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The Decisive Battle 収録作品:ファイナルファンタジーVI[SFC/PS/GBA] 作曲者:植松伸夫 概要 作中の多くのボス戦で流れるBGM。 ボス戦でもアルテマウェポン戦や三闘神戦などではこの曲ではなく「死闘」が使用される。 前半のロックオルガン・シンセベース・スネアの激しい掛け合いと、後半のストリングスによる引き伸ばされた美しい旋律が特徴。 1ループ1分弱とやや短めだが、かなりインパクトのある中身の濃い1曲であり、シリーズのボス戦の中でも高い人気を持ち、アレンジや演奏もよくされている。 本ランキングでも頻繁にランクインしており、同じ名前の『FF5』の「決戦」と共に高順位に入っていることが多い。 またこの曲はボスの他に、一部の宝箱の中に潜むモンスター(プレゼンター・トンベリマスター・サムライソウルの三体)でも流れる。 なぜこの三体だけこの曲が流れるのが不明だが、この三体は並みのボス敵よりも手強いモンスターなので、『FF5』で同じく宝箱の中に潜んでいた神竜戦みたいに、強敵としての危機感を煽らせる…のつもりだったのかもしれない。 アドバンス版では採譜ミスがあり、メロディフレーズ後半の主旋律が間違いがある。 過去ランキング順位 第1回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 24位 第2回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 125位 第3回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 127位 第4回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 53位 第5回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 48位 第6回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 65位 第7回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 94位 第8回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 88位 第9回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 141位 第10回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 268位 第11回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 200位 第12回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 403位 第13回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 100位 第14回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 549位 第15回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 641位 第16回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 341位 みんなで決めるスクウェア・エニックス名曲ベスト100 9位 第2回みんなで決めるスクウェア・エニックス名曲ベスト100 2位 FINAL FANTASY BGMランキング 2位 みんなで決めるスーパーファミコンBGMベスト100 10位 みんなで決めるRPGバトルBGMランキングベスト100 8位 みんなで決めるゲーム音楽歴代ベスト100ランキング 237位 みんなで決めるアレンジBGMランキング 125位(FFPR) みんなで決める1990年代の名曲ランキング 99位 みんなで決めるボス戦BGMベスト100 6位 サウンドトラック ファイナルファンタジーVI オリジナル・サウンド・ヴァージョン THE BLACK MAGES/黒魔導士 関連動画 【Video Soundtrack】決戦(ファイナルファンタジーVI)
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ファイナルファンタジーアギト プラス(オンライン専用ソフト) 公式サイト http //www.jp.square-enix.com/ff-agito/ff-agitoplus/ 機種 PS Vita 発売日 未定 定価 パッケージ版:4,104円(税込)+アイテム課金 / DL版:基本プレイ無料+アイテム課金 ジャンル オンラインRPG 発売元 スクウェア・エニックス 開発元 スクウェア・エニックス オフラインプレイ人数 オフラインプレイ不可 多人数プレイ要素 <協力>オンライン通信 年齢区分 審査予定 初回特典 <メーカー特典>・レアアイテムダウンロードコード『SR:玄武甲冑【王の鎧】』・レアアイテムダウンロードコード『SR:軍神衣【氷の女王】』 限定版 備考 iPhone版、Android版とは別サーバー プレイ画像 PV ※動画はiPhone版
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残された希望 溶かそうとしても、剣で叩き割ろうとしてもびくともしない種石を砕くことができる剣。その覇王の剣の所在を教祖から聞き出したラクス達。マルキオ教の本山を下山して、覇王の剣があるという遺跡を目指した。 シンの抜けた穴を全員でカバーする為、ステラのラクスも自分の身は自分で守るしかなかった。図らずもラクスが言った通りになったのである。吹雪に襲われ、身動きできない時。風雪をしのぐ為に谷に残る何かの残骸の中でラクス達は休みを取った。 勿論、凍えるほど寒く、炎の魔法で暖めても暖めても熱が奪われていく。 「一つ聞いてもいいか?」 ステラを間に挟んでミーアと肩を寄せ合っているアレックスが顔を上げた。問いの先にいるのはミーアの横のラクスだったが、正面の冷たい壁に向かって呟く。 「覇王の剣、手に入れてどうするつもりだ?」 種石を砕くのだ。 そう、種石・・・けれど一体どの種石を砕くつもりなのだ? アレックスはそう尋ね、ラクスはそっと懐の暁の種石に手をやった。今も、ほんのりと暖かい美しい石。 「分かりません。ですが」 力が手に入らないのなら、相手の力を削げばいい。 常套手段である。 「手に入れるのが先決だよ」 口を閉ざしたラクスの替わりにキラがアレックスに答えた。 何にどう使うのかを考える前に、実物を手に入れなければ話にならない。 「なぜ、ジョージ・グレン王は種石を砕く剣を残したのでしょう」 自らを危機に陥れることができる力を、子孫達ではなく、このような遺跡に残したのか。王墓に残されていた暁の種石といい、覇王の剣といい、実際の所は謎だらけだった。遥か昔に何があったのか今や誰も知らず、その力だけが残されている。 種石の力の使い方を求めてこんな所までやって来たけれど、種石は願いを叶える夢の力ではなかった。 迷っているのかもしれない。 種石の力を求めることを、種石にこだわり続けることに。 けれど・・・立ち止まることはできない。 帝国から独立する為に今できる事を考えた時、最後は結局、力なのだ。何をするにも最後に必要になるもの。ジョージ・グレン王が覇業を成し遂げるのに、決して欠かすことのできなかっモノもそう。 「わたくし達が帝国に対抗できる力は、これをおいて他にはないのです。種石も覇王の剣も帝国に渡すわけにはいきません」 口に出してしまえは、それが決意になった。 決して諦めないと、アプリル王国を復興すると彼に誓ったのだ。その為ならどんな小さな希望すら見逃せない。 もう、迷いはない。 わたくしはキラやアレックスのように戦えないけれど、恐れはしない。 ラクスは遺跡に辿り着くまで剣を振り続けた。 遠く離れた帝都では、多くの侍従に囲まれたシンが自室でおとなしく帝都を眺めていた。だが、帝都中央でのんびりしていたのはシンだけで、後のものは1人残らず慌しく動き回っていた。 皇帝の御座所へ繋がる回廊を足早に通り過ぎる彼ら、フェイス・マスターもそれは同じだった。 「この度の非常召集、貴方ならどう見る?」 問いかけたのは金髪をカールさせた女性だ。だが、例外なく漆黒のマントに描かれているのはフェイスの紋章で、全身を覆うのは他に一つとない甲冑。そして隣を歩くのは、シンを帝都に送り届けたばかりのディアッカだった。 「殿下は陛下暗殺の咎で元老院を解散させたお方だ。当然、反発も大きいからな、フェイスをここで一気に掌握する腹積もりだろう」 「全く、元老院が陛下を暗殺なんて、どこをどう取ったらそうなるのかしら。場合によっては殿下に事情をお聞きしなくてはならない」 「7年前の事件の時は陛下がいらっしゃったから大事には至らなかったが・・・」 「帝国転覆など、あの方に限って有り得ないわ」 兄が弟を殺すなど尋常ではありえない。 表向きはアプリルと組んで帝国に害することを企んだからというのが理由だったのだ。誰が見ても、それは口実であったが皇帝さえもその言い訳を黙認した。 ディアッカよりずっと年上の女性は当時の事を思い出したのか、顔を顰めた。 「それは今更さ。俺達は帝国を守るのが使命だからな」 「そういう貴殿はいいのかしら、イザーク殿下はアプリリウスに戻られたとか」 いつもなら皇帝であるパトリックが居た部屋の扉が開き、二人のフェイスが部屋に入る。待っていたのは残りのフェイス2人とギルバートだった。 「遅いぞ2人とも」 「いいさ、レイ」 「ご挨拶ね、フェイス・バレル。この度の事で第4局はとても忙しいのよ」 フェイス達はそれぞれ局を与えられて、それぞれが職務を分担していた。 「それはご苦労だったね、グラディス」 「いいえまだ片付いておりませんわ。殿下、皇帝暗殺の件でお話をお伺いしなくてはなりません。何ゆえ、元老院が暗殺したと言われるのか」 グラディスは腰に下げた剣に手をかけ、すらりと抜き放った。 フェイスが剣を抜く時は、その権力を行使する時。つまり、ここでフェイス・グラディスはギルバートを逮捕しようというのだ。 1人は沈黙を貫き、今1人は頭を振りながら溜息を付く。 しかし、それを黙って見ていなかったフェイスが居た。 「フェイス・グラディス、ギルバート殿下の仰られることが信用できないのか!」 「我らフェイスは帝国の法の番人。誰か1人の私利私欲では動きません、それは殿下もご存知のはず。ご同行いただけますか? ギルバート殿下」 剣先が薄笑いを浮かべるギルバートに定められる。 「何を無礼な事を言っている!」 「何をするっ」 危うく揉み合いになるところを、フェイス・バレルがグラディスを捕らえた。彼女の首を掴んで締め上げる。 「ああぁ」 彼女より背の低い少年がギシギシと片手でグラディスを持ち上げる。いくら女性とはいえかなりの重量となる鎧を着込んでいるのだ。それを軽々と持ち上げる最年少のフェイスマスター・バレルにディアッカが目を瞠った。 「皇帝不在の今、ギルバート殿下が臨時独裁官となられ、元老院なき後、議会を管理監督する非常時大権を行使されることとなった」 苦しそうなグラディスの息が次第に浅くなっていく。 「つまり今やギルバート殿下が帝国の法そのもの! その殿下に剣を向けたフェイス・グラディス・・・貴方こそ罪人となるのだ」 心酔したように言葉を紡ぐフェイス・バレルがグラディスを放り投げる。甲冑がこすれあってガチャガチャと音を立てて床を転がる。もはや息も絶え絶えで、深く息を吸うこともできない彼女をギルバートが見下ろす。 「すまないな、タリア。この子はまだ手加減ができなくてね。だかこれで、誰が主か君も分かっただろう、フェイス・カガリ」 一番遠くで一連の動きを見ていた、もう1人のフェイスへとギルバートは視線を投げた。同じ金髪でも、フェイス・グラディスのように美しくカールせず、跳ねるに任せたざんばらな髪。 視線を受けて、カガリはついに来たなと身構える。 グラディスが言ったようにフェイスは帝国の法の番人であり、皇帝直属の臣下である。しかし、事実上は皇帝、ギルバート、イザークと懇意にしている主が存在する。 「君は父上にあれこれ報告していたようだが・・・」 「いいえ、私が仕えるのは帝国です。そして今や帝国の頂点に立たれるのはギルバート殿下」 伏したタリアの横まで歩み出て、臣下の礼を取る。 ここで帝国から放り出されるわけにはいかないのだ。ここで膝を折るくらい、故国が受けた屈辱に比べれば何だというのだ。 カガリを面白そうに見つめるギルバート。 「二度も主を変えるというのなら、君の忠義を見せてもらおうか」 ふふっと小さく笑って視線の先を少しずらす。 「そこにいる罪人に止めを刺してやれ」 顔を伏せたまま、カガリは唇を咬んだ。 まず初めは滅んだ故国からプラント帝国へと仕える先を変えた。幸い、貴族社会と同じくらい実力社会の進んだ帝国では、カガリでも腕次第で出世することができた。剣の腕と持ち前の啖呵でここまでのし上がったのだ。 皇帝に気に入られフェイスマスターとなり一個軍を与えられた。 もう少しなのだ。 もうすぐ復讐へと手が届くと言うのに。 グラディスはカガリにとって先輩であり、少ない女性仲間だった。この時代のフェイスマスターの中で一番の年長なのだ。心内に抱えているものを最初に見破ったのも彼女だった。その時は軽く女性の勘よといわれて傷ついたのを覚えている。 『フェイスとして貴方のやることは何?』 『今、何をするべきなのか考えなさい。でないと先には進めないわ』 すぐに突っ走ろうとする自分をやんわりと制したのも彼女だった。 その彼女をこの手で殺せと? 「どうした?フェイス・カガリ」 のろりと床に転がったグラディスの剣を取った。 私は―――。 誓ったはずだ、滅びた故郷を前にして。 彼女は立ち上がる。そして、伏したタリアの傍らに膝を突いて仰向けにした。うっすらと開いた灰色の瞳を見つめる。 「私のことはいい。帝国をお守りして」 私の望みが違う所にあると知っていて、貴方はそんな事を言う。 カガリを目を閉じて柄を握り締める。 「すまない」 脇の鎧の縫い目から剣を刺し込んだ。 うっ。 一瞬ビクンと跳ねる身体から力が抜けて行き、休息に瞳から光が消えていく。 「良かろう。君の言葉を信じるとしようか」 カガリはただ無表情にギルバートの前に膝を着いた。 一言でも口を開けば荒れ狂う胸のうちを声に出してしまいそうで、ぐっと耐えた。 「ではまず、シンの警護でも新たに頼もうか。もう二度とあれが帝都から出ないように、空賊の真似事などさせないようにな、君が危険から遠ざけてくれ」 それは中枢からの締め出しを意味していた。 帝都から出ず、帝都においてなんの権力も持たないシンに付くことは自由に動ける時間を失うと同義。カガリは唇が切れるほど強く咬み締めて告げた。 「拝命いたします」 皇帝亡き後、長男ギルバートは皇帝位には就かず、この危機を乗り越える為と称して法には記されていても今まで誰も任じされたことのない独裁官という立場になった。そして、議会を押さえるため、まず行ったことが非常時大権の発動であった。 皇帝、元老院、議会に分散されていた帝国の権力が、ここに一極集中することになったのだ。 これでいいんだ。 ギルバート殿下が失脚することはまずない。 後は時が熟するのをじっと待つだけ、睨みあいを続ける帝国と連邦がいつまでも保つ筈がない。いつか緊張は熟れて爆ぜるだろう。 「気にするなよ。ちょっと危なっかしい奴だけどシンはいい奴だから、あいつを頼むよ」 ディアッカに肩を叩かれる。 末の弟の警護になってしまったが、考えようによってはそれでもいいのかもしれない。 「着任の挨拶にでも行って来るか」 「ああ。そうしてくれ」 だが、カガリが訪れた先でシンはぼんやりと窓から空を見上げていた。 その様子に、一瞬フラッシュバックする懐かしい記憶。 青い空には白い雲が一つだけ浮かんでいて、窓から流れる風がカーテンを揺らしていた。 もうすぐお昼になろうかという時間、机にしがみ付いて先生が出した問題に頭をひねっている少女と、とっくに解くことを諦めた少年が両手で頬杖を付いて空を眺めていた。 こんないい天気なのに、勉強してるなんて勿体無くない? 何言ってるんだ。だから今、せっせとやってるんじゃないか。 部屋には2人の他に誰も居ないけれど、少女はこの部屋の隣で侍女が様子を伺っているのを知っていた。だから、誰も見ていないと思った少年のようにズルをすることができなかった。 「そんなの、別に覚えなくても困らないって。だってカガリ、大陸の疫病全部の名前を言えたって今日の天気は変えられない。あ~、勿体無い」 やる気をそがれた少女も手を止めて一緒に空を見上げる。結局、2人とも覚えることができなくて先生にゲンコツを喰らった。 バカだな、アイツ。 フレイは私達が覚えられなかった病気で死んだのに。 ちゃんと気づいていれば、オーブが滅びることはなかったのに。 「あのさアンタ、何か用?」 耳に飛び込んできた声にハッとすれば、カガリをじっと見つめる真っ赤な瞳と目が合った。 これでも帝国の王子か。 今大変な時期のプラント王国において、王子であっても何の力も持たない子供が哀れだった。方や帝国の全権を手中に収め、方や誰にも相手にされない少年。それを目の前の少年も分かっているのか、声が目いっぱい強がっていた。 真っ赤目が大きく開かれて、カガリは思い出す。 ああ、この少年はついさっきまで、アイツと一緒に居たのだった。 アイツの仲間で、敵として相対した事があった。たったそれだけで、シンの印象が気に入らなくなるのだから不思議だ。 「これは失礼、殿下。この度新しく殿下の警護を任されました、カガリと申します」 彼も私を知っているから、何事かと身構えている。 少しだけ、意地悪をしたくなる。 「どうして、フェイスマスターが俺の警護なんて」 「それは殿下が二度と王宮を逃げ出さないためです」 くっと言葉に詰まる少年にカガリは追い討ちをかけた。 「せめて陛下の葬儀が終わるまでぐらい、おとなしくできるな?」 我ながら主に対する言葉遣いじゃないなと思った。 明日からの葬儀は滞りなく終わるだろう。 けれどこの少年を閉じ込める柔らかな檻はずっと続くのだろう。 カガリは少年の後ろに立って同じように空を見上げた。残念ながら雲に覆われ始めた帝都の空は青い部分がとても少なかった。 雪の渓谷を越えた先にある遺跡は山間にひっそりとあって、遺跡を守護するマルキオ教の司祭達がラクス達を遺跡の中へと通す。 「グレン王の王墓と同じね」 遺跡の中はミーアでなくてもシードが目に見える程溢れ、ラクスは頭の中にリーンと鈴が鳴り響いているのを感じていた。迷路のような地下道も気の遠くなるような深い階段を下る。 「・・・行き止まりだね」 「壁に仕掛けとかないか?」 キラとアレックスが周囲を調査するが、あるのは火の消えた燭台のみ。 燭台のくぼみに掘られているものが、王墓で見た文字と似ているような気がして、ラクスは歩み寄って手を滑らせる。 覇王の剣を求めるものよ。 証をこれにかざせ。 不思議と頭の中で組み立てられていく文が、アスランに朗読されるような気がしてラクスは少しの間目を閉じてその余韻に浸っていた。 「種石ですわ」 ラクスは言われた通り、暁の種石を燭台にかざす。 ただの行き止まりだった壁に新たな通路が出来上がっていて、キラもアレックスも、皆がラクスを見た。 「行きましょう」 理由を尋ねられても困るから、ただ先を急ぐことを提案した。 亡くした人が教えてくれたのだと言ったら、彼らは信じてくれただろうか。ほんの少しだけ笑っていた彼女を、アレックスが眉を寄せて横目で見ていて、その様子をミーアがこっそり見ていた。そして、そんな2人をキラが見ている。 さらに奥へと進んだ遺跡の底に、巨大な祭壇があった。 光に彩られ、中央に封印されるように配置されているのは間違いなく剣。 「あれが・・・」 アレックスが中央の祭壇を見上げる。太陽の光など一筋も届かない遺跡の地下だというのに、玄室はお互いの顔が確認できるくらいには明るい。それは全て、剣を封印している祭壇に流れる光の筋のお陰であり、一歩踏み出すと、まるで鼓動のように脈打った。 「間違いなく覇王の剣」 誰もがその異様な姿の剣に足を止める中、ラクスが一歩づつ近づく。 一歩、また一歩と近づくたびに光が溢れ、封印が少しづつ解けていく。 まるで待っていたかのように。 完全に目の鼻の先、手を伸ばせば触れられる所まできた時、剣を戒めていた封印が全て開放された。溢れていた光は剣に収束して、ふわりと覇王の剣がゆっくりと降りてくる。 淡いグリーンの光がはじけるように小さな光のたまになって空中に散っていく。 手を伸ばしたラクスの腕に収まると、本当に拡散してずしりと剣の重さが伝わってくる。 これが、覇王の剣。 かつての覇王、ジョージ・グレンが手にした力。 わたくしはこの力を・・・。 女の片腕で支えられるわけなく、ズシンと床へと穿つことになってしまった。 「すごい刃だね。こんな剣で本当に砕けるのかな?」 覇王の剣の刃は剣先で二つに裂け、途中にも槍受けが幾つも出ている奇怪な形をしていたのだ。両手に力を込めて引き抜いたラクスはキラが言うとおり、おかしな造りの刃を見る。 ただの剣ではないのかもしれない。 まさか、種石と同じようにこの剣も手に入れただけでは意味がないと―――。 「砕いてみればいいじゃないか」 何をとは言わない。 アレックスが口にしたことが何を意味するかなんて、その場に居た誰もがわかっていた。 「どうせ使い方も分からない種石だ。今この場で砕いて、剣が本物かどうか確かめればいいじゃないか」 その通りですわ。 持っていても使えない種石。本当に使えるのか分からない覇王の剣がここにある。ラクスは床に種石を置いて、辻褄の合う提案に覇王の剣の柄を握り締める。今一度種石に視線を移して、あるはずのないものに驚いて顔を上げた。 種石の上に置かれた手。 青白い燐光を纏う手の持ち主が自分を見つめていた。 微笑んでゆっくりと頭を振る。 駄目だよ、ラクス。 彼の声が聞こえた。 戻る 次へ ちょっと中途半端です。今回予定をクリアできなかったよ、ああ、段々長くなる~。ちゃんと追われるのか不安になってきた。
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「判定不一致修正依頼」にて判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。 依頼内容は判定と概要・総評の不一致、全体的な記事の査読です。 ファイナルファンタジーXI 概要 特徴・システム 評価点 設定・ストーリー面 グラフィック関連 BGM 賛否両論点 問題点 現在でも続いている問題点 過去に存在していた問題点 総評 余談 ファイナルファンタジーXI 【ふぁいなるふぁんたじーいれぶん】 ジャンル MMORPG 対応機種 プレイステーション2Windows XP/Vista/7Xbox 360 発売・運営・開発元 スクウェア(02/5/16~03/3/31)スクウェア・エニックス(03/4/1~) サービス開始日 【PS2】2002年5月16日【Win】2002年11月7日【360】2006年4月20日 プレイ料金 月額1,344円(税込)+パッケージソフト代金 レーティング CERO B(12才以上対象) 備考 2016年3月でPS2/360版はサービス終了 判定 なし ポイント 『FF』シリーズ初のMMORPG何だかんだでロングランヒットネットゲーム史に残る一作となる ファイナルファンタジーシリーズ 概要 『ファイナルファンタジー』シリーズ11作目にして『FF』史上初のMMORPG。 本格的なMMORPGはPCゲームに限られていた時代に、家庭用ゲーム機であるプレイステーション2を初期プラットフォームとして採用し、同ジャンルを広く周知することに成功した。PS2をネットにつなげる為の「PlayStation BB Unit」の購入が必要になる、そもそもネット回線そのものが各家庭に必ずしもあったわけではない、など当時としてはハードルはかなり高かったが、『FF』シリーズそのものの持つブランド力も強みとして、本格的な国産MMORPGとして大ヒットを果たすことになった。 最盛期には年間売上が数十億、『XI』単独の売上≒オフラインゲーム部門全体での売上となる程の利益を叩き出す、名実ともにスクエニの大黒柱とも言える存在感を示した。 なお本記事では最後の大規模バージョンアップが行われた、2015年末現在以降のバージョンについて主に記述している。 特徴・システム 先行作であるMMORPG『エバークエスト』に強い影響を受けている。 キャラ作成 最初に「種族、性別、容姿(顔グラフィック)」と「所属国」を設定する。所属国は後から変更可能だが、種族、性別、容姿は一度決定したら変更不可。グラフィック面だけでなくステータス面での差異があるので、自分の好みに合わせて慎重に選ばなくてはならない。 「現実の人間によく似た種族『ヒューム』」「長身かつ美麗で、武勇に優れた種族『エルヴァーン』」「子供のようなかわいらしい姿で、高い魔力を秘めた種族『タルタル』」「猫を擬人化した様な外見の種族『ミスラ』」「最も大柄で人間離れした体形の、頑健な種族『ガルカ』」以上5種族が選べる。 なお、ミスラは女性専用、ガルカは男性専用グラフィックとなっている。また、戦闘における男女間での有利・不利は生じないよう配慮されている。 細かい点ではミスラは戦闘中にしっぽが立つ、とかエルヴァーンの男性のみ魔法を使うと服がは為くといったこだわった要素も。 ジョブシステム ゲーム開始直後は全22ジョブ中、「スタンダードジョブ」と呼ばれる6つのジョブ(戦士、モンク、シーフ、白魔道士、黒魔道士、赤魔道士)に就くことができる。残りのジョブはある程度冒険を進めた後、関連クエストをクリアすることで就けるようになる。 後述する「サポートジョブ」含め、ジョブチェンジは街の施設「モグハウス」及びNPC「ノマドモーグリ」のもとで行うことができる。デメリットは無し。 サポートジョブシステム とあるクエストをクリアすると「サポートジョブシステム(通称「サポジョブ」)」が解禁され、1人のキャラにメインとサブ、合計2つのジョブを設定することができるようになる。サポート側に付けたジョブは能力が大きく制限されるものの、メインジョブの長所を伸ばしたり短所を補ったりできるので、冒険には必須となる。 合成(クラフト)関連 「鍛冶」「彫金」「裁縫」「木工」「革細工」「骨細工」「錬金術」「調理」の基本8系統に、さらに「錬成」「釣り」を加えた計10種類。敵はお金をほとんど落とさず、代わりに上記合成の素材を落とすようになっているのだが、店売りでは大した儲けにならないので合成で製品に加工し、他のプレイヤーに売るのがメイン金策となる。 ストーリー面 プレイヤーは冒険者となって「ヴァナ・ディール」と呼ばれる世界を冒険する。最初は新米なのだが、冒険を繰り返すうちに世界を救う英雄へと成長していく。 「クエスト」と、所属国及び拡張ディスクで追加されていくストーリー群「ミッション」の2つの流れが存在している。前者は街の人々の悩みを聞いたりするこまごまとしたものだが、アイテムやジョブ解禁といった報酬が設定されており、またクリアしていくうちに人々の評判も上がっていく。後者は国の重要問題や世界レベルの災厄を打破する大がかりなもの。 「小クエスト並立制」を採っている為、各クエスト・ミッションはどのような順番でクリアしていってもよい。ただし、ミッションを進めないと行けないエリアも多数存在しており、そこでしかできないことも多い為(経験値稼ぎに適した敵がいる、ラーニング可能な青魔法を使う敵がそこにしかいない等)、ある程度レベルを上げたらミッションも進めた方が有利にゲームを進行できる。 戦闘関連 シームレスバトル方式を採用している。フィールド上を敵がうろついており、こちらから攻撃を仕掛けるかあるいはアクティブな敵から襲い掛かられることで戦闘が発生、別の画面に切り替わることなく進行する。 逃げる際は抜刀状態を解いた後、全力でその場を離れる必要がある。もちろん敵も追跡してくるので逃走は簡単にはいかない。 「いかなる手段をもってこちらの存在を探知するか」はモンスターによって異なっている。その仕組みを知れば余計な戦闘を回避することも可能。例えば視覚探知の敵相手なら相手の視界に入らないようにする、聴覚探知なら足音などで探知するので近くに寄らない…といった感じである。 敵を調べることで自身との戦力差を表すメッセージが表示され、それによって戦闘の危険性が判別できる。戦力差はメッセージの内容で表され、「練習相手にもならない」から「とてもとても強そうな敵だ」まで区分されている。 「ノートリアスモンスター」という強力な敵が存在しており、周辺の同族の敵を倒し続ける、出現させる為のアイテムを特定地点に置く…などすると出現する。周辺の敵よりも圧倒的にレベルが高い為、攻略適正レベルでは歯が立たないことが多く、調べても「○○の強さは計り知れない」と表示されて判別が困難である。しかし、倒せれば貴重なアイテムを落とす。 ヘイトシステムを採用している。ヘイトとは「敵対心」の意味で、各種行動に付与されたマスクデータであるこのヘイトが最も多く蓄積されたメンバーを敵は攻撃目標に設定する。 何も考えずに魔法やアビリティを使っていると意図せず敵の標的となって損害を被りやすい反面、ヘイトを管理することで「防御特化させた打たれ強いキャラに敵の注意を引きつけさせて被害を最小限に食い止める」「ヘイトを溜めた仲間が相手をしている隙に、敵の背後から強力な技を食らわせる」といった高度な戦術を行える。 最小単位は1人だが、最大6人でパーティーを組むことができる。さらに3パーティーを連結した「アライアンス」に発展し、敵によっては複数アライアンスで総力を上げないと倒せない超強敵もいる。また、一部のコンテンツでは「アライアンスの域を超え、数百人規模のプレイヤーで大群の敵の侵攻を食い止める」というものも存在する。 エンドコンテンツ 「デュナミス」「サルベージ」「ヴォイドウォッチ」といった高難易度のエンドコンテンツが拡張ディスクとともに追加されている。攻略は一筋縄ではいかないが、その分もらえる報酬も大きく、そこでしか手に入らない強力なレア装備は未所持のプレイヤーからの羨望を集めた。 季節イベント・期間限定イベント 毎年バレンタイン、夏祭り、ひな祭り、端午の節句、クリスマスのシーズンには、それを彷彿とさせるイベントがある。 そのままの名称でなく、ゲーム内になじむようにもじってあったりする。 毎年同じというわけではなく、少しづつ内容が変わったりする。イベントで手に入るアイテムは外見にこだわったものや調度品(*1)が多い。調度品によっては収納スペースも増えるので結構役に立つ。 ドラクエのスライムも何度かやってきた。イベントのアイテムを使うとスライムになることもできる。 評価点 設定・ストーリー面 初期FFを彷彿とさせる世界設定 「水晶大戦」と呼ばれる出来事を中心とした世界設定においてはおおむね評価は高い。ゲーム内のミッションやクエストの各シーンでは戦後の背景を描いたストーリーが織り交ぜられることがあり、シリアスかつ壮大。追加コンテンツが出されている現状でもストーリーの繋がりが繊細に練りこまれており、あまり矛盾を感じさせない。 例えばジョブ「学者」はゲーム発売から5年後に実装された為、後付け設定のかたまりなのだが、学者実装前からすでに伏線が張られていたり、ストーリーが緻密に練られている為後付け感を全く感じさせない。 最大の例として挙げられるのが「闇の神」にまつわる伏線。これは本作初期からなる「闇の王」にまつわるシナリオの背景としてその存在を示唆され、続く「プロマシアの呪縛」シナリオにおいてまったく別の形で断片像のみ語られる。そしてその後に展開された「アトルガンの秘宝」シナリオでとある存在が登場、それと関連したサブシナリオで「闇の神」ととある存在との関連性などが匂わされ(この段階でユーザー間でまことしやかにとある存在=「闇の神」という推測が共有される)、ついにまた後の「アルタナの神兵」で推測が事実であったと明言された――と、実にサービス開始当初から拡張ディスク枚数で数枚/時系列で数年がかりで、なかには後付けもあろうが伏線が回収されたのだった。 これは過去に発売された設定資料集の年表を軸にしている為だといわれている。運営が稼動した当初は戦争から20年後の世界を現していたが、コンテンツが追加されるたびに古代文明との繋がりや異国との邂逅、果ては戦争時代へとタイムトラベルする展開やパラレルワールドの存在など、奥行きが深い。 クリスタルの回帰 シリーズ5作目以降薄れつつあったFFの象徴ともいえる『クリスタル』は今作で大々的にピックアップされた。 9作目でクリスタルの概念が復活したものの、その場面が一部分でしか扱われず影の薄い存在だった。しかし、本作ではクリスタルが「合成で用いるので『経済指標』『産業の基礎』として下々にまで広まっている」「万物の源であるクリスタルを巡っての戦争がかつて起こっていた」「従来のシリーズの様に神格化されている」とストーリー面において再び重要な存在となり、従来のファンから好評を得ている。そして最新作の15に至るまでクリスタルの設定・概念は続いている。 キャラクターデザイン、NPCの個性 プレイヤーキャラクターは日本人向けにデザインされており、萌えを追求しつつも媚びすぎない優れたデザインである。 先述した世界設定の評価の高さからイベントシーンにも評価の声がある。戦争を軸とした出来事からシリアスなシーンが多いが、そればかりでは無くネタを織り交ぜたシーンも少なくない。「アトルガンの秘宝」あたりから顕著で、イベントシーンに登場するキャラクターが『ガンダム』や『ドラゴンボール』を意識したようなネタ的セリフがあれば、2chで使われる様な用語のセリフがあったりする。コミカルなキャラクター同士のやりとりや、高貴で危険な淑女「シャントット」のキャラ立ちなど、多彩である。 意外にも、開発チームに在籍しているほとんどの人が過去に名作(迷作?)であるクロノシリーズや『ゼノギアス』などを手がけ、担当していた。設定やキャラクター性、ストーリー性がまとまっているのはこの為だろう。 広大なエリア 当時のプレイステーション2のゲームにしては広大な街、フィールド、ダンジョンが印象的。リアルで数分~数十分かかる様は実際に冒険している感を醸し出す。 フィールド、ダンジョンの広さは移動時間などを考慮すると同時に批判点にもつながっているが、天候が変わる場所もあり、虹やオーロラ、竜巻や吹雪といった大自然や神秘的な場面を拝めるのも本作の特徴。 一部のダンジョンは天候・時間による変化やプレイヤーの頭数などの協力によって道が開け冒険心をくすぐる。同時にこれはソロでの足かせとなっており、批判にも繋がった。後にこの問題はバージョンアップで解決されている。 初期のエリアは寄り道もできる程に広大で、一例として『星降る丘』、『臥竜の滝』、『蒼剣の丘』、『神々の間』などプレイヤー側にも人気のあるスポットも点在する。が、後発になるにつれて追加されたエリアは高低差の一方通行や網状の通路と複雑怪奇になっているものも多く、「ただの迷路」と辛辣な評価を下されたエリアもある。 あまりに狭いと、隣のパーティと巻き込みなどの問題が発生するので仕方ないとも言える。 オンラインゲーム独特の事情として、エリア数が増えるほど人がばらけるということを考えれば、初期のフィールド程広い事にも納得がいくのでは。 グラフィック関連 発売当時からグラフィック面はハイクオリティで、稼働開始から14年経過した現在でも十分に通用するほど。また、2002年当時で比較すると、『ラグナロクオンライン』と並んで日本人向けのグラフィックである点も人気を集められた要因であろう。MMORPG黎明期に発売されたせいもあるのだが、当時のMMORPGは『エバークエスト』『ウルティマオンライン』くらいしか存在せず、それらはグラフィックの癖が強い為日本人向けとはいえなかった(特に前者)。 BGM BGMは植松伸夫氏・水田直志氏・谷岡久美氏の三人が作曲している。植松氏作曲のメインテーマ曲「Memoro de la Shtono」のほか、アークエンジェル戦で流れる「Fighters of the Crystal」(水田氏作曲)、闇の王戦で流れる「Awakening」(谷岡氏作曲)などは、演出との相乗効果も相まって非常に人気が高い。 賛否両論点 オンラインゲームとして開発・販売したこと 前述したとおり月額制オンラインゲームであり、プレイする為のハードルはこれまでの作品の比ではなかった。そして、賛否両論となることが事前にわかっていたにもかかわらず、外伝作ではなく正式なナンバリングタイトルとして発売されたことも大半のプレイヤーからは問題視された。 ゲームシステムが従来の『FF』とは全く違う 他プレイヤーとの共闘が大きなウリとなっており、仲間を集めて強敵を倒したり、ミッションを攻略する。難易度、ハードルは高いが、達成感もひとしお。 ただし、本作では基本的にシステム全体がパーティプレイを前提とした設計となっている為、全てにおいてレベルや装備の充実や、多人数のメンバーを必要とするのでハードルが高い。 また、従来のFFのようなATBやターン制の戦闘ではなく、日本人にとってなじみの薄いシームレスバトル&ヘイトシステムであることも本作からMMORPGに入ったプレイヤーには難しかった。 パロディ関連 ゲームのボリュームが膨大である為、神話・伝承だけでなく昨今の映画・ゲーム・アニメ等のサブカルチャー関連からもネタを拾ってきている。自社のセルフパロディや「ヒネってある」ネタ、後述の「ネ実ネタ」などはプレイヤーからの評価も上々であるが、一方でただ単に当時流行りのアニメのネタを何のヒネりもなく入れたきたようなものは不評であった。 2ちゃんねるとの関係性 サービス開始からしばらくの間は公式掲示板が存在していなかった為、プレイヤーは2ちゃんねるの「ネトゲ実況板(以下「ネ実」)」に集まり、そこで情報交換や交流を行っていた。そこで数々のネタや迷言が生まれたのだが、当然ながらわからない人は全くわからない上に、知っている人でも不快に感じる人も多い。 また、公にはしていないが開発側もチェックしており、ネ実発祥のネタである「為 」「ブロント語 」「我々のコリブリ 」などが公式に持ち込まれたりしている。 プレイヤーの民度 お世辞にも良いとは言えず、時間をかけたベテランが偉いという構図が出来ているので 結果的に新規が定住することは少なく、限界集落と揶揄される事が多い ソロプレイ用に緩和が進む中でも、基本的にはPTプレイを基準としたバランスどりをしている為に装備が揃っていない等々の理由から参加できない後発組はできる事が次第になくなっていき、これらも新規が定住しない原因となっている。 問題点 前述した通り、本作ではバージョンアップによる追加修正が幾度となく施されている。 そこで、本項目では「2016年末現在以降も続いている問題点」と「過去に存在していた問題点(ほぼ改善済)」の2つに分けて記述することにする。 現在でも続いている問題点 戦闘問題 ジョブ格差・サポートジョブ縛り 全部で22種類のジョブがあり、更にサポートジョブを付けることでジョブの能力を追加できる。しかし、バトルコンテンツにおいては高難易度であるがゆえに安定して勝てる構成・戦術を求められ、その結果、誘われやすいジョブと誘われにくいジョブでは容易には埋められない格差が存在する。例えば「自分は敵をバッタバッタと倒すのが好きだから戦士をやる!」という人が「この戦いでは戦士は役に立たないから白魔道士になって回復役やれ。それがいやなら参加できないよ?」と言われたら、どのように思うだろうか? 「サポートジョブがあることで非常に自由度の高いプレイスタイルができるようになる」とあるが、実際は低リスクと効率を求めるユーザーの風潮が強く(戦闘バランスがキツキツな為、そういう風潮に仕向けてしまった開発にも責任はあるのだが)、サポートジョブが半ば強制されることも少なくない。 行き過ぎたダメージインフレ 2016年末現在では「攻撃魔法のマジックバースト」がメインダメージソースとなっており、数万のダメージが飛び交うことも珍しくないという、サービス開始初期からは信じられないようなダメージインフレが発生している。具体的には「前衛の物理攻撃数百ダメ→前衛のウェポンスキルで数千ダメ→もう一人の前衛のウェポンスキルで数千ダメ→「技連携:○○」で数千~数万ダメ→マジックバースト攻撃魔法で数万~カンスト(99999)ダメ」とサービス初期から2ケタ程ダメージのケタが上がっている。結果として、それに絡むことができるジョブの価値が上昇&絡めないジョブはお呼びでない、といういびつなバランスに。さらにこれを前提としてエンドコンテンツの敵はHPが設定されている為、敵によっては数百万~一千万近いHPを保有する者も。 各種システムの複雑化 10年以上に渡り拡張を重ねた結果、各種システムが異様に複雑化している。初心者救済要素も存在しているが、基本的には廃人向けに調整されているMMOであり、今からFF11を始めようとするのはたとえ他のMMORPG経験者であってもきついものがある。いわんや初心者をや。 サーバー統合におけるキャラクターネーム問題 同じ名前のキャラクターが複数サーバーに存在できた為、統合時に問題が起きてしまった。 サーバー統合時に、どちらのサーバーが優先されるかが決まっており、それによって名前の変更を余儀なくされたプレイヤー(キャラクター)も多い。後からリネームはできないので決めるまで冒険の再開が不可能となる。特に、変更された上元からいた同名キャラのプレイヤーは引退済みとなっていた場合は目も当てられない。 これにより引退してしまった人も結構いる(筆者も)。 エンドコンテンツありきのゲームバランスとコミュニティ レベル75時代から高性能な装備品を入手出来るコンテンツが実装されておりアイテムレベル制を導入し上限が119になった現在もその現状が続いている。MMORPGにありがちな問題でプレイヤーの大多数がミッションやクエスト等の他のコンテンツを達成しきってしまい、ゲームコンテンツの延命措置ともとれるのだがレベル75時代が長く続いた頃は「レベルカンストにしてからが本当の冒険」と言われるほどのものであった。それが今も続いている。 レベルを上げきりコンテンツを達成し切った者の中には新規プレイヤーをギルドに加え、レベル上げパーティで基礎を教え、道中のミッション・クエストを共にする、次第にエンドコンテンツへ…と導き役、所謂先輩という立場で居てくれた者もいたが現在はチュートリアルやフェイスが導入され新規でもソロでやりやすい環境になってはいる。リンクシェル・コンシェルジュというシステムもあるがエンドコンテンツとなると話は別で装備面や知識・実力面も必要となってくるため野良で参加も「お荷物になるのでお断り」となってしまうこともある。 結果として現在はプレイヤーの人口減少もあって殆どがベテランプレイヤーや廃人クラスのプレイヤーしか残っておらず、そういった層は新規プレイヤーには排他的な面を持っていることも少なくなく結果エンドコンテンツありきとなり、高性能装備導入→エンドコンテンツ調整→高性能装備導入→エンドコンテンツ調整…とマンネリ化が進行しつつある。現在新規でプレイは厳しいといわれると言われるのはこのためである。後述する「アドゥリンショック」がサービス開始からかなり経ってのことでありプレイヤー人口を大きく減らした原因でもあることからこの頃には新規プレイは厳しかったとも言える。 過去に存在していた問題点 何をするにも時間がかかる レベルを上げないと何もできないのだが、かつてはソロプレイでのレベル上げは稼ぎ効率が非常に悪く、レベル上げパーティを組まないととてもじゃないがやってられなかった。しかもバランスの良い編成でないと敵を倒すのもままならず、時間帯やジョブによってはレベル上げパーティーに潜り込むのにさえ数時間待ち、という状況もザラ。 現在では一緒に戦ってくれるNPCを呼び出す「フェイス」の追加でソロでもレベル上げが可能となり、経験値テーブルの見直し、獲得経験値を増加させる手段の追加などにより、かつてのマゾさ加減は無くなっている。 レベルとは別に武器、魔法にFF2のような熟練度形式のスキル制が採用されており、レベルを上げてもスキルポイントが不十分では満足な能力は発揮できない。そしてそのスキルを上げるのにも苦行レベルの単純作業を長時間に渡って強いられる。 現在は使用するとスキル値が上昇するアイテムや、スキル上昇率を上げるアイテムの追加といった改善策が行われており、かつてほどの苦行ではなくなっている。 青魔法のコンプリートが大変。総数はFFシリーズ中最多の192種ととても多く、技を使ったからといって一発で覚える訳ではない。しかも、75キャップ時代には「それの有無が戦闘力を大きく変えるにもかかわらず、ソロでの習得が困難な物が多い」青魔法も多かった。 現在では全ての青魔法がソロでラーニング可能になっている。 移動が不便。隣町まで歩いて行くのにリアル30分から1時間は要する。歩行速度を上げる手段やワープ手段はサービス初期では非常に少なかった。 現在はホームポイントやサバイバルガイド間でのワープが可能となり、1度訪れた場所なら瞬時にたどり着けるようになった。歩行速度アップアイテムも追加され、さらにフィールドなら「マウント(乗り物)」に乗って快適に移動できる。 ミッションで訪れるようなダンジョンは複雑怪奇。攻略に数時間かかるものはザラ。 非常に高難易度なミッションやクエスト。しかし高性能な報酬が用意されており、中には半ば必須となる装備品も…。 旧世代のMMOらしく、リアルや人間関係に負担のかかるバトルコンテンツが数多い。 「レリックウェポン」「ミシックウェポン」といった、取得にリアル数年を要する装備品が存在する。 現在では取得難易度が大きく低下しており、1日1時間以下のリーマンプレイでも毎日コツコツ積み重ねれば十分取得が見えてくる。 エクスカリバーやイージスの盾といったFF常連のアイテムが多く、性能も最強クラス。ただし普通の攻略には必須ではない。 モーグリから課せられる試練をクリアして武器や防具を育てる「メイジャンの試練」というコンテンツが存在するのだが、課せられる試練の内容がかなり厳しい。 指定されたレアモンスターを数回倒してこい、特定の曜日や天候に特定の種族の敵を数十~数百匹倒せ、さらにペット(獣使いで操った獣など)でトドメを刺せ、特定の技で特定種族の敵に2000回トドメを刺せ、戦うまでに準備と時間と人数を要する強力なレアモンスターが稀に1つくらい落とすアイテムを20個持ってこい、など難題のオンパレード。しかもそれが段階的に続く。 現在ではメイジャンの試練では前述のレリック/ミシックウェポンなどの最強武器でしか要求されない。 システム面の不備 PC版は発売当初からしばらくの間、全画面モードでしか動かすことができず、ウィンドウモードは外部ツールを使用するしかなく(※厳密には不正行為扱い)不便であった。 プレイヤーのアイテム所持可能数の少なさ 2016年末では無課金で720枠、更に課金で「モグワードローブ3&4」を開放すれば880枠まで解放できるのだが、以前はアイテム所持可能枠はもっと少なかった。複数ジョブを上げたり、合成に精を出したりするとすぐに所持枠がいっぱいになってしまう為、大半のプレイヤーは1キャラにつき月100円を費やして「倉庫キャラ」を作り、アイテム所持枠を拡張していた。 ゲーム内ポイント及びアイテム管理の煩雑さ 追加コンテンツが追加される度にそれ専用のポイントや通貨が設けられ、それぞれ利用条件や利用目的が異なっているので個々に把握しなくてはならない。 イベントアイテムや装備品の預かりサービスが存在しているが、2系統に分かれていて現在でも統一されていない。 バージョンアップによる幾多の混乱 + 大まかな内容 2002年7月:「レベル差補正導入」 このパッチにより、「自分より強い敵をパーティーで倒してレベルを上げるゲームのはずが、強い敵に全く歯が立たなくなってしまった為に、ソロで弱い敵をちまちまと倒したほうがマシ」という事態に。プレイヤー側に対するあまりの弱体ぶりに抗議が殺到し、一週間後には緩和され、多少は改善された。しかし黒魔道士は大きく弱体化したままであり、「サポ白でケアルだけしていろ」と意に添わぬ仕事を強制させられる時期がしばらくの間続いた。 2003年:「北米版サービス開始」 言語混合サーバーにより、日本人プレイヤーと外国人プレイヤー間の軋轢が問題となった時期。詳細は上記「外国人プレイヤーとの軋轢」参照。 2004年9月:「プロマシアの呪縛」 拡張ディスク「プロマシアの呪縛」が発売されたのだが、これがあまりにも難易度が高すぎたせいで引退者及びLS(リンクシェル。プレイヤー間ギルドのようなもの)崩壊が続出。2010年に大幅な難易度緩和が行われるまで、プレイヤー全体の7割強がプロマシアミッションは未進行というありさまであった。 2010年6月:「レベルキャップ80解放・アビセアショック」 長らく75であったレベルキャップが上がり、その後も段階的に上がっている。現在のレベルキャップは99。それによる新たな能力獲得など全体的に見れば好評なのだが、メインコンテンツであるアビセアの導入も含め、75キャップ時代とはまるで異なるプレイスタイル火力のインフレなど様々な問題点も発生した。 2011年11月:「レベルキャップ99解放」 レベルキャップを上げる際にとあるクエストをクリアする必要があったのだが、このクエストがあまりにも高難易度であったせいか強烈なジョブ縛りが発生したり、後続プレイヤーがクリアできなくなる懸念があるなど非難が殺到。後にクリアの難易度を緩和する要素が追加され、現在ではソロでもクリア可能な難易度に落ち着いている。 2013年4月:「アドゥリンショック」 約6年ぶりに発売された拡張ディスク「アドゥリンの魔境」だが、これが調整不足な点があまりにも目立ち、多数の引退者を生み出す大失敗となってしまった。特に問題となったのは「アイテムレベル制」の強硬導入とバトルプランナーの谷口勝氏の失言。同時に設定したコンテンツレベルの調整不足による装備格差も起き批判の対象に。公式フォーラムも炎上し、ディレクターの松井氏自ら謝罪する事態にまで発展してしまった。 未調整な部分は後発のバージョンアップで徐々に改善していったが、去っていったプレイヤーが戻ることは見込めず、「失敗作である」という評価はこれからも覆ることはないと思われる。 ハード間の性能格差と、それに伴う不具合 当初はPS2、Windows、Xbox360とマルチ展開していたが、後年になるとPS2版とXbox360版に画面のフリーズといった重大な不具合が起こるようになる。運営側もパッチで対応してきたが劇的な改善は見られず、「下位ハードを切るべきだ」という声も度々挙がっていた。しかし、それらのハードでプレイしていた者も少なくなく、後の運営にも響くことも考えられる為簡単に切り捨てられない、という事情もあった。 しかし、それでも開発人員の縮小やPS2本体とBBユニットの生産及びサポート終了を受けて限界を迎え、ついに2016年3月にPS2版とXbox360版のサービスが終了することになった。PS2は14年、Xbox360は10年と長期にわたるサービス継続であった。事前に徹底した周知を行っていたこともあり、特に問題も起きず円満に終了した。 PS2版のサービス継続にはスクエニだけでなくSONY側も尽力していたらしく、プロデューサーの松井氏がPS2版サービス終了の旨を伝えるべくSONY本社を訪れた際には、担当者から「よくぞここまで保たせてくれました。本当にお疲れ様でした」とねぎらいの言葉すら受けたという。 よくよく考えればこの時のSONYのハードは二世代後のPS4が既に展開している頃であり、更にPS2から始まった他のネットワークゲームも次世代ゲーム機やPCの進化などから成るハード格差で次々と打ち切りを余儀無くされた中で長期に渡る旧ハードのサービス継続はある意味偉業ともいえるのではないだろうか。それを踏まえるとSONY側としても感慨深かったはずである。 複アカ問題 かつてはエンドコンテンツはおろかメインストーリーと言えるミッションをクリアする事さえソロではほぼ不可能であった為、複数(二つあるいは二つ以上の)アカウントを購入し、1人で同時に複数のキャラを操作する「複アカプレイ」をする者がいた。しかし、複数のアカウントでプレイすることは操作面や課金倍増という金銭面での負担が増えるという側面がある。プレイ面でもこれをよく思わない者もいる。 こちらも「フェイス」が実装されたことで複雑な操作や課金を倍増させてまで複アカで攻略といった負担が減り、次第に数は減らしつつある。 外国人プレイヤーとの軋轢 MO・MMORPGでは国別もしくは地域別に別のサーバーを構築し、希望者のみサーバーを選択して国境差を超えて交流するというのが一般的だが、FF11では(反対の声が多かったにもかかわらず)日本人と外国人が同一のサーバーでプレイすることを強制させられた。「壮大な実験」という触れ込みだったのだが、双方の文化・プレイスタイルの違いからトラブルが多発し関係が悪化。日本人プレイヤーは解約して本作をやめたり、サーチコメントに「JP PT ONLY(外人お断り)」と書く人も現れるようになり、結果としてプレイヤー人口の減少を招く失策となってしまった。 2016年現在では溝が広がり切ってしまったこととFF11自体のプレイ人口が少ない影響もあり、日本人と外国人との間でトラブルが発生することはほとんどないとされる。 同一サーバーとなったのは、当時の社長であった和田洋一氏とスクエニ上層部が「日本と欧米では時差の関係でピークタイムがずれるから人口過多にはならない」と判断した為と思われる。要は「国別サーバーを作る金をケチった」と言える。この反省から、後継作と言えるFF14では国別にサーバーが用意されている。 総評 『FF』シリーズ初のオンラインということで、大きく話題となった一作。 バランス調整の甘さや失言などが目立つ一方で、世界観や雰囲気は「古き良き『FF』を最も踏襲している」と擁護的な評価をされることもある。 また、スクエニ・『FF』シリーズの歴史のみならず、日本のRPGの歴史を語る際において外すことのできないタイトルであることもまた事実である。 余談 2008年頃の『XI』の掲示板に独特な発言や数々の名(迷)言の書き込みをしていたという人物が流行り出す。後にモデルとしてジョブがナイトでエルヴァーン容姿をした二次創作キャラの「ブロントさん」が誕生した(*2)。しかし証拠が存在しないので本人の書き込みかどうかは明かされていないがこの影響力は本作に止まらず他のSNSからも流れ出した。この独特な発言は「ブロント語」と呼ばれるネットスラングに発展し、ネタとして現在でも使われている。 2020年のNHK番組「全ファイナルファンタジー大投票」でリリゼット役の声優、加藤英美里氏の生アフレコの映像にてブロントさんと外見がそっくりなエルヴァーンナイトが映っていた。武器と防具も意識するように再現。半ば公式化となった。 プロデューサーの松井聡彦氏は、「メインバージョンアップが終了して現在は細々と続けていくような感ではあるが、『XI』のサービス終了=ナンバリングに歯欠けが生じるということでもあるので、そうならないように全力で取り組む」と前向きな所信表明をしている。 次世代MMORPGである『XIV』が発表されたことにより、「『XI』がサービス終了になるのでは?」と不安視されていたのだが、2022年現在も続いている。 さらに、『XIV』や『グランブルーファンタジー』でコラボイベントが開催されているなど、現在も一定して話題になっている。 NPCの一人、シャントットはプレイヤー人気が高く、『ディシディア ファイナルファンタジー』に『XI』代表として出演したのを皮切りに、『ドラゴンクエストX』や『新生FF14』等に出張出演し、「『XI』の看板キャラ」としての地位を確立していった。 また、『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』にはプリッシュが参戦したり、『XII』には『XI』のマンドラゴラが出演するなど、少しずつではあるが『XI』のキャラの客演が増えていっている。 その他、LoVにはカムラナートや闇の王等もゲスト出演した。 ゲーム内で仲良くなったプレイヤーが結婚(ゲーム内のイベントとは別に現実で)するケースも結構見受けられた。「ヴァナ婚」と言われていた。 ゲーム内では多数の強敵が出現するのだが、中でも「Absolute Virtue」というモンスターは数々の伝説を残す敵となった。一時期は「ネトゲも含めていいなら、『RPG史上最強最悪の敵』と言っても過言ではない」という、どこか間違った強さであった。しかし、2016年末現在ではゲームバランスの大幅な変更もあり、ソロ討伐される程度の強さにまで下がっている。 + 伝説の概要 外国のプレイヤーが多数集結し、とっかえひっかえしながらリアル24時間以上戦い続けたが敗退。 あまりにも強いので、「これ本当に倒せるのか?」というクレームが多数寄せられ、開発者から撃退の為のヒントと実際の様子(のダイジェスト。なにせスタッフが18時間かけてやっと倒せたのだから)の動画が公開された。 その後強さが再調整され、出現から2時間が経過すると消滅するように変更された。 2時間が経過し消滅した場合は「討伐した」という扱いにならないので、ドロップアイテムも称号も入手不可能。「Absolute Virtue」を出現させるのには多大な時間と手間が必要になるのだが、消滅すればそれも水の泡、である。 一方、プレイヤーもバグや仕様の隙を突くやや反則気味の工夫をしたのだが… こちらから一方的に攻撃できる場所に誘導してハメ倒したが、規約違反であった為(*3)GMから警告を受けた。 上記の二時間制限を導入した際、ある戦法に対する対策を入れ忘れていた為、30秒程で瞬殺されるという事態が多発。しかし発覚後速攻で対策されて不可能に。 あるアビリティを用いることでスリップダメージを極大化し、一撃で倒せることが発覚した。こちらも即修正された。 2015年からスマートフォン向けMMOとして『ファイナルファンタジーXI R』の開発が進められていたものの、最終的に頓挫してしまっている。 運営陣の態度、疑問符がつく調整 定期的に入るバージョンアップにて新要素の追加やバランス調整、不具合の修正が入るのだが、プレイヤーに有利な不具合は発覚次第速攻で修正するのに、不利な不具合は長年放置する。(*4)有利な不具合をすぐ修正するのはゲームバランスを崩壊させない為の処置として納得できるのだが、それなら不利な不具合も放置せず修正してくれないと不平等ではないだろうか? 開発陣の迷言、失言が非常に多い。 + その一例 「ジラートで新しい狩場を増やしたからソロ不可能な問題は回避した」 2003年当時のプロデューサーであった田中弘道氏の発言。「敵が強過ぎるのでソロできない」という質問に対する回答なのだが、新しい狩場にソロでも経験値を稼げる敵がいたわけではない。つまり、答えになっていない。 「歯を食いしばって買ってください」 「風水士が使う「風水魔法」のスクロールの流通量があまりにも少ない。ショップでも買えるが超高額。これはバランスとしてどうなのか」という問題に対し、バトルプランナーの谷口勝氏が回答した際の迷言。詳細は省略するが、多くの風水士を目指すプレイヤー達がこの発言に憤りを感じた。 「捨てないで取っておいてください」 こちらも谷口勝氏の発言。アドゥリンの魔境以前に存在する最終武器が最強でなくなることを示唆した発言で、「取得に年単位の時間を費やしたのに、捨てたくなる程のゴミ武器に成り下がるのか」と取得したプレイヤー達から猛反発。後にこの発言は撤回され、段階強化を行えば最高峰の性能を保てるようになった。 ユーザー間によるネタの数々。 ネトゲ実況がプレイヤーの主なコミュニティの場となったこともあり、かつMMO黎明期から稼働しているゲームといった側面から様々なドラマとネタが生まれた。 + ... 『我々のコリブリ』 レベル上げによるモンスターの取り合いでそれを掲示板で愚痴ったプレイヤーの書き込みがネタ化したものだが「我々のコリブリ」とのたまう傲慢さと「いやらしい」の締めの滑稽さが妙にマッチするその響きからネタにされた。運営から直々ネタにしFF14にも『我々のコリブリ』のイベントがあることから社内では公式に受け入れられているようだ。 『Taisai』にまつわるデマ MPを徐々に回復させる魔法スクロールの『リフレシュ』の入手先が峠のTaisaiから得れるというデマにプレイヤー達は惑わされ、公式がネタ化して本当にリフレシュを落とすNM『Taisaijin』を出現させるようにした。ちなみにNMは自身にもリフレシュを使うというこだわりよう。モンスターがリフレシュを使う敵は一部を除いて存在しない。 『MGS(魔法)』 モンスターがアクティブに襲ってくる際感知が聴覚・視覚が主な為、強いモンスターを回避する為の対策としての隠密・ステルス行動をする場面が多いさまからメタルギアソリッドになぞらえてMGSと呼ばれることに。感知遮断魔法がありそちらはMGS魔法とも呼ばれている。 『力士』 アトルガンの秘宝の新ジョブ発表に注目が集まった際に「関係者のメモに力士と書いてあった」という噂から女性キャラ専用ジョブは踊り子、男性キャラ専用ジョブは力士という(大体は妄想に過ぎない)予想が話題になった。実際はからくり士が実装された為からくり士を略して「か士」となったのではという説が濃厚になった。 似たようなもので『体操士』なるエイプリル・フールネタが公式にあった。こちらはお笑いのCOWCOWとコラボしていた。 『ガリ』 竜騎士の蔑称として用いられネ実から飛び火し『IV』のカインのことを呼ばれる事態にまでなった。そしてカインの専用武器の追加効果からユーザーから「ガリネド」と呼ばれる始末に。元が蔑称の為、ネタとは言え使用は控えたいところではあるが… 『ミスリルマラソン』『ウィンダス盆踊り』 いずれもユーザーによる初出によるもので前者は金策方法、後者は夏祭りによる集まりであった。公式にも受け入れられ『第一次ミスリルラッシュ』『Bon-Odori』として記事に取り上げられている他、公式に正史として組み込まれた。
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ファイナルファンタジーⅣ 【ふぁいなるふぁんたじーふぉー】 ジャンル ロールプレイングゲーム © SQUARE ENIX CO., LTD. 発売機種 スーパーファミコン8メガビットROMカートリッジ 発売元 SQUARE 発売日 1991年7月19日 分類 時代を彩った作品演出に優れた作品
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ファイナルファンタジーⅡ 【ふぁいなるふぁんたじーつー】 ジャンル ロールプレイングゲーム © SQUARE ENIX CO., LTD.© YOSHITAKA AMANO 発売機種 ファミリーコンピュータ 発売元 SQUARE 発売日 1988年12月17日 分類 時代を彩った作品独自の世界観
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相反するファンタジアの大地 C 光/水/闇/火/自然文明 マナソース マナマーク「1」 ■ファンタジアでないクリーチャーをバトルゾーンに出す時、マナゾーンにあるこのカードをタップする事はできない。 ■自分のクリーチャーを召喚したりできる時、手札またはマナゾーンにあるこのカードを墓地に置いてもよい。そうした場合、山札の一番上のカードを表向きにする。そのカードの名前に"ファンタジア"とあれば、それを手札に加える。 作者:紅鬼 収録 未来デッキ・新たなる世界「ファンタジア」 評価 名前 コメント
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美しき祖国 「気をつけろよ、シン。オーブがどうやって滅びたのかお前だって知っているだろう?」 「えっと・・・」 シンはまたも頭を引っ掻き回すが、歴史の講師は、眼鏡が顔にあっていなかったことくらいしか思い出せない。確かに、オーブと言う国が昔あって、連邦に滅ぼされた事は知ってはいるけれど、その時の詳しい状況までは覚えていない。 「お前、もっと勉強した方がいいぞ・・・」 帝国の王子のくせに、かなり頼りない返答のシンにアレックスが落胆する。 シンが覚えていなくても、王女であるラクスは知識として知っている。 「あれからもう10年経つのですね」 10年前。大陸から一つの国が消えた。 コスモス連邦が領土拡大を始めて、一体幾つの小国が飲み込まれただろうか。豊かな鉱山資源と保養地として名を馳せたオーブ首長国も、連邦に飲み込まれた国の一つだった。 地の利を生かして連邦と戦い抜き、比較的長く持ちこたえた国だった。独立独歩で自負が強く、国民の団結力があり最後まで抵抗する、しかしそれが災いして、連邦は責めあぐねたオーブ首長国に病原菌を放つ。原因不明の疫病が流行り、水が濁り、風が途絶えた。 「こうして見ると何もなかったように見えるのに」 高原に咲く花や、建物を覆う蔓などは何も変わらない。 しかし、それら全て、人には毒なのだ。 アレックスが古びた建物に這う蔦を引っ張る。 建物から引き剥がされる時に、葉っぱや茎の一部が千切れて飛び散る。青臭い匂いとともに、青紫の樹液がポタリと落ちて、シンはぎょっとする。 「植物達は環境に合わせて、生き延びたが・・・」 「アタシ達にはできないものね。水も飲めない、何も口にできないじゃ、この地を去るしかない」 急速に国力を失ったオーブが原因を突き止めた時には、すでに戦う力は残されていなかった。以来、オーブの民は土地を離れ、大陸を流離うことになる。結果、同じように飲み込まれながらも民がその地に残った周辺の国に比べて、オーブは国そのものが立ち消えた。 ただ、時間を掛けて毒素に対応した国土と草花が残されるのみ。 アプリルの場合、国は消えても民と土地が残ったが、種石によって帝国との国境沿いが吹き飛ばされた。あの光景とはまた違った滅びの形だった。何一つ残さず一面灰になるのと、何一つ変わらず残される景色とでは、どちらが、つらいのだろうとシンは思う。 俺だったら・・・。 こんなのは嫌だな。 どうせなくなるなら、きれいさっぱり無くなったほうがまだ踏ん切りがつくのに。 でも、もしかしたら、時間が経てばいつかは。 「今だって、そんなに長居はできないな」 「そうそう。オノゴロで茹蛸になるってね」 ゆで? だこ? シンが訳が分からないという顔をしていたのが分かったのだろう。 「お前、本当に何も知らないな・・・オーブを抜けると湯治で有名なオノゴロがある。そこで毒素を洗い落とすんだよ」 「毒素・・・」 そうやって聞かされると、なんだか急に息苦しくなった気がして不思議だ。自然と手が喉を押さえている。 「選民思想もこーなっちゃ、お終いだな」 ここまで聞いて、シンはオーブの事を思い出した。退屈な帝都での講義が今頃になって蘇る。地母神ハウメアを崇め、教えを貫けば楽園へと導かれると信じていた民。オーブの平和を希求し、他国と迎合するを良しとしない不帰の民。 「ここはまるで楽園のように美しいですのに」 それこそ、お花畑と儚い表情のラクスのはまさに楽園とそこにいる天女のような組み合わせだ。 「オーブの住民はどこに行ったんだ?」 「確かに戦争末期はひどい状態だったらしいが、全滅したわけじゃないしな」 「あー、難民って奴か」 シンとアレックスの会話を聞いて、ラクスが俯いた。 「オーブの方達は、今、どうされているのでしょうね」 シンは、国家とは何かを問われているような気がした。 国土を失ったオーブは、もはや国家としては存続していない。かつて、オーブに住んでいた者は、今は違う国の国民なのだろうか。 「そんなこと・・・もう、どうでもいいよ。そろそろ出発しようか」 キラが出発を即す。 シン達は地図を確認し、次の目的地までの道程を確認する。いくら、人が居つかない土地とは言え何が起こるか分からないから、日暮れまでには町に辿り着きたいのだ。 馬の頭を巡らせて、麓に向かう。 高度が下がるたびに、少しずつ息苦しさがなくなってくるような気がする。 あと少しでオーブの地を抜けると言う所で、シン達のようにオーブの地に訪れた人物を見つけた。これから向かうのか、もう抜けてきたのか、小休止を取っている姿からは判断できない。 声を掛けようとしたハイネが、相手に物凄く驚かれて、珍しく遅れを取っている。旅人にしては少し変わった格好の男が、ガバッと立ち上がっていた。 「・・・お前、キラ?」 シンは、少し後を進むキラを振り返った。 馬上の彼は、皆の視線をもろともせず、立ち上がった男を凝視している。驚きも恐れも何もない無表情のまま、唯一言呟いた。 「・・・サイ」 短く切りそろえた明るい髪に眼鏡をつけた若い男が、荷物に囲まれて立ち尽くしている。見るからに戦うには向いていないタイプで、猛獣避けか火を焚いている。 「生きていたんだな、キラ」 途端に眉を潜めるキラが不思議だった。 旅の途中で知り合いに会えることは滅多に無い。賞金を掛けられて、騒動に巻き込まれるアレックスのような空賊がむしろ珍しい。それなのに、二人の間には、再会を喜ぶような雰囲気は微塵もない。 「君こそ、こんな所で何をやっているの?」 心なし咎めるような口調。 「調査だよ。オーブの生態系の、さ」 「誰も住めないのに?」 お互い会話が短い。 問い詰めるようなキラと、冷静に答えるサイという男。 「だからさ。誰も住めない土地だから、その特殊性は調査対象になるだろ?」 「ふぅん・・・で、何か分かったの?」 「まあ、立ち話もなんだし、お前達知り合いならここで休み取るか?」 いつまでも馬上と立ち尽くしたまま会話を進めようとする二人を見かねて、ハイネが提案するが、キラが顔も向けずに短く断る。 「いい。もう、終わるよ」 「相変わらずだな、お前は。でも、俺たち親友だっただろ? そっちの女性は・・・王女?」 サイが見上げる先に、馬の上のラクスがいた。 軽く目を見開くから、彼にもラクスがどこの誰なのか分かったらしい。その後、少しだけ雰囲気が柔らかくなる。 「始めましてラクス王女様。俺はサイ・アーガイル。元はオーブの首長府の役人で、今は連邦の地質研究員です」 ラクスのこと、見ただけで分かるなんてこの人一体・・・。 シンはサイとキラを交互に見て、アプリルの元将軍のキラの知り合いらしい彼を見る。 役人の割には、ラクスを知っていた。そりゃ、キラの知り合いなら当然だろう、けれど、それにしては反応が変だ。なんと言うか、落ち着きすぎている。 「・・・。今度こそ守れよ、お前」 「君も、調査だかなんだか知らないけど、ガンバッテね」 フッと立ちっぱなしの彼が、重心を片方の足に預けて力を抜いた。 「少しずつだけどさ、変化してきているんだ。ほんの僅かだけどな・・・」 「まあ!」 「ほう」 ラクスとハイネが感嘆の声を上げる。 シンの視界の片隅でアレックスとミーアが顔を見合わせていた。 「オーブがどんな風に、この先、人が住めるようになるのか、それとも誰も見たこともない未知の土地に変わるのか分からない。けどさ、まだ希望があるって事だから」 「サイ様はオーブが好きですのね」 ラクスが嬉しそうに言う。 オーブが元に戻る可能性よりも、それに賭けているサイの存在が嬉しいようだった。 戦争で多くを失い、祖国を離れちりじりになった民でも、故郷の土地を諦めない国民がいた。 「俺の故郷だからな」 ほんの微かだけれど、シンはキラが唇をかみ締めたのを見た。 手綱を握る手に力を込めたのに、キラは何も言わなかった。 「オノゴロに行くんだろ? 今週から白湯祭だから、早く行かないと宿がなくなるぞ」 「白湯祭! そりゃまずいな」 「オノゴロは混んでるわね」 ミーアが馬を進める。 「シン!」 アレックスが呼ぶ。 それが呼び水になって、再びシン達は移動を始める。 「じゃあな。キラ」 「サイも」 坂道を下り、オーブを後にする。 シンが振り返った時、キラと偶然目が会った。彼は肩を竦めるけれど、その向こうにシン達を見送るサイの姿があった。 「オーブの出身なのか?」 「そうだよ」 シンとキラの会話は、恐らくハイネやラクス、アレックス達にも聞こえていただろう。 「それからアプリルの将軍?」 「そうだね」 「なんだか、すごいな。・・・あれ?」 と言う事は、キラと双子だと言う彼女もオーブ出身だと言うことだろうか? シンは口を尖らせて考え込む。今までに彼女がキラに吐いた数々の暴言を照らし合わせれば答えは自然と出てくる。 「僕より、カガリのほうがすごいよ。なんせ、帝国のフェイスマスターだから」 亡国の民のその後に、シンは唯、頭を垂れた。 国は滅びても、人は生きていくのだ。国土がなくなっても、人は。 「―――ったく、暗い会話してんじゃないぜ!」 馬のいななきが起こり、眼下に幾つも湯煙が立ち昇っていた。 風に乗ってざわめきが伝わってくる。保養地オノゴロにシン達は到着する。 一方、毒素とは違って、飛行戦艦特有の燐光とオイルが満ちる帝国のドック。換装作業を受ける軽巡行戦艦の間を二人のフェイスが歩いていた。 「今はまだ動くな、か。だが、抜かりなくとはね」 「事実上、亡き陛下の一軍とあわせた2個軍団がギルバート殿下の指揮下にあるからな。何か考えがあるのだろう」 ここの所、定例のように呼び出しがかかるフェイスマスター達にも、ドックの技術者達も慣れたもので、整備の手を止めずに片手で敬礼する。ドック全体を覆った大きな天井には幾つもの照明が光っていた。鎧の音を響かせて歩く二人の足元には四方に伸びた影ができている。 「知っているか? その第2軍が不穏な動きをしているらしい」 「それも、お前の部下の情報か? フェイス・ディアッカ」 「俺も一応フェイスマスターだし?」 長い渡し通路の両側には、最新装備に換装中の戦艦の帝国のエンブレムが迫る。帝都防衛の為の第1軍とは別に、ギルバートは自身の艦隊を自由に動かせる。アプリルの反乱討伐にも出さず、連邦とのぶつかり合いに備えて軍を再編するでもなく、今だ表立った動きを見せないギルバート・デュランダル・プラント殿下。 お陰で、帝国軍は連邦の脅威を感じながらも、帝都で足止めを喰らっている格好になっていた。無論、時間があるからこそ、こうして開戦に備えることができる。ひっきりなしに響く鋼材を打ち付ける音に、クレーンを動かす蒸気があちこちで吹き上がる。 「しかし・・・・・・一体いつまでギルバート殿下はイザーク殿下を帝都に留めておくつもりなのだろうなあ」 吐き出された蒸気の向こうで、フェイス・カガリが足を止めて待っていた。 「長男の想いはえてして伝わらないものさ」 「ふーん、そんなもんかねぇ」 「ああ、空気みたいなものだからな」 ディアッカはバレないように目を瞠った。 微かに笑ったように見えたのだ。 カガリの言いたいことも分からないことはないのだ、ギルバートがイザークやシンに取っている対応は、そのままイザークがシンに対する過剰なまでの応対と同じだからだ。むしろ、目の前の女がそういったこの帝国の王子たちの反応を目に留めて、あまつさえネタに出きる程だった事に驚いていた。 「それで、何か、用か? ディアッカ」 「用ってかさ、シン殿下の事をもう少し詳しく聞いておこうと思ってね」 シンの名前が出た時、微かにカガリが横を歩くディアッカを確認する。 ギルバートとイザーク、二人の兄に守られる帝国の末弟。 「話すことはないぞ」 「そう言わずにさ。今どうしているか?とか、誰かと一緒にいるのかとか、さ。色々あるだろ?」 ディアッカが溜息を付いて追いかけるから、質問を受ける気になったようだ。通路の手すりに手をかける。 「アプリルの元将軍や元王女達と共にいる」 カガリがディアッカをきもち睨みつけて、にやりと笑う。 ディアッカも初めこそ驚いて目を瞠ってしまったが、考えてみればカガリも知っているのだと思い出す。むしろ、第8艦隊消滅時に自分よりも早くにシンに会っていた。 「それから、空賊も一緒だ」 やはり。ディアッカは構える。 今となっては、ラクス王女やヤマト将軍よりも厄介な存在だった。シンに与える影響力が比ではない。無論、空賊が問題なのではなくて、彼の空賊の存在そのものが問題なのだ。 「深紅の空賊?」 「ああ。真っ赤な飛空艇に乗っていた」 だとすれば、間違いないだろう。 マルキオ教の本山で見た「彼」だ。思案するディアッカを見て、カガリが面白そうにもう一つ情報を口にする。 「空賊はもう一人いるぞ。何と言う名だったかな・・・ハイ、ジ。ハイ・・・ネ、そう、ハイネだ」 ディアッカは耳を疑った。 「はいね~?」 「オレンジ色の髪でな、乗りの軽い奴だった」 ディアッカはとんでもない人物の名を聞いて、眩暈を覚える。 暫く忘れていた名前を、とんでもない時に、とんでもない所で耳にしたものだと驚く。 「やけに帝国の内情に詳しかったぞ。研究所に忍び込むわ、王宮の抜け道を知っているやら、帝国軍の情報管理をもっと見直さなければな」 「イヤ、それ無理だから」 漏洩元が情報を管理する奴では無理と言うものだろう。 そもそも、なぜ奴が? まさか、生きていた。 一体、何を考えている? ディアッカが顎に手をやってぶつぶつと呟く。 はぁ~と額を押さえるディアッカの横で、黒いフェイスマスターのマントが翻る。ガチャリと鎧が鳴って、カガリが再び歩き始める。ディアッカが思い溜息を付いて、来た通路を戻り始めた。 「私に話せるのはこれくらいだ。ではな」 「あ、ああ。すまないな」 少し、感じが変わったか? 今までは、凝り固まった復讐の鬼のような奴だったが・・・ちょっと良い感じじゃん。 颯爽と去っていく後姿を見つめて、ディアッカはあれこれと考えるのを止めた。 帝国の軍事工廠では、急ピッチで軍備整備が行われ、帝都にはいつになく緊張感が漂っている。連日のようにコスモス連邦の動きを伝え、帝都上空を哨戒機が飛ぶ。日に日に高まる緊張に、開戦の足音を誰もが聞き知っていた。 ところが遠く離れた空の下、宿に馬を預け、早速シン達は疲れを癒すはめになっていた。 オーブを抜けて来たのだと伝えた途端血相を変えた店主に強制的に、温泉治療を進められたと言ってもいい。シンは帝国にある温泉とはまた違った、オノゴロの白く濁った温泉に浸かって水時計を見ていた。 半刻まで後少し。 既に上せ気味の頭で、水かさが増えるのをじいっと凝視する。熱さで一緒に浸かっているアレックスやハイネと言葉を交わす余裕もない。 これで毒気を抜くって言ったって、毒が目に見えるわけでもなし。 ただの宣伝文句だと言う事くらいは、シンにも分かっている。ただ、宿の主の言葉が気になってずるずると浸かっている。 って、あの人達、マジで平気なのかよ。 岩で囲った屋外の温泉が気持ちいいと思ったのも途中までで、ついに決められた時間を温泉に浸かったシンはいそいそと温泉から出て行く。立ち上がった途端ふらりと来たが、ここですっ転ぶという醜態を晒すわけには行かずになんとか持ちこたえる。 「俺たちも上がるとしますか」 「あー喉が渇くよ。ったく、何が楽しくて男ばっかで温泉なんだよ」 「まあまあ、お楽しみは取っておこうぜ。なっ、アレックス!」 そう言って、ハイネがウィンクして親指を向けた所には壁で仕切られた女湯。 「死にたいのか?」 男連中が問題発言を吐いてシンの後をぞろぞろと続き、シン達は全員が赤く火照った状態でオノゴロの町に湯冷ましに出ることになった。白湯祭の町は人混みもさることながら、シンは未知の両脇にずらりと並んだ屋台に圧倒される。 「異様な雰囲気って言うか」 「すごいな」 食べるものだけはなく、水風船や、お面なども売っている。お酒に混じって川魚の塩焼きなどは食べて大丈夫なのか若干不安を誘うが、ちらほらと買う人がいた。 そんな中、シンは露店の中に懐かしいものを見つけた。 射的である。 今なら、結構いい線行くかも。 「なあ、あれ―――」 過去の雪辱を晴らそうと、誰かを誘おうと振り返るが、ハイネとキラはさっさと歩みを進めてしまっていて、そこにはアレックスしかいない。 「・・・あれ?」 彼の視線がシンの斜め後の射的の台に向かい、シンを見てははーーんと笑う。 「やりたいのか?」 「別に、俺は・・・ちょっと珍しいなって・・・」 「射的がか? さすが育ちがいい奴は違うな」 街を抜け出して、こっそり下町の祭りに参加したこともあった。 兄の後ろをついて王宮を抜け出す。路地を走りぬけ、祭りの人混みにまぎれてしまえばこっちのものだった。 確かに、下町の少年のように、慣れ親しんだとは言えない。 けれど、自分だって、射的くらい経験があるのだ、と、シンはカッとなる。 「射的くらい俺だってできますよ。なんならここで勝負です!」 「いいだろう」 ふわふわのわた飴を手にしたラクスとミーアがくすりを笑う。 シンは銃を構え、台に並べられた中央の小さな的を狙う。息を吸って、狙いを定めて引き金を引いた。控えめな音がして、的に穴を穿つ。 「どうですか!」 「やるな、坊主・・・」 真ん中の赤い円の中に見事に命中して、露店の親父も関心している。 「勝ったら・・・お前の驕りだぞ。焼きそば、たこ焼き、アイスボールだからな」 アイスボール・・・。帝国ではカキ氷をそう呼んだ。 シンは打たれたような衝撃に息を止める。 あの時も確か、そんな事を言っていた。 露店で見せてくれた射的に自分もやりたいとダダをこねて。 勝負は見事に負けて、執事のアデスや女官たちから貰ったお小遣いを、すっかり兄に持って行かれて涙半分で後を付いて回った。 引き金を引く瞬間の時が止まったような時間だけは鮮明に思い出すことができる。 銃を構える姿、狙いを定める横顔が。 的を射るエメラルドの瞳がすっと引き締まる。 あれから何年も経つのに、まるで昨日のように蘇る。 「兄上・・・」 あの時と、同じ空気を感じていた。 ダン。 的のど真ん中に命中して、シンは現実に引き戻される。 目の前にいるのは兄ではなく、空賊。 何度、思い知れば済むのだろう。 「すごいな、アンタ・・・もしかして、空賊ってやつか?」 露天商と一言二言、言葉を交わしているアレックスがいる。 兄上じゃないけれど、確かにあの瞬間は兄上だった。 兄上じゃないけれど、こんなに記憶と重なるのはなぜだ。 兄上じゃないけれど。 兄上じゃない。 兄上じゃ。 なんで俺、こんなに悔しいんだよ。 今の自分を一番見て欲しかった。 何を考え、どう行動したか、経験して来た事を一番、伝えたい存在。一緒に帝国や大陸の事を話し合いたかった。 そして、俺なんかよりずっと上手くやるんだ。 シンは彼が自分の兄であればいいと思った。 「それって、射的の景品?」 シンとアレックスが手にしている玩具をキラが見つけて、射的の屋台を探している。手にお酒のコップを手にしたハイネも合流して、人混みに流されてオノゴロの町を歩く。オノゴロは山の麓の町らしく夜が早く、湿った空気が空を覆っていた。 「なあ、アレックス。ちょっと付き合えよ」 「断る」 「そう言うなよ~。今からは大人の時間だろ、いい店知ってんだ、空賊同士親睦を深めようぜ」 やはり空賊の雰囲気を纏っているのか、ハイネとアレックスが往来で視線を集めている。シンは興味半分、呆れ半分で二人を見る。チラリとキラを見れば、一瞥をくれただけで宿への道を歩き始めている。 二人が流れに逆らって、夕闇の中に消えていくのを見ながら声を掛けるタイミングを無くしてしまった事に気がついた。 「ったくもう。大人大人って、どこか大人の男なのかしらね。アタシ達を置いて・・・」 「あ~」 取り残されたミーアが腕を組んでため息をつき、シンに帰ろうかと即す。仕方がないかと思って、もう一人を探すが。 「あれ、ラクスは?」 「キラが連れてったんでしょ」 「こっちはこっちで、ややこしいッすね」 ミーアがシンに温泉饅頭を買ってくれたが、まるで子供の扱いに、シンは純粋に喜ぶことができなかった。 小雨が降り始めた温泉町の裏通りを過ぎて、こんもり茂った森の中に古びた建物が見えた。小道の両脇に立つ布がはためいていて、よく見れば今日、オノゴロの町で散々目にした布だった。露天商も跡形もなく消えて、祭りの主役だった建物がひっそりと佇んでいた。 「祭りの後か・・・」 「この先に、最初に温泉が出た場所があるんだろうなあ」 森の入り口に白湯源泉と辛うじて読める石が立てられていた。 「で、こんな所に空賊の隠れ家があるのか?」 アレックスがハイネを振り返る。 夜空に月も星もなく、遠くの町の明かりがオレンジの髪に反射していた。 「まさか、本気で飲み交わす為に誘ったわけじゃないんだろう?」 「言うねぇ」 くっくっくっと笑うハイネが肩を震わせる。一度視線を外して、アレックスを射た。 「お前、あの場に別の部隊がいたことを知っていたか?」 「あの場? 別の?」 アレックスが眉を潜めて、声の主を探る。 その間、ハイネはずっとアレックスを見ていて、うっすらと笑みを浮かべている。 「気がついているんだろう? ・・・殿下」 「誰かと―――」 「間違えてるって? それはないね・・・まあいいさ」 今度はアレックスが視線を外した。 しんと静まり返った場所に遠くで温泉が湧き出る音だけが微かに響く。 「しっかし、どうなっちゃうんだろうね。このまま開戦だと、俺たち空賊も上がったりだしな」 「そうならない為に、シンやラクスがいる」 戦争が始まれば、空賊やハンター達が生業にしてきた事がおおぴらに行われるのだ。国家と言う巨大権力の前に、自由人が自由にできる場は思ったほど広くはない。そうならない為にシンもラクスも連邦議会へと急いでいる。種石が悪用されないように4つ目の種石を探している。最も、彼らの目的は空賊やハンター達の為ではないだろうが。 「シンか。王子にしちゃ物事を知らな過ぎる、大丈夫かねえ、あの無鉄砲さは空賊向きだけどよ」 「ああ、いい筋してる、飲み込みが早い。セイバートリィもアイツなら上手く飛ばせる日が来る」 話題がシンへと移るとアレックスがホッとして、シンを評する。 初めて会った時から、弟子に迎えるまでずっと見てきたのだ。ハイネは何も知らない無鉄砲だと言ったが、今はそうではないと思っている。 「随分買ってるんだな」 何かを決意し、何かを考えている顔だ。 それが、ステラという少女の事であっても、帝国のことであっても、ゴールを見据えて行動するようなっただけでも大進歩である。 「あんなに兄殿下の後ろを付いて回っていたあのちっちゃな末弟がさ、連邦まで来てるなんて、当時からしたら考えられないよなあ」 「俺も正直、驚いてるよ」 プラントの王子らしく、なったのか。 今、自分と一緒にいるのは空賊になりたいからじゃない。目的を達成する為には、その方が都合がいいからなのだ。 「お前、弟まで空賊にする気か?」 「な、分けないだろう。シンは自分で進む道を決めている、今までも、これからも。アイツはいつの間にか自分で歩くことを覚えたよ」 少し前までは子供だと思っていたのに、アレックスはシンを遠く感じていた。 「ははん、お兄ちゃんは気苦労で一杯だねえ」 片方の眉を上げて、ハイネがにやりと笑う。 「散々王宮を抜け出して連れて回してたもんなあ」 シンが懐いていたのは、3人いる兄の中で唯一人。 上の2人の兄にバレていたとは言え、3番目の王子が弟のシンを連れてひそかに帝都に遊びに行っていたのは公然の秘密で。 その度に、上の2人の王子が独自に護衛を忍ばせていた事も、王宮では下の王子2人以外にはバレバレだった。 「だっ、だから違うと・・・そう言うお前こそ! どうして同行しているんだ」 「心配するな、別に誰かに言うつもりはないさ」 笑いながら手を振る。 「しつこいぞ、ハイネ」 アレックスが憮然としてハイネを睨む。 夜中に無言で対峙していると、如何せん思い出してしまう。 昼間の喧騒が嘘のように静まり返って、町には湯煙がうっすらと靄がかかる。小雨はいつの間にか霧雨になっていた。 「一つ、言っておきたい事があったんだ。―――すまん」 突然、ハイネが頭を下げて、アレックスを真摯な瞳で見つめる。普段のおちゃらけた態度とは雲泥の差で、貫禄さえもあった。 「あの時、レノア様を害するつもりはなかった。結果を言えば、謝って済む問題ではない事は承知している」 アレックスは答えられなかった。 「俺は・・・」 ここで、返事を返したら、あの場にいたと認めることになる。ハイネも彼の強情を察してか、肩で小さく笑って、気を緩める。 「俺がそう思ってんだからいいだろ。ま、ニコルと一緒さ。決めるのはお前だ」 自分が何を言おうと、相手がどう思うかまでは強制できはしない。 何かと気を利かしてくれ、連邦まで追ってきたニコルがいい例ではないか。それを突き放しもできず、頼って、甘えているだけなのだ。 帝都に降りた時に自分たちを見守る存在も、ハイネの言う別働隊の事も。 「それに、お邪魔虫はとっとと退散しますってね、じゃあな」 「じゃあなって・・・」 すっきりしたとばかりに、ハイネがひらりと手を振って去っていく。 アレックスがただ一人残されて同じように帰途に着こうとした時、前方にたたずむ影を見つけた。それが誰なのか分かったから、ハイネとは反対方向に歩く。 森の中へと、そして気配を探り、相手が付いて来た事に溜息を付いた。 「君は・・・」 シンが零した一言を、この耳は捉えていた。 射的に挑む二人をミーアと二人で見ていたのに、あっという間にアレックスに釘付けになる。彼は空賊で、ラクスの知る婚約者ではない。 ようやく、彼を空賊として見ることができるようになったと言うのに。 なぜだろう、胸がざわついて仕方がない。 わたくし、必死になって否定してきましたけれど。 「・・・アスラン・・・?」 彼は何者なのでしょう。 「ラクス、もしかして人混みに酔った?」 「え?」 握り締めた手が、初めから答えを知っていた。 本当は気づいていた。 「ハイネ達も戻ってきたし、そろそろ戻る頃合ね」 宿に戻る途中、雲行きの怪しい空に気づいた。湿った空気に降りそうですわと思って、宿の主に雨避けの街頭を出してもらった。遅れているシン達に持っていこうと再びオノゴロの町に出る。 ハイネとアレックスの後を付いていった事に理由はない。 二人の会話を聞くつもりもなかった。 むしろ、ラクスにとっては聞きたくなかったのだ。 これでは誤魔化すこともできないではないか。 「ラクス?」 暗闇の霧雨の中、アレックスがラクスを見つけたようだ。 外套を手にしたまま、立ちつくす。 「貴方は、アスランなのですか?」 これ以上、曖昧にはしておけなかった。 「違うよ。俺はアレックス、空賊だ」 まだ、そんな事を! 気がつけば走り出していた。 目を瞠る彼の胸に両手を叩きつける。いきなりの事で抱きかかえることになった彼が2人分の体重を支えることができなくて、倒れこむ。 「大丈夫か?」 「優しくしないでくださいませ!」 わたくしが好きになった人は、永遠にわたくしに嘘をつき続け、自分を偽り続ける。 今更、真実が明るみに出ることがないと痛いほど分かっているけれど。 「貴方が好きですわ」 「俺は、君の婚約者だったアスランではないよ」 わたくしが彼を好きになったことは変わらない。 本当はどちらでも構わないのかもしれない、この思いは叶えられないのだから。 でも、もしかしたら、辿るはずだった未来に想いを馳せてもいいでしょうか。 少しくらい、夢を見てもいいでしょうか。 静かに見上げるエメラルドグリーンの瞳を見下ろして、こんなに間近に見詰め合うのは初めてではないかと思う。霧を含んで重たい髪が森の苔の上に広がった。 戸惑いがちに触れてくる唇に驚かなかったと言えば嘘になる。 アレックスは自分が王女に口付けされたのだと気がついた時には、既に2人の距離はまた少し離れてしまっていて、潤んだ瞳で見下ろす彼女がいた。 地面の木の根や小石で背中が痛いな。 そんな事を思っていたのに、とんでもない展開だった。 祭られた源泉が近いのか、湧き出る音がする。 まさか自分が彼女に好かれているとは思ってもみなかった。 酷い事を言ってきた自覚があるし、彼女は空賊を毛嫌いしてきたはずだ。 それなのに。 ここにいるのは、彼女の婚約者ではないと言うのに。 「君は馬鹿だ」 「貴方の方こそ馬鹿ですわ」 瞬時に切り返された。 俺が婚約者の代わりでないとしたら、ラクスのこの行為の意味はなんなんだ。 「こんな男に」 「たとえ貴方が何者でも」 分かっているのか。 思いつめているようには見えなかった。 いつものように悠然と構えて、未来を見据えていた。今は唯、その視線が自分に注がれているだけ。 まいったな・・・。逃げ道はなし、か。 「後悔するなよ」 アレックスはラクスが落とした外套をバサッと広げて、天地をひっくり返す。 「まさか」 ラクスの挑むような微笑を合図に、先程とは比べ物にならない程深く口付けを交わす2人。お互いを求めて貪りあい、吐息が絡み合う。 奥にある小さな泉ではコポコポと白いお湯が湧き出して、湯気が地表にわだかまっていた。 2人が帰って来たのは夜も明ける寸前で、幾つも外套にくるまれたラクスがアレックスに抱きかかえられていた。 「眠っているから」 ミーアに彼女を渡して、アレックスは宿の部屋に向かう。 部屋の入り口ではキラが腕を組んで睨み付けていたけれど、無視を決め込んだ。部屋の中にはハイネが窓枠に手をかけて明けてゆく山並みを見ていて、シンがむくりと起き上がる。 みんなしてなぜ起きているんだよ。 胸の内で舌打ちして、こうなったら朝風呂でも浴びようと向きを変えた途端、手を不意に掴まれる。 腕を駆け上がる感覚に悲鳴を上げる。 「・・・っタ!」 社の森から宿まで、女性一人を抱えてきた両腕は重労働から解放されて、ビリビリと痺れていた。抗うこともできずに引っ張られるまま倒れこんで、引きずられる。 「お疲れの所申し訳ないんだけど、お前一人だけお楽しみって言うのは考えが甘すぎるんじゃない、アレックス?」 ハイネが腕まくりをして立っている。 「まだ、大人の時間だから」 「そ、シンはまだ寝てなよ」 シンが眠たそうな目を擦って見ている前で、アレックスは隣の部屋に引きずり込まれてしまった。欠伸をしてまた布団に潜り込むシンがゴソゴソと動きながら、寝心地のいい体制を見つけて寝息をたて始めた頃。 「まっ、自業自得ね」 聞こえてきた悲鳴に、遠く離れた部屋でミーアが溜息を付いた。そして、眠り続けるラクスに視線を落とす。 「女性に恥をかかせなかった分、今回は許してあげる」 安心した表情で眠り続けるラクスの目が覚めたら朝風呂に誘うと思って、窓の外の白むオノゴロの街を見た。オノゴロを出れば、いよいよロドニア地方へと入ることになる。こんなにのんびりできるのもきっと今だけだと、迫り来る事態を夜明けの空に感じていた。 連邦首都まで半日の位置にあるロドニア地方が緑に囲まれた丘陵地帯で、確かに研究所があった。奥まった場所に隠されるように作られたそこに、今、帝国との戦争に備えて準備をしている集団がいる。 幾人もの少年少女が同じような制服を着て、一人の男の前で頭を垂れている。 男は怪しげなお面をつけた金髪の男・ネオであった。 天井にライトが幾つもつるされた大きなドーム上の建物の中央に安置された巨大な物体。石なのか、岩なのか不明な材質でできた明らかな人工物の中から、光が漏れている。 「はーやっと終わった!」 「これで、ステラ、もっと戦える」 散らばっていく少年達に混じって、アウルとステラが歩いていた。その後がスティングが歩いていて、後の巨大な物体を振り返る。 「ったく、いつ見ても気持ち悪い物体だぜ」 「でもさーあの遺跡が俺たちに力をくれるんだろ?」 遺跡と呼ばれた物体には、幾つもコードや装置がつながれて、ドームを形成している。 「まあ、な」 「こんなもん、よく運んできたよなあ」 ミゲルやラスティが言うように、ロドニアにある遺跡はどこかから運ばれたものであり、元は違う場所にあったらしい。その場所を彼らは知らなかったが、この大陸にはその場所を知っているものがいた。 遠く離れた帝国の首都・ディセンベルで、イザークは目の前のドクター・クルーゼの言葉を反芻する。 俺に見せたいもの、だと? 「聞こえなかったかな。君に見せたいものがあると言ったのだよ」 種石とそれにまつわるコーディネータの存在を探ろうとして、王宮の図書室に向かったら、扉の前で彼が待っていた。今すぐに出陣になりそうもないこともあり、少し考えをまとめようと思ったのだ。 ドクター・クルーゼとは仮の姿であり、本当は歴史を操るコーディネーターという存在だと言うこの男。その存在がイザークに見ておいて欲しいというものとは何か、純粋な好奇心が首をもたげ、ドクターが仮面の下で笑う。 「では、行くか」 言葉と共に、周りを取り囲む空間が歪むのを感じた。 戻る 次へ なんだかごちゃごちゃとした回になってしまいました。まあ、いろいろとやらないといけないことが多すぎて! 大変だ~。こんなでちゃんと進めるかな、終わるだろうか、ああ心配だ。
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ファイナルファンタジーI・II アドバンス 【ふぁいなるふぁんたじー わん・つー あどばんす】 ジャンル RPG 高解像度で見る 裏を見る 対応機種 ゲームボーイアドバンス 発売元 スクウェア・エニックス 開発元 トーセ(日本 上海) 発売日 2004年7月29日 定価 5,800円(税別) プレイ人数 1人 セーブデータ FF1用・FF2用各3個(FRAM) レーティング CERO A(全年齢対象)※バーチャルコンソール版より付加 配信 バーチャルコンソール【WiiU】2016年1月6日/702円(税8%込) 判定 良作 ポイント ゲームバランス見直し・不具合を修正追加要素も収録原作より遊びやすくなった良リメイクただし原作から低下した難易度は賛否両論 ファイナルファンタジーシリーズ 概要 主な変更点および評価点 賛否両論点 問題点 総評 その後の展開 概要 1987-1988年にそれぞれファミリーコンピュータで発売されたロールプレイングゲーム『ファイナルファンタジー』と『ファイナルファンタジーII』の2タイトルをゲームボーイアドバンス用にリメイクして1本に収録した作品。 先に発売されたワンダースワンカラー及びプレイステーション版のグラフィックやシステムを踏襲し、更なる追加要素を加えた。 主な変更点および評価点 従来のリメイクからの継承・発展 BGM、ドットグラフィックの強化 BGMはPS版準拠。GBA音源のため再現性にいくらか無理はあるが十分及第点。 「モンスター図鑑」の追加 PS版からの要素。一度戦った敵なら後からグラフィックを鑑賞したりパラメータを確認できるようになった。 操作性およびシステムの利便性改善 WSC版・PS版と同様にBボタンダッシュ可能。それに加えてコンフィグ設定で十字キーのみでボタン不要の常時オートダッシュにもできる。 このオートダッシュ仕様は後のGBA版IV・V・VIにも引き継がれた。 アイテム所持枠が『FF5』以降の仕様となり、全アイテムを持ち歩けるようになった。 なお『2』についてはGBA版からの仕様である。 FF1のオリジナルではセーブデータを1つしか作れなかったが、本作では3個作れるようになった。 不具合の修正・仕様の見直し 共通 オリジナルに存在していたバグや不具合(一部の魔法が効果を発揮しない等)が修正された。 内部的な仕様は基本的には従来のリメイク準拠だが、オリジナル版に近くなった部分もある。 今回のリメイクで行われたもの ゲームバランスの変更及び改善 共通 町やダンジョン内でもセーブできるようになった。これに伴い、オリジナルでは脱出不可能だった一部のダンジョンで徒歩で帰れるようになったり、脱出魔法「テレポ」が使えるように変更された。 『1』については、従来ではセーブするためには宿泊が必要だったが本作では不要となった。 『I』 レベルキャップが50から99に大きく上昇した。 オリジナル版では各魔法レベル毎に回数が定められた「魔法回数制」だったが、本作では各魔法毎に消費MPが設定された「最大MP制」に変更された。これにより魔法の使用制限が大幅に緩和されている。 それに伴いエーテル系などのMP回復アイテムや、ルーンアクスなどのMP消費武器も追加。 オリジナルの大きな問題点であった「各クラスの能力格差」が是正された。 シーフ/忍者は命中率が上昇し攻撃回数が増えたことで攻撃力が大幅に強化され、他の前衛クラスと同等の使いやすさになった。 モンク/スーパーモンクは攻撃力は抑え気味になった代わりに、スーパーモンクの魔法防御成長度バグが修正され初期攻撃力が強化されて序盤から使えるジョブになった。 魔術士系は上記のMP制への仕様変更と共に、魔法の威力が知性依存に変更されたため、使いにくさが大きく改善された。 装備品が多数追加された。 モンスターがアイテムをドロップするようになった。 『II』 オリジナルでは「ある能力値を上げると、確率で別の相反する能力値が下がることがある」という仕様であったため、万能型キャラを作るのに手間がかかっていたのだが、本作ではこの能力値低下が完全に廃止。これにより、万能型キャラを作る事が原作よりも大分容易になった。 能力値自体も上がりやすくなっている。武器・魔法の熟練度は必要実行回数が低下し(代わりに「Bボタンキャンセル技」は修正された(*1))、能力値も対応する行動を取らずともまれに上がるようになった。 チュートリアル要素の追加。主人公が最初に意識を取り戻した部屋に入りなおすと、後のシリーズでいう「初心者の館」のようにゲーム内の様々な攻略に役立つ情報を教えてくれる老人たちが追加された。重要パラメーターである、回避率や魔法防御についてもレクチャーしてくれる。 はじめて「フィンの城下町」に入った際、オリジナルでは帝国兵に話しかけて襲われて全滅するという事故が多発していたために、話しかけないように警告する小イベントが追加された。 設定面・その他 FF1のオリジナル版では、後に常連キャラクターとなる「シド」と「チョコボ」がまだ登場していなかったが(彼らが登場するのはFF2から)、本作では彼らが小さなネタ程度で登場するため、これをカウントに含めた場合はFF皆勤賞となった。 シドは「飛空艇を造ったのはシドという名の古代人である」という設定が追加され名前のみの登場(*2)、チョコボは石像として登場している。(*3) FF1ではパーティーメンバーの名前を自分で付けるのだが、その際にいくつかの候補からランダム決定したり、最終決定前ならリネームすることが可能になった。 名前候補はFF3~6・9のNPCなどの名から採られている。ジョブごとにそれぞれ10種類あり、戦士ならデッシュ・バロン・ゼザ・レオ等、白魔ならサラ・エリア・ルカ・ルビィ等、といった具合である。 本作の追加要素 FF1・FF2それぞれに新規の追加要素がある。 「Soul of Chaos(ソウルオブカオス)」(FF1) 略称「SOC」。FF1で追加された新ダンジョン。全部で4つ存在し、ストーリー本編の進行に応じて順次解放されていく。内部はボス階層以外は毎回マップ構成が変わるランダムダンジョンで、全滅しても外に出されるだけでペナルティがない特別仕様となっている。そこでは歴代FFシリーズ(『III』~『VI』)で登場したボス敵と戦ったり、本編中で手に入る物より更に強力な武具を入手可能。 「Soul of Re・Birth(ソウルオブリバース)」(FF2) 略称「SOR」。本編クリアによりプレイする事が出来るショートシナリオ。街1つとダンジョン2つとボリューム自体は少なめだが、多数の新アイテム・モンスターが登場する。 操作キャラは、ミンウ・スコット・ヨーゼフ・リチャードの4名。いずれもストーリー本編中で死亡した(はずの)者たちである。 スコット以外は本編での能力値・所持アイテムをそのまま引き継ぐ。したがって、本編で彼らを鍛えすぎるとヌルゲーとなるが、一方で全く鍛えていなくても敵が強すぎて詰むことがないようにはなっている(*4)。スコットもとあるキャラクターの一部ステータスを引き継ぐ様になっている。 この仕様である為、どうせ死ぬからと本編で装備をはがしていたり、育成をサボったりしていると泣きを見る羽目になる。鍛え上げたキャラが無駄にならなくなったとも言えるが。 最深部では意外な人物?がラスボスを務めている。また、そのデザインはよく「小林幸子」などとネタにされている(ただしデザインが悪いわけではなく、むしろ高評価を得ている)。 スコットがミスリル装備をしている等、本編の細かい小ネタが随所に仕込まれており、クオリティは高い。 賛否両論点 難易度の低下 FF1・FF2ともに、FC・WSC・PS版と比べると難易度が低下している。 特にFF1ではあまりにも難易度が低下し過ぎたため、「ヌルゲーになった」「歯ごたえが無さすぎる」という批判を受けることもある。 要因は以下の通りである。 『I』 プレイヤー側のパワーアップが著しい一方で、敵の強さはほぼオリジナルから据え置き&強すぎた敵は弱体化されている。 一応中ボスは強化されているが焼け石に水。ラスボスもSOCでの経験値稼ぎや追加装備を前提としたレベルにまで強化されているがやはり焼け石に水。 赤魔道士ソロでも無理なく全コンテンツを攻略できると書けば如何にヌルゲーか分かるだろう。 特に1回目のガーランド戦で3つ先の街で売っている武器である「ロングソード」がドロップされれば猶更ヌルゲーとなる。 一応赤魔道士ソロなら相応に歯応えはある。 レベルキャップを変更したのはいいが、レベルアップがあまりにも早すぎる。これも本作のヌルゲー化に拍車をかけている。 さらにランダムエンカウント発生率が高めとなっており、終始弱い敵との連戦を強いられる。レベルカンストしてもエンカウント率は高いままなので、戦うにも逃げるにもストレスが溜まりがち。おまけに原作と同様に絶対に逃げられない雑魚敵も存在する。 エンカウント率については特にSOCが顕著で、数歩歩くだけでエンカなんてザラ。SOCの追加モンスターは能力に対して経験値がかなり低く設定されているためただの嫌がらせにしかなっていない。しかもご丁寧に本編と関係ないダンジョンにもかかわらず逃走不可になっている敵も存在する始末。 WSC版リメイクの時点でエンカウント率はかなり高くなっていたが、当時はオリジナルからの難易度の上昇という側面で指摘されていた。しかし本作は逆に難易度が低くなりすぎたために作業感の増長という点で指摘されている。 ボス戦の戦術性は低い。デバフはほとんど意味をなさないし、バフ消去手段もないため、とにかく「味方を強化した後攻撃、時々回復」することに尽きる…のだが、あまりにも単調すぎるきらいがある。 追加アイテムのおかげでバフ積みのスピードが飛躍的に上がり、回復アイテムも低コストかつ大量に手に入るので道中の消耗を気にする必要が全くない。 例えば、HP50回復の「ポーション」が40ギルなのに対し、MP50回復の「エーテル」がわずか150ギルで序盤から購入可能。 SOCで入手できる一部の装備品が強すぎる。 特に問題なのは、「戦闘中に使用すると魔法の効果が発動する」品が大量に追加された事。使用してもアイテムがなくなることはなく使い放題、アイテム欄から直接選択するように仕様変更されたため誰でも使える、使える魔法のラインナップもフレアー、ホーリー、インビアなど豊富、と魔法の立つ瀬が無くなってしまう。 例えば魔道士(及び下位の魔術師)全般なら、「けんじゃのつえ(ホーリー強化)」を装備した状態で「ライトブリンガー(アイテム使用でホーリー発動)」を使用…とすることで、強化されたホーリーをノーコストで使えるようになる。 ただし、強力な品はSOCの終盤(そこの中ボスはラスボスよりもはるかに強い)まで手に入らないようになってはいるし、極端な編成でもSOCをクリアできるようになっている。 また、確かに強いものは強いのだが、逆に入手可能時期が遅いのに性能が低く、入手した時点で既に完全なるコレクターアイテムと化しているものも多い。 具体的には、リッチ撃破直後では到底歯が立たない強さの敵が落とすのにミスリルソードより弱いこてつ、ティアマット撃破後にしか入手できないのに完全なる劣化ミスリルアクスのバイキングアクス、同じくティアマット撃破後にしか入手できないのにフレームソードに劣る威力のあしゅら等。 このSOCで入手できる装備の一部は本編でもモンスターのレアドロップとして入手することは出来る。 オリジナルでは先制攻撃を受けやすかった敵パーティに対して、逆にこちら側から先制攻撃を仕掛けやすくなった。 意図したものかバグであるかは不明。 『II』 一部の補助魔法が強すぎる。 オリジナル版自体からそうした傾向であったのだが、「バーサク」(物理攻撃力アップ)と「ブリンク」(物理回避率アップ)さえあれば強敵相手でも楽に勝てる。これに「ヘイスト」(物理攻撃のヒット数増加)を加えると完全にヌルゲーと化してしまう。 「テレポ」(フィールドでは脱出魔法、戦闘中では敵にかけると対象を即死させる)の魔法命中率が非常に高くなっている。 これにより「ミニマム」は存在価値が無くなってしまった。「同じ白魔法で属性も同じ、入手も遅く値段も高いが命中率はテレポに勝る」という扱いだったのだが、命中率が逆転したことで下位互換になってしまった。 「味方の小人化を治せる」という効果は有るが、そもそも小人化攻撃を使う敵自体が殆ど存在しない。 同じく即死魔法である「トード」はミニゲームに影響を与えるためこれを鍛えるプレイヤーもいる。 テレポは熟練度をMAXまで上げると全体掛けでも大半の敵を消し飛ばせるし、入手もゲーム最序盤でできてしまう。これはSORを楽に戦えるようにするための救済策なのかもしれないが…(ミンウがこの魔法を最初から習得している)。 従来はコマンド入力のみで熟練度が上昇したが、本作では戦闘中に実際に行動しないと上がらなくなった。 従来までの仕様では入力とキャンセルを繰り返すだけ(いわゆる「Bボタンキャンセル技」)で上昇したのでそれを封じる目的だったと思われるが、ターン毎のコマンド入力が成立した時点で上昇させても良かったのではないか。 オリジナルでは存在しなかったオートターゲット機能がつき、倒された敵に対する無駄行動は無くなった。 これ自体は改良点であるのだが、上記の問題と合わせて熟練度が若干上げ難くなってしまってもいる。WSC版とPS版であった、オートターゲット機能のオン/オフ切り替えはできない。 ミニゲーム関連 WSC版からの追加要素で、本作でも継続して登場。16枚のカードを使った神経衰弱(絵柄はパーティーメンバーの顔画像)で、ミスが少ない程クリア時にもらえる景品が良くなる。また、「トードの熟練度をMAXまで上げると、絵柄がカエルになって難易度が上がるが、景品のラインナップがイージスの盾など超豪華になる」という隠し要素がある。しかし、GBA版ではノーミスクリアの特典が強化されたうえに、配置が32回で1周期となったために、配列をメモしておけば33回目以降は余裕でノーミスクリアできるようになってしまう。 これを活用すると、序盤でマサムネを量産したり、SORにマサムネを持ち込んだりとやりたい放題できてしまう。無論、知らないとできないことだし、それを実際にやるかどうかはプレイヤー次第ではあるが。 尤もトードを16まで上げてる時点で育成過剰にも程があり、ゲームバランスも糞もない。やり込みプレイの領域になるだろう。 WSC版に存在した追加OPが無くなってしまった。 正確には黒騎士に囲まれ、フリオニール達がピンチになる箇所。ただのこのシーンのガイが話し方が本編と異なるためあえて削除した可能性が高い。それ以外のOPデモはきちんと残っている。 テキストの改変 テキストの大半が改稿されており、オリジナルと比較しても、シナリオの展開こそ同じだが言い回しがよりシリアスなものへと変更されている。特にネタ要素の強いセリフの排除が顕著。 「真面目なセリフのほうがシリアスな雰囲気に合っている」という意見もある一方で、「ネタとしてファンから親しまれているセリフが変更されてしまったのは残念」という意見もあり、賛否両論。 ただし『I』に関しては先行のWSC版やPS版の時点で既に一部のセリフやアイテムの説明文などが変更されていたりする。とはいえ、全面的なセリフ変更に及んだのはやはりGBA版からである。 両作品ともゲームバランス全般に加えてセリフの大半が変更されたので原点のリメイクというより、もはや雰囲気がよく似た別の作品のように変貌してしまった。 一例を挙げると… 『II』のオリジナル版で女海賊レイラの船に乗り込む際のフリオニールのセリフ「いいじゃないか!ただだし。おねがいしますっ!」が、「…だけど他にディストへ向かう船はない。彼女たちを信用するしか手はないだろう。」という真面目な台詞に変更されている。 本作で消された「いいじゃないか!ただだし」は、後の『ディシディア ファイナルファンタジー』でフリオニールの台詞として登場している。そのため本作の『II』をプレイした人にとっては分からないネタになってしまっている。 『II』におけるエピローグの1シーンでは、あるキャラの名セリフを別のキャラが言ってしまったり、全体的に言い回しがくどくなったせいで熱いシーンがトーンダウンしてしまったりと、変更する必要のない所まで変更されてしまっている。 一方で『II』におけるディストの子どもには名前がなかったが「カイン」という名前が付けられた。『IV』に登場する「カイン」の父は「リチャード」という設定があるので後付けではあるがシリーズの繋がりを感じさせてくれる。(*5) その他 共通 モンスターデザインはWSC版を流用しているため、一部の敵のグラフィックが変更されている。 『I』はオリジナルと近い構図だが『II』はほぼすべての敵の構図が変更されている。おおむね受け入れられてはいるが、「オリジナルの構図・デザインの方がよかった」という声もある。 『II』 ステータス画面の顔グラフィックが変更されてより天野イラストに近くなったため、オリジナルに慣れ親しんでいた人は違和感を感じることも。 特にフリオニールがそれまでの横顔から斜めを向いたアングルに変わっている。 もっとも、これは後述の表情をつけやすくするための変更だと思われるが。 会話時に顔グラフィックが登場し、場面に応じて表情が変化するようになった。しかし、リメイクでの天野画風を再現した故に怖めの顔になってしまった「マリア」のほほ笑む表情がやはり怖いというあまり嬉しくない要素でもあった。 ヒルダやポールといった主要人物にも顔グラフィックが追加されたが、それに伴ってポールの歩行グラフィックが天野イラストに準じた盗賊風のグラフィックに変更された。(*6)。 また、敵幹部の「ダークナイト」にも顔が用意されているが、正体の人の顔グラフィックを暗くしただけで初登場と同時にネタバレというあんまりなものであり、不評だった。(*7) 問題点 『I』の問題点 SOC関連 初見ではいかにも次の目的地であるかのように錯覚させる描写がある。実際は完全なエクストラダンジョンであり、本編とは一切関係ない。 ゲームバランスが本編とは大幅に異なる。最初に開放される「大地の恵みのほこら」ですら、ボスの強さは終盤クラスである。 全てのボスを倒したり、アイテムを集めるためには何度も潜ることが前提となる。パズルや仕掛け要素のあるフロアも出現するが、繰り返しプレイするという前提においては単調さを払拭できているかというと疑問も残る。 エルフ村の武器屋の販売品から「ミスリルソード」が削除された。 ゲームバランス的にはそれほど悪影響は与えてはいない。しかし、「ミスリルの品はエルフ村の特産品である」という設定があり、ミスリルソードに関するセリフはオリジナルから削除されずにそのまま残っている。結果、「その時点で入手できないのに説明だけ残っている」というチグハグな状態になってしまった。 一応「この先訪れる店で見かけたら是非とも購入しよう」というアドバイスだと解釈すれば何も不思議ではないが…。 クリアデータに関する仕様。 プレイデータをクリアデータで上書きすると、続きからではなく図鑑だけが引き継がれたニューゲームが可能になるのだが、同時収録のFF2と挙動が異なるために混乱を招き、うっかりラスボスクリアまで進めたデータを失ってしまう事態が発生した。 『II』の問題点 セーブスロットが3つに減少してしまった(オリジナルでは4つ)。 しかもSOR用に1つ使う必要があるので、本編のセーブデータが2つしか確保できなくなってしまった。 クリアデータからのニューゲームが不可能になった(PS版では可能だった)。 これによってモンスター図鑑の埋め残しがあった場合は最初からやり直さなければならない。 ゲームバランス関連 能力値が(上げるための行動を取らなくても)自然に上がるようになった。普通にプレイする分には支障はないのだが、このうち最大HPが勝手に上がってしまうことが問題点となる場合がある。 自動でHPが上がってしまうので、「ステータス初期値でクリア」といった制限プレイをしたいプレイヤーからは不評である。 これは一見救済措置に見えるが、本作では「現在HPが高すぎると敵が逃げやすくなってしまう」という仕様があるので、能力を最大まで鍛えようとする際に不都合を生じることもある。(*8) SOR関連 雑魚戦で一切逃走できない。 初期パーティはミンウとスコットだけであるため、本編での鍛え方次第では苦戦を強いられやすく、十分に強化された状態でも敵を倒さなければ戦闘を終了させられないので非常に煩わしい。 マップはオリジナルマップの使いまわし 登場するマップはすべて本編に登場したマップを反転させただけの流用なので目新しさがない。 専用装備の登場 「すべてのキャラがすべての武具を装備できる」というFF2のアイデンティティに反してキャラクター専用装備が登場してしまった。 装備すると力・知性+99、使用時にバーサク16がかかるスコット専用のワイルドローズはいささかやりすぎなほどの壊れ性能を誇っている。 先述の「SORでは全ての雑魚から一切逃走不可能」という仕様に合わせてあえて強力な専用装備を用意したのかもしれないが、そんなものを用意しないとバランスがとれなくなる位ならそもそも逃走不可能にしなければ良いだろう感が否めない。 総評 オリジナル版に存在していた不具合・理不尽さをほぼ解消し、ハードの性能に合わせて全体的なクオリティが上がっているため、良移植に分類される作品と言える。 難易度の低下(特にFF1においては顕著)という問題点こそあるものの、その分初めてFF1・FF2に触れるという人にもおすすめできるし、オリジナル経験者にとっても追加変更点目当てにプレイする価値は十分ある。 その後の展開 本作以降のFF1・FF2のリメイク版は、オリジナル版のVC配信などを除けば、基本的に本作をベースとしている。 後年、本作を元にPSP版がそれぞれバラ売りで発売された。 そちらについては『ファイナルファンタジー (PSP)』と『ファイナルファンタジーII (PSP)』の記事を参照。