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6,スタートライン 果たして中庭で待っていた古泉は開口一番に、 「緊急事態です」 と言った。微笑み、手には湯気の上がる紙コップの安コーヒーを二つ持って。一つを俺が受け取ると、少年はテーブルを挟んで対面に座った。 その様子と台詞が余りに俺の中で食い違う。「藪から棒に何を言ってやがるんだ、お前は」なんて言葉を俺は寸での所で飲み下して、ソイツの二の句を待つ。古泉はまるで焦っている様子も無く、のんびりとコーヒーに息を吹きかけてから口に運んだ。 「ゆったりコーヒー啜ってられる間は緊急なんて言葉を使うな。その内に俺が意味を履き違えるようになったらお前の責任だぞ」 「おやおや、これは責任重大だ。再来年のセンター試験で緊急の意味を問う問題が出ない事を祈りましょう。……まあ、」 少年は右手でカップを握りこんだままに遠くを見つめた。人差し指を伸ばす。 「このままでは今年度のセンター試験はおろか来年すら一生訪れませんけど……ね」 「はあっ!?」 古泉の流し目と人差し指の先を俺は咄嗟に振り返る。ああ、そこにはやはりと言うべきか…………いや、「やっぱりお前か」以外に出てこない。えーっとだな、まあ、その眼と指は当然と文芸部室に向けられている訳だ。 どこに行った、意外性。おい、マジでどこ行った。戻って来い。 そこに居るのは……そうだよ、ハルヒだよ。他の誰だともお前らだって思ってないだろ。俺だってそうさ。前科が有るからこそ疑惑の眼を向けちまう。それが偏見だとも分かっちゃいる。 それでも、二度有る事は三度有る。夏の時は何回だった? 一万五千回くらいだったと思うんだが。そりゃもう一回有っても一つもオカしくない。だが! そんなんで納得出来るか? 出来ないよな? な? 「いえ、結論から言いますと十二月二十五日以降の時間が」 古泉は俺に向けて笑った。 「長門さん曰くどうやら途絶しているそうでして」 「……またか」 古泉のような爽やかな笑みなどまさかまさか浮かべられる筈も無い俺は空を仰いだ。未来を相談しようと言ったヤツが、未来を断絶してどうすんだよ、ハルヒ。 まったく、神様の真意とやらはいつだって雲の上である。 「頭が痛くなってきた。アイツは反省って言葉を知らんのか?」 つい今朝方「涼宮ハルヒの口から反省なんて言葉が出るなんて」と感動したはずなのだが。一歩進んで二歩下がるって有名なフレーズが今の俺ほど似合うヤツもいないだろう。――ちっとも嬉しくない。 「どうでしょうね。それと、貴方は『またか』と仰られましたが初めてのケースですよ。恐らく昨年の夏の終わり、エンドレスサマーを思い返しての発言ではないかと思われますが」 「違うのか?」 「その時との最大の違いはループしていない、という点です。いえ、ループが確認出来ないと言うべきですね」 どういうことだ? 古泉は言い直したが、その前後に何の違いが有るのか俺には正直よく分からない。 「僕も最初に長門さんに時間の断絶を言い渡された時に『あの』八月を思い出しました。タイムリミットが定まっているという共通項、そして幾重にも上書きされた記憶のインパクトがそこへと思考を自然に誘導したのでしょう」 「いや、俺はあの時と何が違うんだと聞いているんだ」 「言った通りです。ループが長門さんのお力をもってすら確認出来ていません」 つまり、どういうことだ? 今回は八月が一万五千回続いたあの時とは訳が違うのか? 勝利条件が明示されてるだけでも気の持ちようは大分違ってくるんだぜ。 「考え方としては二通りです。今、この時がループの一回目である可能性。これならば長門さんのお力でもループを確認出来ない説明が付きます。なにしろ前回が無いのですから。 もう一つは可能性は低いですが、長門さんにも確認出来ない高次の力を涼宮さんが発揮しているというもの。まあ、僕個人としてはこれは無いと思っています」 「その根拠は?」 「簡単な話です。長門さんは十二月二十五日がタイムリミットだと気付いていらっしゃる。そんな方がループの方には気付けないと思いますか? 気付かないのならば両方ともであるのが、この場合の筋です」 古泉は眼に見えて生き生きと話し出す。テーブルの上に身を乗り出して肘を突き、おい、顔近いぞ。離れろ。 「であるならば、これがループの一回目であると僕は考えますね。……さて、何か思い当たりませんか?」 古泉の言いたい事はここまでくれば俺にも理解出来るってなモンで。 「果たして本当に『ループ』なのか、だな?」 「ええ、その通りです」 おいおい、少しづつ話が厄介になってきたぞ。だっていうのに、そんなのにもどこか「いつも通り」だって感想を抱いちまう俺。 我ながらどうかしてるとしか思えないね。 ループでは無い。つまり「次」が無いってことだ。そうなっては緊急性は一気にグリーンからレッドに達する。悠長な事は言っていられないし、世界の終わりも割と現実味の有る話になってきた。 「以上より、ループではないという前提で僕らは行動するべきでしょうね。まあ、具体的に何をすれば良いのかは分かりかねますが。幸いにも時間は有ります。こちらでも地道に探りを入れてみますよ」 こちらでも。つまり俺の協力を当たり前だと思っている訳だ。一年半も付き合っていれば、それが自然になってくるか。でもって俺にだって断る理由は無い。別に世界の為になんて格好良い事を言う気は無いが。 そりゃまあ、えらく現実味の薄い話だがそれでも誰よりもこの俺が動かない訳にはいかんだろう。 「っつーかさ、古泉」 「はい?」 「なんでお前、そんな事知ってるんだ?」 あはは、と小さく笑っても俺は誤魔化されんから大人しく白状しろ。それとも俺には言い出し難い情報源なのか、超能力者? 「いえ、そんな事は。……そうですね、ちょっとした引っ掛かりです。最近の長門さんはどうにも素っ気無い気がしまして。心ここに在らずとでも言いましょうか」 ああ、猫の話か。バックグラウンドで走らせてる分身の術が相当メモリを食っているらしいからな。そりゃ古泉への応対もおざなりにならざるを得ないだろうよ。 どうやら猫と古泉との間における関心の不等号が長門の中で食い違っていないようで俺としちゃ一安心だ。 「それで少し探ってみたのです。いえ、問い詰めてみたと言いましょうか。ああ、勘違いなさらないで下さい。乱暴な事は決してしていません」 いや、そこは疑ってない。大体、古泉では長門によって返り討ちにされるに決まっている。アイツはSOS団最強だからな。地域限定超能力者ではどう足掻いても相手にはならん。 「で、長門がそう言ったのか? 未来が無い、って?」 「……ええ。但し、疑念が二つ。なぜ長門さんは僕らに言い出さなかったのか。そしてもう一つ」 十二月二十五日よりも先が無い。それに気付いた時点で真っ先にアラートを出さなきゃいけないお方が、眼を真っ赤に染めて泣きながら俺に抱き着いて来なければおかしいあの先輩が、しかし何のアクションも起こしていない。 「朝比奈さんの時空通信デバイスとも言うべきそれが、どうやら通信途絶を起こしていないようなのです」 「……は?」 なんだそれ? 未来が無くなっているんじゃなかったのか? 矛盾してるだろ。 「長門さんと朝比奈さんのどちらかが嘘を吐いているというのも考えました……が、そんな事をしてもあの二人に何のメリットも有りません。しかし、何かがおかしい。僕らの認識の何かが確定的に間違っている。そんな気がしませんか?」 古泉は笑顔を崩さない。どちらかと言えば推理を楽しんでいるような節さえ見受けられる。俺は紙コップの中の冷めたコーヒを一息に呷った。 「分からん」 推理小説で言うなら証拠が出揃ってない状態に感じる、あのモヤモヤ。多分、まだ全貌が見えてくるのは先なんだろう。長門が動いていないこと、朝比奈さんが泣き付いてこられないこと。それはつまり、時期尚早って意味なんだと思う。 「つまり、静観なさるおつもりで?」 俺は頭を掻いた。 「こっちもやる事が有るんでな。端的に言えば忙しいんだ。だから、そっちはお前に任せた。信じてるぜ、副団長」 「やる事、ですか?」 紙切れを一枚ポケットから取り出して古泉に見せる。言うまでもないだろうが件の進路調査票だ。実はこれについての相談をこの休み時間にしたかったのだが、まあ、こればっかりは仕方ない。 「この字、涼宮さんですか」 筆跡鑑定人か付き纏い(ストーカ)の二択しか出てこない観察眼を披露された。古泉は生き方をそろそろ見直す段階に来ているんじゃなかろうかと個人的には思う。 未来をよりによってのこの俺に危ぶまれるほど可哀想な超能力者は、真剣そのものの顔で暫しの間ハルヒの字を見つめていた。やがてもう五時限始めのチャイムが鳴ろうかという頃、古泉はようやく口を開いた。 「……ふふっ、なるほど」 だから、どうしてどいつもこいつも説明を省略しようとしたがるのか。推理モノの探偵だったら即クビだぞ、クビ。 「それほど悪いことは起こらないのではないかと。そう思いまして」 はあ? なんだそりゃ? 楽観論も度が過ぎると単なる怠惰になっちまうが、その理解でお前はいいのかい? 「根拠を問われると苦しいところですが。しかしながら状況証拠も量によっては証拠能力を有するものです」 状況証拠? それってのは長門や朝比奈さんがまるで危機感を抱いていない点か? いや、まあ確かに妙と言えばそうだが。 あの絶望と希望の入り混じった十二月を越えて以降、長門に対して俺は全幅の信頼を寄せてはいる。昔ならば何もかもを一人で背負い込んじまっていたあの宇宙人少女ではあるが、今はもう違う。 多少ではあっても頼りにして貰えているんじゃないか、などと――これは自惚れではないと思いたい。 だから何かが有れば俺にも荷物を山分けしてくれるはずなんだ。しかし、今回はそれがない。一人で苦も無く背負える量なのか、それとも最初からその背には荷物なんて載ってはいないのか。出来れば後者だと信じたい。 今度、長門とちゃんと話してみようか。 「ただ、この時期に何も無いとは俺には思えないんだよなあ……」 頭を掻きながら、そうボヤく。と、午後の授業開始五分前を告げる鐘が鳴り、古泉は立ち上がった。聞きたい事は山と有るが、どうやらこの場ではタイムアップらしい。 「そう構えなくとも大丈夫ですよ、きっと」 「無責任な言い方だな。お前らしくも無いぞ、古泉。ついに職務放棄(ストライキ)でも決行する気になったか?」 「ふふっ、まさか」 古泉は顎をしゃくって俺に起立を促す。膝に手を付いて立ち上がる時に「しょっ」と掛け声が出た事はどうかそっとしておいて頂けたら幸いだ。 「僕は信じているんですよ」 「信じる」ねえ。そりゃ良い言葉だ。信じるものは救われるとも言うしな。だが、その対象が俺としちゃどうにも気になる。放棄した責任は一体どこの誰の肩に乗っけたんだよ? あまり長門ばかりに頼るのもどうかと思うぜ、俺は。 「いえ、長門さんでは……と、急ぎましょうか。授業が始まります」 「だな」 未来に本気になると言っておいて、授業に遅刻してちゃ論外だ。次の授業は化学だったか。センター試験で取らない俺にはどうでもいい授業。 いつもならば教科書を目隠しに机に突っ伏す時間でも、今日からは違う。内職に、と佐々木から受け取ったプリントをこなさねばならない。 「涼宮さんが待っていますよ」 別れ際に優男が瞬き一つして(止めろ、気色悪い)言い放った一言は俺の胃の中に何かモヤモヤしたものを植え付けるのに十分なものだった。 咄嗟に反論が口から出て来なかった事が悔やまれる。ぐるぐるした腹ん中は一体どこに吐き出せば……って、あ。 「あーあ……昼飯食うの忘れた」 なるほど、そりゃ腹も落ち着かないってもんだ。 佐々木から貰ったプリント三枚をどうにかこうにか終わらせた所で授業終了まで十分余った。もう一枚やろうかとも考えたが、いや待て。一枚終わらすのに大体十五分弱掛かってるんだから、今からやっても中途半端になるか。 ならばと思考を転換。俺はポケットから折り畳んだ紙片を取り出して睨み付けた。朝から俺を悩ませ続ける紙切れを、俺は勉強をする事で思考から無理矢理に追い出してきた訳だが。 短期目標、中期目標、長期目標……か。よくよく考えれば俺が目を背けているのは自分自身の未来で、つまり自分そのものである。 そんなもんも直視出来ないとはなんともまあ情けないもとうとう極まってきた感が有る。これがまあ、他人が進路に悩んでいるってんなら思わず応援したくなる話にもなってくるんだろう。だが残念、こればっかりは客観的にとはいかないのが現実だ。 流され体質を自認するも吝かではない俺であるが――っつーか、これはSOS団に在籍している時点で否定のしようが無い――流石に自分の未来まで他人に決めて貰うのは違う気がする。いや、「気がする」じゃない。絶対的に間違ってんだ。 そこまで決定力の無い人間は、乱暴な話だがそれはもう人間なんて呼んじゃいけない気すらすんだよな、個人的に。考えなければナイル河に生える水草と大差無いとパスカル先生も言っていらっしゃる。含蓄の有るお言葉だ。 さて、前置きはここまで。なら本腰を入れて考えよう。見つめてみよう、今の自分ってヤツを。 特技は無し。成績も下から数えた方が大分早い。夢なんてご大層な代物は当然と持っておらず、まあ、持っていればもう少し授業や日々の生活にも身が入っていたと思うが。こればっかりは仕方が無いか。無い袖は振れん。 気が滅入るばかりであるが自己分析はまだ続く。家は普通のサラリーマンだから家業を継ぐという裏技は最初から無く、趣味にしたって漫画やゲームといった男子高校生のテンプレート。見事なものだと自分でも思うくらい、多数派から逸脱した記憶がない。 これが俺の現在地、スタートラインである。 やりたい事を探しもせず、自己の根源欲求と向き合いもせず、ただ漫然と生きてきたそのツケは「何者でも無い自分」という至極当たり前に落ち着く。 ――ハルヒの言う通りだった。 俺は適当に適当な大学へと進学し、これまた適当に適当な会社に就職しようと考えている、ザ・適当だ。 いや――ザ・適当「だった」。過去形にするにはいささか以上に気は早いし、そもそも千里の道における一歩を踏み出したくらいで何を大袈裟な、とは自分でも思う。 しかしだ。しかし、それに気付けた今はチャンスなんだ。千載一遇ってのを今使わないでいつ使うってくらいの。 変わろうとするのは、決して悪いことじゃないと思うから。思いたいから。 あと一ヶ月で自分はどうなっていれば良いのか。この学校を卒業する時に俺はどうなっていたいのか。どんな自分でありたいのか。 自分に問い掛ける。決まっている。恥ずかしくない自分でいたい。 それは誰に対して? 親? 妹? そりゃ勿論だろう。家族が自慢できるような「お兄ちゃん」に、なれるんなら俺だってなりたい。顔を合わせては溜息を吐かれるのにだってもう飽き飽きだ。でも、それはそこまで強い欲求じゃない。 そうじゃなくって。 家族じゃなくって。 今……この今を並んで立っている友人と、未来も卑屈になる事無く付き合っていけたらと俺は願うんだよ。変かも知れない。人によってはそんなものは夢でもなんでもないと言うだろう。俺もしょうもないとそう思う。けど、仕方ないじゃないか。 ああ、つまり。 俺の望みってのは。 SOS団と、そしてこの一年半に集約されていたんだな。 7,クリスマス戦線異常アリ 「起立、礼――」 日直が号令を掛けて、本日の授業も終わる。日が暮れるのも早くなって、後一時間足らずで夕暮れが始まるだろう。時間は巻き戻らないなんて常識を俺が儚んでアンニュイになっていると後ろからハルヒに首根っこ掴まれた。 「ぐえっ」 「ちょっと用意が有るから、アンタは少し時間潰してから部室に来なさい。十分くらいでいいわ」 耳元に掛かる少女の吐息は艶かしい。座椅子の後ろ足だけという不安定がもたらす吊り橋効果は鼻で笑い飛ばすとしても。顔のすぐそばにハルヒの顔が有る、その事実。さらさらとした髪が頬に当たる、そんな僅かな感覚が俺に教えること。 涼宮ハルヒは異性である。それもトビッキリの。 それでもコイツは、なんて言葉では誤魔化せないのは距離のせいだろう、きっと。顔が近いのは超能力者の持ち芸じゃなかったのか。そんな抗議を俺がするよりも早くハルヒは離れた。 「そんじゃ、おーばー」 鞄とコートを両手に抱えて少女は教室を飛び出していく。その様に空母から離陸する戦闘機の勇姿を幻視せずにはいられない。きっと廊下はカタパルト加速。周りに衝撃を撒き散らすとこまでそっくりだぜ。 「なんだか、涼宮さん機嫌良さそうだね。良い事でも有ったのかな?」 俺へと近付いてそう言った国木田に向けて首を横に振る。いや、思い当たる節が無いのは本当だ。昨日の今日で機嫌を直しているのがそもそも俺にはクエスチョンなのだから、だったらアイツが上機嫌の理由なんて俺に思いつくものかよ。 「仏頂面がデフォルトの彼女が――廊下を走ってく時の顔見たかい、キョン? すっごい満面の笑みなんだよ。楽しいこと見つけた、って顔中に書いてあった。だから、僕はてっきり君が関わっているとばかり思っていたのだけど」 「お前、俺をアイツの付属機器かパワーアップキットだと思ってんだろ」 「どうかな? その辺りは自分の胸にでも聞いてみたほうが良いんじゃない?」 まるで取り調べでも受けている気分だった。まったく、ドイツもコイツも俺とハルヒの間柄を誤解するのに余念が無いらしい。そんな下らない事に心血を注ぐよりももっと優先するべき事項が有るだろうに。具体的には自分自身の恋愛とか。 「玩具扱いの域をいまだもって出れちゃいないと俺は思っているが」 「いや、遊び友達でしょ」 一体、その前後で何が違うのか。なぜだかオランウータンと人間の遺伝子の差異が一パーセント程しか無いって話を思い出した。だからどうしたってんでもないけどな。論ずるまでもなく猿と人の間には深い溝が有る訳で。 「遊び友達は選べるけど、遊び相手は選べないんだよ。言ってる意味、分かる?」 国木田が言っているのは俺なりに要約するとつまり扱いの差であろう。オブジェクトとして見られているか、ヒトとして見られているか。まったく、何を物騒な事を言っていやがるのか、この友人は。ああ、しかしそうは言っても玩具と友達の違いを説明するにはコイツの発言内容は確かにしっくりとくる。 そうだな。俺もからかわれる側にはなりたくはない。 「ま、ハルヒが俺をどう思っているのかなんざ分からんよ。興味も無い」 「割に良好な関係を築けていると思うけどね。少なくとも傍から見るとさ」 ああ、国木田。そりゃあアレだ。 「ハルヒと他のクラスメイトとの距離が余りに絶望的だから、相対的に俺との関係がマシに見えるだけだろ」 言っても入学し立ての頃とは違いハルヒも結構丸くはなってきている。クラスの女子とも普通に話すようになっているし、俺を通してハルヒに伝言をするなんてのも最近はとんとご無沙汰だ。 友達と呼べそうな関係にはまだ誰も至っていないが、それにしたって時間の問題だろうと俺は勝手に見ている。特に阪中。彼女はどうやらハルヒの事が気になっているらしく何かとよく話しかけていた。ハルヒもそう邪険にしておらず、このままならそう遠くない未来、二人は打ち解けることが出来るだろう。 晴れてハルヒにも普通の友人が出来る訳だ。そうなれば必然、俺の負担も軽減される事だろう。喜ばしい話だ。赤飯の準備をしなければならないくらいにな。 「そうかなあ……ううん、キョンの言う通りかもね」 「ああ、そうだ。なんせ人間ってのは本質的に相対評価しか出来ない悲しーい生き物だからな。落差が大きければマシに見えても無理からぬ話だろ。クラスも部活も同じだから周りがそれを勘違いしたくなる気持ちはまあ、百歩譲って俺にも分からなくはない」 しかもその部活ってのが得体の知れない少人数のクラブだった日には尚更懐疑も深くなろうというものだ。 「だが、それだけだ。誰かが俺とハルヒがデートしてる場面でも目撃したか? 決定的瞬間でもフライデーされたか? いやいや、そんなもん有る筈が無い。以上、証拠不十分で不起訴なんだよ、この案件は」 否定材料は揃っている。人気の無い場所でキスしたとかは……まあ、悪夢って事でアレはノーカウント。誰にだって気の迷いは有るものだからな。 SOS団についてよく知らない人から見れば、そりゃまあデートに見えなくも無いような事も度々している訳だが、しっかし不思議探索のどこに桃色幻想が幅を利かせる余地が有ったと言うのか。 何も無い。そりゃもう呆れ返るほどにな。 「ねえ、キョン。さっきから気になっていたんだけどさ」 国木田が口を開く。ほほう、まだこの俺に恋愛模様を期待するか。無駄だから止めとけと、ああ、一年の頃から何回言っても聞かない奴だ。アサガオの鉢植えを眺めて観察日記に毎度毎度「変化なし」と書き込む時のあの味気無さと良く似たものがこうなると俺の胸に去来する訳で。 「なんでそんなに向きになって否定するのかな?」 「あ?」 向きになってなんていない。そう言おうとしたのだが、口から出てきたのはスモールエーとスモールイーが背中合わせに寄りかかった発音記号でしかなかった。否定の言葉が喉元から先へ出て行かない。それくらいに俺は動転してしまっていたらしい。 「キョン、一つ良い事を教えてあげるよ」 中学から続く友人はお前のことはお見通しだと言わんがばかりにくすりと笑って。 「二重否定は肯定なんだ」 なんて言われてしまった日には俺としちゃ押し黙る他にもう打つ手は残されていなかった。まったく、腹立たしい。 「まあ、全部そうだったら面白いなあっていう僕個人の希望なんだけどね。でも実際キョンだって涼宮さんのことは嫌っていたりしないんだろう? っていうか、多少好意的に見てるよね」 ……ノーコメントだ。どうしても知りたけりゃ司法解剖して心臓を取り出し、矯めつ眇めつしてみてくれ。谷口の顔みたいに油性マーカで落書きしてあるかもしれんぞ。 国木田の追及はそこで終わり、俺はこれ以上傷口を広げてなるものかと教室から退散した。夕暮れにはまだ早い廊下は冬のこの時期であれば壁に凭れ掛かって談笑するような生徒の数も少ない。当たり前だな。誰だって寒いのはゴメンだ。 教室の有るだけマシってなストーブ周辺は人気スポット過ぎて場所取りに苦労するし、部活動をやっている奴なら部室に秘密裏に持ち込んだ暖房器具を利用する。そして俺はもっぱら後者だった。とは言え部室には遅れて来いと言われているんで、どっかに良い時間潰しは無いかと思っていたところ偶然に長門が通り掛かった。 「よう、長門。今帰りか?」 「……そう」 立ち止まり、無表情に俺を見上げる少女。いつもと変わらぬ三点リーダはなんとなく俺を安心させてくれる――って、いやいや。何をころっと忘れているんだ。和んでるんだ。 世界の危機。未来の途絶。ワールドエンド・クリスマス。 長門に聞きたい事は山のように有るじゃないか。ここで会ったがなんとやら。幸いにも人通りは他に無しとなれば、後は寒さに耐えるだけだ。 「あーっと、その聞きたい事が有るんだが」 さて、どう話し始めたものか。いつもならば聞いてもいないのにスラスラと日本語ギリギリのスペース・ミステリを披露するってのが多かっただけに、もしくは解説役の超能力者が同行していた為に、こういうのに悩むってのは珍しい体験だった。 「……何?」 クリスマスに世界が終わるって聞いたんだが、なんてストレートな切り出しでいいのだろうか。それとも「最近どうだ」みたいな外堀から埋めていく感じにするべきか。誰に聞かれているかも分からない場所柄を考えると後者だな。 いや、流石に聞き耳防止策くらいは長門の事だから講じてくれているだろうが。 「最近、どうだ? 何か変わった事はないか?」 時節柄だろう。なんとなく長門に引け目と言うか負い目と言うか、注意して見ててやらないとな、って思いが無かったとは言わない。コイツは人知れず悩むのが常な上に、表情を隠すのが古泉並に得意だ。 去年はSOSを見逃した。だから今年こそは二の轍は踏むまいと決めている。 「貴方は古泉一樹から現状を聞いたはず。それが今の私に教えることの出来る全て」 宇宙人少女は抑揚無く言った。それは確かにいつも通りではあったかも知れない。でも、引っ掛かった。 今の私に教えることの出来る全て――ってのはつまり教えられないことが有るという意味じゃないのか。それに隠し事を教えたくないのならば「貴方は古泉一樹から現状を聞いたはず。それが全て」で済んだだろう。ならばなぜわざわざ長門は言葉を足した? それは「私は隠し事をしていますよ」とそれとなく俺に伝えるためだ。するとまた別の疑問が浮かぶ。なぜこんな回りくどい真似をするのか、って点だ。 長門に制限を掛けられる相手ってのはそう多くない。というか俺は一人しか知らない(果たしてそれを一人とカウントしていいのか分からないが)。 情報統合思念体――長門の親玉だ。 なるほど、つまりこの件には宇宙人の思惑も関わっているとそういう事か。はあ……どうやら古泉のヤツもここ最近めっきり平和ボケしてきたらしい。ったく、なーにが「それほど悪いことは起こらないのではないか」だ。しっかり長門に緘口令敷かれてるっつーの。 「俺に話せない事が有る、って感じか?」 長門は何も喋らなかった。どうやらこれ以上のヒントはコイツの口からは出せないらしい。そんな風に思ってソイツの顔をよくよく見てみれば、いつもと変わらぬ無表情の中にも歯痒さがどことなく混じっている気がする。もしくは焦り。 勿論、こんなのは俺の気のせいかも知れない。人は見たいように見るらしいからな。宇宙人少女の表情学における第一人者を自称するもやぶさかではない俺では有るが、さりとてそれが長門の顔を見て十を知ることが出来るかと言えば、当たり前だが無理な話だ。 谷口みたいに顔に油性マーカで落書きしてあるのとは訳が違うのだ。繊細さもな。 「そっか、分かった」 さてさて、返答も応答も無いせいで、少女の前で独り言をぶつぶつ呟いている怪しい人みたいに俺はなってしまっている――客観的に見れば。 会話とはキャッチボールで成り立つものなのだとしみじみ思う。剛速球でもいい、逆に飛距離が足らなくったっていいから拾ったボールを逐一俺に向けて投げ返してはくれないものかね、コイツも。正直言って間が持たん。 捕り易く、また投げ返し易い球を投げるべきか。 「それじゃ切り口を変える。長門、俺は何をしたらいい? 何をするべきなんだ、教えてくれ」 目的語はあえて省いた。それは言わなくても分かるはずだし、また間違えようもないからだ。 SOS団の今後の為に。それとも俺自信の未来の為に。もしくはクリスマスの破滅を回避する為に。 ほらな、穴埋め候補のどれを目的語に持ってこようと結局、俺が聞きたい肝心要は一緒だろ。でもって、もし目的語を省かなかった場合――長門の口から出る回答には情報規制がかかってしまう可能性が生まれる。網の目をすり抜ける言葉をもって、危機回避の手段をご教授願おうって腹だ。 平たく言や、婉曲表現で回りくどく、核心には触れないように攻めていくしか手は無いってこったな。……今なら爆弾処理班の気持ちの数分の一くらいは分かりそうだ。果たして長門は俺の期待通りにその小さな口を開いた。 「貴方にして貰いたいことが一つ有る」 赤のコードと青のコード、どっちを切るか選んでくれとかそういった内容でないといいのだが。ああ、そんなのは去年の十二月でお腹いっぱいだから、今年は謹んで辞退させて頂きたいモンだ。 「十二月二十四日の午後六時に会って欲しい」 それはもしかしてデートのお誘いかなどと考える間も、赤面する暇も俺には与えられず長門は二の句を次いだ。 「貴方と接触させたい人物が居る」 「接触させたい人物? お前じゃなくてか?」 長門はほんの少しだけ頷いた。ああ、そりゃもうほんの少し。極めて僅か。ここに居るのが俺じゃなければ見逃していたに三千点。 「……そう」 「誰だ?」 「……言えない」 それも口止めされているのかと聞きたかったが、恐らく口止めの事実から口止めされているであろう長門に聞いたところであの気まずい沈黙が廊下を更に寒々しくするだけかと考え至って止めた。これ以上気温が下がったらいつぞやのハルヒを笑えない事態に陥りかねないしな。 しかし、そうは言っても俺だって健康的な高校生男子の類に漏れないのであるからしてこれは大いに気になる。日時の指定がクリスマスイブの午後六時ってのも俺の好奇心に拍車を掛けた。 「えーっと、それは……それってのは」 と、ちょっと待て。これは果たして口に出していいものなのだろうか? 誰かからのデートの申し込みなのか、なんて。気にはなる。気にはなるがしかし、これで長門から「……デートって、何?」とか聞かれたら俺は窓ガラスに全力体当たりして中庭に飛び降りるだろう。 多分、頭から。意識の混濁は願ったり叶ったり。 果たしてそんな危険を侵してまで俺は長門に聞くべきか。いや、普通に考えたら聞いておくべきなんだ、それは。だって、クリスマスだ。しかも本番の、中でも一番「いい」時間帯だ。テレビで言えばゴールデンタイム、日本史で言えば関が原。極々極々個人的な天下分け目で誠に恐縮ではあるが。 「……何?」 少女の瞳は真っ直ぐに俺を見つめてくる。何の躊躇いもなく。昔ながらの奥ゆかしい日本人にはちょっと出来ないその無遠慮な――素っ直な眼差し。 「あー、その……」 当然だが先に眼を逸らしたのも、 「……すまん、なんでもない。男か女かだけ気になってな。その、俺が会った方がいいって人がさ」 ついでに話を逸らしたのも俺だ。だが、大筋は逸らしてないから安心して欲しい。それにここで男だって言われればまあ、十中八九古泉で間違いないだろう。 本音を言えば折角のクリスマスイブにまであのニヤケ面に会いたくはないのだが。 だが、そんな俺の不安と、やっぱりそんなオチだよなって具合の意味不明な安心をもたらすであろう言葉は長門の口からは出て来なかった。 「性別は女性」 顔色一つ変えず言う長門とは対照的に俺は全身にカーっと血が回っていくのを感じていた。いや、仕方ないだろ。クリスマスイブで午後六時に異性と出会えって言われて、これに恋愛的ななにがしかを期待せずにいられるようならソイツはきっと頭がオカしいから病院に早急に行くべきだ。 「お、女?」 「そう」 「ちなみに、そこには長門も一緒に居るんだよな?」 そうだ、二人きりなら何事かも妄想しようが、事これが三人になってしまえばなぜだかは知らんがそんな事は起こりえないのがこの世界のルールであり、不文律である。今だけはそこに感謝しよう。 「……なぜ?」 おや、情報の伝達に齟齬が発生しているぞ、長門。 「いや、だってお前が連れてくるんだろ、誰だか知らないけど、ソイツ。その、俺が会うべき人っての」 「違う」 「え? それはどういう」 「彼女と貴方が出会うその時間、私は別の事を行っている。言い換えるならば――忙しい」 って事は何か? 待ち合わせでもしなきゃならんのか、俺は。誰かも分からん相手と? 俺の認識ではそこに「デート」の三文字がどうしてもピタリと嵌まり込んでしまう。せめて事前に相手くらいは知っておきたいんだが。 情報統合思念体とやらは本当にロクな事をしやがらないな。 「なあ、『それ』って本当に必要なのか?」 「必要」 こう言い切られちまっては、SOS団一の事情通を信じない訳にはいかない俺としては、ああ、初クリスマスデートの相手くらいは自分で選びたかった。それとも選ぶ権利が有るとでも思ってんのか、って皮肉屋の運命の仕業だろうか。 それだけはないと信じたい。
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第226話 雪の季節のまやかし 1485年(1945年)1月30日 午後6時 レスタン領ハタリフィク レスタン領軍集団司令官ルィキム・エルグマド大将は、仏頂面を浮かべたまま、机に広げられた地図を睨みつけていた。 「……それで、敵の先鋒はどこまで来ておるのだね?」 「はっ。1時間前の報告では、この辺りに……」 軍集団作戦参謀を務めるヒートス・ファイロク大佐は、指示棒でとある一点を指した。 そこは、レスタン領の首都であるファルヴエイノから、西に23ゼルド(69キロ)離れた場所にある、クリメエイヴァと呼ばれる 寒村の辺りである。 「防戦中の第5親衛石甲師団の報告では、クリメエイヴァの敵部隊は、パーシング戦車を含む機械化部隊であるとの事です。また、 クリメエイヴァの南方3ゼルド付近にあるフェグバルスには、カレアント軍と思しき前進部隊が進出している事も確認されております。」 「敵部隊の進出はここだけではありません、こことここ……それから、ここでも、アメリカ軍、またはカレアント軍が前進を続けています。」 軍集団魔道参謀を務めるウィビンゲル・フーシュタル中佐も、先程の地域から南に離れた、別の地域を指差しながら、エルグマドに向けて発言する。 彼らはまだ知らなかったが、その地域には、第5水陸両用軍団指揮下の第6海兵師団と、カレアント軍第2機械化騎兵師団が進出していた。 「28日の戦闘からたった2日間、敵は20ゼルド以上も前進するとはのう……作戦参謀、敵は確か、機械化部隊の快進撃を、何か別の 言葉で言っていた気がするが、何だったかな?」 「は……敵はこの急進撃を、電撃戦と呼んでいるようです。」 「電撃戦か……ふむ、まさに、雷のような進撃だな。」 エルグマドは、自嘲気味にそう呟いた。 28日より続くアメリカ、カレアント連合軍の西部戦線での攻勢は、早くも勢いに乗りつつあった。 28日夜半の発生した第2親衛石甲軍とアメリカ、カレアント連合軍の決戦は、第2親衛石甲軍の敗退に終わり、29日早朝には、早くも敵軍部隊が 前進を再開し、撤退する第2親衛石甲軍と第47、42軍の残余部隊との競争状態になった。 29日夜半には、遂に第42軍が壊滅し、戦力図から消えた他、30日早朝には、第47軍司令部より、 「指揮下にある戦力は2個師団程度なり」 という悲痛めいた報告が送られて来た。 その時点で、西部戦線のシホールアンル軍は、第42軍の4個師団、2個旅団ほぼ全てと第47軍の半数以上を失った他、第2親衛石甲軍も、 指揮下の部隊は軒並み、戦力が3割減という事態に陥っていた。 28日夜半の決戦に勝利した連合軍部隊は、機械化部隊の快速を生かして遮二無二進み続けたが、無論、シホールアンル軍も黙って見ている 訳では無かった。 30日正午には、首都ファルヴエイノから抽出した部隊が、後衛部隊として連合軍部隊と交戦を開始し、敵の進撃速度を幾らか鈍らせる事が出来た。 抽出部隊は、ファルヴエイノ防衛部隊の主力であった第54軍団と、元々、ファルヴエイノに駐留していた陸軍2個連隊を主力に、間に合わせで 用意された兵員輸送用キリラルブスや補充品を当てがい、機動歩兵旅団を臨時編成し、敵軍に対抗した。 南部戦区は、第54軍団の奮戦のお陰で、敵軍部隊の半分は前進が捗らなくなったが、第54軍団の支援を全く受けられなかった北部戦区は、 依然として敵の前進に押されどおしとなり、敵側が無理をして送り出してきた航空支援の影響もあって、遂に第2親衛石甲軍の中でも、 壊滅判定を受ける部隊が出てしまった。 第2親衛軍団の指揮下にあった第17石甲機動旅団は、30日正午頃、旅団の大半の部隊がアメリカ、カレアント軍機械化部隊に包囲され、 力戦敢闘するも、航空支援までも繰り出して来る敵の猛攻の前には成す術もなく、午後5時頃には遂に壊滅し、第17旅団は指揮下に遭った 戦力が、2個連隊から僅か2個大隊に激減し、旅団としての機能を完全に喪失。 つい今しがた、第17旅団の残余は第4親衛石甲師団に編入となった。 第2親衛石甲軍は、こうして、構成部隊の1つである1個旅団を、編成図から失ってしまったのである。 連合軍部隊の最先頭は、夕方5時までには、実に10ゼルド以上(30キロ)もの道のりを走破しており、最先頭部隊は、ファルヴエイノ まで23ゼルドの距離まで迫っていた。 エルグマド達は知らなかったが、この最先頭部隊は、第3海兵師団所属の第3海兵戦車連隊と、第3海兵連隊で構成されていた。 敵の先頭部隊は、午後5時現在、クリメエイヴァまで進出した所で動きを止めている。 これに対し、第2親衛石甲軍は、第2親衛軍団の2個石甲師団並びに1個旅団を、ファルヴエイノから20ゼルドの位置に何とか布陣させて いるが、28日夜半の戦闘で消耗を重ねた第2親衛軍団が、期待通り役目を果たせるかどうかは、運次第である、と、司令部の幕僚ですら 考え始めていた。 「唯一の救いとしては……今夜から天候が更に悪化する事のみですな。」 兵站参謀のラッヘル・リンブ少佐が腕組しながら、平静な口調で言う。 「気象班の予報では、今日の夜半からは本格的な吹雪が来ると予想されており、その兆候は既に現れ始めております。」 リンブ少佐はそう言いながら、窓の外を見てみた。 外の様子は、既に日が落ち始める時間帯であるため、薄暗くなっていたが、空から降りしきる雪の量は多く、雪の粒も早朝と比べて、幾らか大きい。 「敵部隊は、この1日で10ゼルドも前進し、ファルヴエイノへ大きく近付けましたが、その分補給線は長くなっています。通常の場合 なら、敵にとっての10ゼルドは大した長さでは無いでしょうが、今日の様な降雪下……特に、吹雪といった悪天候の前には、たかが 10ゼルドでも、補給を行う際には相当の苦労をします。我々もそうですが、敵機械化部隊も、悪天候下での急進撃は困難な筈です。」 「兵站参謀の言う通りですな。」 主任参謀長のヴィルヒレ・レイフスコ中将が頷きながら喋る。 「閣下、この悪天候は、あと3日程は続くと予想されています。我々はその間、前線部隊への増援が出来るように準備を整えた方が良いかと 思われます。東部戦線では、バイスエ駐留軍が行動を起こしてくれたお陰で、戦線全体で敵の進撃は鈍りつつあります。これを好機として、 我々は前線部隊へ補充を送り届け、再度、戦線の立て直しを計る事が出来るでしょう。」 「確かにな。」 エルグマドも満足そうに頷くが、同時に、複雑そうな表情を浮かべた。 「しかし、お天気任せの帝国軍とはのう……わしのような楽観主義者でなければ、今頃、職をほっぽり出している状況だな。」 エルグマドの何気ない一言を聞いた幕僚達は、一斉に苦笑いを浮かべた。 「それにしても、第54軍団の動員に関しては、閣下も思い切った措置を取られましたな。まさか、市外警備の2個連隊までも動員するとは、 最初は信じられませんでした。」 「使える物はどんどん注ぎ込まねばならんかったからの。」 ファイロクの言葉を聞いたエルグマドは、ため息を吐きながらそう答える。 「閣下。小官としましては、今回の第54軍団の動員には、いささか無茶があったのではと思うのですが……」 「むむ?それはどういう事かな、兵站参謀。」 エルグマドは、すかさずリンブ少佐に聞く。 「首都にはもう、敵の空挺部隊は来んよ。首都には、国内相の施設軍と治安警備部隊が5000名ほど居る。ファルヴエイノと、その周辺地域の 住民はまだ10万人以上も居るが、この悪天候下では、首都は安全だ。首都の守備兵力に関しては、もはや大丈夫であると思うが。」 「いえ……兵力の件ではありません。」 リンブは首を振りながら、エルグマドに答えた。 「閣下は国内相軍と治安警備部隊……占領地官憲部隊の馬車までも徴発していましたが、国内相ではその事に関して、軍の横暴であると非難の声が 上がっているようです。確かに国内相の連中は、大した仕事もしない穀潰ししか居ないのも事実ですが、それでも、今回の馬車隊強制徴発は無理が あったのではないでしょうか。」 「うーむ……言われてみれば、確かにそうかもしれんな。」 エルグマドは、内心、自分が下した判断に後悔の念を抱きかけていた。 第54軍団の動員の際、エルグマドは元から居た歩兵2個連隊も動員したが、その際、彼は軍集団司令官の強権を発動し、国内相軍部隊が保有して いた多数の馬車隊の徴発も行った。 馬車隊の徴発は兵員輸送用のみならず、補給用馬車にまで及び、現地の国内相の役人はこれに激怒し、軍集団側の横暴を即座に本国へ報告していた。 エルグマドとしては、国内相軍部隊はファルヴエイノに最低、2か月分の食糧を貯め込んでおり、食料に関しては、補給は必要ない状態にある事を 知っていた。 敵の上陸作戦が行われる前、エルグマドは国内相の現地統括官に対して、せめて、2週間だけという条件付きで、馬車隊の借用を何度も要請したが、 統括官は指揮系統が違う事をタテに、頑として譲らなかった。 レスタン領駐在の国内相部隊……特に国内相軍は、陸軍のやり方に反抗する場合が多く、第54軍団の動員の際に行われた、馬車隊の借用に関しても、 前回と同様、統括官や馬車隊の頭達は首を縦に振らなかった。 だが、国内相軍や、役人達の判断は、今回ばかりは間違っていた。 エルグマドは、非常時であるにもかかわらず、命令系統を盾に馬車隊の借用要請に応じない国内相側に激怒し、遂に強制徴発に踏み切った。 この強制徴発に、国内相側も反抗の態度を示したが、陸軍部隊はそれ以上の反抗を行う際は、利敵行為の咎で厳罰に処すると命じたため、国内相側も 渋々応じたのであった。 ファルヴエイノには、米軍が住宅地を滅多に爆撃しない事を良い事に、陸軍の補給隊が多数の空き家に大量の補給物資を隠匿していた。 ファルヴエイノは、元々30万人以上の住民が住んでいたのだが、過去の戦争で住民が離れていき、1485年1月現在では、市内に5万名が居るのみで、 町中には溢れんばかりの空き家が存在する事になった。 空き家に隠されていた物資の中には、完成すれども、前線部隊には行き渡らなかった携行型魔道銃も多く含まれていた。 ファルヴエイノ駐屯の2個連隊は、この魔道銃を受け取って前線に加わる事が出来た。 この補給品の輸送には、挑発した馬車隊が目覚ましい活躍を見せ、前線に行きわたった各種物資は、第54軍団の奮戦と相俟って、南部戦区での 連合国軍の迎撃に大きく役立っていた。 結果として、エルグマドの判断は当たっていたのだが……彼の強引なやり方は、遂に本国の国内相関係者を激怒させてしまったようだ。 「もしかしたら、わしを解任しろと言っているかも知れんな。いや、確実に言っておるだろう。」 「閣下、後方の方達が言う事は、別に気に留める事もないかと思います。」 ファイロク大佐がエルグマドに言う。 「やり方が云々は別にして、あの時の判断は、今日の戦闘で正しかった事が証明されています。北部戦区では10ゼルド以上も前進されてしまい ましたが、南部戦区では、その半数以下の4ゼルド(12キロ)しか前進出来ていません。通常なら、これだけでも恐るべきものですが、第54軍団と、 彼らが届けてくれた物資が無ければ、補充を受けて戦闘力を残せた第47軍が、敵を迎撃する事は不可能でした。最悪の場合、南部戦区もまた、 北部戦区と同様、10ゼルド以上も前進される、という事態に至ったでしょう。いや、それ以上前進され、撤退中であった第1親衛軍団が後背を 衝かれる、という事もあり得ました。レスタン領の戦闘が終結した後、今回の成果を証言すれば、本国の連中も分かってくれるでしょう。」 「閣下、今は、前線の部隊をどう動かし、敵の攻勢をどう抑えるか?それに集中するべきです。」 魔道参謀のフーシュタル中佐もそう言って来る。 「ふむ……作戦参謀と魔道参謀の言う通りじゃな。」 2人の幕僚の進言を受け取ったエルグマドは深く頷き、これ以上、余計な事は考えぬ事を心に決めた。 「国内相の連中の事は、今は置いといて……西部戦線は、少なくとも3日間ほどは小康状態になるな。西部戦線の状況はこれで掴めた。 さて、東部戦線の状況を聞こうか。」 「東部戦線では、先にもお話しした通り、バイスエ駐留軍が行動を開始した事により、敵部隊の最右翼が前進を止め、バイスエ駐留軍との交戦を 行っています。これによって、足並みが崩れる事を恐れた連合軍部隊は、全戦線で進撃速度を衰えさせており、明日の朝頃からは、猛吹雪のため、 東部戦線でも敵は進撃を停止させるでしょう。」 レイフスコ中将が淡々とした口調で説明する。 「ようやく、バイスエ駐留軍が参加してくれた事で、東部戦線も落ち着きを取り戻しつつあるようだが……しかし、本国の連中もまた、 気に入らない事をしてくれた物じゃ。」 「参加したバイスエ駐留軍は、僅か1個軍のみでしたからな。本当は、それ以上の部隊に動いて貰いたかったのですが。」 作戦参謀の言葉に、エルグマドはそうだと言いながら、2度頷いた。 「1個軍では、敵の動きを止める事は出来ても、押し返す事は出来んだろう。現に、バイスエから来た第71軍は、カレアント軍1個軍の進撃を 食い止めただけだ。これでは、遠からぬ内に第71軍は押し返され、敵は再び、東部戦線への圧力を強めて来る。全く……本国の石頭共は一体、 なにを考えておるのやら……」 「本国総司令部の考えでは、別の連合軍部隊がバイスエに侵攻して来た際の備えとして、3個軍の内、2個軍はバイスエに留めておこうとしていようです。」 「その連合軍部隊はいつバイスエにやって来ると言うのだ?」 エルグマドは、半ば苛立ったような口ぶりで言う。 「敵の主力は、このレスタン領に集中しておる。まずは、このレスタンに兵力を集中し、敵の進撃を食い止める事を考える方が先だろうに……」 「閣下のお考えは確かにわかります。ですが、我が軍は今月の中旬頃から始まった航空戦の連続で、動員出来るワイバーンや飛空挺が明らかに 減っています。それに加えて、本国からの航空戦力の増援は、当分見込めません。この状況では、幾ら地上部隊を増やしたと言えど、航空戦力の 薄くなった我が軍は満足に航空支援を行うどころか、基地上空の防空戦闘を行う事すら危うくなっています。天候が回復すれば、短期間でまた 戦力を回復した連合国軍側の航空部隊に押されるのは、火を見るよりも明らかです。閣下、本国司令部は、敵の空襲によって、レスタンへ動員 したバイスエ駐留軍も消耗しきる事を恐れ、わざと1個軍しか派遣しなかったのではありませんか。」 「確実にそうであろうな。」 魔道参謀の言葉に対して、エルグマドは即答する。 「本国司令部の考えは気に入らないが……それでも、わしらの意見を握り潰さなかっただけでもマシかもしれん。バイスエの第71軍は現に、 敵の横合いに噛み付き、敵軍の一部を拘束し、結果的に、それは東部戦線全体の安定に繋がっておるからな。」 「第71軍の指揮下にある2個軍団のうち、1個軍団は石甲化軍団ですからな。上手く行けば、敵は第71軍を重大な脅威とみなして、更に兵力を 振り分けて来るかもしれませんぞ。」 レイフスコ中将がそう言うや、エルグマドも小さく頷く。 「後は、段階的に北に下がりつつ、これ以上、敵の進撃が勢い付く事を避けねばならんの。戦線を維持しつつ、後退して行けば、進撃中の敵も 損害続出で、次々と交代して行くだろう。」 「新型キリラルブスがもっと早く配備されていれば、敵に与える損害も大きかったのですが……」 「まぁ、無い物ねだりしても始まらんよ。」 作戦参謀の言葉を聞いたエルグマドは、そう答えた。 「何度も言うが、わしらは今、与えられている装備で最善を尽くさねばならん。ここで、レスタン領の野戦軍が潰滅状態に陥れば、敵は一気に バイスエを制圧し、本国が蹂躙されるだろう。先の戦が楽になるか、辛くなるかは、このレスタン戦線次第と言えるな。」 エルグマドの言葉を聞きながら、リンブは壁に掛けられている時計に、ちらりと視線を送る。 時刻は午後6時20分を指そうとしていた。 「少し疲れたな。しばしの間、小休止にしよう。」 エルグマドが幕僚達にそう告げるのを聞いたリンブは、近くに居たフーシュタルに断りを入れてから作戦室を退出し、便所で用を足した。 ふと、彼は外の様子が気になり、便所から5歩離れた場所にある休憩所の窓から外を眺めてみた。 「大分吹雪いて来たな。」 リンブは小声で呟きながら、外の風景を見続ける。 「少佐殿、どうかされましたか?」 彼は、休憩室で喫煙していた大尉の階級章を付けた主計課将校に話しかけられた。 「いや、少しばかり天気が気になってね。」 「少佐殿も気になりますか。実は、私もです。」 大尉は無表情で答えながら、リンブの側に歩み寄った。 「実を言いますと、書類作成用に使っていた紙が切れかけているのです。予定なら、予備の用紙が2日後に届く筈だったんですが、この吹雪じゃあ、 2日後どころの話では済みそうにないですな。」 「ああ。気象班の予測によると、この吹雪は、最低でも3日は続くらしい。」 「3日ですか……参りましたな。この様子じゃ、ゴミ箱にぶち込んだ紙を引っ張り出して、紙の裏部分を再利用するしかないですなぁ。」 主計課将校は困った顔つきを張り付かせたまま、浮かぬ足取りで休憩室から出て行った。 「……この猛吹雪で困るのは敵じゃなく、味方も……か。天候が回復するまでは、こっちも我慢しなければならない。司令官達は敵の空挺部隊の 脅威が過ぎ去り、敵の前進も止まった事で一安心しているが……」 リンブは不安げな口調で呟く。 昨年の末まで、補給部隊の指揮官として前線の補給路を走り回った彼としては、自軍の補給能力がどれぐらいの能力を有しているか熟知している。 彼は、それを知った上で、軍集団司令部の楽観ぶりに不安を感じずにはいられなかった。 「こっちも身動きが取れにくい……いや、この猛吹雪の中では、全く取れない、と言った方が正しいか……補給部隊も含めた、全部隊が……」 リンブはそう呟きながら、前線に展開している戦闘部隊の事が心配になってきた。 「……吹雪の勢いが弱まった所を見計らって、補給を出す他は無いな。今の所は、ファルヴエイノから運び出した余剰品で前線部隊は凌げるだろうが、 それもせいぜい2日分程度だ。それ以降は補給不足で立ち枯れになる。今から、その後の事も考え無いといけないな。」 リンブは、半ば憂鬱な気持ちになりながら、窓辺から離れて行った。 窓の外には少数ながらも、現地人が出歩いていた。 その中の1人……子供が、吹雪の中を不安げな表情で歩いていたが、すぐ後ろに歩いていた母親と思しき女性が、ニッコリ笑って上空を指差し、 何かを口ずさみながら、上空にかざした手を左右に振り、子供の不安を払拭していた。 1485年(1945年) 2月1日 午前6時 レスタン領レーミア沖西方150マイル地点 その日、ジャスオ領北西部にある航空基地より発進したF-13偵察機は、今月の中旬より始まった、定例のレスタン領沖上空の観測を行うため、 時速210マイル、高度9000メートルを維持しながらレスタン領西方沖を飛行していた。 「航法士。今はどの辺りだ?」 機長のフランキー・シェパード大尉は、航法士に話しかけた。 「現在、当機はレーミア湾より方位320度、北西150マイル地点を飛行中です。」 「レーミア湾より北西150マイル地点か……下界は相変わらず、雲で真っ白に覆われているようだが。」 シェパード大尉は、時折聞こえて来る部下達の報告を思い出しながら、単調な飛行に意識を集中させる。 「目標地点まで、あと50マイルですか。」 「ああ。目標到達後、それから2時間、同じ空域を旋回しなければならん。いつものように、行って、ゆっくりダンスして、戻って来るだけさ。」 話し掛けて来たコ・パイのウィック・グリストル中尉に、シェパード大尉は陽気に答えた。 「しかし、B-24でレスタン領爆撃に行って撃墜され、シグなんとかというレジスタンス達に助けられて復帰したまでは良かったが…… まさか、このF-13の機長を任されるとはなぁ。ちょっと不満だ。」 「でも、B-24から、偵察機型とはいえ、B-29の機長になったんですからいいじゃないですか。」 グリストル中尉は微笑みながら、シェパード機長に言う。 「自分も以前はB-24に乗って、敵とタマの取り合いをやっとりましたが、今ではこいつに乗れて良かったと思いますよ。」 「まっ、B-29……もとい、F-13だったかな。こいつも確かにいい機体だ。高度9000を飛行する場合、B-24なら厚い防寒服と 酸素マスクが必要になるが、F-13は与圧装置のお陰で、機内で寒さに縮こまる事は無い。まぁ、多少の防寒服は必要だが、それでも大分 楽になった。でもなグリストル、正直に言って、俺にはこいつは合わんね。」 「合わない……ですか。」 シェパードは軽く頷いた。 「俺には、B-29よりも、B-24のような機体が合っているな。リベレーターは他の爆撃機と違って、低空での運動性も多少良くてな、 2年近く前のルベンゲーブではこの特徴を生かして、敵の魔法石製造工場を火達磨にしてやった物だよ。」 「確か、機長もその時参加していたんですよね?」 「ああ。あの時、俺はコ・パイで、お前の席に座っていた。帰還中に、シホット共の戦闘機に襲われて機長が戦死した時は駄目だと思ったが、 俺が操縦して何とか帰還できたよ。思えば、あの時の機長は、本当にいい人だったよ……」 シェパードは、しんみりとした口調で言う。 「しかし、司令部の連中は、ここで天候観測に当たっているだけでいいと言っていたが、2週間以上もこうしているのはどうしてかな。」 「雲の写真を撮影して帰るだけですからねぇ。もしかして、気象班の天候予測をやり易くするために、うちらが駆り出されているんじゃないですか?」 「それもそうかもしれんが……何故か、俺達に詳細を教えてくれないんだよなぁ。教えてくれた事はただ1つ。何か大きな動きがあったら、 司令部に包みは解かれたと報告しろ、だ。」 「教えてくれたと言うより、まるっきり命令ですな。」 「だな。」 シェパードは呆れ笑いを浮かべながら、グリストルに返した。 「そういえば機長、昨日、酒場で久方ぶりに合った友人に再開したんですが、そこで妙な話を聞きましたよ。」 「妙な話?何だそりゃ。」 シェパードは前を見据えながら、グリストルに聞く。 「何でも、B-24を送り出したコンソリーデッド社がへんてこな爆撃機を開発中だそうです。」 「へんてこな爆撃機か。一体どんな代物なんだ?」 「さぁ……自分もさっぱりです。友人もあまり知らないようでしたが、その新型機は2種類あって、1つはとにかくでかい爆撃機で、遠くまで 飛べる機体。もう1つは、B-29のような機体に大砲と大口径の機関砲を乗せて地上支援に集中出来る機体。これだけしか教えられませんでしたよ。」 「何だいそりゃ?」 シェパードは素っ頓狂な声を挙げた。 「とにかくでかく、遠くまで飛べる機体に、大砲と機関砲を乗せた機体だと。グリストル、君の友人はその時、酷く酔っ払って居なかったか?」 「ええ、もう、べろんべろんでしたよ。おまけにそいつ、酒に酔っている時は法螺ばかり吹くお調子者野郎でして、あの時の話も、こいつ特有の 法螺話が出て来たかと思いましたよ。」 「完全にホラ話だろうな。」 シェパードは苦笑しながら答えた。 「ただ、いつもと違って確信したよう口ぶりで話していたので、その辺りにちょいと、違和感を覚えましたが。」 「いくら我が合衆国でも、そんな機体なぞ、すぐに作れないよ。現状ではB-29でも間に合ってる……か、どうかは判断し難いが、ひとまず、 シホット共は四苦八苦してるんだ。今のままでもすぐに戦争を終わらせられるよ。それに、そんな機体が出来たとしても、終戦までには間に合わないさ。」 「ハハ、そうでしょうね。」 グリストルは微笑みながら、シェパードに答えた。 それからしばらく経ち、F-13は目標上空に辿り着いた。 「機長、目標地点に到達です。」 「OK。これよりスローダンスに入る。お前達、一応でも構わんから、下の方を見とけ。」 シェパードの冗談めいた口調に、乗員達は小声で笑った。 シェパードは、車のハンドルにも似た操縦桿を、ゆっくり左に回して行く。 F-13の操縦桿は、事の他重いが、訓練で慣れたシェパードは、その重さに苦労する事無く、愛機を旋回させていく。 全長30.1メートル、全幅43メートルもの大きさを持つ白銀の怪鳥は、4つのR-3350空冷18気筒、2200馬力エンジンを快調に 回しながら、冬の厚い雲に覆われた洋上を、ゆっくりと旋回して行く。 4つの大馬力エンジンの後ろからは、真っ白なコントレイルが綺麗に引かれており、下界から見れば、鮮やかな白い円が青空に描かれていた。 旋回に入ったF-13は、時折、高空を吹き荒ぶ気流にひやりとさせられつつも、単調に回りつづけていく。 時間は10分……20分……30分と、刻々と過ぎていく。 F-13の機内には、時折、機体の爆弾倉に取り付けられたフェアチャイルド製の各種偵察カメラの作動音が響く。 単調な旋回飛行は続き、時間は40分、50分、60分と過ぎていくが、下界の雲の様子は何ら変わる事が無く、下界に冷たい雪を降らしながら 移動しているだけである。 旋回を開始してから、1時間30分が経過した後も、下界の様子は、何の変化も見られなかった。 「あと30分か。早く帰って、ビールが飲みたいねぇ。グリストル、今日の昼飯は何かわかるか?」 「ええ……確かヴィクトリーカレーだったと思います。」 「ヴィクトリーカレーだと?こいつはおったまげたぜ。」 シェパードは嬉しげな口調で言う。 「今までカレーは、海軍や海兵隊でしか食えない料理だと思っていたが、まさか、陸軍にもカレー料理が出てきたとはな。しかも、縁起のいい ヴィクトリーという名のついたカレーとは。グリストル、今日はついてるぞ。」 「ですね。ところで、自分はまだカレーを食べた事無いんですが、機長もそうですか?」 「いや、レスタンから潜水艦で脱出する時に、海軍さんが一杯カレーを出してくれて食べた事がある。最初は、どこの間抜けがライスにクソを ぶちまけた様な料理を作りやがったんだ、と思ったんだが……いやはや、先入観だけで判断するのは良くないと思わされたよ。その時のカレーが かなり美味でね、今でもあの味は忘れられんよ。」 「へー、かなり美味いんですか。」 「ああ、美味いぞ。あれを食べてみて、不味いと言う奴はそうそう居ないだろう。それにしても、ヴィクトリーカレーとは見た事が無いな。 何かの具が追加されたカレーかな。」 「自分はそのカレーがなんであるか聞いていますよ。何でも、カレーの上に肉の揚げ物が乗った物だとか。海兵隊の連中が上陸作戦前に 食わされたらしいです。食べた連中は口々に美味い美味いと言ってたようです。自分の海兵隊の知り合いから聞いた話ですが。」 「ほほう。連中はその美味さに驚いて完食しただろうな。」 「いえ、全員が完食した訳では無い様です。戦闘を経験済みのベテランは、カレーを半分ほど残したようですね。」 「カレーを残しただって?なんでまた……」 「戦闘を経験しているからですよ。」 グリストルは自分の腹をさすった。 「その友人の話によりますと、腹を満たした状態で戦闘を行うと、腹に被弾した際に、急性腹膜炎に陥ってショック死する場合がある様です。 自分が話を聞いた海兵隊員はエルネイルの戦いに参加していましたが、完食した連中は殆どが新兵。一方、ちょっと残した連中は全てが、 戦場の地獄を経験した兵ばかりで、上陸作戦が行われた後、その差はかなり現れたようですよ。」 「なるほど……じゃあ、つい先日に行われたレーミア湾の上陸作戦でも、同じような事が起きたのかも知れんな。カレーを残すのはもったいないが…… 命を落としたら、もったいないどころでは済まんからね。」 「機長!」 唐突に、耳元のレシーバーからレーダー手の声が響いて来た。 「おう、どうした?」 「レーダーに異変がありました。機長、機首を方位320度方向に向けてくれませんか?」 「320度方向だな?了解!」 シェパードはレーダー手の進言通りに動いた。 「機首を320度方向に向けるぞ!」 「了解です!」 彼はグリストルにそう言いつつ、愛機の旋回速度を更に緩めていき、機首が方位320度方向、北西の方角に向いた所で、旋回を止めた。 「機長、下界の様子はどうなっています?」 「ちょっと待ってくれ。」 シェパードは、機内電話で見張りを呼び出した。 「そっちはどうなっている?下界の方は異常なしか?」 「いえ、異常は見られません!」 「わかった……レーダー手、どうやら、異常は見られない様だぞ。」 「異常なし、ですか……おかしいな。」 レーダー手の納得がいかなさそうな言葉を聞いたシェパードは、しばし考えた後、操縦席から離れる事にした。 「すまんが、少しだけ席を離れる。任せたぞ。」 「わかりました。」 シェパードは操縦席から離れ、レーダー手のいる後部キャビンに移動した。 「ニコライ、何か異常があったのか?」 彼は、レーダースコープと睨めっこをしている、ロシア系アメリカ人のニコライ・ブジョンルフ曹長に話し掛けた。 「機長、これを見て下さい。」 ブジョンルフ曹長は、小さなレーダースコープの一点を指差した。 B-29に機上レーダーが搭載され始めたのは、44年の6月からである。 B-29用の機上レーダーとして最初に採用されたAN/APQ13レーダーはベルテーホン研究所と、マサチューセッツ工科大学が共同で 開発した物で、アメリカ軍爆撃航空団は、昨年の7月からシホールアンル本土並びに、マオンド本土への夜間爆撃が可能となった。 シェパードのF-13にも機上レーダーが搭載されたが、それは、いつものAN/APQ13ではなく、最新型のAN/APQ7であった。 AN/APQ7は、全方位が探索可能なAN/APQ13に対して、機首側の60度の方向しか探知範囲が設定されていなかったが、その代わり、 レーダースコープには、AN/APQ13の表示機よりも、明瞭な画像を映し出す事が出来た。 また、洋上観測にも使用できるため、以前の機上レーダーよりも部分的な性能は上がっていた。 AN/APQ7はまだ開発中であり、シェパード機に搭載されたレーダーはその試作型であるが、基地にやって来た技術者が言うには、AN/APQ7 の開発はほぼ大詰めを迎えており、後はこの試作機の結果如何で、早期生産が可能かどうか決まるとの事だ。 その新兵器を、早速使いこなしているベテランレーダー手が見つけた異変を、シェパードはこの目で見る事が出来た。 「先程、見張りは雲の様子に異常は無いと伝えていましたが、前方20マイル付近の雲の映像が、他の部分の物と比べて、明らかに色合いが違います。 このレーダーは、雲の様子を明確にとらえるようには作られていないので分かり辛いですが、それでも、この部分と、この部分の色合いの違いは分かります。」 「なんか、薄く感じるな。ニコライ、君は、これが何だと思うかね?」 「はい。恐らく、この部分の雲は、厚みが違うのではないでしょうか?」 「厚みが違うか……」 「エコーが小さいと言う事は、この部分の雲量は余り多くないと言う事になります。」 「……もうしばらく、機を進めてみよう。」 彼はそう言ってから、グリストルにこのまま進めと指示を送った。 それから5分後、レーダー上の雲の様子は、一目で分かるまでに変化していた。 「やはり、この部分からの雲量が明らかに少なくなっています。それに、スコープの端からは、雲と呼べるような物は無くなっています。」 「……となると、ここから先は……」 シェパードが言おうとしていた言葉を、先に爆撃手席に座っている部下が声高に発した。 「機長!前方に雲の切れ目が見えます!」 「何?ちょっと待ってくれ。俺もそっちに行く。」 彼は、爆撃手からの報告を受け取るや、早足で機首の爆撃手席に移動した。 「どうした?」 「機長、あそこを見て下さい。凄いですよ。」 シェパードは爆撃手から双眼鏡を渡され、風防ガラス越しに遠くの洋上を見つめた。 レスタン領を全体的に覆っている雲は、大体が5000メートル前後の高さに位置している。 シェパード機は高度9000メートルから、この雲を見下ろしている形になっている。 双眼鏡越しに見えたそれは、まさに壮大の一言に尽きた。 「なんてこった……雲が綺麗に割れてやがる。ここから20マイル程先には、雪を降らしている雲が割れて、海側に向かっているから、あそこからは 晴れ間が広がっている事になるな。」 「機長……確か、気象班の予報では、最低でも3日、長くても4日は雪が吹雪と言っていましたね。」 「そうだったな……だが、この距離と、常時10マイル程度の速力で動いているこの雲なら……」 シェパードは、脳裏にある部隊を思い出した。 マーケット・ガーデン作戦が始まって以来、一度も活躍の機会を与えられていなかったその部隊は、地上部隊の戦果が届くたびに、切歯扼腕していたと 聞いている。 彼らにしてみれば、まさに、千載一遇のチャンスが訪れようとしているのだ。 「レスタン領は1日程で、見事な冬晴れになる。通信手!至急司令部に例の言葉を報告しろ!」 「わかりました!」 午前8時40分 F-13は、1通の電文を司令部に送った。 その通信文が、北大陸派遣軍総司令官であるドワイト・アイゼンハワー大将の下に届いたのは、それから4分後の事であった。
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← アナムネシスの飛ばす剣は緩いがホーミング機能もある。 なのでアウトレンジからでも当たると思っていたし隙もあったが、 あっさりと避けられ、残った一人も即座に降りてくるとは思わなかった。 もう一人が階段を律儀に使ってたので代行者程の強さはないと、 勝手に思い込んだことを軽く反省しておく。 「刀……誰と戦ったの?」 刀剣を持つ人物の心当たりは多い。 もしかしたら母の美奈都の可能性もある。 絶鬼とは早くも出会えたと言うのもあって、 まさかとは少し思ってしまう。 「クリーム色の制服を着た銀髪の子よ。 貴女よりも小柄な子で、とても素早かったわね。」 「!」 母と仲間の死の連鎖の中、 漸くだが知り合いの情報が手に入った。 その条件であれば、間違いなく沙耶香になる。 放送で呼ばれてないのを見るに彼女が生きてることも分かるし、 御刀を持っていることも把握できて安堵の息を吐く。 「お友達の情報料として聞くけど、 貴女は幡田零って子を見なかったかしら? その子と同じ銀色の髪をした女の子だけど。」 「知らない。もし知ってても私は教えられないよ。」 会話の内容から絶鬼同様、乗った側の存在。 敵対する幡田零がどのような人物かは知らないが、 少なくとも襲ってくる以上彼女が敵であることは変わらない。 「あら、そう。じゃあ貴女に聞くことは何もないわ。」 アナムネシスとしてはこれだけ多くの参加者が短時間で減った。 つまり、魂を集められる総量が減っているということに他ならない。 アーナスによって阻まれたこともあって誰一人として殺せていない現状、 そろそろ一人ぐらいはと考えているが、同時に引っ掛かるところがある。 恵羽千。知らない名前だが、何故だか引っかかった。 だが既に彼女は何処かで死んだ。今となっては考える意味はないと振り払う。 「悲劇の開園としましょう。」 赤黒い魔法陣を足元に展開し、紫の剣を大量に飛ばす。 軽いとは言えホーミングする剣であるため生き物のように迫るが、 可奈美は逃げるを選ばない。肉薄して、当たりそうな攻撃だけを弾きながら迫る。 (冷静に対処すれば!) 代行者の力で底上げされた零が走ってれば当たることはない攻撃を、 御刀が違うため力が落ちてると言えども、刀使が避けれぬわけではない。 多数飛び交う剣の弾幕ではあるもののアナムネシスの後方で一度広がる都合、 攻撃のラグがある。軌道を読むことは二度しか目にせずともそこまで難しくなかった。 軌道から逸れた剣は放置し、残った奴を御刀で弾いてからの肉薄。 「ッ!」 首を狙える間合いに入るがワープで後方へと移動。 太刀筋が零たちと違い洗練されていて当たるかと思ったものの、 僅かながらの隙によって攻撃の手が止まって成立はしない。 アナムネシスが疑問に思っていると、すぐさま距離を詰めにかかる可奈美。 (……まさかと思うけど、この子。) 気にはなりながらも迎撃の為、 周囲の地面から紫色の槍が天を衝く。 写シがあれどまだ剥がされるわけにはいかない。 すぐさまバックステップで距離を取るも、 転移からアナムネシスの姿が消える。 「そこッ!」 すぐさま背後を警戒しながら振り返り、 振り向きざまに孫六兼元とメガリスロッドがぶつかり合う。 所謂鍔ぜり合いに、耳障りな音と火花が散っていく。 「貴女、ひょっとしてそんなものを持ちながら人を殺せないのかしら。」 (流石に気づかれるよね……!) 零や小衣と、彼女は数々の恨みを買っている。 だから殺意と言う物にもある程度の理解があるが、 可奈美からは二人のような殺意を余り感じなかった。 一人殺せば二人目も同じこと、なんて可奈美は考えない。 吹き飛ばすかのような勢いで押し返し、空中から黒紫の刃が生成され可奈美を狙う。 押し返された反動を利用して距離を取ることで難なく回避から肉薄するも、 今度はアナムネシスはノーガードの構えに思わずブレーキをかけてしまう。 動きが止まった瞬間を、アナムネシスは手を薙ぎ払って吹き飛ばす。 「アグッ!」 女性の薙ぎ払いとしては余りに威力が違うそれに、 地面を数度転がりながら勢いで立ち上がり、すぐさま距離を取る。 彼女が転がっていた場所は剣が何本も突き刺さっており、 復帰していなければかなり危うかったことが察せられる。 そのまま迅移で迫るが、またしても相手は回避行動をとらず、 自分から攻撃を当てないようにと距離を離してしまう。 「随分甘いのね。貴女のお友達は遠慮がなかったけど。」 絶鬼と言う親友の仇の存在に加え、 それに伴う呪蝕の骸槍の干渉がなくなった今、 残念ながら絶鬼の時ほどの苛烈な行動力は彼女にはなかった。 ロックやフェザーと、異能に近しいものを使った仲間を見た影響もあり、 幽鬼と知らない以上は彼女の視点からアナムネシスは人にしか見えない。 嘗ての姫和であったならば此処は迷わず斬れていたのだろうが、 彼女の剣は人を殺す為のものではなく荒魂を祓う為のもの。 その考えが、本来卓越した刀使の刃を鈍らせている。 「まあいいわ。その方が都合がいいもの。」 行動不能に追い込むにしても、これだけ特異な力を有してる相手を、 どのような手段で拘束すれば大丈夫か? 普通に無理だ。斬る以外の選択肢はない。 いつまでも迷い続ければ大事なものを取りこぼす。優しさと甘さは違う。 迷いに迷った剣なんて、魂のこもってない剣と同じ。何も斬れやしない。 『焦燥に駆られている……顔にそう書いてあるぞ。』 白服の男、名前は知らないがカインにも言われていた。 あの時は姫和のことではあったが、また言われたような気がしてならない。 いや、寧ろ舞衣達の死もあって余計にその刃に迷いがあるのだろうと。 (迷ってるなら───) 一度距離を取りながら、可奈美は別の刃を手にする。 孫六兼元を手にしてからは抜くことをしなかったもう一つの剣を。 「二刀流?」 しかし、可奈美が取ったのは攻めの行動ではなく、 その手にした刃を使って、自分の右手首を斬りつける。 彼女の肌を裂いて、軽い出血を起こす。 「ッ……こ、これ切れ味悪いのかな。すごく痛い。」 写シをやめてからした都合ダメージは伝わってる。 顔をしかめてる様子に震えた声からそれなりの痛みのようだ。 「貴女、何をしているの?」 突然の自傷行為。 思いもよらぬ行動を前に、 攻め時であるはずの状況で尋ねてしまう。 その間に、可奈美も包帯で簡素に止血をしておく。 「戒め、みたいなものかな。」 「戒め?」 「迷った剣じゃ、何も守れないから。」 白楼剣は迷いを絶つ剣。 その言葉を信じて自分を斬りつけた。 斬った後は心なしか身体が軽く感じる。 プラシーボ効果かどうかは定かではない。 魂魄家の者のみがその力を行使できるが、 その理由も定義も何もかもが定かではない為、 この殺し合いにおいてその権能が発揮してるかも不明。 だが、いつまでも躊躇い続ける自分には大事な一歩となるだろうと。 白楼剣を鞘へと収めながら、再び孫六兼元を両手に握りしめる。 刀使としての意志を貫き続けることよりも、仲間の為に彼女は戦う。 「私は迷わない。戦うべき相手だったら、真っすぐに刃を振るうよ!」 「……不快ね、今の刀。」 白楼剣は人間に対しては酷いなまくら刀に過ぎないが、 幽霊を斬れば幽霊の迷いを絶つ、即ち成仏させる効果がある。 幽鬼であるアナムネシスにとっては下手をすれば最悪即死する天敵に等しい存在。 直感に近いがその刀に対して嫌悪感が強まりながら剣の弾幕を飛ばしていく。 大量に展開された攻撃の波が可奈美へと押し寄せていく。 「行くよ、舞衣ちゃん!」 絶鬼の時のように舞衣は答えないが、 孫六兼元は彼女の御刀であり彼女の形見。 だから彼女と共にあると写シを張りながら迅移。 今度は無数に迫った攻撃を機敏に躱していき、 狙いがしっかり定まった攻撃も丁寧に弾かれる。 迷いを絶ったから、とでも言わんばかりに。 (彼女程ではないけど、少なくともさっきより動きがいい。) そのまま低い姿勢で接近されてからの逆袈裟の切り上げ。 先程よりもはるかに洗練された動きによって回避が僅かに遅れ、 ゴシックな服に切れ目と赤い筋を刻むことに成功する、 軽傷ではあるが、少なくとも今までとは違うことへの証左となる。 「でも駄目ね。」 バックステップと同時に再びホーミング機能を持った剣の弾幕。 さっきまでは普段通りだったが、今度はメガリスロッドを掲げての攻撃。 弾幕の数は先程よりも増加した攻撃に可奈美も横へ飛ぶように走りつつ、 追いつかれたものについては弾くも、大半が彼女の写シを僅かにでも削っていく。 「クッ!」 迷いを絶ったところで限度はあった。 どうあがいても埋めようがない差と言う物はある。 単純な話、彼女が持っている御刀が千鳥ではないから。 沙耶香は自分の御刀である妙法村正を用いて戦って、 それでもなおアナムネシスを制することはできなかった。 沙耶香は本来の未来でタギツヒメとの戦いで舞衣、薫、エレンが脱落する中、 可奈美と姫和の二人に途中までと言えども一人だけ残れた程の迅移の使い手。 御刀が千鳥ではないことで力が落ちている状態にある可奈美が、 全力の沙耶香を超えてアナムネシスに勝てるわけがない。 しかもメガリスロッドと言う沙耶香の時以上の武装もしている。 写シを剥がされてないお陰で致命傷は避けてはいるものの、 どうあがいても時間の問題だ。ロックの言ったように逃げて同士討ちも、 失敗すれば敵が増えた状態で追い詰められるだけになりかねない。 (距離を離すわけにはいかないけど、近づけない!) 近くの塀を文字通りの壁にして移動しつつ、なるべくやり過ごしていく。 だがすぐに壁は砕かれていき、貫通してきた剣を弾き飛ばす。 ギリギリ戦いとして成立させることができてるのは可奈美の観察眼、 その場その場で戦術を組み立てることができる柳生新陰流の特徴、 これらを成立させる彼女の優れた能力と言う、殆ど自力によるもの。 成立と言っても、数字で言えばどれだけ贔屓目で見たとしても八対二、 詰みに等しい相手であることには変わりはなかった。 「まだ、やれるよ!」 だからどうしたと言うのか。 此処で自分が逃げればロック達はどうなる。 無理だとか無駄だとか、そういうことは関係ない。 ないものねだりをしてる場合ではない。今ある最大戦力で、 彼女を倒す、或いは食い止める以外に勝つことはできない。 今にも剥がれそうな写シであっても後退をせずに思いっきり接近する。 (捨て身の動き、少し気をつけた方がいいかしら。) アナムネシスの基本戦術は設置や飛び道具と言った、 オーソドックスなアウトレンジからの射撃が基本だ。 近づかれなければどうと言うことはないもののの、 近づかれたら痛い目を見るのは零達との戦いで経験している。 相手がいくら沙耶香以下の実力だとしても油断してれば、 先ほどのよりも痛い目を見る可能性だって否定できない。 間合いに入った瞬間に逃げるように距離を取り、再び弾幕。 それをいなしながら、再び距離を詰めると言う変わらない展開。 変わりがあるなら可奈美の写シが段々と剥がれているぐらいだろうか。 「お友達もだけど、傷が傷になってないのはどういうことかしらね!」 かすり傷でも軽く十数回は当てたのに出血らしい出血がなかった。 あるなら肩の傷だが、それは修平達のもので彼女によるものではない。 さっきから視覚的なダメージが感じられないのは厄介と。 「こっちも同じだよ! 教えられない!」 余裕そうな笑みを浮かべながら迫っているが、殆どやせ我慢だ。 傷はなくとも痛みはある程度は伴うし、写シの性能も劣化している。 じわじわと消耗していることに変わりはない。 「別にいいわ。限度があることは知ってるから。」 ダメージが常に通らないのであれば、 沙耶香に傷がつくことは絶対になかった。 その隙を狙って一撃をくれてやればいい。 「はあああああッ!」 最後の剣を弾いて、訪れた刀の間合い。 この瞬間で仕留めなければならない。その意志を以って刃を振るう。 此処からの回避に合わせた行動も脳内でシュミレートしており、 十全にできるかどうかはともかくとして、ある程度の対応を考える。 「愚かね。」 だが此処でワープによる転移をせず、 アナムネシスがまだ一度も見せてなかった、 千の投影散華を彷彿とさせる周囲に剣の展開。 突如として出てきたそれに対応が遅れ、胴体を貫かれる。 刺さったまま写シを解除してしまうと傷は残ってしまう。 すぐさま距離を取って大事には至らなかったが写シが剥がれ、 膝ががくりと地についてしまい、疲労も襲ってくる。 「もう限界かしら。」 沙耶香よりも負傷は軽いが、息を荒げて身体も震えている。 かなり無理をしていることが手に取るように分かった。 可奈美には現状打開できる手段は存在しない。 刀使としての戦い方も力不足で通じても限度はある。 可奈美の敗北は、確実なものにしかならなかった。 「ま、まだ……!」 歯を食いしばり、震えながら可奈美は立ち上がる。 写シを再度張れるようになるにはまだ時間がかかる。 だから此処からは当たること自体が許されない戦いだ。 さっきのような写シに物を言わせてのごり押しはできない。 でも、どうやってそれで戦うのか。あらゆる型へと至れる、 無形の位の構えを取りながらできうる限りの対策を考えこむ。 「仲間の所へ逃げるべきじゃないの、此処は。 そうすれば、私も追わないかもしれないけれど。」 そうは言うが、遠くから聞こえる戦火の音色。 気にする余裕はなかったがひろしの悲鳴もあった。 ロックか都古か、あるいは両方はまだ戦ってるとみていい。 そんな選択肢をすればどうなるかなど、最早考えるまでもなかった。 「じゃあ、さようなら。」 とどめを刺さんとメガリスロッドを空へを掲げ、 「ッ!?」 背中に届いた僅かな痛みに攻撃の手を止めざるを得ない。 痛みの原因となる背中に突き刺さったものを引き抜きながら、それを握りつぶす。 下手人の姿を見ずとも、それが誰のものか即座に分かった。 突き刺さっているのは───翼のような矢なのだから。 「ッ……ニアミスってこういうことを言うのね───」 ギリッ歯に力を籠め、苛立った様子が伺える。 可奈美の反対側に立つのは精錬だからの白ではなく、乾ききった白き代行者。 天の使いとも思えそうなその姿には余りに似合わぬ暗い表情。 暗い表情の中に灯るのは、情熱的な敵意と憎悪の眼差し。 「───幡田零ッ!!」 あれからずっと逃げるように零は走り続けていた。 その最中、放送で彼女の名前を知る者は少なくとも三名が告げられた。 一人は最初に出会った名前も知らない男、修平が告げた名前と同じ琴美。 彼女についてはわからない。善良な彼女であることは確かなので、 騙されたりしたか、それとも理不尽に抗おうとして散っていったのか。 分かることは一つ。彼女が亡くなった今や彼は明確に乗るだろう。 同じ理由で伯爵の為なら遠慮はしないだろう、マネーラも同じことだ。 「千さん……」 恵羽千。 自分の信じる正義のために、戦い続けた先の結果なのだろうと察しが付く。 共に戦った仲間が死んだにしては/懸念してたことが杞憂に終わったにしては、 妹が狙われず心のどこかで何処か安心感を/ひどく胸に痛みを感じていた。 涙は流れない。流したくても流れないかもしれないが、 それが単純にひび割れた器だからか、冷たくなったのか。 どちらにせよ、そんな風に考えてしまう自分を嫌悪したくなる。 招かれた時期の都合、元来の人間性すらすり減りつつある中で、 まだそう言った感情が残ってることが救いなのは皮肉だろうか。 (……) それだけでは終わらない。 名簿には死者が取り除かれた、 生存者だけの名簿も追加されていてを見ながら零は思う。 名前を呼ばれなかったからこそ分かることもある。 あかり達の善良な人間から、トッペイ等の危険な存在。 様々な生存者がいることも分かるが、さほど重要ではない。 幡田みらいはまだ生きているのだと。 喜ばしいことだが、緑郎が蒔いた悪意の種を成長させる材料になる。 彼女が生きてるのは、誰かに守られてるから無事なのではなく、 幽鬼だから身を守ることが自分自身でできているのではないかと。 不安は何処までも大きくなっていく。 真実はどうなのか。知りたいようで知りたくない。 たとえ幽鬼であってもみらいをヨミガエリさせる目的は変わらないが、 知ってしまったとき、今でさえ不安定なのに正気でいられる自信はない。 (───誰かが戦ってる?) 逃げてる途中、病院から轟音に気付き向かってるその途中。 別の音を聞き駆けつけた場所。そこに立ってるのは、忘れるはずのない存在。 距離があったのもあって剣は使えなかったが、迷わずその背へと翼の弾丸を叩き込んだ。 「まさか、最初に会えた知り合いがあなたとは思いませんでした……アナムネシスッ!!」 全ての元凶。 辺獄を駆け抜けることとなった発端。 妹を『殺させた』相手を前に、涙は流れなくなった心でも感情は動く。 「意外と控えめな攻撃をしたのね。 貴女なら遠慮せず撃ってたはずだけど、 今更になって他人を思いやる気でも起きたの?」 アナムネシスの言う通り、 妹を狙う諸悪の根源と認識してる零にとって、 彼女相手ならばもっと、無差別に攻撃してもいいものだ。 出来なかったのは彼女と敵対してる可奈美が射線にいたからか。 本来なら巻き添えでも連射するべきところだったが、できなかった。 敵対してるのであれば高確率で彼女はあかり達と同じ殺し合いに抗う側。 彼女達の存在がチラついてしまい、それに躊躇いが生じていた。 出会わなければ、きっと躊躇せず巻き添えにしていたはずなのに。 「彼女に利用価値があるから? おおよそ、妹の為の贄でしょう?」 「貴女に言われたくありません。」 妹に拘っていた彼女が、 妹を生かすための行動なのは察する。 みらいを殺させた奴にだけは言われたくない。 黙らせるように一気に迫って思装とは別の武器、オチェアーノの剣を振るう。 シンプルな攻撃であったために、近くの家屋の屋根へ転移して特にダメージはない。 「協力してください。」 後で敵対するであろう相手と関わるのは本意ではないが、 彼女を一人で倒すのは至難なのは痛いほどわかっていること。 素直に可奈美へと駆け寄って共闘を持ちかけることにする。 「うん、分かった。でも私はあんまり役に立てないかも。」 弱気になってると言うよりは、率直な感想。 本来の刀使の力が引き出せない現状を考えれば、 常人なら容易な存在でも荒魂のような超常的な存在には分が悪い。 諦めない前向きなのが可奈美だが、だからと言って何も見えてない無謀に非ず。 「……分かりました。それなら、合間合間のサポートをお願いします。」 「それなら任せて。私衛藤可奈美。幡田さんでいいんだよね?」 「は、はい。」 小衣とは違うが暗さを感じさせないその物言いは、 少しばかり自分のペースを崩される感じがして反応に困る。 即座に気持ちを切り替え、屋根にいるアナムネシスへと翼の弾丸を放つ。 先ほどのフェザーエッジと違い弾丸は一発だけのネイルフェザー。 とは言え相手はアナムネシス。背後で隙があったならまだしも、 正面から攻撃しては容易く弾かれてしまう。 「そこっ!」 弾丸と共に屋根へと移動した可奈美による袈裟斬り。 弾いた際の勢いのまま得物を振るって迎撃するも、 御刀を挟まれて軽く後退するだけに留まり、屋根からも落ちない。 「無駄よ。貴女じゃ敵にもならな───」 「風よ、逆巻け!」 地面からの竜巻に、空へと打ち上げられるアナムネシス。 可奈美に注視した隙をついて、零が竜巻を彼女の足元に発生させていた。 勿論可奈美とは初めて共闘するので連携も何もないのだが、 代行者に近しい速度で動く以外は基本が刀一辺倒であり、 その点は千に近い連携の取り方をすることで割と馴染む。 空中を舞うアナムネシスにはこうなることを知った零だけが追走。 アナムネシスを超えて空からオチェアーノの剣を振り下ろす。 「揃いも揃って、不愉快な武器ばかり使うわね!!」 邪悪な魂を葬ると言われているオチェアーノの剣もまた、 ある種の天敵であり揃って気分を害する武器に顔をしかめる。 アイマスクをした状態なので、表情など分かるはずもないが。 打ち上げられたもののすぐに姿勢を整えて攻撃を防ぎ、 反動を利用してそのまま地上へと降りれば着地点を予測して、 既に移動していた可奈美の右薙ぎがお見舞いされるがこれも防ぐ。 続けざまの逆袈裟をステップで回避、そのまま踏み込んでの袈裟斬りを、 地面から柱のような刃を出すことで躊躇わせる。 「ハァッ!」 宙からの零による一撃をもう一度防ぐが、 今度は地面にいる都合、反動で身動きが僅かに鈍る。 そこへすかさず可奈美が肉薄するも、所詮は僅かな隙。 劣化した迅移では先に後ろへと転移して逃げられてしまう。 またしても攻撃は空振りに終わる───と思われていたが。 「!」 移動ではなく転移、それはいわば消えたに等しい。 だからどの位置へ移動してるのを視覚で判断は至難。 故に、アナムネシスは驚かざるを得なかった。 (当たった!) 何故、転移した場所の近くに可奈美がいるのか。 彼女にとってもアナムネシスの正確な転移の場所を確定はできない。 残念ながら龍眼は持ってないし、持ってても劣化しては難しいだろう。 ただ、全体的に彼女はアウトレンジから飛び道具を使っての戦術が強く、 そうなれば必然的に自分が把握してる位置、後方への転移を選ぶのではないか。 若干、と言うよりかなり分が悪い賭けではあったものの、その考えは運よく成功する。 ……もっとも、アナムネシスは先程背後から撃たれると言う失態を犯した。 飛び道具が当たりやすい高所を陣取ってしまうのを忌避していたという、 偶然ながらも背後のみを重視したのには一応の理由があったりはする。 唯一例外は、前後に敵がいた零の二度目の攻撃の時だけだ。 若干の予想の位置をずれていたが、それでも脇腹目掛けた突きを狙う。 「それで勝ち誇るの?」 しかし可奈美は知っているはずだ。周囲に剣を展開する攻撃を。 どれだけ近づいたところで、距離を否応なく離されてしまう。 アナムネシスは近づいたら近づいたで厄介な手を使ってくる。 しかもまだ写シはできてない。当たれば負傷を免れない。 「な!?」 姿勢を極めて低くすることで、頭部を掠め髪を散らすだけに留まる。 彼女の流派は柳生新陰流だが、何よりも超がつく程の剣術オタクだ。 大抵の流派に精通しており、故にそれ以外の動きもやろうと思えばできる。 この低い姿勢から放たれるのは、以前可奈美が戦った燕結芽が使った三段突き。 怒涛の突きがアナムネシスへと襲い掛かる。 「グッ、アッ!」 転移から無理矢理バックステップをしたことで、 切っ先が喉、胸、腹に軽く刺さった程度で済まされる。 流石の彼女も冷や汗ものであったが、なんとかしのいだ。 今ので仕留めきれなかったことは可奈美達には厄介なことだった。 あんな不意打ち、そう何度も通用するものではない。 千載一遇とも言えるチャンスを逃してしまう。 「……彼女が死んだから次はこの子を利用する。 妹の為に、本当になりふり構ってられないのね。」 痛みが走る喉に手を当てながら軽く愚痴を零す。 代行者ではない少女に縋ってまで妹の為とは、 随分健気なものであり、同時に不愉快極まりない。 「そういえば、まだ聞いてませんでしたね。」 「? 何かしら。」 「アナムネシス。なんで───私とみらいを辺獄に引きずり込んだの?」 未だにわかっていないことだ。 何故、彼女はそこまで妹と自分に執着するのか。 魂を集めるだけならば誰でもよかったにしては、 明らかに執着が過ぎる。もはや執念と言ってもいい。 「貴女、記憶力も悪いの? 私の記憶の欠損でもあるまいし。」 零はセレマを亡くしたばかりの時間軸から招かれている。 だから、アナムネシスのいた時間軸でされた同じ問答をした。 同じ質問を受けている。故にその内容に少し呆れ気味だ。 元の世界では、その辺についてはあやふやにされた答え。 「さっき会った幡田みらいと言い、 人をイラつかせるのが姉妹揃って得意なようね。」 だが此処ではそうではない。 此処は辺獄は辺獄でも、殺し合いの舞台だ。 完全に同じ道を辿ることなんてことはあり得ないのだから。 「……!? 今、みらいって!」 みらいと会っていた。 此処で明確な情報を持った相手がいたことに驚く。 それが、まさかアナムネシスから告げられるとは思わなかったが。 「みらいと、会ったの!?」 「ええ。でも殺せなかったわ。 アーナスが人間を滅ぼす為に軍団を結成したから。 お互いに傘下に入れさせられて手出しできなかったわ。」 少しぐらいは問答に付き合ってあげようと、 アナムネシスは事の顛末を軽く説明する。 みらいや歩夢、紗夜のことも。 「よかった。みらいは無事で───」 「あの、ちょっと待って。」 安堵の息を吐いた零に対して、 少し戸惑ったような表情を可奈美はしている。 当然だ。妹の安否に安堵して彼女はスルーしたが、 聞き捨てならないものがあったから。 「その、アーナスさんって『人』を全員狙うんだよね。」 「ええそうよ。まずあなた達対象でしょうけど。」 「アナムネシス。貴女も『人』ではないってこと?」 「私は死者、幽鬼と言うべき存在であり、 人間と言う概念の埒外にあるわ。だから狙われずに済んだけど。」 丁寧に説明に受け答えする相手に、 少しばかり可奈美は戸惑うがそのまま話を進める。 この疑問を解消しなければならなかった。 「じゃあ───幡田さんの妹はどうやって生きたんですか?」 可奈美の一言に零がハッと我に返る。 どうやって、妹はそれをやり過ごしたのか。 考えれば当然のことを見落としてしまっていた。 「ゴメン、言い方が悪かったよね……話だけ聞けば、 歩夢さんは人間だったから殺されそうになったけど、 妹さんが何かして人間じゃなくなったから見過ごされた。 だったら、幡田さんの妹さんも狙われるはずだけど……」 そこから導き出される答え。 当然、そんなものは一つしかなかった。 みらいが人じゃない。人じゃないなら─── 「幽、鬼……?」 ロックに提示された最悪。 それが現実となってしまった。 「嘘、です。そんなものは貴女が捏造したもので!」 「事実よ。でなければ、なんで幡田みらいに執着した私が、 何もせずにこうしてそこから離脱してるか、分かるでしょう?」 「それは、きっと敵対してたアーナスさんを貶めるために……」 「話し合いなんて貴女とは本来なら成立しないのに、 態々私が嘘でカバーしたストーリーをあなたに聞かせる? これを言った大半の敵になる私が誰に信用されるのかしら。 貴女、記憶力どころか頭の方も大分壊れてきてるんじゃないの?」 もしこれが嘘だとしたなら。 なんでそんな嘘をつかねばならないのか。 嘘にしたって詳細が余りにも事細かすぎるし、 アーナスがみらいを保護する側だったとしても、 なぜアナムネシスはろくな傷を負ってないのか。 あれほどみらいに執着して戦わないを簡単に選ばない。 もっと怪我をしていてもおかしくないが、彼女の傷はかなり浅いものだ。 しかもそれらは可奈美が傷をつけたものであり、アーナスではない。 嘘と断じたが逆だ。もう答えなど出ている。信じたくないだけ。 「あの時は黙っていたけど、特別に今答えてあげるわ。 幡田みらいは───私が幽鬼になるきっかけとなった『幽鬼の姫』よ。」 揺るがぬ真実なのだから。 本来ならば真理念(アルセイヤ)を経て繰り返し、 漸くその解へと至る答えを明かされた。 準備も、覚悟も、過程を飛ばした上にひび割れた涙の器で。 落涙することすら許されない少女には、早すぎるその事実を。 「幽鬼の、姫?」 零はそのワードは知らない。 でも音だけで察することはできる。 ただの幽鬼ではない、上位の幽鬼だと。 「幡田みらいは既にヨミガエリしているのよ。 私が死ぬきっかけとなった事故も利用してね。 その時で唯一生き残って……いいえ、死んでるからおかしいか。 唯一狩られることなく生き延びて、こうして幽鬼になったのが私。」 「嘘……だって、そんな記憶どこにも!」 「記憶の改竄。貴女も理解してるはずでしょう? ヨミガエリは逆のことも起きる。自然に記憶が上書きされるの。 貴女の妹は何かで亡くなっても、その事実がなかったことにされてるわ。」 友人、学校、どこに電話してもみらいの存在が消されていた。 何がどうすればそんなことになるのかは皆目見当もつかないが、 少なくとも幡田みらいが生きていた痕跡が消えたことは知っている。 元に戻った場合、その記憶も元に戻るなどどうやってかなど分からない。 「だからあなたは違和感を持たなかった。 自分の妹が一度死んで、ヨミガエリで復活してるのを。 もう一度言うわ幡田零。私は貴方の妹に殺されてこうなったの。 貴女は私を妹を殺した元凶として許さないと思っているのなら、 私が幡田みらいを憎む理由も、分からないとは言わせないわ。」 「そんなの、私を惑わす為の嘘で……」 幽鬼である可能性はまだ構わなかった。 でもアナムネシスが狙う原因は、みらいに殺されたからによる復讐。 もしそれを否定をするなら、自分がアナムネシスを倒す理由も否定される。 いや、みらいが幽鬼の姫であればあれで死んでない可能性だって出てくる。 嘘と断じなければ、自分が幽鬼を狩り続けたことに対する行為すら正当化できない。 正当化できない、と思っている時点で彼女の精神状態がどうなのか伺えるだろう。 セレマに再会することはなく、ヘラクレイトスが語り掛けてない零の精神で、 この考えを短い時間で振り切ることなど、到底できるはずがない。 「じゃあ答えを教えてもらえる? 一体どこが嘘で、どこが本当なのか。 貴女にとって都合のいい理由を答えてもらえる? 自分を正当化する為の、都合のいい耳障りのいい言葉で。」 返せるわけがなかった。 ただでさえまともに考えがまとまってないのに、 立て続けにくる情報量を今の状態で纏められるものか。 何よりも、みらいが姫と呼ばれるほどの幽鬼に至ってる。 下手をすれば、自分やアナムネシスを超える程に狩ってる筈だ。 その事実を否定できず、膝を折ってしまう。 「答えを知りたいなら妹に会わせてあげるわ。 但し、五体満足は望まない。彼女の目の前で惨たらしく殺すから。」 さっきまでの戦いがとんだ茶番に感じた。 最初からこうすればよかったかなんて思いながら 戦意喪失した彼女へと杖を向けるも、 その間に可奈美が立ちはだかる。 「邪魔をしないで頂戴。」 「ゴメン、できない。」 「あなたにとって都合がいいはずよ? 彼女は自分の妹の為に人の魂を踏み躙ってきたの。 此処でも屍を築いて妹の供物として捧げていくの。 酷く歪んだ姉妹愛よ。彼女は最終的に貴方の敵のはず。 しかも妹もろくでもない存在。守る理由がどこにあるの?」 否定しようにも余り出来たものではなかった。 零とは今であったばかりで、殆ど事情を知らないから。 「今退いてくれるなら特別に、今だけは病院から手を引くわ。 貴女の病院の仲間にも手を出さない。今手を引かせれば、 そっちは準備したうえで戦いを挑る。それなら私にだって……」 「器用じゃない人を知ってるから。」 だから甘言を一切聞くことはなく、 率直に今思ってることを述べる。 「本当はいい人なんだけど、 一人で何でも抱え込んじゃう人を、私は知ってる。」 逃避行を続けていたあの時に語られた、 母の無念を晴らすと言う私怨だけに御刀を手にした姫和の決意の重さ。 零も同じで、背負うものが複雑でとても重く、誰に頼れるものでもないこと。 そのことだけはなんとなく程度だが分かった気がする。 「だから、幡田さんもそういう人だと思うの。 妹さんの為に、周りが見えなくなっちゃって。 周りに自分の重いものを半分持ってくれる人がいなくて。」 厳密には頼れる人はいるにはいた。 千、小衣、それとちょっと違う気もするが777と。 だがこのころの零は、頼ると言うよりは利用するに等しい行為だが。 「私の友達に似ているんだ。私はその子の半分を持つって決めたから。 幡田さんのは半分も持てないかもしれないけど、少なくとも見捨てるのは絶対にできない。」 此処で放っておくわけにはいかない。 後戻りできない道を一人で歩み続けている。 この子は、皆と出会わなかった十条姫和だから。 「……それでどうするの? 彼女は戦意喪失、 さっきのは殆どまぐれみたいなもので次はないわ。 あなた一人では私に勝てない。その愚かな考え、直ぐに手折ってあげるわ。」 そうは言うがアナムネシスの言う通りだ。 状況は悪い。しかも零を庇いながら戦うことは厳しいと言わざるを得ない。 後方の病院では闘いも続いている轟音が此方にまで届いており激戦の最中。 戦闘再開の合図を待たんとするかのように二人は構える。 合図はあった。 だが、二人は動くに動けなかった。 再開のゴングには、余りに大きすぎるほどの轟音。 再開のゴングには、余りに存在感のありすぎる衝撃が。 三人がいる場所の近くの家屋に、凄まじい威力で何かが飛んできた。 →
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疾走する超能力者のパラベラムⅣ ◆hqt46RawAo ◆ 『作戦/疾走する恋情』 ◆ 走る。 とにかく走る。 僕は戦場ヶ原と共に、敵に向って走り続けた。 二人で一緒に、唯一の武器だけを抱えて挑む。 これまで見たことも無いほどの強大な敵へと。 恐怖は、ある。 正直逃げ出したくて堪らない。 けれど僕は、立ち止まるつもりなんて無い。 だって、隣には戦場ヶ原が居るのだから。 彼女が闘うと決めたのだ。 ならば僕も共に戦うに決まってる。 それが彼氏の役割ってもんだ。 「…………お………おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」 気が付けば、咆哮していた。 それは恐怖を紛らわすためか、自分を鼓舞するためか。 ただ勝つために。 そのために……。 僕は最後に、戦場ヶ原の目を見る。 彼女も僕を見ていた。 口では何も言わなかったが、彼女は目で告げている。 ただ一つ。 信じている、と。 全幅の信頼を僕に預けてくれている。 ならばもう迷いは無い。 行こう、戦場ヶ原。 一緒に闘って、ここを生き残って、そして帰ろう。 いままで失ってきた事もたくさん在るけれど、お前だけは僕が守ってみせる。 だから、絶対に勝とう。 全力で、ぶつかろう。 目の前の敵へと。 「「おおおおおおおおおッ!!」」 咆哮はやがて重なり合い、遂に敵の眼前へとたどり着く。 その時、一方通行の手が、我武者羅に動かされていた手が一つの薬ビンに触れたのが見えた。 それはありえない角度でぶつかったにも関わらず、ありえない軌道で僕等に向って飛来してきた。 かわすことなど到底出来ない。 しかし、それを阻んだのはやはりファサリナさんが使う円盤だった。 僕等の目の前で展開される電磁の盾が、一方通行の攻撃を通さない。 「て、めッ!」 一方通行の顔が青ざめていく。 僕らが引き金を引く瞬間、電磁の盾は示し合わせたように消滅する。 そして――。 カチリ。 そんなあっけない音と共に、終わりの燐光が輝いた。 ◆ 『破綻/LEVEL5 -accelerator- 』 ◆ 視界が、光に包まれる。 一方通行はこのゲームが始まって初めて、己が死に直面しているのを感じた。 「はッ……」 やまり、まだ解析しきれない。 時間が無い。 グラハムからの銃撃。 阿良々木と戦場ヶ原による銃撃。 同時に防ぐ事が出来ない。 「ははははははッ……」 徐々に、燐光に押し負けていく。 死が、ハッキリと見えた。 「はははははははははははッ!」 だが笑う。笑えるのだ。 己の死が、どうしようもなく笑えてしまう。 なぜか、どうしてなのか、それは分らない。 けれど、もしかしたら……。 (なンだァ……。まさか俺は……) こうなる事を、望んでいたとでも言うのか。 死ぬ事を、殺される事を、狂った自分を止めてもらえる事を。 その終わりを、願っていたとでも言うのか……。 (はッ……それこそ最高に笑っちまうなァ……) 馬鹿げている。 何故ならば……。 『おお、あったかいご飯はこれが始めてだったり、ってミサカはミサカははしゃいでみたり!』 耳に残るその声が……。 『誰かと一緒にいたいから、ってミサカはミサカは……』 その、存在が……。 「――死ねるかよ」 己を、縛る。 その逃避(死)を許さない。 決して、絶対に、逃がしはしない。 「死ねるかよォォォォォォォッ!!!!」 そう、だ。 逃げるわけにはいかない。 己が死ねば、誰が……。 誰がアイツを守ると言うのだ。 「ッ……うおォァァァァアァァァアッ!!!!」 叫ぶ。 その思いを叫びに変える。 脳回路を焼ききれるくらい酷使して、未知の二射線を死ぬ気で凌ぐ。 「オォォォォオァァァァァアァァァアァッ!!!!!」 だが長くは持つまい。 故に、射線を殺す。 射手を殺す。 それは直前に閃いた気転。 敵が己に有効な攻撃を頼みにするなら、己は己に無効であり、敵に有効な攻撃を――。 すなわち、自分にはノーダメージとなる自爆技。 それを成せるのはこの島でも一方通行だけだ。 こんな破綻した戦法を有効とするのは、彼だけだ。 一方通行は足元のディパックを思い切り蹴り上げる。 そこから飛び出してきたのは合計78発のショットガンの弾丸。 ただの弾丸ではない、戦国武将が行使する超大の炸裂弾。 その凄まじい量の散弾を、一方通行は意図的に、一斉に、暴発させた。 飛び散る弾丸の嵐は周囲全ての事象を巻き込んで。 小規模な爆発は互いに重なり合い。 この瞬間、一方通行を中心に半径十数メートルの空間が、凄まじい炸裂音と共に吹き飛んだ。 ◆ 『破綻/永久に』 ◆ 僕は失敗した。 それを理解する。 目の前が真っ赤になる。 もう少し、もう少しだったのに。 なのに駄目だったのか。 爆炎と砕けた銃弾の嵐に、僕達は包み込まれていく。 戦場ヶ原と共に握っていた銃器も、爆風に飛ばされていく。 これで終わり。これで死ぬ。 死ぬ。 死ぬ。 嫌だ。嫌だ。 嫌だ。 まだ、終わりたくない。 まだ死にたくない。 だって、これからだったんだ。 全部、ここからだったのに……。 やっと戦場ヶ原と会えて、そして一緒に戦うことを決めて。 そして、そして、絶対に守りきる事を決めたのに。 なのに。 なのに死ぬ。 「く……そ……」 僕は死ぬ。 それを知って。 終わりの刹那。 僕は最後に、隣にいる女の子の顔を見る。 「…………」 戦場ヶ原は何も言わない。 言う間もない。 だけど、笑顔だった。 最後に見た彼女は最高の笑顔で僕を見つめていた。 どんな時でも、こんな場合でも。 まるで僕の隣に居る事が、居るだけで、それが幸せなんだと。 胸を張って宣言するように。 僕もそれに返す言葉は無い。 そんな時間は無い。 だから代わりに、繋いだ手をぎゅっと握った。 絶対に、もう二度と離さない。離れないように――。 そして目の前が、黒く染まる。 まるでシャットアウト。 自己と世界が遮断されたような感覚。 無音。 突然。 全て。 これで終わり。 ■ 「……っ」 揺れる視界に構わず、グラハム・エーカーは立ち上がる。 全身にガラスの破片が突き刺さり、体中が血で滲んでいるが、頓着しない。 硝煙と土埃によって再び視界環境は最悪に落ち込んだ。 その中をよろよろと歩く。 歩きつつ叫んだ。 「阿良々木少年っ!」 その少年の名を叫ぶ。 「無事なのか……!? 阿良々木少年!!」 先の爆発は殺傷よりも、グラハムと阿良々木を吹き飛ばす事を目的とされた攻撃だった。 その要因があったからか、傷だらけになりながらも、グラハムは命を拾った。 だがグラハムよりも一方通行に接近していた阿良々木と戦場ヶ原がどうなったのかは分らない。 最悪の事態も想定して、グラハムは煙の中を進んだ。 「……!」 そして見る。 倒れ伏す二人分の影。 間違いなく、阿良々木と戦場ヶ原の二人だ。 「阿良々木少年!!」 近づいて、そして見る。 息を呑む。 そこにはおびただしい血溜まりがあった。 「阿良々……木……」 折り重なるように倒れている少年と少女。 それを中心にして、二人分の血液が流れ出している。 少年には、まだかすかに息があった。 体のあちこちに銃創が有ったが、奇跡的に致命傷を免れたのだろう。 だが少女は……。 「なんという……ことだ……!」 戦場ヶ原ひたぎは、死んでいた。 炸裂した散弾の一発に胸を貫かれ――即死だった。 少女は眠るように目を閉じて、普段の怜悧さなど欠片も感じさせない。 どこか安心したような安らかな表情で、阿良々木の手を握って絶命していた。 「…………くっ!」 グラハムは後悔する。 こうなるのであれば、無理やりにでも逃がしていれば良かったのだ。 こうなることが、分っていれば……。 だが彼は少年と少女の意思に、可能性を見てしまった。 この状況を打開する。その光を見、そして賭けてしまったのだ。 だが賭けはここに敗北を突きつけられる。 グラハムは悔やみながらも、道を見失う事は無かった。 残されたもの、自分に出来る事を考える。 今の自分に出来る事は、残った命を守る事のみ。 意識の無い阿良々木を抱え上げる。 その際、繋がれた二人の手を引き離す事に、強烈な罪悪感を感じながらも。 「……これは……敗北だ……」 呟いて、自認する。 自分達は負けたのだと。 もう逃げる事しかできない敗者なのだと実感する。 それも、逃げる事が出来ればの話であったが。 「待てよォ……」 悪寒と共に、背中に突き刺さる悪鬼の声。 振り返ればそこに、想像通りの怪物がいた。 「逃がすと、思うかァ?」 「そうだな……。 見逃してはくれないだろうな……」 煙がはれていく、 そこから現れたのは返り血に濡れた白髪の少年の姿。 風貌は、いまだ無傷。 「化け物め……」 「ヒャハハッ。 言えてるな」 感心したように一方通行は嗤い。 その手に持ったコーヒー缶を振り上げた。 「ここまで、か……」 この状況を打開する術などどこにもない。 見渡せど、脱出口など皆無。 味方は――白井黒子には既に戦闘は不可能。 見渡せば、ファサリナも薬局の床に倒れ伏して、死んでいるのが見えた。 万策尽きた。 それがグラハムの正直な心境だった。 終わりが来る。 数秒もせぬ内に、死神の鎌がまたしても命を摘み取っていく。 その時、一方通行の背後に。 グラハムは桃色の髪の少女の姿が見えたような気がした。 【ファサリナ@ガン×ソード 死亡】 【戦場ヶ原ひたぎ@化物語 死亡】 ◆ 『救い/優しい幻想』 ◆ どこか凪いだ心境で、ユーフェミア・リ・ブリタニアは戦場に立っていた。 ドアを二枚、壁を二枚を超えたその先は地獄の鉄火場。 危険は承知。 死は覚悟の上。 だがこの戦いだけは逃げられない。 己の我が侭の為に多くの人が戦って、そして命を落としたのだ。 なのに自分だけ逃げる事は出来ない、と。 ゆっくりと、だが力強い足取りで、ユフィは歩く。 もちろん死ぬ気は無い。 己には償わなければならない罪が在る。 知らなければならない、死が在る。 こんな所で、投げ出すわけにはいかない。 けれど今は、ここは立ち向かわなければならない時だと、彼女は決意した。 「…………スザク」 残してきた彼への思いを振り切って、少女は進む。 手には先程爆発音と共に足元に転がってきた巨大な銃器。 足取りは決して軽くは無く、だが力強い。 「行きます」 一瞬俯きかけていた顔を上げ、少女は見た。 己が倒すべき敵の姿を……。 「その敵を……撃つッ!」 こちらに背中を向ける血に濡れた少年。 その背を、狙い撃つ。 燐光が少年へと迫る。 直前で振り返った少年の表情は、確かな脅威を認識していた。 一方通行が伸ばした手がビームに触れる。 またしても彼の対応は間に合った。 むしろ解析が進み、迅速に対応できるようになっていた。 だが背後からの不意打ちという点は大きい。 弾いた燐光の軌跡はこれまでで、一番異質なものとなった。 一方通行を避けるように動くのはこれまで通りだったが、 今回の軌道は上方、天井を突き破って天に飛ぶ。 更には、よろめいて転ぶ一方通行。 それは千載一遇のチャンス。 誰の目にもそう映った。 一方通行は一時的とは言え、このとき完全に敵の姿を視界から外した。 今撃てば、その攻撃は完全に一方通行の認知の外。 この時、この瞬間ならば、あるいは攻撃が通るかもしれない。 ユフィもそう考えたのか、若干焦るように引き金を引いた。 「……そ、そんなっ」 しかし、もう燐光は発射されなかった。 彼女は知らない。 この武器の設けられた制限。 驚異的な威力と連射性をかね揃える代償に、撃てる回数は5発のみ。 それ以上撃つためには、何らかの手段によるジェネレータへのエネルギーチャージが必要になる。 故に今はもうなんど引き金を引こうとも、その砲門から勝利の燐光が放たれる事はない。 「そん……なっ……」 勝利の代わりにもたらされるモノは敗北と死。 手に持っていた銃器ごと、ユフィの胸を銀の閃光が貫通する。 「……ぁ……」 崩れ落ちる少女。 光の消える瞳。 消えいく命。 「……」 己の血の海に倒れ伏した少女は最後に願う。 「……スザ……ク」 彼が、どうかもう一度立ち上がることを。 彼が、一人でも多くの人を救う未来を夢に見る。 ユフィは倒れ伏したまま、己がいま開いてきたばかりの扉を見る。 きっともうすぐ、彼はあの扉から飛び出してきて、もう一度闘ってくれるのだ。 きっともうすぐ……。 皆の為に、自分のために、そうあの日のように、ヒーローのように現れて。 そして己すら救ってくれるに違いない。 彼はもうすぐ、皆を守る為に闘ってくれるのだ。 「ああ……」 それはなんて、素晴らしい。 誇らしい光景なのだろう。 それが、彼女の最後の思考となった。 【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2 死亡】 ■ 静寂が訪れた。 動くモノは無い。 話すモノも無い。 ここに四つの命が散華した。 残された生命は五つ。 その内の三つは敗北者。 皆、床に四肢を投げ出している。 一つは勝者。 彼だけがここに二本の足で立っている。 「思ったより手間取っちまったが……。これで終いか……」 勝者、一方通行は告げる。 戦いの幕を下ろす。 もはや誰も動けない。 誰も逃げられない。 誰にも邪魔されない。 ならば、全て諸共消し飛ばしてしまえば手間はかからないだろう。 「ふ……は……ははは……ヒァハハハハハハハハハハハハッッ!!」 狂喜の歓声と共に。 もう一度、風を集める。 今度こそは全力。 間違いなく、この薬局全てを吹き飛ばす最大出力。 その行使の後には彼しか残るまい。 倒れ伏す敗北者達は残さず塵芥と化すだろう。 終わり、だ。 これで。 「ハハハハハハハッ! ヒャハハハハハハハハハッ!!………………あァ?」 そんな時、音が、聞こえた。 彼は至極面倒くさそうな顔色で、能力行使を止めて振り返る。 聞こえてくる。 コツコツ、と。 小さな、だが確かな足音。 近づいてくる。 そして、やがて、死した桃色の髪の少女のむこう。 薬局奥の扉がゆっくりと開いて……。 「……よォ、お目覚めかよ」 その一つは挑む者。 最後の挑戦者。 悠然に、 強靭に、 騎士の名に恥じぬ確かな意志と、ただ一つの決意を持って。 だが他の誰でもない。 一人の人間として。 ――枢木スザクはそこに立つ。 ◆ 『対決3/疾走する生命』 ◆ 「ずいぶん、暢気にしてたンだなァ……。こっちの仕事は大体終わっちまったよ」 ――聞こえない。 スザクは一方通行の言葉に何も返さずに、目の前で既に事切れている少女に歩み寄った。 「後はテメエをぶっ殺して、きっちり皆殺して完了、と」 ――聞こえない。 スザクは少女にも、やはり何も告げなかった。 言葉は無かった。 ただ、遂に再会した、終ぞ生きて会う事のできなかった少女に触れる。 その冷たい頬に、手を置いた 結局、最後まで会って話す事は出来なかった。 会う資格も無いと思っていたが、こうして二度と邂逅の叶わない現実を目にしたとき。 どれほど自分が彼女に会いたいと願っていたのかを思い知る。 だが、今は、今だけは。 迷いも、後悔も、悲しみすらも感じない。 当然、怒りも彼方に置いてきた。 残るものは、あの熱、あの言葉。 ――憶えている。聞こえていたとも。 『……生きて、ね』 その声を、その命を、その約束を――。 だから今だけは、もう一度だけ、彼女のたった一人の騎士として。 「――生きる」 顔を上げる。 その目は、真紅に染まっていた。 『生きろ』 その目からは、涙が零れ落ちていく。 「俺は、生きる」 その目が、敵を捕らえた。 意思が、闘志が、炸裂する。 「うおおおおおおおォォォォォォォォォッ!!」 咆哮と共に、スザクは駆けた。 「ははッ。イイぜッ! イイぜェ! 来いよォ!!」 ――聞こえない。 ――もう何も聞こえなかった。 ■ 乱れ飛ぶ銀の嵐。 舞い散る閃光。 駆け抜ける生命。 それは弱小の個。 撃たれれば死ぬ。 刺せば死ぬ。 殺せば死ぬ。 ただそれだけの、つまらない命のはずだ。 だというのに、 心臓を押しつぶそうと狙うコーヒー缶。 逃げ場を潰す銀球の散弾。 かわす隙間など無いガラス片の嵐。 触れればそれで最後となる破壊の手。 その全てが人体には致命打となる凶器の奔流。 真人間にはどれ一つ逃げる事など絶対に不可能な筈の災害事象。 にも拘らず、それらは一撃たりとも命中し得ない。 心臓をおしつぶそうと狙うコーヒー缶は、目視のみで避けられる。 逃げ場を潰す銀球の散弾は、障害物を蹴り跳ねて凌がれる。 かわす隙間などない筈のガラス片の嵐は、ありえない角度と挙動で見切られる。 当然、これほどの超反応を成し遂げる相手に、破壊の手など届きはしない 「馬鹿なッ!」 以前に相対した時はこれほどではなかった。 速すぎる。 幾らなんでも常識を超えすぎている。 否、いまだ人体の常識にのっとった挙動だ。 だがあまりに絶妙な体技と心技で、絶死の散弾がかわされていくのだ。 ガトリングもかくやという程の質量の連射。 それを敵は壁を走り、商品棚を蹴倒して、床を転がって、ありとあらゆる方法を駆使して避ける。 接近を許したと思えば、思いきりとび蹴りをくれる。 が、当然敵は反射の壁に阻まれて後方に飛ぶ。 しかし、その後退の勢いすらも敵の回避を助けているのだ。 止めさえすれば刺せる。 止まりさえすれば殺せる。 たが止まらない。 戦闘が始まって以降、敵はまったく停止する気配を見せない。 マックススピードで駆け抜け続ける。 それはどう見ても偶然、運が良かったと言うしかないギリギリの回避運動。 だがそれがもう軽く数十回は発生しているのだ。 繰り返される偶然とは即ち必然。 これは運ではない、敵は確かな確信を持ってその超回避を成し遂げている。 「なンなンだ、いったいッ!?」 なにが変わった? 以前と何が違う? 「その……腕、か? いや違うな」 薬局の治療をもってしても、切断された腕の再生までは為されなかったようだ。 いまのスザクは隻腕となっている。 それが体重を軽くし、的を小さくし、回避率を高めている。 多少はそれも要因となっているだろう。 だがここまでの超回避はそれだけが理由ではない。 「そうか……場所か……」 以前と違うこと、それは闘っている場所だ。 今回の戦場は室内。 しかも障害物がたんまりとある薬局内だ。 一方通行にとっては攻撃が当てにくく。 跳ね回るスザクにとってはかわしやすい、ちょうど良い場になっている。 「だったら……」 ここを見晴らし良くする。 場を崩し、一方通行にとって有利な状況に作り変える。 その考えがあった。 だがその前に……。 「チィッ……そろそろだろォな」 時間制限が近づいている。 二度にわたる全力の能力行使に加えて。 「コイツ相手じゃ力をケチれねえ……」 白井黒子やファサリナに対してかなりの長期戦をなせたのは、 力をセーブしながら戦う事が出来たからだ。 彼女達は積極的に攻撃してくる事はなかった。 それが自滅を誘発すると知っていたからだ。 故に一方通行は隙を見て反射の面積を削ったり、時に完全に止めるほどの余裕を見せていた。 攻撃も散発的で全力には程遠いかった。 だがスザクはそうはいかない。 全力の攻撃も未だに届かない。 しかも、この敵は効かないと承知しているくせに直接攻撃を仕掛けてくる。 なんど弾き返しても、無駄だと分かっているくせに馬鹿の一つ覚えのように蹴りつけてくる。 何かを確かめるように。 これでは反射も万全の状態に保たなければならない。 節約する事が出来ない。 現に今、一方通行の残り時間はみるみる削られていった。 当然の話。 この敵は時間制限を知っている。 粘ればやがて一方通行が力を失うと知っているのだ。 今度は能力切れの演技にも引っかからないだろう。 確実に、なぶり殺しにしてくるはずだ。 「どォする……?」 一方通行は選択を迫られていた。 このまま闘うか、退くか。 すでに時間切れのリスクを負っている。 だがここでスザクを仕留められなければ、一方通行の弱点は広範囲に知れ渡る事になるだろう。 「くそ……」 彼は迷っていた。 迷いながらも力を行使する。 「くッそがァァァァ!」 早く死ね。 今すぐ死ねと、怒りを乗せて。 怒涛の暴力が炸裂する。 ■ 「オオオオオオオオオオオオオオォォォッ!!!!!!」 枢木スザクは咆哮する。 もう、現実の音は何も聞こえない。 薬局内に巻き起こる、炸裂音、激突音、狂気の怒号。 その全ては耳に入らない。 音を置き捨ててスザクは駆ける。 殺意の奔流も、死の刃も、敵の姿すら認識外にあった。 思いは、認識する感情はただ一つ。 その誓い。 その約束。 その命令。 『――生きろ!』 生きる。 『――生きて……』 生きる。 『――生きろ(て)!!』 ――俺は、生きる。 生存の意志だけを引き連れて駆け抜ける。 向かい来る閃光を回避する。 眼前の敵に突貫する。 視界を散弾が覆う。 だが回避する。 反転して、敵に挑む。 そして、生きる。生き抜く。 火花散る視界。 白と赤に染まる意識の中。 もはや意味の無い、言葉の羅列があふれ出していた。 ――ユフィ。 僕は君に、伝えたい言葉があったんだ。 君に返さなきゃいけない答えがあったんだ。 君に会って、話さなきゃいけない事があったんだ。 君に会えて本当によかった。 僕はずっと君に救われていた。 死にたがりの僕は、君のおかげで前をむくことが出来たんだ。 この理想を目指すことができたんだ。 どれほど感謝してもしきれない。 僕は、本当は……。 騎士とか、主とか、そんな関係じゃなくて。 ただのスザクとして、僕は君が好きだった。 誰よりも、君を守りたかったんだ。 僕は……ずっと、君と一緒にいたかった。 ――言葉はもはや永劫に届かない。 叶わない。 それは二度目の離別 短い夢の終わりを知り。 真紅の相貌は疾駆する。 その目から流れ落ちる涙だけを、ただ一つの手向けとして。 ■ 「くそッ! 限界かッ……!」 遂に一方通行は撤退を決意する。 逃げを選んだ。 もう残り時間かが間もない事は自覚している。 ここでスザクを仕留められなかった事は後に響く問題として自覚しているが、 無理に闘って殺されるわけにもいかない。 そうしてベクトル変換で薬局内からの離脱を試みようとした瞬間である。 都合30発目の蹴りが一方通行に命中した。 やはり、反射される。 ……だが。 「なン……だ? いまの嫌な感じは……」 それは違和感。 スザクが何度も近接攻撃を試みてくる真意。 最初は能力限界を早めるためだと考えていた。 だが、スザクは一方通行が使う能力の強弱で限界が変わることなど知りるはずがない。 ならば、なにが狙いなのか。 直感的な焦りに任せ、一方通行はガラス片の弾幕を正面に撃ち出して、後方に飛んだ。 その瞬間である。 空に跳び上がり、ガラス片を回避するスザク。 テレポーターですらかわせなかった移動先を読んだ一撃すらも回避せしめ。 天井を蹴って向ってくる。 そして、一方通行の顔面へとその回転キックを繰り出して―-。 「コイツ……まさか……!?」 その蹴りは全力。 反射に対応するための手加減が無い。 つまり。 攻撃が、通る。 通す気が、在るとでも……。 「――ガッ!?」 その蹴りは果たして一方通行に届いた。 反射の壁を抜けて、惜しくも顔面には及ばなかったものの肩口を蹴り飛ばし、一方通行を跳ね飛ばした。 床を三回ほど跳ね、漸く一歩通行は停止する。 「な……にを……?」 やったのかと、その言葉を言い切る前にスザクは答えを口にした。 「これだけ何度も殴っていれば、仕組みと抜け方くらい分る」 それはこの戦いが始まって初めてスザクが一方通行に声をかけた瞬間だった。 「攻撃を自動的に反射される。ならば、その瞬間に自分から攻撃を逆方向に軌道変更すればいいだけだ。 遠ざかる攻撃はお前自身に反射される。 もう……その力は通用しない……。 諦めろ」 簡潔な事実。 だが分ったところで到底容易には実行できない絶技。 それを当たり前のように述べ、スザクはもう一度地を蹴ろうとし……。 「…………ッッ!!」 そのときには、一方通行は既に薬局の外へと飛び出していた。 商品棚を引き倒しながら、後ろ向きに。 今度こそ完全に入り口を破壊して、撤退する。 「逃げ……られたか……」 ふらりとバランスを崩しながらスザクは呟いた。 ハッタリは、通用した。 スザクもまた限界だったのだ。 治療を終えたばかりにも関わらず、全身を酷使し。 そして人間の限界を半ば超えた挙動で長時間動いた。 その反動が纏めて襲いくる。 ギアスと同調する意志と、スザクの身体能力は確かにその動きを可能にしていたが、人体として限界は当然ある。 あのまま戦い続けていれば、先に限界を迎えていたのはスザクだったかもしれない。 「…………」 周囲を見回す。 静まり返った薬局内。 立っているのは自分ひとりだった。 だが、生存者は何人かいる。 「枢木……スザク……」 声のした方を見れば、金髪の軍人らしき人物が、 阿良々木暦を抱えて佇んでいた。 「詳しい自己紹介も、礼も、今は後にさせてもらう。 ひとまず、けが人の解放を最優先としよう」 男の声に頷いて、スザクは生存者の保護に動き出す。 そのときふと、足もとにふわりとした毛並みの感触がした。 視線を下げると、一匹の猫が擦り寄っていた。 どこか、哀しそうな目をして、スザクを見上げていた。 「アーサー、君も、生きていたか……」 これもまた、終わる戦いに残された小さな生命。 共に、先に負傷者へと赴いた男の背中に追従する。 「……行こう、か」 けれど最後に、桃色の髪の少女を振り返る。 胸を真っ赤に染め、二度と起きる事のない少女。 二度と会うことの出来ない少女。 終わった幻想の残滓。 もう一度、心が弾けんばかりに、揺れた。 けれど叫びたくなる衝動を今度は押さえつけ。 自分の頬に、手を当てる。 もう、涙は零れていなかった。 ■ 【E-4 薬局内部/二日目/黎明】 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:疲労(大)、左腕切断(処置済)、 [服装]:ナイトオブゼロの服(マント無し) [装備]: [道具]:鉈@現実 [思考] 基本:生きて、ユーフェミアの約束(命令)を果たす。 0:ユフィ……。 1:とにかく今は怪我人の介抱を最優先。 [備考] ※ラウンズ撃破以降~最終決戦前の時期から参戦。 ※主催が不思議な力を持っていることは認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。 ※一回放送の少し前に、政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。 ※飛行船についての仮説、ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。 ※二日目深夜に、ルイスの薬剤@ガンダムOOを飲みました。 ※一方通行の反射の壁を越える方法を理解しました。 【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】 [状態]:疲労(中)、全身にガラスによる刺し傷 [服装]:ユニオンの制服 [装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30 、GN拳銃(エネルギー残量:小) [道具]:基本支給品一式、SIG SG552(30/30)@現実(予備弾30×3)、軍用ジープ@現実、ゼクスの手紙 双眼鏡@現実、手術用の針、手術用の糸、消毒用エタノール、ヴァンのテンガロンハット、水着セット@現実 サンドイッチ@現実×10、ピザ@現実×10、ミネラルウォーター@現実×20、1万ペリカ 『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム~戦場の絆~』解説冊子 ギャンブル船商品カタログ(機動兵器一覧)第3回放送分@オリジナル [思考] 基本:殺し合いには乗らない。断固辞退。 1:怪我人の保護を最優先とする。 2:天江衣をゲームから脱出させる。脱出までの間は衣の友達づくりを手伝う。 3:主催者の思惑を潰す。 4:首輪を解除したい。首輪解除後は『ジングウ』を奪取または破壊する。 5:スザクは是非とも仲間に加えたい。 6:浅上藤乃を完全に信用しているわけではない。が、阿良々木暦を信用して任せる。 7:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける。※刹那の名を知らない為、相手が既に死んでいることを知りません。 8:モビルスーツが欲しい。できればフラッグ。更に言うならオーバーフラッグ。 9:可能ならば、クレーターを調査したい。 10:【憩いの館】にある『戦場の絆』を試したい。 【備考】 ※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています。 ※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。 ※エスポワール会議に参加しました。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。この情報だけでは首輪の解除は不可能です。 ※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。 ※『黒子の仮説』を聞きました。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 ※ヒイロ・ファサリナと情報交換し、今まで判明した情報を『エスポワール・ノート』で整理しました。 ※エスポワール船底に『ジングウ』が存在していることを知りました。 ※ヒイロから【憩いの館】にある遊技台、『戦場の絆』について聞きました。 ※衣の負債について、気づいていません。 【阿良々木暦@化物語】 [状態]:気絶中、疲労(大) 、全身に銃創(致命傷は無し、治療中)、ただし出血(大) [服装]:ボロボロの直江津高校男子制服 [装備]:レイのレシーバー@ガン×ソード 、ベレッタM1934(5/8) [道具]:基本支給品一式、毛利元就の輪刀@戦国BASARA、マウンテンバイク@現実、拡声器@現実 ギー太@けいおん!、ピザ@現実×10、衛宮邸土蔵で集めた品多数 [思考] 基本:誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。 0:……。 1:――戦場ヶ原……。 2:憂はこのままにはしない。桃子、ルルーシュに対しては警戒。 3:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。原村和とは一方的な約束済。 4:浅上らの無事を願う。 5:落ち着いたら【ホール】を再調査してみる。 [備考] ※アニメ最終回(12話)終了後から参戦。 ※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。 ※サポート窓口について知りました。また、原村和が主催側にいることを知りました。 ※衛宮邸の土蔵にあったガラクタを多数回収しました。武器の類は入ってません。 ひょっとしたらなんらかの特別な物が混入してる可能性もあります。 ※衣の負債について、気づいていません。 【白井黒子@とある魔術の禁書目録】 [状態]:気絶中、疲労(極大)、全身に切り傷、刺し傷、擦り傷、多数、右肩口をコーヒー缶が貫通 [服装]:ボロボロの常盤台中学校制服、両手に包帯 [装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録 [道具]:基本支給品一式、ペーパーナイフ×6@現実、USBメモリ@現実、1億1310万ペリカ [思考] 基本:士郎さんと共に生きてこの世界から出る。 0:士郎さん…約束…。 1:薬局へペリカを届ける。 2:士郎さんが解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す 3:士郎さんが勝手に行ってしまわないようにする 4:士郎さんが心配、意識している事を自覚 5:士郎さんはすぐに人を甘やかす 6:士郎さんを少しは頼る 7:お姉さまが死んだことはやはり悲しい。もしお姉さまを生き返らせるチャンスがあるのなら……? 8:アリー・アル・サーシェス…… 9:イリヤって士郎さんとどういった関係なのでしょう? 10:危険人物を警戒。藤乃のことは完全に信用したわけではないが、償いたいという気持ちに嘘はないと思う。 [備考] ※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です ※空間転移の制限 ・距離に反比例して精度にブレが出るようです。ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が130.7kg。 ・その他制限については不明。 ※エスポワール会議に参加しました。 ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 ※バトルロワイアルの目的について仮説を立てました。 ※衛宮士郎の能力について把握しました。 ※衣の負債について、気づいていません。 ※帝愛グループは、ギャンブルに勝ちすぎた参加者側を妨害すべく動いていると推測しています。 【?-?/???/二日目/黎明】 【インデックス@とある魔術の禁書目録】 [状態]:ペンデックス? [服装]:歩く教会 [装備]:??? [道具]:??? [思考] 基本:??? 0:バトルロワイアルを円滑に進行させる。 1:友達が何なのかを知りたい。 2:天江衣にもう一度会ってみる。 3:自分に掛けられた封印を解除する? 4:友達が何か解ったら、咲に返事をする。 5:風斬氷華とは…………。 ※インデックスの記憶は特殊な魔術式で封印されているようです。 時系列順で読む Back 疾走する超能力者のパラベラムⅢ Next 疾走する超能力者のパラベラムⅤ 投下順で読む Back 疾走する超能力者のパラベラムⅢ Next 疾走する超能力者のパラベラムⅤ 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 一方通行 280 疾走する超能力者のパラベラムⅤ 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 白井黒子 282 ひたぎエンド(ビフォー) 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 戦場ヶ原ひたぎ GAME OVER 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ ファサリナ GAME OVER 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 阿良々木暦 282 ひたぎエンド(ビフォー) 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ グラハム・エーカー 282 ひたぎエンド(ビフォー) 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 枢木スザク 282 ひたぎエンド(ビフォー) 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ ユーフェミア・リ・ブリタニア GAME OVER 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ インデックス 290 許せないのどっち(前編)
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日記/2012年08月29日(WED)/ニュース記事 2012-09-03 【記事一覧】 首相への問責決議 賛成多数で可決 NHKニュース 民主赤松氏ら 独自候補を擁立へ NHKニュース 南海トラフ 巨大地震と津波の被害想定 NHKニュース 奇跡の一本松 来月12日に伐採 NHKニュース 奇跡の一本松、9月12日切断 保存に向け防腐処理 :日本経済新聞 女子5人に乱暴の男に懲役30年 NHKニュース 妊婦血液で出生前検査 異常99%判明 NHKニュース 北朝鮮“新たな遺骨埋葬地” NHKニュース 拉致問題相“時間との戦い” NHKニュース 中国政府“真剣に調べ進めている” NHKニュース シリア 爆発で27人死亡 NHKニュース 「もう何も期待できない…受注がゼロに」 取引企業、シャープ失速に悲鳴 (産経新聞) - Yahoo!ニュース 韓国で学ぶ世界史がすごい! 「世界四大文明」に“コリアン文明”を勝手に追加したよ – ゴールドラッシュ 韓国旅行に行った日本人モデルに韓国人が暴言「くそ猿野郎」 「あなたは可愛い。純日本人じゃないでしょ?」 | ロケットニュース24 首相への問責決議 賛成多数で可決 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014628941000.html +記事コピペ収納 首相への問責決議 賛成多数で可決 8月29日 20時10分 国民の生活が第一やみんなの党などが提出した野田総理大臣に対する問責決議は、参議院本会議で野党側の賛成多数で可決されました。 これに対し、野田総理大臣は問責決議に法的な拘束力はないなどとして、衆議院の解散などには応じない方針です。 国会は参議院議院運営委員会で、国民の生活が第一やみんなの党など、参議院の野党7会派が提出した野田総理大臣に対する問責決議案を本会議で採決することを、賛成多数で決めました。 一方、自民・公明両党が28日に提出した問責決議案は、反対多数で上程されませんでした。 そして、午後5時から参議院本会議が開かれ、法案の採決などが行われたあと、問責決議案の審議に入りました。 この中で、みんなの党の小野次郎氏が「野田内閣が押し通した消費税率引き上げ法は、先の衆議院選挙での民主党のマニフェストに違反しており、国民への約束に背く政治姿勢をとり続ける野田総理大臣の責任は極めて重大だ」などと、問責決議案を提出した理由を説明しました。 また、自民党の川口順子氏が「野田政権と民主党には、震災復興や竹島・尖閣諸島を巡る摩擦など、解決を迫られている課題を解決に導くための国家運営能力、すなわち『与党力』が絶対的に欠如し責任感もない」と述べました。 これに対し、民主党の武内則男氏が「自民党が党利党略を重視して問責決議案に賛成するのは、節操のない厚顔無恥の暴挙で、3党合意をほごにするものだ。『近いうちに解散する』という約束も無効にせざるを得ない」と反論しました。 このあと、決議案は記名投票による採決が行われ、賛成129票、反対91票で野党側の賛成多で可決されました。 ただ、野党のうち公明党は「消費税率の引き上げ反対を理由とする問責決議案には賛成できない」として、採決を欠席しました。 また、自民党の丸山和也参議院議員が「問責決議が可決されれば、解散が近くなるということでやっているだけで、自己矛盾も甚だしい」として、採決を棄権しました。 総理大臣に対する問責決議が可決されたのは、4年前に福田総理大臣、3年前に麻生総理大臣に対する決議が可決されたのに続いて、今回で3例目で、民主党政権では初めてです。 野田総理大臣は、問責決議は内閣不信任決議と違って法的な拘束力はないなどとして、辞任や衆議院の解散には応じない方針です。 民主赤松氏ら 独自候補を擁立へ NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014616851000.html +記事コピペ収納 民主赤松氏ら 独自候補を擁立へ 8月29日 14時19分民主党の赤松元農林水産大臣が代表を務める議員グループが会合を開き、来月行われる党の代表選挙について「民主党の再生に向けて新しい体制を作るべきだ」として、独自候補の擁立を目指す方針を確認しました。 東京都内のホテルで開かれた会合には、赤松・元農林水産大臣など民主党のおよそ10人の議員が出席し、来月行われる党の代表選挙に向けてグループとしての対応を協議しました。 この中で出席者からは「野田政権は自民・公明両党との協力を優先するあまり、民主党が目指してきたものを失いつつある」という意見や、「党の再生に向けて団結できる新しい体制を作るべきだ」などという指摘が出されました。 そして、将来的に原発をゼロにすることや、TPP・環太平洋パートナーシップ協定への対応は慎重に判断することなどを掲げて、独自候補の擁立を目指す方針を確認しました。 会合のあと、赤松・元農林水産大臣は記者団に対し「党が掲げたマニフェストはまだやりきれておらず、それを実行していくことが党の再生につながる。代表選挙ではわれわれの政策と合致する人をグループとして応援したい」と述べました。 南海トラフ 巨大地震と津波の被害想定 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014624091000.html +記事コピペ収納 南海トラフ 巨大地震と津波の被害想定 8月29日 17時17分 K10046240911_1208291726_1208291728.mp4 太平洋沿岸の「南海トラフ」付近で起きる巨大地震と津波で、国は最悪の場合、およそ32万3000人が死亡するおそれがあるという被害の新たな想定を公表しました。 一方で、早めの避難や耐震化などの対策を進めれば、大幅に被害を減らすことができるとしています。 東日本大震災をきっかけに、国は去年、東海から西の太平洋沿岸の「南海トラフ」付近で起きる巨大地震の防災対策を見直すため、専門家による検討会などを設けました。 そして、ことし3月末、マグニチュード9クラスの最大級の巨大地震が起きた場合の揺れの強さや津波の高さなどを推計し、結果の一部を公表しました。 29日に新たに公表されたのは、津波の詳しい想定と、揺れと津波による被害の想定などで、地震や津波のさまざまな発生のパターンや時間帯などを考慮して、複数のケースごとに想定をまとめています。 このうち津波の高さは、沿岸部の詳細な地形に基づいて改めて計算され、高知県と静岡県、それに伊豆諸島の一部で最大30メートルを超えるなど、8つの都や県の23の市町村で20メートル以上に達すると推計しています。 また、津波で浸水する地域は最大で1000平方キロ余りと、去年3月の大津波の1.8倍に及ぶ可能性があるとしています。 さらに、想定される被害は、人口の多い東海地域で揺れや津波が大きくなるケースの地震で最も大きくなり、最悪の場合、関東から九州にかけての30の都府県で合わせておよそ32万3000人が死亡し、揺れや火災、津波などで238万棟余りの建物が全壊したり焼失したりすると推計しています。 一方、今回の想定では、避難や防災対策によって被害が軽減される効果も示され、多くの人が早めに避難して避難ビルなどを活用した場合、津波の犠牲者は最大でおよそ80%少なくなり、建物の耐震化率を引き上げれば建物の倒壊はおよそ40%減らせると推計しています。 国は今後、巨大地震や津波による経済的な被害なども推計したうえで、この冬までに国の新たな防災対策を取りまとめることにしています。 奇跡の一本松 来月12日に伐採 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014631641000.html +記事コピペ収納 奇跡の一本松 来月12日に伐採 8月29日 20時54分 K10046316411_1208292321_1208292339.mp4 岩手県陸前高田市で津波に耐えて1本だけ残り、その後、枯れていることが分かった「奇跡の一本松」と呼ばれる松の木について、モニュメントにして保存するために木を切る作業が、来月12日に行われることになりました。 「奇跡の一本松」は、7万本の松が立ち並ぶ陸前高田市の「高田松原」で、津波に流されずに1本だけ残った高さ28メートル余りの樹齢270年の松の木です。 震災のあと、被災した人たちの復活のシンボルとなりましたが、その後の調査で枯れていることが分かり、陸前高田市は、モニュメントにして保存することを決めました。 保存には、いったん木を根元から切って防腐処理などをする必要があり、市は天候に問題がなければ、東日本大震災から1年半が経過した翌日の来月12日に木を切る作業を行うことを決めました。 当日は記念の式典が開かれ、松の木はのこぎりを使って切り取られるということです。 その後、木は5つ以上に分割され、中に金属製の棒を通してつなぎ、同じ形にして元の場所に戻すということです。 市では、東日本大震災から2年になる前の来年2月末までにすべての作業を終わらせたいとしていて、地元の人たちに愛された「奇跡の一本松」は、永遠にその姿を残すことになります。 奇跡の一本松、9月12日切断 保存に向け防腐処理 :日本経済新聞 ttp //www.nikkei.com/article/DGXNASDG2904O_Z20C12A8CR8000/ +記事コピペ収納 奇跡の一本松、9月12日切断 保存に向け防腐処理 陸前高田市、募金呼びかけ 2012/8/29 22 26 小サイズに変更javascript void(0)中サイズに変更javascript void(0)大サイズに変更javascript void(0)印刷 来月12日に切り倒され、保存に向けた防腐処理に入ることが分かった「奇跡の一本松」(28日午後、岩手県陸前高田市)=共同 東日本大震災の大津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」が来月12日に切り倒され、保存に向けた防腐処理に入ることが29日、市関係者への取材で分かった。 当日はセレモニーも開く予定で、震災2年を迎える来年3月11日までに元の場所に立て直すとしている。 市によると、高さ約27メートルの一本松を根元から切断して幹を5分割。芯をくりぬき、防腐処理を施す。その後、金属の心棒を通して立ち姿のまま保存する。 保存費用は約1億5千万円。市はホームページや交流サイト「フェイスブック」で募金を呼び掛けている。〔共同〕 女子5人に乱暴の男に懲役30年 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014606851000.html +記事コピペ収納 女子5人に乱暴の男に懲役30年 8月29日 0時54分千葉県内で女子児童など合わせて5人に乱暴してけがをさせたなどとして罪に問われた37歳の男に対し、千葉地方裁判所は「常習性は明らかで再犯のおそれも否定しがたい」として、有期刑の上限の懲役30年の判決を言い渡しました。 千葉県松戸市の無職、佐藤晃一被告(37)は、去年7月までの半年余りで当時11歳から18歳までの女子児童や生徒、合わせて5人に乱暴し、けがをさせたなどとして罪に問われました。 28日の判決で、千葉地方裁判所の丹羽敏彦裁判長は「被告は同種の事件で服役したにもかかわらず、出所僅か半年後から短期間に犯行を行い常習性は明らかだ」と指摘しました。 そのうえで、「再犯のおそれも否定しがたく有期懲役刑の上限をもって臨むことはやむをえない」と述べ、検察の求刑どおり懲役30年の判決を言い渡しました。 妊婦血液で出生前検査 異常99%判明 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014608571000.html +記事コピペ収納 妊婦血液で出生前検査 異常99%判明 8月29日 11時0分 K10046085711_1208291114_1208291115.mp4 妊婦の血液を調べるだけで胎児にダウン症などの染色体の異常がないかどうか99%の確率で分かるとされる新たな出生前検査が、来月、国内の2つの病院で始まることが分かりました。 検査を希望する人は大幅に増えることが予想され、異常が見つかれば人工妊娠中絶にもつながることから、検査前後のカウンセリングなどの態勢を整えていくことが課題です。 新たな出生前検査を始めるのは、いずれも東京にある昭和大学病院と国立成育医療研究センターです。 検査は、アメリカの検査会社が去年10月から行っているもので、妊娠10週目以降の妊婦の血液を調べるだけで、ダウン症など3種類の染色体の異常がないかどうか99%の確率で分かるとされています。 現在、出生前検査として行われている「羊水検査」は、妊婦のおなかに針を刺すため、0.3%の割合で流産の危険性がありましたが、新たな検査は採血だけで済むため、流産の危険性がなく、同様の検査はアメリカやヨーロッパなどで広がりつつあります。 2つの病院のほか、今後、導入を検討している病院の医師らが31日、研究組織を立ち上げ、検査を行う際の共通のルールを作ることにしています。 この中では、検査の対象は、胎児の染色体異常のリスクが高まる35歳以上の高齢出産の妊婦などとしたうえで、検査の前に専門の医師らが30分以上カウンセリングを行うことや、検査後も小児科医らが妊婦のサポートを続けていくことなどを検討しています。 費用は保険が適用されないため21万円かかりますが、高齢出産の妊婦が増えていることなどから、検査を希望する人は大幅に増えることが予想されます。 異常が見つかれば人工妊娠中絶にもつながることから、正しい情報に基づいて妊婦が判断できるよう検査前後のカウンセリングなどの態勢を整えていくことが課題です。 現在の出生前検査は 子どもが生まれる前に病気などがあるかどうか調べる出生前検査は、現在、国内では▽「羊水検査」▽「絨毛検査」▽「母体血清マーカー検査」などが行われています。 専門家によりますと、こうした検査を受ける妊婦は、年間の出産数およそ100万件のうち3%前後に当たる3万人と推計されています。 このうち、羊水や絨毛といわれる組織を採取して調べる「羊水検査」と「絨毛検査」は、胎児にダウン症などの染色体の異常がないかどうか確定診断ができます。 しかし、母親のおなかに針を刺すため、羊水検査は0.3%、絨毛検査は1%ほど流産の危険性があるほか、破水や出血のおそれもあり、母体への負担もあります。 費用は保険が適用されていないため、10万円から15万円かかります。 「母体血清マーカー検査」は、今回の新たな検査と同じように妊婦の血液を調べるもので、流産などのリスクはありませんが、ダウン症などの確率が分かるだけで確定診断はできません。 十分な情報提供の態勢を 新たな検査が始まることについて、日本ダウン症協会の玉井邦夫理事長は「海外の動向からいずれ日本でも検査が必ず始まると思っていた。新しい技術ができ、それによって分かることを知りたいと思うのは個人の権利なので、検査の導入は否定できないが、ダウン症の子どもたちや家族を否定するような世の中につながることは絶対にあってはならない。検査が簡単になっても結果の重みは変わらないので、安易な気持ちで検査を受ける妊婦が増え、混乱が広がることが懸念される」と話しています。 そのうえで、「今回、検査を始める病院が共通のルールを作ることは評価できるが、今後、導入するすべての病院がルールを守るようチェックしていくべきだ。妊婦やその家族が正しい情報に基づいて考えられるよう、元気に暮らしているダウン症の子どもをよく知る小児科の医師らが、十分な情報を提供できる態勢を整えてほしい」と話しています。 北朝鮮“新たな遺骨埋葬地” NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014626971000.html +記事コピペ収納 北朝鮮“新たな遺骨埋葬地” 8月29日 18時39分 K10046269711_1208291943_1208291946.mp4 日本と北朝鮮の政府間協議が行われるなか、北朝鮮は、終戦前後に現在の北朝鮮領内で亡くなった日本人の遺骨の埋葬地が、最近新たに見つかったと説明し、日本政府に対して遺骨の収集に積極的に取り組むよう重ねて求めました。 これは、北朝鮮で日本人の遺骨や埋葬地の調査を行っている、社会科学院歴史研究所のチョ・ヒスン所長が、29日、NHKをはじめ、ピョンヤンを訪れている一部の日本メディアと会見して明らかにしたものです。 この中で、チョ所長は、日本人の遺骨の埋葬地について去年から本格的な調査を始め、地元住民の証言を基に発掘調査を行ったところ、最近、北東部などで新たに3か所の埋葬地が見つかり、日本人の遺骨の埋葬地は合わせて5か所になったと説明しました。 また、チョ所長は、発掘作業で見つかったという、日本人が着ていたとみられる衣服の一部や、銀色のボタンなどの写真を見せました。 会見のあと、チョ所長は、そうした埋葬地の一つで発掘作業の様子を公開しました。 この埋葬地はピョンヤン近郊にあり、およそ2400人の日本人の遺骨が埋葬されていて、最近も新たな遺骨が見つかっているということです。 チョ所長は「必要があれば日本との共同調査も可能だ」と述べ、日朝協議が4年ぶりに行われたことを歓迎したうえで、日本政府に対して遺骨収集の問題に積極的に取り組むよう重ねて求めました。 今回、北朝鮮には、遺骨収集に向けた現地調査を行うために日本人の関係者たちが訪れており、30日から北東部などに行き、埋葬地を確認する予定です。 【亡くなった人“3万4600人”】 厚生労働省によりますと、現在の北朝鮮の地域で終戦前後に亡くなった人の数は、引き揚げてきた人たちへの聞き取り調査などから、およそ3万4600人とみられています。 多くは旧ソビエトの侵攻による混乱のなかで、戦闘に巻き込まれたり、病気や飢えで死亡したりしたとみられています。 このうち、1万3000人の遺骨は引き揚げてきた人たちが持ち帰りましたが、残る2万1600人ついては、北朝鮮との間に国交がないことから、遺骨の収集に向けた調査を行うことができず、北朝鮮に残されたままになっています。 北朝鮮に眠る肉親を弔いたいという思いを抱えた人は少なくありません。 遺骨の場所 今も分からず 終戦当時、旧満州にいた、群馬県安中市の多胡湊一郎さん(74)は、日本に引き揚げるため、家族5人で南へと向かいました。 飢えに苦しみながらの道中、途中で滞在した今の北朝鮮のピョンヤンで3歳の妹が亡くなりました。 それから3か月もたたないうちに、5歳の弟と母親も相次いで栄養失調のため息絶えました。 3人の遺体は、大きな穴を掘って、ほかの日本人の遺体とともに埋葬されたということで、当時7歳だった多胡さんのもとに残ったのは、母親の裁ちばさみと遺髪、それに印鑑だけでした。 多胡さんは当時を振り返り、「周りが栄養失調でどんどん亡くなっていくので、死に対する恐怖感のようなものがなくなり、まさに極限状態でした。母が亡くなる直前、『絶対にお前たちは日本に引き揚げるんだよ』と言ったので、そのことだけを考えました」と話しました。 妹と2人残された多胡さんが、身寄りのある群馬県にたどり着いたのは、引き揚げを始めてからおよそ1年後のことでした。 戦後67年がたっても、3人の遺骨がある詳しい場所は分かっていません。 また、母親が亡くなる2か月ほど前に出産した乳児の生死も分からないままです。 安中市にある先祖の墓には、母親の遺髪と、ピョンヤンの埋葬場所から持ち帰った土が納められており、今でも命日には必ずお参りしているということです。 多胡さんは「日朝協議が始まると聞き、霊前に『お墓参りに行けるかもしれない』と声をかけました。拉致問題を含む日朝間の問題が解決され、国交が正常化すれば、遺骨を持って帰って分骨したい」と話しています。 墓地の名簿に母と妹の名前が 名古屋市の瀧澤眞紗子さん(82)は、終戦直前、旧ソ連軍の侵攻を前に、旧満州の奉天から家族6人で、着のみ着のまま、今の北朝鮮のピョンヤンに移りました。 当時15歳だった瀧澤さんは、ピョンヤンにあった学校の講堂などに移されましたが、寒さが厳しくなるなか、2人の祖母が相次いで亡くなり、年明けには母親のハツさんが肺炎にかかって命を落としました。 それから2週間後、4歳の妹も栄養失調のため帰らぬ人となり、瀧澤さんは、氷点下の屋外にむしろにくるまれて置かれた母親と妹の遺体を、4つ下の弟の手を借りて墓地まで運んだということです。 瀧澤さんは「おなかがすいて、おなかがすいて、体力がなくなるけど、お金もなくなるので物が買えない生活でした」と振り返ったうえで、「肉親の死を事実として受け止められず、毎晩、母親や妹たちが元気で生きている夢を見ました。夢のほうを信じたいと思っていました」と話しました。 終戦からおよそ10か月後に弟と共に引き揚げを果たした瀧澤さんにとって、母親が残した羽織がただ一つの形見でしたが、帰国して60年がたった平成18年、当時の墓地の名簿を持ち帰った人がいることを知りました。 「リョンサン(竜山)墓地」と名付けられたこの墓の名簿を取り寄せたところ、母親と妹の名前が載っており、北朝鮮に遺骨が残ったままの肉親への思いがよみがえってきたということです。 瀧澤さんは「遺骨の問題を巡って日本と北朝鮮の協議が行われることになったのは意義深いと思っています。墓参りが実現すれば、自分の中でようやく一つの区切りがつくかもしれません」と話しています。 拉致問題相“時間との戦い” NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014616481000.html +記事コピペ収納 拉致問題相“時間との戦い” 8月29日 13時40分 K10046164811_1208291412_1208291424.mp4 松原拉致問題担当大臣は、鳥取県の平井知事と会談し、4年ぶりに行われる日本と北朝鮮の政府間協議を通じて拉致問題の早期解決を図るよう要請されたのに対し「拉致被害者の家族が高齢化するなか時間との戦いだ」と述べ、全力で取り組む考えを示しました。 この中で平井知事は、鳥取県出身の拉致被害者の松本京子さんの兄、孟さんからの手紙を紹介し「母も89歳となり妹の名前を言うのがやっとです。今回の協議を千載一遇の機会ととらえ取り組んでほしい」と読み上げました。 そのうえで、平井知事は「今回の北朝鮮との政府間協議で拉致問題を交渉のテーブルにのせ、早期解決を目指してほしい」と要請しました。 これに対し、松原拉致問題担当大臣は「北朝鮮側も日本との関係を良好なものにしたいという思いがあるだろうしこの機会が勝負だ。拉致問題を解決しないと日朝関係の打開はあり得ず、北朝鮮側にも得はないことを訴えたい。拉致被害者の家族が高齢化するなか拉致問題の解決は時間との戦いだ。要請を重く受け止め私も政府内で行動したい」と述べました。 会談の後、平井知事は記者団に対し「きょうは非常に大事な日だと繰り返し訴えた。ご家族の思いは強くこの機会に解決に結びつけてもらいたい」と述べました。 中国政府“真剣に調べ進めている” NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014631631000.html +記事コピペ収納 中国政府“真剣に調べ進めている” 8月29日 21時5分 K10046316311_1208292327_1208292339.mp4 中国駐在の丹羽大使の乗った公用車が、北京市内を走行中に、乗用車に乗った男らに無理やり停止させられ、日本の国旗が奪われた事件について、中国政府は「現在、真剣に調べを進めている」としており、犯人の特定と容疑の裏付けを急いでいることを明らかにしました。 この事件は、27日、北京市内の環状道路を走行していた、丹羽宇一郎大使が乗った公用車が、2台の車に走行を妨げられたあと、無理やり停止させられ、車から降りてきた男に前部に付けられていた日本の国旗を奪われたものです。 事件を受けて、日本大使館は北京市の警察に当時の詳しい状況を説明するとともに、証拠として2台の車と国旗を奪った男の写真を提出しています。 中国外務省は29日、NHKの取材に対し、「関係部門が現在、真剣に調査を進めている。日本側とも連絡を取っている」と答え、警察が、日本側から提供された資料を基に犯人の特定と容疑の裏付けを急いでいることを明らかにしました。 一方、日本大使館の関係者によりますと、29日はこれまでのところ、警察からの接触や連絡はないということで、日本大使館は速やかな犯人検挙を求めて働きかけを続けていくことにしています。 シリア 爆発で27人死亡 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120829/k10014615601000.html +記事コピペ収納 シリア 爆発で27人死亡 8月29日 13時40分 K10046156011_1208291322_1208291325.mp4 内戦状態が続くシリアの首都、ダマスカスの近郊で28日、アサド政権支持者の葬儀が行われていた会場の近くで爆弾が爆発し、参列者など27人が死亡しました。 シリアの首都、ダマスカスの南東にあるジャラマナで、28日午後、駐車中の自動車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、現地で活動する人権監視団体などによりますと、27人が死亡、40人以上がけがをしました。 また、この爆発で周辺にある建物は壁の一部が崩れたり、窓ガラスが割れたりするなどの被害を受け、爆弾の威力の強さをうかがわせていました。 現場では当時、前日に起きた爆発で死亡したアサド政権支持者の葬儀が行われていて、犠牲者の多くは葬儀の参列者だったということです。 シリアの国営通信は、反政府勢力による攻撃だと非難していますが、反政府勢力側はアサド政権による空爆などで多くの市民が犠牲者になっていることから、国民の関心をそらそうと、政権みずからが企てたものだと反論しています。 シリアでは3日前にもダマスカス近郊のダラヤで、少なくとも120人の遺体が見つかり、政権側と反政府勢力の双方が相手側による虐殺だと非難しています。 「もう何も期待できない…受注がゼロに」 取引企業、シャープ失速に悲鳴 (産経新聞) - Yahoo!ニュース ttp //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120827-00000506-san-bus_all +記事コピペ収納 「もう何も期待できない…受注がゼロに」 取引企業、シャープ失速に悲鳴 産経新聞 8月27日(月)10時20分配信 拡大写真 シャープ本社=大阪市阿倍野区(前川純一郎撮影)(写真:産経新聞) シャープと台湾・鴻海精密工業との提携見直し協議が大詰めを迎える一方で、部品などを納入するシャープの取引企業への影響が深刻化している。生産縮小に伴い、社員の削減を余儀なくされた中小企業もあり、地域の雇用や地元経済への影響は少なくない。主力のテレビ事業の不振などに加え、事業リストラの先行き不透明感から「受注がなくなる」との悲鳴も上がっている。 [フォト] 運命を分けた分岐点 中国を選んだアップル、日本に固執したシャープ 「シャープには、もう何も期待できない」 シャープに液晶テレビ部品などを納入する大阪府内の製造業者は、落胆した表情で打ち明けた。 同社は昨年、シャープの経営悪化に伴い受注が半減し、大幅な人員削減に踏み切ったばかり。「まさに弱り目にたたり目。今もほとんど受注がない現状だが、今後はゼロになると覚悟している。対策の打ちようもない」と悲痛な声で窮状を訴えた。 シャープからの受注が大半を占める別の企業関係者も「今後、(シャープの)人員削減や設備投資の抑制が、どれだけ経営に影響がでるか全く予測できない」と不安を口にする。 “シャープショック”に備え、同社の工場がある地元自治体も対策に動き出した。シャープのカラーテレビ組立工場を抱える栃木県矢板市は、再就職の支援などを目的に、遠藤忠市長を委員長とする連絡調整会議を設置した。テレビ事業縮小に伴う人員削減を視野にいれたものだ。 昭和43年に操業を開始した同工場は、約1650人の従業員のうち、地元住民らが半分近くを占める。地域の雇用に与える影響は計り知れないが、「シャープから詳細な情報はなく、対策が打ち出せない」(同会関係者)といらだちを隠せない。 東京商工リサーチによると今月17日現在、国内でシャープグループと直接取引する企業は計2031社で、総従業員数は54万人以上にのぼる。「シャープの生産縮小などが膨らめば、下請けの製造業はもろに影響を受ける」(証券アナリスト)と、懸念を強めている。 【関連記事】 シャープより重症? 縮小均衡“連鎖”にはまったNEC、いまだ出口みえず シャープ幹部懸念隠せず「どこまで…」 暴動、自殺…鴻海残酷物語 なぜカカクコム最安店に注文が殺到しないの? アマゾンが強いナゾ シャープ、絶体絶命の危機!第2の三洋電機か 土壇場シャープ 空気清浄機と電子レンジの価値は高いと識者 最終更新 8月27日(月)16時17分 韓国で学ぶ世界史がすごい! 「世界四大文明」に“コリアン文明”を勝手に追加したよ – ゴールドラッシュ ttp //getgold.jp/p/13532 +記事コピペ収納 韓国で学ぶ世界史がすごい! 「世界四大文明」に“コリアン文明”を勝手に追加したよ 2012.08.29 06 27 58 by ソル category アジア 政治・経済・社会 Tags コリアン文明 世界五大文明 世界四大文明 捏造 韓国 More Sharing ServicesShare 閉鎖的だと言われている韓国の教育には方法は度々日本のネットで話題になる。例えば小学校で教える反日教育や偏向した歴史など……。 今回紹介するのは韓国で学べる「世界五大文明」というものである。と、ここで「おや?」と思った人もいるだろう。そう、実際は「世界四大文明(または四大河文明)」なのである。何故1つ増えているのか。では順を追って文明を紹介したい。 世界四大文明はメソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明・黄河文明(中国文明)の4つを指す。学校でそれぞれ習ったのでみんなもご存じだろう。しかし韓国ではこれにさらにもう1つ加わり“コリアン文明”という文明が追加される。 私自身は“コリアン文明”は聞いたこと無い。そもそも世界的に考古学の記録に無い文明を韓国では“コリアン文明”と名付け学ばせているのだ。 韓国が出来る前は三韓、新羅・百済、新羅、高羅、朝鮮(李朝)、そして日本に統治されその後に大韓民国となった。コリアンという呼び名にそんなに歴史が無いことから後付けっぽさ満載である。それだけではなく、その教材には北海道は日本の土地ではなく韓国の土地だったと書かれており、更に韓国はアジアのほとんどを占めていたとも書かれている。もちろん学校で教えられた生徒や学生は、それを当たり前のように受け止め信じてしまうだろう。「学校が嘘を教えるはずがない」と思うのが普通である。 こういう発想がやはり他人のパクリに繋がるのではないだろうかう。古くは『マジンガーZ』のパクリの『テコンV』や『ポケットモンスター』のパクリの『PowerMon』、そして家電製品やお菓子など。 このように韓国では洗脳するかのように「自国は強い」と教育を通じて教え込んでいるのだ。韓国は2年間の徴兵制度があるので、若い内から国民を堕落させてはいけないという考えなようだ。北の某国に通じるものがある……。 日本よりも受験戦争が激しいと言われている韓国だが、教えている内容がこれでは全く意味が無いようなきがするが。 韓国旅行に行った日本人モデルに韓国人が暴言「くそ猿野郎」 「あなたは可愛い。純日本人じゃないでしょ?」 | ロケットニュース24 ttp //rocketnews24.com/2012/08/29/244254/ +記事コピペ収納 費用の安さや移動時間の短さから、手軽な海外旅行として韓国へ行く人は多い。 連日テレビなどで ”韓流スター” のイケメンや美女のアイドル歌手などが出演しているので、「馴染みのある韓国へ旅行に行きたい!」という人は多いと思うが、残念な出来事が起こってしまったようだ。 それは人気モデル「本田麻里絵」さんが旅行で韓国に行ったところ、さまざまな場面で日本人に対する侮辱的な言葉を韓国人から受けていたというのだ。韓国が好きという本田さんも、さすがにショックを受けているようである。 ブログによると、まず、サッカーを観戦している親しくしていた韓国の友人が「日本どうか負けろ」、「日本に負けたら国の恥」、「私達の領土を私達のものと主張してオリンピックはなにを怒っているのか」と言うのを聞いたそうだ。オリンピックの場で政治的な主張するべきではないと反論した本田さんに対しても「なにがいけないのですか?」と開き直り、本田さんは驚いたという。 また、友人の母も出会って20分で「独島は私達のものだから!」と主張。マッサージ店でも本田さんが韓国語を分からないと思った店員が、韓国語でさまざまな悪口を言っていたとのこと。さらにひどいのは音楽フェスティバルで「くそ猿野郎」と暴言を吐かれたり、ここでも「独島は我が国の領土」とわざわざ聞こえるように言われたとのこと。 そのなかでも特に本田さんが怒りを感じたのが、「とてもかわいいですねー! オリジナル日本(お父さんもお母さんも日本人)じゃないでしょ? 絶対!」と何回か韓国人から聞かれたことだそうだ。日本人の本田さんに対して、いくらなんでもそんな言い方はひど過ぎる。韓国が好きで、普段は温厚な本田さんもさすがに言い返したくなってしまったそうだ。 本田さんは熱烈な韓国ファンだっただけに、きっと今回の旅行は相当残念に思ったことだろう。しかし彼女のブログには「とりあえずまた韓国いってきます(中略)今回は楽しい旅になりますように…」と書いてあるので、怒りはしたものの韓国の全てを嫌いになったわけではないようだ。彼女が願うように、楽しい韓国旅行になることを切に願うばかりである。 参照元:本田麻里絵オフィシャルブログ 名前 コメント ◇◆前へ/次へ/目次へ
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アンソニー・エドワード・スターク――トニー・スターク。 大企業“スターク・インダストリーズ”の社長職を務めていた彼は、経済界において無視できぬビッグネーム。 企業運営に辣腕を振るい、科学者としても他の追随を許さない優れた才覚を示す。 さらに自ら開発したパワードスーツ“アイアンマン”を身に纏い、ヒーローとして世界の危機と日夜戦い続ける男。 世に言う、“戦う実業家”である。 「“鋼鉄の男”(Iron Man)。実業家のあだ名としては、やや固すぎやしないか?」 「文字通りに、ですね。マスター」 その肩書は、この聖杯戦争の舞台においても有効に機能する。 近年、本社を置くアメリカからこの日本に進出してきた世界的大企業、スターク・インダストリーズ。 その日本支社に長期出張し、どっしりとこの国に根を張り巡らす野心家の社長――それが、トニーに与えられた役割(ロール)。 多方面の事業に手を出しことごとく成功を収めるトニーの手腕は、スーツを纏ってもいないのにも関わらず“鋼鉄の男”と囁かれるほど、らしい。 「と言って、僕にはまったくそんな記憶はないんだけどな。まあ、兵器を扱っていないことだけは本当にありがたいが」 ただ一点、トニーが心底から安堵したことに、このスターク・インダストリーズは軍需企業ではなくなっていた。 取り扱うのは生活に便利な家電、身体的に不自由な者の介助をする器具、運転者・歩行者双方の安全を可能な限り保護する自動車、など。 世のため人のためになる商材を扱っている、真っ当な企業。それが、この聖杯戦争において構築されたスターク・インダストリーズである。 かつての苦い経験から軍事産業に関わることを放棄したトニーとしては、“本当のスターク・インダストリーズ”に極めて近い、理想的な企業と言えた。 「日本の安全保障は専守防衛を掲げている。そんな国を舞台とするにあたり、軍事企業の存在は好ましくない……そんなところか」 「肯定です、ミスタ・スターク。日本は世界的に見ても稀に見る治安の良さを誇ります。 軍事企業としてのスターク・インダストリーズが存在していれば、銃火器の調達も容易となってしまいます」 「それでは治安などあってないようなもの。戦闘行動はあくまでサーヴァントという戦力を用いて行うもの、という訳か」 「例外は、マスター。あなたのように自前の戦闘手段を持つマスターたち、ですね」 トニーに相槌を返すのは、古典的な女給服に身を包んだ長髪の女性。シールダーのクラスを司る、トニーのサーヴァント。 この館そのものがシールダーの実体であるので、目の前の彼女は触れることのできない立体映像に過ぎないが。 トニーの極めて個人的かつセンシティブな事情により、彼女の呼称はクラス名であるシールダーではなく“フライデイ”とされている。 「フライデイ? “我が社”のビジネス状況はどうなっている?」 「業績は極めて好調です。この冬木市においても、財界・政界多方面に多少の口利きができる程度の影響力は保持しています」 トニーの眼前に幾つものグラフ・表が投影される。社の状況をわかりやすく整理した資料。シールダーは優秀な秘書でもあるようだ。 極めて好調。シールダーの言葉通り、ぱっと見て何かしらトニーが干渉すべき事案はなさそうに見えた。 この分なら、放っておいても業務は滞りなく行われる。トニーの行動を縛るものではない。今のところは。 「ふむ、予期せぬ朗報だな。少なくとも、行動を制約されるどころか、採れる選択肢は大きく広まるだろう」 「一般的なマスターと比較し、金銭的な面で我々は圧倒的なアドバンテージを得ていると言えます。ですが、デメリットも」 「有名税かな? 僕は我が国屈指の高額納税者だと自負しているんだけどね」 「イエス、マスター。仮にマスターがこの館から一歩も出なかったとしても、あなたの名が何かのニュースで読み上げられない日はないでしょう」 アメリカに本社を置くスターク・インダストリーズ、その社長が直々に日本支部に出張してきているのだ。 なるほど、少し調べてみればトニーの名はネットで容易に目にすることができた。 曰く、会社運営だけでなく新商品開発も自ら手掛ける天才科学者。 曰く、恵まれない子どもたちに多額の寄付を行う慈善家。 曰く、見目麗しい女性に目がない尻軽プレイボーイ―― 「おい、なんだこれは。風評被害も甚だしいぞ」 「そうでしょうか? 極めて妥当な評価だと言えるのでは」 「まださっきのニッタミナミ嬢のことを引きずるのか? 君は結構根に持つタイプだな」 「学習の成果です」 「まったく……まあ、いい。次、スーツの方はどうだ?」 トニーが手を振ると社の資料は跡形もなく消え失せ、代わりに人型の影を捉えた映像が表示される。 空飛ぶ鋼鉄の鎧。トニー・スタークのアイデンティティ。 すなわち、アイアンマン・スーツ。 トニーがシールダーと初めて会ったとき、スーツは着用していなかった。 戦車以上の戦力を持つスーツそのものを持ち込むのはさすがにアンフェアと判断されたのだろう。 護身用としてか、腕時計から変形する掌だけのスーツ――言うなればアイアン・ガントレットだけは持っていたが、さすがにこれでは心許ない。 故にトニーは、館をバージョンアップするのと平行してアイアンマン・スーツの作成にもとりかかっていた。 「間もなくマークⅣ’がロールアウトします。その後、マークⅦ’の建造に着手する予定です」 「ふむ。技術者としては、古いバージョンを再利用するのは些か抵抗がないでもないが、まずモノがないと話にすらならないからな」 トニーがまずシールダーに生産を急がせたのは、第四世代のアイアンマン。 装着車の衣服を問わず装着でき、また独立したアーク・リアクターを搭載しているためトニーの胸のアーク・リアクターに負荷をかけないモデルである。 これ以前のバージョンでは安定性に難があり、これ以降のバージョンは生産に時間が掛かる。 まず一体確保しておくべきと、時間と戦力を秤にかけ選んだのがこのモデルだった。 マークⅦはマークⅣの三世代後のモデル。過日のチタウリ襲来の際、最後に使用した決戦用のスーツだ。 それ以前のモデルとは違い、完全なスタンドアロン型で飛行も可能。 メカニックアームに頼らず身体一つで装着できるため、基地に帰還せずどこでも着脱可能という汎用性の高さが自慢であり、トニーが記憶している中で最も戦闘力に秀でたスーツだ。 これ以降ともなると、現在構想中の新型か。だがそれはまだ実用化できていない――トニー本来の環境においても。 「しかし、“マークⅣ’”か。そのままではサーヴァントに通用しないというのは悔しいところではあるな」 「ミスタ・スタークは魔術に関しては門外漢です。仕方のないことでしょう」 「不思議なものだな。設計自体は何も変えていないのに、メイド・イン・フライデイのパーツで組んだだけで魔術的にも有効になるものとは」 「ですが、マスター。先ほどお伝えした通り」 「サーヴァントとの直接戦闘は危険、だろ。わかっているよ」 シールダーによって生産されたアイアンマン・スーツは純機械でありながら神秘を帯び、サーヴァントとも戦闘が可能となる。 が、それはイコールで勝てる、というものでもない。 トニーが試算したところ、どんな高性能のスーツを開発したとしても、勝算は“まったく相手にもならない”から“多少は食い下がることができる”程度にしか変動しない。 それほどにサーヴァントという存在が持つ戦力は、トニーの常識を逸脱したものであった。 「戦闘力に優れた三騎士にはまず勝てない。同じ理由でバーサーカーも不可。 英霊にもよるが、スーツ以上の空中機動力を持つであろうライダーも厳しい。となると、やりあえそうなのはキャスターとアサシンくらいか」 「その二つも、よほどの例外が重なったときにかろうじて、というものです。基本的にはマスターが押し勝てる存在ではありません」 「やれやれ。この冬木市では泣く子も黙るアイアンマンも型なしだな?」 しかしトニーは特に沈んだ素振りも見せず、シールダーににやりと笑う。 それを強がりと取るか無理解と取るか迷ったシールダーだったが、 「僕より強い奴がいるなんて、別に初めてって訳じゃない。 なんならソー、バナー……ハルクだって、本気を出せばそりゃもう手がつけられないからね」 意外なほどに晴れやかなトニーの表情を見て、これはネガティブな意味ではないとシールダーは悟る。 トニー/アイアンマンが所属するスーパーヒーローチーム、アベンジャーズ。 かつて共に戦った盟友、マイティ・ソーとブルース・バナー/ハルク。 彼らが持つ武力は、アイアンマン・スーツの遥か上を行くものだったとトニーは語る。 ソーは別世界の神々の一柱であり、天を引き裂く雷と大地を砕くハンマーを振るう。 かつてトニーはソーと戦ったことがあった。一見互角に渡り合ったように見えたが、ソーは人間の世界を守るために動いていたのだ。 今にして思えば、ソーはあのときは手を抜いていたのだろう。チタウリ決戦でソーが見せた巨大な雷を食らっていれば、アイアンマン・スーツなど一溜まりもなかったはずだ。 ハルクはトニーと同じ世界の出だが、特殊な実験によって巨人と化す体質になった男だ。 ソーのような雷も武器もないが、ハルクの脅威はただ、異常とも言える怪力ただ一点に尽きる。 カーボンナノチューブのワイヤーを百万本束ねてもこうはならない、という説明不能な強度としなやかさを併せ持つ肉体。 その豪腕から繰り出されるパンチは、ただの一発で巨大な飛行戦艦をばらばらに粉砕せしめる。 ちなみに、ソーもハルクとほぼ同等の身体能力を誇るらしい。さすが神々だともはや笑えてくる。 「ここにいる連中は手加減無し、本気のソーとハルクばかりだ、と思うとわかりやすい。それは僕一人で太刀打ちできるはずがない」 「ええ、ですから私が存在するのです」 「頼りにしているよ、フライデイ」 トニーとて、いくらスーツが用意できても一人で戦うつもりなど毛頭ない。 シールダーは元来、防戦に特化したサーヴァントだ。移動できない代わりに、鉄壁の防御と豊富な迎撃兵装を誇る。 アイアンマンが活躍するとすれば、敵を誘い込んでのシールダーとの共同戦線。 彼女の援護を得たのなら、対サーヴァント戦の勝敗は“多少は食い下がることができる”のではなく“返り討ちにする”ことが可能なはずだ。 「では、当面の予定としては。迎撃兵装の増産、マスターのスーツの作成。平行して市内の情報を収集、でよろしいでしょうか?」 「ああ、頼む。戦力が整わないうちから打って出るのはバカバカしいからな。 さて……僕は少し休むとするよ。ずっと机に向かってたらさすがに肩が凝ってきた」 「浴槽は最適な温度をキープしています。入浴後はシャンパンを開けられますか?」 「魅力的な提案だが、さすがにアルコールは止めておこう。何か動きがあったら知らせてくれ」 あくびを一つ、ぐっと伸びをしたトニーは席を立って浴室へ向かう。 ついてこようとしたシールダーに無言で止まれ、とジェスチャーし、しばしの休息を堪能することにした。 熱い湯を全身に浴びると、疲労で鈍っていた頭が爽快に動き出す。 睡眠不足の根本的な解決にはならないが、いまはそう長く思考を止めていられる状況でもない。 「アベンジャーズの仲間はいない。だが孤立無援という訳でもない……」 ここに、彼らがいれば。 神話より出でし天翔ける雷神、ソー。 剛力無双、憤怒の化身、ハルク。 美しく危険な女、ブラックウィドウ。 俊敏で精確、百発百中のホークアイ。 気心の知れたもう一人の“鋼鉄の男”、ローディ。 そして――アメリカの英雄。 父から何度名を聞かされたか。スクールの教科書で、ペーパーバックで、フィルム・ピクチャーで、何度その名を目にしたか。 そう、彼はアメリカの象徴。彼を示す言葉はひとつ――“正義”。それだけで事足りる。 キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース。 かつてアメリカを、ひいては世界を救った男。本物の、英雄。 冷たい海より蘇りし、旧時代の遺物。トニーとは意見信条主義嗜好と何もかもが食い違う、まさに骨董品たる堅物。 だが。 口惜しいことに、否定できない。 ここにキャプテンがいてくれれば、隣りに立って共に戦ってくれるのならば。 どれほど、心強いことか。 「……まったく。“アイアンマン”が、聞いて呆れるな」 弱気の虫を冷たい水で押し流す。ないものねだりをしてもしょうがない。 いまここにいるトニーが、いまここにあるもので戦うしかないのだ。 カランを捻り水を止め、トニーは浴槽に身を沈めた。胸のアーク・リアクターには防水加工が施してあり、浸水の心配はない。 温かい湯が身体の奥まで染み込んできて、払ったはずの眠気が再び忍び寄ってくるのを感じる。 「孤立無援ではない……そう、必要なのは協力者だ。僕と同じ志を持つ、善意の協力者」 すなわち、街を、市民を、そして平和を守る者。 トニーはシールダーを魅力的な研究対象として捉えてはいるが、だからと言って他のマスターを皆殺しにしてまでその力が欲しいと思っている訳ではない。 それはトニーが憎む悪の所業だ。戦火を広げる者を討つ、それがいまのトニーを突き動かす唯一にして絶対の行動原理。 故に、トニーが“聖杯”を獲る方法は優勝ではない。 この知識で、この智慧で、この機転で、この想像力で、奇跡もたらす“聖杯”を徹底的に分析し尽くす。 “奇跡”を、人の手で再現できるように。 得体の知れないオカルティックな遺物を、ロジックが支配する科学の領域に引きずり下ろす。 “奇跡”ならぬ“性能”を以って、襲いかかる敵を撃退する。永遠に。犠牲を出すことなく。 そうすることでトニーの願いも――人々が怖れることなく心安らかに暮らし、戦士たちも武器を捨てて家に帰る――叶う。 「なんなら、そうだな……僕に協力してくれるのなら、その誰かの願いもついでに叶えたって良い……。 ホワイトハウスを買い取る? 太平洋に新大陸を創造する? 十人前のピザを一分で食べられるようになる? はは、何だって思いのままだ……逆上がりだってできるようにしてやるぞ……」 思考の体を成さず、無意識にこぼれ落ちる言葉の数々。 その羅列は、突如耳と言わず鼻と言わず流れ込んできた湯によって強制的に遮断された。 「……っぷぁ! はっ……なんだ、眠ってしまったのか」 慌ててバスタブの縁を掴み、身体を引き上げる。 思いのほか、長湯したようだ。一瞬とはいえ完全に意識が飛んでいた。 「……出よう。さっぱりしたことだしな」 浴室を出て、タオルで身体を拭いて衣服を身につける。 ふと、シールダーは何をしているのだろう、と思った。 「マスターが溺れかけたってのに、薄情なやつだ」 子どものような失敗をした気恥ずかしさからか、八つ当たり気味に口を尖らせる。 もちろん、シールダーが見ていたら見ていたでトニーはプライバシーの侵害だの母親気取りかだの、何かしら文句を言ったのだが。 ぶつぶつと呟きながら作戦室――設備の設計を行い、また市内の様子をモニターできるように設えた部屋――に戻ってきたトニーを、 「フライデイ? 悪いが熱いコーヒーを……どうした?」 「マスター……これを」 出迎えたのは、先ほどの打ち解けた様子もどこへやら、緊張した面持ちで立ち尽くすシールダーだった。 その手が握り締めているのは(彼女はホログラムだから実際に握っているのは彼女専用に作ってやったロボットアームだが)、一枚の手紙だった。 「この聖杯戦争の主催者からの、通達です」 微睡みの時間は終わりのようだ。 トニーは頭を拭いていたタオルを放り出し、シールダーから受け取った手紙を開封して一息に読む。 ご丁寧に写真まで同封されていたそれは、文面を読んでいないシールダーにさえ容易に内容を想像できるものだった。 「……どこにも馬鹿はいるものだ。まさかこんなに早く動き出すとはな」 「とすると、その手紙はやはり討伐令でしたか?」 「ああ。しかも二組! まったく、クリスマス前だからってはしゃぎ過ぎだ! 良い子にしてないとサンタは来ないっていうのにな」 苛立たしげに吐き捨て、トニーは手紙を机に叩きつけた。 そこに写っているのは、片目が紅いフードを被った男と、二メートルを越す長身の女。どちらも赤い。返り血の赤か。 こいつらは人を喰う。比喩ではなく文字通りに。血の海になった路地裏の写真が吐き気を催す。 人間は同族を食わない。人間を食うのは、人間はないモノ。人間とは、相容れない存在。 もう一組の写真は、二人の男。だがどう見ても、これは―― 「双子のピエロかな?」 「いえ、おそらくサーヴァントがマスターの姿を真似ているものかと」 「……そうだな」 さすがにこの状況ではジョークを返してくれないシールダーにやや凹まされ、トニーは写真をひらひら振ってみせる。 写っているのは瓜二つどころではない、まったく同じ容貌の男だ。 白く染め抜いた顔に、口紅を引いたように赤い唇が三日月のような弧を描く。笑っていた。嗤っていた。嘲笑っていた。 さも愉快そうに、愉しそうに。トニーの心中に抑えがたい不快感が込み上がる。 「こいつらは両方ともバーサーカーだと。ここまで見境がないのも納得だな」 「ですが、マスター。彼らはサーヴァントだけが狂っているのではなく」 「ああ、マスターも同様だ。人喰いの化け物に、快楽殺人者。なんでこんなイカれた奴らに制御できないクラスを割り当てたのか、理解に苦しむね」 「そういうマスターだから……かも、しれません。彼らは今後引き起こされる闘争の中心に位置することでしょう」 「争いを誘発する存在、か。本当に度し難いな」 トニーの言葉には紛れもない嫌悪感が満ち満ちている。 それも当然だ。二人のバーサーカーのマスターは、ヒーローたるトニーの対極に位置すると言っていい。 騒乱を巻き起こし、破壊を振り撒いて、人の命を奪う。一分一秒、生存を許してはならない邪悪。 「どう致しますか、マスター。我々も動きますか?」 「そうしたいところだが……バーサーカーともなると、間違いなくこいつらは強い。僕だけが出向いても、熱々のピザをデリバリーするようなものだな」 「はい……残念ですが。この近辺に現れたならともかく、こちらから仕掛けることは困難です」 「こうして大々的に狩れと命じてきたからには、僕ら以外の奴らにも声をかけているだろう。 令呪は貴重だ。すぐにでも動く奴はいるはずだ……とすると、市内は戦場になる。僕らはそっちのフォローに回ろう」 「了解です、マスター。市内を巡回しているアンドロイドに指令を出します」 「逃走経路の構築、避難誘導の文言、ああ、シェルターも用意しないと。近くならここでいいんだが、ただの建築物がサーヴァントの戦闘に耐えられるはずもないしな。 よし……フライデイ。追加の発注だ、十数人が乗り込めるバスを作ってくれ。有事にはそれで市民をピックアップし、ここまで連れてくるんだ。 運転は僕がプログラムを組もう。とにかく数とスピードが最優先だ、市内の倉庫を幾つか買い取ろう。そこにバスを待機させて」 矢継ぎ早に指示を繰り出すトニー、その命令を忠実に実行していくシールダー。 が、まるでゼンマイが切れたかのようにその動きがぎこちなく停止する。 「フライデイ?」 「マスター、アンドロイドの一つが接触しました……ピエロの二人組です!」 鋭い刃のようなシールダーの報告が作戦室を貫き、トニーを身構えさせる。 「モニターに出せ!」 スクリーンに投影されたのは……奇妙なほどに澄んだ瞳だ。 覗き込んでいるとどこまでも吸い込まれそうな。あるいは、呑み込まれそうな。 カメラが引く。いや、引いたのは瞳だ。 「……っ!」 トニーは息を呑む。思わず引いた身体が机にぶつかり、空のカップが落ちた。 レンズが捉えたのは、満面の笑みを浮かべる道化師の男。 バーサーカーのマスター、ジョーカーという男だった。 ◆ HA HA HA HA HA HA HA HA ――――――――…… 笑声は後方に置き去られる。 朝日に照らされ始めた道を疾走するのは影なる鋼鉄の騎馬、二騎。 まばらな車影を縫うように、凄まじいスピードで駆け抜けていく。 闇そのものを固めて形作ったバイクに跨るのは、首から上を失くしたライダー。 その後ろにタンデムするのは、道化師の男。男たち。 影のバイクは先を争うようにコーナーに侵入し、焼けたタイヤが煙を立ち登らせた。 「GOOOOOOOOOOOAL!! YEAR! チェッカーフラッグはオレのもんだな」 「“オレの”ものということは、“オレの”ものだ。つまりはオレの勝ちだな」 「HAHAHA、そうだったなァ、じゃあノーゲームか。次は何する?」 「モグラ叩きはどうだ?」 「いいねェ! 乗った!」 バイクは車線を空けていた先行車に寄せる。するとジョーカーが身を乗り出した。 振り下ろされたのはどこにでもある鉄パイプ。無骨な、太い、変哲もないただの鈍器。 自動車のフロントガラスが破砕する。コントロールを失った車体は大きくスピンし、あるものは転倒、あるものはガードレールに衝突。 やがてそこかしこから爆発音と真っ赤な炎が吹き上がる。 片手では足りない数の自動車をクラッシュさせて、ふとジョーカーは首なしライダーの背をトントンと叩き停車させた。 「どうした?」 「見ろよ、アレ。面白いものがあるぜ」 首なしライダーのバイクから降りたジョーカーとバーサーカーは、大破した車の一台に歩み寄った。 ドライバーの手が割れたガラスからはみ出ている。その手が流す血は、赤ではなく黒い。血ではなく、オイルだ。 骨は金属のフレーム、神経はケーブル。人のものとは似ても似つかぬ、メカニカルなパーツ。 いくつもの死体の中に一つだけ、死体ではないものがあった。 「なんだこりゃ。最近の義手は良くできてるな」 「カッコいいねえ。オレも作ってもらおうか?」 「そいつぁいい。そうだ、ついでにパンをトーストする機能もつけてもらおうか」 「こんがり焼かないとな ……お? まだ動くな、こいつ」 ジョーカーは、あるいはバーサーカーは車からメカ人間を引きずり出した。 顔面――を偽装していた合成樹脂を引き剥がす。現れたのはやはり、金属の頭蓋骨。 眼球はカメラのレンズ。そのレンズがぎょろりと動き、ジョーカーを映した。 ◆ ――うん? こいつ、オレを見てるぞ? ――こいつは使い魔の一種だな。映像を何処かに送信している。 ――ほう、ほーう。じゃあ何か、こいつを通して誰かがオレたちを覗き見てるってことか! ――誰か、じゃなくてサーヴァントだなあ。誰だ? オレたちと遊びたいのか? モニターに映った二人の道化師は、寸分違わぬ狂笑を張り付かせてレンズの向こうのトニーを見据えていた。 こちらの存在を認識しているはずはないのに、何故だかトニーはジョーカーに見られている感覚を打ち消せなかった。 「フライデイ、こちらの情報が漏れることはあるか?」 「ハッキングは受けていません。今のところは問題ないはずです」 トニーとシールダー合作のアンドロイドは、魔術と機械のハイブリッドだ。 捕獲され、解析されればこの場所を辿ることも不可能ではないが、それにはシールダーと同等の魔力、さらにトニーに匹敵する技術力あってこそだ。 見たところ、ジョーカーとバーサーカーにそれはない。故に、トニー達の情報を知られる可能性はほぼない、はずだった。 もちろんこちらからコンタクトをとることは不可能ではない。が、トニーはどうしてもそうする気になれなかった。 理由は、ジョーカーの瞳を見てしまったからだ。 あの、底なし沼のごとく見る者を引きずり込む引力を放つ狂気の…… ――……おいおい、だんまりか。つれないなぁ。 ――恥ずかしがり屋の“ピーピング・トム”、出ておいで、ってな。 ――まあ、いいさ。こうやって偶然当たりを引いたってことは、街を歩けばまだいくらでもこいつらがいるだろ。 ――ショーには観客がつきものだからな。 ――安心したぜ。オレたちの功績まで全部あのグールに持ってかれちゃあ堪らんからな。 ――つまり、“お前が”オレたちの“スコアラー”ってことだ! よォく見てろよ? 数えとけよ? ――ああ、なんだかやる気が出てきたぞ! 見られるってキモチいいなァ! 二人のピエロはステップを踏み、手と手を取り合ってダンスする。 まるで子どものように。無邪気に、愉快そうに、そして残酷に。トニーに見ろと、記憶しろと迫る。 彼らがこれから行う破壊と殺戮、混沌と悲嘆のパレードを。余すところなく見届けろと。 ギリッと、噛み締めた奥歯が鳴る。最初に感じた怯えはどこかへ吹き飛んだ。 こいつは……こいつらは、放っておいてはいけない。いや、生かしておくのすら許されはしない。 ――いよォし! じゃあ次行くか! どこ行く!? ――そうだなァー……おっ、これどうだ? 沸々と怒りのボルテージを上げるトニーをよそに、ひとしきり踊って満足したかピエロたちは辺りの散策を始めた。 アンドロイド同様、ひっくり返って絶命した市民――助けられなかった。頭痛がひどい――の懐を探り、一枚のチラシを取り出した。 シールダーがすかさず拡大する。文字を読み取る。 442プロ主催、クリスマスライブ。 出演アイドル【高垣楓】【新田美波】【神谷奈緒】【白菊ほたる】【市原仁奈】…… アイドル。ライブ。新田美波、ニッタミナミ。数時間前にテレビで見た、美しい女性。 ぞくり、とトニーの背筋を悪寒が這い上がる。 予想通り、そのチラシを見たピエロどもはにんまりと満面の笑みを浮かべていた。 ――見ろこれ見ろこれ、ライブだとよ。楽しそうじゃないか? ――ああ、きっと楽しいぞ。でも見てるのは退屈だ。だからオレたちも一つ、盛り上げてやろうじゃないか! ――演出か! やったことはないが、いや待てあるか? ああ、こういうのは得意だぜ。 ――ジョーカー&バーサーカーが送るサプライズイベント! こいつは見逃せないな、“ピーピング・トム”! ――明日の15時、特設ステージ……なんてこった、時間がねえぞ! こりゃ急いで準備しないとな! ――そうと決まればこうしちゃいられねえな、行こうぜ“オレ”! ――OKOK、楽しいクリスマスパーティの始まりだ! HA HA! BAN! 銃声を最後にアンドロイドからの映像は途絶えた。 そのまま、静寂が作戦室を支配する。 「……マスター? あの、どう致しますか……?」 たっぷり数分は待っても主が動かないので、シールダーは恐る恐る問いかけた。 それでもトニーはやはり動かない。その手はぐっと胸を――心臓を押さえつけている。 動悸よ静まれと念じるように。あるいは、神に勝利を誓う戦士のように。 さらに数分、トニーはようやく目を開く。 「……フライデイ、プラン変更だ。打って出るぞ」 「マスター!? 危険です、それは!」 「こいつらを野放しにしておくのは危険だ。どれほどの犠牲が出るかわかったものじゃない」 「それはわかります。ですが……!」 ジョーカーの挑発に乗る、とトニーは言った。だがそれは自殺行為だ。 そんなことはシールダーに言われるまでもなく、トニー自身が一番理解している。 「落ち着けよ、フライデイ。なにもこいつらのところに正面から殴り込むって言ってるんじゃない。 それは他の奴らがやるだろう。人喰いの方は、遺憾だが他の誰かに任せる。 僕らは表から……いや、裏から、かな? ピエロどもの動きを封じるんだ」 トニーは机に向かい、新たな設計図を引いていく。 そのペンは先程にも増して早い。ジョーカーに対する怒りと嫌悪がトニーを突き動かしていた。 聖杯戦争の常道、つまりサーヴァント同士の戦闘を“表”とするなら、トニーがこれからやるのはまさしく“裏”の戦法だ。 「スーツを用意してくれ。ああ、パワードスーツじゃないぞ。カメラ映えする、ビシっとしたビジネススーツをだ。 それと、スターク・インダストリーズの名前を使ってテレビ局にコンタクトを取ってくれ。この僕、トニー・スタークがアイドルたちのライブに大いに興味を持っているとな」 「テレビ局に、ですか。不可能ではありませんが」 「あと、442プロダクションと言ったか。僕が、スターク・インダストリーズがスポンサーになると申し出ろ。 今からではライブ開演に口を出すのは無理だろうが、関係の理由付けにはなる。 とにかく今日、僕がアイドルと接触できるような場を作るんだ。トークショーでも取材でも何でもいい」 単純な戦闘力では、いまのトニーとシールダーでは、ジョーカーとバーサーカーを仕留められない。 だからこそ、トニーは“戦わない”。 トニー・スタークの一番の強みは、戦闘力ではない。 創り、生み出し、活用する。それがトニーの、アイアンマンのスタイル。 それはモノには限らない。行動を起こす機会でさえも、自らの意志で創り上げるもの。 「ライブに出演するアイドルを全員、“ここに”、このウィンチェスター・ハウスに保護する。 そして彼女たちと入れ替わったアンドロイドは“事故”に遭ってもらい、土壇場で明日のライブを中止させるんだ」 これが、トニーの頭脳が弾き出したプラン。 犠牲を最小限に抑え、かつジョーカーとバーサーカーを確実に討伐する。 ライブを見せ餌とし、ジョーカーたちを誘い出し、その目論見を挫いた上で全戦力を投入し、カタをつける。 一人二人の欠員ではライブは続行するだろう。だが出場予定のタレントが全員いなくなればどうか。 穴埋めの人員は一日では手配できまい。仮に無理やり都合をつけたとして、それは本来のライブとは比べるべくもないお粗末なものとなるだろう。 そんな舞台であのジョーカーは満足するか? 答えは否だ。 行動を取りやめることまではしないかもしれない。だが、打撃には違いあるまい。その僅かな間隙を千載一遇の好機に変えるのがトニーの仕事だ。 工作のための資金は、幸運な事に潤沢だ。戦闘力に劣る代わりに、トニーに与えられたロールが最大の効力を発揮する。 昨夜見たニッタミナミ嬢ら、アイドル諸君には申し訳なくも思うのだが、人名が最優先だ。 首尾よくジョーカーらを始末できれば、改めてライブを開けば良い。そのための資金は全額スターク・インダストリーズが補償しよう。 「金はいくらかかってもいい。もし足りないのなら本社の株を売るなり特許を売るなり、あらゆる手を使ってかき集めろ」 「いえ、おそらく資金は問題ありませんが。ライブを中止に、ですか。それであのピエロたちが諦めるでしょうか?」 「ないな。だが、少なくともこちらがイニシアチブを取れるはずだ。 ライブ会場の見取り図を用意しろ。万全の体制で奴らを誘い込み、迎え撃つぞ」 ジョーカーが攻める、のではなく、ジョーカーに攻めさせる。 来るとわかっているのならば、またそこに罠を仕掛けられるのならば、主導権を握るのは容易いことだ。 トニーの目的はあくまで狂ったピエロの打倒であって、報酬である令呪にはさほど興味がない。 ジョーカーを倒しやすい舞台に誘導し、周辺被害の心配もなくしてやれば、猟犬のように集まってくる血気盛んな誰かが勝手に倒してくれるだろう。 「さっき言った通り、避難用のバスの生産は続けろ。それと平行して、乗用車もいくつか作れ。 その車に攻撃用の兵器を幾つか積む。自走式の砲台だ。これなら館から離れてもある程度の火力を運用できるだろう。 完成次第、さっき言った空き倉庫を適当に買い上げて詰め込んでおけ。 あと、僕のスーツ……パワードスーツの方だが、マークⅦ’の製造は一旦保留。代わりにマークⅤ’を再優先だ」 「マークⅤというと、携帯用ですか?」 アイアンマン・マークVは携帯性に優れたモデル。 アタッシュケース型のボックスにまで縮小したパーツを展開することで、いつでもどこでもアイアンマンになれる。 小型化の代償として性能はお話にならないものだが、それでも戦車くらいなら軽くスクラップにできる。 サーヴァントと殴り合えるものではないが、少なくともある程度逃げ回ることくらいは可能なはずだ。 「そうだ。本当はマークⅦ以降の完全スタンドアロン型が理想だが、人目につくのもまずい。 あれなら持ち歩いてもアタッシュケースと言い張れるからな」 「その分、性能に不安が残ります」 「緊急離脱用だ。戦闘力はさほど問題じゃない……というか、そういう状況にはならないようにする」 人目につく場所でアイドルを拉致するからには、当然トニー自身が疑われる状況は避けねばならない。 そういった点でも、手軽に携帯できて数秒で完全に容姿を変更できるアイアンマン・マークⅤは非常に有用だ。 無論、トニー自身が手を下すのは最終手段だ。 基本的には、シールダーが送り込む人間に擬態したアンドロイドに任せるつもりでいる。 「しかし……この館を出ては私の力は届きません。それではマスターを守れない……」 「反対か? 僕も正直、こんな危ない橋は渡りたくない。 だが今は、動かせるユニットは僕自身だけだ。助っ人がいれば別だが、そうではない以上他に選択肢はない」 「……了解しました。でも、ご自身の安全を再優先にしてください、マスター。 あなたがいなくなれば私も消える。街を、人々を守れる存在が消えてしまう」 「させないよ、そんなことはな。大丈夫だ、僕はやれる……やってみせるさ」 守ってみせる。この街も、人々も。 傷つき倒れた仲間たちのビジョン――あんなものを現実にしてはならない。 トニー・スタークは一人かもしれない。だが孤独であることが、戦いを止める理由になどなりはしない。 あの日、初めてアイアンマンを名乗った日から、トニー・スタークに立ち止まることは許されていないのだから。 数時間後。 冬木市に住む人々が朝のニュースを見るべくテレビを点けたとき、そこには一人のアメリカ人が映っていた。 家庭の食卓に留まらず、通勤中の携帯端末で、街頭の大型モニターで、何百人もの人々がその男を目撃した。 一部の乱れもなく完璧にスーツを着こなす洒脱なその男は、カメラに向かって微笑みかけ、溢れる自信を言葉へ変えて放つ。 「ごきげんよう、日本の皆さん。少しだけ、皆さんの貴重な時間を拝借したい。 私の名はトニー・スターク……そして」 すぅ、と一息。 行け、行け、行け。 戦いを始めろ。 鋼鉄の鎧を身に纏え。 開始せよ、トニー・スターク! 自らに言い聞かせるように、胸の内で唱える。 そして。 「I am Iron Man.」 この偽りと闘争の世界の真ん中で。 人を/街を/すべてを守るため、アイアンマンの戦いが幕を開ける。 【新都 テレビ局/1日目 早朝】 【トニー・スターク@マーベル・シネマティック・ユニバース】 [状態] 健康 [装備] [道具] アイアンマン・スーツ・マークⅤ’@マーベル・シネマティック・ユニバース [令呪] 残り三画 [所持金] 潤沢 [思考・状況] 基本行動方針:街を、市民を守る。 [備考] 1.442プロのアイドルと接触、アンドロイドと入れ替えて明日のライブを中止させる。 2.ジョーカー&バーサーカーの目論見を阻止する。 3.協力者を探す(あまり期待はしていない)。 ※アイアンマン・スーツ・マークⅤ’ 13.6kgのアタッシュケースに偽装されたコンパクトなアイアンマン・スーツ。 携帯性に優れるが、武装・装甲ともに貧弱。とはいえ、車を蹴飛ばすなど超人的なパワーは健在である。 シールダーにより生産されたため神秘を帯びており、サーヴァントやそれに準ずる存在とも戦闘行動が可能になっている。 【深山町 ウィンチェスター・ミステリー・ハウス/1日目 早朝】 【ウィンチェスター・ミステリー・ハウス@シールダー】 [状態] 健康 [装備] 防衛兵装、防衛アンドロイド多数。 [道具] [思考・状況] 基本行動方針:マスターを守り、市民を守る。 [備考] 1.トニーのバックアップ。 2.避難用のバス、攻撃用の兵器搭載自動車、アイアンマン・スーツの製造。 3 市内各地の空き倉庫を買収、仮拠点の作成。 4.市内の情報を収集。 ※現在、市民避難用のバス、攻撃用の兵器搭載自動車、アイアンマン・スーツを製造中。 【深山町/1日目 未明】 【ジョーカー@ダークナイト】 [状態] 健康 [装備] 拳銃、鉄パイプ、その他色々 [道具] 442プロ主催クリスマスライブのチラシ [令呪] 残り三画 [所持金] 二百万円前後。 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争を自分好みに“演出”する。 [備考] 1.聖夜に最高のパーティを。 【フォークロア@バーサーカー】 [状態] 健康 [装備] [道具] [思考・状況] 基本行動方針:(ジョーカーに準ずる) [備考] 1.(ジョーカーに準ずる) 時系列順 Back Belley Star Next 勇者と竜と魔王と俺と 投下順 Back Belley Star Next 勇者と竜と魔王と俺と ←Back Character name Next→ WINter soldiers トニー・スターク Hurt Voice シールダー(ウィンチェスター・ミステリー・ハウス) ←Back Character name Next→ WINter soldiers ジョーカー たんぽぽ食べて バーサーカー(フォークロア)
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日記/2014年06月22日(SUN)/今日のまとめ 2014-06-23 【ニュース記事一覧】 ALPS 全系統で汚染水の処理を再開 NHKニュース 都議会やじ 自民が全員から聞き取り NHKニュース 都議会やじ 欧米メディアが批判 NHKニュース 拉致家族 再調査を前に緊急集会 NHKニュース 北陸新幹線 車両基地を報道公開 NHKニュース 貨物列車脱線 1キロ手前の枕木に傷 NHKニュース イネの農薬がミツバチ大量死の原因か NHKニュース 事実婚夫婦の体外受精を正式容認 NHKニュース 世界遺産登録の富岡製糸場にぎわう NHKニュース 若者1000人が集団的自衛権反対訴え NHKニュース 日本維新の会 解党・分党を正式決定 NHKニュース 戦没者の遺骨収集加速へ 自民が法案 NHKニュース 防衛装備品 長期契約可能になるよう調整 NHKニュース 河野氏本人の国会招致も検討を NHKニュース タイ 軍のクーデター宣言から1か月 NHKニュース エジプト同胞団183人に死刑判決 NHKニュース アフガンで爆発 和平担当幹部狙ったか NHKニュース ウクライナ 停戦宣言後も各地で戦闘 NHKニュース イスラエル側に死者 シリアへ報復の砲撃 NHKニュース 中国軍高官 ベトナムなどけん制 NHKニュース 韓国軍兵士が銃乱射し逃走 5人死亡 NHKニュース ALPS 全系統で汚染水の処理を再開 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015412031000.html ALPS 全系統で汚染水の処理を再開 6月22日 14時06分 東京電力福島第一原子力発電所の汚染水の処理設備「ALPS」は、トラブルで止まっていた1系統が22日午前、運転を再開し、3か月ぶりにすべての系統で処理を再開しました。 福島第一原発の汚染水の処理設備「ALPS」は、ほとんどの放射性物質を取り除くことができるとされる要の設備ですが、先月20日にトラブルで3系統すべてで処理が止まり、その後は再開した2系統での運転が続いていました。 東京電力によりますと、残る1系統についてフィルターなどを交換した結果、22日午前9時に再開し、3系統すべてで処理が再開しました。 3系統が同時に動くのはことしの3月以来、3か月ぶりです。 ALPSは1日に750トンの汚染水を処理することができるとされ、ことし4月から本格的な運転に入る計画でしたが、トラブル続きで安定した運転に入ることができない状態が続いています。 今回も3系統すべてで再開したものの、配管の接続部に腐食による隙間が見つかり、カバーを設置するため、すでに来月2系統の処理を一時的に停止することが決まっていて、安定運転のめどは依然立っていません。 都議会やじ 自民が全員から聞き取り NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015415321000.html 都議会やじ 自民が全員から聞き取り 6月22日 17時48分 東京都議会の一般質問で女性議員が質問を行った際、一部の議員から「早く結婚したほうがいいんじゃないか」などとやじが飛んだ問題で、議席からやじが聞こえたと指摘されている自民党は、所属する議員全員を対象に聞き取り調査をしています。 ただ、会派内の一部の議員には「みずから名乗り出たほうがいい」という意見もあり、自民党の対応に注目が集まっています。 この問題で都議会の自民党は会派の議席からやじが飛んだという指摘を受け、翌日の19日から所属する59人の議員全員を対象に、幹部が聞き取り調査をしています。 幹部によりますと今のところ、やじを飛ばしたと認める議員はいないということで、週明けの23日以降も調査を続けることにしています。 自民党では23日、所属する議員全員を集めた総会が開かれますが、この問題について意見が出ることも予想され、会派内の一部の議員には「調査を待たずに、みずから名乗り出たほうがいい」という意見もあります。 自民党の吉原修幹事長は「やじであっても問題発言であり、うちの会派から出たと指摘されている以上、調査をしなければいけない。早急に確認を取り対処したい」と話しています。 一方、自民党以外の会派からも「そもそも本人が自分から早く名乗り出て謝罪すべきだ」といった批判や、「再発防止に向けて議会として議論するべきだ」という意見が出ていて、自民党の対応に注目が集まっています。 都議会やじ 欧米メディアが批判 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015414131000.html 都議会やじ 欧米メディアが批判 6月22日 19時54分 東京都議会で質問をした女性議員に「早く結婚したほうがいいんじゃないか」などとやじが飛んだ問題について、欧米メディアも「差別的な発言だ」と批判する論調で伝えています。 このうちイギリスの新聞ガーディアンは、電子版で「東京都議会で女性議員が男性議員から性差別的な暴言を受ける」という見出しを付けた記事を掲載し、日本では女性議員の数が少なく女性の地位の低さを反映したものだと分析しています。 またアメリカの大手経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、やじを受けた塩村文夏議員へのインタビューを電子版で掲載し、「女性を軽視する議員には、結婚や出産をしたくてもできない女性たちのことを理解したり、支援する政策を立案したりすることはできない」という塩村議員の発言を紹介しています。 ロイター通信は、安倍政権が「女性の活躍」を成長戦略の柱の1つに掲げ、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にすることなどを目標としているものの、現在、日本では多くの女性が出産すると仕事を辞めるよう勧められると批判的に伝えています。 ネット上でも批判広がる 今回の問題は、インターネット上でも批判が広がっています。 やじを飛ばされたみんなの党の塩村文夏議員が、当日、ツイッターで「悩んでいる女性に言っていいことではない」などと反発したことが波紋が広がるきっかけとなり、「リツイート」と呼ばれる引用は22日午後5時までに3万件に達しました。 さらに、複数の会派が「やじは自民党の議席周辺から聞こえた」と指摘したことで、自民党東京都連に対して発言者の特定や厳正な処分を求める「ネット署名」も急速に賛同者を集めています。 署名を行っているのは「東京都議会における差別発言を許さない市民一同」というグループで、「Change.org」という署名サービスを使って行われています。 賛同者の数は22日午後5時までに7万件を超え、賛同者からは「すべての女性の人権を踏みにじる発言だ」という意見や、発言者の辞職を求めるコメントも寄せられています。 拉致家族 再調査を前に緊急集会 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015416231000.html 拉致家族 再調査を前に緊急集会 6月22日 18時48分 日本と北朝鮮の間で拉致被害者などの再調査に向けた調整が続くなか、被害者の家族が緊急の集会を開き、家族からは不十分な結果で幕引きが図られないよう、政府に妥協のない交渉を求める声が相次ぎました。 先月行われた日本と北朝鮮の政府間協議で、北朝鮮は拉致被害者を含む日本人行方不明者の調査を行うことを約束し、近く調査委員会の設置を巡って協議が開かれることになっています。 これを受けて拉致被害者の家族が東京で緊急集会を開き、はじめに家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんが「日朝関係が少しずつ動きだし、結果に近づくためのプロセスが見えてきた。この千載一遇のチャンスを全員で注視していきたい」と話しました。 このあと家族一人一人が訴えに立ち、横田めぐみさんの母親の早紀江さんは、前回の再調査のときに北朝鮮が出してきた「めぐみさんのものだ」とする遺骨から別人のDNAが検出されたことに触れ、「今度は何をしてくるのか、危機感を感じながら過ごしています。拉致という犯罪行為の被害者がまだ向こうにいることを忘れないでほしい」と訴えました。 また田口八重子さんの長男で拉致当時1歳だった飯塚耕一郎さんは「北朝鮮が一部の人だけを返して終わりにしないか、不安を拭いきれません。政府は事件の被害者をすべて取り戻す覚悟を持っていただきたい」と求めました。 有本恵子さんの母親の嘉代子さんは「北朝鮮が『死亡した』と説明している8人が亡くなっているとは思っていません。政府は8人が生存しているという前提で交渉に当たってほしい」と訴えました。 集会には拉致された可能性が排除できない特定失踪者の家族5人も参加し、一刻も早い真相の究明を求めました。 北陸新幹線 車両基地を報道公開 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015411941000.html 北陸新幹線 車両基地を報道公開 6月22日 14時06分 来年春の北陸新幹線開業に向けて整備が進められている、石川県白山市にある新幹線の車両基地が、22日、初めて公開されました。 白山市宮保町にあるJR西日本の白山総合車両所は、北陸新幹線の車両の精密な検査や修理を行う総合車両基地で、およそ26万平方メートルの敷地で整備が進められています。 22日は、車両の点検や修理を行う「台車検修庫」のほか、パンタグラフやブレーキ装置などを点検する「検修庫」が初めて公開されました。 このうち、「検修庫」には、JR西日本の新型車両、W7系が置かれていて、2日に1回、車両を点検するとともに、冬場にはレールの脇にあるスプリンクラーで台車に付いた雪を解かすということです。 また、22日は、地元の人たちおよそ500人を対象にした見学ツアーも行われ、参加者たちは、新型車両の最上級の客室「グランクラス」のシートの座り心地を確かめたり、記念撮影をしたりしていました。 参加した人たちは「グランクラスは車両の内部やシートがゆったりしていて、気持ちがよかった」とか、「ぜひ新幹線に乗って東京まで行ってみたい」などと話していました。 北陸新幹線は、8月からは石川県内でも走行試験が始まり、来年春の開業に向けた準備が本格化します。 貨物列車脱線 1キロ手前の枕木に傷 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015411491000.html 貨物列車脱線 1キロ手前の枕木に傷 6月22日 13時14分 22日朝早く北海道南部の木古内町のJR江差線で貨物列車が脱線した事故を受け、線路を管理するJR北海道が正午から記者会見を開き、西野史尚副社長が陳謝するとともに、列車が止まっている現場の1キロほど手前の枕木に脱線した跡のような傷があることを明らかにしました。 会見の冒頭、西野副社長は「原因の究明はこれからだが、利用客の皆さんに多大なるご心配とご迷惑をかけ、深くおわび申し上げます」と陳謝しました。 そのうえで、西野副社長は、列車が止まっている現場の少なくとも1キロほど手前にあるコンクリート製の枕木に、脱線した跡のような傷があることを明らかにしました。 JR北海道によりますと、傷が見つかった枕木付近のレールについては、今月4日に定期検査を行っていましたが、補修が必要とされるような異常は見つかっていなかったということです。 JRは、国の運輸安全委員会の調査が終わりしだい、復旧作業にあたるとともに、社内調査を行って脱線の原因究明を進めることにしています。 イネの農薬がミツバチ大量死の原因か NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015409691000.html イネの農薬がミツバチ大量死の原因か 6月22日 10時38分 イネの害虫の駆除に使われる農薬が、ミツバチが大量に死ぬ被害の原因となっている可能性が高いことが分かり、調査を行った農林水産省は農薬を散布する際には、ミツバチにかからないよう注意してほしいと呼びかけています。 農林水産省は、全国各地で起きているミツバチの大量死が農薬の散布と関係しているのではないかという養蜂家などからの指摘を受け、ことし3月までの10か月間に全国69か所で起きた大量死の原因を詳しく調べました。 その結果、全体の9割近くに当たる61か所でイネの栽培がすぐ近くで行われ、ミツバチの死骸からもイネに使われる農薬が検出されるなど農薬が被害の原因となっている可能性の高いことが分かったということです。 このため農林水産省では、当面の対策として水田の近くでのミツバチの飼育はできるだけ避けることやミツバチの活動が盛んな時間帯は農薬の散布を避けるなどして、農薬がミツバチにかからないよう注意してほしいと呼びかけています。 農林水産省は再来年まで調査を続けることにしていて、「検出された農薬は複数あるのでどの農薬が影響しているかさらに詳しく調べたい」としています。 事実婚夫婦の体外受精を正式容認 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015407651000.html 事実婚夫婦の体外受精を正式容認 6月22日 6時44分 不妊治療で広く行われている体外受精について、日本産科婦人科学会は、これまで法律上の夫婦に限るとしていた学会のルールを改め、婚姻届を出さないいわゆる事実婚の夫婦にも認めることを正式に決めました。 これは、全国の産婦人科の医師で作る日本産科婦人科学会が21日開いた総会で決めたものです。 学会は昭和58年に定めた会告で、体外受精を行えるのは法律上の夫婦に限るとしていました。 しかし、夫婦の在り方が多様化し、婚姻届を出さない事実婚も広く受け入れられるようになってきたことなどから、事実婚の夫婦についても体外受精の実施を認めることを正式に決めました。 また、卵子や受精卵の凍結保存についても、同じように事実婚の夫婦にも認めることになりました。 学会の倫理委員会の苛原稔委員長は「多様な夫婦関係があるなかで、子どもを持ちたいという希望に応える必要がある。大事なのは、生まれる子どもの福祉に責任を持つということだ」と話しています。 世界遺産登録の富岡製糸場にぎわう NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015410881000.html 世界遺産登録の富岡製糸場にぎわう 6月22日 12時07分 21日に世界遺産への登録が決まった群馬県の富岡製糸場では、登録の決定から一夜明けた22日午前中から大勢の観光客が訪れてにぎわっています。 群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」は21日、中東のカタールで開かれているユネスコの世界遺産委員会で世界文化遺産に登録することが正式に決まりました。 世界遺産の登録の決定から一夜明けた22日、富岡市はあいにくの雨となりましたが、午前9時の開門前には富岡製糸場の入り口に観光客が500メートル余りの長い列を作り、開場されると一斉に敷地に入り、ボランティアの説明を聞いたり建物を写真に収めたりしていました。 富岡市によりますと、22日の来場者は例年の日曜日のおよそ5倍に当たる5000人が訪れると見込まれ、ボランティアの案内の数を増やすとともにマイクを使うなどして対応するということです。 静岡県から訪れたという50代の女性は「何年も前から来たいと思っていましたが、世界遺産に登録が決まったので訪れました。当時のフランスの技術の高さと日本の活気を感じました」と話していました。 また富岡市の富岡製糸場課の石田明久課長は「開門前から大変多くの人に来ていただき、本当にありがたい。これからも管理して多くの人に機械や建物を見てほしい」と話していました。 若者1000人が集団的自衛権反対訴え NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015415851000.html 若者1000人が集団的自衛権反対訴え 6月22日 18時32分 集団的自衛権などを巡る与党協議が続くなか、若者が参加して憲法について考える集会が東京都内で開かれ、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対を訴えました。 東京・目黒区で開かれた集会には、学生や若手の労働組合員など、主催者の発表でおよそ1000人が参加しました。 集会では、10年前イラクで武装勢力に拘束されたことがあり、今もイラクの人たちへの医療支援活動を行っている高遠菜穂子さんが講演しました。 この中で高遠さんは「集団的自衛権を行使して自衛隊が戦争に参加するようになると、戦場で誤って民間人を殺害してしまうおそれもある。日本に対する海外の見方も大きく変わり、私も含め紛争地域で支援活動をする人たちにも影響が出てくる」と指摘しました。 集会のあと、参加した若者などは東京・渋谷区でデモ行進し、政府に対し集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定しないよう訴えました。 参加した大学3年生の女性は「政府だけで議論を進めているのは違和感を感じるので、私も含めて若い人たちも憲法について勉強し、みんなで議論できる環境を作りたい」と話していました。 日本維新の会 解党・分党を正式決定 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015414721000.html 日本維新の会 解党・分党を正式決定 6月22日 19時41分 日本維新の会は大阪市内で臨時の党大会を開き、来月末をめどに党を解党したうえで、石原共同代表と橋下共同代表のそれぞれの党に分党することを正式に決めました。 おととしの秋に結成され、合流や衆議院選挙を経て野党第2党となった維新の会の分党は、野党再編など今後の政界の動きに影響を与えることになります。 日本維新の会は先月、結いの党との合流を巡る意見の違いから分党する方針を決め、党所属議員62人のうち37人が橋下共同代表のグループに、23人が石原共同代表のグループに参加するほか、2人が無所属で活動することになっています。 維新の会はこうした方針を正式に決定するため、党の規約に基づいて、大阪市内で臨時の党大会を開きました。 この中で橋下氏は「私のトップとしてのマネジメント不足で分党することになり、申し訳ない。もう一度原点に立ち返り、健全な野党として、与党や安倍政権に協力できるところは協力する一方、チェック機能も果たしていく」と述べました。 また石原氏は東京からインターネットの中継システムを使って参加し、「結いの党は、憲法に対する考え方などで、私たちの政治信条とは全く相いれないので、たもとを分かつことを理解してほしい。今後も互いに力を合わせるところは合わせていきたい」と述べました。 そして維新の会は来月末をめどに党を解党したうえで、石原氏と橋下氏のそれぞれの党に分党することを全会一致で決めました。 双方のグループでは、この決定を受けて新党の結成に向けた準備を加速させることにしています。 おととしの秋、橋下氏を代表に結成された日本維新の会は、石原氏が率いる太陽の党との合流を経て、石原・橋下両氏の2枚看板で衆議院選挙に臨み、野党第2党となりましたが、2年足らずでたもとを分かつことになり、維新の会の分党は野党再編など今後の政界の動きに影響を与えることになります。 戦没者の遺骨収集加速へ 自民が法案 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015407231000.html 戦没者の遺骨収集加速へ 自民が法案 6月22日 4時16分 自民党の特命委員会は、戦後70年となる来年以降、海外などに残されたままの戦没者の遺骨収集を加速させるため、埋葬地の掘削や遺骨の鑑定を迅速に行う専門の組織を厚生労働省の下に新たに設けるなどとした法案を、秋の臨時国会に提出する方針です。 政府によりますと、海外の戦地などで亡くなり、まだ遺骨が見つかっていない戦没者はおよそ110万人に上っていて、自民党の特命委員会は、戦後70年となる来年以降、遺骨収集を加速させるため、国を挙げて取り組む体制を整え、対策を充実させるべきだとしています。 そのうえで、具体策として、埋葬地の掘削や遺骨の鑑定を迅速に行う専門の組織を、厚生労働省の下に新たに設けることや、在外公館に外国の公文書館などで戦没者の情報を収集する担当官を置くことなどを挙げています。 自民党は、こうした内容を盛り込んだ法案を秋の臨時国会に議員立法で提出し、成立させたいとしています。 防衛装備品 長期契約可能になるよう調整 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015407151000.html 防衛装備品 長期契約可能になるよう調整 6月22日 5時26分 防衛省は、防衛装備品の取得を巡り、受注企業との間で、今は原則として禁止されている5年を超える長期契約を可能にして調達コストの削減につなげようと、自衛隊法などの改正に向けて政府内の調整を進めています。 防衛省は先週、防衛装備品の取得などを巡る新たな戦略を決定しました。 この中では、装備品の取得について、今は政府調達に関する財政法の規定で原則として禁止されている5年を超える長期契約を可能にし、受注企業が長期間にわたる生産計画に基づいて、効率的な設備投資や素材や部品の大量発注を行えるようにすることで、コストの削減につなげるとしています。 これを受けて、防衛省は、防衛装備品の取得に限っては、財政法の規定の例外として長期契約が可能になるよう、自衛隊法などを改正して必要な条文を盛り込む方向で、財務省との調整を進めています。 河野氏本人の国会招致も検討を NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015410811000.html 河野氏本人の国会招致も検討を 6月22日 12時07分 自民党の萩生田総裁特別補佐は東京都内で記者団に対し、政府がいわゆる従軍慰安婦の問題を巡る河野官房長官談話の検討結果を公表したことに関連して、河野氏本人を国会に参考人として招致することも検討すべきだという認識を示しました。 政府は先週いわゆる従軍慰安婦の問題を巡り、謝罪と反省を示した平成5年の河野官房長官談話について、談話の作成に当たって韓国側と事前に綿密に調整していたなどとした有識者による検討結果を公表しました。 これに関連して自民党の萩生田総裁特別補佐は東京都内で記者団に対し「国民の前に事実が明確になっただけでも大きな前進で非常に意味がある。慰安婦の像を設置する動きなどがある国には英語版を作って事実を解説すればいい」と述べました。 そのうえで萩生田氏は、河野洋平元衆議院議長が検討結果を「正しくすべて書かれている」としていることについて、「河野氏が外で発言をしたいということであれば、国会に出てきて質疑に応じるのも1つの選択肢ではないか」と述べ、河野氏本人を国会に参考人として招致することも検討すべきだという認識を示しました。 一方、東京都議会で質問をした女性議員に「早く結婚したほうがいいんじゃないか」などとやじが飛んだ問題について、東京都選出の萩生田氏は「都議会の自浄能力を発揮してほしい。自分で名乗り出たほうがいい」と述べました。 タイ 軍のクーデター宣言から1か月 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015407611000.html タイ 軍のクーデター宣言から1か月 6月22日 5時26分 タイで軍がクーデターを宣言してから22日で1か月となります。 軍は市民生活や経済に混乱がないよう配慮する姿勢を見せていますが、議会選挙の実施までには1年以上かかるとしており、民政への復帰のめどが立たない状況に、不満もくすぶっています。 タイではインラック前首相に対する大規模な反政府デモが半年にわたって続いた末に、先月22日、軍が混乱の収束と政治的な対立の解消を図るためとして、クーデターを宣言しました。 軍はクーデターを受けてタイ全土に出していた夜間の外出禁止令を今月13日までにすべて解除したうえ、来年度の予算編成に予定どおり着手するなど、市民生活や経済に混乱がないよう、配慮する姿勢を見せています。 また各地で市民向けのイベントを開いたりサッカーのワールドカップブラジル大会を無料で放送するようテレビ局側に求めたりするなど、イメージの改善を図っています。 一方で、今後の政治プロセスについて、軍のトップであるプラユット陸軍司令官は、早ければ8月に暫定政権を発足させる方針を示し、メディアなどの間では自身が暫定首相に就く可能性も取り沙汰されています。 また議会選挙の実施までには1年以上かかるとしていて、民政への復帰のめどは立っていません。 軍は5人以上の集会を禁止したり、軍に批判的な報道を自粛するようメディアに求めたりして統制を強め、軍に対する抗議デモを抑え込んでいますが、インラック前首相の支持者を中心に不満もくすぶっています。 日系企業先行きに不安の声 軍によるクーデターの宣言から1か月がたつなか、タイに進出している日系企業の間では、先行きを不安視する声も上がっています。 首都バンコクでは、20日から2日間にわたって、現地の日系企業やタイに進出を検討している日本企業などを対象にした商談会が開かれました。 このうち、自動車部品の表面加工を行っている日系企業の代表は、「クーデター以降、受注の落ち込みが一段と大きくなっています。利益がでなければ給料も支払えなくなるので、早く状況がよくなってほしいです」と話していました。 また、日系の自動車部品メーカーの代表は、「事態が沈静化することを期待していますが、新しい政権ができてもまたクーデターによってひっくり返されるのではと心配です。事業計画を常に見直しながらやっていくしかありません」と話していました。 日系企業は、タイを東南アジアにおける重要な生産拠点と位置づけて、これまで積極的な投資を行っており、外国からタイへの投資額の6割を日本が占めています。 しかし、タイで繰り返される政治の混乱は、日系企業にとって、投資リスクの1つとして認識されるようになっており、混乱が長引けば、インドネシアやミャンマーなどほかの東南アジアの新興国に投資先を移さざるを得なくなるという指摘もあります。 一方、タイには首都バンコクを中心におよそ10万人もの日本人が住んでいるといわれ、現地の日本人社会からは事態の沈静化を願う声が聞かれました。 このうち、ことし4月からバンコクで暮らし始めたという女性は、「こちらに来てすぐにクーデターになり、分からないことばかりで怖かったです。事態の収束を願っています」と話していました。 また、別の女性は、「クーデターで反政府デモがなくなり、街なかも過ごしやすくなりました」と話し、秩序の回復をひとまず歓迎しながらも、「何が起こるか分からないので、早く落ち着いてほしいです」と不安をのぞかせていました。 エジプト同胞団183人に死刑判決 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015408061000.html エジプト同胞団183人に死刑判決 6月22日 5時26分 エジプトの裁判所は、政権と対立するイスラム組織、ムスリム同胞団の最高幹部や支持者ら183人に対して警察署の襲撃に関わったとして死刑判決を言い渡し、人権団体などからは「政治的な裁判だ」として、批判の声が上がっています。 エジプト中部のミニア県の裁判所は去年、地元の警察署が襲撃され、警察官1人が殺害された事件に関わったとしてムスリム同胞団の最高幹部のバディヤ団長をはじめ、同胞団のメンバーや支持者ら起訴された683人全員に対して、ことし4月、「死刑に相当する」という判断を示し、イスラム法の諮問機関に意見を求めていました。 エジプトの国営通信によりますと、諮問機関の意見を踏まえて裁判所は21日、このうち183人に死刑、2人に終身刑、498人に無罪の判決を言い渡しました。 この裁判所では別の警察署の襲撃事件でも、同胞団の支持者ら529人に対し、死刑または終身刑の判決を言い渡しています。 ムスリム同胞団は、去年の軍による事実上のクーデターで、同胞団出身の大統領が追放されたあと、今月新政権を発足させたシシ大統領と対立しています。 一連の裁判は実質的な審理が僅か2日間しか行われていないことなどから、人権団体や国際社会から「政治的な意図に基づく裁判だ」として批判や懸念の声が上がっています。 アフガンで爆発 和平担当幹部狙ったか NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015408071000.html アフガンで爆発 和平担当幹部狙ったか 6月22日 5時26分 大統領選挙の決選投票の開票作業が続くアフガニスタンの首都カブールで反政府武装勢力タリバンとの和平に向けた対話を担当する政権の幹部を狙ったとみられる爆発があり、幹部は無事でしたが、タリバンによる次期政権に対する警告との受け止めも出ています。 21日、カブール西部にある幹線道路で、アフガニスタン政府で反政府武装勢力タリバンとの和平交渉を目指す「高等和平評議会」のスタネクザイ事務局長が乗った車に近づいてきた別の車が突然爆発しました。 地元の警察によりますと、スタネクザイ事務局長にけがはありませんでしたが、爆発で近くにいた市民1人が死亡したほか、3人がけがをしました。 これまでのところ犯行声明は出ていませんが、警察は手口などからタリバンによる犯行とみて調べています。 スタネクザイ事務局長はカルザイ大統領の顧問も務める政権の幹部で、3年前、当時、高等和平評議会のトップだったラバニ元大統領が自爆テロで死亡した際、大けがをしています。 現在、アフガニスタンではカルザイ大統領の後任を決める大統領選挙の決選投票の開票作業が進められていますが、タリバンは今のところ、新政権ができたあとも対話に応じる姿勢は見せていません。 このため、今回の事件はタリバンによる次期政権に対する警告との受け止めも出ています。 ウクライナ 停戦宣言後も各地で戦闘 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015408171000.html ウクライナ 停戦宣言後も各地で戦闘 6月22日 7時22分 ウクライナのポロシェンコ大統領は、親ロシア派の武装集団との戦闘が続く東部で一方的な停戦を宣言しましたが、武装集団はこれに応じず、検問所を襲撃するなど、早くも停戦の実現が危ぶまれる状況となっています。 ウクライナのポロシェンコ大統領は20日、東部の事態の鎮静化を目指して、一方的な停戦を宣言したうえで、和平計画を発表しました。 これに対して親ロシア派は、21日、東部のドネツクで、武装集団のメンバー100人近くが集まり、和平計画を非難するとともに、市民を前に徹底抗戦を誓いました。 また、ウクライナ軍によりますと、ドネツク州では、ロシアとの国境の検問所が武装集団によって襲撃され、軍の兵士9人がけがをしたほか、軍の拠点も襲撃されて戦闘となり早くも停戦の実現が危ぶまれる状況となっています。 こうしたなか、アメリカのオバマ大統領は20日、ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領と電話会談を行い、ロシアが事態の鎮静化に向けて具体的な行動を取らない場合は、追加制裁を科していく方針で一致しました。 ロシアのプーチン政権は20日、いったん和平計画に批判的な立場を示しましたが、21日になって、停戦や和平計画を支持するとした声明を改めて発表し、政権側と親ロシア派の武装集団の双方が停戦したうえで、交渉のテーブルにつくよう呼びかけました。 この声明は、欧米の厳しい姿勢を踏まえ、ロシアが事態の鎮静化に前向きに取り組もうとする立場を見せるねらいがあるとみられます。 イスラエル側に死者 シリアへ報復の砲撃 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015418001000.html イスラエル側に死者 シリアへ報復の砲撃 6月22日 23時00分 内戦が続くシリアからの境界線を越えた攻撃でイスラエル人1人が死亡し、シリア内戦が始まって以降初めてとなる自国民の死者に、イスラエル軍が報復の砲撃を行いました。 イスラエルが占領するゴラン高原で22日、シリアとの境界線沿いのフェンスを補修していた作業員を何者かが攻撃し、作業員の息子のイスラエル人の13歳の少年1人が死亡し、2人がけがをしました。 攻撃にどのような組織が関与しているのかは明らかになっていませんが、イスラエル軍は報復として、ただちにシリア側に向けて戦車による砲撃を行いました。 ゴラン高原では、3年前にシリア内戦が始まって以降、これまでも政権側と反政府勢力の戦闘の流れ弾とみられる砲弾がたびたび着弾していましたが、イスラエル側に死者が出たのは今回が初めてです。 イスラエル軍は声明を発表し、「攻撃は意図的に行われたものだ」として、今後も攻撃が続く場合はさらなる報復も辞さないと警告するとともに、シリアとの境界線付近での警戒を強めています。 中国軍高官 ベトナムなどけん制 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015416121000.html 中国軍高官 ベトナムなどけん制 6月22日 18時48分 中国軍の高官は、南シナ海での領有権問題を念頭に、「小さい国は強い者に頼って事を起こしてはならない」と述べ、ベトナムやフィリピンが国際社会と連携して解決を図ろうとする動きを強くけん制しました。 北京では22日、各国の外交官や学者らが集まって安全保障問題を話し合う「世界平和フォーラム」が開かれ、中国人民解放軍の孫建国副総参謀長が講演しました。 この中で孫副総参謀長は「小さい国は小さい国なりの責任があり、強い者に頼って事を起こしたり大きい国をばかにしたり、自分の利益のために地域の安全を損なったりしてはならない」と述べました。 この発言は、南シナ海の領有権問題を念頭に、対立する国々を「小さい国」と格下扱いしたうえで、ベトナムやフィリピンがアメリカなど国際社会と連携して問題の解決を図ろうとするのを強くけん制するねらいがあったものとみられます。 また孫副総参謀長は、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を目指す安倍政権について「過去の歴史に対する反省が全くみられないばかりか、地域の緊張を高めている」と非難しました。 そのうえで「全世界の平和を愛する国と人々は、危険な道へ突き進む日本の右翼政府を警戒しなければならない」と主張し、歴史認識の問題を巡って国際世論を日本に批判的な方向に誘導したい思惑をうかがわせました。 韓国軍兵士が銃乱射し逃走 5人死亡 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015408151000.html 韓国軍兵士が銃乱射し逃走 5人死亡 6月22日 5時58分 21日夜、韓国の北朝鮮との軍事境界線近くで韓国軍の兵士がほかの兵士らに手投げ弾を投げたうえ、銃を乱射し、5人が死亡しました。 この兵士は銃を所持したまま逃走しているとみられており、軍や警察が行方を追っています。 韓国軍の当局者によりますと21日午後8時ごろ、韓国北東部カンウォン道コソン郡の北朝鮮との軍事境界線近くで、境界線の警備などを担当していた韓国軍の兵士が突然、ほかの兵士らに対して手投げ弾を投げたうえ、持っていた自動小銃を乱射しました。 これによって5人が死亡したほか、7人がけがをして、手当を受けています。 乱射した兵士は銃と実弾を所持したまま逃走しているとみられています。 現場は市街地とは離れているということですが、韓国軍と警察では検問を行うなどして兵士の行方を追っています。 また、これまでのところ、軍事境界線付近の柵を乗り越えて北朝鮮側に逃走した形跡はないということです。 韓国では2011年7月に兵士が銃を乱射して上官ら4人が死亡したほか、2005年にも兵士が銃を乱射して8人が死亡する事件が起き、いずれも部隊内でのいじめが原因とみられています。 名前 コメント ◇◆前へ/次へ/目次へ
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予告 イベントストーリー開幕 降って湧いた親子対決 第1話 丸くて黒くて沢山の 第2話 戦線後退、戦線交代 第3話 武田四天王は語る 第4話 あんたもせいちょうしたもんだ 第5話 希望を紡ぐ旅 第6話 似た者兄弟 第7話 武田家のご事情 第8話 島津家再び 第9話 無慈悲な狙撃術・二発目 第10話 自縄自縛、もしくは自爆 第11話 はみっ子朱美ちゃん 第12話 継承への第一歩 第13話 黒衣の男の影 第14話 兄と妹とその妹と 第15話 鏡映しの種族 第16話 またこの枠か 終幕 定例報告書 イベントヘッダ 主な登場人物 ボス 主なガチャ更新家臣 用語集 予告 天狐族との戦いがいよいよ本格化!? 三狐争乱-激化- 着実に勝利を積み重ね以後の戦いへの布石とせよ! 天狐族の守りの要となる砦を攻略したわしら仙狐・妖狐同盟軍はいよいよ本格的な攻 勢へと転じる事となる。 対する天狐族も今までは参戦していなかった正規軍の動きが活発になっているとの報 もあり、直接対決は避けられんじゃろう。 また、先日おぬしを襲った暗殺者も未だ近くに潜伏しておるようじゃし、武田信玄の 息子も何を血迷ったか天狐族側に下ったと聞く。 島津家の者もまだ動きは見せぬようじゃが、参戦してくるのも時間の問題であろう。 強敵難敵のひしめく戦いとなるが、わしらの陣営にも日々人材が集い、昔から馴染み の者も続々と新たな力に目覚めておる、この戦も決して勝てぬ勝負ではなくなってき たようじゃ。 イベントストーリー 開幕 降って湧いた親子対決 +... ひまり 妖狐族によると順調に戦線を押し上げてはいるものの、抵抗が激しくなってきたとの事じゃ (プレイヤー) 幻月さん達には無理をさせてしまっていますからね、早くあちらにも本隊を送らないと ひまり 先日の修行を通じわしらの戦力も強化されたが、恩を着せたままでは後が面倒じゃからな (プレイヤー) 僕達が準備をする時間を作ってくれた以上はきっちりと返さないとですね ひまり うむ、せいぜい奴らを驚かせてやるとしよう (プレイヤー) あとひまり様、妖狐族から来た資料のこれです、確認済の敵将一覧なんですが (プレイヤー) この武田と言う武将、まさかとは思いますが信玄さんの…… 武田信玄 そうだ、武田勝頼は俺の息子だな ひまり 現れおったな風林火山め (プレイヤー) やはりそうですか、なんでわざわざ天狐族なんかに協力しているんですかね? 武田信玄 さあな、事の真意は直接問いたださねば分からんが……心当たりなら思い浮かぶな ひまり 何か理由があっての事か、そうなると即座に説得し引き抜く作戦も無理そうじゃな (プレイヤー) 僕も本格的な開戦前に少しでも戦力を削げればと思ったんですが、甘かったみたいですね 武田信玄 身内の不始末は出来得る限り身内で片づけるつもりだ、次の戦は本気でかからせてもらうぞ ひまり それは実に心強いのう、期待しておるぞ 第1話 丸くて黒くて沢山の +... 仙狐四天王 小雪 ………… (プレイヤー) 小雪さんが敗北の記憶に苦しめられてるじゃないですか、妙な事を言わないでくださいよ 仙狐四天王 小雪 あいつを倒すのが私のけじめ、きっかけ、お礼参り……だから、絶対に倒す ひまり 神出鬼没な奴の相手は身軽なおぬしが適任じゃからな、期待しておるぞ 仙狐四天王 小雪 うん、任せて、(プレイヤー)の周りにはこの子達を置いとく、見張らせておく (プレイヤー) うーん、その黒いのって近くに居ると妙に落ち付かないんですよね…… 仙狐四天王 小雪 丸くて可愛い頼れる奴ら、嫌わないで……とっても使えるし、便利 ひまり その物体の正体はまだ分からんのか? 仙狐四天王 小雪 正体は謎、私の言う事を聞いてくれるし、黒いから、影のような物だと思ってて ひまり 己の影を克服する事でよく分からん影の使役が可能となったかな、影三昧じゃな (プレイヤー) 僕もずっと見てると何となく可愛いような気がしてきましたし、まあいいかな 仙狐四天王 小雪 流石(プレイヤー)、やっぱり見どころがあった、その子達も喜んでる (プレイヤー) 表情があるようには見えないんですが……ちなみに、なでてみていいですか? 仙狐四天王 小雪 いいけど、その近くの子は駄目、刺激を与えると自爆するから (プレイヤー) 怖っ!そんな物騒なのが混ざってるなら先に教えておいてくださいよ! ひまり 毒をもって毒を制するとは言うが、小雪の毒は効果が強すぎるようじゃな…… 第2話 戦線後退、戦線交代 +... 妖狐王 幻月 ようやくお出ましか、待ちわびたぞ? (プレイヤー) お待たせしました!妖狐族の軍は下がってください、僕達が後は引き継ぎます 妖狐王 幻月 その様子だと、修行とやらは万事上手く事が運んだと見えるな (プレイヤー) しっかりと力を蓄える事が出来ました、これも時間を稼いでくれた幻月さん達のおかげです 妖狐王 幻月 それは何よりだ、だが……連中も本腰を入れて来たようだ、明らかに兵の質が上がっている (プレイヤー) ついに天狐の正規軍が動き始めましたからね、より厳しい戦いになるかと思います 妖狐王 幻月 だが、それだけ奴らを追い詰めていると言う話でもあるがな 妖狐王 幻月 狐妖の代表を名乗り踏ん反り返っていた奴らに引導を渡せる日も近そうだな?仙狐の王よ (プレイヤー) そうですね、戦う力を奪う程度には叩いておかないと……今の彼らは危険極まりないです 妖狐王 幻月 ではお言葉に甘えて兵を引くとしようか、準備が整い次第また戻ってくるがな (プレイヤー) ええ、じっくりと休んでください、天狐族との戦いもまだまだ続きますので 妖狐王 幻月 ところで、家康の奴から話は聞いているか?例の玉藻前の件だ (プレイヤー) 家康さんからですか?えーっと、特に聞いてはいないですね、玉藻前さんがどうかしました? 妖狐王 幻月 何を勿体ぶっているのだ……まあ、奴らしいと言えば奴らしいがな (プレイヤー) 一体何の話なんでしょう 妖狐王 幻月 話してやっても構わんが、ここは奴の顔を立ててやるために秘密としておこうか (プレイヤー) 二人して何の悪巧みなんですかもう……気になるじゃないですか 第3話 武田四天王は語る +... (プレイヤー) 勝頼さんでしたっけ?なんで武田信玄さんのご子息があんな事をするんでしょうか 春日虎綱 だって……ねえ?勝頼様だし 馬場信春 まあねぇ、勝頼のやる事だからこれも納得と言うか何と言うか…… 山県昌景 勝頼様だったら仕方ないんじゃないの?うんうん 内藤昌豊 今まで秘されていた武田家の暗部がついに露呈されますわ…… (プレイヤー) ちょっと名前を出しただけなのに袋叩きとは、もしかして勝頼さんってアレな人ですか? 春日虎綱 可哀想なくらいにやる事なす事が裏目に出る方なのよ 馬場信春 やれば出来る子だとは思うけど、もう少しばかり頭が利口だったらねぇ…… 山県昌景 勇猛果敢と言えば聞こえがいいけど、むしろ被害を広げちゃうからね 内藤昌豊 その他諸々の負の武勇伝を背負い、ついたあだ名がバ勝頼ですわ (プレイヤー) バカツヨリ……酷い言われようだ、勝頼好きな僕からの突き上げが懸念されるくらいに 春日虎綱 私以外の三人は勝頼様の采配のおかげで一回死にかけてるし、仕方ないと思うけどね 内藤昌豊 あら?私は全然、爪の先ほども怨んでなんていませんわよ? 山県昌景 嘘つけ、いつもより明らかに動きがキレてるくせに 内藤昌豊 そういう昌景こそ、いつもの無鉄砲さにより磨きがかかっているのではなくて? 山県昌景 信玄が乗り気なんだ、ここでやらなきゃ四天王の名がすたるってね!怨みはちょっとだけ! (プレイヤー) ちょっとだけはあるんですね……頼もしいやら恐ろしいやらですよ 第4話 あんたもせいちょうしたもんだ +... ひまり やはりあの二人の天狐が障害となっておるな (プレイヤー) 竜胆に朱夏、率いる部下の質も高いですしあれが天狐族の正規軍なんですね ひまり それに加えてあの余裕たっぷりな態度がまた腹立たしいのう…… (プレイヤー) 噂に違わぬ選民思想ですよね、特にあの竜胆の方が静かに過激な発言をしてますし ひまり そう言えば、天狐族の者にはさんを付けて呼ばんのか?竜胆だの、朱夏だの (プレイヤー) さんを付けて呼んでたら天狐族にさんをつけるな狐野郎とか、言って来たじゃないですか ひまり あれは条件反射のような物じゃ、適当に流せ ひまり して、奴らの率いる部隊にはそれぞれ対策が必要であるな (プレイヤー) 竜胆が率いる近衛兵団、朱夏が率いる魔術兵団、全く質の異なる隊ですからね (プレイヤー) でも層の厚さに関して言えば僕達も決して劣ってはいないと思うんです ひまり 確かにな、助っ人ばかりで仙狐の者が少ないのがわしとしては寂しいところじゃがな (プレイヤー) なので、僕達も思い切って戦力を偏らせて挑んではどうでしょうか (プレイヤー) 安倍家の皆さんを中心にして術の使い手を、武田家の方を中心に剣の使い手を、です ひまり なるほど、敵の術担当には術の専門家を当て、力担当には力をぶつけるのじゃな (プレイヤー) いえ、真っ向勝負では分が悪いので裏をかくためにも逆で行きましょう (プレイヤー) 魔術兵団には武田家の部隊で、近衛兵団には安倍家の部隊で当たりたいと思います ひまり ほう、その考えに至るとはおぬし、わしの残した指南書に触れておるな (プレイヤー) ほぼインチキなあの指南書ですが、吸収出来そうなところは吸収させてもらってますね ひまり ならば決まりじゃな、部隊の再編を急がせるぞ ひまり (先程からわしが考えていた策と寸分違わぬ物を思いつくとはな、こやつも成長しておるな) 第5話 希望を紡ぐ旅 +... ■妖魔界某所 豪放そうな狐妖 ぶぅううえっっくしょい!! 目つきの鋭い狐妖 ちょっとアンタ!くしゃみをするならそう言いなさいよまったく…… 豪放そうな狐妖 失敬、失敬、またどこかで俺の噂をされちまったようだな 豪放そうな狐妖 いや、あるいは(プレイヤー)達の噂か? 目つきの鋭い狐妖 本人の噂ならともかく、子供の噂で親がくしゃみをするってのは聞いた事無いけどね 豪放そうな狐妖 俺達ぐらいに太く確かな親子の絆があるなら、そうおかしい話でもなかろうに 目つきの鋭い狐妖 あの子や紫音をほっといて世直しを気取ってるってのに、親子の絆、太いかねぇ…… 豪放そうな狐妖 そう言うな、(プレイヤー)達が末永く幸せに暮らすためには必要な事よ 目つきの鋭い狐妖 (プレイヤー)がってよりこの世の全ての者が、だろうさ 豪放そうな狐妖 うむ!さしずめ俺達は世界を救う影の夫婦ってなもんだな 目つきの鋭い狐妖 私に言わせてもらうなら、貧乏クジを引いちまったの間違いだと思うけどね 豪放そうな狐妖 こいつは手厳しいな、お父ちゃん泣いちゃうよ? 目つきの鋭い狐妖 困った子だね、よしよししてやるから頭でも出しな……って、本当に出すのかい!? 豪放そうな狐妖 俺はちっぽけな誇りなんかよりも、愛する妻のよしよしを取る男だ、忘れたか? 目つきの鋭い狐妖 さ、馬鹿な事をやってないで先を急がないとね、さもなくば手遅れになっちまうよ 豪放そうな狐妖 おい待て紫暮(シグレ)!俺は本気だぞ、来いやあっ!久々のよしよし来いやあっ! 第6話 似た者兄弟 +... 芦屋星河 任せとけってんだよ、俺の活躍ぶりを見て惚れ直しちまう事は請け合いだぜ 安倍晴心 私、強い男が好きなのよ……星河には期待しているからね? 芦屋星河 おっ?おおっ、!任せとけよ!俺がそんじょそこらの連中とは違うって所を見せてやるぜ! 安倍晴明 いいぞ……流石は我が子孫、扱い方を心得ているようだ 芦屋妙見 星河よ、目も当てられぬ程、見事に乗せられてしまったか…… 土御門すばる 皆さんよろしくお願いします!頑張ってこの戦いを勝ち抜きましょう! 芦屋星河 晴心の姉さんにいい所を見せつつお前への詫びも出来るんだ、これぞ正しく一挙両得だな 土御門すばる お詫びだなんて止めてくださいよ星河さん、あの戦いがあったから僕は成長出来たんですから 芦屋星河 お前の気持ちは関係無いっていつも言ってんだろ、こっちがスッキリしたいだけなんだからな 芦屋道穂 相変わらず身勝手な奴…… 芦屋妙見 しかし、奴らは魔術なる得体の知れない力を使う連中だ……決して油断は出来んぞ 安倍晴明 我らがその身を捧げし陰陽道……屈するなど到底思えんが、臆したか?芦屋の子孫よ 芦屋妙見 ばっ?ば、馬鹿を言えっ!陰陽道を極めし我ら兄弟が憶する事などあり得ぬ! 芦屋妙見 お前達安倍にも見せてやろう、陰陽道の何たるかをな! 芦屋道穂 あっちもこっちも血は争えないと、そう言う事ね 第7話 武田家のご事情 +... (プレイヤー) そういえば、勝頼さんが天狐族に協力する理由って何だったんですか? 馬場信春 平たく言うと功名心、それに尽きるね (プレイヤー) ………… 春日虎綱 今さ、勝頼様の事を小さい奴だなぁ、なんて思ってたでしょ 馬場信春 思ったね、確実に思ったね、あの親の子にしてはみみっちい奴だなと思ってたね (プレイヤー) 信春さんが言う程キツくは思ってませんが、確かに疑問はわきました 春日虎綱 身内から見てもどうかと思ってるくらいだから、それも仕方ないけどね 馬場信春 ただ、事情があって背景もあったりするからさ大目に見てやっておくれよ (プレイヤー) 事情や背景ですか? 春日虎綱 勝頼様は側室の子で最初は武田の名前も名乗らず、別の家を継いでいたのよ 馬場信春 元から器じゃないってのは勝頼本人が一番分かってたし、それで上手く回っていたと 馬場信春 ところが、信玄の子がたびたび不幸に見舞われちゃってね…… (プレイヤー) では、こう言っちゃ失礼なんですが、勝頼さんは仕方なく呼び戻されたと? 春日虎綱 その通りよ、それでもまだ正式な後継ぎじゃなくて後継ぎ候補なんだけどね 馬場信春 勝頼からしたら千載一遇の好機到来、何が何でも武田の当主になると張り切ってる訳さ (プレイヤー) そこで冒頭の功名心なんですね、身内同士での争いが戦功と呼べるかは謎ですが 馬場信春 勝頼が本当に欲しいのは武功と、父親を退けた自信だって言うのが私達の見解だね 春日虎綱 私達の世界も落ちついて、国同士がぶつかり合うなんて事も滅多に無くなっちゃたの 春日虎綱 名前をあげようにもまず戦が無い、勝頼様も可哀想な境遇ではあったのよね (プレイヤー) 大体の事情は分かりました、お話しいただきありがとうございます 第8話 島津家再び +... 島津義久 さて、無事に補給を済ませた以上は私達も動かねばな 島津家久 あれだけ懸念していた火薬の調達もさ、ここまで上手く行くとはね 島津義久 妖魔が単なる魑魅魍魎であったのは過去の認識だ、彼らの技術力には敬服する 島津家久 私達と全然別の方向に進んでる感じだよね、あのガリガリ回る武器も人間にはちょっと思いつけないよ 島津義弘 騙されるなよ家久ぁ、あんな玩具じゃあ島津の鉄砲と刀の相手にはならん! 島津家久 や、何で私が騙されてるとかになってるのかな 島津義弘 こまけえ事はどうでええ、歳久めを退屈させんためにも、行くぞぉ!家久ぁ! 島津家久 じゃ、義弘兄ぃがここで暴れ出す前に私達は出るわね 島津義久 任せたぞ二人共、自称傍観者の日新斎殿にも十分注意をするのだぞ 島津義弘 そうじゃったぁ!爺様も敵方に回っとったのをすっかり忘れたおったぞ! 島津義弘 爺様の刀を受けるのは久々じゃのう、こいつは楽しみじゃのう! 島津家久 じゃあね義久兄ぃ、行ってきまーす 第9話 無慈悲な狙撃術・二発目 +... 島津義弘 けったいな鉄砲を使いおって……なんじゃ、それがお前らん鉄砲か? 八百万射 雑賀孫市 雑賀と仙狐の努力と友情の結晶だな、俺達の力だけじゃこんな化け物は作れねえよ 島津家久 こっちには義弘兄ぃが居るんだ、化け物対決じゃこっちも負けて無いよ! 島津義弘 だあれが化け物じゃあ家久ぁ、んぶぉっ!お前、話の最中に何やっちょるか! 雑賀衆 蛍 眉間に二発、確実に着弾させましたが効果ありません 八百万射 雑賀孫市 まともに鉄砲の弾を食らってその様子だと、完全に化け物だろうが…… 島津義弘 じゃかしい!歴戦の薩摩隼人にかかりゃ、弾の一発や二発、屁でも無いわい! 島津家久 いや、流石にそれは義弘兄ぃだけだからさ、普通は一発で致命傷だよ? 八百万射 雑賀孫市 さてと、じゃあ開戦の狼煙も上がった事だしまたおっぱじめますかと 島津義弘 グワハハハ!いくさじゃ、いくさじゃあ!家久ぁ!わしについてこいよ! 島津家久 義弘兄ぃについて行ったら命がいくつあっても足りないから、いつも通り援護するね 雑賀衆 蛍 孫市様、我々も配置につきましょう 八百万射 雑賀孫市 ああ、しかしお前は容赦ねえよな……普通、あの状況じゃ殺りに行かねえぞ? 雑賀衆 蛍 念のために二発入れましたがまさか無傷とは、完全に相手の力を測り損ねていました 八百万射 雑賀孫市 しかも話が通じてねえし、お前も方向が違うだけで大概、化け物だと思うぜ 第10話 自縄自縛、もしくは自爆 +... ひまり なんと言うデタラメな火力じゃ、これでは辺り一面が焼け野原ではないか (プレイヤー) 恐るべき炎の使い手ですね、一軍を率いる将として申し分の無い実力だと思います 天狐 朱夏 あれえ?やっと朱夏ちゃんの凄さ、気がついちゃったのかな?かなかな? ひまり おのれ、あんな水着姿で戦いの場に出るなど、頭の中がお花畑な奴には負けんぞ! 天狐 朱夏 とか言ってさ、貴方達の中にも水着で戦ってる子がいなかったっけ? ひまり くうっ、痛いところを突いてきおって……どうやら予想以上に策士のようじゃな (プレイヤー) ひまり様……自分で投げた物が自分に戻ってきます、しかも盛大に刺さってます 天狐 朱夏 変な奴だと思われたくないから説明してあげるけど、水着なのは理由があるのよ 天狐 朱夏 朱夏ちゃん、生れた時からの体質でさ、炎の妖気が体で渦巻いちゃってる感じ? 天狐 朱夏 だからもう暑いのなんのってさ、だからいっつも薄着じゃないと暑くてやってらんないの ひまり ぬううっ……あまつさえ、水着姿でいる事についての合理的な理由まで!手強い奴め (プレイヤー) さっきからひまり様は何と戦ってるんですか……真面目にやってくださいよ 天狐 朱夏 やっぱり仙狐ってちゃんぽらんな奴らが多いんだね、やっぱり私達が管理してやらないと ひまり 抜かせ!狐妖を束ねるべきは我らが仙狐じゃ、その身をもって思い知らせてくれるぞ 天狐 朱夏 へえ、やっとやる気になったんだ、じゃあ遠慮なく行くよ! ひまり かかってこい、この(プレイヤー)とこやつの率いる軍勢が相手をしよう! (プレイヤー) やっぱりひまり様は直接は戦ってくれないんですよね、いつもの話なので諦めてますけど 第11話 はみっ子朱美ちゃん +... 賀茂朱美 どう言う事なのよ!陰陽師が勢揃いしてるのになんで賀茂家にお呼びがかからないのよ! (プレイヤー) ああ、それは……やんごと無き事情と言いますか、知らないでおいた方が幸せといいますか (プレイヤー) 静流さんも、そこでにこにこしてないで何か言ってください!今って結構危機的状況ですよ! 賀茂静流 我慢は体に良くありませんし、洗いざらい話してしまってはどうでしょう? (プレイヤー) えっ、でもこれ言っちゃうとマズい気がするんですけど 賀茂静流 いいえ、まずは現実を知らないと乗り越える事も出来ないのではなくて? 賀茂静流 それに、落ち込まれる朱美様を拝見できると思うと、興奮がとまらず……ウフフ 賀茂朱美 今度は秘密の相談なの?もうっ!いい加減、私をないがしろにするのを止めなさい! (プレイヤー) では、ズバリ言ってしまいますが……いや、でもいいのかな、良心の呵責が 賀茂朱美 何なのよもう、煮え切らないわね!言いたい事があるならさっさと言うの! (プレイヤー) で、では……朱美さん、貴方の実力が足りてないので重要な作戦には出せないんです 賀茂朱美 ふえっ? (プレイヤー) 以前、安倍家と蘆屋家が争っていた時だって朱美さん、隠れていましたよね? 賀茂朱美 それは……だって!芦屋兄弟はおっかないし、芦屋道満は顔が怖いんだもの (プレイヤー) 静流さんは確かな実力をお持ちなのでお声かけさせていただいてはいたんです 賀茂静流 でも、当主の朱美様を差し置いて私だけというのも、難しいですよね (プレイヤー) なので賀茂家のお二人には表立った作戦参加ではなく、地味なお仕事をお願いしてる次第です 賀茂朱美 じゃあ、当主である私が静流の足を引っ張って……私、わたし…… 賀茂静流 突きつけられた現実を前にし、それでもなお己の無力さを噛みしめるしかない朱美様、素敵です…… (プレイヤー) 静流さんは朱美さんの事が好きなのか嫌いなのか、時々よくわからなくなりますね 第12話 継承への第一歩 +... 武田信玄 まだ気は済まんのか?勝機無き戦にしがみつくなど、大将としてはあるまじき事だぞ 武田勝頼 これは僕と、親父の戦だ!まだ僕は勝ってはいないけど負けてもいない! 武田勝頼 僕の心が折れるまで、僕の戦に負けは無い、親父に負ける事にもならないんだ! 武田信玄 勝頼、乱世の世に生れてさえいれば数多の経験がお前を育てたと言うに 武田勝頼 知ったような口をきかないでくれ!自分の育ちを呪った所でなにも現実は変わらなかった 武田勝頼 だから今、僕はここに、親父の前に立っているんだ!何が何でも、俺を認めさせてやる! 武田信玄 そこまで負けを認めたくないか、ふっ、上田原での負け戦を思い出すわ…… 武田信玄 良かろう!お前も俺と同じく負け戦から学んでもらうぞ、かかって来い勝頼! 武田勝頼 望むところだ親父!俺はあんたを乗り越えて武田を次の段階へ押し上げるんだ! 武田信玄 (人は城、人は石垣、人は堀、そして子は宝か……強くなれ勝頼、お前ならきっと出来るさ) 第13話 黒衣の男の影 +... 天狐王 神羅 仙狐の奴らの手応えはどうだ?お前達も直接相手をしているんだろ? 天狐 朱夏 仙狐っていうか人間が多いけどね、妙な四人組の女がやたらと強くて面倒なの 天狐 竜胆 こちらの軍勢もそれなりにはやるな、あのオンミョーシか?侮れん力を持っている 天狐王 神羅 奴らは妖魔や人間の区別もなしに戦力を取り込んでいるからな、節操の無い連中め 天狐 朱夏 でもさ、あいつら程じゃないとしても他の種族や人間を使うのってもう何処もやってるし 天狐 朱夏 かく言うウチらも怪しい奴らの力も使ってるじゃん、仕方なくない?そこは 天狐 竜胆 私は反対しているのだ!天狐の軍に天狐族以外は不要、天狐の結束をもってすれば…… 天狐王 神羅 だが現実から目を背ける訳にはいかん、全ては必要悪、止む無き事だってな 天狐 朱夏 そうそう、そんなに他の奴の手を借りたく無いなら竜胆ちゃん無双で敵を蹴散らせば? 天狐 竜胆 いいだろう朱夏!私が全てを終わらせてやる、それならば何の文句もあるまい! 天狐王 神羅 待て待て、お前は替えの効かない身なんだ、王権を行使してでも無茶は許さんぞ 天狐 朱夏 竜胆ちゃんが倒れちゃうと、近衛兵団も壊滅だからね、きゃー!責任重大っ! 天狐 竜胆 それを持ち出されては返す言葉もないが、引き続き奴らとは直接戦わせてもらうぞ 天狐王 神羅 もちろんだ、だが無理は許さん、絶対にな?それが分かってるなら好きにやれ 天狐 竜胆 お前が王の座を簒奪して以後、この心が休まった時が無い……あの男だって…… 天狐 朱夏 なになに?竜胆ちゃんって、あの真っ黒な人に惚れちゃってたの? 天狐 竜胆 誰が惚れるか!あんな得体の知れない奴が王の間に足を踏み入れるなど…… 天狐 朱夏 そう言えば、なんて人なの?あの真っ黒で、居るんだか居ないんだかな人 天狐王 神羅 確かろう……き?だったか、奴はあまり自分から名乗りたがらないのでな 天狐王 神羅 ともあれ奴とも仲良くしてもらわねばならん、特に竜胆、お前にはな 第14話 兄と妹とその妹と +... 島津家久 ねえ義久兄ぃ、折り入って相談があるんだけど…… 島津義久 そんなに歳久が心配か?ここしばらくの間、ずっと顔に書いてあったぞ 島津家久 えへっ、やっぱり義久兄ぃにはお見通しだよね! 島津義久 日新斎殿もお歳を召しておられるせいか、そこまでの働きは成せないご様子だ 島津義久 それに加え天狐族が本格的に動いたとなれば、戦力を再び調整する必要があるだろう 島津家久 じゃあ、お墨付き貰えるって事でいいの? 島津義久 ああ、歳久と日新斎殿の事をよろしく頼むぞ 島津家久 やったぁ!義久兄ぃ大好き!私、頑張ってくるからね! 島津義久 だが家久よ、お前は仙狐族の事を疎んでいなかったか?手ぬるいとかで 島津家久 まあね、勝つか負けるかの戦に綺麗事を持ち込む奴らは好かないけどさ 島津家久 あいつらもやる時はやるんだなーって思って、すっかり見直したよ 島津義久 先日の砦攻略の件か、確かにいささか汚い手ではあったが、実に有効な策だったよ 島津家久 義弘兄ぃに私の策が通用するのかもずっと気になってたし、楽しんでくるね 島津義久 ああ、家久の策を受ける側にも回る事で見えてくる物はあるだろう、頼んだぞ 第15話 鏡映しの種族 +... (プレイヤー) 皆さんの活躍もあり、今回の戦も無事に乗り切れそうですね ひまり しかしじゃ、それと同時に天狐族の力の恐ろしさも改めて思い知る事となったがの (プレイヤー) 特筆すべきはあの朱夏が率いる魔術兵団ですね、魔術とはあまり耳にしない単語ですが ひまり 妖魔界に広く普及する妖術とは全く系統の異なる術であるからのう、それも仕方無き事じゃ (プレイヤー) 相手も陰陽道の術について情報がなかったようなので、何とか痛み分けに持ち込んだ形ですね ひまり 魔術とは常闇の領域に伝えられる術じゃが、天狐族では密かに研究がすすんでいたようじゃな ひまり それに加えわしらで言う絡繰のような、特殊技術も保有していると調べがついておる (プレイヤー) 絡繰と言えば源内さんがもたらしてくれた技術ですね、今や仙狐に無くてはならない物です ひまり その特殊技術もまだ実戦投入された形跡はないが、動きが無いのが逆に不気味と言えるな (プレイヤー) 陰陽道の力と絡繰の力を手に入れた僕達、一方、魔術と謎の特殊技術を有する天狐か…… (プレイヤー) 似ているようで似ていないような、ちょっと妙な構図ですよね、これって ひまり うむ、じゃが国としての規模が違う以上、そこまで同列に語れないのが泣き所じゃな (プレイヤー) 僕達も現状に甘んじていないで取り入れられる物は取り入れて、陣営を強化しましょうね ひまり 全く持ってその通りじゃ、単に人材の確保に留まらず国そのものを大きくせんとな 第16話 またこの枠か +... ひまり しかし寂しいもんじゃのう…… (プレイヤー) どうされました|ひまり|様、そんな物憂げな顔をして ひまり 仙狐族の脅威の技術力により過去に起こった出来事を回想する施設が完成したじゃろ (プレイヤー) ええ、平たく言えばストーリー機能追加ですね、デッキの妖奥の間に増えてましたね ひまり 最終層へ到着出来る者が少ないのをいい事に、この枠では今まで好き勝手やってきたんじゃが ひまり 誰しもが何度でも確認出来る環境となった場合、それも難しくなってくるじゃろう (プレイヤー) 今の時点でも、散々好き勝手な話を進めてると思いますけどね (プレイヤー) もういっその事、この枠はイベントの打ち上げとか反省会でいいんじゃないですか? ひまり そうじゃのう、今までこっそり頑鉄と遊んでいたのも明るみとなった今、それも一つの手か (プレイヤー) もう色々やっちゃいましょうか、後は野となれ山となれですよ ひまり おぬし、意外と話が分かる奴になってきおったな (プレイヤー) ひまり様とずっと一緒に居ると無駄に鍛えられるんですよね、本来鍛えなくていい部分が 終幕 定例報告書 +... 目つきの鋭い狐妖 あら?伝令局の使いが来てるみたいだよ 豪放そうな狐妖 沙耶の鳥か、まいどまいど報告ご苦労さんっと、どれどれ 沙耶の報告書 妖狐族との連携によりまたもや天狐族を撃破…… 沙耶の報告書 されど鬼道衆の活動が活発に…… 沙耶の報告 (プレイヤー)様と親交のあった武田家ともより強固な関係を…… 目つきの鋭い狐妖 どうやら、あの子はまた上手い具合に切り抜けたみたいだね 豪放そうな狐妖 ちげえねえ、俺の口八丁な所は(プレイヤー)の方が受け取ってくれたみたいだな 目つきの鋭い狐妖 武田って言ったら人間界の大勢力だからね、あの子も立派になったじゃないか 豪放そうな狐妖 今は腕が立つより信を置ける味方を集める方が大事だが、両取りとは恐れ入ったな 目つきの鋭い狐妖 この調子で一人でも多くの味方を集めないとね、私達も負けてられないよ 目つきの鋭い狐妖 事が事なんだ、おまけに時間も無いと来てる、こうしてる間にも奴らは……って、アンタ! 豪放そうな狐妖 ん?どうした 目つきの鋭い狐妖 このクソ忙しい時に、のんびりと鳥に餌なんてやってんじゃないよ 豪放そうな狐妖 こんな小せえ体だってのに立派に仕事をこなしたんだ、褒美をくれてやらんとな 豪放そうな狐妖 それに、俺は釣った魚にもキッチリと餌をやる主義だったろ、忘れたか? 目つきの鋭い狐妖 へえ……じゃあ、アンタに釣られた私も、その餌ってのにあやかれる訳なんだね ??? ただし、身内は除く 目つきの鋭い狐妖 だったら、あたしもそれに習ってアンタに餌をやらない事にするよ 目つきの鋭い狐妖 具体的には飯抜きね、腹が減った時は自分で何とかしな 豪放そうな狐妖 ふっ……木の実や雑草は俺の味方だ、数日程度ならどうと言う事も無いぜ イベントヘッダ 名前 主な登場人物 武田信玄 春日虎綱 馬場信春 山県昌景 内藤昌豊 武田勝頼 安倍晴心 安倍晴明 土御門すばる 芦屋星河 芦屋妙見 芦屋道穂 賀茂朱美 賀茂静流 島津義久 島津家久 島津義弘 仙狐四天王 小雪 八百万射 雑賀孫市 雑賀衆 蛍 妖狐王 幻月 豪放そうな狐妖 目つきの鋭い狐妖 天狐王 神羅 天狐 朱夏 天狐 竜胆 暗殺者 ボス 天狐 朱夏 天狐 朱夏 業火 天狐 朱夏 魔術兵団長 +... 出現時 妖狐の相手で退屈してたところよ、朱夏ちゃんが遊んであげる 恥も外聞もかなぐり捨てた訳でしょ?だったら何されても文句は言えないよね 骨まで焼き尽してやるのは後回しよ、まずは弱火でじっくりとね 貴方達みたいな獣はちゃんと飼い主が管理しないと駄目なの、その辺分かってる? 天狐に歯向かうとか笑っちゃうよね、本気で勝てるとか思ってるの? なーんか盛り上がってるみたいだけど、すぐに知る事になるよ?現実をね どれどれ、野蛮な獣達に火の使い方なんかを教えてあげちゃいますか 朱夏ちゃんの前に立つとか、身の程って言葉は知ってる? そろそろ中火で行っときますか、頑張って耐えてよね? 天狐には貴方達を管理してあげる大事な役目があるの、つまりはそういう事よ あの仙狐がねぇ……まあ、燃え尽きる寸前にポッと頑張ってるみたいな? 竜胆は張り切りすぎだよねぇ、もっと適当にふわふわやってればいいのにさ 結構頑丈なんだね?じゃあさじゃあさ、次はこんなに耐えられるかなっ! へえ、無価値な雑魚だとばかり思ってたのに、結構頑張るんだね 天狐に弓を引くとか笑えるよね、自分達の立場ってのが分かって無いんじゃい? やれやれ、もうちょっとキツくしつけてあげないと駄目みたいね ま、永遠に続く平和なんて無い訳だし、貴方達のおイタもいい暇つぶしかな さてと、竜胆もうるさい事だし私もお仕事開始かな 撃破時 やるじゃん!なになに、これが五分の魂?宿っちゃてる? ま、これぐらいはやってくれないとお話しにならないからね 頑張ってるじゃん、その調子であがき続けてね? 朱夏ちゃんちょっとだけだけど、びっくりしたわ 敗北時 てんで弱っちいじゃない、噂が一人歩きしてただけかぁ あははっ、そうやって地面を這いつくばってるのがお似合いだね あんまり手を焼かせないでよ、黙っていい子にしてれば守ってあげるからさ 逃げ場はそこよ、必死になればまだ間に合うかもね 天狐 竜胆 天狐 竜胆 閃斧 天狐 竜胆 近衛兵団長 +... 出現時 抵抗はよせ、これ以上の争いは無益だ! 服従こそがお前達の生きる道だ、それが何故分からん…… 野蛮な連中め……やはり獣は獣だな 獣風情が妙な知恵をつけおって、度し難い連中だ 今ならまだ間に合うぞ、私達と戦おうなど無謀な事は考えるな! 天狐の庇護の下でしか生きられぬ事が何故分からんのだ…… 止むを得ないが実力行使だ、武器を捨てる事を進めるぞ これ以上の狼藉はこの私が許さん! 口で行っても分からぬのなら、こうするしかあるまい…… 身の安全は保障する、これ以上罪を重ねるな! 流石に、妖狐の連中と比べればまだ礼儀がなってるな 単なる獣ではないと、そう言う事か お前達もまた成長を重ねていたと言う訳か、これで合点がいった 惜しい……何故その力を正しき事に使えないのだ 私は強者を尊ぶ、相応の技をもって答えるとしよう 朱夏の奴はフラフラと……奴には長としての自覚が足りん! ここまで食い下がるとはな、面白いじゃないか! 野蛮なだけではないか、私も認識を改めねばならんな 撃破時 他愛も無い、所詮は地を這う獣か…… これも私の責務でな、怨んでくれるなよ これ以上の抵抗は苦しみを長引かせるだけだ、諦めろ 行け、私は何も見なかった、そう言う事にしておこう 敗北時 お前達の力は少々危険だな……早めに芽を摘む必要がある なるほど、決して口だけの連中ではないのだな 私の見立ての上を行くとはな、やるではないか 今までの連中とは何かが違う……なんだ、この手応えは 武田勝頼 武田勝頼 奮闘 武田勝頼 次期当主候補 +... 出現時 次期当主がこの僕以外に務まるものか…… 君達に怨みは無いが僕は力を示さなきゃならないんだ 何もかも向こうでの戦が少ないせいだ、くそっ! 親父にも思い知らせてやるんだ、僕こそが武田を継ぐに相応しいとね! 僕は一人でも戦えるんだ、それを今から教えてあげるよ 僕は絶対に負けないよ、負けられない事情があるのさ! あの親父が容赦してくるなんて初めから思っちゃいないさ! 虎綱もいずれは僕の部下になるんだ、それを忘れるなよ? 昌豊め……今のうちに吠えてるがいい、お前もいずれは僕の部下だ! 昌景の力を引き出せるのは親父じゃない、この僕だ! 親父め、僕の力をいつになったら認めてくれるんだ…… どうだ!これが武田の……僕の力だ!恐れ入ったか! こんなはずじゃ、こんなはずじゃあ! 何で僕は勝てないんだ……いや、勝ってみせるぞ!この名にかけても! 親父だって人間だ、疲れもすれば焦りもするはずなのに……なんで、なんでだよぉ! 狐共の争いなんてどうでもいい!僕は僕の名を上げるぞ、絶対にだ! まだまだぁ!僕の力はこんなものじゃないぞ 僕には武田を導く義務があるんだ、僕の……僕の邪魔をするなぁ! 撃破時 まぐれ当たりがいつまでも続くと思うなよ? 遊び過ぎたか……これはいい勉強になったよ この僕の負けだと?いや、こんなのは負けのうちに入る訳が無い! 勘違いするなよ、負けてない、僕は負けてないぞ! 敗北時 これは僕の手柄だ、その眼によく焼きつけておけ! やはり僕の力は本物だ、まるで負ける気がしないよ! せいぜい僕の活躍を広めてくれよ?そのために生かしておくんだ 僕の未来は約束されているんだ、武田を背負う未来がね 天狐 爪紅 暗天狐 爪紅 急襲 天狐 爪紅 暗夜行 +... 出現時 あの影使いの雑魚ガ、雑魚ジャ無くなってるネ、どういう事ネ!? こんなの聞いて無いヨ、面倒ヨ!なんであんたら強くなってるヨ!? なかなか近寄れ無いネ……守りの厚さガ段違いになってるネ 王の首を持ち帰ルのが私の仕事ネ、大人しく差し出すネ! とんだ計算違いネ!準備不足ネ!手持ちの暗器じゃ対応厳しいネ! 報酬の上乗せヲ要求するしか無いネ……当然の権利ヨ 奥の手がこれだけだと思わない方ガいいネ! 虚を突いてこその暗殺ネ、驚きガ隙に繋がり隙が死を生むヨ! さっさと仕事を終わらせテ豪遊したいネ……空気を呼んで欲しいヨ こんなの割に合わないネ!今後ノ身の振り方を考えたくなるネ! また邪魔が入ったネ……これじゃ商売あがったりネ! 私の動きを読むつもりカ?甘いネ、甘ったるいネ! 撃破時 | |待ち伏せとはやるネ、今回は花を持たせてやるネ! | |私の奥の手そのイチを破るとは、面倒な奴らネ! | |奥の手そのニでも駄目カ!?手強い連中ネ! 敗北時 逃げちゃ駄目ネ!いいから大人しくしてるネ! 油断したネ?私には分かるネ! 正攻法でかかるのは嫌いネ、美しく無いネ 主なガチャ更新家臣 仙狐四天王 小雪 小松姫 安倍晴心×白龍 祭典装束天女姫 リエル 祭典装束蛇影姫 皐月 妙玖 上杉景勝 賀茂静流 用語集 +... 名前 コメント すべてのコメントを見る
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交わした約束と残した思いと目覚めた心(前編)◆z9JH9su20Q ――――交わした約束、忘れないよ 「だぁあああああああああああああああああっ!!」 雄叫びと共に。美樹さやか――新生した仮面ライダーエターナルは、込み上げる衝動のままに目の前の道を直走る。 右手に握るのは受け継いだ専用武器、エターナルエッジ。短く優美ながらも、力強く勇ましい刃に月光を照り返らせ、その刀身を眼前の悪へと抉るようにして繰り出す。 「――だから甘いと言っておるのだ、ド素人の小娘がっ!」 しかしその突きは、ハイパーアポロガイストの翻した太陽を模した楯によって軽々と払い除けられた。 仮面ライダーに変身したことで更に強化された脚力による、最速の刺突。必殺を期した一撃をあっさりと弾かれたエターナル=さやかは、思わぬ結果に瞠目する。 そして理由を悟った時には、アポロガイストの炎を纏った翼に打ち据えられて、思わず後退させられていた。 必中を狙った最速の一撃はしかし、正直に過ぎた。しかも得物が変わった最初の一撃では、ガイアメモリによる補正を加味しても、僅かながらとは言え誤差も存在する。 エターナルの再誕に動揺している最中だったとはいえ、真正面から飛び込んだのでは、アポロガイストに立て直す時間を与えるのに充分過ぎたのだ。 いくら彼の力を受け継いだとはいえ、だからこそ高揚のままにではなく、冷静に立ち回らなければならなかったというのに――漲る力と意志を御しきれず、さやかは思わぬ隙を作ってしまっていた。 そんなエターナルを押し退けた翼を、アポロガイストはそのまま高々と掲げ、その羽の先に無数の火球を灯し出す。 「喰らうが良い!」 「く……っ!」 同じくエターナルへの変身を果たしたとはいえ。連続で放たれる火球の全てを回避できるほどの判断力は、大道克己ならともかく、美樹さやかには未だ備わっていない。 故にエターナルローブを翳して猛攻を凌ぐという選択肢を余儀なくされるが、被弾を許すたびに残り僅かなメダルが消費されて行くのを感じ、さやかはエターナルの仮面の奥で臍を噛む。 「――ぐぉっ!?」 しかし次の瞬間、アポロガイストのくぐもった声と共に、火炎による制圧射撃の矛先が逸れ――その隙に気づいたエターナルは再び、膝を弛めて大地を蹴る。 「やぁあああああああっ!」 文字通り超人の跳躍力で、一息足らずに距離を詰める。 間合いの足りなくなった刃物では、遠距離からの奇襲に用いるには迎撃を振りきれない。 だから、その防御ごと打ち飛ばす――! 「――っぅあぁああっ!!」 気合の叫びと共に引き出した、エターナルメモリの余剰エネルギー。ガイアメモリの王者の力が転じた蒼炎を纏った蹴りは、アポロガイストの掲げた楯を跳ね上げるのに充分な威力を有していた。 がら空きとなったアポロガイストの胴体目掛け、エターナルは更に距離を詰める。 払い除けようとするようなアポロフルーレの一閃は、取り回しに優れるエターナルエッジの刀身で走らせて、受け流し――全力で、身体をぶつける! 「ぬぅおぁああああああっ!?」 エターナルの痛烈な体当たりを受けて、アポロガイストは膝裏に突き立てられていた金の杭を支点にひっくり返る。エターナル自身が転びかねない勢いがそれで終わることはなく、アポロガイストの身体は更に後方へと投げ出されて行く。 「――立てる!?」 その隙にエターナルは、先程の窮地を救ってくれた仲間に呼びかけていた。 「あ……、ああ」 金色の装甲を纏った漆黒の仮面ライダー――ライジングアルティメットクウガに。 敵手の放つ焔の弾幕にエターナルが釘付けにされていた時、アポロガイストに踏みつけられていた彼が咄嗟に肘を敵の膝裏に叩き込むことで体勢を狂わせ、逆転のチャンスをくれたのだ。 「……すまない、さやかちゃん。俺は……」 しかし、俯くクウガから聞こえる小野寺ユウスケの声は、どこかか細かった。 アポロガイストからあれほど手酷い暴行を受けながら、今立ち上がったその絢爛な威容は少しも貶められていない。ネウロや克己でさえ苦戦した頑健な装甲と、さやか以上の驚異的な治癒力の為せる業だろう。 だから彼の声を翳らせている痛みの正体は、身体に受けた傷以外にあることがさやかにも理解できた。 「……良いよ、そのことは。あいつは――克己はあんたに、自分を責めて欲しいなんて思ってないよ」 きっと、そうだ。 操られ、利用されていただけの彼は悪くない。 だから克己も、彼に後を任せたはずなのだ。 「それより今は、あんたの力を貸して――仮面ライダークウガ」 故にさやかは、ユウスケに助力を乞うた。 「悔しいけど、あたしだけじゃまだアポロガイストには敵わない」 立ち上がり、再び武器を構えた赤い怪人と向き合いながら、エターナルは微かに声を震わせる。 先程の短い攻防で痛感した。いくら同じ祈りを理由に彼の力を継いだからって、自分はまだまだ亡き師匠に追いつけていない。 しかし絶望する気も、意地を張る気もさやかにはない。そんな必要はないのだと、克己と過ごした時間の中で学んでいたから。 「克己との約束を果たすには……あんたの力が必要なんだ」 あの悪を、克己の仇を一人で倒せる力が――ないわけではないのに、使い熟せない自分のことは確かに悔しい。 それでも祈りを忘れることなく。さやかは素直に、出会ったばかりの同志に共闘を申し込めた。 「……わかった。大道さんには悪いけど、俺も今は一人じゃあいつを倒せそうない……」 そんな新たなエターナルの言葉を受けて、クウガも落としていた視線を眼前の敵手に向け、少女の隣に並び立つ。 「だから、君の力を貸してくれ……仮面ライダーエターナル」 「オーケー、望むところっ!」 弾むような声で頷き、エターナルはクウガに背中を預けて得物を構える。 「……ちぃ、小癪な仮面ライダーどもめ」 その様を見て、忌々しそうにアポロガイストは舌打ちした。 「二人がかりとはいえ、弱体化したクウガに中身が小娘となったエターナル……貴様ら程度、このハイパーアポロガイストの敵ではないのだ!」 「……やっぱりやってみせなきゃわかんないみたいだね、あんたみたいなバカには」 構えを解かぬまま、エターナルは最早怒りですら無い闘志を胸に、アポロガイストの言葉を否定する。 「それにあんたの敵は、二人だけじゃない――!」 「ふん……今更アンク達が、何の力になると言うつもりだ!?」 少女の啖呵をアポロガイストが嘲笑い、それにさやかは笑い返す。 「だからわかってないって言ってんのよ、あんたには!」 今――ここにさやかを立たせているのは、さやか一人の力ではない。 さやかに勇気をくれるのは、ユウスケやアンク、ネウロ達だけではない。 こんな自分を認めてくれた、忘れ得ぬ仲間達が今も、この胸にいるのだから。 「何をわけのわからぬことを……まぁ良い。せいぜい現実を知って絶望するまで、滑稽な夢でも見ているのだな!」 さやかの言葉の意味は、悪の大幹部に届くことなく。しかし届かせる必要もなく。ただ今は、この力でわからせてやれば良いと彼の形見(エターナルエッジ)を強くその手に握り込む。 次の瞬間。赤い翼を広げ、迎え撃つ悪の大幹部と――地を蹴った二人の仮面ライダーの間の距離が消失し、雌雄を決するべき最後の戦いの火蓋が、ここに切って落とされた。 ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 「……ふむ。まずいな」 そうして始まった激突を目にして呟いたのは、傷ついた身体を引き摺って戦場に向かおうとしていた魔人、脳噛ネウロだった。 「笑えるほど遅いとは思っていたが、本当にここまで遅いとはな……」 魔人の手の中には、残された魔力の全てを費やし召喚(ローディング)を始めた絶対無敵の切札が、その片鱗を顕現させようとしていた。 魔帝7ツ兵器(どうぐ)が一、“二次元の刃(イビルメタル)”。ネウロの手持ちの武器の中でも最強であると同時、グリードと化し、通常の手段では息の根を止めることのできないアポロガイストを唯一倒し得るジョーカー。 その強大過ぎる力故に、召喚には莫大な魔力と多くの時を必要とする。そもそも瀕死に近い今のネウロが使用できるかも怪しい代物ではあったが……意外にも、発動自体に課されたコストは低かった。 攻撃できる範囲と捕捉数が劣るためなのか、他の魔帝7ツ道具と比べれば、Xとの戦いで使用したそれらの半分程度のメダル消費しかなかったのだ。 しかし……それはただ、発動するだけのコストの話。 いざ攻撃に転用できる状態――即ち召喚の完了まで、体感に基づき推測すれば、千秒近い時間を要求されていたのだ。 仮面ライダー達は二人がかりで戦線を支えているが、方や未熟、方や疲労困憊となれば、今のアポロガイストを相手に戦力が足りているとは言い難い。 数の差で粘れば勝ちの目もあるかもしれない。しかしこのままでは奴を倒しきる前に、エターナルとクウガのメダルは底を突くだろう。遠からず、少なくとも十五分は保たずに。 そうなればアポロガイストに抗し得る戦力など残されておらず、“二次元の刃”による攻撃が可能となる前にネウロ自身も殺害されて終わってしまう。 「……手が足りん」 精彩を欠いて、あるいは未熟ゆえに攻撃を捌かれ、焔に押されて後退する二人の姿を目にしたネウロは、苦々しくそう吐き出した。 勝ち筋は見えている。だがそこに到るまでの道を崩され、間に合わない。今のままでは勝機はない。 何か、もう一手。その欠損を埋めるだけの何かを見出さなければ…… 「おい」 そんな思考を遮る声が届くまで、ネウロは彼の接近に気づくことができなかった。 魔力の枯渇と身体的ダメージによる精神消耗と、”二次元の刃”の召喚に意識を割いていた間に――身を隠していたはずのアンクが再び、その姿を現していた。 アンクはその険しい視線をネウロの右手に向けたまま、口を開く。 「今呼び出してるそいつが、コアを砕ける能力か」 「……気づいていたのか」 微かな驚嘆を胸に覚えながら、ネウロは婉曲な肯定を返した。 そしてそれ以上の――喜悦にもよく似た、ある意味先程さやかに感じた物にも近しい感情に満たされていくのを自覚しながら、アンクの姿を睨めつける。 「それは単にコアを砕くだけじゃなく……奴を倒すのに使えるのか?」 「ああ。完成すれば魔界王にも防げない……あのアホ一匹に使うには豪勢に過ぎるが、確実に無力化できるだろうな」 「……なら、何でさっさと叩き込まねえ。何が足りないんだ」 「間合いもそうだが……これは呼び出すのに時間が掛かる兵器なのだ。完了までまだ500秒近くは必要だろう」 ネウロの返答に、仮面ライダーの健闘も限界が近いことを見取っていたアンクは、苛立ちを隠そうともせず舌打ちした。 「使えねぇじゃねぇか」 「我が輩もここまでとは思っていなかったぞ。時間を短縮できるにしても、余力が残らんのでは時間稼ぎもできん」 「……何?」 ――喰いついた、とネウロは微かに頬を緩めた。 「どうやらこの刃、召喚を始めるコスト自体は15枚で済むらしいのだが……追加で我が輩の持つメダルを強制的に吸い上げて、その分召喚に要する時間を圧縮できるらしい。おかげで召喚しながら奴を抑える目論見が崩れた」 制限がもう少し緩ければ、この体調(コンディション)でも召喚に要する時間はもう少し短かったかもしれない。 あるいは発動まで魔力(メダル)をプールしておけるのなら、まだ多少は動けるネウロもさやか達に加勢することで単純に的を増やし、戦線を維持できる時間を引き伸ばす手筈だった。 そしてそもそも発動ができないなら、手元に残った魔力で別の手段を模索するのみ。 そんな考えだったが、しかし実際には、どれも叶わなかった。召喚に要する時間は予想以上で、発動を終えてではなく先にコストを要求された。それもどんな悪徳か、ネウロに有無を言わさず根刮ぎメダルを持って行かれたのだ。 切札中の切札であるからと、ここまで試し打ちもせず、制限を確認していなかったことが土壇場で響いてしまった。 だが……それを補う手段があることを、ネウロは知っている。 「それで? 貴様もまさか、ただ世間話に来たわけではあるまい」 そう――非常食とも見込んでいた、アンクという存在を。 今、彼を殺してメダルを奪う余力すらネウロには残っていない。しかしアポロガイストを撃退しなければ先がないのは、おそらくは他の誰よりアンク自身だ。 この危機的状況において協力を拒まれることはないと、ネウロは踏んでいたのだ。 但し。 「……何枚だ」 「さあ。先程は十枚ほどの追加で一割は短縮できたが、この先も同じ比率とは限らん。そもそもが我が輩が干からびるほど燃費の悪い兵器であることを考えれば妥当なところなのだろうが……さてアンクよ、今は何枚余裕がある?」 そう――そもそもアンクが提供できる限界値に達していれば、話は変わって来てしまう。 未だに体を維持できているのなら、枯渇しているということはないはずだ。 だがそこに余裕が無いのであれば。アンクに延命のために血肉を削る覚悟はあれど、それで死んでしまうような愚は犯すまい。 「……貴様のコア、アポロガイストに奪われているのだろう? あの虫頭ではない貴様は、どこまで保つ?」 「……さあなァ。少なくとも、今すぐ撃てるほど貸してやれそうにはない」 案の定のアンクの返答に、しかしネウロも引くことはできない。 限界があるなら、限界まで絞り取る――それがネウロの考え方であり、やり方であり、そしてこの場における唯一の活路である以上、譲歩することなどあり得ない。 そんな風にネウロの意志が固まる横で、再びアンクが口を開いた。 「……だが、そいつを完成させるまで、おまえは使い物にならないんだったな?」 溜息と共に漏れた言葉には、諦念――というよりはそれを装った何か別の感情が潜んでいる気もしたが、あいにくネウロはその手の機微には疎かった。 「あいつらだけじゃ手が足りないんなら、出し惜しみしたって俺まで死ぬだけだ」 もう少し難儀するかと思ったが、意外にもあっさりと、アンクも覚悟を決めたようだ。 いや、そもそもネウロに声をかけてきた時点で、アンクとてこの展開は予想していたのだろう。ならば覚悟など、とっくの昔に決まっていたに違いない。 奥の手を見透かされていたことといい、ネウロはこの人外への評価を改める必要があると認識した。 微かに愉悦の滲んだ笑みを漏らしていることを自覚しながら、ネウロはアンクに告げた。 「どの程度短縮できるのかはわからんが、使い物にならない者を徒に増やしても仕方あるまい。献上は意識の消える寸前で止めても許してやろう」 「てめぇ、状況が状況だからってなァ……後で覚えてろ」 ネウロの物言いに顔を顰めながらも、怪人が魔人へとその異形の腕を差し出した、次の瞬間のことだった。 「――っ、さやかァッ!」 アンクの切迫した叫びに振り返ったネウロが――アポロガイストの前で生身を晒すさやかの姿を、その目に収めたのは。 ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 拳の打ち込みを潜り抜けられ、逆袈裟の反撃に姿勢を崩す。 横合いから突撃していたエターナルをついでに牽制する翼の一振りで、重心の安定を欠いていたクウガはその身を宙に舞わせていた。 「……クソッ!」 ダメージは軽い。それによるメダルの放出すらない程度でしかない。 なのにこうも踏み止まれない身体の鈍さに、クウガに変身したままユウスケは臍を噛んだ。 奴に操られていた間は、経験したことのないほどの力が身体に満ちていたというのに――今はそれを引き出すことができない。 この身に植え付けられた力――笑顔を奪ってしまったそれを、笑顔を守るためには揮えない。 苦い思いを噛み潰しながら、ユウスケはその足で走り出す。ナイフによる一撃をまたも楯に阻まれ、その隙に連撃を受けて防戦一方となったエターナルの元に駆けつけると、体当たりでアポロガイストを引き剥がそうとする。 ……だが、ここに至っても、まるで神経や筋組織に異物が潜り込んでいるかのように、思うような力が出せない。 「ぬるいわ!」 そうして手間取っている間に、アポロガイストの振り下ろした剣の柄で強かに背中を打たれ、更に崩れた先を膝で迎え撃たれる。 「ユウスケっ!」 蹴り上げられたまま転がっているところを、守るべき少女の変身したエターナルに受け止められる不甲斐なさに、クウガは再び拳を握り締める。 「言っただろう。地の石に抗った反動と、矛盾した命令でアマダムの混乱した今の貴様では、私に勝つことなど不可能! 大人しく死を受け入れるのだ!」 「――っ、誰が!」 反発して立ち上がるが、鈍った反動ではアポロガイストが構えた銃口から逃れきれず、放たれた炎弾に呑まれて再び後方へと身を運ばれる。 地に叩きつけられるまで追撃がなかったのは、その間にエターナルがアポロガイストに突貫し、クウガの隙を庇ったからだ。 だが、またしてもコンバットナイフによる攻撃は日輪の楯に食い止められ、その影から突き出された刃が肩口を掠める勢いのままにエターナルは後退する。 後は繰り返しのように、広がった翼がエターナルを打ち据えるだけ――かと思われたが、アポロガイストは舌打ちを残し、その翼を停滞させた。 ――同じ攻防の繰り返しの中で、しかしさやかは消耗より早く学習していたのだ。 クウガが不調である分まで補おうとする気持ちと、残されたメダル量への焦燥が、彼女の攻め気を高め過ぎていることは、ユウスケにも見て取れていた。 しかし初めての変身、慣れない武器で防御より攻撃を優先して勝てるほど、アポロガイストは甘くない。 だから、彼女はかつて我武者羅なだけの攻めを諌められたことを思い出し――敢えて踏み込みを浅くして、反撃に備えたのだ。 ここまでのパターン通りに、その追撃として翼が振り抜かれれば、更なる反撃としてそれを切って捨てられるように。 しかし相手もさるもので、アポロガイストは寸前にそれに気づき、逆に距離を取られてしまった。 再び火炎の嵐に見舞われるエターナルの元に駆け出そうとして、しかしクウガは一度冷静に立ち返る。 居ても立ってもいられないのはさやかも同じだ。ユウスケよりも、目の前で大道克己を喪った彼女の方が、心に受けた傷も大きいはずだ。 なのに、自分が耐えられないからと、我武者羅に飛び込むばかりで一体どうする。 本当にそれしか手段がないなら仕方ない。だが、ひたすらに突撃を繰り返すしか本当に打てる手段はないのか、もう一度よく考えろ。 克己の繋いだ希望を――さやかの奮戦を、無駄にするな。 「――――!」 そうして突破口を見つけるべく、思考を巡らせたユウスケの脳裏に一つの賭けが閃いたのは……アポロガイストの強烈な一撃によってエターナルのメダルが枯渇し、美樹さやかがその生身を晒す寸前のことであった。 ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 薙いで、打って、撃つ。 爆炎を孕んだ剣閃を繰り出して、アポロガイストはエターナルを間合いの外に弾き出す。 「ぐぅ……っ!?」 「甘いと言ったはずだ小娘。貴様が仮面ライダーの力を得たところで、中身が貴様のような未熟者では意味など無いのだ!」 確かにエターナルエッジによる攻撃は速さと回転数に加え、ハイパー化したアポロガイストの躯さえ貫くに充分な威力を兼ねた脅威そのものだ。 だが間合いは短い。距離を詰めさせなければどうということはなく、左右の翼にアポロフルーレ、ガイストカッターと近中距離を制圧する攻撃手段を豊富に揃えた今のアポロガイストからすれば、それは実に容易いことなのだ。 距離を詰めなければ何もできないのは、空いた手足の三本も同じこと。先程は防御ごと跳ね上げられたが、エターナルの打撃と言えど来るのがわかっていれば充分持ち堪えられる。 そしてマントの防御だけに頼って距離を詰めようというのなら、攻撃しても無駄なのがわかっているのだから付き合うことなどせず、牽制でメダルを削りながら距離を取れば良い。 文字通り足元を掬いに来ていたクウガも今は密着しておらず、視界の隅で常に動きを把握できている。 邪魔が入ることもなくなった以上、アポロガイストにエターナルが攻撃を届かせることは叶わず、一方的に攻撃を受けるだけとなるのも当然の帰結だった。 しかし、アポロガイストの繰り出す怒涛の攻めは、なおもエターナルを仕留めるには及んでいなかった。 変身者である美樹さやかの、ゾンビ故の再生力は疾うに把握している。何度攻撃を浴びせたところでその動きに陰りは見られず、その持久力は間違いなく厄介であるとアポロガイストも認めていた。 ――だが、それだけではないのだ。要因は。 アポロガイストの一撃を、エターナルはローブで捌く。 そう、捌く。 正面から万全の防御として受け止めるのではなく、最低限の接触でメダル消費を抑えながら、攻防の転換のラグを最低限に抑えることができるように。 それでも彼女の刃は未だアポロガイストに届くことはないが、徐々に、しかし着実に、その喉笛までの距離を縮めつつあった。 ――最早美樹さやかのそれは、殺し合いが始まった直後の交戦時のように、自らの弱点を晒すような素人丸出しの戦い方とは違う。 挙動に緩急をつけ、時には反撃のための誘いの隙を見せるなど……ほんの数分前と比べてみても、格段に戦士として成長しているのだ。 変身直後の、感情に振り回された初撃はともかく。既に彼女を本気でド素人と罵ることはできまいと、アポロガイストも内心では認めていた。 素人ではなくとも、未だ歴戦の精鋭とはとても言えないだろう。だがこの短時間で成長していく彼女のセンスを軽視することは決してできない。 こちらがこれだけの好条件を揃えていても、変身者があの大道克己のままならば、おそらくエターナルはアポロガイストの呼吸を読んで喉笛を狙うこともできていただろう。 もちろん経験の不足している今の美樹さやかに、繊細な洞察力があってこその大胆さを要求される技術を発揮することはできないが――この少女は、その大道克己の指南を受けた後継者なのだ。 持久戦に持ち込めば、不死身のゾンビだろうと先にメダルが尽きるのは仮面ライダー達の方だ。 だが逆を言えば、持久戦ではメダルが切れるまでこちらも彼らを仕留めることはできない……その短いはずの猶予で、エターナルが真の意味で復活することをアポロガイストは恐れていた。 「気味の悪いゾンビぶりだが、いつまで続くか見ものなのだ!」 だからこそ。そんな焦りはおくびにも出さないまま、敢えて舌先に載せる言葉は実際の認識とは真逆のものを選んでいた。 全てはさやかの油断を招き、焦燥を煽り、感情に惑わされた末に生まれる、勝負を決める隙を作らせるために。 今この瞬間は安全であっても、成長の余地を与え窮鼠が猫を噛みかねない長期戦に持ち込むのではなく、急所の宝石を早々と打ち砕いてその芽を詰むために。 「……だったら!」 そんな狙いを秘めながらも、表面的に続けるのは延々と距離を保つような消耗戦。それにエターナルも痺れを切らしたのか、ローブを前面に展開して再びの突貫を開始する。 当然、それまでの繰り返しのように距離を稼ぎながらアポロガイストは飛び道具による牽制を重ねる。しかしエターナルはメダルの消費を惜しまず、更なる勢いで突っ込んで来る。 追い詰められた彼女が勝負に出たのだと気づいたアポロガイストはそこで迎撃をやめ、更に距離を稼ぐことに専念する――のではなく、敢えて狙いに乗ることにした。 エターナル=さやかにとってのみならず。これこそがアポロガイストの待ち望んだ、千載一遇のチャンスと見なして。 「喰らうが良いのだ!」 数瞬の溜めの後、繰り出したのは特大の火炎弾。 爆炎による破壊そのものは掲げられたローブに阻まれるも狙い通り、それ自体が死角となってエターナルの視野を塞ぐ――アポロガイストの姿を隠すのに、充分なほどに。 「――終わりだっ!」 口端を歪めながら、アポロガイストは即座に身を運ぶ。こちらの攻撃を尽く無為化する絶対防御の暗幕、その背面へと。 これまでの動き通り、距離を取られるものと予想しただろうエターナルの意表を突き、明確な隙となった瞬間を狙うためにローブの裏側に回り込んだアポロガイストは愛刀を構え――そして瞠目した。 「いないっ!?」 《――UNICORN!!――》 明かさた暗幕の裏の空白に驚愕の声を漏らしたのと、上空からその電子音が降りて来たのは全くの同時。 辛うじて視線だけを間に合わせれば、そこにはローブを脱ぎ捨てたエターナルが、拳を番え降って来ていた。 アポロガイストにもどうしようもない、絶対防御のローブこそエターナルの切札――その認識を逆手に取られた。 悪の大幹部との読み合いを制し、手玉に取ることができるほど彼女は既に成長していたのだと悟った時には、既に遅かった。 勝負を終わらせるつもりで構えていたアポロガイストの隙を突き、最早防御の間に合わないところにまで翠の閃光と化した拳が肉薄していたのだから。 「やぁあああああああああああっ!!」 《――MAXIMUM DRIVE!!――》 「おぐぅっ!?」 エターナルの繰り出した一撃は、咄嗟に身を捻るぐらいしかできなかったアポロガイストの横面を思い切り捉えた。 首が取れるかと錯覚する一撃。兜が拉げ、左側の飾りが折れ、そして身体が宙を舞うで、しかしアポロガイストもただでは転ばない。 「舐めるなっ!」 防御が間に合わないと悟った時点で、アポロガイストは既に反撃に意識を割いていた。結果として照準できたマグナムショットは、ローブを手放し、攻撃後の微かな隙を突いてエターナルを確かに捉えた。 起死回生の博打に精魂を一度絞り尽くしていたエターナルは、焔を纏った着弾にもんどりを打って倒れ、そしてその白い装甲を消失させた。 「……小娘なりによく頑張ったと褒めてやりたいところだが、これで終わりなのだ!」 今の攻防で、遂にメダルが枯渇したのだろう。あるいはそれ故の捨身だったのか。 駆け引きに敗北しようとも、どんな形であれ生き残った者こそが勝利者――ベルトに触れることなく生身を晒した美樹さやかを目にした己にそう言い聞かせながら、アポロガイストは再びマグナムショットの銃口を向ける。 「――さやかァッ!」 銃爪を引く一瞬前、アンクの絶叫が耳に入り、アポロガイストは微かに視線だけをそちらに向ける。 見ればアンクが、またガイアメモリらしき長方形の物体と――気配でわかる、奴に残されていた最後のコアメダルを、さやか目掛けて投擲したのが確認できた。 (哀れな奴なのだ) いや、それとも幸運なのだろうか。 コアの放出によって瞬く間に失われていくアンクの気配、結果として崩れて行く躯の様子を目にしながら――そこまでして救おうとした相手が吹き飛ぶのは、最早避けようがないことなのだと、アポロガイストは嘲笑とともに銃爪を引ききった。 勝負は決まった。コアメダルの到達より、ハイパーマグナムショットの弾丸がさやかを砕く方が早い。それを見届けることすらできず、自らの感情を宿したコアメダルを間抜けにも死体の前に転がし、そのままアポロガイストの糧となる愚か者の無念を想像するのに浸ろうとして―― 突然、目の前が金色の闇で染まった。 「――っ!?」 「おぉりゃあっ!」 忽然と現れたそいつは、凶弾と少女の間に割り込ませた己の肉体を楯として――しかし被弾した事実がなかったかのように。停滞することなく思い切り、アポロガイストの横っ面を殴りつけに来た。 ガイストカッターの移動が間に合わなかったアポロガイストは、咄嗟に左の翼を即席の楯として構えた。勢いを削いでくれることを期待したそれはしかし、薄紙のように破られてアポロガイストの側頭部に拳の着弾を許す。 残されていた兜飾りの片割れが砕け散るのを、音より早く伝わった衝撃で理解しながら。吹き飛んだアポロガイストは、穴の空いた翼の弾みを利用して何とか、それ以上の無様を晒さずに起き上がった。 「ば、馬鹿な……」 未だ震れる頭を起こして、アポロガイストは視界に収まった敵手の姿に――先程の一撃で伝えられた力の程への驚愕を、辿々しくも口から漏らす。 「何故、貴様が既に回復を……!?」 「……おまえが教えてくれたおかげだ、アポロガイスト」 早過ぎる、と毒突くアポロガイストに対峙して、それは――突如として本来の力を取り戻したライジングアルティメットクウガは、静かに滾る調子でそう答えた。 「俺の身体は石に逆らって消耗して、アマダムも二つの指令に混乱して……そこから元に戻るまで満足に戦えない。 だから思ったんだ。だったら、俺が地の石を使えば良いってな――!」 構える凄まじき超戦士から伝わる圧力に、アポロガイストは思わず身動ぎする。 この迫力、そして先程の一撃、奴の言葉はハッタリではない――! 成程、地の石からの指令と小野寺ユウスケの意志の乖離がアマダムの混乱の元ならば、それを統一すれば解消されるというのは道理だ。 だが、しかし――使えば良いと言った割には、どこにも地の石を身につけている様子はない。そもそもあれは、憎っくきアンクの放った凶弾で破壊され―― そこでアポロガイストの脳裏を、一つの仮説が閃いた。 「貴様――まさか、地の石を取り込んだのかっ!?」 究極の闇から零れ落ちたのゲブロンの破片を取り込んだグロンギや、二つのキングストーンを揃えた創世王のように。 あれらの霊石が持つ、他の霊石と同調する能力を持って――地の石の残骸を、アマダムが取り込んだとすれば。 二つの石が等しく小野寺ユウスケの物となれば、反発していたはずの霊石の力まで合一して取り込むことで、肉体の負担さえも緩和される。 しかし……口は災いの元だったと悔やむとともに、本当にそれだけでライジングアルティメットに大ショッカーが埋め込んでいたセーフティが突破されたのだろうかと、微かな疑問がアポロガイストの脳裏を掠める。 筋は通っている。しかしそれだけで、果たして消耗に回復が追いつくのだろうか。 あるいは他にも、何か。地の石以外にも、彼奴のアマダムに影響を与えた何かがあるのではないかと。 先程までの闇色とは異なり、金色に輝くアマダムの様子に気づいたアポロガイストはそんなことを考えたものの、それ以上悠長に構えては居られなかった。 「行くぞ!」 「く――っ!?」 微かな思考の彷徨から帰還する前に、クウガは肉薄を開始していた。 距離を詰めさせまいとするマグナムショットの一撃。しかしそれが、この凄まじき超戦士に通じないことは先刻証明されている――! 当然のように、灼熱の弾丸を無造作に叩き落としたクウガは足を止めることなく懐に潜り込む。発砲の反動でやや跳ね上がっていた銃身を容易く掴み上げられ、アポロガイストは手首ごと持って行かれるかという悪寒を覚え、しかしすぐにそれを杞憂と悟った。 何故なら代わりに、金属が爆ぜる不快な音が響いていたことに喫驚するハメとなったのだから。 「き、貴様――っ!」 愛銃を奪い取るよりも早く、掴んだ勢いのまま軽々と握り潰された畏怖に声を震わせるアポロガイストは、続く一撃を咄嗟にガイストカッターで受け止め、切れなかった。楯を構えることは間に合っても打撃の威力に押され、そのまま胸と顔面にガイストカッターを減り込ませてしまっていたからだ。 目の奥で散る火花が視界を封じて、一瞬の暗転。後頭部と脚部に感じる鈍い感覚は、それぞれを一度ずつ打っていた証左だろう。 勢いのまま後方に一回転して、偶然にも元通り立ち上がった状態に戻れていたアポロガイストは、痺れが残る左腕を持ち上げるのが間に合わないのを直感的に理解して、空いた右手にアポロフルーレを握り込んだ。 ――握り込んだ時には、やはりクウガは眼前に出現していた。 「っ!」 焔を纏わせた刺突は、易々とエルボースパイクに払われる。そのまま流れるような手刀に右手を襲われ、アポロガイストは愛刀を取り零す。 無手になったことを度外視しても、ここまで距離が詰まれば、後は速さと回転数に優れる徒手空拳の独壇場。そしてその土俵において、今のクウガに敵う者など――っ! 咄嗟に後退しようとした足を、上からの激烈な踏みつけで大地に縫い付けられ。逃げ場を失くしたことを悟ったアポロガイストの背を氷塊が滑り落ち、その肩に。 脇に、顎に。 腹に、胸に。 鼻っ面に。 一息吐く間もなく突き刺さる猛烈なラッシュが、一撃ごとにアポロガイストの鎧を凹ませ、亀裂を走らせ、砕け散らせる。 六発目で一度クウガの攻勢が途切れたのは、一つ一つがマキシマムドライブに相当する打撃の威力に踏みつけの拘束が耐え切れず、クウガ自らアポロガイストを追撃の届く距離から打ち出してしまったためだ。 だがそれでは終わらないということを、アポロガイストはよく知っている。 「はぁああああああああ……っ!」 残り僅かだったメダルを、アポロガイストに放出させることで逆に回復したクウガは、その拳に烈火を灯す。 それはアポロガイストが圧倒された近接戦でも持ち堪えていたあの大道克己や、ネウロが召喚した魔界生物すら葬った必殺の一撃。 ライジングアルティメットナックル。 「うおぉりゃぁああああああああああっ!」 爆発的な踏み込みで距離を詰めたクウガの拳の一撃に、何とか迎撃に間に合わせたガイストカッターが、四散する。 ライジングアルティメットナックルを前に、握っていた左腕ごと太陽を模した楯は砕け、散り散りとなって闇に葬られる。爆ぜるように腕の取れた勢いのままアポロガイストは後方に飛ばされていたが、しかしそれは僥倖だった。 「……メダルを切らしおったな、馬鹿めがっ!」 罅割れた仮面の下の表情は、未だ余裕がなく凍結したまま固まっていても。本来ならばこの体そのものを砕かれていた一撃が届く前に、生身を晒してしまった小野寺ユウスケを狙って、アポロガイストは火球を飛ばす。 《――ETERNAL!!――》 しかし逆転のための一撃は、夜闇を切り裂いて現れた、蒼白い光に遮られる。 それを為したのが何者であるかなど、最早考えるまでもない。 アンクから与えられたコアメダルを使って再変身した美樹さやか――仮面ライダーエターナル。 先程己がクウガに救われたように。今度はエターナルが、メダルを得たことでその真価を取り戻したあの絶対防御のマントで以て、グリードの放つ猛火を完全に防ぎきっていた。 「小娘……っ!」 「――これで、終わりだ!」 目前の勝利を阻まれる――その再演を歯噛みするアポロガイストに、今度は仮面ライダーが勝利宣言を叩きつけた。 《――ETERNAL!! MAXIMUM DRIVE!!――》 マキシマムドライブ――名前の通り最大出力に達したガイアメモリのエネルギーが、エターナルの全身へと伝播されて行く。 そしてエターナルが一度に発動できるマキシマムは、一本だけではない。 《――JOKER!! MAXIMUM DRIVE!!――》 アンクが投げ渡していた新たなガイアメモリもまた、エターナルの手でその真の力を起動する。 全身に拡散していたエターナルの蒼白いエネルギーが、ジョーカーの放つ紫電によって導かれ、エターナルの足元へと帯雷して行く。 「だぁああああああああああああああっ!!」 討つべき悪を目指し、吹き荒れる雷嵐を従えて、エターナルが宙に跳ぶ。高々と、力強く。 それはまるで、左翔太郎と大道克己――同じく風都の希望たる仮面ライダーでありながら、在りし日に相容れることは遂になかった二人の力が今ここに合わさったかのような、ツインマキシマムのライダーキック。 悪を駆逐するそれを名付けるならば、そう――死神の鎮魂歌(ジョーカーレクイエム)。 「りゃあああああああああああああああああああっ!!」 黒白の螺旋を描く両足は、アポロガイストが迎撃に放った火球を易々と貫き、二枚を重ね最後の守りとした両翼さえも突き破る! 「ぐぬぁっ!?」 そうして到達した両足は、アポロガイストの胸郭を踏み砕き――そこから膨大な稲妻を体内に流し込んだ。 全身の内で莫大な電圧が荒れ狂い、灼き尽くす。圧倒的な力の炸裂に耐え切れず、アポロガイストは弾かれたように吹き飛ばされた。 「お……おのれエターナルッ!」 立ち上がった瞬間、膝が折れる。致命傷を受け崩れ行く肉体は、限界を迎えたことを告げていた。 だが、そのまま敗北を受け入れることをアポロガイストの矜持は認めなかった。 「……これで勝ったと思うな。私は必ず、宇宙で最も迷惑な存在として蘇ってやる……っ!」 「だったらまた倒してやる。克己の祈りを受け継いだあたしや、あたしの次の他の誰かが、そのたびに!」 崩壊までの、わずかな猶予を振り絞って吐き出されたアポロガイストの捨て台詞を、即座にエターナルは切って捨てた。 「あんたの思い通りになる時なんか、もう二度とやって来ない――永遠に!」 先代となる男を喪った事実を受け止めた上で、それを二度と繰り返させないと、決意を表明したエターナル=さやかは、その左手の親指を下に突き出した。 「だからあんたは、せいぜい……地獄を楽しんできな」 別れの言葉を告げられた次の刹那――ハイパーアポロガイストの肉体は遂に限界を迎え、爆散した。 NEXT 交わした約束と残した思いと目覚めた心(後編)
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■第八十一章 『何だ…此処は…?』 俺は、ブルーのコックピットに居た筈だ。 …星空。 妙に『蒼い』宇宙(ソラ)の中に、俺はシートに座った格好のまま、漂っていた。 俺は自分の身体を意識し、胸を見た。はだけた胸に懐かしい、ブルータートルのタトゥのシールがある。 着ているのは特注の、イエローのティターンズ仕様の軍服。 …間違い無く、『俺:ヤザン・ゲーブル』の身体だった。 『戦いだけが…ヤザンさんの出来る事じゃ無いのに…!』 『マリオ…ン…なのか?』 ヴィジョンで垣間見た、少年にも似たその姿態。 まだ『女』の特徴を備えて居ない、胸。 繁みの蔭りがまだ薄い、陰部。 俺と同じ人間のモノなのかと一瞬、疑わせる透き通る様な、きめ細かで、白い肌。 その背には…純白の翼が有った。 『罠を噛み破ったつもりでいないで!本当のEXAMの狙いは、違うの!』 『殺らなければ殺られる!それが闘争だ!違うか、マリオン!?俺はそうして、生き残って来た!』 『相手に実体が無いのを気付いているのに、どうしてヤザンさんはビームサーベルを発動させたの?!』 『チャンスなんだよ!奴を…ALEXを墜とす、唯一の機会をパイロットとして逃せるか!』 俺は顔中を口にして、唾が飛び散るのも構わずマリオンに向かって怒鳴った。 マリオンの眉が悲しげに顰められた瞬間、俺はある事実に思い当たった。 待てよ…。俺はALEXのコックピットが腹部に有る事を見抜いた筈だったが…!? 『…気付いて…くれた?…ヤザンさん…?』 『俺の『兵士』としての、『戦士』としての本能を機械どもは利用したと言う事か…たかがゲームに熱く、成り過ぎたようだ』 『此処は…何処だと思う?ヤザンさん?』 『さあな。俺にとってのパラダイスでは無い事は確かだ。…天使は居るが、敵が居ない』 『人は…解かり合える存在…そして…繋がる事の出来る存在…』 『俺は…俺は解かられたくは無い!理解される事は、負ける事だ!俺は嫌だ!理解されれば、俺は複製可能な、誰にでも替わりが勤まる存在に為ってしまう!本当の『消耗品』に為ってしまう!俺は御免だ!解られて堪るか!』 閃光と共に、宇宙(ソラ)の景色が収束して行く。 俺が最後に観た物は…マリオンの哀しげな表情だった。 喉の渇きが、俺を苛む。 ひり付く喉が水分を欲しがっているのだ。 …ビームサーベルの光の刃が見える。 もう少しで、俺は自分をコレで焼き殺し、宇宙のチリへと変えていたのだ。 タイマーのカウンターは何故か、俺が覚えていた時間のままだった。 「何だったんだ…アレは…?」 俺がビームサーベルを収束させると同時に、モニター、計器類の光が一斉に消えた。 タイムアップだ。ゲームオーヴァー。 しかし、俺は生きている。 …機械どもに、俺は勝利したのだ。 兵士に取って、生き残り、また次戦を戦う事こそが勝利なのだ。 「残念だったなEXAM!俺は…俺は生きているぞ!生きて此処に居るぞ!ハッハハハハ!」 暗闇の中、俺は一人で笑い続けていた。 別にトチ狂った訳では無い。 ささやかな、機械どもに対する勝利宣言と言った所だ。 ■第八十二章 俺が笑い狂っている最中に、突然、コックピットが揺れた。 どうやら、外部からの接触らしい。 敵だろうか?味方か? 俺は笑いながら計器を確認するが…完全に機能を停止したブルーのモニターやセンサーは、何も答えてはくれなかった。 『…中尉?どうしたんだ?何か可笑しい事でもあったのか?それとも…』 どうやらアルフの奴が気を利かせて、『曹長』のGM・ライトアーマーを機能停止したブルーの回収に寄越したらしい。 接触回線(お肌の触れ合い会話)だ。 『曹長』、『若い俺:ヤザン・ゲーブル』の声が暗闇の中に響く。 それとも、の後は馬鹿でも想像出来る。 狂ったのか、と聞く気だ。 阿呆が、この位でこのヤザン・ゲーブルの精神が参ってしまうものかよ! 「ハン?至(いた)って快調だぞ?ルーキー?見たか?俺とユウのMS戦闘を!シミュレーターでヒィヒィ言ってる餓鬼には、刺激が強すぎたか?ン?ところでジオンのお馬鹿さん小隊どもはもう撤退したのか?俺は確認出来んのだ。計器ぐらい、読めんとは言わさんぞ若僧?さあ、俺にその足りん脳味噌で教えろ。可及的速やかにだ!」 『言いたい放題言いやがって…。自信満々だよな、いつも…。俺は本当にアンタに為れるのか、イマイチ自信がなくなって来たぜ…。目の前にダルマになった09が居るが、どうする?止めを刺すか?スコアは当然、俺のモノになるだろ?』 アナベル・ガトーの09の成れの果てだ。 幻影のALEXとの戦闘の巻き添えを食った、哀れで間抜けなな連中の一人だ。 後のデラーズ紛争の芽を摘むのには、『曹長』に『撃て』と一声、命令すればそれで終わりだ。 しかし…それでは困る。 ティターンズが成立しなくなるのだ。 83年代からの唯一の連邦軍実戦部隊、ティターンズが無くなれば…『曹長』の経験を積む場所が無くなってしまう。 実戦で得られる『緊張感』は、訓練では絶対、再現出来ない類のものだ。 俺の目的は…! 「…放って置け。残飯漁りに興味が有るなら無理は言わん。浅ましく俺のお零(こぼ)れを頂戴しろ」 『けッ!そこまで言われて、『ハイそうですか』と頂く俺、ヤザン・ゲーブルだとアンタは思うのかよ!?』 「違うのか?フン、成長したなルーキー。勿体無いが、褒めてやろう。だが、実戦は違う。敵は殺さねば、な」 『…アンタってイマイチ、矛盾してるよな…。あ、ああ、撃たないよ!…怒ってるのが解るってのも嫌な気分だぜ…』 未来のコイツにZを撃墜させる事だ。 そのためならば、何人死のうが犠牲が出ようが知った事では無い。 個人的な良心、連邦軍人としての良心は痛むが、それだけだ。 ここで09を落とせば、極端な話、Zは居なく為ったも同然だ。 エゥーゴも過激な行動を取らなくなるだろう。 そしてヤザン・ゲーブルは…! 飽くまで仮定の話だ。 俺は戦士で居たい。 死ぬまで。いや、死んでも、戦士でいたい。 戦い続け、そのスリルに身を置いていたいのだ。 それこそが…俺を俺で居させてくれる。 「シャンパンは冷やして有るだろうな!ブルーの宇宙戦の初勝利だ!後でデータ、見せてやるからな、『曹長』!」 『へーへー『中尉』、精々楽しみにしときます…っと、フィリップ少尉、サマナ准尉、そおっと頼みますぜ!」 俺はその『曹長』の言葉に興味を抱き、コックピットハッチを開放した。 格納庫で、フィリップとサマナのGMに丁度、ブルーが抱きかかえられて支えられる所だった。 …俺は、生きて還って来たのだ。 ブルーとともに。そう、仲間たちのところへ。 ■第八十三章 祝勝会はごく簡単な、パックの配布で終わった。 …宇宙空間で、それもMSデッキで瓶詰めのシャンパンなんぞ開けた日には、清掃だけでかなりの労力を割かれてしまう。 ましてや『ブルー』の整備に『命』を懸けるアルフはそんな『暴挙』を金輪際、許可するワケが無い。 奴は『ブルー』をオーヴァーヒートさせたとネチネチ小一時間嫌味を案の定…垂れ続けてくれた。 それを見るに見かねたキタムラ伍長の援護射撃は逆にアルフの逆襲を喰らい…彼女は泣いて出て行ってしまった。 「…アルフ…ブルーの緊急停止は俺の責任じゃあ…」 「…皆まで言うな。頭が痛くなる…。オカルトだな…。それより、軍医のメディカルチェックは済んだのか?」 「あのセンセイ、苦手なんだよ…丸っきり俺を珍獣か実験動物か何かだと思ってる」 「それか狂人扱い、かもな…。無理も無い。幻覚を見たとしか、事情を知っているオレにも思えんからな」 俺は咥(くわ)えていたスパークリングワインのパックのストローを口から離し、思い切りむせた。 やはり、コイツに話したのが間違いだった。 ガンカメラを再生中に、『どう見ても、EXAMのオーヴァーヒートでは無い様だが』とアルフが言うので渋々、マリオンに『遭遇』した話をしたのだ。 その途端、アルフの奴…コックピットの中のメディカルパックの無痛注射器の中身を確認したのだった。 …オイオイ…俺はジャンキーではないし、第一、クスリに頼る程、軟弱でも無い。 「…アタマがメルヘン風味にイカれた訳では無いさ。だが、俺は見たんだ!白い翼を生やした少…」 「ここに居たのかねユウ・カジマ君!捜したよ!」 「…ハサン軍医…彼の脳にEXAMのもたらす、悪影響は出ているのか…?」 「糞、アルフ!俺を売ったな!MSを降りてまで、モルモット扱いは御免だぞ!」 EXAMは大量の『情報』を俺の五感に送り込む。 俺の、いや、ユウの脳が耐え切れる方が事実、不思議な程なのだ。 メディカルスタッフなど何時、乗せたのかとアルフに怒鳴った俺は当然…医者嫌いでも有る。 強化人間を連想するのだ。 ギャプランに乗っていた時もそうだった。 当時、強化人間よりも優秀な成績を叩き出す俺に興味を持ったのだろうか、 オーガスタ研から来た白衣の奴等が血液やら髄液やらバイタルサインやら、俺の全てをモニターして行ったのだ。 「待ちたまえユウ君!何処へ行く気だね!」 「あばよハサン先生!コックピットに用事が有るんだ!済まないな!」 「ヤザン!まだブルーは整備中だ!…後五分くれ!」 「?ゲーブル曹長は就寝中の筈だが?カムラ大尉?」 「…軍医…オレに栄養剤を下さい…。どうやら疲れているようだ」 …マリオン。お前は人間…だよな?俺はまだ、人間で居たいんだ。 俺は人間以上の者には為りたくは無いんだ。 何故、翼など生やす?何故、自分自身で有ろうとしない? …俺はそれを伝えるために、『ブルー』のコックピットを目指し、整備デッキ内の無重量空間を真直ぐに流れて行く。 遙か下からハサン軍医の大声が聞こえて来る。 「このままシステムに依存し続けると、君の脳に重大なダメージが残る事になるのだぞ!」 …その前に、決着は付ける事が可能だろう。 俺の眼前で『ブルー』の両眼が赤く輝いた。 奴が、二ムバスが…居る。 ■第八十四章 その瞬間、俺を誘(いざな)うが如く、ブルーの胸にあるコックピットハッチが勝手に跳ね上がる。 俺に今すぐに乗れ、と云わんばかりにだ。 …ヘルメットに装着する各種ケーブルが漂っていた。 何故かそれは俺と『ブルー』とを繋ぐ鎖に見えた。 「…お前の方から、俺を呼ぶとはな、EXAM…」 俺が数本のケーブルの中から最初に撰んだのは、『赤』のケーブルだった。 ヘルメット後部に有る『ジャック』にコネクターを差し込むと…ある光景が『観えた』。 補給艦、『コロンブス』の艦隊だ。 護衛は数十機の『セイバーフィッシュ』。 MSも数機、居る。 先行量産型GMの宇宙用、通称『E型』だ。 まあ、補給部隊だからな?二線級の兵力で護衛していても不思議では無い。 「何故…こんなモノを見せる…?」 訝(いぶか)り、怪訝に思いながらも俺は次のケーブルをヘルメットに接続すると…聞き覚えの有る声が聴こえて来た。 それは二ムバスの、声だった。 しかし、それは俺が知っている、いかにも大仰で憎憎しげで高慢ちきな喋り方とは違っていた。 『隊長!ここであの部隊を見過せば…!味方の後背が危機に晒されます!我が部隊の戦力を全て傾注すれば…!』 『二ムバス中尉!隊長は私だぞ!部隊を、キシリア様より預かったこのMSを、無駄に損耗する事は許されんのだ!』 『…味方が、危機に陥るのです、隊長!同じ理想を掲げる。我がジオン公国の同胞が…』 『くどい!…あの部隊の先に展開しているのはドズル中将隷下の部隊!我々には関わりの無い事、予定通り撤退する!』 これは多分…『奴』の…二ムバスの…記憶だ。 そうに違いない。 確かあの時、BD-3強奪時には、クルスト博士は奴に『大尉』と呼びかけて居た筈だった。 見ている光景は宇宙。 そして周囲に居る06は高機動TYPEでは無い06Ⅱに、旧型の06も混じっている。 『貴様の様な屑が居るから、戦争は終わらぬのだ!消えろ!』 『…よせ!二ムバァァァァァァス!な、お、お前達まで…や、止め…うわああああああああああ!』 オイオイ…部隊の皆で隊長を撃っちまうのかよ…それも隠密の偵察行動中に…? 軽率過ぎるんじゃ無いのか?これじゃあ… 『クルト…?!オネーギン…!サイラス!ドネルまで…!何故…何故お前達まで撃ったのだ!』 『ずっと俺達は一緒にやって来ただろう?なあ、『騎士の中の騎士』殿?これで隊長はお前だ。さあ、どうする?…決まってるよな?』 『…済まない…。では、行くぞ!『薔薇騎士団(ローゼンリッター)』、全機突撃!目標は敵、輸送船団!』 何て絵に為る光景だ! まるで宣伝映画でも見ている気分に俺はさせられた。 ここまで仲間に恵まれた奴がどうしてああもイカレた雰囲気を漂わせるのか? …まあ06の5機編成なら、腕のイイ奴ならば殲滅には梃子摺らんだろうな…ってオイ、コロンブスから出て来るのは…! GMじゃ無いか!それも新型、現行機種のRGM−79だ! …墓穴を掘ったな、お前ら?殺された隊長こそ、幸せだったかも知れんな? 『理想も理念も無い連邦の雑兵どもに、俺達、『ジオンの騎士』が遅れを取るものかよ!なあ、二ムバス!』 『ああ、我等こそがジオンの理想を体現する、『撰ばれし者達』なのだ!こんな雑魚如きに、我々が…!』 『ドネル…ドネルッ!糞!奴等!1機に5機がかりで!待ってろ、今…!?』 『クルト、危ないッ!』 助け合いながらも、06はまた1機、また1機と撃墜されていった。 二ムバスが最後の補給艦を撃沈した時、辺りは残骸が漂うのみに為っていた。 …ジオンのアナクロニズムに被れた奴等のくせに、中々、やる。 俺は真剣にそう思った。 物量を質で凌駕する奴等は、俺は個人的に嫌いでは無い。 『はは…やったぞクルト…?クルト…どうした?』 『…悪いが、一発喰らっちまった…。俺の機体は持つが、生憎俺の身体は持たんみたいだな…?』 『何を言う、クルト!私が艦まで連れて帰る!待っていろ!そんな物、かすり傷だ!』 突然、目の前のビジョンが消えた。 訪れた暗闇に戸惑う俺に、声のみが響く。 …現在の、ブチ切れ感タップリの『奴』の声だった。 …二ムバスだ。 「…連邦の闘士よ…!私はサイド5、××バンチの廃棄コロニー付近の宙域で貴様を待っている!勝つのはジオンの騎士たるこの私だ!」 …ああ、解ったよ騎士様。 このビジョンの続きはきっと、戦闘中に『EXAM』が見せてくれる事だろう! しかし勝つのは俺なんだよ!悪いな! ■第八十五章 「カムラ大尉、『中尉』は眠ったか?」 「ああ…。コックピットで眠っているだろう。しかし、彼が完全にオレの事を忘れているとは思わなかったが…」 「7年前の出来事なんてなぁ、思い出す方が難しいさ。『中尉』は歴戦のパイロットだぜ?『中尉』が覚えているのは、どっかの誰かさんだか知らんが『技術者を庇って激戦区へ異動命令を喰らった』事だったがね…」 『ブルー』を見上げるアルフ・カムラは、若干眩しげに目を細めた。 RX−79、そして、RGM−79の隠れた開発功労者である『テスト・パイロット』が現れたのだ。 アルフは男に向き直る。 …そう、若き『ヤザン・ゲーブル曹長』に。 「…久し振りだな?『命知らず』…。ジオンの『ザク』を超えるMSは約束通り、完成させたぞ?」 「フン、『パイロット殺し』がよく言うな?一緒に無能な奴等を叩きのめした事を、俺はまだ、忘れてないぜ?」 陸戦型ガンダム。 RX−79が短期間で開発されたのには理由が有った。 RX-78の候補は一機では無かった。 宇宙軍主導、空軍主導、海軍主導、海兵隊主導、そして陸軍主導で、開発が行われていた。 結局、宇宙軍の強くプッシュするタイプが『RX−78』のナンバーを与えられ、現在はその開発者の息子が大戦果を上げている。 「失われた…機体の…つもりだったが…偶然とは怖ろしいものだ。レイ大尉が行方不明に為り…廃案となったオレの…プランが見直されるとはあの時…夢にも…思わなかった…。それは今…こうして『ブルー』となって…」 遠い目でアルフはまた、『ブルー』を見上げる。 まだ艶やかな装甲が、マット塗装をしているにも関わらず照明を鈍く反射していた。 鮮やかな『蒼』がアルフの目を射す。 陰鬱な表情が常の、アルフの口元に珍しく、微笑みが浮かぶ。 「コンペティションの悲劇、アレが無けりゃア決定的だったさ。アンタの候補作とレイ大尉のプロトタイプ。アンタの奴に乗ってた奴が、間抜けにも外に出なくて、そしてプロトタイプの故障による『コアファイターの脱出』と云う、恰好のデモンストレーションさえ、無ければな…。そして、あの間抜けがプロトタイプの爆発に巻き込まれて…」 「死んで居なければ、か。全ては仮定に過ぎん…。ともかく、能力と腕を疑われていた当時、進んでオレのRX-79に乗ってくれたただ一人の『まともな』テストパイロットが、オマエだよ…『曹長』。今でも、感謝の言葉も無い」 『ブルー』を見上げたままのアルフから視線をそらした『曹長』は、ニヤリと笑って駐機したままの宇宙戦闘機を見る。 MS格納庫兼、宇宙戦闘機格納庫。 多分使われないままであろう『セイバーフィッシュ』が2機、員数合わせのために配備されている。 …独立部隊の体裁をでっち上げるための『書類的処置』だろう。 贅沢な事だと『曹長』は思った。 一言で言えば『無駄』そのものだ。 しかし、今回はそれが生きるのだ。 『曹長』はもう少し、思い出話を続ける事にした。 ■第八十六章 「レイ大尉が居なくなった途端、お偉いサンは掌を返したように『量産型を君に頼みたい』だからな?断ろうとしたオマエの口を塞いだこの俺に感謝すべき所を、なんと嬉しい事にまぁた最前線送りにして…戦闘機乗りにした…」 「フン、オマエが高官の事をモグラやらハゲ頭などと云うからだ。最前線を戦う兵士のために開発をしているんだ、と云うオマエの主張は間違いでは無いが、お役人に染まりきった軍高官には面白くは無いだろうよ、『曹長』…。そんな話を持ち出して、一体このオレに何をさせたい?それは『ライトアーマー』の整備よりも大事な事なのか?」 アルフは『曹長』を睨み据えた。 『曹長』も睨み返す。 数瞬の沈黙の後、どちらとも無く笑い出す。 RX−79のテストの際には、この後には必ず罵声の応酬、そして拳と脚蹴りを交えた会話が始まったものだった。 『反応が鈍い』と言えば、『オマエの操作が繊細さに欠ける』、『装甲を削りたい』と言えば『機体の剛性を下げる気か低脳』と、それはもう、日常茶飯事であった。 …別れの日が、テストパイロットの任を解かれた『曹長』の即時異動が発令されるまでは。 「ライトアーマーの、機動性を上げたい。出来れば…『ブルー』を超える『速さ』を手に入れたいんだ…。今の俺で、『中尉』に勝てるとは思えん、だが、せめて、機体性能だけでも追いつきたいんだ!…頼む、カムラ大尉!」 「…プランは?考えて居ないオマエでは無いだろう?『アレ』を使うのだな?それに、修理用のこの戦艦のフレーム…。出来ない事では無いが…大丈夫なのか?オマエの主張する『信頼性』に著しく欠けるのだがな?」 「俺は宇宙戦闘機乗りだ!想定されるGはかなりのモンだが、構うものかよ!推進系の計算ならやってある!」 「…見せてみろ、オマエのプランを。話はそれからだ」 『曹長』は無言で紙資料をアルフに手渡した。 下手糞な図が目に飛び込んでくる。 ×字上に組まれた戦艦のフレームの一部と、『セイバーフィッシュ』から取り外したスラスターが組まれた姿がそこに描かれていた。 『曹長』はこの装置をライトアーマーのバックパックに連動させる気らしい。 ソフト解析も可能なBDチームを乗せ、工作機械も揃っている戦艦ならば… 「半日だ。半日呉れ。悪いが、テストは実戦に為るかも知れんがな、『下手糞』。それで良いか?」 「頼んだぜ、『ヘボメカニック』!信じてるからな!」 「ヘボは余計だ、この馬鹿が…」 『中尉』が指示した目的宙域への到着までには間に合うだろう。 これは絶対、徹夜仕事になる。 アルフは喜び勇んで走り去る『曹長』の背に静かに微笑みかけた。 恩は返すぞ、と遠ざかる姿にそっと、囁くように呟いて。 ■第八十七章 …これは、俺の夢だ。 見て直ぐに解る。俺は眠っている。 そうだ、夢だ。 …いや、過去の記憶だ。 『よくもお兄ちゃんを…!覚えてなさい!いつか必ず…殺してやるから!ティターンズの犬!』 『俺は犬では無いぞ、お嬢ちゃん?ヤザン・ゲーブル中尉だ。敵の名前ぐらい、キチンと覚えて置け!』 0085、サイド1、30バンチ。 当時既にティターンズに入っていた俺はガス注入には参加をしなかったが、胸糞の悪い作戦だった。 コロニー内で決起した暴徒に『無力化ガス』を注入する名目で、かなりの部隊が動いていた。 俺はと言えば、その効果確認を命じられ、2人の部下と共にハイザックで潜入していたのだ。 潜入する際、味方が運んでいたボンベを視認した。 表示用の塗装を剥がされてはいたが、その形状は俺の頭の中に叩き込まれていた物と同じだった。 『G−3』。 『…鎮圧だと?…これでは唯の虐殺だろうが!ダンケル!ラムサス!…解って居るな?俺達は軍人だ!』 『ハイ!ヤザン隊長!急ぎましょう!通信を傍受したら、ガスの注入準備は終わったそうです!』 『速やかに民間人を逃がす!了解しましたよ!ゲリラの巻き添えにはしたく有りませんからね!』 あの当時のティターンズ…少なくとも、30バンチが始まる前のティターンズ主流派には、真っ当な理念が有った。 スペースノイドとて連邦市民であり、最小限の犠牲で済ます。 それを忘れては居なかった。 …この事件で、強硬派が実権を握ってしまった時から…ティターンズの理念は地に堕ちたに等しかった。 …規格外れの俺が言うのも、難だが。 『ベイトの奴に連絡しろ!港の一部を空けて置けってな!マスコミに漏れるのを恐れて、目撃者と為った民間人を奴等は皆殺しにする筈だ!G−3を撒く奴等に軍人の良識など期待するなと言って置け!俺は少しでも多くを…』 『隊長!何を…』 『コロニーに穴を空けて、ガスを逃がすんだよラムサス!ダンケル!お前はベイト達と共に港を抑えろ!行け!』 俺はハイザックの全武装をコロニーの『窓』に向けて発射した。 …コロニー公社が緊急警報を流すのを期待しての事だ。 期待通り『窓』は割れ、一切合財を外の『宇宙』に吸い出される『穴』が出来上がる。 …これで少しは時間が稼げる筈だ。 俺の目の前のモニターに、少女が流れて行くのが見える。 14歳位の、髪の長い娘だ。 俺はマニピュレータで娘を捕まえ、保護する。 …今にして思えば、ただの気まぐれだったのかどうか、解らない。 どの道、あの世の贖罪など期待しては居ない。 俺は軍人だからだ。 人を飽きる程、殺して来た。沢山、殺した。 1人の罪の無い人間を救ったからと言って…許しなど期待はしない。 俺に出来る事は…少しでも『無駄な』犠牲を少なくする事だけだった。 …殺しに慣れている奴の方が、巧くやれる。 『…頭を打ってはいない様だな…。運の良い娘だ…」 被っているベレー帽と巻き上がるチェックのロングスカートを必死に押さえていた御蔭だろう。 丁度ジュードーの『受身』の体勢でハイザックのマニピュレータに『ぶつかった』のが功を奏した。 俺は止せばいいのにハッチを開き、怯える少女を抱えコックピットに連れ込み、リニアシートに座りハッチを閉じる。 …俺が、救ってしまったのだ。毒喰わば皿までの心境だ。 『なんて事すんのよ!ティターンズ!コロニーに穴を開けるなんて…!』 『お前の名前は!お前の家族が危ない!今、このコロニーにガスが注入されているんだ!黙って補助シートに座れ!』 『!!…ルー・ルカ…』 気の強そうな目付きで俺に突っかかって来た娘は、俺の剣幕に押され、黙った。 …当然だ。俺は子供だろうが餓鬼だろうが女だろうが、スペースノイドだろうがアースノイドだろうが容赦はしない。 そいつらは俺と同じ人間で、赤い血が流れているからだ。 『隊長…!アレを…!』 『糞…!間に合わなかったか…!』 …それは悪夢だった。 元気そうに歩いていた子供達が、喉を掻き毟り、首から血を流して倒れて行く。 ベンチで愛を語らっていただろう若い男女が、嘔吐を繰り返し、白目を剥いてのたうち回る。 生物と云う生物の命が、俺の目前で風前の灯火の如く、揺らめき、そして消えて行く。 …全天周囲モニターは残酷だ。その全てを映し出す。 補助シートに座った少女は、肩を震わせ、泣いていた。 静かに…すすり泣くでも無く、ただ、涙を流して…。 それを俺は、美しいと思った。怒りからの涙と、悟ったが故に。 ■第八十八章 『…そん…な…』 少女が、やっと言葉を発した。 遙か眼下に見える、のたうち、痙攣する少年に見覚えが有るのだろう。 口に手を当て、信じられない、と言った蒼白な顔をしている。 …元より大理石の如く白い肌をしているのだが。 『知り合いか?…済まんがもう、手遅れだ…』 『助けて!お兄ちゃんを…助けて!』 俺は懇願する少女に首を左右に振った。 Gガス散布下の大気中だ。 ノーマルスーツを着用している俺はともかく、この少女は酸素マスクすら持っては居ないのだ。 少量のガスに、皮膚が触れるだけで死に至る。 Gガスが旧世紀のVXガスよりも更に凶悪な性質を持っている事を教導団時代に俺は、叩き込まれていた。 『…俺に出来る事は、早く楽にしてやる事しか無いんだよ…』 俺はハイザックにビームサーベルを握らせた。 俺のハイザックは、マシンガン装備だ。ジェネレーターの出力の関係上、ビームライフルとの併用は当時は不可能だった。 …近接武器が強力な方が、俺の性に合う。 俺はスティックを操り、ゆっくりとビームサーベルを少年に近づける。 俺の意図する行為に気付いた少女が俺の右腕に縋って必死にスティックから引き剥がそうとする。 …俺は、無言で少女を振りほどき、全天周囲モニターを構成する壁面に叩き付けた。 そして迷わず、苦しむ少年をビームサーベルで炭化させ、塵にした。 少女はその一瞬の光景を…細大漏らさず目にしていた。 少女の秀麗な顔は、怒りに歪んでも…綺麗だった。 『よくもお兄ちゃんを…!覚えてなさい!いつか必ず…殺してやるから!ティターンズの犬!』 『俺は犬では無いぞ、お嬢ちゃん?ヤザン・ゲーブル中尉だ。敵の名前ぐらい、キチンと覚えて置け!』 俺は敢えて、少女に名乗った。 これから少女は、天涯孤独の身と為るだろう。支えと為る物が必要となる。 当時の俺が家族を殺された恨みを晴らすために軍に入り、生き残る術を身に付けた様に、この少女にも…怒りを向ける対象が必要な筈なのだ。 …だが、この少女、ルー・ルカはガスを散布したティターンズ兵の顔を知らない。 ティターンズは少女の華奢で優美な細い腕で倒せる程…情け無い軍事組織では無いのだ。 『俺がティターンズに入ったのはなぁ!ジオンが俺の家族を皆殺しにしたからだ!借りを返しただけだ!』 『…だからって…だからって…!何で…何でなのヨォッ!』 俺を憎む事で、生きる支えが出来るのならば、俺は喜んで憎まれよう。 それが俺に出来る、精一杯の事だ。 俺を殺そうとする目的のためならば、どんなに辛い事でも耐えられる。 そしてその経験は…お前の血肉と為り、生き延びる力と為るのだ。 少女は泣きながら俺に縋り付き、拳を、膝蹴りを、打撃を…俺の身体に浴びせ続けた。 『離れろ!この反応は…敵か!』 『エゥーゴが…!来てくれた…!アンタもこれまでね!ヤザン・ゲーブル!』 俺は補助シート目掛けて少女を振り払った。 ポスン、と少女は呆気無くシートに落ちる。 俺は少女に向かって歯を剥いて、憎憎しげに哂ってやる。 …悪役を演じるのも、悪くは無い気分だ。道化を演じるのも、久し振りだった。 ■第八十九章 『06の高機動型が3機…?情報は本当だったのか…おい!交戦の意志は当方には無い!住民の…30バンチ市民の生き残りを…民間人を保護した!スペースノイドの大義を標榜する団体に任せたい!』 『た、隊長…?!それは利敵行為そのものです!』 『ラムサス!お前も港に向かえ!これは命令だ!いいな!』 『…了解!ヤザン隊長、ご無事で!』 俺は掟破りの、接触を試みる。 …俺一人ならば何の問題も無いが、民間人を乗せている。 むしろこいつ等に保護して貰った方が、少女にとって幸せだろうと判断したのがその理由だった。 少女は信じられない、と云った顔で俺を見つめていた。 …それはそうだろう。とても『俺はティターンズだ』、と見栄を切った男の台詞では無い。 ビームサーベルを収納し、マシンガンまで置いて見せた俺のハイザックに…高機動型06は発砲を開始した。 『…う、嘘…!何で撃つわけ?!』 『フン!信用せんのは当たり前と言う事か!ティターンズは貴様等よりもまともな軍事組織なのだがな!』 『二重の意味で困るのだよ!30バンチは墓標と為らねばならんのだ!ティターンズは飽くまで虐殺者で居て貰わねばならん!我等スペースノイドの大義のためならば、多少の民間人如きの犠牲は止むを得…』 コイツは本物の『ジオンの亡霊』だ。 デラーズ紛争を引き起こしたテロリストどもの正統後継者だ。 それならば生かして置く必要は…これっぽっちも存在しない。 俺は置いたマシンガンのストックをハイザックの足で踏んで起こし、マニピュレーターに装備させ、正面の06に向けて発砲する。 命中確認!…この、アマチュアがぁ! 『…子供のお前にも解り易く解説してやろう!お前は頭の悪いこいつ等にとっては、かなり邪魔な存在なのさ!お前がティターンズの俺に助けられた事実もそうなんだが、エゥーゴが実は事前にGガス攻撃を察知していて、それを看過していたと言う事実を知ってしまったからなぁ!しかし馬鹿な奴等だな!高度な政治と云う物を、全く、理解して居ない!』 左右同時に掛かってきた06を、俺は右腕に装備させたマシンガンと、左腕に装備して、即座に発動させたビームサーベルを交差させ、仕留める。 …何処かで見ているだろう、エゥーゴのプロパガンダ部隊は、歯噛みしている事だろう。 何せ、今のは、映像栄えがするMS戦闘だからな! …俺の今の戦闘は『魅せるため』の教導団の技術だ。 『どういう…こと?』 『ン…、お前みたいな綺麗な娘に、涙ながらにマスコミの前で『ティターンズの非道』を語らせれば、即、俺達は外道認定をされる。…俺はこの民間人にも累を及ぼした、大量殺戮行為を許せん。だからお前を譲ろうとしたのだが…奴等は千載一遇の好機を逃がしたって寸法だ。…自分の高価値が理解できたか?ルー・ルカ?』 『…顔に似合わず…アンタって頭良いのね?』 『…ティターンズは一応、エリート軍人の集団だ。最も、軍人思考しかやれん連中がこんな事をしてくれたがな?』 これからどうするの?と云う顔で少女が俺を見る。 …俺の解説は少女の好奇心を刺激したらしい。 …先程まで、哀しみと怒りを抱いていたのが嘘の様だ。 …ん?背後にもう一機か!フン!偵察型風情が俺に敵うモノ…!? 『…隊長!ヤザン隊長!お見事でした!でも…俺はそんなに力不足ですか?』 『命令違反だな、ラムサス・ハサ?…港はどうなっている?押さえたか?』 『アル・ギザが後20分で入港するそうです!ヤザン隊長には『障害排除』を願いたい、との事です!』 『障害排除って…?ティターンズがティターンズを敵にするのッ?!』 『大人の世界は複雑なんだよ、お嬢ちゃん!舌噛むなよ!』 無茶な事を言うものだ、あの艦長も…。 最も、一度死んだ事に為っているだろうから、怖い者など何も無いに違いない。 さらにこれを引き起こした『脳味噌筋肉野郎』のバスク派には恨み百倍の口だからな! やって見せるさ!味方殺しをな! ■第九十章 その後俺達は、港に着いた『アル・ギザ』とともに脱出し、艦長の伝手で少女を『ラビアンローズ』に預ける事にした。 脱出の際、少女を乗せて派手に暴れた俺は、どうやら少女の進路を決定する事に寄与したらしいと風の噂に聞いた。 『きっとアンタより腕のイイMSパイロットに為って、必ず殺しに来るから!ティターンズのヤザン・ゲーブル!』 『期待しないで待ってるぞ?お嬢ちゃん?最も腕試しの途中で、俺以外の誰かに堕とされるかもしれんがな?』 『アンタがそれまで生きてるって、保証も無いけどね!…ぁりがとぅ…』 『はん?何か言ったか?じゃあな!頑張れよ、エゥーゴのルー・ルカ!』 『ラビアンローズ』で別れてから、不幸なのかツイているだけなのか…それから一度も少女とは遭遇しては居ない。 しかし何故俺は久し振りに、『夢』を見ているのだろうか? 何時も、何も見えなかった筈なのに…。 疲れて、いるのか? 『…生き延びる意味を…探しているのね…?ヤザンさん…。待ってる人が居るって…信じたいから…』 映像が消え、暗闇だけの視界に、『マリオン』の声が響く。 俺は目覚めているのか、眠っているのか、解らない気分に為った。 苦笑のイメージを作ると、暗闇だった視界が宇宙(そら)を写す。 妙にその宇宙は蒼く、星々は光り輝いている。 『命を奪う事は罪だろう。しかし…俺にはそんな生き方しか、出来ない。他の誰かの犠牲でしか、生を実感出来んのさ』 『それを罪だと解るヤザンさんにしか…出来ない事だって有ると…思うの…』 『気休めは良いよ、マリオン…。もう、静かに眠らせてくれないか?何度見ても、気分の悪い夢なんだ、アレは』 『それは嘘。私には…わかるもの』 天使が背中を向けて拗ねているのが見える。 俺のアタマはもう、何処かの回路がイカレているのかも知れん、と真剣に思った。 妄想にしてはクリアで、俺は正気を保っている。 第一、本当にイカレて居る奴は自分の精神の正常さを疑ったりはしないだろう。 俺は…俺だ。俺は自分の体を意識する…って、何で『俺自身』の、ヤザン・ゲーブルの身体なんだ?! 『私は、ヤザンさんに目覚めて欲しい…。そして…私と同じ物を見ていて欲しいの…。こんなに綺麗な…生命の…』 『止めろォォォォォォォ!!』 俺は叫ぶと同時に完全に覚醒した。 見えるのは何時もの、狭苦しい『ブルー』のコックピットだ。…全く…こうなると、あのハサン軍医の戯言も信じたく為って来る。 俺の、いや、『ユウ・カジマ』の脳の限界が近づいているかも、知れない。 その証拠に、今は全く、ユウの意識の発動が感じられない。 …『ブルー』、『マリオン』、俺にお前達は何を見せたい?