約 632,061 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2499.html
れみりゃは俺が一番最初に飼い始めたゆっくりである。 今思えば、れみりゃは俺にいろんな切っ掛けをくれた。 そう、今の自分を形作っている中には、確実にれみりゃの影響があるのだ…… ◇ ◇ ◇ 「うっうー♪ぷっでぃんもってきてー」 「ほら、何バカなこと言ってるんだ。ちゃんと給仕ができなかったんだから、約束通り指結びだな」 俺はそう言いつつれみりゃの手を掴むと、ぶよぶよした指を本来曲がらない方向に曲げながら片結びをした。 親指結びではない。その柔らかすぎる指を利用して、同じ手の人差し指と中指を結んでいるのだ。 「うわぁぁぁ!!! ざぐやぁぁぁ!?!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり。それじゃ、次こそ溢さずに運んでこいよ?」 「いだいど!! いだいどぉぉぉ!!!」 「…………」 「ぼういや!!! ぼういやだぁぁぁ!!! ごーまがんにがえるぅぅぅ!!!」 床を転がりながら子供のようにだだをこねつづけるれみりゃを静かに見るが、特にこれといった感情は湧き上がってこない。 こんなの、ここ数日では当然の光景だからだ。 でも駄々をこねられて不満であることをれみりゃに伝えるため、とりあえず形だけでも大きな溜息を吐いておく。 「……はぁ、次は頭に針でも埋め込んでみるか。少しは頭が良くなるだろ」 「――――ッ! わ、わがりまじだぁ……。ゆっぐりはごんでくるどぉ……」 急に泣きわめくのをやめたかと思うと、青い顔をしながら台所へゆっくりと移動していった。 れみりゃの記憶力でも、一応は昨日の出来事を覚えているらしい。 片手の指を結んだらそれだけコップが運びにくくなることは、どうやらまだ理解して無いようだったが。 このれみりゃは、俺が見つけた初めてのれみりゃだった。 もちろん胴無しはそこそこ見かけていたけれど、この前運良くこの胴つきを捕まえたのだ。 れみりゃは自己再生能力が強い。 腕をもぎ取っても一晩経てば生えてくるし、栄養状態が良ければ毎日もぎ取っても死ぬことはない。 しかしれみりゃは、腕が生えてくるごとに腕をもぎ取ったことを忘れてしまう。それを覚えさせたければ、相当に長い期間が必要だろう。 そこで俺はこうして羽や指を結んだり、異物を埋め込んで痛みを持続させる方が向いていると思ったのだが、どうやら正解だったようだ。 今ではそこそこ素直に言うことを聞いてくれる。 俺はある計画を始めていた。 同士ならば、先ほどれみりゃに給仕をさせようとしたことで解るだろう。 ―――『れみりゃはメイド長計画』である。 元々は『普段さくやとか言ってるれみりゃなんだから、メイドにされるのは屈辱なんじゃないか?』というのが始まりだ。 だが、思いのほかそれは良いことに気が付いた。気がついてしまった。 ……新たなるジャスティスの誕生である。 無謀かと思うかもしれない。 しかし、俺はやり遂げてみせるっ! 幸いにも他に趣味は持ってないし、今は大学の夏休みだ。時間もたっぷりある。 え? メイドならさくやを探せって? ドジっ子アホメイドの良さがわからんとは哀れな奴め。 ◇ ◇ ◇ れみりゃはこの日、新しくこの家にやって来たゆっくりを見て驚いた。 こうしてゆっくりをおにーさんが連れてくることは何度もあったが、今回はゆっくりできないことをするためのゆっくりじゃない。 あたらしい家族なのだ。 「会社から帰ってくる時に山を通っていたら、偶然見つけたんだ。ほら、挨拶しろ」 おにーさんにそう言われても、れみりゃはじっとして動かないままだった。 だってそこにいたのは――― 「ぎゃおー!!! たーべちゃうぞぉー♪」 ―――れみりゃ、それもれみりゃザウルスである。 れみりゃザウルスはゆっくりしている。 そこにあるのは、飼いゆっくりとか野生のゆっくりとか、そんなのとは別次元のゆっくりだ。 「うー!? あそこにれみりゃがいるどぉー!?」 「ああ、あれは我が家のメイド長だ。何か困ったらあのれみりゃに訊け」 「うぅ~♪ ゆっくりりかいしたどぉー♪」 そう言いつつ、よちよちとこっちにやってきた。 緑色のその姿は凛凛しく、かっこよく、とても強そう。 "たーべちゃうぞー!" がこれほど似合うゆっくりは、他には存在しない。 ふりふりしている尻尾のゆっくりしている様子も、 "かりしゅま☆" すぎてとても言葉にできないほど。 つまるところ、れみりゃザウルスはとっても "えれがんと" で "ごーじゃす" で―――ゆっくりできるゆっくりだった。 「すごいどー!? すごくゆっくりしたおぜうさまなんだどぉー!」 「う~♪ れみりゃもすごくゆっくりしたザウルスなんだどぉ~♪ ゆっくりしていってねぇ~!!!」 そう言いながら、れみりゃはこのれみりゃがゆっくり家族に馴染んでくれることを願った。 野生だから最初は時間がかかるけれど、一度家族になれればとてもゆっくりできる。 だからせめて、死ぬまでに一度は馴染んで欲しかった。 「れみりゃはうれしいんだどぉ~♪ はじめてのおともだちだどぉ~♪」 「うっうー☆ てれるどぉ~♪」 れみりゃはこれまで、何度もゆっくりが殺されるのを見てきた。 この前はえーきさまが殺された気がする。 とにかく、飼いゆっくりになっても安全ではない。 おにーさんは怖いにんげんさん。 でも、それと同時にやさしいにんげんさんなのだ。 ゆっくりできないことをしなければ、やさしいのだ。 だから友達になったこのれみりゃには、何も悪いことをしてほしくなかった。 「おい、れみりゃ。明日は当然だが仕事がある。だから明日『しつけ』をするまでの間、ゆっくりがんばってくれ」 何も悪いことを、してほしくなかった。 ◇ ◇ ◇ 「ごじゅじんざま、こーびーをもっできまじだ……」 「いや、コーヒーじゃなくてジュースなんだが……まあいいか。ちゃんと運べているし」 『れみりゃはメイド長計画』を始めてから二週間後。 てっきり夏休みいっぱいかかるかと思ったのだが、たったそれだけの期間でれみりゃは給仕の仕方を覚えてくれた。 もうジュースをこぼして指結びをすることはほとんどない。 ただプライドだけは無駄に頑固なのか、屈辱の涙を溢しながらの給仕だが。 「れみりゃ、もう行っていいぞ」 「わがりまじた。しづれいじまじた」 ちゃんと一礼をしてから出ていくれみりゃ。 服装もメイドの格好ではないし、主人に忠誠も誓ってないのだが、その姿はメイドといえないこともなかった。 あとは俺に懐いてくれてたら最高なのにな…… もっとも、さすがにそれは望みすぎだと思う。 「……しかし、どうしたものか」 俺は今現在、ゆっくり虐待の大きな岐路に立たされていた。 今までのような肉体的なものではなく、ちょっとしたぬるいじめも好きになってきたのだ。 もちろん、その原因はあのれみりゃである。 決まった時刻に給仕で来るように言っているのだが、その時にからかうだけでも俺の心は満ち足りてしまう。 これは―――恋!? いや、違うか。ゆっくりに恋するほど落ちぶれてはいない。 「そういやあいつ、この時間の後はどこかに遊びに行ってるが……友達でもいるのかね?」 一応あのれみりゃには、シルバーバッチをつけている。もしかしたら同じ飼いれみりゃの友達でもいるのかもしれない。 ちなみに最初は外に出すたびに逃げないの疑っていたが、何度も家に帰ってくるうちに信用することにしたのだ。 甘いかもしれない。だが、こういうのも悪くない気がする。 「うわぁぁぁーーー!!!」 そのとき、突然外かられみりゃの叫び声が響いた。 犬にでも襲われたのだろうか? だったらちょっと眺めた後に助けよう。 「おい、うるさいぞっ……って、なんだそのぱちゅりー?」 ◇ ◇ ◇ 「むきゅ、ぱちゅりぃはぱちゅりぃよ。ゆっくりしていってね!!!」 「うー! ゆっくりしていくどぉー!!!」 次の日、おにーさんがお仕事に出かけてしばらくしたころ。 メイド長のれみりゃは、れみりゃザウルスに親友であるぱちゅりぃを紹介していた ぱちゅりぃはこの家で、二番目の古参である。 れみりゃよりも頭がいい "まじょ" なので、その知識はれみりゃとは比べ物にならない。 実質、この家のゆっくり全ての司令塔だった。 「いい、れみりゃ? おにーさんのいうことをよくきいておきなさい。そうすればゆっくりできるから」 「うぅ~♪ れみりゃはザウルスだから、いつもゆっくりしているどぉ~☆」 「…………」 「うっうーうぁうぁ☆」 ぱちゅりぃがじっとこっちを見つめている。なんか、すごい目だ。 もちろんれみりゃもわかってる。このれみりゃは何もわかってないって、わかってる。 それを教えるのが自分の役目だ。 「れみりゃ、よくきくんだど。このいえでは、おにーさんがおぜうさまなんだどぉ!」 「うぅ? おぜうさまは、れみりゃだど? おにーさんはさくやだどぉー♪」 「う~~! ちがうの! おにーさんがおぜうさまで、れみりゃはさくやなんだどぉー!!!」 「うぅ~???」 れみりゃは目の前のれみりゃがどうして不思議がっているのか、ゆっくりりかいしていた。 れみりゃも初めてここに来た時は、ここは "こーまかん" でおにーさんは "さくや" だと思っていたのだから。 だけど、おにーさんは強かった。 強くてかりしゅまを持っている、本当のおぜうさまだったのだ。 ちなみにそれはおにーさんがれみりゃをメイド化しようとした時に、れみりゃの立場をわかりやすく説明したものである。 命令できる人=おぜうさま。 命令される人=さくや。 これほどれみりゃにわかりやすい説明もないとおにーさんは思っているが、実は受け入れにくさはまったく変わっていない。 むしろ突然『おまえ、こんどから俺の専属メイドな』と言われてるのに等しいのだ。人間だって理解できない。 「れみりゃはゆっくりした "ぼでぃー" をもってるど。でも、おにーさんはもっとゆっくりしたおぜうさまなんだどぉー!」 「うー! ぢがうもん!! でみりゃばおぜうざまだもん!!」 「むきゅっ! そんなことをいってはだめよ! おにーさんにきかれたらたいへんじゃない!」 「ばぢゅりぃばでぇぇぇ!?!」 「うー……ゆっくりりかいしてほしいんだどぉ……」 れみりゃはゆっくりと説明したが、このれみりゃザウルスはわがままだった。 いや、もしかしたらこのれみりゃの反応が普通で、れみりゃはここでの生活が長くてそう思ってるだけかもしれない。 「……うー? そうだど! れみりゃは "めーどちょう" っていわれてたどぉー! だかられみりゃはさくやだどぉー!!!」 「う、うぅ~!?」 そう言われて、れみりゃは困る。 れみりゃはさくやだ。それは間違いない。 でも、友達のれみりゃの命令を聞く必要はないはずだ。 だから、れみりゃはさくやだけど、さくやじゃない……? でもれみりゃはさくやで、さくやで、さくやじゃなくて……??? れみりゃの頭が熱くなってきた。 さくやだけどさくやじゃないなんて、本来れみりゃは考えることもない疑問だったであろう。 だが、このれみりゃもだてに長生きしているわけではない。 その疑問をゆっくり十分間考え続けた結果―――正しい答えを導き出すことができた。 「れみりゃはさくやだどぉ! でも、れみりゃはれみりゃのさくやじゃないどぉ!!!」 しかし、その十分間にれみりゃザウルスは開き直っていた。 「さくやははやくぷっでぃ~んをもってくるんだど☆」 「うーー!! ちがうどぉ! だかられみりゃはさくやだけど、れみりゃのさくやじゃないどぉ!!」 「ニパー☆ そういえばれみぃ、おぜうさまだったど♪ れみりゃのめいれいをきくなんて、おかしいとおもってたんだどぉ~♪」 「あぁー!? それはだめだどぉ! おにーさんに『おしおき』されるんだどぉ!?!」 「さっそくこーまかんを "ぽぉーい♪" しておそうじするどぉ♪」 「―――ッ! そこまでよ! れみりゃ、やめなさい!」 「ぼうやべてほじいどぉ! やべるんだどぉ!!」 「ぎゃおー! たーべちゃうぞぉー♪」 「ううぅぅぅ……うわぁぁぁ!!! ざぐやぁぁぁ!!!」 「あなたがさくやをよんでどうするのよ……むきゅん……」 ◇ ◇ ◇ 数日後、そこには俺とれみりゃと一緒にゆっくりするぱちゅりーの姿があった。 「むきゅー! すっかりげんきになったわ!!!」 あの時、れみりゃはボロボロになってた野生のぱちゅりーを抱えて泣いていた。 なんでも、このあたりに俺が連れてきたときから唯一の友達だったらしい。 それを聞いて俺は最初に『どうして友達なんだ? あまあまじゃないか』と言うと、 『あまあまだけどおどもだぢなの!!!』と返された。 ぱちゅりー種とれみりゃ種がたまに仲良くなるということは知っていたが、喰う喰われるの関係なのによくわからん。 とりあえず俺は気まぐれで助けてやることにした。 「れみりゃはぱちゅりーのおんじんよ! ゆっくりかんしゃしているわ!!!」 「うー♪ それほどでもないどぉ~☆」 後でこのぱちゅりーに聞いたところ、元いた群れでれみりゃと仲良く話しているところを見られたらしい。 それだけなら問題はなかったのだが、この前れみりゃが襲ってきたことで状況が変わった。 内通者としてリンチにあい、群れを追い出されたそうだ。 ゆっくりの世間も世知辛いものである。 「れみりゃのくせに謙虚にも『それほどでもない』と言うとはな……。よし、今度ケーキを買うか!」 「うぅー! やったどぉー!!!」 「……なんでれみりゃが喜んでんだ? ぱちゅりーの全快祝いだぞ?」 「うううー!?」 まあでも、一応買ってやらないこともないかな、と俺は心の中でこっそり思う。 ここ最近、俺は本当に丸くなった。まるで子供ができた時みたいだ。 ……あ、俺には子供はいないからな? あくまでもたとえ話だ、たとえ話。 「むきゅっ! あんしんしてれみぃ。ぱちゅりーのケーキさんを分けてあげるわ」 「うぅ~☆ ぱちゅりーはやさしーんだどぉー♪ おれいに、いっしょにかりしゅま☆ダンスをおどるんだどー♪」 「いいわよ。いっしょにおどりましょう」 「うっうーうぁうぁ♪」 「むっきゅーむきゅむきゅ♪」 部屋の中で不思議な踊りを踊る饅頭二匹。 れみりゃを始めて捕まえた時は殺意がわきあがったその踊りも、なんだか微笑ましく見える。 ……うざく思えないなんて、れみりゃいじめはできないな、こりゃ。 「でもMPが吸い取られてるから、優しくなんてしてやんない。してやらないんだからねっ!」 「むきゅ? おにーさんがとつぜんなにかいいだしたわね」 「いまはじゆうじかんだからむししていいんだどぉ☆ うっうーうぁうぁ♪」 さすがにそんな風に言われるのは……と思ったが、これが信頼かなと自然に思えた。 つまりそれは、今はその程度のことで『おしおき』しないと、信用してもらっているということ。 そう思った時に俺は何かを感じたが、まあそんなに悪い気分じゃなかった。 信用されるというのは悪くない。……悪くない、のだ。 結局この時はそれがなんだかよく解らないまま、俺は本当に楽しそうに踊りを続ける二匹を見続けた。 ―――うっうーうぁうぁ♪ ―――むっきゅーむきゅむきゅ♪ ◇ ◇ ◇ 「あぁ……ああぁぁぁ……」 「う~♪ み~んな "ぽぉーい♪" してすっきりしたどぉー☆」 「……あきらめましょう、れみぃ」 れみりゃザウルスが完全に開き直ってからどれくらいたったのか。 れみりゃとぱちゅりぃはその "ぽぉーい♪" されたものを必死に片付けて行ったのだが、 それを見かけたれみりゃザウルスがまた放り投げることの繰り返し。 おかげで部屋はすさまじい状況になっていた。 ……なんというか、もう収拾がつかないくらいに。 「……ぱちゅりぃ、おにーさんがかえってくるまでどれくらいだどぉ?」 「……あとながいはりがふたつぶんね。おやつをたべるじかんよりみじかいわ」 絶望的だった。 このれみりゃはこのままだと、確実に『おしおき』される。 それどころか、れみりゃも『おしおき』されるかもしれない。 悪いことをやったのだ、仕方ないだろう。 だが、それでもれみりゃは考えた。 どうすればいいか、一生懸命考えた。 だってれみりゃはさくやなのだ。 かんぜんでしょーしゃなめいどなのだ。 友達ぐらい、救えるはずだ。 さくやならなんでもできる。 なぜなら、自分がおぜうさまだった時からそう信じているから。 今は、自分が―――れみりゃが、さくやなのだ。 しかし根本的に、れみりゃに良い案が思いつけるわけがない。 「ただいまー……って、おかしいな? いつもならここでれみりゃが『う~♪ おかえりだどぉ~☆』とか言ってくるはずなのに」 玄関からそんな声が聞こえてくる。それはつまり……時間切れ。 「う~? さくやがかえってきたどぉ~☆」 「だ、だめだどぉ! おにーさんをさくやってよんだらだめなんだどぉ!! もっと『おしおき』されるんだどぉ!」 「うぅ? なられみりゃの "かりしゅま☆ぼでぃー" でぎったんぎったんにしてやるんだど♪」 「……おにーさんがかえってきたら、すぐにゆうしょく。もうむりよ」 「……こんやはゆっくりできない "でぃなー" になるんだどぉ……おにーさん、おこりそうだどぉ……」 「おーい、夕食の時間だぞー! れみりゃー! どこだー?」 おにーさんがくれる食事は、基本的にゆっくりフードである。 いつも同じ味というわけではなく毎回違う味のゆっくりフードなので、食事はとてもゆっくりとしていた。 台所にはすでに何匹かのゆっくりがいて、自分の皿にゆっくりフードが配られるのを今か今かと待っている。 「おっ、ぱちゅりぃといっしょか。れみりゃザウルスの様子はどうだ?」 「うー……それは……」 「むきゅー……」 れみりゃは何か言わなければいけないが、何も言えなくなってしまった。 ぱちゅりぃもフォローにしようがないのか、同じように黙っている。 だが、件のゆっくりはそんな空気などお構いなしだ。 「うぅ~☆ さくやすごいどぉ~♪ ゆっくりとした "でぃなー" なんだどぉ~♪」 それを聞いて周りのゆっくりたちはぎょっとし、いっせいにれみりゃ達の方を向く。 ゆっくりだけではない。今ではおにーさんも無言になってれみりゃザウルスを見ている。 先ほどまでうるさかった台所は、気味が悪いくらいに静まり返ってしまった。 「うぅっ……」 たくさんの視線と無言の圧力に押されたのか、能天気なれみりゃザウルスもたじろいでしまう。 しかし、みんなは別にれみりゃを怖がらせるために黙ったわけではなかった。 その目には各々が『やめてね!』とか『それいじょういっちゃだめだよ!!』という警告を含ませていた。 だけども、れみりゃとしてのプライドがそれを許さない。 「……ぶっ、ぶれぇーだどぉ! さくや……さくやははやくれみりゃをたすけるんだどぉー!!!」 「いや、助けるって言われても……どうやって?」 「う、うー!?」 「いや、だってみんな何もしてないし、助けようがないって。――ところで、さくやって俺のことだよね?」 「うっう~☆ さくやはさくやなんだどぉ♪ そんなこともわからないのかだどぉ~♪」 おにーさんは一瞬だけこっちを……メイド長のれみりゃを見た。 でも、本当にそれだけだった。それが何を意味するのか、れみりゃには解らない。 「いいかい、れみりゃ。ここでは俺が "おぜうさま" だ。少なくとも俺のことを "さくや" と言ってはいけない」 「そんなのしらないんだどぉ♪ おぜうさまはうまれたときからおぜうさまで、れみりゃはザウルスなんだどぉ♪」 「……お前、この家のルールは聞いてたか?」 「う~?」 「……連れてくる時によく言っておいたはずなんだけれどな。まあ、こうなるか」 このとき、れみりゃは予感に近いものを感じ取った。 おにーさんの顔は笑顔だったけれど、怖かった。 このままあのれみりゃは殺される。 「いいかい、俺を "さくや" と言ってはいけない。これは命令だ」 「それよりはやくぷっでぃ~んをたべるどぉ♪ まったく、さくやはだ―――」 その瞬間、れみりゃザウルスは頭部の中枢餡を棒によって貫かれた。 結果、断末魔を上げるより早く死んだ。 誰に? おにーさんではない。 「うー! ゆっくりしね!!!」 ふらんだった。 この家で一番強い、れみりゃの大先輩であるふらんだった。 ◇ ◇ ◇ ある日のこと、ぱちゅりーはちょっとした事件を起こしてしまった。 "ごほん" と称して読んでいた広辞苑の一部を破ってしまったのだ。 「むきゅー……ごめんなさい、おにーさん」 「れみりゃもあやまるんだどぉ! ごめんなざいだどぉ!!」 目の前で土下座(?)みたいなことをする二匹。 特にれみりゃは俺の怖さを知っているためか、ものすごい勢いで謝っている。 「ほらほら、そんなに謝らなくてもいいって。ぱちゅりーもわざとじゃないんだろ?」 「……でも、ぱちゅりーがごほんをやぶったのには、かわりないわ」 「そうだな、だから簡単な『おしおき』しようかと思う。ぱちゅりーはそれでいいね?」 『おしおき』と聞いて、れみりゃはびくりと震える。 それはそうだろう、前にも実際に何回か受けたことがあるはずだしな。 まあ、今回のお仕置きは本当に、まったく時間をかけない簡単な奴だ。 「むきゅっ! わるいのはぱちゅりーだもの、あたりまえよ!」 「そうだな、聞くまでもなかったか」 俺はぱちゅりーを一撃で潰した。 その時のれみりゃの顔は、一生忘れられないだろう。 そして、その表情こそ……俺が求めていたものだと確信する。 「うわあああぁぁぁぁぁ!?!?!」 少し時間をおいて、れみりゃは今まで聞いたこともないような大声で叫び出した。 そのまま俺に掴みかかってきたため、簡単に足払いで転がしてから背中を踏みつける。 「どうじで!!! どうじでばぢゅりーが!?! どうじでぇぇぇ!!!」 「おいおい、聞いてなかったのか? 俺は『おしおき』をしただけさ」 「『おじおぎ』は……! 『おじおぎ』はゆっぐりでぎないげど! あどでまだゆっぐりでぎだもん!!!」 「―――何を勘違いしてるんだ? これはれみりゃの『おしおき』だよ」 そう、これはぱちゅりーの『おしおき』ではない。 れみりゃが拾って来たぱちゅりーだから、れみりゃへの『おしおき』だ。 大切な友達を殺せば、さぞかし苦しむだろうと思ったからこその『おしおき』だ。 一瞬の静寂の後、れみりゃは顔をぐちゃぐちゃにしながら叫び出す。 「ぶざげるな!!! ばがぁぁぁ!!! うらぎりぼの! じねっ!! じねぇぇぇ!!!」 「おいおい、これは『おしおき』なんだ。……後でゆっくりできるんだろ?」 「ぐがぁぁぁ!!! じねぇぇぇ!!! じねっ! じねっ! じぬんだぁぁぁ!!!」 れみりゃは呪いの言葉を叫び続けるだけの肉まんになった。 もうこのれみりゃは、俺の言うことなど聞かないだろう。 「裏切り……ねぇ」 『信じている』ものを裏返す、最低の行為。 それこそが、俺の求めていた虐待だったのかもしれない。 信用してた相手に裏切られるというのは、とても苦しいのだろう。 友達を失うというのは、とても悲しいのだろう。 指を結んだ時よりも、 羽を結んだ時よりも、 頭に針を刺した時よりも、 今のれみりゃの顔はそれらを軽く凌駕していた。 「じねぇぇぇ!!! ばじゅりーをごろじだにんげんはじねぇぇぇ!!!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり。……ちょっとうるさいな」 「じねぇっ―――ぐげっ! ぐげげっ! ぐげげげげっ!」 俺は背中を踏んでいた足を後頭部に移動させたが、まだ怨嗟の言葉を吐き足りないらしい。 満足な音になってないのに、それでも口を動かしているのがわかる。 「さて、俺をゆっくりさせてくれたお礼だ。このまま一撃で頭を潰し、殺してやる。―――これからやることも、決まったしな」 ◇ ◇ ◇ 「おいおい、そんなにあっさり殺しちゃダメだろう? 『おしおき』ができないじゃないか」 「うぅー……ごめんなさい」 「まあいいか、緊急時だったしな。そんなに落ち込むんじゃない」 みんなはおにーさんとふらんのやり取りから、ずっと目をそらしている。 殺さなくてもいいと思っていた。 ゆっくり反省すれば、みんなのように生活できると思っていた。 だってここにいるみんなは、ほとんどが野生で生きていたことがある。 みんながすぐに家族として馴染めるわけじゃない。誰でも一度はおにーさんに刃向かったことがある。 それで生きていられるのは、その時は『おしおき』だけで済んだからだ。 おにーさんは優しい。 ゆっくりできないことをされることはあっても、殺されることはない。 悪いことをしなければとてもゆっくりできる。 少なくとも、みんなそう『信じている』。 でもこの家にいる限り、とあるルールがあった。 ルールを守らないとゆっくりできないから、ルールは存在する。 そして、れみりゃはそのルールを犯してしまった。 1、おにーさんの命令は絶対 2、家にいるゆっくりを殺してはいけない 3、どちらかを破ったらふらんに殺される さっきのれみりゃザウルスは1番のルールをやぶってしまった。 だからふらんに殺された。 ―――この家で最古参の、ふらんに殺された。 「れみりゃ、その死体を冷凍庫に運んでくれ」 「……れみぃ? おにーさんが呼んでいるわよ?」 「……! わ、わかったど!! ゆっくりりかいしたどぉー!!!」 「ひぐっ……ひぐっ……」 こうしてれみりゃは、友達になったばかりのゆっくりの死体を運んでいた。 たった一日だけだったけれど、友達だった。助けたかった。 死体は的確に横から頭を貫かれただけだったから、目を閉じさせてやれば眠っているようにも見える。 手を使って表情を整えれば、とてもゆっくりとした寝顔の出来上がり。 もう目を覚ますことはないのだろうけれど、少しでもゆっくりしてほしかった。 そういえば、おにーさんの顔はずっと笑顔のままだった。 新しい家族になったばかりのれみりゃが死んだのに、笑顔だった。 もしかしたらおにーさんは、最初からあきらめていたのかもしれない。 ……最初からご飯として、れみりゃザウルスを連れて来たのかもしれない。 家族になってくれるチャンスがあっただけ、ましだったのだろうか。 "れいとうこ" ということは、明日の夕食になるのだろう。 ゆっくりフード以外の夕食は、みんな同じものなのがお約束。 大丈夫、れみぃならできる。がんばれる。 泣いてなんかいない。このゆっくりは、悪いゆっくりだったんだ。 だから、明日の夕食に出ても食べてやる。れいむやまりさのように、おいしく食べてやる。 だってれみりゃが駄々をこねれば、おにーさんは笑顔で命令して――― そう、れみりゃはメイド長。 どんな仕事もこなす、かんぜんでしょーしゃなめいど。 今日もおにーさんのどんな命令にも従っていく。 そうすればゆっくりできると、おにーさんを『信じている』から。 ―――だから殺されるとも知らないで。 あとがき れみりゃもおだてりゃ木に登る。 前回はゆっくりできなかったようですみません…… というか、やっぱり数日ぐらい修行してから書いたほうがいいのだろうか…… ゆっくりパートが苦手すぎる……なんというか、微妙に賢い。 このお話は今飼っているれみりゃと一番最初に飼っていたれみりゃの話を、時系列を交互にして出しています。 解りにくかったでしょうか? 解りにくければごめんなさい。 れみりゃザウルスの設定をうまく生かせなかった…… でも、友達になりそうな希少種って、これしか思いつかなかったんです。 この後にお部屋が散らかってることに対しての『おしおき』でれみりゃが殺されるかどうかは、 皆さんのご想像にお任せします。 今までの作品を読まなくても楽しめ……るかな? とりあえず大量にゆっくりを飼っている家だと理解してくれれば、楽しめるはずです。 ついでに、家にいるゆっくり全員に死亡フラグが立ちました。 あと黙ってましたが、自分はれみりゃが好きです。こんなの書きましたが嫌いではありません。 前に書いたもの ゆっくりいじめ系2744 B級ホラーとひと夏の恋 ゆっくりいじめ系2754 ゆっくりできないおみずさん ゆっくりいじめ系2756 ゆっくり障害物競走? ゆっくりいじめ小ネタ517 見えない恐怖 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1392.html
「大変長らくお待たせ致しました。只今より、第一回Y-1グランプリを開催いたします!!」 司会の男が開催を宣言する。いよいよY-1が始まるのだ。 大丈夫、私のコキン=トウなら必ず優勝できる。その為に半年もの間猛特訓してきたんだから。 この馬鹿馬鹿しい大会で優勝し、ゆっくり一年分をゲッツしてくるのはこの子だ。 胸に抱えたコキンをぎゅっと抱きしめる。闇のように黒い瞳の奥に闘志が燃え盛っているのが分かる。 半年前 いつものように紅魔館の門前でシエスタをしていると、いつものように額の鋭い痛みで目が覚めた。 あ~あ、また見つかっちゃった。ま、本気で隠れてないから別にいいんだけどね。 そしてお説教。まだ若いのに毎回言う事が同じなのは危ないんじゃないだろうか。 そんな事を考えながらも反省している様に見せる為に俯く。と、何やら紙切れが飛んで来た。 Y-1グランプリ?各自が持ち寄ったゆっくり同士を戦わせ、鍛えたワザで勝ちまくった優勝者には賞金として…… 「い、いちまんえん!?」 古谷徹『現在の価値に換算して約一千万円である』 「な、なんだってー!!…じゃない、何を言ってるの美鈴!貴女話を聞いてないわね!!」 「あああ、き、聞いてます聞いてますよう!以後気を付けますですハイ!!」 その台詞も何度聞いたか、と言いたそうな目でこちらを一瞥して館内に戻る咲夜さん。 一応姿が見えなくなるまでチラシを拾うのは控える。無意味だろうけど。 しかし、一万円かぁ……それだけあれば美味しいご飯が沢山食べられるんだろうなぁ。 紅魔館では従業員に食事がきちんと出されるけれど、正直言えば足りない。質ではなく、量が。 だって私は門番さん。毎日のよう敵が来なければひたすら棒立ち、敵が来ればとりあえずフルボッコにされるのが仕事なのだ。 その激務の割に食事の量が他のメイドの倍程度じゃとても足りない。せめて十倍は欲しい。 何て事を一度咲夜さんに進言したら物凄い顔で睨まれた。マリ○クでもあそこまで凄い顔にはならないと思う。 開催は半年先だ。まだまだ時間はたっぷりある。 大会規定として、捕食種であるレティ種、ゆゆこ種、れみりゃ種、フラン種は使用禁止らしい。 それなら、と先程から湖の岸で他のゆっくりと遊んでいるゆっくりれいむを見る。……あれでいいか。 とりあえずここいらに住むれみりゃ種に食われても面倒だ。今捕まえてしまおう。 一歩でお目当てのゆっくりの元へ移動する。人間達はこれを見て縮地だの何だの言って騒ぐが、私にとってはただの踏み込みだ。 「ゆゆゆ!!おねえさんだれ!?いきなりでてきてなんのようなの!?」 「ちちちちちーんぽ!?ちんぽちんぽー!?」 「ちんちん!?ちんちちんちちんちちんちん!!」 「ほう、経験が生きたな」 ああうるさい。お尻型の小物を頭に付けたのはともかく、他のはどいつもこいつも甲高く喚いてやかましい。 さっさと部屋に連れて行くか。 「そこの紅白のゆっくり。私の部屋でゆっくりしない?」 「ゆっくりできるの!!?ゆっくりしたい!!ゆっくりさせていってね!!!」 「ちんぽちんぽー!」 「ちんちん!ちんちんちんち……ちんこ!」 「⑨年でいい」 とりあえずゆっくりれいむだけ抱え上げて、他のゆっくりに宣言する。 「あんた達はいらないわ。お友達と一緒にどっか行きなさい。ここにいられると耳障りだし」 「ち、ちーんぽ!!」 「ちんちーん!!」 「リアルで痛い目を見たいのかわたしはリアルで天人属性だから相当の力持ち」 「お、おねえさんみんなもつれてってくれないの!!?おねえさんはゆっくりできないひとなんだね!!おうちかえる!!!」 やはりゆっくりに言葉は無意味か。しょうがない。 「そ。それじゃあさようなら」 「ぢい゛い゛い゛ん゛ぼお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ペニス!!!!!」 「このままでは私の寿命がダメージでマッハなんだが……」 三匹とも物言わぬ餡子と皮に変える。その間僅か0.02秒。まあまあね。 ゆっくりれいむはキョトンとしていたが、段々状況が飲み込めてきたのか、大声で泣き喚き始める。 「み゛ん゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「ああうるさい」 あまりにうるさいので当身をして気絶させる。ゆっくりにも効くんだ、当身。 気絶したゆっくりを部屋に放り込み、門番業再開。その間暇なのでリングネームでも考えておくかなぁ。 仕事を終え部屋に戻ると、ゆっくりれいむは眠っていた。 一度起きた形跡はある。部屋中の物が床に落ちてたり破れてたり涎でべしょべしょだ。 一瞬このまま物言わぬ塊に変えてやろうかとも思ったが、一万円の為我慢する。よし、美鈴偉い! 「起きなさいコキン。訓練の時間よ」 「うう~ん……ゆっくりしていってね……むにゃむにゃ」 鞭でしばいてみる。 「いたい!!いたいよおお!!……あれ、ここはどこ!?おねえさんだれ!!?」 「起きたわねコキン。ここは私の部屋で、私はあんたの飼い主。いや、トレーナーよ」 「れいむはそんなへんななまえじゃないよ!!れいむはれいむだよ!!ゆっくりさせてね!!!」 「あんたはれいむじゃなくて、コキン。コキン=トウがあんたの名前。次は無いわよ」 「れいむだってば!!おねえさんゆっくりできないひと!?ゆっくりできないならここからでていってね!!!」 うわあ。こいつもうここを自分の巣だと考えてるみたい。何その稀に見る図々しさ。 とりあえず鞭でしばく。 「いたい!いたいよおねえさん!!やめてやめて!!ゆっくりしていってね!!!」 「あんたはコキン=トウなの。今度否定したらこんなんじゃ済まないよ。後ここは私の部屋」 「ゆっくりできないおねえさんなんてきらい!!れいむのへやからゆっくりでていってね!!!」 「だからここは私の部屋だっつってんでしょう。聞き分けの無い子だね」 鞭と言葉で分からないなら肉体言語しかない。とりあえず死なない程度に殴ってみる。 「ひゅぶべっほぉ!!?びゅぷぷっ……!!ゆっぐりざぜで!ゆっぐりざぜでよおおおお!!」 「ゆっくりしたかったら今後私の言葉に逆らわない事。逆らったらまたぶつよ」 「さがらいまぜん!さがらいまぜん!!だがらゆっぐりざぜでぐだざいいいいいいいいい!!!」 「分かればいいわ。じゃあ早速、コキン」 「はい゛!!」 「ご飯、あげるわ」 「ゆ!ごはん!ごはんくれるの!!?ゆっくりもってきてね!!!」 何て切り替えが早いんだ。呆れながら後ろ手に持っていたゆっくりまりさの死骸を投げる。 「ま、まりさ!!おねえさんまりさをどうしたの!!?」 「別に何も。たまたまれみりゃに食べられてた所をちょいと横取りしてきただけよ」 「まりさ!まりさああああああああ!!!よくもまりさを!!!おねえさんなんてゆっくりしね!!!」 「ふう、ん」 再び殴る。どうせこいつは何を言っても分からないだろうし、この方が手っ取り早い。 「そいつは別に私が殺した訳じゃないし、あんたのエサもそれだけ。さっさと食べなさい。夜はこれからなんだから」 「まりさはごはんじゃないよ!れいむまりさなんてたべないよ!たべものをもってきてね!!」 「いらないなら私が食べようか?あんたを」 「たべます!たべます!ゆっくりたべます!!!」 「そ」 コキンは泣きながらゆっくりまりさの死骸を食べ始める。最初のうちは恐る恐る、泣きながらだったが、そのうち食べるペースもあがってくる。 「はぁはぁ……うっめ!これめっちゃうっめ!たまんね!!」 やはり饅頭。仲間だろうが何だろうが、美味しいものは美味しいらしい。更に食欲に勝るものは無いようだ。ふふ、グッドね。 「どう、美味しかった?」 「とってもおいしかったよ!!おねえさんありがとう!!!またもってきてね!!!」 おやおや、たった一匹食っただけでこの台詞。コキンは中々優秀かもしれない。 「じゃあ早速訓練といきましょうかね。コキン、とりあえず私にかかってきなさい」 「ゆゆ!?おねえさんといそがしくするの!!?いやだよれいむはゆっくりしたいよ!!!」 「コキン」 「こ、こきんです!!れいむのなまえはこきんです!!」 「よろしい。……ほらさっさとかかってきなさい。別に殺しやしないわよ」 「ゆ、ゆうううう……ゆっくりしね!!!」 たかがゆっくりが何万匹束になっても私をどうにかできるとは思わない。 けれど、戦闘経験を積ませる事は大事だと経験上思う。どうせゆっくりの戦いに技術もへったくれも無い。要は気合だ気合。 私に飛び掛ってきては弾き飛ばされ、へたれそうになる度脅して続行させの繰り返しの訓練を数時間。 コキンはもう動けない位疲労しているようだ。 「今日のところはこの位でいいわ。お疲れ様。明日もやるんだからせいぜいゆっくり寝なさい」 「ゆっ……ゆっく……ぜひぜひ……ゆっくり……ねるよ……」 そうして泥のように眠るコキン。それにしても、ゆっくりも動けば疲れるんだ……本当にこいつらは謎が多い。 半月程こうした訓練を続けた後、私は次のメニューをやらせる事にする。 「今日のご飯はゆっくりれいむ丸ごと一匹よ。いつもれみりゃの食いかけだもの、嬉しいでしょ?」 「ゆっくりたべさせてね!!ゆっくりたべさせてね!!」 「はいどうぞ」 「むぎゅっ!いたいよおねえさん!ゆっくりできないなられいむのおうちからでてけ!!」 「ゆゆ!?れいむがいるよ!!れいむがしゃべってるよ!!おねえさんどういうこと!!?」 「あんたは今からそいつを殺して食うのよコキン。それが今日の訓練兼夕食。それじゃ頑張って」 「ゆ!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 エサれいむがコキンに頬擦りする。どうやら友愛の表現らしい。だがコキンは今や普通のゆっくりれいむとは違う。 この半月の間コキンはゆっくりの死骸しか食べていない。目の前で何度も解体してもいるが、躊躇わず食うようになった。 野生の頃に食べていた蝶だの雑草だのは、もうコキンの口には合わないらしく与えても食べない。 同族の味を完全に気に入ったゆっくりに、ただのゆっくりれいむが太刀打ちできるとは到底思えない。 「ゆっくりたべられてね!!」 「ゆ゛!!な゛、な゛に゛ずる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 ほうら、思った通り。コキンはもうたとえ同種のゆっくりであろうと躊躇しない。 食いかけだろうと私が殺したものだろうと―――生きているものだろうと、今のコキンは関係無く食べる。 同程度の体格なら先制攻撃を仕掛けた方が勝つ。もうこのゆっくりれいむの運命は決定している。 「はぁ!はぁ!うっめ!こいつめっちゃうっめ!!やっぱたまらんわ!!」 「い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!」 「ハム!ハフハフ、ハフ!!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 絶叫と共に、ゆっくりれいむは動かなくなった。 白目を大きく見開き顔の半分にまで口を裂き、涙で水溜りを作り泡状の涎を垂らす醜いオブジェとなった。 そんなゆっくりれいむを、コキンは一心不乱に食べていく。興奮で頬を染め、とても幸せそうな表情だ。 ……ふふ、なんて酷い仔だろう。そんな二匹を眺める私の体もまた、昂ぶっていた。 ううん、最近咲夜さんに刺されてないからかなぁ。たまにはシエスタを見られないといけないな。 三ヵ月後、通常の同種ならば既に三匹同時まで相手に出来る程にコキンは成長していた。 精神構造が若干変化した程度でここまで強くなるとは驚きだ。身体能力は殆ど変化していないのに。 ゆっくりの弱さが精神面に起因しているという事がよく分かる。 そろそろ、捕食種と戦わせてもいいかも知れない。 早速仕事中にれみりゃ種を一匹捕らえ、手足と翼をもいで足元に置いておく。 最近のコキンは見かけたゆっくりを反射的に襲うようになったし、こいつは放って置けばどんどん傷が治るからね。 部屋に戻ると、コキンはエサの催促をして来た。全く卑しい仔だねこいつは。 「ゆっくりおかえりなさい!!ご、ごはん!ごはんちょうだい!!おなかへったよ!!!」 「はいはいただいまコキン。今日のエサは、こいつよ。ゆっくりれみりゃ」 「う、うぅー?うー!うー、うー♪」 足を掴んで逆さ吊りにする。床に居るコキンを自分にくれるのだと思ったらしく、吊られたままで手を叩いて喜ぶ。 ……醜い。あのどこまでも強くて誇り高い、偉大なお嬢様とは似ても似つかない。 「ゆっくり!はやくゆっくりたべさせてね!!」 コキンはそう言うが、ゆっくりれみりゃの方が胴体付きな分有利だ。身体能力もれみりゃ種は高い。 ここに来てコキンを食われたらたまらないので、食われそうになったら止めるとしよう。 「はいどうぞ」 「うっうー♪いたあきあーす!!」 上機嫌でコキンに一直線に飛び付くゆっくりれみりゃ。だが、 「ゆっくりたべられてね!!!」 「う゛あ゛ー!う゛あ゛ー!」 まさか餌に過ぎないゆっくりれいむに反撃されるとは夢にも思っていなかったらしく、手を噛まれたまま泣き出すゆっくりれみりゃ。 これはひょっとしたらひょっとするかもしれない。ワクワクしながら事の成り行きを見守る。 「うっめ!!こいつめっちゃめちゃうんめぇ!!うっほたまんねええぇ!!」 「い゛だい゛よ゛ー!や゛め゛でよ゛ー!お゛ばざん゛だずげでよ゛ー!!う゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛!!」 この若くて綺麗でシワ一つシミ一つ無いナイスバディなお姉さんに向かっておばさん、だと? 一瞬部屋ごと粉砕してやろうかと思ったが、こらえる。そうなってしまってはあの紫婆や億年薬師と同じになってしまう。 それだけは何が何でも避けなければならない。猫を殺すのは好奇心とは限らないのだ。 結局、コキンの圧勝だった。これは予想以上だ。素晴らしいの一言だ。 まさかれみりゃ種の(ゆっくりにしては)素早い動きにも対応できるなんて。 私との組み手もまんざら無駄ではなかったみたいね。これはいよいよ一万円が現実的になってきた。 ふと、さっきから脚をこすり合わせていた事に気付く。当然トイレに行きたいのではなく、目の前の食事に興奮した為だ。 うーん、どうしよう。コキンももうぐっすり眠っているし、別にいいか。 善は急げ。早速ベッドに寝そべり、念の為毛布にくるまってする事にする。 そして、大会前日の予選を難なくクリアし時間は冒頭に到る。 試合は全八組で行うトーナメント方式のバーリトゥードだ。相手をリングの外に落とすか殺せば勝ち。 最初の相手は人間の里の外れに住む男で、一度れみりゃ種を捕まえる所を見た事がある。 他にも知ってる顔が何人か。人外の参加者は私とアリスだけだ。 そのアリスとは、順調に勝ち進めば決勝戦で当たる事になる。 ……予感がする。多分、アリスが連れているゆっくりは決勝まで勝ち進むと。 あのゆっくりはコキンと同じような目だ。同族を殺す事に何の迷いも抱かない、修羅の目。 他の参加者のゆっくりも似た様な目をしてはいるがあそこまで深い瞳をしているのはコキンと、アリスのゆっくり位のものだ。 コキンは順調に勝ち進んだ。相手にするどのゆっくりもとてもコキンをどうにかできるものではない。 大方並みのゆっくりを食わせたとか、その辺で満足したのだろう。コキンとはくぐった修羅場が違う。 コキンは最後の一週間など毎日のようにフラン種と三連戦しても勝ち続けたのだ。あの程度ではれみりゃ種がせいぜいだ。 一方アリスのゆっくりも、コキン並かそれ以上の圧倒ぶりだ。恐らく私と似たような事をやらせたのだと思う。 ただ、あのゆっくりは戦いながら泣いているようにも見える。 涙を流している訳ではないが心は泣いているような。そんな気配を感じられる。 馬鹿馬鹿しい。ゆっくりに心なんて。と自分の考えに苦笑する。きっとあのゆっくりが強いんで不安になっただけだ。 アリスのゆっくりもあっさり勝ち進み、決勝でコキンと戦うことになった。 「お久しぶりね門番さん。あなたこんな大会に出場するなんて、意外だわ」 「それはこちらの台詞よ人形遣いさん。あなたはこういう派手な場所を好むタイプではないと思っていたけれど」 「そんな事はないわよ。私だってたまには派手な事もやりたくなるわ。……それより、いいゆっくりね」 「ええ。コキンと言うの。あなたのゆっくりこそ、相当鍛えられてるわね」 「ふふふ、秘密の特訓をしたからね。ここまで簡単に勝ち進めるとは流石に思ってなかったけど」 「それは私も同じね。他の参加者ももう少し頑張ると思っていたんだけれど、予想外れだった。…あなたのは、そうじゃないでしょうけど」 「ええ。勝つのは私のTHE MARISAよ。ついでに一万円も私のもの」 「ついで?……まあいいわ。じゃあ私達脇役は引っ込みましょう」 「そうね。さ、MARISA。行ってらっしゃい。もし負けたらお友達がどうなるか……分かるわね?」 「ゆっくりしんでいってね!!ゆっくりしんでいってね!!」 「コキン、行ってらっしゃい。いつものように戦って、いつものように食べて終わりよ。あいつはきっととても美味しいわよ」 「ゆっくりいただきます!!ゆっくりいただきます!!」 「それでは第一回Y-1グランプリ決勝戦!アリス・マーガトロイドトレーナーのTHE MARISAと 紅美鈴トレーナーのコキン=トウ!勝利の栄光を手にするゆっくりはどちらなのか!!ゆっくりファイト…レディ・ゴー!!!」 「ふあぁ……今日も暇でいいなぁ」 今日も元気に門番門番。暇なのは、敵が来ないという事だからいいのだがいかんせん眠い。 あのY-1決勝は、結局アリスのゆっくりが優勝して終わりだった。 両者の実力は完全に拮抗しており、どちらが勝ってもおかしくない試合展開だった。 結局ダブルダウンの末、先に起き上がって「ゆっくりしていったよ!!!」と笑って叫んだ方が勝ちという特別ルールが適用された。 まあ、その宣言をした後アリスのゆっくりは息絶えたし、コキンも結局死んだのだけど。 一万円で食い倒れるという野望は砕けたが、私は満足していた。コキンの事だって、別に惜しいとは思わない。 だって私の、新しい趣味が見つかったのだから。 今夜も部屋で飼ってるコキン二号で、たっぷりと愉しませて貰うとしよう。 "Y-1 Grand Prix" Second place CONGRATULATION!!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2721.html
ゆっくりいじめ系43 ゆっくり家族の引っ越し 虐制家共 ゆっくりいじめ系49 ゆっくりとのワンダフルライフ 虐無外 ゆっくりいじめ系105 加工所職員のストレス解消法虐無 ゆっくりいじめ系116 懐かし玩具とゆっくり制無 ゆっくりいじめ系119 ギロチンとゆっくり虐家 ゆっくりいじめ系120 マッサージチェアとゆっくり虐性道無 ゆっくりいじめ系169 Ten little Yukkuri虐家 ゆっくりいじめ系173 Ten little Yukkuri後日談虐家性道 ゆっくりいじめ系186 犯人は子れいむ制家無 萃香×ゆっくり系1 子鬼とゆっくり 制 衣玖×ゆっくり系1 衣玖さんとゆっくり 虐 そ その他 ゆっくり草原観察 そ性 その他 ごみ箱ゆっくりそ道 ゆっくりいじめ系217 整地ゆっくり虐家無 ゆっくりれみりゃ系いじめ19 れみりゃと亀さん虐性無 ゆっくりいじめ系267 愛の劇場 -背徳の饅頭-そ性無 ゆっくりいじめ系275 妖怪とゆっくり虐そ家 ゆっくりいじめ系313 ゆっくり家族とエターナルフォースブリザード制家無 ゆっくりいじめ系329 都会派と甘い罠虐性無 衣玖×ゆっくり系2 ゆっくりてんこ大虐殺虐家捕 ゆっくりいじめ系374 親の心子知らず、子の心親知らずそ性家無 ゆっくりいじめ系380 公衆便所ゆっくり※年齢制限内容を含むため、本文は外部ページ ゆっくりいじめ系418 大乱交!ゆっくりファミリー虐性無 ゆっくりいじめ系424 ゆっくりの歌虐家無 ゆっくりいじめ系459 色つきゆっくりの結末虐無 ゆっくりいじめ系493 ゆっくりペットショップ制無 ゆっくりいじめ系515 強姦まりさの敗北制性無 ゆっくりいじめ系542 赤ちゃんゆっくりの冒険-前-そ環家性捕 ゆっくりいじめ系543 赤ちゃんゆっくりの冒険-後-そ環家性捕 ゆっくりいじめ系618 ゆっくり家族のある夏の日虐環家 ゆっくりいじめ系729 灰色の檻の中で虐環家 ゆっくりいじめ系794 野生のれみりゃ家族 そ 家 捕 ゆっくりいじめ系929 甘やかした結果 ゆっくりいじめ系974 0歳の母 ゆっくりいじめ系975 0歳の母2 ゆっくりいじめ系1030 ドキッ☆ゆっくりだらけの運動会 ゆっくりいじめ系1031 ドキッ☆ゆっくりだらけの運動会2 ゆっくりいじめ系1072 ドキッ☆ゆっくりだらけの運動会3 ゆっくりいじめ系1126 れいむの転落人生 ゆっくりいじめ系1195 ゆっくり釣っていってね!!! ゆっくりいじめ系1196 ゆっくり釣らないでね!!! ゆっくりいじめ系1277 生き別れのれいむ姉妹 ゆっくりいじめ系1299 幻想と現実の境界 ゆっくりいじめ系1361 駅前ベンチ上のれいむ ゆっくりいじめ系1440 伝わらない声 ゆっくりいじめ系1792 子育て物語 前編 ゆっくりいじめ系1793 子育て物語 後編 ゆっくりいじめ系1936 敏感まりさの失敗 -やめて赤ちゃんすっきりだけは- ゆっくりいじめ系1945 元気な家畜 ゆっくりいじめ系1955 鉄の檻 ゆっくりいじめ系2020 一緒にゆっくり遊ぼうね ゆっくりいじめ系2203 れいむだって生きてるんだよ。 ゆっくりいじめ系2356 偽りの愛情 ゆっくりいじめ系2449 ゆっくりお花見しようよ ゆっくりいじめ系2648 運が悪かったんだよ ゆっくりいじめ系2806 ゆっくりに花を咲かせましょう虐制改無
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2181.html
実りの秋も終わり、寒く長い冬が近付いて来ているある日の事、ある飼いゆっくりれいむはのんびりと散歩をしていた。 飼い主に買ってもらった『スィー』という乗り物で、もうじき寒くて出歩けなくなる外を見て回っていたのだ。 しかしその帰り道、ちょっと余所見をしていた間に道を歩いていた人間に追突してしまった。 「おいこらぁ! 降りろ! お前免許持ってんのか!?」 いきなり追突されそれなりに痛い思いをさせられた男は、ぶつかった衝撃で混乱しているれいむを怒鳴りつけた。 「ゆ、ゆゆ!? どうなってるの!? ゆっくりせつめいしてね!!」 「おいこら免許見せろ! 早くしろよ!!」 そう、ゆっくりがスィーに乗るには免許が必要なのである。 無免許でスィーを乗っているゆっくりは、それが飼いゆっくりならば飼い主が安くない罰金を支払う事になり、 野良ゆっくりならば殺処分される事になっている。 このれいむは飼いゆっくりなので、当然免許も持っている。 「め、めんきょだね!! ちゃんともってるよ!! だからころさないでね!!」 常々飼い主に言われていた通り、持っていた免許証を掲示する。 それなりに躾は行き届いているようだ。 男はれいむの口から免許証をひったくりじろじろと確認する。 そして何を思ったのか、 「おうお前俺に着いて来い!」 と言い、早足で何処かへ歩いて行き、れいむは慌ててその後をスィーで追いかけて行く。 男は彼の仕事場らしき建物に入り、椅子にどっかりと座った。 必死で着いてきたれいむは、スィーに乗ったまま脅えた表情で男を見上げる。 男はじっと黙り込んでいる。沈黙に耐えられなくなったのか、れいむは震える声で頼んだ。 「め、めんきょをかえしてね!」 「やだよ」 一瞬で断られた。だが諦めずに食い下がるれいむ。 「おねがいしますぅ!!」 男はれいむをジロリと睨み付けると、 「……お前それでも謝ってんのかよコノヤロウ」 「おねがいします! めんきょしょう……」 「やだっつってんだろ。とりあえず土下座しろよコノヤロウ」 「ゆ、ゆうぅ……」 「早くしろよ」 ゆっくりにも土下座は存在する。 地面に額を擦り付けた状態というのはゆっくりにとって最も無防備な状態であり、それ故最大限の服従の表現となるのだ。 れいむは飼い主に買って貰ったスィーをずっと乗り続ける為、その要求にも従った。 地面を舐めるように土下座するれいむに、男は言う。 「お前誰にぶつかったと思ってんだよンノヤロウ」 「ごめんなさい!」 「どう落とし前付けんだよ」 落とし前、等と言われてもゆっくりに過ぎないれいむにそんな事が出きる訳も無い。 「……ごめんなさい! すみませんでした!!」 ただ必死で謝る事しかできない。 「コレ返して欲しいのかよ?」 「はい!」 「じゃあお前とりあえずなぁ、豚の真似しろよ」 「ゆ!?」 「豚だよ。ゆっくりれみりゃになるんだよコノヤロウ。早くしろよおぅ返さねえぞ!」 「やればかえしてくれるんですか!?」 「おぅ考えてやるよ。早くしろよ」 「ゆ、ゆぅ……」 豚―――ゆっくりれみりゃの真似をするという事は、ゆっくりにとって最もゆっくり出来ない相手になりきるという事だ。 人間に飼われていて躾の行き届いたれみりゃも居ない訳ではないが、豚などと呼ばれるのは普通は野良のれみりゃ、 つまり鼻が詰まったような声で、通常のゆっくりにすら劣る知性を持ち傲慢に振舞うあのれみりゃの事を指す。 それはちゃんと躾けられているれいむにとっては土下座以上の屈辱と言ってもよかった。 だがこの場合れいむが全面的に悪く、男はあくまで被害者であるとれいむは認識していたので、 その要求にも黙って従う事にした。 とりあえず通常のゆっくり以上に間が抜けた笑顔を浮かべ、れみりゃの真似をしようとしたが、 「おぅお前何豚のクセにバッジ付けてんだコノヤロウ」 「ゆ、ゆゆ!?」 「お前それ取れよ」 「は、はい!」 れいむは器用に髪飾りに付けられているバッジを外し、床に置いた。 そして今度こそれみりゃの真似をしようとして、 「飾りも取るんだよ。早くしろよ。馬鹿じゃねえの?」 髪飾りも外し、今度という今度こそれみりゃの顔を真似た。 あまりにも間抜けな顔を見て男はニヤニヤ笑いながら、 「おい『だとぉ~』とか鳴いてみろよコノヤロウ」 「れ、れみりゃはごうまがんのおぜうざまだどぉ~♪」 意外と似ている物真似に男はゲラゲラと笑い、れいむは屈辱と羞恥で顔を真っ赤に染めている。 「おぅ次はダンスだよダンス、おら踊るんだよ。早くしろよ返さねえぞ」 「れみ、りゃ、う~♪にっぱ~♪」 生首タイプの通常種でありながら、中々上手くれみりゃのダンスを再現するれいむ。 もたもたとした愚鈍さまでも忠実に再現している。 男は面白そうに、 「もう一回鳴いてみろよ」 「えれがんとなおぜうざまにぷっでぃ~んもってくるんだどぉ~♪」 「よぉし」 やっと免許証を返して貰えるか、とれいむは安堵した。だが男は、 「なんか豚っぽくねぇなあ? なぁ、何か足んねぇよなぁ?」 まだ続けるつもりらしい。れいむは涙が出るのを必死でこらえて男の命令を待つ。 「お前ババ帽子被ってもらおうか。おぅお前これ被れよ。頭出せコノヤロウ。早くしろよ」 男は机の引き出しかられみりゃの帽子を取り出すと、れいむの頭に被せた。 そして再びれみりゃの物真似をさせようとした時、部屋の扉が開いた。 「おぅお前何やってんだゴルルァ!!」 「おにいさん!!」 部屋に入ってきたのは頬に傷のある、何処からどう見ても頭にヤの付く自由業をやっている人間だった。 先程までれいむを苛めていた男は、顔を青くして立ち上がり壁際まで後すさった。 「おぅお前何人のゆっくりいたぶってんだよゴルルァ」 「え、と、その……」 「まあいいや。とりあえずお前免許出せよ」 れいむの飼い主は男から免許証をひったくって確認すると、れいむを抱き上げて男を部屋の外に引っ張り出し、 「おぅお前クルルァに着いて来い!!」 男を建物の外に停めてあった自動車の中に押し込み、発車した。 この後男は他人の飼いゆっくりを虐待した事を攻め立てられ、 肉体・精神・経済全ての面において少なくない賠償を支払う事になるのであったアッー! 作者名当てシリーズだよ!ゆっくりあてていってね!! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4167.html
*豆れみりゃ=なんか手のひらサイズの小さいれみりゃ 珈琲豆的なれみりゃを挽くわけではありません 豆れみりゃ喫茶 by 十京院 典明 ホールからキッチンにコールが入る。 「店長ー、アイミル(冷たいミルク)1、お願いしまーす」 「はいよ」 砂糖壷から豆れみりゃを一匹取り出し、コーヒーカップの中に落とす。 店長はカップに牛乳を注いだ。 豆れみりゃは牛乳のおいしそうな匂いにうっうー!と喜びの声を上げたいが、そうするとどうなるかを知っているので、 何も言わずに黙っている。 店で使用されるこれらの豆れみりゃは、既に己の立場を理解している。 何かにつけ増長する性格はある程度のレベルまで矯正されており、己の生殺与奪権を持つのが人間であることも理解している。 やがてカップが牛乳で満たされる。ここでも動いてはいけない。体を動かしたせいで飲み物がこぼれたりしたら やっぱりお仕置きだ。お仕置き、それとも――死。 じっとして、冷たい牛乳に浸されたまま、ウェイトレスの手によってテーブルに運ばれる。 「冷たいミルク、お持ちいたしました」 ことん、とソーサーがテーブルに着地する。客の大きな顔が、白い水面に浮かんだ豆れみりゃの顔を覗き込む。 「(ごあいどぉ~ざぐや~)」 カップが傾けられる。 「(でも、おぜうさまはかわいいからきっとだいじょうぶなんだどぉ~)」 およそ8割と言われている。 豆れみりゃ達がさまざまな用途のために”お持ち帰り”される割合のことである。 残り2割は、店内で供される飲食物の添え物、もしくはデザートとして、このテーブル上でその命を終える。 「(おぜうざまはじにだぐないどぉ~~)」 豆れみりゃを使用するためにメニューはいずれも若干割高となっているが、 この一口目で豆れみりゃを口に含む人間もわずかながら存在する。砂糖漬けの豆れみりゃの味を単に愛好する人間や、 豆れみりゃにあっけない終わりを与えて喜びとする、迂遠な趣味の人間だ。 そういった人間は、自分だけはえれがんとだから大丈夫、と信じきっているに違いない豆れみりゃが、 あまりにもあっけない自身の終わりに絶望する様子を想像して(口に含んでしまっているのだから、見て楽しむことはできない) 快楽を得ることができるのである。ある意味かなりの上級者と言える。 あまりの恐ろしさに目を閉じていた豆れみりゃは、やがてカップがソーサーに置かれたことで 危難の半分が終わったことを理解する。 「(よがっだどぉ~~)」 不意の死は免れたものの、死の恐怖はいまだ去ってはいない。 客は豆れみりゃをじっと見下ろすと、手を上げて店内のウェイトレスを呼ぶ。 「チョコレートケーキ下さい。あと冷たいミルクもう一杯」 「かしこまりました。カトラリー(食器類)は、何組お持ちいたしますか?」 来た。 豆れみりゃはぎゅっと縮こまり、再び目を固く閉じる。 一組、と言えばそれはケーキのぶんだけ。 二組、と言えばそれは豆れみりゃ用の食器が要るということだ。 「(おねがいだどぉ~~!!でびりゃをだずげでほじぃどぉ~~!!)」 しかし、客の男は言う。 「二組下さい」 「かしこまりました。失礼いたします」 「(うわああああああああ)」 嫌だ。嫌だ。嫌だ。死にたくない。死にたくない。死にたくない。 立ったまま震えている豆れみりゃに客が言う。 「おい、お前。踊れ」 豆れみりゃは客を見上げる。 「(あう?)」 「上手に踊れたら、喰わないでやってもいい」 「(あうー!)」 豆れみりゃは感激した。客にぺこぺこと頭を下げ、かしこまって踊りを開始する。 「(うっうーうあうあ☆)」 「(れみ☆りゃ☆うー!)」 しかし、この喫茶店のために育成された豆れみりゃである。野生のゆっくりのようにのびのびと踊ったことなどない。 個体差はあるが、踊りはあまり上手でない。 ひどく拙い踊りを、拙いという自覚もないまま必死に踊る。 「(うっうーうあうあ☆) 「(れみ☆りゃ☆うー!)」 客は興味深げな顔で豆れみりゃを見る。 「本当に喋らないんだな、踊ってるときも……たいしたものだ」 豆れみりゃは踊り続ける。 「(うっうーうあうあ☆) 「(れみ☆りゃ☆うー!)」 「(れみ☆りゃ……)」 つるん。 「(うぁ~!?)」 カップの底に残った牛乳に足を滑らせた。 「(しっぱいしちゃったどぉ~。 ……あう!?)」 起き上がった一瞬後、自分がしてしまったことの重大さに気づく。 「(も、もういっかいだどぉ~。おぜうさまのじつりょくはこんなもんじゃないんだど~!)」 しかも丁度その時、客の注文した品が運ばれてきてしまう。 「追加のご注文、お持ちいたしました」 「ありがとう」 客の目が、傲然と豆れみりゃを見下ろした。 「(やだどぉ!!ちがうんだどぉ!!おぜうざまはほんとはもっとえれがんとなんだどぉ!!じにだぐないどぉ~~!!)」 冷たいフォークが豆れみりゃの頬を撫でる。 「……!……!」 飛んで逃げようとした。しかし翼は動かなかった。 大声で助けを求めようとした。だが声は出ない。 生まれた瞬間から、この用途のために特別の調整を重ねられてきた豆れみりゃだ。 いの一番に刷り込まれる”黙って死ね”の至上命令が豆れみりゃの問題行動を抑制し、店内の秩序を守る。 「(あうーー!!)」 死にたくない。死にたくない。死にたくない。 誰か。誰か。誰か。 死を感じ鋭敏になった知覚がある視線を感知する。思わずそちらへと振り向く。 女性店員がこちらを見ていた。必死で、助けを求める視線を送る。 「(あ゛う゛~~おねーざんだずげでぇ~~)」 だが、おねーさんは笑っていた。 「(おねー……ざーん?)」 その脇を別の店員が通り過ぎた。彼も笑っていた。 席待ちをしている二人連れの若者も、こちらを見て笑っていた。 みんな、豆れみりゃを笑っていた。 「(うぐぅぅぅぅ~~!!)」 フォークが引き上げられる。次にそれが突き立てられる時こそ、儚い命の費(つい)える時―― 「(どーじでだどぉ~~!!??どーじでおぜうざまがじななぎゃならないんだどぉ~~!!??)」 生まれてからこの最期に至るまでの数週間。それは、自尊心を育む機会などない日々だった。 れみりゃであるならばあって当然の、誰かよりえれがんとであるという実感。立派なおぜうさまであるという自覚。 そうしたものはついに与えられることはなかった。 ただ最後に残った自意識、自分が自分であるというその思いだけが、豆れみりゃにとって自らの命を輝かせる原動力だった。 それなのに、その何よりも愛しい命も、今ここで手折られようとしている。 想像していたよりも、ずっと早く。 「(やだどぉぉぉぉぉぉぉぉぉ)」 ――おぜうさまはぁ、やさしいにんげんさんにえれがんとなおうちにつれてってもらうんだどぉ~。 ――う~!おぜうさまもだどぉ! ――おぜうさまたちはえれがんとだからぁ、みんなしあわせ~になれるにきまってるどぉ♪ そんな風に、仲間達と励ましあった日々。 消費され、遠くない未来に死んでゆくという諦観はあったけれど、まだ終わりなど想像もしていなかった日々。 あの優しい日々には、二度と帰れないのだ。 全ての音が消えた。全ての光景が消えた。 目を閉じ、固く身を強張らせて、豆れみりゃは―― 「ははは、冗談だよ。」 「(あう?)」 「ちょっと怖がらせてみただけさ。僕の家でゆっくりしようね」 「(…………)」 ゆっくり? にんげんさんのおうち? 「(まだいきてられるどぉ?)」 客は店員を呼ぶ。 「これ、テイクアウトでお願いします」 「かしこまりました」 「(うっうーー!!うれちぃどぉーーーー!! にんげんさんありがとうだどぉーーーー!!)」 豆れみりゃは、客の手のひらの上で泣きながら笑った―― この店の最大の売り物である、最高の笑顔で。 「……」 それをうっとりと眺める双眸の残酷さには、ついに気づくこともなく。 END □ ■ □ ■ おまけ 別席のこの客は、ホットメニューの定番”豆れみりゃが熱湯風呂に耐えているさまを鑑賞”を楽しんでいる。 「(う゛~~!う゛~~!)」 「(あぢゅいどぉ~~!!じんじゃうどぉ~~)」 「(とってもあぢゅがっだどぉ~~、でもちょっとらくになってきたんだっどぉ~)」 「(ぽかぽかだどぉ~♪おぜうさまはがまんづよいんだどぉ~!ぎゃお~!)」 「あ、お湯下さい」 「どうぞ」 コポコポコポ…… 「(うあぁぁぁぁーー!!あぢゅいぃぃぃーー!あぢゅいどぉーー!!)」 もちろんこうしたニーズのために珈琲は濃い目に淹れてあり、カップも通常のものより二回りほど大きい。 また、1オーダーに付き一度まで、業務用スチームでの温め直しサービスが利用できる。 「(う゛ぅぅぅ~~~!!あぢゅいのやだどぉぉぉぉーーー!!)」 客は恍惚とした表情で、涙を流して熱さに耐える豆れみりゃを眺め続けるのだった。 END このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/425.html
「うー♪」 「うー! うー!」 樹齢数十年の樹木の下から聞こえる謎の声。 彼らは翼の生えたゆっくりであるが、鳥のように木の上に巣を作ったりはしない。 鳥の巣は言わば子育ての為の使い捨ての巣である。自らの巣(所謂おうち)に対してはかなりの執着心を 持つゆっくりの性格とは合わないのだ。 そのためこのれみりゃも、普通のゆっくりと同じく巣穴を掘ってそこをおうちとしている。 巣には親のれみりゃの他に2匹の子供がいた。 子どもたちはまだ生まれたばかりなのか、ちんまりとした翼をピョコピョコと動かしながら、うー!と唸っている。 親のれみりゃはそれがご飯の催促だと分かると、捕まえたばかりの毛虫を目の前に差し出す。 「うー! うー!」 何時もゆっくりが取れる訳ではない。れみりゃも他のゆっくりと同じく雑食である。 こうして花や大きめの虫などを食べる方が多いのだ。 ただし胴体のあるれみりゃは偏食であるが、この辺に関しては謎である。たぶん性格の問題だろう。 2匹の赤れみりゃは巣の中で追いかけっこに興じている。 親はそんな様子を見て嬉しそうな顔をすると、外へ飛んで行った。 俺はその様子をファイバースコープからの映像で観察していた。 巣の中に明らかな異物があるのにまるで不思議に思わない辺りがゆっくりである。 さて、貯金を崩してこんな物を買ってただ巣を覗くだけでは意味がない。 俺は巣の入り口にある草や石を退かすと、手に餡子を乗せて出来るだけ巣の中に腕を突っ込んだ。 するとどうだろうか。すぐさま「うー!」という声とともに、手に柔らかい物が乗っかった。 そのまま静かに手を引く。 巣から出てきた手には2匹のれみりゃが一心不乱に餡子を食べていた。 「うまうまー!」 「うっうー?」 どうやら一匹はこちらに気づいたようだ。しかし警戒心など微塵もないようで、二コリとまだ生えたての牙を見せながら ほほ笑んだ。 微笑まれたら微笑みかえさなければ失礼である。俺もにこりと笑う。 まずはこいつからにしよう。そう思いながら、空いてる手でバックから荷物を取り出す。 まずはお馴染み透明ケースだ。そこに餡子ごと1匹だけ入れる。残った1匹は片手で持ったままだ。 「うー? うううー?」 周りの状況がよくわからないらしい。俺は気にせずにその1匹の片羽を力まかせにブチっと千切った。 「う゛ー!!!!!!」 文字通り飛び上がるほどの痛みだったらしい。目から滝のような涙を流すれみりゃ。もう一匹もそれに気付いたようで 「う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛・・・」 ガクガクと震えあがっているようだ。その様子を携帯で撮って作業を再開する。 次の作業は、はんだごてである。ハンダを羽の生えていた所に近づけ、延長コードで引っ張ってきたアツアツのハンダごてを 近づける。こうしてハンダを熱して羽の生える部分を固めるのだ。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 とてつもなく熱いのだろう。ハンダごてを触れた瞬間から苦痛の表情で叫び続けている。 作業が終わると同時に、口をだらんと開けながら気絶してしまった。ピクピクと少しだけ動いていた。 片羽でアンバランスだがこれはこのままでいいだろう。これから飛ぶときに片方の羽を必死に動かす様を見れると考えると むしろこれこそが最高な気さえしてきた。 はやる気持ちを抑え、その一匹はそのまま巣の中へ戻した。 そして二匹目を取り出す。 「うううううう・・・・うっうー!」 震えていたのかと思いきや、途端に可愛らしい笑顔でこちらを見るれみりゃ。 可愛さをアピールして見逃してもらう作戦なのだろう。 まあスルー。 そのまま帽子を奪い取る。 「うー!!! うっううー!」 必死に噛みついてきたが、ハンダごての時に厚手の手袋をした俺に隙はなかった。 このままだとなんか物足りないので、代わりにまりさの帽子を付けてやった。接着剤をたっぷり塗っておいた。 そうして二匹目も巣の中に放りもうとして・・・やっぱ止めた。 帽子も元のれみりゃも帽子に戻した。 「うー! うー!」 非常に喜んでいるが、喜ばすためではない。 俺はさきほど千切った片羽を持つと、羽と羽の間にまっすぐにそれを差し込む ちょうどマットの帆のような感じだ。そしてすぐに薄力粉で傷を産める。 奇跡の早業で世にも珍しい三枚羽のれみりゃの完成である。 少し重いのか動くだけで疲れるれみりゃを巣の中に放り込む。 勢いよく投げたせいか帽子が巣の入口に落ちてしまった。 果たしてあの状態で飛べるのか、非常に興味の湧くところである。 俺の家の庭に巣を作った不運なれみりゃ。 意気揚揚と口を膨らませて帰ってきた。花でも取ってきたのだろう。 「うっうっうー♪」 そして入口に到着。すると目の前に何かあるのに気づいたのか体全体を傾げる。 「うー?・・・・う!」 どうやらそれは子供の帽子だと気づいたようだ。 口の中の花を吐きだすと急いで巣の中へ戻る。急いでカメラの映像を確認する。 「うー!!!!!」 やはり驚いているようだ。目の前の子供に。 一匹は片羽のれみりゃ。もう一匹は三つの羽を持つれみりゃ。確かに訳がわからない。 「う? う?」 両方を何回も何回も何回も見渡すれみりゃ。 子供の方は 「「う゛う゛う゛う゛う゛う!!!」」 自分の異常を親に訴えているのか。はたまた泣いているのか。俺にはわからない。 だがもっとわからにのはどうやら親のようだ。 「うー!」 とびっきりの笑顔で突如、三つの羽ののれみりゃに被りついた。 子供の絶叫が聞こえる。 「う゛わあああああああああああああ!!!」 あ、普通に喋れるんだ。 そんな場違いな感想を持ちつつ、食われていく無残な様子を見る。 「うー!うまうまー!」 親はもう目の前の物体を餌的な何かとしか認識できなかったようだ。 そのまま完食。 俺は勢いに乗って二匹目かとワクワクしていたら、親れみりゃは意外な行動をした。 「うー? うー!」 子供の口に自分の口を近づけ、何かを与えている。もしや今食べたれみりゃだろうか。 子どもの方も「ごくごくうー!」とか言いながら美味そうに飲んでいる。 そうして遂には「うっうーうまうまー!」と二匹で歌いは始めた。 どうやら自然界では片羽は問題ないようだ。 まあ怪我することもあるし、れみりゃはすぐ再生するからだろうか。 故にありえない三枚羽はれみりゃとして認識できなかったのだろう。 観察を続けることにする。 続き? 【あとがき】 続きます。でも来年からです。 クリスマスネタにしようかと思ったが間に合わず。 ゆっくりしすぎた。 関係ないけどまさかの東方冥異伝新作。 最近パッチがやたら多いと思ったら。 by バスケの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5021.html
※無駄にぬるいじめ ※原作キャラ登場します ※れみりゃは胴付きです れみりゃは鼻歌を口ずさみながら自分のご主人の下へと向かっていた。 彼女のご主人の名前は十六夜 咲夜。 メイドで、さくやだけど自分にとってはご主人さま。 その事に昔は違和感を覚えていたものの、今では彼女をちゃんと飼い主だと理解していた。 「うっうー!れみぃのえれがんとなかささんだっどぉ~♪」 満面の笑みを浮かべてお尻をふりふり道を行くれみりゃの手には1本の傘。 恐らく、誰かが捨てたものを拾ったのだろう。 しかし、れみりゃはそれを手にしたことに満足していた。 「これでれみりゃも、こーまかんのおぜうさまだっど~♪」 紅魔館のおぜう様。 もちろん、自分のことではなく、自分に何となく似ている飼い主の主人のことである。 咲夜は彼女の事を主人であるにもかかわらず、娘か妹のように可愛がっていた。 「うっう~♪」 おぜう様はいつも日傘を差していて、その姿はとても高貴で美しい。 れみりゃの大好きなご主人さまの大好きなご主人さま。 少しでも彼女に近付こうとれみりゃは日夜努力を重ねていた。 「さくやー、おぜうさまー!れみぃのえれがんとなかささんをみてほしいどぉ~♪」 そして、ようやく自分だけのエレガントな傘を手に入れたのだ。 これさえあればきっと自分のあふれるカリスマとエレガントさを認めてくれる。 咲夜は自分のことをもっと可愛がってくれる、好きになってくれる。 「「・・・ダサいわね」」 そう信じて疑わなかった彼女の明るい未来は「そのふざけた幻想をぶち殺す」とばかりに砕かれた。 「そんなことないど~!」と目に涙をためて必死に抗議するが、彼女の傘を眺める二人は一向に譲歩する様子を見せない。 どうやら、彼女たちにとっては100歩譲ってもその傘がダサいとしか思えないようだ。 「だって、ねぇ・・・咲夜?」 「ええ、流石にこんな茄子みたいな傘は・・・」 「「いくらなんでもあり得ないわ」」 きっぱりと断言した二人の言葉は見事にハモっていた。 流石のれみりゃも此処まではっきりと断じられてはもはや返す言葉もない。 その場にぺたりと座りこむと足をじたばたさせながら傘をぽいっと放り投げる。 「う゛あー!?ごんなかざ、ぽいっ☆だどおおおお!?」 「どほぢでそんなこどいうのおおおおおおおお!!?」 直後、近くの木陰から一つの影が飛び出してくる。 水色の髪とスカートを揺らした、左右の瞳の色が異なる衣服とやや不釣り合いな下駄を履いた少女。 彼女の名は多々良 小傘。こんな容姿だが実は超有名な雑魚妖怪だったりする。 「あら?」 「あなたがそのダサい傘の持ち主かしら?」 「だ、ダサいって言わないでよおおおおおおおおお!!?」 彼女は全力疾走で茄子っぽい傘へと駆け寄り、それを拾い上げると泣き叫びながら飛び去って行く。 彼女のあまりの剣幕に泣きやんだれみりゃは呆然と飛び去ってゆく少女を見上げていた。 メイドと彼女の主人は何事もなかったかのように紅茶を淹れ、あるいは飲んでいた。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ あねきィ「玉男へのお題は“茄子みたいな色の傘を手に入れたれみりゃ”だ」 玉男「あねきィ・・・そいつは・・・」 あねきィ「分かるだろ、玉男なら・・・」 玉男「しかし・・・」 あねきィ「見たいんだ。小傘たんが泣き叫ぶ姿を・・・」 玉男「その気持ちは分かる。だがそれなら排○溝に行け」 あねきィ「頼む!・・・全ての批判、非難、罵詈雑言がこのあねきィが引き受けるから!」 玉男「ならば仕方ない・・・100ルーミアで書いてやろう」 あねきィ「ルーミアはだめえええええええええええ!!」 というわけでゆっくり虐待の形をした小傘ぬるいじめが誕生したのでございます byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/739.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 342 捨てられみりゃ/コメントログ」 やっぱりれみりゃがふらんをおねーさんだから庇うってのは可愛いなぁ -- 2010-03-02 02 01 29 ↓そうですねぇ。れみりゃをふらんが「おねーさま」って 呼ぶ、仲良し描写はやっくりできますねぇ。 -- 2010-06-16 05 53 47 れみりゃ愛ではゆっくりできる -- 2010-06-27 23 53 53 いやぁ~れみりゃ愛では癒されるわ めーりんも可愛かった -- 2010-09-24 20 52 38 もう可愛すぎる -- 2010-10-15 15 54 34 虐待も愛でも両方好きな自分にはたまらん たまにはこういうのもいいよね! -- 2010-10-17 13 52 08 れみりゃは愛でても虐めても可愛い。 ゴミ饅頭は不快だから潰すけど、れみりゃは可愛いから虐愛でる。虐めるというよりいじるかな? ふらんとかきめい丸はそもそも虐めずに全力で愛でる。 -- 2011-11-12 06 54 08 主人公寝るとこまで男かと思ってた! -- 2012-01-04 02 58 41 れみりゃ愛ではゆっくりできるなぁ -- 2012-04-30 22 20 09 れみりゃとふらん可愛い~ -- 2015-08-13 02 37 07 俺って言ってるからおねーさんじゃなくておにーさんじゃないですか?(笑) れみりゃとふらんは癒される! みょんとかも好きだけど、れみりゃが一番好きです!だどぉ! -- 2015-10-10 23 13 10 あー、歩職種と希少種(めーりんって、希少種だっけ?)は、いやされる -- 2015-10-13 12 44 16 俺は通常種(れいむ、まりさ)虐待、希少種、捕食種愛でなんだけど、 こうゆうssあって良かったんだどお☆ -- 2016-01-30 11 58 19 癒されるわー。(笑) めーりんカワユス(笑) -- 2016-01-30 11 59 46 きめぇ丸って補食種だったんですね。 -- 2016-11-25 15 18 28 続ききになるなー 面白かった! -- 2017-01-05 17 29 06 続きが気になるんだどー!続き待ってるどー☆ -- 2017-10-29 16 25 53 お姉さんだったんかい!?(前日憚SSが見当たらないから分からんかった) ↓×3 捕食種と言っても、通常種を襲うだけで食べないという設定が多い。 -- 2018-01-03 17 18 02
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1867.html
『通りすがりの人間だ』 ※どうしようも無いネタ系エピソードです。 ※パロディ要素を多分に含みます。 「う~♪ あまあま☆でりしゃすぅー♪」 「おいしぃーね☆おねぇーさま♪」 立ち入り禁止の立て札虚しく、 公園の芝生の上で、よたよただばだばステップを踏む2匹のゆっくりがいた。 ふとましい体にとびきりの下膨れスマイル、ピンク色のおべべを纏ったゆっくりれみりゃと、 そのれみりゃの妹で、宝石のような羽とルビー色の瞳を持った、ゆっくりフランだ。 2匹は、愉快にダンスを踊りながら、文字通り"ゆっくり"を踊り食いしていた。 その周囲では、彼女達の"でぃなー"として捕らえられたゆっくり達が、懸命に叫んでいる。 「ゆっくり! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしようよー! ゆっくりぃー!」 れみりゃとフランに掴まれながらジタバタ抵抗する、ゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 しかし、抵抗は実らず、間もなく「ゆっくりした結果がこれだよ!」というハミングだけが公園に残った。 「きちゃない☆リボンはぽいするのぉー♪ ぽぉーっい♪」 「おぼうしびりびりにするの~☆びりびり~♪」 食べ残しのリボンや帽子で遊びながら、 れみりゃとフランは次なる獲物に手を伸ばす。 次にれみりゃが手にしたゆっくりれいむは、既に正気を失っていた。 「ぱ、ぱぴぷぺっ、ぱぴぷぺぽぉ!」 「う~♪ こいつこわれちゃったんだどぉ~♪ おもしろいんだどぉ~♪」 食べるのを止め、れみりゃはれいむで鞠つきを始める。 フランもそれを真似して、ゆっくりをボールにして遊びだした。 「おねぇーさま☆げげるしよー♪ げげるー♪」 「うっうー♪ ゆっくり"ぼぞぎでじゃす"するんだどぉー♪」 れみりゃとフランは、この近隣で最強のゆっくりだった。 その力は強く、ゆっくりも妖精も人間も、彼女らには逆らえないでいた。 彼女らにとって他のゆっくりや人間など、 ゲームの対象であり、エサであり、支配するものだった。 ……そう、少なくともこの日までは。 「うぁ?」 「ぷぅー?」 ゆっくりで遊ぶのを止め、れみりゃとフランは首を傾げた。 見ると、いつの間にかすぐそばに長身の男が立っていた。 「「うー? おにぃーさん、だぇーれぇー?」」 声を揃えて口にする、れみりゃとフラン。 長身の男はカメラを構え、そんな2匹へ向かってシャッターを切って呟いた。 「……どうやら、ここも俺の世界じゃないらしい」 溜息をつき、れみりゃ達への興味を失う男。 一方、れみりゃはワケのわからぬ男に対し、徐々に不機嫌になっていく。 「う~♪ ここはおぜうさまのこーまかんだどぉー♪ にんげんさんはかってにはいってきちゃ、だめ☆だめ☆なんだどぉ~♪」 よったよったのったのった。 れみりゃは男の下まで歩いて行き、両手を大の字に広げた。 「ぎゃおー♪ ぷっでぃ~ん☆みつがないと、たーべちゃうぞぉー♪」 れみりゃは、男がひれ伏すことを確信していた。 なんと言っても、自分は最強のかりすま☆おぜうさまなのだから、と。 だから、次の瞬間大きな下膨れ顔に男の拳がめり込んだことも、 その勢いのままふっとばされたことも、すぐには理解できなかった。 「だっどぉーー!?」 吹っ飛ばされたれみりゃはムクリと起きあがり、そのままぼぉーと男を眺める。 そして、徐々に顔に走る痛みに気づいて、泣き散らしながら何が起こったかを理解した。 「うぁぁぁー! おぜうさまのえれがんとなおかおがぁぁぁーー!!」 うっびぃ~!と叫びを上げながら、顔を押さえて芝生の上をゴロゴロ転がる、れみりゃ。 一方、フランもまた、姉が攻撃されたのを理解して、男への攻撃を開始した。 「うー! こいつぶれぇーもの! おねぇーさまのかたきとる!」 んがんぐと、口の中から黒い金属の棒を取り出し、フランはそれで男に殴りかかろうとする。 フラン自慢の必殺武器・れーばてぃんだ。 「うー! くりゃえー!」 ぶんぶんと棒を振り回しながら、男へ接近するフラン。 「ふん、蝙蝠には蝙蝠だな」 男は慌てず騒がず、1本のスティック状のものを取り出し、 それでフランのれーばてぃんを受け止める。 「うー!?」 今まで誰にも破られたことのない必殺の一撃を軽々と受け止められ、フランは目を見開く。 その隙を逃さず、男は棒状のものでフランを払いのけた。 思わぬ反撃に受け身もとれず、フランは芝生の上に尻餅をつく。 と、同時に、男の持っていた棒状のものもボキリと折れてしまう。 ……男が持っていたもの、それはどこにでもある蝙蝠傘だった。 「ま、安物にしてはじゅうぶんだな。化けて出るなよ」 ぽいっと折れた蝙蝠傘を投げ捨てて、男は未だ悶絶中のれみりゃへ近づいていく。 「うー! ゆっくりしね! おねぇーさまからはなれろ!」 フランは立ち上がり、男を呼び止める。 すると、見る間にフランの体が4つに分身していった。 フランの奥の手トリックベント……ではなく、フォーオブアカインドだ。 「しね! ゆっくりしね!」 フランは息巻いて、男へ迫っていく。 しかし、男は慌てない。 至って冷静なまま、フランをからかうようにチッチと指先を動かした。 「そういうの、こっちにもあるぜ」 「……うー?」 男はそう言うや否や、泣きべそをかくれみりゃの両脇をつかんで立ち上がらせる。 「うー♪ つかまっちゃったどぉー♪ いっやぁ~ん☆おぜうさまはずかしぃ~☆だっどぉ~♪」 れみりゃは、何を勘違いしたか、顔を赤らめてふとましい体をモジモジさせる。 そんなれみりゃの言動を無視して、男はれみりゃを前のめりに押し倒した。 「ちょっとくすぐったいぞ」 「やめるんだどぉ~♪ う~、えっっちぃ~なおにぃさんだどぉ~♪」 ブチブチ! れみりゃの背中から渇いた音が鳴る。 男がれみりゃの背中についた小さな黒い羽を引き抜いたのだ。 「う、うぁぁーー! れみりゃのパタパタがぁぁーー!?」 痛みで泣き叫び、四つんばいの姿勢のまま、男から逃げようとするれみりゃ。 しかし、男はれみりゃを逃がさないよう押さえつけ、その上に馬乗りになった。 『ファイナルフォームライドゥ! れれれれ、れみりゃーー!!』 「う、うぁ!?」 男の声とは違う声を、れみりゃは確かに耳にした。 そして、その次の瞬間。 れみりゃの体は羽を失ったにも関わらず、フワリを浮き上がり、 男を背中に乗せたまま、フランへ向かって突進を開始するのだった。 「う、うぁぁーー! れみりゃのおからだがかってにぃぃー!?」 「う、うー! おねぇーさま、ゆっくりとまれー!」 * * * 「うっぐ、ひっぐ……しゃくやぁー……」 「う、うー……めぇーりぃーん……」 芝生の上で大の字になって、2匹のゆっくりがのびていた。 黒い羽を失い、ボロボロになったピンク色のおべべを纏ったゆっくりれみりゃと、 ぽっきり折れたれーばてぃんを後生大事に抱えるフランだ。 泣きながら、自分達を庇護してくれる存在の名を呼ぶ、れみりゃとフラン。 完全に戦意を失った2匹を見下ろしてから、男はゆっくりと踵を返した。 「お、おにぃーさんは、いったいだれなんだどぉー…… なんでおぜうさまにこんなひどいことするんだどぉー……」 搾り出された、れみりゃの問いに、 男はふと足を止め、口を開いた……。 「俺は通りすがりの……」 おしまい。 ============================ これは、ひどい……。 我ながらひどすぎる……。 by ティガれみりゃの人 ============================
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/227.html
200X年、幻想郷は餡子の波に包まれ……てはいなかった。 れいむは裂かれ、まりさは叩き潰され、あらゆるゆっくりは絶滅したかに見えた。 ――――だがしかし、ゆっくりは絶滅していなかった! 新世紀救餡主伝説 饅頭の拳 ※以上まであんまり関係無いです。 ゆっくりは労働力として使え得るのか。 多くのお兄さんとおじさんとえーりんが挑戦し、夢破れていったこの命題を解決すべく、 金とヒマを持て余したおじさんこと俺が、尊敬する聖帝様とジャコウ様とスター☆リンを範として 「ゆっくりコルホーズ」を開設したのは確か昨年の春のことだったか。 以来このゆっくりコルホーズ略してゆルホーズでは、数多くの野菜が生産され、 それ以上に無数のゆっくりの屍を積み上げてきたのである。 自由の有難みも知らず、ひびゆっくりと称し堕落した生活を送っている饅頭どもに、労働の素晴らしさを伝えるべく、 ここでは日々早朝から夕方まで、遅いときは夜を徹して徹底的に革命的労働をさせてやるのである。 一年間立派に務めあげたゆっくりには野菜を持たせて森へと帰してやり、そうでないゆっくりはまた一年間畑の世話をする作業を繰り返させてやるのである。 無論後者か途中リタイアしかいないが。 働いている間の賃金は少量の食事と俺からの無償の愛である。愛ならば仕方ないな。 しかしただ働けと言ってこのド饅頭どもが働くはずもない。 酷いときには野菜を食い荒らした後、開き直って、 「ゆゆ! ここはれいむのゆっくりプレイスだよ! ゆっくり出来ないおじさんは出て行ってね!」 などとのたまうありさまである。 このテのを一々口答えするたびに潰していてはキリが無いため、このおゆうぎもロクに出来ない 饅頭どもに、何とか農耕というものを仕込んでやる必要があった。 そこで思いついたのが、「奴隷農耕法」であった。何も一から十まで仕込んでやる必要は無い。 農法を学ぶ自由などこの駄饅頭どもには必要ない。必要な時必要に併せて、やり方を指示し、出来ないのならば仕置きしてやれば良いだけのことである。 そうやって体に直接刻みつけることで、脳?ではなく体?に覚えさせて、日々従順でロボットのような饅頭が作り上げられていくという算段である。 しかし広い農場中のたくさんのゆっくりを、人間が指導管理するというのは如何にも面倒くさい。 労働の省力化という観点からみればマイナスである。 そこで俺はゆっくりのことはゆっくりに任せれば良いという判断を下した。 ここで目を付けたのは、ゆっくりをあっさり殺してしまう、我慢弱いゆっくりれみりゃやゆっくりふらんのような捕食種では無く、 ましてや労働力と同じ種のゆっくりれいむやゆっくりまりさでは無かった。 「ゆゆゆゆゆ……づがれだああああ! ゆっぐりでぎないいいいいい!!」 一匹のゆっくりありすが、地面から生えた雑草を引き抜く仕事を放棄して、ごろんとその場に転がった。 周囲のゆっくり達はその姿を見て何か言いかけるが、すぐに黙々と土に向かい自らの作業に戻った。 起き上ったゆっくりありすは、「ゆっくりしていってね!」と叫ぶが、誰もかまってくれないのを認めると、ぷっくりと膨れ上がって怒り始めた。 「とかい派のありすを無視するなんて、みんないなかものね!」 そう言うと自分の持ち場から離れ、ゆっくりありすはゆっくりまりさの元へと近付いていく。 「まりさー! いっしょにすっきりしよー!!」 「ゆ? ありす。仕事は終わったの?」 「とかい派のありすはこんなやばんな仕事なんてしないのよ! それよりゆっぐりじようよまりざー!」 ありすはまりさへと飛びかかると、自らの頬を押し付けてずりずりと頬ずりを始めた。 「ゆぎゅうぼっ!! やめで! やめでね! お仕事をざぼったら“れんたいせきにん”で ゆっぐりできなんぼおおおおおおお!!!」 「ひがえめなどごろもがわいいよまりざぁああああああああ!!!」 「いやああああああ!! おじおぎはいやあああああああああ!!!」 「はぁはぁ! わだぢがおじおぎじてあげるよまりざあああああああああ!!!」 ありすの頬ずりは勢いを増し、火も付かんばかりである。その様を見ていた他のゆっくり達は、何かに気付いたような素振りをすると、草むしりの仕事を再開した。 無論交尾に熱中するありすとそれに襲われるまりさは気付かないが。 絶頂に達しようとするありすは、まりさに己のリビドーの猛りをぶちまけようと更に体を震わす。 「まりざ! ずっぎりずるよ! わだぢのあいをうげどめでええええ!!!」 「はなじでええ! しごどにもどおっいでえええええええeぷぎゃぁっ!!!」 急に頬の感覚を失ったありすは、目を閉じたまま目の前にいる筈のまりさに叫んだ。 「どぼじでわだぢのあいをうげどめでぐれないのおお!!? ずっぎりざぜでよおお!!!」 しかし答えは無い。いぶかしむありすが目を開けると、そこにはまりさの姿は無かった。 その姿を探して左右を見渡し、そして背後を振り返った。 「ゆゆゆ! まりさ、ここにいたんだねー! いっしょにすっきりしよー!!」 その声に答えるかのように、まりさの体が一瞬浮き上がり振り向いた。 まりさは、割れた額から餡子を垂れ流していた。 「ゆ゛ぅ゛うぅうううう!!? ま、まりざあああああああああ!!??」 「ずっぐぃり、ぢだ、げっがが、これだぼぉ……」 だらだら餡子を流しながら、その場に崩れ落ちるまりさ。 そしてその背後には、まりさをありすの方へと振り向かせたゆっくりが佇んでいた。 その姿を認めたありすは、抑えきれない劣情を発散すべくそのゆっくりへと飛びかかった。 「ゆ、この際だれでもいいからすっきりさせtゆぎゃあっ!!?」 飛びかかったありすは足で踏みつけられ、その顔が地面に押し付けられる。 さきほどちらりと見えた姿から、そのゆっくりの正体がありすにもわかってきた。 青紫色の髪の毛にカチューシャを付け、青い瞳でありすを見下すこのゆっくり種こそ、 ゆっくりさくやであり、しかもメイド服な胴体付きというレアなゆっくりであった。 ありすを踏みつけたまま、さくやはゆっくりにしては「ひんやりー♪」な目を更に冷たく光らせると、ありすに向かって口を開いた。 「おいあなた、仕事はどうしましゅたの?」 「ありすはとかい派だからあんな泥臭い仕事には耐えられないよ! それよりも、いっしょにずっぎりっあびばっ!!?」 ぐに、とありすを踏み付ける足は力を増し、ありすの頭頂部に食い込んでいく。 「もういちどだけチャンスをあげましょう。 あなたのおしごとをいってみろ」 「わ、わだぢはただすっきりじだがっだだけなのにぃいいい!!」 「そう……」 呟くと、さくやはゆっくりと足をありすの頭部から引き抜いた。ありすは許してもらえたのか、と思い、へらへらと笑いながら顔を上げた。 「とかい派のありすをけがしたんだから責任とってもらわないと……ね?」 調子に乗ったありすの顔に、驚愕、そして恐怖の色が浮かぶ。 ゆっくりさくやが右手を高々と掲げて、振り下ろした。 「わたしはサボリ魔がだいきれぇなんだ」 先ほどすっきりしようとしたありすと、そのありすに襲われたまりさ。 更に畑の同じ区域で働いていた、ゆっくりれいむとゆっくりぱちゅりーが、額の傷口から餡子を流すまりさと並ばされ、 さくやが手からぶら下げたありすへの“せいさい”を見せられようとしていた。 ありすは顔中をぼこぼこにされた上、大切な髪飾りを投げ捨てられしまった。 髪の毛を掴まれ持ち上げられているありすは、最早抵抗する気力もなくぶらぶらと揺れている。 「れいむ」 「ゆっ、……はい!」 さくやに声をかけられたれいむは、怯えた表情でさくやに答えた。 「なんでありすとまりさの交尾を止めなかったの?」 「ゆゆ、れいむは真面目に働いていtひでぶっ!」 れいむの言葉が終らないうちにさくやの蹴りが飛び、れいむの顔面に痕を残す。 「だれがおまえのことを聞いたの? どうして止めなかったっていってるの」 「ごめんなざいいい!! ありすにれいぷされそうだったからいやだったんですううう!!!」 「そう」 げし、とれいむを蹴り飛ばすと、次にさくやはぱちゅりーに向き直った。 「あなたは」 「む、むきゅー、ぱちゅりーは体が弱いから何も出来なiぱちゅりりりりーっ!!!」 右頬を張り飛ばされ、体の弱さから中身が偏ったのか、ゆちゅりーはその場に崩れ落ちた。 「石でもなんでもなげて止めなさい。 次まりさ」 しかしまりさは答えを返さず、「ゆ、ゆ、ゆ」と息をするだけである。 さくやが無言で蹴飛ばすと、まりさはぶぴゅると額から餡子を噴き出して、そのまま動かなくなった。 しばらくしてれいむとぱちゅりーが何とか起き上がると、さくやは二人の前にぼこぼこになったありすの顔を突き付けた。 ありすは二人の顔を認めると、ゆっくり何とか口を開いた。 「ゆ、ゆ、ゅ、ゆっくり、たすけ、て、」 「ゆ! ゆっくり仕事も出来ないありすが悪いんだよ!」 「むきゅー! そのままゆっくりしねばいいのよ!」 「どぼじで、ぞんな、ご、ど、いぅのぉ?」 ぐい、と持ち上げられたありすは、髪を引っ張られる痛みに少し呻くが、最早大声を出すことも出来ない。 畑じゅうのゆっくりに見えるように、さくやが高々とありすを吊り上げる。 他のゆっくり達も、なんだなんだとその姿を見ようと近付いてくる。 その姿を見たゆっくり達は悲鳴を上げようとするが、そうすればさくやにお仕置きされることがわかっているので、誰もが口を噤んだままである。 「みなさん! このゆっくりありすはあろうことか仕事中にすっきりしようとするはんかくめいてきな とろつきすとです! これからこのはんどうてきなありすのしょけいをおこないましゅ!!」 「「「「「「ゆゆゆ!!」」」」」」 さくやの言ってることは本人含め誰もわからないが、しかし「しょけい」の意味は何となくわかる。 ゆっくりさくやは、ポケットからプラスチック製の使い捨てナイフを取り出すと、ありすの額に先端を押し付けた。 「さいごに言いたいことはありましゅか?」 「ゆゆゆゅゅゅ、もっと、ゅっくり、ぢだがっだよおおおぉぉぉぉ…………」 「そう、はんせいしていればいかしてあげるつもりだったのにね」 そう言うとさくやはぶすり、と額にナイフを突き刺した。 「ゆぎぃッ!?」 「さぁ、なんぼんめにしぬかなぁ~?」 ざく、ざくとナイフは北斗七星の形をなぞるように、ありすの顔面を蹂躙する。 傷口からカスタードクリームを流すことで、ゆっくりありすの形状が崩れていく。 「もぅ、もうやめでぐだざいっ! ごめんなざいっ!! ごめんなざ、いっ!!!」 余りの痛みにありすは最後の力を振り絞って叫び身を捩るが、何もかもが遅かった。 「しねぇッ!!!」 「ずっぎりいいいいいいいいいうわらばっ!!!!」 ぶぴゅっ、と七つ目の傷から盛大にクリームを噴き出すと、ありすは皮だけになって動かなくなった。 それを投げ捨てると、さくやは居並ぶゆっくりに向かって声をかけた。 「なにをさぼっているのおまえたち!」 「ゆゆ! れーむはさぼってなんかいないよ!」 「ゆ、いそいではたらくよ!」 「れーにんのいってることはわかるーわかるよー」 「ちんぽー!!」 「むきゅー! 」 「くちごたえするまえに働けー! こころをこめて畑のおせわをしろーっ!」 「おぜうさまのために野菜をつくれーっ!!!」 その夕、ゆルホーズのゆっくり達を小屋に追い込んで閉じ込めたゆっくりさくやは、籠一杯の野菜を持って、俺の元まで来た。 「おやさいをおもちしました!」 「よし、そこに置け」 縁側に座っていた俺の隣に野菜を載せた籠が置かれた。 今日収穫されたキュウリとナスを、ゆっくり検分すると一本のキュウリに歯型が残っていた。 「おいさくや、これは何だ?」 「う! それはれいむの歯型です! あとでシメておきますのでどうkえひゃっ!」 「口答えするなタコ」 俺がチョップした頭を押さえ、口から少しわらびもちを吐きながらゆっくりさくやがその場に蹲った。 「どーしよーかなー、これいっぽんでどんだけそんがいがはっせいするのかなー? ……今日はれみりゃ無しね」 「そんなせっしょうな! どぼが、どぼがおぜうさまのおせわをさせてくだざいいいいい!!!」 だらだら目からわらびもちの涙を流しながら、さくやは俺の足にすがりついてくる。うぜぇ。 「あー、わかったわかった。ただし今日はプリンは無しね」 「でも」 「デモもストもあるか。きゅうり一本でどんだけプリンが買えると思ってんだ」 無論きゅうり一本でプリンなんぞ買えんのだが、さくやはそのまま黙ってしまった。 中途半端に頭が良いって損するからヤだねー。 もう日も沈んだ頃に、さくやを連れて家の物置の隣の小屋に行き、そのカギのかかった扉を開けた。 コンクリート打ちっぱなしの、ボロボロの毛布とぬいぐるみの転がった部屋。 その毛布に包まっていたゆっくりれみりゃが、目をこすりながら起き上った。 「うー、おはようだどぉー☆ 」 「はい! おぜうさま! おはようございましゅ!!」 転がるように部屋に入ると、ゆっくりさくやはれみりゃの世話をはじめた。 確認すると、俺は扉を閉じカギを閉めて、家へと戻った。 今日はさくやに冷蔵庫に詰まった、タダで貰った賞味期限切れのプリンを持たせていないから、 れみりゃはすぐに機嫌を損ねるに違いないが、よくもまああんな脳に蛆の沸いたような肉まんの世話を出来るものである。 俺なら「ぷっでぃーん!」とか叫んだ時点で潰してしまうが、これが種のサガってヤツだろうか。 翌日ゆルホーズを覗くと、さくやがいつもより多くゆっくりをいじめていた。 どうやられみりゃの機嫌の損ねるという俺の予想は当たっていたらしい。 「きさまらー! こころをこめてたがやさんかーっ!!」 「ゆっくり働いた結果がこれだよ!」 テーレッテー ゆルホーズから次々に収穫される野菜の数々ぅ! しかし、れみりゃのためと思い働くさくやの知らぬ間にィ! ア! れみりゃの加工所行きと新しいれみりゃ購入が決定していたのだぁ! 次回ィ、饅頭の拳! 「わたしは妹様ふらん! れいむもれみりゃも許さない!」 さくや「お前はもうただの餡子の塊に過ぎん」 ゆっくり書いた結果がこれだよ! ゆっくり十八番~ノンフライ~氏の「ゆっくり咲夜」を見て想像を膨らませた後、北斗談義してたらこんなのが思いついた。 このおじさんはジャコウみたいな卑劣なおじさんですが、どうせゆっくりさくやのゆっくり脳じゃ自分のおぜうさまが一定期間ごとに出荷されて、 その代わり新しい小さいおぜうさまが来ても気づかないので、本饅頭達は割と幸せだと思います。多分。 「汚物は消毒だ~!」とか「君たちは大事な労働力なんだ」とかも使えるね! このSSに感想を付ける