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ここは雛見沢に住んでいるキャラクターの内容です レギュラーメンバー 前原圭一 竜宮レナ 園崎魅音 古手梨花 北条沙都子 羽入 園崎詩音
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前篇 俺は…男になった……いや『して貰った』。そう。昨夜、羽入と…寝た。気持ち良かったな…。あんな『イイ事』があったら男はハマってしまうよ…金を出してでもしたくなるよな?正直、大人が『そういう店』に通う意味が分からなかった。 でも…今なら分かる。こんな気持ち良い事を覚えたら、病付きになっちまうって。朝日が差し込む部屋の中で寝起きの俺は感慨深く、昨夜の出来事を思い出していた。 羽入の憂いを帯びて切なそうな表情や、汗ばんでシットリした身体…熱く受け入れてくれた『羽入』を…。そんな『羽入の味』を思い出すと、朝勃ちしている息子に更に血が通って硬く張り詰めていく。 もし羽入が横に居たなら、のしかかって、また…してしまうだろう。でも羽入は居ない。一緒に寝て、起きたらもう居なかった。布団に残った甘いお菓子の様な羽入の匂いが 『さっきまでここに居たんだ』 って分かって俺は嬉しくなる。寝る前に羽入が言っていた『手解き』が夢で無く、今夜また出来るって…。そう、互いに触れ合って口付けし、あの蕩けてしまう行為を羽入に手取り足取り教えて貰えるんだと思うと……興奮してくるんだ。 その日は何も手に付かなかった…。授業中もボンヤリと昨日の夜の事を思い出しズボンにテントを張っていただけ。放課後に部活をしていても上の空で、ずっと羽入を見ていた。 普段と変わらない可愛いらしさで皆と過ごす羽入…。でも俺と目が合うと、恥ずかしそうに目を細めて微笑むんだ。そうこうする内に長い一日が終わり夜の帳が降りて…ワクワクしながら羽入を待つ。 「…いち……圭一…。起きてくださいなのです」 「ん…あ?あ…羽入…」 待つ内に寝てしまった様で、羽入に揺り起こされる。 「あうあう☆こんばんはなのです」 寝間着なのだろう。昨日と同じ、白い長襦袢姿の羽入が俺の横に座っていた。…てか、どうやって俺の部屋に入ったんだろうな?昨日といい今日も。まあ良いや…細かい事は気にしない。待望んでいた時間がやってきた…そっちの方が重要だ。 「…こんばんは。…あ……そのさ、こっちに来るか?」 こんな時に気の利いた事を言えなかった自分が情けない。何か『姦る気満々』みたいだよな…いや、そうなんだけど………じゃなくて!違う!もっとこう、羽入が喜びそうな事を言いたかったんだ…はあ。鬱だ…。 「あう~。じゃあ御邪魔しますのです」 そんな感じで混乱する俺に寄り添う様に羽入が移動し、腰を降ろす。あの甘い匂い…俺を酔わせる『女の匂い』を漂わせながら…。 「は、羽入。もっとこっちに来いよ」 俺は羽入の肩を抱いて、自分の方に引き寄せる。すると羽入が嬉しそうな顔で身体を…密着させるんだ。柔らかい胸を腕に押し付けてピッタリとさ…。 「圭一…。ん~…」 昨日とは違い、今日は羽入から積極的に攻めては来ない。でも誘っては来る。ニコニコ笑って、目を閉じて俺の方に顔をあげて口付けしろとねだるんだ…堪らねぇぜ、やっぱり可愛いよな。 「よ、よし!キ、キ、キスするぞ…良いか?」 「ふふ…♪良いですよ……ん…う」 こういう時って聞かない方が良いんだと思う、でも一応了承は得ておきたかった。手探り状態なのだ。少なからず彼女にリードして貰わないといけないだろう。そう、教えを乞う立場なのだから。 そして俺は、恐る恐る羽入と唇を重ねる。壊れ物を扱う様に丁寧に…。 「ん…ふ…。ふ…あむ…♪ん…んっ。んう…」 羽入の柔らかい唇に甘噛みして舐める。すると…彼女も同じ様に返してくれる。 嬉しそうな声を洩らしながら、俺の舌を優しく唇で甘噛みして舌先でチロチロってさ…。「んっ!…ふうぅぅ…ん!んうぅ…」 半ば強引に口内に舌を侵入させて、歯茎に舌を這わせる。すると羽入がビクッと身体を震わせて…すぐに身体の力が抜けていくのが分かる。お菓子の様な甘い味が俺を興奮させ、羽入の口内に奥へ奥へと侵入させる。 「あふぅ…あうぅ…。はっ…ん…ん…。けぇいち…もっと……もっとぉ…んふぅ」 羽入の『味』が欲しくて堪らなかったんだ。必死になって舐めて、噛んで…調子に乗って、唾液をさ…送り込んでみたんだ。 「は…はふ…。…んくっ!ん…」 音で分かるよな?羽入が俺の唾液を美味しそうに飲み込んだのが。それが嬉しくて、更に唾液を口内に送った。そして羽入も同じ様に俺に……甘い御褒美をくれる。 「はあはあ…。圭一…続きは灯を消して…布団の中でしたいのです…」 『女の子はこういう時に顔を見られたら恥ずかしいのですよ』 寝間着代わりのTシャツをギュッと握り締められ、そう言われたら…俺は言う通りにするしか無い。本当は羽入をずっと見ながら…の方が良いけど。 部屋の灯を消して、羽入と布団の中に潜り込む。横向きに寝転がってピッタリと寄り添って…始まるんだ。羽入の『手解き』が…。 「あうあう…圭一…まずは、ここなのですよ。優しく…優しく揉みほぐして欲しいのです」 羽入が俺の手を取って、胸に押し当てる。掌で柔らかい胸を優しく揉む、首筋に顔を埋めた羽入から、甘さの混じった声が聞こえてくるまで…。 「あ…。あ…ん…もう少し強めに…はっ…そうです。上手ですよ…んっ!」 空いている手で長襦袢の帯を緩め、中へと侵入させ、胸に指を埋めて夢中になって揉みしだく。手の平の中で形を変え、押し返す柔らかさ…きめ細かい肌のスベスベした感触に息子に血が通い始める。 徐々に硬くなっていく乳首を手の平で転がし、片手を尻の方に動かす…。揉んでみても良いよな? 「あ、うあうぅ……。んふぅっ…。っは…はあはあ…。あっ…」 身体をヒクヒクと震わせて、甘えた声で首筋に吐息を吹き掛ける羽入…。太股から尻の方に手を滑らせていくと、ピクッて身体を微かに跳ねさせ、期待した様な声を出すんだ。 「んう…。ふあぁ…あ…っ…。あはぁ…」 「柔らけぇ…」 そう呟くと、羽入が俺の腰に足を絡ませて口を開く。 「んう…圭一のお手々…気持ち良いの…ですよ。あふ…。は…」 甘えた声で息を乱しながら、羽入の手が俺の下半身を撫でる。 そして小さな手が息子に触れて…優しく揉まれるんだ…。下着越しとは言っても気持ち良い…親指の腹で亀頭を擦られ、思わず腰が引けてしまう。 「は…。ふふっ…。圭一は敏感なのです…。大丈夫…僕が慣らしてあげるのですよ…ん…あ」 羽入がそう言って、下着の脇から手を忍ばせ、息子を逆手で持つ。そしてゆっくりゆっくり扱くんだ。痒い所に手が届かない様な、もどかしい位の力と速度で…。 でも、それが逆に気持ち良い…だから俺は羽入の乳首を摘んで指で転がす、羽入をもっと悦ばせたくて…。そして、もっと『良く』して貰いたいから…。 「んっう!は…。あ、あふぅ…あっ!」 乳首を引っ張りながら転がすと羽入が啼き始める。 『気持ち良くて堪らないのです…』 そう伝える様に首筋に吸い付かれ、俺は身体をゾクゾクと震わせる。羽入の鼻息が当たって小さな唇、舌が…這い、軽く吸われてくすぐったいけど気持ち良いんだ。 いつしか羽入の両手が下着の中に入っていた…。根元から絞る様に扱かれ、手の平の中で亀頭が圧迫されながら揉まれて、頭が蕩けてしまう。敏感な場所を刺激され、俺は…羽入に腰を押し付けて発情する。 「は…っん!あ…あ…らめれすぅ…ふうぅぅん!」 羽入の小さな身体に覆い被さって、プルプルと震える乳首を口に含んで舌先で舐める。小刻みに力強く…そして唇で挟んで転がすと羽入の啼く声が大きくなっていく。それに加えて尻を触るか触らないか位で撫でると悦ぶんだよ。 思い付く限りの愛撫を試して、羽入の反応を見て覚える。『ああ、これは気持ち良いんだ』とか『くすぐったいだけみたいだ』とか…。『女の部分』以外の羽入の気持ち良い所を手探りで探しているのだ。 「は…はっ…。けぇいちぃ…あっ!けぇいち!んっ!ふあぁ…っ」 「う…う!…くふっ…そんなにしたら…で、出ちまう…」 熱くなっていく羽入の体温に包まれて、強く扱かれ限界が近付く。でも…羽入が急に愛撫を止めて、俺にしがみついてくる。 「あ…は…我慢我慢ですよ…んっ!刺激に慣れないと…女の子を満足させる事が出来な、い…あっ!あうぅ!」 『待て』をされた俺は羽入の胸を吸い、舐め回してねだる。そう、羽入のピンピンに硬くなった乳首を赤ん坊みたいに吸って…甘噛みしてさ。 「あうぅ!そ、そんな赤ちゃんみたいに吸っちゃ…あんっ!ひうぅ!」 そう言いながら俺の頭を抱き締めて、秘部を太股に擦り付けてくるんだ…。これって、俺が羽入を『堪らなく』させているって事だよな?そう考えると嬉しくて、俺は羽入の胸をねぶり回し続ける。 「んっ!んあ!あ…んっ!あ、あうぅ~っ!」 髪を振り乱して喘ぐ羽入は俺を更に興奮させるんだ…。汗でしっとりした身体で抱き付いて、俺の稚拙な愛撫に息を弾ませて、発情期の獣みたいに腰を擦り付ける姿を見たら…『もっとに乱して』みたくなる。 「は…あ…はっ…。け、けぇいち…僕…僕…切ないのです……」 羽入がトロンと蕩けたスケベな顔をして、俺の手を下腹部に誘導して要求する。つまり口に直接出しては言わないけど、ここら辺が頃合なのだろう。次に進めるタイミングが良く分からない俺をフォローしてくれているのだと思う。 「はふ…。あ…。あ…んんっ…。ここを…触って欲しいのです…」 俺は羽入の『土手』から、柔らかい割れ目に指を滑らせる。 「あ…あう…。ん…あ……あっ…」 優しく縦に擦ると羽入の表情が弛む。フニャって…ほら、犬の耳の裏を揉んでやると凄く気持ち良さそうな表情になるだろ?簡単に言うなら、そんな表情だ。 「はっ!…ああ…。んんっ!んう…っ」 擦りながら、たまに軽く押すとビクッて身体が跳ねる。そして表情が更に弛んで 『蕩けちゃうのです…』 と顔に出てしまう。秘部を愛液でずぶ濡れにし、ヒクヒクと痙攣させて…。 「け、けぇいちぃ…あうっあうぅっ…意地悪したら嫌なのれす」 指を滑らせる速度を、速めたり遅くしたりして変化を付けてみると、終いには自分から腰を動かして指に擦り付ける様になる。ああ…そっか。『コレ』良いんだ。じゃあ『コッチ』は? 「あうぅ~…い、良いのれふぅ…。はっ…もう少し強くし、て…ほしっ…あんっ!」 空いている片手でクリトリスを転がす。人差し指の腹でクリクリってしてやるんだ。すると羽入が気持ち良さそうな甘い声で啼き、息も絶え絶えになって目を潤ませる。 「はあはあ…あっう!んっ!うぅ…はあぁ…」 羽入が微かに目と唇を開けて、頬を上気させ布団を握り締める姿は堪らなかった。 身体の力なんて抜け切っていて、足を大きく広げて…いやらしい格好だぜ。それにしても女の子を悦ばせるのって楽しいんだな。だから、もっともっと悦ばせ方を知りたくて羽入に聞いてみるんだ。 「羽入。次は何しようか?羽入がされたい事…あったら俺、頑張ってみるよ」 「あ、あふ…けぇいちのお口で舐めて貰いたいの…れすぅ。んうぅ、僕の…僕の大事な所をペロペロチュウチュウして、あうっ…気持ち良くして欲しいのれすよ…はあはあっ」 『女の子は舐めて貰うと凄く気持ち良いのですよ』 そう付け加えて教えてくれた後、自分の手で秘部を拡げて、真っ赤に充血しトロトロに濡れそぼった秘部を俺に見せつける。甘酸っぱい『牝の匂い』を漂わせて…。 「じゃ、じゃあ…舐める…ぞ?良いんだな?本当にするぞ?」 はは…聞くだけ無駄だよな?正直、俺は羽入の発する『牝の匂い』に吸い寄せられてるんだ。あと好奇心だよ。『どんな味がするんだろう?』とか『直接嗅いでみたい』とか…。 だから、羽入が 『やっぱり駄目なのです』 とか言っても…多分、してしまうだろう。期待を裏切られるのが嫌だから、ちっぽけな理性が予防線を張ろうとしている。 まだ今なら駄目だと言われても諦めが付くし、違う事を試せる。でも…だ、無理矢理してしまったら羽入は怒るだろう。そうしたら、もう羽入と触れ合う機会が無くなるかも知れない。羽入との仲は大切にしたいから、だから予防線のつもりで聞いたのだ。 「くすくす…良いのですよ。圭一に舐めて貰いたいのです。あうあう…………あう?もしかして緊張しているのですか?」 了解を貰って、俺は顔を羽入の下腹部に近付ける。でも、なかなか…その…舐める事が出来ない。いやしたいんだけど緊張して、鼻先までしか近付ける事が出来ないんだ。 「ま、まあ…うん。舐めるのとか初めてだからさ…ははっ。何だか恥ずかしいと言うか、勿体ないと言うか…凄い緊張するよ」 嘘は付きたく無いし、手解きして貰う側だから俺は羽入に正直な答を返す。すると羽入が身体を起こして、俺に抱き付いて口を開く。 「圭一は可愛いのです。あうあう、じゃあ…僕と一緒にしてみますか?」 「え…一緒に?」 一瞬、何を言っているのか分からなかった。でも羽入が続けて言うんだ。 「僕と圭一の気持ち良い所を、一緒に舐め合ったら恥かしくないのですよ?僕も圭一と気持ち良くなりたいのです」 子供をあやす母親みたいに優しい声で助け船を出してくれる。俺は嬉しくなる。 羽入の優しさ、そして『待て』が終わった事に。また、あの気持ち良い事をして貰えるんだと分かってさ。 「まずは、ふふっ…脱がせて欲しいのです」 そう言いながら、俺のTシャツと下着を脱がせる。慌てて、俺も羽入の長襦袢の帯に手を掛ける。手が震えてなかなか帯を解く事が出来ないでいると手伝ってくれるんだ…。 そして何とか帯を解き、俺は長襦袢を肩から滑り落とす。本当の意味で初めて見た羽入の一糸纏わぬ姿は…雪みたいに白くて綺麗だった。昨日も綺麗だったけど、今日は更に…。 「横向きに寝て欲しいのです」 そう言われ、羽入に寝かされる。横向きになった俺の目の前には羽入が足を横に崩して座っていてさ…少し間を置いて、顔を俺の足の方に向け、同じ様に横向きに寝転がるんだ。 「んっ!…ふ…うぅ…あ…ああ…」 羽入の指が息子に触れて…その後、ゆっくり暖かい口内に飲まれていく。昨日と違って、焦らす様に徐々に…でも昨日と同じ様に甘く吸い付き、舌を亀頭に絡ませながら…。 「くちゅっ…くちゅっ…ちゅっ…。ちゅぷっ…ぷ」 羽入が足を開いて誘ってくる。俺は彼女の甘酸っぱい匂いに引寄せられ、顔を近付ける。そして目の前で切なそうにヒクつく『羽入』に恐る恐る舌を這わせてみる。 「ん…ふっ…。ふぁ…ちゅぷ…ちゅぷっ…じゅるっ」 不思議な味だった…。それは味が無いんだ…でも羽入の体臭と同じ甘い匂いはするんだ…そして俺を酔わせる『牝の匂い』も…。エロ本なんかで『美味しい』とか言っていたけど違うじゃねぇかよ。 「は…ん…くちゅっ…んうぅっ…。あ、あむぅ…は…ぷっ…ちゅぽっちゅぽっ」 けど…嫌いじゃない…むしろ好きかも知れない…この羽入の味は。唾液まみれのヌラヌラした舌に亀頭を舐め回されながら、俺は秘部を舐める。彼女がしてくれている様に、舌先で割れ目に沿って上下に這わせる。 「んっ!んふぅっ…ふ…あぁ。…ちゅっぱ!ちゅばっちゅばっ!ちゅっ!」 小刻みに吸われ、舌で弾かれる。ピンッ!ピンッ!てさ…。皮を全部剥かれて指を添えて根元で固定し『口だけ』で愛撫される。プルプルな唇が引っ掛かって、凄く気持ち良くて…それこそ性交と同じ位に。だから俺も返してやるんだ。 「はっ…はっ!っあ!?あうあうあううぅぅ~っ!!」 指で秘部を拡げて、クリトリスを吸ってみたんだ…思い切りさ。舌に力を入れて弾き、又、ねっとりと唾液を絡ませて舐めあげると…とうとう『乱れた』んだ。 「んあぁっっ!あふぅっ!!あ、あうあうっっ!!けぇいちぃっ!す、凄く気持ち良いのれすぅっ!!あっ!!もっと!もっと吸って…吸ってぇっ☆」 サカリのついた羽入におねだりされ、俺は背中にゾクゾクとした震えを感じた。初めて羽入を本気で感じさせているんだって分かってさ…その証拠に腰を俺の顔に押し付けて甘えてくるんだ。 「あふぅ♪ちゅぶっ!ぷぶっ!んうぅっ!はぷ…ちゅばっ!ちゅばっ!」 俺のしたい様にさせていたら、切なくて疼いて堪らなかった…手解きをすると言った手前、我慢していたのだろう。 だから仕方無く自分で秘部を擦り付けて耐えていた…でも今は気持ち良くて…嬉しそうに腰を振ってはしたない音を発てながら、息子を愛しそうにしゃぶり回している。 頬や上顎に亀頭を押し付けザラザラな舌の表面で擦られ、唇を引っ掛けながら敏感な部分をヌルンヌルンと出し入れ…そんな激しく愛撫されたら腰が砕けてしまう。 「は、羽入っ!あくっ…す、すげぇっ!!はっ!はっ!」 互いに顔を下腹部に埋めて激しく愛撫し合い、腰をガクガク震わせて…強烈な快感に身体が支配されて更に求め合う。片手で尻を揉みながら羽入の膣に指を挿入して小刻みに掻き、クリトリスを転がし続ける。 そして羽入は息子の皮が戻らない様に手で根元を持って亀頭の裏を舐め回す、スッポンみたいに吸い付いてベロベロと大胆に口内で溶かされる。 「んぶっ!はっ!じゅっぷ!じゅっぷ!じゅっぷ!ふうぅんんっ!!」 俺は羽入に伸し掛かられ、主導権を握られてしまう。両手の親指と人差し指で息子の根元を持って、残りの六指がタマを揉むんだ。ウネウネと指で揉み揉み…って、 射精を促す様にさ。 「う…!ふっ…!くっうぅ!はっ!」 さっきから、腹に力を入れて耐えてはいる。と言っても、こんな事されたら限界が近付いてしまう。こうなったら最後、あとは楽になりたくて力を抜くだけ…牡の本能だ。 「ふ…!…はあ…はあ……っ!?」 「は…駄目です。んうぅ…もっと我慢しないと…くちゅ…いつまで経っても慣れないのですよ…ぴちゃ…」 でも、そんな俺の考えは羽入には御見通しの様で…息子の根元を締められて、控え目に舐められるんだ。込み上げてきている欲求を無理矢理抑えさせられた俺は仕方無く、彼女の秘部への愛撫を再開する。 「あんっ!あうぅっっ!じ、上手になってきたのですぅうっ…ううっ!あっ!あっ…らめれすぅ…そ、それ…蕩けちゃうぅっ!」 熱を帯びてジンジン疼く息子の為に、俺は愛液で口の周りをベタベタにさせながら、必死に羽入に奉仕する。絶え間なく舌の表面で割れ目に沿って擦る。縦に横に…時に突いて。。 そしてとうとう見つけた、羽入の『弱い所』を。そこをねちねち…ずっと攻めると…グイグイと腰を押し付けて、サカってくる。…膣に舌を挿入してみたら凄く良いらしい。 「んうぅっ♪あはぁっ!ああっっ!はっ!はっ!はっ!」 舌を目一杯挿入し、力を入れて小刻みに何回も突く。舌先で感じる『羽入』の狭さ、熱さ…そして味。鼻面に当たる柔らかい秘部の感触と愛液、それらに俺は酔う。 「あうあうっっ!!やっ…あっっ!!あ、あふっっ!!」 羽入を『良くさせる』コツが分かり始めた俺は、続いてクリトリスを指で摘む。多分こうしたらもっともっと啼かせられるから…。 間近で『羽入の女の子』を見て分かったのは、クリトリスって息子と『同じ様なモノ』だって事だった。少しだけ皮が被っていて…でも自己主張しているんだよ…。息子でいう所の亀頭と同じ。そりゃあ気持ち良いよな? 「あうぅっ…!ら、ららめなのれすようぅ…!もっと優しくぅ…あっっ!!」 舌先で膣内を蹂躙し、クリトリスをねちねちと愛撫。 そんな快感から逃れようとする羽入の尻を片手で押さえて、素早く舌を出し入れし、人差し指と親指の腹でこね繰り回すんだよ。『駄目』とか『優しく』とか言われても止められない。 こんなに乱れた姿を見たら、堪らなくなってしまう。けど羽入が俺からの拘束を抜け出して顔を向き合わせ、頬を重ね合わせて呟く。 「はあはあぁ…駄目ですよ圭一…。ん、焦らなくても僕が教えてあげるのです。…まだ背伸びしなくても良いのです」 上気した顔で息も絶え絶えになった羽入が優しく俺を諭す。彼女が言わんとしている事は、つまり『やり過ぎ』と言う事だろう。 「…でも圭一は頑張ったから御褒美をあげるのです……んっう…」 「あ、ああぁ…はにゅ…う」 そして、腰を浮かせた羽入が俺の息子に手を添えて…膣内に導いてくれる。 「んっう…。はあぁ…大きいの、ですぅ…ふっ…」 俺の胸板に手をついて、甘い声を洩らしながら羽入が身体を倒す。 「んふ…圭一のおちんちん、大きいから…っ…ちょっとだけ苦しいのです」 蕩けた微笑みを浮かべた彼女が、俺の頭の横に手を動かして身体を支える。やっぱり凄いコレ…。ただ膣内に入っているだけ…羽入は動いてすらいないのに…息子が強い刺激を受けてヒクつく。 「羽入ぅ…。はあぁ…っ。あ、暖かい…気持ち良いよ…」 俺は羽入の背中に手を回して抱き締める。暖かい羽入の体温と絡み付く愛液、そして熱く受け入れてくれる柔らかい膣の感触が心地良い。 「圭一も熱くて…硬くて逞しいのです。じゃあ…今から、本当の『営み』の仕方を教えてあげるのです…んっ…。あ…ふっうぅ…」 羽入が緩慢な動きで腰を前後させ始める。息子を刺激に慣らすかの様に徐々に速く、そして遅くして、時折腰を捻って膣肉で絞られる。 「うあっ…くっ…ふ。は…!う…」 「んぅっ…どうです?けぇいち…良いですか?こ、これだけでも気持ち良いですか…。あっ…う…。ぼ、僕の奥にぃ…あっ…当たってる…の…分かりますですか?」 「わ、分かる…コ、コリコリしてて…くぁっ!す、吸われる…す、すげぇ…」 『奥』が何なのかは良く分からない…多分だけど子宮口…かな?俺の知っている限りでは、それ位しか思いつかない。凄いんだ…コリコリとした感触、弾力があってヒクヒクって…亀頭に優しく口付けされた時に似たゾクゾクした快感に俺は虜にされる。 「ふ…う。こうやって始めは優しく優しく…んうっ、蕩けさせてあげて欲しいのです。例えば、こんな『やり方』もあるの…はっ…ですよ…あうっ…」 続いて教えて貰ったのは、グリグリと円を描く様に腰を動かして、膣の奥に擦り付ける動き…。身体を起こした羽入が軸にして動く。息子全体に絡み付く膣壁が擦れ、柔肉で揉まれるんだよ。そして狭い膣の中で撫でられて、熱で溶かされる。 「んうぅ…んっ♪は…あ…あっ。こ、こうですよ…は…。おちんちんの先で女の子の…くふっ…お、奥をクリクリってぇ…ひうぅ…するのですぅ…。 け、圭一も同じ様に動いて欲しいのですよ…」 羽入が俺の手を握って、そう促す。俺は今にも達してしまいそうな快感に耐えながら、羽入とは逆回転で膣内を掻き回す。 「こ、こうかよ?く…も、もっと速くした方が良いか?はあはあ…」 クチュクチュと結合部から発せられる水音と、羽入の微かな喘ぎに俺は更に欲情する。ふにゃりと蕩けていく羽入の顔や、俺の動きに反応して身体を震わせる姿が見れて嬉しくてさ。 「こ、のまま…あっ…このままあと少し続けてくださ…い。んあ…あ…上手…ですよ」 羽入の腰を持って息子で掻き回しながら、火傷しそうな熱さを伝えてくる柔らかい膣肉の感触を堪能する。段々と我慢が出来なくなって…突き上げたいという衝動に駆られる。 「は、にゅ…う。ふ…お、俺もっと気持ち良くなり…は…たい!なっ、良いだろ?もう我慢出来ねぇ…」 艶めかしい微笑みを浮かべた羽入が微かに頷いて、腰を打ち付け始める…。快感を得て息子がジンジンと疼く。そう、腰砕けになりそうな気持ち良さが俺を支配する。 「はっ…はっ…っん!あっ…。あっ!」 羽入が腰を打ち付けると、膣壁に擦られ絡めとられ…熱い柔肉の中で溶される。膣内の波打ったヒダに亀頭から根元まで締められて揉まれるんだ。分かるか?ウネウネってさ…隙間無くピッタリ吸い付いて揉まれるんだよ。 「ふっ!く…あ!すげぇ気持ち良いっ…。うおっ!」 羽入が抽出する速度を速め始めると、控え目だった水音が激しくなり、身体同士がぶつかる音と合わさって部屋に響く。それに比例して、羽入の喘ぐ声も大きくなっていく。 「んあっ!あうっ…あっ!!あはぁっ!」 俺の腹の上に手をついて、足を大きく広げて息子に貫かれて啼いていた。切なそうだった声が悦びに満ちたものに変わる。その艶っぽい姿を見ていたくて俺は射精感に耐える。 「んっ!んっ!んはぁっ!ど、どうです?これ、がっ!あひっ!本当の男女の営みな、のですよぅ!」 羽入が根元まで息子を飲み込んで前後に腰を揺すぶりながら、甘えた声で問い掛けてくる。俺は大きく頷く事しか出来ない。息子に加わる刺激で達するのを耐えるのに必死だから…。それでも『昨夜』よりは善戦…と言っても羽入任せだけど…うん。頑張っていると思う。 「はあはあっ…!じ、じゃあ…けぇいちをもっと気持ち良くさせてあげるのですよ…ふっ…んんっ!」 『圭一には、まだ刺激が強すぎるかも知れないのです…だから』 羽入がそう言って、息子の根元を指で締めて射精出来ない様にしながら、腰を浮かせる。 一方、今以上に『気持ち良い事』と聞いて俺は期待に胸を躍らせる。息子に更に血が通い硬く張り詰めていくのが分かる。 「ふふっ…いきますですよ…。…んふぅ♪あ…」 「っあ!!」 再び羽入が腰をゆっくり沈めると俺の身体が強烈な快感でビクッと跳ねる。今までより…強く膣肉で締付けられ、吸い付かれて絞られているんだ。敏感な亀頭を隙間無くギチギチに包み込まれて…る。 「くっうっっ!!はっ!!は、はにゅうぅ!や、やめっ!」 我慢出来ない快感…今にも達してしまいそうな、強烈な刺激に意識が遠のきそうになる。追い討ちをかける様な、羽入の上下前後左右に振る情熱的な腰使いが堪らない。 「あっ!!か、硬くて凄くっぅっ!良いのです!あふぅ♪お、女の子は『こんな事』も出来るので、すよ!!あひぃっ!あっあっああっっ!!」 熱に浮かされて一心不乱に腰を振る羽入に我慢出来なくなり、俺は下から思いきり突き上げる。彼女がそれに合わせて腰を捻り、膣奥に亀頭を押し付ける。 「っ!ふっあっっ!!おちんちんがぁっっ!ガンガン当たっ、て…るのれすっ!ひあぁっ!!あうぅあうっ!!!あんっ!!」 下から突き上げて羽入の膣奥に亀頭を叩き込む。そのコリコリした感触に俺は達してしまいそうになる。一突きする度に、キツく絞られている息子が食いちぎられそうな程、キュウキュウに締め付けられる。 「あうっっ!!ら、らめれすっ!!けぇ、けぇいちぃっ!激し、すぎ…あんっ!!!ぼ、僕、壊れちゃいます!!はっ!あっは…んあっ!!!」 俺の腰の上で羽入が身体をのけ反らせ、嫌々する様に首を左右に振り、悲鳴にも似た声で甘く啼く。 「くっうぅ!羽入っ!羽入っ!!」 そんな彼女の喘ぎ、仕草に俺の動きは更に激しくなる。腰がバカになって止まらないんだ。羽入に押さえ込まれている欲望の捌口を求めて…突く。 「んあっ!!はっ!!あっあっ!あっ!!!…あんんっ!んむぅっ!!」 羽入の身体を抱き寄せ、尻を掴んで本能に身を任せて乱打する。腰砕けになりそうな羽入の膣肉を抉る様に激しく…。 髪を振り乱して喘ぐ彼女の柔らかい唇を無理矢理こじ開けて、舌を侵入させ蹂躙する。それを嬉しそうに舌で絡め取り、唾液を含ませてくる羽入の淫らな姿に興奮する。 「んっ…ふぁっ!あ、あふ…くちゅっ!ちゅぱっ!んんっ!!…ふ……!ああっ!!!」 「くふっ!うっ!」 羽入が身体を捩らせる。そして息子を締めていた指が不意に外され、頭の後ろに腕を回された。それをきっかけに既に限界だった俺は羽入の膣内に欲望を吐き出す。 「はあ…!はっ…!んんっ…んあ…。あう…あう」 息子が脈動する度に羽入の身体が震える。そして俺の身体も…。互いの汗ばんだ身体を抱き合い、撫で、口付けしながら溶け合う。 俺はブルッと大きく身体を震わせて精液を彼女の膣内に注ぐ。敏感になった息子が締められ揉まれる感覚。この自慰では味わえない快感を少しでも長く感じていたくて、羽入の尻を鷲掴みして、前後に揺らす。 「くっうっぅ…!はぁ…はぁ…!」 背筋がゾクゾクする惚けてしまいそうな刺激を堪能していると羽入が腰を捻る。グリグリって…あの動きをさ。 「あうあう…。けぇいちがビクンビクンしているのです。ふふ………」 痛みにも似た強い刺激を受けて、俺は口をパクパクと動かし、酸素を求めて喘ぐ。すると羽入が耳元に顔を埋めて囁くんだ。 『このまま…もう一回してみますか?』 ってな…。 俺は熱に浮かされたまま微かに頷く。……また羽入の『手解き』が始まる。 …俺の顔に羽入の蕩けきった顔が近付いてくる。甘い甘い『発情した女の匂い』を漂わせながら…。 - 後篇に続く
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見てはいけないものを見てしまったことがあるだろうか。 見てはいけない、すなわちタブーとされる物事を見てしまうということがその定義であるとするならば、私は今、その見てはいけないものを見てしまっているということである。 「お、や、じ・・・。」 「あ、圭一くんの、お父さん、かな、かなぁ・・・?」 私の目の前には二人の人影がある。 一人は私の愛すべき家族であり、一人息子の圭一。もう一人は、その女友達である竜宮礼奈ちゃんだ。 驚いたようにこちらを振り向き、完全に固まっている。 二人とも膝をつき、圭一の手は礼奈ちゃんの両肩に優しく置かれていた。 キス・シーン(はぁと おお、おおお、おおおおおおおっっっっつ! テレビと漫画以外で、初めて見たっ!! しかも、あどけなさが残る、自分の息子のキスシーンだぞッ! 私の心にズキュゥゥーン!とか、ドォーーーン!とかいう効果音が聞こえてきた。 もしこの場面を漫画的表現で表すと、私の背景にそんな文字が飛んでいるに違いない。 藍子に頼まれて、しぶしぶ差し入れに上がったところが、とーんでもないものを見つけてしまった、どーしよー。 と、何処かの警部さんみたいな台詞を吐いてしまったが、どうしたものか。 個人的には、このまま固まった二人の顔を見続けているのも一興なのだが、この年頃の少年たちは、恋愛事情に親が介入してくるのを極端に嫌う。 見ると、圭一の顔が真っ赤に染まり、目線が見る見るうちに釣り上がってきた。逆噴射5秒前といったところだろう。 しかし、甘いぞッ、息子よ! 私は圭一から「出てけぇーっ!」という声が飛び出すその前に、素早く駆け寄り、力強くその肩を叩いた。 無論、エンジェルモートで買ってきたチーズケーキと、セイロン紅茶が置かれているお盆は、足元に置いてある。 電光石火の動きを何事かと思い、仰天する二人の顔を横目に、私は目を閉じて首を振った。 そして次の瞬間!私は無言で目を見開くと、満面の笑みで右手の親指を『ビシッ!』と伸ばした。 ・・・・・・・・・。 数秒間の沈黙。 そして私は身を翻し、颯爽と息子の部屋を後にした。 クソ親父ぃぃぃぃぃぃ!! 息子の絶叫が家中に響いたのは、階段を下り終えた直後のことであった・・・。 「あら?圭一の声がしたけど?」 食卓に戻ると、妻の藍子が紅茶を入れ終えているところだった。 食べ終えて空になっていたデザートの皿は片付けられ、部屋にはセイロン紅茶の馨しい香りが漂っている。 「ん、あぁ。紅茶でもこぼしたんじゃあないか?」 私は笑みを浮かべて席に座った。 藍子の入れてくれた紅茶に口をつけると、先程の光景が思い返され、再び笑いがこみ上げる。 「どうしたの?そんなに笑って。」 「いや、それがね・・・。」 私は先程の顛末を面白可笑しく、多大な脚色を交えて話した。 息子に恋人が出来たと知った時、母親がどんな顔をするのか見てみたいという気分があったが、以外にも藍子の表情は変わらなかった。 「あら、知らなかったの?」 むしろ、私が二人の仲を知らなかったことが意外らしい。くすりと笑って、藍子は紅茶に口をつけた。 「最近、遊びに来るレナちゃんが、どんどん綺麗になっていっているのよ。恋する女の子って、雰囲気まで変わるものなのよ。」 「そうなのかぃ?」 「えぇ。それに、シャンプーもエメ○ンに変わったり、透けて見える制服の下着も、良い物になっていたしね。」 ミステリーマニア恐るべしといったところか、それにしてもよく見ているものだと、私は今更ながら妻の推理力に舌を巻いた。 「初恋、か・・・。私にもそういう時期があったわ・・・。」 藍子が遠い目をして窓の外を見る。窓の外には中天の太陽が赤々と輝いていた。 強い日差しが藍子の頬を照らす。 その時、私は今更ながら妻の美しさに心を奪われた。 圭一を産んで十数年。三十も半ばの藍子だが、その外観は、大学時代に比べても変化に乏しい。 ワンピース越しに見える肢体も、女性らしくメリハリがつき、オバサンなどとは到底呼べないだろう。 ・・・・・・・・・。 そういえば、ここに越してきてからは仕事で忙しく、ご無沙汰だったな・・・。 久々にもたげる男としての欲望。しかも、私はその欲望を高い形で昇華出来る、魔法のアイテムを手に入れているのだ。 それは、この雛見沢に越してきて見つけた理想郷へと至る崇高な品物。 そうか、使えというのか。 この私に、あのビックリ・ドッキリメカを!! 「そろそろ晩御飯の用意を」 藍子が席を立とうとするその瞬間、私はその手をしっかりと握り締めた。 「どうしたの・・・?」 「あ、うん。ちょっと、いいアイデアが浮かばなくてね。『打ち合わせ』しないか?」 我が家での『打ち合わせ』とは、無論腰の打ち合わせのことである。 藍子の顔が、真っ赤に染まる。 「え、うん、良いけど・・・。」 視線を逸らして答える。藍子も少し欲求不満だったらしい。 「今夜?」 「いや。」 そう言って、私は藍子の耳元に口を近づけて囁いた。 「今から。」 「え、でも、圭一も、レナちゃんもいるじゃな・・・」 文句を言う唇を自分の唇で塞ぐ。 「アトリエでするから大丈夫だよ。」 私のアトリエは防音加工してあるため、物音が響き渡ることはない。しかも、私たちはちょくちょくそこに篭るため、急に姿が見えなくなったとしても圭一が怪しむことはないだろう。 「それに、いいモノもあるから・・・。どうだ。」 藍子が戸惑いに視線を泳がせる。しかし、この顔をする時の彼女には既に答えが出ていることを、私は経験上知っていた。 「はい、あなた・・・。」 広い板張りのアトリエは、空調が効いているためか、夏だというのにむしろ寒々としていた。 私は仕事机の傍にある、大きな籐の安楽椅子に座り、腕を組んでいた。 私のアトリエはカンヅメ状態にも耐えることが出来るよう、一部屋にバス・トイレ・シャワーが付いている。 『打ち合わせ』は私の作品ジャンルにも影響する重大事項だ。 絵画だけでなく、同人世界にも生きているこの私にとって、新ジャンルの開拓は生命線の確保に等しい。 だが、作品を作る上において、リアリティを欠かす事はできない。 そのため、私は最愛のパートナーである藍子の体を張った『打ち合わせ』により、常に新ジャンルに挑戦しているのである! 看護婦・メイド・スチュワーデス・OL・仲居さん・・・。 食堂のおばちゃんから果ては電撃鬼娘まで、その挑戦は飽くことを知らない。 先にシャワーを浴びた私は、白いバスローブに身を包み、脱衣所で着替えているであろう藍子が来るのを心待ちにしていた。 もうすぐだ、もうすぐ、私に理想郷が訪れる・・・! 「で、できました・・・。」 恥ずかしそうな声で、藍子がドアの向こうから声をかける。 「ああ、入ってくれ。」 私は意識してぞんさいに答えを返す。 返答を聞いて、ドアがゆっくりと開かれる。 キタキタキタキター!! 濃紺の水着。いや、各所にフリルの着いた制服に身を包んだ藍子が、ドアの向こうに立っていた。 羞恥心のために顔を真っ赤に染め、もじもじと胸元を隠すように左手を持ってきている。 お盆に乗せられた残りのスイーツであるチョコレートパフェが、右手に支えられていた。 藍子が身を包んでいるのは、エンジェルモートの制服である。 通い倒して数ヶ月。 店長の園崎氏を口説き落とし、破格の値で購入したこの最終兵器! 想像通り、いや、想像以上の破壊力である。 ドレスと水着の核融合。人類の辿り着いたエロスとフェティズムの境地。 誰もが「お~持ち帰りぃ~☆」を夢見てやまないこの制服を、私はッ!私はアァッ!! 「あ、あの・・・あなた・・・?」 すっかり陶酔しきっていた私に、藍子の声が当惑した様子で声をかけた。いかん、いかん。 私は正気に戻って藍子の姿を見た。 成熟した大人の女性しか似合わない制服のはずだが、藍子の大きな胸のせいか、胸元がきつく見える。 下手に肉が付いていると途端に魅力を失うビキニラインもしっかりと整い、フリルが可愛く揺れていた。 「うん、綺麗だよ、藍子。」 正直にほめると、藍子は顔を伏せて恥ずかしがった。 「でも、ここでは『あなた』じゃない。ここはお店なんだ。『お客様』じゃないとね。」 「はい、お客様・・・。」 この『お客様』というのが重要なところだ。 メイドならば『ご主人様』・『旦那様』。女生徒ならば『先生』と、そのジョブに合わせた呼び方をしなければ魅力が薄れるというものだ。 「じゃあ、ウェイトレスさん。そのパフェをもらおうか。」 「はい。どうぞ、お客様。」 藍子が私の前にひざまづき、パフェをスプーンで掬う。 おずおずと差し出したパフェを、私は口に含んだ。さすがはエンジェルモート、味にも手抜かりはない。 二・三度同じことを繰り返すと、私はスプーンを優しく藍子の手から奪った。 「お客様?」 「ウェイトレスさん。これじゃ冷たい。口移しで食べさせてくれないかな?」 一瞬、藍子は驚いたようだが、この要求が意味することを察してか首を縦に振った。 茶色のパフェを一口含み、唇を私に近づける。 「んん・・・。」 唇が触れ合って、冷たい感触が広がった。藍子が舌で押し出すパフェを受け取り、飲み込む。 私は全て注挿された後も、藍子の口腔へ向けて強く口を吸い、舌を伸ばした。 「ふ、う・・・っ。」 藍子の舌が絡まり、私のそれと絡み合った。お互いを求めて強く引かれ合い、口腔内で踊り狂う。 「・・・ウェイトレスさん。」 私は藍子の顔を離して指を下に差した。見ると、茶色のパフェの一部が、バスローブの股間の位置に落ちている。 「綺麗にしてくれないか?」 「はい・・・。」 藍子の手が股間に触れる。私の分身は既にいきり立ち、ローブの中で自己主張していた。 お絞りで茶色の液体を拭き取ろうとすると、自然に硬くなったその部分に当たる。 強すぎないよう、藍子が慎重に周りをぬぐっているのがもどかしい。 生殺しのようなその感覚に耐えられず、私は藍子の耳元に囁いた。 「今度は、口でしてくれないか?」 藍子は上目遣いで私を見ると、上唇をそっと、舌で舐めた。 瞳には淫らな光が宿り、欲望の火が体に灯ったことを、私に告げていた。 ローブの前がはだかれ、分身が晒される。その分身に藍子は口付けし、うやうやしく口に含んだ。 「うっ・・・。」 瞬時に駆け抜ける射精への欲望。 性感帯を知り尽くした藍子の動きに、私は翻弄されていた。 口で含むだけでなく、手でもてあそび、舌を入れ、歯で甘噛みをする。 貞淑な妻が淫乱なメス犬に変わるこの瞬間が、男としての征服欲をそそるのだ。 私は藍子の頭を両手で押さえつけ股間に固定すると、その顔を撫で回した。 愛撫に興奮しているのか、藍子は驚くことなく行為に集中し、更に口の動きを強めた。 「くおおぉぉぉっ!」 敏感な部分を舌でもてあそばれ、私は限界を迎えようとしていた。 自ら腰を動かし、最後の瞬間まで導く。 「出、出るっ!出るぞっ!!」 先端から出る欲望の液体が、藍子の口腔を犯した。凄まじい勢いに、藍子がむせる。 しかし、藍子は顔を引くことなく、私の全てを飲み干した。押さえきれなかった残滓が糸を引いて、唇から流れる。 手を離しても藍子は分身から離れず、私の全てを飲み干そうと舌を動かしていた。 「もう、いいよ。ウェイトレスさん。」 十分に分身が硬さを取り戻したことを確かめると、私は藍子の口から分身を引き抜いた。 「あ・・・。」 名残惜しそうに藍子が呟く。 「今度は、ウェイトレスさんを頂くよ。」 宣言して藍子を体の上に抱き寄せると、私は制服の布をずらして、分身を一番敏感な部分にあてがった。 思ったとおりに、その部分には見なくてもぬめり気があった。 「ふああぁぁっ!」 一気に刺し貫く。二・三度律動するだけで、最奥まで至った。 「思ったよりも、すんなりいったな。ウェイトレスさん、こういうのに慣れているんじゃないか?」 「い、いや・・・。そんなこと・・・。」 「でも、ほらッ!こんなに濡れて、咥え込むなんて、一度や二度じゃ出来ないモンだぞっ!」 「あ、ふうっ!そ、それは、お客様、があっ・・・!」 「くっくっく。そうだよなぁ、出来の悪いウェイトレスに、俺がたっぷり教え込んでやったんだからなぁ!!」 「は、はひぃ・・・。わ、わたしは出来の悪いウェイ、ト・・・レスですぅ!!」 「じゃあ、もっと、もっと教えてやらないとなぁ。男の味ってやつを!」 「お、教えて、教えてくださいお客様ぁぁ!」 いつの間にか創造していた役割に、私たちは没頭していた。 私の求めたものに、創造以上のの反応を返してくれる最高のパートナーである藍子。 改めて、私は彼女の全てを欲しいと思った。 制服の前をはだけさせて豊かな胸に唇を這わせる。 藍子も私の頭をしっかりと抱いて、話さない。 安楽椅子がきつそうにギシギシと音を立てる。その音と私たちが生じる粘着音が、不思議なハーモニーを奏でていた。 「あ、あなたぁ・・・!わ、わたし、もう、もうダメ、もうダメええっ!!」 快楽によって素に戻った藍子が、限界を告げる。 私も同じく限界だった。強く腰を動かして、最後まで密着した。 「藍子、藍子!私もいくぞ!」 「あなたっ!あぁ、あぁ、あぁぁぁぁ!ダメええええええぇぇぇぇぇぇ!!!」 「あいこおおおおおおおおっっっっ!!」 再び大量の白濁液が、藍子の中に打ち込まれた。 『打ち合わせ』の終わりを告げるその流れはいつまでも名残惜しく、私の意識が途切れるまで続いた・・・。 「親父、話がある。」 数ヵ月後のある日、圭一が真剣な面持ちで、私と藍子を食卓に呼び出した。 隣には礼奈ちゃんが、同じように真剣な表情をして立っている。 「どうしたの?藪から棒に。」 藍子が怪訝な顔で、それでも優しい微笑を浮かべて答えた。 あの日の事を気にすることなく、礼奈ちゃんは我が家に来て一緒に食事をしたり、圭一の部屋で過ごしていた。 私もあの日の話題は避けていた(と、いうより触れようとすると圭一が噛み付かんばかりに起こるのだ)のでこれまでどおりの関係だったのだが、何か大事なことでもあったのだろうか。 はっ! 私は最悪のケースを想定した。 最近の学生の進み具合は半端ではないらしい。しばらく前にあった「3年○組」では、中学生同士の妊娠がテーマとなっていたではないか・・・! 自然と、私の顔はこわばった。 KOOLになれ、前原伊知郎・・・! 息子の全てを受け止めるのが父親じゃあないか。モデルガン事件の時と同じだ。痛い目に合わせて自分の過ちを後悔させた後、助けてやればいい。 しかし、それに反して圭一の口から出たのは拍子抜けする言葉だった。 「俺、前原圭一は、ここにいる竜宮レナさんと付き合っています。」 一瞬、力が抜けた。 そ、そうか・・・。考えすぎだったか。 「わ、私、竜宮レナです。圭一君、いや、圭一さんとお付き合いをさせて頂いています。今日は、圭一さんのご両親に、交際を認めてもらいたく、お伺いしました。」 恥ずかしそうに、圭一の隣で控えていた礼奈ちゃん、いやレナちゃんが顔を赤くして頭を下げた。 その瞳を見ると、圭一を見つめていた。 圭一のことを信頼しきっている。その意思が強く感じられる良い瞳だった。 わざわざ、交際宣言に来てくれたのか。そう思うと、二人の律儀さと初々しさに、自然と頬が緩んだ。 藍子を見ると。同じように微笑んでいる。 これならば、告げてもよさそうだ。 私は藍子の手を握る。 「うれしいわ。それなら、レナちゃんは私たちの娘になるのね。」 「歓迎するよ、レナちゃん。こちらこそ、圭一を頼むよ。」 そして、私は藍子のお腹をさすり、二人に告げた。 「ほら、お前も挨拶しなさい。お兄ちゃんとお姉ちゃんだよ・・・。」 終わり
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北条悟史と園崎姉妹の関係は、始まる前から歪んでいた。 悟史と魅音の間に陰りを生み出した、ダム戦争における園崎家と北条家の確執と、公に存在を認められていない詩音が悟史との面会を重ねるには、魅音として振舞うしかなかった、双子を忌まわしきものとする園崎の因習と。 様々な理由はあったにしろ、魅音と詩音の姉妹はあくまで『魅音』として、同じ人間として悟史と関わり続けていた。 ほんの少し安らげる空間を用意してくれていた、遠慮がちに自分たちを見つめる教室の『魅音』と、野球チームで叱咤してくれていた、屈託なく接してくる興宮の『魅音』――『詩音』。 一歩引いて自分たち兄妹と接していた『魅音』が自分に心を開いてくれている嬉しさ、純粋に『詩音』の気遣いをありがたく思う喜び。二種類の感情が複雑に絡み合い、悟史にとって今や二人とそれに対する感情は、全く別の存在だと頭で理解していても尚、切り離せないものになってしまっていた。 悟史にとって彼女たち姉妹は、二人で一つだった。 だからといって――こんな事態になるなんて、誰ひとり予想していなかった。 「っ……み、魅音……し、おん、さん……っ!」 悟史が表情を歪め、苦しげな声を漏らす。 椅子に座った彼の足元にひざまずく、上気した頬も妖艶な詩音の唇が彼の先端を咥え、吸い上げ、その隣で困惑と羞恥で頬を赤らめる魅音、唾液と先走りの滴る肉棒を懸命にねぶる。 「くすくす……きもち、いい、ですか? 悟史くん……」 詩音の舌先が速度や緩急を変え、時には先っぽを柔らかくくすぐりながら、悟史のものを這う。 「し、詩音さんっ……」 瓜二つな顔をした姉妹たちの奉仕、特に詩音の巧妙な技によって、悟史のものがどんどん固く熱を持っていく。 「み、魅音……そ、そろそろ……」 悟史の手がポニーテールを結わえた頭に触れ、魅音がぴくりと肩を小さく震わせた。 「さとし……」 彼を見あげるのは、理性など消し飛んだようなとろんとした眼。それでも彼女は不安そうに傍らにいる双子の片割れをちらりと見やる。 「大丈夫ですよ。お姉がちゃーんとイクまで、待っててあげますから」 「へ、変な言い方しないでよぅ……」 余裕をもった笑みで応える詩音に不平を零しながら、既に敷かれている布団の上で、魅音は悟史と向かい合う。 悟史の両手が、魅音のすらりとした太腿を掴む。その中心は既に濡れてひくひくと震えていた。 「じゃあ、いくね……?」 その入口に押し当てられた悟史のものが、ちゅくっ、と音を立てながら、魅音の中にゆっくりと飲み込まれていく。 「んぅ……」 ぎゅっと眉根を寄せて両手で口を塞いで、魅音は必死に恥ずかしい声を押し殺す。 亀頭の部分が見えなくなったところで、悟史が動きを止めた。 「……あ」 小さな声を漏らし、魅音は徐に口を塞いでいた両手を離して、悟史へ戸惑った視線を向ける。 「さ、悟史……あの……な、なんで……っ」 「どうしたの? 魅音」 悟史はいつものように微笑んで軽く腰を揺する。悟史のものの先端が、魅音の柔らかく浅い部分に擦れてくちゅくちゅと粘着質な音を立てた。 その奥が物欲しそうにきゅうっと締まり、無数の襞が手招きするように蠢き始めるのがわかる。 「ど……どうしたの……って……それは……え……う、うぅ……」 最後の方はもう言葉にならず、魅音は全身を縮こませて肩を震わせた。 焦らされている体の熱を持て余す。早く最後まで入れて欲しいと叫びたい。そうでなければ、今にも自分から腰を振って悟史のものを咥えこんでしまいそうだ。だがそんな恥ずかしい事は出来るわけがない。 これ以上ないほど真っ赤な顔をして半泣きになる魅音の様子に、悟史はくすくすと笑い、 「意地悪してごめんね、魅音」 固くなったものを奥まで一気に押し込む。 「ひぁああぁっ!」 急な刺激に魅音は甲高い悲鳴を上げた。満足そうに微笑んで彼女の頭を撫でて、悟史は動き始める。 「っ……! ん……あ、あ……んんっ……」 硬く目を閉じて、魅音は声が上がるのを必死で我慢する。それでも悟史に揺さぶられる動きに合わせて、唇の端から甘ったるい小さな喘ぎ声がどうしても零れていく。 そんな遠慮がちな様子と裏腹に、異物を受け入れる魅音の中は蜜で溢れ、いやらしく音を立てて締めつける。 「魅音、だいじょうぶ? 辛くない?」 「へ、平気……悟史の、好きにして、いいよ」 いつもそうするように、悟史は魅音の頭を撫でる。ぴくっと引き攣るように締まった襞を擦り上げるように、悟史はそこを掻き回す。 「あ……あぁっ」 魅音が上半身を反らせる。腰を打ちつけて揺さぶる度に、ふるふると揺れる形のいい大きな胸に、悟史は手を這わせて揉みしだく。まだ柔らかな薄い桃色の先端を指で転がし、爪を立ててくすぐると、あっという間に反応して固くなった。 「ひぁっ! そ、そこはいや……いや、だめぇっ」 固く尖った胸の先端を唇で咥え、舌で転がし、強く吸い上げる。 「……あ! ん、ぁ……」 電気でも流されたように敏感に跳ねる魅音の体に合わせて、膣壁が収縮して悟史のものを刺激し、奥の方が先端に吸いついてくる。別個の生き物のようにうねって、代わる代わる波打つように絡みついてくる肉厚の襞が肉棒の全体を刺激してきて、実に気持ちがいい。 何度も何度も、抉り込むように魅音の中を突き上げる。 「っ、ふ……うぁ……あぁああぁっ!」 弱弱しい切羽詰まった嬌声を上げて、魅音は爪を立てないように気をつけながら悟史の体に縋りつく。普段の彼女を知る誰がこんな姿を想像するだろう。悟史もまた強く腰を打ちつけて、魅音の背中に両腕を回し、細い体を抱き寄せた。 抱きしめあった悟史と魅音の体が同時に震える。 まだ少し脈打つものを魅音の中から引き抜くと、やや遅れて真っ白い蜜のような液体がとろとろと溢れた。 布団に横たわった魅音は、薄く桃色に染まった白い肌に光る玉の汗を浮かべて、仰向けになっても形の崩れない豊かな胸と細い肩を揺らし、繰り返し熱い吐息を零す。 悟史は大きく息を吐き、あたりに散らばった魅音の長い髪を指で梳く。 んっ、と小さく身を捩る魅音の赤く染まった頬を見て、悟史はつい口を開いた。 「……気持ちよかった?」 答えの代わりに飛んできた枕を、悟史は顔面でキャッチする。その視線の先で、魅音がぷるぷる震えながら眦を吊り上げて睨みつけていた。全裸で。 「変なこと訊くなぁ! おじさん、悟史をそんな子に育てた覚えはないよ?」 「ごめんごめん。そんな変な意味じゃないよ、ないってば」 布団の上で子供みたいにじゃれあう二人の間に詩音が割り込んでくる、全裸で。 「ぶぅー。ちょっと。二人とも、私のこと忘れてません?」 ぷうっと頬を膨らませる詩音。その可愛らしい仕草と裏腹に、秘所は太腿まで滴らんばかりに濡れていた。 「お姉と悟史くんがあんまり盛り上がるから……私のことも、満足させて下さいね?」 すいっと細められた詩音の瞳が、誘うようにとろりと光る。 「むぅ……う、うん、頑張るよ」 こくんと小さく息を呑むと悟史は詩音の背後にまわって、再び熱を持ち始めた分身を詩音の秘所にあてがう。 「――……ッ!!」 少しずつ、少しずつ悟史が自分の中に沈んでいく感覚に詩音は身震いする。 ふと、妖しげな笑みを浮かべた魅音がその正面に回り込み、ぺたんと座りこんだ。 「どうしました? お姉……っ」 「いっつもいつも、悟史も詩音も私のこといじめるんだから……私だって責めるのっ」 「お姉が? ……攻める?」 二人に挟まれているこの状況も忘れて、詩音は思わず、ぷっ、と吹き出す。 「む~! 笑ってられるのも今のうちだからね!?」 それがいたく気に入らなかったようで、魅音はさっきの詩音とよく似た膨れっ面になった。 白い指を豊かな胸に触れさせ、細い指先でピンク色の先端を優しく摘む。 「……っ! く、ぁ……!?」 痺れるような刺激に詩音が声を上げる。 「ふふーん、詩音も、こうされるの好きなんだぁ……」 一度絶頂に飛ばされ、すっかり出来上がっているようで、魅音はうっとりと潤んだ眼で詩音の胸の先端を弄繰り回す。指先を円を描くように転がして、指で挟んでひねったり。 「えへへー……詩音、気持ちい? とっても顔が赤いよぅ?」 普段の部活を取り仕切る部長の顔をして、魅音が笑う。 「ちょ、お姉……ッ」 その度にきゅうきゅうと中が締まるらしく、時折悟史が快楽に顔を歪める。それでも、額に汗を浮かべて苦しげに息を荒げながらも、微笑む悟史には妙に余裕があった。 「あはは……珍しいね、詩音さんが、押されるの」 大人しそうな外見をしていても、雛見沢症候群L5を精神力でねじ伏せた男である。そう簡単に快楽には屈しない。 「な、何をっ……ぅあっ! あ、あうっ! あ、あぁー……ッ!」 いつも他人をからかう立場にいる詩音にとって、翻弄される立場に回されるのは実に面白くなかった。 だが、敏感な体の中や胸の突起を、弄られ、擦り上げられ、掻き回されて、否応がなしに体が快感に反応する。 魅音の指が詩音の豊かな胸を優しく揉み、撫でさすり、先端をなぶる。じゅくじゅくと音を立てて出し入れを繰り返す悟史が膣襞の一つ一つをめくり上げる。秘部の隙間から溢れた愛液と先走りが混ざり合ったものが太腿を伝い落ちて、空気にさらされて冷える感覚。 その全てが詩音の全身を奥底から焼き尽くす。 「ああ! も、もうっ……! あ、あぁあ……っ!」 四つん這いになった恥ずかしい格好のまま、詩音は腰を振り始める。振らずにはいられない。もっと、もっと悟史を感じたい。めちゃめちゃに掻き回されて快感を貪りたい。 蜜で満たされた壺を掻き回す水音に肉体がぶつかり合う音が混じる。 長い髪を乱して詩音が喘ぐ。 だらしなく開いた唇から舌先に銀色の縦糸がかかる。 間近で、真正面で、魅音が愉悦の表情を浮かべてそれを眺めていた。 「あは……ぁ、すごい……すごいよぉ、お姉ちゃん……お姉、ちゃぁん……」 まるで詩音に同調したかのように、魅音もまたいよいよ理性を失いはじめる。 「さ、悟史の……ね、おっきいのが……お姉ちゃんの中、ん、出たり入ったりして……え、えっちな音立ててぇ……っ、お姉ちゃんの体が、あ……ゆ、揺れてるの……ぁ……っあぁ……!」 目の前にいる詩音と悟史の痴態と自分自身が発する言葉に酔って、恍惚とした魅音の蕩けた甘い声が、毒薬みたいにやけに鼓膜に響き、思考ごと脳が痺れる。詩音は思わず身震いした。 「おねえ……あんた……ッ、あ……っく……!」 悟史の吐き出した白濁と、魅音自身の蜜で濡れたそこに、ぐりっと指を突き立てて、調子に乗った『妹』にお仕置きする。 この私を責めようなんて百年は早いのだと。 「ひぁあ……っ」 体を震わせて魅音が啼く。その困ったような表情と声が、火のつき始めた詩音の反抗心やら加虐心やらに油を注ぐ。 「はあ、はぁ……ッ……わ、私と悟史くんを見て、こんなにしちゃうなんて……全く、いやらしい子ですね、あんたは……!ふふ、さ……悟史くんも、こ、こんなに固くしちゃって……わ、わかりますよ……私の中で、びくびくしてるの……!」 次々と襲い来る快感に悶え、肩で息をしながらも詩音は反撃に出る。 たとえ大好きな人が相手でも、やられっぱなしなのは性に合わない。それは目の前にいる妹の役割だ。 同じ声、同じ顔、同じ身体をしていても、魅音と詩音――姉と妹の根本的な性質は全く異なっている。 姉のように、相手を翻弄して手玉に取って支配するような芸当は妹には出来ないし、また、相手の加虐心や征服欲をそそる、妹の虐め甲斐のある表情や仕草は姉には出せないものだ。 けれど、数年前のあの時を境に、二人を表す名、二人を取り巻く環境は変わってしまう。 妹は誰かに屈することは許されない存在に、姉は人の目から隠されるべき存在に――入れ替わってしまった。 それは秘密。もしかしたらみんな気づいているのかもしれない、だからこそ、口にしないことそのものに意義がある、口にしないことで成り立つ秘密。 「あ、お、お姉ちゃ……ん……ぁ、あ……」 「……ふふ、詩音……ッ!」 我を忘れて互いを感じ合う、鏡のように瓜二つの姉妹は、その生涯の秘密を他者――悟史の前でぶちまける。悟史の前でだけ、本来の姿に戻る。それこそが彼に対する服従の証であるかのように。 「魅音……魅音っ!」 詩音を責め立てながら、悟史が呼びかける。 悟史はどちらを呼んでいるのだろう。壊れるその寸前まで傍に寄り添い続けた魅音なのか、淡い偽りに包まれながらも穏やかな時を過ごした『魅音』なのか。 魅音と詩音の表情が切なげに揺れる。けれど、そんなことはどうでもいいのかもしれない。彼女たちは元々ミオンであり、シオンでもあるのだから。 いっそのこと自分が髪をポニーテールに結いあげて、この子に髪を下ろしてリボンを結ばせて、本来の姉妹としてプレイしてみようか。 ああ、それは面白いかもしれない。後で二人に提案してみよう。戯れに詩音は考える。 「ど、どうしたの……あ、お姉ちゃ……? ん、ぁ」 ぼうっと熱に浮かされた魅音の唇に軽く口づけをし、体を揺さぶられながらも詩音は気丈に微笑む。 「思いついたんです……ふふ、とっても、楽しい事を、ね……」 詩音は悟史以外の男に尽くすつもりはさらさら無いし、魅音も自分で恥じている弱虫で甘えたがりな一面を悟史以外の男には見せられない。 だから、詩音の奉仕を受け止めるのも、魅音を心ゆくままに責め立てるのも、北条悟史ただ一人だけに許された特権なのだ。 心にも体にも大きく違いを作ってしまったのに、生まれる前から共にいた姉妹は今もなお、二人で一人の存在であるかのように一人の人を想う。 もはや説明の必要もないほど詩音は悟史に狂っている、彼女自身も自覚している。 そして魅音もまた。好きになってはいけないと思いこもうとして、忘れようと必死になって、いっそ他の男を追いかけてみても。結局は悟史の手を振り切れない。 北条を差別する園崎の娘であるはずの魅音と共にあり続けた悟史。かつて詩音が凶行に及んだ際に叫んだ溢れんばかりの憎しみ、それでも彼はぎりぎりまで魅音を手元に置き続けてきた。そして二人の意志はあの6月を越えた絆を紡ぎだす。 それこそ、何回同じことがあろうとも、何百年同じことを繰り返そうとも。 愛情と憎悪にまみれ、愛着と執着が交差し、美しいだけじゃない、だからこそ複雑で強固な二人を結ぶ絆。 詩音は多少と言わずに嫉妬を感じた。 でも、それは悟史と魅音も同じこと、と彼女は気を取り直す。 例えば、初めて悟史と詩音が一緒にいる光景を目にした時の――そう、『悟史の隣にいたのは私なのに。沙都子以外で悟史が頭を撫でるのは私だけなのに』と、茫然自失となった魅音の顔が示すものとか。 飴玉一つ食べるにも自分のご機嫌を伺っていた幼いころと変わらない、この子の不安そうな媚びるような顔。それを初めて目の当たりにした時の悟史の、いけない秘密を知ったような、照れたような、びっくりした顔とか。 こっちだって、誰も知らない悟史と魅音の顔を知っているのだ。 「ああっ! あぁん! お姉ちゃ……お姉ちゃあんっ!」 わざと大きな音が立つように、詩音は魅音の中を掻き回す。長いポニーテールや大きな胸を揺らしながら、魅音は焦点の定まらない瞳で甘えた啼き声をあげる。魅音の痴態に悟史の分身が張り詰めていく。 指先に絡みつく魅音のぬかるんだ熱と、膣内を蹂躙する悟史のものに、詩音は否応がなしに昂ぶっていく己の全身を感じた。 悟史と『妹』――詩音がこの世で最も、そして唯一執着する男と女は、今もこれからもずっと、ずっと彼女だけのもの。 やがて三人は絶頂を目前に迎える。 狂っている、いや、狂わせられているのかもしれない。 溶け始めた思考の中、漠然と、唐突に詩音は思う。 それは本当に、本当に恐ろしいことだけど――思うのだ。 詩音が求めたままに彼女の想いを黙って受け入れ、魅音を赦し彼女の弱さを優しく包み込んだ悟史。 その穏やかな声、優しく頭を撫でる手が麻薬のように沁み渡り、姉妹の心を少しずつ溶かし、壊し、狂わせ――奪っていく。そうして姉妹は堕ちて行った。 それを悟史は分かっていてやっているのではないか。 愛情に見せかけた罠を張って、自分たちを苦しめてきた園崎家の娘たちを意のままにすることが、彼の復讐なのではないか、と。 だが次の瞬間にその思いつきは波に浚われていく。 詩音の人物評価は大抵当たらない。これもまた彼女自身も自覚している。それにたとえ罠だとしてそれが何だというのだろう。その程度のこと、彼と彼女らを引き離す要素には成り得ない。 取り返しがつかない程、互いに縛られきっている。それでいいと溺れている自分たちがいる。 だから、それは遥か高みに上り詰めると共に、あっけなく消えていった。 ――――― 体を洗って休め、服を整える頃には、雲の隙間から月が覗いていた。 もっと暗くならないうちに終わらせなきゃ、と事が済んでからいつも揃って云い合っている割には、それが実現したことはない。お若い事で。 魅音と詩音は園崎家の門に並んで、帰宅する悟史の背中を見送る。 「さて。お姉、じゃあ今夜は二人で楽しみましょうか」 ぽん、と詩音の手が魅音の肩に置かれた。 「ふ、ふぇ?」 魅音はびっくりして後ずさるが、軽く置かれているように感じるはずの双子の片割れの手は、まるで磁石のように離れない。 「悟史くんをより悦ばせられるように、私と『特訓』しましょうね? お・ね・え☆」 戸惑う魅音に、詩音はとびっきりの微笑みを見せた。 そしてまた秘密は増えていく。
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2007/12/22(土) 「先生、さよなら~!!」 「はい、さようなら。みなさん帰り道には十分気を付けるんですよ」 からりと晴れ上がった初夏の土曜日。私の生徒たちと帰りの挨拶を終える。授業は昼で終わるということもあり、子供たちは目をらんらんと輝かせて各々帰路について行く。 「ふふふ……昔を思い出すわね……」 授業が午前中で終わる土曜日に、何年か前の私も同じように目を光らせて過ごしていたことを思い出す。 平日の下校の雰囲気とは違うさんさんとした太陽を感じながら、お昼のカレーを自宅で食べて友達のところに遊びに行く…… そんな良き土曜の一日の思い出が私の中で反芻されていった。 職員室に戻った私は残りの業務に励む。その途中、日直の子から日誌を受け取りそれに判を押す。日直の子は早く帰路に着きたいのだろうかそわそわしながら私の返事を待っていた。 「はい、確かに受け取りました。気をつけて帰ってくださいね」 元気の良い日直の子の挨拶を受けて、私の顔が思わず綻んでいく。 午前中で終わった土曜日も相まって、一時間も経たないうちに私は今日の全ての業務を終えた。 「知恵先生。お疲れ様です」 「お疲れ様です。校長先生」 分校のもう一人の教師もある校長が私に声を掛けた。 「どうやら、業務は全て終えられたようですな。帰宅されてもよろしいですぞ。 学校に残っている生徒たちは私が見送りますからな」 「そうですか……じゃあお言葉に甘えさせてもらって……」 デスクの上の書類を片した後、教室の様子を伺いに戻る。『部活』に精を出していた 委員長たちに一声掛けて私は分校を後にする。私の中の土曜日もまた始まろうとしていた。 自宅のキッチンに足を運ぶ。芳しいカレーの匂いがほのかに香っていた。今日の朝、私は早起きして既にカレーを作り上げていたのだ。もちろん、今日はいつもより早く帰ることができると見越していたから。久しぶりにカレーで自宅の昼を過ごすことができる。幼少の頃の土曜のお昼が思い返されて、私の心がいやおうにも高揚していくのが分かる。 朝作り上げた時間から数えて数時間、熟成させていたカレーを弱火にかけて温めていく。その間に私は炊き上がった私の米飯の様子を見に行く。もちろん、これも洗米を済ませて私が帰ってくる時間に合わせてキッチンタイマーを仕掛けていたものだ。 「……うん、ご飯、いい感じに炊き上がってますね……」 ふっくらとやや硬めに炊き上がったそれを見て、次第に私の胸か高鳴っていくのを感じた。炊飯器でできた米飯にしてはなかなかの出来に仕上げることができた。私が炊くお米も吟味を重ねて選択したものだ。粘りが少なくお米同士のくっつくことの無い、それでいてルーの染み込みやすいお米……長年の研鑽を重ねて発見した業とお米の集大成が目の前で煌々とした湯気を放っている。 「んんん……はぁ……いい匂い……」 目を瞑り、私の米飯の匂いに酔う。十二分にそれを堪能した後にカレーの様子を見に行くことにする。 「ごめんなさいね……すぐ戻ってくるから……」 名残惜しそうな私の米飯にしばしの別れを告げて炊飯器から離れた。 後ろ髪を引かれつつカレーの鍋を覗き込む。ふつふつと静かに煮立っているそれは、私の特製のスパイスの香りを放っている。控えめにその匂いを主張していた先ほどの米飯とは違い、私の煮立っているカレーはその存在をダイレクトに私の鼻腔と視覚に訴えかけてくる。わずかに照りの乗っていてとろとろとしたルーの中にジャガイモの白色と人参の赤色が見え隠れしていた。そしてそれを取り巻くように繊維ほどの細さになるほど煮込まれた鶏肉が周りに点在している。 「ふふふ……我ながら良い出来ですね……」 私の得意カレーの一つであるチキンカレーが出来上がった。この出来なら一流のレストランのカレーにも遜色の無いものだと私は思う。しかし私の作ったカレーを売るような真似だけは出来ない。心を込めて作った私のカレーをどうして売るような ことが出来ようか…… 私はお鍋にかかっていた火を止めた。そして、カレー皿を棚から取り、炊飯器の所へ足を運ぶ。 「待たせてしまってごめんなさいね……」 私のことを待っていた私の米飯に声をかける。しゃもじを持ち余計な圧力をかけないように注意を払いながら形良く米飯を皿に盛っていく。残りのご飯を米びつに移した後、炊飯器のふたを閉める。そのままカレー鍋のもとに行き、お玉でルーをかける。多すぎず少なすぎず……細心の注意を払いながらルーを落としていった。この作業を怠ってしまうとルーとカレーのバランスが崩壊してしまう。 「ルーだけがいたずらに残るというような、致命の痛手は何としても避けないと……」 うまくいったようだ。バランス的に完璧なカレーライスを見て思わず自分の口角が釣り上がってしまうのがわかる。 「もうすぐ……もうすぐですからね……」 テーブルの中心に私のカレーが鎮座している。そのちょうど右側にスプーン、やや左上方にお冷を置く。後は食べるだけ。 「いたただきましょう。……!!」 スプーンで切ったご飯に断面にはルーが十二分染込んでおり、私の目が釘付けになる。私のカレーを口に運んだ瞬間、芳しい香りと舌を突付くようなスパイシーな味が口内に広がった。あまりの美味しさの衝撃に私の背中がぞわっと総毛立っていくのがわかる。 「はぁぁ……なんて美味しいの……」 私のカレーがもたらしてくれた何にも代えがたい喜びに体が震えていく。十分に一口目を堪能した後に二口目を頬張る。今度はカレーのもたらしてくれる喉越しを楽しむ。こくりと喉を震わせると、熱いカレーとご飯の塊が私の体の底に降り立っていく。体の奥から感じる熱さに悶えながらスプーンを進めていく。 「はぁ……はぁ、ん、んく……か、カレー……私の……んん」 私はスプーンでルーとご飯をきれいに形作り、口に運び続けていく。かちゃりとスプーンとお皿が立てる音にもまた小気味良さを感じてしまう。自分の口内と耳腔を楽しませてくれる私のカレーに、何か言い表せない崇高さのようなものを覚える。無意識に感じてしまうカレーへの想いに自分の心臓が高鳴っていく。 「はぁ……はぁ……はあ……んっん……熱いぃ」 息が続かなくなるほど夢中で貪り続けていたために自然と呼吸が荒くなっていく。私の熱くなった口内に冷たい空気が入り込んでいく。心地よいその感触にしばらく身を晒す。 「ふう……まだいっぱい残ってますね……」 半分ほど残ったカレーを一瞥し、私はまだしばらく続くであろう享楽に身を委ねる。その思いが私のお腹の奥をさらに刺激していく。 「さぁ、行きましょう。一緒に」 私はスプーンの動きを再開させご飯の一角に向かっていく。次はルーを多めに取り口に入れた。中にいた小さな私のジャガイモの塊をころころと舌を使って転がしていく。糸切り歯を使って半分に割り、その断面の感触を味わう。ジャガイモ特有の素材の甘味が染み出て私の舌を染め上げていく。さらなる唾液の分泌が促されていくのがわかる。 「……やっぱり良いですね。私のジャガイモも…………んんっ!!」 私はジャガイモに気を取られすぎていた。並々にスプーンに盛られたルーから一滴がこぼれてしまったのだ。私の胸元へとしずくが落ちていく。スローモーションのようにゆっくりと落下する私のカレー。胸元に達する直前に空いていた方の手の平を咄嗟に出した。ぎりぎりのところで手に平に収まりほっと胸を撫で下ろす。 「はあ、はあ。危なかった……」 今着ている白のワンピースが汚れなかったというよりも貴重なカレーを犠牲にせずに済んだという思いのほうが強かった。しかし、これからは着ている服にこぼさない様に食べなければならないという邪念が取り巻いてくるだろう。カレーの時間を 邪魔されるのはなんとしても避けないと…… 意を決した私は着ているワンピースを脱いだ。私としては他人より少し大きいほうではないかと思う、ブラに包まれた双丘が顔を出す。脱ぎ終えた白色のブラとパンティだけを身に付けている状態になる。衣服に篭っていた体熱が開放されて私の気分が爽快に一心された。もうこれで私とカレーの邪魔をするものはいない。 カレーを次々に口に運ぶ。ご飯多め、ルー多め、50:50、にんじん盛り、ジャガイモ盛り、ダブル盛り……スプーンという小さなステージを彩り、時には形を変え繊細さと大胆さを味わわせてくる私のカレー。そのギャップに翻弄され、私はカレーを食べているのではなくて、食べられているのではないかと錯覚する。カレーから受けるその多彩な責めを受け、私のむき出しになったからだが汗ばんでいく。 「あぁぁ、駄目……私のお腹の底に……カレーが、染み込んで……」 「んん!駄目、スプーンが止まら……」 もはや、私のカレーはスプーンを止めてくれようとはしない。残ったカレーを貪りつく様に食べていく。口の周りにルーがまとわり付こうが、カレーのしずくが落ちようがカレーに魅入られた私にとっては、もはや関係がなかった。 気付いたときにはカレー皿は空になっていた。名残惜しくなった私はスプーンを使ってさらに残ったルーを掬い上げていく。そして唇に付いたわずかに付いたルーを舌を使って舐め取る。その傍から見れば卑しい行為を終えた私はお冷を手に取る。内側から火照っていた私の体がすっと冷やされていくのを感じた。 私の胸元に違和感を感じ視線を下ろす。先ほどこぼれてしまったカレーの一しずくが私の双丘の間に吸い込まれつつあった。 「まだ……いたんですね……」 汗ばんだ谷間にいた最後のルーを指を差し入れ掬い取る。我慢できずにそのままルーに包まれた指にしゃぶりついた。私の指から未だ火照りの取れない唇とぬらぬらとした舌の熱さが感じられる。最後のぬくもりを味わいきり、私はちゅぷりと口から指を抜いた。 「ふふふ…………ご馳走様……」 Fin
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バラバラと、破裂するような爆発音を響かせる真っ赤なバイクが、高速道路の広い道を、矢の如き勢いで加速する。 先端に丸いヘッドライトが張り出し、車体中央に鎮座するガソリンタンクが両脇から優雅な網目状になったフレームに支えられ、その手前にシートが置かれ、それが流れるように後尾へと続くようなバイクだった。 上に跨るライダーは、まるでレーサーのようにバイクのガソリンタンクの上に腹を乗せるような形で伏せ、前方から襲い来る猛烈な突風をしのぐ。 だいぶ運転に慣れているのであろうか、マナーはともかく、そのバイクは周囲の車が歩いているかの様に感じられる速度で、間を縫って駆け抜ける。 稲妻のごとき勢いで進んでいき、やがて進路を最左車線に寄せると、ぽかりと口を開けた出口へ吸い込まれて消えていくのだった。 バイクは街に出ると、いくつかの交差点を曲がると細い路地へと入り込み、その先は舗装もろくにされていない、でこぼこした道へと進入していく。 気づけばバイク以外に車両は見あたらなくなり、周囲の風景からも人工物が消えさり、いよいよ舗装路も途絶える。 砂利や砂・埃ばかりの不整地が現れると、その上を回るタイヤが小石を拾い上げてはまき散らし、それが車体に当たってカンカンと響く。 道を間違えたのであろうか? しかし、それにしてはバイクを操っているライダーにためらいが見られなかった。 普通、こういう整地向けのバイクでガレた道を走れば、激しい振動が襲うし、タイヤを砂に取られ、ずるずると滑って極めて不安定にならざるを得ない。 それでも時々落ちている巨大な木の枝をひょいと避けながら、どんどん突き進むのだから、やはり相当に習熟しているのであろう。 そうしてしばらく獣道のようなところを走っていくと、やがて、だいぶ朽ち果ててはいるものの、再び舗装された道へと乗り上げる。 一旦停止して、ライダーは首を回して、道を思い出すかのように周囲を見渡した。 すると、ちゅん、と一羽の小鳥が誘うかのように真上を通過して、そのまま道の上を飛んでいった。 追いかけるようにして、バイクは軽く砂塵を巻き上げて発進する。 すぐに小鳥は見えなくなってしまうが、だんだんと人工物が多くなってくる道を往く。 しかし人工物とはいえ、そのどれもが道と同じくして朽ち果てているところを見ると、この周辺から生活を営む人間が既に去って久しいのは確実であろう。 ある程度進むと行き止まりのようになっていたが、そこには一台の車が止まっていた。 どうも周りの朽ち果てた物とは違って、真新しいようだった。 それを認めたライダーは、ヘルメットのシールドを片手で上げるとバイクを車に寄せるようにして停車する。 サイドスタンドを蹴り出して地面に固定すると、右足を振り上げてバイクから飛び降り、ヘルメットを脱ぎ去った。 汗で少しへばりついていた髪の毛が、そよかぜに乗せられてふわりとたなびく。 「ふう」 ヘルメットから現れたのは三〇代前半ほどに見える男性であった。 線が細く、やや儚げだったが、眉から鼻筋にかけてくっきりとした造形と、爛と輝いた瞳の奥からは、秘められた熱い意志が感じられる。 それは成熟した男の色気を感じさせる顔立ちで、皮のライディングスーツを身にまとった姿は、すらりと流れるかの様だ。 相当の美形といっていいだろう。 男はその目を泳がせて、車を見やった。すると、 「お待ちしてましたよ、前原さぁん ……おんや、ずいぶん高価そうなオートバイに乗っておいでじゃないですか! それ、イタリィの奴でしょう?」 助手席側から、間延びした声ではやし立てながら、よく太った老人が這い出てくる。彼は男の事を前原と呼んだが…… 「もっとジジイになってると思ったが……変わってねぇな、大石さんよ」 そう、ライダーの正体は前原圭一であった。 雛見沢大災害が発生し、村民のほとんどが死に絶えた中の、数少ない生き残りである。 「なっはっはっは。私は不変・不滅ですからねぇ!」 「まるでジェームズ・ボンドだな」 そして圭一に親しげに話しかけるこの老人こそ、かつて雛見沢連続殺人事件を追った刑事、大石蔵人そのひとであったのだ。 その大石が有名な映画のイギリス諜報員の例えに「そりゃあ光栄ですねえ」と喜ぶと、こほんと咳払いをひとつ、態度を改めた。 「今日あなたを呼びつけたのは他でもない、この雛見沢の生き残り、前原圭一さんとコンタクトを取りたかったからでして」 「ああ、何度も聞いてるぜ……もう二度とこの地を踏むことは無いと思っていたんだがな」 圭一はいう。 もっとも多感な少年時代に、自分を形作る環境の全て――それこそ人から虫まで――を失った彼は、それからしばらくの時間、心を閉ざして雛見沢の事も忘却の彼方へと追いやっていた。 しかし、心も体も社会的にも大人となるにつれる過程で筋肉のように痛んだ分だけ精神力を鍛えた彼は、治らない傷を抱えつつも一人前の男として生きてきた。 無論、それは彼一人だけで成し遂げたものではない。 全てを失った圭一を支えたものは行政による援助でもあったが、それ以上に目の前の大石が存外に彼を助けたのだ。 その理由だが、 「私ゃ死ぬまで、あの事件は追い続けるんですよ」 と、雛見沢との最後の繋がりである圭一を失うのは避けたかった事にある。無論、感情をもつ一己の人間として彼を見放せなかったのもあるが。 そしてもう一人。 今度は運転席側から、圭一よりも一回り年上と見える男がゆっくりと現れる……ラフな服装をしているが、その体は服の上からでもしなやかな筋肉に覆われているのが解るほどで、顔は戦士と表現したくなるほどに精悍さが溢れ出ているものだった。 その男は、やかましい大石とは対照的に、静かに口を開いた。 「やあ、前原君。突然すまないね」 「赤坂さん。どうもお久しぶりです。いや……良いんすよ」 赤坂衛。彼もまた、大石と共に刑事として雛見沢に深く関わった人間の一人であった。 彼は大石が圭一の後見人的役割を果たしていることを知ると、時々ではあるが仕事の手を休めて時間を共有していたのだった。 「それで……いまさら俺への用事って一体なんなんです」 「君に会ってもらいたい人物がいるんだ」 赤坂は問いにそう答えた。 「俺に? こんなところで?」 怪訝な表情になり、聞き返す圭一。 「なに、人目のつかないところの方が都合がよくてね」 「一体、誰なんです」 「会えばわかるさ」 赤坂はそこまで言うと、車に戻ってエンジンをかける。反応して大石も同じように助手席へ座り込むと「付いてらしてください」と、圭一を誘う。 その言葉を残して車は後退していく。 二人の意図がつかめない圭一は釈然としなかったが、黙っていても進展しないので、仕方なくバイクへ跨ってヘルメットを装着すると、アクセルを吹かして砂利の上をくるりと回って大石達を追う。 やがて、いつか見た記憶のあるバス停を過ぎ去り、どんどん村の深部へと入り込んでいく。 懐かしい空気が圭一の体に当たり、様々な記憶を思い起こさせる。 「……」 ハンドルグリップを持つ手に力が入った。 だが、想いを払うかのように頭をぶんぶんと振るうと、運転に集中する。 すると、目の前を走っていた車はウインカーを出して路地へと入っていくので、それに従って続くと…… 「あ、学校……」 そこには、朽ち果てた校舎があった。しかしその姿を圭一は忘れもしない。彼が雛見沢においてもっとも記憶に残る場所、雛見沢分校。 大石と赤坂が圭一を導いた場所は、その廃墟だった。 大災害から全ての時が止まったままの校舎は、長く人の手を離れて、色褪せ風化していた。 その姿は、退廃的ながらも精霊がいるのではないかと思わせるほどに神秘的なだったが、それは同時に、もはや現世の者が住まう場所では無い事を静かに物語っていた……。 大石達は校庭に車を停めると、降りて圭一を手招きする。 従って、再びヘルメットを脱いでサイドスタンドを蹴り出すとバイクから降りて二人へ続く。 どうやら校舎の中へ入っていくようだった。 「ごめんくださぁい」 一行は廃墟となった学校へ足を踏み入れる。古い木造の校舎は長い年月の経過によってあちらこちらが腐食しており、一歩あるくごとに、ぎしぎしと苦しげな音をたてる。 内部に立ちこめる空気はしん、と冷たく、ところどころに木やコンクリートを突き破って生えた草木が茂っていた。 まるで建物全体が、侵入者を拒んでいるかのようだった。 しかし構わず奥へと進むと、もともとそれほど広くはない建物である。すぐに行き止まり近くへと達してしまう。 だが、そこは、 「俺たちが居た教室だ……」 「ええ、この中で待ち合わせている人がいるんですよ」 そういうと、大石は教室の中へと目をやる。 その視線の先に、ガラスが砕け散り、枠だけとなった窓際の椅子に腰掛けている人影があった。 三人が来たことに気づかないのか、こちらに背を向けている。 ゆえに顔を覗くことは叶わなかったが、朱色のレディーススーツをまとった細い背から、女である事はうかがわれた。 あまりにもおぼろげに見えたその背に、かつての教師だった知恵の亡霊でも見ているのではないかと、圭一は一瞬戦慄を覚えたが、栗色の長く伸びた後ろ髪が風にそよぐのを見てすぐにその考えを打ち消す。 それと同時に、その髪の色に見覚えがあるのを思い出した。 「まさか」 思わず独りでに声が出てしまう。 それに大石がちらりと目配せすると、赤坂が応じた。 「ええ、そうです。彼女は竜宮礼奈……君の」 「レナ!!」 赤坂の言葉を遮って圭一が叫ぶ。その声色に反応したレナが、ふっと後ろに顔を向ける。すれば、その先の映像を捉えた彼女の表情が、みるみる内に驚愕の色へ染まっていく。 鈴のような眼はかっと見開かれ、小さな口にはぽっかりと大きな穴が開いた。 「……まさか」 つぶやいたレナが陽炎のように立ち上がると、触れれば崩れ去ってしまう砂の城を扱うかのごとく、そっと細い腕を伸ばしていく。 「レナ」 その腕を、圭一がはっきりと力強く手に取った。 目の前の映像が信じられないというふうに、触れる手をきょとんと見つめるレナ。それに圭一が柔らかく話しかける。 「どうしたよ、レナ。まさか俺を忘れたとか言うんじゃねえだろーな」 その話しぶりに、レナがぶるりと震えた。おずおずと頭ひとつ高くなった圭一の顔を見上げて、 「……圭一くんなの?」 と、問う。 「これなら信じるだろ」 そういうと、圭一はふわりと彼女の頭に手を乗せて軽くなでてやった。彼が親しくなった相手に見せる、昔からの癖である。 かつてレナも同様に頭をなでられたものだった。 これではっきりと圭一であると認識したのであろう、レナはまた震えると、声もなくその瞳からぼろぼろと大粒の涙をこぼした。 彼女は、圭一が死んだものと思っていたのだ。圭一ですら、同様にレナが死んだものと思っていたのだから。 思いもよらぬ再会のショックに感情のコントロールが効かなくなる。 「……二〇年ぶりだな」 「け、圭一くん! 圭一くんっ!!」 圭一の言葉に、それまで蜃気楼のような儚さをまとわせていたレナが堰を切ったかのごとくして彼へ抱きつく。 雛見沢での思い出が一気に噴きだしてきたのか、彼女は目の前に大石と赤坂がいるのも構わず、圭一の胸へ顔を埋めてわっと号泣する。 そんなレナを圭一がまた、やさしく撫でた。 「あのぅ……」 そのように完全に二人の世界になっていた空間に、大石がおずおずと割って入る。 頭をぽりぽりとかきながら、 「感動の再会のお邪魔をしては申し訳ないんですがぁね、ちょっとよろしいでしょうかぁ?」 といった。 圭一はレナの頭を撫でながら、振り向かずに答える。 「その前に……あんたら、最初からレナの行方を知っていて今まで隠してたんじゃねえだろうな。もしそうだったら」 そこまで言って振り向き、ぎろりと鋭い眼光で大石達を射貫く。 「い、いやいや! 竜宮さんが生存していたのを知ったのは、つい最近の事です、本当です!」 修羅の様な迫力にあわてて見繕う大石。 その言葉を圭一はいまいち信用できなかったが、レナが助け船を出した。 「圭一くん、大石さんは嘘をいってないよ」 「そうか」 うなずく圭一を見て、大石はやれやれといった感じで肩を降ろす。 「んっふっふぅ……ふぅ。信用ありませんねぇ」 そう言う肩に、ぽんと赤坂の手が乗る。大石に目配せして「この先はまかせてください」と伝えたのだ。 ずい、と一歩出て口をひらく。 「前原君、驚かしてすまなかった。あまり先に彼女の事をいうと、君の性格だから、突っ走って事故でも起こしかねないと思って言わなかったんだ。その逆もまた然りって事で。許してほしい」 「それ謝罪になってませんよ赤坂さん……まあ、確かにそうでしょうけど」 「すまない。まあ、少し説明しよう……彼女が事件のあと退院してから、行方をくらませていたのは君も知って通りだ」 「ええ」 「それが、たった一ヶ月前の事だ。ふらりと骨ヶ鹿市に帰ってきたんだよ。どうやら私たちが出版した、例の本を見かけたのが原因らしいが……」 そこまでいうと、赤坂はいったん区切った。そのもったいぶる様な仕草に、苛立った圭一が急かすようにいった。 「らしいが、なんです」 「彼女は失踪前、輿宮で鷹野三四を見たというんだ」 「なんだって」 鷹野三四。雛見沢の綿流しの夜、行方不明になった後に焼死体で発見された村の看護婦であった。 だが、生前において彼女の言動は不可解きわまることが多く、また、三四号文書といわれる遺されたノートには、雛見沢大災害の予言と真相ともいうべき内容が、オカルト的な記述で記されていた。 たとえば宇宙人の仕業だとか、寄生虫の仕業だとか、およそ非科学的なものばかりであったがロジックを読み解いていくと、どれもが大災害は「人為的な何かによって起こるもの」と、予言する内容だったのだ。 加えて、後年になって彼女の勤めていた入江診療所がただの医療機関ではなく、なんらかの研究機関も兼ねていた場所であった事が、明らかになっている。 そこで赤坂は仮説を立てた。 「三四号文書にあった「研究」が、御三家ではなくあの診療所によるものだったとしたら、どうだろうか?」 大災害を事故でなく事件とみなす向きは、なにも赤坂たちだけでなく、当時に興味のある人間たちにもあった。 しかし彼らは、多少の意見の相違はあれども、黒幕を雛見沢の支配者たる御三家に求めた。 というのも御三家の内に、その筆頭の園崎が極道の家柄にあり、それにつづく公由、古手も当然、園崎と深い繋がりがあったからだった。 海外マフィアと結びついた兵器研究の事故によって、あの大災害は起こったというのだ。 しかし。 その後になって赤坂達は当時の雛見沢の状況をくまなく調べていったが、とうとう御三家に奇妙な研究の形跡は発見できなかった。 家柄のため、大災害とは関係の無いであろう、殺人から武器や薬、果ては人身売買などはいくらでも浮かび上がったが、いくら調べても、雛見沢の御三家が未知の研究に手を出していたという証拠はつかめなかった。 それに対して、大災害の直前、所長が服毒自殺という謎の死をとげた、研究機関としての役目も備えていた入江診療所である。 そのわりにはほとんどの記録が残っておらず、謎が多かった。 「外面で怪しく見える御三家を、隠れミノに使ったんじゃないでしょうねぇ。三四号文書は、そのミノがばれないよう、かく乱するため真実を含めたかのように見せかけたトラップだったんじゃあ……」 と、大石も仮説を立てた。 「新種の生物兵器か何かの研究だったのでは……雛見沢村は、その実験場にされた……」 雛見沢以外にも、近年ではSARSなどで同様の噂がささやかれたものである。 いずれにせよ、ガスの噴出跡が見られないのに政府が発表した 「大災害は火山性ガスによるもの」とする説明よりも、つじつまが合った。 そして、いよいよである。 レナによれば、災害発生の数日前には死亡しているはずの鷹野を見かけたというのだ。 本物の死人が歩き回るのは、ゾンビ映画の中の世界だけである。 ならば、 「この鷹野って女、医師免許があってなお、看護婦に甘んじていたそうじゃないですか。こりゃあ絶対に何かあります。もし本当に竜宮さんが見かけたのが鷹野だったとしたら……クロか、それに近い存在だと思いますね」 赤坂が大石に言った事だった。 実際、かつて焼死体で見つかった鷹野は鑑識の誤認だったという事が明らかになっており、さすがに一般公開はされていないものの、極秘に鷹野は内乱罪の被疑をかけられて、公安にマークされる存在となっていた。 公安としても、表向きはともかく、実際はかつての雛見沢大災害を自然災害とは見なしていないのだ。 「しかし、仮に鷹野がクロだったとしても、今も生きているのかどうかすら、わからないんですからねぇ。下手をすりゃ竜宮さんが幻覚を見たって可能性も……」 少しでも情報の欲しい彼らは、そこでレナに詳しく記憶をたどってもらおうとしたが…… 「やめて!!」 深く踏み入ろうとすれば、心に傷を負ったせいか彼女は激しく拒否反応をしめした。 精神科などにカウンセリングを受けさせたが、どうにもならない。 「埒があかないな。彼女の心の鎖を解く事のできる人間がいれば……」 「……そうだ赤坂さん、うってつけの人物がいるじゃあないですか!!」 それが、前原圭一であった。 大災害の当日、誤って河原へ落ちて気絶していたことで、運良くか、はたまた悪くか、ともかくも生きながらえた雛見沢の数少ない生き残りだ。 彼と竜宮礼奈を接触させることで彼女の錆び付いた心の錠前を外してもらおうという算段である。 「と、まあ……そんなところだね」 「結局全部、あんたらの都合じゃねえか」 「身も蓋もない言い方だが、そうなる」 「……ま、生きてレナと再会できただけでも、あんたらには感謝しなきゃならないか。その頼みも、今の説明でよおく解った」 そこまで言うと、控えていた大石がぱっと明るく笑う。 「いやあ、そうですかぁ! そりゃあよかった……」 と、そこまで言いかけたが圭一は、その先は聞き飽きたと遮るかのように、 「しばらくレナは預からさせてもらうぜ。あんたらの監視がついてたら、とてもじゃないが落ち着けねえ」 と、啖呵を切るように言い放つ。 相変わらずの気性に大石はまた、やれやれと肩をすくめると頭をかいて、 「当初からそのつもりでしたから、もちろん構いません……が、しかし、国内からは出ないでいただけると我々も安心できるんですがねぇ」 と、冗談めいて言う。 しかし圭一には冗談に聞こえなかったのか、あえて気づかないふりをしたのか、「そんなつもりはねえよ」とだけつっけんどんに返す。 「ともかく、あんたらの頼みは承知した。なんか判明したら連絡する……どれぐらい掛かるかは保証できないがな」 そういって、そっとレナの腰に手を回すと、 「行こうぜ」 柔らかくいった。 眼前で彼らの企みを聞かされたレナだったが、圭一には拒絶反応をしめす事もなく素直に導きに従い、朽ちた教室を後にするのだった。 その後ろ姿をみつめる二人の刑事は頭をぽりぽりとやりながら、なんとも表現しにくいような顔をつくって見合う。 「大丈夫でしょうか」 「なぁに……ああ見えても、前原さんはこの二〇年で、すばらしく成長しました。もう一人前の立派な男ですよ、大丈夫」 「そうですか……しかし、あてつけてくれますね」 「ロミオとジュリエットみたいなものですからねぇ」 「まったく、妻に先立たれた男には酷な光景ですよ」 「……久しぶりに飲みにでも行きましょうか。おごりますよ」 赤坂がふと歪んだ窓枠から見上げると、既に空は紅く染まっていた。 ・・・ 圭一は愛車の背にレナを乗せて、雛見沢を飛び出した。 後ろに聞こえた大石の「レナさんのヘルメットを買ってくださいねぇ」の声にしぶしぶ従ってバイクショップで適当なものを見繕った後は、そのまま道を飛ばしはじめると、すぐに陽も落ちて、世界はとっぷりと闇に浸かってしまう。 道を通過していくバイクを、今度は美しく輝くネオンが照らす。圭一には、それがいやにまぶかった。 やがて街の繁華街に入ると適当な駐輪場所を見つけて、バイクを駐める。 ひょいとレナが飛び降りると、つづけて圭一がひらりとまたいで降りた。 案外にうるさいバイクのエンジン音が消えると、すぐに夜の街の喧噪が二人を包む。圭一はさっさとヘルメットを脱ぐと、さっきやったのと同じように、レナの細い腰に手を回す。 レナも艶やかに顔を赤らめて、じんわりとした期待の視線を圭一におくる。 密着したバイクでの二人乗車の間に、すでにお互いの体温を肢体で感じあっていた二人である。 同じ場所で、同じ時間を深く過ごしたつながりを持ちながら別れ、永い時間を経て再開した男女が、肉欲の猛りを感じずにいられないのは、自然のことであろう。 そして寄り添って歩くかたわら、圭一が前を見たまま口を開く。 「レナぁ」 と、甘えるような調子で呼びかけるのだ。 ガラは悪くとも、こういう気取らぬところが変わらぬ純朴さであった。 「ん、なに」 対するレナは、案外に冷静である。 冷静ではあるが圭一の純朴さに応えるように、かつてのように優しく、そして今は多分に官能的な響きも含めている。 両者とも心の奥底は激情的であり人情的なのだが、しかし表面に出てくる、この普段の姿は、まさに陰と陽であるといえた。 共感しあえるものと、お互いに無いものを、両方持っている二人が惹かれあうのは必然のことといってよかったかもしれない。 それだけに…… 「二〇年ぶりだよなぁ、こうして歩くのも」 「そうだね……」 「それにしても、うーん。ちょっと太ったか?」 「け、圭一くん、それはちょっとひどいなぁ。圭一くんだって、すっかりおじさんだよ?」 「お互いさまかぁ」 「お互いさまだよ」 などと、他愛もないが久しくしていなかった、人間的な会話を交わすうちに二人を包む雰囲気は、いよいよに柔らかく、そして艶を帯びたものになっていった。 そうして街をゆるゆると歩いていったが、ひときわ毒々しく輝くネオン看板 の前に立つと、ひたと足を止める。 その看板を圭一がちらりと見やった。 するとホテル・ドラゴンナイトと妙にファンタジックな施設名と、休憩が五〇〇〇円、宿泊が八〇〇〇円とする案内が施されていたが、しかしこのホテルを休憩にしても宿泊にしても、文字通りの利用をする人間は少ないだろう。 「あ」 「うん……」 ふと、レナと目があった。 二人とも、目の前の施設がどういうものか解らぬ様な年齢ではない。いや、今時はかつての彼らの年齢くらいの子供であっても、よく知っているほどだ。 そのまま何も言わぬまま入り口へ足をかける。いまだ人混みの耐えぬ通りからは幾多の好奇の視線が飛びかかるが、そんなものがはじめから無いかのように、二人は通路の奥へ溶けていくのだった。 やがて、宿帳を無視して部屋へたどり着いた二人を出迎えたのは、外の看板にも負けず劣らずの妙に毒々しい内装を施された部屋だった。 なにやら西洋の宮殿をイメージしたもののようではあったが、しょせんはコストを可能な限り抑えてあつらえられた部屋で、見た目と質感のギャップが異様なまでの貧相さを生み出している。 しかし事に及ぶには十分だろう。 圭一は備え付けられたベッドに寄ると、シャワーも浴びぬままレナを押し倒す。 記憶の中の恋人が現世に再び舞い降りたのであるから、肉欲の衝動を抑えきれないのも仕方のないところではあったが……。 「圭一くん、ふく、服だけは……」 と、あわや朱色のスーツをめちゃくちゃにされかけたレナが弱々しく抗議する。 「す、すまねぇ」 あわてて手を離した圭一が、今度はゆっくりと手を掛けて一枚一枚、丁寧にはぎとっていく。 さきほど彼が太ったとレナをからかったが、確かに二〇年前の記憶の中のレナに比べれば肉がついた肢体が現れる。 しかし醜く肥えているのではなく女の色気を、最大限に押し出すような形でほどよくついた肉は、圭一の劣情をむわりと誘うのだ。 後はその肉欲にまかせてレナを貪るだけだった。 レナの艶めかしい声色が部屋を包むと、圭一は興奮に身を任せて勢いのたけを彼女にぶつけていく。 一度引き裂かれた絆が今になって再び、肉と肉の交わりという形で結ばれていくのだった。 「ねぇ」 「なんだ」 「なにも聞かないの?」 「野暮な事いうもんじゃない、今は今だ」 「ふふ、さすが圭一くん……」 やがてお互いを味わい尽くした後は、ゆっくりとシャワーを浴びて湯船につかると何事も無かったかのようにホテルを後にする。 しかし、どちらも美丈夫であるし、美女である。 レナを連れ添って出てくる圭一を舐めるように見つめる視線がまとわりつくが、気にせずバイクの駐めてあったところへ戻ろうとする。 そのまま歩を進めたが、しかし、 「け、圭一くん……あ、あれ、あれっ……!」 「なんだよレナ……うっ」 しきりに腕を引っ張るレナが視線を送る先に、見覚えのある人間が車へ乗り込もうとしていた。 「あいつは、まさかっ」 「鷹野三四……だよね」 「歳くっちゃいるが、間違いねえ。なんでこんなところに……いや生きていたのか!? レナ、お前の言ってた事は……」 「そんなことより圭一くん、追いかけなくていいの!?」 「あっ……く、くそ、レナ、バイクの後ろに乗れ! 悪いが、飛ばすぞ」 「う、うん!」 走り去った車を追いかけるため、圭一のバイクが始動する。エンジンが掛かると共に灯るヘッドライトが、獲物を射貫く眼のように輝いた。 アクセルを捻り、クラッチを乱暴につなぐとフロントタイヤを高々と上げて急発進する。 レナが振り落とされまい、と必死に圭一にしがみつく。 「待ちやがれぇっ!!」 爆音を上げて圭一のバイクが加速していく。 重さにしてわずか二〇〇キロ前後の車体をリットル級排気量のエンジンが押し出す力はすさまじく、まるでレーシングカーのごとき勢いで飛ぶ。 タイヤを横に滑らせて躍り出た道は、空いた幹線道路だった。遠くに見える鷹野の乗った車の方も相当なスピードが出ていたが、圭一のバイクはその倍近い速度で走り、あっという間に追いついてしまう。 だが、走っている以上はこちらよりも体の巨大な車を止める事はできない。ハリウッド映画のヒーローの様には、いかないのだ。 しかし圭一はあきらめることなく追走を続けると、やがて四方に他の車が増えてきて大きな交差点へと差し掛かる。 赤信号だった。 きちんと停車するのを見届けると同時に、圭一はバイクのサイドスタンドを蹴り出して停まると、ひらりと舞い降りた。レナがそれに続く。 もし、人違いだったらどうするか――。 その考えは圭一にも、レナにもなかった。車に乗り込む姿を見た瞬間、それが鷹野であると根拠もない確信があったのだ。 なんとも頼りない確信であったが、ほどなくして、それは実証されることになる。 鷹野の車に駆け寄った圭一は、運転席のドアをばっと開く。ロックは掛かっていなかったようだ。 いきなりドアを開けられて運転席の金髪の女は驚愕するが、圭一はそれを許す間もなく、彼女の胸ぐらを掴んで引きずり降ろし、べしゃりと地面に叩きつけてしまう。 辺りが騒然となった。それもそうであろう、傍目から見ればバイクに乗った男が突然、車のドアを開けてドライバーの女に暴挙に及んだようにしか見えない。 「おい、ちょっとあんた、何やってんだ!!」 多くの他のドライバー達は見て見ぬふりをしていたようだが、一人、勇気のある男が車から降りて圭一に抗議へ向かう。 だが、この勇気が逆目に出てしまう。後ろから、レナがひたひたと近づいていく。 「邪魔したら許さない……」 「あんた何だ……ウッ」 レナはポケットから取り出したナイフを、男の背に突きつけて脅しかけた。 圭一と交わしていた時とは一八〇度回って氷のような冷たさを含んだ声色は、男を硬直させるに十分であった。 そして圭一。 「鷹野三四だな……」 「ど、どうして私の名前を」 「やっぱりそうか……雛見沢の恨み、忘れやしねえ」 「まさか、あなた」 「そうよ、俺は前原圭一だ。あの晩以来だなぁ……!?」 「わ、私は何も悪い事はしてないわ! 誰かっ助けてちょうだい!!」 そう鷹野が叫んだ時、誰かが通報したのであろう。交差点の向こう側から御用提灯ならぬ、パトランプを十重二十重と光らせた緊急車両が現れると、こちらへ向かってきた。 そして瞬く間に警官が数人降りてくると、圭一達を取りかこむ。 「くそっ……!」 これだけの大通りで騒ぎを起こしたのだから自業自得なのだが、圭一が毒づく。その様を見てほくそ笑む鷹野。 しかし、すぐにその笑いはかき消されることになる。 「待て」 圭一を取り囲む警官たちの前に、ベージュの背広を着た中年の男と、それにつづいてよく太った老人が現れる。 「なんですか、公務執行妨害になりますよ!」 「私は……」 といって、警察手帳を見せる。 「公安部外事第二課の者だ。その連中は我々が確保する……すまんが、退いてもらいたい。苦情は公安部長が受け付ける」 「は……はっ、了解いたしました」 そういうと、警官の中のリーダーが「だから公安の連中は嫌いなんだ」といった表情を隠しもせず、しぶしぶ音頭を取って撤収作業に入る。 公安警察は、国民よりも国家の治安を維持するという性質上、一般市民はもとより、一般警察に対しても情報的に隔離されており、その構成員から扱う事件の内容にかけてまで、情報がやりとりされない事が多い。 ゆえに共同戦線が張られなかったり、場合によってはお互いが脚を引っ張ってしまう事もあり、一般警察の人間が公安部や公安課に対して、良い感情を抱いていない事は少なくない。 交通整理のために残った一部の警官達以外が撤収すると、公安の刑事……すなわち赤坂が組み合ったままの圭一と鷹野に近づいていく。 「赤坂さん……あんた、俺たちをつけてたな」 「……」 赤坂は答えなかった。 「ちっ、まあいいさ。しかし釣れた魚はでかかったな」 「放してちょうだい、私はただの一般市民よ」 「鷹野三四さんですね……あなたには内乱罪の被疑がかけられている。任意同行をお願いしたい」 赤坂はその細い両眼をかっと見開き、らんらんと輝かせて鷹野の瞳をのぞき込む。その迫力はまるで仁王のようであり、鷹野のような女でも萎縮させるに十分であった。 任意同行というが、事実上の無令状逮捕のようなものである。とはいえ一応は被疑者の同意が必要であるし、鷹野のような相手の場合、多少の脅迫めいた演技は必要であっただろう。 結局鷹野は折れて、赤坂と大石に連れられて用意されていた車に乗り込んでいく。 圭一たちはその後ろ姿をただ見つめているしかなかったが、途中で大石がふりむくと彼はにこやかに笑って見せた。 「いやぁ、ついに積年の執念が実りましたよ。まさか前原さんと竜宮さんが再会した夜に成るとは思いませんでしたがねぇ……ご協力、感謝しますよ」 「あんたも今は警官じゃねえだろ」 「ああ、そうですねぇ!! 私も単なる善意の協力者ってことで。はっはっは……しかし、今夜はちょっと、出来すぎているような気もしますがね」 「え?」 「いやなに、独り言ですよ……また、なにかあったら連絡します。竜宮さんを大切にしてあげてくださいよ? さっ、行きましょうか赤坂さん」 それだけいうと、赤坂と大石はさっさと車に乗り込んで行ってしまった。 後に残された圭一とレナに、夜の生暖かい風が吹きすさぶ。 「これで、終わったのか……?」 「私は難しい事は解らないけど……もしかしたら、鷹野さんも被害者なのかもしれないよ」 「なんだって?」 「仮にあの悪夢を引き起こした犯人なら、許せないけど……大石さんも言ってたでしょ、出来すぎてるって」 「ああ……」 「大災害が人為的なものなら、彼女のバックにはもっと大きな組織がついている可能性が高いもの。魅ぃちゃんや、みんなの本当のカタキがいるとしたら、たぶん、そいつらだと思うな。鷹野さんはその操り人形に過ぎなかった……」 「レナ……おまえ」 「ふふ、なんてね。私たちが今更あがいても、どうになる事じゃないよね。後は大石さんたちに任せよ」 そこまでいって、レナが一呼吸おいた。 そして、ふっと圭一に振り向いて微笑む。 「こんな事いったらあの世のみんなに恨まれるだろうけど……私は圭一くんが生きていてくれただけでも、幸せ……かな、かな」 「例えこれが間違った未来だったとしても、俺たちはそこに生きている、か」 「……うん」 「行こうぜ」 「行こうか」 圭一はエンジンが掛かってアイドリングのままだった愛車に跨って、レナを後ろに乗せた。 軽くアクセルを吹かすと、ウワァン……と、バイクは咆吼のようなエンジン音をあげて、闇夜に紅いテールランプの灯火を残して消えていく。 バイクが見えなくなっても未だ聞こえるそれは、さながら戦場で孤立した兵士をも奮い立たせる、勇壮な唄のようであった。 それが奏でられ続ける間、二人も強く有るはずであろう。 終
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悟史くんが目を覚まして数週間。 2年近く寝たきりだった悟史くんはまだまだ思うように身体を動かすことが出来ずベッドの上での生活だけど、悟史くんに話しかけて返事が返ってくる、そのことがすごく幸せに感じられる。 毎日診療所に通い、悟史くんとお話したり身の回りの世話をしたり… 病床に漬け込んで付きまとう私をうっとうしく思ってるんじゃないかという心配もしたけど、悟史くんは“そんなことないよ、詩音には感謝してるよ”と優しく笑いかけてくれた。 今はまだ親しい友人という関係だけど、私が望むような関係になれるのも時間の問題なんじゃないかという希望的観測をしている。 ただ一つ気がかりなことは、もし仮にこのまま悟史くんと恋仲になれたとしても、どうもその先…身体の関係に結びつきそうもないということだ。 なぜそう思うのか、それは悟史くんの性の知識に問題がある。 歳の近い圭ちゃんなんかと比べて、明らかに悟史くんはそっち方面に疎い。 まぁ圭ちゃんを引き合いにするのは妥当とも言えないけど… 悟史くんは圭ちゃんのような変態ではないので女の子の前でそんな話題をしようとしないのは分かる。 でも違う、話題を避けているだけでなく明らかに知らないのだ。 みんなでふざけて品のない話題がでた時、悟史くんは沙都子とまるっきり同じを反応をする。分かっててとぼけてるレナさんなんかと違う、あれは完全に分かっていない反応だ。 何より決定的なのは診療所で洗濯する下着。毎日のようにこびり付いているのだ、夢精の跡が、それはもうべったりと。 断言できる、悟史くんはオナニーをしていない。いや、オナニーを知らない。 私ももう高校生だ。好きな人と一緒にいたいってだけじゃない、性的な欲求だってある。 でもオナニーも知らない悟史くんと性的な関係を築く図がどうしても想像できなくて、募る欲求をうまく抑えられなくて… 正直に白状すると私は最近、葛西に頼んで欲求不満の解消を手伝ってもらった。 今でもそれを過ちだとは思っていない。恋愛の情とは違うけど葛西と繋がれたことは嬉しく思うし。 それでもやっぱり好きな人と心も身体も繋がりたいというのは女の子として当然のこと。 そしてそれはこのままの悟史くんでは到底無理なのだ。 ならば私が、悟史くんに人並みの性の知識と欲求を持ってもらうように仕向けなければ。 とは言っても、まず何をすればいいものか… いきなり悟史くんの病室で正しいセックス講座なんて開くわけにはいかないしなぁ。 あぁそうだ、まずはオナニーのこと教えてあげなきゃ。 このままじゃ悟史くんはほぼ毎日のようにパンツを汚してしまうだろう。 悟史くんも汚れたパンツ出すのは恥ずかしそうにしている。 でも自分で洗いにいく体力はないし、どうして汚してしまうのかも分からないんだろう。 うん、そうだ。そのことをさりげなく教えてあげよう。 朝、診療所が開くのと同時に私は悟史くんの病室にやってきた。 ここ数日、悟史くんのパンツは汚れていなかった。おそらく今日辺りは溜まっていたものが噴出してしまっているだろう。 ちょっとかわいそうだけど悟史くんの為だ、今日はそれを指摘してあげようと思う。 コンコン、まだ寝ているかもしれないから控えめにノックする。 「悟史くん?起きてますか?」 「あぁ、どうぞ詩音。起きてるよ」 「お邪魔します、悟史くん。よく眠れましたか?」 「うん、昨日はちょっと暑かったけどね。ちゃんと眠れたよ」 「それは良かったです。朝早くから押しかけちゃってごめんなさいです」 「ううん、いいよ。ここにいると一日中退屈なんだ。詩音が来てくれて話し相手になってくれると嬉しいよ」 「あはは、お役に立てて光栄です。それで早速なんですけど洗濯をしちゃおうと思うんです。 申し訳ないんですけど今着てるやつも洗濯に出しちゃってください」 「えぇ?今着てるのもかい?」 「はい。昨日は暑かったから大分汗かいたんじゃないですか?」 「う、うん、確かにぐっしょりだ。わかったよ」 悟史くんは患者用の寝巻きを脱ぎ始めた。キメ細かく透き通るように白いきれいな肌が露になる。 そのまま見ていたいけど、悟史くんに悪いので作業をして目を逸らしておく。 下の寝巻きは布団の中で脱いだみたいだ。腰から下は布団を掛けたまま、脱いだ寝巻きを私に差し出す。 「じゃあ、よろしく頼むよ」 「あ、悟史くん下着もですよ」 「し、下着はいいよ。昨日替えたし」 やっぱり渋ったか。 「汗かいたままだとよくないですよ。新しい下着で一日気持ちよく過ごさないと。すぐ新しいの用意しますから」 「む、むぅ…」 かなりしぶしぶだけど悟史くんは下着も脱いで渡してくれた。 悟史くんから受け取った下着は…うん、重い。やっぱり私の予想通り昨夜は夢精をしてしまったようだ。 よし。ここからが勝負だ。さりげなく、うっかり気付いてしまった風を装って… 「あ、あれ?」 下着の股間部分を持って私は言う。 「なんか、随分湿ってますね…」 「あ、う…、むぅ」 悟史くんは、真っ赤になって俯いてしまった。湿った部分の中をひっくり返し中身を確認する。 白濁した液体が下着を汚していた。 「さ、悟史くん、あのコレって…」 「む、むぅ…その、精液だと思う」 「…ですよね」 多分、おねしょだと勘違いされるのがイヤだったんだろう。悟史くんは真っ赤になりながらも、ごまかさずに答えてくれた。 少なくとも、それが精液だと言うことは知っているようだ。 「ご、ごめん。汚くして。どうも寝てる間に出ちゃうみたいなんだ…」 「いえ、気にしてませんから。その、聞いたことあります。夢精って言うんですよね?」 「そうなんだ?」 「え、えぇ。男の人は溜まると夜中に勝手に出ちゃうって。…あの、悟史くんて、その…ぉ、オナニーとかしないんですか?」 「えっと、おなにーって何だい?」 「ぁ、ぅんと、その自分で精液を出すんです。ホントにやったことないんですか?」 「う、うん。おかしいのかな?」 「普通は中学生くらいから男の子はみんなやるみたいですよ?圭ちゃんなんかもしょっちゅうやってます。」 あ、見たわけじゃないですよ。と付け加えておく。 「圭一も…そっか、知らなかったよ。でもそれに何か意味があるのかな?」 「い、意味は…まぁ色々ありますけど。そうやって自分で出しておけば、寝てる間に勝手に出ることもなくなるみたいですよ?」 「そっか、オナニーをしてなかったからいけなかったんだね。分かった、じゃあ今度からちゃんとオナニーするようにするよ」 あぁ、なんて純粋なんだろう悟史くん。こんな純粋な悟史くんにオナニーする宣言させてしまったことに 若干罪悪感を覚えるけど、彼のためでもあるんだからしょうがない。 このまま知らずにいても困るんだろうし。 「で、どうしたら精液が出てくるんだろう?」 うん、そっか、そうだよね。やったことなきゃ分かるはずもないか。 でもどうしよう、女である私が男の子のオナニーの仕方知ってるなんてエッチな子だと思われてしまうだろうか。 そんなにカマトトぶる気もないけど、言葉にするのはやっぱり恥ずかしい…いや、いまさらか? 多分悟史くんは気にしない、というより基準が分かってないから気付かない…かな。 「あ、えっと、本で読んだんですけど、擦るんだそうです」 「こする?何をだい?」 「ぅ、ぉ、おちんちんを、です…」 「むぅ、…擦るだけでいいのかな?」 「えーと、いやだめかな。そのまま擦るんじゃなくて…」 あー、もうしょうがない。やっぱり悟史くんには性の知識は皆無だ。 このままじゃ到底私が悟史くんに抱いてもらえる日なんて訪れないだろう。 もう恥ずかしがってはいられない。私が悟史くんを導いてあげねば。 「悟史くん、悟史くんはおちんちんが大きくなってしまうこと、ないですか?」 「ん、あるよ。朝起きたときとかは大きくなってる。」 「朝以外では?例えばその、エッチなことを考えてしまったりとか、エッチな場面を目撃してしまったりとか…そうゆう時に大きくなりません?」 「え、エッチな?…む、むぅ」 そんなに予想外の単語だったのだろうか?悟史くんは真っ赤なまま狼狽し、考え込んでしまった。 しばしの沈黙の後、悟史くんは口を開いた。 「そ、そういえば昔、いつだか忘れたけど、学校で魅音のスカートがめくれてパンツが見えてしまったことがあったんだ。あの時は、うん、たしかにちんちんがむず痒いような変な感じがして、…おっきくなってたんだろうね。ズボンの上からでもちんちんが分かりそうですごく恥ずかしかったのを覚えてるよ」 「そうそう、そうゆうのです」 うーむ、昔の事とはいえ悟史くんがお姉のパンツに欲情してたなんて聞くとなんとなく癪に障るな…。 くそ、今度腹いせに圭ちゃんのをおっきくさせてやる。 「あ、あと野球の試合のとき…あの時の魅音は多分詩音だよね?ほら、詩音とハイタッチしようとして僕、間違えて詩音の胸を触っちゃったじゃないか?詩音の胸すごく大きくて柔らかくて、初めての感触でさ、すごいドキドキしたらちんちんも大きく堅くなっちゃって…。しばらく元に戻らなくて大変だったんだよ」 「ぁ、ぅ、そ、そうだったんですか…」 さ、悟史くん、私の胸でおっきくしてくれてたんだ。 さっきはお姉に悪態ついたけど、いざこう言われると、かなり恥ずかしい。まぁ、そりゃ嬉しい、けどさ。 「あ、ご、ごめん恥ずかしいこと思い出させちゃったかな?」 「ぃ、いえ、全然。…コホン、まぁそうゆう風にですね、エッチなことでおちんちんを大きくしてから擦るんだそうです。さらに擦りながらもエッチなことを考えた方がいいみたいですよ」 「えっちなことを考えて、大きくする…?」 「そうです、さっきみたいなエッチなシーンを思い出したり、女の子の裸を想像してみたりしながら擦ってればそのうち精液が飛び出してきますから」 「うん、そうか。でも、勝手に裸とか想像したりしたらその子に悪いんじゃないかな?」 「あ、うーん、まぁ、確かにそうゆうの嫌がる女の子もいますけど…でも普通そんなこと気にしないです。どうせ分からないんだし。悟史くんてホント律儀ですねぇ」 「む、むぅ、そんなことないけど。でもやっぱりそんなこと勝手に想像するのは申し訳ないよ」 悟史くんはいい案だったけど実現不可能だとでも言うような雰囲気で俯いてしまった。 勝手に想像できないって、許可でも取るものだと思っているのだろうか。 つまり許可があれば安心して想像できるのかな。 「…その、例えば、わ、私なら想像してもかまわない…ですよ。」 「…え?えと…し、詩音?」 あぁぁ、私何馬鹿な事口走ってんだ。引かれた。絶対引いたよね悟史くん。 どうぞ私の裸想像してくださいって言ったようなもんじゃないか。バカ詩音、どうする?なんとか誤魔化さないと。 「…な、なーんて私のなんて想像しても面白くないですよね。ははは。その、気にしないでください例えばってだけなんで。別に許可なんていらないんですから悟史くんの好きな子を勝手に想像すればいいんですよ。そうだほら、レナさんとかどうですか?レナさんも別に気にしないと思いますし。あとは梨花ちゃまとか。梨花ちゃまは巨乳に想像しないと怒るかもですけど…。あ、沙都子は駄目ですよ沙都子は。あは、あははは」 「あ、いや、あの詩音がそう言ってくれるんなら僕は詩音の裸を想像することにするよ」 「ぁう。さ、悟史くん。別に無理してくれなくていいんですよ?ホントに、悟史くんの好きなようにすれば」 「うん、だから僕の好きなようにするよ。僕は詩音の裸を想像したい。詩音、僕が想像してもいいかい?」 「あ…は、はい。どうぞです…」 悟史くん、私を想ってオナニーしてくれるんだ…。単なる社交辞令かも知れないけど。 いや、悟史くんのことだからホントに、許可を取ってない女の子のことなんて想像できないだろう。 きっと律儀に許可を得られた私のことだけをオカズにしてオナニーするはず。悟史くんはそういう人だ。 …見てみたい。悟史くんが私をオカズにしてオナニーするところ。 「あの、悟史くん。今、一度試してみますか?」 「い、今!?オナニーをかい?そ、それはさすがに恥ずかしいよ」 「布団の中ですれば見えないから大丈夫ですよ。ちゃんと正しく出来てるか教えてあげられますし」 「む、むぅ…むぅ。た、確かにみんな普通にやっていることならちゃんとできなきゃまずいのかな。一度ちゃんと教えてもらった方がいいって気もするけど…でも」 悟史くんは腕組みをしながらうんうん唸っている。 さすがにコレは無理だろう思って聞いてみたことだったけど、悟史くんは真剣に悩んでいるようだ。 「し、詩音が嫌じゃなければ、指導してもらおうかな…」 「私は嫌じゃないですよ。じゃあその、悟史くん頑張りましょうね」 「う、うん。よろしく頼むよ」 わ、わ。ホントにいいんだ。悟史くんここでオナニーしてくれるんだ。 好きな男の子がオナニーするところ目の前で見学できるなんてすごい出来事だ。 逸る気持ちを抑えて一つ咳払いをする。 「コホン、えと、まずは…」 まずは服を脱いでもらおうと思ったけど、気付けば悟史くんはさっきから布団の中で全裸のままだった。 結局グダグダ話してて私が替えを用意してあげなかったせいだ。まぁ脱ぐ手間が省けて結果オーライか。 「服は脱げてるんで、さっき言ったようにエッチなことを想像してみてください」 「うん、わかった」 悟史くんの視線が私の全身に注がれる。 頭のてっぺんからつま先まで下ると、悟史くんは深く呼吸をして視線を胸に釘付けた。 おそらく悟史くんの頭の中で私は上半身の服を脱がされブラジャーを取り払われているところだろう。 そう考えていると体がかぁっと熱くなるのを感じる。 私の胸はどんな風に想像されているんだろう。 今後実際に見せるようなことになったとして、想像と違くてがっかりされたりしないだろうか。 そんないらぬ心配をしている間に悟史くんの視線は私の下半身へと移ってゆく。 あぁ、分かる。今まさに私が一糸纏わぬ姿とさせられたのが。 だって薄い布団越しに股間の隆起がはっきりと見て取れるから。 恥ずかしさで金縛りにあったみたいに身体が動かない。 けど何とか気持ちを落ち着かせ私は次の指示の言葉を搾り出さねば。 「―――そしたら、ぉ、おちんちんをそっと擦ってみてください」 「ん…」 悟史くんは股間に手を伸ばし、ぎこちない手つきでそれを擦り始めた。 あぁ、でも違う。さすが悟史くんだ。 当然握って擦ると思っていたが、悟史くんは掌で上から撫でている。 「そうじゃなくて、その…」 勝手に見たり触ったりしては申し訳ないので、私は彼の布団の中に手をいれ、彼の手をソレを握るように誘導する。 「こうやって握って、上下にそっと…そう、そんな感じです」 ゆっくりと撫でるような擦り方だけど、初めての悟史くんにはそれだけで十分な刺激だったようだ。 「あ…なんだか、コレ不思議な感覚だね。んぅ…」 快感を感じているのだろう。ただ恥ずかしそうだった悟史くんの表情は恍惚としたものに変わってゆく。 「気持ちいいですか?」 「ん、うん。多分これは…気持ちいいんだと思う、んっ、はぁ」 「悟史くんが気持ちいいと感じるように徐々に強く擦っていってください」 そんなこと言わなくてもこの頃になると悟史くんは、自分で更なる快楽を求めて陰茎に強い刺激を与え続けている。 息は荒くなり、時折くぐもった声が漏れる。その間中、悟史くんの視線は私の身体に注がれたままだ。 初めは胸と股を行ったりきたりしていた視線も、今や股ぐらに集中して離れない。 悟史くんの視線を受け、その彼の大事なところが快楽に溺れている様子を目の当たりにすると私自身のソコが彼を悦ばせているような錯覚に陥り、いやらしくヒクつくのを感じた。 「ぅ、はぁっ、はぁっ…」 腕の動きが早くなり、悟史くんは快感に喘ぐ。 あぁ、彼と快感を共有できないのがもどかしい。 「はぁっ……あっ、あっ、あっ!」 悟史くんは突如前屈みになって大きく目を見開いた。 しまった!私が惚けている間に彼はもう絶頂間際だ。そのままでは布団を汚してしまう。 「悟史くん待って!」 「あっ…あぁぁぁぁぁっっ!!」 慌てて彼に駆け寄り、彼の股間から布団を引き剥がしたが手遅れだった。 勢い良く飛び出した白濁液は布団に飛び移り、さらに勢いの収まらないソレが辺りに撒き散らされる。 まずった、後処理のことをすっかり失念していた。正しく教えるとか豪語しといてなにやってるんだ私は。 おまけに悟史くんの大事なところ勝手にしっかり見ちゃったし。 それも射精する瞬間という、おそらくもっとも恥ずかしい場面をだ。 初めて見た悟史くんのソレはなんてゆうか、うん、結構小さい方だとおもう。 アダルトな雑誌に出てる人や、葛西のものみたいな太くて逞しい肉棒っていう感じではなく、小さい子が精一杯背伸びして胸を張ってるような。 男の子はペニスが小さいのを気にするのかもしれないけど、私は悟史くんのがコレでちょっと安心した。 別に太いのを入れられるのが怖いっていう意味じゃない。 こんな可愛い悟史くんに自己主張の激しいグロテスクな逸物が付いていたらなんか嫌だからだ。 彼同様にいとおしくなるような可愛らしいペニス、萎えていく様子が可愛くてついじっくりと見入ってしまった。 女の子に間近で股間を凝視されているという状況もかかわらず、彼はソレを隠そうとする様子もない。 初めての絶頂の余韻にすっかり惚けてしまっているようだ。 肩で息をしながら、ぼんやり天井を眺めている。 私はベッド際においてあったティッシュBOXに手を伸ばし、悟史くんの飛び散らした液を丁寧にふき取っていく。 「ごめんなさい、悟史くん。ちゃんと教えるって言ったのに、布団を汚させてしまって」 「ぅん…あ、ご、ゴメン詩音。僕また汚しちゃったね。あぁっ、詩音の顔にも付いちゃってる、ゴメン汚いのに」 え?あぁ、本当だ。私の顔と髪にもベットリしたものが付いている。 「い、いえ私がちゃんと教えなかったから悪いんです。えっと、今更になっちゃいましたけど、イキそうになったら…ってわかります?最高に気持ちよくなって、精液が出てきそうっていう感じになったらティッシュか何かで受け止めるんです」 「うん、わかったよ、ごめんね」 「今回のは悟史くんのせいじゃないですってば」 そう言いながら私は自分に付いたものもティッシュでふき取った。 コレが付き合ってて初Hの後とかだったら、顔に付いたのを舐めて汚くないですよアピールしてあげてもいいんだけど。 付き合ってもない女の子にそんなことされたら多分引くだろうから自重しておく。 「…それにしてもオナニーってすごく疲れるんだね。でも、なんていうか…すごく気持ちよかった、かな。あんな感覚初めてだったよ。」 相変わらず惚けた表情のまま悟史くんはつぶやく。 だいぶ疲れたようだ、病み上がりなのにちょっと無理させてしまったかもしれない。 「男の子はみんなオナニー大好きですからねぇ。いままでしてなかったのが悟史くんぐらいなものですよ。」 「む、むぅ…でもみんながしたがるのなんか分かったよ…これは、ちょっと病み付きになりそうだ。」 「悟史くんー、でもオナニーばっかりしてちゃ駄目ですよ。あ、あと間違っても人にオナニーしてるなんて言っちゃ駄目ですよ。」 「えぇ?やっぱりコレちょっといけないことだったんじゃないかい?」 「ぅと、まぁいけなくはないですけど、恥ずかしいことではありますねぇ。」 「むぅ…それを詩音の前でするなんて…僕は今日とんでもなく恥ずかしいことをしたんじゃ…ないかと…思ぅ……」 「悟史くん?」 目蓋が落ちている。口元からは小さな寝息が聞こえた。疲労と絶頂による虚脱感とで眠くなってしまったようだ。 全裸のままではすぐ風邪を引いてしまうだろう。私は急いで着替えを用意し、下着と寝巻きを着せてあげた。 布団も汚れたから別のに替えて洗濯しなくては。 洗濯ものをまとめて病室を出る前にもう一度悟史くんの顔を見る。 無垢な寝顔をみると、幼い子を騙していたずらしたような、そんな気になってちょっぴり良心が痛む。 「ごめんね、悟史くん。おやすみ」 額に軽くキスをして、私は病室を後にした。 さてと、今日は絶好の洗濯日和だ。 -
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「悟史くんが目を覚ましましたっ!」 監督の、そんな嬉しそうな報告を聞いてから約一週間が経った日。その日も、私は悟史くんの病室へ看病に来ていた。 「悪いね、詩音。毎日わざわざ来て貰って」 ベッドに寝ている悟史くんが言う。 「良いんです! 病人は余計な事を言わない!」 私はベッドの傍らの椅子に座り、リンゴの皮を剥いていた。 「でも、詩音も学校とかあるんだろ? そっちの方は大丈夫なのかい?」 「大丈夫です! 病人は余計な心配をしない!」 学校は、このところずっと休んでいる。しかし、今の私にとって、悟史くんの看病以外に重要な事など、この世界にありはしない。 朝自分の家で起きて、診療所へ看病に行き、そしてまた自分の家へ戻って休む。単調な生活だが、私はそれが出来る事をこれまでずっと待っていた。だから、今の生活に何の不満も持っていない。むしろ、幸福を感じているくらいだ。 「不良だなぁ、詩音は」 「ん~? 私が不良なら、何年も学校を無断欠席していた悟史くんはどうなるんです? さしずめ、番長ですかぁ?」 「む、むぅ」 彼は、困ったようにお決まりの台詞を呟いた。この可愛らしい彼に、番長なんて肩書きは似合わなすぎるな、と自分で言って思った。 「さ、リンゴが剥けましたよ。悟史くん、口を開けてください」 一欠片のリンゴをフォークに刺し、私はそれを悟史くんの前に差し出す。 「い、いいよ。それくらい、自分で食べられるから」 そう言って、彼はフォークを自分で掴もうとする。私はそれを避けるように持っているフォークを動かす。そして、二人で揉み合う形になった。 「強情ですね悟史くんは。昨日もそう言って夕食全部自分で食べちゃったじゃないですか」 「あ、当たり前だろ。手が使えない訳じゃないんだから」 「悟史くんの都合なんて関係ないです。私が悟史くんに食べさせてあげたいんですから」 「な、なんだよそれ」 このようなやり取りもまた、私にとって嬉しい事だった。いや、悟史くんと会話できている事、悟史くんとふれ合っている事自体が今の私にとって嬉しい事なのだ。 一週間前までは、そんなことすら出来なかった。私には、ただ悟史くんを見ている事しかできなかった。その悲しい過去が、今この瞬間の幸福を更に大きく私に感じさせるのだ。 「さぁ、そろそろ観念してください、悟史くん」 そう言って私は片手で悟史くんの両手を押さえつける。 「くっくっく。これでもう、無駄な抵抗は出来まい!」 「む、むぅ!」 尚も抵抗する悟史くんの口に向け、私はゆっくりとフォークを近づけた。 「あっ」 私と悟史くんは同時に声を上げる。悟史くんの抵抗が予想以上に大きかったため、フォークをベッドの上に落としてしまったのだ。フォークは、私が座っている場所の反対側へ転がる。 「あちゃ~。ごめんね、悟史くん。今取りますから」 そう言って、私は椅子から立ち上がり、フォークを取りに体を伸ばした。と、その時私の足に何かが引っかかった。そして、それによりバランスを崩し、私は悟史くんに向かって思いっきり倒れかかってしまった。 「ご、ごめん。大丈夫、悟史くん?」 「へ、平気だよ」 悟史くんはそう言ったが、何処か様子がおかしかった。目を明後日の方向へ向け、顔を少し紅潮させている。 「どうしました、悟史くん?」 私が聞くが、悟史くんは何も言おうとしない。ただ、何かに対して慌てた様子だった。 不思議に思い、私は周囲に目を回す。すると、その原因はすぐに見つかった。 胸だ。私の胸が、悟史くんの膝に当たり、つぶれているのだ。だから、悟史くんは恥ずかしそうに顔を赤らめているのだろう。 私は、悟史くんが急に愛おしくなった。彼が、私を女の子として見てくれている事が改めてわかり、嬉しかったからかもしれない。もしくは、女性の胸が触れたくらいで大慌てになる彼の可愛らしい様子に、私の中の何処かが引っか かったからかもしれない。 私は、悟史くんの目の前まで顔を近づけた。悟史くんが、驚いたような表情をする。 「詩音……?」 「ごめんなさい悟史くん。私もう……」 言って、私はベッドの上の彼に体全体を預けるように倒れかかる。そして彼の口元へ向かって、私の唇を徐々に近づけていった。 「ん……」 二つの唇がふれ合う。最初、悟史くんは驚いたように全身を強ばらせた。しかし時間が流れるにつれ、力が抜けてゆく。そして、最後には私の背中に手を回し、優しく抱いてくれた。 それはつまり、悟史くんが私を受け入れてくれたという事。それを理解し、私の心の中は幸せで満たされ、彼と唇で繋がっているこの一秒一秒を、私は深く噛みしめた。 しばらく経って、私たちの唇が一旦離れる。私も悟史くんも、顔を真っ赤にしていた。私の心臓がドキドキと鳴る。そして、悟史くんの心臓の鼓動も、抱き合っている私の体に激しく伝わってきた。 「私……悟史くんが好きです」 胸に詰まったこの思いを、私はそっと彼に向かって言った。 悟史くんはにっこりと笑う。 「僕も……君の事が好きだよ、詩音」 そう言って、いつかのように私の頭を優しく撫でてくれた。 ――思いが伝わった。ずっとずっと伝えたくて、ずっとずっとその瞬間を待っていたこの思いが、悟史くんに伝わった。 私の中に幸せが巡る。もう、絶対に悟史くんを手放さない。もう、絶対にあんな悲しい思いはしない。そう思いながら、私はその幸せを全身で感じていた。 いつの間にか、瞳から涙がこぼれた。でも、私はそれを拭おうとはしなかった。だって、これは幸福の涙だから。あの時流した悲しい涙とは違う、永遠に流す日は無いと思っていた涙だから。だから、それを拭うと目の前の幸せが壊れてしまうように感じて、私はただポロポロと大粒の涙をこぼし、悟史くんの胸を濡らした。 悟史くんが心配そうにこちらを見つめる。だけど、少ししてすぐにそれは優しい笑顔に変わった。そして、再び私の頭を、そっとあやすように撫でてくれた。伝わったのだ。この涙が、悲しみにあふれた涙でない事を。拭う必要の無 い涙である事を。 しばらくして、涙が止まる。そして、再び私は悟史くんが愛おしくなった。 もっと、悟史くんとふれ合いたい。もっと、悟史くんを感じたい――。そんな思いが、涙の代わりに私の中でいっぱいになった。 「ん……」 自然と私たちは再び唇を重ねていた。でも今度はさっきと少し違う。ちょっと大人な、深い口づけ。 「くちゅ……ん」 ベッドの上でお互いに強く体を抱きしめながら、獰猛な獣のように私たちは互いの唇を求めた。私と彼の口の間では二人の唾液が混ざり合い、そして小さく水音をたてる。私たちは、その音を欲しているかのように、執拗に互いの舌と唇を舐め合った。私は、その中で確かに悟史くんの味を感じたような気がした。 どれくらい時間が経ったのだろう。いつしか、私たちは塗れた唇を離し、恍惚とした表情で見つめ合っていた。長い長いキスだったからだろうか、私たちの呼吸は少し荒い。 と、その時、私の内股に何か硬いモノが当たった。何だろうと目を落とすと、ソレは悟史くんの股間部にあった。 「……悟史くん。雰囲気ぶちこわし過ぎですよ」 「ご、ごめん……」 本当に悪い事をしたかのように悟史くんは謝罪した。しかし、私は悪い気分ではなかった。悟史くんが、私の体で快感を得てくれた事が嬉しかったのだ。 そして同時に、もっと悟史くんに快感を与えてあげたいという感情が、私の中に芽生えてきた。 「悟史くんって、もうどれだけオナニーしてないんですか?」 私の直球的な質問に、悟史くんは狼狽える。 「……え? ……ぇと、ここに来てから、ずっとかな……」 耳を澄まさなければ聞き漏らしそうな声で、悟史くんは言った。 「へぇ、そうなんですか」 つまり、それだけの精子が悟史くんのここには溜まっているのか。まぁ、それも当然だろう。寝たきりで自慰行為をしていたなら、さすがに驚く。 「じゃあ、今日は私が出させてあげますっ☆」 「えっ!? で、でもこんな所で……」 「安心してください。今日は休日だから、この診療所には私と悟史くん以外誰もいません。監督も、悟史くんの事は全面的に私を信頼してくれていますしっ」 「でも、だからって……」 この期に及んで尚も渋る悟史くんに対して、私は実力行使を行った。 「うっ……!」 「言っておきますけど、悟史くんの本心はバレバレですよ? さっきキスしたとき、やけに強く私の体を抱きしめてきましたよねぇ?」 言いながら、私は彼の股間部をゆっくり、しかし激しくパジャマの上から手の平でなで回した。それに反応して、悟史くんのアレがビクビクと痙攣するのが、直に手に伝わってくる。撫でるだけでこんなにも反応するとは、やはり相当溜まっているらしい。 「出したいんですよねぇ?」 上目遣いで、悟史くんの目を見つめた。彼は苦悶の表情を見せている。だが、その更に奥にある、快感への悦びの表情を、私は見逃さなかった。 もう抵抗するのは無駄と思ったのか、悟史くんは目を背けながら小さく頷く。それを境に、私は手の動きを止め、彼のズボンとパンツを脱がしにかかった。 そうして、私の前に彼の陰部が露出される。少し小さめながらも硬く反り返っているソレは、皮に包まれた先端から粘り気のある液体が流れており、更に全体からむせ返るような男の子の臭いを出していた。さきほどの刺激がまだ残っているのか、時折ビクビクとその身を跳ね上がらせる。 「凄いですね、これ……」 実際に見るのは初めてというのもあるが、ソレの凄まじい様子に、私は少し驚いた。 「……は、はは」 悟史くんは苦笑いをする。恐らく、悟史くんもこういった形で他人に見られるのは初めてなのだろう。どう反応すれば良いのかといった感じだ。私も、これをどう処理すればいいのかわからないでいた。 「悟史くん、どうして欲しいですか?」 わからないので、聞いてみた。 「さ、さぁ……」 そして、沈黙が訪れる。どうしよう。このままでは埒があかない。 「ん~……、えぃっ☆」 なんとなく、指で先端を弾いてみた。 「痛っ! い、痛いよ詩音……!」 悟史くんが苦しそうに言う。どうやら、本気で痛いらしい。 「ご、ごめんなさい」 予想以上に痛そうだったので、私は慌てて謝った。そこまで敏感なのかコレは。どうも、扱いづらいなぁ……。さっき撫でたときは気持ち良さそうだったのに。 「じゃあ、これはどうですか?」 そう言って、私は悟史くんのソレを右手で包み込むように握った。硬い感触が手のひらに伝わった。 「あ、あぁ、うん、今度は大丈夫……」 悟史くんは、少し顔を赤らめながら言う。 しかし、まだ快感はほとんど得ていないようだ。このまま握っていても、射精に至る事は難しいだろう。……確か、こういう時は上下に動かせばいいはずだ。 私はいつか興味本位で見たビデオを頭の中で再生させながら、その通りに手を動かした。先端の辺りを包む皮が、上下にスライドする。 「うっ……」 悟史くんがうめき声を上げる。しかし、嫌がっている様子はない。多分、これで正解なのだろう。 「き、気持ちいいですか悟史くん?」 恐る恐る私は訊いた。 「……はぁ、……っ……ぁ、う、うん」 悟史くんは顔を真っ赤にし、更にかなり呼吸が乱れている。苦悶と悦びに満ちたその表情からは、これがかなり気持ちいいのだという事が、考えないでも伝わってくる。 その反応が面白かったので、私は上下する手に更なる力を加えた。グチャグチャと悟史くんのソレの先端から溢れる汁が音を鳴らし始めた。その汁の量に比例するかのように、悟史くんの呼吸が更に乱れてゆく。 「はぁっ……ぁあ、……ぅっ、……し、詩音……で、出ちゃう……」 しばらくして、悟史くんが必死の形相で何かを訴えてきた。 「へ、何です?」 私はそれがよく聞き取れず、悟史くんに聞き返す。が、悟史くんからの返事は、乱れた呼吸と喘ぐような声が混じったもの以外、何も無かった。私は不思議に思いつつも、右手を更に強く動かす。 「……うっ!!」 そんな声が聞こえ、悟史くんの体が大きく揺り動いたと思った瞬間、私の持っているソレがビクビクと痙攣し、そして先端から何かが吹き出した。 「ひゃっ!」 私は思わず悲鳴を上げる。吹き出した何かは、凄まじい勢いで辺りに散らばり、ベッドの上のシーツ、そして私の顔や服に降りかかった。 「こ、これが、精子ですか……?」 頬についたその液体を指で拭いながら、私は呆然と呟いた。指に、ヌルヌルとした感触が伝わる。それは白い色をしていて、指で弄んでいると、糸が引くほどの粘着性を持つ液体だった。 辺りを見回す。シーツや布団は悟史くんの出した精子に濡れ、グチャグチャになっていた。よく洗濯しないと、もう使えそうにない。私自身も、顔だけでなく髪にも大量にかかっており、また、服は胸の辺りを中心に濡れ、薄い生地だったため、液体の冷たい感触が地肌にまで伝わってきた。 そして、悟史くんの問題のソレは、射精を終えて満足したのか、先端から少しの液体を流しつつ、勃起していたさっきとは見違えるほど小さく萎み、腿の辺りに倒れ込んでいた。 「悟史くん、出し過ぎですよ……」 少なくとも、私が以前に見たビデオの男優より、二、三倍は出している。 「ご、ごめん、つい……」 心底申し訳なさそうに悟史くんが言った。かなり疲れた表情をしている。男性にとって、射精とは結構エネルギーを使う行為らしい。 周囲には、精子独特の生臭い空気が漂っていた。さっき悟史くんのアレから出ていたのと似たような濃い匂い。これが、男の子の匂いというもの何だろう。 トクン、と心臓が高鳴った。その臭いの発生源が自分の体にべったり付着している事を意識すると、体の奥底から燃えるような何かが込み上げてくるのを感じる。これは、いったい何なんだろう……? 「もぅ、服がべちゃべちゃじゃないですか」 そう言いながら、私は着ている服を脱いだ。精子で濡れてしまったからというのは勿論だが、脱がなければ体が火照って仕方が無いという理由もあった。 あの燃えるような何かが、私の体を熱くさせるのだ。それはまるで、あの何かに服を脱がされたような気分だった。 上半身に纏っている物はブラだけとなった。しかし、さきほどの暴発はよほど凄まじかったようで、悟史くんの精子はブラにも染みこんでおり、更に少し露出している私の乳房の谷間も濡らしていた。だというのに、まだ体は熱い。 本当に、何なんだろう……。 ふと、悟史くんの視線を感じた。不思議に思い、こちらから目を合わせようとすると、彼は目を明後日の方向へ動かす。 「どうしたんです、悟史くん?」 「い、いや……」 彼は気まずそうに何かを誤魔化した。しかし、彼のある部分の変化から、彼が何を見ていたのか見当は付いた。 「悟史くん、私の胸、気になりますか?」 悟史くんは顔を真っ赤にして、何も答えない。私にはその様子が滑稽で仕方がなかった。なぜなら、彼は必死に自分の本音を隠そうとしているが、彼の股間部は元気そうに堂々と勃起しているのだから。 「くすくす。悟史くん、おっぱい好きなんですね」 私は笑いを堪える事が出来なかった。 もう、隠すのは無理と観念したのか、悟史くんは頭から湯気が出そうな程顔を赤くしつつ、ゆっくりと頷く。そんな彼の様子を見て、私は自分の体が更に熱くなるのを感じた。 「じゃあ、良いことしてあげます」 そう言って、私はブラを取り去った。これでもう、私の上半身を隠す物は何もない。二つの乳房が――自分でも大きさと形に自身を持っている――、悟史くんの前にさらけ出された。 悟史くんが生唾を飲んだのが、私からもわかった。私は、その様子に笑みをこぼしながら、体を悟史くんの股間部の前、足の間に挟まれているような形に移動する。そして、ゆっくりと体を下げ、二つの乳房を悟史くんのアレの目の前まで持っていった。悟史くんは、何処か期待に満ちた表情でその様子を見つめていた。 「ぇっと、確かこうだったかな」 そう言って、私は二つの乳房を両手で持ち上げる。そして、悟史くんのアレをその中心で挟むように飲む込んだ。これも、ビデオから得た知識である。 「……う」 瞬間、悟史くんが声を上げる。射精したばかりで、まだ彼のソレはこの程度の刺激にも敏感なようだ。悶える彼の様子は、少し可愛らしかった。 「ふふふ、動かしますね?」 言って、私は悟史くんのソレを更に強く挟み込む。そして、上下に擦りつけるように動かした。私の胸の中心で、悟史くんの勃起したソレがビクビクと反応するのを感じた。 「うっ……ぁ」 悟史くんが、熱い吐息を漏らす。私は上目遣いでその様子を見ながら、手と乳房を動かした。 しかし、少し思うようにいかない。何というか、所々で引っかかってしまい、うまく悟史くんのソレを擦る事が出来ないのだ。どうやら、乳房にかかった精子と私の汗だけでは、潤滑油としてはまだ足りないらしい。 「……ん」 そこで、私は唾液をたっぷりと口の中に溜め、それを悟史くんのソレの先端部分にかけた。唾液は私の口から糸を引いて落ち、狙い通りに悟史くんの尿道口の辺りを濡らす。 「……し、詩音?」 ビクッと悟史くんの体が反応した。男性器の先端は、特に敏感だという事をどこかで聞いた事がある。大きな塊となって落ちた私の唾液は、悟史くんのソレに結構な刺激を与えたようだ。 私は、先端から竿の部分に垂れ落ちた唾液を、自分の乳房で全体に馴染むように伸ばした。ネチャっと音を立て、途端に私の乳房と悟史くんのソレの間の滑りが良くなる。これなら、もう少し強めに擦っても大丈夫そうだ。 グチャグチャと、卑猥な音が室内に響いた。私の乳房は、悟史くんの精子や先走り汁、そして吹き出た私の汗や、唾液に塗れ、艶やかな光を発した。その中で、悟史くんのソレは嬉しそうに溺れている。 ――悟史くんと私の出した体液が、混ざり合っている。そう考えると、自分の中の熱い何かが、更に熱を帯びた気がした。 「はぁ……、どうですか悟史くん。ん……気持ちいいですか?」 いつの間にか、私も息を乱していた。体が、熱く上気して仕方がないのだ。 「ん……あっ……ぁあ、……はぁあ、……う、うん……、良いよ、詩音……はぁ」 そして、私以上に悟史くんは荒い息を吐き乱す。それに呼応するかのように、私の胸の中で彼のソレは、狂ったようにビクビクとはね回る。 「……ん、はぁ……じゃあ、これはどうです?」 言って、私は既に硬くなっている自分の乳首で、彼のソレの先端部分を小突いた。 「うぁあっ……!」 それがあまりに新鮮な刺激だったのか、悲鳴のような声を上げながら悟史くんは急に体を反らす。私はそれを押さえつけるように、更に両手に力を込めた。 「……あぁっ! う、……し、詩音。もうだめ、……また、出る……よ……あぁっ!」 「はぁ……、良いですよ。……思いっきり、出してください……!」 私は、上下させる乳房に限界まで力を込める。いち早く、悟史くんを射精に導きたかった。それは、もはや悟史くんへの奉仕心からではない。悟史くんの出す精子を、彼の欲望が詰まった液体を、一秒も早く私の熱を帯びた体が欲し ていたのだ。 「ぁ……っ! 出る……っ!」 瞬間、これまでになく悟史くんのソレがビクビクと痙攣するのを感じた。そして、彼の体が私を跳ね飛ばしそうなくらい反り上がったかと思うと、ソレの先端部分から再び白い液体が、火山が噴火するときのように吹き出した。 その量は、さきほどの比ではなく、私の顔や髪や乳房、もはや全身に近い部分が彼の熱い精子によって汚された。 「はぁっ……! はぁっ……!」 悟史くんは、呼吸困難に陥ったかのように必死に酸素を求めて喘いでいた。 対称的に、彼のソレは、役目を終えたかのように静かに萎れ、動くとすればたまにビクリと痙攣して、先端からまだ残っている精子を吹き出すくらいだった。 指に付着した彼の精子を、舌で舐める。それは、全くの無意識的行動だった。自然に、私の体が彼の精液を得る事を欲したのだ。 味は、苦いような甘いような、よくわからない味だった。だけど、その奥底から確かに悟史くんの味を感じる。これは、私の好きな人の精子。私の好きな人が、快感の果てに出した体液――。 もっと欲しい。彼の体液を、もっと感じたい。こんな風に体にかけるだけじゃない。私の中に、直接入れて欲しい。そんな考えが、私の中をいつの間にか熱く支配していた。 「悟史くん、……まだいけますよね?」 私は訊いた。しかし、悟史くんは自分の呼吸を落ち着けるのに精一杯で、私が何を言っているのかも理解できていないようだった。 ……だけど、それでも構わない。例え悟史くんの返事がノーだったとしても、私の体に湧き上がる欲求は、既に抑えられそうにないほど膨れあがっていたからだ。 私は精液がべったりと付着した自分のスカートを脱ぎ、更にその下に履いていた下着も脱ぎ去った。つまり、全裸となった。悟史くんは、そんな私の姿をボーッと見つめている。思考も呼吸も、まだ落ち着かないらしい。 私は、そんな悟史くんの股間部に手を伸ばす。手に取ったソレは、さっきまで私の胸で溺れていたモノと同じモノだとは思えないほど小さく、そして柔らかい。 私は立ち上がって悟史くんに跨るような格好となり、だらしなく萎んでいるソレを無理矢理自分の股間部へとあてがった。私の股間部は、既に自らの出す液体でグチャグチャに濡れていた。 「え……、詩音……?」 そこでようやく目の前の状況が理解できたらしい。悟史くんは、慌てたように声を上げる。 「……ごめん悟史くん、私もう我慢できません」 言って、私はまだ柔らかい悟史くんのソレを、自らの中へ一気に挿入した。 その瞬間、鋭い痛みが私の体を貫く。 「し、詩音……大丈夫かいっ?」 結合部から流れる鮮血を見て驚いたのだろう。悟史くんは、心配そうに言ってくれた。 「だ、大丈夫です……」 破瓜の痛み。でも、私はそれに怯まなかった。そんな傷みより、悟史くんと繋がったという悦びの方が、遙かに大きかったからだ。 私は、ゆっくりと体を上下させ、いわゆる騎乗位の形で行為を開始した。 「……う」 悟史くんが呻く。行為を開始して数秒も経たないうちに、悟史くんのソレが私の中で硬さと大きさを取り戻しているのを感じた。それにつれて、膣を通じて私に伝わる快感も大きくなってゆく。 「はぁっ……さと……し、くん……ぁっ」 「し、……しおん……はぁっ……あぁ……」 息を乱しながら、私たちはお互いの名前を呼び合った。病室内には、私たちの声と、結合部の粘着音以外、何も聞こえない。そんな卑猥な空間が、私の体を大きく燃えたぎらせる。そして今頃に、その熱い何かの正体に気付く。そう、それは悟史くんの体を求める、私の興奮の炎だった。 「んあぁっ……はぁっ……」 膣内で、悟史くんのソレが激しく擦りつけられる。そして、擦りつけられるごとに大きな快感と悦びがせり上がってくる。私はそれらの刺激を病的に欲し、体を動かすスピードと力を更に強めた。 奥底から上り詰める興奮と快感、そして悟史くんと繋がっている事への悦び。それらが私の中で混じり合い、これまで体験した事のない高揚感を発生させた。 「……ぁあ、も、もう出る……!し、詩音……、もう、出ちゃう……よ!」 息を詰まらせながら悟史くんが叫ぶ。そして、中へ出す事への遠慮だろう、彼は両手で私の体を持ち上げ、繋がりを断とうとした。しかし、私は体に力を込め、それを拒否する。 「……はぁ、……ぁん……。さ、悟史くん……良いです、……中に出してください」 驚く悟史くんに私は言った。それは、悟史くんへの許可と言うより、私自身がそれを望んだ、悟史くんへの願望であった。最後の瞬間まで、悟史くんと繋がっていたかったのだ。 それで悟史くんは覚悟を決めたのか、両手を私の体から離した。そして、悟史くんのソレが私の中で一層反応したのがわかる。もうすぐ私の体に彼の精液が注がれる。そう思うと、私の体の高揚感は限界まで高ぶった。そして私の感じている性的快感もまた、あと少しで限界という状態だった。 「……悟史く、ん……はぁ、……一緒に、……イキましょう……ぁん」 「う……うん」 私の提案に、彼は息を乱しながら頷いてくれた。 ――そして、私たちの体が大きく震える。 「ぁあぁあああああ……っ!」 私の体を、電撃が通ったかのように快感の波が貫いた。股間部の辺りが、激しく痙攣を起こす。同時に、私の中へ熱いモノが注がれるのを感じた。 悟史くんの出した精液が、私の中に……。体は、自然とそれを理解し、それまでの高揚感の代わりに、満足感のような物が全身を支配した。それはまるで、海の上に浮かんでいるような、静かな感情だった。 行為が終わった後、私たちはベッドの上で余韻を楽しんでいた。私は悟史くんの胸に寄り添うようにし、悟史くんはそんな私の肩を抱いてくれている。さっきまでの激しい行為など無かったかのように、この場にはゆったりとした時間が流れていた。 「……詩音」 ふいに、悟史くんが呟いた。 「なんですか?」 私は、彼の胸の中で聞き返す。 「何というか……ありがとう」 「それは、さっきの事に対してですか?」 私は、いじわるに聞く。すると、悟史くんの頬が少し赤色に染まった。当たりのようだ。普通、ああいう事に対してお礼は言わないと思うのだが、その不器用さが私には逆に悟史くんらしく思えた。 「別に、構わないです。……私も、悟史くんと一緒になれて、嬉しかったですから」 言いながら、私も顔が熱くなるのを感じた。あれだけの行為をした後だというのに、こんな些細な事で恥ずかしく感じるというのは、妙に滑稽だ。 「……それだけじゃないよ」 「え?」 私は顔を上げる。 「さっきだけじゃない。僕は色々な事で君にお礼を言わなきゃいけない」 私は、黙ってそれを聞いていた。なぜなら、悟史くんの顔がいつの間にか真面目な物へと変わっていたからだ。 「僕が眠っている間、君は沙都子の面倒を見ていてくれた。そして僕が目覚めてからも、君はこうやって看病してくれている。それに対して、改めてお礼を言いたい。――ありがとう、詩音」 そう、悟史くんは笑顔で言った。ずっと言いたかった事なのだろう、悟史くんの笑顔からは、何か晴れ晴れしさのような物が感じられた。 「……別に、感謝の言葉なんていりません」 私がそう言うと、悟史くんの表情は、不思議そうなものへと変わった。 「どうしてだい?」 「それは……、悟史くんがこうして元気になってくれたからです」 そう、今日まで私は元気な彼の姿を見るために頑張ってきた。悟史くんと笑いながら会話する事。悟史くんと一緒に楽しく過ごす事。それらの日常を取り戻すために、私はずっと一生懸命でいた。 その、悟史くんが目覚めてくれたのだ。それは、私にとって感謝の言葉を言われるよりも、遙かに嬉しい幸福。 だから、私は悟史くんの目を見つめて言った。あの時からずっとずっと言いたかった事を。あの時からずっとずっと想い続けていた事を。 「――悟史くん、目を覚ましてくれて、本当にありがとう」 <了> -
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前回 Miwotsukushi2 理性を糸に例える描写を圭一は知っていた。そして本当に切れたら音がするのだ、と実感した。 体勢を背を向けていた格好から、向き合う形へと移す。 暗闇の中で大きな瞳、端正な顔立ち、深緑に映る長髪が視界に入った。 詩音は未だ圭一を抱く状態。圭一も詩音の肩に手を置き、一層鼓動が大きくなる。 本当に良いんだな、など確認の言葉をかけるのも圭一は考えた。 だがすぐに本能が優先され、目の前にいる少女との行為が脳に上書きされる。 背に回した手で、詩音をより自分へと近づける。 正対しての密着。初体験の感覚に、圭一は血流の加速を悟った。 足を動かして圭一に絡むように詩音は動く。素足と素足が触れ合い、腿と腿が摩擦する。 上半身を少し起こし、再び圭一は視界に詩音を捉えた。 少し乱れた髪と息に喉を鳴らし、自ら唇を触れさせる。 上唇、下唇それぞれ味わうように吸い、顔を傾けて唇だけの接吻を行った。 最後に舌で唇全体を舐めてから、口を離した。 詩音は笑っていた。意中の男性とキスが出来たと言うのは、やはり彼女にとって悦びを感じる経験なのだろう。 お互いに無言のまま体を起こし、ソファ本来の使い方である着座の姿となった。 圭一から詩音の手に自分の手を添え、詩音も下から強く握り返してきた。 同時に立ち上がる二人。詩音の口から漏れた小さな笑い声に、圭一も少しだけ微笑ましい気持ちになる。 何となく当たりをつけた部屋が丁度詩音の寝室で、『ふいんき』を壊さずに済んだ。 「脱いだ方がいいのかな」 詩音の甘い囁き。最初から裸で行為をしている大人の本とは違う。 リアル。確かに今自分が、視覚、聴覚だけでなく、体との触覚も密着する時の嗅覚も接吻の際の味覚も体感している。 お都合で進む話じゃない。ステップを一回一回踏んでやる必要を圭一は再認識した。 「上だけ……脱ぐかな」 ピンキーでファンシーなパジャマに目を落として圭一は言う。 第二ボタンに手を掛けた所で詩音が呟いた。 「私がしますよ」 圭一の手を払って詩音の指がボタンに触れた。 意外と他人のボタンを外す、と言うのは慣れない行為で手こずるのだが、詩音は器用に片手で開ける。 男子としては些か頼りない胸板。皮の下から浮かぶ肋(あばら)。締まった腹筋。 ボタンを一つ外すことに、男としての前原圭一が露わになる。 「シャツ……渡しませんでした?」 「うぅ……、着れなかったんだよ」 どうだろう。と詩音は笑いながら考えた。 詩音は自分の体にある程度の自負があった。 姉の魅音同様太りにくい体質以上に、二人が常に入れ替わりを行うには体型も重要なポイントであった。 あの転婆姉貴が部活で体を動かして、勝手に不要物が落ちていくのに対し、詩音は自ら体をシェイプさせる必要がある。 数少ない生活資金を切りつめて、園崎情報網をフル活用し効果的な健康グッズも購入したものだ。 だからと言って、圭ちゃんの体も自分のものと大差はないように感じる。 骨格の違いから肩幅は当然違う。 抱きしめた時、どこか男子を感じたのは恐らくそのせいだ。 だが筋肉隆々の野球部よりも、裁縫をする女子の方がよっぽど圭ちゃんぽかった。 ならば何故嘘を付いてまで着ることを拒んだのか。 「くくく……」 「……なんだよ」 「ウブだなって」 ボンと効果音がするような圭一の反応。顔だけが見事に赤く染まり、詩音のウブという表現を改めて体現した。 「確かに女の子の鉛筆とか借りるのも恥ずかしがる人も居ますけどねぇ。圭ちゃんはそんな感じですか」 完全に優劣の立場が明確になってしまった二人。ベッドの上で話す甘い囁きでもなく、ごく普通の日常会話が繰り広げられる。 「……でも、今からそれ以上のことするんだろ?」 圭一が急に動く。 唇を重ね、自らの体重を完全に詩音に預けてそのまま押し倒した。 挨拶程度でも外国ではするようなキスではなく、自ら舌を押し込み詩音の中をかき回す。 詩音は抵抗もできないまま、混乱状態で圭一を受ける他なかった。 いつもは嘗められぱなっしであったものの、さすがにこの時ばかりは圭一がリードする。 胸のふくらみに手をかけ、手の平で覆うように力を入れる。 「っ」 詩音の呻きも唾液が絡まる音に消え、圭一は詩音の胸を堪能した。 左手だけで行っていた行為を、右手も加えて詩音をより追いつめる。 右手は依然詩音の胸に刺激を与えつつ、左手は次のステップを踏んだ。 手探りで詩音の着衣を繋ぐ部分に手を掛ける。 詩音の時とは違いスムーズに開けられない圭一は、若干強引にボタンを開け、いや剥いだ。 外気にあてられ詩音の躰が萎縮する。 右手を一度離し、パジャマの下ブラジャの上に手を添え、再び数秒前の行為を続けた。 ブラの生地はざらっとしていたが、より詩音の乳房を感じることが出来る。 半分忘れかけていたディープキスに意識を戻す。何分不慣れなため、息が上手く吸えず苦しさがあった。 舌を抜き、唇も遠ざける。詩音も息が乱れている。熱い官能的な吐息が、圭一の顔にかかる。 詩音が息を吸うのとは違う、なにか喋るために口を開ける。 圭一は反射的にそれを再び己の唇で塞ぎ、二人の唾液が絡み合った舌をまた差し入れた。 数分同じ行為を続けた所で、詩音にも変化が表れた。 圭一の腕を掴んでいた手を、圭一の後頭部に移動させ、より激しい接吻を求める。 顔を動かし、また違った角度の舌を味わう。 圭一もただ揉んでいただけの両手を、くびれや腰、背中を撫でることも追加する。 軽く汗ばんだ詩音の躰を圭一は舐めるように撫でた。 圭一の本能が、今度はブラを外すことを指示する。 どこかの知識で、ブラを外す時にはそれなりのテクがいるとかなんとか聞いていたが、ボタンとは違い簡単にブラは胸から落ちた。 未だキスのため圭一の視界は塞がれているので、生の乳房を見ることは出来ない。 見るよりも先に、右手の親指が桃色の突起にかかった。 びくん、と明らかに今までと違う反応が詩音に起こった。 それを面白く感じた圭一は、親指で何度も乳首を弾く。 詩音の躰がよじれ、何か逃げるように動き出す。 「はぁっはぁっ」 ここで圭一は完全に顔を詩音から離した。視界に飛び込んできた生の上半身。 月光だけの乏しい明かりに映る詩音の乳房。 鼓動がまた一つ大きく鳴る。血流がまた一つある箇所に集まる。 「なかなか……激しいですね」 息が絶え絶えになっているのを落ち着けつつ、詩音が呟いた。 乳を弄られたことより、大人のキスの方が詩音にとってはセックスを感じていた。 「ガマン出来そうにねぇな、俺」 酸素の欠乏とは違う理由で、圭一は激しい呼吸をしている。 既に圭一の一部分は剛直と化していた。 「ガマンしなくていいですよ。滅茶苦茶に私を愉しんでください」 すっと閉じる詩音の瞼。自分のモノと疑似する詩音の態度に、圭一は雄となった。 まず自分を邪魔する衣服を取り払う。悪魔が与えた恥辱を隠す布を外し、アダムとなった。 青い血管が浮き出、他の箇所の肌よりも少し黒ずんだ皮、そして赤々と膨らんだ亀頭。 思春期の中学生に、前戯は十分な勃起の栄養だったらしく、ぴくぴくと震えて準備万端となっていた。 乱暴に掴んだのは詩音の下のパジャマ。ヒップのラインに沿いはだけるズボンを、片手で足から引き抜いた。 純白のパンティを直視し、円形のシミが出来ていることを中指で確認した。 指でそのシミを弄る圭一。いよいよ声を抑えにくい箇所に刺激が起き、力を入れる詩音。 時折起こるぐちょ、と言う音がより大胆に圭一を動かす。 パンティ越しに溝をゆっくり下から上、上から下となぞる。詩音の手が声を漏らさないため口へと動いた。 それより早く圭一の指が詩音の口腔に入る。 これは知識として存在していた作業で、圭一自身どう意味をなすのかが分からなかった。 とりあえず中指に次いで人差し指も口へ入れ、舌をぐにぐにと弄った。 すると詩音は手首の当たりを両手で掴み、固定し、口腔内の圭一の指をしゃぶり始めた。 自分の意志ではない舌が、こんなに快感を生み出すのかと圭一は思う。 指先に性感帯など無いのだが、ぞくぞくとする小さな刺激に圭一はより鼻息を荒げる。 「んっ……ん……」 懸命に指をしゃぶる詩音を見ながら圭一はパンティにも手を掛けた。腿まで下げて圭一はパンティを下げるのを中断する。 もう邪魔するものなど何もない詩音の恥部。これ以上待つ理由など圭一にはなかったからだ。 左手の指が詩音の指に触れる。溝に沿って再び擦り始める。大陰唇を親指でこする。 途中クリトリスを発見し、乳首にしたように軽く弾いた。 「ああっ!」 一番大きな声が圭一の指の間から漏れた。 弾く。声が漏れる。弾く。声が漏れる。 指をしゃぶることなど忘れ、詩音はされるがままに声を押し殺す。 その必死に耐える表情をする顔に、圭一は数センチの所まで自らを近づけた。 「可愛いよ、詩音。ガマンすんなよ」 銃のジェスチャのような形の人差し指と中指を、圭一は詩音のナカに挿れた。 ぐっと詩音が硬直する。怯えるような表情に変わった顔。 紅潮した頬を一度舐めてから、圭一は三度目のディープキスをする。 今までで一番激しさのこもったキス。詩音は逃れるように、紛らわすように舌を貪る。 ナカにある人差し指と中指を交互に暴れさせる。 ぐちゅっ。びちゃ。淫らな音。キスで漏れる音と同様、圭一の一つのガマンが崩れかける。 早く挿れてしまいたい。果てたい。 だが思い留まり、二本の指に加え親指が陰核を遊ぶ。 後頭部に再び回っていた詩音の手に力が入る。キスの度合いがまた一つヒートアップする。 三本の指が疲労を感じ始めていた。手の筋肉など本当に些細なモノ。数分続ける慣れない運動にも限界が来る。 しかし圭一は詩音がイきそうなのを感じ取っていた。詩音から舌が動かなくなり、されるがままの状態になっているからだ。 もうちょい……、もうちょい。 「へひちゃ、……ひちゃ、ああ、ああ、ああああああっ!」 弓のように詩音がしなる。異常が起こり、圭一の後頭部をあらん限りの力で締める形となった。 イったのか……。妙な達成感と、詩音に対する征服感が起こり、圭一は唇を乳房へ移動させた。 「待って……圭ちゃん……っ。きゅーけぃ……」 「待ってられっかよ……」 乳首をくわえ、挿れたままの指を再び始動させる。 転がすように丹念に乳首を舐め回し、指はナカの横ではなく上の方に立てる。 小さなグラインドで擦り始めると、先ほどより大きな刺激が詩音に伝わった。 「はっ、はっ、いやぁ……圭ちゃん……」 圭一は第二関節までしか挿れていなかった指を、根本まで沈める。 詩音がまた一つ鳴き、圭一は指の出し入れする距離を一層長くした。 数分している内に、一部分を通過する時だけ、詩音が必ず声を漏らすことを圭一は知った。 Gスポットであったのだが、圭一はそんな知識を知ることもなく、ただ面白半分にそこを重点的に責める。 「うああっ、そこ……だめぇっ」 聞き入れるはずもなく、むしろ弄る指を更に激しくこすり上げる。 詩音の躰が左右に揺れ、圭一は右手を背に回して、詩音を固定した。 「よし……」 圭一はある程度見切りをつけ、口から指を離す。 詩音は荒い息を抑えるのに必死で、天井を見つめながら呼吸している。 圭一は視線を詩音から離し、自らの剛直へと向ける。 先走り液は既に亀頭全体を濡らし、今にもフライングしそうなほど万端のようであった。 「いいな……詩音」 詩音にまたがり、ペニスの先端を入り口にあてがいながら圭一は尋ねた。 ここで拒絶されても、圭一は抑制しきれないだろうが、彼の最低限のマナーであった。 無言で頷いた詩音をしっかり確認し、圭一は腰に力を入れた。 「ゆっくりだと逆に痛いって言うからさ」 「……はい」 緊張が走る。どのタイミングでやろうとも結果は同じだろうが、太股を持つ手が汗ばむのを感じた。 「力抜いてな……いくぞ」 亀頭がナカへと侵入する。そこで一度躊躇に似た停止があった後、宣言通り一気に挿し込んだ。 破瓜を迎えた詩音に初めて痛みが伝播する。自らの処女が失われた瞬間。さすがにこればかりは愛情でガマンできるものではない。 圭一は動かずに詩音の表情が緩むのを待った。 息を整えようとしているが、やはり痛みは相当らしく眉間の皺が走っている。 一方圭一は詩音へと入り、今までで一番の快楽を得ていた。 前戯は女性へのある意味での奉仕であり、直接圭一が快感を覚えるモノではない。 初めて圭一は自慰とは違う、女性の膣を感じ取っていた。 詩音が大きく息を吐く。表情も未だ口元が歪んでいたが、さっきよりは収まった。 半分ほどまで入ったペニスを更に奥へと挿れる。また詩音の息が漏れる。小さな悲鳴があがる。 ここで圭一の理性が完全に切れた。 「詩音っ!」 太股を持ち上げていた両手を、詩音の腰へ持ちかえる。しっかりと詩音を固定させ、一層ペニスを詩音の奥へと挿し入れた。 「いやああああぁぁっ、痛い……」 躊躇ってしまいそうな詩音の嘆きにも、圭一は腰を止めなかった。 亀頭の先端がなにかに当たる。詩音の子宮口へと到達したのだ。だがそれでも根本まで入ってはいない。 ぐっと更に圭一の持つ手に力が入る。あと数センチ。根本まで挿れることに、圭一は妙な執着心を抱いていた。 「無理……圭ちゃん、もう入らないよ……っ!」 「あと少し……後少しだからガマン……してっ!」 語尾を言い終えると同時に圭一は根本まで自らを沈めた。 詩音が嬌声をあげ、ベットのシーツを握りながら痛みに耐える。 根本まで入りきった所で、圭一はピストンを始めた。 狭い膣の壁を圭一のカリ首が引っ掻き、苦痛なのか悦楽なのか分からないモノが詩音を襲う。 「けいちゃ……、もうちょっとゆっくり……」 「ごめん、乱暴すぎたか?」 腰の動きをよりスローモーションに変える。それでも詩音の顔から苦悶の表情は剥がれない。 いきなり巨大な異物を飲み込んだ詩音の膣は悲鳴を上げ、両者が快感を覚えれるセックスとは一線を画していた。 経験の無さや、性器同士の相性もある。今は何とか圭一への愛情で保っている状態だ。 破瓜の際流れ出た血液が、より乏しい知識のセックスが危険であることを物語る。 尚、圭一はピストンを止めることはしなかった。 性欲に負け自我に支配されているわけではない。知識として痛みを和らげるには、ピストンを続けるしかない、と知っていたからだ。 堪える声が、痛みではなく悦びを抑えるものになるまで、この速度で続けることを決心していた。 やろうと思えば、犯してしまうこともできる。 詩音を道具が何かのように、性欲のはけ口として壊すことも出来る。 だが詩音の喘ぎが、僅かであるが圭一の理性を取り戻した。 自分を好いてくれ、躰を差し出したこの女性を、壊すことなど圭一には意識の片隅にもなかった。 「うっ……うぅん……」 表情が崩れないまま、また幾重の時を重ねた。だが確実に詩音の反応が、痛みから離脱しかけているのが分かる。 ぐちゅ、とピストンする度に鳴る音も大きくなってきた。愛液の量が増えている証拠だ。 シーツを握っていた力が段々入らなくなり、浮揚でもするような感覚が起き始める。 コンスタントで一定のリズムのピストンを、圭一は次第に変え始めた。 出すかと思えばまた少し突き、逆に奥深くまで突かず大きく出す。 ペニスが膣から抜けるのだけは注意しつつ、不定期の刺激を送り続ける。 漏れる声が内緒で観たビデオのものと似てくる。 だがどの女優よりも遙かに綺麗で、心地よく、嬉しい声が目の前で起こっている。 自分のペニスで悦びを感じてくれることに、圭一は病みつきになった。 詩音が異変を感じたのは、掴まれていた腰から感触が消えた時だった。 次いで太股から間接の裏あたりの触覚が反応し、足が圭一の脇の下で挟まれる感覚。 その一連の動作で膣の壁が大きくペニスを擦る。詩音の躰が横になり、俗の交差位の体位。 ただでさえ大きかった摩擦が、躰が横になったことで更なる刺激となる。 セックスを思い浮かべると正上位が一番に来る詩音には、まるで犯されているような感覚さえある。 だが繋がっている相手は圭一であり、彼が夢中になっているような錯覚がより詩音を酔わせる。 乳房に手がかかる。挟んである脚に負荷がかかり少し痛い。圭一の顔は到底可愛らしいものではなかった。 それでもどんな負の状況が出来ていても、詩音は起こっている快感で全てかき消すことが出来た。 実際しないと分からない感覚。睡魔に似た抑制の出来ない虜の世界。 そして確実に近づく終わり。オーガズムと言う名称の頂が、詩音の奥からこみ上げてくる。 圭一は気付いていない。必死にただ腰を動かしているだけのように見える。 果てそうなことを伝えたい。しかし響く悦楽が、発する快感が、伝う快感がそれを妨げる。 確実に終わりは近いのに、ただ漏れるのは喘ぐ鳴き声。 言葉にならない、平仮名でもアルファベットでも表現できない音だけが口をつく。 「ううっ……!?」 波。駆け上がるなにか、いや分かっている。 これが絶頂前の筋肉の弛緩。 恐怖感にも似た冷たさと快感の塊がこみ上げる。 来る来る来る来る……! 「っつああああああぁぁ!」 圭一は詩音の反応に目を丸くする。 頭の先から足の指まで伸びきって、口をだらしなく開け、数秒間硬直した。 同時にナカが急激に締まり、堪えていた射精感にまた刺激が加わる。 痙攣したように横たわる詩音を見て、やっと圭一は彼女がイったことを理解した。 「イったのか……? 詩音」 一応聞いてみるものの、大きく呼吸する詩音からは何も返ってこない。 かちん、と子供らしい感情を圭一は抱く。 幼稚園児なら親が勝手にデパートへ行き、自分は知らず友達の家に居たら怒りを覚えるだろう。 そんなガキくさい、セックスとは対象年齢の違う気持ちで、圭一は腰を大きく動かす。 「っ。圭ちゃん!?」 絶頂を迎えて間もない詩音には、余りにも慈悲のない刺激。 容赦なく擦りつけられる膣壁は、水音で悲鳴をあげていた。 声を出そうにもピストン運動が強すぎる。 グラインドする量も、速度も、方向も乱暴で耐え難い感覚だ。 肌と肌を打ち合う音が、またスピードアップする。 愉しむためではなく射精するための運動。ペニスは最高の環境で脳からの指令を待っている。 「ぐ……うっ」 「ぃちゃん、ナカはやばひっ……!」 圭一は耐えに耐えた液体を撃ち放つ。 一度情け程度の放出の後、二度目三度目の大きな流出。 自慰ではなかなか起きない四度目五度目六度目。雄の象徴が詩音のナカで大きく爆ぜた。 射精で起こった寂寥感に包まれながらペニスを抜く。 生殖としての役目を終えた圭一の陰茎は、だらしなく垂れ限界をアピールしていた。 疲労がどっと全身に押し寄せ、詩音の横に倒れ込む。 目の前には緑色の髪をした少女。 「めっちゃ良かった……」 「……最後のなければ、私は最高だったんですけどね」 こうやって一々毒づくのが好きな、だけど暖かい女の子。 どうしよう。俺はこの娘(こ)が好きなのだろうか。 それよりも今は眠い。大変なことは……明日……考えよう。 圭一は瞳を閉じて眠りに入った。 その様子を詩音は微笑みながら見つめる。 腹の中にある温かい液体の感触。圭一の象徴。 今日は一応安全日だから大丈夫だろうか。 いやいや明日学校に私が登校する確率よりは高いはずだ。 まぁ、その時はその時だ。 その時が来るまで……、今は私も眠らせて貰おう。 瞼が支えを失って落ちる。全身から力が抜ける。脱力と言う妙な心地よさ。 圭一の額に口づけをし、詩音も深い闇の中へと巻かれ始めた。 Miwotsukushi4へ続く
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こんにちは、圭一くん♪ どうしたの? こんな人気の無いとこに一人で……。 いったい何してたのかなぁ? ここ、学校の校舎裏だよ? はぅ……レナ? うん、レナはね。 圭一くんのことが心配だったから、探しにきたんだよぉ♪ 午前の授業が終わって、これからみんなでお昼食べよ~ってときに、圭一くんどこにもいないんだもん。 レナすっごく探しちゃったよ? ああ、うんうん知ってるよ。 気分が悪いから、保健室に行ったっていうのは魅ぃちゃんから聞いたの。 お弁当も食べられないくらい、つらそうにしてたって言ってた。 でもね? レナ、圭一くん簡単なサンドイッチくらいなら食べられるかな~と思って、保健室に持って行ってあげたの。 具合が悪いんだったら、レナがあ~んして食べさせてあげようかなぁなんて思っ……あ、は、はぅ~、な、なんでもない♪ …………でもね。 圭一くん、いなかった。 保健室のドアをいくらコンコンってしても、誰も出てくれなかったの。 お返事もなかったんだよ? それでレナね。 はぅ~おかしいなぁ。 圭一くん、ベッドで寝ちゃったのかな? かな?と思って中も覗いてみたんだけど、やっぱりだぁ~れもいないの。 その時……レナ、すごくドキッとした。 だってもしかしたら圭一くん、具合悪くなりすぎてどこかに倒れてるんじゃないかって……。 そう、思ったから……。 圭一くんが……? レナの大好きな圭一くんが!? 圭一くん圭一くん圭一くん!?!? どこにいるの圭一くん!?!?!? って、レナその時すごく取り乱しちゃってね。 すぐにあちこち探しまわったの。 おトイレとか、職員室とか、校庭とか……一生懸命探したんだよ? もう、息が切れちゃいそうなくらい走って走って走って……。 そしたらね……聞こえてきたの。 校庭を走り回ってる最中、なんだか校舎裏の方から……ハァハァハァって。 まるで獣みたいな声が、聞こえてきたの。 はぅ……どこかの変態さんでも入ってきてるのかな? 怖い、怖いよ~って思いながら、レナその声のするところを覗いてみたの。 そうしたら、そこに圭一くんが立ってるんだもん。 レナびっくりしちゃったよぉ♪ はぅ~♪ もう、おどかさないでね? ……うん、でもよかった♪ 圭一くん顔色も良さそうだし、もうお昼も食べられるよね? ね? レナももうおなかペコペコだし、圭一くんもおなかすいてるよね? じゃあ、みんなのところに戻ろっか♪ …………………あ、そうだ。 教室にもどる前に、ちょっと圭一くんに聞いておきたいことがあるんだけど……いい? そんなに大したことじゃないの。 圭一くんはきっと無関係だと思うんだけど、いちおう、ね? 『梨花ちゃんの体操着とブルマーが無くなっちゃったんだけど、どこかで見なかった』? …………………見てない? ……うん。 そっか、ならいいんだ。 見てないんだね? ごめんね、変なこと聞いちゃって。 …………………『また』なんだよね。 三日前にも、たしか沙都子ちゃんのがどこかいっちゃったよね? それとおんなじ人がやったんだと思うの。 今日、四時間目に体育があったじゃない? その時はもちろん、まだ梨花ちゃんが着ていたんだけど、その体育が終わってすぐあと。 みんなで教室で着替え終わった後に、ちょっと目をはなした隙に無くなっちゃったみたいなの。 梨花ちゃんの体操着とブルマーだけが。 うん、梨花ちゃんはちゃんとロッカーにしまったって言ってたよ? つまり、そのあと『誰か』がロッカーから持っていったってことになっちゃうんだよね……。 『誰』だろうね? そんなひどいことするの。 レナは案外、身近な人だと思うんだけどな……。 うん……ひどいよね、女の子の着ていたものを盗むなんて。 一体取った人は、何に使うつもりなんだろ。 なんだろ。 梨花ちゃん、みぃ~みぃ~泣いてた……。 すっごくかわいそうだった……。 沙都子ちゃんに梨花ちゃん。 そんなちっちゃな女の子の体操着ばかり狙って……どうせならレナか魅ぃちゃんのを取ればいいのにね? 圭一くんも、許せないよね? …………そうかな。 ちょっとした出来心でも、こんなことする人はどうかと思うよ? 圭一くんは心が広いんだね。 レナは絶対に許せない。 こんなことした奴を、絶対に許さないよ。 ………………ところでさ、圭一くん。 さっきからずぅ~~~~~~っと、レナ気になってることがあるんだけど、いいかな? その後ろに持ってる、『布』みたいなもの……なに? 最初から気になってたんだ。 レナがここに来たときから、ずっとそうして『隠してる』よね? 手、疲れない? ちょっと『それ』……レナに見せて欲しいな……欲しいな。 ん、ん。 どうしてダメなの? はぅー、レナに見られたくないものなのかな、かな。 そう思うとますます見たくなっちゃうよぉ♪ ね、ね、見せて? イジワルしないで見せてよぉ♪ なんだかかぁいい匂いがするよ? レナのかぁいいレーダーがそこにビンビン反応してるよ? はぅ~んはぅ~んって。 ………………どうしてそんなに見せたくないのかなかな。 レナに見られると、困るものなの? ねぇ、圭一くん。 ……………………はぁ…………。 圭一くん……レナね……。 ほんとは『全部見てたの』。 この校舎裏に来て、圭一くんに話しかける前から、ずっと……。 圭一くんのこと、見てたんだよ。 ハァハァって声がしたから、それが聞こえてくるところをこっそり覗いたの。 そこの物陰から。 そしたらね? 圭一くんが、『体操着』を顔に押し当ててた。 その『体操着』のニオイを嗅いでた。 ハァハァハァって。 変態さんみたいな声を出しながら、レナの大好きな女の子の名前を何度もつぶやいてたよ? 梨花ちゃん、梨花ちゃんって。 おまけに、もう片方の手でなにか下の方をゴソゴソしてて……あれは一体ナニをしてたのかな。 かな。 …………うん。 もう、いいよね? じゃあレナにその体操着、見せてくれる? ………………『古手』って書いてある。 やっぱり犯人は圭一くんだったんだ……? 沙都子ちゃんのも、圭一くんがやったの? ………………ふ~ん、そう。 そうなんだ。 圭一くんがやったんだー。 へぇ~……。 …………レナ、梨花ちゃんに返してくるね。 これ圭一くんが持ってたよーって。 こんな汚いことに使われたんじゃ、もうこの体操着着れないけどね。 梨花ちゃんかわいそう……あーあ……。 ん……や……ちょ、や、やだ、何するの? レナの脚にしがみついてこないでよ! きもち悪いなぁ! 変なとこ触った汚い手で、レナの体に触んないでよ。汚らわしい! 触んないでつってんでしょ! このロリペドの変態! …………あ、ごめん。 ……ごめんね? レナつい本音が出ちゃった。 圭一くんは大事な大事な仲間だもんね、こんな言い方ってないよね? うん、勘違いしないでね? 汚らわしいって言っても、レナはべつに圭一くんがここでオナ…………ん。 ……いやらしいことしてたことが、汚いって言ってるじゃないんだよ? 男の子のそういう、性のこともわからなくないし。 レナはそのことでは圭一くんを軽蔑したりしないから、安心して? ただ、ね。 やっぱり『こういうこと』に使うんなら、ちゃんと持ち主の許可をもらわないとって、レナ思うんだ? 勝手に使ったりするのはイケナイことだよね? だからお願いしてきてあげる。 梨花ちゃんに。 圭一くんが、どうしても梨花ちゃんの体操着で自慰をしたいみたいだから、ちょっとだけ貸してあげてくれないかなー? って。 みんないまちょうどお昼で教室にいると思うから、魅ぃちゃんや沙都子ちゃんはもちろん。 クラス全員に聞かれちゃうかもしれないけど……いいよね? ね? だって圭一くんはガマンできなかったんだもん。 どうしても、シタかったんでしょ? しょうがないことだもん。 レナは圭一くんの味方だよ? はぅ~♪ あ、そうだ。 知恵先生や校長先生にも知らせた方がいいよね? 生徒の大事な性の問題だもん。 ちゃーんと先生も知っといたほうがいいよね? はぅ~♪ レナかしこぉ~い♪ ……………………え、なになぁに? やめてくれ? 今、やめてくれって言ったの? レナに? ……圭一くんさ。 レナに何かお願いがある時は、もっとちゃんとした言い方があったと思うんだけどな……。 このこと、みんなに言って欲しくないんでしょ? 知られたくないんだよね? だったらレナ、もっとちゃんとお願いしてもらいたいな。 …………ほら、はやく言いなよ。 梨花ちゃんの体操着とブルマーでオナニーしてた、前原圭一の恥ずかしい自慰行為を、どうかみんなに言わないで下さい、『レナ様』って。 ほら、言ってごらん? ……言えないの? 圭一くんのお得意の『ごめんなさい』をするんだよ、ほら。 ………………うん。 ま、とりあえず許してあげようかな。 レナだってみんなに、大好きな圭一くんがじつは変態さんでしたぁなんて知られたくないしね。 うん……でも良かったね圭一くん♪ これで何もかも元通りだよ? いつもどうり、またみんなの前で何事もなく過ごせるね。 レナいつも言ってるでしょ? 当たり前の日常なんて、簡単に壊れちゃうんだって……。 あやうく圭一くんのせいで、壊れちゃうところだったけど。 レナが黙っててあげるから平気だよ? うんうん♪ だから……ね? レナの前で、オナニーして見せて。 ………え?じゃないよ。 何おかしな顔してるの? まさかなんの『お仕置き』もなしに、このこと秘密にしてもらえるとでも思ったのかな。 かなかな。 甘すぎるよ。 レナ言ったよね、こんなことした人を絶対に許さないって。 さっきの『ごめんなさい』は、みんなに言わないであげるってだけだよ。 だからほら……して? して見せて? レナの前で。 オナニー。 ほんとは梨花ちゃんと沙都子ちゃんの前でさせてやりたいけど、あの二人にはまだ早すぎるからね。 かわりにレナが見ててあげるの。 イジメてあげる。 罵ってあげるの。 目で犯してあげるよ。 圭一くんのみっともな~い姿を、ね。 それに……それにさぁ、圭一くん。 さっきからズボンの前、パンパンになっちゃってるんだけど……『それ』はどうするの? そのままじゃ、教室戻れないでしょ? ごめんね。 レナがさっき途中で話しかけちゃったから、中途半端なとこで終わっちゃったんだもんね? もうジャマしないから、いいよ続きして。 レナもう邪魔しないから。 圭一くんがオナニーするとこ、レナが全部見ててあげるから。 ほら、はやくみせて? シて見せて? ついさっきまでここでやってたよね。 それをもういちどレナの前でやるだけだよ。 はぅ~簡単だよ~。 うん……そう、そこね? そうやってズボンのチャックから、おちんちんだけ出してやってたよね? ほら、全部レナに見せてよう。 圭一くんのおちんちん見せてー? ………………ふ~ん。 それが圭一くんの、なんだ。 …………恥ずかしい? レナに大事なとこ見られて、恥ずかしい? おちんちん恥ずかしいんだ? あははははは♪ いまさらそんなこと言われたって、全然説得力ないよ。 さっきはあんなにハァハァ言いながらシテたくせに。 それにレナ、知ってるんだよ? だよ? ふふふ……♪ 何をって、とぼけないで欲しいな。 圭一くんが、『ドM』だってことだよ。 できないです、恥ずかしい、とか言って。 圭一くん、いますっごく興奮してるよね? レナの前でオナニーできるって思って、おちんちんビクンビクンしてるよ? そんなに顔を真っ赤にしてるくせに、手でもうおちんちんしっかり握っちゃって……。 レナ、まだ触っていいなんて一言も言ってないんだけどな~? あ……あ、あ、ほらほら♪ いまおちんちんピクンってしたでしょ? やっぱり興奮してるんだ? レナにからかわれてきもち良くなっちゃった~?圭一くぅん? クスクス……♪ どうしよっかな。 かなかな。 もうちょっと焦らしてあげようかと思ったんだけど……。 なんか圭一くん、もうガマンできなさそうだね。 そんなにシタい? そんなにレナの前で、シコシコしたいの? あはははは♪ そんな必死にうなずいちゃって、まるでおあずけくらってる犬みたいだね。 ……うん。 じゃあいいよ。 そのままレナによく見えるように、おちんちんシゴいてみて? いいよ、シコシコして♪ …………って、あ、あ、あ。 ダメ、ダメだよ。 そんないきなり激しくシちゃダメだよ? そんなに早くしたら、圭一くんすぐイっちゃうでしょ? レナはできるだけ圭一くんの恥ずかしいところを見てたいんだから、もっとゆっくりやって見せて? ……うん。 そうそう、それぐらいゆっくり……だよ。 まだ早くシちゃだめだよ? いつもシテる時よりも優しく、丁寧にやるんだよ~。 ナデナデ~って。 …………え? こんなゆっくりじゃ、あんまりきもち良くない? あはは……『だからイイ』んだよ♪ レナは、圭一くんがそんなもどかしくしてる仕草を見たいんだから……。 レナの目の前で激しくシゴきたい。 レナに視姦されながら、おもいっきりシゴきあげたい。 したいのにシたいのにシタいのに。 でも、そうさせてもらえない。 きもち良くさせてもらえない。 それがもどかしくてイジらしくて、つい腰をモジモジさせながら悶える圭一くん……♪ そんなたまらなくかぁいい圭一くんが、レナの大好物なんだから……♪ だから、ダメ。 そのままレナの言うとおり、ちょっとずつやりなさい。 わかった? …………はぅ、そんな泣きそうな顔しないでよ~。 それじゃまるで、レナが悪い子さんみたいだよ……? もう、しょうがないなぁ圭一くんは……。 はいはい、レナの負けでいいですよー。 はぅ~。 うん。 じゃあ、ちょっとだけね? ほんのちょっぴりだけ、早くシテもいいよ? …………クスクス。 かぁいいね……そんなに嬉しそうにシコシコしだしちゃって……♪ ねぇ、きもちいい? レナに見られながらのオナニーはきもちいいですかー?圭一くん? あはは、答えなくったってわかるよ。 そんなに手を必死に動かして、お口をポッカリ開けちゃって……。 よだれまで垂れてるよ? なんか、今の圭一くんの顔ほんっとだらしない。 すっごくみじめで情けなくて、これがレナが大好きな圭一くんなの? そこまでいくと、なんかもうただのオスって感じだね。 オナニーしたいだけの、ただのスケベなブタさんだよー。 ねぇねぇ、レナにこんなとこ見られて恥ずかしくないの? ブタだなんて言われて悔しくないの? ねぇ、ねぇねぇ圭一くん? ……あ。 いまピュッピュッって、おちんちんの先から何か出てきたね。 なぁにこの透明なの。 なんなのかなぁ~? ……ダメだねぇ圭一くんは。 レナがいくらバカにしても、罵倒しても、み~んなきもち良くなっちゃうんだ……。 それにさっきから……レナ思ってたんだけどさ。 レナのこと、オカズにしてない? おちんちんシゴきながら、レナのカラダ、チラチラ見てるよね? さっきからず~~~~~っと。 レナの顔とか手とか、胸元とか……。 脚なんてまるで舐め回すようなイヤラシイ目で、ジロジロジロジロ。 梨花ちゃんの体操着がないからって、今度は目の前にいるレナのカラダまで使うんだ? ほんっと見境無いね、圭一くんは。 ……あのさ圭一くん。 どうせなら、ちょっとだけサービスしてあげようか? そんなにレナのカラダをオカズにしたいなら、こうやって……ん……。 こうやって、レナが自分でスカートをめくり上げていったら……どうかな? ……興奮する? ほらほら、ちょっとずつちょっとずつ……。 レナのセーラー服のスカートがめくれていくよ? いっちゃうよ~? 見てる~? あ……ほら、ふとももが全部見えちゃった……。 さっき圭一くんがイヤラシイ目で見てたとこだよ? どお? 嬉しい……かな? かな? このままもっともっとめくり上げていったら、今度は何が見えちゃうのかな……? 圭一くん見たい? これよりももっと先まで……レナのこと、見たい? はぅ……そんなおちんちんシゴきながら、女の子のスカートの中を見たい!だなんて……。 ほんとデリカシーがないなぁもう。 …………うん。 じゃあ、見せちゃう。 圭一くんがおちんちんシコシコしてるとこ見てたら、なんだかレナもちょっぴり変な気分になってきちゃった……。 だから、特別だよ? ん…………ほ、ほら、見える? レナの下着……大事なとこを隠しちゃってるパンティ……全部見える? ね、見える? あ、あ、あ……すごい、すごいね……圭一くんの手の動きがどんどん早くなっちゃう……。 おちんちんの先っぽから、ピュッピュッピュッてお汁が止まらないよ……すっごくいやらしいね……。 ん……ね、ねぇ、もう出ちゃう……? 出ちゃいそうなの? レナの生パンティに興奮して、そのままドピュドピュッてしちゃう? 圭一くんのおちんちん、もうビクンビクンって跳ねて……今にも射精しちゃいそうだよ……うん……すごい……。 これでさ……もしこうやってレナが……今度はこのパンティまで降ろしていっちゃったりしたら……おちんちん、どうなっちゃうのかな……? ん……大サービス、だよ? レナの一番大事なとこ、このまま見せてあげる……大好きな圭一くんに……。 あ……ほら見える……見えちゃう見えちゃう……。 女の子の一番大事なところが見えちゃうよぉ……。 圭一くんに見られちゃう……。 レナのお○んこが……もうちょっと、もうちょっとで……ほらほら……見え……。 …………………きゃっ!? え、え……? あ、あ、あー……すごい……すごくいっぱい……たくさん……。 おちんちんの先っぽから、びゅるびゅる~って……白いのがいっぱい出ちゃってる……すごいよ……。 あぅ……圭一くんが射精しちゃってる……レナの目の前で出しちゃってるよぉ……はぅぅ……。 み、見てるから……レナちゃんと見てるから、ね? い、いっぱいいっぱい出していいよ……そのまま……。 は、はぅ。 こんなにドバドバ出して……すっごくきもちよさそう……女の子に見られながら射精するの、きもちいい? そんなにいっぱい飛ばしちゃって……もしかして、レナにかけたいの? レナの体にビチャビチャって、かけたいの……? …………ん……あ、あん……今の、ちょっぴり脚にかかっちゃった……はぅ……すごくドロっとしてるよ……。 ………………全部……出た? うん……よかったね。 射精してるときの圭一くんの顔、すっごくかぁいかったよ? レナもちょっぴり興奮しちゃった……。 でも、もったいなかったね。 もうちょっとガマンすれば、レナの生のお○んこ見られたのに……。 はぅ~、圭一くん残念……。 う~ん……でもなんか、アレだね……。 せっかくのお仕置きだったのに、ただレナが圭一くんのオカズになっただけみたい……。 やだな。 圭一くんには一切触られてないのに、レナのカラダ、汚された気分だよ……はぅ。 これじゃあまた、別のお仕置きを考えないとダメだよね? これじゃあ圭一くんのためにならないもん。 う~んう~ん。 何がいいかな、いいかな。 圭一くんにとっての罰ゲーム罰ゲーム……。 …………あ、そうだ。 レナ良いこと思いついちゃったよ♪ あのね圭一くん? レナ、今ちょっと体が興奮しちゃってて……ちょっと、アレなの。 わからない? も、もう、ここだよ……こ・こ。 お腹のあたりがちょっと……あ、熱くなっちゃってるの……♪ おかげでね……溜まってたお水が、いまにも漏れちゃいそう……。 レナ、すっごくおトイレに行きたいよう……。 だから……ね? も、もうわかったよね? レナが何を言いたいか、ドMの圭一くんならもうわかってくれたよね? うん♪ じゃあそこにあお向けになってくれる? レナがまたがってシテあげるから……。 …………はぅ、さすがのレナもこの体勢はちょっと恥ずかしいな……圭一くんに丸見えになっちゃう……。 ん……準備はいい? ちゃんとお口開けた? うん……♪ それじゃあ、飲ませてあげる……♪ 終