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前ページ次ページゼロと魔王 ゼロと魔王 第5話 決闘! 後編 「諸君!決闘だ!!」 ヴェストリの広場でギーシュが観客に高々と宣言する。 「前置きはいい!とっとと掛かってこい!!」 ラハールは心底気に入らないという風にギーシュに言い放つ。 なぜこのような事になったのか・・・事の発端はこうである。 ラハールは食堂で飯を食った後、あてもなく学院内を適当に散策していた。 だが、どうやら男子寮の方へ来てしまったようだ。 「・・・ここに用はないな」 そう言い歩き出そうとしたところである。 金髪のいかにも軽そうな男がラハールを呼びかけてきた。 「そこの君!待ちたまえ」 「・・・」 無言で相手を見た後、こんな奴に関わらん方が身のためと思い、無視して歩き出した。 「待てと言っているのがわからないのかね?」 「・・・オレ様になんの用だ?」 一応反応はしたがとても面倒くさそうに対応している。 「何、ここは神聖な貴族の子供が学ぶ学び舎だ。君のような子供が来る場所ではないと注意しようとしただけさ」 (こいつ、ぶち殺してやろうか?) そう思ったが、さすがにこんな所で騒ぎを起こすほどラハールも馬鹿ではない。 昨日こういう時にこう言えと言われている言葉を思い出し、相手に言った。 「オレ様は東の方のメイジだ」 「ああ、なるほど・・・君が噂の東の方のメイジか。さすがルイズ!東の方のメイジを召喚したと聞いたから一体どんなのを召喚したと思ったら、ただの子供ではないか!!」 (こいつ・・・ぶち殺す!!) ラハールは無言で相手の近くに行き、右手を差し出す。 「ん?握手かい?本来なら君のような子供とはしないのだがね。今日は本当に機嫌がいいんだ、してやろう」 そう言い、ラハールが差し出した右手に握手しようとした時、 「一回死んでろ!!」 ラハールは手を引込め、拳を作り、思いっきり相手の腹に突きだした。 「ぐふぅ!」 正拳突きが相手の腹に深々とメリこみ、さっと手を引き抜く。 ギーシュはあまりの痛さに悶絶する。 殴った当の本人は・・・ 「昨日棺桶を運んだ時にも思ったが、身体能力まで落ちてるのか・・・」 忌々しそうに刻まれたルーンをにらみつけていた。 「き、貴様・・・貴族相手に・・・手をだして・・・ぶ・・・じで・・・すむと思って・・・いるのか・・・」 「貴族だ~?そんなものオレ様には関係ない!」 「決闘だ・・・!」 「ハァ?」 「決闘だと言ったのだ!!貴族が舐められるわけにはいかない!ゆえに、君に決闘を申し込む!!」 「なぜオレ様がそんなものをしなければならない。それに、オレ様と戦いたいのなら今ここでやればよかろう?」 「貴族というのは、昔から決闘で物事を決めるのでね。それとも何かい?あれだけ大見得をきっておいて自信がないのか?」 「ほ~う、いい度胸だ、いいだろう。その決闘、受けてやろう」 「それでは、四半刻後に「ヴェストリの広場」に来るように」 いう事は言ったと歩き出そうとしたギーシュであったが、ラハールはそこに待ったをかける。 「まあ待て」 「どうした?怖気づいたから許してほしいのか?」 「いいや、この決闘に負けたものは相手の言う事をなんでもきくという事にしようではないか、その方が面白い」 ギーシュは少し考えると、こう答える。 「・・・いいだろう。その提案を受け入れよう」 「言ったな?」 「貴族に二言はない」 「よし、それではまたな」 そして両者は別れた。 「さて、ああは言ったが・・・どうするか・・・」 別に勝てないと思ってはいない、ただ力を制限された状態では少し心許ないというだけである。 「魔王剣は出んし、かと言ってあんなガキ相手にエクスカリバーを持ち出すのもな・・・」 ラハールが使っているからかもしれないが、エクスカリバーと対等に渡り合える魔王剣を持ち出すのも相当ではある。 「どっかからか、適当に剣でも盗ってくるか?それとも魔法だけで相手するか・・・」 しばらく考えたが、相手がどういった魔法を使ってくるかわからないため保険として剣を使おうと決めた。 「決めたまではいいが、肝心の剣がなければ話にならんな。あのじじいあたりに武器庫がどこか聞くか」 オールド・オスマンに武器庫の場所を聞きに行くラハールであった。 「やれやれ、朝から書類整理とは・・・やりきれんな」 「そんな事を言ってないではやく書類を片付けてください、オールド・オスマン」 「しかしのうミス・ロングビルよ、わしも年じゃし・・・」 「よくそんな事が言えますね」 ロングビルと呼ばれた女性は呆れた風に応答する。 いや、実際に呆れているのだろう。 「本当の事じゃ」 「はいはい、そういう事は毎日のセクハラをなくしてから言いましょうね。おじいさん」 笑顔で言ってはいるが目が笑っていない、さすがにこれは旗色が悪いとみて仕事に戻ろうとするが、そこで突然扉が開かれた。 「じじいはいるか?」 入ってきて早々、ロングビルを見て嫌そうな顔をしたが、すぐにオスマンに向き直る。 「なんですかな?」 「武器庫はどこにある?」 「武器庫?あるにはありますが・・・一体どうして?」 「少しな・・・」 なぜいるのか分からなかったが、別にいいかと思う事にした。 伝説のガンダールヴとやらがどういった物か知りたいのも少しはあるが・・・ 「ふむ、それではミス・ロングビル、案内してあげなさい」 「はぁ、それは別に構いませんが」 「い、いや、それなら場所を教えろ、自分で行く」 「そうは言っても、鍵の問題があるからな」 「なら鍵を貸せ!」 「たいしたものが無いとはいえ、そうホイホイ鍵を貸し出すことは出来ませんしな」 「ぐっ!・・・わかった」 「それでは案内してきますがオールド・オスマン、ちゃんと仕事をしてくださいね」 「わ、わかっておるわい」 そう言い残して、ラハールを案内していくロングビルであったが、しかし、ラハールは少し離れて歩いている。 「なぜじゃろうか・・・まあいい、してモートソグニル!ロングビルの下着は見れたのであろうな!!」 このじじいは・・・ ラハールが案内された場所武器庫には、剣・槍・弓・斧やらがかなり置いてあったが、どれもあまりいいものではなさそうな物ばかりであった。 貴族ばかりいる所に好き好んで攻め入るやつがいないし、なによりたとえいたとしても魔法でどうにかできるのだから当然と言えば当然ではあるが。 「・・・ロクなものが無いな」 「まあ、武器なんてなくても魔法がありますしね。必要が無いんですよ」 もっとも、ラハールの魔王城にもロクなものがないのだから文句は言えないのだが。 そうして、適当に物色しているととある物品を見つけ出した。 「ん?この剣、魔力が通っているな」 取り出した剣を抜いてみると、錆び付いていて一見使えそうにないがどうやら芯の部分は生きているようだ。 「しかし変な形だな、サクラが使っていた日本刀とやらに似ておるが、少し違うな・・・まあいい、どうせここにはロクなものが無さそうだしな。これで我慢するか」 「本当にいいんですか?」 「魔力が通っている分他の剣なんかよりずっとましだ、別に構わん」 「そうですか・・・(魔力が通っている?あのクソボロイ剣が?まあ金にはなりそうにないね)」 (さっき剣を抜いた時にこれが光ったような気がしたが・・・気のせいか) 目的の物は手に入ったので武器庫から出る。 それ以外にもこれ以上ここに居たくないのでとっとと退散することにした。 「しかし、それで何をするつもりなんですか?」 「気にするな、たいしたことではない。それではな」 「あ。・・・落ち着きがない子だね」 とラハールに対して評価をするロングビルであった。 そして最初に繋がる。 「言っておくが、僕は魔法を使わせてもらうよ。君もそのどこから持ってきたか知らないが剣で存分に戦ってくれ」 「もとよりそのつもりだ」 両者が構えて決闘が始まるかと思った時に、観客を押しのけてやってきた少女がいた。 「その決闘待った!!」 「ん?なんだお前か」 「なんだじゃないわよ!なんで決闘なんて受けちゃうわけ!?」 「勝手もなにも、オレ様は初めに言っただろう?オレ様は誰の指図も受けん!」 周りからどっと笑いが出た。 さすがゼロのルイズだの色々な中傷が聞こえるが今は気にしていられない。 ラハールが悪魔だという事を知られると自分の命が危ないのだから、いつも言われている事を気にしていられない。 「ギーシュ!貴族の決闘は禁止でしょ!?」 ラハールに何を言っても無駄だと思い、目標をギーシュに変更する。 「禁止されているのは貴族同士の決闘さ、今回は適応されない」 こちらも何を言っても無駄なようだ。 力で分からせるにしても、そんな事が出来るはずもない。 「あんたどうなっても知らないわよ・・・」 「何か言ったかい?」 「別に」 こうなってしまった以上仕方ない、後はバレない事を祈るだけである。 (あとギーシュはボコボコにされろ) 「~~~!なんだ今の悪寒は・・・まあいい、さっさと始めよう」 そう言うと自分が持っていた造花のバラを振る。 振った時に花びらが舞、花びらがいきなり人の形に変形した。 それも7体もである。 「悪いが、最初から本気でいかせてもらうよ」 「お前が戦わんのか?」 「これは僕の魔法さ、それなら僕が戦っているようなものだろう?」 「そうだろうが・・・お前はそれでいいのか?」 「なんとでも言うがいい!さあ行けワルキューレ!!」 ワルキューレと呼ばれた人型のゴーレムは各々の武器が武器を持っている。 それに対して、ラハールは剣が一本だけ・・・何も知らない物が見たらそれこそラハールが勝つとは思わないだろう。 ワルキューレの一体がラハールに槍を振り下ろす。 周りの人間は目を覆うものやあわれそうに見るものなど様々な反応だ。 だが・・・次の光景はワルキューレが吹っ飛んでいくものだった。 「な!?僕のワルキューレが・・・」 やった事は簡単だ、振り下ろされた槍を体を左にスライドさせて避けた後に、ワルキューレを蹴り飛ばしたのだ。 「なんだこの程度か」 さすが力は制限されても魔王である。 本気の殺し合いをしたことのないギーシュとは決定的に経験値が違う。 「くっ!まだだ!!まだ僕にはワルキューレが残っている!!!」 どうやら自分のワルキューレが見た目が子供のラハールに、自分のワルキューレが蹴り飛ばされたのが効いたのか、威勢はいいが完全に冷静さは無い。 ワルキューレ達をラハールに突撃させるだけである。 「ほれほれどうした!威勢はいいがその程度ではオレ様は倒せんぞ?」 そもそも操作するものがそこまで上手くないのだ、冷静さを失ってはロクな結果を残さないのは明白である。 そうこうしている内にラハールが放った魔法の直撃を受けて一体倒される。 (残り5体か・・・さすがに魔法と格闘だけでは辛いな・・・) そうである、かなり余裕そうに戦っているラハールだが、結構本気を出している。 何より金属の中でも比較的に柔らかい青銅を蹴っただけで結構痛いのである。 魔法だって後撃てて3、4発程度だろう。 ギーシュを狙おうにも、一か所に固まっていて突破は難しい。 もっとも、それだと負けた気がするのでやるつもりはない、ワルキューレを全部倒した後に一発殴る予定である。 (仕方ない・・・こいつを使うか・・・) 武器庫から持ってきた剣の柄に手を伸ばし掴む。 すると、左手のルーンが光り出す。 「なんだ?」 光り出したらなぜか体が軽くなった。 力が戻ったのかと思ったが、あきらかに自分の力ではない何かがラハールの力や魔力が強化されているという事がわかる。 「よく分からんがまあいい、さて覚悟してもらおうか?」 「何を言っているんだ、僕のゴーレムは後5体も残っているぞ?」 さすがにギーシュもこれ以上やると自分が負けるのは分かる。 だがここで降参をすればただの負け犬になってしまうので精一杯強がって見せる。 「そうかそうか、自分から降参しなかったことは褒めてやろう。・・・だが、容赦はせんぞ!」 そこからのラハールの行動は素早かった。 ワルキューレの一体の体を両断する。 「そんなにまとまって居たら格好の的だぞ?『一文字スラッシュ』!」 ほぼ一列に並んでいた残り4体のワルキューレを一文字スラッシュで薙ぎ払う。 あと残ったのは、ギーシュ1人である。 ラハールはギーシュに近づき、拳を握る。 「ま、待て!もう降参だ!!」 もうギーシュには戦う力が残っていないのだから降参しかない。 「安心しろ・・・」 その言葉を聞いて、安心した次の瞬間である。 「一発殴るだけだ!」 ギーシュの顔面に拳が入り、吹っ飛ぶ。 手加減して殴ったから死んではいないだろう。 「オレ様の勝ちだな」 ラハールがそう宣言する。 周りからは色々言っている奴がいるが、誰もが驚いた感じではあった。 東の方のメイジと言われてはいるが、明らかに見た目が13,4ぐらいなのだから当然だろう。 そんな喧騒のなかで2人の少女がギーシュに駆け寄る。 「「ギーシュ(様)大丈夫!(ですか!)」」 「・・・あんた誰よ」 「・・・あなたこそ」 一瞬でその場の誰もが黙り込む。 その中でかなり焦っている人物が1人いた。 さっき殴り飛ばされたギーシュである。 当然だ、二股がバレるのだから焦りもするだろう。 「ギーシュ・・・」 「ギーシュ様・・・」 「これは一体、どういう事かしら?」 「きちんと説明してくださいね」 「こ、これは何かの間違いだ!」 ギーシュはそう言うが、今この場の誰もが分かっている・・・間違ったのはお前だろう? 2人の少女はその言葉にブチギレて両サイドから強烈なビンタを同じタイミングで放つ。 「がっ!」 ビンタをした後、2人はその場を何事もなかったように去っていく。 「待ってくれ!モンモランシ―!ケティ!」 聞く気が無いとばかりに両者共に無反応である。 がっくりとしていると、ラハールがとどめをさす。 「お前忘れておらんだろうな?貴様は負けたから今日からお前はオレ様の家来だぞ」 「な!?家来だって!?」 「当然だ、なんでもいう事をきくのだろう?だからお前はオレ様の家来だ」 この日ギーシュは、生涯これほど泣くことはないだろうというぐらいに泣いた・・・ 「ふむ、あれがガンダールヴの力か・・・」 学院長室でオールド・オスマンが深く唸る。 コルベールが知らせに来た時から遠見の鏡ですべて見ていたのだ。 「剣を握ったあたりからあきらかにスピードが上がりましたな」 「スピードだけではなかろうな・・・とにかく今回の事であの者がヴァリエール嬢の言う事を聞かんと言う事がわかったな」 「複雑ですな・・・もし暴走した時にヴァリエール嬢がストッパーにならないのですからな」 「かと言って、ただいう事を聞くのならヴァリエール嬢が野心を持った時には彼がストッパーにならん」 「ではどうすれば・・・」 「彼を敵に回すのは得策ではない、それに使い魔を取り上げるわけにもいかん・・・信じるしかあるまい」 「それしか・・・ないですかな・・・」 「ほれ、この話はお終いじゃ、さっさと授業の準備でもするがいい」 「・・・それでは失礼します」 コルベールは、理解は出来るが納得できないといった感じで学院長室から出て行った。 「しかし、本当に生徒を信じるしかないとは・・・情けない話じゃな」 そう思っても仕方ないのにそう思いたくなるのは、腐っても教師であるからであろう。 そして、自分の仕事に戻るのであった。 前ページ次ページゼロと魔王
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前ページ次ページときめき☆ぜろのけ女学園 ――ヒョオオオオオオ…… 「ルイズのせいで酷い目に遭ったわ!」 激しい吹雪を起こしつつ着物姿の少女が声を荒げた。 「そそそ、そんなっ。みんなノリノリででで、楽しんでたたじゃない!」 「さぶっ、さぶっ」 歯をガチガチ言わせつつも反論するルイズ。後方ではペロも激しく震えている。 「騙されたのよ! 私達にはあんな化粧しといて自分は何よ! こっちはルイズのせいで先生にお仕置きされたんだから!」 一方、結局口紅だけとなったルイズ・キリを見たろくろ首先生の反応はというと、 「あの化粧を見た後じゃ口紅だけでもまともに見えるわね……。合格」 というものだった。 「ルイズにも」 「痛い目見てもらわないと」 『気がすまない!!』 そう言い終えるが早いか、全員一斉にルイズ・ペロを追いかけ始めた。 「きゃああああ!」 「わああああ! 何であたしまでえ!?」 「ペロが逃げるからじゃないの!?」 「しまったあ! でも怖くて止まれない!」 校舎から逃げ出してしばらく駆け回っていたルイズ・ペロだったが、やがて石段を上がった先に隠れるのに手頃な廃屋を発見した。 「あっ、ペロ!! あそこに!!」 素早く石段を駆け上がり廃屋に隠れる。 直後に現れた生徒達の一団は廃屋など気にも留めず、その傍らを通過していった。 その様子を廃屋の障子を開けてそっと伺うルイズ・ペロ。 「ふう、行っちゃったわね」 「危ういところだった」 ひとまず安全を確認した2人が廃屋から出ようとした時、 「客人か? 珍しいな」 声が聞こえてきた方向に視線を向けた2人の先には……、 「何用じゃ?」 そう声をかけてきたのは上半身が牛の耳と角が生えた人間の女性、下半身が牛という妖怪だった。 (き……、き……、巨乳だー!!) 「あ……、えっと、ちょっと迷子になって。初めまして、ルイズ・ヴァリエールです」 「ペロです、こんにちは」 丁寧に挨拶した2人だったが、その視線は彼女の顔ではなく別の場所に向いていた。 「どこに向かって挨拶しとるんじゃ! わしはハラミじゃ、件のハラミ。どいつもこいつもわしを見れば乳を見よる。嫌になるわ」 「あっ……、それは何がどうなってそうなってるか気になって……」 「ハラミは毎日何を食べて乳を育てた?」 「草」 それを聞いたルイズ・ペロは目を輝かせ、猛烈な勢いで床一面に敷き詰められた飼い葉を貪り始めた。 「美味しくないわね」 「口がごそごそする」 「人の寝床を食うでないわ。何じゃ、乳を大きくしたいのか?」 『したい!!』 「ペロは大きいじゃない」 「ルイズは貧乳だな」 「ひひひひ、貧乳じゃないわよ、普通よ!! でももう少し大きかったら……」 その時2人の脳裏には美人度が5割は増した自分達が、肌もあらわなドレスを纏いセクシーポーズを決めている風景だった。 「それは乳だけの問題じゃなかろ」 「えー、いい線いってると思うんだけど」 「ヘアヌード写真集も出そう!!」 「ヘアヌード!? それは嫌よっ!!」 「じゃあ毛を剃ってただのヌード写真集にしよう」 「……そ、それ違うわよ、全然意味違うわよ!!」 「じゃあ脱がないで毛だけ剃るのか? ルイズはマニアックだな」 「ちょ……、何でそこで毛だけ残るのよ!? それじゃ胸関係無いじゃない!!」 「なるほど、確かに」 「乳が大きいのはそんなによいか? むしろわしは乳を小さくしたいわ。これじゃまるで牛そのものじゃ」 『牛……』 「し……、搾ってみたらどうかしら?」 「なるほど、じゃあそれを頼もう」 「おー、乳搾り!!」 壁際に設置された手すりともつかない奇妙な棒を両手でつかみ、ハラミは乳搾りの体制を取る。 「………」 「頼む」 (じ……、自分で言い出した事だけどこれって凄い恥ずかしいかも!! ……ううん、そんな事ないわ、女の子同士なんだから! 恥ずかしがる方が恥ずかしいわよ!!) しばらく躊躇していたルイズだったが、やがて決意と共にハラミの胸に手を伸ばす。 「し……、失礼しまーす」 ルイズが胸に軽く触れただけでハラミはぴくりと反応する。 (う、わ、何これ何これやわらかいよー) 目を閉じつつ必死で搾っているルイズにハラミは、 「ルイズ……、片方だけじゃなくてちゃんと両方」 ルイズがハラミの両胸から乳を搾り出しその傍らでペロが、 「勿体無い」 と言いつつ腹部に流れ落ちた乳を舐めている。 (ぎゃー、何でこんなエッチな事に!? うわーん、キリ助けてーっ! どうしよう、何かやだ、気持ちいい……) 「あ、小さくなってきた!」 搾っているうちに、ハラミの胸はルイズの掌に収まるほどにまで縮小したのだ。 「礼を言うぞ、ルイズ! ありがとう!」 「いえ、そんなたいした事じゃ……」 手を取って感謝を伸べるハラミにルイズがどっと疲れた表情で返した時、 「どうわー!」 『え?』 ペロの声に振り向いたルイズ・ハラミが見たものは、胸が人の首ほどの大きさに膨れ上がったペロの姿だった。 「ルイズ……、搾った乳舐めたら、こんな……」 「ええっ!?」 ルイズが自分の掌に付着した乳を舐めた途端、ローブの胸がはちきれんばかりに盛り上がった。 「わあああ!」 「おお」 「ねえ、これクラスのみんなにも分けたら、機嫌が直るんじゃないかしら?」 「それは名案!!」 「ハラミ、もう少しだけ搾らせて!」 「かまわんよ」 「ルイズ、牛乳瓶持ってきた!」 教室に戻ってきた2人の胸を見たキリは目を丸くして、 「どうしたの、それ!?」 「ハラミの乳を搾って、搾った乳を飲んだら――」 「――こんな事に! キリも飲む?」 「搾って……?」 それを聞いたキリの目に奇妙な光が宿る。 「じゃあ今度は私がルイズの乳搾りしようかなー」 「ちょ……っ、えーっ!? やだ、また小さくなっちゃう!!」 「私は小さくても好きだけど」 「やーだー!」 「みんなー、見て見てー」 そんなこんなでクラス全員ハラミの乳で豊胸された様子を見たろくろ首先生思うに……、 (乳牛村……?) 前ページ次ページときめき☆ぜろのけ女学園
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ギーシュが『アンパンマン』より黒バラ女王を召喚 part-01 ギーシュくん が ふういんされた くろバラじょおう を しょうかん してしまいます。 part-02 くろバラじょおう の ふういん が とけてしまいました。 part-03 じゆう に なった くろバラじょおう は みんな を くろく してしまいます。 part-04 ギーシュくん たち は がくいん の なか に とじこめ られてしまいました。 part-05 とじこめられた ギーシュくん たち を オスマンがくいんちょう が たすけてくれました。 part-06 ギーシュくん たち は がくいん から だっしゅつ しようとします。いっぽう、そのころ トリステインおうこく では・・・ part-07 オスマンがくいんちょう の おかげで みんな は そと に でること が できました。だけど、その せいで・・・ part-08 そと に でた みんな は くろバラじょおう から にげだします。 part-09 がくいん の みんな は つぎつぎと くろバラじょおう に つかまって しまいます。だけど、コルベールせんせい が とっさに きてん を きかせて・・・ part-10 ギーシュくん は そら を とべない ルイズちゃん を せおい ながら にげていました。 part-11 ギーシュくん たち の まえ に あらわれた くろバラじょおう は みんな に ひどいこと を させようとします。 part-12 いじわる な くろバラじょおう は みんな から やさしいこころ を うばおうとします。 part-13 ルイズちゃん は ゆうき を だして くろバラじょおう に たちむかいました。だけど、ルイズちゃん の まほう は くろバラじょおう には きかなくて・・・ part-14 ~ルイズちゃん の まほう で くろバラじょおう を やっつけること が できました。だけど じつは……~ part-15 ~ギーシュくん は ルイズちゃん に とりついた くろバラじょおう と けっとう を することになりました~ 注)アニメ本編だと身長が登場する話によってかなり違います。 なので、今までに黒バラ女王をちょこっと見かけたことがある人は 「黒バラ女王の身長設定おかしくないか? でかすぎwww」 と思うかもしれません。 アニメ本編では、20mくらいの身長のときもあれば、山よりでかいなんてときもありました。
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前ページ装甲騎兵ゼロ 第6話「決闘」 決闘の準備をするため、部屋へと向かうキリコとその後を追うルイズ。 道中、ルイズは考え直すよう説得していたが、キリコはほぼ無視して部屋に戻る。 そして部屋に入るなりこう言った。 「やつの魔法を教えてくれ。」 戦う相手の情報は、少しでも多いほうが良い。 それは時に、戦場での生死にさえ直結することを、キリコはよく知っていた。 答えを待ち、じっと静かにルイズを見る。 「……どうしても、引く気は無いの?」 やめさせたいルイズは問う。しばし、互いに無言で見つめ合っていた。 やがてルイズは目線をそらすと、大きなため息をつく。 「はぁ~……。わかったわ、そこまでやる気なら、私はもう止めないわ。 ギーシュの魔法も教えてあげる。けどその代わり、一つだけ命令を聞きなさい。いい?」 ルイズはそう言うと、キリコに向けて右手の人差し指を立てる。 頷いて、キリコは了承した。 「『絶対に勝つこと』。主人を無視して、勝手に勝負受けておいて、負けたから謝りましょう? 私はね、そんな恥さらしな真似はぜぇ~~~っっったいにお断りなんだからっ!!」 決意を変えぬキリコに対する、ルイズができる最大限の譲歩だった。 キリコもまた踵をそろえ、無言の敬礼で答えた。 トリステイン魔法学院は、本塔と各属性を現す五本の塔から成り立つ。 五大属性を現す各塔は本塔と通路で結ばれ、さらに各塔を結ぶ形で外壁が構成されている。 その形は、丁度ペンタゴン(五角形)の形になるよう設計されていた。 ヴェストリの広場は周囲五塔のうち、『風』と『火』の塔の間にある中庭である。 構造上西側にあるので、日中でもあまり日の差さないこの広場に今、多くの生徒がひしめいていた。 噂は広がり、賑わいをききつけ、刺激に飢えた生徒はまだまだ集まってくる。 その広場中央のあたりに、杖として使っている薔薇を携え、ギーシュは待っていた。 憂さ晴らしの獲物が来るのを、今か今かと待ちながら。 「ルイズと使い魔の平民がやってきたぞっ!」 生徒達は歓声をあげる、命知らずがやってきたと。人垣をわけ、キリコとルイズがやってきた。 「とりあえず、よくぞ逃げずに来たことを褒めようじゃないか。」 ギーシュの挑発的な言動を聞き流しながら、キリコはぐるりと辺りを見回す。 地面は起伏もなく平坦。遮蔽物となりそうなものは、周囲には見た限りなし。 (正面から戦うほかないか。) 無駄撃ちを避けるため、自動小銃のセレクターをセミオートにしながら、キリコは考える。 ギーシュは戦闘で、主に複数のゴーレムを操るとルイズから聞いていた。 人ではない、命を持たぬ相手。自分の持っている銃で、どの程度攻撃が効くかはわからない。 もし囲まれでもされた時、ゴーレムを倒して抜け出せるか? また仮にゴーレムを倒せても、ギーシュの使う魔法がそれだけとは限らない。 直接的な攻撃魔法を使われて、果たして避けることはできるのか? あらゆる状況を想定し、対応を考えるが、それが実戦で出来るかといえば、否である。 (どの道、やってみるしかない。) 敵の戦力も、戦場もある程度わかっている。準備もしていた。 ならばあとはただ、戦うだけである。 覚悟を決めるキリコ。そのとき左手のルーンの輝きが、少しずつ増していた。 そんなキリコを見ながらギーシュは言う。 「それが君の武器か。あのゴーレムは使わないのかい?」 「……。」 いくら魔法を使うメイジとの勝負といっても、魔法以外は至って普通の人間だ。 これが大軍団ならともかく、流石に一人相手にATを使用する気はキリコにはない。 今のキリコの装備は、常に携帯しているアーマーマグナムと、自動小銃。 それとそれぞれの予備の弾が少々に、ナイフ一本といったところだ。 他にも手榴弾などがあったが、数は多くないので持ってきてはいない。 現状では補給の見込みが期待できない以上、そうやすやすと使うわけにもいかないからだ。 ATを使わないのも、このあたりの事情が関係していた。 何も言わずに睨んでくるキリコが不愉快なのか、ギーシュは内心で苛立つ。 「ふん……では始めようか。勝敗は実に簡単、『降参する』と言ったほうが負けだ。」 ギーシュはそう言うと、薔薇を一振りする。花びらが一枚、宙に舞った。 するとそこから、一体の甲冑を着た人形が現れた。 「……っ。」 キリコは即座にライフルを構える。また身体が軽くなる感覚がした。 「僕の二つ名は『青銅』。この青銅のゴーレム、ワルキューレで君の相手を務めよう。」 (様子見か……。) 現れたゴーレムは一体だけ。力量を図ろうという魂胆だろうか、もしくは余裕の表れか。 全力をださないで戦ってくれるのなら、それはそれでありがたいとキリコは思った。 ギーシュはワルキューレを動かし、一歩一歩、ゆっくりとキリコに向かわせる。 対するキリコは動かずに、その動きを注視していた。 「……。」 ワルキューレがキリコの距離が縮めていくと同時に、ギーシュとの距離は次第に開いていく。 「どうしたんだい、怖気づいて足も動かせないのかな?」 ギャラリーから、醜き笑いと野次が溢れ出る。 「はーっはっはっ!そろそろ命乞いでもした方が良いんじゃねーの!?」 「びびってちゃつまんねーぞ、平民ー!」 「こっちはお前に賭けてるんだ、ちゃんと戦えー!」 実に浅ましき生徒たち。果たしてここは本当に、貴族の子女が通う学院であろうか? 生徒達の声も、キリコは耳に入れることはなく、ひたすらワルキューレに注意を向けている。 ワルキューレが一歩近づいてきた。キリコは動かない。また近づいてくる。キリコはまだ動かない。 近づく。動かず。近づく。動かず。近づく。動かず。近づく。 (……っ!) キリコが駆け出した。ギーシュもワルキューレを突進させる。 どちらも一直線に駆けていき、突進の勢いそのままに、ワルキューレはキリコへ殴りかかる。 ここでキリコは動きを変えた。 左足を横へ僅かに突き出して制動をかけ、そこを軸に身体を捻り、攻撃を紙一重で避けた。 さらにその際、攻撃が空振りして無防備なワルキューレに向け、引き金を引く。 甲高い発砲音が一発、広場に響いた。 時間はほんの少し遡り、学院長室。 図書室から全速力で駆けつけたコルベールは、キリコのルーンについて説明していた。 「ふ~む……行き着いた先が、まさか伝説の使い魔『ガンダールヴ』とはのぅ。」 説明を受けたオスマンは、どこか胡散臭げにスケッチと書物のルーンを見比べる。 「そうです!間違いありません!ほら、彼のルーンをとったスケッチとこの―」 「あ~わかったわかった、それはもう聞いたわい。」 興奮気味な様子のコルベールを、オスマンは落ち着けさせる。 「確かに同じルーンじゃ。それはワシも認めよう。 だがの、それだけで決めるのはちと早計……前にも同じこと言った気がするわい。」 そのときドアがノックされる。 「誰じゃ?」 「私です、オールド・オスマン。」 扉の向こう側から聞こえてきた声は、オスマンの秘書、ミス・ロングビル。 余談だが、彼女に対して、オスマンは数々のセクハラを日常的に行っている。 また、それを叩きのめすミス・ロングビルの戒めも同様だ。 しかし、そんな掛け合いは、決して二人以外知ることはない。 コルベールが来る前にも勿論あったのだが、それはまた別の話。 閑話休題。 オスマンはミス・ロングビルに問いかける。 「何事じゃ?」 「ヴェストリの広場で決闘が行われているらしく、大騒ぎになっています。 教師の方々が止めようとしましたが、生徒の数が多すぎてとても……。」 「かぁ~~~っ……。これだから、暇をもてあました貴族の子女というのは性質が悪い。 誰じゃ、そんな馬鹿げたことをやっておるのは?」 額に手をつけながら、再びオスマンは問いかける。 「一人は、二年のギーシュ・ド・グラモンで、もう一人が……。」 そこでミス・ロングビルは言いよどむ。 「グラモン……あぁあのグラモンとこのバカ息子か。 まったく親が親なら子も子じゃ、どうせ色恋沙汰じゃろ。で、もう一人はどこのどいつかね?」 「それが、その……ミス・ヴァリエールの使い魔の男です。」 オスマンとコルベールは顔を見合わせる。 「騒ぎを止めるため、教師達から『眠りの鐘』使用の申し出が着ておりますが。」 オスマンの目つきが変わった。 「いや、秘宝の使用許可はださん。放って置くように言いなさい。」 「はい、わかりました。」 そう言ってミス・ロングビルは、扉の前から去っていった。 それを確認したオスマンは、壁にかかった鏡に向けて杖を振る。 程なくして、鏡にヴェストリの広場の様子が映し出された。 「伝説が本物かどうか、この目でしかと確かめてみるかのぅ。」 弾丸を受けた衝撃で、ワルキューレはそのまま前のめりに倒れた。 キリコは回転しつつあった身体を止め、銃を構えなおす。 その動きに合わせるかのように、左手のルーンがさらにj輝きを増していく。 銃のセレクターを三点バーストに変え、倒れたワルキューレの首と両膝に撃ち込む。 弾は恐ろしいほど正確に撃ち抜き、首と両膝を破壊した。 するとワルキューレの動きが止まる。 (ある程度の破壊で、無力化くらいはできるか。) 冷静に分析するキリコに向かって、驚愕に染まった顔でギーシュは叫ぶ。 「な、なんだそれはっ!?」 そこから広場の空気は一変していった。 「銃じゃないのか……?あれ。」 「あんな形の、見たこともないぞ。」 ハルケギニアの常識から外れた武器に、皆動揺を隠せないでいる。 「今、連続で発射してなかったか?」 「もしかして『東方』で作られたんじゃ……。」 口々に疑問や憶測を言っていく生徒達。 (銃、銃だってっ?バカなっ!あんな短時間で何発も撃てる銃なんて、聞いたことないぞ!?) キリコの使っている武器。それが『銃』などとはありえないと、ギーシュは思っていた。 ハルケギニアの銃は、火薬を載せた火皿に、火縄か火打石で着火するという方式が主流だ。 銃の形態も、それぞれの方式に長短二種類の銃身がある。 ただ、どれも一発撃ってはこめ直さなければならない上、射程距離も命中精度もよろしくない。 キリコの世界からすれば、もはや歴史博物館の資料レベルに値する代物であろう。 だがハルケギニアという世界の技術水準は、未だにそのくらいのもでしかないなのだ。 キリコは今し方破壊したワルキューレから、それを作り出したギーシュへと視線を向ける。 視線に気づいたギーシュは、慌てて新たなワルキューレを作り出す。 「ワ、ワルキューレェッ!!」 今度は槍を装備したワルキューレが、総勢六体現れた。 (本気を出したか。) 一気に増えた敵を見ながらキリコはそう思った。ふと、違和感を感じる左手を見る。 (光っている……。) いつもより身体が動いたり、銃を正確に撃てたりするのと、このルーンは関係があるのか。 しかしキリコには、未だ何も分からないままだった。 (……まだやることがあったな。) 思い出したようにキリコは思考を切り替え、答えの出ない疑問を封じる。 左手から視線を戻すと、その先には依然キリコを睨みつける、ギーシュと六体のワルキューレ。 (今はこいつに勝つのが先決か。) キリコが再び銃を構えると、それに応じるかのように、左手のルーンがさらに輝く。 倒すべき敵へ向けて、キリコは再び駆け出した。 「くっ、一体倒せたからといって、調子に乗るなよっ!」 ギーシュもキリコへ向け、ワルキューレを突進させて迎え撃つ。 だがその動きは、キリコには緩慢なものに見えていた。 (遅いっ。) 一番近いワルキューレが突き出す槍をかわし、隙の出来た右側の肘と膝にバースト射撃を与える。 倒れる様子を横目で見送ると、次の目標に移る。 一体目の直ぐ右斜め後ろにいた二体目の、首と両膝に向けて撃つ。 両膝から下を失って、突進の勢いそのままに地面に激突。衝撃で、破損した首が千切れた。 後方から迫ってきていた三体目と四体目は、先二体の残骸を避けようと一瞬止まる。 キリコはそれによって出来た隙を見逃さず、素早く三体目の首へ撃ち込む。 その頭部が地面に落ち始める時には、既に四体目の膝に撃ち始めていた。 (ウソだろっ!?なんで僕のワルキューレが、こんな簡単にっ!しかも平民なんかにっ!) ギーシュは焦りと恐怖で、ワルキューレの操作が徐々に雑になっていく。 四体目も、やはり首と膝を撃ち抜かれて地面に崩れ落ちた。 その隙を突こうと五体目が接近するが、無謀にも真正面から突っ込んでいく。 案の定、両肘と両膝を撃たれて、何も出来ずに行動不能にされる。 気づけばワルキューレ六体中のうち、五体を既に倒されており、残りは一体になった。 「も、戻れワルキュ―っ!」 自分の盾として六体目を戻そうと、ギーシュはワルキューレを動かす。 だが動かそうとした瞬間、首と両肘両膝に正確な射撃を食らい、最後の一体も倒れた。 全てのワルキューレを倒され、ギーシュは放心した。 キリコは次の攻撃に備えるが、魔法を使うための精神力は、すでにギーシュにはない。 しばしの静寂が、広場を覆った。 (打ち止めか。) 何も仕掛けてこないことを確認すると、キリコは一気に距離を詰める。 「ひっ!」 あまりの恐怖にギーシュは腰を抜かし、思わず尻餅をついた。 その様子を何の感慨もなく見下ろしながら、キリコは自動小銃の銃口を向ける。 「待った!や、やめてくれっ!撃たないでくれぇっ!」 青銅でできたワルキューレを容易く打ち負かした、見たことも聞いたこともない銃。 そんなもので人が撃たれたら、果たしてどうなるのか。悲惨な想像がギーシュの頭によぎる。 「降参しろ。」 キリコはそう言うと、銃口をギーシュに近づける。 「わ、わわ、わかったっ、降参だ!僕の負けだ!」 ギーシュは負けを認めるが、キリコはやめない。もう一つ確認が済んでいなかった。 セレクターをセミオートに戻し、さらに銃口を近づけながらキリコは問う。 「確認する。謝るか?」 「謝ります謝ります!君にもルイズにも謝ります、絶対にっ!だから銃をしまって! いやしまってください!頼みます、命だけは助けてっ!やめて、お願いしますぅぅぅぅぅぅっ!」 ついには泣き叫び、土下座までして命乞いをするギーシュ。 負けと謝罪の確認をとったキリコは銃を下げて近づき、ギーシュから薔薇を取り上げる。 それを放り投げ、一発。 無慈悲な鉛球が薔薇を捕らえ、その花弁を散らした。 一拍の間を置いて、ヴェストリの広場に盛大な歓声が沸き起こった。 「ホントに、勝っちゃった。」 戦いを見ていたルイズは呆然としていた。 まさか傷一つ負わずにメイジに勝つなど、考えてもいなかったことだ。 だがキリコは勝った。それは紛れもない事実である。 「……。」 「あっ。」 いつの間にか、ルイズの目の前にキリコが立っていた。 「え……っと、勝ったのよ、ね?」 「あぁ。」 キリコはそれだけ言うと、ルイズの脇をさっさと通り過ぎる。 「ちょ、ちょっとどこいくのよっ!?」 ルイズの問いかけに、一度立ち止まる。 「ATを見てくるついでに、夕食もとる。済んだら部屋に戻る。」 そう言って再び歩き出し、キリコはヴェストリの広場から去っていった。 広場の喧騒をよそに、残されたルイズは一人つぶやく。 「っもぅ、使い魔のくせに勝手なことばっかりっ!」 「勝ちましたね。」 「うむ。」 コルベールとオスマンは、決闘の一部始終を見終わっていた。 「やはり、やはり間違ってなかったのです!あの身のこなし、普通の人間には真似できません! ギーシュは最低ランクのドットメイジとはいえ、ただの平民に遅れをとることなどまずない! しかし彼は勝った!間違いありません、彼は伝説の『ガンダールヴ』ですよ、オールド・オスマン!」 コルベールは非常に興奮した様子で、オスマンにまくし立てる。 「わかったわかった、そんなうるさくせんでも聞こえとるわい。」 そう言ってオスマンはコルベールをなだめる。 「これは世紀の大発見!早速王室に報告して指示を―」 「それには及ばん。」 オスマンは厳しい目つきでコルベールを止める。 「ミスタ・コルベール、『ガンダールヴ』はかの始祖ブリミルが用いた使い魔だと聞く。」 「はい。文献によれば、主人が呪文を唱えている長い時間、それを守るための存在であると。 さらにその力は、曰く、千の軍隊をたった一人で相手にできたとか。」 手に持った書物のページを見ながら、コルベールは答える。 「そうじゃ。その『ガンダールヴ』である彼は、確かミス・ヴァリエールの使い魔じゃったか。」 「えぇ、確かにそうです。最初召喚されたときは、ただの平民だと思っていたのですが。」 「ミス・ヴァリエールはメイジとしてどうなのかね?」 「え?あー、その、魔法が失敗ばかりで、なんというか、まぁ……。」 どう答えて良いものか、コルベールは言葉を濁す。 「メイジとしては、決して優秀なわけではないじゃろう?」 「まぁ、そういうことになりますな。」 苦笑いでコルベールはそう返した。 「うむ。そして問題はここからじゃ。」 オスマンの表情が、一層険しくなる。 「そんな彼女が、なぜ伝説とまで言われるほどの使い魔を呼び出したのか。全くもって謎じゃ。」 「言われてみれば、確かに……。」 オスマンの言葉に頷くコルベール。オスマんは立派な髭をなでながら続けた。 「彼についても同様じゃ。 出自は不明、所有物は鋼のゴーレムにみたこともない強力な銃。 また彼自身がメイジというわけでもない、いってみればごく普通の平民。 いや、そもそも人間が使い魔というだけでもかなり異例か……。」 考えれば考えるだけ、謎は深まっていくばかりの現状に頭を抱えるオスマン。 「加えて『ガンダールヴ』ですからね……。 一体何者なんでしょう、彼は?」 「それがわからんから、君に調べさせとるんじゃっ。」 「す、すみません。」 まるで他人事のように言うコルベールの言葉にオスマンがツッコむ。 「しかし、本当に何者なんじゃろうな……。」 オスマンは昨夜提出された、コルベールが作成した報告書を再び読んでいく。 そして書類のある単語に眼が留まった。 「異世界、か。 案外、分からんことが全部この一言で説明ついたりしてな。」 「おぉ……!」 自説が的中かと、また熱くなるコルベール。 しかし「確かめるすべもないがな」とのオスマンの言葉にがっくり肩を落とす。 「まぁともかく、このことは機密扱いじゃ。もし王室のロクデナシどもに報告でもしてみぃ。 宮廷にいる暇を持て余した戦好きな連中が、彼らの力を利用して戦でも起こされたらかなわんわい。」 「ははぁ、学院長の深謀には恐れ入ります。」 「だからこの件はワシが預かる。口外もせんように。わかったの?」 「は、はいっ、わかりました!」 予告 恋とは、実に甘美な果物である。 それは同時に、時に理性を壊し、人を狂わせる猛毒も孕んでいた。 しかし誰もが知りながら、止めることなくそれを食す。 例え壊れてでも、得がたい愛があるのだと。 夜の学院に、愛に溺れた狩人がキリコを狙う。 次回「微熱」 キュルケは魅惑の焼夷弾。 炸裂、爆裂、ご用心。 前ページ装甲騎兵ゼロ
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年齢:17 性別:女 レベル:8 メインクラス:聖職者 サブクラス:伝承術士 種族:幻想種 参戦回数:12 コミュニティ:料理同好会(会長) 身長 162 体重:秘密 スリーサイズ:秘密 PL名:えーりん 「ニューエイジ神道!ここにあり!!」 「私は……私の道を行きましょう!例えその先に何があっても!!」 概要 狐の妖怪変化で、白姫稲荷神社の一人娘。 両親は優しく見守っていたが、何処をどう間違えたか神道と陰陽道をミックスしたスーパー神道を目指すようになってしまった。 周りからは変わり者扱いされているが全然気になどしておらずマイペースで行動している。 コネクション・友人関係 エリザ・アーバガストとの相性は致命的なまでに合わない。 これはもはや遺伝子レベルで分かり合えないのであろう。 エリザ・アーバガストとの激闘の歴史 タイトル 内容 判定 結果 見所 ファーストコンタクト! 握手 筋力 勝利 覚えてて良かった、地獄の九所封じ ルームランナー 走 敏捷 引き分け ルーンに頼るとは卑怯な!! メルにことごとくマヨネーズを食らっている……ヤキソバ、紅茶 学園祭で烏丸秀と仲良くなったような気がする! 宮凪俊造にセクハラされる、多分今後助ける事は無いだろう…… PickUp 狐の妖怪変化なので素早さを活かし活動する。 今の所は簡単な攻撃魔法と補助しか出来ないがもう少し経てば変わってくるだろう
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元スレURL せつ菜「勇者の剣を手に入れました!!」 (広島編) 【SS】侑ちゃん☆ワンダーツアー (東京編) 【SS】せつ菜の愛知の旅 (愛知編) 璃奈「かすみちゃんのバカ。きらい。」 (福岡編) 【SS】大阪・にじたびの陣 (大阪編) 【SS】ランジュ「きゃあっ!北海道よ!」 (北海道編) 概要 にじたび公演前シリーズ 現地を堪能する同好会の面々 タグ ^虹ヶ咲 ^高咲侑 ^短編 ^ほのぼの ^コメディ 名前 コメント
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前ページ次ページT-0 オールド・オスマンの部屋を目指して、『炎蛇』の2つ名を持つメイジことコルベールは走っていた。 肩が揺さぶられ、服が着崩れ寸前になっている事も、体力にはそこそこ自信があるにもかかわらず、 息が切れ掛かっている事もお構いなしだ。 それほど大事な、2つの報告があった。 それも、片方は下手をすれば国を揺るがすほど重大かも知れない、機密的な報告が。 だからコルベールは走っていた。この事実をオスマンに、恩師に「伝えなくては」と。 いよいよオスマンのいる学院長室の扉が見えたとき、彼はいつも何気なく通る道が果てなく思えた。 ここは、実はコレほど長いものだったのか? という錯覚すら覚えていた。 ターミネーターは足を少し上げると、ほぼ歩く要領でワルキューレを顔から踏み潰した。 薄っぺらく変形した青銅が地面に落ち、持っていたハンマーが手からずり落ちた。 目の前で起きたことが信じられないのは、何も対峙しているギーシュだけではない。 彼らを囲う見物人たちも、開いた眼や口が閉じそうに無い者が大勢いる。 てっきり、一方的な弱者暴虐が見れるとばかりに心を躍らしていた彼らは、 しきりに隣近所のやつと顔を見合わせたりして、これがリアルである事を確かめ合っていた。 そして、一寸遅れた後に、彼らはざわざわと騒ぎ始め、事実を認めたくない何人かのお調子者どもは 矢継ぎ早にギーシュを冷やかし始めた。 「おいおいおいギーシュ? 本気出せ――っ!!」 「さすがにお優しいな――ッ、ギ・ー・シュ・さ・ま……ハハハハハッ!!」 「真面目にやれ――っ!!」 ヒートアップしてきた彼らの口からは、 とても貴族様のお言葉とは思えないほどの汚さと醜さに満ちた言葉が吐き出される。 「くそっ……」 別にそのヤジに乗せられた訳ではないが、 ギーシュは焦りの中で杖を構え直し、今度は造花の花弁を2枚振り落とした。 出てくるのはやはり、甲冑の女性像ワルキューレ。 ただ、今度の2体はそれぞれ青銅で練り固められた剣を握っている。 だが、その2体も使い魔の男に傷一つつけることなく、 剣を振りかぶった一瞬に、男が無造作に払った右腕によってゴミクズのように空を舞った。 殴打された部分がグシャグシャに潰れ、特に片方は腰をやられていたせいか、 上半身と下半身の真っ二つに引き千切れていた。 男は地面に横たわるワルキューレの残骸を興味深そうに一瞥したが、 さして興味を誘わなかったのだろう、くっと目を先に上げて、ゆっくりと視線をギーシュに戻した。 「くっ!」 視線の交わりに気圧されかけたギーシュは思わずしりもちを付きそうになったが そこは持ち前のプライドと意地で何とか堪えた。 男は黙ってギーシュを見ていたが、それに飽きたのか、はたまた様子見が終わったのか、 唐突に首を少し傾けるとゆったりと身体を動かし、永い眠りから目覚めたばかりの獣のように緩やかに歩き出した。 「報告があります、オールド・オスマン! ノックもしない無礼はこの際お許しください」 うまくロレツ回らない舌で早口言葉のように言い切ると、勢いまかせに扉を開けた。 目の先に、長い白髭を十分に蓄えた偉大な魔法使いが…… ――眼鏡の似合う理知的な女性に踏みつけられ、床に這いずっていた。 「……何してらっしゃるんでしょうか……?」 床に四散している書類を踏まないように気をつけ、オスマンの目の前まで移動した。 恩師の無様な姿に思わず言葉を失いそうになったが、力を振り絞ってみれば震える口から何とか言葉を出す。 コルベールを見上げていたオスマンはきょとんとした顔になり、飄々とした態度で白髭を撫でた。 「『何』って……ミス・ロングビルに腰のマッサージしてもらっとったんじゃが……?」 最後に「のう?」と付け加え、真上に見える女性に同意を求める。 オスマンを踏みつけている女性――ミス・ロングビルはクスクス笑いながら、言った。 「ええ。何か誤解をされてるようですが、オールドオスマンの仰った通りですが?」 「そ、そうでしたか。ミス・ロングビルが仰るならその通りなのでしょうな! いや、全く……」 てっきり、『また』セクハラしたオスマンに怒ったロングビルが、折檻しているところなのではないか? とそれに近い事を言いかけたが、なんだかロングビルの笑顔が怖い上、怪しく光(っているように見え)る目が これ以上何も言うなと語っていたので言わぬが吉だと判断を下した。 ところでどうでもいい話だが、このミス・ロングビルはオールド・オスマンの秘書であり、コルベールから見て女性の理想に近い。 無駄の無いすらりとした体系に、整った顔立ち。 ややきつめの印象がある目の上にかけられた眼鏡が知的な色気に加え、デキる女である事を見るものに思わせる。 しかも見てくれだけでなく、実際仕事ができるために、ロングビルという高嶺の花はコルベールには一層眩しく遠くに見えていた。 まぁ、要するにコルベールは、42にもなって片思いというやつをしているのだった。 「あ――で、何のようじゃったかのうミスタ・コルベール? 最近物忘れがちと激しくての……」 「まだ何も言ってませんよ、オールド・オスマン」 なんだか終わりそうに無い漫才となりそうなので、 コルベールは咳払いを一つして気持ちを切り替えると、真剣な表情でオスマンを見据えた。 まだミス・ロングビルがいるが、彼女は信用できる。まぁ、言っても差し支えは無いだろう―――― グシャ…… ターミネーターが無情にもワルキューレの残骸たちを踏みつけ、また一歩ギーシュへと近づいた。 その足取りは相変わらずゆっくりなのだが、確実に近づいてくる分その遅さが逆に恐怖を煽る。 ギーシュは後ずさりしながらだんだんと追い詰められ、とうとう硬い壁に背中を預ける形となっていた。 もう、後には引けない。 既にワルキューレは全7体を出し切り、今ギーシュの前に立っているのは武器も持たない2体だけだ。 残りの5体――後に出した2体は一撃でオシャカにされた――は皆地面に崩れ落ち、ターミネーターに踏み潰されている。 予想の斜め上を行く――……『平民』と『貴族』というものの本来の優劣が逆転した構図にも見えるこれは、 それまでまだお気楽な見世物見物の気分だった周囲の貴族達、及び偶然居合わせた何人かの使用人(平民)たちの言葉を奪い、 彼らの胸中に不安と期待を植え込ませた。 それは主人のルイズも例外ではなく――――彼女は3割の不安と2割の期待、そして5割の好奇心を混ぜ合わせた瞳で事の経過を見守っていた。 彼女の脳裏を同時進行を促す記憶は、ターミネーターの台詞とあの悪夢の事――。 自分がターミネーターに対し負けろと言った事など、驚愕したのを機に脳の片隅へと押しこめて、 とっくに忘れていたことだった。 突如として現れた人形は青銅で出来たものであり、ターミネーターではなかった。 初めて出現したときは、その製造工程からメモリにあるT-1000の姿とダブって見えもしたが、 壊してみれば所詮単純なつくりで、しかも出来の悪い青銅人形だった。 青銅よりはるかに硬度に、そして精密に造られた自分自身――T-800――の敵ではない。 案の定、それらは手を振るわせただけで簡単に潰れ、攻撃すれば自身が潰れるという体たらく。 ターミネーターはこの戦いにおける勝率を、ゆるぎなく99・9パーセントと定めた。 赤い前方表記越しに見える人間の子供の顔は、断定は出来ないが恐怖か哀しみかのどちらかに染まっていると判断できる。 そして、子供と、ターミネーターを遮るように立つあの青銅の人形は、これ以上出してこないことから見て、 どうやらあれらが最後の2体である可能性が高い。それとも、無駄だと悟って出してないのかも知れないが、この際別にどっちでもよかった。 それよりも、気になる問題は先程から身体機能に生じる、『妙な負荷』だ。 あの人形を破壊する直前、刹那の間に等しい一瞬電子機能がハッキングされたように白く弾け、 次に前方表記画面が元に戻ったときには、運動及び行動をつかさどる一連の機能が過負荷を起こしたようにうねりを上げ、 設計されている耐久以上の過負荷を事実として全身に轟かせていた。 通常なら望まない過負荷が掛かった場合、この時点でCPUが警告を発して運動機能を一時的に停止させるはずなのだが、 今、ターミネーターの前方表記には警告の文字が一つとして見られなかった。 計算される負荷は確かに限界地を超え、通常のT-800モデル以上のパワーを生み出しているはずなのにだ。 一応自己検査を行ったのだが、何度やっても結果は問題無と表示されるだけで原因は不明なまま。 計算計器が狂っている事も含めて検査を続けるも、相変わらず異常無と問題無が表示されるだけに終わった。 そういえば、文字を刻まれたと聞いた左手から、 ちりちりと焼けるような痛みが時々するのだが、果たして関係あることなのだろうか? 死刑台に足を乗せているような心境だった。とてもじゃないが『生きている心地』というものが感じられない。 まさか、平民だと愚弄し、タンカを切った相手がここまで怖いとは思いもしなかった。 ワルキューレを紙くずのように引き千切ったパワーに、青銅の一撃で全く傷つかない防御力。 ギーシュは思った。 あの平民の男は本当に平民……いや、それ以前に人間なのか? と。 ともかく、わかっている事は使い魔の繰り出すあの一撃をまともに受けては、華奢な自分などどうなる事かということ。 ……想像しただけで吐き気を催した。 いやだ! まだこんなところで死にたくは無い! バッ、と花びらの散って丸ハゲになった杖をターミネーターに向ける。しかし、気力だけ。 ギーシュはまだ知る由も無いが、恐怖や恐れの無いターミネーターにそんな脅しが通用するはずも無かった。 「と、止まれ! 止まらないともっと痛い魔法をお見舞いするぞ!!」 上ずった声で叫びとおす。しかし、言葉の意味が解からない――仮に解っていたとしても――ターミネーターの足は止まらない。 慌てふためいてバランスを崩し、背後の壁にもたれ掛かった。迫りくる恐怖を前に、ギーシュはある種の絶望をかみ締める。 (パニくって考えなしにワルキューレを生産したのがまずかったな……もう、殆ど魔法を繰り出せる精神力が残っていないや……) 考えろ。 頭の中でもう一人の、プライドが高く諦めの悪い面の自分が叫んだ。 ココで諦めてはいけない。この判断こそが、自分の命だけでなく、家名や……愛する者まで傷つけてしまいかねない。 考えろ! あせりと恐怖に飲まれそうになるのを、息を整えて落ち着く事で阻んだ。 最善の方法を今ココで、この状況で判断するんだ、見つけ出すんだ…………。 だが、現実は甘いものではない。 考えを張り巡らせ、可能性を導き出すほど今が本当に『どうにもならない状況』だという事が身に染み渡った。 虚ろになって空を見上げる。もうだめだ……そう思ったのと同時に、身体の力がずるりと抜けた。 見上げた際に重心が後ろになり、これでほぼ全体重が壁にもたれ掛かることとなる。 (この壁みたいに、僕が強くて逞しかったらな~……) 自分を支える壁を横目を通してちらりと見やる。 太く大きな石で固められた、くすんだベージュ色の壁は何も答えてはくれなかった。 (ん? 壁…………!!!) ギーシュは飛び上がって振り返った。 見物客がそれを見て高らかな歓声と悲鳴をあげたが、今のギーシュには届いていない。 彼はひたすら壁の存在を確かめるように撫でまわし、叩き、蹴った。 ――ふっ! 先程までとは打って変わり、やたらときびきびした動きに戻ったギーシュは意気揚々と踵を返し、 今まさにワルキューレたちに手をかけようとしていたターミネーターを指差した。 その奇行に、驚いたわけではないがターミネーターは動きを止めた。 「君を倒す算段がついた!!」 ギーシュは自身を秘めた大声で叫んだ。 「決闘は僕の勝利で終わらせてもらう!!」 決意の篭った強い声が広場全体に響き渡ると、広場の雰囲気ががらりと変わった。 お調子者たちは拍手喝采。全員総立ちでギーシュの人知れぬ自信に期待を寄せる。 無論、ターミネーターには関係ないが。 表情を変えぬまま彼が足を再び動かそうとしたとき、それよりも先にギーシュは大げさに杖を振るった。 前ページ次ページT-0
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「kore.mii」とは コロナによる影響で作品発表の場を失った数多くのクリエイター、アーティスト、作家の救済企画。 クリエイターの情報を集めた冊子となります。 https //www.koremii.com/ kore.mii vol.3 WINTER にSnakerNakajimaも掲載させていただきました。 掲載作家数75名の大ボリュームの冊子で2021年10月15日発行となります。 https //www.koremii.com/?page_id=992 サイトのSnakerNakajima紹介 https //www.koremii.com/?p=1315 ‐オンライン展示会に参加-‐ 【展示会場】 https //www.koremii.com/?page_id=1103 https //www.koremii.com/?page_id=992 【展示作品】 【好きな人と繋がりたい】 ずっと一緒。