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入江×沙都子。 入江黒幕設定(皆・祭とはいろいろ矛盾します。特に経済状態)の陵辱物。 軟禁状態でメイド服を着せてエロります。 途中で入江に気弱スイッチが入って、エロなし純愛+バッドエンドにシフト。 あなたには後半を拒絶する権利があります。 目を覚ますと、沙都子は知らない場所にいた。 フローリングに木製の家具、淡い色をした壁紙の…外国の映画に出てくる子供部屋の ような可愛らしい部屋だった。 およそ視界に入るもの全てに見覚えがなく、唯一自分の物だと分かるのは身につけている チェックのパジャマだけだ。 「…梨花?」 隣で眠っていたはずの親友の名前を呼ぶが、当然のように返事はない。 沙都子はそろそろとベッドから下り、ドアを開けてみた。 (ここ、どこですの?) 廊下にも見覚えがない。 彼女はひとまず部屋に戻り、少しでも情報を収集するために室内を物色した。 とりあえず、机の引き出しは空。 吊りダンス――というよりクローゼットという雰囲気だった――の中には…。 ふんわりとした黒のワンピース、白いフリルエプロン、ヘッドドレス。 多少のデザインの違いはあったが、用意されていた服は全てこの単語で説明できるもだ。 どれを組み合わせても、メイド姿にしかならない。 沙都子はため息をついた。 「…監督、ですわね?」 メイドと言えば入江。入江と言えばメイド。 雛見沢において二つの単語は完全にイコールで結ばれている。前原屋敷のご長男の名前を 知らない人間はいても、入江先生がメイド好きという事を知らない人間は多分いない。 そのくらいに入江はメイドで、メイドは入江だった。 沙都子の心から不安が消えた。 これだけメイド服が詰め込まれているということは、この部屋はまず間違いなく入江が 関与しているものだ。 沙都子を専属メイドに、などと冗談をいうことはあるが、彼女の目に映る彼は とても真面目で誠実な人だった。 (…罰ゲームでもないのに、こんなもの着ませんわよ?) まだ6月の終わりとはいえ、猛暑の予感が濃厚な今日この頃。 屋内を歩くのなら、パジャマで十分だった。 二階にもいくつか部屋はあったが、沙都子はまっすぐ階段を下りた。 下で誰かが水を使っている音がしたのだ。 「監督?」 「ああ、おはようございます。」 独立型の調理場で、入江が朝食を作っている。 「ここは、どこですの?」 「私の別荘ですよ。」 洋館、というやつだった。広くて、高価そうな家具が置いてあって、ここで生活して いないのだとしたらずいぶんもったいない話だ。 「…雛見沢の家より、こちらで暮らした方がいいんじゃありませんの?」 「一応、市内なんですが、通勤するには遠いんです。全く、無駄に維持費ばかりかかって。」 入江が苦笑する。 金持ちの考える事は分からない、と沙都子は思う。 「お金がかかるなら、売ってしまえばよろしいんじゃありませんの?」 「思い出があるから、それもできなくて。子供の頃から、よく両親に連れられて来ていたんです。」 入江が二人分の朝食の乗ったトレイを差し出した。 トーストにベーコンエッグ、生野菜のサラダと紅茶。 「ダイニングに持って行ってくれますか。」 「ええ。」 どちらかといえば朝は白いご飯が良かったと思ったが、他人の家でメニューに文句を 言えるほど沙都子は無邪気ではない。 「ところで、どうして私はここにいるんですの?」 「そうですね、食事をしながらゆっくり説明しますよ。」 入江がエプロンを外す。 (…なんだか葛西さんみたい) 印象の原因は、彼が着ている真っ黒なスーツだった。 焦げ茶やグレーの上から白衣を羽織っているのは見たことがあったけれど、黒は初めてだ。 (執事?) メイド萌えとやらが高じて、自己改造にも着手したのだろうか? 沙都子はのんびりとそんな事を考えていた。 食事を始めて、入江の最初の言葉に、沙都子のフォークからトマトが滑り落ちた。 「え?」 「沙都子ちゃんには死ぬまでここでメイドをしていただきます。」 ちぎったトーストを口に運びながら、入江が同じ言葉を繰り返す。 言葉通りの意味で受け止めることは、脳が拒否した。 沙都子は口にフォークを運ぼうとした体勢のまま、身動きがとれなくなる。 「私のことはご主人様と呼んでください。あとはひとまず、家事をお任せします。」 入江は、最初に宣言した前提での今後について話している。 沙都子はゆっくりとフォークを下ろした。 (監督は、何を言っているんですの?) 冗談ですよ、といつものように笑って欲しかった。 あの人懐っこい、そう、梨花がにぱー☆と笑うのに似た、あの笑顔が見たかった。 けれど入江は、軽く微笑を浮かべたまま、沙都子が聞きたくない話を続ける。 「ここから逃げることは考えないでください。沙都子ちゃんは致命的な病気を発症しています。 薬と注射なしでは、3日と保ちません。」 (夢? …そう、私きっと、まだ眠っているんですわ) この異常な状況が現実であるというよりも、それはよほど可能性が高かった。 目を閉じる。 開いたらそこは梨花と暮らしている小さな家で、ちょっと特別で幸せな今日が始まるのだ。 目を開く。 入江そっくりの男が、黒いスーツで朝食をとっていた。 「…監督?」 目の前の、入江だかなんだかよくわからないものに声をかける。 彼は、少し不快そうに眉を寄せた。 「ご主人様、です。3回間違えたらお仕置きですからね。」 シャットアウトするような物言いに、沙都子は一瞬躊躇した。 「…あの、でも…私がいなくなったら、梨花が探しますわ。」 「大丈夫ですよ。」 彼は満面の笑みを浮かべた。 沙都子もつられて笑顔になる。入江のその笑顔がどんなにありがたいものだったのかを、 彼女は切実に理解した。 「梨花ちゃんは死にました。雛見沢はガス災害で村ごと全滅です。」 息が詰まった。 「…おもしろく、ありませんわ。」 「そうですか? なかなかできる経験ではありませんよ。」 入江はにぱっと笑って、食事を再開した。 「監督!」 「ご主人様。今ので2回目ですよ。」 「…私、帰ります。」 「沙都子ちゃんの帰る場所は、ここです。だいたい、雛見沢に行ってどうするんです。」 わがままをいう子供をたしなめるように、彼は小さくため息をついた。 「大好きなお友達の死体を集めて、お持ち帰りですか?」 死体。 直接的な単語に、沙都子の精神が揺さぶられた。 「黙れっ! 梨花は死んだりなんてしてませんわ! 雛見沢だって…。」 がたん、と音を立てて入江が立ち上がった。 普段とは違う黒いスーツが、彼に暗い迫力を与えている。 「ご主人様に対する口の利き方がなっていませんね。」 沙都子は椅子の上で身じろぎした。 今まで一度も入江に対して感じたことのない恐怖心がわき起こる。 「いいでしょう。立場の違いを教えて差し上げるのも、主人の仕事です。」 入江の手が沙都子の肩を掴んだ。次の瞬間には、沙都子は床に引き落とされていた。 椅子が倒れて派手な音を立てた。 「ひっ。」 床にぶつけた場所が痛いとか、そんな事を考える余裕はない。 今まで入江からは、こんな乱暴な扱いを受けたことはなかった。 パジャマのボタンが入江の手で外されていく。 疎い沙都子も、さすがに何をされようとしているのかを理解した。 「あ…いや、っ!?」 ぺちん、と。 暴力と呼ぶにはあまりにささやかな力で、けれど確かに、入江は沙都子の頬を叩いた。 「あ? あ…ごめんなさい。」 叔父からはもっと強く殴られたことがある。 こんな…跡が残るどころか、赤くさえならないような力で叩かれたところで、 沙都子が恐がるほどの出来事ではなかったはずだ。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。」 それが入江だったから。 自分に危害を加えることなどあり得ないと信じていた入江だったから、沙都子は怯えた。 「そう、ちゃんとごめんなさいができるのは、良いメイドさんの第一歩ですよ。」 パジャマのボタンを全て外し、入江は無抵抗な沙都子の腕を袖から抜いた。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。」 発達途中のふくらみを揉まれる感触も、舌で嬲られる感覚も、恐怖にかられた沙都子に とってはたいした問題ではなかった。 ただ、入江が許してくれるようにと、そればかりを考えていた。 ショーツごとパジャマのズボンが下ろされた。 産毛としか形容のできない体毛の下に、入江の指が押し入った。 くちゅっと粘液の音がする。 入江が薄く笑った。 「そんなに私が恐いですか?」 「え? あ…ごめん、なさい…。」 どんな答え方をしたら入江の機嫌を損ねないのか分からない。 叔父夫婦と暮らしていたころは、沙都子がどんな答え方をしても相手の怒りが和らいだ ことはなかった。 「人間は、生命の危機を感じると性的な反応を示す事があるんです。」 入江の指がくすぐったい。 「簡単に言うと、命が危ないから子孫を残さなきゃ、って頑張ってしまうんです。」 くちゅくちゅと…それではこれは性的な反応なのかと、沙都子は顔を赤くする。 「う、うあ…。」 それでも、入江が怒るかもしれないという恐怖に、拒絶の言葉は声にならなかった。 「さすがにこの状況で、気持ち良くて濡れてるとは思いませんよ。」 慣らすように入り口周辺をいじっていた指が、沙都子の深くへと埋められた。 職業柄か、入江の手は凹凸が少なく繊細な印象だ。けれどそれは、成人男性にしては、 という比較の話で、自慰経験すらない沙都子には十分に厳しいものだった。 「あっ…ぐ。」 何も掴むものがなくて、沙都子は床に爪を立てた。短く切りそろえられたそれは 欠ける心配はなかったが、力が入りすぎて白くなっている指先が痛々しい。 指を抜き差しされることに、拷問めいたニュアンスしか感じていないらしく、 沙都子は目を固く閉じて耐えていた。 やがて指が抜かれると、沙都子はうっすらと目を開けた。 彼女には、叔父夫婦の元で暮らしていたころに身につけた習慣があった。 期待しないこと。 終わったと思って続いていたら、それはとても辛い。 でも、続いていると思っていて終わりだったら、少し幸運な気分になれる。 もっとひどいことになるかもしれないと覚悟して目を開けると、沙都子の前には、 予想を上回るひどい物があった。 「…!」 子供の頃にお風呂で兄のものを見たことはあった。 どことなくユーモラスな印象だったそれと、今目の前にある猛々しいものが 同じ器官とは思えない。 先ほどまで指が入っていた場所に、それが押し当てられた。 「沙都子ちゃん、クイズをしましょうか。」 「クイ…ズ?」 「私の名前はなに?」 「名前…。」 (監督、ではありませんわよね? えっと、えっと…) 恐怖に混乱する頭で必死に考える。 「い、入江、京介…。」 入江は、にぱっと笑った。 「ご主人様、ですよ? カウント3回目です。」 「あ!」 沙都子の心が絶望に塗りつぶされる。 そうだ、ヒントはあったのに。 ぐち、と入江が腰を進めた。 沙都子は歯を食いしばった。 (恐い、誰か…誰か助けて) 反射的に逃れようとする肩を、入江の手が押さえ込む。 (やだ! やだあ!) まるで体が引き裂かれるような痛み。 (先生、にーにー、圭一さん、魅音さん、詩音さん、レナさん、梨花ぁ) 心の中で助けを求める。 瞬間、入江の言葉がよみがえってきた。 『死にました』 『雛見沢は全滅です』 (死んだのなら…助けにきては、くれませんわね…) 痛む内壁を擦られる。 沙都子は、こんな行為が男にとっての快楽だなんて信じられなかった。 視界が涙で歪む。入江がどんな表情をしているのか分からない。 ずくずくと沙都子の内側をえぐりながら…彼は笑っているのかもしれなかった。 行為が終わると、入江はシャワーを浴びに行った。 沙都子は腹部の鈍痛に耐えながら身を起こし、パジャマをかき寄せて胸に抱いた。 こんなのはきっと偽物の世界だ。 梨花が起こしにきて、沙都子は本物の世界で目を覚ます。 そして、普段より少し豪華な朝飯を食べて、学校に行く。 既に登校していた皆が、笑顔でおはようと…。 沙都子の妄想は、そこまでしか保たなかった。 想像の中で、魅音が椅子から転げ落ちた。動かない。心配そうに近付いたレナが、 そのまま覆い被さるように倒れる。 (いや、いや!) 感情は否定しても、脳内でシミュレートが続く。 圭一が、詩音が崩れ落ちる。背後で梨花が倒れる音がする。 おそるおそる振り返ると…なぜだろう? 皆と違って梨花は裸で死んでいた。 口から血を吐いて、臓物をまき散らして。 その光景の、実際に目にしたような鮮明さに、沙都子は悲鳴を上げた。 「あ、ああああ、ああ!」 パジャマを強く抱きしめる。 沙都子も梨花も気にしなかったので、パジャマはほとんど共有物になっていた。 だからパジャマからは、沙都子の匂いだけではなく、梨花の匂いもする。 「梨花、梨花、梨花ぁ!」 梨花に会いたい。 嫌なことをされて可哀想だと、頭を撫でて欲しい。 パジャマに顔を埋めて泣いていると、入江が帰ってきた。 スーツの黒が、沙都子には死神の色に見える。 「お風呂あきましたから、どうぞ。」 パジャマを抱いて、よろよろと部屋を出て行く。 「ああ、沙都子ちゃん。」 「…はい?」 「私の名前は?」 「ごしゅじんさま。」 ほとんど無意識に出た回答に、入江は満足そうな笑みを浮かべる。 「よくできました。」 温かいシャワーを浴びていると、沙都子に少し元気が戻ってきた。 赤と白の入り交じった液体が、太ももを伝って排水溝に流れていく。 (死のう) 多分、それが一番幸せな選択だ。 雛見沢が全滅してしまったのなら、沙都子にはもう帰る場所はない。 大切な人は誰もいない。 …入江だって、ここにはいなかった。 沙都子の知っている入江京介は、焦げ茶色のスーツで、馬鹿なことばかりを言うけれど とても優しかった。あんな、黒い服を着た鬼のことなんて知らない。 沙都子は浴室内を見回した。 シャンプーとリンスのボトル、ボディブラシ、石けんと…。 (これじゃ、切れませんわよね…) ステンレス製の石けん皿を指で触って確認する。皿の縁はくるんと丸めてあって、 楕円形だから角もない。どんなに頑張っても、手首の上に擦り傷を作るのが精々だった。 (…まあ、いいですわ) 入江は、沙都子に家事を任せると言っていた。調理をすれば刃物も使うだろう。 そもそも、積極的に自傷しなくても死ぬのは簡単だった。 隙を突いてここから逃げればいいのだ。 入江が、薬なしでは3日保たない、と言っていたではないか。 希望と呼ぶにはあまりに悲しい決意を抱いて、沙都子はメイド服に袖を通した。 ダイニングに戻ると、入江は沙都子のメイド姿を褒めた。 「とってもよくお似合いですよー。」 「…ありがとうございます。」 沙都子にとってはどうでもいいことだが、ひとまず礼を言っておく。 「冷めてしまいましたが、召し上がりますか?」 結局1口も食べてていなかったが、沙都子は首を振った。 「食欲が、ありませんの。」 「では、薬だけですね。」 本当は空腹時に飲むのは良くないんですが、と言いながら、入江が錠剤を用意していく。 渡された中に、見慣れない色の錠剤があった。 「赤ちゃんができないようにするお薬ですよ。」 赤ちゃんという幸せな単語と、先ほどの悪夢に関連があることが、沙都子には実感できなかった。 「私も沙都子ちゃんも、公的には死んでいますから。親にはなれません。」 薬に関しては、沙都子に不服はない。 そもそも、あんな悪夢の中で「赤ちゃん」なんて可愛いものが宿るとは思えなかった。 沙都子の腹に何かが芽生えるとしたら、それはきっと鬼だ。 錠剤を飲ませると、入江は沙都子を二階に連れて行った。 「この部屋、見てみようとは思いましたか?」 鍵の束から、古めかしい形の真鍮の鍵を選び出している。 「いいえ。」 一階に入江がいると思ったから、他の部屋は触らずに下に行った。 …まさか鬼がいるなんて思わなかったけど。 「そうですか。普段は開けっ放しなんですけど、今朝は沙都子ちゃんを驚かせようと 思って、特別にかけておいたんですよ。」 驚かせる? もう十分に驚いた、と沙都子は思う。これ以上驚くことなんてないはずだ、と。 部屋の中は、窓からの光で明るかった。 光を受けてベッドのシーツが輝いて見える。点滴の中で、ぽたり、ぽたり、と黄色い 薬液が落ちている。手足を拘束された彼の胸は、呼吸にゆっくり上下していた。 「に、にーにー!」 駆け寄ろうとした沙都子を、入江が羽交い締めにする。 「起こすと、あなたが殺されますよ?」 あり得ない警告。 それでも、この異常な世界の中では、そちらの方が正しいのかもしれない。 もがくのをやめた沙都子に、入江が説明を続ける。 「悟史くんは、沙都子ちゃんと同じ病気を発症しています。そして、より重篤です。 適切な治療がなければ保って1日。目を覚ますと、視界に入る人間を見境なく襲います。」 それが今の悟史だと、入江は言った。 上から研究は打ち切られた、と。回復は望むな、と。 解放された沙都子は、ふらふらとベッドに近付いた。 この二年で、悟史はほとんど成長していないように見えた。 肌は青白く、頬はやつれている。 悟史の胸の上にメッセージカードがあるのに気づき、沙都子はそれを手に取った。 英語はまだほとんど読めないけれど、その単語はときどき見かけることがある。 「ハッピー…。」 カードの内容が分かった瞬間、沙都子は入江の意図を理解した。 「悟史くんは、沙都子ちゃんへのプレゼントですよ。お誕生日おめでとう。」 悟史が失踪してから今日まで、彼の帰還が一番の願いだった。 めまいがする。 沙都子がここから逃げ出せば、彼女は3日で死ぬだろう。 どんなに苦しんでも3日。 そうすれば、誰にも迷惑をかけずに彼女の苦痛も孤独も葬ってしまえる。 …では、悟史は? 沙都子が逃げ出した次の日、入江は悟史を治療するだろうか? 「…ご主人様。」 やめろ、ともう一人の自分が警告している。 言えばすっきりするかもしれないけれど、それは報復に見合うだけのこと? 「はい、なんですか?」 それでも沙都子は、どうしても我慢できなかった。 「お前なんか死んでしまえ。」 入江はきょとんとして、それから喉の奥でくっくっと笑った。 「まだ教育が足りなかったようですねえ。」 眠る兄がいる部屋で、沙都子は入江にうつぶせにされた。 両肩を床に押さえられて、腰を上げさせられる。 (にーにー、にーにー…) 心の中で兄を呼ぶのは、もう、助けを求めてのことではなかった。 (今度は私がにーにーを守りますわ。沙都子は、強くなったんです) スカートをたくし上げられ、ショーツが下ろされる。 流れきっていなかった鮮血と入江の残滓が、そこを広げた彼の指を伝う。 ベルトを外す音がして、予告もなく押し入られた。 「ぐっう…。」 (痛くない!) 自分に言い聞かせるように、沙都子は心の中で叫んだ。 (こんなの、痛くなんてない!) ダイニングでの続きをするように、入江は沙都子を蹂躙した。 快楽と、苦痛と。違う理由で乱れた二つの呼吸音が、白い部屋の中に満ちる。 病室めいた部屋の中で、その音はどこか背徳的だった。 入江は沙都子の腰を掴み、ゆっくりと前後に揺する。 先ほどは、ひたすら早く終わってくれることを祈っていた沙都子だったが、 今はどれほど続こうと構わないと思っていた。 この苦しみは試練。 兄を追い詰めた自分への罰だ。 沙都子の腰を掴んでいた手に、一瞬力が入る。 どろりとした物が流れ込む不快感に、沙都子は身を震わせた。 ▼ その別荘は、山の深いところにあるようだった。 食料などの買い出しには、入江は必ず自動車で出かけてたし、ちょっとした買い物に 行っても、最低2時間は帰って来ない。 入江が買ってきた週刊誌に雛見沢ガス災害の事が書いてあった。 それは偽造品には見えなくて、沙都子はこの現実を受け入れざるを得ない。 一つ疑問だったのは、災害が起こった日時だった。 入江が災害の話をしたのは6月24日。 週刊誌に記載されている日付は6月26日。 古手梨花はときどき未来を予言することはあったけれど、こんな大それた予知なんて やったことがなかった。 「ああ、これは予定されていた災害ですから。」 沙都子の疑問に、入江はそう答えた。 「雛見沢の病気を人間ごと撲滅する。そういう計画になっていたんです。」 予定されていた? 計画? (じゃあ…) 「雛見沢は、人に滅ぼされたんですの?」 「ええ。」 それがどうかしましたか? そんな気安さで、入江は頷いた。 「…ご主人様は、知って、いたんですのね?」 「はい。」 外国語の医学書をめくっていた彼が、面倒そうに顔を上げる。 「知っていました、とめませんでした、むしろ協力しました。」 「そんな、見捨て…。」 彼はページにしおりを挟んで、本をテーブルに置いた。 「見捨てました。…沙都子ちゃん、さっきから主人に対して少々口が過ぎませんか?」 「え? あ、ごめ。」 言い終わらないうちに、入江が沙都子の腕を引いた。 沙都子はバランスを崩して、入江の膝に倒れ込む。 「口でどうぞ。」 「は、い…。」 ズボンの前を緩め、沙都子は教えられた通りに口に含んだ。 できるだけ奥までくわえて、入り切らなかった部分に指を絡める。 そして、飲み下さなくてはいけない物を出させるために舌を動かし始めた。 ここに来てから毎日のように強要されているが、沙都子は一向に慣れることができなかった。 口に出されれば吐き気がするほど不味いし、組み敷かれれば内側からの圧迫感が苦しい。 濡れるのだけは上手くなったが、それは自分の体を保護しようという反応でしかなく、 入江もそれは分かっているようだった。 こんな自分に相手をさせていて楽しいのか、沙都子は疑問に思う。 雛見沢の人間なら誰でも選べたのだから、成熟した女性を連れてくれば、 もっと楽しめただろうに。 入江が沙都子の頭に手を置いた。 「ん…。」 置きやすい場所にあったから、といった軽い動作だ。ただ、その感触が沙都子に 悟史や梨花から撫でられたときの記憶を思い起こさせた。 罪悪感を覚える。 こんな状況下で大好きな人の記憶を思い出すのは、いけないことだ。 口中に放出されたものを、呼吸を止めて飲み込む。 付着していた分を舐めてきれいにして、入江のズボンを元通りに直した。 (…なんの話をしていたんでしたっけ?) 嘔吐感に耐えながら記憶をたどる。 (そうでしたわ。監督は雛見沢を、見捨てた…) 「沙都子ちゃん、紅茶を入れてください。」 「…はい、ご主人様。」 再び洋書を読み始めた入江に背を向けて、沙都子は調理場へ向かった。 死者の時間【後編】(黒入×沙)
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「み、魅音!? ち、違うんだっ!! これは……」 ……私が、地面に広がる染みを見つめている。 足元には自分の見た光景に動揺し、落としてしまった紙コップ。 あはは……。 せっかく、綿流しの準備を手伝ってくれている圭ちゃんのために持ってきたのにね。 ……タイミング悪いなぁ、本当に。 なんで……物陰でキスをしようとしている場面になんて出くわすかなぁ……。 「あらあら……ダメじゃないですか、お姉。しっかり持ってなくちゃ。……でも、わざわざ持ってきてくれたんですね。ありがとうございます」 「あ、いや……し、詩音のため持ってきたわけじゃ……」 「私の圭ちゃんのために持ってきてくれて」 ぐさりと。 詩音の言葉が私の心に突き刺さった。 ……もういいよ、帰ろう? こんなところに居たって、良いことなんてないから。 ……知りたくも無いことを知ってしまうだけなんだから……。 「……わ、私の、って……。し、詩音と圭ちゃんは、別にそんな……」 「そんな関係ですよ? 私と圭ちゃんは」 もういいからさ……。 「だ、だって! 詩音と圭ちゃんが初めて会ったのは一昨日でしょ!? それなのに……」 「出会ったその日に好きになっちゃいけませんか? 雛見沢分校に通うことにしたのだって、圭ちゃんのためですし」 もう……いいから…………。 「で、でも……だって……」 「それに私の圭ちゃん、って表現はそんなにおかしくありませんよ? だって、私と圭ちゃんは…………」 「……………………ん」 チュンチュンと、スズメの鳴き声が聞こえる。 差し込んだ太陽光が新しい一日の訪れを告げていた。 ……もう朝か。 「……なんでだろ……」 ……なんで今更、あんな夢を見たんだろう。 せっかく忘れようとしていたのに。 意識しないようにして、上手くやれていたのに。 それなのに……。 「……圭ちゃん……」 ……でも、本当は気づいてる。 私が忘れたとしたって、圭ちゃんと詩音がそういう行為に至ったという事実が覆ることはないってことくらい、気づいてる。 結局、忘れるなんて逃げでしかない。 だから、私が本当に圭ちゃんと恋人同士になりたいのなら。 圭ちゃんに、しっかりと自分の気持ちを告げるしかない。 ……でも……。 「……それが出来たら、こんなに悩んでないって……」 ……圭ちゃんは私を男友達のように思っている。 それは私が望んだことでもあるし、私もその関係が気に入っている。 だから、私の気持ちを伝えることで……圭ちゃんとの関係が崩れることは望ましくない。 ……それに、詩音が本気で圭ちゃんを好きだってことくらい、分かってる。 だから……。 「……はぁ……」 ……なんだか気分が優れない。 あんな夢を見たせいで、圭ちゃんや詩音の顔をまともに見れる自信もないし……。 今日は休んじゃおうかなぁ……。 「おはようございます、圭ちゃん!」 「おはよう、圭一くん!」 玄関のドアを開けると、詩音とレナが元気よく挨拶してくれた。 毎日毎日、俺を迎えに来てくれるのだから、本当に頭が下がる。 でもなぁ……。 「いま何時だと思ってるんだっ!! 少しは俺の迷惑を考えろッ!!」 俺に怒鳴られたふたりは、顔を見合わせ曖昧に笑いあう。 ……現在の時刻は午前五時。 当然、登校するには早すぎる。 ……詩音が登校時、俺を迎えに来てくれるようになったのは二学期に入ってからだ。 しかし、本来ならそれはレナの役目。 だからなのか、レナは詩音より早く迎えに来るようになり……。 結果、詩音もそれに張り合う形で、どんどんエスカレートしていった。 「とりあえず上がってくれ……。まだ登校するには早いからな。俺、着替えてくるから。……あとでみっちりと説教してやる」 「え~、なんでかな、なんでかな? レナたちは何も悪いこと、してないよ?」 「そうですよ。私やレナさんは何も悪いことなんかしていません。悪いのはお寝坊さんな圭ちゃんです」 「……もういい。……とにかく上がってくれ」 「「お邪魔しま~す!!」」 「……遅いな」 ……魅音が待ち合わせ場所に現われない。 毎日、時間きっかりに来るのだが、今日は既に待ち合わせ時刻を五分も過ぎている。 いつもなら、「しおーーーん!! 圭ちゃんから離れろーーーッ!!」とか叫びながら走ってくるんだが……。 「圭一くん、どうする? もう先に行ってもいい時間だけど」 「どうするって言ったって……。来ないなら先に行くしかないだろ。俺たちまで遅刻するわけにも行かないし」 「そうですね。お姉に限って休むなんてことはないでしょうし。きっと夜更かしでもして寝坊したんだと思います」 ……寝坊、か。 なんか魅音らしくないな。 ……何かあったんだろうか? 「圭一くん、急ごう! 走らないと間に合わないよ!」 「え? ……あ、あぁ」 「ほら、ボサっとしてないで。急ぎますよ、圭ちゃん!」 「しっかし、珍しいこともあるもんだな」 俺たちはいつものように授業という名の自習にいそしんでいた。 さっきから話題になっている約一名を除いて、だが。 始業時刻を過ぎても現われないと思っていたら、風邪を引いて休むだなんて……。 昨日、あれだけ部活で大騒ぎしといて風邪を引いた、ってことはないと思うんだけどな。 「う~ん……。季節の変わり目だからね。圭一くんも気をつけなきゃダメだよ?」 「へいへい。……でも、怪しいよなぁ? 風邪とかなんとか言っておいて、本当はズル休みなんじゃないか? なぁ、詩……」 ……詩音に話掛けようとして、様子がおかしいことに気づいた。 詩音は難しい顔で教科書を見つめている。 「……どうした? 解らない所でもあるのか?」 「………………。…………えっ? なんですか、圭ちゃん?」 「いや、だから。解らない所でもあるのか、って……」 「ぁ……はい。この問題なんですけど、難しくて全然解けないんですよ」 「……詩音。それ、歴史の教科書なんだけどな」 「へっ?」 当然、歴史の教科書に解くような問題なんて載っているわけがない。 魅音が風邪を引くなんて珍しいと思っていたら、詩音までらしくない。 一体どうしたっていうんだ……? 「……詩ぃちゃん、どうかした? 悩みごとならレナが相談に乗るよ?」 「ぇ、いや……あはは! 今日はお姉が居ないから圭ちゃんを独り占めできるなー、って思ってただけです」 そう言って肩を寄せてくる詩音。 ま、毎日毎日、こいつは……。 「だーかーら! 授業中にくっつくのはやめろってのッ!!」 「前原くん! 授業中ですよ!!」 「ぐっ……!? す、すいません……」 ……知恵先生に怒られてしまった。 あ、ふたりとも笑ってやがる。 くっそー、他人事だと思って……。 ……そういや、詩音とレナって妙に仲がいいよな、最近。 …………。 お袋からレナを経由して、詩音に変な情報が伝わらないか心配だ……。 「ハァ……。やっと解放してくれたか……」 へろへろになった俺は机に突っ伏す。 詩音は俺というオモチャで遊び飽きたのか、今度は沙都子とじゃれ合っている。 カボチャがどうのと言い争っていたが、どうやら詩音は食べさせることを諦めてしまったようだ。 ……あ、でも詩音が沙都子に食べさせているコロッケは……さっき俺が食べたのと同じカボチャコロッケだ。 俺と一緒に食べていた梨花ちゃんは沙都子の横でニコニコしている。 あとで沙都子の頭を撫でるつもりなんだろう……恐ろしい。 ……それはさておき、久しぶりにゆっくりと弁当を堪能できるな。 「お、うまそうなミートボールだな。ひとつ貰うぜ、レナ」 「あ、ダメだよ! 圭一くんっ!!」 弁当箱からミートボールを取ろうとしたら、レナは弁当箱を引っ込めてしまった。 ………………なんで? 「……レナ。俺って、なにかレナを怒らせるようなこと、したか……?」 「もぅ、そうじゃなくって! 私のお弁当なんて食べたら、詩ぃちゃんに怒られちゃうよ?」 「は? なんでだよ。だって、魅音の弁当なら毎日食べてる……っていうか、詩音が食べるように勧めることだってあるぞ?」 「魅ぃちゃんは詩ぃちゃんの妹なんだよ? だから、特別。私は他人なんだから、圭一くんがお弁当なんて食べたらダメなの!」 「なんだよ、それ……。……っていうか、レナ。お前、今おかしなこと言ったぞ?」 「え? 何のことかな?」 「魅音が詩音の妹って。逆だろ? 詩音が魅音の妹だ」 「……あれ? あれれ? レナ、そんなこと言ったかな……かな?」 「言った。確かに言った」 「あれれー……?」 レナは自分が何故そんなことを言ったのか理解できずに、首をかしげている。 ……魅音が詩音の妹ねぇ。 「はぅ~……。でもさ、圭一くん。詩ぃちゃんって、どことなくお姉ちゃんっぽいと思わないかな?」 「うーん? どうだろうな……」 詩音たちの方へ目線を移すと、梨花ちゃんがかわいそかわいそと言いながら沙都子の頭を撫でていた。 どうやら沙都子は、己が食していた物の正体を知ってしまったようだ。 「ふえぇぇぇん!! 酷いですわ、詩音さん! もうカボチャは食べさせないって、さっき言いましたのにーッ!!」 「酷くなんかありません! だって、沙都子はさっきまでおいしいおいしい、って言いながら食べていたじゃありませんか!」 「そ、それは……そうですけれど……」 「沙都子はカボチャが嫌いなんじゃないんです。カボチャが嫌いだと思い込んでいるだけなんです! さぁ、もうひとつ食べてみましょう。きっとおいしいはずですよ」 「……うぅ……。……わ、分かりましたですわ……」 沙都子は恐る恐るカボチャコロッケを食べようとしている。 うーん、姉っぽい……か? 「……仲良くなったよね。沙都子ちゃんと詩ぃちゃん」 「確かに。詩音が転校してきた頃に比べると、かなり打ち解けたよな」 最初の頃は、詩音が沙都子を嫌いなんじゃないか、ってくらい冷たくて。 それで、沙都子が仕掛けたトラップが原因で大喧嘩したんだよな。 その時の光景を思い出したのか、レナは楽しそうに笑う。 「凄かったよね~。詩ぃちゃん、烈火の如く怒って。あんなに怒った詩ぃちゃん、初めて見たなぁ」 「……笑えないんだけどな。巻き添えを食らった身としては」 「あ、ごめん。そうだよね。……圭一くんが止めに入ってなかったら、もっと大変なことになってたかな、……かな?」 「あの椅子が沙都子に当たっていたら、笑い事では済まなかっただろうな。……それを考えるとよくここまで仲良くなったな、って思うよ」 ……もしもあの時、教室の床を濡らした血が沙都子の物であったなら。 沙都子と詩音の関係だけではなく、俺と詩音の関係も悪化していた可能性は高い。 「でも、あの二人が仲良くなるのは当然だよ? だって詩ぃちゃんは悟史くんが好きで、沙都子ちゃんは悟史くんの妹なんだから」 「ああ、そうだな。………………結局見つからなかったな、悟史」 「あ、うん……。でも、きっと見つかるよ? 富竹さんも向こうで探してくれてるって、鷹野さんが言ってたし」 「だといいんだけどな……。あれだけ探し回って、手がかりすら無いとなると……」 「大丈夫なのですよ」 「「えっ?」」 俺とレナは声のした方へ振り向き……梨花ちゃんが俺たちの近くまで来ている事に気づいた。 どこから聞いていたのか、ニコニコと笑っている。 「悟史は帰ってくるのですよ。これはもう決まっていることなのです」 「そっか……。梨花ちゃんがそう言ってくれるなら、きっと帰ってくるんだろうな」 「圭一。きっと、ではないのです。絶対なのです」 「……それは予言ってヤツか? オヤシロさまの……生まれ変わりとしての」 「はいなのです。オヤシロさまに教えてもらったのですよ。にぱー☆」 梨花ちゃんはそれだけ言い残すと、詩音と沙都子のところへ戻……らずに教室を出て行った。 学校へ来ているらしい監督のところへでも行くつもりだろうか? ……最近、梨花ちゃんと監督って、真剣な表情で話してることが多いよな。 俺の知らない所で、沙都子のメイド化計画が進行しているのかもしれない……。 「……だってさ、圭一くん。梨花ちゃんも絶対だって言ってくれてるし。悟史くんは必ず帰ってくるよ」 「そうだな。……っていうか、帰ってきてもらわなきゃ困る。あいつらの為にも……」 普段はあまり口にしないが、沙都子や詩音が悟史に会いたくないはずはない。 沙都子は悟史にべったりと甘えていたそうだし、詩音だって……。 「……あれ?」 そこで気づいた。 俺は悟史と沙都子の関係についてはある程度知っている。 レナや魅音たちが教えてくれるからな。 でも悟史と詩音の関係ってのは、ほとんど……全くというほど知らない。 なぜ詩音が悟史を好きになったのか。 一年前にふたりの間で何があったのか。 俺は…………知らない。 「圭一くん? どうかしたの?」 「あ、いや。……大したことじゃない」 ……俺の考えすぎだろう。 別に隠してるわけじゃなくて、俺が聞かないから話さないだけだと思う。 今度、機会があったら詩音に聞いてみるか。 そこで俺は再び詩音たちの方へ視線を移した。 ……ん? なんか詩音がおろおろと取り乱していて、沙都子は喉に何か詰まらせたのか、顔が青白く……。 「おわぁあぁああああ!!!?? さ、沙都子ぉ!! 大丈夫かッ!!?」 「沙都子!? 大丈夫ですか、沙都子!!? レナさん、お飲み物をください!」 「はい、詩ぃちゃん! 早く飲ませてあげて!」 沙都子はこくこくと麦茶を飲み、喉に詰まらせていたカボチャコロッケの残骸を洗い流した。 なんとか事なきを得たようだな……。 「……げほっ、げほっ……。……もうカボチャはこりごりですわー……」 「沙都子、ごめんなさい、沙都子……。私が無理に食べさせたばっかりに……」 「……顔色が良くないね。念のために監督に診てもらった方がいいかな?」 「そうだな。沙都子、おぶって保健室まで連れてってやるから、こっちへ来い」 「……お、大袈裟ですわよ……。……そこまでしていただかなくても結構ですわ……。……ひとりで歩けますから……」 「何を言ってんだッ! そんなにふらふらしてるくせに遠慮なんかすんな!! 第一、歩いて行かせる方が心配だ!」 「……も、申し訳ありませんですわね……。……それなら、お言葉に甘えさせていただきますですわ……」 ……ったく、しっかりしてるのはいい事だが、ここは強がる場面じゃないだろう。 しかし悟史も大変だな。 せっかく帰ってきたとしても、こんな意地っ張りの面倒を見なきゃならないんだから。 「はぅ~……。か、かぁいい、かぁいいよぉ……」 あの後、沙都子を監督に診てもらったが大したことはなかった。 ただ、明日の定期診察だか定期健診だかをついでにすることになったらしく。 梨花ちゃんも付き添って、監督に連れられて診療所へ行ってしまった。 それならレナは誰に対してかぁいいかぁいい、と言っているかというと……。 「起こすなよ、レナ。疲れてるみたいだから」 ……詩音が眠いのは当然だ。 バイトだって大変だろうに、弁当を作ったうえにあれだけ早く迎えに来るんだからな。 「はぅ……。でもでも! スヤスヤ眠ってる詩ぃちゃん、こんなにかぁいいよ……?」 「いや、スヤスヤって感じではないと思うが……」 詩音は珍しくよだれを垂らしながら、いびきまで掻いて眠っている。 まぁ、確かに寝顔はかわいいかもしれないけど……。 「普段はもっと静かなんだけどな。いびきを掻くのなんて、初めて見るよ」 「ふ~ん。……圭一くん?」 「ん? どうした?」 「なんで圭一くんは、詩ぃちゃんが普段はいびきを掻かない、なんて知っているのかな?」 「えっ?! い、いや、それは……。……し、詩音ってさ! 俺の家に遊びに来ると、よく昼寝するんだよ! バイトで疲れたとかなんとか言って……」 「ふーん、そうなんだ。ところでさ、これを見てくれるかな?」 レナはそう言うと、机に伏して眠っている詩音の首筋を指差す。 そこには少し大きめで、目立たないような肌色の絆創膏が貼られている。 「最近ね、よく貼ってるんだよ? おかしいよね。こんな所に絆創膏なんて、あまりしないと思うし」 「それは……きっとさ! 首を掻き毟りたくなる奇病でも流行ってて、そのせいなんじゃないか?!」 「レナはキスマークを隠しているんだと思うな」 「……………………」 ……重苦しい空気が場を支配する。 校庭から聞こえる低学年の子供たちの声が、やけに遠く感じられた。 「…………ごめんね、圭一くん」 「……レナ……?」 「レナね、怒っているわけじゃないの。私たちくらいの歳だと、ちょっと早いかなって思うけど。好きな人同士がそういうことをするのって、自然なことだと思うし」 「…………」 「でもね。圭一くんと詩ぃちゃんがお付き合いしているのなら。なんで……レナたちに秘密にするのかな、って」 「いや、それは……」 「別にやましいことじゃないのに。なんで隠すのかなって、……思っちゃうよね」 「………………」 ……どう説明すればいいのか。 ……事情を話すべきだろうか……? いや、でも……。 「圭一くんは詩ぃちゃんとお付き合いしてるんだよね?」 「…………レナ。悪いんだけどさ、今は……答えられない。でもさ! きっと、近いうちに話せるから……。だから……」 「……それまでは、みんなには内緒にしてほしい?」 レナの問いに、首を縦に振ることで答える。 「……そっか。それなら今の話は訊かなかったことにするね」 「……悪い……」 「ううん。気にしないで。……それとさ、圭一くん。もうひとつだけ、どうしても気になることがあるんだけど」 「なんだ……?」 「詩ぃちゃんと喧嘩でもした?」 「……喧嘩? なんで……そう思うんだ?」 「最近、ちょっと詩ぃちゃんに冷たいよね。邪険にしてるっていうか」 「なっ!!?」 …………なんで、……そんな事まで解るんだよ…………? 必死に隠そうとしていたことを……あっさりと見透かされた。 「少しだけね、心配になったから。聞いてみたんだけど」 「……別に喧嘩したわけじゃない。詩音が悪いわけでもないし。……悪いのは俺だと思う」 「……どうして?」 レナの哀れむような、それでいて優しい笑顔に……少しだけ心が落ち着いた。 もっと落ち着く為に、深呼吸をひとつ。 …………大丈夫。 レナは俺を追い詰めようとしているわけじゃない。 ……だから……隠す必要なんか、ない。 「……バランスがさ、取れていないんだよ。俺の気持ちと……詩音の気持ちの」 「詩ぃちゃんに好きだ好きだ、って言われるのが恥かしい? それで、照れ隠しに冷たくしちゃう……?」 「別にそういうのが嫌だってわけじゃないんだぜ? ……解ってるだろうから隠さないけど、俺だって詩音が好きだからな」 「うん。知ってる……」 「たださ。ずっと一緒に居て、あれだけ真っ直ぐな好意をぶつけられ続けると、……少しだけ、つらいときがある」 「……詩ぃちゃんの気持ちが大きすぎて、圭一くんには支えきれない?」 ……他人にはとても理解出来ないような俺の心情を、レナはすんなりと受け入れてくれた。 だからなのか……もう少しだけ、愚痴を吐きたくなった……。 「花……ってさ。水をやりすぎると枯れるだろ……? ……それに似てると思う」 「……でも、圭一くんはお花じゃない。人間だよ?」 「分かってる……。 ……結局さ、俺の感受性が幼いのが原因なんだと思う。詩音の気持ちを素直に受け止められないのは」 俺がもっと大人だったのなら。 ……精神的に成熟していれば、詩音の気持ちに対して、こんなに戸惑うことはなかったんじゃないだろうか……? 「……だからさ。……悪いのは俺なんだ…………」 「…………圭一くんは悪くないよ」 「………………え?」 俺は自然と沈み込んでいた視線をレナに向ける。 レナは相変わらず……いや、さっきよりも、さらに和らいだ表情で微笑んでいる……。 「詩ぃちゃんの気持ちが重いのは当然なんだよ? だって、二人分なんだから」 「……二人分……?」 「うん。詩ぃちゃんが圭一くんを好きな分と……詩ぃちゃんが悟史くんを好きな分」 「あ……」 「だからね。重くて当然なの」 「そっ……か……。それなら、俺がしっかりと受け止めなきゃダメだよな……」 だって、詩音に悟史を好きでいても構わないと言ったのは俺なんだから。 それでも、俺を好きでいて欲しいと願ったのは俺なんだから。 だから、この程度で弱音を吐いちゃダメだったんだ……。 「魅ぃちゃんなら……」 「……?」 「魅ぃちゃんと一緒なら、支えられる? 魅ぃちゃんと一緒なら、詩ぃちゃんがどんなに大きな想いをぶつけてきても、受け止められる?」 「魅音と……?」 「気づいてなかったかな? 圭一くんはね、詩ぃちゃんと魅ぃちゃん。三人で居る時は、絶対につらい表情にはならないんだよ?」 「…………」 ……確かにそうかもしれない。 事実、三人で居る時につらいと感じた事はない。 間に魅音が居ることで、詩音の気持ちを直接受けないで済むというか……。 それに、魅音は俺がもっとも心を許せる相手というか、親友……だと思う。 魅音がそばに居てくれるなら、俺は詩音と上手くやっていけるんじゃないだろうか……? でも……それは……。 「でも、それは卑怯なことなのかもしれないね。だって魅ぃちゃんは……」 ……いくら俺が鈍いといっても。 魅音が俺を好きなことくらい、気づいてる。 その魅音に、俺と詩音が上手くいく手助けをして欲しいってのは、酷く都合のいい考えではないだろうか……? 「本当に卑怯だよな……。魅音の気持ちを知ってて、それを利用しようっていうんだから……」 「でもね、圭一くん。それは仕方のないことなんじゃないかな?」 「レナ……?」 ……そこで、レナの表情が曇っていることに気づく。 それはまるで、大切な物を傷つけられていることが許せないような……怒りを含んだ表情だった。 「たとえ、それが卑怯だとしても。圭一くんが詩ぃちゃんの気持ちに押しつぶされる、なんてことがあってはいけないの」 「……どうして?」 「悪意のない、純粋な気持ちが原因で誰かが傷つくのは……とても悲しいことだから。詩ぃちゃんだって、圭一くんを追い詰めたいなんて、絶対に思ってない」 「……それは……そうだろうけど……。でも……」 「……ごめん。ちょっと大袈裟な言い方になっちゃったね」 ……レナは緊張を解き、さっきまでの優しい表情に戻った。 「要するに、圭一くんがなるべく魅ぃちゃんと一緒に居るようにすればいいだけだから。圭一くんと魅ぃちゃんは友達なんだから、おかしなことじゃないよね?」 「…………そうだな。そうさせてもらうよ。……悪いな、変なことを相談して」 「ううん、気にしないで。……これからも、何かつらいことがあったらレナに相談してね? 約束だよ?」 「ああ、そうする。約束だ」 「絶対だよ? レナなら……」 「レナなら……?」 「レナなら……えっと、なんだっけ? あれれ、忘れちゃったよ。はぅ~……」 ……かぁいいモードで誤魔化されてしまった。 でも、レナが言おうとしていたことはなんとなく解る気がする。 『他の誰にも理解してもらえなくても、レナだけは圭一くんのことを解ってあげられるから』 ……そんな事なんじゃないかと、……俺は思った。 「はぅ~……。……それにしても、眠ってる詩ぃちゃん、かぁいいねぇ~」 「お? 話をそこまで戻すのか」 「眠ってる詩ぃちゃん、お持ち帰りしたいよぉ~……」 「だからダメだって。疲れてるだろうから……」 「なんでなんで? 圭一くんがお持ち帰りするから? だからダメなのかな?」 「なっ?! ち、違うって! そうじゃなくて……」 「それなら、圭一くんもセットでお持ち帰り~ぃ☆」 「うわ、バカバカ!? やめろって!! ちょ、それどこから持ってきた??! 縄跳びで縛るのはやめろーーーッ!!」 「……う……んん……?」 ……レナと騒いでいたら、詩音が起きてしまった。 「あ、起こしたか……? ほらぁ、レナが騒ぐからだぞ」 「はぅー……。ごめんね、詩ぃちゃん……」 「あれ……。……もしかして、私って眠ってました……?」 「ああ。悪いな、起こしちまって」 「……いえ、いいんです。……その……」 「どうした?」 「実は……圭ちゃんにお話ししたいことがあります。良かったら、レナさんも聞いてください。とても……大切なお話です」 続く アンダースタンド2
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「っしぁあああああっ。どんなもんだあああああああああっ!」 玩具屋に俺の雄叫びがこだまする。 魅音がバイトに行ったため延期になっていた部活の決勝。 それに俺が華麗なる逆転勝利を手にした瞬間だった。 激しい戦いだった。手に汗握る接戦だった。 ゲームはいわば多人数でやる軍人将棋だったのだが、部活メンバーすべてが策略、イカサマ、力業、そして運のすべてを駆使したまさに何でもありの混戦だった。これが賭博漫画だったら、一年はこのシナリオで連載できたに違いない。 「はぅ~。負けちゃったあ」 「いやはや、まさか圭ちゃんがあんな切り札を考えていたなんて……、おじさん読み切れなかったよ。素直に完敗を認めるしかないね」 「まったくですわ。よりにもよってあの局面で私のトラップを逆手に使うなんて、考えられないですわよ」 「ダークホースの名を返上なのです」 「まあ、あそこで沙都子がトラップを使ってくれなきゃ、どうしようもなかったんだけどな」 無論そのための策も色々と練ってきたが、それでも沙都子がトラップを発動させる可能性は五分五分だった。読みが外れていれば、まず間違いなく俺はじり貧だった。 ちなみに、順位は一位が俺、二位がレナ、三位が魅音、四位が梨花ちゃんで沙都子がビリである。 「それで、罰ゲームはどうするの?」 そうだった。あまりにも熱い戦いだったため忘れていたが、勝者には魅音が自腹を出した5万円とは別に、部活メンバーに対する罰ゲームの決定権が与えられているのだった。 5万円は元々は魅音の金だったわけだし、みんなと一緒にぱ~っと使うとして……。 「そうだな。とりあえず梨花ちゃんには猫耳をつけて岡村君と散歩してもらおう。沙都子、お前には首輪をつけて富田君の一日妹になってもらおうか」 「それ……富田や岡村にも聞いてみないことには難しいんじゃないですの?」 「そうかもな。……どうだろ? 富田君。岡村君」 俺はギャラリーへと振り返り、彼らに一応訊いてみた。無論、答えは分かっていたことだったが。 「ま、まあ。前原さんがそういうなら仕方ありませんねぇ」 「そ、そうだよね。仕方ないよね」 平静な口調ながら、顔が真っ赤になるのを隠せない後輩二人。ふふふ、反応が初々しいぜ。俺には、男同士にしか通じ得ない彼らの熱い想いが痛いほど伝わっていた。 「じゃあ、レナと魅音には俺の一日着せ替え人形にでもなってもらおうか。メイド、ナース、チャイナ、浴衣や巫女さんもいいなぁ~、いやいや、ここは白ビキニでエプロンっていうのも……くうぅ。たまんねぇぜ」 俺は勝者の特権にうきうきと心弾ませていた。 「ふぅん。……そんなんでいいんだぁ」 くっくっくっ 圭ちゃんもまだまだ甘いねぇ。 そう言っている魅音の目。 「えっ? それどういうことだよ? 魅音」 ふふん。 魅音はにやりと笑みを浮かべた。 「よし。それじゃあそんな圭ちゃんをいいところに連れて行ってあげよう」 「いいところ?」 だが、魅音は俺の質問には答えない。つまりは黙ってついてこいっていうことか……。 「富田。岡村。……なんなら君たちも来ていいよ。沙都子と梨花ちゃんも来るからね」 「はあ……、分かりました」 「そうですね。お供させて頂きます」 後輩二人組もいまいち腑に落ちないまま頷いた。 部活の会場だった玩具屋を出て、既に三十分は経過していた。 ちなみに、自転車は玩具屋に置いてきたままだ。 「なあ、魅音。……いったいどこまで行くんだよ?」 「ん~? もうすぐ着くよ」 「……その台詞何回目だよ?」 「7回目なのですよ。にぱ~☆」 梨花ちゃんが律儀に答えてくる。 だが、どうにもさっきから人通りの少ない裏道ばかりをぐるぐると回っているような気がする。 おかげでここが興宮のどのあたりなのか、俺にはすっかり分からなくなっていた。 こんな狭い道をぞろぞろと連なって歩いているのも、もし周りに人がいたら少し首をかしげるかもしれない。 「本当にもうすぐだってば。……ほら、あのビルが目的地だから」 そう言って魅音が指さす建物は20mほど先にあった。 「ここが? ……どう見てもただのビルだぞ?」 そう、何の変哲もないただのビル。 そうこう言っている内に、そのビルに辿り着く。 「……なにしてるのさ。早く入りなよ」 「……いや、でもここ裏口だぞ?」 「別に気にしなくていいよ。ここも叔父さんの店だから」 そう言って魅音は扉を開け、俺や富田君、岡村君、そして部活メンバーを中に招き入れた。 ビルの中には絨毯が敷かれていて、外見からはそう思えないほど小綺麗な作りになっていた。天井には小さなシャンデリアが掛かっていたり、壁紙に薔薇の絵が描かれていたり、所々に観葉植物も置かれていた。 と、黒いスーツに身を包んだ男がやってくる。三十代後半ぐらいだろうか。うう、でも何だか顔が厳ついぜ 「叔父さん。部屋は空いてる?」 「ああ、言われたとおり空けておいたよ。でもあまり騒ぎすぎないでくれよ?」 「分かってるって。叔父さんに迷惑はかけないからさ」 「あと、くれぐれもお客さんとすれ違わないようにしてくれよ。一応こっちも気をつけているけどさ」 「ん。了~解」 魅音と叔父さんの会話に妙な引っかかりを覚えながらも、俺達は結局、魅音に促されるまま付いていくことにした。 「なあ、……ここってホテルか何かなのか?」 昔、家族旅行をしたときに泊まったビジネスホテルがこんな感じだったかもしれない。 ただ、宿泊客がいないのか誰ともすれ違わないのが気に掛かる。 もっとも、昼間のホテルならそういうこともあるのかもしれないが。 「ん~? まあ、似たようなもんだけどね」 そうこうしているうちに、4階の奥の部屋へと俺達は辿り着いた。 「じゃ、みんな中に入って」 そう言って魅音は部屋の扉を開けた。 その部屋の中はベッド、冷蔵庫、シャンデリア、テレビ、そしてふかふかした絨毯が敷き詰められていて―― でも、あれ……あれ? 変だぞ? これ……。 「ほら、何してるのさ圭ちゃん。後ろがつかえているんだからさっさと中に入った入った」 後ろから強引に押されて、俺は中に入った。 「……あら、本当に広いですわね~。ここならこの人数でも大丈夫ですわね」 いや、あの……そんなこと言ってる場合か? 沙都子。 いやいや、どうせこいつのことだから分かっていないに違いない。 「おい……。魅音」 「ん? なあに圭ちゃん?」 「なんでここ、一部屋なのに何の仕切りもなくシャワーがあるんだよっ!」 そう、ここはビジネスホテルなんかじゃない。 「そりゃ、ここはそういうお店のそういう部屋だからに決まってるじゃない」 園崎家はイメクラ屋さん、ソープランド屋さんもしているのですよ。にぱ~☆。 それは確かに梨花ちゃんもそんなことを言ってはいたが……。 「この部屋はVIP専用でね。ここを使える人ってあんまりいないんだよ。圭ちゃんラッキーだね」 でも、ここには湯船は無いから……。 「ヘルスかよっ!」 おもちゃ屋のときとはまったく違った意味の叫びが、部屋に響いた。 「……どういうつもりだよ。魅音」 「部活優勝者である圭ちゃんを天国に連れて行ってあげようって思ってね」 「いや、だからってそんな……」 俺は、いくらなんでもこんなことをみんなに……。 がしっ 不意に後ろから羽交い締めにされる。……レナだった。 そういえばレナも沙都子も梨花ちゃんも、何の疑問も無くここについて来ていた。ひょっとして……最初から分かっていた? 見ると富田君や岡村君も俺と同様に、沙都子と梨花ちゃんに羽交い締めにされている。 「な、何の真似だよっ?」 「罰ゲームなんだよ。だよ?」 レナが甘い声で、俺の耳元で囁いて……俺の頬に自分の頬を押しつける。 さらに、背中に柔らかくぽにゃっとした二つの感触が……レナの胸が押しつけられる。 「圭ちゃん、抵抗しちゃダメだよ~。会則第……何条でもいいや。勝者には敗者の罰ゲームを見届ける義務があるんだからさ~」 絶対嘘だ。今ここで作った会則に決まっている。 「大丈夫大丈夫。痛くないから痛くないから……。くっくっくっ、むしろ痛いのはこっちで、圭ちゃん達は気持ちいいだけなんだしね~」 「な……何をする気だよ? これはいったい何の真似だよ?」 「圭ちゃん、何言ってんだか。……分かってんでしょ?」 「いや……俺には何だか……」 「……知ってるくせに―。いまさらカマトトぶられてもなぁ」 にやり、と魅音は笑みを浮かべた。 「私たちとSEXしてもらう」 「え……?」 魅音が言ったのは、つまりそういうことで、つまりこれから俺は……みんなと……。 「……圭一君。とぼけてるね。薄々は気づいていたくせにぃ☆」 すりすりと、レナはそう言って頬擦りをしながら、俺の股間をまさぐった。 「ほら……圭一君のオットセイ☆もこんなになってるよ……」 そう、こんな状況の中で……いや、ある意味こんな状況なら当然か……俺のオットセイ☆は恥ずかしいほどに大きくなっていた。 「し、しかし……沙都子は、……沙都子は……」 本当に分かっているのか? 「圭一。……沙都子も分かっているのですよ?」 「で、でも、こないだは風呂場で……沈んで……ほら……借金のかたに……」 もう、自分でも何が言いたいのかよく分からない。 しかし、梨花ちゃんは分かったようだった。 「圭一。ブロッコリーとカリフラワーの違いが分からない沙都子に、ピンサロ屋さんとイメクラ屋さん、ヘルスとソープランド屋さんの違いが分かると思いますですか?」 なるほど……何となく納得してしまった。そういえば沙都子ってSEXっていう単語と意味は知ってたんだよな……。 「圭ちゃん……観念しなって……」 『前原さぁん……』 視界の片隅で、富田君と岡村君は俺に助けを求める視線を送っていた。 くそっ 魅音だぞ。レナだぞ。沙都子に梨花ちゃんだぞ? 俺の最高の友人達が、こんないかがわしい場所で、そういうエッチなことを……さらに言えばみんなそれぞれタイプの違う魅力的な女の子で……はぁはぁ。…………はぁはぁって? な、なんだ……この、湧き上がってくる感情は。 「くっ……くっくっくっ」 自然と、俺の口から笑みがこぼれた。 「圭ちゃん?」 「……天国に連れて行ってくれるんだろうな?」 「へぇ、……覚悟を決めたようだね」 『ま……前原さんっ?』 そう、これは恐れることでも何でもない。考えてみれば最高のチャンス以外の何ものでもないじゃないか。 「富田君。岡村君。……俺達男の望みとは何だ? 可愛い女の子、綺麗な女の子、好きな女の子を守ることか? 優しくすることか? 大事にすることか? 想ってもらうことか? ああ、確かにそれもその通りだ。しかしそれだけじゃない。認めろ……男の95%はエロスで出来ているんだ」 「そっそそそ……そんなこと言ったって……僕は……」 「変態じゃないとでも? 富田君、君は首輪をつけた沙都子を妄想して何もときめくものが無かったとでも言えるのか? 岡村君、君も猫耳梨花ちゃんには何も熱いものを感じなかったというのか?」 「それは……確かに、感じました……けど……」 「ならお前達も変態だ」 「でも……そんな、こんなのって……」 しかし、彼らはまだ自力では殻を破ることは出来ない。もう一歩だ。 「男が変態で何が悪い?」 『えっ?』 「男はすべからく変態だ。だがそれを認めるか否かで男の器は天と地の差を持つのだ。お前達は自分に素直だった。それを認めた。それをお前達は自慢していい。誇っていい。 ……だが、いつまでもその場にとどまっていたいというのなら俺はもう何も言わない。一足先に行かせてもらおう。沙都子と梨花ちゃんも俺がいただく。……君達はそこで、いつまでも俺に奉仕する沙都子と梨花ちゃんを眺めてろ」 『くっ……』 だが、当然そんなことが彼らに許せるはずがない。 『僕達が……間違っていました』 富田。岡村。後輩二人組が男として一皮むけた瞬間だった。 「どうやら、話は決まったようだね」 「ああ、いつでも来い」 爽やかな笑顔で俺は言った。 『前原さん。僕達もどこまでもついてきます』 後輩二人組もきりっと引き締まったイイ表情で頷いた。 「じゃあ、とりあえず服を脱いで洗い場に行こうか。……話の様子からすると、富田には沙都子が、岡村は梨花ちゃんが相手をして、圭ちゃんには私とレナが相手をするっていうことでいいのかな?」 「ああ……それでいいぜ」 俺は頷いた。 「それじゃあ圭一君。レナの服……脱がせてくれないかな。かな」 レナが俺の前にまわって俺を見つめてくる。 「あ、ああ。分かった」 うあ……前々からそりゃレナは可愛らしいというか女の子らしいと思っていたけど、やっぱりこういうシチュエーションで見るとドキドキするというか。 ちらりと富田君と岡村君を見ると、彼らも同様だった。 ええい。覚悟は決まっているんだ。男の中では俺が一番の年長者じゃないか。いつまでもドギマギしていられない。一気に行くぞ。 しゅるり 俺はレナの服のリボンを外した。 止められていた胸元が開き、そこからレナの胸が覗ける。 慌てて目をそらしながら……いや、そんな必要はないんだと思いながら年少組を見ると、どうやら彼らも同じようだった。 レナの肩に手をやる。 「なあレナ。……この服って上に脱がすのか? それとも下に引っ張ればいいのか?」 「どっちでもいいよ。……圭一君の好きな方で」 「じゃあ、下に下ろすよ」 布一枚を隔てているのに、手に伝わってくるレナの温もり。 俺は襟首を大きく開いて、ゆっくりと下に下ろしていった。 するすると服を下ろしていくに従って、当然俺の視線もレナの体を下りていく。 真っ白のブラが……ヘソが通過していき、腰、そしてその更に下……。 パンティが現れてくる。ブラと同じく白色の……。そして、うっすらと透けて見える恥毛と緩やかなふくらみ。 頭の中が沸騰しそうな中で、俺はレナの服から手を離した。 何の音も立てず、ワンピースは床に落ちた。 次は……屈んだ状態から考えて、靴下だ。 俺はレナのハイソックスに手をかけた。 「はうっ。……圭一君。くすぐったいよ~☆」 「あうあっ。……ごご、ごめん。気を付ける」 くそっ 何やってるんだ前原圭一。落ち着け、クールになれ……。 でも、レナのすべすべした肌が……でもってむっちりと締まって柔らかい太股が……俺を悩ませる。 「圭一君、次は下着だよ? だよ?」 「ああ、分かってる。……って、レナ?」 何とか靴下を脱がせて立ち上がると、レナが抱きついてきた。 レナの柔らかな感触と、匂いが……。 「このまま、ブラジャー外してくれないかな?」 つまりは、抱きしめた格好で。 俺は言われるままに、レナを抱きしめた形で、ブラのホックを外した。 すると当然次はパンティで……、これでレナを覆うものはすべて無くなる。 ずっと抱きしめていたい衝動を抑え込んで、レナの体を離す。露わになったレナの上半身。 そしてその胸は……なんというか……ええと、その、あれだ、美乳。美乳だ。俺の頭にはそんな言葉しか思い浮かばなかった。 均整がとれたほどよい膨らみ。小さく、桜色をした乳首が白い肌に上品に映えていた。 「……ダメかな? やっぱり私、魅ぃちゃんほど大きくないし……」 とんでもない。俺は大慌てで首を横に振った。もう少し理性が残っていなかったら、きっと俺はレナの胸にむしゃぶりついていたに違いない。今だって、そうしたいのを必死に抑えている。 俺は無言でレナに近づいた。 「け……圭一君?」 びくりと震えるレナを無視して、強引にパンティを脱がす。 これでもう、本当にレナを隠すものは何もない。 まじまじとレナを見上げる。 くそっ いったい誰だよ。女の子のはグロいなんて言った奴。 そりゃ確かに、アワビだとか生肉の塊だとか、そんな風にも言える形だよ。でも……でもレナのは……それでも慎ましやかで……それこそ、俺がイメージしたのは、まだ開ききっていないチューリップの蕾だった。 「圭一君。……そんなに見つめないでくれないかな。恥ずかしいよ。はうぅ~」 その声で、我に返る。 「ああ、ごめん。……あまりにも、こう……」 綺麗だったから、とは続けられなかった。はっきりと言えない俺に、レナは少しむくれたが。 「じゃあ、次は圭一君の番だね。……レナが脱がせてあげるよ」 「ああ、よろしく頼む」 レナは頷くと、屈んでズボンのベルトに手をかけた。 裸のレナがかちゃかちゃと、金具をいじる。その顔は当然、大きくなっている俺のオットセイ☆の間近にある。それが何だか気恥ずかしい。 でも、ものの数秒もしない内にベルトは外れた。 「じゃあ、圭一君。腕挙げて。……シャツから脱がすから」 「んっ」 ……みると、レナの顔も上気して、ほんのりと赤くなっていた。やっぱりレナも恥ずかしいらしい。恥ずかしいのが俺だけじゃないと分かって……それが何だか、少しほっとした。 「じゃあ、行くよ」 そう言って俺の服を持ち上げていくレナの顔は、俺の体から十㎝足らずしか離れていない。その息が俺の体を愛撫して……くすぐったくて気持ちいい。 「ん……しょっと」 レナが俺のシャツを完全に脱がした。 「て……、レナ。俺の服。どうかしたか?」 レナは俺のシャツを抱きしめていた。 「え……、うん。圭一君の匂いがするって思って……はうっ」 「? 俺? そんなに汗くさかったか?」 「あはははははははっ。……そんなんじゃないよ。何でもないから、気にしないで」 レナは笑いながら、俺の服をたたんで、どこか名残惜しそうに、備え付けの籠の中に入れた。 「じゃ、次は下だね」 「おうっ。頼むぞ、レナ」 「うんっ」 レナは満面の笑顔で――、 ずるっ 「……え?」 ズボンごとパンツも一緒に脱がされた。 当然、心の準備も何もないままに俺のオットセイ☆がむき出しに……。 「ちょっ……レナ。おま……」 ぱくぱくと口を開ける俺を尻目に、レナは俺のオットセイ☆を見つめていた。 「圭一君も、レナのを見たんだから、おあいこだよ」 「いや、でも俺のはそんな……」 ああっ レナの吐く息が当たる。 「はうぅ。……圭一君のぴくぴく震えている。なんだかかぁいい☆」 「かぁいいはないだろ。そりゃ、まだ成長途中だが、これからもっと……」 「ゴメンゴメン。……そういうのじゃないよ。もっとこう、男の子のって怖いかと思っていたけど、圭一君のはそうじゃないなって……」 ああ、そういうことか。正直、俺もレナにこんなものを見せて大丈夫なのかっていう不安はあったけど……そう言ってもらえて安心した。 「あ……レナのも……その……綺麗だった……ぜ……」 しどろもどろに、俺はさっき言えなかった感想を白状した。 瞬間。レナの頭から蒸気が噴き出す。 「はうっ。あ……ああ、ありがと」 俺達は二人して、真っ赤になりながら視線をそらした。 「……ちょっとお二人さん~? 何二人だけでいい世界をつくってるのさ? おじさんだけ除け者~?」 拗ねた魅音の声が俺達の間に割って入る。 「いや、別にそんなつもりは……。っていうが魅音。お前の方こそその格好は何だよ?」 そう、レナに夢中になっていたというのも本音だが、どうして魅音は着替えに参加しないのか疑問に思っていた。 魅音も服は脱いでいた。しかし全裸じゃなく、胸の下から腹にかけてサラシを巻いていた。 「魅ぃちゃんの背中には刺青があるから……」 「園崎家のしきたりでね。背中に鬼の刺青があるんだけど、人に見せちゃだめだから……ゴメン」 「いや、……そういうことなら仕方ないよな。別に俺は構わないぜ」 そう言うと、魅音は胸をなで下ろした。 「よかった。圭ちゃんがそう言ってくれて……。実はちょっぴり怖かったんだ。ひょっとしたら、興醒めしてしまうかなって……」 「興醒めなんかするものか。……魅音は、綺麗だ」 「ありがと……圭ちゃん」 魅音は静かに、笑顔を浮かべた。 「ちょっと魅音さん。レナさん。いつまでそうしているんでございますの? 着替えが終わったんなら早くシャワーを浴びに行きますですわよ~?」 「ああ、ごめんごめん。そうだったね。今行くよ」 見ると年少組も既に全員素っ裸になっていた。
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前回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ壱〜 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ弐〜 その4からその8まで収録 薄暮(くれがた)か、 日のあさあけか、 昼か、はた、 ゆめの夜半(よは)にか。 そはえもわかね、燃えわたる若き命の眩暈(めくるめき) 赤き震慄(おびえ)の接吻(くちづけ)にひたと身顫(みふる)ふ一刹那。 北原白秋『白秋詩抄』「接吻の時」より 「け、圭一くん…やっぱり、は、恥ずかしいよぅ…」 それほど広くはない車内で、レナは生まれたままの姿で俺の下に組み敷かれている。 「オヤシロさまの祟りから、お前を守る」…その一言で身も心も俺に預けたレナは、言われるがままに服を脱いだ。 「レナ、恥ずかしがることはないぞ。とても綺麗だ…」 「は、はうぅぅぅぅ〜〜〜〜」 顔を真っ赤にして、レナは左右の手で胸と股間を隠しながらもじもじと体を動かす。 まったくかわいらしいじゃないか…さっきまでは、『オヤシロさまの祟り』とやらに怯えきっていたくせに…。 そう、祟りなんて、俺は毛頭信じていない。 オヤシロさまの祟りなんて迷信だ。事件が毎年起こるという以外、個々の事件は独立している。 独立した事件という「点」を結ぶ人為的な「線」があるにせよ、俺にとっては野望が全てだ。 そのためなら、オヤシロさまだろうと祟りだろうと利用するだけなのだ。 レナは相変わらず、覆い被さる俺の顔を直視出来ない。 俺も服は脱ぎ捨てているわけだが、レナは目を瞑り恥ずかしさに押しつぶされてしまっている。 フ、ここは一つ…。 「レナ。オヤシロさまの祟りは、お互いの疑心暗鬼が原因だ。お前が俺から目を背け、全てを受け入れないなら、オヤシロさまが祟りをなすだろう」 「…そんな…」 「だが、俺はレナを信じている…だからこうして、ありのままをレナに晒すことが出来る。信じろ…レナ」 もちろん、疑心暗鬼がどうのこうのは適当な理由付けだ。オヤシロさまの祟りを回避する方法…口からでまかせもいいところだと、我ながら呆れるくらいだ。 だが、その言葉に安心したか、レナはようやく俺を見つめて瞳を閉じる。 ふふふ、まったくもって素直だな…!俺は心の中で叫ぶ。 「 思 い 通 り ! 」 レナにゆっくりと口づける。 最初は唇を触れるだけのキス。すぐに唇を離すと、レナがうっすらと瞳を開ける。 「…ん…」 トロンとした眼。俺はレナに微笑みを向け、今度は少し長めのキスをする。 お互いの唇の感触を確かめるように。ねっとりとした感覚が、徐々に二人を昂揚させる。 「…ん…ちゅ…うんぅ…」 親鳥と小鳥がエサを啄み合うようなキスから、レナの唇に舌を侵入させる。 「んん…っ!?」 突然のことにレナは動揺したかもしれない。だが、俺の舌がレナの舌に触れることで、生温かい感触を共有する。 「…んう…れる…ぴちゅ…」 レナも、自らの舌を蠢かせ、俺の舌を舐め回す。 さらにお互いの唾液が混ざり合う。どちらが求め始めたか分からぬほど、舌を絡め合うキスになっていた。 レナはいつのまにか俺の首に腕を回し、離そうとしてくれない。 貪り合うように口内で交わり、ようやく口を離した時につうっと垂れた唾液の糸が、さらに欲情を煽った。 「…ぷはっ。…レナ、お前って見かけによらず、けっこう激しいのな」 「…け、圭一くんこそ…。すごく…エッチだよ…。お互い、初めてのことばかりなのにね」 ああ。そうだったな、俺はみんなの前では童貞ということになっているんだったっけ。 ならば初々しさも演じないとな。…レナに俺の過去を知られてもマズいだろう。 「はは、まぁ俺も無我夢中だけどな…レナを、安心させたいだけだよ。俺は」 「ありがとう、圭一くん…レナ、今とっても幸せだよ…だよ?…まだ恥ずかしいけど、圭一くんとこんなことが出来るなんて…夢みたい」 「夢なんかじゃない、俺はここにいる。…レナをこうして抱き締めて」 レナを起き上がらせ、後ろからぎゅっと優しく抱いてみる。 「レナの息づかいを、温もりを、感じている…。俺もな、レナとこんなことが出来ることが…幸せなんだ」 「圭一くん…圭一くん…」 レナは涙をすうっと流しながら、後ろ手に俺の顔を引き寄せてチュッとキスをした。 ふん…俺としたことが、ちょっと演じ過ぎだな。だがロマンチストのレナにはこれでいい。 だがそろそろ、本格的な『快楽』というやつを知ってもらわないとな…! 「ふふふ、それにしても…レナの胸、いい形してるよなぁ」 俺がむにゅっとレナの胸を後ろから持ち上げると、レナが小さく「んうッ」と声を漏らした。 レナの乳房は、魅音に比べれば小振りな大きさではあるが、手触りよく綺麗な形を整えた理想的な胸だ。 俺はそのジャストフィットな感触を堪能しつつ、レナの耳元に囁いた。 「どうしたんだ、レナ?くすぐったいのか?」 「ち、ちが…あんッ…!」 「くすぐったいなら早く言ってくれよ〜?レナの胸が俺の手にジャストフィットし過ぎで、 もっともっと触っていたいんだよ…」 「は、はぅ…ん、ぁ…レ、レナね…」 「なぁに〜?聞こえんな〜?」 「レ、レナはね…あん…くすぐったいんじゃ、なくてね…その…なんだか…あうっ…ふわふわした、感じなの…」 「へぇ、ふわふわねぇ……んじゃあ、こういうのはどうかな」 「ひゃんッ!」 言葉と同時に、乳房の先に有るピンク色の突起物をつまみ上げる。 レナはビクンと跳ね上がったが、構わずにそのまま乳首を重点的に刺激する。 「はうっ!け、圭一く…んああぁッ!そ、そこはぁ…!」 「『そこは』とっても気持ちいいんだろ!?お互い隠しごとは無しだぜ、レナ!」 さっきよりも乳房を強く鷲掴みしつつ、乳首をこすり上げるようにつまむ。 レナの声が一段と大きくなり、乳首の刺激だけでオルガスムを感じているのかと思わせるほどだ。 「あ、あんっ!圭一くんっ…!ダメぇ、気持ちいいの!ん、ん、んあっ!…け、圭一くんに触られる度に、レナね、ヘンになっちゃうの!」 「それでいい、レナ…今のレナはとってもかぁいいぜ。胸も、乳首も、みんなかぁいい!」 「は、はぅっ!レナ、かぁいいの?…ヘンじゃ、ない?」 「ああ、レナの体も、心も、みんなかぁいい。愛しくて仕方ない…」 「はうぅ…そう言われるとレナ、もっとふわふわした気分だよ…だよ」 「ふふ、そうかぁ…ふわふわねぇ。それでな、レナ。さっきから足をムズムズ動かしてるが、どうしたのかな…かな?…くくく」 レナは思わず股間に目を遣って、赤くなる。 バレバレだぜ、レナ…そこを隠すのはもったいないぞ、ククク… 俺は右手をレナの股間に滑り込ませ、すでにびしょ濡れの秘所にクチュリと指を這わせた。 「だ、駄目ッ、圭一くん!そ、そんなトコ、汚いよぅ…」 レナは俺の右手を侵入させまいとするが、するりと股間に潜り込ませた指がレナのアソコに触れた。 クチュリと音を立て、レナの女自身をなぞる。 「ふあぁッ」 ビクンと跳ね上がるレナの身体。胸を揉まれるどころではない、直接的な刺激を受けた時の女の反応だ。 「ひあぁッ!け、圭一くん…!」 クチュクチュとレナの秘所をまさぐる。最初は一本、次は二本の指で。縦横に指でレナを悦ばせる、楽しくてたまらない…! 「ふははは、レナ、もう大洪水だな!もう俺の指がふやけてるぜ、濡れまくりだなァ、おい?」 「は、はぁう…そんな、レナ…んあぁぁあ!」 「はっは、だけど恥ずかしがることはないぜ。これだけ濡らしてるってことは、レナが十分気持ちよくなってくれてるってことだからな」 俺はレナを正面に向かせ、がばと股を開かせてレナのアソコをまじまじと見つめる。 「ああ、レナのここは本当に綺麗だな…ピンク色で、形は整ってて」 「は、はぅ…そんなに、見つめないでぇ…レナのそんなトコ…」 「『そんなトコ』だって?何言ってんだよレナ…かぁいいもの持ってるくせに、そんなに謙遜するなよ」 指でパックリとオマンコを開く。ぴったりと閉じられていた貝型が、内部を露にする。 「ふぁあ…」 「レナのここ、本当にかぁいいなぁ…。ふふ、この溢れ出す汁…こいつもいただきだな」 俺はレナの股間に潜り込み、舌を尖らせジュルリと口付ける。 「んんあああぁッッ!!!」 突然の刺激に、レナは嬌声を上げる。構わずにジュルジュルとオマンコを舐め回すと、レナの声がさらに大きくなる。 「ひああああぁッ!!!あ、あああんんッ!!!!圭一く、んんんッ!!!」 「…ぷはッ。…レナ、どうだ?気持ちいいか?」 「き、気持ちいいよぅ!…レナ、レナ…アタマがおかしくなりそう!」 「ははは、そりゃ良かった…なら、もっともっと気持ち良くなってほしいな」 言葉が終わると同時に、俺はぷっくりと膨れ上がったクリトリスに口付ける。 「ひゃああああぁぁぁッ!!!」 今までで一番感じているようだな、レナ…だが、こんなもんで満足されたら、後が続かないんだよ。 俺は舌でクリトリスを転がす。ひくひくと震えるソレを蹂躙するたびに、レナの秘所はさらに濡れていく。レナの限界はすぐそこだった。 「うあああぁッ!!!ダ、ダメぇ!!!圭一くん、もうダメだよ、だよおッ!!!」 「いいぜ、レナッ!!イきそうなんだろ?…存分にイっちまえッ!!!」 「あ、あ、あッ、イっちゃう、イっちゃうよぉ!!!!んんああああッッ!!!」 クリトリスをカリッと甘噛みした瞬間、レナの躯が大きく仰け反った。 ビクンビクンと数秒間は震え、力なく仰向けに倒れ込んだレナは、乱れた呼吸を整えようとしていた。 「はぁ…はぁ…はぁ、う…」 「…どうだった、レナ?…」 「…す、すごく気持ち良かったよ…。レナ、こんなの初めてだよ…だよぉ…」 「そうか…レナが悦んでくれたなら、俺も幸せだよ」 「はうぅ…圭一くんも、幸せ?」 「ああ、俺はレナが悦んでくれるのが一番だ…だがな、一つだけ残念なのは…レナと一緒になりたいけれど、まだそれが叶わないことだ」 俺はレナの手を取り、既に大きく怒張したペニスに触れさせる。 「…!け、圭一くんの…男の人のって…こんな風になってるんだね…」 「ああ、レナが気持ち良くなってるのを見ながら、俺のもこんな風になっちまったんだ…正直、このままじゃ辛いんだ…」 「つ、辛いの、圭一くん…?ど、どうすればいいのかな、かな…」 おずおずとした手つきながらも、レナは俺の怒張を擦り上げる。 どうすればいい、だって…?決まっているじゃないかレナ、本当は分かっているんじゃないのか、クク…。 「簡単なことさ、レナ…こう言ってくれればいい…」 …あの清純なレナが、これから俺の言う通りのことを口にすると考えるだけで…自然と口端が吊り上がってしまう。ククク…。 俺はレナの頬を愛おしげに指でなぞる。そしてレナの耳元に近付き、こう囁いた。 「レナは圭一くんの××××××です。どうかその××い××××で、レナの××××を××××して下さい…レナをオヤシロさまの祟りから、守って下さい」 「——ッ!」 「ククク…さぁ、言ってくれ…レナのここを開きながら、俺に『お願い』するんだ」 レナのオマンコをグチュグチュといじりながら、俺はレナの眼を見据える。 言葉にすることへの恥じらいと、その後に訪れるであろうかつてない快楽への期待。 二つの気持ちが、レナの中で渦巻いている…だが、俺には分かっていた。レナの選択肢は一つだ。 『オヤシロさまの祟り』を回避するためには、俺が必要…!レナはもはや、俺の存在無しには生きられないんだよ!! レナは顔を真っ赤にしながらも、自分の指でオマンコを開きつつ、ぼそぼそと喋り出した。 「…レ、レナは…圭一くんの、オ、オチンポ奴隷です…。どうか、その大きいオチンポで、レ、レナの…」 「続きだ、続きを言わなければ意味が無いぞレナッ!!!俺はお前を守ると約束した、だからお前も応えてくれ、レナ!!!さぁ、言うんだ!!!」 レナは俺の顔から目を背けていたが、その言葉で意を決したように、俺に泣き腫らした瞳を向けてきた。 「レ、レナのオマンコをッ!思いきりズコバコして下さいッ!!レナをいっぱいいっぱい幸せにして、オチンポで気持ち良くして下さいッ!!! このままじゃ、レナのココ、切なくておかしくなっちゃいそうなのッ!! …レナを、『オヤシロさまの祟り』から守って!圭一くんのオチンポで、レナの穢れた身体を綺麗にしてッ!!!」 涙ながらに哀願し、自らオマンコをグチャグチャといじって俺を受け入れようとするレナの姿を見て、俺はこの上ない満足感を得た…。 …堕ちたな、レナ…今この瞬間に、お前は俺のモノになったんだ…これから俺無しでは生きられない、俺の忠実な僕として生きることになるんだよ…! 「ふ…ふふ…あはははははははは!!!!」 俺は堪えきれずに笑い声を上げてしまう。 だがレナは、俺に構わず自分自身を慰めていた。もはや、更なる快楽を貪りたいという一念以外に無いのだろう。 「…んぅ…ん、あ、は、はぁ…け、圭一くぅん…もう、レナね、レナね…」 「くっくっくっく…ああ、そうだな…レナ、俺と一つになろう。レナはもう、オヤシロさまの祟りを恐れずに生きていける。俺がこれからずっと側にいるのだから…」 「圭一くん…」 甘い言葉とともに口づけると、レナの頬に涙が一筋伝う。 貪るようなキスを交わした後、レナのオマンコに俺自身を突き立て、ゆっくりと挿入していった。 次回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ参〜<捕食>
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「ばっしーばっ♪ ばっしー♪ ふぁっしーふぁっ♪」 数年前に出ていたドラマの主題歌を口ずさみながら、家の前の生け垣にホースで水を蒔いていた時の事だった。 「おやおや、今日も精が出るねえ、レナちゃん」 「あ、魅ぃちゃんのお母さん。こんにちはー」 竜宮レナは水を蒔いていた手を止めて向き直った。 「ちょっと屋敷まで行った帰りに寄ったんだけど、元気そうで何よりだよ」 茜が微笑みながら空を見上げたのにつられて、レナも視線を上げる。ぎらぎらと照りつける太陽が眩しく、ぷかぷかと浮かんでいる雲は今にも落っこちてきそうだった。 ……あの雲さん、かぁいい形してるなぁ…… 「ところで、今日はお父さんはいないのかい?」 「はい。なんでも、お勤めしている会社の研修みたいで、今週末までは空けているんです」 「そうかい。それじゃあ、今日は恋人と二人っきりの水入らずだねぇ」 「ちょちょ、ちょっと待ってください!」 珂々と笑いながら言う茜に、レナは慌てて訂正にかかった。 「こ、恋人って誰のことですか?」 「おや、とぼけるのが下手だねぇ。前原さんとこの圭一くん以外に誰がいるんだい?」 「け、圭一くんはレナの友達で、恋人とかそういうわけじゃあ……」 「おや……なんだい。まだ付き合ってもいなかったのかい?」 「えーと……」 冷や汗を垂らしながら、視線を逸らす。しかし、私と圭一くんは周りから見るとそんな風に見えているのだろうか。 「お似合いだよ、二人とも。じゃあ、予定が立ったら教えとくれ。レナちゃんの花嫁姿、おばさんも見たいからねぇ。偶にはわがままやおねだりでもしてみたらどうだい? じゃないと、うちの馬鹿娘にそのうち取られちゃうよ」 「……はあ」 「それじゃあね」 「はい、気を付けてくださいね」 去っていく茜の後ろ姿を見送り、やがてその背中が見えなくなってから、レナは大きく嘆息した。 「お似合い……かあ」 ふと、さっきの言葉が脳内でリフレインする。お似合い。予定が立ったら。花嫁姿。 ぽわぽわぽわわ~ん(効果音) 『あ、おかえりなさーい』 『おう、ただいま』 『お風呂にする? それとも、ご飯?』 『オ・マ・エ☆』 ぽくぽくぽくちーん。 「は、はぅ~~~!! 新妻でおしどり夫婦かぁいい~~~!」 かぁいいモードに突入しながら、ぶんぶかとホースを振り回し――。 「……三七度八部。とりあえず峠は越したみたいだな」 「はぅ……」 上から降ってくる呆れの色が強い眼差しに、レナは鼻を啜りながら深々と布団に潜った。顔は赤く火照り、いつもはぱっちりとした大きく丸い瞳はとろんと垂れ下がっている。 つまるところ、風邪だ。 「冬ならともかく、夏のまっただ中に風邪なんか引くか? 普通」 園崎魅音から部長の座を継いでから、妙にいろいろと面倒見がよくなった前原圭一は、コップに注いだスポーツドリンクを手渡しながら、やれやれと呟いた。 「ごめんね、早退までさせちゃって……」 「気にするなって。魅音は受験で知恵先生とマンツーマンだし。なら、レナが休んでて俺だけ授業ってわけにもいかんだろ?」 「はぅ、そう言ってくれると助かるけど……」 「ま、明日は土曜で休みだし、どうにかして明後日までにゃ直さないとな」 頷いたレナに満足したように大きく頷き返すと、圭一は立ち上がった。 「んじゃ、ちょっとお袋からおじやでも貰ってくるわ。何か他に欲しいものでもあるか?」 「うん、じゃあ汗をかいたから濡れタオルと着替えが欲しいな」 「おう、まかせとけ」 「……言っておくけど、下着もだよ? ……だよ?」 「な、何っ!? だ、だがそれは」 「嫌ならいいけど……それだとレナは、ぱんつなしで一日を過ごす事になっちゃうんだよ」 「……持ってくる」 よろよろと立ち上がって(なんだかいろいろと葛藤があったらしい)、部屋を出ていく圭一に、レナはくすりと微笑んだ。 (そんなに甲斐甲斐しくされちゃうと、レナだって甘えてみたくなっちゃうんだよ、圭一くん) 自宅に戻ってからとって返して来たらしい圭一は、湯気を上げている鍋を置くと、 「……下着って何処にあるんだ?」 「和室のタンスの下から二番目。圭一くんがいいと思ったのでいいよ」 「……そんなもん俺に任せるな。頼むから」 げっそりとしながらも、着替えを右手に(下着は見えないように寝間着でくるんだらしい)、濡れタオルを左手に帰ってくると、 「んじゃ、拭き終わったら片づけに来るから呼んでくれ」 「あ、待ってよ、圭一くん」 「ん?」 どうした? と聞いてくる圭一に、レナはにっこりと微笑むと、 「拭いて」 「ぶふぉっ……!」 石化する圭一には構わず、レナはいそいそと寝間着のボタンを外して―― 「お、おい、レナ! 待て!」 「なに?」 「いや、拭け……って、まさか俺が拭くのか?」 「そうだよ。レナは風邪のせいで身体に力が入らないんだもん。こうやって服を脱ぐことだって本当は辛いんだよ? ……だよ?」 「い、いや、しかしだな」 「もう、早くやってくれないと、汗のかきすぎでまた風邪がぶり返しちゃうんだよ、だよ」 「って、おい、レナ!」 慌てて止めに入った圭一は、レナがボタンを外すのを止めるのを見てほっと嘆息する。どうやら思い直してくれたらしい。 が、それは早計だった。 けだるそうに溜息をついて、ぽふん、と布団に倒れ込んだレナは、ぐったりとした顔で圭一に向き直った。 「やっぱりダメだよ、力が入らない。圭一くん、脱がして」 「………………!!」 ズギューン! ズギューン!! キンコーーン!!!(効果音) 色々と葛藤はあったものの、圭一は素直にレナの言葉に従うことにした。正直に言えば勘弁して欲しいことこの上なかったが、レナが辛くて不快そうなのは事実だし、何より風邪を悪化されてはたまらない。 圭一はレナに腕を広げさせ、寝間着のボタンをちまちまと外していく。寝間着は汗でじっとりと湿っていて、確かにこんなもん着てりゃ治るもんも治らんわな、と自分を納得させつつ、レナの寝間着の上を脱がしにかかり―― 即座に戻した。 ぷるぷると顔を震わせながら、圭一はレナの顔へと向き直る。レナは頬を少し朱に染めながらも、にやにやとした視線を投げかけてきた。 忘れたくとも忘れられぬ、目に焼き付いたあれは。 「て……てめー、こういうのはなんつーか、卑怯だろ。いくらなんでも」 「はて、何のことなのかレナはさっぱりわかんないんだよ? ……だよ?」 「ノーブラじゃねえかっ!」 「……レナは寝るときはブラはつけないんだよ?」 金具が痛いし。 「ぐ……そうか、そっちがそういうつもりならこっちにも考えがあるからな」 何か思いついたのか、すっくと立ち上がると部屋を出ていく。 一分ほどして戻ってくると、 「ふっふっふっふっふ……」 と、何やら不敵に笑っている。見ると―― 「……手拭い?」 ぱちくりとしてレナが呟く。すると、 「レナ! お前の悪行もこれまでだぜっ!」 ビシィッ! と、背景に稲妻がつきそうなモーションでレナに指を突きつけた。なんとなくそのまま見ていると、圭一は手拭いをそのまま目隠しのように頭に巻きつけ、 「はっはっはっは! これで俺は何も見えないわけだから、お前の攻撃はもう通用しないってわけだ! 一発で全部引ん剥いてやるから覚悟しやがれっ!」 「………………」 なんだか変な方向にKOOLが発動してるだけのようだった。そのまま、得意げにレナに歩み寄ると、目隠ししているにしては妙に器用な手つきでレナの上着を脱がした。 途端に、むわっと汗の臭いが鼻を突く。 「……ぐ」 暗闇の向こうにレナの裸体が透けて見えたような気がして、一瞬だけ硬直する。だが我慢だ。ここで誘惑に負け、トミーやクラウド達が乱入してくる展開になったら、それは前原圭一の敗北を意味する。 それだけは、認めるわけにはいかない。 「へへっ、そんな手に出たって無駄だぜ、レナ」 「……レナ、まだ何にもしてないんだよ?」 「………………」 そうだったっけ? 「まあいいや。とにかく! 俺がお前の誘惑に屈しなかった以上、レナ! お前の負けだぜ!」 「………………」 「はっはっは! どうだ! 悔しくて声も出ないか?」 目隠ししたまま勝ち誇る圭一に、果てしなく冷静に――あるいは冷酷に――レナが口を開いた。 「うん。じゃあ圭一くん、拭いて」 びしっ―――― 圭一が、ひび割れる。 今度こそ完全に石化して固まった圭一を、レナはなんとなく眺めていた。最初に変化したのは、表情だった。続いて 顔がだんだんと震え始め――やがて全身に回り始める。 「圭一くん、早く拭いて欲しいんだよ。風邪がひどくなっちゃう」 「ぐ……だけど」 「寒い寒いさーむーいー」 「だああっ! わかったよ!」 足をじたばたさせながらぶーたれるレナに、多少やけくそ気味に叫ぶと、圭一は濡れタオルを片手にレナの傍らに腰を下ろした。 「くっそー……」 毒づきながらも、圭一はレナの身体を腹ばいに裏返すと、そのまま無心の境地でレナの背中にタオル越しに触れた。 「ひゃぅっ」 ……………………。 突然出てきた艶っぽい声にしばらく沈黙した後、場所を少しずらして、肩に触れる。 「はふっ」 ……………………。 「……おい、レナ」 「どうしたの? 圭一くん」 「お前、絶対遊んでるだろ」 「そんな事言うなんてひどいなぁ。レナはタオルが冷たくてびっくりしただけなんだよ」 あくまでとぼけ通すつもりらしいレナの回答に、圭一はびきりと口元を引きつらせた。 「……そーか。そっちがそういうつもりなら、こっちにも考えがあるからな」 「それ、さっきも聞いたんだよ」 「やかましい。とにかく今度こそギャフンと言わせてやるから覚悟しやがれ」 言い捨てると、圭一はレナの身体を横向きにする。レナは肩越しに、自分に馬乗りになる圭一を見上げる。目隠ししたまま、無表情で両手をわきわきさせるというのは――なんというか、やたらと異様ではあった。 「け、圭一くん。何だか手つきが怪しいんだよ……」 「気のせいだろ」 (まずいんだよ。声が本気と書いてマジなんだよ) 冷や汗をたらしながら硬直するレナは無視して、圭一はそのままレナの脇腹にタオルを当てると、そのままごしごしと拭き始めた。 「ひゃんっ」 「おい、動くなよ。暴れられるとちゃんと拭けないじゃねえか」 「うう、その手で来たんだね」 もじもじと身じろぎするレナを横目に、圭一は脇腹を拭く――ふりをして、脇をくすぐっている。レナは歯痒そうにしながら、気を抜けば笑いに綻びそうになる口を真一文字に結んだ。 「ほーほほー♪ はんげはーらはれいー♪」 「うンっ……くくくっ……ふゃあッ」 妙な鼻歌を歌いながら、圭一は脇の下をそれこそ絶妙な加減でくすぐる。目隠ししている事を考慮に入れると、驚異的な指先感覚であったが、幸か不幸かそれを指摘する者は当事者二人を含めてこの場にはいない。 レナはといえば、身体を小刻みに震わせながら圭一の執拗な攻撃に必死で耐えていた。 「で、どうなんだレナ。もう参っちまったか?」 「くっ、ふふっ、な、なんの事なのかな圭一くん。ちょうど今いい感じの加減なんだよ」 「そっか。じゃあもうちょい強くしてもいいな?」 「ふえ?」 二刀流にタオルを構えると、圭一は両脇を同時攻撃に出た。嗚呼、武士道とはくすぐる事と見つけたり。 「あはっ、あははははははははっ、も、もうダメ。がまんできな、あははははははは」 「おわっ!? いきなり暴れるな、レナ!」 ついに我慢の限界を超えたのか、いきなりじたばたと暴れだすレナに、圭一は慌てて押さえ込もうとした。しかし、じたばたともがくレナの力は思いの他強く―― 「ぐぼっ!? み、鳩尾を蹴るんじゃねえっ! ……だべぎゃ!?」 「あっははははははっ! あははははは…………あれ?」 ひーひーと息継きしながら、レナは顔を上げると、首を傾げた。 「……圭一くん、なんでひっくり返ってるの?」 「お前が蹴り倒したんだろーがっ!」 顔面に足形をつけた圭一がすっくと立ち上がった。そのままびしとこちらを指差して、 「いーか!? 今の一撃で俺は割かしはっきりとヘヴンが見えたぞ!? 何故か大量の梨花ちゃんとあぅあぅ鳴いてる謎のナマモノしかいなかっ、た、けど……」 こちらを見ながら、圭一はだんだんと怒気を尻すぼみにさせていった。テレビでやっていたモーフィング映像みたいに顔を赤くしていく。 (……こちらを見ながら?) 頭の中でオヤシロさまがあぅあぅと警鐘を鳴らすのを聞きながら、レナは状況を再確認する。 上半身裸の自分。真っ赤になって石化した圭一。部屋の隅に吹っ飛んだ手拭い。 ねえみみみみおねーさーん。このじょーきょーからかんがえられるけつろんってなんだろおー? くすくす、簡単よトミーくん。つまりレナちゃんは上裸で圭一君の前に突っ立ってるのよ――――。 ……………………。 「ひゃああああああっ!?」 思わず叫んで、尻餅をつく。いくら圭一をからかうにしても、いきなり全開キャーというのはさすがに恥ずかしい。 見上げると、圭一はこちらを凝視したまま固まっていた。 なんとなく、圭一にすべて見透かされているような気がして、レナはぼそりと呟いた。 「け、圭一くん、そんなに見つめられると恥ずかしいんだよ――」 一方の圭一は、レナの衝撃桃色映像に、完全に意識が凍結していた。 無駄な肉のない華奢な肢体はもちろん、汗の臭いまできっちり脳内メモリに油性マジックで記録終了。正に忘却不可能である。 と、むくむくととてつもなく凶暴な何かが自分の股間からこみ上げてきて、慌てて圭一は自制した。 (お、落ち着け……クールになれ、前原圭一) (たとえ悪ふざけがあったとは言え、俺はレナの看病に来たんじゃねえか。……我慢できる。我慢できるぞ) でも帰ったら秘蔵コレクションの出番だなとも思いつつ。 己の欲望を(ぎりぎり)なんとか制御して、圭一はレナに上着をかけようとした。 が。 「け、圭一くん、そんなに見つめられると恥ずかしいんだよ――」 ――――壊れた。 無数の亀裂が入りながらも、奇跡のような見事さで自制を保っていた理性は。 その一言によって、問答無用に打ち砕かれた。 断末魔の理性を上げながら飛び散っていく意識の中で、圭一は――。 ふと、己の中に静寂を感じた。 見渡す限りの大草原。自分以外は何もいない。 いや、いた。草原をハジけるような底抜けの笑顔で駆けていくレナ、魅音、沙都子、梨花、詩音。そして何故かみんな全裸。彼女たちは笑っている。 『なにを堪えているの? 何を我慢してるの? なにを――』 やがて、全身が震え始める。 何も見えない。 何も聞こえない。 だが、小さな音がする。それは決定的な音だった。 妙に小気味よく、忌々しい理性という名の鎖からすべてを解放する最後の音―― 要するに、ぷつんという音だった。 「はっはっはっはっはっはっはっは…………」 「圭一……くん?」 「はっはっはっはっはっはっはっは…………」 突如乾いた声で笑い出した圭一に言いしれぬ威圧感を感じて、思わずレナは後じさった。 ひとしきり大笑した後、ぴたりと圭一は笑いを納めると、 「ぐげほへらうひはひほほふぅ。落ち着いてきた。落ち着いてきたぜぇ」 「ちょ、ちょっと待ってーーー!」 再びげらげらと笑い始める圭一に、慌ててレナは飛びついた。 「それ違うから! 絶対落ち着いてるのと違うから!」 「何言ってるんだよ、落ち着いてるじゃねえか。ほらこんなに」 何故か冷や汗をたらしながらぶんぶんと首を横に振るレナをやんわりと振りほどくと、圭一は優しく、ただし逃げられないように力を込めてレナの肩を抱いた。 「俺さ、気づいたんだ」 「な、何をかな……かな?」 「もう難しいことあれこれ考えずに、俺を誘惑してくれた罰ゲームってことで、俺がレナにおしおきしちまえばすべて解決だよな」 この上ない笑顔で底抜けに壊れた事を口走る圭一。墓穴を掘ってしまったことをこの上なく理解しながら、レナは恐る恐る口を開いた。 「え、えーと、圭一くん。質問いいかな?」 「おう、構わないぞ」 「ん、んーと……何処まで行くのかな……かな?」 「何だ? 何処まで、ってのは」 「ゲームセンターの大人向け麻雀ゲームみたいに、ぱんつ残しとか」 「ははは、馬鹿だなあレナ。何だと思ったらそんなことか。心配しなくても――朝までは誰も来ないからやりたい放題だぜっ」 きらーん☆と歯を輝かせながら、ポーズをキメる圭一。 通常ならカッコいいと思えたのかもしれないが、今現在のこの状況ではある意味では処刑宣告であった。 と。 唐突に、圭一の唇がレナのそれに押し付けられた。 「――――んむっ!?」 驚いて逃れようとするレナだが、既に肩を掴まれている以上、逃げようもない。じたばたともがいてもみるが、病み上がりのレナの力では圭一から脱するのとも出来ようはずはなく。 「んー! むうー!」 こちらの唇を割って侵入してくる圭一の舌に、レナは思わず悲鳴を上げた。程なく舌を押さえつけられ、口内を蹂躙される。 つるつると絡み合い、とくとくと送られてくる甘く熱い唾液に、レナの理性はとろとろと溶けていった。 「……は……ふぅッ」 やがて、唇が離される。 つつ、と唾液の糸を残しながら離れていく圭一の舌を、あ、と名残惜しげに声を漏らしながらレナは見送った。 しかし、その余韻も長くは続かない。 「――――ひゥっ!?」 胸元に顔を移した圭一が、レナの乳房の先端を舐めあげたのだ。 そのまま小さな乳輪を丹念に舌で撫で回すと、 ――――カリッ。 「――――――――ッ!!!」 乳首を甘噛みされて、レナの視界は白く明滅した。 そのままコリコリと歯で引っ掻かれ、先端をぺろぺろと舐められてくにくにと踊る乳首。 頭の中で弾けては理性を奪っていく快楽に、レナはぎゅっと目を閉じて耐えていた。 と、不意に甘く痺れるような感覚が途切れる。圭一の唇が、レナの乳房から離れたのだ。 (……終わった……のかな? ……かな?) 安心して、ようやくほっと息をつくレナ。だが、それは早計だった。 ――――ちゅぷ。 「――――ッ!? ああ――――ッ!!」 もう一方の乳房に吸いついた圭一に、今度こそレナは悲鳴をあげた。 だが、それで圭一の愛撫が弱まるはずもなく、むしろより強くレナの乳首を吸い続ける。 「はぅッ! あっ! ああっ! うあああっ!」 もはや抵抗する術もなく、レナはなすがままに圭一にねぶり回される。 肌はうっすらと桜色に上気し、呼吸は熱く、鼓動は速く。 そして限界まで海老反った躯は、安定を失って布団に倒れこんだ。 しかし、そんなことは意に介することもなく、圭一の執拗な「おしおき」は止まらない。 乳首に吸いついていた唇が離れたかと思うと、ぴたぴたと舌で叩き、また吸う。 空いた乳房も圭一の手に揉まれ、乳首を指で転がされる。 さらにとどめとばかりに、股間に残った手が伸ばされると、服の上から、ぎゅうっ、と握りしめられた。 「――――ッッ!! ――――ッッッ!!!」 リミットを軽く決壊させて殺到する快感に、たまらずレナは達した。 四肢をぴんと突っ張らせて、びくびくと痙攣する。 やがて、くたっと脱力し、レナは自分に覆い被さっている圭一を見上げた。 「圭一くん……すっごく、えっちなんだよ、だよ」 その言葉に、圭一はにやりと口の端をつり上げて笑うと、 「そういうレナはどうなんだよ? ――――ほら、すっげぇ濡れてる」 言って、じくじくに濡れそぼった股間を軽く撫で上げる。 たったそれだけなのに、ぞくぞくと這い上がる快感にレナははぅ、と声を漏らすと、 「だって――――レナは風邪なんだもん。――――汗をかくのは、当たり前なんだよ……だよ?」 「ほほう、レナさんはこれが汗だと仰る?」「嘘はついてないんだよ」 ただそれ以外の液体がたっぷり入ってるだけで。 「圭一くんだって……その、すっごく、かぁいくなってるんだよ、だよ」 言われて、圭一はレナの視線を追って目を下に降ろす。そして視界に入る服の上から自己主張しまくりのマイサン。 というか、ジッパーの金具が先っちょに当たってちょっと痛い。 「おお、これか。こいつはな……」 一息。そしてにやりと不敵に笑うと、 「――――注射だぜ」
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「…うう。詩ぃ、詩ぃ~」 「はいはい。泣かない、めげないの。恋に恋する乙女たるもの、これしきのことでへこたれてたら、やっていけませんよ」 「詩ぃ~っ!」 本日、学校が終わっては梨花ちゃまが私のマンションに駆け出してきて以来、ずっとこの調子で泣き止んでくれないのです。 止め処と無く梨花ちゃまの瞳から溢れる涙の供給源は、本当どこからやってきているのでしょうかね。 私も私で駆け出したいほど重要な用事があるのですが、このまま梨花ちゃまを見捨てておくと内側から干からびて、干物になってしまいそうですし…。 厚さ2ミリもない体つきで『詩ぃ、私もう希望もクソも無いから干物になってやり直すわ』だなんて馴れ馴れしく話し掛けてくる梨花ちゃま、嫌です。 頭部も例外なくぺったんこになり、当然脳みそ部分もスカスカになってしまうでしょうから、今まで以上に風狂な振る舞いを起こすようになってしまいます。 正直、ぶっちぎって変人になった梨花ちゃまも見てみたいという考えはあるのですが…。周囲の住民への迷惑を考えると到底今の梨花ちゃまを死守しなければならないため、梨花ちゃまの傍に付き添う必要があると判断したわけです。 「恋に恋をしてないのです、私は圭一が好きなのです~」 「はい、はい。わかってますよ、きちんと理解しています。100年好きなんですよね」 梨花ちゃまの感情が昂ぶり、抑えがつかなくなると必ず飛んでくる台詞がこの台詞。『100年の時を歩いた』、だそうです。 にわかには信じ難い話ですが、年端もいかない少女にしてはずば抜けて思慮が深いですし、昭和58年の6月までは、聞いている側が肝を冷やす位性格に未来を予知していましたし。 ひょっとしたら本当なのかも。 …あれ、梨花ちゃまが特殊部隊のことで騒ぎ出したのって事件の起こる2週間前くらいでしたよね? 私の記憶ではずっとずっと前から何か予見していた仕草といいますか、その様なものを感じていたのですが。 現に梨花ちゃまは私とお姉の入れ替わりを看破していた節ですし、地下室にてお姉を救ったのは実質異変に気が付いた梨花ちゃまですしあれ私は沙都子をアヤメてくけケケケ… 「駄目えっ! 詩ぃっ、それは駄目!」 「…はっ! 私は、一体何を…」 何かとてもよからぬ回想が思考に巡ってきたのですが…。 「気のせいです、気の迷いです! そうです、100年とはあくまで正式に年数を数えたことが無いから本ッッッッ当に過少の年数を言っているだけであって、本来なら1000年とかとうに過ぎてると思うのです、うう、詩ぃったら信じてない~、ああああああん…」 梨花ちゃまが洗脳してくんのかと吐露を漏らしたくなる位にこちらに詰めより弁を捲し立ててくるのですが、私が別の物事について思案していると、勝手に床へ這いつくばって空気が抜けたようになってしまいました。 現在では床面に転がり回りだだをこねている始末です。 「ねえねえ、聞いて、聞いてよ、関心もってよう~」 梨花ちゃまは自分の拗ね具合をとくと現しているつもりなのでしょうか、唇をたこさん型にでっぱらせているのですが、ひょっとこの物真似をしているようにしか見えません。 「…はあ。泣き癖はおこちゃまと負けず劣らずな癖に、下手な同年代の子供たちよりも思慮深いばかりに、こうなった梨花ちゃまは面倒臭いんですよね。ああ、圭ちゃんは梨花ちゃまをあやす私の立場になって物事を考えるべきです、その通りです! そうすれば梨花ちゃまの願いなんて二つ返事で承諾される事でしょうね…」 しかれども、お情けで実った恋慕なぞどんな女性でも喜べるはずがありません。 人一倍繊細な心をもっている梨花ちゃまに至っては自責の念に押し潰され、結果折角物にした恋情を破棄し、別れてしまうだなんてことも考えられます。 しかし別れた理由はあくまで境遇に耐えられなかったからなのであって、足首に未練のかせを引き連れたままの梨花ちゃまはそのまま恋わずらいに苦しまれるがまま…。ああ、なんと悲しいのでしょう! 最悪の事態は避けなければなりませんね。 やはり圭ちゃんが鈍感なことを利用して、こちらが画作していることを察せさせず、梨花ちゃまの横恋慕を実現させなければなりません。 そのためにはまず失敗を失敗と割り切って、梨花ちゃまに立ち向かって貰わなければならないのですが…。 「あああああ、詩ぃ、詩ぃ! 僕はもう駄目なのです~!」 「泣き止んでください、気に病むことはないですよ。…あああ~今日は悟史くんの看病に行く予定があるのに、なんだか私も涙がでてきましたよ。よよよよ…」 私たちは相互に空いている隙間を近付くことにより埋めあって、ひしりと抱き合います。 私は梨花ちゃまより体格が大きいので、梨花ちゃまの肩に目元を埋める姿勢で。梨花ちゃまは私の胸に潜り込む体勢で、お互い溜めるに溜め込んだ不満の丈をわんわんと叫び始めあいました。 「あああああん、あん、ひっぐ、私たちはきっとこのまま身寄りも出来ず、寂しく朽ちて行く運命なのよお~!」 「失礼な、私だって、私だって…! …ん、ん?」 私が袖を通しているセーターの胸部が液体でぐっしょりと濡れてしまっているのですが、そんなことはどうでもいいのです。 ふと、梨花ちゃまの様子を目に入れていて、ピンときました。これを上手に応用できれば、圭ちゃんなんて手玉にとったようなものなのでは…? 粘着性のある溶媒が飛び散って、頬にかかってきた時には流石に気にかけてしまいましたが、些細なこと。どうでもいいことです。 「ごめん。鼻すすったら鼻水飛んだ」 「んん…。…そうかっ!」 「…ほえ? 詩ぃ、詩ぃ?」 一人合点し、思案を早めて行く私ですが、私は一言も喋っていないため当然のこと梨花ちゃまは理解できていません。 むしろ梨花ちゃまの目つきは私を異端者として捉えているかの様な…。はなはだ、不服です。 まあ、概容すら分からない相手の企みを知ろうとするなんて、他人の思考を読めたりしないと不可能ですからね。 またもやいじけてそっぽを向いてしまっている梨花ちゃまに面を合わせ、順を追って説明していくことにしました。 「梨花ちゃま。男のツボとは、ギャップです」 「ナイキ?」 梨花ちゃまは私の話のでばなをへし折りたいと考えているのでしょうか。 「はいはい、つまらないです。ギャップとは元となる物事と対照の物事の差、普段ツンケンしている人がこちらに親しくしようと踏み寄ってくる様は、なんかこう、悦といいますか…。悦といっても偉ぶっているわけではありませんが、こう、いいでしょう?」 「いいわね。普段勝ち気な圭一が家に帰って一人になると、殊勝な振る舞いになってしまう事に通ずるものがあるわ」 「…なんで知っているのですか?」 「えっ! あっと、その、…覗き、見」 少々ドギマギしていますがさも息をするかの様、平然にどきついことをのたまう梨花ちゃまに、少なからず頭痛を憶えます。 私だってれっきとした一般人、地域の皆さんと同じ感性を持っていますから、 梨花ちゃまの将来がかなり心配になってきたので、釘を刺す意味合いで、私は梨花ちゃまに忠告をします。聞く耳を持たないとは思いますけど。 「幾ら憎からず思う相手の行動観察とはいえ、人の家での私生活まで覗くというのはとてもよろしくないことだと思いますよ」 「愛が成せる業だわ。業と言ったら忍者。にんにん」 梨花ちゃまは両手を体の前に置いて、右手は右手の人差し指だけ伸ばして拳を握り、左手の掌でピンと反り身になった人差しを包み込むように指を握り、やはり左手の人差し指を伸ばす仕草をとりはじめました。 その素振りはあたかも、いや、想像を巡らせなくてもわかります。忍者ですね…。 会話が一段落したところで冷静に状況を分析すると、やっぱり私の忠告はどことやら流れてしまっています。 ちょっとくらい心に留めてください。 「江戸時代まで飛ばしますよ。それに業という単語、忍者とは関連がないと思いますが…」 「知ったこっちゃない、私の発言が正義なのよ」 「もう好きにしてください…」 観念が肝心、諦めも肝心、諦めとは観念。 今の私の御心の深さは観音様も仰天するでしょう。 それ程往生際がよく、何もかもを甘んじて受けいれた覚悟なのです。 「それじゃあ私は、圭一をドキッとさせるためにギャップのついた性格を練習して、習得すればいいのね?」 目を瞑り神々と対話していた私は、梨花ちゃまの比較的まともな言明により現世へ引き戻されました。 そりゃ、元を辿れば梨花ちゃまのための会議なのですから、梨花ちゃまが行うことの確認をとる行為はいたって適切なのですが、違和感といいますか…。 通例にはみ出してる梨花ちゃまこそが、なんか、梨花ちゃまって感じがするんですよね。 「…失礼なこと思ってない? 実際、私を古出梨花として感想をくだしてるんだったら、的外れよ。私はリカであって梨花では…、…いや、なんでもない。で、どう?」 「『ドキッ』って、表現が古いですね」 「表現のことなんてどうでもいいじゃない!」 梨花ちゃまが鬼の見幕で私に食ってかかるものですから、思わず一歩引いて、謝ってしまいました。 心なしか、梨花ちゃまの目尻に光るものが溜まっているような…。…そっとしておいてあげましょう。 「案の内容は悪くないですが…。その作戦は次の機会にやりましょう。今はそれよりも有効な手段がありますからね…」 「内容?」 なんとか修羅から人間へ戻り得た梨花ちゃまが、私がずっと話したかった、本題に食いついてきます。 元々、最初にギャップをおさえることが男のツボをおさえることになると話を持ちかけたのも、このテーマを梨花ちゃまに伝えたいがため。 少々遠回りしてしまいましたが、ようやく声高らかに、宣言する時がきたのです…! 「…そうです。その名も、ずばりッ!」 「…ずばりっ!?」 『泣き落としですっ!』 ☆ (…ふう、放課後になって、やっと30分が経過したわ。私たち以外の部活メンバーを始めとしたクラスの皆も下校したし、後は教室に待機している圭一に、話し掛けるだけ…) (そうやって躊躇して、何分経ってるんですか。軽く20分、踏ん切りつかない体勢のまま、入り口でもたもたしてて。はたから見ていてとても怪しいです) (なっ、何を言うの! この私が不審者だなんて、公由も大激怒よ!) (ばっちゃに頭が上がらないような村長さんなんて、目じゃありませーん。まあ、冗談ですけど。公由さんのことは、きちんと敬ってますよ?) (私の挙動不審ってことはどうなの…?) 「…圭一っ!」 「…ん、うおっ、この手紙で俺を呼び出したのは梨花ちゃんだったのか! いやあ、可愛らしいシールや封に包まれた手紙だったもんだから、ラブレターだと思ってたよ」 「ラブレターなのですっ!」 「…。…、へっ!?」 「僕は圭一が好きですっ! 他の誰より、レナより魅音より沙都子よりいっ! 好き好き大好きなのです、なんで、圭一は僕がこんな、好きだって…、えぐ、好き、…わからな、いの」 「…梨花ちゃん」 「わからないのよ、おかしいわよ、ずっと圭一のこと考えてて、離れなくなって、いつしか圭一のことで思案を巡らせることが日課になって…! な゛ん゛で気゛が付゛いてくれ゛な゛い゛の゛…?」 「梨花ちゃん!」 「大゛好゛き゛っ゛!!」 「…泣かないでくれ、ほら、ハンカチ」 「うう、拭゛いたって、ま゛た゛涙がでちゃうっ」 「なら、梨花ちゃんが楽になるまで、拭き続けるさ。なんたって、梨花ちゃんと俺は、仲間…、…いや」 「…」 「…落ち着いたかい? …そう。梨花ちゃんと俺は、恋人じゃないか」 「…! 圭゛一゛い゛っ!」 「なんというか、泣いてくれるまで俺のことを好きで居てくれる女性を、ないがしろにできないから…。凄く、嬉しいよ。これからの人生、傍に居てくれないか」 「喜んでっ! じゃあ、早速棒と玉を使って穴に入れる楽しい遊びをしましょっ!」 「へっ!?」 「遊びなんてものじゃないわ、これはお互いの人生の岐路を固める大切な儀式! 2人で乗り越えましょ、さあさ横になってあら圭一ったらこんなに固くしてウフフフフフ…!」 「…梨花ちゃん。俺、俺ッ!」 「きゃっ! ううん、圭一ったら激しい! そう、そこよ! 刺激がいいのお、もっとやって~!」 ※続きはこの計画が達成、成就されたら行われます 「ムフ、ムフフフ。ウフフフフフ…」 ミッション2 放課後の学校に圭一を呼び出し、泣き落としで圭一を落とせ! 作戦内容:昼休み終了後、あらかじめ圭一の下駄箱に手紙を用意して放課後教室に残ってもらう! その後作戦班Aがターゲットに接近、熱心に口説け! ポイント:泣き落としに崩れない男なんて居ない! この日の天気は小雨で、天井やら内壁、学校全体からしとしとと物静かな水の打ちつける音がこだまする。 私たちと圭一以外の全校生徒が家に帰宅した分、余計に静まり返ってるのだろう。 キーンとした振動数の多い音波に耳を澄ませていると、いつしか職員室で勤務している知恵先生と校長先生の息だって、今だけは止まっている錯覚に囚われる。 学校という空間に詩音と私、圭一の3人だけしかいない気がしてくるのだ。 やがてそれは圭一と私の2人きりになるのだろう。 …私は教室のロッカー側の入り口手前に居て、圭一は自分の席に座って何やら本を読んでいる。 この状態のまま、もうすぐ40分が経過しようとしていた。 なんでだか今日の雨の反響音が、私には安らぎの場を醸し出すバックサウンドの様に思えてきて、ことさら感謝している始末だった。 普段日頃だったら帰りに衣類が汚れるし傘さすのが面倒なんて、愚痴をこぼしてしまうのにね。 「…雨の音には、人を癒しつけるヒーリング効果があるそうです。アルファ波でしたっけね。このことを、話の種にしてみてはいかが」 「…ありがとう、詩音。たまにはいいこと言うわね」 「たまに、は余計ですっ」 …余裕ぶっこいて詩音と会話の応対してるけれど、わたくし、古出梨花。ゆとりなんて都会住居の隙間ほどありません。 これからする事、すべき事を考えているだけで全身ガッチガチにこわばってしまい、今にも逃げ出したい所存です。 ヒーリングとか知ったこっちゃありません。 何より、詩音が提案した腹づもりって、ばっさり言っちゃえば告白って事ですよね。 泣き落としがどーのこーの言ってるけどまずはアタックアタック! って強制してるわけですよね。 私に胸内を打ち明ける勇気がほんの一滴すら振り絞れなくて、困り果てて詩音に相談した訳だというのに、こりゃおかしいですよね。 そりゃ、思いの丈を暴露することが可能な位積極的なら、恋慕くらいちょちょいのホイで実りますよね。 (…そうですよね、梨花ちゃまだって、りっぱな乙女。幼少であるだとか、くだらないことなぞ関係ないのです。 沙都子。ねーねー、あなたに悪いことするけれど。…ねーねーは梨花ちゃまを応援します。沙都子も圭ちゃんに心を寄せているだなんて事は十分承知しているけれど、…。 梨花ちゃまの様子を窺っている内に、手助けしてあげたいと思うようになったのです…) 何を勘違いしたか詩音が私の背中を押してきたんだけど、どういうこと。 詩音だって来年は高校生、成人に近付いてきた体格の力というのはいくら女性でも子供の私の体には十分な圧力がかかり、圧力から逃げ出そうと体が教室方面へ二歩ほど動いてしまう。 無用心で抵抗できるはずもなかったから、尚更ただ押された力に従ってしまうだけで、かなりピンチ。 入り口付近でじっと圭一の素振りを窺っていた私はされるがまま、とうとう圭一の居る室内へ侵入してしまった。 押されて歩いた際にペタ・ペタと上履きの音を立ててしまうあまりよろしくない失態を犯してしまい、即効で圭一に私の存在が割れ、面と面が向かい合う態様に。 最悪。 残念ながら私は漫画の主人公とかにありがちな『よーし思い切って私の気持ちをぶちまけるか!』とかそんなんにならなくて一層緊張しちゃうタイプなんですよね。 もう本当どうしようもない、このまま溶けてしまいたい、できるならとんずらしちゃいたい。 私には叶わぬ淡い羨望だったのよ…、とか心の片隅で思うわけでもなく、気持ちに決別をつけるために言い訳のかざりをつける訳でもなく、単純に逃げたい。 「…もしかしてこの手紙、梨花ちゃんか? 放課後になってから、40分過ぎてるけど。どうしたんだ」 声の主がゆっくりとした手付きにて現在開いている本のページにしおりを挟み、片手にて本を閉じ、席を立ってこちらに近付いてくる。 ガラガラとした男子特有の勝り声の持ち主は、もちろん圭一だ。 待ちくたびれたからだろう、うんざりとした声色にて、手紙の送り出し人の真偽を尋ねてくる圭一。 不幸中の幸いで、現在の私がまともに呼吸すら行えない状態だということは、圭一に計られなかった模様だ。 されども圭一の投げかけてくる疑問の眼差しに、そこまで不快に思われていないだろうなとはタカをくくりつつも、無言が続くにつれやっぱり不愉快なのだろうかと当惑してしまう。 不相応なのだろうか…。私はまだ、一般に思春期と言われる年頃すら迎えていないのだから。 こんなことなら100年の記憶なんて引き継ぎたくなかった。 …これについては本音ではないが、万が一私の記憶がまっさらな状態であれば、幼少時に抱いた淡い恋慕なぞ全く悩まぬ問題に成り下がっていただろう。 負の要素を自覚してしまうから、心を暴け出す行為っていうのは、嫌なのよ。 こんなことならホイホイ詩音の申し出に乗らなければよかった。 乗ってもいいが、きちんと内訳を理解し、極端に追い詰められる惨状にはならないことを確認した上で臨むべきだったのだ。 「そ、その、圭一」 ほら、情けない。圭一と接見し、数分が経った後、やっと喉から放出できたかすり声ですらこれだ。 圭一はあっけからんというか、キョトンと放心している挙措をとっている。 …当然だ。私ですら、何をどうしたいかわからない。 「…。…ううう~っ」 途端、なんだか呼吸における吐き出す行為だけ金縛りが解けたように行えるようになり、息を吐き出した瞬間、目頭やら胸やら背中に熱みが伝導してきて、…地面が視野にぐっと近付いてきた。 ついでに両足の膝小僧が痛い。 痛みがお腹までじわじわと登ってきて、へそに到達したむしゃくしゃが突如弾けるよう四肢に飛び散り、後悔が波となって襲い掛かってくる。 …津波を真っ向から浴びた後は、その場に泣き崩れてしまうだけだった。 「…!? どうしたんだ、梨花ちゃんっ!? 何か、悲しい出来事があったのか!?」 圭一は気をかけてくれるが、今はその優しさが、傷口に染みる。 「みぃ、違うのです、違うのですう、うううう~」 精一杯の拒否だった。 圭一に嫌われたくなく、かつ今の一時期だけ構って欲しくないために使った、あえて理由をひた隠しにする受け答えだ。 当然私の突っぱねる返事に、圭一は言葉を詰まらせてしまい、ただ雨の無常な響きが取り残される。 …圭一が無言になったのはある種の優しさで、私を想ってくれたからこそなのだろうが…。 本音を言うと圭一には私が張った拒みの壁を打ち破って、話し掛けて欲しかった。 顔面が焼ける様に熱く感じるし、同時に液体窒素の冷気を詰め込んだのかと誤解を持つくらい、顔面やら背中が寒い。 手首の脈活動も破裂してしまうのではないかと心配をよぎらせるほど活発で、指先に、ジンジンとした鈍い痺れを憶える。 ただ動かないことだけが私にとって唯一の安穏で、逃げ道だったし、本能の警鐘が私に行動させることを許さなかった。 今、何か振る舞いを行おうなら、息苦しさで死んでしまうように思えたのだ。 「…? みぃ」 背後越しから、ゴツゴツしていて、汗臭くて、あたたかい感覚が纏わりつく。 それはとても心地よい感触で、…いつまでも味わっていたかったから、硬いけれども柔らかい、圭一の胸へさらに体重を預ける。 ぼやけてよく見えなかった視界も、すっきりと晴れ渡っている。 泣き出した直後だからか、教室急が普段よりもくっきりと広がっていた。 そして、背後からの一呼吸を襟元に感じた後に乱雑な、ごしゃごしゃと指や手の腹を当ててくる手触りが頭部全体に伝わってきた。 五箇所と追加一箇所に渡って押さえつけられる力の一つ一つの場所が、とてもあたたかかい。 特に追加の一箇所が当たる場所は他のどの場所をとろうにも物足りない位、くすぐったくて思わず笑みをこぼしてしまう、お気に入りの個所なのだ。 「梨花ちゃん」 私はまだ圭一に頭を撫でて欲しいものだから、特に振り向かず、首だけ縦に振った。 「梨花ちゃん。よければ、俺の膝に座るかい?」 言い終わった圭一は一度私の頭を撫でる行為を止めて、私の眼前に姿を現す。 その場に座り込んではあぐらをかき、分厚い甲の右手にて自身の太ももを『パンパン』とならし、私の向かうべき場所を指図してきた。 私の頭部を撫でる行為を断りも無く止めてしまった身ごなしには不服だが…、好意を寄せる圭一の提案を断る理由などあるはずもなく、甘んじて圭一の体全体にお邪魔する。 圭一にとって、譲歩に近い進言なのだろうが、私は圭一を感じれたらそれでいい。 私が好きになったのは、無理に優しさを取り繕った圭一でなく、圭一である圭一本人だからだ。 …告白のタイミングは完全に逃してしまったが、今ならつもり積もった想いを、きちんと吐けそうな気がする。 なんとなく自信が湧いてくるのだ。 乱れたコントロールの暴投になってしまうだろうが、投げつけようとすれば、渾身の一投を圭一に決められる。 されどもながら、この温もりと告白、二者択一をするというなら…。 やはり温もりの方が捨てがたい。 (梨花ちゃまはうまいこと圭ちゃんに涙を見せることに成功したわけですが、多分、あの涙は素でしたね) 詩音は教壇がある側の教室入り口陰より私を見守ってくれてはいるが、なにやらよからぬ考えをめぐらせている表情をしていて、不愉快だ。 ミッション2 失敗 原因:圭一が優しすぎるが故、告白にもっていけなかった… -
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「あの・・・その・・・」魅音が真っ赤になりながら、何か言いたそうだ。鈍感な俺でも、何が言いたいか分かるぞ。 「圭ちゃん・・・好きです・・・付き合って下さい。」 部活とかで、見せる表情じゃない。凄く可愛い 「魅音・・・真剣に考えたいから、返事は少し待ってくれるか?気持ちは嬉しい有り難うな」 「うん・・・分かったよ。私の気持ちを聞いてくれて有り難う」 まだ、真っ赤になりながら走っていった。 てか、どうしよう?魅音は男友達って感じだった。普段の接し方から、気づかない俺はやっぱり鈍感なんだろうな。 この後、レナにも呼ばれていたな。まさか・・・?いやいや有り得ない。 予想は、的中した 「圭一くん・・・あのね・・・好きです。付き合って下さい。」 「レナ・・・少し待ってくれるか?真剣に考えたいから・・・気持ちは嬉しい有り難うな」 「今すぐじゃなくても良いんだよ?だよ?魅ぃちゃんからも告白されたんだよね?よね?」 「なっ何で知っているんだよ?」 まさか・・・?何かの罰ゲームか?俺が居ないときに、部活でもやっていたのか? 「実はね、魅ぃちゃんから電話があったんだよ 圭ちゃんの事が大好きなんだって。明日、告白するつもりって 私も好きだから、本来なら応援した方が、良いのかも知れないけど 自分の気持ちに嘘をつきたくない。 私も明日告白するって言ったの。」 「そうか・・・しかし、お前ら卑怯だよな?最初罰ゲームだと思ったぞ」 「あはは・・・ごめんね私達の気持ちは本物だよ!だよ!例え、片方を選んでも二人を振っても、友情は壊れないしずっと仲間だよ!だよ! それだけは、分かって欲しいかな?かな?」 「勿論だ!」 俺達は、家路についた 眠れない。 魅音の事も、レナの事も好きだ。 魅音は、普段は園崎家次期頭首として、色々大変らしい。学校ではクラス委員長として部活の部長として頑張っている。 尊敬に値する奴だ。 さっき見せた、可愛い表情は可愛かった。 レナは、俺が雛見沢に引っ越してから色々面倒を見てくれた。才色兼備だ。料理も上手い頭も良い(天才だと思うのは俺だけ?) 理想の女の子だと思う かぁいいモードは・・・それは、置いておいて 俺はIF世界で二人に酷いことをした。謝っても許されないとんでも無い事梨花ちゃんは許してあげましょうって言われた。でも、今居るこの世界は、俺が望んだ世界。 誰も死んでいない。殺してもない。沙都子もイジメに合っていない。悟史も居る。(詩音と付き合っているらしい) 俺は悩んだ末・・・ 「あのさ・・・真剣に考えた。俺は・・・レナの事が好きだ!これからは恋人としてよろしくな。」 「・・・・・・へ?私を選んでくれたの?はぅ~嬉しいよ!こちらこそよろしくだよ!だよ!」 俺がレナを選んだのは もう一つのIF世界レナが親父さんの事で悩んでいて誰にも相談しないで リナっていう女と沙都子の叔父の鉄平を殺して 更に、クラスのみんなを人質に籠城する。 そんな悲しいIF世界で俺はレナと屋上で戦ってレナは自分の過ちに気付いた。それは凄いことだ その時俺はレナを守りたいって思った。 今居る世界では、レナの事女として、見てた。 自然に惹かれていったのかも知れない。 「魅音・・・すまない レナと付き合う事にした真剣に考えた末だ これからは友達として仲間としてよろしくな。」 「何となく圭チャンがレナを選ぶって思ったよ おじさんのナイスバディを選ばないなんて勿体ないなぁ~くっくっくっ これだけは、約束して!レナを幸せにして! もし、泣かせるような事をしたら絶交だからね。分かった?」 「あぁ勿論だ!約束する。」 「じゃあね・・・そうそう部活の時は、用心するんだねくっくっくっ」 怖い・・・部活の時は、今まで以上に気をつけないと 最後魅音泣いていたな・・・ 俺とレナは正式な恋人になった。 学校では、今までと一緒で部活やって馬鹿やってただ、部活の罰ゲームが更に凄いことになった 何でスク水に猫耳尻尾鈴付いて校庭走ってる俺が居るんだ? 魅音は何時も通り接してくれている。しかし、レナも容赦ねぇ(泣) 悟史の野郎最後に裏切りやがった(部活のゲームは某ざわざわ漫画でもお馴染みのカードじゃんけん) そして、俺とレナが付き合って1ヶ月過ぎた頃 親父の仕事で母さんと親父は東京に行った。 そろそろ良い時期だよな? 「レナ今度の土日家に泊まりにこないか?食事のこともあるし・・・そろそろ・・・な?」 「あぅ~圭一くん変な事考えている・・・でも、良いよ分かったよ。お邪魔するね」 レナは夕方過ぎに来た。「お邪魔します。夕飯は腕によりをかけて作るよ!」 「おう!楽しみだぜ! 朝から何も食べていないから腹ペコペコ何だよ」 「あはは・・・圭一くんカップラーメンぐらい食べれば良かったのに」 「レナの料理は美味いのは知っているからな。腹を減らして一杯食べるつもりだったからな。 学校で食べる弁当とは違って彼女としての手料理を食べれるのだからな。彼氏の特権だな」 「はわわ・・・何か恥ずかしいかな?かな?」 今回はからかうのは無しだ。本当に楽しみだからな。 エプロン姿のレナって可愛い良い奥さんになるな。結婚したらどれだけ幸せだろうな? 「なぁレナ?お前は良い奥さんになるよなぁ~ 家事全般得意だし何より可愛い完璧だよ 流石未来の俺の奥さんだな!」 「みっ未来の奥さんって?はぅ~はぅ~」 おいおいレナさん? 常人の速さを超える包丁さばき 見てる方が怖いのですが? 相変わらずレナの料理は美味かった何時も以上に美味かった 一緒にテレビを見ながらまったりとした時間を過ごした。 「風呂入るだろ?沸かしてくるよ。一緒に入るか?くっくっくっ」 「わっわっわ・・・入らないよ~」 「冗談だぞ!風呂沸かしてくるよ」 「本当かな?かな?」 やっぱりレナはからかうと面白いな 「レナと付き合えて幸せだよ!心が暖かくなるって言うか毎日が更に楽しいよ。有り難うレナ」 一つの布団に二人で入っている。何だか素直になれた。 「私も圭一くんと付き合えて幸せだよ!だよ! あのね信じてもらえるか分からないけど今居る世界と違う世界の記憶がうっすらだけどあるんだ。 その世界は、お父さんが水商売の女性と良い仲になって家にまで来るようになったの。お父さんねお母さんと離婚してから無気力になって寂しかったんだね。 でもお金使い荒くなったの慰謝料沢山貰ったから余計にね。 その女がゴロツキの男とくっついていて二人は美人局をして、お父さんからお金を取ろうとした たまたま私は、その現場を見た 私は止めようと一人で悩んだ みんなに相談すれば良かったんだろうけどその世界の私はみんなを信用してなかったんだ。 一人で悩んだ結果2人を殺してしまう。 2人の遺体を部活メンバーのみんなに見つかってさっきの話をみんなの前で話した。 あんまり覚えていないけど多分圭一くんに仲間の本当の意味、大切さを教わった その後もみんなに迷惑かけた学校を籠城した。 魅ぃちゃんを傷つけ更に爆弾を用意して・・・」 レナは涙を流しながら話した。 まさか俺と同じ記憶を持っていると思わなかった実際は今居る世界が本物だからその記憶自体曖昧だけど 俺は何も言わず抱きしめた 「レナ今の過ごしている時間が本当の世界 俺は此処にいるずっと居るだからもう泣くな。 レナを一生涯守る魅音と約束したしな。」 「有り難う圭一くん・・・好きになって本当に良かった」 自然にキスをした。 「ん・・・はん・・・」 レナのパジャマ姿可愛すぎだぞ・・・ 全身ピンク色のパジャマレナに合っているな 舌を入れて少し激しいキスをしてみた。 「あっ・・・圭一くんの唇暖かいよ?安心する・・・あん」 それなりに大きい胸を触りレナの秘所の所を触った。湿ってるな・・・ 「かぁいいパジャマ脱がすぞ」 下には白いブラとショーツが見えた。 何だかレナらしい。 形の良い胸がさらけ出した。ピンク色の乳首もかぁいいな。 「圭一くん・・・恥ずかしいよ~はぅ~」 俺も初めてだから緊張している。優しく抱きしめてお互いの緊張をほぐしてみる。 「レナ・・・こうしていれば大丈夫だ!」 「うん!温かいよ圭一くん・・・安心する」 もう一回キスをして愛撫した。 「あっ・・・ふぁ・・・んっあん」 乳首が固くなった。 さっきより濡れているなそろそろ良いだろか ゆっくり秘所に息子を沈めた 「ひっ・・・んーーーーー」 「大丈夫?レナ?」 「うん!少し痛いけど大丈夫だよ!だよ!好きな人と一緒になれたんだよね?嬉しいよ・・・」 「あぁレナの中温かいな俺も嬉しいレナと繋がっている」 少し時間を置いて腰を動かした。 「あっあっあふん・・・圭一くん気持ち良いよ 圭一くんの体温が感じる」 レナ・・・レナ・・・愛してる。 そのまま果てた・・・ 「レナ大丈夫か?」 「うん!凄く幸せだよだよ!」 ずっとずっとレナと一緒に居よう END
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「あぅあぅあぅあぅうううぅぅ~~~~梨ぃ~~花ぁ~~~、もお、やめへ……くらはいなのれすううぅぅっ! ひっく」 「うっさいわねええぇっ! ぜぇんぶぅ……あにゃたが……わるいんだからねぇっ!? まったくもう……死ぬかと思ったわよっ!!」 そう、ことの始まりは私が祭具殿を漁っていたら、ちょっと面白げな文献を見付けたことにある。 だって「一口飲ませたら相手はもう自分しか見えない」みたいなことが書いてあったのよ? どう考えても惚れ薬でしょ? 試してみたくなるのが人の性ってもんじゃない。 そんなわけで、羽入に内緒で作ってみることにしたのだ。 材料集めにはなかなか苦労したけど、幸いお金の掛かるようなものはそう無かった。 ここで少し時間は遡る――。 その日の夕方。 私は古出神社裏の、雛見沢を一望出来る場所へと圭一を呼び出した。何故なら、そこは私にとってお気に入りの場所でもあり、あまり人目につかないところでもあるからだ。 どうせなら、告白は少しでもロマンチックな方がいいでしょ? 百年生きた魔女とはいえ、それくらいの乙女心はまだ私にも残っている。 「どうしたんだ梨花ちゃん? 急に呼び出して、しかも出来るだけ早くって……」 はぁはぁと息を切らして、圭一がやってくる。……うんうん、いい感じいい感じ☆ そりゃそうよね。圭一の家からここまでは自転車でもそれなりに距離はあるし、あの石段を走って登るのも大変だもの。 「圭一、汗だくなのです。はい、これはジュースなのです」 そう言って私は「惚れ薬」を入れた小瓶を圭一に渡した。 「随分と用意がいいんだな? 梨花ちゃん」 「ここに来る頃には圭一が疲れていることぐらい、お見通しなのですよ。にぱー☆」 「そうなのか? まあ、何にしても助かったぜ。じゃあ、遠慮なく頂くよ」 …………よし、飲んだ。 そのとき、私は勝利を確信した。 「それで梨花ちゃん? 大切な話って何だ?」 「みー、それなのですが……。圭一には何か変わったことがありませんか?」 「変わったこと? ……って、あれ?」 よーしよーし、効いてきた効いてきた。調合も完璧ね。 私はぐっと拳を握りしめた。 「なんだこれ? 梨花ちゃんを見てると……こう……」 「みー? ボクがどうかしたのですか?」 圭一が全身を赤くして、私に近付いてくる。 「圭一?」 「…………梨花ちゃん。ごめんっ!!」 突然、がばっと圭一は私を抱き締めた。 私はあまりの展開の速さに眼を白黒させたけど……嫌なはずがない。私は喜んで圭一の胸に顔を埋めた。 「梨花ちゃん。……俺、梨花ちゃんのことを……」 「……みー?」 圭一の心臓が早鐘のようにどきどきしてる。 もちろん、私もだ。 私の頭の上で、圭一の吐く息が荒い。 「圭一?」 私は顔を上げ、圭一の目を見詰めて……。 ………………………………って、あれ? 私の額に冷や汗が流れた。 ちょっとおおおおおぉぉぉぉっ!? 圭一の目がイっちゃってるんだけどおおおぉぉっ!? ひょっとして、さっきからの荒い息って……そっちの意味でのハァハァ? 「梨花ちゃん……」 「……な、何? 圭一?」 「俺、俺……もう我慢出来ないっ!」 「みぃいいいいいぃぃぃぃぃっ!?」 ちょっ……ちょっと圭一っ!? どこ触ってるのよ? お尻を撫で回さないでっ! ああっ!? ひょっとしてお腹に当たってるこの固いのって圭一のオットセイ☆? ひぃいいいいっ! そんなの擦り付けないでえええぇぇっ!? 「みぃっ!?」 や……やだ。耳……耳を舐めないで。ってえぇええぇっ!? なんか私の服、脱がし始めてるしっ! 嘘っ? パンツの中にまで手を入れてきたっ!? …………えーと、ひょっとしてこれ…………かなり、ピンチ?? に……逃げられそうにないし……。 ひょっとしてこのまま、本当にこの場所で私、圭一と……? 恐る恐る、上目遣いで圭一の目をもう一度見てみる。 「け……圭一? その……ボク……」 「何だい梨花ちゃん? 大丈夫だぜ、安心してくれ……優しくするから……」 うわぁ~~。めちゃくちゃイイ笑顔っ!? しかも歯が光ったっ!? 「あ、あははははははははははははははは……」 乾いた笑い声が私の口から漏れた。 も…………ダメだわ…………。 ふぉんぐしゃっ!! 「……きゅう」 不意に鈍い音が響き、圭一が倒れる。 「あぅあぅあぅあぅうううううぅぅぅぅっ!! あ……危ないところでしたっ!!」 倒れた圭一の背後に、フライパンを持った羽入が立っていた。 ――と、まあこんなわけでその場は助かったんだけど……。 ああ、ちなみに薬の効果は圭一が気絶しているうちに、古出神社で解呪しておいた。ま、お約束通り圭一は自分が何したか覚えてないでしょうね。 「どこが惚れ薬よっ!? 超強力な催淫薬じゃないっ!! 何のつもりでぇあんなもにょ作ったのよっ!?」 こうして夜中、私は沙都子が寝た後にやけ酒を呑んでいるわけだ。 無論、八つ当たりだというのも自覚はしているつもりだけど。 「ひっく……梨花が……悪いのれすぅ。あれは……適度に薄めへちゅかうのれすぅ」 「カルピスじゃにゃいんだからっ!!」 「あ~~ううぅ。告白時にはすっごく薄目に使うと成功率アップ、ご無沙汰時には濃い目に使うと新婚当時のほやほやに戻れる、一本で多種多様な使い道が出来るお得な薬なのれふよう?」 「うっひゃいっ!!」 ほんっとーに危ないところだった。 もしあのままだったら、私は圭一にがっつんがっつんオットセイ☆で攻められまくって、本気で壊れてたかもしれない。いくら何でもこの体でそれは無理ってものよ? 「あぅあぅ、梨花……もうこれ以上は……かんれんひてくはひゃいなのれすぅ」 「なーに言ってふのよ? 酔う感覚が嫌とか言いにゃがら、結構気持ちよさそうじゃにゃい」 「でも……でも、本当に辛いのれふぅ」 まあ、確かに羽入の息もあがっている。舌を出してハァハァいっているのを見ると、本当に辛いのかもしれない。 目の焦点も定まっていないし……。 「はぁ……はぁ…………………あぅううぅ」 「ちょっと……羽入?」 不意に羽入がパジャマを脱ぎ始めた。どうやら酔っててよっぽど熱かったらしい。 でもいくら何でもパンツ一枚って………………ええええっ!? 「は……羽入っ!? あんた?」 あろう事か、羽入はパンツまで脱ぎ始めた。 ひょっとして…………羽入って脱ぎ上戸だったの? それで昔何度もイタイことやってしまって、それ以来お酒が嫌になったとか……? 私は大きく溜め息を吐いて、俯いた。 これ考えるの本当に何回目だろ? つくづく、こんなのが古出家の始祖だなんて、恥ずかしくなってくるわ。 「あ……あぅ……ふぅんっ☆」 へ? ……何? この声? 慌てて羽入を見ると………ちょっとあんた何してるのっ!? 「あぅ……ああぅっ。あぅっ」 …………羽入は、素っ裸のまま、私の目の前で……自慰にふけり始めていた。 ごろりと横になって、左手で胸を揉みながら、右手で秘部をまさぐっている。 その目は恍惚の眼差しで……。 「こ……こらっ! 羽入、あんたこんなところで」 やめさせようと、私は急いで羽入の下へと駆け寄る。 せめてお風呂場とか……そういうところでしなさいよ。って、そんな問題でもなくて……。 「うふふふふ☆ 梨ぃ~~~花ぁ~~~~っ」 「ちょっと? ……羽入っ!?」 横に座った途端、私は羽入に腕を掴まれ、引き寄せられた。 そのまま裸の羽入に抱き締められる。 あ……あの? 羽入? 熱を帯びた羽入に瞳が私に近付いてきて……。 はい? ひょっとしてこの唇に当たっているこのむっちりとした感触って……。 「ん。あぅあぅ」 羽入の唇が私の唇から離れて、ようやく私は状況を理解した。 私のファーストキスが……百年守ってきたのに……よりによってこいつなの? 一瞬、頭が真っ白になって……。 全力で首を横に振り、そんな考えを打ち消す。 そうよそう……こんなのは事故よ事故、全然カウントに入らないんだからっ!! でも、ああ……何か涙出そう。 「って……こら羽入、放しなさいっ!」 「ヤな……こった……なのですよ? うぃっく」 そう言って、羽入はくすりと笑った。 え? あれ? …………なんだろこの既視感。 するすると羽入の腕が……手が私の背中を撫でて下りていって……私の腰に……そして、パンツごと私のパジャマのズボンを脱がしてくる。 「こ……こら羽入。冗談はやめなさい」 でも羽入はやめてくれない。 私は太股までズボンを下げられてしまった。 お尻とあそこが露出する。 「ちょっ……ちょっとおっ!」 あまつさえ、羽入は太股を私の股に入れてきた。 「へっへっへー。ダメですよぅ梨花ぁ? あんまり……さあぐと沙都子が起きちゃいます。……そんれもいいのねすか?」 お……おのれ羽入。どこぞのAVそのままなことを言ってきてええぇぇっ! 羽入は嬉々として私のパジャマの上着を脱がし始めてくる。 私も私で酔っているせいか、思うように体が動かせないし……。 ああ、今度こそもうダメだわ。 「あはははははははははははははははははは」 私はまた、乾いた笑いを漏らした。 「さあ。覚悟するのてふよ梨花? だぁい丈夫れふ。ちゃ~んと、優しぃくして……ひっく……あげるのれす」 羽入が私のパジャマを脱がし、私の上半身も露わになる。 「あぅあぅ。やっぱ……りぃ。梨花の胸は……可愛いのです」 「ううう……うっさいわね」 ひゃうっ!? 羽入が私の乳首を舐めると、私の背筋にぞくりとしたものがはしった。 私のお腹の上に羽入の胸が当たって……う、結構あるわね、羽入のくせに……。 ちょっ……とおっ!? そんなところ……。 「んんんっ!」 「んふふふふふ。梨花もぅ……ここは……感じるみたいれしゅね?」 そう言って羽入は細やかな指使いで私の秘部を撫で、クリトリスを弄った。 「くぅ……うううっ」 ふ……不覚だわ。 蕩けた瞳のまま、羽入は私の脚に自分の秘部を擦り始め、ぬるぬるとした液体に私の脚はまみれた。 そんな羽入の顔は、本当に気持ちよさそうで……。 羽入の声が高くなっていく。 「あ……はぁ……あぅあうっ……うううっ」 そして羽入は身を震わせ……どうやら達したようだった。 「さあ。……もういいでしょ? 羽入? さっさともう寝るわよ」 そう、こんなのは事故よ事故。 さっさと眠って忘れてやるわ。 「あぅっ? なぁにを言って……るのれしゅか?」 …………はい? 「今夜は…………寝かしませんれすよぉ?」 あの……マジですか? いや、この目は本気だわね。 あはははははははははははははは……。 も、どーにでもなれ。 ああ、きっと私も酔っている……。 翌朝。 あーもう、自己嫌悪ったらないわ。 羽入の奴、発情しまくりで本気で寝かせてくれないし、しつこいし……。 私がシャワーを浴びて戻ってきても、羽入は気持ちよさげに寝息を立てていた。 まったくこいつは、さんざんっぱら人のことを弄んでおいて……。 怒りを堪えながら、羽入の体についた色々な体液をティッシュでふき取り、服を着せて布団の中へと放り込む。 ひょっとして羽入がお酒を飲むのを嫌がっていたのは、酔うと体が疼くとか……そういう理由からだったのだろうか? もう眠れそうにないけど、私も自分の布団に潜り込む。 とりあえず、起きたら覚悟しときなさいよ? 羽入。 私はこれで酒をやめました。 しかし、代わりに特別辛いキムチの開発を始めました。 あの催淫薬はそのうちまた使うかもしれません。 以上。 ―END― TIPS:お仕置き 「何だか今日の羽入ちゃん、朝からずっと顔が赤いけど、どうしたの?」 「ああ、それにしょっちゅうもじもじしてないか? 羽入に何かあったのか? 梨花ちゃん」 「みー? ボクは知らないのですよ? おトイレでも我慢しているのではないですか?」 そういって私はあくびをし、ちらりと羽入の様子を見た。 (苦しい? 羽入) (あぅ……あぅあぅあぅあぅ) ま、そりゃそうよね。朝からずっとローターを仕込んでるんだもの。 (さあ……覚悟しなさいよ羽入? お仕置きはまだまだこれからなんだから) (あぅあぅあぅあぅううううぅぅぅっ!!) 私にしか聞こえない羽入の悲鳴を聞きながら、私は一人ほくそ笑んだ。
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前回 れなぱん!(2) SIDE レナ 「は…んっ…隼…一くぅん…んんっ!」 真夏の西日の差し込む、自室のベッドの上で私は身を捩らせている。 「だ、駄目…外に聞こえちゃうよ…はぁんっ!」 私の甘い艶声と微かに聞こえて来る水音に、ベッドが軋む音…。嫌でも自分が何をされているのか分かる。 「あっ!あっ!あくっ!!」 私のアソコを悪戯しているソレを両手で引き剥がそうとすると、それに気付いたのか手を布団の上に押さえ込まれてしまう。 「あうっ!…ふぁっ!やぁ…」 最後の抵抗とばかりに私は太股でソレを挟んで、それ以上悪さをさせない様にしてみる。 だが予想に反して、結果的にはソレを太股で抱き寄せて、アソコに押し付けてしまう形になってしまう。 「あんっ!!イ、イッちゃい…そう…だよ。だよ…」 私の身体に力が入り、あと少しで絶頂を迎えれると思っていた。 けど、直前になってソレが動くのを止めてしまう。 「はあはあ…っ?隼一くん?」 太股を両手で持って左右に開かれ、隼一くんが私の下腹部から顔を離して言った。 「悪いなレナ。舌が疲れちまってさ…ちょっと休憩だ、休憩」 ニヤリと笑って隼一くんが私の横に座る。 嘘だ。私の事を焦らして反応を楽しもうとしているに違いない。 『あと少しだけ頑張ってイカせて』 なんて恥ずかしくて言えない。お預けを食らった私は静かな怒りを込めて圭一くんの手をギュッと握って口を開く。 「意地悪…」 夏休みになって、そろそろ八月に入ろうかという今日、私達は前述の通り過剰なスキンシップに文字通り『精』を出していた。 正確には『今日も』である。男女の進展状況をアルファベットで例える某ABCで言うならC以外。つまりキスとか、口や手で気持ち良くし合っているのだ。 夏休みの宿題をする為という大義名分を経て、ほぼ毎日、私達は互いの家で暇さえ有れば愛し合っている。 付き合い始めて一週間弱、事前にそういう事を経験してしまったので抵抗は無い。 いや、思春期真っ盛りな私達なら、遅かれ早かれこうなってしまうのは仕方の無い事だろう。 とはいえ、勉強を疎かにすれば後が怖い。 だから今日も朝早くから、二人の時間を作るため一緒に課題をサッサとやって今に到る。 「レナがオットセイをペロペロする時は最後まで頑張ってるのに…隼一くんは頑張ってしてくれないのかな。かな?」 私は身体を起こして、隼一くんの肩に頭を乗せて聞いてみる。 これは付き合ってから覚えた隼一くんへの甘え方。 本来、私はあまり人に甘える事はしない。だけど、隼一くんの前では甘えん坊になってしまう。 そんな私を照れながらも優しく甘やかしてくれる隼一くんが好きで、ついついやってしまう。又、その逆もしかりだ。 隼一くんが自分の頬を指で何度か掻いて、私の頭を撫でてくれる。 「う…ちょっと意地悪しすぎたなゴメン」 「うん。いいよ。だから…続きして欲しいな」 「あ~。ついでに…してみたい事あるんだけど、試してみて良いか?」 「してみたい事?はぅ…何だろう」 隼一くんが私の耳に口を当てて、ある事を言った。私はそれを聞いてドキドキしてしまう。 「そ、それ凄くHな感じだから恥ずかしいよ」 「でも俺とレナしか居ないんだぜ、誰かに見られる訳じゃないんだからさ。だろ?」 「う、うん…じゃあ…してみよっか」 私は横向きに寝転がる。 そして隼一くんも同じ様に横に寝転がる、ただし頭は私の足の方にある。 「レナ。俺のも頼むぜ」 私は圭一くんのズボンのチャックを下げ、下着のボタンを外してオットセイを出してあげる。 「はぅ…こんにちわ。なんだよ。だよ」 「俺もレナのかぁぃぃ所に挨拶しないとなぁ」 隼一くんが私の片足を少し持ち上げて、顔をアソコに近付けていくのが、息が当たる事で分かる。 やっぱり何回されても恥ずかしくて慣れない。 「ただいま~」 隼一くんの吐息が当たって身体がピクッと一瞬震える、そしてアソコの奥の方がキュンと切なくなって堪らなくなってくる。 それは圭一くんも同じだろう、大きくなったオットセイが私と遊びたいのか、ピクピクしている。先っちょからHなお汁を出して泣いていて、かぁぃぃ。 私は舌でオットセイの先を舐めてHなお汁を拭ってあげる。 「ん。ちゅ…ぴちゃ…んんっ」 同時に隼一くんも私のアソコを舐めてくれ、二人の出す水音と私の吐息以外聞こえなくなった。 「んぁ…は…ちゅる」 オットセイの至る所にキスをする、それが終わったら舌先に力を入れて這わせて焦らす。 先程のお返しだ。 「ぴちゃ…んんっ…はあ…あっ!」 秘部を舐めながら、隼一くんがクリトリスを指で摘む。 そして、そのまま包皮を剥いて吸い付いてくる。 「ふぁあっ!はぅっ!!あ…あんっ!」 「おいレナ。口がお留守だぜ?ちゃんとしてくれないと止めちまうぞ」 凄く気持ち良くてオットセイを愛撫出来なくなった私に、隼一君が口を離して言った。私が愛撫を再開するまで、気持ち良い事はしてくれそうに無い。 「はあっ…あむ…ううん…ふぅ」 だから私はオットセイを口に含んで、しゃぶり回す。 ここ数日で隼一くんの気持ち良い場所は解っているから、そこを重点的に刺激する。 「うあ…レナッ…!それ良い…!」 オットセイの頭の下の周り、ここを舌を尖らせてクリクリと舐めてもらうのが、お気に入りらしい。 ここは私が初めてオットセイを舐めてあげた所。 ゆっくり丁寧に舌を這わせながら、圭一くんの顔にアソコを押し付ける。今度は圭一くんの方がお留守だから、おねだりだ。 「んっ!ちゅぷ…ふぅん…!はふっ!」 隼一くんが私の秘部に指を入れて小刻みに動かし、クリトリスを吸いながら舐めてくれる。 「んうっ!ふぅっ!ちゅぽ!ちゅぽ!」 私も唇にオットセイの頭を引っ掛けつつ卑猥な音を出して吸ってあげる。 「っぷは…!はぅっ!!じゅ、隼一くん…もっと吸ってぇ…は…ああっ!」 オットセイから口を離し根元を扱きながら私は要望を伝える。 すると隼一くんが要望通りにしてくれた。 私は再びオットセイを咥えて愛撫を再開する。 「んぐっんぐ!くぅ…!うっ!んんう!」 気持ち良過ぎて舌が上手く動かない。それでも一生懸命ねぶり、強く吸いながら顔を上下させて一心不乱に奉仕する。 平日の真っ昼間からお互いの下腹部に顔を埋めて愛撫し合う。 そんな恋人同士でしか出来ない事、それでいて背徳感たっぷりな行為に私は興奮していた。 だから、いつもより激しくし過ぎて隼一くんの限界にも気付けなかった。 「んむっ!?っう!んんっ」 いきなり口内に射精され、私は慌てて咥えたまま舌の上で受け止めた。 全部出しきるまで舌をウネウネと動かして刺激を与える。 「あ…は…ああ…」 出し終わったら、そのまま頬を窄ませ尿道内に残った精液を吸い出す。腰をガクガクさせて女の子みたいな声を出して隼一くんが悶えているのを見ながら、口の中で綺麗にしてあげた。 しつこいくらい口内で蹂躙した後、口を離しティッシュを二、三枚引き出して口の中の精液を捨てる。 「…ゴメンね。隼一くんのミルクまだ全部飲めないんだよ。だよ」 涎と精液でドロドロになった口元も拭いて、私は身体を起こす。 「ん…ああ。無理はしなくても良いぞ」 隼一くんが蕩けた顔をして言った。 「あ、あのね…ん。レナまだ…」 私は身体をモジモジさせて遠回しにイカせて欲しいと言ってみる。 「先にイッちまってゴメンな。ほら来いよ」 隼一くんも起き上がって、自分の膝の上をポンポンと叩いている。 私は圭一くんの膝の上に移動して背を預け、後ろから抱きしめて貰い満足感に浸る。 「レナってこの格好好きだよな。まあ俺も腕の中にレナがスッポリ収まる感じで好きだけどさ」 私のワンピースの下から手を差し入れて脱がせながら、隼一くんが続けて言う。 「レナってウブだと思ってたのに全然違うよな?本当は凄くいやらしい子だったもんな」 ワンピースを脱がされブラのホックを外される。私が身に着けているのはオーバーニーソックスだけになった。 「はぅ。そ、そんな事言わないで…」 私は恥ずかしさに身体を震わせ、隼一くんの言葉に酔わされていく。 「始めてすぐにおしゃぶりが上手になっちまうし」 両足を足首に添えられ大きく開脚させられ、目の前の鏡に私の恥ずかしい姿が写る。 同時に隼一くんの顔も見える訳で、上気した顔で何処か余裕無さ気。必死。それでも私の事を言葉や手を使って可愛がってくれているんだな。と分かる。 『俺は余裕が有るから、もっと楽になれよ』 って私を安心させようとしてくれているのかな?隼一くんも男の子だから格好付けてみせたいのだろう。 「皆には見せないスケベで、かぁぃぃレナが沢山見れて俺は幸せ者だよ」 両手で胸を優しく揉みほぐしながら、隼一くんが私の頬に顔を寄せる。 「…隼一くんより、レナの方が幸せ者かな。かな?」 私は身体を捻って唇を重ねる、鳥が啄む様に隼一くんのかぁぃぃ唇に何度もキスする。 「ふぁぁ…ちゅっ…ちゅっ…ふぅ…ん」 コリコリになった乳首を指でいっぱい転がされ気持ち良くて、私は小さな声で喘ぐ。次第に口の中に舌が入ってきたので私はおずおずと舌を絡める。 「ぴちゃ…あむ…っんう?」 薄目を開けて圭一くんを見ると目が合った。私は左手を後頭部に回して引き寄せる。 空いている右手で圭一くんのオットセイを探る。私だけ気持ち良くしてもらうのは悪いから。 「ふぅ…ふぅ…はふ…」 オットセイを逆手で、触れるか触れないかぐらいの力で扱いてあげる、すると私の手の中でオットセイが元気になってきた。 「は…レナ、指入れるぞ」 唇を離して圭一くんの手が秘部に移動する。私は身体の力を抜いて身を委ねて肯定を表す。 「あ…あっ!」 指が私の一本膣内に侵入して蠢く。自分では指を入れた事が無いので、圭一くんがしてくれるコレが私の唯一知っている『挿入』 近い内に捧げるだろう『初めて』の時までで一番圭一くんを感じられる行為。 最初の頃はぎこちなく探る様にしか動かしてくれなかったけど、今では私の性感帯を次々に見つけて愛してくれている。 「け、圭っ!一くぅ…んっ!そ、そこ駄目ぇっっ!!」 膀胱の裏辺りの膣壁とその反対側。交互に指を当てる様に掻き回される。私のアソコはクチュクチュとはしたない水音をさせて、圭一くんの指を咥えて込んで離さない。 「嘘が嫌いな癖に嘘はついたら駄目だろ。レナのアソコが、もう俺の指を離したく無いって言ってるみたいだぜ。おっ持ち帰りぃ~♪てか? レナは欲張りだなぁ」 「はぁ…う…レ、レナ嘘ついちゃってるの?ひゃっ!」 遊んでいた片手で何度も秘部全体をなぞられる。指を絶えず動かしてクリトリスやビラビラに女の悦びを教え込まれる。 「ついてる、ついてる。ほら鏡見てみろよ、美味しそうに指をおしゃぶりしてるだろ?」 私は目の前の鏡を見る、圭一くんの言う通りヒクヒクとさせながら指を食べていた。いや、おしゃぶりか。 「う、うん!はぅ!あっ!ほ、本当だ!あんっ!レナのアソコが悦んでいるよぉ!!」 段々自分が何を言ってるのか分からなくなってきた。 言葉で興奮させられ、愛撫で蕩かされる。 何より圭一くんに気持ち良くしてもらって頭も心の中もいっぱいいっぱいだった。 それでもオットセイを扱く手は止まらない。お尻に先っちょを押し付けて円を描く様に動かしながら扱く。 『欲張り』 確かにその通りだろう。 「も、もう駄目…!イッちゃう!イッちゃう!はあぁ!はうっ!!んあっ!!ああっ!!」 身体が跳ねて絶頂に到る。頭の中で白い光がスパークしている、ストロボの様に…。 「っ…はあっはあっ…」 息をする度に身体がヒクつく、圭一くんは何事も飲み込みが早いのか私を昇天させる方法をすぐに覚えていっている。 「愛液で少しシーツ汚れちまったな。てかレナ大丈夫か?」 「う、うん…大丈夫だよ。それより圭一くんは何処でこんな事覚えてくるんだろ。だろ?」 確かに何度もしていればコツは覚えるだろう、だが女の気持ち良い所をピンポイントで押さえて愛撫してくるのは不思議に思う。圭一くんはまだ…した事無いのに、何で知ってるんだろう? そんな考えから私は聞いてみたのだ。 「…エロ本と豊かな感性?」 まあ、模範回答と言うか当たり前か。 この年でそういうお店に行ったりとかは無いだろうし、他の女の子とどうこうってのも無いだろうから。 「そっか…あ!圭一くん、そろそろ花火買いに行かなきゃ!」 「ん?ああ、もうこんな時間かよ。じゃあ行くか」 「うん!」 今日は皆で花火をする約束が有るのだ。各々花火を持って来る様にと魅ぃちゃんに言われている。 だから私達は興宮に花火を買いに行かないといけないのだ、デートにもなるし丁度良い。 私は脱がされた下着と服を身に着けて髪を簡単に直す、最後に帽子を被って準備完了。 「ほら!圭一くん早く!」 ノロノロと服を着ている圭一くんを急かして家を出る。 汚れたシーツは明日洗濯機に掛けよう。だって今夜は…。 「はうぅ~♪かぁぃぃ花火がいっぱいあるんだよ。だよ!」 「へぇ…結構花火って種類あるんだな。おっ!これなんて面白そうだぞ!」 私達は今、玩具屋に居る。魅ぃちゃんの親戚のお店は今日お休みなので別の店。ここは近頃では珍しい、花火を単品売りしているのだ。 皆でするのだから質より量だが、スーパーに行って詰め合わせを買うってのも芸が無い。 だから単品で楽しそうな花火を買って行こう。という事になった。もちろん、詰め合わせも買う予定だけど。 「こ、これかぁぃぃよう~!圭一くん!買っても良いかな。かな?」 私は興奮気味に線香花火に頬擦りしながら聞いてみる。 「やっぱりレナのかぁぃぃ物の基準が分からねぇ…あ~カゴに入れとけよ」 圭一くんが『名人16連射』と書かれた花火を見ながらカゴを指差す。 「ねぇ圭一くん、沙都子ちゃん達も居るんだから、その花火は危ないんじゃないかな」 「そうか?う~ん…だったらこれか?」 そう言ってロケット花火を手に取る。 「だ、駄目だよ~!さっきより危なさがアップしてるんだよ。だよ!」 私の脳内では魅ぃちゃんと圭一くんと沙都子ちゃん。 三人がロケット花火を投げ合ってる姿が思い浮かぶ。 「これなんかが限界なんだよ。だよ!」 手の平サイズの打ち上げ花火を圭一くんに突き付ける。何より、この小ささがかぁぃぃ。 「いや待て!せめてコイツをボーダーラインにしてくれ!」 ネズミ花火を手に取って圭一くんが懇願する。 「うん。これなら大丈夫かな。ネズミさんの尻尾みたいでかぁぃぃし…」 「かぁぃぃって…まあ良いや。あとこれ辺りが…」 こんな感じで一緒に花火を選んでカゴ一杯買う。 これだけ有れば詰め合わせは要らないかも…。うん。あまり買い過ぎても余りそうだし充分だろう。 私達は夕飯代わりに喫茶店で軽食を食べた後、花火でパンパンになったビニール袋を持って雛見沢に戻る。 ちなみに夕方六時に古手神社の石段前に集合だそうだ。そこから河原に移動らしい。 「そういや、河原って祭の時に綿を流した所だろ?玉砂利が有って危なく無いか?」 「ううん。あの河原の下流の方だよ。地面が土の場所が有るから、そこだと思うな」 自転車を石段の前に停めて、私は圭一くんに説明する。まだ誰も来てないので、石段に腰掛けて待つ事にした。 楽しいお話しの時間。デートの予定を考えたり、くだらない事で笑い合ったりしていたが、段々Hな話しになってくる。 「それにしても、今日のレナは凄かったなぁ…凄い吸い付かれて腰が抜けるかと思ったぜ」 「け、圭一くん!お外でそんな事言ったら駄目なんだよ!誰かに聞かれたら…」 すると私の太股に圭一くんの手が置かれる。 「大丈夫だって…誰かが来たら止めれば済む話しだしさ」 太股を触っていた手が段々内側に移動し始めた。私は足を閉じて阻止して諫める。 「…レナ怒っちゃうよ?」 「じゃあさ、コレを何とかしてくれたら止めるよ」 と言って私の手を取ってズボン越しにオットセイを触らせられる。 「どうにかって…こんな所じゃ無理だよ」 もうすぐで六時とはいえ辺りはまだ明るい、そもそも道端でそんな事できる訳無い。 「あそこなら人も来ないし…なあ良いだろ?レナにして貰いたいんだよ」 ここから70メートル程離れた林を指差して、圭一くんがおねだりしてくる。 「流石にこんな状態で皆に会う訳にはいかないだろ。だから…さ?」 目をウルウルさせて圭一くんに催促される。そんな目で見られたら…してあげたくなる。でも、やっぱり私は躊躇してしまう。 「魅音にこんな姿見られたら…服をひん剥かれてしまうかも…俺の身体をレナ以外に見せたくないから・・・」 いや、魅ぃちゃんもそこまでしないだろう。 それより『俺の身体を[レナ以外]に見せたくないから』と言ったのに胸がキュンとしてしまった。 「はう…だったら皆が来る前に…行こう?」 結局は私の方が折れて、圭一くんの手を取って林に向けて歩きだす。 道からは死角になって見えない木陰に身を隠し、私は圭一くんの後ろに立って、ズボンの中からオットセイを出してあげる。 「圭一くんのオットセイいつもより大きくなってるんだよ。だよ」 「レナの柔らかい太股触ってたら、こんな風になってさ。ここまで歩くのも大変だったぜ」 右手でオットセイをゆっくり優しく扱いて、左手で圭一くんの胸をまさぐる。 「はぅ…まるで圭一くんに悪戯しているみたいなんだよ。ちょっぴり楽しいかも」 タンクトップの上から乳首を探し当てて指で転がすとオットセイが更に大きくなった。 「レナ…もう少し速く手を動かしてくれよ」 私は言われた通りにしてやる。 「ふ…う…」 段々圭一くんの口から吐息が漏れ始める。 「ねぇ圭一くん。良い事してあげよっか?」 調子に乗って来た私は圭一くんに、ある事を聞いてみることにした。 「は…良い事?」 「うん…気持ち良い事…圭一くんが腰をちょっぴり屈めてくれたら、してあげれるんだよ。だよ」 ゴミ山で見た、とある雑誌に載っていた気持ち良い事。本当かどうか分からないけど、してあげたくなってきたのである。 「あは♪ 良い子なんだよ。だよ」 素直に腰を屈めた圭一くんの乳首をよしよしして、私は耳元に唇を近付けていく…。 柔らかそうな耳たぶを唇で甘く咥えて味わう様に動かす。 「う…くすぐってぇ…」 身体をピクピクさせて圭一くんが言った。 「あむっ…ん…んう…ふふ♪」 なら、これはどうだろう?耳たぶを口に含んで舌で舐め回す。他の二ヶ所への愛撫も忘れずにシコシコ、クリクリしてあげる。 「うあっ!レナっ!や、やめっ!おあっ!?」 三ヶ所責めの気持ち良さに圭一くんが堪らず逃げようとするのを、私は乳首をイジメていた手をお腹に回して動けない様にする。 「ん…圭一くんかぁぃぃんだよ。そんなにお耳気持ち良いの?」 「あ…あうっ!」 「それともオットセイ?おっぱい?分からないから全部してあげるね」 再び耳たぶを含んで、オットセイを舐める時と同じ様に舌を蠢かせる。 「ちゅっ…ちゅっ。ちゅぱ…ふぅん…」 何回も吸いながら、舌先で耳の中を刺激する。 指先をオットセイの頭に絡ませながらリズム良く扱き、乳首に手を戻して指で挟んで揉みほぐす。 私も同じ事をされたら蕩けきってしまうだろう。まあオットセイを扱かれる気持ち良さは分からないけど、きっと背中がゾクゾクするくらい気持ち良いのだろう。 「レ、レナ!レナァ!あうっ!」 かぁぃぃ…可愛いすぎる…身体を震わせて私の名前を呼ぶ姿なんて女の子みたいで…。 自分が女の子としちゃっている様な錯覚すら覚える、ちょっと男の子の気持ちが解ったかもしれない。 「ふう…お外でオットセイをシコシコされて感じちゃってる圭一くんは変態さんなんだよ」 耳から口を離し、首筋に吸い付いてキスマークを付けた後、続けて耳元で呟く。 「でも…こんな事してて興奮しちゃってるレナも変態さんかな。かな?」 「あっ!…ううっ!レナァ…もう俺…俺っ!」 私の問い掛けに答える余裕も無いのだろう。圭一くんも限界みたいだからラストスパートに入る。 オットセイから出て来たHなお汁を先っちょに塗りたくり、逆手でオットセイの頭を持って扱きあげる。 いっぱいお汁が出てるから滑りが良い。だから少しだけ強めにオットセイの一番気持ち良い部分を攻め立てる。 「圭一くんイッちゃうの?オットセイがミルクをピュッピュッするところ、レナに見せて…。ねっ?」 幼児に言い聞かせている母親の様に、優しく耳元で呟きながら私はオットセイを責める手を休めない。 それどころか乳首からタマタマに手を動かし揉んで、さらに気持ち良くしてあげた。 「イ、イクッ!レナっ!レナっ!あっ!ああっ!」 腰をガクガクさせながら圭一くんがオットセイから勢い良く精液を吐き出す。両手でオットセイを扱いて手助けしてあげると吐息を漏らす。 「は、あ…ああ…うっ…!」 「あは♪凄い凄い!圭一くんのミルクいっぱい出ちゃってるよ?遠くまで飛んでちゃったんだよ。だよ!」 ヒクついているオットセイから手を離し口元まで持っていく、少しだけ手に付いちゃったから舌で舐めて綺麗にする。 口の中に圭一くんの味が広がる。青臭くて苦いミルク…圭一くんが出したと思うと苦にならない。 「はあはあ…んっ。レナって…もしかしてSっ気あるのか?」 「あはは♪女の子には秘密がいっぱいあるんだよ。だよ♪」 「何だそれ?けど凄く良かった…何つ~か堪らなかったぜ」 私はポケットティッシュでオットセイを拭きながら言った。 「イジメられて気持ち良かったの?実はね、レナも堪らなかったんだよ。圭一くんをイジメて興奮しちゃった」 ティッシュを丸めてポケットに突っ込んで続ける。 「でも…レナは圭一くんにイジメられるのが好きかな。かな?ううん。両方好きだよ。圭一くんとだったら、どっちも楽しいし気持ち良いんだよ…だよ」 「う…俺もレナとだったら両方好き…だな」 「はぅ…」 二人して顔を真っ赤にしてうつむく。私は圭一くんと同じ想いを共有できた事が嬉しくて、それだけでも『悪いネコさんなレナ』を見せて良かったと思ったり…。 梨花ちゃんみたいな事を言ったが、あながち間違っては無い。私達は『悪いネコさん達』なのだ。 お家で戯れ合った後、皆と遊ぶ前にHな事をして、何喰わぬ顔で皆の前に姿を現すのだから。 けど私達の仲が良くなら私は『悪いネコさん』でも良いかな。 私達は林から出て来た事を追求された時のアリバイ用に樹の幹に居たカブトムシを捕らえて、待ち合わせ場所に戻った。雄と雌のつがい、夫婦なのだろうか? 雄のツノもかぁぃぃけど雌のカブトムシ…小さくてかぁぃぃよう。小さくてかぁぃぃのは罪だ。 手の平の上のカブトムシを指でつつきながら私は口を開く。 「はうぅ~!圭一くん!カブトムシさん、かぁぃぃよう!お持ち帰りして良いかな。かなっ!?」 「止めとけって、そのカブトムシも自然の中で生きていたいだろうし。後で放してやろうぜ」 「はぅ。なら諦めるんだよ。でも見るだけなら良いよね。よね?」 「ああ。存分に見てやれ。おっ!もう皆来てるぞ!レナ急ごうぜ!」 「うん!」 圭一くんが私の手を取って走りだす。圭一くんの手は暖くて力強かった…。 「圭一さ~ん!レナさ~ん!早く来なさいまし~!もう皆さん待ってらしてよ~!!」 私達の姿を見つけた沙都子ちゃんが手を口に当てて叫ぶ。 「っはあ…!悪いカブトムシ探しててさ」 「ふう…すっごくかぁぃぃんだよ!ほら!」 私達は呼吸を整えながら、カブトムシを見せる。 「カブトムシねぇ~。本当は別の小動物と戯れていたんじゃないの~?『はぅ~~、圭一くんのツノ、かぁぃぃよぅ~。おもちかえりぃ~~!』なぁんて。うひひひひひひひひひひひ、ぐへぇっっ!!!」 図星を指されて一瞬出遅れてしまったが、なんとかレナパンを繰り出して魅ぃちゃんを沈黙させる。 ん…大丈夫、いつもと変わらない。なんとか誤魔化せたはず。 「じゃあ皆さん行きましょうか。時間が惜しいですし」 その後を受けて詩ぃちゃんが何事もなかったかのようにうまくまとめてくれた。 「みぃ~。楽しみなのですよ」 「あぅあぅ!レナもカブトムシと遊んでないで急ぐのです!」 私はカブトムシを放して、圭一くんと一緒に皆の後を追いかける。 後には倒れた魅ぃちゃんだけが横たわっていた。 河原に着いた私達はさっそく持ち寄った花火を見せ合い始める。 「おい魅音。何だこりゃ?」 「へ?何って…花火だよ。圭ちゃんこそ何言ってんのさ」 ロケット花火、連射花火、爆竹にクラッカー…まだ色んな種類が有るけど、言い出したらキリが無い。 魅ぃちゃんは戦争ごっこでもするつもりなのだろうか? 「お姉は本当、空気読めませんねぇ。普通花火って言ったらコレですよ」 詩ぃちゃんがそう言ってビニール袋をひっくり返し、大量の打ち上げ花火を地面にぶちまける。 「はう…二人とも何かが間違っているんだよ。だよ」 残りの皆は無難に手持ち花火を買ってきている。この二人…特に魅ぃちゃんは何を思って、こんな花火ばかりを買って来たのだろうか? 「にぱ~☆魅ぃも詩ぃも、かわいそかわいそなのですよ」 梨花ちゃんが満面の笑みを浮かべ背伸びして二人の頭を撫でている。 沙都子ちゃんと羽入ちゃんは、そんな私達とは離れて周囲の石を集めて点火用の蝋燭の囲いを作っていた。 早く花火がしたくて、ソワソワしているのだろう。 ニコニコ笑いながら仲良く準備をしている二人を見ていると、思わず笑みがこぼれてしまう。 「う~ん。おじさんのチョイスは間違って無い筈なんだけどねぇ…」 ブツブツ言ってる魅ぃちゃんを詩ぃちゃんが引っ張って行き、梨花ちゃんが後ろを付いて行く。 「圭一くん。レナ達も行こう?」 「おう」 さあ、楽しい夜の始まりだ。 「あ~!くそっ!まだ片付かねぇのかよ!」 「あはは…まだまだだね。圭一くん頑張ろ」 楽しい時間も終り、私達は周囲に散らばったゴミの掃除をしていた。 部活ついでに後片付けを賭け、皆でロケット花火を川に投げて飛距離を競ったのだ。 意外な事に圭一くんがビリで、投げるタイミングを誤って飛距離が伸びなかった私は6位…勝者の5人は 『後は若い二人に任せて…』 とか言いながら帰ってしまった。 私はロケット花火は危ないから止めようと言ったが、一回ポッキリの勝負だから。と言われてしてしまった。 その結果が今に到るのだ。 「まさか真上に飛んで行くとは思わなかったぜ」 そう。圭一くんの投げたロケット花火は放物線を描くどころか、天高く舞い上がって上空で炸裂した。 これでは計測不能で無効と言いたいが、やっぱり判定は負けな訳で。 何とか片付けも終わり、水と花火の残骸の詰まったバケツを地面に置いて圭一くんに話し掛ける。 「圭一くん。帰る前にコレやっていかない?」 ポケットから線香花火を取り出して、圭一くんに見せる。 「おお。それって一緒に店で買った奴だよな?まだしてなかったのかよ」 「うん。コレは圭一くんと一緒にするために残してたんだよ。ねぇ、しようよ」 「良いぜ、ちょっと待ってろ」 そう言ってゴミ袋の中から蝋燭を取り出して、ライターで火を灯す。続いて蝋を小石の上に垂らして、その上に蝋燭を固定した。 「はい」 私は線香花火を一本渡して、自分も袋から取り出す。 「この線香花火、持つ所が藁なんだな。初めて見たよ」 「紙をこよったのより、こっちの方が綺麗で火種も長持ちするんだよ。だよ」 私は腰を屈めて蝋燭の火で花火を点火しながら説明した。 同じく腰を屈めて、花火に点火した圭一くんが呟く。 「本当だ。普通のより綺麗かもな」 「レナね、線香花火が好きなの。儚くて綺麗だから…」 「最後の一瞬まで輝いて散っていく…物哀しいけど素敵…」 微かに火花を散らしながら輝く火種を見た後、私は圭一くんを見つめる。 「レナも、この線香花火みたいに最後の燃え尽きる瞬間まで輝いていれる人生を送りたいな…って思うんだよ。だよ」 「悔いの残らない、満足できる人生って奴か…」 「うん。でも実際には挫折したり後悔もするんだろうけど、それでも良い一生だったな。って想えたら素敵なんだよ」 「俺もそう思うよ。あ…」 圭一くんの線香花火の火種が地面に落ち徐々に光を失っていく。 続いて私の線香花火も同じ様に火種が落ちてしまった。 私は蝋燭の火を消して立ち上がり口を開く。ある事を言うために。 「…圭一くん。今日レナのお父さん、出張に行っててお家に居ないの…」 「突然どうしたんだよ?まさか俺にレナの家に泊まれとか…なんてな!ははは!」 「…そのまさかなんだよ。だよ」 「え?…けどさ…」 「レナ知ってるんだよ?今夜圭一くんも一人で御留守番だって…圭一くんのお母さんが昨日そう言ってたの…」 「一人ぼっちは寂しいんだよ。だよ。だから… レナと一緒に寝て欲しいな…」 <続く> れなぱん!(4)
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前篇 羽入と圭一の一番長い日(前篇) 約束を守る最上の手段は決して約束をしないことである。 『ナポレオン言行録』より カエサル「賽を投げろ」(「賽は投げられた」の原語) プルタルコス『ポンペイウス伝』より あの後、ボクは圭一のお家から、梨花たちにバレないように神社に戻ったのです。 何もなかったように目を覚まし、登校し、そして今――放課後の部活を迎えたのです。 …今日はバレンタインデー。そして、圭一にチョコをあげようとしているのが、ボクを含めて――六人。 レナ、魅音、詩音、沙都子、梨花、そしてボクなのです。 みんな愛しの圭一に手作りのチョコをあげようとしているのは、女であれば分かってしまうことなのです。当然、ボクも。 でも、そこはボクたち部活メンバー。どんなことでも過酷な「部活」になるのです。 「じゃあ今日は、バレンタインデー特別記念の部活にしよう!そ・こ・で…圭ちゃん!今日のゲームはあんたが主役だよッ!!」 「おお、マジかよッ!!なんだってまた、今日は俺がッ!?」 魅音に名指しされて戸惑う圭一…ふっふっふ。 「今日はバレンタインデーなんだよ、だよ!みんな圭一くんにチョコを持ってきたんだから、それをあげちゃうんだよ、はぅ~!」 「をーっほっほっほ!私も含めて、みなさんそれぞれのチョコを圭一さんに差し上げてもよろしいわけですけど、全員が本め…じゃなくてじゃなくて、義理チョコじゃ面白くないですわ!」 レナと沙都子もこのゲームに乗り気のようなのです。 「なので、圭ちゃんが一つだけ選んで下さい。それが『特別なチョコ』ってことで、それを作った人に一日デート権までつけちゃいます!あ、あと私から、エンジェルモートのデザふぇ一日タダ券もあげちゃいます!」 詩音も今日は圭一のためにチョコを持ってきている…悟史はどうしたのですか? あぁ、圭一はいわゆる「キープ君」にするんですか、そうですか。 どうでもいいけどその牛みてーな乳を圭一の腕に絡めるんじゃねーよなのです。はいはい爆乳爆乳。 「というわけで、ここにみんなのチョコが並べてあるのです。圭一はサイコロを振って、その出た目のチョコをもらうのです。そしてそれを作った人と二人きりで一日『にゃーにゃー』して構わないのです、にぱ~☆」 「ふ、二人っきりで『にゃーにゃー』はちょっとマズイんじゃないかな、かなぁ!あはははははははははははは。…でも、圭一くんなら…『レナのを』当ててくれるよね… よ ね ?」 「レ、レナの目がマジだよ、おじさん怖いってばぁ~!!」 「…なるほど、そういうゲームか…よし、乗ったぜ!」 クックック… 計 画 通 り なのです。 今日はおそらく、こういうゲームになると予想していたのです。 サイコロの目で決める、一発勝負。 間違えないよう念のために、魅音にそれとなくサイコロゲームをさっき薦めたのですが――彼女は既に決めていたので安心したのです。 既に目の前にはみんなのチョコが並んでいます。 梨花が『一』、レナが『二』、魅音が『三』、沙都子が『四』、詩音が『五』、ボクが『六』の番号を割り振られています。 そして圭一が「運命の主宰者」となり、サイコロを振る。 ――このサイコロっていうのがやっかいなのです。ごまかしがなかなか効かないもの。 ですが、これで決めてしまえば、『六』の目を出してしまえば――文句無しの勝者になれる。 ――そこで、ボクと圭一は昨日、約束したのです。 「いいですか、圭一…自前のサイコロを。あなたが目を操れるサイコロ…たしか、大石にもらったはずなのです」 「ああ、あるぜ…これはどんなに振っても『六』の目しか出ないように作られた、イカサマ用のサイコロだ」 「明日、ボクはあらかじめ魅音にサイコロゲームを提案するのです。そしてボクのチョコの目は『六』にして、圭一がそれを振れば…」 「…羽入のチョコを貰える上に、さらに羽入と一日デートまで…」 「そしてそのデートの夜こそ…ボクから本当のプレゼントをあげるのです…。欲しいでしょう?ならば、圭一…イカサマするのです…ふふっ」 「くけけけ…全ては神のために…」 ――ふふふ、みんな楽しそうなのです。 ですがこれは既に、ボクの手の内に有るゲーム…みんなが負けてボクが勝つ。 文字どおり…ボクは今、『神』なのです! 「…で、提案があるんだけどさ」 圭一がポケットに手を伸ばして、サイコロを取り出したのです。 「ちょうど今日、持ってきちゃったこれがあったから、このサイコロでいいだろ?これを振るだけだしな」 それでいいのです、圭一…偶然持っていたという風を装うのです。 「…うん、いいんじゃない?おじさんは賛成」 「なんだかタイミングが良過ぎじゃございませんこと?まぁ私は構いませんわ」 「そうですね、それでいいんじゃないですか?どうせサイコロに変わりないですし」 よし、この三人は予想通り鈍感だから騙せたのです。問題は…。 「…ねぇ圭一くん。そのサイコロ、ちょっと貸してくれないかな…かな」 「…そうね、私も見てみたいわね…」 くっ…やはりレナと梨花は疑り深いのです。 「…あぁ、いいぜ。どこも変なところは無いからな。俺を信じろよ」 圭一は気さくにそれを渡したのです。レナと梨花はしばらくそれを手に取って探っていましたが…頷いて圭一に返しました。 「…うん、大丈夫だね。…圭一くんならしないだろうから信じるけど…」 「お…俺が何をするっていうんだよ、レナ…」 「 イ カ サ マ 」 レナの目がマジなのです…これはバレたら恐ろしいことになりそうなのです。 でも気になるのは…梨花なのです。ずっとボクとサイコロを見比べています。こっち見んななのです。 「…まぁ、どんな目が出ようと、私はそれに従うわ…くすくす」 嫌な感じなのです。未だにベルンカステル気取りの癖が抜けないから、いつまでもナイチチなのです、バーカバーカw 圭一はボクにも了承を求めました。 「…羽入もいいよな、コレで」 「…はい、ボクは全然構わないのですよ」 「よし、じゃあ…決まりだな…くっくっく」 お互いに言わずとも分かっているのです…全てはボクの思い通りなのですから! 「さぁ、いくぞッ!!」 ――圭一がサイコロを振る構えを見せたのです。 「――全ては神の仰せの通りに」 ニンマリと笑う圭一…馬鹿…あまりこっち見んななのです…バレたらどうするのです… いや、もう勝つと分かってのことですか…それでいいのです。 それにボクも…なんだか顔が、自然とニヤけてしまうのです。 だ…駄目なのです…こらえるのです…し…しかしwww 梨花たちは未だに自分こそが勝つと思い込んでいる…サイコロが落ちる前に勝利を宣言してもマズイ… いや…サイコロが止まる寸前…『六』の目が出る寸前に勝ちを宣言するのです…! ――そして、賽は投げられたのです。 サイコロは宙を舞い、机の上でコロコロと回り…もうそろそろ回転が収まりそうな瞬間。 ボクは梨花を見て言ったのです。 ――勝利を確信した、最高の笑みで。 「梨花。…ボクの勝ちなのです」 言ってやったのです言ってやったのですッ!!!どうですか、梨花ッ!! ボクと圭一で一日『にゃーにゃー』なのです!ボクと圭一がズッコンバッコンやってる間に、梨花は自宅でペチャパイを弄りながら一人オナってればいいのです洗濯板涙目なのですwwwwww ――ですが、梨花は動じず――むしろボクを笑い飛ばしたのです。 「――くすくす。勝ちですって?――それはこっちのセリフだわ」 …な、なんということ…。 ボクの目の前に、『一』の目が出たサイコロがあるのです。 何故、何故、なぜッ!!おかしいのです、圭一のサイコロは必ず『六』の目が出るはずなのに…ッ!! 「な…なぜ、『一』が…」 圭一も茫然と立ち尽くしていました。 「か…神…。お、俺は仰せの通りに…」 馬鹿!だからこっちを見ながら言うんじゃないのです!みんなジロジロと怪んでいるでしょうがッ!! 「――魅音、詩音。圭一を確保しなさい」 なっ…梨花の指示で、圭一が二人に捕えられたのです。身動き出来ない圭一はただ「か、神…」とうめくばかり。 梨花はサイコロを拾って、圭一の前に見せました。 「『一』の目だから、私が圭一と一日『にゃーにゃー』なのですよ、にぱ~☆…というつもりだったけど、イカサマした罰が先ね。羽入と組んだ代償は…そうねぇ、二人に罰ゲームってことで。それでいい、みんな?」 みんながギラリと目を光らせるのです…うぅ、イカサマがバレた時の罰ゲームなんて、格別上等にヤバイに違いないのです! でも…なぜ、なぜ…? 「――なんでバレた、って顔してるわね。いいわ、教えてあげる。…羽入。あんたが家に帰って来た時、ほっぺたにチョコレートシロップと『圭一のホワイトチョコレート』がついたまんまだったわよ」 「――ッ!!!」 し、しまったあぁぁぁなのですうぅぅぅぅぅ!!! あの後、疲れてしまって、お風呂も入らずフラフラと自分の布団で寝てしまったのですッ! そして起きた時には綺麗に顔が『拭かれていた』…ということはッ!! 「――そう、私があらかじめタオルであんたの顔を寝ている間に拭いてやったの。そして知らぬふりで通し、羽入以外のみんなで計画を練った」 「圭一くんと羽入ちゃんで、夜中の内に何かを画策しているんじゃないかな?ってレナは思ったの。 おそらくバレンタインデーの部活について、目的は当然、羽入ちゃんに便宜を図るため…」 「…そこで、おじさんが思い出した。『イカサマする道具を、この前大石さんからもらっていたはず。確かサイコロだった』てね」 「ならば、そのサイコロを使うゲームをするように仕向けて、みんなの前で暴けば宜しいのですわ。それが証拠になりますもの」 「…そして、さっき私が圭ちゃんの腕に絡んでいたでしょう?…ただ単に、この爆乳を押し付けていたんじゃないですよ。あの時、羽入さんにも気付かれないよう、圭ちゃんのポケットからサイコロを奪って、お姉のサイコロとすりかえたんです」 「…当然、それは普通のサイコロ。圭一はそれを知らずに意気揚々と振ったというわけなのですよ。…まぁ、まさか上手い具合に『一』を引き当てるとは思わなかったけど。――どこかにいるかもしれない、幸運の『神』に感謝するべきかもね…くすくす」 みんながご丁寧に教えてくれたのです――ニヤニヤしながら。 さ、最初からバレていたのですか…このゲーム自体が、イカサマだったなんて…! ていうかみんな、推理力がおかしいのです!そこまで飛躍して考えて、しかも全部当たってるのは卑怯なのです! 「バーローなのですよ、にぱ~☆…くすくす。だけど、現にここにイカサマのサイコロがあるんじゃ、言い訳出来ないわよ?」 梨花が詩音から受け取ったサイコロは…確かに圭一のサイコロ。 それが既にイカサマ目的なら…言い逃れは出来ないのです。 こ、こうなったらッ! 「…圭一」 「か…神…」 「逃げるのですッ!!!!!」 「御意ッ!!…すまん、みんなッ!!」 圭一は二人を振払って、ボクと一緒に逃げ出したのです! ボクも教室から駆け出して、なんとか校庭で圭一と合流できたのです! 「圭一ッ!!…なんとか逃げ延びるのです、捕まったらアウトなのです、人生の終わり的な意味でッ!!」 「分かっております、神ッ!!…うおおぉぉぉ、スマン!!みんな~~~ッ!!!」 × × × …教室に取り残された五人は、彼らが走り去った後を見て、全員がゲラゲラと笑った。 「…はぅ~☆あの二人、愛の逃避行なんだよ、だよ!」 「それにしては、焦り過ぎもいいところですけどね。――二人で逃げ出さねばならないくらいの秘密があるわけですね。おそらく『昨日の夜』の――」 「そ、それは…まさか、不潔でございますわぁッ!!!」 「くすくす…そうとは限らないわよ?――まぁ、帰ってきた時の様子じゃ、確実だろうけど。それは二人に直接聞いてからのお楽しみなのですよ、にぱ~☆」 「…さぁて部員諸君。今日の部活は…あの二人と、鬼ごっこだぁッ!!!あの二人を捕まえて、『昨日の夜』についてあらいざらい聞き出した人がチョコをもらえるってことでッ!!いくよッ!!よーい…スタートッ!!!」 魅音の掛け声を合図に、みんなは一斉に走り出した。 ――誰一人として、あの二人を逃すつもりはない。 ただし、それは嫉妬ではなく、むしろあの二人をとことんいじり抜いて遊びたいという気持ちで、彼らを追いかける。 ――もちろん。逃げている二人は、こんな温かい彼らの思いに気付かず、ただただ逃げることしか考えていなかったが。 ――めでたしめでたし、めでたくもなし?