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俺は以前から実ゆっくりを使ってヤリタイ実験があった・・・ そのためにわざわざ山奥まで行きにんっしんっ!したれいむ(でいぶ)を3匹ほど連れてきた 幸い1匹のゆっくりから5本ほど茎が生えていたので材料には事欠かない その日はわくわくしながら眠りについた 次の日 「ゆっくりしていってね!」 「くそどれいはゆっくりはやくごはんさんをたくさん持ってきてね!」 「くそじじいはあまあまをおちびちゃんのためにさっさとよこしてね!」 まー五月蝿い五月蝿い 爽やかな朝を阻害されたような気分だが我慢しよう 「分かったよ 今持ってくるからNE☆」と胡散臭い笑顔に棒読み口調でさっさとキッチンに行った ちょうど生ごみが溜まっていたのでコンポストとして活用した 腐ってるのもあるけどゆっくりだし、いいや 「おじさんだれなの?」とか言わないあたりこいつらは扱いやすいな… そう思ってる間にも 「うんめっ!めっちゃうめっ!!」 「幸せえええええええ!!」(幸せを頭の中で死遭わせと変換する) 「ゆっ!ゆっ!」 うぜぇ・・・・握りつぶしたくなるが我慢我慢、奴らが食っている間に準備は完了した 実験の開始DAAAA! まずは茎ごとゆっくりを採る! 合計したところ13個の茎が集まった 「でいぶのあ゛がぢゃああああん!!」 「じね゛ええええええ!ごどぐそに゛んげええええん!」 「うんめっ!うんめっ!・・・ゆ?ゆああああ゛あああ!お゛ぢびぢゃああああん!」 うむ!いい返事(?)だ! 1匹遅れた奴いたけど その茎の3本をそれぞれハバネロsoup、廃油、塩水(飽和水溶液)に入れ、あとの7本は冷蔵庫へシュウウウッ! 超exciting! ぎゃーぴー流石にうるさいので「最高にゆっくりしたおちびちゃんになるようにしているんだよ」と言ったら 「ゆ、てんさいのれいむはゆっくり理解したよ!」 「さすがはれいむのくそどれいだね!れいむのうんうん食べてもいいよ!」 「ゆっふふうう!おちびちゃんの美貌にひれ伏したんだね!」 途端に横柄になりやがった・・・1週間後にはどんな表情になるのか 俺は実ゆっくりと親ゆっくりの顔を記録するためにカメラを設置した 1週間後 素晴らしい結果が出た! ハバネロsoupにつけていたのは素晴らしい(虐待鬼威山目線で)表情で死んでいた 廃油につけていたのは全て欠ゆとなって生まれていたし、塩水は生まれたはいいが水の拒否反応がすさまじかった あとの10匹も有効活用したいところだ 「あ゛がぢゃあああん!ゆっぐりじでえええええ!」 「ゆっぐりじでいっでね!・・・どぼじでへんじしでぐれな゛いのおおおおお!!」 「お゛びず飲んでえええええ!」 続く 作者より 初めてssを書いてみました 中3なので駄文は生暖かい目で見つめてやってください、3話に分ける予定です 最後に・・・・ゆ虐は超exciting!
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ゆきのなか 35KB 虐待-普通 越冬 「餡子ンペ09」 ・餡子ンペ投稿作品:『親子/期待はずれ』 ・掲載ペースが落ちてると言われる昨今・・・忙しくて書けない時期もあるんですよ。 仕事って時期が重なるんですよね。 『ゆきのなか』 D.O 季節は冬。 ここは、人間の里から少し山の中に入った森の中。 しんしんと降り積もる雪の中、木の根元あたりに、 木の枝や小石が積み重ねられた奇妙な膨らみが見える。 「・・・っくちちちぇにぇ・・・」「すーり・・・むーしゃ・・・」「・・・ちあわちぇー・・・」 もしもここに人間がいて、周囲の音に注意深く耳を傾けたならば、 その膨らみの奥から、人間のしゃべるような声を、かすかに聞き取ることができたであろう。 そして、さらに注意深く周囲を観察すれば、同じような奇妙な膨らみは、 そこらじゅうの木の根元に見つけることができたはずだ。 そんな奇妙な膨らみの一つ、雪と、木の枝や小石に隠された奥には、木の洞がある。 そこには、つがいである2匹のゆっくり、群れの長まりさとれいむが住んでいた。 冬という、ゆっくりにとって死の季節の中にいながら、2匹の表情はとても明るい。 「まりさとれいむのおちびちゃん・・・もうすぐうまれるね。」 「ゆぅん。とってもゆっくりしてるね。」 「・・・(プルプル)」 「ゆぅ~ん。おちびちゃんがおへんじしてるよ~。」 なぜなら、おうちの入り口を完全に閉ざして越冬を開始してから数日、 このつがいの間には、間もなく新しい命が誕生しようとしていたからだ。 ここはゆっくりの群れの生息地。 木の枝や小石で作られた膨らみは、木の洞や洞穴など、巣穴の入り口を塞ぐためのバリケード、『けっかい』であった。 野生のゆっくり達は、雪の降るような冬の季節には、巣穴にこもってゆっくりと過ごし、 寒気を防ぐために入り口を堅く閉ざして、秋に蓄えた食糧で命をつないで春を待つ。 「どぼぢでごはんさんなくなっちゃうのぉぉぉおおお!!」 「ゆぁーん。おきゃーしゃん、おなかしゅいたー。」 「しょうがないよ・・・おぢびぢゃんは、でいぶにゆっぐりだべられでねぇぇぇええ!!」 「ゆびぃぃぃぃぃ!!どぼぢでしょんなことしゅるのー!?」 「もっちょ・・・ゆっぐぢ・・・」 と、たいていの場合、野生のゆっくりにとって、越冬は過酷であり、命がけのものだ。 十分な量の食料確保に失敗すれば、飢餓が親子にすら共食いを引き起こし、 それでも食料が不足すれば、体温を保てず凍死するか餓死する。 巣穴である『おうち』の作りがあまければ、積雪の重みで崩壊、雪と土の中で圧死。 巣穴が頑丈でも、入り口の塞ぎ方がダメだと隙間風でやはり凍死。 こうした悲劇を起こさないため、特に優秀なリーダーがいる群れならば、いくつもの対策を立てて 必死に被害を減らそうと努力している。 ドスまりさの力で頑丈な崖などに洞窟を掘り、共同住宅として群れ全員で冬を越す、 熟練のゆっくり達が協力して、群れのみんなの『おうち』補強工事を監督する。 食料が足りなかったら、人間さんの独り占めしているお野菜を強奪してくる、など。 そんな中で、何より注意されるのが、『越冬前にすっきりーして子供を作らない』ということだ。 「「すっきりー!!」」 「ゆぅん。れいむのかわいいおちびちゃんが、たくさんできたよ~。 まりさ、おちびちゃんのために、はやくれいむにあまあまをとってきてね!」 「なにいってるのぉぉぉおお!?おそとはゆきさんがふってるんだよぉぉぉおおお!!」 「だからなんだっていうの!?つべこべいわないで、はやくごはんをとってきてね!!」 びゅぅぅぅぅううううう 「しゃぶぃぃぃぃいいいいい!!!ゆっぐぢぃぃいいい!ゆっぐぢぃぃぃいいいいいい!!」 「れいむはむーしゃむーしゃするよ!むーしゃむーしゃむーしゃ・・・はぐっ!ばくばくっ!めっちゃうめっ!ぱねぇ!」 ・・・3日後 「どうしてごはんさん、なくなっちゃったの・・・・・・おちびちゃんをむーしゃむーしゃするよ・・・」 こんなことも当たり前のように起こる。 秋の半ば以降にすっきりーしようものなら、にんっしん中だけでなく、生まれてからも子育てのために、 つがいの一方は狩りに参加できなくなる。 越冬中にすっきりーしたりしたら、さらに最悪だ。 食い扶持の増加で貯蔵食料の計算は完全に崩れ、食糧不足で結局一家全滅となる。 つまり、厳しい環境下に生活する野生のゆっくりにとって、 冬+赤ゆっくり=死、というのは、ごくごく一般的な考え方なのだ。 だが、実は先ほどの長まりさとれいむのつがいだけでなく、この群れの中では、現在にんっしん中、 あるいは生後数日以内の赤ゆっくりを抱えた家族が大半を占めていた。 いかに若いゆっくり達とは言え、本能にまで刻み込まれた冬の恐怖を知らないはずはない。 では、なぜあえて越冬が始まった今、ゆっくり達は子供を作ることを選んだのか。 その理由を見ていくため、先ほどのつがいの一方、長まりさの生まれた春の中頃まで時間をさかのぼることにする。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 季節は春。 多くの野生ゆっくりにとっては、長い死の季節を乗り越えたあとの、喜びの季節である。 暖かな陽気。 新鮮で大量にある、ゆっくりした野草や虫。 食料の心配がなくなったことで、成体ゆっくり達はさっそくすっきりーに励み、 新たな命を迎えることでさらに喜びが積み重なる。 「まりさとれいむのおちびちゃん・・・もうすぐうまれるね。」 「ゆぅん。とってもゆっくりしてるね。」 ・・・・・・。 「そうだよね・・。」 「・・・そうだよ。」 ぶるぶる・・・ぷちんっ! ぽとっ! 「ゆぅ・・・ゆっく、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 まりさも、そんなベビーラッシュの中で誕生し、祝福を受けた赤ゆっくりであった。 だが、生まれて数日経ち、おうちから外を眺めて過ごすようになった赤まりさは、 春の陽気も楽しめず、あまりゆっくり出来ていなかった。 なぜなら・・・ここが岩肌も荒々しい、草木もろくに育たない高山の荒地だからだ。 「ただいま、れいむ・・・。」 「おかえり・・・まりさ。」 「ふぅ・・・ごはんだよ・・・なかよくむーしゃむーしゃしようね・・・。」 「ゆわーい!!むーちゃむーちゃしゅるよ!!」×10 だが、食卓代わりに置かれた平たい石の上には、固い雑草が少々と干からびた虫の死骸だけ。 「むーちゃむーちゃ・・・それなりー。」 「おとーしゃん・・・もっとむーちゃむーちゃしちゃいよ・・・。」 「ごめんね・・・はぁ・・・おうちのまわりに、ごはんがないんだよ・・・」 「どぼぢでしょんなこというにょぉぉぉぉおおお!?」×10 とは言ってみたものの、赤ゆっくり達はそれほど駄々をこねることなく、残念そうに食事を終えた。 父まりさの話が嘘ではないことは、生後3日を迎えてようやく跳ねることが出来るようになったばかりの、 幼いまりさ達にもわかってはいたのだ。 何せ、おうちを一歩踏み出してみたら、眼前に広がるのは砂利や砂ばかりという、 およそ命の喜びとは無縁の世界が広がっていたのだから。 「おちびちゃんたち・・・きょうはもう、ゆっくりすーやすーやしようね。」 「ゆぅぅぅぅ・・・ゆっくちりきゃいしちゃよ。」×6 「じゃあ・・・まりさが、ふぅ・・・おふとんをよういするね・・・」 だが、森に住む野生のゆっくり達のような、落ち葉や草を敷いたお布団や、 ましてや丁寧に編みこまれたベッドなどというものが出てくるはずもない。 そんなものがあったら、今日の夕御飯になっているのだから。 「おちびちゃん・・・はぁ・・・ゆっくりすーやすーやしてね・・・」 「ごりょごりょちて、ゆっくちできにゃいよぉ。」×6 「ふぅ・・・ごめんね・・・ゆっくりがまんしてね・・・はぁ・・・」 お布団として用意されていたのは、比較的粒の細かい砂(といってもサラサラというには程遠い)を、 平たい石の上に厚めに敷いただけのものである。 まりさ達赤ゆっくりは、この砂にあんよを口のすぐ下あたりまで埋め、身を寄せ合って眠る。 石の上に直に眠る両親よりはマシかもしれないが、少なくともしあわせーからは程遠かった。 まりさ達のおうちは、大きめの石が偶然積み重なってできた隙間に穴を掘って作ったものだ。 風雨や外敵から身を守るという意味で言えば、まあ、そうそう悪くもないものではあったが、 とにかくゆっくり出来ない場所に住んでいる、という感覚のまりさから見たら、 なんだか無機質でゆっくり出来ないおうちに思えてならなかった。 『ここはゆっくりできないよ。まりさはおおきくなったら、ゆっくりぷれいすにいくよ。』 それは、まりさが生まれてからずっと抱き続けていた想いである。 そして、食糧不足で次々と姉妹達が餓死していく中、なんとか生き延びてテニスボール程度に成長したある日、 父まりさが大事なお話がある、と言って姉妹をおうちの近くの崖へと連れて行った。 「ゆわーい!もりしゃんがみえりゅよ!」 「とっちぇもゆっくちちちぇりゅにぇ!」 「おしょらとんでるみちゃーい!!」 「ふぅ・・・。おちびちゃんたち。あの、もりのむこうをみてね。」 「ゆぅ?・・・ゆゆっ!!」 崖からは、山のふもとに広がる広大な森が一望できる。 この眺めのいい崖へのピクニックは、まりさ姉妹にとってはほとんど唯一と言っていい娯楽であった。 大きくなったらあんなところに住むんだ、というのは、姉妹共通の夢であったのだ。 そして、その広大な森のさらに向こうに、木々がほとんどない、平らな土地が広がっているのが見えた。 「あそこはね。・・・にんげんさんがすんでるところだよ。」 「ゆわぁぁぁ。しゅごくゆっくちしちぇるにぇぇ・・・」×3 ゆっくりは、ゆっくりしているものに関しては敏感なものだったりする。 人間から見てもかすんで見えるほど遠くの人里に、まりさ達はとてもゆっくりしたものを感じ取っていた。 里の中を流れる小川、緑に輝く田畑。 人間さんが出入りしている所は、人間さんのおうちだろうか。 だが、まりさ姉妹がゆっくりしている中・・・父まりさだけはまったく別の表情を浮かべていた。 人里を眺めているだけにもかかわらず、歯は限界まで食いしばられ、全身汗まみれ、 口の端からは餡子混じりの泡がゴボゴボとたれている。 「ゆ゛・・・ゆぎぃ・・っ!ゆぅぅぅうう・・・!!」 「おとーしゃん?」 「ゆぎぃぃぃひぃ!にんげんさんはゆっぐりでぎなぃぃぃいいいい!!」 「!?」×3 しばらく脂汗をかき、顔色を赤、青、土色にあわただしく変化させていた父まりさが、突然暴れ始めた。 「ゆびぃっ!!おねぇじゃんっ!だべぇっ!!おぎゃあじゃぁぁん!!」 「ゆぅぅぅ!!おとーしゃん、ゆっくちちちぇにぇっ!ゆっくちちちぇー!」 ・・・・・・。 「ゆぅ・・・ゆぅぅぅ・・・おちびちゃん、ぜったいにんげんさんにちかづいちゃだめだよ。ぜったいだよ。」 「ゆ、ゆっくちりきゃいしちゃよ。」×3 結局、何があったのかは聞けなかった。 まりさ姉妹達だって、餡子による記憶継承の効果で、人間さんがゆっくりできない、 という感覚は両親から受け継いでいるのだが、所詮は両親一代限りのトラウマであり、 れみりゃ等のような、明確な意味でのゆっくり出来なさは記憶を受け継いでいない。 そのため、まりさにとって父まりさからの忠告は、 『人間さんに出会うと確実に死ぬ』と言う様なものではなく、 『ゆっくり出来ない存在で、どんな強いゆっくりでも不用意に近づくと酷い目にあう。』 という程度のものと認識されることになった。 それからさらに月日は流れ、季節が夏の終わりに差し掛かった頃、 他の姉妹全てが命を失う中、最後まで生き延びたまりさが、 独り立ちして親元を離れる日がやってきた。 「おちびちゃん!ゆっくりしていってね!!」 「もうおちびちゃんじゃないよ!ゆっくりがんばるね!ゆっくりしていってね!!」 こうして結局まりさは、親の忠告を無視して森の方へと旅立っていったのであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 独り立ちに際して、まりさには一つの計画があった。 その計画は大体以下のようなものである。 1.人間さんの里に行き、そこで一番強い人間さんと勝負して勝つ 2.力を示すことで人間さんからゆっくりプレイスと食料、おうちを手に入れる 3.森や山からゆっくりを呼び集め、人間さんの里をゆっくりのためのゆっくりプレイスにする 4.群れの長になる 5.ゆっくりした美ゆっくりと、ゆっくりした家庭を築く 6.ゆっくりし続けたまりさはいつしかドスになる 意気揚々と山を下り、森に入り、人間でも丸一日ではきかない距離を走破するまりさ。 まりさ自身は気づいていなかったが、山育ちであったため、 足腰の強さとスタミナについては、確かに群れの長にふさわしい逞しさを手に入れていたのである。 そして、ゆっくりの足で言えば、あと一日で人間の里に着こうという森の中で、 まりさの旅は、予想外の形で終わりを迎えることになった。 「ゆぁぁぁぁああああ!!なにこれぇぇぇええええええ!!!」 目の前には、人間の里が霞んでしまうほどの、ゆっくりプレイスが広がっていた。 木々は適度に生えて木漏れ日が優しく降り注ぐ。 地面には若く柔らかな雑草から人間も食用とするような野草まで青々と茂っている。 草ばかりではない。 周囲にはキノコやゆっくりでも届く高さに実った木の実も豊富にある。 その豊かな食料に誘われてか、昆虫からイモ虫まで、取り尽せないほどにいる。 食料ばかりではない。 大きく育った木々の根元を見れば、その多くにはゆっくりが家族で暮らすのにちょうどいい洞がある。 中は小石などもほとんど落ちておらず、すべすべに整えられており、隙間も丁寧に埋められている。 明らかに以前別の群れが使っていたと見られるおうちばかりであった。 今、どうしてゆっくりが住んでいないのか不思議であったが、 一時的な食糧不足で群れごと引っ越すことも珍しくはないので、 ここはかつて別の群れが使い、放棄したゆっくりプレイスだったのであろうと、まりさは理解した。 まりさが放心状態でゆっくりプレイスの中を歩き回っていると、 まりさとは別の場所から独り立ちしてきたのであろう、若いゆっくりの集団が多数、 吸い寄せられるようにこのゆっくりプレイスにやってきた。 「ちぇん、ゆっくりしていってね!!」 「まりさだねー!ゆっくりしていってねー!!ゆわぁぁー、すっごいゆっくりぷれいすだねー!わかるよー!」 「ゆぅん!ちぇんもそうおもう!?ここにはいま、ほかのゆっくりたちはぜんぜんすんでないんだよ!」 「わからないよー!!こんなゆっくりぷれいす、ほっとくにはもったいないねー!」 「ゆっふん!!そうだよ!ここは、まりさたちのおうちにしようね!!」 「わかるよー!!」 こうして、まりさの無謀なゆん生計画は、あっさりと方向転換を向かえ、 人里から近くも遠くも無い、実り豊かなゆっくりプレイスで、一から群れを作る作業が始まったのであった。 そもそも、まりさにしても、ゆっくりしていない人間さんと争うのは、あまり気が進まないことではあったのだ。 まりさほどのゆっくりであれば、相手が人間さんであっても負けることは無いであろう。 しかし、ケンカは痛いしゆっくり出来ない。 それに、万が一相手に遅れをとれば、永遠にゆっくりしてしまうこともあり得る。 また、実のところ人間さんの里を見たこともないので、どの程度ゆっくりしたゆっくりプレイスなのかわかったものでもない。 遠くの、あるかも怪しいゆっくりプレイスより、目の前の極上のゆっくりプレイス。 まりさの、新生活はここから始まった。 ゆっくりしたおうちとご飯は、余りにもあっさりと手に入ってしまった。 さらに、まりさ達のゆっくりとした姿を見つけて、独立したての若いゆっくり達が続々とやって来ては定住を決める。 わずか数週間で、まりさ達のゆっくりプレイスには、大規模、と言って差し支えない規模の群れが形成されていった。 「わからないよー。そろそろおさをきめないと、ゆっくりできなくなっちゃうよー。」 「そうね。せっかく、とかいはなゆっくりぷれいすなんだから、みんななかよくしたいわ。」 「むきゅん!それじゃあ、ぱちぇはまりさがおさになるといいとおもうの!!」 「ゆぅぅー!まりさでいいのぉぉぉおお!?」 「まりさなら、きっととかいはなむれにできるわ!」 「ゆぅ。でもまりさ、もりでのせいかつになれてないよ。わからないこともおおいよぉ。」 「わかるよー。でも、まりさのできないことは、みんなできょうりょくしてあげるからだいじょうぶだよー。」 ・・・・・・。 「ゆぅ。わかったよ!まりさ、このむれのおさになるよ!!」 「むきゅーん!ぱちぇたちにもおてつだいさせてね!むきゅっ!」 流れは自然と生まれ、拡大していく。 まりさは群れの初期メンバーとしてリーダーシップを発揮していた点を考慮され、立候補するまでもなく長に選出された。 なお、幹部メンバーは、このゆっくりプレイスでまりさに初めてであったちぇんとありすのつがい、知恵者ぱちゅりーの3匹。 群れの体制はこの4匹を中心として、急速に固まっていった。 そして・・・ 「このむれのおさはまりさみょん!?みょんたちをむれにいれてほしいみょん!!」 「ゆっくりしていってね!!おうちはたくさんあるよ!・・・ゆゆっ!?」 「どうしたみょん?れいむのおかおになにかついてるみょん?」 「・・・ゆぅ?ゆっくりしていってね。」 「(ゆわぁ。ゆっくりしたれいむだよぉ。)ま、ま、まりさとずっと、ゆっくりしていってね!!」 「・・・・・・?・・・ゆぅぅぅうううう!!?」 ある日群れに加わってきた若ゆっくりの集団に、一匹のれいむがいた。 清楚な物腰、紅く輝く大きなおリボン、そしてゆっくりとした下膨れ。 初めてれいむとあいさつした時に、まりさのぺにぺにに電流が走った。 一目ぼれというものであろう。 結局いきなりすぎて、れいむから正式にOKの返事が来るまでに5分以上かかったが、 まりさは、ゆっくりプレイス、長という立場にくわえて生涯の伴侶まで、あっさりと手に入れてしまったのであった。 季節は夏の終わりという時期。 群れのゆっくり達も、そろそろ新生活に慣れてきた時期である。 早期にこのゆっくりプレイスにやってきたメンバーはつがいを見つけ、にんっしんしている者も多かった。 長まりさとれいむの間にも、何一つ障害はない。 後は、一刻も早くおちびちゃんを手に入れて、ゆっくりとした家庭を築きあげれば、 まりさのゆん生計画は、ほぼ完璧に果されることになるはずであった。 ・・・だが、ある出来事が、まりさとれいむの子作りに待ったをかける。 「むきゅぅぅぅううううん!!まりさがぁぁぁぁああ、おちびちゃんがぁぁぁぁああああ!!」 その不幸は、長まりさの側近筆頭、ぱちゅりーの元に訪れた。 無論、この叫びの対象になるまりさとは、長まりさではなくぱちゅりーのつがいであった、だぜまりさである。 「むきゅ・・・おちびちゃん・・おそとはあぶないって・・・むきゅぅ。」 ぱちゅりーは胎生出産で、子供はまりさ1匹だった。 赤まりさは好奇心旺盛で、将来有望なゆっくりだったが、その好奇心が強すぎた。 「まりしゃ、おとーしゃんとかりにいっちぇくるよ!しょろーり、しょろーり!」 父であるだぜまりさが狩りに行き、母である側近ぱちゅりーがお昼寝している間に、 おうちを抜け出して、群れの喉を潤す泉へと遊びに行ってしまった。 さらに好奇心があだとなって、水草を採集している父、だぜまりさのマネをしてしまう。 水への恐怖よりも、お帽子で泉の上を自在に漂ってみたいという衝動が勝ってしまったのだ。 「まりしゃ、ゆっくちおぼうちにのりゅよ!ゆ!ぷーきゃ、ぷーきゃ・・・ぼちゃん。」 結果はご想像の通り。転覆、水没。 さらに不幸に輪をかけたのは、赤まりさが自分のおちびちゃんであると気付いただぜまりさが、 赤まりさを引き上げるため現場に急行、 「ゆぁぁぁぁああ!!おちびちゃん、まっててね!いまたすけ・・ゆぅっ!?・・・ぼちゃん。」 あわてすぎて転覆、水没。 結局側近ぱちぇは、一気に家族全員を失ってしまったのであった。 特に大きな危険もなく、ここに至るまで群れのゆっくりは増える一方だったため、 失うということに慣れていなかった幹部メンバーは、過剰に反応することになる。 特に側近ぱちぇは、自分自身を襲った不幸ということもあり、 これ以上同じ思いをするゆっくりを増やさないための対策を必死になって考えた。 そして、一つの結論に至る。 「ゆ!みんな、まりさのいうことをよっくきいてね!!」 「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!」×300 「このむれでは、これからすっきりをきんしするよ!!」 「・・・ゆっぐりでぎなぃぃぃいいいいい!!!」×300 「でもあんっしんしてね!ずっとしちゃいけないわけじゃないんだよ!」 「?」×300 まりさ達幹部メンバーは、期限付きのすっきり禁止令を決定した。 内容は簡単。 要は、冬ごもりに入るまで一切すっきりーしてはダメ。 子作りは、冬ごもり中に行うべし!とのことである。 先にも書いたとおり、通常の群れであればこれは自殺に等しい案だ。 秋の間に集められるのは、成体のつがいであっても自分達の分だけで精いっぱい。 そこに子供が入れば飢え死に確定となる。 しかし、そこにこの群れの強みが加わると、状況が変わる。 何せ、ここは類を見ないほどのゆっくりプレイスで、食糧はおうちの外にあふれるほどある。 秋の間につがいで必死に集めれば、それこそ成体ゆっくり10匹以上は養える蓄えが出来るほどなのだ。 ならば・・・蓄えてしまえばいい。 後は、冬ごもりの季節になったらおうちの入り口をしっかりと閉じて、存分にすっきりーする。 赤ゆっくりはおうちの中で誕生し、お外にこっそり出て行ったりする心配はない。 しかも、両親ともやはりおうちから出ることはないので、にんっしん、子育て中にしんぐるまざーになる心配もない。 ゆっくりとしたおちびちゃん達とたっぷりゆっくりして冬の数か月を過ごし、その間におうちで出来る教育は済ませておく。 おちびちゃん達が子ゆっくり程度、十分に大きく成長した頃に、冬ごもりは終わりを迎えるはずだ。 後は春の恵みの中で、おちびちゃん達は大きく育ち、世界に羽ばたいていくのだ。 「すごーい!!おさはやっぱりてんっさいだよー!」 「わかるよー!」 「むほぉぉぉおおお!!すっきりー!」 群れのゆっくり達は、説明を聞き終わるとともに、目をキラキラと輝かせて幹部達をほめたたえた。 それもそのはずで、餡子で継承されている記憶では、冬ごもりと言うととても楽しいものではない。 餓死、凍死の危険を感じつつ、つがいがいればまだしも、下手すれば一匹で暗く狭い穴の中に閉じこもって過ごすのだから。 それが、死の危険もなく、最上級のゆっくりである『おちびちゃん』とともに過ごせるとなれば、 ゆっくりでなくとも、その喜びはなんとなく理解できるであろう。 そして群れのゆっくり達は以降数カ月間必死で狩りに奔走し、 (中には不幸な事故ですっきりを味わうことも出来ずに命を落とした者もいるが) ほとんどのつがいが無事に冬を迎え、すっきりー出来るだけの蓄えを確保しておうちの入り口を塞いだのであった。 みんな、より大きなゆっくりをちらつかせられた分、意外と我慢強かった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ・・・そして現在の状況に至る。 おうちの奥には貯蔵食糧の山、れいむの頭上にはツタが一本とそこに揺れる6匹の赤ゆっくり。 おうちの中央には、まりさがこの日のために、特に柔らかい枯れ草を編み上げて作った、 おちびちゃん達用の鳥の巣型ベッド。 ふかふか、ふわふわになるように、一生懸命頑張ったよ。 きっと、おちびちゃん達も気に入ってくれるね。 ぶるぶる・・・ぷちんっ! ・・・・・・ぽとっ! 「ゆぅ・・・ゆっく、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「ゆぅぅん!おとーしゃん、おきゃーしゃん、ゆっくち!ゆっくち!」 「ゆぅ!まりさそっくりの、げんきなおちびちゃんだね。」 「ゆふぅん!でも、れいむにおめめはそっくりだよぉぉ。」 「ぴゃぴゃー!みゃみゃー!れいみゅおなきゃしゅいちゃよ!」 「むーちゃむーちゃしちゃいよぉ。」 「ゆっ!まっててね。おちびちゃんに、つたさんをたべさせてあげようね!」 「ゆっくちむーちゃむーちゃしゅるよ!」 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 「おちびちゃん、さむくない?」 「ゆっくち!べっどしゃんがふーわふーわであっちゃかいよ!」 「ゆぅ。でも、まりしゃちょっとしゃむいから、しゅーりしゅーりしちぇにぇ!」 「おとーさんがすーりすーりするね!すーりすーり、しあわせー!」 「しゅーりしゅーり、ちあわちぇー!」 「ゆぅん、じゅるいよ!れいみゅもみゃみゃとしゅーりしゅーりしゅるよ!」 「すーりすーり、しあわせー!」 「しゅーりしゅーり!ちあわちぇー!」 まりさがおちびちゃんだった頃、しあわせーと言えばせいぜい、 栄養不足でガサガサな両親の頬とのすーりすーりくらいしかなかった。 さもなければ、手の届かないところにある、木々の緑を眺めている間の、白昼夢の中にだけ。 まりさは思うのであった。 この、ゆっくりとしたおちびちゃんには、まりさの全てを注いで、精一杯しあわせーを与えていこうと。 そうすることが、自分の報われなかった過去を取り返すことにもなるかのように。 「おとーしゃん、ゆっくちないちぇるにょ?」 「ぴゃぴゃ、ゆっくちちちぇにぇ!」 「ゆぅ?ゆふふ・・・おとーさんはね、しあわせーすぎてないちゃったんだよ。とってもゆっくりしてるよ。」 「ゆぅん、へんにゃにょー。」 「ゆふふふ、おちびちゃんたちも、おおきくなったらわかるよ。ゆっくりおやすみなさい。」 「ゆっくちしゅーやしゅーやしゅるよ!・・・しゅーや、しゅーや。」 「・・・・・・ゆっくりしていってね。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 次の日の朝、異変は突然やってきた。 ざくっ! まりさ一家が眠っているおうちの中に、何かが突き刺さるような異音が響いた。 「ゆぅ、ゆ?なんなの?」 「まりさ、おうちのいりぐちで、へんなおとがしたよ。」 「ゆぁーん、ゆっくちできにゃいよぉ。」 「ゆゆぅ。まりさがみてくるから、おちびちゃんたちは、べっどさんのうえでゆっくりまっててね。」 「ゆぴゅぅ・・ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 「ゆぅぅ、なんなのぉ?・・・ゆぁぁぁぁあああ!なにこれぇぇぇぇぇええ!!?」 まりさが入り口に向かうと、おうちの入り口を塞ぐ『けっかい』を、何か見たことない物が貫いていた。 「ゆぅぅぅううううう!!ゆっくりでていってね!ゆっくりはやくいなくなってねぇぇぇええ!!」 それは人間が見たとしたら、子供の手のひらサイズの、先割れスプーンに似ていると思うであろう、 銀色に輝く金属製の道具であった。 金属製のそれは、まりさの言葉を聞くまでもなく、ゆっくりと左右に動かされ、『けっかい』の石や木の枝を崩しながら引き抜かれた。 まりさが、寒気でおちびちゃん達がつらい思いをしないようにと一生懸命塞いだ入り口は、 いともたやすく寒気の中に口を開けてしまったのであった。 「まりさ、どうしたの・・・どうしてけっかいさんがなくなってるのぉぉぉおおお!!?」 「ゆぅぁあああ!ぎんいろのぴかぴかさんが、けっかいさんをこわしちゃったんだよぉぉ!」 訳が分からない相手に、秋の間ずっと待ち望んでいたゆっくりした時間を奪われた衝撃で、 れいむだけでなく、群れの長になったほどのまりさまでもが逃げるという選択肢を忘れ、お外にいるであろう敵に向かって飛び出していった。 そこでまりさ夫婦が見たものは、 先ほどの特Lサイズの先割れスプーンを、長さ1mほどの棒の先端に取り付けた、 槍のような奇妙な道具を手に持つ、一人の人間さんであった。 ちなみにその道具は、人間さんを避けていた、ゆっくり達は知らない道具。 里の人間さんの間では、『あの棒』と呼ばれている道具である。 「ゆ・・・にん、げんさん・・・。」 「ゆぅ?・・・どぼちて・・・?」 これまで、ゆっくりしていないからと、近づかないようにしていた人間さん。 遠くもない所に住んでいるのに、ゆっくりプレイスに一度もやってこなかった人間さん。 それが、雪の降り積もった、ゆっくりがおうちに閉じこもってしまった今、なぜかここにいた。 茫然とした一瞬、その間に、まりさとれいむは、人間さんのあんよでころりと上下さかさまに転がされた。 「「ゆ?」」 そして次の瞬間、 ざくっ!ざくっ! 「ゆ・・・ゆぎひぃぃぃいいいい!!!」 上を向いた2匹のあんよに、『あの棒』が突き刺された。 「どぼぢでっ!あんよさんが、まりさのゆっくりしたあんよさんがぁぁぁぁ!!」 まりさの叫びともとれる問いは、人間さんには聞こえた雰囲気すらみえず無視しされた。 そして人間さんは、崩されたままだった『けっかい』の材料であった、 木の枝や大きめの石を『あの棒』を使って雪に埋めていく。 「どぼ、ぢで・・・。やべでね!げっがいでおうぢをふさがないど、ざむぐでゆっくりでぎないよ!!!」 だが、やはりまりさの声は届かず、人間さんは手際よく木の枝や石を雪に埋めてしまった。 「なんでぞんなごどずるのぉぉおおお!!まりさだぢ、なんにもじでないでじょぉぉぉぉおおお!!?」 さらに人間さんは、もはや邪魔するもののなくなったおうちの入り口から、『あの棒』をおうちに滑り込ませると、 先端のフォーク状になった部分でおちびちゃん達のベッドの端を引っ掛け、崩れないようにそろりそろりと引きずりだす。 そのベッドの上には、まりさとれいむの、5匹の可愛いおちびちゃん達が恐怖と寒さで震え、涙を流していた。 「ゆぴぃ、ゆぴぃぃ・・・ゆっくちちちぇ・・ゆぅぅぅ、ころがりゅぅぅうう、ゆぴぃっ!!」 そして、ベッドに引っ掛けたままの先端を少し持ち上げ、ベッド全体を傾けて、 ゆんゆん泣くおちびちゃん達をころりと転がし落とす。 おちびちゃん達もまりさも状況についていけず、泣くことも出来ずに目を丸くしている中、 主のいなくなったゆっくりしたベッドは、雪をひとすくいかぶせられ、人間さんのあんよでパンパンと踏み固められてしまった。 「ゆ・・・くち、べっどしゃん・・ゆっくちちちぇ。」 「ゆぅ、・・・ぺーりょ、ぺーりょ、・・・ちゅめちゃぃ・・・。」 何が起きているのか未だに理解できていないおちびちゃん達は、 すっかり踏み固められた雪の下にうっすらと見えるベッドの上にもしょもしょと集まって、 ぺーろぺーろしようとして舌を雪に突っ込んだり、あんよをもぞもぞさせて、 ついさっきまで確かに感じていた、ゆっくりとした柔らかさを得ようとしていた。 しかし、当然埋め固められたベッドは二度と柔らかさを取り戻すことはなかった。 「ちゃむいよぉ・・・ゆっくちちゃちぇちぇ・・・」 「ゆっく・・・しゅーり、しゅーり・・・」 そうでなくても生まれたてのおちびちゃん達は、跳ねることが出来ず、這いまわることしか出来ない。 その上、すっかり冷え切ったおちびちゃん達のあんよは、もはやわずかに震える程度にしか動かせなくなっていた。 雪に埋められた、かつてベッドだったモノの上で、5匹のおちびちゃん達は、おうちに戻ることもできず、 身を寄せ合ってなんとか温まろうとすーりすーりしている。 「ゆぅぅううう!!にんげんざん!もうやべでね!まりざはどうなっでもいいがら、おぢびぢゃんをおうぢにいれであげでぇ!!」 そんなことを言っている間に、人間さんは再度『あの棒』をおうちの中に突っ込み、 まりさとれいむが秋の間、必死になって集めた、ゆっくりとしたご飯さんを、山盛りすくい出し、 ビュッ!!・・・・パラパラパラッ。 勢いよく周囲の雪の上にばら撒いてしまった。 「やべでぇぇぇぇええええ!!!おぢびぢゃんのだめの、だいじなごはんざんがぁぁぁああああ!!!」 それも、2回、3回と繰り返される。 まりさには、おうちの中は見えていなかったが、秋の間集めた食料の、実に9割近くは辺り一面にばら撒かれていた。 無論、逆さまにされている上、あんよに大きな穴があいているまりさには、集めなおすことなど出来ない。 結局まりさの声は人間さんに一向に届くことなく、視線すら一度も合うことがなかった。 人間さんはふぅっと一息吐くと、まりさのおうちの木の、人間さんの目のあたりの高さに描いてあった、 すっかり色が薄くなっていた×印を赤の塗料で塗りなおす。 そして、全ての作業が終わったとでも言うように、人間さんは向きを変えると、 こきっ、こきっと首をならし、深呼吸をして、どこかに移動しようと、歩き始めたのであった。 「ゆ・・・まっちぇ・・・」 人間さんが再びまりさ一家の前に通りがかった時、ベッドの残骸の上でぷるぷると震えていた赤まりさが最後の力を振り絞って呼びかけた。 「どうちちぇ・・・?にんげんしゃ・・・ん。」 人間さんは、赤まりさの前を素通りすると、まりさの横を通って、 群れ幹部のちぇんとありすのおうちの方へと、まっすぐ向かっていった。 ざくっ! まりさの後方で、聞き覚えのある音が響いた。 「ゆぅぁあああ!ぎんいろのぴかぴかさん、けっかいさんをこわさないで・・にん、げんさん・・・?」 「わ、わからないよ・・・?」 「ちぇぇぇん!ありずぅぅぅうう!にげでぇぇぇええええ!!」 まりさは叫ぶ。だが、全ては遅すぎた。 「「ゆ?」」 ころりっ・・・ざくっ!ざくっ! 「わ・・・わぎゃらにゃぁぁぁあああ!!!」 「どぼぢでっ!あんよさんが、ありずのどがいはなあんよさんがぁぁぁぁ!!」 「なんでぞんなごどずるのよぉぉぉ!!ありずだぢ、なんにもじでないでじょぉぉぉぉおおお!!?」 まりさの背後で、ありすとちぇん達の叫び、そして、 まだ生まれたばかりであろう赤ありすと赤ちぇんの泣き声が聞こえる。 「ゆぴぃ、ゆぴぃぃ・・・わきゃらにゃぁ、ころがりゅぅぅうう、わきゃら!!」 ばさっ!ばさっ!ぱんっ、ぱんっ! 「しょんにゃ・・・くち、べっどしゃん・・しゃむいわ・・・」 「ゆぅ、・・・ぺーりょ、ぺーりょ、・・・わきゃらにゃ・・・。」 「ゆっくちちちぇ・・・しゅーり、しゅーり・・・」 ビュッ!!・・・・パラパラパラッ。 「やべでぇぇぇぇええええ!!!おぢびぢゃんのだめの、とかいはなごはんざんがぁぁぁああああ!!!」 ・・・・・・。 その後も、まりさの後方では、いくつかの家族の叫び声が聞こえ続けていたが、 それがいくつか続いた頃には、まりさも大声で人間さんに呼びかけたり、ゆっくりに逃げるように叫んだりはしなくなっていた。 ただ、逆さまのまま身動き一つ取らず、涙を流していた。 そしてよく見れば、まりさの遠く前方にも、まりさ同様に上下ひっくりかえされ、 あんよに穴を開けられたまま、声一つ上げずに泣く成体ゆっくりの、つがいの姿がいくつも見える。 そして、バスケットボール大の饅頭達の目の前では決まって、数個の小さな饅頭が身を寄せ合いながら、静かに息を引き取っていた。 まりさの横に、逆さまになっているれいむは、あんよに穴を開けられてから、一度も声を発することなく息絶えていた。 おそらくあんよへの一刺しが中枢餡にまで届いてしまったのであろう、即死であった。 だが、まりさから見れば、それはうらやむべき幸運であっただろう。 「ゆ・・・もっちょ・・・く・・・・・・」 「ゆっぐぢぢでぇ、おぢびぢゃん、ゆっぐぢぢでぇぇぇ。」 ベッドの埋まる雪の上で、身動き一つ取れず凍えていたおちびちゃん達は、結局誰にも助けられることのないまま、 まりさの目の前で苦しみぬいて死んでいった。 これから毎日、あったかいおうちの中で存分にむーしゃむーしゃして、すーりすーりして、 春になったらきれいな草花さんや、あったかい太陽さんの光に包まれて、ゆっくりとしたゆん生を歩むはずだったおちびちゃん達。 だが、今まりさの目の前には、涙まで白く凍りついた、悲しい表情のまま息絶えた5個の饅頭が並んでいる。 「・・・くちちちぇにぇ。・・とーしゃ・・・。」 「・・・・・・ゆ!」 5?・・・おちびちゃんがひとり足りない!! 「・・ゆっくちちちぇにぇ。・・おとーしゃん・・・」 「ゆ・・!ゆっくりしてね!おちびちゃん!おちびちゃぁぁあああん!!」 まりさが、動けないながらも必死で視線をおうちの中に向けると、そこには末っ子まりさの元気な姿があった。 「おにぇーちゃん・・・みんにゃぁ・・ゆっくちちちぇにぇ。」 「おちびちゃん!こっちにきちゃだめぇ!!」 「ゆぴぃっ!」 まりさは、姉達のもとに駆け寄ろうとする末っ子まりさを制止する。 「おちびちゃん!よくきいてね!おうちにごはんさんはある!?」 「ゆ・・・ゆぅ。おとーしゃんのぶんしかにゃいよぉ。」 「・・・ゆぅぅ、おちびちゃん。それはおちびちゃんのぶんだよ。」 「ゆぅ?しょしたらおとーしゃんのごはんしゃんがにゃくなっちゃうよ!ゆっくちできにゃいよぉ!」 まりさは、もう決断していた。 「おちびちゃん。まりさは・・・おとーさんは、もうゆっくりできないよ・・・。」 「どぼぢでしょんなこちょいうにょぉぉぉおおお!?」 「おとーさんは、もうあるけないんだよ。だから、おちびちゃん。はるさんがくるまで・・・ひとりでゆっくりしていってね!!」 「ゆぅぅううう!?しょんなのゆっくちできにゃいよぉぉおおおお!!!」 「だいじょうぶだよ。おちびちゃんは、まりさとれいむのおちびちゃんなんだよ。」 「・・・ゆ・・・ゆぅ。」 「だから、はるさんがくるまで、おうちのごはんをたべて、べっどさんのかわりに、ごはんさんのなかですーやすーやするんだよ。」 それは、まりさの夢。 まりさの最後の希望。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆぁぁぁあああん!!ゆっくちりきゃいしちゃよぉ!!ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」 まりさの両親は、人間さんの手によって、山のゆっくり出来ない土地に追いやられた。 まりさは、人間さんの手によって、ゆっくり出来ない最期を迎えようとしている。 しかし、それでも希望は、まりさのゆっくりとした夢は、未来へと輝き続けるのだ。 そして、まりさは余りにも理不尽に幸福な未来を奪われながら、群れのゆっくりの中でただ一匹、 満ち足りた表情で3日間生き延び、その後永遠のゆっくりへと旅立っていったのであった。 そしてただ一匹人間さんの手を逃れた赤まりさは、わずかに残されたご飯さんを食べ、 ご飯さんの山をお布団代わりにして、中に身を埋めて必死に寒さと戦った。 だが、寒さで体温を奪われ続けるため、体温維持のためにむーしゃむーしゃを絶えず続けなければならない。 しかしむーしゃむーしゃを続けると、お布団の代わりになるご飯さんがどんどんと減っていき、体温を維持できなくなる。 そこでさらにむーしゃむーしゃを繰り返す。 しかも、どれだけ体温を維持しても、おうちの入り口を塞ぐ材料も技術もないので、 室温は全く上がらず、状況が改善されることは無い。 結局、赤まりさは、まりさが息を引き取る2日ばかり前に、おうちの食料を全て平らげて、あっさりと息を引き取ったのであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 森は春を迎えた。 前年の秋には300匹を数え、冬ごもりの中で生まれた赤ゆを合わせれば1500匹を超えた巨大な群れは、 人間さんの手によっておうちから引きずり出され、一匹残らず死に絶えた。 そして、その亡骸は雪解けとともに溶け、大地に栄養を与えて森の恵みを育む。 それは、雪に埋められた赤ゆっくり達のためのベッドも、冬ごもりのために貯められた食糧も同様である。 沢山の栄養で育った草花や木々は、今年も多くのゆっくりに、ゆっくりとした恵みを与えてくれるであろう。 また、ゆっくり達によって長年整備されてきた木の洞は、 いずれも新たなゆっくり達にとって絶好のおうちになることであろう。 おうちの入り口を塞ぐ『けっかい』の材料にも困ることはない。 なにせ、前の年の冬にも使われた、小石や太い木の枝もそのまま残っているのだから。 ゆっくり達が変わることが無い以上、昨年最高のゆっくりプレイスであったココは、 今年も多くのゆっくりにとって、最高のゆっくりプレイスとなることであろう。 ・・・・・・そう、人間さんの里に、近づこうなどとは考えないほどに。 春を迎え、山にもベビーラッシュがやってくる。 まりさの両親は新しい命を迎え、過酷な生活の中でも少しだけゆっくりしていた。 「まりさとれいむのおちびちゃん・・・もうすぐうまれるね。」 「ゆぅん。とってもゆっくりしてるね。」 「このおちびちゃんたちも、おねえちゃんたちみたいに、げんきにそだってほしいね。」 「そうだね。・・・みんな、げんきにしてるかな?」 「きっとげんきいっぱいだよ。まえのおちびちゃんだって、あんなにゆっくりしたまりさだったもん。」 「そうだよね・・。」 「・・・そうだよ。」 ぶるぶる・・・ぷちんっ! ぽとっ! 「ゆぅ・・・ゆっく、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 なーんかイマイチ。 挿絵 byキリライターあき 挿絵 by儚いあき 餡小話掲載作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 436 苦悩に満ちたゆん生 本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ 前日談 ふたば系ゆっくりいじめ 522 とてもゆっくりしたおうち 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけについては何とも言えないけど) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけのおまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけのおまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけのおまけのおまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 冬-1. ふたば系ゆっくりいじめ 490 ゆっくりしたハロウィンさん 『町れいむ一家の四季』シリーズ 後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 376 飼いゆっくりれいむ ふたば系ゆっくりいじめ 409 町ゆっくりの食料事情 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(おまけ) D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る てかこんな大規模な群なのにドススパーク打てる奴が居ないってどゆこと? -- 2018-08-25 19 01 46 フォオオオオオオオオオオオオおっぱいもみたい -- 2017-06-04 07 22 37 しかしこんだけ数がありゃ何組か残ってもいいはずだが わざわざ全滅させる必要も無さそう -- 2014-08-27 04 17 19 ガキはすぐ死んでいくのに外で足破かれて3日生きる糞饅頭の生命力ときたら・・・人間よりはるかに丈夫だなおい -- 2013-08-07 01 05 42 ↓森から群れが消えた日(後編)を読めば分かる -- 2012-08-03 01 38 02 なんか納得できない。 -- 2012-07-29 22 25 49 こういう感情もなく容赦無いSSにはキリライターの絵がすごくマッチするなあ -- 2011-09-27 01 52 37 ↓畑や人里に行く気も失せるようなゆっくりプレイスを作ってゆ害の防止、冬になったら一斉駆除って事じゃないか? -- 2011-08-30 06 56 43 結局人間がここまできた理由がまだわからないんだが・・・ -- 2011-08-27 00 47 47 かつて先祖が散々好き勝手やってきたツケを未だに支払わされてる訳だ、コイツらは。 「森から群れが消えた日」見る限り、山の人達にとっておよそ最悪の部類に属する害獣だし こんなのがのさばってたら当然駆除だわな。恨むんだったら愚かなご先祖達を恨んでね! -- 2011-05-01 14 25 18 う~ん… 人間って怖いね。 -- 2011-04-14 05 57 47 ゆっくりは、弱肉強食のなかでは一番弱い生物だ!! -- 2011-03-18 22 34 32 めっちゃ面白かった!ぱねぇQNQNできた!! ゆっくり出来る森は人間の罠だったのかw 人間が毎年群れを潰すからゆっくり出来る森でいられるんだな -- 2011-03-08 12 57 34 長の考えた策は良かったんだけどな、ゆっくりにしては上出来といえる -- 2011-01-30 13 20 39 やべえ濡れた やっぱ越冬を無理やり失敗させるのはたまらなくQNQNするね! -- 2010-12-02 23 20 17 まあ、かつて散々山荒らしまわったクズ共の子孫で 実際あの場所見つけるまでは人里乗っ取ろうと企んでたアホだし、駆除は当然だな。 -- 2010-11-16 15 45 12 なんかもう虐待いらないわ逆に -- 2010-11-03 23 55 50 淡々とする作業、まさに駆除って感じがして良いですねぇ。 街に来るゆっくりを防止するための防波堤でもあり、ゆっくりホイホイでもある森か -- 2010-10-20 14 49 36 語彙的に無理なんじゃね?ゆっくりの知能で何か説明するのって難しいんだろうと解釈した それに言葉を重ねるより、アレにとって「ゆっくりできない」は存在に関わる最強の脅し文句なんだし十分と思ったとか あとトラウマすぎてその話をする事すらとか無理ゲーとかなんじゃね?w -- 2010-10-07 06 31 53 ↓ それを話そうとすると、顔色変えて発狂して暴れだす始末なんだから無理だろ。 ここらへんがゆっくりの限界なんだよ。 -- 2010-09-28 00 47 17
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『二択』 8KB 虐待 家族崩壊 虐待人間 失礼します。 『二択』 過去作 anko4445 anko4449 anko4452 anko4456 anko4461 anko4464 勢いで書いた部分が大きいので、読み辛いと思います。それでもよろしいという方は、どうぞ。 「ゆっくりしていってね!」 私が公園のベンチで一休みしていると、そんな声をかけられた。 足元を見下ろすと、そこにはゆっくりの一家。 「はいはい、ゆっくりしていってね」 私は取り敢えず返事を返してやる。込められた感情は、珍しいな、が3割、面倒だなあ、が7割くらいだ。 珍しい、と言っても、この一家そのものはまりさとれいむの番に、数匹の赤ゆっくりという一般的な構成だ。 ただ、この公園に住んでいるゆっくりは基本的に人間を恐れているから、非常時に一か八か『あまあま』をもらおうとするもの以外は人間には近づこうとすらしない。 だから、声をかけてきたこの一家が物珍しく感じたのである。 「ゆっ! にんげんさんは、ゆっくりしてるにんげんさんだね!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 そんな私の内心を知ってか知らずか、返事がもらえたことに喜ぶ一家。 そして、 「ゆっくりしてるにんげんさんは、まりさたちにあまあまちょうだいね!」 それが当然というように、そう宣った。 こいつらは、あれか。ただの馬鹿か。 おそらく、返事をしてくれるような人間だったら、あまあまをくれるに違いないと思ったのだろう。 そこには、何の警戒心もない。 最近では珍しいレベルの餡子脳である。 取り敢えず、その甘すぎる考えに現実を見せてやろう。 「れいむ、まりさとそのおちびちゃん達、どっちが大事かな?」 「ゆ? にんげんさん、なにいってるの? そんなことより、あまあまちょうだいね!」 「何言ってるのもなにも、言葉通りだよ。答えてくれたら、あまあまをあげることを考えなくもない。どっちが大事?」 れいむは、困ったように傍らのまりさを見た。 するとまりさは、微笑みを浮かべ、れいむに頷きかける。 れいむはすぐに私に向き直り、 「ゆっ! まりさもれいむも、おちびちゃんのためならゆっくりできないことでもがまんできるよ! だから、おちびちゃんのほうがだいじだよ!」 自信に満ちた表情で、言った。 「そっか」 私は、れいむに対して笑みを返し、 「じゃあ、まりさはいらないね?」 まりさを思い切り踏み潰した。 「………………ゆ?」 顔にまりさの餡子を付けて、残された一家が呆けた表情を浮かべた。 たっぷりと時間を置いて、 「ばりざああああああああああああああああああ!?」 「「「「「おとーしゃあああああああああああああああん!?」」」」」 一家は、面白いくらいに揃った叫び声を上げた。ただし、別に面白くはない。うるさいだけだ。 「どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおお!?」 すぐに、れいむの叫びは私への抗議へと変わる。 「どうしてって……まりさもれいむも、おちびちゃんのためならゆっくりできないことでも我慢できるんだよね?」 「そんなこといまはかんけいないでしょおおおおおおおおお!?」 「いや、あるよ。だって――」 まりさが大事だったら、おちびちゃんの方を潰してたから。 「…………ゆ?」 私の言葉を聞いて、れいむがぽかん、と口を開ける。 「なにそれえええええええええええ!?」 「いやあ、何それもなにも、人前に出てくるようなゆっくりは潰すのがマナーだしさあ」 言いながら、私は赤ゆっくり達を拾い上げる。 「「「「「おしょらをとんぢぇるみちゃい!」」」」」 「ゆ、はなちてにぇ! かわいいれーみゅがいやがっちぇるよ!」 「おちょーしゃんをころちたくしょにんげんは、ゆっくちちないであやまっちぇにぇ! ぷきゅううううう!」 「ゆんやあああああああ! きょわいいいいいいいい!」 私の手の上で、勝手気ままに騒ぐ赤ゆっくり達。 赤れいむが二匹に、赤まりさが三匹だ。 「おちびちゃんをかえしてねええええええ! いやがってるでしょおおおおおおお!?」 そう要求するだけで何もしないれいむの前に、私は右手に赤れいむ、左手に赤まりさを乗せ、突き出してやる。 「ゆっ! にんげんさん、はんせいしたんだね! そしたら、しゃざいとばいしょうとしてあまあまちょうだいね!」 この後に及んでもまだそんな発言をできるれいむにやや感心しながら、 「まりさ似のおちびちゃん達とれいむ似のおちびちゃん達、どっちが大事?」 もう一度、訊いてやった。 「「「「「ゆううううううううううううう!?」」」」」 驚きの叫びをあげたのは、赤ゆっくり達だ。 れいむは、口をぱくぱくさせているだけである。そろそろ、そういう反応も見飽きてきた。 「早く答えないと、みんな潰すよ?」 だから、取り敢えず急かしてやる。 「ゆ、おきゃーしゃん! まりちゃをたしゅけちぇね!」 反応が一番早かったのは、他よりやや大きな赤まりさだ。 「おきゃーしゃ! れーみゅぎゃきゃわいきゅにゃいにょ!?」 「げしゅのれーみゅにゃんかほっといちぇ、しゃっしゃとまりちゃをたしゅけちぇね!」 それに続き、他の赤ゆっくり達も命乞いを始める。 もう一方のネガキャンをするやつがいるあたり、将来が不安になる――まあ、こいつらに将来なんて無いが。 「さあ、どっち?」 言いながらさらにずい、と手を突き出すと、れいむは砕けるのではないかと思うくらい歯を食いしばりながら、 「れいむににた……おちびちゃんだよ……」 小さな声で、そう言った。 「ゆわーい!」 その言葉を聞き、単純に喜ぶ赤れいむ達。 「ごべんね、おぢびぢゃん……ごべんねぇ……」 「ゆ、おきゃーしゃ、どうちて……」 それと、れいむの泣き顔を交互に眺めながら、赤まりさ達は呆然としていた。 「いやあ、残念だったねぇ、君達」 その赤まりさ達に、私は話しかける。 「でも、仕方ないよ。だってれいむお母さんは、まりさに似てる君達より自分に似てるおちびちゃんの方が可愛いんだから。」 「ゆっ! ちが――」 「違うんなら、どうして『たくさん』いる赤まりさを選ばなかったのかな?」 「ゆぐっ!」 痛いところを突かれ、れいむは押し黙る。「ぼせい」を持つれいむらしい反応だ。 「やっぱり、君達はいらないんだってさ」 「ゆ、おきゃーしゃ、まりちゃは……いらないのじぇ?」 「…………っ」 れいむの沈黙を肯定と取った赤まりさたちは、 「こにょ、くじゅおやあああああああああああ!」 「……ゆっくち! ゆっくち!」 「おきゃー、しゃ」 三者三様の反応を返した。 れいむは目を閉じ、そこから顔を逸らす。 「君達がまりさに生まれたばっかりに、赤れいむ達とずいぶん差が付きましたぁ。悔しいでしょうねえ!」 「ゆ、きゃわいいまりちゃをゆっくちゆるちちぇ――」 そして、左手を、閉じた。 ぐしゃり、という感触がして、左手の上は静かになった。 「ゆ、にん、げん、さん」 何かを言おうとするれいむに、 「さて、どっちのおちびちゃんが大事?」 空いた左手に片方の赤れいむを載せ換え、間髪入れず、私は問う。 「ゆ、あ、もう、やべで……」 「どっち?」 私が詰め寄っても、れいむはがたがたと震えるばかりだ。 そんな時、 「いもーちょをたしゅけちぇにぇ!」 言葉を発したのは、右手の赤れいむだった。 私を含む全員の目が、そこに集まる。 「れいみゅはおねーしゃんだから、いもうちょをまもりゅよ! ぢゃから、いもーちょをたしゅけちぇね!」 キリッという効果音が聞こえそうな表情で、おそろしーしーを漏らしながら、もう一度赤れいむが言った。 「だってさ。それでいい?」 投げやりに私がれいむに聞くと、 「ゆ、おぢびぢゃん、だずげであげられなぐで、ごべんねぇ……。おぢびぢゃんみだいなりっばなおぢびぢゃんにあえで、れいぶば……」 安いお涙頂戴を見せられて不快だったので、取り敢えず右手の赤れいむをそのまま落とした。 「ゆっぎゃああああああああああああああああ!? いぢゃいいいいいいいいいいいいいい!」 即死はしなかったものの致命傷を負い、赤れいむが今日一番の悲鳴を上げる。 「おちびちゃ、すぐにぺーろぺー――」 本能的なものなのか、動こうとするれいむ。 その目の前で、 「ゅぴっ」 私は赤れいむを潰し直した。 すると、れいむは一瞬硬直して、 「おちびちゃん! すぐよくなるからねっ! ぺーろぺーろ!」 すぐにぺーろぺーろを始めた。 潰す前の時点でも無駄だっただろうが、死体にまでやっている姿を見ると、滑稽を通り越して哀れにすら思えるのが不思議である。 「じゃあ、れいむ」 何か、気持ちが萎えてしまったので、私はそろそろ切り上げることにした。 「れいむの『おりぼんさん』と最後のおちびちゃん、どっちが大事?」 「……!」 れいむは、何度も何度も声を出さずに口だけを動かしていたが―― 「おりぼんざん、だよ……」 赤れいむと赤まりさで選ばせた時よりいくらか早く、その結論を出した。 「へえ? どうして?」 「おりぼんざんがなぐなっだら、ゆっぐり、でぎないよ……」 「おちびちゃんがいても?」 「ゆ……ぞう、だよ……」 覚悟を決めた表情で、れいむは言い切った。 「だがら、れいむば、おりぼんざんのぼうが、だいじだよ……」 私は、その言葉を、待っていた。 「じゃあ、れいみゅちゃん。おりぼんさんの方が大事な、嘘つきのれいむお母さんとれいみゅちゃん、どっちが大事?」 潰した一家の残骸をゴミ箱に捨てて、私は元のベンチへと戻ってきた。 そこには、赤れいむだけが残っている。 それを拾い上げ、私は歩き出した。 「ゆ、にんげんしゃん、れいみゅをかいゆっくちにちてくりぇりゅにょ?」 「そうだねえ……」 私は赤れいむの問いに対して、 「れいみゅちゃんは、あまあまいっぱい食べてゆっくり過ごすのと、前と同じように家族と暮らすの、どっちがいい?」 さらに問いを返した。マナー違反? ゆっくり相手だし構わないだろう。 「ゆっ! れいみゅは、あんにゃげしゅとくらすより、あみゃあみゃいっぴゃいたべられるほうがちあわちぇー! ぢゃよ!」 予想通りの答えに、 「そっか」 私は短い応答の言葉を返す。 「まあ、何て答えても、結末は一緒だけどね」 そして、手のそれをゴミ箱に放り込んだ。 後書き もっとじっくりと描写できるようになれば、より良いものが書けるようになるとは思うんですが。難しいです。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。 それから、感想版にて『台風の目』を考察してくださった3038様、ありがとうございます。
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『無知の罪 前編』 18KB 虐待 自業自得 駆除 野良ゆ 独自設定 息抜き 爛々と照り注ぐ太陽。 暑さに汗を拭いながらもいそいそと行きかう人の波。 みな何か不満そうにしながらも、何か大きな事件が起こるわけでもなく淡々と、しかし賑やかな街の風景。 しかしそんな喧騒からはやや離れた薄暗い裏路地にて、ウゾウゾと蠢く二つの影があった。 「ゆっくじ、ゆっくちちたいよぉ!」 「ごめんねおちびちゃん!だめなおかあさんでごめんねええええ!」 野良ゆっくりだった。 どうやら親子のようで、成体サイズのれいむが一匹、同じく子ゆっくりサイズのれいむが一匹の計二匹の組み合わせだった。 その姿は健全なものとは言いがたく、二匹とも酷く薄汚れていて痩せ細っている。 さらに親れいむはどこかで引っかけたのか、お飾りの片方に大きな穴が空いており、 子れいむのほうもまた、目の下にクマが出来て今にも死にそうな状態だ。 周りにつがいや、他の子ゆっくりたちの姿が見当たらないのは全て死んだからだろう。 とは言えこれは特に珍しくもない、野良ゆっくりでは一般によく見られる光景であった。 「ゆびいいいいい!おなかちゅいたよおおおおお!ごはんさんたべちゃいよおおおおお!」 「ゆゆ!ごめんねおちびちゃん!ほら、おかあさんとすーりすーりしようね!」 お腹が空いたとグズる子れいむを、必死でなだめる親れいむ。 この親子は三日前から何も食べていなかった。。 つい先日親まりさという一家の生命線を失ったため、ただでさえ難しい食糧確保が絶望的な状況になったからだ。 もちろん親れいむも何とかして食糧を得るために、早朝のゴミあさりなどに精を出したりしていたのだが、 いかせん狩りの経験などろくにない親れいむは、満足に食糧を取ってくることが出来ずにいた。 「ゆぴい、ゆぴい、どうして!どうしてれいみゅたちゆっくちできにゃいのぉ!おかちぃよぉ!」 「ゆうう、おちびちゃん、がまんしてね!もすこしだからね!もうすこしでゆっくりできるようになるからね!」 一体何がもう少しだというのか? 親れいむには、この状況が改善できる当てでもあるというのか? いや、そんなものは全くない。 恐らく明日も明後日も一週間後も一ヶ月後もずっとこの生活が続くであろうことは薄々わかっていた。 しかしそれでも親れいむはそう言い続けるしかなかった。 何はともあれ、とにかくご飯だ! 少しでもこのゆっくりできない状況から抜け出すには、ご飯さんをなんとしてでも手に入れるしかない。 明日こそは!明日こそは狩りを成功させて見せる! そう親れいむが決意を新たにしているその時、 突然その変化は訪れた。 「ゆがっ、ゆげびっ!ゆっくちでぎ………ゆがらぼがあああああああああ!ゆぴぎゃあああああああああああああああ! ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ!」 突然子れいむが目を見開いて叫び出したかとかと思うと、今度は今までにないようなゆっくり出来ないスピードで、 ビクビクッと激しく痙攣しだした。 「おっ、おちびちゃああああああん!どうしたのおおおおおおおおお!しっかりしてねえええええええ!」 突然の事態に慌てふためく親れいむ。 限界だった。 そう、とうに子れいむは限界だったのだ。 生まれてこの方、全くゆっくり出来ない日々。 次々と死んでいく姉妹たち。 日々の食糧はゲロ腐ったまずいものが少量。 そしてついにはその食糧すら供給されなくなった。 それらのゆっくり出来ないストレスは順調に蓄積されていき、そしてついに子れいむの体内で爆発したのだ。 「あっ、ああああああ!おっ、おちびちゃん………」 目を血走らせて、涎を周囲に撒き散らしながら、奇声を上げ、ブルブルと痙攣する子れいむ。 誰がどう見ても助かるような状態ではない。 しかし、親れいむは諦め切れなかった。 ついに最後の一匹になってしまった、親れいむと親まりさの愛の結晶。 もはやまりさはこの世にいない。 なればこそ、このおちびちゃんはまりさがこの世に生きた唯一つの証! 絶対に守りたい、否守らなければならないのだ。 「まもるよおおおおおお!このおちびちゃんだけはぜったいにまもるよおおおおお! おちびちゃあああああん!ちょっとのしんぼうだからまっててねええええええ!」 親れいむはおうちからガサゴソとある物を取り出すと、意を決したように裏路地から外に飛び出して行ったのであった。 「♪~」 鼻歌を歌いながら少女が道を歩いている。 年齢は5、6歳くらいだろうか? その少女はいつものように近所の友達の家に遊びに行く途中であった。 少女の家では週に何度か母親がパートで家を空けることがあるため、その際の面倒を友達の家で見てもらうことになっていたのだ。 友人の家は目と鼻の先ほどの距離であり、この距離なら何の危険もあるまいと少女の両親も高を括っていた。 だがその矢先の出来事だった。 少女が道の曲がり角に差し掛かった途端、バッ!と薄汚い丸い物体がそこから飛び出してきたのだ。 「おい!おまえええええええええ!」 「ひっ!」 突然の出来事に思わず小さな悲鳴をもらす少女。 その薄汚い物体の正体は親れいむであった。 親れいむはギロリと少女を睨みつけると、攻撃的な口調で話しかける。 対する少女はそんなれいむを怯えた目で見つめていた。 いつもの何気ない日常から一転、醜悪な生き物に絡まれるという非日常に突入し少女は恐怖したのだ。 「れいむのおちびちゃんがびょうきなんだよ!いたいめにあいたくなかったら、さっさとくすりをだしてね! すぐでいいよ!はやくしろおおおおおおお!」 「えっ、あの、わたし……」 親れいむが子れいむを救うために取った選択肢。 それは、人間を脅し薬を持ってこさせることであった。 それなりに野良生活が長い親れいむは、自分たちがいくら助けてくれと訴えても街を行きかうケチな人間たちが、 自分らを救ってくれることはない程度のことは流石に知っていた。 それならばと親れいむが取った行動は強奪であった。 恵んでくれないのならば奪えばいいというわけだ。 しかも巧妙な事に、大人には勝てないと踏んだ親れいむは、そのターゲットに子ども選んだのであった。 道の曲がり角の隅にある小さな穴に隠れて、子どもが通りかかるのを待ち伏せしていたのだ。 そこへ運悪く少女が一人でやってきてしまったというわけだ。 だがしかし突然の親れいむの要求に、少女の方は困惑するばかりである。 当然だ。 いきなり出てきてそんなこと言われても、わけがわからないにきまってる。 ましてや彼女はまだ年端も行かない少女なのだ。 「ゆぎいいいいいい!ごちゃごちゃいってないで、さっさとおちびちゃんをなおす、くすりをだすんだよおおおおおお! さもないとおおおおおお!」 少女のオロオロとした様子に業を煮やしたのか、親れいむは威嚇するようにあるものを口に銜え、少女に突き出す。 それは……。 何処で拾ったのだろうか? 親れいむの口に咥えられているのは彫刻刀だった。 よく小中学生が図工やら美術で版画をやるときに使うアレである。 ナイフやカッターと違い、刃はとても短く殺傷力はそれほどではないが、それでも切れる事には違いない。 むしろ軽いためゆっくりが扱う分には好都合な武器である。 親れいむはもしもの時のためにおうちの中に隠し持っていたそれを、今持ち出してきたのだ。 「さもないとこれで、ぷーす!ぷーす!するよおおおおおおお! わかったらさっさとくすりをだせえええええ!かくしてるとゆるさないよおおおおおおお!」 「かっ、かくしてなんか……ないよ。 おうちになら……その、おくすりあるかも…」 興奮する親れいむに対して少女が消え入りそうな声で答える。 「ゆがあああああああ!だったら、さっさとおうちにもどって、そのおくすりをとってくるんだよおおおおおお! このぐず!おちびちゃんがまにあわなくなったらどうするのおおおおおおおお! さっさといけよおおおおおおおおお!」 「わ、わかった」 少女は頷くと、すぐさま元来た道を走り出した。 ここでもしもう少しこの少女が冷静だったら、あるいは賢かったのならば、 大声で周囲に助けを求める、あるいは友達の家にそのまま行き、そこにいる保護者に事情を話す等の選択肢もあり得ただろう。 しかし、少女にとって恐らく生まれてはじめてであろう、自分に向けられる明確な敵意や罵声対し、 その危機から逃れるために、与えられた命令をただ忠実に実行しようとしてしまった少女を誰も責められない。 焦りや恐怖は思考能力を奪うのだ。 ともかく少女は走り続け、そして家の前に到着した。 慌てて鍵を取り出し、扉を勢いよく開ける。 家には誰もいない。 親は仕事に出てるのだから当然だ。 となれば、自分で薬を探さなければならない。 そういえば前に熱を出して寝込んでしまったときに、親から薬だといわれて白い錠剤を飲まさたっけ。 口に入れた途端に広がったあの酷い苦味をよく覚えている。 薬といったからには、きっとそれのことに違いないだろう。 確か、薬箱は戸棚の下に……。 ガサゴソと少女は薬箱をあさる。 アレも違うこれも違う、確かあの薬はビンに入っていて…。 「……あった、これだ」 やがて少女は薬箱からビンに入った大量の錠剤を見つける。 あのときのものに間違いない。 これを持っていけば。 「急がないと!」 少女はぎゅっとビンを握ると、何かに突き動かされるように親れいむのいた場所へと再び走り出したのであった。 「はぁ、はぁ、はぁ」 少女は屈み膝に手を付いて呼吸を整えていた。 全力疾走で親れいむのもとまで戻ってきたため息が上がっているのだ。 「ゆぐうううう!おそいよ!なにやってたの! ゆっくりしないで、はやくくすりをだしてね!はやくしろおおおおおお!」 そんな少女の苦労にねぎらいの言葉をかけるでもなく、親れいむはクスリを催促をする。 「はぁ、はぁ、あのこれ……」 震える腕で少女が親れいむに差し出したその手には、錠剤が入ったビンが握られていた。 「ゆがあああああ!よごぜええええ!」 親れいむはそのビンが目的のものだとすぐさま察すると、突然に少女に向かって体当たりを仕掛けた。 「きゃっ!」 体当たりをまともに食らってしまう少女。 その親れいむの体当たりは大した威力ではなかったが、驚いた少女はバランスを崩し、尻餅をつくようにして後ろに倒れこんでしまう。 そしてその衝撃で少女は手からはクスリビンが地面に転がり落ちた。 「ゆああああああ!とったよおおおおお!これはもうれいむのものだああああああ!もうだれにもわたさないよおおおおお!」 親れいむは少女の手から離れたクスリのビンをガッチリと銜えると、高らかに宣言した。 おうち宣言の物バーションであろうか?親れいむはこれ以上ないというほどのドヤ顔である。 「ゆふん!れいはいわないよ!これはもうれいむのものなんだからね! それに、かわいいかわいい、おちびちゃんをたすけるのは、とうぜんぎむなんだよ!」 親れいむはしてやったりといった感じでニヤリと笑うと、そのまま一目散にその場から去っていってしまった。 「おちびちゃあああああん!まっててねええええええ!おかあさんがいまいくよおおおおおお!」 「…………あ」 そしてその場には放心状態の少女がポツンと一人残されるのみであった。 「おちびちゃああああああん!おかあさんがかえってきたよおおおおおお!もうだいじょうぶだからねええええええ!」 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ!」 急ぎ、おうちへと戻った親れいむ。 しかし相変らず子れいむはヤバイ表情でピクピクと小刻みに痙攣を繰り返している。 最早一刻の猶予もない状況だ。 「ゆああ!このおくすりさんさえあれば!」 親れいむはクスリのビンのフタの部分を咥えると、思い切り地面に叩き付けた。 バリン!と音を立てビンの底の部分が割れる。 多少中身が飛び散ったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。 「ゆゆ!さあおちびちゃん! これでげんきになってねええええええええ!それでまたいっしょにゆっくりしようねえええええ!」 親れいむはクスリのビンに中に残っていた錠剤全てを一気に子れいむの口の中に押し込んだ。 そして………。 「ゆっ!?がっ!ぶっ……… ゆがぼがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 子れいむの口から溢れたのはこの世のものとは思えないほどの壮絶な絶叫だった。 いや、絶叫だけではない。 今までの痙攣がまるで可愛く思えるほど激しくビッタンビッタンと苦痛にのた打ち回り、 その体は体内の水分を絞りつくさくさんばかりに汗と涙と涎が垂れ流しになっている。 「ゆごぼげぼがああああああああああ!!!ごろじでええええええええ!」 その表情はもはや苦痛とか苦悶とかいった安易な言葉では表現できないほど歪みきっており、 子れいむの苦しみは、自ら死を望む叫びを絞りだすのにいささかのためらいもないほどであった。 「ゆあああああああ!ど、どうしてえええええええ!おちびちゃあああああんゆっくりしてええええええええ!」 そんな尋常ではない子れいむの様子に、ただ狼狽することしかできない親れいむ。 こんなバカな!どうしておちびちゃんがこんなに苦しんでいるんだ! どうして!なんで! 「ゆっ、おっおおお!おがあ……」 「ゆゆ!どうしたのおちびちゃん!なにかおかあさんにつたえたいことがあるの!」 子れいむは口をパクパクと震わせながら、虚ろな目で親れいむを見つめている。 わが子が最後の力を振り絞って、自分に何か言おうとしているのだ。 慌てて子れいむに近寄る親れいむ。 最愛のわが子が最後に残した言葉は。 「じ…ね…」 自分に対しての呪詛の言葉だった。 「ああっ、そんな!どじでえええええぞんなこというのおおおおおお!おかあさんがんばったんだよおおおおおおお!」 期待してたあたたかい言葉とは全く違う断末魔に言葉を失う親れいむ。 確かに親れいむはそれなりには努力したのかもしれない。 だが子れいむの立場からしてみれば、生まれてこの方全くゆっくりできないゆん生を歩まされた挙げ句、 最後に飛び切りの苦痛まで押し付けられたのであっては、恨み言の一つも言いたくなるというものだ。 「ゆゆううううう!とじで……どじでこんなことに……」 親れいむは体中から水分を絞り出しもはやゆっくりの原型をとどめていない子れいむの亡骸の前で涙する。 何故こんなことになったのか? ちゃんと薬をたくさん与えたはずなのに! ………いやまて!薬?あれは本当に薬だったのか? 親れいむは唐突にある疑問を閃く。 そしてその疑問を検証する方法は至極簡単であった。 親れいむはビンを割った際に周囲に飛び散った錠剤の一つをそっと舌の先で転がしてみた。 その瞬間、ビクン!と体が反応する。 「にがっ!ゆげええええええええ!!これどきゅはいってる!」 突然体中を襲った強烈な不快感に、慌ててクスリを吐き出す親れいむ。 何だこれは! ほんのちょっと舐めただけだというのに、余りの苦さに涙が出てくる。 毒だ!あのちび人間は薬と偽って毒を渡しやがったのだ。 「ゆっがあああああああ!あのくそにんげん、れいむをだましたなあああああああああ!」 怒りの炎が親れいむの体内に点火する。 こんな理不尽が許されていいのだろうか?いいやよいはずがない。 「こんな!こんなあくがゆるされていいのおおおお!」 チビ人間がとった鬼畜極まる行為に対する親れいむの魂の慟哭が辺りに響く。 その叫びに答えるものはいなかったが、親れいむは誰も何も言わなくても、自分がしなければならないことはわかっていた。 「わかってるよおちびちゃん!おちびちゃんは、ちびにんげんにしねっていいたかったんだね! おちびちゃんが、れいむにしねなんていうはずないもんね! まかせてねえええええええ!おちびちゃんのかたきはきっととるよおおおおお! あのちびにんげんを、かならずせいっさいするよおおおおおお!」 やってやる!刺し違えてでもあのチビ人間を制裁する。 許さない絶対に許さない! ゆっくりを怒らすとどういうことになるのか、目にモノを見せてやる! 親れいむは決意を胸におうちを後にしたのであった。 「…………ふぅ」 溜息をつきながらいつもの道をとぼとぼと歩く少女がいた。 あの親れいむに襲撃された少女だった。 例のあの事件から数日後の今日は、友達の家に行く日である。 いつもなら鼻歌でも歌いながら道を歩くのだが、今の少女はうかない表情である。 その理由は言うまでもなく先日の出来事が原因であった。 道を歩いていたら、突然汚い生き物に襲われたあの事件のことである。 はっきり言って怖かったし、もう二度と係わり合いになりたくないと思う。 でも少女は再びこの道を歩いて友人の家へと行かなければならない。 何故なら少女はこの出来事を親にも友人にも相談していなかったからだ。 勝手に薬を持ち出してしまったことが親にばれて怒られると思ったからである。 実に子どもらしい理由だ。 そんなわけで少女はまた一人で例の道を歩いていたわけであった。 しばらく進むと例の曲がり角がやってくる。 前回はここからヤツは飛び出してきた。 ………いや、もうよそう、忘れよう。 全ては終わったことなのだ。 きっと大丈夫だ。 そう思い、歩き出した次の瞬間、少女の淡い期待はもろくも崩れ去ることになる。 「みつけたあああああああ!ようやくみつけたよおおおおおおお!」 「ひっ……」 出た!また出た! 薄汚れた首だけの物体。ゆっくりがまた少女の目の前に立ちふさがったのだ。 なんとあの親れいむは子れいむが死んだ後から、ずっとこの場所で少女がくるのを待ち伏せていたのだ。 なかなかどうして、その執念だけは大したものである。 「あっ、あのごめんなさい。もうお薬はないの、だから………」 「ふざけるなああああああ!」 少女の言葉を親れいむの大声が妨げる。 「あれのどこがおくすりなんだああああああああ! うそつきめええええええ!どくなんかわたしやがってえええええ! おかげでれいむのおちびちゃんは、しんじゃったんだよおおおおおおおおお! ねえ、たのしいの!じゅんっすいなゆっくりをだましてたのしいのおおおおおおお!」 いきなり現れてはヒステリックに叫ぶ親れいむに、少女は困惑するばかりだった。 「えっと、あの、でもあのおくすりは、わたしがねこんだときにつかったやつだから、 どくだなんてことは……」 「はああああああああん!なにいってるのおおおおおおおおお! おくすりっていったら、あまあまのことだろうがああああああああ!」 「あっ、あまあま?」 「そうだよおおおおお!そんなことじょうっしきでしょおおおおおおお!ばかなの?しぬのおおおおおお!」 「あの…ごめんなさい。 その、私よく知らなくて…」 「しらなかったですむかあああああああ! このむちがああああ!じぶんがやったことの、つみのおもさがわかってるのかあああああ! せいっさいだああああ!むちなちびにんげんは、れいむがせいっぎのせいっさいをするよおおおおおおおお!」 そう叫ぶと親れいむは、前回のときのように彫刻刀を咥え少女に構えた。 完全に殺る気だった。 そして少女は足がすくんで動けない状態である。 このまま親れいむが前に向かって飛び出せば、まさかの事態が起こりえてしまう、 そのときである。 「おい!そこで何やってる!」 声が響いた。 慌てて親れいむが声がした方向に目を向けると、遠くから長身の女性がこちらを見ている。 否、すでにこちらに向かって駆け出している。 「ゆぐ!」 まずい!と親れいむは思った。 大きなクソ人間に見つかった、このままではやられてしまう可能性がある。 一人くらいなら何とかなるかもしれないが、自分はおちびちゃんの仇を討つまで、万が一にもやられるわけにはいかないのだ。 「ちきしょおおおおおおお!おぼえてろよおおおおおお!くそにんげんがああああああ! ぜったいふくしゅうしてやるからなああああああ!」 くるりと踵を返し、捨て台詞を吐きながら、一目散にそこから逃げ出す親れいむ。 「ちっ!」 それを見て舌打ちした女は、しかし逃げる親れいむを放置し、一目散に少女の所へと向かった。 正しい判断だった。 ゆっくりなんぞを追いかけることよりも、まずは人間の少女の事を優先するのは当然だ。 「大丈夫か君!どこか怪我は?」 「あっ………」 緊張が解けて力が抜けたのか、ストンと膝を地面に付く少女。 「おっと」 慌てて少女をさせえる女。 「怖かったね、でももう大丈夫だ。 ああ、お嬢ちゃんはこの辺の子なのかな? 家はどこかな?親御さんの連絡先はわかるかい?」 女は、少女が落ち着くのを待ってからもろもろの事情を訊ねたのであった。 「本当にありがとうございました」 「いえ、まあ私は偶然通りかかっただけですから」 ペコペコと頭を下げる少女の両親に対して女は謙遜するように両手を振る。 あの後、女と少女は、少女の友人の家に行き、そこから両親へと連絡を取った。 話しを聞いた少女の両親は、仕事先から飛んで帰ってきたのであった。 その際、これまでの経緯を全て話した少女は、どうして今まで黙っていたんだと両親にしっかり怒られていた。 だが、最後には怪我がなくてよかったということで話しは落ち着いたようだ。 これからしばらくはあの親れいむが出ても大丈夫なように、友人の家に預ける際にも母親が送り向かいをするということになったらしい。 とりあえずは、めでたしめでたしである。 「さてっと」 少女の家を離れた女は鞄から携帯を取り出し、何処かへ電話をかける。 「あー、もしもし、ああ、うん私だ。 実はね、偶然だがこの辺りのゴミ共を一掃するのにちょうどいいネタを仕入れたんだ。 興味あるかい?」 電話先の相手に話しながら女はニヤリと笑った。
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『可哀想なゆっくり』 34KB 制裁 自業自得 飼いゆ 野良ゆ ゲス 希少種 現代 17作品目。少し真面目になって書いてみました。 注意書きです。 1 希少種が出ます。 2 酷い目にあうゆっくりと、そうでないゆっくりがいます。 それでもOKという方のみ、どうぞ。 「ぴゃあぁぁぁぁっ!?やめてえぇぇぇぇっ!!」 ……そこは、とある街中の、とある一軒家。 その一軒家のリビングの中に、甲高い悲鳴が響き渡った。 「やめてえぇぇぇぇっ!!なんでこんなことをするのおぉぉぉぉっ!?」 「うるせぇ……!」 そのリビングでは、一人の青年が、一匹のソフトボールサイズのゆっくりれいむを踏み付けていた。 そのれいむは、顔面のあちこちが腫れ上がっていて、歯もボロボロに折れていた。 「……もう一度聞くぞ。あれは、お前がやったんだろ?」 青年は、床の一ヶ所を指差した。 ……そこには、饅頭の餡子や皮が散乱しており、その傍にズタズタに踏まれて潰された、赤ゆっくりの帽子が転がっていた。 その帽子には、飼いゆっくりの証である、銀バッジが付いていた。 「ちがうよおぉぉぉぉっ!!れいむはなんにもわるくないんだよおぉぉぉぉっ!!ほんとうだよおぉぉぉぉっ!!しんじてよおぉぉぉぉっ!!」 「黙れ、この糞饅頭が……!」 れいむは青年に必死にそう訴えたが、青年は全く信用していないようだった。 「なんでぇ……?なんで、れいむばっかり、こんなめにあうのぉ……?」 れいむは、青年に全く信じてもらえない事が、とても悔しかった。 今思えば、自分はとても不遇な立場にあった。 自分は何も悪くないのに、いつも自分が悪者扱いで、蔑みの眼差しで見られていた。 どうして、こうなってしまったのか。 れいむは涙をボロボロと流しながら、自分の不幸で短いゆん生を思い返していた。 ~回想開始~ (ゆぅ……、ゆぅ……) れいむは今、これからの幸せなゆん生を夢見ていた。 「ゆっ……!もうすぐうまれそうだよ!」 自分の下の方から、母親の声が聞こえていた。 れいむは今、母親のゆっくりの頭から生えている茎に実っていた。 (ゆ……、ゆっくちうまれりゅよ……) れいむがそう思ったのと同時に、れいむの体がプルプルと震え、やがてポトリと地面に落ちた。 「ゆ……」 れいむが目を開けると、目の前に、自分と同じれいむ種の、母れいむがいた。 「ゆぅ……!おちびちゃん、ゆっくりしていってね!」 母れいむはれいむの誕生に嬉し涙を流しながら、れいむにそう言った。 (ゆっ……!おきゃーしゃんに、とっちぇもゆっくちした、あいしゃつをしゅるよ……!) れいむは母れいむに対し、生まれて初めての挨拶をしようと、口を開き、大きく息を吸い、そして……。 「ゆゆ~ん!きゃわいくっちぇ、ごみぇんにぇ~!!」 自信に満ち溢れたドヤ顔で、そう挨拶した。 決まった。 とてもゆっくりした挨拶が出来たと確信したれいむは、そう思っていた。 ……が。 「ゆぅ……?おちびちゃん、なんか、おちびちゃんのあいさつは、すこしへんだよ?」 母れいむの対応は、れいむが予想していたものと全く真逆のものだった。 「ゆっ……?」 「おちびちゃん、あいさつはこうするんだよ。……ゆっくりしていってね!……ほら、やってみて」 「ゆ……?にゃんで……?にゃんで、れいみゅのこと、へんっていうにょ……?」 自分の挨拶で、歓喜の涙を流してすりすりしてくれると思っていたれいむは、母れいむにそう聞いた。 「れいみゅ、とっちぇもきゃわいいでしょ……?にゃんで……?」 「おちびちゃんはとってもかわいいよ!でもね、そのあいさつはゆっくりできないんだよ。ゆっくりりかいしてね?」 「ゆ……、ゆっくち、りかいしちゃよ……」 れいむは、母れいむのその返答に釈然としないものの、可愛いという事は認めてもらったので半ば良しとした。 「ほら、おねーちゃん!おねーちゃんも、かわいいいもうとにあいさつしてね!」 母れいむは、れいむの後ろを見ながらそう言った。 「ゆ……?おねーちゃん……?」 一体誰の事を言っているのか分からなかったれいむは、後ろを振り向いた。 ……そこには。 「ゆぴー!」 元気に跳ねている、一匹の、赤まりちゃがいた。 ……が、れいむはその赤まりちゃを見て、こう言った。 「ゆっ……!?にゃんにゃの、こいちゅ……!?じぇんじぇん、ゆっくちしちぇにゃいよ!?」 その赤まりちゃは、髪の毛やお下げがかなり短く、帽子も小さく、口元から涎を垂らしており、目も焦点が合っておらず、何よりバカの顔付きをしていた。 「おちびちゃん!じぶんのいもうとに、そんなことをいっちゃだめだよ!」 「ゆっ……!?れいみゅのいもうちょ……!?」 れいむは母れいむのその言葉が信じられなかった。 ……こいつが、自分の妹? れいむから見て、全くゆっくりしていない赤まりちゃが、自分の妹だという事実が信じられなかった。 「このおちびちゃんはね、ちょっとだけふじゆうなんだよ。だから、へんだとか、そういうことをいっちゃだめだよ?」 「ぴー!」 ……そう、この赤まりちゃは、いわゆる『足りないゆっくり』であった。 体格は普通の赤まりちゃと大差無いものの、中枢餡に異常をきたしており、言語障害や運動障害が現れていた。 そして、この赤まりちゃは、本当はれいむより先に産まれたのだが、母れいむの判断で、姉と妹の立場を交換したのだ。 足りないゆっくりの赤まりちゃを、姉として扱うには無理があると思っての判断だった。 「ゆうぅぅぅぅ……!」 その事を知ってか知らずか、れいむは納得出来ずにいた。 「ほら、おねーちゃん、いもうとにあいさつしてね?」 「ゆ……、よ、よろちくにぇ、まりちゃ」 「ゆぴゃー!」 母れいむに促される形で、れいむは妹まりちゃに渋々と挨拶した。 ……そしてこの日から、れいむのゆっくり出来ないゆん生が始まった。 ……食事の時。 「はい、おちびちゃん、ごはんだよ!」 「むーしゃ……、むーしゃ……」 「むく、むく……」 れいむは母れいむが食べやすいように一度噛み砕いた食べ物を咀嚼していた。 そして、妹まりちゃは、母れいむから口移しで食べ物を食べていた。 「ゆっ!!おきゃーしゃん!れいみゅにもあーんしちぇにぇ!」 「ごめんね、いまおちびちゃんにたべさせているとちゅうなんだよ。おねえちゃんは、おちびちゃんがたべおわるまでまっててね」 「むく、むく、ゆぴゃぴゃー」 「ゆぅ……!」 ……しーしーの時。 「おちびちゃん、しーしーしようね!」 「ぴゃー、ちー、ちー」 「ゆぅ……!」 赤ゆっくりは自分でうんうんやしーしーを排泄する事が難しいので、親にまむまむなどを舐めてもらって手伝って貰って、排泄を行っていた。 れいむは今、とてもしーしーがしたかったが、母れいむが妹まりちゃのしーしーの介助に時間がかかって、なかなか出来なかった。 「ゆっ!!おきゃーしゃん!はやきゅれいみゅもちーちーしちゃいよ!」 「ごめんね、おかあさん、おちびちゃんのしーしーのてつだいをしているんだよ。だから、おねえちゃんはもうすこしまっててね」 「ぴー」 「ゆうぅ……!」 ……就寝の時。 「ゆー、ゆーゆー」 「ゆーぴゃーぴゃー」 「しゅーや、しゅーや……、ゆぅ……!」 夜寝る頃になると、母れいむは子守唄のようなものを妹まりちゃに聞かせて、寝付かせていた。 れいむはさっさと寝たかったが、その歌のせいでなかなか寝れずにいた。 「ゆっ!!おきゃーしゃん!れいみゅははやきゅねちゃいんだよ!しょのへんにゃうたをやめちぇにぇ!!」 「ごめんね、おちびちゃんはこもりうたをうたわないとなかなかねれないんだよ。だから、ねむるまでまっててね」 「ぴゃぴゃー」 「ゆうぅぅぅぅっ……!」 ……れいむは全くゆっくり出来ない日々を送っていた。 母れいむはいつも妹まりちゃに付きっきりで、『お姉ちゃんだから、後でね』と言われてきた。 『我慢してね』とは言われていないものの、何であんなゆっくり出来ない奴なんかを優先するのか、分からなかった。 れいむにとって、妹まりちゃは『妹』では無く、ただ単純に『目障りな奴』としか見えていなかった。 そして何より、自分の暮らしている家から、自由に外へ出る事が出来なかった。 れいむ達はどこかの空き地の段ボールハウスで暮らしていたが、れいむは外の世界を知らなかった。 れいむは母れいむに外へ出かけたいと何度もせがんだが、母れいむは『そとはとてもきけんだから、おおきくなるまででちゃだめ』と言って、れいむが外へ出る事を許さなかった。 遊びたいざかりの年頃のれいむにとって、薄暗くて狭い段ボールハウスで、しかも目障りな妹まりちゃと一緒に一日を過ごす事は、れいむにとってかなりのストレスとなっていた。 ……そして、二週間後。 「ゆっ、それじゃ、おちびちゃんたち!おかあさんはたべものをさがしてくるからね!」 「ゆっ、いってらっしゃい、おかあさん!」 「ぴぴゃー!」 母れいむはれいむと妹まりちゃにそう言うと、食べ物を探しに外へ出かけた。 そして、段ボールハウスに残されたのは、れいむと妹まりちゃだけとなった。 「ぴゃぱぱー!」 「……」 妹まりちゃは、相変わらず奇声を発しながら体を震わせており、その様子をれいむは黙って見ていた。 ……そして、れいむはいきなり、妹まりちゃを揉み上げでバシリと叩いた。 「ぴいぃっ!?」 「いつもいつも、ぴーぴーうるさいよっ!!」 妹まりちゃは何故叩かれているのか分からず泣き出したが、それでもれいむは妹まりちゃを叩くのを止めなかった。 「おまえなんか、れいむのいもうとじゃないよ!おまえがいるから、れいむはちっともゆっくりできないよ!」 「ぴいぃぃぃぃっ!!ぴいぃぃぃぃっ!!」 「ゆっくりできないゆっくりのくせに!なんでいきてるの!?ばかなの!?しぬの!?おまえはばかなんだから、さっさとしんでね!」 「ぴゃあぁぁぁぁっ!!」 ……この二週間の間で、れいむは一つのストレス解消法を見つけた。 それは、母れいむがいない間に、妹まりちゃを虐める事だった。 全くゆっくり出来ない、役立たずで目障りな存在の妹まりちゃを虐める事に、れいむは全く罪悪感などは感じていなかった。 むしろ、それが当たり前とさえ考えていた。 「れいむはおおきくなったのに、おまえはぜんぜんおおきくならないね!やっぱりばかはせいちょうしないね!」 「ぴゃぱあぁぁぁぁっ!!」 れいむは子ゆっくりサイズまで成長していたが、妹まりちゃは産まれた時と、大きさが殆ど変っていなかった。 妹まりちゃは発育にも異常をきたしていたが、れいむはその事実を知らず、たとえ知っていたとしても、態度は変わらなかっただろう。 れいむにとって、妹まりちゃの価値観は、『目障りな奴』から『ストレス解消道具』に変わっていたのだった。 「しね!しね!やくたたずのぐずは……、ゆっ、もどってきたよ……」 れいむがチラリと外の様子を見ると、母れいむが口の中に食べ物を入れて帰って来たので、れいむは妹まりちゃを叩くのを止めた。 「ぴゅうぅぅぅぅっ!!ぴゅいぃぃぃぃっ!!」 「おちびちゃんたち、ただい……、ゆっ!?どうしたの!?おちびちゃん!?」 「お、おかーさん、またまりちゃがぐずりだしちゃったよ……、れいむ、なきやまそうとしたんだけど……」 「ゆっ、おちびちゃん、いいこいいこ、なかないでね……」 「ゆぴゅいぃぃぃぃ……」 母れいむは、泣き続ける妹まりちゃを必死にあやしていた。 (ゆふふっ!とりあえず、すっきりー!したよ!) れいむは妹まりちゃが喋れない事を良い事に、母れいむにデタラメを言っていた。 そして、妹まりちゃの体に叩いた跡が残らないように、毎回力加減をして妹まりちゃを叩いていたので、母れいむに虐めの事を気付かれずに済んでいたのだ。 「ぴいぃ……、ぴいぃ……」 妹まりちゃは、涙を溜めた目でれいむを見ていたが、れいむの心は全く痛まなかった。 それどころか、かえって怒りが込み上げてきた。 (……おまえがわるいくせに、なんでれいむをわるもののようなめでみるの!?わるいやつはせいっさいっしてとうぜんでしょ!?ばかなの!?しぬの!?) 自分は可哀想で全然ゆっくり出来ていないというのに、何故そんな目で自分を見るのか。 れいむには、それが分からなかった。 ……そして、己のゆん生を大きく変える出来事が起きようとしている事もまた、れいむには分かっていなかった。 ……ある日の事。 「ぴゃややあぁぁぁぁっ!!」 「ゆふふっ!ゆっくりできないゆっくりをせいっさいっするのは、とってもたのしいね!」 れいむはいつものように、母がいない間に、妹まりちゃを虐めて楽しんでいた。 ……が、その日はいつもと違っていた。 「ぴ……、ぴいぃぃぃぃっ!!ぴいぃぃぃぃっ!!ぴいぃぃぃぃっ!!」 「ゆぅっ!?」 いつもはただ叩かれて泣き叫んでいるだけだった妹まりちゃが、急にその場で何度も跳ね、お下げを振り回し始めた。 耐え重なる暴力への訴えか、それとも防衛本能からの行動か、理由は分からなかったが、妹まりちゃはいつもとは違っていた。 「こいつうぅぅぅぅっ!!じぶんがわるいくせに、ぎゃくぎれするなんて、とんでもないげすだよっ!!」 妹まりちゃの行動に腹を立てたれいむは、さらに揉み上げで妹まりちゃを叩こうとした……、が。 「ぴゃいやあぁぁぁぁっ!!」 ベチッ! 「ぴゃあっ!?」 妹まりちゃのお下げが、れいむの顔に当たってしまった。 「ゆ……、ゆ……」 今まで感じた事の無い、痛み。 それがゆっくり出来ない奴によって引き起こされた、痛み。 「ゆ……、ゆがあぁぁぁぁっ!!このくそまりさがあぁぁぁぁっ!!おねえちゃんにぼうりょくをふるいやがってえぇぇぇぇっ!!」 それにより、れいむの逆上は有頂天へと達した。 「このげすがあぁぁぁぁっ!!」 れいむは怒りに身を任せ、赤まりちゃに体当たりをした。 「びゅぽおぉっ!?」 自分より一回りも二回りも大きいれいむの体当たりを受けた妹まりちゃは弾き飛ばされ、段ボールの壁にぶつかった。 「せいっさいっしてやるうぅぅぅぅっ!!」 れいむはその場で飛び跳ね、妹まりちゃを押し潰そうとした、その時。 「なにしてるのぉっ!!」 「ゆんやぁっ!?」 後ろから何者かに髪の毛を噛まれ、後ろへと引きずられた。 「おねえちゃん!?いもうとにいったいなにをしているの!?」 「ゆっ!?」 ……そこにいたのは、食べ物探しから帰って来た、母れいむだった。 「ゆ……、こ、これは……」 「おかあさんはみていたよ!おねえちゃんがいもうとにたいあたりをしていたところを!……なんでこんなことをしたの!?」 「ゆ……、ゆぅ!れ、れいむは、なんにもわるくないよ!?こいつが、れいむにいたいおもいをさせるから……!」 バシッ! 母れいむに問い詰められ、そう言い訳をしたれいむの頬を、母れいむが揉み上げで叩いた。 「ゆびゃあぁっ!?いだいぃぃぃぃっ!!」 「……おねえちゃん。きょうは、ばんごはんはぬきだよ。じぶんがなにをしたのか、ちゃんとはんせいしてね」 母れいむはそう言うと、妹まりちゃの体を舐め始めた。 「おちびちゃん……、いたいのいたいの、とんでいってね……」 「ぴゃあぁ……、ぴゃあぁ……」 「お、おかあさん!れいむのほっぺもいたいよ!れいむにも、ぺーろぺーろしてね!」 れいむは母れいむにそう言ったが、母れいむはその言葉を無視した。 それかられいむは母れいむに再度ぺーろぺーろするよう言ったり、泣き喚いたり、癇癪を上げたりしたが、母れいむは無視する事に徹底していた。 (ゆうぅぅぅぅっ……!?なんでぇ……!?なんでれいむが、こんなめにあうのぉ……!?なんでれいむがおこられなきゃいけないのぉ……!?) れいむには、その原因が全く分かっていなかった。 (ゆぅ……!れいむは、とってもかわいそうだよ……!ぜんぜんゆっくりできないよ……!ゆうぅ……) そしてれいむは、暴れたり、泣いたりした事により疲れ果て、やがて眠ってしまった。 ……夜。 「ゆ……」 れいむが目を覚ますと、昼間でさえ薄暗い段ボールハウスの中がさらに暗くなっていた。 「ゆぅ……、ゆぅ……」 「ぴぴゃー……、ぴゅぴー……」 そして、少し離れた場所で、母れいむと妹まりちゃが身を寄せ合って寝ていた。 「ゆ……!」 その光景を見て、れいむの心に再び憎悪の炎が燃え上がった。 その憎悪の対象は、やはり妹まりちゃだった。 (こいつのせいで……、れいむは、おかあさんにおこられたんだよ……) れいむはじりじりと這いながら、寝息を立てている妹まりちゃに近付いた。 (こいつさえいなければ……!こいつさえいなければ……!) れいむは妹まりちゃを睨みつけながら、少しずつ距離を縮めていった。 (こいつは……、とんでもないげすだよ……!れいむがかわいそうなのは、ぜんぶ、こいつのせいなんだよ……!) ……そして、とうとうれいむは妹まりちゃのすぐ傍まで到達した。 (れいむをいじめる、こんなげすは……!) そして、れいむは大きく口を開け……。 (れいむが、ころしてやるよぉっ!!) 妹まりちゃの頬を、食い千切った。 「ぴゃあぁぁぁぁっ!?」 「ゆっ!?」 妹まりちゃは突然の鋭い痛みに悲鳴を上げ、その悲鳴を聞いて母れいむが目覚めた。 「お、おちびちゃん!?いったいどうし……、な、なんでおちびちゃんのほっぺがちぎれてるのぉっ!?」 「ぴゅぴゃあぁぁぁぁっ!!ぴゅぴいぃぃぃぃっ!!」 母れいむは何故妹まりちゃがこんな惨たらしい姿になっているのか訳が分からず、何か傷口を塞ぐものが無いかと周りを見回し、そして、見てしまった。 「うっめ!こいつ、めっちゃうめぇ!まじぱねぇ!」 れいむが何かを美味しそうに咀嚼している姿を。 ……そして、れいむの頬に付いていた、餡子も同時に。 「ゆっ!おかあさん!おかあさんもいっしょにこいつをころ」 「……でていけ」 「……ゆ?」 れいむのその言葉の先を、母れいむの静かで、ドスの効いた声が遮った。 「お、おかあさん?いったいなにを」 「いもうとをころそうとするげすなんて、おかあさんのこどもじゃないよ」 「な、なんで!?なんでそんなことを」 「でていけえぇぇぇぇっ!!このげすがあぁぁぁぁっ!!」 「!?」 母れいむの怒りの形相を目の当たりにしたれいむは、確信した。 ……本気で、殺されると。 「ぴ……、ぴいぃぃぃぃっ!?」 目の前の死への恐怖から逃れる為に、れいむは必死に跳ねて段ボールハウスから逃げ出した。 目から涙を、体中からは汗を、まむまむからはしーしーを、色々と水分を垂れ流しながら、必死に逃げ出した。 「なんでえぇぇぇぇっ!?れいむはなんにもわるくないのにいぃぃぃぃっ!!」 れいむは叫びながら、一度も振り返る事無く、夜の世界へと逃げ出した。 「ぴいぃぃぃぃっ!!ぴいぃぃぃぃっ!!」 「おちびちゃん……!しなないでね……!」 ……段ボールハウスに残されたのは、傷の痛みに泣き叫んでいる妹まりちゃと、妹まりちゃの傷口を備蓄の葉っぱなどで必死に塞ごうとしている母れいむの二匹だけとなった。 ……十分後。 「ゆうぅぅぅぅっ!!ゆうぅぅぅぅっ!!」 あれかられいむは、母れいむから少しでも遠ざかろうと、必死に跳ねていた。 涙も、汗も、しーしーも、全て出しきったが、それでもれいむは必死に跳ねていた。 「ゆ……、ゆうぅ……」 ……が、やがて体力の限界が来て、れいむは跳ねるのを止め、ずりずりと這っての移動に切り替えた。 「こ、ここはどこなのぉ……?」 れいむは這いながら、キョロキョロと周りを見回した。 コンクリートの壁。 アスファルト。 街灯。 時折れいむの横を通る、乗用車。 それら全てが、れいむが初めてみる物だった。 ……そして、すぐ近くにある雑木林を見つけた。 「ゆっ……!あ、あそこにかくれるよ……!」 れいむはその雑木林の中へ入っていった。 前へ進むたびに、葉っぱや木の枝がチクチクと体のあちこちに刺さるが、そんな事を気にしている場合では無かった。 そして、比較的周りに葉っぱや木の枝が無いスペースを見つけると、そこで体を休ませた。 「ゆうぅ……。れいむは、ゆっくりできないやつを、えいえんにゆっくりさせなくしようとしただけなのに……。いったい、なにがわるいの……?」 れいむはホロリと涙を流しながら、ボソリと呟いた。 「ゆっ……!そうだよ!れいむはなんっにもわるくないんだよ!!わるいのはぜんぶ、あのまりさなんだよ!」 そしてれいむは何度目になるか分からない責任転換をし始めた。 「そうだよ!おかあさんだって、れいむをころそうとした、とんでもないげすだよ!あんなくそばばあ、れいむのおかあさんなんかじゃないよ!」 とうとうれいむは母れいむまで罵倒し始めた。 「まりさも、くそばばあも、どうしてみんな、れいむをわるものあつかいするの!?ゆっくりできないゆっくりをせいっさいっすることは、ただしいことなのに!!」 一度湧きあがった怒りや不満感はなかなか収まらず、れいむはしばらくの間、妹まりちゃや母れいむの悪口を言っていた。 ……が、跳ねて移動した疲れが徐々に出てきて、れいむは再び睡魔に襲われた。 「ゆぅ……。とりあえず、れいむはす~やす~やたいむにはいるよ……。ねるすがたも、かわいくてごめんねぇ……」 そしてれいむは、比較的安全な場所に隠れたと判断し、眠りにつくのだった。 ……数時間後。 「……ゆ、ゆゆ~ん……、よくねたよぉ……。ねおきすがたも、かわいくてごめんねぇ……」 あれから数時間程寝ていたれいむは、雑木林の隙間から差し込んでくる太陽の光の眩しさで目が覚めた。 どうやら、昼過ぎまで寝ていたようである。 そして、目が覚めるのと同時に、空腹感がれいむを襲った。 「ゆぅ……。おなかがへったよ……」 昨日から何も食べていなかったので、当然と言えば当然である。 「とりあえず、ここからでるよ……」 いつまでもここにいても意味が無いと思ったれいむは、その雑木林を抜ける事にした。 そのまま来た方向へと戻っては、母れいむに見つかると思ったので、反対側へ進む事にした。 ……れいむが雑木林を抜けると、目の前には大きな建物があった。 それは、どこにでもあるような、ありふれた一軒家であった。 「ゆうぅぅぅぅっ!!とってもおおきなおうちだよぉっ!!」 れいむは産まれて初めて見る、とても大きな家に感動して、しーしーを漏らした。 「ゆっ!そうだ!ここをれいむのおうちにするよっ!!れいむはかわいそうなんだから、こういうおうちにすむくらい、とうぜんだよね!」 自分は今まで不遇な立場にあったのだから、これ位は良い思いをしても当然だ。 そう考え、れいむはその家の方へと跳ねていった。 れいむがベランダの方まで来ると、目の前にガラスが立ちはだかっていた。 「ゆうぅっ!!とうめいなかべさん!れいむをいれてね!ぐずはきらいだよ!……どぼぢでいれてくれないのおぉぉぉぉっ!?」 れいむは窓ガラスに自分を中に入れるよう命令したが、そんな事で窓ガラスが開く訳が無かった。 「いれろおぉぉぉぉっ!!かわいそうなれいむをいれ……、ゆっ!?」 痺れを切らして、窓ガラスに体当たりをしようとしたれいむは、家の中のあるものを見て、固まってしまった。 「こぼにぇー……」 家の中のリビングで、一匹の赤ゆっくりがスヤスヤと寝ていた。 ……その赤ゆっくりは、ゆっくりゆゆこだった。 そして、その帽子には、銀色に光るバッジが付いていた。 (な、なんなの?あのゆっくりは……。なんで、れいむのおうちのなかにいるの……!?) れいむの頭の中では、この家は既に自分の家という事になっており、赤ゆゆこはすっかり侵入者扱いされていた。 (ゆぎいぃぃぃぃっ!!れいむのおうちにかってにはいりやがってえぇぇぇぇっ!!そっこくおいだしてやるうぅぅぅぅっ!!) れいむは何とか家の中に入ろうとしたが、窓ガラスは体当たりでは壊れそうになかったので、どうすれば良いものかと餡子脳を悩ませた。 ……すると、ある事に気付いた。 「ゆっ!こんなところに、すきまがあるよ!」 見ると、窓ガラスは僅か数センチ程開いており、鍵はかかっていなかった。 れいむは窓ガラスの隙間に、頭を突っ込ませ、何度も頭を振りながら、無理矢理隙間から侵入しようと試みた。 れいむの体は、段々と隙間の中に入っていき、そして……。 「ゆうぅぅぅぅっ!!ここはれいむのおうちだよおぉぉぉぉっ!!」 リビングへと侵入したれいむは、赤ゆゆこに対し大声を上げた。 「こ……、こぼにぇ!?」 れいむの大声で目覚めた赤ゆゆこは、突然の侵入者に対し、驚きを隠せなかった。 赤ゆゆこが驚き、竦みあがってる内に、れいむは赤ゆゆこの方へと跳ね、どんどん距離を縮めた。 「こいつうぅぅぅぅっ!!おうちせんげんするまえに、せいっさいっしてやるうぅぅぅぅっ!!」 れいむは目を血走らせ、赤ゆゆこに体当たりをかました。 「こぼにえぇぇぇぇっ!?」 赤ゆゆこは弾き飛ばされ、コロコロと向こうへ転がっていった。 ……その際に、赤ゆゆこの帽子が落ちてしまった。 「ゆうぅぅぅぅっ!!げすのぼうしなんか、めざわりだから、こうしてやるよっ!!」 れいむはそう言うと、赤ゆゆこの帽子の上に乗っかり、その場で何度も跳ねた。 それにより、赤ゆゆこの帽子は徐々に潰され、あちこちが破けていった。 「こぼにえぇぇぇぇっ……!」 赤ゆゆこは涙を流して泣き叫んだが、れいむの頭の中は『ゲス』の帽子を踏み潰す事で夢中だった。 「ゆふぅ~!いいことしたあとにかくひとあせって、いいものだねぇ!」 ……そして、ゆゆこの帽子は完全にひしゃげてしまった。 れいむの心の中は、正義感と達成感で満たされていた。 「こ……、こぼにえぇぇぇぇ……」 赤ゆゆこは、以前は自分の大切な帽子だった布切れを見て、再び泣き声を上げた。 ……赤ゆゆこのその姿を見たれいむは、苛立ちがピークに達した。 「なんでないてるのおぉぉぉぉっ!?なきたいのはこっちなんだよおぉぉぉぉっ!?れいむのすてきなおうちにふほうしんにゅうしたくせにいぃぃぃぃっ!!」 赤ゆゆこの泣き叫ぶその姿が、妹まりちゃと重なったからだ。 「どいつもこいつもおぉぉぉぉっ!!れいむのことをいじめやがってえぇぇぇぇっ!!」 れいむの頭の中は、赤ゆゆこに対する怒りで一杯だった。 そしてれいむは赤ゆゆこを噛み殺そうと、大口を開けて跳躍しようとした、その時。 「ゆっ!?」 れいむはあるものを見つけ、飛び跳ねようとしたのを止めた。 ……自分から少し離れた場所に、小皿に盛られた、美味しそうな饅頭があったのだ。 それは、赤ゆゆこの為に用意されたおやつだった。 「ゆ……、そういえば、おなかがすいていたね!さきにはらごしらえをするよ!」 昨日から何も食べていなかったれいむは、一旦赤ゆゆこに対する怒りを忘れ、饅頭を食べる事にした。 「ゆふふっ!れいむはこれから、すーぱーむ~しゃむ~しゃたいむにはいるよ!それがおわったら、おまえのばんだからね!」 「こぼにぇ……」 れいむは赤ゆゆこにそう言うと、饅頭の近くまで跳ね、大口を開けて、その饅頭に喰らい付いた。 「む~しゃむ~しゃ!うめぇ!これめっちゃうめぇ!まじぱねぇ!あのくそまりさより、てらうめぇ!」 れいむは饅頭の餡子やら皮やら、あちこちに飛ばしながら、口汚くその饅頭を食べていた。 ……数分後。 「げっぷぅ~!たべるすがたもかわいくてごめんねぇ~!」 饅頭を食べ終えたれいむは、心身共に満足した。 「ゆっふっふ!はらごしらえもおわったことだし、こんどはせいっさいったいむにはいるよぉ!」 食後の軽い運動とばかりに、赤ゆゆこを制裁しようと、赤ゆゆこのいた方を見た、……が。 「ゆうぅぅぅぅっ!?どぼぢでいないのおぉぉぉぉっ!?」 そこに赤ゆゆこの姿はなかった。 れいむはリビングの周りをあちこち見まわしたが、赤ゆゆこはどこにもいなかった。 「にげたなあぁぁぁぁっ!!なんてひきょうなげすなんだあぁぁぁぁっ!!」 しばらくあちこちを探して、ようやく逃げたと気付いたれいむは、怒りと悔しさから叫び声を上げた。 「ころしてやるうぅぅぅぅっ!!みつけたら、そっこくころしてやるうぅぅぅぅっ!!」 れいむは赤ゆゆこに対する殺意を剥き出しにし、赤ゆゆこを探すべく、他の場所へ移動しようとした。 「寝惚けた事言ってんじゃねぇぞゴラァッ!!」 ……が、その第一歩を踏み出す前に、何者かに背中を思い切り蹴り飛ばされた。 「ゆびゃあぁぁぁぁっ!?おそらをとんでべびゃあっ!?」 れいむは顔面から壁に激突した。 「チッ……、窓ガラスが開いてたのか……」 「びいぃぃぃぃっ!?でいぶのうづぐじいかおがあぁぁぁぁっ!!でいぶのまっじろなはがあぁぁぁぁっ!!」 壁に当たった際に、顔面を強打し、歯も何本か折れてしまった。 「だれだあぁぁぁぁっ!!でいぶにごんなごどをするげすはあぁぁぁぁっ!!」 れいむは転げ回りながら、そう叫んだ。 「べっ!?」 「俺か?俺はなぁ……」 その何者かは、転げ回るれいむの体を、足で踏み付け、そして、こう言った。 「この家の主人なんだけどさぁ……?」 ~回想終了~ 「二階で昼寝してたらさぁ、何か下の方が騒がしいと思って降りてみたら、廊下でゆゆこが泣いてたのさ。……お前、ゆゆこに何した?」 「れ……れいむは、おうちせんげんしようとしたげすを」 「お家宣言してんのは手前ェだろうが糞饅頭が!ここは俺とゆゆこの家なんだよ!!」 青年はそう言うと、れいむを持ち上げ、床に叩き付けた。 「ばびゃあぁぁぁぁっ!?」 「何も悪くないだぁ?勝手に人様の家に入って、ゆゆこを酷い目に合わせて、何が自分は悪くないだゴラァッ!!」 「れ……、れいむはとってもかわいそうなゆっくりなんだよおぉぉぉぉっ!?だから」 「可哀想だから何だ!?不法侵入や殺しが許されんのか!?他の奴を酷い目に合わせる事が、許されるって事なのか!?」 「あたりまえでしょおぉぉぉぉっ!?かわいそうなゆっくりは、しあわせにならなきゃいけないんだよおぉぉぉぉっ!?なんでそれがわからないのおぉぉぉぉっ!?」 「……」 れいむのその言葉に、何故か青年は黙り込んでしまった。 「かわいそうなゆっくりをひどいめにあわせるげすは、せいっさいっされなきゃ」 「あぁ、そうかいそうかい。分かったよ、お前の言いたい事は。可哀想な奴は、幸せにならなきゃいけない。……そういう事だろ?」 「ゆっ!そ、そうだよ!だかられいむのやったことは、ただしいんだよ!」 「……そうかい。だったら、俺も正しい事をやらせてもらうよ」 青年はそう言うと、れいむの揉み上げを掴み、持ち上げた。 「い、いだいぃぃぃぃっ!!はなぜえぇぇぇぇっ!!でいぶのきゅーてぃくるなもみあげさんが、ちぎれるだろうがあぁぁぁぁっ!!」 れいむは必死に抗議したが、青年はそれを無視し、台所へと言った。 「今、『代わり』を用意するからな、待ってろよ、ゆゆこ」 「こ~ぼにぇ~」 テーブルの上には、先程の赤ゆゆこがいた。 そしてテーブルには、一枚の皿が置かれていた。 「はなじでえぇぇぇぇっ!!」 「もうすぐ離してやるから、待ってろよ糞饅頭」 青年はそう言うと、流し台まで行き、れいむを水で洗い、まな板の上に置いた。 「ゆっ!?な、なにする」 そして暴れようとするれいむを押さえ付け、れいむの髪の毛をリボンごと掴み、思い切り引き抜いた。 「はぎゃあぁぁぁぁっ!?でいぶのさらさらへあーがあぁぁぁぁっ!!げいじゅつてきなおかざりがあぁぁぁぁっ!?」 青年はれいむの叫び声を無視し、再び残っている髪の毛を毟る作業へ戻った。 「はぎっ!?いぎっ!?ゆぎゃあぁぁぁぁっ!?」 何度も髪の毛を毟られる度に、れいむは悲鳴を上げた。 ……そして、れいむの髪の毛は一本も無くなり、れいむはハゲ饅頭と化した。 「ゆぐぎいぃぃぃぃっ……」 「まだ終わりじゃねぇぞ?」 青年はそう言うと、今度はガスコンロの上に大き目のフライパンを乗せ、火を付けた。 「なっ、なにする」 「これしかねぇだろうがよ!」 青年はれいむを持ち上げると、れいむをそのままフライパンの上に乗せた。 「あぎゃあぁぁぁぁっ!?あづいぃぃぃぃっ!?でいぶのかもしかのようなあんよがあぁぁぁぁっ!?」 れいむは必死にウネウネと体を動かしたが、青年に頭部を押さえつけられていたので、ほとんど効果が無かった。 ……そして、れいむの底部は完全に焼け焦げた。 「あづいよおぉぉぉぉっ!!どぼぢでごんなごどするのおぉぉぉぉっ!?」 れいむは青年が何故こんな事をするのか分からなかった。 「……なぁ、れいむよぉ。……ゆゆこを見て、どう思うよ?」 「ゆうぅぅぅぅっ!?」 急に青年はれいむにそんな事を尋ねた。 「ぼうしがない、みじめなくそゆっくりにきまってるでしょおぉぉぉぉっ!?」 「……そうだよなぁ。大切な帽子が無いなんて、可哀想だよなぁ。……その帽子を潰したのは、お前だよな?」 「たしかにれいむはぼうしをふみつぶしたけど、それがなんだって」 「まだ分からないか?俺が言いたい事が」 「なんだっていうんだあぁぁぁぁっ!?」 「じゃあ分かるように言ってやる。ゆゆこは大切な帽子を失くした『可哀想』なゆっくり、お前はその帽子を潰した『悪い』ゆっくりなんだよ」 「ゆっ!?」 「『可哀想』なゆっくりは幸せになって、『悪い』ゆっくりは制裁されなくちゃいけない。……お前が言った事だろ?」 「あ……、あぁぁぁぁっ……!?」 「お前は、お前が駄目にしちまった饅頭の『代わり』になってもらって、ゆゆこに食べられるんだよ」 「や……、やべでえぇぇぇぇっ!?そんなのゆっぐりできないぃぃぃぃっ!!ゆるじでえぇぇぇぇっ!!」 ここに来て、青年が何をやりたいのかようやく理解したれいむは必死に泣き叫び、命乞いを始めた。 「お前はゆゆこに食われて制裁されて、ゆゆこは腹一杯になって幸せになれる。丸く収まるって訳だ」 「やだあぁぁぁぁっ!!やだやだやだあぁぁぁぁっ!!れいむ、かわいそうなのにいぃぃぃぃっ!!なんでこんなめにあうのおぉぉぉぉっ!?」 「そりゃ、悪い事をしたからさ」 そう言って青年はれいむを持ち上げると、今度は顔面をフライパンに押しつけた。 「ぎゅぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶっ!?」 れいむの口や飴細工で出来た歯が、熱によって焼かれ、溶け、あっと言う間にれいむの口は焼き潰された。 「……!!……!?……!……!!」 青年はフライパンを持ち上げると、テーブルの皿の上に、あちこちを焼かれたれいむを乗せた。 「ほらゆゆこ。腹一杯食べろよ?」 「こ~ぼにぇ~!」 赤ゆゆこは目を輝かせ、待ってましたとばかりにれいむの背中に噛み付いた。 「!!?!?!!!」 「はふっ!はふっ!こぼにぇ~!」 れいむは赤ゆゆこに背中を何度も噛まれ、その度に激痛に襲われ、涙を流した。 青年が口を潰したのは、いちいち叫び声を上げられてはうるさいと思ったからだ。 そんなれいむとは対照的に、赤ゆゆこは幸せそうな笑顔で、美味しそうにホクホクの餡子を食べていた。 「美味いか?ゆゆこ。次は赤ありす達を用意しておくからな。お前はカスタードが大好きだからなぁ」 「こぼにぇ~」 「……!!……!!」 れいむが必死に痛みに耐えている横で、青年と赤ゆゆこは楽しそうに笑っていた。 ……十数分後。 「すぅ……。すぅ……」 「……!!」 「……」 赤ゆゆこが、子ゆっくりサイズのれいむを全て食べきれる訳もなく、赤ゆゆこはれいむを食べ残したまま、スヤスヤと眠っていた。 それとは対照的に、れいむは背中の大部分を食いつくされ、中から飛び出た餡子が空気に触れ、それによる激痛で涙を流していた。 そして、青年はそんなれいむを静かに、黙って見ていた。 「……何かさぁ」 「……」 「今のお前を見ていると、確かに可哀想だなって思ってきたわ」 「!」 青年のその言葉に、れいむの表情が変わった。 「ゆゆこも十分満足しただろうし、もう良いや。この家から出してやるよ、お前」 「ゆぴ……、ゆぴ……」 「ゆぅ……、あんこさんがでなくなったよ……。よかったよ、おちびちゃん……」 そこは、とある空き地の、とある段ボールハウスの中。 その中には、あの母れいむと妹まりちゃがいた。 あれから母れいむは、妹まりちゃの手当てを寝ずに行い、その結果、餡子の流出を食い止める事が出来た。 幸い餡子自体はそれほど失わずに済んだので、安静にさえしていれば命の危険は無かった。 「ゆ……、ゆぴ……」 しかしそれでも、傷口を葉っぱで塞いでいるその姿は、やはり痛々しいものであった。 「……おちびちゃん……。……まりさ……。ごめんね……」 母れいむは目の前の妹まりちゃと、今はもういない、自分の番のまりさに向かって謝った。 母れいむにはかつて、同じ野良であるまりさに一目惚れし、一緒にゆっくりしようと誓い、番同士になった。 母れいむの頭の上に、新しい命が宿った時には、共に涙し、喜んだ。 まりさは母れいむと子供の為に、必死になって食べ物探しに勤しんだ。 ……が、ある日突然、まりさは帰らぬ身となった。 ゴミ袋から得た生ゴミや食べ残しを持ち帰る際に、車に轢かれてしまったのだ。 母れいむはその事故に立ち会った訳でもなく、そのまりさの死体を見た訳でもないが、いつまでもまりさが帰ってこない事で、悟ったのだった。 これで自分はしんぐるまざーになってしまった訳だが、母れいむはその事を言い訳にする気は無かった。 まりさの分まで、自分が頑張る。 そう心に決め、今日まで頑張って来た……、つもりだった。 ……あの時、何故、『あの子』に『自分で考えろ』と言ってしまったのか。 何故、それが悪い事なのか、一から聞かせるべきだった。 そうすれば、こんな事にはならなかった筈だ。 「……おちびちゃん……」 母れいむの頭の中で、様々な思いが渦巻き、次第に目元に涙が溜まり……。 「……ゆー、おきゃーしゃん、なかにゃいで」 その涙がこぼれ落ちる事は、無かった。 「お……、おちびちゃん……?」 「ゆ、ゆー」 「しゃ……、しゃべれるの……?おちびちゃん……?」 「ゆー、ゆぴー、お、おきゃーしゃん」 妹まりちゃは、たどたどしいながらも、必死に自分の口で、初めて母れいむを『お母さん』と呼んだのだ。 れいむに頬を噛まれた際の痛みが、ショック療法となったのかもしれない。 それとも、時間が経てば少しずつ改善出来る状態だったのかもしれない。 あるいは、ただ単に成長が遅かっただけなのかもしれない。 その理由は分からなかったが、母れいむにとって、そんな事はどうでも良かった。 「ゆ……!な、ないてないよ!おかあさん、ないてないからね!」 「ゆー、よかったー」 「お、おちびちゃん、おなかすいたでしょ?お、おかあさん、たべものをさがしてくるから、まっててね!」 母れいむはそう言って、段ボールハウスを飛び出した。 「ゆー、いってらっしゃい」 妹まりちゃの言葉を背に受けながら。 そして、折れかけていた決意が再び蘇り、そして、新しい誓いを立てた。 あの子の一生を、不幸なまま、終わらせない。 それがどれだけ大変な事であるか、それを理解したうえでの誓いだった。 (まりさ……、おちびちゃん……、れいむ、がんばるよ!がんばるからね!) そう思いながら、母れいむはいつもの狩り場である、ゴミ捨て場へと向かったのだった。 ……同時刻。 あれから青年はれいむの食いかけの部分を再び焼き潰し、袋に入れてどこかへ出かけた。 ……そして、青年が辿り着いたのは、青年がよく利用しているゴミ捨て場だった。 「なぁれいむ。俺は外に出すとは言ったけど、自由にするとは言ってないからな?」 青年は袋の中のれいむに話しかけた。 「……!!」 れいむは、青年の言葉に対し、怨みが込められた眼で青年を睨みつけた。 「もしかしたら、他の気の良いゆっくりが、お前を拾って何とかしてくれるかもな。……そうだな、ゆっくりショップで、ゆゆこの帽子を買ってから帰るか」 青年はれいむの入った袋を、ゴミ袋の山へと投げ捨て……。 「じゃあな、『頭』が可哀想なれいむちゃん」 そう言い残し、ゴミ捨て場を後にした。 「……!!」 袋の中のれいむは、青年の後ろ姿を、ただじっと睨みつけていた。 (……れいむは……。れいむは、かわいそうなんだよ……!だれか……!れいむをたすけてね……!) れいむはこの状況になっても、まだ何とかなると思い、諦めていなかった。 (くそまりさ……!くそばばあ……!はやくかわいそうなれいむをたすけろぉ……!!) そして、かつては殺そうとし、そして見捨てられた家族に助けを求めた。 (だれでもいいから……!かわいそうなれいむをここからだせえぇぇぇぇっ!!) どう考えても、れいむのゆん生はとっくに詰んだも同然なのだ。 それはれいむにも分かっていたはずだが、れいむはその事を理解したくはなかった。 自分の一生が、不幸なままでは終われない。 その気持ちが、れいむのゆん生への執着心への原動力となっていた。 ……そして、その気持ちが天へと通じたのか、外側から、何者かが袋を噛み千切ろうとしていた。 (やった!やったよ!れいむはたすかるよ!やっぱり、かわいそうなれいむはさいごにはしあわせになれるんだね!かちぐみでごめんねぇ!) ……そして、袋が完全に破れ……。 「ゆっ!?やったよ!きょうはおまんじゅうさんがあったよ!!」 END あとがき 私がSSを書く際に気を付けている事は、出来るだけシンプルな内容にまとめようとする事です。 今のところ、シンプルにまとまった事が一度もありません。 来週からテストがラッシュでストレスがマッハでヒャアってなりそうなので、もしかしたらしばらくはSSの投下は無理っぽさそうです。 出来れば、小ネタか何か書きたいなーと思っています。 ご意見、御感想、お待ちしています。 作者:ぺけぽん 感想用掲示板はこちら http //jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/ ミラーはこちら http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/1.html 今までに書いたSS anko1656 クズとゲス anko1671 うにゅほのカリスマ求道記 anko1767 あなたは、食べてもいい○○○○? anko1788 そんなの常識ですよ? anko1926~1928 二人はW ~Yは二度と帰らない~ anko2079 しんぐるまざー anko2750 無意識だから anko2786 ともだち anko3189 おちびちゃんは大切だよ! anko3210 バクユギャ anko3221 根本的な間違い anko3249 お兄さんは興味が無い anko3261 それぞれの願い anko3319 好みは人それぞれ anko3330~3331 HENNTAI達の日常~メスブタの家出~ anko3343 HENNTAI達の日常~駄メイドの休日~
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前 さっそく、まりさは自分の巣にれいむを案内した。 まりさの巣は、長老クラスに次いで群れの中で一番大きかった。 群れへの貢献から、まりさは立地条件の良い巣を譲ってもらい、それを拡張したのだ。 きっとれいむも満足してくれる……にんまりとまりさはほくそえんだ。 「ゆふ~ん、だーりんのとことくらべるとせまいけどまぁまぁだよ。ゆっくりしてあげてもいいよ。」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 凄いゆっくりプレイスを作れるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 「じゃあまりさはかりにいくから、れいむはゆっくりしていくんだぜ」 「ゆっくりがんばってね。」 まりさはれいむに親愛のすりすりをしてもらうと、元気に出ていった。夫婦としてのすりすり ではないことがまりさには悲しかったが、離婚したばかりなのだ。時間が経てばまりさにもきっと 愛情のすりすりをしてくれるはずだ。 ムカデ、ダンゴムシ、イモムシ、桜の葉、クローバー、大きな蛾。 頬に一杯食べ物を詰めてまりさはれいむの待つ巣に帰ってくる。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「むーしゃ、むーしゃ、それなりー。だーりんのとことくらべるとまずいけどまぁまぁだよ。 ありがとうね、まりさ!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 美味しい食べ物を採ってこれるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 食事の時間が終わり、まったりとした空気が流れる。 まりさはれいむの頬にこすりつけ、だんだんとスピードをあげていく。 いつの間にか体もぶるぶる小刻みに震る。目つきがとろんとしてくる。 つい、劣情に駆られてしまうのを止めるのも野暮なものだろう。 特に今日はあの美れいむをようやくつがいとして向かえた後である。たまりにたまっているのだ。 当然、交尾の時間となる。 「ゆっゆっゆっ……」 ねちゃねちゃとした、粘っこいものが糸を引きそうな音を出してこすり合わせる。 「ゆゆゆゆ……ゆっゆっゆっ……」 「…………」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 「…………」 二匹のほお擦りは加速していく。だが、興奮するまりさを尻目に、れいむはどこか冷めていた。 「ゆっゆっ……んほぉぉぉぉ!!!」 「すっきりー!!!」 「すっきりー」 二匹の交尾は終わった。 「ゆゆっ、まりさはそーろーだね。だーりんのとくらべるとへたくそだけど、しょうがないよね。」 「ゆあああああああ!!!どうじでぇぞんだごどいぶの~~!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。しかも、ボロクソに文句を言っている。 あの人間と比べられるのは癪だけど、意味が分からない。どう頑張ったところで、ゆっくりである自分より人間 がれいむをすっきりさせられるわけがないのだ。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。いまはすっきりーできないけど、おちびちゃんができるのは まりさだけだから、まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 そう思わなければ、まりさを支えるプライドが持たないのだ。 まりさの名誉のために言えば、人間と比べることが間違いなのだ。 そもそも、ただでさえ惰弱なゆっくりが交尾のときは完全な無防備になる。 野生の生物は交尾は早ければ早いほど良いのだ。 気持ちよさなど二の次、とにかく受精したら即警戒態勢に入る必要がある。 ゆっくりも、ご多分に漏れずそのパターンだった。 対して、男がれいむをすっきりーさせていた場合、天敵はいないためいくらでも時間をかけることができる。 手も足も道具もある人間のほうが、ゆっくりよりバリエーションも多いのは当然のことだ。 しかも、悲しいことに人間の足ですっきりーしまくったれいむと違って、まりさは初めてだった。 れいむを思うあまり、ほかのゆっくりに見向きもしなかった結果がこれである。 それでも、何とかれいむを妊娠させることが出来た。 胎児型の出産になるので、2週間後には元気な子供が生まれるだろう。 れいむが来てからの数日、まりさは全然ゆっくり出来なかった。 まりさがどんなに努力しても、れいむはそれなりにしか喜んでくれない。 いや、それはいい。愛するれいむのためなら、どんなに苦労しても、喜んでくれるまで頑張れる。 ただ、常に人間と比べられるのは我慢ならない。どうやっても勝てないと分かっているだけに、まりさ としても嫉妬しようがない。やり場のない怒りを覚えるだけである。 それでも、子供さえできれば……子供さえ出来ればきっとれいむはまりさの良さに気付いてくれる。 そんな願望に近い思いでまりさは耐えていた。 とうとう、出産日を迎えた。 「ゆゆ!?れっれいむ!ゆっくりがんばるんだぜ!!ゆっゆっふー!ゆっゆっふー!」 「が、がっばるがだで!でいぶがっばるがだで!!」 閉じていたれいむの産道が、今にも爆ぜんばかりに開き……ポンと1匹のでかいゆっくりを出産した。 「おっ、おじびじゃん!ゆっぐりじでね!!ゆっぐりじでねぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 れいむは涙ながらに喜んだ。最愛の娘との対面だ。ずっと、ずっとこの子をゆっくりさせてあげよう。 「ゆっくりしていってね!!」 まりさも嬉しかった。長年夢見ていたれいむとの家族だ。嬉しくないはずはない。 「おかーしゃん…?」 「そうだよ!おちびちゃんのおかーさんだよ!」 「ゆっくりしていってね!!というんだぜっ!」 「ゆっきゅり…ちて…いっちぇね」 「そうだぜっ!!がばいいんだじぇぇぇ!!!!」 「れいむ、みるんだぜっ!!とってもゆっくりしたおちびちゃんだぜっ!!」 「ゆー♪そうだねっ!!だーりんもよろこんでくれるよね!!」 静寂 「ゆぶぶぶぶ…………。もういやだぁぁぁ、ゆっぐりじだいんだぜぇぇぇぇ!!」 「ゆゆっ? どーしたの?まりさ。ゆっくりしていってねっ!!おちびちゃんがこわがるでしょ!?ぷんぷん」 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっぐりざぜでえええええええ!!!」 何も変わらなかった。 何一つとして、変わらなかった。 れいむは、まりさがプロポーズしたときから変わってなかった。 れいむの目に、まりさはつがいとして映らなかった。 「で、でいぶばあどじじぃとまりさとどっじがずぎなんだぜぇ!!!!」 れいむはまりさを受け入れてくれたはずなのに、いつまで経ってもあの男の子とは忘れない。 とうとう我慢できなくなったまりさは禁断の言葉を口にした。 「ゆゆっ?そんなの決まってるでしょぉぉおぉ!!まりさはばかなの?」 れいむは即答した。 そうだ、決まっている。 「まりさのほうがすきにきまってるでしょっ!!」 ああ、よかったんだぜ。れいむはやっぱりまりさをあいしているんだぜ。 それなら、まだがまんできるんだぜ。おちびちゃんたちがおおきくなるころにはきっと、 こんどこそまりさとゆっくりできるんだぜ。 「あいしているのはだーりんだけだけどね♪まりさったら、なにいわせるの?はずかしーよ!」 「…………でてってね。」 能面のような顔でまりさは静かに言った。 「ゆっ?」 「まりさのゆっくりプレイスからでていくんだぜぇぇ!!」 そう言うやいなや、まりさはれいむに体当たりを喰らわした。 れいむはまりさをあいしていなかったんだぜ。 そんなれいむとはもうゆっくりできないんだぜ。 「ゆべっ!」 「やめてよねっ!れいむがほんきになったらまりさにまけるわけないでしょっ!!」 いくら、まりさの戦闘力が高くとも、栄養状態の違いから固体の大きさが違いすぎる。 出産の疲れはあるものの、子供を守ろうと強い意志を持つれいむにまりさが勝てる道理 などなかった。 「“かてーないぼーりょく”をするまりさとはゆっくりできないよっ!!りこんするよ!!」 よかった。なにはともあれ、れいむはでていくんだぜ。 これでゆっくりできるんだぜ。 「“いしゃりょー”と“ざいさんぶんよ”をもらうねっ!!あと、“しんけん”はれいむ のものだよっ!!」 「ゆうううううううううううううう!!!やっ、やめるんだぜ!!まりさのたからものをかえすんだぜ!!」 「やべでー!!ばでぃざのだべぼのどらないでぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないいいいい!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ば、ばでぃざのべっどがぁぁ!!」 「じゃあ、これぐらいでいいよっ!!」 そうれいむが言ったあとは酷い様子だった。まるで強盗にでも合ったかのように、家はめちゃくちゃに荒らされた。 まりさが群れを救ったとき、長老達からもらったきれいな石。 まりさがれいむのために寝る間を惜しんで狩りした結果、たまった餌。 都会派のありすから貢いでもらった綿。 まりさの大切な物はほとんど全て奪われた。 「ゆゆっ!じゃあれいむはおうちにかえるね。まりさ、“りこん”したけどこれからもれいむの“しんゆう”でいてねっ!」 「もうにどとくるなだぜぇぇぇぇ!!!!」 ゆ、れいむがあんなにゆっくりできないゆっくりだったなんて……。 今までの思い出を振り返り、まりさは静かに涙を流し続けた。 でも、これでわかったんだぜ。まりさにふさわしいのはありすだぜ。 これからはありすのおもいにこたえるんだぜ。 まりさは気付かなかった。 散々大見得をきって人間のところに行ったものの、完膚なきまでに叩きのめされ、れいむにお情けでつがいにしてもらったのに、 れいむをゆっくりさせることが出来ずに三行半を突きつけられ、挙句実力行使でもれいむの返り討ちにあったまりさが群れのゆ っくりの尊敬を集めるわけなどないことに。 ありすが、れいむに対するまりさほどに辛抱強くないことに。 まりさがれいむと別れるまでの間は、ありすにほかのゆっくりとつがいになるのに充分なほどに時間が過ぎていることに。 「ゆゆっ!ただいま、あなた。」 「ああ、れいむか。久しぶりだね。その様子だと上手く行ったようだね。」 「ゆほーん、かわいいおちびちゃんだよっ!!」 あの晩、男とれいむの会話はこうだ。 「ゆゆ……あなた、ゆっくりきいてね!!たいせつなおはなしがあるの。」 「なんだい、れいむ。急に」 「れ、れいむはおちびちゃんがほしいよ!」 「ほほぅ?だが、僕は君に種付けることはできないよ。お隣さんに頼んで、ゆっくりを貸してもらっても良いが」 「ゆ~、あのねっ!れいむには“しんゆう”のまりさがいるの!!すっごくゆっくりできるんだよ!」 「成る程、じゃあそのゆっくりと子作りをしたいわけだ?」 「ゆっ!そうだよっ!でも、まりさはれいむがあなたとけっこんしている“ひとづま”だってしってるんだよっ! だ、だから、だからでいぶどりごんじでねぇぇ!あなだのごどあいじでるど、ゆっぐぢりがいじでねぇぇ」 途中から涙声になる。 「ああ、別に構わんが、群れに帰るのか。寂しくなるなぁ~」 「ゆゆっ!あなた、あんしんしてねっ!!おちびちゃんがうまれたら、“さいこん”しようねっ!! すこしのあいだだけど、がまんしてね!!」 ほ~。仮想離婚か。なかなか考えるなぁ。ゆっくりなのに。 「そのまりさは、うんというのかい?」 「だいじょうぶだよ、あなたっ!!れいむはまりさのことがだいすきだし、まりさもれいむのことがだいすきだよっ!! あいしているのはあなただけだけど、“しんゆう”のまりさはずっとれいむとかぞくをつくりたがってたしねっ!! きっと、まりさもゆっくりできるよ!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 元ネタは童話の「ねずみの嫁入り」(そんな名前だったような気がする) お家宣言して潰されるのなら、お家の人になってしまえば良いじゃない。 かいたもの 甘い話には裏がある。 このSSに感想を付ける
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注意 死なないゆっくりがいます。 ぬるめです。 死後のゆっくり 「ゆ、じじぃ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ!!にんげんさんはつうこうりょうをはらっていくんだぜ!!」 俺が道を歩いていると饅頭が話しかけてきたので蹴っ飛ばしておいた。 「ゆぎゃべ!!」 コロコロと道端に転がっていく。すると物陰から伺っていた番らしきれいむが出てきた。 「ばりざぁぁぁぁぁ!!だいじょうぶ!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!」 あたまの茎をゆっさゆっさ揺らしながらまりさに近づいてくる。よく落ちないな。 「ゆぐぐ、だいじょうぶだよれいむ・・・。って、でてきちゃだめでしょぉぉぉぉ!!なんででてくるのぉぉぉぉ!!」 「まりざがじんぱいだからでしょぉぉぉぉぉぉ!!どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉ!!」 なんかうるさいので黙らすことにした。 「ゆげっ!!やべっ!!ばりざざま・・・ゆべっ!!・・・づよいんだ・・・ゆぼべぇ!!」 「や、やめてね!!れいむにはあかちゃんがいるんだよ!!ゆへへ・・・れいむにはかわいいあかちゃんがいるんだがらてはだせないよね・・・ ゆっぎゃああああああああああ!!やべでえええええええええ!!でいぶにはあがぢゃんいるのにぃぃぃぃぃぃぃ!!」 さて、体は黒ずんでボロボロ、歯はガタガタ。帽子もリボンも見る影もなくなったこの二匹。 無事なのはあえて残したれいむの茎についた赤ゆっくりのみだ。 「ゆぁぁ・・・ごれじゃあもうゆっぐりでぎないぃぃぃ・・・」 「せっがぐあがぢゃんがうばれるのにぃぃぃ・・・」 まあこれだけ痛めつけられていれば自然治癒も難しいだろうからな。 「ゆぅぅぅゆっぐりじだいぃぃぃ・・・いだいのなんどがじでぇぇ・・・」 暇だし少しからかってやるか。 「なんとかしてやろうか?」 「「ゆ"ゆ"っ!」」 一斉にこっちを見るゆっくり。 「くそじじぃ・・・はやぐばりざざまをだずげるんだぜ・・・でないどいだいめみるんだぜ・・・」 「はやぐじでね・・・でいぶのがわいいあがぢゃんがみれなぐっでもいいの?」 こいつら・・・誰がこんなめにあわせたかもう忘れたのか? まあいいやこいつらの餡子脳に付き合っていたら時間がいくらあっても足りやしない。 「ああ、いい方法がある。・・・幽霊になればいいんだよ。」 「ゆうれい・・・?なにぞれ?」 「あ~なんていうか・・・すごくゆっくりしたゆっくりだけがなれる究極にゆっくりした状態・・・かな?」 「ゆ"、きゅうきょくにゆっぐり・・・?」 「ああ、そうすれば俺にも手出しはできないし、永遠にゆっくりできるんじゃないのかな?」 「ゆ"、どうずれば“ゆ~れい”になれるの・・・?」 「簡単さ、幽霊になりたいって強く念じながら眼をつぶるだけでいい。後の手順は俺がやってやるよ。」 「ゆっぐりりがいじだよ・・・ゆっへっへ、にんげんざんはばかだね!! まりざだぢはゆっくりをこえたきゅうきょくのゆっくりをてにいれるよ・・・」 「れいむたちはゆっくりをちょうえつするよ・・・。」 なんだか聞いたことがあるようなないようなセリフを吐いて眼を閉じる二匹。 なにやら必死に念じているようだ。・・・さて、動きも止まったのでさっさと踏み潰させてもらおう。 グシャ!! 「ゆべえっ!!」 グシャ!! 「ゆぼろっ!!」 見事にぺっちゃんこに潰れる二匹。間違いなく死んでいるだろうな。 さて、適当に思いつきで幽霊になればいいなんていったけどほんとうになったりするのかな? っていうかこいつらに魂ってあるのか? などと考えていたら、潰れた饅頭から何か白いものが出てきた。 「ゆ~どろどろどろ~・・・」 「ばけてでるよ~、おどろくの?しぬの?」 「うわっ、マジで出てきた!」 そこには憎たらしい顔と各々の飾り、あとよく幽霊がつける三角のやつ(天冠というらしい)のついた白い丸いものがゆらゆら浮かんでいた。。 「ゆっふっふ、まりさはゆ~れいさんなんだよ!どどろいたでしょ!!これでにんげんさんにもてはだせないよ!!」 「わかったらはやくおかしをちょうだいね!!れいむはおなかがすいたんだよ!!」 「ああ、わかった。・・・ホレ。」 俺は持っていた小さいキャラメルを地面に置いてやった。 「ゆっへっへ、ゆ~れいになったまりささまはむてきなんだぜ。あまあまさんいただくんだぜ・・・むぐむぐ・・・?」 「ゆゆ~ん♪さすがはれいむのまりさだよぉ~。じゃああまあまさんいただくよ・・・むぐむぐ。・・・ゆ?なにこれ?あじがしないよ?」 「ゆゆゆ!まりさもだよ!!やいくそじじぃ!!これはあまあまさんじゃないよ!!はやくちゃんとしたあまあまさんをちょうだいね!!」 「いや、違うよ。それはちゃんとしたキャラメルで甘いものだし。それに味がしないんじゃなくてお前らが食べることができてないだけだよ。 そら、ちゃんとそこにキャラメルあるだろ?」 男が指し示した場所には男の言ったとおりちゃんとキャラメルが原型のままあった。 「ゆ!ほんとだ!ゆっくりいただくよ!・・・むぐむぐ・・・どぼじでたべられないのぉぉぉぉ!!」 「そりゃ幽霊だからなぁ。この世の食い物は食えないんじゃないかな。」 「じゃあどうずればいのぉぉぉぉ!!」 「さあ?どうもしようがないんじゃないかな?」 「そんなのやだぁぁぁぁぁぁ!!」 じたばたと暴れる二匹だが実際俺にはどうしようもないことだしなぁ・・・。 ていうか幽霊だから物食わなくてもいいんじゃないのかね?教えないけど。 「ゆぎぃぃぃぃ!!まりざざまをごんなめにあわぜるばがなじじぃはじね!!ざっざどじね!!」 まりさがこっちにのろのろと突っ込んでくる。 「ゆ!いいよまりさ!!まりさのちょっといいところをれいむにみせてね!!」 「まかせてねれいむ!!」 しかしおそいなこいつら待ってるほうが疲れる。 ようやく俺にたどりついたまりさ。追突する直前に眼を閉じ防御体制をとる。 しかし、まりさのからだは俺のからだをスゥ・・・と通り抜けまりさはそれに気づかぬまま進んでいく。 「まりさーー!!うしろ、うしろ!!」 「ゆ?・・・ゆゆ!!きたないじじぃなんだぜ!!まりささまのこうげきをよけるんじゃないんだぜ!ぷんぷん!!」 そういって再び体当たりを試みるまりさ。だが何度やってもぶつかることはない。 「どぼじでぶつからないのぉぉぉぉぉ!?」 「まあ幽霊だからな。この世のものには干渉できないんじゃないか?」 「じゃあどうずればにんげんざんをだおぜるの!?」 「さあ?無理なんじゃないかな?俺もお前らを倒せないけど。」 「なにぞれぇぇぇぇ!!だまじだね!!ぐぞじじぃ!!」 「騙してないだろ俺には手出しできないんだから。」 「うるざいよ!!ごんなのぜんぜんゆっぐりでぎないよ!!」 ギャーギャー五月蝿いな。害はないとはいえあまりにやかましい。 そういえば前に読んだ漫画にお経で悪霊退散させるのがあったな。やってみるか。 「え~っとどんなんだったかな?確か・・・南無大慈悲救苦救難広大霊感うんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああああ!!やべでえええええええええ!!」」 お、効いてる、効いてる。なんか上のほうが薄くなってきてる。 「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカうんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああ!!いだいいいいいいいい!!エレエレエレエレ!!」」 なんか吐いてる。・・・これ病気とかを治すときに言う真言だったと思うんだが・・・ 適当でもいいのかな? 「チャー○ーヘッチャラーうんたらかんたら・・・」 「「ゆげげげげげげげげg!!ゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っ・・・」」 痙攣しだした、何でもいいみたいだな。本当に適当な連中だ。 しばらくして回復すると 「もうゆ~れいさんはぜんぜんゆっくりできないよ!!まりさとれいむをさっさともとにもどしてね!!」 「そうだよ!!もどさないとひどいよ!!ぷんぷん!!」 「そういわれてもなぁ。お前等のからだはもうあんなんだし。」 そういってつぶれた饅頭を指差す俺。 「ゆ!なにいっでるの!!まりざざまのうつくしいからだはあんなにつぶれてないよ!!」 「じゃああの帽子にも見覚えないのか?れいむ、おまえは?あのリボンに心当たりは?額に生えた赤ゆっくりに心当たりはないのか?」 「ゆっ!!た、たしかにれいむのりぼんさんだよ・・・じゃあれいむはいまのれいむはなんなの!?」 「だから幽霊だよ。お前等は死んだの。」 「ゆ、じゃ、じゃああれはまりさっでごど?」 「そうだよ。」 「・・・ゆ、ゆぎゃあああああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 「ば、ばりざあああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 あらあら、まりさのもらい吐きでれいむまで・・・ていうか零体になってんのに何はいてるんだろう? そんなことを思っているとなんとれいむの死骸に生えていた赤ゆっくりがぷるぷると動き出した。 もしかして踏み潰したときの圧力で餡子が蔦まで行って成長促進されたのだろうか? ぷるぷるぷる・・・ぷちっ!! 「ゆっくちちていっちぇにぇ!!」 一匹目が生まれた、まりさ種だ。まだはいていた二匹もその声に反応してそちらを向く。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!!」 「さすがれいむのおちびちゃんだよ!!とってもゆっくりしているね!!」 二匹は赤まりさにすりすりをするが赤まりさのほうはきょとんとしている。 そうしているうちに次々と赤ゆっくりは生まれた。その数7匹。赤まりさが三匹、赤れいむが四匹だ。 う~ん、こいつらの意見に同意するのは不快だが生まれたてのゆっくりはなかなか可愛い。おもわず目をくりぬいてやりたくなる。 「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇにぇ!!」」」」」」」 「おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!」 「おちびちゃんたち、れいむがおかーさんだよ!!ゆっくりしていってね!!」 俺から見ると始めての親子の会話なのだが赤ゆっくりたちからするとそうではないようだ。 「ゆぅ?おきゃーしゃん?どきょにいりゅにょ?」 「かきゅれてないぢぇにぇ!!きゃわいいまりちゃがうまれちゃよ!!」 「れいみゅおにゃかへっちゃよ!!ごはんちょーだいにぇ!!」 どうやら赤ゆっくりには親子が見えていないらしい。 「ゆゆゆ!!おちびちゃんたち、おかーさんはここにるよ!!」 「そうだよ!!ちゃんとこっちをみてね!!」 しかしやはり赤ゆっくりには伝わらないらしい。しだいに赤ゆっくりたちも苛立ってきた様だ。 「にゃんじぇおきゃーしゃんたちいにゃいにょぉぉぉぉ!?」 「こんにゃにきゃわいいれいみゅたちをおいてどこいっちゃのぉぉぉ!!」 「やくたたじゅなおやはちね!!ちね!!」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!」」 やはりゲスの子はゲスか。 生まれたばかりだというのにもう口汚くなってるし。 「ゆゆ!!しょこにょおにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんたちしらにゃい?」 ようやく俺の存在に気づいたらしく話しかけてくる赤ゆっくり。 「さぁ?俺は知らないなぁ?」 白々しくとぼけて見せる俺。と、親の二匹が抗議して来る。 「なにいっでるのぉぉぉ!?おちびちゃんのおかーさんはまりさたちでしょぉぉぉぉぉ!?」 「そんなこともわからないの!!ばかなの!?しぬの!?」 五月蝿い。 「南無大慈悲・・・以下略」 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」 「ゆべべべべべべべべべべべべべべ!!」 便利だなこれ。 そこに赤ゆっくりがまたしゃべり掛けてくる。 「じゃあおにーしゃん、かわいいまりちゃたちのためにごはんをもってきちぇにぇ!!はやくちてにぇ、ぐじゅはきりゃいだよ!!」 「いやだよ、・・・ていうかご飯ならお前等の後ろにたくさんあるじゃないか。」 「ゆ?ほんちょだ!あみゃあみゃなにおいがしゅるよ!!」 「なにいっでるのぉぉぉぉ!!ぞれはおかーざんだぢでしょぉぉぉぉぉ!!」 「たべちゃだめぇぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉぉ!!」 後ろの餡子の塊に向かっていく赤ゆっくりとそれを必死に止めようとする親二匹だが、二匹には止める術がないので結局・・・ 「「「「「「「む~ちゃ、む~ちゃ・・・ちちち、ちあわちぇ~♪」」」」」」」 「「ゆぎゃあああああああああ!!どぼじでだべじゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」」 赤ゆっくりたちはあっというまに二匹に群がりかなりの量を食べてしまった。 もうほとんど原型は残っていない。 「ゆぁぁぁぁ・・・ばりざのたくましいからださんが・・・」 「でいぶのぷりちーなおかおがぁぁぁ・・・」 赤ゆっくりたちは食べ過ぎたのかすでにおねむの時間のようだ。ゆ~ゆ~寝息を立てて寝ている。 するとそこに何かやってきた。 「う~う~!あまあまさんのにおいがするど~☆う~☆」 「「れれれ、れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」 親の二匹は大声をあげて空中をのろのろと逃げる。だから必要ないというのに・・・。 「う~☆あまあまいっぱいだっど~☆」 その声に気づき二匹も引き返してくる。 「おちびちゃんたち!!れみみゃだよ!!はやくにげてね!!」 「れみりゃはゆっくりできないんだよ!!ゆっくりしてないでいそいでね!!」 当然、聞こえていないので赤ゆ達はゆ~ゆ~寝たままだ。 「おにぃぃぃざぁぁぁぁん!!おちびちゃんたちをだずげでぇぇぇ!!」 「なんでもじまずがらぁぁぁぁ!!おねがいじまずぅぅぅぅ!!」 こいつ等にこんなに子を思う気持ちがあるとは思わんかった。 とりあえずれみりゃに話しかけてみる。 「おい、れみりゃ!」 「う~?おにいさんなんだど~?」 二匹はなにかこちらに感謝のまなざしを向けている。赤ゆを救ってくれるとでも思っているのだろう。 「おのこしはするなよ。」 固まる二匹。 「う~☆わかってるんだど~☆えれがんとなおじょうさまはおのこししないんだど~☆う~☆」 「ゆああああああああああ!!ちがうでしょおおおおおお!!」 「はやぐおちびちゃんたちをたすけでえええええええええ!!」 無視。 そしてれみりゃの食事が始まった。 まず、赤ゆを一匹づつつかみ底部を傷つけ逃げられないようにしていく。 「ゆ~・・・ゆ~・・・ゆ?ゆぎゃ!!まりちゃのあちがあああああああ!!」 全部が済むと一匹づつ中身を吸い出していく。 「う~☆あまあまおいしいどぉ~☆」 「ゆぎゃああああああああああ!!まりちゃ・・すわれっ・・・もっ・・・きゅち・・・」 「「おちびちゃああああああああああああん!!」」 しかし三匹ほど吸い出すと残った四匹を一箇所に集め丸めて固めだした。 赤ゆっくりは死んではいないようだが痙攣している。 「おい、れみりゃ。そいつらどうするんだい」 「う~?れみりゃのおちびちゃんのごはんにするんだどぉ~☆」 なるほど、子持ちだったか。まあれみりゃは捕食種だし見逃してもいいか。 「そうか、じゃあ子育てがんばれよ~」 「う~☆わかったんだどぉ~☆」 そういって飛び立っていったれみりゃ。 「ゆああああああああああああああ!まっでええええええええ!!」 「あがぢゃんおいでげええええええええええ!!」 今は同じく飛べる二匹だが速度がまるで違うし追いつけたところでできることもないだろう。 すぐにあきらめたようだ。 「あああ、れいむのおちびちゃんが・・・」 「まりさとれいむのあいのけっしょうが・・・」 さて、そろそろ飽きてきたし俺も帰るか。そう思って立ち上がると 「ゆ!じじぃ!どこいくんだぜ!!」 「れいむたちをこんなふうにしたせきにんをとっでね!!」 「そんなの知らないよ。お前たちがなりたいって行ったんだから自業自得だろ。」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」」 そしてそのまま帰る俺。とはいっても村はすぐそこだが。 「まっでぇぇぇ・・・おいでぐなぁぁぁ・・・」 「までぇぇぇぇ・・・まだないにんげんはじねぇぇぇぇ・・・」 面白いのでそのまま村の前まで追いかけさせてやった。 「ま、まっでぇぇぇ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 「おいでぇぇぇ・・・いぐなぁ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 霊体の癖になんで疲れるんだよ。なんとか村の前に来たゆっくり。、 しかしそこで 「ゆべっ!!」 「ゆぎゃ!!」 まるでそこに壁があるかのように吹っ飛ぶゆっくり。 「ゆぅぅぅ・・・なんでかべさんあるのぉぉぉ・・・」 「いだいよぉぉまりざぁぁぁぁ・・・」 「それは壁じゃないよ。結界だ。」 「「ゆ?」」 「さすがに強いのには効かないが知能の低い低級な霊や妖怪が入れないように結界がしいてあるんだよ。」 「まりざはでいぎゅうじゃないぃぃぃぃぃ!!」 「そっぢにいれろぉぉぉぉぉ!!」 「うるせぇ糞饅頭。ずっとその辺で彷徨ってろ。」 俺はさっさとそこを後にした。 「「ああああああああああ!!まっでえええええええええええ!!」」 残された二匹の幽霊饅頭は絶望したこれからどうすればいいのだろう。 なにをすればいいのかまったくわからない。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!でいぶぅぅぅぅぅぅぅ!!ごれがらどうじよぉぉぉぉぉ!!」 「わがらないよぉぉぉぉぉ!!なんどがじでよぉぉぉぉぉ!!ばりざぁぁぁぁぁ!!」 ゆーゆー泣いているとなにか近くの空間が歪んで来た。 「ゆ・・・?なに?」 するとそこから何かが出てきた。 「ふっふっふ、地獄のそこからやってきた。不撓不屈の虐め魂を持つ男・・・虐待おにーサッ!!」 なにやら白装束を着た頭に三角をつけた男が腰を低くし両手を広げて出てきた。 「な、なんなのぉぉぉぉおにいざん!!」 「ふははは!!ゆっくりどもよ!!ようこそこちらの世界へ!!地獄でもさんざん虐めぬいてやるからな!!覚悟しろッ!!」 「「やだぁあぁぁああああああああああああ!!」」 男は再び高笑いを始め二匹の幽霊ゆっくりを捕まえ空間に消えていった。 そして二匹のゆっくりは虐待おにーさんによって死んでもゆっくりできないのでした。 あとがき 最近書いても書いても書きたいことの軸がぶれてしまい消しては書き直しの連続です。 一応これはなんとかなったと思うので楽しんでいただけたなら嬉しいです。 作者 甘党 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方 ゆっくり達のバザール ゆっクエ あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠 ラジコンうーぱっく 笛吹き男とゆっくり
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『Discrimination 1 ~帽子のない まりさ~』 33KB いじめ 差別・格差 自然界 おひさしぶりです。 かすがあきです。 注意 連続物です。 ぬるいです。 人間がでてきません。 死なない ゆっくりがいます。 チート気味なゆっくりがいます。 独自設定があります。 善良なゆっくりが酷い目にあいます。 Discrimination 1 ~帽子のない まりさ~ 1匹の亜成体の まりさが山奥で狩りをしている。 「っゆ!ちょうちょさん!ゆっくりつかまってね!」 蝶に狙いを定めた まりさは、蝶の動きを予測し大きく飛び跳ねる。 - パ クッ! そして、見事に蝶を仕留めた。 飛んでいる蝶を捕まえることは、虫網を持った人間でも難しい。 それを難なくこなすことから、まりさの狩り腕がよいことがわかる。 まりさの口内に、蝶の甘い体液が流れる。 蝶が絶命したことを確認した まりさは、そばにおいてある籠に蝶をいれる。 籠の中は、草花や、昆虫が大量に入っている。 「ゆ!こんなに たくっさん あれば だいじょうぶだよね?そろそろ かえるよ!」 そう言って まりさは籠を口で咥え、歩き出す。 通常、まりさ種は狩りの成果を帽子にいれて運ぶ。 だが、この まりさはそれをしない。いや、正確にはできない。 なぜならば、この まりさには自分の帽子がないからだ。 -------------- 「れっいむは れっいむ♪れっいむは れっいむ♪うまれた~とき から れいむは れいむだよ~♪」 群れに戻る まりさの耳(?)に れいむの歌声がはいってきた。 「ゆぅ。ゆっくりした おうただよ。れいむの おうただね。ひろばで うたっているんだね。」 歩くのを止めて、まりさは目を閉じ、れいむの歌に聞く。 「ゆ!?いけない、いけない。ゆっくりしてたら おさに しかられちゃうよ。」 しばらく歌に聞き惚れていた まりさは自分のしなければいけないことを思いだし、歩きだす。 まりさが所属している群れでは、狩りの成果の一部を群れに献上することが決められている。 献上された食料は長の家にある貯蔵庫で保管され、不猟の際や狩りにいけない家族(シングルマザー等)への食料援助となる。 まりさが今いる場所から、長の家までは、広場を横切ればすぐである。 が、まりさは遠回りをして長の家にいく。 広場では、れいむの歌を聞くために若い ゆっくりが集まっているからだ。 まりさも、同年の若い ゆっくりのように れいむの側で歌を聞きたいが、それはできない。 もし広場にいけば、苛められるからだ。 ゆっくりは、身体やお飾りに欠損のある個体を ゆっくりできない存在として認識する。 ゲスの多い群れでは、そういう個体は制裁の名の元に殺されることも多々ある。 幸い、まりさの所属している群れは、人間が滅多に訪れない深い山奥で食料事情が安定している為、ゲスの少ない群れである。 そのお陰で、帽子のない まりさでも一応群れの一員として生きていることが認められている。 が、所詮は一応である。他の ゆっくりからはバカにされ、苛められているのだ。 まりさの口調が 亜成体にも関わらずに だぜ言葉でないのも、苛めの悪化を防ぐためである。 「そして れいむの~♪ねがいは ひとつ~♪ずっと みんなと ゆっくり できますように~♪」 「ゆぅ。いい おうただよ。まりさも そばでききたいよ………れいむと なかよくしたいよ………」 れいむの歌を聞きながら、まりさは広場に近づきたいという欲求を我慢しながら、長の家を目指して歩く。 「おさ~~。まりさだよ。かりの せいかを もってきたよ。」 長の家(巣穴)にはいり、まりさが笑顔で叫ぶ。 「あら、まりさ。あいかわらず いなかものね。かりの せいかを みせてね。」 この群れの長は ありすである。 まりさ種以外のゆっくりに籠を配り、狩りの成果を一度にたくさん運べるようにしたり、 食料の再分配を行ったり、すっきり制限を儲けるなど、ゆっくにしては中々優秀な長である。 しかし、お飾りのない存在を見下すという本能に逆らうことはできず、まりさを常に見下している。 「ゆっくりごめんだよ。はい、これが かりの せいかだよ。」 まりさは笑顔を崩すことなく謝り、狩りの成果をみせる。 「まぁ、たいっりょう だったのね。とかいはな ちょうちょさんも あるわ。 まったく、いなかものの くせに かりの うでだけは それなりね。 まぁ、それもこれも おさで とっても とかいはな ありすが その かごさんを つくって あげたおかげね。 かんしゃないさい。 えぇっと、ほぞんしょくに むいているのは……」 「ゆぅ……あんなに いっぱい あったのに、ほとんど なくなっちゃよ………」 まりさが狩った大量の昆虫類のほとんどが群れに献上させれ、蝶と芋虫が1匹ずつしか残らなかった。 代わりに、苦い草がたくさん支給された。 他の個体は狩りの成果から一部を収めるだけだが、 帽子のない まりさだけは狩りの成果の ほぼ全てを献上しなければならない。 さすがに何もなしでは死んでしまうので、温情として、少しだけのご馳走と大量の苦い草が支給されている。 まりさは、悲しい気持ちを顔に出さず、笑顔で自宅に向けて歩く。 「ゆ!おぼうしのない まりさが いるのぜ!!」 帰り道、まりさは帽子を被った まりさ(以後、だぜまりさと表記)と、ちぇんに出会った。 ちなみに、3匹は昨年の秋に生まれているため、大きさに然程の差はない。 「まりさ、ちぇん。ゆっくりしていってね!!!」 まりさが笑顔で挨拶をする。 「ゆっくりしていってね!!!まりさは ゆっくりしているのぜ! でも、おまえ みたいな ゆっくりしていない ゆっくりを みたせいで ゆっくり できなく なりそうなのぜ!」 「ほんっとうなんだねー!おまえのせいで ゆっくり できないんだねー!わかれよー!!」 だぜまりさが まりさに因縁をつけ、ちぇんも それにのる。 「ゆぅ……それは ゆっくり ごめんだよ。」 まりさは笑顔を絶やすことなく、謝る。 抵抗をし、喧嘩になれば1対2で まりさが負けるのは決まっている。 まわりに他の ゆっくりもいるが、喧嘩になった時、 自分の味方をしてくれる ゆっくりがいない事を まりさは理解している。 素直に謝り、笑顔で難を逃れようとしているのだ。 「あやまっても ゆるさないんねー!ばいっしょうを ようっきゅう するんだよー!!」 「そうなのぜ。さいっきょうの だぜまりささまを ふゆかいさんに させた つみは まりあなかいこうさんよりも ふかいのぜ。」 マリアナ海溝はおろか、海の存在を知らないくせに、何故かゆっくりは知らないものでの比喩表現を好む。 「ゆっくり ごめんだよ。ばいっしょうなら するよ。だから ゆるしてほしいよ。」 まりさが そういうと、2匹はニヤニヤしながら、まりさの籠を物色する。 「ちぇんは この いもむしさんで ゆるしてやるんだねー!かんしゃするんだよー!」 「っゆ!ちょうちょさんが あるのぜ!まったく、おぼうしが ないくせに なまいきなのぜ。 この ちょうちょさんは だぜまりささまが もらってやるのぜ!かんしゃするのぜ!!」 だぜまりさは蝶を自力で捕まえることができない。 まりさに狩りの腕で勝てるものはこの群れには存在しないのだ。 だが、帽子がないため、その腕は評価されることはない。 まりさの籠から芋虫と蝶がとられる。籠に残ったのは、苦い草だけとなった。 「だぜまりさ、ちぇん。なに してるの?」 2匹が まりさの籠から昆虫を取り上げたところで、れいむが声をかけてきた。 この れいむ、先程広場で歌っていた れいむで、群れの歌姫である。 さらに言えば、まりさたちと同年の若い ゆっくりで、群れでお嫁さんにしたい ゆっくりランキング1位でもある。 当然、3匹とも れいむに惚れている。 「なんでも ないんだねー。それより れいむ、きょうも おうたが じょうずだったんだねー。」 「ゆぷぷ。ありがとうだよ。」 「ほんっとうに れいむの おうたは さいっこうなのぜ。 ゆ!そうなのぜ!さいっこうに ゆっくり できる おうたを うたう れいむに ぷれぜんとさんなのぜ!」 「ゆわぁ~!!ありがとうだよ、だぜまりさ。とっても おいしそうな ちょうちょさんだよ! ちょうちょさんを くれる なんて さっすが だぜまりさだね!」 だぜまりさから蝶を受け取り、笑顔になった れいむが言う。 「ちぇんも ぷれぜんとさん なんだよー!いもむしさんだよー!うけとってほしいんだねー!」 「ありがとうだよ、ちぇん。いもむしさんも とっても おいしそうだよ。」 まりさが狩りったものだが、れいむはその事実を知らなければ、まりさが狩りの腕がいいとも思っていない。 れいむの中で、まりさは帽子のないゆっくりできない ダメな ゆっくりという認識である。 ゆっくりできない ゆっくりである まりさ ごときが蝶や芋虫を狩れるはずがないと考えているのだ。 「あ、あの………」 まりさも れいむに何をプレゼントしたかったが、あいにく籠の中は苦い草しかない。 「……………ねぇ、ふたりとも、あっちで いっしょに ごはんさんに しようよ。 それじゃぁね、ゆっくりしてない まりさ。いっておくけど、ついて こないでね。 ゆっくり してない まりさと いっしょに ごはんさんを たべたら、れいむたちまで ゆっくり できなくなっちゃうよ。 ゆっくりりかいしてね。」 れいむは まりさを一瞥した後、冷たく言う。 そして、3匹は 楽しくお喋りをしながら まりさから離れていく。 まりさは、離れていく れいむを、その場で見つめ続ける。 - ポ ン 「っゆ?」 れいむを見つめているまりさの足元に、何かが当たった。 なんだろうと思いながら足元を見ると、子まりさがいた。 大きさから見て、今春に生まれた子供であることが分かる。 「ゆ?おちびちゃん、どうしたの?もしかして まいごなの?」 散歩中に親とはぐれたのでは、と子まりさの心配をする まりさ。 「げりゃげりゃげりゃ。 おぼうちの にゃい ゆっきゅり できにゃい まりちゃを、 ちゃいっきょうの まりちゃが ちぇいっちゃいちゅりゅのじぇ!! きゃくぎょ ちゅりゅのじぇ!!!」 子まりさは まりさに向かって体当たりを繰り返す。どうやら、制裁のつもりらしい。 「ゆぷぷ。さっすが れいむの かわいい かわいい おちびちゃんだよ。 ゆっくり できないまりさを せいっさいする なんて、たくましすぎるね。 これも ぜんぶ れいむの こそだてが じょうず だからだね。れいむったら すごすぎるよ! すごすぎて、ごーめんねー!!」 子まりさの母親である れいむが、子供の悪戯を止めるでもなく、むしろ誇らしげな態度をとる。 「ぎゃんばっちぇにぇ!!おねーしゃん!!」 母れいむの隣では、子まりさの妹である子れいむが声援を送っている。 帽子のない まりさの扱いは常にこうだ。 成体は当然、子供からも、まりさはバカにされ、見下されている。 まりさは怒りたい感情を我慢する。もし怒れば、周りにいる成体ゆっくりから制裁されることを理解しているからだ。 「っゆっわぁぁあああああああ!!い、いたいよ、やめてよ。まりさは ゆっくり にげるよ!!!!」 まりさはそう叫び、自分の家に向かって跳ねる。 痛いというは当然ウソだ。子ゆっくりの体当たりなど痛いハズがない。 「っやっちゃのっじぇーー!!!ちょうりちちゃのじぇ!!やっぱり まりちゃは さいっきょうにゃのじぇーー!!!!」 「ゆぷぷ、さっすが れいむの おちびちゃんだよ。とっても ゆっくりしているね!」 「しゃっしゅぎゃ きゃわいい きゃわいい れいみゅの おねーしゃんだにぇ!!」 逃げていくまりさを見て、子まりさとその母親と妹が笑顔で叫ぶ。 まりさは毎日群れのゆっくりに苛められ、相手にされない。 まりさは帽子をもっていないからだ。 飾りのない ゆっくりは同属内で見下されるが、まりさ種は特に顕著だ。 まりさ種の帽子は食料を一度にたくさん運搬できる優れた物である。 故にまりさ種は狩りを担当することが多く、他のゆっくりから求婚されやすい。 つまり、大きくて立派な帽子をもっている = 生存上有利 = 魅力的 ということになる。 故に帽子の無いまりさ = 生存上不利 = ダメな存在 という認識ができあがる。 籠という、道具を使うことで、帽子と同じだけの食料運搬能力を持ち、ハンディを克服したとしても、本能に刻まれたことを覆すのは難しい。 事実、まりさは群れで一番の狩りの腕をもっているが、誰からも評価されることもなく、見下されている。 自分の家に戻った まりさは、何も言わずに独りの食事を始める。 「むーしゃむーしゃ……ふしあわせー。」 草を一口食べては、不満を言う。 この草、味は悪い。はっきりって、不味いのだ。 苦い草は本来、昆虫や花など美味しい物を食べた後、バカになった味覚を直すために食べるものである。 また、長期保存が可能なため、冬の間の主食になることが多いが、暖かい春に食べるものではない。 「むーしゃむーしゃ………むーしゃむーしゃ………」 まりさは食事をしながら、目に涙をためる。 食事が不味いからではない。苦い草の味など、とっくに慣れている。 「むーしゃむー………っぐすん………ゆ……っゆ………っゆっべぇぇぇぇぇぇぇん!!」 そして、泣き出した。口の中に残っていたものを吐き出しながら、まりさは泣く。 「どぼじでぇええええええ!!どぼじで ばりざには おぼうじが ないのぉおおおおおお!!!?? ばりざが どっだ ぢょうぢょざんなのにぃいいいいいい!!!!いぼぶじざんなのに゛ぃいいいいいい!!! おぼうじざえ あれば!!おぼうじざえ あれば、あんな やづらにぃいいいいいいいいいい!!! れいぶに だっでぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」 まりさは悔しさと情けなさから泣いている。 帽子さえあれば、食料を奪われることも、子供にバカにされることもない。 れいむと楽しくお喋りをすることも、一緒に食事をすることもできる。 「ばりざが!!ばりざが いちばん がりが うばいのにぃいいいいいいいいい!!! どぼじでぇぇえええ!!?どぼじで だれも゛ ばりざを ぼめでぐれないのぉおおおおおおおおおおおお!!!??」 まりさは泣き叫ぶ。群れの ゆっくりには決して見せることのない顔だ。 やがて、泣きつかれた まりさは眠りについた。 ------------ 夢。まりさは夢を見ている。 「あれは まだ おちびのころの まりさだよ。 だって、まだ ちいさいし、それに あの おぼうしは まりさのだよ。 みまちがえるはずないよ。あれは まりさの おぼうだよ……………………」 夢の中でまりさは まだ子供のころの自分を見ている。 幼い自分の頭には、綺麗な帽子がある。 帽子だけではない。まりさの側には、大好きな父まりさと、母ぱちゅりーがいる。 「まりちゃ、おちょうしゃんちょ おきゃぁしゃんぎゃ だいっしゅきだよ!ちゅーりちゅーり。」 「おとーさんも おちびが だいっすき なのぜ!すーりすーり。」 「むきゅきゅ。おかーさんも まりさが だいすきよ。すーりすーり。」 3匹は仲良く頬をすり合わせる。その顔はとても幸せそうだ。 一人っ子だった まりさは、毎日両親の愛情を独り占めでき、とても ゆっくりできた。 「おどうざん……おがぁざん……どぼじで、どぼじで ばりざだげを のごじで じんだの?」 まりさは、過去の幸せそうな自分達を見て、涙を流す。 「まりちゃは みんやちょ ゆっきゅち あしょぶよ!」 「まりちゃ、いっちょに あちょびょうよ!れいみゅ、まりちゃと あしょびちゃいよ。」 「あしょぶんにぇねー!わきゃりゅよー!」 「いっしょに あちょんでやりゅのじぇ!かんしゃ しゅりゅのじぇ!」 幼い自分が、広場でれいむ・ちぇん・だぜまりさ、それに他の子ゆっくりたちと遊んでいる。 帽子を被っていたころは、友達もたくさんいた。毎日、たくさんの友達と一緒に遊んだ。 いっぱい笑った。時には喧嘩をしたこともあるが、すぐに仲直りができた。 「みんな…………やさしかったよ。どぼじで、どぼじで びんな、ばりざを いじべるようになっだの?」 今と違い、みんなと遊べんでいる自分を見て、まりさは涙を流す。 「おちび、おとーさんが こうりつてきな かりの しかたを おしえるのぜ。 この かりの しかたを おぼえれば、かりの たつゆんに なれるのぜ。 ゆっくり きいて、よく りかいするのぜ!でも、みんなには ないしょなのぜ?」 「ゆっくりりかいしゅるよ!」 「むきゅ。おちびちゃん。 おかーさんが いきていくうえで たいっせつな ちしきを おしえてあげるわ。 たべられるもの、たべられないもの。 けがを したときの ちりょうほうほう。きけんな もの。 あと、にんげんさに ついてね。ゆっくり きいて、ちゃんと りかいしてね。」 「ゆっくりりかいしゅるよ!」 小さな自分が両親に生きるための知識を教わっている。 「ゆ!すっごいのぜ!おちび!さっすが まりさの じまんの おちびなのぜ!! ぺーろぺーろ。」 「むきゅ!すごいわ、おちびちゃん。さすが ぱちぇじまんの おちびちゃんね。 ぺーろぺーろ。」 狩りの腕をめきめきとあげ、また知識を吸収していく まりさを両親は褒め、ぺーろぺーろをする。 「ゆわぁぁぁあああ!!!ばりざが!!ばりざが ぼめられでるよ!!ぺーろぺーろ じでぼらっでるよ!!」 どんなに狩りで成果をだしても、褒められることも、 ぺーろぺーろを されることもない まりさは、過去の自分を見て涙を流す。 誰にも認められない毎日が辛い まりさにとって、 過去とはいえ、自分が誉められる光景が羨ましくてしかたがないのだ。 「ぼう やべでぇえええええええええええ!!! ばりざは ぼう おぎだいぃいいいいいいいいいい!!!みだぐないぃいいいいいい!!! ゆっぐりでぎだ ごろなんで おぼいだじだぐないぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 夢の中で まりさは泣き叫ぶ。幸せだった頃の映像を見たところで、今の自分がより惨めになるだけなのだから。 まりさの願いが通じたのか、幼い笑顔の まりさが消えた。 代わりに、家の中で幼い まりさが まりさの視界にはいる。 幼い まりさは 不満そうな顔をしている。 「ゆ?っゆ!!??ま、ままままざが、まざがぁぁああああああああ!!!やべでぇぇえええええええええ!!!! お、おおぉおでがいじばずぅうううううううううううう!!!!ごの ゆべは みだぐないぃいいいいいいいいいいいい!!! ごべんなざいぃいいいいいいいいい!!あやばりばずがらぁああああああああああ!!!!」 まりさは必死で夢から覚めようとするが、どうしても覚めることができない。 「おちょうしゃん!いっちゃい いちゅに なっちゅら はりゅしゃんが きゅりゅにょ!?」 「ゆぅ、おちび。はるさんは まだまだ さきなのぜ。 はるさんがくるまで おうちのなかで ゆっくりするのぜ。」 「そうよ、おちびちゃん。おそとは ゆきさんで とっても さむいから、 あたたかい おうちのなかで ゆっくりしましょうね。」 冬ごもりの頃の記憶である。 「やじゃよ!まりちゃは おしょちょで あしょびちゃいんだよ! おしょちょで、れいみゅと あちょびゅんだよ! ゆきしゃん にゃんで きりゃいだよ!ちぇいっしゃい しゅりゅよ!!」 秋に産まれた まりさは、初めての冬ごもりの退屈で毎日イライラしていた。 通常、子ゆっくりは冬ごもり中は姉妹と遊び、毎日を過ごす。 だが、まりさは一人っ子の為、一緒に遊ぶ姉妹がいない。 「おちび、ゆきさんは せいっさいできないのぜ。はるさんに なるまでの がまんさんなのぜ。」 「むきゅ、おちびちゃん。おかーさんが おはなしを してあげるわ。」 「やじゃぁぁあああああああああああ!!!もう おはなちは あきちゃよぉおおおおおおお!!! おちょとで あしょびちゃいいぃぃいいいいいい!!! おちょうしゃんは さいっきょう にゃんでしょ?にゃんちょか ちちぇよぉおおおおおおお!!」 「おちび、まえも いったけど、おとーさんは さいっきょうじゃ ないのぜ。 ゆっくりの なかでは まりさは つよいほう だけど、 ゆっくりの ちからなんて たいしたこと ないのぜ。 じぶんと あいての ちからを ちゃんと りかいして かてない あいてには みつからないように にげるしかないのぜ。 だから ゆきさんに みつからないように、ここで かくれているのぜ。」 「っゆっぎゃぁぁああああああああ!!だっちゃらおきゃぁしゃん!! おきゃーしゃんは もりの けんじゃにゃんでしょ!? おさぎゃ いっちぇいちゃよ!!にゃんちょか ちちぇよ!!」 「むきゅ、おちびちゃん。ごめんなさい。 おかーさんは もりの けんじゃ なんかじゃないわ。 むれの なかでは ものしりな ほうだけど、おかーさんにも しらないことが いっぱいなのよ。 じかんさん いがいで はるさんを よぶ ほうほう だってしらないんだし。」 「じょんにゃなぁぁああああああああああああああああああ!!! にゃんでびょ いいぎゃら じゃっじゃど にゃんどがぢじぇぇぇええええええええええええええええええええええ!!!」 幼い自分が我侭を叫ぶ。 「やべでぇえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!! おでがいじばず!!!ぞんなに おおぎなごえを だざないでぇええええええええええええええええええ!!! ぞんな おおぎなごえを だじだら!だじだらぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!」 まりさが、自分の過去に向かって叫ぶ。まりさは憶えている。自分が叫んだ結果、どうなったのかを。 「むきゅ、おちびちゃん。おねがいだからしずかーにして。あんまりさわぐと、あぶないわ。」 「そうなのぜ。れてぃや、ふゆごもりに しっぱいしている ふらんや れみりゃが おうちに はいってくるのぜ。」 「じらないぃいいいいいいいいいいいいいい!!! ぞんなごどじらないいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 - ッ ト゛ ー ン !! 幼いまりさが泣き叫んでいると、巣の結界が破壊され、手が入ってきた。 「っゆっべぇ!!!??」 「おちびぃいいいいいいいいいいいいい!!!」 「おちびちゃぁぁぁああああああああああん!!!」 手に捕まり、まりさが外に出される。 「うー やっと あまあまを みつけたどーー。おおきなこえを だしてくれて たすかったどーー。 おかげで、ふゆさんを こせるどーー。」 「れ!!れれれれれれみりゃぢゃぁぁああああああああああああああああああ!!!」 生まれて初めて見る胴付き れみりゃに、まりさが悲鳴をあげる。 そして、自分が大きな声をあげたために捕まっていることを知った。 「うー。ちっこいのかー。もっと おっきいのが ほしーどー。」 「ちゅぶれ!ちゅぶれりゅぅううううううううううううううううう!!! げっぼ!っがっびゃ!!え゛れ゛れ゛れ゛ぇ゛ぇ゛!!げぇ゛!べっ!えげぇぇぇ゛ぇ゛!!! やべ!ちゅぶれ!!っげっぼぉおおおお!!!」 まりさは強く握られ、吐餡をする。 れいみりゃは まりさの吐餡に気が付くこともなく、もう片方の腕を巣にいれる。 「ごろじでぇえええええええええええええええええええええ!!! おでがいじばずぅうううううううう!!ごごで ばりざをごろじでぐだざいぃいいいいい!!!」 過去のできごとに向かって まりさが叫ぶ。 ここで自分が死んでいれば、惨めな今の自分はいないのだ。 ここで自分が死んでいれば、大好きな両親は死ぬことはなかったのだ。 「うーー、おっきいのー。おっきーのーーっいっで!!??」 巣穴にいれた手をいれていた れみりゃが叫び、手を巣穴から引き抜く。 引き抜かれた手に、父まりさが噛み付いていた。 「おちびを はなずのっぜぇえええええええええええ!!!!」 「おぢょうじゃぁぁあああああ!!!だっじゅっげっでぇえええええ!!!」 「いだいどーー!!ばなぜぇええええええ!!!ざぐやぁあああああああああああ!!!」 まりさに噛みつかれ、れみりゃは泣きながら手を大きく振る。 「っゆ!おちび!!!まってるのぜ!!」 父まりさは れみりゃから口を離し、まりさを捕まえている手にむけて大きく跳ね、そして思い切り齧り付く。 「うっばぁあああああああああ!!!ざぐやぁああああああああああああああああああ!!!」 激痛で、れみりゃが まりさを離し、まりさが地面に落ちる。 「おちび!!おうちの なかに はるのぜ!!!いちばん おくなら あんっぜんなのぜ!! おかーさんを まもるのぜ!!!」 「っゆっばぁぁああああああああああああ!!!」 まりさは父まりさにいわれたとおりに巣穴に向かって全力で跳ねた。 あまりに早く跳ねたため、帽子が飛ばされたが、それに気がつくことなく跳ねた。 「にげるなぁぁああああああああああああああああ!!! おどうざんど いっじょにだだがえ゛ぇえええええええええ!!!!! おでがいじばずぅぅううううううううう!!!!!!だだがっでぐだざいぃいいいいいいいいいい!!!! でないど、でないど、おどうざんがあぁぁあああああああああああああああぁぁあぁああああああああああ!!!」 まりさは自分の過去に向かって叫ぶ。が、まりさの希望は何一つ叶えられず、過去の自分は巣穴へと潜ってしまった。 「むきゅ!!おちびちゃん!!こっちよ!!こっちに きて!!!」 「おきゃぁじゃん!!!ごわっがっじゃよぉおおおおおおおおおおおお!!!」 まりさは母ぱちゅりーにつれられ、巣の最深部の狭い場所に入る。 そこで、2匹は頬を合わせ、時間が過ぎるのをただただ待つ。 「おきゃぁしゃん……きょきょわいよ………おきゃぁしゃん………」 ガタガタ震えながら、まりさが口を開く。 「むきゅ!おちびちゃん。だいじょうぶよ。ここに いれば ぜったいに あんっぜんだから。 おかーさんが すーりすーり してあげるわ。 すこし せまいけど、ゆっくり がまんしてね。 おちびちゃんは ゆっくりした よいこ だから だいっじょうぶよね。」 「おきゃぁしゃん………」 母ぱちゅりーの言葉と すーりすーりによって少しだけ落ち着きを取り戻した まりさが、 帽子をかぶっていないことに気が付いた。 「おぼうじが にゃいぃいいいいいいいい!!!! おぼうじざんが ないど、ゆっぎゅりでぎにゃいぃいいいいいいいい!!!」 「むきゅ!!だいっじょうぶよ、おぼうしが なくても おちびちゃん はゆっくりしているわ。 だから おちついて、おねがいよ。すーりすーり。ぺーろぺーろ。」 お飾りがない同属に敵意を持つのが ゆっくりである。 例え我が子・親・番・姉妹だとしても、平然と敵意を持つのだが、母ぱちゅりーは母性溢れる優しい ゆっくりであった。 帽子をなくした まりさの頬を舐め、慰める。 やがて まりさは泣き疲れ、眠ってしまった。 翌日、まりさは寒さと身体の痛みで目を覚ました。 「ゆぅ………しゃむいよ……いちゃいよ………っゆ?おちょうしゃん?おきゃぁしゃん?」 そして、両親がいないことに気が付いた。 「っゆ!!しょうだ!きにょう れみりゃに!!おちょうしゃん!!おきゃぁしゃん!!」 まりさは急いで巣穴の出口に向かって走る。 帽子がないことが少し気になったが、それよりも両親の安全を確認したかったのだ。 巣穴から出てすぐに まりさは母ぱちゅりーを見つけた。 「むきゅ。おはよう、おちびちゃん。おそとは さむいから、おうちの なかに いなさい。」 母ぱちゅりーが優しい顔で言う。 「おきゃあしゃん!!だいじょぶにゃの??おちょうしゃんは!?」 母ぱちゅりーの顔が曇る。 「むきゅ。おちびちゃん。よく きいてね。」 「やべでぇええええええええええええええええええええ!!! ぎぎだぐないぃいいいいいいいいいいい!!おがあざん!!いわないでぇええええええええ!!!」 まりさが過去の母ぱちゅりーに向かって叫ぶ。だが、その声は届かない。 「おとうさんは……おとうさんは……きのうの よるに、れみりゃに つかまったわ。 おそらくは、もぅ…………むきゅぅ…………」 母ぱちゅりーの推理は当たっている。 昨晩、父まりさは れみりゃに つかまり、巣に連れて行かれ、すで食べられている。 「うちょじゃ……うちょじゃぁぁああああああああああ!!! おちょうしゃんは さいっきょう にゃんだよ! ぢゃいっぎょうの おぢょうじゃんぎゃ ぢにゅばずに゛ゃいよぉおおおお!!」 「おちびちゃん!!いつも いっているでしょ!おとうさんも おちびちゃんも さいっきょうじゃないって! ちゃんと げんじつさんを みなさい!!げんじつさんを みで、どうずるがをがんがえなざぃ!! むきゅ!おちびちゃんは、おとーさんと おかーさんの こ でしょ?ゆっくりできる よいこよ。 だからゆっくり かんがえなざい!」 母ぱちゅりーは泣きながら まりさを叱る。 「おがあしゃん………でみょ、でみょ……やじゃょ……… おちょうしゃんぎゃ、お、おちょうしゃんぎゃ…… ゆべ……おちょしゃ……っゆべ……っゆっべっぇえぇええええええええええええええ!!」」 泣き出すまりさに、母ぱちゅりーは涙を流しながら すーりすーりをし、ぺーろぺーろをし、慰める。 しばらくして、落ち着きを取り戻した まりさに、母ぱちゅりーが言う。 「むきゅ。おちびちゃん、よくきいてね。おかーさんは こわれた けっかいを なおさないと いけないの。 けっかいを なおさないと、また れみりゃが くるかもしれないし、 さむい かぜさんや ゆきさんを ふせげなくなるの。 だから、おちびちゃんは おうちの なかで ゆっくり まっていてね。」 「まりさも てつだうよ!」 「むきゅ。ありがとう。でも ゆきさんの うえでの おしごとは とっても きけんなの。 だから おちびちゃんは おうちで ゆっくりしてね。おねがいよ。」 手伝うと言う申し出を断られた まりさは仕方なく家へと入る。 「むきゅ、それと おちびちゃん。てーぶるさんの うえに ごはんさんが あるから ぜんぶ たべてね。 ちょっと りょうが おおいかもしれない けど、きのう あんこさんを はいたから しっかり たべておいてね。」 巣穴に潜る際に、まりさは母ぱちゅりーに そう言われた。 家から出るときは気が付かなかったが、テーブルの上には いつも以上のご馳走がたくさん並んでいた。 「ゆわぁぁあああ!!しゅ、しゅごいよ。きょ、きょれ じぇんぶ たべちゃちぇいいにょ? ゆっきゅり いちゃぢゃきましゅ!!むーしゃむーしゃ……ちあっわっちぇーーーー!!!」 それから しばらく、まりさと ぱちゅりーは いつもより大目のご飯を食べるようになった。 寒い中、虚弱体質の ぱちゅりーが すぐに結界を直せるハズもない。 2匹は寒さで失った体力を食事量を増やすことで補っているのだ。 そして、数日後、なんとか結界の修復が終わった。 「むーしゃむーしゃ……おきゃーしゃん、ごはんしゃん しょんにゃに ちゅきょちで いいにょ??」 「ええ、おかーさんは ぽんぽんが いっぱいなの。 それより ごめんなさいね、まりさの ごはんさんの りょうが すくなくって。」 「ゆぅ……ちかたがないよ。ごはんしゃんの のきょりが すくないから…… ねぇ、おきゃーしゃん。まりちゃたち、ふゆしゃんを のりこえれりゅよね?」 まりさが不安そうに尋ね、母ぱちゅりーは笑顔で答える。 「むきゅ!もちっろんよ。おかーさんに まかせておきなさい!。」 「ゆん!ゆっきゅりりきゃいちちゃよ!!おきゃーしゃんぎゃ いうにゃら だいっじょうびゅ だよね!」 しばらくして、食料が尽きた。それでもまだ春はこない。 「おきゃぁしゃん。ごひゃんしゃんが もうにゃいよ。」 「むきゅ。そうね。おちびちゃん。でも だいじょうぶよ。まだ とくっべつな ごはんさんが あるから。 でもね、とくっべつな ごはんさんを たべたら、もう たべるものは ほんっとうに なくなるの。 だから、だいじ だいじに すこしずつ たべてね。 それとね、かわいい おちびちゃん。これから だいっじな おはなしを するから よくききなさい。」 「ゆ?」 いつも穏やかな母ぱちゅりーの顔が真剣なものに変わる。その顔はやつれており、少し怖く感じる。 「おちびちゃん。まず、はるさんが きたら、おさの ところに いきなさい。 そのさい おかーさんの おぼうしを かならず もって いきなさい。 そして、ふゆごもりちゅうに あったことを せつめいして、かごさんを おさから もらいなさい。」 「おきゃーしゃん?にゃにを いってりゅにょ?」 「むきゅ。いいから おききなさい、おちびちゃん。 ………おちびちゃんは これから ひとりで いきていくの。 おぼうしの ない おちびちゃんは すごく ゆうっしゅう だけど、 だれからも ひょうか されないかも しれない。 いっぱい ひどいことを いわれて、いじめられる かもしれない。 そのときに、ささえてくれる ゆっくりは だれも いない かもしれない。 でもね。どんなに りふじんでも、ぜったいに おこっちゃだめ。ていこうしたら だめ。 いつも えがおで、したてに でなさい。 そうすれば ひどいことも さいしょうげんで おさえられるから。 これは とても つらい ことよ。ゆっくりなんて できないわ。 でもね、ぜったいに しなないで。いきてさえいれば、かならず いいことが あるから。 えがおで がんばれば、いつのひか、ぜったいに ゆっくりできるから。 だから おねがい。いまいったことを ゆっくりりかいしてね。」 「おきゃぁしゃん??」 「やべでぇええええええええええええええええええええええええええええええ!!!! おでがい!!!びだぐないぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!! おがぁざぁああああああああああああああああああん!!ぞれいじょういっだらだべぇえええええええ!!!」 涙を流しながら、まりさは母ぱちゅりーに訴える。が、その声は届かない。 「おちびちゃん。ぱちぇの だいっじな だいっじな、かわいい かわいいおちびちゃん。 ぜったいに しなないでね。いきて いきて いきぬいて、いつか しあわせーに なってね。 おかーさんは、おちびちゃんが しあわせーに なれると しんじているよ。」 「おきゃぁしゃん!?いったいどうちちゃにょ!?」 母ぱちゅりーは まりさの質問に答えることもなく、そっとまりさの頬に唇をつけた。 「むきゅ。だいっすきよ、おちびちゃん。…………さぁ、おたべなさい。」 【おたべなさい】をした母ぱちゅりーの身体が二つに割れる。 他者に食料として身体を差し出すこの行為、 ぱちゅりー種が行うと、中身が生クリームで液体に近いため、 すぐに地面に溢れ殆どが無駄になってしまう。 その為、母ぱちゅりーは食事量を意識的に減らし、 体内の水分を減らし、中身がこぼれないようにした。 本能に忠実なゆっくりが食事制限をするのは辛く、厳しい。 だが、母ぱちゅりーは愛する我が子のために、これを行った。 まりさの母親が賢く母性あふれる ぱちゅりーでなければ、恐らく まりさは母親に喰われていただろう。 帽子がない まりさのことを愛してくれる ゆっくりなど極々少数なのだから。 しかし、喰われなかったことが幸運かは分からない。 これから まりさは、孤独な越冬をしなければならない。 越冬後、誰からも相手にされない人生(ゆん生?)を歩まなければならない。 それは、孤独を嫌う ゆっくり、それも子ゆっくりである まりさにとっては地獄と同じである。 「おぎゃぁじゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」 まりさは泣叫ぶ。愛する母親が、二度と見たくない光景を、夢とはいえ見てしまったのだ。 あの日、母が死んだ日、まりさは独りになった。 そして、母ぱちゅりーの遺体を少しずつ食べ、越冬に成功した。 越冬後、まりさは母ぱちゅりーの言葉に従った。 長に事情を話し、一応の理解は得られた。 そして、籠を与えられ、狩りをするようになった。 同年のゆっくりは、まだ親元で暮らしており、狩りも遊び半分程度でいい。 だが、まりさは違う。大人と同じだけ働くように言われている。 そして、せっかく集めた食料も味のよいものは殆ど献上させられた。 なぜなら、まりさには帽子がないからだ。 まりさは、周りからバカにされながらも、必死で狩りをする。 狩りが上達すれば、周りに認められると信じて。 そして、狩りの腕は群れ一番になった。 だが、決して評価されることはない。 なぜなら、まりさには帽子がないからだ。 まりさは母ぱちゅりーの教えを守って、毎日笑顔で過ごした。 どんなにバカにされようとも、どんなに理不尽なことを言われようとも、 無視されようとも、ただ笑って誤魔化した。 そして、毎日家で泣きながら、眠りにつく。 悔しい思いを叫びながら、まりさは眠る。 毎晩、幸せだったころの夢を、家族を失った夢を見ている。 夢の中で泣叫び、涙まみれで朝を迎える。これが帽子のない まりさの日常である。 自殺という概念を殆ど持たない ゆっくりだが、まりさは自殺を考えたことがある。 だが、母ぱちゅりーの言葉がそれを思い留まらせた。 「ぜったいに しなないでね。いきてさえ いれば、かならず いいことが あるから。」 母ぱちゅりーのこの言葉が まりさにとって生きる唯一の糧であり、呪縛である。 -------------- 「……………ゆっくりおきるよ………………ゆぅ……また あの ゆめさんを みたよ………」 涙まみれの まりさが、ゆっくりと瞼を開け、身体を伸ばす。 そして舌で涙を舐めとり、籠を咥えて外にでる。 狩場に向かう途中、まりさは れいむを見かけた。 「れいむ、ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 れいむが挨拶をかえすが、顔は笑っていない。 ゆっくりは、【ゆっくりしていってね!!!】と言われると反射で返事をする。 れいむの返事は反射でしただけで、親しみの感情はない。 「ねぇ、まりさ。」 「ゆ?な、なに!?」 れいむに話しかけられ、まりさは喜ぶ。 「れいむに あいさつ なんて しないで。それと、あんまり れいむには ちかづかないで。 れいむが おぼうしのない ゆっくりしていない まりさと なかがいいって みんなに かんちがいされたら めいわくだよ。 ゆっくりりかいしてね。それじゃぁね。」 「ゆぅ………ゆっくりごめんだよ…………」 れいむは まりさを冷たい目で睨んだ後、ゆっくりと歩きだした。おそらく広場に向かっているのだろう。 そんな れいむを まりさは笑顔で見送る。 「よかったよ。れいむと ほんの すこしだけど おはなしが できたよ。 まだまだ きらわれているけど、いつかきっと、なかなおりができて おはなしが できるようになるよね?おかーさん。」 まりさは自分で自分を言い聞かせ、狩場に向かって歩き出す。 笑顔で頑張れば、いつの日にか ゆっくりできる。 母の言葉を信じて、今日も まりさは作り笑顔で頑張る。 努力だけでは、決して叶うはずのない願いだが、そのことに気が付くことはない。 帽子のないまりさはいつの日にか ゆっくりできると信じて、ゆっくりできない毎日を過ごしている。 つづく。 あとがき まりさの両親がチートすぎました。特に母ぱちゅりー。 賢いというのもあるが、子供のために食事制限をするなんて、ゆっくりとは思えない。 「むきゅ。おなかがすいたわ。……おちびちゃん………おいしそぅ……… っむっきゅ!?い、いけないわ。そんなことを かんがえたら。 はやく ぱちぇの すいぶんさんを へらさないと。 むきゅぅ…………おなかがすいたわ………ねむれないわ………むきゅぅ……おいしそうな おちびちゃん……」 毎晩空腹で眠れないぱちゅりーは、幸せそうに眠るまりさを凝視しながら、こんなことを言っていたかもしれません。 籠の設定と、ぱちゅりー種が【おたべなさい】をすると、 中身が液体に近いためあふれ出て無駄になるという設定はたぶん独自設定です。 独自設定のクセに、作中あまり いかせれませんでした。 気分を害された方、申し訳ありません。 虐待をしていませんが、続きでは虐待シーンがある予定です。 もしよろしければ、続きも読んでください。 過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3986.html
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4503.html
『みつぎもの』 9KB いじめ 小ネタ 番い 赤ゆ 虐待人間 いつもの小ネタです。 「にんげんのおねーしゃ!ゆっくちしていっちぇね!」 私に向かって元気に挨拶する一匹の赤ゆっくり。 少し仰け反りぎみになりながら、何故か得意そうに眉毛を吊り上げる。 「おねーしゃんは、ゆっくちできるの 『グチャ!』 っじぇ゛?!」 興味津々といった顔で私に何かを語りかけてきたが、私はその笑顔の物体をサンダルで踏み潰した。 赤ゆっくりは汚らしい音と共に嗚咽を上げて、目玉と餡子を飛び出させた醜い姿で潰れた。 「ゆ…ぐぅ…おちびちゃ…」 「ゆぅぅ…ぐぐ…ぅぅぅ…」 その様子を見ていた二匹の親ゆっくりが、悔しそうに唇を噛みながら両目に涙を溜めてうつむいている。 こいつ等は私の家の庭に住み着いた元野良ゆっくり。 勝手に庭に侵入し、そこら中を汚しまわった糞ではあるが、今はこうして私の庭で暮らす事を許されている。 その代わり、この庭に住むに当たっていくつか条件を出しておいた。 それが先程の赤ゆっくり。 私と親ゆっくりで決めた「みつぎもの」である。 この二匹は、私が花壇の花の痛みを思い知らしてやる為に、半分ほどゆっくりの体を潰してしまった為にろくに這いずる事が出来なくなった。 そのせいでここから逃げ出す事も出来ず、ましてや自分で食料を集める事も出来なくなったのだ。 私も流石にやりすぎたと思い、この庭で暮らす事を認めてやったが、代わりに二匹には3日に一度自分達の子供を「みつぎもの」として私に差し出すように言っておいた。 当然二匹は猛反対したが、私が二匹の顔の皮を生きたまま剥いでやったら、その条件を呑むと約束した。 その後剥いだ皮を適当につけてやったが、二匹は私に対して大分恐れを抱いているようだった。 それから最初の「みつぎもの」の日がやってきた。 「ゆぅぅ…おちびちゃんをどうするつもりなんだぜ?りっぱな、かいゆっくりにしてくれるんだぜ?」 「とうぜんだよ!れいむたちのたからものだよ!くそに…おねーさんも、そのかわいらしさにめろめろだよ!!」 自慢の赤ゆっくりを私の前に連れてきた二匹は、自信たっぷりといった表情で私と赤ゆっくりを見比べながら、人を見下すような笑みを浮かべる。 一方連れてこられた赤ゆっくりは、不思議そうに首を傾げるような動作をして私を見上げる。 「ゆゆぅ?おとーしゃ、おかーしゃ、れーみゅ、かいゆっく 『グチャ!』 びゃ?!」 私なそんな赤ゆっくりを持ち上げると、親ゆっくりの目の前で勢い良く握りつぶした。 赤ゆっくりは頭を異常に膨らませてから爆発させると、親ゆっくりや私の手に餡子を撒き散らして息絶えた。 「ゆ?………ゆ、ゆっがぁぁぁぁぁぁ?!どーじでおちびちゃんが、じんでるんだぜぇぇぇぇ?!」 「ゆっびぃぃぃぃぃ?!でいぶにの、がわいいおちびちゃんがぁぁぁぁ?!どーじでこんなごどずるのぉぉぉぉぉ?!」 親ゆっくり達は突然の事態に頭がついてこなかったのか、両目を飛び出さんばかりに見開いてしばらく沈黙する。 そしてようやく状況が理解すると、不細工な顔でポロポロと涙を零しながら、びったんびったんとその場を飛び跳ね回る。 私はそんな二匹を思い切り蹴り上げると、ボールのように転がっていった黒帽子のゆっくりを足で踏みつけた。 「大声を出すなって言ってあるでしょ?解らないならもう一度潰れてみる?あのゴミ虫は貴方たちが私にくれたのよ?だからあのゴミ虫をどうしようと私のかってでしょ? そのくらいの事で、いちいち騒がないでよ!」 「ゆっびぃぃぃ!つぶれるのはいやぁぁぁぁ!おちびはごみじゃないぃぃ!どーじでこんなごどっずぅぅぅぅぅぶぶぅぅ?!」 私はまりさとか言う糞虫に優しく語りかけたのだが、糞虫は非常に物分りが悪く、大声で私に抗議してきた。 私はそんな糞虫の態度が気に入らなかったので、糞虫を踏みつけていた足に少しずつ体重をかけて糞虫を潰しにかかった。 糞虫は苦しそうに顔を歪めると、口と尻から餡子を垂らしてガタガタと震え始める。 「だから大声を出すなって言ってるのよ?やっとここまで動けるようになったのに、また前みたいに舌位しか動かせなくなりたいの?」 「ゆんぶ?!ぐぃぃぃ!ごべんばばいぃぃ!ごべんばばぐべぇぇ?!」 糞虫は私の足型に体をくぼませ、今にも体中の餡子を噴出しそうになっている。 私はそんな糞虫に強い口調で語りかける。 「今日から3日後に、またお前達の子供を私の所に持ってきなさい。嫌がったり大声を出したら、今度はその顔を半分くらい、治らないように潰してあげるからね?」 「ぶごぉぉぉ?!ぶげぇぇ!ごぼぉ!ごぼぉぉぉぉ!ぶんぶんぶん!!」 「それから、子供を作らなかった場合もお仕置きするからね。痛いのは嫌でしょ?それなら、どうすれば良いかわかるでしょ?」 「ぶっぎぃぃぃ!ごぉぉぉぉ!ゆっびきぃぃぃぃ!!」 私は糞虫の体に沈んだ足で、糞虫の中身をかき混ぜるかのようにグリグリと動かしながらゆっくりと話した。 糞虫は両目を血走らせ、涙と変な汁と小便を漏らし、私の問いかけに答えるかのような奇声を上げて気絶したのだった。 それから次のみつぎものの日 今度は小さな黒帽子を「みつぎもの」として、二匹の親は私の元にやってきた。 「こ、これがきょうの、みつぎものなんだぜ…ぜ!…とってもかわいい、おちびちゃんなんだ…ぜ!」 「そ、そうだよ!まりさにの、とーってもかわいい、ぷりてぃーなおちびちゃん…でしょ?」 二匹の親は私と目を合わせないようにしながら、何やら落ち着かない様子で「みつぎもの」を私に差し出した。 「みつぎもの」として差し出してきた黒帽子は、何故か小石の上に乗せられており、こいつ等が巣として使っている古びた犬小屋の中からは、 帽子を被ってない金髪の小さなゆっくりが、不安そうにこちらを見ていた。 「ゆ…ゆぅ…ど、どうしたんだぜ、おねーざん。このまえみたいに、ぐちゃっとこいつをつぶさないんだぜ?」 「そ、そうだよ!はやくぐちゃっとつぶしてね!そしたら、あんよさんがいたいいたいだよ!ゆっくりざまあみろだよ!」 二匹はそう言うと、冷や汗をダラダラと流しながら少し震え気味にニヤニヤと笑った。 私はこいつ等を何も考えてない糞虫だと思っていたが、私を罠にはめようという発想があったのだと少し感心した。 だが当然こんないい加減な罠にはまるはずも無い。 むしろ引っかかる者がいたら見てみたいものだ。 私は家に戻って新聞紙を数枚取ってくると、その内の一枚を丸めて「みつぎもの」として差し出された黒帽子をその上に乗せた。 そしてその周りに適当にちぎった新聞紙で散りばめ、マッチで火をつけた。 幸い今日は風もなく、この程度のゴミを燃やしても何の問題もないだろう。 「ゆっがぁぁぁぁぁ?!なにじでるのぜぇぇぇぇ?!どーぢておちびちゃんのおぼーしに、まっかなふぁいあーさんがついてるのぜぇぇぇ?!」 「たいへんだよ!おちびちゃんのおぼーしが、かじさんだよぉぉぉぉ!までぃざぁぁ!はやくけしてね!いますぐでいいよぉぉぉぉ!!」 「ゆ?!…ゆっぴぃぃぃぃ!なにありぇぇぇぇぇ?!まりちゃのおぼーち!どーなっちぇるのじぇぇぇぇぇ?!」 真っ赤な炎に包まれて少しずつ形を崩していく黒帽子。 一応親ゆっくりは、帽子が燃えているのを認識しているらしい。 どこかで火を見たことがあるのか、それとも受け継がれた記憶なのだろうか。 だが、小屋で様子を伺っていた金髪のゆっくりは、ぽかんと口を開けたまま無言で固まる。 そしてしばらくすると、帽子の異変に気がついたのか、小屋から勢いよく飛び出してきた。 「おぼーち!おぼーち!まりちゃのおともだち!まりちゃのあいでんてぃてぃー!まってるのじぇー!まりちゃがたすけるのじぇぇぇぇ!!」 小さな体を必死に弾ませ、燃えさかる帽子に向かって跳ねていく赤ゆっくり。 両目を見開いて涎を撒き散らしながら跳ねているが、恐らくこのままでは帽子にたどり着く前に帽子が消し炭になっているだろう。 私は手に取ったトングで帽子に跳ね寄る赤ゆっくりを捕獲すると、燃えさかる帽子がよく見えるように特等席に案内してやった。 「ゆっわぁぁぁ?!まりちゃ、おしょらをとんで、あっちゅぅぅぅぅいぃぃぃぃぃ?!」 『おちびちゃぁぁぁぁぁぁん?!』 帽子が燃えている様子をを直に見せてやろうと、火の真上に赤ゆっくりを持ってきてやったのだが、一瞬にして赤ゆっくりの髪の毛に火が引火してしまった。 赤ゆっくりは体をグネグネと動かして悶え苦しむが、火の勢いは少しも弱まらない。 涙や小便がだらしなくダラダラと溢れ出し、それがすぐに蒸発して周囲に甘い臭いを漂わせる。 二匹の親ゆっくりも、ポロポロと涙を零して赤ゆっくりの身を案じる振りをして見せるが、ギャーギャーと騒ぐだけで燃えさかる赤ゆっくりには近づこうともしない。 「おどーぢゃぁぁぁぁ?!おがーぢゃぁぁぁぁ?!だずげぇぢぇよぉぉぉぉ!どーじでなにもじでくれにゃいのぉぉぉぉぉ?!」 「おちびちゃぁぁぁぁぁん!まっでるんだぜぇぇぇ!いまだずけるよぉぉぉぉぉ!!」 「までぃざぁぁぁ!はやぐぅぅぅ!おちびちゃんが、もえでるでじょぉぉぉぉぉ?!」 涙目で親ゆっくりを見つめる赤ゆっくりだが、親ゆっくりは私を見てガタガタと震えるだけで何も行動を起こさない。 赤ゆっくりは暗い瞳で二匹の親を眺めながら、少しずつその身を黒く焦がしていく。 「ゆびび…おど……おが…がが…どーじ…で…ゆ…っぢ…ぢぢ…ゆぐぐ…うぅ………」 元気に叫んでいた赤ゆっくりだったが、髪の毛が全て燃え尽きてしまい、体の半分以上が黒こげになるにつれて、か細いうめき声をボソボソと呟くだけになってきた。 勢いよく体を震わせていたのも、今では時々ブルブルと震える程度に弱ってきた。 「ゆっぢ……ぢ………ゆ……ぢ………ゆ…ぢ…ぎぎ………ぢ………」 そして最後に涙を一粒ポロリと零すと、ガタガタと震える親ゆっくりを見つめながら動かなくなった。 親ゆっくり達はそんな赤ゆっくりを眺めながら、悔しそうに唇を噛み締めて何時までも泣いていた。 その後にこの二匹には騒いだ罰として、焼けた小石を1つずつ、尻穴から体内に入れておいた。 二匹は元気に踊り狂うと、大慌てで焼けた石を尻からひり出した。 その際に肛門周辺が真っ赤に焼け爛れ、しばらくの間排便が困難になっていたようだが、私に対しては絶対服従になった。 それからは、毎回素直に「みつぎもの」を献上するようになったが、大抵下を向いてポロポロと涙を零している。 一度子供を作らないで「みつぎもの」はないと言ってきた事もあったが、その時は無理やり交尾させて額から生えてきた茎を即毟り取ってやった。 その後で逆さにして底部の皮が破れる程布団たたきで叩いてやったら、しばらく動けなくなったが子作りは欠かさずやるようになった。 今では自分達が認識出来ないほど子供を作り、少しでも気を紛らわそうとしているようだが、私が時々間引きして、子供の数をゆっくり達が認識できる3匹以下に調整している。 最近では大分親ゆっくり達の体の調子が戻ってきているのだが、連日の「みつぎもの」の影響で精神が疲弊してきたのか、逃げ出すこともせずに庭で暮らしている。 「みつぎもの」の日は口と目を硬く閉じ、潰される我が子から目を背けて涙を流し、それ以外の日は嫌な事を必死に忘れようと、残された我が子と楽しそうに体を揺らして歌ったり昼寝をしている。 まあ、大声を上げてはしゃいでいれば、その度に私がお仕置きをしているのでこのゆっくり達はかなり大人しい。 いずれその内この親ゆっくり達は子供を作れなくなるだろうが、そうなったらコンポストというやつにしてみるのも良いかも知れない。 底辺を這いずるゴミ以下のゆっくり達が、私の花壇の花を駄目にした罪はまだまだ消えない。 「ゆゆぅ?ゆっくちしてい…」 グチャ!! 今日も庭に汚い餡子の花が咲いた。 完 徒然あき 挿絵:
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3692.html
『優しいおにいさん』 3KB いじめ 観察 思いやり 愛情 いたづら 飾り 家族崩壊 野良ゆ 子ゆ 都会 現代 すごく久しぶりに書きました 優しいおにいさん 「おぢびぢゃぁぁぁんどごにいるのぉぉぉぉ!!」 とある路地裏で薄汚いれいむが叫んでいる。 そこに一人の男が通りかかる。 「やぁ、れいむ。ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっぐりじでいっでね!!!・・・っゆ!それどころじゃないんだよ!!れいむのかわいいおちびじゃんがぁぁぁ!!」 「もしかして居なくなっちゃたのかい?」 「ぞうなんでずぅぅぅ!!しんじゃったまりさににたとってもゆっくりしたおちびちゃんがぁぁぁ!!」 「それは大変だ。僕も探すのを手伝ってあげよう。」 「ゆっくりしたおにいざん!!ありがどうございまずっ!」 ~数分後~ 「駄目だ・・・この辺を見て回ったけど何処にも居なかったよ。」 「ゆぅぅぅぅ!?ぞんなぁぁぁぁ!!」 「れいむ、言いにくいけどたぶん君のおちびちゃんはもう・・・」 「ゆ・・・。おにいざん、わかっでるよ・・・にんげんさんにもみつけられないんだからおちびちゃんはもうえいえんのゆっくりぷれいすにいっちゃったんだね・・・」 「・・・すまないれいむ。僕がもう少し早くここに来ていればおちびちゃんが見つけられたかもしれないのに!」 「ゆ、おにいさんは・・・わるくないよ。」 「れいむ・・・」 「れいむが・・・れいむがおちびちゃんからめをはなしていなければごんな・・・ごんなごどには・・・ゆぅぅぅ!!」 「れいむ涙を拭くんだ。過ぎたことをいつまでも悔やんでも仕方ない。おちびちゃんもきとそんなお母さんは見たくないって言うぞ。」 「そうだね・・・。れいむはおちびちゃんのぶんまでゆっくりいきていくよ!!(キリッ)」 「君は野良におくには惜しいほど素直だね。・・・そうだ!そんな君にいいものをプレゼントしよう。」 「ゆ?いいもの?」 「ほらさっき見つけた飾りのない変なゆっくりさ。こいつを君に進呈しよう。」 「ゆんやぁぁぁぁ!!おきゃぁぁぁしゃぁぁぁんきょわっかっちゃよぉぉぉ!!」 「ゆゆゆ!ほんとだね!うすぎたなくてきもちわるいゆっくりがいるよ!!」 「おきゃーしゃん!?どぼぢでじょんなぎょぢょいうのぉぉぉ!?まるでちじょうにまいおりたてんちしゃんのようなまりちゃがかえっちぇきたのにぃぃぃぃ!!」 「ばかいわないでね!!おまえみたいなごみくずがれいむのおちびちゃんなわけないでしょぉぉぉ!!」 「あらら、こいつはひどいゲスだな。れいむ、おちびちゃんの代わりといっちゃ何だがこいつをいじめて傷ついた心を存分に癒してくれ。」 「ゆっくりりかいしたよ!!こんなへんなゆっくりをいじめるくらいじゃれいむのかわいたこころはいやされないけどぞんっぶんにいためつけてやるよぉぉぉ!!」 「やじゃぁぁぁ!!おきゃーしゃん!どぼじでぞんなごぢょいうのぉぉぉ!?」 「うるさいよ!れいむのすとれすのはけぐちになれることをこうえいにおもってね!!」 「ゆぴぃぃぃぃ!!やじゃ、やじゃぁぁぁ!!」 「それじゃ僕はこの辺で、れいむ強く生きるんだぞ。ゆんごくに逝ったおちびちゃんのぶんまでな。」 「おちびちゃん・・・ゆんごくでみててね。おかーさんはつよくいきていくよ。」 「まりちゃここにいるよぉぉぉ!!ゆんやぁぁぁぁぁぁ!!」 「うるさいよ!!さっさとおうちにいくんだよ!!いますぐでいいよ!!」 「ゆんやぁぁぁ!!まりちゃのしゃらしゃらへあーしゃんをひっぱらないぢぇぇぇぇぇぇ!!」 「うるさいよ!おまえみたいなゲスはおうちについたらさっそくおしおきだね!!」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ~数日後~ あのれいむがどうなったか見に来た僕だったが見つけられたのは大小の黒い染みだけだった。 あの二匹がどうなったか興味があったので実に残念だ。 仕方ないので帰ろうと思ったがふと思いついてポケットから入れっぱなしでくしゃくしゃになった黒い帽子を取り出して小さい染みのほうに乗せてやった。 「よかったなれいむ、おちびちゃんが見つかったぞ。」 おわり