約 1,871,760 件
https://w.atwiki.jp/zeromoon/pages/152.html
前ページ次ページシロウが使い魔 第4章 「く、くふふふふふふふ」 妙な笑い声を出しながらルイズはもだえていた。 自室のベッドの上で、枕を抱きしめて顔をうずめながら足をバタバタしながら 笑いを押し殺していた。 それは、先ほどのことである。 ─回想─ 「サーヴァント・衛宮士郎。 ───これより我が剣は貴女と共にあり、貴女の運命は我と共にある。 ───ここに、契約は完了した」 一瞬、呼吸を忘れるくらいにルイズは己が使い魔に見とれてしまった。 周囲の景色も、時間も、全てが消え去った瞬間…… < ぐぅぅぅぅうぅぅぅぅぅ > 台無しである。いくら昼食をまだ摂ってないにしてもである。 士郎は自分の失態を顔色に顕著に表していた。火竜山脈の万年マグマと比べても なんら遜色ないくらいに真っ赤になっていた。 「…………!」 ルイズは吹き出すのをこらえる事に精一杯だった。何とか呼吸を整えて 「遅いけど昼食にしましょ。私の部屋へ運んできて」 と声を掛けてそのまま部屋に戻ってきたのだった。 ─回想終了─ 今もルイズの顔色は真っ赤である。先ほどの名乗り。 実はそれだけでもルイズは、悶えるには十分だったのだ。 (私、何を使い魔にこんな気持ちになっているんだろう……) そして、名乗りの直後のお腹の音も思い出し、今度は笑い悶える。 実は士郎のお腹の音に隠れて、ルイズもお腹を鳴らしていたのだが、それを士郎が知ることは無かった。 ────────────────────────────── お腹の音を聞かれて、逃げるように部屋へ戻ったルイズに取り残され、 しばらく士郎は立ち尽くしていた。 気を取り直して、厨房へ食事を調達しに向かう。 「…………」 ルイズとは、しばらく恥ずかしくて口も利けないだろう。 厨房に入ると、なにか大きな物体がもの凄い勢いで衝突してきた。 「シロウさん! 無事だったんですか?!!」 シエスタだ。先ほど別れてから、ずっと泣いていたような顔である。 「わだじ! わだじ! じゅっどジロヴざんのごど、じんばいじで……」 言葉にならなくなってきている。 周りのメイドに訊いたところ、 シエスタがトラブルに巻き込まれたようだと聞いて、見に行こうとしたところ 泣きながらシエスタが帰ってきた。 訳をきいても、「シロウさんが……、シロウさんが……」 としか言わない。 決闘騒ぎがあったとひとりの学院の教師が教えてくれた。 そして今度はギーシュと名乗る生徒が厨房のシエスタを尋ねてきた。 シエスタは視線で呪い殺してやるというくらいに、ギーシュを睨みつけた。 「さきほどはすまない。あれは全面的に自分の非であった」 と、ギーシュが謝っても、けしてシエスタは睨むのをやめなかった。 そして士郎が登場したというわけである。 (そうか、ギーシュは早速謝罪したのか)と、ギーシュの潔さを認めようかとも思った。 「ジロヴざ~~~~ん!!!」 泣きついて離れないシエスタを周りの助けも借りて引き剥がして、料理長に賄いを2人分頼む。 なにがあったかはどうせ明日には噂でわかるだろうと思い、詳しい説明はしないでおいた。 ────────────────────────────── <コンコン> ルイズの部屋の扉がノックされる。 「開いているわ」 士郎が食事を二人分運んできた。 「……!、じゃあ早速食べましょ」 笑いを堪えつつ、食事を始めるルイズ。同じく食事を始める士郎。 「なにこのシチュー!! 凄く美味しい!!」 士郎が持ってきたシチューの皿と、粗末な麦で作ったパン。これが今まで食べた料理の中で 一番旨く感じたルイズ。 「なに? 厨房の平民たちって自分たちだけでこんな美味しい料理を独り占めしているの?」 さすがにそのようなことを言われていると反論せざるをえない。恥ずかしさを忘れて口を開く。 「違うよ。それはルイズがこれをはじめて食べるからだろう。 あと昼間、掃除で働いたって理由もあるはずだ」 「どういうこと?」 「普段から働いて体を動かしている人間は、体が塩分の濃いものを欲しがるようにできてる。 このシチューだって、普段体を動かしていない人間には、濃すぎる味付けだと思う」 ルイズは神妙に話を聞く。 「厨房の賄いは余り物を食材として作られるんだ。だから大体シチューになる。 なんでも煮込めばいいんだからな。 料理長の腕は抜群だろうけど、それは自由に食材を使えるときにこそ発揮されるはずだよ」 それほど多くこの学院で食事をしたわけではない士郎だが、大体見当を付けて話していた。 「ふ~~ん、そうなの……」 相槌を打ちつつ、またそのうちに賄い料理を食べさせてもらおうと企むルイズだった。 <コンコン> 扉がノックされる。ルイズが入室を促す。 「ミス・ヴァリエールとシロウさん、 ミスタ・コルベールがお呼びらしくてお部屋の方に来るようにと……」 言伝を持ってきたのは顔を真っ赤にしたシエスタだった。 「わかったわ。あ、丁度良かった。食器をついでに片付けてもらえる?」 シエスタは、士郎に何かを言いたげな視線を向けていたが、 「はい、わかりました。では、失礼致します」 と告げ、そのまま戻っていってしまった。 「なにかしら?ミスタ・コルベールの用件って……」 ……… 「シロウのルーンが始祖ブリミルの使い魔のルーンですって!?」 「声が大きい!ミス・ヴァリエール」 始祖ブリミルとは、ぶっちゃけ世界の創始者みたいな扱いの偉人である。 「それだと、ルイズはそのブリミルって人と同じ属性って事ですか?」 ルイズの魔法を気にしていた士郎がコルベールに尋ねる。 「それはわからない。まぁ否定する根拠も乏しいが。なにせ≪伝説≫だからね」 属性がわかるかもと一瞬思ったルイズだが、これに少し肩を落とす。 「がっかりさせるようだが、例えばだ。 シロウ君が『ガンダールヴ』としてこの世界に呼ばれる。 そして『虚無』の使い手となる人物がこの世界に現れる。シロウ君は忠誠心をもって その『虚無』の使い手に仕える。 ということにならないとは言い切れない」 用は、『サモン・サーヴァント』『コントラクト・サーヴァント」に付随している忠誠効果が ルイズの召喚の場合あらわれなかったことを問題視しているのだ。 「だが、単純にミス・ヴァリエールが《虚無》という可能性ももちろんある。畏れ多いが。 ミス・ヴァリエールの魔法の失敗による爆発は、 なんらか《虚無》と関連付いているからというふうに見る方法も無くも無いような気がないでも……」 ルイズはコルベールを睨む。遠回りに否定したがっていることがありありとしているからだ。 「じゃあ俺が『ガンダールヴ』とか言うものだとしたら、調べる書物は始祖ブリミル関連を 中心に漁ればいいんですね?」 「そういうことになるな」 「意外と帰る方法を見つけるのも早く済むかもしれない」 士郎はまだ見ぬ帰還方法を期待してテンションがあがった。 それと反対にルイズは意気消沈。でも、士郎の前ではその素振りを隠すのだった。 このあと、コルベールは一連の会話を誰にも言わないように釘を刺す。 この事を知っているのはコルベールと学院長のオールド・オスマン、ルイズと士郎の4人だけ。 下手に『ガンダールヴ』の事が世間に知られると、軍が黙っていないと思われるからだ。 士郎がやった“強化”の魔術だが、この世界において該当するのは『硬化』らしいこともわかった。 ……… 翌朝 士郎はシエスタの猛アタックを受けることになった。 といっても、洗濯のことである。 「さあシロウさん、まずはこれに着替えてください!」 と、男性物の簡素な服を上下分手渡される。 「ではシロウさんの服も一緒に洗っちゃいましょう!」 たくさんの洗濯物が山積みの桶とは別に、水を張った桶が合った。 そこへシエスタは袋に入った灰を入れて、溶かし始める。 「物(繊維)によっては生地を傷めるので、気をつけてくださいね」 洗濯物を灰の水に沈めていくシエスタ。ある程度の洗濯物を浸けると足で踏みつけ始める。 「まんべんなく染み込ませたら、今度は同じように水洗いしてください」 桶から灰汁を捨てると、代わりに水を入れる。そしてまた踏む。 水が汚れるとそれを捨てて、新しい水を入れる。これの繰り返しである。 「水が濁らなくなるまで、きちんと繰り返してくださいね」 士郎は教わったとおりに洗濯の作業をする。小一時間もするとたくさんあった洗濯物は 残りわずかとなる。 「こっちの洗濯物は作りが細かいものとかなので、足で踏むやり方はできないんです」 女生徒の下着だろうか。そちらは手もみ洗いで作業している。 「こっちは私が洗濯するので、シロウさんは洗濯物を干す作業してもらえますか?」 学院の一角に干し場があり、洗濯ばさみで乾かしていく士郎。 自分の服が乾くのはまだだろうから、今日は一日シエスタに渡されたこの服で過ごす事になるだろう。 ……… ルイズを普通に起こす士郎。朝食を摂った後、教室へ。 授業中、何もしないで居るということに居心地の悪さを感じた士郎は、ルイズに筆記用具を用意してもらう。 自分なりにこの世界の魔法の勉強をしつつ、文字も勉強しようと努力する。 士郎の書く文字に興味を示したのが他の生徒たちだった。 「なにこの文字?」「ロバ・アル・カリイエの字?」「僕の名前書いてみてもらえるかな?」 休憩時間に入ると、ちょっとした騒ぎに。 士郎がそれぞれのノートに適当に当て字をした漢字で名前を書いてやる。 昨日の騒ぎで、士郎に対して微妙な空気があったが、これによりちょっとした人気者になる。 そして授業が終わり昼食。 昼食が終わるとデザートの時間。 ギーシュが士郎に声を掛けてきた。 「君、ちょっといいかな?」 士郎はギーシュに付き従う。 人気の無いとこに来たとたんに 「君には本当~にすまないことをしたッ!!」 ギーシュが謝罪をする。彼が言うには、昨日のシエスタへの暴言は引っ込みがつかなくなったものであり、 その場で割り込んできた士郎にこれ幸いと八つ当たりをしたものであったらしい。 平民に対して弱気な態度を見せられないという貴族の体質は根深いものでありそうだ。 「あと、君が取り出した剣ってあれは『錬金』によるものだろう?」 と、突然衝いてきた。 「え?なんのことだ?」 「この青銅ギーシュの目をごまかす事はできないよ。最初の君は寸鉄帯びていなかったのは明白さ。 あと戦闘終了と同時に君の武器は掻き消えたしね。という事は、君はメイジなんだね!?」 ギーシュの口封じをするわけにもいかない士郎はどうしたものかと一瞬悩む。 「あぁ、メイジという事はもちろん誰にも言わないよ。ただ一つだけお願いがあるんだ」 先にギーシュが口を開く。 「君の『錬金』した武器。あれが非常に気に入ってしまったんだ。自分でも『錬金』できるように なりたいから、ぜひそのやり方を指南してくれないかな?」 片刃の剣のデザインが気に入ったらしい。その位ならそれほど大変なことでもなさそうなので了承する。 「俺がメイジとかなんとかって噂が立ったらお前のとこを襲いに行くから気をつけとけよ」 と、脅しを入れるのはもちろん忘れない。 ……… 午後、ティータイムの終わったルイズは図書館へ向かう。 始祖ブリミル関連の書物を漁りにいくのだ。6000年も歴史があると、それは膨大すぎる蔵書量となる。 ルイズは『レビテーション』など使えないため、とりあえずは手の届く高さの書物に限られるが、 それでも数日で目を通すことなどは不可能であった。地道な作業となる。 士郎は書物は読めないが、同じく図書室で文字の勉強をする。 ちなみにコルベールにも『フェニアのライブラリー』でブリミル関連の書物を調べてもらう。 主に探す資料は、“ガンダールヴ”“始祖の使い魔”“虚無の呪文”“異世界”の4つである。 これらの目ぼしい記述が見つかった場合、ノートに書き写し、それを後ほど報告するというものである。 夜になり、コルベールの部屋で報告会を行い、それでその日は終了である。 ルイズを部屋まで送り届けるときに、ルイズが言った。 「明日は虚無の曜日だから、街に出るわ。前に言った買い物とかするからね」 (そんなみすぼらしい格好なんて私の使い魔にさせてられないわ) ルイズは今日一日士郎が着ていた服が気に入らなかったらしい。 「それじゃシロウ、おやすみ」 「ああ、おやすみ。ルイズ」 士郎の異世界3日目が終了する。 前ページ次ページシロウが使い魔
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4034.html
671 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 00 18 29 ID DRWoRaxL 無理に埋めるよりリレーしようよ。あと5KBだけど。 シエスタと談笑しながらいつものように食事をしていると、ふと彼女が言いました。 「あっ、スープが顔に付いちゃってますよ」 「うあっ。マジ?」 サイトが慌てて顔を拭おうとした瞬間、柔らかな人差し指が彼の頬をなぞったかと思うと そのままシエスタの口の中へと吸い込まれました。 「なっ、な、ななななな・・・・・・」 「えへっ、舐めちゃいました」 15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 01 01 53 ID JXKAwJlz 前スレ671の頭悪い続きを考えたんだが…。 「ほほおおおおおう」 背後からドス黒い声がする。それは毎日聞き飽きるほど聞いた例の声。 「犬はメイドに舐められて喜ぶワケ…?」 「わ…わん?」 振り向くと、果たしてそこには、完全無欠絶壁少女、才人のご主人様のルイズが仁王立ちに鳴っていた。 ああ、ご主人様。今日も仁王立ちがオニアイで…。 絶望に喰われた才人は覚悟を決めた。 しかし、今日のルイズは一味違った。 机の上からスープ皿を奪い取ると、ちょこん、と床に正座し、温くなったスープを太股の間に垂らしたのだ。 「な、舐めなさい、犬」 続きません(何 20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 07 14 32 ID E66DNf3R 15 で、「そ、そんな事サイトさんがする必要ありません!」とシエスタがサイトの頭を抱き寄せ、 ルイズ様がますます激昂なさるわけですかw
https://w.atwiki.jp/gensouutage_net/pages/11713.html
FFO Replay Version 2.1 冥加//昏睡//紅 美鈴-紅 美鈴-紅 美鈴-小野塚 小町- 田之上//小町3紫1//小野塚 小町-小野塚 小町-小野塚 小町-八雲 紫- 賽が投げられて、田之上の先攻になりました。 田之上 では 冥加 どうぞ #配置:《魂符「魂の遊戯」》 オートドローがスキップされました。 Turn 2 - 冥加//体力21( 23) 呪力1( 1) 手札6( 5) 山34( 34) スペル0( 1) タイマー00 04(00 11) シーン なし 手札:彩符「彩雨」//霊符「古き自縛霊の目覚め」//三華「崩山彩極砲」//シエスタ//彩翔「飛花落葉」//彩符「彩雨」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 #配置:《彩翔「飛花落葉」》 ↑起動:《彩翔「飛花落葉」》 Turn 3 - 田之上//体力23( 21) 呪力3( 0) 手札6( 6) 山33( 33) スペル1( 1) タイマー00 12(00 11) シーン なし #配置:《換命「不惜身命、可惜身命」》 オートドローがスキップされました。 Turn 4 - 冥加//体力21( 23) 呪力1( 3) 手札6( 5) 山33( 33) スペル1( 2) タイマー00 10(00 16) シーン なし 手札:彩符「彩雨」//霊符「古き自縛霊の目覚め」//三華「崩山彩極砲」//シエスタ//彩符「彩雨」//三華「崩山彩極砲」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 ☆戦闘:冥加 - 《彩翔「飛花落葉」》(相手スルー) ★戦闘結果:冥加 - === 2 dmg - 田之上 #配置:《彩符「彩雨」》 Turn 5 - 田之上//体力21( 21) 呪力6( 1) 手札6( 6) 山32( 32) スペル2( 2) タイマー00 16(00 20) シーン なし #配置:《死価「プライス・オブ・ライフ」》 オートドローがスキップされました。 Turn 6 - 冥加//体力21( 21) 呪力3( 6) 手札6( 5) 山32( 32) スペル2( 3) タイマー00 14(00 57) シーン なし 手札:彩符「彩雨」//霊符「古き自縛霊の目覚め」//三華「崩山彩極砲」//シエスタ//三華「崩山彩極砲」//投銭「宵越しの銭」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 ☆戦闘:冥加 - 《彩翔「飛花落葉」》(相手スルー) ★戦闘結果:冥加 - === 2 dmg - 田之上 #配置:《彩符「彩雨」》 Turn 7 - 田之上//体力19( 21) 呪力10( 3) 手札6( 6) 山31( 31) スペル3( 3) タイマー00 50(00 36) シーン なし #配置:《投銭「宵越しの銭」》 田之上は《未練がましい緊縛霊》を冥加の《彩翔「飛花落葉」》に配置しました。 田之上は《死者選別の鎌》を手札から田之上のリーダーに配置しました。 ↑起動:《死価「プライス・オブ・ライフ」》 オートドローがスキップされました。 Turn 8 - 冥加//体力21( 19) 呪力6( 2) 手札6( 3) 山31( 31) スペル3( 4) タイマー00 27(01 19) シーン なし 手札:霊符「古き自縛霊の目覚め」//三華「崩山彩極砲」//シエスタ//三華「崩山彩極砲」//投銭「宵越しの銭」//香霖堂// 冥加はカードを 1 枚引きました。 ☆戦闘:冥加 - 《彩翔「飛花落葉」》 vs 《死価「プライス・オブ・ライフ」》 - 田之上 ★戦闘結果:冥加 - dmg 2 0 dmg - 田之上 #配置:《三華「崩山彩極砲」》 ↑起動:《三華「崩山彩極砲」》 Turn 9 - 田之上//体力19( 19) 呪力7( 1) 手札4( 6) 山30( 30) スペル4( 4) タイマー01 14(01 00) シーン なし #配置:《魂符「魂の遊戯」》 ↑起動:《換命「不惜身命、可惜身命」》 オートドローがスキップされました。 Turn 10 - 冥加//体力19( 19) 呪力5( 2) 手札6( 3) 山30( 30) スペル4( 5) タイマー00 53(01 48) シーン なし 手札:霊符「古き自縛霊の目覚め」//三華「崩山彩極砲」//シエスタ//投銭「宵越しの銭」//香霖堂//彩符「極彩颱風」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 ☆戦闘:冥加 - 《三華「崩山彩極砲」》 vs 《換命「不惜身命、可惜身命」》 - 田之上 ★戦闘結果:冥加 - dmg 2 3 dmg - 田之上 #配置:《彩符「極彩颱風」》 ↑起動:《三華「崩山彩極砲」》 Turn 11 - 田之上//体力16( 17) 呪力8( 0) 手札4( 6) 山29( 29) スペル5( 5) タイマー01 44(01 24) シーン なし #配置:《魂符「魂の遊戯」》 ↑起動:《換命「不惜身命、可惜身命」》 オートドローがスキップされました。 Turn 12 - 冥加//体力17( 16) 呪力5( 3) 手札6( 3) 山29( 29) スペル5( 6) タイマー01 17(01 57) シーン なし 手札:霊符「古き自縛霊の目覚め」//三華「崩山彩極砲」//シエスタ//投銭「宵越しの銭」//香霖堂//彩華「虹色太極拳」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 ☆戦闘:冥加 - 《三華「崩山彩極砲」》 vs 《換命「不惜身命、可惜身命」》 - 田之上 ★戦闘結果:冥加 - dmg 2 3 dmg - 田之上 #配置:《彩華「虹色太極拳」》 ↑起動:《三華「崩山彩極砲」》 Turn 13 - 田之上//体力13( 15) 呪力10( 0) 手札4( 6) 山28( 28) スペル6( 6) タイマー01 51(01 42) シーン なし #配置:《死価「プライス・オブ・ライフ」》 ↑起動:《換命「不惜身命、可惜身命」》 ↑起動:《魂符「魂の遊戯」》 オートドローがスキップされました。 Turn 14 - 冥加//体力15( 13) 呪力6( 1) 手札6( 3) 山28( 28) スペル6( 7) タイマー01 33(02 15) シーン なし 手札:霊符「古き自縛霊の目覚め」//三華「崩山彩極砲」//シエスタ//投銭「宵越しの銭」//香霖堂//肉弾戦// 冥加はカードを 1 枚引きました。 ☆戦闘:冥加 - 《三華「崩山彩極砲」》 vs 《換命「不惜身命、可惜身命」》 - 田之上 ★戦闘結果:冥加 - dmg 2 3 dmg - 田之上 #配置:《三華「崩山彩極砲」》 ↑起動:《彩符「彩雨」》 Turn 15 - 田之上//体力10( 13) 呪力8( 3) 手札4( 6) 山27( 27) スペル7( 7) タイマー02 09(02 03) シーン なし 田之上の呪力が-2 (6) - 魂符「魂の遊戯」 ☆戦闘:田之上 - 《魂符「魂の遊戯」》 vs 《彩符「彩雨」》 - 冥加 ★戦闘結果:田之上 - dmg 1 4 dmg - 冥加 #配置:《霊符「古き自縛霊の目覚め」》 田之上 考えます 冥加 はい。 ↑起動:《換命「不惜身命、可惜身命」》 オートドローがスキップされました。 Turn 16 - 冥加//体力9( 9) 呪力11( 1) 手札6( 3) 山27( 27) スペル7( 8) タイマー01 55(03 46) シーン なし 手札:霊符「古き自縛霊の目覚め」//シエスタ//投銭「宵越しの銭」//香霖堂//肉弾戦//彩翔「飛花落葉」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 イベント(冥加):《シエスタ》 冥加の体力が+5 (14) - シエスタ 冥加は《投銭「宵越しの銭」》を手札から捨て札に置きました。 #配置:《霊符「古き自縛霊の目覚め」》 ↑起動:《霊符「古き自縛霊の目覚め」》 Turn 17 - 田之上//体力9( 14) 呪力9( 4) 手札4( 4) 山26( 26) スペル8( 8) タイマー03 39(02 34) シーン なし 田之上は《お迎え体験版》を山札の一番上から捨て札に送りました。 - お迎え体験版 田之上は《迷わず生きた人霊》を山札の一番上から捨て札に送りました。 - お迎え体験版 田之上は《投銭「宵越しの銭」》を山札の一番上から捨て札に送りました。 - お迎え体験版 田之上は《神隠し》を山札の一番上から捨て札に送りました。 - お迎え体験版 田之上は《無間の道》を山札の一番上から捨て札に送りました。 - お迎え体験版 イベント(田之上):《お迎え体験版》 田之上は《迷わず生きた人霊》を捨て札から手札に置きました。 田之上は《迷わず生きた人霊》を冥加の《霊符「古き自縛霊の目覚め」》に配置しました。 #配置:《投銭「宵越しの銭」》 オートドローがスキップされました。 Turn 18 - 冥加//体力14( 9) 呪力12( 5) 手札4( 2) 山26( 21) スペル8( 9) タイマー02 35(04 34) シーン なし 手札:シエスタ//香霖堂//肉弾戦//彩翔「飛花落葉」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 #配置:《彩符「極彩颱風」》 ↑起動:《三華「崩山彩極砲」》 ↑起動:《彩符「彩雨」》 Turn 19 - 田之上//体力9( 14) 呪力14( 4) 手札3( 4) 山20( 25) スペル9( 9) タイマー04 23(03 40) シーン なし ☆戦闘:田之上 - 《換命「不惜身命、可惜身命」》 vs 《彩符「彩雨」》 - 冥加 ★戦闘結果:田之上 - dmg 0 2 dmg - 冥加 #配置:《結界「夢と現の呪」》 ↑起動:《換命「不惜身命、可惜身命」》 ↑起動:《魂符「魂の遊戯」》 オートドローがスキップされました。 Turn 20 - 冥加//体力12( 9) 呪力12( 5) 手札4( 2) 山25( 20) スペル9( 10) タイマー03 31(05 38) シーン なし 手札:シエスタ//香霖堂//肉弾戦//彩翔「飛花落葉」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 ☆戦闘:冥加 - 《三華「崩山彩極砲」》 vs 《換命「不惜身命、可惜身命」》 - 田之上 ★戦闘結果:冥加 - dmg 2 3 dmg - 田之上 #配置:《幻符「華想夢葛」》 ↑起動:《三華「崩山彩極砲」》 ↑起動:《彩符「極彩颱風」》 Turn 21 - 田之上//体力6( 10) 呪力15( 3) 手札3( 4) 山19( 24) スペル10( 10) タイマー05 28(04 26) シーン なし 田之上は《死者選別の鎌》の2番目の特殊能力を使いました。 田之上は《浮かばれない地縛霊》を手札から捨て札に置きました。 田之上は《未練がましい緊縛霊》を場から手札に置きました。 冥加は《香霖堂》を無作為に捨てました。 - 未練がましい緊縛霊 田之上は《浮かばれない地縛霊》を冥加の《彩符「極彩颱風」》に配置しました。 田之上の呪力が-1 (11) - 魂符「魂の遊戯」 冥加の体力が-1 (9) - 浮かばれない地縛霊 ☆戦闘:田之上 - 《魂符「魂の遊戯」》 vs 《彩符「極彩颱風」》 - 冥加 冥加の呪力が+1 (2) - 彩符「極彩颱風」 冥加は《彩符「極彩颱風」》の1番目の特殊能力を使いました。 ★戦闘結果:田之上 - dmg 1 3 dmg - 冥加 ↑起動:《換命「不惜身命、可惜身命」》 田之上は《未練がましい緊縛霊》を冥加の《彩符「極彩颱風」》に配置しました。 オートドローがスキップされました。 Turn 22 - 冥加//体力6( 5) 呪力11( 4) 手札3( 2) 山24( 19) スペル10( 10) タイマー04 32(07 01) シーン なし 手札:シエスタ//肉弾戦//彩翔「飛花落葉」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 冥加 (考え中) 田之上 どうぞ tk9が観戦を始めました。 haiが観戦を始めました。 冥加 決定 イベント(冥加):《シエスタ》 冥加の体力が+5 (11) - シエスタ 冥加は《彩翔「飛花落葉」》を手札から捨て札に置きました。 砂井裏鍵が観戦を始めました。 ↑起動:《彩符「極彩颱風」》 Turn 23 - 田之上//体力5( 11) 呪力14( 2) 手札3( 2) 山18( 23) スペル10( 10) タイマー06 51(07 53) シーン なし ☆戦闘:田之上 - 《換命「不惜身命、可惜身命」》 vs 《彩符「極彩颱風」》 - 冥加 冥加の呪力が+1 (1) - 彩符「極彩颱風」 冥加は《彩符「極彩颱風」》の1番目の特殊能力を使いました。 ★戦闘結果:田之上 - dmg 0 1 dmg - 冥加 #配置:《霊符「何処にでもいる浮遊霊」》 ↑起動:《換命「不惜身命、可惜身命」》 ↑起動:《魂符「魂の遊戯」》 オートドローがスキップされました。 Turn 24 - 冥加//体力10( 5) 呪力10( 5) 手札2( 2) 山23( 18) スペル10( 11) タイマー07 42(07 55) シーン なし 手札:肉弾戦//彩翔「飛花落葉」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 ☆戦闘:冥加 - 《三華「崩山彩極砲」》 vs 《換命「不惜身命、可惜身命」》 - 田之上 田之上は《換命「不惜身命、可惜身命」》の1番目の特殊能力を使いました。 ★戦闘結果:冥加 - dmg 2 3 dmg - 田之上 冥加の体力は今5 (-3)です。 田之上は《換命「不惜身命、可惜身命」》を場から捨て札に置きました。 田之上の体力は今5 (+3)です。 ↑起動:《彩符「極彩颱風」》 冥加は《彩符「極彩颱風」》を準備状態にしました。 冥加の呪力は今10 (+4)です。 ↑起動:《彩符「極彩颱風」》 冥加は《連環撃》を冥加の《彩翔「飛花落葉」》に配置しました。 冥加の呪力は今5 (+1)です。 ↑起動:《彩翔「飛花落葉」》 Turn 25 - 田之上//体力5( 5) 呪力12( 4) 手札3( 2) 山17( 22) スペル10( 10) タイマー07 44(11 27) シーン なし 田之上 考えます 冥加 はい。 ☆戦闘:田之上 - 《魂符「魂の遊戯」》 vs 《彩符「極彩颱風」》 - 冥加 冥加の呪力が+1 (3) - 彩符「極彩颱風」 冥加は《彩符「極彩颱風」》の1番目の特殊能力を使いました。 冥加は《紅 美鈴》の2番目の特殊能力を使いました。 ★戦闘結果:田之上 - dmg 0 2 dmg - 冥加 #配置:《換命「不惜身命、可惜身命」》 ↑起動:《換命「不惜身命、可惜身命」》 オートドローがスキップされました。 Turn 26 - 冥加//体力3( 5) 呪力9( 7) 手札2( 2) 山22( 17) スペル10( 11) タイマー11 25(10 09) シーン なし 手札:肉弾戦//彩翔「飛花落葉」// 冥加はカードを 1 枚引きました。 冥加 流石に3枚目は来ないか・・・ 冥加 投了です。 田之上 ありがとうございました 冥加 ありでした。 冥加 神隠しは何時ごろからありました? 田之上 序盤から 冥加 ・・・1枚引いただけでは潰されるだけか・・・ 田之上は《神隠し》を手札から捨て札に置きました。 田之上は《お迎え体験版》を手札から捨て札に置きました。 冥加は山札を丸ごと見ました。 田之上 戻ります 冥加 スペル内容は兎も角、サポが維持出来なかった以上は・・・ 冥加 ノシ 田之上 ノシ
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/6825.html
ちーぷとりっく【登録タグ CDち ギンCD CD】 前作 本作 次作 - ちーぷ・とりっく - ギン 発売:2009年09月06日 価格:¥500(税込) 流通:即売会、自家通販 サークル:シルバーラビッツ CD紹介 THE VOC@LOiD M@STER 9にて頒布された初アルバム。 ニコニコ動画投稿曲6曲、新録4曲の全10曲。 動画版に入っていた声ネタは削られている。 表ジャケットは津賀マサ(妹様)、裏ジャケットはネコばかによるもの。 曲目 スマイルコロコロ タイガー&ドラゴン エターナルラヴァー シエスタ・シエスタ リピティション・ミュージック モノクローム ランダムワード インターバル ウツロイシーズン サクラサクコロ。 リンク ギンの雑食ブログ(作者ブログ) コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/07th-umineko/pages/14.html
ア行 愛があっても(楼座×絵羽) 或る姉妹の戯れ(雛ベアト×姉ベアト) 愛しの我が主 所謂、三倍返し クッキー編 所謂、三倍返し マシュマロ編 ヴィィィィィイイイン!!ヴィィィィィイイイイン!!! おかしい子 お師匠様といっしょ 乙女のひみつ 檻の戦人 カ行 家具ですから 奇跡の娘 きんぞー☆の頑張り物語 紅に滲む(絵羽×戦人) 幻肢 傲慢の果て 傲慢の末路 傲慢の未来 サ行 咲いて、散った恋の残滓 惨劇がくる予兆(マリア×ローザ) シアワセのカケラ 幸せの魔女(縁寿×戦人) シエスタの子宮 シエスタの子宮 2 シエスタの子宮 戦果報告 純潔の証明 タ行 チョコレート・ロスト 妻はサンタクロース 手を繋いで とどかない声 ドラ様が見てる(ドラエリ) ナ行 名前を呼んで(嘉音?×朱志香) 姉さんといっしょ ハ行 戦人専用家具 ~シャノカノ~ 戦人の逆襲(バトベア) 花に酔って 跪いて魔女様のお御足をお舐め ひまつぶしBコース 夫婦ですから 夫婦ですから 後編 ベアト弄り マ行 魔女だらけの戦闘空間 前編 魔女だらけの戦闘空間 後編 魔女とヘタレとチョコレート 魔女のお茶会 魔女の娘 真里亞の頑張り物語 見回り日和 ミルク色に染まる月 夢幻の魔女 名探偵の末路 名探偵のワンダフルな日常 名探偵は散っていく メルトダウン ヤ行 山羊さん達の頑張り物語 歪んだ顔をして 夢の朱志香 ワ行 わたしの、わたしだけの(絵羽×夏妃) A-Z A Sweet Nightmare Another EP4(山羊×戦人♀) Before breakfast(戦人×ベアト) distance EP1絵羽→夏妃 Happy diary for next stage(戦人?×縁寿) Reversal of the golden witch under the rose ????:俺のウィンチェスター☆が火を噴くぜっ!! 無題 無題(縁マモ) 戦人×縁寿 縁寿×エヴァ 金蔵×ベアト 無題(バトジェシバト) 真里亞x戦人 戦人×ベアトリーチェ リンク名
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/347.html
康一達が全てのケーキを配り終えた頃、騒ぎを聞きつけたルイズが康一に詰め寄ってきた。 「あんた! 何してんのよ!」 「何って、ケーキを配ってたんだけど……」 ルイズは康一の胸倉を掴んで、ガクガクと揺さぶった。 「そうじゃなくて、なんで勝手に決闘なんか約束したのか聞いてんのよ!」 「僕が約束したわけじゃあないよ」 康一は、胸倉を掴んでいたルイズの手を払いのける。 乱れた服を元に戻し、真っ直ぐな目でルイズを見つめた。 「それに、僕は間違ったことを言っちゃあいない」 ルイズはため息をついて、やれやれと肩をすくめた。 「謝っちゃいなさいよ」 「なんで? 悪いのは彼の方じゃあないか」 「怪我をしたくなかったら、謝ってきなさい。 今なら許してくれるかもしれないわ」 そう言って、ルイズは康一を説得しようとする。 しかし、当然のことだが、康一は謝る気など全くない。 「嫌だね」 「いいから」 「嫌だって言ってるんだ」 「わからずや!」 「わからずやなのはそっちだろう!」 「絶対に勝てないし、あんたは怪我をするわ。 いや、怪我済んだら運がいいわよ!」 頑として引かないルイズと康一。 その様子を見ていたシエスタが心配そうにしながら、話に割り込んできた。 「コーイチさん、私のことはいいんです。どうか、私なんかの為に決闘なんてしようとしないで下さい……」 「そうよ! 第一、メイジに平民は絶対に勝てないの!」 そう言って、康一の肩を掴んで何とか止めさせようとする。 しかし、康一の考えは変わらない。例えシエスタが許しても、康一は許せなかった。 康一はルイズの手を振り払い、周りで見ていたギャラリーに聞いた。 「ねえ、ヴェストリの広場ってどこにあるの?」 「こっちだ。平民」 康一達のやり取りを見ていた一人が、ヴェストリの広場まで案内した。 ヴェストリの広場は、魔法学院の敷地内、『風』と『火』の塔の間にある中庭であった。 西側にある広場で、日中でも日があまり差さない。決闘にはうってつけの場所である。 普段は閑散とした広場であるが、今この場は、噂を聞きつけた生徒達で溢れかえっていた。 「諸君! 決闘だ!」 ギーシュが薔薇の造花を掲げた。広場に大きな歓声が響き渡る。 「ギーシュが決闘をするぞ! 相手はルイズの平民だ!」 ギーシュは腕を振って、歓声にこたえている。 一方、康一の方はそんな歓声など気にする様子もなく、じっとギーシュを睨んでいた。 「とりあえず、逃げずに来たことは、誉めてやろうじゃないか」 ギーシュは薔薇の花を弄りながら、余裕の笑みをうかべて言った。 「時間も惜しい、早いとこ始めるとしよう」 ギーシュは、弄っていた薔薇の花を振った。 花びらが一枚、宙に舞ったかと思うと、甲冑を着た女戦士の人形になった。 身長は人間と同じぐらいだが、体は硬い金属で出来ているようだった。 淡い太陽の光を受けて、甲冑がきらめいている。 「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」 康一は、女戦士の人形をちらりと見てから、ギーシュに言った。 「……文句なんてないさ。むしろ感謝したいくらいだよ。これで僕も本気で戦えるってことだからね」 「ふん、強がりを……」 ギーシュは薔薇を振って、女戦士の人形を康一の前まで移動させた。 「おっと、言い忘れたな。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」 女戦士の形をしたゴーレムが、康一に向かって突進してきた。 康一目掛けて、右の拳を振り下ろす。 その拳が康一の腹に命中する寸前、ゴーレムが突然、地面にめり込んだ。 ズンッと、地面の揺れと共に大きな窪みができ、ゴーレムは地面に突っ伏したまま立ち上がらなくなる。 「な……!? ど、どうしたんだ、ワルキューレ!!」 ギーシュは突然のことに驚き、半ば焦りながら、懸命に薔薇を振る。 しかし、ゴーレムは動かない。動かないというよりも、動けないといった感じで、もがき苦しんでいる。 ゴーレムが動けない理由はたった一つ。 康一が、ACT3のFREEZE攻撃を、ゴーレムに命中させていたからだ。 「くそ、どういうことだ……」 まさか、魔法を使ったのでは? と思って康一を睨みつけるが、そんなふうには見えない。 第一、杖を持っていない。杖を持ってないのに、魔法を唱えられるはずがない。 そもそも、あいつはメイジじゃなく、ただの平民じゃないか。 きっと、油断して魔法を失敗してしまったに違いない。そうに決まってる。 そう思って、ギーシュは平静を保とうとする。 そんなギーシュの様子を見てか、康一が挑発するように言った。 「キミの魔法ってのは、この程度なの?」 「なんだとッ!」 ギーシュは憤り、大きく薔薇を振った。 花びらが舞い、新たなゴーレムが六体現れる。 その全てが、康一を取り囲むようにして動き始めた。 「くっ……!」 康一は、思わず言葉を詰まらせた。 一体や二体ならば、ACT3で難なく対処できる。 しかし、既に動けなくしているのを合わせ七体ともなると、かなり分が悪かった。 現在、ACT3で動けなくできる対象は最大二体までなので、残り五体は生身で相手にしなければならないことになる。 「やれ、ワルキューレ!」 ギーシュのかけ声と共に、一斉に飛び掛るゴーレム達。 康一は、真っ先に攻撃してきたゴーレムを、ACT3のFREEZE攻撃で動けなくする。 二体目が康一に攻撃をする。ACT3でガードし、二体目の攻撃はなんとか防ぐことができた。 そうしてるうちに、三体目が康一の背中を目掛けて攻撃する。反応し切れなかった康一は、きりもみしながら吹っ飛ばされた。 「がふっ!」 康一は、うめきながら地面に叩きつけられた。 不幸中の幸いか、背中の骨は折れてはいないようだった。 しかし、生身の康一には充分すぎるほど、背中のダメージは大きかった。 「どうした平民。さっきまでの勢いは」 ギーシュが余裕の笑みを浮かべながら薔薇を弄っている。 康一はなんとか立ち上がろうとするが、背中のダメージが大きく、なかなか立ち上がれない。 そんな康一を、七体のゴーレムが悠然と見下ろした。 さっき、FREEZE攻撃で動けなくしたゴーレムも、射程距離から外れてしまったために復活していたのだった。 康一はなんとかACT3で攻撃しようとするが、七対一では為す術がなかった。 何とか立ち上がった康一の腹に、ゴーレムの重い衝撃が走る。 「がはっ!」 続けて、他のゴーレムが康一の顔面に向けて拳を振り下ろす。 「がふっ!」 さらに、背中、わき腹、足、腕と、拷問をするように、康一を攻撃するゴーレム達。 頃合いを見計らい、ギーシュが薔薇を掲げてゴーレム達を制止する。 ギーシュは薄く笑みを浮かべながら、ヨロヨロと立ち上がる康一に言った。 「さあ、謝れ。謝って命乞いすれば、助けてやる」 康一は右腕を押さえながら、ギーシュを睨みつける。 「誰が……謝るものか……」 そう言った瞬間、一体のゴーレムが康一の腹に向かって拳を振り下ろした。 康一は、うめき声をあげながら地面に崩れる。 「謝れ」 「誰が……お前なんかに……」 「……強情な奴だ。その根性だけは認めてやるよ」 薔薇を振り、ギーシュはゴーレムに攻撃を命じる。 その時、ルイズが人ごみの中から飛び出して、康一のそばに駆け寄った。 「いい加減にして! これ以上やったら……」 「ルイズ、邪魔しないでもらいたいな」 ルイズは、ギーシュを睨みつけながら怒鳴った。 「自分の使い魔が、みすみす怪我するのを、黙って見ていられるわけないじゃない!」 「この程度……怪我の内に入るもんか……」 「コーイチ!」 フラフラになりながら立ち上がった康一を見て、ルイズが悲鳴のような声で名前を呼んだ。 「やっと、僕の事を名前で呼んでくれたね……」 ルイズは震えながら、康一に向かって怒鳴る。 「もうわかったでしょう? 平民は、絶対にメイジに勝てないのよ!」 「まだ……負けたって決まったわけじゃあない……」 康一は覚束ない足取りで、ギーシュに向かって歩き出す。 ルイズがその後を追いかけ、康一の肩を掴む。 「寝てなさいよ! これ以上やったら死んじゃうわよ!」 康一は、ルイズの手を振り払った。 「ムカつくんだ」 「ムカつく? メイジに負けたって、恥でも何でもないのよ!」 康一はよろよろと歩き、ギーシュに一歩、また一歩と近づいていく。 「メイジや貴族って……そんなに偉いのかい?」 「え?」 「一生懸命働いてるシエスタさんは、見下されて……。 メイジや貴族ってだけでエバってるあいつが偉いなんて……。 『逆』じゃあないか? どうしてあいつが悪いのにシエスタさんが悪く言われなくちゃいけないんだ?」 ギーシュは、馬鹿馬鹿しいと言った表情で、康一の話を聞いている。 「言いたいことはそれだけかい?」 「……まだだ」 康一は、ギーシュを挑発するように、ゴーレムを指差して言った。 「お前の……『ワルキューレ』だっけ? ハッキリ言わせてもらうけど、全ッ然ッ弱いねッ! パワーも大したことないし、スピードだって、てんで大したことないよ。『何このガラクタ?』って感じだねッ!」 ギーシュの顔から笑みが消えた。ギリッと歯が軋む音がする。 「お前なんかより、全然凄い能力を持ってる人を、僕は知ってる。 それに比べたら、お前のワルキューレなんて『カメよりスロー』だッ!あくびがでそうだよ。 何がメイジだ! お前なんか、こんなガラクタに頼らなきゃ何も出来ない臆病者じゃあないか!」 ギーシュが体を震わせ、鋭い眼差しで、康一を睨みつける。 ゴーレムの右手が飛んで、康一の顔面を襲う。続けて腹に一発浴びせ、再び顔面に一発攻撃した。 康一は吹っ飛び、鼻が折れ、奥歯が一本抜け落ちた。 さきほどとは比較にならないくらいの一撃だった。 「もう一度……言ってみろ……」 康一は、地面に手をつきながら、やっとのことで体を立ち上がらせる。 「全ッ然ッ……効いてないぞ……ヘッポコワルキューレの攻撃なんて……!」 「貴様ァァァァアアアアア!!!」 自分の魔法をバカにされたギーシュは、怒り狂った。 ゴーレム七体が康一を取り囲み、一斉に攻撃をする。 誰もがギーシュの勝利を確信した、その時だった。 『ドッグォン』という音と共に、七対のワルキューレが全て吹っ飛ばされた。 「な!?」 勝利を確信していたギーシュは、目を疑った。 自慢の魔法でもある、ワルキューレが四方八方に吹っ飛ばされたからだ。 「うわあぁぁあああ!」 爆風と共に飛ばされてきた一体のワルキューレが、ギーシュに命中した。 ギーシュは、ワルキューレと共に、地面を転がる。 その様子を見ていた康一は、ニヤニヤと笑いながら、転げまわるギーシュを見ていた。 「ざ、ざまーみろッ!」 康一は、自分張り付いていた『ドグォン』という文字を回収して、地面にへたり込む。 「く、くそぉぉおおおお!」 ACT2の攻撃は物理的なダメージは殆どない。 そのため、ゴーレムには殆どダメージを与えていなかった。 しかしギーシュは、自分の自慢のワルキューレが傷つけられたと思い、完全に我を忘れていた。 「平民如きがぁぁぁあああー―――ッ!」 再度体勢を立て直したゴーレム達が、一斉に康一に特攻する。 康一は再びACT2で、自分に文字を貼り付けようとする。 しかし、既に体がボロボロになっているため、思うようにいかない。 「まずい……ッ! 体が言うことをきか……」 目の前に迫るワルキューレ。 間に合わない――。康一がそう思った瞬間だった。 「康一さん……!」 「えッ!?」 「なッ!?」 康一の目の前に、シエスタが盾になるように立ち塞がった。 ギーシュは、ワルキューレの攻撃を止めようとするが、その前にワルキューレの拳が、シエスタの体に命中していた。 「シエスタさんッ!!」 康一が、大きな声で叫び、シエスタの元に駆け寄った。 「シエスタさん、しっかりして下さい! シエスタさんッ!」 康一がシエスタを抱きかかえ、何度も呼びかけるが、返事はない。 ACT1で、心音の音を確認する。ドクンドクンと、正常な心音が聞こえた。 どうやら気絶しているだけのようだった。一先ず安心し、シエスタを安全なところに運んだ。 「ち、違うッ! あいつが勝手に飛び出してきたんだ! 僕のせいじゃないッ!!」 シエスタを攻撃したギーシュは、必死に言い訳をしていた。 「よくもシエスタさんを……許さない……」 ザワザワと髪の毛を逆立て、康一はギーシュを睨み付けた。 その時……。康一の左手に刻まれたルーン文字が、光りだした。 To Be Continued →
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/737.html
発芽! 花開く明日のために 「ジョータロー。……今日の授業後、ヴェストリ広場に来てくれ。 君ともう一度決闘がしたい。受けてくれるかな?」 昼食時、承太郎がいつものように厨房で食事をしていると、ギーシュが先日のように同席してきて、食後の一服中に頼んできた。 彼の言葉を聞いたシエスタは、驚いて下げに来たお皿を落としてしまい、割れる寸前で承太郎のスタープラチナがお皿をキャッチしシエスタの手に戻す。 「……どういうつもりだ? ギーシュ」 承太郎は静かに問い返した。ギーシュは真剣な面持ちだった。 「……別に。ただ、最近よく荒れ事に巻き込まれるからね。 だから模擬戦をしたいというのが本音さ。僕は実戦経験がほとんど無いからね」 「なるほど……だが俺は『スタンド使い』だ。 俺と戦ったところで、メイジとの戦いの参考にはなりゃしねーぜ」 「いいんだ。強い相手と戦って、自分の実力を知りたいだけだからね」 「…………いいだろうギーシュ。その決闘、受けて立つ」 いつかの食堂の時と違い、あまりにも穏やかに決闘の約束をする二人を見て、シエスタはいったい何がどうなっているのかよく解らなくなった。 「和やか」 テーブルの下に隠れていたタバサは、 タバサ特性はしばみ茶五号(略してタバ茶五号)を飲みながらそう呟いた。 「てめー、また潜り込んでやがったのか」 承太郎にも気づかれずにテーブルの下に忍び込み、タバ茶を飲ませようと隙を虎視眈々と狙うとは、このタバサ只者ではない。 今日の授業が終わり、後は夕食の時間までのんびりくつろごうという時間。 夕陽が紅に染めるヴェストリ広場に二人の男が対峙していた。 夕陽が紅に染めるヴェストリ広場に二人の女が観戦していた。 「さあ、ジョータロー。勝負だ!」 「……それより……何でシエスタとタバサがここにいるんだ」 承太郎はヴェストリ広場の隅にサンドイッチの入ったバスケットを広げ、かつ水筒まで用意して「二人の決闘見ながら食べよう」という気満々の二人を見た。 シエスタ曰く。 「だって、いきなり決闘だなんて……私、気になっちゃって」 タバサ曰く。 「偵察」 追い払うべきか放置すべきか。 即断できるはずのこの問題を、承太郎は「呆れ果てる」という感情で遅らせてしまった。 その間にギーシュが薔薇の杖を抜く。 「まあタバサなら何かアドバイスとか気づきそうだし、見ていてもらおう」 「…………」 まあギーシュの目的は自分と戦って強さを磨く事だし、優れたメイジに見てもらって意見をもらうのも悪くないだろう。 それにギーシュ相手ならば本気を見せる必要もない。 「やれやれ、いいだろう。かかってきな、ギーシュ」 「ではまず試させてもらおう……僕が学んだ新たな戦法を。舞えよ紅薔薇!」 ギーシュの周囲に突如現れた紅い花びらが宙を舞い空を彩る。 夕陽を浴びてさらに赤みを増したそれは、承太郎へ向かって舞い落ちた。 「何を企んでいるかは知らんが、花びらを浴びてやる理由はねーぜ」 承太郎の身体から浮き出た屈強の戦士が無数の拳で天を突く。 「オラオラオラオラオラオラオラ!」 花びらは呆気なく承太郎の周囲へと撃ち落とされた。 彼の身体には一枚たりとも花びらはついていない。だが――。 承太郎は気づいた。自分の周囲に花びらが落ちている、それはいい。 だがなぜ、自分の周りに円を描くように落ちた花びらから、ギーシュに向かって花びらの線が伸びているのだろうか? まるで、導火線のように。 (お手並み拝見だ。やってみな、ギーシュ) 承太郎はあえてギーシュの成長を見るためにその場から動かなかった。 だがギーシュは、それを自分の作戦に気づいていないと勘違いしてしまう。 「今だ!」 ギーシュは自分の足元まで伸びる花びらに杖を向けルーンを唱えた。 (あの詠唱は……確か錬金だったな。とするとこの花びらは……) 「錬金! 油になれ!」 途端に地面に落ちた花びらすべてが油に変わり地面に染み込む。 それを見ていたシエスタは、承太郎が動かない事に不安を覚えた。 「み、ミス・タバサ。ジョータローさんは大丈夫なんでしょうか?」 「大丈夫」 タバサは小さく答える。 「続いて、僕の足元まで伸びたこの油を『着火』する!」 ギーシュは土のドットメイジであるため、ファイヤーボールなどは使えない。 できるのはせいぜい着火の魔法程度だ。 だから自分の足元まで伸ばした花びらを見下ろして――。 地面が爆ぜる音にギーシュは視線を跳ね上げる。 わずかな土煙を残して承太郎の姿が消えていた。 「えっ!?」 承太郎が油の中にいないのでは、着火しても意味は無い。 どこに!? 承太郎はどこに消えたのかッ! ギーシュは承太郎がゴーレムの上のフーケに向かって跳躍した事を思い出した。 即座に青空を見上げる。 しかし、承太郎の目立つ学ランの色は空のどこにも存在しない。 「ば、馬鹿なッ! 承太郎はどこに――」 慌てて視線を下ろし周囲を見回す。 上じゃないなら、どこにいるのか。 「上だ」 ハンデとばかりに居場所を教える承太郎。 その声を聞き、ギーシュは再び空を見る。 自分と太陽の間に承太郎がいた。 「太陽に、隠れて――」 虚を突かれたギーシュは、目の前に承太郎が着地するのを呆然と見ているだけだった。 「どうした……? てめーの実力はその程度か」 「ハッ! わ、ワルキューレ!」 咄嗟に後ろに向かって跳んで逃げつつ杖を振るい、ワルキューレを六体出し壁を作る。 ワルキューレはいっせいにスピアを承太郎に向けた。 だが微塵も臆する事なく承太郎はワルキューレの後ろにいるギーシュを見据える。 「わ、わっ、ジョータローさんの前にいっぱいゴーレムが!」 またもや承太郎が危ないと勘違いしたシエスタが慌てる。 だがタバサはのん気にサンドイッチを食べていた。 シエスタに頼んではしばみ草を入れてもらったサンドイッチは、彼女の味覚では非常に美味であったが、これをそのまま承太郎に食べさせてもまた吐き出されるだけだろうと思うと、タバサはちょっぴりさみしかった。 承太郎が一歩前に出ると、ワルキューレ達は一歩後ろに下がる。 「どうした……かかってこないのか?」 「くっ……ジョータロー。こうなったら僕の切り札を、お見せしよう」 「ほう、そいつは楽しみだ。やってみな」 「チェェェンジ! ワルキュゥゥゥレ!」 そう叫んでギーシュは薔薇の杖を振った、ワルキューレ達の後ろで。 ギーシュの猛りを見て、タバサは目を細めた。 呆れたのだ。力に力で対抗しても、勝つのはより大きな力だというのに。 もうフーケのゴーレムに踏み潰された事を忘れたのだろうか? 承太郎はフーケのゴーレムよりパワーもスピードも上だというのに。 ――が、タバサは気づいた。なるほど、そういう事か、と。 そして承太郎は気づいていないらしい。 当然だ、ギーシュはワルキューレ達の後ろに隠れているのだから。 承太郎の前で、三体のワルキューレが肩を組んだ。 いったい何が始まるのかと承太郎は冷静に観察する。 その三体のワルキューレの上に二体のワルキューレが飛び乗った。 さらにその上に最後の一体がよじ登る。 そしてアイスクリームのようにドロドロに溶けたワルキューレは、互いの身体の隙間を埋めていき、背後にいるギーシュの姿を完全に隠した。 承太郎はというと、目の前でグニョグニョと融合する青銅の塊を見上げている。 その青銅の塊は次第に人の形を成していった。 身長三メイルという巨人にして戦士。 「クイーン! ワルッ! キューッ! レェェェッ!!」 ギーシュが叫ぶと、クイーン・ワルキューレは巨大なスピアを頭上で旋回させた後、承太郎に穂先を向けてかざしポーズを取った。 ジャッキィィ―――――z______ン 感心した様子でクイーン・ワルキューレを見る承太郎。 ギーシュはクイーン・ワルキューレの後ろから横に数歩移動し、薔薇の杖を口元に向けキザったらしいポーズを取る。 「待たせたねジョータロー。これこそ僕を守護する『レディ・オブ・レディ』……。 気高く大地に立つ薔薇の結晶、天を突く拳と槍をその手に握る戦乙女。 青銅の鼓動を聞け! 明日の勝利を掴むため、挑め空前絶後の大一番ッ! クイーン・ワルキューレ! これが! これがッ! これがァッ!! 僕のォ! 新しいィ! 魔法のォオッ……力だァァァァァァーッ!!」 「スタープラチナ」 オラ オラ オラ オラ オラ オラ 巨大になっても所詮青銅は青銅。 鉄に錬金されたフーケのゴーレムすら破壊したスタープラチナの拳を受けて、防げる理由など何ひとつとして存在しなかった。 哀れ、クイーン・ワルキューレはボコボコにされた挙句、空に向かって殴り飛ばされた。 「ゲェーッ! まさか、クイーン・ワルキューレをあんなに高く殴り飛ばすなんて!」 「やれやれ、正直期待はずれだったぜ。こんなくだらねーものが切り札とはな」 呆れながら承太郎はギーシュに向かって歩き出した。 「や、やりました! よく解らないけど、ギーシュ様のゴーレムをやっつけました!」 スタンドは見えずとも、それが承太郎が言っていたスタンドの力だろうと思い、シエスタは承太郎の勝利を今になってようやく確信した。 だが、最初から今この瞬間まで承太郎の勝利を確信しているタバサは小さな声で言う。 「まだ」 タバサの視線は承太郎でもギーシュでもなく、 上空に殴り飛ばされたクイーン・ワルキューレに向けられていた。 どうやらシエスタはクイーン・ワルキューレの派手さと承太郎に目を奪われ、ギーシュの切り札には気づいていないらしい。 それほど注意深く見なくとも、この角度からなら丸解りの手段なのに。 そして。 「来る」 タバサが呟いた。 クイーン・ワルキューレが落下する。 もう決着はついたばかりに、承太郎の背後へ。 クイーン・ワルキューレが落下する。 その背にワルキューレを乗せて。 クイーン・ワルキューレが落下する。 その背中を踏み台にして七体目のワルキューレが承太郎に襲い掛かる。 これが、ギーシュの策だった。 クイーン・ワルキューレで承太郎の注意を引き、 その背後で七体目のワルキューレを作り、クイーンワルキューレの背中に掴まらせる。 後は承太郎がクイーン・ワルキューレと戦っている隙に、七体目のワルキューレで奇襲をかけるという手筈。 一瞬でクイーン・ワルキューレを殴り飛ばされた時は失敗かと思った。 事実クイーン・ワルキューレが後ろに吹っ飛ばされていては七体目の出番は無かった。 だが幸いにも吹っ飛ばされた方向は上。 ワルキューレはクイーンの身体を盾に! 隠れ蓑に! 絶好の好機を得た! (頼む――成功してくれ!) 肉薄するワルキューレの槍が承太郎の背中を狙う。 それに気づいた素振りを見せず、承太郎は真っ直ぐギーシュに向かって歩いている。 (勝ったッ! 決闘敗北イベント完!) 「オラァッ!」 バッゴ―――――z______ン!! それは一瞬の出来事だった。 その間にギーシュは勝利の確信を敗北の確信へと変える。 承太郎は振り返りもせずスタープラチナを出現させ、後ろ目掛けて拳を振り下ろす。 拳がワルキューレの頭を潰し首までめり込ませた挙句、ワルキューレの身体を地面に叩きつけた。 「おめーはワルキューレを『七体』出せるのに、なぜか『六体』しか出さなかった。 だから……『七体目』に警戒するのは当然の事だぜ。ゲームセットだ」 両手をポケットに突っ込んだままの承太郎は、ギーシュの前まで行き勝利宣言をした。 最早ギーシュに残された手段は無く、ガクリと地面に膝をつける。 「ま……負けた。またしても完全敗北だ」 「そうでもねーぜ」 えっ? と思い、ギーシュは承太郎を見上げた。彼の頬に赤い線が一筋。 「そ、その傷は……?」 「ワルキューレを殴る時、スタープラチナの頬を槍がかすめた。それだけさ……」 それを聞いて、ギーシュはスタープラチナへのダメージ=承太郎へのダメージという、とても重要な事をスルーして、とにかく承太郎にとてもとても小さな一矢を報いた事を、両手を握りしめて空に掲げて歓声を上げるほどに喜んだ。 「やった! やったぞッ! あのジョータローに、一矢報いた! やったぁっ!」 「やれやれ、舐めときゃ治るような傷ひとつでそんなに喜ぶんじゃねー」 承太郎は頬の傷から血が垂れないよう軽く拭い、観戦していたシエスタに声をかけた。 「シエスタ、すまねーが傷の手当てをしたい。薬はあるか?」 「あ、はい。今お持ちしますね」 シエスタが救急箱を取りにヴェストリ広場を去った後、 タバサが承太郎に近づき学ランを引っ張ると、小声で訊ねてきた。 「それ、わざと?」 ギーシュの自信をつけるため、わざと傷をつけられたのか。という意味だ。 「……さあな…………。ただひとつ言えるのは、七体目の動きはなかなかよかったって事だ」 「そう。お疲れ様」 タバサがねぎらいの言葉をかける、というとんでもない行動を取ったが、承太郎はそれが罠である事を知っていたから、 一緒に差し出されたバスケットと水筒に目もくれなかった。 「……サンドイッチとお茶」 まだあきらめきれないらしくタバサは言う。 「どーせまたはしばみ草が入ってるんだろ。こっそり食わせようとするんじゃねーッ」 こうしてはしばみ草サンドイッチとタバサ特製はしばみ茶五号を回避する承太郎。 はしばみ草をめぐる不毛な戦いはまだ終わりそうになかった。 その後、ギーシュは善戦したお祝いとしてタバサからの差し入れをもらった。 すると大空に吹っ飛んで、五分後に落下してきて気を失った。原理は不明だ。 ちなみに一緒に観戦していたシエスタは承太郎の身を案じてばかりで、一切サンドイッチにも水筒の中身――タバ茶五号も口にしていなかった。
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4111.html
「怖い恋愛物?」 こくり、とタバサがうなずく。慣れないとわかりにくいが、視線には期待の色が濃い。ルイズも女集団がサイトを囲んでいるのに上機嫌だ。 王都で上演された芝居の影響で、平民から貴族まで、女達の間では今、「少し怖い恋愛物」が流行なのだという。タバサは例によって今世に出ている作品を読み尽くし、その大方はクラス中の女子で回し読みされた。そこで新作に飢えた女たちが思いついたのは東方からの異邦人、というわけだ。ルイズも今回は女たちに邪心が見えなかった上に「私の使い魔」を自慢したくなったというわけだ。 特等席である正面にはルイズが笑顔で座り、隣りにはタバサが筆記の準備。その後ろにはサイトも名前すら覚えていない女子達が座り、最後部にはシエスタが控えという名目で座って小さく手を振っている。 サイトは記憶を辿り、幾つかおぼろげな筋を思い出し、少しずつ脚色しながら語り始めた。 「『ダンスのお礼は何が欲しい?』『愛する彼の首を』」 一斉に女たちが身震いする。サイトも興が乗って話続ける。 「そこでサロメは、真紅に染まった2つの月を背に生首にキスをすると、首を抱えながら踊るんだ」 ふとルイズと視線が絡む。妙に浮かされたような目をしていると思う。 一つ終わったが、さらにとせがまれたので別な話を始める。 「オシチは思った。『もう一度大火事があれば逢える』。オシチは王都に火を放ち、火事を知らせる鐘を必死で打ち鳴らした」 キュルケがぼんやりと手の中で火の玉を弄ぶ。口元が「炎蛇…」と動く。気付いたモンモランシーは慌ててキュルケの脇をつついた。 キュルケとルイズの動きにさすがのサイトも不安を感じて話を終えることにした。だがまだ大勢はアンコールをする。やむなくサイトはもう一つ語った。 「モリドオにケサは、夜に寝静まったら寝室を教えるから夫を殺せ、と言った」 さすがに不倫だと身近に思えないのか、女子達が緩くなる。サイトは話を続けた。 「誤って夫の代わりにケサを殺してしまったモリドオは、ケサの首を持って山へ山へと落ち延びた」 ルイズは少し呼吸が荒くなっている。シエスタが今までにない視線でルイズを睨んでいた。 学院全体が寝静まった頃、ルイズはサイトの向こうで眠るシエスタすら気付かないほど静かに起き上がった。彼女はためらわずデルフを掴む。 「やめときな嬢ちゃん」 ルイズは慌てて少し手をひいた。デルフは続ける。 「あんた、普通に幸せだってあり得るだろ」 ルイズは呟く。 「でも、敵多いし」 言いつつもルイズは頭を抱えながら剣から手をひく。シエスタもサイトも眠るばかりだ。月を見上げてルイズは呟く。 「サイトが首だけなら」 2つの満月はルイズのやるせない拳に光を降らせていた。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4205.html
前ページ次ページゼロの使い魔はメイド キュルケとの軽い悶着後。 ルイズはシャーリーを伴い、いざ朝餉におもむかんと食堂に行ったのだが。 (しまった……) と、ルイズは無駄に豪華な朝食を前にしばし考えていた。 (この子の食事、どうしよう?) 普通使い魔の食事は学院が用意してくれるが、シャーリーは平民とはいえ、れっきとした人間である。 まさか他の使い魔連中と同じように扱うわけにいかぬ。 かといって、同じ席で同じものを食べさせるというわけにいかない。 貴族と平民は違うのだ。 ルイズはちらりと後ろに立っているシャーリーを見る。 ちょこんと横にひかえたシャーリー、ごく普通にしていた。 空腹でないわけではないだろうが、自分がルイズと同じ席で同じものを食べるなどという発想は最初からないようだ。 それがここハルケギニアでは普通なのだが。 もしもこれが、もっと別の時代の、別の時代の国の少年なんかであれば、自分もご相伴に預かれると思い込み、はしゃぎまわっていたかもしれぬが。 (後で、メイドにでも頼んでおけばいいかな?) そう考えてから、始祖ブリミルへの感謝をささげた後、ルイズは朝食をとる。 朝食後、シャーリーの入れてくれたお茶を飲んで、ほっと息を吐いてから、 「ちょっと、あなた」 近くを通る黒髪のメイドに声をかけた。 「はい、なんでしょうか?」 メイドはルイズを振り返った後、シャーリーを見て、あらという顔をする。 もう顔を知っているのだろうか? シャーリーを見ると、 「お洗濯の時に……」 なら、話は早い。 ルイズはふむとうなずき、 「ちょっと頼みたいんだけど――」 ルイズはシャーリーの食事をシエスタに頼むと、席を立ち上がった。 「シャーリー、あなた朝ごはんまだでしょ? 今のうちに食べてきなさい。終わったら教室にくるのよ。場所はそのメイドにでも聞いて。それから……」 と、ルイズはシャーリーの服装を見て、 「ついでにメイド服に着替えてきなさい」 「――はい」 メイド服、という言葉にシャーリーはかすかに反応したようだった。 (? まあいいわ) 「それじゃ、後よろしく」 そうシエスタに言って、ルイズはすたすたと食堂を出て行った。 「なんだ、シエスタその娘っこは?」 厨房に連れて行かれたシャーリーを出迎えたのは、コック長の怪訝そうな声だった。 「あの、この子はミス・ヴァリエールの……」 「おおう、平民の使い魔ってのは、この子か?」 コック長のマルトーはシャーリーを見ながら、 「まだ子供じゃねえか、こんな子を……。ったく、これだからメイジってやつらは……」 不機嫌そうに鼻を鳴らすマルトーに、シャーリーは脅えたように表情を暗くする。 それに気づいたマルトーはあわてたように振って、 「おっと、別にお前さんに怒ってるわけじゃあねえんだ。気にしねえでくれ。朝飯がまだ? そうか、簡単な賄いしかねえが、食ってきな」 「ありがとうございます」 シャーリーが礼を言うと、 「なぁに、いいってことよ」 マルトーは照れたように笑ってみせた。 「何か困ったことがあったら、俺でもいい、シエスタでもいい。いつでも相談しな」 「はい」 シャーリーは安心したように、かすかに微笑んだ。 簡素な食事をすませた後、シャーリーはシエスタにある部屋に案内される。 シエスタが他のメイドと一緒に使っている寝室。 「あらあら、かわいらしいこと」 シエスタは楽しそうに笑った。 部屋に設置された大きな鏡の中、メイド服に着替えたシャーリーが映っている。 「ちょうどサイズが合うのがあってよかったわ。ここではあなたくらいの年のメイドっていなかったから、服あるかなって思ってたんだけど」 シエスタはシャーリーの肩に手を置いて、鏡の中の小さなメイドを見る。 「……」 シャーリーは鏡をじっと見ている。 緊張したように表情は少ないが、嬉しそうな様子だった。 「それじゃ、ちょっと替えの服持ってくるわね」 「……」 シエスタが出て行った後も、シャーリーはしばしぼうっとしていたが、 「……」 おもむろに、くるりと体を回転させた。 スカートが、ふわりと舞う。 「………」 シャーリーはスカートを見下ろして、表情を一変させた。 花のような笑顔とは、このことであろうか。 さらに、もう一度。 じーん。 そんな擬音が聞こえてきそうな表情だった。 かすかに紅潮した頬が、少女の感動の強烈さを物語っているようだった。 シャーリーは何度もくるりと舞ったり、スカートの裾をつまんだりしていた。 すっかり夢中になっているところに、 「シャーリー、お待たせ……」 シエスタが予備のメイド服を手に戻ってきた。 「……」 鏡の前、裾をつまんでポーズをとっていたシャーリー。 立ち尽くすシエスタ。 THE WORLD 数秒経過。 そして、時は動き出す。 「……すみません。その、スカートがぶわっと……。こういうのに憧れてたので……」 「そ、そうなの」 シエスタは内心、 (そんなことが、あそこまで嬉しいなんて……) 暗い過去を背負っていそうだなあ。 照れまくるシャーリーを見て思った。 と、 ドンと、どこかで何かが爆発したような音が響いた。 「今の……」 驚くシャーリーに、 「多分ミス・ヴァリエールね……」 シエスタは苦笑した。 シャーリーが教えられた教室へと向かってみると、中はもうメッチャクチャだった。 教室の中で爆弾でも使用したかのような惨状。 ルイズはその中に一人で立ち、黙然としていた。 「あ、あの……」 何か近寄りがたい雰囲気ながら、シャーリーは思い切って声をかける。 「シャーリー」 ルイズは振り返らずに言った。 声が、ひどく硬い。 「はい」 「教室の中を片づけるの、手伝って」 「はい」 シャーリーはそれ以上何も言わず、掃除をはじめる。 器用な手つきで、ゴミを片づけ、床をはいていく。 広い教室なのでそうそうすぐには終わらないが、それでもシャーリーは手早く掃除を行っていく。 「何も聞かないの?」 のろのろと机をふいたりしていたルイズは、やはりシャーリーの顔を見ずに言った。 「……」 「私、どんな魔法を使っても爆発させちゃうの……。今日もそれで、この有様」 と、ルイズは教室を見る。 「おかしいわよね。魔法の使えない貴族なんて。召喚魔法は、サモン・サーヴァントやコントラクト・サーヴァントが成功したのに…………」 「……」 「……そっか。あんたは、魔法のないとこからきたんだっけ?」 「はい」 「シャーリー」 かすかに震える声で、ルイズは言った。 「はい」 「しばらく、私のほう見ないでね」 小さな声でルイズは懇願した。 背中を向けたその表情はシャーリーには見えない。 ただ、その肩はかすかに震えていた。 「はい」 シャーリーは、静かにうなずいた。 「シャーリー」 またしばらくして、ルイズはシャーリーを呼んだ。 「はい」 「ありがとね……」 「……いいえ」 ようやく片づけが終わった頃、時刻はもう昼にさしかかっていた。 少しばかり目を赤くしたルイズは、シャーリーと一緒に食堂へやってきた。 そして、朝と同じく何事もなかったような顔で食事を取り始める。 シャーリーは朝と違ってメイド服なのでひかえている姿はまったく違和感がない。 食事も終盤に差し掛かる頃、デザートが配られ始める。 色々と種類があって好きなものを選べるようになっているらしく、メイドたちがそれぞれ学生たちに言われるものを配っていく。 「何をお取りしましょう?」 お茶を入れてから、シャーリーはルイズに尋ねる。 「クックベリーパイ持ってきて」 「はい。ただ今」 シャーリーはデザートを配っているメイドたちのほうへ歩いていく。 と、その途中で談笑している少年が、ポケットから小壜が落ちるのが見えた。 「あの、落とされましたよ?」 シャーリーは拾って少年に渡そうとする。 「あ、ああ。ありがとう」 少年は一瞬ぎくりとした顔になるが、すぐに何食わぬ顔で受け取った小壜を素早くポケットにしまいこむ。 が、まわりの仲間は目ざとくそれを見とがめて、 「おい、今のはモンモランシーの香水じゃないか?」 「ああ、そうだが――。しかし、誤解のないように言っておくけれど……」 少年は何やら弁解しようとするが仲間は怒涛の勢いで、 「あの鮮やかな紫は、モンモランシーが自分のためだけに特別に調合する香水だ。間違いない」 ちょっと小太りの男子が大声で言った。 鈍重そうな容姿のわりに、変なところに目がきくらしい。 「そうだ! ということはだ。お前は今モンモランシーと付き合っている、とこういうわけだな?」 他の連中も面白そうに囃し立てる。 「違う。だから、彼女の名誉のためにも言っておくが……」 少年はなおも言い募ろうとするが、もはや周囲は聞く耳持たない。 と、そこに一人の少女が青い顔で近づいてくる。 「ギーシュさま、やっぱり……ミス・モンモランシーと」 「いや、これは。その、誤解だ」 「その香水が何よりも証拠です」 「違うよ、ケティ僕の心の中にいるのは君だけ……」 ぱぁん。 小気味のいい音が響く。 少女の手のひらが、少年の頬を張ったのだ。 「さようなら!」 少女は泣き顔で叫び、走り出してしまった。 「邪魔よ!!」 八つ当たり気味に、シャーリーを突き飛ばして。 よろけるシャーリーだが、どうにか踏ん張って持ちこたえる。 だが、そこに金の巻き毛が特徴的な少女がずかずかと近づいてきた。 「邪魔よ、どきなさい!」 巻き毛はシャーリーを押しのけてギーシュの前に立ちはだかる。 「やっぱり、あの一年生に手を出してたのね……?」 「待ってくれ、モンモランシー……これはだね」 少年はきざだが必死な様子で花の浮くような台詞を並べるが、巻き毛は何も言わずにテーブルのワインをひっつかみ、少年の頭に洗礼を与えるがごとくふりかける。 「この、うそつき!」 一声叫んで巻き毛の少女は行ってしまった。 去り際に、浮気な交際相手に張り手の贈りものをして。 見事なまでの醜態をさらした後も、少年はハンカチで顔を拭きながら、 「彼女らは、薔薇の存在意義を理解していないようだ」 などと、ほざいていた。 シャーリーは動揺しながらも、そそくさとその場を離れようとする。 あまりお近づきにはならないほうがよさそうだと判断して。 「待ちたまえ」 「は、はい」 少年に呼び止められ、シャーリーはぎくりとして足を止める。 「君、君が軽率に壜を拾っておかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね」 「え……」 まさか、こんな風に言われるとは思わなかった。 「……も、申し訳ありません」 理不尽である。 だが、シャーリーのような少女に学生とはいえ魔法使いで貴族という相手に反抗できる術などあるわけもない。 謝るしかなかった。 がたん。 その様子を見ていたルイズは、顔をしかめて椅子から立ち上がった。 (しまった……) しばらくは傲然とシャーリーを見ていた少年だが、いくらか冷静になると我がことが省みられるようになってきたのか、ばつの悪そうな顔になってくる。 そこに。 「ちょっとギーシュ、何言いがかりつけてるのよ!!」 ルイズが大声で怒鳴り、シャーリーをかばい少年――ギーシュの前に立ちふさがる。 「さっきから聞いてれば、二股かけたあんたが悪いんじゃないの! か弱いメイドに八つ当たりするなんて最低よ!!」 「う……!」 その言い様にムカッとくるギーシュだが、ルイズの後ろで青くなっているシャーリーを見ると、事実を素直に認めるしかない。 女好きで軽薄ともいえる性格ではあるものの、理不尽に暴力を振るうこと好む気性ではない。 相手が少女なら、なおさらだ。 「うっ。そ、その通りだ」 ギーシュは頭をさげた。 負けるが勝ち。 そんな言葉が彼の脳裏を走ったかどうかは定かではないが。 「さっきの暴言は海に流してくれたまえ」 ギーシュはシャーリーに向かって謝罪する。 「完璧に僕が悪かった。どうか、びっくりするぐらい許してくれ」 しかし、いつもの調子は出ずに、何ともおかしな言い回しをしてしまった。 「い、いいえ……」 シャーリーはそう答えるのが、精一杯だった。 横でそれをハラハラと見ていたメイドたちもほっとした様子だった。 前ページ次ページゼロの使い魔はメイド
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9054.html
前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔 ウルトラマンゼロの使い魔 第十七話「タルブ村の宝物」 黄金怪獣ゴルドン 登場 アルビオンからの帰還後、ルイズと才人はキュルケに誘われて、宝探しの旅につき合うことになった。 しかしどれだけ危険を冒そうと、見つかるのはガラクタばかり。嫌気が差してきたところで、 キュルケは次を最後にするという。その対象はタルブ村の『竜の羽衣』というお宝。それは、何の巡り合わせか、 シエスタの祖父がタルブ村にもたらしたものなのだという。 だが一行が訪問した時には、タルブ村は壊滅状態に陥っていた。近くの山に怪獣ゴルドンが棲みつき、 餌の黄金を探しに行く際の通り道にされたことで、村が蹂躙されてしまったのだった。 こうなっては『竜の羽衣』どころではない。キュルケはタルブ村を救うために、 自分たちでゴルドンを誘き出すことを提案した。そしてルイズたちは、彼女に押し切られる形で、 ゴルドンの巣穴を探しにシルフィードに跨って飛び立った……。 「見て、あそこ。あんなに大きな穴が開いてる。あそこが巣穴に違いないわよ」 タルブ村から飛び立ち、ゴルドンが棲みついているという山まで飛んできた一行は、 案外あっさりとゴルドンの巣穴らしき穴を発見した。何せ山のふもとに、大空洞といっても 差しつかえないほどの大きな穴が開いているのだ。あまりに目立つので、見逃すのが難しいほどだった。 「あれだけの大きさなら、シルフィードに乗ったまま中に入れるわね」 「むしろ、降りて入らなくちゃいけないんだったら、僕は帰るところだったよ。自分の足で 怪獣から逃げるような危険な真似は、絶対したくない」 キュルケのひと言で、ギーシュが情けないため息を吐いた。 穴は翼を広げたシルフィードが五匹横並びになっても、まだ十分な余裕があるほど広かった。 まぁ、40メイル級の巨大怪獣が掘ったのだから、それで当たり前なのかもしれないが。 「ねぇ、入るといっても、どっちの穴に入るの?」 ここでルイズがそんな質問をする。何故なら、彼らの見下ろす先にある穴は、二箇所あるからだ。 「ていうか、何で二つもあるのよ」 「別に巣の入り口が一つだけって決まってる訳じゃないでしょ。どっちに入っても、同じ場所に 通じてるんじゃない? だからどっちでも同じよ、きっと」 ルイズの疑問に、キュルケは適当に答えた。 「そんないい加減な……これから危険を冒すんだから、もっとよく考えた方が……」 「考えたって何も変わらないわよ。さッ、タバサ、シルフィードに穴に潜るよう指示して」 ルイズの意見を無視して、キュルケが頼む。それを受けたタバサの命令で、シルフィードが 斜め下に降下して穴の中に突入した。 「大丈夫かしら……?」 ルイズの懸念を置いて、シルフィードが進む。キュルケ、タバサ、ギーシュの三人掛かりの『ライト』で、 広大な穴の中が照らされて、巣穴のどこかにいるはずの怪獣ゴルドンの姿を探す。 しばらくは、誰もが緊張した面持ちで黙ったままでいる時間が続いた。しかしその内に、 彼らの目に土肌ではない、魔法の光を反射して煌びやかに輝く何かが映った。 「止まって!」 すぐにタバサはシルフィードを急停止させる。そして視界に映ったものの全貌が、一行の前に露わになった。 「間違いない。こいつがゴルドンだ……!」 才人が言い放つ。彼らの前に横たわっているのは、黄金色の肌を持つ、才人が写真で見たものと 寸分も違わぬ巨大怪獣、ゴルドンだった。 しかし今は熟睡して、いびきを立てている。一行がやってきたのにも気づいてない様子だ。 巨大生物のいびきなので音量もそれに見合うほどのものがあり、キュルケやルイズは思わず耳をふさいだ。 「こいつがタルブ村を滅茶苦茶にした奴なのね……。こんな呑気に眠り込んでるなんて、 腹立たしいわ……!」 ルイズがいら立ちまぎれにつぶやいた。ゴルドンは野生の怪獣なので、タルブ村を踏みにじったことに 罪悪感すら覚えていないのだろう。しかしタルブ村の住人の絶望した表情を思い返すと、 のんびり眠りこけている姿に怒りが湧いてくる。 「でも寝てるんじゃ、誘き出すことなんて出来ないわ。叩き起こしましょう」 「し、慎重にやってくれたまえよ!」 杖を向けるキュルケに、血相を抱えたギーシュが懇願した。 「分かってるって。『ファイアー・ボール』!」 本当に分かっているのか、キュルケは本気の火球を撃ち込んだ。だが体表で火球が炸裂しても、 ゴルドンは目を開ける気配すら見せなかった。寝転がったまま、先がハサミのように二又に分かれた 長い尻尾を鬱陶しそうに振ってきたので、シルフィードは慌てて後退した。丸で羽虫を追い払うかのような素振りだ。 「あ、あいつ……! たかが野獣のくせに、わたしたちをハエ扱い!? あったま来た!」 この所作に、貴族らしくプライドが高いルイズが激昂した。杖を抜くと、先端を寝そべったまま 動こうとしないゴルドンに向けて呪文を唱える。 「『ファイアー・ボール』!」 キュルケと同じ呪文だが、火球は飛び出ず、爆発がゴルドンの側面に発生する。その威力は、 火球の炸裂の何倍もあった。 「キョーキョキョキョキョ!」 今度ばかりはたまらず、ゴルドンは飛び起きた。そしてギロリとルイズたちをにらみつけると、 身体の向きを変えてシルフィードに向かってきた! 「! シルフィード!」 「きゅい! きゅいー!」 タバサが急いで指示を出すと、シルフィードはクルリと反転し、元来た道を引き返し出した。 ゴルドンは逃げるシルフィードを追いかけてくる。 「キョーキョキョキョキョ!」 「うわあぁぁ! 何てことをしてくれたんだねルイズ! 怒らせてしまったじゃないか!」 「け、結果オーライって奴よ! 元々こうやって地上に誘き出す予定だったじゃない!」 パニックになったギーシュが非難すると、ルイズは開き直った。 しかし実際、事態はさほど悪くはなかった。ゴルドンは鉱物の金を食べているからかどうかは定かではないが、 移動速度は大して速くはなかった。シルフィードが追いつかれるようなスピードは出せないようだ。 しかも怒りで我を忘れているようなので、地上に誘導されていることにも気づいてない様子だった。 「いい調子だわ。地上に出たら、みんなで精一杯声を張り上げてウルトラマンゼロを呼びましょう」 キュルケは己の立てた計画が順調に進んでいることに気を良くした。だが巣穴の途中で、 ゴルドンの動きに変化が起こった。 「キョーキョキョキョキョ!」 急に追いかけるのをやめて、首を振ってけたたましく鳴き声を出し続けたのだ。 「ちょっと、止まっちゃったわよ! ちゃんと追ってきてくれなきゃ困るじゃない! ルイズ、 もう一発ぶちかましてやりなさいよ」 ゴルドンに合わせてシルフィードも停止すると、キュルケがルイズをけしかけようとした。 その一方で、タバサはゴルドンの行動の変化に、悪寒を覚える。 「まさか……」 そして彼女の感じた悪い予感は、直後に的中したことが明らかになった。 「キョーキョキョキョキョキョ!」 シルフィードの背後、つまり地上側の地面がいきなり下から爆発したかのように弾け、 ゴルドンが這い出てきたのだ! 「えっ!!? 嘘!?」 これに目を見張る一同。何故なら、ゴルドンは既に、彼らの前方にいるからである。 ここで、ルイズたちが一つ勘違いをしていたことを説明せねばなるまい。彼らは「怪獣」という生物について、 一度に「複数の種」を目にすることはあったが、一度に「同一の種を複数」確認したことは今までに一度もなかったので、 「怪獣が一種につき一体きり」と、そんな誤解を心の奥底で覚えてしまっていた。才人もまた、 実際に同じ種の怪獣が複数いるところを目撃したことがなかったので、その可能性をすっかり失念していた。 だからこそ、はっきりと明記する。ゴルドンは二体いた! ルイズたちは挟み撃ちにされてしまったのだ! 「じ、冗談でしょう!? 二匹いるなんて反則よ!」 認めがたい現実を前にして、キュルケが思わずわめいた。だがそんなもので、二体のゴルドンが消えるはずがない。 「まずい……!」 才人や普段は冷静沈着なタバサも、この状況には顔を青ざめた。二体目のゴルドンの巨体により、 逃げ道が塞がれてしまったのだ。一行は怪獣の巣穴でにっちもさっちも行かなくなった。 「キョーキョキョキョキョ!」 「キョーキョキョキョキョキョ!」 二体のゴルドンは、前進も後退も出来ず狼狽しているシルフィードにじりじりと近寄っていく。 「き、きゃああああああッ! やめて! こっち来ないでよ!」 「ひぃぃぃぃぃぃ! ぼ、僕たちが悪かった! だから許しておくれぇ!」 プレッシャーに耐え切れずにルイズやギーシュが悲鳴を上げるが、怪獣に言葉が通じる訳もない。 ゴルドンたちが尻尾を振ってシルフィードを叩き落とそうとするのを、シルフィードは必死にかいくぐってかわす。 だがいつまでもよけ続けることは出来なかった。尻尾のひと振りが翼をかすめ、その際の衝撃で シルフィードは地面へ叩き落とされる。 「きゅーい!」 「わああああああああああッ!」 「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 当然騎乗しているルイズたちも転落し、地面に落下したことでほとんどが意識を失ってしまった。 そこに、怒りの収まらないゴルドンたちが容赦なく接近してくる。確実にペシャンコに押し潰すつもりだ。 「くそッ……! そうはさせるかぁッ!」 だがこの場面で立ち上がる者がいた。才人だ。かろうじて意識を繋いだ彼は、仲間たちを守るため、 延いてはタルブ村をこれ以上蹂躙させないために、ウルトラゼロアイを取り出す。 「デュワッ!」 ゼロアイを顔に装着し、たちまちウルトラマンゼロに変身して二体のゴルドンの前に立ちはだかった! 「キョーキョキョキョキョ!?」 突然40メイルの巨人が立ちはだかったことでひるんだゴルドンたちだが、そこは闘争心の塊の怪獣。 すぐに尻尾や長い首を棍棒のように振るって攻撃を仕掛ける。 「ハッ!」 ゼロは二体の打撃を、腕を盾にすることで弾き返す。ゴルドンは光線や火炎など、特別な攻撃方法を持たない。 重い巨体を活かした直接攻撃しか武器を持ち合わせていないのだ。だが単純な打撃は、ウルトラマンレオに 徹底的にしごかれて強靭な肉体を築き上げたゼロには通用しない。 『くッ……だがこいつは厄介な状況だぜ……』 しかしゼロの方も、無闇に反撃に転ずることが出来ないでいた。何故なら、彼のすぐ後ろには 気を失ったルイズたちが横たわっているからだ。下手に立ち位置を変えたら、彼らがゴルドンに 踏み潰されてしまうかもしれない。光線技や大技も、巻き込む恐れがある。しかも現在の場所は、 ゼロの巨体には狭すぎる怪獣の巣穴。よってゴルドンたちを別の場所へ引き寄せることも出来ないのだ。 と言っても、いつまでもこのままでいる訳にもいかない。ゼロのエネルギーはハルケギニアでは 三分しか持たないのだ。三分を越えれば、才人の姿に戻ってしまう。そうなったら結局は全滅だろう。 『こんな狭い場所じゃミラーナイトも呼べねぇし、どうすりゃいいんだ……!』 圧倒的不利の状況に悩みながらも、ゴルドン二体の攻撃をさばくゼロ。だが打撃をはね返した直後の わずかな隙を突かれて、一体目の尻尾が首に巻きついてしまった。 「キョーキョキョキョキョ!」 『ぐッ!? しまった!』 更に二体目の尻尾も首に巻きつけられる。二体に首を絞められて、さしものゼロもたまらずに悶絶した。 「キョーキョキョキョキョキョ!」 『ぐおおおお……! く、苦しい……!』 怪獣の怪力が首に掛かり、ゼロはその場で膝を突いた。それに気を良くしたのか、ゴルドンたちがもっと力を強める。 『くッ……そぉッ! あんまり調子づくんじゃねぇよ!』 その時、ゼロが遂に怒りを解放した。ウルティメイトブレスレットを叩くと全身が赤く染まり、 力ずくで尻尾の拘束を振りほどく。超パワーの戦士、ストロングコロナゼロに変身したのだ! 「キョーキョキョキョキョ!」 尻尾を解かれたゴルドンたちは、代わりのように頭突きを繰り出すが、 『せいッ!』 その脳天にゼロの鉄拳が炸裂した。頭部に激突した拳の衝撃はゴルドンたちの頭蓋骨を通り抜けて 脳まで伝わり、軽い脳震盪を起こさせる。 「キョーキョキョキョキョキョ……!」 『ふんッ!』 グロッキー状態になった二体の首根っこを、ゼロがむんずと掴む。そして、 『どぉぉぉりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』 ストロングコロナの怪力の本領を発揮して、二体の巨体を地上へ向けて投げ飛ばした! ゴルドンたちはまっすぐ吹っ飛んでいき、巣穴を飛び出して大地に転がった。 『はッ!』 ゴルドンたちを一旦排除したゼロは、ストロングコロナからルナミラクルゼロに変身し直す。 そして両手で気絶中のルイズたち全員をすくい上げると、精神を集中して、ルナミラクルの得意とする 超能力を発動してテレポートした。 移動先は、巣穴の外。ゴルドンたちが這いつくばっているのを尻目に、ゼロは山林の中にルイズたちを降ろした。 『よぉし、これで目いっぱい戦えるぜ! ゴルドンども、年貢の納め時だ!』 窮地を見事切り抜けたゼロは、ルナミラクルから通常の状態に戻った。と同時に、持ち直した ゴルドンたちがゼロに押し寄せてくる。 「キョーキョキョキョキョ!」 『ふんッ! はッ!』 相変わらず尻尾や首を振り回して攻撃してくる二体のゴルドンに、ゼロは防御しつつカウンターで 首筋にチョップを見舞う。 「キョーキョキョキョキョキョ!」 攻撃を繰り出しているゴルドンたちの方が、一方的に痛めつけられる結果となった。 開放されている太陽の下では、ゴルドン側に勝ち目がある訳がないのだ。 「キョーキョキョキョキョ!」 それでも怪獣の意地なのか、背中は見せない。一体目が先ほどのように尻尾をゼロの首目掛け伸ばし、 二体目は突進して頭部の角を突き刺そうとする。 『同じ攻撃を二度も食らうかよ!』 しかし尻尾はゼロに易々とキャッチされ、それだけでなく、瞬時に二体目の首に巻きつけられた。 「キョーキョキョキョキョキョ!」 まさかの事態に目を白黒させた二体目も尻尾をゼロに伸ばすがそれも掴まれて、同じように 一体目の首に巻きつけられた。二体のゴルドンは互いの首を絞め合う形になる。 「キョーキョキョキョキョ!」 「キョーキョキョキョキョキョ!」 二体ともほどこうともがくが、互いに勝手に暴れ回ることで余計に絡み、もつれ合う。 激しくのたうち回った末にようやく尻尾がほどけると、両者ともひどく体力を消耗してしまった。 「シャッ!」 この瞬間に、ゼロがゼロスラッガーを投擲した。スラッガーは二体目の首と尻尾の付け根を切断する。 二体目は綺麗に三分割され、たちまち絶命して大地に転がった。胴体の切断面からは、 砂金が零れ落ちる。 「キョーキョキョキョキョ!」 これに激怒した一体目は、仲間の仇を取ろうとしているのか、猛然とゼロに突進していく。 「シェアッ!」 「キョーキョキョキョキョ!!」 しかしその首元にエメリウムスラッシュが撃ち込まれると、爆発とともにゴルドンの命の灯火が消え、 その場に倒れ伏した。タルブ村を踏みにじり、トリステインから黄金を奪っていたゴルドンは二体とも ゼロによって倒されたのだ。 戦いに勝利すると、ゼロは森の中に降ろしたルイズたちに視線をやる。 『やれやれ……何とかなったからよかったが、一時はどうなるもんかと思ったぜ。もう下手に 危険に手を出すような真似は控えてもらいたいな』 主にキュルケに向けて、肩をすくめながら独白すると、空に飛び上がってタルブ村から去っていった。 後日のことだが、黄金怪獣ゴルドンの死体からは、150tの純金が採れた。その黄金は、 タルブ村とトリスタニア、そしてトリステイン軍の復興資金に充てられた。これにより 復興の目途が全く立たずに途方に暮れていたトリステイン軍は、瞬く間に以前の規模を 軽々と超越するほどまでに復活し、トリスタニアとタルブ村も常識外のスピードで復興が成された。 このことにより、タルブ村は怪獣に蹂躙された悲劇の村から一転、トリステインに救いをもたらした 「奇跡の村」と呼ばれるようになった。 「あ~……ホント、ひどい目に遭ったわ……」 そうなることは露知らず、ゼロに救出された後のキュルケは、げっそりとした表情でそうつぶやいた。 無理に虎穴に手を突っ込むような真似をして、危うくゴルドンに殺されかけたことが相当応えたようだ。 「もうあんな、怪獣を甘く見た行動は取らないでよね。次もまた助かるなんて保証はないんだから」 「分かったわ……。あたしだって死ぬのはごめんよ。やっぱり、怪獣は近寄るもんじゃないわね……」 ルイズが注意すると、キュルケは珍しく素直に聞き入れた。それほど骨身に染みたということだろう。 ルイズと才人は何だかおかしくなって、クスッと笑い合った。 それはともかく、これでタルブ村は救われたということで、一行は早速シエスタに本来の目的である 『竜の羽衣』の下へ案内してもらうことになった。怪獣が倒されたと聞いたシエスタは感激のあまり、 何故か才人に抱きついて、ルイズの癇癪を招いたのだが、それはまぁいいだろう。 一行が案内された場所は、タルブ村の近くに建てられた寺院である。この場所は村はずれということもあって ゴルドンの被害を受けておらず、家を踏み潰された人々が身を寄せていたのだが、もう大丈夫だと知ると 皆村の修復のために大喜びで帰っていった。 そしてその寺院なのだが、造りをひと目見た才人は驚きを見せた。丸木が組み合わされた門の形。 石の代わりに、板と漆喰で作られた壁。木の柱……。白い紙と、縄で作られた紐飾り……。 それはどう見ても、ハルケギニアの文化には似つかわしくない建築物で、地球の日本特有の祭殿 『神社』だったのだ。 それだけではない。その神社に祭られている『竜の羽衣』を目にすると、言葉をなくした。 深い緑色の胴体の左右に、鉄板の翼が取りつけられ、前にはプロペラという、ハルケギニア社会では お目に掛かったことのないものが存在する。シエスタが「壊れている」と言った通り、 一度バラバラになったのを形だけでも元の通り繋ぎ合わせただけでもう飛ぶことは出来ないだろうが、 これが本当に空を飛べたことを、才人は理解していた。 「サイト、どうしたの? さっきから固まってるけど……」 ルイズが様子のおかしい才人に向けて尋ねかけるが、才人は何も答えず、代わりにシエスタに向き合って 肩をつかんだ。ルイズはムッと顔をしかめるが、気づきもせずに才人が質問する。 「シエスタ、お前のひいおじいちゃんが遺したものは、ほかにないのか?」 シエスタは頬を染めて、才人の目を見つめ返した。 「えっと……、あとはたいしたものは……、お墓と、遺品が少しですけど」 「それを見せてくれ」 シエスタは才人の頼みで、村の共同墓地へ連れていった。ルイズも主に二人を監視する目的でついてきた。 シエスタの曽祖父のお墓は、共同墓地の一画にあった。白い石でできた、幅広の墓石の中、 一個だけ違うかたちのお墓があった。黒い石で作られたその墓石は、他の墓石と趣を異にしている。 墓石には、墓碑銘が刻まれていた。 「ひいおじいちゃんが、死ぬ前に自分で作った墓石だそうです。異国の文字で書いてあるので、 誰も銘が読めなくって」 シエスタが呟いた。才人はその字を読み上げた。 「海軍少尉佐々木武雄、異界ニ眠ル」 才人がスラスラ読み上げたことで、シエスタもルイズも目を丸くした。 「サイト……それが読めるってことは、シエスタのひいおじいさんは……」 ルイズがシエスタの曽祖父の正体に勘付いた。その一方で、シエスタは驚きのあまり口を両手で覆っている。 「サイトさん……それを読んだということは、サイトさんがもう一つの『竜の羽衣』を 目にすることの出来る人だったんですね……」 「え……?」 妙なことを口走ったシエスタに、ルイズが振り返る。 「ちょっと、今のどういうこと? 『竜の羽衣』って、もう一つあったの?」 「はい」 ルイズの問い返しに、シエスタがコクリとうなずく。 「ただ、もう一つの方は、みだりに村の外の人に話すなと口止めされてたので教えませんでした。 けれど、今は別です。ひいおじいちゃんの遺言に、この銘が読める人にその存在を教えて、 それがある場所へ案内すべしとありますから」 才人は、先に見せられた『竜の羽衣』の正体を知っていた。それは、20世紀の太平洋戦争時に 日本が製造した戦闘機、ゼロ戦だ。それをタルブ村にもたらしたシエスタの曽祖父は、その時代の 日本人ということになる。 しかし、『もう一つの竜の羽衣』というものは、全く見当がつかなかった。そう何機も戦闘機を こちらの世界に持ち込むことは出来ないはずだ。一体何なのだろうか? 「もう一つの方は、寺院の裏の山に隠されてあります。ご案内しますね」 シエスタは、遺言に従って才人をその場所へと案内し出した。 「この洞窟の中です」 シエスタに連れてこられたところは、神社の背後にある山の、切り立った崖。その一箇所に、 やたらと大きく開いた入り口がある。だが山の陰になる場所にあるので、土地勘のない者は 簡単には見つけられないだろう。 ルイズも当然の如くついてきていた。シエスタは、ルイズが読んだ訳ではないと同行を反対したが、 「使い魔の権利は主人のわたしの権利でもあるわ!」と強硬に主張し、結局押し通したのだった。 「こっちの『竜の羽衣』の方は、もっととんでもない話なんです。空を飛んだというのはもちろん、 巨人に変身したとか。当然信じてる人はいませんが、『固定化』を掛けてないのに何十年も老朽化せず そのままの状態を保ってることから、想像がつかないほどすごいものであることには違いないということで、 みんなひいおじいちゃんの言いつけ通り、これを隠して今日まで守ってきました」 入り口の前で、シエスタが事前説明をする。それを聞いたゼロが、ひと言ボソッとつぶやく。 『巨人に変身……まさか……』 「とても大きくて、さっきのよりおかしな形をしてるので、見ても驚かないで下さいね。 それじゃあ、中に入ります」 松明に火を灯して、シエスタが先導する。それに続いた才人とルイズの目に、炎の明かりに照らされた 巨大な人工物が映った。 『もう一つの竜の羽衣』は、あまりに大きくて視界に収まり切らないのではっきりとは分からないが、 全体的に渡り鳥に似た形状をしているようだった。白い下地を、赤い縁取りで彩っている。 ゼロ戦はすぐに分かった才人も、これが何なのかは心当たりがなかった。 代わりに、ゼロが叫ぶ。 『こいつは!? な、何でこんなところにいるんだよ!』 「きゃっ!? ちょっと、急に大声出さないでよ。ビックリするじゃない」 ルイズが、ゼロの声はシエスタには聞こえてないことも忘れて抗議した。急に口を開いたルイズに、 シエスタが怪訝な目を向けているのが、構わずにルイズが囁く。 「それで、あなたはこれが何なのか分かったの?」 ゼロはすぐに答えた。 『ああ……。こいつはスターコルベット・ジャンバード。俺の仲間……つまり、ウルティメイトフォースゼロの ジャンボットのもう一つの姿だ!』 前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔