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前置き ゆっくりのセリフに読みやすくなる程度に度漢字を使用しております 大きさ補足[赤ゆ=ビックリボール 通常種=ソフトボール ドス=バスケットボール 小型種=野球ボール 巨大種=バランスボール] 作:メトロイドマホロイド 「長ぁ、今度はれいむのちびちゃんが帰ってきてないよ!」 「みょ!? あれほど遊ぶときは大人が近くで見張ってろって、言ったのに何してるみょん!」 長みょんがまとめる群れでは、ここ最近子供の失踪が頻発していた この群れの総数は300を超える大所帯である、そのため過去に何度か迷子の捜索もしたことがあった だから最初は長みょんも、この連続失踪の最初のうちは子供の迷子だと思っていた しかし毎日と言ってもいいほどのペースで子供がいなくなる 最初の失踪から1ヶ月、知能の高いぱちゅりーでなくてもおかしいことに気づくゆっくりは多くなっていた 「れいむのちびちゃんどこ行ったのー!!」 森にゆっくりの大声が響く 100匹近いゆっくりが、子供が居なくなるたびに詮索をしているのに、今まで一度も子供が発見されたことはなかった 「ゆぅ、どうせ見つからないんだしもう寝ようよぉ」 「まりさも眠たいよぉ・・・」 数匹のゆっくりが早く帰って寝たいとつぶやく、探索を行うようになって1ヶ月、ほぼ毎日の徹夜である そのせいで日中に行う狩りの時間帯を睡眠に回しているため、満足に食事もできてないゆっくりは多い それにゆっくりにとって夜とは危険が多い時間帯でもあるのだ 「れみりゃだぁああああ!!!!」 「やべでぇ! だべないでー!」 「うっーうっー、ご飯がいっぱいだどー」 「ふっー! ゆっくりはふらんに食べらとけぇ!!!」 群れに突然悲鳴があがる れみりゃと胴付きふらんが狩りを開始したのだ 「みょ、みょん!? やばいみょん! れみりゃとふらんの狩りの時間になってたみょん!」 れみりゃとふらんは夜行性だが、活動開始時間は日が落ちて数時間後と遅い 夜行性といえど、ゆっくりであるが故にゆっくりした時間が必要なのだ 長みょんもその事を把握していた しかし、毎日の子供の失踪と、それを防げない自分の不甲斐なさが焦りを生み、このことを失念させていた 「みんな家に戻るみょん!」 「ゆっくりしてないで逃げるよ!」 「ばでぃざぁああああ、だずげでぇ!!!!」 「いぎゃああああ!!!! でいぶをだべないべぇえええ!!!」 すぐに家に帰れと指示をだすが時すでに遅し、3匹のれいむが捕まってしまった みょんは通常種最強と呼ばれる戦闘能力を持つ、しかし長と呼ばれる実力を持っていたとしても捕食種に勝てるものではない しかも、ふらんは胴付きである、空を飛ぶうえに手足があるという戦闘能力は、みょんと言えど簡単に返り討ちにあってしまう 「ゆぎぃ!!!!!」 「ゆがががががががががががが」 れみりゃが噛み付いたれいむが断末魔をあげる 中身の餡子を吸い出すれみりゃの食事方法は、ゆっくりをすぐさま死へと誘った それに対し、ふらんはの食事方法は丸かじり 自分が食べられる感覚に声を荒げながら、ふらんの右手に捕まったれいむは息を引き取った 「やべでね、でいぶはおいじぐないがらたべ、ゆべぇ!?」 食べないで、そう懇願するれいむの口に空いた右手を入れ、ふらんは中の餡子をこねくり回していた 「ゆばばばばばあば、しゃべ・・・ひゃべで・・・」 れいむは涙を滝のように流しながら止めてと懇願する しかしその願いは届くはずもなく、れいむは死を迎えた 「ゆべっ」 「ふー、ハニーたべるんだぞー」 「うっーうっー、ダーリンの手料理美味しいどー」 料理、と言ってもゆっくりの中身の餡子をこねくり回し柔らかくしただけだ 捕食種はゆっくりを美味しくする方法を知っている事もあり、その事かられみりゃとふらんは少し変わった習性がある それはゆっくりを苦しめて味を向上させるという習性だ その方法は多種多様で、今回のように直接痛みを与えることや、家に監禁して家族を目の前で食べるなど、精神的に苦痛を与える場合もある そしてこの事をこの2種の間では手料理と呼ばれる 「れみりゃは先に帰って子供達にふらんの手料理をあげておくんだぞ」 「うー、わかったどー」 二人でディナーを楽しんだ後、れみりゃはふらんが作った手料理を咥えて巣に戻っていった 「ふらんはもうひと仕事するぞー」 「ゆ"!?」 狩りを再開しようとするふらんの目に、5匹のまりさとありすが目に入った この残っていたゆっくりは、食べられたれいむの家族である せめて遺品だけでも回収しようと、木陰から見守っていたのだ ここならふらんから見えない、そう思って隠れていたが、通常種と夜行性のふらんの夜目は見える範囲が違った ふらんから見ればこの5匹は頭も尻も隠していない状態である 「ふらんにゆっくりたべられろぉ!!!!」 「「「「「なんでばれたのぉ!? こっちにこないでぇ!?!!」」」」」 結局、1匹のまりさと2匹のありすが捕まり、ふらんの家に連れて行かれた 次の日の夜 今日も子供のありすが、日が落ちたというのに帰ってこなかった 探索に向かおうと、長みょんは群れの大人を集めたが、子を失った親以外は探索に行かないと言い張った 「れいむの子供がいなくなってないのに、何で他の子を探さないと行けないの」 「まりさは狩りで疲れてるんだよ。だから早く寝ないといけないんだよ」 「夜遅くまで起きてると肌が荒れてしまうわ。そんなの都会派には許されないってわかるでしょ?」 群れのゆっくりには限界がきていた ほぼ毎日の徹夜、日中にゆっくりできない事、捕食種への恐怖、そして昨晩の胴付きふらんの来襲 長みょんは群れのゆっくりを説得したが、子を失った親ゆっくり以外はけっきょく探索に行こうとしなかった そして今晩も消えた子供は見つからなかった ここは長みょんの群れから少し離れた崖の下にある洞窟 そこに2匹のゆっくりが暮らしていた 「今日のご飯は、ぱちゅりーの大好物の餡子のクリーム添えよ」 「むきゅ〜ん、ぱちゅりーの好みを把握しているなんて、さすがとかいはね!」 「あたりまえじゃないの、だって優秀なぱちゅりーの夫なのよ」 「そんなこと言われると照れちゃうわ、むきゅー」 ありすとぱちゅりーは、外からは見つけることが困難なこの洞窟に居を構えた 「「むーしゃむーしゃ、しあわせー」」 「さすがありすの愛妻料理ね、人間が作ってた料理に匹敵するほどだわ!」 ぱちゅりーの言葉、それは二匹が人間に飼われていた飼いゆっくりであったためだ ありすは生れ落ちたときからの飼いゆっくりだった 美味しい食事、温かい毛布、ゆっくりできる遊具、とかいはなゆっくりハウス 愛でと呼ばれる飼い主に飼われていた、ありすは幸せだった 文句があるとしたら "人間の躾" 程度 でも、その躾を守れば褒めてくれた、美味しいお菓子をくれた しかし成長したありすに思春期が訪れた 「ありすも家族がほしいわ・・・」 生まれて家の外に出してもらったこともなく、家のなかでゆっくりする日々 テレビとよばれる物の中にだけでしか、自分以外のゆっくりを見たこともなかった ありすは、ドラマに出てくるゆっくりの家族が羨ましかった そのドラマは人間の家族とゆっくりの家族を描いた大河ドラマ 『おきゃーしゃんの、しゅーりしゅーりとってみょきみょちいいよ!』 『おとーさんおかーさん喧嘩しないでー!』 『・・・ゆ? 高楽さんの家のれいむが、まりさの本当のおかーさん?』 『おかーさんは本当のおかーさんじゃないかもしれないけど、まりさのおかーさんだよ!』 どんな苦難も家族の絆で乗り越える姿にありすは憧れた それは物語の主人公になりたいという思いではなく、家族が欲しいという願いからだった 飼い主がぱちゅりーを連れてきたのはそんな時だった 「今日から一緒に住むことになったぱちゅりーだ」 「むきゅ〜、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!」 ありすの結婚相手がほしいと、飼い主が知り合いから結婚相手を貰い受けたそうだ ぱちゅりーは博識だった、しかしそれを鼻にかけることもなく、とても礼儀正しかった 気が合った二人はすぐに仲良くなり、夫婦となるまでさほど時間がかからなかった 数週間後、二匹には子供ができていた ありすが3匹にぱちゅりーが1匹 赤ん坊が、ちびと呼ばれるぐらいに成長してきた時、またもや突然1匹のゆっくりがつれてこられた 「ゆっきゅりしちぇいってね!」 「「ゆっきゅりしちぇいってね!」」 それは赤ん坊のれいむだった 初めての友達に子供達はすぐ仲良くなり本当の兄弟のようにすごした 赤れいむが連れてこられて来た理由は 「道端で倒れてたから、子供達の遊び相手につれて来た」 「れみりゃにおしょわれちゃんだよ!」 れみりゃに襲われたが、親が赤れいむを逃がしたらしい それを飼い主が拾ってきたというわけだ 「ゆっくり理解したわ!」 ありすとぱちゅりーもそれを理解し、赤れいむを家族として向かいいれた そしてそれは赤れいむが着てから1ヶ月ほどたった日であった 飼い主が帰ってきた目に飛び込んできた物、それはバラバラになったお気に入りの茶碗だった 壊した犯人はあの赤れいむだった 「ゆびぃいいいい!? いちゃいよぉおお!!!」 赤れいむは壊した言い訳を言う暇もなく、お仕置きを受けていた 台に赤れいむを固定し、定規を弾き、足を何度も叩くお仕置き 足はゆっくりにとって生活の全てだ、それは移動だけではない ご飯を食べる時に前かがみになるには足を使う、自分からすりすりするにも、この足では上下運動ができない 足、それを失ったゆっくりは口と目を動かすこととしかできなくなるのだ 「やめちぇぇえええ!!!! はんちぇいしましちゃからぁぁぁあああ!!」 「じゃあ何でお茶碗を触ったか聞こうか?」 「き、綺麗だったから、れいむはがまんできにゃかったんだよ! 宝物にしちゃかったんだよ!」 「人間の物にあたったらいけないって言ってたよね? もしあたったらお仕置きするって言ってたよね?」 「ゆ、ゆぅ・・・」 「また何か壊したらもっと痛いお仕置きするからね、わかった?」 「わかっちゃよ・・・」 お仕置きが終わって赤れいむは部屋に戻される、飼い主はありす達に連帯責任として3日間ご飯抜きを言いつけた 「ゆゆ!ありちゅ、しょんにゃにがみゃんできにゃいよ!」 子供達は抗議をした、しかし決定したことは変えないと言い返される 「あー、でも子供のぱちゅりーは3日食事抜くと死んじゃうかもしれないから栄養剤を食べさせてあげるよ」 それから3日後、なるべく動かないで体力を温存していた、それでも3日という食事抜きは長い 栄養剤を食べた子ぱちゅりー以外は全員げっそりしていた 「今日はご飯貰えるからね、ちびちゃん達はゆっくりお利口にしててね」 「「ゆっきゅりりきゃいしたよ!」」 久々に食事が貰えると聞いて子供たちは元気が戻ったのか、全員遊具ではしゃぎはじめた 「ゆっくりした子達でよかったねぱちゅりー」 「そうね・・・」 ぱちゅりーはぐったりしている、元々体の弱い種族だ、栄養が行き届いてる飼いゆっくりと言え、3日の食事抜きの負担は大きい 「元気を出してぱちゅりー、子供達もきっと言いつけを守らないことは悪い事だって理解してくれてるわ」 子供達も今回のことで言うことを聞かないとお仕置きがあることを理解しただろう これでもっと良い子になってくれる しかしありすとぱちゅりーの思いは最悪な形で壊れることになった 「みゃみゃーたしゅけてー!」 「ここきゃらだしちぇぇ!!」 「お兄さん子供達を出してあげて!」 「子供たちは悪ふざけをしただけなのよ、ゆっくり理解してね」 子供達が箱の中に閉じ込められている理由 それは10分前の出来事が原因だった 「3日間食事抜いたからな、ちょっと豪華にしてあげるか」 お仕置きとはいえ3日もご飯抜きにしたのだ 飼い主もこれに懲りただろうと、ちょっとだけ豪華なゆっくりフードとオレンジジュースを用意して部屋に入った 「お前達ゆっくり反省できたかな? 反省できた子には美味しい・・・」 「ばかな飼い主はゆっきゅりしにぇ!」 「え?」 パコン、そんな音と共に飼い主の足に何かがぶつかった それはスィーカー 上に乗り、前のボタンを踏めば前に、後ろのボタンを踏めば後ろに進む メジャーなゆっくり玩具の1つである その上にはありすの子供達と赤れいむが乗っていた 「おにーしゃんいたかった? れいみゅも、おしおきいたきゃったんだよ!」 「そうだよ! ありしゅの、とみょだちを、いじめりゅばかにゃ飼い主はゆっきゅりりきゃいしてね!」 「むきゅん! ばかな、かいにゅしは、いちゃくてうごけにゃいらしいわ! ぱちゅりーたちの勝利ね!!」 「「ゆっゆおー!」」 動かない飼い主を見て勝利を確信した子供たちは勝どきを上げている この作戦の発案者は言うまでもない、子ぱちゅりーだ 子供たちはお仕置きという物を理解していなかった、だから飼い主が友達をいじめたと勘違いしたのだ だから報復しよう、子ぱちゅりーは姉妹と赤れいむにそう言った 言葉を覚え始めた子ぱちゅりーは、覚えた難しい言葉が使い、ありすとれいむに報復を提案した 難しい言葉を使う子ぱちゅりーの言葉、子供たちはそれを凄いと褒め誰も疑わなかった その報復の方法はスィーカーで突撃すること 子ありすが生まれたての時に、スィーカーに誤って轢かれ、大怪我をした事を子ぱちゅりーは憶えていたのだ しかしそれは外皮の弱い赤ゆっくりの場合の話だ 「ちびちゃん達なにしてるのぉ!!!」 ありすは慌ててちび達をスィーカーから下ろし飼い主に謝らせようとする 「あやみゃるひつようにゃんてないよ! これはほうふきゅなんだよ!」 子供達は悪びれている様子がまったくなかった 自分は人間に勝ったんだ、自分は人間より強いのだ、自分より弱い相手に謝罪なんてする必要がない そんな状態の子供達はありすの言葉をまったく聞こうとしてなかった 「お兄さんゆっくり聞いてね! 子供達はちょっとおふざけがすぎただけなのよ・・・お兄さん?」 そこでありすは飼い主の異変に気づいた じっとありす達を見る目の異様な冷たさ それは、ありす達に完全に興味を失くし落胆した目だった そして何も言わずお兄さんは、子供達を掴みあげると箱の中、電子レンジの中に放り込んだ その後、電子レンジの前にありすとぱちゅりーをお兄さんは連れてきた 自分の子供の死に様を見せるために 「お願いします、子供たちを許してあげてください!」 「死ね」 冷たい言葉 優しい飼い主からはじめて聞く単語 どおしてそんな事を言うの? そんな問答をする暇もなく子供達の悲鳴が聞こえてきた 「ゆびぃいいいいいいいい!!?!??」 「が"が"が"が"が"が"が"が"」 「いじゃいよぉおおおおお!!!!」 電子レンジの中をみると、子供達が絶叫をあげながら苦しんでいた 助けようと電子レンジに体当たりをするがびくともしない 針で突付かれても、火で焼かれてもいないのになんで? その時、ありすはお兄さんに見せられた虐待テレビのことを思いだしていた それには、針を刺されるゆっくり、火で炙られ足を焼かれたゆっくり、飾りを壊されたゆっくり ゆっくりできない光景がそこにはあった 悪いことをしたらこれと同じ事をする、それがお仕置きだ、そう教えられた それが今まで良い子にしていた、お仕置きされたことの無いありすの知るお仕置きでもあった しかし目の前のこの箱は一体なんなんだ 子供たちは中に居るだけ なのに苦しんでいる ありすの理解の範疇を超えていた 「ゆ”っ!?」 ポンッ ポップコーンが弾けた様な音と共に、子ぱちゅりーの目が破裂する 「む、むきゅー!?」 「ばじゅでぃいいいいいいい!!!!!」 子ぱちゅりーの目が弾けたのを皮切りに、他の子達にも変化が現れた 「ゆべぇ・・・・」 長女のありすの体中からは、ドロリと餡子を吐き出し 「ゆびぃっ」 次女のありすは上半身が溶け、醜く歪み 「ゆびぃ!?」 三女のありすは子ぱちゅりーと同様に、量目がが破裂し 「ゆ”っ!?」 子れいむは、バラバラに四散した 「むびゅ・・・・」 「あ、あでぃしゅ!ばじゅでぃい!」 ぱちゅりーはその光景に耐えれきれずに気絶 ありすは、この世の物を見ているとは思えない形相で、レンジの中の子の有様を見ながら気絶した 「ゆ、ゆ!? ありす!?ぱちゅりー!?れいむ!?」 気がついたありすが、子供とその親友の名を呼ぶ きっとあれは夢だったんだ、そうに違いない しかしそれは、夢でなくは現実であった 「い”ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”!!??」 起きたありすの目の前にあったモノ それは物になった子供たちの姿だった 「ごべんで・・・ごべんべ・・・・」 謝りながら子にぺろぺろを施す こんなことをしても子供は生き返らない、その事をわかっていてもやらずにはいられなかった 数分後、ありすは落ち着きまわりを見渡す 近くにぱちゅりーがすごい形相でまだ気絶したいた それ以外は見たことの無い場所、でもその場所を何と言うかありすは知っていた ここが森という場所だということ、そして理解した、自分達が捨てられた事を 中編へ続く Q.おかしいことに気づくまで1ヶ月っておそくね? A.自分以外にあんまり興味のない餡子脳だとこれぐらいかなと 前の作品 「ゲスG誕生!」 「猟奇的に伺が。」 「ゆっくり実験所」 「ゆっくりの加工所?」 「きめぇ丸から愛を込めて」未完 「十虐十殺」
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これは投棄場の ゆっくりの歴史 森のゆっくり編 の続きです。 歴史と言いながら俺設定、パロディが満載です。 そして投棄してるからには虐待が皆無です。 それが気に入らない人はお戻りください。 ちなみに今回は大概のSSで死んだゆっくりの帽子をかぶると 「おまえとはゆっくりできないよ!ゆっくりしね!」 とほざき始めるので、その理由の脳内保管を文章化した感じです。 さて、続きだ。「水辺のゆっくり」と銘を打たれていたが、川のゆっくりと言ったほうが正確か。 幻想郷に海はない。紅魔館のほとりにいれば某知恵足らずの妖精やカリスマならぬカリデカな館の主に駆逐されてしまうだろう。 ゆっくりも学習能力はある。 { 水辺に棲むゆっくりのもっとも恐怖したもの、それは辻斬りだった。 事実、辻斬りは毎年現れ、ゆっくりが駆逐されるまで続いた。 初めに辻斬りを始めたのはみょん種だった。 「ゆっくりしていってね!!!」と大声で叫んで近くのゆっくりを足止めし(地上のゆっくりには「ゆっくりしていってね!!!」というと本能的に挨拶を返す習性がある)ゆっくりとは思えない速さで真っ二つに切り裂く。人間のいう辻斬りそのものであった。 彼(もともと人間に家族を殺された父親役のゆっくりであったそうだ)は自分に勲章として死臭のついた髪飾りをはぎ取り、カチューシャにしていたようだ。 川辺のゆっくり達は死臭を感じると出来る限りの避難をした。 しかし無駄だった。本能に従い叫んで殺された。 辻斬りのみょんは天寿を全うした。その年の11月のことだった。} へえ、祖父が言ってた「死臭がするゆっくりは殺される」というのはここから来てるのか。 しかし毎年ってことは模倣犯がいたのか。 {その後は模倣犯が大量に現れた。 共通するのは「群れではゆっくりできなかったゆっくり」というところである。 最初に模倣したのは「おれまりさ」というまりさ種の変種であった。 一人称が「俺」であるがために偽物扱いされて爪弾きを受けていた。 (後述するが、最初に地上に降りたまりさの一人称は「俺」である。普通の地上まりさが偽物) 私怨が強かったらしく、周辺のまりさ、れいむをすべて虐殺した。 その際命と引き換えに放った「ゆっくり奥義 ますたーすぱーく」はおれまりさを怒らせるとこうなるということで現場にいたゆっくりに畏怖の念を感じさせた。 その後、おれまりさは仲良くなる…と思いきやありす種の提案で殲滅された。 不憫である。 後にふらん種、れみりゃ種、ありす種が毎年川辺で辻斬りの模倣をしては殺された。 そしてこれが地上のゆっくりが言っていた「死臭のするゆっくりはゆっくりできなくなるから殺す」という本能に従っての行動に繋がったのだろう。 (ちなみに私の先代は地上のゆっくりの解剖本を出していたのだが、その51Pにこんな記述があった。 「地上のゆっくりに死んだゆっくりの飾りの臭いを嗅がせると、餡幹部(人間でいう脳幹のようなもの)が沸騰する」 沸騰を続けると餡幹が融けて死ぬ=ゆっくりできなくなるということだろうか。 先代の本ではそこは解明されていなかった。) さて、次章は私たち山の上のゆっくりの歴史を紹介する前に、私たちと地上のゆっくり、及び人間との戦いを紹介しようと思う。} なるほど。地上のゆっくりは自己中心的だから殺してしまうのか。 ぱちゅりーさんたちは大丈夫なのだろうか。 それにしても水辺のありすは許せない。 全部川に落ちて死ねばいいのに。 それと・・・ゆっくりとゆっくりの戦い?聞いたこともないが。 そう思ってページを進める俺であった。 あとがき---------- 今回短くてすいません。 水辺のゆっくりはほとんど人間に屠殺された先行があるから 事件一つしか書けなかった。 このシリーズはあと上のゆっくりや人間との戦い、山のゆっくりの歴史、あと何かもう一ネタとエピローグの 1~3回で締めくくられると思います。 あ~家族のPCだからリビングにあるから 頭の中にあるゆっくり大虐殺の文が 書き表せない。 書いたら確実にパソ禁食らう。
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331 :名無したんはエロカワイイ:2008/07/31(木) 10 59 58 ID fukPI9hM0 あー、ゆっくりで塊魂プレイしたい . . . . . . . . . . (なーなな ななーなーなーな なーなーななーな ずんずくずずんず どぅんどぅくどぅんどぅん) ---ゆっくりで塊魂--- 「……なんだこりゃあ」 魔法の森の近くをの小道を急ぎ足で歩いていた俺は、目を剥いた。 路上にゆっくりれいむが、ひと群れ。それ自体は珍しくもない。 おかしいのは、そいつらがベタベタとくっつきあって固まっていることだった。 「おまえらナニやってんの?」 「ゆっ、ゆぐぅぅう~」 「わかんないよ、くっついちゃったよ!」 「おにいさん、ゆっくり助けてね!」 バレーボール台のゆっくりれいむに、ピンポン玉ぐらいのやつがうじゃうじゃと八つか九つもくっついている。 たぶん家族だろう。母れいむはしきりに体をもぞつかせて子供たちを振り落とそうとするが、下手に動くと下側 の子れいむを潰してしまいそうなためか、思うように動けないらしい。 「ゆっ! ゆっ! んゅっッ! よーっはッとッ! へっぷほ!」 「おがあざぁぁん、おもいおもい!」 「つぶれるよ、ゆっくりうごかないでね!」 「……ぷっ」 その場で一人相撲をしているようなアホくさい母れいむの姿に、俺はふきだした。 「ぷっははははははは、ばっかじゃねーのおめーら、饅頭のお前らがそんなんなっちゃったら生きていかれねー だろ。ちょっとは考えて生きろよ!」 「そんなこと言わないでねぇぇぇぇ!」 母れいむは涙目でぶくぶく膨れる。ほっぺたの下のやつが潰されて悲鳴を上げる。 あー……。 陽気がすごいからなア。 おおかた家族でゆうゆうもたれあっているうちに、この猛暑で溶けてくっちいちゃったんだろう。 これは俺のせいじゃないからな。ゆっくりが勝手に苦労してるだけだ。 そばで眺めていたって、なんら罪ではない。 俺は、困り果ててぶるんぶるん回っているゆっくりれいむを、しばらく見物した。 ……十分ほどで飽きた。 「しゃーねえなあ、恨まれても寝覚めが悪いから、助けてやるよ」 「ゆっ、ほんとう?」 「さっさと助けてね! ふんふん!」 ナマイキなことをぬかしやがる母れいむを無視して、俺はそいつの頬に触れてやった。 ころん 「あれっ?」 母は後ろへ一回転する。「ゆべっ!」「うぎっ!?」と悲鳴を上げて子供たちがぺちゃんとつぶれ、母の肌に 張り付いた。 「何してんのお前、娘つぶれちゃったじゃん!」 「ゆぐぅぅぅぅ!? れいむの子どもがぁぁぁ!」 「じっとしてろよ、残った娘、殺したくないだろ?」 そう言って俺は、また手を伸ばした。 額に触れる。 ころんころんころん 「ゆぐぐぐぅ!」 母れいむは三回転した。その途中で石やら草やらも貼り付けてなんだか汚くなった。 「あっれぇ……」 俺は不思議に思った。 こいつ、ちょっと触っただけで、ボーリングの玉みたいにスムーズに転がりやがる。 なんか変なことになってんじゃないか……? ゆっぐゆっぐともがいている母れいむに歩み寄って、さらに押した。 ころころ、ごろろんっ 「ゆっぐりやめでねぇぇぇ!?」 「あは」 俺は笑った。 こいつ、坂を上ったぞ? しかも小枝や葉っぱをくっつけてさらに汚くなった。 ……これは面白い。 俺は母れいむの苦情を無視して、道なりにそいつを転がし始めた。 ころころん ころころん ころころころころん 一回押すたびに、五メートルほど転がって路肩で止まる。そのたびにそこら辺のものを吸いつけて、雪だるま のように大きくなる。 子供のころ、石蹴りってやったじゃん。 学校から家まで、これって決めた石をずっと蹴って歩いた。 別に石自体が好きなわけではないが、最初に決めたから、そいつを蹴り飛ばさなければならなかった。 そんな感じで、俺は目的地までひたすらころころと母を転がし始めた。 「やめでぇぇ!」 「ゆっくちちたいよぉぉ!」 おお、まだ子れいむも生きてんのか? 石やなんかでゴマ団子みたいにデコボコになった、五十センチほどの ゆっくり塊の中を覗き込むと、ちょうど他のものの隙間にハマったらしく、小さな赤いリボンの頭がぴょこぴょ こ動いていた。 「おまえ、運が良かったなあ。そこならずっと潰れないよ」 「はやくやめちぇねえぇぇぇ!」 「悪い、まだ二、三キロあるんだ」 母娘一匹ずつの悲鳴をBGMに転がし続けた。 少しいくと、面白いことが起こった。 川沿いに日光浴をしていた白黒のゆっくりまりさ家族。俺たちが近づくと振り向いて挨拶する。 「ゆっくりしていってね!!!」 「していってね!」 「しちぇっちぇね!」 次の瞬間、そばを通ったゆっくり塊に、そいつらは吸い寄せられた。 ひゅうん ぽぽぽぽむっ 「ゆっ!?」 「ゆっくりくっついたよ?」 「ゆっくりはなちてね!! はなちてっ! はなちぇはなちぇー!」 「ほう……」 俺は感心してあごを撫でた。 なるほど。 これではっきりした。ただの自然現象じゃない。母れいむは辺りのものを吸い寄せる力を身につけてしまった らしい。よく見れば外側の石やら木やらは、別段刺さってもいないのにくっついている。 俺がくっつかないのは謎だが、まあそんな細かいことはどうでもいい。 ひとつ、これがどこまで続くか試してみようか。 「よし、みんないっくぞー☆」 「やめでえぇぇぇぇぇぇ!?」 進めば進むほど、塊は大きくなった。道端にいたれいむ家族、木のうろから顔を出したぱちゅりー家族、通り すがりのちぇんやらん、近くを飛んでいたゆっくりゃやフランまで引き寄せた。八十センチ、一メートル、一メ ートル半。ゆっくり塊はどんどん大きくなった。 ひゅうん ぽむっ ひゅうん ぽむっ 「ゆっくりはなしてぇぇ!」 「はっはっは、そりゃ☆無理だ」 意味もなくハイテンションに笑いながら俺は答える。 これ、大きくなっても全然重さが増えない。 ころころと軽いままなのだ。不思議きわまる。 そして楽しい! 鼻歌を歌いながら俺は押して行き、目的地のアリス邸にたどりついた。 「ちわーっす、郵便です」 ああうん、言い忘れていたけど、俺配達人。肩掛けの郵袋も、これこの通り。いまどき徒歩で運ぶなんてレト ロだろう。 「あら、どうもありがとう」 玄関に出てきたアリスさんが微笑んだ。うむ美人だ。美人だらけの幻想郷の中でもこの人は群を抜いている。 いろいろ怪しい噂もあるが、そんなところも俺は好きだ。 そんなアリスさんが、俺の背後の塊を見てギョッとした。 「って、それは何!?」 無理もない。ゆっくり塊の大きさは、今では四メートルを越えている。 「ゆっくりはなしてね!」 「つぶれて顔がいたいよぉぉ!」 「いやっいやああぁぁ、れみり゛ゃぎらいーー!」 「うっうー! れみりゃを早くはなすんだどぉー!?」 数百のゆっくりがてんで勝手に悲鳴を上げている。驚かないほうがどうかしている。 「いやまぁ、なんといいますか、ただの拾いもんです」 俺はあいまいに答えた。 アリスさんは顔を引きつり気味にして、後ずさろうとした。 「な、なんだかわからないけれど、あんまり係わり合いになりたくないわね……きゃあっ!?」 ひゅうん ぽむっ 「おおお?」 俺は驚愕した。アリスさんまで塊に吸い寄せられ、くっついてしまったのだ。 「ちょっと、何するの! 離して、離しなさいよ!」 叫んどる叫んどる。美少女が拘束されて悲鳴を上げとる。 実にいい景色だ。――とか言ってる場合ではないか。 「すみません、それ外れないんですよ」 「なんですって?」 「俺が作ったんじゃないもんですから」 答えながら、俺はあることに気づいていた。 アリスさんのような有名妖怪まで引き付ける力があるのか、この塊は。 ということは―― もしかして、やりたい放題じゃないか!? 「……なーなな ななーなーなーな なーなーななーな ずんずくずずんず どぅんどぅくどぅんどぅん」 「なっ、なにを鼻歌なんか歌ってるの? 早くなんとか――」 「すんません。俺、ハジけます!」 「えっ? ってきゃあああああああ」 すってんころころ すってんころころ すってんころころ すってんころころ 俺は両手を使って勢いよく塊を押し始めた。 霧雨魔理沙、ゲット。 博麗霊夢、ゲット。 紅美鈴、ゲット。 「おいおいなんなんだこれはー! 霊夢、これなんだよ!」 「知らないわよ私だって、アリス、アリスー?」 「私は被害者よー!」 「離して、離してってば! 仕事中なのよ私は、このぉっ……ふんッ!」 「きゃあああああ!」 「ちょっこらっやめっ!」 「気功を使うなぁぁぁ!」 おーおーお、なんかビリビリしてえらい騒ぎになっとる。 そして当然―― 「ゆぎいいぃぃぃぃぃ!」 「いだいよぉおぉぉぉぉ!」 「皮がびりびりするよぉぉ!」 「んおおぉぉっ、んほっ、ほおぉぉぉぉ!」 ゆっくりたちも涙目で大騒ぎしている。中にはキモチよさそうなのもいるが。 ゆっくり魂の直径は六メートルになった。それでも止まらず、俺は幻想郷を駆け巡る。 「むぎゅぅぅ、苦しい……」 「咲夜、咲夜! 早く何とかして!」 「はっはい、ただいまっ! ふッ! ……時間を止めても外れない!?」 「ぴーっ、アタイこんなの趣味じゃないいぃ!」 なんか館の一部ごと飲み込んで、三十メートル。 「らんしゃま助けてぇぇぇ!?」 「ちぇぇぇん! くそっ、紫さま、紫さまぁぁ!?」 なんかよくわからないお屋敷みたいなものを巻き込んで五十メートル。 「うわあぁっ!? ちょっ、ちょっと今実験中よ!?」 「なんだこの……ハッ!」 「あちゃちゃダメです火はやめてください火は!」 「あっれー、これもしかして私が仕掛けたやつか?」 竹やぶと京屋敷みたいなもんをまるごと飲み込んで、百メートルつまり二十五階建てのビルぐらいになった塊 をころんころんと転がしていると、俺の目の前に来た兎耳の女の子が、ほっぺたポリポリかきながら言った。 おお、この人は。 「てゐさんじゃないスか。これ、あんたが?」 「昨日、ゆっくりに、いろんなものがくっついちゃう悪戯をして放り出しといたんだけど……」 「魔法の森の入り口あたりだったら、多分それっす」 「やっぱりかー」 「これ、どうしたら外れるんですか」 「それはねぇ……」 言いかけたとき、ぴゅうと風が吹いて塊がころころと転がった。 あ、あー……てゐさん、上のほうへ行っちゃったよ。 次いつ来るかわからんな。 というか、これがバラバラになったら、なんかただ事ではすまん気がする。 「ゆっくりさせでぇぇぇ!!」 「私もっ、私もゆっくりしたいわよッ!」 「このっ、もう我慢できない――マスタースパーク!」 「ゆぎゅぁぁぁ!」 「あっつぅぅぅこらっ魔理沙魔理沙!」 「ゆっぐぅうぅ、ゆぐぅぅぅぅ!!」 もう人間もゆっくりも関係ない。ひとつに丸まった人と妖怪と饅頭とガラクタの混合物が、もざもざわさわさ と動いて、悲鳴を上げたり、ビームを出したり、弾幕を放ったりしている。 「俺です」なんつったら、殺されるな、これは。 となると――。 「行けるところまで行くか!」 俺はさらにころころころころとゆっくり塊を転がし、幻想郷の森も川も山も湖も突っ切って駆け回った。ゆっ くり塊はどんどんどんどん成長して妖怪とゆっくりと人間を飲み込み、ついには直径一キロを越えててっぺんは 妖怪の山の頂上を越えた。 そのころ、とうとうゆっくり塊は浮上した。上のほうについた天狗やら虫やら何やらが、逃げようとして飛ん だためだろう。 「あー……」 空を飛んでしまったら、もう俺には手が届かない。 俺は若干の寂しさとともに、数ヵ月をともに過ごした巨大なゆっくり塊を見送ったのだった。 「達者でなあ。元気でなあー……」 それ以来、夜空に星がひとつ増えた。 オリオン座のあたりにまぶしく輝く「ゆっくり星」を見るたびに、俺はかつて幻想郷をにぎやかしていた美少 女たちとゆっくりたちを思い起こし、懐かしむのだった。 ====================================================================== YT このSSに感想を付ける
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近所のおばさんのところに行った時いい方法が思いついた。 おばさんの家には最近あまり見ることのなかった吊るし柿がしてあった。 これだ!これしかない!俺に電流走る。 早速実行に移そうと俺は山へ出かけた。 ソフトボールくらい大きさのゆっくりがちょうどいいだろうなとかいろいろ想像していると ついにゆっくりれいむの家族を見つけた。親と思われるバスケットボールくらいの 大きさの親ゆっくりを先頭に子供が10匹列になって森の奥のほうにゆっくりと進んでいた。 子供の大きさは約15cmであっただろう。あまりに思い通りだったためかなり興奮したが ここで焦っては台無しと思いゆっくりと家族の後をつけた。 「きょうもゆっくりしようね!!!」 そう言って親ゆっくりが先に家に入っていった。そこを見計らって俺は子ゆっくり達に すばやく近づき持っていた袋に素早く放り込んだ。 「ゆっ!ゆっ!?」 ゆっくり達は少し混乱していたが他の姉妹と一緒だったためそこまで大騒ぎはしなかった。 「はやくはいってきてね!!!」 という親の言葉を背に俺はさっさと自宅へ向かった。 家に帰ると取ってきたゆっくりを箱に移し変えた。 「ここはどこ!?」「おかーさーーん!!!」 などと口々に言うゆっくりたち。 「ここはお兄さんの家だよ。ゆっくりしていってね!」 といって箱の中に飴玉を入れてやった。 「うめぇ!めちゃうめぇ!!」「おにいさんありがとう!!!」「ゆっくりしていくよ!!!」 なんて単純なやつらだ・・・。親とはぐれたことはもうどうでもいいようだ。 ゆっくりたちを安心させると俺は早速次の作業に入った。いよいよ「干しゆっくり」作りだ。 おばさんに教えてもらった干し柿の作り方のメモを参考につくってみる。 えーと、[まず皮を剥きます]だと・・・!? ピーラーを台所からもってきてまず1匹を箱から取り出した。 「おにーさんあめちょーだい!!!」 などとほざいているがそんなの関係ねー。ピーラーを当てて皮を削ぎ落とす。 「い"ーーーーだい"い"い"い"よ"おおおおおお!!!!」 くそ!皮が柔らかくてうまく剥けない。なので表面を少し削ぎ落としただけでやめてあげた。 「ゆ"っ!ゆ"っ!」 剥かれたゆっくりは涙目だ。2匹目も同じように皮を剥いてやった。 「ぎゃあ"あ"あ"あ"ーーー!!!!」「お"う"ぢがえ"る"ぅぅぅーーー!!!」 後のほうのゆっくりは他のゆっくりの悲鳴を聞いているため箱を出る前からすでに泣いていた。 えーと、次は[2個1組になるように紐の両端で結びます]か。 ちょうどいいことにれいむにはリボンがあるためそこに紐を通す。 それから[熱湯に通すと乾きが早くなる]らしいので熱湯を用意する。 皮を剥かれてよほど痛かったせいかゆっくりたちは泣くばっかりで動こうとはしなかった。 お湯が沸いたので紐をもって2匹のゆっくりをなべの上まで持っていった。 「や"め"でぇぇーー!!」「あづい"のい"や"あ"あーーー!!!」 お構いなしに湯につける。死なないように10秒くらいで出してやる。 「あ"づっ!あ"づい"よお!」「お"にい"ざんやめ"でね!!!」 また湯につける。死なない程度に。 「おにいさんもうやめてあげてね!!!」「おかあさんのとこにかえしてね!!!」 その他のゆっくりが必死に抗議してきたのでこの辺にしてやる。次はお前らなんだけどな。 10匹分終わったがもうかなりぐったりしている。でもまだ生きてるからたいしたもんだ。 次は[日当たり、風通しのよいところに干す]という作業だ。 縁側に吊るしてやった。そのころにはもう日も落ちて満月が昇っていた。 障子を閉めると月夜に浮かぶ10個のシルエットがなかなか趣深い。 今日はこの辺にして寝ることにした。饅頭だから1週間もすれば乾くだろう。 朝起きて様子を見てみる。 「おにいさんはやくおろしてね!!!」「おうちかえる!!!」「あめ!あめ!」 まず驚いたのがこいつらの剥いた皮がもとの厚みに戻っていることだった。剥き損だったのか。 しかも昨日のことはあんまり覚えてないみたいだ。 「おまえらゆっくりだったらどこでもゆっくりできるだろ?ゆっくりしていけよ。」 そう言い残して俺はさっさと仕事へ向かった。 「おにいさんまってね!!!」 無視した。 仕事から帰る途中今度はゆっくりまりさの家族を見つけた。しかもまた子供が10匹も。 昨日と同じ手順で素早く子供だけを回収。家に帰って同じように干し柿の作り方に従い 作業をする。皮を剥くのが無駄だと今朝知ったばかりだが面白いので剥いてやった。 縁側にいってれいむの様子を確認する。 「お"な"がずい"だよ"ー!」「ゆ"っぐりでぎないよー!」 泣けば泣くほど水分が失われることをこいつらわかんないのだろうか。 「よしよし。今日はいいものを持ってきてやったぞ!」 「えー?なになに?」「ごはんたべるー!」 とたんに泣き止み俺に期待を寄せてくるれいむたち。そこで紐に結ばれた10匹の ゆっくりまりさを見せてやった。 「友達が増えてうれしいね!」 といってれいむたちと同じように吊るしてやった。 「ま"り"ざぁ"あああ!!!」「お"に"い"ざんひどい"いいいぃ!」 皮が透けてて白目むき出しの湯気が出まくったまりさを見てまたれいむたちは泣き始めた。 3日くらいたつとさすがにしなびはじめているのがはっきりと確認できた。 「おにいさんおなかすいたよぉ」「もうおうちかえるぅ」 泣いてはいなかったがもう元気はなくなってきた。 「もっとゆっくりしたかっ・・た・・・」 と弱音を吐くヤツも出てきた。 そろそろだなと期待を膨らませて仕事に出た。 帰ってくると何か騒がしい。泥棒か!?と思い聞き耳を立てる。 「いまたすけるよ!!」「ちょっとまっててね!!!」 「おかあさんはやくしてね!!」「はやくおろしてね!!」 どうやられいむとまりさの親が助けに来たらしい。急いで縁側へ向かう。 「おかあさんうしろ!!」 「!!」 2匹の親ゆっくりは一瞬驚いたが間髪いれずに体当たりをくらわせてきた。 「こんなことしたのはおにいさんだね!」「ゆっくりしね!!」 ドカッ!ドカッ! あまり痛くない。逆に今度は俺が親れいむにかかと落としをくらわせる。 「ゆ"っぐっ!!ゆ"っぐうううんっ!!!」 頭のてっぺんが凹んで涙目の親れいむ。 「はやくおろしてね!!」 あいかわらず体当たりをしてくる親まりさ。 今度は両頬を掴んで思いっきり引っ張った。 「い"い"いいいだい"よお"おおお!!!」 そしてねじる! 「い"や"あ"あ"あああああああああ!!!!!」 最後は床に叩きつける! ビターーーン! 何かものすごくすっきりした。 「ゆ"っぐ!ゆ"っ!」「も"う"や"め"でぇええええ!!」 観念したのかもう体当たりはしてこなくなった。 「おかあさんたちをいじめないでね!!」 と聞こえたのでこのへんにしておいた。 2匹の親ゆっくりは透明な箱に入れて逃げられないようにした。こいつらには子供が 干からびていく様子を見てもらおう。 5日目になるととうとう干からびて死ぬやつが出てきた。 「ゆっくりおきてねっ」 「・・・」 「ゆ"っぐりおぎでよ"ぉぉ!」 「・・・」 死んだのは一匹のれいむだった。周りが呼びかけても起きることはなかった。 そいつの死を理解すると今生きているゆっくりたちに絶望が襲ってくる。 「い"っい"や"だああああ!!」「じに"だぐな"いいいいい!!」 絶望が隣、また隣へと伝わっていく。極度の空腹、渇きが絶望を加速させる。 俺は死んだヤツを紐からはずした。他のゆっくりたちの視線が集まる。 「お前おなかすいてるだろ?ほら!」 そしてそれを親れいむの入っている箱に入れてやった。 この親は子供達が家の前で消えてから2日間森の中を探し続けただろう。そして見つけたこの家。 さらにそこから2日間身動きが取れていない。空腹は限界のはずだ。 「う"う"ぅ・・・」 しなびた自分の子供を見つめる親れいむ。 「おかあさんたべちゃだめだよ!」 必死にとめる子供達。 1時間くらい見つめていただろうか。葛藤の末ついに親れいむが動いた。 「むーしゃむーしゃ」 「お"があ"ざんな"んでぇぇぇぇぇ!!」 子供達がさらに絶望する。 「うめぇ!めっちゃうめぇ!しあわせ~♪」 親れいむは涙を流しながら食べた。 面白いもんだ。自分の子供を食べといて幸せとは。 面白かったので今度は子まりさを1匹離してやる。 もちろんまりさは全部生きてるので生きたやつをということになる。 「おにいさんたすけてね!」 残り少ない体力で必死にお願いしてくる。 「よしよし。お前はお母さんのところに返してやろう。」 そして親まりさの箱に入れてやった。 「お"がーざーん!!」 泣きながら母の元に寄る子まりさ。 「はぁ・・はぁ・・・」 親まりさの口からよだれが垂れる。 「おかあさん・・・!?ってぎゃあああぁああああ!!!!」 「むーしゃ♪むーしゃ♪」 「どうじでぇぇぇぇぇぇ!!!」 「うめぇ!はんぱねぇ!」 れいむとはちがってまりさは迷いなく食らいついた。これが種別による差なのだろう。 「お"があざんな"んで・・・・」 吊るされた子供たちは親も信じられずどうしていいのやら分からなくなっていた。 次の日朝起きると吊るされていた子供達が無くなっていた。 「もしかしてお前らが食ったのか!?」 箱に入れていたため不可能だとは分かっていたが一応聞いてみた。 「ぢがう"よ!うー!うー!ってやつがれ"いむ"とま"りざのごども"をおおお!!!!」 2匹の話によれば昨日の夜にゆっくりれみりゃ(胴体付き)がうーうー言いながら全部食べたそうだ。 それにしてもこいつら自分が食べるのはおkでれみりゃにはだめなのか。 「そりゃ痛かっただろうなぁ。」 子供が全部いなくなった今こいつらを監禁してても意味がないので2匹を箱から出してあげた。 2匹は安心した様子だ。 「おにいさんおなかすいたー。」「なにかもってきてね!」 図々しいなぁ。お前らの子供死んでんだぞ。 「じゃあちょっと待ってろ。」 俺は奥の部屋に行ってちょっと太目の紐を持ってきた。 「ちゃんとたべものをもってきてね!」「はやくゆっくりさせてね!!」 その言葉にムカつきつつも紐をリボンと帽子に結びつけた。 そして子供たちと同じように縁側に吊るしてやった。 「「はやくおろしてね!!」」 抗議する2匹。 「親なら子供の痛みわかってあげなきゃね。じゃ、ゆっくりしていってね!!!」 「ゆッッッッ!!!!?」 暑い日差し、渇き、空腹を何日も耐え抜いた末助からなかった自分達の子供たち。 しかも1匹は自分が食べてしまった。 過酷な試練がこの2匹に今襲いかかろうとしている。 2匹は白目になり口をガッと開き震えた。 自分の犯した過ちを悟ってしまったのだ。 BAD END いなくなった子供たちは諦めよう!
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徹夜明け筋肉痛のアレな状態で作った作品です… 虐待要素、ほぼ0 しかし虐スレ仕様のゆっくりが出ます。 無駄に長いです。 ザッピングあり。 最近のゆっくり2~最後の砦~ 「ゆ…ゆっぐぃ…ぢでいっでね…」 「…おう」 秋姉妹もレティの目覚めを察して山奥に引篭もろうとする頃、虐待志向でも愛護志向でもない、ごく普通のお兄さん宅の庭。 そこに単身入ってきた成体サイズのまりさは、明らかに衰弱していた。 まりさ種の特徴であり、自慢でもある黒い帽子はぼろぼろ。 まりさ自身も致命傷こそない物の、左目を失うなどの負傷を負っていた。 助けを求めてきたのだろうか、とお兄さんが腰を浮かせた時、まりさは胸、いや顎を逸らした。 「おに”ーざん…ここは…まりざのおうぢだよ…ゆっぐぃ…ゆっぐぃでていっでね…」 「…は?」 「だがら…なんどもいわぜないでね…ごこは、まりざのゆっぐぃぶれいずだよ…おじざんはででいっでね……」 「おぃおぃ、ちょっと待てよ」 お兄さんは流石に面食らった。 こんな棺おけに片足突っ込んだような饅頭にまで、おうち宣言を喰らうとは誰も想像するまい。 お兄さんの家は森に近く、これまでもゆっくりの襲撃を受ける事は少なくは無かったが、 その10割が家族連れか、健全かつゲスな奴か、そうでなくても皆健康体だった。 負傷したゆっくりも来る事はあったが、そういうものは皆捕食種に追われてとか、怪我を治して欲しくて来たとかだ。 「おじざんは…ゆっぐぃじだがったら、まりざをなおじでね…ぞれがら、ででいっでね…」 「いや、お前、ちょっと訊いていいか?」 「なに…ゆっぐぃじないでざっざどじでね…」 「お前、そんな状態で人の家乗っ取ろうっていうのか?そんな怪我じゃれみりゃにだって瞬殺されるだろ」 「…まりざは、づよいがらだいじょうぶだよ…れみりゃもにんげんも、いぢごろだよ…」 「…ありえねーよ」 お兄さんは思った。このまりさは正気を失っている、と。 この怪我だ。余程の事に見舞われて家族を失い、その精神的苦痛から逃れる為に理性を放棄してしまったのだろう。 「…なあ、まりさ。以前のお前がどれだけ強かったか知らんが、今のお前はただのぼろぼろの饅頭だ。」 「………」 「れみりゃにだって、まして人間相手に勝てる可能性は全く無い。」 「………」 「まりさ、お前は疲れているんだ。ほら、怪我を治してやるから、こっちに…」 「…わがっでるよ」 「?」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「…わがっでるよ」 「?」 手を差し伸べてきた目の前の人間さんが、不思議そうに首を傾げた。 そんな人間さんを、まりさは残された眼に涙を浮かべながら見上げた。 「わがっでるよ、ぞんなごと。まりざはよわいいぎものだっでごとぐらい」 「…まりさ?」 「まりざはむれでいぢばんづよがったよ。はつじょうしだありずがら、れいぶをまもっだごどだってあるよ… ぞれでも…でびりゃにはがなわながったよ…」 「………」 森の中にあったまりさの群れ。集落の場所は人里からも遠く、 長のぱちゅりーとそれを補佐するまりさの父である親まりさが皆に知識を伝えた。 すっきりのし過ぎで子を間引く事も、若い世代が長達に反発する事も無い、平和な群れだった。 まりさはその群れで一番の跳躍力と戦闘のセンスを持ち、喧嘩でも向かう所敵無しだった。 そんなまりさの番には、群れ一番の美ゆっくりのれいむ。 まりさはれいむをとても大事にして、集落の外れの丘に良く一緒に遊びに行った。 れいむの為に花冠を作ろうと離れていた時、偶然通りかかった流れのありすにれいむが襲われたりもした。 しかし、まりさはすぐに駆けつけて、ありすをこてんぱんにした。 まりさは自分の力に自信を持ち、それを誇りに思っていた。しかし… 「まりざはじっでるよ…でびりゃはづよいじ、おおぎぐなっだでびりゃはもっどづよい。 ぞれに、にんげんざんはそれよりももっどもっどづよいっで」 長のパチュリーは何時も言っていた。 にんげんはとてもつよい。つよくてかしこい。おおきなおうちをつくったり、たべものをかんたんにてにいれられる。 れみりゃはとてもつよい。そらをとんできて、かみついてくる。まりさでも、かてるあいてではない。 おおきなれみりゃはとてもつよい。てとあしをもっていて、なぐられたらみんなしんでしまう。 れみりゃに襲われて人間さんの家まで逃げたというちぇんが言っていた。 わかるよー。にんげんさんはいっぱつでれみりゃをたたきおとして、おいはらってくれたんだよー。 けがもなおしてくれたんだよー。ごはんはくれなかったけどねー。 まりさは聞いた事があった。 遠く離れた所で、「れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」と叫ぶ声を。それはとても悲しげで、絶望に満ちていた。 駆けつけたまりさは、茂み越しに見た。 身体付きのれみりゃが、狩りに出ていた群れの仲間を守ろうとした、自分の父親から餡子を吸い上げていたのを。 まりさは戦った。父親を守ろうと。 そして、あっさりと返り討ちにあった。その手で叩かれただけで、まりさは痛みの余り餡子を吐き出す程の負傷を負った。 満腹になったのだろう、れみりゃは父まりさを皮だけにすると、そのまま飛び去った。 まりさは泣いた。何も出来なかった自分に不甲斐無さを覚えて。 長パチュリーは、気にする事は無い、勝てるはずが無いのだ、と言っていた。 その言葉は、父の死を受け入れきれないまりさの心を抉った。群れで一番というプライドなど、既に無かった。 「でびりゃはまりざのむれをおぞっで、みんなごろじゃっだよ… まりざはなにもできながっだよ…」 まりさは絶望した。集落を襲ってきた胴無しれみりゃ達に。 傷の癒えたまりさは、群れの仲間を一匹でも逃がそうと立ち向かった。 だが、れみりゃは一匹が翻弄する様に空からちょっかいをかけてくるばかり。 その間に仲間が襲われる。助けようと駆けつけると、動けなくなった仲間だけを残してれみりゃは逃げていく。 それが繰り返される。何時の間にか、残っていたのはまりさ、そして番のれいむだけだった。 れいむの頭には子の付いた蔓。赤ゆっくりは新鮮な餡子を親から与えられている為、とても美味しい。最後に残すつもりだったのだろう。 まりさは必死に戦った。だが、かなう相手ではない。自由の利かないれいむは、少しずつれみりゃに噛み千切られ、やがて力尽きた。 れいむの餡子を吸い尽くしたれみりゃ達は、赤子を弄る様に突付き回す。 初めて瞳を開けた赤子達は、れみりゃに弄られる絶望の中で食われていった。 まりさは他のれみりゃ達に左目を奪われ、帽子を噛み千切られ、散々に玩ばれ、 最後には逃げようとしたところを崖から転がり落ちてしまった。結果的には、このまりさが唯一の生存者だった。 「まりざばよわいよ…むれでいぢばんづよいげど、よわいゆっぐぃだよ…」 まりさは自問した。自分は何の為に生きてきたのか、と。 強い筈の自分、だが、負けてはいけない戦いで負け続けた。自分はれみりゃよりも弱いのだ。 幸せになるはずだった自分、だが、その幸せは全て失われた。群れも番のれいむも、もう居ない。 何の為に自分は存在するのか?自分は何なのか?ただのだめなゆっくりなのか? れみりゃの餌にされるだけの生き物なのか? ……そんなのは嫌だ、絶対に嫌だ。 まりさはとても偉いんだ、だからゆっくり出来るはずなんだ。 まりさが今ゆっくりできないのはおかしいんだ、だからゆっくりしに行くんだ。 どこに?…そうだ、人間さんのうちに行こう。そこでゆっくりするんだ…! 「でも…ぞれならなんでばりざだぢばうばれでぎだの!? ゆっぐぃされなぐなるだめにうばれでぎだの!?」 「まりさ…」 人間さんが、気の毒そうな視線を向けてくる。 その視線がとても苦痛だった。哀れみをかけられるのがとても嫌だった。死ぬほど嫌だった。 「ばりざはゆっぐぃずるんだ!でびりゃもにんげんざんもばりざをゆっぐぃざぜるんだ! ……そう、じんじなぎゃ、づらぐでいぎでいげないんだ!!」 「まりさ」 「ぞんなめでみるな!ゆっぐぃでぎないよ! もっどばりざをゆっぐぃざぜろ!!」 もうどうでも良かった。 まりさは無我夢中でお兄さんにぶつかって行った。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「ぞんなめでみるな!ゆっぐぃでぎないよ! もっどばりざをゆっぐぃざぜろ!!」 突然、まりさが体当たりしてきた。 ぼふん、と力ない音と衝撃を受け止める。最早まりさに、戦う力など微塵もないのだ。 「まりさ、もう止せ」 「ばがにずるな!ゆっぐぃでぎない!ゆっぐげぇ!?!?」 体当たりの衝撃で、まりさの左の眼窩から餡子が飛び出している。 更に、無理に身体を動かしたせいで餡子を吐いてしまった。 それでも、まりさは暴れるのを止めようとしない。 「ゆっぐぃずるんだ!ゆっぐぃざぜろ!!じじぃはざっざどででいげー!!!」 最早跳ねる事も這う事もできない。転がって、玩具をねだる子供のようにじたばたするばかり。 落ち着かせようとお兄さんが抱き上げるが、餡子と悲痛な叫びを吐き出しながら、もがき続けた。 治療しようと台所まで行こうとしたが、間に合う事は無かった。 まりさは最期に、一際多く餡子を吐き出して。 「もっど…ゆっぐぃ……じだがっだ…」 ゆっくりと息を引き取った。 その死に顔は、ゆっくりできているとは言い難い、凄惨な物だった。 「まりさ…」 お兄さんはその死に顔を複雑な顔で見ていた。 ゆっくり達は大抵、自分達がとても優れている、ゆっくりした生き物だと自負する事が多い。 他の生き物は皆、自分達がゆっくりする為にやってくるのだとも思っている。(捕食種やありすは例外として…だが) 子供のゆっくりは人間と同じ様に純真とされているが、親を攻撃する者があればかなう筈もないのにぶつかっていこうとする。 そして、大人になっていくにつれ増長していく。 だが。お兄さんは思った。 その不相応に高いプライドは、四肢も無く、多くの外敵に無力な自分に対する劣等感・コンプレックスを認めたくないがための、 精神を守る手段としての役割も持っているのではないか、と。 捕食種や野犬等の危険な外敵や、四肢を持ち、高速で移動する野生の動物達、そして人間。 皆、基本的スペックが違いすぎる。口でしか物を扱えず、ゆっくりとしか移動する事が出来ない。 餡子と言う、自然では異質な物質で出来ている為か、襲ってこない種も少なくなかったが、襲われれば殆どが餌食となった。 そして、生き残った者は己の無力感と恐怖に苛まされる。 そんな悲劇と苦痛の連鎖を、餡子に眠る記憶として遺伝されてきたゆっくり達は、 自分達が無力な存在である、と言う事を忘れたいが為に、過剰に増長し、思い込みを強めるのではないだろうか? 中には、本気で己が強いと思う者も多いだろう、むしろそれが大半だろう。 だが、初めから自分の分を弁えている者は、それでも自分を押し通す事で己の絶望と戦っているのではないか? お兄さんには、そんな風にしか思えなくなっていた。 「ゆっくりしていってね!!!」 只管にポジティブで、能天気で、我侭な生き物、ゆっくり。 だが、その心の奥底には、深い闇が覆っている…の、かもしれない。 終 ああ、支離滅裂な気がする。 ゆっくりにもコンプレックスあるんじゃね?むしろコンプレックスの塊じゃね? そんな事を仕事中に構想して、戻ってから書き上げました。 他の作品にも早く手を付けたい…。 By ゆっくりらいぜーしょん(多分執筆中)の人 このSSに感想を付ける
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ゆっくり虐待スレ80の 782 784 で指定されたシチュエーションを787 789で指定されたゆっくりを書きました しっと団であふれるクリスマスの町 泡展望の惨太苦蝋子 ケーキとして材料にされていくゆっくり かなこんとけろちゃんとさなえ 慌てん坊のゆっくりサンタともりゃじんじゃ 幻想卿にも冬が訪れようとしていた 秋の神が季節のバトンを冬を告げる妖怪に托し、既にチラホラと雪が降り始めている 野生の動物たちも冬籠もりの準備を始め、それはゆっくりも同様だった 「ゆっくりとうみんしようね!」 「おちびちゃんたちはこっちにきてね」 一組のまりさとれいむの番 この二匹は木の根の下に穴を掘り自分たちの巣を作っていた 丁度成体のゆっくりが4匹ほど入れるほどの大きさであり、4匹の子ども達を入れても十分な大きさである れいむが巣の入口を塞ぎこの一家の冬籠もりが始まった れいむが巣を塞いだあと、森に異変が起きた 冬籠もりを始めたゆっくりの巣を掘り返す一団が現れた 彼らはしっと団 一人寂しくクリスマスを過ごしているこの世全てのカップルを撲滅するというスローガンを掲げて暴れている集団だ 人間の里で暴れているところを上白沢慧音に見つかったためこの森にやってきた 「ゆっくりごときが彼女を冬籠もりなんざ俺達がゆるさねえぜえええ!!」 「やめてね!まりさたちのごはんをもってかないでね!」 「うるせえ!てめえみたいな饅頭はこうだ!」 男はくらいつくゆっくりまりさを掴むと口から舌を引っ張り出しからしを塗りたくった 「がらい”い”い”い”!」 「おきゃーしゃんをいじめにゃいでね!」 子まりさが奥から母を心配してやってきた それをみたしっと団はさらに激昂し 「ヒャッハア!ならおまえが助けてやりな!」 子まりさを掴むと子まりさをまるでたわしのように使って親まりさの舌を吹き出した 「いぢゃいよお”お”お”お”!!ぎゃらいよお”お”お”!」 「お”ひ”び”ぢゃ”ん”ん”ん”!!」 結局この親子は冬籠もり用の餌を奪われ巣もメチャメチャに破壊されてしまった もはや冬を生きて越すことは不可能だろう 他のゆっくり達も時間に差はあれど皆一様に巣に篭もり冬籠もりを始めていた しかし、越冬用の食糧が十分でないゆっくりも存在する そのようなゆっくりはラストスパートとばかりに寒空の中食べられるものを必死で探している 運良く見つかるものもいれば運悪く見つからないものもいる そんな中、一匹のれいむが餌を口の頬張りながらポヨンポヨンと一生懸命走っていた 「いそいでおうちにかえるよ!」 れいむは運良く食べられる草と木の実を見つけることが出来た そうして最後の食糧を巣で待っているまりさと3匹の子どもの元へと急いでいる この番はまりさが母親でれいむが父親である 母親役をすることが多いれいむであったが自慢の狩りの腕で父親役をこなしていた そして丁度れいむが自分の巣の近くまで来たときだった 「きゅうにくらくなったよ?」 まだ昼なのであるがれいむの視界に影が落ちる 冬とはいえ明るかったのだがちょうど自分がいる場所に四角い影が出来ている 「めりーゆっくりすます!」 「うーゆっくりすます!」 「れ、れみりゃとふらん!!?」 声に驚いてれいむが上を見上げるとそこには大きなうーぱっくに乗ったれみりゃとふらん 二人が乗ってもうーぱっくにはまだまだ余剰スペースがあり、そこには大きな白い袋が置かれていた その袋は中に入っているものが暴れているようでがさごそと袋を突き破ろうとしている 「うーしずかにするんだどぉー♪」 れみりゃが五月蠅い袋を右手でポカン、と叩くと袋は静かになった れいむはれみりゃの姿に驚いていた 普段来ている婆臭いおべべではなく、袖口に白いフリフリを付けた赤い服を着ている それはふらんも同じでその上二人とも普段いつもつけている帽子の上に丁度今着ている服とマッチする赤い帽子を被っていた そしてその帽子にはきらりと輝くゴールドバッジ 「うーぷれぜんとをみつけたよ♪」 驚いて固まってしまったれいむをつまみ上げてふらんは袋に押し込んでいく 「やめてね、れいむにはまりさとおちびちゃんがいるんだよ!」 「うー♪」 れいむを袋に押し込むと二匹はうーぱっくに指示を出して飛び去っていった 残された家族はれいむを待ち続けたがいっこうにれいむが戻ってこないため 自分たちだけで冬籠もりを始めてしまった 人間の里、そこでも雪が降りしきる中それぞれの冬を過ごしている 炬燵で暖まるもの、商売をするもの、寺子屋に行くもの。 その中である店が一風変わったサービスを開始していた それはゆっくりによるクリスマスケーキの配達である 意外なことに好評を博し予約完売という状況だ ケーキも一般的な生クリームを使用しいちごをのせたものからチョコクリームを使用したものまで多種多様に存在する それをサンタクロースに扮したゆっくりが配達するためゆっくり好きから莫大な支持を得ることに成功した そして先ほどれいむを捕獲したれみりゃとふらんがその店へと降り立つ 「お、帰ってきたか」 「たくさんとっきたどぉ〜♪」 「うー♪いっぱい♪」 二匹はこの店で飼われているゆっくりだ 捕食種でありながら幼い頃から育てられたためにとても店主である青年に懐いていた 青年は袋を受け取ると中を確認する 「はやくまりさをいえにかえすんだぜ!」 「むぎゅ!ふゆがこえられないわ!」 袋を開けると中から叫び声が上がる 袋の中には沢山のゆっくりが詰まっていた 番のまりさとぱちゅりーや先ほどのれいむと二匹が捕まえてきた野生のゆっくりだ 「わからないよーここはどこー?」 「おうちにかえすちーんぽ」 袋がパンパンになるほどギュウギュウに押し込まれたゆっくりが口々に文句を言うも 青年は中を確認すると袋の先を閉じギュッと結んでしまった こうなってはゆっくりが脱出する術はない 男は袋を別室に運ぶとれみりゃとふらんに甘いお菓子を与えた 「よくやってくれたな、これだけあれば十分だ」 「う〜♪おぜうさまにはぞうさもないんだどぉ〜♪」 「うー♪」 お菓子を食べながら喜びに浸っていた この青年はこの二匹をよく躾けていた 褒めるときは褒め、叱るときは叱る 二匹は客の前に出ても失礼なことをしないまでになり、ついにはゴールドバッジを取得することも出来た そして配達を任せられるようにまでなったのだ 「よし、じゃ最後にこれを山の守矢神社まで配達してくれるか?」 「分かったどぉ〜♪」 「運ぶ〜!」 青年は小さな箱を二匹に預けた それを二匹はうーぱっくに乗り配達させる 「う〜♪」 ちょうどうーぱっくも配達の礼として余り物のケーキを食べていたところだ 「う〜さいごのはいたつにいくどぉ〜」 「うーぱっくもはやくじゅんび〜♪」 うーぱっくがケーキを食べ終えると二匹は再び空へと舞い上がった 配達を任された箱はケーキだと説明されていたので中のケーキが崩れないようにしっかりと押さえながら 冬空の下を飛ぶうーぱっく その中に乗っているれみりゃとふらんはサンタの服のおかげで寒さをあまり感じなかった 二匹はサンタ服をとても気に入っていた 「うーめりーゆっくりすます♪」 「う〜めりーゆっくりすますだどぉ〜♪」 二匹が守矢神社に向かった後青年は先ほどのゆっくりが詰まった白い袋を持ってとある場所へと向かっていた ゆっくりを二匹に捕まえさせていたのはこのためだ 二匹は青年へのプレゼントだと思っているが青年の思惑は別にあった 「こんにちは」 目的地に着くと青年は丁寧に挨拶をし、中へと入っていく そこで袋を顔見知りとなったここで働いている男へと差し出す 「これをお願いします」 「分かりました」 袋を差し出された男はそれを受け取ると袋を更に別室へと運んでいく 青年はその間、椅子に座って差し出されたお茶を出しながら目的が終わるのを待っている 青年が持ってきた袋は別室で開封された そこからわらわらと詰められていたゆっくり達が押し出てくる 元より袋の容量を多めに入っていたために雪崩のように崩れ出た 一匹のまりさがようやく袋から解放されゆっくり出来ると思っていると急に床が動き出した 「ゆ?」 同じく他のゆっくりも床が動き出したことに戸惑っていた 動く床に連れられ進んでいるとまりさの元に大きな手がやってきた その手はあろうことかまりさの帽子を掴み上げると別の場所に持ち去っていた 「やめてね!てさん、まりさのぼうしをかえしてね!」 帽子を失うとゆっくりは他のゆっくりから変なゆっくりと認識されてしまう そして帽子がないと言うだけで殺されてしまうこともある まりさは必死に手を追いかけるが床が動いてるため追いかけても進んだ分だけ着地した瞬間に戻されるというのを繰り返した それは他のゆっくりも同様だった れいむはリボンを、ありすはカチューシャを、パチュリーとちぇんは帽子を手に奪われていた 「むきゅぅぅ!!」 「ありすのかちゅーしゃをかえしなさい!」 「わからないよー!かえしてよー!」 ピョンピョン跳びはねるも非常にも床が動いているため全てのゆっくりが髪飾りを失ってしまった ゆっくり達が悲しんでいると突然ヒュンッと音がした すると一番前にいたまりさの頭が少し切られて上から中の餡子が見える状態となった 「ゆぎゃあああ!!ばでぃざのあだまがあああ!!」 それを皮切りに次々とヒュンッと音がするたびに頭が切られて中身が見える状態となった 「やべでええええ!!」 「ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉ」 「ゆええええん!!」 阿鼻叫喚がそこにあった ゆっくりが涙を流し動く床によって運ばれていき、終着点へと着いた そこには白い服を着た人間が大勢いた 人間達はてきぱきと運ばれてきたゆっくりを仕分けしていた 稀に髪飾りを付けたままのゆっくりを見つけるとそれを手で取り外し頭をカットし仕分けしていく 今し方運ばれてきたゆっくり達も同じ様種別事に分けられ別の場所へと運ばれる ぱちゅりーとちぇんは同じ場所に運ばれてきた ぱちゅりー種とちぇん種 この二匹は中身が生クリームとチョコクリームである またもや動く床の上に乗せられたゆっくり達 目の前にはまたもや手がある その手はゆっくりを掴むと器用に中身を絞り出し容器へと溜めていく あっと言う間に大量の生クリームとチョコクリームのできあがりだ そう、ここは加工場 青年はここでケーキに欠かせない生クリームを仕入れに来たのだ 勿論、他のゆっくりも洋菓子を作る以上欠かせない存在であり彼の店の商品へと変わる 髪飾りも加工されケーキのデコレーションに利用される しかし、青年はそこを知り合いになった職員に頼み込み、ゆっくりから取り去った髪飾りを全く別のリボンへと作り替えてもらっていた 「こんなもの何に使うんですか?」 「ウチの飼いゆっくりが欲しがるんですよ」 職員にそう話すと男は洋菓子の材料を受け取り加工場を後にする 袋にはリボンを詰めてもらって 守矢神社では東風屋早苗が境内の掃除をしていた 冬が訪れ木枯らしが吹くがそれでも巫女のつとめを果たしていた 時折訪れる参拝客に挨拶をしているとそこにゆっくりがやってきた 「「めりーゆっくりすます!」」 うーぱっくに乗ったサンタれみりゃとふらんがやってきた 二匹はクリスマスの挨拶を交わすと早苗へ配達の品を差し出した 「あら、クリスマスにはまだ1日早いですよ?」 「う、うー?」 「うふふ♪慌てん坊のサンタクロースですね♪」 早苗は幻想卿に来る前にいた現代の歌を思い出した 慌てん坊のサンタクロース、クリスマス前にやってきた ちょうど今がその様な感じである 「宛名が八坂様になってますね、ちょっと待っててね」 宛名を確認すると早苗は神奈子を呼びに行った 早苗に呼ばれて変わるように神奈子が二匹の前に現れた 「あら、意外と早いのね。明日でもよかったのに」 この品は神奈子の注文である 里で見かけた洋菓子屋に注文していたものだ クリスマスケーキを早苗が注文していたので手間になるだろうから一緒でいいと言ったのだが青年が気を利かして別々に配達されることとなった 「う〜ちゃんとはいたつしたんだぉ〜♪」 「うーはんこをおしてね!」 品物を渡すと二匹は神奈子に受け取り確認のハンコをお願いする 神奈子がハンコを押すと二匹は配達が完了したことに喜び 「うーちゃんととどけたよ♪」 「れみりゃたちはちゃんとはいたつしたどぉ♪」 とうーぱっくの上で小躍りをしそうになった 「う〜!」 それには流石にうーぱっくも抗議した いかに自分が大きいとは言え二匹に中で踊られてはたまったものではない 「ごめんだどぉうーぱっく…」 「うーごめん…」 思わず神奈子がクスッと笑っていると早苗が神社の中から戻ってきた その手には三匹分のオレンジジュースが用意されている 「配達ご苦労さま、こんなのしかありませんがどうぞ」 これには三匹も喜んだ オレンジジュースと言えば怪我をしたゆっくりを治すほどのものである 三匹はそれを飲み干すと早苗にお礼を言い帰って行った 「おねえさんありがとぉだどぉ♪」 「ありがとう♪」 「うーうー♪」 早苗はゆっくり愛好家の1人で神社の周りのゆっくりに時々を餌を与えているほどである 無論、野生のゆっくりの舌が肥えないように気をつけて 「あんたも物好きだね早苗」 神奈子は先ほどのような礼儀正しいゆっくりには理解を示すが、野生の意地汚いゆっくりには理解を示さなかった それも野生を生きるためには必要だが、人語を話すためにどうにも不快感が増してしまう しかし、早苗は殆ど気にしていないようであった 「ところで八坂様、何をお頼みしたんですか?」 早苗は神奈子の手にある小さな箱を覗き込んだ 「それは開けてのお楽しみ。諏訪子も呼んでみんなでね」 「はい♪」 神奈子が頼んだのはモンブランであった その後、三人は美味しいモンブランで舌鼓を打った そうして翌日のクリスマス 妖怪の山、守矢神社の近くの群でも冬籠もりが始まろうとしていた 「ゆっくりしていってくださいね!」 この群には珍しいことにゆっくりさなえが存在していた それだけでなく、ゆっくりかなこ、けろちゃんまでもがいる非常に珍しい群だ 群れのリーダーはドスまりさだ そのドスまりさをかなことけろちゃんがサポートする形となり、この群は非常にゆっくりとしていた 通称、もりゃじんじゃである 野生のゆっくりが何故この時期まで外で生きていられるのかというと、近くの現人神の奇跡のおかげであった この群も明日には冬籠もりを開始する ドスがいるおかげもあって備蓄も順調で安心して巣に篭もることが出来る状態だ 「「めりーゆっくりすます!」」 そこにサンタれみりゃとふらんがやってきた この二匹は守矢神社に配達に行っているうちにこの群のゆっくり達と仲良くなり今では歓迎されるほどに有効な関係を築くことが出来た 「「「ゆっくりしていってね!」」」 二匹の登場に群のゆっくりが挨拶をする 群のゆっくり達は冬籠もりの前に二匹に会えたことを喜んでいた 「さんたさんがぷれぜんとをもってきたどぉ〜♪」 「うーまずはおちびちゃんたちから♪」 二匹はうーぱっくの中にある袋からリボンを取り出し、子どものゆっくりから順番にプレゼントであるリボンを付けていく 「すてきなおりぼんさんだね!」 まりさは帽子にリボンを付けてもらい、れいむは自分のリボンにもらったリボンを付けてもらった 皆、色とりどりのリボンを付けてもらえて大喜びである 「つぎはおかあさんたちー♪」 次に成体ゆっくりにもリボンを付けていく 「ありすにもとってもにあうとかいはなりぼんね♪」 「ちぇんにもつけてねー」 「ぱちゅりーにもおねがいね!」 ありすもカチューシャと色合いを兼ねたリボンをプレゼントされ、またちぇんも緑の帽子に映えるリボンをプレゼントされた ぱちゅりーもまたリボンを付けてもらった。 「うーぱちゅりーはこれでべんきょうしてね!」 ふらんがいつも仲良くしているぱちゅりー一家に一冊の本をプレゼントした この本は飼い主である青年が読まなくなった本である 「むきゅ!そんなのわるいわ、ぱちぇもおりぼんさんだけでじゅうぶんよ!」 「ぱちゅりーはたくさんごほんをよんでみんなをたすけるんだどぉ〜♪」 「…わかったわ、それじゃあこのごほんはいただくわね♪」 れみりゃからの後押しもありぱちゅりーは本をもらった その本は青年が山で取れる木の実を利用した菓子が作れないかと読んでいた本であり幸運にも春になってぱちゅりーが内容を少しでも学べていれば役に立つ本であった 「かなことけろちゃんにもりぼんをつけるどぉ〜♪」 慣れた手つきでかなことをけろちゃんにもリボンを付けていく 「おんばしらー♪」 「あーうーゆっくりありがとう!」 しかもこのけろちゃん、畜生帽ではなく普通の帽子を被っている突然変異種であった そのためリボンを付けても帽子が逃げたりする問題がなかった 最後にれみりゃとふらんはドスまりさの髪にリボンを付けた ドスまりさのリボンは信頼の証であり、他のゆっくりも時々ドスまりさにプレゼントしている 「ゆっくりありがとう!みんなもおれいを言ってね!」 「「「「「ありがとう、れみりゃ、ふらん♪」」」」」 「どういたしましてだどぉ〜♪」 「うー♪」 上機嫌な二匹。そして二匹にうーぱっくも交えてゆっくりすますを祝った 「れいむたちがおれいにゆっくりおうたをうたうよ!」 「れいみゅたちのおうたをれみりゃとふりゃんもゆっきゅりきいちぇね!」 祝いの場ではれいむの親子が中央で歌を歌っていた 赤ゆっくりと子ゆっくりがそれぞれゆっくり特有の歌を歌う 「ゆ〜、ゆ〜、ゆ〜、ゆ〜、れみりゃとふりゃんは、しゃんたしゃん〜♪」 「ゆっくり〜ゆ〜ゆっくりゆ〜♪」 群でも屈指の歌声を誇るれいむ親子の歌にゆっくり達はうっとり、もといゆっくりしていた 「つぎはさなえたちがうたいますね!」 「あーうー!」 「おんばしらー!」 続いてはさなえ、けろちゃん、かなこ この三匹も歌が上手くれいむ親子と一緒に歌を歌う事が多い 「ゆっくりにこいをしてたころは〜♪」 「ゆゆゆ、ゆっくり〜できるとはおもってなかったよ〜♪」 「ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり〜♪」 こちらもとてもゆっくりした歌を歌った 「ドスたちはそろそろ冬ごもりをするね!れみりゃとふらんもゆっくりしてね!」 「ゆっくりしてくださいね!」 ドスまりさとさなえに見送られ三匹は飼い主の元へと帰る この群も冬ごもりを始め次にあえるのは春になるだろう 「ドスたちもゆっくりしてね!」 「はるになったらまたあそぶんだどぉ〜!」 プレゼントを配り終えた二匹は友達と別れ、とても幸せそうにして青年の元へと帰りました 終わり by お題の人 クリスマス仕様なので虐待成分を薄くしてます いや、決して思いつかなかったとか守矢家ゆっくりをケーキにしたくなかったとかそもそも中身何よとかじゃありませんよ?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1478.html
※fuku2428.txtの続編です ※人間、妖怪等は出てきません ※俺設定あります まりさは緑に覆われた山を歩いていた。 人間にとってはそれほどでもない坂道も、ゆっくりにとってはとても険しい斜面である。 だがまりさは特に息も荒げずに進んでいる。 このまりさは餡子遺伝子が突然変異し、進化したゆっくりであった。 そのため、普通のゆっくりよりも体力があるのだ。 今日も今日とてゆっくりプレイスを探し、当てのない旅を続けている。 「ゆっ! ゆっ! もうすぐはんぶんだね!」 丁度山の五合目ほど。木々が無くなり、辺りを展望できるような場所があった。 あそこから眺めればゆっくりプレイスを見つけられるかもしれない。 そう思ったまりさは歩くスピードを速めた。 「…ゆ?」 と、そこであること気づいた。 まりさが目指しているその場所から何匹かのゆっくりの声が聞こえてきたのだ。 一体なんだろうと思い、まりさは静かに近くに寄って行った。 「ほら! めーりん! さっさととびおりなよ!」 「くずなめーりんはそうやってまりさたちをたのしませるぐらいしかできないんだぜ!」 「はやくしなさいよ! とかいはのありすたちがみててあげるのよ! ありがたいとおもわないの!?」 「じゃ、じゃおおおおん…」 見ると、一匹のゆっくりが三匹のゆっくりに虐められていた。 切り立った崖を背に、涙を浮かべているのはゆっくりめーりん。 そしてめーりんを逃がさないように取り囲んでいる三匹は、れいむ、まりさ、ありすのお決まりトリオである。 特に珍しくもないが、まりさにとっては初めて見る光景だった。 自分が生き残るための戦いや喧嘩なら仕方がない。だが目の前の光景はどう見ても一方的な弱い者いじめだった。 助けなければ! そう思ったまりさは四匹の前へ姿を現した。 「そんなことしちゃだめだよ! そのこないてるじゃない!」 「ゆっ!? なんなんだぜおまえは!」 突然現れたまりさに、三匹の中のまりさ――ややこしいのでだぜまりさとする――が警戒した。 「よわいものいじめはだめでしょ!! そんなこともおそわらなかったの!?」 どうらやこの現われたまりさはめーりんをたすけるつもりらしい。 そう理解しただぜまりさはゲラゲラと笑った。つられて周りにいるれいむとありすも笑い始める。 「なにいってるんだぜ! くずめーりんなんかいくらいじめてもかまわないんだぜ! しょせんくずなんだぜ!」 「それはわるいことだよ!」 「うるさいんだぜ! くずのみかたするやつもくずなんだぜ! れいむ! ありす! いっしょにこのくずをやっつけるんだぜ!」 だぜまりさの号令で三匹はまりさへと襲いかかった。しかし、まりさは次々に攻撃してきた彼女らを難なく跳ね飛ばす。 何度攻撃しても返り討ちにされ、三匹が焦り始める。 「ゆゆっ! こいつつよいよ!」 「さんにんがかりでもかてないなんて…!」 「こ、こうなったら…!」 だぜまりさは背中を向け、一気にまりさとは逆方向へと走り出した。 「にげるんだぜーーーー!」 「あっ! まっ、まってよまりさー!」 れいむとありすもだぜまりさに続いてその場から逃亡する。 そして三匹の姿が完全に見えなくなった後、まりさは虐められていためーりんと向き合った。 相手を安心させる為に笑顔を浮かべ、まりさはめーりんに優しく言う。 「もうだいじょうぶだよ! わるいゆっくりたちはおいはらったからね!」 良い事をした後は気持ちがいい。きっとこのゆっくりも安心しているだろう。 だがそのめーりんの反応は、まりさが全く想像していなかった物だった。 「けっ! よけいなことするんじゃねーお!」 先程まで涙を潤わせていた両目は冷やかに据わり、まりさを睨んでいる。 あまりの予想外の返事に対処できないまりさに、めーりんはきつい口調で言った。 「おまえのせいで、せっかくのえさがにげちまったじゃねーかお!」 実はゆっくりめーりんは二種類存在する。 まず"ノーマル型"と呼ばれる心優しいゆっくりめーりん。 このタイプは自然や他のゆっくりを愛し、他の通常種のゆっくりと同じ様に木の実や昆虫を食べる。 だが悲しい事に「じゃおおおん」としか喋ることができず、他のゆっくり達と意思疎通が出来ない。 そのため、性格の悪いゆっくり達に虐められることがしばしばある。 そしてもう片方は"ちゅうごく型"という種類のゆっくりめーりんである。 こちらはノーマル型と違い、きちんと言葉を話すことが可能だ。 しかしその性格は悪く、何より他のゆっくりを食べてしまうという恐ろしい特徴があった。 現在まりさの目の前にいるめーりんはこの"ちゅうごく型"である。 ノーマル型めーりんを装い、自分を虐めにやってきたゆっくり共を捕食するというずる賢い性格だった。 「ったく! よけいなことしてくれるお!」 助けてあげたのに罵倒される。 この理不尽な状況にまりさは思わず声を荒げた。 「ゆっ! そんないいかたないじゃない!」 「うるせーお! こうなったらおまえをたべてやるお!」 言い終わるや否や、めーりんはまりさの頭に齧りついた。 顎に力を入れ、そのまままりさの頭皮を金髪と共に噛み千切る。 「ゆぎゃ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 激痛にまりさは顔を歪めた。 一体何なんだ。折角助けてあげたのに、どうしてこのゆっくりはこんなことをするんだ。 混乱するまりさの前で、めーりんはむしゃむしゃとまりさの皮を食べている。 そしてそれを飲み込むと、顔を輝かせた。 「じゃお!! これめちゃくちゃうめーお! もっとくわせるんだお!」 再びまりさに齧りつこうと、めーりんはまりさへ突進する。 だが黙って食べられるようなまりさではない。すぐに身を整え、反撃に出た。 「ゆゆっ!!」 「じゃおん!?」 めーりんの攻撃のタイミングに合わせ、体当たりで反撃する。 ドカッと二匹がぶつかる音が周囲に響いた。 突然変異し、餡子の質が向上したまりさは力も強い。 あの捕食種である体無しれみりゃでさえも打ち負かす事が出来るほどだ。 それに以前、れみりゃを二匹倒したことによって、まりさはゆっくりの力に大きく関係する"自信"をつけていた。 自分と同じ大きさのゆっくりになら例え捕食種相手でも負けることはないだろう。 そう思っていたこともあり、まりさは衝突後に少し油断してしまった。 めーりんは自分の攻撃によって遠くまで跳ね飛ばされると思っていたからだ。 しかし、その予想は外れた。 「じゃおじゃおじゃお! いたくもかゆくもねーお!」 「!?」 そんな馬鹿な、とまりさは困惑した。 めーりんが跳ね飛ばされるどころか、まるでダメージなど無いかのように笑っていたからだ。 その原因はめーりんの皮膚だった。 めーりん種はゆっくりの中でも比較的皮が分厚い。 だから刺されたり切られたりするならまだしも、ただの打撲等の衝撃なら大抵は吸収してしまうのだ。 そんな事は全く知らないまりさの混乱をよそに、めーりんは再びまりさに噛みついた。 今度はまりさの右顔面に齧りつき――目玉ごと噛み千切った。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 右側の視界が黒く染まり、同時に激しい痛みが走る。 残った左目には自分の目玉を美味しそうに食べるめーりんの姿が映った。 「じゃお! こりこりとはごたえがあってうめーお!」 暫く噛み続けた後、めーりんはゴクンと飲み込んだ。 まりさはただその様子を痛みに耐えながら見ていることしかできなかった。 というより痛みに耐えるので精一杯で、他の事は何も考えることが出来ない。 左目から涙を流し、苦悶の表情を浮かべるまりさを見て、めーりんはニマリと笑う。 「のこったほうのめもたべるお! おとなしくしてるんだお!」 口を大きく開け、めーりんはまりさへと近づく。 とっさにまりさは近くにあった小さな石を口に咥え、そして一気に自分に迫るめーりんめがけて噴き出した。 運よく石の尖った部分がめーりんの皮膚を貫いた。 石が皮に食い込み、めーりんはチクリとした痛みに足を止める。 「じゃおおおおおおん!! なまいきだお! これでもくらうがいいお!」 そう言ってめーりんは口を尖らせると、その口内から勢いよく赤い液体が噴き出し、それがまりさの残った左目に直撃した。 「ゆぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!? いだいぃっ! からい゛いぃぃぃ!! めがみえ゛ない゛!」 吐き出された赤い液体、その正体はめーりんの中身である激辛チリソースだった。 刺激物である中身を相手に吐き出し、怯ませる。これがめーりん種の奥の手だ。 今のように目にかければ、相手は視界を失う。 その隙に逃げるなり捕食するなりするのだった。 「じゃおじゃおじゃお! それじゃあいただきますだお!」 めーりんの大きく開けた口がまりさの顔面へと近づいてゆく。 とその時、緊迫したこの場にふさわしくない呑気な、けれどもゆっくりにとってはとても恐ろしい声が聞こえた。 「うー! たーべちゃうぞぉー!」 パタパタと羽をはばたかせながら、ニコニコ笑顔の体無しれみりゃがやってきた。 目は見えないが、まりさにはその恐ろしい姿が鮮明に脳裏に浮かぶ。 先程の逃げたゆっくり三匹を食べてきたのか、口の周りには餡子やカスタード、リボンの欠片、そして金色の髪が少量ついていた。 まりさと、そしてめーりんにも戦慄が走る。 「げっ!? れ、れみりゃだお! これはまずいお!」 れみりゃは殆どのゆっくりにとって脅威である。それはめーりん種も例外ではない。 いくら皮膚が衝撃を吸収するほど分厚いとはいえ、れみりゃの鋭い牙の前ではただの厚みのある皮である。 チリソース噴射も、体無しれみりゃのスピードなら楽々とかわす事が出来るだろう。 それほどまでに、れみりゃの力はゆっくり達に対して圧倒的なのだ。 「さ、さっさとこのばからにげたほうがよさそうだお!」 めーりんは焦ってその場から逃げ出そうとする。 だがまりさがそれを許さなかった。 がっちりとめーりんの髪を口で掴み、動きを封じる。 善意を踏みにじったどころか、自分を食べようとまでしためーりんをまりさは許そうとは思わなかった。 例え命が無くなっても、このゆっくりだけは許さない。 「は、はなすんだお! まじやべーんだお!!」 「ぜったい゛にはなずもんがあああぁぁぁぁぁ!!」 とその時、二匹のいる崖の端部分に亀裂が入り、そして崩れ始めた。 一度崩壊が始まった足場は、ガラガラと音を立てて崩れていく。 「ゆ゛ううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」 「じゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!?」 それぞれ悲鳴を上げながら、二匹は崖から落下した。 しばらく後、まりさは目を覚ました。 どうやら自分は気絶していたようだと理解したまりさは妙な感触に気が付いた。 「……ゆ?」 何か柔らかいものが足元でぶにぶにとしている。 一体なんだろう、とまりさはうつむき――。 「ひっ!?」 ぺっちゃんこになっためーりんの死体を見た。ぶにぶにとした物はめーりんの皮膚だったのだ。 思わずその場からまりさは跳びのいた。 どうやらめーりんは顔から撃墜したらしい。 その顔は墜落の衝撃で完全に潰れ、周囲の地面がチリソースで赤く染まっている。 運よくめーりんの上に乗っかっていたことで、まりさへの落下時の衝撃は和らいでいたのだ。 とそこでまりさはある事に気が付いた。 (ゆ…? みぎめがみえる…?) さっきまでは完全な暗闇だった右の視界に、若干ぼやけてはいるが周りの景色が映っている。 めーりんに食い千切られたはずの右目。信じられないことに、それが新たに再生されてた。 捕食種、それも希少種のゆっくり以外は無くなった器官が再生する事はあり得ない。 だがこの変異まりさは例外なようだ。 両目が元に戻ったまりさは早くこの場から立ち去ろうと歩き始めた。 しかし。 (ゆぅ…からだがうごかない…) いくらめーりんの分厚い皮で落下時の衝撃がやわらいだとはいえ、崖から落ちて無事なわけがない。 ほとんど動かない体を引きずりながら、しばらく進んだところでまりさの意識はだんだんと薄れていった。 ガサゴソという物音でまりさの意識が覚醒した。 どうやら自分は再び気絶してしまったようだ。状況を理解したまりさは、ぼやける視界で周囲を見回す。 と、そこで何か丸い影が自分へ近づいてくるのが見えた。 だんだん視界が鮮明になっていく。両目が完全に機能したとき、その影はまりさに声をかけてきた。 「むきゅ、きがついたのね」 「…!!」 それは非常に美しいゆっくりぱちゅりーだった。 体はとてもふっくらとしており、綺麗な紫色をした髪はつやつやと輝いている。 「だいじょうぶ? どこかいたいところはないかしら?」 「…えっ!? ああ! うん! だいじょうぶだよ!」 ぱちゅりーの美しさに見とれていたまりさは その様子が可笑しかったのか、ぱちゅりーはふふっと微笑んだ。 これもまた魅力的な笑顔であった。 「それにしてもおどろいたわ! おさんぽをしていたらきずだらけのまりさがたおれているんだもの! いったいどうしたの?」 「ゆ…それが…」 まりさは崖から落ちた出来事について説明した。 ぱちゅりーはそれを全て聞き終わるり、なるほどねと納得した様子だ。 ちなみにまりさの体の傷は既にほぼ完全に回復していた。 「たすけてくれてありがとう! でもどうしてぱちゅりーはこんなところにいるの?」 見たところこのぱちゅりーは一人暮らしのようだ。 巣の外は静寂に包まれており、他のゆっくり達がいる気配もないから群れの中でもないのだろう。 そう思ったまりさはぱちゅりーに聞いたのである。 「むきゅ、そうね…あまり楽しい話じゃないけど――」 次はぱちゅりーが話し始めた。 このゆっくりぱちゅりーは元々人間に飼われていたゆっくりだった。 まだ赤ん坊のころに家族をれみりゃに殺され、人里へと迷い込んだところを保護された。 それからしばらく、ぱちゅりーは人間に飼われることとなり、良い物を食べてすくすくと美しく成長した。 だがある日、飼い主が新しい赤ちゃんゆっくりを飼い始め、もう育ちきったぱちゅりーはいらないと捨てられてしまったのだった。 成長期に人間に育てられたゆっくりが野生で生きていくのは難しい。価値観の違いから群れに所属することも出来ない。 それでもぱちゅりーは何とか生き延びた。最初は不味いとしか感じられなかった雑草や昆虫も克服した。 「ゆ…、そうなんだ、たいへんだったんだね。ごめんね、へんなこときいちゃって」 「むきゅ、べつにいいわよ。かこのことだし、このせいかつにもなれたしね」 まりさは"にんげん"という生き物がどんなものかは知らなかったが、ゆっくりをそんな風に扱うということは 自分達ではどうあがいても勝てない存在なのだろうという事は理解した。 また、自分を助けてくれたぱちゅりーに恩返しがしたいと思った。 ぱちゅりーはたった一匹で、厳しい自然を乗り越えてきた、精神肉体共に強いゆっくりだ。 だがいくら他に比べて強いとはいえ、ぱちゅりー種の体力では餌集めは中々に難しい。 さらにこれから越冬の為の備蓄の食べ物も必要である。 群れに所属していないぱちゅりー一匹だけでは餌集めは不可能に近い。 だからまりさは申し出た。 「ゆ! たすけてくれたおれいにまりさもごはんをあつめるのをてつだうよ!」 一瞬ぱちゅりーは驚いた顔になったが、少し考えてからまりさの提案を受け入れた。 確かに自分だけでは冬に備えるのはとても苦労するだろう。 どうやらこのまりさは悪いゆっくりではないようである。ならば手伝ってもらった方が良いに決まっている。 「むきゅ。それじゃあおねがいするわ! よろしくね!」 「うん! まかせてよ!」 次の日からまりさとぱちゅりーは二匹で野をかけた。 一緒に走り回り、一緒に休憩をし、一緒に食べ物を持ち帰り、一緒に眠った。 そんな二匹が深い仲になるのはそれほど時間がかからなかった。 お互い家族を亡くした身、色々共感するところもあったのだろう。 そしてとある夜、まりさとぱちゅりーはゆっくりと巣の中で愛を確かめ合った。 秋も本番。森が赤色に染まり、風も涼しくなってくる季節。 そんな中、まりさは家族のために忙しく餌を集めていた。 せっせとキノコや木の実を集める姿は忙しそうだが、その顔は幸せに満ち溢れている。 「ふぅ、こんなものかな!」 頬にたっぷりと食べ物を詰め込み、まりさは巣へと帰った。 「ただいま! ゆっくりかえったよ!」 「むきゅ! おかえり、まりさ!」 「「「「まりしゃおかーしゃん、おきゃえりなしゃい!」」」」 出迎えてくれたのはぱちゅりーと、そして十数匹の赤ちゃんゆっくり達だ。 あの夜の行為の後、ぱちゅりーは植物型にんっしんっをし、元気な子供を沢山生んだのだった。 その為まりさは今まで以上に餌集めに走り回らなければならなかったが、そんな事は家族を持った喜びに比べれば些細なことだ。 「はい! これがきょうのごはんだよ! ゆっくりたべてね!」 「「「ゆっくちたべりゅよ!」」」 まりさが口から取り出した木の実や花を赤ちゃん達はおいしそうに食べ始めた。 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 「むきゅ~、とってもおいちいわ!」 その様子をまりさとぱちゅりーは笑顔を浮かべながら眺める。 あともう少しすれば赤ちゃん達も大きくなり、一緒に冬越しの為の食べ物を集めることが出来るだろう。 皆で集めれば冬も怖くない。 それから春になったら家族皆でゆっくりとお散歩に出かけよう。 自分も春はどんな物か体験した事がないが、かつて母から聞いたことがある。ぽかぽかと暖かく、とてもゆっくりできる季節らしい。 きっと家族揃ってのお散歩はとっても気持ちいいはずだ。 と、目の前の可愛い我が子達を見ていると、これからの生活が次々と浮かんでくる。 まりさはとても幸せだった。 季節は過ぎ、あっというまに冬となった。まりさ達一家は巣の中でゆっくりしていた。 入り口も塞いだし、食料もたくさんある。子供達もちゃんと物事を考えられるぐらいに育った。 まりさの生まれて初めての越冬はぱちゅりーの知識もあり、完璧だった。 「ゆー、はやくふゆがおわらないかなぁ」 「きっともうすこしだよ! みんなでゆっくりまとうね!」 まりさが子供達とじゃれあうのをぱちゅりーは優しく微笑んで見つめている。 ほのぼのとした一家団欒。家族が幸せにゆっくりと過ごしている。 だがその時、巣の入口がガタガタと大きく音をたてた。 それを聞いたまりさとぱちゅりーは顔を険しくし、子供達を避難させる。 「ゆっ! ぱちぇ、こどもたちをたのんだよ!」 「ええ、きをつけてねまりさ!」 まりさはゆっくり慎重に入り口へと近づいてゆく。 入り口には雪や寒気が入ってこないよう、石や枝で厳重に補強した扉が作ってある。ちょっとやそっとの風では壊れはしない。 それが音を立てて震えているということは何かしらの危険が迫っている可能性がある。 そしてまりさがあと一歩で辿り着くという時、それは起きた。 扉が割れる轟音と共に、何者かが勢いよく巣の中へと侵入した。 まりさはそれに跳ね飛ばされ、巣の壁へと叩きつけられる。 意識が飛びそうなほどの衝撃。 だが直後に聞こえてきた声がまりさを現実へと留まらせた。 「むきゅぅぅぅぅぅ!! たすけてぇぇおかぁぁさぁぁぁぁぁん!!」 それは子供の悲鳴だった。 見ると、一匹の子ぱちゅりーが侵入してきた物に捕まっている。 そこでまりさは初めて侵入者の姿を見た。 それはとても長くて細いぬめぬめとしたモノだった。 先端が丸く、その異様な長さを除けばまるで生き物の舌のような形をしている。 (…べろ!?) そう思って巣の入り口を見たまりさの背中に悪寒が走った。 雪が吹雪く光景が見える筈のその場所には大きな口があったからだ。 唇を上下に開き、その奥から長い舌を巣の中へ挿入させている。 まりさは知らないことだが、その舌の持ち主はゆっくりれてぃという。 ゆっくりれてぃは元々個体数が少なく、春から秋にかけては森や山の遥か奥地で眠っていることが多い。 そのため、野生では滅多に見ることができない。 体長は1mを超える、大型のゆっくりだ。 非常に動きが鈍いが、こう見えてゆっくりれてぃは捕食種である。 活動期間は冬。ほとんどのゆっくりが巣の中から動けない時期に、れてぃは活発に動き始める。 たとえ猛吹雪であろうが、めーりん以上の分厚い皮を持っているため、どれだけ寒くても平気なのだ。 れてぃの標的は主に巣内で越冬中のゆっくり。その長く強靭な舌を活かし、巣の入り口を破壊して中のゆっくり達を絡めとる。 丁度今のように。 「み、みんな! ゆっくりしないでおくにひなんしてね!」 まりさが急いで指示し、ぱちゅりーが子供達を連れて巣の奥へと移動していく。 だがゆっくりの巣はそれほど広くはない。どこへ避難しようがれてぃの長い舌からは逃げられない。 少し逃げるのが遅れた子まりさに、れてぃの舌から分泌された唾液が垂れた。 「べどべどずるう゛ううぅぅぅぅ!! きぼぢわるい゛よ゛おぉぉぉぉぉぉ!!」 れてぃの唾液は非常に粘着性が高い。 成体ゆっくりでもそれを浴びれば動きがとても鈍くなる。 まして非力な子ゆっくりなら完全にその場から身動きできない。 舌に直にひっつけばどんなゆっくりでも二度と自力では離れることはできないであろう。 巣の中の獲物の数が多い時は、アリクイのようにその唾液を分泌した舌でゆっくり達をひっつけて捕食するのだ。 「から゛だがうごかな゛いよ゛おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 涙を流しながら、れてぃの唾液を何とか払い除けようとする子まりさ。 だがあがけばあがくほど、余計にべっとりと体に纏わり付く。 その様子を見て、愚かにも避難していた子まりさが一匹、姉妹の元へと駆け寄った。 「ゆ! おねぇちゃん! あそんでないでさっさとこっちにきてね! まりさがてつだってあげるから!」 「むきゅぅぅぅ!? そっちにいっちゃだめえぇぇぇ!!」 母であるぱちゅりーの制止も聞かず、妹まりさは姉の体に付いている液体に触れてしまった。 「ゆゆっ!? なに゛ごれ゛えぇぇぇ!!」 今の今まで唾液の粘着性を理解していなかった妹まりさは漸く身をもってその恐ろしさを知った。 姉の体に付いていた唾液が妹にもからみつき、二匹を身動きできなくする。 「い゛や゛あぁぁぁ!! ゆ゛っくり゛できない゛ぃぃぃ!!」 「どおじでごんな゛に゛べだべだずるの゛おぉぉぉぉ!!」 唾液が糊となってくっ付いた姉妹は悲鳴を上げる。 そんな二匹をれてぃの舌が捕らえた。 「「も゛っどゆっぐりじだかっだよ゛おおぉぉぉぉぉぉ!!」」 同じ叫び声を上げながら、まりさ姉妹はれてぃの口内へと収まっていく。 少しの間をおいて、再び巣内へ侵入してきたれてぃの舌が縦横無尽に巣の中を動き回った。 「むぎゅうっ!?」 「だずげでえぇぇぇぇぇ!!」 「ぞんな゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 舌にひっつき、捕えられた子ゆっくり達は次々と食べられていく。 ゆっくりだけではない。巣に貯蓄されていた越冬用の食料も全てれてぃに食べられてしまっていた。 まりさも必死に子供達を助けようとするが努力空しく、素早く動き回る舌に翻弄されっぱなしだった。 やがて震える子供達を背に守っていたぱちゅりーが標的とされた。 勢いよくぱちゅりーへと迫るれてぃの舌。 何とかそれを避けようとするが、悲しい事にゆっくりの中でもひ弱なぱちゅりーではれてぃのスピードには敵わない。 あっけなく、残った子供と共にべったりとした舌に捕らえられ、ぱちゅりーはれてぃの口内へと連れて行かれる。 「むきゅぅぅぅぅ!! まり゛さああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 パートナーの名前を叫びながら、ぱちゅりーは完全にれてぃの体内へ収まった。 「ぱぢゅり゛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 まりさも叫び、伴侶が消えていった巣の入り口へと近づく。 そしてある程度れてぃの口へと近づくと、まりさの耳に妙な音が聞こえてきた。 それはとても小さな、聞き逃してしまうかもしれない音。 だが一度意識するとそれははっきりと耳に入って来た。 「ゅ゛ぅ゛ぅぅぅ……」 それはゆっくりの苦痛の声のように聞こえる。 一体何なんだろうと、まりさは警戒しながられてぃの口内に視線を這わせる。 そしてまりさは後悔した。見なければ良かったと。 それはまさにゆっくりにとって悪夢のような光景。 「…ゅ゛っ…ゅ゛っ………」 「ゅ゛っぐり……でぎ…な…」 「……も゛っ…ゅっぐ……がっだ…」 れてぃの口内。 そこには大量のゆっくりが所狭しとひしめいていた。 どのゆっくりも目の焦点があっておらず、中には体の半分が溶けてなくなっているゆっくりもいた。 ゆっくりれてぃの口からは『黒幕液』という唾液とは別の液体が分泌されている。 これは捕らえたゆっくりを長期間保存しておくためのものだった。冬の間に蓄えた大量のゆっくりが、春から秋の間のれてぃの食料となる。 黒幕液に触れたゆっくりは意識がほとんど削がれ、身体能力も奪われ、体を強制的に凝縮させられる。 生きているとは言えず、かと言って死んでもない状態のゆっくり達は意識を保ちながら一年かけてじわじわと溶け、れてぃの養分となるのだ。 そのあまりの光景にまりさの体がガクガクと震えた。 愛するぱちゅりーや子供達はあの地獄の中に入っていったのか。 そう思うとどんどんと体の震えが強くなってゆく。 と、そんな無防備なまりさをれてぃの舌が捕らえた。 ねっとりとした粘着性の高い唾液がまりさを覆う。 「こっ、こんなも゛の゛おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「くろろっ!?」 まりさが自分の体に絡みつくれてぃの舌に噛みついた。 思わぬ痛みにれてぃは長い舌を巣の中で暴れさせる。 壁、天井、床…かつて家族を守るものであったそれらにまりさは何度も何度も叩きつけられた。 体のあちこちに痣ができ、破れた個所から餡子が漏れ出すが、それでもまりさはれてぃの舌に必死に噛み付いていた。 かつてゆゆこの吸い込みにも耐えることのできた顎の力。それががっちりとれてぃの舌を捕える。 思わずれてぃは舌からも少量の黒幕液を分泌し、噛む力の弱まったまりさを弾いた。 「ゆぐっぅ!!」 巣の壁に激突し、口から勢いよく餡子を吐きだす。 だがそれでもまりさは立ち上がり、ボロボロの体でれてぃを睨みつけた。 その目は怒りに燃えている。 「はぁ…はぁ、どうしたの? まりさひとりたべられないの!? よわっちいね!!」 以前れみりゃにそうしたように、まりさはれてぃを挑発した。 だが今回はそれも無駄に終わることとなる。 ゆっくりれてぃは体内に詰まっている餡子が多いせいか、ゆっくりの中では比較的頭が良く、冷静だ。 普通のゆっくりなら意地を張り、何が何でもまりさを捕食しよう――つまり目的を達成しようと思うだろうが、れてぃはここで退くことにした。 別にこのまりさにこだわらなくても、まだまだ越冬で巣に籠っているゆっくりは沢山いるからだ。 簡単なそちらを捕らえればいい。 そう判断したれてぃは舌を口内へと戻し、その場を後にした。 まりさだけが残された巣の中に凄まじい寒気が入り込む。 つい先程までの温かな光景が嘘だったかのように、巣の中は荒れ果てていた。 十数匹いたゆっくり達はまりさを残し、すべてれてぃに食べられた。 掃除がいきとどいていた床や壁も唾液でべとべとになり、綺麗な石のような調度品も壊れたガラクタとなっている。 「う゛う゛…まて…までええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 傷ついた体を引きずり、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、まりさはれてぃの後を追いかけた。 外は吹雪だがそんなことは関係ない。 怒りと絶望に顔を歪ませながら、まりさは白き狩人に向かって叫ぶ。 「がえ゛ぜえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! ぱぢゅりーをがえぜ!! こども゛だちをがえぜ!! ま゛り゛さのかぞくをがえ゛ぜええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 だがれてぃは聞く耳持たず、雪の中へと姿を消してゆく。 吹雪吹き荒れる中、まりさの絶叫が寂しく周囲に木霊した。 やがてじわじわとまりさの体が寒気によって凍り始める。だがそれでもまりさは叫び続けた。 家族を返せ、幸せな生活を返せ、と。 れてぃの姿が完全に見えなくなる頃、まりさの体は完全に凍りついていた。 時は流れ、春が訪れた。 辺りに積っていた雪も溶けだし、森の木々にも緑が生い茂る。 そんな中、まりさは地面に倒れていた。 その体はまだ凍りついたままだったが、しばらくすると春の日差しで徐々に解凍され始めた。 「……ゆぅ?」 完全に氷が溶け、意識が戻ったまりさは辺りを見回す。 気が付けば周囲は春の陽気に包まれていた。 一体何故だろうとまりさは記憶を辿り――。 「…ゆっ!!」 全てを思い出した。 突然おうちに侵入してきたゆっくりにぱちゅりーが、子供達が食べられてしまったこと。 そのれてぃを追いかけ、冬の寒さに体が凍りついたということを。 「うぅっ…ぱちゅりー……こどもたち…ごめんね…」 まりさは数ヶ月越しの涙を流した。 再び家族を喪失してしまった。 どうしていつも自分だけ生き残るのだろう、どうして一人だけ取り残されてしまうのだろう。 脳裏に浮かぶのは優しい母や可愛い妹達、美しい妻に愛しの子供達。 皆死んでしまった。なのに自分はのうのうと生き残っている。 悔しさで涙が止まらない。 体中の水分が無くなるのではないかと思われるほど泣いたあと、まりさはお腹がすいているのに気が付いた。 本能の欲求には逆らえず、とりあえず食べ物がないかと周囲を探し始める。 「ゆぅ…ひどい…」 惨劇の爪跡、とでも言おうか。 この周辺に点々と存在していたゆっくりの巣は全て破壊されていた。 おそらくあのれてぃに襲われたのだろう、ゆっくりの姿はどこにもないし、どの巣の中も滅茶苦茶に荒らされている。 そして食べ物もどこにも見つからない。空腹でまりさは倒れそうになった。 と、そこでついに発見した。 大きな木の根元に禍々しい色をしたキノコが生えていたのだ。 今まで見たことないキノコだったが、まりさはそれを躊躇なく食べた。 美味しい! と感じたのも束の間、次の瞬間にはまりさの意識は闇に堕ちた。 まりさは夢を見た。 死んだはずの最愛のぱちゅりーと交尾する夢を。ねちゃねちゃと淫靡な音を立てて頬を擦り合わせた。 現実の事ではないとはいえ、それはとても気持ち良く感じた。 「…ゆぅ?」 次に気が付いた時、何とまりさの頭から蔦が生えていた。その蔦には幾つかのゆっくりの実がなっている。 原因はまりさが食べたキノコだった。 あのキノコには幻覚作用があり、そのせいでまりさはにんっしんっしたのだった。 とは言っても実際に餡子種のやりとりをしたわけではないので、生えている子供は全てまりさ種だった。 交配によって生まれたものではない、まりさの餡子遺伝子と全く同じ物で構成されている、いわば分身のようなものである。 よくわからないが自分は再び母になったらしい。そう理解すると、まりさの頬を涙が伝った。 今度は悲しみではなく喜びの涙。 「ゆ~♪ ゆっくりしていってね~♪」 まりさは歌う。かつて自分がまだ実だった頃に聞いた母が歌っていた歌を。 毎日毎日優しく歌ってくれた、記憶の奥に刻まれていた歌を。 「ゆゆ~♪ ゆっくりしたあかちゃんがうまれてね~♪」 とその時、実の一つがぷるぷると震えた。 しばらくするとその実がポトリと蔦から離れ、地面に落ちる。 少しの間もぞもぞと動き、生まれ落ちた赤ちゃんまりさは大きな目をぱっちりと開けた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 まりさの時と同じく、生まれてきた赤ちゃんまりさも活舌良く喋った。 それから次々と赤ちゃんが生まれ、可愛い目を開いてゆく。 「まりさがおちびちゃんたちのおかあさんだよ! ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 と、そこで一番最初に生まれた赤ちゃんまりさがあることに気づいた。 「ゆ? おかーさん、ないてるの? なにかいやなことがあったの?」 「ううん! みんながうまれてきてくれて、とってもうれしいんだよ!」 まりさにとって三度目の家族。 今度こそは家族皆で幸せに生きようと子供達に優しく頬摺りしながらまりさは固く決心した。 続く あとがき まりさ不幸ってレベルじゃねーぞと書きながら思いましたがまあいいか。 下手に生命力強いと逆に辛いよね。 まだ続くのかよという気もしますが、一応次で完結予定です。 今まで書いたもの それいけ! ゆっくり仮面 ゆっくり仮面の憂鬱~邪悪な心~ お兄さんの逆襲 前後編 ゆっくりれいむの悪夢 あるゆっくりまりさの一生 前、中-1編 by.ダイナマイト横町 このSSに感想を付ける
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ゆっくりとは謎の多い食べ物だ、跳ねて這い食べて飲んで繁殖してそして死ぬ。 食べ物がそれだけ多くの事をする不思議は、研究者の地道で熱心な研究や、偶然の発見によって少しずつ解明されていった。 しかし分からない事がある、何故ゆっくりはあれだけ脆弱なのにどの時代にも大量にいて、そして一種たりとも絶滅しないかだ。 ゆっくりの種類は多い、それだけ多いのにゆっくりの種類は増える事はあっても減ることは一切ないのだ。 そしてにんっしんっ!による繁殖以外ではゆっくりは何処からともなく現れる事が多い。 街にも山にも森にもゆっくりは存在し、どんな小さな島にも一匹や二匹はゆっくりが暮らしている。 巷ではゆっくりとは何処にでもいる、"そういう食べ物"だとされているが、この問題には一つの答えがある。 ゆっくりが何処にでも大量にいてそして一種たりとも絶えない理由、それは無限に続く並行世界をゆっくりが無意識に旅をしているからなんだよ!! えっ、頭おかしいんじゃないだって?このSSの中じゃそうなんだよ!ゆっくりわかってね! ゆっくりは容易に次元の壁を超越できるんだよ! とりあえず一つの例を見てみよう、ここは1169番目の並行世界だ。 一匹のゆっくりぱちゅりーがいる、生後378日体重は800グラムの絵に描いたような一般的なぱちゅりーだ。 「むきゅ~、ここらへんはゆっくりがいないのね」 予断だがぱちゅりーは一日前、69番目の並行世界から1169番目の並行世界にやって来たばかりだ。 そもそも69番目の並行世界で成体となったぱちゅりーは自分の群れから出て、新しい群れを探しに森を彷徨っていた。 ゆっくりのそれも病弱なぱちゅりー種だ、家族と涙の別れを済ました後、100メートル程進んで休むの2回だけ繰り返し。 群れから少し離れた場所にちょうどいい木の洞を見つけて眠ったのだった。 その時ぱちゅりーは新しい群れをゆっくり探すよ!と思いながら眠りについたため。 ぱちゅりーの寝た木の洞に酷似した木の洞がある1169番目の並行世界に、寝ている間にワープしたのだ。 そもそもこうしたゆっくりが意識していない、異世界へのワープ能力がなければこれほどゆっくりは増えなかっただろう。 ゆっくりは繁殖能力だけでなく、こうして異世界に渡る能力で生息範囲を広げているのだ。 もしもゲスの多い地域で純粋無垢なゆっくりや、単純な言葉しか喋らない超初期型ゆっくりを見つけたならば、それは別の世界からやって来たゆっくりかもしれない。 とは言っても、森から街のゆっくりプレイスに降りるまでは、それなりの運があればぱちゅりー種でも十分に可能だ。 勿論ゆっくりの中には野を超え山を越え時には海も越え、長い距離を旅する猛者もいる。 しかし大抵のどうやってここまで来たのかあやふやな記憶しかないゆっくりは、異世界へのワープで全く別の世界からやって来るのだ。 「むきゅきゅ!みたことないおはなさん!きゅ~♪ゆっくりおいしいわ!」 「むきゅ~……でもひとりはさびしいわ」 花を食べてご満悦なぱちゅりーだが、ゆっくりは寂しがり屋だ。 一匹で落ち込むぱちゅりー……。 「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!」 「むきゅ!ゆっくりしていってね」 しかし、しょんぼりしたぱちゅりーに声をかけるゆっくりがいたまりさだ! 下膨れた顔のどこにでもいるまりさだが、ゆっくりの感性から言えばなかなかゆっくりしているイケメンなのだ。 「むきゅ~……ぱちゅりーよ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!ゆゆ~すてきなゆっくりプレイスだね!」 「きのうからすみはじめたの……まりさもゆっくりしていってね」 「ゆっ!まりさもここでゆっくりすることにきめたよ!よろしくね!ぱちゅりー!」 「むきゅ~、ぱちゅでいいわ///」 都合良すぎである、寂しいぱちゅりーがイケメンまりさと知り合い、一緒に住むことになった。 これにもゆっくり特有の並行世界を移動する能力が深くかかわって来る。 ぱちゅりーは花を食べている時に寂しいと思い、他のゆっくりを求めた。 そのゆっくりを求める感情は393番目の並行世界に届いた。 そして新しいゆっくりプレイスを目指し、住み慣れた森から出て行こうとするまりさがその感情を受信したのだ。 新しいゆっくりプレイスを求めるまりさ、友達を求めるぱりゅりーの思いが重なって、まりさはぱちゅりーのいる世界に呼びこまれたのだ。 ぱちゅりーとまりさが暮らす森には、事あるごとにゆっくりが増えていった。 何処からかやって来たれいむ、らんしゃまを探すちぇん、子供を連れてやって来たありす。 多くのゆっくりが森にやって来て、森が気に入り住み着く者も、しばらく足を休めてゆっくりしてから旅立つ者もいた。 そうしたゆっくり達の半分は異世界からやって来たゆっくりだった。 さて一月が過ぎ、まりさとぱちゅりーしかいなかった森は随分にぎやかになった。 成体のゆっくりが17匹、子ゆと赤ゆが6匹が一つの森で暮らしている、新しいゆっくりの群れが出来たのだ。 そしてこの23匹のゆっくりが住む群れに、新しいゆっくりが加わろうとしていた。 「ゆ~ふ……ゆ~ふ……ゆ~ん」 「がんばるのぜ!がんばるのぜ!れいむ!」 「あかちゃんゆっくりうまれてきてね!」 群れのれいむの一匹がにんっしんっ!をしたのだ。 一生懸命なれいむを夫のまりさと子れいむが励ます。 まりさの帽子は既にいつ赤ゆが生まれてもいいように、れいむのすぐ前に置かれている。 そしてここ数分間力んでいたれいむの顔が緩む、いよいよ出産の時間だ。 「ゆゆっ、ゆっ……!」 ぽん!と軽い音を立ててれいむのお腹から赤れいむが飛び出した。 「ゆっくりしていっちぇね!」 「ゆっ、ゆー!すてきなあかちゃんゆっくりしていくのぜ!!」 「れいむのいもうとゆっくりしていってね!」 「あかちゃんゆっくりしていってね!」 「みんなゆっくりしていっちぇね!」 巣の外で心配そうにしていた群れのゆっくり達が、中から聞こえるゆっくりした声に歓声を上げる。 「ゆゆ~!ゆっくりうまれたね!」 「ゆっくりよかったね!」 「きょうはおいわいだよ~わかるよ~」 騒ぐゆっくり達の前に、生まれたばかりの赤ゆが親まりさの帽子に乗って出てくる。 その後ろには赤ゆを生んだばかりの親れいむと子れいむがついてくる。 「ゆっくりうまれてよかったね!」 「とってもゆっくりしたこだよ!」 「れいむ!いもうとができてゆっくりだね!」 新しい赤ゆが生まれて群れ全体が喜びに包まれる。 どのゆっくりも幸せそうなゆっくりした表情をしている。 特に喜んでいるのは69番目の並行世界からやって来たぱちゅりーだ。 「ゆっくりしたこがうまれてとってもよかったわ!」 「おさ、ありがとう!れいむはゆっくりしあわせ~だよ!」 ぱちゅりーは他のゆっくりよりいくらか知恵があり、一番最初に森に住み始めたゆっくりだったので自然と群れの長となっていた。 そしてその傍らにはぱちゅりーが最初にあったイケメンまりさがいる、二匹は同じ巣で暮らしていた。 「むきゅきゅ♪かわいいあかちゃんゆっくりしていってね」 「ゆゆ~ん、ゆっくりしゅるよ!」 「とってもゆっくりしてるねぱちゅりー」 「きっとおさとまりさのあかちゃんもゆっくりしてるのぜ!」 「むきゅきゅ!そ、そんな、むきゅ~///」 「ゆっくりてれるよ///」 親まりさに赤ちゃんの事を言われてボンッ!と顔を真っ赤にするぱちゅりーとまりさ。 二匹は一緒に住み始めて一週間が過ぎていたが、いまだに寝る前のほっぺにチューとすりすりしかしていない。 ぱちゅりーもまりさも奥手で、二匹をこの手の話題でからかうのは親まりさの何よりの娯楽だった。 「ゆゆー!またおさをからかってゆっくりしてないよ!ぷく~!」 「してにゃいよ!ぷくく~!」 「ゆがーん!れいむもあかちゃんもひどいのぜ~!」 また群れのみんなが笑う、外敵もおらずゆっくりとしたこの森では、強い敵対の意思を表すぷく~でさえ、冗談の一つになっていた。 毎日ゆっくりして森の草や木の実花に虫を食べ、みんなで集まって仲良く遊ぶ、理想的なゆっくりプレイスがそこにはあった。 この森に来て、住み着かずに出て行ったゆっくり達も、元からこの世界にいたゆっくりも別の並行世界からやって来たゆっくりも、 とても素敵なゆっくりプレイスだと感心していた。 ぱちゅりーのゆっくりプレイスには元からこの並行世界にいたゆっくりも、別の世界から来たゆっくりもいたがみんなが仲良くゆっくりできていた。 この幸せなゆっくりプレイスにはこれからたくさんのゆっくりがやって来るのかもしれない。 可愛いちぇんを探すらんや、新しい巣を探すまりさとありすのカップル、もしかしたら優しくて賢いドスまりさだって来たかもしれない。 並行世界からやって来るものが常に恵みをもたらすとは限らないのだ……。 89398番目の並行世界のある森にゆっくりの一家がいた。 親ゆが一匹、その子ゆが二匹、つい先日生まれた赤ゆが三匹、そして従者のようにつき従うゆっくりが一匹。 「うー……おなかへったどぉ~」 「まんまぁ、あまあまたべたいどぉ~」 「ゆっくりできてないどぉ~」 「おじょうさま、やはりふきんのゆっくりはあらかたかりつくしてもういませんわ」 「う~、ざんねんだどぉ~、このこーまかんともそろそろおわかれだどぉ~」 ゆっくりを食べるゆっくりとして有名なれみりゃ種と、れみりゃ種に仕える事を至上の喜びとする希少種ゆっくりさくやだ。 れみりゃの一家がこうまかんと呼んでいる大きな巣穴。 ここは元々はこの森に大小12あった群れの長が集まり、餌の事や群れの事を相談する会議場だった場所だ。 ほんの一月前にはこの巣穴にはいろいろなゆっくりがいた。 勇気のあるまりさ、都会から持ち帰ったまどうしょ(スーパーの半額チラシ)を持っているぱちゅりー。 一番大きな群れの長だったれいむと、彼女の後継になるはずだった小さなまりさ、他にもいろいろな種類のゆっくりの群れ長達。 勇気のあるまりさは大きな巣穴に柔らかい綿入れを持ちこみ、ゆっくり達の椅子にした。 いつも薬草を集めているぱちゅりーからは薬草の香りが漂い、自然と巣穴にそれが残っていた。 そしてこの大きな巣穴を提供したのはれいむで、彼女の子ゆ達は常に巣穴を奇麗にしていた。 そんな大きな巣穴は主を変えて様変わりしていた。 群れ長達に大切に使われていた綿入れは遊び道具と化し、所々に噛み傷が出来て綿が飛び出ていた。 かつて巣穴を満たしていた薬草の香りとゆっくりのゆっくりした声は、餡子の甘い匂いとどこからか聞こえる少数の生き残りが発するうめき声となっていた。 そして何より、巣穴の中には切り裂かれ噛みちぎられたゆっくりの皮やおかざり、飛び散った餡子がそのままにされていた。 森にあるゆっくりの巣は半分くらいが、この大きな巣穴と同じような惨状を呈していた。 なぜなら大小合わせて12の群れ、452匹のゆっくりが暮らしていたこの森は一月前に5組のれみりゃの家族に襲われていたからだ。 元からこの世界にいたれみりゃの家族が2組、あとは自分の暮らす森のゆっくりが減り、新天地を求めていた3組が並行世界を移動して森にやって来た。 森のゆっくりは食われて食われて食われた、れいむもまりさも関係ない、れみりゃに捕まり裂かれ噛まれ真っ暗な口の中に押し込まれて死んでいった。 そして逃げのびたゆっくりの中には並行世界への移動で命を長らえたゆっくりは皆無だった。 ゆっくりは容易に並行世界へ移動することは出来るが、その事に気づいていない、そして気づけたとしても並行世界への移動はコントロールできない。 何よりれみりゃの"餌を求める"感情がれみりゃをこの並行世界に引きずり込んだのだ、れみりゃの近くにいる以上ゆっくりはその影響を受けてしまう。 万が一れみりゃに捕まり噛みつかれそうになったれいむが並行世界に移動したとしても、そこはれみりゃの巣であったり、あるいはふらんの巣であったりするだろう。 五組のれみりゃとその忠実にして優秀な従者であるさくやに、12の群れがどう立ち向かい敗れ、そして殺されていったかは悲惨の一語であったとだけ言っておこう。 さてそうして五組のれみりゃは森の中でゆっくりを見つけて食べ遊び、ゆっくりした時間を楽しんだが、何事にも終わりはある。 一組のれみりゃ家族がもっと素敵なこうまかんを探しに行くと去っていき、食糧となるゆっくりが少なくなった森から3組のれみりゃ家族が出て行った。 大きな巣穴で暮らしているれみりゃはこの森に最後に残ったれみりゃの家族だった。 「うっう~♪れみぃのおちびちゃんたちあたらしいこうまかんをさがしにいくどぉ~♪」 「う~まぁま!ひろいこうまかんでゆっくりしたいどぉ~!」 「うっう~!」 「う~……さくやぁたすけてどぉ~♪」 「かしこまりましたおじょうさま」 れみりゃは美味しいプディンが詰まった、しんのれでぃに仕えるに相応しい教養と知性を持つ小さな従者に全幅の信頼を置いていた。 さくやはどうやってこしらえたのか、大きな巣穴に秘密の食糧庫を掘っていた。 中には底部を切り裂かれた数匹の子ゆっくりがぷるぷると震えている、さっきから聞こえていたうめき声はこの子ゆ達が発するものだった。 さくやがれみりゃ達の面倒を見る合間を縫ってゆっくりを狩り、親れみりゃと子れみりゃが狩りに言っている間に連れ込んでいたのだ。 なお赤れみりゃには自身のぷでぃんに睡眠薬を混ぜたものを少量呑ませ、眠らせていた。 「ちっちゃいおじょうさまがた、おいしいあまあまがございますわ、これをたべてげんきをつけてからたびにでましょう」 「やめてね!こないでね!ゆっくりやめてよ!」 「う~♪さくやがいうならしかたないどぉ~♪」 「たしゅけてぇ!れいむをたしゅけてー!!」 「ゆふふ……おそらをとんでるみた~い」 「おねえちゃんしっかりしてね!おねえちゃん!おねえちゃん!」 「しかたないどぉ~♪」 「まぁま♪あまあまいっしょにたべるどぉ~☆」 「たべるどぉ~♪さくやありがとぉ~だどぉ~♪さすがれみりゃのさくやだどぉ~♪」 「ありがとうございます」 「やべでぇえええ!!たべないでぇええ!!!」 主であるれみりゃの賛辞に、言葉少なく応じるさくやの表情は恍惚として緩みきっている。 れみりゃの10の喜びはさくやにとって1000の喜び、れみりゃの10悲しみはさくやにとって1000の悲しみなのだ。 れみりゃが幸せであれば、子ゆの悲鳴はオーケストラの奏でる旋律に、顔にかかる餡子は神聖な何かに思えるのだった。 子ゆと赤ゆがお腹いっぱいになり、親れみりゃはさくやを抱きしめて大きな巣穴から這い出て空を飛んだ。 ふわふわとゆっくり漂うような飛び方で、お月さまの出ている方に向かって飛んでいく。 「うっう~♪まんまるおつきさまきれいだどぉ~☆」 「きれいなおつきさまゆっくりだどぉ~♪」 「うっう~♪ゆっくりだどぉ~♪」 れみりゃ達は賑やかに空を飛んでいく、さくやはれみりゃの手の中で真っ白に燃え尽きていた、れみりゃの抱擁はさくやにはあまりに刺激が強すぎた。 そしてれみりゃ達はその日のうちに森を抜け川を越え、お日様がそろそろ登って来る時間になったため地面を降りた。 そしてしばらく当たりを探索し長い事使われていない様子のゆっくりの巣穴を見つけ、そこで夕方までゆっくり眠る事にした。 そして眠るっているれみりゃ一家の、たくさんのゆっくりを食べられる森に行きたいという願望は並行世界の壁を突き破った。 そして89398番目の並行世界から、どの世界に行けばれみりゃの願いが叶うかが選ばれる。 普通な世界、まだ恐竜のいる世界、れいむが多い世界、まりさが多い世界いろいろな世界があった。 その無限大の並行世界の中から一つの世界が選ばれた、1169番目の並行世界だ。 れみりゃの願いは次元の壁を超えてそこに根付き、れみりゃ達家族をその世界に引きずり込んだ、勿論さくやも一緒に。 「ううう~♪……おっきいこーまかんだどぉ~☆~……むにゃむにゃ……」 「うっ~、さくやぷでぃん……おっきいぷでぃん~、う~……」 「ゆゆ……おじょうさま……それはぐんぐにるではなくきのぼうですわ……ぅ……」 れみりゃとさくやは次元の壁を越えた事には気付かず、2時間ほどゆっくりと眠りを貪った。 そして最初に目覚めた親れみりゃはゆっくりと伸びをし、人間ならば鼻のあるあたりをぴくぴく動かし、ゆっくりの臭いを探った。 近くに少なく見積もっても20はあまあまがいる、でぃなーの時間だ。 「うっう~☆れみぃのちびちゃんおきるど、あまあまでぃなーがちかくにあるどぉ~♪」 「うっ!あまあまがあるどぉ?たべにいくどぉ♪」 「いくどぉ~♪」 れみりゃは高い再生力を維持するため、必要とする栄養の量も他のゆっくりよりも多いのだ。 特に赤れみりゃや子れみりゃは常に腹ペコで小さな体に似合わず、際限なく食べる事ができる。 子れみりゃや赤れみりゃも、20匹も食べればしばらくはゆっくりできるだろう。 親れみりゃはさくやを抱え子供たちを連れて、ゆっくりの臭いをたどりながらのんびりとでぃなーの場に向かうのであった。
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夢の跡 秋冬期の間、厳しい寒さに襲われる幻想郷。 「ざむいどぉぉぉぉ……うう~、おぜうさまはさむいのいやだどぅ~」 それは、他種から恐れられ、ゆっくり食物連鎖の頂点に位置するれみりゃ種とて例外ではない。 「あったかいべっどがほしいど~!さくやー!さくやー!」 この若いれみりゃは、今までたった一匹で気ままに暮らしてきた。家族や従者や仲間はいなかった。 れみりゃにとってこれが初めての冬となるのだが、その肉饅に刻まれた越冬に関する記憶はというと、 ”さむくなったらさくやにめいじてだんろにひをいれさせるんだっどぅ~” ”しろいのふってきたらこーまかんからでないでゆっくりすごすどぅ~” まったく役立たずの代物だった。 冬が近づき、困窮したれみりゃは森を出て人間の里を目指した。 「さくやがぐずぐずしてるからいけないんだっどぅー! しかたがないから、おぜうさまをうやまうにんげんにたすけさせてあげるどぅ!」 うっうーうあうあ☆とご機嫌で進むおぜうさま(自称)だった。 「うう?」 まだ人里からはかなり離れたところ、森の中にぽっかりと開けた広場で、 れみりゃはとても素晴らしい”こーまかん”を見つけた。 周囲に高い竹垣を巡らせ、その中心に立派なお屋敷が立っているのだ。 「すっごいどぅ~!!おぜうさまにふさわしいおやしきだっどぅ~!!」 れみりゃは喜び勇んでその建物に走り寄った。 「うっうー☆おぜうさまだっどぅー☆あけるどぅ~!!」 ちなみにこの時れみりゃの脳内では、 こーまかん→おぜうさま☆のおなり!→もんばんのおでむかえ→さくやのぷっでぃん!→えれがんとなひととき という、まったくありえない妄想が渦を巻いている。 「もんばんはなにしてるどー!おぜうさまをまたせるなんてふとどきだっどぅ~! たーべちゃーうどー!!」 吹き募る風の冷たさに震えながら、だみ声を張り上げるれみりゃ。 やがてその声を聞いて、竹垣の一部、格子戸になっている部分が開いた。 現れたのは人間だった。 「ちくしょう冷える……なんだ、ゆっくりか。わざわざ歩かせやがって」 「はやくあけるどー! こーまかんのもんばんは、さむくてもおそとでたいきだっどぅ~!! おぜうさまをうやうやしくでむかえるぎむがあるどぅ~☆」 もちろん人間は安易に格子戸を開けたりはしない。 「うるさい、帰れ」 「なんでだどーーー!!??おぜうさまをはやくおやしきにいれるどー!!」 * * * * ゆっくり飼育畜舎『紅魔館』。 それは要するに、ゆっくり達をゆっくりさせるための家畜小屋、 ゆっくりの言葉で言えばゆっくりぷれいすのことだ。 愛好家が自分の所有するゆっくりをゆっくりさせるための商品として、 他のゆっくり関連商品とともになかなかの人気を誇っている。 俺は今、その新商品の試用のためにここに住まわされて三日になる。 この”紅魔館”、外見はとても美しい。軽石を着色して模造した赤煉瓦としっかりとした建材で出来ていて、 今までの畜舎とは比べ物にならないほど立派だ。 しかし、 「うおお……寒い……寒い……」 所詮はゆっくり用の簡素な建築物である。飼い主の視線がきちんと通るように設計されているため、 風通しが良すぎて冬はとても寒い。野ざらしよりは遙かにましだが、人間の住む場所ではない。 「なんで俺がこんな思いをせにゃならんのだ…」 * * * * 締め出されたれみりゃは、全く的外れな怒りに燃えた。 「ううー!くーでたーだどー!? おぜうさまをはいせきするつもりだどー!?ゆるさないっどぅ!!」 怒りにまかせて、竹垣に突進するれみりゃ。 「うあうあ!!うー☆」 ざく。 「うぎゃあああああ!!!???」 竹垣に仕込まれた、斜切り竹がれみりゃの表皮を切り刻む。 「いだいどおおお!!!いだいどおおお!!!」 転げまわるれみりゃ。 それから三度ほど竹垣に撃退された後、飛行して竹垣を乗り越えればいいということにれみりゃは気づいた。 「うっうー☆おぜうさまはえれがんとにはばたくどぅー!! いっくどぅぅぅ☆」 しかし竹垣は高い。”紅魔館”を「何から」撃退するために作られたのか?それを考えれば当然だった。 「うー…うー…… もーだめだどぅぅぅぅ!!」 ぼてん。力を使い果たして、もといた地面に落ちるれみりゃ。 「うー!うー!」 ぼてん。 「うぅぅぅぅ!!!!!」 ぼてん。ごろごろごろ…… 「どーじてだめなんだどぅぅぅ!!!!」 これも何度挑戦しても駄目だったので、そのうちれみりゃは疲れて眠ってしまった。 * * * * 「あう……?」 太陽がまぶしくてれみりゃは目を醒ました。いつもそうだ。快適でない野外での睡眠はすぐに妨げられる。 「う……う……」 目の前には竹垣と立派な住居。自分が入ることの出来ない、自分の城。 「れみりゃの……こーまかん……」 身寄りがなく、家を持たないれみりゃはずっとみじめだった。 それが”みじめさ”と気づくことさえ無いまま、れみりゃはその感情にさいなまれてきた。 ”自分の紅魔館”と思えるその建物を目にした今では、その感情は今までよりもずっと強くれみりゃを傷付ける。 「うわああああああんんんんん!!!! ざくやーーーーー!!!ざくやーーーーーー!!!」 れみりゃは泣いた。泣いて、いつもと同じように手を差し伸べるものもないまま泣き止んだあと、 れみりゃの胸にはある決心が芽生えていた。 「ううう……このおぜうさまが、じきじきにこーまかんをとりもどしてやるどぅ……! おぜうさまは、つよいんだっどぅ……!!」 れみりゃは断腸の思いで紅魔館の敷地――森の広場から離れた。 向かった先は、ゆっくりの住む森の奥深くだった。腹が減っては戦はできぬ、というわけだ。 「ぎゃおー☆たーべちゃーうどぉー☆」 「やめてね!!ゆっぐりざぜてね!!」 「だめだどぅ♪おぜうさまのえいようになって、こーまかんふっこーのいしずえとなるんだどぅ♪」 逃げるゆっくりを捕らえ、むしゃむしゃと食べるれみりゃ。少しだけ元気が戻ってきた。 「むきゅん!!ぱちゅはしにたくないわ!なんでもするからゆっくりたすけてね!!」 「やっだどぅ~☆むらさきのはめずらし~んだどぅ☆でざーとにするどぅ♪」 他のゆっくりよりも緩慢な動作で跳ねるぱちゅりぃ種を、とどめをささずに追い回すれみりゃ。 「ぎゃお~♪ぎゃお~♪」 「むきゅん!むきゅん!」 その時ふと、名案がれみりゃの頭をよぎった。 「うあ☆いいことかんがえたどぅ☆ おぜうさまはぱっちぇをとくべつにゆるしてあげるどぅ!」 ぱちゅりぃをつまみあげる。 「む、むきゅ?」 「こーまかんをとりもどすのをてつだってほしいんだどぅ!」 れみりゃと、れみりゃの参謀となったぱちゅりぃはさらに森の奥へと進んだ。 善良そうなれいむやちぇんの群れを見つけては、れみりゃの力を後ろ盾に仲間に引き入れる。 ぱちゅりぃ曰く、「すてごまはいくらあってもこまらないのよ、むきゅ!」らしい。 三日のうちに、総勢十二体もの群れとなった。 「あのぶれいものに、めにものみせてくれるどぅ!!」 れみりゃの瞳には光が輝いていた。今までのように一人ではない、その暖かさも嬉しかった。 それからさらに一週間、ぱちゅりぃの要望どおりの軍勢を整えたれみりゃは、再びあの広場へと進路をとった。 「れみりゃのこーまかんはぁ、こーんなにひろくってぇ~、ほかのゆっくりのおうちより、 なんばいもなんばいもすてきなんだっどぅ~☆」 「むきゅ!それはたのしみね!」 「ゆっくりできるよ!」 「ごーじゃすなんだねわかるよー!」 れみりゃはゆっくり達にに請け合う。 「こーまかんをとりもどして、みんなでえれがんとにすごすんだっどぅ~!!」 「むっきゅん!」 「ゆゆー!」 「わかるよー!」 いつか一人で歩いた道を、今度はたくさんの仲間と歩く。 ぱちゅりぃの作戦と、充分な人員。そしてれみりゃのかりすま☆で紅魔館を奪回するという希望が、 れみりゃの足を速めた。もうすぐそこは森の広場だ。れみりゃは群れを率いて、一番にその場所へと到達した。 肉饅の記憶にも、いまだ鮮明に残るその場所。 「うあ?」 その場所には、なにもなかった。ただ、竹垣の残骸と思しき木や竹の屑がまばらに散らばり、 紅魔館のあった場所とおなじ広さの空き地が広がるばかりだった。 「お、お、お、おかしいどぅ………」 この数日のうちに、れみりゃが憧れ、また、自分の住居と勝手に思い込んだ紅魔館は、 実はすでに試用段階を終えて取り崩され、ばらばらの資材となって村の専門店へと送られていたのだ。 「こーまかんが、なくなっちゃったどぅ~!!!!」 れみりゃは混乱した。 「む、むきゅー!もっとくわしくせつめいして!!」 後からきたぱちゅりぃも、れみりゃの言う事を完全に理解することができず、途方に暮れる。 「どういうこと!?れいむにゆっくりせつめいしてね!?」 「わからないよー!?わからないよー!?」 「こーまかんがあったのに、なくなっちゃったんだどぅぅぅぅぅ!!!!」 まったく要領を得ないれみりゃの説明と、なにもない広場。 ゆっくり達も、ゆっくりなりに状況を覚り始める。 「れいむをだましたね!!ゆっくりできないれみりゃとはいっしょにいられないよ!!おうちかえる!!」 「うそつきなんだねわかるよー」 「ちがうんだどぅ!!ちがうんだどぅぅぅぅ!!! ほんとにあったんだどぅぅぅぅ!!??れみりゃのこーまかんんんんん!!!!!」 太陽の下、森の広場でれみりゃは眠る。 あるものは去り、あるものは激昂したれみりゃに叩き潰された、悲しい夢の跡は静寂に包まれている。 吹き抜ける冬の先触れはまた一段と厳しさを増したようだ。 ぱちゅりぃはれみりゃの寝顔を見守っていた。 「なにがなんだかわからないけど、とんだむだぼねだったわ、むきゅ」 その”なんだかわからないこと”のおかげで、れみりゃに食べられるはずのところを救われた自分がいて、 すべてを失ったれみりゃがいる。 それは自分にとっては大変な幸運であるはずなのに、なぜか、とても悲しかった。 ”なんだかわからないこと”。 それは、いつも空の上から自分たちを見ていて、好きなときに自分たちからすべてを奪っていくのだ。 「それじゃ、わたしもにげるわね。 たすけてくれてありがと、れみぃ。さよなら。げんきでね」 ぱちゅりぃはれみりゃを起こさないように小声で呟くと、冬を越すためのおうちを探して何処かへと跳ねていった。 おしまい。 書いた人:”ゆ虐の友”従業員 このSSに感想を付ける
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前 音を立てないように戸を引く。僅かな隙間から覗こうとしたものの、覗く前から何となく状況は 読めた。 「う゛――――――! あがぢゃん、れみりゃのあがぢゃん! げんぎだずんだどー!」 ホントに喚いていた。 簡単な想像をすれば、騒いでから誰も居ないことに気づいて、何故自分が怒鳴っていたのかを思 い出した、というところだろう。単純な思考をめぐらせるだけでこのおぜうさまの行動には理由が 付けられる。犬とか猫よりも格段に行動理念が明確で助かる。 さきほどれいむが騒いでいたのにも気づいていなかったのなら、と俺はガラリと大きく扉を開放 し玄関に侵入する。すぐさま閉めたのは、れいむがこちらに興味を持たないようにするためだ。 「あがぢゃんんん!」 ピクリとも動かないチビれみりゃ。その顔の近くに身体を寄せて、必死に呼びかけている。格好 は差し詰め腕立て伏せをするようなものだ。人間ならば涙を誘う悲愴感に満ちた《御涙頂戴》的な シーンだが、生憎残念なことに主人公はおぜうさま。あっという間に喜劇へと変貌する。 醜いケツと、餓鬼臭く婆婆臭く乳臭くニラ臭い、ともかく臭うようなカボチャパンツを惜しげも なくこちらへ見せ付けている。今にも毒ガスを放出しそうな体勢だ。出来れば惜しんで欲しいもの だが、そんな高尚な行動を取ることは到底出来ないだろう。 ――蹴りたいケツ。 しようと思ったことは直ぐ実行に移す性質(タチ)なのだ。だがおぜうさまはこれから先も諸々 甚振られねばならないので、ひっそりと後ろによって助走なしに蹴り飛ばす。 「うぢゃっ、ぶぶびっ!!」 先ほど外からぶつかった玄関扉に、今度は中からぶつかった。おぜうさま、完全制覇ですよ。お めでとうございます。しかし、『ぶぶびっ』て。そんな叫び声があるとは知らなかった。流石、豚 まんらしい叫びだ。 人間で言えば、確実にムチ打ちになる勢いで顔面から衝突していったおぜうさま。外の世界で、 安全性の実験で自動車を壁にぶつけるというものがあったと記憶しているが、まさにその様に類似 している。ぐしゃんとぶつかって、ばねのように全身が縮み上がり、反発するように跳ねながら、 再び地面とキスをした。そんなに地面が好きなのか。結婚して《にんっしん》でもすればよい。 おぜうさまは地面にキスしたまま起き上がる気配はない。だが、耳をすませば、居間から聞こえ つづけているれいむの《御食事》の音――つまり『うっめ、めっちゃうっめこれ!!』であるが― ―に挟まれて、頻りにうう、ううと唸っている声が聞こえる。半気絶状態なのだろう。それなら都 合がよい。 先ほどおぜうさまを引き摺ってきたときに使った縄を、そこでのたれ死んでいるように横たわっ ているチビれみりゃの首に回す。何とか生きているようだが、おぜうさまと違ってまだ子供だった 所為で、虫の息といってもいい状態だった。あれだけ耳元で汚い豚の鳴き声のような声で騒ぎ立て られても反応が無かったのも納得できる。 だが、この作業は意外にも苦労した。動くはずのない者を縛り上げるのに、どうして苦労するの だと思うかもしれない。 考えてもらいたい。れみりゃの首って何処なんだ? 結局、人間の首のように際どく括れている顔の下あたりに縄を回した。間違っていたら、ぜひと も御教授願いたいところだ、次回以降の教訓にしたいと思う。 チビれみりゃは目も当てられない状態だった。顔の皮は再生過程のままで、じわりと肉汁が垂れ ていた。俺にあれだけ伸ばされて千切られたのだ、仕方ない部分だろう。足と腕に力の欠片も無く 、持ち上げども重力に逆らうことも出来ず垂れ下がるのみだ。表情は苦悶に満ちたものだったが、 ぐずるようにえぐえぐと泣いているようだったので、このあたりは流石《くされみりゃ》と言った ところだ。本物の紅魔館のバカ御嬢も身体だけは丈夫で、頭がよろしくない雰囲気を漂わせている 乳臭い幼女なので、これは大きな共通点なのだろう。だが、瀕死状態であるのは間違いなかった。 さて、猶も気絶しているようなおぜうさまの、ケツの穴あたりをもう一度蹴った。 「んぎゃん!?」 「起きろ、ボケ豚まん」 「ううう……、いだい、いだいど……」 「黙れ。さっさと起きろ」また一蹴り。 「うう……、な、なにずるんだどぉ」 家に連れ込まれた直後には欠片も無かった、弱気な態度で俺に言う。《こーまかんのあるじ》は 影を潜めた。――といっても、ハナからこいつは《あるじ》では無いので、虚構の高腰であったの だが。 「ほら、お前のあかちゃん。元気になったみたいだぞ」 俺はおぜうさまに極上の笑顔(自称)を輝かせて、縄を持った手を高々と掲げる。飛んでいるよ うに周期的に上下させるのも忘れない。 「う? う、うっ、うーー! れみりゃのぷりぢーなあがぢゃんだどー! おにーさん、はやくれ みりゃにわたすんだどー!」 「いいのかい?」 「わたすんだどー! はやくしないど、さぐやにいいづげるどー!」 赤ん坊を自分の腕に抱きたいのはゆっくりも同じなのは良くわかる。だが、首をだらしなく下に 垂らし、動く気配のないチビれみりゃである。先ほどまで、自分が叫んでも反応を見せなかったチ ビれみりゃが、そんな短時間で元気になるはずがないではないか。 「ホラ」 薄笑いを浮かべながら、おぜうさまの足元へチビれみりゃを投げやる。もちろん、首の縄の端は 俺の手の内だ。 「う?」 チビれみりゃが力なく床に転がる。叩きつけられた格好だが、呻き声ひとつ上がらなかった。 「う――――――――――――! あがぢゃん、さっぎはげんぎだっだど――――――!」 あれの何処を見れば元気なのだろうか。もっとも、これは実に予想通りの反応であり、俺は満足 である。 では、次のプランへと移ろうではないか。 おぜうさまがチビれみりゃにすがり付こうとする瞬間に、持っている縄を強く引く。 「うぎゃおお!」 飛び込むような体勢だったおぜうさまは、今日何度目かわからない床への接吻をした。もし俺が チビれみりゃを引っ張らなかったらどうなっていたものか。おそらくおぜうさまは自分の赤ん坊を 自分のキスで潰し殺すところだった。感謝して欲しい。 床に突っ伏しているままだと諸々不都合が生じるので、嫌悪感を我慢しておぜうさまの身体を引 き起こし、服の後ろ側に刀を通し先端を床に突き刺す。身動きをとらせないようにしながらもこれ から起こる事態から目を逸らさせないようにするという、一石二鳥の戦略だ。れみりゃのぜぐぢー なおべべがああと叫んだが、無視、無視。おべべの時点でセクシーさの欠片も無いのではないだろ うか。手と足を前方に放り出して奇妙なまでに正筋を伸ばし、肉汁の涙をだらだらと垂れ流す様は 、見ていても気持ちがいいものだ。 おぜうさまの視線がこちらに向いていることを確認して、縄を揺すり始める。ぐらん、ぐらん。 揺れるチビれみりゃ。 「なにずんだどー!! ぷりぢーなれみりゃのあがぢゃんをはだずんだどーー!!」 はいはい、ぷりちーぷりちー。薄笑いを浮かべて言ってやる。瀕死の肉まんのどこが可愛いのだ ろう。 言葉でおぜうさまをからかっている間に、チビれみりゃは豪快に回転し始める。最初のうちは、 外界の遊園地とかいう一大遊戯施設に備わっている《バイキング》なる乗り物のように、振り子の 動きをしている。徐々にぐるんぐるんと力を込めながら円を描くようにまわす。《観覧車》とかい う乗り物の動きだが、その回転速度は《観覧車》の比ではない。 「う゛っ、ううううううううううううう!!!」 遠心力が(人間で言うところの)首の付け根あたりに負荷されているせいで、気絶していて今ま で何にも反応を示さなかったチビれみりゃが苦悶の表情だ。こいつがどういう仕組みで息をしてい るのかは分からないが、とりあえず息は苦しいと見える。それだけでこの作戦はある程度の成功で ある。これで何の反応も無いのであれば、こいつは呼吸をしていないとも言え、俺の《首探し》の 努力は水泡に帰すのだ。 否、もしかすると、首が千切れてしまう痛みに悶絶しているのかもしれない。だが、そんなこと はどうでもいい。苦しみさえすれば無問題。 「やべでえええええええええ!! あがぢゃんをはだぶびでびえぇええ!!」 五月蝿いので、チビれみりゃの回転中心を少しおぜうさまの方にずらしてやる。勢いをつけて廻 っているチビれみりゃと感動の御対面を果たした。高速で、だが。 チビれみりゃの身体はその衝撃でぐらつき始める。見ればおぜうさまの足元に肉塊が転がってい た。じっくりと視線を其処にあててみると、それはチビれみりゃの足だった。どちらの足か不明で はあるが、足がもげたことだけは明らかだ。脆いものだ。 「ああああああああああああああ゛!! はやぐっ、はやぐやびぇどぅんだどおおおおおおおお! !」 回転は秒速一回転を越しそうになったそのときだった。 『ぶぢん』聴いたこともないような鈍い音。 『びしゃああ』何かが弾けるような音。 そして、縄の先端が軽くなった気がした。 「あれまぁ」 時代がかったような呟きは御愛嬌。何せ、縄の結び目には何の影もなかったのだから。 想像通りの結果で恐縮だが、チビれみりゃは退化してしまったのだ。簡単に言えば、《くびもげ 》。遠心力に耐えられなくなったれみりゃの身体は、その力の集結点である縄の結び目、すなわち 首の付け根に集まり崩壊してしまったのだ。 頭の部分を探そうとしたが、此れはあっさりと見つかった。 俺の足元に黒い影があった。持ち上げてみると、頭部だけのゆっくりでいうところの《足》が餡 でぐずぐずになっている。胴体が離れたのだからこうなるのは仕方が無い。 今度は表情を確認する。口はへの字に歪み、目からはチビれみりゃの脳みそである餡が吹き出て いた。眼球はどこかへ吹き飛んだらしい(翌日明るくなってから、天井にへばりついている小さな 油脂の塊をふたつ見つけた)。 最早ゆ、とも、う、とも言わなくなった肉まんである。 反応を示さなくなった肉の塊には興味はない。親であるおぜうさまの許に放り投げてやった。 ぐしゃり、と言って床に臥したチビれみりゃだった物は、衝撃に耐え切れず形を変えた。 「う? う、うう……」 騒ぎ始める前に後ろの支え棒を取り外す。切っ先で後頭部に切れ込みが入ったのだが、目の前に 転がった肉の塊に視線を取られて痛みを感じなかったようだ。 「う゛あ゛――――――――――――!! う゛あ゛――――――――――――!! う゛あ゛― ―――――――――――!! でびりゃど、ぶりっぢーなあがぢゃんがあああああああ!!」 おぜうさまは豆大福のような手で持ち上げようとするが、チビれみりゃの頭は既に形を維持する ことすら出来なくなっていたようで、おぜうさまの指の隙間から餡がぼたぼた零れていった。これ では再組成は不可能だ。 「どうぢでええええええええええ!!」 それでも諦めきれないのか、おぜうさまは何度も何度も我が子を抱きとめようとする。必死な姿 は人間であれば涙を誘う。しかし、これで二回目になるが、ゆっくりが必死になったところで生み 出されるものは喜劇の台本でしかない。おぜうさまの叫びはファンファーレのようだ。 どれくらいの間そうしていただろうか。辛うじて残っていた皮は餡と一体化しており、その餡も バラバラになっている。山の形に盛ることすら出来ないほどに解れてしまった餡は、チビれみりゃ の絶命を如実に示していた。 「ううううああああああああ!! あがぢゃん、どうぢでぢんだんだどおおおおおお!! どうぢ でだんだどおおおおおおおお!!」 慟哭。そう称するに相応しい絶叫。最も、何度も言うことだが、主人公がおぜうさまなので、喜 劇なのには変わりが無い。 「あがぢゃああああああああああああああああ!!」 止まらない肉汁の涙。口からも零れているが、そんなことも気にする素振りがない。仰向けにな ってじたばたと動きながら、俺の足元で駄々を捏ねるように喚いている。おぜうさまの品格の欠片 もなく、ただ喚くだけの肉饅頭。ただ、我が子の死を嘆いている。 「あがぢゃああん……。ううううううあああああああああ……」 うつ伏せに向きを変え、しゃくり上げるように泣くおぜうさま。慟哭は弱まってきたが、肉汁の 涙を止まるところを知らない。 「うう…、あああ……。……」 大人しくなってきた気がする。おぜうさまの顔の近くに耳を持っていく。 「ぅぅ……。zzz….」 寝やがった。 身体を丸く屈めて、何かから自らを防御するような格好を取ったまま動かない。泣き疲れたにし ても、寝てしまうのは早すぎやしないだろうか。 もう少し様子を見ようと思って眺めてみたが、全く動く素振りもない。動いているのはおぜうさ まの背中くらいのもので、穏やかな上下動を繰り返している。 これは安眠状態に入り込んでいるとみても問題は無さそうだ。 一分もしないくらいで、自分の子供が死んだことも忘れて、穏やかな眠りの世界に飛び込んでい けるとは、流石餡子脳。その他のゆっくりと違って小豆の餡ではなく肉まんであるゆっくりれみり ゃ種だが、この肉餡は小豆餡よりもバカらしい。『うあー、うあー』とか『たべちゃうどー』が会 話の大半を占めていることでも大方の予想は付いていたが、ここまで来ると呆れる。呆れ果てる。 開いた口が塞がらないとは、当にこのことだ。 「zzz」 餡子脳には解からないだろうと思う速度で体勢を仰向けに変えてやる。 「zzz」 思わず、噴出すかと思った。 おぜうさまの寝顔は、よくゆっくりが《すっきり》している真只中で見せるという《アヘ顔》で あった。肉汁を口の端からだらだらと零して、目はすっかりへの字になり、蛙がへばりついている 状態を裏側からみたような体勢だ。気の緩みは全身から溢れんばかりで、油断も隙も全く無い。 黒い感情が頭を擡げてくるのは、時間の問題だった。 深呼吸をひとつ。右足を高く上げて――。 「うぎゃおおおおおおおお!!」 腹のど真ん中を踏みつけてあげる。 おぜうさまは嬌声をあげてもんどりうちながら玄関を這い回る。その姿はさながらスリッパのよ うなもので潰されながらも致命傷には至らなかったリグル――もとい、御器齧(ごきぶり)のよう だった。 悶え狂っている状態のおぜうさまは、先ほどまで必死に蘇生させようとしていた(といっても気 休めにもならない状態だったが)チビれみりゃの上を何往復もしていたことは気づかなかった。そ もそもおぜうさまの《処置》を受けた段階で絶命していたので、当のチビれみりゃは痛くもかゆく もなかっただろう。せめてもの救いだった。 「う゛―――――――――――――――――――!!! 嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼 嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼 嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!」 十分にビブラートを利かせた絶叫は喧しいことこの上ない。黙れの意味を込めて後頭部を蹴飛ば したが、火に油を注ぎこむどころか、火に油をぶちまけることになった。想定内なので問題ないが 、このおぜうさまは本当に俺の期待を裏切らない躍進を遂げてくれる。 「ホラ、立て。この糞肉饅頭」 「うううう!! うぞづぎ!! うぞづぐやづはざぐやにごろざれどぅんだどーーー!!」 鼻水をだらだら零しながら(おぜうさまはあらゆる場所から汁を零すんだなあ、と感心する)俺 に殴りかかろうとする。 ――はて。 「俺、何か嘘吐いたっけ?」 「れびじゃどあがぢゃ、がえぢでくでどぅんぢゃーーー!!」 文章として成立している雰囲気が全くない。おぜうさまの態度で辛うじて、俺がチビれみりゃを 美辞におぜうさまの許に返す約束をしていたのだが、その約束を破ったから《ざぐや》とやらに殺 られるらしい。 それは敵わないということで、俺はややも、反省タイム。 一秒。 二秒。 ――。 ――――。 ――――――――。 ポクポクポクポク――――。 チーン。 「んな約束してねーだろーが!!」 間違いない。遡っても、俺の口から『返してあげるよ』なーんてことは一言も言っていない。 「れびりゃどあがぢゃ!! ゆっぐりじねえええええええ!!」 《ん》の発音は鼻づまりのせいで全く聞き取れなくなった。それでもおぜうさまはゆっくりふらん の真似事をするように、俺に体当たりを仕掛けようと駆け出した。 どて、どて、どて……。 何とも重たい足音を響かせて近づいてくるおぜうさま。《亀よーりぃ、おーそーい、おぜうーさ ぁまー♪》と童謡『こいのぼり』の音階に替え歌をつけて歌いたくなる。 だが。 「そーれい!」 俺の手には得物があるということを失念されては困るのだ。 「うう゛!?」 おぜうさまはくぐもった声を上げた途端、急に身長が縮んだ。およそ、先ほどの半分になった。 「あああああああああああああ!! れみりゃのがもじがどよーだあじど、くびでだうえずどがあ ああああああ!!!」 自分の身体と顔を鏡で凝視したことがないということは、酷くかわいそうなことなのだ、と此処 にきて俺は痛感した。おぜうさまの腰の何処がくびれていて、おぜうさまの足の何処がほっそりと しているのだろうか。 俺は走ってくるおぜうさまの脇に素早く(一歩分しか動いていないが、それでも充分だった)寄 ると、支い棒代わりだった刀を横にして構えた。ただ構えていたところに、予想通りの動きでどて どておぜうさまがゴールテープを切る要領で突っ込んできた。 その結果がこれだよ。 おぜうさまは(人間で言うところの)臍のあたりから身体がぱっかりと分かれてしまった。外の 世界では超高性能の医療器具としてMRIというものがあるが、そのようになった。つまりはおぜうさまの肉体断面図を作ったようになっているのだ。 MRIは俺も幻想郷で一度だけお目にかかったことがある。何でも香霖堂に流れ着いたところを永遠亭の女医が河童のサポートの下医療器具として設置したそうだ。河童のにとりがMRIを知っていたことにも驚いたが、今MRI技師として活躍しているのは輝夜姫その人だそうだ。あのニートがよく働き口を見出したと思う。 まあ、そんなことはどうでも良い。 おぜうさまは、まだ自分の身に何が起こったのか理解できていないようだ。腰の切り口で床に起 立し、きょとんと正面を見据えている。下半身は肉汁を零しながら無残に倒れている。 五秒ほど経過しただろうか。 「う、うううう、うううううううううううううううううううううううううううううううううううう うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう うううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!! ??????」 超絶的大絶叫。 腰の切り口が只ならぬ安定感を維持しているため、おぜうさまが手をばたばた振ってもなかなか 倒れない。この様は、さながら《太陽の塔》のようだった。 「うううあああああああ!! いだいいいい゛!! だずげでえええええええええええ!!」 コツを掴んだのか、周期的な腕の振り方を初めて五秒ほど経って、おぜうさまは顔面から倒れた 。必死すぎた腕の振りを止められなかったが、右腕は辛うじて床に付く事ができた。それでも頭が 重すぎるがゆえに、おぜうさまの右腕はひしゃげてしまった。人間で言えば複雑骨折をしてしまっ たようにくしゃくしゃになった。 「うぎゃああああああああ!! いだあああいいどおお、いだいどおおおおおおおお!!」 今更ながら、よくぞ餡子と皮だけの構造で痛覚神経を構成しているものだと感動を覚える。右腕 を抱え、かつ下半身に断続する痛みに耐えている。口からは相変わらず肉汁を垂らしているが、此 処にきてついに頭部に込められている餡が零れ始めた。どうやら、先は長くなさそうだ。 「いだいどお……」 声が小さくなってきた。この体勢では(表情が見えなくて面白くないから)まずいので 仰向けになおす。 「だず、げでええ。いだいんだどおおぉぉぉ……」 そりゃあ、痛いだろう。腕がぐちゃぐちゃになって、胴から下を失っている。だが、切り口から 餡が零れ出ている気配がない。俺の一刀両断が良かったのだろう。 俺はひとついいことを思いついたので、暫し玄関を離れる。背後からは声量をだいぶ落としたお ぜうさまの叫びが聞こえているが、餡子が漏れてこない限り、失餡子死はありえない。ゆっくりふ らんではないため、自殺することもないだろう。 向かった先は前の物置。香霖堂から大量の食器を買ったときに、運搬用にと使ったダンボールが あったはずだ。 探すと、折りたたんだ状態の大きなものが四つあった。これなら巧くいく。 「だずげでぇ……」 ぐじゃぐじゃになった顔をこちらに向けて、激痛に喘いでいる。やはり餡子は出てこない。これ くらいなら、後で水溶き片栗粉か何かで応急処置をして、それが馴染んでくれば痛みは感じなくな るだろう。しかし、腕は切断処理しかないだろう。あんなにぐちゃぐちゃの腕を再生させる術は無 い。 いや、違う。おぜうさまには再生能力があるはずだ。このままでは腕はおろか、下半身まで再生 されかねない。これは予定を変更すべきだろう。 思い立ったが吉日である。 ダンボールは片隅に放り捨て、俺は台所方面に向かった。 ○ 台所に行く前に、俺は黙祷をせねばなるまい。 その理由は、今話していられるほどの時間がない。おぜうさまの再生を阻止せねばならないのだ 。とりあえず、気持ちの全くこもらない黙祷を捧げた。 ○ 材料は辛うじて揃えられた。今から治療されるおぜうさまのガキのせいで台所がぐちゃぐちゃに なっていたことを失念していたのだ。 硝子鉢も小さなものは全て割れていた。饅頭の体当たりごときで扉が開いてしまうとは全く思っ ていなかった。食器と共に台所のセット一式も仕入れねばならなくなってしまったのは、かなり腹 立たしいことである。 粉も撒き散らされていたので、床に散らばっているものをかき集めて、どうにか使用できるほど の分量になった。 さて、おぜうさまの様子は。玄関扉を完全に開け放した。 風雲急を告げる、とまではいかないものの、それでもゆっくりしてはいけない状況である。 腕は再生が始まっており、既に二の腕の半分が形成されていた。腰より下は全く再生されていなかったのには安堵した。 「うううああああ……」 泣きは収まりかけていた。耳栓の代わりに鼻紙を耳に詰め込んだが、然程意味は無かった。大き な身体の痙攣も見られない。身体は脆いわりに生命は丈夫である。下半身はただの肉の塊になって いる。てっきり此方側も上半身が再生して二人になるものかと思っていたが、そうではなく頭の残 っている方のみが再生するようだ。蜥蜴の尻尾と同じらしい。 泣き続けているおぜうさまの腕をとり、水で溶かした粉に《隠し味》を合わせたものを塗りたく って包帯をきつく巻いた。麻酔剤のようなものを持っていればより項が得られそうなものだが、生 憎ここは永遠亭ではない。そこの辺りは我慢だ。 「うう……。う、うう?」 胴体で直立して、きょとんと俺を見つめるおぜうさま。その(本人曰く)つぶらな瞳は潰してや るか抉り取ってやりたいものだ。 「うう!! いだぐなぐなっだどー!! もうへーきだどー!!」 それは良かったな、と俺は青筋を立てる。その視線に気づくわけもないおぜうさまはさらに続け て、 「うーうー! はやぐぶっでぃーんもっでぐるんだどー!」 また!? 「お前、もう忘れたのか? ウチにプリンはな」 「ぶっでぃーんだどー! ぶっでぃーんをはやぐよごずんだどー!!」 「話を聞きやがれ!!」 「ぶぎゃっ!?」 折角半殺しで止めてやったが、もう飽きた。このバカに付き合うのは。チルノの話に付き合って いるよりも面倒だ。 今蹴飛ばしたのは、顔面。丁度(人間で言えば)鼻の辺り。後頭部を床にぶつけ、すぐさま背中 を打ちつけて飛んでいく。地獄車になったおぜうさまは、逆立ちの状態で玄関扉に直撃した。 しかし、倒れてこない。 不思議に思った俺は近づいてみる。 もう、おぜうさまは絶命していた。 身体の幅が二倍になっている。扉にへばりつくようになったおぜうさまは、くっついたまま落ち てこない。完全に床と同化してしまったように見える。 腰の部分を指で掬うが、ねっとりと脂っぽいおぜうさまの身体は、平面的にこびりついている。 床に近い、頭の方を見てみる。こちらはさらに惨劇だ。頭はえびせんべいのように薄く広がって いる。やはり中身の詰まっていない頭であったのだろう、餡子は漏れ出ていなかったが、顔面が顔 面の体裁をたしていない。 完全に絶命し、家には静寂が訪れた。 本当は、傷口の処理に使った粉の《つなぎ》として、チビれみりゃを使ったことを教えてから殺 したかったのだが、こうなっては仕方が無い。 ○ おぜうさまとチビれみりゃの残骸を処理して居間を通過し台所に戻った。 瓦斯台(これもにとりちゃんの御蔭)の下からは濛々とした湯気が立っている。火は先ほど消し てある。 まさかこんなことになるとは思っていなかった。扉を完全に閉めていればよかったのかもしれな いが、後の祭りとはまさにこのこと。 おぜうさま関係の作業に余裕があると踏んでいた俺は、熱いお茶を飲もうと湯を沸かしていた。 その間にでもれいむはまりさを食べ終わって、それこそゆっくりしていると思っていた。それは先 ほどおれにおぜうさまがどうしていたのか教えてくれたことから、ほぼ改心していたと思い込んで いた。 しかし違った。所詮ゆっくりはゆっくりであり、人間の家はすべて見つけたゆっくりのもの、と 言う考えは捨てていなかった。 ここからは俺の予想である。 まりさをすべて食べつくしたれいむは、俺がスキマを作っていた扉の隙間をすり抜けて台所へ突 入した。そこはおぜうさまの暴虐の残骸が充分のこっていたが、然して気にしていなかったのだろ う。最初はゆっくりとしていたらしい。床の一箇所に食べ残した餡子が零れていた。 その後、れいむは興味をそそられるものを見つけた。見つけてしまった。 それは、俺が瓦斯台に掛けていた薬缶である。これはかなりの大柄なもので、作り置きの茶をつ くるのには最適なものだった。 たまたまおぜうさまが遊んでいた踏み台を使って、俺は吊棚から薬缶を取り出し、その踏み台を 放たらかしにしていたのだ。それを使ってれいむは瓦斯台の手前に攀じ登った。 この薬缶は、湯が沸いたことを報せる汽笛のような装置が付いていた。れいむはこの音に驚いた のだろう。我が家の玄関扉は防音性に優れており、この音を聞くことは無かった。 れいむは必死になってこの音の正体を見破ろうとして、バカなことをした。薬缶へ体当たりを繰 り出した。 金属製の薬缶は、饅頭のれいむの皮膚をくっつけた。 あつい、あっつい!! れいむの叫びは俺には聞こえるわけもない。 顔をくっつけたまま暴れてしまったのだろう、れいむはバランスを崩した薬缶ごと床に落ちてい く。お湯はその衝撃で少し漏れてしまった。お湯はれいむの川を薬缶から剥がした。それはれいむ を薬缶の熱さから解放するに充分だったが、その所為で確実にれいむの寿命は縮まった。 れいむは床に背中から落ちた。衝撃が大きかったのだ。身動きは取れなかった。 その上から、蓋の開き落ちた薬缶がれいむに蓋をした。 熱湯を浴び、その上からもうもうとした熱風を込めた薬缶が体を覆う。 俺が薬缶を持ち上げたその中で、れいむは蒸し餡饅の出来損ないになっていた。 皮はぐずぐず。餡子も溶け出しており、手で持つことは出来なかった。 俺は包丁二本でかき集め、まりさの帽子を入れておいたコンポストに投げ入れた。 本当は数年間の範囲で苛め倒すつもりだったが、そう巧くはいかない。だが、蒸し煮されるとい う貴重な経験をして死んでいったれいむの苦しみは、俺の気持ちを晴らすに充分だった。 これから、どんなゆっくりがここに来るか、今から考えるだけでも楽しみだ。 ※あとがき この「ゆっくりいじめスレ」には初めての投稿になります。 PNは決めておりませんでしたが、とりあえず『春巻』と名乗ります。 元々は「幻想郷のキャラをいじめるスレ」に投稿しておりました。 作品は後で下に記しますが、ゆっくりいじめ自体はこれが2作品目です。ほとんどの作品がゆっ くりいじめではないので、ゆっくりのWikiには、1作品しかないでしょうけど。 ですが、これ以降ゆっくりいじめ、幻想郷キャラいじめ小説は書きません。もう時間が取れない ので、残念ですが引退いたします。後はROM専で失礼します。 これからも、ゆっくりがいじめられ、虐待され、虐殺される世界でありつづけることを祈って、 最後の挨拶といたします。 ここまで拝読まことにありがとうございました。 春巻 ※過去の作品(ゆっくりいじめ以外も含む) 春巻リリーホワイト 2作品 すわこちゃんの歯磨き 放置プレイ(因幡てゐいじめ) 豊穣を祈れ ~傲岸不遜たる秋姉妹へのディリジョン~ 迷子の迷子のかえるちゃん(すわこたんいじめ) 胡瓜と人参の悪夢(因幡てゐ・河城にとりいじめ) 因幡てゐVS.ゆっくりれーせん このSSに感想を付ける