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『ゆっくりの越冬 前半』 38KB 観察 考証 越冬 自然界 人間なし うんしー 初投稿です。 ※前書き 設定の独自解釈があります。 スレなどで気に入ったネタは容赦なく盛り込んであります。 考察要素が強めです。 それでも良いと思われる方、どうぞご照覧下さい。 ゆっくりの越冬 木々の間から街を望む、小さな山の中にそのゆっくりの群れはある。 群れは小さく、長も普通サイズのまりさ。 しかし規模の小ささが幸いして人間との軋轢も生まれず比較的平穏に暮らしている。 一般にゆっくりは子沢山であり、2匹以上いればあっという間に数が増えると思われているが それは恵まれた環境に限った話。 赤ゆっくりや子ゆっくりが厳しい自然界で生き抜ける確率はそれほど高くない。 だから、この群れは2年の歳月を経ても規模があまり変わってこなかった。 そうして季節は巡り、夏の終わりに生まれた赤ゆっくりが一人前になる頃、 群れのゆっくり達が越冬の準備をしはじめると共にこの話は始まる。 「「ここをれいむとまりさのゆっくりぷれいすにするよ!!」」 彼女たちはつい先日に独り立ちしたばかりの若いまりさとれいむ。 どうやら新たな住処となる場所…自分たちだけの「ゆっくりぷれいす」を見つけたところのようだ。 この2匹は生まれた“おうち”がすぐ近くにあったために、家族ぐるみでの付き合いがあった。 小さい頃から特に仲が良く、大人になり、独り立ちすると共にごく自然につがいになったのだ。 とはいえ、今は冬の準備で忙しい時期。まだ子供を作ることはできないでいる。 2匹が巣を作ろうと決めたのは60センチ程の土手に空いた小さな洞穴。 雨で崩れたのか、木の根が露出しておりなんとも丈夫そうな佇まいである。 冬籠りに向けて通常より広い範囲で狩りを行っていた為に運よく発見できたものだ。 すぐにおうち宣言を済ませ、あとは冬に向けて住みよい様に拡張するのみとなっている。 とはいったものの、まるで誰かが住んでいたかの様に、この穴倉は2匹で暮らすには既に十分な広さがあった。 越冬用の食糧を溜めるのでなければ拡張すら必要なかったかもしれない。 「それじゃあ、まりさは かりにいってくるのぜ!」 「ゆっくりいってらっしゃい! きをつけてね!」 本来ならふたりで狩りをし、狩りを終えたらふたりで協力して穴を広げるところだが れいむは自分だけでおうち作りを引き受けるとまりさに伝えた。 小さいころから母ありすの“とかいはなこーでぃねーと”を手伝っていたれいむは 狩りよりもおうち作りが得意だった為だ。 逆に父まりさと主に木々の間を駆け巡ってばかりいたまりさはおうち作りは苦手。 そこでまりさは狩りに、れいむはおうち作りに専念することにした。 この作戦は見たところ功を奏したようである。 まりさは「群で一番の狩りの名人」、すなわちまりさ種としては平均的な能力だったが この森は食糧となる草や花も豊富であり 時間の余裕も手伝って順調に保存用のごはんを貯めることができた。 秋が終わりを告げいよいよ越冬に入る頃、まりさとれいむには丁度良いおうちが出来上がっていた。 巣穴の奥にもたっぷりのごはんが貯め込まれている。 拡張された食糧庫は、春になれば生まれてくるであろう“おちびちゃん”たちの部屋になるのである。 長まりさの娘であり幼いころからの親友であるぱちゅりーに教わって、きちんと長持ちするものだけを集めたものだ。 しっかり切り詰めれば大人のゆっくり3人が十分に食い繋げるだろうと言っていたので安心できる。 「ゆっ! さいきん だいぶすずしくなってきたね! おうちをゆっくりふさごうね!」 「わかったのぜ! でもそのまえに おとーさんとおかーさんに あいさつしてくるのぜ!」 春には再会できるとは言え、今までのゆん生と同じほどの期間会うことができなくなる。 2匹はそれぞれの両親や、同じく一人立ちした姉妹に挨拶しに行くことにした。 お互いの準備が万全であると確認し、長い時間をかけて別れを惜しむと 巣に戻り、いつもの“けっかいっ”よりも厳重に枝や石、唾液を混ぜた土で入口を丹念に塞いでいく。 自由な出入りはできなくなるものの、冷たい外気が入って来なくなり 巣の中は2匹の体温によって一定の温度が保たれるだろう。 「これで やっとゆっくりできるのぜ!」 「まりさ! はるまで ゆっくりしようね!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「ゆっくりしていってね!!」」 最初の夜が明け、2匹は朝の挨拶を交わした。 初めての越冬、それ以上に、初めてのふたりきりのおうち。 彼女たちを包む軽い興奮と深い幸福感は、ぷろぽーずのときの甘いふぁーすとちゅっちゅと同じ程。 親愛を込めたすーりすーりの後、食糧庫から今日のごはんとして干した草や虫を葉っぱのお皿に載せる。 これで丸一日分である。必要最低限のため、昨日までの1/10程度しかない。 「「むーしゃ!むーしゃ! しあわせー!」」 それでも2人なら、なにを食べても美味しい。 2人なら、どこにいても幸せ。 2人なら、ずっとずっとゆっくりできる。 れいむとまりさは心の底からそう信じていた。 ごはんが終わったらお互いをぺーろぺーろして綺麗にし、まだ見ぬ春への思いを話し合う。 「はるになったら みんなでピクニックにいこうね!」 「おはなさんをたくさん むーしゃむーしゃするのぜ!!」 「おとーさんや おかーさんや おねーちゃんたちと たくさんすーりすーりしようね!」 「まりさたちも すっきりーして おちびちゃんをたくさんつくるのぜ!」 「もう… まりさったら…///」 「ゆへへっ …はるさんが まちどおしいのぜ!」 「そうだね! はるさんは ゆっくりしないで はやくきてね!」 お喋りが終わったらお昼寝の時間。これからは食糧や体力を無駄にできない。 昼間の僅かな時間以外のほとんどを仮眠と睡眠で過さなければいけなくなる。 だが、ふたりにとってそれは苦にならないだろう。何故なら自分の一番大事な宝物がすぐ横にいる。 それを意識するだけでれいむもまりさも餡子の奥がポカポカしてくるのを感じていた。 彼女たちにとって、ふたりきりでゆっくりし続けることができるこの冬籠りは ゆっくりしている自分達への神さまからのご褒美だとすら考えられた。 “きっとこれが本当のゆっくりなんだね…” そんなことを考えながら、ふたりは再びまどろみの中に落ちていった。 そんなしあわせーな生活が1週間もした朝。 「ゆぅ… はるさんはゆっくりしすぎなのぜ」 ゆっくりはゆっくりしていれば幸せとは誰が言ったのだろうか、 まりさはいつまでも訪れぬ春に苛立ちを覚え始めていた。 もう数え切れないほどに“たくさん”寝て起きたのに春の気配は感じられない。 秋の間、野山を駆け巡る生活をしてきたまりさは体を思いきり動かせないことが不満なのだ。 思う存分ぴょんぴょんしたい。干し草ではない、獲ったばかりの虫さんやキノコさんをむーしゃむーしゃしたい。 そんな思いがつい漏れてしまった。 「ゆっ? どうしたのまりさ?」 「なんでもないのぜ! ちょっと ねてばっかりだと からだがなまっちゃいそうだって おもっただけなのぜ!」 「ゆふふっ! まりさは かけっこが だいすきだもんね!」 「そうなのぜ! かけっこなら ちぇんにだってまけないのぜ?」 「ゆゆぅ!? すごいねまりさ!」 実際のところ彼女たちの群れにちぇんはいない。比べたことも勿論ないのだが、れいむはあっさり信じる。 れいむにとってまりさは特別なゆっくり。ちぇんよりも素早く、みょんよりも勇敢に違いない。 だが、だからこそ、れいむは冬籠りの退屈さが活発なまりさには辛いのだろうと気が付いていた。 なんとかしてまりさにゆっくりして貰いたい…れいむは必死に餡子を捻り、 ついに今まで誰も思いつかなかったような素晴らしいアイデアを閃いた。 「まりさ! おちびちゃんがいれば ゆっくりできるよ!」 まりさは突然の言葉に驚き、同時に心配をかけていたことに気が付いた。 大好きなれいむを心配させていたなんて…そんな自分の為にれいむ色々と考えてくれたんだ。 深い反省と感謝の気持ちがまりさを満たしていく。まりさは知らず知らずのうちに笑顔を浮かべていた。 一瞬ぽかんとした後、ゆっくりと笑顔になるまりさを見て れいむは自分のアイデアが間違ってはいなかったと改めて確信する。 おちびちゃんがいれば退屈で辛い冬籠りも明るく楽しいものになるだろう。 春まで待とうとしていた理由は思い出せないが、思い出せない位ならどうせ大した理由ではなかったのだろう。 『こんな素晴らしい事を何故もっと早く考え付かなかったのか。』 れいむはこれまでの時間を無駄にしたようにすら思えてきた。だが過ぎたことを嘆いても仕方がない。 大切なのはこれからの冬籠りを、まりさと、かわいいおちびちゃんたちとゆっくり過ごしていくことだ。 もう寝ては起きて春を待つだけの生活はおしまいなのだ。れいむには、未来は薔薇色の日々が約束されていた。 美味しそうな花がたくさん咲く広場で、自分に似たおちびちゃん達とゆっくりしたおうたを歌う光景を 幻視していたれいむは、しかしまりさの言葉で現在に引き戻された。 「ゆ? でもぱちゅりーは 『ふゆのあいだにおちびちゃんをつくるとゆっくりできなくなる』 っていってたのぜ?」 「ゆゆっ!? おちびちゃんはゆっくりできるんだよ!?」 そう言われれば確かにぱちゅりーはそんなことを言っていた。 その時は気が付かなかったが考えてみればおかしな話である。 おちびちゃんはれいむ達をゆっくりさせる為に生れて来てくれるのだ。ゆっくりできない筈がない。 「ごはんを食べたらお腹が減る」と言っているようなものである。 とはいえ、ぱちゅりーはとても賢く、間違ったことを言ったことは一度もない。 そのぱちゅりーが「ゆっくりできない」と言ったのならそれはきっとゆっくりできないのだ。 れいむとまりさは混乱した。なにせおちびちゃんがゆっくりできるのは間違えようのない事実なのだから。 この矛盾に2匹は… 「ゆっ! きっとぱちゅりーがかんちがいしたんだね!」 さして悩まずに結論を出した。 ぱちゅりーはつがいもおらず当然子供もいない。だからきっと何かの勘違いだったのだろう。 即時満場一致で可決。 そうと決まれば善は急げである。 彼女たちは失った時間を取り戻すかのように互いの肌を擦り合わせ始めた。 「すーりすーり… ゆゆっ… れいむぅ…」 「ゆぅう… まりさぁ… とってもきもちいいよぉ…」 ぬちゃぬちゃ。ぴちゃぴちゃ。 妙に粘度の高い砂糖水がぬらぬらと滴る。 二匹とも眼をトロンとさせ、口元はだらしなく半開きで涎が垂れている。 普段の姿からすれば眼を背けたくなる醜悪さだが興奮ゆえか気が付いていないようだ。 相手の分泌した液体を自らの肌で拭おうとしているのか… あるいは自らの分泌した液体を相手の肌に擦りつけようとしているのか。 どういう原理か桜餅のように紅潮した二つの饅頭は徐々にその動きを速めていく。 「「すっきりー!!!」」 巣穴に響くような叫びと共にその動きをぴくりと止めた。 一呼吸付く、とれいむの額から瑞々しい新緑の茎がするすると伸び始める。 30センチを越えた程で伸びるのをやめ、次に等間隔に出来た6つの瘤が少しずつ膨らみ始めた。 一方れいむは幸せに満ちた表情で自分の頭に宿った実を眺めているが、みると明らかに頬がこけている。 1週間にわたる摂食生活では植物型妊娠に耐えられないのだろう。 頬がべこんとへこむに至り、ようやく自分の状態に気が付いて騒ぎ始めた。 「ゆぅぅぅうう!!? これいじょうれいむのあんこさんすわないでねぇぇぇ!!! でいぶじんじゃううぅぅぅ!!!」 「ゆあぁぁぁああ!? れいむぅぅぅ!?!?!」 焦ったまりさは食糧庫に飛んでいき、大量のごはんをれいむの口に押し込んだ。 大切な食糧だがれいむの命には代えられない。それに少しくらい多く食べても大丈夫な程に食糧は貯めた筈だ。 結局普段の一日分程の食糧を食べるに至りようやくれいむはいつもの丸い形と笑顔を取り戻した。 「ありがとうまりさ! やっぱりまりさはさいっこうっのだーりんだよっ!」 「ゆっへん! それほどでもあるのぜ! れいむはかならずまりさがまもるっていったのぜ?」 記憶にはないが確かに言われてみれば言われた気がする。れいむは一人まりさへの愛を深めていた。 そんな寸劇が終わってみれば、蔓にできた6つの瘤は 直径3センチ程の大きさながらゆっくりの姿を形作っていた。いわゆる実ゆっくりだ。 無事(?)ににんっしんっ!成功である。 6日後。 「ゆゆぅ~~~んっ! れいむのおちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるよぉ~~~!!」 「おちびちゃんたち、ゆっくりうまれるのぜ! ゆっくり! ゆっくりなのぜ!」 「もう! まりさも もっとゆっくりしてね!!」 まりさが「おちびちゃんのため」といってれいむに多めのごはんを食べさせていた甲斐もあり 実ゆっくりたちはもう生まれる寸前の大きさになっていた。 この日は朝からぷるぷると震えており、もうすぐ赤ゆっくりが産声をあげることを2匹に教えている。 まりさなど興奮しすぎて実ゆを取って食わんばかりの接近だ。 そんな両親に見守る中、赤ゆたちは誕生の時を迎えた。 ぷるぷるぷる、ぷちっ…ぽとん。「ゆっ!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「れいみゅはれいみゅぢゃよ! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「ゆぅぅ~! とってもゆっくりしたおちびちゃんなのぜぇ!」 「ゆっ! つぎのおちびちゃんもうまれそうだよ!」 ぷちっ…ぽとん。「ゆっ!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「「「ゆっくりしていってね!!(ゆっくちしちぇいっちぇにぇ)!」」」 「まりちゃはまりちゃにゃのじぇ! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「しゃべりかたまで まりさにそっくりだね!」 「れいみゅのいもーちょぢゃにぇ! れいみゅはれいみゅぢゃよ!」 ぷちっ…ぺちょん。「ゆ゛っ!」 「まりちゃはまりちゃぢゃよ! ゆっくち! ゆっくちぃ!」 「とってももちもちおはだなおちびちゃんなのぜ! しょうらいは びゆっくりまちがいなしなのぜ!」 ぷちっ…ぽよん。「ゆぴっ!」 「れいみゅはれいみゅぢゃよ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ~♪」 「おうたのじょうずそうな おちびちゃんだよぉ!」 続けざまに4匹の赤ゆが生まれ巣穴はやにわに賑やかになった。 5つめの実が大きく震え始めたのを見てまりさも赤ゆ達もさらに興奮が高まる。 「ゆゆぅー! まりちゃのいもーちょ! ゆっくち! ゆっくち!」 生まれて1分足らずにも関わらず姉としての意識が芽生えているのだろうか、 揺れる実を見上げながらぴょんぴょんと飛び跳ねる3女赤まりさ。 ぷるぷるぷる、ぷちっ…べちょっ。「びゅべっ」 「ゆっくちちいぇいっちぇにぇ!」 飛び跳ねすぎて生まれてくる赤ゆの真下に入ってしまったらしい。落下した妹が直撃した。 ピンポン玉サイズである赤ゆの重量など高が知れているが、自身も生まれたばかりの身。 赤まりさは大きくひしゃげ餡子を吐き出してしまった。 「ゆあああ!? おちびちゃぁぁぁああん!?」 「ゆっ! まりちゃがうまれちゃよ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」 「びゃべっ! ゆげっ! ゆぢっ!」 姉の惨状に気付かない赤まりさは挨拶がなかったことに不満を覚え、その場で何度も飛び跳ねる。 「ゆ゛っ ゆ゛っ ゆ゛っ」 「おちびちゃんとびはねちゃだめぇぇぇぇぇ!!」 「ゆぅ? …おにぇーちゃぁぁぁああん!? にゃんぢぇぇぇぇえええ!?」 「…もっちょ…ゆ゛っぐぢ………」 「「おちびちゃんがぁぁぁぁあああ!!!!」」 「「いみょーちょぎゃぁぁああ!?!?」」 「「おにぇーちゃんぎゃぁぁぁ!!」」 気が付いた時には既に手遅れ。体の大半の餡子を吐き散らし、生まれたばかりの命は儚くもあっさり散った。 突然の不幸に嘆く一家。しかし悲しみに暮れる間もなく蔓に残った最後の実が大きく揺れ始める。 残念だけど、死んでしまったおちびちゃんのことは諦めよう。おちびちゃんはまた作ればいい。 今は悲しむよりも、残ったおちびちゃんにより深い愛情を注ぐべきなのだ。 驚くべき速さで気持を切り替える両親。 潰れた饅頭の残骸もそのままに、最後の子供の誕生に意識を集中する。 ぷるぷる、ぷちっ…ぽゆん。 「ゆぴ! ゆっち! ゆっち!」 「「ゆっくりしていって…ね…?」」 「ゆち! ゆー! ゆっくちー!」 「ゆ? れいみゅにょいみょーちょ…にゃんぢゃきゃ ゆっくちちちぇにゃいにぇ…」 お決まりの挨拶すらまともに出来ず、髪の毛は頭頂部に申し訳程度。 瞳の焦点も定まらず口からは涎が垂れている。 言うまでも無い事だが、ゆっくりは「すっきりー」すると、体調に関わらずある程度の数を「にんっしんっ」する。 節食生活だったれいむでは6匹の子供は多すぎたのだ。 さらに越冬中であるのも災いした。 実は普段の生活において、植物性にんっしんっは実ゆっくりが落ちてしまうことが多い。 ただ4つ以上は「たくさん」としか認識できない為に2つ3つ減っても親は気がつかないのだ。 洞窟の中で安静にしていたれいむは幸か不幸か全ての実が順調に育ってしまった。 すなわち、多少多めに食べたところで普段の半分以下。 6女のれいむは未熟ゆで誕生したのである。 先に生まれた姉たちは、本能が異端を許さないのか生まれたばかり妹に蔑むような視線を向ける。 れいむとまりさも困ったようにお互いを見合わせた。 「ゆぅぅ…ゆっ! きっと ごはんさんがたりなかったのぜ! このおちびちゃんも ごはんさんをたくさんたべれば、ほかのおちびちゃんみたいになるはずなのぜ!」 「ゆっ! そうだね! このこも れいむのかわいいおちびちゃんだよ!」 「ゆっくちぢぇきにゃいよ…」 「あんにゃ いもーちょにゃんちぇ いりゃにゃいよ…」 気を取り直して子育て宣言をする2匹だが、姉妹のほとんどは末れいむを疎んでいるのに気がつかない。 「まりちゃは おにゃきゃぎゃしゅいちゃよ! ごはんしゃんを むーちゃむーちゃしゃしぇちぇにぇ! いましゅぎゅぢぇいいよ!」 「ゆっ! おちびちゃんたちは このくきさんをたべるのぜ! むーしゃ、むーしゃ、ぺっ」 まりさがれいむの頭の茎を口で咥えて根元から折り、良く噛んでから吐き出す。 これが赤ゆ達の最初の食事である。 この茎は程良く甘く、程良く苦い為に生まれたばかりの赤ゆの味覚調整の役割があると言われている。 「ゆわーい! まりちゃにょ しゅーぱーむーちゃむーちゃたいみゅぢゃよ!」 「まだだよおちびちゃん! ちゃんとみんなで いただきますをしようね!」 「しょうぢゃよ! ひちょりぢゃけ しゃきにむーちゃむーちゃ しゅりゅにゃんて ゆっくちちちぇにゃいよ!」 「ゆぅぅぅ! ぢょぉぢぢぇ じょんにゃぎょぢょ いうにょぉぉお!?」 「おちついてね! ごはんさんはにげないよ! ゆっくりたべてね!」 「「「ゆっくちいちゃぢゃきましゅ!!」」」「うみぇっ! こりぇめっちゃうみぇっ! ぱにぇっ!」 「「「むーちゃ! むーちゃ! ちあわちぇぇぇ!!」」」 結局5女まりさは挨拶もせずに食べ始めていた。 よほどお腹が減っているのだろう、それにまだ生まれたばかりなのだから… そう思った両親は5女まりさを可愛いと感じこそすれ叱ることはしなかった。 「ゆぷー、おにゃきゃいっぴゃいぢゃよ」 「ごちちょうしゃみゃぢぇちちゃ!」 「おぉ、みゃんぴゅきゅみゃんぴゅきゅ」 「れいみゅ にゃんぢゃきゃ にぇみゅきゅにゃっちぇきちゃよ…」 「ゆぴー…ゆぴー…」 初めてのごはんを食べ終わった赤ゆ達には早くも睡魔が降りてきたようだ。 この日の為にまりさが作っておいた「べっど」(干し草をまとめてくぼみを作っただけのもの)に 寝かせてあげると、あっという間に寝息を立て始める。 れいむとまりさは不幸な3女の死骸を 「はるさんがきたら ちゃんとうめてあげるからね…」 といって食糧庫の隅に移動させた後、自分達の食事をしていないことも忘れて にこにことおちびちゃん達の寝顔を眺めていた。 「ゆっ! れいみゅゆっくちおきちゃよ!」 「ゆっくちあしょぶのじぇ!」 「おきゃーしゃんにょ おうたぎゃききちゃいよ!」 「おちょーしゃん! まりしゃにしゅーりしゅーりしちぇにぇ!」 「ゆっち! ゆっくちー!」 やがて赤ゆ達は眼を覚まし、今度は遊びの時間が始まる。 長女れいむと次女まりさは元気におうちのなかを追いかけっこ。 成体であるれいむとまりさには運動する程の広さは無い巣穴の中もピンポン玉程の赤ゆにとっては大運動場だ。 4女れいむは母れいむにおうたをせがみ、れいむも嬉しそうにそれに応える。 5女まりさは父まりさに近寄って(殆ど父まりさの方から近寄っていたが)頬ずりしている。 「ゆ~ゆゆ~♪ ゆっくりしていってね~♪」 「ゆんゆ~ん♪ ゆっくち~♪」 母のゆっくりした歌声を聞き、自分も真似して歌い出す4女れいむ。 今まで聞いたこともないような美声、そして拙いながらも一生懸命に歌う姿は母れいむをさらに感動させた。 きっとこのおちびちゃんは群れ一番の歌姫になるだろう。 母に褒められた4女れいむは恥ずかしそうに笑う。 きっと自分は皆をゆっくりさせるために生まれてきたんだとれいむは思った。 沢山練習して、群れの皆を沢山ゆっくりさせてあげるんだ。それが本当のゆっくりに繋がるんだ…。 そんな決意を胸(?)に生まれたばかりのれいむは歌の練習に励んでいた。 「ゆゆ~ゆ~ん♪ ゆっくちちちぇいっちぇにぇ~♪」 「ゆっくりしていってね~♪」 「ゆっ! まりちゃは たきゃいたきゃいしちぇほちいよ!」 未熟な末れいむもに5女まりさと同様、父まりさの頬にすり寄ってきたが、5女まりさはそれを一瞥すると 今度は「たかいたかい」をねだりはじめた。 「たかいたかい」はまりさ種特有の行動で、帽子のつばでぽんぽんと子供を跳ねさせる遊びである。 ある程度大きくなると乗ることはできなくなるが、空を飛ぶような感覚はほとんどの赤ゆを魅了する。 可愛いおちびちゃんにねだられて父まりさが断る筈がない。 器用につばの先を地面に近寄せて5女まりさを載せると、天井にぶつからないように注意深く跳ねあげる。 「おしょりゃをとんじぇりゅみちゃい!」 姉妹達を遥か眼下に望み、あれほど巨大な両親すら見下ろす高度は赤まりさに浮遊感を覚えさせる。 おうちの中でなければきっと世界の果てまで見渡すことができるだろう。 こんな場所から世界を見下ろす自分はきっと誰よりも選ばれたゆっくりに違いない。 5女まりさは、自らが全てを超越した万能な存在であることを自覚した。 見れば地べたで出来損ないの妹がぴょんぴょんと飛び跳ねている。 クズの分際で自分と同じ場所に並びたがるとはなんて身の程知らずなのだろう。 「ゆ? おちびちゃんも たかいたかいがしてほしいの?」 「ゆっち! おちょりゃ! ゆっくち!」 しかし、あろうことか父まりさはクズ奴隷を帽子に載せてしまった。 まったく…それこそ勘違いした奴隷を付けあがらせるだけだというのに。 「おしょりゃをとんじぇりゅみちゃい!」 「おちょりゃ! おちょりゃ!」 だが一度浮き上がると細かい事は気にならなくなる。全てを忘れ恍惚感に浸る5女まりさ。 仲良く飛び跳ねるおちびちゃん達を見て父まりさは満足そうに微笑んだ。 この子達なら、春が来ても他のゆっくりのおちびちゃんと仲良くなれる。 きっと子供たちのリーダーになるに違いない―――父まりさはそう思っていた。 そうして30分も経ち、外ではすっかり日が高くなった頃。 「ゆっくちおにゃきゃがしゅいちゃよ!」 「まりちゃは むーちゃむーちゃちちゃいにょじぇ!」 追いかけっこをしていた長女れいむと次女まりさは、たっぷり運動してお腹が空いたらしい。 本来、冬籠り中はなるべく活動を控えて餡子の消耗を抑えなければいけない。 ぱちゅりーに言われた通り1日1食のつもりだった両親は困ってしまったが、赤ゆは元気に遊ぶのが仕事。 生まれたばかりのおちびちゃんに「じっとしていろ」なんてゆっくりできないことを許せる両親ではなかった。 確かに赤ゆっくりは食欲旺盛で1日に自分の体積の2倍以上食べてしまうが、 体が小さいので一度に食べるごはんの量は全員分を合わせても大人1人分程よりやや少ない程度でしかない。 ぱちゅりーは「大人3人分」と言っていたし、おちびちゃんが「たくさん」よりさらに沢山いても ごはんが足りなくなる事はないだろうと考え直した。 「ゆっ! そういえばまりさたちも きょうのごはんさんを むーしゃむーしゃしてなかったのぜ!」 「ゆゆっ! すっかりわすれてたよ! それじゃみんなでごはんにしようね!」 れいむとまりさの食事は最低限の量しか食べていないのでこれを忘れるわけにはいかない。 普段1日に食べる量のわずか1/10程度だが、可愛いおちびちゃんを見ていれば空腹なんて吹っ飛んでしまう。 まりさが急いで全員分のごはんを用意し、皆でいただきますの挨拶。 「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」」 冬籠り中でなければもっと新鮮な木の実や虫をお腹いっぱい食べていたれいむとまりさだが、 それでも家族で食べるごはんは別格の味わいを2匹にもたらした。 しかし… 「むーちゃ!むーちゃ! …まじゅいぃぃい!! 「こりぇどきゅはいっちぇりゅ!」 「こんにゃにょ たびぇらりぇにゃいよ! あみゃあみゃしゃんもっちぇきちぇにぇ!」 「「ゆ…ゆゆぅっ!?」」 顎の弱い赤ゆ達は干し草を噛み砕くことができず、さらに苦みに耐えられないので 親がしっかり咀嚼してから与えなければいけない。 そうして柔らかくし、砂糖水の唾液と混ざることで甘くなって初めて食べられるようになる。 れいむもまりさも餡子に刻まれた本能で知っていた筈だが、すっかり舞い上がってしまい忘れていたのだ。 急いで一匹ずつごはんを噛み、口移しで与え始めた。 「ゆっ! ごめんねおちびちゃんたち! ちょっとまっててね!!」 「もっ もっ もっ… やわらかくなったのぜ! じゅんばんに あーんするのぜ!」 「あーんしゅるよ! …むーちゃ!むーちゃ! ちあわちぇぇぇ!!」 今度こそ大丈夫だ。思いがけないトラブルもあったが無事に全員が食事を終えた。 一安心した両親だが、すぐに次の問題が浮かび上がる。 半月以上少ない食事を続けたれいむとまりさは忘れていたが お腹がいっぱいになったゆっくりがすることと言えばひとつである。 「ゆっ おにゃきゃいっぴゃいぢゃよ!」 「きゃわいいまりちゃぎゃ うんうんしゅるにょじぇ! しゅっきりー!」 「うんうんでりゅよ! しゅっきりー!」 「しゅっきりー!」 「ちゅっち! ちゅっちー!」 ぷりぷりと不快な音を響かせて次々と「うんうん」…古い餡子を排泄する赤ゆ達。 赤ゆはこうして体内の餡子を新しくすることで成長していく。 古い餡子のままでは体が大きくならないのである。外皮と中身の違いはあるが、言うなれば脱皮に近い。 生まれた直後に食べた茎は量が多すぎず、赤ゆは何故か空腹状態で生まれるために 食べてもうんうんをしなかったのだ。 「ゆゆぅ!? おちびちゃんたち! うんうんしちゃダメなのぜ!」 「にゃにいっちぇりゅにょ? うんうんしにゃいちょ ゆっくちぢぇきにゃいよ?」 「ばきゃにゃにょ? ちにゅにょ?」 「まぢゃでりゅよ! しゅっきりー!」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ!?」 当然まりさにはそんなことは判らない。 知っているのは冬籠り中にうんうんで餡子を無駄に消費してはいけないということだけ。 しかもさっきはしなかったのに、という驚きが加わっている。 赤ゆは赤ゆで越冬などという概念は理解していない。 より沢山食べて、より沢山排泄する。 それが成長に…ひいてはゆっくりするのに必要なプログラムとして餡子に刻まれているだけだ。 「まりさ! おちびちゃんがうんうんするのはしかたないよ!」 「ゆぅ… でも…」 「おちびちゃんは たくさんゆっくりさせてあげないと しょうらい ゆっくりしたゆっくりに なれないよ! それに ごはんさんも たくさんあるんだから だいじょうぶだよ!」 れいむはそれが本能で判っているのか、まりさを諭す。 一般にれいむは子育てが上手だと言われるのも、赤ゆの成長メカニズムを 本能で理解しているからという説がある(ただの迷信で、むしろ下手だという説もある)。 保存した食料が少なければれいむも考えただろうが、余裕があるならむしろゆっくりすることを推奨した。 ごはんはたくさんある。そう思えばこそまりさも納得した。 しかし問題はこれだけで終わらない。 「ゆぁぁん!! くちゃいぃぃ!!」 「にゃんぢぇ おうちにょなきゃに うんうんがありゅにょぉぉぉ!? 「ゆぴぃぃぃ!!」 「うんうんしゃん あっちにいっちぇにぇ! ゆっくちぢぇきにゃいぃぃ!!」 「はやきゅ うんうんをどっきゃにやっちぇにぇ! まりちゃこみゃっちぇりゅよ!」 「「ゆぅぅぅ!!?」」 自分達の出したうんうんの臭いに苦しみ出す赤ゆ達。 成分は唯の餡子なので実際には臭いなどしないのだが、ゆっくり達は口をそろえてうんうんは臭いのだと言う。 ゆっくりは都合の悪い記憶、いわゆる「ゆっくりできない記憶」を含む餡子をうんうんとして外に出す。 饅頭の癖に(饅頭だからこそか)甘い物を異常に好むゆっくりが その悪い記憶を誤って食べてしまわないようにする為の本能なのだろう。 ちなみにうんうんだと知らなければ普通の餡子として喜んで食べる。 閉じた巣穴の中に広がるうんうん臭。 本来なら外に捨ててくる筈のものだ。いや、そもそも大人のゆっくりはおうちの中でうんうんをしたりしない。 赤ゆだからおうちの中でするのは仕方がないとしても、冬籠りをしている今、うんうんを捨てる場所はなかった。 もちろんおうちの「げんかん」を開けるなどという発想は出ない。 考え付いたところで、外の寒さが巣穴に入り込めば生後半日の赤ゆなど30分で凍死してしまっただろうが。 「しかたないのぜ… げんかんのちかくによせて、おおきめのはっぱさんを かぶせておくのぜ」 早く処理しなければ赤ゆ達の命に関わると、とっさの苦しい判断だが意外なことに功を奏した。 しっかり塞いであるとはいえ、巣穴の入り口付近は寒くなるので冬の間は近寄らない。 この寒さが幸いし臭いが拡散するのを防いだのだ。 予備の布団として準備してあった葉っぱを被せるとおうちの中から見事うんうん臭は消えさった。 「ゆっ! くちゃくにゃきゅにゃっちゃよ!」 「ゆっくち! ゆぴっ! ゆっち!」 「おちょーしゃん ありぎゃちょー!」 「ゆん! いっけんらくちゃくなのぜ!」 安心したらしい赤ゆはまたすぐ眠りに落ちる。まさに食う寝る遊ぶの繰り返し。 一方れいむとまりさは朝から慌て通しだが、可愛いおちびちゃんのいる生活はそれでも幸せなものらしい。 赤ゆ達が再び目覚めるまでにこにことその寝顔を眺め続けた。 燃費の悪い赤ゆはごはんの間隔も短い。 その後も午後と夕方にもう一度ずつごはんを食べ、ようやくこの一日は終了した。 それから3日、大きなトラブルもなく赤ゆたちは順調に成長していた。 順調に育っているらしく生まれたときより一回り大きくなっているが、対して両親は心なし痩せて見える。 気まぐれで全く我慢と言うことをしない赤ゆの世話で消耗しているのだろう。 元々寝ていることを前提にした食事量は、子供たちの遊びに付き合うには少なすぎるのだ。 それでもみだりに食べる量を増やさないのは2匹は賢さの故か、 はたまた量を測るのに使うお皿が変わらないからか。 「ゆぅ… ごはんさんはたりてるはずなのに なんだかおなかがすくよ…」 明らかに後者であった。 おちびちゃんたちに聞かれないよう、そっとぼやくれいむ。 だがそこは怒鳴ることはできても声をひそめる事のできないナマモノの事 遊びに夢中な子供達は気がつかなかったが、まりさにあっさり聞かれてしまった。 「きっとこそだてで つかれてるのぜ! ゆっくりねれば だいじょうぶなのぜ! どうしても おなかがすいたら ごはんさんを おおめにたべるのぜ? ごはんさんはまだ たくっさんっあるから すこしくらいなら もんだいないのぜ!」 そう。確かにごはんは沢山ある。 冬籠りの初日、まりさが狩りで集めた山盛りの食糧を見てれいむは感動したものだ。 こんなに沢山のごはんは、きっといくら食べてもなくならないだろうと。 あれから何日も経った今でもその量は寸分も減っていないようにすら見える。 しかしそれでもれいむは追加で食べるつもりはなかった。 自分が食べるよりも、おちびちゃんにより多く食べさせてあげたい…そう思っていた。 「まりちゃも ぎょはんしゃん たびぇちゃいのじぇ!」 「れーみゅも むーちゃむーちゃちちゃいよ!」 「ごはん」という言葉を聞いて、赤ゆ達は思い出したように次々と空腹を訴え始めた。 「ゆっ! それじゃ ゆっくりごはんさんにしようね!」 「「「ゆっくちいちゃぢゃきましゅ!!」」」 いつもどおりに始まる昼食だったが、いつもとひとつ違うことがあった。 食べ終わった赤ゆ達がどこか不満げである。 「ゆー! じぇんじぇんちゃりにゃいよ!」 「もっちょちょうらいにぇ!」 れいむはお皿の葉っぱで量をはかっている為、体が大きくなっているのに 貰えるごはんの量が変わっていなかったのだ。 実のところ朝食から若干足りてはいなかったのだが、起きてすぐの朝ごはんだったのに加え 足りない量も僅かだったために不満を漏らさなかった。 しっかり遊んだ後のごはんが足りないという事実はあっというまに赤ゆの不満を爆発させた。 驚いたのは両親だ。 朝のごはんまでは同じ量で満足していたのに。 「おちびちゃんたち! ごはんさんはちゃんと いつもとおんなじだけあげたよ!」 「そうなのぜ! たべすぎはゆっくりできないのぜ!」 そう諭しても赤ゆの不満は止まらない。もとより我慢という物を全くしないナマモノである。 今までは満腹になるだけ食べていた、というそれが彼女たちの全てである。 その中でも特に単純な…というより原始的な知性しか持ち合わせていない 未熟ゆである末れいむが行動を起こした。 妹から順番に与えられていた為に、末れいむが食べ終わった時は上の姉達はまだごはんにありついていない。 だからその与えられたごはんを横から奪ったのだ。 「まりちゃにょ ぎょはんしゃんぎゃぁぁぁ!?」 「ゆうぅぅ!? おちびちゃん、おねえちゃんのごはんさんをとっちゃダメだよ!!」 「うーちゃ! うーちゃ! ちゃっちぇー!」 親は慌てて止めるが口で言って聞く相手ではない。至福そのものの表情で次女まりさのごはんを貪る末れいむ。 「ゆっ! まりちゃをさしおいちぇ むーちゃむーちゃしゅりゅなんちぇ にゃみゃいきぢゃよ! まりちゃみょ むーちゃむーちゃしゅりゅよ!」 それを見た5女まりさも乏しい理性が飛んだのだろう、同じく次女まりさのごはんに齧り付こうとした。 だがその瞬間… ぼいんっ 「ぎゅぴぃっ!?」 「お、おちびちゃん!?」 「ぴぃぃぃ! ゆぃぃぃ!!」 長女れいむが末れいむに体当たりした。 「ぷきゅぅぅ! しょりぇはまりしゃにょぎょはんしゃんぢゃよ! ゆっくちはんしぇいしちぇにぇ!」 長女としての責任感が芽生えているのか、悪い事をした妹と威嚇する長女れいむ。 末れいむは突然の攻撃に訳も判らず泣き叫ぶだけだ。 「ゆゆゆ… ゆっ! れいむ! ごはんさんのおかわりをもってくるのぜ!」 「ゆ…ゆゆっ! わかったよ! おちびちゃんたちは もうちょっとまっててね!」 とっさのことに対処しきれない両親だったが、ひとまず食糧庫に追加のごはんを取りに行く。 慌てたとはいえ、ここで2匹とも食糧庫に向かったのが失敗だった。 「まりちゃにょ ぎょはんしゃんをとりゅ げしゅなゆっくりは しぇいっしゃいっ! しゅりゅのじぇ!!」 自分のごはんをとられた次女まりさが泣き叫ぶ末れいむに飛びかかった。 相手はもともとゆっくりできず疎ましかった未熟ゆだ。 ごはんを奪われたことで完全に「外敵」としか捉えられなくなっている。 両親のいない今、その攻撃を止められる物はいない。 追いかけっこで鍛えた俊足のあんよで妹にのしかかり、激しくストンピングする。 「ゆぎ! ゆぎゅ! ぎぢいぃぃ!!」 「ちにぇ! ちにぇ! げしゅはゆっくちちにぇぇぇ!!」 頭頂部に僅かな髪と共に生える小さなモミアゲを激しく振りながら悶える末れいむ。 その動きが気に食わないのか次女まりさはモミアゲを咥えて強く引っ張ると、 ブチブチと音を立てて未発達なモミアゲは千切れ傷ついた皮の隙間から赤ゆの柔らかい餡子が覗く。 再びストンピングを始めると傷口が大きく裂けて中身が吹き出てきた。 こめかみと口、あにゃる、目玉の隙間から内容物をぶちまけて末れいむは徐々にひしゃげ、潰れていく。 「まりちゃ! ゆっくちちちぇにぇ! !ゆっくちちちぇにぇ」 「しょうぢゃよ! しょんにゃやちゅ ゆっくちぢぇきにゃいよ! きゅじゅはゆっくちちんぢぇにぇ!」 「にゃにいっちぇりゅにょぉぉぉ!?!?」 妹の凶行を止めようとする長女だが、あろうことか自分もごはんを奪おうとしていた5女まりさが檄を飛ばす。 5女まりさにとって、いつも身の程知らずに自分の玉座(父まりさの帽子の上)に土足で踏み込んできて あまつさえ選ばれたゆっくりである自分だけが許された行為(たかいたかい)を享受しようという 生意気なクズ奴隷が制裁されるのはごく自然なことだった。 だが自分が手を下すのも汚らわしいと思い、親が制裁するのを寛大にも我慢強く待っていたが 愚図な両親は全くやろうとしない。 それをいつも地べたに這いつくばって走り回るだけの愚鈍な姉がようやく自分の為に働いたのだと考えていた。 他の愚図共に比べれば多少は使える奴だと考えを改める。まりさは優秀なものには正当な評価を与えるのだ。 「ぎゅ…ぢ……………………」 「ゆっ! やっちょちんぢゃにぇ! しぇいしぇいしちゃよ!」 未熟ゆに生まれたが故に体が小さい末れいむはあっという間に餡子の染みになり果てた。 自分は何もしていない癖にそう吐き捨てる5女まりさ。 母れいむと父まりさが戻って最初に目にした物は、満足げにふんぞり返る2匹の赤まりさであった。 「ゆぅぅぅぅぅ!! おちびちゃぁぁぁぁん!?!?」 「どぼじでづぶれぢゃっでるのぉぉぉぉ!?!?」 「ゆふん! げしゅにゃゆっくりは まりちゃがしぇいっしゃいっ!しちゃよ! まりちゃ ちゅよくっちぇぎょみぇんにぇ!」 「それはおちびちゃんのいもうとでしょぉぉぉ!?」 「ゆっ! きょんにゃゆっくちぢぇきにゃいきゅじゅは まりちゃにょいもーちょじゃにゃいよ! へんにゃこちょ いわにゃいぢぇにぇ! ぴゅんぴゅん!」 慟哭する両親に赤まりさ達は当然のように言い放った。 彼女たちの中では、末れいむは最早「外から来たゆっくりできないゆっくり」としか認識されていない。 それを永遠にゆっくりさせて家族を守ったことはなんと誇らしいことか。 もちろん攻撃していた時は姉妹を守ろうなどと考えていなかったが、たった今そういうことになった。 「ゆぅぅぅ… おちびちゃんがぁぁ…」 「ゆぅ… ざんねんだけど しかたないのぜ。もともとあんまりゆっくりしてなかったおちびちゃんだから ちゃんとおおきくなれるか わからなかったのぜ。」 母性の強いれいむに対しまりさはややシニカルだ。 死んだのが未熟ゆ、それもまりさ種では無かった為だろうか。 それに野生のゆっくりである彼女たちに未熟児を育てるのは難しい。 見方によっては、先延ばしにした問題が自動的に片付いたとも言えるのだ。 こんなにも早く2人の子供を失ってしまったが、まだおちびちゃんは「たくさん」いる。 追加のごはんを与えながら、二度とこのような悲劇件が起こらないよう おちびちゃん達の成長に合わせて少しずつごはんを増やす事を心に誓う2匹であった。 それが立派な両親の役目なのだと胸(顎?)に刻んで…。 そもそも冬籠り中でなければ赤ゆの食事量を親が管理するようなことがないのだが、2匹が思い至ることはない。 一週間が経過した頃、十分な量の食事が与えられた4匹は既に子ゆっくりと呼べるサイズにまで成長していた。 一日に食べるごはんもずいぶん多くなっており(流石に4回も食べる必要はなくなったが) それでも量だけなら大人のゆっくりが平均的に食べる量の半分程にまで達している。 生まれたばかりの頃の3倍近くだ。もちろん、もう口移しをしてもらう必要もない。 そして一匹ずつが大振りのミカン程の大きさであり、ここまで成長すると巣穴の中で激しい動きはできない。 元々それなりの広さがあった穴を拡張しただけ為に普通に過ごす分には狭さを感じることはないが 遊びたい盛りの子ゆっくり達にそんな我慢が出来るわけがなかった。 必然的に4匹の興味はまだ見ぬ外の世界へと向かう。 「おとーしゃん! れいむおしょとにでちゃいよ!」 「まりしゃも おしょとであしょびちゃいのじぇ!」 わざとらしく媚びたような喋り方もだいぶ聞き取りやすくなっている。 両親にとっては我が子の成長のバロメータだ。嬉しさ半分、寂しさ半分と言ったところだろう。 「ゆっ! おちびちゃん、いまはふゆさんだから おそとにはでられないよ! ゆっくりりかいしてね!」 「ゆゆゆ? ふゆしゃん?」 「そうなのぜ! とってもさむいさむいで ゆっくりできないのぜ!」 「ゆぅぅ! しゃむいしゃむいは ゆっくちできにゃいよ!」 「ゆっくちしちゃいよ!」 「ゆぎぃぃぃ! おしょちょでちゃいいぃぃ!」 上の3匹は素直に理解を示したようだが、末っ子であり(と思っている)甘やかされた5女まりさは しつこくダダをこねる。 大きさは皆同じ位なのに一匹だけ赤ゆ言葉が多く残っているのも甘やかされた結果だろう。 それでも「末妹には優しくしなければいけない」と思っている一家は優しくまりさを諭す。 結局、最近の特等席である父まりさの帽子の中にもぐりこんでようやく落ち着いた。 大きすぎる帽子の縁を少し持ち上げて顔を出すとまるで自分が被っているような気分になる。 誰よりも高い目線と大きい帽子が5女まりさを最も満足させるものであった。 「ゆっ! ちょっとせみゃいけど おうちのなかであしょぶのじぇ!」 「そうだにぇ! しゃむいしゃむいは ゆっくちできにゃいにぇ!」 「ゆ~♪ れいみゅはゆっくち おうたしゃんのれんっしゅうっ するにぇ! ゆゆゆ~♪」 相変わらず仲の良い長女と次女は両親の間を縫って追いかけっこを始めた。 大人しい4女れいむは今日も母れいむとお歌の練習だ。 だがどうにもおうちの広さに限界があり、駆けずり回る2匹が両親や4女にぶつかってしまう。 体のサイズが違うので両親はなんともないが、同じ大きさの4女にはそれなりのダメージになる。 歌の練習もできず、痛みで今にも泣きそうだ。 「ゆんやぁぁ! おうたがゆっくちできにゃいよぉぉ!」 「ゆっ! ごみょんなのじぇ! わざとじゃないのじぇ?」 「しょうだ! れいむもいっちょに あしょぼーよ!」 「ゆゆっ? でもれいむはおうたのれんっしゅうがしちゃいよ…」 「そうだね! おちびちゃんも たまには みんなといっしょにあそんでおいで!」 「ゆぅ… わかっちゃよ! れいむもおいかけっこしゅるよ!」 困った2匹は4女を誘い、助け舟に両親も勧める。 おうたが好きなのは判るが、もっと運動させなければと思ったので丁度良かった。 結局4女れいむも追いかけっこに参加することになり、仲良く駆け回る子供達をみて両親も一安心。 だが次女まりさの外への興味を捨てきれないようだ。 チラチラと「結界」で塞いだ入口の方に目線を送っている。 無理もない、本来ならばもう巣の外に出て跳ねまわっている筈のサイズである。 狭い巣の中だけの生活は活発な次女まりさに少しずつストレスを与えていた。 そしてそれは、最悪の形で実を結ぶ。 「ゆぴぃぃぃぃぃぃ!?!?!?」 筋肉も内臓も餡子であるこのナマモノは、種族とサイズが同じであれば運動能力に差が出ない。 それでも日々の行動で要領や効率を学んでいき、それが実践での差に繋がっていく。 だから、追いかけっこに慣れている姉たちに対して歌ってばかりいた4女は明らかに要領が悪かった。 追えばいつまでも捕まえられず、逃げれば簡単に捕まってしまい、まるでゲームにならない。 本来なら外の世界で発散される筈の、巣の中で遊ぶには多すぎるエネルギー。 追いかけっこがあっさり終わってしまったことへの欲求不満。 それが次女まりさの力加減を誤らせた。 「れいむのすてきなおりぼんしゃんがぁぁぁぁぁ!!! ゆっくちできにゃいぃぃぃ!!!!!」 次女まりさが逃げる4女れいむに追いすがってリボンを咥えた拍子に、 勢い余ってリボンを大きく引き裂いてしまった。 「ぺーりょ!ぺーりょ! なおっちぇにぇ! れいむのおりぼんしゃんなおっちぇにぇぇぇ!!!」 ぺーろぺーろと口で言いながら必死にリボンの切れ端を舐める4女れいむ。 異変に気付いた両親もすぐさま近寄ってきた。もっとも、近寄ったところで出来ることなど無い。 「どぼじでにゃにもじでぐれにゃいにょぉぉぉ!?!?!?」 「ゆぅぅ…おかーさんたちでも おりぼんさんはなおせないよ…」 「ゆんやぁぁぁ!! ゆんやぁぁぁああああ!!!」 「おちびちゃん おちつくのぜ! すーりすーり!」 両親が必死になだめるものの、命と同じほど大切なお飾りがキズものになってしまったダメージは大きい。 ゆっくりのお飾りは個体の識別から個体の評価まで関わる重要なパーツである。 体の一部だけあり多少の傷は時間と共に治っていくが、 治癒の見込めない大きい傷はそれだけで迫害の対象になり得る。 それだけではない。 お飾りが不完全な状態になると、ゆっくり自身が不快感を覚える。 「ゆっくりできない」と表現されるそれはゆっくり独特の症状である。 また、本人ほどではないが周囲のゆっくりも不快感を覚えるらしい。 と言っても、こちらは一般人が道端で動物の死骸を見てしまった時に感じるのと似たものだろう。 「ゆぐぅぅぅ… ゆっぐぢでぎにゃいぃぃ…」 その日はそのまま両親と姉たちがグズる妹を心配し、なだめすかして夜を迎えた。 責任を感じたのだろう、次女まりさは特に必死に妹の世話に励んでいたものの 結局4女れいむは夕食も碌に咽喉を通らず、泣き疲れて眠ってしまった。 暗い雰囲気の中、5女まりさだけが楽しそうに姉の残したごはんを貪っていた。 後半に続く
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【ピン雲】 コイツも俺のリアですbw 元【世紀に一人のバカ】っていう^^w うん、バカですね^^ リアの中ではちびちゃとで一番付き合い長いなぁ^^ 大体毎日来てますねbww まぁ、大体の日は俺がいじめてるんだけどもwwwww いじめてるっていってもからかうだけbw そんな喧嘩師みたいにはいじめないさぁ^^ からかうの楽しいんだけどあっちは楽しくないらしいbw おかしいなぁwMのはずなんだけど・・・なぜだっ!! 俺がへこんでるときとかよく励ましてくれますb っていっても感謝はしてねぇからそのつもりで(´・ω・`)b ↑いやwちょっとはしてるともww 変態・・・かもねぇ・・・w 俺と同じ学年でその知識はやばいと思いますbw あとPCの知識もすごいなw 意味分かんないこといきなりしゃべられると頭がおかしくなるわw Dドライブw?キャプチャw?いきなりそういうのいうなよww アタマおかしくなるさww まぁ、一応イイ奴だと思うよ^^w 『一応』な^^wwwww 話しやすいやつだとはおもいますbw ↑いろんな意味でbw のびた君(´゚д゚`) -- 巧海 (2011-07-14 00 49 38) のび太wwwwwwwwwのび太が登場してますよwwwっw!・・・それでどういういm(殴w -- 戦車君 (2011-07-14 20 37 52) 何がのび太なんだよぉ! -- ピン雲 (2011-07-15 00 58 36) 見た目(笑) 俺も凹んでたら禿増してください!(ぇ -- 巧海 (2011-07-15 01 09 30) まぁ・・・チキンってところはよくあってるからおkw>ピン雲 -- 戦車君 (2011-07-15 20 01 33) 禿増してって最初わかんなかったwwっていうか見た目のび太とか終わってんなぁww -- 戦車君 (2011-07-15 20 02 13) 紹介SS変更してくれ -- ピン雲 (2011-07-26 19 13 08) ピン雲って誰? -- 喜骨折人 (2011-08-12 01 38 07) ピン雲さんってwwのび太君なんだwwww -- (ホ´・ω・`Ⓒ) (2011-08-13 07 53 45) メガネ掛けてるしねw>(ホ´・ω・`Ⓒ) 世紀でしゅw>喜骨折人 -- ピン雲 (2011-08-16 13 00 33) 知 っ て ま す -- 喜骨折人 (2011-08-17 18 09 10) ところでピン雲が斌骨犬wikiのリストに載せろ、って。 -- 喜骨折人 (2011-08-17 18 09 51) 名前 コメント
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追われるれいむ 30KB 虐待 自業自得 野良ゆ 虐待人間 十二作目です。 麦茶あき 逃げていた。 ただ逃げていた― れいむは逃げていた。自分の子供たちと一緒に。 逃げなければこちらが殺されることを理解しているから。 すでに番のまりさは死んでしまった。 今れいむに残されているのはまりさとの間にできた子ゆっくりたちのみ。 子れいむ、子まりさ、末っ子れいむである。 カラカラカラッッ・・・・・・・・ あの音だ。 あの音が近づいてくる。 自分たちをゆっくりできなくする恐ろしい音。 後ろを向くといた。 その音を出している元凶、人間だ。 あの人間から逃げなければ。 ゆっくり、ゆっくりするために。 れいむたちは必死で逃げた。 追われるれいむ 「おちびちゃんたちいいいいいいい!!はやくにげるよおおおおおおおおお!!!」 「「「ゆわああん!!きょわいよおおおお!!!こっちきょないでえええええええええええええ!!!!」」」 追ってくる人間から必死に逃げていたれいむ。 逃げても逃げてもその距離は変わらず追いかけられていた。 人間の方は歩いているだけ。 わざと距離を保ち続けている。 その手には何故か玄翁。 それを地面に擦れ引きづられていく。 この玄翁のせいで番のまりさは潰された。 何故このれいむたちが追いかけられているかと言うと、 この人間の家にお家宣言したからである。 窓を割り侵入し、部屋を荒らしてこの人間を奴隷扱いにした。 もちろんそんなことをすればどうなるかはお決まりだ。 番のまりさは死んで、今そんな状況になっているのだから。 れいむたちをすぐ殺さなかったのはそれではつまらないから人間はわざと逃がし、恐怖を与えながら追いかけているのである。 れいむたちはこの人間の家から逃げ出し住宅街を走っていた。 狭い場所を通っても先回りした人間がいる。 隠れようにも隠れそうな場所はなかった。 「なんできゃくれしょうなばしょがないにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「ゆっくちしないでぇれーみゅたちをたしゅけちぇよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 そんな言葉が届いたのか目の前にゴミ捨て場が見えた。 そこにはれいむたちと仲がいいまりさとありす一家がいた。 どうやら家族で狩りの最中のようである。 「おちびちゃんたち、こうやってこのふくろさんをやぶるんだぜ」 「「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!!!」」」 「ゆふふ、ものおぼえがいいおちびちゃんたちね」 「「「「たすけてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇ!!!!!」 「「「「ゆ???!!」」」」 まりさ一家が振り向いた先にはれいむ一家がいた。 ずっと走っていたせいか歯茎がむき出しで迫ってきた。 「ちょ、ちょっとれいむなんてかおしてるのよ!とかいはじゃないわ!!」 「なにがあったんだぜ??!」 「にんげんに・・ゆっくりできないにんげんからにげているんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「にんげんさん?」 「ゆ?もしかしてあれなんだぜ??」 まりさがおさげを指した先にはあの人間がいた。 れいむを見つけ玄翁を振り回している。 「ゆひいいいいいいいいいい!!!!もうきてるうううううううううううううう!!!!」 「「「きょわいよおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」 「なんだかゆっくりできないいなかものね」 「ゆふん、れいむまかせるんだぜ。まりさがあのにんげんをやっつけてやるんだぜ」 まりさは咥えていた木の枝を再び咥え直し、人間と対峙した。 「おいくそにんげん!!よくもともだちのれいむをいじめたんだぜ?!まりさがせいっさいしてやるからかくごするんだぜ!!!」 「「「おちょーしゃんかっこいいー!!」」」 「おちびちゃんたち、おとーさんのゆうしを・・・」 ドガッ!!・・・・バンッ!! 「「「ゆ??」」」 ありすたちは何が起こったか理解できなかった。 まりさが目の前で一瞬で消えたのだ。 どこに行ったか周りを見たらまりさが塀の壁にぶつかっていた。 「ま、まりさ・・・?」 「ゆべえ!!・・いだいいいい!!!!」 玄翁で殴られた痛みと塀の壁にぶつかった痛みで動けなかった。 人間はそんなまりさを玄翁で殴り続ける。 「ゆべ!!いだい!!やべ!!やめ!!ぎゃばっ!!!」 ガンッ!!ガンッ!!!ガンッ!!! 「やめてえええええええ!!!まりさが!!まりさがしんじゃううううううう!!!」 「おちょーしゃんをいじめりゅなぁぁ!!!」 「こにょくしょにんげん!!」 「ゆっくちちね!!!」 ぽふっぽふっ 子ゆっくりたちは自分の父親を救おうと人間の足に体当たりをするが、 そんな攻撃は人間の前では無意味だ。 子ゆっくりたちの体当たりを無視し、まりさを殴り続ける。 ガンッ!!!ガンッ!!!! 「あばぁ・・・・・・・・・・・やがべぇえ・・・」 殴られ続かれてまりさの体はもう潰れかかっていた。 眼球は飛び出し、餡子は飛び出て死に掛かっている。 最早助からない。 ガンッ!!! 最後の一撃でまりさの中枢餡が潰れてしまった。 まりさは「もっとゆっくりしたかった」とも言えずに殺された。 「まじざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 「「「おぢょうじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛んん!!!!」」」 「まじざがあああ・・・!!れいむぅうう!!!どうして・・・・・・・・?・・・れいむ??」 ありすがれいむの方を振り向いたらいつの間にかいなくなっていた。 実はまりさが人間と対峙したときすでにれいむたちはいなくなっていた。 まりさたちにまかせ自分たちだけ逃げてしまったのだ。 「れいむおねーしゃんいにゃいよぉー??」 「ともだちのまりしゃもだわ!?」 「れいむううううううううううううう!!!!どこいって・・(ガンッ!!!)ゆぶぇ!!?」 「「「おきゃあああああああああしゃん??!!」」」 ニヤリと笑いながらありすを潰していく人間。 ありすはやめてと叫ぶがまりさと同じ結果になった。 子ゆっくりたちもである。 れいむは再び逃げ続ける。 このまま逃げても埒は明かない。 れいむは元々住んでいた公園に行くことにした。 そこには野良ゆっくりたちの群れがあり、きっとみんなならなんとかしてくれると思っていた。 ただれいいむたちは疲れていた。 走り続けていたせいで体に疲労が溜まってしまったのだ。 成体であるれいむならともかく子ゆっくりたちはいつ走れなくなってもおかしくはない。 やがて疲れたと言い止ってしまい、あの人間に殺されるだろう。 「おきゃー・・・しゃん・・・・・まりしゃ・・・」 「ゆっくち・・・・ゆっくち・・・」 「ちゅかれたああああ!!!!」 「ゆう・・・!!」 ―まずい、子供たちが駄々こねだした。 れいむはおちびちゃんたちをお口の中にいれ再び走ったが、思うように走れない。 中にいる子ゆっくりたちが外へ出ないよう口をしっかり閉じながら走るというのは予想以上に体力を使うからだ。 れいむは何か役くに立てそうなもの探した。 すると目の目にまりさがいた。 番を持っていない独身のまりさである。 「ゆ~ん♪きょうはいいゆっくりびよ「ばりざああああああああああああああああああ!!!!」ゆっ??!」 「そのおぼうしよこせえええええええええええええええええええええええええ!!!!」 「なんでそんなこと・・・ゆべあ!!!」 まりさはれいむの体当たりを喰らい帽子を外してしまった。 れいむはすかさずそれを捕り、中に子ゆっくりたちを入れた。 「ゆわーい♪ゆっくちできるじぇ!!」 「ふかふかだね!!」 「やっちょゆっくちできりゅよ!!」 れいむはおぼうしを被り再び走り出した。 「れいむううううううううう!!!まじざのおぼうじがえじゆばげ!!??」 まりさはあの人間に玄翁で潰された。 人間は逃げているれいむを見つめ追いかけた。 走るのに苦労しなくなったれいむだがまた問題が起こった。 子ゆっくりたちが腹を空かし始めたのである。 体力を消耗し、休憩中の子ゆっくりはゆっくりするために何か食べてゆっくりしたかった。 「おきゃーしゃん、おにゃかしちゃよ・・・」 「む~しゃむ~しゃしたいじぇ・・」 「くじゅおやああああああ!!!はやきゅれいみゅにごきゃんしゃんもっっちぇきょいいいいいいいいいい!!!!」 特に末っ子れいむが酷かった。 れいむはそんな子供たちのために何か食べさせてやろうと周りを見渡した。 母性(笑)というやつだろう。 すると目の前に都合よく狩りから帰る途中のちぇんを見つけた。 おぼうしの中には生ゴミが詰まっている。 「にゃ~ん♪きょうはいっぱいとれ「それよこせええええええええええええええええええええ!!!!」にゃ??!!」 ちぇんは突如現れたれいむにびっくりしてしまった。 しかもその顔はまりさ一家に見せたときよりも酷かった。 「こ、これはちぇんのなんだよー・・わかってねー・・」 「うるさいよ!!かわいそうなれいむにごはんさんをわたすのはだいゆちゅうのしんりなんだよおおおおおおお!!!?」 「わ、わからないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお???!!」 れいむはちぇんに体当たりし、おぼうしの中から食料を出した。 それを食べてまりさから奪ったおぼうしの中にいた子ゆっくりたちにも分けてやった。 「「「む~しゃむ~しゃ、しあわせええええええええええええ!!!!」」」 「ゆふん、おなかいっぱいだよ~」 「ちぇんのごはんさんがああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「うんうんちてあげりゅよ!!しゅっきりー!!!」モリンッ! 「にゃあああああああああああああああ!!!!にゃんでちぇんのおぼうしさんでうんうんしちゃうのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 末っ子れいむがちぇんのおぼうしの中にうんうんをしてしまった。 れいむたちもそれを見てちぇんのおぼうしにうんうんした。 「ゆふー、きれいにうんうんできたよ!ありがたくおもってね!!!」 「「「おもっちぇね!!!」」」 「おもわないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 腹がいっぱいになり体力が回復したれいむは公園を目指し走り出した。 ちぇんはおぼうしに付いたうんうんを必死に取ろうとがんばっている。 「にゃあああん!!ちぇんのおぼうしさああああん!!うんうんくさいのはにゃがっ??!」 ちぇんは潰された。 またあの人間である。 人間は再びれいむを追った。 やっとのことで公園に着いたれいむは群れがあるところにすぐさま駆け込んだ。 群れのゆっくりは見知らぬゆっくりが来てざわめいていたが、 れいむがおぼうしを取るとすぐにれいむだとわかった。 「れいむ、まりさはどうしたんだぜ??」 「それにこのおぼうしはまりさのじゃないまりさのよ?なにがったの??」 「うしろふぁっく??」 「くわしいはなしはあとでするよ!!れいむはゆっくりできないにんげんからにげてきたんだよ!!!」 「ゆ??にんげんさん??」 「にんげんさんからにげてきたんだね、わかるよー」 「なんでにんげんさんからにげてるのよ」 「れいむたちをころそうとしてるからだよ!!あのじじいはれいむのまりさをころしたんだよ!!」 群れのゆっくりたちがざわめく。 「ま、まりさがやられたの??!」 「ゆ、ゆるせないんだぜ!!せいっさいしてやるんだぜ!!!」 「しかもれいむたちのおうちをかってにはいってきたんだよ!!!ゆるせないよ!!」 「ごくあくなんだぜ!!!」 「とってもいなかものだわ!!!」 「ごうかん!!」 「むきゅう!!みんなそこまでよ!!!!」 奥からぱちゅりーが現れた。 群れのゆっくりたちは「おさ!!」といいれいむのところに道を開けた。 「れいむ、きいていいかしら」 「なに??!」 「まりさはころされたのよね」 「そうだよ!!」 「なんでかしら」 「わかんないよ!!いきなりころされたんだよ!!!」 「むきゅ・・・・」 ぱちゅりーは少し考えて・・・・ 「れいむ、おうちにはいってきたといったわね」 「いったよ!!」 「れいむたちのおうちはここにあるはずよ」 「れいむたちがみつけたおうちなんだよ!!あのじじいはあとからやってきたのにれいむたちをむししてまりさをころしたんだよ!!!」 「むきゅう、すべてがってんがいったわ」 「れいむ、あなたにんげんさんのいえにおうちせんげんしたのよ」 「ゆっ??!」 「かってにしんにゅうしてきたあなたたちをしまつしたんでしょね」 「なにいってるのおおおおおおお!!!??あれはれいむたちがみつけたおうちなんだよおおおおおおおおおおおおおおおお???!!!」 「しょーだしょーだ!!!」 「れいみゅたちがみちゅけたにょに!!!」 「おちょーしゃんはやられちゃったんだじぇ!!!!」 れいむはぱちゅりーの言った事に激怒した。 子ゆっくりもれいむと同じく怒り出したが。 「だまりなさい!!!」 「「「「ゆっ???!!」」」」 「あなたたちがばかなまねをしたせいでまりさがしんだのよ、にんげんのいえにおうちせんげんしちゃいけないってあれほどいったのに・・・」 「はあああああああああああああああああ????!!れいむがみつけたんだかられいむのものにきまっているでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!??」 「おばか!!・・・・もういいわ、あなたたちはいますぐこのむれからでていってちょうだい」 「ゆえええええええええええええ????!!どぼじでえええええええええええええええええええええ???!!」 いきなり追放宣言されたれいむはわけがわからなかった。 「にんげんさんにおわれているんでしょ?だったらここにくるかのうせいだってあるわ。そのせいでむれがほろんだらどうするのよ!!!」 「そんなのむれのみんなでやっつければいいでしょおおおおおおおおおおおおおおおお???!!」 「ばかすぎるわ!!!そんなことしてみなさい!!すぐにかこうじょのにんげんさんがあらわれてむれはぜんめつよ!!!!」 「かこうじょはゆっくりできないいいいいいいいいいい!!!!」 「れいむうううううう!!!いますぐでていきなさい!!!」 「ちぇんたちをまきこまないでねええええええええええ!!!わかれよおおおおおおおおおおお!!!!」 「どぼじでぞんなごというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 群れのゆっくりたちにまで見捨てられてはもうれいむに行くあてはなかった。 れいむはそんな群れに嫌気を指しおぼうしに子ゆっくりたちをいれ群れを出て行った。 「そんなにいうならでていくよ!!このゆっくりなしいいいいいいいいい!!!!」 れいむはこうえんの広場に出て公園の外に行こうとした。 その時群れの方から悲鳴が聞こえたのである。 「ゆ??なに??」 れいむが振り返るとあの人間がいた。 玄翁をゆっくりたちに殴りつけ潰し、ダンボールを踏み潰し群れを蹂躙した。 潰すたびに人間は笑った。 その表情は三日月の笑みをし、楽しそうに殺している。 群れのゆっくりたちはなんとかやめさせようと止めようとしているが抵抗する間もなく殺されていった。 「やべでえええええええええええええええええええええええ!!!!れいむたちをころさないでえええええええええええええええええええ!!!!」 「まりざばだじにだぐないいいいいいいいいいいいいいいいいゆがばあああああああ!!!!」 「おちびちゃんはつぶさないでええええええええええええええ!!!!」 「むきゅううううううううううううううううううううう!!!!!」 「おうちがああああ!!!おうちがああああああああああああああ!!!!!」 「いやじゃああああああああああああ!!!はにゃちてえええええええええゆび!?」 「ありしゅのいもうちょがああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「やめるんだぜえええええええええええええ!!!いだい!!やべ!!ごめ!!ゆぶ!!」 「わがらな!!?」 「れいぷううううううううううう!!!!」 人間は次々とゆっくりを潰していった。 ぱちゅりーは逃げようとしたが掴まれて後ろから殴られようとしていた。 その時ぱちゅりーはその様子を見ていたれいむに気が付いた。 恨みの篭った目で睨み付け・・・・ 「このくそばかぐずでいぶうううううううううううううううう!!!!おばえのせいでむれがあああああああああ!!!もりのげんじゃのぱちゅがあああああああ!!!! (ガンッ!!!)ゆばっ!!?(ガンッ!!!)やべで??!(ガンッ!!!)ごべ??!(ガンッ!!!)むぎょ!!!(ガンッ!!!)ぶばあ??!!(ガンッ!!!)」 ぱちゅりーは中枢餡を潰され死んだ。 人間は向こうにいたれいむを見つめニヤリと笑い・・・こう言った。 イマカラソッチニイクヨ・・・・・・・・・ 「ゆひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 れいむは必死で逃げる。 公園を出て道という道を走り、逃げ続けた。 途中何匹かのゆっくりとすれ違ったが、後から来た人間にみな潰されていった。 「いだいいいいいいいいいいいいいい!!!!れいむなにもしでべ??!」 「きょわいいいいいいいいいい!!!!だれがだじゅ??!」 「なにもしてないのにいいいいいいいいいい!!!?まりさなにもしてないのにいいいいいいいいいいいいいいいい????!!」 「んぼおおあああああああああ!!!!もっどずっきり・・・・・」 道に歩いていた野良ゆっくりたちはわけもわからず死んでいった。 「ちがうううううううううう!!!でいぶのでいぶのせいじゃないいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 逃げながら潰されていくゆっくりたちを見る。 どれもこちらを睨んでいる様にしかれいむには見えなかった。 その時おぼうしが少し浮き、中から末っ子れいむが落ちてしまった。 「ゆ?おしょらちょんで・・・・・(ペチャっ!)ゆぴいい!!いちゃいいいい!!」 地面に落ちた衝撃で泣き出す末っ子れいむ。 痛みに耐え切れないのか必死で母親を呼ぶ。 「いじゃいいよおおおおおおおおおおお!!!おきゃああああしゃあああああああああああああああん!!!」 が、当のれいむには聞こえておらずそのまま行ってしまった。 「どぼしてええええええええ???!はやきゅきゃわいいいれいみゅをたしゅけろおおおおおこのくじゅおやああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 すでに時は遅し。 末っ子れいむが叫んだ後目の前が暗くなった。 恐る恐る振り返るとあの人間がいた。 玄翁片手で楽しそうだ。 末っ子れいむはあまりの恐怖でしーしーを漏らし、必死に助けを呼んだ。 「だれきゃあああああああああああああああああああああああ!!!!れいみゅをたしゅけろおおおおおおおおおおおおお!!! きゃわいいれいみゅがピンチにゃんだぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお???!! おきゃああしゃああああああああああああああん!!!はやきゅたしゅけてええええええええええええええ!!! もうくじゅにゃんていわにゃいからあああああああああああああああああ!!!! はやきゅ、はやきゅうううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!! はやきゅたしゅけろくずおやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 (ブチッ!!!) れいむには末っ子れいむが潰されたことは知らずに逃げていた。 だがたどり着いた場所は川である。 行き止まりになってしまい絶体絶命だった。 「かわさんがあってさきにすすめないよおお・・・」 その時おぼうしの中から子まりさと子れいむが出てきた。 「おきゃーしゃん、もうだいじょうびゅ??」 「それどころじゃないよ、かわさんがあってさきにすすめないんだよ」 「どぼじてきゃわさんがありゅのおおおおおお???!」 子れいむは目の前にある川に罵倒し始めた。 しかし、そんなことしても川は道を開けてくれたり干上がったりはしない。 ただ子まりさだけは何故か冷静でいた。 するとお飾りのおぼうしを脱ぎだし、川に置き子まりさは川に浮かんだ。 「ゆっくち~♪」 それを見たれいむたちは子まりさに自分たちも乗せてくれと言ったが、断られた。 そもそも子まりさのおぼうしでは乗っても沈んでしまうだけである。 だがれいむはあることに気づいた。 自分にはこれがあると。 それは奪い取ったまりさのおぼうしである。 れいむは近くにあった木の枝を拾い、以前番のまりさが子まりさに水上まりさのやり方を教えていたときを思い出し見よう見まねでやってみた。 見事おぼうしは浮き木の枝を使い子まりさの後に続いた。 「ゆふん、やっぱりれいむはてんっさいだよ」 「しゅごーい!!おきゃーしゃんういてりゅー!!」 子まりさと合流し、親子で楽しく笑いあう。 しかし何か大切なことを忘れている。 「れいみゅはああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ????!!」 れいむは子れいむの叫びに気づき岸の方を見た。 そこには置いてきぼりにされた子れいむが必死にこちらを呼んでいる。 「ゆわあああああああああああああ!!!?おちびちゃんをわすれてたよ!!!」 れいむは木の枝を使い岸に戻ろうとした。 後もう少し、後もう少しで岸にたどり着こうとしていた。 だが、れいむは何かに気づき急に反転し、子まりさの方へ引き返してしまった。 「お、おきゃあああしゃあああん???!!どぼじてええええええええええええええ!!!?? 「おちびちゃん!!にげるよ!!!」 子まりさもそのことに気づいた。 気づいていないのは子れいむだけである。 遠ざかっていくれいむと子まりさを必死に呼び戻そうと呼んだが二匹はそのまま向こうに行ってしまった。 「どぼじでええ・・・??!にゃんでれいみゅだけ・・・・???!!」 その時子れいむは気づいた。 後ろから来る圧倒的存在感に。 そこにはあの人間がおり、子れいむを見つめていた。 子れいむはようやく気づいた。 自分は見捨てられたんだと。 あの時れいむが引き返したのはこの人間がやってくることに気づいたからだ。 仮に子れいむを助けようとしてもすぐにやってきて川に沈められる危険性があったためれいむは子れいむを見捨てたのだ。 「あ・・・・・あ・・・・・・・・」 子れいむは自分が殺されることを理解していた。 人間は玄翁を振り上げ、子れいむを潰した。 潰されるまで子れいむは「助けて」と言ったがそんな言葉に耳を貸すわけでもなく潰された。 人間は川を航海中のれいむと子まりさを見つめニヤリと笑った。 れいむと子まりさはもう少しで川を渡るところだった。 二匹ともすでに子れいむは殺されたことは理解していた。 それでも子れいむのことは口にせず向こう岸に渡ろうとしていた。 「もうすこしだよ・・・・」 「ゆっ・・・・ゆっ・・・・・・・・ゆ??」 子まりさが何かに気づいた。 なんだかあんよが冷たい気がする。 何かと思い確かめてみたらお帽子に水が溜まっていた。 「おぼうしにおみじゅしゃんがあああああああああああああああああああああああ!!!!」 何故??!!と子まりさは思った。 確かに子まりさは水上まりさではないにしろまだおぼうしが溶けるには早かった。 子まりさの体が水に浸かり溺れていく。 体は水を吸って沈んでしまい、水の中に落ちた。 その時水の中に何かいるのが見えた。 にとりだ。 一匹のにとりが子まりさのおぼうしを破き、浸水させたのだ。 体を突かれ食われていく子まりさ。 必死にもがくが無駄だった。 その時にはすでに体は四散し、水に溶けていった。 何か言いたかったらしいが水の中なのでわからなかった。 「いやーうまかったねー」 「もういっぴきもたべようよ」 「みてきたけどあれ、れいむだったよ」 「えー??!まりさじゃないの??!」 「なんでまりさのおぼうしにのってるのさー??」 「まあいいや、きょうみあるのはまりさだけだし。むししよ」 「「「そーだねー」」」 ある意味れいむは命拾いしたのである。 れいむはやっとの思いで向こう岸に着いた。 途中、子まりさが沈んでしまったことに気づいたが自分にはどうすることもできなかった。 「まりさ・・・・おちびちゃん・・・・・・・・」 れいむは失った家族のことを思い浮かべていた。 まりさ、子まりさ、子れいむ、末っ子れいむ。 全て失ってしまった。 しかしまだ自分がいる。 なんとしてでも生き残り、あの人間に復讐するのだ。 「まっててねみんな・・・・・」 (ケタケタケタ・・・・・・・・・・・・・・・・・) 「いつかかならず・・・・・・・・」 (ケタケタケタ・・・・・・・・・・・・・・・) 「かたきをとるよ!!!」 (ケタケタケタ・・・・・・・・・・・・・・・) 眉毛をキリッとさせれいむは空を見上げた。 空にはまりさたちが微笑んでいるように見えたようだ。 「みんな・・・・・・・・・・」 (ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ・・・・・・・・・・・・・・・・・) 誰かが笑っている気がする。 れいむは後ろを振り向きその者に文句を言おうとした。 「さっきからうるさいよ!!だれがわらって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!!!!」 だが言葉が止まってしまった。 れいむはその正体が信じれなかった。 こんな顔→(◎Д◎)し、汗としーしーを垂らしながら固まっていた。 目の前にいるものが信じられずに。 無理もない、何故ならそこにいるのは・・・・・・・ あの人間だったから。 「ゆわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!??」 れいむはわけがわからなかった。 何故ここにあの人間がいる?! 川を渡ったのにいつの間にかこちらにいた人間。 別になんら不思議ではない。 単にこの人間は橋を渡り、ここに着ただけに過ぎない。 なにせゆっくりが川を渡るスピードなぞ、ゆっくりが普通に這っているのとあまり変わらなかったのだ。 そのせいでこの人間は余裕で向こう岸に着いてしまっていた。 れいむはそれに気づかずにいつの間にか追いつかれていた。 「ゆっくりにげ・・・・・・!!」 れいむはこんな状況になっても逃げようとしたが、 人間に蹴られ10m先に飛ばされてしまった。 「おそらとんでゆばしっ??!」 コンクリの地面に顔から叩きつけられたれいむは余りの痛さに動けなかった。 その衝撃のせいで歯が何本か欠けている。 れいむは逃げようと這いつくばってでもこの場から逃げようとした。 しかし、人間はそれを許してはくれなかった。 玄翁を振り上げれいむを殴った。 ガンッ!! 「ゆがっ??!」 ガンッ!!ガンッ!!! 「ゆべ!!!ゆぎゃで!!」 ガンッ!!!ガンッ!!! (ケケケケケケケケケケケケケケケ・・・・・・・・!!!) 「ゆぎぃ!?ゆ、ゆがあああああああああああああああああああああああああ!!!!」 れいむは玄翁を叩きつけられる前にジャンプして逃げた。 力を振り絞り逃げようとする。 「ゆぎぃ・・・・!!ゆっくぎ・・・!!れいむは・・・・・ゆっくりするんだ・・・・・・!」 大した生命力である。 こんな状況になってでもゆっくりすることだけは考える餡子脳の性なのか。 その光景を見て人間はあることを思いついた。 れいむに近づき叩きつけるのではなく先ほどれいむを蹴飛ばしたようにれいむを殴った。 「ゆばっ??!おぞらどんでる???!!」 殴られた衝撃で飛んだれいむはまたもや地面とキスをした。 人間はまたれいむに近づき同じ様に殴る。 その衝撃でれいむの口から餡子が出てきた。 死の兆候である。 「ゆべばっ!!!いだいい!!いだいいいいいいいいいいいいい!!!!やだやだやだ!!!でいぶはゆぐびじだい!!!」 (ガンッ!!)「ゆがじば!!?・・・ゆぎぃ・・!!!ゆぐじ、ゆっくじぃぃいいいいいするううううううううう!!!してやるうううううううううううううう!!!」 (ガンッ!!!)「ゆぎゃら??!・・で、でいぶはおじびぢゃんとばじざといっじょに・・・・・ゆっぐりずるんだ・・・!!いぎで、いぎでゆゆっぐりいいいず・・」 (ガンッ!!!)「あぎゃあ??!・・くぞにんべんはじねええ!!・・・・ゆっぐぢできないにんげんはいばずぐじねええええええええ!!!!」 殴られ飛ばされてれいむの皮から餡子が出ている。 眼球は飛び出し、もみ上げの一本はいつの間にか取れてしまった。 人間は最後の一振りをれいむに叩きつけようとした。 その時。 「おばえにごろざれだみんばのぶんまでじねえええええええええええええええええええええええ!!!!」 そこで人間の動きが止まった。 れいむを見つめ何か考えている。 「・・・・??」 れいむは何故殴られなかったのかわからなかった。 すると人間は持っていた袋を開け、その中身をれいむの上に落とした。 ボトッ・・・ボトッ・・・ボトッ 中から出てきたのは餡子、カスタード、生クリーム、チョコだった。 れいむは落ちて来た物を必死に食べた。 「む~し゛ゃ!!む~し゛ゃ!!じあわぜえええええええええええええ!!!!」 れいむはきっとこの人間が自分のことを許してくれたのだと思っていた。 このあまあまはそのお詫びだろうと。 しかし、それは大きな間違いである。 れいむが餡子を食べているうちに中から赤い布が出てきた。 「ゆ??」 れいむは最初それが何なのかわからなかった。 だが見覚えがある。 餡子からかき出し姿を見せた赤い布の正体は真っ赤なリボンだった。 れいむはこのリボンのことをよく知っていた。 「おちびちゃんのおかざり・・・・??」 よく見ると周りにも見たことがあるお飾りが埋まっていた。 番のまりさのおぼうし、末っ子れいむのリボン、ゴミ捨て場にいたまりさとありす一家のお飾り、 うんうんをされたちぇんのおぼうし、おさぱちゅりーのおぼうしに群れのみんなのお飾り。 何故みんなのお飾りがここにあるのか一瞬理解できなかった。 だが気づいたしまった。 ここにある大量のあまあま、死んでいったみんなのお飾り。 れいむは顔を青ざめ答えにたどり着いてしまった。 これはみんなの中身だ。 「ゆべぇぇ!!?」 れいむは同族の中身を食べてしまったショックで自分の中身を吐き出してしまった。 この人間は潰していったゆっくりたちを律儀に袋に詰め込んでいたのだ。 逃げてばかりいたれいむはそんなことは知らなかった。 しかし今れいむはそんなことを考えている余裕はなかった。 死臭の匂いがするあまあまに埋もれているれいむはゆっくりできない匂いに苦しんでいた。 「ゆがあああああああああああ???!!ここはゆっくりできないいいいいい!!!だしてえええええええ!!!ここからだしてええええええええええ!!!」 人間はその様子を見て笑い出した。 もう思い残すことはないのか最後の一振りを掲げた。 逃げようとするれいむだがあまあまに足を捕られて動けなかった。 「ゆひいいいいいいいいいいい!!!いやだあああああああああああああああ!!!!ゆっくりしだいいいいい!!!ゆっくりずるんだあああああああああああああああああ!!!!!」 (ちね・・・・・・・・・・・) 「??!!」 人間の声ではない。 別の誰かだ。 れいむはこの声に聞き覚えがある。 その声の主はあまあまから聞こえてきた。 (れいみゅをゆっくちさせないくずはちね・・・・・・) 「おちびちゃん??!」 れいむは気づいた。そうだこれはおちびちゃんの声だ。 だが何故自分の子供が死ねと言ってくるかがわからなかった。 「おちびちゃん??!おかあさんにそんなひどいこといわないでね!!?」 (だまれ・・・・・・・このくず・・・) 「??!・・ぱ、ぱちゅりー・・・・??!」 ぱちゅりーの声まで聞こえた。 それに呼応して次々と声が聞こえてくる。 (しねえええ・・・・・・・・いますぐしねえええええええええ・・・・・・・・) (こっちにこい・・・・・・・ゆっくりできなくさせてやる・・・・・・・) (このいなかもの・・・・・・・よくも・・・・よくも・・・・・・・) (おまえのせいなんだよー・・・・・・・・・・・わかれよー・・・・・・・・・・・・・・) (くじゅちね・・・・・・くじゅはちねぇ・・・・・・・・) (もっとゆっくちしちゃかっちゃのに・・・・・・・・・) (すっきりしたかったのに・・・・・・・) (おまえのせいでむれが・・・・・・・・・・・・・・・・) (れいむたちかんけいなかったのに・・・・・・・・・・・・・) (ふざけるな・・・・・・・なにがゆっくりしたいだ・・・・・・・・・・・・・・・・・) ((((((((おまえはいますぐしんでこっちにこいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!)))))))) 「ゆええええええええええええええええええええええええええ????!!どぼじでそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!??」 死んだ後もゆっくりの残留思念のようなものがれいむを死に追いやろうとする。 家族、群れのゆっくり、巻き込まれたゆっくりたちはれいむを許したりはしなかった。 人間はそれに答えてやろうかという思いで玄翁を叩き付けた。 が、さっきあまあまを食べたせいか、一撃では死ななかった。 「ゆべあ!!!いだいいい!!!ゆべでぜ!!!」 ((((((((ゆっくりしね!!!!ゆっくりしね!!!!ゆっくりしね!!!!ゆっくりしね!!!!ゆっくりしね!!!!ゆっくりしね!!!!ゆっくりしね!!!!)))))))) 「いやだああ!!あっぢに!!いきたぐない!!!ゆばば!!!ゆべべ!!!」 最後の一振り。 高く、高く上げ振り下ろそうとした。 「やべで・・・・・・・・・・ゆっくり!!!ゆっくりしだいいい!!!ゆっくりじでただけなのにいいいいいいいいいい!!!でいぶはわるぐないいいい!!!わるいのはこのにんげんだああああああああああ!!!」 (おまえがにんげんをおこらせたんだ!!!) (くじゅおやはちね!!!!) (れいみゅをみしゅてたくじゅが!!!) (いましゅぐちね!!!) 「うるざいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!ゲスはいますぐきえろおおおおおおおおおおお!!!! だれがああああああああああああ!!!!でいぶをたすけろおおおおおおおおおおおおおおお!!!! ばりざああああああああああああああああああああああ!!!!くそちびいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!! ぱちゅりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!! ・・・・・・・・なんでたすけにこないんだああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!?? でいぶがかわぞうなでいぶがピンチなんだぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!?」 「ケケケケケケケケケケケケ・・・・・・・・・!!」 「??!」 「ユックリデキナクナッテシネ♪」 「いやだ!!れいむはゆ・・(ブシュウッ・・・!!!) れいむはまだ生きていた。 中枢餡が壊れていていつ死んでもおかしくはない状態だがそれでも生きていた。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・・ゆ゛っ・・・」 人間は地面に落ちているゆっくりの中身とれいむを袋に入れ詰め直し、 笑いながら自分の家へ帰っていった。 れいむは死ぬ最後まで苦しみ死臭の中で怨念たちの声を聞きながら死んでいった。 (な゛・・・・・ん・・で・・・?・・・・・・・・・・でい・・・・・・・ばるく・・・・・・・・・・・・・な・・・・・・・・) 最後までれいむは自分が犯した罪を理解しようとはしなかったようである。 あとがき 追われるって怖いよね 予想以上に容量が大きくなりすぎてしまったorz 法然しゃんが折れた「ぐんぐにる」の挿絵を描いてくれていたようです。ありがとうございます(喜) 餡庫には保管されてませんが画像だけはすでにわが手に 大切に保管しまーす 今まで書いたやつ 加工所本部 前編・後編 れいむその後 まりさその後 14番れいむのその後 れみぃと野良豆ゆっくり 前編・後編 あいつらの違い れいむはいい飼いゆっくりさ 折れた「ぐんぐにる」 ドスれいむ
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ちびちゃとで経験したことある人にはわかる出来事を紹介していきたいと思います。 見て行ってくれたらとてもうれしいです。 一つ目 前に話したことあって挨拶してくれるかと思ったけど挨拶してくれなかったとき。 二つ目 喧嘩師とかがいる部屋はなぜか無駄に荒れてる。(無名のやつらが荒らしてる) こういったよくある出来事を増やしていきたいと思いますので 何かあればコメント欄に記入してください。 名前 コメント
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『ぼーきゃくろくっおん』 21KB 虐待 制裁 家族崩壊 同族殺し 飼いゆ 現代 虐待人間 某アニメ映画のパロディではありません 注意: 某映画とは一切関係はありません(録音というか録画だし) ゆっくりが変なところで高スペックです(ネタってことで勘弁して下さい) 『ぼーきゃくろくっおん』 「ゆわああああぁぁぁぁぁぁ!?」 「どぼじでぇぇぇぇぇ!?」 とある住宅の一室にて突如響き渡るゆっくりの悲鳴。 その悲鳴を聞きつけた飼い主の青年が何事かと現場に駆け付けた。 「なんだなんだ?どうしたってんだ?まりさ、れいむ」 そこには二匹のゆっくりが大粒の涙を流しながら絶叫していた。 そして二匹の目の前には大量の餡子がぶちまけられている。 「お、おにーさぁぁぁん!れいむの・・・・・・れいむのおちびちゃんがぁぁぁ!」 「ん?ひょっとしてその餡子、お前らのチビか?」 よく見ると飛び散った餡子の中心には黒いとんがり帽子がちょこんと置いてあるのが確認できた。 この帽子が無ければ、飛び散った餡子が潰れた赤まりさのものであるとはわからなかっただろう。 「こいつは酷いな・・・・・・一体何があったんだ?事故ってレベルじゃねぇだろコレ」 この餡子のぶちまけられっぷりからして、躓いて転んだとか、どっかから落ちた程度では説明はつかない。 それほど酷い状態だった。 「わがらないんだぜぇぇ!まりざだちのしらないあいだに、おちびちゃんがいなくなって・・・・・・!」 「それで・・・・・・ゆぐっ・・・・・・どこにいったのか、さがしにいってもみつからないから、もどっでぎだら・・・・・・おちびちゃんが、おちびちゃんが・・・・・・えいっえんにゆっくりしてたんだよぉぉ!!」 ただ事ではないと判断した青年はただちに室内に異常が無いかを確認しはじめた。 そしてすぐに異常らしきものを発見する。窓の一つが開いているのだ。 「こりゃあ、別のゆっくりの仕業かもしれんなぁ・・・・・・」 家に侵入したゲスゆっくりか、捕食種ゆっくりなどの仕業ではないかと青年は判断した。 「ゆ、ゆるさないんだぜぇ・・・・・・!おちびちゃんをころしたゲスはただじゃおかないんだぜぇ!!」 まりさは歯をギリギリとさせ、怒りの表情を浮かべていた。 「ただじゃおかないって・・・・・・犯人を見つけたらどうするつもりなんだ?」 「きまってるのぜ!ふくっしゅうなのぜ!おちびちゃんがうけたいたみをはんっにんにもあじあわせてやるんだぜ!!」 まりさの穏やかではない発言に青年は思わず眉をしかめる。 「・・・・・・まりさよ、復讐なんて虚しいだけだぞ? チビが死んじまったのは悲しいことだが、いつまでも過去にこだわってたら明るい未来なんてやってこない。 これは悲しい事故だと諦めて、また新しい子供でも作ってゆっくりした方がお前らの為ってもんだろ?」 青年は死んだ子供のことは忘れろという。 一見、冷酷なことを言っているようにも聞こえるかもしれない。 だが相手はゆっくりである。ゆっくりは本人にとって都合の悪い記憶は忘却する性質を持つという。 子供を殺された怒りの感情も時が経ち、新しい子供でも作ればすぐに忘れてしまえるだろう。 だから、一時の感情に身を任せて復讐などというゆっくりできないことに時間を費やしたところでただの徒労にしかならない。 そう青年は思ったのだが・・・・・・ 「はぁぁぁぁぁぁぁ!!?なにいってるんだぜぇぇぇ!?」 「そんなことできるわけがないでしょぉぉぉ!?」 冷却期間が足りないのだろう。そんなことを容認できるゆっくり達ではなかった。 ゆっくりと言えども子供を失った悲しみはそう簡単には忘れられないのだろう。 「はんっにんをみつけて!かおのかたちがわからなくなるまでボッコボコにしてやるんだぜ!」 「それだけじゃすまさないよ!おめめだってくりぬいて、めのまえでむーしゃむーしゃしてあげるんだよ!」 「あんよさんだってズタズタにしてやるんだぜぇ!うごけなくしてゆっくりといたぶってやるんだぜ!」 「いくらごめんなさいしたって、ぜっったいゆるしてなんかあげないんだよ!ゆっくりしていってね!えいっえんでいいよ!ゆぎぎ!」 「えいっえんにゆっくりさせるなんてなまぬるいんだぜ! はんっごろしにしたあとオレンジジュースさんをかけてまたはんっごろしにしてやるのぜ! えいっえんのくるしみをあじあわせてやるんだぜー!ゆがー!」 怒りで頭(といっても頭しかないのだが)に血が上っているのだろう。 ゆっくりらしからぬ物騒な発言を繰り広げている。 そんな飼いゆ達の姿に青年は溜息をついた。今は何を言っても無駄だろう。 「はぁ・・・・・・わかった。そんなに言うなら犯人探しを手伝ってやろう」 「ゆゆ!?そんなことできるの!?」 「まあな。・・・・・・実はこの部屋にビデオカメラを設置しておいたんだ。 これを再生してやれば事の顛末がわかるはずだ」 元々はゆっくりの生態を観察するために青年が設置しておいたものだ。 まさかこんなことになるとは夢にも思わなかったに違いない。 「ゆ?びでおかめらさんって?」 「ああ、ビデオカメラってのはだな・・・・・・」 ゆっくり達にもわかるようビデオカメラが何なのかを説明した後、録画した内容を観るためにビデオをモニターにセットする。 「さて、これで準備はOKな訳だが・・・・・・最後にもう一度だけ確認する。 本当にいいんだな?やめるなら今しかないぞ」 これを見れば犯人はわかるだろう。 だが、それと同時に自分たちが可愛がっていたおちびちゃんの死に様を見せられるということでもあるのだ。 それは両親にとっては辛いことである。 「ゆぅ・・・・・・おにーさん。まりさたちは、もう、きめたんだぜ。 そうしなきゃ、みらいにむけてゆっくりなんてできないんだぜ」 「れいむたちはみらいをゆっくりするためにも、かこのせいっさんをしなくちゃならないんだよ!」 二匹のゆっくりはキリッとした表情で青年を見つめていた。 どうやら二匹の決意は固いようだ。 「そうか・・・・・・お前らがそう決めたんなら、もう止めはしないさ」 青年はビデオを再生させる。 「それじゃあ始めようか・・・・・・その嘆きを再生する」 『ゆぅ~ぴぃ・・・・・・ゆぅ~ぴぃ・・・・・・』 モニターにはついさっきまで寝床でゆっくりと眠っていた赤まりさの姿が映っていた。 「ゆぅぅ・・・・・・ほんとうに、おちびちゃんがうつてるよ!おちびちゃん!ゆっくりしていってね!」 「れいむ、さっきも説明したがこれは過去の映像だ。チビが生き返ったわけじゃない」 「ゆ、ゆぅ、わかってるよ・・・・・・」 それでも叫ばずにはいられなかった。それほどまでに我が子は大切な宝物だったのだ。 『ゆぅ~ぴぃ・・・・・・ゆぅ~ぴぃ・・・・・・』 『ゆゆ~ん、まりさはもうたべられないんだぜぇ。むにゃむにゃ・・・・・・』 『ゆう、ゆう、れいむ、かわいくってごめんね~・・・・・・ゆぅ、ゆぅ・・・・・・』 ぐっすりと眠っている赤まりさの後ろにはまりさとれいむも眠っていた。 幸せそうに眠る3匹の寝顔をみているとこれから恐ろしい惨劇が待ち構えているなど想像もつかないだろう。 だが、それは唐突にやってきた。 画面外から大きな「手」がぬっと現れたのだ。 そしてその「手」は赤まりさの帽子を摘みあげた。 「ゆゆっ!?なにするんだぜ!おちびちゃんのおぼうしをかえすんだぜ!」 映像を見ていたまりさが叫ぶがこれは過去の映像である。 何を言ったところで起こってしまった出来事は変えられない。 「こいつがおちびちゃんをころしたはんっにんなの?」 しかし、予想に反して「手」はこれ以上赤まりさには手を出さなかった。 「手」は赤まりさから取り上げた帽子を寝床の近くにあるピンポン玉の上に乗せたのだ。 このピンポン玉は赤まりさの玩具として青年が用意したもので、赤まりさにとっては大切な宝物になっていた。 その後「手」は眠っているれいむの頬を人差し指でツンツンと突き始めた。 『・・・・・・ゆぅ?なんなの?れいむまだねむいよ・・・・・・』 れいむが覚醒し始めると「手」はまりさを同様に起こし始めた。 『・・・・・・なんなのぜ?まりさはすーぱーすーやすーやたいむなのぜ・・・・・・』 まりさも覚醒したようだ。 二匹はまだ寝ぼけているようで自分たちを起こした「手」には気がついていないようだ。 そして「手」は何をするわけでもなく画面外へと引っこんでしまった。 おかしい。 この映像を見ていたまりさとれいむは自分の体から嫌な汗が流れていることに気がついた。 なぜだろう?わからない。 ただ、ここから先の映像は見てはいけない。 そんな漠然とした思いが二匹の頭の中で警鐘としてガンガンと鳴り響いていた。 それがなぜなのかは全くわからない二匹はこの状況に困惑していた。 と、その時である。 『ゆゆっ!?なんだかゆっくりしてないゆっくりがいるよ!!』 突如、映像内のれいむが叫び声を上げた。 『ゆっ!ほんとうなのぜ!しかもなまいきにもおちびちゃんのベッドさんをどくっせんしてるのぜ!』 ゆっくりしていないゆっくり。 ゆっくりの世界では見た目が汚いゆっくりなどはこのように呼ばれることがある。 特に飾りのないゆっくりがよく言われることが多い。 そう、この映像の両親が言っている「ゆっくりしていないゆっくり」とは、先ほど「手」によって帽子を取られた赤まりさのことだ。 ゆっくりは飾りによって個体の認識をしているという。 だから帽子が取られた赤まりさは両親に自分の子供であると認識されなかったのだ。 「ゆっ!?ゆっ!?な、なにいってるんだぜ!?そのゆっくりはおちびちゃんなのぜ!」 「そ、そうだよ、とってもゆっくりとしたれいむのおちびちゃんだよ!?」 だが、映像を見ている両親は帽子の無い赤まりさをちゃんと自分の子供であると認識していた。 映像内の両親はそれができていないのに、同一のゆっくりでこの認識の違いは何故なのか? それは帽子を取られるところを実際に目撃しているかいないかの違いが、認識の違いにつながったのである。 いくらゆっくりといえど、目の前で飾りをとる場面を見ていれば個体認識はできるのだ。 『おちびちゃんのベッドさんをうばうなんてとんでもないゲスだね!』 『おい!おきるのぜ!このゲス!』 まりさが赤まりさに体当たりを喰らわせる。 『ゆぴ!?・・・・・・ゆ、ゆぅ?』 気持ちよく眠っていたところを突然、突き飛ばされた赤まりさは一体何が起こったのか理解できていなかった。 『ここはれいむのかわいいおちびちゃんのベッドさんだよ! ゆっくりしてないゆっくりはゆっくりしないでゆっくりきえてね!』 『ゆぅ~?なにいっちぇるの?まりちゃはまりちゃだよ?』 『はぁぁぁぁぁぁ!!?なにいってるのぜ!?おちびちゃんはあそこにいるでしょぉぉ!?』 『そうだよ!おちびちゃんはベッドさんをとられてかなしんでるんだよ!ゆっくりしないであやまってね!』 どうやら二匹は帽子を乗せたピンポン玉を自分の子供として認識しているらしい。 これも飾りで個体認識をするゆっくりの特性だった。 『なにいっちぇるのぉぉぉ!?まりちゃがまりちゃだよ!おきゃーしゃん!』 『だれがおまえみたいなきたないゲスのおかあさんだぁぁ!』 『しかもおちびちゃんのなまえまでかたってるのぜ!』 『ゆぅぅぅ!?おちょーしゃんもなにいっちぇるのぉぉぉ!?』 あんなに優しかった両親から罵声を浴びせられ困惑し涙目の赤まりさ。 その時、赤まりさは自分の帽子が乗せられたピンポン玉を発見する。 『ゆゆ?どうちてまりちゃのおぼうちがこんなとこりょにあるにょ?ゆっくちかえしちぇね!』 赤まりさはピンポン玉に近づき帽子を取ろうとした、その瞬間。 ドン! まりさの体当たりを受け、赤まりさは思いっきり吹っ飛ばされた。 そして赤まりさは顔面を床に激しく打ちつけられた。 『ゆ、ゆぴぃ?・・・・・・きゃわいい、まりちゃのきゃおが・・・・・・い、いちゃい?』 赤まりさは突如受けた攻撃に何が起こったのか理解できていなかった。 だが、その攻撃を繰り出したまりさは怒り心頭で顔を醜く歪ませていた。 『こいつ・・・・・・おちびちゃんのおぼうしをうばおうとしたのぜ・・・・・・』 『ベッドさんだけでもずうずうしいのに・・・・・・おぼうしにまでてをだすなんて・・・・・・』 飾りはゆっくりにとって命の次に大事なものだ。 もし他ゆんがそれに手をだそうものならどうなるのか。 ピキピキピキィィィィィィィィィィィィ!!! 『とんっでもないゲスなのぜぇぇ!!!ぷくぅぅ!!』 『もうおんこうなれいむもかんにんぶくろのおがきれたよっ!!!ぷくぅぅ!!』 『ゆぴぃぃぃ!?お、おちょーしゃん!おきゃーしゃん!どうちておこっちぇるのぉぉぉ!?』 体をぷくーっと膨らませ、ゆっくり最大の威嚇行為を赤まりさに向けている。 もはや両親の怒りは有頂天に達していた。 『『ゆっくりできないゲスはせいっさいするよ!!!』』 『ゆ、ゆ、ゆ・・・・・っ!ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』 こうして、両親による恐ろしい制裁がはじまった。 「や、やめろぉぉぉぉぉぉ!!!」 「やめてねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 映像をみていた両親が叫び出す。 もはや変えられぬ過去の映像であるとしても叫ばずにはいられなかったのだ。 それほどまでに凄惨な制裁だったのである。 『ゆんやぁぁぁぁ!ゆんやぁぁぁぁああああ!!』 二匹掛りで執拗に体当たりを喰らわせている。 『やべちぇぇぇぇ!!まりちゃのかぎゃやくおうぎょんのかみのきぇぎゃぁぁぁ!!』 れいむが髪をブチブチと引き抜いている。 『いじゃいぃぃぃぃ!!おべべ!まりちゃのおべべぇぇぇ!!』 まりさが右目をくり抜き、空いた右目の空洞を舌でグリグリと穿っている。 『ぼう、やべちぇ、いちゃい、いちゃいよぉぉ、ゆんやぁ・・・・・・』 これだけ痛めつけられていながら、赤まりさは死ななかった。 二匹が殺さないよう適度に手を抜いているのだ。 『ゆげら!ゆげら!どう?いたいのぜ?いたいのぜぇぇ?』 『ゆげげ!でもゆっくりなんてさせてあげないよ?もっともっとくるしんでね!』 ゆっくりはゆっくりしていないものを見下す事が多い。 それは他者を見下すことで自分がよりゆっくりした存在であると認識する為である。 そしてその嘲りの感情は、時として暴力となって対象に襲いかかる。 それが今の状況だ。これは、もはや制裁などではなかった。 「うわぁ、流石の俺でもこれは引くわぁ・・・・・・ん?どうしたおまえら?」 二匹のゆっくりはもう映像を見ていられなかった。 目をつぶり、プルプルと震えながらこの真実から目を避けていた。 「おいおい、お前ら。過去の清算するんだろ?あんなにキリッとした顔でいってたじゃないか。 だからちゃんと見てないとダメだろ。おっ!なんかまた出てきたぞ。みてみろ」 「ゆ、ゆぅ?」 恐ろしい虐待が行われている最中。 画面外から再びあの「手」が現れたのだ。 その「手」はピンポン玉の上の帽子を摘みあげると画面外へと消えていった。 しかし、映像内の両親はそれに気付いていない。 赤まりさをいたぶることに夢中になっていたからだ。 『れいむ、そろそろふぃにっしゅにするのぜ。アレをひさしぶりにやってみたいのぜ!』 『ゆぅ?アレなの?ゆふふ、そうだね、ひさしぶりにやってみようね!』 そう言うと、れいむは頭が低くなるよう体をへにゃりと縮ませた。 まりさは息絶え絶えの赤まりさを口に咥えるとれいむの頭に乗り上がった。 『いくよ?まりさ』 『じゅんびおーけーだぜ!れいむ』 『ゆ、ゆぴぃ・・・・・・な、なに、ちゅるにょ?やめちぇね、やめちぇね・・・・・・』 れいむはまりさを頭の上に乗せたまま勢いよく伸びあがった。 『のーびのーび!』 そしてその伸びが最大になった瞬間、まりさはれいむの頭を踏み台に、遥か上空へと飛びあがる。 「ゆ、ゆげぇぇぇぇ!あ、あのわざはー!?」 「知っているのかー?まりさー!ってお前の映像なんだから当たり前か」 まりさを打ち上げた後、れいむはその場で仰向けに倒れこみ、あんよをプリン!と持ち上げる。 一方、上空へ打ち上げられたまりさは口に咥えていた赤まりさを腹の上に乗せ、そのままクルリと回転し、赤まりさが下になる体制のまま一気に下降しはじめる。 まりさの真下にはあんよを持ち上げたれいむがニヤニヤとした笑みを浮かべて待ち構えている。 『ゆっくりしてないゲスは・・・・・・っ!ぷくぅぅぅ!』 『ゆっくりしねぇぇぇぇぇ!』 『ゆぴぃぃぃぃ!た、たしゅけちぇ・・・・・・っ!』 『『ゆっくりほうかいのふぃなーれ!!』』 グシャアアアアアア!!! ぷくぅっと膨れた状態で下降してきたまりさの腹とれいむの持ち上げていたあんよが勢いよく衝突する。 そしてその間に挟まれていた赤まりさは衝突のショックでグチャグチャに潰されてしまった。 『ぷしゅるるるぅぅ~、ゆへへ!きまったのぜ!』 口の中から息を吐きながられいむのあんよから飛び退くまりさ。 『やったね!まりさ!』 れいむもむくりと起き上がる。 その際、あんよの上に残っていた潰された赤まりさがべちゃりと地面に落ちた。 「ゆ、あ、あ、あ・・・・・・」 「ど、どぼじで・・・・・・こんな、ことに・・・・・・」 「すっげぇなぁ、お前ら。無駄にスペック高すぎ」 赤まりさが自分たちによって殺される映像を見せられ、二匹はただ涙を流して呆然とするしかなかった。 『ゆ!そうだぜ!おちびちゃん!ベッドさんをどくっせんしてたゲスはやっつけたんだぜ!』 ゲスの制裁に夢中になり忘れていた自分の子供のことを思い出したようだ。 『ゆゆ?おちびちゃん?』 だが、どこを見渡しても赤まりさの姿は見えなかった。 目の前で潰れているのだが、いまの二匹にはそれがわからない。 『ゆぅ・・・・・・どこいっちゃったのぜ、おちびちゃん』 『ひょっとして、ゲスがせいっさいされるところをみるのがこわくなっちゃったのかも。 それでどこかにかくれちゃったんだよ』 『ゆゆ!おちびちゃんにはすこししげきがつよすぎたのかもしれないのぜ』 『ゆもう!ゆっくりやりすぎだよ!まりさ!』 自分もノリノリで制裁していたのを棚に上げてぷんぷんと頬を膨らませてまりさに注意をするれいむ。 『ごめんごめんなのぜ。きっととなりのおへやにでもいるのぜ。いっしょにむかえにいってあげるのぜ!』 『そうだね、こわがってるおちびちゃんにすーりすーりしてあんしんさせてあげようね!』 そう言いながら二匹は部屋から出ていった。 その直後、画面外から三度「手」が現れ、先ほど奪っていった赤まりさの帽子を潰された餡子の上に乗せ、画面外に消えていった。 しばらくした後、 『ゆぅ、おちびちゃんいないね』 『まったく、どこへいったのぜ』 二匹が部屋に戻ってきた。 こうして話は冒頭へと繋がるのだった。 「さて。これで犯人はわかった訳だが・・・・・・。 お前ら、犯人が見つかったらどうしてやるんだっけ?なんか言ってたよなぁ」 「ゆ!ゆ!し、しらないのぜ。まりさ、なんにもいってないのぜ!」 「れいむもしらないよ!それにおちびちゃんがしんだのは!かなしいじこだったんだよ! だかられいむ、なんにもわるいことしてないよ!」 あそこまで悪意に満ちた言動で子供を殺しておいて、この言い分である。 青年は肩をすくめ、軽く溜息をついた。 「お前らが、数分前に言った自分の発言もすぐ忘れるような餡子脳だってのはわかった。 ・・・・・・だが、そんなこともあろうかとお前らの発言もきっちり収録しておいたのさ」 ビデオはその後のことも録画し続けていた。 つまり、二匹が犯人を見つけて復讐を誓う場面もしっかりと録画されていたのである。 「えぇ~と確かここらへんだったな。ピッピッピッと・・・・・・」 リモコンを操作し、映像を問題のシーンまで進める。 『はんっにんをみつけて!かおのかたちがわからなくなるまでボッコボコにしてやるんだぜ!』 「・・・・・・だ、そうだが」 「「ゆ!?ゆ!?」」 「しかし、言った本人達が犯人だったということは、制裁の執行人がいなくなってしまうなぁ」 「そ、そうだよ!だから・・・・・・!」 「わかった。そういうことなら、僭越ながらこの俺が代わりに制裁を実行してやろうじゃないか!」 「「ゆゆっ!?」」 青年はそう言うとまりさの顔面を思いっきり殴りつけた。 「ふん!」 ドゴっ! 「ゆべぇぇぇ!?い、いだいぃぃぃぃぃ!!!」 「な、なにするのぉぉぉ!?おにーさぁぁぁん!!」 「お前もだよ。そら!」 れいむも同様に顔面を殴りつける。 「いだぁぁぁぁぁぁあああ!!」 ドゴ!バゴ!ベシ!ガスガス! 「ゆ、ゆべ!や、やべっ!やべ・・・・・・でっ!」 「いだ、いだい!いだいよぉぉぉ!ゆんやぁぁ!!」 その後、青年はまりさが言ったように顔の形が変わるまで殴り続けた。 「さてさて、お次は何をするんだっけかな?」 『それだけじゃすまさないよ!おめめだってくりぬいて、めのまえでむーしゃむーしゃしてあげるんだよ!』 「りょーかい♪とりあえず片目をくり抜いてやんよ」 ドスっ! 「ゆぎゃあああああああ!ば、ばりざのほうせきのようなおめめがぁぁ!!」 スボっ! 「ゆんぎゃああああああ!でいぶのよぞらにかがやくこうせいのようなおめめがぁあああ!!」 二匹は赤まりさと同じように右目を抉りとられ、あまりの痛みに辺りをのたうち回った。 「もっちもっち!お前らの目玉、白玉団子みたいでうめぇな。 もう片方は後で食ってやるから、とりあえず次いってみよう」 『あんよさんだってズタズタにしてやるんだぜぇ!うごけなくしてゆっくりといたぶってやるんだぜ!』 「次は足か。よっしゃ、このよく切れるカッタ―でズッタズタにしてやろうじゃないか」 ザク! 「ゆぎぃぃぃぃ!ばりざのがもじかのようなあんよさんがぁぁぁあ!!」 「ザックザクに耕してやるよ!」 ザク!ザク!ザク! 「や、やべでっ!ご、ごべんだざい!ごべんだざいぃぃぃ!あやばりばずがらっ!ゆるじでぐだざぁぁぁ」 『いくらごめんなさいしたって、ぜっったいゆるしてなんかあげないんだよ!』 「だってさ。あきらメロン♪」 「ぁぁぁぁぁいぃ!?や、やべでねぇぇぇ!あんよさんっ!いだいいだいじないでぇぇぇぇ!!」 足をズタズタに切り裂かれた。これでもう逃げることもままならないだろう。 「ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙」 「も、もう、ごろじ、で・・・・・・」 「ふぅ。流石にもう限界か。充分いためつけたことだし。そろそろ楽にしてやろうか。ん?」 『えいっえんにゆっくりさせるなんてなまぬるいんだぜ! はんっごろしにしたあとオレンジジュースさんをかけてまたはんっごろしにしてやるのぜ! えいっえんのくるしみをあじあわせてやるんだぜー!』 「ああ、残念。まだまだ許されないようだ。ちょっとまってろ。オレンジジュース持ってくるから」 そう言いながら、青年は部屋から出ていった。 「ゆ、ゆぅぅ・・・・・・ど、どぼじで、ごんなごどにぃ・・・・・・」 「あんなに、ゆっくりしてたのに・・・・・・どぼじで・・・・・・」 この二匹は元々野良ゆっくりだった。 それを今の青年に拾われて飼いゆっくりになった。 それから二匹はとてもゆっくりとした日々を過ごしてきたのだ。 「ひょ、ひょっとして・・・・・・おにーさんは、ぎゃくったいおにーさんだったの、ぜ?」 「ゆゆ!?あんなにやさしかった、おにーさんが・・・・・・」 青年は毎日おいしいものを食べさせてくれた。 いっしょに遊んでくれた。 子供を作ることも笑顔で許してくれた。 それなのに、自分たちは騙されていたというのか。 「き、きっと・・・・・・おにーさんはまりさたちを、だましてたのぜっ!」 「ぞ、ぞんな・・・・・・!し、しどい!」 世の中にはゆっくりを虐めて楽しむ虐待鬼威惨と呼ばれる人間がいる。 まりさは野良時代、そうした人間に殺された仲間をみたことがある。 「ゆ、ゆぐぅぅ!ぐ、ぐやじいのぜ・・・・・・! このまりざのめをもっでじでも、あのくぞにんげんのほんっしつがみぬけなかったなんで・・・・・・」 まりさは涙した。 自分がもっと用心していれば、こんなことにはならなかったのだと。 「そんなことはないぞ、まりさ。俺は別にこんなことしたくてやってる訳じゃない」 青年がオレンジジュースを持って帰ってきた。 「な、なにいってるのぜ!よくもそんなことをぬけっぬけとぉ!」 「冷静になって考えてみろよ。今こうしてお前らを制裁してるのは元々お前らが言い出したことじゃないか」 「ゆゆ!?」 「俺は復讐なんてやめようって最初に言ったぞ? そもそも、お前らがチビを殺したりしなければこんなことにならなかったんだ」 「ゆ、あ、あああ・・・・・・!」 青年はバシャバシャとオレンジジュースを二匹にかけてやる。 二匹のゆっくりの体がある程度再生されていく。 「俺は有言実行をモットーとしていてね。だからこれはお前らが言ったことは忠実に実行しているだけに過ぎない。 つまり、今のこの状況はお前らの自業自得ってことだな。ゆっくり理解できたかな?」 「ゆぐぅぅぅぅ!!」 勿論、青年の言っていることは詭弁だった。 そもそも赤まりさが眠っている間に帽子を奪い、ゆっくり達が家庭崩壊するよう仕向けたのはこの青年である。 まりさの言うとおり青年が二匹のゆっくりを拾ったのは虐めることが目的だった。 可愛がる反面、日常のあちこちに死亡フラグをばらまき、何時自滅するのか観察するのがこの青年のやり方だったのだ。 例え、今日の事件がなかったとしてもいずれは自滅に至っていただろう。 だが、ゆっくり相手にはこの程度の詭弁でも充分論破できてしまう。 「ゆぐっゆぐっ!ま、まりざがばがだったのぜぇぇ!」 「ゆ、ゆぅぅぅぅ!ご、ごべんねぇぇ、おちびちゃん!おかぁさんがもっどじっがりじでいればぁぁ」 単純なやつらだと青年は苦笑した。 こんな馬鹿なやつらはゆっくりの中でも珍しいんじゃないのかとも思った。 「さ、そういうわけだ。続きを始めよう。なに、心配するな。殺しはしないさ。 お前らは犯人を殺すとは言わなかったからな。 ・・・・・・ただし、死んだ方がマシだとは思うかもしれんがな。ジョワ、ジョワジョワジョワ!」 「ゆわぁぁぁぁぁ!がんべんぢでぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「も、もうやだぁぁぁ!おうちかえるぅぅぅぅぅ!!」 こうして、まりさとれいむへの制裁はいつまでも続くのであった。 <了> 前作: anko2106_プラント
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第2回裏技交流会の日程と場所 日時:2009年7月20日午後2時~ 場所:ちびちゃと⇒公園 定員:25名~30名(※最大人数は20人なので人数制限解除を行うか、それ以前に来るかどちらかの手段が必要)
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『僕は野菜が嫌いだ』 26KB 制裁 自業自得 野良ゆ ゲス 現代 虐待人間 野菜嫌いはゆっくりに笑われるぞ!みんな野菜を食べよう! 気ままあき 僕は野菜が嫌いだ。 肉は好きだが、でも野菜……特に生野菜はどうしても食べる気がしない。 調味料で味を加えて茹でたり焼いたり炒めたりした野菜は嫌いじゃないんだけど……生だけは絶対嫌だ。 まったくあんな味のしない物を喜んで食べる連中の気が知れない。 日々の食卓で、給食で、たまに家族とファミレスに行ったときにサラダが山盛りで出てくるとうんざりする。 だから僕はいつも野菜だけ残すんだが、そのたびに親に怒られるから渋々食べるんだ。 ドレッシングなんて酢っぱいだけでとてもかけられたもんじゃないから、 僕の場合はサラダにトンカツソースや焼き肉のタレをぶっかけてようやく食べられるようになる。 重ねて言うが僕は野菜が嫌いだ。 健康にいいから食べろと大人達はみんな言うけれど、 現在育ち盛りで充分健康な小学生である僕には理解不能もいいところだ。 あんなものを食べるくらいならフリカケごはんだけで夕食を済ませた方がまだマシだと思う。 だいたい野菜なんて好んで食べるのはあいつらくらいしかいないんじゃないか? そうあいつらしか…… 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「おやさいはゆっくりできるね!みんなでいっぱいむーしゃむーしゃしようね!」 「むーちゃむーちゃ!ちあわちぇぇぇぇぇっ!ゆっくちー!」 「なかなかとかいはならんちさんね!」 「おきゃあしゃん!あっちにもおやしゃいしゃんがありゅよ!」 「ゆっ!ほんとうだね!いっぱいあるよ!まっててねおちびちゃん! いまおかあさんがほうれんそうさんをじめんがらひっこぬいて、たべさせてあげるからね!」 「むきゅきゅ。やはりくそにんげんはまいにちこのはたけさんにくるわけじゃないようね! いまならおやさいさんはたべほうだいよ!けんじゃなぱちゅのおもったとおりだわ!」 「おやちゃいしゃんはとっちぇもゆっくちれきりゅよ!」 「おやさいさんはとってもとかいはだわ!」 「ぱちゅりーにふしゃわしいあみゃあみゃだわ!」 「「「「「ゆっくり~~~~♪」」」」」 ある日、僕が小学校から歩いて家へと帰っている途中でその光景を見てしまった。 とある畑に野良ゆっくりの一団が入り込んで野菜を食い散らかしているのを。 その畑は住宅地の中にあってそれほど大きなものじゃないから どこぞの人が趣味でやっている家庭菜園という奴だろうか? 喰い散らかしているのはまりさとれいむ、ありすとぱちゅりー……これらが親と子を合わせて全部で10匹ぐらいいる。 そこらの公園に住んでいる野良かな? 野良ゆっくりといえば野菜泥棒の被害が酷いという話を以前聞いたことがあるけれど…… あれも野菜嫌いな僕にとってはあまり共感できない話だ。 ゆっくりがそんなに野菜が好きならば、せめて野菜クズぐらいは食べさせてやればいいじゃないか……と思う。 人間だって野菜を全部残さず食べているわけじゃない。 調理する段階で根とか葉っぱとか不味い部分は切って捨てているんだ。 それらのほとんどは当然使い道のない生ゴミになる。 生ゴミとして捨てるくらいならくれてやればいいんじゃないか? 畑で野菜を育てている人のほとんどは腐って人間が食べられない廃棄野菜ですら ゆっくりには決してあげないというんだから、大人はなんとも心が狭いなあ……と子供心に僕は思うんだ。 しかしそれにしてもこいつら、あちこちに喰いカスを撒き散らせて……とにかく非常に汚い食べ方してる。 だけどその割にはみんなすごく嬉しそうで。僕は眺めているうちに段々と興味が湧いてきた。 畑からひっこ抜いたばかりの土まみれで洗っても切ってもいない不味そうな野菜を これほど心底幸せそうに食ってるとは面白い連中だなと思ったんだ。 僕はふとした好奇心で畑に近付いていった。 「ゆ……ゆゆっ?くそにんげんのちびがこっちにくるよ!」 「きっとおやさいはにんげんがそだてているとかへりくつをこねて、ぱちゅたちのゆっくりぷれいすをうばうきね!」 「なんてゆっくりしていないのかしら!このいなかものっ!」 「にんげんのちびならこわくはないのぜ!さいきょうっのまりささまがせいさいっしてやるのぜ!」 「やっちゃえおとうしゃん!」 「にんげんのくちょちびなんきゃころちてにぇ!」 「れいみゅ、ぷくーしゅるよ!ぴゅくー!」 なんか畑に近付いただけでえらい言われようだ。 僕はただ聞きたいことがあるだけなのに。 「おいおい僕は別に君たちに何もしたりはしないよ。なんでそう威嚇するんだい」 「だったらさっさとここからきえるんだぜ!にんげんのちびはそこにいるだけでめざわりなんだぜぇぇぇぇっ!」 「そう言うなよ。ちょっと君達に聞きたいことがあるから来ただけさ」 「ゆっ?なんででいぶがくそちびのしつもんにこたえなきゃいけないの?ばかなの?しぬの?」 「なあ、お前ら……」 「けんじゃなぱちゅのけいこくにしたがいなさい!はやくきえないとまりさにこうげきさせるわよ!」 「それ美味しいの?」 「……ゆっ?」 僕が指差した先には今しがたこいつらが食い散らかされた野菜たちの無残な姿が転がっていた。 ゆっくりどもは僕が何を言いたいのか、初めのうちはよく分からなかったようだが しばらくするとやや頭がいい(らしい)ぱちゅりーが口を開いた。 「それって……もしかしておやさいさんのことかしら?」 「うん。そのお野菜さん」 「なんでそんなことをぱちゅたちにきくの?」 「いや……そんな洗っても湯がいてもいない生の野菜を食べて本当においしいのかなーと思ってさ。 僕は野菜食べられないし野菜嫌いだからさ。ふと疑問に思ったんだ」 「……」 しばらくゆっくりどもはぽかんと口をだらしなく開いたまま僕を見ていた。 なんだ?そんなに変なこと言ったか僕は? 「……ばかなの?しぬの?」 「え……」 「ばぁぁぁぁぁかっなのぜぇぇぇぇっ!おやさいさんはとってもゆっくりできるんだぜぇぇぇぇっ!?」 「ゆぷぷ!にんげんのちびがこんにゃにばきゃだとはれいみゅ、しらなかっちゃよ!」 「おやさいさんはときゃいはよ!やわらかくちぇ、しゅごくたべやしゅいわ!」 「ざっそうしゃんなんきゃより、はるきゃにあみゃあみゃなんだじぇ!」 「おやしゃいしゃんはしあわしぇーなあじがしゅるごちしょうしゃんなんだよぉぉぉぉっ!」 「え?でもそれにしても生を丸かじりって……」 「はああああああっ?まるかじりがいちばんとかいはなたべかたでしょぉぉぉぉっ!?」 「やめるのぜありす!」 「まりさ……!?」 「にんげんのくそちびにはとかいはなでぃなーのさほうっなんてわからないのぜ!」 「ゆふんっ!そうだよ!でいぶたちはじょうりゅうかいきゅうっだからね!」 「げせんなしょみんにきぞくのしょくじはりかいできないのよ。むきゅきゅ」 「ありちゅはときゃいは!」 「まりちゃもときゃいはのなのじぇ!」 「おやしゃいがきりゃいなにんげんのくそちびはいにゃかもにょだけどにぇ!ゆぷぷぷぷっ!」 「げらげら!こんなにあまあまなおやさいさんがきらいだなんて、このくそちびはまったくゆっくりしてないね!」 「まったく……けんじゃなぱちゅともあろうものが、あまりにていぞくっなしつもんに おもわずあっけにとられてしまったわ」 「おやさいさんがたべられないだなんてこのちびは、したがおかしいにきまってるんだぜ!」 「おちびちゃんたちはあんなすききらいするいなかものになってはだめよ!」 「「「「「ゆっくちりきゃいちたよ!」」」」」 あからさまな侮辱に僕は頭からサーと血の気が引く思いがした。 好き嫌いを怒られたことはあっても、好き嫌いがあるをここまでバカにさあれたことはかつてなかった。 それも人間より遥かに格下であるはずの野良ゆっくりごときに……! 「ゆあ~~ん?なんなのぜそのかおは~~?まりささまにずぼしをさされたからおこったのぜぇ~~?」 「ぎゃくぎれっしてれいむたちにぼうりょくっをふるうきなんだね!まったくゆっくりしていないまけいぬだよ!」 「むきゅきゅっ!わらわれたくらいではらをたててぱちゅたちにぼうりょくっをふるい、 それでじそんしんっをみたそうとするなんてあわれすぎるわね!」 「いくらじぶんがいなかものでなさけないからって、ありすたちにあたらないでちょうだいっ!」 こいつら……!こいつら……! 気が付くと僕はゆっくりどもに背を向けて駆け出していた。 「ゆんっ!にんげんのくそちびがにげていくよ!」 「まりささまのつよさにおそれをなしたんだぜ!」 「おやさいがきらいなにんげんさーん!すききらいはとかいはじゃないわ~~♪」 「むきゅ!ああいうのをおろかなまけいぬというのね!ぱちゅはああはなりたいないわ!おおっあわれあわれ……」 ちくしょう! ちくしょうっ! ちくしょうっっっっ! この日、僕はあのゆっくりどもに復讐する事を誓った。 あの場でゆっくりどもを踏み潰すのは容易かったが、それでは僕の気が収まらない。 暴力で圧倒してもあいつらは僕を見下すことをやめないからだ。 あいつらにとって僕は「ゆっくりできるお野菜を恐がっているバカなガキ」だ。 ならその野菜嫌いを克服してやる! 僕があいつらにリベンジできるのは僕の弱点がなくなった時だけだ。 僕はまずお母さんに頼んで切ってもらった山盛りのキャベツの千切りに挑戦してみることにした。 ゆっくりに美味しく食べられて、僕に食べられない道理はないんだ…… 僕は覚悟してキャベツを口にした。 シャクシャクシャク…… 「……まずい。なんか全然味がしないよ……どこが甘いんだこれ?」 シャクシャクシャク…… シャクシャクシャク…… シャクシャクシャク…… それから数日、僕は朝晩と不味い山盛りキャベツを食べ続けた。 でも……やはりダメだ。どうしても好きになれない。 ゆっくりに食べられてなんで僕には食べられないんだ……?僕はゆっくり以下なのか?と悩んでいると 見るに見かねたのかお母さんが声をかけてきた。 「としあき、あんたそんなドレッシングをなにもかけないキャベツじゃ美味しいわけないでしょ?なにかかけたら?」 「でも……うちにある青じそのドレッシングは僕好きじゃないし…」 「ああ、青じそは私好みのだからね……ならいまから買い物ついでにあんた用のドレッシングを買いにいく?」 「ええーあんなのどれも同じでしょ?」 と思って母と一諸にスーパーに行ったら……あるわあるわドレッシングが山のように。 金胡麻、チーズ、たまねぎ、バルサミコ、オリーブ、ガーリック、梅しそ…… ドレッシングひとつにこんなに種類があるとは思わなかった。 僕はとりあえずためしにいくつか買ってもらうと、さっそくキャベツにかけて食べてみた……が。 「……やっぱりまずい」 それでも嫌々ながら生野菜を食べ続けて一週間…… 僕はある日、父さんにふと言われた。 「としあき。お前最近いつもサラダをポリポリ食べてるなあ」 「え?ああ……いつのまにか癖になったみたいでさ。気が付いたらポテチ感覚でいつも食べるようになっちゃった」 「野菜嫌いのお前が全部残さず食べてるし」 「んーかっぱえびせんみたいな感じ?やめられない止まらないみたいな……」 「……変わったなお前」 「そう?」 そういつのまにか僕は普通に生野菜を食べるようになっていた。 最初は味にこだわっていたけれど、だんだんそれはどうでもよくなってきた。 それよりもきゅうりやレタスやキャベツのあのシャキシャキとした歯ごたえが病みつきになっていった。 ドレッシングの味もだんだん分かってきたっていうのもあるのかもしれない。 気が付けば海草サラダや漬け物の味も理解できるようになっていた。 復讐の時は案外はやく来たのかもしれない。 「むーしゃむーしゃ!しあわせー!」 「うにぇ!こりぇまじうめぇ!ぱねぇ!」 野良ゆっくりどもはあの日のように畑に入り込んで、汚らしく野菜をかっくらっていた。 よく今まで生きていたものだ野良のくせに……でもその無駄に逞しい生命力と悪運に感謝するよ。 だってあのとき侮辱された借りをこうして返せるんだからね。 「むーじゃ!むー……ゆゆっ!ゆっくりしていないくそにんげんがこっちにくるんだぜ!すぐににげるんだぜ!」 「まちなさいまりさ!あのにんげんのちびにはみおぼえがあるわ……むきゅ!おもいだしたわっ! いつかのおやさいがきらいなていのうっのちびよ!」 「ああ、あのくそちびね!おちびちゃんたちのだいこうぶつがきらいなかっぺまるだしのいなかもの!」 「ゆぷぷ~!なんなのそのこわいかおは?またおやさいがたべられないのをれいぶにわらわれたいの?」 僕の姿を確認するなり、好き勝手なことをほざきまくるゆっくり達。 しかし今の僕の心には苛立ちは微塵もない。こんな低俗な連中の挑発などなにもこたえない。 僕はランドセルからビニール袋を取り出し、その中に入っていたキュウリを1本取り出して キュウリをゆっくりどもに見せつけてた。 ゆっくりどもは「それをよこせ」だの「食べられない糞ちびに変わってとかいはなありすがたべてあげてもいいのよ!」とか 好き勝手に喚いている。僕はそんなゆっくりどもをニヤっと笑って… 「むーしゃむーしゃ!しあわせ――――――っ!」 いきなりキュウリを一本、丸かじりに一気に食べた。 それにしても食べながらしあわせーって叫ぶのって難易度高いねえ。 「「「「「ゆっ……ゆゆゆゆゆっ!?」」」」」 いやあ美味い!この瑞々しさとしゃきしゃきとした食感がたまらない。 僕は今までなんでこんなおいしい物を食わず嫌いしていたんだろう! 野菜万歳!いま僕は野菜の味に目覚めたっ! 「……というわけで、僕には野菜嫌いという弱点を見事に克服したよ!もう君達に侮辱されるいわれはないね!」 「ゆっ、ゆゆっ……!?だ、だからどうしたっていうのぉぉぉっ!?くそちびがおやさいをたべられるようになろうが そんなのれいぶたちにはなんのかんけいっもないで…」 「せぇいっ!」 「ゆげぉぉぉぉっ!」 僕は手始めに唾をまきちらして怒鳴り散らす野良でいぶに蹴りをくれてやった。 こうサッカーボールを蹴るような感じでね。 「で、でいぶぅぅぅぅぅっ!?」 「おきゃあしゃぁぁぁぁんっ!」 「ど、どぼじでごんなひどいごとずるのぉぉぉぉっ!?ごのいながものぉぉぉぉぉっ!」 「理由はふたつ。ひとつ、君らはこの前僕をひどく侮辱した」 「む、むきゅ?た、たったそれだけのことで……?じじつをいわれたからってすぐぼうりょくっにうったえるなんて にんげんというなまものはほんとうにやばんね!けんじゃなぱちゅにはりかいできないわ!」 「僕は最初から暴力を振るう気なんてなかったよ?ただ聞きたいことがあったから平和的に聞いただけでさ…… いい気になって先に僕に罵詈雑言を浴びせてきたのは君らじゃん」 「そ、それがどうしたっていうの!ばかなくそちびをわらっただけのことでしょっ!」 「ふ~ん……でも暴力って言うならさ、先に言葉の暴力をふるってきた野蛮なナマモノはそっちじゃないか」 「むきゅっ!?」 「言葉だろうが力だろうが暴力は暴力だろ?僕が最初に君らにやられたから僕はやり返しただけ。 それのどこが悪いんだ?」 「く、くちでいうのとけるのとではぜんぜんちがうでしょぉぉぉぉぉっ!」 「同じだよ。あの日僕はそこでのた打ち回っているでいぶ以上に心に傷を負ったんだ。君らの心無い言葉の暴力でね」 「む、むきゅぅぅぅぅ……!?」 利口ぶっているもりけんの屁理屈には屁理屈で返してやる。 穴だらけの屁理屈でも一応は理屈が通る会話をしておけば、餡子脳のゆっくりに反論なんて思いつきっこない。 特にこのもりけんのような中途半端に頭が回る奴にはなおさらだ。 僕は必死に反論を考えているぱちゅりーをほっといて、子ゆっくりを両手に一匹づつ摘み上げた。 「ゆっ!?おしょらとんでるみちゃい!」 「くろいいなずま!そらとぶまりちゃなのじぇ!」 そしてゆっくりと力を込めてありしゅとまりちゃを握りつぶしにかかった。 「ゆっ!ゆぶぶぶぶっ!」 「く、くるちいのじぇぇぇ……!」 「や……やめなざい!ごのいながものぉぉぉぉっ!ありずのおちびじゃんがいたがっでるでしょぉぉぉぉっ!?」 「おばええええっ!まりさにのおちびになにじでるんだぜぇぇぇぇっ!?」 「何って子ゆっくりどもを握りつぶして殺そうとしているだけだけど、それがなにか?」 「なにがじゃないでしょぉぉぉぉっ!どぼじでぞんなひどいごとずるのぉぉぉぉっ!」 「だってこいつらも言葉の暴力で僕を傷つけたもの。だから制裁だよ!ゆっくり理解してね!」 「りがいなんででぎるがぁぁぁっ!なにがせいさいっだごのにんげんのくそちびぃぃぃぃっ! ごうなっだらさいきょうっのまりざざまが、しつけがなっでないくそちびをがこらしめでやるんだぜぇぇぇぇっ!」 「は、はやぐ……たずげちぇぇぇ……とがいば……とかいばぁぁぁぁ……」 「おちょうしゃ……まりしゃちゅぶれ……ゆびぃぃぃぃっ!」 「おねえちゃぁぁぁんっ!」 「やべでちょぉぉぉぉっ!まりちゃいたがっでるよぉぉぉぉっ!」 「ゆううううっ!もうおこっちゃのじぇ!おねーちゃんをいじめるにんげんのちびはまりしゃひっさつの ぷくーっでころしゅのじぇ!ぷく――っ!ぷくく――――っ!……なんでしにゃにゃいにょぉぉぉぉぉっ!?」 僕は怒り狂うまりさや、ぎゃーぎゃー泣き叫んでいる他の子ゆっくりどもの悲鳴なんかどこ吹く風で両手に力を込める。 大丈夫……まだひと思いに君達を握りつぶしたりなんかしないさ。今はまだ…… 「や、やべろぉぉぉぉっ!これいじょうばりざのおちびにひどいごとずるなぁぁぁっ!ゆあぁぁぁぁぁぁっ!!」 「ありずもとがいはなおちびちゃんをたすげるわ!ゆっくじじないでたずげるからおちびじゃんまっででねぇぇぇっ!」 「あ、そうだ。理由二つめをまだ言ってなかったね?僕が君らを制裁するもうひとつの理由は……」 「ゆがぁぁぁぁぁっ!ゆっぐじじねぇぇぇぇっ!」 「だから理由は……て、ああもうゆっくりは話を聞かないから嫌なんだよ……なっ!」 僕は足元に落ちていた比較的大きめの石を、 半狂乱で僕に向かって突進してくるまりさに向かって思いっきり蹴った。 僕のすぐ足元にまで迫っていたまりさは石を避けられず、その大きな口の中に石が見事突き刺さる。 「ゆぐっ!?ゆげごおおおおおおおおおおおおっ!!?」 「ば、ばりざ……?どうじだのばり………な、なんでいしさんなんかたべてるの……? い、いしさんはゆっくりできないわ?ね、ねえ……」 「ゆが……ゆががが……が……」 「ま、まりさぁぁぁっ!?どぼじでおへんじしてぐれないのぉぉぉぉぉっ!?」 石を食わされたまりさは白目を剥いて気絶したみたいだ。 ありすはどうしていいのか分からずまりさのそばでウロウロするばかり。 僕はすかさず、そんなありすの頭の上に足をのっけた。 「な、なにをするのっ!このきたないあしをありすのあたまからどけなさい!このいなかも……ゆぐぶぶぶぅぅぅぅっ!?」 「改めて言うね?君達を制裁するもう一つの理由はね。こんなに美味しい野菜が、君ら野良ごときに 汚く食い散らかされるのが我慢できなくなったから、さ」 「や、やっぱり……おやさいをひとりじめずるぎ……なのね!」 「独り占めも何も大人の人達が地面を耕して、肥料くれて、種蒔いて……て作ってるものだし」 「またぞのへりくつなの!ごのいながものっ!おやさいさんはがっでに……ゆごぉぉぉぉっ!?」 「君達の屁理屈も大概だと思うけどね。まあ別に理解してもらいたいわけじゃないし、そろそろ潰すよ」 「や、やべ……ろぉぉぉぉ……!ご、のいなが……いながものぉぉぉぉぉっ!」 「じゃあね。ばいばい」 僕はそのまま体重を込めてありすを踏み潰そうとした……と、その時! 「むきゅっ!おまちなさい!それいじょうのひどうはこのけんじゃなぱちゅがゆるさないわっ!」 「あれ立ち直ったの?でも今はありすの制裁で忙しいんだ。もりけんの始末は後で必ずしてあげるから そこで大人しくしててよ」 「ゆぶっ!ゆぶぶぶぶぶぶぅぅ……っ!た、たずげ……ぱちゅりー……」 「むきゅっ!そうはいかないわ!くそち……にんげんさんはひとつ、おおきなまちがいをおかしているのだからね!」 「……間違い?」 僕が怪訝な顔をしてぱちゅりーの方を向いたことに脈ありと思ったのだろうか。 もりけんぱちゅりーは得意げになって僕の間違いとやらを指摘してきた。 「おやさいはゆっくりしているわ!それはく…にんげんさんもゆっくりりかいしたわよね?」 「まあね」 「ゆっくりできるおやさいはみんなでわけあうべきなのっ!みんなでなかよくむーしゃむーしゃしてこそ ゆっくりできるのよ!」 「はあ……で?何が言いたいの?」 「まだわからないの?これだからていのうっなくそちびはこまるのよっ! いい?ゆっくりできるおやさいさんはみんなのものなの!けしてひとりじめにしていいものではないわっ! おやさいさんのゆっくりにめざめたちびにんげんなら、ぱちゅのいってることがりかいできるはずよっ!」 「えーと……」 「ゆっくりりかいしたら、おちびちゃんとありすをはなしなさい!そしてくそちびがやばんにもけがをさせた まりさとれいむをちりょうっしてごめんなさいをするの!どげざでいいわっ!すぐしなさい! そうしたらしなないていどのせいさいっでゆるしてあげなくもないわ!むきゅっどれいにしてあげてもいいわよ!」 「……」 まいった……屁理屈で返された。 こういう場合はどう言い返せばいいんだろう? ドヤ顔してふんぞり返っているもりけんを問答無用で潰してもいいけど、 それじゃ口で勝てないもんだから逃げたんだと他のゆっくりどもに思われそうでなんか嫌だ。 「さあっ!ぱちゅのしんりっをりかいしたのなら、はやくぱちゅのいうとおりにしなさい!このぐず!くそちび!」 「む、むう~~~」 もりけんは僕に屁理屈の反論を考えさせる時間を与えないつもりらしい。 次から次へと大声でギャ―ギャ―怒鳴ってくる。 どうすればいいんだ……こんな場合の反論のお手本なんて小学校のゆっくり安全教室じゃ教えてくれなかったぞ。 そして僕が思わず、うかつな一言をつい言おうとしたその時ー 「悩むな少年っ!君の信念はそんなゆっくりの戯言でゆらぐものではないッッッ!」 突如、背後から聞こえた大人の人の大声。 思わず僕が振り向くと……そこには鍬を担いだ、ただのお兄さんが立っていた。 「むきゅっ!なにものっ!?」 「この畑の持ち主ですがそれがなにか?」 「むきゅぅぅぅぅぅっ!?」 「なーにがみんなのものだよ。お前らは他人のモノだって知った上でコソ泥同然に俺の畑に入り込んで 野菜を食い散らかしていたくせに。舐めた事抜かすなや」 「お、おやさいはみんなのものなのよ!だ、だからぱちゅたちのものでもあるのよぉぉぉぉっ!?」 そうだ。そこを崩せないと潰しても、もりけんの意見が正しいものになってしまう。 痛めつけても殺しても正論を不当な暴力で弾圧したと、こいつらはそれを心の拠り所にして死んでいく…… ダメだよ。こんな連中にわずかなゆっくりでも感じさせたらダメだ。 徹底的に絶望させなきゃ意味がないんだ。 僕がわざわざ野菜嫌いを克服してからリベンジしにきた理由もそこにある。 でもお兄さんは、そんな僕の考えていることをおおよそ読み取たのか、僕に向かってにっこり微笑んでこう言った。 「君は子供のくせに生真面目な考え方するんだな」 「え、わかるんですか?僕の考えていること……」 「なんとなくね……こういうのはそんなに難しく考える必要はないんだ。所詮はゆっくりの戯言…」 「むきゅぅぅぅっ!きいてるの!おやさいはみんなの……」 「そうだよ!みんなのものだよっ!」 「むきゅっ!?わ、わかってるんじゃない!そうよおやさいは……」 「お野菜はみんなのものだよ!……でも糞饅頭、てめーは駄目だ」 「ぱちゅたちのものでも………は?はああああああああっ!?」 「お前らの言う『みんな』はゆっくりだけが対象だろ?ゆっくりが人間や犬や猫、カラスに食い物を分けるか? 『みんな』の中に入れているってのか?え?」 「ゆうううううっ!?ぞ、ぞれ……は……」 「それと同じように人間の言う『みんな』は人間だけが対象なのさ!だから人間同士でお野菜はわけるよ! みんなで一諸に食べてゆっくりするよ!でもゆっくりは『みんな』の中に入ってないからわけてあげないよ!」 「む、むきゅ?むきゅきゅ……?むきゅぅぅぅぅぅぅっ!?」 あーなるほど……そうやって返せばいいのか。勉強になるなあ 確かにゆっくりがゆっくり以外の他の生き物に食べ物を分けてあげるなんて事はまずない。 ぱちゅりーにとっては痛い所を突かれたって感じなんだろうな。 「ぞ、ぞんなぁぁぁぁっ!ず、ずるいよにんげんばがりいいいいいいいっ!でいぶたちだっておやざいたべだいっ! たべだいっ!たべだいっ!たべだいよぉぉぉぉっ!」 「おやざいは……ばりざのごはんざんなの……ぜぇぇぇ……よこどりずるやつはゆっぐじ……じねぇぇぇ……」 「うっせえよ」 「ゆぎゃらばぁぁぁぁっ!」 お兄さんがいつのまにか起き上がってたまりさを蹴飛ばした。 口の中にまだ入っていた石と、折れた歯を吐き出しながら飛んでいく野良まりさ。 「お前らは見つけた物を手当たり次第になんでもかんでも独り占めにしようとするじゃねえか。 自分のことを棚に上げていっちょ前に人間様のやることに文句つけてんじゃねえよ」 「ゆっ!で、でいぶはにげるよ!ちびどもはゆっくりおとりになっていってね!」 「にゃ……にゃにしょれぇぇぇっ!」 「いやらぁぁぁっ!おきゃーしゃんきゃわいいれいみゅをおいてかにゃいでぇぇぇぇっ!」 「うるさいよ!あしでまといのくずどもはしね!やくたたずのばりざやありずといっしょにしねっ!」 あらら比較的ダメージが低いでいぶが子供を見捨てて逃走を開始したみたいだ。 さすが自分勝手な性格に定評のあるでいぶ。汚い。実に汚い。 ヒュンヒュンヒュン………! と、その時なにか風を切る音が聞こえた。 音がする空中を見ると、お兄さんが投げた草きり鎌が放物線を描いてゆっくりとでいぶの方で飛んでいくのが見えた。 そして狙ったようにでいぶの目の前の地面にざくっ!と突き刺さる。うーん何気に名人芸だね。 「ゆ、ゆぴょぉぉぉぉぉっ!?」 「まさか……逃げられるなんて思ってないよな?ここまで俺の畑を荒らしておいて……なあでいぶさんよォ~?」 「ゆっ、ゆっ、ゆあ……ゆああああああ……」 でいぶはおそろしーしーを滝のように噴出して、もみあげを上下にせわしなく振っている。 あまりの恐怖に体が動かない、頭がまっ白でなにも考えられないって感じだ。 「なあ少年、君はこいつらをどう制裁するつもりだったんだい?」 「え?どうって……普通に踏み潰してゴミ箱に捨てるつもりだったんですけど」 「うーん、それじゃあ足りないなあ……よければ俺に制裁をまかせてくれないかい?野菜の恨みもあるし」 「ええ、まあ……別にそれはいいですけど…」 「ありがとう。じゃあ任せてもらうよ」 お兄さんは僕にお礼をを言うと、でいぶに向かって歩いていく。 そしてでいぶを両手で掴んで顔を自分に向けさせると、いい事を思いついたとでも言わんばかりの笑顔でこう言った。 「……決めた。お前たち全員胴付きにしてやるよ♪」 僕はそのお兄さんを見て、凄まじく底意地が悪そうな怖い笑顔だなあと思いました。 「やあみんなおはようっ!今日もみんなで仲良くゆっくりしてるかい?」 「ご……ごろじ……で…もうごろじでぇぇぇぇ……」 「どぼじ……で…」 「ゆべぇぇぇ……」 「いだいぃぃぃ……いたすぎるのじぇぇぇぇ………!」 「もうやらぁぁぁ……」 「ごんなのとがいばじゃないぃぃぃ……」 「むぐぅぅぅ!むぐぐぅぅぅぅ……!」 僕は通学路の途中にあるあの畑に休みの土日以外、毎日顔を出している。 その畑には胴付きのゆっくりが「10本」立っているからだ。 それはかつてこの畑で野菜泥棒をしていた野良ゆっくり達のなれの果て。 お兄さんは竹ざおでゆっくり達の底部から串刺しにして竿ごと地面に突き刺した。 そしてゆっくり達の下の部分に横に棒を組み合わせて、その上に古着と軍手で胴体らしく見えるようにしたんだ。 まあ要するに案山子なんだけど、この姿は確かに胴付きと言えなくもないよね。 自ら動くことはできないし串刺しにされてるからものすごく痛いだろうけど。 さらに畑に放置でしょ?一月はものすごく寒いし夜は特に地獄なんじゃないかなあ。 お兄さんが最低限の延命処置をしているらしいけどよく死なないよね。 丈夫な竹の棒をしっかりと地面に突き刺しているから野良ゆっくりが身じろぎした程度じゃ 倒して逃れることはできないみたい。 もりけんぱちゅりーは口にガムテープを張って生クリームを吐かないようにしている。自殺防止なんだってさ。 お兄さんは一思いには殺さずとことんまで苦しめてから殺すつもりなんだ。 精魂込めて育てた野菜を無残にも食い散らされた恨みは相当なものみたいだね。 あれから5日……はじめの内はギャ―ギャ―元気に騒いでいたゆっくり案山子どもも 今ではこうして自ら死を懇願する有様だ。 ところでみんなは案山子をなんの為に置くのか知ってるよね? そうカラスなどの害獣避けのためさ。でもこのゆっくり案山子はどうかな……? お、ちょうど都合よく向こうからカラスが4~5羽飛んできたよ。 「ゆっ……?や、やべでね……?からすさんごっちごないでね!」 「がらずざんはゆっくじでぎないぃぃぃぃぃっ!」 「ごないでね!ごないでね!まりちゃぷくーっちゅるよ!ぷきゅー……ゆぴやぁぁぁっ!あんよがいだいぃぃぃっ!」 「もういやらぁぁぁぁっ!」 「いだいっ!やべっ!ありずをたべないでぇぇぇぇっ!ごんなのとかいばじゃないわぁぁぁぁっ!」 「もうやだ!おうちかえりゅぅぅぅぅっ!」 最初のうちはゆっくり案山子が騒ぎ立てるんでカラスも畑に近寄らなかったんだけどね。 声の主が無力なゆっくりだと分かるとカラスがクチバシでつつきに来るようになったんだ。 おかげでカラスどもはゆっくりを痛めつけて食べるのに夢中で畑の農作物には見向きもしなくなった。 これはこれで案山子としての役割は果たしている事になるのかな? 串刺し+毎日カラスによる攻撃でゆっくりどもはもう虫の息。 雨でも降ればさっさと楽になれるんだろうけどねえ…… あいにく最近は晴れてばかりで雨が降る気配はまったくないんだなこりゃ。 「おにーざん!おにーざん!ばりざだちをたずげてぐだざいっ!」 「ひどいごといっでごべんなざい!でいぶだちがげすでじた!ゆっぐりはんぜいじでいまず!はんぜいじで…ゆぎゃあああ!」 「ありしゅもゆっくちはんせいっちたきゃらぁぁぁぁっ!」 「むぐーっ!むぐぐぐぐ~~~~~っ!」 「ゆんぎゃああああ!まりしゃのこのよをみとおすせんりがんっなおめめがぁぁぁぁっ!」 「やだぁぁぁっ!もうごんなのいたいいたいのはいやだぁぁぁっ!」 おっといけない、いつまでも見物していたら学校に遅れてしまう。 名残惜しいけどもういかないとね。ゆっくりのせいで遅刻なんて洒落にならないよ。 じゃあねゆっくり案山子くん達。生きていたら下校時にまた会おう♪ 「あああああああっ!いがないでいにーざん!ばりざをだずげでぇぇぇぇっ!」 「とがいば!とかいばぁぁぁぁぁっ!」 「おうち!ゆぎゃっ!おう……ゆぎぃぃぃ!おうちがえるぅぅぅぅぅっ!がえらぜでぇぇぇぇっ!」 「むぐぐ~~~~!むぎゅぅぅぅぅぅぅぅっ!」 僕は背後から聞こえる心地よい悲鳴を後に、小学校に向かって駆け出していった。 まったくいい気味だ。ざまあみろと言ってやりたい……けど。 嫌いな野菜を食べられるようになったのはやはりゆっくりにバカにされたおかげかな? ま……そこだけはほんの少し感謝してあげてもいいか。 お野菜が大好きな野菜泥棒の野良ゆっくり達、ゆっくりしていってね! 「「「「「ゆっくりでぎないぃぃぃぃぃぃっ!」」」」」
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必要なのは助けてくれる人 ◆Mangas0mkg 「吉良さん……」 江戸川コナンは殺人鬼との戦いに身を投じていった仲間の事を思う。 吉良は果たして、あの戦いで相手をどうするつもりだろうか。 適当に相手をして、そのまま逃げ切るつもりなのか。 それとも、説得して殺し合いから手を引かせるのだろうか。 あの場にいないコナンには推理する以外に手はないわけだが、正直な話、どちらも考えにくい。 吉良の性格や能力から考えて、あの少女を生かしておくとは考えづらいのだ。 恐らく、彼はあの少女を殺す気で戦っている。 (どうする? 本当に吉良さんを一人にして良かったのか?) 倫理的に考えて、この場で殺人をするかもしれない吉良を止める事が良い、とは必ずしも言い切れない。 強制された人殺しの空間で、自分の身を守るために闘おうとする人は決して悪ではない。 仮に、あくまでも仮に、吉良があの少女を殺したとしても、裁判になれば吉良は無罪だろう。 それはコナンにも理解できる。しかし、彼は人殺しに対して絶対的な拒否反応を持っている。 頭のいい江戸川コナンは、倫理や道徳と言うものが必ずしも殺人を否定しているわけではない事を知っている。 あくまで、「知識として」ではあるが、世の中には殺人を肯定する倫理が存在する事を彼は知っている。 しかし、その知識をもってしてなお、「理解できない」のが殺人なのだ。 (やっぱり、彼をあのままにはしておけないよな……) 江戸川コナンが東の高校生探偵と呼ばれるまで、殺人事件を解決し続けたのも一つには殺人を嫌ったからである。 一度は足手まといになるからという理由で吉良にあの場を任せたが、やはり放っておけない。 坂田と違って、吉良は殺人を肯定する可能性がある。なまじ力があるだけに、あの少女を殺しかねない。 それに今回の場合、少女の方にも力がある。あの槍を用いた突撃力と攻撃力には目を見張るものがあった。 いつぞやの覚悟ほどではないにしろ、彼女は確かな力を持っている。 そして、その彼女が明白な殺意の下、吉良に攻撃を仕掛けてきたのだ。 間違いなく、あの場では殺人が起こりうる。 「……ねぇ、新八兄ちゃん。ルイズ姉ちゃん……」 コナンはやはり探偵だ。殺人を見逃して、自分だけが助かるなど、どうしてそんな道が選べようか。 「僕、ちょっと用事思い出したから、病院に戻るよ。先に行ってて」 「ちょっと、いきなり何言ってるのよ」 「用事って……まさか……」 コナンに吉良や、あの少女を止める力はない。そんな事は分かっている。 コナンにはスタンドを操る力もなければ、銀時のような剣術もない。 あるのは、探偵として養ってきた頭脳だけだ。 「うん、ちょっとね……」 そんなコナンが、何しに行くかを説明すれば、新八とルイズは止めるだろう。 この状況で、無力な人間が殺人を止めに行くのは、ほぼ不可能である。 その上、コナンは具体的な人殺し防止策を持っているわけではない。 そんな彼が、吉良の場所に戻ると言うのは即ち自殺行為なのだ。 「コナン君、まさか吉良さんのところに戻るつもりじゃ……」 「そ、そういう訳じゃないよ……ただ、ちょっとね……」 頭脳は大人と思っていても、すぐさま言い訳が思いつくほど状況に恵まれているわけではない。 だから言いよどんでしまう。 せめて、この場で使う言い訳ぐらいまともなものを用意したいところだが、手持ちの情報や道具が少なすぎる。 「あ、ほら……包帯とか持ってくるの忘れちゃったから、取りに戻ったほうがいいと思ってさ。 覚悟さんも怪我してるんでしょ。だったら、もう一回診てあげないと」 「アンタ馬鹿でしょ、病院にはあの大男がいるのよ、戻ったってしょうがないじゃない」 「で、でもさ……包帯や消毒薬は必要だよ。だって、これから怪我するかもしれないでしょ」 苦しすぎる言い訳だというのは自覚している。 しかし、それを差し引いてもあのまま吉良を放っておく事など出来ないのだ。 探偵としての勘が、あの場で殺人が起こる事を予言している。見てみぬ振りなど、出来るはずがない。 「コナン君、病院に戻るのは覚悟君と合流してからで構わないでしょ」 (それじゃ、間に合わねーんだよ!) 「で、でもさ、覚悟さんがどこにいるか分からないでしょ。だったら、いつ病院に戻れるか分からないじゃない」 「病院じゃなくたって、簡単な治療道具ぐらい手に入るよ」 やはり苦しい。四の五の言い訳して戻るよりは、はっきり人殺しを止めたいと言うべきかも知れない。 いや、それを言ったところで無駄か。 コナンには人殺しを止めたいと言う願いはあっても、力はないのだから。 「カクゴがどこにいるか分からないって言っても、病院に戻るわけないんだから、 カクゴを探すためにも病院には戻れないわよ」 ルイズや新八の言うとおりだ。 コナンは何を言っていいか分からなくなってしまった。 そもそも、いつものコナンであれば「あれれぇ~~なんか変だぞぉ~~」等と言って、 大人たちの注意をどこかに向けて、たった一つの真実に気付かせていく事が出来る。 しかし、それはあくまで真実がたった一つの場合である。倫理や正義のように複数の存在があるケースではあまり向かない。 今回、殺人を止めるために吉良の場所に戻りたいというのはあくまで、コナンの願望であって、 決して不変の真理でもなければ、唯一無二の真実でもないわけだ。 だから、いつものような推理を展開して、彼らを理路整然とした言葉で説得するといった事はとても出来ない。 恐らく自分が吉良を止めたいから戻る、と本当のことを言った場合、彼らは彼らなりの反論をするだろう。 そして、その反論の中には確かな正義が含まれているわけであって、コナンに反論の余地はない。 だから困るのである。 まして、今の自分は小学一年生の体だ。 ここに阿笠博士の発明品でもあれば、状況は変わったかもしれないが、生憎とそんな都合の良いものは置いてない。 とすれば、自分が戻る事は即ち、新八とルイズに「僕を見殺しにしてください」と言っているようなものなのである。 戻る事など、許されるはずもない。 せめて、何か武器があれば……状況も変わると言うものなのだが…… コナンはもう一度自分の支給品が何であったかを思い出してみる。 武器と呼べる物はヌンチャク一つ。それとて自分の体で扱っていては、とても吉良や坂田に及ぶとは思えない。 元々の高校生の体で使ったとしても、まっとうな戦闘力は得られないだろう。 自分の無力さを考えれば、やはり武器とは自動小銃あたりが適切と言えるのだが、 これでは間違って相手を殺しかねない。 優れた武器であり、相手を殺さない武器と言えば思いつくところは時計型麻酔銃か。 何にしても、武器はない。それがこの場での結論である。 「とにかく、コナン君。あんまりノンビリもしてられないしさ。 出来る限り早く覚悟君たちを探さないと、僕たちの命も危ないんだよ」 全くの正論だ。 いっそ、思っている事全てを吐露してしまうか。 その方が無理なく、相手を説得できるかも知れない…… と、そんな時だった。 コナンの視界に、なにやら小さな物体が入ってくる。 大きさは人間の赤ちゃんほどもない。キャタピラ駆動により前進する車体。 猫の耳のような突起がついた特徴的なしゃれこうべを前面につけて、まっすぐコナンたちを目指してくる物体がある。 「ね、ねぇ。あれって……」 見間違えるはずもない。あの猫の耳は間違いなく、彼の使っていたスタンドのもの。 (それが何で、こんな所にきているんだ?) 理由は分からない。だが、吉良は交戦中のはずだ。 その彼が突然、妙な戦車もどきを出して自分たちの後を追いかけさせた? 一体、何が…… (まさか……吉良さんに何かあったんじゃ……) 先の少女との戦闘で、吉良の命に危険があったとしたら。 そして、その危険を伝えるべく使者を寄越したのだとしたら。 「新八兄ちゃん、あれを受け取って、吉良さんからのメッセージかもしれない」 「え? あ、うん……」 新八はコナンの言うとおり、それを持ち上げようとする─── その時だった。 ボ ンッ! 何かが弾ける音が聞こえた。 咄嗟に後ろへと下がる新八。 突然、戦車が爆発したのだ。 「だ、大丈夫? 新八兄ちゃん」 「何とかね……」 一瞬の回避により、軽傷ですんだ。 とは言え、吉良からのメッセンジャーと思われた存在からの突然の攻撃に、一同は戸惑いを隠せない。 「あ、あれは一体……」 疑問が口に出るルイズ。 恐らく、勤勉な彼女の魔法知識をもってしても全く知らない存在であろう小型戦車。 「吉良さんのスタンドに似ているから、メッセンジャーか何かだと思ったんだけど……」 「冗談じゃない、ヨシカゲが何であんなのを送ってくるのよ!」 全くルイズの言うとおりだ。 見た目から、吉良のスタンドの一種だと推測したが、そもそもコナンはスタンドと言うものを知っているわけではない。 恐らく、スタンドは何人かの人間が持っているものであり、その外見は皆、猫の耳のようなものを持っているのだろう。 そう考えると、目の前の小型戦車がどうして、こちら側に攻撃してきたのか理解できる。 ……いや、下手に結論を急ぐのは良くないか。 あれが、吉良のものであるとか、ないとか、そんな結論は今の段階では出せない。 仮に吉良のものだと考えるとどうなる? 突然、新八を攻撃した事から考えて吉良に殺意が生まれたと言う事か。 いや、考えにくい。 この短時間に、自分たちへの殺意を吉良が育てるとは思えない。 とすれば、最初から吉良は自分たちを殺すつもりだったのか。 まぁ、この場は殺し合いの空間だ。考えられなくもない。 しかし、これは恐らく違う。実際の殺意の有無はともかくとして、吉良は殺意を隠して自分たちと接触してきた人間だ。 その人間が、自分のスタンドと同じ顔を持つ戦車で攻撃してくるとは考えにくい。 もしもここで、コナンたちを仕留め損なったら、吉良の立場が危うくなる。 それぐらいだったら、最初から殺しに来るだろう。 だとすると、これもない。 とすると、仮にあの戦車が吉良のものだと考えた場合、残された可能性は、吉良には明確な殺意がないという物になる。 恐らく、先の戦闘で使用した武器が何らかの拍子でこちら側まで来てしまったと考えるのが筋だろう。 そうすると、本人が来ないで戦車だけが来てしまった理由も理解できる。 (どっちにしろ証拠がないよな……) なんにしても、結論をこの場で出す事は出来ない。 普段の殺人事件と異なり、この場ではコナンの知らない事が多すぎる。 それよりは、今この場をどう切り抜けるかが先になる。 逃げるか? いや、成長したルイズや新八ならともかく、小学一年生のコナンが逃げ切れるとは思えない。 小型戦車はそれなりの速度を有している。逃げ切れないコナンを二人が放って置くとも思えず、結果として3人とも逃げられない形になる。 とすれば、闘うか? いや、それも難しい。 というより、小型戦車の性能が分からないため、難しいか易しいかの区別すらつかない。 まずは、敵の力を分析するところから始めたい所だが、生憎とそんな余裕もない。 「とにかく、アイツを止めるわよ」 一番に前に出たのはルイズ。 短い付き合いだが、彼女が激しやすい性格である事は十分に理解できる。 「ルイズお姉ちゃん、まだアイツの事が分かってない! 余計な事は……」 「近づかなきゃいいんでしょ」 コナンが言い終わるよりも先に、ルイズは杖の力を振るってメイジとして闘おうとする。 詠唱とともに、小さな爆発がルイズの前で起こった。 ファイヤーボール。かつて、ルイズがキュルケとの勝負の際に学院の壁を破壊した魔法だ。 ちなみに、本来のファイヤーボールとは大分趣を異にする。 「ルイズ姉ちゃん、離れて!」 モクモクと上がる灰煙の中、小型戦車の動く音が聞こえる。 戦車の見た目にふさわしく、ルイズの爆発にも全く動じていない。無傷。それが戦車の状況だった。 「逃げるよ!」 敵の戦力は分かった。 この場で最大の攻撃力を持つ、ルイズの魔法に動じない防御力。 それさえ分かれば十分だ。逃げ切れるとは思っていないが、それでも、『逃げ』が最善手であることに違いない。 アイツと闘う事なんて出来やしない。 だが、それを遮る人間がいた。いや、正確に言えば3人で逃げることを拒否した人間が。 「コナン君、ルイズちゃん、ここは僕に任せて逃げてくれ」 志村新八である。 「ば、バー……、新八兄ちゃん。いいから、逃げて!」 「僕やルイズちゃんはともかく、コナン君は逃げられないでしょ。だったら、誰かがコイツを足止めしないとさ」 新八の前に、小型戦車が迫り来る。 新八が斜め前に、移動しつつ小型戦車をかわすと、それに釣られて戦車も動きを変える。 「僕なら、こいつを引き付けたまま、この場で避け続けることが出来る」 道場を経営しつつ、養った足腰は一般人の中ではそれなりに強い。 だが、いつまでも避けきれるものではないだろう。 「で、でも……」 「それに、今さら僕も逃げられなくなったっぽいしね……」 新八の周りを、小型戦車は追い掛け回す。 必死でかわす新八であるが、その動きは徐々に狭い範囲の中に閉じ込められている。 「出来る限り早く、誰か助けを呼んできてくれると助かるんだけど……」 ほんの少し、弱気を見せる。 けれど新八の表情はいつも通り、落ち着いたものだ。 (アイツ……俺の前じゃ弱気すら見せられねーってのか? それとも何か策でもあるってのか?) 襲い掛かる戦車をよける新八の身体能力は意外に高いものだったが、 それ以上に妙に落ち着いているのが気にかかる。 「もう一撃、魔法を食らわせたら、ソイツも止まるわよ。シンパチ、耐えなさいよ!!」 再び、ルイズが魔法を使おうとする。 「だ、駄目だよルイズお姉ちゃん。魔法なんか使ったら、新八兄ちゃんが先に死んじゃう」 「コナン君の言うとおりだよ、ルイズちゃん。大丈夫、僕には最後の武器もあるしさ」 足捌き一つで、戦車の攻撃をかわしつつ、新八は強がりを見せる。 どう見ても、あと5分と持つまい。本当に、誰かの助けを呼びに行ってよいものだろうか…… いや、考えている時間はない。何かは知らないが、新八には最後の武器もあると言う。 ここは信頼して、助けを呼びに行くのが筋と言うもの。 「行くよルイズ姉ちゃん。すぐに新八兄ちゃんを助けられる人を探してくるんだ」 「う……うん……」 ルイズは、コナンに言われるがまま、その場から走り去る。 目指すものは、覚悟でなくてもいい、とにかく新八を助けられる存在。 ◇ ◆ ◇ 江戸川コナン、ルイズ・フランソワーズの2人が去った後。 アスファルトの上に残されたのは、新八一人と一体の小型戦車。 新八は何とか戦車の攻撃をかわしつつ、生き延びている。 そもそも、戦車が本来の性能を持っていれば、最初の一撃で新八は死んでいた。 戦車からの攻撃を咄嗟にかわす事など、通常はできない事である。 この戦車、名前をシアー・ハートアタックと呼ぶが、こいつはコナンの推理通り、吉良のスタンドである。 そして、この場ではスタンド能力は非常に強い制限を受けている。 さらに、新八などのどちらかと言えば、一般人に属する人々の制限は弱い。 結果として、最初の攻撃もかわせたし、今も戦車の攻撃をよける事が出来ている。 この事を考えれば、制限万歳、ビバBADANと言いたくもなるが、残念なことに新八はBADANの存在を知らない。 それと、避け続けて気付いた事だが、戦車はとても小さい。 キャタピラ駆動のためか、二本足の新八と違って段差がとても苦手。 車道と歩道の間の段差さえ、登るのに若干のタイムラグが発生する。 もちろん、これも実際は制限によるもので本来は車道と歩道の間の段差ぐらい、この戦車には何ら障害にならないのだが、 それはともかく、そこに気付きさえすれば、意外と長時間引き付けておくことが可能かもしれない。 けれど、そうは言っても、相手は執拗に人間を追い回す戦車である。 そして、人間に近づいたら、先ほどのように爆発する戦車でもある。 やはり、志村新八は侍として、こいつを放っておく事など出来はしない。 「何とかしないとな……」 新八に残された武器はたった一つである。いや、正確に言うと二つか。 だが、残りの一つはどうしても使いたくない。やはり、一つだけで何とかするべきだろう。 新八は小さく戦う決意をして、帯に挟んであったその武器を取り出す。 正直な話、相手の小ささや、不気味だけれども紛れもない猫耳に、あまり恐怖を感じていない。 もしも新八にスタンドに対する正しい知識があったなら、ここまで冷静に事態に対処することなど出来なかっただろうが、 そこは運に恵まれたと言うことだろうか。 武器を左手に持ち、敵の攻撃をかわしながら新八は冷静に攻撃の機会をうかがう。 (武器は一つしかない。相手が爆発する戦車と言うことなら、相手の爆発に巻き込ませて使うのが一番だろうな……) 観察すべきは、敵が爆発する瞬間。その瞬間に、覚悟とともに持ち帰った首輪を誘爆させる。 よく観ろ、敵の動きはとても単調だから間違いなくあるはずだ。 爆発するための、簡単な法則が。この戦車には存在するはずだ。 (さっきから、一回しか爆発してないんだよな……) 一度の爆発は自分の体が近づいたとき。 あの瞬間、この戦車はたった一度だけ爆発した。 その他は、自分の体ほどもある段差にぶつかっても、爆発していない。 何かに接触して、爆発するというタイプの戦車ではなさそうだ。 (だとすると、人体の何かを感知して爆発するタイプかな……) 単純な行動をする生物(?)が、人体を検出する機構に何か覚えはないか。 新八は、自身の記憶を手繰って、探してみる。 小さな生物。それでいて、自分たち人間を正確に追跡する生物。 (何かいたよな……) つい先日、あの憎めない警察の所で見た気がする。それに似た生き物を。 夏の風物詩と言ってもいい、あの生き物は人間を追跡する確かな能力を備えていたはずだ。 それも、複雑な高次情報処理により人の姿かたちを認識する人間とは違って、至ってシンプルな方法でだ。 (この執拗なまでに人間を追いかけてくる習性。そして、シンプルな行動。小さい体…… コイツは蚊だ。蚊と同じなんだ) 蚊と同じであれば、二酸化炭素を追跡し、人間の場所を検出しているに違いない。 と言うことは…… (コイツに口を近づけて息吐いて、誘爆させろっての? 無理! 絶対無理!!) いくらかわし方が確立したとは言え、顔を近づけて首輪とともに爆発させるなんて、自殺以外の何物でもない。 (はい却下。次の案プリーズ。 出来ることなら、僕が傷つかないやり方をお願いします。 ルイズちゃんみたいに遠くから爆撃できるやり方でお願いします) ま、実際には蚊だって顔近づけなくても血を吸ってくる生き物なんだけど、新八がそこに気付かないのはご愛嬌と言う事で。 はてさて、一体どうやって、この戦車を壊したらいいものか。 ◇ ◆ ◇ 「とにかく、あのまま新八兄ちゃんを放っておく事なんて出来ないよ。 すぐに助けを呼ばなきゃ……」 「分かってるわよ」 新八と離れたコナンたちは南側に進んでいる。 タイムリミットは非常に短く、救命人員に求められるスペックはとても高い。 だが、それでも、コナンたちは誰かを探してこなければならない。 「ね、ねぇ。アンタさぁ、本当に誰か見つかると思ってるの?」 時間制限は凡そ5分。 コナンたちの足を考えれば、マップ上一つマスのを探索する事さえ出来やしない。 そんな時間の中、誰かを探す。ほとんど不可能に近い。 現在、生き残っている人間が約40人。そして、残りのマップが60マス。 単純な確率で言えば、コナンたちと同じマスに他の人間がいる可能性はきわめて低い。 「アンタがさ、シンパチを放っておいたから……ってゆーか、そ、そもそも、ア、アンタが病院に戻るとか言い出したから……」 コナンにも十分、彼女の言わんとすることは分かる。 だが、現状とれる最善の策があれしかなかったのだ。 「アアア、アンタ分かってるわよね。もしも、シンパチが死んだら。アンタのせいなのよ。 さ、さっさとカクゴ達を探していれば、あのちっちゃいのにも会わないですんだのよ」 「分かってるって…………だから、早く誰かを探そう」 できる事は、味方の捜索以外にない。 ルイズの愚痴は気にかかるけれども、相手にしている場合ではない。 早く探さないといけない。 「もしも、シンパチを見殺しにしたら……アンタ、絶対に許さないからね」 「……うん」 だからこそ、探さなければならない。 慌てふためいて、叫ぶ事だけなら誰にだって出来る。 探偵として、江戸川コナンは冷静沈着に新八の助けを呼ぶ必要があるのだ。 そんな時だった、コナンの目の前の小道から一人の少女が顔を出す。 木刀片手に走る少女。そんな少女が突然、昼時の街の曲がり角でコナンの目の前に現れた。 「新八がどうかしたアルカ?」 道のど真ん中、少女は自己紹介もコナンたちの素性確認もすっとばし、突然新八のことを聞いてくる。 「新八を見殺しって、どういうことアルカ!?」 微かではあるが、木刀を持つその手が震えていることに江戸川コナンは気付いた。 【F-5 北東(大通り)/一日目 午後】 【神楽@銀魂】 [状態]疲労、精神的に不安定 [装備]木刀正宗@ハヤテのごとく ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(30×2)@HELLSING [道具]支給品一式 拡声器@BATTLE ROYALE [思考・状況] 基本:殺し合いには乗っていない人は守る、乗っている人は倒す 1:病院に行き、銀ちゃん(銀時)を捜す。 2:新八を見殺しって何? ってか、こいつら誰? 3:帰る方法を考える。 [備考]・原作18巻終了後から参戦。 【江戸川コナン@名探偵コナン】 [状態]:健康 [装備]:ヌンチャク@北斗の拳 [道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ [思考] 基本:仲間を集める。 1:新八を助けられる人を探す。目の前の少女を確認して、助けを求める。 2:灰原哀、服部平次、新八の知り合い(神楽)と合流する。 3:覚悟さん達と合流 4:ゲームからの脱出 5:ジグマールを警戒 [備考] ※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。 ※自分達の世界以外の人間が連れてこられていると薄々感づきました。これから、証拠を集めて、この仮説を確認しようとしています。 ※川田、ヒナギク、つかさの情報を手に入れました。 【ルイズ@ゼロの使い魔】 [状態]:右足に銃創、中程度の疲労、強い決意、精神不安定 [装備]:折れた軍刀 [道具]:支給品一式×2 超光戦士シャンゼリオン DVDBOX@ハヤテのごとく? キュルケの杖 [思考] 基本 スギムラの正義を継ぎ、多くの人を助け首謀者を倒す。殺人者に対する強烈な殺意 1:新八を助けられる人を探す。 2:覚悟達と合流 3:覚悟が戻ってきたら、スギムラを弔う [備考] ※川田、ヒナギク、つかさの情報を得ました 【F-4 南部(大通り)/一日目 午後】 【志村新八@銀魂】 [状態]:腕に軽い火傷、疲労(中)、軽いパニック [装備]:なし [道具]:基本支給品、陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた、首輪 [思考]基本:仲間を集める。 1:目の前の戦車を破壊する。 2:コナン、ルイズが戻ってくるまで待つ。 3:銀さんと神楽ちゃん、コナン君の知り合い(服部平次)と合流する. 4:覚悟君達と合流 5:杉村くんを弔う 6:ゲームからの脱出 7:ジグマールを警戒 [備考] ※川田、ヒナギク、つかさと情報交換をしました。 ※シアー・ハートアタックが二酸化炭素を追跡してくるものだと勘違いしています。 【シアー・ハートアタック@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:なし [思考]:なし、単純自動行動。 [備考] ※制限のため、一般人でも何とか回避可能なスピードで攻撃してきます。 146 更なる舞台(ステージ)へ 投下順 148 『歯車』が噛み合わない 146 更なる舞台(ステージ)へ 時系列順 148 『歯車』が噛み合わない 130 絡み合う思惑、散る命 江戸川コナン 155 万事屋銀ちゃんの店仕舞 130 絡み合う思惑、散る命 ルイズ 155 万事屋銀ちゃんの店仕舞 130 絡み合う思惑、散る命 志村新八 155 万事屋銀ちゃんの店仕舞 137 漫画キャラバトルロワイアル0点・家出編 神楽 155 万事屋銀ちゃんの店仕舞
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前 さっそく、まりさは自分の巣にれいむを案内した。 まりさの巣は、長老クラスに次いで群れの中で一番大きかった。 群れへの貢献から、まりさは立地条件の良い巣を譲ってもらい、それを拡張したのだ。 きっとれいむも満足してくれる……にんまりとまりさはほくそえんだ。 「ゆふ~ん、だーりんのとことくらべるとせまいけどまぁまぁだよ。ゆっくりしてあげてもいいよ。」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 凄いゆっくりプレイスを作れるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 「じゃあまりさはかりにいくから、れいむはゆっくりしていくんだぜ」 「ゆっくりがんばってね。」 まりさはれいむに親愛のすりすりをしてもらうと、元気に出ていった。夫婦としてのすりすり ではないことがまりさには悲しかったが、離婚したばかりなのだ。時間が経てばまりさにもきっと 愛情のすりすりをしてくれるはずだ。 ムカデ、ダンゴムシ、イモムシ、桜の葉、クローバー、大きな蛾。 頬に一杯食べ物を詰めてまりさはれいむの待つ巣に帰ってくる。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「むーしゃ、むーしゃ、それなりー。だーりんのとことくらべるとまずいけどまぁまぁだよ。 ありがとうね、まりさ!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 美味しい食べ物を採ってこれるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 食事の時間が終わり、まったりとした空気が流れる。 まりさはれいむの頬にこすりつけ、だんだんとスピードをあげていく。 いつの間にか体もぶるぶる小刻みに震る。目つきがとろんとしてくる。 つい、劣情に駆られてしまうのを止めるのも野暮なものだろう。 特に今日はあの美れいむをようやくつがいとして向かえた後である。たまりにたまっているのだ。 当然、交尾の時間となる。 「ゆっゆっゆっ……」 ねちゃねちゃとした、粘っこいものが糸を引きそうな音を出してこすり合わせる。 「ゆゆゆゆ……ゆっゆっゆっ……」 「…………」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 「…………」 二匹のほお擦りは加速していく。だが、興奮するまりさを尻目に、れいむはどこか冷めていた。 「ゆっゆっ……んほぉぉぉぉ!!!」 「すっきりー!!!」 「すっきりー」 二匹の交尾は終わった。 「ゆゆっ、まりさはそーろーだね。だーりんのとくらべるとへたくそだけど、しょうがないよね。」 「ゆあああああああ!!!どうじでぇぞんだごどいぶの~~!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。しかも、ボロクソに文句を言っている。 あの人間と比べられるのは癪だけど、意味が分からない。どう頑張ったところで、ゆっくりである自分より人間 がれいむをすっきりさせられるわけがないのだ。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。いまはすっきりーできないけど、おちびちゃんができるのは まりさだけだから、まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 そう思わなければ、まりさを支えるプライドが持たないのだ。 まりさの名誉のために言えば、人間と比べることが間違いなのだ。 そもそも、ただでさえ惰弱なゆっくりが交尾のときは完全な無防備になる。 野生の生物は交尾は早ければ早いほど良いのだ。 気持ちよさなど二の次、とにかく受精したら即警戒態勢に入る必要がある。 ゆっくりも、ご多分に漏れずそのパターンだった。 対して、男がれいむをすっきりーさせていた場合、天敵はいないためいくらでも時間をかけることができる。 手も足も道具もある人間のほうが、ゆっくりよりバリエーションも多いのは当然のことだ。 しかも、悲しいことに人間の足ですっきりーしまくったれいむと違って、まりさは初めてだった。 れいむを思うあまり、ほかのゆっくりに見向きもしなかった結果がこれである。 それでも、何とかれいむを妊娠させることが出来た。 胎児型の出産になるので、2週間後には元気な子供が生まれるだろう。 れいむが来てからの数日、まりさは全然ゆっくり出来なかった。 まりさがどんなに努力しても、れいむはそれなりにしか喜んでくれない。 いや、それはいい。愛するれいむのためなら、どんなに苦労しても、喜んでくれるまで頑張れる。 ただ、常に人間と比べられるのは我慢ならない。どうやっても勝てないと分かっているだけに、まりさ としても嫉妬しようがない。やり場のない怒りを覚えるだけである。 それでも、子供さえできれば……子供さえ出来ればきっとれいむはまりさの良さに気付いてくれる。 そんな願望に近い思いでまりさは耐えていた。 とうとう、出産日を迎えた。 「ゆゆ!?れっれいむ!ゆっくりがんばるんだぜ!!ゆっゆっふー!ゆっゆっふー!」 「が、がっばるがだで!でいぶがっばるがだで!!」 閉じていたれいむの産道が、今にも爆ぜんばかりに開き……ポンと1匹のでかいゆっくりを出産した。 「おっ、おじびじゃん!ゆっぐりじでね!!ゆっぐりじでねぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 れいむは涙ながらに喜んだ。最愛の娘との対面だ。ずっと、ずっとこの子をゆっくりさせてあげよう。 「ゆっくりしていってね!!」 まりさも嬉しかった。長年夢見ていたれいむとの家族だ。嬉しくないはずはない。 「おかーしゃん…?」 「そうだよ!おちびちゃんのおかーさんだよ!」 「ゆっくりしていってね!!というんだぜっ!」 「ゆっきゅり…ちて…いっちぇね」 「そうだぜっ!!がばいいんだじぇぇぇ!!!!」 「れいむ、みるんだぜっ!!とってもゆっくりしたおちびちゃんだぜっ!!」 「ゆー♪そうだねっ!!だーりんもよろこんでくれるよね!!」 静寂 「ゆぶぶぶぶ…………。もういやだぁぁぁ、ゆっぐりじだいんだぜぇぇぇぇ!!」 「ゆゆっ? どーしたの?まりさ。ゆっくりしていってねっ!!おちびちゃんがこわがるでしょ!?ぷんぷん」 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっぐりざぜでえええええええ!!!」 何も変わらなかった。 何一つとして、変わらなかった。 れいむは、まりさがプロポーズしたときから変わってなかった。 れいむの目に、まりさはつがいとして映らなかった。 「で、でいぶばあどじじぃとまりさとどっじがずぎなんだぜぇ!!!!」 れいむはまりさを受け入れてくれたはずなのに、いつまで経ってもあの男の子とは忘れない。 とうとう我慢できなくなったまりさは禁断の言葉を口にした。 「ゆゆっ?そんなの決まってるでしょぉぉおぉ!!まりさはばかなの?」 れいむは即答した。 そうだ、決まっている。 「まりさのほうがすきにきまってるでしょっ!!」 ああ、よかったんだぜ。れいむはやっぱりまりさをあいしているんだぜ。 それなら、まだがまんできるんだぜ。おちびちゃんたちがおおきくなるころにはきっと、 こんどこそまりさとゆっくりできるんだぜ。 「あいしているのはだーりんだけだけどね♪まりさったら、なにいわせるの?はずかしーよ!」 「…………でてってね。」 能面のような顔でまりさは静かに言った。 「ゆっ?」 「まりさのゆっくりプレイスからでていくんだぜぇぇ!!」 そう言うやいなや、まりさはれいむに体当たりを喰らわした。 れいむはまりさをあいしていなかったんだぜ。 そんなれいむとはもうゆっくりできないんだぜ。 「ゆべっ!」 「やめてよねっ!れいむがほんきになったらまりさにまけるわけないでしょっ!!」 いくら、まりさの戦闘力が高くとも、栄養状態の違いから固体の大きさが違いすぎる。 出産の疲れはあるものの、子供を守ろうと強い意志を持つれいむにまりさが勝てる道理 などなかった。 「“かてーないぼーりょく”をするまりさとはゆっくりできないよっ!!りこんするよ!!」 よかった。なにはともあれ、れいむはでていくんだぜ。 これでゆっくりできるんだぜ。 「“いしゃりょー”と“ざいさんぶんよ”をもらうねっ!!あと、“しんけん”はれいむ のものだよっ!!」 「ゆうううううううううううううう!!!やっ、やめるんだぜ!!まりさのたからものをかえすんだぜ!!」 「やべでー!!ばでぃざのだべぼのどらないでぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないいいいい!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ば、ばでぃざのべっどがぁぁ!!」 「じゃあ、これぐらいでいいよっ!!」 そうれいむが言ったあとは酷い様子だった。まるで強盗にでも合ったかのように、家はめちゃくちゃに荒らされた。 まりさが群れを救ったとき、長老達からもらったきれいな石。 まりさがれいむのために寝る間を惜しんで狩りした結果、たまった餌。 都会派のありすから貢いでもらった綿。 まりさの大切な物はほとんど全て奪われた。 「ゆゆっ!じゃあれいむはおうちにかえるね。まりさ、“りこん”したけどこれからもれいむの“しんゆう”でいてねっ!」 「もうにどとくるなだぜぇぇぇぇ!!!!」 ゆ、れいむがあんなにゆっくりできないゆっくりだったなんて……。 今までの思い出を振り返り、まりさは静かに涙を流し続けた。 でも、これでわかったんだぜ。まりさにふさわしいのはありすだぜ。 これからはありすのおもいにこたえるんだぜ。 まりさは気付かなかった。 散々大見得をきって人間のところに行ったものの、完膚なきまでに叩きのめされ、れいむにお情けでつがいにしてもらったのに、 れいむをゆっくりさせることが出来ずに三行半を突きつけられ、挙句実力行使でもれいむの返り討ちにあったまりさが群れのゆ っくりの尊敬を集めるわけなどないことに。 ありすが、れいむに対するまりさほどに辛抱強くないことに。 まりさがれいむと別れるまでの間は、ありすにほかのゆっくりとつがいになるのに充分なほどに時間が過ぎていることに。 「ゆゆっ!ただいま、あなた。」 「ああ、れいむか。久しぶりだね。その様子だと上手く行ったようだね。」 「ゆほーん、かわいいおちびちゃんだよっ!!」 あの晩、男とれいむの会話はこうだ。 「ゆゆ……あなた、ゆっくりきいてね!!たいせつなおはなしがあるの。」 「なんだい、れいむ。急に」 「れ、れいむはおちびちゃんがほしいよ!」 「ほほぅ?だが、僕は君に種付けることはできないよ。お隣さんに頼んで、ゆっくりを貸してもらっても良いが」 「ゆ~、あのねっ!れいむには“しんゆう”のまりさがいるの!!すっごくゆっくりできるんだよ!」 「成る程、じゃあそのゆっくりと子作りをしたいわけだ?」 「ゆっ!そうだよっ!でも、まりさはれいむがあなたとけっこんしている“ひとづま”だってしってるんだよっ! だ、だから、だからでいぶどりごんじでねぇぇ!あなだのごどあいじでるど、ゆっぐぢりがいじでねぇぇ」 途中から涙声になる。 「ああ、別に構わんが、群れに帰るのか。寂しくなるなぁ~」 「ゆゆっ!あなた、あんしんしてねっ!!おちびちゃんがうまれたら、“さいこん”しようねっ!! すこしのあいだだけど、がまんしてね!!」 ほ~。仮想離婚か。なかなか考えるなぁ。ゆっくりなのに。 「そのまりさは、うんというのかい?」 「だいじょうぶだよ、あなたっ!!れいむはまりさのことがだいすきだし、まりさもれいむのことがだいすきだよっ!! あいしているのはあなただけだけど、“しんゆう”のまりさはずっとれいむとかぞくをつくりたがってたしねっ!! きっと、まりさもゆっくりできるよ!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 元ネタは童話の「ねずみの嫁入り」(そんな名前だったような気がする) お家宣言して潰されるのなら、お家の人になってしまえば良いじゃない。 かいたもの 甘い話には裏がある。 このSSに感想を付ける