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メイドを召喚したと馬鹿にされた。 そのメイドが、メイドらしい仕事と言える仕事が全くできず馬鹿にされ。 そのメイドがどうやら人ならざるもの……ゴーレムらしき存在であることを彼女の口から伝えられた時は、 それはそれは喜んだものだが、よくよく考えてみるとメイドのゴーレムなどあまり褒められたものでは ないのではなかろうか。 いくら精巧に人間に似せて作られたところで、このゴーレムは所詮召使いをするためだけに作られた物。 それも、召使いとしての性能は皆無と言える。 これではなんの価値も無い、とまでは言えないが、実益は全くありはしないではないか。 それに気付いた私は、酷く落胆した。 授業中、他の生徒達に馬鹿にされた私は、とうとう頭にきてしまった。 そして、使い魔のメイドに言ってしまったのだ。 私は後悔した。 彼女に言った台詞を、私はとても後悔した。 「もう! アンタ、あいつらをなんとか黙らせなさいよ! なんかないの? こう、特技とか……」 「命令をご確認します。目標の沈黙。命令に間違いは無いでしょうか?」 「えッ。あ、アンタ、なんかできるのッ?」 「命令に間違いはないでしょうか?」 「え、ええ。やっちゃってちょうだいッ。下手な芸だったら許さな――――」 「了解しました。命令を実行します」 惨劇。 メイドが両腕を水平に掲げたと思ったら、間も無くけたたましい銃声。 原理は全くわからない。 ただ、とてつもなく高速、そして連続に発砲されているのはわかった。辛うじて。 机を、壁を、窓を、そして生徒を。 全て銃弾は打ち抜いた。 やっとこ紡ぎ出した、私の制止を求める声を聞いて、彼女は攻撃を中止してくれた。 銃撃の止んだ教室は、呻き声と泣き声と悲鳴で埋め尽くされていた。 死人が出なかったのは、本当に奇跡だと思う。 あれで謹慎で済んだのだから、それこそ本当に奇跡だと思う。 ああ、本当に思い出したく無い出来事だ。 しかしその後の彼女の活躍は目覚しいものだった。 盗賊の繰り出した巨大なゴーレムを、掌から放つ光線でバラバラにしたり、 傭兵達からの容赦ない攻撃から、身を挺して私を庇ってくれたり、 スクウェアクラスのメイジと対峙し、なんと勝利をもぎ取ってしまったのだ。 今、私はコルベール先生と共に、技術者をしている。 先の戦乱で、私のことを守るために奮起した彼女は、遂に破壊されてしまった。 そして彼女の左手に刻まれたルーンは、跡形も無く消滅してしまった。 しかし、彼女は私にとって永遠に唯一の使い魔である。 彼女をこの手で再び目覚めさせること。 このことに、私の残りの人生の全て捧げようと思う。 彼女は私にその身全てを捧げて、私を守ってくれたのだから。 そして、できることならば。 できることなら、蘇った彼女が再び戦場へ向かうことが無いように、 彼女の持つ姿に相応しい、本来の仕事を与えてやりたい。 メイドとしての仕事を、きっちり教え込んでやりたい。 茶汲みの一つもできなかった彼女に、徹底的に教え込んでやりたい。 ルイズがレイドバスターを召喚したようですッ おわりッ
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変態の棋譜 ここには変態の棋譜を置いていきます。 お題:グングニルの槍 アマゾンストライク 対局日:2009/06/04(木) 23 49 20 終了日時:2009/06/05(金) 00 28 20 手合割:平手 先手:gava 後手:fmo851 ▲7六歩 △3四歩 ▲9六歩 △8四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲5六歩 △9四歩 ▲4八銀 △8五歩 ▲7七角 △5四歩 ▲5八金右 △4二銀 ▲3六歩 △3三銀 ▲8八銀 △3一角 ▲5五歩 △同 歩 ▲同 角 △8六歩 ▲7八金 △8七歩成 ▲同 金 △6二銀 ▲8六歩 △6四歩 ▲7七金 △6三銀 ▲5七銀 △5二飛 ▲3七角 △5四銀 ▲4六銀 △4五歩 ▲5五歩 △4六歩 ▲5四歩 △4七歩成 ▲同 金 △5四飛 ▲5五銀 △5二飛 ▲5四歩 △6五歩 ▲6六歩 △同 歩 ▲同 金 △8六角 ▲7七銀 △3一角 ▲8八飛 △8二歩 ▲6四歩 △7二金 ▲5八飛 △4二金 ▲4六金 △4三金 ▲6八玉 △6二玉 ▲6七玉 △8三歩 ▲7五歩 △1三角 ▲5九飛 △2二角 ▲5六玉 △4四歩 ▲6五玉 △4二銀 ▲7四歩 △同 歩 ▲同 玉 △7三金 ▲6五玉 △5三歩 ▲同 歩成 △同 銀 ▲5四歩 △7四銀 ▲7六玉 △7五歩 ▲6七玉 △5四金 ▲同 銀 △同 銀 ▲5五歩 △6五銀左 ▲同 金 △同 銀 ▲4三銀 △6六歩 ▲同 銀 △7六銀打 ▲5七玉 △5六歩 ▲同 金 △1三角 ▲4六金打 △5六銀 ▲同 玉 △1二飛 ▲5四歩 △6四金 ▲5三銀 △7三玉 ▲6四銀成 △同 玉 ▲7七桂 △6七銀打 ▲4七玉 △7四玉 ▲6五金 △同 銀 ▲同 銀 △8四玉 ▲8五歩 △9三玉 ▲5六銀 △6八銀不成▲5八飛 △7七銀成 ▲6五銀 △5七歩 ▲同 飛 △6六金 時間切れ負けしますた
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前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 「あんた誰?」 康一が目を覚ますと、不機嫌そうな顔で覗き込んでいる女の子と目があった。 白人である。多分13~14歳といったところだろうか。それはもう映画で見るようなとびっきりの美少女といっていい。服装は白いブラウスに黒のプリーツスカート。ここまではいいのだが、その上から黒いマントを羽織っている。 康一はなんとなく、以前見た映画で出てきた、吸血鬼のことを思い出した。彼女のマントには襟がないので白くて細い首が見える。よし、どうやら吸血鬼ではないようだ。 半分寝ぼけた頭でここまで考えて、はっと康一は跳ね起きた。 「ここは・・・どこ!?」 「質問に質問で返すなんて平民の癖に生意気ね・・・もう一度聞くわ。あんたは誰なの?」 眉根を寄せて更に身を乗り出す女の子の迫力に、康一はなんとなく気おされてしまった。 「ぼ、僕は広瀬康一。日本人ですけど・・・。」 「ニホンジン?なにそれ、国の名前のつもり?」 康一はめんくらった。いくらなんでも日本をしらないなんて!白人の人がいるし、ここはまだイタリアのはずだけど・・・。 風が頬を撫ぜた。青臭い草原の香りがした。康一があたりを見回すと目の前の女の子のようにマントを着たたくさんの少年少女がものめずらしそうにこちらを見ている。今日はハロウィンかなにかだろうか。って、そんな馬鹿な・・・。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 誰かがそういうと、まわりからくすくすと笑い声が聞こえる。 しかし目の前の少女は肩をいからせ、顔を真っ赤にして怒鳴り返す。 「う、うるさいわね、キュルケ!ちょっと間違っただけよ!」 「ちょっとだって?はーて、ルイズの魔法が間違えなかったことなんてあったっけなー?」また別の誰かが揶揄するように言うと、人垣が爆笑した。 一方康一は混乱する頭を必死に整理していた。 「(僕はさっきまでイタリアにいて・・・。そうだ、変な鏡のスタンドに引きずり込まれたんだった。・・・じゃあ、ひょっとして僕は『まだスタンド攻撃を受けている』・・・・?でも、なんだか様子がおかしいぞ?)」 知らない場所で、見たこともない格好の人たちに囲まれ、しかし自分には傷一つないようだ。こんな妙なスタンド攻撃があるだろうか。 ルイズと呼ばれた女の子は、そばに来ていた中年の男性(やはりマントを着ているしおまけに杖まで持っている!)に訴えた。 「コルベール先生!もう一度召還させてください!これは何かの間違いです!」 「うーむ、気持ちは分かるが・・・ミス・ヴァリエール。『使い魔』の召還は原則として一度きりの神聖なる儀式なんだよ。自分の『使い魔』に不満があっても、やり直すことは認められていない・・・」コルベールと呼ばれた男は清々しいほど物寂しい頭を掻いた。 康一は使い魔ってなんだろう。と首を傾げた。まさかその使い魔というのが自分のことを言っているとはまだ思い至らない。 「で、でも『使い魔』が平民だなんて聞いたことありません!」ルイズはなお言い募る。 「だが、平民を『使い魔』にしてはいけないという法もないからね。可哀想だが監督者として一度した召還をなかったことにするなんて許すわけにはいかないよ。それとも今回の『サモン・サーヴァント』はあきらめるかね?」 「そんな・・・『使い魔』がいないと、進級できないのでしょう!?」 「そうなるね。だが僕としてはそれが精一杯の譲歩だ。さぁ、選びなさい。この平民を『使い魔』にするか、あきらめて留年するか!」 ルイズは目に涙を浮かべ、しばらく歯を食いしばって悔しげにコルベールを睨めあげた。しかし覚悟を決めたように康一のほうに振り返る。 ぎょっとする康一にずかずかと近づくと肩を左手でドンと押した。ちょうど立ち上がろうとしていた康一が尻餅をつくと、その上にのしかかるようにして跨ってくる。 「ちょ、ちょっと君・・・!」康一が顔を赤らめて後ずさろうとするが、動かないでと真剣な目で言われ、動けなくなってしまう。 ルイズは諦めたように―半分自棄になったように―目をつぶると、手に持った小さな棒のようなものを康一の顔の前で振った。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 鈴のような声で、呪文のようなものを唱え始めた。 すっと、杖を康一の額に置いた。 そして、ゆっくりと顔を近づけてくる。睫毛が長い、まるで西洋人形のようだ。 「ちょ、ちょっと君、なにを・・・」ごくりと生唾を飲みながら、思わず仰け反る康一の肩をルイズの左手が引き寄せる。 「動かないで・・・」 「いやでも、僕には恋人が・・・」 だからやめてくれ、と最後まで言い切ることはできなかった。 「いいからじっとしてなさい!」と言うやいなや、えいやっとその小さな唇が押し付けられてきたからである。 唇に感じる柔らかい感触に康一は固まってしまった。 「(ああ・・・なんてことを・・・・)」 思わず息を止めて目を閉じる。心臓が早鐘のように走り出す。 「(これはラッキー!って思えばいいんだろうか・・・。でも僕には由花子さんが・・・)」 ルイズが唇を離す。 ぷはっと止めていた息を吸うと、離れ際わずかに女の子の甘い香りがした。 「終わりました。」 ルイズはその場で立ち上がり、顔を真っ赤にしてコルベールに言う。 「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したけど『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね。」 コルベールは嬉しそうに言った。 康一はまだ顔を赤くして混乱していた。 「ななな、なんでキスしたの!?というか君は誰で・・・あーもう、さっぱりわからないよ!!」 ルイズは少し潤んだ瞳で叫ぶ。 「うるさいわね!あんたはわたしの使い魔になったのよ!わたしだって嫌だけど・・・あんたが出て来ちゃったんだからしかたないでしょ!!」 康一はそれに言い返そうして、そのとき、突如として左手の甲に激痛が走った。 「ぐわああぁぁぁぁぁ!」 まるで焼き鏝を当てられているようだ!康一は左手を抱えて悶え苦しんだ。 みると手が光り、なにか文字のようなものが刻まれていっている。 「(そうだ、油断した・・・やはり僕は『まだスタンド攻撃を受けている』!!)」 コルベールと呼ばれた男性が、何か言いながら、ゆっくりと近づいてくる。自分が何をされているかは分からないが、このままではやばい! 康一は覚悟を決めた。戦わなければならない! そして呼ぶ。自らの半身、『魂のヴィジョン』(スタンド)の名を。 「エコーズACT3!その男を攻撃しろォー!!!」 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
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わたしはヴェルダンデを押し退けようとするがビクともしない 一陣の風が舞い上がり、ヴェルダンデをふきとばした 「誰だッ!」 ギーシュが激昂してわめいた 朝もやの中から、長身の貴族が現れた。あれはワルドさま 「貴様、ぼくのヴェルダンデになにをするだー!」 ギーシュは薔薇を掲げるが、ワルドさまも杖を抜きギーシュの造花を散らす 「僕は敵じゃない。姫殿下より、きみたちに同行することを命じられてね。 きみたちだけではやはり心もとないらしい。しかし、お忍びの任務であるゆえ、 一部隊つけるわけにもいかぬ。そこで僕が指名されたってワケだ」 ワルドさまは、帽子を取ると一礼した 「納得できねえな」 プロシュート!? 「姫さんは誰にも話せないってんでルイズに言ったんだろ、どういう事だ?」 「それは、おそらく僕がルイズの婚約者だからだと思うんだ、姫殿下も 粋な計らいをしてくれる」 「ルイズそれは本当なのか?」 プロシュートが顔に汗を浮かべながら質問してきた 「ええ、ワルドさまは両親同士が決めた許婚よ」 「マジかよ・・・・・」 プロシュートが信じられないって感じで呟く まあ・・・『ゼロ』のわたしには勿体無いくらいの人だしね わたしが立ち上がると、ワルドさまは、わたしを抱えあげた 「久しぶりだな!ルイズ!僕のルイズ!」 「お久しぶりでございます」 ワルドさまはとても嬉しそうだ。十年ぶりかしら・・・ 「相変わらず軽いなきみは!まるで羽のようだね!」 「・・・お恥ずかしいですわ」 「彼らを、紹介してくれたまえ」 ワルドさまは、わたしを降ろすと帽子を被り直し言った 「あ、あの・・・、ギーシュ・ド・グラモンと、使い魔のプロシュートです」 わたしが交互に指差すと、ギーシュは深深と、プロシュートはつまらなそうに 頭を下げた 「きみがルイズの使い魔かい?人とはおもわなかったな」 ワルドさまはきさくな感じでプロシュートに近寄った 「僕の婚約者がお世話になっているよ」 「そりゃどうも」 プロシュートが素っ気無く答える ワルドさまが口笛を吹くと、朝もやの中からグリフォンが現れた 「おいで、ルイズ」 ワルドさまはわたしの手を引くとグリフォンに跨り、わたしを抱きかかえた 「では諸君!出撃だ!」 頭の中に声が聞こえてきた お忍びっつってる側からデケぇ声で出撃だぁ?この野郎、ふざけてんのか? ワルドさまの軍人としての振る舞いにプロシュートは我慢出来ない様だ 確かにコレ、お忍びの重要任務よね・・・ ワルドさまに気をつける様に頼む? 笑い飛ばされるだろうか・・・ 気分を悪くするだろうか・・・ プロシュートに気にしすぎと言う?・・・ 無茶苦茶怒るわね・・・きっと どうする・・・どうする・・・どうする、ルイズ? よしっ、決めたわ! 聞かなかった事にしよう!
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前ページ次ページ日本一の使い魔 決闘騒ぎは貴族の子弟たちにっとって意外な形で幕を下ろした。 「なんだったんだアレは?」 「あいつレビテーション もフライも使わないで、火の塔から飛び降りたよ な?」 キュルケとタバサも何が起きたのか話をしていた。 「ねえタバサ、あれってケンよね?」 「あの人は、さすらいのヒーロー快傑スバット。そう名乗った。」 「魔法も使わずにアレって反則なんじゃ、、、」 「魔法、、、『お約束』、、、」 学院長室でもオスマンとコルベールが、あれやこれやと話をしていた。 「なんじゃったんじゃアレは?」 「私にも何がなんだか、、、」 「あまり触れてはいかん気がするしのう。」 「それにしても、遠見の鏡はどうしたんじゃ?」 「それについても解らないのですが、遠見の鏡はそうせざるを得なかったとし か。」 「ふむ、謎じゃのぅ。しかも彼がガンダールヴであるという確証は得られなかっ たしのう。もし、アレがガンダールヴのルーンの効果による物とすれば、動きに どこかしらの不慣れが出るものと思うが、しかしアレはさも当たり前のように振 舞っておったし、あの赤い服が何か関係があるのかのう。」 「いずれにしても、調査は必要と言う事でしょうか、、、」 「あの服、どこかで見た事あるような気がするのじゃが、、、」 噂話の中心、早川はと言うと、自分の体の変調について考えていた。 「(いくらズバットスーツを着ているとは言え、あの人形を吹き飛ばすつもりで ズバットの鞭を振るったし、本気とは言えない威力で放ったズバットアタックで 人があそこまで吹き飛ぶとは。しかも妙に気持ちが高ぶった。何だったん だ?)」 ---ズバットスーツ--- 早川健の親友である飛鳥五郎が、設計・開発した宇宙探検用強化スーツ そのスーツをベースに早川が亡き飛鳥の意思を継ぎ完成させた強化服。 通常の何倍もの怪力を生み、防御能力もかなり高い。 10トンの重量に耐える特殊スチール製の鎖を引きちぎり、実験でズバットスーツ を鉄の棒で殴れば鉄の棒がひん曲がる程の防御力を持った強化服。 -------------------- 早川が部屋に戻ると、そこにはルイズが仁王立ちで睨んでいた。 「色々と言いたい事あるけど、アレは何?」 「なんの事でしょ?」 自分の正体が周りにバレているにも関わらず、とぼける早川。キレるルイズ。 早川は踵を返し、部屋の外に ハヤカワはにげだした しかしまわりこまれてしまった 「あんたが、ギーシュのゴーレムにボコボコにされちゃったと思ったらいなくて、 いきなりあの『ずばっかー』に乗って現れたと思ったら変な服着てて、 あっと言う間にやっつけちゃって、、、」 言葉につまるルイズ、見ると泣いている。 観念した早川は、ズバットスーツ、ズバッカー、そして亡き親友について語る。 「飛鳥五郎という親友がいた。優秀な学者だった。飛鳥が宇宙、、、宇宙ってい うのは空のずっとずっと上の場所さ。その宇宙を探検する為に設計した身体を強 化する服、そして乗り物。そいつを俺が完成させた。」 「ねぇ、親友だったって喧嘩でもしたの?」 「死んじまったのさ。ウジ虫に殺されちまった。俺は飛鳥を殺した奴に復讐を誓 った。飛鳥が残したズバットスーツ、ズバッカー、俺はあいつと一緒にあいつを 殺した奴に復讐する為犯人を捜している。」 キザで明るく、何でも器用にこなし、皮肉屋で、でも憎めない自分の使い魔の影 の部分、笑顔の裏が垣間見えた。そして一つの考えが浮かんだが、慌てて自分の 中で否定した。 ・ ・ ・ ドアノブに手をかけ早川は外に向かおうとする。ルイズは自分の使い魔がどこか に行ってしまうと思い慌てて追いかけようとする。 早川はニコっと笑い、テンガロンハットを投げルイズの頭に被せる。 「ちょっと小腹が空いたんで厨房にでも行ってきますかね。何かいるかい?」 そう言うと手をヒラヒラさせて出て行った。 早川が厨房に到着する。料理長のマルトーは顔を輝かせ、 「見ていたぞ~、カッコ良かったぞ~、我等の鞭! 」 「ヒュンと飛んで、ズバ、ズバ、ズバっと鞭を振るって、こうやって」 他の給仕に聞く所によると、マルトーは貴族や魔法が大嫌いらしい。 それでこの興奮である。まるでテレビの前のチビっ子のように。 「マルトーさんよ、ちょいと小腹が空いたもんで」 早川が言い切る前にマルトーは更に顔を輝かせ、 「俺の作った飯を我等が鞭は食いに来てくれたってのか。」 貴族の夕食よりも豪華な食事が並んだという。 しきりにマルトーがこっちを見ている。苦笑いを浮かべて食事をしていると、 シエスタがやって来た。 「ケンさん、あの時は逃げちゃったりしてすみませんでした。」 「気にしなさんな。怖かっただろ?だがもう安心だ。」 逃げた事を気にし、うつむくシエスタの頭をなでて微笑む。 「はい、ケンさんが守ってくれるので安心です。ありがとうございました。」 頬を染めるシエスタに手を広げ肩をすくめる。マルトーがニヤニヤとこっちを見 ている。一通り食事を済ませ、ルイズの分にと取り分けて貰った食事を手にし立 ち上がる 「ごちそうさん。さてと、帰るとしますか。」 立ち去る早川に向かい、マルトーが慌てて尋ねる。 「もう帰っちまうのか?お、俺の料理はうまかったか?」 早川は振り向かずに 「泣き虫のご主人様を待たせてるんでね。マルトーの旦那、あんたの料理の腕、 日本じゃ、、、」 立てた2本指の中指を曲げ、 「1番かもな、うまかったぜ。じゃあな。」 前ページ次ページ日本一の使い魔
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この世界に来て1週間ほど経っている。私の周りは最初に比べて随分静かになった。 周りが慣れたのだろう。ルイズも私に文句は殆ど言わない。私が言われたことをすべてこなしているからだ。 ルイズが寄越す食事は相変わらず貧相だが問題は無い。厨房に行けば食事には困らないからだ。 決闘の次の日、シエスタと共に厨房に道具を勝手に使ったことを謝りに行ったのだが、まるで英雄のような扱いを受けたのだ。 コック長のマルトーは貴族と魔法が嫌いらしく、私が平民でありながら貴族を倒したいうことで、 私のことを『我らの剣』といい道具を勝手に使ったことは笑って許してくれた。 厨房に出入り出来なくなるのが困るから謝りに行ったのだがいい成果が出たものだと思っている。 そのおかげでうまいものが食べられるからだ。 ルイズに買ってもらったインテリジェンスソードはデルフリンガーという名前らしくよく喋るがこちらの質問には殆ど答えない。 放っておいても喋るので鞘に入れている。鞘に入れておけばおとなしくなる言う店主の助言があったからだ。 何か遭った時ためにデルフリンガーで剣の訓練をしているが鞘に入れたままだ。デルフリンガーを買ったのは正直失敗かもしれない。 しかし、今の私の状態は命に係わる危険なことはない。食事も充実しているし、仕事もあるが自分の時間も持てている。 このままの状態が続けば幸福に近づけるかもしれない。 だが最近、何故かキュルケの使い魔に行動を監視されている。何故かはわからない。 使い魔は主人の目であり耳らしいのでキュルケは使い魔を通して私を監視しているということになる。 最近の悩みはそれだ。始末するか?監視されているのは落ち着かない。 私だと思われないように殺すことぐらいはできる。 殺すかどうかは様子を見てからだな。ルイズの下着を洗濯しながらそう思っていた。 その日の夜、剣の訓練をやり終えルイズの部屋に向かっていると目の前にキュルケの使い魔がいた。きゅるきゅる、と人懐っこい感じで鳴く。 今まではこそこそうかがうような感じでこちらを見ていたのだが今回は私に何か用があるかのように立ちふさがっている。 キュルケの使い魔(確かフレイムとかいう名前だ)がこちらの私の服の裾を銜えて引っ張りどこかへ誘導しようとする。 とりあえず足を後ろに引っ張るが力が強くどうにもならないので付いていくことにする。こちらに危害を加える様子が無いからだ。 しかし何があるかわからないのでデルフリンガーに手を添えておく。 誘導された場所はキュルケの部屋だった。ドアは開いている。フレイムが引っ張るので中に入る。部屋は暗くフレイムの周りだけがぼんやり明るい。 「部屋を閉めて?」 暗がりからキュルケの声がする。言われたとおり閉める。 「ようこそ。こちらにいらっしゃい」 何だかまた周りが騒がしくなる気がした。 12へ
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前ページ次ページ死人の使い魔 第二話 翌朝、目覚めたルイズは寝ぼけながらみたグレイヴに驚いた。 一瞬、何故部屋に死体がなどという考えが頭に浮かぶ。 そんなルイズの考えを知ってか知らずかグレイヴも目を開ける。 私が起きたのがわかったのかしら? 着替えながらそんなことを思う。手伝ってもらうという考えも 浮かんだが、彼をみるとそんな気持ちなどなくなる。 昨日寝る前に家事をさせてみようかなどとも考えていたのだが、 そんなものは似合わないし、自分の目の届かないところで 何かをさせるのは不安な気がした。 着替えが終わったあと改めて彼を観察する。 見た目は二十歳代の後半くらいに見える。 黒髪は肩まで伸びていて肌は浅黒い。服装も変わっている。 少なくともトリステインでは見かけない。 目に付く特徴の一つとして眼鏡もあげられる。眼鏡じたいは珍しい ものではないが、左目のレンズは 黒く、白い十字が描かれている。 伸びた前髪がレンズにかかっていることもあり左目を見ることはできない。 ただそのレンズの奥をのぞこうとは思わなかった。 その目を通るように大きな傷跡が縦に刻まれていたからだ。 もしかしたらレンズの奥の左目は無いかも。 頼んでみれば眼鏡を外してくれそうだったが、確かめる勇気はなかった。 「ついてきて」 朝の準備を終えたあと、彼に声をかける。 彼が立ち上がり鞄を手に持つ。 かなりの長身だ、そして猫背で歩いている。 それがまた多少の不気味さを出していた。 「それ持っていくの? まあいいわ、よっぽど大事なものなのね」 アタッシュケースの中身を理解せずに気軽に許可を出す。 ケルベロスがどういうものかを知っていれば 許可は出さなかったかもしれないが。 ルイズとグレイヴが部屋を出るとちょうどキュルケが部屋から出てきた。 キュルケにグレイヴのことを平民の使い魔だとからかわれる。 「なんであんたは私が、へ、平民を呼び出したのを知っているのよ」 本当は平民じゃないのにと真実を言えない悔しさを混ぜながら答える。 それにグレイヴのことは学院長とコルベール先生しか知らないはずだ。 「あら、結構うわさになっているわよ。ゼロのルイズが平民を召喚したって」 ゼロと平民を強調しながらキュルケが答える。 「昨日あなたが呼んだ箱の中身を気にしている人が結構いてね、こっそり のぞいていたらしいわよ。立派なのは入れ物だけだったわね、残念ねルイズ」 そんな言葉のあとにキュルケの使い魔の自慢が始まった。 サラマンダーでフレイムというらしい。悔しいが立派だ。 彼女の属性にも合っている。素直に認めるのはしゃくだが。 不意にキュルケがグレイヴに名前を尋ねた。 「あなた、お名前は?」 「……………………」 答えはない。 あわてて答える。 「彼グレイヴっていうの、それと喋れないの」 キュルケは驚いた顔をしたあと、残念ねと言い、 お先に失礼と サラマンダーを連れて去っていった。 「なによあの女、自分がサラマンダーを召喚したからって」 一人で愚痴る。グレイヴは相変わらずだった。 食堂に着きグレイヴに声をかける。 「そういえばあんた何を食べるの?」 人と同じもの?それとももっと別の何かだろうか? そもそも食事は必要なのか? とりあえず隣の席に使用人用の食事を用意してもらっている。 その席にグレイヴを座らせるが食事をする気配はなかった。 「喋れないのって本当に不便ね」 私の言っていること理解しているのかしら? たまたま従っているように見えるだけで実は、 意志の疎通はできていないのではと不安になる。 授業が始まる前ミセス・シュヴルーズがグレイヴについて指摘したせいで、 またゼロのルイズだの平民の使い魔だのとからかわれた。 からかった生徒に反論しながら思う、彼はただの平民じゃない! と。 彼が喋れて自分の正体を説明できれば、きっとゼロの二つ名も 平民の使い魔という評価も返上できるのに。 ミセス・シュヴルーズが騒ぎを収め授業を始めた。 先生の『錬金』の授業を聞き流しながらグレイヴのことを見る。 私は魔法を使えない。正確には使おうとすると爆発が起きる。 そのためゼロと呼ばれているのだがその分、いやそれ故に 座学のほうは頑張っているのだ。今日の講義も予習は済んでいる。 そもそもグレイヴは何者なんだろう? ミスタ・コルベールが言うには魔法以外の技術で作られた ガーゴイルらしいが、実際はどうなんだろう? 案外ただの平民だったらどうしよう。 などと考えていたらいつの間にか授業は終わっていた。 その日のコルベールは興奮していた。まだ触れたことのない未知の技術、 それも非常に高度な。その技術に触れることができるのだ。 そのための準備は昨日のうちにしておいた。といってもトレーラーを 自分の研究室の近くに運んだだけなのだが、それが非常に大変だった。 タイヤがついているからと馬でひいてみたが 馬ではひけないくらい重く、 学院の教師達に応援を頼みやっと運んだのだ。 はやる気持ちを抑えトレーラーに乗り込む。 やはり素晴らしい。 目を輝かせながら中を調べ始めるのだった。 昼食の時間になりグレイヴと食堂に向かうルイズだったが、 ふと思いついたように言う。 「あんた食事はいらないんでしょう?」 うなずくグレイヴ。 「なら部屋で待ってなさい。あとで迎えにいくから。部屋まで一人で帰れる?」 再びうなずき、グレイヴは部屋の方へ歩き出した。 一人で行動させるということに多少の不安はあったが、部屋に戻るくらいは 大丈夫だろう。 食堂にいて何も食べないのは不自然だ。周囲の人にとって彼は ただの平民なのだから。 食事が終わりデザートを食べているが、またグレイヴのことをぼんやりと 考えていた。 最後の一口をというとき、何やら後ろが騒がしかった。少し耳を傾けて みるとギーシュが一年生の女子と揉めているらしかった。 頬をひっぱたく音が聞こえたが、ルイズにはどうでもよかった。 最後の一口を食べながら再び考えに沈む。ふと目をやるとギーシュが モンモラシーに 頭からワインをかけられていた。 そのあとギーシュの友人らしき人物がギーシュに謝っているのが見えた。 「すまないギーシュ、壜を拾ったばかりに」 心底どうでもよかった。 デザートを食べ終えたのでルイズは食堂をあとにした。 ルイズがグレイヴを迎えにいくとグレイヴが部屋の前に 立っているのが 見えた。 もしかして扉開けれないのかしら? そこで気づく、鍵をかけていたことに。 でも鍵がかかっていたなら私のところに来ればいいのに。 しかし扉を開けようとして開かずに立ち尽くすグレイヴを 想像して、少し可笑しくなった。 よく見れば少し不機嫌なようにも見える。 部屋の鍵くらい持たせていいかしら? 食事のたびに部屋の前で立たせるのは可哀想な気がした。 言うことには素直に従うし、鍵くらいなら渡してもいいだろう。 あまり考えずに決断する。 時間を確認すると授業にはまだ時間があった。 ミスタ・コルベールに会いに行こうかしら。何か分かったかもしれないし。 「グレイヴ、ついてきなさい」 トレーラーの中にコルベールはいた。 朝からずっと休憩も取らずに中を調べていた。 中に入ってきたルイズとグレイヴをみて、ため息をついて言う。 「素晴らしい技術です。いったいどこで作られたのか、想像もつきません」 それからいかにこれらが素晴らしいかを興奮しながら語り始める。 ルイズには難しいことは分からなかったが、とにかく凄い ということは 伝わった。 改めてみると使い方の分からないものばかりだ。 奥のイスを見る。 あそこにグレイヴは座っていたのよね。 するとコルベールが気になることがありますと イスまで二人を連れて行く。 コルベールの顔を見ると強ばった顔をしていた。 このイスに繋がっていたパイプを覚えていますか? と尋ねられる。 このパイプがはずれグレイヴは目を開いたのだ。 記憶に強く残っている。 「私もパイプのことは記憶に残っていて調べてみました。 そうするとそのパイプの先には血液、それも恐らくですが人間の 血液がありました。彼は血液で動いているのかもしれません」 それはチェンバーと呼ばれるもので、血液を補給するものではなく、 交換するための道具だったのだが、コルベールにもそこまでは 分からなかった。 ルイズの頭の中には吸血鬼という考えが浮かぶ。 しかしその考えが聞こえたかのようにコルベールは否定した。 「元が吸血鬼という可能性はありますが、彼は吸血鬼ではないと思います。 少なくとも一般に知られている吸血鬼ではありません。吸血鬼の特徴と あまりにかけ離れすぎています」 「じゃあ、彼は一体なんなんです?」 「分からないですが、ガーゴイルのようなもので間違いはないと思います。 人の血液で動くというのがつきますが」 「グレイヴは人間を襲うんですか?」 怯えながら尋ねる。 「分かりません。ただ当分は大丈夫だと思います。 まだここに大量の血液が残っていますので。 どうやって集めたのかは分かりませんが」 ルイズには嫌な考えがというか、嫌な考えしか浮かばない。 「まあこれからも彼と付き合っていくなら、何らかの方法を考えなければ ならないでしょう」 しかしと続けまたこの技術に対する賞賛になる。 「新鮮な血液を長期にわたり保存する方法はないのですが、 これはそれを可能にしています」 血液のパックをみながら言う。 「本当に彼が喋れないのが残念です、是非とも話を聞きたかった」 ルイズはコルベールの態度が気にかかり尋ねる。 「あのグレイヴのことは恐くないんですか?」 彼は人間の血液で動く、いわば化物のようなものだ。 それなのにあまりに能天気なようにみえる。 「まったく怖くないといったら、嘘になりますがね」 少し微笑みながら言う。 「しかし私は彼に何かをされたわけではないし、 これからも何かをされるとは思えない」 でもとルイズが言う。 「言いたいことは分かりますよ、しかしですね、この技術をみてください。 血液を新鮮な状態で保存する。確かに気持ちのいいことではありません。 しかしこの技術が実用化されたら将来多くの人が助かる可能性が出てきます。 技術というのは扱う人しだいです。彼についても同じことが言えるのでは ないでしょうか?」 それを聞いてルイズは思う。 そうよ主人の私がしっかりグレイヴの手綱を握っていればいいのよ。 気持ちがかなり楽になる。 しかしそのためには人間の血液、もしくはそれに代わるものを 見つけなければならないのだ。そこで気づく。 「あのグレイヴはいつ、どれくらいの血液を必要をしているのですか?」 「分かりません」 答えはあっさりしたものだった。 「必要になったら彼が教えてくれるでしょう。量については一度目の ときに計測しましょう。あと、このことについても皆には秘密ですよ、 私も学院長にしか報告しません」 「分かっています」 うなずきながらルイズは答える。 しかし秘密ばかりが増える。 それもこれもみんなグレイヴのせいだと、少し疲れた顔をしながら 彼のほうをみる。 すごい重要な話をしていたのに相変わらずの無表情だった。 しかし釘だけはさしておかなければ。 「いい、あんたの血液に関しては私が何とかしてあげるから、 絶対、ぜ~ったいに人を襲ったら駄目だからね」 グレイヴはうなずく。 本当に分かってんのかしら。ため息をつきながら思う。 しかし正体はどうであれ、彼は私の使い魔なのだ。 私がしっかりしなくては。 再びそう強く思った。 前ページ次ページ死人の使い魔
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貴族派の軍が混乱している隙をつき、シルフィードが包囲網を猛スピードで抜けていく。 数発魔法や飛び道具が飛んでくるが、あらぬ方向へ飛んで行くだけであった。 「とりあえず前線は抜けたようね」 キュルケの呟きにタバサが返答する。 「油断禁物」 「そうね、後ろに控えてる部隊もいるでしょうしね…ね、ねえ…心なしかスピード落ちてない?」 「過重なのに飛ばしすぎた」 前方の貴族派の軍がこちらを見上げている。 味方ではないと感づき、竜騎士が二体あがってくる。 ルイズが叫ぶ。 「どうすんのよーッ!この竜のブレスで片づけられるのーッ!?」 「私の風竜は吐けない」 「じゃあ、タバサの魔法は?」 「精神力切れ」 ルイズは振り向いてキュルケ達を見る。 「私も種切れよ」 「僕もさ」 ギーシュは肩をすくめる。 「ダービーさんはなにか持ってないの?もうこの際なんでもいいわよ」 「嬉しいことに完売御礼でね、弁当でもぶつけてみますか?」 ルイズはため息をつく。 「どうすんのよ」 ワムウが立ち上がってタバサになにごとか話しかける。 「スピードをできるだけ落とさず上昇しろ」 タバサは黙って頷き、シルフィードを三十度ほど傾ける。 「ちょっと、急になにするのよ!」 かなりの傾斜になり、滑り落ちそうになったルイズがわめく。 かなり高くあがったためメイジの魔法が届かなくなる。 そのため隊の上空を滞空していた敵の竜騎士がこちらに向かって上昇してくる。 「どうすんのよワムウ!かなり高空に来たからスピードが更に落ち…」 ワムウはシルフィードの背から落ちた。 空中でスレッジハンマーを構え、不幸にも真下にいた竜騎士の騎手に振り降ろす。 嫌な音を立て、騎手は竜から落ちていく。 もう一人の騎士はあまりの出来事にぽかんと口を開けるが、はっとして竜を操り、ワムウに向かってくる。 高速でブレのない軌道であっというまにワムウの背後につく。 射程距離に入り、ブレスを吐いた瞬間、ワムウはいきなり急上昇した。 普通の竜騎士はせいぜいベルトで固定しているくらいで、背面飛行などとてもではないが不可能だ。 しかし、ワムウは普通の竜騎士でも、普通ではない人間でもなかった。 竜の体に潜行しているため、どんな状態からでも落ちることはない。 ブレスをかわせる大きさの逆宙返りを華麗に決め、背後からブレスを放つ。 ブレスのために喉の袋の燃料に引火し、燃え上がっている竜は、焼け爛れ叫び声をあげる騎手ごと落下していった。 竜に乗ったワムウがシルフィードの横にあがってくる。 「最も重かった俺も降りただろう、このスピードを維持できるか」 「やる」 タバサが短い返事とともに頷き返すと、ワムウは高度を下げ、次々とあがってくる他の竜騎士を落としにかかった。 アルビオンを抜け、スピードの遅い火竜から再度シルフィードに乗り換えたワムウ。 「騎馬戦はやったが騎竜戦は初めてだったが…どうだ、レッドバロンも真っ青だっただろう」 「なによ、レッドバロンって」 ルイズたちも、戦場を抜け、いくぶんか気を楽にしている。 ギーシュが笑う。 「レッドバロンはわからないが、レッドコメットにも匹敵するね」 「どっちもわかんないわよ」 ルイズが口を尖らして言う。 「やれやれ、あの赤い彗星を知らないなん…」 「曲がる」 タバサが呟くと同時にシルフィードの体が大きく傾き、数人体勢を崩す。 「きゃああ、落ちるーッ!」 「ぐあッ!」 落ちそうになったルイズはギーシュを思いっきり蹴り飛ばし、なんとか竜の体にしがみつく。 「ぼ、僕を踏み台にした!?」 いきなりの揺れと蹴りが同時に来たギーシュは無様にも落下していった。 「いいのか、助けなくて」 「ギーシュならレビテーションで着地するし、そういえばラ・ロシェールに私たちの馬を 置いたままだったわね…ギーシュ、私の馬もお願いね」 落とした張本人のルイズは、とくに気に留める様子もなく、下に叫ぶが返事はなかった。 一悶着二悶着ありながらも、宮廷に到着しアンリエッタの部屋に二人は通される。 「……そうですか、ウェールズ様はやはり父王に殉じたのですね…… それで、ワルド子爵はどちらに?…もしかして、敵の手にかかって…」 ルイズはいいにくそうに俯く。 「姫さま、ワルド子爵は……裏切り者でした…ウェールズ皇太子様は、奴の手にかかって……」 「なんですって…」 アンリエッタは愕然とし、わなわなと震える。 「姫様…」 ルイズが心境を察してか、辛そうな顔をする。 「ゆ……」 「…?」 ガタンとアンリエッタが顔を上げる。 「許しません…絶対に許しませんよ売国奴め!じわじわとなぶり殺しにしてやるわ! トリステイン総力をあげて新アルビオン兵一人たりとも逃がさないと誓うわ!覚悟しなさい! 即刻アルビオンを奪還します!竜騎士第一連隊長カンダ及び第二連隊長クリハラ、 メイジ第一連隊長ギルガメッシュに伝えなさい、命令は見敵必殺、以上よ! 不運なアルビオン人たちをレコン・キスタとやらの手から解放してあげなさい!」 そういって、机を叩く。 「ひ、姫さま……」 ルイズはあまりの豹変ぶりにオロオロとする。 「姫さまはあまりの出来事に錯乱しておられるのです、私が説得しておきますので、 皆様はどうかそっとしてあげてください」 マザリーニがそう言って、部屋をでるのを促すので二人はそれに従った。 「よくこの国はいままでもっていたな」 「あんた、宮廷内で不敬すぎるわよ。いつもの姫さまとは全然様子が違ったもの。そりゃ愛する…… 従兄が自分の任命した裏切り者に殺されたとなれば…誰だって錯乱くらいしかねないわよ」 「ふむ、人間とはそういうものか」 「私もまだよくわからないけどね」 待合室に二人は戻る。数十分たつとアンリエッタとマザリーニがやってくる。 「姫さまは大丈夫ですか?」 「ええ、紫電改のタカを読ませて教育しましたから」 キュルケが呟く。 「ずいぶん偏った政治教育してるのね、トリステイン王家は」 「ちょっとキュルケ、トリステインを馬鹿にしないでよ」 「別に馬鹿にはしてないわよ、あんたこそ一々つっかかりすぎなのよ」 「なによ、あんたみたいな野蛮なゲルマニア人に口出しされるほどトリステインは落ちぶれてないわ」 険悪な雰囲気になりそうなところを、ダービーが咳で遮る。 「そういえば、レンタルしてたハンマーと後払い分のお金を貰ってませんでしたな」 「ああ、そうだったわね…ワムウ、あのハンマー返しなさい」 「うむ、ない」 「ああそう…ってえええええ!どこやったのよ、あれ!」 ルイズがキッとワムウを睨む。 「竜に潜行する際にどこかで放したようだ、運がよければ貴族派の頭上にでも落ちたかもしれんな」 「なにが運がいいよ!どうするのよ!」 「ならば、買い上げて貰うということで」 ダービーが口をはさむ。 「しょうがないわね、いくらなの」 「六百エキューです」 「ああ、わかったわ…ってちょっと待てええええええッ!なによその価格!家が買えるわよ! ヴァリエール家の三女をボッたくろうっての!?」 「とんでもございません、あれは非常に精密にできているのに、文字通り落ちていた物で、再現することは 不可能なんですよ。あれは芸術品といっても過言ではありません、オーパーツなどといった可能性を考慮すれば 六百エキューは非常にリーズナブル、良心的価格でございます」 ルイズは唇を噛む。 すると、アンリエッタがなにか気付く。 「あら、ルイズ、服の内側になにかはいっているようだけど…」 「そうでした姫さま!その…ウェールズ皇太子様が、アンリエッタさまに渡してくれ、と預かった物です」 そういって、ルイズは風のルビーを渡す。 「ウェールズ様が、わたくしに…」 そう言って、風のルビーを指にはめる。 アンリエッタはルイズを見据え、決心したように言った。 「わかりました、この指輪、六百エキューで買い取りますわ、あなたはそれで彼に代金を払って差し上げなさい」 「そ、そんな姫さま、そんなわけにはいきません!」 「忠誠には報いなければいけません、彼に六百エキュー渡せばいいのですね、彼には払っておきますので 皆様はどうぞ学園にお戻りくださいませ」 「姫さまの婚姻も発表されるし、ほんと激動の数日間だったわね…」 教室でルイズはため息をつく。 「ほんと、私たちもあんな泥仕合に参加する羽目になるとは思わなかったわよ」 キュルケがあくびをしながら言う。 「おい、そこ!口でクソたれる前と後にサーと言え!分かったかウジ虫!」 おしゃべりに気付いたギトーに注意される。 「私たちいない間になんに影響されたのよ、あの先生」 「黒騎士物語でも部屋においとけば来週には変わるんじゃないか?」 ギーシュが口を挟む。 「なんであんたそんなもの持ってんのよ」 「源文先生は全ての男の英雄だからね」 白い歯を見せて笑う。 「初めてきいたわよ、そんなの」 キュルケが気だるげに言うと、ギトーにまたもや見つかる。 「そこ!次喋ったらじっくりかわいがってやる!泣いたり笑ったり出来なくしてやる!」 「はいはい、わかりましたよ先生」 キュルケが不機嫌そうに言う。 「はいではなくサーだ!そして先生ではない、教官と呼べ」 「イエスサー教官」 「それでいい」 満足げにギトーは黒板に戻る。 授業のベルが鳴る。 「授業は終了だ!分かったか豚娘ども!」 と言い残してギトーは教室を出ていった。 キュルケがルイズに話しかける。 「前から思ってたけど、あの先生とびきりのバカね」 「気付くのが遅すぎるわよ」 数分後、次の授業の担任であるコルベールが珍妙な物を抱えて教室にはいってくる。 「それはなんですか、先生」 ルイズが質問をする。 コルベールがしたり顔になる。 「ふふ、よくぞ聞いてくれました。その前に皆さん、『火』系統の特徴を、誰かこの私に開帳してくれないかね?」 視線が校内でも有数の『火』のメイジであるキュルケに注がれるので、しかたなくめんどくさそうに答える。 「情熱と破壊が『火』の本懐ですわ」 「そうとも!」 コルベールはにっこりと笑う。 「しかし、情熱はともかく『火』の司る物が破壊だけでは寂しいと私は常々思っていましてね、 『火』とは文明の象徴!使いようによっては色々と楽しいことができるのです。いいかね、 ミス・ツェルプストー、戦いだけが『火』の見せ場ではありませんよ」 「トリステインの貴族に『火』の講釈を承る道理はありませんわ! ……それで、その妙なからくりはなんですの?」 コルベールは少々気色の悪い笑みを浮かべる。 「うふ、うふふふ、そう、これこそが私の傑作品、愉快なヘビくん試作八号、油と火の魔法を使って 動力を得る、私の発明品ですぞ!」 生徒から質問があがる。 「七号まではどうしたんですか、先生」 「発明に失敗はつきものなのですよ、諸君」 ばつの悪そうに顔をしかめたが、すぐに笑みを浮かべる。 「まあ、ご覧なさい!まず、この『ふいご』で油を気化させる」 コルベールはふいごを踏む。 「すると、この円筒の中に気化した油が流れ込むのですぞ」 円筒の横に開いた小さな穴に杖を差し込み、呪文を唱える。 すると、円筒の中から発火音が聞こえ、それが気化した油に引火し爆発音に変わる。 そして、円筒の上のクランクが動きだすことによって、車輪が回転し、箱についた扉が開く。 そこからギアを介してピョコピョコとおもちゃのヘビが顔を出す。 「どうですか、皆さん!この円筒の中の爆発によって上下にピストンが動いておりますぞ! これによって車輪が回る!するとほら!中から可愛いヘビくんが顔を出してご挨拶!面白いですぞ!」 教室が静まる。生徒は皆、なにが面白いのだろう、と言いたげな冷めた顔でみている。 「それで、それが何の役に立ちますの?」 キュルケが感想を述べる。 「えー、今は愉快なヘビくんが顔を出すだけですが、たとえばこれを荷車に乗せて車輪を回させる。すると 馬がいなくとも荷車が動くのですぞ!ゆくゆくは、サイボーグに搭載して舌で操作する加速装置に…」 「そんなの、魔法でやればいいじゃない」 モンモンラシーが呟く。 「諸君、よく見なさい!今は点火を魔法に頼っておりますが、たとえば火打ち石などを利用して、魔法なしでも 点火を断続的に行なえるよう改良していけば、魔法なしでも…あ、こら、まだ授業は終わっていませんぞ!」 興奮した様子のコルベールとは対照的に生徒は呆れた様子で、今日の授業は変な機械の自慢話が続くようだと 思い、生徒たちは何人も教室を出て行く。最終的に残ったのは生真面目なルイズだけであった。 「うう、ミス・ヴァリエール、あなたなら私の発明をわかって下さると思っていましたよ… さ、この装置を自分で動かしてみないかね?」 そういって、コルベールはルイズを促し、成功した試作装置は無残にもバラバラになった。 To Be Continued...
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使い魔について書いていくよ 使い魔の新機能追加 ※アップデートされた新機能は、LV70以上にて解放されます。 -使い魔覚醒・・・・・・・・・進階に必要なアイテムは「挑戦の道」などで獲得できます。 -使い魔契約・・・・・・・・・未出撃の使い魔を利用できる機能が追加されました。 英雄と契約によって、使い魔のステータスを英雄に加算させることができます。 (英雄と契約を結べるのは未出撃の使い魔のみ) -形態進階・・・・・・・・・・・使い魔「情報」タブの「形態進化」ボタンより確認できます。 形態させるとステータス上昇だけでなく、使い魔の見た目も変化します。 【ガルーダ】 -ランダムだからちょっと難しいよ。 -最初から使うから戦力は一番高くなれるよ。 【イフリート】 -前列だからセレスティアと相性がいいよ? -脳筋におすすめだよ。 【フェアリー】 -連れているとかわいいよ -育てるの大変だよでも最終候補にしてもいいSSRのお花ちゃんだよ セリフ お花こと好き~? 【ウンディーネ】 -なにげSP減少あるよ。 -全ターゲットだからSPは減少あるけど結局増やしてることになるよ。 -R上がったら使えるかもしれないよ?
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前ページ次ページ残り滓の使い魔 粗末な食事を終え、悠二はルイズとともに教室に来ていた。 大学の講義室のような教室には、既に何人もの生徒とそれぞれの使い魔がいた。 昨日召喚されたときに大半の使い魔は見ていたが、それでもゲームなどでしか見たことのない架空の生き物たちは、悠二を魅了した。 ルイズが席に着き、その隣に悠二も腰掛けようとしたが、ルイズが非難するような目で自分を見ていたのに気づき、床に座りなおした。 しばらくして、先生と思われる中年のふくよかな女性が教室に入ってきた。女性は教室中を見回しながら言った。 「春の使い魔召喚の儀式は大成功のようですね。このシュブルーズ、毎年さまざまな使い魔を見るのが楽しみなのです」 「おやおや。変わった使い魔を召喚したのですね、ミス・ヴァリエール」 シュブルーズの目が悠二で留まり、隣のルイズを見て言った。 そう言うと教室中が笑いに包まれた。 「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」 そう誰かが言い出したのを発端に、しばらくの間、 「かぜっぴき!」 だの、 「ゼロのくせに!」 などといった、小太りのマリコルヌという生徒とルイズの小学生レベルの口げんかが続いた。 その後、シュブルーズがマリコルヌ他数名の生徒の口に赤土を押し付けることで教室に静寂が戻った。 授業が開始され、はじめに魔法について基本的な説明があった後に錬金の実演となった。 (魔法を自在法に応用できるのかな?) 多少の期待を胸に秘めつつ授業を聞いていたが、どう聞いても先生は自分の属性である『土』系統の魔法びいきであった。 しかし、シュブルーズが錬金の魔法を使ったときには“存在の力”の流れに微妙な変化があったので、授業を聞いたこと自体無意味ではなかった。 「ルイズ、スクウェアとかトライアングルって何なの?」 「簡単言うとメイジのレベルね。ドット、ライン、トライアングル、スクウェアがあって後者ほどレベルが高いってこと」 「ふーん。で、ルイズは何なの?」 こう聞くとルイズは下を向き黙ってしまったが、シュブルーズにこのやり取りを見咎められ、ルイズが錬金の実演をすることになった。 「先生、危険です」 なぜかキュルケがシュブルーズにやめさせることを提言していたが、先の錬金を見た悠二には、どこに危険な要素があるのか皆目見当がつかなかった。 教室の前にルイズが立ったとき、生徒たちは机の下に隠れていた。悠二は、なぜみんなが机の下に隠れているのかわからなかったが、とりあえず警戒だけはしておくことに決めた。 そして、ルイズが呪文を唱え、杖を振ると、大きな爆発が起こった。 現在、教室にはルイズと悠二しかいなかった。あの爆発の後、シュブルーズは気絶してしまい自習となった。 しかし、爆発を起こした罰として教室の掃除をすることになったのだ。もちろん魔法は使用せずに掃除することになる。 ルイズは不貞腐れているのか全く手が動いていなかった。それに反して、悠二はしっかりと掃除していた。ルイズがゼロといわれている理由も、爆発の後に生徒の誰かがルイズを馬鹿にしているのを聞いてわかった。しかし、悠二はルイズに何も声をかけず黙々と掃除をしていた。 ふと、ルイズが口を開いた。 「どうせあんたも心の中で私を馬鹿にしてるんでしょ! 魔法も使えないくせに威張ってるとか思って! そうなんでしょ! 何とか言いなさいよ!」 ルイズが怒鳴るように喚きたてると、悠二が静かに口を開いた。 「初めから全てができる人はいないよ。努力し続けて、ようやくできるようになるんだ」 悠二は自分の経験を元にルイズに言っていた。 悠二はここに来る前、身体能力向上のためにシャナと早朝鍛錬をしていた。 『振り回す枝を、目を開けて見続ける』 『前もって声を掛けた一撃を避ける』 『十九回の空振りの後に繰り出す、二十回目の本命の一撃を避ける』 『二十回の中に混ぜた本気の一撃をよけて、隙を見出したときは反撃に転じる』 このように段階を経て鍛錬を続けていた。はじめはシャナの振り回す枝を、目を開けて見ていることもできなかったが、努力し続けることでこの段階まで至っていた。 それに、他人がなんて言っても、自分で考えてどうするか決めないとダメだし」 そして、友人である佐藤啓作が悠二を羨望の眼差しで見ていたことを思う。 悠二が“徒”から“存在の力”を吸収し、フレイムヘイズと対等とまではいかないが、劣らぬ力を発揮して戦う姿を。 それを憧れとも嫉妬とも取れる目で見ていたが、彼は自分に出来ることをする、と外界宿に行くことを決断する。 ここに至るまでは、さまざまな葛藤があったようだが、彼なりの結論を出し、慕っているフレイムヘイズ、マージョリー・ドーを助けるという目的のために、羨望などを捨て前向きに進んでいた。 (それに、) 悠二は最初に会ったころのシャナを思う。 (最初は自在法が苦手だったシャナも、いきなり紅蓮の双翼を出せるようになったし) かつて、敵として『弔詞の詠み手』と戦ったときを思い出す。あの戦いを境に、シャナは突如として自在法を使えるようになっていた。 そう考えると、ルイズが魔法を使えない理由は、悠二には契機がまだだとしか思えなかった。 「ルイズも魔法を使えるようになるよ。僕はそう信じてるし、応援もする。使い魔でいる間は守るっても言ったしね」 「うるさいうるさいうるさい! いいから黙って掃除しなさい! それと、ご主人様に生意気な口を利いたからご飯抜き!」 他人にはバカにされてばかりであったが、悠二の邪気のない「信じている」という言葉にルイズは面食らった。 悠二は不意に怒鳴られ驚いたが、そっぽを向いたルイズの横顔が赤くなっているのに気づき、声は掛けず掃除に戻った。 このあと二人は一言も話すことなく掃除を続けた。 二人は掃除を終え食堂に行ったが、悠二は食事抜きだったことを思い出し、コルベールの所へ行こうとした。 (先生のいる場所の名前は聞いたけど、そこがどこにあるのかはわからないんだった) ルイズに聞こうにも聞きにくい雰囲気だしな、と食堂の前で途方にくれていた。肩を落としている悠二の前に、シエスタが現れた。 「あの、ユージさんどうしたんですか?」 「コルベール先生のところに行きたいんだけど、場所がわからなくて困ってたんだ」 「ミスタ・コルベールなら図書館にいると聞きましたよ。……ところで、図書館の場所はわかりますか?」 「……よければ教えてくれないかな?」 悠二はシエスタに図書館の位置を教えてもらいコルベールに会いに向かった。 図書館近くの廊下で偶然にも悠二とコルベールは鉢合わせた。 「コルベール先生、少しいいですか?」 「君は、昨日ミス・ヴァリエールの使い魔の……」 「坂井悠二です。あの、このルーンについて聞きたいことがあるんですが?」 悠二がそう言い左手に刻まれたルーンを見せると、コルベールはわずかに眉をしかめた。 「聞きたいことは何かね? 私にわかる範囲でなら説明できるが」 「ルイズに、ルーンは付与効果があるって聞いたんですけど、このルーンの効果って何ですか?」 「もう一度ルーンを見せてくれないかね? ふむ、しかし効果まではわかりかねますな」 そうコルベールは言って、無意識のうちに、持っている本を強く抱えなおした。その仕種を見た悠二は、違和感を覚えていた。 (見間違えかもしれないけど、なんで本を僕から隠すようにしたんだ? 本に、僕には知られたくないようなことが書いてあるのか? そうでもないと、隠すような行動をした意味がわからない) 悠二のルーンから手を離し、若干焦りを感じるような声色でコルベールは言った。 「力になれなくてすまないね。他にも何か困ったことがあったら相談してくれたまえ。私はこれから、学院長のところに行かなければならないので失礼するよ」 そういい残し、早足で去っていってしまった。 (コルベール先生の部屋は外にあるはず。それなのに、違う方向に向かった) 悠二は、戦闘時ばりに考えをめぐらせた。 (このまま学院長に会いに行くってことは、あの本も持っていくということだ。急いでいたということを考えると、早く伝えなければならないような重要な内容) 先ほどのコルベールの行動から推測を続ける。 (それに、さっきルーンの話で明らかにあの本を意識した。ということは、このルーンのことで学院長に急いで報告しなきゃいけないような大事な話か) 悠二は音を立てず、コルベールが行ってしまったほうへ走り出した。 悠二がコルベールを追って学院長室に向かっているころ、ルイズは自室のベッドの上でじたばたと暴れていた。 「わかわかわかわか! なんなのあいふは! そえい、ふふへはっへ! ん~~~~~!」 枕に顔を押し付けながら叫んでいたので、何を言っているのか全くわからないが、この場面を見れば、明らかに怒っているとわかる光景だった。 ルイズがこうなった原因は、昼食を食べている時にあった。 「あら、ルイズ。もう掃除は終わったの? 意外と早かったわね」 ルイズが食べようとすると、キュルケが不適に笑いながら話しかけてきた。 「ええ、おかげさまでもう終わったわ」 ルイズは、これでもうこの話はおしまい、とでも言うように言い放ったが、それに構わずキュルケは続けた。 「ところで、あなたの使い魔はどうしたの? ここにはいないみたいだけど」 「あいつなら、ご主人様に生意気なこと言ったから食事なし」 それを聞いたキュルケは、意地悪な笑みを浮かべた。 「あの使い魔が何を言ったか知らないけど、満足に食事もできないんなら、そのうち逃げちゃうんじゃないかしら? もしかして、こうしてる今にも逃げてるかもしれないけど」 「そんなわけないじゃない! まったく、失礼しちゃうわ!」 そう言って顔を赤くしながら食事をするルイズを見て、キュルケは満足げな笑みをたたえた。 「いじわる」 キュルケの隣に座る青髪の少女、タバサが呟いた。 「あの子をからかうのって、おもしろいのよね~」 そう言ってから食事に戻った。 (そうよね、あんまり厳しすぎてもダメよね。そうよ! 飴と鞭の要領よ!) キュルケにからかわれた後、ルイズはそう考え、食堂の前で待っているだろう使い魔のためにパンを持っていくことにした。 (お腹を空かしているだろう使い魔のためにパンを持っていく優しいご主人様、さらに従順になるでしょうね) 自分が食事を抜きにしたことを思考の脇に置き、ずる賢く笑い、食事を終え食堂を出たが、そこに使い魔の姿はなかった。 (どこ行ってんのよ、あいつったら) まあ、どうせ部屋に戻って空腹に悶えているのよね、と思い、またしても黒い笑みを浮かべ自室に戻った。 そして今である。意気揚々とした足取りで自室に戻ったが、空腹に泣いているであろう使い魔がいなかった。 (ごごご、ご主人様がせっかく食事を持ってきてあげたっていうのに、あのバカったらどうしていないのよ!) 声にならない怒声を上げ、ルイズはベッドにダイブしたのだった。 しばらく、うつ伏せで枕を抱きしめ、足をバタバタさせ、今いない悠二、パンを持ってくる原因とも言えるキュルケに対し、怒りをぶちまけていた。 ある程度冷静になると、急に不安に襲われた。 (本当に使い魔逃げちゃったのかしら? せっかく召喚したのに。初めて成功した魔法だったのに) 考え始めると、ネガティブな思考が頭の中を埋め尽くし、再度ルイズは枕を強く抱きしめた。 前ページ次ページ残り滓の使い魔