約 632,062 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2168.html
注:容姿描写等は、あくまでもこの作品内のみのものです。 朝、村の男が畑へ出てみると、こそこそと作物を齧っている影を発見した。 ゆっくりめ、と思い後ろから近づき、その物体を掴む。 「おらあっ!クソ饅頭め、ぶち殺してやる!」 「に゛ゃあ゛!」 掴まれたゆっくりは涙を浮かべ、カタカタと震えている。 そのゆっくりを見て、男はおやっと思った。 男もそんなに見かけたことのない希少種、ちぇん種であった。 「わ、わるかったよー、ごはんがたりないんだよー」 「……………………」 その姿を見て、男の怒りが急速に薄れていった。 「……分かったよ、少しでいいなら持ってっていいぜ」 「あ、ありがとう!おじさんいいひとだね、わかるよー!」 ちぇんは作物を少し貰い、お礼を言って帰っていった。 ちぇん種は基本的に素直で可愛らしいので、人間達の間では非常に人気が高い。 もちろん程度にもよるが、このように畑を荒らしても許されることは多かった。 そして、その光景を一匹のゆっくりが遠くから見ていた。 十分ほど後、男が畑仕事を始めると、再びゆっくりが作物を齧っているのが見えた。 またかよ、と思い近づき、先ほどと同様に後ろから掴む。 「ごめんだぜ!おなかがへっていたんだぜ!」 それはまりさ種であった。 このまりさは人間に捕まっても少しも慌てていない。 さっきのちぇんと同じように、作物を分けて帰してくれると信じ切っていたのだ。 「てめえ、俺の畑になにしやがるうううう!!!!」 「ゆびゃ!」 男はまりさを地面に叩きつけると、力一杯、何度も踏みつける。 「死ね、この饅頭が!身の程をわきまえやがれ!」 「な…………なんでなんだぜ…………」 まりさ種はちぇん種と違い、自分勝手で図々しい。 畑を荒らしたり、家に上がりこんで自分の家宣言をすることなど日常茶飯事である。 そのため人間達の間では、ゆっくり随一の嫌われ者であった。 当然ちぇん種との扱いの差は天地の開きがあるのだが、そんなことまりさは知る由も無かった。 またある所に、一匹の瀕死のぱちゅりーが道で倒れていた。 石か何かでケガをしたようで、皮の一部を失って餡子が流出している。 そこに一人の女性が通りかかり、ぱちゅりーに気付く。 「た、大変!大丈夫!?」 「むきゅ……いたい……」 「待ってて、すぐ助けてあげるからね!」 急いで女性はぱちゅりーを、治療のために連れて帰る。 ぱちゅりー種は物分かりがよい分、人間の恐ろしさも熟知している。 そのため人間に危害を加えようとしない傾向が他のゆっくりよりも強い。 よって人間からは頭のいい、迷惑をかけない良いゆっくりだという認識を受けていた。 女性は再び家を出ると、近くをひたすら走り回った。 すぐに目的のゆっくりが見つかった。家族連れのれいむ種で、赤れいむも何匹かいる。 「いいゆっくりね、少し借りるわ」 「なにするの!れいむをはなしてね!」 「おねーしゃん、やめちぇね!」 「おかーしゃんをはなちぇー!」 赤れいむ達の声など聞く耳持たず、母れいむを家へ連れて帰る。 そしてすぐにぱちゅりーのいる部屋ではなく、台所へ向かった。 「はやくおうちにかえして…………ゆぎゃああああ!!!!!」 女性はれいむの皮を剥ぎ、中の餡子も少し貰い、ぱちゅりーの元へ急ぐ。 幸いぱちゅりーは、まだ死んではいなかった。餡子を入れ、れいむの皮を使い縫合する。 餡子があれば、ゆっくりはなかなか死なない。小一時間すると、餡子を得たぱちゅりーは完全に回復した。 「むきゅ、ありがとう、おねえさん!」 「いやいや、助かってよかったわ」 すっかり元気になったぱちゅりーは、森へと戻っていった。 ぱちゅりーが帰ったのを見届けてから、女性は台所へ戻る。 大きく皮を剥がれたれいむは、餡子を流出しきって死んでいた。 ほぼ皮だけとなったれいむを持って、赤れいむ達の元へ戻る。 「あ、さっきのおねーしゃん!」 「おかーしゃんをかえちてね!」 「ええ、分かってるわよ。ほら」 女性は母れいむだったものを、赤れいむ達に投げつける。 「お、おかーしゃんがああああ!!!!!」 「どぼちてえええええ!!!!!」 「ゆっくちできにゃいよおおおお!!!!!」 「あなた達のお母さんのおかげで、一匹のゆっくりの命が救われたわ!ありがとう!」 れいむ種はぱちゅりー種と違い頭が悪く、まりさ種同様平気で人間の食べ物を食べたり、人家に侵入したりする。 数が多いこともあり、人間達の間ではやはり嫌われ者であった。 またある夜、青年が森を歩いていると、ゆっくりみょんが体付きれみりゃに襲われていた。 「まつんだどぉ~☆」 「ちんぽおおおお!ちんぽおおおおおおお!」 ゆっくりみょんは卑猥な言葉を発するとはいえ、その性格に関しては意外と礼儀正しい。 そのため女性からはともかく、男性には好かれることが多かった。 「この肉まんが!喰らえ!」 「だどおおおおおお!!!!!!」 青年のパンチを喰らって、れみりゃは吹っ飛び、ピクピクと痙攣している。 体付きれみりゃは可愛さも頭脳も、数あるゆっくり種の中で最低レベルに位置する。 しかもれいむ種やまりさ種にはまともな者もいるが、体付きれみりゃにはほぼ皆無。当然嫌われ者である。 「さあ、今のうちに逃げるんだ」 「ありがとうだちーんぽ!」 青年に礼を言うと、ゆっくりみょんは森の中へ姿を消していった。 しばらく歩くと、似たような光景を再び目にした。 「うー!うー!」 「たすけてえええええ!!!!!」 今度は襲っているのは体無しれみりゃ、襲われているのはゆっくりアリスである。 ゆっくりアリスは青年を見るやいなや、青年に助けを求めた。 「お、おにいさん、たすけてくれてもいいわよ!」 「……………………」 「な、なんならおにいさんのいえを、ありすのいえにしてあげてもいいわ!」 「そうか、じゃあやめとくわ」 青年はそう言うと、ゆっくりアリスを掴み上げた。 「ほれ、こいつやるよ」 「んほおおおおお!!!なんでええええ!!!」 「うー!うー!」 ゆっくりアリスは人間へは物的被害はもちろん、精神的にも害を及ぼす。 それは手当たり次第に他のゆっくりをレイプし、またその時の顔が非常に醜いということだ。 小さな子供を持つ主婦からは、子供の教育に悪いと特に評判がよろしくない。 ゆっくりれみりゃは、青年に掴まれたありすをガツガツと貪る。 「ゆぎゃあああああ!!!!!」 「うー!うー!」 「うーむ、さすがに可愛いなぁ」 体無しれみりゃは捕食種ながら、その外見はゆっくりの中でも屈指の可愛さを持つ。 しかも体付きと違ってうーうー呻るだけでウザくないので、かなり人気が高い。 もちろん、れいむ種やまりさ種をよく食べるというのも人気の理由の一つである。 青年はれみりゃの食事が終わるまで、ゆっくりしてその光景を眺めていた。 さて、それらの噂を耳にしたゆっくり達で、悪巧みを企む者達がいた。 ゆっくりちぇん、ゆっくりぱちゅりー、ゆっくりみょんの3匹である。 彼らは先の話のちぇん達のような者達と違い、彼らの種にしては珍しい、ゲス気味のゆっくりであった。 「むきゅ、わたしたちには、にんげんはやさしいわ」 「ごはんもらいほうだいだね、わかるよー」 「にんげんをりようするんだちーんぽ!」 早速3匹で人里へ赴く。 人気者の3匹が勢ぞろいしている光景には、多くの人間が目を細めた。 「あらあら、可愛らしいゆっくり達ですね」 一人の少女が3匹に声をかける。 すると3匹は待ってましたとばかりに、少女に要求を始めた。 「むきゅ、わたしたちがかわいいのは、とうぜんよ!」 「だからごはんをよこすんだちーんぽ!」 「ひろいいえもねー、わかってるよねー」 「あらあら……分かりました。ではどうぞ、私の家へ」 少女はにっこり微笑むと、自分の屋敷に3匹を招いた。 その門には「稗田」と標識があったが、ゆっくりにとってこれが何を意味するかは無論知らなかった。 そしてその家で、3匹は知ることになる。 ゆっくりの種になど関係なく、どんなゆっくりも虐待する人間がいることに。 彼らが屋敷を出てくることは、二度となかった。 終 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/717.html
紙芝居を聞かせて? by 十京院 典明(旧名 ”ゆ虐の友”従業員) ゆっくりれみりゃは、飼い主の男が寝付いた後の家を歩き回る。 普段のような、気楽で闊達とした歩き方ではない。といって空を飛ぶのでもない。 のそのそ、よろよろと…れみりゃ自身の考えでは”慎重に”歩いている。 「かさかさ、いないどぉ~?」 先ほど見せて貰った紙芝居。それに出てきた「かさかさ」を恐れ、 しかし寝床でじっとしていることもできずに男の家を徘徊する。 がさっ 「あうううう~~!!??」 小さな物音におびえ、れみりゃは立ち止まる。 確かに聞こえた。「かさかさ」がそこにいる。いるに違いない。いるのだ。 れみりゃは頭を抱えてその場にしゃがみこむ。 「おぜうさまなんかいないどぉ~!ここにはだれもいないどぉ~!」 かさかさがしゃがみこんだれみりゃの体に登り、動き回る。 れみりゃは頭を抱えたまま身をよじる。 「やだどぉ~!!えれがんどなおぼうしがよごれぢゃうどぉ~!!」 かさかさ。 「くしゃいどぉぉぉぉ~!!さくや、さくやぁぁぁぁぁ~!!」 かさかさ。 「ぎもぢわるいどぉぉぉぉぉぉ!!!!」 「……」 「うー!」 「おい」 「いないどぉ~!おぜうさまはるすなんだっどぉ~!」 「おい、れみりゃ?」 肩をゆすられて目を醒ますと、飼い主の男がいた。 「ちゃんと自分の寝床で寝なくちゃ駄目じゃないか。 折角、れみりゃの欲しがってた紅魔館買ってあげたんだから、お行儀よく使わなきゃ駄目だよ?」 「うあ?どーしてこんなところでねてるんだっどぉ~?」 不思議そうに首をかしげるれみりゃ。 「そうだど、おにーさん!きょうもかみしばいよんでほしいっどぉ~。」 「はいはい。じゃあ、お兄さんと一緒に紅魔館に行こうね。」 男は紙芝居を読んでやる。 「小さな虫は、かさかさと這い回りました」 「おいしそーなかさかさだっどぉ~! おぜうさまだったらぁ、ぜーんぶたべちゃうどぉ~♪」 「虫達は、潰しても潰してもゆっくりの周りに寄ってきます…… それにしても変な紙芝居だな……ゆっくりにはこんなのが面白いのか?」 それはとても奇妙な筋立ての紙芝居だった。 ゆっくりれみりゃの周りに虫が寄ってきて、やがてれみりゃに虫がびっしりと取り付いてしまう。 そんな、わけのわからない物語だ。 「うっうー!かさかさいっぱいだどぉー!」 男は不思議に思いながらも、続きをせがむれみりゃのために紙芝居をめくってやる。 「ゆっくり達の前に、大きな一匹の虫が現れました……」 「ぎゃおー☆たーべちゃーうどぉー!」 * * * * 大きなかさかさがれみりゃの前に”立って”いた。 「れみりゃ、れみりゃ、こっちへおいで」 かさかさは細くて筋張った手でれみりゃを捕まえ、ぐいぐいと引っ張る。 「あう!かさかさのくせになまいきだっどぉ~! えれがんとなおぜうさまにたちむかうとはいのちしらずだっどぉ~!せいばいだどぉー!」 しかしかさかさは細い腕でしっかりとれみりゃをとらえ、振りほどくことは出来ない。 「うー!うー!どーじではなざないんだっどぉ~!?」 れみりゃはやわらかい腕を動かして相手を倒そうとするが、膂力の差は歴然としている。 かさかさはれみりゃを抱きすくめ、にたりと笑ってこう言った。 「食べてあげる。食べさてあげさる。食べさ食べかさかさべかさ」 「ぎゃおー!!ゆっくりはなすんだっどぉ~!!」 「かさかさかさかさ」 * * * * 最近、れみりゃの調子が悪い。食事と紙芝居を読んであげているときのほかはほとんど寝ている。 医者へ連れて行っても、しょせんゆっくりの事と真面目に受け取ってもらえない。 「おにーさん、ねむれないんだっどぉ~。かみしばい、よんでほしいどおー」 「おお、よしよし。 ……あの紙芝居がいいのかい?」 「あれじゃなきゃやだっどぉ~!かさかさのおはなしがいいんだっどぉ~!」 その紙芝居は行きつけの用品店ではなく、森にほど近い場所にある奇妙な古道具屋で買ったものだ。 道具の名は”紙芝居”効能は”読み聞かせた相手を虜にする”という店主の売り口上に惹かれて買ったが、 たしかにれみりゃを夢中にしている。 男は紙芝居に感謝していた。具合の悪いれみりゃのせめてもの慰めになってくれている紙芝居。 これが無かったら、れみりゃはもっとつらいことだろう。比喩でなく、ゆっくりにつける薬などないのだから。 「はやくだどぉ~!よんでくれないと、たーべちゃーうどー!」 「わかったよ。たくさんのむしさんが……」 「うー!」 * * * * れみりゃは逃げる。 「ごあいどぉぉぉぉ!!!ざぐやぁぁぁぁぁ!!!!おにーざぁぁぁぁーん!!!どごだどぉーー!!??」 背中から、手足から、帽子の中から、眼球のふちから、羽音がぞわぞわと内側へと「 「」 お洋服が虫で出来ている。気持ち悪くて涙があふれる。 必死に助けを求める声が、かさかさとした音へと変わっていく。 大好きなお兄さんが虫で出来ている。 「れみかさ?かみかゃ?」 「 「@p 光の中に居た。その光をどのようにしてか抜けると、清澄な意識だけがそこにあった。 れみりゃは静かに、とても静かに己の終焉を理解した。 死という言葉は知らなくても、死という実感は持つことが出来た。 ――おにーさん、もうあえないんだどぉ。さびじーどぉー! ――おにーさん、おぜうさまはかさかさにひどいめにあわされたんだどぉー。たすけてほしかったんだどぉー ――もっといっぱい、うーしたかったどぉー。もっとおにーさんにみせてあげたかったどぉ~ ――だけど、ばいばいだど。 いつしか辺りは穏やかな川辺であった。川の向こうに、大好きなおにーさんがいる。 「うー!おにーさー……」 だけどもう声は届かない。見てもらうことも出来ない。 おにーさんがれみりゃを探している。おにーさんがれみりゃを呼ぶ声も、もう聞こえない。 引き裂かれるようにつらくとも、何もかもをなげうって願っても、もう帰ることは出来ないのだ。 「うっうー……」 たとえ見えなくても。 ――おにーさん、これがさいごのうーだどぉー。 ――いままで、ありがとうだどぉー。 届くことがなかったとしても、れみりゃは男への感謝を込めて、今までで一番の踊りを披露しようと思った。 「うっうー!」 涙を拭いて、えれがんとなすまいる。両手を胸の前へ。 元気良く声を出して、さあ。 だんす☆すたーと。 「かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ」 踊りが虫でできている。川辺が虫で出来ている。 えれがんとなすまいるが虫で出来ている。 「れみりゃ、れみりゃ、こっちへおいで。 お前はもう、虜なのさ。その魂までも」 * * * * 結局、れみりゃは眠るように逝ってしまった。 男には何が原因だったのかはわからない。 紙芝居をもう一度読み直してみる。おどろおどろしいタッチで描かれた挿絵と、わけのわからない物語。 もうこれを開くことも無いだろう。 男は、れみりゃをゆっくりさせてくれたこの紙芝居をあの古道具屋へ返してやろうと思った。 「そうすれば、いつかまた別のゆっくりがあれでゆっくりするかもしれないしな。 そうだろ?れみりゃ……」 END
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/461.html
『よいどれみりゃの世界』 幻想郷でいくつかの異変が解決された頃。 各地で"ゆっくり"と呼ばれる不思議な生き物たちが姿を現した。 里で森で山で、さらには地の底や天の上に至るまで、 "ゆっくり"は次々に数を増やし、幻想郷で生きる隣人となっていった。 それは、吸血鬼達の支配する彼の地でも同じこと。 この日、紅魔館は多くのゆっくり達で賑わっていた。 館の当主によく似たゆっくり、ゆっくりれみりゃが森の友達を呼んで遊んでいたからだ。 館のメイド達から寵愛を受け、ゆっくりライフを満喫していた、れみりゃ。 この日も、れみりゃは友達のゆっくり達と楽しく遊んで、美味しいオヤツを食べてゆっくりするハズだった。 だが。 「ぶぁぁーーん! ざくやぁー!」 れみりゃは泣き叫び、トテトテ小走りに咲夜の下へ走っていく。 「れみぃー様?」 突然の泣き声に驚き、声の主へ振り向く咲夜。 見ると、紅魔館のゆっくりれみりゃ……通称「れみぃー」が顔を真っ赤にして滝のように涙を流していた。 その部屋は、れみぃーとその友達が遊ぶために、咲夜が空間を拡張して作った遊び部屋だった。 咲夜は、楽しそうに遊んでいたれみぃー達を傍目に、オヤツの用意をしていたところだったのだが。 「どうしたんですか、れみぃー様?」 さっきまであんなに笑顔だったのに…… 咲夜は不思議に思いながらも、れみぃーを抱き上げ頭を撫でてあげる。 「ふらんがぁー! ふらんがぁー! れみぃーたちのごーまがんをー!」 咲夜の腕の中で、れみぃーは嗚咽をあげながら部屋の奥を指指した。 そこは、つい先ほどまで、れみぃーと他のゆっくり達が積み木で遊んでいたはずの場所だ。 しかし、咲夜が視線を移した時、そこにはゆっくりした光景は無かった。 そこに見えたのは、怯えるゆっくりれいむや、ゆっくりまりさ、そしてあたりに散らばる積み木。 そして、今尚れみぃー達が作った積み木のお城を楽しそうに壊して散らかす、1匹のゆっくりがいた。 彼女の名前は、ゆっくりフラン。 紅魔館の住人にして、れみぃーの妹である。 「ざくやぁー! めぇーしてぇ! ふらんもぉーやだぁー!」 楽しげに積み木を崩してまわるフラン。 積み木を崩された悔しさ悲しさと、フランへの恐怖で涙するれみぃー。 咲夜は早々と事情を飲み込み理解していく。 こういったことは、近頃の紅魔館ではよくあることだった。 れみぃーとフランは決して仲が悪いわけではない。 けれど、どんな姉妹にも喧嘩はつきものである。 ただ、ことこの姉妹に関しては、妹の方が姉より強くて好戦的という事情があった。 そのせいか、姉であるれみぃーが、妹のフランに一方的に虐められてしまうことが、しばしばあった。 「ほーらよしよし……。れみぃー様はお姉さんなんですから、妹様にも優しくしてあげ……」 「だめぇー! ざくやはれみぃーのおみかたしてくれなきゃイヤー!」 咲夜の説得に応じず、ますます火がついたように泣き出す、れみぃー。 そんなれみぃーを愛おしく思いつつも、咲夜はやれやれと吐息をもらした。 れみぃーを責めるつもりは、咲夜には毛頭無い。が。 それでも姉としてもう少ししっかりしてほしい……そう思うことがあるのは事実だった。 そうすれば、きっと"館の真の主"も、れみぃーを少しは認めてくれるハズ……それは最近の咲夜の悩みでもあった。 「私はれみぃー様の味方ですよ。それに、私は"ざくや"ではなく咲夜です」 咲夜はニッコリ微笑み、優しく抱きしめて、れみぃーを落ち着かせていく。 「うっぐ、えっぐ、うぁっぐ……」 「ほら、おはながでてますよ?」 どこからかハンカチを取り出し、れみぃーの口の上あたりにあてる咲夜。 「うー、ちぃーーん」 れみぃーは口を閉じると、ハンカチへ向かって、いきんで空気を送る。 咲夜は、"にくまん"汁でぐしょぐしょになった顔を、丁寧に拭いてあげた。 そんなれみぃーの下へ、一緒に遊んでいたゆっくり達が集まってきた。 「むきゅー、れみぃーもういいわよ」 「つみきさんはやめて、ゆっくりしようね!」 「ゆぅ~、そうだよ、いっしょにゆっくりしよう?」 ゆっくり達は、皆れみぃーのことを心配していた。 その気持は、れみぃーにも伝わり、胸の奥をとてもゆっくりさせた。 しかし、だからこそ、れみぃーは納得できない気持でいっぱいになり、再び涙を爆発させてしまう。 「やだやだやだぁー! れみぃーのごーまがんなのぉー! ごーまがんでみんなといっしょにゆっくりするのぉー!!」 大好きな友達と一緒に作った積み木の"こーまかん"…… せっかくゆっくりしていたのに、完成したら咲夜達にも見せてあげようと思ったのに。 そして、"こーまかん"が出来たら、オヤツの"ぷっでぃーん"を食べながら、みんなでもっとゆっくりしたかったのに。 なのに。 もう"こーまかん"は無くて…… それが、れみぃーには無性に悲しくてたまらなかった。 「また作りましょう? 私もお手伝いしますから、ね?」 「……う~~っ、ざくやぁー、ほんとぉ?」 咲夜の提案に、れみぃーはぐすぐす鼻をすすりながらも、涙の滝をせき止めようとする。 けれど、聞こえてくる楽しげな声に、その堰は容易く決壊してしまう。 「こぉ~われろぉ~♪ こぉ~われろぉ~♪」 ビクッと体を震わせる、れみぃー。 声の主は他でもない、"こーまかん"を満面の笑顔で破壊したフランだ。 "こーまかん"だけでは飽きたらず、 今もフランは、れみぃーの玩具やぬいぐるみを振り回したり投げつけたり蹴飛ばしたりして遊んでいる。 「またこーまかんつくってよ、おねぇーたま♪ そしたら、またこわしてあげるね☆」 「ぶっああああーーー!!」 フランは、あまりにも無邪気で、あまりにも無慈悲だった。 れみぃーは再び泣き出し、咲夜のメイド服を肉汁の涙でぐしょぐしょに濡らしていく。 「……仕方ないわね」 こうなってしまうと、そう簡単に泣きやませるのは難しい。 咲夜はそのように判断し、奥の手を使うことにした。 「お嬢様も気分を落ち着かせる時にはこうしていたし……大丈夫よね?」 咲夜は、ブランデーを数滴、用意していたオヤツのプリンにかけると、 それをスプーンですくって、そっとれみぃーの口へ運ぶ。 れみぃーは、ぐずりながらも、 差し出されたプリンを半ば本能的に口に入れて、咽の奥へ流した。 「……うぁ、うぁ、ひっぐ」 泣き疲れた上に、ブランデーのアルコール分が加わり、れみぃーは徐々に瞼を閉じていく。 咲夜は、そんなれみぃーをあやしながらも、内心ホッと胸を撫で下ろすのだった。 「……ぅーぅー」 間もなくして、れみぃーは深い眠りへと落ちていった。 * * * れみぃーは、上から子供用ブランケットをかけられソファーの上で眠っていた。 泣きはらした跡こそ残っていたが、その顔は安らかだ。 「……ちゅぶ、ちゅば」 まるで母親を求めるように、指をしゃぶるれみぃー。 その姿を咲夜が見たら、流血必至であっただろう。 けれど、その場に咲夜はいなかった。 フランも、れみぃーが呼んだ友人達もいなかった。 遊び部屋には、れみぃーが一人。 ソーファーの上で寝かされていた。 チクタクと部屋の中の置き時計が針を進める。 やがて、置き時計の戸が開き、中から可愛らしくデフォルメされた恐竜の人形が飛び出した。 "ぎゃおー♪ ぎゃおー♪" 置き時計の中から、声が響く。 それは、れみぃーのために咲夜が河童に作らせたカラクリ時計だった。 「……う、うぁ?」 れみぃーは、お気に入りの時計が"ぎゃおーぎゃおー"と鳴いているのに気づき、 目をしばしばさせながら、ゆっくりと瞼を開ける。 柔らかな手でゴシゴシを目をこすりながら上半身を起こす、れみぃー。 「う~~? みんなどこぉー?」 徐々に覚醒する意識に伴って、れみぃーは周囲を見回した。 しかし、そこは記憶の中で確かに先ほどまでいた遊び部屋だったが、れみぃーに声をかけてくれる人は誰もいなかった。 ぼぉーとする頭で、れみぃーはソファーから降りて絨毯の上に立つ。 状況がわからず心細さが募る中、れみぃーは咲夜を呼ぼうとして、自らの異常に気づいた。 「うぁ……なんだかおのどがひりひりするどぉ……じゅーちゅのみたいどぉ……」 さんざん泣いた影響で、れみぃーの咽は猛烈に水分を求めていた。 ぐずりかけたれみぃーは、テーブルの上に置かれた瓶を見て、顔をほころばせる。 「うー♪ いいものみっけぇー☆」 れみぃーは背伸びで手を伸ばして、テーブルの上の瓶を両手で持った。 瓶の中には水とは違う液体がなみなみ入っており、むかし咲夜が作ったパウンドケーキに似た甘い匂いをさせている。 飲んだことのないジュースを見つけたと、小躍りして喜ぶ、れみぃー。 大事に両手で抱えた瓶を口へ運び、中の甘い匂いのする液体を口の中へ流しこんだ。 「ごきゅ☆ごきゅ☆ごきゅ……」 咽が渇いていたことも手伝って、れみぃーは夢中で瓶の中身を飲んでいく。 「うーうー♪ うぁ、うぁ?」 故に、瓶の中身を殆ど飲み終えてから、れみぃーは気づいた。 その液体が、甘いジュースなどではないことに。 「うぁー! うぁー! これじゅーちゅじゃないどぉー!」 れみぃーは、ゲホゲホむせかえって、瓶を投げ捨てる。 割れることなく絨毯の上を転がる瓶。 残りが零れて絨毯に染みを作るそれは、ジュースではなくブランデーだった。 れみぃーを寝かしつける際に咲夜が用いたブランデーが、置きっぱなしになっていたのだ。 れみぃーは、アルコール発酵独特の甘い匂いからそれをジュースと勘違いし、 原液のブランデーを水の如くがぶ飲みしてしまったのだ。 「うー! うー! ざくやぁーあづいよぉー!」 胸や喉に手をやり、絨毯の上をゴロゴロ転がりまわる、れみぃー。 高濃度のアルコールで、体がまるで焼け付くように熱く感じられた。 そして、数分後。 暴れ回った影響で、れみぃーの体にさらなる変化が起きた。 「……うぁー?」 自らの体に起こる変調。 その体験したことの無い不思議な感覚に、れみぃー首を傾げる。 「う~~なんかおからだがへんだだぉ~~? ぽかぽか☆ぐるぐるだどぉ~~」 地面に寝転がっていたれみぃーは、むっくりと上半身を起こして俯いた。 「……うー」 「あっ☆おねぇーたまおきたのね♪」 れみぃーが、声を漏らした瞬間。 扉が開き、れみぃーの妹たるフランが部屋に入ってきた。 フランは、れみぃーが目覚めたことを確認すると、嬉しそうに小走りでやってくる。 「どぉーしたの? はやくこーまかんつくりましょ☆」 フランは、れみぃーの下までやってくると、座りこんでいるれみぃーの腕を掴んで立たせようとする。 「こーまかん☆こーまかん♪ こぉーわれろぉ☆こぉーわれろぉ♪」 歌いながら、れみぃーをうながすフラン。 フランは姉とともに先ほどの続き……即ち"こーまかん"を積み木で作っては壊す遊びをするつもりだった。 しかし、その時。 喜色満面のフランの腕に、突然痛みが走った。 「うっ!?」 その痛みに驚き、フランは痛みの走った手をぼぉーと眺める。 目をパチクリさせながら状況をのみこもうとするフラン。 ついさっきまでれみぃーの肩を揺すっていた手が、ほんのり赤くなっている。 何者かにベチンと叩き払われたのだ。 そんなことをする何者か。 それは、他でもない、フランの姉たるれみぃーであった。 「うー! おねぇーたまのくせになまいきだよ!」 フランはむすっとして、れみぃーを押し倒そうとする。 押し倒して、いつかのように柔らかいほっぺたを抓って泣かしてやろう……そうフランは考えていた。 フランは気づいていなかったのだ。 目の前のれみぃーに起きている変調に。 「きゃん☆」 数秒後、絨毯の上に尻餅をついたのは、いぢめてやろうとするフランの方だった。 れみぃーを押し倒そうとするフランを、座っていたれみぃーが立ち上がりざま押しのけたのだ。 「う、うー?」 思わぬ反撃に、頭を混乱させるフラン。 その混乱は、目の前に立つれみぃーによって、さらに大きくなっていく。 「ふりゃんは、いけないこなのりゃ……いけないこは、おしおきなのりゃ!」 「お、おねぇーたま……だよね?」 フランはれみぃーをおそるおそる見上げて呟く。 れみぃーの顔は真っ赤に紅潮し、目はトロンとしながらもどこか鋭さを増していた。 「あったりまえだのくらっかーなのりゃ! れみぃーはれみぃーなのりゃ!」 れみぃーはそう言うと、両手でベチベチとフランの頭を叩いていく。 れみぃーの異様なプレッシャーに負けて、フランは頭を抱えてれみぃーから逃げていく。 「や、やめてよーおねぇーたま! さ、さくやぁー!」 フランは浮き上がり、そのまま扉を抜けて部屋から退散した。 その後ろ姿を見ながら、キャッキャッと笑う、れみぃー。 「うっうー♪ ふりゃんってば、よわむしさんなのりゃ♪」 今までの鬱憤が晴れたかのように、れみぃーは愉快そうに体を踊らせる。 れみぃー自身にも理解できない何かのおかげで、とにかく楽しくて愉快な気持が溢れてきて止まらなかった。 れみぃーは、きっとこれもあのジュースを飲んだおかげだと考えた。 きっと、後から楽しいキモチになれる魔法のジュースだったのだと。 「おとなのおあじなのりゃー♪ ふりゃんはまだまだおこちゃまなのりゃー♪」 やがて、ひとしきり踊った後、れみぃーは遊び部屋を出ることにする。 目的は一つ、もっと大人の味を堪能するためだ。 「れみぃーは、もっとじゅーちゅのみにいくのりゃ♪」 れみぃーは廊下に出て左右をキョロキョロ見回した後、 うろ覚えの道のりを歩いて厨房を目指していく。 その足は千鳥足で、あっちへふらふら、こっちへふらふら。 とうとう、顔から壁に突っ込んでしまった。 「う、うぁ?」 れみぃーは驚き、壁にぶつかった顔を両手でさする。 いつもなら泣いてしまうところだったが、不思議と痛みは感じない。 「うー! かべさんじゃまなのりゃー!」 れみぃーは叫ぶや否や、両手を上に上げ壁を威嚇する。 「おぜうさまにえんりょなどふようなのりゃ♪ ただぜんしんせいあつあるのみなのりゃ~♪」 そして、れみぃーはそのまま壁へと突き進んだ。 バコーン! れみぃーが突っ込んだのと同時に、壁はコミカルな音を立てて、あっさりと壊れた。 跡には、バンザイしたれみぃーの形の穴が空いている。 それに気を良くしたれみぃーは、楽しくなって次々に壁をぶち抜いていく。 「ぎゃおー♪ ぎゃおー♪」 次々に壁をぶち破って、厨房を目指すれみぃー。 すると、十数枚目の壁を突き抜けたところで、広いホールに出た。 そこには、唐草模様の風呂敷をほっかむりにした、2m以上もある巨大なゆっくりがいた。 それは、俗に"ドスまりさ"と呼ばれる種の巨大ゆっくりだった。 そのドスまりさは、れみぃーを見るや否や、バツの悪い苦笑いを浮かべた。 人間で言うならば余りにベタベタでコントでも用いられないその姿……ドスまりさは泥棒の格好をしていた。 「うっ! ろうぜきものなのりゃ! こーまかんはれみぃーがまもるのりゃ!」 れみぃーは、義憤に燃えて、ドスまりさに向かって小走りで向かっていく。 あまりにも違う体格は、普通であればれみぃーがドスまりさに「ボヨン」と弾かれて終わりになるはずだった。 しかし、この時は違った。 「だっだぁ~ん☆ぼよよんぼよよ~ん♪」 不思議なかけ声とともにれみぃーが突撃すると、 ドスまりさはまるで風船のようにボヨンボヨンと弾かれて、どこかへ跳んでいってしまった。 「うぃーあー♪」 勝利の雄叫びをあげる、れみぃー。 「れみぃーは、のめばのむほどつよくなるのりゃー♪」 れみぃーは、ますます良い気持になって壁を突き破っていき、とうとう厨房に到着する。 厨房の中央には、不釣り合いな食事用のテーブルが置かれており、 その上にはブランデーの入った瓶が何本も置かれていた。 「うぁ☆じゅーちゅはっけんなのりゃ♪」 れみぃーはパタパタ飛んでテーブルの上に乗ると、 その上に乗っている瓶つかんでラッパ飲みしていく。 「ごきゅ☆ごきゅ☆ぷっはぁー♪ このいっぱいのために"かりしゅま☆"やってるって感じなのりゃ~~♪」 1本、2本、3本……。 れみぃーは次々にブランデーの入った瓶を空にしていった。 本当に良い気持で、気分を有頂天にする、れみぃー。 すると、視界の端に、いつからいたのか咲夜を発見した。 「うっ☆さくやなのりゃー♪」 れみぃーは、咲夜を見て喜びの声をあげる。 一方の咲夜は、れみぃーに背を向けて何やらブツブツ呟いていた。 「さくやぁー☆このじゅーちゅとってもゆっくりできるのりゃー♪ いっしょにばんしゃくなのりゃー♪」 しかし、咲夜はれみぃーがいくら呼んでも振り向こうとはしなかった。 頭上に「?」マークを浮かべるれみぃーに対し、咲夜はれみぃーにも聞こえる声で言った。 「……れみぃーさま、私は"さくや"ではありません」 「うぁ? さくやぁー?」 咲夜は、ゆっくりと振り向いた。 ゆっくりと振り向いて、その顔をまざまざとれみぃーに見せつけるのだった。 「私は……"ざくや"なのです!」 「う、うぁぁぁぁーー! さくやのおかおがぁぁーーーっ!!」 驚愕して叫ぶ、れみぃー。 咲夜の顔は、いつもの優しいものではなかった。 それどころか人でもゆっくりのものでもなかった。 銀色の髪の毛の下にあったのは、緑色の兜のような顔と、その真ん中で光る丸くて紅い一つ目。 咲夜は、その言葉通り"ザクや"とやってしまっていた。 「れみぃーさまぁー……おやしきのかべをこわすようなわるいこはおしおきですー……」 「こぁいー! こぁいのいやなのりゃー!」 れみぃーは、恐怖で顔を引きつらせ、ひぃーひぃー叫びながら厨房を走り去っていく。 そして、何枚かの壁をぶち抜いて廊下に出た時、れみぃーは見知った後ろ姿を見つけた。 それは、見間違えるはずもない妹、ゆっくりフランの後ろ姿だった。 「うっ、ふりゃーん! はやくにげるのりゃー! さくやがぁー!! 「……どうしたの、おねぇたま。そんなにあわててはしたない」 れみぃーは、危機を知らせようと、背中を向けたままのフランへ近寄っていく。 「うぁ! れみぃーははしたなくなんてないのりゃ! で、でもそれよりいまはさくやが!」 「さくやが……どうしたの?」 くるり。 れみぃーへ振り向いたフランの顔は、先ほどの"ザクや"と同じものになっていた。 「うあああああーーーっ!! ふりゃんまでぇぇーーーーっ!?」 れみぃーはフランに背を向けると、一目散にその場を後にした。 人間から見れば遅いそれも、ゆっくりからすれば必死の全力疾走だ。 「な、なんなのりゃー!? ここはれみぃーのこーまかんなのにぃー!!」 わけもわからぬまま無我夢中で廊下を走り抜け、壁をつきやぶっていく、れみぃー。 気づけば、そこはれみぃーの自室だった。 れみぃーは部屋の奥のベッドへと飛び乗り、 シーツを皺だらけにしながら四つんばいでベッドの上を進む。 そして、枕の横に置かれた、自分の体ほどもある大きな恐竜のヌイグルミにぎゅーと抱きついた。 「う~~っ! きょーりゅーさん、れみぃーをおまもりしてぇー!」 れみぃーは、がばっとシーツの中に身を隠れさせると、 恐竜のヌイグルミもシーツの中へ引き入れて、それを抱きしめた。 「う~♪ これでもうあんしんなのりゃー♪」 シーツの中に隠れた自分のカムフラージュは完璧だ。 それに、自分には恐竜さんもついている。 これなら、大丈夫、きっと大丈夫。れみぃーは自分を説得していく。 しかし、その時バタンと部屋の扉が破られる音が響いた。 「うっ!?」 ビクンと体を震わせて、ギューギュー恐竜にしがみつくれみぃー。 そうしている間にも、部屋の入口から足音が近づいてきた。 「う、うぁ? な、なんでこっちくるのりゃー」 ギシィ。 ギシィ。 ゆっくり、ゆっくり、床板を軋ませながら足音が近づいてくる。 れみぃーはぎゅっと目を瞑り、恐怖を払うかのようにシーツの中で押し殺した声をあげる。 「うぁ、うぁー、こっちこないでぇーーー」 そして、ついに足音はれみぃーの隠れているベッドの前までやって来た。 ガクガクぶるぶる、れみぃーは体を震わせる。 次の瞬間、れみぃーの中で恐怖が限界を超えた。 れみぃーはバサァと自らシーツを払って、両手をバンザイした格好で精一杯叫んだ。 「ぎゃおーーーーーっ!!!」 叫んで、叫んで。 そこで、れみぃーの視界が真っ暗になった。 * * * パチン、と暖炉にくべられた薪が火の粉を爆ぜさせる。 温かく保たれたこの部屋は、紅魔館の中で、れみぃーのために用意された部屋だった。 「うー、うー、うぁー」 れみぃーは、ベッドの上で温かい布団にくるまれて、うなされていた。 苦しげに声をあげ、額から"にくまん汁"の汗を流す。 その汗を、白く綺麗な手が拭き取った。 それは、いつも通り優しく愛おしくれみぃーを見つめる咲夜のものだった。 「れみぃー様……」 「おねぇーたま……」 さらにその横には、妹のフランが椅子に座り、 姉のれみいーの様子を見ては表情を曇らせて、心配していた。 「うー、ううー、………うぁぁぁーー!」 突如部屋に響く、大きな叫び。 それとともに、れみぃーは目を大きく見開いて上半身を起こした。 「うぁー、うぁー、うぁぁー」 ハァハァと息を荒げる、れみぃー。 その視界にまず入ったのは、心配そうな、それでいてれみぃーを見て嬉しそうな咲夜とフランの顔だった。 「よかった、目が覚めたんですね」 「うー、おねぇーたまだいじょーぶぅ?」 ホッと胸を撫で下ろす、咲夜とフラン。 その顔は、いつも通り、れみぃーが良く知る2人のものだ。 「うぁ……ここは……」 不思議に思って、周囲を見回そうとするれみぃー。 が、頭を動かそうとしたその時、猛烈な痛みがれみぃーを襲った。 「う、うぁー! おあたまガンガンするどぉー! おむねがムカムカだどぉー!」 そのれみぃーの様子を見て、咲夜が溜息をついた。 その手には、空になったブランデーの瓶が持たれている。 「もう、これは大人の飲み物なんですから、れみぃー様は勝手に飲んじゃダメですよ!」 「う、うー、ゆっくりりかいしたどぉー……おとなのおあじは、やっぱりれみぃーにはまだおはやかったどぉー……」 痛みと気持ち悪さから、両手で頭を押さえる、れみぃー。 咲夜は、そんなれみぃーを再びベッドに寝かしつけて、頭を撫でてあげる。 「う~~しゃくやぁ~~♪ なでぇなでぇもっとぉ~~もっとしてぇ~~♪」 咲夜は微笑みながら、れみぃーの願いを聞き入れて、頭を撫でてあげる。 その動作に、れみぃーは落ち着きを取り戻し、ゆっくりしだす。 そのれみぃーの様子を見計らって、フランがおずおず口を開いた。 「うー、おねぇーたま、さっきはごめんー。いっしょにこーまかんつくろうね?」 「うー? ふらん……?」 フランの言葉に、れみぃーは胸が詰まる思いがした。 そして、気づいたら、ポロポロ涙を流しながら嗚咽を漏らしていた。 「う、うー! うーうー!」 「ど、どうしたんですか?」 「おねぇーたま?」 その涙は、先ほどまでの悲しみや恐怖によるものではない。 純粋な嬉しさと安堵からくる、実にゆっくりした涙だった。 「ほらほら、おはながでていますよ?」 「ぐ、ぐしゅん……ちぃーーん」 咲夜に鼻をかんでもらう、れみぃー。 「おちつきましたか? こわい夢でも見たんですか?」 「な、なんでもないどぉー♪ れみぃーはおつよいこだから、なみださんとはバイバイなんだどぉー♪」 れみぃーはそう言うと、ぐしぐしと自分の手で涙を払う。 そして、ベッドで横になりながら、満面の笑顔を浮かべる。 「うっうー☆さくやとふらんといっしょにこーまかんつくるどぉー♪ たぁーのしみだどぉー♪」 咲夜とフランは、れみぃーに背を向けて、静かに微笑んだ。 故に、れみぃーはその瞬間を見ることは出来なかった。 「……そうですね」 「……とってもたのしみだね」 ふかふかベッドで横になるれみぃーを背にして、 咲夜とフランの前髪で隠された影の奥で、怪しい一つ目が赤く光った瞬間を……。 酔っぱらいれみぃーの不思議な体験は、まだ終わらない……。 おしまい? ============================== シュール系コメディ……なんでしょうか? す、少しでも楽しんでいただければ幸いです……。 by ティガれみりゃの人 ============================== 乙 不覚にも一生懸命こーまかんを作るれみぃーを想像して可愛く思えてしまった -- 名無しさん (2008-11-24 22 49 48) 続きがあれば見てみたいです。 -- れみりゃ好きの人 (2008-11-26 08 11 50) れみりゃざまあww -- 名無しさん (2012-05-03 19 55 13) なぜザクが出てくるんだ。 -- 名無しさん (2012-10-05 15 52 28) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1296.html
霊夢のバイト 「うっうー♪ れみりゃだどぅ~♪」 五月蝿い鳴き声とともに博麗霊夢の家にゆっくりれみりゃが入ってきた。 霊夢はうんざりした様子でそいつの頭を掴む。 「な゛に゛ずる゛どぉ~! ばな゛ざだい゛どざぐや゛に゛い゛い゛づげる゛どぉ~!」 「あらごめんなさい、あなたに甘いものを食べさせようと思って。」 冷たい目で霊夢がそう呟くと、途端にれみりゃの顔が笑顔に変わる。 「う~♪ はやぐあんだいずるどぉ~、たーべちゃーうぞー♪」 すぐさま地面に叩きつけたくなる衝動を押さえ霊夢は外に出た。 手を離して後からついてくるように言う。 よたよたとバランスの悪い体を動かして必死に霊夢についてきた。 だが、ものの10メートルほどで地面に座り込んでしまう。 「う゛ー! づがれだー!」 仕方なく霊夢はれみりゃを抱きかかえて運ぶ。 そのおかげでゆっぐりゃは上機嫌だった。 「う~♪ おぞらどんでるどぉ~♪」 そのまま行き着いた先は紅魔館であった。 相変わらず中国こと紅美鈴が寝ている。 シエスタなので邪魔してはならないといわれているが、問答無用で霊夢が蹴りを入れる。 が、一瞬で美鈴は目を覚ましそれを受け止めた。 「おはよ」 「何?」 寝起きなので少し不機嫌そうに霊夢を見る美鈴。 しかし霊夢は悪びれもせず要件を言う。 「これおまえのとこのだろ、返しにきたわ」 「なんで持ってくるかな、そいつがうざいことくらいあんただって分かってるでしょうが」 「お前等が買主なんだから責任くらい持てよ」 「こんな生物の誰が飼い主かっ!」 怒号が飛び交う中、ゆっくりゃは一人できゃっきゃと笑っている。 二人はそれが癪に障った。 「やめでぇー♪ れみりゃがぷりでーだからっであらぞわだいでー♪」 その言葉に霊夢は再びゆっくりゃを抱きかかえる。 「ちょっくら加工所」 「いってら」 軽く挨拶すると再び美鈴は眠りにつく。 しかし加工所と言う言葉を聞いたゆっくりゃは驚愕の表情だった。 以前から咲夜に教えられている、加工所と職員という言葉。 この単語が出てきたらまちがいなく自分の身が危ないという事だ。 いくら知能が低いゆっくりゃでも、これだけは何とか理解していた。 「ぶぁー! がごう゛じょいや゛ー! ざぐやー! ざぐやどごー!?」 泣き叫ぶれみりゃに霊夢は焦った。 (ここで泣かれると不味い……アレが……) しかし、時すでに遅くアレが来てしまった。 アレは霊夢の目の前にいきなり現れて怒鳴った。 「ちょっと、うちのれみりゃ様に何してるのよ!」 「ああ、もう」 その声を聞いて霊夢はうんざりとした顔をする。 怒った声の主は十六夜咲夜、ここ紅魔館のメイド長を勤めている。 元々紅魔館の主であるレミリア・スカーレットに忠誠を誓っているのだが、れみりゃが現れてからというもの、本来の主より溺愛してるのではないかという噂が立っていた。 「でたなゆっくり保護団体会長」 「誰が会長よ、あんな醜いゆっくりとれみりゃ様を一緒にしないで欲しいわ」 一緒だろ、と霊夢は突っ込みたくなるが我慢する。 毎度思うのだがれみりゃもうざいのだがそれを擁護するこの咲夜も尋常じゃなくうざい。 よかったな、ここがゆっくり虐待スレで。 「わぁったわよ、んで私はこのれみりゃを返しに来たんだけど」 霊夢は鬱陶しいと思いながらも用件を言う。 咲夜はそれを聞いて睨みながられみりゃを奪った。 「うっうー♪ ざぐやはづよいんだどぉー♪ ぼまえだんでいぢごろだどぉー♪」 「うっせカス死ね、で、咲夜。ちょっとあんたんところの主に用があるんだけど」 そう言うと無表情で咲夜は答える。 「ああ、どうぞ」 こいつ本当に忠誠を誓っているのだろうか。 霊夢はちょっとレミリアが可哀想に思えた。 相変わらずゆっくみりゃは虎の意を借って霊夢を挑発し続けた。 紅魔館に入ってすぐにレミリアの部屋へ向かう。 扉を開けるとレミリアは優雅にお茶の時間を楽しんでいた。 「あら、霊夢が来るなんてめずらしいわね」 レミリアは久しぶりの客人にうれしそうに目を細める。 カリスマ(笑)とは言われているものの、少なくともゆっくりゃよりは『お嬢様』らしい。 「うー♪ れみりゃはこーまがんのおじょーざまだどぉー♪」 しかし、咲夜がゆっくりゃを連れて入ってきた途端、不快なものを見るかのように眉をひそめた。 どうやらレミリアも霊夢と考えている事は一緒のようである。 まぁ普通あれだけやられてむかつかない方がおかしい気もするが。 「咲夜、ちょっと霊夢と二人っきりで話がしたいから出て行って頂戴」 「かしこまりました」 凛とした声で咲夜は一瞬で姿を消す。 まるで忍者かなにかだ。 咲夜が消えたのを確認してからレミリアは鬼のような形相で霊夢に掴みかかった。 「なんであの糞肉まんを連れ戻したのよ!」 「うっさい! 処分するの面倒だからあんたの所に任せようかと思ったのよ!」 「加工所行けばいいじゃない!」 「里の向こう側だから面倒なの!」 ゆっくりは生意気にも人語を話す。 所詮中身が餡子なので簡単な言葉しか喋れないが、覚える言葉がどれも人を小ばかにするようなものばかりなのだ。 しかも、自分の方が人間より上だと思っているからたちが悪い。 「……ったく、しょうがないわね」 レミリアは指を三本突き出す。 「れみりゃを処刑するわ、あんたにも手伝って貰うからこの金でどう?」 指の意味はどうやら金をいくらだすかという事のようだ。 霊夢は少し考えて指を一本増やした。 「これならいいわよ」 「高いわよ、バイトのくせに生意気よ」 「……しょうがないわね、3.5でどう?」 結局、3.2で了承した。 レミリアに仕事の内容を聞き、霊夢は頷く。 こうして霊夢のバイトが始まったのだ。 ■■■ 咲夜には内緒で庭を歩いているれみりゃを捕まえる。 そしてそれを自宅へ連れて帰り地下室へ放りこんだ。 「うー? ここどごぉー?」 見慣れない場所にゆっくりゃはキョロキョロと辺りを見渡す。 そして霊夢はある道具を取り出した。 シンプル虐待アイテム、いわゆる透明な箱(×2)だ。 しかし今回はそれは使わない。 ただ事前に捕獲しておいたゆっくりれいむとゆっくりまりさを捕まえるだけだ。 それを見てゆっくりゃは食欲が湧いたのか、よたよたと近づいて箱を叩き始めた。 ゆっくり二匹は怯えて叫び声を上げるが、防音なのでなにも聞こえない。 「おがじー♪ あ゛まーい゛おがじだどぉー♪」 ゆっくりゃには二匹を甘いお菓子だと思っているようだ。 しかし、ここで二匹を食べさせる訳にはいかないので、小さな箱を取り出す。 「ゆっくりちていってね!」 箱の中からお手玉サイズのゆっくりれいむが出てきた。 透明な箱に入ってるゆっくり達の子供だ。 親たちは早く離してねとでも言うように箱の中で暴れている。 無視してそれをつまんでゆっくりゃに渡す。 「う~♪ おがじ~♪ たーべちゃーうぞー♪」 「ゆっ! あなたはだーれ? ゆっくちできるの?」 ゆっくりゃの恐怖を知らない子れいむは興味心身だ。 しかし、ゆっくりゃが力を込めると顔が少し割れて苦痛の表情を浮かべる。 「い゛だい゛よ゛ーーー! だずげでー!!!」 悲鳴を上げる子れいむだが、問答無用でゆっくりゃの口の中に入れられる。 「ゆぎゅっ、ぎゅぇっ!」 何度か悲鳴をあげたあと、動かなくなる。 ゆっくりゃは何度か咀嚼したあと、ぷっと吐き出す。 「ぺっぺ! ごれまぢゅい! ぽいっ、するのぽいっ!」 べちゃり、と恐怖の表情を浮かべて顔面半分が破けている子れいむが地面に叩きつけられた。 「―――!! ――!!」 親ゆっくり達は鳴きながら箱の中で叫んでいる。 だからわからんっちゅーに。 「どう? まずいでしょ。だからこの箱の中にいる奴も食べちゃダメよ」 「う~ おじょうざまのれみりゃはそんなまじゅいのだべだいど!」 少々不機嫌そうにゆっくりゃが言う。 自然のゆっくりゃなら喜んでたべていただろうがな。 それはさておき、さっきの親ゆっくりたちを解放する。 「おねーさんなんてことするの! あやまってもゆるさないよ!」 「ゆっくりしんでね! ゆっくりごろしのおねーさんはしんでね!」 その言葉に霊夢は青筋を立てる。 霊夢は平等だ。 何事にもひいきしない。 だからこそ、ゆっくりたちに制裁を与えている。 人間には人間の、ゆっくりにはゆっくり制裁を与える。 霊夢は、大体悪さをする人間や妖怪に対しては鉄拳制裁だ。 大体それで事は収まる。 最悪、さらに状況が悪化すれば殺してしまうが、そこまで人間や妖怪は馬鹿ではない。 だが、ゆっくりの場合はどうだろうか。 鉄建制裁を加えてやっても反省する気なし。 勝手に民家に押し入り、食べ物を奪う。 さらに、馬鹿みたいに増え続ける。 だから、大抵は拷問して殺してしまうのだ。 ちゃんと霊夢なりに考えているようだ。 「あんたたち、なんでつかまったか覚えてる?」 「ゆ? しらないよ! はやくあやまってね!」 親れいむは跳ねて怒り出す。 霊夢はそれを捕まえて、いけばなに使う剣山の上に置いた。 「い゛だっ、い゛だい゛っ! ゆ゛っぐりでぎない゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!」 逃げ出そうとぴょんぴょん跳ねるが、霊夢に突き飛ばされて元の位置に戻る。 刺さる、飛ぶ、戻る。 繰り返す。 「ごべっだざい! れ゛い゛ぶだじが! がっでに゛! ごばん、だべばじだ!」 ようやく白状したので霊夢を解放する。 足の辺りは刺さった後が残り、気持ちの悪い跡ができていた。 「霊夢は自白したけど、まりさは?」 まりさは今のれいむの光景を見て恐れをなしていた。 あとは分かるだろうがお約束である。 「しらないよ! れいむについていったらかってにたべてたんだよ!」 ゆっくりまりさ定番の嘘である。 まりさの元になっていると言われている霧雨魔理沙(本業泥棒、副業魔法使い)は、人のものをたまに盗み取っていくが、話せば分かる人間である。 度が過ぎて霊夢が鉄建制裁を加えてやれば、渋々と盗んだものを返すところもある。 だが、ゆっくりまりさは違う。 自分がやったことを他人になすりつけ、自分だけは助かろうとする。 そして、自分に利益のあることしかしない。 たとえ愛をはぐくみ、子供を産もうがすぐにゆっくりありすと浮気をしたりする。 そして、自分の子供を『汚い子供』、『いらない子』などと言って、自ら殺す。 正義感のある人間では反吐が出る話だ。 まさに吐き気を催す邪悪である。 親が何も知らぬ子をてめーの都合だけで。(ジョジョ○奇妙な冒険5部参照) 「ゆっ! まりさのうそつき! さいしょにいったのはまりさだよ!」 「ちがうよ! うそをいうれいむはもうきらいだよ! ゆっくりしね!」 二匹はついに体当たり合戦を始める。 大抵、力の強いゆっくりまりさが勝つのだが、今回はちょっとだけ手を加えてやることにした。 「おい、ゆっくりゃ」 霊夢がその光景を不思議そうに見ていたゆっくりゃに声をかける。 「う?」 「こっちの勝手に人のものを食べちゃうゆっくりと、こっちのだまされたゆっくり、悪いのはどっち?」 霊夢の質問にゆっくりゃは無い脳みそというか肉まんを回転させて考える。 これも処刑のために使う知識だ。 「ごっぢ!」 れみりゃが指差したのはゆっくりまりさの方だった。 「そう、正解。じゃあご褒美にまりさを美味しくしてたべさせてあげるね」 「うー☆ ぼんど? わぐわぐー☆」 霊夢は喧嘩中の魔理沙を捕まえて連れて行く。 そして、プリンのカラメルが入った壷の中にぶち込んだ。 「ゆっぶぇ!? がぼぼぼぼぼぼぼぼっ! おぼぼぼっ!」 溺れて何をいっているのか分からない。 一分程度待ってから、霊夢は引き上げる。 まりさは一分近く息を吸えず、ぐったりとしていた。 「ほら、あまーくしたゆっくりまりさよ」 「うー☆ ぷっでぃんのあじがずるー♪ あまあま☆」 ゆっくりゃがまりさに齧りつくと正気を取り戻したらしく、泣き叫ぶ。 「い゛だい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!! ゆっぐりでぎだいい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 そのまま餡子を吸い尽くされ、さらに普段食べられることの無い皮まで残さず食べた。 れいむはざまをみろとでもいうように冷ややかな目でゆっくりゃを見ていた。 「けぷっ、おいじがっだど~♪」 嬉しそうにダンスを踊るゆっくりゃ。 霊夢はそれを無視してゆっくりれいむに話し掛ける。 「どう? まりさは」 「れいむがまちがってたよ! まりさはしんでとうぜんだね!」 「そうだね、でも一緒に食ったあなたも同罪よ」 ゆっくりれいむを抱きかかえカラメルの壷にぶち込む。 「どぼっじでぇ!? がおぼぼぼぼっ! ゆぼぼぼぼぼぼぼおぼっぼ!」 また一分近くたってから引き上げて、ゆっくりゃに与える。 反応が一緒なのでここは省略。 「んで、あなたはゆっくりをどうおもった?」 「うー♪ あいづらばがだどぉ~♪ やっばりれみりゃのぼうがづよいどぉ~☆」 「そうね、馬鹿って事を認識してるのは正解。だけど――」 次の瞬間ゆっくりゃは顔を変形させて宙を舞う。 「う゛っぐぇあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 地下室をごろごろ転がっていくゆっくりゃ。 立ち上がったときは、地下室の苔や、蜘蛛の巣が顔にまとわり付いていた。 「う゛~ ぐちゃい! ぎだない! ざぐやにいいづげでやる゛! ざぐやー! ざぐやどごー!?」 いつも助けてくれる咲夜がいない。 助けを求めてゆっくりゃは右往左往する。 「助けを求めたってきやしないわ」 今度はゆっくりゃの腕を掴み、雑巾を絞るように捻る。 すると、一瞬ゆっくりゃの腕が膨らんだかと思うと、肉汁と肉をばら撒いて破裂した。(バキ○伝スカーフェイス参照) 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! れ゛み゛りゃのおででがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 自分の千切れた腕を見て悲鳴をあげるゆっくりゃ。 痛みのためか地面をごろごろと転がっている。 「わかったかしら、ゆっくりは皆クズなのよ? 食べられるかいたぶられるしか生きてる価値もないの」 そう霊夢は言う。 こうやって自分の存在はクズだと思い込ませるのだ。 「ぢがうぼん、れみりゃはごーまがんのおじょうざまだもん」 れみりゃは泣きながら文句を言うが霊夢は無視だ。 そしてそのまま地下室を出る。 ゆっくりゃを置いて。 「う゛あ゛ー! だじでー! お゛う゛ぢがえるー!」 叫んでも聞こえないフリ。 蓋を閉めて朝まで待つことにした。 ■■■ 次の日、地下室にいってみる。 ゆっくりゃは立ち上がって霊夢を見ていた。 「どう? 調子は」 「おだがへっだー……ごごがらだじで……」 体は再生しているので、それに体力を費やしてしまって腹が減っているのだろう。 霊夢は問い掛けた。 「ゆっくりれみりあ、あなたはなに?」 「う~……ごーまかんど……おじょーざまだど……」 弱々しくもそう答えるゆっくりゃ。 霊夢は立ち上がって地下室を出た。 「だじ……でぇ」 何か聞こえたが無視。 さらに次の日。 「ゆっくりれみりあ、あなたはなに?」 「……ばがな、ゆっぐりでず……だべだでるだげど……いぎぼどでず……」 そう答えたので霊夢は満足そうにれみりゃを抱きかかえた。 そして三日ぶりに地下室を出る。 「う……まぶちぃ……」 ずっと暗闇の中にいたからか、まぶしすぎて目をこする。 霊夢は紅魔館を目指す。 着いたとき、門番の美鈴がうれしそうに立っていた。 今日という日を待ち焦がれていたのだ。 「よ」 「よっす!」 霊夢の挨拶にさわやかに答える美鈴。 「今から処刑が始まるわ、あなたもくる?」 「もっちろん!」 こうして、紅魔館の広場に巨大な機械と霊夢とゆっくりゃが用意された。 みんな、嬉々としてそれを見守っている。 パチュリーも。 子悪魔も。 レミリアも。 フランも。 美鈴も。 部下の妖精メイド達も。 咲夜と他のゆっくりれみりゃ達は、何が起きているのかわからず戸惑っている。 そして、レミリアが高々と宣言した。 「今より! ゆっくりれみりあの公開処刑を執り行う!」 周りはシンと静まり返った。 実際のところ喜びたいのだが、咲夜が怖いのだ。 「お、おじょ――」 「執行人は博麗の巫女、博麗霊夢!」 霊夢は弱ったゆっくりゃを抱きかかえて機械へ繋がる階段を上る。 「どういうことですかこれは! れみりゃ様はなにも悪い事など!」 「してるわよ、十分」 霊夢が叫ぶ。 「聞いたわ、このゆっくりれみりあは人の本にラクガキするし勝手に物を食べるしせっかく作った料理を台無しにするし紅魔館の主人の料理をぐちゃぐちゃにして、それを怒った妖精メイドをしかりつけるあんたの後ろ舌を出す、最低の生物だってね」 「ちがう! だいたい、大人ならそのくらい我慢できるでしょう!」 その言葉に、聞いている何人かはイラっとしただろう。 だが、言わない。 「我慢の限界ってものがあるのよ、毎日やらかしたとしても言えば聞く子供だったら私達だってなんとかやってくわ。だけどね、こいつは人を侮辱する行為を続け、さらには人の苦労を無駄にする聞き分けの無いただのクズなのよ!」 そう言うと、咲夜は頭に血が上ったのかナイフを取り出した。 「貴様!」 「そうよねぇ? ゆっくりれみりあ?」 再び、辺りは静まり返る。 霊夢はゆっくりゃを地面に立たせて 弱ったゆっくりゃは、よたよたと立ち上がり、答えた。 「れみりゃは……くずで……たべだでづだげど……いじべだでづだげど……ゆっぐりでず」 そう、涙ながらに答えた。 咲夜は絶望する。 しかし無常にも機械は作動した。 機械の正体は、巨大なシュレッター。 たくさんの刃がかみ合い、獲物を飲み込まんとする。 「ほら、行きなさいゆっくりゃ」 「う~……」 一歩一歩、自ら死の道を進むゆっくりゃ。 咲夜は泣き叫んでいくなと言うが、パチュリーの魔法で取り押さえられてしまう。 そして機械の中にゆっくりゃが落ちた。 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ぎえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!!!!!! い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!」 ゆっくりゃが死の淵に叫ぶ断末魔。 刃はゆっくりゃの足を引き裂き、胴まで飲み込む。 「ぎあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!! ざぐやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 最後にはいつも助けてくれたメイドの名前を。 だが、もうメイドは助けてくれない。 刃は、胴から顎へ。 「ぎぇいあg;あ:いえy:iey:gいg:hikhぎprsghp]ithgw]いghspdないh」ighnぱい5wty@0とhtがおふiefg:いいpthうぃwkgjをphakl;snげいあぎぇあyがhkげh[wutow!!!!!!!!」 顎を引きちぎられ、何をいってるのかさえわからない。 あとは、ぐちゃぐちゃと肉を引き裂く音が何度かしただけ。 咲夜と、他のゆっくりれみりあ達は泣き叫んでいた。 「いいかしら! 今この瞬間ゆっくりれみりあは自分のことをくずで最低なゆっくりと同類だということを認めた! すなわち! 他のゆっくりれみりあもゆっくり同等の処置をすると言うことをここに宣言するわ!」 霊夢がそう叫ぶと、まるでリハーサルを行っていたかのように妖精メイド達が敬礼した。 パチュリーはほっとしたように屋敷に戻っていく。 レミリアとフラン、その他全員もとても楽しそうに喜んでいた。 霊夢は賃金を受け取り、帰っていった。 ただ一人、咲夜はその場に泣き崩れていた。 ■■■ あれから、ゆっくりれみりあが見つかるたびに加工所へ行くかその場で処刑されることになった。 今までは、れみりあのバックに咲夜と言う強敵がいたが、今度は人間や妖怪達のバックにレミリアが付いた。 これのおかげで咲夜は手出しできず、ただれみりあが殺されていくのを眺めているのだった。 今日もまた、ゆっくりれみりあの悲鳴がどこからか聞こえる。 すげーくだらないおまけ ジョジョ読んでたら思いついた。 ちょっとはしょってる、コロネ台詞なげーよ。 コロネ「いらぬ心配だが……たしか、ゆっくりまりさと名乗っていたっけか……ヤツは、ひょっとすると……おまえ……死んだふりをしているな!」 5「ジョルノ!?」 コロネ「そしておまえは……考えている、僕がそこまでに登るまで早く……あと数センチ体を動かす事ができれば……そのまま堀の下へ落下して逃れる事ができると……『おにーさんからにげられる!! ゆっくりできるよ!!』と……(中略)そのままじっとしていれば、お菓子はやれないが、なにもしないと約束しよう、ひとつの選択だ、さあどうする? 登っていくぞ、いまからそこへ」 ゴゴゴゴゴ ガシィッ! まりさ「おにーさん! ゆっくりおかしちょうだいね!」 5「あッ! ああッ!!」 ドパアァアン まりさ「ゆぐあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?!?!?!」 コロネ「喋ったのは時間が欲しかったからだ、さっきお前にくれてやったお菓子が成長してお前の体に帰るのを待つ時間がな、お菓子にはクワガタになって戻った。さっき与えたときに与えといたんだ『ゴールド・E』の『生命』をな……おまえが死んでいようが生きていようがおまえの止めを確実に刺すためにな」 ドドドドドドドド まりさ「ざっぎ……じっどじでれば……なにもじだいっで……」 コロネ「自分を知れ……そんなオイシイ話があると思うのか? お前の様なゆっくりに……」 まりさ「なんてひどいひry」 コロネ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!! まりさ「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」 コロネ「無駄ァァァァ!!!」 クルッ (燃えるゴミは月・水・金) ドグシャァァッ あとがき こんにちわ、デッドラの人です。 これからも書き続けていってシリーズ物とかの場合検索するの面倒そうなので名前つけようかと思ってます。 神社バイトです今後ともよろしく。 見たことある名前でも気にしないで このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/789.html
ティガれみりゃ その4 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ3』の後編になります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 本家東方のキャラの性格口調、壊れ気味です すみません、まだ続きます。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 ======================== 4、誇りをかけた試練(後編) 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 「ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪」 歌いながら森を往く2匹のゆっくり。 よったよったどたどた歩く、巨大ゆっくり・ティガれみりゃ。 そんなティガれみりゃの頭の上に乗っている、通常サイズのゆっくりゃザウルス。 全長20メートルの、くてくてだぼだぼのヌイグルミ風恐竜。 大きく開かれた口から覗く、れみりゃ種特有の下ぶくれスマイル。 その大きな顔の上の、恐竜の頭部の上では、 ゆっくりゃザウルスが、腹ばいになって、ティガれみりゃにしがみついている。 ゲスまりさに襲われて千切られた手足と尻尾は、もう殆ど回復しきっている。 ニコニコ笑いながら、体全体を左右に揺らしながらリズムをとっている。 『うっう~うぁうぁ~♪』 「うっう~うぁうぁ~♪」 ゆっくりゃザウルス……先だって子供を失った親れみりゃは、 その悲しみを払拭するかの如く、楽しげに歌う。 親れみりゃにとって、ティガれみりゃの存在は、 まさに希望であり、憧れであり、救世主であった。 このティガれみりゃと一緒なら、どんな困難も悲しみも乗り越えられる。 親れみりゃは、巨大なティガれみりゃに揺られながら、かつてない安心と勇気を感じていた。 ティガれみりゃもまた、親れみりゃのことを、 親友のように、妹のように、娘のように愛おしく感じていた。 その巨体故に、他の生物から常に避けられ続けるティガれみりゃにとって、 自分をこの上なく慕ってくれる親れみりゃの存在が、嬉しくて楽しくてたまらなかった。 この温かい気持ちをどう言えばいいのだろう? この胸にこみ上げる幸せをどう表現すればよいのだろう? そんな時、不器用なれみりゃ種がとる行動は一つ。 嬉しい時も、悲しい時も、わき上がる思いをあらわにして。 (歌っちゃおう♪) (踊っちゃおう♪) 『ティガ☆』 「れみ☆」 『りゃ☆』 「うー♪」 『「にぱぁ~~~♪」』 決まったぁー♪ 渾身の「れみりゃ☆うー」が決まり、 ますます幸福感に包まれる2人のれみりゃ。 そんな2人の前に、1人の少女が現れた。 「やぁ! ずいぶんと御機嫌だねぇ~」 少女は空を飛んでいた。 知識のあるゆっくりならば、その時点でその少女が人間ではないこと。 恐い人間よりもさらに恐ろしい、妖怪と呼ばれる存在であることに気付いただろう。 しかし、そんな知識、れみりゃ種に求めるのは酷である。 『うっうー♪ れみりゃはいつでも御機嫌だどぉー♪』 「うー♪ おねぇーさんだぁーれだどぉ?」 屈託無い笑顔で少女とのコミュニケーションに応じる2人のれみりゃ。 「……ふふ、まぁ名乗るほどのものじゃないさ」 そう言って口の端を歪める少女。 『う~? おねぇーさんの角、とぉ~~ってもかっこいいどぉ~~♪』 そう言って、目を輝かせるティガれみりゃ。 角。 そう、少女の頭には、二本の角が生えていた。 れみりゃ達が知るよしも無いが、この少女こそ、 既に幻想郷からは姿を消したといわれていた伝説の種族・"鬼"の一角、 小さな百鬼夜行、伊吹萃香であった。 「それより聞きたいんだけどさ……」 『う~、なんでもきくがいいどぉ♪』 「ゆっくりれみりゃってのは、おまえ達のことであってる?」 『「うーっ♪」』 嬉しそうに反応する、2人のれみりゃ。 『そうだどぉー! れみりゃは~~♪ ティガれみりゃだどぉ~~~♪』 ティガれみりゃは、両手を頭の横に持ち上げ、うぁうぁとリズムを取り出す。 『「うっうーうぁうぁ♪ うっうーうぁぅぁ♪」』 最高に上機嫌なれみりゃ達。 そんなれみりゃ達に、萃香の真意など図れるわけがなかった。 「そりゃよかったよ。おまえ達をさがしていたんだ」 『「う~~?」』 不思議そうに首を傾げる、れみりゃ達。 「そう、おまえ達がほしいんだ」 笑顔のまま屈託なく告げる萃香。 一方、れみりゃ達は、いっぱく置いた後、 両手を自分の頬に充てて、身をよじりだした。 『きゃーきゃー♪ おねぇーさんだいたんなんだどぉーー♪』 「すとれーとなあいのこくはくだどぉーーー♪」 頬を赤くして、きゃーきゃー騒ぐ、れみりゃ達。 れみりゃ達は、萃香の言葉を、プロポーズと勘違いしていた。 「ま、というわけでね、どっちか一人でいいんで、私についてきて欲しいだ」 空高くを指さす萃香。 『「う?」』 意味を理解しかねる、れみりゃ達。 萃香は、山の上の天上の地で、大宴会を開こうとしていた。 しかし、天上の地にあるツマミといえば桃くらいのもの。 やはりここは塩味のもの、お腹にたまるものも欲しい。 腹が減っては夜通しどんちゃん騒ぎもできぬ。である。 そこで、萃香はかねてから噂に聞いていた珍味。 ゆっくりれみりゃの肉まんを探していたのだ。 それも、ただのれみりゃ肉まんではない。 一層珍しく、美味しいとされる、ゆっくりゃザウルスの肉まんをだ。 そんな折、巨大な肉まん……もとい巨大なゆっくりゃザウルスがやって来るのを見つけたのだった。 話に聞いていたのとは、ずいぶんサイズが違うが、 まぁ本人達がれみりゃだと言っているのだから、そうなのだろう。 萃香は納得し、ティガれみりゃ達を連れ去ろうとする。 しかし、それに異を唱えたのは、他ならぬれみりゃ達だった。 「う~~~! イヤだどぉ~~~! れみりゃはもうおうちにかえりたいんだどぉ~~~!」 『う~~~、そうだどぉ~~~! れみりゃたちはおねぇーさんとはいけないんだどぉ』 ティガれみりゃは、親れみりゃをお家(紅魔館)に送り届ける途中であった。 もっとも、2人とも紅魔館の場所など知らず、適当に歌って踊って歩いているだけであったが。 「ふーんそっかぁ……それは困ったな」 ちっとも困った風じゃない顔をして、萃香は腕組みをして考えるフリをする。 「……よし! じゃあこうしよう! 私と勝負して勝った方が負けた方の言うことを聞く!」 明らかに強引な論法。 だが、れみりゃ相手には、このムチャクチャな単純さが功をそうした。 『う~~~、わかったどぉ♪ れみりゃがあいてになるどぉ♪』 「おっ、話がわかるじゃないか! デカイの!」 『そんなに褒められると、さすがに照れてしまうどぉ~~♪』 もじもじと体をよじるティガれみりゃ。 "デカイ"というのは、褒め言葉として捉えるらしい。 『う~♪ れみりゃが勝ったら、おねぇーさんの角が欲しいどぉ♪ それがあれば、れみりゃはさらにぱーふぇくとなれでぃーになれるどぉ♪』 「はいはい」 適当に流す萃香。 「きゃーっ! ティガれみりゃがさらにかっこよくなっちゃうどぉー!」 興奮する親れみりゃ。 ティガれみりゃは、そんな親れみりゃを手に乗せ、少し離れた場所の地面に降ろす。 『あぶないがらぁ~ちっちゃいれみりゃはそこで見ててぇ~♪』 「わかったどぉ! ティガれみりゃ~がんばるんだどぉ♪」 『う~♪ まかせるんだどぉ♪ ちっちゃいれみりゃもおうえんじでねぇ~ん♪』 「うー! まかせとけだどぉ♪」 「やれやれ……そろそろいいかい?」 待ちくたびれて、肩をまわす萃香。 『うーっ、準備おっけぇーだどぉ♪ おねぇーさんなんかイチコロだどぉー!』 「ふーん、はたしてそうかな♪」 萃香は笑みをこぼし、スペルカードを使用する。 鬼神"ミッシングパープルパワー" 『「ううううう~~~~っ!?」』 目を丸くして驚く、ティガれみりゃと親れみりゃ。 小さな人間の少女でしかなかった萃香が、みるみる間に大きくなり、 いまやティガれみりゃと同等か、それより一回り大きい姿になっていた。 『うー♪ おねぇーさんおっききぃどぉー』 自分より一回り多くなった萃香を見上げるティガれみりゃ。 「それじゃ、勝負開始といこうか!」 『うっうー! いっくどぉー♪』 ぎゃぉー! と叫びながら、ティガれみりゃが萃香に突進する。 いや、正しくは、それは突進などと呼べるシロモノではなかった。 どたばたどたばた。 短い手足を振り回しながら、えっちらおっちらやって来るティガれみりゃ。 (……お、遅っ) 萃香は、逆の意味で驚きつつ、 わけもなくティガれみりゃの突進をかわす。 『うっ?』 ドターン。 勢いそのままに前のめりに倒れるティガれみりゃ。 普通のれみりゃ種ならば、ここで泣き叫ぶところだが……。 『う~、ゆだんしちゃったどぉ♪』 ティガれみりゃは、笑顔のまま立ち上がる。 この点こそが、ティガれみりゃ最大の強点であった。 体の大きさや防御力ではない、言わば痛みを痛みとして認識しない超鈍感力。 根拠無きポジティブシンキングと思いこみ、そして実際に鈍い五感と思考の速度。 その自身が置かれた状況に対する"鈍さ"が、痛みや苦しみを和らげ、 いいこと・たのしいことだけを考えさせる。 そんな鈍感力こそが、ティガれみりゃの得た、ゆっくりするための切り札といえる。 『おねぇーさんはつよいからぁー、れみりゃもとっておきを披露するどぉ♪』 「ふーん、とっておきねぇ」 『くらっておどろくどぉ♪』 ティガれみりゃは、萃香に背を向けると、 両手を腰にあて、おしりと尻尾を左右に振り出した。 『ティガれみりゃの~、の☆う☆さ☆つ☆しっぽふりふりぃ~~だどぉ♪』 「きゃぁ~~~! しぇくしぃーーーすぎるどぉ♪」 ティガれみりゃの勇姿を見て、地上の親れみりゃが興奮する。 あんなセクシーな姿を見せられては、 どんな相手もメロメロになってしまわずにはいられない! 顔を紅潮させて叫ぶ親れみりゃは、本気でそう信じていた。 『うっふぅ~~~ん♪ 尻尾ふ~りぃふりぃ~~♪』 尻尾を左右に振りながら、徐々に萃香に近寄っていくティガれみりゃ。 だが、萃香は溜息をつくと、その尻尾をむんずと掴んだ。 『うっ?』 「そぉーら!」 『ううううっ!?』 萃香は尻尾を綱引きのように引っ張り、ティガれみりゃを引き寄せる。 ティガれみりゃは抗おうとジタバタするが、結局萃香の目の前まで引っ張られ、 「う~♪」と反転して萃香の方を向いた瞬間、両脇を掴まれ、空中に持ち上げられてしまった。 『うっうー♪ つかまっちゃったどぉ♪』 まだ余裕なティガれみりゃ。 『う~~~♪ たかいたかぁ~い♪』 いつも以上に高い位置からの眺めに、ご満悦だ。 「すっごいどぉー! ティガれみりゃがおそらをとんでるどぉーー!」 そんなティガれみりゃを見て、興奮する親れみりゃ。 「……はぁ」 ただ一人、萃香だけがテンションを下げていた。 『うー、おねぇーさんはつよくてやさしぃんだどぉ♪ れみりゃのめしつかいにしてあげるどぉ♪』 萃香が自分のために高い高いをしてくれているものと信じるティガれみりゃ。 観戦している親れみりゃにしても、萃香がティガれみりゃの力に恐れをなして、 "こうさんです~あなたがいちばんです~"とあがめているのだと勝手に思いこんでいる。 (もういっか。宴会に遅れてもなんだし) れみりゃ種のペースに巻き込まれているのがバカらしくなった萃香は、 さっさと勝負を決めることにする。 「そりゃ!」 『うっ!?』 抱え上げたティガれみりゃを、背中から地面に叩きつける萃香。 ドシーンと、土煙が舞い上がる。 『う~~~♪ おねぇーさんつよいどぉ♪』 地面に大の字になったまま、萃香を見上げるティガれみりゃ。 思い切り叩きつけたにもかかわらず、まだ笑顔でいるティガれみりゃを見て、 鈍さだけは大したものだと呆れる萃香。 萃香は、ティガれみりゃの上に馬乗りになり、 大の字に広げられたティガれみりゃの腕を両手で押さえつけて固定する。 『うぅ~~♪ おねぇーさんのえっちぃ~~♪』 「きゃー! あかちゃんたぢには、みぜられないどぉー!」 勝手に興奮するティガれみりゃと親れみりゃ。 それに対し、萃香は冷静にティガれみりゃの体を眺めて、吟味する。 こんなやつが本当に絶品珍味なのだろうか? だんだんと不安になってくる萃香。 ゆっくりが出没しはじめたのは最近のことなので、 鬼にしてもゆっくりに関する知識は殆ど持ちあわせていたなかった。 「うーん……いちおう味見してみようかな」 萃香はティガれみりゃの下ぶくれ顔に、そっと顔を近づける。 そして、舌をのばして、ほっぺたを舐め上げた。 『くしゅぐったぁーい♪』 照れるティガれみりゃ。 一方、萃香は口の中に、たしかに肉汁が広がっていくのを感じていた。 (へぇー! こいつの汗、肉汁なんだ!) 妙に感心した萃香は、引き続きティガれみりゃの顔を舐め回す。 最初は嬉し恥ずかし状態だったティガれみりゃだったが、 次第に嫌悪感をあらわにしだす。 『う~~~~、う~~~~』 レロレロレロレロレロレロ。 『うぁ、うぁぁ、うぁうぁうぁ~~~~』 なめ回されていくうちに、奇妙な感覚を覚えるティガれみりゃ。 肉まんの皮がふやけていくのと同時に、顔に適度に振動を与え続けられたことで、 なんともむずかゆい気持にさせられてしまっていた。 そして萃香は、とうとう一つの決断をする。 「う~~ん、思い切って食べてみるか」 肉汁はうまいし、これだけデカければちょっとくらいつまみ食いしても大丈夫だろう。 いや、むしろ宴会の幹事としてはツマミの味を確認しないわけにはいくまい。 萃香はそう己を納得させ、 口角を歪めて、牙をひからせる。 『う~~? れみりゃ、おねぇーさんにたべられちゃうどぉー♪』 顔を紅潮させ、 かぶりを振って、イヤイヤ♪とするティガれみりゃ。 だが、その顔は相変わらずの満面しもぶくれスマイルのままで、むしろ嬉しそうでさえある。 「さっすがティガれみりゃだどぉ♪ あんなにつよいおねぇーさんを、もぉーとりこにしちゃったどぉ♪」 親れみりゃも、何を勘違いしたか興奮気味。 変なところで耳年増なのか、2人のれみりゃは、萃香の「食べちゃう」発言を、 これからいっしょに「すっきりぃ~♪」しようという誘いに受け取ったらしい。 『れみりゃはじめてだからぁ~♪ やさしくしてねぇ~~ん♪』 どこで覚えたのか、恥じらいの台詞を口にするティガれみりゃ。 ちなみに、本当に「すっきり」するのが初めてかどうかは定かでない。 「はいはい、やさしくなっと」 萃香はティガれみりゃの勘違いを軽く受け流すと、 にぃーっと笑った後、徐々に口を開いていき、鬼の牙を煌めかせた。 次の瞬間。 ぱくり。 萃香の小さな(?)口が、 ティガれみりゃの下ぶくれ顔の端にかぶりつき、そのまま一部をえぐりとった。 『「う?」』 何が起こったかわからず、硬直するティガれみりゃと親れみりゃ。 構わずむしゃむしゃ租借し、モチモチとした皮と、上質な肉餡を舌の上で堪能する萃香。 口内にじゅわぁーと肉汁がひろがっていくのにつれて、萃香の顔が輝いていく。 「おっ、おいしぃー!」 パァーと輝く萃香の笑顔。 その笑顔と言葉で、超鈍感力の持ち主たるティガれみりゃも、ようやく事態に気付いた。 おそるおそる、視線を下に向けると、自慢のふくよかな顔の一部が、えぐれていた。 『いっ!』 認識した瞬間、痛みが一気に広がった。 『いだぃぃぃぃぃ!』 泣き出し、ジタバタと体を動かすティガれみりゃ。 だが、ティガれみりりゃの動きは、馬乗りになった萃香によって封じられ、 その場から逃げ出すことは出来ない。 『うぁぁぁぁぁっっ! うぁぁぁぁぁぁっっ!!』 ティガれみりゃは、唯一動かせる顔だけを左右に揺らし、わめき散らす。 『しゃくやぁー! はやくぎでぇぇ! ごぁいひどがいるぅぅぅぅっっ!!』 「ん~? 咲夜ならこないぞ。 今頃は山の上じゃないか?」 『うぞづくなどぉぉぉ! しゃくやはでみりゃが呼べばぎでぐれるどぉぉぉ! でみりゃはおぜうさまだからえらいんだどぉーー! そしたらおまえなんがぁっ!!』 「そりゃお前がアノ吸血鬼だったらそうかもしれないけどねぇ。お前は違うだろ、恐竜さん♪」 『うぞだどぉー! うぞだどぉーー! ぎゃおーーっ! ぎゃおーーーっ!!』 自分が紅魔館のお嬢様でないはずがない! れみりゃ種特有の絶対的矜持を揺るがされ、必死に抵抗するティガれみりゃ。 恐竜と言われて否定するつもりが、「ぎゃおー!」とやってしまうあたりが、 れみりゃ種の限界らしく、それはティガれみりゃといえど例外ではなかった。 一方、そんな苦しむティガれみりゃの姿を見た親れみりゃ。 当初は下ぶくれスマイルのままだった彼女も、 次第に冷や汗がうかびだし、顔が徐々に青くなり、いまではガクガクと小刻みに震えだしている。 親れみりゃは、ティガれみりゃを崇拝し、信じ切っていた。 その崇拝と信頼は、如何にティガれみりゃが劣勢に立たされても揺らぐことはなかった。 萃香に捕まれようと、持ち上げられようと、投げられようと。 ティガれみりゃにとっては何の問題もない。そう期待していた。 現に、ティガれみりゃは笑顔のまま立ち上がったではないか。 やっぱり凄い、きっと自分だったら最初に転んだ時に泣き出してしまっていただろう。 すごい、ティガれみりゃ。 そんなティガれみりゃとそっくりな自分も、きっといつかあんな風に……。 そう、思っていた。 だが、しかし。 今のティガれみりゃの姿は。 動きを封じられ、なすすべなく助けを呼ぶ光景は。 まるで、さきほどゲスまりさに食べられそうになった自分そっくりで……。 崇拝と信頼と憧れで栓をしていた、恐怖と不安がどっと湧き出てきて、 親れみりゃを混乱させる。 「うぁ、うぁ……」 笑顔は自然と消え、 目からは涙が流れ出す。 だめ! ティガれみりゃは負けちゃだめ! じゃないと! じゃないと! 私まで! 「ううううーっ! ティガでみりゃぁぁぁ!! だづんだどぉぉ!! がんばっでだどぉぉぉぉっっ!!!」 号泣し、ろれつの回らないまま叫び続ける親れみりゃ。 けれど、そんな親れみりゃの応援むなしく、 ティガれみりゃは、萃香に食べられ続ける。 『うあぁぁぁぁっっ!! うあぁぁぁぁぁっ! おねがぃぃぃぼぉうやべでぇぇぇぇっっ!!!』 耳を貸さず、萃香はティガれみりゃの下ぶくれ顔をパクパク食べ続ける。 「う~ん、こんなうまい肉まん初めてだよ♪」 「うっ!!」 "肉まん" その単語を聞いて、親れみりゃはビクッと体を硬直させる。 ちがう、ちがう、ちがう! れみりゃは、れみりゃは! 「ちがうどぉぉーーっ!! でみりゃはにぐまんじゃないどぉぉぉぉーーーっ!!」 まるで自分のことのように叫ぶ親れみりゃ。 だが、叫んだその刹那。 暴れるティガれみりゃから飛散した肉まんの小さな欠片が、 大口を開いた親れみりゃの口の中へスッポリと収まった。 「うっぎゃぁ!! ティガでみりゃのおかおぉぉ!!」 嫌悪し、吐き出そうとする親れみりゃ。 ほんの小さな破片とはいえ、崇拝対象の顔を口の中に入れてしまうなんて。 「うーっ! うーっ! ………ううっ!?」 吐き出そうと咳き込むその時、 親れみりゃは、誤ってティガれみりゃの欠片を噛んでしまった。 じゅわぁ~~~と口内に広がるアツアツの肉汁。 「う、うーっ!!?」 そのあまりの肉汁の美味しさに、 親れみりゃは反射的に、ティガれみりゃの欠片を租借しだす。 噛めば噛むほど味が染み出る肉餡の美味しさに、もはや罪悪感もなんのその、 親れみりゃは食べるのを止めることができなくなっていた。 ごっくん。 ティガれみりゃの欠片を堪能し、飲み込む親れみりゃ。 「う~♪ しあわせぇ~~だどぉ~~~♪ こんなにおいじぃにぐまんははじめてだどぉ~~~♪」 そして。 思わず、言ってしまった。 ぷっでぃんとも甲乙つけがたいその美味しさに、 親れみりゃは決して言ってはならないことを言ってしまったのだ。 そのことに、数秒後に気付き、 親れみりゃは震えが止まらなくなった。 ティガれみりゃ、食べちゃった。 とっても美味しかった。 美味しいなんだった? ぷっでぃん?おまんじゅう? ううん、ちがう。 おいしぃおいしぃにくまんさん。 あれ。 ティガれみりゃはおいしぃにくまん? それじゃ、れみりゃは? れみりゃはこーまかんの? おぜうさ? にく? れみりゃは……。 にくま。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」 親れみりゃの中で、決定的な何かが壊れた。 小さな体であげたその悲痛な叫びは、巨大なティガれみりゃと萃香がたてる音によってかき消されていった…。 数分後。 『た、たしゅげでぇぇ……』 既に下ぶくれ顔の三分の一近くを失ったティガれみりゃは、 ブクブクと泡を吹き、白目を向いて、ぴくぴくと体を痙攣させていた。 「……うっ、しまったな」 萃香はハタと我に返り、立ち上がる。 眼下で苦しむティガれみりゃを見つめて苦笑いする萃香。 「調子にのって食べ過ぎた。こんな食べ残しを土産にしちゃ悪いかな…」 とはいえ、この素晴らしい肉まんの味は、是非他の連中にも味わってもらいたいのだけど。 う~ん。と、しばし考える萃香。 すると。 「おや?」 ふと眼下の森をを見ると、そこには目の前でノビている恐竜そっくりな、小さいヤツがいるではないか。 その小さな恐竜は、逃げるでも戦うでもなく、ぼぉーとその場に突っ立ているように見えた。 「そういえばいたな。 あれって、おまえの子供?」 ティガれみりゃに話しかける萃香。 ティガれみりゃは、ずりずりと地面を這いつくばりながら萃香から逃げ出そうとしていた。 「なぁ、ちょっと!」 『は、はぃぃぃ!』 萃香に呼び止められたティガれみりゃは、 這うのを止め、両手で頭を抱えて、ブルブルと震え出す。 『う~~~~っ! う~~~~~~っ!』 やれやれと肩で息を吐く萃香。 この様子では聞くだけ無駄か。 「なぁ、お前…」 『ごめなざぃぃぃぃ!! あなだのかぢですぅぅぅぅう!!』 何を勘違いしたか、ティガれみりゃは萃香の方を向き、 へへぇー、へへぇーと、何度も両手をついて土下座を繰り返し始めた。 「お前、もういいよ。さっさとどっかへ行きなよ」 『は、はぃぃぃぃっ! ありがどぉぉございまずぅぅぅぅ!!』 ティガれみりゃは涙を流し、 そのままずりずりと地面を這い出す。 『うぅ~~~~~~、うぅ~~~~~』 痛くて、辛くて、悲しくて、悔しくて、恐くて、惨めで、 ただただ泣きながら、逃げ去っていくティガれみりゃ。 その後ろ姿を溜息で見送った後、 萃香は元の人間の少女大のサイズに戻り、 森で呆然と立つゆっくりゃザウルス……即ち、 先ほどティガれみりゃの欠片を食べてしまった親れみりゃの下へ降りる。 「あばっ、あぶあっ、あばばばばばばば……!」 親れみりゃの様子は、既に正常を失っていた。 目の焦点を失い、口から泡を吹き、足下に肉汁の水たまりを作って、 よれよれと体を左右に揺らし続けている。 「おい、おまえ!」 萃香が呼ぶと、親れみりゃは、反射的に体を強張らせる。 「はいぃぃっっ! なんでじょぉぉ!?」 じぃーと親れみりゃを眺める萃香。 やはり、先ほどの大きいヤツの子供なのだろうか? そんなことを考えつつ、口を開く。 「おまえも、あのデカイ奴みたいに食べられるんだよね?」 すると、親れみりゃは、 実にストレートな答えを返した。 「そうでずぅぅ! でびりゃばおいじぃにぐまんでずぅぅぅぅぅぅっっっっ!!」 口角から肉汁を飛ばしながら喋る親れみりゃ。 「にぐまんいっばいうむがらぁぁぁ! いじべないでぇぐだじゃいぃぃぃぃぃっっ!!!」 その顔は満面笑顔だが、笑ったままの目尻から大量の涙を流し続けている。 「ふーん、じゃ鬼らしくさらわせてもらおうかな」 よくよく考えれば、こいつ一体いればツマミの肉まんとしては充分すぎる量かもしれない。 そう考えた萃香は、しばらく親れみりゃを物色した後、 ひょいっと親れみりゃを抱え上げ、その場を後にした。 無機物のように抱え上げられた親れみりゃ。 移動中、その顔は常に笑顔であり、ずっと歌を口ずさみ続けていた。 「うぁ~~うぁ~~♪ あばばぁ~~♪ でびりゃばおいじぃ~にぐまんだどぉ~~~♪」 ……数時間後。 『ティ…ガ…ティガ…ティガ……』 息も絶え絶えに地面を這い続けるティガれみりゃ。 萃香に食べられた下ぶくれ顔は、既にかなりの部分が再生している。 だが、いくら表面的な体の傷がなおっても、 再生に栄養をまわしたぶん、体力の消耗は激しかった。 それに、深く心にえぐられた傷はそうそう治るものでもない。 『ティガ…れみ…りゃ……うぅ……』 少しでも気を紛らわせようと、弱々しく口を開くティガれみりゃ。 しかし、いくら歌を歌っても、 その気持は、痛みは、苦しみは、ちっとも晴れはしなかった。 おかしいな。 そうティガれみりゃは感じていた。 ついさっきまで、あんなに楽しく歌ったり踊ったりしていたのに。 あれ、そういえば、誰かといっしょにいたような? おかしいな、だれだっけ? とってもやさしくて、おうたもダンスもじょうずな子だったような。 思い出せないけど、きっとあの子は今頃たのしくおうたをうたっているんだろうな。 また、いっしょにおどりたい、な。 『うぅー…うぅー…うぁ…うぁ……』 森のはずれの湖のほとり。 そこでティガれみりゃは意識を失った。 『…………ZZZ』 それから、どれくらいの時間がたっただろうか? たまたま湖を訪れ休憩する、ゆっくりの一団がいた。 「むっ、むっきゅーーーーーっ!!??」 昏睡するティガれみりゃを見つけて叫んだのは、 かつてティガれみりゃによって、群れを壊滅させられた、あの胴体付きぱちゅりーだった……。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ5・さらばティガれみりゃ(予定)』 ============================ (あとがき) どうも、ティガれみりゃ第4回です。 今回は、『ティガれみりゃ3』から直接続くエピソードになります。 どうにも肉体的な虐め描写は苦手なのですが、 苦手ゆえに、敢えてこの前後編で挑戦してみました。 如何だったでしょうか? ……それにしても、ただの一発ネタのはずのティガれみりゃも、 随分書いた気がします。とりあえず次回で一区切りつける……予定です。 byティガれみりゃの人 (これって自分で名乗るものなんでしょうか?) ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/904.html
「ゆっくり~~♪ していってね~~~♪」 「「「ゆっくり~~♪ していってね~~~~♪」」」 「きょうもにこにこひゃっくてんだよ!!!」 ここに一つのゆっくり霊夢一家がいる。 親である霊夢と子供が十数匹の標準的な家族である。 その親霊夢を先頭に、向かっているのは人間の里。 「ゆっゆ♪ ゆゆゆ♪」 ご機嫌な様子で歩いていくお母さん霊夢。 何がそんなにうれしいのか、その答えは今しばらくすればわかるのであろう。 「ゆっゆ♪ ちゅいたよ♪」 「それじゃあ!! ゆっきゅりしようにぇ!!」 「「「「ゆっきゅりしゅるよぉ~~~~~!!!!」」」」 あるモノは廊下を走り回り、またあるモノは畳の上でごろごろと転がる。 ゆっくりにしてみれば、ゆっくり遊んでいるのであろうが、ここは人間の家である。 人間の家はゆっくり出来るものが沢山ある。 それは『この一家ならずも知っていること。 そして、この一家はゆっくりするためにここに入り込んだのだ。 そして、珍しいことに一家は、何一つ家の備品に触れてはいない。 ただ転がって遊んでいるだけなのである。 「お前ら!! ここで何をしてるんだ!!!」 仕事から帰ってきた男は、無人のはずの我が家から聞こえてきた声に驚いた。 しかし、すぐにその声の正体が分かると、怒りに身を任せて家の中に入り込んでいった。 「ゆゆ!! おにーーさんおかえりなさい!!」 「「「おっかえりなっしゃ~~~~~い♪」」」 男の緊迫した声とは対照的に、一家はのほほんとした口調で男を出迎えた。 「おい!! ここが誰の家だか分かってるのか!!」 「ここはおにーさんのいえだよ!!」 「……分かってるのか?」 自分の予想が外れた男は、呆気にとられ一度怒りを忘れたようだ。 「ゆっゆ!! れいむはあたまのいいゆっくりだから、きちんとわかってるよ!!」 「れーみゅたち、おにーさんのおうちのものさわってないよ!!」 「たべものもたべてにゃいよ!!」 「ちかきゅのきゃわで、かりゃだをありゃってきたから、きれいだよ!!」 「ゆっゆ♪ れいむたちはなにもわるいことしてないよ!!! だから、おこらないでね♪ おにーーさん!!」 「ほー……。そうか、それは偉いなぁ~~」 感心したように、うんうんと首を振りながら一家に語りかける。 「ゆっゆ♪ えらいでしょ♪ ごほーーびにすこしたべものちょ~~だい♪」 「んなわけあるかーーーーーー!!!!!」 ごぶ。 と鈍い音と共にお母さん霊夢に鉄拳が振り下ろされる。 「と゛う゛し゛て゛ーーー!!! れいむたちなにもわるいごとしてないよぉーー!!!」 「「「おがーーしゃーーん!!!」」」 口から餡子を吐き出しながらも、男に向かって非難ともとれるような言葉を投げかける。 「おかーしゃんだいじょーぶ?」 「あたみゃいたいいたいにょ?」 「れーみゅが、いちゃいのいちゃいのとんできぇーー!! してあげりゅりょ!!」 重症を負った母親のもとへ集まった子供達が、文字通り男の事を忘れ必死に手当てをしようとする。 「こらこら。無視はよくないぞ♪」 「ゆゆ!! ゆっくりはなしちぇね!!」 「ゆ!! いもーとをはなしてね!!」 一転、母親もろとも男のほうへ振り向き、声を上げて男とその手にもたれた赤ちゃんに呼びかける。 「はい!! ここで問題です!!」 小さい子を黙らせるように、大きな声で言い放った男は、手にしたゆっくりを握りながら、さらに説明を続けた。 「今から、お兄さんが君達に質問をします。その質問の中で、『悪いこと・うそ』があったらこの赤ちゃんは朝食に嬉しい、おいしいおいしい餡ペーストになってしまいます!!!」 「ゆ!! ゆ~~~~♪」 何だ、そんなことか、とでも言いたげな一家。 何しろ、自分達は頭の良い、良いゆっくりなのだ。 きっと、馬鹿なゆっくり達はここで間違ったことを言って殺されてしまったのだろう。 これをきちんと答えれば、この人間もきちんと分かってくれる。 もしかしたら、お家で飼ってくれるかもしれない。 一度みた、あの金ぴかに輝くバッジを自分達も付けて歩けるかもしれない。 「ゆっゆ♪」 「ゆきゅ~~~♪」 周りを見ると、子供達も母親と同じ事を考えているようで、なんとも緊張感のない表情をしている。 「ゆっくりきっちりりかいしたよ!! おにーさんはやくもんだいをだしてね!!」 「「「「だちちぇねーーー!!!」」」」 すでに勝った気でいる一家、その一家に男はゆっくりと問題を発表した。 「第一問!! 勝手に人のおうちに入るのは良いことかな?」 「「「こたえは、のーだよ!!」」」 「正解!! では第二問!! 君達は何で人のおうちに勝手に入ってきたのかな?」 「「「ゆっゆ♪ れいむたちはわるいことしてないよ♪」」」 「ダウト!!」 「んじゃらっぺいぽんち!!!」 ニコニコしている一家に、握った右手を近づけて一気に握り潰す。 くぐもった悲鳴が聞こえた後、どろっとした餡子が流れ落ちていく。 「ゆ!! れいむのあ゛か゛ぢゃ゛ん゛がーー!! どーーじでこんなごとするのーー!!」 「あかちゃんが、いたいいたいになっちゃったー!!」 「ゆぐぅーーー!!!!!!」 騒然となる一家。 そんなことはお構いなしに、男は二匹目の赤ちゃんを掴み、問題を再開する。 「第三問!! 君達は勝手に人間の家に入った?」 「ゆー……。あがじゃんがーー!! いだいいだいになっじゃったー!!」 「ゆっぐり、かわいいあかちゃんが……」 「……西村因みに、答えなくてもおいしー朝食餡ペーストになります」 「「「ゆっぐりかってにはいったよ!!!!」」」 「正解!! では第四問!! 勝手に家に入るのは悪いゆっくり、間違いないね!!」 「「「ゆっくりまちがいないよ!!」」」 「正解!! ではでは、最終問題!!!」 「ゆ……」 緊張していた一家からため息が漏れる。 後一問、それだけで自分達は解放される。 もう人間の里に近づくのはよそう。 良い事をしたのに、こんな目に合わせる人間とはゆっくりできない。 森に帰ったら、ゆっくりと暮らそう。 「じゃじゃん!!」 その前に、この問題をさっさと片付けよう。 「悪いゆっくりは一匹残らず駆除する!!!」 「ゆ?」 「「「ゆゆゆ!!!」」」 一家の表情が曇る。 確かに、悪いゆっくりはそうしても良い。 でも、確かさっき自分達は、かってに家に入るゆっくりは悪いゆっくりだ、と言った気がする。 つまり、自分達は悪いゆっくりになる。 だったら、自分達も駆除させる。 「どうしたの? この子、朝食に出してもいいの? 食物繊維たっぷりのおいしー餡ペーストになるよ」 「ゆぐぐ……」 「「「ゆーーーー……」」」 残された一家は答えられなかった。 答えたら、自分達は多分死ぬ。 おそらく、ちょーしょくにあんぺーすととして出されるのだろう。 しかし、黙っているか、うそを言えば、死ぬのは今男に握られている赤ちゃんゆっくりだけだ。 そうだ!! うそを言えば良いんだ。 悪いのは、人間に捕まったあの赤ちゃんだけだ。 よし、うそを言おう。 「……」 「「「ゆ!!」」」 無言の母親の視線でも、こういう場合の考えは一緒なのだろう。 全員が全員、こくりと頷き男のほうに向き直る。 「だ「しょうだよ!! わりゅいゆっきゅりはいっぴきのこりゃずくじょすりゅんだよ!!」 ゆゆ!!」 だめだよ!! と言おうとした一家より、一瞬誰かが答えた。 答えた主を探そうとする一家だが、全員首を横に振り、関係ないという意思を表示する。 となると、残された選択肢は一つ。 「おかーーしゃんがいちゅもいっちぇたもにょ!! わるいゆっきゅりはみんなしんでいいって!!!」 「「「「と゛う゛し゛て゛ぞんなごというのーーー!!!!!」」」」 全員が、男の、その手のひらに乗せられている赤ちゃんに向かって声を荒げる。 「ゆ? じゃって、おかーしゃんたちなかなきゃこたえないかりゃ、れいむいたいいたいしたくなきゃったもん!!」 プクーと頬を膨らませて、一家を見下ろしながら答える赤ちゃん霊夢。 「そうそう。えらいな~~♪ ちゃんと分かってるじゃないか」 「ゆっゆ♪」 そうして、その霊夢の頭をなでながら優しく語りかえる男。 この位置からでは赤ちゃんには見えないが、一家には男の顔が見えた。 まさに、一家にどのような処罰を与えようか考えている顔であった。 ~~~~~ ここは加工場の一室。 毎日限定生産される家族饅頭セットの備蓄室である。 「ゆっくり……」 この一室の新たな主は一つの霊夢一家。 普通なら、暴れまわるこの一家だが、一匹を除きその様な気は起きないらしい。 「ゆっきゅりだちてにぇ!!」 必死に騒いでいるのは赤ちゃん霊夢だった。 あっちの壁に体当たりしたかと思えば、こちらの扉に体当たり。 「……」 大きな個体が生気を失ったように佇むなか、赤ちゃんが行うその行為は、まさに奇妙なものだ。 「ゆ!! れーみゅたちはわりゅいことしちぇないよ!!」 「…………」 「おかーーしゃん!! れーみゅたちわりゅいことしちぇないんだかりゃ、はやくここきゃらでて、おうちかえりょーね!!!」 「……ゆっくり……そうだね……」 「ゆっきゅりだちてにぇ!! れーみゅたいはいいゆっきゅりだよ!! おかーーしゃん、いちゃいいちゃいだかりゃ、はやくかえらしぇちぇね!!!」 「「「…………」」」 いよいよ出荷されるその日、その赤ちゃん霊夢は最後の最後で自身の罪を知り、どの家族よりも絶望して逝ったという。 まるでアクセントのように、一部に強力な甘さの餡子を残して。 ~おまけ~ 「うーー!! れ☆み☆りゃ☆はこうまかんのおぜーーさまなんだぞーーー!!!」 そう叫ぶゆっくりれみりゃがいるのは間違いなく紅魔館の玄関であった。 庭に住んでいるものがまた勝手に入ってきたのだろう。 「う~~!!!! う~~~!!!」 調度品を見て、奇声をあげるその姿は、お嬢様らしからぬモノであるが。 「う~~~!! れみりゃはおなかがすいたーーー!! さくやーー!! さくやぁ~~~?」 一転、笑顔になったれみりゃが声を張り上げ食事を要求するが、ゆっくりに食べ物を与える輩はここにはいない。 「うーーー。うーー!! うう!!」 スカートの裾をぎゅ♪ っと掴んで涙を浮かべていたれみりゃだったが、何を思ったかスッと近くの部屋から怪獣の気ぐるみを持って戻ってきた。 「うっう~~♪」 お気に入りの気ぐるみを貸してあげるから、早く出て来い!! と言うことらしいが、あいにく酔っ払いでもしない限りそんな趣味の悪いものなんて着たくない。 痺れを切らしたれみりゃは、テコテコと自分の足で食べ物を探し始める。 「うぎゃ!! うーー!! うーーー!!」 途中何も無い所で転び、目に涙を浮かべ口を結び、まさに今にも泣き出しそうな事もあった。 「うーーー……、おなかへっだーーー……」 が、泣くのを堪えて再びよろよろと館内の捜索に戻った。 それから、幾分の時間が過ぎ、ある大きな入り口の前を通りかかった時、れみりゃはそこから大勢の声と、食べ物の匂いを感じる事が出来た。 「うーー!! ごはんたべりゅーーー!! おかしもってきてぇーーー!!」 既に疲れきったれみりゃは、近くにいた女性に声をかけると、うんちょ♪ と台の上に飛び、木製のベッドに横になり目を瞑った。 「う~~~……う~~~~……」 直ぐにうとうとし始める、幸せそうに口元から涎を垂らして。 「……あら、今日の夕ご飯はれみりゃだったかしら?」 「う~~……!! うあーー!! うあーーーー!!!」 疑問系で、しかもいまいち確証が無いにも拘らずテキパキとれみりゃを捌いていく。 「やめでーーー!! れみりゃなのーー!! れみりゃーーー!! はやくやめるのーーー!!!」 「……そーらのかなたに♪ みーちるひーぃかり♪」 れみりゃの言葉は一切聞かずに、鼻歌を歌いながら調理を進めていく。 「うぎゃーー!! れみりゃのあしがーー!! さぐやーー!! だすげでーー!!」 「まじかる♪・さく「んじゃーーー!! ああーーーーー!!! うあーーーー!!!」」 ……。 「今日は少しおかずが多いんじゃないかしら?」 「そうですか? でも食べ切れますよね?」 「それは、そうだけれども……」 「なら問題ないですね」 「はぁ……」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2251.html
注:容姿描写等は、あくまでもこの作品内のみのものです。 朝、村の男が畑へ出てみると、こそこそと作物を齧っている影を発見した。 ゆっくりめ、と思い後ろから近づき、その物体を掴む。 「おらあっ!クソ饅頭め、ぶち殺してやる!」 「に゛ゃあ゛!」 掴まれたゆっくりは涙を浮かべ、カタカタと震えている。 そのゆっくりを見て、男はおやっと思った。 男もそんなに見かけたことのない希少種、ちぇん種であった。 「わ、わるかったよー、ごはんがたりないんだよー」 「……………………」 その姿を見て、男の怒りが急速に薄れていった。 「……分かったよ、少しでいいなら持ってっていいぜ」 「あ、ありがとう!おじさんいいひとだね、わかるよー!」 ちぇんは作物を少し貰い、お礼を言って帰っていった。 ちぇん種は基本的に素直で可愛らしいので、人間達の間では非常に人気が高い。 もちろん程度にもよるが、このように畑を荒らしても許されることは多かった。 そして、その光景を一匹のゆっくりが遠くから見ていた。 十分ほど後、男が畑仕事を始めると、再びゆっくりが作物を齧っているのが見えた。 またかよ、と思い近づき、先ほどと同様に後ろから掴む。 「ごめんだぜ!おなかがへっていたんだぜ!」 それはまりさ種であった。 このまりさは人間に捕まっても少しも慌てていない。 さっきのちぇんと同じように、作物を分けて帰してくれると信じ切っていたのだ。 「てめえ、俺の畑になにしやがるうううう!!!!」 「ゆびゃ!」 男はまりさを地面に叩きつけると、力一杯、何度も踏みつける。 「死ね、この饅頭が!身の程をわきまえやがれ!」 「な…………なんでなんだぜ…………」 まりさ種はちぇん種と違い、自分勝手で図々しい。 畑を荒らしたり、家に上がりこんで自分の家宣言をすることなど日常茶飯事である。 そのため人間達の間では、ゆっくり随一の嫌われ者であった。 当然ちぇん種との扱いの差は天地の開きがあるのだが、そんなことまりさは知る由も無かった。 またある所に、一匹の瀕死のぱちゅりーが道で倒れていた。 石か何かでケガをしたようで、皮の一部を失って餡子が流出している。 そこに一人の女性が通りかかり、ぱちゅりーに気付く。 「た、大変!大丈夫!?」 「むきゅ……いたい……」 「待ってて、すぐ助けてあげるからね!」 急いで女性はぱちゅりーを、治療のために連れて帰る。 ぱちゅりー種は物分かりがよい分、人間の恐ろしさも熟知している。 そのため人間に危害を加えようとしない傾向が他のゆっくりよりも強い。 よって人間からは頭のいい、迷惑をかけない良いゆっくりだという認識を受けていた。 女性は再び家を出ると、近くをひたすら走り回った。 すぐに目的のゆっくりが見つかった。家族連れのれいむ種で、赤れいむも何匹かいる。 「いいゆっくりね、少し借りるわ」 「なにするの!れいむをはなしてね!」 「おねーしゃん、やめちぇね!」 「おかーしゃんをはなちぇー!」 赤れいむ達の声など聞く耳持たず、母れいむを家へ連れて帰る。 そしてすぐにぱちゅりーのいる部屋ではなく、台所へ向かった。 「はやくおうちにかえして…………ゆぎゃああああ!!!!!」 女性はれいむの皮を剥ぎ、中の餡子も少し貰い、ぱちゅりーの元へ急ぐ。 幸いぱちゅりーは、まだ死んではいなかった。餡子を入れ、れいむの皮を使い縫合する。 餡子があれば、ゆっくりはなかなか死なない。小一時間すると、餡子を得たぱちゅりーは完全に回復した。 「むきゅ、ありがとう、おねえさん!」 「いやいや、助かってよかったわ」 すっかり元気になったぱちゅりーは、森へと戻っていった。 ぱちゅりーが帰ったのを見届けてから、女性は台所へ戻る。 大きく皮を剥がれたれいむは、餡子を流出しきって死んでいた。 ほぼ皮だけとなったれいむを持って、赤れいむ達の元へ戻る。 「あ、さっきのおねーしゃん!」 「おかーしゃんをかえちてね!」 「ええ、分かってるわよ。ほら」 女性は母れいむだったものを、赤れいむ達に投げつける。 「お、おかーしゃんがああああ!!!!!」 「どぼちてえええええ!!!!!」 「ゆっくちできにゃいよおおおお!!!!!」 「あなた達のお母さんのおかげで、一匹のゆっくりの命が救われたわ!ありがとう!」 れいむ種はぱちゅりー種と違い頭が悪く、まりさ種同様平気で人間の食べ物を食べたり、人家に侵入したりする。 数が多いこともあり、人間達の間ではやはり嫌われ者であった。 またある夜、青年が森を歩いていると、ゆっくりみょんが体付きれみりゃに襲われていた。 「まつんだどぉ~☆」 「ちんぽおおおお!ちんぽおおおおおおお!」 ゆっくりみょんは卑猥な言葉を発するとはいえ、その性格に関しては意外と礼儀正しい。 そのため女性からはともかく、男性には好かれることが多かった。 「この肉まんが!喰らえ!」 「だどおおおおおお!!!!!!」 青年のパンチを喰らって、れみりゃは吹っ飛び、ピクピクと痙攣している。 体付きれみりゃは可愛さも頭脳も、数あるゆっくり種の中で最低レベルに位置する。 しかもれいむ種やまりさ種にはまともな者もいるが、体付きれみりゃにはほぼ皆無。当然嫌われ者である。 「さあ、今のうちに逃げるんだ」 「ありがとうだちーんぽ!」 青年に礼を言うと、ゆっくりみょんは森の中へ姿を消していった。 しばらく歩くと、似たような光景を再び目にした。 「うー!うー!」 「たすけてえええええ!!!!!」 今度は襲っているのは体無しれみりゃ、襲われているのはゆっくりアリスである。 ゆっくりアリスは青年を見るやいなや、青年に助けを求めた。 「お、おにいさん、たすけてくれてもいいわよ!」 「……………………」 「な、なんならおにいさんのいえを、ありすのいえにしてあげてもいいわ!」 「そうか、じゃあやめとくわ」 青年はそう言うと、ゆっくりアリスを掴み上げた。 「ほれ、こいつやるよ」 「んほおおおおお!!!なんでええええ!!!」 「うー!うー!」 ゆっくりアリスは人間へは物的被害はもちろん、精神的にも害を及ぼす。 それは手当たり次第に他のゆっくりをレイプし、またその時の顔が非常に醜いということだ。 小さな子供を持つ主婦からは、子供の教育に悪いと特に評判がよろしくない。 ゆっくりれみりゃは、青年に掴まれたありすをガツガツと貪る。 「ゆぎゃあああああ!!!!!」 「うー!うー!」 「うーむ、さすがに可愛いなぁ」 体無しれみりゃは捕食種ながら、その外見はゆっくりの中でも屈指の可愛さを持つ。 しかも体付きと違ってうーうー呻るだけでウザくないので、かなり人気が高い。 もちろん、れいむ種やまりさ種をよく食べるというのも人気の理由の一つである。 青年はれみりゃの食事が終わるまで、ゆっくりしてその光景を眺めていた。 さて、それらの噂を耳にしたゆっくり達で、悪巧みを企む者達がいた。 ゆっくりちぇん、ゆっくりぱちゅりー、ゆっくりみょんの3匹である。 彼らは先の話のちぇん達のような者達と違い、彼らの種にしては珍しい、ゲス気味のゆっくりであった。 「むきゅ、わたしたちには、にんげんはやさしいわ」 「ごはんもらいほうだいだね、わかるよー」 「にんげんをりようするんだちーんぽ!」 早速3匹で人里へ赴く。 人気者の3匹が勢ぞろいしている光景には、多くの人間が目を細めた。 「あらあら、可愛らしいゆっくり達ですね」 一人の少女が3匹に声をかける。 すると3匹は待ってましたとばかりに、少女に要求を始めた。 「むきゅ、わたしたちがかわいいのは、とうぜんよ!」 「だからごはんをよこすんだちーんぽ!」 「ひろいいえもねー、わかってるよねー」 「あらあら……分かりました。ではどうぞ、私の家へ」 少女はにっこり微笑むと、自分の屋敷に3匹を招いた。 その門には「稗田」と標識があったが、ゆっくりにとってこれが何を意味するかは無論知らなかった。 そしてその家で、3匹は知ることになる。 ゆっくりの種になど関係なく、どんなゆっくりも虐待する人間がいることに。 彼らが屋敷を出てくることは、二度となかった。 終 過去作 ゆっくり鉄骨渡り ゆっくりアトラクション(前) ゆっくりアトラクション(後) ありすに厳しい群れ(前) ありすに厳しい群れ(中) ありすに厳しい群れ(後)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/585.html
ここは、広大なゆっくり平原。 ゆっくり名所である池や、川、森、山など、ゆっくりたちが思う存分絶頂にゆっくりできる場所。 そんなゆっくり平原の辺境の森で、ゆっくり霊夢は空を飛んでいた。 もちろん自力ではない。 自力で飛べるゆっくりなど、捕食種であるゆっくりれみりゃとゆっくりふらんだけだったのだ。 ゆえにゆっくり霊夢は夢見心地だった。まさか空を飛べる日が来るだなんて。 頬が風を切って進む感覚。 ぐんぐんと流れていく景色。 徐々に、だが確実に遠くなっていく地面。 視界は広がり、遥か彼方まで見渡せる。 生まれてから死ぬまでに見ることなど、絶対に叶わない素敵な光景。 ゆっくり霊夢の小さな胸は感動でいっぱいだ。 それもこれも、みんなこの「うーぱっく」のおかげだった。 「わぁい!おそらをとんでるみたい!」 「ばかだぜれいむ!まりさたちはおそらをとんでるんだぜ!」 「うー!」 「とんでる!とんでるよ!!うわぁ~♪とりさんよりはやいや!」 「う~♪」 ゆっくり霊夢はご満悦の表情で、自分とゆっくり魔理沙を乗せて飛んでいる二匹のゆっくり種を 見ながらついさっきのことに思いを馳せた。 うーぱっく。 外見はゆっくりれみりゃを直方体にしたものだが、性質はそこまで強暴ではない。 なぜなら、出会い頭に襲撃してこなかったから。 いや、たしかに急に近づいてきたから、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の二匹は思わず死を覚悟した。 自分たちも、今までにいた他の仲間と同じようにゆっくりれみりゃに食われるのだと思った。 だが、目を瞑り震えながら身を固めていた二匹に聞こえたのは「うーうー!」という人懐っこい声だった。 恐る恐る目を開くと目前にぱたぱたと浮遊しているそれ。 「ゆぎぃっ!」 恐怖の声をあげる二匹。 しかし覚悟した苦痛はいつまでもやってこない。 よく見るとそれは一つの動作を繰り返している。しかもにこにこ笑顔で、だ。 顎を上げるようにしているそれをゆっくり霊夢はこう解釈した。 「ゆぅ……?なぁに?の、のせてくれるの?」 「うー♪」 いかにも!と言うように返答する。 「だっ、だめだぜれいむ!あぶないぜ!それはれみりゃだぜ!!」 ゆっくり魔理沙が警告する。多少見た目が違い、少し人懐っこいからといってそれはゆっくりれみりゃに 違いないのだ。どんなに懐いていたとしても、それが猛獣だと忘れてしまったら危険な事故が起こる。 自分たちより圧倒的に強い相手には、警戒はいくらしてもしすぎると言うことは無い。 だが、ゆっくり霊夢はそれの誘いに乗った。 すでに死んだ身だという気持ちだったからだろうか? 「ゆっくりはいるよ!」 言って飛び跳ねると、ゆっくり霊夢の体はそれの頭頂部に開いている窪みに収まった。 「ゆ?ゆ、ゆ、ゆゆゆ?」 徐々に浮かび上がってくる。飛んでいるのだ。 目線が高くなる恐怖にいくらか震えていたが、ゆっくり霊夢はすぐに慣れてしまった。 それがゆっくりと静かに飛翔していることも関係しているだろう。 「まりさー!すごいよ!おそらをとんでるみたい!」 「れいむ、うらやましいんだぜ!はやくかわるんだぜ!!まりさによこすんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙は、それに乗ってくるくると飛んでいるゆっくり霊夢を見て顔をゆがめていた。 「ねぇねぇ、れいむはいいからまりさをのせてあげて!ゆっくりおねがい!」 しかしそれはゆっくり霊夢の言うことに反応しない。ただ「うー」と鳴くだけだった。 もどかしげに身を震わせ、声を張り上げる。 「ねぇ!ゆっくりきいてるの?まりさとかわってあげてよ!ゆっくりしていってね!」 「うーうー!!」 それをかき消すかのような大きな声でそれは鳴いた。 「ゆっ!?」 するとどこからともなく同じような泣き声が聞こえてくるではないか!やがて、いくらもしないうちに もう一匹のそれが姿を現した。 「うーうー」 「うー」 「うっうー」 「うぅ~」 何らかの意思の疎通。そして後から現れたそれはすぐにゆっくり魔理沙へと降下していった。 「ゆぅ?のせてくれるのか?だぜ」 「う~♪」 「ゆゆゆぅ~~~!」 感極まったような高めの声で慌てて飛び乗るゆっくり魔理沙。 どっしりと座ったようなそのおさまり具合は、まるでそれが自分のために存在しているかのような 錯覚をゆっくり魔理沙に与えた。 素晴らしい一体感。 これを覚えてしまえばゆっくりアリスの強制すっきりなど物の数ではない。 「すごいぜ!ゆっくりとんでるんだぜぇ!!」 「まりさ!まりさぁああぁ!!」 「れいむぅううぅぅううぅぅぅ!」 二匹はランデブーするかのようにお互いの周りを旋回し、揃って空を飛ぶ幸運を堪能し始めた。 並んで飛行し、川を越え、枝を飛び越えて流れるように飛んでいく。 地面を飛び跳ねているだけでは、決して味わえない愉悦。ゆっくり霊夢たちは今、幸せの絶頂にいると 思った。自分たちはなんて幸せなんだろう!そして、この出会いに感謝したくなった。 「ゆ?そうだ!おなまえをゆっくりおしえてね!」 「うー?」 「おなまえだよ、お・な・ま・え。れいむはゆっくりれいむっていうんだよ!れいむってよんでね!」 「うー……ぱっく……」 とまどいがちに伝えるそれ。 うーぱっく。 ゆっくり霊夢はそれを聞くと目を輝かせて 「うーぱっくっていうんだね!ゆっくりしようね!うーぱっく!」 と頬を紅潮させて言った。 「まりさも!ゆっくりするぜ!ゆっくりまりさっていうんだぜ!」 二匹のうーぱっくはゆっくり霊夢たちを乗せて何処までもいつまでも飛んでいた。 木に成っている実を貪り食べていた二匹は、いつのまにか日が傾いていることに気づいた。 空は茜色に染まっていて、吹く風も冷ややかになり、鴉の鳴き声がどこか哀愁を誘う。 沈む夕日を今までに無い高みから望んで、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は思わず涙ぐんだ。 圧倒的な情景。 空を翔る鳥たちは、いつもこんなものを見ているのか。 髪を撫でて耳を抜けて過ぎ去る風は、こんなにも冷たく、もの悲しいものだったか。 二匹に去来する思い。 それがなんなのか理解できないし、言葉にもできない。だが、ただ「そこにある」と感じることは出来た。 二匹はなんだか無性におうちに帰りたくなっていた。 「ねぇうーぱっく!ゆっくりかえりたいよ!ゆっくりかえしてね!」 「う、うー!」 うーぱっくは一声鳴くと、もと来た空を引き返し始めた。 ゆったりとしたその飛行は、余計に「帰る」ということを意識させ、二匹の心は逸っていく。 大地が近づき、森の深緑に包まれる。 木と土の匂い。慣れ親しんだそれが二匹の鼻孔をつくと、言い知れぬ安心感がにじんだ。 ゆっくり霊夢はおうちに帰ったら家族に今日のことを言って聞かせてあげようと考えていた。 うーぱっくとの出会い、初めて大地から離れたこと。 風を切って飛ぶ感覚。 大空の青。流れ往く雲の白。夕焼けの茜色。 お日様が沈んでいくと、風が寂しく聞こえること。 きっと妹たちは羨ましがるに違いない。母はそれは凄い体験だったね!とまるで我が事のように 喜んでくれるだろう。そうだ、明日は妹達も誘ってうーぱっくとも遊ぼう!ゆっくりしたいい考えだね! ゆっくり霊夢は自然と表情が緩んでいった。 「れいむ!れいむ!!」 「ゆ?」 そんな物思いに耽っていたゆっくり霊夢を、親友のゆっくり魔理沙は緊張したような声で必死に呼びかけていた。 「どうしたの、まりさ」 見ればゆっくり魔理沙はどこか緊張した面持ちで、やや汗ばんで見える。 「かおいろがわるいよ、まりさ。ぽんぽんとらぶる?」 「ちがうよぅ!まえをみるんだぜ!!」 「?」 ゆっくり魔理沙の必死の訴えに、きょろきょろと見回すゆっくり霊夢。 「ゆゆっ!?」 そこは見たことのない場所だった。 森の中でも他に類を見ないほどに木々が鬱蒼と茂っており、空のように広がっている木の葉のせいか どこか音が遠くにあるもののように聞こえてくる。 夕暮れではあるが、ここは特に暮色が濃い。夕闇の彼方から何か得体の知れないものがひっそりと 這いずり出てきてもおかしくないと思えるほどだった。 「ここどこぉおぉおお~~~っ!?」 「うー!うー!」 「ゆっくりかえしてほしんだぜ!おうちにかえすんだぜ!」 「うっう~~!」 ゆっくり霊夢たちの叫びに声を返すうーぱっく。しかしそこに意思の疎通は皆無だ。 「うー!うー~~~!!」 誰かに呼びかけるような嘶き。 するとどうだろう、周りの森林から唱和するように同じ泣き声が聞こえてくるではないか! そしてがさがさと枝葉を揺らして現れるのは五匹のゆっくりれみりゃだ。 「ひぃっ!!」 五匹は悲鳴をあげたゆっくり魔理沙を、そのにこにことした笑顔の目のままでねめつけると 二匹のうーぱっくを取り囲むようにして羽ばたき、進み始めた。 その先には洞穴があった。 そこは巣だ。 ゆっくりれみりゃの巣窟なのだ。 「うーうー!」 「ぎゃおーーーー」 わずかに漏れ出てくる泣き声が、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙を心胆寒からしめた。 二匹は恭しく運ばれる供物のような態で奥へ奥へと連れて行かれる。お互いを見詰め合うが どちらも涙目で震えていて歯の根があっていない。 うっすらと月光のような冷たく柔らかな光を皓々と発する岩々が過ぎ去り、湿った空気が まるでからみつくように流れている。しっとりとした天井の岩肌からは、時折水滴が落下しており 水の弾ける音がこだましている。 平常であれば、涼しくて水滴の音も耳に心地よいこの洞穴は、とてもゆっくり出来る場所であろうが すでにゆっくりれみりゃの巣になっており、それ以上に二匹はうーぱっくに連れられゆっくりれみりゃに 囲まれているのが現状だ。とてもゆっくりする暇などない。 唯一できることは、ゆっくりと死の覚悟をすることだけだろう。 どれほど進んだろうか?先にはまばゆく光るものがある。 巣の広間なのだろう、今までになく明るいそこにはたくさんのゆっくりれみりゃがいた。 体のないやつ、あるやつ、小さいやつ、大きいやつ、うーぱっく。 さまざまだ。 さまざまだが、それぞれが思う存分ゆっくりしていた。 ゆっくりと、していた。 左に目をやれば、そのゆっくりれみりゃはうーぱっくと五匹ほどで小さなゆっくりぱちゅりーを空中で キャッチボールのようにして遊んでいる。地面には親と思しきゆっくりぱちゅりーが声を上げて、弱い体を なんとか飛び跳ねさせているが、空中のそれらには決して届くことはない。 「むっぎゅぅ~~!むっぎゅぅうううぅぅ!!」 「……むきゅっ!……みきゅぅうぅ!!」 弄ばれている子ゆっくりぱちゅりーは生来の脆弱さもあいまって、すでに半分以上死に体だ。 投げ飛ばされ受け止められているので、ゆっくりれみりゃの牙で帽子はずたずたになり髪もぼろぼろ、 肌に至っては蒼白を通り越して蝋のように白くなっている。見れば右目が飛び出てぶら下がっている のがわかるだろう。 しかしそのゆっくりれみりゃたちは気にしない。玩具だからだ。下で必死に取り返そうと飛び跳ねている 親ゆっくりぱちゅりーが、とうとう口から紫色をしたクリーム状のものを吐き出していても相も変わらず にこにこ笑顔で放り投げ、受け止めて別のゆっくりれみりゃに放り投げていた。 右を見れば、そこには大きなゆっくり魔理沙がいた。 本当に大きい。1メートルくらいはあるだろうか。それに3匹のゆっくりれみりゃが群がっていた。 それらは胴体が生えていて、ぷにぷにとした手足もしっかりと動いていた。 「いいこえでなくんだどぉ~!」 「もっとだどぉ~~~!」 「そんなんじゃまんぞくできないんだっどぉ~♪」 一言ごとに平手や拳、蹴りを叩き込んでいる。その一撃ごとに大きなゆっくり魔理沙は 「ゆぐっふ!ぶぎゅぎゅっ!だべっ!やべでよぉおっ!やべっでゅんだぜ!!ぶめぎゃっ!?」 と声を上げていた。見れば皮は裂け、目は片方が飛び出しており、ところどころに餡子が滲み出ている。 「へたくそなんだぞぉ~」 「いぎゃっ!」 一匹が口に手を差し込み、歯をへし折ったのだ。これでゆっくり魔理沙の口の中には歯がなくなってしまった。 「まりゅしゃしゃみゃに……きょんなこちょしちぇ、ひぃ、たぢゃでしゅむとおみょうにゃ!だじぇ!!」 怒りと復讐心を湛えた燃えるような目。それに見つめられても三匹はにこにこ笑顔を崩さなかった。 むしろ、嘲笑の色が混じっていた。 「う~♪おまえのむれはもうないんだっどぉ~~」 「わすれたのか?どぅー」 「みんなみんな、れみりゃたちでくってやったんだどぉ~~~♪」 「なかなかうんまかったんだどぉ~☆」 「ほめてやるんだどぉ~~」 「ゆっ!?」 そうだ。そうだった。 大きなゆっくり魔理沙の脳裏にあの光景がよみがえる。 このゆっくり魔理沙は運が良いゆっくりだった。幼い頃、家族が獣に襲われたときもそれに跳ね飛ばされて すぐ側の茂みに転がり込んだことで一匹だけ助かった。その後、仲間と狩りをしていて二手に分かれたバッタ を追いかけたときも、相棒のゆっくり霊夢が追いかけた先には蜂の巣があって死んだのだった。 それから大きくなり、自分が支配する群れを持ったときまでその運の良さは発揮されていた。さらに言えば 体が大きくなったことで、自身を脅かすものが比較的少なくなっていたことも災いした。 脅威を、自分たちゆっくりは弱い立場であり、それを脅かすものが存在するということを、失念していたのだった。 それが致命的だった。 夜に、ゆっくりれみりゃの襲撃があったのだ。 自分を頂点に、おおよそ50匹はいた群れ。そのほとんど全てがたった3匹の、今目の前にいるゆっくり れみりゃによって屠られてしまった。群れには自分に及ばないまでもそれなりに大きなゆっくりもいたというのに、 まるで手も足も出なかった。 虐殺と蹂躙の限りを尽くした3匹は自分を含めた何匹かのゆっくりをこの場所に運び入れて、 自身の群れの餌や玩具としてゆっくり魔理沙たちを扱った。 それから続いた地獄の毎日がその恐るべき夜の記憶を薄めたのだった。 「これをみるがいいどぉ~~~」 一匹が飛び上がり、もたもたと上昇してゆっくり魔理沙の帽子をひっぺがした。 「ゆ゛っ!」 帽子を剥がされるという、今まで感じたことのない刺激に、思わず声を上げてしまう。 頭頂部は露出し、うっすらと餡子が滲み出て甘い匂いが漂い始めた。 すると、あたりのゆっくりれみりゃたちの目がこちらに向く。だが、その3匹はそれらを無視して 剥がしたものをゆっくり魔理沙の眼前で広げたのだ。 「ゆげぇえぇえぇえぇぇぇんっ!?!?」 帽子から、剥がれた髪の毛が垂れているが、問題はそれではない。 そこには苦悶の表情を浮かべたゆっくりたちの顔の皮がいくつも貼り付けられていたのだ。 どれもこれも苦痛と怨讐に満ちており、まるで見ているゆっくり魔理沙を恨みぬいているようであった。 自分は今までこんなものを頭にくっつけていたのか!? 「こっちはおまえのこどもなんだどぉ~~!さいごまでおとーさんおとーさんやかましかったんだどぉ~~~」 「これはれいむだどぉ~」 ゆっくりれみりゃは憤怒の形相で歪んでいる顔の皮を指す。 「こいつはぁ、こどもをまもろうとしてとびかかってきたから、ひっぱたいたらすぐしんだんだどぉ~」 「あれはもろかったんだどぉ~!わらえたんだどぉ~~~☆」 「こどものさけびが、すっごくたのしかったんだどぉ~☆」 「なかみがよじれてしぬかとおもったんだどぉ~~♪」 「ゆっぐっぐぐぐ!!!」 ゆっくり魔理沙は目の前に広げられた家族のデスマスクに悲しみの嗚咽を上げていた。 やがてその様子に飽きたのか、三匹のゆっくりれみりゃはそれを放り投げると、周りで様子を伺っていたほかの ゆっくりれみりゃたちに向かって 「こいつはもういらないんだどぉ~☆」 「すきにするんだどぅ~~♪」 「ちゃんととどめはさすんだどお~~~」 と言い放った。 「ゆっ!?ゆっぎゅりだずげでね!?」 「おまえはもうあきたんだどぉ~~」 「もっとおもしろいこといえ!」 「うっうー!うあうあ♪」 「いやあぁあぁあああぁぁぁ!!」 たくさんの爛々と輝く瞳。それらが一斉に大きなゆっくり魔理沙に向かって飛び掛っていった。 楽しそうな声に混じり、痛みをうったえ命乞いをする声が聞こえ、さらに大きいゆっくり魔理沙の皮を引き裂き 肉をかき混ぜ、引きちぎり、咀嚼する音によって覆い隠されてしまった。 また別のほうを見れば、そこにはうーぱっくやゆっくりれみりゃに餌をやっている胴体付きのゆっくりれみりゃがいた。 子ゆっくり霊夢を思い切り放り投げて、それを口で咥えて捕るというゲームじみたものだった。 「やめちぇぇええぇっ!!たちゅけちぇぇえぇぇえええぇぇ!」 「いじわりゅしにゃいでゅぇぇえええぇぇ!」 「おかあちゃあぁあぁあああぁぁぁん!!」 「うるさいんだっどぉ~、おかあちゃんならあれだどぅ~☆」 ゆっくりれみりゃの指差す先には、ただの肉塊があるだけだった。あたりに餡子を撒き散らし、わずかに見える リボンの赤が、それをゆっくり霊夢だと理解させるただひとつのものだった。 おそらく頬を左右に引っ張ったのだろう、顎下あたりから無残に二つに裂けている。 「おかぁちゃぁああぁああぁぁぁん!!!」 「いっぱいたべるんだどぉ~、たっくさんあるんだっどぉ~~♪」 「うー!うー!」 「うっう~~!」 「うぁー!うあー!」 何処もかしこもそんな様相だ。 これがゆっくりれみりゃの食事なのだった。 ゆっくりれみりゃにとって、ゆっくり霊夢やゆっくり魔理沙などのゆっくりは、餌であり玩具なのだった。 だから軽々しく弄び、蹂躙する。壊れてしまうなんて構いやしない。 壊れてしまえば捨てればいいのだ。 玩具はそこらじゅうにたくさんあるのだから。 「それはなんだどぅ~?」 大きなゆっくり魔理沙を虐めていたゆっくりれみりゃが一匹、うーぱっくのほうへとやってきた。 そのふわふわとした浮遊は、とても飛んでいるといえる速度ではなかったが、それでも囚われたゆっくり霊夢と ゆっくり魔理沙の二匹にとって脅威であることに変わりはなかった。 「うー!うあ~!」 「うあー♪うっうあ~♪」 うーぱっくが何を言っているかはわからない。しかしひょっとしたら自分たちは食べられないかもしれない。 ゆっくり霊夢たちはそんな淡い希望めいたものを抱いた。 「まりさをたすけてほしいんだぜ!!はやくはなすんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙も身をよじりながら必死に訴えかけている。だがゆっくりれみりゃはそれらを無視して うーぱっくの言葉に耳を傾けている。 「ごはんをじぶんでとるなんて、えっらいんだっどぉ~~☆」 「うあ~~☆」 「どおじでぞんなごどい゙ゔの゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉぉぉっ!!!」 「たべちゃだべだんだぜええぇぇっっ!!おいじくないんだぜえええええ!!!」 「う~?」 「おどもだぢっ!ぜっがぐれいぶだぢど、おどもだぢになれだどおぼっだのにぃいぃいぃぃぃっ」 「あじだはがぞぐどいっぢょにもっどゆっぎゅりじだがっだのにぃぃいいいい!!」 「なんでだばじだの?どおじで!?どおじでぇえええええぇぇぇぇっ!!??」 涙をだくだくと流しながら絶叫するゆっくり霊夢。 しかしうーぱっくは意に介さず、ただ一言 「うー!」 とだけ鳴いた。 「あっぁつぁつっ!!へんだよぉっ!!れいむぅっ!!へんなんだぜぇ!」 ゆっくり魔理沙が声を上げる。今までにない声色に、ゆっくり霊夢は嗚咽を上げながらも振り向いた。 「どうしたの、まりさ」 「なんかからだがへんなんだぜ!おかしいんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙は、自身に襲い掛かりつつある異変に気づいた。体が崩れ始めているのだ。 「と、とけてるううぅうううぅぅぅ!!!まりざのかりゃだがどげでりゅんだじぇぇえええぇぇぇ!!!」 左右に体を暴れさせるゆっくり魔理沙。しかしその体はにちゃにちゃとした粘液が付着し、とろとろの 液状になり流れ始めていた。 これがうーぱっくの最大の特徴だ。 うーぱっくはゆっくりれみりゃの変種である。つまり捕食種なのだ。しかしうーぱっくは成長すると 経口摂食をしないようになり、このようにゆっくりを自身に乗せてじょじょに溶かしていってしまうのだ。 何故かはわからない。 しかし自然界にも似たような生き物が存在するのだから、それほど不思議なことでもなかった。 「うわあああぁあぁああぁぁっっ!!まりゅいざをだじゅげでぇええぇぇっ!!おねがいいぃい!!」 「うー?」 「ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」 よくわからないと言うように唸るうーぱっくに、ゆっくり魔理沙の絶叫は続く。 「まりざああああぁぁぁっ!!ま゛ぁり゛ざあああああぁぁぁぁっ!!!!」 さらにゆっくり霊夢の絶叫も重なる。思わず聞きほれたくなるほど甘美なる合唱。 そこにゆっくりれみりゃが声をかけた。 「すのばしょをいえばたすけてやるんだどぅ~」 「ゆっ!?」 「さっきかぞくっていったんだど~~~♪」 「えらぶんだどぉ~~~★」 「いっ、いやだよ!!かぞくはだいじだもん!」 「どっちでもいいんだっどぅ~~☆」 いつのまにか、うーぱっくの周りにはあの三匹のゆっくりれみりゃが集まっていた。 「おねぇしゃんおしょいね?」 ちっちゃなゆっくり霊夢は巣の中で不安そうに母ゆっくり霊夢に話しかけた。 「だいじょうぶだよ!まりさといっしょだったし、きっとまりさのすでゆっくりしてるんだよ!」 「ゆっ!きっとしょうだにぇ!うりゃやましいよ!」 母ゆっくり霊夢の言うことを素直に聞き、よそのおうちにお泊りをする姉を羨ましがる妹。 よくある家族像だった。 このゆっくり霊夢の家族は母ゆっくり霊夢に、ゆっくり霊夢、妹ゆっくり霊夢の三匹だった。 出産環境が劣悪だったせいか、母体になったつがいのゆっくり霊夢から生えた蔦には未熟な実がいくつか 成ったが、しっかりと生れ落ちたのは二匹だけだったのだ。それでも片方は未熟児だったが。 しかし朽ちたゆっくり霊夢の黒ずんだ死骸は二匹の子の最初の栄養となり、その血肉のなかに脈打っている。 母ゆっくり霊夢は、つがいのゆっくり霊夢の、文字通り化身とも言える二匹の姉妹をとてもゆっくりと大事に 育て上げていた。ゆっくり霊夢は健康そのもので、すくすくと育ち元気に野原を駆け巡り、今では母と一緒に 十分な餌をとれるほどになった。 もしかすると巣を出るなどと言い出すかもしれないが、それもまたひとつの生き方だ。そのときは祝福して しっかりと送り出してやろうと、母ゆっくり霊夢は考えていた。 思えば自分も若い頃は親の庇護から飛び出し、この平原で将来つがいになるゆっくり霊夢と出会ったのだ。 愛し子であるゆっくり霊夢にゆっくりした未来がありますように。 そうして母ゆっくり霊夢は、もうひとつの愛し子、目の前でゆぅゆぅとしている妹ゆっくり霊夢を見る。 生まれたのはゆっくり霊夢と一緒だったが、こちらは未熟児ゆえに発育が悪いのだ。もうしばらくゆっくりと 母ゆっくり霊夢が育てる必要があった。 外は夜の帳も落ち、そろそろゆっくり眠る時間だ。妹ゆっくり霊夢を巣穴の入り口から守るように身を寄せる。 お互い肌をすり合わせて、眠気を誘う心地よい震えが全身をゆっくりと包み始めた。 「ゆぅ~~、ゆぅぅ~~~」 妹ゆっくり霊夢はすでに半分眠っていた。母ゆっくり霊夢はそのゆっくりとした様子を微笑みながら優しい眼差し で見つめ続けて、体を揺らしていた。 やがて母ゆっくり霊夢にも眠気がやってきた頃に、それは来た。 「う~、おまえのすのばしょはまりさがはいたんだどぅ~♪」 「!?」 ゆっくり霊夢はじめじめとした狭い場所に押し込められていた。ここはゆっくりれみりゃの食料庫で 岩肌にあいた穴にそれぞれさまざまなゆっくりたちが無理やり押し込められていた。 ゆっくり霊夢、ゆっくり魔理沙、ゆっくりぱちゅりー、ゆっくりさくや、ゆっくりめーりん。他にも ゆっくりみょんや、ゆっくりちぇんと、種類も大きさもまちまちなゆっくりたちが穴に納まっている。 特筆すべきは、そのどれもが生きているということ。 ゆっくりれみりゃは、食事と遊戯を一緒に行う傾向があるのだ。さんざん弄び、傷つけ、恐怖を植えつけ、 自身の暴力を味わわせた後に、ゆっくりとそれらを食す。 餌を壊す感触と、耳を振るわせる悲鳴と嗚咽、傷つく皮とそこから噴出す餡子が目を楽しませ、ゆっくり れみりゃの食事をより一層味わい深いものにするのだった。 「ど、どおいうごどぉおおおおぉぉぉっ!!!」 「たすけてやるかわりにいわせたんだっどぉ~~」 このゆっくり霊夢はうーぱっくに食べられる運命にあった。 だがしかし、絶叫と共に飛び出た「家族」という言葉がそれを変えた。ゆっくりれみりゃがその家族ごと 食べてやろうと考えたのだ。 しかし一向に巣の場所を言おうとしないので、この場所に安置しておいたのだ。 「あのまりさはとけるより、おまえをうるほうをえらんだっどぅ~~~♪」 「ゆぅううぅぅ」 「ばかなやづだっどぉぉお☆」 「ゆあぁあぁあぁああぁぁぁっ!!!」 「いまごろまりさはかぞくとゆっくりしてるんだどぉ~~」 「ゆぎゅううううう」 「おまえはかぞくとここでくわれるんだど~~~☆」 「ゆぐぁああぁああぁあ!!まりざあああぁああああああ!!!」 「かぞくがそろったら、いっしょにくってやるんだどぅ~~♪」 そう言うと、ゆっくりれみりゃは近くの窪みにはまっているゆっくりみょんを掴み取った。 「ち、ちんぽ~~~」 「こうやってくってやるんだど~~」 「きょせいっ!?」 そのままがぶりとやった。ゆっくりみょんは白眼を剥いて痙攣している。それを二口で食べてしまった。 「ああ、あああ、あああああ!!!」 「おもしろいかおなんだどぅ~!ゆかいだどぉ~~~♪うっう~、うあ♪うあぁ♪」 やがて、家族がそろったのかゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃに引き摺られてあの広間へと来ていた。 「ゆっくりはなしてね!」 「ゆっきゅりはなちちぇにぇ!!」 そこには案の定、ゆっくり霊夢の家族がいた。 羽ばたいているゆっくりれみりゃに咥えられていて、うかつに暴れようものなら地面へと落下してしまう。 二匹には抵抗のしようがなかった。 だがそれだけではなかった。 その場所には他にもゆっくり魔理沙の家族もいたのだ。 「ゆっくりおろしてほしいんだぜ!まりさはおいしくないんだぜ!!!」 「ゆっきゅりおろしゅんだじぇ!」 「ゆぅううぅぅっ!?どうじでなんだぜ!?どおじでまりさのすをおしえたんだぜ!れいむううぅぅぅぅっ!」 その叫びはゆっくり霊夢のお友達のゆっくり魔理沙のものだ。 「まりさがさいしょにうらぎったんでしょ!!れいむはしってるんだよ!れいむのすをおしえたって!!!」 ゆっくり魔理沙の言葉に、怒りをあらわにしてゆっくり霊夢は声を荒げた。 「まりさなんかとけちゃえばよかったんだよ!!どおじでれいむのすをしゃべったの!?」 「し、しらないんだぜ!まりさはなにもいってないんだぜ!!」 「じゃぁどおじでれいむのかぞくがこんなどごろにいるのおぉぉおっ!!!」 「れいむがまりざのずをしゃべるからだぜえええぇええぅ!!!」 ゆっくり霊夢の追求に、ゆっくり魔理沙の絶叫が重なる。 「ぞんなのまでぃざがれいびゅのじゅをじゃべるがらでじょおおおおおお!!じがえじだよっ!!」 「だからじららいっでいっでるんだぜえええええっ!!!ひどいんだぜぇぇ!!」 泣きながら言い争う二匹を、周りのゆっくりれみりゃたちはにやにやと笑いながら眺めていた。 ゆっくりれみりゃはこの二匹をはめたのだった。 お互いがお互いを裏切ったと思い、復讐に お互いの巣の位置を喋ったのは、ゆっくりれみりゃたちにとって愉快の種だった。 「じゃぁどおじでれいびゅのかじょくがごごにいりゅのぉおおっ!?」 「れみりゃが、れいみゅがまでぃじゃのじゅのばじょをいっだっでいっだんだぜ!!」 「まりしゃがれいびゅのしゅをおしえたっでぎいだよぉお!!」 「うーうー!」 そんな言い争う二匹をよそに、うーぱっくがゆっくりれみりゃになにかをうったえた。 「う~!そろそろでなーだどー!」 「うーうー!うあうあ~~~♪」 「うーぱっくはれいむとまりさをたべるといいどぉ~」 「れみりゃはちっちゃいまりさをいただくんだっどーー☆」 「じゃぁれみりゃはおっきなれいむをたべちゃうぞ~~~♪」 「やめちぇね!おいちくないちょ!!やめてっていっちぇるにょにぃ!!」 「こっちはおいちくないいだじぇ!まりしゃはどくなんだじぇ!!ちんじゃうんだじぇ!!」 「やべでええぇえぇっ!!そのこがなにじだっていうのぉおおぉぉっぉっ!!」 妹ゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃに握り締められて、中身を漏らした。ゆっくりれみりゃはそこから ゆっくりと中身を吸い上げていく。じゅるじゅると音を立てて萎んでいく妹ゆっくり霊夢。 中身と一緒に元気を吸い取られているようだった。 母ゆっくり霊夢は叩かれ殴られ、千切られて止むことのない悲鳴をあげ続けて食われた。少しでも声を 上げることをやめると苦痛を与えられるのだ、最期には口の下あたりが自然と裂けていた。 ゆっくり魔理沙の家族たちも体中を弄ばれて、痛めつけられながら食べられている。 「れいむのばがああぁぁぁつ!!おまえがうーぱっくなんがにのるがら゛っ!!」 「ぶぎゃっ!までぃざだってのっだでっじょっ!?!?」 うーぱっくに乗せられてもなお、罵声を浴びせあっている二匹。 その体はぐずぐずに蕩けていてもう満足に動くことは出来やしない。 もはや眼と口を動かしてその意識を失うまで緩慢な痛みに身を委ねるしかない状態になってしまった。 二匹にとって幸いなのは、傷みがほとんどないことだろう。 きっといつ自分が死んだのかもわからないほどゆっくりと食べられるに違いなかった。 ここは、広大なゆっくり平原。 森に行けば優しい風が木々を揺らし、耳ざわりの良い音楽を葉が奏でるゆっくり名所のひとつだ。 そんな心地よい音に混じって声が聞こえてくる。 どこか畏れを含んだような、何かを知りたがっているような、そんな声。 「うー♪」 「ゆゆ?……乗せて、くれりゅの?」 「うぅ~~♪」 「ふわっ!しゅごいしゅご~~~い!!おしょりゃをとんでゅぇりゅにょぉおおお~~♪」 終わり。 後半失速してしまった。 狩りの時、うーぱっくは体付きのゆっくりゃを乗せて自由に空を駆けます。 ガンダムのドダイやゲターみたいな感じなのですw 飛行速度:ゆっくりふらん≧ゆっくりれみりゃ>うーぱっく>ゆっくりれみりゃ(体つき) 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1588.html
~ゆっくりレティの生涯(前編)~ 前書き あまり登場しないゆっくりレティが登場するため、SS中の所々に生態の説明などを書きました。 より詳しい生態はおまけで述べるので、途中「?」と思うところがあるかもしれませんがご安心下さい。 -春- 春、それは冬の寒さが和らぎ様々な動植物が活動を始める季節である。 長い冬を乗り越えることができたゆっくり達も巣穴から続々と顔を見せ始める。 『ゆ~っ~く~り~!』 ふとましい声を上げて1匹の大きなゆっくりが地中から顔を出す。 このゆっくりはゆっくりレティ、捕食種の中でも上位に君臨するゆっくりである。 特徴は何と言ってもその巨体、このゆっくりレティの体長は1m程あるが、これでも成体でないというのだから驚き である。 『ま~ぶ~し~。』 初めて見る眩しすぎる太陽の光にゆっくりレティは目を瞑った。 巣穴から出たゆっくり達がまず初めにやる事は食糧の調達であり、ゆっくりレティも同様である。 鈍重ではあるが跳ねて食料を探しにいく。 『む~しゃ~む~しゃ~・・・しあわせ~♪』 ゆっくりレティは特徴である長い舌を使い、この春芽吹いたばかりの柔らかい新芽を器用ににちぎって口に運ぶ。 ゆっくりレティは捕食種ではあるが、ゆっくりを主食とするゆっくりれみりゃ、フランとは違い雑食性が強い種であ る。 ゆっくりの中身は基本甘味であり栄養価も高い。 春先で空腹なゆっくりレティが通常種を見つけたら当然捕食する。 「「ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ!!!」」 食糧を探していたゆっくり霊夢と魔理沙が不運にもゆっくりレティに遭遇してしまったようだ。 ゆっくりレティは声のする方へ体を向けると目線の先では2匹がガタガタと震えていた。 『ゆっくりくろまく~。』 独特の声を上げて2匹目掛けて舌を伸ばす。 「いやあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 ゆっくり霊夢が震えながら悲鳴を上げ恐怖のあまりその場から動けずにいる。 その時、突如ゆっくり霊夢の体に衝撃が走った。 ゆっくり霊夢の体はゆっくりレティ目掛けて一直線に転がっていく。 「まりさがゆっくりするためにれいむがみがわりになってね!バイバイ!」 ゆっくり霊夢は転がりながら相方の突然の裏切りに言葉を失った。 ゆっくりレティは転がるゆっくり霊夢を器用に舌に巻きつけるとそのまま口に運ぶ。 「ゆっぎりでぎない ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ !」 ゆっくり霊夢の悲痛の叫びが木霊した。 一方、自分が助かるためにあっさり相方を裏切ったゆっくり魔理沙は必死に逃げていた。 「のろまなれいむがいたおかげでたすかったよ!・・・ゆ?」 ずん!ずん!ZUN! 突如地響きが響き渡った。 ゆっくり魔理沙が何事かと周りを見渡すと後方からゆっくりレティがものすごい勢い(ゆっくり比)で迫っていた。 「ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 あまりの迫力にゆっくり魔理沙は発狂してしまった。 ゆっくりレティはその巨体に似合わず通常種と同様に跳ねて移動することが出来る。 また、鈍重ではあるが体が大きい分一回の跳躍で進む距離が長いため、通常種が必死に逃げたとしても簡単に追いつ く事が出来る。 『ゆっくりくろまく~。』 ゆっくり魔理沙に追いついたゆっくりレティはすかさず舌を伸ばす。 涙を流しながらガクガク震えるゆっくり魔理沙にはもはや逃げ延びる術は残されていなかった。 「ゆるじでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 舌を巻きつけられたゆっくり魔理沙は、相方と同様に悲痛の叫びを上げながらゆっくりレティの口の中へ消えていっ た。 ゆっくりレティはリスのように食べきれない分を頬に貯蔵して蓄える習性を持っているが、今は空腹であるため2匹 はあっという間に噛み潰され消化された。 もし、ゆっくりレティが空腹ではなかったら2匹は長期間頬の中でゆっくり出来ない時間を過ごす事になっただろう。 一瞬で噛み潰された2匹は、ある意味運が良かったのかも知れない。 『ゆ~ゆ~ゆ~♪』 新芽と2匹のゆっくりでお腹がいっぱいになり、ゆっくりレティはご機嫌である。 ゆっくりレティは狩りのほとんどを舌を使って行い、体はあまり動かさないので非常に燃費が良い。 そのため、通常種よりは食べるものの、大きな体の割にはあまり食べないのだ。 ゆっくりレティは何かを探すように辺りを飛び回り、通常種が住んでいそうな洞や穴を見つけると舌を伸ばして中に 入れていた。 「ゆゆ?」 「おかしゃんこれにゃに?」 「こっちにこないでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 「みょーん!」 「わからないよー!」 様々な巣穴に舌を入れるが、不思議な事に巣穴の中から響き渡る声を聞くと捕まえずにそのまま舌を口に戻している。 しかしある穴に舌を入れた時、ゆっくりレティの対応が変わった。 「むきゅー!こないでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 巣穴の中から独特の鳴き声が聞こえると、ゆっくりレティはすかさずその声を出した饅頭に舌を巻きつけ巣穴から引 きずり出す。 巣穴から引きずり出されたのはゆっくりパチュリー、体は弱いが通常種中一番の頭の良さを持つゆっくりである。 「むきゅぅ~。」 ゆっくりレティは舌に絡めたゆっくりパチュリーを自分の前に置き、舌を口に戻す。 そしてずりずりと体を地面につけたままゆっくりパチュリーに近づいていく。 「むっきゅー!むきゅきゅーん!」 あまりの巨体を目の当たりにしたゆっくりパチュリーは動揺して鳴き声を上げることしかできない。 ゆっくりパチュリーはもう押しつぶされてしまうと観念したのか目を瞑っていた。 しかし、ゆっくりパチュリーには予想外の事態が待っていた。 『ゆっくりしていってね~!』 ゆっくりレティはゆっくりパチュリーを潰してしまわないように注意しながら頬ずりをしていた。 頬ずり、それはゆっくり達の間では友好を示す行為である。 「ゆっくりしていってね・・・むきゅぅ・・・。」 張り詰めた糸がプチン!っと切れてしまい、ゆっくりパチュリーは気絶してしまった。 -晩春- ゆっくりレティの頭の上にはゆっくりパチュリーが乗り、その周りには4匹のゆっくりが集まっていた。 『ゆっくりしていってね~。』 「むきゅー、今日もみんなでご飯を集めるのよ。」 そう、ゆっくりレティは小規模な群れのリーダーになっていた。 春先、巣穴に舌を入れて探していたのは相方となるゆっくりパチュリーを探していたのだ。 「れてぃがいればこわいものはないね!」 「まりさたちはあんぜんだね!」 「わかるよー、りーだーがまもってくれるんだねー。」 「こころづよいみょん!」 ゆっくりレティの群れの一員はすべて通常種であり、ゆっくり霊夢、魔理沙、パチュリー、ちぇん、みょんが1匹ず つである。 「むきゅ!れてぃはあまりうごくのがすきじゃないからよぶんにしょくりょうがとれたられてぃにわたしてね!」 「「「「ゆっくりりかいしたよ!(よー!)(みょん!)」」」」 頭の上から降ろされたゆっくりパチュリーも4匹に混ざり食糧を探しにいく。 ゆっくりレティはお気に入りである大きな木の木陰で眠る体勢に入っていた。 ゆっくりパチュリーを相方に迎え、小規模ながら群れを作ったのはゆっくりレティ自身がゆっくりするためである。 ゆっくりレティが群れのリーダーであれば、よほどの事が起きない限り群れの一員は安全が保障される。 そして安全を保障してもらう代わりに通常種はリーダーに食糧を提供するのである。 『ゆぅ~・・・z z z z z 。』 気持ちよさそうに食糧が集まるのを寝て待つゆっくりレティであった。 梅雨、春から夏への季節の変わり目である。 この季節は雨の苦手なゆっくりにとって様々な脅威が襲い掛かる季節である。 とある巣では・・・。 「「「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !おみじゅこわいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」」」 「いそいでおかあさんのおくちのなかにはいってね!」 立地条件の事など考えもせずに偶然見つけた木の洞を巣にしていたゆっくり霊夢の一家に災難が降りかかっていた。 周囲よりも少し窪んだ場所に洞があったため、連日の雨で巣に水が流れ込んできていた。 「いやあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !からだがとけちゃうよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 「「「おかあしゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん!」」」 一方、ゆっくりレティの群れでは・・・。 雨が降る中、ゆっくりレティはいつもと変わらずお気に入りの大きな木の根元でスヤスヤと眠っていた。 ただ、いつもと違うのは口の中に群れの通常種が避難しているという事である。 「むきゅ~、れてぃはみずにつよいからあんしんよ!」 「れてぃはすごいね!」 「さすがまりさたちのりーだーだね!」 「わかるよー、ここならとけないんだねー!。」 「あんしんみょん!」 冬眠に使っていた巣穴をそのまま巣にしているゆっくりレティ達であったが、連日の雨で水没とまではいかないまで も水が入り込み、ゆっくりできない状況に陥ってしまっていた。 いくらゆっくりレティが皮が厚く、水に強いといっても長時間水に浸っていたらさすがに皮が溶け出してしまう。 そこでゆっくりレティは群れの通常種達を口に避難させ、比較的雨の当たる量が少ないお気に入りの場所へ避難した のだ。 『ゆ ぅ ぅ ぅ ・・・z z z z z 。』 ゆっくりレティは呑気に眠りながら雨が止むのを待つのであった。 翌日、久しぶりに雲の中から太陽が顔を覗かせた。 ゆっくり霊夢一家の巣穴には黒色に染まった水にデロデロニなった皮が浮かんでいた。 ゆっくりレティの群れでは全員が無事生き延び、久しぶりに晴れた森の中を通常種達は食糧を探し跳び回っていた。 -夏- 夏、それは一年で最も気温が上がり、ゆっくりの食糧となる虫や草花が活気に満ち溢れる季節である。 『ゆぅゆぅ・・・z z z z z 。』 雨や寒さに強いゆっくりレティではあるが、体が大きい分熱がこもりやすいため暑いのは苦手である。 体温が上がるのを嫌うゆっくりレティは、今日も木陰で涼みながら気持ちよさそうに眠っている。 通常種達は豊富な食糧を集めに森中を駆け巡っている。 「まりさ、このおはなさんとってもおいしいよ!」 「れいむ、こっちのむしさんもとってもおいしいよ!」 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は互いに見つけた食糧を交換し合い、笑顔で頬張っている。 「「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~♪」」 普段から仲の良い2匹は、お腹がいっぱいになったところで頬ずりをし合い信頼を確かめ合う。 しかし、今日の2匹の様子はいつもとは違った。 「れいむ~なんだがあたまがほわ~ってしてきたよ~。」 「まりさ~、れいむもなんだかあたまがほわほわしてきたよ~。」 2匹は無意識のまま頬ずりを続け、相手に振動を与え続けている。 そして振動は次第に強くなっていく。・・・・・そして。 「「ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ!んほお お お お お!」」 「「すっきりー!」」 初めに意識がはっきりしたのはゆっくり魔理沙であった。 「ゆ?とってもからだがすっきりしてるよ!ねぇれい・・・ゆ!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢のあたまを見てびっくりした。 緑色の蔓が生え、枝分かれした先端にはプチ霊夢とプチ魔理沙が実っていた。 「ゆゆ!まりさとれいむのあかちゃんだね!みんな、ゆっくりしていってね!」 ゆっくり魔理沙の「ゆっくりしていってね!」に反応し、次々とプチ達が地面へ落ちていく。 「「「「「ゆっくりちていってね!」」」」」 プチ霊夢5匹、プチ魔理沙5匹の総勢10匹の饅頭がこの世に誕生した。 すべてのプチゆっくりが切り離されるとゆっくり霊夢の意識が戻り、同時に頭の蔓が抜け落ちる。 「れいむ!このこたちはまりさとれいむのこどもだよ!」 「ゆゆ!?・・・れいむのこども?」 蔓に栄養をとられている最中、お母さんゆっくりは気絶してしまうことがある。 このゆっくり霊夢も同じで、突如目の前に赤ちゃんが現れ困惑していた。 「おか~しゃんおなかしゅいたよ。」 1匹のプチ霊夢の「おか~しゃん」と言う言葉を聞くと、ゆっくり霊夢の困惑も吹き飛んだ。 「みんな、このみどりいろのものをたべてね!」 お母さんゆっくりは本能か、記憶の奥底に眠っている初めてのご飯の事を思い出すのか、皆同じように抜け落ちた蔓 をプチゆっくりの初めてのご飯として与える。 「「「「「む~しゃむ~しゃ、ちあわせ~♪」」」」」 プチ達が蔓を食べ終わると、ゆっくり魔理沙が口を開いた。 「れいむ!あかちゃんをりーだーにしょうかいするよ!」 「ゆゆ!そうだね、かわいいあかちゃんをみたられてぃもきっとゆっくりできるね!」 2匹は赤ちゃん達を連れてリーダーのもとへ向かった。 『ゆっくりくろまく~』 「「「「「たちゅけて ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」」」」」 先ほどこの世に生を受けたばかりの10匹のプチゆっくり達にはゆっくりレティの舌が巻きつけられていた。 「なんでこんなことするのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 「れいむの、でいぶのこどもがえじでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 2匹は今にも食べられそうな我が子を見て泣き叫んでいた。 「むきゅぅ・・・、ふたりともわすれたの?れてぃのむれにはいるときのやくそくを。」 「「やくそく?・・・ゆゆゆ!」」 突如何かを思い出したのか2匹は凍りついた。 ゆっくりレティが群れを作るのはあくまで自分がゆっくりするためである。 プチゆっくりは成長するために見た目以上の食糧を食べる。 親は我が子のために必死で食糧を集めるため、当然ゆっくりレティに差し出される食糧は減ってしまう。 ゆっくりレティにとってプチゆっくりは「ゆっくりできなくなるもの」以外の何ものでもないのだ。 「むきゅぅ、おもいだしたみたいね。あかちゃんができたらここからでていくか、れてぃにあかちゃんをさしだすかの どちらかしかせんたくしはないのよ。・・・ふたりともどうするの?」 悲しそうな顔でゆっくりパチュリーはゆっくりレティの意思を伝える。 2匹にとってこの場所は最高のゆっくりプレイスであり、ずっとここに住みたいと思っている。 しかし、自分達の赤ちゃん達とゆっくりしたいとも思っている。 この二つを天秤にかけ2匹は答えを導き出した。 それは・・・。 「「れいむ(まりさ)たちはここでゆっくりするよ!」」 2匹は自らがゆっくりする事を選んだ、そしてそれは同時にプチ達への死の宣告でもあった。 「「「「「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !れいみゅ(まりしゃ)たちをすてにゃいでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」」」」」 泣き叫ぶプチ達はゆっくりレティの口の中へ消えていき、口が閉ざされると泣き声は聞こえなくなった。 「ごめんね、ごめんね、れいむ(まりさ)がすっきりしたせいで・・・。」 2匹は泣きながら食べられた赤ちゃん達にひたすら謝り続けるのであった。 -晩夏- 夏の暑さも和らぎ、ゆっくり達にとって過ごしやすくなる季節。 しかし、この季節は時としてゆっくり達に悲劇をもたらす事もある。 とあるゆっくり魔理沙の一家では・・・。 「ゆゆ!?あめがふってきたよ!いそいでおかあさんのぼうしのしたにかくれてね!」 「おかーしゃん、あめさんはいつやむの?」 「これぇじゃゆっくりできにゃいよ・・・。」 急な夕立で辺りに雨をしのげそうな場所がなかったため、お母さん魔理沙は仕方なく自分の帽子の下に子供達を避 難させる。 「ゆぅぅぅぅぅ・・・なかなかやまないね・・・。」 「あめしゃんゆっきゅりしすぎだよ!」 「ゆっきゅりしないではやくやんじぇね!」 なかなかやまない雨に子供達はストレスが溜まり、ゆっくりできなくなっていた。 そして、お母さん魔理沙の体に変化がおとずれる。 「ゆゆ!?うごけないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !まりさのからだがあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 「おかーしゃんたちゅけち ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 「とけちゃうよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 いくら川を渡るのに使えるほどの耐水性の帽子でも体を雨から完全に守る事はできない。 ゆっくり魔理沙の一家は強い雨に打たれどんどん溶けていく。 「も・とゆ・・り・・かっ・・・・・。」 一方ゆっくりレティの群れでは・・・。 この時期突然の雨が降りやすい事をゆっくりパチュリーは知っていた。 そのため、曇ってきたらすぐにゆっくりレティの下へ戻るように指示されており、通常主達は皆無事にゆっくりレテ ィの口の中へ避難していた。 「むきゅーみんなからだはだいじょうぶ?」 「ぱちゅりーとれてぃのおかげでたすかったよ!」 「まりさのからだはだいじょうぶだよ!」 「わかるよーからだがとけてないかしんぱいしてくれてるんだねー!」 「すこしからだがやわらかくなったけどだいじょうぶみょん!」 突然の夕立など気にもしないゆっくりレティは雨がやむのを寝て待っていた。 30分後、先ほどの雨が嘘であったかのように太陽が光り輝いていた。 ゆっくり魔理沙一家のいた場所には3つの帽子とデロデロになった皮が黒く濁った水溜りに浮いていた。 ゆっくりレティの群れでは通常種達が再び食糧を探すためにゆっくりレティの口から勢いよく飛び出していった。 夕立以外にもこの時期はゆっくり達にある脅威が襲い掛かる。 「ゆゆ!おひさまがゆっくりしてないよ!」 ゆっくり魔理沙はいつものように食糧を集めゆっくり過ごしていた。 この季節、日が沈む速度は日に日に早くなっているため、夜になる前に巣に戻ることが出来ないゆっくりが現れだす。 天気が良かったため遠出していたゆっくり魔理沙はもうすぐ日が沈むと言うのに群れからだいぶ離れた位置にいた。 「いそがないとゆっくりできなくなっちゃうよ!」 ゆっくり魔理沙は急いで群れの所まで戻ろうとするが、元いた場所から半分の距離も進まない場所で日が完全に沈ん でしまった。 「いやあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!くらいのはいやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 辺りが暗闇に包まれると、ゆっくり魔理沙は恐怖に耐えられずに発狂しだしてしまった。 しかしそれがいけなかった・・・。 バッサ、バッサ、バッサ 「がおー!たべちゃうぞー!」 ゆっくり魔理沙の悲鳴が捕食種ゆっくりれみりゃを呼び寄せてしまったのだ。 暗闇の中でも遠くが見通せるゆっくりれみりゃはすぐに見つけたゆっくり魔理沙目掛けて襲い掛かる。 そして、ゆっくりれみりゃがかなり接近したところでようやくゆっくり魔理沙は自らに迫る危機に気づいた。 「れ、れみりゃ!」 時既に遅し、ゆっくり魔理沙の運命は既に決まったように見えた。 しかし・・・! 『ゆっくりくろまく~』 「うあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 牙がゆっくり魔理沙の頬に突き刺さる直前、ゆっくりれみりゃにゆっくりレティの舌が巻きつけられた。 そして悲鳴を上げながらゆっくりれみりゃはゆっくりレティの口の中へ消えていった。 そしてゆっくりレティの口の中からは群れの通常種たちが続々と飛び出してゆっくり魔理沙を取り囲む。 「むきゅー!まりさだいじょうぶ?」 「まりさ!しっかりして!」 「わかるよーこわかったんだねー。」 「もうだいじょうぶみょん!」 あまりの出来事に放心状態のゆっくり魔理沙であったが、次第に状況を理解し・・・。 「うわあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん!ごわがっだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 張り詰めていた精神の糸が緩んだゆっくり魔理沙は安心感から泣き出してしまった。 「ありがとう、まりさはもうだいじょうぶだよ。」 ゆっくり魔理沙は落ち着きを取り戻していた。 「むきゅ、れてぃにもおれいをいいなさいよ、わたしたちをくちにいれてまりさをさがしにきてくれたんだから。」 「ゆ!?そうだったのれてぃありがとう!」 『ゆっくり~♪』 ゆっくりレティは滅多に食べられない肉まんを食べる事ができ、とてもご機嫌であった。 -秋- 秋、それは様々な花が咲き、果実が生じ、多年生の生物は冬を越す準備を始める実りの季節である。 その寿命が極端に短い(様々な要因で潰されるため)ゆっくり達も越冬のために巣に食糧の貯蔵を始めだす。 『ゆっ!ゆっ!ゆっ~!』 ゆっくりレティは食糧の貯蔵場所の拡張のため、舌で巣穴の拡張工事を行っていた。 通常種による越冬のための巣穴の作製は数週間かかるが、ゆっくりレティはもともと自分の生まれた巣穴が越冬用で あり、さらにその巨体のおかげで拡張工事は数日のうちに終わった。 『ゆっくり~!』 「むっきゅー!すごいわれてぃ!」 「うわぁ、すごくひろいね!」 「まりさたちのりーだーはやっぱりすごいね!」 「わかるよーゆっくりできるいえなんだねー!」 「すごいみょん!すごいみょん!」 群れの通常種達はゆっくりレティを褒め称えた。 そして越冬の食糧確保のため、本格的に活動を始める。 「ねぇまりさ、このきのこはたべられるの?」 「だめだよれいむ!そのきのこをたべるとゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「みょんたちはおちばをあつめるみょん!」 「わかるよーべっどにするんだねー!」 「むきゅー、ちょうきかんほぞんできるしょくりょうはこっち、いたみやすいしょくりょうはこっちよ。」 『ゆ~!』 この季節になると普段寝てばかりいるゆっくりレティも越冬のための食糧の貯蔵作業に加わる。 長い舌を使って通常種達では届かない位置に実っている木の実を次々と頬に貯め込んでいく。 ゆっくりレティの群れは順調に越冬の準備を進めていった。 -晩秋- 少しずつ寒さが増し、豊富だった食糧も少なくなり、木枯らしが吹き荒れる季節。 この季節になると外で活動するゆっくりの数が減少を始める。 そして、越冬に向けての準備もいよいよ大詰めとなる。 とあるゆっくり霊夢の一家では・・・。 「みんな、あしたすのいりぐちをふさぐからきょうはおそとでおもいっきりあそぼうね!」 「「「おしょとであしょぶよ!」」」 このゆっくり霊夢の一家には片親となるゆっくりがいない。 仲の良かったゆっくり魔理沙と越冬の準備をしている最中(さなか)、豊富に食糧を蓄える事ができた安心感から成 体でもないのに「すっきり」してしまったのだ。 ゆっくり霊夢が我に返った時には時既に遅し、目の前でゆっくり魔理沙が黒く朽ち果て、3つの実を実らせていた。 自らの犯した過ちを後悔したが、ゆっくり魔理沙の忘れ形見であるプチ魔理沙達に心の傷は癒されていった。 食糧も「すっきり」する前に十分に集めていたため、無事に越冬の準備を終わらす事ができた。 「みんなあんまりとおくにいっちゃだめだよ!」 「「「わかったよおかーしゃん。」」」 プチ魔理沙達は無邪気にはしゃいで追いかけっこをして遊んでいる。 その姿を見てお母さん霊夢は越冬中の巣の中での幸せな生活を思い描いていた。 しかし知識のなかったお母さん霊夢に悲劇が襲い掛かる。 びゅー!びゅーー! 突如冷たくとても強い風が吹き荒れた。・・・木枯らしである。 成体ではないがそれなりに体が大きいお母さん霊夢は、その場で体勢を崩してしまった。 「ゆ!?れいむのあかちゃんたちは!」 お母さん霊夢でさえ、体勢を崩すほどの木枯らしである。 当然子供達は・・・。 「うわぁ~♪おそらをとんでるよ~♪」 「おか~しゃ~ん♪」 「まりしゃたちおそらをとんでるよ~♪」 プチ達は風で飛ばされ、自分達がその後どうなるかも知らずに無邪気にはしゃいでいた。 「あ、あ゛、あ゛がぢ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん!!!」 お母さん霊夢は顔を青ざめて絶叫した。 「ど~したのおか~びぎゅ!」 1匹は木に勢いよく激突して潰れた。 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ びゅ!」 1匹は先に潰れたプチ魔理沙を見て絶叫しながら木の枝に突き刺さりあの世へ旅立った。 「おかあしゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん、たしゅげ!」 1匹はそのまま地面へ激突し、物言わぬ潰れた饅頭となった。 「・・・・・。」 辺りには木枯らしの吹き荒れる音だけが響き渡っていた。 一度にすべての子供を失ってしまったお母さん霊夢はその現実を認めたくないのか呆然としていた。 しかし、一度潰れた饅頭が帰ってくる事はなく、次第に現実を理解し始め・・・。 「・・・あ、あ、あ゛、あ゛がぢぁんがあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !ゆぴべぴゅびゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 大好きだったゆっくり魔理沙の死、そしてそのすべての子供の死。 餡子脳で受け止められるキャパシティを超えてしまったお母さん霊夢の精神はボロボロになってしまった。 お母さん霊夢の目からは光が消え、辺りが暗くなっても笑い続けていた。 「ゆふふふふふふふふふふ!ゆはははははははははは・・・・・!」 「うー!ゆっくりしね!」 次の日の朝、お母さん霊夢のいた場所には赤いリボンがぽつんと落ちていた。 一方ゆっくりレティの群れでは・・・。 『あしたからゆっくりするよ~。』 「むきゅー、しょくりょうあつめはきょうがさいごよ。ゆうがたにはすのいりぐちをふすぐわよ!」 「「「「ゆっくりりかいしたよ!(よー!)(みょん!)」」」」 この時期食糧はとなる木の実や草花はほとんど無くなってしまっている為、通常種達は自らが冬の間ベッドにする落 ち葉を集め巣穴に持ち帰った。 食糧が取れないとわかっているゆっくりレティは巣穴の奥でスヤスヤと眠っている。 未の刻から申の刻へ移り変わる頃、帽子いっぱいに落ち葉を入れたゆっくり魔理沙が巣穴に戻り、群れの一員がすべ てそろった。 「むきゅ、いまからおくにいるれてぃをよんですのいりぐちをふさいでもらうわよ!」 「「「「ゆっくりり・・・。」」」 「「「あら、なかなかとかいてきなすあなね。」」」 突如3匹のゆっくりアリスが巣穴に入り込んできた。 3匹は落ち葉を集めるゆっくり魔理沙を偶然発見し、こっそりと跡をつけていたのだ。 「ゆ!ここはまりさたちのおうちだよ!ありすはでていってね!」 ゆっくり魔理沙は体を膨らませて3匹の侵入者を威嚇する。 ゆっくり霊夢、ちぇん、みょんも警戒態勢を取る。 「あら、まりさったらはずかしがっちゃってかわいいんだから。」 「なかなかひろいはうすね、とかいはのありすたちがふゆのあいだつかってあげるわ。」 「どうしてもっていうならあなたたちをるーむめいとにしてあげてもいいわよ。」 この巣穴の主が誰なのかも知らず傍若無人に振舞う3匹であった。 しかし、当然その行為を後悔することになる。 「「「ふくれたまりさもかわいいわ!すっき・・・あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」 奥から現れたゆっくりレティの姿を見て3匹は悲鳴を上げ硬直した。 「れてぃ、あのありすがしんにゅうしゃよ!」 3匹が進入してすぐゆっくりパチュリーはゆっくりレティに助けを求めに行っていたのだ。 「「「あ、ありすがわるかったわ!す、すぐにここからでていき・・・。」」」 『ゆっくりくろまく~!』 逃げようとする3匹にゆっくりレティは容赦なく舌を巻きつける。 「おねがいじまず!だずげでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 「いやあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !ごべんなざい ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ !」 「ありずはいながものなんでず!ゆるじでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 必死に助けを請う3匹であったが、聞き入れられるはずもなくゆっくりレティの口の中へ消えていった。 空腹でないゆっくりレティに捕まったこの3匹は、長期間頬に蓄えられ地獄の苦しみを味わうことになるのであった。 「「「「「れてぃ、たすけてくれてありがとう!(とー!、とうみょん!)」」」」」 『ゆっくり~♪』 お礼を言われた当のゆっくりレティは、越冬を前に栄養豊富な3匹のカスタード饅頭を得ることができ、ご機嫌であ った。 その後、ゆっくりレティによって通常種の巣穴と比べ類を見ないほど頑丈に入り口が塞がれ、本格的な越冬が始まっ た。 後編に続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/815.html
ゆっくりいじめ系6 リモコンゆゆゆ 制 虐 性 ゆっくりいじめ系8 創造主誕生 そ 神 ゆっくりいじめ系11 ゆっくりの王虐共 ゆっくりいじめ系26 ゆっくりさせないと…… 虐環 ゆっくりいじめ系31 騒音公害 制性 ゆっくりいじめ系35 ゆっくりの恩返し 制家 アリス×ゆっくり系4 UNIQQLI? 制 美鈴×ゆっくり系1 Y-1グランプリ? 虐そ共 ゆっくりれみりゃ系いじめ2 いないいないうー?虐 ゆっくり×ゆっくりれみりゃ系1 こわいこわい? 虐 制 捕 その他 ゆっくり太郎? そ その他 ゆっくり対幻想郷? そ その他 ゆっくりテクニック? そ性 ゆっくりれみりゃ系いじめ5 紅魔館の大掃除?虐 ゆっくりいじめ系67 頭無双制共家 ゆっくりいじめ系71 栗祭り虐 永遠亭×ゆっくり系3 頭が哭く日々?虐 白玉楼×ゆっくり系2 月見ゆっくり?制性料 ゆっくりいじめ系79 高速ゆっくりそ性 ゆっくりいじめ系80 甘い肉まん制 その他 恐怖のゆっくり人間? そ その他 piaマウンテンにようこそ!? そ料 美鈴×ゆっくり系5 磔刑?虐 紅魔館×ゆっくり系2 さらば愛しきメイド長?制 ゆっくりいじめ系111 予定調和虐そ家無 ゆっくりいじめ系127 ゆっくりリサイタル その他 七夕伝説?そ ゆっくりいじめ系150 ゆっくりのエラ虐そ性無 ゆっくりれみりゃ系いじめ15 パラサイト?虐性捕 その他 ゆっくりプロデュース?そ その他 理想郷へ?虐そ ゆっくりいじめ系191 撲滅運動虐そ無 永琳×ゆっくり系8 蓬莱饅頭?虐制薬 その他 真(ゆゆ~)!!ゆっくりゆゆこ~世界最後の日~?虐そ その他 走れれいむ?そ その他 フェアリー・テイル?そ ゆっくりいじめ系292 ゆっくりの守護者虐制無 ゆっくりいじめ系689 三回擦ってすぐ絶頂~驚異の三擦り半~虐性 ゆっくりいじめ系716 ストリートミュージシャン その他 ちょうしにのったけっかがこれだよ!!? ゆっくりいじめ系1161 まだ見ぬゆっくりを探して ゆっくりいじめ系1469 ふる・ゆっくり・じゃけっと ゆっくりいじめ系2125 大往生