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Finale ゼロの使い魔コンプリートイラストコレクション 兎塚エイジ アートワークス 発売日:3月25日 全500点以上のイラストを収録した『ゼロの使い魔』画集が登場! 13年の時を経て、ついに完結を迎えた伝説のライトノベル『ゼロの使い魔』――。 そんな『ゼロの使い魔』の世界を彩ってきた、兎塚エイジ先生による全イラストを収録した、 『ゼロの使い魔』のもう一つの集大成となる画集が登場! 2007年7月放送開始。ゼロの使い魔の続編。Amazonインスタントビデオが配信開始。 第3期にゼロの使い魔~三美姫の輪舞~がある。 http //www.zero-tsukaima.com/ 監督 紅優 原作 ヤマグチノボル シリーズ構成 河原ゆうじ キャラクター原案 兎塚エイジ キャラクターデザイン・総作画監督 藤井昌宏 プロップデザイン 藤井昌宏 美術監督 廣瀬義憲 色彩設計 石川恭介 撮影監督 福世晋吾 2DCG 向井吉秀 編集 後藤正浩 音響監督 高橋剛 効果 今野康之 調整 小原吉男 録音 安部雅博 音楽 光宗信吉 アニメーション制作 J.C.STAFF プロデュース ジェンコ 脚本 河原ゆうじ 北条千夏 杉浦真夕 絵コンテ 鈴木洋平 中村守 藤原良二 上原秀明 三宅和男 佐々木皓一 福田道生 高田耕一 紅優 演出 鈴木洋平 高島大輔 橋本敏一 上原秀明 小林公二 佐々木皓一 秋田谷典昭 作画監督 藤井昌宏 棚澤隆 冷水由紀絵 冨岡寛 谷川政輝 清水裕美 山本篤史 大河原晴男 長谷川眞也 川上哲也 川田剛 宮下雄次 伊藤奈美 木野下澄江 Amazonインスタントビデオ ゼロの使い魔 双月の騎士 Ep. 1 "女王陛下のゼロ" 監督 紅優 再生時間 0時間23分 初公開日/初回放送日 2007年7月9日 提供 ゼロの使い魔製作委員会 ■関連タイトル ゼロの使い魔~双月の騎士~Blu-ray BOX スペシャルCD2枚付 Finale ゼロの使い魔コンプリートイラストコレクション 兎塚エイジ アートワークス ゼロの使い魔 ~Last Song from ZERO~ ゼロの使い魔 主題歌集 TVアニメ「ゼロの使い魔~双月の騎士~」サウンドトラック ゼロの使い魔 ルイズBEST 限定盤DVD付 「ゼロの使い魔~双月の騎士~」感じるCD ~ルイズ・キュルケ・タバサ~ ゼロの使い魔 双月の騎士 ルイズ水着Ver. 宮沢模型流通限定 ルイズ写真集 ゼロの使い魔 ~双月の騎士~ ゼロの使い魔ビジュアルコレクション 画集 兎塚エイジZeroゼロの使い魔イラストコレクション ねんどろいど ルイズ フィギュア・ホビー:ゼロの使い魔 原作小説 ヤマグチノボル/ゼロの使い魔 1巻
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影の使い魔 Shadow Familiars 出典 Secrets of Magic 228ページ 使い魔は、共生関係の中で自分自身を人間に結びつける。シャドウキャスターのウィッチ、特に夜の守護者を持つものは、影の力に精通している可能性が最も高い。他にも、影の血脈を持つソーサラーや闇の領域のクレリックなど、影の使い魔を持つものは他にもいる。 影の使い魔 Shadow Familiar アンコモン 影 出典 Secrets of Magic 229ページ 使用権 シャドウキャスターであること 必要能力数 7 与えられる能力 暗視、操作能力、主人形態、抵抗([氷雪]および[負のエネルギー])、影歩き 術者や儀式執行者の中には、使い魔を招来して拘束するのではなく、自分の影を使い魔に変えるものもいる。これらの術者は、その場所の光のレベルに関係なく影がないことや、身に着けている衣類や宝石が奇妙に落ち着いて見えることで識別できる。用心深い人や迷信深い人にヴァンパイアやその他のアンデッドと間違われることもあるが、それでもこれらの術者は、自分の影と使い魔の固有な能力とを交換する取引に価値を見出している。 影の使い魔は特定の使い魔の一種である。全てのシャドウキャスターはこの使い魔への使用権を持つ。影の使い魔を得るための適切な魔法を学ぶ別の経路もある。 影化 [one-action] Become Shadow 影 変成術 出典 Secrets of Magic 229ページ 影の使い魔は、その体をかろうじて形を持った影に変える。使い魔は君のレベルの半分に等しい全てのダメージ([力場]を除く)に対する抵抗を得るが、肉体を必要とする全てのアクションを使用できなくなる。加えて、使い魔は幅2インチまでの隙間に入り込むことができ、“無理矢理入り込む”により幅1インチまでの隙間に侵入できる。使い魔はこのアクションをもう一度行うことで、通常の姿に戻ることができる。 このアクションは君の魔法系統に対応する特性(君が術者でない場合は伝承)を持つ。 影の中のすり足 Slink In Shadows 出典 Secrets of Magic 229ページ 影の使い魔はクリーチャーあるいは物体の影にいるときに“隠れ身”を行ったり“忍び足”を終了したりすることができる。 影盗み [one-action] Steal Shadow 死霊術 出典 Secrets of Magic 229ページ 頻度 10分に1回;効果 影の使い魔は君の呪文攻撃ロール修正値に等しい攻撃ロール修正値で近接攻撃を1回行う。この“打撃”が成功したなら、目標は虚弱状態1となり、影が消えてしまう。24時間後、この虚弱状態は終了し、影は元に戻る。虚弱状態を取り除く効果は影も同様に回復させる。 このアクションは君の魔法体系に対応する特性を持つ。君が術者でない場合、伝承を持つ。 使い魔能力 闇喰い Darkeater 出典 Secrets of Magic 229ページ 能力種別 使い魔 君の使い魔は影の中で自然回復する。薄暗い光あるいは暗闇の中で連続した10分を過ごした後、君の使い魔はヒット・ポイントを君のレベルの半分だけ回復する。この能力は影の使い魔専用だ。しかし、シャドウキャスターはいかなる種類の使い魔にもこの能力を選択できる。 影歩き Shadow Step 出典 Secrets of Magic 229ページ 能力種別 使い魔 この能力は影の使い魔専用である。しかし、シャドウキャスターはいかなる種類の使い魔にもこの能力を選択できる。君の使い魔は“影のステップ”アクションを得る。君がこの使い魔能力を使い魔に選択させるには、君は7レベル以上でなければならない。 “影歩き” [one-action](召喚術、影、瞬間移動) 必要条件 使い魔が薄暗い光あるいは暗闇の中にいる。効果 使い魔は自身を30フィートまで瞬間移動させる。到着地点は薄暗い光あるいは暗闇の中でなければならず、使い魔から視線と効果線が通っていなければならない。このアクションは君の魔法体系に対応する特性を持つ。君が術者でない場合、伝承を持つ。
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青年は一人、七万の軍を前に立っていた。 そこにはひとかけらの恐怖もなく、ひとかけらの絶望もない。 ただ前を向き進む意思だけがあった。 青年は使い魔であった。 気がつけば倒れていた森の中、彼は耳の長い女性に必死に謝られていた。 女にとって彼は呼び出してしまった被害者だったから。 それでも彼はうらみの言葉一つこぼすことなく、ただ食事と寝床の提供に頭を下げた。 戦争が起こった。 どんな戦争なのか伝聞で耳にしてあまりの主体性のなさに青年は頭を傾ぐ。 聖地の奪還? そんな終了する目安のわからない戦争に何故皆が力を貸すのだろうか。 だがどれだけ現状への違和感をぬぐえなかろうと、彼はだた恩義のために戦うのみ。 ある日賊が村を襲った。 戦争中には必ず出る盗賊、略奪と虐殺はどれだけ近代戦になろうとなかなか無くなりはしない。 当然彼のいる村にもそういったやからが押し寄せた。 無理難題を押し付ける彼らに、青年はあろうことか徒手空拳で立ち向かった。 一人殺せば言うことを聞くだろう、そう思ったのか武器を振りかぶった盗賊は、彼の拳であごを強打されて意識を飛ばした。 唖然と動きを止める彼らを見、彼は賊たちの扱いを考えた。 ただ逃がせばさらに大勢を引き連れてくるだろう。ならばここで徹底的に釘を刺すべし。 周りに自分を呼んだ女性や子供たちがいないことを確認し、彼は地面を蹴った。 彼らが慌てて迎撃耐性に入れたのは半数以上が始末された後だった。 「撤退し二度と来ぬならば命は見逃そう。だが次はその命頂戴仕る!」 それでも何度も何度も盗賊達は村に押し寄せてきた。 戦争が長く深いほどそれは多くなる。 とくにこの村には青年を呼び出した彼女がいる。 好事家に高く売れると下卑た笑いを漏らした一団は、あっけなく再起不能にさせられた。 「金に代えうる命など無い!」 戦争には意義や大義が必要だ。言い訳がなければならない。 だが彼がどれだけ調べても、それは“良くわからない”だった。 聖地を奪還する、それはよし。 エルフがいるらしいから彼らを打倒し聖地を奪還する、そこまではいい。 戦争とはあくまで政治的行動の一環に過ぎない。 ならば当然利益を求めての行動でなければならないはずだ。 つまりあまりにも意味がない戦争をしていることになる。 まるで狂信者のごとき行軍。 それはかつての彼の兄に従うものを思い出させた。 ならば守り戦わねばならない、己は牙持たぬ人の剣なれば。 サイトは戦場で傷だらけで立っていた。 七万の軍勢の中たった一人、デルフを片手に孤軍奮闘。 何故そうしたのかはわからない、何故死に挑んだかはわからない。 だがサイトは一人デルフを杖に満身創痍で立っていた。 「美事よな。我がアルビオンにいれば英雄になれたろうに」 「うるせえよクソッたれが。誰が弱者を一方的になぶるようなクズの裏切り者に付くか」 「はっはー! 良いぜ相棒! そのおっさんも切り捨てて凱旋といこうじゃねえか!」 その言葉を周りのメイジ達はあざ笑った。 彼らにとって平民は、家畜となんら変わらないのだから。 「平民が少々死のうが何の問題がある?」 「別にいいだろ、大した命でもない」 ああ、と、サイトは理解した。 何故ルイズから離れなかったのか? 何故こんな無理のある戦場に一人残ったのか? 気に入らないからだ、彼らが。 「理由には十分だろ?」 「あん? 何だよ?」 「こいつらは気に入らない、理由としては十分だろ?」 「はっ! 違いない!」 周りのメイジ達が杖を構える。 避けられない、わかってはいても引く気は無かった。 自分たちに、価値がないなどと言わせはしない。 「手前らみたいなクズにやれるほど、安い命じゃないんだよ!」 「ほざけゴミが! 平民ごときに価値などあるか!」 飛来する魔法、デルフで受け止め切り捌く。 切って切って受けて切って、そのうち一つが直撃した。 大した威力でもないエア・ハンマー、だが当たり所が悪かった。 あごを掠めるように放たれた一撃が脳を揺らす。 「(あ、やべ、意識が……)」 「相棒! しっかりしやがれ!」 デルフの叫びもむなしく、サイトの意識は闇に落ちる。 意識が沈む直前、誰かの声が聞こえた気がした。 「(くそったれくそったれくそったれ! あと少し、あと少しあれば相棒の体を動かせるのに!)」 無力感に打ち震えるデルフ、その横でレコン・キスタのメイジ達はサイトに止めを刺すために歩み寄る。 「まったく、てこずらせてくれた」 「本当に。平民ごときがなんとも偉そうに」 「ふん、所詮は雑草、ここで死ぬのが定めよ」 メイジは杖を掲げ呪文の詠唱を開始する。 「否! 雑草という草はない!」 誰かの声がさえぎった。 そこにいたのは青年だった。 二十手前くらいだろうか? 短く刈り込んだ髪と四角いメガネ、そして整った顔。 その男が着る服は、サイトの認識の中では“詰襟の学生服”と呼ばれていた。 右手に下げられているのは学生カバン。 その硬そうなレギンスをのぞけばどこからどう見ても日本の学生だった。 「戦闘行為の停止を進言する! その少年にはもはや戦闘能力はあらず! 何ゆえ命まで奪おうとするか!」 「はあ? 何言ってんだ平民が」 「別に平民一人死んだところで問題があるのか?」 「敵を殺して何が悪い」 同じく平民だろう彼に向けられる声は、やはり侮蔑が込められている。 「その少年の命に価値がないと言うか!?」 「当たり前だろう。大体何だ貴様、平民の分際で」 青年の心が怒りに染まる。 それは代弁する怒り、牙持たぬ弱者の悲しき怒り。 正しい怒りをその胸に、彼は指を男たちに突きつける。 「その命を軽んじる発言、交戦の意思ありと認む!」 「まったく、変な平民が多いなあ」 「殺しておけ。面倒だ」 彼らの言葉を気にも留めず、青年はカバンを地に落とす。 そのあまりに重たい音に思わずメイジたちが杖を構えた。 「瞬・着!」 カバンから放たれる光、それに包まれる青年。 光が納まったときそこには、黒鉄の鎧に身を包む戦士が一人。 それはか弱きものの怒り。 戦う力持たぬ、弱者たちの代弁者。 その拳にこめるは必勝の意思。 「覚」 「悟」 「完」 「了」 それは牙持たぬ人の祈り。 「当方に迎撃の用意あり!」 終わり -「覚悟のススメ」より葉隠覚悟を召喚
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「何がおっしゃりたいの」 なんだなんだ。何を知ってるんだ。何を知ってるとしても誤魔化せるとこまで誤魔化してやる。 「無いはずの物が見えたとか。あるはずの物が見えなかったとか。ほんのささいなことでもいいんです。何かおかしなことが起こりましたよね」 どこまで知っているんだろう。そもそもなんで知っている? 「特に何も。遠くの物がよく見えたくらいかしら」 「本当ですか?」 こいつの目……こいつの目は危険だ。色が濃くて深い。見通されてるような気がする。 これで何人も騙してきたんだな。まともに見返さない方がいい。 「どういう意味? わたしが嘘をつく理由があるとでも?」 「いいえ」 「ならもういいでしょう。疲れているから眠りたいんだけど」 「そうですか」 立てよ。席を立てよ。あんたはわたしの寝顔見てる気かよ。なんですました顔で座り続けてるんだよ。 「ミスタ・グラモン、わたし眠りたいんだけど」 「そうですか。ルイズさん、あの眼鏡なんですが」 こ、この野郎。 「あのね。わたしは眠りたいの。お話しできることは全部しました」 「そうでしょうか」 話したっつってんでしょうが! あんたは耳あんの? わたしの話聞いてんの? 「わたしは一人で眠りたいの。出て行ってもらえない?」 「はい。分かりました」 素直だ。素直すぎる。かえって怖い。この男がつかめない。 入ってきた時と同じ、考えてるんだかいないんだか分からない顔で出ていった。 さて……どうしよう。どうしようったってどうしようもないんだけど。 グラモンの阿呆が何を知っているのか。何で知っているのか。 気になるけど聞けばボロが出るだろうしなぁ。これいらつくわ。どうしてみようもないもの。 足りない頭で考えても仕方の無いことを考え始めて十五分と少々。 なんだか眠くなってきたところで再び扉がノックされた。今度こそコルベール先生? 「どうぞ」 「ハイ、ルイズ。眼鏡は見つかった?」 チェンジ。 「うん? 何か言った?」 「いいえ、何も。眼鏡が見つかってないのはあんただって知ってるでしょ。何か用なのキュルケ?」 そしてわたしの許可無く椅子に腰掛けるキュルケ。 お母様、トリステイン魔法学院には礼儀知らずしかいないようです。 「ほら、あなたって儀式の最中ずっと探しものしてたでしょ。他の人が何を召喚したのか気になってるんじゃないかと思って」 うわ……きたよ。親切ぶってるけど何がしたいのかは丸分かりだよ。 「皆滞りなく儀式を終えたわ。一部の例外さんもいたみたいだけど」 さりげなく嫌味を入れるところとかツボついてるよね。郷に帰れ。 「モンモランシーは大きな蛙、マリコルヌは小さな蛙、タバサはね、すごいのよ。なんとドラゴン呼んじゃったのあの子。やる時はきっちりやるタイプだと思ってたけど、まさかドラゴン召喚しちゃうとはねえ」 蛙率高っ! ああ、やだやだ。蛙とか本当かんべん。ぬめぬめしてるわ目ェ大きいわ……ひいい。 「蛙多くない?」 「そうね。ま、こんなこともあるでしょ」 「モンモランシーはまだ分かるけど、マリコルヌとか風のドットでしょ。なんで蛙なのよ」 「さあ? 空飛ぶ蛙なんじゃないの」 うううわあああああ! か、蛙! 蛙が飛ぶってあんた! うわ、うわうわああああ! 鳥肌が! 「で、あたしなんだけど」 おっとこれがメインか。やっぱり自慢話するために来たんだな。 「ちょおっとレアなやつを召喚しちゃったのよね」 もんのすんごく聞きたくないな。だいたいにして空気読めてないのよね、このおっぱい魔人。 「なんとね、力そのものを」 よおしいくぞぉ。おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい…… 「召喚しちゃったのよね。これって前例がないんだって」 おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい…… 「ほら、ちょっと見ててよこのコップ」 おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい…… 「スゴイでしょ、ルーン無し、精神力の消耗無し、回数制限無し、タイムラグ無し。一瞬で水が熱湯に変わるのよ」 はああああ、おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい…… 「この力……使い魔を鍛え上げて、いずれは鉄を溶かしたり石を溶かしたり。ねえ、すごいでしょ?」 おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい…… 「ねえってば、聞いてるの?」 おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい…… 「ちょっとルイズ?」 おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい……そろそろ終わったかな? 「ルイズ、どうしたの?」 「いえ、べつに。ちょっと驚いてただけよ」 「ふふん、眼鏡を召喚したあなたには刺激が強すぎる話だったかもね」 せいぜい得意がってなさい。わたしは自慢話につきあうほどお人よしじゃないの。 あんたの使い魔トークなんか全部おっぱいで打ち消してやったんだから。 何一つ頭の中に入っていないもんね。ほーほっほっほっほ。 「あ、そうだ。ねえ、グラモンはどうだったの?」 「グラモンってどっちのグラモンよ?」 「どっちって……」 どっちだったっけ? まぁどっちでもいいや。両方聞いておく方が怪しまれないだろうし。 「どっちもよ、どっちも。兄貴と弟両方」 「弟のキーシュは二十日鼠、兄貴のギーシュは……そういえば見てないわ。モグラでも召喚して地面に潜ませてるんじゃない?」 二十日鼠か……普通だな。普通なところが逆に怪しい。ううむ。
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どうやら貴族というものは自分で服を着るという概念はないようだ。 ルイズを着替えさせながらそう思う。目が覚めるとまず私に驚く。私が召還された使い魔だと思い出すと突然、 「服」 と言い出す。まったく貴族という奴は皆こうなのか? ルイズとともに部屋を出る。すると別の部屋からも誰か出てくる。 赤い髪で褐色の肌を持つ女だった。ルイズより背が高く顔の彫りは深い。バストは大きくブラウスのボタンを外し強調されている。 彼女はこちら見ると薄く笑う。 「おはよう。ルイズ」 「おはよう。キュルケ」 ルイズは嫌そうに挨拶を返す。彼女の名前はキュルケというらしい。 「あなたの使い魔って、それ?」 キュルケはこちらを指差すと馬鹿にした風に言う。 「そうよ」 ルイズが意地になって言う。 「あっはっは!ほんとに人間なのね!すごいじゃない!」 やれやれ、貴族というのはこんなのばかりなのか。 まぁ、生活の苦労を知らなければこうなるのは当たり前かもしれないな。 生まれたときから人の上に立ち、甘やかされて育ったのだろう。 ルイズとキュルケが話しているとキュルケが出てきた部屋から赤く大きなトカゲのような生物が現れた。 そこにいるだけで周辺の温度が上がる。 何だこれは? それが顔に出たのだろう。キュルケが笑いながら説明する。どうやらこの生物は火トカゲというらしい。これが彼女の使い魔でフレイムというらしい。 火竜山脈とかいう場所の火トカゲでそこの火トカゲはブランドものらしい。きっと見た目と強さに定評があるのだろう。 「それであなた、お名前は?」 キュルケが聞いてくる。 「吉良吉影だ」 「キラヨシカゲ?変な名前」 そりゃこっちの人間からしたら変だろうな。 しかし目の前で言わなくてもいいものを…… 「じゃあ、お先に失礼」 そう言うとキュルケとフレイムは去っていった。ルイズは悔しいのだろう、文句を言っている。 そういやさっき彼女はルイズを『ゼロのルイズ』と言っていたな。召還されたときも誰かがそう言っていた気がする。 ルイズは私を召還したときに随分と馬鹿にされていたようだ。さっきもそうだ。そこには『ゼロのルイズ』という単語が出てくる。ルイズの あだ名なのだろう。 そういえばルイズは魔法を使ってないな。それが関係しているのだろうな。 ルイズが落ち着いたところで食堂に行く。食堂には大きく長いテーブルが三つ並んでおりテーブルには豪華な飾り付けがしてある。 いかにも「私たちは金持ちだ」見たいな感じで呆れるな。料理も朝から豪勢だ。こいつら胸焼けしないのか? 「椅子を引いてちょうだい」 ルイズが言う。椅子を引いてやる。 するとルイズが何か渡してくる。スープだ。そして皿の端にパンを二切れ置く。 「あんたの朝ごはんよ。私の特別な計らいで床で食べていいわ」 そういえば人間は食事を取らないといけないんだったな。理不尽だが我慢する。 少しの辛抱だ。こんなな小娘の言うことを利くのは情報を得るためだ。自分に言い聞かせる。 なにやら祈りが唱和される。こいつらにとってこれがささやかな糧か。早死にするぞ。 5へ
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婚約者であるワルドが同行してくれる事になった。 でも何故だろう―――― 彼に抱かれていても、何かすっきりとしない。 何かが、胸の奥で引っかかっている――― 宵闇の使い魔 第拾話:《暴風》対《閃光》 ルイズは夢を見ていた。 生まれ故郷のラ・ヴァリエールの領地にある屋敷が舞台だった。 彼女は夢の中で、出来の良い姉たちと比較され、しかられ続けていた。 そして彼女は自身が"秘密の場所"と呼ぶ中庭の池に向かうのだ。 心に受け続ける傷を少しでも癒すために。 彼女は池に浮かぶ小船の中に逃げ込んだ。 「泣いているのかい、ルイズ」 暫くすると、年のころは16歳程の、マントを羽織った立派な貴族が現れた。 ワルドだ。彼女にはすぐ分かった。 これが夢だと理解しているルイズには、久しぶりに見かけた婚約者が夢に出てきてしまうなど恥ずかしかったが、夢の中の幼いルイズはそんなことをお構い無しに声をかけた。 「子爵さま、いらしてたの?」 「あぁ。君のお父上に、あの話のことで呼ばれたのさ」 ワルドは笑う。恐らくは今も変わっていないであろう、爽やかな笑みだ。 そして彼は手を差し出して晩餐会へと誘ってくる。 しかられたばかりの幼いルイズは躊躇するが、彼がとりなしてくれると言う言葉に、その手を握ろうとした――だが、 「きゃっ!?」 突然の突風が吹き、思わず目を閉じるルイズ。 次の瞬間には、自らの身体は今現在のものと変わってしまい、目の前に居た筈のワルドは消えてしまっていた。 それどころか、係留されていた筈の小船が乗り場から徐々に離れて行っている。 《フライ》の使えないルイズには困ったことになってしまう。 「あ、そんな―――誰か!」 ルイズは助けを求めて声を上げる。 すると、先ほどワルドが立っていた場所に、黒尽くめの隻眼の男が、咥え煙草で立っていた。 「何してんだ。流されてるぞ?」 「分かってるわよ。助けなさいッ!」 飄々とした様子で分かりきった事実を口にする虎蔵に、思わず叫んでしまうルイズ。 だが彼は何処吹く風で煙を吐き出した。 池に吸殻をポイ捨てし、踵を返す。 「なに言ってやがる。そんなん使い魔の仕事じゃねえだろ――」 「そんな――やだ、行かないでよ!!」 手を伸ばすルイズ。 だが届く距離ではない。 すると虎蔵は、肩越しに振り返って、こう告げた。 「だいたい、まだ飛べば間に合う距離だろ。そんくらい、自力でなんとかすんだな」 「――ッッ!?」 ガバッと音を立ててルイズは跳ね起きた。 なんて夢だろう、これは。 ワルドとの再開、彼との婚約の話、ワルドが虎蔵に変わり、虎蔵は去りかけ、私に対して言葉を――― 何かを暗示しているとでも言うのだろうか。 酷く喉が渇いている。 ソファーでぐっすりと寝ている虎蔵を起こさないように水を飲むルイズ。 彼女が再び眠りに落ちるには、暫くの時間が必要だった。 そして時刻は早朝。 アンリエッタからの"お願い"を果たすために、 ルイズとギーシュはアルビオン行きのフネが出る港町ラ・ロシェールへ向かうための馬を用意していた。 虎蔵は部屋を出る際に「ちょいと野暮用だ」などと言って何処かへ行ってしまい、彼の分の馬はギーシュが代わりに用意している。 その準備の最中に、ギーシュが使い魔もつれていきたいと言い出した。 巨大モグラのヴェルダンデである。 ルイズは空に浮かぶアルビオンに、モグラなど連れて行けるわけもないと説得しだしたのだが、ヴェルダンデはそんな事はお構いなしでルイズを押し倒した。 原因はルイズの右手に光る《水のルビー》だ。 昨夜、アンリエッタからせめてものお守りであると言って託された物。 この巨大モグラは宝石の類が大好きなのだそうで、その《水のルビー》に鼻をすり寄せている。 「くっ、こら姫様から頂いた大切な指輪に――きゃっ、もうっ!こんなと時にトラゾウは居ないしッ! 「ほら、ヴェルダンデ。其処までだよ。その指輪は彼女の大切な―――」 二人分の馬の準備を終えたギーシュが、 細腕で何とかヴェルダンデを押し返そうとしているルイズを生暖かい視線で眺めながら、パンパンと手を打った。 が、その瞬間―――強い風が吹き付け、ヴェルダンデが吹っ飛ばされた。 「きゃあぁッ!?」 「誰だッ!!」 突風に悲鳴を上げるルイズと、溺愛する使い魔を吹き飛ばされて激昂するギーシュ。 すると朝靄の中から、すらりとした長身の男があらわれた。 見事な羽帽子を被った凛々しい貴族―――アンリエッタの馬車の護衛をしていた男である。 ルイズがハッと息を呑むが、ギーシュは激昂したままに薔薇の造花を掲げた。 しかし――― 「僕は敵じゃあないよ、ギーシュ・ド・グラモン」 「なッ、速い――――それに、なんで僕の名前を―――」 貴族の男が杖を引き抜き、薔薇を切り落とした。 彼はふっと笑って杖を収めると、帽子を取って一礼した。 「姫殿下より、君たちに同行することを命じられた。魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ。 ギーシュ君。使い魔の事は申し訳なかったが、婚約者が襲われているとあっては頬っておけなくてね。 まぁ、それに――傷は付けていないつもりだ」 確かにヴェルダンデは吹っ飛びこそしたが、柔らかい地面に転がされただけですんでいる。 ワルドの視線を受けると、わたわたと地中に逃げて行ってしまったが。 ギーシュはそれをみてふぅっと安堵の息をついた。 確かに、止めるのが遅かったのは事実なので、ギーシュは杖をを収めた。 収めるまでも無く切り落とされていたが。 「ワルド様―――」 一方、ルイズは彼の登場に昨夜の夢の冒頭部分を思い出してはぼーっとした視線を向けるが、スカートが捲れ上がって半ば下着まで見えかけた自らの状態に気付くと、慌てて立ち上がった。 ギーシュは初めて見るルイズの乙女チックな様相に、珍しいものを見た――と言った表情を隠せない。 これはどちらかと言えば《微熱》の役割だ。 だが、ルイズもワルドもそのようなギーシュの感想など知る由も無く、 「久し振りだね、ルイズ!僕のルイズ!ははっ、相変わらず君は羽のように軽いな」 「えぇ、お久し振りです、ワルド―――もう、恥ずかしいので下ろしてください」 などと言った調子で、ワルドがルイズを抱き上げている。 ルイズの口調も心なしかおかしい。いや、女らしくなっているだけなのだが。 そこに虎蔵も、葉巻を咥えながらやってきた。 「おいおい、なんの騒ぎだこいつぁ―――」 「ん――やぁ、トラゾウ。彼はワルド子爵。魔法衛士隊のグリフォン隊隊長で、彼女の婚約者だそうだ」 虎蔵に向けて手を上げるギーシュ。 決闘こそした彼らではあったが、虎蔵が昼間にベッドを借りたりしている間にそこそこ会話を交わすようになっていた。 虎蔵はふーん、と葉巻をふかしながら答える。 割とどうでもよさ気な感じだ。 ギーシュも短い付き合いながら、仮に彼女が虎蔵にご執心になることがあっても、その逆はありえないと感じていたので、その薄い反応にも気を止めずに居る。 しかし、実際は虎蔵の反応の薄さには訳があった。 彼は、ワルドが同行すると言うことを事前にアンリエッタから聞いていたのだ。 彼女は、本来ならばルイズと虎蔵、そしてハプニングではあったがギーシュの三名に全てを任せたいのだが、戦力的に十分であるとしても、それ以外の面で不安であると言うこと。 そして、臣下の者を誰一人使わないというのは、最悪の場合問題になりかねないということで、マザリーニ枢機卿の覚えも良いグリフォン隊の隊長を同行させるとの事だった。 事前に虎蔵だけに打ち明けていたのは、ワルドがルイズの婚約者であるためと、ワルドも100%信用できるわけではないので虎蔵に見張って欲しいということだった。 随分と用心深いとも思ったが、王族とものなるとこんなものなのかもしれない。 暫くすると満足したのか、ワルドはルイズを下ろして二人の方へとやってきた。 「君がルイズの使い魔かい?人とは思わなかったな」 「よく言われんよ―――ま、それより満足したならそろそろ出ようや。そろそろ起きてくる奴らが出んぞ」 ワルドは気さくな感じで虎蔵にも挨拶をするのだが、虎蔵は何時もの調子だ。 彼はそんな虎蔵の態度も気にした様子は無く、「それもそうだね」と頷いては、口笛を吹く。 すると、朝靄の中からグリフォンが現れて、彼はそれに飛び乗った。 「さあ、ルイズ。おいで」 「え、えぇ―――」 ワルドが恭しく手を差し出すと、ルイズは一瞬躊躇して虎蔵を見た。 その時虎蔵を見てしまったのは、きっとあの夢のせいだ。 しかし、虎蔵がこっちを気にした様子も無く馬に飛び乗ったのを見ると、ワルドの手を取った。 「では諸君、出発だ!」 ルイズを抱きかかえたワルドがそういって、グリフォンを走らせ始める。 虎蔵とギーシュがそれに続いていった。 ちなみに、ルイズが乗るために用意した馬が、正門前に寂しく取り残されていたそうな。 その日の夜、一行はラ・ロシェールの《女神の杵》亭で夕食をとっていた。 道中はこれといったトラブルも無く、時間こそ掛かったが無事に到着している。 実際は、道中で崖の上から物取りの襲撃を受けたのだが、虎蔵が何処からとも無く取り出した和弓で射掛けると、着弾点に小さなクレーターが出来るほどの威力を連射されては恐れをなし、 逃げ出そうとした所で今度はシルフィードに乗ってやって来たキュルケとタバサにあっさりと捕縛された。 ものの2,3分の出来事だ。 トラブルには入らない。 むしろ出発の瞬間をキュルケに見つかっていたことの方がトラブルだ。一応お忍びなのだから。 もっとも、二人ともギーシュよりよほど魔法の腕に長けるし、タバサにいたっては《シュヴァリエ》の称号を持つほどの実力者なのだから、そう悪いことばかりでもない。 なにより、シルフィードの存在はありがたかった。 一行は食事を取りおえ、ワイングラスを傾けながら身体を休めていた。 特にギーシュは半日以上も馬に乗り続けてへろへろである。虎蔵も、だりーなどと口に出しているくらいだ。 アルビオンへは、フネが明後日にならないと出ないとのことで、今夜は泊まることになっている。 するとワルドが三つの部屋鍵を手にやってきた。 「さて、今夜はもう寝るとしよう。部屋を取った。 キュルケ君とタバサ君、ギーシュ君と使い魔君、そして私とルイズだ」 その言葉に、ルイズがハッとしてワルドを見た。 婚約者だから構わないだろうとワルドは言うが、ルイズとしてはまだ結婚していないのだから駄目ではないかと考えていた。 とはいえ、彼に「二人だけでしたい、大事な話があるんだ」と言われてしまえば、納得するしかない。 ちなみにキュルケは、ワルドがルイズの婚約者であることを盾にして取り付く島の無い様子に既に諦め、虎蔵へと再アプローチを開始していたので興味が無い様子である。 ワルドとルイズの二人が部屋のある二階へ上がると、キュルケは部屋割りについて虎蔵とキュルケ、ギーシュとタバサの組み合わせでも良いわよね、などと提案しだした。 ギーシュはプレイボーイだが基本的には紳士ではあるし、最近はモンモランシーの調教――もとい教育もあるため、タバサと同室にしても問題ないと考えたようだ。 だがそれは、タバサの珍しく心底嫌そうな表情に没案となった。 ギーシュは割りとショックを受けていたようだったが。 翌朝、虎蔵が自室へと戻ってくると、ドアの前にワルドが立っていた。 部屋を訪ねてきたが、誰の反応もなくどうしたものか悩んでいた様子だった。 ちなみにギーシュは居るのだが、昨日の疲れが抜けずに爆睡している。 彼は虎蔵に気付くと、相変わらず気さくな様子で声をかけてきた。 「おや、早いな。散歩にでも行っていたのかい、使い魔君」 「早いっつーか、遅い?まぁ、良いだろ。なんか用かい」 「なに、ルイズから君が伝説の《ガンダールヴ》だと聞かされてね―――更に聞けば、異世界から来たとか」 虎蔵は「まあな」とだけ答えた。 別に口止めしては居なかったし、聞かれて困ることも――今の所はない筈だ。 「それに昨日の物取りを倒したときの手際やら、君が"手品"などと称する技術も含めて、興味が湧いたのだよ」 「悪いが男色の気はねえぜ」 「ははっ、面白いことを言う。僕にも無いよ。なに、ただ一度、手合わせ願いたいと思ってね」 虎蔵の物言いにも気を害することなく、気さくに話を続ける。 その様子に、虎蔵も肩を竦めて苦笑しながら答えた。 「手合わせねぇ――ま、今日は暇だから構わんけどな。何処でよ」 「この宿は昔、砦だったことがあってね。中庭が練兵場になっているのだよ」 「ふむ。なら構わんが―――昼過ぎにな」 虎蔵はそういってドアを開けると、「ちょいと腰が重いんで」などと大欠伸を残して部屋へと入っていってしまった。 ワルドはその言葉を聴くと、彼がドアを閉めてから眉を寄せて、昨夜ルイズから聞かされた彼への評価をマイナス修正した。 あんな適当な男が《ガンダールヴ》だとはな――と。 そして昼過ぎ。 たらふく食事を堪能した虎蔵は、ワルドと共に今は物置き場とかしている中庭へとやって来た。 いつの間に聞きつけたのか、ルイズをはじめ同行者全員が集まっている。 「そんな状態で大丈夫なのかね?」 「なに、腹ごなしにゃ丁度良かろう」 本当に飄々と適当な様子に、ワルドは更に虎蔵の評価をマイナスに進めた。 勿論顔には出さずにだが。 彼は「なら良いのだがね」と答えると、今度は昔話を始めた。 彼曰く、古き良き時代だそうである。 虎蔵には心底どうでも良かった。 一方、ルイズはどうにか止められない物かと説得を試みたが、あれよこれよと丸め込まれてしまった為、はらはらと使い魔と婚約者を眺めている。 しかし、それ以外の三人のギャラリーはというと、勝負の行方について盛り上がっていた。 「彼は風のスクウェア、《閃光》のワルド子爵だよ。幾らトラゾウとはいえ―――」 「でもね、ギーシュ。貴方は見てないから知らないだろうけど、ダーリンはフーケのゴーレムの足を、一撃で切り裂く寸前にまで行くのよ?そんな物を受けられると思うの?」 「それはそうかもしれないが、風のスクウェアともなれば、風の流れでトラゾウの高速移動だって見切れると思うよ。 見切れれば、必ずしも攻撃受ける必要は無いだろう」 「どうかしら―――タバサだって殆ど全く捉えられないのよ?」 「―――始まる」 ギーシュはワルド派、キュルケは虎蔵派のようだ。 タバサの一言で、二人は間に数枚のコインを置いて、視線を中庭の中央へと向けた。 中庭中央。 レイピア状の杖を取り出すワルドに対して、虎蔵が取り出したのは何故かデルフだった。 「―――いや、良いんだよ。もうね。蔑ろにされるのも慣れたよ。あぁ、慣れたともさ」 なにやらやさぐれていた。 だが、虎蔵が「ほれ、使ってやるから刃を潰せ。できんだろ、それくらい」と言うと、やはり使われることは嬉しいのかすぐに言うことを聞く。 まるで駄目男をヒモにしてる女みたいだな、と思ったが、流石に可哀想なので口には出さなかった。 「インテリジェンスソードとは、変わった得物だね」 「だろ?こいつは刀身をある程度自由に変化させられるみたいでな――今回は便利だ」 「真剣でも構わんよ。全力でね。我々、魔法衛士隊は常にそういった訓練をしている」 「さよけ。じゃあ、ま―――得物以外は全力で行くぜ」 ニヤリと笑みを浮かべる虎蔵。 久し振りに骨のある相手だ。 『――ッ!!』 二人の呼気が漏れた瞬間、虎蔵がデルフを構えて一気に間合いを詰める。 しかし、ワルドはそれを予想していたかのように自らも前に出て、金属音を鳴らした。 鍔競りあう二人―――だが、単純なパワーの差でじわじわと押されていくワルド。 「くッ―――たいした力だッ!」 「そりゃどうも。お前さんも、ただの生っちょろい魔法使いじゃねえな」 ニヤリと笑いあう二人。 ワルドは虎蔵に押される力を利用して後ろに飛び、間合いを取る。 だが―― 「なッ!?」 遅い。 虎蔵を相手にするのに、その動きは遅すぎる。 空気の爆ぜる音を残して彼が掻き消えると、背後から殺気。 慌てて身を捻るワルド。 鋭い音が耳元を切り裂き、辛うじて回避できたことに気付くが、その瞬間には思いっきり蹴り飛ばされてしまった。 「――――――ッ」 ギャラリーの四人は、呼吸も忘れるほどに見入っていた。 これが、真に実力あるもの同士の戦い。 手合わせなどと言っていたが、飛び交う殺気がその程度の物でないことをありありと伝えてくる。 「凄いわね―――子爵が閃光だというのなら、ダーリンの荒々しい攻撃は――」 「暴風――」 キュルケとタバサが、まるで無意識の如く呟いた。 蹴り飛ばされたワルドだが、すぐに体制を立て直して杖を振った。 魔法かと思ったが、違う。 虎蔵が高速で斬り掛かって来たのを受けたのだ。 余程頑強な杖なのか、砕け散るということは無かったが、両手で辛うじて止められたといった感じだ。 もはやまともにその戦いを追えているのはタバサだけになっていた。 「ハァ、ハァッ――――驚いたな―――此処までの実力とは」 「お前さんもなかなかだ。正直、メイジって奴を舐めてたよ」 辛うじて距離を取って息も荒く言うワルドに、虎蔵はまだまだ余裕だ。 少なくとも、単純な近接戦闘では話にならない。 ワルドにもそれは十分伝わった。 「しかし、婚約者の前でこのまま終わる訳にも行かないのでね―――」 そう言ってワルドは杖を構えて虎蔵を警戒しながら、呪文を呟き始める。 それを聞くとデルフはガチャガチャと音を鳴らして警告してくる。 だが、虎蔵はそのまま動かない。 「やばいぜ相棒、魔法だ!分かってるんだろ!」 「あぁ、分かってるさ」 ニヤニヤと笑いながらも、そのままで待つ。 ワルドも、詠唱で生まれる僅かな隙を警戒していた為か、動かない虎蔵に怪訝そうな表情をする。 「ちょっと!ダーリン、何で動かないのよ」 「ボクに聞かないでくれ―――何か考えでもあるのか?」 「奥の手――」 喚くキュルケに、あまりの殺気に冷汗すら流しているギーシュ。 タバサはその一瞬を見逃さないように、しっかりと目を見開いた。 ルイズはもはや、微動だにせずに二人を見ている。 虎蔵も、ワルドも、自分の知らない誰かに見えてしまっている。 ――――怖い―――― それだけが彼女の感情だった。 「良い度胸だが、命取りになるぞ!」 詠唱が終わり、杖を振りかぶるワルド。 《エア・ハンマー》―――巨大な不可視の槌が、虎蔵に迫る。 しかし彼は笑みを浮かべたまま―――― 「トラゾウ!」「ダーリン!」 ルイズとキュルケの悲鳴が響く。 ギーシュとタバサも目を見張っている。 強力な《エア・ハンマー》によって砂煙が巻き上げられ、虎蔵が見えない。 しかし、避けた様子は無く――― 「なるほど。こりゃ、たいした威力だ――」 「おでれーた―――なんだ、これ」 虎蔵とデルフの声が聞こえた。 砂煙が風に流される。 其処には――― 「なんだとッ!?」 「―――悪いね」 虎蔵がワルドに向けて翳した手の周囲を、球を幾つも連ねた何か――数珠が盾の用に囲み、浮かんでいる。 虎蔵の周囲を見ると、彼の周り――その数珠による盾の後ろだけが、《エア・ハンマー》から逃れたようで、 それらより外は、地面が僅かに削られている。 「防いだ――――使い魔が――――魔法を―――ハッ!?」 あまりの事態に、一瞬だが呆然としてしまうワルド。 だが、その一瞬が命取りだ。 次の瞬間には―― 「余所見はいかんね」 「まったくだ―――私の負けだよ」 デルフが首筋に触れていた。 刃は潰れているが、冷たい感触がある。 ワルドが敗北を告げて杖を収めると、虎蔵もまたデルフを下ろして、地面に突き立てた。 キュルケとギーシュが歓声を上げて駆け寄ってくる。 ワルドはそれを見て苦笑しつつ、「最後のは何か、教えてもらえるのかい?」と聞いた。 ちなみに数珠はもう消えている。何処にしまったのやら。 「"手品"さ―――おい、暑苦しいから抱きつくな!ほら、それより良いのかい。婚約者をほっといてよ」 「あぁ、そうだね。出来れば、格好良く迎えに行きたかったものだが」 ワルドはそう言って、緊張が解けて座り込んでしまっているルイズの元へと向かう。 「ほんとにおでれーた。相棒、お前ほんとに何者だ―――」 地面に突き立てられたままのデルフの声は、キュルケとギーシュにタバサまで加わった輪に阻まれ、虎蔵の耳には届かなかった。 その頃、同じラ・ロシェールの路地裏にて――― 「さぁて、ほんと―――どうしたものかね」 マチルダが、否、今は《土くれ》のフーケが頭を悩ませていた。 ある場所へ荷物を送るためにやって来たラ・ロシェールでついでに行っていた情報収集中に、仮面を付けた謎の貴族に正体を言い当てられ、逃亡しようとするも追い詰められてしまったのだ。 そこで殺られるか、捕まるか――と思ったのだが、その貴族はアルビオンのクーデター一派で、協力しろと言ってきたのだ。 首に杖を突きつけながら。 その状況で断れるわけも無く、どうやって逃げるかを考えながらとりあえずは引き受けた。 しかし、なんと驚いたことに、彼女が最初に指示されたのが、この街に来ているルイズ達の襲撃指揮であった。 既に手練れの傭兵達を貸し与えられてしまい、すぐに逃げ出す訳にも、彼らに接触する訳にも行かなくなってしまっている。 「はぁ―――男運、悪いなぁ――――」 彼女はそうぼやいて、先日虎蔵から借り受けたとあるものを服の上から撫でるのだった。
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ゼロと使い魔の書 第七話 広場には既に観衆が集まっていた。ギーシュの取り巻きだけではない。全員入れれば数十人はくだらないだろう。 これから殺し合いが始まるというのに、それを見物しようという神経は理解に苦しむ。果たして、最後まで見とどける覚悟があるのだろうか。 「ほう、逃げずに来たか」 向こうから声をかけてきた。黙っていると、無視された事が頭にきたのか、憎憎しげな視線を一瞬こちらへ向けた。 「諸君、決闘だ!」 ギーシュが声を張り上げる。 それに応える観衆。純粋にこれから始まるショーに期待しているという表情だ。 もしかすると、貴族が平民を手打ちにするところを見物するというのはそう珍しい事でもないのかもしれない。だとしたらろくでもない世界だ。 「僕はメイジだ、だから魔法を使わせてもらう」 ギーシュが何事かを呟き、薔薇の造花を振る。地面から深緑色の人形が生えてきた。 「『青銅』それが僕につけられた二つ名さ。今の僕は『5』体までこのワルキユーレを召還することができる」 自分から能力をばらす。闘いを闘いと認識できていない自信過剰な人間が陥りやすいミスであるが、今の発言にはどこか引っかかるものがあった。 数人の観衆が今の言葉にいぶかしげな顔をしている。何か、自慢以外の意図があったのかもしれないが、今の自分には情報不足だったので深くは考えなかった。 「さあ、平民。かかってきたまえ。二人のレディの心の傷は、お前の屈辱ある死で償ってもらおう!」 青銅の人形が殴りかかってきた。 胸ポケット、それから内ポケットにある果物ナイフの感触を確かめる。全部で六本。 深緑色の拳が射程に入るのに合わせて、胸ポケットから一本抜く。左手の模様が光り輝き、自分の体が羽のように軽くなる。 抜いてから斬るのを一動作で行った。まるで川の流れにさしいれたように、ナイフは軽々と人形の頭を引き裂く。 青銅が土に変わるのと同時に、果物を切る用途でしか作られていないナイフが、その負荷に耐え切れず根元から折れる。模様の輝きも失せる。 直ぐに使い物にならなくなった柄を捨て、新しいナイフを引き抜く。今度は両手に二本ずつ。 「く……ワルキューレ!」 残りの4体が地中の金属を元に練成される。同時に一歩進み四本のナイフを投げる。筋力増加の力は精密動作性も向上させるらしい。 広場に向かう前に時間ぎりぎりまでThe Bookによる反復練習をしていたこともあり、もう狙いが合わないことはなかった。ナイフは空中で正確に三回転し、対象に突き刺さる。 頭をひしゃげさせた青銅の人形4体は活動を停止した。 琢馬は最後の一本を抜く。後は、目の前の金髪の少年だけだ。 少し緊張感が緩まる。途端にラジオの電源を入れたように、観衆の驚きに満ちた声が聞き取れるようになる。 「く、来るな……僕のそばに近寄るなああーーーーーーーーーッ」 腰を抜かしたらしいギーシュは体を引きずりながら、自分から距離をとろうとしていた。 そんな中で造花の杖をいまだにしっかりと握っているのは、彼の闘争本能が無意識のうちに生にしがみついているためだろうか。 9mの地点に来た。この場で投げると、ナイフの刃は2回転してギーシュの心臓に着地して、彼の人生の幕を下ろさせる。 腕を掲げた瞬間、 「危ないッ!」 甲高い声が観衆の間から響いてきた。 ルイズがギーシュと使い魔の決闘を知ったのは、小皿にとりわけた食事をどうするか考えながらゆっくりと紅茶を飲んでいたときだった。 テーブルを挟んで交わされる会話が耳の鼓膜を振動させる。 「なあ聞いたか?ギーシュと平民が決闘するらしいぜ!」 「しかもギーシュのやつ馬鹿にされたって怒って、相手が死ぬまでやるつもりらしいな」 「自業自得だっていうのに。目をつけられた平民も災難だよな。どこでやってるの?え?ヴェストリの広場?OK分かった」 「そういえば相手はルイズの使い魔だって」 噴出しそうになった紅茶を無理に飲み込み、勢いあまって肺に入ってしまい数秒むせた。 むこうは話に熱中していたのかルイズの存在に気がつかず、そのまま広場から出て行ってしまった。 ティーカップを床に叩き付けたい衝動に駆られながら、近くの給仕に自分の皿を全部下げさせるように命じ、自分も食堂の出口へ向かった。 「まったくあの……馬鹿!」 明日世界が滅亡すると分かっても平然としてそうなタクマが、感情的になって喧嘩を吹っかけるわけがない。大方平民ということで損な役回りを押し付けられたのだろう。 それにしても決闘というのは穏やかではない。どうしてあの使い魔は自分に一言も言わなかったのだろうか。 ルイズは唇を噛んだ。問いの答えは知っている。自分が主人だと、認められていない。使い魔の面倒は主人がみると言ったのに、あいつはその前提条件すら否定したのだ。 息切れも我慢し、広場まで全速力で走る。見ると決闘はもう始まっていたらしい。観客の間から二人の姿が垣間見える。 間に合った。油断しすぎていたのか、ギーシュはなぜか地面に這いつくばっていた。圧倒的優勢である。取りあえずこの状況なら、自分が出ていけばなんとかおさまるだろう。 タクマを呼ぼうとしたが、その言葉は飲み込まざる終えなかった。 ギーシュとタクマの後ろ、二体のゴーレムが音も無く練成されていた。 そしてタクマに殴りかかる。 「危ないッ!」 そう叫ぶのが精一杯だった。 その声と、ギーシュの視線が自分の背後に回ったのに気がつき振り向きざまにナイフを振り、一体を倒す。 しかし、その背後から同じ姿の銅像がのぞいたときは、一瞬、思考が停止した。 その隙に、青銅の拳が自分の腹を抉る。息ができなくなり、体内で何本か骨が砕けたのが分かった。 思わず膝をつくと、青銅の人形はその足を自分の口に突っ込んだ。 「あと1分したら頭を吹き飛ばしてやる。それまでなぶり殺す!」 相手に見下ろされているのが分かった。立場が逆転した。 ギーシュが自分の手札をばらしたときに感じた違和感。あたかも自分が5体までしか出せないように見せかけ、奇襲。 ギーシュはどうあっても自分を殺そうと考えていたらしい。 青銅の人形の足や拳が、まともな骨を順番に折っていく。観客から悲鳴が上がる。まったく無駄な事だった。見たくなければ最初から見なければいい。 ふと顔を上げると、観客の層を無理に押しのけルイズが顔を出した。怒りと恐怖に染まっている。 「ギーシュ!やめなさい!決闘は禁止されているでしょう」 「これはこれは、ルイズじゃあないか。知らないのなら教えてあげよう、禁止されているのは貴族間の決闘だけであって使い魔はその限りではないんだよ。それに、だ。 仮に僕がこいつを殺したところで君は何か困るのか?またサモン・サーヴァントをやればいいだけのことさ。まあどうしてもというのなら、君が頭を下げて彼の命乞いをしたまえ。それで手打ちにしようじゃあないか」 ルイズが頭を下げかけた瞬間、口を挟んだ。歯が折れていたので喋りにくかった。 「命乞いするなよ」 自分の言葉が意外だったか、当の二人だけではなく、騒然としていた観衆も沈黙する。 いつの間にか、自分の左手に革表紙の本が現れていた。手の模様も再び光り輝いている。 ギーシュにダメージを与えられる最後の武器。この世界の人間には読めないということは既に分かりきっていた事だが、勝手に体が反応した。 折れていない左腕で何とか青銅の人形から距離をとり、それを挟んでギーシュと正対する。 「タ、タクマ……!」 「面白い。じゃあ、負けて死ね!」 人形と自分の左手が、同時に突き出される。まるで鏡合わせだった。 人形の左腕は、自分の頭部を狙っていた。今度は本当に致命傷を与えるつもりらしい。自分の左腕も、この距離だとギーシュの頬まで届かない。 だが、そんなことは関係なかった。改めて見てみると、その拳はかつて殴られたスタンドのものとは比較にならなかった。弱弱しく遅い。 革表紙の本がめくれていく感触が左手に伝わる。それを感じながら、思った。 過去の出来事は、乗り越えるものでも打ち勝つものでもない。どんな体験も心に留めておき、未来に向かって「利用」するものなのだと。 ギーシュ・ド・グラモンは確実に目の前の男を殺すつもりでいた。 「面白い。じゃあ、負けて死ね!」 しかし、と自分は頭の片隅で考える。 この平民は、殴られても蹴られても表情を微塵も変えなかった。その闇色の瞳は、あくまで客観的に、冷静に、自分の身に起こる出来事を眺めていた。 きっと、自分は精神面で負けている。どう心の中で言い訳をつくろっても、それは否定できなかった。 杖がみしみしと音を立てる。言いようの無い敗北感に包まれる。 平民は最後の抵抗か、届くはずの無い拳を突き出していた。 が、ここで異変に気がつく。いつの間にか平民の左手には本が握られていた。 本の内容が視界に入る。それはまったく見た事の無い言語であったが、瞬きをした瞬間、それはよく見知った文字の配列に置き換わっていた。それを認識したときにはもう自分の血が宙を舞っていた。 痛みを感じるよりさきに二発目が腹に入った。三発目、四発目以降は、もう個々の攻撃が分からなくなっていた。岩の塊のような拳が、自分の肉体の触れたところをひき肉へと変えていく。 寒かった。そこはどこかの屋根の上で、雪が降っていた。 視線を前に向けると、体に不思議な鎧を付けた無表情な男が、自分に向かって拳を繰り出しているのが分かった。 その男は、拳を振るうと同時に雄たけびを上げていた。 「ドラララララララララララララララララララララララララララァ!」 全身の骨を砕かれ、自分は後方へと吹っ飛ばされた。しばらく浮いていた後、地面に体がこすれて停止した。 そこで遅れて、自分がいるのが広場だと思い出した。 「……参った」 混濁する意識の中で、それだけは言わなければならないような気がして、呟いた。
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モット伯は杖を振りながら、水の鞭を避け続けるギアッチョに嘲笑を 投げかける。 「クックック・・・貴様は全く平民の象徴のような男よ そうやって何も出来ずに逃げ続けることしか出来ない平民のな」 優越感に酔う彼は気づかない。見下すことに慣れすぎた瞳には、 常人ならざるギアッチョの動きに違和感を見出すことさえ出来なかった。 「貴様ら弱者は実に面白い 強者と対峙した時、貴様らは逃げる ことしか出来ないということをいつも証明してくれる 謝罪、懇願、 逃避・・・それが貴様ら弱者のお定まりのパターンだ その絶望が 実に面白い!ぬははははははははッ!」 「ほー、そいつぁ確かに面白ぇな ところで弱者ってなぁ誰の ことを指してんだ?」 右上から飛来して来た水鞭を受け止めるかのように、ギアッチョは スッと片手を差し出した。 「バカが!!」 ギアッチョが混乱したものと考えたらしいモット伯が暗い笑みを 浮かべると同時に、水の蛇はギアッチョの掌に命中し―― パキン。 頭から尻尾まで、全てが完全に、そして一瞬で凍りついた。 「・・・・・・へぇ・・・?」 状況を理解出来ず、モット伯は間抜けな声を上げる。次の瞬間、 重力に忠実に従った氷の蛇は地面に叩きつけられて粉砕した。 「・・・な、何が起きて・・・」 呆然と呟きながら、モット伯はじりじりと後ずさる。それに 合わせて、ギアッチョはずいと前に進み出た。彼の振り撒く 縮み上がらんばかりの殺気に、モット伯はようやく気がつく。 「おいおい、伯爵様よォォ~~~~~ 徒手空拳の平民如きに 何をそんなに怯えてんだァァ?」 ギアッチョの嘲りに、モット伯のプライドはかろうじて再燃した。 「だ、黙れ黙れ黙れッ!!平民風情が、もういい!今すぐ死ね!!」 再び血が上った頭を振って、短くルーンを唱える。掬い上げるように 振った杖に合わせて、砕けた氷の破片がギアッチョ目掛けて散弾の 如く襲い掛かったが、 「無駄だ その程度の低い脳味噌でしっかり理解しな・・・」 見えない何かに阻まれて――それらは虚しく四散した。そのまま モット伯の目の前に上体を突き出して、ギアッチョはゆっくりと 宣告する。 「てめーは、弱者だ」 恐怖と怒りと屈辱で、モット伯の顔は真っ赤に震えた。ぎりぎりと 握り締めた杖を力一杯振りかぶる。 「ラ、ラグーズ・ウォータルぶっげぁあぁ!!」 ギアッチョの拳を至近距離から顔面に叩き込まれ、モット伯は 壁際まで吹っ飛んだ。 「げほッ・・・き、貴様!!貴族の私を殴ったな!!死刑だ、 しし、死刑にしてやるぞッ!!」 尻餅をついたまま鼻血を片手で抑えて叫ぶモット伯に、ギアッチョは 侮蔑の眼を向ける。 「ああ?てめー・・・貴族だから殴られないと思ってたわけか? 人を殺そうとしておいてよォォォ~~~ てめーは殴られる 『覚悟』すら出来てなかったっつーわけか?」 「黙れ黙れ黙れッ!!家畜がほざくな!私は貴族だ、伯爵だぞ!! 薄汚い平民如きがぐぶぉおッ!!」 言葉の途中で顎を容赦無く蹴り上げられ、モット伯はアーチのように 仰け反った。その前に屈み込んで、ギアッチョは世間話のような調子で言う。 「よぉ、知ってるか?その身を賭して領民を守るのが貴族ってやつ らしいぜ つーことは、だ・・・てめーは貴族なんかじゃあねーって ことになるなァァァ」 「は・・・はガッ・・・ よ、寄るな虫ケラが・・・私は貴族だ・・・ 伯爵なんだ・・・」 「いーや違うね てめーは貴族でも平民でもねぇ・・・ただのゴミ屑だ」 「・・・な、何だと・・・ 平民のぶ、分際でこの私にうごぉォッ!!」 モット伯の顔面を裏拳で横殴りにブッ叩き、そのまま眼鏡の位置を直す。 「さっきから平民平民とうるせーがよォォォーーーー てめーは一体 何をして自分を貴族だと思ってやがるんだ?ええ?おい」 「そ、」 開きかけた口を、ギアッチョは掌底で強引に閉じさせる。 「当ててやろーか?てめーにゃあ誇りも信念も、倫理も道徳もねえ あるのは運良く持って生まれた魔法と財産だけだ 違うか、オイ? 魔法が使えるから貴族で、財産があるから貴族・・・てめーの頭ン中に あるのは、たったそれだけだ」 「そこで」と継いで、ギアッチョは左手を持ち上げる。まるで飲みかけの ペットボトルに手を伸ばすような気安さでモット伯の杖を掴むと、 「・・・な、あ、ああぁああ・・・!!」 硬質的な音を立ててそれはあっと言う間に氷の柱へと姿を変え。 バキンッ!! ギアッチョの手によって、容易くヘシ折られた。 「・・・さて、これでてめーの拠り所は消えちまったわけだ おい、杖が無くなりゃあどうするんだ?お偉い伯爵様よォォォーー」 狩をする獣のような眼光で、ギアッチョはモット伯を見下ろした。 衛兵から隠れながら、迷路のような邸内をシエスタ達はおぼろげな 記憶と勘を頼りに出口へと走る。 「え、ええっと・・・多分こっちです!」 「あれ?確かこっちだったような気がするんだが」 「違う、こっち」 「ってどっちなのよ!」 ひょっとしなくても、彼女達は迷子だった。シエスタを除く三人は 先程の往路しか知らないし、シエスタとて似たようなものなのである。 埒があかなくなったタバサは、こんな時まで読んでいた本を閉じ、 動きを止めて目蓋を落とした。 「タバサ・・・?」 「・・・風はこっちから」 呟くように言って、タバサはまた走り出した。風のメイジの言葉を 信じない理由はない――シエスタとギーシュはすぐに後を追って 駆け出す。その後ろを、ルイズが少し息を荒げながら着いて行く。 その原因は、胸に抱えるデルフリンガー。「素手のほうが都合がいい」 ということで、ギアッチョに預けられたのだった。持ち運ぶだけならば 問題はないが、抱えて走るには彼女の細腕には重すぎる。だがルイズは 文句を言おうとは思わなかった。ギアッチョが自分に何かを頼んで くれたことが、彼女は純粋に嬉しかった。 「わりーなルイズ 姿形は変えられても重さばかりはどうしようもねぇ」 「そんなのあんたが気にすることじゃないわよ 衛兵連中にメイジが 混じってたら働いてもらうんだしね」 「ま、そいつぁ任しとけ 旦那のお陰でこんな時ぐれーしか出番が ねーからよ」 一人と一本は小声で笑い合う。デルフの軽口が、ルイズの緊張を 和らげていた。 「しっかし、さっきは随分と大胆だったじゃねーの お前さんも やるときゃやるもんだね」 楽しそうに言うデルフと対照的に、ルイズはきょとんとした顔をする。 「大胆?」 「大胆も大胆、『あなたがいれば他には何もいらないわ!』なんて 中々言えるセリフじゃねーよ ありゃ一種の告白だね」 わざとらしく声を真似するデルフに、一瞬置いてルイズの顔はぼふんと 茹で上がった。 「だっ、な・・・ちち、違っ・・・!ああああれはそんな意味なんかじゃ ないわよ!ていうかそ、そこまで言ってないでしょ!!」 「いーや言ったね、言ったも同然だね 俺にはひしひしと伝わったぜ 何てーの、ありゃ愛だね愛 溢れんばかりの恋情が、」 「な、なななな何恥ずかしいこと言ってんのよバカっ!!違うって 言ってるでしょ!?あ、あいつのことなんて全然全く一切これっぽっちも 気になってなんかないんだからっ!!」 「解ってる解ってる もう気になるなんて段階じゃないんだよな しかしあのセリフじゃまだまだ弱いな 旦那はああ見えてかなりの 朴念仁だからな、もっとこう好きだの愛してるだのはっきりした言葉を 交えつつ――」 「・・・ち、ちち違うって言ってるでしょこのバカ剣ーーーーっ!!」 滔々と語るデルフリンガーを遮って無理矢理鞘に戻し、ルイズは肩で はぁはぁと息をする。 もしかしたら、いや、認めたくはないが多分きっと、自分は恋をして いる――それはデルフに言われなくとも、自分で理解していることだ。 しかしそんな恥ずかしいことを他人に知られることだけは出来ない。 ていうか無理。絶対無理。これが誰かに知れるぐらいなら、いっそ死んで しまったほうがいくらかマシかもしれない。 そういうわけで、一つ溜息をついて上げた顔の先で三つの視線が自分を 凝視していると気付いた時――彼女は心の底から泣きたくなった。 慌てて姿勢を正して、シエスタはコホンと咳をする。 「え、えーと・・・ミス・ヴァリエール、その・・・ど、どうか なさいましたか?そんな所で立ち止まられて・・・」 ぎこちない笑顔で問い掛けるシエスタに、ルイズは真っ赤に上気した 顔を少し和らげた。 ――・・・あ、あれ もしかして聞こえてない・・・? 「そ、そうよね 結構距離が開いてたものね」と心の中で呟きながら、 恐る恐るタバサを見る。 「・・・・・・急いで」 そう言いながら、タバサはルイズに背を向けた。 ――や、やっぱり・・・聞こえてないかも ルイズはほっと胸を撫で下ろす。どうかそうであって欲しいと願う 彼女の眼には、タバサのほんの少し染まった頬は見えなかった。 「なんとかなった」と、三人は一様に独白する。しかしそんな彼女達の 苦心を見事にブチ壊す男が一人。 「安心したまえルイズ、最初は皆そういうものなのさ ある日突然、 雷に打たれるように、或いはふっと花の香りが届くように己の恋の つぼみの存在に気付く、それが恋心というものなのだよ そう、 僕とあの可憐なモンモランシーも(中略)、だから今は解らなくても いいのさ いつか君もハッと気付く時が来る、そしてその時こそが 二人の恋の――」 造花の薔薇を取り出してデルフリンガーの何倍もアレなことを のたまうギーシュに、場の空気は一瞬で凍りついた。 「・・・あ、あのー・・・ミスタ・グラモン、少し空気を・・・」 「そう!空気のようにいて当たり前だと思っていた人間が、ある日 突然特別に感じられる、それが恋の萌芽なのさ!かく言う僕と モンモランシーも(後略)」 水を得た魚のように得々と語り続けるギーシュにシエスタはこの世の 終わりのような顔をし、タバサはそそくさと読書に逃避した。 「・・・ち・・・ち・・・・・・」 真っ赤な顔で肩を震わせるルイズの様々な感情は、今静かに限界を 突破した。 「父?」 「違うって言ってるでしょうがぁあぁああーーーーーっ!!!」 直下型の地震のように爆発したルイズの叫びは、広大な館中に轟いた。 ――そう、「館中」に。 「こっちから声が聞こえたぞ!」 「いたぞ!あそこだ!」 「「あ。」」 …そんなわけで、彼女達は一瞬にして大ピンチに陥った。何せ 屋敷中の衛兵達に前から後ろから一目散に取り囲まれたのである。 その数は十や二十では利かなかった。一方、ギーシュが自分達の 周囲に配置したワルキューレはたったの三体。タバサの魔法も、 衛兵全てを薙ぎ倒す程の力は出せない。満身創痍な彼らの、それが 今の限界だった。 「・・・ご、ごめんなさい・・・」 ルイズは悪戯が見つかった子供のような顔で謝るが、それは色々な 意味で遅すぎた。 「見つかってしまったものはしょうがないさ それよりも何とか 切り抜ける方法を考えようじゃないか」 この事態を引き起こした一因であるところの少年は、いっそ清々しい 程爽やかに言い放った。しかしこの場の誰にも、それに突っ込む気力は 残ってはいなかった。おまけに、言っていること自体は全く正しい ものである。衛兵達のど真ん中に投げ込んでやりたい気持ちを抑えて、 タバサは簡潔に方策を告げた。 「強行突破」 一見強引に見えるが、なるほどそれは確かに最善の方法かも知れない。 全員をいちいち相手にしていればジリ貧になるだけである。ならば 思い切って後方を放置し、前方を突っ切るのが最も負担の少ない作戦だと 思われた。 ――・・・でも 懸念はある。自身の無骨な杖に、衛兵達はさほどの怯えを示していない。 それはつまり、彼らはメイジに対して何ほどかの場数を踏んでいる―― 或いはそれに抗する策が存在している可能性があるということである。 「・・・彼らの中に、メイジが混じっている可能性がある」 「――まかせて」 デルフリンガーを抱える腕に少し力を込めて、ルイズはしっかりと 答える。それを合図に、彼女達は一斉に走り出した。 ルイズ達の意図を理解して、前方の衛兵達は刃を潰した槍を構える。 その後ろから、不可視の風の弾丸が空を切って飛来した。 「ルイズ!」とタバサが素早く叫ぶ。 「デルフ、お願い!」 「あいよ!」 すらりと魔剣を引き抜いて、ルイズは前方を薙ぎ払うように掲げた。 その瞬間、風は荒々しく逆巻きながらその刀身に飲み込まれた。 「っつ、重っ・・・こんなのよく片手で持てるわねギアッチョは ごめんシエスタ、鞘持ってくれる?」 「は、はい ミス・ヴァリエール」 ふらりとよろけるルイズから、シエスタは慌てて鞘を預かる。ルイズは 両手で柄を握り直すと、再び虚空に突き出した。ギュルギュルと 渦巻きながら、ウィンド・ブレイクは二発三発とデルフリンガーに 飲み込まれる。ダメージ一つないルイズ達に、余裕を保っていた 衛兵達はにわかにざわつき始めた。その隙を突いてタバサが撃ち放った ウィンド・ブレイクが衛兵達を弾き飛ばすが――如何せんその数が多く、 海を割るように道を開くことは出来なかった。 不味い、とタバサは独白する。自分の放てるウィンド・ブレイクは あと数発もない。これでは埒を明けることは相当に難しいだろう。 「・・・タバサ、大丈夫なのかい」 それを悟ったか、ギーシュが不安げな顔で問い掛ける。彼のゴーレムは 後方のガードに手一杯で、とても前面の攻撃に向ける余裕はなかった。 「・・・・・・」 タバサは答えない。その沈黙が、言葉よりも雄弁に現状を語っていた。 「・・・よ、よし!ならばここは、ぼ、ぼぼ僕が囮になろうじゃないか!」 ギーシュの頭はあっさり玉砕一色に染まってしまったらしい。杖を ぶるぶると握りしめて、彼は高らかに叫んだ。 「お、おおお前達!こっちを見ろ、この僕が相手になってやる! 我が名は青銅のはォッ!!」 タバサの杖を脇腹に、ルイズの蹴りを脛に受けて、ギーシュは奇声を 上げてうずくまった。 「素性明かしてどうすんのよ!」 「バカ」 タバサの一撃が予想以上に効いたらしく、ギーシュは二人の罵倒に 返答も出来ず呻いた。 「・・・でもどうするの?このままじゃ・・・」 ルイズはタバサに肩を寄せて呟く。その先を語るかのように、衛兵達は じりじりと間合いを狭めて来た。タバサが僅か黙考して開いた口を 遮って、シエスタは悲痛な声を上げる。 「も、もうやめて下さいっ!」 三色三対の視線を受けて、彼女は絞り出すように続けた。 「もういいんです、私が出て行けばきっとここは収められます・・・ お三方の気持ちは本当に嬉しいです、だけどこれ以上は」 「嫌よ」 「えっ・・・」 「こんな所で逃げ出したら、ギアッチョに・・・リゾット達に 笑われるわ」 きっぱりと言い放って、ルイズは真っ直ぐにシエスタを見つめる。 その眼差しに決闘の時のギアッチョと同じ光を見て、シエスタは それ以上を続けることが出来なくなってしまった。 「・・・どうして、こんな・・・ただの平民の為に、ここまで するんですか」 俯くシエスタに、ルイズは少しためらいがちに答える。 「・・・ギアッチョの友達は、わ・・・わたしの友達だもの そ、そうでしょ、ギーシュ」 照れ隠しに眼を逸らして言うルイズに、ギーシュは屈みこんで 腹を押さえた体勢のまま応じた。 「ぐふっ・・・そ、その通りさ 友の窮地を、誰が見捨てるものか」 「・・・友、達・・・?」 シエスタは呆けたように繰り返す。貴族であるルイズ達の言葉に、 彼女は耳を疑った。 「・・・で、でも 私は平民で・・・」 「関係無い」 小さく首を振るタバサの横で、ギーシュはよろよろと立ち上がる。 「タバサの言う通りだよ ギアッチョと付き合うようになって、 僕はやっと理解した・・・貴族と平民の間に、違いなんて何も ないんだ 魔法が使えるか使えないか、ただそれだけのこと …皆人間なんだ、ただ生きてる人間なんだよ」 「ミスタ・グラモン・・・わ、私は・・・」 「武器を捨てろ!!」 野太い声が、シエスタの言葉を遮った。衛兵達のリーダーと思しき メイジの男が、ルイズ達に杖を突きつけて怒鳴る。 「何者か知らぬがここまでだ 何やら怪しげな術を使うようだが、 まさかこの人数相手に逃げられると思わぬことだな」 ルイズ達は、無論武器を捨てたりはしなかった。背中合わせに 身を寄せて、彼女達は無言で杖を構え続ける。 「抵抗を続けるか ならば少々痛い目に遭ってもらうぞ」 男の言葉と共に、衛兵達は一斉に襲い掛かった。 「ひかえおろう!」 この場にそぐわぬ時代がかった物言いに、衛兵達は思わず動きを 止める。ルイズ達までもが眼を点にして声の主を見つめた。 彼女――タバサは、長大な杖を掲げて口を開く。 「我らを何と心得る 東方の魔人、無窮にして絶対なる者、 偉大なるお方の配下である」 「は、はぁ・・・?」 衛兵達は腑抜けた声を上げる。 「我らが主はあらゆる物を凍てつかせる先住魔法の使い手である その絶大なるお力は、荒海を一瞬にして氷海へと変えるものなり その脚は一息に百メイルを駆け、その腕は鋼をも引き裂かん」 芝居がかった調子で、タバサは嘘八百を並べ立てる。常ならば一笑に 付されて然るべき大法螺だが、黒装束の奇異な出で立ちとデルフに よる魔法吸収が功を奏したか、衛兵達は神妙な表情を浮かべている。 そんな彼らを眺めて、タバサは再び口を開いた。 「我らが主は、不逞かつ悪逆なるジュール・ド・モットを許しはせぬ 彼の者は今、主の手によって然るべき報いを受けているであろう」 衛兵達は僅かにざわつき始める。メイジの男は彼らの間に生まれ始めた 恐怖を切り裂くように杖を振った。 「バカバカしい、下らぬ言い逃れはやめよ!そのような嘘が 通用するとでも――」 「ぬわーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」 絶妙なタイミングで悲鳴が響く。その声は紛れも無くモット伯の ものであった。冗談とは思えない叫びに、衛兵達の間からはついに 「ひぃっ」という声が上がる。 「え、衛兵共!何をしている、はやく助けぶごぁあぁぁ!! がふッ、お、おい貴様らどこへ――ひぃいいぃい!!」 予想だにしなかったモット伯の悲鳴が、衛兵達の心に明確な恐怖を 植えつける。いつしかリーダーらしきメイジまでもが、じりじりと 後退を始めていた。 「我らが主は、頭を垂れる者には寛大である しかし牙を剥く者には 容赦せぬ その者の心臓を凍てつかせ、五臓六腑を割り砕くであろう」 杖を大げさに振り回して、タバサは好き放題に恫喝する。そうかと 思えば、彼女は急に杖の矛先を変えてデルフリンガーを指し示す。 「見よ、あれこそがあのお方の魔剣、エターナルフォースデルフリンガー である ひとたび振れば魔法を喰らい、大地を穿ち、雷雲を呼ぶ悪魔の剣 ならん 相手は死ぬ」 勝手に付加された設定への突っ込みを、デルフは何とか堪える。素早く 目配せするタバサに気付き、ルイズは大げさに彼を構えてみせた。 それを確認して、タバサは周囲を見渡す。わずか三メイル程の近くに 迫っていた衛兵達は、今や十メイルを遠ざかっていた。 「このまま逃げるならばよし しかし我らと剣を交えるならば――」 タバサの声に合わせて、ルイズはずいと足を踏み出した。 「アトミックファイヤーブレードを使わざるを得ない」 言葉の意味はよく分からんがとにかく凄い自信を持って放たれたその 言葉に、衛兵達はもはや隠すことも忘れてガタガタ震え出す。 「精神集中、一刀入魂、仇敵殲滅・・・」 トドメとばかりにぶつぶつ呟かれた呪詛に、 「うわぁああああぁあああああああああああ!!」 衛兵達は蜘蛛の子を散らす如く我先に逃げ出した。 「ちょっ、貴様ら!止まれ!止ま、あわーーーーーーーっ!!」 人の濁流が喚くリーダーを突き飛ばし、踏み倒し、ついには彼諸共 流れ去って、怒号と殺気がひしめいていた廊下はあっと言う間に静寂を 取り戻した。こくりと一つ頷いて、タバサは眼鏡の位置を直す。 「今宵の地獄はここまでとしよう」 「何なの?それどういうキャラなの!?なあ!」 一方、こちらはモット伯の寝室。 「おい~~~~~~~~~~・・・もう終わりか?ええ?杖一本 折られた程度でよォォォ」 ギアッチョはつまらなそうに、ボロ雑巾のように倒れ臥すモット伯を 見下ろしていた。 「・・・た、助けてくれ・・・」 「ああ?」 「い、いくら欲しいんだ・・・好きなだけくれてやる だ、だから 助けてくれ――ガブッ!!」 顔面をモロに踏みつけられて、モット伯はくぐもった悲鳴を吐く。 「言葉遣いがなっちゃあいねーな 助けて下さいだろうが ええ?」 「・・・・・・た・・・助けて・・・下さい」 プライドも捨てて哀願する彼を冷たい双眸で眺めて、ギアッチョは 口の端を歪めた。 「助けるわけねーだろーが」 「そんな・・・!!」 絶望に震える伯爵をもう一度壁に蹴り込んで笑う。 「てめー、さっき弱者は逃げることしか出来ねーと言ったが・・・ ちょっと違うんじゃあねーか」 「・・・う・・・」 「真の弱者はよォォ~~~~・・・逃げることすら出来ねえ」 ギアッチョの言葉通り、モット伯には逃げる気力も残っては いなかった。うわ言のように、ただ命乞いを繰り返している。 「・・・フン」 鼻を鳴らして「下らねえ」と呟くと、ギアッチョはスッと右手を 差し伸べた。 「オイ 掴まりな」 よろよろと出されたモット伯の手を掴んで、彼を立ち上がらせる。 「た・・・助けてくれるのか・・・?あ、ありが・・・ハッ!?」 ギアッチョの握り込まれた左手に気付いて、モット伯は悲鳴に近い 声を上げる。 「ま、待て!やめてくれ!!ここは二階――」 バッギャアアァアアァアアッ!! 「うげあぁあああぁああぁッ!!」 ガラスの砕ける音が派手に響き、モット伯は中庭の噴水へ悲鳴と共に 落ちて行った。壊れた窓の奥から見下ろして、ギアッチョは心底 楽しそうにクククと喉を鳴らす。 「やりすぎよギアッチョ ・・・ま、提案したのは私だけど」 呆れた声を出すキュルケに、肩越しに眼を遣って尚笑う。 「まだ終わりじゃあねーだろ おめーの出番を忘れんなよ」 「そこは大丈夫よ ほら、行きましょう」 キュルケの声に押されて、ギアッチョは中庭へ飛び降りた。彼に レビテーションをかけると、その後を追ってキュルケは同じく魔法を 使って舞い降りる。 「・・・う、あ・・・」 噴水に半身を沈めながら、モット伯はかろうじて意識を保っていた。 しかしその身体は動かない。叩き付けられた衝撃よりも、殺されることの 恐怖が心身を麻痺させていた。 ばしゃりと水が跳ねる音が聞こえ、反射的に閉じていた眼を開く。 あの忌まわしい男が、ゆっくりとこちらに歩いて来る。 「・・・あ・・・・・・!」 声にならない声が漏れる。必死に逃げようとするが、死が眼前に迫る にも係わらず身体は言うことを聞こうとしなかった。逃走の意思を 察してか、ギアッチョは水面にスッと片手をつける。その瞬間、 噴水中の水がビキビキと音を立てて凍りついた。 「ひっ・・・ひ・・・・・・!」 身体をガッチリと氷に捕えられて、モット伯は恐怖にただ震えた。 一体何なんだ、この化け物は。 己に恨みのある人間などいくらでもいるだろう。そんなことなど 誰に言われずとも理解している。だからこそこれだけの警備を雇って いるのだから。 しかし。 一体、この化け物は何なんだ。 こんなことは聞いていない。こんな平民が、こんな化け物が存在する ことなど聞いていない。魔法は絶対なのではなかったのか?我々は 絶対なのではなかったのか?こいつは、こいつは一体―― 「何・・・なんだ・・・!!」 掠れた声が、思わず口をついていた。しかし男は答えない。つま先が 触れ合う程の距離から、氷よりも冷たい瞳で己を見下ろしている。 「そのお方は――」 彼の後ろから声が響いた。今まで事態を傍観していた黒装束の女が、 朗々たる声音で語り始める。 「遥か東方、ロバ・アル・カリイエの魔人 能う者無き無限の魔力を 持ち、深遠なるお心で過去と未来を見通すお方――私達など足元にも 及ばぬ存在よ」 「・・・・・・!」 モット伯は絶句する。そんなバカな、等とは言えようはずもなかった。 呪句も唱えずにただ触れただけで飛び交う水や噴水までも一瞬で 凍結させる、そんな凄まじい力を眼の前で見せられたのだ。一体 どんなメイジならそんなことが出来るというのか――いや、例え 始祖であろうと出来はすまい。 「・・・嫌だ・・・」 氷に絡められた身体で必死にもがこうとするが、その指の一本すら 動かすことは叶わなかった。 「だっ・・・誰か・・・!!」 恥も外聞もなく助けを乞うモット伯を眺めて、黒いローブの女は 形のいい唇を笑みの形に歪めた。 「・・・ねえ あなた助かりたい?」 「は、はい!はいィィッ!!」 モット伯は一も二も無く返事をする。少し考え込むような素振りの 後で、黒衣の女は静かに口を開いた。 「そうねぇ・・・今から言うことに従うなら、助けてあげなくもないわ」 モット伯は首をブンブンと取れそうな勢いで振って肯定の意を示す。 女の口元に浮かぶ笑みが、一段大きくなった。 「いい心がけね・・・それじゃまず一つ」 「ひ、一つ!?」 「ご不満かしら?」 「いっ、いえ滅相もない!」 「よろしい まずはあなたが強引に買い取った女の子達を全員解放して もらおうかしら」 全員、という言葉にモット伯は凍ったように固まった。「ぜ、ぜんいん …?」弱く呟くが、女は許しはしない。 「出来ないのなら――」 「し、しますッ!解放します喜んでぇぇ!!」 「ならいいわ さて、それじゃ次だけど・・・あなたの所持している 禁制品、あれを全て始末なさい」 「そんなッ!?」 青ざめた顔をするが、女はやはり許さなかった。 「そう、一つ残らず 一応言っておくけれど、このお方に隠し事なんて 通じはしないわよ」 「一つ・・・残らず・・・?」 この世の絶望を集約したような顔のモット伯を、それでも女は許さない。 「あら、この期に及んでまだ私達を騙すつもりだったのかしら?」 「と、とんでもございませんッ!!」 「結構 さて、それじゃあ三つ目だけど」 「ひィッ!?」 男の片手が、モット伯の首を無造作に掴んだ。 「オレ達のことをよォォォ~~~~~~・・・誰かに言ってみろ」 「か、あ・・・!!」 ビキビキと音を立ててモット伯の首が凍り出す。獣のような双眸で己の 顔を覗き込む悪魔に、モット伯はこれまでで最高の戦慄を感じた。 「――殺すぜ」 男の手は、言い終えて尚離れない。このまま首を砕かれるのでは ないかという恐怖に、 ――た・・・助けて・・・神様、ブリミル様・・・! モット伯は生まれて初めて本気で神に祈った。 無限に思える数秒を経て、男はようやくその手を離した。瞬間、 モット伯の首はまるで何事もなかったかのように元に戻る。 「・・・あ・・・・・・あ・・・」 肺腑から漏れ出た呼気と共に、彼の全身からへなへなと力が抜けていった。 「さて、それじゃあ最後だけれど」 「は・・・い・・・」 モット伯は力なく答える。もはや怯える余裕すら残ってはいなかった。 「二度と平民の女の子に手を出さないこと 禁制品にも手を出さないこと その他一切の非道を止めること・・・解ったわね」 「・・・わかりました もうにどとなににもてはだしません・・・なにも しません・・・」 魂の抜けた声で繰り返すモット伯を見遣って、黒装束の女は満足げに笑う。 「いいこと?もしこの先同じようなことをした場合――今度はその命を 手放すことになるわよ 永遠にね」 最後にそう言って、女は黒いローブを翻してモット伯に背を向ける。 立ち上がった男がそれに習うと、二人は驚く程あっさりと立ち去った。 男の姿が宵闇に消えると同時に、凍った噴水はばしゃんと音を立てて 一瞬の内に水へと姿を戻した。しかしモット伯はその場を動こうとは しない。情けなく崩れ落ちた格好のまま、冷えた身体を温めることも 忘れて虚脱していた。 「・・・は ははははは・・・」 何分が過ぎただろうか。彫像の如く微動だにしなかったモット伯の 口から、唐突に笑い声が漏れた。 「ははは・・・生きてる・・・生きてるぞ・・・」 身体にかかる水を跳ね除けて、モット伯は勢いよく立ち上がる。 満天の星空に両の拳を突き出して、心の底から笑った。 「生きてる・・・俺は生きてる!うはははは、生きてるぞッ!! ははははははははッ!!」 ――後年、彼は聖人の一人に列されることになる。この日を天啓に 神職の門を叩いた彼は、私財を投げ打ってその生涯を窮する平民達の 為に捧げ、「慈雨のモット」と呼ばれるに至った。他人の非を咎める 時、彼は決まってこう言った。「神は全てを見ておられる 我らが 悪を為した時、神は人を遣ってその罪を罰されます」と。 モット伯に買われた女性達の解放はつつがなく完了した。彼女達を 全員解放させた理由は勿論善意によるものだったが、ギアッチョには もう一つ、目的がシエスタ一人だったと悟らせないことで身元の判明を 防ぐという狙いもあった。従ってギアッチョは彼女達に感謝される 理由など自分にはないと思っていたのだが、それでも何度も頭を下げる 彼女達にどうにも居心地が悪くなり、一番歳若い少女に乗って来た馬を 寄越して早々にシルフィードの背中へ乗り込んだ。当然馬は学院の 備品なのだが、あんな任務をこなした後なのだからオスマンもその くらい大目に見てくれるだろうと彼は適当に考える。 「・・・えっと、本当に私が乗ってもいいんでしょうか」 ギアッチョに続いてシルフィードの元へとやって来たシエスタが、 遠慮がちに問い掛けた。 「オレに聞かれてもな ま、そう大した距離でもねー 多少定員 オーバーでも頑張ってくれるだろうぜ」 言いながら、ギアッチョはシルフィードの背中をばしんと叩く。 「きゅい!」 「ほらな」 「言葉が分かるんですか?」 「そういうことにしとけ」 適当に答えるギアッチョに少し相好を崩して、シエスタはおずおずと 背中へ乗り込んだ。 「じゃあ・・・お、お邪魔します・・・」 応じるように、シルフィードはもう一つ鳴いた。 「・・・あの、本当にありがとうございました」 全員を乗せて夜空へ舞い上がったシルフィードの上で、シエスタは 土下座せんばかりに頭を下げる。 「もう何度も聞いたわよ」 苦笑交じりに返すキュルケに首を振って、彼女は尚も頭を下げた。 「どれだけ言っても言い尽くせません 本当に・・・本当に感謝 してるんです 家名まで賭けて助けに来ていただけたなんて・・・ ギアッチョさんも、そんな満身創痍で・・・私、一体どうやって お返しすればいいのか――」 「この程度は怪我の内に入らねーぜ 一宿一飯の義理っつーやつだ」 何でも無いという風に手を振るギアッチョに続いて、薔薇の杖を 取り出しながら口を開いたギーシュをルイズの言葉が遮る。 「見返りが欲しくてやったんじゃないわよ わたし達はあんたを 助けたかっただけ それが叶ったんだから、他に何かを求める必要 なんてどこにもないわ」 「で、ですが・・・」 シエスタはしかし食い下がる。彼女にとっては、ルイズ達は己の人生を 救ってくれた救世主なのである。何千何万頭を下げても足りるものでは なかった。 「そうねぇ」 思案顔でシエスタを眺めていたキュルケが、思い立ったように口を開いた。 「それじゃ、今度厨房でご馳走でもいただこうかしらね?」 「・・・はしばみ草」 「それはやめろ」 タバサの小さな呟きを、ギアッチョは速攻で否定する。 「あ・・・」 キュルケ達の暖かな気遣いを感じて――シエスタはようやく、いつもの 笑顔を見せた。 「・・・はい」 遥か後方に小さく見えるモット伯の屋敷を眺めて、ルイズは呟くように 口を開いた。 「・・・ねえギアッチョ」 「ああ?」 「わたし、知らなかった」 ギアッチョは静かに隣に眼を向ける。少女は桃色の髪をなびくに任せて、 はにかんだ笑みを浮かべた。 「誰かを助けることって――こんなにも気持ちのいいことなんだって」 人はそれを、偽善であると言うかも知れない。しかし一体それが何だと いうのだろう。ギアッチョは、リゾット達は、そしてルイズ達も―― 彼らはいつだって、信じたことを貫き通しているだけなのだから。 「・・・」 ルイズに答えずに、ギアッチョは彼女の視線の向こうへと眼を移す。 彼方に薄く延びる山々の稜線から、朝を告げる光が射し込み始めた。 全てを赦す曙光を眺めて、眼鏡の奥の双眸を細める。 「――眩しいな」 そう言いながらも、ギアッチョは眼を逸らさずに呟いた。 「だが、ま・・・ 悪くねー気分だ」 程なくして一行は学院へと帰還した。シエスタをルイズ達に送らせて、 ギアッチョは一足早く部屋へと向かっている。彼女達の前で言いは しなかったが、ギアッチョの疲労はもはや限界に近かった。 極力疲弊を隠す足取りで女子寮を歩く。包帯を巻いた身体でガンを 飛ばしながら早朝の女子寮を闊歩する長身の男というのは傍から見れば かなり危ない絵面だが、彼は幸いにして誰の悲鳴も浴びることなく ルイズの部屋まで辿り着けた。倦怠感溢れる動きでドアを開き、 「あでっ!」 デルフリンガーを投げ捨てるように置く。 「・・・あー・・・」 半ばもつれるような足取りで中に入ると、そのまま数歩ふらふらと進む。 「流石に、つれぇ・・・な」 ギアッチョはそのまま、力無く前方に倒れ込んだ。 「あれ?」 遅れること数分、戻ってきたルイズは開きっ放しの扉に首を傾げた。 キュルケと別れて、扉を閉めながら声を掛ける。 「ちょっと、扉ぐらい閉めなさいよ・・・って」 ベッドに倒れ伏すギアッチョに、ルイズは僅か動きを止めた。 「ギ、ギアッチョ!?大丈夫!?」 「あーあー、静かにしてやんな」 駆け寄るルイズを、デルフが静止する。よく見れば別に死んでいる わけではなく、相変わらずの仏頂面で彼はかすかに寝息を立てていた。 「な、なんだ・・・ もう、心配して損したわ」 一つ溜息をつくと、「わたしも寝よう」と呟いてルイズはマントに手を 掛ける。するりと肩から落とした所で、ハッと顔を上げた。そっと 後ろを伺うと、ギアッチョが眼を覚ます様子はどうやらないようだった。 「・・・う~・・・」 ルイズは少し恨めしげにギアッチョを見たが、すぐに背を向けて そそくさと着替えを済ませた。 いざや就寝という段になって、 「・・・あ」 ギアッチョが寝ているのは自分のベッドだと、ルイズはようやく 気がついた。 「ど、どうしよう・・・」 ギアッチョを起こすわけにはいかないが、しかし自分も相当疲れている。 出来ればベッドで横になりたい所だが、ギアッチョの隣に潜り込むと いうのは、 ――・・・その ま、まだはやいっていうかなんていうか・・・ ルイズは真っ赤な顔で考える。 考える、考える、考える。 十分以上堂々巡りを繰り返して、ルイズの頭はそろそろ湯気が出そうに 茹り始めた。熱と眠気でよく分からなくなって来た意識の中で、ルイズは 自棄になって呟く。 「・・・ああ、もう・・・!」 言うが早いか、ギアッチョの隣にぼすんと飛び込んだ。 「わ、わたしのベッドだもん・・・!」 ぼそぼそと呟いて、枕に顔をうずめる。すぐに昼夜を徹した疲労が 襲い掛かり、ルイズはそのまま――まどろみの中に落ちていった。 夢と現の境で、ルイズは今日を思い返す。 …ああ。こんな気持ちになったのは初めてだ。 皆といる明日が――とても楽しみだなんて。 ==To Be Continued...
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「メタルギアソリッド」シリーズからソリッドスネークを召喚 第一章 SnakeTales Z 蛇の使い魔-01 SnakeTales Z 蛇の使い魔-02 SnakeTales Z 蛇の使い魔-03 SnakeTales Z 蛇の使い魔-04 SnakeTales Z 蛇の使い魔-05 SnakeTales Z 蛇の使い魔-06 SnakeTales Z 蛇の使い魔-07 SnakeTales Z 蛇の使い魔-08 SnakeTales Z 蛇の使い魔-09 SnakeTales Z 蛇の使い魔-幕間 第二章 ≪灰色の蛇≫ SnakeTales Z 蛇の使い魔-10 SnakeTales Z 蛇の使い魔-11 SnakeTales Z 蛇の使い魔-12 SnakeTales Z 蛇の使い魔-13 SnakeTales Z 蛇の使い魔-14 SnakeTales Z 蛇の使い魔-15 SnakeTales Z 蛇の使い魔-16 SnakeTales Z 蛇の使い魔-17 SnakeTales Z 蛇の使い魔-18 SnakeTales Z 蛇の使い魔-19 第三章 ≪Harrier≫ SnakeTales Z 蛇の使い魔-20 SnakeTales Z 蛇の使い魔-21 SnakeTales Z 蛇の使い魔-22 SnakeTales Z 蛇の使い魔-23 SnakeTales Z 蛇の使い魔-24
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星屑「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」 DIO「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」 スト様「ずいぶん老けたなジョジョ、しかも隠し子もいるとは、元気そうで何よりだよ」 隠者「そ、そいつは言わない約束じゃよ!」 トニオ「ワオ、吸血鬼サンニ会ウノハ初メテデス」 仗助「トニオさんよぉー、それより俺にも料理食わせて欲しいッスよー」 康一「お城の生活ってどんな感じなの?やっぱり藁束の布団?」 康一「…う、うん…」(ごめん…ごめんよ僕…) 露伴「素晴らしいッ!平行世界で少しずつ設定が違う!この曖昧さが読者の想像力をかき立てるんだッ!」 アホ「あ…兄貴! 兄貴ィーッ!」 几帳面「泣くな億安!おまえも召喚されて使い魔になったなら背筋を正せッ!」 ミキタカ「形兆さん、泣きながらそんなことを言っても説得力がありませんよ」 猫草「…? ……??」 スミス「何だよフーゴォ~、食堂でキレないでもっと上手くやれよー」 フーゴ「…誰のせいだと思ってんだァー!」 スネイク「騒ガシイナ、ホカノ世界ハ皆コウナノカ?」 白蛇「プッチガ居レバ、ココニイル皆ヲコレクションスルンダガナ…」 育郎「あの、みなさん、シエスタさんがお菓子を届けてくれたんですが」 ジャイロ「ニョホ!一番大きいケーキを貰うぜ…ん?」 ジョニィ「大きいケーキを取ったはずなのに…ケーキが元の位置にあるッ!?」 リンゴォ「キッカリ六秒時を戻した…ケーキは元の位置に…まだ決着はついていない」 メロン「じゃあ小さいのから頂きますよ、勝負は勝手にやっていて下さい」 ンドゥール「イチゴの臭い…ショートケーキではない…タルトか」 ドイツ人「我がドイツのバームクーヘンは世界一ィィィ!このケーキは二番目にしてやろう!」 シーザー「シャボン・ソーサー!シャボン玉の上にケーキが乗り口元へと運ぶッ!」 ジョナサン「彼がツェッペリさんのお孫さんか…後で僕は彼に謝らなければならないな」 卿「謝る?逆に考えるんだ、トンペティさんの予言を深読みしたせいで死んだと考えるんだ」 DIO「ウリィィィィィィヤァァァァ!ブッ潰れよォォォォ!…何、く、口の中が苦い!」 星屑「九秒経過した時点で、てめーの口にハシバミ草をぶち込んだ…」 エンポリオは泣いた…自分のケーキが残っていないことに気づき…泣いた。