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ここはスレ内で使われる独自の言い回しや語句を集約しています。 使用上の注意 ※スラングや愛称、略称などそのままでは万人に理解し辛いものの説明です ※その語句を使う人が作成すれば確実ですが、伝聞や記憶の引き出しからの説明記載でもOKです ※新語句記載の際には、大体五十音順に並べて見易くしてもらえれば助かります。 ※この項目は「確定事項」ではありません。利用するもしないも、設定的に齟齬が出る内容でも確定事項に反しない限り原則問題ありません。 項目凡例 ****【語句や略称など】 項目の内容 (元になっている正式名称との関係やその語句を使われるに至った経緯など) 【あ行】【アシュギーネ】 【亜人】 【エロフ】 【おっぱい】 【おねショタ】 【か行】【キャラシ】 【魚人海賊団】 【剣子先生/先生/剣子ちゃん】 【公式設定化投票】 【ゴブリン海賊団】 【さ行】【さっきゅん】 【さみゅさみゅ】 【酢飯】 【尻】 【試練】 【新書庫】 【た行】【ダエロ】 【大ゲート祭】 【tnk】 【トロ子】 【ドロップボックス】 【な行】【ニーサン】 【猫助助手/猫助/助手】 【は行】【パーリィ】 【ハーレム】 【馬鹿だなぁ】 【はっぴー】 【腹黒さん/ハラグロン】 【ftnr】 【ふるほっき】 【ほっきー】 【ま行】【マクロス設定】 【ミーナ】 【もっさん】 【モルテの知り合い】 【もるもる】 【や行】【百合】 【ら行】 【わ行】 【記号他】【winwin】 【あ行】 【アシュギーネ】 でんせつの せいせんし はるか昔、PANASONICの製作したMSX2互換機パソコンのCM用キャラクターとして広告代理店「CMらんど」とのタイアップで生み出された、サイボーグ化した蜥蜴人の戦士という異形のヒーロー。 非常に凝った背景設定を持っており、彼自身も「長年にわたり対立してきたヒトと蜥蜴人の間に生まれた奇跡のハーフだが、戦乱を導く邪神バヌーティラカスの一派に両親を殺され、邪神一派への復讐のため戦う」というやたらと暗く重たい物語を背負っている。 なお、CMや広告での派手な起用に加えて彼を主役に据えたゲームが三本作られたり、漫画やゲームブックなども作られたりしたものの、先述の重い設定が足枷となったのか、アシュギーネがイメージキャラクターとして活躍した期間はわりに短かったそうである。 …なぜここにこんな項目が存在するのかというと、ミズハの蜥蜴人の外見イメージの一例として話題にのぼったことがあるせいである。おっさん自重しろ。 【亜人】 亜人・異種族・異世界人諸々ほぼ同じ 【エロフ】 イレヴンズゲート世界でのエルフの愛称。 設定などがエロいためそうなってしまった 【おっぱい】 大抵の人が好きなモノ 大きいのも好きだけど小さいのも好き 【おねショタ】 年上の女性と年下の男性のカップリングの事を指す。 水面下で強い支持を得ている 【か行】 【キャラシ】 正式名称は「キャラシート」 キャラクターの紹介や性質性能などを書きまとめたシートやページなどを指すことが多い 現在どんな形で作ろうか内容はどうしようかと模索され作成されている項目である 作った後で読み返して「えらいものを作ってしまった…」と頭を抱えることもしばしば 【魚人海賊団】 『只今検討中』ドニー・ドニー七大海賊団の一つ。 海中活動が中心の主に魚人鱗人などで構成されているが団長はペンギン人の『光喰い』の『オルチ』。 結構ならず者の集まりだったりヤクザっぽかったり所謂海賊っぽい海賊という案が出ている。 (参考SS【ある運送業者の記録(ドリー・ドリーにて)】) 【剣子先生/先生/剣子ちゃん】 1)なぜなにQ&A司会進行役コンビの年齢と体重を詐称してる方。割かし天然気味らしい。先生なのに聞き役に回ることが多い点と実年齢と実質量には触れないであげよう。 斬り癖がある点や三段可変式である点、昨今の世事に疎い点などから「剣王後日記」に登場する剣王シュヴェーアトとの関係性を指摘されるが、本人は否定している。 2)単に剣子・剣子ちゃんと呼ぶ時は「剣王後日記」に登場する剣王シュヴェーアトを指すこともある。 【公式設定化投票】 スレやwikiなどレスや創作の中で登場したり多く見かける様になった設定などを スレ内で議論討論煮詰めあいまとめた上でスレ内で投票を行い スレ公式認定設定に確立する不定期行事 イレヴンズ人気投票やKNR48総選挙とはまた別の行事である 【ゴブリン海賊団】 『只今検討中』ドニー・ドニーの七大海賊団の一つ。 『ネモチー』というゴブリンが団長で、配下に愉快なネモチーに惚れた口説かれた惹かれたなどの女性団員が多いのと、主に広い範囲で商売を行っているのが特徴。 受け持っている仕事は、金融・財産管理・その他お金に関する様々なことでドニー群島にある『宝島』を所有しているという案が出ている。 【さ行】 【さっきゅん】 サツキの愛称。なんかサキュバスっぽい 【さみゅさみゅ】 サミュラの愛称。 きゃりー何とかとは別 【酢飯】 酢飯(しゃり)→シャーリー というシャーリー・ベルを指す当て字のようなもの 【尻】 おっぱいと双璧を成すモノで、これも大抵の人が好き おっぱい溢れる時に現れ やがて世界を調律し 理を水平に戻す と言い伝えられている 【試練】 ラー神などによる試練のことを指したり、困難な局面を指したりする 【新書庫】 スレログなどを保管していたロダが役目を終え昇天したため、新たに開設されたデータ保管庫 書庫内は各カテゴリに分類されており、データのアップロード・ダウンロード・各編集も簡単に行える優れもの 素晴らしい書庫をありがとう!ありがとう!そしてありがとう! 詳細はふたはログ保管庫にて 【た行】 【ダエロ】 イレヴンズゲート世界でのダークエルフの略称。ダクエロ、ダーエロなどとも。 やっぱり設定やキャラのスタイルなどがエロいのでそうなってしまった 【大ゲート祭】 一体誰の発案なのか?! 神々も認めた大ゲート同士の移動が可能になる期間に異世界各国で開催される国を挙げてのお祭り 略称:大ゲ祭 【tnk】 t(チ)n(ン)k(*)、伏字ではあるがチ*コのことである。 ガチンコファイトクラブがガチンコだったかどうかは今もって議論され続けている 【トロ子】 【ある旅人の観察日記】における登場人物「トゥーロ」の無名時代の仮名であり、そのままスレ内愛称として定着した。 由来は、「カマキリ子、略してカマ子だとなんかおネエみたいに聞こえてやだなぁ」→「じゃあ蟷螂子→トウロウ子→トロ子でどうよ」といった割と単純なもの。トゥーロという正式名も結局ここから採られた。 なお、トロ子という呼称自体は本編では使われていない。 【ドロップボックス】 前述の新書庫と同じ 【な行】 【ニーサン】 モルテの兄の黒犬の愛称のようなもの。 使用されるときは何故か半角カタカナで ニーサン と使われることが多い。 類義語でヨーサン(弱い)チューサン(強い)など 【猫助助手/猫助/助手】 1)なぜなにQ&A!司会進行役コンビの毛深い方。相当の苦労人らしい。助手なのにメイン進行役になっている点にはあえて触れないのが優しさ。 試練に対して言及するとチェーンソーを取り出す、ラムール国政や饗宴、未踏破に詳しいといったところから、「シリーズ未来王」主役であるディエルとの関連性を度々指摘されるが、本人は否定している。 2)単に猫助という場合は「シリーズ未来王」の主役ディエルを指すこともある。 【は行】 【パーリィ】 パーティー、祭事、催しものを流暢に指す言葉。 ドニー・ドニーの世界一周祭やクルスベルグの鍛冶製造見本市など多岐にわたる 【ハーレム】 1キャラの周囲にそのキャラに好意を持つキャラが多数集まる状況を指す。 徐々にではあるがいくつかのハーレムがイレヴンズゲート世界でできつつある 【馬鹿だなぁ】 褒め言葉(険しい道を進む事や賛美する事に対して)。 頭に「本当に」「相変わらず」と付く場合が多い 【はっぴー】 風神ハピカトルの愛称 【腹黒さん/ハラグロン】 世界樹の神霊、イルなんとかさん(*1)の通称。 仮面のような笑顔でいともたやすくえげつない行為をおこなうD4Cなお方。 恋人と仲良く琥珀漬けされる悲劇もディオマー様がNice boat.されそうなのもカラビアさんがキズモノなのもだいたいこのお方のせい。 その腹は間違いなく原初の闇の如く黒い。 【ftnr】 f(フ)t(タ)n(ナ)r(リ)。 特異な身体形状を指す。 詳しくは他辞書にて 【ふるほっき】 エロフ、ftnr、ちょい欝展開(妄想含む)などの特殊な話題で発起人氏のテンションが上がった状態を指す。 主に2スレ目以降の適度にスレが温まってみんな遠慮がなくなってきた時間帯に発生しやすい。 悪ノリテンションではあるが勢いはあるため、この状態の時に勢いで出来た設定は意外と多い。 もちろん、正式な設定になるかどうかは後日頭が冷えた頃に投票で決まるのだが 【ほっきー】 当スレの言いだしっぺ、発起人氏の愛称 【ま行】 【マクロス設定】 『劇中劇』に近い意味 そういう事があるかも知れない起こりえるかも知れない 判断は人それぞれにお任せします 無視してもいいし設定を拾ってもいいのよ 物事や事例を確定させないが物語や設定としては存在させたい 公式設定判定待ち などなど意味は広義に渡っているが、基本的にはスレで次々湧き出す設定に過度に縛られたり 他作品の設定と矛盾することを恐れることなく気軽に多様な作品を創作してもらいたいという 意図から出る言葉である マクロスシリーズにおいて、大まかな背景は共通しているもののTVシリーズと劇場版で設定やデザインが食い違っていたり、続編が黒歴史化したり展開が荒唐無稽すぎたり後付けくさかったりすることについての理由付けとして「各作品は『背景世界における歴史的出来事を元に後年脚色されて作られたフィクション作品』であり、史実をもとに制作されたが、描き方まで史実通りとは限らない」というスタンスが示されていることに由来する。 シェアード企画において細かい設定の錯綜は避けることのできない問題であり、 別企画における類義語としては「極大魔法・パラレル」などが存在する 荒唐無稽であろうと作品に勢いと説得力さえあればみんなついてくるのよ、勇気を出して! 【ミーナ】 スラヴィアキャラのヴィルヘルミナの愛称。 声優の富永みーなとは別 【もっさん】 ギャグ・お笑い領域におけるモルテの愛称、呼び方 【モルテの知り合い】 スラヴィアへのゲートがある極点の氷の下に何かいそう→モルテが地球にやって来た時に知り合う そんなスレのレスからじわじわキャラが出来上がってきた存在 外宇宙からの来訪者? 太古の地球にいた種族? 大昔に異世界から地球にやってきた存在? 諸説色々ある中で今では樽、名状し難い、いぁいぁ、ニュルニュルなど呼び方も姿も多様にちょこちょこ顔を出す様になった 主にギャグ世界の中の住人 【もるもる】 モルテの愛称 【や行】 【百合】 女性と女性とのカップリングを指す。 ゆりゆり、ゆりんゆりんとも呼ばれる。 イレヴンズゲート世界では意外と多い組み合わせ 【ら行】 【わ行】 【記号他】 【winwin】 双方もしくは全員まるっと得する関係 ウィンウィンは優衣の持つ自動グングニルの通称
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『とあるまりさのスーパーノヴァ』 17KB 小ネタ ドスまりさ 独自設定 「お話」ってジャンルが欲しいと思った ※注意事項とか 虐待はないです。制裁とかもないです じゃあ愛でかと言われるとそうでもないです そもそも人間があまり出て来ません 凄まじく独自設定のドスがでてきます たぶんSFなんだと思いますが、知識がないので描写とか原理は適当です ので、フィーリングで読んでください みんな、ゆっくりしていってね! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『とあるまりさのスーパーノヴァ』 その日、まりさはドスになった。 平凡な野生の群れで、平凡なれいむとまりさの子として生を受け、 ごく平凡に育ったまりさはその日、突然ドスになったのだ。 生まれてから三ヶ月がたったころの事だった。 ドス。それはただ居るだけで、とてもゆっくりできる存在。 「まりさはドスだよ! みんな、ゆっくりしていってね!!!」 まりさはドスとしての使命を果たすべく、群れを導いていく決心を固めた。 親や、姉妹や、友人や、群れの仲間たちからの心地よい羨望のまなざしを受けながら、 まりさはドスとして群れを率いて、みんなをゆっくりさせるために奮闘した。 1年目。それは失敗に終わった。 ドスがいるという安心感から、群れのゆっくりたちは堕落し、 無計画なすっきりーによって際限なくその数を増やしていった。 そしてあとはお決まりの流れで、食料を取り尽くし、 飢え、争い、殺し合い、その果てに群れは壊滅した。 生き残ったのはドス自身と、 比較的賢い頭脳と善良な心を持つ数匹のゆっくりだけだった。 死んだゆっくりの中には、ドスの親や姉妹も含まれていた。 みんなの遺体を埋めて墓を作ったその日から、 まりさは自分のことを「まりさ」と呼ばなくなった。 まりさは、「ドス」になった。 3年後。生き残ったゆっくりたちの子孫が順調に増え続けたおかげで、 群れは再び「群れ」と言って差し支えない規模にまで戻っていた。 外敵との戦いや、群れでの狩りのルールの制定、餌場の管理、 すっきりー制限による群れのゆん口管理、群れの構成ゆん間の関係の調整…… そうした様々な経験を積んだことで、ドスにはドスの風格が漂うようになっていた。 もう二度とあんな悲劇は繰り返さない。 そんな固い決意を抱き、ドスはさらに5年、群れを円滑に運営していった。 5つ向こうの山の群れにまでその名を知られるほど、 ドスとドスの率いる群れは「とてもゆっくりしている」と評判になった。 10年目。いつになく寒い年だった。 ゆっくりたちの命を繋ぐ、大事な食料がとれなくなった。 こうした事態に備えて数年前から食料の十分な貯蔵をしていたドスの群れは、無事だった。 だが、周囲の群れはそうではなかった。 皆、飢え、多くのゆっくりが死に、多くの群れが崩壊した。 そして難民となった何百匹ものゆっくりが救いを求めてドスの群れに殺到した。 当然、それほどのゆん口を養えるだけの蓄えは、無い。 ドスは難民たちを救うことも見捨てることもできず、ジレンマに苦しんだ。 ジレンマに苦しんでいるうちに、事態は修復不可能な段階にまで進行し、 そしてその年、ドスの群れは再び壊滅した。 今度は、誰も生き残らなかった。 冬を越すことができたのは、ドスひとりだけだった。 ドスは、自分は無力なのだと、悟った。 死臭漂い、向こう数年はゆっくりが居着かないであろうその地をあとにして、ドスは旅に出た。 その先でも、ドスは様々な経験をした。 ドスを歓迎する群れ。長になってくれと懇願してくるものたち。 ドスを利用しようとする群れ。傲慢に、自分たちをゆっくりさせろと強要してくるものたち。 崩壊していく群れをいくつも見た。不屈の意志により立ち上がり、甦る群れも見た。 捕食種の群れにも立ち寄った。人間とも出会った。 旅立ちから15年がたった頃、ドスは何度目かになる自分以外のドスとの出会いを果たした。 そのドスはいくつもの群れを束ね、千ゆん以上ものゆっくりを従える偉大なるドスだった。 だが、そこにいたゆっくりたちは、皆一様にゆっくりしていなかった。 そのドスは、暴力と圧政によって群れを支配していたのだ。 ドスはドスに言った。 「こんなやり方、ゆっくりできないよ」 ドスはドスにこう答えた。 「いかにもあまあまが言いそうなことだぜ。ゆっくりがゆっくりしようとするならば、決してゆっくりして いてはいけないんだぜ。そんなことしたら、みんな永遠にゆっくりしてしまうんだぜ」 それはドスも薄々感じていたことだった。 旅の中で見てきた多くの群れが、ドスの言葉を肯定していた。 だからドスは言い返すことができなかった。 ゆっくりしようとすれば、いつか決定的にゆっくりできなくなる。 ゆっくりするのを我慢していれば、少なくともその瞬間を遠ざけることはできる。 群れをゆっくりさせるためには、みんなからゆっくりを奪わねばならない。 ドスのすべきことは、そういったことなのだろうか。 みんなをゆっくりさせるために、みんなにとってゆっくりできない存在でいなければならないのか。 「ドスの使命なんて知らないのぜ! でも、ドスはこのやり方でずっとやってきたのぜ!」 ドスと別れてからも、その言葉と群れの姿は、 ドスの心の奥に長いあいだ突き刺さって消えることがなかった。 それからもドスは旅を続け、瞬く間に100年の月日が流れた。 ドスはさらにたくさんの経験をした。 何度か定住し、小さな群れを作ったこともある。何度か、別のドスと戦ったこともあった。 人間と暮らしたこともあった。人間から追われたこともあった。 海を見た。海ドスと出会い、海を渡る術を知った。海を渡り、大陸を旅した。 人間の世界が“国”という単位で区切られていることも知った。 あれだけ強い力を持ち頭が良い人間も決して万能ではないことも、知った。 さらに100年がたった。 ドスはある土地で、大きな大きな群れを築いた。 人間のそれには当然及ばないが、ゆっくりからすれば “国”と呼んで差し支えないほどの規模を持った、 多種多様な種族からなる大きな大きな群れだった。 それは、天災によって滅びた。 さらに、100年を経た。 ドスは別の土地で、再び“国”を作った。 前よりも大きく、強固なシステムを持ち、 何匹ものドスによって運営される“国家”だった。 そしてその群れは、長であるドスを“ゆっくりできない”として追放し、 ほどなくしてあっけなく自壊して滅びた。 さらに100年。 ドスは諦めることなく、また“国”を作った。 文明と呼べるものが生まれ、人間と対等な“貿易”を行うまでに発展した。 そして、人間によって滅ぼされた。 100年。 ドスは“国”を作った。 そして、自らの手で“国”を制裁して滅ぼした。 焦土と瓦礫の山と化した土地を捨て、ドスは再び流浪の旅に出た。 山と海を越え、砂漠と氷の大地を越え、 ありとあらゆる土地を、国を、島を、大陸を、あてどなく放浪し続けた。 進んで、進み続けて、そしてついに生まれ故郷の森と再会し、世界が円環の中にあることも知った。 「ゆん。地面は本当にまあるい形をしてるんだね。──ゆっくりみたいに。ゆふふ」 様々な場所で、様々なゆっくりと、人間と、それ以外の多くのものと出会い、そして別れた。 もうこのころには、ドスは自分がただのドスではないことを理解していた。 生き物としての範疇の外へあんよを突っ込んでいる自分に気付いていた。 普通のドスは、百年も二百年も生きたりしない。だが自分はその何倍も生きている。 千年近い時を経て成長を続けた体は、普通のドスよりも遙かに大きくなっている。 これがどういうことなのかは、わからない。いかなる理由によるのかは、わからない。 いったい、なんのためなのか。 ただ普通のドスよりも大きな群れを作り、滅ぼすためか。 よりたくさんのみんなをゆっくりさせて、ひとときの夢を見せて、崩壊へ導くためか。 あるいは崩壊に抗うために、たくさんのみんなをゆっくりさせないためか。 そもそも群れを作るのは、本当にみんなをゆっくりさせるためなのか。 ドスとしての自分の「みんなをゆっくりさせたい」という欲求を満たすためではないのか。 なにも、ドスにはなにもわからなかった。 ただ、みんなが── ゆっくりだけではない、人間も、動物も、海や、森や、山が、空が、 そうした全てのものが生きて、笑って、泣いて、生まれて死んでいくのを感じることは、 とてもとてもゆっくりできた。 ただ、自分の無力さだけが、ゆっくりできなかった。 やがてドスは、とても温かい島にたどり着いた。 人間のように地図を持たないドスには、そこがどこなのか正確にはわからない。 ただ、人間に見せてもらった“まあるい世界”の模型の、 いわゆるあんよ側の場所であることは、なんとなくわかった。 そのあたりには定住するゆっくりがいなかった。人間もいなかった。 年に何度か、空を渡っていくきめぇまるや、海流に乗って移動するむらさの姿を見かけるだけ。 静かな場所だった。 ドスがドスとして振る舞う必要もない。 ドスに“ドス”を求めるものもいない。 「ここは、とってもゆっくりできるよ……」 ドスはそこで、1000年の時を過ごした。 微睡みの中にいるような、とてもゆっくりした1000年を。 やがてドスは深い眠りについた。 ある時、ふとドスが目を覚ますと、たくさんの人間の気配を感じた。 何百……何千、いや、何万もの人間たちの命の存在。 声が聞こえる。感情を感じる。笑って、泣いて、怒っている。 生まれて、生きて、死んでいく無数の人間たちの気配。 人間だけじゃない。 人間たちの間に、無数の小さな命もあった。 その中に、懐かしい声を聞く。 「ゆっくりしていってね!!」 れいむの声だ。ああ、まりさもいる。ありすも、ぱちゅりーも、他のみんなも──。 ゆっくりしていってね──!! 挨拶を返すと、それは大きなエネルギーの奔流となって ゆっくりと人間の区別もなくみんなの中を伝播して溶け込んでいった。 みんなの気持ちが、少しゆっくりする。 それを感じたドスもまた嬉しくなって、ゆっくりした気持ちになった。 ドスは自分が今どうなっているのかを理解しつつあった。 ドスは今、海の真ん中に仰向けになって島のように浮かんでいる。 その上にれいむやまりさやありすや──みんなと、人間たちがいる。 とてもとても大きくなった自分の上に、町がある。 ゆっくりしすぎた結果がこれだよ! とドスは叫びたかったが、みんなを驚かせてはいけないので こっそり「ゆふふ」とお腹の中で笑うのだった。 みんなをゆっくりさせる方法は、なにも群れを作ることだけではない。 例えば、当たり前すぎてみんなはあまり気付いていないけれど、 太陽さんや地面さんだって、みんなをゆっくりさせてくれる大事な要素のひとつだ。 ならば、自分がそういうものになるのも、いいかもしれない。そう思った。 人間たちはこの島を、まるでゆっくりのまりさのような形をしているから──と、「まりさ島」と呼んだ。 その形のせいというわけでもないのだろうが、この島の空気はとてもゆっくりとしているのだった。 穏やかな気質の住人たちと、ゆっくりしたゆっくりたちと、肥沃な大地に支えられ、 島はその歴史にひとつの争いごとも記さずにゆっくりと発展していった。 時々起こる、謎の地震に頭を悩ませながらも。 そして── 1万2000年後。 “まりさ”は人間に連れられて、まあるい地面──地球を離れて宇宙にいた。 ぶっちゃけて言えば、あれから千年くらいたって人間の文明が発展したところで、 まりさ島が本当にゆっくりのまりさであることがバレてしまったのだ。 原因は、あんまりにもゆっくりしすぎたまりさが、さらに成長してしまったせいだ。 さすがに人間も不審に思うというものだ。 今のまりさが担っている役割は、「恒星」だ。 人類の科学の発展やまりさ自身の紆余曲折を経て宇宙に出たばかりの頃は、 居住用の人工惑星という役割でたくさんの人間さんと、たくさんのゆっくりと、 その他たくさんの生き物たちを宇宙の中でゆっくりさせていた。 だがゆっくりすればゆっくりするほど大きくなるまりさは、 やがて居住に適さぬほどの重力を持つようになってしまった。 まりさの扱いに頭を悩ます人間たちに、まりさはこう言った。 「じゃあ今度はまりさ、太陽さんになるよ!!」 惑星として生き、惑星として考えるようになっていたまりさは、 恒星がいかにみんなをゆっくりさせてくれるか、 みんながゆっくりするために大切なのかをひしひしと感じていたのだ。 恒星となれば消費するエネルギーは莫大になるが、 これまでと比較にならないほどにたくさんのみんなをゆっくりさせられる。 つまり、まりさはこれまで以上にもっともっともっと、すごくゆっくりできる。 その分、まりさが生み出す成長エネルギーも莫大になり、消費するエネルギーをまかなえる。 さらに上手くすれば、そのへんにいる“野良の惑星さん”を 自分の重力でゆっくりさせてあげることもできるかもしれないのだ。 惑星をゆっくりさせるとは! それはどれほどゆっくりできることなのだろう! だが、恒星になる、ということはまりさ自身の体を燃やすということだ。 それは一度始めてしまえば、おそらく誰にも止めることができない。まりさ自身にもだ。 それでも良いのか、と人間たちはまりさに訊ねた。 「もちろんだよ! まりさは、みんなをゆっくりさせたいんだよ!」 そうしてまりさは自らをドススパークで“点火”し、 無数の、何万…何億…何兆ものドススパークが連鎖して燃え上がる巨大な熱の塊となって、 ひとつの恒星──“みんなの太陽さん”をやっている。 まりさを中心として作られた人工的な恒星系は、「まりさ恒星系」と名付けられた。 まりさ恒星系はゆっくりと“群れ”の仲間── 人間と、ゆっくりと、たくさんの生物、そして惑星──を増やして、 まりさの陽光にぽーかぽーかと抱かれながら、重力にぐーんぐーんと抱かれながら、 ゆっくりとゆっくりと、長く穏やかな歴史を刻んでいった。 それはそこに住む誰にとっても、もちろんまりさにとっても、 心の底からゆっくり出来る日々だった。 それが何万年、何十万年……と続いていった。 ──そして、100億年の時が流れた。 まりさはひとりぼっちになっていた。 すでに人類はいない。 人類の姿を最後に見たのは、もうずいぶんと昔のことだ。 滅びたわけではなかった……ように思う。 記憶がひどく曖昧だ……。 だが、別れは決して悲しいものではなかった。それは確かだ。 思い出そうとすると、ぼんやりと、ゆっくりした気持ちになるのだ。 ゆっくりたちも、大半は人類と一緒にいなくなった。 残ったものたちは……今はどうしているやら。 少なくとも、まりさにわかる範囲には、その気配は感じられない。 今やまりさのいる銀河も静かになりつつあった。 たくさんの見知った星が、永遠にゆっくりしていった。 七つ向こうの銀河がブラックホールさんに丸ごと呑み込まれた時は、とても悲しかった。 まりさの群れ──まりさの公転軌道上をぐーるぐーるしていた惑星たちは、 年月とともに膨張していくまりさの体が勝手にむーしゃむーしゃしてしまった。 その時はあんまりにも悲しくて悔しくて、1億年くらい泣いてしまった。 まりさは今、自らの体の重みによって縮みつつある。 死にゆく恒星としての正常なプロセスによってそうなっているのか、 それともみんながいなくなった寂しさからそうなってしまっているのか。 わからない。どうでもよかった。 まりさにとって確かなのは、もう間もなく自分が死ぬということだけだ。 最期の時は、もう間近にまで迫っている。 100億年……。 長かったようにも思うし、短かったようにも思う。 今はただひたすら、生まれ育った森が懐かしい。 あの、ほんの直径数センチの……2兆分の1天文単位にも満たない小さな体で、 両親と、姉妹と、友人たちと草の上を駆け回ったあの日々が。 もう一度、会いたい。 父のとってきたバッタさんを、みんなで一緒にむーしゃむーしゃしたい。 母のもみあげに優しくつつまれて、こもりうたをききながらすーやすーやしたい。 だがしかし、そうした全てのものは、もうこの時空間には存在していない。 森どころか地球そのものが、とうの昔に太陽にむーしゃむーしゃされたことだろう。 ちょうど自分が、自分の“群れ”の惑星たちを食べてしまったのと同じように。 父も母も、あのころの自分自身も、全てがあまりにも遠すぎる。 例え時をさかのぼれたとしても、100億年もの距離があるのだ。 空間的な距離だって……もう、地球のあった場所すら定かではない。 そして今の自分は、直径何百万kmもの巨体を持つ恒星だ。 もはや体の組成はゆっくりですらない。生物ですらない。 唯一残っていて同じと言えるのは、中心核にある中枢餡だけ。 帰ることなど、できないのだ。 過去とは、そういうものだ。 自嘲的な気分がそうさせるのかまりさにのし掛かる重圧は、 中枢餡を押し潰そうとする圧力の増大は、より一層加速しつつあった。 まりさの持つ膨大な質量がその強大な重力によって、 膨張する力を失った自らの体を押し潰し、 そうして圧縮され高密度になった体がさらに強い重力を生み出していくのだ。 重力が圧縮を、圧縮がさらなる重力を生み出していく。 まりさの中枢餡はもはや限界まで圧縮され、あまりにも圧縮されすぎて、 物質であることをやめる一歩手前まで来ていた。 そうしたプロセスのやがて行き着く先は──光である。 物質は物質であることをやめると、膨大な熱と光へと変わる。 まりさが“みんなの太陽さん”として生み出していたものとは少し違うが、原理は似たようなものだ。 だが今度の光は、桁が違う。 中枢餡の全てが光となり、中枢餡を失った体もそれに呑み込まれて光へと変じ、 最終的にまりさを構成する全物質は直径1光年もの巨大な光の塊へと膨れあがる。 9兆5千億キロメートル。今のまりさのサイズの、およそ百万倍。想像を絶する規模の「ぷくー」だ。 人間はそうした現象を超新星爆発と呼んでいた。 恒星が、その一生の中でもっとも強く輝く瞬間である。 まりさはその瞬間が、少し楽しみなのだった。 恒星にとって、光とは声のようなものだ。 それがもっとも強く輝くということは、もっとも遠くまで届くということだ。 遠くまで届くということは、もっとも多くのものに聞いてもらえるということだ。 まりさが未だ知らない“どこかにいる誰か”、 あるいはまりさの事を知っている“どこかにいる誰か”に、触れることができるのだ。 この広く寂しい宇宙の中で、それはとてもゆっくりできることだ。 もちろん、伝えるべき言葉は決まっている。 きっと何も考えなくたって、自分はそう叫ぶだろう。 だって自分の、まりさの、まりさたちの一番奥に刻まれているのは── (ゆふふ。楽しみだね) まりさの忍び笑いが、誰もいない空間に響いた。 ある日、まりさの中枢餡が重みに屈し、ついにその形を失った。 中枢餡の奥から膨大なエネルギーの奔流が溢れ出し、周囲を呑み込んだ。 呑み込んだ物質はさらなるエネルギーへと変換され、さらに広い範囲を呑み込んだ。 そうしてまりさの体を内側から喰い破りながら膨張の速度を速めていった。 そのエネルギーは、まりさ自身だ。 自らを縛る肉体と精神を脱ぎ捨てた、純粋なまりさそのものだ。 まりさは全てを暴食するエネルギーそのものとなり、 膨張という現象そのものとなり、灼熱そのものとなって、外側へ── 自らの体を猛然と、秒速数千キロメートルにも達する速度でむーしゃむーしゃしながら、外側へ、 ひたすらに強く、早く、熱く、激しく、外へ、外へ、外へ── 光になって── 自身の全存在が急速に拡大していくのを感じながら、まりさは叫んだ。 己の届く全ての場所に向かって。 己を見るもの全てに向かって。 願わくば……父や母や、あの森のみんなへと届くようにと祈りながら。 過去と、今と、未来と、全てのものに向けて、 ゆん生最大最期の、“ご挨拶”を── 今 みんな……ゆっくりしていってね────!! その日、まりさは光になって、宇宙の果てへ向けて旅立っていった。 その日、まりさは時の果てまで旅を続ける光になったのだ。 END ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ええ。『トップをねらえ!』とか『デモンベイン』とか大好きですよ。 いいよね、宇宙とか時空とかなんとか次元とか。 ■過去作品一覧 anko2326 朝のゴミ捨て場で anko2328 マッチ箱をポッケに入れて、公園へ anko2334 限りなく透明に近いはこ anko2400 ぱちゅりーのおめめで anko2414 ゆトンプ! 挿絵:
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『ゆ蝶の夢』 16KB 群れ 自然界 人間なし 独自設定 3作目だったかもしれない ゆ蝶の夢 長めかもしれない 続き物予定しれない 独自設定の塊 何作目とかはどうでもいいことかもしれない 大していじめない 朝起きたら、俺はゆっくりになっていた。 手をついて立ち上がろうとしたが今の俺に手はなく、足もなかった。 それでも脳が上手く働かないのか状況が把握できずに、俺は意識せずずりずり移動をしていた。 そしてたまたま水溜りに映る自分の姿を見て、最初に言ったことの確証を得たのだった。 (……なぜこんなことに?) 水溜りに映るゆっくり(自分)の姿をじっくりと観察してみる。 見たこともないゆっくり……まぁそれもそうだろうな、これは俺なんだから。 最近切ったばかりで短くなった髪に、普段かぶっていたお気に入りの帽子。 顔のパーツはすべてゆっくりのようにデフォルメされていたが、確かにそれは俺の顔……だったと思われるものだった。 ためしに手を動かしてみようと試みる。 その俺の意思を汲み取り、長めに残していたもみあげがわさわさと動いた。 先ほどまで無意識に動かしていたが、今度は意識的に足を動かしてみる。 体の底面がうねうねと動き、俺の体が意思の通りの方向へと動いた。あくまでも意思通りいってるのは方向だけだが。 (かんぜんにゆっくりになってるな、こりゃ) こんな状況なのに、不思議と危機感は全く湧いてこない。 ゆっくりになってしまったことが原因だろうか?なんだかどうとでもなりそうな気がしてしまうのだ。 とその時、突然体の奥底から虚脱感が湧きあがってきた。 その感じは人間の時は感じたことが無かった感じだったが、今の自分にはなぜだか理解できる。 (腹が、減ったな) 体からどんどん力が抜けていく感じは、このまま食べなければ死んでしまうと感じるほどのレベルだ。 しかしここは見知らぬ土地で今の俺はゆっくり。そう簡単に食べ物は手に入らないだろう。 (……物はためし、だよな) 足元に生えていた葉の広い植物に舌を伸ばし、千切ってみる。 幸い力が弱いわけではないらしく、草は簡単にプチンと千切れた。 ここから先の指標として、とりあえずこの草を食べてみることにする。 人間の頃の食事など出来ないだろうし、これが食べれないのだったら俺はこのままのたれ死ぬだけだろう。 どうせゆっくりになったのだから、ゆっくりを楽しんでみるのも悪くない気もするし。 むしゃむしゃと口の中で何度か草を噛み、そのままゆっくり飲み込む。 (んー、可もなく不可もなく……って感じかな) 旨いと叫べるほどでもないが、吐き出すほどまずくもないく、これぐらいだったら普通に食べれるレベル。 追加で二つほど千切り食べ、ついでに水溜りで喉も潤すと体から来ていた虚脱感はすぐになくなった。 たったこれだけの食事で空腹感がなくなったことに、俺は少し驚かされる。 ゆっくりが食事を100%餡子に変換出来るという話は聞いていたが、ゆっくりはかなりの量を体に取り入れる。 だからもっとたくさん食べないとダメだと思っていたのだ。 (食事量じゃなくて食事してる=ゆっくりできるってことが重要なのかもな) 「ゆゆ!?みたことないゆっくりがいるよ!?」 「ん?」 プチ考察のようなことを俺が考えていると、後ろから声がかけられた。 振り返るとそこには若干痩せ形で帽子に傷があるが、おおむね元気そうなゆっくりまりさがいた。 「ゆっくりしていってね!」 「ん、あぁ。ゆっくりしていってね」 ゆっくりというのはまず、出会い頭にこの挨拶をするとかなんとか。 面倒だったがゆっくりになっている俺が変な行動を起こして攻撃されても困る。 人間なら簡単に対処できる相手でも今の俺はゆっくりなのだから。 「ゆゆ?なんだかゆっくりしてないね……」 「ん、そうか?これでも割とゆっくりしてるんだけどな」 普通に言葉を返したが、もしかしたら口調が普通のゆっくりと違うことを言っているのかもしれない。 だが見た目がゆっくりになったからといって、俺はこれと言ってゆっくりに合わせるつもりもなかった。 というか目の前のまりさみたいなしゃべり方するならこのまま制裁でもなんでもされて死ぬ方がマシだ。 あくまでも俺は俺のままでゆっくりを楽しみたいのだ。 だがそんな俺の気持ちはいい意味でまりさに通じず、痩せまりさはゆん?ゆん?と頭を振っていた。 だが結局これと言って何も浮かばなかったのか 「みたことないゆっくりだから、ふつうとはちがうゆっくりなんだね!」 と勝手に納得してくれた。 「だけど……こんなところにひとりでいたらゆっくりできなくなっちゃうよ?」 痩せまりさの言葉に、俺は辺りを見回してみる。 今の俺にはどのぐらい背が高いのかも分からなくなった木々が、辺り一面に広がっていた。 そんな中にポツンと開けた広場のような場所。それが今いる場所だ。 確かにこの辺りは隠れる場所が少なく、外敵に狙われる可能性が高いかもしれない。 まぁゆっくりにとっての外敵など俺は知らないし、たぶん森に住むすべてが外敵なのではないかと思うのだが。 「ゆー……そうだ!まりさのむれにあんないしてあげるよ!」 俺が黙っている間に、まりさの中では勝手に『孤独でかわいそうなゆっくり像』が形成されていたらしい。 別にそのことに関してはどうでもよかったし、群れに入る方が賢い選択だろう……普通のゆっくりなら。 「俺は見ての通り普通のゆっくりじゃないが、それでも大丈夫なのか?」 「まりさのむれはすごくゆっくりしてるむれだから、ゆっくりがすこしぐらいふえてもだいじょうぶだよ!」 俺の言ってることと返答の中身がズレているような気がしたが、誇らしげに体を伸ばす痩せまりさの気持ちを無下に扱うのも悪い気がするので、とりあえずはついて行くことにした。 群れに入れようが入れまいが、とりあえずはここから移動してから考えよう。 走り(歩き?)出したまりさのあとを追い俺も跳ねた。 「むきゅ、だめよ!」 群れの大体の成体ゆっくりを集め、さらに自分の横に護衛を二人従えた長ぱちゅりーが、俺を見据えながら告げた。 そんな長ぱちゅりーに、俺を連れてきた痩せまりさは抗議を口にする。 「なんでなの、おさ!ゆっくりをひとりだけなかまはずれにしちゃかわいそうでしょ!?」 必死に訴えるまりさに対して、群れの仲間達の視線は冷たい。 まぁ主な原因としては俺の見た目にあるわけだし、だから先にそう言っておいたんだが…… 「なぁ、長さんよ」 「む、むきゅぅ!?」 突然俺が声を出したので、長ぱちゅりーはびっくりした声をあげた。 長ぱちゅりーは得体の知れないゆっくりを追い出そうとすると同時に、かなり恐れていた。 見たこともないということは、そいつがれみりゃやふらんのような捕食種でないという保証もなかったからだ。 そのことに拍車をかけるのは、そのゆっくりの表情だ。 一見ゆっくりしているように見えて、他のゆっくりにはない何か別の『光』が籠っている。 とにかくそんなわけのわからないゆっくりを群れに置くわけにはいかなかった。 「この辺に住めるような場所ないかな?この群れの狩場の範囲の外で構わないからさ」 「……むきゅ?」 長ぱちゅりーは俺の言葉に、目を丸くしている。 てっきり俺がまりさに頼み込んで群れに入れて貰おうとしていたのだろうと思っていたからだろう。 「むきゅ……?むれにはいりたいんじゃなかったのかしら?」 「出来ればそのつもりだったけど、俺がいたらゆっくり出来ないみたいだし」 そう言って俺は隣で叫んでいた痩せまりさの帽子をポンポンと叩いて告げる。 「てなわけでさ、もういいんだまりさ。これ以上するとお前までこの群れに入れなくなるぞ?いいのかそれで?」 「ゆぅ、それは……でも……」 痩せまりさ的には群れにいる自分がゆっくりしているから、群れにいないゆっくりはゆっくり出来ないものだ、と思っているのだろう。 その優しい発言に本来なら感謝するべきところなのだろうが、俺にとってはどうでもいいことだった。 せっかくゆっくりになったんだし、ひたすらゆっくり出来ればそれでいい。 まぁぶっちゃけるとゆっくりの群れなんて全く持ってゆっくり出来ないだろうしな、って本音もあった。 「まぁできれば教えて欲しいなってだけなんだ。もしそういう場所がないなら自分で探すからどの辺までが狩りの範囲なのか教えてくれ」 俺の口ぶりに、全てのゆっくりが口を閉ざしてしまった。 奇異なものを見るようなその目は、俺の外見だけを見ていた最初とは違うニュアンスを含み始めている。 「……ゆ、わかったよ!まりさがおうちによさそうなばしょをおしえるよ!」 その沈黙を破ったのは、先ほどからちらちらとこちらを見ていた痩せまりさだった。 あれだけ言っておきながら群れに入れることが出来なかったことに、責任でも感じているのだろうか? そんなこと気にする必要はないのだが、まぁ家によさそうな場所を教えてくれると言うのだから余計なことは言わずに黙っておくことにしよう。 「んじゃ、よろしく頼むよまりさ」 「ゆ!ゆっくりついてきてね!」 ぽよんぽよんと跳ねていく二匹のゆっくりの後姿を、長ぱちゅりーは眺めていた。 あのゆっくりを、本当にこのまま行かせてしまっていいのだろうか?本当にこの群れへ敵意が無いのだろうか? 「おさ、あいつをこのままいかせてしまっていいのぜ?」 長ぱちゅりーの意図をくみ取ったのか、護衛のまりさがぱちゅりーに声をかけた。 その視線はあの二匹を鋭く捉え、命令さえあればすぐに攻撃をかけれるように身構えている。 他にも数匹のゆっくりが同じように身構えているのが見える。 「……むきゅ」 本音を言えば、長ぱちゅりーもあの得体のしれないゆっくりをせいっさいっしてやりたかった。 だが……先ほど感じた恐怖感が、長ぱちゅりーの決断を鈍らせる。 群れに影響がないなら無理にせいっさいっなどせずに関わらない方がいい。 恐らく、戦いが苦手な大多数の群れのゆっくりも同意見だと長ぱちゅりーは判断した。 「むれにめいわくをかけるようなら、せいっさいっするわ。でも、おとなしくしてるならかかわらないようにしましょう」 「ゆん、そうだね」 「あんないなかもの、かかわらないほうがいいわ!」 「めいわくかけてきたらせいっさいっだねー、わかるよー」 長ぱちゅりーの予想通り、群れの大体のゆっくりは関わりたくないと思っていたらしく長ぱちゅりーに同調する意見がほとんどだ。 「……わかったのぜ」 護衛まりさは腑に落ちないが仕方ない、と言いたげに自分の家へと帰って行った。 それに合わせるように群れの面々がそれぞれ散らばっていく。 その様子に長ぱちゅりーはほっと頭を垂れる。あのまま殺気立たれていたらどうしようもなくなるところだった。 (しかし……あのまりさもよけいなことしてくれたものね、まったく) お互い関わらず、といってもやはり限界はあるだろう。いつかは接点を持たねばならぬ状況になってしまうはず。 これからを思うと、口から中身が出てしまいそうになってしまう長ぱちゅりーであった。 「ゆ!ここがおうちによさそうなばしょだよ!」 痩せまりさが連れてきてくれたそこは、大きめの木の根っこに出来た空洞だった。 入口は一つだが中はどうやら木の根で複雑に分かれているらしく、覗きこんでも奥は見えない。 一見不便そうだが、外敵の侵入時に便利という利点になってくれるはずだ。 「ふむ、なかなか悪くなさそうな場所だな。感謝するぞ、まりさ」 「いや、まりさはそんな……ほんとうはむれにいれてあげれる、はずだったんだから……」 バツが悪そうに帽子を傾けてうつむく痩せまりさだが、俺はそんなこと全く気にしていない。 むしろ巣穴を探さないといけない手間をこうして省いてくれたのだから、感謝すらしている。 「気にしないでくれ、元から分かっていたことだ。それよりも……あの群れの狩りの領域や生活範囲を教えてくれないか?被ってしまうといらぬトラブルを招いてしまうからな」 俺の問いかけに、痩せまりさは全て親身に答えてくれた。 やはり気にするなと言われても群れに入れてあげられなかったことを気にしているのだろ。 だが俺にとってはどっちでもいい。今はただ情報が欲しかった。 「ありがとう、大体のことは分かったよ」 「ゆゆ、このぐらいならお安い御用だよー」 痩せまりさがおさげで帽子を取ると、その中からよく分からない虫を一匹渡した。 どうやら生け捕りらしく、ぴくぴくと痙攣してる姿は正直かなり気持ち悪かった。 「……これは?」 大体意味は理解していたが、一応聞いてみることにする。 「これはひっこしいわいだよ!あまりとれないむしさんだからゆっくりたべてね!」 「……すまないな、まりさ。実は俺は草しか食べれないゆっくりなんだ」 とりあえずの嘘で現状を回避しておくことにする。 こういうことにしておけば今度から同じようなことも怒らないだろうし。 「ゆ!?そうだったの!?」 俺の予想よりまりさは大げさに驚き、取り出した虫を仕舞いこんだ。 恐らく希少種のゆっくりでも草だけ食べるという種類はそうそういないだろう。 というか、言っている俺自身そんなゆっくりは聞いたことがなかった。 「あまり取れない虫なら、俺の分までお前がゆっくりと味わってくれ」 「ゆゆ、わかっ「ゆっ!見つけたのぜ!」 痩せまりさの返答が、突然中断させられた。 言葉のした方を見ると、あの時群れの長の隣にいたまりさがこちらへ向かってきていた。 「こんなところにいたのぜ……探すのに苦労させられたのぜ」 このまりさは痩せまりさと口調が違った。 強きな表情と後ろに部下を連れているところを見ると、なかなか人望を持った強いまりさなのだろう。 痩せまりさがそのまりさを見て怯えているところから見ても間違いないだろ。 「そこのまりさ!ゆっくりできないゆっくりをたすけるなんてなにをかんがえてるのぜ!」 護衛まりさから飛んできた言葉に、痩せまりさがびくりと震える。 まぁゆっくりというのは集団行動出来ないことを極端に嫌う生き物だ。 ここで逆らいでもしたら、ゆっくりできなくなることは確実だ。 だからこそ 「ち、ちがうよ……ゆ、ゆっくりできないゆっくりなんかじゃないよ……」 その言葉に俺は驚かされた。その気持ちは護衛まりさも同じだったらしい。 先ほどたまたま会っただけの謎のゆっくりに、なぜここまで親身になっているのか? 俺はそのことを考えていたが、どうやら護衛まりさは自分の意見に反論したということしか考えてないらしく 「ゆがあああ!!まりさに口答えするんじゃないのぜええええ!!!」 といきなりブチ切れて痩せまりさに体当たりを仕掛けてきた。 長ぱちゅりーの前では普通のゆっくりに見えたが、本性はかなりゲスなのかもしれない。 しかし痩せまりさには少し悪いが、自分がゆっくりとしてどの程度の強さなのかということを確かめる事が出来るチャンスだ。 痩せまりさを助けてやりたい、という気持ちも0という訳ではないし。 「まりさ、少し下がっていてくれ」 「ゆ?なにを……」 痩せまりさが俺の言葉に困惑しながらも素直に後ろへ下がる。 ちなみに体当たりを仕掛けてきたといってもゆっくりのスピードなので、このぐらいの会話をする余裕はあった。 (……あまり長くないけど大丈夫かな?) 長めに残したとはいえ、大した長さのないもみあげで本当に戦えるのかが一瞬不安になる。 (まぁ、俺が雑魚ゆっくりだとしたらこの先どうせ生きていけないだろうし構わないがな) 一瞬の不安を軽く流し、目の前にまりさをもみあげで受けとえみょうと試みる。 ガシッ 「……ゆ?」 目の前にまりさのアホ面がでかでかと広がる。 まりさ自身は前に進もうとしているのだが、何かに邪魔されて進むことが出来ない。 そのまりさの勢いを止めているのは俺のもみあげだ。 (か、かるううううう!?) あまりの当たりの弱さに、つい叫びだしそうになってしまった。 あんなスピードだがゆっくり基準では速い方なのかも、と思っていが……そんなことはなかったらしい。 耐えられなかったら両方で受け止めようと思っていたが、そんな心配もいらず片方で止められてしまった。 片方で止められるなら、もしかすると…… 「……よっと」 もう片方のもみあげも使い、まりさの両頬をがっちり抱えると、そのまま持ち上げてみた。 見た目の重量感とは裏腹にその体は簡単に持ち上がり、まりさに浮遊感をもたらす。 「ゆゆ!まりさはおそらをとんでるのぜ!」 ゆっくりが空を飛んだ時の固有台詞を叫ぶ護衛まりさだったが、周りの部下ゆっくりたちはゆわわと口を呆けさせている。 それもそうだろう。目の前のゆっくりはゆっくりでありながらゆっくりを持ち上げたのだ。 そんな光景を見たこともないゆっくり達が驚くのも無理はない。 「ゆぅ!さすがさいっきょうのまりさはおそらもとべるのぜ!」 そんなことに気付いていないのは空を飛んでいると信じている当人だけであった。 流石に持ち上げただけで喜ばせるのもなんなので、そのままそのまりさを思いっきり投げ飛ばした。 「おそらをとんでええええっ……ゆべぇっ!?」 投げ出されたまりさはしばらくころころと転がり、部下たちの隣あたりの木に頭をぶつけて止まった。 本来ならそれを止めるべき部下たちは、相変わらず呆けたままだ。 「い、いぢゃいのぜ……まりさにいったいなにをしたのぜ……」 あくまでも自分の力で飛んだと思っていたまりさは、突然の痛みに襲われ困惑している。 と、そこで周りの部下たちの意識がぽつぽつと戻ってきた。 目の前に転がってきた強いはずのまりさ。そのまりさを軽々と投げ飛ばした謎のゆっくり。 まだ意識が戻りきらないそいつらに、俺はとどめの言葉を投げかけることにした。 「お前らも、やるかい?」 そういいながら、俺はもみあげを振り一歩前に踏み出した。 「「「「ゆんやあああああ!?」」」」 そんな俺の姿に、部下ゆっくりたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。 我先にと走り出し、中にはこけながら進むゆっくりもいた。 そんな部下たちの姿に、護衛まりさはさらに困惑を深くする。 ただ一つ分かることは、目の前のやつが原因であるというただそれだけだ。 そこからくる護衛まりさの行動は一つ。 「ゆがあああ!!!しねええええ!!!」 そんな破れかぶれ気味に突っ込んできた護衛まりさに、俺は冷たい視線を向ける。 その視線は、後ろで見ていた痩せまりさが直接みなくても身震いするほどだった。 「ゆべぇええ……ゆげぶぅ……」 破れてほとんどなくなった帽子、ちぎられて短くなったおさげ、何度も叩き付けられてもう二度と跳ね回れなくなったあんよには、漏らしたうんうんとしーしーがこびりついている。 そんな到底ゆっくりできないような姿になっているのは、あの護衛まりさである。 (……少しやりすぎた……) そんなどう見てもやりすぎな護衛まりさの姿に、自分でやっといて少し引いてしまう。 あの後、何回かあしらっても「ひきょうなてでまりさをこうげきするんじゃないのぜ!このゲスゆっくり!」としつこく攻撃してきたので、少し酷めに攻撃してみたのだ。 そしたらなんだかそれが楽しくなって、どんどんやってたらこの有様だ。 途中から「やべで……ゆるじで……」などと言っていたような気がしなくもない。 「も、もうやめてあげてね……」という痩せまりさの言葉がなければ、もしかしたらもしかしていたかもしれない。 そんなボロボロの護衛まりさを、痩せまりさはよく分からない台車のようなものに乗せた。 『すぃー』という名前の人間で言う車のようなものらしい。 「本当に運ぶのか?そんなことするとお前が疑われて……」 そんな俺の言葉を遮り、まりさが答える。 「ゆ、だいじょうぶだよ!まりさがうまく説明しておくよ!」 こんなことをしたのは俺なのだから、本人がこう言う以上俺には何も言えない。 「群れの奴らから攻撃されたら、いつでも相談に来てくれよ?」 「ゆ、わかったよ!ゆっくりしていってね!」 最後に挨拶を残し、まりさはすぃーっと群れの方へ帰って行った。 あのまりさが心配だが、今群れに関わるのは得策ではない。 まぁ、たまには見回りに行って無事を確認するぐらいは……してもいいだろうか。 (はぁ……ゆっくりががゆっくりするってのも、大変だねぇ) 暮れてきた空を見上げながら、俺はゆっくりと呟いた。
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独自教材はおもにパソコンを利用した学習が可能なように、youtubeでの動画配信授業と、問題演習プリントを中心としたpdfの配信で行う。 この1年でまず、 ◎ 早慶の入試問題十五年分の解説授業と、データー ◎ リンガメタリカとアカデミックの文章を元にした問題演習 (SFCと同じ客観三択文法問題と客観四択正誤問題) ◎ リンガメタリカとアカデミックの文章を元にした小論文演習(日本語と英語課題文) ◎ 京都大学とSFCの小論文問題(日本語と英語課題文) の配信を管理人自ら行う。自らの問題演習で現役時代に間違えた部分もここで紹介し、復習する。smart.fmを利用した学習もできるようにする。 次に、少なくとも大学四年間で、 ◎ 初期教育の四年間 ○計算力や語彙力を鍛えるもの ◎ 後期教育の五年間 ○ 数学ⅠAⅡBⅢCの基本的な計算処理 ○ 英検準一級レベルの評論文読解 ○ 日本史・世界史・地理・倫理・政経と生物・化学・物理・地学 ○ 国語についても現代文は逆茂木文でも読解できる力 ○ 古文・漢文は文法から実践的な読解まで の教材と動画の配信を仲間と協力して行う。 a 成績評価を統一するため、定期テストを廃止して、全国統一試験を小学五年生から行い、客観内申書の導入に生かします。
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AK-47シリーズの一種と誤解されがちだが、実際には7.62mm×39を使用する以外に共通点はなく、ほとんど独自設計でより軽量で命中精度も高いアサルトライフルである。 弾薬以外の互換性がなく弾倉も専用の物を使用する。 リコイルを受け流しすぎるとジャムを起こしやすい。
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真・三國無双 ADVANCE 【しんさんごくむそう あどばんす】 ジャンル タクティカルアクション 対応機種 ゲームボーイアドバンス メディア 128MbitROMカートリッジ 販売元 任天堂 発売元 コーエー 開発元 トーセ 発売日 2005年3月24日 定価 4,800円(税別) プレイ人数 1人 セーブデータ システムデータ1個無双モードセーブデータ3個中断データ1個 レーティング CERO 全年齢対象 判定 良作 無双シリーズリンク 概要 ゲームシステム 戦闘の基本システム 基本操作 チャージ攻撃 無双乱舞 武器システム 戦場での大まかな流れ 移動パート バトルパート 登場武将 プレイヤーの強化 能力装着システム レベルアップ 成長アイテム 武器による強化 育てた武将に関して チャレンジモード 評価点 問題点 総評 余談 『真・三國無双DS』について 『バトル封神』について 概要 コーエー(現・コーエーテクモゲームス)よりゲームボーイアドバンス(GBA)向けに発売されたタイトルで、「真・三國無双シリーズ」、ひいては「無双シリーズ」の1つ。 本作の発売に関してコーエーと任天堂が業務提携を行い、販売は任天堂、流通やプロモーション展開に関しては両社の包括的な提携の元で展開された。 従来、プレイステーション2(PS2)等で発売されたシリーズタイトルは全て3Dで展開されていたが、GBAのスペックでは従来作のような3Dは無理があるため、シリーズ初めての見下ろし型の2Dアクションとなっている。 ちなみに、無双シリーズの任天堂ハード初進出作品、及び初の外注タイトルでもある。 ゲームシステム 戦闘の基本システム + クリックで展開 基本操作 十字キー プレイヤーの移動 Bボタン 通常攻撃 Aボタン チャージ攻撃 Rボタン 能力の装着 Lボタン 防御、(ダウン直前で)ダウン回避 L+Aボタン同時押し 無双乱舞(無双ゲージ最大時) チャージ攻撃 従来作同様に通常攻撃とチャージ攻撃を組み合わせて攻撃が可能で、チャージ攻撃の前に押した通常攻撃の回数に応じて繰り出すチャージ攻撃が変わる。 武将ごとに攻撃範囲は異なるが性能はある程度統一されている。従来はチャージ3にあった気絶効果が打ち上げだったチャージ2に移動しているが、技毎の役目も大きくは変わっていない。 本作ではチャージ技のタイプに対応した兵種に大ダメージを与えられ、使い分けることで迅速に敵を殲滅することが出来る。 また、後述する「能力の装着」により、チャージ技毎の性能が強化されていく。 チャージ 技タイプ 内容 チャージ1 突撃技 Aボタンのみ押すと、突撃しながら攻撃を繰り出す。弓兵に有効で、うまく使えば時間をぐんと短縮できる。 チャージ2 気絶技 B、Aの順で押すと、素早い攻撃で敵を気絶させる。コンボ始動に有効。気絶中は攻撃でダウンしにくくなり、チャージ4が多段ヒットする。 チャージ3 連撃技 B、B、Aの順に押すと連続攻撃(いわゆるチャージラッシュ)を繰り出す。槍兵に有効。止めを刺した時のコンボで能力ゲージを貯める際にも便利。 チャージ4 範囲技 B、B、B、Aの順に押すと、周辺の敵を吹っ飛ばす強力な攻撃。剣兵に有効。さらにパワーアップすると気絶させた敵に絶大な威力を発揮。 無双乱舞 無双ゲージが満タンの時に繰り出す完全無敵の連続攻撃。 従来作の無双乱舞と異なり、発動するとゲージを全て使用して決められた連続攻撃を一式繰り出すものとなっている(*1)。 無双ゲージは攻撃を当てるか、無双ゲージを満タンにするアイテム「老酒」を拾うかで溜めるのが基本となり、更にダメージを受けて体力ゲージが赤くなると時間経過で徐々に溜まるようになっている。 従来作のように任意でゲージを溜めることは出来ない。 従来作と異なり、ゲージが自動増加するための残体力量は「最大値に対して30%以下」となっている(*2)ため、レベルアップやアイテムによる体力最大値増加の重要度が高くなっている。 この状態では無双乱舞の威力が上がり「真・無双乱舞」になる。 武器システム 本作の操作可能武将は3系統の武器を使うことが出来る。 使用可能な武器系統は武将ごとに決まっており、移動パートや戦闘前の準備画面で入れ替えることが出来る。 武器系統ごとに熟練度が設定されており、移動パートで特定のマスに到達するかレベルが上がると熟練度が上がる。 熟練度が上がるとその系統のより強力な武器を装備することが出来るようになる。 武器には属性が設定されているものがあり、属性によって攻撃に様々な追加効果を得ることが出来る。 属性効果は後述の能力装着システムのうちの「勇猛」を装着することで強化される場合もある。 属性 概要 炎 チャージ技で敵を炎に包み、一定時間の持続ダメージを与える。 雷 チャージ技ヒットで放電連鎖することがあり、周囲にいる敵にも小ダメージを与える。 斬 チャージ技が敵兵を一定確率で即死させるようになる。敵将には効果なし。 氷 通常効果が敵を凍らせるようになり、ヒット時の仰け反り時間を大幅に増やす。チャージ技でも凍結するが、C1/C4を当てると凍結は解除。 烈 全攻撃が防御を無視してダメージを与える。 毒 攻撃した敵を毒に冒し、しばらくの間防御力を下げる。 武器は移動パートの特定のマスで拾ったりイベントをこなすこと、また勝利時に能力装着数に応じたボーナスとして入手することが出来る。 戦場での大まかな流れ + クリックで展開 戦闘は従来作のように広大な戦場を駆け回る形ではなく、プレイステーション・ポータブル版『真・三國無双』のエリア戦闘のようなシステムとなっている。 戦闘はプレイヤー・友軍・敵軍の順に行動順が巡り、ターンが来た所でそれぞれの状況に応じた行動を行う。 移動パート 戦場に配置されているマスにそって移動を行うパート。 移動は1ターンで隣り合った1マスのみ可能となっているが、既に通ったことのある連なったマスである場合のみ1ターンで2マス通る(戻る?)ことが出来る。 移動の代わりに、今いる場所のアイテムを探索することも出来る。 パート中、敵軍団がいるマスに移動するとそのマスにいる敵部隊とのバトルパートに移行する。 このパートでは戦況に応じて様々なイベントが発生し、それによって様々な影響が出るので、それらを踏まえた動きをする必要がある。 また、それ以外にも特定のマスに行くことで武器や能力アップアイテムなどを入手することもある。 バトルパート 移動パート中に敵軍団のいるマスに移動するとこのバトルパートに移行する。 敵部隊には人数が設定されており、それを全滅させることで勝利。逆にプレイヤーの体力が0になってしまうとそこでゲームオーバーとなってしまう。 一部例外を除いて、バトルパートの戦闘エリア端の方を入力し続けることで離脱することも出来る。 また、戦闘には制限時間が設定され、戦闘中は常に表示されている。 従来作と異なり、時間が0になってもゲームオーバーとはならないが、戦闘を終了した時の残り時間、厳密にはタイマー表示の色に応じて、その後に影響がある。 タイプ タイマーの色 概要 圧勝 白色 体力が僅かに回復し、更にプレイヤーから仕掛けた戦闘の場合は「ボーナス行動」としてもう一度移動出来る(*3)。シナリオにおいてはこれで勝利しないと先に進めないといったイベントが起こることもある。 勝利 赤色 白のタイマーのカウントが0になると移行。特別影響は無いが、体力回復とボーナス行動は得られない。 辛勝 紫色 赤のタイマーのカウントが0になると、残り時間が紫色表示の0で固定になる。プレイヤーが仕掛けた戦闘の結果がこれだった場合、次のプレイヤーのターンをスキップされてしまう。 なお、一旦交戦して戦闘離脱した敵部隊との再戦闘、伏兵部隊等の特殊な敵部隊との戦闘時はいきなりタイマー表示が紫で0と表示されていることがあるが、この場合に限っては辛勝ではなく勝利として扱われるのでターンをスキップされることはない。 前述の探索もこのバトルパートの画面で行う。この場合敵は出現せず、そのエリアにある回復アイテムを見つけることが目的となる。 登場武将 従来作に登場した無双武将の中から魏呉蜀は3人+隠し扱いの君主の1人の計4名ずつ、もう1人の隠しとして呂布の合計13名がプレイアブルキャラクターとなっている。 それ以外は一部例外を除いてグラフィックが一般武将と同じになっている(*4)が登場自体はする。 本作におけるプレイアブルキャラクターは下記の通りとなっている。 勢力 武将名 魏 夏侯惇 甄姫 許褚 曹操 呉 孫策 周瑜 孫尚香 孫堅 蜀 趙雲 関羽 張飛 劉備 他 呂布 また、プレイアブルキャラクターではないが、固有のグラフィックを持っている武将として諸葛亮、司馬懿、孫権、張角、董卓、袁紹がいる。 なお、一般武将のグラフィックが男のものしか用意されていないせいか、本作のプレイアブルキャラクターとなった甄姫と孫尚香以外の従来作で登場した女性武将は登場しない。 プレイヤーの強化 + クリックで展開 能力装着システム 戦闘中に敵を倒したり、とどめをさした敵にさらにコンボを決めたりすることで画面右下にある能力コンソールの中央にあるゲージが溜まり、最大になるごとにコンソールの周りにある6つのアイコンが時計回りに光る。 強化したい能力のアイコンが光っている状態でRボタンを押すことでその能力を取り付け、自身を強化することが出来る。 それぞれの強化は2段階までとなっており、2段階目を取り付けると対応したアイコンは灰色になる。 これによる能力強化はそのシナリオ(戦い)が終わるまで有効であり、次のシナリオに入るとまた1から溜め直しとなる。 アイコンの並び方は武将によって異なっており、その武将が得意としている能力は近い所に、苦手なものは遠くに配置されるという設定になっている。 一度装着した能力も「弓兵等の間接攻撃を受ける」・「連続攻撃の3発目以降を受ける」・「ダウンする」のいずれかで剥がされてしまい、再度ゲージを溜めて装着し直す必要があるが、剥がされた直後は攻撃を当てるだけでゲージを溜めることが出来るお助けキャラクターが登場する救済措置が取られている。 ただし戦闘エリア端付近で戦っていると、こちらが攻撃を仕掛ける前にあっという間に戦闘エリアを離脱してしまうことも少なくない。 能力 色 効果 突撃 桃色 チャージ1(突撃技)のヒット数や突進距離が上がる。 気絶 黄色 チャージ2(気絶技)による気絶時間が伸びる。 連撃 青色 チャージ3(連撃技)の攻撃数が増える。 範囲 緑色 チャージ4(範囲技)が連続攻撃になる。チャージ2で気絶させた敵にフルヒットする。 勇猛 橙色 武器に秘められた固有能力を引き出すことが出来る。攻撃力・防御力が上がったり、通常攻撃回数が拡張される等。 神速 水色 バトルパートでの移動速度を上昇させる。 レベルアップ 武将ごとの累計撃破数が一定値に達するとレベルアップとなり、武器の熟練度を含めた何らかのパラメータが上昇する。 熟練度は装備出来る3系統の武器全てが必ず同時に上がるが、レベルアップした時に装備している武器系統のみ上昇量が大きい。 上の能力装着の強化と異なり、レベルアップによる成長は恒久的なものとなる。 成長アイテム 移動パート中にパラメータをアップするアイテムや、今装備している武器系統の熟練度を上げるアイテムを拾うことがある。 レベルアップと同じく、このアイテムによる成長は恒久的。 武器による強化 武器の一部には、装備している間対応したパラメーターがアップする物がある。 強化されるパラメーターは攻撃力・防御力・移動速度。 なお、特定の武将が装備した時のみパラメーターがアップする武器もある(*5)。 育てた武将に関して 育成した武将はチャレンジモードを含めた全てのモードで反映される(*6)。 チャレンジモード 武将ごと(*7)のストーリーをプレイする無双モード、クリアしたことのあるステージを好きな武将でプレイすることの出来るフリーモードの他、3つの特殊なルールの元での記録を競うチャレンジモードがある。 前述の通り、このモードでも武将の育成結果が反映される為、用意されている種目は武将育成を前提として登場する敵は手強くなっている。 種目 概要 斬合 次々に出現する敵兵を体力が尽きるまでにどれだけ撃破出来るかを競う。一定数を撃破するごとにマップが切り替わり、時折敵将が出現したり回復アイテムを入手出来ることもある。 神速 敵兵100人を撃破するタイムを競う。 連覇 マップ上の敵を全滅させることで宝箱が出現。当たりなら次のマップ、ハズレなら前のマップに逆戻り。この条件下で如何に早くゴールに到達出来るかを競う。 評価点 無双シリーズの「一騎当千の爽快感」 スペックの問題があるため一度に画面に出て来る敵は5人まで。しかし無双シリーズを通じてのウリでもある「一騎当千の爽快感」はアクションや派手なエフェクトのおかげもあって十分に感じられるものとなっている。 複数の敵をまとめて吹っ飛ばしたりはもちろん、兵種に対するチャージ攻撃の使い分けが威力に直結するため効率的に倒すといったことも割合しやすい事も、また爽快感という面では助けになっている。 敵の矢を通常攻撃やチャージ攻撃で叩き落とす事が出来るようになった 従来作では矢を叩き落とす事が出来ず、ダメージを防ぐには避けるしかなかった(*8)が、本作はこれを普通に叩き落とす事が出来るようになった。 特にチャージ4の範囲技は攻撃範囲が広いほか、今作のチャージ攻撃は攻撃判定の時間がかなり長いため、技を出していれば自然に矢を防げる場合も多々ある。 (従来作の)ユニーク武器に当たる武器が入手しやすくなった 従来作では難易度「達人」や「最強」でなければ入手することが出来ず、育成出来る最大限まで育成してもなおアクションゲームが苦手な人にはあまりにも高い壁であった。 とはいえ本作でも流石に難易度「難しい」が前提になっているが、過去作のそれに比べれば大きく壁は低くなった。 加えて、一部の武器はイベントをこなすことのみが条件で、難易度はそれより下の「普通」「易しい」でも入手出来るものもある。 ちなみにバグなのか仕様なのかは不明だが、難易度に関係なく、あるシナリオで特定のマスに行くと全ての武器を入手出来る。 入手出来てもレベルアップして熟練度を上げないと装備出来ないし、武器の収集も本作のやり込みの1つでありプレイの楽しみを奪われてしまうようなものであるため、実行は自己責任で。 真・無双乱舞が出しやすくなった 前述したが、無双ゲージの自動増加と真・無双乱舞が発動する体力ラインが最大値の30%とそこそこに底上げされたので、一発逆転の可能性が成長に比例して増すこととなる。 セレクトボタンの簡易説明 プレイ中、武将や兵士の台詞や行動指示等が表示されている時にセレクトボタンを押すと、一部の難解な用語や本作に関連した用語、属性マークの説明、またほとんどの国名や武将、合戦名などに簡単な説明と読み仮名が表示される。 基本的に説明は国・武将・属性にのみ表示され、それ以外は読み仮名のみが表示されるのがほとんどとなっている(表示箇所によって例外あり)。 国や武将の概要は基本的に“『真・三國無双3』までにおけるシリーズ独自設定”となっている。 真・三國無双シリーズ自体が主に『三国志演義』をベースとし、一部に史実の要素を取り入れたものとなっているので、独自設定と言ってもまるっきり違うということもない。 しかし、(本作に限ったことではないが)一部武将や細かい設定などに史実や演義に無い要素や、それらに記述がある要素でもそれを拡大解釈したりなどのシリーズオリジナルの設定があるので、混同しないように注意してほしい。 無双シリーズでは例外的に、敗北した戦闘でもそこまでのアイテムや武器の入手・レベルアップなどが破棄されず、リトライへ持ち越すことができる。 1ステージのプレイがとかく長くなりがちな上、従来作の「ゲームオーバー(敗北・プレイヤー操作武将の戦死)時は成長も入手したアイテムも全て無効」という仕様では、本作の場合は失うものが多くなってしまいやすく、かつ後述の通りゲームバランスが不安定な部分が散見されることを考えると、この仕様だからこそ再挑戦出来るという部分があり、上手く噛み合っていると言える。 問題点 ゲームテンポが非常に悪い バトルパートに関して言えば問題は無いものの、移動パートの特に友軍・敵軍のターン経過が非常にもっさりしており、時間をいたずらに食ってしまう。 更に終盤ステージは何かに付け敵の援軍が出てきたり、プレイヤーターンでも1マス移動するごとに大量の敵伏兵部隊との戦闘が発生し、しかも場合によっては圧勝を収めないと先に進めなかったり絶対に勝てなかったりする状況も散見されるので、ゲームテンポの悪化に拍車を掛けている面もある。 間接攻撃を使う敵が強すぎる 矢の直撃で強化した能力を剥がされることもあるが、そもそも矢は見下ろし型の2Dアクションゲームではありがちだが、「壁などを無視して飛んでくる」上に画面外からも飛んでくるため、気が付くと矢を喰らって能力を剥がされていることもある。 また、諸葛亮や司馬懿のビーム、張角の火炎弾もやはり壁を無視して画面外から飛んでくる上に威力も異常に高く、加えて能力も剥がされてしまう。 特に司馬懿のビームは氷属性が付与されているため、運が悪いとビームの連発で凍り漬けにされたまま体力を0まで持って行かれてしまうこともままありうる。 そのため『真・三國無双2』まで同様に敵の間接攻撃の脅威度が高まっている。 一部ゲームバランスが不安定 中でも蜀陣営の第二章である長坂の戦いの曹操は明らかに調整ミスレベルの耐久力であり、そこを越えると今度はいくらこちらのレベルが上がっていたとしても急激に弱くなりすぎたりというものもある。 曹操自体のレベルが高い事もあるが、攻撃力はそれ程高いわけではない。しかし、防御力・体力がそのレベルを考慮してもなお明らかに高すぎる。本作の戦闘システム上、時間がかかるということは単純に不利である。更に曹操との戦闘は離脱することも出来ないため、状況次第では詰みに陥る危険も。 なお、劉備軍の勝利条件は「劉備の特定地点の到達」なので、曹操と戦闘する必要自体は無い。しかし、武将によっては配置の関係で曹操と交戦せざるをえない状況になる可能性があるため厄介なことになっている。 また、友軍と敵軍の部隊に関しては従来作通り士気によって戦況が動くのだが、こちらもまた敵の士気が開戦直後から異常に高く、初っ端から敵に蹂躙されかねない戦いも散見され、下手を打つとまともに介入出来ないまま総大将が撃破されて敗北ということも起こりうる。 余談になるが、本作は基本的に軍全体の士気が一括である。数値で表示されているのはそのためか。 ちなみにシリーズお約束の鬼門である虎牢関の呂布は、先述した長坂の曹操と似た傾向の強さ。本流シリーズよりは比較的早いやりこみ度で撃破することができるだろう。 繰り返しになるが、移動パートの仕組み上、主に後半ステージではほぼ毎回の圧勝が前提となるほど無茶なシチュエーションもしばしば。 フリーモードのプレイヤー武将の扱い 本作でのフリーモードにおいて、プレイヤー武将は例外なく既存の軍勢に追加される形となっている。 そのため、元々無双モードでプレイすることになる戦いをフリーモードでプレイする場合は確実に自軍に同じ武将が2名登場する(*9)ことになってしまう。 本作の性質上、プレイする戦いの総大将を選んでプレイし、それによってプレイヤー武将の体力が0になる以外のゲームオーバー要素を潰して難易度を下げるという、従来作に見られたプレイスタイルが当たり前に通用してしまうのも問題はあるのだが、せめて本流シリーズのような融通を利かせて欲しかったものである。 ちなみに、最近の真・三國無双シリーズでは自軍内で同じ武将がプレイヤーとNPCの2人いるということにならないよう、元々自軍に含まれている武将を選択した場合はその武将をプレイヤーが操作するようになり、それによって空いてしまった部隊の軍団長は代替の一般武将が受け持つようになっている。 これはこれで、総大将になる武将でプレイすると、なぜか一介の将に過ぎない一般武将の敗走で軍の敗北が決まってしまうため、どことなく不自然なものになってしまうが、同じ人間が自軍内に2人いるよりはマシだろう。 総評 結論から言えば、PS2等から大きくスペックが劣るGBAというハードにあってなお、無双シリーズならではの「一騎当千の爽快感」を存分に堪能出来る仕上がりとなっているゲームである。 発売当初はそれまでの作品と違う2Dで、1度に出現する敵の数もかなり少なく、そしてプレイアブルキャラクターも大きく減少してしまったという点が極端にネガティブな要素としてピックアップされて一部で批判されていた節もある。 だが、実際にプレイしてみると2Dであるからこそ出来る派手なエフェクト、敵も確かに1度に出て来る数は少ないものの、派手なエフェクトと相まって戦っているうちにそれを感じさせないような作りとなっており、PS2等のそれとはまた違った無双として十分な質を誇る作品であると言える。 ただし、敵の間接攻撃が強すぎる点やバトルパートや移動パートなどでのバランス調整不足が見られることもまた事実で、特に一部の敵武将が異常な強さを誇るため、アクションゲームがとことん苦手な人には辛い所も否めない(*10)。 とは言え極端にゲームバランスが不安定という訳ではなく、詰まっても強化の余地は十分にあるため、どうあがいても無理ゲーという域には達していない。 前述の士気差等もあって移動パートに関してもバランスの悪さの問題が散見されるが、そういったものに関しても何度か遊ぶことで効率的なルートを見いだせるため、出鱈目な難易度では決してないだろう。 携帯機だからこそいつでも出来る、そして2Dトップビューならではの今までの無双シリーズとはひと味違う一騎当千の爽快感を是非味わって欲しい。 余談 『真・三國無双DS』について 後に発売された『真・三國無双DS ファイターズバトル』だが、当初は本作にプレイアブルキャラクターやシナリオを増やし、戦況に応じて操作武将を切り替える・たくさんの群がる敵を薙ぎ倒すというゲームデザインで作られ、スクリーンショット(*11)も公開されていた。 それ故に期待する意見も多かったのだが、実際には出てきたものはそれらとは全く別物であり、ゲームとしての内容も非常に粗が多い仕上がりとなってしまったため、「どうして初期のままの路線で作らなかったのか」といった不満が多く噴出する事となった。 『バトル封神』について 本作の発売される前、2002年3月29日にニンテンドーゲームキューブ向けに発売されていた『バトル封神』というゲームがあるが、このゲームは無双シリーズのゲーム性と非常に似たものとなっている。 そのため、概要に書いた通り本作は任天堂ハードに初めて発売された「無双シリーズ」ではあるが、「無双系アクションゲーム」という意味では既に任天堂ハードに発売されていたとも言える。 余談になるが、同時期にGBA向けに発売されていた『マジカル封神』とGBAケーブルを用いたデータリンク要素がある。 バトル封神は同年11月16日にPS2向けに『超・バトル封神』のタイトルで追加要素を用意して発売されている。
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ゆっくりに関係する怖い話3話 7KB 悲劇 ギャグ 理不尽 自業自得 仲違い 誤解・妬み 自滅 希少種 現代 虐待人間 独自設定 虐待お兄さんが殺害される タイトル:虐待お兄さん連続殺人事件 作者名:蛇足あき ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 俺が語るのは、とある連続殺人事件についてだ 有名だから知っている奴も居るかも知れないが……ま、聞いてくれ 199X年の某県某市に、虐待お兄さんの組織があったんだ 組織っつっても、ゆっくりんぴーすのようなでかい組織じゃない ただ気があった仲間が、ただ集まっているだけ ネット上だけでしか知らないって人同士もいたから、どんな組織かは大体想像がつくだろう? 簡単に入会も脱会も出来るし、警察やらなんやらに捕まっても一網打尽とはいかない そんな組織だ ある日の事だった…… その組織に所属している虐待お兄さんがさ、希少種を手に入れたんだ 少なくとも、そのお兄さんを知っている奴からすれば、到底手に入るはずが無いゆっくりさ 仲間内に自慢してたね。そのお兄さんは 当然、仲間達はいろいろな虐待方法を提案した だけど……それが問題だったんだ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『どれもこれも面白くないな』 そのゆっくりを手に入れたお兄さんは、そう言ったんだ これが、すごい腕前のお兄さんだったら、誰もが怒りながら納得しただろう だがそのお兄さんの虐待は、下手って言い方も変だけど、本当に下手だった 手加減をミスって殺すわ、いつもいつもヒャッハー!なんて叫ぶわ、虐待と言うか、ただ暴力を振るうだ けだわで、皆が皆 『お前が言うな!』 って怒ったのさ そしたらそのお兄さん、躍起になってさ 『自分だけで虐待してやる!お前達には詳細を教えないからな!』 なんて言って、帰ってしまった 残されたのは、不安がるお兄さん達 とても貴重なゆっくりが、あんな自分勝手な人間に虐待されていいのか? そもそも、普段から問題を起こすような奴が、虐待する前にポカして捕まる可能性は無いのか? 俺の方が、うまくそいつを虐待できるのに 俺が虐待したいのに お兄さん達は、全員が全員、そう思ったはずだ ま、そうなれば、次に何を起こす奴が現れるか 解るよね? そのお兄さんと近かったお兄さんが、お兄さんを殺したんだ。ゆっくりを奪ってな ええい、ややこしい ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 翌日は大変な騒ぎさ 仮にも問題を起こす虐待お兄さんとはいえ、当然ながら近所にはそれ並に顔が知れている 金品も奪われて居ない、ただ殺されただけ 手口は乱暴で、まるで殺人だけが目的だったよう 警察も本格的に捜査する事になって、周りの一般住民は、殺人犯が現れないかと不安がった そんな人達の輪の外で、ゆっくりを奪ったお兄さんは、ひたすら喜んでいたんだ 自分がこのゆっくりを虐待できる それだけが、このお兄さんにあったんだ とはいえ、そうゆっくりもしてられない 何せ色々証拠を残していたからね このまま警察に捕まったら、ゆっくりも証拠品として押収されるかもしれない 直に虐待しないと とはいえ、そうそう簡単にすばらしい虐待アイデアが沸くなんて事は無い そんな時、そのお兄さんの家に誰かが入ってきたんだ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 翌日、騒ぎは更に大きくなった 近くに住んでいた虐待お兄さんが、殺されたんだ 警察が事情聴取にそのお兄さんの家を訪れた時には、既にむごたらしく殺されていた 何者かと争った形跡があり、とても自殺とは思えない死に様から、連続殺人事件と考えた 当然ながら、警察は更に本腰を入れるし、近隣住人は更に怯える でも、やっぱり1人だけ、喜んでいる虐待お兄さんが居た その虐待お兄さんを殺したお兄さん……ややこしいけど、ゆっくりを奪ったお兄さんを殺して、ゆっくり を奪ったお兄さんって事だ やっぱりややこしいな このお兄さんは、やっぱりそのゆっくりを虐待したかっただけだったんだ だから、最初のお兄さんから何とかして譲ってもらおうと……どうしても無理なら殺してでも奪おうとし ていたけど、偶々違うお兄さんが殺害して奪ったのを目撃してしまった それでこのお兄さんも、その奪ったお兄さんを殺害して、奪ったって事さ とはいえ、世間では連続殺人事件と断定されてしまった こんな時に疑われる行動をしたら、やっぱりこのゆっくりを虐待できないだろうと考えた とりあえず、ほとぼりが冷めるまでは虐待を止めようと考え、ゆっくりに餌をやって眠ったんだ そんな夜、そのお兄さんの家に、誰かが侵入した…… ま、ここまで言えば解るよな 別の虐待お兄さんが、そのゆっくりを奪って、お兄さんを殺したのさ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 結局、そのゆっくりをめぐって、あれよあれよと殺人が続いた 連鎖は止まらず、あまりにも阿呆な虐待お兄さんしかいなかったのか、次々と他の虐待お兄さんに殺され ていって、その度にゆっくりが奪われていく 警察は最初、虐待お兄さんが殺され続けた事から、ゆっくりんぴーすの過激派かと考えた とはいえ、あまりにも杜撰な殺人が続くと、証拠も次々と見つかる ルールにも気付いたって訳だ そうなると話はあっさりと片付く また奪った虐待お兄さんの家に、強制家宅捜査の令状がおりた 連続殺人犯の犯人としてね そのお兄さんの家に踏み込むと、今度は間に合ったのか、別のお兄さんがそのお兄さんを殺している最中 に出くわせた 当然、虐待お兄さん1人と警察数人じゃあどっちが強いかなんて、簡単に分かるだろう? あっさりと捕まり、ただ 『あいつを虐待させてくれ!!!』 そんな場違いな事を喚くお兄さんを、連れて行ったんだ 警察としては、このお兄さんを連続殺人犯として捕まえた なにせ世間を安心させないといけない。もう起こる筈もない殺人で、一般人を怖がらせる必要は無いから ね。最後の虐待お兄さんには悪いが、無実の罪も被って貰うって事になったのさ 弁護人も呼ばれずに、そのまま終身刑が下って、一連の殺人事件は幕を閉じました ってオチ ああ、それと。そのゆっくりだけど 警察が保護した時に、死んでしまったらしいよ 『めどい』 って言ってさ ゆっくりてるよが、次々と住処を変えさせられたんだ そりゃー、ゆっくりは出来なかっただろうね 結果的には、虐待に成功してたってオチだ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 怖くない? まるで落語? そう思うのも無理は無いかもね でもね、冷静に考えてごらん? そんな考えはおかしいんだよ どうしてだって? 本気で分からないのかい? だって、この事件で死んだ人間は、両手で数え切れないんだよ? たった一匹のゆっくりを、自分で虐待したい そんな、自分勝手な感情で、仲間だった人間の家を荒らして、殺人と言う罪を犯して、殺される それを罪と認めずね そんな精神異常者の話を、笑い話に捉えてしまったのは、ちょっと常識外れじゃないかな? それにもう1つ どうして虐待お兄さん達は、てるよを手に入れたお兄さんの家が分かったと思う? 最後の警察だって、一連の事件を調査した末に、ようやく判明したんだから そんなに都合よく、てるよを虐待する前に次々と起こると思うかい? そして誰もが、犯人が分かってたのに説得も通報もしなかった…… いくら希少ゆっくりとは言っても、そんな風に虐待お兄さんを操る事はできない筈…… もしそれが出来たとしても、それなら最後までゆっくりできなかったなんて……おかしいよね? ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ま、それで俺の話はおーしまい」 「はい。ありがとうございました」 さっきの話とは反対に、明るい……ってのも変だけど、話だったな しかし言われた言葉 『ちょっと常識外れじゃないかな?』 冷静に考えれば、確かにおかしいな…… いくらなんでも、人の死をコントだって思ってしまったなんて…… 「怖いお兄さん達ね……」 「怖いと言うか、閉鎖されたコミュニティが問題だったんじゃないか?」 「別に閉鎖された雰囲気は感じなかったけど……」 「まあ、怖いのはこれが自然に思うかもしれないって思った俺達の精神状態って奴だな」 「そう、本当に怖いのは人間の心の闇なのだ……」 「そんな定型句で閉めないでくれよ」 語った人が笑いながら言う 「そうですよ。まだ私も語っていませんから」 「とすると、次は君かな?」 「はい。いいですかね?」 「僕としては問題ないよ」 「同感ね……貴方は?」 「俺はもう少しだけ……」 「だな」 「じゃあ、準備をしますから少しだけ待っていてください……」 テープを変えて、新しい頁を捲る 「どうぞ」 「はい。では、語りますね」 4番目の話が、向き合った相手の口から語られる ゆっくりが不幸になった話 ゆっくりに関わって異常者になった話 今度はどっちだろう? それとも、全く別の話になるのだろうか? ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「私が語るのは、とあるゆっくりの群で起こった、たたりの話です」 第4話 『ゆっくり地蔵の祟り』へと続く…… 蛇足あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る くだらなさすぎる -- 2012-07-19 23 38 12 うむ -- 2011-02-17 20 43 27
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独自クエスト 旧支配者への捧げ物 職専用装備作成クエスト
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ゆっくりばけてでるよ!後日談 7KB ※『ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ!』 の続きですが、一応単体でも読めるように書いているつもりです ※『ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ!』で以下のようなコメントをいただいたのに触発されて書きました しかしここで疑問が一つ。なぜ店で売っている間にとりつかないんだろうね? ある程度対象が熟成しないと取り付けないのかしら? ※独自設定垂れ流し 「ゆ! おまんじゅうさん……!」 夏を過ぎ、秋も近づいた9月の初め。 親れいむとその子れいむ二匹のゆっくり一家が人間の家にやってきた。 ガラス越しに見える家の中、皿に乗った二つの大きなお饅頭が見えた。 「ゆうう! あみゃあみゃー!」 「じゃまながらすしゃん! ゆっくちどいてね!」 子れいむがわめくが、その饅頭を食べることは出来ない。家はきちんと戸締まりされてい るのだ。 親れいむは眉をひそめる。 このゆっくり一家、夏の暑さはどうにか乗り切ったようだが、そのやせ細った身体からす ると消耗しきっているのは明らかだった。もういつ「永遠にゆっくり」してもおかしくな いような様子だ。 食べ物を求めて町をさまよい歩いていたが、そろそろ限界だった。 親れいむが目を細め、ぐっと口を引き締める。その瞳には決意の炎が宿っていた。 「おちびちゃんたち! あのおまんじゅうさんをじっとみるんだよ!」 「ゆうう……おまんじゅうしゃんおいしそうだよぉぉぉ……」 「たべちゃいよぉ……」 親れいむに言われるまでもなく、子れいむたちは饅頭を凝視していた。よだれを垂らさん ばかりの様子だが、しかし実際によだれは出ない。もう子れいむたちにはそんな余裕すら ないほど消耗しているのだ。 そんな子れいむ達に、れいむは決然と告げる。 「あのおまんじゅうさんはおちびちゃんたちなんだよ!」 あまりにもわけのわからない言葉に、子れいむ達は目を丸くする。 「ゆうう!? どぼぢでぞんなごというのぉぉぉ!?」 「れーみゅたち、おまんじゅうさんじゃないよぉぉぉ!」 子れいむ達の抗議に、しかし親れいむは動じない。 「そんなことないよ! みてごらん、おちびちゃんたち! あのおまんじゅうさん、とっ てもゆっくりしてるよね!?」 言われ、子れいむ達はこれまでと違った視点から饅頭を見つめる。食べ物としてではなく、 ゆっくりの至上の価値観「ゆっくりしているかどうか」、という視点で見る。 確かに家の中の饅頭はとてもゆっくりしているように見えた。 夏の盛りも過ぎ、最近は風を冷たいと感じることもあった。人間の家の中ならそんな風が くることはなく、雨の心配だってない。 今の子れいむ達は、さんざん町中をはいずり回りお肌もおりぼんも薄汚れている。しかし 家の中の饅頭はきれいでもちもちしている。 親れいむの言うとおり、家の中の饅頭はとても「ゆっくり」していた。 「ゆゆ~ん……まんじゅうしゃん、とってもゆっくちしちぇるよぉぉ……」 「れーみゅもあんなふうにゆっくちしちゃいよぉぉぉ……」 饅頭のゆっくりさに見とれる我が子達に、れいむはゆっくりとした笑みを浮かべる。 「そうだよ! まんじゅうさんはゆっくりしているよ! でも、おちびちゃんたちだって とってもゆっくりしているよ! だからあのまんじゅうさんは、おちびちゃんたちなんだ よ!」 滅茶苦茶な親れいむの理論だった。筋が全く通っていない。しかし、そこは「ゆっくり」 という言葉一つで成り立つ不思議饅頭。 子れいむ達はうっとりと、自分を家の中の饅頭と重ね合わせた。それはとてもゆっくりで きる妄想だった。 母親はそんな子れいむ達を眺めながら、ゆっくりと後ずさった。 そして、 「おちびちゃんたち! ゆっくりしていってね!」 最後の力を振り絞り飛び上がった。子れいむ達は反応する暇もなく親れいむにのしかから れ、悲鳴を上げることもなくぺしゃんこに潰れた。 親れいむは折からの栄養失調とボディプレスの衝撃で動けなくなった。もう「永遠にゆっ くり」するのは時間の問題だろう。 だがその顔には死に対する恐怖も、たった今子れいむ達を殺したことに対する罪悪感もな かった。ただゆっくりとした満足げな笑みだけがあった。 「これでおちびちゃんたちは、おうちのなかでゆっくりできるよ……」 この親れいむ、実は一度死んだことがある。 それは暑い夏のある日のこと。親れいむは、自動車に轢かれた。 タイヤで潰されペシャンコになった自分の身体を見て、親れいむは自分がひどくゆっくり できない状態――すなわち、霊魂――になったことを自覚した。 霊魂になった親れいむはふらふらとさまよい、ふとある家の中にある饅頭を見た。 とてもゆっくりしていると思った。 暑い夏の日射しにさらされることなく、ぱさつかずもちもちした饅頭。家の中には人間が いない。きっとあの家は饅頭のゆっくりプレイスに違いない。 ゆっくりしている。ゆっくりしたい。あの饅頭が自分だったらいいのに。 いや、ゆっくりしているのだから自分かもしれない。 自分であってほしい。 むしろ自分に違いない。 自分があの饅頭だ。 でも自分は饅頭じゃない。 したがってあれは饅頭じゃない、ゆっくりれいむだ! ゆっくりしていってね! そう考えたとき。れいむは饅頭にとりつき、あらたな命を得た。饅頭がゆっくりに化けた のである。 それからいくつもの偶然の結果、れいむは再び町中で野良として暮らすようになった。つ がいのまりさと出会い、子れいむ二匹を授かったのはその後だ。 慎ましいながら幸せな野良生活。しかしある日、まりさが帰ってこなくなった。事故か浮 気かは判然としないが、いつまで待っても帰ってこない。 穏やかな生活は一変して過酷なものとなり、その末にたどり着いたのがこの戸締まりのち ゃんとした家だった。 もうあまり動けない。限界を迎える前に食べ物を見つけることもできそうにない。 そこで親れいむが考えたのは、自分と同じように子れいむ達を霊魂とし、家の中の饅頭に 乗り移らさせることだ。 そのために子れいむ達に家の中の饅頭を見つめさせ、そして命を奪った。 心が痛んだが、親れいむは確信していた。きっと子れいむ達は饅頭に乗り移り、ゆっくり できるはずだ。もうじき家の中の饅頭達は髪を生やしおりぼんをつけ、元気に動き出すに 違いない。 だが、親れいむにそれを見届けることはできそうにない。もう力つきそうだ。そして、家 の中の饅頭は二つ。親れいむの乗り移れる分はない。 「おちびちゃんたち……ゆっくりしていってね……」 我が子のゆっくりを願い、親れいむは永遠にゆっくりした。 「うわ、また死んでる」 れいむ一家が永遠にゆっくりした家の庭先。帰ってきた家主の男は、永遠にゆっくりした れいむ達を心底うんざりといったように見た。 「やれやれ。またか。なんだか最近多いな。盆は盆で饅頭がゆっくりになるし……」 この町では盆の頃、家の中の饅頭がゆっくりになるという怪現象が多発した。それも不思 議なことに、家にある饅頭だけがゆっくりになり、店先で売られている饅頭がそうなるこ とはなかった。 それについては諸説様々だ。 ゆっくりは思いこみのナマモノ。だから、売られているものはお菓子だと認識しているか らゆっくりにならない。 あるいは、おうち宣言に代表されるように人間の家を自分のおうちだと思いこむ。その結 果、家の中にある饅頭を自分だと思いこんでなるのではないか。 ただはっきりしていることは、饅頭がゆっくりに変わるとき、近くでゆっくりが死んでい るという事実だけだ。盆という時節から、ゆっくりが饅頭にとりついて化けて出ているの ではないか、なんていうオカルトチックな噂も広まった。 なんにしろ、そんなおかしなことが起きたのは盆の間だけ。九月に入ってからは一度もそ んなことはなかった。 男はふと、れいむ一家の死体を片づけながら、妙なことに気がついた。 大きなれいむが小さなれいむ二匹を押しつぶしているのだ。大きなれいむの方はこれと言 った外傷が見られない。 いったい何があったのだろう。つかの間思いを馳せ、しかし最後に男は笑い飛ばす。 「なんにしても自滅だろ。こいつら、自滅するために生きてるようなもんだからな」 ほうきとチリトリでざっと餡子をかき集めて捨てたあと、ざっと水を流す。 そうすると、れいむ一家のいた痕跡はなにひとつなくなった。 もちろん、家の中の饅頭がゆっくりに化けることなどなかった。 了 by触発あき 過去作品 『ふたば系ゆっくりいじめ 163 バトルゆ虐!』 『ふたば系ゆっくりいじめ 172 とてもゆっくりした蛇口』 『ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ!』 過去作品一覧は下記作品に収録 『ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね!』 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓↓ お前が馬鹿だろ雑魚ww -- 2014-09-24 00 35 12 ↓↓↓↓ 天国の住人「ヒャッハー!汚物は消毒だああ!」 ゆっくり「ゆんやああ!ゆんごくにきたはずなのに、ゆっくりできないぃぃ!」「やっぱりもとのせかいにかえるのぜ…」「「「ゆ…そうだね…」」」 -- 2014-03-13 00 14 54 これはお盆じゃないからかな? -- 2013-05-11 11 03 48 子ゆに霊魂なんか理解したかすら確認せずに殺したのか、馬鹿じゃねーの -- 2010-12-24 15 43 43 こんな糞饅頭哀れんでやることないよ。 -- 2010-12-14 10 02 04 ゆっくりにも霊魂があるならあっというまに、あの世が満タンになっちまうな。 しっかし哀れな親子やね。 -- 2010-08-25 20 13 05
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※独自設定垂れ流し。 ※同様のネタ多数と思われます。「これはすでに~~が通った道だよ!」といわれても 仕方ない…。 ゆっくり研究では他の追随を許さない加工所。ゆ害対策から新ゆっくり製品まで幅広いラインナップ で評判を得ていた加工所も、時代の流れには逆らえない。ついにエコ分野での活躍を要求され始めた のだ。 「エコを目指す加工所」 必殺引篭り人 加工所が目をつけたのはゴミ処理。コンポストなどでゆっくりの活躍ぶりは有名ではあるが加工所は 一味違う。もっと大掛かりに、しかも幅広いゴミを対象にやろうというのだ。 さすがに加工所は大きくなりすぎているため、ゴミ処理専門の新会社を自治体と共同で立ち上げ、 そこで行うことにした。もちろん技術指導は加工所が行う。 では施設の内部を見てみよう。 処理室はパイプが垂直に立てられ、それが円形に並べられている。パイプの1本1本は終端に ゆっくりがついている。ちょうどパイプにぶら下がっている形だ。 ゆっくりはパイプをくわえるように口をあけさせ、くちびるにあたる部分が接着されている。 このためパイプにゴミを入れると強制的に口の中へと入っていくのだ。 これだけだとゴミのにおいや味を嫌がるゆっくりは必死に抵抗して食べない。そこでゴミ処理場では ドスまりさを使った強制むーしゃむしゃ処置を行っている。 ゴミをパイプに投入されると、ぶら下がったゆっくりはのどを閉じて必死に耐える。 (むぎゅ~!けんじゃはこんなくさいものはぜったいたべないわ!) (れいむはしんぐるまざーなんだよ!こんなくさいものはたべたらだめなんだからね!) (むりやりたべさせるなんてとかいはじゃないわ!) (まりさはおいしいものじゃないとたべないよ!さっさとこのごみをどこかへすててね!) もちろんパイプをくわえ込む形なので、実際にはむーむーと騒ぐだけである。 ここで別の声が聞こえてくる。 「ユユッ!?ミンナガユックリデキテナイヨ!ドス!ミンナヲユックリサセテアゲテネ!」 ゴミ処理場が用意したテープが流れているのだ。パイプの集合体の中心にはひときわ大きなパイプが 存在する。そのパイプには、ドスまりさが接着されている。ドスまりさは巨体のため、あんよを支える ようにドーナツ状の支柱が用意されており、パイプから直接吊り下げられているほかのゆっくりとは 待遇が異なる。テープはこのドスまりさに大して流されているのだ。 (ゆゆっ!?みんなゆっくりできてないよ?いまどすがゆっくりさせてあげるからね!) ドスまりさはテープに対して何の疑問も抱かない。それもそのはず。ドスまりさは中枢餡を少し削られ、 頭の足りない状態にさせられているのだ。 そしてドスまりさはゆっくりオーラを放射する。 (…ゆゆっ!?なんだかゆっくりしてきたよ…。) (…むきゅー…、ゆっくりできるわ…。) ゆっくりし始めるゆっくり達。ゆっくりすると口の中に何が入っていたかも忘れ、そのままむしゃむしゃ と食べ始めた。 (…むきゅー…、こんな…もの…、たべたく…ないのに…。むーしゃむーしゃ…) (れいむは…しんぐる…まざーだよ…。むーしゃむーしゃ、ふしあわせー…) (…ゆっくり…したくないよ…。むーしゃむーしゃ…) ドスまりさのゆっくりオーラで強制的にゆっくりさせられ、反射的に口の中のものを食べてしまう ゆっくり達。 (ゆーん!みんなゆっくりしてるよぉ!そうだよね、こんなおいしいものたべてるんだもの!) ドスまりさは頭が足りないため疑わない。長期にわたりゆっくりオーラを出してもらうため、 ドスまりさだけにはレストラン等から回収した残りものの野菜(新鮮なもの)を厳選して与えられて いるのだ。 ドスまりさはそのような野菜が全てのゆっくりにも与えられていると勘違いしている。 しかしただのゆっくり達に与えられるのは腐りかけの生ゴミ、街中や公園の清掃で集められた落ち葉、 木材をチップ状にしたものなど普通であれば一切食べないようなものばかり。それを強制的に食べさせ られる日々。当然ながらゆっくりの寿命は短い。 今、一匹のれいむが寿命を迎えたようだ。ゆっくりは死ぬと皮のもちもち感がなくなり、もろくなる。 パイプに接着された部分がちぎれ、れいむは下へと落ちていった。 下では大きなミキサー状の機械がれいむを迎えた。ゴミを食べた他のゆっくり達はうんうん、しーしー をする。それらとともにれいむは粉砕され、餡子液へと姿を変えていった。 ゴミ処理場ではこのようなパイプ群が複数存在する。それはゆっくりによる餡子変換にも限界がある ためである。一回だけの餡子変換では完全に消化できなかったり、有害物質が残留するのだ。 そこではじめのパイプ群(以後、第一フィルタと呼称)が出したうんうん、しーしーを液状にして 第二フィルタへと供給する。生ゴミ程度であればこの第二フィルタを通せばほぼ完全に餡子へと 変換されるが、有害物質が多い工場排水などは複数段階のフィルタによる餡子変換を行う。 なお生ゴミや木材チップなどはまだご馳走の部類である。最近では屎尿処理までゴミ処理場で手がけて いるのだ。強制的に屎尿を飲まされる第一フィルタのゆっくり達は当然ながら寿命が極端に短い。 それだけストレスのかかる処理ということだ。 どのようなゴミ処理でも最終段階は同一である。うんうんやしーしーの穴を小麦粉でふさがれた ゆっくりをパイプに接着したものが最終フィルタである。 ここのゆっくりは餡子液(実際には前段階までのゆっくりが出したうんうん、しーしー、そして死骸) をたくさん摂取できるため、動けないにも関わらず非常にゆっくりとした表情である。 (ゆーん!うごけないけどあまあまがたべほうだいだよ!やっぱりれいむがかわいいからだね!) (あまあまがたくさんなのぜ!さっさとつぎをもってくるのぜ!) 食べる一方で出すことはないため、どのゆっくりもでっぷりと太っている。そのためドスまりさと 同じようにあんよをささえるドーナツ型の支柱が用意されている。 規定以上の重さになるとゆっくりはパイプからはずされる。体を支えていた支柱が下がり、自重に よりパイプに接着していたくちびるが千切れる。痛みで叫びながら、下に用意された透明箱へと ゆっくりは落下していく。 透明箱の中で罵詈雑言を叫び続けるゆっくりが運ばれるのが「糖化処理室」。ベルトコンベアに乗せられ たゆっくりはここで頭に電極を刺される。頭の痛みで罵倒が最大級にヒートアップした次の瞬間、 ゆっくりは凍りついたように叫ぶのをやめた。唖然とした顔で停止し続けるゆっくり。そしてそのまま 死を迎えた。 ここで行われるのは加工所の発明品、「餡電位多重再生装置」によるゆっくりの体内の糖分増加処理。 この装置のおかげで無駄な手間をかけずに高効率で糖を作り出すことが可能になったのだ。 ゆっくりは何かを感じると体内の餡子に信号が走る。加工所はこの信号を捕らえることに成功したのだ。 そして電気刺激により体内信号を模倣するシステムを開発した。それが「餡電位多重再生装置」なのだ。 糖化処理室でゆっくりに与えられるのは、最大級の虐待を受けたときの餡電位。しかも複数の異なる 餡電位をミックスして投与されるのだ。それが多重再生である。 処理室の中で、ゆっくりは「あんよを焼かれ」「アマギリされ」「おかざりを没収され」「おかざりを 目の前でバラバラにされ」「髪の毛を抜かれ」「体中に針を刺され」「死なないギリギリのところを 見極めて殴られ続け」といった数々の虐待が同時に投与される。さらにこの装置はそれら虐待を 短い時間に縮めて再生できる。ゆっくりは一瞬にして何時間にも及ぶ虐待を経験するのだ。 もうひとつこの装置の特徴をあげるなら、電位の増幅が可能ということだろう。これにより普通の 虐待が何十倍にも増幅されて感じられる。 複数の虐待を同時に、短時間に一気に経験する。しかも苦しみは何十倍。この処理によりゆっくりの 体内は限界まで糖分が増えるのだ。 ほとんど糖分のみとなったゆっくりは分離処理を施し糖液となる。これを発酵させることでバイオ エタノールを作り出すのがこのゴミ処理場である。今までは糖液にすることが難しかった木材や、 屎尿、落ち葉(銀杏の葉はフラボノイド類が多いため分解がとても遅い)などからも糖液が作れる とあって非常に効率が良いのだ。しかもゴミ処理場では燃やすことも無いので CO2 を出さず、 全ての機械はバイオエタノールによる燃料電池で動かしているためクリーンそのものである。 ゆっくりはゴミ処理場内の敷地で増産している。ビニールハウスの中で冬でも暖かくすごせる ゆっくり達はわが世の春を謳歌し赤ゆっくりを大量に作る。処理場内で自分達がたどるであろう 道筋も知らず、きょうもゆっくり達はすっきりに励んでいる。 加工所がエコやったらどうなるかな~、と考えたら同ネタ多数しか思い浮かばなかった。 自分の創造性の低さにヘコむ。 次回はバッジシステムを考察する予定です。36番あき様の漫画からインスパイアされる予定 です(また他人のふんどしかよ!)。 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 551 真実を知るということ ふたば系ゆっくりいじめ 544 モチモチを生かして ふたば系ゆっくりいじめ 509 おかされいむ ふたば系ゆっくりいじめ 464 ゆ身売買 ふたば系ゆっくりいじめ 387 れいむはよげんしゃ ふたば系ゆっくりいじめ 248 ゆっくりできない理由 ふたば系ゆっくりいじめ 216 子まりさの反乱 ふたば系ゆっくりいじめ 182 どすすぱーくをうつよ! ふたば系ゆっくりいじめ 177 人間の畑だと説得してみよう ふたば系ゆっくりいじめ 147 陰口 ふたば系ゆっくりいじめ 111 効率化の道