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現代もの ゲス、レイパー、ドス バッジ設定あり 俺設定 虐待分薄め? 「ゆっくりの失踪事件、ですか?」 渡された資料に目を通しながら、俺は編集長に言った。 都内にある、とある出版社の編集部。俺はここでゆっくりの総合雑誌である『月刊ゆっく り』の作成に携わっている。 ゆっくりの生態から飼い方、取引価格の相場に法改正の動き、愛でに虐待と何でもござれ の雑誌だ。愛でと虐待のページがそれぞれを好む読者への配慮として閉じられているため、 全体の半分が袋とじという妙な外見となっている。 五十代も半ばを過ぎた上司は、かけた眼鏡を押し上げてから俺の言葉に頷いた。 「ペットの盗難事件じゃ……ないようですね」 最初に考えたのはそれだ。 希少種や有名なブリーダーのしつけを受けたゆっくりは高値で取引される。それを狙った 犯行がかつて流行ったが、労力の割りに合わなかったのか、すぐに下火になった。 現在起こっているゆっくりの盗難は極端な虐待派か、極端な愛で派のどちらかというのが 実際のところだ。 今回もそんなところだろうと思ったが、資料によると被害を受けているのは―― 「失踪しているのは野良が大半だ。飼いゆっくりのケースもあるが、報告は少ない。 加工所の野良対策部からの情報が23件、飼い主からの情報が5件だ」 「……これ記事にする価値、あるんですか?」 俺はそう言わずにはいられなかった。ゆっくりが、特に野良がいなくなることなど珍しく も何ともない。 現代日本に突如として現れた謎の動く饅頭、ゆっくり。奴らは生物として、種として、異 常と言えるほどに弱い。 他の動物に食料にされ、池や川に落ち、車に轢かれ、辛味を食して中身を吐き、人間に潰 される。 今回もどうせ人目につかないところで死んだのだろう。 しかし編集長は、そんな俺の考えを見通したかのように言った。 「ただ死んだのならば無いだろう。だが死んだのではなく『いなくなった』のだ。 仲間であるゆっくりの目の前で、忽然と消えたらしい。 飼いゆっくりの方は、飼い主が直接目にしたケースが無いから何とも言えないが……」 言うなれば、ゆっくりの神隠しか。俺はこの件に興味を持った。 どこから来たのか解らず、言葉を話し、中身は餡子。そんな不思議ナマモノに、新たな不 思議が加わるかもしれない。 子供のような好奇心に感情を揺らされ、俺は笑みを浮かべていた。 「分かりました、締め切りはいつですか?」 「雲をつかむ様な話だからな、そもそも記事にならないかもしれん。 取りあえず二週間後としておくが、形にならなくても報告はしてくれ」 他の仕事も有るが、終わる目処は付いている。差し当たっての問題は無いだろう。 俺は編集長に頭を下げ、自分のデスクに戻った。 タバコを咥え、火をつけようとすると隣のデスクの同僚から「禁煙です」と言われた。 そんなことは分かってるよ、癖だちくしょうめ。ちょっと前から喫煙所以外では吸えなく なった。世間での流行りらしい。 俺はタバコを箱に戻すと、混沌としたデスクの上を整理し始めた。 結局その日は、資料を読むのと、事件に遭った飼い主に取材のアポを取るので終わってし まった。 ――ゆっくり失踪事件―― 「八雲出版『月刊ゆっくり』のものですが」 2日後、静かな住宅街にある一軒の家の前で、俺はインターホンに向かっていた。 取材に応じてくれた飼い主の一人の家だ。かなり大きな庭付き一戸建てである。裕福な家 庭なのだろう。 ここの夫人はゆっくりれいむを一匹飼っていたが、一月ほど前に失踪したらしい。 機械越しに二、三言葉を交わした後で、飼い主である夫人の案内でリビングに通された。 金をかけている。家の中に入っての第一印象はそれだった。家具はどれも気品漂うものだ。 茶を淹れると言って席を離れようとした夫人に、飼っていたゆっくりの写真は無いか、と 尋ねた。 「それでしたらアルバムが有りますので、持って参ります」 「いえ、一枚だけで結構ですので、なるべく新しいものをお願いします」 あら残念、とばかりに夫人は肩を竦め、リビングから出て行った。 危ないところだった。電話での態度からすると、夫人はれいむを溺愛していたようだった。 アルバムを見ながらの解説付きゆっくり自慢なんてのは堪らない。 「これが、私の飼っていたれいむです」 戻ってきた夫人から差し出された写真には、しつけ度最低を表す銅色のバッジをリボンに 付けた、バスケットボール程のでっぷりと肥え太ったゆっくりれいむが写っていた。 下膨れの身体に、にやけた口元。垂れた目尻に、つり上がった目元。そして撮影者を見下 すような視線。 栄養状態が良かったからか肌のツヤ、髪質は申し分ないものの、間違いないだろう。素人 の金持ちがゆっくりを飼うと、甘やかしてしまって大概はこうなる。こいつはゲスれいむ ――『でいぶ』と呼ばれる存在だ。 出された紅茶を一口飲んでから、俺は本題を切り出した。 「それで、失踪していたゆっくりの話ですが……」 それからが大変だった。よくもここまで舌が回るものだと感心するほど、夫人は飼ってい たれいむについて語り始めた。 自分がどれほどゆっくりを可愛がっていたか。 どれほど可愛かったか。 失踪したことでどれほど自分が悲しんだか。 それらを延々と語った。 「食事は毎日最高級のゆっくりフードを三回、おやつには有名なパティシェ監修のケーキ を与えていましたわ。 それでもグルメなんでしょうね。より美味しい食べ物をねだって来て、その時の眼差し が愛らしくて……」 こちとらコンビニ弁当が主食だというのに、いい身分だ。挙句にそれにさえも満足できな いとか、甘やかすにもほどがある。 「れいむに食べさせるために、評判のお菓子屋を回るのが趣味になってしまいました。 でも可愛いれいむのためですもの、苦労も喜びのうちですわ」 飼い主は嬉々としてやっているし。親バカならぬ飼い主バカだ。仕事柄この手の人間には よく会うが、何度目でもうんざりする。 「部屋はすぐに庭に出れる日当たりの良い二十畳ほどの部屋を与えてあげましたし、庭の 外にも出たいと言うので塀にれいむ用の出入り口を作ってあげました。 とってもきれい好きで、少しでも部屋が汚れるとちゃんと掃除の必要があると伝えて来 ますのよ」 俺の部屋なんてボロアパートの6畳1R……やめよう、これ以上は自分が惨めになる。 それときれい好きなら自分で掃除ぐらいしろと。 「自尊心も強くて、おもちゃで遊んであげようとすると、それは自分のものだと主張して、 小さな身体で必死にじゃれついてきて、本当に可愛らしかったものです。 他にも……」 じゃれてるんじゃなくて、攻撃していたんだろう。れいむが飼い主と自分の立場を理解し ていたとも思えないし。あ、遠い目してる。これは止まらないな。 だが聞きたいのは失踪の瞬間の状況だ。これ以上このマシンガントークに付き合ってはい られない。夫人に目をやると、涙を流して悲しみに嘆いている。俺は気づかれないよう溜 め息をついて、気合を入れるように紅茶を飲み干した。既に冷めてしまっている。 それから何とか夫人を宥め、失踪当時の状況を尋ねたものの、大した情報は得られなかっ た。 その日れいむは昼食を食べるといつものように(午後の日課らしい)家の外に出かけてい ったが、夕食の時間になっても帰らない。飼いゆっくりの証であるバッジには発信機が付 いているため、それを頼りに探したが見つかったのはバッジだけだった。近所の公園に落 ちていたバッジは無理やり外された様子も無く、周囲には何の痕跡も無かった。 そこで夫人は公園に住んでいる野良のゆっくりに尋ねてみたという。 野良ゆっくりたちは、確かにバッジを付けたれいむが来ていたこと。 そのれいむは「自分をゆっくりさせろ」と繰り返し、非常にゆっくりできなかったこと。 現れてしばらくしてから、れいむは突然消えたこと。 以上のようなことを久しぶりの「あまあま」に舌鼓を打っていた野良たちは、食事の邪魔 をされたことに気分を害しながらも餡子まみれの口で答えたらしい。 その野良を命の危険があるところまで叩きながら聞いたというので、間違いは無いだろう。 最初は野良が食べている「あまあま」が、自分の飼いれいむだと思ったらしい(結局ただ の饅頭だったとか。ゆっくり好きの人間が与えたのだろう)。 愛で一辺倒の飼い主かと思ったが、飼いれいむを食われたと勘違いして怒り心頭だったと はいえ、中々ワイルドなことをするものだ。 自身もゆっくりを飼っているのに野良にはそんなことができるのか、とそれとなく言って みたが 「ウチのれいむと薄汚い野良ふぜいを一緒にしないで下さい!」 と烈火のごとく怒られてしまった。藪蛇だったか。 収穫はそれだけだった。結局何も分かっていないに等しい。 その後も何日かけて被害に有った飼い主のうち、アポの取れた人に話を聞いたが、有力な 情報は無かった。 共通点といえば、飼い主は揃って飼いゆっくりを甘やかしていたことぐらいだ。 そして必然的に、その全てが筋金入りのゲスゆっくりだった。ゆっくりに筋も金も無いが。 ある飼い主を訪問したときは、そんなゆっくりのホームビデオを延々と見せられて辟易し たものだ。 食事、部屋、飼い主の対応。ありとあらゆる環境に対して文句を言い、飼い主を罵倒する。 無能だ。この奴隷が。じじい。ばばあ。 貧弱な語彙であらん限りのい悪態をつく。 こんなゲスをよく可愛がれますね、とリニア長野ルートばりの限りなく迂遠な言い方で尋 ねてみたが 「いやあ、この素直じゃないところが可愛くてね。ツンデレっていうやつ? 内心では感謝しているのに口を開けば憎まれ口が出てくるのが良いんだよ」 と根本から理解していないようだった。ダメだこいつ、もうどうにもならない。 「仕方ない……野良をあたるか」 最後に尋ねた飼い主の家を出た後、タバコに火を点けながら俺は呟いた。 報告件数こそ多いものの、野良よりも飼いゆっくりへの調査を優先させてきた。 飼いゆっくりならば話を聞く相手が人間だから、まともな情報が期待できると踏んだのだ が、あてが外れた。 ゆっくりが直接の情報源となると信頼性に欠けるが、連中は失踪の瞬間を目の当たりにし ているのだ。 ペット自慢ばかりで肝心の目撃証言の出ない飼い主を相手にするよりは幾分マシだろう。 取材を始めた時とは正反対の思いを持って、一番近い現場に足を向けた。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「はいはいゆっくり」 俺の目の前には赤リボン饅頭と黒帽子大福。ゆっくりれいむとまりさの番だ。 お決まりの挨拶に、本日5本目となるタバコの煙を吐きながら適当に返した。 ここは団地の中にある公園。ちょっとした林があるため、野生動物が数多く棲む中々良い 場所だ。 目の前の饅頭が大量に住み着いてなければ、だが。 「おじさんはゆっくりできるひと? れいむといっしょにゆっくりしていってね!」 都会に住む野良には珍しく、中々純粋な個体のようだ。 俺は仕事柄相手にする機会が多いが、基本的にゆっくりは好きではない。 生意気だったり、媚びたりする態度が気に入らないし、仕事も当初は政治部を希望してい たのだ。 だがこのれいむを見ていると、少しは考えを改めてもいいかもな、と思う。 「にんげんさんはあまあまをもってきてね! そうしたらまりさがいっしょにゆっくりし てあげるよ!」 前言撤回。やはりゆっくりは嫌いだ。 「ちょっと聞きたいんだが、この辺りで最近突然いなくなったゆっくりっているか?」 ゆっくりでも取材の相手だ。一応の礼儀として、まずは平和的に尋ねる。周囲の目もある し、それで情報が得られれば、それに越したことは無い。 だが短い目で見れば、ゆっくりは暴力で従えた方が良い。どうせこの十数分、一度きりの 関係である。信頼させて情報を引き出すなど非効率的だ。 「じょうほうりょうとしてあまあまをもってきたらおしえてやらないこともないよ!」 人が優しく聞いているのに、いきなり見返りの要求か。やはり饅頭相手に礼など意味のな いものだ。この仕事を始めてからそう思うのは何度目か。それでも一度目は礼儀なんても のを考える俺は、律儀なのか馬鹿なのか。多分、後者だろう。 「はやくしてね! さっさとしてね……ゆぐぐ!?」 「質問に答えろ」 たわ言を抜かしたまりさを踏みつけ、俺は再度尋ねた。相手が無礼を望むならこちらも相 応のやり方をするまでだ。 足もとにれいむが体当たりを仕掛けてきたが、持ち上げて八つ当たり気味に地面に叩きつ けた。 ぴくぴくと痙攣しているし口から餡子が漏れているが、死にはしないだろう。あと30分 ぐらいは。 足もとのまりさがれいむ、れいむと騒がしくなったので踏む力を強めた。 「騒ぐな叫ぶな喚くな。れいむのようになりたくなかったら、聞かれた事に答えろ」 「わがりまじだぁぁぁ! なんでもごだえまずぅぅう!」 だから静かにしろって言ってるだろうが。二度とここを訪れる事は無いだろが、周囲の人 間に白い目で見られるのはやるせない。 一部興奮するような目で見ているもの、同調するような視線を送ってくる者もいるが。 違う。あくまで取材の手段だ。俺に虐待趣味は無い。 「この辺りで、最近突然いなくなったゆっくりはいるか? 事故で死んだとか何処かに行って帰って来なくなったとかじゃなく、他のゆっくりが見 ている前で消えたやつだ」 靴の裏でぐりぐりとまりさをえぐる様にして聞くと、恐怖に導かれてぽつぽつと喋り始め た。 「い、いなくなったのはありすだよ! とってもびじんで、とってもゆっくりしてたよ! みんながありすのことがだいすきで、ごはんやたからものをあげていたよ!」 美ゆっくりなのを利用して、他の野良に貢がせていたのか。中々ゲスなようだ。 「まりさもいつかありすとすっきりして、ゆっくりした赤ちゃんがほしかったよ! ありすはいつも「ゆっくりさせてね」っていっていたから、まりさとの赤ちゃんがいれ ばゆっくりできたはずだよ!」 お前れいむと番じゃなかったのか。浮気か、ありすが失踪したかられいむに乗り換えたの か。どちらにしろ碌な個体じゃないな。 「でもある日いきなりいなくなっちゃったんだよ!」 ありすのおうちにあったごはんやたからものは、みんなでわけたよ! あまあまおいし かったよ! のうこうなかすたーどだったよ!」 野良のくせに甘いものなんて蓄えていたのか。 それもどうせ貢がせたものだろう。 「これだけおしえてあげたんだから、まりさをはなしてね! さっさとはなしてね! お わびにあまあまちょうだいね!」 これ以上はこいつから聞ける情報は無いだろう。そう判断した俺は、目玉にタバコを押し 付けて火を消し、悲鳴をあげるまりさを踏み潰した。 しまったな。殺すつもりまではなかったのだが、ついイラっとしてやってしまった。 周囲には数匹のゆっくりが怯えた表情でこちらを見ている。自分達を害する存在を目の当 たりにして逃げるなり隠れるなりしないのは愚かとしか言いようが無い。 だが、更に情報が欲しい俺には好都合だ。とりあえず友好を示そうと、俺は微笑みながら ゆっくり達に向かって歩いていった。 その後近くに住む他のゆっくりを何匹か尋問してみたが、似たようなことしか聞けなかっ た。 ありすが消える瞬間を見たやつもいたが、まるで役に立たなかった。 目の前で突然消えた、ということを拙い語彙で言うだけだったのだ。 それにしても無礼な饅頭たちだった。人の笑顔を見て、引きつった表情で逃げ出すのだか ら。その結果、公園に餡子の山が出来てしまった。 残ったゆっくりは甘いものが食べられるのだから、感謝してほしいものだ。 そんな事を考えながら、俺は次の現場に向かった。 そうして10余りを回ったところで一旦職場に戻った俺は、頭を抱えていた。 進展は無い。幾つかあった目撃証言も、消えるようにいなくなったという意味のものばか りだ。ゆっくりの言語能力では詳しい説明など無理だったのだ。 俺はデスクで取材のメモを読み返しながら、何か発見はないか、と考えていた。 一匹目。飼い。ゲスれいむ。目撃者は野良。失踪当時、その野良は饅頭を食していた。 二匹目。飼い。れみりゃ。目撃者野良さくや。「じゅーしーなでぃなー」を野良れみりゃ と食していた。 三匹目。飼い。ゲスまりさ。目撃者無し。現場に残ったバッジに餡子が付着していた。 「……ん?」 ふと思い立って、更に読み進める。 四匹目。野良。ありす。貢がせ。目撃者野良れいむ。巣にカスタードの蓄え。 五匹目。野良。ゲスまりさ。目撃者無し。巣に甘味。 六匹目。野良。ゲスまりさ。目撃者野良まりさ。周辺のゲスの憧れ。 「何だこれは……どういうことだ」 七匹目。野良。ドスまりさ。群れを奴隷のように扱う。目撃者群れの多数。巣に大量の甘 味。 八匹目。野良。レイパーありす。目撃者被害者の野良まりさ。 九匹目…………。 …………。 異常だった。失踪したゆっくりのほぼ全てがゲス。それはまだいい。 問題なのは、その現場のほとんどには甘味が関係していること。飼いゆっくりならまだし も、目撃者となった野良にとって甘味は縁遠いものだ。 野良ゆっくりが甘味を手に入れる手段は少ない。最もありえるのは人間から貰うことだが、 事件のほぼ全ての場合で、関係したゆっくりが、しかも愛想の良くない都会の野良が甘味 を受け取っていたなどという偶然があるだろうか。 次に考えられるのは同族食いだが、これはゆっくりの間で禁忌とされている。可能性とし ては低い。 嫌われもののゆっくりが制裁されて食われたということは考えられるが、周囲のゆっくり に好まれていた貢がせありすやゲスの憧れ的存在だったまりさ、他のゆっくりに襲われて も撃退可能なドスなどの場合には可能性は薄くなる。 何か有るのかも知れない。俺は席を立った。 次の現場ではれいむが失踪していたが、やはりゲスで、失踪後発見した甘味を周囲の仲間 で食べたという。それはいなくなったれいむだったんじゃないか、と直接の目撃者のゆっ くりを含め、身体に聞いたが否定された。 その後さらに幾つかの現場で同じ事をしたが、結果は変わらなかった。 それに、最初に訪問した飼い主は、自分の目で、目撃した野良がゆっくりではない只の饅 頭を食していたことを確かめている。 やはり同族食いではないと考えるべきだろう。 俺はもう一度メモに目を通した。 れいむの場合は饅頭。おそらく中身は餡子だろう。 れみりゃは「じゅーしーなでぃなー」。おそらく調理された肉。 まりさは餡子。 ありすはカスタード。 現場に残っていた、目撃者である野良が食べていたものは、どれも『失踪したゆっくりの 中身』だ。ほぼ間違いなく、失踪ゆっくりは目撃ゆっくりに食われてしまったのだろう。 しかし目撃ゆっくりは同族を食べていない。いや、『食べたと思っていない』。彼らが食 べたのは『ただの饅頭』、もしくはその中身だ。 目撃ゆっくりは失踪ゆっくりを食べた。 しかし同族食いを認識していない。 目撃ゆっくりが食べたのは失踪ゆっくりの中身もしくは饅頭。 失踪ゆっくりは消えるようにいなくなった。 つまり―― 「ゆっくりがただの饅頭になった……?」 ゆっくりは飾りで互いを識別する。親子でもなければ、目の前で飾りが外されても、それ が誰だか分からなくなってしまう。 もっとも識別が出来ないだけで、「ゆっくりできないゆっくり」とは認識できるのだが。 もしも別のゆっくりが飾りのない、目も口も髪も無い「ただの饅頭」に突如変化してしま ったら、その瞬間を実際に見ていたとしても、ゆっくりが消えて饅頭が残ったように見え ないだろうか……? 「馬鹿馬鹿しい」 とは思いつつも、俺はその考えを捨てきれないでいた。普通ならありえない。だが相手は 普通の存在ではない。ゆっくりだ。もともとが動く不思議饅頭なのだから、普通の饅頭に なってしまうことだってあるかもしれない。 だが何故ゲスゆっくりばかりなのか? 俺は加工所の研究部へと電話をかけた。ゆっくりに関することなら、やはりあそこが一番 だ。 何と言ったらいいものか悩んだが、ストレートに 「ゲスゆっくりが普通の饅頭に変化する事例について知らないか」 と聞いてみた。これだけ聞いたら、正気を疑われるかもしれない。相手も戸惑っていたが、 思い当たる節があったのか、一人の研究者を紹介してくれた。 三日後、俺は都内のある大学の研究室を訪ねていた。部屋の入り口でノックをし、いらえ を聞いてからドアを開ける。 「いらっしゃい。待っていましたよ」 迎えてくれたのは、見たところウチの編集長よりも若い男だった。それで教授だというの だから大したものだ。互いに名刺を出して挨拶をする。 勧められた革張りの応接用ソファに腰かけ、ぐるりと部屋の中を見渡す。 普通の部屋だ。正直、拍子抜けした。 ゆっくりの研究者と言うから、その研究室たるや、ありとあらゆるゆっくりグッズで埋め 尽くされ、壁一面が水槽に改造されていて、各種のゆっくりが飼育されている。そんな光 景を想像していた。 それがどうだ。ドアノブに子ゆっくりのカバーなんて掛かっていないし、ゴミ箱はホーム センターで売っているプラスチック製のものだ。掛け時計は振り子にゆっくりが使われて いないし、観葉植物に刺してある栄養剤も普通。本棚は流石にゆっくり関係の本で埋め尽 くされているが、ゆっくりの入った水槽なんてものも無い。 出された茶菓子は饅頭だったが、まさかこれが……? 「ゆっくりではありませんよ」 はっとして顔を上げた。目の前にはまだ若い教授がにこにこと笑って座っている。 「ここに初めて来た人は、みんな同じことをする。部屋にあるものが、ゆっくり製じゃな いかって部屋を見渡すんです。だがそんなものは見当たらない。そこでお茶菓子には饅頭 を置いておく。するとお客さんはこう思うんです。ひょっとしたらこれがゆっくりじゃな いか、ってね」 どうやらこの教授の悪戯に、ものの見事に引っかかってしまったようだ。俺は苦笑するし かなかった。 「そりゃあ実験室では大量のゆっくりを保管していますがね、ここには赤ゆっくり一匹い ませんよ。自分の研究対象を無碍に扱うことはしませんし、虐待趣味は僕にはありません。 大体、誰よりもゆっくりの不可解さを知っている僕に言わせれば、あれを食べるなんて 蛮勇もいいところだ」 二人で一しきり笑いあったところで本題を切り出すと、教授は表情を引き締めて一つのビ デオを取り出し口を開いた。 「ゆっくりが単なる饅頭に変化する事例についての話、ということでしたね。一般の雑誌 の方からそう言われたので、些か驚きました。口で説明する前に、実際に実験の様子を見 てもらった方が早いでしょう。これは先日学会で発表したばかりのもので、研究誌以外の 記者さんに見せるのは初めてなんですよ」 そう言って再生されたビデオは一匹のまりさを飼育した実験経過を収めたものだったが、 その内容は凄まじいの一言に尽きた。 与える食事は最高級、部屋は広く快適で、飼育員はまりさの望みは何でも聞き、奴隷とし てまりさに扱われ、そして自身もそう振舞っていた。 数日前にれみりゃを甘やかして育てていた飼い主を訪れた際に、れみりゃのホームビデオ を見せられたのを思い出した。その飼い主はお嬢様に仕える下僕と言った態度でれみりゃ を飼っていたが、このビデオのまりさに対する飼育員の態度はそれを遥かに超えている。 ブラウン管を叩き割りたい衝動を抑えきれなくなった頃、『それ』は起こった。その時画 面の中ではまりさと飼育員が会話をしていた。 「どれいはさっさとごはんをもってくるんだぜ! まりさをさっさとゆっくりさせるんだ ぜ!」 「分かりました、まりさ様。まりさ様がゆっくりすると私もゆっくり出来ますので」 この「まりさがゆっくりすると自分もゆっくり出来る」というのが、ビデオの中で飼育員 が事あるごとに言っていた言葉だった。それに対してまりさは「かんだいなたいど」で笑 いながら許可してやる、というのが毎度のパターンだった。 「どれいのくせにゆっくりするなんてなまいきだぜ!」 だが今回は違った。飼育員はまりさをゆっくりさせようとしているにも関わらず、まりさ はそれに異を唱えたのだ。 「しかしまりさ様、まりさ様をゆっくりさせるのが私の役目です」 「うるさいんだぜ! まりさがゆっくりするのはとうぜんなんだぜ! なんでそれでどれいをゆっくりさせてやらなきゃいけないんだぜ! どれいのゆっくりなんかどうでもいいんだぜ! まりささえゆっくりできればいいんだぜ! わかったらどれいはゆっくりせずに、まりさをゆっくりさせるんだぜ! このよでただひとりゆっくりできる、えらいまりささまをゆっくりさせ…………」 まりさが意味のある言葉を喋れたのはそこまでだった。いや、言葉に限らず、何か意図の ある行動を一切取れなくなった。電源の落ちたロボットのように、全ての活動が止まって しまったのだ。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 数秒後、突如としてまりさが痙攣し始めた。目の光は消え、口は半開きになり、「ゆ」の一文字だけを壊れたテープレコーダーのように繰り返している。 精神崩壊でも起こしたのか、と俺は思ったが、事態はそんな単純なものではなかった。 まりさの壊れた声が続く中、まりさの帽子が無くなってしまった。輪郭がぼやけたかと思 ったら、空気に溶けるようにして消えてしまったのだ。 それだけでも自分の目を疑う光景だったが、まりさの変化はまだ終わらない。 帽子に続くように髪の毛が消え、目玉と口が周囲の皮に包まれるように消えた。 「開始から12日と5時間37分。実験成功」 飼育員の声がしたかと思うと、カメラがまりさにズームアップする。飼育員はまりさを回 転させて全方向を見せ、最後にまりさをナイフで切り、切断面をカメラに向けた。 そこには皮に包まれた黒い餡子だけが有った。もうまりさには帽子は無い。髪の毛も目も 口も無い。小麦粉の皮で餡子を包んだだけの存在、ただの饅頭になった。 「いかがでしたか?」 教授がビデオを止め、穏やかな声で尋ねてくる。俺は先ほどまで見ていたものに呆然とし、 どういうことか、と返すので精一杯だった。自分の喉から出たのを疑問に感じるほどに震 えた声だった。 俺とは対照的に平静な教授は、少し考えてから更に問いを重ねた。 「あなたは、ゆっくりは何故ゆっくりなのだと思いますか?」 質問の意図が分からない。俺は口を閉ざしているしかなかった。何しろビデオの内容だけ で、思考回路は糸口が見えないほど絡まってしまった。復旧には時間がかかる。 「聞き方が悪かったですね。ゆっくりをゆっくりたらしめている本質は何だと思います か? 刃物ならよく切れること。馬なら早く長い距離を走れること。人間なら二本の足で 歩くことと発達した知能でしょう。ではゆっくりでは?」 教授の落ち着いた声を聞いているうちに、ようやく少し冷静さを取り戻してきた。俺は考 え、口を開いた。 「……飾りを着けていること?」 「それは特徴的なことですね。ですがゆうか種のように飾りを持たない種もいますし、人 間も飾りを着けることはあります」 「饅頭であること」 「確かに大部分のゆっくりは饅頭ですが、ただの饅頭を見て、これはゆっくりだ、とは思 いません。本質とは言えないでしょう」 「人の言葉を喋ること」 「中々良いところを突いてきましたね。ですがそれは人間が喋ることが前提ですから、ゆ っくり自身には関係の無いことです」 そうして思いつくままに答えてみたが、どれも正解ではないようだった。俺は諦めて、投 げやり気味に言った。 「…………分かりませんね、降参です。そもそもゆっくりなんていう人間と饅頭を混ぜた ようなものに、本質なんてものあるのですか? 何を言っても人間か饅頭、どちらかの本 質になりそうな気がしますが。ゆっくりはゆっくりっていう生き物だからゆっくりなんで しょう」 教授は俺の言葉を聞いて、にこりと笑った。 「正解です」 「はい?」 「今あなたが言った通りですよ。『ゆっくりはゆっくりという生き物だからゆっくり』。 ナゾナゾのようですが、これに尽きます。その名にあるように、ゆっくりと言う言葉がゆ っくりの全てです。正確には『他者をゆっくりさせる』というのがゆっくりの本質と言え るでしょう」 俺はなるほど、と頷いた。ゆっくりは他者に出会うと、挨拶として「ゆっくりしていって ね」と言う。ゆっくりさせてね、ではなく、ゆっくりしてね、でもない。他者をもてなす ための言葉である「ゆっくりしていってね」。それはどんな種のゆっくりでも、赤ゆっく りでもゲスでも変わらない。 「れみりゃ種は相手が人間でも、自分に仕えることを要求します。それは本人の言うとこ ろの『えれがんとなおぜうさま』に仕えることが、相手にとってゆっくりできることだと 考えているからです。ゲスもそうです。自分をゆっくりさせることで相手がゆっくりでき ると信じているのです」 全ては相手をゆっくりさせるため。それこそがゆっくりの存在意義。かつて『ゆっくりは 棚に仕舞われたまま忘れられた饅頭が変化したものだ』と言われたことがあった。人をも てなすために作られた饅頭が存在を忘れられ、その無念の思いからゆっくりになるのだと いう。何を馬鹿な、とその時は一笑に付したが、今ではそんな話を信じてもいい気持ちに なる。 「ゆっくりが初めてこの世に現れた時、現在のように脆弱でもありませんでした。感情の 起伏は乏しく、表情の変化も皆無でした。 しかし人はそのようなゆっくりを望まなかった。異物であるゆっくりを排除する理由を 正当化するために、または保護欲を満たすために脆弱なゆっくりを求めた。嗜虐心をくす ぐるような、あるいは与えた愛情に反応するような変化のある感情と表情を求めた。その 結果、ゆっくりは人の望む存在へと進化しました。全ては人をゆっくりさせるために。 ゆっくりは自身の性質がどんなに変化しても、他者のゆっくりを望むものなのです。 しかしビデオのまりさは違います。他者ではなく、自分がゆっくりすることだけを考え てしまった。そしてそれを当然のことと考えてしまった。そうなってしまったゆっくりは、 最早ゆっくりであることの本質を失ってしまった。だからゆっくりではなくなってしまっ たのです」 そう述べた教授は、どこか寂しい目をしていた。 単なる実験材料に向ける、無機質な目ではない。この人はこの人なりに、ゆっくりに思い 入れがあるのだろう。 記事が出来たら雑誌を一冊届けると約束をして、研究室を辞した。 帰りがけに教授は実験論文のコピーを渡してくれたが、ひどく難解な内容だった。日本語 で書かれているのが救いだが、読むのに四苦八苦だった。取材やデスクで記事を書いてい た時間よりも、これを読むのに費やしたほうが長かった。おかげで出来上がりは締め切り ギリギリになってしまった。 そんな苦労に関わらず、出来た記事はオカルト色の強いものになってしまった。論文は学 術的な格調高い文章だったが、大衆読者を意識して書くと、どうしてもそうなってしまう のだ。 もっとも、ゆっくりの存在自体がオカルトとも言えるので、問題は無かった。「そんなも んだ」で全てがすむ。それがゆっくりというものだ。深く考えないほうが、あの不可思議 な存在を楽しめる。 都内にある、とある出版社。俺は今日もここでゆっくりについての記事を書く。配属され た当初は早く別の部門に行きたいと考えていたが、最近では好奇心を刺激してくれる良い 職場だと思えるようになった。 タバコが吸えないのが難点だが。 相も変わらず散らかったデスクで、いつもと変わらず原稿に向かう。今書いている記事は 虐待派と愛で派の討論企画についてだが、見事なまでに平行線の論議で、まとめるのが大 変そうだ。どちらも自分の主張こそ正しいと言っているが、きっとゆっくりはどちらの扱 いをされても満足なのだろう。 ゆっくりは他者をゆっくりさせることが望み。虐待派はゆっくりを虐待することでゆっく りできるし、愛で派は愛でることでゆっくりできる。究極的には根本は同じ。どちらも自 分がゆっくりすることを考えている。 人間なのだからそれで良いと俺は思う。自分の人生を、自分のために生きられないなんて 真っ平だ。比べて、そう生きた結果饅頭になるだなんて、ゆっくりはなんて不自由な生き 物なのだろう。 そんなことを考えてると、向かいのデスクの同僚が壁に貼られた「禁煙」の紙を指で叩い て示してきた。どうやら無意識のうちにタバコを咥えていたらしい。 俺は箱にタバコを戻すと、軽く溜め息をついて仕事を再開した。 このSSに感想をつける
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331 :名無したんはエロカワイイ:2008/07/31(木) 10 59 58 ID fukPI9hM0 あー、ゆっくりで塊魂プレイしたい . . . . . . . . . . (なーなな ななーなーなーな なーなーななーな ずんずくずずんず どぅんどぅくどぅんどぅん) ---ゆっくりで塊魂--- 「……なんだこりゃあ」 魔法の森の近くをの小道を急ぎ足で歩いていた俺は、目を剥いた。 路上にゆっくりれいむが、ひと群れ。それ自体は珍しくもない。 おかしいのは、そいつらがベタベタとくっつきあって固まっていることだった。 「おまえらナニやってんの?」 「ゆっ、ゆぐぅぅう~」 「わかんないよ、くっついちゃったよ!」 「おにいさん、ゆっくり助けてね!」 バレーボール台のゆっくりれいむに、ピンポン玉ぐらいのやつがうじゃうじゃと八つか九つもくっついている。 たぶん家族だろう。母れいむはしきりに体をもぞつかせて子供たちを振り落とそうとするが、下手に動くと下側 の子れいむを潰してしまいそうなためか、思うように動けないらしい。 「ゆっ! ゆっ! んゅっッ! よーっはッとッ! へっぷほ!」 「おがあざぁぁん、おもいおもい!」 「つぶれるよ、ゆっくりうごかないでね!」 「……ぷっ」 その場で一人相撲をしているようなアホくさい母れいむの姿に、俺はふきだした。 「ぷっははははははは、ばっかじゃねーのおめーら、饅頭のお前らがそんなんなっちゃったら生きていかれねー だろ。ちょっとは考えて生きろよ!」 「そんなこと言わないでねぇぇぇぇ!」 母れいむは涙目でぶくぶく膨れる。ほっぺたの下のやつが潰されて悲鳴を上げる。 あー……。 陽気がすごいからなア。 おおかた家族でゆうゆうもたれあっているうちに、この猛暑で溶けてくっちいちゃったんだろう。 これは俺のせいじゃないからな。ゆっくりが勝手に苦労してるだけだ。 そばで眺めていたって、なんら罪ではない。 俺は、困り果ててぶるんぶるん回っているゆっくりれいむを、しばらく見物した。 ……十分ほどで飽きた。 「しゃーねえなあ、恨まれても寝覚めが悪いから、助けてやるよ」 「ゆっ、ほんとう?」 「さっさと助けてね! ふんふん!」 ナマイキなことをぬかしやがる母れいむを無視して、俺はそいつの頬に触れてやった。 ころん 「あれっ?」 母は後ろへ一回転する。「ゆべっ!」「うぎっ!?」と悲鳴を上げて子供たちがぺちゃんとつぶれ、母の肌に 張り付いた。 「何してんのお前、娘つぶれちゃったじゃん!」 「ゆぐぅぅぅぅ!? れいむの子どもがぁぁぁ!」 「じっとしてろよ、残った娘、殺したくないだろ?」 そう言って俺は、また手を伸ばした。 額に触れる。 ころんころんころん 「ゆぐぐぐぅ!」 母れいむは三回転した。その途中で石やら草やらも貼り付けてなんだか汚くなった。 「あっれぇ……」 俺は不思議に思った。 こいつ、ちょっと触っただけで、ボーリングの玉みたいにスムーズに転がりやがる。 なんか変なことになってんじゃないか……? ゆっぐゆっぐともがいている母れいむに歩み寄って、さらに押した。 ころころ、ごろろんっ 「ゆっぐりやめでねぇぇぇ!?」 「あは」 俺は笑った。 こいつ、坂を上ったぞ? しかも小枝や葉っぱをくっつけてさらに汚くなった。 ……これは面白い。 俺は母れいむの苦情を無視して、道なりにそいつを転がし始めた。 ころころん ころころん ころころころころん 一回押すたびに、五メートルほど転がって路肩で止まる。そのたびにそこら辺のものを吸いつけて、雪だるま のように大きくなる。 子供のころ、石蹴りってやったじゃん。 学校から家まで、これって決めた石をずっと蹴って歩いた。 別に石自体が好きなわけではないが、最初に決めたから、そいつを蹴り飛ばさなければならなかった。 そんな感じで、俺は目的地までひたすらころころと母を転がし始めた。 「やめでぇぇ!」 「ゆっくちちたいよぉぉ!」 おお、まだ子れいむも生きてんのか? 石やなんかでゴマ団子みたいにデコボコになった、五十センチほどの ゆっくり塊の中を覗き込むと、ちょうど他のものの隙間にハマったらしく、小さな赤いリボンの頭がぴょこぴょ こ動いていた。 「おまえ、運が良かったなあ。そこならずっと潰れないよ」 「はやくやめちぇねえぇぇぇ!」 「悪い、まだ二、三キロあるんだ」 母娘一匹ずつの悲鳴をBGMに転がし続けた。 少しいくと、面白いことが起こった。 川沿いに日光浴をしていた白黒のゆっくりまりさ家族。俺たちが近づくと振り向いて挨拶する。 「ゆっくりしていってね!!!」 「していってね!」 「しちぇっちぇね!」 次の瞬間、そばを通ったゆっくり塊に、そいつらは吸い寄せられた。 ひゅうん ぽぽぽぽむっ 「ゆっ!?」 「ゆっくりくっついたよ?」 「ゆっくりはなちてね!! はなちてっ! はなちぇはなちぇー!」 「ほう……」 俺は感心してあごを撫でた。 なるほど。 これではっきりした。ただの自然現象じゃない。母れいむは辺りのものを吸い寄せる力を身につけてしまった らしい。よく見れば外側の石やら木やらは、別段刺さってもいないのにくっついている。 俺がくっつかないのは謎だが、まあそんな細かいことはどうでもいい。 ひとつ、これがどこまで続くか試してみようか。 「よし、みんないっくぞー☆」 「やめでえぇぇぇぇぇぇ!?」 進めば進むほど、塊は大きくなった。道端にいたれいむ家族、木のうろから顔を出したぱちゅりー家族、通り すがりのちぇんやらん、近くを飛んでいたゆっくりゃやフランまで引き寄せた。八十センチ、一メートル、一メ ートル半。ゆっくり塊はどんどん大きくなった。 ひゅうん ぽむっ ひゅうん ぽむっ 「ゆっくりはなしてぇぇ!」 「はっはっは、そりゃ☆無理だ」 意味もなくハイテンションに笑いながら俺は答える。 これ、大きくなっても全然重さが増えない。 ころころと軽いままなのだ。不思議きわまる。 そして楽しい! 鼻歌を歌いながら俺は押して行き、目的地のアリス邸にたどりついた。 「ちわーっす、郵便です」 ああうん、言い忘れていたけど、俺配達人。肩掛けの郵袋も、これこの通り。いまどき徒歩で運ぶなんてレト ロだろう。 「あら、どうもありがとう」 玄関に出てきたアリスさんが微笑んだ。うむ美人だ。美人だらけの幻想郷の中でもこの人は群を抜いている。 いろいろ怪しい噂もあるが、そんなところも俺は好きだ。 そんなアリスさんが、俺の背後の塊を見てギョッとした。 「って、それは何!?」 無理もない。ゆっくり塊の大きさは、今では四メートルを越えている。 「ゆっくりはなしてね!」 「つぶれて顔がいたいよぉぉ!」 「いやっいやああぁぁ、れみり゛ゃぎらいーー!」 「うっうー! れみりゃを早くはなすんだどぉー!?」 数百のゆっくりがてんで勝手に悲鳴を上げている。驚かないほうがどうかしている。 「いやまぁ、なんといいますか、ただの拾いもんです」 俺はあいまいに答えた。 アリスさんは顔を引きつり気味にして、後ずさろうとした。 「な、なんだかわからないけれど、あんまり係わり合いになりたくないわね……きゃあっ!?」 ひゅうん ぽむっ 「おおお?」 俺は驚愕した。アリスさんまで塊に吸い寄せられ、くっついてしまったのだ。 「ちょっと、何するの! 離して、離しなさいよ!」 叫んどる叫んどる。美少女が拘束されて悲鳴を上げとる。 実にいい景色だ。――とか言ってる場合ではないか。 「すみません、それ外れないんですよ」 「なんですって?」 「俺が作ったんじゃないもんですから」 答えながら、俺はあることに気づいていた。 アリスさんのような有名妖怪まで引き付ける力があるのか、この塊は。 ということは―― もしかして、やりたい放題じゃないか!? 「……なーなな ななーなーなーな なーなーななーな ずんずくずずんず どぅんどぅくどぅんどぅん」 「なっ、なにを鼻歌なんか歌ってるの? 早くなんとか――」 「すんません。俺、ハジけます!」 「えっ? ってきゃあああああああ」 すってんころころ すってんころころ すってんころころ すってんころころ 俺は両手を使って勢いよく塊を押し始めた。 霧雨魔理沙、ゲット。 博麗霊夢、ゲット。 紅美鈴、ゲット。 「おいおいなんなんだこれはー! 霊夢、これなんだよ!」 「知らないわよ私だって、アリス、アリスー?」 「私は被害者よー!」 「離して、離してってば! 仕事中なのよ私は、このぉっ……ふんッ!」 「きゃあああああ!」 「ちょっこらっやめっ!」 「気功を使うなぁぁぁ!」 おーおーお、なんかビリビリしてえらい騒ぎになっとる。 そして当然―― 「ゆぎいいぃぃぃぃぃ!」 「いだいよぉおぉぉぉぉ!」 「皮がびりびりするよぉぉ!」 「んおおぉぉっ、んほっ、ほおぉぉぉぉ!」 ゆっくりたちも涙目で大騒ぎしている。中にはキモチよさそうなのもいるが。 ゆっくり魂の直径は六メートルになった。それでも止まらず、俺は幻想郷を駆け巡る。 「むぎゅぅぅ、苦しい……」 「咲夜、咲夜! 早く何とかして!」 「はっはい、ただいまっ! ふッ! ……時間を止めても外れない!?」 「ぴーっ、アタイこんなの趣味じゃないいぃ!」 なんか館の一部ごと飲み込んで、三十メートル。 「らんしゃま助けてぇぇぇ!?」 「ちぇぇぇん! くそっ、紫さま、紫さまぁぁ!?」 なんかよくわからないお屋敷みたいなものを巻き込んで五十メートル。 「うわあぁっ!? ちょっ、ちょっと今実験中よ!?」 「なんだこの……ハッ!」 「あちゃちゃダメです火はやめてください火は!」 「あっれー、これもしかして私が仕掛けたやつか?」 竹やぶと京屋敷みたいなもんをまるごと飲み込んで、百メートルつまり二十五階建てのビルぐらいになった塊 をころんころんと転がしていると、俺の目の前に来た兎耳の女の子が、ほっぺたポリポリかきながら言った。 おお、この人は。 「てゐさんじゃないスか。これ、あんたが?」 「昨日、ゆっくりに、いろんなものがくっついちゃう悪戯をして放り出しといたんだけど……」 「魔法の森の入り口あたりだったら、多分それっす」 「やっぱりかー」 「これ、どうしたら外れるんですか」 「それはねぇ……」 言いかけたとき、ぴゅうと風が吹いて塊がころころと転がった。 あ、あー……てゐさん、上のほうへ行っちゃったよ。 次いつ来るかわからんな。 というか、これがバラバラになったら、なんかただ事ではすまん気がする。 「ゆっくりさせでぇぇぇ!!」 「私もっ、私もゆっくりしたいわよッ!」 「このっ、もう我慢できない――マスタースパーク!」 「ゆぎゅぁぁぁ!」 「あっつぅぅぅこらっ魔理沙魔理沙!」 「ゆっぐぅうぅ、ゆぐぅぅぅぅ!!」 もう人間もゆっくりも関係ない。ひとつに丸まった人と妖怪と饅頭とガラクタの混合物が、もざもざわさわさ と動いて、悲鳴を上げたり、ビームを出したり、弾幕を放ったりしている。 「俺です」なんつったら、殺されるな、これは。 となると――。 「行けるところまで行くか!」 俺はさらにころころころころとゆっくり塊を転がし、幻想郷の森も川も山も湖も突っ切って駆け回った。ゆっ くり塊はどんどんどんどん成長して妖怪とゆっくりと人間を飲み込み、ついには直径一キロを越えててっぺんは 妖怪の山の頂上を越えた。 そのころ、とうとうゆっくり塊は浮上した。上のほうについた天狗やら虫やら何やらが、逃げようとして飛ん だためだろう。 「あー……」 空を飛んでしまったら、もう俺には手が届かない。 俺は若干の寂しさとともに、数ヵ月をともに過ごした巨大なゆっくり塊を見送ったのだった。 「達者でなあ。元気でなあー……」 それ以来、夜空に星がひとつ増えた。 オリオン座のあたりにまぶしく輝く「ゆっくり星」を見るたびに、俺はかつて幻想郷をにぎやかしていた美少 女たちとゆっくりたちを思い起こし、懐かしむのだった。 ====================================================================== YT このSSに感想を付ける
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前 音を立てないように戸を引く。僅かな隙間から覗こうとしたものの、覗く前から何となく状況は 読めた。 「う゛――――――! あがぢゃん、れみりゃのあがぢゃん! げんぎだずんだどー!」 ホントに喚いていた。 簡単な想像をすれば、騒いでから誰も居ないことに気づいて、何故自分が怒鳴っていたのかを思 い出した、というところだろう。単純な思考をめぐらせるだけでこのおぜうさまの行動には理由が 付けられる。犬とか猫よりも格段に行動理念が明確で助かる。 さきほどれいむが騒いでいたのにも気づいていなかったのなら、と俺はガラリと大きく扉を開放 し玄関に侵入する。すぐさま閉めたのは、れいむがこちらに興味を持たないようにするためだ。 「あがぢゃんんん!」 ピクリとも動かないチビれみりゃ。その顔の近くに身体を寄せて、必死に呼びかけている。格好 は差し詰め腕立て伏せをするようなものだ。人間ならば涙を誘う悲愴感に満ちた《御涙頂戴》的な シーンだが、生憎残念なことに主人公はおぜうさま。あっという間に喜劇へと変貌する。 醜いケツと、餓鬼臭く婆婆臭く乳臭くニラ臭い、ともかく臭うようなカボチャパンツを惜しげも なくこちらへ見せ付けている。今にも毒ガスを放出しそうな体勢だ。出来れば惜しんで欲しいもの だが、そんな高尚な行動を取ることは到底出来ないだろう。 ――蹴りたいケツ。 しようと思ったことは直ぐ実行に移す性質(タチ)なのだ。だがおぜうさまはこれから先も諸々 甚振られねばならないので、ひっそりと後ろによって助走なしに蹴り飛ばす。 「うぢゃっ、ぶぶびっ!!」 先ほど外からぶつかった玄関扉に、今度は中からぶつかった。おぜうさま、完全制覇ですよ。お めでとうございます。しかし、『ぶぶびっ』て。そんな叫び声があるとは知らなかった。流石、豚 まんらしい叫びだ。 人間で言えば、確実にムチ打ちになる勢いで顔面から衝突していったおぜうさま。外の世界で、 安全性の実験で自動車を壁にぶつけるというものがあったと記憶しているが、まさにその様に類似 している。ぐしゃんとぶつかって、ばねのように全身が縮み上がり、反発するように跳ねながら、 再び地面とキスをした。そんなに地面が好きなのか。結婚して《にんっしん》でもすればよい。 おぜうさまは地面にキスしたまま起き上がる気配はない。だが、耳をすませば、居間から聞こえ つづけているれいむの《御食事》の音――つまり『うっめ、めっちゃうっめこれ!!』であるが― ―に挟まれて、頻りにうう、ううと唸っている声が聞こえる。半気絶状態なのだろう。それなら都 合がよい。 先ほどおぜうさまを引き摺ってきたときに使った縄を、そこでのたれ死んでいるように横たわっ ているチビれみりゃの首に回す。何とか生きているようだが、おぜうさまと違ってまだ子供だった 所為で、虫の息といってもいい状態だった。あれだけ耳元で汚い豚の鳴き声のような声で騒ぎ立て られても反応が無かったのも納得できる。 だが、この作業は意外にも苦労した。動くはずのない者を縛り上げるのに、どうして苦労するの だと思うかもしれない。 考えてもらいたい。れみりゃの首って何処なんだ? 結局、人間の首のように際どく括れている顔の下あたりに縄を回した。間違っていたら、ぜひと も御教授願いたいところだ、次回以降の教訓にしたいと思う。 チビれみりゃは目も当てられない状態だった。顔の皮は再生過程のままで、じわりと肉汁が垂れ ていた。俺にあれだけ伸ばされて千切られたのだ、仕方ない部分だろう。足と腕に力の欠片も無く 、持ち上げども重力に逆らうことも出来ず垂れ下がるのみだ。表情は苦悶に満ちたものだったが、 ぐずるようにえぐえぐと泣いているようだったので、このあたりは流石《くされみりゃ》と言った ところだ。本物の紅魔館のバカ御嬢も身体だけは丈夫で、頭がよろしくない雰囲気を漂わせている 乳臭い幼女なので、これは大きな共通点なのだろう。だが、瀕死状態であるのは間違いなかった。 さて、猶も気絶しているようなおぜうさまの、ケツの穴あたりをもう一度蹴った。 「んぎゃん!?」 「起きろ、ボケ豚まん」 「ううう……、いだい、いだいど……」 「黙れ。さっさと起きろ」また一蹴り。 「うう……、な、なにずるんだどぉ」 家に連れ込まれた直後には欠片も無かった、弱気な態度で俺に言う。《こーまかんのあるじ》は 影を潜めた。――といっても、ハナからこいつは《あるじ》では無いので、虚構の高腰であったの だが。 「ほら、お前のあかちゃん。元気になったみたいだぞ」 俺はおぜうさまに極上の笑顔(自称)を輝かせて、縄を持った手を高々と掲げる。飛んでいるよ うに周期的に上下させるのも忘れない。 「う? う、うっ、うーー! れみりゃのぷりぢーなあがぢゃんだどー! おにーさん、はやくれ みりゃにわたすんだどー!」 「いいのかい?」 「わたすんだどー! はやくしないど、さぐやにいいづげるどー!」 赤ん坊を自分の腕に抱きたいのはゆっくりも同じなのは良くわかる。だが、首をだらしなく下に 垂らし、動く気配のないチビれみりゃである。先ほどまで、自分が叫んでも反応を見せなかったチ ビれみりゃが、そんな短時間で元気になるはずがないではないか。 「ホラ」 薄笑いを浮かべながら、おぜうさまの足元へチビれみりゃを投げやる。もちろん、首の縄の端は 俺の手の内だ。 「う?」 チビれみりゃが力なく床に転がる。叩きつけられた格好だが、呻き声ひとつ上がらなかった。 「う――――――――――――! あがぢゃん、さっぎはげんぎだっだど――――――!」 あれの何処を見れば元気なのだろうか。もっとも、これは実に予想通りの反応であり、俺は満足 である。 では、次のプランへと移ろうではないか。 おぜうさまがチビれみりゃにすがり付こうとする瞬間に、持っている縄を強く引く。 「うぎゃおお!」 飛び込むような体勢だったおぜうさまは、今日何度目かわからない床への接吻をした。もし俺が チビれみりゃを引っ張らなかったらどうなっていたものか。おそらくおぜうさまは自分の赤ん坊を 自分のキスで潰し殺すところだった。感謝して欲しい。 床に突っ伏しているままだと諸々不都合が生じるので、嫌悪感を我慢しておぜうさまの身体を引 き起こし、服の後ろ側に刀を通し先端を床に突き刺す。身動きをとらせないようにしながらもこれ から起こる事態から目を逸らさせないようにするという、一石二鳥の戦略だ。れみりゃのぜぐぢー なおべべがああと叫んだが、無視、無視。おべべの時点でセクシーさの欠片も無いのではないだろ うか。手と足を前方に放り出して奇妙なまでに正筋を伸ばし、肉汁の涙をだらだらと垂れ流す様は 、見ていても気持ちがいいものだ。 おぜうさまの視線がこちらに向いていることを確認して、縄を揺すり始める。ぐらん、ぐらん。 揺れるチビれみりゃ。 「なにずんだどー!! ぷりぢーなれみりゃのあがぢゃんをはだずんだどーー!!」 はいはい、ぷりちーぷりちー。薄笑いを浮かべて言ってやる。瀕死の肉まんのどこが可愛いのだ ろう。 言葉でおぜうさまをからかっている間に、チビれみりゃは豪快に回転し始める。最初のうちは、 外界の遊園地とかいう一大遊戯施設に備わっている《バイキング》なる乗り物のように、振り子の 動きをしている。徐々にぐるんぐるんと力を込めながら円を描くようにまわす。《観覧車》とかい う乗り物の動きだが、その回転速度は《観覧車》の比ではない。 「う゛っ、ううううううううううううう!!!」 遠心力が(人間で言うところの)首の付け根あたりに負荷されているせいで、気絶していて今ま で何にも反応を示さなかったチビれみりゃが苦悶の表情だ。こいつがどういう仕組みで息をしてい るのかは分からないが、とりあえず息は苦しいと見える。それだけでこの作戦はある程度の成功で ある。これで何の反応も無いのであれば、こいつは呼吸をしていないとも言え、俺の《首探し》の 努力は水泡に帰すのだ。 否、もしかすると、首が千切れてしまう痛みに悶絶しているのかもしれない。だが、そんなこと はどうでもいい。苦しみさえすれば無問題。 「やべでえええええええええ!! あがぢゃんをはだぶびでびえぇええ!!」 五月蝿いので、チビれみりゃの回転中心を少しおぜうさまの方にずらしてやる。勢いをつけて廻 っているチビれみりゃと感動の御対面を果たした。高速で、だが。 チビれみりゃの身体はその衝撃でぐらつき始める。見ればおぜうさまの足元に肉塊が転がってい た。じっくりと視線を其処にあててみると、それはチビれみりゃの足だった。どちらの足か不明で はあるが、足がもげたことだけは明らかだ。脆いものだ。 「ああああああああああああああ゛!! はやぐっ、はやぐやびぇどぅんだどおおおおおおおお! !」 回転は秒速一回転を越しそうになったそのときだった。 『ぶぢん』聴いたこともないような鈍い音。 『びしゃああ』何かが弾けるような音。 そして、縄の先端が軽くなった気がした。 「あれまぁ」 時代がかったような呟きは御愛嬌。何せ、縄の結び目には何の影もなかったのだから。 想像通りの結果で恐縮だが、チビれみりゃは退化してしまったのだ。簡単に言えば、《くびもげ 》。遠心力に耐えられなくなったれみりゃの身体は、その力の集結点である縄の結び目、すなわち 首の付け根に集まり崩壊してしまったのだ。 頭の部分を探そうとしたが、此れはあっさりと見つかった。 俺の足元に黒い影があった。持ち上げてみると、頭部だけのゆっくりでいうところの《足》が餡 でぐずぐずになっている。胴体が離れたのだからこうなるのは仕方が無い。 今度は表情を確認する。口はへの字に歪み、目からはチビれみりゃの脳みそである餡が吹き出て いた。眼球はどこかへ吹き飛んだらしい(翌日明るくなってから、天井にへばりついている小さな 油脂の塊をふたつ見つけた)。 最早ゆ、とも、う、とも言わなくなった肉まんである。 反応を示さなくなった肉の塊には興味はない。親であるおぜうさまの許に放り投げてやった。 ぐしゃり、と言って床に臥したチビれみりゃだった物は、衝撃に耐え切れず形を変えた。 「う? う、うう……」 騒ぎ始める前に後ろの支え棒を取り外す。切っ先で後頭部に切れ込みが入ったのだが、目の前に 転がった肉の塊に視線を取られて痛みを感じなかったようだ。 「う゛あ゛――――――――――――!! う゛あ゛――――――――――――!! う゛あ゛― ―――――――――――!! でびりゃど、ぶりっぢーなあがぢゃんがあああああああ!!」 おぜうさまは豆大福のような手で持ち上げようとするが、チビれみりゃの頭は既に形を維持する ことすら出来なくなっていたようで、おぜうさまの指の隙間から餡がぼたぼた零れていった。これ では再組成は不可能だ。 「どうぢでええええええええええ!!」 それでも諦めきれないのか、おぜうさまは何度も何度も我が子を抱きとめようとする。必死な姿 は人間であれば涙を誘う。しかし、これで二回目になるが、ゆっくりが必死になったところで生み 出されるものは喜劇の台本でしかない。おぜうさまの叫びはファンファーレのようだ。 どれくらいの間そうしていただろうか。辛うじて残っていた皮は餡と一体化しており、その餡も バラバラになっている。山の形に盛ることすら出来ないほどに解れてしまった餡は、チビれみりゃ の絶命を如実に示していた。 「ううううああああああああ!! あがぢゃん、どうぢでぢんだんだどおおおおおお!! どうぢ でだんだどおおおおおおおお!!」 慟哭。そう称するに相応しい絶叫。最も、何度も言うことだが、主人公がおぜうさまなので、喜 劇なのには変わりが無い。 「あがぢゃああああああああああああああああ!!」 止まらない肉汁の涙。口からも零れているが、そんなことも気にする素振りがない。仰向けにな ってじたばたと動きながら、俺の足元で駄々を捏ねるように喚いている。おぜうさまの品格の欠片 もなく、ただ喚くだけの肉饅頭。ただ、我が子の死を嘆いている。 「あがぢゃああん……。ううううううあああああああああ……」 うつ伏せに向きを変え、しゃくり上げるように泣くおぜうさま。慟哭は弱まってきたが、肉汁の 涙を止まるところを知らない。 「うう…、あああ……。……」 大人しくなってきた気がする。おぜうさまの顔の近くに耳を持っていく。 「ぅぅ……。zzz….」 寝やがった。 身体を丸く屈めて、何かから自らを防御するような格好を取ったまま動かない。泣き疲れたにし ても、寝てしまうのは早すぎやしないだろうか。 もう少し様子を見ようと思って眺めてみたが、全く動く素振りもない。動いているのはおぜうさ まの背中くらいのもので、穏やかな上下動を繰り返している。 これは安眠状態に入り込んでいるとみても問題は無さそうだ。 一分もしないくらいで、自分の子供が死んだことも忘れて、穏やかな眠りの世界に飛び込んでい けるとは、流石餡子脳。その他のゆっくりと違って小豆の餡ではなく肉まんであるゆっくりれみり ゃ種だが、この肉餡は小豆餡よりもバカらしい。『うあー、うあー』とか『たべちゃうどー』が会 話の大半を占めていることでも大方の予想は付いていたが、ここまで来ると呆れる。呆れ果てる。 開いた口が塞がらないとは、当にこのことだ。 「zzz」 餡子脳には解からないだろうと思う速度で体勢を仰向けに変えてやる。 「zzz」 思わず、噴出すかと思った。 おぜうさまの寝顔は、よくゆっくりが《すっきり》している真只中で見せるという《アヘ顔》で あった。肉汁を口の端からだらだらと零して、目はすっかりへの字になり、蛙がへばりついている 状態を裏側からみたような体勢だ。気の緩みは全身から溢れんばかりで、油断も隙も全く無い。 黒い感情が頭を擡げてくるのは、時間の問題だった。 深呼吸をひとつ。右足を高く上げて――。 「うぎゃおおおおおおおお!!」 腹のど真ん中を踏みつけてあげる。 おぜうさまは嬌声をあげてもんどりうちながら玄関を這い回る。その姿はさながらスリッパのよ うなもので潰されながらも致命傷には至らなかったリグル――もとい、御器齧(ごきぶり)のよう だった。 悶え狂っている状態のおぜうさまは、先ほどまで必死に蘇生させようとしていた(といっても気 休めにもならない状態だったが)チビれみりゃの上を何往復もしていたことは気づかなかった。そ もそもおぜうさまの《処置》を受けた段階で絶命していたので、当のチビれみりゃは痛くもかゆく もなかっただろう。せめてもの救いだった。 「う゛―――――――――――――――――――!!! 嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼 嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼 嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!」 十分にビブラートを利かせた絶叫は喧しいことこの上ない。黙れの意味を込めて後頭部を蹴飛ば したが、火に油を注ぎこむどころか、火に油をぶちまけることになった。想定内なので問題ないが 、このおぜうさまは本当に俺の期待を裏切らない躍進を遂げてくれる。 「ホラ、立て。この糞肉饅頭」 「うううう!! うぞづぎ!! うぞづぐやづはざぐやにごろざれどぅんだどーーー!!」 鼻水をだらだら零しながら(おぜうさまはあらゆる場所から汁を零すんだなあ、と感心する)俺 に殴りかかろうとする。 ――はて。 「俺、何か嘘吐いたっけ?」 「れびじゃどあがぢゃ、がえぢでくでどぅんぢゃーーー!!」 文章として成立している雰囲気が全くない。おぜうさまの態度で辛うじて、俺がチビれみりゃを 美辞におぜうさまの許に返す約束をしていたのだが、その約束を破ったから《ざぐや》とやらに殺 られるらしい。 それは敵わないということで、俺はややも、反省タイム。 一秒。 二秒。 ――。 ――――。 ――――――――。 ポクポクポクポク――――。 チーン。 「んな約束してねーだろーが!!」 間違いない。遡っても、俺の口から『返してあげるよ』なーんてことは一言も言っていない。 「れびりゃどあがぢゃ!! ゆっぐりじねえええええええ!!」 《ん》の発音は鼻づまりのせいで全く聞き取れなくなった。それでもおぜうさまはゆっくりふらん の真似事をするように、俺に体当たりを仕掛けようと駆け出した。 どて、どて、どて……。 何とも重たい足音を響かせて近づいてくるおぜうさま。《亀よーりぃ、おーそーい、おぜうーさ ぁまー♪》と童謡『こいのぼり』の音階に替え歌をつけて歌いたくなる。 だが。 「そーれい!」 俺の手には得物があるということを失念されては困るのだ。 「うう゛!?」 おぜうさまはくぐもった声を上げた途端、急に身長が縮んだ。およそ、先ほどの半分になった。 「あああああああああああああ!! れみりゃのがもじがどよーだあじど、くびでだうえずどがあ ああああああ!!!」 自分の身体と顔を鏡で凝視したことがないということは、酷くかわいそうなことなのだ、と此処 にきて俺は痛感した。おぜうさまの腰の何処がくびれていて、おぜうさまの足の何処がほっそりと しているのだろうか。 俺は走ってくるおぜうさまの脇に素早く(一歩分しか動いていないが、それでも充分だった)寄 ると、支い棒代わりだった刀を横にして構えた。ただ構えていたところに、予想通りの動きでどて どておぜうさまがゴールテープを切る要領で突っ込んできた。 その結果がこれだよ。 おぜうさまは(人間で言うところの)臍のあたりから身体がぱっかりと分かれてしまった。外の 世界では超高性能の医療器具としてMRIというものがあるが、そのようになった。つまりはおぜうさまの肉体断面図を作ったようになっているのだ。 MRIは俺も幻想郷で一度だけお目にかかったことがある。何でも香霖堂に流れ着いたところを永遠亭の女医が河童のサポートの下医療器具として設置したそうだ。河童のにとりがMRIを知っていたことにも驚いたが、今MRI技師として活躍しているのは輝夜姫その人だそうだ。あのニートがよく働き口を見出したと思う。 まあ、そんなことはどうでも良い。 おぜうさまは、まだ自分の身に何が起こったのか理解できていないようだ。腰の切り口で床に起 立し、きょとんと正面を見据えている。下半身は肉汁を零しながら無残に倒れている。 五秒ほど経過しただろうか。 「う、うううう、うううううううううううううううううううううううううううううううううううう うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう うううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!! ??????」 超絶的大絶叫。 腰の切り口が只ならぬ安定感を維持しているため、おぜうさまが手をばたばた振ってもなかなか 倒れない。この様は、さながら《太陽の塔》のようだった。 「うううあああああああ!! いだいいいい゛!! だずげでえええええええええええ!!」 コツを掴んだのか、周期的な腕の振り方を初めて五秒ほど経って、おぜうさまは顔面から倒れた 。必死すぎた腕の振りを止められなかったが、右腕は辛うじて床に付く事ができた。それでも頭が 重すぎるがゆえに、おぜうさまの右腕はひしゃげてしまった。人間で言えば複雑骨折をしてしまっ たようにくしゃくしゃになった。 「うぎゃああああああああ!! いだあああいいどおお、いだいどおおおおおおおお!!」 今更ながら、よくぞ餡子と皮だけの構造で痛覚神経を構成しているものだと感動を覚える。右腕 を抱え、かつ下半身に断続する痛みに耐えている。口からは相変わらず肉汁を垂らしているが、此 処にきてついに頭部に込められている餡が零れ始めた。どうやら、先は長くなさそうだ。 「いだいどお……」 声が小さくなってきた。この体勢では(表情が見えなくて面白くないから)まずいので 仰向けになおす。 「だず、げでええ。いだいんだどおおぉぉぉ……」 そりゃあ、痛いだろう。腕がぐちゃぐちゃになって、胴から下を失っている。だが、切り口から 餡が零れ出ている気配がない。俺の一刀両断が良かったのだろう。 俺はひとついいことを思いついたので、暫し玄関を離れる。背後からは声量をだいぶ落としたお ぜうさまの叫びが聞こえているが、餡子が漏れてこない限り、失餡子死はありえない。ゆっくりふ らんではないため、自殺することもないだろう。 向かった先は前の物置。香霖堂から大量の食器を買ったときに、運搬用にと使ったダンボールが あったはずだ。 探すと、折りたたんだ状態の大きなものが四つあった。これなら巧くいく。 「だずげでぇ……」 ぐじゃぐじゃになった顔をこちらに向けて、激痛に喘いでいる。やはり餡子は出てこない。これ くらいなら、後で水溶き片栗粉か何かで応急処置をして、それが馴染んでくれば痛みは感じなくな るだろう。しかし、腕は切断処理しかないだろう。あんなにぐちゃぐちゃの腕を再生させる術は無 い。 いや、違う。おぜうさまには再生能力があるはずだ。このままでは腕はおろか、下半身まで再生 されかねない。これは予定を変更すべきだろう。 思い立ったが吉日である。 ダンボールは片隅に放り捨て、俺は台所方面に向かった。 ○ 台所に行く前に、俺は黙祷をせねばなるまい。 その理由は、今話していられるほどの時間がない。おぜうさまの再生を阻止せねばならないのだ 。とりあえず、気持ちの全くこもらない黙祷を捧げた。 ○ 材料は辛うじて揃えられた。今から治療されるおぜうさまのガキのせいで台所がぐちゃぐちゃに なっていたことを失念していたのだ。 硝子鉢も小さなものは全て割れていた。饅頭の体当たりごときで扉が開いてしまうとは全く思っ ていなかった。食器と共に台所のセット一式も仕入れねばならなくなってしまったのは、かなり腹 立たしいことである。 粉も撒き散らされていたので、床に散らばっているものをかき集めて、どうにか使用できるほど の分量になった。 さて、おぜうさまの様子は。玄関扉を完全に開け放した。 風雲急を告げる、とまではいかないものの、それでもゆっくりしてはいけない状況である。 腕は再生が始まっており、既に二の腕の半分が形成されていた。腰より下は全く再生されていなかったのには安堵した。 「うううああああ……」 泣きは収まりかけていた。耳栓の代わりに鼻紙を耳に詰め込んだが、然程意味は無かった。大き な身体の痙攣も見られない。身体は脆いわりに生命は丈夫である。下半身はただの肉の塊になって いる。てっきり此方側も上半身が再生して二人になるものかと思っていたが、そうではなく頭の残 っている方のみが再生するようだ。蜥蜴の尻尾と同じらしい。 泣き続けているおぜうさまの腕をとり、水で溶かした粉に《隠し味》を合わせたものを塗りたく って包帯をきつく巻いた。麻酔剤のようなものを持っていればより項が得られそうなものだが、生 憎ここは永遠亭ではない。そこの辺りは我慢だ。 「うう……。う、うう?」 胴体で直立して、きょとんと俺を見つめるおぜうさま。その(本人曰く)つぶらな瞳は潰してや るか抉り取ってやりたいものだ。 「うう!! いだぐなぐなっだどー!! もうへーきだどー!!」 それは良かったな、と俺は青筋を立てる。その視線に気づくわけもないおぜうさまはさらに続け て、 「うーうー! はやぐぶっでぃーんもっでぐるんだどー!」 また!? 「お前、もう忘れたのか? ウチにプリンはな」 「ぶっでぃーんだどー! ぶっでぃーんをはやぐよごずんだどー!!」 「話を聞きやがれ!!」 「ぶぎゃっ!?」 折角半殺しで止めてやったが、もう飽きた。このバカに付き合うのは。チルノの話に付き合って いるよりも面倒だ。 今蹴飛ばしたのは、顔面。丁度(人間で言えば)鼻の辺り。後頭部を床にぶつけ、すぐさま背中 を打ちつけて飛んでいく。地獄車になったおぜうさまは、逆立ちの状態で玄関扉に直撃した。 しかし、倒れてこない。 不思議に思った俺は近づいてみる。 もう、おぜうさまは絶命していた。 身体の幅が二倍になっている。扉にへばりつくようになったおぜうさまは、くっついたまま落ち てこない。完全に床と同化してしまったように見える。 腰の部分を指で掬うが、ねっとりと脂っぽいおぜうさまの身体は、平面的にこびりついている。 床に近い、頭の方を見てみる。こちらはさらに惨劇だ。頭はえびせんべいのように薄く広がって いる。やはり中身の詰まっていない頭であったのだろう、餡子は漏れ出ていなかったが、顔面が顔 面の体裁をたしていない。 完全に絶命し、家には静寂が訪れた。 本当は、傷口の処理に使った粉の《つなぎ》として、チビれみりゃを使ったことを教えてから殺 したかったのだが、こうなっては仕方が無い。 ○ おぜうさまとチビれみりゃの残骸を処理して居間を通過し台所に戻った。 瓦斯台(これもにとりちゃんの御蔭)の下からは濛々とした湯気が立っている。火は先ほど消し てある。 まさかこんなことになるとは思っていなかった。扉を完全に閉めていればよかったのかもしれな いが、後の祭りとはまさにこのこと。 おぜうさま関係の作業に余裕があると踏んでいた俺は、熱いお茶を飲もうと湯を沸かしていた。 その間にでもれいむはまりさを食べ終わって、それこそゆっくりしていると思っていた。それは先 ほどおれにおぜうさまがどうしていたのか教えてくれたことから、ほぼ改心していたと思い込んで いた。 しかし違った。所詮ゆっくりはゆっくりであり、人間の家はすべて見つけたゆっくりのもの、と 言う考えは捨てていなかった。 ここからは俺の予想である。 まりさをすべて食べつくしたれいむは、俺がスキマを作っていた扉の隙間をすり抜けて台所へ突 入した。そこはおぜうさまの暴虐の残骸が充分のこっていたが、然して気にしていなかったのだろ う。最初はゆっくりとしていたらしい。床の一箇所に食べ残した餡子が零れていた。 その後、れいむは興味をそそられるものを見つけた。見つけてしまった。 それは、俺が瓦斯台に掛けていた薬缶である。これはかなりの大柄なもので、作り置きの茶をつ くるのには最適なものだった。 たまたまおぜうさまが遊んでいた踏み台を使って、俺は吊棚から薬缶を取り出し、その踏み台を 放たらかしにしていたのだ。それを使ってれいむは瓦斯台の手前に攀じ登った。 この薬缶は、湯が沸いたことを報せる汽笛のような装置が付いていた。れいむはこの音に驚いた のだろう。我が家の玄関扉は防音性に優れており、この音を聞くことは無かった。 れいむは必死になってこの音の正体を見破ろうとして、バカなことをした。薬缶へ体当たりを繰 り出した。 金属製の薬缶は、饅頭のれいむの皮膚をくっつけた。 あつい、あっつい!! れいむの叫びは俺には聞こえるわけもない。 顔をくっつけたまま暴れてしまったのだろう、れいむはバランスを崩した薬缶ごと床に落ちてい く。お湯はその衝撃で少し漏れてしまった。お湯はれいむの川を薬缶から剥がした。それはれいむ を薬缶の熱さから解放するに充分だったが、その所為で確実にれいむの寿命は縮まった。 れいむは床に背中から落ちた。衝撃が大きかったのだ。身動きは取れなかった。 その上から、蓋の開き落ちた薬缶がれいむに蓋をした。 熱湯を浴び、その上からもうもうとした熱風を込めた薬缶が体を覆う。 俺が薬缶を持ち上げたその中で、れいむは蒸し餡饅の出来損ないになっていた。 皮はぐずぐず。餡子も溶け出しており、手で持つことは出来なかった。 俺は包丁二本でかき集め、まりさの帽子を入れておいたコンポストに投げ入れた。 本当は数年間の範囲で苛め倒すつもりだったが、そう巧くはいかない。だが、蒸し煮されるとい う貴重な経験をして死んでいったれいむの苦しみは、俺の気持ちを晴らすに充分だった。 これから、どんなゆっくりがここに来るか、今から考えるだけでも楽しみだ。 ※あとがき この「ゆっくりいじめスレ」には初めての投稿になります。 PNは決めておりませんでしたが、とりあえず『春巻』と名乗ります。 元々は「幻想郷のキャラをいじめるスレ」に投稿しておりました。 作品は後で下に記しますが、ゆっくりいじめ自体はこれが2作品目です。ほとんどの作品がゆっ くりいじめではないので、ゆっくりのWikiには、1作品しかないでしょうけど。 ですが、これ以降ゆっくりいじめ、幻想郷キャラいじめ小説は書きません。もう時間が取れない ので、残念ですが引退いたします。後はROM専で失礼します。 これからも、ゆっくりがいじめられ、虐待され、虐殺される世界でありつづけることを祈って、 最後の挨拶といたします。 ここまで拝読まことにありがとうございました。 春巻 ※過去の作品(ゆっくりいじめ以外も含む) 春巻リリーホワイト 2作品 すわこちゃんの歯磨き 放置プレイ(因幡てゐいじめ) 豊穣を祈れ ~傲岸不遜たる秋姉妹へのディリジョン~ 迷子の迷子のかえるちゃん(すわこたんいじめ) 胡瓜と人参の悪夢(因幡てゐ・河城にとりいじめ) 因幡てゐVS.ゆっくりれーせん このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1399.html
※美鈴によるゆっくり虐待。 ※fuku1007.txtの続きです。 ※例の如く、ある意味では美鈴虐めかも。キャラ性格の俺改変ひどいし。 ※事情により中編です……いや、18禁になりそうな性的描写が……後編に……。 ※当然のように俺設定満載な感じです。 ※特に、ゆっくりの設定は思い切り俺設定です。イメージと違う場合もございますので、 ご注意ください。 「美鈴と森のゆっくり ~中編~」 ゆっくりありすの抵抗心を破壊した美鈴は、青竜刀を振り上げている。 「ごっ、こば、ごわ゛ぐない゛ばよ……ぞ、そ、ぞぶなの゛……!」 もうすぐ訪れるであろう死に対し、ありすは精一杯の虚勢を張った。 ガタガクブルガタと震え、滂沱の涙を流しながら。 「そうなの? でも、斬られると痛くてよ。それに、一刀のもとに真っ二つにされても、 しばらくは死ねずに苦しむわよ」 強がるありす見て、愉快そうに美鈴は微笑む。 「ふふっ、そう言えば私は発展途上国なんですって? 悪いわね、発展途上国っだから、 そんな痛くて苦しい殺し方しかしてあげられないのよ……都会派のゆっくりさん」 言われたときは流したが、やはり結構カチンと来ていた美鈴は、ことさらに発展途上国 を強調しつつ、ありすの恐怖を煽るように嘲弄する。 「う゛、ゆ゛っ……あ゛、あ゛ぁ……ぞ、そ゛ぶな゛の゛……う゛う゛っ……」 死ぬ覚悟は出来ていたはずだが、やっぱり怖い。とても怖い。 ひと思いにやられるのならともかく、振り上げられた白刃を見せつけられながら、この ように「痛い」「苦しい」などと言われては、その死への覚悟も揺らぐ。 「あら、怖いの? 怖くないんでしょ? 都会派さん」 ありすの恐怖を百も承知の美鈴は、まだ刃を振り下ろさない。 「ゆ゛……う゛、あ゛、あ゛ぁっ……!」 耐えきれず、ありすは恐怖のあまり、底部からカスタードクリーム汁を漏らす。 いわゆる、失禁である──。 「むきゅっ! そ、そご、までよ! あ、あ゛りずを……い、い゛ぢめ゛ない゛でぇ~!」 愛する者のそんな様子を見かねたゆっちゅりーが、美鈴の前にありすを守るよう立ち塞 がった。 「そう。それじゃ、あなたを虐めようかしら」 鈍いゆっくりにも目で見てわかるように、美鈴は強い殺気を放ち、青白い気の光で薄明 るく全身を輝かせた。 「む、むきゅぅっ……あ、あ゛ぁ……む、むむきゅっ……!」 殺気にあてられたゆっちゅりーもまた、ありすと同じように底部から梅紫蘇餡汁を漏ら した。 「あ゛、あ゛あ゛ぁぁっ! や゛べでっ! お゛あ゛ぢゅじーを、い゛ぢめ゛ない゛で!」 ゆっちゅりーの後ろでガタガタ震えていたありすが、前に出て来た。 「あら、せっかくこの子が庇ってくれてるのに、隠れてなくていいの?」 殺気を身にまとったまま、愉快そうに美鈴は微笑んだ。 「か、が、がぐれでい゛だっで……ど、どう゛ぜ、あ゛じずもごろ゛ずん゛でじょ? な、 な゛ら゛っ……い゛、い゛……い゛っじょじ、ごろ゛じでよ゛ぉぉぉぉぉぉっ!」 自らが出した涙とそれ以外の液体で顔ばかりか全身を、ぐじょぐじょにした姿で、あり すは絶叫した。 「む゛ぎゅっ! ら、らめぇぇぇぇぇ! お、お゛ねえざんっ、ばぢぇをごろ゛じで! あ、あ゛りずは……だ、だずげであ゛げでぇぇぇぇぇっ!」 ゆっちゅりーもありすに負けじと叫ぶ。 「そうねぇ、そこまで言うんなら、どっちかのお願いはきいてあげようかしら?」 「え゛え゛っ! お、お゛ねがい゛ぎい゛でぐれるの゛っ!?」 異口同音に、ありすとゆっちゅりーは喜びの声を漏らす。 「ええ、あなたたちの気持ちはよくわかったわ。その気持ちに免じて、どっちかのお願い は聞いてあげるわ」 にやり、と人の悪そうな笑みを美鈴は浮かべた。 「あ゛、あ゛じがどぉぉぉぉぉっ! お゛ねえざん゛っ!」 「いいのよ、お礼なんて。その代わり、私の言う事きいてね? いやならお願いもきかな いわよ」 ますます人の悪そうな笑みを浮かべる美鈴。 いつも人の良さそうな顔をしている彼女には、あまりこう言う表情は似合わない。 「うんっ! きくきく! なんでもいってねっ!」 今泣いた烏がもう笑っている。二匹は泣くのをやめ、早くも喜色を浮かべていた。 「えらいわね。それじゃ、まずはあんたたちの後ろに隠れてる子を、私の前に連れてきて」 見えない闇が濃くわだかまる、巣の奥の方に視線を向ける。 「え? かくれてるこ?」 「むきゅ? ぱちぇたちのうしろになんか、だれもかくれてないよ」 きょとんとした顔で二匹は言った。 「え? あいつらが隠れているんでしょ? あのゴミク……まりさの親子が」 この期に及んでウソは言わないだろうが、確かにあの母子は巣の奥に居るはずである。 巣の出入り口は、ここだけのはずなのだから。 「まりさたち? まりさたちは、おくにはもういないとおもうよ」 「むきゅ! あいつらは、たぶんもうにげたわよ……」 ──居ない? 逃げた? そんな、まさか……? 「ウソじゃないわよね? どうやって逃げたって言うのよ?」 逃げられるはずが無いのに逃げたと言う──いったい、これは……? 「ゆっ! ゆっ……みんな、ちゃんとついてくるんだぜ!」 ゆっくり一匹がどうにか通れるぐらいの通路を、母まりさは進んでいた。 「ゆっ! ちゃんとついてくよ、おかあさん!」 「すていしにしたぱちゅりーとありすは、きっといまごろゆっくりしんでるね!」 母の後を子まりさ二匹はしっかりと尾いて来ている。 成体でも通れる大きさの通路は、小さい子供には充分すぎる広さがあるため、二匹は横 に並んで仲良く進む。 「ゆっゆっゆっ! できるだけゆっくりころされてるといいぜ!」 時間稼ぎの捨て石が殺されるのに、時間がかかればかかるほど、自分たちは遠くに逃げ られる。 「ゆっ! そうだね! でも、れみりゃじゃなくて、にんげんがあいてでよかったよね!」 「にんげんじゃこのひじょうぐちはとおれないもんね!」 この森に住む野生のゆっくりたちにとって、最大の外敵はれみりゃなどの捕食種である。 野犬や狼などの獣は、ゆっくりが喋る声の周波数を好まないようで、あまり襲ってくる 事がない。 人語を解さず知能も高くない低級の妖怪たちは、れみりゃ種の外見を本能的に忌避して いるためか、れみりゃがやけに多く生息するこの森にはほとんど近寄らない だから──まりさたちは、れみりゃの襲撃を最も恐れ、巣に非常口を作ったのである。 もっとも自分たちだけではなく、れみりゃも通れるサイズの非常口は、今まで使われる 事が無かったのだが。 ちなみに、この非常口は主にありすが作らされ、完成後「役に立たない物を作った」と 言う理由で折檻されたのだが、それは過去の話である。 「ゆっへっへっ! れみりゃがきたときはおどろいたぜ! でもあのにんげんがれみりゃ をたおしてくれたおかげでたすかったぜ!」 「ゆっ! あのにんげんもてきだったみたいだけど、ばかなにんげんでよかったね!」 「ゆっゆっゆっ! どれいどもがやくにたってよかったよ!」 もう完全に助かったと思いこんでいる母子は、楽しそうに語り合いながら出口を目指す。 朽ち倒れた大木を、先端に向け掘り削らせて作らせた非常口は、とても長いが、もうす ぐ終点である。 「ゆっ! いい? おそとへでたらべっそうにいくんだぜ! しばらくあっちでゆっくり くらしてから、おうちにもどるんだぜ!」 「ゆっ! わかったよ、おかあさん! おやこでゆっくりくらせるね!」 「あたらしいどれいは、ゆっくりしながらみつけようね! こんどはちぇんかみょんがい いな!」 これからの新生活に向けての相談をする母子。 別荘と言うのは、かつて母まりさが一匹で住んでいた巣穴である。 れいむやありす、ゆっちゅりーたちには教えていない、餡子の繋がった親子たちだけの 秘密のゆっくりプレイスだ。 あまり広くは無いが、親子三匹ならば充分ゆっくりできるであろう。 ──もう、出口はすぐそこである。 「ゆっ! やっとおそとだぜ! こんなながいひじょうぐちつくるなんて、ありすはほん とにやくたたずだったぜ!」 その長い非常口を作らせ、完成後に「れみりゃもとおれるおおきさだからつかえない」 と言って、ありすに暴力を振るい、目の前でゆっちゅりーをレイプしたのは、この母まり さである。 「ゆっ! ほんとだね! れいむたちもじゃまだったけど、どれいたちはやくたたずだっ たね!」 母れいむを罵倒し子れいむをいじめるのが日課だったのは、この子まりさである。 「ゆっ! ありすはくさくてきもちわるかったね! ぱちゅりーもうっとうしかったね!」 母の威を借りて、常日頃からありすとゆっちゅりーに嫌がらせをしていたのが、この子 まりさである。 「ふーん……まりさたち、そんなにありすがきらいだったの……」 外へ出て少し進むと、後ろから声がした。 「むきゅっ! うっとうしくてわるかったわね!」 前からは、ゆっちゅりーが──美鈴に抱っこされて、やって来た。 「ゆっ! ゆゆゆゆゆゆっ!? ありす? ぱちぇりー? なんでいきてるんだぜ? ゆっ くりしねってめいれいしたのに!」 「おっ、おかあさん! あのおろかなにんげんもいるよ!」 「ゆっ! どれいども、すていしにならずうらぎったの? おんしらず!」 驚愕する母子は、驚きのあまり言わなければ良さそうなことを口々に言った。 「おねえさんが、ありすたちをたすけてくれたの。ゆっくりしぬのは、まりさたちよ」 非常口の出口に陣取ったありすは、ゆっくりらしくない冷たい声で言った。 朝から晩まで餌取りや巣の拡張工事をさせられながら、罵られ、体当たりで小突き回さ れ、食事と言えば食べ残しや痛んだ物やゴミクズ母子の排泄餡子だった、忌まわしい日々 の記憶が、ありすにそんな声を出させたのである。 「むきゅ! かくめいのときよ! ぼうくんはうちたおされるのがきまりなんだから!」 ゆっくりと地面の上におろされたゆっちゅりーが、力強く言い放った。 外で遊べない雨の日は、いつも面白い話をするように強要され、何を話しても「つまん ないぜ!」「やくたたずのむらさきもやし!」「ゆっくりしね!」と罵倒された思い出。 何でもかんでもわからない事は聞いてくるくせに、教えると「そんなのしってるぜ! じょうしきだぜ! えらそうにいうなだぜ!」「まりさたちがいなかったら、のたれじぬ くせに、いいきになるな!」などと、お礼の言葉ではなく罵声を浴びせられた日々を思い 返し、ゆっちゅりーは悲しそうに目を閉じた。 「だるいから、とっととやっちゃうわよ」 やっと喋ったと思ったら、空気を台無しにする美鈴。 暴君が滅びるのは、中国四千年の歴史から見たら、別に珍しくも感慨深くも無いのであ る──と言うよりも、ゆっちゅりーを抱いて出口まで案内させながら、これまでまりさ母 子が行ってきた所行を聞かされ、テンションが下がっていた。 客観的に見て絶体絶命の状況となった母子まりさ三匹は、 「ゆっ! おねえさん! ありすとぱちゅりーはわるいゆっくりなんだぜ! まりさたち をずっといじめてたんだぜ!」 「おかあさんのいうとおりだよ! おねえさん! わるいゆっくりのみかたしちゃだめ!」 「ゆっ! ほんとうはまりさたちがどれいだったんだよ! こいつらはうそつきだよ!」 ──と、なおも諦めず、自分たちこそが正しいと主張する。 「はいはい、悪いか良いかは私が決めるから、お黙んなさいよ」 ぞんざいな調子で言うと、美鈴はまりさたちに向かって歩き出す。 「ゆっ! こ、こっちこないでだぜ! まだまりさたちのはなしはおわってないんだぜ!」 「おねえさん、こわいよ! わるいひとになっちゃだめだよ!」 「ゆっ! ありす、ぱちゅりー! まりさたちをにがしてくれたら、いいものあげるよ!」 ずりずりと三匹は後ずさるが、美鈴の歩幅の方が明らかに大きい。 とっとと全力で逃げ出せば、もしかしたら一匹ぐらいは逃げ延びられたかも知れないの に、自分たちの話術に絶大な自信を持っているまりさたちは、言葉の力で危機を脱する事 が出来ると未だに思っていた。 「もう……黙んなさいっていってるのに、うるさいわね」 手を伸ばせばすぐに捕らえられる位置まで、美鈴は進んだ。 「ゆっ! お、おねえさん! ぱちゅりーがにげだそうとしてるんだぜ!」 「え? あ、しまった……」 ついうっかり、美鈴は振り向いた。 「いまだぜ! にげるんだぜ!」 叫ぶと同時に、母まりさは左に向かって逃走を図る。 ゆっくりにしては早い反応速度で、子まりさたちも母の後に続く。 「……なんてね」 慌てず騒がず、美鈴は威力を極小に抑えた気弾を放つ。 前に、れみりゃに向けて放った際うっかり偶数弾を出して失敗したので、今度はばら撒 き弾を射出した。 前方から放たれたとしても、ゆっくりが弾幕をかわせる事はまず無い──ましてや、後 方から撃たれたのなら、なおさらだ。 「ゆぎっ!」 「ゆぐっ!」 「ゆげっ!」 ほぼ同時に三匹は被弾した。 微妙に異なる悲鳴を上げ、そのまま俯せに倒れ、まりさたちは気を失った。 「はい、それまでよ……ふふっ、本物の白黒ならともかく、ゆっくりごときじゃ私の弾幕 は避けられなくてよ」 さっきれみりゃにグレイズされたのは、二発だけしか撃たなかったから偶然外したのだ と、心の中で美鈴は自分に言い聞かせた。 「こいつらを運ぶから、あんたたちも尾いて来なさい」 気を失ったまりさ母子を抱え上げ、ありすとゆっちゅりーに指示を下す。 「一応言っておくけど、もし逃げたりしたら撃つわよ……避けられると思うんなら、試し てみる?」 「いっ、いいですっ! にげませんから、うたないでぇぇぇっ!」 「むきゅ! ぱちぇもにげないよぉぉぉっ!」 言う事を聞けばお願いをきくと言われたので、もとから二匹に逃げ出す気はなかったが、 気まぐれに撃たれたりしたらたまらないので、必死の形相で逃げない事を誓う。 「ものわかりの良い子は好きよ。さ、いきましょ」 二匹の移動速度を考えて、ゆっくりとした歩調で美鈴は歩き出した。 「ゆ゛ぎぃぃぃぃっ! だべぇぇぇっ! べびぶの゛な゛がび、だべう゛ぁう゛ぃでぇぇ ぇぇぇっ!」 「ゆ゛ぎゅぅぅぅっ! お゛がぁ゛ざあ゛ぁぁぁぁん゛! どごぉぉぉぉぉっ!」 巣穴の中からは、放置していた母子れいむの絶叫が聞こえる。 「そう言えば、とどめ刺してなかったわね……ま、いいか」 ゆっくりは、ゆっくりするのが好きらしいから、ゆっくり放置しておけば良いと美鈴は 考えた。 一応、今どうなってるかだけを確認するために巣穴の中を覗き込んだ。 ──特に状態は変化していなかった。 相変わらず母れいむは、れみりゃアームを眼窩に突き立てられたまま、のたうち回って いる。何度か餡子汁を失禁させたようで、身体はところどころ餡子で汚れていた。 悲鳴から察するに、母れいむの目の中に入れた子れいむが、声はすれど姿は見えずの母 を求めて、周りを囲む母の餡子を食べて除こうとしているようだ。 「うーん……中がどうなっているのか気になるわね」 ゆっくりの表皮と中身が半透明だったら。蟻の巣観察キットのように中の具合が見られ るのだが、残念ながら透明ではないため中の様子は想像するしかない。 「まぁ、気が向いたら、あとで斬ってみればいいか」 今すぐに斬って楽にしてやるのが慈悲であろうが、生憎と愚鈍な饅頭にかける慈悲なん ぞ、美鈴は持ち合わせていなかった。 「しかし、ちょっと耳障りなうるささね……そうだ!」 母の身体に包まれている子れいむの声はともかく、母れいむの上げる悲鳴の煩さに辟易 した美鈴は、とりあえず黙らせる事にした。 「ゆ゛ぎゅっ! う゛う゛う゛う゛う゛う゛っ!?」 おもむろに舌を掴まれ、母れいむは声を出せず喉の奥で呻いた。 「うるさい舌は、いらないのよ」 掴んだ舌に爪を立て、そのまま手と指に力を込めて捻り切る。 「う゛う゛う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっっ!」 新たな激痛に母れいむは身を震わせ、喉奥から地鳴りのような声にならない音を響かせ る。 「これはこれで、うるさわいね……でも、さっきよりはマシかしら」 視覚に続き今度は言語も奪われ、生き物から饅頭により近い存在になった母れいむを見 下ろしながら、あまり面白くも無さそうに言った。 切り取った舌は、口の大きさに比例してとても大きく、人間の舌よりも牛タンをイメー ジさせるようなサイズである。 触感は人間の舌よりも柔らかい──人間の舌はびっしり詰まった筋肉を粘膜で覆ってい ると言う構造だが、このゆっくりの舌は粘膜を粘膜で覆っているのかと言うぐらい柔らか い。 そんなので声が出せるのかどうか不思議だが、もともとゆっくりと言う生命体自体が、 不思議に溢れた幻想郷でも非常識な存在なのだから、気にしても無意味であろう。 「ぬめぬめして、大ナメクジみたいね」 臭いは甘い。中身が餡子で甘いのと同様、舌の表面を濡らす唾液も、きっと甘いのだろ う。 「んー……えいっ」 手に持った母れいむの舌を、しばし見つめてから、美鈴は思いきってそれを一口かじっ てみた。 「……うわぁ、甘い……うん、これはおいしいかも」 中身が餡子ならば、粘膜である舌は求肥である。もちもちとした食感が、心地良い。 「……ぺっ」 しばらく噛んで味わっていた美鈴だったが、ある事を思い出し吐き出した。 「こいつらって、虫だろうとなんだろうと何でも食べるのよね……忘れてた」 以前に生ゴミや畜糞を食べるゆっくりを見た事もあった。 「うっぷ……気持ち悪っ……ぺっ、ぺっ!」 さっきまで美味しいと思い、味は確かに美味しかった母れいむの舌を、まるで忌々しい 汚物のように放り捨てた。 「う゛っう゛う゛っ……う゛う゛う゛! あ゛あ゛っあ゛っあ゛っあ゛!」 意味のある言葉を喋れなくなった母れいむは、喉の奥から餡子混じりの粘液や空気を吐 き出して唸っている。 「完全に声を奪うのは、やっぱ無理ね……音は空気の振動だし」 ゆっくりは窒息死しない生き物なのだから、静かにさせるには、空気を振るわせられな いよう、口いっぱいに何か詰め物をすべきだった事に、美鈴は今さら思い至った。 「ま、いいか……うるさいから奥行ってなさい」 「う゛う゛っ!」 非常口の存在と言い、この巣の奥はかなり広いようなので、とりあえず入り口から遠ざ けるため殴り飛ばした。 続く このSSに感想を付ける
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かわいいゆっくりゲットだぜ!!外伝-中(ありがとうなんだぜ。れみりゃ) ゆっくりれみりあ(れみりゃ)の捕食種設定ありです。俺設定もありです ひどいあつかいのゆっくりと性格の悪いゆっくりや悪魔のような性格(?)のゆっくりがいます それでもよければどうぞよんでください れみぃと呼ばれるれみりゃは、自分の育ての親達を愛していた 迷子になった自分を連れて旅をしながら育ててくれた2匹には心から感謝していた だから、2匹のうちの1匹がいったことを何も疑いもせずに信じてしまったのだ そして、れみぃの本当の苦労は…その時から始まったのかもしれない では、本編開始です ある林の中の小屋、そこには数十匹のゆっくりと呼ばれる生物がすんでいる。 まんじゅうが生命を持ったでたらめな生き物…それがゆっくりと呼ばれる生き物である だが、その小屋の中のゆっくり達は名前と違って全くゆっくりしていなかったその理由は… その群れのリーダー格の50cm台のまりさはいくつかの問題を抱えていた。 一つ目の問題、越冬の食料が全然足らないのだ 二つ目の問題、誰でもゆっくりできる場所があると聞いたゆっくりが集まってくるのだ 三つ目の問題、…それはこの小屋の屋根裏にいるのだ そして、屋根裏からは楽しそうな声が聞こえてくるのだった 「うーうー♪ まんまぁー♪ 」 「むきゅ!れみぃは、ほんとうにゆっくりできるわね。わたしたちのじまんのこどもよ♪」 「こぁ、れみぃさまおいしいごはんをありがとうございます♪」 …食糧問題を抱える下のフロアーのゆっくりとは逆の楽しそうな声が聞こえてくる。 何故、このような状況になったのだろうかとまりさは悩んでいた まりさは屋根裏の3匹が群れに加わった時を思い出していた。 少し前までまりさはぱちゅりー達が隠している食糧があればゆっくり冬が越せると考えていた。 だが、まりさ達がおうちの入り口付近で騒いだために天井が崩れてしまったらしい。 もちろん、食料は土の中に埋まってしまったらしい。 その直前に出てきたぱちゅりーは自分たちのおうちが崩れたのはまりさたちが原因だから一緒に小屋に住むといい始めた。 まりさは表面上では反対していたが、内心で予定とは違うがれみりゃがいれば食糧問題は解決すると喜んでいた 群れの数は、大人が10匹で子供の数は赤ゆっくりを含めて40を超えている。 子供が大人になれば現在の食料では足りなくなるのが確実だった。 このゆっくりプレイスを手に入れたときに安心して子供を作ってしまったのが問題だったのだろうか… 時期的に食料調達ができる時間はあと少ししかない 食料調達係としてぱちゅりーの知力と手下のれみりゃに相談してみるかと考えながらまりさは眠りについた 次の日の朝にぱちゅりーが群れのみんなに提案をしてきた。 「むきゅ、これからしょくりょうちょうたつのためのぐるーぷをはっぴょうするわ」 そういうとぱちゅりーは群れ全体の食料調達の説明を開始した れみりゃは、木の上に残っている果物や木の実を集める係 体力のあるまりさとみょんとちぇんは森の中や川付近までいって虫などの生き物を調達する係 ありすはこぁと一緒に食べれる茸や山菜を覚えながら探しに行く係 子ゆっくりは、ぱちゅりーとれいむ種と一緒に地面に落ちている枯れ葉や枯れ草などの暖房道具とどんぐりなどの木の実を集める係 赤ゆっくりは、残りのれいむが面倒を見てあげる。子ゆっくりの係と交代制 まりさとしてはリーダーのように振舞うぱちゅりーに不満があった。 だが、自分自身の意見を持っていなかったのでぱちゅりーの意見を聞くことにした。 適材適所のこの作戦は、うまく作用して順調に食料を集めることができた そして、1週間が過ぎて冬ごもり開始の直前には小屋の中のゆくっりのいないスペースに木の実や茸と虫が小さな山のように集まっていた。 床にはみんなで集めた枯葉や枯れ草がひかれていてとても暖かい。 詰まれた食料を満足そうに見ながらぱちゅりーは群れのみんなに語り始めた 「みんなよくきいてちょうだい! これでふゆごもりのじゅんびがおわったわ!」 「「「「「ゆっくり、りかいしたよ!!」」」」 「このしょくりょうをじょうずにたべていけばふゆはこすことができるわ!」 「「「「「ゆっくり、りかいしたよ!!」」」」 「ぱちぇとこぁとれみぃはこやをでるけど…みんなはゆっくりしていってね!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!…ゆっくり、りかいできないよ!?」」」」」 ぱちゅりーの発言に混乱している群れのゆっくりを無視してぱちゅりーとこぁとれみぃは小屋を飛び出していった その場所に残っているのは混乱しているゆっくりの群れだった。 その中であのリーダ格だったまりさが最初に冷静になった 「ゆっくりおちつくんだぜ!ごはんさんがこれだけあるんだからふゆさんがきてももんだいないんだぜ!」 その言葉に落ち着いたゆっくり達はゆっくりと好きなことをしはじめた。 まりさ種・みょん種・れいむ種・ありす種のおとなや子供たちがゆっくりとしている… その様子をみたまりさは考えていたこれからの幸せな冬ごもりの日々を・・・ 一方、そのころのぱちゅりー達 ゆっくり達のおうち(人間の小屋)から抜け出したぱちゅりー達は自分たちのおうちのあった場所の近くの大木に来ていた 周りを見回した後に咳き込みながらぱちゅりーはしゃべりはじめた。 「ケッホケッホ、ここまでくればだいじょうぶね」 「こぁ、だいじょうぶですか?ぱちゅりーさま」 「うー! うー! うー? うー!?」 「だいじょうぶよふたりとも…はやくいえにかえりましょう。わたしたちのゆっくりぷれいすへ」 「こぁ、ゆっくりわかりました♪」 「うーうー♪ まんまぁー♪」 そういうとぱちゅりーはこぁとれみりゃに木の根元あたりを掘るように指示を出して自分は周りに注意を払った。 5分ほど経つと木の根元にゆっくりの通れるぐらいの穴ができていた 「さあ、ゆっくりなかにはいるわよ」 「こぁ、ゆっくりわかりました♪」 「うーうー♪ まんまぁー♪…う、う、う…」 3匹は穴にはいるとそこにはゆっくりとした空間と奥に行く道が何本かあった 全員が入ったのを確認するとぱちゅりーは入り口に枯葉と木の板を置いて外敵にばれないようにカモフラージュをした 疲れたので奥の部屋でゆっくり休むと部屋を出て行った 「うーうー♪ まんまぁー♪…う、う、う…」 「こぁ、いなくなりましたね。れみぃさまやくそくはおぼえていますね?」 「…う、う、う…」 れみぃは約束のことを思い出して悲しくて泣きそうになるのをこらえた。 約束とは1週間ほど前にさかのぼる巣の裏口を破壊した時の約束の事だった。 「こぁ、れみぃさまにおねがいがあるのです」 「うーうー♪ うー?」 「こぁ、れみぃさまにこのすからでていってほしいのです」 「う、うぁ?」 「れみぃさまがいるとたのゆっくりたちにまんまぁーたちがゆっくりできなくなってしまうのです!」 「う、うぁ? 」 「こぁ、れみぃさまがいたおかげでむれをはなれてたびにでました。そして、このすにをみつけました」 「う、うぁ? 」 「でも、れみぃさまがいるためにおいだされそうになっています」 「うっぐ、ひっぐ……」 れみぃは泣きそうになりながら話を聞いていた 群れを出た理由は自分と一緒にいるためだった 柿の木の下に入れなかったのも自分のせいだった 外にいるゆっくりの群れに追い出されそうになってるのも自分のせいだ …ゆっくりできないのは誰のせいなのだろうか… 今までの楽しい出来事が両親にとっては自分がいたせいで両親がゆっくりできなかったことに気付いたのだ そして、たえきれずに泣き出してしまった その時に、こぁが耳元(?)に囁いてきた 「かんちがいしないでください。ちかくにすをつくってべつべつにくらして、はるにあえばいいのです!」 「……う~?」 「こぁ、ゆっくりりかいしてください!! ちかくにすをつくればはるになればまたあえるのです!!」 「うーうー♪ うー♪」 「では、ぱちゅりーさまがもどってくるまえにせつめいをしますね」 こぁの説明は、おうちの近くにある空洞の大木で冬をすごせばいいというものだった。 そこには非常食と防寒具も用意してあるという。 れみぃは家から出たくはなかったが、本当の母親の様においていかれるのではなくまたあえるのだからと自分に言い聞かせた。 そして、話しは今に戻る 「むきゅー!? おうちをでるとはどういううことなのれみぃ?」 「うっうー☆うあうあ☆」 「こぁ、ゆっくりりかいしてください!! れみぃさまはじぶんのおうちをつくられていたのです」 「むきゅー!? そこにすだちをしたいということなのれみぃ?」 「うーうー♪ まんまぁー♪」 こくこくとうなずくれみぃを見てぱちゅりーは納得がいかないようにこぁをみた。 確かに大きさや戦闘力ならばこの中で一番に違いない。 だが、少し前まで子供のようだったれみぃが一人で暮らせるのかが心配だった。 「ゆっくりとこぁにまかせてください」 「むきゅ…ほんとうにだいじょうぶなの?」 「こぁ、あくまでこあくまですから♪」 そういうとれみりとこぁは巣の裏口のひとつから出て行った。 木の根本に作られたこの巣は、うさぎやネズミによって掘られて出来たものだ。 木の根もとの大きな入り口とモグラが地面に出たときのような出口が二つある。 そのうちのひとつはこの前ぱちぇの手によって埋めてしまったのだが… 「れみりゃさま、つきましたよー」 こぁが案内した場所には落雷でも落ちたのか中に空洞のできた大木が倒れていた。 穴の大きさは人間でもかがめば入れるぐらいの大きさだった。 奥のほうには、毛布と大量の食料が置かれている 「うーうー♪」 「こぁはかえりますが、なにかあったらこぁたちのおうちにかえってきくださいね」 「うーうー♪」 わかったという様にれみぃは頷き返してた こぁはそれをみてパタパタとぱちゅりーのおうちへと戻っていった れみぃは自分がいなくなったことでまんまぁー達がゆっくりできると思い眠りについた。 夢の中では自分の本当の母親の胴体付きれみりゃや兄弟達、 それにこぁまんまぁーとぱちゅりーまんまぁーと一緒にさくやの作ったぷっでーんを食べる夢を見ていた。 そして、時間は過ぎていき11月が終わり、12月の暮れとなった。 ぱちゅりーの巣 「むきゅ、もうすぐ、くりすますね。くりすますにはさんたさんがいいものをくれるのよ」 「こぁ、ぱちゅりーさまにおねがいがあるのです。」 「むきゅ、なんなのいってみなさい」 「こぁ、えさのもんだいもないのにこのすでふたりですむのはさびしくありませんか?」 「むきゅ、れみぃがいないとひろいわよね。このすは・・・」 「こぁ、さんたさんではなくぱちゅりーさまにおねがいがあります…こどもをつくりましょう」 「そうね、しょくりょうももんだいないし…ふたりはさびしいわ」 そして、彼女たちが子作りを開始した。 こぁは今までの苦労を思い出していた。 川の土手にすんでいた時、まりさが好きなぱちゅりーを自分に振り向かせる方法を悩んだ日々。 土手を離れるためにれみぃを利用してしまった事に対する後悔 3匹でのつらくも楽しかった日々 ぱちゅりーと二人きりになりたくてれみぃを追い出してしまった事に対する後悔 この瞬間のおかげですべての苦労や後悔が報われた気がする。 「こぁ、あくまでこあくまですから♪」と内心で舌を出す小悪魔がいた 年が明けて1月、話は大量に増えてしまったゆっくり達とれみぃと呼ばれたれみりゃに戻る 大量のエサに満足した群れでは、若い越冬を知らない世代のゆっくりがすっきりを行い続けた。 植物型にんっしんっであり9・10匹の子供をそれぞれが授かる事となった。 大人が25匹、子供が40匹、赤ゆっくり30匹、蔦の子供が40匹に増えていた 床がバレーボールやソフトボールやミニトマトで埋められているような状態だ。 さすがにまずいと思った各種のリーダーの相談の結果、子作りを禁止にした。 冬籠もり中の餌不足は抗えぬ問題であった。 しかも巣周辺の食べられそうなものはすでに取り尽くした状態である。 妊娠した子供を持つ親はえさを取りに行く事ができない。 遠出をしても往復に時間が掛かるため量も沢山は採れず、取ってきた分はその日の内に消える。 加えて雪が降る日もあるので食料探しにいけない日もある 最近では、初めての子供のために頑張ろうとして力尽きたのか帰ってこない成体ゆっくりも増えてきた。 中には自分の寝具である干し草を食べたゆっくりもいる 怖がって食料調達にでないゆっくりもでてきている。 「どぼじでごはんがすぐな゛いのお゛ぉぉぉぉ!!」 「おかーしゃんおにゃかへっちゃよ!!」 「しゃっしゃとごはんもっちぇきてね!!」 「しゃむいよ! あったたかいかれはさんがないよ!」 「まりしゃもおふとんでねちゃいよ!」 ボロきれのようなシ-ツと中身がこぼれだしているフトンもあるが赤ゆっくりと小さな子ゆっくりで埋まってる 巣に轟く親の絶望の叫びとご飯も満足に出せない親への不満を口々に吐き出す子供達の叫び声が響いていた。 その状態にリーダー格のまりさは困りはてていた。 残りの保存食は、最低源の食料を食べたとしても半月もたないだろう。 ぱちゅりーが用意したのは冬ごもり前の子供が成長しても足りる分の食料を用意した。 だが、現在のゆっくりの数は冬ごもり前の2倍を越えているのだ。足りるはずがない。 「こまったんだぜ…」 どんなに悩もうと食料が出てくるはずもなく相談できる相手もおらず途方にくれるしかなかった 「まりさ、そうだんがあるんだよ。」 「いってみるんだぜ。れいむ」 そこには越冬を経験をした事のある1匹のゆっくりれいむがいた。 彼女は優秀でいつも他のゆっくりよりも多くの食料を拾ってきてくれる。 彼女の話したこと驚きの内容だった。 まりさは現在、それぞれの種でリーダー的役割になっているちぇん・みょん・ありすをよんで事情を話した れみぃと呼ばれたれみりゃの巣 「うーうー♪ うーうー♪」 巣の中でごろごろと転がっているゆっくれみりゃは上機嫌だった。 今日はあのゆっくりは来るのだろうかと最近、仲のよくなったゆっくりれいむのことを考えていた。 巣の食料をわけると喜んでくれて一緒に歌を歌ったりして遊んだ。 足音が聞こえるので外にでて木の上から近づいて脅かしてやろうと木の枝に隠れた。 だが、普段と様子が違うし人数も多い。 「ここにれみりゃのすがあるのかだぜ」 「そうだよ。いつもごはんをわけてくれるんだよ」 「こわいんだよー。はやくにげたほうがいいんだよー」 「ちんぽ!」 「とかいはなのだから、みんなでゆっくりなかにはいりましょう」 そういって5匹のゆっくりは巣の中に入っていた。 この5匹は群れに最初からいた中心的なゆっくり達で越冬についての知識も多く持っていた。 そのために自分たちの状況を改善するために食料を少しでも増やそうと考えていた れみりゃの食料を分けてもらえればと考えてやってきたのだ その様子をみていたれみぃはどうしたのだろうかと後ろからそっと近寄っていた。 「おさないでちょうだい」 「わからないんだよ! ありすのうしろのはだれもいなんだよ!」 「うーうー♪ うーうー♪」 「「「「れみりゃだぁぁぁぁ---っ!!!」」」 驚いて巣から逃げようとしますが入り口にはれみりゃがいて逃げられません。 そんな中かられいむが前に出てれみりゃに話しかけます。 「ゆっくりおねがいがあるんだよ! ごはんさんがなくなりそうだからわけてほしいんだよ!」 「うーうー? うーうー!」 れみりゃはその場から少し離れた木の洞に止まると中から木の実や茸を取り出し始めた。 「このごはんを…くれるのかだぜ?」 「うーうー♪ うーうー♪」 そういうとコクコクともっていけというように首を振ります。 「できればもっとほしいんだぜ。さがしてくれないんかだぜ!」 「うーうー? うーうー!」 れみりゃはあちらに行けと促すように首を左に振ります その先にあったのは松の木でした。 れみりゃは木の上に上ると松の実(まつぼっくり)を落とし始めました 5匹はそれをすごい勢いで食べはじめた。 少し硬いが空腹の5匹にとっては久々のごはんだ 次にれみぃはヒラタケ(シメジ)を落としてきた。 この様子をみていたまりさは足の速いちぇんに仲間をつれて来る様に頼んだ。 銀杏の実や山イチジク(イヌビワ、食用)の葉などの食べられる植物を1箇所に集めた。 これだけの量があれば冬を乗り越える可能性が出てきた。 何日も同じことをすれば全滅の可能性が格段に低くなるはずだ。 「ありがとうなんだぜ。れみりゃ」 心からの感謝をれみりゃに言った だがその希望はちぇんの報告によってもろくも崩れ去ってしまった 下編かわいいゆっくりゲットだぜ!!外伝 1-下に続く 【あとがき】 作者名無しです。 なんか矛盾点が出ているのは、ぱちゅりーの話を私(主人公)が勘違いしたりしたり子悪魔の罠です… ぱちぇたちの冬眠する前の話と3話との間のれみぃと野生ゆっくりとの外伝です。 野生の生き物を書くのが面白くて驚いてます。文章下手ですが・・・ 下編はここで書いて問題ないか悩んでます。 書いたもの かわいいゆっくりゲットだぜ!! 1・2・3 外伝 名前 コメント
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総合ゆっくりレジャービル 20KB 斎藤です。 DQNものはゆっくりできないって、偉い人が言ってたね。 もうやめようと思ったけど、途中まで書いていたからアップしてみるよ。 読む気が無くても、しんさくさんがあると気分が違うからね。 最近沢山アップされるようになってうれしいね!! ぼけーっとテレビ見ていて思いついたよ。 サンテレビが視聴できない人には何が何だかわからないはず、ごめんね。 ここの会社結構義理堅いのかなぁ? CM出てるコンニャク打法、今北海道にいてるのになぁ。 駄文です。それでもいいならどうぞ。 ゆー橋はええとこだっせ ゆランゆトーがおまっせ♪♪ でお馴染みの総合ゆっくりレジャービルへと、私はやってきた。 今回の取材は初心に戻り、ゆっくりレジャーの基本を学ぼうといったものである。 ゆー阪から環状線に乗り、ゆー橋で降りる。 うどん出汁の匂いと、朝から一杯やっているおっさん達が出迎えてくれる。 古き良き時代のゆー阪の風景がそこにはある。おされな店が増えたといっても、駅前の様子は何時の時代も変わらない。 ゆー橋駅東出口より徒歩1分、そこにゆランゆトーはある。 地下1階、地上6階の中に、ゆっくりレジャーの全てがあるといっても過言ではない。 今回は下から取材することになっている。 まずは地下1階と地上1階の『ゆチンコ』だ。 今から30年前位に、一世を風靡した大人のゆっくりレジャーだ。 今のパチンコはこのゆチンコがモデルとなっている。多くの人はこのことを知らない。私も知らなかった。 時刻は午前9時半。今日は新台入れ換え初日となっており、多くのお年寄りがすでに列を作っている。 常連さんと話をすると、やっぱりここの台は他所とは違う、殴り心地がたまらないとのことだ。 台を殴る? ゆチンコ初体験の私には意味がよくわからない。パチンコ台を殴った友人が、パンチの店員に連れて行かれたことは あるのだが。やってみればわかるとのこと、期待感でいっぱいになる。 「ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!」 まりさ時計が10時を告げる。開店の時間だ!! 私は店内をダッシュし、何とか新台を確保できた。 初挑戦のゆチンコ台は、『たのしいゆっくり一家の大冒険』という何ともファンシーな名前だ。 ゆチンコ台は、台そのものがゆっくりでできている。 ゆっくりがペッタンコにされ、14インチ程に伸ばされる。目と口の間にパチンコ台が埋め込まれている感じだ。 上部には台に使用されたゆっくりの家族が埋められ、演出を盛り上げてくれる。 大当たりすると口から玉が出てくるのだ。 早速500円分の玉を借り、ハンドルを握る。 「ゆふん!!」と台のゆっくりが喘ぐ。ハンドルはぺにぺにでできているのだ。 遊び方はパチンコと大きな違いは無いので、誰でもすぐに馴染めるだろう。 「リーチ!!!」 横の説明を見ているうちに、れいむ&まりさ絵柄でリーチがかかった。 「おきゃあしゃん、がんばっちぇ!!」 「ゆっくちしないで、あてろ!! くしょばばあ!!!」 台上部の子ゆっくりが、台の親ゆっくりを罵る。大当たりしないと子ども達は餌が貰えないのだ。 「ゆっくりしないでがんばるよ、おかあさんは!!! えさん、はやくそろってね!!!」 台ゆっくりは子どもに答える。 場面が巣の中に変わり、れいむしゅっさんっリーチに変化した。 れいむかまりさを産むことができれば、大当たりである。 画面上ではれいむが必死に息んでいる。 「ゆぶうぅぅぅっ!!! あ、あ、あかちゃんゆっくりしないでうまれてね!!」 アニメ調ではあるが、非常にリアルである。気持ち悪い。頑張る所を間違っている感じがする。 産道がメリメリと開いていく。れいむの顔は苦痛で歪み、汗と涎まみれとなっている。 それにしても長い。なかなか産まない。もしかして死産なのかと見ていると。 「れいむ!! このおぼうしさんでまりさがうけとめるよ!!!」 番のまりさが出てきた。台の説明によるとチャンスアップらしい。れいむ種とまりさ種の番なので、まず当たりだろう。 ドキドキして見守る。早く産みやがれ、このくそでいぶ!! 「うーん、う゛ーん!!! う、う、う、うばれるぅぅぅぅ!!!!」 産道から汚い尻が見えてきた!! がんばれあと少しだ!!! 『スポーーーーーン!!!!』 「ゆっくちうまれちゃよ!!!」 おお、産まれた!! 画面が暗転しているので、何が産まれたのかわからない。どきどきする。 まりさならもう1回当たりやすくなるのだ。 画面が段々と明るくなる。 そこにいた赤ゆっくりは………… 「にゃかにゃかちょかいはなおうちね!!!」 ありすだった!!! 「どういうごとなのぉぉ!!!! でいぶぅぅ!!!!」 画面の中のまりさと私の声がシンクロした!! 「ゆーん!! きゃわいくちぇごみぇんね!!!」赤ありすがそう言って再び絵が動き始めた。 はずれである。 「どぼじで!! どういうことなのおぉ!! なんでれいむとまりさからありすがうばれるのぉぉ!!!」 思わず叫んでしまう。隣のおじいさんが大笑いしている。 「このくそゆっくりが!!! しね!! ゆっくりしていないゆっくりはしね!!」 と私。 「どぼじではずしちゃうの゛ぉ!!! おぎゃあざぁぁぁん!!!」 「れいみゅたちをゆっきゅりさせないおきゃあさんはいりゃないよ!!!」 「いやあぁぁぁぁーーー!!! もうびりびりじだぐなびいぃぃぃ!!!」 と上部の赤ゆっくり。 「ごべんねええぇーーー!!! だめなおかあさんでぇぇぇっ、おちびちゃんごめんねえええーーー!!!」 次の瞬間!!! 「「「ゆびゃあぁぁぁ!!!! びりびりいびゃああぁぁぁぁーーーーー!!!!」 赤ゆっくり達が湯気を立て、ピクピクしながら餡子を吹き出した。 これがゆチンコの売りの1つ、『せいさい』である。今回は電撃が選択された模様だ。 プレイヤーのいらいらを、赤ゆっくりが受けてくれるのだ。 「あーあ、赤ちゃんゆっくりできなくなっちゃった!! これもれいむがはずしたからだ!!! このくず、のろま、うんうん、しーしー、でいぶ!!!」 私は溜まりに溜まった鬱憤をれいむにぶつけてやる。 すると… 「ゆっ、ゆっ、ゆゆっ!!!」 れいむの様子がおかしくなった。白目を剥いて反応がなくなった。 続いて台も操作不能になった。 私が焦っている様子を見て、隣のおじさんが 「姉ちゃん!! 餡子当たりだよ!! 店員呼ばなきゃ!!」 と言って店員を呼んでくれた。 急いでやって来た店員が手に持っていたのはタッパー!! 何? 何でタッパー? 「お客さん!! 餡子、餡子が出てきますから受け止めて!!!」 と店員に言われる。店員は台に打ち止め札を刺す。 玉が出てくる所にタッパーを置く。 するとしばらくして 「えれえれ、えれえれ!!!」 れいむが餡子を吐き出し始めた。 うわっ!! すごい!! 餡子が、餡子がどんどん出てくる!!! あっという間にタッパーが一杯になった。 「どうします? 交換されますか、お持ち帰りになられますか?」 店員が聞いてくる。いまいち状況が掴めない。 店員による説明はこうだった。 数字が揃う以外にも当たりがあり、それが餡子当たりである。 台のゆっくりが強い精神的ショックで餡子を吐き出すのがそれである。 そのまま食べながら打ってもいいし、カスタード、チョコレート等にも変えてくれる。 周りを見回すと、爺さんたちが餅、食パン持参で打っている。 まだ取材する所が残っているので、半分をカスタードに替えてもらい終了した。 さすがゆっくりレジャーの殿堂!! 私の思いも寄らぬ所で楽しませてくれた。 まだ甘味が貴重だった時代の名残が感じられた。お年寄りが多いのも納得である。 続いて私は2階へと向かった。2階はゲームセンターとなっている。 ここのゲームセンターも歴史は古く、今流行りのゲームなどは一切無い。 だが、ゆんベーダーや平安京ゆっくり等が当時の筐体のままありマニアの人気は非常に高い。 今回の私の目当ては『ゆっくりたたき』である。 ゲームセンターの定番であるゆっくりたたきは、ここが発祥の地である。 現在多くの店舗では管理の問題から、実際のゆっくりは使われていない。 だがここでは設置当時から生きているゆっくりが使われている。 それが人気で数人が順番待ちをしている。私もその列に並ぶ。 15分程待っただろうか、私の順番となった。 係員が新しいゆっくりをセットしていく。 「いや、いやあぁぁぁぁーーーー!!! れいむ、れいむたたかれたぐないぃぃっ!!!」 「やめて、やめてえぇぇぇっ!!! こんなのとかいはのすることじゃないわよっ!!!」 「むぎゅうぅぅぅーーー!!! えれえれー」 これからどの様な目に遇うかわかっているゆっくり達は悲鳴を上げ、セットされるのを拒む。 だが係員は淡々とゆっくりを穴の中に入れていく。 「ゆぎゃっ!!! あんよがあぁぁっ、まりさのあんよがああぁぁーー!!!」 「ぬいてええっぇぇ!!! あんよからはりさんぬいてぇぇぇぇっ!!!」 「はい、準備できました。どうぞ。」 係員が私に告げる。 200円を台に投入すると、ゲームの開始だ!! がんばるぞ!!! 『ウイイーーン!! ウイーーン!!』 と音を立て、ゆっくり達が穴から姿を見せる。 まだ始まったばっかりなので速度はそれ程ではない。 『ポカッ!!』『ゆぎゃっ!!!』 『ボコン!!』『いちゃいいぃぃ!!!』 私は1匹も叩き逃さないように集中する。 段々と速度が上がってくる!! 『ボカ!!!』「ゆべっし!!」 『ドゴッ!!!』「ゆげげっ!!!」 『パシーンッ!!』「いだぃぃぃ!!!」 ここまでノーミスだ!!! 調子がいい。今日のハイスコアを更新できそうだ。 「うー いたいのいやだどぉぉぉーー!!! おぜうさまをはやくはなすんだどぉぉーーー!!!!」 叩いた分だけ点数が加算されるれみりゃが出てきた!!! 他のゆっくりを叩くよりも効率がいいので、こちらを集中して叩く。 『バシッ!! ドコッ!! パシンッ!! ボコン!!! ビシッ!!!』 「う、うー!! やめろ、やめるんだどー!! いたい、い、い、いたいんだどー!!! かえる、かえる、こーまかんにかえるんだどおぉぉぉーーーー!!!!」 『ドゴンッ!!! ブチッ!!!!!!!』 し、し、しまったあぁぁぁぁっ!!! れみりゃの首を叩き落してしまったあぁぁぁっ!!!! 「はい。終了です。おつかれさまでした。」 固まる私に係員が告げた。 「うー あうー うぅぅぅーーー!!! あぶうぅぅぅっ!!!」 首だけのれみりゃが苦しそうに唸る。主のいなくなった胴体はバタバタしている。 このゆっくりたたき、ゆっくりを潰してしまうとそこで終了となるのだ。 だからゆっくりを叩く際には、細心の注意が必要となる。 熱くなっていたのと、れみりゃの顔が余りにも憎たらしかったため、思わず本気で叩いてしまった。 まだ時間大分残っていたのにぃーー!!! くやしい!! 「お客さん!! 体の方どうされますか? お持ち帰りになられますか?」 係員がれみりゃの胴体を包んでくれるのを断り、私はゲームセンターを出た。 時刻は12時過ぎ、そろそろ昼ごはんにしたい。エレベーターに乗り込み、6階のボタンを押す。 ゆっくり料理の老舗『ゆっくり飯店』に予約を取ってある。費用は会社持ちなので安心である。 エレベーターを降りると、まずサンプルケースが目に入ってくる。 デパートの大食堂によくあったものだ、懐かしい。 ざっと眺めると、今の時期は『ぱしたフェア』が行われているらしい。 ぱちゅぼなーら、かるぼさん、れみりゃそーすといった定番から、れいむ入りパスタライス、 森の賢者のありす添えすっきり風等の変わったものまで揃っている。 ぱしたを1品頼むと、べーこんごはんがセットで付いてくる。 今回のお目当てはこれではない。 特級れみりあ士が作る、れみりゃ料理が目的なのだ。 入り口で予約していたことを告げると、個室へと案内された。 よくわからないコンセプトで統一されたインテリアが目に付く。こーまかん風らしい。 れいむ、まりさ、ありす等のデスマスクが並ぶ。壁の絵画は、れみりゃがればんてぃんでふらんを串刺しにしている。 こーまかんとはどんな所かよく知らないが、写真を数枚撮っておく。 前菜は、まりさの帽子とぱちゅりーの婆帽ときゅうりの酢の物、まりさつむりの壷焼きであった。 帽子のコリコリ感ときゅうりのシャキシャキ感がうまくマッチしている。 壷焼きの方も、絶命する際漏らしたしーしーとうんうんの加減が何とも言えない。 共に文句の付けようの無いものであった。 前菜を食べ、ウイスキーのちるの割りを飲んでいると、ウエイターがワゴンを押してやって来た。 ワゴンには数匹のれみりゃが吊るされている。この中から選ぶことができるのだ。 れみりゃの選び方等わからないので、ウエイターにオススメはどれか教えてもらう。 胴付きれみりゃはでぶっと肥えた方がおいしいとのこと。顎がタプタプしていると油のノリがよい。 ウエイターの個人的好みではあるが、馬鹿面な方がいいらしい。 ワゴンの中から2匹選んだ。『ぷっでぃーん♪ ぷっでぃーん♪』ばかり言っていた奴とにんしんっしている奴を 今回は調理してもらう。 どんな調理法がいいか、私は初めてなのでおまかせにしてもらった。 小1時間程でできあがるとのこと。その他の料理を楽しむことにする。 らんの握り、ぱちぇとありすのはさみ揚げが次に出てきた。 握りの方は素材のうまみを活かした、シンプルながら味わい深い一品であった。 はさみ揚げは正しく絶品であった!!! あにゃるとまむまむをレイパーありすに攻められたぱちゅりーは、甘さが消えこくだけがうまく残り、 攻め手のありすはこれ以上ないといった具合に甘い!! それぞれすっきりする瞬間を揚げてあるため、筆舌し難い表情をしている。匠の技をここに見た気がする。 私がそれらを堪能し終えると同時に、れみりゃが運ばれてきた。一体どの様に料理されているか楽しみである。 まずは馬鹿面をしていた方からだ。ウエイターがお皿を私の前に置く。 れみりゃの姿揚げクリームソース煮である。 なんとこのれみりゃ、まだピクピクと動いている!! 生なのか? 恐る恐る口をつける。 な、な、何ということだ!!! れみりゃにはしっかりと熱が通っている!!! 半生といった状態でもない!! 足の方から食べ進んでいく。 「うー!! いたい、いたいんだどぉぉーー!!! おぜうさまをたべるんじゃないんだどー!!」 とれみりゃが小さな声で泣く。 素晴らしい!!! 驚くべき火の通し方!!! クリームソースもまろやかでれみりゃの油っぽさを打ち消してくれる!! 頭を最後に食べる。 「うあっ!! うーやめるんだど………」 れみりゃの断末魔が心地よい。 次はにんしんっれみりゃだ!! ウエイターが皿を運んでくる。 私は皿の上のものを見て、何も言えない。 ただ真っ黒な炭の塊がそこにあるだけだ。どういうことなの、これは? ウエイターが炭の塊を、スプーンで軽く叩く。中からは裸で丸坊主のれみりゃが表れた!! れみりゃからは湯気が立ち上り、プルプルと震えている!! またもや生きたままだ!! ここのれみりあ士、一体どれ程の腕の持ち主なのか? ウエイターが手馴れた手つきで、れみりゃを切り分けていく。 腹の中から胎児が出てきた。胴なしのれみりゃだ。 そのまま塩を付けて食べる。 「うー!! れみりゃのあがちゃんがあぁぁぁっ!!! たべものじゃないんだどー!!」 「うー!! しみる、しみるんだどー!! まんまー、まんま、どこおぉお!!!」 れみりゃ達の声もおいしさの1つと言わんばかりの生かし方、食べるのがもったいない気もする。 一思いに頭からガブリといく。 「うー!! うーーーっ!!! いだい、いだああぁぁぁい゛!!!」 口の部分を残すといい声で泣いてくれる。まさにヘブン状態!!! しっとりモチモチの皮と、脂っぽい中身とのハーモニー!! 絶品でした!! ごちそうさまです!!! ちなみに外側の親れみりゃは食べるものではない。ただの器に過ぎないのだ。 デザートには、ちぇんの丸焼きと活け赤ゆっくり。 活け赤ゆは親のれいむから直接ちぎって食べる。 「やべでぇぇぇぇぇっ!!! でいぶの、でいぶのあかじゃんたべないでぇぇぇーーー!!!」 親れいむの悲鳴がいいアクセントとなり、極上の甘さが感じられた。 もう何も言うことはない。満腹、満腹♪ 支払いを済ませ、次は5階に降りる。 満腹で眠たくなってきたので、温泉に軽く浸かって昼寝でもしようと思う。 ここの5階は、天然温泉とサウナがあるのだ。 私は湯浴み着に着替え、浴室に入る。 いやあー♪ 人が働いている時間に入る風呂は絶品である!!! ここの温泉は美肌効果に優れていて、女性にも人気がある。真昼間なので私しかいないが。 ここの目玉は『日替わりゆ』である。ゆっくり自体が浴槽となっているのだ。 今日はどすまりさの日ということで、早速浸かってみる。 「いだいいぃぃーーー!!! どすの、どすのあんこさんのなかにはいらないでぇぇぇぇ!!!!」 どすの帽子を外し、ヒーターで温められた餡子の中に浸かる。 「はあぁぁぁーーーっ!!! 極楽極楽!!! このあんまーい香りもいいねぇぇーー!!」 思わず声が出てしまう。 この餡子風呂、どすがまだ生きているため、中にいると消化されていくのだ。 長く浸からなければ大きな問題はなく、体の垢を食べてくれる感じなのだ。 ゆ船から上がり、シャワーで餡子を落とす。 つるっつるのお肌だ。とても30前の肌とは思えない!!! 一家に1匹欲しいくらいだ!! 毎日違った大型のゆっくりに浸かれるということもあり、リピーターも多い。 特にぱちゅりーとありすは大人気だ。ミルク成分がお肌にいいらしい。 別料金を払えば、『らんの蒸し風呂』に入ることもできる。 大型のらんが外側から熱され、中の酢飯がいい具合の温度となる。 また酢飯が汗を吸ってくれるので、サッパリできる。私は酸っぱい匂いが苦手なので遠慮したが。 高温サウナは特に変わった所はなかった。 だがミストサウナが特徴的だった。ミストがゆっくりから出た汗なのだ。 ミストが出てくるノズルの向こう側、熱風が出てくる所にゆっくりが閉じ込められているのだ。 チョコレートの香りがする。今日はちぇんの日なんだね、わかるよー 耳を澄ますとちぇん達の声が聞こえてくる。 「あづいぃぃっ!! あづいよおぉぉっ!! わがらないよぉぉぉーーー!!!」 「らんじゃまたずけてぇぇぇっ!!! ゆっぐりでぎなびぃぃーーー!!!」 サウナで火照った体を水風呂で冷ます。水の中にはちるのが数匹浮かんでいる。 「あたいってばさいきょうよね!! ゆっくりしていくのよ!!!」 そんなに何時までも浸かってられません!! 少し氷が張っているじゃないの!! 風呂上りにはもちろん冷たいスイーツ!! ここはシンプルにちるのを水で!! 宇治れいむやありまりも捨てがたいところだが、さっぱりといきたい。 カウンターのおばさんが冷凍庫から、ちるのを取り出す。 『あたい さいきょう』しかしゃべらない。やっぱり馬鹿だ。 カキ氷機にちるのがセットされる。おばさんがスイッチを押す。 『ガリガリ ガリガリ!!!』 「いだああぁっ!!! いたいいいぃーー!!! あたいのあたまがあぁぁぁーーー!!!」 削られたちるのが皿に盛られ、砂糖水が注がれる。砂糖水はゆっくりのものではないとのこと。 シャリシャリと気持ちい音がする。うーん、冷たくておいしい!! やぱりちるのは水に限るわね!! ブルーハワイなんて邪道よ、邪道!! サウナでさっぱりいい女になったので、昼寝することにする。 リラックスボックスへ移動する。 ここのリラックスボックスはゆっくりでできており、口の所から中に入る。 カプセルホテルを想像してもらえるとわかりやすい。 ゆっくりの皮のポヨンポヨン感が何とも言えず気持ちいい。 あっという間に眠りに落ちてしまう。 「ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!」 セットしていた目覚ましが鳴る。これはれいむでできている。まりさより少し音階が高い。 ささっとメイクし、次の取材へ向かう。 目指すは4階、『ナイトクラブ・ゆっくりしてもいいのよ!』である。 こちらは昔のキャバレーの雰囲気を残した大箱である。 在籍するホステスさんも年配の方が多く、ご老人の社交場といった感じである。 今回取材を申し込んだのは、ゆっくりホステスのぱちぇねえさんである。 ゆっくりとしてのゆん齢は公表されておらず、在籍年数は5年とゆっくりとしては最長期間を誇っている。 取材の場に指定されたボックス席に案内される。 「むきゅ!! じょせいがしゅざいにこられるなんて、めずらしいわね!! どうぞゆっくりしていってちょうだいね!!」 おしろいの中に顔を突っ込んだのかと言いたくなる程白い顔、血を啜った後の様な真っ赤な口紅を引いた ゆっくりがどんと待ち構えていた。ぱちぇねえさんだ。誰だ、こんな化粧をしてやっているのは? 「初めまして、月刊ゆっくりうぉーかー編集部のSです。今日はよろしくお願いします。」 「こちらこそよろしくね、おじょうさん!!」 「いきなりで申し訳ないんですけれども、この道に進まれた訳をお聞かせ下さいませんか?」 「あら、せっかちさんね。もっとゆっくりしなさいよ!! うーん、ぱちぇはなんだかおなかがすいたし、 のどもかわいたわねぇー」 「あっ、すいません。何でも好きなもの注文してくださって結構ですよ。」 「そう? なんだかさいそくしたみたいでわるいわね。 じゃあ、くだもののかんづめのもりあわせとひやしあめをいただこうかしら。」 「お酒の方は飲まれないんですか? あっ、私は焼酎水割りちるの多めで。」 「おさけさんもねえ、わかいころはよくのんだわ。でもねえ、さいきんめっきりよわくなったのよ!! もうぱちぇもとしなのよ!! もうすぐゆっくりしちゃうかもしれないわねぇ。」 「いやいや、まだまだお若いですよ!! ぱちぇさんは!! 赤ゆみたいなモチモチお肌ですよ!!」 「むきゅん、あなたおじょうずね!! おせじでもうれしいわよ!! そうそう、ぱちぇがどうしてこのおみせにおせわになってるかだったわね。 すこしながくなるかもしれないけど、いいの?」 「はい、構いません! 私自身も非常に興味のあることですから。」 私はレコーダーを取り出しセットする。 ここからの話は非常に長い!! 本当に長かった!!! ぱちぇさん、もうボケが始まっているに違いない!! きっと!! 要約する。 ぱちぇさんは、ありすとぱちゅりーの番から産まれた三女である。 姉ありすといっしょに京ゆー電車に乗り、ゆ治からゆー橋にやって来た。 姉ありすが、とかいはとかいはうるさいので一緒について来た。 最初はゆー阪城公園に住んでいた。しかし他のゆっくりに追われ、ゆー橋に戻ってきた。 ゆランゆトーのゴミ箱を漁っている時に、姉妹共々今の支配人にスカウトされた。 始めた頃は、右も左もわからない世界だったので毎日泣いてばかりだった。 どうすればお客が喜ぶかを勉強し、人気が出るようになった。 姉ありすは1匹の飼いゆっくりに見初められ、今はゆのおの山に住んでいる。 ぱちぇさんは、何度もいっしょにゆっくりしないかとアタックされたが、この仕事が好きで断った。 後悔することもあるが、たくさんのお客さんと話す毎日が楽しくて仕方ない。 現在はこのビルの3階の事務所に住んでいて、出勤するのは週に3回程。 仕事をしない日は、中ゆ島の図書館で本を読むか、講演に行くことが多いらしい。 「むきゅん、たしかにこのしごとはつらいことばかりよ!! でもね、ここにくるおきゃくさんは、ゆっくり、にんげん、りょうほうともゆっくりできていないのよ!! それをすこしでもゆっくりさせてあげること、それがとかいのけんじゃのしごとだと、ぱちぇはおもうのよ!! あっ、でももうすこしわかいおきゃくさんがふえてくれるといいわね!! ねんぱいのおきゃくさんばかりじゃ、せけんのはやりについていけなくなるのよねぇ。」 ぱちぇねえさんは缶詰の白桃を3回、みつまめの缶詰を追加で2回おかわりし、3時間じっくりと話してくれた。 「ぱちぇねえさん!! 次のお客さんがお待ちです。」 ボーイがぱちぇねえさんに耳打ちする。さすが売れっ子、出勤の日は予約で一杯だ。 「あらあら、ちょっとゆっくりしすぎちゃったわね。ごめんなさいね、ゆっくりおはなしできなくて! ほかのおきゃくさんがおまちになってるから、そろそろしつれいするわ!! またゆっくりしにきてね!! これをおわたししておくわ!!」 ぱちぇねえさんは、私に営業用の名刺をくれた。 「ありがとうございました、大変興味深いお話でした。また機会があれば、寄らせてもらいます。 ぱちぇねえさん、これからもお元気で。」 ぱちぇねえさんはボーイに抱かれ、次のお客の席へ移っていった。 ゆっくりとは思えない貫禄!! やはり人気なのには訳がある。今回の取材でよくわかった。 支払いを済ませてビルを出る。時刻は午後9時をちょっと過ぎた位だ。 ゆー橋駅には我が家へと帰るサラリーマンで溢れている。 飲み屋街には、朝見たおっさんがまだ飲んでいる。 その陰を野良ゆっくりが人に見つからないように跳ね回っている。 私も一杯飲んでいきたい……が 先程のぱちぇねえさんのおかげで取材費が空になってしまった。飛行機代もない。 今の時間ならまだ夜行バスがある。コンビニで缶ビールとめーりんでも買っていくか!! 私は環状線でゆー阪へ、そこから夜行バスでゆー京へと戻った。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓3君だけじゃない俺もだ -- 2016-02-11 17 46 46 チルノはひーきするのが あたりまえでしょぉぉ!!! -- 2013-04-07 03 08 30 一階にもゲセはあるんだぜえええぇ!? 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(前) 一家がこの群れにきてから一週間ほど経っただろうか。 親まりさと親ありすはヘトヘトになりながらも、毎日狩りに精を出していた。 土地にも段々と慣れてきて、群れを抜けるための食料も少しずつ溜まり始めたその深夜、事件は起こった。 「むきゅ、たいへん!さっさとここをでるのよ!」 赤ありす部屋に突如、教育係のゆっくりぱちゅりーが乱入してくる。 「ゆ……どうちたの……」 「ありしゅ、ねむちゃいよ……」 「ゆっくりしないで、わたしについてくるのよ!」 部屋の中にいる何十匹もの赤ありすが、ぞろぞろとぱちゅりーに連れられて部屋を出る。 そのまましばらく歩いていくと、成体ありす達が集められている所があった。 その中には親まりさの妻である親ありすはもちろん、リーダーまりさの姿もあった。 「あれれ、おかーしゃん!?」 「ありしゅ、あいたかったよー!」 「ゆ!ありすのあかちゃんたち!げんきにしてた!?」 再開を喜ぶゆっくりアリス達を尻目に、ぱちゅりーとリーダーまりさは密談する。 「まりさ、これでぜんいんよ」 「よし、じゃあみんなきいてね!これからすこしのあいだ、ここでゆっくりしててね! ちゃんとここにいたら、ごほうびがあるよ!」 「「「「ご、ごほうび!?」」」」 色めきたつゆっくりアリス達。 この群れに来てから全くいい思いをしていない彼女達にとって、それは魅力的な申し出だった。 たちまち話の輪が広がる。美味しいご飯だろうか、若いありすは可愛いまりさかとも騒いでいる。 会話に夢中な彼女達は、いつの間にかリーダーまりさとぱちゅりーの姿が消えていることに気付かなかった。 それから数分ほど経っただろうか。 集められたゆっくりアリス達の耳に、バサバサという音が聞こえた。 何事かとそちらを向いてみると、そこにいたのはあの捕食種、ゆっくりれみりゃが10匹ほど。 「うっう~。おいしそ~なまんじゅうなんだどぉ~☆」 「たいりょうなんだどぉ~☆」 「れ、れみりゃ!あかちゃんたち、はやくにげてね!」 「れみりゃ、こわいよおおおおお!!!!!!」 蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ出すゆっくりアリス達。 親ありすも5匹の赤ありすに、慌てて自分について逃げるように言う。 しかし、その場はありす達で埋め尽くされており、なかなか赤ありす達は親ありすの元へ辿り着けない。 親ありすも逃げ出したい気持ちをこらえ、震えながら赤ありす達の到着を待つ。 少し後、ついに4匹の赤ありすが親ありすの元へ辿り着くも、1匹がれみりゃに捕まった。 「ちっちゃいのつかまえたんだどぉ~☆」 「たちゅけてえええええ!」 「あ、ありしゅのいもーとがあああ!」 愛するまりさとの間に出来た、何よりも大切な自分の子。 それが今目の前で食べられようとしている。そんなことは当然許したくはなかった。 だが、親ありすは知っていた。自分ではれみりゃには太刀打ちできないということを。 そして赤ありすを助けようとしても、返り討ちに会うだけだということも。 「あかちゃん……ごめんねええええ!!!!!」 「おかーしゃん!なんでえええええ!!!!」 親ありすは断腸の思いで赤ありすを見捨て、他の4匹を口に含み逃げ出した。 この群れに入ってから随分辛い目に遭ってきたが、家族だけが唯一の支えだった。 しかしその家族が、ついに一人失われてしまった。親ありすは涙をこらえることができなかった。 れみりゃ達に蹂躙される自分の子や他のありす達を背に、ひたすら逃げ続けた。 そして何とかれみりゃ達から逃げ切ることに成功した。親ありすはひとしきり泣き続けた後、泣き疲れ眠った。 翌日になると、れみりゃ襲撃の件は親まりさの耳にも伝わった。 この親まりさは、昨晩は他のゆっくりの指導のもと、避難場所に隠れてれみりゃをやり過ごしていた。 そして、1匹の赤ありすの命が失われたことも知らされた。 「なんで……ありすばかりこんなめに……」 「……いままでも、たまにあったんだよ」 涙を流す親まりさにれいむが言う。 「ときどき、れみりゃがこのむれをおそいにくるんだよ。 そのときいつも……ありすをおとりにして、ほかのゆっくりはあんぜんなばしょにかくれるんだ」 「ひどい……」 2匹の耳に、他のゆっくり達の会話が聞こえてくる。 「やっぱりきのうのは、れみりゃらしいよ」 「おお、こわいこわい」 「またありすをおとりにしたんだね、わかるよー」 「ありすだって、かわいいれいむのためにしねたんだからまんぞくだよね!」 「そうなんだぜ!ありすのいのちなんて、ごみみたいなものなんだぜ!」 「「「「「ゆっゆっゆ!」」」」」 下品に笑い合うゆっくり達。 親まりさはそんなゆっくり達を睨むことしかできなかった。 ちなみにその朝ありす達にはごほうびとして、雀の涙ほどの食料が与えられた。 さらに一週間ほど経った日のこと。 1匹赤ありすを失い悲しみに暮れる親まりさと親ありすであったが、まだ6匹も子供達はいる。 その子達のためにも沈んでいるわけにはいかないと、再び狩りに精を出し始めた。 そして赤ありす達には他の赤ゆっくり達と遊ぶことも許された。 カチューシャが無いため攻撃されることもあるが、群れのありすは攻撃しないよう教えられていたため、そのような赤ゆっくりは他の野生個体に比べればかなり少ない。 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ふちゃりでゆっくちちようね!」 そして、親ありすの子である赤ありすのうちの1匹と、特に親しくなった1匹の赤れいむがいた。 カチューシャが無いにもかかわらず、この赤れいむは赤ありすと仲良く遊んでいた。 赤ありすは悪との教育を受けてはいるが、赤れいむにはこの赤ありすはゆっくりできると何となくわかっているようだ。 この2匹の周りを見ると、カチューシャの無い赤ありす達を虐める赤ゆっくりも多い。 しかし、この2匹はとてもゆっくりしており、数日前に始めて出会ってから喧嘩の一つもない。 今日も追いかけっこをして遊んでいる。 「こっちだよ~」 「れいみゅ、まっちぇよぅ~」 「ゆっくちおいかけちぇね……ぴゅ!いちゃいよおおお!!!!」 赤れいむが転んでしまい、ケガをしたようだ。 幸い大ケガではないようだが、痛みはそれなりにある。 泣く赤れいむに、赤ありすは心配そうに声をかけた。 「だ、だいじょうぶ、れいみゅ!」 「いちゃいけど……がまんすりゅよ……」 「ゆゆ!れいみゅはちゅよいね!」 ケガをしたため、体を動かして遊ぶのはやりづらい。 だからお話をしたり歌を歌ったりして、二人でゆっくりした。 日が暮れてそれぞれの住処に別れても、二人とも明日も同じようにゆっくりできると信じていた。 明日もれいむとゆっくりしよう。そう思い、赤ありすは眠りについた。 翌朝。 「たいへんだよまりさ!いそいでひろばにいって!」 というれいむの声で親まりさは起こされた。 何事かと広場へ行ってみると、大勢のゆっくりがそこに集まっていた。 親ありすや2匹の赤まりさ、そして3匹の赤ありすの姿もある。 残る1匹の赤ありすはというと、集団の中心の切り株の上にいた。 そのすぐ手前では、1匹のゆっくり霊夢が大声でわめいている。 「このありすは、れいむのかわいいあかちゃんに、けがをさせたんだよ! こんなあぶないゆっくり、しぬべきだよ!」 「おかーしゃん、れいみゅはきにちてないよ……」 「あかちゃんはだまっててね!」 親まりさは、このれいむが何を言っているか分からなかった。 赤ゆっくり同士での遊びにケガなど珍しいことではない。 そしてある時は謝ったり、ある時は喧嘩をしたりして成長していくものである。 それをケガをさせたから殺せなど、お話にならない。 「やめてえええ!ありすのあかちゃんをかえしてえええ!」 「ゆ!あなたがこのありすのおやだね!やっぱりこどもににて、ぶっさいくなありすだね!」 切り株の上でガタガタ震える赤ゆっくりを見ていたたまれなくなったのか、親ありすが懇願する。 しかしその願いは受け入れられることはなかった。リーダーまりさが宣言する。 「みんなきいて!このあかちゃんありすは、あかちゃんれいむにけがをさせたわるいゆっくりだよ! まりさはこんなゆっくり、しぬべきだとおもうんだけど、みんなはどう!?」 たちまち沸き起こる、「ころせー!」の声。 親まりさや親ありすの必死の「やめてええ!!!」という声は他のゆっくりの耳には入らなかった。 「ありすたち、しっかりみててね! ありすのくせにほかのゆっくりにけがなんかさせたら、こういうめにあうんだよ!」 リーダーまりさが跳ね、赤ありすの上に落ちる。 赤ありすは悲鳴をあげる間もなく、べちゃっと潰れた。 「まりさのあかぢゃんがあああああ!!!!!!」 「ありすのあかぢゃんがあああああ!!!!!!」 「「まりちゃのいもーちょがああああ!!!!!!」」 「「「ありしゅのいもーちょがああああ!!!!!!」」」 「これでわるいありすはしんだよ!みんな、もちばにもどってね!」 ぞろぞろと帰っていくゆっくり達。 気の毒そうに思っている顔のゆっくりは、ほとんどいなかった。 「やっぱりありすって、さいていのゆっくりだね!」 「ありすとはゆっくりできないんちーんぽ!」 「それにしても、みにくいあかちゃんありすだったんだぜ」 「おお、おぞましいおぞましい」 もはや親まりさも親ありすも、怒りを覚えることすらできない。 ただただ、涙を流すのみだった。 翌日、さらに1匹の赤ありすの命が失われた。 処刑された赤ありすの姉だということで、ゲス赤まりさ達に虐め殺されたのだ。 親まりさも親ありすも厳罰を要求したが、リーダーまりさの判決はその日の昼食抜きというだけのものだった。 それもこのゲス赤まりさ達が、ありす種から生まれたゆっくりではないからだった。 それ以後、残った2匹の赤まりさは多種と極力関わらないようになった。 一家がこの群れに来てから一ヶ月が経過した。 赤ゆっくり達も成長し、成体にはまだ達しないものの、子ゆっくりと呼べる大きさに成長した。 当初は赤まりさ2匹、赤ありす5匹という家族構成も3匹の赤ありすが死に、残る子は4匹のみ。 これ以上この群れにいたら、残る子達もどうなるか分からない。 そう思った親まりさも親ありすも、死にもの狂いで群れから抜けるための食料を毎日集め続けた。 育ち盛りの子達に食べさせながら余分な食料を集めるのは並大抵の苦労ではない。 それでも2匹は再び昔のゆっくりした生活を取り戻すため、疲れるのも忘れてひたすら食料を集めた。 そして親まりさと親ありすは、今リーダーまりさの目の前に集めてきた食料を置いた。 ボロボロの体に似つかぬ大きな声で、2匹は宣言する。 「これでむれからぬけるためのごはんはあつめたよ!」 「わたしたちはこのむれをでていくわ!わたしとこどもたちのかちゅーしゃをかえしてね!」 リーダーまりさも、その周りにいる取り巻きのゆっくり達もこれには驚いた。 規定の食料はかなり多めの設定だったのだが、この2匹は見事に一ヶ月で集めきったのだ。 条件を満たしている以上、これで自分達は解放されるはずだと2匹は信じていた。 しかし、リーダーまりさはすぐに表情を嘲るような笑いに変える。 「ゆゆ!これじゃあたりないね」 「なんで!?ちゃんといわれたようにあつめたよ!」 「さいしょにせつめいしたるーる、もういちどおもいだしてね」 「「ゆ?」」 リーダーまりさが再びルールの説明を始める。 そしてリーダーまりさは、そのルールのある一点を満たさないと言う。 そのルールとは、 『群れを抜けたい場合は、決められた量の食料を群れに提供しなければならない。 その量は、一家における成体ゆっくりの数に比例する』 という点であった。 「わかってるよ!だからまりさとありすのぶん、ちゃんとあつめたでしょ!」 「ふたりぶんあるわよ!はやくかちゅーしゃをかえして、このむれをぬけさせなさい!」 この一家の成体ゆっくりは、親まりさと親ありすの2匹。 もちろんそれは彼女達も分かっており、だから2匹分の食料を集め、提供したのだ。何も問題はないはずである。 しかし、リーダーまりさの不適な笑みは浮かばない。 そして取り巻きのゆっくりの中の1匹に指示をした。 「このまりさとありすのこどもたちをよんできてね」 数分後、2匹ずつとなった子まりさ達と子ありす達が到着する。 リーダーまりさは、親まりさと親ありす達に言い放った。 「このこたちは、もうりっぱなおとなだよ! だからむれからぬけたいなら、このこたちのぶんのごはんもあつめてね!」 その場にいた全員がびっくりする。 確かに赤ゆっくりとはもう呼べない大きさだが、成体にはまだ達しないのは誰の目から見ても明らかだ。 「なにいってるの!このこたちはまだこどもだよ!」 「そうよ!へんなこといわないでね!」 「そうかな?じゃあみんなにきいてみるよ」 リーダーまりさは、周りの取り巻き達の方へ向き直した。 「みんな!このこたちは、もうりっぱなおとなだよね!?」 しばらく取り巻きゆっくり達は唖然としている。明らかに成体ではないのだから。 しかし少ししたら皆、下卑た笑いを浮かべ始めた。 「……そうだね、このこたちはおとなだよ」 「おお、おとなおとな」 「おとななんだね、わかるよー」 「むきゅ、おとなね」 「おとなだちーんぽ!」 一家の顔が青ざめた。 2匹分集めるだけでも死にそうな苦労をしたのだ。子供達が成体と認定されれば、成体ゆっくりは6匹。 実に今まで集めた3倍もの食料を、新たに集めなければならない。 「そういうわけで、そのこたちはおとなだよ!ろくにんぶんのごはんをあつめてね!」 「むきゅ、あとおとなだから、そのこたちもきょうからかりにさんかしなさい!」 「かわいいれいむたちのために、せいぜいがんばってね!」 「さからったら、むれのみんなでせいさいしてやるんだぜ!」 「まぁ、こどもをおいてって、ふたりだけでぬけてもいいんだぜ?」 「「「「「ゆっくりがんばってね!」」」」」 一家全員が理解した。 もう、自分達はゆっくりできることはないのだと。 子ゆっくり達が狩りに参加し始めてから、二週間ほど経った。 親まりさと親ありすは既に体力の限界だったのだろう、食料集めのペースは落ち、群れを抜けるための食料はおろか、その日を食いつなぐのが精一杯だった。 子ゆっくり達も、狩りの方法も教わっていないので満足に食料を集められない。 特に子ありすはカチューシャがないので、いつ群れの外のゆっくりと出会うかと思い、震えながらの狩りだった。 群れの様子は相変わらずである。 「にがしてえええ!!!ありすはまりさとすっきりしたかっただけなのにいいいい!!!!」 「このむれのために、しぬまではたらいてね!」 「むきゅ、だからありすはわるいゆっくりなのよ」 「「「「ありしゅ、わりゅくないよおおおお!!!!!」」」」 「このあかちゃんありすは、まりさのあかちゃんを、くいころそうとしたんだぜ!」 「ありしゅ、すりすりしただけだよおおお!!!!」 「うるさいよ!りーだー、はんけつは!?」 「ゆっ!もちろんしけいだよ!ゆっくりしね!」 「ありすのあかちゃんをころさないでえええ!!!!!!」 「くうものがなくなったありすが、にんげんのたべものをぬすもうとして、ころされたらしいぜ」 「おお、わらいわらい」 ある晩、他のゆっくり達が寝静まった頃、親まりさは一家を集めた。 本来親と子供は自由に会えないのだが、この子ゆっくり達は『成体』と認定されたので会うことができる。 「これいじょうここにいたら、しぬまでゆっくりできないよ。このむれをぬけるよ」 「ゆ……でもどうすればいいの?わたしもこどもたちも、かちゅーしゃがないのよ」 「まりさにかんがえがあるよ。いい、よくきいてね」 親まりさが皆に説明を始める。 ひとしきり説明を終わると、夜だというのに親ありすは大声を出した。 「だ、だめよ!そんなのきけんすぎるわ!」 「しっ!しずかにしてね!」 「ご、ごめんなさい……」 「おとーさん、そんなあぶないことやめてね!」 「そうだよ!やめようね!」 「……みんな。ありがとう。でもまりさは、もうけっしんしたんだよ」 親まりさは優しい目で、愛する伴侶、愛する子供達を見た。 「まりさは、しぬかもしれない。でも、ここにいたらえいえんにゆっくりできない。 だから……まりさのぶんまで、みんなにゆっくりしてほしいんだよ」 親ありすも子ゆっくり達も、まだ簡単には引き下がらなかった。 しかし親まりさの懸命な説得により、作戦を受け入れることにした。 「まりさ……ぜったいいきて、いっしょにゆっくりするのよ!」 「……もちろんだよ!」 そして再び食料集めの日々に戻った。 親まりさは世話になったれいむにだけ、親ありすは俗に言うレイパーありすではない、信頼できるありす達にだけ作戦を打ち明けた。 皆が賛同してくれ、あとは結構の機会を待つのみ。 彼女達の作戦に気付くゆっくりは、一匹もいなかった。 「ねぇりーだー、さいきんあのまりさ、おとなしいね」 「むきゅん、むれをぬけるためのごはんも、あつめなくなったし」 「ついにあきらめたってこと?」 「まあ、しょせんありすなんかと、こどもをつくるゆっくりだってことだよ」 「「「「ゆっゆっゆ!」」」」 そして一週間後の深夜、ついにその時が来た。 続く あとがき 当初の予定では食料3倍集めろと言ったところで終わりの、前後編だけのものでした。 書いているうちに一家の反撃も書きたくなったので、前中後編と分量が増えてしまいました。 次回できっちり終わらせます。 過去作 ゆっくり鉄骨渡り ゆっくりアトラクション(前) ゆっくりアトラクション(後) ありすに厳しい群れ(前).txt
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※善良なゆっくりが出てきますが、虐待成分ほとんどありません ※舞台はゆっくりが出現してからしばらく経った現代です ※ネタ満載です。石を投げないでください ハチノコ獲り式ゆっくりの捕まえ方 「~♪」 森の中を、鼻歌交じりで一人の男が歩いている。 彼は、ある生き物を獲りにこの森へとやってきたのだ。 「ゆっゆっゆっ」 彼の耳に、かすかな鳴き声が聞こえてくる。彼は、耳を澄ますと、足音を立てないようにその音のする方へと近づいていった。 そして、彼はある茂みのところで足を止めた。気配を押し殺して、感づかれないようにそっと向こうを覗き込む。 すると、そこにはバスケットボールくらいの紅白饅頭がもぞもぞと動いていた。 「むっしゃ♪むっしゃ♪しあわせ~♪」 胸糞悪くなるような声で歌いながら、その紅白饅頭は、俺が見ていることにも全く気づかずにもぞもぞと動いていた。 どうやら、食事の真っ最中であるようである。それを確認すると、俺はポケットの中に入れておいたチョコレートを茂みの向こうに投げ入れると同時に、頭を引っ込めた。 「いいにおいがするよ!もっとゆっくりするよ!」 「おかしがあるよ!いいにおいがするよ!これでれいむももっとゆっくりできるね!」 そう言いながら、その饅頭は、俺の投げ入れたチョコレートを食ってくれたようである。なんて低脳。曲りなりとも野生生物なんだから、もう少し警戒しろよ。 だが、しかし。この事実は俺にとっては最も望んでいた結果でもある。 計画通り。 そう心の中で、某死神ノート漫画の主人公のような笑みを浮かべる俺。しかも、あのド饅頭のやつ「れいむも」なんて言ってやがった。どうやら、こいつはつがいらしい。 その事実は、俺の心をいっそう高ぶらせる。なんて幸運…!なんて僥倖…!ざわ…ざわ… 俺は、このド饅頭…ゆっくりが好きなのだ。特に、家族もちや出産直前のゆっくりが好きなのだ。もう、様々な意味で。 ゆっくり。突如出現した謎の饅頭生命体にして史上最悪の害獣。 異常なまでの繁殖能力と自分こそが生態系の頂上に立っていると信じて疑わない思い込みの強さ、自己の本能に忠実という性格を持つこの生物は出現してからあっという間に人里への 被害を出し始めた。 その主なものは、農作物の食害と人家への不法侵入および器物損壊である。ひたすら荒らした挙句の果てに「ゆっくりぷれいす」などとほざき、その場所の占有権を主張するのである。 その態度にむかついた人間達によって、即座に害獣認定されて駆逐されるようになるまでそうたいした時間はかからなかった。 その後の研究で、ゆっくりにはさまざまな種類があるということ、その全ての体組織が饅頭そのものであること、それらは食用として適していること…などが判明する。 そのため、ゆっくりの研究機関および処理・食品加工所としての機能を持つ「加工所」や、ゆっくりに対する様々な製品を開発・販売する企業、駆除を専門とする業者が次々に現れることとなる。 それは、この国のあり方と食糧事情を変えるものとなった。 ある者は食料や楽しみとしてゆっくりを狩り。 ある者は癒しとしてゆっくりを求め。 ある者は労働力としてゆっくりを欲した。 俺? 俺はもちろんその全てさ! 秘書兼メイド兼番ゆっくり兼ペットとして希少種のゆっくりさくやを飼っているし、ゆっくり回し車で発電し、ゆっくりコンポストで生ゴミ処理して、ゆっくり農場で作物を栽培している。 その上、こうやってゆっくり狩りに来ているんだしね! しかも、ゆっくり商品を開発している企業の社員なのさ! 閑話休題 紅白饅頭…ゆっくりれいむがその場から居なくなると、俺はおもむろに立ち上がってかけていたメガネのフレームについている小さなボタンを何回か押す。 すると、眼鏡のレンズの上に薄い緑色に発光する文字や線と、赤く発行する点が表示された。 まるで頭脳は大人体は子供の某探偵漫画に出てくるようなこのメガネは、特別行政法人ゆっくり狩人組合公認ゆっくりハンターに支給される特別品である。 その名も、ゆっくりレーダーという。 公認ゆっくりハンターはその性質上、巨大に成長・進化したゆっくり…通称ドスゆっくりを討伐・捕獲する任務や、大量発生したゆっくりを殲滅する任務を請け負うことがある。 その際に、目標の位置や周囲の地形情報などを逐一確認しながら行ったほうが効率がよいということで、この眼鏡が開発されたのである。 MAPWやABC兵器などという大量破壊兵器が開発されているこの時代、現代兵器とゆっくりではその彼我戦力差は明らかなのだが人力が推奨されているのには理由があった。 まず、現時点において世界中でゆっくりが出現した国や地域はこの国しかないこと。 ゆっくりの生息地域は山岳・森林地帯から街中まで広がっているため、おいそれと現代兵器を使うわけにはいかないこと。 後は、対外的な国の政策やこの国で最大かつ最強の戦力を保有する団体のいろいろな大人の事情があったためである。 それに、結局のところ様々な地形に対応し任務を遂行するのに最適なものは人力なのである。ご先祖様は遥か有史以前からそうやって文明を発展させてきたのだからね。 そうこうしているうちに、赤い点がゆっくりと移動しているのが視界に入ってきた。後は、この点を追いかけていけば、あのゆっくりの巣へとたどり着くはずである。 俺は、ボタンを押して、周囲の地形情報と目標までの距離、目標までのナビゲーターを表示して移動を開始した。 しばらく移動すると、あのゆっくりと思しき声がかすかに聞こえてきた。 ここからは、気配を殺して少しずつ移動することにする。一気に距離をつめてゆっくりを捕獲、拷問して巣まで案内させた後一網打尽にする方法のほうが簡単かつ手っ取り早いのだが、それで はこの狩りの方法を選択した意味がない。狩りの過程を楽しむことも、ゆっくり狩りの楽しみの一つであるのだから。 息を殺して、匍匐前進をしながらゆっくりに近づいていく。気分はまるで某潜入アクションゲームの主人公である。大佐やオタ知識満載の科学者はいないけどね。 時計に目をやると、すでに時刻は午後3時を回っていた。そろそろ帰巣しないと、ゆっくりの足では暗くなるまでに巣にたどり着けない。 夜の森は、ゆっくりにとっては恐怖に満ち溢れた世界である。ゆっくりれみりゃやゆっくりふらんといった肉食で飛行可能な種族の狩りの時間だからである。だから、たいていの通常種のゆっくり は、夕方までには帰巣して辺りが暗くなるとゆっくり眠りにつく。そして、日が昇るとゆっくり起きて活動を開始するのだ。 そういった習性と現在時刻から、このゆっくりも帰巣すると予想した俺は、そのままあとをつけて行った。 10分ほど移動すると、ゆっくりれいむは一本の大木の前で止まった。そして、ひとしきり周囲を確認した後、大木に開いた大きなうろの中へと入っていった。 それを見届けた俺は、足音を殺してゆっくりとそれに近づく。 そばまで近寄ると、立派なクヌギの根元に大きな穴が掘ってあるのを俺は見つけた。 落ち葉や小枝で入り口はカモフラージュされているものの、そのつくりは雑でここに何かがいますよと言わんばかりであった。まぁ、ゆっくりは知能が低いし、これでも十分なのかもしれないが。 さて、ここからは時間との勝負だ。暗くなるまでに捕獲を済ませて森を出なければならないのだ。少しでも遅れると、捕食種が捕獲したゆっくりを狙って襲撃してくる可能性が高いからである。 俺は、背負っていたデイパックの中から、捕獲用ゆっくり袋と発煙筒を2本取り出した。そして、発煙筒2本を着火させる。そして、煙を上げているそれをおもむろに巣穴の中へと突っ込んだ。 巣穴から立ち上る煙が二本。 んー、そろそろかなー?俺がそう思っていると、巣穴からゆっくりたちがあわてて飛び出してきた。みな一様に体から鼻水と涙とよだれをたらしている。どうやら発煙筒の刺激は強すぎたらしい。 次々にゆっくりを捕獲用ゆっくり袋の中に詰め込んでいく。 袋がいっぱいになったので、それの口をしっかりと縛ると、次の袋を取り出してゆっくりを詰めていく。 逃げ惑うゆっくりをみて、俺は口笛で「盆回り」を吹きながら楽しそうに袋に詰めていく。 「ほう、これはこれは」 最後に出てきたゆっくりをみて、俺はにやりと嫌らしい笑みを顔に浮かべた。なんと、そのゆっくりれいむからは蔦が伸びており、その先にはプチトマトくらいの大きさの赤ちゃんゆっくりが実って いた。大きさからするに、そろそろ出産が近いようである。 俺は、赤ちゃんゆっくりを潰さないように気をつけながら別の袋の中に詰め込む。 結局、ゆっくりを詰めた袋が五つできた。これだけの大家族、早々お目にかかることのできるものではない。 大漁に気をよくした俺はそれを見て満足そうに叫ぶ。 「ゆっくり獲ったどーーーーーー!!!!!」 嬉しそうな俺とは対照的に、ゆっくり達はこの状況に混乱しているようだった。 「このままじゃゆっくりできないよ!」 「めがー!めがー!!」 「ゆ”ゆ”ゆ”」 「おがあざんぐるじいよぉー!」 うるさい。俺がせっかく嬉しさをかみ締めているのに邪魔をする無粋な饅頭達だな。 少し黙らせるために、俺は魔法の言葉を叫んだ。 「ゆっくりしていってねっ!!!!!!」 「ゆっくりしていってね!」×多数 「お「さて、これから君たちのことを組合に連れていきたいと思います!静かにゆっくりできない子はその場でお兄さんが食べてあげるから、そのままゆっくりしていってね!」 テンプレどおりの会話が嫌な俺は、そう言い放つと、手首に着けていた腕輪のボタンを押してゆっくり達の入っている袋に向ける。 すると、袋が光の粒子となってその腕輪の中に吸い込まれた。 この腕輪も公認ゆっくりハンターに支給されるもので、NTと呼ばれている。約四メートル四方のものなら、何でも中に収納できるこの腕輪は、ゆっくり狩りのみならず、ハンター達の日常生活にも有 効活用されていた。 全て袋が吸い込まれたのを確認して、俺は巣穴の中を覗き込む。すっかり煙が消えた巣穴の中は静まり返っていた。 「ゆっくりしていってね!」 巣穴の中に向けて俺はそう言った。 しーん。 地面に耳をつけて耳を澄ます。 音はまるで聞こえない。 それを確認した俺は服についていた土ぼこりを払いながら立ち上がった。本来ならば、この後は巣穴の処理を行うのだが、今回は任務ではなく趣味のゆっくり狩りである。それに、たとえゆっくりが中に 残っていたとしても、今回のことで人里には迷惑をかけないだろうし、今後生き残っていけるかどうかも怪しい。そう判断した俺は、その場を立ち去った。 小一時間後 俺は町にあるゆっくり狩人組合の出張所の前にいた。 中に入ると、受付嬢の「いらっしゃいませー」という声が聞こえる。 「いらっしゃいませ。今日は何か御用ですか?」 胸を強調したデザインのメイド服を着た受付嬢がそう言うと、俺はポケットから免許証サイズのカードを受付に出した。 その紫色に輝くカードは、公認ゆっくりハンターである証である。これがないと、ゆっくり狩人組合の施設を利用することや、ゆっくり狩人組合に来る依頼を受けることができないのである。 「狂帝様ですね。今日はどんな御用ですか?」 営業スマイルを浮かべてそういった娘に、俺は困ったような顔をして口を開いた。 「君、新人?」 「はい。新人研修を終えて、ここの配属となりました。今後ともよろしくお願いいたします」 「ああ、よろしく。んで、俺のことはその称号で呼ばないでもらえるとありがたいんだけどな」 「どうしてですか?今ではどこの加工所でもあなたのことを知らない方はおりませんよ?新人のハンターさんのなかにも、あなたに憧れてハンター登録試験を受けに来た方も多いんですよ?有名人じゃない ですか」 「…そんな虐待お兄さんの代名詞のように言わないでくれ。俺は分け隔てなくゆっくりを愛しているんだ。別に虐待お兄さんじゃないんだからね!」 最後はツンデレっぽく言うと、彼女はくすくす笑って言った。可愛い子だなぁ…まるでうちのふぁーふぁーゆっくりみたいだ。そんなことを思いながら、俺は口を開いた。 「で、今日はゆっくりを捕獲してきたから選別所を使わせてもらいたいんだけど」 「どのくらい捕獲されてきたんですか?」 「親ゆっくりに二匹と、子ゆっくりが十五匹。母親ゆっくりのほうはにんっしんっ中で、数日中には生まれそうな状態。出産形態は植物型で、十匹ほどついていた」 俺がそう言うと、彼女は驚いたような声を出した。 「はややや、それは大漁ですねぇ…。どうやって捕まえたんですか?」 「簡単さ。ゆっくりに発信機をつけたお菓子を食べさせて、後はゆっくりレーダーで確認しながら後をつける。で、巣に帰ったところを確認したら、巣を場所を確認して発煙筒を突っ込むんだ。すると、煙 に燻されて、ゆっくりが巣穴より飛び出してくるから、後は一網打尽にするだけさ」 「まるでハチノコ捕りみたいですね」 「蜂に刺される危険がない分、こっちのほうが簡単さ。ちょっと手間がかかるけどね」 「そうですか…じゃ今度試してみようっと。あ、選別所のご利用でしたね。では、これをもって2番選別所をお使いください」 そう言って、彼女は組合カードと鍵を差し出した。それを受け取ると、俺は鼻歌交じりで選別所へと歩いていった。 選別所で加工所行きのゆっくりを選んで、加工所への引取りを依頼したら残ったゆっくりの使い道は家に持ち帰って考えることにしよう。あ、あの母親ゆっくりは家に持ち帰ろう。子持ちゆっくりを虐待す るのはとても気分がすっきりする。虐めなくても、食料や加工所行きとして繁殖させれば良いし、いざとなったら潰してさくややふぁーふぁーゆっくりの餌として利用できる。 これからのことを思うと、俺は思わず笑みがこぼれていた。 これだから、ゆっくり狩りはやめられないのである。 終わり あとがき 勢いで書いた初SSに引き続き、2作目です。 楽しい虐待方法を思いつかなかったため、虐待成分まるでなしの作品に仕上がりました。勢いがないと楽しい愛のある虐待方法を考え付かないものだから困る。 読んでみてわかる人にはわかると思いますが、ネタはモ○ハンとP○Uです。ちょびっとジャンプ漫画やサンデー漫画、M○SとE○Oが入っているかも。 これが2作目で、SS書き初心者ですので、たくさんのご意見・ご感想お待ちしています。 ゆっくり虐めスレ29 602の人改め602の人 代表作(と言ってもこれしかない) ゆっくりあいす(題:ゆちゅりーのゆっくりあいす) このSSに感想を付ける
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ゆっくりパークの春夏秋冬 part 3 --intermission ばっちんシェルター-- 「ゆぐっ、ゆぐぅぅ! こないでぇぇ!」 「ゆっくりしてね、ゆっくりしていってね!!! いやあああ!」 「たーべちゃーうぞー♪」 胴つきれみりゃが追いかけ、ゆっくりれいむ一家が必死で逃げる。いつもの光景だ。 と、一家の前方に、木でできた奇妙な箱のようなものが見えた。縦横ともに、ちょうど 一家の全員が入るぐらい。正面に扉がある。その前で、一頭のゆっちゅりーが叫んでいる。 「こっちよ、ゆっくりしないでかくれてね!」 天の助けとばかりにれいむたちはぴょんぴょんと駆け寄り、箱に入った。最後にゆっちゅ りーが駆け込んで、扉を閉めた。 「ゆふー、ゆふー、ゆふー、ゆふー……」 「ゆ、ゆっくりできるね……」 しかしその途端、ひとつだけの窓に、ぬっとれみりゃの姿が現れた。不気味な笑顔で覗 き込む。 「うふうふー☆ いただきまーす」 「いや゛あぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 「ゆっぐりさぜでぇぇぇぇぇ!」 窓は小さく、れみりゃは入れない。だが手が入る。壁際にさがっておびえる家族に、短 い腕がわきわきと迫る。 そのとき、ゆっちゅりーが教えた。 「みんな、これをひっぱるのよ!」 天井から、一本のひもが垂れていた。れいむたちは半狂乱で叫び返す。 「あぞんでるばあいじゃないでしょおお!?」 「いいからやるの! やればゆっくりたすかるわ!」 「ゆ、ゆっくりたすかるの?」 その言葉にれいむたちは飛びついた。親たちと娘たちが、一家総出でひもに食らいつく。 「せーの、むっきゅ、むっきゅ!」 「ゆっしょ、ゆっしょ!」 一家はゆっちゅりーの言葉を信じて懸命にそれを引いた。 すると―― 窓の外側に、雨よけのようなひさしが伸びている。 そのひさしが、じわじわと持ち上がり始めた! 「もうすぐ、とどくんだぞぉー♪」 むちむちした顔を四角い窓に突っ込まんばかりにしているれみりゃは、頭上で起こって いることに気づかない。 ゆっちゅりーが叫んだ。 「いまよ、はなして!」 「ゆうっ!」 全員が、ぱっと口を離した。 その瞬間―― ばっちん! 屋根から吊り上げられていた重いひさしが落下して、れみりゃの頭を叩いた。れみりゃ は地面に叩き伏せられる。 「あぶぅっ!?」 れみりゃは顔を真っ赤にして起き上がり、周りを見回す。 「れ、れみぃのあたまをたたいたのは、だれなんだぞぉー!?」 怒り心頭に発したが、あたりには誰もいない。腹いせとばかりに窓に取り付き、前にも まして 激しく威嚇した。 「がぉー! がおがお、うがぁー!」 「ゆうううう! ゆううううう!?」 「がまんして! もういちどよ!」 ゆっちゅりーに励まされて、一家は紐を引く。そしてぱっと離す―― ばっちん! 「うばぁっ!?」 それから三度ほど、威嚇と反撃のくりかえしがつづいた。 とうとうれみりゃは泣き出してしまった。 「う゛あ゛ーん、あだまいだいいいぃ! もうやだああ、おうぢがえるううぅぅ!」 そういうと、身を翻してぱたぱたと飛び去った。 「ゆう、う、うううう……」 恐怖に身を硬くしていたれいむたちが、ようやく力を抜く。ゆっちゅりーが声をかける。 「やったわね。これからも、ゆっくりゃにおそわれたら、こうすればいいわ!」 「ゆっ、ゆっくりできるの?」 「ええ、そうよ! もうゆっくりゃをこわがらなくていいの!」 「ゆうううう!」 「ゆうううう、ゆっくりできる……ゆっくりできるよぉぉ!」 れいむたちの歓喜の声が響いた。 「おお、せいこうせいこう」 丘の上から眺めていた俺は、双眼鏡を下ろしてつぶやく。 この間作ったゆっくりシェルターはどう考えても失敗作だった。モノを媒介にしたコミュ ニーションなんて、しょせんはもろい。それに、れみりゃたちがゆっくりを襲わないのは、 不自然だ。 必要なのは、ゆっくりたちに、適度な身を守る力を与えることだった。 そこで考えたのがこれ、ばっちんシェルター!(はいはい) 仕掛けは、説明する必要もないぐらい簡単だ。窓の外にばっちん板のついた箱。れみりゃ が付きまとおうとする限り、ばっちんばっちん叩かれることになる。 れいむたちは安全になるが、一人で入ると、ひさしが重くて持ち上がらない。 また、据え付け式だから、れみりゃに過度の脅威を及ぼすこともない。 これなら、ゆっくりたちを調子付かせずに守ってやれるというわけだ。 いずれれみりゃも、ばっちんシェルターに張り付いているのは割に合わないと学習し、他 の食べ物を取りにいくようになるだろう。 安い。シンプル。丈夫。ほどほど。うむ、やはりギミックってのはこうでなくちゃな! よし、これをパーク中に設置しよう。 「どうだ、きめぇ丸。名案だろう」 「おお、しょぼいしょぼい」 俺のそばでうろちょろしていたきめぇ丸に声をかけると、あざ笑うようにヒュンヒュン 動いた。ほんとうぜぇな、こいつ。ぱちゅりーのほうがずっと素直だ。 でもまあ、こいつはそこがいいんだがな。 前 次 ========================================================================- YT
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近頃近所で物騒な事件が流行っている。 なんと、ゆっくりを飼っている人が飼いゆっくりと散歩をしていると、 突然凶暴な野良のゆっくりが現れて飼いゆっくりを襲う、というものだ。 その野良ゆっくりは相当悪質らしく、この間も僕の友達の飼いゆっくりのれいむが、 ほっぺたを噛みちぎられて、今も病院に通っているらしい。 僕はうちのペットのゆっくりに餌をやりながら、ぼんやりと考えていた。 あぁ、うちのかわいいかわいいこの子が、襲われなきゃいいんだけど… くしゃくしゃとさらさらの髪の毛をなでてやると、嬉しそうに目を細めて、僕にじゃれついてくる。 あぁもう、可愛いなぁ。 僕は仕事の都合上、散歩の時間は限られてくるので、いつも夜遅くになってしまっていた。 なので悪い噂がささやかれるたびに、うすら寒い思いをしながら、周りに注意をしながら散歩をしていた。 今日も、うちの子が襲われないか回りに気をつけながら、慎重に夜の道を散歩していた。 すると突然、目の前に薄汚いまりさが現れた。 まりさはうすら笑いを浮かべながら、僕たちの方をみている。 暗い道なので、お互いの細かい部分までは把握できない。 まりさの後ろから、なにか羽をはばたかせるような変な音が聞こえていた。 「いくんだぜっ!」 突如まりさが声をあげる、それと同時に、まりさの後ろから素早く、黒い塊がこちらに飛んできた。 「うーーーー!!!」 それはゆっくりれみりゃだった、れみりゃはものすごい勢いで僕の横にいたうちの子に突進をしかける。 「!?」 僕が突然のことに驚いていると、すでにまりさはどこかにいってしまっていた。 そしてどんっ音を立ててうちの子とれみりゃがぶつかった。 すると… 「うわぁぁあぁあああああああ!!!!!!」 突然大きな悲鳴をあげて、れみりゃが勢いよく夜の闇に消えていった。 全くわけがわからない、今のは一体なんだったんだろう。 一瞬例の通り魔事件の犯人かと思ったが、うちの子には傷一つないようだ。 「いったいなんだったんだろうな、なぁ、ふらん」 「う~?」 僕の可愛い可愛い飼いゆっくりのふらんちゃんも、僕と一緒に首をかしげた。 それからも、通り魔ゆっくり事件はやむことがなかった。 けれど、どうしてだろう、僕とふらんちゃんはあの変な事件以来一度も襲われていない。 ま、いいか、ふらんちゃんに危険が迫るようだったら、僕が絶対やっつけてあげるからね! ふらんちゃんは餌箱に顔を突っ込んで、おいしそうにご飯を食べている。 「じゃ、散歩いこっか」 「う~☆」 僕たちの夜の散歩は、今日も平和だった。 「ど、どーしたんだぜせんせー、やっちゃってくださいなんだぜー」 「うー…ふらんやだぁーーーーーー……」 おしまい