 首輪の金属がひんやりと掌に伝わる中、彼女は何回も手を擦っていた。 「ある……ある……」 触っても物足りない。 右拳を握り、首輪を含め自分の首を島村卯月は殴り始めた。 「ひぐっ……ある……」 衝撃により呼吸が出来なくなる時もあるが、彼女は構わず殴り続ける。 メトロノームのように何度も一定に、機械のように何度も何度も何度も……。 「ある……あ、る……」 やがて疲れたのか、拳を解きだらしなくベッドに右腕を降ろす。 疲労したのは右腕だけではなく、彼女の瞳は黒く濁っていた。 睡眠を取った人間の瞳とは思えないそれは、数時間前の悲劇が焼き付いてる。 セリュー・ユビキタス。 島村卯月が殺し合いの中で一番最初に出会った参加者である。 その笑顔の輝きは人一倍で、正義感溢れる強い女性だった。 その強さは人間を殺せる程の覚悟を持っていて、島村卯月とは別次元の存在。 「あるよ……りんちゃん……みおちゃん……わた、私」 輝かしい笑顔を持っている女性はセリュー・ユビリタス以外にも知っている。 同じ仲間であり親友である渋谷凛と本田未央を始めとする少女達。 アイドルの理想像を共に目指す島村卯月にとっての宝物。 でも、セリュー・ユビリタスの笑顔は悪魔のようだった。 「私は……首、あるよ……」 セリュー・ユビリタスが生命を奪った南ことりには首がない。 あぁそうだ。南ことりは死んだ。 誰が殺した、それはセリュー・ユビリタスだ。 セリュー・ユビリタスはどんな人間だ。 恐怖に怯えている島村卯月を励ました強い人間だ。 近くの見回りも率先して行った勇気在る人間だ。 その強さの源は何処から来る、それは人間を殺すことの出来る覚悟と倫理観だ。 覚悟を持っていれば、倫理観が常識を逸脱していれば人を殺せるのか。 ならば南ことりはセリュー・ユビリタスと同じ人種なのか。 違う。彼女――南ことりは普通の女子高生だった。 運が悪かった。殺し合いに巻き込まれた時点で彼女の運命は大きく変わってしまった。 大切な仲間を守るために。 仲間と共に叶える夢と自分のためだけに叶える夢。 道の選択を悩んでいた南ことりの背中を押し、腕を引っ張ってくれた存在。 その存在を始めとする仲間を――守りたかっただけ。 「ことりちゃん……私は生きてるよ……」 セリュー・ユビリタスに首を切断された女性の名前を呟きながら、首を触る。 触るよりも絞めるに近いその動作はまるで自分の生命を確かめているようだった。 生きている、自分は南ことりと違って生きている。 生きているという当たり前の感覚が今の島村卯月にとってどれ程嬉しいものなのか。 顔こそ笑顔ではないが、生命在ることを彼女は人生の中で一番喜んでいた。 「嬉しい……っ、私、ちょっと疲れてるか……な」 自分が壊れそうだ。 死体を、それも生首を初めて目撃した島村卯月の感情は大きく歪み始めている。 生きている、が当たり前ではなく、選ばれた人間だけ。 生存が彼女の中で肥大していき、嬉しいと小言を漏らすほどに膨れていた。 だが否定したい。 自分ではないようで。 嬉しいと言葉を漏らす自分が自分ではないようで。 生命の実感を真摯に受けている自分が、もう戻れない道を歩んでいるようで。 「――ひっ」 突如流れるノイズが彼女の心を圧迫する。 ベッドから身体を動かしはしないが、視線は扉の向こう側を見つめている。 誰かが部屋に来たと思ったが、実際は放送に係る音声のノイズであった。 思えば上条当麻なる男性が殺された時、広川が何かを言っていたような気がする。 誰に言われたわけでもなく、島村卯月は自然とバッグの中から名簿と地図と筆記用具を取り出していた。 ☆ 「ことりちゃん……」 死者を読み上げる広川。 彼が一番最初に宣告を告げた名前は島村卯月が知っている南ことり。 数時間前まで生を帯びていたその存在を思い出しながら、名簿に線を引いていく。 禁止エリアを塗り潰すよりも心労が溜まる作業だ。 ――人間の死を作業と捉えていいのだろうか? 「……首は、ある……」 何度目か解らないが、首に手を伸ばし生命を実感する。 私は生きている、夢じゃなくて、現実で生きている。 現実逃避したい現状から逃げずに、自分に何度も何度も言い聞かせるように首を触る。 「美遊・エーデルフェルト、知らない。浦上、知らない。比企谷八幡、知らない。 佐天涙子、知らない。クロメ、知らない。クマ、知らない……」 告がれていく名前を復唱しながら名簿に取り消し線を増やしていく。 数時間の間にどれだけの人間が死んだのか。 改めて考えると、目覚めた時、近くにセリュー・ユビリタスの姿は無かった。 彼女は何処かで南ことりの時と同じように他の参加者を殺していたかもしれない。 「渋谷凛、知らない」 復唱しながら取り消し線を引く。 同じ行動を起伏無しに何度も繰り返す姿は正確無比のロボットのようだ。 弱音を吐くことも無ければ強がることもない。 プログラムされた記号を只管に何度も繰り返す冷たくて悲しい機械のように。 「モモカ・萩野目、知らない」 「星空凛……あっ、ことりちゃんの友達……」 南ことりが死ぬ前に。 まだ己を隠していた頃、語ってくれたスクールアイドルの仲間。 アイドルグループの存在は知らなかった。 部活の一環として活動する彼女達と同じ舞台に立てれればいいな、そう思っていた。 「あれ……星空凛ちゃんはもう潰してある」 星空凛の名前が記載されている欄に取り消し線を引こうとした時、既に引かれていた。 名前を復唱しながら線を引いていたため、間違いをすることは無いはずである。 不思議に思いながら、呼ばれていく名前に線を引いていく。 結果として十六人の名前が呼ばれ、引かれた線は十五。一人足りない。 名簿をもう一度見渡すが、線の数は十五。 しかし足りない理由はすぐに解った。 「渋谷凛……凛ちゃんの名前が呼ばれた時、間違って星空凛ちゃんの名前に線を引いたんだ」 「トイレ、行ってきます」 誰に言ったかも解らずに、バッグを持って島村卯月は立ち上がった。 ☆ 水を流すのは何度目だろう。 吐きすぎて胃から固形の物は出て来なくて、気持ち悪い液だけが出て来ます。 凛ちゃんの名前に気付いた時、時間が止まりました。 私だけが世界に取り残されたみたいで。 でも、実際は凛ちゃんだけが世界から除外されてたみたいなんです。 信じられないと思いました。でも、受け入れるのは早かった。 ことりちゃんの名前が呼ばれた時点で、この放送に嘘はないと思いました。 だってことりちゃんは私の目の前で死んだから。 死んだから……素直に思える私が私じゃないみたいで気持ち悪い。 「なんでこんなことになったんだろう……」 もう、涙も出て来ません。 たくさん泣いて、たくさん吐いて。 凛ちゃんはもういない。私は、島村卯月はもう二度と渋谷凛に出会えない。 ニュージェネレーションズはもう二度と、あの笑顔で舞台に立つことが出来ない。 どこで間違ったんだろう。 最初にセリューさんに心を許したのが悪かったのか。 ことりちゃんの暴走を止められなかったのが悪いのか。 私には解りません。 プロデューサーならどうするんでしょうか。 未央ちゃんならどうやったのかな。 私だから駄目だったのかな。誰か教えてください。 8 :名無しさん:2015/07/23(木) 22 06 26 ID 3h.TAs0.0 どうすれば凛ちゃんを助けれたのかな。 高い山の頂上に咲く花のようにかっこいい凛ちゃん。 孤高を気取る訳でもなくて、心優しい友達思いの凛ちゃんが大好きです。 誰が凛ちゃんを殺したんだろう。 知りたい、いや、知りたくない? 知ってどうするんだろう……私にも解りません。 「追い掛けるのはできないよ……ごめんね凛ちゃん」 私も死にたくなってバッグに入っている糸で死のうとしました。 首を吊ろうにも糸は細くて、巻き付けた首から血が出る程鋭利だったので、やめました。 説明書みたいな紙を読むと、とても頑丈なので、服の下に纏いました。 「これから……」 服を来た所で、私はどうすればいいんだろう。 トイレを出て、うがいを済まして顔を洗いました。 試しに鏡の前で笑顔を作っても、悪魔が笑っているような……本当の笑顔じゃ無い気がします。 凛ちゃんが死んだこと、信じられません。 でも放送が嘘だなんて思えません。 私は何を信じればいいんでしょうか。 今頼れる人間、それはセリューさんだけです。 あの人は人間を殺せる怖い人で、でも、私に危害を加えない人でもあります。 ひ弱な私は彼女に頼るしかありません。 「セリューさん……外にいるのかな……?」 だから私はセリューさんを探すために外に向かおうと思います。 この選択が正しいか間違っているか何て解りません。 そもそも今の自分が誰かなのも解りません。 目が覚めてから首を触っている時、島村卯月が別人に変わっているようでした。 ことりちゃんと自分を比べた時、島村卯月が別人に変わっているようでした。 壊れた機械のように放送で呼ばれた名前に線を引いた時、島村卯月が別人に変わっているようでした。 凛ちゃんの名前を無意識で飛ばした時、私は島村卯月でした。 自殺を図った時、私は誰だったのでしょうか。 凛ちゃんの死を現実だと認識した時、私は何を考えていたのでしょう。 私には解りません。 でも、どうすることも出来ません。 今は悪い魔法に掛けられていて、魔法が解けたら全部夢のように消えてくれれば。 それはとっても嬉しいなって。 こんな時に、こんな事を考えてしまう私は本当に島村卯月でしょうか。 【D-4/イェーガーズ本部内/一日目/早朝】 【島村卯月@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]:悲しみ、セリューに対する依存、自我の崩壊(極小)、精神疲労(大)、『首』に対する執着、首に傷 [装備]:千変万化クローステール@アカメが斬る! [道具]:ディバック、基本支給品、賢者の石@鋼の錬金術師 [思考] 基本:元の場所に帰りたい。 0:どうすればいいのかわからない。 1:セリューとの合流。 2:助けてもらいたい。 3:凛ちゃんを殺したのは誰だろう。 4:助けて。 [備考] ※参加しているμ sメンバーの名前を知りました。 ※渋谷凛の死を受け入れたくありませんが、現実であると認識しています。 ※服の下はクローステールによって覆われています。 ※自分の考えが自分ではない。一種の自我崩壊が始まるかもしれません。 ※『首』に対する異常な執着心が芽生えました。 ※無意識の内にセリューを求めています。 ※彼女が所有している名簿には渋谷凛を除く、第一回放送で呼ばれた名前に取り消し線が引かれています。 【千変万化クローステール@アカメが斬る!】 ナイトレイドの一員であるラバックが所有していた糸の帝具。 用途は罠、索敵、防御、攻撃など多種多様な万能で豊富。 とっておきの一本と呼ばれる界断糸は強度、鋭さ共に通常の糸を遥かに上回る。 奥の手は存在するが原作では未登場である。 時系列順で読む Back 汚れちまった悲しみに Next 端緒 投下順で読む Back 亀裂 Next 邂逅 賢者の意思/意志 036 やはり私の正義は間違っているなんてことは微塵もない。 島村卯月 098 正義の戦士たちよ立ち上がり悪を倒せ