約 1,871,617 件
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/1330.html
シン「とまぁ、いきなりでなんだが、作者が書いている小説とも言えないのに出てきたガイアメモリの紹介をしたいらしい」 サイト「また突拍子な…今この小説戦争真っ只中なのにこんなん書いてていいのか?」 シエスタ「で、でもいいんじゃないでしょうか?」 シャルロット「……検索を始める」 ルイズ「シャルロットはもう準備してるわよ?」 キュルケ「じゃあ、はじめましょうか♪」 No.1 【IRON】:アイアンドーパント シン「『鉄の記憶』を内包したガイアメモリ。注入すると甲冑のような怪物、アイアンドーパントに変体する」 シャルロット「鉄の球体を射出したり鉄製の武器を練成したり鎧を分厚くして防御形態になったりと色々と体が変態可能…」 ルイズ「この小説で始めて出たドーパントよね」 サイト「そういやこのメモリの持ち主に殺されそうに…」 シエスタ「わ、私もです…」 キュルケ「でも、二人とも助けてもらったじゃない」 サイト「そうだな、ルイズには感謝してるよ」 ルイズ「べ、別に感謝されることじゃないわよ!」 シエスタ「私も、シンさんに…(はう、あの言葉がまた///)」 キュルケ「何か顔を赤くして嬉しそうね。ちょっと理由を聞きたいわ」 シエスタ「い、いえ!?ななな、なんでもありましぇん!!」 ルイズ「……どもってるわね」 シャルロット「……(ジト目でシンを見る」 シン「と、とりあえず次にいこうか!」 No.2 【SAND】:サンドドーパント サイト「『砂の記憶』のガイアメモリで、ゴーレムのようなドーパントのサンドドーパントに変体するんだったよな」 シン「使用者は土くれのフーケ。学院の先生が所有者だったな」 キュルケ「しかし、学院長も抜けてるわよね。普通、言い寄ってくるのを疑ったりしないのかしら?」 シン「察せよ。あのエロオヤジさんだぞ」 キュルケ「……うん、絶対疑らないわ」 シャルロット「右腕の豪腕と周囲の砂地に同化する能力が特徴。さらにゴーレム体への変態も備えている…」 ルイズ「そういえば、フーケが牢から抜け出したって聞いたわよ?」 シエスタ「えっ、そうなんですか?」 シン「(俺が一枚噛んでるってのは黙っておこう…今頃、あの人何してんだろ?)」 No.3 【CROW】:クロウドーパント シン「『烏の記憶』が内包されたガイアメモリだな。翼によって飛行が可能」 シャルロット「強力な嘴と爪を持ったクロウドーパントに変体する…」 ルイズ「ふーん…って、所有者がミスタ・ギトー!?」 キュルケ「そういえば学院に居ないと思ったけど、ドーパントだったの!?」 シン「戦争を起こそうと、裏でワルドと手を組んでたらしいな」 サイト「こいつもレコン・キスタだったのか?」 シン「いや、多分利害の一致だろうな」 シエスタ「……」 シャルロット「…どうしたの?」 シエスタ「いえ、ただ戦争を望むという考えが、私には分からなくて」 シン「力に溺れた者は力を振るいたがる。それが人だからな…」 サイト「お、重い話だから次に行くぜ!」 ※尺の都合上ともいえる No.4 【HORSE】:ホースドーパント シャルロット「ガイアメモリ【HORSE】によってホースドーパントへと変体…」 シン「足を生かしたかく乱戦闘、尻尾のような鞭(ポニーテイルウィップ)を使用した戦いが得意だ」 サイト「『暴れ馬人』とタルブで噂されて、それがシエスタの友人だったなんてな」 シエスタ「そうですね。今度あった時はじっくり話し合いたいと思います」 ルイズ「それにしても、こいつが黒い煙に包まれて体が変わったのには驚いたわ」 キュルケ「あれもガイアメモリの影響なの?」 シン「ガイアメモリがホセの心に影響して姿を変えたんだろうな」 サイト「心に影響?」 シン「ガイアメモリは心の憎しみや悲しみに、恨みや欲望に反応して成長していくんだ。ホセの場合は俺に対しての憎しみであの姿になったんだろうな」 サイト「それって人体に影響があるのか?」 シン「メモリブレイクすれば大丈夫だけど、人体に何が起こるか俺も分からないんだ」 シャルロット「ガイアメモリにはまだ謎がある…」 キュルケ「まぁ、それは今考えることじゃないわよ」 ※小ネタだからねこれ おまけ※注意 すごくぶっ飛んでいます。気分を害それたらすいません。 シン「……ッ!?」 ???「ほう、いい反応だ」 シン「誰だ!?」 ???「答える必要は無い」 スッ…(上半身のボタンを外していく シン「コネクタ!?」 ???「いくぜ、赤鬼。俺を楽しませてくれよ?」 【Goodmen】 シン「(何だ、他のガイアメモリと音声が…)!?」 ???「うほっ、いい男」 シン「阿○さん!?」 ???「ところでコイツを見てくれ。こいつをどう思う?」 シン「ぎゃーーーーー!!!!!」 ダッ!!!(走り去る ???「逃げられると思ったかい?」 シン「もう一人!?」 【FAIRY】 シン「(嫌な予感しか…)!?」 ???「ダラシネェナ」 シン「ビ○ーヘリン○ン!?」 ???「歪ミネェナ」 ???「とことん喜ばせてやるからな」 シン「いやーーーーーー!!!!!!」 「ウインディ・アイシクル!!!」 ???「シカタナイネェ…」 ???「俺はノンケだってかまわないで…」 カチーン☆ シン「シャ、シャル…」 シャルロット「私は彼の相棒。その隣は誰にも渡さない」 シン「シャル…」 シャルロット「シン…」 終われ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/695.html
前ページ次ページ異世界BASARA 「ひょわあぁー!持病の腰痛じゃあぁぁ!!!!」 夜、ほとんどの学院の生徒は夕食も終わって部屋に戻っていた。 グルルウウゥゥゥゥ… と、誰もいない筈の廊下から、唸り声のような音が聞こえてくる。 「…くっ、空腹がこれ程辛いものとは…」 音の根源は真田幸村の腹からだった。 昼間のルイズの言葉通り、彼は昼食を食べる事が出来なかったのである。 さらに夜になってもルイズの許しは出ず、夕食にも有り付けなかったのだ。 グウウゥゥゥゥ~ 苦しんでいる幸村へ追い討ちを掛けるようにもう一度腹が鳴った。 「い、今なら前田殿の気持ちが分かりそうな気がするぞ…」 「あの、ユキムラさん…大丈夫ですか?」 そんな幸村を心配したのか、シエスタがやって来た。 「シ、シエスタ殿か……何の、断食もまた鍛錬の1つと思えば…」 グギュルルル… 「…ユ、ユキムラさん…」 「…面目ござらん…」 「あの、今から厨房に来られますか?」 気の毒に思ったシエスタは、ここである事を切り出した。 幸村は今だ鳴り続ける腹を押さえ、シエスタに連れられて厨房へやって来た。 厨房に入ると、そこで働く給仕達が幸村を待っていた。 「よぉ!来てくれたか!!」 その中で貫禄のある男が幸村に声を掛ける。 ここを任されているコック長、マルトーである。 「シエスタから聞いたぞ、何でも御主人様に飯抜きにされたそうじゃねえか!」 そう言いながら豪快に笑う。 「な…何、武士は食わねど高楊枝、これしきの苦しみ耐えなければ…」 幸村のその言葉にマルトーはほう…と感心したような声を上げる。が…… グギュウウウウルル… 「だはは!腹の虫は正直みたいだな!よし、ちょっとそこに座って待ってな」 その音を聞き、マルトーは幸村をテーブルに座らせて皿を置いた。 皿の中には肉や野菜がたっぷりと入ったシチューが入っている。おそらく余った材料で作ったのだろう。 「こんなまかない料理しか出せないけどよ、食っていってくれ!」 「し、しかしルイズ殿は…」 「へっ、我侭な御主人様の事なんか気にすんなって。それによ…腹が減っては戦は出来ねぇって言うだろ?大事な時に倒れたらそれこそ恩を仇で返すようなもんじゃねえか」 確かにマルトーの言う事に一理ある。この状態で敵襲に遭っていたら本来の力を出せないかもしれない。 何より、自分の為に彼が用意してくれた料理を断るのが申し訳なかった。 「…かたじけない、有り難く頂戴いたす」 マルトーの作ったシチューは格別に美味かった。 思えば、この世界に来て初めてまともな食事に有り付いた気がする。幸村はすぐに平らげてしまった。 「馳走になった!そなたの作った飯は実に美味でござるな!」 「嬉しい事言ってくれるじゃねえか、腹が減ったらまた来な!我らの剣!」 「我らの…剣?」 「そうだ!お前さんは平民なのにいけ好かない貴族をぶっ倒してくれた。俺達の誇りだぜ!」 どうやらギーシュとの一件が学院に広まり、働く給仕達の耳にも入ったようだ。 「いや、拙者はまだまだ未熟者…ルイズ殿の役に立つにはもっと己を磨かねばならぬ」 「聞いたか!真の英雄ってのはこういう風に慢心しねぇ奴の事を言うんだ!お前達も見習えよ!」 「すまぬなシエスタ殿、そなたにも礼を言っておく」 食べ終えた幸村はシエスタにも頭を下げる。 「い、いえお礼だなんて!また来て下さい、皆待っていますから」 「…時に、シエスタ殿に頼みがあるのだがよいか?」 その頃、主人のルイズは学院中を歩き回っていた。 「まったく…主人の側から離れて何処ほっつき歩いているのかしら…」 幸村がシエスタに連れられて行ったその後、ルイズはそろそろ許してやろうと思い立ったのだ。 ところが廊下を見てみれば使い魔の姿が見当たらない。 そして今、幸村を探し歩いているという訳である。 「ではユキムラさん、準備はいいですか?」 「う、うむ!何分手慣れてない故、どうか頼む」 と、何処からか幸村と女の声が聞こえてくる。 「ユキムラ?何やってるのかしら…」 気になったルイズは声のする方へと足を運ぶ。近づくにつれて話し声もはっきり聞こえてくるようになる。 「よし!いざ参る!うおりゃぁ!」 「きゃ!ユ、ユキムラさん…もっと力を抜いて…」 「す、すまぬ…中々難しいものだな…」 「そう…いいですよ、そうやって優しく…」 「おお…よい感じでござるか?」 「はい。あ…もっと入れても大丈夫です…」 「承知いたした!どりゃああぁぁー!!」 「きゃあ!ダ、ダメ!強過ぎですー!!」 「な、なななななななななな!?!?」 やり取りを物陰から聞いていたルイズの顔は真っ赤になっていく。 「あ、あ、あいつったらこここ、こんな所で一体ナニを…!!」 聞いてられなくなったルイズは思わず飛び出してしまった。 「何してるのこのバカムラアァァァーー!!!」 「ミ、ミス・ヴァリエール!?」 「うわあルイズ殿!?こ、これはその…!」 突然現れたルイズに2人は驚いて声を上げる。 「…………は?」 ところがルイズの方はというと、呆気に取られていた。 2人の足元にあるのは水の入った洗濯桶。 そしてその中にある服…よく見ると自分のものである。 「洗濯……していただけ?」 「申し訳ありませぬ!自分でするなという禁を破ってしまい申し訳ありませぬうぅ!」 「あ、あの…ユキムラさんにどうやったら上手く出来るか教えて欲しいと言われまして…」 要するにこういう事だ。 幸村はただ洗濯の仕方をシエスタから教えて貰っていただけで、「強過ぎ」というのは手に力を込め過ぎている事だったのだ。 自分の完全な誤解だった事が分かり、体から怒りが抜けていくのをルイズは感じた。 「ルイズ殿?いかがなされた?」 黙っているルイズが気になり、幸村は声を掛ける。 「…へ、部屋に戻るわ。あんたも来なさい」 「は、ははっ!」 前ページ次ページ異世界BASARA
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4376.html
344 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 23 47 ID exjjRXTL 女王アンリエッタの執務室で才人とアンリエッタは話しをしている。 「・・・ルイズが一礼してわたくしに平手打ちを・・・・」 アンリエッタは先日、ルイズの部屋で起きた事を才人に話している。 才人は恐縮しながら聞いていた。 「サイトさんが謝る必要はないのですよ?悪いのはルイズの気持ちを考えない わたくしなのですから」 アンリエッタはもう誤解されないように才人から手を引く覚悟を話し、ルイズに手紙を届けるように才人に頼んだ。 「そうだわ!サイトさん、珍しいお茶とお菓子が手に入りましたの」 話しが終わった後、アンリエッタは才人を寝室のバルコニーに通して二人はお茶とお菓子を楽しんだ。 「ちょっとここで待ってて下さいね」 女王らしくない言葉づかいになってアンリエッタは席を外した。 才人が待っていると、すぐにアンリエッタは戻ってきた。 「ひめ様・・・・その格好は?」 アンリエッタは平民が着るようなシャツとスカート、髪はポニーテールにして纏められていた。 345 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 24 32 ID exjjRXTL 「わたくし・・・いえ、わたしはひめ様じゃないですよ?アンといいます」 アンリエッタの戦略は女王アンリエッタは才人に手を出さないが、お城に住むアンという少女は才人に恋をする、という二重戦略だった。 「バレバレじゃないですかひめ様」 あきれる才人を気にせずにアンリエッタは才人の隣りに座る。 「気にしないで下さい、アンリエッタ女王としてのわたしは約束を守るといっているのです。今はお城に住むアンと言う名の女です」 にこやかに才人に詰め寄って腕を絡ませるアンリエッタに才人はたじろぐ。 「アンとよんで下さいまし・・・いえ、下さい」 言葉づかいまで変えて ふふふっと短く笑うアンリエッタは魅力的だった。 「アン」 「はい?」 「ルイズに知れたら二人ともひどい目にあいますよ」 才人は舞踏会の件でルイズに頭が上がらなくなっていた。 「では知られないようにしましょう」 才人の頬にアンリエッタの唇が触れた。 「ひ、姫さ・・・」 「アンです」 アンリエッタは拗ねた顔で訂正し、また唇で才人をつつく。 「アン、俺は嘘つくの下手だからルイズに知られてしまうと思うんです」 346 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 25 20 ID exjjRXTL アンリエッタは少し考えて黙り、才人の顔を見てから ふふふっと笑う。才人にはいたずらっ子がとびきりのいたずらを考えた顔に見えた。 「わたしに考えがあります」 才人の唇はアンリエッタの唇によってふさがれた。 「アン、考えって?」 才人の質問はアンリエッタの唇が耳たぶまできた時に答えがきた。 「サイトさんには秘密です」 アンリエッタはポケットから白く長い手袋を出して両手につけて、才人にキスした。 才人はわけがわからず固まっているとアンリエッタの手袋はいつの間にか才人のズボンのホックを外していた。 「そのまま座っていてくださいね」 手袋をつけたアンリエッタは才人のソコを取り出し、触り始めた。 アンリエッタの白い手袋が才人のソコを撫で、握り、しごき、焦らすように止まる。 才人が んっと声を漏らすとアンリエッタの顔が才人のソコに近づき、ズボンと下着をすべて脱がされ、下半身だけ裸にされた。 347 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 26 13 ID exjjRXTL アンリエッタの顔がさらに近づき、アンリエッタの顔が才人のソコにうずまる。 才人は自分のソコにあたる体温と息と感触に驚く、くすぐったいような感覚、何かがソコに塗りたくられるような感覚、アンリエッタが才人のソコをくわえていた。 アンリエッタの愛撫は容赦がなかった。例えるなら知識だけは豊富で経験のない少女特有の荒々しい愛撫、相手の快感より自分の欲望を満たすための強い愛撫だった。 才人が痛みを我慢する顔をして声を出す。 才人の声でアンリエッタの力が弱まり、心地よい感覚がやがて快感に変化する。 アンリエッタの口は深いストロークを繰り返し、そのたびにポニーテールが前後にゆらゆらと揺れる。才人は少し声をだす。 才人の声に嬉しくなったアンリエッタは先端部分をグラインドする。ポニーテールは左右にゆらゆらする。才人の息が荒くなり、ポニーテールは速さを増す。ゆらゆら、ゆらゆら。 アンリエッタはちらりと才人の呼吸を読んで白い手袋をつけた手でしごきながら唇をすぼめて先端部分のみをピストンする。 才人が少し大きな吐息を出してアンリエッタの口の中に熱いものが断続的に爆発を始める。 348 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 27 01 ID exjjRXTL 爆発の最中にアンリエッタはさらに才人を追い詰める、才人はたまらず体をくの字にして逃げる。才人のソコがアンリエッタから離れて上下に律動させ爆発しながらアンリエッタの頬を汚す。 アンリエッタもソコを逃がすまいと深く飲み込みなおし、腕を才人の腰にまわして二度とソコが口から外れないように固定する。 才人は最後まで逃げられなかった。才人のソコはアンリエッタの口によって根元まで飲み込まれ、逃げようとすると腰にまわった腕がぎゅっと ちから込めていて。逃げれば逃げる程才人のソコは深く飲み込まれたからである。 ポニーテールが才人の律動にあわせてゆらゆら揺れる。やがてゆらゆらがおさまりアンリエッタの顔がソコから離れる。 アンリエッタは才人の精を全て飲み込んでいた。 頬についた精を手袋をしたままの手ですくいとり口へ運ぶ。才人の視線を感じて んふふふっと頬を朱に染めて笑う。 才人は精を飲まれて感動しながら恥ずかしがっていた。目の前のアンリエッタがとてもいとおしく見えた。 「もうしばらく座っていてくださいね」 アンリエッタはシャツをはだけて、スカート、下着を脱いで才人にまたがる。 349 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 28 52 ID exjjRXTL アンリエッタは熱い湯船につかるようにゆっくり腰を落としいく。 才人の正面にアンリエッタの胸が降りてくる。降りてくる胸がとまり、才人のソコがアンリエッタのソコに飲み込まれたのを告げるようにアンリエッタの口から熱い吐息が漏れる。 才人の顔はアンリエッタの胸の双球にうずまり、才人のソコはアンリエッタの中に吸い込まれていた。 アンリエッタが熱い吐息を才人の耳にかけながら動く、アンリエッタの胸も形を自在に変えながら才人をはさみ込む、アンリエッタのソコが潤みを増しながら才人のソコをしごきあげる。 才人にとって天国であった。 才人の唇が胸の先端を吸い上げる。アンリエッタの吐息が大きくなり、押し付けられる。 才人が腰使う。アンリエッタの腰も上下運動から前後運動にかわる。 才人が首を伸ばしてアンリエッタの胸元から首筋を舐めあげる。アンリエッタの吐息が大きくなり、アンリエッタの腰がグラインドを始め、搾る強さが増す。 「アン」 「なんですか」 「そろそろ離れないと・・・・」 「かまいません、我慢せずに出してください」 「でも・・・」 言葉はアンリエッタの胸によってふさがれた。 350 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 30 05 ID exjjRXTL アンリエッタは才人の顔を胸にはさみ込み、搾りを強くして前後運動を始めた。 才人の吐息が胸に伝わり、才人の陥落までもう一息という呼吸が伝わってくる。 アンリエッタの前後運動は止まらない。 前後運動から逃げようにも椅子に座った状態では逃げられなかった。 アンリエッタが前後運動の最中にふるふる震えた時に才人はアンリエッタの胸の匂いをすいながらソコを爆発させた。 アンリエッタのソコも律動を始めていた。 アンリエッタの唇が才人の唇に触れ、才人は解放された。 「学院に帰る時はお風呂に入ってからにして下さいね」 才人とアンリエッタはキスしながらしばらく語りあったがアンリエッタの作戦は才人には秘密とのことだった。 甘いひと時がおわり、アンリエッタはアンからアンリエッタ女王に戻り、才人に手紙を渡した。 「仲直りの手紙です。必ず届けて下さい」 才人もシュバリエ・サイトの顔をして受け取り、城を出た。 才人が学院に到着する少し前、ルイズとシエスタが部屋にいる所に1羽のフクロウが舞い降りた。 351 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 31 16 ID exjjRXTL 「わわわっっミス・ヴァリエール!窓にフクロウがっ!!」 ルイズはフクロウの足についた手紙と小さな袋を受け取る。 『宣戦布告』という始まりの言葉が書いてある手紙だった。 手紙の最後には、『サイトさんがどちらかを選ぶまでサイトさんには秘密にしましょう』と締めくくられていた。 小さな袋の中には白い手袋が入っていた。 「手袋・・・ですか?」 シエスタは意味がわからないという感じで手袋を見つめる。 「サイトの匂いが付いてる」 ルイズは気づいた。 「そういえば指のあたりがシワになってて汚れてますね」 ルイズもシエスタも才人の身に何がおきたか理解した。 「ただいま」 才人が部屋に帰って来ると二人はあわててポケットに何かしまい込んでいた。 才人は気にせずに手紙を渡す。 「姫さまが仲直りしようってさ」 ルイズもシエスタも手紙を読む。 『女王アンリエッタとして・・・』 内容は謝罪だったがルイズもシエスタもアンリエッタの戦略に気がついた。 「ありがとう、サイト。わざわざご苦労様」 「ミス・ヴァリエール、こちらも手紙をだしましょう」 才人を珍しく労うルイズと笑顔のシエスタをみて才人も笑顔になる。 352 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 32 19 ID exjjRXTL 「手紙なら俺が届けるよ」 才人の言葉にルイズとシエスタはさらに笑顔になる。 「当たり前じゃないの、あんたが届けないと意味がないのよ」 「そうですよ、サイトさんじゃなきゃダメなんですっ」 言葉に含まれた毒に才人は気づかない。 二人は顔を見合わせて目で語り合う。 (協力します。 ミス・ヴァリエール、あなたが三番になるといろいろやっかいなので) (なんであんたが二番なのよ!!あたしの使い魔なんだから一番二番とか関係ないでしょ!!) 三人はそれぞれ別の理由で笑顔だった。 「ミス・ヴァリエール、夕食が終わったら作戦開始です」 「そうね、それまでに準備するわよ」 才人は二人の会話がわからなかったが、二人は才人には秘密といってごまかした。 夕食が終わり、才人は少したってから部屋に入るように言われて、それに従う。 「サイトさん、入ってください」 才人が扉を開けると、ルイズは制服姿、シエスタはセーラー服姿だった。二人ともベッドに座っている 「い、い、い、い、犬、脱いでそこに座りなさい」 「なんでだよ!」 「今は何も聞かないでミス・ヴァリエールの言うとおりにしてください!!」 353 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 33 27 ID exjjRXTL セーラー服姿のシエスタがルイズを援護する。 才人は文句をいいながらも下着一枚になり、二人の前に正座する。 (ミス・ヴァリエール、こういうことは思い切りが大事です) (わかってるわよ!やればいいんでしょ!やれば!) ルイズの黒いニーソックスが一本だけが才人の肩にかかり、ゆっくりと胸、臍、まで降りてくる。 「な、な、何を・・・ルイズ」 才人は突然の攻撃に立ち上がろうとする。 「動いちゃダメです。サイトさん」 シエスタの目が怖い。 座りなおした才人のソコに黒いニーソックスが触れる。 才人がぴくんと動く。ルイズも真っ赤になって才人の動きにたじろぐ。 黒いニーソックスはソコをほじくるようにつつく。 才人が真っ赤になって耐える。 「ミス・ヴァリエール、もっとやさしく」黒いニーソックスは大きくなり始めたソコを土踏まずで撫でる。 ルイズの息が荒い。オトコノコの証はルイズに挨拶するように脈を打ち始める。 黒いニーソックスは挨拶にこたえるように二本になり、才人のソコをやわやわ包む。「んうぉっ」 才人が声をあげるとルイズは真っ赤になってはさみこんだソコを左右にゆらす。やわやわ、やわやわ。 354 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 34 29 ID exjjRXTL 「サイトさん、下着も脱いでください」 シエスタも真っ赤だった。 才人が下着を脱ぐ。ゴクリと二人から音が聞こえた。 再び黒いニーソックスが才人に襲いかかる。今度は直にやわやわと。 才人は強い快感に声を出し、からだを引っ込ませる。黒いニーソックスはソコを逃がさない。 右の黒いニーソックスは触手のようにソコを指で上からつかみ、左の黒いニーソックスは横からソコを支える。 引っ張り出されて上から握られた才人のソコは指でよってうにうに揉まれて先端を磨き上げる。 才人はソコを鎮めようとするがルイズの下着の奥を見てしまい、余計に大きくなる。ルイズの下着は湿っていた。 ルイズの下着に気をとられてるとシエスタの裸足が才人のソコを横から指で握る。 下着をつけてないシエスタも湿っていた。 シエスタの茂みとスリットを見ながら興奮し、ルイズの黒いニーソックスが上からうにうにされて才人はたまらず声を出す。 「サイトさんの声、かわいい」 シエスタが嬉しそうに足の指で強く握る。 ルイズも息を荒くして動きを加速させる。 「ルイズ、もう止めてくれ!」 「ミス・ヴァリエール、指ではさんで強くしごいて下さい」 355 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 35 34 ID exjjRXTL ルイズは才人の言葉で一瞬とまったがシエスタの声に従った。 ルイズの黒いニーソックスが才人のソコを強くはさみ込み、しごく、しごく。 ルイズの下着が露わになり、才人に湿った部分を見せつけながら、しごく、しごく。 才人はルイズのソコを凝視しながらしごかれて、爆発した。才人の白い精がルイズの黒いニーソックスに飛びかかる。黒いニーソックスは白い精を受け止めるべくソコを押さえに動く。 才人の白い精は勢いを増し、黒いニーソックスを超えてルイズの太ももまで届く。 ルイズが太ももの精を熱いと感じて足を引っ込めた時、才人はルイズの腰に飛び込んで抱きついた。 押し倒されたルイズは才人をはねのけようとするが力が入らない。 才人はルイズの下着のスリットを舐めまわしていた。 才人の舌がルイズのスリットをほじくる。 ルイズは手を才人の頭にのせてどけようとするがルイズの腰は快感にぴょこぴょこ勝手にくねり始めて力が出ない。 才人は下着をずらしてスリットを舌でなぞる。 ルイズの口から艶のある吐息が始めて漏れる。 シエスタがルイズの服を脱がせて裸にすると、ルイズのスリットは潤みを増して開き始めた。 356 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 36 40 ID exjjRXTL 才人はルイズのスリットに舌を挿入してルイズの胸のポッチをつまみあげる。 ルイズが腰を浮かして才人にこたえる。 サイトは浮いた腰を腕で固定し、スリットの穴の奥を何度もほじくる。 ルイズの足が開き、吐息が大きくなる。 才人は舌を硬くさせて小突起の付け根を形をなぞるように舐める。 ルイズのからだに変化が起きた。白い肌が赤く染まってゆき、スリット全体の体温があがる。 黒いニーソックスはルイズの腰を才人の口の前で固定する。 才人の舌はスリットをとらえたまま速度をゆるめない。 「だめぇーー」 ルイズの声に才人は舌をさらにめり込ませていじめる。 スリットが熱くなり、ルイズの声が一瞬止んだ後、スリットから熱いおしっこを出していた。 シーツを汚すまいと才人は舌で吸い続ける。おしっこが終わるとスリットから粘液が出てきたので舌を差し込み吸う。 「やぁん」 すごいかわいい声がルイズから漏れる。 ルイズのからだは真っ赤だった。 「ミス・ヴァリエールってわかりやすいですねぇ」 ルイズのからだは赤く熱くなり、絶頂が引いた後もルイズが気をやったことをまわりに知らせていた。 357 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 37 47 ID exjjRXTL ルイズが才人にまたがり、腰を落とす。 ルイズが才人の上にちょこんと座った状態になり、才人の動きが止まる。 シエスタが才人の顔をまたぎ、クレバスを才人の口の上におき、小突起を才人の鼻にくっつける。 「わたしも・・・」 才人がその言葉の意味を理解したとき、すべてが遅すぎた。 クレバスからおしっこが噴き出して才人の口の中に侵入し、小突起と茂みは鼻の前でメスの匂いをかがせていた。 シエスタのスカートの中はメスの匂いでいっぱいで、おしっこは香ばしくて興奮して、ソコはルイズが根元まで飲み込んでいて、とにかく才人は腰をふり続けた。 メスの匂いをかぎながら、ソコはルイズと繋がり、快感が高まってゆく。 シエスタの匂いが強くなり、ルイズが押しつける動きを繰り返し始めた時、才人はルイズの中に精を注いだ。 ルイズも精が注がれたのを感じて動く、乗馬の得意なルイズの独特のリズムと動きは才人のソコを搾り、こすりあげる。 メスの匂いを鼻と口に詰め込んだ才人の腰がゆっくりとなり、やがてルイズをくっつけたままベッドに沈む。ルイズはまだ離れない。シエスタの腰が才人の顔の上で前後に動く。 358 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 19 38 47 ID exjjRXTL ルイズのソコの中で精を注いでおとなしくなった才人のソコがまた膨らみ、暴れ出す。 ルイズはその感覚が気に入ったらしく、暴れ馬を乗りこなす様に腰を激しく使い、またすぐに果てた。 果てたルイズが才人から退くと顔にくっついたシエスタの腰が才人のソコを飲み込もうと降りてきた。 スカートに隠れて繋がりは見えないが才人のソコは熱い何かに包まれた。 シエスタがグラインドを始める。たまに前後運動を混ぜたグラインドは才人を追い詰める。 たまらずペースを落としもらおうと手で押さえようとするとルイズの手が才人の手を握って離さない。 シエスタのグラインドが才人のソコを丹念に擦り回す。搾りはきつくなってゆき、才人が あっと声をあげる。 才人の限界を呼吸から読み、シエスタの腰は深いストロークを繰り返す。 才人はルイズの手をぎゅっと握り、シエスタの深いストロークにベッドが深く沈んだ時に精を放った。 精を搾りながらシエスタの腰は奥でグラインドをさせて才人のソコからすべてを奪う。ルイズの舌が才人の喉から顎を舐めあげて才人に労をねぎらう。 才人の腰は抜けていた。 369 名前:乙女達の戦争 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 21 52 24 ID exjjRXTL 才人の両腕に二人の頭が降りてきて川の字になり、才人の両方の頬をルイズとシエスタの唇がつついた。 やがて両腕から寝息が聞こえると才人もすやすやと眠り始めた。 翌日、太陽が黄色いとぼやく才人はアンリエッタに手紙を届ける為に出発する。 「この手紙は仲直りの手紙だかんねッ ちゃんと届けるのよ!」 「ガンバッテくださいね」 ルイズはまるで決闘状を渡す顔で手紙を渡し、シエスタはガンバッテの部分に毒を含ませるが才人は気づいていない。 「それじゃいってくる」 お使いをたのまれた純真な子のような顔をして才人は馬の手綱を操り足でとトンと腹を叩く。 馬は才人をのせて走り出しす。 才人の姿が小さくなる頃、シエスタは空をみて口を開く、 「いそがしくなりそうですね」 ルイズも空をみてかえす。 「のぞむところよ」 才人は馬上で手紙の入った懐を手で確認し、空を見上げて 仲直りができてよかったなぁと嬉しそうにつぶやく。 才人のゆく遥か空に黒いニーソックスと本当の手紙を運んだフクロウがいそいでお城に飛んでゆく。 才人の預かり知らぬ所で、才人を舞台にした乙女達の戦争は火蓋を切ろうとしていた。 おしまい 370 名前:あとがき ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/11/28(火) 21 53 33 ID exjjRXTL 乙女達の戦争 この物語はこれでおしまい。 次の物語は、またいづれ。 それではっ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8783.html
前ページ次ページRuina 虚無の物語 しばらくすると前方に鬱蒼と茂る森が見えてきた。 森の中は薄暗く、見通しが悪い事が不安を煽る。 「ここからは徒歩で進みましょう。」 森に入って少し進んだ位置で馬車を降りる。 「ここから先は一人だけで行動しない方がよさそうだね。」 ネルが剣の柄に手を掛け、辺りを警戒しながら皆に告げた。 「同意。」 「それもそうね。」 皆が同意し、ロングビルに案内されていった。 森の中を進む。 しばらくすると少し開けた場所が視界に入る。 開けた場所の中央には廃屋があった。 壁には竈が添えつけられており、炭を焼いていたのだと察せられる。 その近くには物置と思われるスペースがあり、かつてはそこに炭を置いていたのだろう。 いずれも朽ちているが、修理すればまた使えるかも知れない。 ロングビルがその廃屋を指さして告げる。 「私がきいた情報ですと、あの中にいるという話です。」 どうやらあの廃屋で間違いないようだ。 「誰かが偵察に行くべき。」 タバサは座り込み、杖で地面に簡単な絵を描いて作戦を説明し始めた、 まず偵察兼囮が先に廃屋を偵察し、フーケがいるようならば挑発しておびきだして出てきた所を魔法で攻撃、いないようならば合図を送るという作戦だ。 それを聞き、キュルケが疑問を口にする。 「それで、偵察兼囮はだれがするの?」 「すばしっこい人が行くべき。」 タバサが簡潔に答えた。 「あ、あの。なら私が行きましょうか?」 シエスタがおずおずと手を挙げた。 自分もそれに倣い手を挙げる。 するとネルが心配して声をかけた。 「フィーはともかく…シエスタは大丈夫?」 「これでも足の速さには自信があるのですよ?子供の頃は村一番でしたし。」 胸を張ってシエスタが答えた。 「それならいいけど、気をつけてね。」 ネルが言う。 それに笑顔で返事をして、そして自分とシエスタは廃屋へ向かった。 シエスタの忍び足は実に訓練されており、耳を澄ませても足音がほとんど聞こえない。 自分も、焦らず可能な限り注意して廃屋へ向かって歩く。 そして廃屋のすぐ近くまで到達すると、シエスタは短剣を取り出した。 磨きぬかれた刀身を鏡代わりに使い、手際良く廃屋内を確認していく。 一通り確認を済ませ、誰もいない事が判明してから合図を送る。 彼女の手際の良さに、待っていた6人は仰天しているようだ。 「今の凄かったわね……。」 キュルケの呟きが聞こえた。 同感である。 学院で働いていたメイド――たしかシエスタと言ったか――のあまりの手際の良さに呆然としていたが気を取り直して廃屋へ向かう。 使い魔のフィーも、シエスタが廃屋の中を偵察している間は周囲に気を配ることでフォローしており、役にたっていた事がほんの少しだけ嬉しかった。 その後、9人いるので役割分担をしようとタバサが言いだした。 廃屋の中を探索する者が3人。 廃屋の周囲を警戒しつつフーケを捜索する者が4人。 廃屋の入口で待機し、有事に連絡する者が2人と言う配分となった。 初めはフーケ捜索の担当を希望したのだが、フィーが危険な役目は使い魔の自分に任せてほしいと頼んできた。 使い魔だけに任せて自分は下がるなんて真似できる訳が無いわよと言い返す、すると自分達は精霊の箱を見た事が無いので探索役をぜひ手助けしてほしい、それにフーケを発見したら迅速に助力を願うと言ってきた。 そこまで頼まれたなら仕方ないと思い、廃屋の探索に行く事にする。 廃屋の中は、つい最近誰かが出入りした形跡があった。 埃に足跡が付いており、所々に濡れた跡がある。 ふと、何者かの視線を感じた気がするが、自分たち以外には誰もいない。 気のせいだと思い、そのままリビングと思わしき部屋に入る。 片隅にガラクタが積まれており、中央には机と椅子が配置されている。 ――私は見られている 思わず振り返り、周囲を確認する。 一緒に入ってきたシエスタやネルも何かを感じてはいるようだが、それが何かまでは分からないようだ。 あれは何だったのだろう。 机の下の、異常に低い位置にて何かが蠢いていた気がした。 急いで駆け寄ったが、すでに何もおらず、ただ床に粘液のこびりついたような痕だけが残されていた。 何者かが這い寄ったような、そんな痕だった。 私は動揺して周囲を確認した。 それからの事だ、視線を感じるようになったのは。 ――見ているよ 声が、聞こえた気がした。 ――見ているよ 泣きたくなるのをこらえて、精霊の箱の探索を続ける。 ――見ているよ だが、見つかるのは“奴ら”の残した痕だけだ。 “奴ら”はいつも見ているのだ。 脳内で繰り広げられていく悪寒を振り切って探索を続ける。 数分後、遂に精霊の箱を見つけた。 ―――箱の中には“奴ら”がみっちりと詰まっていた。 廃屋の中で悲鳴が響いた。 前ページ次ページRuina 虚無の物語
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3400.html
前ページ次ページゼロの斬鉄剣 ゼロの斬鉄剣 4話 ―泣き虫(クライベイビィ)・ルイズ(前編)― 決闘の日の夜 いつものように夕食を取ろうと厨房に入っていく五ェ門 「おお!きたぞ!」 「我らの剣!」 にわかに沸く厨房 「これは一体どうしたというのだ、マルトー殿」 「おう、ゴエモン!聞いたぜ!あの気障ったらしいガキをコテンパンにしたんだってな!」 「あのマセガキ、粗末なもの晒していい気味だったぜ!」 ああ、と昼間の珍事を思い返す 「ゴエモンさん!」 ふいに抱きつかれるゴエモン 「無事でよかったです・・。」 涙を浮かべるシエスタ 「(む・・やわらかいものが・・いかんいかん!)」 「心配ない、あのような軟弱者などは取るに足らん。」 すました顔をする五ェ門。 「いい事言うね!ささ、今日は奮発したんだ。食べてくれよ!」 五ェ門は目の前に並べられた夕食をみて驚愕する。 「マルトー殿、これは今まで出てきた食事とずいぶん風体が変わってるようだが?。」 おう!とにっこりわらうマルトー 「気がついたか!さすが見る目が違うね。その料理はシエスタの故郷の料理でね、是非ゴエモンに食べて もらいたいんだとよ!」 へっへっへとちょっと下品な笑いをするマルトー 照れるシエスタ 五ェ門は並べられた料理みて戸惑う、目の前にはー 「肉じゃが」 「焼き魚」 「ご飯」 「味噌汁」 あっけに取られる五ェ門 「このお皿は豆と肉を煮込んだネクジャゲ、こちらは川魚の塩焼き、メソスープ、それにパンの変わりに 麦を蒸した物です」 「(こ、この世界にこんなものがあるとは・・・・)」 かなり驚いた様子の五ェ門、シエスタが少し不安そうになる 「あの・・・もしお気に召さなければさげますが・・・」 言葉が尻すぼみになるシエスタ 「いや、いただく。」 それはもう、ガツガツと五ェ門は二度と食べられないと思っていた故郷の味を かみ締めていた。 味こそ本物とは誤差があるとはいえ概ね期待通りの味だったのだ。 そしてあっという間に平らげ 「本当に感謝する、じつはこの料理は拙者の故郷の料理とそっくりなのだ。」 えっ、と驚く顔のシエスタとマルトー 「ゴエモンさん?」 シエスタが問いかけるように言葉を発する 「シエスタ、聞きたいことがあるのだが・・この料理は本当にシエスタの故郷の料理なのか?」 「はい、厳密には私の曾祖父の考案した料理なのですが、いまでは郷土料理になっているんです。」 なんと、という顔をする五ェ門、もしやシエスタの先祖は・・と思考をめぐらせた時 「じつは曽祖父はずいぶん遠い国から、はるか東から来たということなのですが、ゴエモンさんの故郷もそれほど遠い場所なのですか?」 五ェ門は天井を仰ぎ、おもむろに 「そうだな・・・遠い遠い東の国だな・・・」 五ェ門はルイズ以外の人間にはまだ”異世界”から来たとは教えていないのでシエスタの “東の国”という表現を使った。 「とにかく、馳走になった。まさかこの地で故郷の味に出会うとは。」 はっはっはと豪快に笑うマルトー 「よかったじゃないかシエスタ、ゴエモン!また材料がそろったら作ってやるぜ!」 「かたじけない。」 深々とお辞儀をする五ェ門 「では、拙者はこれにて。」 おう、とうなずくマルトーとシエスタを背に部屋にもどる五ェ門 「(ゴエモンさん・・・)」 部屋に向かう五ェ門は考え事をしていた そう、夕食の日本料理(に近いもの)についてだ 「(もしやシエスタの曽祖父は何らかの理由でこちらに来た日本人・・・)」 そう考えていた矢先、袴のすそを引っ張られる感触に気がつく 「む、お主は・・・キュルケのフレイムか。」 ぺこりと首を縦に振るフレイム 「(へい、フレイムです旦那)」 ついてきてくれといわんばかりに引っ張るので仕方が無くフレイムの誘いに乗る たどり着いたのはキュルケの部屋 「薄暗い部屋だ・・・」 ふいに、後ろの扉が閉まる 「ロック。」 鍵を閉められたようだ。 「キュルケか?こんな時間にどうしたというのだ・・・」 薄暗いベットからキュルケが近づく 「な!」 月明かりに映るのはあられもないキュルケの姿 ほぼ全裸といってかまわないだろう 「うふ、きてくれてありがとう“ダーリン”」 五ェ門の脳内はたちまちパニック状態になる 「な、なななな何たるふしだらな!」 理性がキュルケを叱りつける 「うふ、はずかしがらないで・・・」 そういうなり首に手を回しキス迫るキュルケ 「あたし、こういう匂い好きよ?」 「や、やめんか!年頃の女子がなんということを!」 クスクスと笑うキュルケ 「わたしの二つ名は微熱、微熱のキュルケよ?あなたが・・・燃え上がらせたんじゃない」 自分がいつ油を注いだのだと心でツッコミをいれ、平静を取り戻そうとする五ェ門 「と・に・か・く・・・たのしみましょ?」 「よ、よせ・・・キュルケ!」 五ェ門はかろうじてキュルケを離す 「あら・・・あたしじゃダメなの?」 とても学生とは思えない言葉ではあったが 「・・・キュルケよ、拙者を見縊るな」 少し怒気をはらんだ声でいうが 「あら、でも顔は真っ赤よ?」 痛いところを突かれる。 しかし、この一言で五ェ門は誘惑から脱することが出来た 「拙者は確かに女子には弱いが、人の道を踏み外す様な真似はしない!」 なんとかキュルケの抱擁を振り切り五ェ門は扉の鍵をはずしキュルケの部屋を辞する 取り残されるキュルケ 「・・・いってくれるじゃないの・・・燃えてきたわ!」 かならずゴエモンをモノにしてやる、と心に誓うキュルケ 「ツェルプストーは狩人の血が流れてるのよ・・・?」 主人から発せられるオーラはフレイムの肝をひやしていくのであった。 「(旦那、あっしをおいていかないでくだせぇ・・・)」 そう聞こえた気がした。 キュルケの部屋から出て正面のルイズの部屋に戻る五ェ門 「あら、おそかったわねゴエ・・・」 ルイズは入ってきた使い魔をみて絶句する 一方五ェ門は突然押し黙ったルイズを不思議そうに見ている。 「ちょっとゴエモン、その・・・その頬についているものは何なのかしら?」 五ェ門はまさか!と考えて鏡を見る 五ェ門の唇にはキュルケの口紅がべったり。 「いや、ルイズこれは誤解なのだ・・・・」 「昼間はあんなに格好よかったのにね」 すさまじい殺気で五ェ門をみつめる 「(むう、なんて殺気だ・・・)」 「いったいご主人様にかくれて何をやっていたのかしらね・・?」 おもわず一歩引く五ェ門 「ま、まてこれはキュルケが強引に・・・はっ!」 「そ・・・そう、ツェルプストーが・・・」 ぼそっとひとこと 「出てけ」 まずいと思った五ェ門 「出てけこの破廉恥サムライ!」 ぼろぼろに泣き出し喚くルイズ 五ェ門はそそくさと退散する 「うかつであった・・・。」 己の至らなさを恥じる五ェ門 とびらの向こうから咽び泣くルイズの声が聞こえる。 いたたまれなくなる五ェ門 今日は外で野宿だな、と庭に出る五ェ門 「(うむ、洗濯場の広場にするか。)」 洗濯場の広場へ足を運んだとき、見慣れない影に気がつく。 「あれは確かキュルケといつも一緒にいる・・・」 その影とはキュルケの友人である“タバサ”とその使い魔と風竜の“シルフィード”だった 人の気配を感じたタバサが振り向くとそこには昼間異様な戦いをした平民がいるではないか 驚いた顔をするタバサ 「・・・あなたは?」 「失礼する、拙者は石川五ェ門と申す、そなたは?」 「・・・タバサ」 五ェ門はタバサの瞳をみるなり面食らった 「(なんという悲しい目をしているのだろう。)」 少々の沈黙 「・・・あなたは」 ふと、タバサから声をかける 「あなたは、どうしてここにいるの?」 ああ、と五ェ門が話す 「じつはルイズと喧嘩をしてな、追い出されたのだ」 ふっと自嘲気味に語る 「そう。」 おおくを聞かないタバサと語らない五ェ門 しばらくの沈黙が続く おもむろにタバサが五ェ門に袋をさしだす 「これ・・・夜食・・・ハシバミ草」 ほう、と五ェ門が一口食べる 「これは不思議な食感だが、美味だな。」 「ハシバミ草は・・・」 「体を暖かくする効果があり、栄養豊富。」 なるほど、差し出した理由を悟る五ェ門 「かたじけない、今夜は野宿なので助かる。」 タバサの好意におもわず頭をなでる五ェ門 ふいをつかれたタバサは目を見開き、うっすらと頬に朱がさす・・・ようにみえた。 「いい・・・気にしないで。」 きゅい、と横からシルフィード 「この子はシルフィード・・・あなたを気に入ったみたい」 五ェ門は一瞥し 「美しい羽の見事な竜だな。」 「(きゅい!ほめられたのね!)」 うれしそうに五ェ門に頬ずりをする 「そろそろ、部屋にもどる・・・」 「タバサ、このハシバミ草はありがたく頂戴する。」 「・・・いい。」 そういうとタバサはシルフィードの背中乗り、自分の部屋の窓まで飛んでいく 「(さて、明日はルイズをどう説得するかな。)」 ハシバミ草をつまみながら五ェ門は眠りにつくのであった。 前ページ次ページゼロの斬鉄剣
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/605.html
ギーシュを介抱しているモンモランシー達を尻目に、ギアッチョはシエスタと マルトー達の元へ向かっていた。 「・・・よぉ」 マルトーは何を言っていいのか分からないようだった。ギアッチョはメイジ なのか?ならばギアッチョは貴族なのか?それならオレ達の敵なのか・・・? 無数の疑問が彼の頭の中を駆け回っていた。 「ギアッチョさん・・・ ・・・お疲れ様です」 同じく何を言えばいいか分からないらしいシエスタが、とりあえずねぎらいの 言葉をかける。 「・・・ああ 見せたかったのは今の・・・オレの力だ 詳しいことは今度――機会があれば説明するがよォォ~~・・・ オレはこの世界の人間じゃあねえ」 突然のギアッチョの告白に、マルトー達は眼を丸くする。 「この能力は魔法じゃあねえ 「スタンド」っつーオレの世界の力だ 黙っていたことは謝るぜ・・・だが オレをよォォーー 軽蔑する前に一つだけ聞いてくれ オレは『平民』だ 世界が違ってもこれだけは変わらねぇ・・・ 身分の話じゃあねー おめーらと同じ・・・『上』の圧政に立ち向かう人間なんだ」 少々混乱したようだが、シエスタとマルトーは黙って話を聞いていた。 「・・・言いたかったのはそれだけだ こんなことしなくても黙ってりゃあよかったのかもしんねーが・・・ 仲間だと思ってくれてる人間を騙し続ける なんてことだきゃあしたくなかったんでよォォ~~」 そう言い終えると、ギアッチョは咳払いを一つして先を繋いだ。 「・・・ま そーいうわけだ オレを嫌うなら遠慮はいらねー 文句を言うつもりも――」 「何言ってるんですかっ!!」 さえぎったのはシエスタだった。シエスタは一歩前に進み出ると、ギアッチョの手を取って言う。 「ごめんなさい ギアッチョさんの力を見たとき、私も正直あなたを疑ってしまいました・・・でも今こうして話すと分かります 『仲間』を失うリスクを冒して まで自分の力を見せたギアッチョさんの『覚悟』が」 シエスタはマルトーに顔を向ける。マルトーはがしがしと頭を掻くと、 「おおよ!男の『覚悟』に報いねぇのは男じゃねえ・・・そして平民じゃあねえ! 疑ってすまなかった あんたはまさに『我らの剣』だ!なぁ友よ!」 そう言ってばしばしとギアッチョの背中を叩いた。 その様子を、ルイズは遠くから眺めていた。その隣にはキュルケとタバサ。 「・・・なによあなた 何かうれしそうじゃない?」 キュルケがルイズの顔を覗き込む。ルイズは少し照れたようにキュルケを睨みながら、 「当然でしょ 私にも『仲間』が出来たんだから!」 と言う。その綻んだ顔を複雑そうな眼で見ながら、キュルケは呟く。 「・・・あ、そ ・・・・・・まぁ今回は引き下がってあげるわ ギアッチョ」 何か言った?と言うルイズをキュルケは「うかれすぎて耳がおかしくなったんじゃあないの?」とからかい、それにルイズが反論し――きゃいきゃいと騒ぐ二人を、タバサはやれやれといった眼で見つめていた。 青銅のギーシュ―― 己の魔法で倒されるという最も屈辱的な方法で敗北。しかし ケティに殴られたシーンを誰も見ていなかったので二股はバレなかった。そこの ところはラッキーな奴。(再起不能?) ==To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1318.html
「…とまぁ、それがワシとリサリサ先生の出会いだったんじゃよ」 オールド・オスマンが水パイプを取り出しつつ、感慨深そうに話す。 「へぇ、その人の血を、シエスタは一番濃く受け継いでる訳ですか、何ともまぁ…」 マルトーが驚き半分、呆れ半分といった感じで呟く。 オールド・オスマンの話では、シエスタの曾祖母リサリサは、波紋という先住の魔法を使って吸血鬼を打ち倒したと言う。 念のためにとディティクト・マジック等で調査させて貰ったが、特に反応はない。 話を聞いてみると、リサリサは東方のロバ・アル・カリイエからやってきた人間であり、エルフではないということだ。 だが、いくら人間とはいえ先住魔法の使い手が注目されないわけはない。 オールド・オスマンは、魔法アカデミーにリサリサの魔法を報告した場合、エルフに対抗するためののサンプルとして拉致され、タルブ村にもその被害が及ぶであろうと考えた。 命の恩人を危険にさらすのは忍びないとして、誰にも報告せずにいたのだ。 「マルトーや、彼女が先住の魔法を使うからといって恐れずにいてくれんか」 「はい、そりゃもう。…それよりもシエスタにも危険な目に遭わせないでやって下さい」 「分かっておるよ、なあに安心せい、王宮を煙に巻くのはワシの得意技じゃからのう!」 話が終わり、マルトーは厨房へと戻っていったが、その横でロングビルは頭を悩ませていた。 話を聞く限りでは、シエスタはルイズの天敵なのかもしれないのだ。 「ミス・ロングビル、浮かない顔をしとるの」 「あ、いえ……ただ、ミス・ヴァリエールが気にかけていたシエスタに、そんな魔法の才能があったという話が、運命の悪戯のようで……」 「うむ、そうじゃろうなあ」 そこでロングビルは考える。 一介の秘書に過ぎない私に、それも家名を失った私に、こんな重要な話をしたのは何故? 嫌な予感がした。 重々しく、オールド・オスマンが口を開く。 「ときに、ミス・ロングビル」 「ミス・ヴァリエールが生きているとしたら、君はどうするね」 その頃、タルブ村では突然現れた風竜に村人が驚いていた。 「ここがタルブ村?」 「そうです、ここが…あ、お父さん!」 広場に降り立った風竜の背に、マントを着けた貴族が乗っているのを見て、村人は仰天した。 お父さん、と呼ばれた人物が風竜を見ると、その背から貴族の格好をした娘が降りてくるのを見て、再度驚いた。 シエスタは父に駆け寄ると、抱きついた。 「お父さん!」 「シエスタ!?お前、いったいどうしたんだ、そんな格好をして」 「あ、あのー、これは……オールド・オスマンが曾祖父の件だって言えば分かるって」 それを聞いたシエスタの父は、ああ、と呟いて、シエスタを見た。 「お父さん、ひいお婆ちゃんは、気が触れて村を飛び出したって言っていたのは、嘘だったの?」 「許してくれ、これを他言できない理由は聞いただろう、そちらの貴族様もご存じなのかい?」 シエスタの父はちらりと、キュルケとタバサを見る。 「うん…」 「そうか…」 久々の父娘の再会に水を差すようだが、このままでは話が進まない。 キュルケはワインを要求し、タバサはシルフィードに寄りかかって読書を再開した。 シルフィードはこんな所でも本を手放さない主人に呆れたが、いつものことだと思って諦めた。 「あの、ミス・タバサ」 読書しようとしたタバサに声をかけたのは、シエスタだった。 いつも通り無言で済まそうと思ったが、シエスタの傍らにいる少女に目が移る。 年の頃10歳ほどだろうか、少女の持つカゴには野草がたくさん摘まれていた、もちろんハシバミ草も入っている。 「何?」 興味を牽かれたタバサは、思わず返事をした。 「ひいお爺ちゃんが伝えた料理で、ヨシェナヴェという料理があるんです、お口に合うかどうか分かりませんが、よろしければ一緒に昼食を」 「止めて」 「あっ、ご、ごめんなさい、村の料理を薦めるなんて、私無礼なことを…」 「違う、かしこまらないで」 「え?」 「あなたもメイジ、私のことは呼び捨てでいい」 シエスタはタバサの言葉に、タバサはハシバミ草を使うであろう料理に心を打たれ、二人して笑顔を見せた。 「お前ら、よっぽど王党派のことを嗅ぎ回ってたみてぇだな、噂になってるぜ」 ルイズとブルリンは目隠しをして、椅子に座らされている。 宿屋で捕縛され、猿ぐつわを噛まされて二人は連行された。 ルイズはここに連行されるまでのことを考えていた。 それなりの距離を歩いた歩かされた気がするが、曲がり角を二十カ所以上曲がった上に、周囲の気温が微妙に変化していた気がする。 足の裏から伝わってくる感触は、均整のとれた石畳の感触だった。 日陰と日向を歩かされたのも分かっているので、まだアルビオン首都の中にいるのだろう。 ある点から石畳の感触が変化し、繋ぎ目がほとんど感じられなくなった。 そして更に歩くと石畳は微妙に柔らかい感触になる、これは倉庫などに使う湿気を吸収する石だろう。 おそらく、大きな屋敷の倉庫に監禁された状態だ。 「おいおい、だんまりじゃわからねえよ、まあしばらく頭を冷やすんだな、貴族派に付くなら解放してやってもいいんだぜ」 「誰が、誰が貴族派なんかに付くかってんだ」 隣でブルリンが言う、威勢がよいとは言えないが、いつ殺されるか分からない恐怖の中でこれだけ言えるならたいしたものだと思う。 「そっちのお嬢ちゃんも考え直すんだな」 ルイズ達を尋問していた男は、部屋から出て行った。 「ちくしょう…」 ブルリンが悔しそうに呟く。 「あんたよっぽど目立ってたのねえ」 「そ、そんな事言われてもよぉ、すまねえ姉御、迷惑かけちまって」 ミキッ ブチン 「あ、あれ?手かせが外れたぞ?」 ブルリンは慌てて自分の目隠しを外す、するとルイズがブルリンの手かせを握って立っていた。 手かせは、無惨にも引きちぎられている。 「………すげえ」 「鉄じゃ役に立たないわよ」 「でも姉御、ここからどうやって逃げるんですかい」 ブルリンの言葉ももっともだ、この部屋はルイズが睨んだとおり倉庫らしい、窓には格子がはめられている。 ルイズは地面に耳を当てて、周囲の音を拾い始めた。 「…外に見張りはいるけど、少し離れてるわね、今足を組み替えたかな…椅子に座ってるのかしらね」 「すげぇ、姉御、何でもできるんだなあ」 「静かにしなさい」 ルイズに注意され、ブルリンは慌てて自分の口を手で塞いだ。 「………一人………四人………十一人…ん?」 足音からこの建物内にいる人数を数えようとしたが、廊下から奇妙な音が聞こえるのに気づいた。 ただの足音だが、どうもその足音が気になる、上手く表現できないが、何か奇妙なのだ。 「…。…。…。…。…。…。」 地面に耳を当てたまま、ルイズは小声で何かを呟いている。 ブルリンは心配そうにそれを見ていたが、ルイズが立ち上がったのを見て、口から手を離した。 「ブルリン、傭兵に従軍経験のあるメイジって、けっこう見かけるもの?」 「いや、そんな奴ら滅多にいねえよ」 「そう…なら安心ね、たぶんこいつら王党派よ」 「えっ!?」 「足音の間隔が揃いすぎてるのよ、ちょっと歩くぐらいならまだしも、廊下を歩く音のほとんどは足並みをそろえるように歩いてるわ、たぶん60サンチ程度の間隔でね」 「ど、どうしてそれが王党派だと分かるんで」 「儀仗隊よ、王族や貴族の親衛隊は能力が高ければいい訳じゃ無いわ、統率された行動のとれる者でなければ親衛隊にはなれないの」 「それが足音から分かった…って事か」 「そうよ、奴らが貴族派の兵隊なら、傭兵のフリなんかしないはず…自分たちは傭兵だと偽ったのは、貴族派の目をくらませるためでしょうね」 「すげぇなあ、姉御、ホントにすげぇや」 「とりあえず、ここで待ちましょう、今外に出ても騒ぎを大きくするだけよ」 「わかったよ」 ルイズは椅子に座り直し、大きく深呼吸した。 足音を聞くと、母親の姿が思い出される。 規律を重んじる母は、マンティコア隊隊長として隊員から強く慕われていた。 何度かマンティコア隊の姿を見たことがあるが、突風が吹いても微動だにしない儀仗隊にこれ以上ない程、一糸乱れぬ規律の採れた動きだった。 ルイズは久しぶりに、自分の生まれの良さを思い返し、母に感謝した。 [[To Be Continued …… 仮面のルイズ-16]]
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/432.html
「壜で……香水で……二股で、決闘!?」 シュトロハイムから事の経過を聞いたルイズは、そのあまりのアホらしさに頭を抑えた。 「一度ギーシュの頭の中を覗いてみたいわ。 ピクニックするのに絶好の素敵なお花畑が広がっているに違いないもの」 「あの、申し訳ありませんシュトロハイムさん。私が小壜を拾ったせいでこんなことに」 対照的に恐縮しているのがメイドのシエスタ。 「先に私がミスタ・グラモンの二股に気が付けていれば、メイジの方との決闘などという事態にはならなかったのに」 「自分の非を素直に認められることは、優れた人間である条件の一つだ。 だがありもしない過ちを恥じるのは、自分を下卑することにしかならんぞ」 恥じ入る彼女に、シュトロハイムは言った。 「第一、あの状況から奴の次の台詞が『決闘だ』だと予想するなど、たとえジョセフの奴だとしても不可能だろう」 「ジョセフ?」 「……俺の召喚前にいた世界での知り合いだ。それよりルイズ、メイジというのはああいった奴ばかりなのか?」 「じょ、冗談じゃないわ! あそこまで脳がふやけているのは例外中の例外! ギーシュの女好きはキュルケの男狂いと並んでこの学院の名物みたいなものだもの!」 顔を赤くしたルイズが否定、肩まで伸びた長髪を掃い上げる。桃色の髪が、ふわりと宙を舞う。 「でも今回ばっかりは、さすがにおふざけが過ぎるわよ。 付いて来なさい、シュトロハイム。私があいつに話をつける」 「いや、何故だ?」 うんざりしながらも歩みだそうとしたルイズに、シュトロハイムは心底不思議そうに聞いた。 ハルケギニアのドイツ軍人 第四話 誇り 「何故だ?」 シュトロハイムの問いに、ルイズはその柔らかに整えられた眉をピクリと吊り上げさせた。 考える――この使い魔は、いったい何様のつもりなんだろう。 そりゃあ、決闘の約束をさせられたのは仕方がない。何しろ相手は、あのギーシュだ。 学院一のキザ男、女にもてる事をなによりも優先する、ツェルプストー一族に匹敵する色気狂いだ。 その口車に乗せられることは、ある意味では避けようがない。 それにいくらギーシュとはいえ、貴族が使い魔にしたこととはいえ、今回ばかりはやっていることが滅茶苦茶だ。どう考えても、非はギーシュのほうにある。 そう考えたからこそルイズは、儀礼に反する形での『決闘』への横槍を決めたのだ。 なのに、それを『何故』? こいつは、何も分かっていないのか? ああ、きっと分かっていないのだろう。 貴族の恐ろしさも、決闘の危険性も、その決闘に第三者が口を出すということの意味も。 なぜならこのシュトロハイムという使い魔は、『別の世界』から来たらしいから。 だから、常識が通用しない。なまじ言葉を喋れる分、それはとてつもなく厄介だ。 そしてその厄介を背負わされるのは、彼の主人である私…… 湧き上がる頭痛を抑えて、ルイズは大きく息を吸い込む。 「いい? よーく聞きなさい!」 シュトロハイムが興味深げに視線を正面へと向けた。 「あんたのいた世界じゃどうだったかは知らないけどねえ、この世界では決闘っていうのはとっても危険なものなの。 なんでもありの真剣勝負、終わる方法は二つだけ。片方が負けを認めその『認めた』ことをもう片方が認めるか、 それとも当事者のどちらかが命を失うか! しかも決闘の結果にはいかなる法も介入できない。 一時期は最も合理的な殺人方法とすら言われていたわ!」 「ほう」 「だから、悪いことは言わないわ、私に任せなさい! たかが色恋沙汰のためにあんたをいいように利用しようだなんて、そんな理不尽は気に食わないもの!」 「気に食わない、か」 ルイズの言葉に、シュトロハイムは同意する。 「なるほど、たしかに気に食わなくはあるだろうな」 「そうよ、気に食わない。だから私はこの決闘をやめさせる」 「だがそれは、余計なお世話だ」 「なんですって!?」 シュトロハイムの言葉に、ルイズは目をひん剥く。 「気に食わない気に食わないと貴様は言うが、奴のことが最も気に食わんでいるのはこの俺だ。 ならばこそ、その決闘とやらで糞生意気なあの餓鬼を取っちめてやらんでどうするのだ!」 「それは……」 「シュトロハイムさんはメイジの恐ろしさが分かってないんです!」 言葉を詰まらせるルイズに代わり、激高するシエスタ。 「メイジの恐ろしさか、たしかに俺は分かっていないな」 「そうです、分かってない! だからそんな無茶が言えるんです! 決闘なんて何の利益にもならないのに、下手をしたら、殺されちゃうんですよ!」 シエスタの言葉に、どこか引っ掛かりを覚えるルイズ。 彼女に同意するかのように、シュトロハイムが首を横に振る。 「利益ならば、存在する!」 「……どういう、意味?」 興奮を収めた声で、ルイズがシュトロハイムにきいた。 「肉体面だけで見た場合、人間とはひ弱な生き物だ」 答える代わりに、シュトロハイムは言った。鋼鉄で作られた、自身の右腕を伸ばす。 「走る速度は馬にかなわん。魚のように泳ぐことも鳥のように飛ぶこともできん」 この世界、ハルキゲニアにおいても基本的にはそれは同じだ。 力はオーク鬼に及ぶべくもないし、幻獣の中には人以上の知能を持つ種族も決して少なくない。 「だがそれでも、人類はこの世界に霊長の種として君臨している。何故か?」 シュトロハイムの伸びた手が、地面に落ちていた小石を拾う。 「それは、人には『欲』があるからだ。 より知りたい、より強くありたい、より優れた存在でありたいという『心』を持っているからだ」 小石を手にした右手を握る。 1950kg/c㎡の握力を加えられた石は、破壊され、破砕され、一部が手からこぼれる。 「俺のこの手は、この足は、一度失われながらナチスの科学力により作り直されたもの。 何故これをナチスは作ることができた? 欲したからだ、作りたいと」 ゆっくりと、手を開く。鋼鉄の掌の上にあるのは、完全に粉砕され砂と化した石。 「より良くありたいと、願う。より詳しく知りたいと、思う。それが、ヒトをヒトたらしめている精神だ。 その欲求に忠実に、恐怖も危険も乗り越えて行動する。それが人間を霊長たらしめている行為だ。 だから俺も、それに従い行動する。 俺はこの世界についてまだ何も知らん。魔法も、メイジも、その恐ろしさも。 ゆえに知りたいと思う。ゆえに知る必要がある。 知るために、メイジ――ギーシュ・ド・グラモンとの決闘は有益だ」 「たとえそれで、命を落とすことになっても?」 「無論、結果としての落命の覚悟は当の昔にできている。最もこのシュトロハイム、貴族の力を知らぬとは言ったがそれで負ける気などないがな」 シュトロハイムの返答に、ルイズは一つ長く息を吐くと、極めて控えめに盛り上がった双胸の前で両腕を組んだ。 「分かったわ、勝手にしなさい」 「ミス・ヴァリエール!!」 咎めるような、シエスタの声。だがルイズはそれを聞き入れない。 「しょうがないでしょ、そこまで言われたら。 さっきこいつを止めようとしたのは、決闘がギーシュだけの意思によるものだと思っていたから。 でもこいつにも決闘を受け入れる覚悟があるのなら、彼の意思は誰にも止められない。 こいつが使い魔で私が主人だとしても、私はこいつを止めることはできないし止める気もないわ」 シュトロハイムに向き直り、付け加える。 「でもね、さっきも言った通り使い魔の恥は主人の恥にもなるのよ。 だからこの私の使い魔として、無様な戦いだけは許さないわ。その自信はあるんでしょうね」 「当たり前だ。この世界の、メイジとやらの実力は知らん。だが俺の体はドイツ科学の結晶、 一対一での戦いならば、もとの世界で俺に勝てる『人間』はいない……ただし」 「ただし?」「ただし、なによ」 「腹が減っては戦はできん!!」 ――グゥゥゥーーー シュトロハイムの言葉に応じるようにして、彼の腹部が待遇改善を求める悲鳴をあげる。 「しょうがないわねえ、じゃあまたミス・シュヴルーズに頼んで鋼鉄の錬金を……」 「だから、俺は人間だ! 鉄など食わん!」 「冗談よ。あなた……確か、シエスタって言ったわね。こいつに何か食べ物を頼める?」 「は、はい! 厨房の賄いでよろしければ」 「なら悪いけど、それお願い」 「分かりました!」 シエスタが、シュトロハイムを連れて中庭を去る。 彼等を見送ったルイズは、もう一度長く溜息をつく。 中庭に一人残り、シュトロハイムの言ったことを反芻する。 ――知りたい、その欲求のために決闘を行う。 知る、その目的のために恐怖も危険も乗り越える。 「なによ、それ。使い魔の癖に生意気言っちゃって」 自身の桃色ブロンドを乱暴に梳いて、ルイズはふてくされたように呟いた。 「ほー、あんちゃんがメイジと決闘やらかすことになった使い魔さんかい!」 シュトロハイムがシエスタに連れられて訪れた厨房には、既に彼の噂は広がっていた。 「気に入ったぜ、その根性! よーし、これは俺のおごりだ! たんと食って、あの青銅野郎をぎゃふんと言わせてやれ!」 「マルコー料理長、あんまり焚き付けないでください!」 「いいじゃねーかや、シエスタ。硬いこと言うな!」 マルトー親方自らの手で、皿にたっぷり盛られるシチュー。いまだ決闘に反対であるらしいシエスタが、浮かない顔ながら運んでくれる。 スプーンで掬い、口に運ぶシュトロハイム。 美味い。湯気の立つ飯を食べるのが、一ヶ月ぶりであることを考慮に入れても尚。 「ありがたい」 「なあに、あんちゃんが勝ってくれないと俺も困っちまうんでなぁ」 とぼけた笑いを浮かべつつ、顎で何かを示す親方。 シチューをすすり、パンを頬張りつつ、シュトロハイムはマルコーの言葉に顔を上げてみる。 マルコーが指しているのは、コインで出来た大小二つの山。 双方の上には、シュトロハイムには読めないこの世界の文字がそれぞれ記されている。 恐らくは彼とギーシュの名前、そして数字――つまりは決闘を対象とした賭けのレートだ。 「ということは親父さんは、この俺に賭けてくれたってわけだ」 ニヤリと笑う、シュトロハイム。 「おう、あたぼうよ! 当たっても二倍にもならない本命なんぞに誰が賭けるかい!」 「親方、あんま大穴狙いばっかしてると続きませんぜ、たまには手堅く行きましょうよ」 「バッキャロー、男ならいつだって狙うのは一発逆転よ!!」 厨房の奥からの声が自身の置かれた立場を示し、シュトロハイムを打ちのめす。 今の彼は、競馬で言うならハルウララ。まず確実に負けが見込まれている存在。 つまりそれだけこの世界では、メイジの力とは絶対といえるものなのだろう。 「でも親方、一発逆転一攫千金って言う割りにゃあ、今回は慎重じゃないですけー? どうです、もう一ゲーム?」 「あ、じゃあ俺も、グラモンの餓鬼の勝利にもう50エキューでどうっすか、親方」 「ぬうぅぅ、ならばよかろう。賭けよう、俺の安月給を!!」 「Good!!」 食事を終えるその間に、更に交わされる会話。 はっきりと表されるギーシュとシュトロハイムの格の違い。 シュトロハイムもこうまで言われては、不安を抱かずにはいられない。 ――相手が単独行動中ならT34中戦車くらいには負ける気はしないのだが、それでもこのボディーでは、メイジには勝てんのか? 自信は、ある。だが、勝負に絶対はない。 しかも今回は相手の力が、全く持って予想できない。 それがどれだけ危険なことであるかは、メキシコの『柱の男』実験でいやというほど体験している。 揺るぐ、心。ないと決めかかっていた敗北の可能性が沸きあがり、覚悟していたはずの死の恐怖さえ漂ってくる。 「あの……本当にごめんなさい」 シュトロハイムの変容に気付いたシエスタが、その原因が全て自分にあるかのように謝罪の言葉を口にする。 「非がないことで軽々しく頭を下げる必要などない!」 不安と恐怖は苛立ちとなり、内から外へと向けられる。 シエスタを咎め答える声にさえ、必要以上のとげとげしさが生じてしまう。 「……ご馳走になった。それでは、いく。第一演習場はどこだ?」 「こちらです、案内します」 すっかり萎縮したシエスタが、厨房の戸を開けた。 「あー、いたいたシュトロハイム!」 シエスタの案内で演習場に向うシュトロハイムに声をかけたのは、赤褐髪の少女―― キュルケ・フォン・ツェルプストーだった。 「もー、どこいってたのよ、探したのよ」 言いつつ懐から取り出す手紙。 「ギーシュからよ。決闘前に渡してくれって」 「決闘前に?」 受け取り、広げるシュトロハイム――文面を覗き込むにつれ、手紙を持つ両手が震えだす。 「あ、あの、シュトロハイムさん。なにが書いてあるんですか」 「…………さあ、な」 「え?」 「あの貴族のボンボンめ! この世界に来たばかりの俺が、こっちの文字を読めるわけなかろうが!」 そういえば、聞けて喋れても読むことは出来ないんでした。 手紙を渡され、代わりに読み上げるシエスタ。 「ええと……『やあ、シュトロハイム君。君はなかなかに気が効くねえ』?」 「は?」 「いえ、手紙にそう書いてあって……『香水の壜に対する対応、なかなか気に入ったよ。あの気の効かないメイドなどとは大違いだ。 だけど少々詰めが甘い、危うくモンモランシーを怒らせてしまうところだったじゃないか。 まあ、それはいいとしよう。僕の機転で誤魔化すことが出来たのだからね』……」 「続けろ」 内容に戸惑うシエスタに、シュトロハイムは静かに告げる。 先ほどまでとは別種の感情が、彼の中に湧き上がりつつあった。 「『ところで先ほどした決闘の約束だが、ああ言ってしまった以上僕も後には引けない。とはいえ、無力な君を痛めつけるのも気が引ける。 よってだ、手加減して痛めつけるふりをしてあげるから、適当なところで降参してくれたまえ。 なに、君が怪我をしないようには出来る限り注意してあげよう。 何せ君は使い魔だ、何かあったらミス・ヴァリエールにも申し訳がないからね』――以上、です」 読みきったシエスタは、ほっと息を吐いて顔を上げる。横では、キュルケが声を殺して笑っている。 シュトロハイムは、無言で手紙をシエスタから受け取った。 「ミスタ・グラモンも、この決闘で命のやり取りをする気はなさそうですね」 安堵の気持ちを込めた口調で、シエスタが言う。 「で、どうするの? 手紙を預かったものとしてはあなたの返事を聞いておきたいんだけど」 キュルケがきく。こちらの態度は完全に、傍観者として楽しむ気満々。 「断る」 何のためらいもなく、シュトロハイムは返答する。シエスタが目を丸くし、キュルケが面白くなってきたと笑う。 「このシュトロハイムは手加減なし、真っ向からの決闘を望む――ギーシュ・ド・グラモンにはそう伝えろ」 「そうそう、そうこなくっちゃ」 返された手紙を受け取って、頷くキュルケ。 「でも気をつけなさいよ。ギーシュって見てるだけなら単なる愉快な奴だけど、あれでなかなか強いのよ。 模擬戦の授業で私に勝ったことがあるの同学年男子中では、あいつだけだもの」 無責任な口調でそう言うと、一足先に演習場へ消えていく。 「どうして、ですか?」 キュルケが去って残された二人。理解不能なものを見る目で、シエスタはシュトロハイムにきいた。 「どうして、とはどういうことか」 「だって、どうして断っちゃうんですか? せっかく『命はとらない』って言ってくれているのに」 「言って『くれている』、からだ。 俺が『怪我をしないように注意してあげよう』だと? 何故怪我をするかしないかの決定を、やつが一方的な意思で下せる! それを許すということは、やつへの精神的な服属だ。『命』と引き換えに『誇り』を売るということだ。 俺には絶対に認められない決定だ」 「誇り、ですか? それが、そんなに大事なんですか? その……命よりも」 「ああ、そうだ」 「じゃあシュトロハイムさんは、誇りを守るためならば死んでもかまわないのですか?」 「ああ、そうだ」 シエスタの問いに、シュトロハイムは頷く。 「優秀なるゲルマン民族の一員としての誇り。精強なるドイツ軍人の一人としての誇り。 それがあるから、俺がいる。誇りを失ったなら、俺は俺でなくなる。俺にとって、それは死よりも恐ろしいことだ。 だから俺は、この俺の誇りを侮辱しようとするような奴には、絶対に屈せん!!」 そう言い切るシュトロハイムの顔にあるのは、ギーシュ・ド・グラモンに対する怒り。 もちろんメイジの力への、恐れが消えたわけではない。だが怒りは、その源である誇りは、恐れを容易に乗り越える。 勝てると思っているわけではない、死なないと思っているわけではない、だがたとえ負けてもたとえ死んでも、シュトロハイムには絶対に譲ることの出来ないものがある。 そして彼の考えを、今のシエスタは理解出来ない。 命を賭けても譲れないというシュトロハイムの言うものが、何であるのかが分からない。 それは世界の差、時代の差、生まれ育った立場の差。 貴族として育てられたルイズならば、シュトロハイムの言う『誇り』は理解できるものだ。 平和な時代に生きていた島国の学生ならば、誇りより命を重んずるシエスタに共感できたはずだ。 だけれど今の、シエスタとシュトロハイムには、その価値観は納得できない。 「やっぱり、私には分かりません。私は、ちがうと思います。誇りのために、死んでもかまわないなんて」 悩ましげにそう言ったシエスタは、そのままくるりとシュトロハイムに背を変える。 「まっすぐ行って、大樹に突き当たったところを左に曲がってください。演習場は、その先です」 それだけ言うと、義務は果たしたとばかりに厨房のほうへと引き返す。 フウと息を吐き肩を竦め、シエスタに言われた道に従って、シュトロハイムは演習場へ。 そこにはもう、噂を聞いて駆けつけた見物人、ギャラリーで、人の輪が形成されていた。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6076.html
鋼の支援。どの作品でもシエスタの隔世遺伝率は異常。ジニーかわいい -- 歓楽街のていお (2008-12-16 08 21 14) じつにけしからん、もっとやれ -- 名無しさん (2008-12-16 09 02 38) クオリティが素晴らしすぎる むくれているジニーも緑髪のシエスタもかわいい -- 名無しさん (2008-12-16 10 15 59) さりげなく乳以上に尻がえぇのう -- 名無しさん (2008-12-16 12 40 49) お絵かき掲示板の戦闘力が急激に上がっている…! -- 名無しさん (2008-12-16 12 43 46) いや、わりと初期からピンキリだったぞ。この絵板は絵師に恵まれている -- 名無しさん (2008-12-16 16 57 38) くはぁ…ズキュゥゥンと来た…!惜しみないGJを。 -- 鋼の人 (2008-12-16 17 32 58) やべークオリティー高すぎる。ジニーの乳に釘付けなんだze -- 名無しさん (2008-12-16 17 53 27) 何だ…?何だ何だ何だこの神クオリティは!!上手すぎるじゃないか!!! -- 名無しさん (2008-12-17 06 31 09) 絵師GJです!! -- 名無しさん (2008-12-17 18 58 53) イイよ・ -- 名無しさん (2008-12-19 01 17 21) シエシエのピップラインが… -- 名無しさん (2008-12-21 16 09 37) 愛してるぜシエスタ! あと個人的にそばかすが欲しいです! -- 名無しさん (2008-12-21 22 15 58) シエスタ……ああ、シエスタ…… -- 名無しさん (2009-04-24 23 45 06) この絵、既に投稿されてなかった? -- 名無しさん (2009-04-24 23 55 32) ↑勘違い。超ハズい/// -- 名無しさん (2009-04-25 00 09 30) 鋼の使い魔読んだらサガフロ2やりたくなってきた -- 名無しさん (2009-04-25 00 31 03) 色彩感覚が抜群に良いな! GJ! -- 名無しさん (2009-04-25 14 03 40) GJいい乳だ。 -- 名無しさん (2009-05-11 18 25 42) 目の保養になるぜ。 -- 名無しさん (2009-05-21 09 56 56) むくれた顔がいいね -- 名無しさん (2009-05-27 06 38 36) 髪の色「は」遺伝してるのになw -- 名無しさん (2009-06-16 03 05 14) 遺伝子仕事しろ -- 名無しさん (2012-03-19 14 09 26) 遺伝子超ファインプレー -- 名無しさん (2012-05-20 23 48 04) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4876.html
前ページ虚無を担う女、文珠を使う男 第11珠 ~メイドの危機・後編~ 「佐々木のやろう、なーにが『頃会いを見計らって入ってきて』だ! いきなり門前払いされるところだったじゃねーか」 なんだかんだと言いながら屋敷の玄関にたどり着いた横島は、人質の男にその扉を開けさせてみた。 そして誰もいない事を確認すると、一人(と一本)で屋敷の中を探し始める事にする。 邪魔となるだけになった人質の男は、哀れにも木陰に転がされる羽目となってしまったが、そう遠くないうちに門番なり庭師なりに見つかることだろう。 「確か予定だと、『流れのGSの俺が悪い気を感じてやってきたら、佐々木のじいさんが暴れている現場に出くわす』だったよな。 門番が全然信じねーから強引に来ちまったけど… 『ちょっとやばそうな気配だったから、門番には手荒な事をしちまったけど、仕方がない事だった…』で何とかなっかなぁ」 「なぁ、相棒。さっきから言ってる『佐々木』っちゅうのが誰の事か知らねーけどよ、貴族の屋敷で騒ぎなんか起こせねーんじゃねーか? それこそ相棒みたいに『使い手』みてーな力でもねーと」 「ああ、デルフは知らねーのか。佐々木のじいさんは、シエスタちゃんの守護霊なんだ。 騒ぎを起こすくらいわけねーよ」 「守護霊? なんだそりゃ」 「守護霊っちゅうのはな… っと、話はあとだ。もしかするとあいつがモットって奴か?」 歩きながらデルフへ説明をしていた横島だったが、通路の奥、T字路に姿を現した一人の男を見て説明を切り上げる。 その男は遠目からでもわかる煌びやかな服を着ており、メイジである事を示す杖も持っていた。 「男の後をつける趣味なんてねーんだがなー」 そう言いつつも後をつけていくと、行く手に豪華な扉が見えてきた。 その扉の両脇にはメイジ二人が立っていたが、最初の男の姿を確認すると、敬礼をして何やら話し始めた。 「モット伯爵様、お疲れ様です」 「うむ。見張り御苦労。特に何か変わった事はないかね?」 「はい。皆、伯爵様の事をお待ちしております」 「うむうむ。ときに、今日雇い入れた娘はもう来たかね?」 「ええ。つい先ほど。そろそろ準備も出来るのではないかと思います」 「よしよし。ではいつもの通り、良いと言うまで誰もいれるでないぞ?」 「はい、分かっております」 男二人が話を終えた後に扉を開け、モット伯爵と呼ばれた男はあたりを見回してから中に入っていく。 (あれ… もしかして、メイジ二人何とかしなきゃ、後追えねーのか?) (おい相棒、どうすんだ? あいつ、行っちまうぜ) (こんな所で使いたくは無かったんだけどな… 仕方ねーか) そう言うと横島はポケットから【溶】と書いてある文珠を取り出した。昼間、デルフ相手に使おうとしたものだ。 その文珠に書かれている文字を【霧】に書き換えた横島は、一息にそれを飲み込む。 (ピート、技を借りるぜ。 …サイキック・ミスト!) 【霧】文珠の効果で、横島とデルフは霧へと変化する。 決して、サイキック・ミストなぞという胡散臭い技があるわけではない、念のため。 霧となった後は、二人のメイジに見つからないようゆっくりと浮き上がり、扉と部屋とのわずかな隙間から、モットが入っていった部屋へと向かう。 (霧になれるたーおでれーた… 相棒、吸血鬼だったんだね。俺様全然気付けなかったさ) (人を勝手に吸血鬼にするんじゃねーっつうの。前に一度吸血鬼になった事はあるけどよ、今は普通の人間だ、人間) (それはそれですげーぞ、相棒。まぁ今一番おでれーてるのは、俺が今どういう状態なのかさっぱりわからねーって事なんだけどな。 何で体がねーのにしゃべれてんだ? あと、俺は元に戻れんのかね? 一生このままなんてやだかんな) (ああ、後でちゃんと元に戻れっから気にすんな。 ちゅーか、んなこと言ったらそもそも剣がしゃべる事自体不思議だろーが。いまさら体がねーくらい気にすんなって) (そんなもんなのかね。まぁ後で元に戻れるってんならどーでもいいさね) そんなこんなで進んでいった彼らがさらに一枚の扉を抜けた後に目にしたのは、横島にとって天国のような光景だった。 (こ、こ、これはー!! くぅー!) そこは、一言で言えば大きなお風呂であった。 乳白色の湯がなみなみと張られているその浴槽は、横島がよく通っていた銭湯にある物とは比べ物にならない大きさであり、薄く白い肌着をつけた幾人もの美女・美少女が、ゆったりと湯に浸かりながら談笑をしている。 残念ながら、その肢体のほとんどは湯の中に隠れてしまい見えないが、それがまた逆に横島の妄想をかきたてていた。 (ぬがぁー この霧の体じゃ風呂になんか突っ込めねー でも元に戻るとばれちまう。 お、俺は一体どうすりゃいいんだ!) (おめ、そんな事よりシエスタとかいう娘っ子の方が大事なんじゃねーのか) (………あ) (あ?) (って、いやいや、今の無し、なしなし! …モットの奴、まだそこにいるから大丈夫だしっ!) 横島が見つけたのは、肌着一丁で部屋の片隅から出てくるモットの姿だった。 カーテンで区切られているそこは、部屋の入口からすのこが渡してあり、おそらく更衣室か何かの役を果たしているのだろう。 彼は同じく肌着のみの女性二人を両脇に侍らせながらゆっくりと浴槽に向かって歩いていき、浴槽の側まで来るとそこに置かれているきれいに磨かれた石の腰掛に座る。 モットが座った後は、女性二人が彼の体を洗い始めたのだが、彼が彼女たちの胸やお尻を触ろうとする為、なかなか上手く行かないようだ。 「もう、モット様ったらスケベなんですから~」 「だめですよ、今はちゃんと洗わせてくださいな」 「良いではないか。夜にやるのも今にやるのも、たいして違いはないだろうに」 「そんな事を言って、どうせ今夜は私達を呼んでくださりはしないんでしょう?」 「新しい娘を連れて来た日は、いつもそうですもんね~」 「なんだ、分かっているではないか。ならばなおさらわしがこうする事に異論は無いだろうに?」 モットはそう言いながら彼女たちの肌着に手をかけ、思いっきりそれをはぎ取ってしまう。 女性達の全然嫌がっているように聞こえない叫び声が聞こえ、そして二組のふくらみが何者にも包み隠されずに曝け出される。 それをまじまじと見ていた横島は盛大に鼻血を吹きだしてしまい、またデルフリンガーはカランという音を立てて床に落ちた。 そう、舞い上がっていた横島は、文珠の効果が切れそうであった事に気づかずにいてしまい、そしてたった今効果が切れたのだ。 「だ、誰だ貴様っ!?」 鼻血を噴出しながら姿を現した横島を見て、モットは後ずさりながら大声で問いただした。女性達は、悲鳴をあげながらうずくまっている。 「ばれちまったら仕方がねー」 左手で鼻を押さえながら、開き直ったかのように話す横島。 床に落ちたデルフリンガーを拾うかのように腰を落とした彼を見て、さらにあとずさるモット。 そして… 「おっ姉っさーん! 僕といい事、ってぬわぁ!!」 煩悩丸出しの叫び声とともに飛びかかろうとした横島は、床に落ちていた泡のせいで、派手に転んで頭をぶつけて気絶してしまった。 次に横島が意識を取り戻したのは、ロープでぐるぐる巻きにふんじばられ、冷たい床に転がされた後の事だった。 (おい、横島。いい加減に目を覚まさんかい) 「むがー むー がー」 (静かに、見張りが外にいるんじゃ) さるぐつわをされ、唸る事しか出来ない横島に声をかけていたのは、先に屋敷に侵入していた佐々木武雄であった。 (いいか、よく聞くんじゃ。お主、さきほど風呂場に来たじゃろ? 風呂場にはいくつか小部屋があったんじゃが、その一つにシエスタもいたんじゃ。 探すのに手間取ってしまい、霊力も残り少なくなってしまったわしは、お主が来るまで静かにしてようと思ったわけじゃ。お主が来た時にわしが力尽きていては意味がないからの。 だというのに、本当にもうどうしようもないドジを踏みおってからに、全てパーになってしまったわい。 おまけにお主の叫び声に気づいたシエスタが声をかけてしまってな、おかげで関係者だとばれてモットに連れて行かれてしまったわ) 「まんがっげー!」 シエスタが連れて行かれた事を聞き、横島は思わず大声をあげてしまった。まずい、と思っても後の祭り。 横島が意識を取り戻した事に気付いた外の見張は、扉に付けられている小さな穴からこちらを覗いてきた。 「おい! うるせーぞ! 貴族様の館に忍び込んだ以上、泣いても喚いても五体満足で帰れるわけがねーんだ! 諦めておとなしくしてろ」 見張りに気付かれないうちに奇襲をかけるのが一番の手だったのだが、こうなっては仕方ない。 男がそう叫んでいる間に栄光の手を発動させた横島は、篭手形態としたそれで器用に縄を切りほどく。 さるぐつわも外し、栄光の手を霊波刀形態に変えると、 「シエスタちゃんがピンチだっちゅうのに、おとなしくなんかしてられっかっ!」 と思いっきり扉を切りつけた。 見張りの男は、しっかり拘束されていたはずの横島が立ち上がり、なおかつ光り輝く剣を振りかぶったのをみて、足をもつれさせながらも後ろへ飛び退った。 「う、うわぁ…!」 斜めに切られた扉を蹴り飛ばした横島の目に映るのは、足をもつれさせしりもちをついている男。 男は健気にも剣を抜き目の前で守りの構えを取るが、横島は別の事に気を取られる事になる。 「おーい、相棒! 無事に抜け出せたんだな! なら、俺を忘れてくなんてひでーことはしねーよな!?」 「! デルフか! どこだ?」 「相棒が捕まってた部屋の隣だ。早く出してくれー」 「よっしゃ、待ってろ!」 そうしてデルフを回収した横島は、佐々木の道案内をもとにシエスタの救出へと向かうのだった。 一方、そのシエスタはどうなっているかと言えば、大変ピンチな状態に陥っていた。 彼女が連れていかれたのはモットの私室であり、そこで両手を縛られ、天井から吊るされていた。辛うじてつま先立ちが出来る程度の高さに吊るされている為、苦しそうな表情をしている。 その姿は、風呂場でみた多くの女性達と同じように肌着一枚であり、肌着の下からは、綺麗な太ももが惜しげもなくさらされている。 そしてモットは彼女の斜め後ろに立ち、左手を彼女の腰へ、右手をあごへとまわして話しかけていた。 「あの男は一体何者なのか、いい加減諦めてしゃべってはくれないかね?。 たった一人で四人を打ち負かすだけでなく、二人のメイジに全く気付かれる事なく侵入する。 あげくの果てに、このワシでさえ目の前に来られるまでは分からんかった。そんな奴が、ただの平民なわけがないだろう」 「わ、私だってあの人がそんな事を出来る人だなんて、今まで全然知りませんでした… そもそも、あの人の事はあんまり知らないんです」 そうシエスタが言うと、モットは彼女の首筋にゆっくりと息を吹きかける。 「ひっ」 「どうしてもしゃべらないと言うのかね。全く強情なメイドだ。 だが、いつまでそのつもりでいられるかな?」 腰に回されていたモットの左手が、徐々に上へと持ち上げられていく。 その行き先にあるのは、メイド服の上からでも分かるほどの大きなふくらみ。 そして… 「シエスタちゃん、無事かっ!?」 まさに今シエスタの豊満な胸がなでまわされる直前、横島が扉をデルフリンガーで真っ二つにしながら飛び込んできた。 「ヨ、ヨコシマさんっ!!」 「むっ。貴様、どうやってここまできた!? 見張りはどうした!?」 「て、てめー シエスタちゃんに何してんだ! その胸は俺んだっ! そこから離れろー!!」 大声で叫びながらモット目掛けて飛び掛る横島に、そうはさせじと素早く呪文を唱えるモット。 「ふざけおってからに! ラグーズ・イス・イーサ・ウォータル…」 モットの唱えた『ジャベリン』の魔法により、彼の目の前に多数の氷槍が現れる。そして大きくジャンプしたが為に、いまだ空中にあり、ろくに身動きが取れない横島。 シエスタが悲鳴をあげながら横島の名を呼ぶ中、彼へ向けて氷槍の集団は容赦なく襲いかかった。 だが、それらはただ一本たりとも横島を貫く事は無かった。その全てがことごとく横島の持つデルフリンガーによって叩き落されてしまったのだ。 まるで、怒りによってガンダールヴの力が跳ね上がっているかのようだ。 しかしいくら叩き落したとは言え、衝撃までは消せない。 横島が渾身の力で振り下ろしたデルフは、惜しくもモットには届かなかった。 届かなかったばかりか、ガンダールヴの力はデルフを床に食い込ませてしまったのだ。 「『ジャベリン』を叩き落すだと!? えーい、ならばこれならどうだっ!」 横島がデルフを床から引き抜こうとしている隙に、モットが新たに呪文を唱える。 すると今度は、部屋においてあった花瓶より水流が迸り横島へと向かっていった。 さながら、その様子は水竜が獲物を狩るかのようである。 「おい、相棒! 相棒があれくらいでくたばるたー思わねーが、さすがにあれは踏ん張りきれねーんじゃねーのか! ここでこれ以上距離を取られたら、さすがにやべーぞ!?」 「なぁーっ! えーい、困ったときの文珠頼みだっ! 凍りやがれ!!」 横島はそう叫びながら左手に文珠を作りだし、素早く【凍】の文字を込めて水流に向かって投げつけた! ガンダールヴの能力の副作用である霊力を吸われる感覚は相変わらず残っているのだが、今はそれ以上に霊力が充実している。 言うまでもない、横島がつい先ほどまでいたのは、多くの美女・美少女がいる風呂場であり、なおかつ夢と希望が詰まった二つのふくらみをもろに見ているからだ。 煩悩でもって霊力を大きく高める事が出来る横島は、文珠にして約2個分の霊力を、あの光景から補充していた。 結局、横島に襲いくる水流は、文珠の効果であっけなく大きな竜の氷像と化してしまう。 「わ、ワシの水魔法を凍らせるだと! そんなばかな、ワシ以上の水の使い手がこの地方にいるなぞ聞いた事が…!」 モットは自分の会心の魔法がやぶられたため、次の呪文を唱えることもせずに驚愕している。 その間にモットの懐へと走りこんだ横島は、今度こそデルフリンガーを彼めがけて振り下ろした! 一瞬の後、ゴトン、という鈍い音とともにモットがひざを折る。 そして床の上にはデルフによって斬られた彼の杖の先端が転がっている。 「本当はこんなもんじゃ済ませたくねーんだけどよ、シエスタちゃんがいるからな。 これくらいで勘弁してやらー」 あまりの出来事に気を失ったモットにそう言うと、横島は吊るされているシエスタの方へ歩いていく。 「シエスタちゃん、もう大丈夫。今ほどいてやっかんな」 シエスタを縛っている縄をほどいた横島は、重力に引かれて倒れてくるシエスタをしっかりと抱きかかえる。 「ヨコシマ…さん… あの… その…」 今にも泣き出しそうなシエスタの背に手を回しながら、横島はその柔らかい感触を十分に堪能する。そのうえさらに、シエスタが着ているのはお風呂に入るための薄い肌着である。 ガンダールヴの力で感覚が鋭敏になっている横島は、そのふくらみの頂にある小さな突起の感触までをも感じとっていた。 (これや、これ。こういうのを俺は待ってたんやー ピンチに陥った美少女を助ける俺、そしてそれに感謝する美少女は徐々にその念を恋心と変えて… それにしても、やっぱりシエスタちゃんはええチチしてんなー」 「…え?」 心の中で思うだけのつもりの横島だったが、どうやら最後の部分は声に出てしまっていたようだ。 「ヨ、ヨコシマさんのエッチー!!」 その呟きで我に返ったシエスタに思いっきり平手打ちを食らわせられた横島は、吹っ飛んでいき凍ったままの氷竜の像に思いっきりぶつかる。 がらがらと派手な音を立てて氷像は崩れ去り、その氷の瓦礫に埋もれる横島。小刻みに痙攣する右手だけが埋もれずに残っている。 そして、 「ちょっとは感動した私が馬鹿でしたっ!」 と部屋を出て行くシエスタと、彼女に憑いて行く佐々木。 「あーあ。相棒そりゃ自業自得ってもんだ」 「うるせー こればっかりはしゃーないんや。男の性や」 頭からだらだらと血を流しながら、瓦礫から這い出してくる横島。 そしてあたりを見回して大きくため息をつく。 「派手にやっちまったなぁ。こりゃ、綺麗サッパリ忘れてもらうしかねーか」 横島は【忘】の文珠を作りだす。これでもう今日使える文珠はすっかり無くなってしまうが、後の事を考えれば仕方ない。 それに先ほどの感触が、減った霊力の回復に大きく役立っていて、この調子なら、明日もぎりぎり1個なら文珠が作れそうではある事だし。 文珠をモットに飲ませた横島は、これでよし、と立ち上がり部屋を後にしようとする。 「そう言えば相棒、さっきから気になってたんだけどよ… その珠っころは一体何なんだ?」 「ああ、これか? 本当は秘密なんだけどな、お前と俺の仲だから特別に教えちゃる。これは文珠って言うんだけどな…」 そうして横島は、デルフに色々と説明しながら、シエスタを探しに行き… シエスタを見つけ平謝りして許してもらった横島は、事情を説明して門番相手に一芝居を打ってから帰ることにする。 シエスタに悪霊が憑いていて、それを除霊しに来た、というあれだ。 わざとらしいお札をシエスタに貼っておき、それを剥がせば佐々木が騒ぎ出す、という手順を踏んでの芝居は、ただの平民である門番を騙すには十分であり、横島達は、特に問題もなく魔法学院へと帰ったのであった。 幕後、その後のモット邸。 横島を見張っていた男に報告を受けてやってきた二人のメイジが見たのは、派手な戦闘の跡と、何故こんな事が起こったのかさっぱり覚えてないモットの姿だった。 そして、さらにその後からやってきた門番の男からも事情を聞いたメイジ達は、「メイジでも無い男の侵入に全く気付けなかった」事実を隠そうと、本当に悪霊騒ぎとして処理してしまう事にした。 悪霊を信じているわけではないが、他に納得行く説明も思い浮かばなかったモットは、仕方無しにそういう事にしたのである。 そして「モット邸に幽霊現る」という噂は、出入りの商人から外へと漏れ出して、トリステイン魔法学院でも一時話題に上るほどの話となったが、それはまた別の話であった。 前ページ虚無を担う女、文珠を使う男