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前ページ次ページ蒼炎の使い魔 午後 彼女は授業を終え自室に戻る最中だった。 当然カイトも一緒だ。 今日は何もなく、いい気分だった。 周りのものがあからさまに彼女に皮肉を言わなかったのである。 また、昨夜つっかえたものを吐き出したこともあるだろう。 いつもと変わらない世界が新しく見えた。 そんな感じで廊下を歩いているとメイドが突然声をかけてきた。 ルイズはその声に振り返るとそこには自分よりはるかにスタイルのよい少女がいた。 この生意気な体の女は誰? 「えと、あなた誰だったっけ?」 その問いに慌ててメイドは答える。 「え、あ!す、すいません。私はこの学院のメイドをさせてもらっているシエスタといいます。 昨日のギーシュ様の件についてのお礼をしたいのですが…」 そこまでいわれルイズは思い出した。 そうだ、あのときギーシュにひたすら謝ってた…。 話を聞くとどうやら自分の不手際を助けてくれた2人にお礼がしたいらしい。 どうか厨房まで来てくれないか、と彼女は頼んだ。 だがその誘いをルイズは断った。 「別にいいわよ。あれは勝手にやっただけの事だから」 「で、でも」 食い下がるシエスタを見てルイズはカイトを見る。 「私は休んでいるから、あんただけでも行って来なさいよ」 「…ハアアアアア」 それじゃ、と言ってルイズはその場を去った。 残されたのはシエスタとカイトの2人だけ。 彼女はルイズを誘うのを諦めたのかカイトの方を見て微笑む。 「それでは、こちらにいらしてください」 そういってカイトを連れ出そうとする。 了解したのかカイトは声を出した。 「…ハアアアアア」 ビクッ! 彼女の反応は分かりやすかった。 普通なら、「わかった」とか言う所をいきなり唸るともため息とも取れない声を出したのだ。 ルイズだって未だに慣れていない。 震えながらも彼女は声を出す。 「あ、あの。あなたは平民の使い魔なんですよね?」 「…ハアアアアア」 こればかりははっきりいって相手が悪い。 少し涙目になりながらシエスタはカイトを厨房へと連れて行った。 何度か勇気を振り絞って話しかけてみたがすべて撃沈だったと言う…。 場所は変わり厨房 待っていたのはコックとその料理長である。 「『我等の剣』が来たぞ!」 彼はうれしそうに大声で言う。 どうやら歓迎しているようだ。 「よくシエスタを助けてくれた。あの生意気な貴族がお前にコテンパンにやられた時はスカッとしたぜ」 「…ドウモ」 彼は豪快に笑う。 マルトーはカイトを無理やり椅子に座らせご馳走を持ってくる。 それを見て彼は不思議そうにそれを見る コレハナニ? 「The World」では食料などない。 仮想の世界なのだから当然だ。 だからカイトにとってそれは未知のアイテムにしか映らなかった。 ご馳走を出しても何も反応しないカイトにマルトーは不思議そうな顔をする。 (もしかしてこいつロクなもの食わされてねえんじゃないのか?) 彼はカイトが作られたモノだとは知らない。 だからカイトのことをこう曲解した。 ご馳走に反応しない→今までロクな物を食わされたことがない →主人がそうするようにした→その主人→貴族=敵! ぜんぜん違う。というか論点がずれている。 「けっ!これだから貴族ってやつは!」 だがカイトはそれを否定する言葉を出すことは出来ない。 彼がヒートアップしていくのにシエスタは気づいた。 この悪くなってきた空気をかえようとカイトに声をかける。 「あの、カイトさんって言うんですよね?これはシチューって言って…」 そういってスプーンを持たせシチューをすくわせる。 一から教えていくシエスタはまるで出来の悪い弟を見る姉のようだった。 カイトは難しそうにスプーンでシチューをすくい口に入れる。 瞬間、彼は満たされていく感じがした。 なるほど、ルイズが厨房に行けとあの日言われたのはこのことだったのだろう。 口の中の料理が彼の舌を刺激する。 以前グルメのカードを送られたときは「ナイ」と返した。 だが今なら彼は「シチュー」と返すだろう。 普通の人間なら当たり前の事が彼にとっては革命に近かっただろう。 シエスタは一心不乱にシチューを食べるカイト見て不憫に思っていた。 それほどまでにひどい物しか食べてこなかったのだろうか、と。 そして、無邪気な子供を見ているようで、かわいいとも思ってしまった。 最初は怖かった。何者も寄せ付けない雰囲気に。 でも、助けてくれた。 決闘のときは怪我をすると思った。 自分のせいで。 だけど、彼は勝った。 シエスタは微笑んだ。 いつの間にか周りはにやついている。 いつもなら顔を赤くさせ、逃げてしまうところだが、 今日ぐらいは良いだろう。 (もっと、あなたのことが知りたいです。カイトさん…) 次に来たときは自分の料理をご馳走させようと誓ったシエスタだった。 前ページ次ページ蒼炎の使い魔
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前ページ次ページ攻撃力0の使い魔 どこか別の次元・別の宇宙の「彼女」と同じく、もはや手足の指では数えられないほどの失敗の後 彼女……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの行った 使い魔召喚の魔法『サモン・サーヴァント』は成功した。 「……亜人?」 ルイズの召喚に応じて現れたのは亜人だった。 この世界の人間の知識では「亜人」としか呼びようが無い。 200サントを超える背丈の、紫色の肌をした女性の亜人。 背中にはドラゴンのような翼が2枚 生えている。 ……女性? いや、違った。 たしかに、亜人の右半身は女性のように見える。 胸には乳房があり、骨盤は大きく丸みを帯びている。 だが それに対して、左半身は男性のように見えた。 胸には脂肪が無く 大胸筋が盛り上がっており、右足の太腿にも逞しい筋肉がついている。 この亜人は、身体の右半分と左半分で まったく違う体型……というか性別をしている。 また、左右非対称なのは 体型だけではなかった。 まず目につくのは、髪。 肩のあたりまで伸びたボサボサの髪は、右半分が薄い灰色で 左半分がくすんだ青色をしている。 その次は、目。 亜人の目は、右が橙色で 左が緑色の オッドアイだった。 さらに 額の中心にも、大きなダイヤ型の黄色い目が付いている。虹彩は赤い。 あと腕も 右と左で明らかに違う見た目をしているが、表面のテクスチャーを張り替えたような違いでしかないので、省略する。 もちろん、どちらも人間のそれとは だいたいの形しか一致しない。 唯一 背中の翼だけは、綺麗に左右対称となっていた。 ちなみに、翼のカラーリングは 外側が黒で内側が紫となっている。 あと特筆すべき外見の特徴は、亜人の体で 衣服のように変色している部分があることくらいか。 人間なら下着をつけているであろう部位は、翼の外側と同じような黒い色をしている。 それが皮膚なのか衣服なのかはわからないが、とにかく人間が下着で隠そうとするような部分が 黒に覆われているのだ。 一般的な男性が 女性と違ってブラをつけないように、亜人の左の胸は顔と同じ紫色をしているのに対し 右の胸は黒色をしている。 もっとも、なぜか腿については逆に、右が黒で 左が紫となっていた。 また、衣服のように見えるわけではないが、亜人の両肩・両肘・左右の腰骨には 翼と同じ色と質感をした ヒレのようなツノのような突起物が生えている。 何の機能があるのかはわからない。 妙にダラダラと亜人の外見を描写することになってしまったが、その亜人の外見は それくらい まさに「異形」と呼ぶにふさわしいものだったのだ。 そんな異形の姿を ようやく脳内で処理し終えたのか、その場に居合わせた者たちは 口々に銘々の感想を述べ始めた…… 「何あれ……」 「と…とりあえず『亜人』としか……」 「禍々しくも ふつくしい……」 人でないのに人の形をしている存在への、生理的な恐怖。 必死で勉強したハズの座学の知識の中にも存在しない 正体不明の亜人に対する恐怖。 そして……そんな世にも珍しい存在を使い魔として召喚したことへの感動。 加えて魔法成功率がゼロでなくなった感動。 ルイズの中で、感動が恐怖に打ち勝った。 使い魔の契約『コントラクト・サーヴァント』を行うため、深呼吸をして、自分が呼びだした亜人に歩み寄る。 それまで静かに周囲を観察していた亜人の3つの目が、すべてルイズに向けられる。 「…………」 目の前の少女が自分に用がある と気づいたのか、亜人は姿勢を低くして目線をルイズに合わせると その緑色の唇を開いた。 「……キミは?」 トーンの押さえられた、女性の声だった。 「……!」 やはり、人語を解するらしい。 人間と同等か それより上の知能を持った亜人である可能性も十分にある。 だが、自分が使い魔とするため呼びだした以上、主人が威厳を失うわけにもいかない。 ちょうど相手の顔の高さも自分にとって都合の良い位置にきていることだし……と、ルイズは そのまま『コントラクト・サーヴァント』を実行に移すことにした。 「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 5つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ……!」 杖を亜人の額に……当てようにも、そこには亜人の第3の目がある。 さすがに、正体不明かつ初対面の相手を目潰しで怒らせるわけにもいかないので、ルイズは亜人の眉間に杖を当て、緑色の唇に口づけをした。 「ッ!? おまえ、何を……!」 いきなり唇を奪われて驚いたのか それとも使い魔のルーンが刻まれる痛みに驚いたのかは わからないが、 先程までの冷静さとは うって変わって、亜人は明らかに感情を表に出した。 そんな亜人の 額にある第3の目が発光している。 いや、目が光っていたのではなく、使い魔の証であるルーン文字が刻まれている最中なのだ。 「あ、それは使い魔のルーンが刻まれてるだ…けッ!?」 突如、額に走った鋭い痛みにルイズは悶絶する。 突然の謎の痛みに ふらつき倒れそうになるルイズを、服の首ねっこを掴んで 亜人が支えた。 「ふふふっ……大丈夫かい? それが…今 僕が感じた痛みなんだ」 「……っ!」 召喚者の威厳を保つため、できるだけ迅速に立ち直る。痛み自体は とっくに消えていた。 「…………」 ルイズの召喚した亜人が、3つの目で彼女を見下ろしている。 「……!」 ルイズと 教師のコルベールが、あることに気づく。 亜人の額にルーンが刻まれている。 いや……額…というか……額にある第3の目の中に。 (う…わ……) 眼球にルーンが刻まれる…… 想像するだけで嫌な汗が滲む。いったい どれほどの激痛なのだろう…… (……え? 激痛?) 激痛といえば、先程 突然ルイズを襲った痛みも、分類としては かなりの激痛だった。 沁みるような刺すような鋭い痛み。 目に塩水が入ったときの痛みの強化版のような激痛…… しかも、その痛みが ちょうど額に…… (まさか……) 契約を結んだ その瞬間から、使い魔と感覚を共有した、ということだろうか。 ……視覚でも聴覚でもなく、よりによって 痛覚を。 亜人が、そんな懸念を抱くルイズのほうを向いた。 「……ねぇ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 「っ! な、何……!?」 1回しか言っていないのに、いきなりフルネームで呼ばれた。 記憶力に優れているのか、それとも長い名前に慣れているのか。 「ボクを この次元へ呼んだのはキミなんだろう? キミは、さっき『使い魔』って言ってたけど……説明してもらおうか」 「……! そ、その前に……! あんたも自己紹介しなさい……! ご主人様が使い魔のことを知るのは当然でしょ……!」 「ほう……本気でボクを使い魔にできると思っているのかい」 いきなりの ご主人様を馬鹿にしているような発言。 「う……そ、そうよ! もうコントラクト・サーヴァントは完了してるんだから!」 「……ふふっ、まあいい。僕は……ユベル。闇属性・悪魔族の精霊だ。 もしキミが 長い名前が好きなら『ユベル-Das Abscheulich Ritter』とか 『ユベル-Das Extremer Traurig Drachen』でもいいけどね」 「ゆべるだす……って、え!? アクマぁ!?」 闇属性、悪魔族、精霊。精霊はともかく、闇属性? 悪魔? 「……もしかして…エルフと何か関係が……?」 「闇」「悪魔」といった単語から ごく自然に連想されて 思わず口に出してしまう。 だが…… 「あぁ……キミたちと同じ 魔法使い族のエルフのことかい? 残念だが、ボクには あまり関係が無いねぇ」 「魔法使い…族?」 たしかに、人間のメイジもエルフも 魔法を使いはする。 だが その魔法力には大きな差があり、魔法の使い手として人間とエルフを同列に扱うのは無理がある。 にもかかわらず、このユベルと名乗った亜人は、ハルケギニア最高の先住魔法の使い手であるエルフと そんなエルフを恐れる人間を、 あたかも同程度の種族であるかのように言う。 この亜人が属する「悪魔族」という種族にとって、人間もエルフも大差無いということだろうか……? それとも単に人間とエルフの区別をする習慣が無いだけなのか。 「まさか…本当に悪魔……!?」 人間どころかエルフすら軽視できるほどの存在。 そして、闇・悪魔……闇を担う悪魔…の精霊……? 「悪魔…族って……?」 「そんな種族の亜人もいるのか……」 「闇属性って? 系統?」 「ゼロのルイズが、化け物を……?」 「ってか あれ、男? 女?」 「なにげに胸が大きい」 得体の知れない亜人が出現した ほとぼりはとっくにさめている。 だが、亜人の口にした「闇」「悪魔」という単語は、新たな話題のタネとなっているようだ。 もちろん、そんな存在を「ゼロ」のルイズがいきなり召喚したことも。 「そういえば、さっきから気になっていたんだけど……『ゼロ』というのはキミの あだ名かい?」 「……! そ、それは…っ!」 軽い調子でユベルが問いかける。 もちろん、彼…彼女…彼……とにかく、ユベルはその由来を知らない。 だが ルイズは、不名誉なあだ名のことを話題に出されて言葉に詰まる。 「ふふふっ、そうか……これがキミの『心の闇』なんだね」 心の奥底まで見透かすようなユベルの視線が、ルイズの体を貫く。 「え……?」 「いいよ。今日からボクたちは友達だ。ボクも ある意味、キミと同じ『ゼロ』だからねぇ」 「あんたも…ゼロ……?」 「あぁ。ボクは元々、攻撃力も守備力も0なんだ。もっとも……ボクには そんなもの 必要無いけどね」 「こ、攻撃力と守備力ゼロって……え!? じゃあ戦う力が無いってこと!?」 見るからに化け物チックな この使い魔は、その外見に反して 自分に戦う力が無いと告白した。 せっかく世にも珍しい使い魔の召喚に成功して、ゼロの汚名を晴らせるかと思ったのに…… この使い魔自身も戦う力が「ゼロ」であると言う。 ゼロの魔法使い が 戦闘力ゼロの使い魔 を召喚してしまった。 (べ…別に戦闘能力だけが すべてじゃないわよ……きっと何か それ以上にすごいことができるハズ……!) そう思い直すルイズに、ユベルが声をかける。 「勘違いしてないかい……?」 「え?」 「たしかにボクは攻撃力も守備力も持っていない。けど、戦う力が無いなんて言ってないだろう? 実際、ボクは今まで ほとんど負けたことが無いからねぇ」 虚勢を張っている様子は無い。 むしろ、ゼロだからこそ負けない、とでも言わんばかりに毅然としている。 「……ふふふっ、いずれわかる」 それまで ただ じっと使い魔を観察していたコルベールは、攻撃力0のくだりを聞いて ひとり納得していた。 この亜人は、たしかに「闇」としか言いようの無い性質の魔力を持っている。いや、ある意味「魔力そのもの」と言ってもいい。 それも「神」というものと同等のレベルの存在であることは間違い無い。 だが、この亜人には いっさいの攻撃性を感じられなかった。 そこに「攻撃力0」という自己申告。 とりあえず、この正体不明の亜人に 誰かに危害を加える力は無いらしい。 そのことがわかると、コルベールは生徒たちを教室へ向かうように促す。 そして…… 『フライ』の魔法で校舎に飛んで行った生徒たちはともかく、 ミス・ヴァリエールと その使い魔まで いつのまにか姿を消していることに気づいたコルベールは、 ルイズの使い魔の額に刻まれたルーンが珍しいものだったことを思い出す。 「……あ、スケッチ……」 その頃、トリステイン魔法学院内のどこかの廊下を、やや筋肉質になった桃色の髪の小柄な少女が 双眸を金色に輝かせながら歩いていた。 (十代……どこにいるんだ……十代……) 前ページ次ページ攻撃力0の使い魔
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前ページ次ページ鋼の使い魔 夕陽に染まるアルビオン、ロサイス港。 見下ろす地平線を背に、艤装を完了した『レキシントン』号の甲板上に主要各艦の長が整然と不動のまま並んでいた。 彼らの前に設えられた台上には『レキシントン』号艦長ボーウッド。今回の親善艦隊の総指揮を貴族議会から任命されたジョンストン卿。 その他旗艦参謀員が並び、目の前に並ぶ艦隊構成員達を視界に収めている。 ジョンストンは一歩踏み出して声を張った。その声は制音【サイレント】の応用によって甲板上はもとより艦隊各艦へと伝えられ、総ての船員達に聞こえるようになっている。 「諸君。愚かなる旧アルビオン王家との輝かしき戦いを乗り越えた英雄諸君。ここに停泊する戦列艦30、非戦列艦20にて私の声を聞いている英雄諸君」 …アルビオン内乱の折、ジョンストンは自らは決して前線に出ることはなかった。レコン・キスタに所属し、王家に反目はしたものの、 明らかに積極的に王軍打倒に参加しなかった。 彼は日和見に徹し、今、ここにいた。 「我々はロサイスを出発し、トリステイン領空上にてかの国の艦隊と合流した後、トリステイン中部からゲルマニア南部、そしてそこより南西に進路を取り、 帰国するものである。かの国の者たちに我々神聖アルビオン帝国が、始祖の権威に安座し怠惰に国を治めるあの者らへ、我らが彼らに劣る事無く、 優越する国の品格を有するものである事を示して欲しい」 訓示が終わるとアルビオン式の敬礼と足を揃える音が乱れる事無く木霊する。 ジョンストンが下がり、変わってボーウッドが前に出た。彼は自身も敬礼し、台上に向かった。 「当艦各員。此度の航路は当艦としては初めてとなる。さらに新艤装後とあっていくつかの面において操作上の変更をきたす箇所もあるだろう。 だが諸君らはいささかの懸念を持つ必要は無い。いつもどおりにやってくれ。 もっとも…船上の常だ、『不測の行動』も迫られるだろうが、この船で共に過した各員の冷静沈着なる行動に期待する。以上だ」 艦長の敬礼に答えるように、眼前の船員達の敬礼が返される。 それは乱れはおろか、たった一つの大きな音として帰ってくる。ボーウッドは我知らず満足げに頷くのだった。 台上で訓示や指示が行われる中、黄昏る船の陰に入るようにして集団を見つめる一人の男がいた。 お決まりの魔法衛士大隊兵制服と、唾の広く取られた羽帽子だ。…しかし今は、帽子が深く被り直されていて顔色が窺えない。 号令とともに船員達が解散し、台上にいたボーウッドとジョンストンも艦橋に向かう通路に向かう。するとワルドが当然のようにその中に入った。 「見事な演説でしたなぁ、艦長、総司令殿」 嘗ての彼を知るものがいれば随分と衝撃を受けるだろう、実に剣呑とした調子でワルドが二人に声を掛ける。 それにボーウッドは憮然としていたが、ジョンストンの方は機嫌よさ気に答えた。 「おお、子爵殿。正直言って、緊張しっぱなしだったよ。壇上に君を乗せられず閣下に悪かったと思っているくらいでね」 「とんでもない。私はあくまで客将。『不測の行動』までなんの配役もない、ただの乗り合いだ男に過ぎません。そうですな、艦長?」 ボーウッドは押し黙ったまま、視線を通路に向けている。 「…親善訪問の『概要』は委細承知している。だが少なくともラ・ロシェールの合流地点までは子爵、君はまさに乗り合いだ客人に過ぎない。そこをわきまえてもらう」 「結構結構。大いに結構…」 くっくっく、と篭る笑い声がワルドから聞こえて、ボーウッドはさらに表情を渋くするのだった。 その日、アルビオン空軍艦隊は一等戦列艦『レキシントン』を旗艦としてロサイスを出港。ラ・ロシェールまでの航路を夜間航行で進むのだった。 『開幕、長い一日』 夜の帳が下りた、トリステイン魔法学院。 既に夕食の時間も終わり、後はもう寝るだけ。勿論、眠らずに思い思いに夜を過す者も多い。 幸か不幸か、そんな眠らない住人の一人にギーシュはいた。ただ、普段であればそれはモンモランシーか自分の部屋、なのだが、今はコルベール研究塔前にいる。 目の前には木材に布を張った大きな天幕の下で、掲げられたランタンに照らされる半壊状態の『飛翔機』があった。 ギーシュが昼間、ちょっとした好奇心から『飛翔機』を動かした時、誤った操作により完成したはずの飛翔機に早急の修復を必要とする損傷が加えられたのである。 具体的には、風を掴むために計算されて作られた鉄枠が歪み、そこに張られた布が破け、後部にある噴射推進器の二本一組が使えなくなっている。 大慌てで駆けつけたコルベールとギュスターヴだったが、結局のところ夜も更けた今になっても修理が終わらずにいた。 ギーシュは指示されて資材置き場から織られたままの白い布生地をせっせと持ち込み、コルベールは飛翔機のフレームから羽布を剥し、 ギュスターヴは新たに鋼材を取り出して足りない部品を作っている。 「ミスタ・コルベール…まだ終わりませんか…?」 当事者とはいえギーシュはかなり疲れていた。 「機体前面を作っている鋼材を凡そ全て点検しなければいけないので、もう少しですかな…」 そう言ったコルベールは剥ぎ取った鉄の棒を見定め、使えるものは歪みを直し、使えなさそうなものをより分けている。 「明日からアンリエッタ王女の婚礼儀式が始まるから、学院全体の人も減る。そのうちに飛行実験をする予定なんだよ…」 ため息も漏れそうなギュスターヴから『お前のお陰で余計な仕事が増えたじゃないか』といわんばかりの雰囲気がギーシュに伝わってくる。なんとも気まずい。 「う…で、でもさ。誰が見たってこんなもので空を飛べるなんて思わないよ。…いい所、フライフィッシャーの模型か何かにしか見えないじゃないか」 と抗弁するギーシュ。ちなみに『フライフィッシャー』とは、アルビオンの洋上軌道上に生息しているといわれる伝説上の生き物である。 その姿はロマリア南方の海で見られる巨大なエイに似ているという…。 半刻ほどしてから、流石に余り長い間引き止めておくのはかわいそうだからとコルベールはギーシュを解放してあげるのだった。 …結局、フレームの修理が終わったのが手元の時計の針が日付を越した頃だった。 「明日の朝一番で布を張り直せば、大体正午頃には飛行実験が出来ますな」 眼鏡を外して目頭を解すコルベールと、腰を伸ばしてトントンとするギュスターヴ。 傍目には大の男二人が奇怪な玩具をせっせとこさえているようにしか見えない。実のところ、学院に務める教職者たちは殆どがそのように思っている。 間抜けなコルベールめ、また奇怪な道具を作って遊んでいるな。と。 家を食い潰して道楽に励んでいるのだから、一般的貴族の価値観から見ればそのように見るのも当時は仕方のないところだった。 ギュスターヴはそっと扉を開けて、ルイズの部屋へと戻ってきた。 寝台では既にルイズが静かに寝息を立てている。 閉じきらないカーテンから漏れる、変わらぬ明るさで双月の光がルイズの頬に掛かっていた。 起こさぬ様に、そっと寝台の脇に丸められたマットを広げて、横になる。 「んぅ…」 「ん…?」 起こしてしまったか、と思ったが、むにゃむにゃとルイズから寝言が漏れている。 「あんたは……私の…使い魔……なんだから……」 …どうやらギュスターヴを夢に見ているらしい。せっかくの夢だというのに、眉をひそめて噛み付きそうな顔をしていた。 「……主人の……傍に……」 ギュスターヴは暫くルイズの寝相を見てから、やがて埃も立たない様にそっと頭を撫でた。綿のような髪が流れ、次第にルイズの眉間の寄り上がりが解れ、 相から棘が抜けて穏やかなものへと変わった。 「ん……」 ルイズが緩く寝返りを打つと、部屋に戻った頃と同じく静かな寝息が聞こえるようになった。 「嬢ちゃん最近はずっと机にかじりついてっから、色々と溜ってるんだろうよ」 壁に立掛けたデルフはそう言った。 「…ま、仕方が無い。婚礼の儀式とやらが終わったら、たっぷり面倒見るさ」 身に帯びるものを外して身体を伸ばし、静かにギュスターヴは眠りに付こうとした。 「相棒」 だが、再びデルフがまどろむ間際に声をかける。 「……なんだ?」 「相棒は何時まで使い魔やる気なんだい?嬢ちゃんが死ぬまでかい?」 うっすらと目を空けて、ギュスターヴは答えた。 「…ルイズが自分の道を見つけるまではここにいる。少なくとも」 「じゃあよ、そいつが見つかるまでは帰ることが出来ても帰らねーって言うのかい」 脳裏にタルブに住まう背の曲がった老人が思い出されては、消えた。 「そうおいそれと帰れるわけでもないだろう。…時間はあるさ」 幼い頃、自分が死んでも大地に還るアニマすらないのだ、とどこかで諦観した。 その思いは年を経てもギュスターヴの心の中に残っていた。深淵な洞の様な孤独に浸りながら、せめて今生きることを謳歌して、死ぬ時は死ぬ。そう決めていた。 なら、この生まれた地より遠く離れた異界だって生きるに都合が悪くもない。 「どこで何をしようと俺の勝手さ…なんて言うと、レスリーが怒りそうだがな…」 「なんか言ったか相棒?」 「なんでもないよ。…寝るぞ、起こすなよ」 どこか自嘲気味に笑うと、ギュスターヴは再び眠りにつくのだった。 ルイズはその時、一人小舟の上に居た。 妙だ。さっきまでギュスターヴが一緒にいたはずなのに。 「ここ…どこ…?」 自分の乗る小舟はオールも竿もなく、水の上を流れていた。 「ギュスターヴー、近くにいるんでしょー?」 四方に向かって使い魔を呼んでみても、何も返ってこない。地平の先はインクを落としたようにぼやけていて、響く音を吸い込んでいく。 「ぅー…」 恨めしげに鳴いてみても何も届かない。辺りは暗く、静かだった。 「もー、どこなのよここはー!」 苛立たしく水面をぱしゃぱしゃと手で叩いてみても同じだった。空は薄暗く、水面が鉛色に揺れるのが見える。 ルイズが途方にくれていると、薄暗い水の流れの先で、仄光る何かがこちらへと流れてくる。 それはルイズの小舟まで来ると流れてゆく事無く、小舟と併走するようにずっと近くに漂っていた。 「なにこれ…?」 ぐっと手を伸ばす。光る何かに手が届き、拾い上げた。 …それは濁りの一切ない大理石か何か、真っ白な石材から削りだしたと思われる卵のイミテーション(模造品)だった。 「綺麗…」 感嘆するルイズの両手に収まる大きさの卵は、石材特有の滑らかな手触りが掌に吸い付くようだった。 そしてそれはどこか…脈打っていた。手のひら越しに仔犬を抱いた時のようなしっとりとした暖かさが広がっていく。 それを感じると、今置かれた場所がとても淋しいものに思えた。暖かな卵の温もりが逆に心に安らぎを与えてくれる様でもあった。 孤独の中でルイズはやがて、親鳥が卵を抱くように卵のイミテーションを抱き込んで眠った。 小舟はそのまま闇の中を流れていく。夢の中で眠るルイズを覆う闇を、更に濃くしながら…。 翌日。朝食の時間が終わった頃、学院に王室の紋章の入った馬車がやってきた。 受付をする衛兵に馬車に乗っていた王宮の役人が告げる。 「ラ・ヴァリエール公息女ルイズ・フランソワーズ殿をお迎えに上がりました」 同じ頃、部屋でルイズは鞄に始祖の祈祷書を入れ、指には秘かに『水のルビー』を填めていそいそと支度に掛かっていた。 「これで準備はよし。…祝詞の原稿はもったし…」 ルイズはこれから王宮に上がり、諸侯と共に婚礼の儀式に参加するのである。 まず、夕刻から始まる諸侯の集まりに父ラ・ヴァリエール公と共に出席して翌朝、アンリエッタの一団と共にゲルマニア帝都ウィンドボナへと出発し、 彼の地で行われる式典で祝詞を読むのである。 ルイズの部屋をノックする者がいた。 「開いてるわ」 普段ならここでシエスタがやってくるのだが、帰省中のため別のメイドがやってくる。 「ミス・ヴァリエール。お迎えの方がお待ちになっています」 「もう少し待たせて頂戴。それほど時間はとらせないから」 そう言ってルイズはメイドを素通りして部屋を出て行く。 「あ、あの、ミス・ヴァリエール!何処へ?!」 「貴方は迎えの馬車まで行って待つように伝えなさい」 つかつかと足取り早くルイズは学生寮を出て行った。 コルベール研究塔前では晴天の下、修理の終わった飛翔機に布を張り直す作業に追われていた。 骨組みの上でピンと張られた布が継ぎ目を重ねるように貼り付けられている。継ぎ目から布が剥げるのを防ぐ為だ。 鋼材から作った骨組みに布を合わせ、しわやたるみなく鋲や接着剤で貼り付ける。鋲も飛行中に緩んだりしないように、接着剤を塗りこんで骨組みに打ち付けている。 「ギュスターヴ!」 ルイズはコルベール研究塔に寄って塔前の広場に広げられた作業現場にいるギュスターヴを呼んだ。 飛翔機の前で梯子に登っていたギュスターヴは振り向くとルイズに手を振り、梯子から降りて近寄った。 「今日はもう王宮に行くんだろう?」 「そうなんだけど…暫く部屋を空けるから、顔見ておこうと思って……」 「ほぅ…」 顎に手を当てしたり顔のギュスターヴに、ルイズはカッと顔を崩す。 「なっ、何よ?!ち、違うんだからね?連れて行けない使い魔がかわいそうになっただけなんだからね?!」 「はいはい、判ってるよ。…自分の使い魔なら信じてくれよ」 「…うん。……ところで…飛ぶの?これ」 ルイズが怪訝そうに指差す飛翔機はまだ羽布の張り直しが半分ほどしかされていない。噴射推進器は予備を装填され、噴射口はゴミが入らないように今は布を縄で縛って蓋がされている。 「…飛ぶらしい。本当は昼前には飛ぶ予定だったんだがな」 「ねぇ、帰ってきたら怪我してました、とかだったら承知しないんだからね!」 判ってるよ、と言ってふと、ギュスターヴは作業現場の台に掛かっている懐中時計を見た。 「もうそろそろ行かないと不味いんじゃないか?」 「え?……そうね。御者も待たせてるし、もう…行くわ」 ルイズは軽く手を振ってその場を後にしようと歩き出した。 「ルイズ」 ギュスターヴに声かけられ、振り返く。 ギュスターヴは腰に手を当て、笑っていた。 「いってらっしゃい」 ルイズはハッとして、暫く困惑したが、にっこり笑って、 「いってきます」 そしてそのまま振り返らず、御者の待つ正門まで歩いていった。 前ページ次ページ鋼の使い魔
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前ページ次ページ日本一の使い魔 「ケン!なにやってるの!?勝手に決闘の約束なんてして、平民のあんたが貴 族に勝てるわけないでしょ?前に貴族と平民の関係を教えたでしょ?聞いてな かったの!?」 「聞いてたさ。だが、俺が勝てないなんて一言も聞いちゃいないがね。」 「あんただって平民でしょ!下手したら死んじゃうのよ!謝れば許して貰える かも知れないから、謝っちゃいなさい!」 早川は指を立て横に振る。 「チッチッチッ、生憎と悪くもないのに下げる頭なんて持っちゃいませんが ね。」 早川はそう言うと近くにいた生徒にヴェストリの広場がどこにあるのか尋ねる。 「もう知らないんだから、、、」 『風』と『火』の塔の間の中間にあるヴェストリの広場。そこには噂を聞きつ けた生徒達で賑わっていた。学院という特性上あまり娯楽と言う物に乏しく、 退屈を持て余していた生徒達にとって今回の一件は暇つぶしには丁度良かった。 と言っても集まった生徒達の殆どが、ギーシュがどのように生意気な平民を痛 めつけるかを楽しみにしていた。 その殆どに当てはまらない生徒と言うのが、この二人で 「ねぇ、タバサ。止めなくていいのかしら?あなたが決闘なんて見に来ような んて、よく思ったわよね?」 「興味がある、、、」 「空を飛んでいた、、、」 「まぁいざとなったら、私達が助けてあげましょ。何か、ケンって憎めない所 あるのよねー。中々いい男だし。」 ギーシュを始め生徒達は生意気な使い魔の到着を待ち構えていた。 そこにギターの音色が、 「大層なご登場だね、平民君。待ちかねたよ。やはり君は人を馬鹿にするのが 上手らしいね。」 そう言うとギーシュは薔薇の花に見立てた杖を振る。そこには、錬金で出来た 墓石が現れた。 その様子に早川は素直に関心する。 「ほぉー、魔法ってのは便利なもんだね。」 しかし、関心こそすれ恐れる様子は無い。ギーシュは更に 「君の墓石だが味気ないから、これを供えてあげるよ。」 と錬金によって薔薇を一輪作り出し墓石に置く。 ニヤリと笑う早川。 「大した彫金の腕だな。だが、見た所日本じゃ二番目。」 と2本指を立てる。日本と聞きなれないが、自分より上がいると言いたい事は 解ったギーシュは、 「じゃあ、一番は誰だ!?」 「ヒュー♪チッチッチッチッチ。」 口笛を吹き、立てた2本指を5回左右に振り、微笑みながら親指で自分を指す。 「君が?じゃあやってみるがいいさ。」 「そうかい?じゃあナイフはお持ちで?」 ギーシュは錬金でナイフを作ると早川に渡す。ナイフを受け取ると、墓石の前 に立ち、数回ナイフを振るう。 すると墓石には、薔薇の園に赤子を抱いた女性の絵が見事に彫られていた。 「こいつは薔薇の聖母子って絵なんですがね、薔薇は女性であって所詮男は子 供。おいたが過ぎると棘で怪我しますよって洒落ですよ。」 そう言うと、絵の出来に関心する声とギーシュを笑う声が起こりだす。 「それと、こいつはお近づきの印ですよ。」 とナイフを渡すが、ナイフの先にはハートの形に切り取った布が刺さっている。 早川がパチンと指を鳴らすと、ギーシュのズボンがずり落ちる。下着のお尻の 部分がハートの形に切り取られている。 周囲に爆笑の渦が起き、ギーシュは自分がどんな状態なのかに気付く。 「君は、よっぽど痛い目を見ないと判らないらしいね。」 かろうじて冷静さを保ったギーシュは、薔薇の花を振ると花びらが一枚舞い落 ちる。 「僕はメイジだ。よって魔法で戦う。文句はないよね?」 すると花びらは甲冑を着た女戦士の人形へと姿を変える。その様を見ても早川 は、 「アー、ハン。」 と肩をすくめ両手を広げる。 「僕は、ギーシュ・ド・グラモン。青銅のギーシュさ。君への制裁はこのワル キューレが務めさせてもらうよ!」 ギーシュの声と共にワルキューレが猛然と殴りかかる。早川はサッと交わしな がら持っていたギターでワルキューレの頭を殴る。バランスを崩したワルキ ューレは派手な音を立て転げた。 自分の当てが外れたギーシュは更に薔薇の花を振ると、更に花びらが舞い、剣 や槍を持ったワルキューレが現れる。 一方、ここは学院の図書室。コルベールは一冊の本のとあるページを見て驚愕 した。そもそもコルベールは、早川の左手に現れた見慣れないルーンが気にな り授業の合間をぬって、どのようなルーンかを調べていた。本当ならば、儀式 の日に見た空を飛ぶ乗り物を調べたいのだが、 「大変ですぞ!これは学院長に知らせなければ。」 トリステイン魔法学院の学院長室は本塔の最上階に位置し、そこには年齢は100歳とも 300歳とも言われる、オールド・オスマンが重厚なつくりの机に肘を突いて暇を持て余していた。 「オールド・オスマン。あなたのお仕事はどうされたんです?書類のサインも 学院長の仕事じゃありません事?」 オスマンが秘書の席を見ると、書類の束を整理しながらミス・ロングビルが渋 い顔をしている。 「そんな渋い顔をしたら、せっかくの美人が台無しじゃて。それにわしは考え 事をしておったのじゃ。」 オスマンは席を立つと、思いつめたように窓の外を眺める。 「おっ、今日は黒か。」 とニヤけると、低いトーンの声がする。 「考え事ってスカートの中の事ですか?」 「わ、わかった、わかったから離してやってくれんか。」 オスマンは顔を伏せ悲しそうな顔で呟く、そしてロングビルの机の下から、小 さなハツカネズミがふわふわと宙に浮き、オスマンの肩まで届けられた。 オスマンが席につくと羽で出来たペンが重厚な机に突き刺さる。 「次は当てますよ。」 「はい、、、」 威厳なんてまったく感じられない。 コンコン、とノックの音が響く。 「コルベールです。学院長に相談があって参りました。」 「入りなさい。」 学院長室に入ったコルベールは一冊の本を見せ用件を話し出す。 その本の開かれたページを見て、 「これが、どうしたのかね?こんな古い本など見せよって。」 「学院長、これと同じルーンがある生徒が召喚した使い魔に、、、」 オスマンはロングビルに退室を促すと 「して、ある生徒と使い魔とは?」 「生徒とはミス・ヴァリエールで、使い魔とは人間、平民です。」 「まさかの、ガンダールヴと同じじゃとのお」 沈黙が部屋を包むが、すぐにその沈黙はノックの音により破られる。 「どなたじゃな?」 「ロングビルです。ヴェストリの広場で決闘騒ぎが起きています。騒ぎを気に する教師達からは『眠りの鐘』の使用許可を求める声が。」 「相手は誰じゃ?」 「ギーシュ・ド・グラモンとミス・ヴァリエールが呼び出した使い魔です。」 「放っておきなさい。子供の喧嘩に秘宝を使うとは。ちょっと見てみるとする かの。」 そう言うと、マジックアイテム『遠見の鏡』を覗き込んだ。 覗き込んだ先には一体のゴーレムに羽交い絞めにされ、ボコボコにされている 使い魔がいた。それを止めようと主人であるルイズが涙を流し懇願している。 「ギーシュ!もう止めて!勝負は付いてるじゃないの!」 「そうかも知れないが、まだ君の使い魔から僕に対する侘びを聞いていないか ら勝負は終わってないのさ。ゼロのルイズ。」 「ボコボコじゃのう。」 「ボコボコですね。」 「眠りの鐘、使うかのう。」 「学院長!ミス・ヴァリエールの使い魔が!」 そこにいるはずの使い魔がいない。 覗き見ている先でも早川がいない事に気付いている。 広場の隅からエンジン音が鳴り響き 「フライトスイッチ、オーーーーーン!!」 奇怪な乗り物が空を飛ぶと、遠見の鏡から音が。 ベン、ベベンベベン♪ベン、ベベンベベン♪ タタタタータタ♪タタタタータタッターン♪ 遠見の鏡を覗き込むオスマンもコルベールもロングビルも状況が理解出来ない。 だが状況は刻々と進む。空を飛ぶ乗り物から赤に統一された上下のピタリとし た服、黒いブーツ、奇妙な赤い兜を被った人間が飛び出すと、火の塔のてっぺ んに着地し高らかに笑う。 「ハッハッハッハッハッ。」 「ズバッと参上!」遠見の鏡が左顔を映す。 「ズバッと解決!」右顔を映す。 「人呼んで、さすらいのヒーローーー!快傑ズバァァァーーット!!」 遠見の鏡が正面を捉えアップを映し前後にシェイクすると音楽が流れ出す。 もはや3人共理解不能だが、3人ともツッコんではいけないような気がした。 「タァーッ!」 掛け声と共に飛び立ちワルキューレの中心に着地すると手にしている鞭を数回振る う。7体のワルキューレはなます切りになり崩れ落ちる。 ズバットは呆然とするギーシュに向かい怒鳴る。 「己の欲望の赴くまま2人の女性を弄び、あまつさえその罪を善良なメイドに擦り付けるとは 言語道断!」 ギーシュは口をパクパクさせている。むしろ、この場にいる全員。学院長室の 3人とも現実について来れない。 ズバットは一片の容赦なくギーシュを殴り、蹴り、鞭で首を絞め投げ飛ばす。 投げ飛ばされズバットから離れる事が出来たギーシュは降参しようとする。 「ま、ま、まいっ」 「うるさい!」 問答無用にズバットは鞭でひっぱたくと空中高く飛び上がる。 「ズバァァーット・アタァーーーーーック!」 雄叫びを上げ高速ひねり前宙をしギーシュの顔面を蹴り飛ばす。 かなたに消えて行くギーシュ。 慌てて、生徒達がギーシュの元に駆け寄ると、 吹っ飛んだギーシュの胸には『Z』の文字をモチーフにした赤いマーク、 そして日本語で『この者、恐喝破廉恥犯人!』と書かれたカードが置かれていた。 生徒達が見回しても辺りにズバットの姿は無かった。 遠見の鏡からは 「ちびっ子の皆さん。ズバットの真似は絶対にしないで下さい。マネをするととても危険です」 と男の声が流れたのは言うまでも無い。 前ページ次ページ日本一の使い魔
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今は昔 一五六五年頃 王位継承を争った ふたりの女王がいた 一人は女王エリザベス一世 もうひとりは美貌の23歳メアリー・スチュアート ともにチューダー王家の血統を継ぐ親戚同士で タルカスと黒騎士ブラフォードはメアリーの忠実なる家来だった (中略) 二人は捕らえられた そして処刑されるその寸前聞かされたことは 「メアリーはすでに処刑した」 ふたりはこうして処刑された、強い恨みを残して処刑されたのだ タルカスは その筋肉が怒りのため硬直し首を切り落とすのに処刑人は 何本ものオノを折ったという ブラフォードは その長髪がどういうわけか 処刑人の足にからみつきにいくまでくい込んで 死んでいったという そしておよそ300年後吸血鬼ディオによりゾンビとして蘇ったブラフォードとタルカス しかしタルカスは一夜で今度はただのゾンビとして再び歴史の闇に消えた 一方ブラフォードは人の心を取り戻し 300年後の世界の友人ににpluck(勇気)の剣を託して眠った しかしブラフォードは女王のもとにではなく新たな主人のもとへと旅たつ事になった 使い魔は英雄 「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ!神聖で美しく!そして強力な使い魔よ! 私は心より求め!訴えるわ !我が導きに答えなさい!」 青い空、緑の草原にすさまじい爆音が響いた 「やった!さすがルイズ!何も召還できてないぜ!」 波紋が吸血鬼に流れるような勢いで笑いが広がった 「ゼロの分際で高望みしすぎたんだ」 「さようなら!ルイズ君の事はわすれない!」 「退学ゥ!退学ゥ!」 「貴族として終了のお知らせ」 「ちょっとまて!な・・・何かいるぞッ!!!」 野次を飛ばしていた内の一人が叫んだ 「こ・・・これは・・・HE・・・I・・・MI・・・・N・・・・」 その時ルイズの周りでわかりやすく「プツン」と決定的何かが切れた音が響いたという 「ミスタ・コルベール!もう一度召還さs「NO(だめでございます)」 「(しかし成功には変わりない!今すぐ契約しにいかないと!)」 ルイズがそう思ったときにはすでに使い魔に向かって全力で走り出していた! ズギュウゥウウウン! 「UOOOOOOOOOOOO!!!!」 ブラフォードは激痛により目を覚ました 「(ここは何処だ・・・!た・・・太陽!俺はゾンビになって倒されてあの世に行ったはずでは・・・」 「お・・・おわりました!」 ガクガク震えながらもルイズは契約できたと伝えた 「ふむ・・・・珍しいルーンだな・・・」 とコルベールはスタープラチナもびっくりなスピードと精密動作で ブラフォードの手に刻まれたルーンを紙に写した 「さて教室へ戻ろうか」 コルベールがそう言おうとしたときには既にほぼ全員が帰っていた 「アンタ名前は?」 「俺の名は・・・ブラフォード・・・黒騎士ブラフォードだ・・・」
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次の日、ルイズは部屋に溢れる陽光の刺激で目を覚ました。 床で寝たせいか、体のあちこちが痛かった。 カーテンは閉めてあったものの、ルイズは部屋に溢れる穏やかな陽光が無性に気に喰わなかった。先にあの使い魔が起きて、カーテンを閉めたようだ。 だが……先に起きたのなら、何故主人である私を起こさないのか。 ルイズはムクリと起き上がり、辺りを見回し、命令不履行のムカつく使い魔を探した。 いた。 優雅に横になって本を読んでいる………私のベッドで。 異常に分厚い本だった。タイトルがチラと見えた。 『おかあさんがいない―――オコォース・アディサァ著』というタイトルだった。子供向けの本なのだろうが、タイトルが少々おかしい気もする。 その脇の机にはワインボトルが置かれていた。 グラスに注がれた液体がユラリと揺れる。 ベッドはもちろんルイズの物だったし、ワインに至っては、彼女がこれまで大切に大切にとってきた上物の逸品だった。 それにその本、どこから持ってきた。 ルイズは身なりを正して叫んだ。 「あああ、アンタ…!!つつつ使い魔のぶ、分際で…!!」 ルイズには怒り狂うと、どもる癖がある。 つまり、どういうことかというと、ルイズは怒り狂っていた。 杖を取り出して、ルイズはDIOに向けた。 般若の形相のルイズはそれはそれは恐ろしいものだったが、DIOはそれをチラとも見ずに、本を読み続けている。 ズカズカとルイズが近づくにつれて、視界の脇に、小さな山が映った。 横になっていたから分からなかったが、ベッドの 側にはこれでもかとばかりに様々な物がうず高く積み上げられていた。 金銀財宝、剣に絵画に壷に本に皿に甲冑に……etc. 石像までデンと置いてあった。 ルイズは目の前が真っ白になった。 ふらふらと後ずさる。 「んな、なななな…何よこれ!?どこから盗ってきたのよ!?」 「学院長室……だったかな。そこの下にある部屋だよ」 DIOは何でもない事のように答えた。 ―――バカやろう、そこは宝物庫だ…!! ルイズは思った。 トリステインの、幾人もの一流のスクウェア・メイジたちが力を合わせて『固定化』の魔法をかけ、一流の教師たちが管理しているはずの、我がトリステイン魔術学院が誇る宝物庫が………。 ルイズは驚くと同時に、恐怖した。 この使い魔に出来ないことなど、ないのではないだろうか。 言葉に詰まって、分けの分からぬうめき声を上げるルイズ。 そんなルイズを尻目に、DIOは続けた。 「図書室にも行ってみたんだが……生憎と文字が分からなくてね。」 言葉は分かるのだが、とそういうDIOだが、ルイズは全く聞いていなかった。 どうしようどうしようと、頭を抱えていた。 「それで、学院長室の下の部屋を覗いてみたんだ。 些か骨が折れたがね……そこで、この本を見つけたんだ。この本の文字は私にも読めるものだ」 あの堅固な封印を、その程度で済ますか…! ルイズはDIOをキッと睨んだ。 が、DIOはどこ吹く風だ。 暖簾に腕押し、ぬかに釘、キュルケに慎み…そんな言葉がルイズの頭に浮かんだ。 「心配するな。ドアはキチンと閉めて来たさ」どうでもよかった。 「それよりも『マスター』、この本は実に興味深いぞ」 さらにどうでもよかったが、エラくお気に召したのか、DIOは本の内容を指でなぞりながら朗読しだした。 形のよい唇が、聞く人を引き込むような声を紡ぎだし、ルイズは思わず耳を傾けた。 「チョコランタンで……ヘンテコピーマン……飛んで……」 ゾワッと、ルイズは鳥肌が立った。 なんだあの言葉は。 なんだ……あの言葉は。まるで一言一言が意味を持っているかのようだった。 なにかの呪文なのだろうか。 ルイズはそこまで考えて、その本が宝物庫にあった事を思い出した。 古今東西、あらゆる秘宝財宝を安置しているというトリステインの宝物庫 だが、中には余りに危険だからこそ、宝物庫に封印されてしまったいわくつきの代物もあると聞いたことがあった。 まさかあれは、その手の類の禁書なのではなかろうか。 ルイズはハッとして、DIOから本を取り上げた。 不思議なことに、その本はルイズでも読むことが出来た。 『地獄門のなかには…』そんなフレーズが目に入り、ルイズは慌てて本を閉じた。 この本は、危険だ。 ルイズは心で理解した。突然本を奪われて、肩をすくめるDIOに言った。 「これは読んじゃダメよ。返しておきなさい。本なら後でいくらでも都合してあげるから」 「『マスター』………」 「ダ メ よ!」 ルイズが力を込めて叫んだ瞬間、ルイズの魔力が再びDIOに流れた。 昨夜よりは流れる量が少なかったので、倒れることはなかったが、ルイズはその吸い取られるような感覚にフラついた。 DIOの左手の甲のルーンがぼぅっと光った。 うむ、とDIOは苦しそうに一言うなった。 その光が収まった後、DIOは渋々…本当に渋々といった感じのため息をついた。 「分かったよ……『マスター』、君の意見を尊重しようじゃあないか」 そう言って、DIOは本を受け取って、部屋を出ていった。 どうやら諦めてくれたようだ。 ホッと一息つくとともに、ルイズはさっきの現象を思い出した。 昨夜も、そんなことがあった気がする…よく覚えていないけど。 考え続けた挙げ句、ルイズは一つの可能性に行き着いた。 ………魔力を流せば、DIOに言うことを聞かせられる、ということなのだろうか…? 「………フ、フフフ…」 そこまで思い立ったルイズは、1人ニヤリと黒い笑顔を作った。 「……フフフフハフハフハフハハハ ハハハハハハハハハハハハハハーー!!!!」 ルイズの高笑いが、いつまでも部屋の中に響いていた。 ベッドの側にある小山の処理のことなど、もはや彼女の頭にはなかった。 数分笑ってから、後悔した。 to be continued…… 17へ
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《伝説の使い魔 ガンダールヴ》 儀式・効果モンスター 星7/光属性/戦士族/攻 0/守 0 「使い魔召喚の儀」により降臨。 このカードは「虚無の魔法使い」がフィールド上にいる時のみ儀式召喚される。 このカードは、自身に装備されている全ての装備カードの装備制限を無視し、 装備カードの効果を得ることができる。 さらに、その装備カードの能力修正の値を攻撃力、または守備力にプラスできる。 part16-694 名前 コメント
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虚無の日。それはいわゆる休日らしい。 おれは今日はのんびり過ごそうと思っていたのだが、ルイズのこの一言によってその願いは砕かれた。 「出かけるわよ」 「いつ?どこに?だれが?なにを?なぜ?どのように?」 おれの5W1Hを無視してルイズは部屋をでる。 畜生!おれに安らぎの日は無いのか!おれの人権は何処に言った! 「もともと犬でしょあんた」 そうだった。 「フーケの時は大活躍だったしね。何か買ってあげてもいいわよ」 よし、すぐ行こう! 意気揚々と城下町にやってきたおれだが… 「イマイチだな」 あまり面白い物はなさそうだ。 俺が来たのは単純におやつが欲しかったからだ。 この世界にはコーヒー味のチューインガムは無いらしい。 そもそもガムそのものが無いんだそうだ(ケーキはあるのになー)。 だから代わりの物でも、と思ったのだがこんな所にまともな物は無いだろう。 厨房で甘い物を探していた方が幸せだった。 さらば我が幸福よ。 まあでも、折角きたので色々と見て回ることにした。 人間切り替えが肝心だ。おれ犬だけど。 通りにある店を見回って遊んでいたがあまり面白い物は見つからない。 やっぱ来なけりゃ良かったかなー。 その時、路地裏に人の気配を感じた。 おれは路地裏を覗き込む。そこには何と… 「ヒック。どうせ僕なんてたいした事ないんだー」 酔っ払いがいた。 あれ?でもコイツどっかで見たような… 「ケティには階段から落とされるしー、モンモランシーには爪を剥がれるしー」 あ、やっと分かった。ギーシュだ。 「挙句の果てには唯一の見せ場すら省略されるしー」 そんなこと言われてもなあ。 「僕も、僕にも、僕にだって!」 お、なんだ?メイジの主張? 「出番が欲しいよー!」 ああ、それなら大丈夫だって、実は今回で七回目の投下になるけど、 お前はそのうち四回も出てるんだぞ。 キュルケが四回、タバサが三回。 ほら、キュルケと同点だ。よかったな。 「イギー、行くわよー!」 お、ルイズが呼んでる。じゃあな。 「何かあったの?」 「うん、人生の負け犬を」 「まったくもう、そんなの見てると頭が悪くなるわよ」 クラスメイトにその言い草は無いんじゃねーの? さてしばらく見回っていたがふいにルイズが話しかけてきた。 「イギー?何してるのよ?」 おれは銜えていた物を見せる。 「キャベツにリンゴ…どこで手に入れたの?…あっ!市場を通った時に盗んだわね!すばしこいヤツ!」 ルイズに蹴られた。何でだろ。 そのまま蹴られた事を理由に逃げ出し、適当な店を見つけ隠れるため中に入る。 「は~い、いらっしゃ~…ってアレ?犬?なんだよ客じゃね~のか。シッシッ!」 おれを追い出そうとする店員(おそらく店主)。何か腹が立ったので 「おいおい、おれは客だぜ~?客にそんな態度でいいのかよ?」 「い、犬が喋った~!?」 おい大声を出すな! 「悪い犬はいねが~~~~」 ほら来た、大声を出すからだ、まったく。 「主人から逃げるような犬はいねが~~~」 「いませーん」 「なら何故にこんな所にいるど~~~~」 「ここで買いたい物があるから~」 必死の言い訳。 「ここで買いたい物?」 「そう、ここで」 「でもここって」 ここって? 「武器屋、よね?」 おいおれ、こんな所で犬が何を買うってんだよ。 「いや、武器が欲しくなったんだ」 「何で?」 「何か買ってくれるって言ったろ?」 「なんで武器なの?」 「ザ・フールだけじゃ辛い時もあるからさ~」 「┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨」 「口で言うな口で」 釘宮ボイスでこれもアリかもな。 しばしの睨み合いの後、何とか言いくるめて武器を買ってもらえることになった。 でもおれに武器なんか使えるのか?と思っていたその時! 「な~にが武器が欲しくなっただ。お前なんかその辺の骨でも買ってもらえ」 バカにされた様な声が聞こえてきた。 店主だと思いそっちを睨むが、店主もまた別の方向を睨んでいた。 とりあえず店主が睨んでいる方向を見てみると…誰もいなかった。 だが店主はその空間に話しかける。 「やい!デル公!お前は黙ってろ!」 「ヘン!そんな事言ったって犬に剣なんか振れないこと分かってんだろ!」 おれはその声の主を特定し、ソイツに飛びかかった。 「イテ!何するんだこの犬コロ!」 「うるせー!」 そのままコイツをザ・フールでぶっ壊そうとする 「おでれーた!お前使い手か?」 「そうだ!じゃあ地獄に落ちろ!」 ザ・フールを使おうとするがその剣に何か言われる。 「待て!お前俺を買え!」 「いいぞ!さっさとくたばりやがれ!」 今度こそザ・フールを使おうとするが 「聞いてねーじゃねーか!」 あ、ホントだ。聞いてなかった。 よく話を聞くとコイツはデルフリンガーと言う名前で、意思を持っている武器らしい。 そして握っているヤツの実力も分かるのだとか。 つまりおれは実力者って事だ。良く分かってるなコイツ、気に入った。 「ルイズ、コレが良い」 「コレって…ちゃんと使えるの?」 「大丈夫だよ。で、いくら?」 後半は店主に向かって言った。 「それだったら新金貨で50になります。 あと普通は鞘に入れればおとなしくなりますけど…そいつは勝手に出てきたりしますよ?」 「別にいいぜ」 おれがそう言い、ルイズが金を払う。 これでインテリジェンスダガーのデルフリンガーはおれの物になった。 To Be Continued…
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戦う司書シリーズからモッカニアの本を召喚 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-01 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-02 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-03 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-04 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-05 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-06 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-07-1/2/3 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-08 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-09-1/2 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-10 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-11-1/2 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-12-1/2 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-13 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-14 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-15 虚無の魔術師と黒蟻の使い魔-16
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Finale ゼロの使い魔コンプリートイラストコレクション 兎塚エイジ アートワークス 発売日:3月25日 全500点以上のイラストを収録した『ゼロの使い魔』画集が登場! 13年の時を経て、ついに完結を迎えた伝説のライトノベル『ゼロの使い魔』――。 そんな『ゼロの使い魔』の世界を彩ってきた、兎塚エイジ先生による全イラストを収録した、 『ゼロの使い魔』のもう一つの集大成となる画集が登場! 2007年7月放送開始。ゼロの使い魔の続編。Amazonインスタントビデオが配信開始。 第3期にゼロの使い魔~三美姫の輪舞~がある。 http //www.zero-tsukaima.com/ 監督 紅優 原作 ヤマグチノボル シリーズ構成 河原ゆうじ キャラクター原案 兎塚エイジ キャラクターデザイン・総作画監督 藤井昌宏 プロップデザイン 藤井昌宏 美術監督 廣瀬義憲 色彩設計 石川恭介 撮影監督 福世晋吾 2DCG 向井吉秀 編集 後藤正浩 音響監督 高橋剛 効果 今野康之 調整 小原吉男 録音 安部雅博 音楽 光宗信吉 アニメーション制作 J.C.STAFF プロデュース ジェンコ 脚本 河原ゆうじ 北条千夏 杉浦真夕 絵コンテ 鈴木洋平 中村守 藤原良二 上原秀明 三宅和男 佐々木皓一 福田道生 高田耕一 紅優 演出 鈴木洋平 高島大輔 橋本敏一 上原秀明 小林公二 佐々木皓一 秋田谷典昭 作画監督 藤井昌宏 棚澤隆 冷水由紀絵 冨岡寛 谷川政輝 清水裕美 山本篤史 大河原晴男 長谷川眞也 川上哲也 川田剛 宮下雄次 伊藤奈美 木野下澄江 Amazonインスタントビデオ ゼロの使い魔 双月の騎士 Ep. 1 "女王陛下のゼロ" 監督 紅優 再生時間 0時間23分 初公開日/初回放送日 2007年7月9日 提供 ゼロの使い魔製作委員会 ■関連タイトル ゼロの使い魔~双月の騎士~Blu-ray BOX スペシャルCD2枚付 Finale ゼロの使い魔コンプリートイラストコレクション 兎塚エイジ アートワークス ゼロの使い魔 ~Last Song from ZERO~ ゼロの使い魔 主題歌集 TVアニメ「ゼロの使い魔~双月の騎士~」サウンドトラック ゼロの使い魔 ルイズBEST 限定盤DVD付 「ゼロの使い魔~双月の騎士~」感じるCD ~ルイズ・キュルケ・タバサ~ ゼロの使い魔 双月の騎士 ルイズ水着Ver. 宮沢模型流通限定 ルイズ写真集 ゼロの使い魔 ~双月の騎士~ ゼロの使い魔ビジュアルコレクション 画集 兎塚エイジZeroゼロの使い魔イラストコレクション ねんどろいど ルイズ フィギュア・ホビー:ゼロの使い魔 原作小説 ヤマグチノボル/ゼロの使い魔 1巻