約 632,061 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/694.html
ゆっくりいじめ系720 豚小屋とぷっでぃーん ゆっくりいじめ系830 豚小屋とぷっでぃーん 2 ゆっくりいじめ系889 頭 ゆっくりいじめ系942 無尽庭園 ゆっくりいじめ系978 ゆっくりぴこぴこ ゆっくりいじめ系1078 何かがいる ゆっくりいじめ系1283 ゆっくりゆうぎ ゆっくりいじめ系1334 だんじょん ゆっくりいじめ系1350 りぇいみゅのりぇみょんに ゆっくりいじめ系1422 温泉 その他 瓶? ゆっくりいじめ系1474 夢の跡 ゆっくりいじめ系1475 偶数 ゆっくりいじめ小ネタ190 紙芝居 ゆっくりれみりゃ系いじめ50 れみりゃ拘束虐待? ゆっくりれみりゃ系いじめ53 ゆっくり眠れない夜? ゆっくりれみりゃ系いじめ58 だんす? ゆっくりれみりゃ系いじめ61 れみ☆りゃ☆ぎゅー☆? ゆっくりれみりゃ系いじめ64 だいえっと? ゆっくりいじめ系1524 生長 ゆっくりいじめ系1537 おつかいれいむ ゆっくりいじめ系1589 うn ゆっくりいじめ系1653 勝手に生えてくる ゆっくりいじめ小ネタ266 黒蜜? ゆっくりいじめ系1898 価値 ゆっくりいじめ系1941 幻”思”痛 ゆっくりいじめ系2061 緑色 ゆっくりいじめ系2064 冬篭りの、ほんの少し前の出来事 ゆっくりいじめ系2065 ゆっくり風船 ゆっくりいじめ小ネタ346 ゆっくり童話 太陽と北風? ゆっくりいじめ系2188 本能 ゆっくりいじめ系2267 カザリガリノキ ゆっくりいじめ小ネタ393 メタ視点ゆっくり? ゆっくりいじめ小ネタ394 みょん? ゆっくりいじめ系2270 わんわんごあいどぉ~! ゆっくりいじめ系2297 レポート ゆっくりいじめ系2350 重箱の隅 ゆっくりいじめ系2380 豆れみりゃと二重人格お兄さん ゆっくりいじめ系2424 野生の豆れみりゃ ゆっくりいじめ系2423 紙芝居を聞かせて? ゆっくりいじめ小ネタ444 ゆっくりスタンプ? ゆっくりいじめ系2446 対戦型ゆっくりゲーム ゆっくりいじめ小ネタ454 物語のエンディング? ゆっくりいじめ小ネタ469 お姉さんとお〇んぽイきたいみょん? ゆっくりいじめ系2531 豆れみりゃ喫茶 ゆっくりいじめ系2557 肉饅が肉饅を憎まんとするお話 ゆっくりいじめ系2628 すべての森が ゆっくりいじめ系265& みょんリンガル ゆっくりいじめ系2840 30日虐環家無 ゆっくりいじめ小ネタ549 お題?虐無 ゆっくりいじめ小ネタ561 箱?虐無 ゆっくりいじめ小ネタ578 まりさのはっぴーばーすでー?虐他ゆ ゆっくりいじめ系2980 ライブ ゆっくりいじめ小ネタ588 れみりゃシャッフル? ゆっくりいじめ系3018 おうちかえる! ゆっくりいじめ系3061 加工所の村他無 ゆっくりいじめ系3067 ちぇんとお兄さん虐他無 ゆっくりいじめ系3082 ちぇんとお兄さん 2日目他汚無
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2223.html
※絵本風にしてみました。 ※一貫してほのぼのです。 ※作中で登場するれみりゃは、全員胴付きのれみりゃです。 よろしければどうぞ れみりゃ達の日常(収穫編) ここは日本の山奥の辺境の地、幻想郷。 人間、妖怪、神様までもが共存している異色の地です。 そんな幻想郷は今は秋。 少しずつ寒くなっていこうという少々寂しくなる季節です。 そんな幻想郷にも朝が訪れようとしていました。 朝は誰にでもやって来ます。 神様にも、妖怪にも、人間にも…そして ゆっくりにも。 ここは幻想郷のさらに山奥… ある一つの集落にも朝が訪れようとしていました。 「あさだっぞぉぉぉ!!!!」 山奥に元気な声が木霊します。 とても元気な叫び声ですね。 その叫びを合図に、集落は活動を開始しました。 「うっう~♪あさだっぞぉ♪」 「まんまぁ…れみぃまだおねむだぞぉ…」 「おなかすいたどぉ…」 「くか~くか~」 おやおや、寝ながら歩いている子もいるようですよ。 大丈夫なのでしょうか? 「うぁっ!?」 寝ながらフラフラ歩いていたら大木にぶつかってしまいました。 おかげで目は覚めた様ですが、痛そうに鼻を摩っています。 「いたいのぉ…れみぃのかりしゅまあふれるたかだかなおはながぁ…」 「だいじょうぶだぞぉ!もともとひくいぞぉ!」 「うぁっ!!それはききずてならないどぉ!!」 近くにいた少女も鼻を摩っている少女を慰めようとしたのだと思いますが、どうやら言葉が悪かったようです。 そのまま喧嘩を始めてしまいました。 お互いの顔をそのふくよかな手で引っ張り合っています。 「「うにに…」」 喧嘩をする程に元気があると言うことですね。 心配はいらなかったようです。 そんな喧嘩をよそに思い思いに動くピンク色の洋服と帽子を身につけた少女達。 見た目は人間の子供に見えますが、彼女達は人間ではありません。 その証拠に、小さな背中には小さく黒い翼が生えています。 そう、彼女達は胴付きのゆっくりれみりゃ達です。 この界隈には、大小の50匹の胴付きれみりゃが住んでいます。 ここは胴付きのゆっくりれみりゃ達の集落なのです。 「みんなぁ!!ちゅうもくだっぞぉ!!」 おや? ピンク色の洋服を着たれみりゃの中に、一匹だけ緑色の恐竜の着ぐるみを着たれみりゃがいます。 着ぐるみを着たれみりゃが声を張り上げると、それと同時に周りのれみりゃ達が着ぐるみれみりゃに注目し始めました。 喧嘩をしていた2匹も慌てて向き直ります。 これはどういうことでしょうか。 「おぜうさまからのかりしゅまあふれるおことばだぞぉ!!かりしゅまあふれるみんなぁ♪ゆっくりきいてねぇ~ん♪」 「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」 どうやら着ぐるみを着たれみりゃがこの集落のリーダーのようですね。 彼女は元々レアな胴付きれみりゃの中でもさらにレアなれみりゃザウルスなのです。 れみりゃ達は誰もが自分達の事をカリスマだと思っていますが、れみりゃザウルスはそのれみりゃ達の中でも一目置かれる存在のようです。 だからこそ、子供っぽいれみりゃ達をまとめられる訳ですね。 「きょうはいよいよ『しゅ~かく』するぞぉ!!きょうがれみぃたちの『しゅ~たいせ~』だっぞぉ!!」 「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」 「みんなのかりしゅまでさいごのしあげにするんだぞぉ!!」 「「「「「「「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」」」」」」」 れみりゃザウルスの声に全員が歓声を上げます。 『しゅ~かく』…収穫のことでしょうか。 れみりゃ達は一体何を収穫しようと言うのでしょうか。 「みんなぁぁぁぁ!!!いちおういっておくぞぉぉぉ!!!つまみぐいははしたないからやめるんだぞぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「「「…う~」」」 「どぼじでこえがちいさいのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 さて、オチもついたところで、れみりゃ達の生活をもう少し詳しく見てみることにしましょう。 まず20匹程のれみりゃ達がバケツを持ってどこかへ出かけようとしているようです。 このれみりゃ達が向かったのは山の頂から流れる川。 どうやら水を汲もうとしているようです。 ゆっくり達も喉が乾けば水を飲みます。 それは人間や妖怪と変わらないのです。 れみりゃ達は川に着くと、靴を脱いで川の中に入ります。 水を汲むだけならば、川の中に入らなくても良いのですけどね。 しかし、れみりゃ達は子供っぽく好奇心旺盛で遊び好き。 川があるのなら、離れて見ているだけなどということは出来ないのです。 「うっう~♪ちべたいどぉ♪」 「そぉれ♪ばっしゃ~ん♪」 「うぁぁぁ!!ちべたいぞぉぉぉぉ!!!」 「おかえしだどぉぉぉ!!!」 「てめ~はれみぃをおこらせたぞぉ!!」 おやおや、水汲みそっちのけで水の掛け合いが始まってしまいました。 微笑ましい光景なのですが、はしゃぐと危ないですよ。 「うぁぁぁっ!!」 ほら、言ってるそばから一匹のれみりゃが川の中で滑って転んでしまいました。 洋服はすっかりびしょびしょに濡れてしまいました。 「うぁぁぁぁ…れみぃのおようふくがびしょびしょだっぞぉ…」 「おぼうしがないどぉ!!」 「うあっ!?」 転んでしまったれみりゃが他のれみりゃの指摘により自身の頭を触ると、そこには確かに帽子がありませんでした。 どうやら転んでしまった時に流されてしまったようです。 「れみぃのおぼうしぃぃぃぃ!!」 「みんなでさがすどぉ!!」 「やれやれだぞぉ…」 嫌そうに言うれみりゃも中にはいますが、その目は真剣です。 彼女達は誰もが帽子をとても大切にしています。 その想いは言わずとも伝わるのでしょう。 それからはれみりゃ達による帽子捜索が始まりました。 数匹のれみりゃが川下の方へ飛ぶと、流されてる帽子を発見することが出来ました。 川の流れがあまり早くなかったことが幸いしたようです。 「れみぃのおぼうしぃぃぃ!!!うぁぁぁぁぁぁん!!」 「よかったぞぉ…」 「かったっ!だいさんぶかん!だっぞぉ!」 自分の帽子を見つけたれみりゃが、帽子を抱きしめながら泣き出してしまいました。 余程嬉しかったのでしょう。 ですが、悪ふざけも程々にしましょうね。 さて、他のれみりゃも見てみましょう。 20匹のれみりゃが何処かへと歩いて行きます。 その中にはリーダーであるれみりゃザウルスも混じっています。 一体どこへ向かうのでしょうか。 「うっう~♪ぶれっくふぁすとだっぞぉ♪」 「れいと~こへいくぞぉ♪」 「あぅ~♪れみぃぺこぺこだどぉ♪」 『れいと~こ』…どうやら、彼女達は冷凍庫へと向かうようです。 しかし、ここは電気も届かない幻想郷の山奥。 冷凍庫などあるのでしょうか。 「うっう~♪ついたぞぉ♪」 れみりゃ達が向かったのは岩山の中にぽっかりと大きく口を開けた洞窟です。 ここが彼女達の言う冷凍庫なのでしょうか。 一見普通の洞窟にしか見えませんが…。 「チルノフ~!はいるぞぉ!」 れみりゃザウルスが一声上げると、ぞろぞろとれみりゃ達が洞窟の中へ入って行きます。 チルノフ…とは一体何のことでしょうか。 「うぅ~…さむいぞぉ…」 「しゅ~りしゅ~りしながらはいるどぉ…」 「おしくらまんじゅ~だどぉ♪」 「お~されてなぁくなぁだっぞぉ♪」 洞窟の中は所々霜が張ってあり、とても寒そうでした。 れみりゃ達はお互い身を寄せ合いながら中へと進んでいきます。 これがれみりゃ達の寒さ対策なのでしょう。 そしてある程度中を進むと、そこには山盛の野菜と共に一人の水色の髪をした少女が眠っておりました。 彼女がチルノフなのでしょうか。 れみりゃザウルスが少女に声を掛けます。 「チルノフ~♪おやさいもっていくぞぉ♪」 「…」 チルノフは返事をしません。 しかし、そこら中に落ちている野菜を拾っていくれみりゃ達を止めようともしません。 恐らく、チルノフは了解の意を示しているのでしょう。 この状況はどういうことかと言うと、れみりゃ達とチルノフは契約を結んだのです。 野菜を分けてあげるから、この洞窟を冷凍庫代わりに使わせて欲しいという契約を。 チルノフは基本的にずっと寝ている為、あまり御飯は摂りません。 しかし、彼女も生きている以上、御飯は食べます。 ただ、御飯を食べるには外へ出て御飯を探しに行かなければなりません。 チルノフにはそれはひどく苦痛に感じるものでした。 そんな時、れみりゃの集落が近くまで引っ越してきたのです。 れみりゃ達の要望とチルノフの要望が合致した結果、このように共存していくことになりました。 れみりゃ達が来てくれたお陰で、チルノフはこの洞窟から出ることなくずっとゆっくりしていられるようになったのです。 チルノフは何も言いませんが、心の中でれみりゃ達にとても感謝していました。 と、そうこうしているうちに、れみりゃ達が野菜を拾い終わったようです。 「みんなぁ!きちんとおやさいもったぁ!?」 「「「「「うっう~♪」」」」」 「じゃあみんなでそとにでるぞぉ!!」 「「「「「うっう~♪」」」」」 「つまみぐいははしたないぞぉ!!」 「「…う~…」」 「きちんとへんじしてぇっ!!」 どの道、野菜は凍っている為にこのままでは食べられないのですがね。 それでもれみりゃ達はお腹が空いている為、つまみ食いしたいようです。 「ううっ…おなかぺこぺこだどぉ…」 涎を垂らしているれみりゃも中にはいます。 持ってる野菜を見つめたまま歩いているれみりゃもいます。 「いっただっきまぁ~っすだっぞぉ!!」 おや、一匹のれみりゃがキノコに齧りついてしまいました。 余程お腹が空いていたようです。 「あがっ!…かたかただぞぉ…」 「なにしてるのぉぉぉ!?」 「うぁぁっ!みつかっちゃったぞぉ!」 当然、凍っている為に食べられるものではありませんでしたが。 さらに、れみりゃザウルスのお叱りを受けてしまうことになってしまいました。 皆さんもつまみ食いなどというはしたない真似をするのはやめましょうね。 さて、残りの10匹のれみりゃは何をしているのでしょうか。 見ると近くの山小屋に入って行ったようです。 中で一体何をしているのでしょうか。 「あぅあぅ♪おそうじおそうじぃ~♪」 「きれいきれいにするどぉ♪」 なんと! れみりゃ達が山小屋の掃除を始めていました。 山小屋は本当に小さい山小屋です。 50匹のれみりゃ達が入りきれる大きさではない為、れみりゃ達はここで寝泊まりしている訳ではありません。 れみりゃ達は普段は草むらの上や木の上で寝泊まりしています。 では、何故ここを掃除するのでしょうか。 「こ~まかんはかりしゅまあふれるきれいなおやしきなんだどぉ♪」 「れみぃたちはこ~まかんのおぜうさまなんだぞぉ♪」 そう、れみりゃ達はこの無人の山小屋を『こ~まかん』と名付け、とても大事にしていたのです。 それは、れみりゃ達は『こ~まかん』の『おぜうさま』という自覚があるからです。 なのに、『こ~まかん』がなければ話になりません。 良い『こ~まかん』はないものかと幻想郷を探し回っていた時に、この山小屋を発見したのです。 れみりゃ達がこの場所で生活することに決めたのも、この山小屋があったからです。 ここは皆の『こ~まかん』で、皆はこの『こ~まかん』の『おぜうさま』という意識を持つことで、皆でこの『こ~まかん』を大事にしてきました。 そして、これからもこの山小屋…いえ、『こ~まかん』は大事にされていくことでしょう。 れみりゃ達の手によって。 「おそうじおわったぞぉ♪」 「こ~まかんもかりしゅまになったどぉ♪」 実際はれみりゃ達はほとんど何もしていません。 もし『こ~まかん』の中に虫が入っていたら拾う、程度の物でそれ以外のことは何もしていません。 しかし、彼女達はこの『こ~まかん』の為に何かしたかったのでしょう。 自分達の居場所である『こ~まかん』の為に。 「う~♪」 「こ~まかんがゆっくりできてるぞぉ♪れみぃもゆっくりできるぞぉ♪」 「う~♪ゆっくりゆっくりぃ♪」 れみりゃ達は外へ出て、『こ~まかん』を嬉しそうに見上げます。 『こ~まかん』がゆっくり出来ていると、彼女達もゆっくり出来るのです。 ここが自分達の居場所なのですから。 「おみずくんできたぞぉ!!」 「ごくごくのむどぉ!!」 「おやさいとってきたぞぉ!!」 「みんなでぶれっくふぁすとにするどぉ!!」 水を汲みに行ったれみりゃ達、野菜を取りに行ったれみりゃ達も戻って来たようです。 さて、ここで皆で朝食タイム…と、いきたいところなのですが、冷凍庫に保管してあった野菜を解凍しなければいけません。 それは一体どのようにするのでしょうか。 「みんなぁ♪かれきさんをれみぃのまえにおくんだぞぉ♪」 「「「「「うっう~♪」」」」」 れみりゃ達がれみりゃザウルスの前に何かを置いて行きます。 それは、食料調達組が帰り道で拾ってきた枯れ木です。 それをれみりゃザウルスの前に置きました。 一体どうするつもりなのでしょうか。 「いっくぞぉ…」 れみりゃザウルスは大きく息を吸い込みました。 「ふやじょうレェェェェッドだっぞぉ!」 なんと! その言葉と共に、れみりゃザウルスの口から炎が吐き出されました。 炎は枯れ木に燃え移り、あっという間に小さな焚き火が出来たのでした。 そう、れみりゃザウルスは口から炎を吐くことが出来たのです。 この能力のお陰もあり、他のれみりゃはれみりゃザウルスのことをリーダーとして認めているのです。 れみりゃ達はれみりゃザウルスがいなければ、火を使うこともできないのですから。 「みんなぁ!おやさいもったぁ?」 「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」 れみりゃザウルスが枯れ木に火を吹いている間に、野菜は全てのれみりゃに行き届いていました。 それをれみりゃザウルスも確認すると、満面の笑顔を浮かべて叫びます。 「それじゃあたべるぞぉ♪」 「「「「「「「いっただっきま~っす!!」」」」」」」」 れみりゃ達はその言葉を合図に焚き火に群がります。 余程お腹が空いていたのでしょう。 普段はゆっくりした動きと言うのに、このような時だけは非常に素早い動きです。 「はふはふ…おいしいどぉ…」 「あちゅちゅ…あちゅいどぉ…でもおいしいどぉ…」 れみりゃ達が食べる野菜は山の中で拾ってきた山菜やキノコ、そしてサツマイモなどです。 「はふはふ…おいもはあまあまでおいしいどぉ♪」 「おいもはゆっくりできるぞぉ♪」 美味しそうに芋を頬張っているれみりゃ達。 さて、このサツマイモはどこから調達してきたのでしょうか。 「お~、皆は朝御飯の時間だっぺなぁ」 「あ!」 れみりゃの一匹が、近寄って来た人影に気が付きます。 そして皆がその人物を見て、思い思いに叫びます。 「「「「「「「「「「のうかりんだっどぉ!!」」」」」」」」」」 「今日もれみりゃ達はゆっくりできてるっぺなぁ」 「うっう~♪のうかりんもゆっくりしていくんだぞぉ♪」 「「「「「「「「「「ゆっくりしていくんだぞぉ♪(だどぉ♪)」」」」」」」」」」 近づいてきたのは、麦わら帽子をかぶった黄緑色の髪をした少女。 しかし、この少女も実は胴付きのゆっくりなのです。 名前はのうかりん。 れみりゃ達とは非常に親密な関係を築いているゆっくりです。 れみりゃ達はのうかりんにとても感謝しておりました。 何故なら、れみりゃ達の食糧不足を補ってくれたのが、こののうかりんだったのです。 では、少し時計の針を巻き戻してみましょう。 れみりゃ達が住んでいる山は確かに食材は豊富です。 しかし、50匹のれみりゃ達を養いきれるものではありませんでした。 れみりゃ達が引っ越して来てしばらくした頃、急に食材が獲れなくなってしましました。 後先を考えずに獲りすぎてしまったのです。 れみりゃ達の集落は食糧不足に陥ってしまいました。 「う~…おなかすいたどぉ…」 「まんまぁ…れみぃぺこぺこだどぉ…」 「う~…まんまぁもぉ…」 「う~…」 「くか~くか~」 あっちでぐ~ぐ~、こっちでぐ~ぐ~、いびきでぐ~ぐ~。 まさにれみりゃ達の集落は崩壊寸前でした。 しかし、捨てる神あれば拾う神あり。 困っているれみりゃ達の前に現れたのが、のうかりんでした。 のうかりんは豊富な水資源があるこの近辺で、野菜や果物を作りたいと思っていたのです。 しかし、農作業に長けているのうかりんでも一匹では限界があります。 できるだけ大きな畑を作りたい、のうかりんはそう考えていたのです。 そんな時、50匹のれみりゃ達を見つけたのでした。 見ればれみりゃ達は空腹な様子。 慌てて自分の畑に戻り、沢山の野菜を大きなザルに詰め込み、れみりゃ達の元へ持ってきたのでした。 「おめぇら、お腹すいてるっぺ?」 「う~…?」 「だれだぞぉ…?」 「げんかくだどぉ…?」 「れみぃのまえにみどりいろのぷっでぃんがみえるどぉ…」 「くか~くか~」 突然現れた見知らぬ謎のゆっくり。 空腹のあまり、のうかりんが大好きなプリンに見間違えてしまうれみりゃも中にはいました。 「良かったらこれ食べないっぺか?」 「う~?」 のうかりんが差し出したのは、大きなザルに入っている色取り取りの野菜でした。 ぷ~んと甘いサツマイモの匂いがれみりゃ達の鼻へと届きます。 れみりゃ達は夢中でザルの中の野菜に手を伸ばしました。 「がぶっ!…おいしいぞぉ!!ゆっくりできるぞぉ!!」 「おちびちゃ~ん♪いっしょにたべるどぉ♪」 「う~う~♪あ~んだどぉ♪」 「れみぃがこれたべるのぉ!!」 「それはれみぃのなのぉ!!」 「沢山あるから喧嘩しないで食べてけろ~」 「くか~…あまあま…くか~…」 のうかりんが持ってきてくれた野菜は、取れたてで新鮮で非常に美味でした。 甘味が好きなれみりゃ達には、特にサツマイモが好評だったようです。 あまりの美味しさにサツマイモを取り合って喧嘩してしまうれみりゃや、寝ながら食べるれみりゃもいました。 寝ながら食べて喉に詰まらないのでしょうか? 「「「「「「「「「「ごちそうさまでしたぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」」」 「お粗末さまだっぺぇ」 ここまで美味しそうに食べてくれると、のうかりんも嬉しくなりました。 自身の作った野菜でれみりゃ達にゆっくりしてもらうことは、のうかりんもゆっくりすることが出来たのでした。 そこで、のうかりんは思いつきました。 このれみりゃ達に手伝ってもらえば、自分はもっと大きな畑を作ることが出来るのではないか、と。 「なぁ…こんなかにリーダーはいないっぺ?」 「う~♪れみぃがいちばんのおぜうさまだぞぉ♪」 れみりゃザウルスが可愛く手を上げ、のうかりんにゆっくりと近づいて行きました。 「なぁ…これからも野菜分けてあげてもいいっぺよ…」 「ほんとだぞぉ!?」 れみりゃ達にとって、降って湧いたような幸運です。 中にはあまりの嬉しさに踊りだしてしまうれみりゃもいました。 「だけどぉ…私のちっちゃな畑じゃあ、この数のれみりゃは養いきれないっぺ…」 「…う~?そうなのぉ?」 「だからぁ…あんた達が私の畑手伝ってくれないっぺ?そしたら野菜も分けてあげられるっぺ…」 「う~!そんなのでいいんだったられみぃたちにお・ま・か・せだっぞぉ♪」 「「「「「「「「「「う~!!」」」」」」」」」」 「くか~…う~…くか~」 他のれみりゃ達も、れみりゃザウルスの言葉に同意します。 一匹だけ寝たままのれみりゃもいましたが、勿論そのれみりゃも同じ気持ちです、多分。 それだけ、のうかりんの野菜は本当にゆっくり出来たのです。 これからものうかりんの野菜を食べ続けて行きたい、れみりゃ達の気持ちは一つにまとまっていました。 まさにれみりゃ達の利害とのうかりんの利害が合致したのです。 「そうかぁ?じゃあよろしくたのむっぺなぁ」 「こちらこそだっぞぉ♪」 「「「「「「「「「「のうかりん!よろしくだっぞぉ(だっどぉ)!!!!!」」」」」」」」」」 「くか~くか~」 とはいえ、最初は上手くいきませんでした。 それもそのはず、れみりゃ達は農作業は初めてだったのです。 しかも道具も少ないので、畑を耕す時はその柔らかそうな手で耕さなければいけませんでした。 「う~…おてていたいどぉ…」 「おててまっかだぞぉ…」 「ふ~ふ~してもひりひりするどぉ…」 「そこの3匹!何サボってるっぺ!!まだノルマが終わってないっぺ!!」 「「「あぅ~!!!」」」 普段は優しいのうかりんも、自身の畑の事に関しては非常に厳しくなります。 最初の頃のれみりゃ達はのうかりんに怒られてばかりでした。 このれみりゃ達も、それなりに過酷な環境を生き抜いてきました。 しかし、のうかりんの畑の農作業はそれを遥かに上回る過酷さだったのです。 当然、反発するれみりゃも出てきました。 「もういやだっぞぉ!!もうやめたっぞぉ!!」 「ほう…じゃあおめぇはお野菜抜きだな」 「どうしてだぞぉ!!」 「働かざる者食うべからずだっぺ」 「うぅ~…」 「そんじゃあ飢え死にしないよう気を付けるっぺな」 「…れみぃもういちどやるぞぉ…」 れみりゃ達は、あの食糧難がトラウマとなって心に刻まれていました。 御飯を食べられないことは全くゆっくり出来ない、それはどのれみりゃにも理解できていたことでした。 そして、ここでのうかりんの畑を手伝わないと、御飯にありつけないということも。 「良い子だっぺぇ。ちゃんとお野菜あげるからな。心配すんな」 のうかりんは手袋を脱ぎ、笑顔でれみりゃの頭を撫でてくれます。 それはれみりゃをとてもゆっくりさせてくれたのでした。 「なぁでなぁで…ゆっくりできるぞぉ…う~♪う~♪」 撫でられたれみりゃは頬に手を当て、横に身体を震わせます。 余程気持ち良かったのでしょう。 そして、それを羨ましそうに見ていた他のれみりゃ達。 「れ、れみぃもおしごとやめたどぉ!!」 「ぷ、ぷ~んだ!れみぃにもなぁでなぁでしてくれないのうかりんはばぁ~かばぁ~か!」 「れみぃもおやさいとなでなでがほしいぞぉ♪」 「べ、べつにのうかりんのためなんかじゃないんだぞぉ!!」 次々と仕事を投げ出すれみりゃ達。 魂胆はのうかりんにも見え見えだったのですが。 「コラ~!!サボるんじゃねぇ!!」 「「「「う~!!わかりましたぁ~!!」」」」 のうかりんの声にワクワクしながら答えるれみりゃ。 いつ自分は撫で撫でしてもらえるのだろうと。 しかし、のうかりんは背を向けて立ち去って行ってしまいました。 「じゃ、しっかりな。私は他の畑を見て来るっぺ」 「「「「どぼじでなぁでなぁでしてくれないのぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」 「いちいち50匹も撫でてられるか!!あほぉっ!!」 そんなこんなもありましたが、れみりゃ達の努力もあり、畑も立派になってきました。 そして月日が経ち、今日がれみりゃ達にとって初めての収穫の日になりました。 時計の針を元に戻しましょう。 「御飯食べたら早速収穫するっぺ」 「「「「「う~!!」」」」」 嬉しそうに返事をするれみりゃ達。 れみりゃ達はこの収穫の日を楽しみにしていたのです。 自分達が育てた野菜はどのようなカリスマな野菜に育っているのかと昨日からワクワクしたのです。 と、そんなことを話している間にれみりゃ達の朝御飯も終わってしまったようです。 「「「「「「「「「「ごちそうさまでしたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」」」」」」」」」」 焚き火の火を消して、皆がそれぞれ立ち上がります。 食後のダンスを踊るれみりゃも中にいました。 皆が食べ終わったことを確認すると、のうかりんが一つ大きな声を上げました。 「じゃあ早速行くっぺ!!」 「「「「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」」」」 のうかりんを先頭に、れみりゃ達が畑に向かって歩き出します。 のうかりんもれみりゃ達に手伝ってもらった事で大きくなった畑の収穫の日を楽しみにしていました。 自分達が育てた野菜はどのようなものか。 のうかりんも非常にワクワクしていました。 畑に着くと、そこは一面の野菜だらけ。 「うぁぁぁ…」 れみりゃ達はその光景に驚くばかりです。 といっても、今日初めて見た訳ではないのですが。 「アホみたいに呆けてないで早速収穫するっぺ。ほれ、散った散った」 パンパンとのうかりんが手を叩くと、れみりゃ達があっという間に散開します。 自分の持ち場である畑に向かって行ったのです。 「いいかぁ!?草さんの周りを一所懸命掘るんだっぺぇ!!芋さんが見えてくるっぺ!!」 「「「「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」」」」 それぞれのれみりゃが近くの畑を掘りますが、なかなか芋を見つけられません。 上手く掘れていないのです。 「う~…」 「みつからないどぉ…」 「れみぃのかりしゅまなおやさいがぁ…」 「(う~ん…茎が邪魔で上手く掘れないみたいっぺなぁ…どうすっぺ…)」 本来なら、サツマイモの収穫をする前に茎を切る必要があります。 しかし、今の畑は非常に広大。 道具も少ない状態で切ることは難しかったのです。 ここまで畑が大きくなることは、のうかりんにとっても少々誤算でした。 れみりゃ達がここまで働いてくれるとは思わなかったのです。 そして、のうかりんが手を出さないのは親心からです。 れみりゃ達がこの日を楽しみにしていたことは、のうかりんも知っています。 この集大成の日は出来るだけれみりゃ達にやらせてあげたかったのです。 彼女達がいなければ、ここまで広々とした畑を作ることが出来なかったのですから。 と、のうかりんが色々と考え事をしていた時 「うぁ♪とったどぉぉぉぉぉ!!!!」 歓喜の雄たけびを上げたのはちっちゃな子れみりゃ。 その右手には、紅い物体が握られています。 サツマイモです。 初めて収穫に成功したのは、この子れみりゃでした。 「おちびちゃ~ん♪すごいどぉ♪」 隣にいた親れみりゃも鼻高々のようです。 余りの嬉しさに踊りだしてしまいました。 「うあっ!!」 「あったぞぉ!!」 「うっう~♪」 次々と畑の中の芋は見つかって行きました。 大量にサツマイモを掘り出すことが出来て、嬉しそうなれみりゃ達。 その光景は、のうかりんをゆっくりさせてくれたのでした。 全ての野菜の収穫が終わる頃には、すでに辺りは暗くなりかけていました。 れみりゃ達の目の前には山盛りのサツマイモやその他の野菜がありました。 「じゃあこの野菜あげるっぺ」 「こ、こんなにもらっていいのぉ!?」 「れみりゃ達が手伝ってくれたおかげだっぺ。私は人里で売る分があれば十分だっぺ」 のうかりんは食料に困っていた訳ではありません。 のうかりん一人分の食糧など、この山には沢山あるのですから。 あくまで大きな畑を作りたかっただけなのです。 「あ、ありがとうだぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「「「「「「「「「「ありがとうだぞぉ(だどぉ)!!!」」」」」」」」」」 「うわ、50匹同時に抱きついてくるなっぺぇぇぇぇ!!!潰れるぅぅぅぅぅ!!!!!」 嬉しさのあまりにのうかりんに抱きつこうとする50匹のれみりゃ達。 のうかりんは少々苦しそうでしたが、心の中ではとてもゆっくりできていました。 そして、お日様がすっかり沈んでしまった頃、れみりゃ達とのうかりんの晩餐会が始まりました。 「うっう~♪うぁうぁ♪」 「かりしゅま☆だんすぅ~♪」 「くか~くか~」 「れみりゃ達は踊るの大好きだっぺなぁ」 「うっう~♪のうかりんもいっしょにおどるどぉ♪」 「仕方ないっぺなぁ。今日だけだっぺ」 そして、のうかりんも交えたダンスパーティーが始まりました。 それはそれはとてもゆっくりできるものなのでした。 「じゃあそろそろ帰るっぺ」 「ばいばいだぞぉ♪」 「「「「「「「「「「ばいばいだぞぉ(だどぉ)♪」」」」」」」」」」 50匹のれみりゃ達がのうかりんの背中を見送ります。 さて、れみりゃ達もそろそろ就寝タイムに入ります。 「うっう~♪みんなぁ♪おねむのまえのおいのりタイムだっぞぉ♪」 「「「「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」」」」 おや、れみりゃ達は何かをするつもりのようです。 一体何をするのでしょうか。 れみりゃ達が何かを呟きながら胸に手を当ててお祈りしております。 一体何を呟いているのでしょうか。 「さくやぁ…」 「れみぃたちはここにいるぞぉ…」 「さくやのあまあまぷっでぃんたべたいどぉ…」 「きょうもさくやのおかげでゆっくりできたぞぉ…」 れみりゃ達は、さくやに対してお祈りをしているのです。 ほとんどのれみりゃはさくやと出会うことはありません。 しかし、れみりゃ達の間ではこう語り継がれているのです。 さくやに出会えたれみりゃはとってもとってもゆっくり出来る、と。 それ故、れみりゃ達の間ではさくやはお祈りをする対象となっているのです。 本物の紅魔館のメイド長がそれを知ったらどのような顔をするのでしょうね。 「さぁて、みんなねるぞぉ♪」 「「「「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」」」」 咲夜へのお祈りが終わると、今度こそ就寝タイムです。 各自ゆっくり出来る場所を決めると、その場で横になり眠ってしまいます。 「う~…おなかいっぱぁい…」 「ふぁぁぁぁ…う~…」 「くか~くか~」 「さくやぁ…」 皆とてもゆっくり出来た顔をして眠っています。 さくやに出会えた夢を見ているれみりゃもいるようです。 とても嬉しそうな顔をしたまま眠っていますね。 一日を終えた50匹のれみりゃ達の集落。 誰もがゆっくりしたいと思い、集まったれみりゃ一同。 これから何処に向かい、何処に行こうと言うのでしょうか。 それは誰にもわかりません。 ただ、一つだけ言えることがあります。 このれみりゃ達はずっとずっとゆっくりしていけるでしょう。 ずっとずっと…。 一匹ほしい -- 名無しさん (2011-03-14 20 20 27) チルノフがいい味だしてますね。 きっと心の中では「ゆっくりしていってね!!!」って言ってると思う。 -- 名無しさん (2011-04-10 16 46 31) 俺は毎日れみりゃにお祈りしているがな。 -- 名無しさん (2011-10-11 00 16 11) お互いに支え合うゆっくりの生き方はとても面白かったですが のうかりんがやや贔屓されてますね -- 名無しさん (2012-06-28 15 47 58) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/291.html
ゆっくりゆゆこ。 それはれみりゃ以上に数が少ない希少種で、なおかつモデルと同じく食欲旺盛。 しかしその食欲はハンパではなく、ゆっくりれいむ50匹など30分あれば喰らい尽くすだろう。 それどころかれみりゃを捕食していた等の報告もある。 そのために小さいうちに民家に侵入しては住人に発見され叩き潰されることがしばしばある。 成長すれば人を喰らうという縁起でもない話もある。 今のところ『ゆっくりに食われた』という報告はないので安心しておこう。 さて、このゆっくりゆゆこ、成体になると短い手足が生える。 このゆっくりゆゆこ以外で手足や胴体が生えるゆっくりはれみりゃとフランぐらい。 通称、『ゆービィ』と呼ばれる。由来は言うまでもあるまい。 実はこのゆービィ、希少種のためにあまり生態がはっきりしていない。 さて、今日はそんなゆービィを観察することにする。 ゆービィはいつもの小さな洞窟の塒で目を覚ます。 「ゆゆ~」 ゆービィは群れを作らない。作ったとしてもきっと食べてしまうだろう。 ゆービィは塒の周りを見渡すが、ただ岩壁が広がっているばかり。 そりゃあゆービィに食料を保存するといった習性はないからだ。 ゆービィはもたもたとした足取りで洞窟の外に出る。 月が煌々と周りを照らしている。 ゆービィは周りを見渡してみる。 するとゆっくりれみりゃが目の前でゆっくりれいむたちを襲っているのが目に入った。 「うー♪うー♪あまあまー♪」 「ゆ゛ぅ…ゆゆゅ…」 「ゆっくりやめてね!!!ゆっくりやめてね!!!」 れいむはやめるように言うが、そんなことをれみりゃが聞くはずもなく、次々とれいむを平らげていく。 そんなれいむ達を見てゆービィはある行動に出た! れいむを救済?いいえ、吸い込みです。 ゆービィは大きな口を開けて大きく息を吸い込んだ。 その吸引力はすさまじく、大門…じゃなくてダイソンと同じくらいとも言われる。 「ゆゆゆ?」 生き残っていたれいむがゆービィの方向へと吸い込まれていき、 「ゆっ!!!」 すっぽりと口の中へれいむをしまった。 痛みはないだろう。噛まれてもないのだから。 しかし問題は獲物を横取りされたれみりゃである。 「ゆゆ~」 「ぶー!ぶー!」 ゆービィに近付いていくれみりゃ。 しかしそれはあまり賢い行動とは言えない。 このれみりゃ、世間知らずなのかゆービィがれみりゃ種より強いことを知らないようだ。 「うあー!」 雄叫びをあげて突進するれみりゃ。 普通のゆっくりだったらそのまま噛まれて弄られて「はいそれま~で~よ~」なのだが、そうもいかない。 ゆービィは素早く身をかわし、そのままれみりゃに圧し掛かった。 重さに耐えられず、べちゃ、と地面にへばり付くれみりゃ。 その時に顔を(というか顔しかないけど)強打したらしく、痛さで泣き喚くれみりゃ。 「う゛あ゛ー!!う゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛!!」 頬には滝のように涙が流れている。 ゆービィは地面へと着地し、さっきのようにれみりゃを吸い込む。 「う゛ー!!」 吸い込まれまいと必死なれみりゃだったが、さっきのダメージが大きかったようで、 力ともなくゆービィの口の中へと飲み込まれていった。 「ゆゆ~!」 しばらくしているとゆービィの背中かられみりゃにあった羽が生えてきた。 どういう仕組みなのかは不明だが、どうやら捕食したゆっくりの特性を自分に活かす能力があるらしい。つまりコピー。 ちなみにれいむはスカだそうだ。 ゆービィは羽を広げてまだ月明かりが明るい夜空を舞った。 しばらくゆービィは空を舞っていたが地上に瀕死のゆっくりを見つけた。 もう生きているのか死んでいるのか分からない。瀕死だから当然と言えば当然だが。 ゆービィはそれに向かって一直線に舞い降りた。 「ゆ~♪」 ゆービィはそれに齧り付く。 このあとはまた夜空を飛ぶ予定だった。 だがしかし、現実はそんなに甘くない。 「ゆゆっ!?」 ゆービィを下から出た鉄の籠が閉じ込めた。 「ゆ~ゆ~」 ゆービィは鉄網を叩くが所詮はゆっくり、意味が無かった。 こんな狭いところでは羽も邪魔なだけだ。 ゆービィは羽を千切って鉄網の隙間に投げた。 痛いには痛いが仕方ないのだ。 外に投げられた羽はみるみる成長し、なんとゆっくりれみりゃに変貌したではないか! これぞゆービィに秘められた能力、ヘルパーそのものである。 このヘルパー、ある程度の自我は持つが基本的にはゆービィのしもべ、手下…もとい仲間。 ヘルパーはゆービィを助ける事になら命を惜しむ事は無く、命を散らしていく。 そのため、用が済んだら大抵はゆービィに食われていくのが悲しい。 「ゆゆゆゆゆ~」 「うー!うー!」 れみりゃは鉄網に体をぶつけ始める。 ガンと鉄音はするが、破壊までには至らない。 一方ゆービィは傍観しているだけ。 ゆービィはヘルパーを作るとヘルパーに物事を任せっぱなしにする特徴があった。つまりは物臭なんだろう。 そんなことも気にせずれみりゃは体当たりを続ける。 帽子が傷ついてもそんなことは気にせず体当たりをする。だってヘルパーだから。 それを10分くらい続けていると、向こうから足音が聞こえてきた。 「あらあら…ずいぶんと仲間思いのゆっくりだこと」 そこに現れたのは八意永琳。通称マッドドクターとか言われているのは気のせい。 彼女はこうして罠をはってゆっくり達(今回は捕食種)を集めていたのだ。 永琳は籠に体当たりしていたれみりゃを手で掴む。 「ふぅ…今日はこれで2匹目…なんだかいまいちね」 「うー!うぅぅ…」 動きが取れなくて羽をバタつかせて暴れるれみりゃ。 しかし饅頭ごときが人間に敵うはずがなかった。 ゆービィはと言うと、呑気に籠の中で眠っていた。 「さて…籠の中身は…おおぅ、これはゆっくりゆゆこの成体ね…珍しい種が手に入ったわ 今日は希少種が手に入った事だし、まぁいいでしょう」 永琳は、鉄の籠を持って永遠亭へと足を急がせた。 ゆービィは気付くと四角い天井が見える部屋にいた。 沢山の鉄製の机が並べられ、その上に書類が大量に並べられ、さらにその横には怪しげな薬が音を立てている。 ラベルを見ると、『ドーピングヤゴコロスープ』、『マジョカルスープ』等が書かれている。 そんなことはともかく、ゆービィとしてはこのせまっくるしい籠から脱出したかった。 ヘルパーはどこへ行ったのかゆービィの周りにはいなかった。 しかし周りからはなにやら甘ったるい臭いが立ち込めている。 よくよく耳を澄ますと小さく「ゅ-ゅ-」とか細い声が聞こえてくる。 ゆービィは周囲に自分の餌が大量にいることを知った。 しかしゆービィがいるのは籠の中。これではゆっくりを食べる事が出来ない。 ゆービィはとりあえず吸い込みをしてみる。 積み上げられている書類が宙を舞い、フラスコの中の液体がジュワと音を立てた。 すると、何かゆービィ口の中に入ってきた。 それはガンパウダー。火薬だった。 ゆービィが今手に持っているのは爆弾。 世界一かっこいい一頭身がいたら、『あれぞボムゆービィ!』とか言うに違いない。 ゆービィは何をしていいのか分からず、とりあえず手に持っているものを投げた。 その瞬間、研究室はボムの炎につつまれた。 「なッ!?なにが起こったの!?」 永琳が慌てて研究室に飛び込んできた。 永琳が見たものは目にも当てられなかった。 薬は枯れ書類は裂け……捕まえていたあらゆるゆっくりが絶滅したかに見えた………。 「あ、あああああぁ…」 絶望のあまり項垂れる永琳。 だが…ゆービィは死滅していなかった!! そーっとこの部屋から抜け出そうとするゆービィ。 しかし入り口近くで永琳に鷲掴みにされた 「ゆゆゆっ!!」 永琳の表情はよく見えない。だが腸が煮えくり返っているのはよく分かった。 「よくも!このクソ饅頭がッ!わたしの研究を台無しにしてくれたなァああっ――ッ!」 永琳はゆービィの頬を思い切り殴り飛ばした。 「ゆぐぅっ!?」 ゆービィはなすすべも無く壁に叩きつけられ床に落ちた。 衝撃のあまり体を痙攣させるゆービィ。 だがそんなことお構いなしに永琳は近付いてくる。 「よりによってこの部屋でッ!大切な研究成果を灰にしてくれたなァ――――ッ!!」 永琳は顔を血管を浮き出させヒクつかせている。 「蹴り殺してやるッ!このド畜生がァ――――ッ」 プッツンと何かが切れた音がした。 それと同時にゆービィは蹴りを入れられた。 「ゆぐぅえっ!!」 ゆービィが苦しそうな声を上げる。 「おまえを殺すのは一瞬だッ!それでは私の怒りがおさまらんッ! キサマが悪いんだ!キサマがッ!わたしを怒らせたのはキサマだッ!キサマが悪いんだ!」 永琳はゆっくりには理解できない台詞を吐きながらゆービィに蹴りを入れ続ける。 ゆービィから餡子が漏れる。ゆービィは桜餅なのである。餡子は甘さ控えめらしい。 「ゆぐっ!ゆぐぅ!ゆがっ!ゆぶぅうっ!」 蹴られるたびに苦しそうな声を上げるゆービィ。 しかし永琳は蹴るのをやめない。まぁ当たり前か。 「思い知れッ!どうだッ!思い知れッ!どうだッ!どうだッ!」 助けてくれる輩もいない部屋で蹴られ続けるゆービィ。 もう大きさは半分以下にまで縮んでいた。 声ももうほとんど出ず、ただただ涙を流すだけだった。 「どうだ!どうだッ!どうだァァァァァ――ッ」 最後の蹴りは特別強烈だった。その蹴りはゆービィを貫き、文字にし難い断末魔をあげさせた。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛う゛うぅぅぅっ!!!」 ボロボロになったゆービィは高く宙を舞い、これまで食べてきたものを走馬灯のように思い出し、床にべちゃとへばりついた。 もう動く気力など残っていない。吸い込む元気も無く、餡子もほとんど吹っ飛んでしまった。 ゆービィは動く事無く静かに息絶えた。 「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…勢いでやってしまったわ…ああ、もったいない…ゆっくりゆゆこ…」 永琳はめちゃくちゃになった研究室で損失を悔やんでいた。 あれを研究すれば、今までの分を取り戻せたかもしれないのに… 「師匠ー?何やってるんですかー?」 ふとウサギの耳をした女性が声をかける。鈴仙である。 「ああ、うどんげ…ちょっと見てよこの部屋…ゆっくりゆゆこを見つけたはいいけど 研究結果とかがめちゃくちゃにしてくれたから…つい、やってしまったわ」 これからの事を考えると項垂れる永琳。 しかし鈴仙は意外な返事を返した。 「めちゃくちゃ?どこがです?」 「え?」 永琳は研究室を見て目を丸くした。 何も変わっていなかったのである。山積みになっている書類もそのままだし、ゆっくり達は相変わらず泣いている。 まるで爆発など無かったかのように。 「あ、あれ?確かにめちゃめちゃに…おかしいわねぇ…」 永琳は首を傾げるほか無かった。 ある洞窟で一匹のゆっくりが生を受けた。 普通のゆっくりと違い、「ゆゆ~」としか喋れないゆっくりは、獲物を求め、空腹のままに外に跳ねていった。 FIN. by GIOGIO
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/398.html
ゆっくりアリスの一団が暗い山の中を移動していた。 昨日の内に、ゆっくり家族がたくさん住んでいた場所で繁殖を終えたからだ。 親子合わせて五十は下らないゆっくり魔理沙と霊夢は、各々数個のゆっくりの赤ちゃんをぶら下げて朽ち果てた。 この、親を知らないゆっくり達は、村や家や畑に忍び込んで人間達の糧になる。 そんなことを知ってか知らずか、六匹のゆっくりアリスは仲良く山の中を移動する。 「とかいはのありすは、れいむがいちばーんだいすきなの!!」 「とかいはのありすは、まりさがいちばんだいすき!!!」 「……ありすはありすがだいすきだよ……」 山の中腹まで来た時に、突然大きな叫び声がアリス達の耳に飛び込んできた。 「うーーー!!! ざぐやーーー!!!!」 それは、何故かこんな所をほっつき歩いているゆっくりれみりゃ。 大方、また紅魔館を抜け出してきたのだろう。 「ゆ? ゆっくりーーーー!!!」 突如近くから聞こえたゆっくりの声、その方向に向かって一同が叫ぶ。 「うわーーー!!! ざぐやーーー!!! ざぐやーーー!!!」 相手が逃げようが何のその。 こんな獣道では、とてとて歩きのれみりゃよりも饅頭ゆっくりの方が格段に早い。 あっと言う間に距離が詰まられるかと思った。 が、運良くすっ転んだれみりゃは勢いに任せて地面を転がり始めた。 これでは流石に追いつけない。 「……くんくん……!!! こっちだよ!!!」 しかし、一匹のアリスが懸命にゆっくりれみりゃの匂いを追ってゆく。 山を降り終え川辺に、そしてゆっくりの匂いが強く出ている所へ。 「くんくん! こっちからゆっくりのにおいがする!!!」 一帯が盛り上がった場所、れみりゃが巣を作ることはしないので大方散歩していて偶然見つけた巣であろう。 ともあれ、場所は特定できた、後は全員で襲うだけだ。 バサっという音とともにアリス達が中に入ると、そこにはずうずうしくも人の巣の中ですすり泣いているれみりゃの姿。 しかし、入ってきた姿を確認すると、一転口元を緩ませる。 「うーー!!! ? う~?」 どうやら、餌だと思っているのだろう、しきりにどれを先に食べようか思案している。 酷い顔が更に酷く動く。 「う~♪ たーべちゃうぞ~♪」 漸く、その顔面運動が止み一匹に狙いを定め襲い掛かかろうとしたれみりゃ。 しかし、相手は集団のゆっくりアリスである。 「れ!れ!れみりゃ~~~!!!!!」 「う~♪ !!!!! うわーーー!! うわーーー!!!」 勢いよく、れみりゃに向かってアリスが飛びつく。 押し倒されたれみりゃに更に群がっていくアリス達。 それらは、必死にれみりゃの顔に自分の顔をすりつけ振るわせる。 段々と顔が赤くなってゆくアリス達、口から出る涎はれみりゃの服をべたべたに汚している。 「ざぁぐやー!!! どごーー!! れみりゃをだずげでぇーーー!!!」 対するれみりゃは興奮などしていない。 唯、自分の面倒を見てくれている者の名前を挙げて泣き叫んでいるだけだ。 「れみりゃでもいいよ!!! れみりゃもだ~いすき!! まりさや、れいむやぱちぇりーやありすのつぎにだーいすきだよーーーーー!!!!」 そう、アリス達は相手が興奮しようがしまいが関係ない。 何故なら自分がれみりゃを好きだから。 それ以上に相手も自分を好きになってもらいたくて、執拗に体を摺り合わせている。 「「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!」」」」」 「うがぁっ!! う゛あ゛ああああああああぁ!!!」 いよいよ交尾も終盤、加工場のように一匹のゆっくりに対して複数のゆっくりアリス。 普通のゆっくり以上の負荷のかかる為、既にれみりゃは白目を剥いて痙攣している。 「れみりゃも!! ありずどのごどもがんばっでうんでねーー!!!!!」 一匹のアリスの声が引き金になり、次々とすっきりしていくアリス達。 「「「「う~♪ すっきり~~~~♪」」」」 全員がすっきりする頃にはれみりゃは完全に気絶していた。 起きたら、数匹の自分の赤ちゃんと一緒に紅魔館に帰るのだろう。 なんともメイド長だけが喜びそうな光景ではあるが、……。 「ゆ~! そろそろありすたちもおうちをさがさないとね!!」 「そうだね! とかいはのありすたちは、のじゅくなんてできないもんね!!!」 「はやくぺんしょんをさがそうね!!」 そそくさとゆっくりの巣を後にする。 山に舞い戻り、自分たちがゆっくり出来そうな場所を探し出す。 「ゆ! こっちにいいおうちがあるよ!!」 割とあっさり見つかった洞穴とでも言うかのような大き目の洞窟。 ゆっくりアリス達は大きさに惹かれたのか、一匹、また一匹と惹かれるように中に入ってゆく。 「ゆゆ!! ここはれいむのおうちだよ!! もうくらくなってゆっくりできないからありすたちはゆっくりでていってね!!」 どうやら先客が居たようだ。 ゆっくりれいむの大家族、全員で輪になってゆっくり話していたところに来たお客さん。 もともと温厚なゆっくり霊夢だが、家族でゆっくりしている時に来られたら流石に一緒にはゆっくりできないようだ。 「ふーん……。なかなかしくなおうちだね! まぁ、このくらいのおうちだったらありすたちがとまっていってあげるよ♪」 ありすたちはそんなことは関係ないとでも言うかのように、ズイズイと奥に入り込んでくる。 「ゆゆ!! せまいよ!! ゆっくりできないならでていってね!!!」 居場所を奪われた一家は勿論抗議するが、はいそうですか、と聞くゆっくりありすではない。 「おきゃくさまにいいせきをかくほするのは、とかいはのきほんじこうだよ!! れいむたちもこいきなとかいはだったら、ゆっくりりかいしてね!!!」 そういって霊夢達を段々と奥へ奥へと追いやったアリス達は、一家が頑張って蓄えてきた食べ物を発見するとものすごい勢いで貪り始めた。 「ゆゆ!! こんなにたべものがあるよ!!!」 「きょうはごうかなでなーができるね!!」 「ふーん、こんなへんぴなところで、こんなものがたべられるなんて!」 「ぱーてーだね!! ここにひろげようね!!」 本人達は上品に食べているつもりだが、生憎手足が無いので食べ方は傍から見ると他のゆっくりと大差ない。 むしろ、食べ物を撒き散らして食べる当たり、他のゆっくりより意地汚いのかもしれない。 「やめてね!! それはれいむたちがあつめたごはんだよ!! ありすたちのじゃないよ!!!」 「ゆっくりやめてね!! みんなであつめたんだよ!!!」 「ゆっくりちてね!!」 一家が必死になって抗議したのが効いたのか、アリス達の動きがパタと止まった。 それだけではない、全員が体を震わせなにやらボソボソ呟いている。 間違いなく、お腹がいっぱいになったゆっくりアリスたちが交尾に入る準備だった。 「れっ!! れいむーーー!!!!」 「だいすきだよーー!!!」 「そのりぼんなかなかかわいいね!!!」 「くりくりのひとみもかわいーよ!!!」 「ゆ!! やっやめてね!! みんなでゆっくりしようね!!!」 「「「「「おかあさんれいむがいうならしかたないね!!! こどもたちもみんなでゆっくりすっきりしようね!!!!!」」」」」 スイッチが入ったアリス達は、手当たり次第に巣の中のゆっくり霊夢に擦り寄っていく。 子供達はその様子にパニックになり、身動き一つできないで居る。 「ゆーー!!! おかーしゃーーん!! おかーーしゃーーん!!!!」 「ゆ!! れいむもみているだけじゃなくていっしょにすっきりしようね!!!」 「!! いやだぁーー!! ゆっくりちたいー!!!! ゆっ! ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!!!」 「はぁはぁ、れいむ!! ちいさいのにせっきょくてきだね!! そんなにありすのことだいすきなんだね!!!」 「ゆゆゆ……!!! ゆ゛っ゛ぎゃ゛ら゛ーーーーー!!!!!!!」 「……! すっきりーーーー!!!!」 既に朽ち果てた赤ちゃん霊夢には目もくれず、数人が相手をしているお母さん霊夢の元へ駆け寄る。 子供達がドンドン朽ち果てている中、このお母さん霊夢は必死にアリスを追い出そうとしていた。 「ゆゆゆゆゆ!!!! やめでね!! ゆゆゆゆゆ!!! おうちからでていってね!!!」 「れっれいむーーーー!!!! つんでれなれいむもだいすきだよーーーー!!!!」 「!!!!!!!」 先ほどのアリスのが加わり一気に勝敗が決まった。 「ゆゆゆゆゆゆゆ!!!! ゆっぐりじでだけっかがごれだよ!!!!!」 「「「れいむーー!!! ありすとのかわいいこどもいっぱいうんでね!!!!!」」」 「……!!!」 そこからは、アリスたちの声にかき消されて霊夢の声は全く聞こえなかった。 ……。 翌日、残っていた食事を取ってアリス達が出て行った巣には、沢山の赤ちゃん霊夢が生まれていたという。 しかし、その日のうちに濃厚な餡ペーストとなってしまったが……。 「れいむはやっぱりかわいいね!!」 「とかいはのありすたちのてくにっくでめろめろになってたね!!!」 「なかなかのおうちだったね!」 霊夢の巣を出発し、思い思いの感想を話し合っていると、いつの間にか人里に出ていたようだ。 周りにはちらほらと家が立ち並び、人々は遠くの畑で精を出していた。 「ゆゆ!!! にんげんのおうちだよ!!!」 「やっぱりとかいはのありすたちはこういうおうちにすまないとね!!!」 「どのおうちにする?」 「!! あのおうちにしよう!!!」 他の家よりも一回りほど大きく、入り口には大きな門も建っている。 ゆっくりアリスでなくとも、なかなか裕福な家だと言うことくらい分かるだろう。 「ふーん……。まぁまぁのおうちだね」 「はやくはいろうね!!!」 周りをグルグル回り、ちょうど入れそうな隙間を見つけ中へ入っていく一行。 「ゆーー!!!!」 予想通り、農村には珍しく綺麗な家だった。 モノはきちんと整理されており、清潔感が漂っている。 「うん! なかなかきれいなおうちだね」 「でも、すごいいなかくさいね!!」 「せっかくとかいはのありすたちがとまるんだから、とかいふうにこーでねーとしてあげよっか!」 「「「うん、せっかくだからそうしてあげよう!!!」」」 ……。 「なんだよ、これ……」 帰ってきた男の第一声はそれだった。 綺麗にしていたはずの玄関は靴が全て出されて乱雑に並べられており、ご丁寧に全て泥まみれになっている。 そこから続く廊下も綺麗に土が敷き詰められており、決して靴を脱いでは上がれない状況だった。 仕方がなしにそのまま家に上がる。 すると、居間の方から賑やかな声がする。 そう思った男は、勢いよくドアを開け放った。 「ゆ? おかえりなさい! ありすたちがとかいはにこーでねーとしてあげたよ!!」 「これからしばらくのあいだ、ここでいっしょにくらすことにしたの」 「るーむめーとっていうんだよ!!! おじさんしってた?」 「しかたがないから、とかいはのありすがるーむめーとになってあげるよ!!!」 男はそれだけ聞いてもう一度室内を見て回った。 ここにも土がしいてある、おそらくほかの所も同じだろう。 花瓶は床に庭に落ちて割れていた。 花は、おそらくアリス達が頭につけているものがそれであろう。 置物、掛け軸、本等は全て囲炉裏にくべられている、消したつもりだったがくすぶっていたのだろうか、殆どが灰になっていた。 台所は、……見るも無残。 全ての食材がぶちまけられ、食べられた痕も見受けられる。 二階の寝室、布団は土に埋まり、着替えも全て泥の中。 「どろはせいけつなんだよ! ありすたちはとかいはだからなんでもしってるんだよ!!」 と、ここまで、ずっとこのアリス達は男の後ろをついて回っていた。 その瞳は期待に満ち溢れている。 大方、流石都会派だね! とでも言って欲しいのだろうが。 「おじさん! きょうはありすたちがでなーをじゅんびしてあげるよ!!!」 「ありすたちはおりょうりもうまいんだよ!!」 「おいしいおはなやこんちゅうをいっぱいしってるんだよ!!」 「さっききっちんをみたでしょ!! ありすたちがいっしょうけんめいじゅんびしてあげたんだよ!!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 「……。そうかい、でもねぇ、人間は土の上で生活しないし、服も泥だらけにしないし、食べ物もきちんと閉まっておくんだよ」 ポツリポツリとアリス達に向かって話しかける男、勿論更生させるつもりは全く無い。 「ゆゆ! おじさんはほんとにいなかものだね!! とかいのみんなはちゃんとこうしt……!!」 一匹の煩いアリスの口を強引に塞ぐ。 方法はいたって簡単。 口を引っ張って釘を打ち込むだけだ。 幸い、アリス達がボロボロにしたモノの中から釘はすんなりと見つかった。 「!!!! んんーーー!!!」 「ゆゆ!! おじさんなにするの!! ありすにあやまってね!!!」 「これだがらいなかものはきらいだよ!!!」 「そうかい? でもねぇ、俺の家をめちゃくちゃにしたのはお前らなんだから、きっちり責任を取ってもらうよ?」 「だぁかぁらぁー! アリスたちがせっかくとかいはのおうち!! んびゃぶ!!!」 「うるさいなぁ。……これ以上なんか喋ったら、この二匹と同じようになるぞ?」 「「「!!!!」」」 男の宣告に、残っているアリス達は押し黙る。 それからは誰も口を開こうとはせず、二匹の声にならない悲鳴だけが辺りを包んでいた。 「それじゃあ聞くけど?」 沈黙を破るように男が口を開く。 「人間はどんなお家で生活するんだっけ?」 あくまで疑問系で尋ねてはいるが、その口調は有無を言わせぬものが有った。 「にんげんのおうちはきれいにかたずいてるよ!!」 「かびんもきれいにかざってあるよ!!」 「おいおい! さっきお前達は全く逆のことを言ってなかったか?」 「「!!!」」 「ごめんなざい!!! とかいはのありすたちのおうちみたいに、おじさんのおうちをきれいにしたかったんです!!!」 「おじざんによろごんでもらいだがったんです!!!」 「にんげんとおどもだじになりだがったんです!!!」 プライドを捨てて、必死に説明するアリス達。 先ほどの威勢は何処に言ったのか、ゆっくり霊夢や魔理沙の泣き方よりも随分酷いものだ。 「そうか。わかってくれたかい?」 「「「「うん!! ゆっくりわかったよ!!」」」」 男は、二匹の釘を抜いてやった。 それを見たアリス達の顔に笑みが戻る。 助かった、やっぱり都会派の人間は優しい……。 「じゃあもういいよ。ゆっくりしてね」 「ゆ? !! ゆっぐりんびゃってい!!!!!」 手近に居たアリスを捕まえて体を縛る。 絶対に外れないように、それはもうキツキツに。 その処理を、全てのゆっくりに済ませた後、庭に連れて行き柱にしっかりと結び付けておく。 「うごけないよ!! はやぐなわをほどいてね!!!」 「ありすはどかいはなんだよ!! こんなことするいなかものはゆっくりできないよ!!!」 全く気にすることも無く、芋煮用の大きな鍋にたっぶりと水を入れ薪を入れる。 後はゆっくりアリスを入れてしばし待つだけだ。 「ゆ! あったかい!! おふろだよ!! おふろだよ!!」 「ゆっくりできるよ!!」 「おじさん!! はーぶかゆずをいれてね!! とかいはのありすはただのおふろなんてはいれないよ!!」 普通ならこのまま釜茹でだが、40度前後を保ちながらゆっくりとアリス達を浸からせる。 「いいゆかげんだね!!」 「さいこうのばすたいむだね!!!」 顔がほんのり赤みを帯びてきたら頃合だ。 「ゆ!! おじさん!! ありすはまだつかっていたいよ!! ひとのばすたいむはじゃましちゃいけないよ!!!」 一匹を捕まえて準備しておいた寸胴へ。 「ゆ? んぎゃらっぱいん!!!!!」 額に穴を開けて吊るしておく。 見ると、熱で柔らかくなったカスタードがドンドン流れ落ちていく。 「ゆ!! ありすのあんこが!!! とかいはのありすのあんこが!!!」 都会派ならカスタードくらい知っておけよと突っ込みたくなるが、自分の体から流れるカスタードを見て焦り、恐怖を覚えるアリス。 これならドンドン美味しくなるだろう。 「ゆゆ!! やっぱりいなかもののおうちじゃゆっくりできないよ!!!」 「!!! でれないよ!!! おふろからでれないよ!!!!」 丁度他のゆっくり達からも見える位置で作業しているので、慌てふためいて逃げ出そうとするアリス達。 しかし、つながれている縄は中に沈んでいる重しに結びついているので、逃げたくても自由に体の向きすら変えることができない。 これも中身を美味しくするコツだ。 「ゆ~~~~!! れいむぅ~~!! まりさぁ~~!! たいせつなおともだちのありすをたすけt……」 どうやら、餡子がなくなったようだ。 居るはずの無い友達の名前を呼びながら、中身を全て出して死んでいった。 それを見ていたアリス達も一様に騒ぎ始めた。 「ありずーー!!! どーじでとがいはのありずたじにこんなごとするのーー!!!」 「ありずたちはなにもめいはぐかけでないよーー!!!」 「ここはおじさんのおうちだよ!! とかいはのありすたちだからるーむめーとになってあげたのに!!!」 さぁて。 「さぁて、次は一番の都会派のアリスにしようかな?」 「「「!!!」」」 アリス達の震えがお湯に伝わり、大きな波を立てる。 「あっ、ありすはあんまりとかいはじゃないよ!!!」 「ありすもだよ!! ありすもあんまりとかいはじゃないよ!!!」 「ありすはじょーきょーぐみだよ!! だからとかいはじゃないよ!!!」 「……。そうか、君達のいう事はよく分かったよ」 「「「ゆ♪」」」 「そういえば、都会派の君たちが俺のお家を綺麗にコーディネートしてくれたんだもんね。みんないっぱしの都会派だって事忘れてたよ」 じゃあ次は君から。 「!!!」 一匹のアリスを掴んで、男は作業を再開した。 ……。 翌日、男は昨日集めたカスタードを持って近くの街のまで来ていた。 取引のある屋台の店主に、カスタードを買ってもらうためだ。 「やぁ、今日は店を出してないんですか?」 屋台が出ていなかったので店主の家へ、そこには店主とゆっくりれみりゃの親子、そして金髪のきれいな女性がお邪魔していた。 「いやぁ、昨日コイツラが店の商品をめちゃくちゃにしてね。麺棒でブッ叩いて家まで運んできたんだが、そこで良い考えを思いついてね」 それを、ご贔屓にさせてもらってるそこの魔法使いのお嬢さんに話したら、ぜひとも協力させてくださいって言われてさぁ、と店主は言葉を続けた。 「そうだったんですか。実は家も昨日ゆっくりに酷くやられましてね。幸い、本当に貴重な品は無事だったんですけど、他はこっぴどくやられてしまいまして。それで、今日はこれを買い取ってもらいたいんですが……」 申し訳なさそうに、カスタードが入った寸胴を差し出す。 店主は一口味見をした後、気前よく買い取ってくれた。 男の言い値より遥か高く。 「気前がいいですね?」 「いや、あの調教が終わったら高収入間違えなしだからね。そうだ、味見をしてみるかい?」 「いいんですか?」 「もちろん! ありすさん、一回やってみてもらっても大丈夫ですか?」 「ええ」 奥で泣き叫んでいた親れみりゃを無理矢理引きずりながら、アリスと呼ばれた魔法使いがこちらにやってきた。 「うあーーーー!! ざぐやーーー!! こわいひどがいどぅーーー!!!」 「少し待ってくださいね」 業務用の大きな鍋に水を張り、一瞬で沸騰させる。 その、ボコボコいっている鍋の中へ一匹の子れみりゃを迷い無くぶち込む。 「う!! !! あじゅいよーー!! まぁまぁーー!! ぼごっ! ……まぁmうぐっ!!」 箸を器用に動かして、ころころと中のれみりゃを動かす。 「うーー!! れみりゃのぷりでぃーーなあがじゃんがーー!! うーー!! たべちゃうぞーー!!!」 テコテコと歩きながら近づいてきたれみりゃを、アリスが凄い音を立てて蹴り返す。 「うーー!! !!? うっぎゃらぺっちゃーーー!!!」 後ろに居た人形に五寸釘で受け止められた、もはや喜劇にしか見えない。 「さてと、これくらいで良いかしら……?」 茹でたこのように、顔を真っ赤にしたれみりゃを魔法で運んでいく。 男達の下ではなく、お母さんれみりゃの下へ。 「うわーー!!! あがじゃん!! あがじゃん!!!」 すっかり傷が再生したのか、急いで子れみりゃの元へ駆け寄っていくれみりゃ。 しかし、移動速度は歩いている時と殆ど変わらない。 「はいはい! ……っしょっと! ほら、さっき教えたとおりにやってみなさい」 「!!! うぎゃーー!! いだいよーー!! まぁまーー!!!」 「うー!! うー!!!」 親れみりゃの手に載せられたのは子れみりゃの腕。 目の前で自分の子の手を引きちぎられて親も子供同様大パニックだ。 「ほら! さっさとしなさい」 「うーー!! いやだぁーー!! れみりゃのぷりでぃーなあがじゃんがーー!!!」 「うるさい!! 言うこと聞かなかった罰よ」 人形がまた親れみりゃに五寸釘を刺す。 今度は先程とは違い、体中満遍なくだ。 「うっじゃーーー!! いだい!! ざぐやーー!!! ざぐあ--!!!」 「ほらほら、さっさとやらないともっとお仕置きよ?」 「うう! う~♪」 ドガッ。 腹部に蹴り、思いの他効いたようで口から餡を吐き出す。 「返事は、ハイ、よ!」 「ハイ!! ハイーーーーー!!!」 そこからは、泣きながらの料理だった。 たどたどしく、腕を手で開いて餡を取り出す。 残った皮を捏ねて再度成形する。 そこに先ほどの餡を入れて形を成形。 出来上がったのは肉まんだった。 「んー!! うじゃ!!」 黙って男にその肉まんを差し出そうとした矢先、またしてもアリスの蹴りが鳩尾に入った。 「だれが、そんな事を教えたかしら?」 「うーー!! れみりゃの、れみりゃのぷりでぃーな!! んびゃお!! ……れみりゃのごどもだじがらつぐったにぐまんです!! どぉぞぉ~!!!」 散々蹴られながら、何とかそれだけ口にして男に肉まんを差し出した。 「へぇー。肉まんが作る肉まんですか」 「おう、どうやら紅魔館近の中でくそ大切にされていたれみりゃらしい。その子供も味は格別だぞ」 「そうですか。では、頂きます」 一口かじった男は、暫く口の中で咀嚼した後、賞賛の声を上げた。 「うまい! これはすごく上手いですよ!!」 「だろ、これは間違いなく良いビジネスになるぞ」 「うーー!! ぞれはれみりゃのあがじゃんだのーー!!」 「いい加減煩いわ……」 話に割り込んできたれみりゃに向かってアリスが弾幕を放った。 綺麗に首から下を吹っ飛ばされたれみりゃは何が起こったのか分からず、襲い来る痛みだけを絶えていた。 「あぁあーーー!! いだいーー!!! れみりゃのがらだがーー!! れみりゃのきゅーどぅなからだが!!」 「ちがうでしょ。何回も教えたわよねぇ。こういう時はなん言うんだっけ?」 「!! ぐずっ!! ……れみりゃどぉー、あがじゃんがらずぐったにぐまんをおいじくたべでもらっでありがどうございまじだぁーー!!!!!」 「そう、それでいいのよ……」 やはり、魔法使いというものは恐ろしい。 男達二人は、それじゃあ続けて調教しますからと言って奥の部屋へ消えていったアリスを、静かに見送った。 「……。そういえば、カスタードって事はゆっくりアリスの集団だったのかい?」 何とか話題を作ろうと、店主が男に尋ねた。 「えぇ。他のゆっくりよりも酷いモンでしたよ」 「はは、あいつらは何故か好き好んで人間の家に入ってくるからな。入ってくる割合はほかのゆっくりより多いんだぞ」 「そうなんですか?」 「あぁ。でも、あいつらはお前さん家みたいにめちゃくちゃにするから、殆どの住人は直ぐに踏み潰してしまうのさ。だから、カスタードもあんまり出回らないんだよ、加工場も増えた奴を間引きするくらいでね」 「へぇ、ところで……」 どうやら、これがきっかけとなり会話が続いていくようだ。 「うっぎゃーー!! ざぐやーー!! だずげでーー!!!」 「「「「まぁまぁーー!!!」」」」 「ほらほら、そんなにとろとろしてたら冷めちゃでしょ? 90秒以上掛かったらまたお仕置きよ!」 奥では、アリスが生き生きとれみりゃを調教している。 この商売が成功する日も近そうだ。 ……。 ゆっくりアリスは集団でゆっくりを襲う。 しかし、できるのは殆ど襲われた側のゆっくりの赤ちゃんであり、もし生まれたとしても親は居ない。 そして、その性格ゆえ人間の家に入って集団ごと根絶やしにされる。 それゆえに、アリスが増えすぎたと言う報告はこれから先も出ては来ないだろう。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3069.html
前 俺が、にやにやとれいむを見下していた、そのとき。 『ドン!』 閉められていた玄関の扉に何かがぶつかった。嵌めこみのガラスの向こう側に何かの影がある。 「う゛―――」 唸り声。それは、つい先ほど聞いた様な。 俺は扉を思いっきり蹴り開けた。 「う!?」 まるで既視感(デジャヴュ)。桃色の影が、家の門柱まで吹き飛んでいった。 俺はすぐさまそれの下に走った。 ――ゆっくりれみりゃの成体だった。 不細工な下膨れはひっぱりねじ切ってしまいたくなる。赤ん坊のような小さい未熟な手足は、踏 み潰す、ひねり上げてもぎ取るなど、多彩な方法で甚振れる。気分が高揚していくのが実感できる ほどだった。 それにしても今日はいい日だ。稀少種類だと言われるゆっくりれみりゃが、幼体、成体ともに手 に入るとは、運が味方しているらしい。否、それとも、家をめちゃめちゃにされた代償として誰か が与えてくれたのだろうか。そう思える。ここで神様がもたらしてくれたとは一切考えない。幻想 郷に住むものならわかるだろう、この世界に住む神は高く崇められるほど素晴らしき存在に在らざ るものだ。 「……うー?」 目がゆっくりと開かれていく。つぶらな瞳とは陳腐な褒め言葉として使われるありきたりな言葉 だが、それすらも使う気が起きない。可愛さ余って憎さ千倍など、生ぬるい表現だ。憎さ余って殺 意億倍だ。 「うー、でびりゃになにするんだどー! こーまかんのあるじだどー! たべちゃうどー!!」 ゆっくりれみりゃの成体は――区別が面倒なので此方を《おぜうさま》と呼ぶことにする――し ゃがんだままで、まるで子供騙しの余興のようなヒーロー戦隊モノに出てくるショボイ怪獣のよう に、諸手を高々と掲げてそう言った。俗に《十進法がなんとやら》と呼ばれるものだ。笑顔である 。気持ち悪い。肉まんの分際で笑うな。しゃべるな。 暫時その様子を見つめる。そのうちにおぜうさまは立ち上がり、おぼつかない足取りでこちらに 近寄ってきた。獲物を捕らえるつもりでいるのだろう。少しの段差にも蹴躓きそうな歩みで、何を 言うか。バカにされている気分だ。 それにしても、ゆっくりれみりゃはなぜ成体になるのだろう。先ほどから幼体の動きも見ている が、そう考えても幼体のままで居る方が動きも素早い。成体になると、自らに手足が生えたことに 喜びすぎているのか解からないが、羽根を使って飛ぶような様子は無い。これはゆっくりちるのよ りも頭がよろしくないと見える。まさに『スカーレット・デビル』そのものだ。 そういえば、今日の宴会では珍しく大妖精と一緒にきていたチルノを大泣きさせた。悪酔いした のか、はたまた救いようの無いバカなのかは判じ切れないところだが、俺に対してレミリアも斯く やと言わんほどの傍若無人な態度を取るので、博霊神社の裏に連れ込んで『バカちるのは水にとけ て死んでしまえ!! お前の身勝手な言動で大妖精がどれだけ迷惑しているのか判ってるのかこの 屑が!! 最強最強とほざいているがどれだけ最強なのか見せてみろ! あ? どうした? でき ないのか? できねえんならでかい口叩いて人間様に突っかかってくるんじゃねえこのマルキュー !! 冬でさえまっとうに敵を叩くことも出来ねえ癖に蛙をちょっと苛めたぐらいで最強最強天才 天才ってなめとるんかバカタレ大蝦蟇に食われて必死こいて這い出した挙句にションベンたれたこ ととか魔理沙に怖い話聞かされてその夜に寝ションベンたれたことも知ってるんだ、それであたい 最強あたい天才って人間様をバカにするんじゃねえってんだ臍で茶を沸かすって言葉知ってるか知 らないだろうよ諺のひとつも知らないようなお前のことを言うんだよこの腐れ脳みそすら入ってな い脳無し大バカ妖精が!!!』と言葉の限りに罵倒した。すると、みるみるうちに涙をためて大妖 精に救いを求めて逃げていったのだ。霊夢からは失笑されたが、何故か守矢神社の諏訪子ちゃんに は大喜びされてしまい、俺の方が当惑してしまった。 チルノはその一件の後、宴会場の隅っこで膝を抱えて泣いていたが、面白いことに大妖精すらチ ルノを慰めには行かなかった。延々と泣いているのが見ていられなかった霊夢は『宴会の盛り上が りに邪魔だから帰って』の素気無く言われて鳥居まで蹴り出され、チルノはさらに大泣きして湖に 帰っていった。血の涙が流れていたのではないか、とは上白沢慧音の言葉である。 思考をめぐらせているうちに、おぜうさまはもう少しで俺の足に食らいつくかというところまで 来た。俺は一歩後退した。 「ウガー! ツブスゾー!!」 真上から、俺の出来うる鬼の形相で叫んだ。子供のけんかのようだが、これも意外と楽しいものだ。 「う……」 はっと何かに気づいたように歩みを止めるおぜうさま。一瞬、表情が崩れる。いや、とっくに崩 れているとも見える顔つきだが、それがさらに崩れてしまったということだ。見れたものではない。 しかし、おぜうさま自らその表情を隠した。しゃがみこんで頭を体に近づけるようにし、さらに 両の腕で頭を覆った。ガードのポーズだろうか。 無駄だ。 お腹あたりを助走付きで蹴飛ばした。 おぜうさまは声も無くきれいな放物線を描いて飛んでいく。幸か不幸か、おぜうさまは傍らの木 に激突した。 そもそも、近くの集落の子供たちに蹴球を教えている俺が、球体に類似した物体を見て蹴らずに 居られようか。それで姿が見られなくなるのならいいが、おぜうさまの場合逃げた方が懸命のはず だ。本当に餡子というものは馬鹿の象徴になりえる。餡子という言葉で馬鹿という意味を表現して もいいのではないだろうか。 とりあえずそばまで寄った俺は、もう一発真上から踵落としを喰らわせ、気絶の度合いを高めて おいて、俺は家へと戻りロープを一本取ってきた。すぐさまおぜうさまを縛り上げた。ゆっくりの 力はたかが知れているし、どうせ紐で身体を圧迫されているだけで何もできずに助けを請い始める だろうから、過度に心配する必要はないだろう。ただ、こいつの穢らわしい肢体を素手でつかむこ とに辟易した俺は、目覚めてしまうのも許容範囲と見做して家まで引きずることにした。 家の前の砂利は角が取れていない、非常にとがっているものだ。流石のおぜうさまも、皮膚、と いうか皮が抉り取られていく感触に、いつまでも気絶はしていられなかったらしい。 「ひぎゃあーーー!! いだい、いだいぃぃぃーーー!! ざぐやっ、ざぐやっ!!」 「黙れ」 「やべっ! ぎゃああああ!! でみりゃのうづぐじいまっじろなはがーー!」 おぜうさまには牙があるとかないとか。探してみれば、やたら仰々しい汚らしい牙があったので もぎ取ってみた。案の定痛がって噛み付いてきたが、肉まんに挟まれても痛くもかゆくも無い。さ らに言えば、おぜうさまの牙は黄土色をしていて、美しさの欠片も無かった。 嘆きを背後に聞きながら家の中に入る。れいむが俺の姿を確認すると再び命乞いを始めるが、俺 の後ろを見ると皮色をさらに悪くした。それにしても、ゆっくりの餡子と皮はどういった仕組みで 出来ているのだろうか。知能を持った餡子。まさにミステリー。 否、そんなことはどうでもいい。今ここでれいむを食べられるとあまり意味が無いので、れいむ を下駄箱の中に箱ごと押し込む。食われる心配が軽減されたくらいは餡子脳でもわかったのだろう 。扉を閉める寸前に「騒ぐとれみりゃに食われるぞ」と脅しをかけてやると、ゆっくりれいむは馬 鹿みたいに騒ぐのはやめた。生きることへの執着は恐ろしく強い。 次はチビれみりゃの身元確認だ。 箱の中の袋かられみりゃを放り出す。情けなく床に転がると、れみりゃはピクピクと震えだす。寒いのだろうか。 ――いや、違う。死にかけているのだ。 よく聞けば、う、うっ、と呻いている。涙――否、肉汁がナイアガラのようだ。 れみりゃを入れていた袋は、れみりゃを取り出した後も重みが残っていた。中を覗くと、途端に 肉まんの芳香が漂う。中身の大半は袋の中に落としてしまったのだろう。こいつらには、人間で言 うところの血小板のようなものは備わっていないのだろう。 「あ゛――――!! でみりゃのあがぢゃんが―――――!!」 背後から突如として絶叫が響く。おぜうさまはその豚のような目を見開いて涙を――否、肉汁を 垂らしながら喚いている。やはりおぜうさまの子供だったか。 「ま゛、ま゛……、だず、げでぐ、れ、だど……」 「だんでっ!! だんでごんだごどぢだんだどー!?」 対訳するならば、射し当たって『何でっ! 何でこんなことしたんだど!?』と俺に訊いている のだろう。肉汁を目から鼻から垂れ流し、醜い表情でがなる。全くゆっくりというものは、興奮し 始めると濁点の付いたような言葉で話し始めるから困るのだ。 しかし、だ。 「何でって言われてもねぇ……」 理由は一体何だろうか。やはり存在すべきではないモノだからだろうか。 「でみりゃのあがぢゃんにごんだごとずるやづはっ! ざぐやにやっづげでぼらうっだどー!! ばがなおにいざんはざぐやにやっづげでぼらうっだどー!!」 また言った。《ざぐや》。 これは、あれか? やはり十六夜咲夜のことを言っているのか? よく聞くところの話では、ゆっくりれみりゃは幼体、成体を問わず、命の危険を感じたり、自分 の恣に物事が進まなくなると、『さくや、さくやー』と叫びだすらしい。紅魔館に多く生息すると いうゆっくりれみりゃだが、これは日々咲夜に面倒を見てもらっているからなのか、はたまた本物 のレミリアが咲夜を呼びつける真似をしているのか、その真意は全くのなぞだ。だが、事実として 、今もこいつらは《さくや》という単語を発した。全く、うざったいことこの上ない。そのくせ他 のゆっくりを襲うから、こいつはしょっちゅう人間に虐殺されるのだ。寧ろそれは虐殺ではなく、 当然の酬いなのかもしれない。 ――今度、本物の咲夜に相談してみようか。癪に障るからレミリアは無視して。 「そうかい、そうかい。そんなこという馬鹿肉まんにはプリンは無しだな」 「ぷっでぃーん!? ぶっでぃーんがあるの!? ぶっでぃーんぐれだらゆるじでやるど!!」 「馬鹿か、お前」 「れみりゃはばかじゃないんだど! こーまがんのあるぢだど!」 おぜうさまは全身を使ってじたばたと喚き散らす。床はワックスを塗ったように光っている。肉 汁だろう。どうしてくれるんだ、全く。 一体紅魔館の主という存在はこの世にどれだけ居るのだろう。ほんのりとだが、本物のおぜうさ まに同情の念を抱く。 「だから、良くない言葉遣いをするれみりゃにやるプリンは無いって言ってるだろ?」 「ぶっでぃーんだど! ぶっでぃーんぐれだらゆるぢでやるんだどー!」 「だからさぁ。馬鹿とか死ねとか、汚い言葉遣いをするやつに食べさせて上げられるプリンはない んだってば」 「ぶっでぃーんはれみりゃのものだどー!! このちーさいおうちもれみりゃのものなんだど ー! はやぐぶっでぃーんをよごずんだどー!」 「くどいな。このおぜうさまは何度訊いたら解かるんだ? いいか? ここは俺の家。お前に食わ せてやるプリンもないの。解かる?」つーか、成体でもチビのくせして、小さい家とか。バカにす んなよ腐れ肉まん。 「こーまかんのあるぢはえっらいんだどー! わかったらはやくれみりゃにぶっでぃーんをよこす んだどー!」 ――堂々巡りじゃねーか。 というか、《こーまかんのあるぢ》なら家はその《こーまかん》であるわけで、此処は少なくと もれみりゃのものではないはずだが。 ああ。そういえば、居間でつぶれたまりさのことを忘れていた。早く処理をしないことには、も う蠅だの虻だの御器齧(ごきぶり)だのリグルだの、雑虫害虫の類がわんさか居る恐れもある。 「ぶっでぃーんはやくよこさないと、さくやに―――」 子供が死に掛けていることも忘れて、すっかりプリンの要求に没頭しているおぜうさま。俺はそ の様子を視界に入れないように、同時におぜうさまの視界に入らないようにしながら靴箱をあけ、 中で震えているゆっくりれいむを持って居間へと突入した。 やはり、まだ死んでいた。いや、生き返られていても困るんだ。幸いリグルの類――訂正、害虫 の類も集まっていなかった。腐った性根の饅頭は虫も嫌うのだろうか。 れいむに目前に広がる餡子の海を見せぬようにしながら、部屋に深々と開いた穴に近づく。 「おにーさん。どこつれてくの? れいむにきょかなくれいむのいえをあらさないでねっ!」 「……」無言で後頭部(背中か?)をつねる。 「いだいいいいい! やめでねっ!!! ゆっぐりさっさとやめでね!!」 しばらく安全な下駄箱に入れておいたことですっかり元の調子を取り戻してしまったようだ。他 のゆっくりと同じく、ジャイアニズム(これはもう新しく《ユックリズム》と命名したほうがいい のだろうか)を発動した。居間まで俺はその様子を見たことが無かったのだが、いざ目の前で言わ れてみると、いやはや、これが頭に来るものだ。苛立ちに身を任せながら体罰を与えるのはこの上 なく気分が良い。 ところで、《ゆっくりさっさと》行動するとは、どうすればいいのだろう? まったく矛盾を抱 えた生き物だ。 「よし。バカれいむ、目的地に着いたぞ」 「ゆ!? ばかじゃないよ、れいむはばかじゃないよ!!」 まりさが餡子を散らした穴に背を向けた状態で床におろしてやる。れいむは抓られる恐怖から開 放された所為か、復た身勝手に騒ぎ出す。 「バカだろ。おまえ、自分の後ろをよく見てみろ」 「おじさん、ばかばかうるさいよ! ばかっていうほうがばかなんだよ、ばかおじさん! ばかな おじさんはゆっくりしねばいいよ!!」 ついにおじさんに格下げされてしまった。まだ二十歳だってのに。 「ほら、ほら。れいむはかしこくてかわいいゆっくりだよー、っと。ほれ、さっさと後ろを良く見 てね!」 くるりと反転。 霊夢の表情は硬直。すぐさま崩壊。 「あ゛あ゛あ゛あ゛!! まりざがああああ!!」 絶叫。餡子汁を垂れ流し、大声で喚く。何デシベルあるのだろう。既に騒音レベルだ。 それにしても、こんな皮と餡子の塊を見ただけで、よくまりさだと判別できる。これほどまでに 状況判断が出来るのに、どうしてこんなにバカなのか。理屈ではないだろう、何かがこのゆっくり には存在している。 あ、違ぇや。帽子だ。帽子を見ただけだ。 この反応だけでは判らないが、ひょっとするとこのれいむと穴の下のぺしゃんこまりさは《こい びとどーし》とかいう腐戯(ふざ)けた間柄なのかもしれない。 「おじざんっ! まりさをどーじだの!?」 「殺したの」 しれっと答えてやる。 「だんでっ!? だんでごろじだの!?」 「うるさかったから。むしゃくしゃしてたから。後悔はしてない」 某事件の犯人のようなコメントをする。あくまで、しれっと。 「ゆううううううう!! くそじじいはさっさとしね! ゆっぐりじゃなぐ、ざっざどじね!!」 暴言をしこたま吐きながられいむは俺に体当たりを仕掛ける。ぷにょん、ぷにょんとした感触が 気色悪い。だが、ここで蹴飛ばしてもあまり愉しくない。 「わあー、わあー、たーすーけーてー」 一般的な、やられているフリをしてみる。 「ふふん、れいむはつよいんだもん! くそじじいなんて、れいむにさっさとやっつけられてね! まりさのかたきだよ!!」 わわわわーと棒読みで喚きながら、俺は玄関方面に向かう。れいむも、あと一息とばかりに必死 に俺の足に体当たりをかましてくる。よく飽きないものだ。 「はぁ、はぁ……。これでとどめだよっ!! さっさとしねえええええ!!」 数歩下がって、れいむは助走を付けて跳んでくる。ただ、先ほどから数十回と飛び跳ねて体当た りをしていたためか、高さは稼げていない。俺の膝よりやや低いくらいだった。本人(本ゆっくり が正確だろうか)は鬼の形相をしていると思っているのだろうが、血走った目と肉汁を垂らした口 を見る限り、キチガイにしか見えない。 「そぉー、れっ!」 タイミングを見計らって、俺は身体をずらしながら背にしていた玄関への扉を開ける。 「ゆぶふうっ!?」 全力で飛び込んできたため、着地のことを考慮していなかったれいむは俺の足元に顔面から転が る。 「まだまだ逝かせるよお!」 無駄なテンションでれいむを玄関に蹴り飛ばすと、扉を閉める。 「ああああ!!」 「うー! うー!」 何が起こるかわからないが、とりあえず俺はまりさにとある処置をするため、大穴のもとに向か った。 ○ 数秒で処理を終え、ちょっと時間稼ぎがてらに珈琲を煎れてから玄関の方を向く。と。 「うわ、気持ち悪ぃ」 引き戸に何かがへばりついていた。ぶにょんとした柔らかそうなものが、引き戸のガラス部分に くっついているのだ。 「ゆううう!! おにーざん、はやぐごごあげでえええ!!」 都合のいいものだ。先ほどまで『くそじじい!』だの『さっさとしね!!』だのほざいた分際で 。その糞爺に助けを求めるのか。 察しがよくない人間でもわかるだろうが、ガラスにへばりついて叫んでいるのはゆっくりれいむ だ。ここにはおぜうさまやチビれみりゃが居る。れいむにとっては生きた心地のしない、まさに《 アンチゆっくりプレイス》だ。 だが、こうして叫んでいるということは、生きているということを証明している。ゆっくりを捕 食するはずのおぜうさまが、この《腐れいむ(くされいむ)》を食べないとはどういうことだろう か。 恩を売るためにも、とりあえず引き戸を開放する。 弾丸のように、れいむが逃げ込んできた。 「ゆうぅぅぅ、ゆうぅぅぅ……」 肩で(そんなもの無いが、何となくそう見えた)息をするれいむ。死ぬ思いをするとはこのこと だろう。人間なら、餓えたライオンの群れの中に放り出されるようなものだ。 「どうした、腐れいむ。随分ゆっくりしてたみたいだな」 ゆっくりしていないのは承知しているが、その反応を見てみたい。 「ゆうう! くそじじい!」 ――まだ言うか、この身の程知らず。此処まで来ると傑作だ。 「またそっち行きたいのか? 引き戸を開けられるようになってから殺陣を突いたらどうなんだ? ああん!?」 真上から凄んでやると、見る見るうちにその汚い目から餡子汁――涙とは言ってやらない――を 流す。そして、頻りに顔を上下させたと思ったら、口を床に擦り付け始めた。床とキスするのが好 きなのかと思っていたがどうやら違うようだ。 「いやですううう! ごべんだざいっ! もうぐそじじいなんでいいばぜんがら、ゆるぢでぐだざ いいいい!!!」土下座のつもりらしい。 「了解、了解。それで、あそこに居たれみりゃはどうしてた?」 胡坐をかいて座り、組んだ膝にれいむを乗せる。れいむは一瞬身体を震わせたが、意外にも大人 しく乗った。このれいむには然して肉弾戦を行っていないからだろう。攻撃と言っても、引き戸で 挟んだのと、玄関に蹴りだしたくらいだから。素直すぎるのは気色悪いこと限りないのだが、我儘 であるよりは余程いい。 「ゆうう……。れみりゃは、あかちゃんれみりゃにくっついててれいむのほうをみてなかったよ」 「お前、結構騒いでたろ? それでもか?」 頷いた。今ひとつ釈然としないが、現実に起こっていることだから飲むしかないだろう。 「解かった。じゃあ、れいむ。お前は少しそっちに行っててくれ」 「ゆゆ?」 れいむは(人間の動作で考えれば)首を傾げた。 「そっちの部屋にれみりゃがいたらゆっくりできないだろ?」 「ゆ! ぜんぜんゆっくりできなかったよ! あれじゃれいむのいえとしてはしっかくだよ!」 「うん、そもそも、ここお前の家じゃないからな」 軽くいなすように訂正する。 「ゆ? なにいってるの? ここはれいむのいえだよ! おじさんかってなこといわないでね!」 なおもすがりつくようにほざくれいむ。こいつは俺の二人称を定形化することを考えないのだろ うか。恐らく、人間の態度が自分に対して優しければ《おにいさん》、ゆっくりプレイスを横取り しようとすれば《おじさん》、それがひどくなれば《くそじじい》になるのだろうか。なんだか、 面白い思考回路だ。 「じゃあ、例えばここをれいむの家だと仮定しよう。なぜれいむは、ここの扉を開けてこっちに来 れなかったんだ? 自分の家なのに、これじゃ、そこの部屋しか使えないぞ?」 「ゆゆ! いちいちうるさいよ! ここはれいむのいえだってきまってるの!」 少し甘くすればすぐ付け上がる。この単純至極の単細胞餡子はどうにかならないものか。 「いつから?」 「ゆ……、そんなことかんけいないよ! ここはれいむのいえなの!」 時間の概念を朝、昼、夜しか持たないゆっくりが、詳細な時間を理解しているはずがない。 「おまえ、ここに来たときに、部屋にいろんなものがなかったか?」 「あったよ! へんなまずいものとかいっぱいあるよ!! まずいのはきらいだけど、がまんして あげるよ!!」 何が言いたい。 「じゃあ、それはお前がここに来る前からあったんだよな? じゃあそれは誰のものなんだ?」 「れいむのにきまってるよ! れいむがきめたんだかられいむのものなの!! ばかなの!! あ んこくさってるの!!? にどとれいむのまえでばかなこといわないでね!!」人間はお前らと違 って複雑な細胞が集まって脳が出来てるの。餡子なのはお前らゆっくりだけだ。腐ってるのはお前 の餡子だろう。 「なら、ひとつ例え話をしよう」 「おにーさんしつこいよ!! ここはれいむの」 「そっちの部屋に行きたいのか?」 もう一度警告をすると、れいむは口を真一文字にしてガタガタと震え始めた。 「お前が、たとえば森の中で、洞穴を見つけてそこに住んでいたとするぞ。食べ物を探しに出かけ て自分の家に帰ってきたら、まりさが中でお前が昨日見つけてきた木の実を食べていたとする。そ の木の実は誰のものだ?」 「もちろんれいむのものだよ!!」 「まりさが『なにいってるの!? これはまりさがみつけたんだからまりさのものだよ!』って言 っても?」 「ばかなこといわないでよ! れいむがさきにみつけてたんだかられいむのものにきまってるよ! !」 俺はれいむの返答に思わずほくそ笑む。 「じゃあ、ここの家も俺が先に見つけたんだから俺のものに決まってるんだよな? れいむのもの ではないよな!?」矛盾を突いて言論で押さえ込むのは愉快なものだ。 「ゆゆゆう!?」 「これ以上ガタガタぬかすと、またそっちの」 「ゆうううう! ここはおにいさんのいえですううう! れいむがかってにゆっくりしてただけな んですうう!!!」 玄関を睨んだだけで恐れをなしたれいむは必死に命乞いを始めた。あれくらいの論弁術で人間を あしらえると思うなよ、ということだ。こうなるだろうとは思っていたので然して驚きもしないが、聞き分けはまあまあ良いほうなのだろう。 「よし。ゆっくり理解できたかな?」 「ゆっくりりかいしたよ! だからそっちにはつれていかないでね!」 余程おぜうさまが怖いのだろう。 「聞き分けの良い子には、すごくゆっくりできるものをあげようかな」 「ゆゆ!! ほんとう!! おにいさん、ゆっくりできるものちょーだい!」 豹変。ゆっくりできるものに目を爛々と輝かせるれいむ。 「わかった、わかった。今から連れて行くから」 さっとれいむを抱き上げる。例の『おそらとんでる』発言をしながら、れいむは俺からもらえる 《ゆっくりできるもの》に思いを馳せていた。 二秒後。目的地に到着した。 「はい、れいむ。ゆっくりできるものだよ」 れいむの目の前には巨大な穴。中には餡子の塊があった。 ――簡潔に言って、ものの数秒前、衝撃的な邂逅を果たしたゆっくりまりさの亡骸だ。先ほどと 異なっている点は、まりさの帽子を骸から取り上げて台所のコンポストに押し込んだくらいだ。 「……?」 おお、聞いていたとおりだ。 ゆっくりは基本的に、付けている髪飾りや帽子でその固有種を判別するらしい。ゆっくりまりさ にゆっくりれみりゃの帽子をかぶせただけで、まりさはゆっくりれいむの群れに襲われて死んだら しい。捕食種と判断され最初は敬遠されていたらしいが、次第に追い詰められ、最期は母親に押し つぶされて凄惨に殺されたしまったらしい。帽子を失くしたものは即刻殺されたり村八分になり、帽子を奪ったものには制裁が待っているとのこと。命と同等に重要なのだ。 今、れいむは、目の前の餡子を何だと思っているのだろう。訊いてみようか、と思ったそのとき だった。 「おにーさん!」 をゐをゐ。目がめちゃくちゃ光ってるぞ。血走ってるぞ。 「なんだ?」 「このあんこ、たべてもいいの!?」 「よいぞっ!」サムズアップで高らかに。「腹いっぱい食べるがいい」 「ゆゆゆうっ!」 れいむは穴に飛び込むと、一心不乱に餡子にむしゃぶりついた。うめうめと騒ぎながら食べる姿 は傑作だ。 当初の目論見通り、まりさの処理はれいむに任せることができた。ここに来る以前、このれいむ とまりさが恋人同士だろうと関係の無いことだ。れいむが関係ないといっている証拠のような行動 を取っているからだ。床にへばりついているため、すべてを綺麗に平らげるのには時間が掛かるだ ろうと踏んだ俺は、れいむに依れば玄関で呻いているというおぜうさまの様子を見に向かった。 続く? このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5375.html
ここはゆっくりと人間の共存する世界。 ゆっくりは人間の部下として日々戦っているのだった・・・ おや?どうやらまたここで争いが起こるようだ・・・ 俺のターン!ドロー! 俺はゆっくり霊夢を召喚! 「ゆっくりしていってね!」 さらに設置魔法「ゆっくりプレイス」を発動! このカードがフィールド上にある限り、自分の場にある「ゆっくり」と名のつくモンスターの攻撃力と守備力は500ポイントアップ! カードを2枚伏せてターンエンド! 僕のターン!ドロー! 僕はゆっくり魔理沙を召喚! 「そんな装備で大丈夫ダゼ!」 さらにゆっくり魔理沙を生贄にする! そしてゆっくりれみりゃを特殊召喚する! 「うー!れみぃはれみぃなんだどー!」 このカードは自分フィールドに「ゆっくり」と名のつくモンスターがいる場合、そのモンスターをリリースして召喚出来る! 「れみりゃだぜー!ゆっくりできないぜー!」 「うー!あまあまだどー!」 「ゆぎゃあああ!はなすんだぜーー!」 「うー!いただきますだどー!」 「ゆああああああああああああ!??!」 「もっと」 「ゆ・・っぐ・り」 「じだ・がっ・・」 バクリ 「うー!ごちそうさまなんだどー!」 さらにこのカードは特殊召喚されたターン、相手の「ゆっくり」と名のつくモンスターを無条件で破壊出来る! 「うー!美味しそうなんだどー!」 「れみりゃだー!ゆっくりできないー!」 「れいみゅを食べても美味しくないよー!」 「うー!いただきますだどー!」 「ゆぎゃあああああああああああ!」 かかったな! トラップ発動!「ただならぬ爆発」 このカードはモンスターが破壊されたとき、相手のモンスターを破壊する! 「うー?」 プクーーーー 「うーーーー!!ぽんぽんしゃんいたいどーーー!!」 プクーーーー 「うーーーーー!!!ぽんぽんしゃんばくはつするどーーーー!!!」 ボン! さらに相手に500ライフポイントダメージを与える! プレイヤー2残りライフ 3500 ! チッ・・仕方ない・・ カードを1枚伏せてターンエンド! 俺のターン!ドロー! 俺はゆっくりパチュリーを召喚! 「むきゅ!」 さらに魔法カード「死者蘇生」発動! 墓地のゆっくり霊夢を特殊召喚! 「ゆっくりしていってね!」 そしてゆっくりパチュリーとゆっくり霊夢でシンクロ召喚! 俺はゆっくりチルノをシンクロ召喚! 「さいきょー!」 さらにゆっくりチルノの効果で、シンクロ召喚に使ったモンスターを全て守備表示で召喚! 「むきゅ!」 「ゆっくりしていってね!」 直接攻撃! 「あたいーーー!」 うわーーーー! プレイヤー2 残りライフ 2000 ターンエンド! 僕のターン!ドロー! ん? いいカードが来たぞ! 俺はゆっくりアリスを召喚! 「とかいはー」 ゆっくりアリスの効果発動! 相手の「ゆっくり」と名のつくモンスターを 全て破壊する! 何だと! 「んっほおおおおおおおお!」 「れいぱーだー!ゆっくりできないよー!!」 「むっきゅーーーーーーーーーー!」 「んっほおおおおおおおおおお!!!」 「すっきりーー!」 「もっとゆっくりしたかった・・・」 「むっきゅーーー!?えれえれえれ・・」 「んっほおおおおおおお!」 「むっきゅーーーーー!」 「んっほおおおおおお」 「すっきりーーー!」 「むきゅぅぅぅぅ・・」 ゆっくりチルノの効果発動! 1ターンに一度、自分へのモンスター効果を無効化する! そして相手は次の相手のターンまで攻撃できない! 「さいきょーーー!!」 「んっほお」 カチン 「ん・っほ・・お・」 ゆっくりもこうの効果発動!自分のモンスターの効果が無効になったとき、自らを召喚する! 「もっこーーー!」 そして相手のモンスターの効果を無効にし破壊する! 「もっこーーー!」 「さいきょー!?」 「もっこーーーーーー!!」 「さ・・い・・きょ・・・ー」 ゆっくりもこうとアリスで攻撃! 「もっこーーー!」 「んほーーーーーー!」 ぐわあああああああ! プレイヤー1 残りライフ 2000 俺のターン!ドロー! 俺は墓地にあるカードを全てゲームから除外し、 ゆっくりみょんを召喚! 「みょーーーん!」 このカードは魔法、トラップカードの効果では破壊されない! 何ぃ! さらに魔法カード「ブラックホールを」を発動! フィールド場のカードを全て破壊する! 「もっこーーーーーー!?」 「んっほおおおお!??」 ゆっくりみょんは魔法の効果では破壊されない! さらに魔法、トラップカードの効果を受けた際、 このカードは2回攻撃出来る! 何だと! ゆっくりみょんの攻撃力は1000!二回攻撃で2000ポイントダメージだ! くっ・・ くらえ!ゆっくりみょんで攻撃! 「みょーーーーん!はくろーけんのさびにしてやるみょん!」 うわああああああ! プレイヤー2 残りライフ 0 プレイヤー1 WIN よっしゃーーー! あーあ、負けちゃったけどいい勝負だったよ 「やれやれ・・この戦いの目的はゆっくりの虐待にあったのだから勝ちも負けもないだろう・・ こんな無意味な戦いを続ける人間とは・・」 「おお、あわれあわれ」 続く・・・かも? 拙い文になりましたがまあ始めて書いたものなんでつまんないよと思う人もいるかもしれませんが、これからも精進し続けていきますのでどうか応援をよろしくお願いします! by No.13
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/433.html
―――ここは幻想郷にある人里 この人里で、俺は便利屋として生計を立てていた。 趣味と実益を兼ねたゆっくりの駆除を行い、甘党な俺は仕事が終わったあとで頑張った自分へのご褒美(笑)に狩ったゆっくり達の餡子でスイーツパーティー(笑)を行うのが恒例行事であった。 しかし・・・最近人里で、とある噂が囁かれている。 「ゆっくり達が消えるのではないか」という噂だ。 幻想郷にある日突然現れた生物(?)であるゆっくり達は「ゆっくりしていってね!!!」という独特の鳴き声をしており、 人語も多少は解するが中身は餡子やらクリームやらであることから人里では甘味の材料として重宝されていた。 実際、以前は人里を少し離れれば頻繁に見かけられたゆっくり達がここ数週間殆ど見当たらないのだ。 本当に居なくなってしまうのだろうか・・・ まぁそれならそれで構わないし、ゆっくりが幻想郷に突如出現するまでは普通に農作業を手伝ったり、獰猛な野犬の駆除などをして生活していたのだ。 その生活に戻ったところで大して困ることも無いさ。 そんな事を考えながら過ごしていたある日、里の少しはずれの畑で農夫の手伝いをしていると森の方から大きな物音が聞こえてきた。 音のする方へ急ぐと、森の入り口に異様に大きなゆっくりまりさがどっしりと構えていた。 巨大ゆっくりまりさの近くにある若木から察するに、身の丈は六~七尺程であろうか・・・ゆっくりとしてはとんでもない巨体である。 俺と農夫が近づくと巨大ゆっくりまりさは声を張り上げて叫んだ。 「よくもまりさたちのおともだちをたくさんころしたね!!!まりさたちをゆっくりさせないにんげんたちはゆっくりしね!!!」 その言葉を発した直後、どこに隠れていたのか大量のゆっくりが「「「「ゆっくりしね!!!」」」」の掛け声と共に巨大ゆっくりまりさの元に現れた。 近頃ゆっくり達を見かけなくなっていたのは、この蜂起の準備をしていたせいなのだろう。 「・・・早く!あなたは里に戻って自警団に報告してください!」 俺はひとまず農夫をこの場から逃がし、ゆっくりの大群と相対した。 ボスまりさの後ろには様々な種類のゆっくりが群れを成している。その総数は二千は下るまい。 「「「ゆっくりしね!!!」」」 近くにいる十数匹のゆっくりが俺にいっせいに飛びかかってくる。 人間を滅ぼそうというゆっくり、それがこの数で飛びかかってきた。 「う・・・うぉわあぁぁぁああぁあああぁぁ!!!」 死ぬ、そう思った。 ボムッ、ボヨォン、ブニッ。「……あれ?」 と思いきや無傷、まったくの無傷であった。 数の多さと勢いで圧倒されるかと思ったが・・・よく考えれば所詮はただの饅頭である。殺傷能力などあろうはずもない。突進の速さも種族の名に違わずスロウリィ。 「・・・ふ、ふふふ、うふ、ふふふふふふ」 と、在りし日の魔法の森の白黒のような笑いがこみ上げてくる。 「ゆ?きもちわるいわらいかたするにんげんはゆっくりしんでね!」「ゆっくりじゃまするにんげんはゆっくりはやくしんでね!!!」 「がぁおー♪たーべちゃーうぞー♪」「ちーんぽ!!!」「わたしたちのあっとうてきせんりょくにぜつぼうしちゃったんだね!!!わかる、わかるよー!!!」 俺の様子を見たゆっくり達が騒ぎ立てるが、ゆっくり達が集まったところで全くの無力。 それを悟った俺には、もうこの状況が――― 「すいいいぃぃぃぃいいぃぃつ祭りィ・・・、開催じゃあああぁぁぁああぁぁああぁッ!!!!!みんなァッ!!!ゆっくりしていってねえぇっ!!!」 ―――もはや、大地一杯に広がる甘味畑にしか見えなくなっていた。 大声で「ゆっくりしていってね!!!」という言葉を聞いた途端に動きが止まるゆっくり達、これも種族の性か。 大地を蹴りゆっくり達の群れの中心に飛び込む。手当たり次第にゆっくりをつかみ上げて噛みちぎり、啜り尽くし、薙ぎ払い、踏み潰し、蹂躙する。 「おいちいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!最高でえええぇぇぇぇぇッス!!!」 気分がノってきて、すごく楽しくなってきた。やっぱりゆっくり狩りは最高だね!こんな楽しい事が無くなっても構わないなんて、 最近の俺はどうかしてたね!!!スイーツ(笑)最高おおおおおおおおおおおおお!!!」 「おじさんはゆっくりできてないよ!!!ゆっくりやめてね、こっちこないdぎゅbりゅぎッ!!!」 「ゆっぐりじだげっががごれだよ゙おおぉぉおおぉぉっ!!!」「もっど、ゆっぐり、ぢだがっだよおおおぉぉおおぉぉっ!!!」 「ぢぼっ、ぢんっ、ぢんぼおおおぉぉおおぉぉぉっっ!!!」「わがら゙な゙い、わがら゙な゙いよ゙おおおおぉぉおおおぉぉぉ!!!」 辺りに鳴り響く大量の断末魔、阿鼻叫喚とはこの事を言うのだろう。 「あ、肉まんはいいや、ポイだポイ。」言うと俺はゆっくりれみりゃの両腕を千切り取り、遠くへ投げ捨てた。 「あ゙あ゙あ゙があ゙あぁぁ゙!!い゙だい゙、いだいぃぃぃ!!!でみでゃのぷりぢーなおででがあ゙あ゙ぁぁあ゙ぁぁっ!!! ざぐやにいいづげでやどぅううぅぅ!!ざぐや!!ざぐやあ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁ!!!」 投げ捨てた両腕に向かって飛んで行こうとするゆっくりれみりゃの両足を捕らえて地面に叩きつける。支える腕の無いゆっくりれみりゃは顔面から勢いよく地面に激突した。 「ぶぎゅる!!がぁおー!!!だべぢゃうぞおおおおおぉぉぉ!!!」 それでも闘志を失っていないのか、それともただやけっぱちになっているだけなのか、恐らくは後者であろう。この期に及んでまだ威嚇などしている。 これ以上時間をかけても面倒なので、手早く頭を踏み潰すと俺は再び他の甘味ゆっくりの蹂躙を始めた。 ひとしきりスイーツ(笑)を堪能し終えた頃、自警団や里の男達が鎌や鍬を携えてやってきた。 俺は里の者達と合流して残党ゆっくりの掃討を始めた。逃げ遅れたゆっくり達が残っている、こいつらも処分しなければ。 「どおぢでええええええええぇぇ…。」 「ゆぎぐがあああああああああああああああああ!!!!!」 残党をあらかた処分し終えた頃、ある事に気付いた。群れを統率していた巨大ゆっくりまりさの姿が見当たらないのだ。 「逃げたか・・・」 ゆっくりまりさ種は自分の身に危険が迫ると群れを犠牲にしてでも逃げる狡猾さで有名だ。 しかし所詮はゆっくり、まだそんなに遠くには逃げていない筈だ。幸いなことに、その巨体の重さ故に巨大ゆっくりまりさの移動跡は大きく荒々しい。 程なくして巨大まりさは自警団に発見・捕縛された。辺りを必死に逃げ回ったのだろう、所々皮が破れて中身が見えている。 「まりざはなにもわるいごどじでないよおおおおおおお!!!ごろずならほがのゆっぐりにじでねえええぇぇぇええぇぇっ!!!」 巨体から発せられる大声を間近で受けて、耳にキーンときた。 なにはともあれ、ここまで人間を恐れるようになってしまえば、もう駆除までの手間は普通のゆっくりまりさと大して変わらない。さっさとバラしてしまおう。 と、ここで巨大まりさの餡が露出した部分から濃く甘い匂いが漂ってきた。なぜだろう、さっきまでゆっくり達を喰い散らかしていたというのに唾液が止まらない。 中身の露出した部分へ腕を突っ込み、手で掬って口へ運んでみる。 「ゆ゙ぎぎぐうぅぅぅっっ!!?」 巨大まりさが耳障りな悲鳴を上げたが、俺はそんなものは意識に入っていなかった。 「これは・・・美味い!凄く甘くて美味い!!」 強烈な甘さ、それに特有の舌触り。この味は――― 「栗だ、こいつの餡は栗の味がするぞ」と、農夫が言う。 そう、栗の味がする。この巨大ゆっくりまりさの中身は通常のゆっくりと違って栗餡なのだ。 おせち料理の栗金団に入っているアレである。 「よし、こいつは持ち帰ってみんなで食べよう。今晩は宴会だァ!!!」 「「「「うおおォーーーッ!!!」」」」 ・・・でもまずは、この残骸を片付けないとな・・・。思い切って残業(笑) その後、生きたまま里へと持ち帰られた巨大ゆっくりまりさの中身の栗餡は里を挙げて行われた夜の宴会にて振舞われた。 ―――厨房にて 「もう・・・やべでええええええぇぇぇぇぇ・・・・・・」 特別に用意された十尺四方の檻の中で力なく抵抗する巨大ゆっくりまりさ、もはや暴れる気力も体力も無いようだ。 食べる時は栗餡の鮮度を保つため、食べる分だけを巨大ゆっくりまりさの背中に空けた穴の中からへらを使ってこそぎ取る。 「ゆぎゃが゙あ゙ぁぁぁあ゙ぁ!!!や゙め゙っ、ゆ゙るじでぇぇぇぇぇ…ま゙りざのながみ…なぐなっぢゃうのほお゙お゙お゙ぉぉお゙お゙ぉ…!!」 「こいつは・・・すごいな」ゆっくり加工所勤務の友人が言う。 「そんなにすごいのか?」 「ああ、このゆっくり、エサを口に入れたそばからどんどん消化して栗餡にしてるよ。この特異体質のせいで今まで野性で生き続けられたんだなぁ。これなら死なない程度に餡を取って、エサを与え続ければかなり長い間餡が採れそうだ。子を産ませるのも良いかもな。」 ふたりの会話を聞いた巨大ゆっくりまりさは悟った。「もう自分は二度とゆっくりできない」と。 (ゆっくりしたけっかが・・・・・・これだよ・・・・・・) きっとこれからも、ゆっくりは人間達に搾取され続けるのだろう。スイーツ(笑) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/580.html
すっかり日も暮れ、夜行性の動物たちが活動を始める時間となった幻想郷の森。その中 から、今日もゆっくり達の悲鳴が聞こえてくる。 「……うー! うー!」 「や゛め゛て゛え゛え゛え! ゆ゛っぐりざぜでえ゛え゛え゛え!」 四匹のゆっくり達が、まだ体の生えていないゆっくりれみりゃから逃れようと、必死の 形相で飛び跳ねているのだった。目を覚ましたばかりで空腹のれみりゃは、獲物をいたぶ るような真似はしない。懸命にぴょんぴょん逃げる二匹ずつのゆっくりれいむとゆっくり まりさにあっという間に追いつくと、一気に急降下して最後尾にいたれいむの後頭部にが ぶりと噛み付いた。 「ゆっ、ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁっ! やめでやめではな゛じでえ゛っ、ゆ゛っぐ りざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛っ!!!」 両目を剥き、涎を飛ばしながら絶叫するゆっくりれいむ。それを聞いた他の三匹は、愚 かにも、もしくは立派なことに、足を止めて後ろを振り返る。三匹の目に映ったのは、満 面の笑みを浮かべながら獲物に牙を突き立てるゆっくりれみりゃと、牙が皮を貫く痛みに 震えるゆっくりれいむの姿だった。 「は、はなしてね!」 「ゆっくりやめてってね!」 「ゆっくりできないよ、ゆっくりさせてね!」 三匹が抗議の声を上げる。本当ならばすぐにでも助けてやりたいが、全員でかかっていっ たところで、単に全滅が早まるだけ。だがそれでも、これまでずっと一緒にゆっくりし てきた仲間は見捨てられない。三匹にできるのは、こうして叫び続けることだけだった。 そんな三匹の苦悩などどこ吹く風、ゆっくりれみりゃは自らの空腹を満たすため、ゆっ くりれいむに噛り付く牙に力をこめた。 「いだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛い゛い゛いぃぃぃぃ!! あああ゛あ゛あ゛ あ゛っ゛!!!」 れいむの皮に突き立った牙が餡子に到達し、その中に潜り込んで容赦なく進んでいく。 れいむの絶叫が夜の森に響く中、れみりゃはそんなものお構い無しに食事を続ける。 「ゆああ゛あ゛っゆっがっあっあっあっあっああ゛あ゛っ゛っ゛っ゛!!!!」 ついに、れいむの体はれみりゃによって噛み千切られた。れみりゃの牙が餡子の中心に 達したとき、れいむの体は飛び跳ねんばかりに大きく痙攣した。その光景に、残された三 匹の声も止まる。六つの眼に映るのは、体の四分の一以上を噛み千切られ痙攣を続ける仲 間の姿と、その四分の一を口一杯にほおばり幸せそうに咀嚼している捕食者だった。 「……ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 体の一部を欠き、白目を剥いて、涙と涎でぐちゃぐちゃになったれいむの口から、体の 痙攣にあわせてそんな泣き声ともつかぬ音が断続的に漏れていた。一方、れみりゃは満足 そうな顔で口の中のものを飲み込むと、残った餌を食べようと再びその口を開き、れいむ へと噛み付いた。れいむの顔の内、口より上の部分がすっぽりと、れみりゃの口の中に納 まった。 「ゆうっあっ、がっ゛っ!!!」 ろくな叫び声を挙げる暇もなく顔を噛み切られると、残ったれいむの体からは力が失わ れ、そのまま動かなくなった。仲間の身に降りかかった惨事に言葉を失っていた三匹のゆ っくりも、その死を目の当たりにして再び声を上げ始めた。ただし、今上げるのは抗議の 声ではなく、仲間の無残な死を嘆く声だ。 「れいむう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ!」 「どおじでえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ!!」 「もっどゆっぐりじだがっだよお゛お゛お゛お゛お゛!!」 三匹の悲痛な叫びが周囲を満たす。しかし、三匹とずっと一緒にゆっくりしてきた仲間 は、その叫びを聞いても、もう何も言ってはくれなかった。それが悲しくて、叫びは更に 高まる。 「……うー!」 場違いに楽しそうな声が上がり、唐突に叫び声が止まる。あまりの出来事に忘れていた。 今自分達は、危険な捕食者の前にいることを。気付かなかった。哀れなれいむを食い散ら かしたれみりゃが、次の獲物に狙いを定めていることに。思い付かなかった。逃げ出すこ となど。 「いっ、いや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!! ゆっぐりざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛ え゛!!!」 ついさっきまで仲間だったものに背を向け、三匹は全力で駆け出した。死にたくない。 もっとゆっくりしていたい。仲間の死に様が更なる恐怖を駆り立て、三匹を追い立てる。 「ゆっ!」 二匹いるゆっくりまりさの内の片方が、木の根に引っかかった。あっと思う間もなく、 そのまま顔から地面に転がる。真っ白になったまりさの頭の中に絶望が襲い掛かるよりも 早く、れみりゃの牙が二匹目の獲物を捉えた。 「……ゆううううう゛う゛う゛う゛っ゛!!!」 まりさの絶叫に、残りの二匹が思わず振り返る。しかし、先程と違って何やらまごつい ている様子だ。このまま逃げる足を止めてしまえば、また同じことの繰り返しになるとい うのが、ゆっくりの頭でも分かっているのだろう。だが、 「だっだずげで!!! だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇ……」 助けを求める仲間の声が、二匹を逃がしてはくれなかった。恐怖と友情の板ばさみの中、 喰われ行くまりさを見つめながら、二匹はみんなでゆっくりできた頃のことを思い出して いた。四匹でずっと一緒にゆっくりしてきた。ずっと一緒にゆっくりしていけるのだと思っ ていた。悔しかった。無力な自分たちが惨めでたまらなかった。もう声も出ない。代わり に涙があふれて止まらなかった。 二匹目の餌が動かなくなると、れみりゃは更なる獲物を求めて飛び上がった。そのまま、 何かを諦めてしまって動かなくなった二匹のゆっくりへと飛び掛る。二匹はそれを避けよ うとはしなかった。 「うー! うーぐえっ!?」 と、突然妙な声が上がった。思わず二匹が顔を上げると、そこにはれみりゃではなく、 もっともっと大きな影があった。突然の乱入者に涙も止まる。 そこにいたのは人間だった。片足を、今まさに何かを蹴り上げたかのように上げたまま の、一人の人間だった。二匹がそれを呆然と見上げていると、 「……う゛あ゛あ゛あ゛っ!! いだぁいよお゛お゛お゛お゛お゛!!!」 ちょうど上がったままの人間の脚が向いている方から、こんな泣き声が聞こえてきた。 見れば、れみりゃが地面に転がって泣き叫んでいる。呆然とする二匹には目もくれず、人 間は上がったままだった足を下ろすと、れみりゃへと歩み寄っていった。 「う゛っ? うー! だべぢゃうぞー!!」 目の前にまで近づいた人間に対し、泣きながらも威嚇をするれみりゃ。しかし人間はそ れを完全に無視してれみりゃの前にしゃがみこむと、無言でその脳天に手刀を叩き込んだ。 手刀と地面にはさまれたれみりゃは短い悲鳴を上げると、そのまま気絶した。 動かなくなったれみりゃの羽をつまみあげ、人間は残された二匹のゆっくりの方へと振 り向き、初めて口を開いた。 「……大丈夫か?」 れいむとまりさは床の上で身を寄せ合っていた。二匹とも疲れ切った表情で部屋の隅っ こにうずくまったまま、床の一点を見つめたまま動かない。魂が抜けてしまったかのよう だ。憔悴しきっていたが、先程のショックのせいで眠ることなどできないようだった。 がらり、と戸の開く音がして、二匹は緩慢に顔を上げる。そこにいたのは先程の人間だっ た。その人間が、二匹を食い殺そうとしていたれみりゃを叩きのめし、家に連れ帰ってく れたのだ。 彼は二匹の前にやって来ると、手に持っていた皿を床に置いた。そこにあったのは二つ のおにぎり。 「……ほれ、食え」 ぶっきらぼうにそう言い放ち、皿を差し出した。二匹は人間の顔を見、差し出されたお にぎりを見て、のそりのそりと動き出し、皿の上に乗っかっておにぎりに噛り付いた。 それは具も入っていなければ海苔もまかれていないただの塩おにぎりだったが、人の食 事を初めて口にした二匹にとっては、格別のご馳走だった。最初はぼそぼそと覇気の感じ られない食べ方だったが、一口、また一口とかじりつく度に、二匹に活力が戻ってくるよ うだった。二匹は飲み込むごとに元気を取り戻していった。疲れ切った頭が回り始め、一 度は折れた心も徐々に立ち直っていく。 だからこそ不意に、 ―――いだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛い゛い゛いぃぃぃぃ!! ―――だっだずげで!!! だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇ…… 仲間の断末魔が脳裏をよぎってしまう。 半分ほど食べ終えたあたりで、二匹は唐突におにぎりに噛り付くのを止めた。人心地つ いたせいで、かえって先程の悲劇を思い出してしまうのだった。 二匹は皿の上で震え始め、こらえ切れないというようにぼろぼろと涙をこぼす。四匹は 兄弟ではなかったが、生まれてすぐの頃からずっと一緒にゆっくり過ごしてきた親友だっ た。……だった。過去形の話だ。その内の二匹は、すでに物言わぬ饅頭になってしまった。 れみりゃの牙に噛み千切られ、無残に変わり果てた親友の姿が頭から離れない。死ぬ間際 の叫びが耳に残ったままだ。 「……ゆっ、ゆっ……」 「れいむぅ……まりざあぁぁ……」 いつも通りの元気があれば泣き叫ぶこともできたろうが、今の二匹には親友の死を嘆く ように泣くのが精一杯だった。 そんな二匹の様子を見た人間は、ふらりと立ち上がると部屋を出て行った。程無くして 戻ってきた人間は、箱を一つ抱えていた。そのまま食べかけのおにぎりの前で泣き続ける 二匹の前に、その箱を置く。二匹の注意を引くように、わざと大きな音を立てて。二匹は 突然の音にびくりと震え、顔を上げる。涙でにじんだ視界に映るのは、透明な箱に収まっ たれみりゃだった。 『……ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っっ!!!』 ガチャガチャン! と、思わず後ずさりした二匹は皿から転げ落ちた。後頭部を床にぶ つけながらも、必死の形相で再び部屋の隅へと逃げていく。 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! たべないでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!」 「だずげでえ゛え゛え゛! だれかだずけでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛! おがあざああ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛んん!」 親友の死に様で頭が一杯になっていた二匹は、一気に混乱の極みに追い込まれた。今ま でさめざめと泣いていたのが嘘のように泣き叫ぶ。死にたくない。食べられてしまった二 匹のようになりたくない。その思いに囚われた二匹は、目の前に自分たちを助けてくれた 人間がいることも忘れて泣き叫んでいた。しかしながら、いつまで経っても二匹が襲われ ることはない。 「……いやあ゛あ゛あ゛あ゛、ああ、あ?」 そのことに先に気付いたのは、れいむの方だった。襲われないどころか、よく見ればそ もそもれみりゃは動きさえしていなかったし、更によく見れば、どうやら箱の中に閉じ込 められているようだった。 「ゆっ。まりさ、まりさっ」 「……だずげでえ……おがあざぁん……」 「まりさっ!」 親友の喝に、まりさも顔を上げる。そして一足遅れて、現状が認識できたようだった。 二匹はしゃくりあげながら、隅から離れてれみりゃの収まった透明な箱を見つめた。れみ りゃはピクリとも動かない。人間に喰らった手刀によって気絶したままのようだった。 そんなれみりゃを見つめたまま動かない二匹に向けて、人間が口を開いた。 「……お前ら……」 二匹が顔を上げる。人間は二匹の目を交互に見、言った。 「仇を討ちたくないか?」 思いがけない言葉が飛び出てきた。仇を討つ。食べられてしまった親友の仇を、自分た ちが。あのれみりゃに対して、自分たちが。 ……無理だ。 「俺がお前たちを勝たせてやろう」 うなだれる二匹に、人間はそう言い放った。 「やる気があるなら、まず飯を食え」 れみりゃが目を覚ましたとき、目の前には二匹のゆっくりがいた。赤いリボンのゆっく りと黒い帽子のゆっくりが、互いに少し距離を置いて、床の上にいた。それがさっき追い かけていたゆっくりだと気付いた途端、なぜか頭に残っていた鈍痛のことなど綺麗さっぱ り忘れ去り、背中の羽を広げて勢いよく 「うー! たべちゃう゛っ゛!?」 飛び立てなかった。何もないはずの場所で壁にぶつかったれみりゃが感じたのは、痛み よりも混乱であった。そもそも満足に羽根を広げることもできていない。れみりゃはうー うー唸りながら暴れ回る。しかしどれだけ力をこめても事態は好転せず、自分が陥った窮 屈さを実感させられるだけであった。 じたばたもがくれみりゃだったが、突然視界がぐるりと回転した。そのまま床の上に落 ち、転がっていく。これは人間の手によって透明な箱から落とされたから、なのだが、ゆっ くりの中でも一等出来の悪いれみりゃの肉饅脳に分かるはずもない。れみりゃが理解でき たのは、羽を存分に伸ばせるようになったことと、これで目の前のゆっくりを食べられる ということだけだった。 「うー! うー! たぁべちゃぁうぞぉー!!」 自由な身となって宙へと舞い上がったれみりゃは、それはそれは楽しそうに言った。既 に食事は済ませている。今、目の前にいるゆっくりたちは、存分になぶり、いたぶって遊 んでからおやつにしてやろう。 「うー! うー! うー……、う?」 馬鹿の一つ覚えで唸っていた肉饅脳が新たな異変に気付いた。目の前のゆっくりたちが、 自分の威嚇に全く動じていないのだ。普通なら自分の姿を見かけただけで大混乱に陥って 逃げ惑うというのに。これに不満を覚えたれみりゃは、いつもより大きな声で威嚇を始め た。これを怖がらないゆっくりなどいない、と本人は自信満々の威嚇であったが、ゆっく りたちがおびえる様子は微塵もない。それどころかゆっくりにはありえないくらいに険し い面持ちで、こちらを睨み付けているではないか。 「……ううううううっ!!!」 空中から一気に飛び掛る。れみりゃにはゆっくりたちの態度が我慢ならなかった。もう いい、どうせ自分に襲われたら無様に泣き叫んで助けを請うのだから。苛立ちに任せて、 れみりゃは赤いリボンのゆっくりへと襲い掛かった。それでもゆっくりは動かない。逃げ 出すこともせず、自分を更に睨み付けてくる。それがれみりゃの苛立ちを助長した。 繰り返すが、れみりゃの頭は、様々な種類がいるゆっくりたちの中でも一等出来が悪い。 普通の人間であれば、否、普通のゆっくりであってもすぐに気付いたであろう二匹の異 変にも、だから最後まで気付かなかったのだろう。 「うあ゛っ!?」 赤いリボンのゆっくりに気を取られて、もう一匹の存在を忘れていたれみりゃの横っ面 に、そのもう一匹が体当たりをした。黒い帽子のゆっくりはそのまま綺麗に着地し、不意 打ちを喰らったれみりゃは衝撃で床を転がっていく。 自然の世界ではありえない反撃。しかしれみりゃは力ある捕食者であり、相手は所詮、 やわらかい饅頭のゆっくり。森の中を勢いよく飛んでいて木にぶつかったときの方がはる かに痛い。 「……うっ、うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!! いだい゛っ゛、いだあ゛あ゛ あ゛あ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛っっっ!!!」 はずだった。本来ならば。 「ぢ、ぢぐっでじだ! ぢぐっでしたあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛!!」 れみりゃが泣き叫んでいるのは、黒い帽子のゆっくりに体当たりされたときの衝撃が思 いのほか大きかったから、ではない。 自分の皮に何かが突き刺さる痛みを、それも一箇所ではなく何箇所にも、味わったから だった。 ――ちくっとした。鋭く尖った小枝ににぶつかってしまったかのような痛みが、体当た りされた頬のあちこちを襲ったのである。予想外の痛みにれみりゃはごろごろと床の上を 転げまわった。 そこへ容赦なく追撃が入る。赤いリボンのゆっくりが、痛みにのた打ち回るれみりゃに またも体当たりを敢行した。 「うぶえ゛っ!?」 痛い痛いと泣き叫ぶことさえ忘れ、不細工な悲鳴を上げるれみりゃ。転げまわることを 中断させられたれみりゃは、改めて、自分のおもちゃになるはずだったゆっくりたちを見 る。そして、出来の悪い肉饅脳がようやっと、ゆっくりたちの体の異変に気が付いた。 とげが、生えている。ゆっくりたちの全身に、鋭いとげが何本も。それが体当たりの際 にれみりゃの皮を突き刺していたのだと、肉饅脳がゆっくり理解する。この痛みの原因は あのとげなのだ。 とげの生えたゆっくりなど、れみりゃは見たことがなかった。あれは食べられるのだろ うか。そもそもあれはいつもと同じゆっくりなのか。足りない頭の中をそんな考えがぐる ぐると巡る。しかし、悠長に考えている暇はなかった。ゆっくりたちが再びこちらに体当 たりしようと向かってきたのだ。れみりゃの肉汁に濡れて怪しく輝くとげが、どんどん近 づいてくる。 「う、う゛う゛う゛――――――っ!!!」 すんでのところで、れみりゃは宙へと飛び上がって体当たりを避けることができた。そ うだ、自分には羽がある。とりあえず飛んでいれば、体当たりをされることもないではな いか。それが分かると、さっきまで泣き喚いていたれみりゃも一転、どこか自慢げに部屋 の中を飛び回り始めた。その顔は、自分は決して捕まることはないのだという自信にあふ れていた。 人間の大きな手がれみりゃの体をむんずとつかみ、ゆっくりたちが待ち構える方へと軽 く放り投げた。赤いリボンのゆっくりがタイミングを合わせて、自分の方へと飛んでくる れみりゃに体当たりをかます。とげに貫かれ衝撃に跳ね飛ばされて、れみりゃは再び床の 上に転がった。思い切りぶつかったために、赤いリボンのゆっくりも少々ふらついている。 「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!! めえ゛え゛え゛え゛え゛っ!!!! れ゛み゛ り゛ゃ゛の゛め゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 とげの一本が運悪く、れみりゃの右目に突き刺さったのだった。片目を潰されたれみりゃ は激痛にのた打ち回る。そこに黒い帽子のゆっくりが飛び掛った。体当たりを仕掛けるの ではない。狙いはれみりゃの背中。転げまわるれみりゃに上手く飛び付くと、その片羽に 思い切り噛み付いたのだ。 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! はなぜ、はなぁぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!!!」 全身全霊を込めて振り払おうとするが、黒い帽子のゆっくりは喰らい付いて離れない。 むしろ暴れ回るせいで、羽に噛み付く歯がより深く食い込んでいく。そして、あっけなく 羽は噛み千切られた。 「い゛だぁい゛い゛い゛い゛い゛い゛!! はねっ、れ゛み゛り゛ゃのはね゛え゛え゛え゛ え゛え゛え゛!!!! がえ゛ぜっがえ゛ぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!! う゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 バランスの悪くなった体で泣き叫びながら、れみりゃは自分の羽を取り戻そうと黒い帽 子のゆっくりへと向かっていった。そこへダメージから回復した赤いリボンのゆっくりが 襲い掛かり、残った羽に喰らい付いて全身の力を使って引き千切る。両翼を失ったれみりゃ は、ただの肉饅となって床に転がった。 肉饅が二匹の腹の中に納まるまでに、そう時間は掛からなかった。二匹は満腹感の中で、 勝利の余韻に浸っていた。憎き親友の仇を、自分たちが取った。しかもあのれみりゃを相 手取って。その事実に、二匹はかつてないほどのゆっくり感で満たされていた。 ――そうだ、おにーさんにおれいをいわないと。 ゆっくりにしては割と賢い二匹は、自分たちを助けてくれた人間の方へと向き直った。 人間はちょうど、二匹が食べ残した肉饅の羽を拾い集めているところだった。 『――おにーさん!!!』 自分を呼ぶ声に、人間は二匹の方を振り向いた。 「おにーさん、ありがとう! おかげでふたりのかたきがうてたよ!!」 「もうこれでれみりゃなんかこわくないよ! ありがとう、おにーさん!!」 興奮気味に礼を言う二匹。まあ、人間の手助けがあったとは言え、捕食種を自力で倒す ことができたのを考えれば当然かもしれないが。 二匹の体に突如生えたとげ。それは、画鋲であった。人間はれみりゃへの対抗手段とし て、接着剤で二匹の体に画鋲を貼り付けていったのだ。こうすれば食べられることはない し、その上反撃することだってできる。二匹は人間にそう言われて、全身武装化に踏み切っ たのだった。 そんな二匹を見た人間は、ふらっと部屋から出て行った。どうしたのだろうと思ってい ると、程無く、瓢箪を手に人間が戻ってきた。そのまま二匹の前に座り込んで胡坐をかく。 そして、黙って両手を二匹の前に差し出した。 『……ゆっ?』 差し出された両手は、手のひらを上に向けていた。理解できない様子の二匹に対し、人 間は両の手のひらを招くように動かす。乗れ、ということなのだろうか。 事情はよくわからないが、とにかく二匹は人間の手のひらに乗ることにした。体の画鋲 を手に突き刺してしまわないように慎重に飛び乗る。右手にまりさ、左手にれいむ。人間 は手のひらの上の二匹を自分の肩ぐらいの高さまで持ち上げると、二匹に向かって笑いか けた。これまで無表情だった人間の笑顔を見て、思わず二匹も笑い返す。手の上の二匹は 互いに目配せをすると、タイミングを合わせて 『ゆっくりしていってね!!!!!』 元気一杯、お決まりの挨拶をした。それを見た人間は笑顔をより濃くする。そして、両 手の指で二匹をしっかりとつかんだ。無論、画鋲が刺さらないように気をつけて。 「ゆ、ゆ、ゆっ? おにーさん?」 「ゆゆっ、おにーさん、どうしたの?」 人間は笑顔のまま、ゆっくりと、二匹が乗った両手を揺さぶり始めた。 「おにーさん、やめてね!」 「ゆっくりゆらさないでね!」 突然の揺さぶりにゆっくりと抗議の声を上げるが、人間はそれを完全に無視して、更に 強く揺らし始める。がくがく揺れる視界に翻弄されながらも二匹は抗議を続けるが、一向 に止まる様子はない。 「ゆっ……ゆうう……」 「ゆっ、ゆっ、ゆー……」 揺さぶられる二匹の目が、次第にとろん、とし始める。それを見た人間はさらに揺さぶ りを強めていく。体の奥底から湧き上がる衝動に、二匹は抗うことが出来なかった。 しばらくして、人間は二匹を床の上に置いた。呼吸の荒い二匹。完全に発情しきってい た。二匹は同時に相手の方を向いた。 「ま、まりさぁ! まりざあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!」 「れっ、れいむう゛う゛う゛うううぅぅぅ!!」 駆け寄る二匹。早く、早く触れ合いたい。一つになりたい。その一身で、最愛の親友の 元へと飛び跳ねていく。 そして、 『い゛っっっっっっっっ!!!!!!』 互いの体に画鋲が深々と突き刺さった。 反射的に距離を取る二匹。突然の痛みに混乱したまま、改めて、相手の体を見る。理解 するのは、どこかの肉饅よりずっと早かった。 『……うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛っ゛っ゛っ!!!!!!』 絶望の声が上がる。二匹は距離をとってぶるぶる震えたまま、悲痛な叫びを上げていた。 早く肌をこすり合わせたい。でもできない。体のとげが刺さってしまう。 『お゛に゛い゛ざん゛っ!!!』 二匹の様子を見守りながら瓢箪の酒を傾けていた人間に向かって、二匹は助けを求めた。 「とっで、おにいざんこのとげとげとっでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 「おねがい゛い゛い゛い゛! すっきりできないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 必死の形相で訴えかける二匹。それを見て、人間は酒を一口。 「おにーざぁん、ゆっぐりしないでえ゛え゛え゛え゛!!」 「はやぐこのとげとげとってえ゛え゛え゛え゛!!」 「……いいのか? それがないと、また襲われるぞ」 人間の言葉に、二匹はびくりと体を震わせる。確かに、このとげを取ってしまったら、 またれみりゃに襲われたときに反撃できなくなる。だが、 「まっ、またつけなおせばいいよお゛お゛!」 「またあとでつければいいから、だからこのとげとげとってえ゛え゛え゛え゛!」 「……無理、だな」 『!!』 「簡単には剥がれん。無理に引っ張れば皮ごと剥がれて死ぬぞ」 『!!!!』 人間の言葉は、二匹を絶望のどん底に突き落とすには十分なものだった。二匹は人間を 見て、お互いを見て、がくがくと震えだした。両目からは涙があふれて止まらない。やが て体の震えが最高潮に達し、二匹に我慢の限界が訪れた。 「……うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!! ま゛り゛ざっ!! ま゛り゛ざあ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」 「れ゛い゛む゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!! れ゛ぇい゛ぃむ゛ぅう゛う゛う゛う゛ う゛う゛う゛う゛!!!!」 『い゛だあ゛っっっっっっ!!!!!!』 「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!! ずっぎり、ずっぎりじだいよ゛お゛お゛お゛お゛!! れ゛ い゛む゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!! あ゛づっっっっ!!!!!!」 「ま゛り゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ずっぎりできないよ゛お゛お゛お゛ お゛お゛お゛お゛!!!! う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ !!!! あぁぁい゛だい゛い゛い゛い゛!!!!!!」 二匹はお互いの肌をこすり合わせようとするが、近寄るたびに全身の画鋲が体に刺さり、 思わず飛びのいてしまう。それでも何とか画鋲が刺さらないように触れ合える場所を探そ うとするのだが、どれだけ身をよじってもそんなものは見つけられなかった。二匹は号泣 しながら、近寄っては離れるを繰り返している。 人間はそんな二匹の様子を、肉饅の羽を酒の肴に、楽しそうな笑顔で眺め続けていた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1079.html
あるところに一人の男がいた。 その男は農業をしておらず、ゆっくり達を数匹捕まえては煮込んで食べ漁り、 余った分は加工場へ売り飛ばすという不規則だが自由気ままな生活を送っていた。 ある日男はいつものようにゆっくりを捕まえに森へと出向いた。 男はゆっくりを捕まえる事に関してはベテランだった。 ゆっくりの巣を見つけ、ゆっくり達を見つけたらゆっくり達は間違いなく 「おじさんゆっくりできるひと?できないならでてってね!」 と言う。なのでそこに 『おじさんはゆっくりできる人だよ、ところでおいしいお菓子食べたくない?」 と言うとゆっくりは気を許し、 「ゆゆ!たべるたべるー!」 とわめき散らす。こうなれば後は籠にゆっくりを入れて自宅へ帰るだけだ。 しかし、今回は違ったことが起こった。 ゆっくりにとって最大の殺し文句であるこの言葉を受けても、全く動じないゆっくりがいたのだ。 そのゆっくりは不適に微笑んでいる。おお、こわいこわいに似ている事もない。 しかし、それだったらおお、こわいこわいの方が抱きしめても足りないくらいかわいいに違いない。 男は気が変わり、そのゆっくりをひょいと持ち上げ、頬を引っ張った。 この腹が立ってくる顔を泣き顔に変えてやろうと思ったのだ。 男はぐい、と力をこめて引っ張る。 いつもだったら、これくらい引っ張ると 「いだい!おじざん、やめ゙でね…!!!」 と泣き喚くものだが、このゆっくりは痛がらないどころか顔色一つ変えない。 少しムキになった男はさらに力を入れて引っ張るが、やっぱり皮が果てしなく伸びるだけで、顔は依然あの腹ただしい顔のまま。 男は胸の奥からふつふつ湧き出る黒い感情を感じていた。 例えるなら、背中を見せたくない男の背中をどうにかして見ようとする漫画家の心情に似る。 まぁ見ない方がいいこともある。 男はそのゆっくりを持って自宅へ戻る。 「おじさーん!おかしはー?」 「やかましいッ!これやるから着いて来るんじゃねぇぞ」 男はポケットに入っていた金平糖をゆっくり達の方へと投げると、さっさとその巣を後にした。 男は帰ってくるなり倉庫から金槌を持ってくると、そのゆっくりを思い切り叩いた。 普通だったらゆっくりの口から漉し餡がぶはっと吐き出されるところだが、そうはいかなかった。 そのゆっくりは少し凹んだだけですぐに元に戻ってしまった。 更に金槌で叩くと、金槌の柄が折れた。 1、2回叩いただけで壊れる金槌を持っていた覚えはない。むしろ新品のはずだ。 そんな事を考えてももう壊れてしまったものは仕方ない。 男は別の方法でこの顔を崩す事にした。 次に男は、なべに張った水の中にゆっくりを入れ、いつもやってるように火を付け煮込んだ。 男はあまりゆっくりの断末魔が好きではなかった。 『ゆっぐりだずげでよおおお』とか『もっどゆっぐりさせてええええええ』とか聞くと精神が参ってしまいそうだ。 なのでいつもゆっくりを気絶させてからせめて痛みを知らずに死ぬがよいといった どこぞのジョインジョインみたいにやっているのだが、このゆっくりにはその心構えは通用しないようだ。 なのであの表情のまま煮込んだ。しかし30分たっても、2時間煮込んでも無駄であった。 あのゆっくりの表面はホカホカしていた。 男は意地になった。なんとしてでもこのゆっくりの表情を変えてやると。 ほぼ殺意の波動に目覚めたと言ってもあまり問題はない。 男は倉庫から苦痛を与えられそうな道具を山ほど取り出し、ゆっくりに使った。 コンロで炙ってみたが、コゲ目が付いただけだった。 チェーンソーで切ろうとしたら、チェーンソーのチェーンが参ってしまった。 窓付きのごとく包丁で刺してみたら、包丁が欠けた。 重いものの下敷きにもしたが潰れただけでゆっくりと元に戻ってしまった。 水に沈めてみたがあまり効果は無かった。 思い切り下に叩きつけても形すら変わらず意味がなかった。 男はシンプルに殴ってみたが堪えていないようだ。 木に一晩吊るそうが、ゴキブリを周りに這いまわせようが、思いっきり引っ叩こうが、全くその表情を変えなかった。 もうスパイス・ガールで柔らかくなってんじゃあないのかと言いたくなるほど丈夫なゆっくりだった。 男はゆっくりを持ってゆっくりれみりゃが生息するという紅蓮魔館へと向かう。 男がゆっくりを目立つようにして持つと、さっそくゆっくりれみりゃが飛んできた。 「うー♪たべちゃうぞー!!!」 おいしそうな獲物を前に勢いよく飛び掛るれみりゃ。 そしてかぷ、とゆっくりに喰らい付くれみりゃ。 しかし様子がおかしい。どうやら噛み切れないようだ。 「うー!うー!うー!」 れみりゃは噛み切ろうと少しづつ距離を離していく。 しかしよく伸びる皮だ。まるでどっかの念でできたガムみたいな。 そんなことを考えていたからか、男はうっかりゆっくりを離してしまった。 ゆっくりがゴムパッチンのごとく顔に激突するれみりゃ。これには元々幼いれみりゃ、泣き出してしまった。 「ゔぁ――ん!!!ざぐや゙―――!!!ざぐや゙―――――――!!!」 凄い声で咲夜を呼ぶれみりゃ。 これにはヤバイと感じ男はゆっくりを持って逃げ出した。 後日、フランでも試してみたが同じ事だった。 そのときはナイフで串刺しにされるかと思ったらしかった。 男はこのゆっくりの表情を変えさせるのに疲れてしまった。 刺そうが殴ろうが蹴ろうが潰そうが叩こうが引っ張ろうが斬ろうが煮込もうが焼こうが無駄だったのだ。 無駄なんて嫌いなんだ…無駄無駄 男はそんな生活に嫌気がさし、悲しむ人もいないだろう、という考えから首を括ろうと思い、 ロープを買ってきて天井に吊り下げた。 しかし、男が天井から吊り下がることは無かった。 これだったらゆっくりは苦しむんじゃないかと考えている自分がいたからだ。 思い残すことは無く、覚悟を決めたつもりでも、やはり心はゆっくりを打ちのめすのに惹かれているのだ。 浅ましい自分に男はみじめな思いをしてしまった。 そんな時でもあのゆっくりは嘲ったような表情でこちらを見ているのだ。 「なんという残酷な野郎なんだ、クソッ、お前はいつか俺の手で号泣させてやるッ、 それまで決して俺は死なない……」 さらに覚悟を決めた男はとりあえずロープにゆっくりを括りつけてみた。しかし無駄のようだ。首がないからね。 男はその後このゆっくりを泣かせるためだけに生きていたと言っても過言ではなかった。 いろんな道具でゆっくりを叩きのめそうとした。 冷却機で凍てつかせたり火炎放射器で汚物を消毒しようとしたり放射線を浴びさせてブルトンにしようとしたりした。 しかしそれらは効果を上げる事は無かった。 サッカーボールの変わりにしたり超低温で全てを止めて動く物質を無くしたりゆっくりゆゆこを嗾けたり… 男は数えられないほどそれらをやった。 北斗柔破斬もしたし、タンクローリーとロードローラーを同時に落としたり、何回もデストローイやテーレッテーにもした。 もう数えればキリが無い。しかし依然とゆっくりはあの表情のまま。 確かに男はゆっくりを泣かせるために存在していた。 男は歳を取り、老人と言っていい歳になった。 あんな無茶な事をし続けたからか、体の調子は良くなかった。 あいつのせいだ…あいつがいなければこんな苦しい事には… そう考えている男の隣には確かにあの憎たらしい顔をしたゆっくりがいた。 ヤケになった男はそのゆっくりを鷲掴みにし、口へと放り込んだ。 噛み切れないかと思っていたがそんなことはなかった。 男はガブムシャアムベチャグチャガブやったねといった勢いで飲み込んだ。 「こ…これは…この味は…ううっ!」 意識が遠のいてる間に男は意識を展開させた。 そういえばあのゆっくり、一言も喋らなかったな…ゆっくりなのに よくよく考えてみれば何も食べさせてないのに…なんで今まで生きてたんだろう? 男の意識は薄れていった。 男の死因は窒息死だった。 饅頭が喉に詰まって死んでしまったのだろうと判断されたが、男の喉にはそれらしいものは全く入っていなかった。 それは一時期某新聞の一面を飾ったが、 どうして男が死んだのかなど、ほとんどの人々にはどうでもいいことだった。 Fin by GIOGIO
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/261.html
諸君 私はゆっくりが好きだ 諸君 私はゆっくりが好きだ 諸君 私はゆっくりが大好きだ ゆっくり霊夢が好きだ ゆっくり魔理沙が好きだ ゆっちゅりーが好きだ ゆっくりれみりゃが好きだ ゆっくりフランが好きだ ゆっくり橙が好きだ ゆっくりみょんが好きだ ゆっくり藍が好きだ ゆっくりてゐが好きだ 平原で 街道で 森林で 草原で 神社で 工場で 屋敷で 空中で 鉄道で 個室で この地上で行われるありとあらゆるゆっくりいじめが大好きだ 行列を組んだゆっくりの一斉散歩を轟音と共に吹き飛ばすのが好きだ 空中高く放り上げられたゆっくり霊夢がれみりゃにばらばらにされた時など心がおどる 加工所員の操るフライヤーがゆっくりを揚げていくのが好きだ 悲鳴を上げて燃えさかる巣から飛び出してきたゆっくりを弾幕でなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった 捕獲棒をそろえた所員の横隊がゆっくりの家族を蹂躙するのが好きだ 恐慌状態の新人が既に息絶えたゆっくりを何度も何度も刺突している様など感動すら覚える 逃亡主義のゆっくり魔理沙達を木の上に吊るし上げていく様などはもうたまらない 泣き叫ぶゆっくり達が私の振り下ろした手の平とともに 金切り声を上げてシュウマイのようにぶちぶちと押し潰されるのも最高だ 哀れなゆっくり達が小賢しく文句をいい生意気にも立ち上がってきたのを 80cmマスタースパークが森の一画ごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える 竹林の発狂兎達に滅茶苦茶にされるのが好きだ 必死に守るはずだった家族が蹂躙され子ゆっくりが食べられ殺されていく様はとてもとても悲しいものだ アリスの人形に押し潰されて殲滅されるのが好きだ 上海蓬莱に追いまわされ害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ 諸君 私はゆっくりいじめを地獄の様なゆっくりいじめを望んでいる 諸君 私に付き従う虐待スレ諸君 君達は一体何を望んでいる? 更なるゆっくりを望むか? 情状酌量の余地のない糞の様なゆっくりを望むか? 盗み食いの限りを尽くし太陽畑の向日葵を殺す滓の様なゆっくりを望むか? 『ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり!』 よろしい ならばゆっくりいじめだ 我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとする握り拳だ だがこの暗い隔離スレで3スレもの間ゆっくりしてきた我々にただのゆっくりいじめではもはや足りない!! 大ゆっくりいじめを!! 一心不乱の大ゆっくりいじめを!! 我らはわずかに3スレと580レス 三千人に満たぬ敗残兵に過ぎない だが諸君は一騎当千のおにーさんだと私は信仰している ならば我らは諸君と私で総力300万と1人のおにーさんとなる 我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけているゆっくりを叩き起こそう ほっぺたをつかんで引きちぎり眼を開けさせ思い出させよう 連中に恐怖の味を思い出させてやる 連中に我々の拳の音を思い出させてやる 幻想郷には奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる 三千人のおにーさんの戦闘団で 餡子を食らい尽くしてやる 「おにーさんの一人より全おにーさんへ」 目標・幻想郷の魔法の森!! 第一次饅頭ころころ作戦 状況を開始せよ YT