約 3,149,676 件
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4168.html
『野良ゆっくりは ゆっくりしている』 29KB 考証 差別・格差 日常模様 野良ゆ 現代 うんしー 野良でも ゆっくりできるんです かすがあきです。 注意 「」はゆっくりの発言です。 『』は人間の発言です。 虐待成分は薄いです。 うんうん注意。 足りない ゆっくりがでてきます。 野良ゆっくりは ゆっくりしている 更衣室で仕事着から私服に着替え、帰路につく。 『あぁ……つかれた。』 駅からでたところで、まりさを見かけた。 「おでがいじばずぅううう!!!ま、まりざを がいゆっぐりにじでぐだざいぃいいい!!! ばりざは きんばっぢざん でじだぁぁあああ!!おどいれも できばず!ごばんざんも もんぐいいばぜん!!」 当然だが、通行人は まりさを無視して通り過ぎてゆく。 俺もまりさを無視して歩く。 仕事でイヤというぐらい ゆっくりと付き合っているのだ。プライベートな時間ぐらい、ゆっくりから離れたい。 俺の勤務先は加工所だが、ゆっくりに対して別に興味などない。 就職難で、唯一合格したのが、今の勤務先なだけだ。 所属は第2企画部だが、製品の企画などめったにできないし、させてもらえない。 (まぁ、俺に才能がなく、アイデアが浮かばないという理由もあるが。) むしろ一斉駆除要員として扱われており、ここ2日間は駆除業務だけをしている。 虐待派ならば、楽しくてしかたがない一斉駆除だが、俺には肉体的にも精神的にも疲れるだけだ。 ゲスな固体に何かされたのならば別だが、俺と無関係のゆっくりを、 それも、日本語で助けてと泣き叫び、命乞いをする者を問答無用で駆除するのは、正直辛い。 加えて、一斉駆除は人件費がかさむだけの赤字業務なのだ。 (加工所は ゆっくり関係の商品を独占する代わりに、野良ゆっくり対策が義務づけされている。) 大した企画力もなく、一斉駆除ばかりしている俺の評価は、所内で低く、給料も中々昇給しない。 まぁ、それでも仕事があるだけありがたい。 Fラン卒の俺には分相応の仕事と収入だと思いながら毎日を生きている。 都心では単独行動が多い野良ゆっくりだが、住宅街は公園が多い為、野良ゆっくりの群れができる。 一斉駆除の後、ゆっくりがいなくなった公園にはすぐ野良ゆっくりが住み着き、群れができる。 新しい群れの ゆっくりたちは、最初こそ人間との距離をおいているが、3ヶ月程すると、 「れいむは かわいそうなんだよ!だから あまあまを ちょうだいね!」 と公園に訪れる人間にちょっかいをかけたり、 近隣の家に侵入し、お家宣言をする。 そして、被害にあった住民から一斉駆除の依頼が加工所にはいる。 依頼の頻度は、1つの公園から3ヶ月毎に寄せられる。 住宅街には公園が多く、結果毎日のように要請がきている。 群れだした頃は、人間との力関係を理解しているハズの野良が、 時間とともに何故こうも人間に絡みたがるのかが、実に不思議だ。 帰宅すると、ポストにゆっくりピースの機関誌が勝手にはいっていた。 暇つぶしをかねて、機関紙を読むと、 【何故野良ゆっくりは人間に絡むのか?】という記事を見つけた。 そこには、ストレスが原因だと書かれている。 ゆっくりピースの主張はこうだ。 ゴミ箱やゴミ捨場はゆっくり対策がされており、生ゴミなどの食料を得られない。 人間の生活圏には自然が少なく、虫といった ゆっくりの好物が少ない。 結果、不味い雑草がゆっくりの主食となり、ストレスが溜まる。 住むところも、野生のような穴や洞窟がなく、よくてダンボール、たいていは野宿となり、ストレスが溜まる。 野生と違い、人間との接触がある野良ゆっくりは身を守る為、人間に対して卑屈になり、ストレスが溜まる。 そして、ストレス解消のため、本能に従って、ゆっくりしようとし、より ゆっくりしている人間にゆっくりを要求する。 つまり、【お家宣言】や、【あまあまをよこせ】などの行為だ。 このとき、ゆっくりはストレスで暴走しており、人間との力関係を認識できなくなっている。 結果、大切な命が奪われてしまう。 これは互いに不幸なことだ。 なので ゆっくりがストレスを溜め込まない様に、 人間がもっと配慮をし、普段からゆっくりの要求を叶えるべきだ。 機関誌を読み終えた俺は、鼻で笑ってしまった。 ストレスが原因で、人間との力関係を忘れるのだから、ゆっくりにストレスを与えないようにしようだって? そんなのは不可能だ。 野良ゆっくりの生活など、惨めそのものなのだから、どう人間が配慮したところで、ストレスはすぐに溜まってしまうだろう。 まぁ、すべての ゆっくりに飼いゆっくりなみの生活を与えればいいのかもしれないが、 すぐに調子にのるのが ゆっくりだ。こちらが譲歩すれば、すぐに人間を奴隷とみなすゲスとなるに違いない。 飼いゆっくりが、それも金バッチや銀バッチが 捨てられているのがなによりの証拠だ。 ストレスが溜まったゆっくりは、人間との力関係を忘れ、人間に絡み、迷惑をかける。 奴らのストレスが溜まらないように、こちらが譲歩すれば、増長し、ゲスになり、人間に迷惑をかける。 どちらにせよ、ゆっくりは人間に迷惑をかける存在となるのだ。 俺はそんなことを考えながら、ゆっくりピースの機関誌をゴミ箱に捨てた。 ------------------------------------------------------ 翌日も一斉駆除で肉体的にも精神的にも疲れた俺は、重い足取りで帰路につく。 家への近道である公園にはいり、自動販売機でコーラを買う。 静かな公園だが、昨日の昼間は悲鳴が響いていた。一斉駆除の現場だったのだ。 『ん?』 コーラを取り出そうと屈んだところで、茂みに れいむがいるのを見つけた。 イヤになる。一斉駆除直後だというのに、もう野良ゆっくりが住みだしたのか。 この調子だと、また3ヶ月後にはこの公園で一斉駆除か。 「ゆーん!とってもゆっくりできるよ!!」 れいむの明るい声を聞き、俺は少しだけ興味が湧いた。 俺の位置からは、れいむの後ろ姿しか見えないが、 れいむは左の揉み上げがなく、リボンも右半分がなくなっているのがわかる。 身体や飾りに欠損がある場合、ゆっくりは「ぼうゆっぐりでぎなぃいいい!!」と叫び、以後不幸面をしている。 にも関わらず、あのれいむは「ゆっくりできる」と言っているのだ。 俺は静かに、茂みの中に足を入れた。 「おお、おろか おろか。」 れいむの目の前には、赤ゆっくりがいた。 「まりっしゃ!まりっしゃ!みゃみゃ…あみゃ。 ゆっくちっ!ゆっちゆっち!ゆっぴぃゆぴぃぃいゆーゆー!ゆっぴぃ!」 赤ゆっくりは、お飾りがないが、金髪のお下げから まりさ種だとわかる。 そして、言葉がおかしいことから、所謂足りない ゆっくりであることもわかる。 「まったく、おまえみたいな ゆっくりしてない ゆっくり みたことないよ。 ゆぷぷ。なに いってるか さっぱりだよ。れいむ みたいに みやびやかに しゃべってね!」 「ゆっぴぃ!ゆっぴぴ!!ゆっぴぴぴ!」 どうやら2匹とも、俺の存在には気が付いてないようだ。 「ゆぷぷ。ぜんっぜん だめだね! おまえみたいに ゆっくりしてない ゆっくりに、この ざっそうさんは あげないよ! この ざっそうさんは ぜーんぶ れいむのだよ。れいむの おじょうひんな たべかたを ゆっくり みててね! むーしゃむーしゃ……しあわせーー!! うっめ、これめっちゃうめーー!!まじぱねーー!!!けーきさんよりも おいっしいよーー!!」 雑草をケーキよりも美味しいという発言と、上品といいながら下品に食べる れいむに驚きを覚える。 「まりっしゃ!まりっしゃ!!ゆっぴぴ」 「ゆぷぷ。おまえも たべたいの?でも あげないよ。 おまえなんて、れいむの うんうんで じゅうっぶんだよ!かんしゃしてね!」 れいむは腹を大きく出っぱらせ、赤まりさのほうに汚い尻を向け、笑顔になる。 「うんうんするよーー!!かわいい かわいい れいむの すーぱーうんうんたいむが はっじまっるよーー!!」 汚い れいむが、汚い排泄物をだす。 ゴミがゴミを産みだす光景を見て、気分が悪くなるが、黙って見つづける。 「あみゃあみゃーー むーちゃむーちゃ……ちあわちぇーー!!」 赤まりさは、排泄されたばかりの うんうんに顔をつっこみ、食べ始める。 「ゆぷぷ!!! まったく、うんうんを たべて よろこぶなんて、おお、おろかおろか。 ゆぷぷ!!!!ゆーん!ゆっくりできるよ!!! れいむってば じぶんが せかいいいの ふこうさんだと おもっていたけど、 れいむよりも ゆっくりしてない やつが いたんだね!!れいむったら ゆっくりしすぎて ごーめんねー!!」 なる程。れいむの言葉で、何故こいつが ゆっくりしているのかが理解できた。 自分よりも不幸な存在を見て、自分は幸せだと慰めているのか。 要するに、【上見て暮らすな、下見て暮らせ】の理論で、自分を誤魔化しているにすぎない。 『やぁ、れいむ。ゆっくりしているね。』 「ゆ?に、にににんんげんさん!!???」 俺の存在に気が付いた瞬間、笑顔から一転、恐怖に引きつった顔をするれいむ。 『そんなに怯えなくてもいいよ。別に虐めたりなんてしないから。』 「ぼ、ぼんどうでずがぁぁあ!!?? で、でぼぉおおお、ど、どどどどうじでも れいぶを いじめだぐなっだら、 れいぶの がわりに、こいづを いじめでぐだざいぃいいいい!!! れ、れいぶは、ゆるじでぐだざいぃいい!!お、おねがいじばずぅうううう!!」 汚い舌で、赤まりさを掴み、俺の前に差し出しながら命乞いをする れいむに少しイラツキを憶えた。 『なる程、身代わりか。』 「ぞうでずぅうううううううう!! ゆっぐりじでいる れいぶよりぼぉおおお、 ゆっぐりじでない ごいづのほうが いじめがいが ありばずぅううううう!!」 『ふーん……でもさ、このゆっくりって、君のおちびちゃんじゃないのかい?』 「ち、ちがいばずぅううう!!! ご、ごごごんな ゆっぐりじでない おちびぢゃんなんで じりばぜんんんん!!! ごいづは ざっぎ じんだ ばりざの なががら でてぎだ ゆっぐりじでない やづなんでずぅうううう!!」 どうやら、れいむと まりさは親子ではないらしい。 恐らく、この まりさの母親は、昨日の一斉駆除を胎生妊娠している状態で、必死に逃げたのだろう。 運良く逃げのびたが、胎生妊娠しているところを無理に動いた為、胎児は足りない ゆっくりになり、母体も力尽きたのだろう。 足りないながらも、本能に従って、母親の餡と皮を食い破り、何とか産まれでたところを、このれいむに捕まったのだろう。 『そうだな。それじゃぁ、こいつは貰っていくよ。それじゃぁな。』 「ゆっぴぴ!ゆぴぴ!!ゆぴっぴぴぴ!」 俺はまりさを手にとり、れいむの前から消える。 まりさを公園に備え付けてあるゆっくり専用のゴミ箱にすて、 静かに、れいむに見つからないように、れいむの元へと戻る。 「ゆぅ………よかったよ、にんげんさんに つかまらなくて。 やっぱり れいむが ゆっくりしているから たすかったんだね!! れいむたら、ゆっくりしすぎて、ごーめんねーー!!」」 れいむは喜びを表しているのか、尻を もるんもるんと振り踊っている。 虐待派でないが、イラっとくる。あの尻の動きには、人をイラつかせる何かがあるのだろう。 そんなことを思いながら、れいむの観察を続ける。 3分ほどしたあたりで、れいむの動きが止まった。 「ゆ?おどっていたら おなかさんが すいてきたよ。 れいむは ざっそうさんを むーしゃむーしゃするよ。 むーしゃむーしゃ………それなりー。」 先程と同じ雑草だが、今度はあまり美味しくないようだ。 自分よりも下の存在の前で優越感に浸っていたから美味く感じたのだろう。 俺が まりさを連れ去ったことにより、自分が最下層となり、優越感がなくなった。 優越感というスパイスがなければ、雑草は不味いということか。 「ゆぅ……どうして れいむは こんなに ふこうさんなの? にんげんさんみたいに れいむも あまあまを まいにち たべたいよ…… おかざりも もみあげさんも こんなんじゃ、もう かいゆっくりを ゆうわくできないよ……」 恐らく、飼いゆっくりを誘惑していたところを飼い主に見つかり、虐待されたのだろう。 「ゆ!!そうだ!れいむ いいこと おもいついたよ! ゆーん!!さっすがれいむだよ!!!そうだよ、おうちせんげんを すればいいんだよ! ゆぷぷ。なんで こんなことに きがつかなかったんだろ。 むかし おとーさんが にんげんさんは おうちせんげんの るーるさんに にしたがわない げす だっていっていたけど、 こんなに かわいそうな れいむのため だもん、きっと わかってくれるよね!そうに ちがいないよ! ゆん!そうと きまったら、ゆっくり にんげんさんが いない にんげんさんの おうちを さがすよ!」 れいむの話を聞きながら、昨日読んだゆっくりピースの機関誌を思い出す。 ストレス解消用のまりさを失い、ストレスばかりの状況になり、 それを解消するために、人間に絡もうと(お家宣言)している。 俺に怯えていたことから、人間との力関係を理解しているハズだが、 ストレスが原因で 力関係を忘れているか、考えられなくなっているようだ。 『やぁ、れいむ。』 「ゆ!にんげんさん!れいむは とってもふこうさんなんだよ! だから あまあまを ちょうだいね!とくもりでいいよ!あと おうちを ちょうだいね!すぐでいいよ!」 さっきとの対応とは随分と違う。 『俺が怖くないのか?』 「ゆ?ゆぷぷ。れいむは とっても ふこうさんなんだよ。 だから やさしくしなくちゃ いけないんだよ。ゆっくりりかいしてね!」 さっきは まりさのお陰でストレス解消ができており、頭が冷静だったのだろう。 ちゃんと、人間との力関係を把握していた。 しかし、今はその余裕がない。本能に従い、自分を ゆっくりさせるための行動を短絡的にとっているようだ。 「にんげんさん!はやく かわいそうな れいむに あまあまを ちょうだいね!すぐでいいよ! ………ゆ!?おそらとんでるーーー!!?」 俺はれいむを両手で持ち上げ、何も言わずに歩く。 「ゆーん、れいむ とりさんに なったよ! にんげんさん!はやく れいむに おうちを ちょうだいね!ごうっていで いいよ!」 俺は れいむを ゆっくり専用のゴミ箱にいれる。 防音仕様のゴミ箱の中で、死臭が臭いと叫んでいることだろうが、俺には関係のないことだ。 俺は急いで家へと向かった。 -------------------------------------------------- 茎にぶら下がった実れいむが、プルプルと震え、茎から落ちる。 「ゆっきゅりちちぇいっちぇにぇーーー!!!」 着地後、目を大きく開けて、自分の誕生をアピールする赤れいむ。 自分を産んでくれた母親にたいする最初の挨拶だ。 「ゆぴぴ!!ゆっぴっぴっぴ!!!」 が、赤れいむの前にいたのは、リボンも髪も肌も汚れた、足りない れいむであった。 「ゆ?ゆぴゅぴゅ!!にゃーに、きょにょ ゆっきゅり ちちぇにゃい れいみゅは? おにゃじ れいみゅちょちちぇ はじゅかちいよ。にぇぇ、おきゃーしゃん?」 赤れいむは顔を左右にふり、母親を探す。 「ゆぴっぴ!!ゆっぴぴぴぴ!!ゆぴぴ!!」 が、視界にはいってきたのは、先程の足りない れいむ同様に汚れた、足りない まりさである。 「………おきゃーしゃん?ぢょ、ぢょぼじちぇぇぇええええ!!?? じょぼじちぇ おきゃーしゃんぎゃ いにゃいにょぉおおおおおおおおおお!!!??」 母親がいない状況に軽くパニックになり叫ぶ赤れいむが、わめきながら、足りない ゆっくりたちを見る。 「ゆ?きょ、きょにょ、きもちわりゅい ゆっきゅりたち、にんっちん ちちぇる?? ゆゆ??さきっぴょにの くきしゃんには、みゆっきゅりぎゃ ちゅいちぇ いにゃい………」 赤れいむは、足りない れいむの茎の先端を見つめながら、考える。 そして、ある結論に達した。 「ゆっぎゃぁぁあああああああああ!!! しょ、しょんにゃぁぁぁぁあああああああああ!!! こいちゅらぎゃ れいみゅの おやぎにゃにょぉおおおおおお!!!!???」 「ゆっぴゆっちゆっぴぴ!」 「ゆぴぴ!!!ゆっぴぴっぴ!!」 まるで 赤れいむの推理を肯定するかのように、足りない2匹は元気良く何かを叫ぶ。 もっとも、思考する能力はないので、ただ喚いているだけなのだが、赤れいむは自分の推理が正しいと確信した。 事実、赤れいむの推理はあたっている。 赤れいむの両親は、この足りない まりさと、足りない れいむなのだ。 「うちょぢゃぁぁぁぁあああああ!!! れ、れいみゅは、ちょっちぇも ゆっきゅりちちゃ こうきにゃ あんきょにょ ゆっきゅりにゃにょにぃいいいいいいいい!!!」 自分の両親にショックを隠せない赤れいむが叫ぶ。 -ト ン 泣き叫んでいる赤れいむの隣に、黒い何かが落ちてきた。 「ゆ?く!くちゃいぃいいいいいいいいい!!!!!!きょ、きょれっちぇ、ましゃきゃ、うんうん!? ゆっぎゃぁぁぁあああああ!!きちゃにゃいぃいいいいいい!!! うんうんは ゆっきゅりできにゃいぃいいいいいいいいいいいいい!!! たちゅけちぇぇぇええええ!!!おきゃぁぁしゃぁぁぁぁぁぁああああん!!!」 「ゆっぴぴぴっぴぴぴ!!!」×2 汚い排泄物の隣で、助けを求める赤れいむに、足りない両親が向かってきた。 足りないながらも、親なのだから ゆっくりした自分を助けてくれるに違いないと考えた れいむは、泣きながらも笑顔になる。 「ゆっびびいいいいいいい!!??」 が、両親に体当りをされ、飛ばされる赤れいむ。 「いじゃいぃいいいいいいいいいい!!! ど、どぼちちぇぇぇぇえええええ!!!どぼちちぇ れいみゅぎゃぁぁぁああああ!!??? っゆ!!!!!!!???」 生まれて初めての痛みに泣き叫ぶ赤れいむは、足りない両親を見て、固まった。 「あみゃあみゃーー むーちゃむーちゃ……ちあわちぇーー!!」×2 両親は排泄物を食べて、幸せと叫んでいるのだ。 「おきゃーしゃん?おちょーしゃん?」 両親の信じられない行動に、固まっている赤れいむの耳に、笑い声がはいってきた。 「げらげらげらげら!! どうなのぜ?さいっきょうの まりさの うんうんは おいしいのかぜ?」 声は赤れいむの上から聞こえており、赤れいむは視線を上に向ける。 視線の先には、金網があり、その上にまりさがいる。 このまりさが、さきほどの排泄物の産みの親だ。 「ゆ!まりしゃーー!!たちゅけちぇーーー!!!」 赤れいむは必死に、まりさに助けを求める。 「ゆ?なんなのぜ?きたない ちびが。」 「れ、れいみゅ、きちゃにゃく にゃいよ!! ちょ、ちょれより、たちゅけちぇよ!きょきょは くちゃいよ!!!」 「げらげらげらげら。 へんなことを いう ちびなのぜ。そこは といれさん だから くさくて あったりまえなのぜ!」 「ゆ?ちょ、ちょうれしゃん?」 まりさの言うとおり、赤れいむと足りないゆっくり2匹がいる場所はゆっくり専用のトイレだ。 構造は、赤れいむたちがいる場所を中心に、壁が円形を描いてあり、その上を金網で蓋がしてある。 金網の周りは、坂道で山状になっており、まりさは坂道を登り、金網の上のトイレにいるのだ。 「そうなのぜ。おまえは といれさんで うまれた、おぶつなのぜ。」 「どぼぢで ぞんにゃごぢょ いうにょぉおおおおお!!! れ、れいみゅは おぶちゅじゃ にゃいよぉおおおおおおおお!!!」 「げらげらげらげら。 だったら おまえの おやを みるのぜ。」 「ゆぅ………」 赤れいむは実の両親を見て言葉を失う。 「あみゃあみゃーー むーちゃむーちゃ……ちあわちぇーー!!」×2 実の両親は排泄物を笑顔で食べているのだ。 「みてのとおり、おまえの おやは うんうんを たべて しあわせーって いってる ゆっくり できない やつ なのぜ。 そんなやつから うまれた ちびは ゆっくりしてないに きまっているのぜ!!」 「で、でみょ、でみょでみょでみょ!!れいみゅは ちぎゃうぅううううううう!!!! ゆっきゅりちちぇるよぉぉおおおお!!!!!」 「げらげらげらげら。 だったら そこから さっさと でればいいのぜ。 ほんっとうに ゆっくりしているなら、それぐらい できるはずなのぜ。 まぁ、むりだとおもうけど、せいぜい がんばってみるのぜ。 ああ、そうそう。それから、そこにいる かぎり、おまえの ごはんさんは うんうんだけ なのぜ。」 「ゆっぎっぎゃぁぁぁあああああああああああ!!!! ざっざど、れいみゅをたちゅけりょぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 まりさの言葉に、地団駄を踏む赤れいむと、そんな赤れいむを見てゲラゲラと笑う まりさである。 金網の上で、まりさが足りない ゆっくりたちと、赤れいむを見下し、笑っている。 その顔は優越感に浸っており、実にゆっくりしている。 「げらげらげらげら。 おお、おろかおろか。」 そんな まりさに、れいむが坂道を登り、近づく。 「まりさ、ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!れいむも うんうん しに きたのかぜ?」 「ちがうよ。れいむじゃなくて、おちびちゃんだよ。」 れいむは頭に乗せた子れいむを金網の上におく。 「さ、おちびちゃんも ちゃんと あいさつ しよーねー。」 「ゆっきゅりちちぇいっちぇにぇ!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 元気に挨拶をする子れいむに対し、先程とは違う笑顔をする まりさである。 「ゆぷぷ。さっすが れいむの おちびちゃんだよ。とっても ゆっくりしているね。あいつらとは ちがうね! さぁ、おちびちゃん、といれさんに ついたよ。ゆっくり うんうんしてね。」 金網の上で子れいむが、ぷるぷると小刻みに身を震わせる。 そして、腹を大きく出っぱらせ、プリンとあにゃるを上向かせ、叫ぶ。 「きゃわいい きゃわいい れいみゅぎゃ うんうん しゅりゅよ! れいみゅの しゅーぴゃーうんうんたいみゅが はっじまっりゅよーー!!」 「がんばってね、おちびちゃん!!」 いちいち行動を宣言するウザイ子れいむに、母れいむが声援をおくる。 「れいみゅ、ぎゃんばりゅよ! うーんうん!!……みょ、みょうちゅこちだよ……もうちゅこちで、うんうんでりゅよ…… うんうんでりゅよーー!!うーんうん!うーんうん!ちゅ!!ちゅっきりーーーーー!!!」 汚い赤れいむが、汚い排泄物をひりだす。 「ゆーん!えらいねー、おちびちゃんは!ちゃんっと おといれで うんうんできたね! おかーさん ぺーろぺーろして あげるよ!ぺーろぺーろ……」 母れいむは、無事に排泄を終えた我が子の顔とあにゃるを舐め、綺麗にする。 もっとも、汚い舌で舐めるので、綺麗になるとは思えないが。 「あみゃあみゃーー むーちゃむーちゃ……ちあわちぇーー!!」×2 「ゆっぎゃぁぁぁ!!やめちぇぇぇええ!!! おちょーしゃん!おきゃーしゃん!!うんうんは たべもにょじゃないでちょうぎゃぁぁああああ!!!」 排泄物を食べる両親に怒り出す赤れいむだが、その声は両親には届いていない。 「おお、おろかおろか。 まったく、おかざりも ぼろぼろで、うんうんを よろこんで たべる ゆっくりしてない やつらだよ。」 「ゆぴゃぴゃ!! ほんちょうだゃね、ゆっきゅりいちぇにゃいね! あんにゃ ゆっきゅり ちちぇにゃい やちゅら、しゃっしゃと しにぇばいいにょににぇ!!」 「ゆ!といれさんのなかで きたない おちびちゃんが ふえてるよ。 ゆぷぷ。れいむの おちびちゃんと ちがって ゆっくりしてない やつだよ。 そんな やつには、れいむが うんうんを あげるよ!!かんしゃしてね! れいむがうんうんするよーー!! かわいい かわいい れいむが ゆっくりしてない きったない れいむに うんうん あげるよーー!!」 金網の上で、れいむは腹を出し、あにゃるの位置を赤れいむの上になるように調整をし、排泄を始める。 「ゆっっぎゃぁぁぁぁああああああ!!!た、たたたちゅけちぇぇぇえええええ!!! く、っくっちゃいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」 見事赤れいむは、れいむの排泄物を頭からかぶった。 「あみゃあまやーー むーちゃむーちゃ……ちあわちぇーー!!」×2 「やべちぇぇぇええええ!!! れ、れいみゅを ちょんにゃ きちゃにゃい ちちゃしゃんで にゃめにゃいでっぇええええ!!! ゆっきゅり できにゃいぃいいいいいいい!!!!!…………ゆっくち!ゆっくち!……くちゃいぃいいいいい!!! きょ、きょきょは ゆっくち できにゃいぃいいいいいい!!!!!!!!ゆっくち!……ゆっくち!……」 全世界に祝福されて産まれてくると信じていた赤れいむは、誕生後、5分で非ゆっくり症になった。 両親がどちらも足りない ゆっくりで、トイレの中で産まれ、ご飯は排泄物だけと言われた。 そして、排泄物を頭から被り、排泄物まみれの汚い舌で身体を舐められる。 産まれたばかりの赤ゆっくりにとって、非ゆっくり症になるには十分すぎる環境であった。 「おお、おろかおろか。 ゆっくりしてない やつには おにあいの おけしょうだね!」 「げらげらげら。 ないす ひっとさん なのぜ!!」 「ゆぴゃぴゃ!!しゃっしゅぎゃ れいみゅの おきゃーしゃんだにぇ! ちょっちぇも ゆっきゅり ちちぇるよ!!」 「ゆーーん!ゆっくりできるよーーー!!」×3 3匹はトイレの上で笑顔で叫ぶ。 その顔は、優越感に浸っており、実にゆっくりしている。 このトイレでの排泄は、 野良生活の惨めさなど忘れさせてくれる、ゆっくりできる至高の時間なのだ。 ------------------------------------------------------ 加工所からの帰り道、公園に設置したゆっくり専用のトイレの上で ゆっくりしていると宣言する3匹をみかける。 この3匹、野良で、汚く、飾りも所々欠けている。 痩せていることから、食事も満足には取れていないのだろう。 まぁ、野良ゆっくりなど、みな同じような状態なのだが。 以前であれば、このような3匹はストレスから人間との力関係を忘れ、人間に【あまあまをよこせ】と叫んでいたのだろう。 だが、今は違う。 このトイレを導入してからは、自分よりも下の存在を見ることで優越感に浸れ、ストレス解消ができるようになったのだ。 結果、この公園の ゆっくりが人間に絡むことはなくなった。 ストレス解消ができ、人間との力関係を理解した状態を保てるだけの余裕があるのだ。 ゆっくりのストレス解消用のこのトイレのアイデアは、 1年前、この公園で足りない ゆっくりをバカにし、ゆっくりしていた れいむを見て思いついた。 あの日、れいむをゴミ箱に捨て、急いで家に帰り、企画書を書いた。 翌日、入所以来はじめて情熱をもって上司にかけあった。 ゆっくりピースの機関紙にも書いてあったが、 ストレスがなければ 野良ゆっくりは人間との力関係を理解し続けることができ、人間に絡むことはない。 つまり、ゆっくりのストレスを解消できるこのトイレを設置することで、一斉駆除の依頼を減らすことができるのだ。 懐疑的な意見もあったが、試作品をこの公園に設置し、誕生したての群れで俺に怯える長ぱちゅりーにトイレを説明した。 結果、ストレス解消ができている この公園のゆっくりは1年たっても人間に関わろうとしない個体ばかりである。 3ヶ月ごとに行っていた一斉駆除が、この公園では既に1年行っていない。 半年前の、追加試験で、他の公園にも設置したが、その公園のゆっくりにも同様の効果があった。 トイレの中にはセンサーがあり、ゆっくりが死んだ場合は、加工所まで連絡がくるようになっている。 トイレの中のゆっくりが全滅した場合、加工所から代わりの足りない ゆっくりが補給される。 足りない ゆっくりを使用しているのは、 通常のゆっくりだと、排泄物をなかなか食べなかったり、非ゆっくり症になってしまいすぐに死んでしまうからだ。 また、足りない ゆっくりのほうがより惨めに見え、また子供が産まれた場合、子供は100%惨めな死様を晒すので、 群れの ゆっくりがより優越感に浸れるという効果もある。 なお、足りない ゆっくりは、加工所のゆっくり生産ラインから実ゆっくりをもぎり、 カプサイシンを注射するだけで完成するのでコスト的にも安価だ。 ちなみに、 ゆっくりの排泄物は餡子、カスタード、生クリーム、チョコレートと、 精神的苦痛がなければ、ゆっくりが生きていくには最高の食材なのだ。 また、簡単な空調も設置しており、夏の暑さ・冬の寒さからある程度守られている。 他にも、足りない ゆっくりが乾燥死しないように、 ゆっくりが咥えれば水がでる水道(足りない ゆっくりでも咥えられるように咥える所に水の匂いをつけてある)が設置され、 同時に雨等で水没しないように、水を外に逃がす溝もある。 おかげで、トイレの中の足りない ゆっくりは、寿命を迎えるまで死ぬことは無いと考えている。 当然、電気代が発生するが、一斉駆除にかける人件費に比べれば微々たるものだ。 ある意味、トイレの中の足りないゆっくりは幸せかもしれない。 常時、ある程度一定の温度で、外的に襲われることも、水不足、溺死の心配もなく、 毎日ごちそうである甘味(=排泄物)が食べられるのだから。 このトイレ、来年度から全国の公園に設置される予定だ。 これにより、加工所が一斉駆除にかける金額を大幅に減らすことが予想されている。 給料も少しだけだが昇給できそうで、来年度が楽しみだ。 「げらげらげら。まったく きたない やつら なのぜ。」 「おお、おろかおろか。れいむの うんうんを たべて、すこしは ゆっくりしてね!」 「ゆっひゃひゃ!おりょきゃおりょきゃ。 れいみゅちょ ちぎゃって、にゃんちぇ ゆっきゅりちちぇにゃんだりょう。 ……ゆ?おちょらちょんでりゅーー!!??」 笑っていた子れいむを、突然リクルートスーツ姿の青年が持ち上げた。 『うるさいぞ、お前ら……俺が落ち込んでいるのに、就職先が決まらないのに、楽しそうにしやがって。ゆっくりのクセに!』 「に、にんげんさん!!??ま、まりさは なにも わるいことを してないのぜ? で、でででででぼ、もし きに さわったことを したのなら あやまるのぜ。わるかったのぜ。」 「お、おおおちびちゃんを かえしてね!ゆっくり おねがいだよ、にんげんざん!!」 「にんげんしゃん!れ、れいみゅは ゆっきゅりちちぇいりゅ いいゆっきゅりだよ!だきゃら たちゅけちぇにぇ!」 人間との力関係を理解しているだけあり、3匹とも青年に怯えているようだ。 野良ゆっくりを潰すことは何の法律にも触れないので、俺に青年をとめる権利はない。 やめるように言うこともできるが、不機嫌そうな青年に殴られたらイヤなので、少しだけ可哀想だが、傍観することにした。 『はぁ?お前らゴミが存在するだけで罪なんだよ!そのうえゴミのくせに楽しそうにしやがって! だから罰として、このおちびちゃんを、お前らの前で潰してやるよ。ゆっくり理解してね。』 「にゃ、にゃにを いっちぇるにょぉおお??お、おきゃーしゃん た、たちゅけちぇぇぇええ!!!!」 「に、にんげんさん!!おねがいじばずぅううう!!どっでも ゆっぐりじだ おちびちゃんなんでずぅううう!! ど、どどどうが だずげでぐだざいいぃいいいいいいいい!!!」 「にんげんさん!ま、まりさは れいむたちとは むかんけいなのぜ。だ、だから みのがして ほしいのぜ。」 『ふぅん。一家じゃないのか。ま、どうでもいいや。それじゃぁ、このおちびちゃんを潰すから ゆっくり見ててね!』 青年は赤れいむを金網に押し付け、力を込める。 「やべちぇぇぇええ!!い、いちゃいぃいいい!!!! ちゅ、ちゅぶれりゅうぅうううううううううううううう!!!」 「お、おちびちゃぁぁぁあああああああん!!」 「やめるのぜ、れいむ。にんげんさんに さからったら、れいむや まりさまで ころされるのぜ。 ゆっくり がまんするのぜ!」 「はなじでね、まりさ!!れいむは たとえ しんでぼ、おちびちゃんをぉおおお!!」 痛がる子れいむを助けようと、れいむが泣きながら、青年に飛びかかろうとしている。 そんな れいむの揉み上げを、まりさが咥えて必死で抑える。 人間には勝てないこと、人間に逆らえば、自分まで殺されることを理解しているのだ。 「おきゃぁしゃぁぁぁん!!だ、だじゅげでぇえええ!! ちゅ、ちゅぶれりゅぅううううううううううううううううううう!!!」 -ブ チ ブチ ブチブチ 赤れいむは金網で裏漉しされ、皮と餡子になり、トイレの中へと落ちる。 「おちびちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」 「れいむ!!がまんするのぜぇぇぇええええええ!!!!」 「あみゃあみゃーー むーちゃむーちゃ……ちあわちぇーー!!」×2 『ははは!この足りない ゆっくりたち、お前の子供を美味そうに喰ってるぞ!』 「ぞ、ぞんなぁぁぁあああああああああああ!!!! お、おちびちゃんがぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!」 『ははは!!ああ、ちょっとだけスッキリした。よし、お前らは見逃してやるよ!じゃぁな!』 青年は満足したのか、笑顔で ゆっくりたちから離れていく。 「おぢびちゃんが…………れいぶの さいごの おぢびちゃんだっだのに………」 「れいむ………」 れいむは金網の上から、喰われている我が子の亡骸を眺める。 「ゆっぐりじだ おちびちゃん だっだのに…… おぢびちゃん………れいびの おちびちゃん……… ゆ………ゆっぷ……ゆっぷぷぷ!! ゆぷぷ!!おお、おろかおろか! みて、まりさ!あの おろかな ゆっくりを! あいつらったら、ゆっぐりの しがいを たべてるよ! おお、おろかおろか!あんな くざいものを、あまあまーー!、とかいってるよ!! ゆぷぷ!!ゆっくりしてない やつらだよ!!ねぇ、まりさ!!??」 「ゆ?そ、そうなのぜ!まったく ゆっくりしてない やつら なのぜ!! げらげらげら!あいつらに くらべたら、れいむは すっごく ゆっくりしているのぜ!」 「おお、おろかおろか。」 れいむな目に涙を溜めながら、足りないゆっくりをバカにする。 ああやって、自分は恵まれていると、自分で自分に言い聞かせているのだろう。 一斉駆除がなくなった この状況が ゆっくりにとって幸せかどうかは俺には分からない。 野良ゆっくりは、自分を ゆっくりしていると思っているが、 【上見て暮らすな、下見て暮らせ】の理論で、自分は恵まれていると、誤魔化しているにすぎない。 ゆっくりピースだと、これでは ゆっくりが可哀想だと、文句を言うかもしれないが、 俺だって似たようなことをしながら生きている。薄給を無職よりはまだマシだと誤魔化し、自分を慰めているのだ。 俺も ゆっくりも特別な存在ではない。分相応の生き方があり、分相応の生き方をしているのだ。 そんなことを考えながら、俺は家に向かって歩き出す。 公園には、ゆっくりの笑い声が響いている。 あとがき 足りないゆっくりを書きたくて始めたのに、いつのまにか変な話になっていた。 相変わらず、低レベルなSSですが、今後もよろしくお願いします。 過去作品 anko3893 穏やかな日常、或いは嵐の前の静けさ anko3901 穏やかな日常、少し増えた賑やかさ 前編 anko3902 穏やかな日常、少し増えた賑やかさ 後編 anko3903 孤独なぱちゅーが共に過ごすもの anko3904 名物 anko3907 こなさん anko3913 006受け入れた anko3917 ゆっくりによる経済 anko3928 音楽隊 anko3939 赤いリボンのサンタさん anko3951 新しいゆっくりプレイス anko3957 お空のゆっくりプレイス anko3963 安住の地 anko3967 おちびちゃんが欲しい 前編 anko3968 おちびちゃんが欲しい 後編 anko4004 初詣の帰りに anko4013 ゴミ箱の中のゴミ anko4034 チョコレートをください anko4036 子れいむを拾ったよ anko4045 たまには まりさを見逃そう anko4066 れいむのバレンタイン anko4067 しーしーこぞう
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1853.html
注意 死なないゆっくりがいます。 ぬるめです。 死後のゆっくり 「ゆ、じじぃ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ!!にんげんさんはつうこうりょうをはらっていくんだぜ!!」 俺が道を歩いていると饅頭が話しかけてきたので蹴っ飛ばしておいた。 「ゆぎゃべ!!」 コロコロと道端に転がっていく。すると物陰から伺っていた番らしきれいむが出てきた。 「ばりざぁぁぁぁぁ!!だいじょうぶ!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!」 あたまの茎をゆっさゆっさ揺らしながらまりさに近づいてくる。よく落ちないな。 「ゆぐぐ、だいじょうぶだよれいむ・・・。って、でてきちゃだめでしょぉぉぉぉ!!なんででてくるのぉぉぉぉ!!」 「まりざがじんぱいだからでしょぉぉぉぉぉぉ!!どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉ!!」 なんかうるさいので黙らすことにした。 「ゆげっ!!やべっ!!ばりざざま・・・ゆべっ!!・・・づよいんだ・・・ゆぼべぇ!!」 「や、やめてね!!れいむにはあかちゃんがいるんだよ!!ゆへへ・・・れいむにはかわいいあかちゃんがいるんだがらてはだせないよね・・・ ゆっぎゃああああああああああ!!やべでえええええええええ!!でいぶにはあがぢゃんいるのにぃぃぃぃぃぃぃ!!」 さて、体は黒ずんでボロボロ、歯はガタガタ。帽子もリボンも見る影もなくなったこの二匹。 無事なのはあえて残したれいむの茎についた赤ゆっくりのみだ。 「ゆぁぁ・・・ごれじゃあもうゆっぐりでぎないぃぃぃ・・・」 「せっがぐあがぢゃんがうばれるのにぃぃぃ・・・」 まあこれだけ痛めつけられていれば自然治癒も難しいだろうからな。 「ゆぅぅぅゆっぐりじだいぃぃぃ・・・いだいのなんどがじでぇぇ・・・」 暇だし少しからかってやるか。 「なんとかしてやろうか?」 「「ゆ"ゆ"っ!」」 一斉にこっちを見るゆっくり。 「くそじじぃ・・・はやぐばりざざまをだずげるんだぜ・・・でないどいだいめみるんだぜ・・・」 「はやぐじでね・・・でいぶのがわいいあがぢゃんがみれなぐっでもいいの?」 こいつら・・・誰がこんなめにあわせたかもう忘れたのか? まあいいやこいつらの餡子脳に付き合っていたら時間がいくらあっても足りやしない。 「ああ、いい方法がある。・・・幽霊になればいいんだよ。」 「ゆうれい・・・?なにぞれ?」 「あ~なんていうか・・・すごくゆっくりしたゆっくりだけがなれる究極にゆっくりした状態・・・かな?」 「ゆ"、きゅうきょくにゆっぐり・・・?」 「ああ、そうすれば俺にも手出しはできないし、永遠にゆっくりできるんじゃないのかな?」 「ゆ"、どうずれば“ゆ~れい”になれるの・・・?」 「簡単さ、幽霊になりたいって強く念じながら眼をつぶるだけでいい。後の手順は俺がやってやるよ。」 「ゆっぐりりがいじだよ・・・ゆっへっへ、にんげんざんはばかだね!! まりざだぢはゆっくりをこえたきゅうきょくのゆっくりをてにいれるよ・・・」 「れいむたちはゆっくりをちょうえつするよ・・・。」 なんだか聞いたことがあるようなないようなセリフを吐いて眼を閉じる二匹。 なにやら必死に念じているようだ。・・・さて、動きも止まったのでさっさと踏み潰させてもらおう。 グシャ!! 「ゆべえっ!!」 グシャ!! 「ゆぼろっ!!」 見事にぺっちゃんこに潰れる二匹。間違いなく死んでいるだろうな。 さて、適当に思いつきで幽霊になればいいなんていったけどほんとうになったりするのかな? っていうかこいつらに魂ってあるのか? などと考えていたら、潰れた饅頭から何か白いものが出てきた。 「ゆ~どろどろどろ~・・・」 「ばけてでるよ~、おどろくの?しぬの?」 「うわっ、マジで出てきた!」 そこには憎たらしい顔と各々の飾り、あとよく幽霊がつける三角のやつ(天冠というらしい)のついた白い丸いものがゆらゆら浮かんでいた。。 「ゆっふっふ、まりさはゆ~れいさんなんだよ!どどろいたでしょ!!これでにんげんさんにもてはだせないよ!!」 「わかったらはやくおかしをちょうだいね!!れいむはおなかがすいたんだよ!!」 「ああ、わかった。・・・ホレ。」 俺は持っていた小さいキャラメルを地面に置いてやった。 「ゆっへっへ、ゆ~れいになったまりささまはむてきなんだぜ。あまあまさんいただくんだぜ・・・むぐむぐ・・・?」 「ゆゆ~ん♪さすがはれいむのまりさだよぉ~。じゃああまあまさんいただくよ・・・むぐむぐ。・・・ゆ?なにこれ?あじがしないよ?」 「ゆゆゆ!まりさもだよ!!やいくそじじぃ!!これはあまあまさんじゃないよ!!はやくちゃんとしたあまあまさんをちょうだいね!!」 「いや、違うよ。それはちゃんとしたキャラメルで甘いものだし。それに味がしないんじゃなくてお前らが食べることができてないだけだよ。 そら、ちゃんとそこにキャラメルあるだろ?」 男が指し示した場所には男の言ったとおりちゃんとキャラメルが原型のままあった。 「ゆ!ほんとだ!ゆっくりいただくよ!・・・むぐむぐ・・・どぼじでたべられないのぉぉぉぉ!!」 「そりゃ幽霊だからなぁ。この世の食い物は食えないんじゃないかな。」 「じゃあどうずればいのぉぉぉぉ!!」 「さあ?どうもしようがないんじゃないかな?」 「そんなのやだぁぁぁぁぁぁ!!」 じたばたと暴れる二匹だが実際俺にはどうしようもないことだしなぁ・・・。 ていうか幽霊だから物食わなくてもいいんじゃないのかね?教えないけど。 「ゆぎぃぃぃぃ!!まりざざまをごんなめにあわぜるばがなじじぃはじね!!ざっざどじね!!」 まりさがこっちにのろのろと突っ込んでくる。 「ゆ!いいよまりさ!!まりさのちょっといいところをれいむにみせてね!!」 「まかせてねれいむ!!」 しかしおそいなこいつら待ってるほうが疲れる。 ようやく俺にたどりついたまりさ。追突する直前に眼を閉じ防御体制をとる。 しかし、まりさのからだは俺のからだをスゥ・・・と通り抜けまりさはそれに気づかぬまま進んでいく。 「まりさーー!!うしろ、うしろ!!」 「ゆ?・・・ゆゆ!!きたないじじぃなんだぜ!!まりささまのこうげきをよけるんじゃないんだぜ!ぷんぷん!!」 そういって再び体当たりを試みるまりさ。だが何度やってもぶつかることはない。 「どぼじでぶつからないのぉぉぉぉぉ!?」 「まあ幽霊だからな。この世のものには干渉できないんじゃないか?」 「じゃあどうずればにんげんざんをだおぜるの!?」 「さあ?無理なんじゃないかな?俺もお前らを倒せないけど。」 「なにぞれぇぇぇぇ!!だまじだね!!ぐぞじじぃ!!」 「騙してないだろ俺には手出しできないんだから。」 「うるざいよ!!ごんなのぜんぜんゆっぐりでぎないよ!!」 ギャーギャー五月蝿いな。害はないとはいえあまりにやかましい。 そういえば前に読んだ漫画にお経で悪霊退散させるのがあったな。やってみるか。 「え~っとどんなんだったかな?確か・・・南無大慈悲救苦救難広大霊感うんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああああ!!やべでえええええええええ!!」」 お、効いてる、効いてる。なんか上のほうが薄くなってきてる。 「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカうんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああ!!いだいいいいいいいい!!エレエレエレエレ!!」」 なんか吐いてる。・・・これ病気とかを治すときに言う真言だったと思うんだが・・・ 適当でもいいのかな? 「チャー○ーヘッチャラーうんたらかんたら・・・」 「「ゆげげげげげげげげg!!ゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っ・・・」」 痙攣しだした、何でもいいみたいだな。本当に適当な連中だ。 しばらくして回復すると 「もうゆ~れいさんはぜんぜんゆっくりできないよ!!まりさとれいむをさっさともとにもどしてね!!」 「そうだよ!!もどさないとひどいよ!!ぷんぷん!!」 「そういわれてもなぁ。お前等のからだはもうあんなんだし。」 そういってつぶれた饅頭を指差す俺。 「ゆ!なにいっでるの!!まりざざまのうつくしいからだはあんなにつぶれてないよ!!」 「じゃああの帽子にも見覚えないのか?れいむ、おまえは?あのリボンに心当たりは?額に生えた赤ゆっくりに心当たりはないのか?」 「ゆっ!!た、たしかにれいむのりぼんさんだよ・・・じゃあれいむはいまのれいむはなんなの!?」 「だから幽霊だよ。お前等は死んだの。」 「ゆ、じゃ、じゃああれはまりさっでごど?」 「そうだよ。」 「・・・ゆ、ゆぎゃあああああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 「ば、ばりざあああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 あらあら、まりさのもらい吐きでれいむまで・・・ていうか零体になってんのに何はいてるんだろう? そんなことを思っているとなんとれいむの死骸に生えていた赤ゆっくりがぷるぷると動き出した。 もしかして踏み潰したときの圧力で餡子が蔦まで行って成長促進されたのだろうか? ぷるぷるぷる・・・ぷちっ!! 「ゆっくちちていっちぇにぇ!!」 一匹目が生まれた、まりさ種だ。まだはいていた二匹もその声に反応してそちらを向く。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!!」 「さすがれいむのおちびちゃんだよ!!とってもゆっくりしているね!!」 二匹は赤まりさにすりすりをするが赤まりさのほうはきょとんとしている。 そうしているうちに次々と赤ゆっくりは生まれた。その数7匹。赤まりさが三匹、赤れいむが四匹だ。 う~ん、こいつらの意見に同意するのは不快だが生まれたてのゆっくりはなかなか可愛い。おもわず目をくりぬいてやりたくなる。 「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇにぇ!!」」」」」」」 「おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!」 「おちびちゃんたち、れいむがおかーさんだよ!!ゆっくりしていってね!!」 俺から見ると始めての親子の会話なのだが赤ゆっくりたちからするとそうではないようだ。 「ゆぅ?おきゃーしゃん?どきょにいりゅにょ?」 「かきゅれてないぢぇにぇ!!きゃわいいまりちゃがうまれちゃよ!!」 「れいみゅおにゃかへっちゃよ!!ごはんちょーだいにぇ!!」 どうやら赤ゆっくりには親子が見えていないらしい。 「ゆゆゆ!!おちびちゃんたち、おかーさんはここにるよ!!」 「そうだよ!!ちゃんとこっちをみてね!!」 しかしやはり赤ゆっくりには伝わらないらしい。しだいに赤ゆっくりたちも苛立ってきた様だ。 「にゃんじぇおきゃーしゃんたちいにゃいにょぉぉぉぉ!?」 「こんにゃにきゃわいいれいみゅたちをおいてどこいっちゃのぉぉぉ!!」 「やくたたじゅなおやはちね!!ちね!!」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!」」 やはりゲスの子はゲスか。 生まれたばかりだというのにもう口汚くなってるし。 「ゆゆ!!しょこにょおにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんたちしらにゃい?」 ようやく俺の存在に気づいたらしく話しかけてくる赤ゆっくり。 「さぁ?俺は知らないなぁ?」 白々しくとぼけて見せる俺。と、親の二匹が抗議して来る。 「なにいっでるのぉぉぉ!?おちびちゃんのおかーさんはまりさたちでしょぉぉぉぉぉ!?」 「そんなこともわからないの!!ばかなの!?しぬの!?」 五月蝿い。 「南無大慈悲・・・以下略」 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」 「ゆべべべべべべべべべべべべべべ!!」 便利だなこれ。 そこに赤ゆっくりがまたしゃべり掛けてくる。 「じゃあおにーしゃん、かわいいまりちゃたちのためにごはんをもってきちぇにぇ!!はやくちてにぇ、ぐじゅはきりゃいだよ!!」 「いやだよ、・・・ていうかご飯ならお前等の後ろにたくさんあるじゃないか。」 「ゆ?ほんちょだ!あみゃあみゃなにおいがしゅるよ!!」 「なにいっでるのぉぉぉぉ!!ぞれはおかーざんだぢでしょぉぉぉぉぉ!!」 「たべちゃだめぇぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉぉ!!」 後ろの餡子の塊に向かっていく赤ゆっくりとそれを必死に止めようとする親二匹だが、二匹には止める術がないので結局・・・ 「「「「「「「む~ちゃ、む~ちゃ・・・ちちち、ちあわちぇ~♪」」」」」」」 「「ゆぎゃあああああああああ!!どぼじでだべじゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」」 赤ゆっくりたちはあっというまに二匹に群がりかなりの量を食べてしまった。 もうほとんど原型は残っていない。 「ゆぁぁぁぁ・・・ばりざのたくましいからださんが・・・」 「でいぶのぷりちーなおかおがぁぁぁ・・・」 赤ゆっくりたちは食べ過ぎたのかすでにおねむの時間のようだ。ゆ~ゆ~寝息を立てて寝ている。 するとそこに何かやってきた。 「う~う~!あまあまさんのにおいがするど~☆う~☆」 「「れれれ、れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」 親の二匹は大声をあげて空中をのろのろと逃げる。だから必要ないというのに・・・。 「う~☆あまあまいっぱいだっど~☆」 その声に気づき二匹も引き返してくる。 「おちびちゃんたち!!れみみゃだよ!!はやくにげてね!!」 「れみりゃはゆっくりできないんだよ!!ゆっくりしてないでいそいでね!!」 当然、聞こえていないので赤ゆ達はゆ~ゆ~寝たままだ。 「おにぃぃぃざぁぁぁぁん!!おちびちゃんたちをだずげでぇぇぇ!!」 「なんでもじまずがらぁぁぁぁ!!おねがいじまずぅぅぅぅ!!」 こいつ等にこんなに子を思う気持ちがあるとは思わんかった。 とりあえずれみりゃに話しかけてみる。 「おい、れみりゃ!」 「う~?おにいさんなんだど~?」 二匹はなにかこちらに感謝のまなざしを向けている。赤ゆを救ってくれるとでも思っているのだろう。 「おのこしはするなよ。」 固まる二匹。 「う~☆わかってるんだど~☆えれがんとなおじょうさまはおのこししないんだど~☆う~☆」 「ゆああああああああああ!!ちがうでしょおおおおおお!!」 「はやぐおちびちゃんたちをたすけでえええええええええ!!」 無視。 そしてれみりゃの食事が始まった。 まず、赤ゆを一匹づつつかみ底部を傷つけ逃げられないようにしていく。 「ゆ~・・・ゆ~・・・ゆ?ゆぎゃ!!まりちゃのあちがあああああああ!!」 全部が済むと一匹づつ中身を吸い出していく。 「う~☆あまあまおいしいどぉ~☆」 「ゆぎゃああああああああああ!!まりちゃ・・すわれっ・・・もっ・・・きゅち・・・」 「「おちびちゃああああああああああああん!!」」 しかし三匹ほど吸い出すと残った四匹を一箇所に集め丸めて固めだした。 赤ゆっくりは死んではいないようだが痙攣している。 「おい、れみりゃ。そいつらどうするんだい」 「う~?れみりゃのおちびちゃんのごはんにするんだどぉ~☆」 なるほど、子持ちだったか。まあれみりゃは捕食種だし見逃してもいいか。 「そうか、じゃあ子育てがんばれよ~」 「う~☆わかったんだどぉ~☆」 そういって飛び立っていったれみりゃ。 「ゆああああああああああああああ!まっでええええええええ!!」 「あがぢゃんおいでげええええええええええ!!」 今は同じく飛べる二匹だが速度がまるで違うし追いつけたところでできることもないだろう。 すぐにあきらめたようだ。 「あああ、れいむのおちびちゃんが・・・」 「まりさとれいむのあいのけっしょうが・・・」 さて、そろそろ飽きてきたし俺も帰るか。そう思って立ち上がると 「ゆ!じじぃ!どこいくんだぜ!!」 「れいむたちをこんなふうにしたせきにんをとっでね!!」 「そんなの知らないよ。お前たちがなりたいって行ったんだから自業自得だろ。」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」」 そしてそのまま帰る俺。とはいっても村はすぐそこだが。 「まっでぇぇぇ・・・おいでぐなぁぁぁ・・・」 「までぇぇぇぇ・・・まだないにんげんはじねぇぇぇぇ・・・」 面白いのでそのまま村の前まで追いかけさせてやった。 「ま、まっでぇぇぇ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 「おいでぇぇぇ・・・いぐなぁ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 霊体の癖になんで疲れるんだよ。なんとか村の前に来たゆっくり。、 しかしそこで 「ゆべっ!!」 「ゆぎゃ!!」 まるでそこに壁があるかのように吹っ飛ぶゆっくり。 「ゆぅぅぅ・・・なんでかべさんあるのぉぉぉ・・・」 「いだいよぉぉまりざぁぁぁぁ・・・」 「それは壁じゃないよ。結界だ。」 「「ゆ?」」 「さすがに強いのには効かないが知能の低い低級な霊や妖怪が入れないように結界がしいてあるんだよ。」 「まりざはでいぎゅうじゃないぃぃぃぃぃ!!」 「そっぢにいれろぉぉぉぉぉ!!」 「うるせぇ糞饅頭。ずっとその辺で彷徨ってろ。」 俺はさっさとそこを後にした。 「「ああああああああああ!!まっでえええええええええええ!!」」 残された二匹の幽霊饅頭は絶望したこれからどうすればいいのだろう。 なにをすればいいのかまったくわからない。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!でいぶぅぅぅぅぅぅぅ!!ごれがらどうじよぉぉぉぉぉ!!」 「わがらないよぉぉぉぉぉ!!なんどがじでよぉぉぉぉぉ!!ばりざぁぁぁぁぁ!!」 ゆーゆー泣いているとなにか近くの空間が歪んで来た。 「ゆ・・・?なに?」 するとそこから何かが出てきた。 「ふっふっふ、地獄のそこからやってきた。不撓不屈の虐め魂を持つ男・・・虐待おにーサッ!!」 なにやら白装束を着た頭に三角をつけた男が腰を低くし両手を広げて出てきた。 「な、なんなのぉぉぉぉおにいざん!!」 「ふははは!!ゆっくりどもよ!!ようこそこちらの世界へ!!地獄でもさんざん虐めぬいてやるからな!!覚悟しろッ!!」 「「やだぁあぁぁああああああああああああ!!」」 男は再び高笑いを始め二匹の幽霊ゆっくりを捕まえ空間に消えていった。 そして二匹のゆっくりは虐待おにーさんによって死んでもゆっくりできないのでした。 あとがき 最近書いても書いても書きたいことの軸がぶれてしまい消しては書き直しの連続です。 一応これはなんとかなったと思うので楽しんでいただけたなら嬉しいです。 作者 甘党 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方 ゆっくり達のバザール ゆっクエ あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠 ラジコンうーぱっく 笛吹き男とゆっくり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/2286.html
注意 死なないゆっくりがいます。 ぬるめです。 死後のゆっくり 「ゆ、じじぃ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ!!にんげんさんはつうこうりょうをはらっていくんだぜ!!」 俺が道を歩いていると饅頭が話しかけてきたので蹴っ飛ばしておいた。 「ゆぎゃべ!!」 コロコロと道端に転がっていく。すると物陰から伺っていた番らしきれいむが出てきた。 「ばりざぁぁぁぁぁ!!だいじょうぶ!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!」 あたまの茎をゆっさゆっさ揺らしながらまりさに近づいてくる。よく落ちないな。 「ゆぐぐ、だいじょうぶだよれいむ・・・。って、でてきちゃだめでしょぉぉぉぉ!!なんででてくるのぉぉぉぉ!!」 「まりざがじんぱいだからでしょぉぉぉぉぉぉ!!どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉ!!」 なんかうるさいので黙らすことにした。 「ゆげっ!!やべっ!!ばりざざま・・・ゆべっ!!・・・づよいんだ・・・ゆぼべぇ!!」 「や、やめてね!!れいむにはあかちゃんがいるんだよ!!ゆへへ・・・れいむにはかわいいあかちゃんがいるんだがらてはだせないよね・・・ ゆっぎゃああああああああああ!!やべでえええええええええ!!でいぶにはあがぢゃんいるのにぃぃぃぃぃぃぃ!!」 さて、体は黒ずんでボロボロ、歯はガタガタ。帽子もリボンも見る影もなくなったこの二匹。 無事なのはあえて残したれいむの茎についた赤ゆっくりのみだ。 「ゆぁぁ・・・ごれじゃあもうゆっぐりでぎないぃぃぃ・・・」 「せっがぐあがぢゃんがうばれるのにぃぃぃ・・・」 まあこれだけ痛めつけられていれば自然治癒も難しいだろうからな。 「ゆぅぅぅゆっぐりじだいぃぃぃ・・・いだいのなんどがじでぇぇ・・・」 暇だし少しからかってやるか。 「なんとかしてやろうか?」 「「ゆ"ゆ"っ!」」 一斉にこっちを見るゆっくり。 「くそじじぃ・・・はやぐばりざざまをだずげるんだぜ・・・でないどいだいめみるんだぜ・・・」 「はやぐじでね・・・でいぶのがわいいあがぢゃんがみれなぐっでもいいの?」 こいつら・・・誰がこんなめにあわせたかもう忘れたのか? まあいいやこいつらの餡子脳に付き合っていたら時間がいくらあっても足りやしない。 「ああ、いい方法がある。・・・幽霊になればいいんだよ。」 「ゆうれい・・・?なにぞれ?」 「あ~なんていうか・・・すごくゆっくりしたゆっくりだけがなれる究極にゆっくりした状態・・・かな?」 「ゆ"、きゅうきょくにゆっぐり・・・?」 「ああ、そうすれば俺にも手出しはできないし、永遠にゆっくりできるんじゃないのかな?」 「ゆ"、どうずれば“ゆ~れい”になれるの・・・?」 「簡単さ、幽霊になりたいって強く念じながら眼をつぶるだけでいい。後の手順は俺がやってやるよ。」 「ゆっぐりりがいじだよ・・・ゆっへっへ、にんげんざんはばかだね!! まりざだぢはゆっくりをこえたきゅうきょくのゆっくりをてにいれるよ・・・」 「れいむたちはゆっくりをちょうえつするよ・・・。」 なんだか聞いたことがあるようなないようなセリフを吐いて眼を閉じる二匹。 なにやら必死に念じているようだ。・・・さて、動きも止まったのでさっさと踏み潰させてもらおう。 グシャ!! 「ゆべえっ!!」 グシャ!! 「ゆぼろっ!!」 見事にぺっちゃんこに潰れる二匹。間違いなく死んでいるだろうな。 さて、適当に思いつきで幽霊になればいいなんていったけどほんとうになったりするのかな? っていうかこいつらに魂ってあるのか? などと考えていたら、潰れた饅頭から何か白いものが出てきた。 「ゆ~どろどろどろ~・・・」 「ばけてでるよ~、おどろくの?しぬの?」 「うわっ、マジで出てきた!」 そこには憎たらしい顔と各々の飾り、あとよく幽霊がつける三角のやつ(天冠というらしい)のついた白い丸いものがゆらゆら浮かんでいた。。 「ゆっふっふ、まりさはゆ~れいさんなんだよ!どどろいたでしょ!!これでにんげんさんにもてはだせないよ!!」 「わかったらはやくおかしをちょうだいね!!れいむはおなかがすいたんだよ!!」 「ああ、わかった。・・・ホレ。」 俺は持っていた小さいキャラメルを地面に置いてやった。 「ゆっへっへ、ゆ~れいになったまりささまはむてきなんだぜ。あまあまさんいただくんだぜ・・・むぐむぐ・・・?」 「ゆゆ~ん♪さすがはれいむのまりさだよぉ~。じゃああまあまさんいただくよ・・・むぐむぐ。・・・ゆ?なにこれ?あじがしないよ?」 「ゆゆゆ!まりさもだよ!!やいくそじじぃ!!これはあまあまさんじゃないよ!!はやくちゃんとしたあまあまさんをちょうだいね!!」 「いや、違うよ。それはちゃんとしたキャラメルで甘いものだし。それに味がしないんじゃなくてお前らが食べることができてないだけだよ。 そら、ちゃんとそこにキャラメルあるだろ?」 男が指し示した場所には男の言ったとおりちゃんとキャラメルが原型のままあった。 「ゆ!ほんとだ!ゆっくりいただくよ!・・・むぐむぐ・・・どぼじでたべられないのぉぉぉぉ!!」 「そりゃ幽霊だからなぁ。この世の食い物は食えないんじゃないかな。」 「じゃあどうずればいのぉぉぉぉ!!」 「さあ?どうもしようがないんじゃないかな?」 「そんなのやだぁぁぁぁぁぁ!!」 じたばたと暴れる二匹だが実際俺にはどうしようもないことだしなぁ・・・。 ていうか幽霊だから物食わなくてもいいんじゃないのかね?教えないけど。 「ゆぎぃぃぃぃ!!まりざざまをごんなめにあわぜるばがなじじぃはじね!!ざっざどじね!!」 まりさがこっちにのろのろと突っ込んでくる。 「ゆ!いいよまりさ!!まりさのちょっといいところをれいむにみせてね!!」 「まかせてねれいむ!!」 しかしおそいなこいつら待ってるほうが疲れる。 ようやく俺にたどりついたまりさ。追突する直前に眼を閉じ防御体制をとる。 しかし、まりさのからだは俺のからだをスゥ・・・と通り抜けまりさはそれに気づかぬまま進んでいく。 「まりさーー!!うしろ、うしろ!!」 「ゆ?・・・ゆゆ!!きたないじじぃなんだぜ!!まりささまのこうげきをよけるんじゃないんだぜ!ぷんぷん!!」 そういって再び体当たりを試みるまりさ。だが何度やってもぶつかることはない。 「どぼじでぶつからないのぉぉぉぉぉ!?」 「まあ幽霊だからな。この世のものには干渉できないんじゃないか?」 「じゃあどうずればにんげんざんをだおぜるの!?」 「さあ?無理なんじゃないかな?俺もお前らを倒せないけど。」 「なにぞれぇぇぇぇ!!だまじだね!!ぐぞじじぃ!!」 「騙してないだろ俺には手出しできないんだから。」 「うるざいよ!!ごんなのぜんぜんゆっぐりでぎないよ!!」 ギャーギャー五月蝿いな。害はないとはいえあまりにやかましい。 そういえば前に読んだ漫画にお経で悪霊退散させるのがあったな。やってみるか。 「え~っとどんなんだったかな?確か・・・南無大慈悲救苦救難広大霊感うんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああああ!!やべでえええええええええ!!」」 お、効いてる、効いてる。なんか上のほうが薄くなってきてる。 「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカうんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああ!!いだいいいいいいいい!!エレエレエレエレ!!」」 なんか吐いてる。・・・これ病気とかを治すときに言う真言だったと思うんだが・・・ 適当でもいいのかな? 「チャー○ーヘッチャラーうんたらかんたら・・・」 「「ゆげげげげげげげげg!!ゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っ・・・」」 痙攣しだした、何でもいいみたいだな。本当に適当な連中だ。 しばらくして回復すると 「もうゆ~れいさんはぜんぜんゆっくりできないよ!!まりさとれいむをさっさともとにもどしてね!!」 「そうだよ!!もどさないとひどいよ!!ぷんぷん!!」 「そういわれてもなぁ。お前等のからだはもうあんなんだし。」 そういってつぶれた饅頭を指差す俺。 「ゆ!なにいっでるの!!まりざざまのうつくしいからだはあんなにつぶれてないよ!!」 「じゃああの帽子にも見覚えないのか?れいむ、おまえは?あのリボンに心当たりは?額に生えた赤ゆっくりに心当たりはないのか?」 「ゆっ!!た、たしかにれいむのりぼんさんだよ・・・じゃあれいむはいまのれいむはなんなの!?」 「だから幽霊だよ。お前等は死んだの。」 「ゆ、じゃ、じゃああれはまりさっでごど?」 「そうだよ。」 「・・・ゆ、ゆぎゃあああああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 「ば、ばりざあああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 あらあら、まりさのもらい吐きでれいむまで・・・ていうか零体になってんのに何はいてるんだろう? そんなことを思っているとなんとれいむの死骸に生えていた赤ゆっくりがぷるぷると動き出した。 もしかして踏み潰したときの圧力で餡子が蔦まで行って成長促進されたのだろうか? ぷるぷるぷる・・・ぷちっ!! 「ゆっくちちていっちぇにぇ!!」 一匹目が生まれた、まりさ種だ。まだはいていた二匹もその声に反応してそちらを向く。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!!」 「さすがれいむのおちびちゃんだよ!!とってもゆっくりしているね!!」 二匹は赤まりさにすりすりをするが赤まりさのほうはきょとんとしている。 そうしているうちに次々と赤ゆっくりは生まれた。その数7匹。赤まりさが三匹、赤れいむが四匹だ。 う~ん、こいつらの意見に同意するのは不快だが生まれたてのゆっくりはなかなか可愛い。おもわず目をくりぬいてやりたくなる。 「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇにぇ!!」」」」」」」 「おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!」 「おちびちゃんたち、れいむがおかーさんだよ!!ゆっくりしていってね!!」 俺から見ると始めての親子の会話なのだが赤ゆっくりたちからするとそうではないようだ。 「ゆぅ?おきゃーしゃん?どきょにいりゅにょ?」 「かきゅれてないぢぇにぇ!!きゃわいいまりちゃがうまれちゃよ!!」 「れいみゅおにゃかへっちゃよ!!ごはんちょーだいにぇ!!」 どうやら赤ゆっくりには親子が見えていないらしい。 「ゆゆゆ!!おちびちゃんたち、おかーさんはここにるよ!!」 「そうだよ!!ちゃんとこっちをみてね!!」 しかしやはり赤ゆっくりには伝わらないらしい。しだいに赤ゆっくりたちも苛立ってきた様だ。 「にゃんじぇおきゃーしゃんたちいにゃいにょぉぉぉぉ!?」 「こんにゃにきゃわいいれいみゅたちをおいてどこいっちゃのぉぉぉ!!」 「やくたたじゅなおやはちね!!ちね!!」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!」」 やはりゲスの子はゲスか。 生まれたばかりだというのにもう口汚くなってるし。 「ゆゆ!!しょこにょおにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんたちしらにゃい?」 ようやく俺の存在に気づいたらしく話しかけてくる赤ゆっくり。 「さぁ?俺は知らないなぁ?」 白々しくとぼけて見せる俺。と、親の二匹が抗議して来る。 「なにいっでるのぉぉぉ!?おちびちゃんのおかーさんはまりさたちでしょぉぉぉぉぉ!?」 「そんなこともわからないの!!ばかなの!?しぬの!?」 五月蝿い。 「南無大慈悲・・・以下略」 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」 「ゆべべべべべべべべべべべべべべ!!」 便利だなこれ。 そこに赤ゆっくりがまたしゃべり掛けてくる。 「じゃあおにーしゃん、かわいいまりちゃたちのためにごはんをもってきちぇにぇ!!はやくちてにぇ、ぐじゅはきりゃいだよ!!」 「いやだよ、・・・ていうかご飯ならお前等の後ろにたくさんあるじゃないか。」 「ゆ?ほんちょだ!あみゃあみゃなにおいがしゅるよ!!」 「なにいっでるのぉぉぉぉ!!ぞれはおかーざんだぢでしょぉぉぉぉぉ!!」 「たべちゃだめぇぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉぉ!!」 後ろの餡子の塊に向かっていく赤ゆっくりとそれを必死に止めようとする親二匹だが、二匹には止める術がないので結局・・・ 「「「「「「「む~ちゃ、む~ちゃ・・・ちちち、ちあわちぇ~♪」」」」」」」 「「ゆぎゃあああああああああ!!どぼじでだべじゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」」 赤ゆっくりたちはあっというまに二匹に群がりかなりの量を食べてしまった。 もうほとんど原型は残っていない。 「ゆぁぁぁぁ・・・ばりざのたくましいからださんが・・・」 「でいぶのぷりちーなおかおがぁぁぁ・・・」 赤ゆっくりたちは食べ過ぎたのかすでにおねむの時間のようだ。ゆ~ゆ~寝息を立てて寝ている。 するとそこに何かやってきた。 「う~う~!あまあまさんのにおいがするど~☆う~☆」 「「れれれ、れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」 親の二匹は大声をあげて空中をのろのろと逃げる。だから必要ないというのに・・・。 「う~☆あまあまいっぱいだっど~☆」 その声に気づき二匹も引き返してくる。 「おちびちゃんたち!!れみみゃだよ!!はやくにげてね!!」 「れみりゃはゆっくりできないんだよ!!ゆっくりしてないでいそいでね!!」 当然、聞こえていないので赤ゆ達はゆ~ゆ~寝たままだ。 「おにぃぃぃざぁぁぁぁん!!おちびちゃんたちをだずげでぇぇぇ!!」 「なんでもじまずがらぁぁぁぁ!!おねがいじまずぅぅぅぅ!!」 こいつ等にこんなに子を思う気持ちがあるとは思わんかった。 とりあえずれみりゃに話しかけてみる。 「おい、れみりゃ!」 「う~?おにいさんなんだど~?」 二匹はなにかこちらに感謝のまなざしを向けている。赤ゆを救ってくれるとでも思っているのだろう。 「おのこしはするなよ。」 固まる二匹。 「う~☆わかってるんだど~☆えれがんとなおじょうさまはおのこししないんだど~☆う~☆」 「ゆああああああああああ!!ちがうでしょおおおおおお!!」 「はやぐおちびちゃんたちをたすけでえええええええええ!!」 無視。 そしてれみりゃの食事が始まった。 まず、赤ゆを一匹づつつかみ底部を傷つけ逃げられないようにしていく。 「ゆ~・・・ゆ~・・・ゆ?ゆぎゃ!!まりちゃのあちがあああああああ!!」 全部が済むと一匹づつ中身を吸い出していく。 「う~☆あまあまおいしいどぉ~☆」 「ゆぎゃああああああああああ!!まりちゃ・・すわれっ・・・もっ・・・きゅち・・・」 「「おちびちゃああああああああああああん!!」」 しかし三匹ほど吸い出すと残った四匹を一箇所に集め丸めて固めだした。 赤ゆっくりは死んではいないようだが痙攣している。 「おい、れみりゃ。そいつらどうするんだい」 「う~?れみりゃのおちびちゃんのごはんにするんだどぉ~☆」 なるほど、子持ちだったか。まあれみりゃは捕食種だし見逃してもいいか。 「そうか、じゃあ子育てがんばれよ~」 「う~☆わかったんだどぉ~☆」 そういって飛び立っていったれみりゃ。 「ゆああああああああああああああ!まっでええええええええ!!」 「あがぢゃんおいでげええええええええええ!!」 今は同じく飛べる二匹だが速度がまるで違うし追いつけたところでできることもないだろう。 すぐにあきらめたようだ。 「あああ、れいむのおちびちゃんが・・・」 「まりさとれいむのあいのけっしょうが・・・」 さて、そろそろ飽きてきたし俺も帰るか。そう思って立ち上がると 「ゆ!じじぃ!どこいくんだぜ!!」 「れいむたちをこんなふうにしたせきにんをとっでね!!」 「そんなの知らないよ。お前たちがなりたいって行ったんだから自業自得だろ。」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」」 そしてそのまま帰る俺。とはいっても村はすぐそこだが。 「まっでぇぇぇ・・・おいでぐなぁぁぁ・・・」 「までぇぇぇぇ・・・まだないにんげんはじねぇぇぇぇ・・・」 面白いのでそのまま村の前まで追いかけさせてやった。 「ま、まっでぇぇぇ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 「おいでぇぇぇ・・・いぐなぁ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 霊体の癖になんで疲れるんだよ。なんとか村の前に来たゆっくり。、 しかしそこで 「ゆべっ!!」 「ゆぎゃ!!」 まるでそこに壁があるかのように吹っ飛ぶゆっくり。 「ゆぅぅぅ・・・なんでかべさんあるのぉぉぉ・・・」 「いだいよぉぉまりざぁぁぁぁ・・・」 「それは壁じゃないよ。結界だ。」 「「ゆ?」」 「さすがに強いのには効かないが知能の低い低級な霊や妖怪が入れないように結界がしいてあるんだよ。」 「まりざはでいぎゅうじゃないぃぃぃぃぃ!!」 「そっぢにいれろぉぉぉぉぉ!!」 「うるせぇ糞饅頭。ずっとその辺で彷徨ってろ。」 俺はさっさとそこを後にした。 「「ああああああああああ!!まっでえええええええええええ!!」」 残された二匹の幽霊饅頭は絶望したこれからどうすればいいのだろう。 なにをすればいいのかまったくわからない。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!でいぶぅぅぅぅぅぅぅ!!ごれがらどうじよぉぉぉぉぉ!!」 「わがらないよぉぉぉぉぉ!!なんどがじでよぉぉぉぉぉ!!ばりざぁぁぁぁぁ!!」 ゆーゆー泣いているとなにか近くの空間が歪んで来た。 「ゆ・・・?なに?」 するとそこから何かが出てきた。 「ふっふっふ、地獄のそこからやってきた。不撓不屈の虐め魂を持つ男・・・虐待おにーサッ!!」 なにやら白装束を着た頭に三角をつけた男が腰を低くし両手を広げて出てきた。 「な、なんなのぉぉぉぉおにいざん!!」 「ふははは!!ゆっくりどもよ!!ようこそこちらの世界へ!!地獄でもさんざん虐めぬいてやるからな!!覚悟しろッ!!」 「「やだぁあぁぁああああああああああああ!!」」 男は再び高笑いを始め二匹の幽霊ゆっくりを捕まえ空間に消えていった。 そして二匹のゆっくりは虐待おにーさんによって死んでもゆっくりできないのでした。 あとがき 最近書いても書いても書きたいことの軸がぶれてしまい消しては書き直しの連続です。 一応これはなんとかなったと思うので楽しんでいただけたなら嬉しいです。 作者 甘党? 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方 ゆっくり達のバザール ゆっクエ あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠 ラジコンうーぱっく 笛吹き男とゆっくり
https://w.atwiki.jp/tibityato96/pages/95.html
チャットMVPとは、ちびちゃと、もなちゃとの中で何か大きな出来事を起こしたり、有名になったりすることで獲得することができる賞です。 また、喧嘩師や一般人などの身分は無関係です。 当サイトの投票などでも投票数が多かったりすると、MVPになる可能性があります。 チャットMVPは、月ごとに行っています。 MVPが確定する日時は、不定期です。 MVPについては本人直接以外からの取り下げ希望が無い限り取り下げません(本人から第三者への伝言も却下します) MVPの適当者が多数いる場合、投票又は管理者の判断にて確答します。 チャットMVPは2009年8月分から始めています。 チャットMVPは平成21年9月15日火曜日に考案され、ちびちゃと・もなちゃとチャット総合情報[TMC総合情報] 管理者:GLeGLeが公布したものです。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1084.html
作:神奈子さまの一信徒 どこかで見たことのあるお話のパロディです。 クラシック好きな方への推奨BGM:レイフ・ヴォ−ン・ウィリアムズ、交響曲第七番 『とてつもなく南の島のまりさ』 初夏 観測基地のゆっくりたちは、無事冬を越すことができた。 これは室内に餌が豊富に用意されていたことが何よりの要因である。 しかし、ここに来て問題も発生した。すっきりによる赤ゆの急増である。 ありすとちぇんの間にも赤ゆが生まれたが、胎生であったため、赤ちぇんが2匹生まれ ただけだった。 まりさとれいむの間には、それなりの大きさに成長した子まりさと(故)子れいむがいた が、その他に10匹も赤ゆが生まれていた。しかし、れいむはそれでも足りなかった。 食糧が豊富で危険な狩りをせずにゆっくりできる。 そのような環境下で、ゆっくりが増えようとするのは、自然の摂理というべきだろう。 「ゆふふ、ここはとてもゆっくりしたゆっくりぷれいすだよ。きっとにんげんさんは ここでまりさとれいむに幸せになってほしくで出て行ったんだよ。」 その隣にいるまりさは虚ろな表情でどこかを見つめていた。防寒服はうんうんしーし ーができるように、下腹部にマジックテープ式の前張りがついていた。しかし、度々 れいむのその肥満体でのしかかられ、すっきりさせられたために、まりさの防寒服の 下腹部は表面が磨り減り、繊維のほころびが見られた。 もっとも一番磨り減っていたのは、衣服ではなく、まりさの心だったが。 まりさの心は、おちびちゃんを死なせてしまったことへの後悔によってズタボロだった。 れいむは毎日とてもゆっくりしていた。たくさんのごはんさん、たくさんの赤ちゃんに 囲まれたれいむはゆっくりしてすっかり大きくなり、最早、サッカーボールどころか、 大きなだるまだった。選挙に使えそうなサイズである。 飼育員の言いつけを守り、防寒服は着ていたが、背中の辺りが動くたびにみちみちと 音を立てていた。その姿で「おうた」と呼ばれる怪音波をまきちらす姿は、宇宙の根源 に座す痴愚神の周りで単調な音楽を奏でる醜悪な蕃神たちを思い起こさせた。 「まりさ!れいむはもっと赤ちゃんがほしいよ!!ゆっくりすっきりしようね!!」 子育てに他種よりも情熱を傾けるれいむ種としては、子沢山は夢だった。子供たちはた くさんいればいるほどゆっくりできるものなのだ。 しかし、まりさはれいむのように楽観していなかった。自分たちは人間さんが用意して くれたごはんさんを食べてるだけなのだ。あまりたくさん赤ちゃんを増やすとえっとう に失敗する。まりさはそう何度も言ってきたが、その度にれいむに無理矢理すっきりさ せられていた。 まりさは最早、ぶくぶくに太ったれいむの召使い兼すっきり相手であり、一部の子供た ちからは「南極1号」などとバカにされていた。 「…れいむ、おちびちゃんが多すぎるのはゆっくりできないよ…もう新しい赤ちゃんは いらないよ…今のおちびちゃんたちをゆっくり育てようよ…」 まりさはれいむに比べてげっそりしていた。れいむたちの食べる食糧はすべてまりさが 袋を破ったり、缶を開けたりして、初めて食べられるようになるのだ。子供の数が増え、 まりさがゆっくりごはんさんをいただける時間はなくなってしまった。 「あああああああああ゛!?あがじゃんがゆっぐりできるのはとうぜんでしょおおおお おお!?あがじゃんがうまれでほじぐないとが、ばがなの!?じぬの!?」 「…だったら…れいむもごはんさんを用意する手伝いや…うんうんの掃除を…してほし いよ…」 赤ゆが増えてからというもの、れいむは専ら赤ゆへのすりすり、おうた、赤ちゃんと のおひるねなどに忙しく、自分で狩り(ただ木箱からごはんの入った袋や缶詰を取っ てくるだけだが)やうんうんしーしーの後始末をすることはなくなっていた。 「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ゛!? なにいっでるのおおおお゛!?れいむはあかちゃんのめんどうみなきゃいげないんだ よ!!いくじのきびしざをじらないのおおおおお゛!?まりさはすどれずでぐるじむ れいむをじっがりゲア゛しなぎゃだめでじょおおおおおお゛!?」 「…かったーさんやかんきりさんを…使えるようになって欲しいよ…まりさはれいむ にゆっくり教えたよ…ちぇんも…ありすも上手にかったーさんや…かんきりさんでご はんさんをあけてるよ…」 ちぇんとありすはまりさほど上手ではないものの、すっかり道具の扱いにもなれ、今 はこの飼育スペースではなく、空いていた観測員の部屋の一つを巣にして住んでいる。 たまに餌がある木箱の通路「アメ横」で会う他は、ほとんどちぇんとありすの家族を 見る機会はなかった。 「ああああ↑あ゛あ゛あ゛あ゛↓ああああーっ↑!? あのふだりはごぞだでをまじめにやっでないにぎまっでるでじょおおおお!!いぞが じいでいぶどいっじょにじないでねえええええ゛!!でいぶはごぞだでにずべでをざ ざげる聖母なんだよおおおおお゛!!!」 まりさはれいむの絶叫を最後まで聞かずに、食事を用意しに向かった。 「なんきょくいちごう!!はやくごはんしゃんもってきちぇね!!!」 「すっきりちかできないむのーはちゃっちゃとごはんさんもってこい!!」 「はやきゅもってこにゃいとどれーをくびにするよ!!!」 「ゆきゃははははは!!!」 生まれたばかりの赤ゆたちが実の親に罵声を浴びせる。もう慣れてしまったまりさは 視線を向けることすらしなかった。 「アメ横」にある餌はもうほとんどなくなっていた。人間用の食品もほとんどなく、 残っているのは開けにくい缶詰ばかりあと一週間分あるかないかだった。 「…きっとみんな死ぬよ…みんな死ぬよ…ごめんね、お兄さん…」 「アメ横」に陳列されていた食糧がゼロになったのは三日後のことである。 「どぼじでごばんざんないのおおおおおお゛!!!」 「…みんな食べちゃったからだよ…」 観測隊が残していった食糧は、人間の分も含まれば、6匹のゆっくりが一年以上生き延 びるのに十分な量だった。だが、個体数が途中で倍増すれば話は別である。 「ゆええええん!!!みゃみゃ~!おにゃかすいたよ~!!!」 「なんきょくいちごう!はやきゅれいみゅちゃまにごはんもってきょい!!!」 「ごばんざんがないならどっでぐるのがおやのやぐめでじょおおおおおおお!?」 「…お兄さんは…ここお外にはごはんさんはないって…言ってたよ…」 れいむは怒りのあまりまりさに体当たりをした。太りに太ったれいむの体当たりは、 痩せ細ったまりさにとって、あまりに重かった。まりさは思わず餡子を吐いてしまう。 「!!…ゆ…ぐ…」 「ごばんざんをどっでごれないげずはぜーざいずるよ!!!」 完全に見下した目でまりさをにらみつけるれいむ。その頬は、顎は、そして腹部は醜 悪なほどにたるんでいた。 「…………」 まりさは黙って廊下を見るようにれいむに促す。れいむは面倒臭そうに廊下をのぞい た。そこにあったのは、かつてあふれんばかりに食糧に満ちていた木箱が空箱になっ ているという、れいむには信じられない光景であった。 「どぼじでごばんざんのごっでないおおおおお゛!?でいぶにはあがぢゃんがだぐざ んいるんだよおおおおおお゛!!!」 原因と結果の順番が完全に入れ違っていた。 「みゃみゃー!!おにゃかすいたんだじぇい!!!」 「むーしゃむーしゃしないとゆっくちできないいいいいい!!!」 「おい!なんきょくいちごう!!はやくごはんさんもってきょい!!!」 赤ゆたちが騒ぎ立てる中、れいむは唖然として空箱だらけになった木箱を、まりさは そんなれいむを黙って眺めていた。 「まりさ!れいむ!」 ありすとちぇんだった。 「もうごはんさんがないんだよ~!分かるよ~!」 「ちぇんとあちこち探してみたんだけど、もうごはんさんがないわ!このままじゃい なかものよ!!」 「…まりさ…」 「?」 「かりにいくよ…」 「!?」 「ゆっくりしないでかりにいくよ…おちびちゃんをゆっくりさせたいよ…」 まりさは驚いた。れいむの母性がまだ錆び付いてはいなかったことに。まりさの瞳 は虚ろなままだったが、どんなに罵声を浴びても我が子は我が子だった。 「…まりさはゆっくりしないで狩りに行くよ…」 まりさは外出用の通路に向かった。その後を苦しそうに跳ねながられいむがついて きた。一緒に狩りをするのは…初めてだろうか?… さらにその後にちぇんが続く。赤ゆたちのこともあるので、ありすには残ってもら った。 まずは餌場を探さなくてはならない。 まりさは新しい餌場を見つけた場合、引っ越すことも考えていた。 まりさはあの飼育員特製の外出通路を通じて外へ出た。夏になると、気温が0℃近く で推移するようになるため、防寒服を着ている状態では特に寒いと感じなかった。 まもなくして、通路ぎりぎりにまで肥えてしまったれいむが苦労して通路から顔を 出す。まりさには、れいむがまだこの通路を通れたことが驚きだった。 観測基地は南極大陸周縁部の島に建てられている。そのため、夏場になると海氷が 縮小して海が接近し、基地周辺には陸地が顔を出していた。遠くの半島にはアデリ ーペンギンの群れがコロニーを形成し、その上空ではトウゾクカモメがペンギンの 雛を狙っている。 れいむは黙って、れいむ専用すぃー「ぶーねい」(びゅーねいの誤表記と思われる) に乗り、鳥が集まっている岩場に向けて走り出した。まりさは自身の専用機「ふぉ るねうす」に乗り、ハンドルのグリップをあにゃるで軽く握り締め、後を追う。 途中、何度もスピードを調整し、れいむを追い越さないようにしながら走った。 すぃーはそれぞれ、持ち主の好みに合わせて飼育員が改造を繰り返しており、まり さのすぃーは飼育員の愛情によって過剰なまでに強化されていた。 衝撃や振動を吸収するクッション、ぴかぴかに磨かれたボディ、さらにどんな荒地 でも走破できるよう各種改造・調整が施され、その加速性能は他の三台の追随を許 さなかった。 一方のれいむはスピードこそ出ないものの、通常のすぃーの倍近い大きさを誇り、 おちびちゃんをたくさん乗せて走り回れるようになっていた。 れいむはたるんだ体を右に、左にと巧みに動かしながら、重心を移動させてすぃー を操作する。風を切って走るすぃーの上でたるんだ達磨が「ぶりん!ぶりぶりぶり りん♪ぶりーん★」と踊る様子は、後方を走るまりさを思わず失笑させた。 「でいぶはかぜ!!でいぶはかぜになっだのよおおおおおお゛!!!」 その後方からちぇんが専用すぃー「ファーン?」がやってくる。 ちぇんのすぃーはれいむ同様、体重移動によって操作するタイプであり、小回りの 効く、軽快な機動性が売りだった。「ふぉるねうす」ほどの加速性能はないが、そ の分軽量で、海氷や新雪の上でもある程度安定した走行が可能だった。 三台のすぃーは、海鳥が集まる岩場を目指した。 岩場にいたのはユキドリだった。ユキドリはハトよりやや大きいくらいの真っ白な 鳥で、沿岸域の魚やアミを捕食して暮らしている。この時期ユキドリは南極大陸沿 岸の岩場に巣を作り、卵を産む。 その上空にはユキドリを狙うトウゾクカモメが乱舞していた。この時期の亜南極域 は海鳥があちこちで営巣しており、アデリーペンギン、ナンキョクトウゾクカモメ、 ユキドリの巣が近接して形成されていた。ペンギンなどは巣の材料となる小石をあ ちこちで奪い合っている。 珍事としては、ナンキョクトウゾクカモメがその餌であるはずの、ペンギンの卵を 抱卵して孵化させたという記録も残っている。これも、この巣の密度と、重複した 行動圏が生んだ一つのエピソードであろう。 また露出した大地には、コケや地衣類が生え、中にはイネ科の種子植物らしき草も 点々と生えていた。 このユキドリ、そしてユキドリを捕食するために集まるトウゾクカモメの糞が地面 に滋養をもたらし、この不毛な大陸の端っこに緑をもたらしているのだ。 三匹は颯爽とすぃーから降り、まずはこの草やコケを食べてみた。 「むーしゃ、むーしゃ、それなりー…」 二匹ともすっかり人間の食物の味に慣れてしまっていたが、今更文句は言えなかっ た。せっせと口の中や、まりさの帽子の中に植物を地面から引っぺがしては詰め込 んでいく。 「ゆ~…これだげじゃあ、おぢびぢゃんゆっぐぢでぎないよ…」 れいむはユキドリの巣に目をつけた。周囲にはトウゾクカモメの巣もあったが、 より体の小さいユキドリの方が与しやすいと考えたようだ。 「そろーり、そろーり…」 ぼよんぼよんと跳ね、ユキドリの巣に接近するれいむ。 「でいぶとおぢびぢゃんのためにゆっぐりたまごさんはいただくよ!!ありがだ ぐおもっでね!!!」 まりさはかわいそう、と思ったが、おちびちゃんと自身の空腹に耐えられないれい むはためらわなかった。 「どりざん、ゆっぐりでいぶたちのごはんざんになっでね!!!」 言うが早いか、体当たりを仕掛けて親鳥を追い散らす。親鳥は真っ白な体をいっぱ いに広げて抵抗したが、このサイズの、それも防寒服を着込んだれいむの前では無 力だった。そして、巣の中の卵を口の中にしまいこむ。 ユキドリは卵を一つだけ産卵し、そしてそれを40~50日かけて暖め、孵化させると 言われている。この極地という苛酷な環境下では、数少ない卵を大事に育てるしか とるべき手段がないのであろう。 「ゆふふ、まだまだいただぐよ!!まりざもてつだっでね!!!」 れいむはユキドリの巣を回り、片っ端から卵を奪っていった。生き残るためには手 段は選べない。それはユキドリの側でも同じことであり、何匹か、必死の抵抗を試 みた親鳥がいたが、上空から隙を狙っていたトウゾクカモメに次々と襲われ、真っ 白な羽と赤い染み、そして誰もいなくなった無残な巣だけが残された。 もうまりさの帽子もれいむの口の一杯だった。それでも、今まで食べていた量に比 べると足りなかった。しかし、もう太陽は傾き、タイムリミットが迫っていた。 長い長い極地の夏の昼が終わり、夜が迫る。 夜間にこの過酷な環境の大陸ですぃーを走らせるのは自殺行為と言えた。 ちぇんはありすとの間に二匹しか子がいないため、まりさたちよりも少ない卵やコ ケで満足していた。しかし、まりさとれいむが苦労して集めた餌は、おちびちゃん 全員のおなかを満たすには足りなかった。 観測基地に向けてすぃーを疾走させる三匹を、横から夕日が真っ赤に照らす。 ふと、太陽が今にも沈もうとしたそのとき、夕日が緑色になった。 グリーンフラッシュと呼ばれる現象である。 グリーンフラッシュは太陽が沈む直前に緑色の閃光を放つ現象のことで、普段は大気 中で散ってしまっている波長の短い光が、大気の透明度など様々な条件が重なった時 に地上まで届く現象のことである。 ほんの数秒だけ、緑色の淡い光が、この無人の大陸を照らす。 「おひさまがみどいいろなんだよ~!!分からないよ~!!」 まりさはグリーンフラッシュに見入った。 こんなにゆっくりできないおそとなのに、なんでこんなにきれいなんだろう… 一方、れいむもグリーンフラッシュに驚き、そして怒り狂った様子で猛然と吼えた。 「ぢょっどだいようざん!!!みどいいろはゆっぐりでぎないよ!!!にーぴーから ーはじね!!!せーさいっずるよ!!!みどりじね!!るいーじじね!!!」 沈み行く太陽はそんなれいむの罵声を相手にしようともせず、静かに沈んでいった。 「ゆええええん!!!くさしゃんにがいいいい゛!!!」 「おいじくないよおおおおお!!ゆっぐりできないよおおおお!!!」 「まずっ!これめっちゃまずっ!!」 「味のりぐるきっくやあああああ!!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおお゛!!!」 新しく生まれた赤ゆたちは、人間の食物を食べて育ったため、両親が野外でとってき た餌を受け付けることができなかった。 「ゆぎいいいい゛!!!なんでだべないの!!!ごはんざんだべないどゆっぐりでぎ ないでじょおおおおおお゛!!!」 「うるじゃいよ!!!びゃきゃなおやははやくあまあまもってきちぇね!!!」 「たきゅさんでいいよ!!!」 「なんきょくいちごう!!!ゆっくりちてるひまあったらおいちいごはんしゃんさが ちてこい!!みゃみゃ!おみゃえもだ!!!」 「ゆぎゃあああああ!!!どぼじで!!!どぼじでぞんなにわがままなのお゛!!」 れいむは焦っていた。このままごはんさんを食べなければ、せっかく産んだおちびち ゃんが永遠にゆっくりしてしまう。それはたくさんの子供たちに囲まれることを特別 視するれいむ種にとって、想像するのすら辛いことだった。 れいむはコケを噛んで軟らかくし、なんとか赤ゆたちに食べさせようとした。 「いいがらだべなじゃい!!!ゆっぐりでぎなぐなるよ!!!」 「たまごしゃんまっず!!!」 一匹の赤まりさが、れいむたちが苦労して取ってきたユキドリの卵をぺっと吐き出す。 潰れた黄身が床に歪な楕円を描き、喚き散らす赤ゆたちのちーちーによって汚れてい った。れいむの沸点は近づいていた。 だが、そのとき、 「ゆゆ!たまごしゃんよりもいもうちょのほうがおいちそうだよ!!」 がぶ 怒鳴り散らすれいむの後ろで、一匹の赤ゆが妹に噛み付いたのである。 「ゆぎ!!?やべでね!?まりちゃ!!なにちゅるの!?きゃわいいれいみゅにかみ ちゅかないでにぇ!!」 だが、赤まりさは力に任せて、赤れいむの頬を食いちぎり、咀嚼した。 「むーちゃむーちゃ…ちあわせ~!!!」 たった一日絶食しただけ。 だが、それは急激に成長する時期にあたる、赤ゆたちには耐え難い苦痛だった。 一般的に赤ゆから野球ボールぐらいまでの時期のゆっくりの成長は急激であり、指数 関数的に成長する。その後、成長速度は対数関数的に変化するのだが、指数関数的に 成長する期間の餌料転換効率(食べた餌の何パーセントが成長に費やされたか)は非常 に高い値を示すことが知られている。 この成長期のゆっくりにとって、一日とは言え、絶食は危険であった。 そして共食いが始まった。 「ゆゆ!れいみゅのいもうちょおいちいよ!むーちゃむーちゃちゅるよ!!」 「やべで!おねえぢゃんやべで…ゆんやぁあああああああ゛!!!」 「いもうちょのおべべきちゃないけどおいちいよ!」 「ゆげっ…ゆ゛!ゆ゛!」 それは共食いというよりは、先に生まれてきた大きな個体が、まだ幼い赤ゆたちをむ さぼり食らう一方的な虐殺に近かった。 「でょ!!ぢょっどなにやっでるのおおおおおお゛!!!ゆっぐりごろじはゆっぐり でぎないでじょおおおおおお゛!!!」 れいむの雄叫びに、うつらうつらしていたまりさも飛び起きた。 「おじびぢゃああああん!!!ゆっぐりごろじはゆっぐりでぎないよおおお゛!!」 「ゆきゃきゃ!!!れいみゅにたべられるなんちぇ、ほきょりにおもって…」 ぶちゅ 次の瞬間、まりさが目にしたのは、妹たちをむさぼり、得意になる赤ゆたちを潰した れいむの姿だった。 「ゆ゛…ゆゆ゛…きゃばいい…れい…が…なんじぇ…」 潰された赤れいむが動かなくなると、止まっていたゆっくりたちの餡子脳がやっと動 き出した。 「ゆっぐりぎょろちだああああああああああ!!!」 「ゆっぐりできにゃいんだじぇえええ!!!」 さっきまで自分たちが何をしていたかも忘れて逃げ出す、赤まりさと赤れいむ。 「いもうどだぢをごろじだげずはじね!!!」 「ぶぎゅ!!!」 「ぶぽっ!?」 妹をむさぼっていた赤ゆたちは一匹、また一匹とれいむに殺され、残ったのは、あん よを齧られて動けなくなった赤ゆ一匹と、何とか難を逃れた三匹の合計四匹だった。 「ゆわああああああああああああああああああああああああん!!!」 れいむは号泣した。 たるんだ頬をぷーるぷーると震わせ、目と口から液体を振りまいて泣くれいむ。 その姿は薄闇の中で、ホラー以外の何者でもなかった。 もし、ここに小傘を連れてきたら、傘を放り出してでも逃げ出すだろう。 「なんじぇ!?なんじぇ!?どぼじでじんでれらでいぶがごんなめにいいい゛!!! ゆがあああああ゛!!!ゆばばああああああ゛ん!!!ぶばああああああああ゛!!」 子供たちのために苦労して取ってきた餌を拒否され、挙句共食いを見せ付けられ、自 分で産んだ赤ゆを自分で処分しなければならなかったのだから。 まりさは不思議と涙は出なかった。 ただ、久しぶりに、れいむに同情した。 れいむが泣き止む頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。 「…まりさ…」 れいむはたるんではいるが、疲れきった顔でまりさを呼んだ。 「…れいむは…新しいゆっくりぷれいすを探すよ…」 れいむは餌もなく、赤ゆの死臭が染み付いたこのゆっくりぷれいすに住むことはでき ない。そう思っていた。しかし、ここを離れてはいけない、まりさたちは飼育員に何 度もそう言われていた。 「…ゆっくりりかいしたよ…残ったおちびちゃんたちのために新しいゆっくりぷれい すを探すよ…」 このとき、まりさは今までのれいむの横暴への怒りを少しだけ忘れていた。 翌日、まりさとれいむ、子まりさと赤ゆ四匹、ちぇんとありす、そして二匹の子であ る子ちぇんが二匹、合計十匹のゆっくりたちは、三台のすぃーに分乗して昨日の岩場 へと向かった。 まりさは赤ゆたちが自分の生まれ育った場所を捨て、お外に出られるのか不安だった が、昨日の一件があったせいか、赤ゆたちは親に逆らおうとはしなかった。 本来なら、ありす専用すぃー「あらけす」があるはずなのだが、なぜか見つからなか った。「あらけす」はありす専用にカスタマイズされたすぃーであり、あにゃるで動 かすグリップには走行による振動が何倍にも増幅されて伝わるようになっている、恐 るべきすっきり使用のすぃーであった。 ありすは自分のすぃーがなくなっていたことを悲しんだが、幸い、ちぇんのすぃーな らば四匹乗せることができた。 「お兄さん…まりさはいつかきっと帰ってくるよ…」 ゆっくりたちは慣れ親しんだ観測基地を放棄し、昨日餌を漁ったユキドリが営巣して いる岩場へと向かった。 少しユキドリの数が減ってしまったが、そこには、相変わらずユキドリの巣が点在し ており、その上空をトウゾクカモメが舞っていた。 改めて見ると、ユキドリが営巣している岩場は氷河で削られており、大小様々な窪み がその表面に形成されていた。ここに観測基地から持ってきた毛布や、その辺のコケ などを敷き詰めれば、暖かいゆっくりぷれいすができるのではないか? まりさはそう考えた。 「とりざんゆっぐりででいっでね!!ごごはでいぶのゆっぐりぶれいずだよ!!!」 れいむはおうち宣言と同時に親鳥を巣の外にたたき出し、卵をくすねた。 れいむがおうち宣言をした巣は、うまい具合にくぼんだ岩に、大きな石が乗っかって おり、何箇所か隙間をふさぎ、出入り口を毛布で覆えば、外気をたやすく遮断できそ うだった。 「さ~、おじびぢゃんだぢ、ぎだないどりざんはおっぱらっだがら、あだらじいゆっ ぐりぶれいずにはいっでね!!!げっがいざんをはるよ゛!!!」 れいむはいそいそと持ってきた毛布を敷き、観測基地から持ち出した雑多な材料で新 しい巣の周りを覆っていく。危機に陥ったことで、眠っていた母性が目覚めたのだろ うか?れいむは子供たちのためにかつてないほどゆっくりしないで働いていた。 「ゆゆぅ~なんじゃかこのゆっくりぷれうしゅはくさいんじゃじぇ~!!!」 「でもとってもゆっくりできそうだよ!!!」 れいむが巣を作っている間に、まりさはすぃーから、一匹の赤ゆを下ろし、口の中に 入れて運んできた。 昨日、姉たちに食いつかれあんよを怪我した赤れいむである。 ちょっと前までの自堕落な生活からは想像もできないほど、れいむが献身的に介護し たことにより、傷はすっかりよくなっていた。この分ならば、あと数日もすれば這い まわれるようになるだろう。 「おい!なんきょくいちごう!!ここはちゃむくてゆっくりできにゃいぞ!!ぽかぽ かなあったかぷれいちゅにちゅれてけ!!きゃわいいきゃわいい…?」 まりさは最後まで言わせず、赤れいむを口から取り出して、岩場に置いた。 夏の日中であるため、気温は数度はあるため、凍死することはない。しかし、防寒服 のない赤ゆたちには、岩場の上で南極の風に曝されるのは耐え難い苦痛だった。 「ひゃぶぶぶぶぶぶぶぶ!!!おい!れいみゅをたちゅけろ!!」 「口の聞き方の出来ていないおちびちゃんはゆっくりできないよ。反省するまで、そ こでゆっくりしていってね!」 「ゆっぐりできにゃいいいいいい゛!!!」 まりさは昨日のれいむの子供たちへの献身ぶりを見たことで、閉ざされていた心が少 しだけ開きかけていた。だから、暴言を振るう子供たちを教育し、立派なゆっくりに しようとし始めたのだ。兄さんが帰ってきた時に、みんなで歓迎できるように。 「なんぎょくいちごう!おねがいたじゅげでえええ!!!ちゃむいいいい゛!!!」 「なんきょくいちごうってだれ?まりさはまりさ、ぱぱだよ!」 「しょんなのどっちでもいいきゃらはやくぽかぽかあああああ゛!!!」 まりさは喚きたてる赤れいむを静かににらみつける。躾は根気の勝負なのだ。 赤れいむは岩場の上に置かれた当初こそ、どこで覚えたのか首を傾げたくなるほどの 罵詈雑言をまりさに浴びせ続けた。だが、所詮は、母親の保護下から出たことのない 赤ゆである。ものの十分もしないうちに、赤ゆの根拠のない居丈高さは砕け、まりさ に泣きながら謝り始めた。 「ゆっぐ…ゆっぐ…ごめんにゃしゃい…たちゅけてぴゃぴゃ…」 まりさは少しだけ笑顔になった。やっぱりまりさの子供なのだ、ちゃんと躾をすれば きっといい子に育つ。もう少しの辛抱だ。 「聞こえないよ…悪いことしたから謝っているんだよね?何をしたからぱぱに謝って いるの?」 「ゆゆ…れいみゅは…ゆゆ~んおちょらをとんでるみちゃ~い…」 実際に赤れいむはお空を飛んでいた。せっかく怪我が回復しつつあった上に、まりさ による躾の成果が見られつつあった赤れいむは、トウゾクカモメにくわえられ、どこ かへ連れ去られてしまった。そのまま雛鳥の餌になるのである。 「おぢびぢゃあああああああああああん!!!なんじぇええええええ゛!?」 それは昨日今日と、自分たちがやったことが裏返しになったに過ぎない、自然界では ありふれた一幕だった。 「ありすたちのとかいはなおうちの完成よ!!」 「おうちのなかぬくぬくなんだね~、分かるよ~!!」 こうして、ゆっくりたちは、ユキドリの営巣地を奪取することで、海岸沿いの日当た りの良い斜面に新しいゆっくりぷれいすを建設した。 その夜、狭い巣の中で、まりさとれいむ、そしてその子供たちは身を寄せ合い、久し ぶりに家族の暖かさを噛みしめながら眠りについた。 翌日、この季節にしては寒い日だった。 風はなく、穏やかだが、気温は−5℃まで下降した。 疲れて昼まで寝てしまったまりさたちはけたたましい鳴き声で目が覚めた。 餌をとるために沖合いの海にでかけていたアデリーペンギンたちが大慌てで海から 出ようとしている。 アデリーペンギンは産卵後、雄が卵を抱卵し、その間、雌が沖合いの海で餌をとる。 しかし、そこには、ペンギンを狙うヒョウアザラシ、そして南極の海最強の捕食者と されるシャチが待ち受けているのだ。 今回はシャチに襲撃されたようで、懸命に海氷に向かって泳いでいたペンギンがまた 一匹、シャチに襲われて丸飲みにされる。その間に、ペンギンたちは次々と海中から 脱出しては、岩場へと帰ってきた。 「ゆゆ!?ペンギンさんがいっぱいだよ!!」 まりさはペンギンを知っていた。かつて飼育員が教えてくれたのだ。南極のペンギン は人を恐れないため、近くで観察することが出来た。氷の海でゆっくりしている生き 物、それがゆっくりたちのペンギンに対する認識だった。 「きょうばべんぎんざんをやっつげで、おぢびぢゃんだぢにげんぎになっでもらう よ!!」 そう言い出したのはれいむだった。昨日ユキドリを散々に追い払い、その巣や卵を奪 取したことで、れいむは捕食者としての自信を持ち始めていた。 まりさもそれに賛同した。なんとしても栄養価の高い餌を子供たちに食べさせること で、少しでも早く、自力で餌が取れるサイズにまで成長してほしかった。 成体ゆっくり四匹と子まりさが三台のすぃーに分乗して、ペンギンの営巣地に近づく。 アデリーペンギンは体長70cm前後、体重は4−5?の中型ペンギンである。 いくら成体ゆっくりとは言え、まともに相手をすることができないサイズである。そ こで、ゆっくりたちはすぃーに乗ったまま、ペンギンを轢き殺す戦術に出た。 「ゆっぐりじねええええええ゛!!!」 れいむは巣に一羽残っていた雛を狙う。通常、巣に親鳥が不在ということは、両親が 捕食されて死んだことを意味していた。 ゴリッ 既に体重が3kg以上にまで増えたれいむがすぃーに乗っているのだ。雛鳥の脆弱な骨格 ではその衝撃に耐えることが出来ず、ペンギンの雛鳥は首の骨が折れて死んでしまった。 「ゆぶぶ、ごれもでいぶのがばいいがばいいおぢびぢゃんだぢがいぎのびるだめだよ。 わるぐおもわないでね。ぶぶぶ、づよぐっでごめんでぇ~♪」 その頃、まりさやちぇんは、すぃーで親鳥に体当たりしたものの、体当たりの衝撃で一 羽のペンギンが胃内容物を吐いてしまったほかは、何の打撃も与えられなかった。 この時期は、まだ孵化するには早い時期であり、雛自体が少なかった。そして、親鳥は 海中深く潜水するために、通常の鳥類とは違い、その骨は密度が高く、頑丈な骨格を形 成していた。 れいむは血に染まった雛の死体をすぃーに乗せ、次の獲物を探す。 「ゆゆ!?」 そのとき、成体ペンギンによってれいむは囲まれた。 「どいでね!!でいぶはだべられないべんぎんざんにようはないよ゛!!!でいぶの え゛んじぇる゛ずまいる゛にみどれるのはじょうがないげど、どいでね!!!ぶーで ほーでごめんね゛~!!!ぶっ!!!」 次の瞬間飛んできたのは、アデリーペンギンの翼による平手打ちだった。 ペンギンはかわいらしい、というイメージしかないが、実際は強力な海中の捕食者で ある。かつて、コウテイペンギンは捕まえようとする漁師たちをその力でてこずらせ、 犬を翼の一撃でノックアウトしたという。 アデリーペンギンにそこまでの力はないが、れいむの歯は衝撃で砕け散り、口内は切 れ、餡子の味がじんわりとれいむの口に広がった。 「ゆげえええ゛!!!でいぶのえべがんどなは…ゆべっ!!!」 次から次と、ペンギンによるビンタが続く。敵討ちなのだろうか?最早ペンギンによ るれいむのリンチになっていた。 「ゆべ!!!やべ!!!やべで!!!でいぶ!!!ぎでいな!!!でぶっ!!!」 歯が折れ、餡子を吐き、頬はずたずたになっていった。 「ゆびゃああああ゛!!!」 一匹のペンギンが何を思ったのか、れいむの目をくちばしでつつく。れいむの右目は 簡単に潰れてあたりに透明な液体を散らした。 「ゆぎゃああああああああああ゛!!!でいぶのみやびなおべべべっ!!!」 そしてビンタが続行される。 思わぬペンギンの反撃によってぼこぼこにされていたのはれいむだけではない。 「ゆっぎゃああああ゛!!!ばでぃざの…ばでぃざのあま゛あま゛なまずぐがあああ あああ゛!!!」 「ぼうじざんなぼっでね!!わがらないよおおおおお゛!!!」 「あでぃずの!!あでぃずのどがいばな!!ぶぼおおお゛っ!!? まりさはビンタによって歯を半分ほどやられ、その肌は乾燥と相まって所々、切れて 餡子がにじんでいた。 ちぇんは帽子をずたずたにされ、尻尾も片方が途中から食いちぎられている。 ありすは髪の毛をくちばしでむしられ、金髪はまだらはげとなり、左目は潰れかけ、 視力を喪失していた。 子まりさだけは、背丈が小さいことが功を奏し、ビンタをされずに岩陰に隠れること に成功していた。 「ゆっわあああああ゛!!!もうやじゃ!!!おうちがえるっ!!!」 「どぶぉじで!!!でいぶがごんなべにいいいいいいいい゛!!!」 ゆっくりたちはペンギンにボコボコにされ、ほうほうの態ですぃーに乗り込み逃げ出 した。当初の捕食者として自信は、もう欠片ほども残っていなかった。 逃げるゆっくりたちを、ペンギンは翼をぱたぱたと動かしながら、追撃してくる。 何度もつつかれたまりさの帽子はもうぼろぼろで、先端に穴が開いていた。 「ゆええええ゛!!!こにゃいでええええ゛!!!」 すぃーとペンギンたちとの距離が離れると、ペンギンたちは満足したように鳴き、 よたよたと巣へ帰っていった。 「ぺんぎんさんは…ゆっくりできないわ…とかいはじゃないわ…」 「なんでぢぇんがごんなべに…」 「ぶゅえええええええん゛!!!でいぶのおべべがああああ゛!!!」 「ばでぃざは…きんばっじ…おぼうじ…ゆっぐじできな…」 金バッジは野生で生き残るのに何も役に立たなかった。それとも、そもそも南極は 饅頭が生き残れる場所ではなかったのだろうか? やっとゆっくりたちが新しい巣まで逃げてきたとき、そこにあったのは新しい地獄 だった。 「おぢびぢゃあああああああああああああんっ!!!」 誰も守るもののいない巣をトウゾクカモメの集団が襲ったのだ。そもそも、ペンギン、 ユキドリ、トウゾクカモメがこの時期、同じような場所に営巣するのは、彼らが新し い命を育むことができる場所が限られているからである。そして、彼らはその中で、 常に天敵を警戒しながら生きていた。少しでも気を緩めれば、卵は、雛は、食べられ てしまうのである。 「やべで!!!どりざんやべでね!!!」 まりさがすぃーを降り、必死に巣へと跳ねていく。その後を子まりさが追った。 トウゾクカモメによって巣は荒らされ、貯めておいた食糧は全て持ち去られてしまっ た。三匹いた赤ゆは巣の奥に固まっていたおかげか、連れ去られてはいなかったが、 傷だらけだった。 「ゆんやあああああ゛!!!」 「ぐるなあああ゛!!!そりょそりょほんきでおぎょるよおおおおお゛!!!」 「ゆっぴゃああああ゛!!!まりちゃのこうきなおがおがぁあああああ゛!!!」 必死にぷくーっで応戦する赤ゆたち、だが、焼け石に水ほどの効果もなかった。 「おぢびぢゃんをばなぜえええええ!!!」 「いもうちょがらばなれろおおおお゛!!!」 「じね!!じね!!!おぢびぢゃんをゆっぐりざぜないくずはじね!!!」 まりさ、子まりさ、れいむが必死にトウゾクカモメに体当たりを繰り出す。 しかし、その度にトウゾクカモメは軽やかに攻撃をかわし、逆に子まりさの帽子を持 って飛んでいってしまった。 「ゆああああ゛!!!ばでぃざのおぼうじ!!がえじで!!!ばでぃざのわいるどな おぼうじいいいいいいいいい!!!」 だが、帽子が帰ってくることは二度となかった。 そのとき、両親が帰ってきたことに赤ゆたちは気づいた。 「ゆゆ!?ぱぱとみゃみゃが帰ってきちゃょ!!!」 「たちゅけて!!なんきょくいちごう!!!」 「もうこんなばかなとりしゃんなんてすぐやっちゅけちゃうよ!!!」 安心したのか、一匹の赤まりさが巣から出てくる。 「まりちゃはここだよ!!!はやきゅたちゅ…ゆゆ~!!おちょらをとんでるみちゃ い~!!!」 そして、ずっと巣を突っついていたトウゾクカモメの一羽のくちばしに捕らえられ、 そのまま空へと消えた。 「でいぶのがばびびおぢびぢゃんがあああああ゛!!!」 「ゆわああああ゛!!!おぢびぢゃんでてきちゃだめえええええええ゛!!!」 不運は続いた。絶叫しながられろれろ舌を動かすれいむ。その舌をトウゾクカモメが 捕らえたのである。 「ゆえええええええ゛!!!やへへへ!!!ふっふりふぃふぁいへははひへへ!!!」 何やら意味不明な絶叫を繰り返すれいむ。 しかし、トウゾクカモメはあらん限りの力で、れいむの舌を引っ張った。 「ゆえええええええええ!!!ゆひいいいいっ!!!」 ぶちっ 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむはショックのあまり、白目を剥いて倒れた。 トウゾクカモメは舌をくわえたまま自分の巣へと飛び去ってしまった。 一方、ありすとちぇんの巣では、子ちぇんはトウゾクカモメに持ち去られたのか、一 匹しか姿が見えず、その一匹もあんよや目を食いちぎられ、ひどい有様だった。 「ゆぴいいいいいいい゛!!!いじゃいよ~!!わきゃらにゃいよ~!!!」 「ごのいながものおおおおお゛!!!」 「がえぜ!!!ゆっぐりじないでおちびぢゃんをがえぜ!!!」 だが、トウゾクカモメは残った一匹の子ちぇんをくちばしに挟み、飛び去ってしまっ た。 「いじゃああいいいい゛!!!おちょらとんじぇるみじゃいいいいいいっ゛!!!」 「おぢびぢゃんをがえぜ~!!!わがるがよ~!!!」 ちぇんは砂糖水を目から振りまきつつ、必死にすぃー「ファーン?」でトウゾクカモ メを追う。ちぇんは「ファーン?」の軽快さを生かして海氷上を全速力で突っ走るが 鳥に対して速度差は明らかだった。 「ゆああああああああ゛!!!おぢびぢゃあああああん!!!どりのぶんざいでええ ええ゛!!!」 ちぇんは必死にすぃーを走らせる。「ファーン?」の軽さなら比較的薄い海氷の上も 走行可能である。しかし、タイドクラック−露岩近くで潮汐によって生じる海氷の割 れ目−の前では、軽量も最高速度も関係なかった。 ちぇんは子ちぇんを連れ去ったトウゾクカモメを追うのに夢中になるあまり、上ばか り見て、目前にせまるタイドクラックに気づかなかった。 「おぢびちゃあああああ゛!!ああっ!?」 ガツンという音と共に、「ファーン?」はタイドクラックにはまった。 「ゆあああああああ゛!!こおりのわれめさんでダンスっちまった~!!!わがらな いよぉ゛~!!!」 衝撃ですぃーから放り出されたちぇんは氷の割れ目の壁を滑走する。ちぇんはなんと か残された一本の尻尾で壁面の出っ張りを掴むが、冷たい氷をいつまでも掴んでいる ことは不可能だった。 「だじゅげで!!!だじゅげでありずううう!!!ばでぃざあああ!!!でいぶうう う!!!…ゆ゛!?」 そこに上から自身のすぃーが落ちてくる。 「やべで!!ごないで!!!ゆっぎゃああああ゛!!!」 ちぇんとすぃーはそのまま氷の下、水深数百メートルはある冷たい海に落下し、二度 とあがってくることはなかった。 やっとトウゾクカモメの襲撃から解放されたとき、そこにはぼろぼろの毛布とトウゾ クカモメの糞と羽が残った巣、まりさ、ありす、舌を失ったれいむ、帽子を失った子 まりさ、そして傷だらけの赤ゆ二匹と二台のすぃーだけが残された。早くも、ゆっく りたちの新しいゆっくりぷれいすはゴミ捨て場のようになっていた。 「…おにいさんといた…ゆっくりぷれいすにかえりたいよ…」 子まりさのつぶやきに異議を唱える声はなかった。 まりさたちは一日にして、新しいゆっくりぷれいすを放棄して、観測基地に戻ること にした。気圧が下がりつつあったことなど、まりさたちは知る由もなかった。 二台のすぃーに分乗して、観測基地を目指すまりさたち。 幸い、太陽はまだ高く、日が暮れる前に観測基地に着けるはずだった。 ユキドリたちがいる岩場からの帰り道、背丈の低いゆっくりたちには観測基地の屋根 やアンテナが物陰に隠れてしまって見えない。そこで、まりさは前回先が鋭く尖った 氷山を目印にして帰っていた。 「ゆゆ!?」 だが、今日は氷山がたくさんあって見分けがつかなかった。 「ゆゆ~?なんだかいつもとけしきさんが違うよ…」 蜃気楼である。 風がない、穏やかな日ならば、南極では度々発生する現象である。 蜃気楼によって、氷山はひっくり返ったように空へと伸び、まりさたちは形が変わっ てしまった氷山の前に道を誤った。そして、より気候の厳しい内陸部へとすぃーを走 らせた。 そしてその夜、雪が降った。 ここがどこかも分からないまりさたちは、氷原の真ん中で、岩と氷の間の小さな窪地 に避難していた。申し訳程度に毛布とすぃーで壁を作り、外気を遮断しようとするが、 あちこちの隙間から、風が、そして雪が入り込んできた。 冬のブリザードとは比べ物にならないが、それでもゆっくりたちにとって、横殴りに 吹き付ける雪は脅威以外の何者でもなかった。 吹き付ける風と表面に付着した雪が体温を容赦なく奪っていく。 肥満した体のせいで防寒服がぴちぴちだったれいむは、はみ出た部分が凍傷になり、 感覚を失った。ありすはペンギンやトウゾクカモメとの戦いで防寒服に穴が何箇所 か空いてしまい、そこから凍傷が広がりつつあった。 そして、防寒服のない赤ゆたちは今にも永遠にゆっくりしてしまいそうだった。 「んん~!!!んんんん゛!!!」 舌を失ったれいむは、今にも死にそうな赤ゆをぺーろぺーろしてやることも出来ず、 ただ涙を流していた。 「おちびちゃん、しっかりしてね…ぺーろぺーろ…」 「まりさのいもうと、げんきになってね…ぺーろぺーろ…」 だが、まりさたちは、ぺーろぺーろすることで、赤ゆの表面に水分が付着し、それが 夜間の低温、吹き付ける風によって冷却され、赤ゆの体温を結果的に奪っていること など気がついていなかった。 その後方で、ありすはぐったりしていた。番と子供たちの死を目にしたことで、精神 的に追い詰められており、凍傷で感覚がなくなった背中と頬は、ありすに忍び寄る死 神の鎌のきらめきを予感させていた。 れいむは動きが鈍くなったもみあげで、なんとか防寒服から頬を出し、元気のない赤 ゆたちにすーりすーりをする。 しかし、れいむの頬も、赤ゆたちの表面も凍傷で堅くなり、ごりごりと表面が削れた だけだった。 「…ゆぴゃああ…いじゃいよ…みゃみゃいじゃいよ…すーりすーりはゆっぐりできじ ゃい…」 れいむはすーりすーりを止め、ただ涙を流した。 献身的に赤ゆの世話をしていた三匹だったが、夜が深まり、疲れきっていた三匹はい つのまにか眠りこけてしまった。 夜、ありすは一人、寝床を離れた。 もう長くはない。その体を蝕む凍傷の具合から自分が動けなくなるのはそう遠いこ とではないと認識していた。どうせもう、愛したちぇんも、我が子もいない。あり すはせめて誰の迷惑にもならずに永遠にゆっくりしようと考えていた。 「さようなら、まりさ、れいむ…生まれ変わったら…また一緒にみんなでゆっくり しましょう…」 ありすはつぶやくようにそう二匹の寝顔に語りかけると、冷たい体を必死に動かし て、雪の舞い散る氷原に消えていった。 後日、ありすの遺骸は、飼育員と行ったことのある思い出のクジラの死骸、氷原に 残る骨の楼閣の中で発見される。その顔はとてもゆっくりしていたという。 翌朝、雪は止んでいたが、二匹の赤ゆは永遠にゆっくりしていた。防寒服のない状 態で、ただでさえ脆弱な赤ゆが、悪天候の日に南極の夜を越せるわけがなかったの である。 「んんんんん゛~!!!」 れいむは声にならない声をあげて泣いた。 「おぢびじゃああああああん!!!」 「もっど!…ゆっぐりじで…ほじがった…!!!」 赤ゆだったものは、黒ずんだ氷の塊、餡子味のアイスキャンディーになっていた。 そして、ありすもいなくなっていた。 「がえりだいよおおおおお!!!ぽーかぽーかなゆっくりぷれいすにがえりたいよ ~!!!ゆああああああん゛!!!」 観測基地での何不自由ない生活を思い出して泣く、子まりさ。 その金髪はぼろぼろになり、凍傷になった部分の皮が崩れて十円ハゲが出来ていた。 「…今日こそ…おにいさんのゆっくりぷれいすに帰るよ…」 まりさは「ふぉるねうす」の冷たくなったグリップをあにゃるでそっと抱え込んだ。 冷たいかどうか、その感覚は分からなくなり始めていた。 れいむの「ぶーねい」にはれいむと子まりさが乗る。 二台のすぃーはもうどの方角にあるのかも分からない観測基地に向けて走り出した。 まりさはとりあえず高いところに行き、海の方角を知りたかった。海に出れば、観 測基地のだいたいの方向が分かるのではないかと考えていた。 二台のすぃーに乗ったゆっくりたちは必死に海の方角を探した。そして、地面への 注意はおろそかになった。 昨日は雪だったのだ。当然、新雪で覆われたヒドゥンクレバスの存在に気がつくべ きだった。 「ゆゆ゛!!?」 ヒドゥンクレバスに落ちたのはれいむと子まりさの乗った「ぶーねい」だった。 すぃーはそのまま静かに、数十メートルはある割れ目に落ちていき、しばらくして 派手な破壊音が聞こえてきた。 「れいぶうううううう゛!!!おじびぢゃああああん!!!」 急いで引き返すまりさ。 「んー!!!んー!!!」 まりさの目に映ったのは、必死に歯とおさげでクレバスに落ちないよう氷に食らい つく子まりさと、そのあんよに歯のほとんどなくなった口で食らいつくれいむの姿 だった。どう見ても、肥満体のれいむを支えるだけの頑丈さは、子まりさにはなく、 そのあんよにはれいむの数少ない歯が食い込み今にも引きちぎれそうになっていた。 「んんんんんん!!!」 涙目で助けを求める子まりさ。まりさは必死に子まりさの髪の毛に食らいつき、引 っ張りあげようとする。 びちびちびち… 「んんんんんんん!!?」 風雪でもろくなった髪の毛はあっさりと切れてしまい、なかなか子まりさを持ち上げ られない。いや、まりさには子まりさとれいむを一緒に持ち上げるだけの力はなかっ た。人間でもなければ、救助は不可能だったのである。 「んー!…んふー!…」 落ちまいと必死に食らいつくれいむ。 まりさは必死に考えた。どうやったら二人を助けられるのか、それとも、れいむを見 殺しにするべきなのか… まりさは今までのれいむの行動、あまりにも強い母性から一つの結論を導き出した。 「れいむ!!」 「んー!!んふー!!」 この間にも子まりさのあんよはみちみちと裂け始め、餡子の色が見え始めている。 「大丈夫!おちびちゃんたちはちゃんとゆっくりさせるから、れいむは心配しないで ゆっくりしてね。」 まりさは帽子の中から、雪で錆び付いたカッターを取り出すと、れいむに投げつけた。 かったーはれいむの頭に刺さり、そこから横に体を抉るようにして、クレバスに落下 していった。 「ほほひへっ!!?」 どうしてそんなことするの? そう言いたかったのだろうか? 子まりさから口を離したれいむは真っ逆さまにクレバスを落ちて行った。 れいむには信じられなかった。あんなに愛し合ったまりさが凶行に及んだことに。 子供が残っている以上、れいむは生きて子の面倒を見なければならないはずだった。 自分なしで子供たちがゆっくりできるわけがない。 だが、まりさにしてみれば、これはれいむが何を望んでいるか、考えての行動だっ た。れいむに対する愛情なんてものは、観測基地から人間がいなくなって間もなく 失ってしまったが、土壇場でれいむが見せた母性に心打たれ、ここまで子供たちの ために頑張ってきた。つらいけど、きっとれいむは分かってくれる。 まりさは子まりさを引き上げると、 「れいむ!ゆっくりしていってね!!」 もう一度クレバスの奥に消えたれいむに最後の挨拶をした。そして、まりさは子ま りさを乗せてすぃー「ふぉるねうす」を走らせた。 まりさが考えたれいむの最後の思いをかなえるため−子まりさがゆっくりできるよ うにするためには一刻も早く観測基地へ帰らなければならなかった。 一方、れいむはクレバスの奥に叩きつけられ、肥満していた体は見るも無残に四散 していた。お飾りも、目玉も、体もどこかへ行ってしまっていた。ただ、中枢餡が 機能を停止するには、少しだけ猶予があった。 れいむには分からなかった。おちびちゃんのために必死に生きてきた自分がなぜ、 今、冷たい氷の床の上で死に掛かっているのかを。 れいむは…ゆっくりしたかった…だけなのに… れいむは子供を守る、という点で無能ではなかったが、自身を省みることはなかっ た。そして、ここはほとんどの生物を拒絶する場所だった。 まりさはどこか軽くなった心ですぃーを走らせた。 後ろでは子まりさが裂けた傷口をぺーろぺーろしながら泣いている。 とても楽観できる状況ではなかったのに。 「ゆゆ!?」 そのとき、まりさは上空に見慣れたものを見つけた。 真っ赤な小型飛行機、かつて観測隊が撤収したときに使われた、観測船に搭載され ている軽輸送機だった。観測隊が帰ってきたのだ。 「ゆゆゆー!!!おにぃさああああああああああん!!!」 まりさはあにゃるを巧みに動かし、お尻をぷりぷりりんと動かしながらすぃーの速 度を上げる。 後方に乗っていた子まりさは無言で涙を流していた。それは嬉し涙だった。 「まりさだよおおおおおおおっ!!!まりさはここにいるよおおおおおっ!!!」 観測基地が見えてきた。 観測基地には一年ぶりに人間の姿があった。 そして見慣れた真っ赤な人間さんの空飛ぶすぃー−飛行機はもう目の前に。 目の前…? まりさは知らなかったが、そこは雪上飛行機の滑走路だった。 接岸した観測船から先行した雪上車隊が雪原を平らにして作った滑走路だった。 「ゆああああああ゛!!!どぼじでにんげんさんのすぃーがぶっ!!!」 まりさは雪上飛行機の着陸用スキーに潰されて死んだ。 まりさのすぃーは大破し、放り出された子まりさは顔面から雪に叩きつけられた。 子まりさが意識を失う前に見たのは、泣きながら走り寄って来る、あの飼育員の姿 だった。 後日談 飼育員の献身的な介護により、子まりさは回復した。 失った歯は差し歯を入れてもらった。れいむに噛み付かれたあんよは全快しなかっ たが、這って移動するくらいなら出来るようになった。 ゆっくりに基地内を無茶苦茶にされたことで、飼育員はこっぴどく怒られたが、そ もそも緊急事態だったこともあり、一人で大掃除をすることで赦しを得た。 そして、越冬後、飼育員は子まりさと共に赤い軽輸送機で基地を離れた。もう子ま りさは成体になっていた。 結局のところ、観測隊員たちの 「饅頭より新鮮な野菜が食いたい」 という意見によってゆっくりの食糧化計画は破棄され、その資金で野菜の室内栽培 が行われることになった。また、観測隊員の精神面のケアでは効果が見込めるとい うことで、少数のゆっくりを基地内で飼育することが提案された。 実際、何を、どれくらい飼うのかは、これから決まっていくだろう。 成体になったかつての子まりさは、飼育員の腕に抱かれながら、窓からの景色を眺 めていた。そこは、かつて、自分たちが必死に生きようとして、拒絶された真っ白 な大地だった。 まりさはその景色を美しいと思った。とてもゆっくりしていると思った。 誰もいないのに、みんな死んだのに、なんでこんなにゆっくりしているんだろう。 まりさはふと思った。 ひょっとして、誰もいないから、全て拒絶してしまうから、 この白い大地は美しく、とてもゆっくりしているのかもしれない。 完 神奈子さまの一信徒です。 雪降ってテンション高まって書いたんですが、思いのほか楽しんでくれた方がいた ようで嬉しかったです。南極の天候や生態系を調べるのに手間取り、遅くなりまし た。すみません。 また、的を得た助言や素敵な感想ありがとうございました。 仕事で忙しくなったため、感想を返すより先にこちらを書き上げました。 せっかくのコメントにお返事できなくてすみません。 ただ、皆さんの指摘や意見の中に後編に書こうと思っていたものや、使おうとした 小ネタ、これは別にいいかなと手を抜いた部分あってヒヤリとしました。 皆様の見識には頭が下がります。 でいぶネタに飽きていた方々にはゆっくりしていただけなかったようで、申し訳な いです。皆さんの感想やご助言を参考にし、どんなものを書いたら楽しいか考えな がら、また皆さんにお目にかかる機会を窺いたいと思います。 ありがとうございました。 挿絵:M1
https://w.atwiki.jp/conquestrkks/
★我らのちびちゃとwikiをお気に入りに追加★ ここはリペイ カムアゲイン しょこ 革命のwiki ようこそ。こんな感じになってますヽ(゚◇゚ )ノ トップ画像を押すとちびちゃとに飛びます シーベルトについて←クリック!!! 更新履歴みてねぇ└(^o^)┐ ↓ちょっと便利に♪ メンバーのSkype状況 リペイ skype_status 革命 skype_status しょこ skype_status カムアゲイン skype_status 切に俺が何が言いたいのかと言うと、革命を愛している。心から。 ページ新規作成 おらおらかけばいいんですがねえ? -- しょこ (2011-02-18 14 53 37) どうも、roseプロフのとかからきてみました。 -- 左のサイドスロー㌰ (2011-02-18 16 11 31) うぃき↑↑ -- 左のサイドスロー㌰ (2011-02-18 16 11 58) トップ画像かっけぇ -- るんと (2011-02-18 16 51 12) ひだり>ありがとね!!!明日もこいよ~^w^ るんと>妹が描いてくれたよ★ -- しょこ (2011-02-19 11 46 47) まだ知名度低いけどコメしてみました!なんか、このwikiかっこいいですね^^b -- メリー・ナイトメア (2011-02-19 14 59 00) ありがとねええええええ!!!また来てくれたらうれしいな❤ -- しょこ (2011-02-19 17 27 29) 知名度低いけどコメしてみた。なんかこのwiki緑邪魔じゃないですか? -- Ⅹ (2011-02-19 19 49 59) 全然いいんですがね?なんでコメントしちゃいけないんですかね? 緑はじゃまじゃないなぁ?w -- しょこ (2011-02-20 00 24 57) 緑どうみたって邪魔だと思いまーす。緑汚いから消え(ry -- Ⅹ (2011-02-20 13 54 54) Ⅹは相変わらずいけずやな・・・(´・ω・`) -- 狼煙 (2011-02-26 12 29 51) Xも素直じゃないなぁ>< のろぼおおおきてくれてありがとさん!! -- しょこ (2011-02-27 13 53 05) イイネ!!MIXIばりにイイネ!! -- GO!!ひろみ (2011-02-28 16 36 23) ひろみいいいいいいいいいいいいいいいい -- しょこ (2011-03-04 18 31 29) 革命の画像女じゃない?www -- 天空龍 (2011-03-07 18 41 01) 間違えた -- 天空龍 (2011-03-12 01 16 32) 女だよおーいwwwwwwwwwww -- しょこ (2011-03-21 19 42 07) ここ共同wikiなんだー -- うんんこ (2011-07-02 09 38 09) カムアゲ -- 俊 (2011-08-14 20 30 24) カムアゲインにたたかれました -- 俊 (2011-08-14 20 31 36) ぷぎゃー↑ -- 白銀 (2011-08-14 20 56 35) まだこのサイトあったのか。なるほど(⁰⊖⁰) -- リペイ (2011-09-05 06 34 23) 楽しかったです。ありがとうございました。 -- ひめ (2020-05-02 23 24 58) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/chiruwa/pages/2.html
メニュー トップページ メニュー 友達リスト(るんと) 友達リスト(神様@地デジカ) 常連リスト 管理人自己紹介 投票コーナー 管理人紹介 個人WIKI るんとWIKI 神様@地デジカWIKI リンク ちびちゃと ここを編集
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1074.html
注意 ・ある作品のIFストーリーになります。 ・悪い人間が登場します。 ・現代ものです 以上のことを踏まえて、お読みください。 悪い奴 ―――某店内 「ありがとうございました。またお越しくださいませ」 「ゆっ、またくるんだぜ」 「おとーちゃん!!ゆっくりおうちにかえろうね!!」 「ゆー!!れいみゅ、あまあまさん、たのしみだよー!!」 引き攣った笑顔を浮かべるバイトの青年をしり目に、親まりさ、親れいむ、そして、子れいむ、子まりさの一家は、店で買ったドーナッツの入った箱を頭に載せ、お持ち帰りした。 「…たくっ、なんなんだよ。今日は散々だよ」 まりさ一家が店からいなくなると、愚痴をこぼすバイトの青年だったが、無理もない。 なにしろ、あの一家に振り回されたあげく、意地の悪い嫌がらせまで受けたのだ。 思い出すだけで、腹立たしいはずだ…。 「よぉ、散々だったな、にいちゃん」 「あ。すみません!!お客様ですか、お待たせしました!!」 「いいよいいよ。ありゃあ、ムカついてしょうがないから…それと」 いつの間にか、新しいお客―――派手なアロハシャツを着た30代前後の男がいることに、バイトの青年は慌てて、頭を下げた。 男の方も、青年の対応に感心し、まあまあと宥めながら、あるお願いをした。 「なあ、謝るついでに、頼みたいことがあるんだけど、いいか?」 「ん?何でしょうか、お客様?」 「ああ、実は―――」 男がバイトの青年にお願いしたこととは―――。 店を出て、30分後、まりさ一家は、裏路地にある段ボールの巣箱に戻っていた。 「ゆーやっと、ついたよ。おちびちゃんたち、もうすぐあまあまさんたべられるからね」 「いっしょに、ゆっくりたべようね!!」 「「ゆーたのちみー!!」」 苦労して集めたお金で買ったあまあまさんが、食べられると、子れいむと子まりさは、喜びの声を上げ、親まりさと親れいむは、ゆっくりした表情で笑みを浮かべていた。 まあ… 「このあまあまさん、俺が貰っちゃうよっと」 「「「「ゆ?ゆー!!!」」」」 ―――その幸せを、まりさ一家を追いかけてきたあのアロハシャツを着た男にぶち壊されるわけなのだが…。 「なにするの!!それは、まりさたちがかったあまあまさんだよ!!」 「ゆっくりしないで、かえしてね!!」 「「かえちてね!!」」 男の手に握られたドーナッツの箱を見つけ、男にあまあまさんを取られたと理解し、怒り心頭で男を睨みつけるまりさ一家だったが、男は、そんな一家の威嚇を無視して、ニヤニヤとドーナッツの入った箱を物色し始めた。 「おー結構買ったんだねvつまみ食いもしてないみたいだし、えらいねーv」 「ゆがああああああ!!きたないてで、ざわるな、くそじじいいいい!!」 「ゆー!!かえさないなら、ゆっくりしないでしんでね!!」 「「やっちゃえ、おとーちゃん!!おかーちゃん!!」」 男の態度に腹を立てた親まりさと親れいむが、子れいむと子まりさの声援を受けて、男の足に目掛けて、体当たりを仕掛けた。 男は、飛びかかってくる親まりさと親れいむを一瞥すると… 「邪魔だよ、君ら」 「「ゆ?っゆぎゃああああああああああ!!」」 邪魔の一言で、男は、飛びかかってくる親まりさを渾身の力で蹴りつけ、壁にたたきつけると、そのまま一気に、後に続く親れいむの頭を踏みつけた。 「いだいいいいいい!!ばりざの、ぎれいなおがおがああああ!!」 「お、おぼい…おにいざん、どいで、でいぶ、つぶれ…」 「ん?何言っての、潰すに決まってるじゃない」 「ゆっ―!!このくちょじじい!!おかーちゃんをふみつけるなぁー!!」 「まりちゃ!!」 男に蹴られた親まりさは、歯を何本か折られ、右目を潰され、靴痕が痛々しく顔面に残った親まりさが、悲鳴を上げ、のた打ち回り、親れいむは、男に踏みつぶされないよう必死でもがいていた。 そんな両親を助けようと、子まりさが無謀にも母親であるれいむを踏みつける男に飛びかかった。 そして… 「はい。君、もみじおろしねv」 「ゆっ!!まりさ、おそらとん、っでええええでででえででぃいいいいいじゃああああいいいいいい――――っ!!」 「おちびぢゃああああああん!!やべでぇえええええ!!」 男は、飛びかかってきた子まりさを片手でつかむと、子まりさの顔を壁に押し付け、そのまま一気に壁に擦りつけ、削り落すと、そのまま、親れいむの前に叩きつけた。 「はいv感動のご対面だねーv顔ないけど」 「ゆがあああああああ!!でいぶのかわいいおち、ぶちゃぁあああああ!!!」 「でいぶううううううう!!!!!」 顔を削り落され、無残に死んだ子まりさの姿を泣き叫ぶ親れいむだったが、男はあっさりと親れいむを踏みつぶした。 きれいなおめめは、勢いよく飛び出し、壁に叩きつけられ、穴という穴から餡子を噴き出して、親れいむは、無残に殺された。 妻と子供をあっけなく殺された親まりさが、喉が避けんばかりに叫んだ。 なぜだ!!どうして、あまあまさんだけじゃなく、かわいいおちびちゃんやれいむをころすんだ!!と、言わんばかりに… 「さて、邪魔が入る前に、さっさと…ん?」 「ゆ!!こっちだよ、あおいおにいさん!!ここにいるんだよ!!」 「あ、ほんとにいたよ…おい、あんた、ここで何をしてるんだ?」 「ゆ!!(やったぜ、おちびちゃん!!)」 親れいむを踏みつぶして満足したのか、男はそのまま裏路地から立ち去ろうとした瞬間、予想外の足止めを食らうことになった。 目の前には、いつのまにか助けを求めに飛び出した子れいむと、子れいむに助けを求められた青い服をきたおにいさん―――若い警察官がいた。 あおいおにいさんはゆっくりできないわるいやつをつかまえるんだと教えられた親まりさは、子まりさとれいむを殺した男―――悪い奴がせっさいされるんだと確信した。 しかし… 「んーいや、こいつらが、俺の買ったドーナッツを強奪したんで取り返してただけですよ。俺が眼を離したすき、箱を咥えて盗むんですから、最低ですよ」 「へ?」 「ゆ?なにいっでるのおおおお!!ぞれは、まりざがおかねさんをだしてかったあまあまさんだよおおおおお!!」 男の出まかせに、親まりさは声を上げて、抗議した。 れいむやおちびちゃんを殺しただけに飽き足らず、まりさ達が苦労して集めたお金で買ったドーナッツを、自分のものだと言い張る男に対し、親まりさは怒りをあらわにした。 対する警察官は、どっちの言い分が正しいのか、頭を悩めていた。 「あおいおにいざん!!みせのおにいざんにきけばわかるよ!!ばりざが、あまあまさんかったって!!」 「ああ、それはいいね。じゃあ、確認してみてくださいよ。ほら、これが番号です」 「ふむ…分かった。ちょっと待っていてください」 男に手渡された店の電話番号が書かれたメモを確認し、警察官は裏路地から出ると、すぐさま、店に電話をかけた。 数秒後、電話がつながり、店に事情を伝え、確認を取った警察官が、険しい顔をして、戻ってきた。 「確認が取れました。間違いありませんでした。あのドーナッツは…」 (ゆ、もちろんまりさたちのにきまってるんだぜ。ちゃんと、おかねさんをだして―――<あなたのものでした。お手数おかけしました>―――とうぜん、なんだ…ぜ?) 店から確認を取った警察官が頭を下げたのは、まりさ達のあまあまさんを奪い、子まりさやれいむを殺したあのアロハシャツを着た男だった。 納得できない親まりさが、警察官にくってかかった。 「どぼじで、このぐぞじじいにあたまさげるのおおおお!!みぜのおにいざんに、ぢゃんとぎいたでしょおおおお!!」 「ああ、きちんと確認したよ。バイトの青年がいってたよ。君達一家が、その人からドーナッツを盗むのを見たって。まったく、とんでもない嘘吐き饅頭だな、お前ら」 「ぞんな…ばりざは、ぢゃんど…おかねざん、ばらっだんだぜ…」 冷たい目で親まりさを睨めつける警察官の言葉に、親まりさは、愕然と震えるしかなかった。 なにが、どうなったんだぜ…ちゃんとおかねさん、はらったんだぜ…。 わなわなと震える親まりさは、ただ理不尽な展開に立ち尽くすしかなかった。 「では、私は、これで…失礼しました!!」 「おう、気をつけてな。もうちょっと、肩の力抜けよー」 「あなたの場合、気楽過ぎるんですよ…」 親まりさを一瞥した後、警察官は後のことを男にまかせ、きちんと敬礼してから、男の軽口を流しつつ、その場を後にした。 裏路地に残ったのは、ドーナッツを奪ったアロハシャツを着た男と、訳が分からず愕然とする親まりさ…そして――― 「さて、俺もさっさと帰りたいところだけど…お前にはお仕置きが必要だな」 「ゆ、やめちぇ…おにいさん。れいみゅをいじめないで…」 「ああ、安心して。虐めるつもりはないから」 守ってくれる者がいなくなったことを知り、震えながら後ずさる子れいむに対し、男は笑顔で答えた。 「殺すけどね」 「ゆ、ゆああああああああああああ!!たぢゅげでええええええ!!れいみゅ、しにちゃくないいいいいいいいぃぃ!!」 必死に逃げだそうともがく子れいむを掴みあげると、男は、放心状態の親まりさには目もくれず、裏路地を後にした。 裏路地のすぐ近くでは、電車が踏切を通過していた。 ある日、まりさ一家は、ある店で、ドーナッツを買った。 家に帰る途中、通りがかった男が、まりさ一家のドーナッツを奪った。 抗議するまりさ一家に対し、男は、子まりさを壁にたたきつけ、潰し、泣き叫ぶ親れいむを踏みつぶした。 親まりさは、偶然通りがかった警察官に助けを求めたが、警察官が男と2,3会話し、携帯電話で、連絡を取ると、警察官は笑顔でその場を去った。 なぜ、だろう?
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1215.html
「いじゃい!いじゃいいいい!れいみゅのかりゃだがちぎれりゅよおおおおおお!!」 「いぢゃいいいいいい!まりしゃ、もうのーびのーびいやなのじぇえええええ!!」 「やめてえええええ!おにいさんおねがいだからやめて!もうやめてくださいいいいいいい!」 「ゆああああ!おちびちゃんたちいたがってるよおおおお!おねがいですおにいさん!ゆるしてあげてくださいいいい!」 お兄さんの足にすりすりして許しを請う両親の目の前で、先程怨霊ゆっくりに操られていたれいむとまりさが虐待されている。 二匹は加工場で製作された調教専用の道具によって、体を引き伸ばされている。 中世作られた「ラック」という拷問道具のゆっくりバージョンだ。 人間の場合は、バンザイの状態にした人間の両手両脚を縛って引っ張るものだが、ゆっくりには手足がない。 代わりに、二匹の頭とあんよには太い釘が貫通している。 釘の両端には紐が結び付けられ、それがゆっくりの胴体をのーびのーびさせているのだ。 頭とあんよには保護用の金属板をかぶせてあるため、裂けてしまう心配もない。 装置には歯車と巻き戻し防止用の爪が付いていて、のーびのーびの長さを細かに決められる。 ゆっくりと、ゆっくりと、ゆっくりの体を伸ばしていくのには実に便利な道具だ。 「片付けが終わったらゆっくりさせてやるよ」 そう言ってお兄さんは、カチリと歯車をまた一つ進めた。 「「ゆ゙ゔんっっっ!」」という呻き声と一緒に、二匹の胴体がさらにのーびのーびする。 向こうでは、子どもたちが泣きながら二匹の排泄したうんうんを食べ、しーしーを舐めて部屋を片づけていた。 「みゅぎいいいいいいいい!いぢゃい!いぢゃいよだじゅげでおにいしゃああああん!」 「ぶっ!ぶびぶっ!ぐるぢ!ぐるぢいいいいいい!まりしゃ!みょう!だみぇええええ!」 のーびのーびがまだ練習中の子どもにとって、この道具が与える苦しみは大人の比ではない。 一つ進んだだけで、子どもたちは両目を飛び出さんばかりに見開いて絶叫する。 二匹は、自分たちがなぜこんなひどい虐待を受けているのか分からない。 気がついたら、頭とあんよに釘が刺され、体がのーびのーびさせられていた。 お兄さんに悪口を言ったと言われたが、身に覚えがない。 お部屋を汚したと言われたが、そんなこと自分たちがするはずがない。 分かるのは、これがものすごく痛いと言うことだけ。 何も考えられなるくらい、全身を引き伸ばされるのは痛い。 「れいみゅたちなにもしちぇないのにぃぃぃ!おにいしゃんもうやめちぇええええ!!」 「いちゃいよおおおおお!おにいしゃんやめちぇ!やめちぇえええええ!ぴぎぃぃぃぃぃっ!!」 「はあ?あれだけ部屋を荒らしといて何もしてないってどういうことだよ。まだ反省してないのか」 カチリ。歯車が一つ進められる。 二匹の体が、さらに上下に引っ張られた。 「びゅびぃいいいいいいいい!!」 「ぴっぎゅうううううううう!!」 二匹の体型が、饅頭からなすびに変わりつつある。 「にゃにも!にゃにもしちぇにゃい!しちぇにゃいからこりぇとっちぇええええええ!!」 「とっちぇほしいんだじぇええ!いちゃいのいやだじぇ!のーびのーびいやなのじぇえええ!!」 「ハイ追加」 カチリ。歯車が一つ進められた。 「ぎょおおおおおおおおおお!!いぎょ!いぎょうぇおおおおおお!!」 「びゅびょおおおおおおおお!!びょう!びゅぶうううううううう!!」 何を言っているのか分からない。 「どこまで伸びるのかなー。ちょっと興味がわいてきたわ」 「だべえええ!ごべんなざい!れいぶががわりにあやまりまず!ごべんなざい!おちびぢゃんがおへやをよごじでごべんなざいいい!」 「もうゆるじでぐだざい!まりざはおぢびぢゃんがぐるじむのがいちばんゆっぐりできないんでず!おねがいでずおにいざあああん!」 「うるせーな。元はと言えばしっかり躾けなかったお前らが悪いんだろうが。んじゃ、もうちょっとね」 カチリ。歯車が一つ進められた。 「いぢぇえええええええええええ!!のじぇえええええええええ!」 「ぴっぴいいいいいいいいいいい!!いぴぴぴぴゅうううううう!」 しーしー穴からしーしーをぴゅーぴゅーと吹き出しながら、二匹は苦痛を訴える。 ラックの何よりも恐ろしいのは、この状態で固定できるという点である。 歯車を操作しなければ、延々と強制のーびのーびの状態が続くのだ。 「じぬううううう!れいみゅじんじゃうううううううう!ぎゃわいいれいみゅがじぬううううううう!!」 「いぢゃいのじぇええええ!のーびのーびぃ!のーびのーびぃぃ!のびのびのびのびびびびいいいいいい!!」 最愛の子どもたちが、理不尽に苦しめられている様子を見て、両親は涙をぼろぼろこぼしてお兄さんの足にすがりつく。 何度も何度も謝った。 お部屋を汚してごめんなさい。おちびちゃんが悪口言ってごめんなさい。れいむとまりさが悪いんです。 お兄さんは聞く耳持たなかった。 悪いのはこいつらだ。こいつらにお仕置きしなけりゃ意味がない。 無限に続くかと思えた拷問の時間は、四匹の子どもたちが部屋のうんうんを全部食べ、しーしーを全部舐め取ったことで終わった。 「おわりまちた……おにいしゃん」 「うんうんとちーちー………ぜんぶたべまちた……」 「だかりゃ…おねーしゃんたちをゆるちてくだしゃい…………」 「おねがいでしゅ……」 無理矢理排泄物を食べたことで、四匹の顔色は青白くなっている。 懸命に吐き気をこらえているのが、よく分かる。 一方ラックで限界までのーびのーびさせられている一番上のれいむとまりさは、悲鳴を上げる力さえなくなったようだ。 「ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……」 「ゆ゙ぶっ……ゆ゙っ……ぶっ……」 口から餡子色の泡をふき、白目を剥いている。 「おい、聞いてるか。妹たち、お前の出したうんうんもしーしーも片づけたってさ」 お兄さんの呼びかけに、うっすらと二匹はこちらを見る。 「お゙……お゙わ゙っだ……の?もう……いいの?」 「まりしゃ………のーびのーび……じないで…いいの?」 「最期にさあ、お父さんとお母さんに言い残すことあるか?」 「「……ゆ゙?」」 「だ…だべええええええええ!!」 「やべでよおおおおおおおお!!」 何を言わんとしているのか分かり、れいむとまりさは血相を変えて飛びかかった。 全力の体当たりは、幼児の蹴ったボールが当たったくらいの威力しかないが。 お兄さんの手が、ラックの歯車を操作する棒に触れた。 絶え間なく押し寄せる激痛に目がかすみ、子どもたちはお兄さんが何をしようとしているのか分からない。 「ないのか。じゃあ、もういいよな」 カチカチカチカチカチ。歯車が一気にいくつも進められた。 びちり。 ぶちり。 嫌な音が二回した。 「ゆ゙わ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ぎあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 いっせいに絶叫したのは、子どもたちではなくて両親の方だった。 子どものれいむとまりさは、目を丸くして震えていた。 見えるのは、口をあんぐりと開けてゆっくりしていないお父さんとお母さんの顔。 そして、にやにやと笑っているお兄さん。 ぽんぽんがすごく痛くて、あんよさんがどこかに行っちゃったみたい。 どうして? 下半身を目で見て、二匹は理解した。 二匹の体は、のーびのーびをしたまま千切れていた。 「おに……しゃ…ん………どう……し……ちぇ……?いちゃい……よ……ぽんぽん……いちゃ……」 「いちゃ……い……あんよしゃ……ん……くっちゅい……ちぇ……おにぇ…が…い…………」 「おと……しゃ……ん」 「お……か……しゃ……ん」 名残を惜しむかのように千切れた胴体を何度か振ってから、二匹は死んだ。 静かに、れいむとまりさは目を閉じ、永遠にゆっくりした。 砂糖水の涙が、頬を伝い落ちる。 「れいぶのがわいいおぢびぢゃんがあああああああああ!」 「ゆっぐりじないでよおおおおお!へんじじでよおおおお!」 「ちゃんとゆっくりさせてやったぞ。ただし永遠にだけどな」 ラックに取り付けられたまま事切れている子どもたちに、れいむとまりさは叫びながらすりすりしている。 当たり前だが、死んだゆっくりが蘇るはずがない。 かわいい子どもたちが無惨に死んでいるその姿は、両親の餡子に凄まじいストレスを与えていた。 向こうでは、姉が死ぬのを見た妹ゆっくりたちが「ゆんやあああ!!」と悲鳴を上げている。 「うばあっ!ごんなのっ!ひどいっ!どうじでっ!おぢびぢゃんっ!めをあげろおおお!はやぐあげろおおおおお!!」 「じなないでっ!じなないでっ!じぬな!まりざのだめにじぬなあああ!まりざのゆっぐりのだめにじぬなあああ!!」 死んだ子どもの体に体当たりまで始める、れいむとまりさ。 意味不明の言葉を吐き散らしながら顔を歪めたその姿は、ゆっくりとは程遠い。 「くしゅくしゅ、ちんじゃったにぇ、れいみゅ」 「くしゅくしゅ、ちんじゃったよ、まりしゃ」 また、あの声が聞こえた。 二匹は恐怖に目を見開き、振り返る。 部屋を片づけたことを報告し、吐き気に顔をくしゃくしゃにしていた四匹の子どもたち。 その中の二匹が、憎しみと恨みに狂った顔でこちらを見ていた。 「にゃんで、れいみゅたちをみごろしにしちゃのにそのれいみゅがちんでかなちいにょ?」 「おとーしゃんにかなしむしかくがありゅの?ないでしょ?りかいできりゅ?」 「うわああああああ!!」 「いやだあああああ!!」 二匹は跳び上がり、お兄さんの後ろに隠れる。 「ごわいよおおおお!おにいざんだずげでよおおおおおおお!」 「ごろじでっ!そのごわいごどもだぢをいまずぐごろじでえええええ!」 「はあ?お前ら何言ってるんだよ。狂ったか?あれ、お前らのおちびちゃんだろうが」 「ぢがう!ぢがうぢがうぢがううううううう!」 「なんでもいいがらごろじでよおおおおおお!」 「ワケ分からん。……あーあ、やっぱりゆっくり愛でるなんて慣れないことすると疲れるわ」 急に冷めた顔をするお兄さん。 歯をカチカチ鳴らしながらお兄さんを盾にするれいむとまりさは、次いで恐ろしい声を聞いた。 「おにーしゃん。れいみゅがいいこちょおしえてあげりゅよ」 「まりしゃが、おにーしゃんのしらないことおしえりゅのじぇ」 「おかーしゃんが、おにーしゃんにかくしてたこちょだよ」 「おとーしゃんが、おにーしゃんにいわなかったこちょだよ」 「ききちゃい?」 「ききちゃいよにぇ?」 「だべええええええええ!おぢびぢゃんいわないでええええええ!」 「やべでえええええええ!それいじょういっちゃだべえええええええ!」 「あにょね……れいみゅとまりしゃはにぇ………」 「おとーしゃんとおかーしゃんににぇ…………」 「「だま゙れ゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙!!!」」 れいむとまりさが気がつくと、怯えた顔で親を見るおちびちゃんがいた。 一番下のれいむとまりさだけだ。 あれ?れいむたち、今まで何をしてたんだろう。 覚えてないよ。まりさ、どうしてこんなところにいるんだろう。 きょとんとするれいむとまりさ。 「きょ……きょないで……きょないでよぉ…………」 「ゆ…ゆわ……ゆわわ…………ゆわああ………」 一方、子どもたちはしーしーを漏らしながら、少しでも親から遠ざかろうと後ずさっている。 「お前ら……よくもやってくれたな」 お兄さんが、怒った顔でこっちを見ている。 なんでだろう。 れいむとまりさは、ゆっくりできないことをしてるおちびちゃんを懲らしめただけだよ。 れいむとまりさは正しいよ。間違ってないよ。ゲスじゃないよ。 なのに、どうして怒ってるの。 「どうして子どもを殺すんだよ。……そいつら、俺がかわいがってやるはずだったんだぞ」 「ゆ?」 「ゆゆ?」 二匹は、自分の足元を見た。 あんよは、べったりと餡子で汚れている。 それに……あそこに散らばっているのは。 おちびちゃんたちの、帽子とリボンだ。 二匹は全力で叫んだ。 「ゆ……ゆ……ゆあああああああああああ!!ゆがああ!ゆああああああ!」 「ぱぴぷぺぽおおおおおおおお!ゆぺぽお!ゆっぴぺぽおおおおおおおお!」 思い出してしまった。 怨霊に取り憑かれた子どもたちに秘密が暴露されそうになり、二匹は子どもに襲いかかったのだ。 聞かれたくない。 お兄さんに、秘密が漏れてはいけない。 その一心で、自分たちは子どもたちを押し潰したのだ。 「ごべんねえええ!おちびちゃんごべんねえええ!おがーざんが、おがーざんがわるがっだよおおおお!!」 「ちがっ!ちがうのっ!!まりざはがわいいおちびぢゃんをごろじだくながっだよ!じんじでえええええ!!」 ぐちゃぐちゃになった餡子と皮と帽子とリボンに、二匹は凄絶な顔ですりすりしている。 明らかに正気とは思えない両親の様子に、最期に残った妹たちの精神は耐えられなかったようだ。 目の前で狂乱した両親に姉が殺されるのを見たのが、決定打になったのだろう。 「ぶぼぉ!ぶぼおおおおおおお!」 「ゆげぇ!ゆげええええええ!!」 「だべえええええ!あんごはいじゃだべえええええええええ!!とまっでよおおおおおおおお!」 「おぢびぢゃんやべでええええ!まりざのざいごのおぢびぢゃんじんじゃやだああああああ!」 末のれいむとまりさは、いっせいに口から餡子を吐き、痙攣しながら息絶えた。 「あぎゃあああああああ!!どぼじでみんなじんじゃうのおおおおおおおおおお!だれがごだえでよおおおおおお!」 「いやだあああああああ!まりざがどうじでごんなめにあうのおおおおおおおお!おがじいよおおおおおおお!!」 畳の上で、陸揚げされた魚となって暴れ回る二匹。 れいむとまりさは信じられなかった。 昨日まで元気だった子どもたちが、ほんのわずかな間に皆殺しになったことが。 それも、極めつけの苦痛と恐怖によって、全然ゆっくりしていない死に方で死んだのだ。 ずっと続くと思っていたゆっくりプレイスが、簡単に崩壊してしまったのだ。 「どうちてか……おしえてあげりゅよ」 「しょれはにぇ……おとーしゃんとおかーしゃんがれいみゅとまりしゃをすてたからなのじぇ」 絶対にあってはならないことが、起きていた。 体を引きちぎられ、無惨な拷問で死んだれいむとまりさ。 ラックにいまだ取り付けられたままの死骸が、目を開いてお兄さんの方を見ていた。 「……なんだよ、お前ら」 「れいみゅはね、おかーしゃんがようしにだしたっていったれいみゅだよ」 「まりしゃもそうなのじぇ。もう、じゅっとまえにえいえんにゆっくちしちゃったけどにぇ」 「……幽霊ってか。面白いな。なんで化けて出たんだよ」 「しょれはにぇ、おかーしゃんにふくしゅうしゅるためだよ」 「おとーしゃんをのろっちぇやるためなのじぇ」 「だべええええええええ!いわないでえええええええええ!!」 「おにいざんそれいじょうぎがないでえええええええええ!!」 「うるせーな。黙れよ」 ラックに突進する親を、お兄さんは蹴飛ばした。 痛みに顔を歪めて、両親はごろごろと転がっていく。 そのままにしておくと、こっちのれいむとまりさを食べてしまいかねないためだ。 お兄さんはラックを持ち上げて二匹から遠ざける。 「大方見当は付くけどな。どうせお前ら、養子になんか出されずにそのままのたれ死んだんだろ」 「しょうだよ。どうしちぇわかったにょ?」 「お前らが自分を親が捨てたって言ったじゃないか。それに、子どもが化けて出てくる理由なんて、育児放棄に決まってるだろ。 こいつらの尋常じゃない騒ぎ方見てれば、それくらい分かるって。そーかそーか、お前ら、親に捨てられたんだ。かわいそうになー」 「おかーしゃんとおとーしゃんはまりしゃとれいみゅをすてたのじぇ。じぶんたちだけおにいしゃんにかわれちぇ、まりしゃたちをしゅてたんだよ」 「ひどいおやだにぇ。おかげでれいみゅたち、おなかしゅいて、ねじゅみしゃんにかじられてちぇ、にんげんしゃんにいじめられちぇしんじゃったよ」 「おかーしゃんのせいで」 「おとーしゃんのせいで」 「だかりゃ、しんでからまりしゃたちはおんりょうしゃんになったのじぇ」 「おんりょうしゃんになっちぇ、おかーしゃんとおとーしゃんをのろってやりゅためににぇ」 「だ、そうだ。お前ら、何か言いたいことあるか」 お兄さんが、部屋の隅っこでブルブル震えながらうずくまっている二匹に言う。 「……うそだ」 「は?」 「……うぞだ。うぞだうぞだうぞだうぞだああああ!そいづらはうぞをづいでいるんだあああああ!」 「ぞんなのうぞだあああ!れいぶとまりざのがわいいおぢびじゃんがぞんないじわるなごどずるはずがないいいい!」 「うぞだ!そいづのいっでるごどはぜんぶうぞだ!おぢびぢゃんはてんごぐでゆっぐりじでる!ゆっぐりじでるんだあああああ!」 結局、二匹は空想に逃避した。 避けられない現実に直面して、都合のいい空想に逃げ込んだのだ。 現実をすべて否定し、まりさとれいむは怒鳴り散らす。 「馬鹿か。どう思っていようが、お前ら子どもに恨まれてたんだよ。分かれよ」 「ぞんなごどないいいいい!おぢびぢゃんはでんごくでゆっぐりじでるってまりざがぎめだんだ!だがらぞうなんだあああああ!!」 「れいぶのおぢびぢゃんはおがーざんをぐるじめるはずがない!おがーざんのじあわぜーがおぢびぢゃんのじあわぜーなんだああああ!」 「うぞだ!うぞだ!うぞだああ!」 「じんじない!じんじない!じんじないいいいい!」 「親に捨てられた子どもが、親に感謝すると思うか?幸せになってほしいって願うか?そんなわけないだろ」 「もどはといえば……もどはといえばおにいざんがわるいんでじょおおおおおおおお!」 「おにいざんがこどもはがわないっていわなげれば、ごんなごどにならながっだのにいいいいいい!」 「おにーざんのぜいだ!おにーざんがわるいんだ!おにーざんはれいぶどまりざにあやまれ!おぢびじゃんにあやまれ!あやばれえええ!!」 「ごどもはがわないなんていわなげれば!おぢびじゃんもまりざとれいぶどいっじょにがっでぐれれば、ぞれでずんだのにいいいいいい!」 「……駄目だこいつら」 まりさとれいむは、とにかく責任転嫁できるならなんでもいいらしい。 空想に逃げ、都合の悪い現実に目をつぶり、挙げ句の果てに飼い主を罵る。 まあ、俺も思わせぶりなことを言ったけどな、とお兄さんは苦笑いしてから。 「お前らさあ、何で俺が子連れのゆっくりを飼わないって決めていたのか分かるか?」 「じねぇ!じねぇ!れいぶどばりざにあやまっでがらじねえ!じねええええええ!」 「おばえのぜいだ!おばえのぜいだ!おばえがぜんぶわるいんだああああああ!」 「ああ、たしかに俺が悪いかもしれないな。だって、俺はそもそもお前らを虐待したくて飼ったんだから。勝手にわめいてろよ」 「おばえが……………な、なんでえええええ!?」 「あやばれ…………ど、どうじでえええ!?」 「れいぶだぢがゆっぐりじでだのがうらやばじがっだがらじゃないのおおおおお!?」 「いままでずっどゆっぐりじでだのにいいい!?おぢびぢゃんがわいがっでだのにいいいい!?」 突然のお兄さんのカミングアウトに、二匹は理解できず固まる。 優しくてあまあまをいっぱいくれるお兄さんが、虐待お兄さんだったなんて。 おちびちゃんが懐いていたお兄さんが、虐待するために飼っていたなんて。 「だってそう思わないか?もし親切で優しいお兄さんだったら、子どもがいるからって飼うことをやめたりしないだろ。 それを真に受けて子どもを捨てるなんてさあ。しかも「ようしにだしたよ」なんて見え透いた嘘をつきやがって。哀れだよなあ」 「ど………どうじでうぞだっでわがっだのおおおおおおお!?」 「がんぺきなざくぜんだっだのにいいいいいいいい!?」 「人間なめるな。この家にお前らの子どもが来たことくらい知っているんだよ。あんなに庭先でぎゃあぎゃあ騒げば気づくだろ普通。 でもさ、俺は別にお前らが子どもを捨てようが養子に出そうが関係ないわけ。俺はお前らじゃなくて、お前らの子どもに用があったんだよ」 それまで二匹の無様な様子をにやにやしながら見ていたお兄さんの顔が、急にこわばる。 一転して、憎々しげにお兄さんは吐き捨てた。 「まったくよお……。六匹も産んだからじっくり楽しめると思ったら……。リッサの鉄柩に洋ナシ、アイアンメイデンだって買ったのにさあ……。 どうしてくれるんだよ。かわいがれたのはたったの二匹だけだぞ。残りのチビはお前らが殺すか勝手に死ぬし。全然ゆっくりできないよなあ」 「お……おにいさん……。なにをいってるの?まりさがいるからゆっくりできるでしょ?ね?ね?」 「ゆっくり……ゆっくりしてね?れいむがいるよ?れいむはかわいいでしょ?」 「俺はなあ……。純真で、俺に懐いていて、甘やかされて天真爛漫でこの世の苦労なんか何一つ知らない赤ゆっくりをさあ…… ズッタズタにしてメッチャクチャにして、「ころちてくだちゃい!」って頼まれるくらい虐待して虐待して虐待したかったんだよぉ!!」 ドシン!と音を立ててお兄さんは畳を踏みつけた。 初めて見るお兄さんの激高に、れいむとまりさは「ゆああ!?」と叫んでもみあげとお下げで抱き合う。 恐いなんてものじゃない。 たちまち、二匹の足元が恐ろしーしーでびしょびしょに濡れる。 「クソ饅頭ども!楽しみにしてたんだよ。幸せいっぱいのチビどもを惨たらしく拷問して殺す時を、ずっと待ってたんだよ! 成功すると思ってたんだよ。チビどもは俺に懐いていたし、産まれてからずっと悪意なんか一度も味わってない箱入り娘だったよ。 それを全部ぶち壊しやがったのはお前らだ!おにいさんのせいだ?あやまれ?そりゃこっちのセリフなんだよ!俺のチビを殺しやがって!」 ……そんな。 ……どうして。 ……ゆっくりできるはずだったのに。しあわせー!になれるはずだったのに。 おちびちゃんをぎせいにして、まりさはいっぱいゆっくりできてたとおもったのに。 かわりのおちびちゃんをいっぱいうんで、れいむはゆっくりしたゆっくりになれたのに。 ぜんぶ、まちがいだったの? おにいさんは、はじめからおちびちゃんたちをぎゃくたいしたくて、まりさたちをかったの? れいむたちは、こわいぎゃくたいおにいさんにかわれたくて、おちびちゃんをすてたの? ……まりさがわるいんだ。 ……れいむがいけないんだ。 おにいさんにかわれたくて、おちびちゃんをすてたまりさとれいむがわるいゆっくりだったんだ。 れいむとまりさの目の前が、真っ暗になった。 あまりのショックに、二匹は言葉を失って凍り付いていた。 せめて少しでも二匹のプライドを砕いて憂さ晴らしをしようと、お兄さんはとどめを刺す。 「いいか?お前らはなあ、子どもを殺す為だけにゆっくりを飼おうとする人間に媚を売って、大事に育ててた子どもを捨てたんだよ!!」 「ゆ゙があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 「ゆ゙ばあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 その言葉が決定打だった。 二匹が失ったものは、代わりに得たものに比べてあまりにも大きかったのだ。 虐待お兄さんというゆっくりにとって一番ゆっくりできない人間に飼われるために、大事な大事なおちびちゃんは死んだ。 お兄さんがいい人だったら、二匹はその善良さにつけ込んで責任転嫁したことだろう。 だが、二匹を飼っていたのは筋金入りの虐待お兄さんだ。悪いと分かっていてやっているのだから、つけ込むことは不可能だ。 誰のせいにもできない。始めからお兄さんは悪意から二匹を飼ったのだから。 言い逃れはできない。おちびちゃんを捨てる決定を下したのは、二匹なのだから。 こんな状況でどうして、おちびちゃんは天国でゆっくりしているなんて言えるだろうか。 こんな無様な親を、おちびちゃんが許してくれるなんてなぜ思ったのだろうか。 「ゆぎゃああああああ!ゆぎゃああ!ゆぎゃ!ゆぎゃぎゃぎゃああああああ!」 「ゆげべええええ!ゆべっ!ゆべっ!ゆべえ!ゆべべっべえええええ!」 突きつけられた現実に耐えきれず、れいむとまりさは奇怪な絶叫を張り上げて転げ回る。 何も見たくない。何も聞きたくない。 騒いで騒いで、一切のゆっくりできないことから逃げる。 「おいお前ら、この後どうしたい?」 のたうち回る二匹を冷めた目で見ていたお兄さんが、二つに千切れたれいむとまりさに話しかけた。 「見ての通り、こいつらぶっ壊れちまったぜ。どうよ、もっと苦しめたいか?もっと恨みを晴らしたいか?」 「もちろんなのじぇ。まりしゃのうらみはこんにゃものじゃないのじぇ!」 「れいみゅはじぇったいにゆるしゃないよ。もっちょくるしましぇたいよ!」 「ははは!こりゃ俺も負けたわ。お前ら人間に生まれ変わったら、絶対俺の同類になるね。んじゃ、もう少し楽しみますかね」 「おにいしゃん、たのみがありゅの。おとーしゃんとおかーしゃんをぎゃくたいしゅるいいほうほうがありゅよ」 「あにょね、まりしゃたちをおとーしゃんとおかーしゃんにたべさせちぇほしいのじぇ。そうしゅれば、じゅっといっしょになれりゅよ」 「へえ、文字通り一心同体になるわけか。いいぜ。やってやるよ。赤ゆっくり虐めはできなかったけど、楽しめそうだ」 「ありがちょう、おにいしゃん!」 「いっぱいくるちましぇるからにぇ!」 (いや、お礼言うなよ。元はと言えば俺の提案でお前らを親が捨てたんだからさあ……) お兄さんは苦笑いしながら、なおもばたばたと暴れるれいむとまりさの口の中に、二匹の残骸を放り込んだ。 れいむとまりさは夢を見ている状態にあった。 懐かしい夢だった。 二匹は、昔住んでいた木の根元にある巣の中にいた。 お兄さんのお家のように、暖かいお布団とたくさんのおもちゃに囲まれた家ではないが、そこは二匹のゆっくりプレイスだった。 あまあまがなくても、れいむが頑張って集めてきた木の実や昆虫は、れいむの愛情が溢れていた。 れみりゃやふらんに怯える夜もあったけれど、まりさが勇気を振り絞って外を見張る様子は餡子が熱くなった。 辛いことや苦しいこともいっぱいあったけれど、いつも力を合わせて乗り越えていった。 何よりも、二匹の宝物がそこにはあった。 「おかーしゃん、れいみゅはおかーしゃんがしぇかいでいちばんだいしゅきだよ!だーいしゅき!」 「まりしゃはおおきくなったりゃ、おとーしゃんみちゃいなりっぱなゆっくちになりゅんだじぇ!」 二匹の愛の結晶である小さなまりさとれいむ。 心から子どもたちを愛していた。 何があっても、守り抜こうと誓っていた。 たとえれみりゃに舌を抜かれても、人間に両目を抉られても、子どもたちだけは手放すまいと思っていた。 それなのに。 「おとーしゃん、にゃんでまりしゃをすてたにょ?まりしゃをころしちゃの?」 「おかーしゃん、にゃんでれいみゅをすてたにょ?れいみゅをおきざりにしちゃの?」 どうして自分たちは、あんなことをしてしまったのだろう。 たかがあまあまのために。たかが人間にもう一度飼われるということのために。 どうしてれいむとまりさは、今手にしていたはずのゆっくりプレイスを捨てたんだろう。 大事なおちびちゃんを、見捨てたのだろう。 「おぢびぢゃんっっっ!」 「おちびぢゃあああん!」 二匹は泣きながら目を覚ました。 「れいぶうううううう!ばりざだぢおぢびぢゃんにひどいごどじだよおおおお!がわいいおぢびぢゃんをずでぢゃっだよおおおお!」 「ばりざあああああ!どうじで!どうじでれいぶだぢあんなひどいごど!あんなひどいごどをおぢびぢゃんにじだのおおお!?」 二匹は砂糖水の涙でべちゃべちゃの顔を、お互いに押しつける。 心の奥底にまで刻まれた、罪と悲しみと喪失感を埋めるかのように、固くお下げともみあげで抱き合う。 ようやく二匹は理解した。 あまりにも遅い認識だったが、やっと二匹は身勝手な空想と無意味な妄想を捨て、事実をありのままに直視した。 「ごべんねええ!おぢびちゃんだぢごめんねえええ!おとーざんがわるがっだよおおお!ほんとにごめんねええええ!」 「おがーざんはわるいおがーざんだっだよおおおお!もうにどどあんなごどじないよおお!ごめんねおちびぢゃああん!」 れいむとまりさは、ゆっくりできないゆっくりだ。 だって、大事なおちびちゃんを自分たちのゆっくりのために捨てたんだから。 悪いゆっくりだ。どうしようもないゆっくりだ。 おちびちゃんたちが恨むのも当然だ。自分たちは、それだけのことをしたのだから。 「れいむ、まりさはもうにげないよ。おちびちゃんをすてたつみをいっしょうかけてつぐなうよ」 「れいむもだよ。まりさだけじゃないよ。れいむだって、まりさとおなじわるいゆっくりなんだからね」 「れいむ……」 「まりさ……」 キリッとした顔で見つめ合う二匹は、もはやかつての無様なゆっくりではなかった。 己の罪に向き合い、贖罪を心に決めた悲しくも壮絶なゆっくりだった。 (おちびちゃん……。こんどこそてんごくでみまもってね。まりさたちはうまれかわるよ!) (れいむたちはほんきだよ。おかーさんはおちびちゃんにゆるしてもらえるゆっくりになるよ!) そこでやっと二匹は、自分たちが透明な箱の中に閉じ込められていることに気づいた。 周りに雑然と置かれたものから判断するに、台所の隅に置かれているらしい。 真っ暗ではないが、周りのものに遮られて視界は薄暗い。 まりさは軽く跳ねて壁や天井にぶつかってみたが、びくともしない。 「どうしよう、れいむ。まりさたち、おにいさんにとじこめられちゃったみたいだよ……」 「おにいさん。れいむたちをどうするの?ここからだしてね。ゆっくりしてね」 不安を感じ、れいむとまりさが頬をくっつけたその時だった。 「くしゅくしゅ。やっといっしょになれちゃにぇ。おかーしゃん」 「くしゅくしゅ。もうはなしゃないからにぇ。おとーしゃん」 「「ゆ゙わ゙あ゙あ゙あ゙!!」」 まりさの額が、ぼこりと盛り上がった。 れいむのほっぺたが、ぼこりと盛り上がった。 たんこぶのように見る見るうちに膨れていくそれは、たちまち表面が変化する。 まりさのそれには、お帽子と金髪が。れいむのそれには、おリボンと黒髪が。 ぎょろりと二つの目玉が内側から開き、傷口のようなお口が開いた。 「おかーしゃん。れいみゅだよ。ゆっくちしていっちぇにぇ!」 「おとーしゃん。まりしゃだよ。ゆっくちしていっちぇにぇ!」 「「ゆぎゃあああああああああ!!でだあああああああ!!」」 人面瘡ならぬ、ゆん面瘡とでも呼ぶべきだろう。 二匹はついに、両親の体そのものに取り憑き、表面に自分たちの顔を作り上げたのだ。 一心同体となった子どもたちは、にんまりと恐ろしい顔で両親に笑いかける。 凄まじい憎悪と怨恨に狂った、地獄の亡者の笑顔だ。 「ゆっぐりでぎないよおおおおおおおおおおお!!」 「おぢびぢゃんやべでえええええええええええ!!」 あの「れいむとまりさはいっしょうかけてつみをつぐなうよ!にげないよ!」という決意はどこへやら。 しょせんは、ゆっくり如きの決心だった。 怨霊となった子どもたちの恐ろしさを前にすれば、たやすく消し飛ぶものでしかない。 「おにいざんっ!だじでぐだざいっ!おぢびぢゃんがいるんでず!じんだはずのおぢびぢゃんが、ごごにいるんでずうううううう!!」 「ごわいよおおおおお!おにいざんだずげでえええ!ごんなのれいぶいやでずっ!はやぐおぢびぢゃんがらはなじでぐだざいいいい!!」 がんがんと頭を壁や天井にぶつけ、二匹は透明な箱から逃げようとする。 しかしこの箱は、ゆっくりが暴れたくらいで壊れる代物ではない。 「ゆきゃきゃきゃきゃ!にゃにしちぇりゅのおかーしゃん?しょんなことしちぇもむだだにぇ」 「まりしゃたちはおとーしゃんとおかーしゃんとじゅーっといっしょなのじぇ。ゆきききききっ!」 「いやだあああああああああ!おちびちゃんといっしょはいやああああああ!」 「はなれてねっ!まりさからはやくはなれてねっ!はなれてっ!はなれてよおおおおおお!」 これだけれいむとまりさが暴れるのにはわけがある。 怨霊なった子どもたちの口から、凄まじい死臭が吹き付けてきたのだ。 人間には分からない、ゆっくりだけが感じる同族の死臭は、ゆっくりにとって非常に嫌われるものだ。 それが密封された箱の中で充満し、れいむとまりさを生きながら腐っていく感覚に陥れる。 「あげでええええ!だれでもいいがらごのでんじょうざんをあげでええええええ!!れいぶぐるじいよおおおおおお!!」 「ぐざるうううう!まりざのがらだが!がらだがぐざっぢゃうううううううう!いやだああ!ぐざるのはいやだあああ!!」 「しょうだよ。おかーしゃんはもっちょもっちょ、いっぱいっぱいくるちむんだよ。うれちいにぇ!」 「くしゃりゅ?おとーしゃんはにぇ、まりしゃたちとおんなじになるんだにぇ。うれちいのじぇ!」 「ごめんなざいいいいい!ごめんなざい!ごめんなざい!ごめんなざいいいいいい!れいぶがわるがっだでずううう!」 「ばっ!ばりざを!ゆるじで!ゆるじでぐだざいいい!ごめんなざい!ごめんなざい!ごめんなざい!ごめんなざいいいいい!」 透明な箱という逃れられないガス室の中で、二匹は死んだ子どもたちに謝り続ける。 死臭にのたうち回り、目玉を半ば飛び出させ、あまりの苦しさに壁に頭を叩き付け、二匹は苦悶し続ける。 全身が生きながら腐り、蛆がわき、溶けていく感覚を味わいながら決して死によって終わらないのだ。 「おはなちしようにぇ、おかーしゃん。れいみゅたちとなかよくくらちてた、ゆっくちぷれいしゅのおはなちしようにぇ」 「まりしゃ、おとーしゃんみちゃいになりちゃいっていっちゃの、おぼえてりゅ?おとーしゃんは、まりしゃのあこがれだったのじぇ」 「いやだあああああ!いわないで!いわないでえええええ!れいぶおぼいだじだぐない!むがじのごどなんでおぼいだじだぐないいいい!」 「ゆぎゃああああああ!おぢびぢゃあああああん!ごめんね!ごめんね!ごめんね!ひどいおどーざんでごめんねええええ!」 子どもたちの声は、止むことがない。 ある時はゆっくりしていた懐かしい過去を無理矢理想起させ、二匹が子どもを捨てた罪を強制的に思い出させる。 「ちね!ちね!ちね!ちねっ!」 「くじゅ!くじゅ!くじゅ!くじゅぅ!」 「ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……」 「ゆ゙っ……ぎっ……ゆ゙ぎっ……ゆ゙ぎぎっ……」 ある時は延々と恨み言を聞かせ続け、れいむとまりさがストレスから発狂寸前になるまで精神を追い詰める。 お兄さんは、それを二匹の死角から見て大笑いしていた。 罪を償う? 天国で見守ってて? 笑わせる。 子どもたちはもう、ゆっくりではない。 あれは怨霊だ。 怨霊は、対象を呪い殺すまで決して消えない。 れいむとまりさは、たとえ罪を認めようが、謝ろうが、嘆こうが、絶対に子どもたちから許されないのだ。 数ヶ月後、お兄さんは片手に生ゴミの入った三角コーナーを持ち、透明な箱の蓋を開けた。 周りに段ボール箱や調理器具などを置きっぱなしにしているため、中の様子はほとんど見えない。 「飯だぞ。さっさと食え」 中から空っぽの眼窩が四つ、お兄さんの方を向いている。 異臭がする。 腐った食べ物と饅頭のミックスした、異様な臭気が漂ってきた。 透明な箱の中に入っているのは、れいむとまりさのはずだった。 だが、そこにあったのは変色し、ぼろぼろになり、腐りかけた生ゴミ饅頭だった。 「ごろ……じ……で……。ごろじで……。ばり……ざを、ごろじで……ぐだざい…………」 「じにだい……じにだい……。れいぶ…もう…じにだいでず……じなぜでぐだ…ざ……い」 「そんなに死にたいなら、餌を食べなきゃいいだろ」 「おなががずぐど…ぐるじぐで…ぐるじぐで……どうじでもだべぢゃうんでず………」 「おねがいでず……もう、れいぶだぢを……えいえんにゆっぐりざぜでぐだざい」 「知るか」 改めてお兄さんは、れいむとまりさをじっくりと眺めてみた。 何回かゆっくりをコンポストにしたことがあったが、ここまで外見がひどくなったのは初めてだ。 きれい好きのゆっくりをゴミ処理専用のナマモノに変えるのには時間がかかるが、一度そうしてしまえば思いの外長持ちする。 腐敗したものを食べなければならない苦しみを恐れ、なるべく早く食べようとするのだ。 定期的にゆっくりを取り出して、中のうんうんやしーしーとゴミクズを洗えば、さほど汚くはない。 だが、今回お兄さんは中の掃除もしなかった。 二匹は透明な箱の中で、お兄さんの落とす生ゴミと自分のうんうんとしーしーを餌にして今日まで生き延びてきた。 だが、それはさぞかし地獄のような毎日だったことだろう。 これほどやつれて、生きるのに絶望した顔のゆっくりはめったにいるまい。 死臭に満ちた箱の中にいると、思い込みの力で本当にゆっくりの体は腐敗を始めたらしい。 れいむとまりさの両目は、腐ってとっくの昔になくなっている。 頬がげっそりとこけているのは、歯が歯槽膿漏のようになってほとんど抜けているためだ。 餡子が生きていくのに必要最低限しかないから、体の皮はだぶつき、二匹の形は饅頭ではなく潰れかけたどら焼きに近い。 全体的に黒ずんでいるのは、皮が腐り始めているからだろう。 「まいにぢ…まいにぢ……ぐるじぐで……づらぐで………もう…いぎでいだぐありまぜん………」 「でいぶだぢのあんごは……もうぐざっでまず……。はやぐ……はやぐじにだいでず………」 二匹はお兄さんに醜悪な体を折り曲げ、やっとの事で土下座する。 動くだけでも辛いのだろう。二匹は土下座しながら泣いていた。 口から出る言葉は、安楽死を求める願いだけだ。 「ぎっぎゃぎゃ……ゆぎゃぎゃ……ゆぎぇぎゅ…………」 「ゆぎゅ……ぎゅぎゅぎゅ……ゆぎゃぎゃぎゅぎぇ……」 耳障りな笑い声が聞こえる。 まりさの額と、れいむの頬に付いているゆん面瘡からだ。 いつの間にか、怨霊となった子どもたちから意味のある言葉が発せられることはなくなった。 今の子どもたちの口からは、狂った笑い声が聞こえるだけだ。 それを四六時中聞き続けているれいむとまりさは、顔を歪めてブルブルと震えている。 恐らく、死臭と笑い声の双方で眠ることさえできないだろう。 「おぢびぢゃんが………まりざだぢをゆるじでぐれないので……まりざはゆっぐりできまぜん」 「もう……でいぶだぢはごんなゆんぜいにだえられまぜん……。おねがいでず……ごろじでぐだざい」 「ごろじでぐだざい……ごろじでぐだざい……どんなぼうぼうでもいいがら、ごろじでぐだざい……」 「ゆっぐり……じんでゆっぐりざぜでぐだざい……おぢびぢゃんだぢがら、おわがれじだいでず……」 二匹の精神は完全に子どもたちによって破壊され、限界をとっくに突破しているだろう。 狂うことさえ許されず、延々と二匹の恨み辛みを味わわせ続けられたのだ。 どんな小さなゆっくりすることもなく、数ヶ月の間生きてきたれいむとまりさ。 すべてから解放される死を待ち望むのも、お兄さんには少し分かる気がした。 「そこでゆっくりしていってくれ。向こうで、かわいいチビたちが俺を待ってるんだ」 「あ゙……あ゙あ゙……どうが……どうが……ごろじで……ごろじでぐだざい……」 「まっで……まっでぐだざい………ぞのまえに……れいぶをじなぜで…………」 三角コーナーの中身を透明な箱の中にぶちまけ、お兄さんは蓋を閉めた。 その際に見せたれいむとまりさの苦悩に満ちた顔は、様々なゆっくり虐待に手を染めたお兄さんでも見たことがないものだった。 お兄さんは、特別二匹を虐待していない。 せいぜい、透明な箱に閉じ込め生ゴミとうんうんとしーしーを食わせるコンポストにしたくらいだ。 それで、あそこまで二匹が絶望するとは、やはり怨霊の恨みとはとてつもないものだ。 だからといって、二匹を殺して楽にさせてやる気はなかった。 まだまだ、れいむとまりさにはコンポストとして働いてもらおう。 親子水入らずのゆっくりプレイスを、もう少し堪能してもらおう。 今は、拾ったありすとまりさが産んだおちびちゃんたちを懐かせるのが先だ。 お兄さんはお菓子の入った紙袋を持ち、向こうの部屋で待つかわいいおちびちゃんたちの笑顔を想像しながら笑っていた。 一年が過ぎ、ようやくれいむとまりさは死ぬことができた。 死因は中枢餡の腐敗である。 やっと訪れた死に、二匹は透明な箱の中で腐った泥のようになりながら涙を流して嬉しがっていた。 だが、これですべてが終わったわけではない。 ここは幻想郷である。死んだ魂は、死神に導かれ閻魔の裁判所へと行く。 二匹は、子どもを殺した大罪で地獄に落ちた。 そこは、延々とゆっくりを焼き続ける巨大なかまどだった。 地獄には先客がいた。二匹の子どもたちである。 二匹は怨霊となり、親を呪い殺した罪でやはり地獄に落ちたのだ。 今日も地獄に、親子の悲鳴が響き渡る。 後どれだけ殺されれば、焼かれれば、罪が清められて転生の準備に入るのか誰も知らない。 だがここは、ゆっくりプレイスだ。 あれだけの苦難を経てようやく、家族はまた一つになったのだ。 ずっと一緒。 子どもたちが待望していた、誰にも引き離されないゆっくりプレイスだ。 もう二度と、二匹が親に捨てられることはないだろう。 地獄の底で火に焼かれながら、子どもたちは親に寄り添っていた。 苦痛に悶えながらも、ほんの少しだけ幸せそうに。 挿絵:車田あき
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/940.html
※お祝い絵はたくさん産まれるのに、お祝いSSが産まれないので 『お誕生日おめでとう!』 D.O 季節はもうすぐ春です! って言っても、相変わらず寒い毎日は続くわけで、 たまたま私がやって来た、この木々もまばらな林の中でも、 ゆっくりの跳ねまわる姿なんて、全然見えない。 「でも大丈夫!なんと言っても今日は、私、餡娘の誕生日なのだ!」 餡娘は、ゆ愛での化身! だから、餡娘がこの林に来た以上、ゆっくりが発見される事はあり得ないのだ! しかもしかも、今日は餡娘ちゃんの誕生日なんだからねっ!! 「ゆゆ~ん。おちびちゃん、ゆっくりうまれてね~。」 「れいむとまりさのおちびちゃん、とってもゆっくりしてるね~。」 あ・・・ホントに居た。 数分後。 私は、林の中にある一本の大きな木の根元で、うつ伏せに寝転がっていた。 木の洞に作られた、野生のれいむとまりさのつがいが住むおうちの中を覗き込むためだ。 「ゆっくりどっかいってね!ぷくー!」 「や・だ。うふふふ。」 おうちをじーっと覗き込まれて、れいむもまりさも機嫌がよろしくない。 そりゃまあ、ゆっくりだっておうちの中はプライベートスペースだもんね。 プライバシーを完全無視じゃ、気分がよくないのもわかるわ。 それに、このつがいがナーバスになる理由は、なんと言ってももう一つ。 「おちびちゃん、ゆっくりうまれてね~。」 「おねーさんは、はやくゆっくりどっかいってね!ぷくー!」 れいむの額から伸びた茎、そこにはなんと! 2匹の赤まりさと3匹の赤れいむ、かわいぃ~・・・ 肌つやは最高で、栄養状態はすこぶる良好!! 表情もとってもゆっくり~。 冬ごもりのシーズンに子作りしてる割には、親子そろってゆっくりしてるよー。 「もうちょっとだけ、ね。私もお誕生日なのに、だーれもお祝いしてくれないのよぉ。一緒にゆっくりしよ~。ね?」 「ゆゆっ!?じゃあ、おねーさんもおちびちゃんと、ばーすでーさんがおんなじなんだね!」 「ゆっくりしてるね~。まりさ、おねーさんにも、おちびちゃんのうまれるところ、みせてあげようね!」 この、れいむの頭上に実った新しい命たちは、 今にも生まれそうにプルプルと震えているのだ。 ゆ愛で世界のトップランナーである私とおんなじ誕生日なんて・・・なんて幸せーなおちびちゃん達。 ぷるっ!ぷるぷるっ! 「ゆっ!?おちびちゃん!うまれそうだよ!!」 色々考えてる間に、茎にぶら下がってる赤ゆっくり達が震え始めた。 両親達の期待に胸いっぱいな表情!とっても幸せそう。 「おちびちゃん、ゆっくりうまれてね!ゆっくりだよ!」 「れいむ、ちゃんとべっどさんにおとしてあげてね!おちびちゃんがゆっくりできないよ!」 うふふ・・・きっと、この日のためにがんばってきたんだろうな。 木の洞に作ったおうちも、土を掘って拡張した跡もあるし、 中には小石一つ転がってないよ。 おうちの一番奥には、冬だって言うのに草花や木の実、虫さんまでたっぷり蓄えてあるし、 あのネコジャラシさんとかは、ひょっとしておちびちゃんのためのオモチャかな? 産まれてくるおちびちゃん達を受け止めるクッションも、 枯れ草とか木の皮まで編み込んで、まるで鳥の巣みたい・・・作るの大変だったよね。 「おぢびぢゃん、ゆっぐぢぢでいっでね!ゆっくりしびぇっ・・・っ!!」 「まりさ、おちついてね!ごあいさつはゆっくりしないと、おちびちゃんがかわいそうだよ!」 あのうろたえ方・・・きっと、初めてのおちびちゃんなんだね。 きっと私も、産まれてくる時はこんな風に、 期待されて、祝福されて、愛されて産まれてきたんだな・・・なんか、もう感動してきちゃった。 「きゃわいいれいみゅが、ゆっくちうまれりゅよっ!!」 ぷるぷるっ・・・・ぷちっ! ひゅーん・・・べしゃっ!! 赤れいむを受け止めたのは、両親が丹精込めて作ったベッドの中・・・ ・・・に私が置いた、平たい石。多分、テーブルとかに使ってるのかな? 「びぇっ・・!?・・・ぴ・・ぴぇぇぇえええ!!いぢゃいぃいいいい!?」 「ゆぁぁああああ!?どうぢでべっどさんに、てーぶるさんがおいてあるのぉぉおお!?」 「ゴメン。つい、置いちゃった。」 「「どうぢでそんなごどずるのぉぉおおお!?」」 「だって、かわいいんだもの~。」 「ゆぁーん、いちゃいよぉ、ゆっくちできにゃいぃぃ。」 そうは言っても石の下にあった、ベッドのクッション性のおかげで、特に怪我は無かったみたい。 おとーさんとおかーさんに感謝してね!! 「ゆっくりちかづかないでね!おちびちゃんがゆっくりできないよっ!!」 「おちびちゃん、ゆっくりしてね。ぺーろぺー『ぷるっ!!』ゆゆっ!?ほかのおちびちゃんもうまれるよ!!」 今度は、父まりさが、平たい石(テーブル)を踏んで、私が触れないようにしてる。 一回で対処してくるなんて、ゆっくりしたおとーさんだね! 「しゅてきなまりしゃが、ゆっくちうまれりゅよっ!!」 ぷるぷるっ・・・・ぷちっ! ひゅーん・・・ぐしゃっ!! まりさを受け止めたのは、両親が丹精込めて作ったベッドの中・・・ ・・・ではなく地面の上。私もベッドさん、触ってみたかったんだもん。 「ぴゃ・・・ぎ・・ぴゅぁぁああああ!?まりしゃの、わいるどなあんよしゃんがぁぁああ!?」 「ゆぎぃいいいい!!おねーさん、いいかげんにしてねぇぇえええ!!」 「ちょっとくらいいいじゃん。ケチ。」 そんなこんなで、5匹の赤ゆっくりは、ちょっと泣いちゃったけど、 怪我も病気も無く、元気いっぱいに誕生! ベッドさんの中でもしょもしょと這いまわり、ぷにぷにと動き回ってる。 「あんよはいたくない?ぺーろぺーろ。」 「ゆぅ~ん、ゆっくち~。まりしゃ、たふがいだから、ゆっくちだいじょうぶにゃんだよ!」 「ゆふふ、しょうらいがたのしみだよ~。」 「くきさんをむーしゃむーしゃしてね。」 「むーちゃむーちゃ・・・ゆぁーん、かちゃいよー。」 「ゆふふふ、ちょっとまってね。『ぽりぽりむしゃむしゃ・・ぺっ』ゆっくりたべてね。」 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 「みゃみゃー。しゅーりしゅーり、ちあわちぇー。」 「すーりすーり、私のお肌、気持ちいい?」 「しゅーりしゅ・・・ゆ?おにぇーしゃん、だりぇ?」 「「・・・ゆぁぁあああ!!おぢびぢゃんにざわらないでぇぇええ!!」」 せっかく家族の団らんに混ぜてもらおうと思ったのに・・・残念。 でも、このゆっくりした家族なら、きっと私のお誕生日も、おちびちゃん達の分と一緒に、 お祝いしてくれるよね! 絵師さんや作家さんみたいに薄情じゃないよね!! 「れいむ!まりさ!おちびちゃん達!」 「「さっさとどっかいってね!ぷっくー!!」」 気にしない気にしない。 「おねーさんと、お誕生日会しましょ!!」 「ゆぅ?」×5 「お、おねーさん?おたんじょうびかいって?ゆぅ?」 「今日産まれた事を、みんなでお祝いするのよ。ゆっくりできるでしょー!」 「ゆ・・・ゆわーい!れいみゅ、ゆっくちおいわいされちゃーい!」 さすがゆっくりしたおちびちゃん。 ノリも最高ね! 「お、おちびちゃ・・・」 「まりさ。おいわいは、ゆっくりできるよ。おちびちゃんたちとゆっくりしようね。」 「ゆぅぅ・・・れいむぅ。あのおねーさんは、ゆっくりできないよぉ。」 「でも、おねーさん。」 「ん、何?れいむ。」 「おたんじょうびかいって、なにをするの?」 「お祝いの歌を歌ってー、ケーキのろうそくの火を吹き消してー、お誕生日の人にプレゼントをあげるの。」 「ゆぁーい!けーきしゃん、あみゃあみゃ!あみゃあみゃー!」×5 「へぇ。産まれたてなのに、ケーキ知ってるんだ。ま、いいか。それじゃ、お歌歌おうね!」 「ゆっくちー!」×5 ハッピー・バースディ 詞・曲 餡娘 空は碧く澄みわたり 風は草原の爽やかな香りを運ぶ でも、私は一人 瞳が空の碧さをうつす事は無く 心にうつる空はいつもくすんだ灰色 足元には餡子の染みが一つ この餡子は私の移し身 消えてしまいたいと背を丸めるが 私の願いはかなう事も無い ああ ハッピーバースディ 私のバースディ 誰もいない 誰も気付かない 私のバースディ 「・・・・・・。」 「ゆ・・・ゆぁぁああああん!!ゆっぐぢでぎないぃいいいい!!」×5 「「おぢびぢゃんをいぢめるなぁぁあああ!!!」」 「・・・・・・。じゃ、ろうそくに火、つけよっか。」 「ゆっ?」 ぼっ・・・ぼぅわっ! そして、餡娘は赤ゆっくり達のお飾りに、ライターで火を灯した。 「ゆ・・ゆぴゃぁぁああ!!れいみゅのりぼんしゃん!もえにゃいでぇぇえぇ!!」 「まりしゃのおぼうち、もやしゃにゃいで・・・『ぼぅっ』ゆぴゃぁぁあああん!!」 「「やべでぇえええ!!おぢびぢゃんをもやざないでぇぇえええ!!」」 「おちびちゃん・・・うふふ。今、消してあげるね・・・」 ふぅっ・・・あれ?消えないね。ふぅー。うふふ、逃げちゃだめよ。 ・・・・・・。 餡娘は、とても楽しそうに、ゆっくりと一匹づつ、息を吹きかけてあげた。 火を消すにはあまりにも弱く、優しく、ゆっくりと。 ・・・・・・。 「おぢびぢゃ・・・おぢ・・ぺーろぺ・・ゆっぐぢぢでぇ・・・」 「ゆ゛・・・ぴゅぅ・・ゆぴぇ・・・」 おリボンの上手に外せない赤れいむ達は、そのまま全身を炎に包み、 ベッドごと全身を焼かれ、黒こげで痙攣を続けるだけの饅頭になった。 「おぼうち・・・まりしゃの。・・・まりしゃのおぼうちぃいぃいい・・・」 「おぢびぢゃん、ゆっぐぢ、ゆっぐぢぢでぇぇぇ・・・」 お帽子を脱ぐことができた赤まりさ達も、 ゆっくりにとっては命と同等の、お飾りを焼き尽くされた事では同様であった。 「「どうぢで・・・どうぢでぇ・・・」」 このつがいは、夢にまで見たゆっくりしたおちびちゃん達を、 手に入れて数分で奪われたのであった。 「だって・・・私の、お誕生日なんだもん・・・」 そう言った餡娘ちゃんの両手には、両手に一本づつ、 その辺で拾ったのであろう、太い木の枝が握られていた。 「「ゆ・・や、やめてね。ゆっくりできないよ。ゆ、ゆっくりやべでぇ・・・」」 「素敵なプレゼント・・・ちょうだいね・・・・・・。」 半刻後。 つい先ほどまで明るい声で鳴いていたおちびちゃん達は、 一匹残らず黒く焦げた塊に姿を変えていた。 そして、たくさんのおちびちゃん達に囲まれた、 ゆっくりとした未来を夢見ていたれいむとまりさのまむまむには、 ささくれ立った木の枝が、そっけなく突き刺されていた。 2度とおちびちゃんを産む事が出来ないように。 2度とお誕生日のお祝いが出来ないように。 ※こんなことにならないように、餡娘ちゃんのお誕生日はしっかり祝ってあげましょうね! 餡小話掲載作品(またちゃんと整理します。) その他(舞台設定のみ共有) ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 854 ごく普通のゆっくりショップ ふたば系ゆっくりいじめ 873 ゆっくり向けの節分 ふたば系ゆっくりいじめ 924 みんな大好きゆレンタイン ふたば系ゆっくりいじめ 934 暇つぶし ふたば系ゆっくりいじめ 943 軽いイタズラ 本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ 前日談 ふたば系ゆっくりいじめ 522 とてもゆっくりしたおうち ふたば系ゆっくりいじめ 628 ゆきのなか ふたば系ゆっくりいじめ 753 原点に戻ってみる ふたば系ゆっくりいじめ 762 秋の実り 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけはそうでもない) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道(おまけ) 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 734 未成ゆん(おまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 678 飼われいむはおちびちゃんが欲しい(おまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけ) 夏-1-6. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけ) 夏-1-7. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 冬-1. ふたば系ゆっくりいじめ 490 ゆっくりしたハロウィンさん 冬-2. ふたば系ゆっくりいじめ 910 寒い日もゆっくりしようね 『町れいむ一家の四季』シリーズ 後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 376 飼いゆっくりれいむ ふたば系ゆっくりいじめ 409 町ゆっくりの食料事情 ふたば系ゆっくりいじめ 436 苦悩に満ちたゆん生 ふたば系ゆっくりいじめ 662 野良ゆっくりがやってきた ふたば系ゆっくりいじめ 807 家出まりさの反省