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「おめでとう、これでお前も、自分の夢のスタートラインに立てたってことだな」 「はい! 全て先生のお陰です!ありがとうございました!」 「何を言ってるんだ、先生は何もしてないよ ここまで這い上がってこられたのは、どれもこれもお前自身の力 先生は、こうしてお前と面談を繰り返しただけだぞ?」 「いえ、先生の後押しがあったからこそ、僕はここまで来られたんです! 先生が、夢を見る事の楽しさや、努力する事の大切さを教えてくれたから・・・ 僕は、先生から学んだことは一生忘れません!」 「っははは、いやぁ、参ったな」 照れくさそうに、先生は微笑んで頭を掻いている そんな姿を見ていると、僕も嬉しくなってしまう 僕は藤原ユウジ、高校3年生 とはいっても、これからは大学1年生になるんだけど そう、僕はこの春、音楽大学に入学する 幼い頃からの夢だった、ミュージシャンになる為に でも、僕はとても音痴で、音楽の成績はいつも底辺だった 周りから馬鹿にされ、イジメの対象にまでなった 小学4年生の時に既に諦め、高校に入る頃には疾うに忘れていたその夢を再燃させてくれたのが、 他でもない今僕の目の前に居る、夜墨 玄(ヤスミ ゲン)先生だった 墨夜先生は若くてとても人柄が良く、生徒からも信頼されている先生だ 中でも、進路指導をしている時の彼は人気がある 将来の夢や希望について真面目に聞いてくれるし、それについて色んなアドバイスもしてくれる 良い先生だけれど、その苗字と、教師なのに頻繁に寝坊して遅刻することから、 生徒達には『お休み先生』と呼ばれて親しまれている 「それに・・・」 と、さっきの言葉に続いて僕はポケットに手を入れ、中の物を取り出した 狐、ライオン、山羊の、3つのストラップ どれも、先生が面談が終わる度に、お守り代わりだと言ってプレゼントしてくれたものだ 「先生から頂いたこのお守りが、僕を支えてくれていましたから」 「おぉ、まだ持っていたのか。本当に几帳面だな藤原は」 やや呆れながらも笑顔を絶やさない夜墨先生 けど本当は、もう1人支えてくれた人がいる いつも赤いリボンで髪を纏めている、僕の幼馴染、立花マナさん 彼女だけは僕の夢を笑わずに、小学生の時から高校生になっても、ずっと応援してくれていた そんな彼女に、僕はいつしか好意を抱いていた だから決めたんだ 今日、この後マナさんに会って、そして―――― 「―――では、僕はそろそろ失礼します。3年間、お世話になりました!」 「あぁ。これからはお前1人で夢に向かって走っていくことになるだろう だが、お前は1人じゃない・・・それを忘れちゃダメだぞ 何かで躓いたり立ち止まりそうになったら、両親や友達に遠慮なく相談すれば良い 勿論、先生だって構わない」 「はい、ありがとうございます!」 深く頭を下げて、先生に背を向けた 「っと、藤原、先生からの最後のプレゼントだ」 と言って、夜墨先生は僕にそのプレゼントを投げた 可愛らしい、熊のストラップ 「重ね重ね、ありがとうございます! 大切にさせて頂きます!」 僕はそれを握り締めて、ポケットに入れると、斜陽で橙色に染まった教室から出る為に引き戸に手をかけた 「失礼しましt――――――――」 力を入れた、瞬間だった 頭から爪先まで、一気に力が抜けた感じがして 僕はその場に、膝をついた 「――――――え?」 同時に、何故だか分からないけど、全てがどうでもよくなっていく気がした ミュージシャンなんてなれなくても良いかも知れない 大学なんて別に行かなくても良いかも知れない 夢も、希望も、これまでの努力も、一切が無駄だったような気さえする 「おい、大丈夫か藤原?」 夜墨先生が身体を起こしてくれた 走っても無いのに息が苦しくなった僕は、深呼吸をしながら言葉を紡ぐ 「す・・・みま、せ・・・大、丈夫、でs」 「なぁんてなぁ!!」 突然、僕の身体は床に叩きつけられた 直後に、踏みつけられるような圧迫感――いや、本当に踏みつけられていた 僕の事を、3年間支え続けてくれていた筈の、夜墨先生に 「ガキの分際でいっちょ前にくだらねぇ夢見てんじゃねぇよバーカ!!」 2度、3度と踏みつけられ、蹴られる これが夢なら、今すぐにでも覚めて欲しかった 「知ってるかァ? “熊”は「七つの大罪」の「怠惰」を司る・・・ お前が今そんな状態になってんのは、俺がさっき渡したストラップの所為なんだよォ!!」 「え・・・え?」 意味が、分からない 「七つの大罪」だとか、ストラップを持つだけで何故こんなことになるのかとか、そんなことじゃなくて 「どう、して・・・先生が・・・」 「まァ1回全部聞けよ、そういう効果があるのは“熊”だけじゃない まずは最初に渡した“狐”・・・あれは「強欲」を司る お前の夢に対する欲を高める為に使った」 「――――――――っ?」 「そして“ライオン”は「傲慢」・・・そのお陰でお前が自分の音楽の才能を過剰評価するようになった 最後に“山羊”・・・「色欲」で想い人を手に入れようと必死になりだした さァ、もうどういう意味か分かるよなァ!?」 「う・・・うそ、だ・・・」 僕の、夢も、希望も 全部―――――――――――――――――作り物? 「嘘だ、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!」 願っていたことが、全部嘘だった 信じていた人に、嘘を吐かれていた じゃあ、なにがホントウなの? 「きひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!! あァその顔だァ!! 何もかもに裏切られ、何もかもを信じられなくなったガキの顔!! その顔が見たくてこの仕事続けてんだよなァ!! 教師って最高だよなァ!!??」 なにもきこえない なにもききたくない それでも、次の言葉ははっきりと耳に入った 「さっきの娘にも見せてやりたかった・・・喰わずに置いといた方が良かったかァ?」 「・・・さっ、き・・・娘・・・」 僕は思い出してしまった 彼女――立花さんは、僕が先生と面談する前に、先生に呼ばれていた事を 「へェ、分かったのかァ?」 するりと、せんせいがてにとったもの 真っ赤な、真っ紅なリボンだった 「美味かったぞォ、立花マナ・・・血の味も、別の味もなァ?」 う そ だ 「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」 なにもかんがえたくない なにもしたくない もう生きたくない 死 ニ タ イ 「・・・あ゙ァ美味かった、次はどんな“夢見るバカ”を喰おうかなァ?」 ...fin 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
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いつの間に通信 ニンテンドー3DSのいつの間に通信を利用した配信関係の情報 過去に配信された内容についてはメダロット通信内容に記載 概要 『メダロット7』に関する最新情報「メダロット通信」が不定期に配信。(※2024年4月9日午前9時をもってサービス終了) 付録としてメダルやメダリア、ロボトルの対戦チームデータなどが添付されている。 登録・受信方法 タイトル画面から設定を行うとメダロット7のいつの間に通信が登録される。 無線LANによるインターネット接続が可能な空間に居れば、画面を閉じてスリープモードにしていても自動で通信を行い、いつの間にか配信データを受信する。 データを受信している場合、3DSメニュー画面のソフトアイコン右上に●が表示され、それと同時に3DSのおしらせリストにも通知が入る。 データ受け取り方法 ゲームを第2章内で受けられる「通信検定」を合格するところまで進め、 メダロッターズ 1F 右側のカウンター(メダルの名前を変更するところ)で「プレゼントを受け取る」を選択する。 注意! 1度の配信によるプレゼントを受け取れるのは1つのセーブデータのみ 例えば、セーブデータ1で第一回目の配信「キャットメダル」を受け取った後、 まだ受け取っていないセーブデータ2で第一回目の配信「キャットメダル」を受け取ることはできない。 もし他のセーブデータでも配信データを受け取りたい場合は… メダロット7のタイトル画面で『いつの間に通信』を選択↓一度「B:いいえ」を選択↓再度タイトル画面で『いつの間に通信』を選択後↓「A:はい」を選ぶ すると3DSのおしらせランプが青く点滅するので、配信を受け取っていない別のセーブデータで もう一度メダロッターズのサービスカウンターに行くと、プレゼントを受け取ることが可能となる。 プレゼントを受け取った後、セーブせずにソフトを終了(リセット)するとプレゼントは消えてしまう プレゼントを受け取り後にセーブせず終了してしまった場合は、再度ロードしても受け取ることが出来ない。 この場合も上記方法でもう一度受信することができる。 既に受信済みのセーブデータでプレゼントを受け取ろうとしても、「新しいプレゼントはありません」となり、配信内容が消滅するので、この場合も必要に応じて再受信する必要がある。 また、上記の方法だけでは配信された対戦チームのデータは再受信できないので、その場合は対戦データ再受信方法をご覧ください。
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てつのつるぎ 種類 ちから かしこさ みのまもり すばやさ 剣 25 0 0 5 技名 属性 対象 威力 補足 三段斬り 打撃 敵単体 ★★ 物理・会心★ 回転斬り 打撃 敵全体 ★★ 物理 補足 どちらの技も打撃属性である。 カードの剣に比べて威力は低めだが、命中率は高く安定してダメージを与えられる剣。 威力ははがねのつるぎの方が高いので、できればそちらを使いたい。
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【登録タグ CD CDひ 全国配信 林田匠CD】 前作 本作 次作 - ひみつのうた - 林田匠 流通 配信 発売 2021年2月13日 価格 ¥900 レーベル KARENT CD紹介 人気曲「Penguin s Detour」等7曲を収録した林田匠の1stアルバム。 アートワークは本人によるもの。 曲目 ドウズ Penguin s Detour GLEN PLAID 驢馬が笑う よそゆき フォールン・バケット あかつき散歩 リンク KARENT コメント お願いだから帰ってきて -- 名無しさん (2023-10-12 22 31 52) 帰ってきたよ、、。 -- 名無しさん (2024-02-23 22 55 59) 名前 コメント
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【検索用 ひみつのしょうかくせい 登録タグ 2019年 VOCALOID YouTubeミリオン達成曲 ぬくぬくにぎりめし ひ 曲 曲は 歌愛ユキ 殿堂入り 稲葉曇】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:稲葉曇 作曲:稲葉曇 編曲:稲葉曇 イラスト:ぬくぬくにぎりめし 唄:歌愛ユキ 曲紹介 曲名:『ひみつの小学生』(ひみつのしょうがくせい) 稲葉曇氏 の12作目。 「歌愛ユキ生誕祭2019」に合わせてリリースされた楽曲のひとつ。 歌詞 ゆめから覚めた 小学生 ひらがなだけで生きのびて 百点満点は今だけしか 手に入らないから たくさんの たくさんの 感じょうを ランドセルにつめこんだ あなたの声と声を 切り取って 切り取っていく 知らない愛、世界をさがすために あなたの声と声をきいて こころに写していく 知らない言葉の中身を学んでいる あたしはひみつの小学生 ゆめの答えは 小学生 学校中を歌でひびかせても 会えないことは知っているけど たくさんの たくさんの 宿題を もらった声で といて といて あなたの声と声を 切り取って 切り取っていく 知らない愛、世界をさがすために あなたの声と声をきいて こころに写していく 知らない言葉の中身を学んでいる 大人になって 失ったって どうにかなるもんで 知ることができないのは おたがい様 もらった声は 無げん大 あたしはどこにもいない? あなたの声と声を 切り取って 切り取っていく 知らない愛、世界と出会うために あなたの声と声をきいて こころにえがいていく 知らない言葉をくり返し 声にするだけなの あたしはひみつの小学生 あたしはひみつの小学生 コメント もしかして小学校で習う漢字しか使ってないのかな、歌詞 -- 名無しさん (2019-12-05 10 21 40) 早く殿堂入りして欲しいー! -- 名無しさん (2020-03-23 23 17 19) まさに「VOCALOIDの歌愛ユキ」のことを歌っていて、ユキへの愛を感じる -- 名無しさん (2020-06-01 13 43 51) CD化超期待 -- 名無しさん (2020-06-01 16 18 05) やったー!殿堂入りおめです! -- 名無しさん (2020-11-24 12 09 27) wowakaさんへのリスペクトがめちゃくちゃ伝わる -- 名無しさん (2021-01-31 16 23 33) これの何が凄いって大人が聞いても子供の気持ちになれる所だよ。 -- 名無しさん (2023-07-23 12 28 38) 名前 コメント
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製作者 磁石 出場大会 第十回大会 経歴 設定 『シード』 不老不死を実現するために、数十の科学者が極限の頭脳を結集した。 人間に想像できる事が実現しない筈はない。そう考えて、昼も夜もなく研究に励み、1つの成果を導き出した。 不老不死を実現するために、数百の被験体が最底辺の地獄へと堕とされた。 『不死身処理実験』の名の下で死という絶対の安楽を毟り取られ、用済みとなれば宇宙の果てへと破棄される。 被験体の中から生物史上の最強へと迫った者が現れ、英知の結晶たる『科学タワー』を脅かす事になるとも知らず――研究は続いた。 1人の若き科学者が。まるで 神 のように若き科学者が、軽々しく不老不死の概念を覆すまでは。 「不老。そんな物は存在しない。時の流れを逃れ得る生物など、居る筈がない」 「不死。そんな物はどこにだってある。生きていない物は、死なないのだから」 『科学タワー』の広大な研究発表室の中心に立ち、その男は演説した。 研究に携わってきた者全ての努力と時間を覆す、真理へと近づいた言葉を。 「我々が真に求めるべき存在とは。動き続ける者。歩み続ける者。進化し続ける者。そうして、老い続ける者だ――!」 ◆ 男が提唱した理論により、不老不死を実現しようとしていた研究室はあっさりとその意義を失った。 そして、その代わりに――新たな理論を証明してみせようという、狂おしいまでの熱意に駆られていた。 必要とされたのは『適応力』。命を守るために進化する力。 衝撃に、高熱に、低温に、電流に、深海に、高空に、宇宙に。 ――適応する。抗わず、受け入れる。 研究の初期から痛覚の除去実験は行われ、そして功を奏していた。 『被検体NO.01』……不死の『種』となる生物は実験の過酷さを度外視して生き続けることが出来たのだ。 時間が流れるに連れて実験に銘打たれた番号の桁は増していき、研究員達はそのたび歓声を上げた。 誰も苦しまないのだ。被験体は笑顔で実験をやり遂げ、今回も生き残れたと嬉しそうに告げる。 もっと実験を。もっともっと試験を。もっともっともっと、危険を。 世界がどんな状況に陥ろうとも、人々の為に在り続けられる生き物を――。 これこそが、『我々の計画した最強の生命体』なのだ――! ◆ 撒き上がる土煙。或いは血煙、そして香る死臭。 最高級の嗅覚は数十メートル離れた場所からでも戦いの臭いを感じ取り、危険信号を全身へと行き渡らせた。 保護対象であった大統領は既に死亡したとの報。 与えられた役目は、収容所より脱獄した能力者達の抹殺――そして。 スターベン・メヒトの確保。不老不死実験の最悪の被害者にして、脱獄囚達を率いる存在の捕縛。 「……技術は進歩した」 あらゆる生物の頂点に立つ、人智を超えた人智の結晶体――満を持して繰り出される、対能力者部隊の 切り札 。 『被検体NO.01』……『シード』とのコードネームを与えられた1匹の獣は、巨大な無人輸送機のコンテナから広場を見下ろした。 吐き出される言葉は穏やかな響きを秘めているようでいて、強烈な敵意が満ちている。 「確かめてやろう、スターベン・メヒト。古き古き、お前の 不死 と」 「世界の最先端たる俺の 不死 。そのどちらが本物かをな」 シードは死刑を宣告するかのように冷たく呟いた後、一切の躊躇いもなくその身を空中へと投げ出した。 地上が迫ってくるに連れ、シードの総身の毛が黒く重く変化していき、近接の攻撃に適している棘だらけの形を作る。 鋭い牙が並んだ口中から覗く、2つの小さな小さな目。 それらは赤く輝くと、温度を感知する神経を新たに生成して、戦場の全てを見通す助けとなった。 能力と能力の衝突、暴威の嵐が吹き荒れる中――シードは咆哮を上げ、降り立った。 【説明】 理念を一新した『不老不死実験』の下で生み出された獣。 彼1匹だけで気の遠くなるコストが必要とされた為、いわゆる『被験体NO.02』はまだ存在していない。 基本的に『不老不死実験』自体が秘匿された実験なので、研究所の外の世界を見た事はない。 しかし戦闘を前にした彼の脳は戦闘専用に作り変えられる為、今更、景色程度で戸惑いはしない。 【性格】 自分を作り、育て上げてくれた研究員たちに絶対的な忠誠心を寄せており、彼らの為に力を尽くそうとする。 尚且つ、彼らに害を成した脱獄囚達への敵意は深く、一人たりとも取り逃がさずに拘束するつもりでいる。 基本的に冷静であるが、彼が 因縁の相手 としているスターベン・メヒトと対峙した時にだけは我を忘れ、攻撃を仕掛ける。 【基本情報】 全長:4m30cm(可変) 体重:250kg(可変) CV:銀河○丈 【能力】 ・身体の構造について 非常に大きく、凶暴な二足歩行の兎のように見えるのは、実の所『外皮』。 本体はその喉の奥に居る黒い猫のような部分で、本体が残っている限り、死んでしまう事はない。 直接的に見聞きするのは外皮だが、それを受信して思考するのは本体の役目である。 ・外皮の『適応力』について 外皮の体組織には『不死』をコンセプトにした、超進化を実行し続ける細胞が組み込まれている。 これは周囲の環境、状況に応じて形や性質が変化する力であり、彼は理論上どんな場所でも生き続けることが出来る。 また、外敵からの攻撃に対しても適応は実行され、同じ攻撃が2度以上通用する事はない。 尚且つ、予想し得る危機に、事前に対処するような適応も可能である。 但し、リソースを効率的に使うため、使えないと見なされた能力は速やかに破棄される。 ・本体の『適応力』について 本体は子犬にさえ勝てない程度の力しかないが、その引き換えに脳が凄まじく強靭な性質を持つ。 相手の構造や攻撃方法を分析し、それに合わせて最も効果的な行動を導き出せるのである。 身体的な適応能力は皆無なので、攻撃を受けることは容易く致命的損害へと繋がる。 いざとなったらひっかき攻撃を繰り出す。 ・欠陥について 状況の度合いによっては、免疫のアレルギー反応のような過剰な適応をもたらす事もある。 危険すぎる状況は過剰な防御力、危険な敵との相対は過剰な攻撃力を生み、その他の能力に割くべきリソースまで使用してしまう。 また、本体と外皮の適応の方向性には僅かなジレンマがある。 本体が外皮に適応してほしいような性質と、外皮が反射で行う適応に差異が生じる事もあるということである。 補足
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712名無しさん@実況で競馬板アウトほす2009/02/17(火) 06 26 00 ID akNM3IKnO http //imepita.jp/20090212/820790 闇「クックク…出でよ、忠実なる闇の使徒…」 藤岡「こ、これは…なんて威力だ…」 闇「甘い甘い…まだ出るぞ?第二使徒、召喚…カカカ…」 藤岡「だめだ…威力が高すぎて直視できない!!」 種「二つの闇天使を駆り、その邪気にも陰りなしか…恐れ入るよ…」 猿「真ん中の犬が一番可愛くないですね」 闇「…ほう?行け、使徒よ…奴を喰い滅ぼせ…」 猿「えっ!?いや、ちょっ…まっ…!!」 種「カカ…夏競馬には、豪華客船-フェリー-でなァ…っふ…」
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本項ではプレイステーション版、セガサターン版を基準として紹介しています。 七つの秘館 【ななつのひかん】 ジャンル アドベンチャー(メーカー公称:謎ベンチャー) 対応機種 プレイステーションセガサターンWindowsMacintosh メディア CD-ROM3枚組 発売・開発元 光栄 発売日 【SS】1996年4月5日【PS】1996年8月9日 定価 【SS】【PS】7,800円(税別)【Win】【Mac】9,800円(税別) 廉価版 【SS】KOEIBestコレクション1998年4月9日/2,800円(税別)【PS】KOEItheBest1998年12月10日/2,800円(税別) プレイ人数 1人 レーティング 【SS】セガ審査 全年齢推奨 判定 バカゲー ポイント カオスな志茂田ワールド 七つの秘館シリーズ 七つの秘館 / 戦慄の微笑 概要 ストーリー 登場人物 特徴 評価点 変な点 問題点 総評 余談 概要 表題の通り、七つの館を舞台としたアドベンチャー。 原作・シナリオに直木賞作家でタレントの志茂田景樹を招いている。 ジャンル名「謎ベンチャー」を標榜し、館に仕掛けられた謎を解き明かして進む謎解きゲームの性質を持つ。 パッケージ裏の煽り文句によると「今までのアドベンチャーより7倍楽しめる!」(*1)とのこと。 ストーリー スペードの女王が笑うとき キングはリングを捨てる死せる孔明に目を与え 静かに沼に行くべし時を刻む蠍が、水に帰る風車回らば 耳に栓をして闇で照らせスフィンクスは口を開け 封印の部屋へ歩くであろう 主人公・一平は、叔父であり飛鳥家(*2)の5代目当主である周太郎に呼び出された。飛鳥家は明治初期、初代・喜兵衛が事業を興して栄えてきた由緒ある家系である。70年ほど前、有り余る金に任せて七つの不思議な館「岬の七館」を建てたのだが、それが半年後に取り壊しが決定したという。しかし先代である4代目・周平は生前、七館に一族の秘密が莫大な財宝と共に隠されていることを話していた。飛鳥家は初代が事業を興す以前の記録が全く残っておらず、また初代もどこから来たのか誰も知らない。七館を建てた3代目・銀次郎はその秘密を知り、何らかの理由で七館に封印したのだと言う。七館には仕掛けが施されており、一から六の館の謎を順番に全て解き、本館の秘密を明かせば財宝も一族の秘密も手に入るらしい。そして先代はそれを成し遂げたものの、秘密も財宝の在り処も自分の胸に秘めたままこの世を去った。取り壊される前に一族の秘密と財宝を探し出す。これが一平への依頼だった。一平は冒険心と好奇心の赴くまま、恋人の玲奈と一緒に岬の七館へと向かった。 登場人物 + クリックして展開 飛鳥一平(CV 緑川光) 主人公。叔父の周太郎の頼みを受け、岬の七館の謎に挑戦する。 名前は変更不可だが、苗字はプレイヤーが設定する。入力せずに決定すると「飛鳥」になる。 白川玲奈(CV 国府田マリ子) 一平の恋人。一平に劣らず好奇心の塊らしく、岬の七館の話を聞いて興味を持ち、強引に同行する。 一平と知り合うまでは互いの家は縁も所縁も無かったはずだが曽祖父が岬の七館に招かれたことがあるらしい。 鈴子(CV 天野由梨) 一平を導く謎の美少女。チロロという柴犬を連れている。七館の東の村から来たらしいが…。 硫黄まどか(CV 深見梨加) 本館1階を根城にする三人組の女ボス。財宝を奪うべく一平に謎を解かせようと画策する。 黒谷剛矢(CV 難波圭一) まどかの手下。サングラスを掛けた怪しい男。ボスであるまどかに不信感を抱き、財宝の横取りを目論む。 赤島幻兵(CV 岸野幸正) まどかの手下で黒谷の弟分。スキンヘッドの大男。鉄球を使いこなす。 周平(出演 志茂田景樹) 一平の家の先代当主。賢く冒険好きな人物だったらしく、岬の七館の謎を解いたという。ヒントとなる詩「北斗の影」を残す。 特徴 概要で述べた通り、「岬の七館」と呼ばれる七つの館に秘められた謎を解いていく。 七館は北斗七星を象るように立ち並ぶ一から六の館と本館で構成され、基本的にそれぞれの館には次の館に入るための鍵が隠されている。まず一の館から入り、鍵を見つけて二の館へ。二の館で三の館の鍵を見つけ…という具合で一つ一つ館を攻略していく。 本館1階は誰でも入れるが、肝心の謎は六の館までを攻略しなければ解けない。各館は鍵を使わず無理に入ろうとすれば秘密の仕掛けが作動して命が無く、一の館の鍵もゲーム冒頭で初めて主人公に手渡される。従って、部外者が一族の秘密や財宝を狙ってもまず到達できないとされる。 ゲーム画面は『MYST』に近い、一枚絵で表現された主観視点。 しかし本作はそちらとは異なり、ポインタで画面をクリックする要素は無い。移動、方向転換は十字キーで行い、行動もコマンドから選ぶ方式となっている。 画面左上には移動・転換が可能な方向、方位、主人公の体力が表示される。オプションで非表示にも変更可能。 コマンドは「アイテムを使う」「調べる」「取る」「動かす」「話す」「アイテムを見る」から選ぶ。対象は項目を選んでから選択する。 PC版は画面構成や操作方法がやや異なる。 館にはトラップが仕掛けられており、それに引っかかると体力が減少する。 体力は人のマークで表現され、最大値付近は「両手を上げたポーズ」。ダメージを受けるにつれて疲れたポーズになっていく。 回復は特定のオブジェクトやアイテムで行える。しかしどこで何によって回復できるかは初見では分からないし、アイテムも少ないのでなるべくダメージは抑えていきたい。 回復オブジェクトは無限に使用可能なものも多く、よほど見つけられない限りはジリ貧に陥る心配も無いだろう。 終盤を除き、各館の玄関前からは到達済みの館へと瞬時に移動が可能。 評価点 謎解きゲームとしてほどよい難易度 『MYST』などのように突き放した難しさではなく、かと言って簡単に解けるほど甘くもない。頭を捻りながら試行錯誤することになるが、隅々まで探して色々と試していけば大抵はクリアできる。 どの謎もヒントがどこかに存在するので、詰まったら他を当たると活路が開ける場合も。謎の奇抜さに反して理不尽さはほとんど無い。 暗号タイプの謎解きやパズルはあまり無いので総当たりで解ける側面もあるが、アイテムやオブジェクトの多さからそれで行くのはかなり大変。しっかり考えてトライする方が楽しく効率的である。 個性的な各館にはそれぞれ趣向を凝らした謎が多数配置されている。 「西洋風」「中国風」「日本風」「ギリシャ風」とバリエーションも豊かで、どの館にも「トランプ」「動物」などの特徴的なテーマが盛り込まれており、飽きさせない。 「時計の館」「音楽の館」と言った、イメージからテーマを想像しやすい館もある。 七館に限らず、地下の洞窟を探索するパートもある。 トンデモな内容ではあるがストーリー自体は分かり易く、探索の合間にいい塩梅で添えられている。主に館間で展開するので探索の妨げにもなりにくい。 歴史関連や偉人、神話などの情報もかなり出てくるが、精通していなくともクリアには支障がない範囲に留められている。 流石、有名作家を招いただけあって根底にある設定はしっかり作られており、史実とも上手く絡ませてある。 豪華声優陣 主人公、ヒロインを始め、人気声優やベテランを起用。演技は申し分ない。 先代・周平は原作者が演じているので流石に本職の声優のような演技は期待できないが、本人が直接登場するので絵面を除けば違和感は少ない。 変な点 まず導入部からツッコミ所満載 主人公は叔父の頼みを受けて七館に挑戦するのだが、その七館に「怪しい三人組が住み着いていること」「管理人の老人が行方不明になっていること(*3)」「館には命を奪うほどの仕掛けがあること」が引き受けてから知らされる。 どう考えても先に警察に通報するべきなのに加え、そんな危険な場所に甥を向かわせようとするのも常軌を逸している。そこまでして一族の秘密と財宝を見つけ出したいのか。 それを知らされても尚、全く物怖じせず、しかも恋人を連れて意気揚々と向かう主人公も主人公だし、自分から付いていくと言って聞かないヒロインも大概である。 ヒロインはすぐに捕まってしまうのだが、主人公は後述する通り異常なタフさなので、叔父もそれを知っていたから依頼したのかもしれない。 冒頭に初代から四代目までの当主の肖像画が映し出されるのだが、四代目を演じる原作者に加えとんでもないビッグゲストを招いており、インパクトが凄まじい。 四代目・周平=志茂田景樹 三代目・銀次郎=周富徳 二代目・弥太郎=草野仁 初代・喜兵衛=徳光和夫 この大御所の方々が次々と映し出されるインパクトは筆舌に尽し難く、恐らく初見では画面ばかり気になって話が入ってこないだろう。 この中でも三代目の銀次郎は本作の舞台となる七館を建てた人物とされている。つまり今作の周さんは中華料理ではなく館を作ったということに。 ちなみに説明書には「志茂田氏のご友人の皆様には、本作に特別なご好意で出演していただきました」とある。人脈のある原作者を招いたからこそ可能な演出だった訳である。 フィジカル、メンタル共に強過ぎる主人公 上述の通り、危険極まりない館に好奇心のまま平然と向かうのは序の口。本編でも肉体・精神両方の異様な強靭さを発揮する。アクションやRPGならいざ知らず、探索型ADVとしては類を見ないほどの超人主人公となっている。 館のトラップに引っ掛かってダメージを受ける事が多々ある訳だが、これが剣で斬られても、飛んできた小刀や矢が刺さっても、シャンデリアの下敷きになっても、火炎放射を喰らっても「痛かった」「痛てて」「あ、熱かった…」で済ませる超人ぶり。 一の館の最後には鉄の処女(*4)がある。これは仕掛けを動かすと脱出装置になるが、そうせずに中に入れば棘に刺さるだけである。しかしこれすらも「痛てて、痛い」で済んでしまう。本当に人間か!? ある館では、「マウンテンゴリラの剥製に抱きしめられて移動するギミック」があるのだが、ナレーションによるとその剥製の力は「普通の人間だったら窒息死する」ほどらしい。やっぱり普通じゃないのか…。 地下洞窟では、周囲が油の池になっている場所で炎を吐かれる罠があり、これを喰らうと当然ながら周囲ごと激しい炎に包まれるのだが、やはりダメージと「し、死ぬかと思った…」という台詞で済む。勇者だって普通なら死にます。 七館には回復オブジェクトが点在するのだが、飲食はもちろんの事、香を炊いたり、音楽を聴いたりなどとちょっとした事でも回復するように、やはり治癒力も高い。 ストーリー上でも、明確な殺意のある男達に命を狙われようが、危険な仕掛けをいくら目の当たりにしようが全くめげずに「よーし、この館も解くぞ!」などと意気込むほどの前向きさで、どこぞのせかいいち ふこうな しょうねん並のメンタルの持ち主である。 後述する先代の写真や肖像画についても、全く動じないばかりか、普通に話し掛けて会話を交わす。適応力が高いのか、深く考えていないのか…(*5)。 肉弾戦に強いという説明や描写は無いのだが、敵側は主人公を直接殺して鍵を奪うと提案する手下に対し、ボスが「お前達に出来やしないわ」と言い切り、迂遠な罠で殺そうとする。もしかしたら本当に強いのかもしれない。 そのボスと対峙した際には、銃を撃とうとするボスの手にすかさず羽ペンを投げつけて命中させる。退散するボスに対して「恐ろしい女だ」と発言するのだが、一番恐ろしいのは主人公自身である事は言うまでもないだろう。 ストーリーを進めると、武田信玄の末裔であることが明らかになり、それに上記の大御所の血を全て引いているとはなればその超人ぶりにも納得でき……る訳ないか。 七館の仕掛けやトラップが「子孫への挑戦状」として造られていると考えると、本当に超人の家系なのかもしれない。 行く先々に現れる志茂田景樹 先代は七館の謎を解いた人物であり、各所にヒントを残した。という設定なのだが、どれも先代本人…即ち原作者自身が水先案内人を務めるという無駄に豪勢(?)な形で残されている。 声だけではなく実写での本人の出演であり、冒頭の詩からしていきなり登場して読み上げてくれる。 各館には先代の写真や肖像画が残されているのだが、もちろん全て実写。元より奇抜なファッションでも有名だった人物ということもあり、服装もポーズもいちいち奇抜なので肖像画一つ取っても存在感と違和感が凄い。 そして一番のポイントは、これら先代の写真や肖像画は話しかけるとインターホンのような音と共に動き、喋り出すということ。 一言二言ヒントを話すのみならず、時には主人公をしっかり認識して会話すらしているシーンがある。先代の霊でも乗り移っているのか。 他に話ができる相手が基本的にいないので、「話す」のコマンドは最早この為だけにあると言っていい。しかし「話す」コマンド自体は様々なオブジェクトに可能なので、主人公は人形だの本棚だの油絵だのにも平然と話しかける変人のようになっている(*6)。 時には全く別の形で登場する事もある。「甲冑の中に志茂田景樹(*7)」「時計の文字盤に志茂田景樹」「ライオン像がモーフィングして志茂田景樹」など、『ガキ使』の「笑ってはいけないシリーズ」ばりに笑わせに来ているとしか思えない神出鬼没ぶりであり、初見ではまず吹かざるを得ない。 館の仕掛けもぶっ飛んだものがいくつも 一の館の奥にある女王の人形のギミックを動かすと、女王の高笑いが館を抜けるまで延々と響き続ける。最初の館からいきなりプレイヤーを困惑させてくれる。ちなみにムービー中もお構いなしに笑い続ける(*8)。 三国志がモチーフのギミックでは、張飛人形の口にワインを注ぐ、関羽人形の髭を引っ張る、諸葛亮の指揮車が火を吹くので止める、などと無駄に意表を突く仕掛けが満載(*9)。 ある仕掛けを間違うと、天井が開いてワニに噛まれる。この主人公ならその程度では致命傷にならないのは言うまでもないが。 かと思いきや、その館の別の仕掛けを間違うと床下に落とされて即死。2Dアクション同様、直接攻撃よりも奈落の方が確実に主人公を殺せるという事か。 終盤に行く海底洞窟ではボスラッシュが待ち受けている。適切なアイテムを使えば即倒せるが、探索型ADVとしては異例と言っていいだろう。 その襲い来る敵も、獰猛な牛、猪、ネズミの群れなどは良いとしても、十二支に肖ってこれらに加え龍や虎まで現れる。更には敵ではないが骸骨や亡霊もいる。 先に進むと十二支も関係無くなり、怪鳥、白蛇、大ムカデ、サタン、ドラキュラまでも立ち塞がる異次元無法地帯ぶり。そもそも十二支の前に襲ってくるのはサメである。尤も、どんな化け物が現れようと、適切なアイテムを使えば一発KOなのもまたシュールというか拍子抜けというか…。 ちなみに撃退アイテムを持たず敵と遭遇した場合、先制攻撃を喰らって敵はいなくなる。そしてサメに噛まれようが、猪にぶちかまされようが、ドラキュラに噛まれようが、サタンに殴られようが案の定「痛てて」で済む超人主人公(*10)。 演出もシュール CG技術があまり発達していなかった頃の作品と考慮しても、上述した内容と相まってシュールな演出が全編を通して展開される。背景自体はシリアスだし、主人公達も別にふざけている訳では無いのだが、どうしても笑いがこみ上げてくるバカゲーとなっているのは否定できない。 ゲームオーバーは汎用ムービーが流れるのだが、これが「疾走する救急車」というまたユニークなもの。主人公の葬式などは過去にもあったが、救急車はなかなか無いだろう。 その後はゲームオーバーなどの表示が無く、三悪人、叔父、殺された庭師と言ったキャラが勢揃いし、画面上では二大ヒロインがプレイヤーに向かって手を振るというシュールさ。そして案の定、ここにも居る志茂田景樹…。 鏡張りの部屋が二箇所ほどあるのだが、鏡を見ると常にヒロインが前に立っていて主人公はほとんど見えない。主人公の姿を明確に映さないためだろうが、ヒロインの後ろに隠れているようでこれもどこかシュール。従って、ヒロイン同行時にしか鏡張りの部屋には入れない。 終盤に手に入る、武田二十四将の肖像画集に記されているのが、何故か同社の『信長の野望 天翔記』の顔グラフィックの使い回し。しかも高坂昌信や山本勘助に混じって不意打ちのように志茂田…いや、周平の写真も載っている。何故…? クライマックスでは七館が崩壊するのだが、ドリフのセットの如き勢いで崩れていく欠陥住宅ぶり。よく70年も持ったものである。 最終盤には今まで手に入れたキーアイテムを武人像にセットしていくのだが、そのキーアイテムに統一性が無いので悪戯で飾り付けしているようにしか見えない。能面や羊の角の付いた武人像は見た目だけでも最早ネタ。 そのシュールさは最後まで貫かれており、スタッフロールまでもがカオスな仕上がりとなっている。 まずいきなり、EDテーマ『Love Groove』のイントロに乗せてリズミカルな画像表示が次々と迫り来る。「デン!デン!」という音に合わせてキャラのアップが表示されていく様はそれだけで笑いどころに。 スタッフロールでは作中のムービーが歌に合わせて流れていくのだが、主題歌自体がゲーム内容に不釣り合いなほどにアップテンポで明るい曲調になっており、シーンのチョイスも半ばネタに走ったようにミスマッチなものが多いので、ひたすらシュールな画面が続く。無論、上記の原作者出没シーンも忘れていない。 そしてサビではでかでかと書かれた歌詞と、「カメラの方を向きながら歌うヒロイン」が映るという1フレーズ分の謎演出が入る。しかもこれが2種類2回ずつ繰り返されるのでシュールさが増している。 肝心のスタッフロールだが、声優と特別出演以外は、作曲担当と主題歌関連、製作総指揮の名前が出るだけで、グラフィッカーやプログラマーなどの居て然るべき他のスタッフは全然映らないという謎仕様。名前の反対側のスペースに映るのは主題歌の歌詞である。 スタッフロールが終わると、最後はKOEIロゴが表示される。通常ならこの後はタイトル画面に戻るか操作を受け付けなくなるかだが、本作の場合はスタッフロールがリピートされる。最後の最後まで斜め上を貫き続けるのであった。呆気に取られるであろうプレイヤーの心理を読んだのか。 問題点 アイテム管理が煩雑 どの館もかなりの数のアイテムが手に入る。しかも使い所はその館の中とは限らず、ずっと先で使うアイテムも多いので自然と大量のアイテムを持ち歩く羽目になり、管理が大変である。 一度手に入れたアイテムは任意では捨てられない。館を突破すると自動的に不要になったアイテムを処分してくれるが、必要になるようで結局使わないダミーアイテムや、使用後も残り続けるアイテムもあるので所持欄は思うように減らない。 特に二の館のラストでは20個近いアイテムを取らされる。ダミーもかなりある上、回復アイテムを除けば使い所はいずれも終盤なのでここで一気に所持数が増えてしまう。 かと言って全部取らずに進むと途中で止められる。必須アイテムが足りない場合ばかりか、必要最低限だけ取っても止められるので結局ダミーも持ち歩く羽目に。また、止められるのが結構進んだ三の館脱出時なので、取りに戻るのも面倒である。せめて二の館で止めて欲しかった。 回復アイテムは決まった種類があるのではなく、使ってみて初めて回復アイテムだと分かる。「乾パン」「缶詰」など分かりやすいものだが、複数は手に入らずアイテム自体これらを含めて3種類程度なので使い所を見極めるのは難しい。 システム面の問題 ムービーはスキップ不可。ストーリー部分はもちろん、ギミックとして再生されるムービーも飛ばせないので、うっかり作動させて何度も見る羽目になる事もしばしば。特に一の館の鏡から怨霊が現れるムービーはちょっと行動するだけで再生されるので「またかよ!」と言いたくなること必至。 ナレーターが朗読してくれる文章も多いが、これもムービー同様にスキップ不可。どの文章も長いので初見はともかく2回目は面倒。中にはアイテムやオブジェクトを調べる度に朗読されるパターンも。 逆に任意でのメッセージ送りやキャンセルができない部分も少なくない。特に前述の朗読は終われば勝手に引っ込んでしまうので、自分のペースで読みたい時にも不便である。 朗読の無いテキストも勝手に送られる事が多く、オプションで「遅い」にしてもあまり変わらない。時にはメモを取る必要もあるのに、勝手に送られるのでは不便極まりない。それぐらいならテキストぐらい最初から手動にして欲しいものだが。 それでいて、バグなのか表示が一瞬で引っ込んでしまう事がしばしばある。特に朗読の文章がこの状態になりやすく、重要な文章や謎解きのヒントがこの状態になったらたまったものではない。 探索画面は一枚絵で表示されるのだが、アイテムを取る、仕掛けを動かすなどしても変化が無いケースが多い。取ったはずのアイテムが画面上は残っていたりなど日常茶飯事。 ゲームオーバーになると操作を受け付けなくなり、タイトルにも戻らないのでリセットするしかなくなる。FC時代のゲームでもそうそう無かった仕様である。 当然、コンティニューも不可。数は多くはないが即死トラップも存在するのでセーブを怠るといざという時に泣きを見る。 ディスク交換時もリセットを強要される。ディスク変更の指示が出た際は一旦セーブしてからディスクを入れ替え、リセットして電源を入れ直さなければならない。 ストーリー面の問題 一族の秘密や財宝については解き明かされるが、ストーリーそのものはかなり呆気なく終わってしまう。 敵のボスは主人公の一族との因縁があることが終盤に明かされるが、それは一言二言の台詞で語られるだけで特に掘り下げられることもない。挙句、最後は仲間割れであっさり自滅する。 敵側の一人が主人公を「呪われた一族」呼ばわりしたり意味深に「先祖の恨み」などと言うシーンがあるのだが、この敵もやはり掘り下げられず最後は例に漏れずあっさり退場し、結局三悪人の存在は物語自体に大した影響は与えない。 敵の内輪揉めのシーンでは、ボスは銃があるとは言え武器を持った手下二人に対して(しかも至近距離で)余裕で勝利する。プレイヤーには乱闘のような音が聞こえるのだが…。しかもその後、倒れていた手下二人は何事も無かったように起き上がって逃げていき、ボスも「あいつらは後で始末する」と気にも留めないという、CG技術の問題なのか色々とヘンなシーンになっている。 最後はボスは手下のタックルを受け、その手下共々崖から転落するのが、どう見ても手下が自分の身を犠牲に主人公達を助けたようにしか見えない。見せ場のようになっていてある意味では美味しい最期とも言えるが。 敵が全て退場した後は簡素な仕掛けを解くだけで、これまたあっさりとゲームも終わってしまう。 敵に襲われた際は「柴犬が敵に噛み付いて撃退する」が2回も連続で続き、最後でもそれで解決というパターン化した芸の無い展開になっている。その柴犬も最後は敵共々海に沈んだ…と思わせてエンディングで生存が判明するというご都合主義的な超犬ぶり。 柴犬の登場しない敵襲シーンもあるが、敵は橋を破壊して主人公を湖に落とした後に野犬に追われて勝手に退散する。どちらにせよ犬に弱いのか…(*11)。 最後は七館が崩壊するとは上述したが、何故崩壊したのかがいまいち分からない。本館の仕掛けを作動させたからとも考えられるが、崩壊が始まる直前に動かした仕掛けは単にヒロインを監禁している部屋への入り口を開くものであり、崩壊とは結びつきにくい。そもそも崩壊させる意図が不明であり、仮に「謎を解けば七館が崩壊する」のだとしたら、先代が謎を解いた時はどうなったというのだろうか。財宝をいくらか使って建て直したと考察するプレイヤーもいたとか。 また、敵の三人組は他の館の謎が解けないから、自由に出入り可能な本館一階に住み着いていたとされるが、主人公が来る前に二階のPCでホームページの運営をしていたり隠し部屋にヒロインを閉じ込めていたりとかなり自由に動き回っている。 序盤から主人公を導いていた「鈴子」は本館の前で地雷を踏み、爆風に消えていく。演出のチープさは別としても、この際はボイスも無く「あんなところに地雷が仕掛けてあったなんて。鈴子さんは僕の身代わりになってくれたんだ」「一平、鈴子の死にショックを覚える」というやる気のないテキストが表示されるだけであり、全然悲壮感が無いばかりか失笑もののシーンになってしまっている。 通常、本作のナレーションはノベルゲーム調の文章で状況や雰囲気を解説してくれるのだが、このシーンは本当に淡白過ぎて呆気にとられてしまうほど。 これらとは別に、キャラが喋っている傍で地の文が入ることがあるが、どれも希薄で必要性が怪しかったりと、ストーリーの表現に貢献できているとは言い難く、寧ろ話している最中に急に表示されるので気が散る。 エンディングもやや投げやり。 + ネタバレ 最終目的である財宝に到達するのだが、発見直後に潮が満ちてきたので感慨に浸る間すらほとんど無く即座に脱出し、「あのままにしておこう。全てを知れば過去のことだし、忘れればいい。僕たちには新しい道を築く目標がある」というよく分からない結論に達してそのまま帰還する。宝探しの末に財宝を諦める結末はよくあるが、苦労して辿り着いた割には特に意外性も無く描写もあっさり過ぎて拍子抜けと言わざるを得ない。 最終エリアに入る頃には、上述の通り敵は全員退場済み。一族の秘密や「鈴子」の正体の解明と言った重大なエピソードは財宝発見前に全部終わってしまう。結果、財宝の発見は消化試合のようなイベントに。 財宝自体、作中では何度もイメージ映像として大金塊が表示されていたが、実際は「黄金の鳳凰」という特殊な形での登場となる。しかしその造形の意味は特に語られず、登場後すぐに海に沈むのでポッと出の印象が否めない。 作中では先代が「私は財↑宝↓(*12)には興味がない」と語るが、そのスタンスがそのまま現れたような展開とも言える。主人公自身も財宝より冒険そのものを求めるタイプなのでほぼ気に留めない。しかしそれを目指してゲームを進めてきたプレイヤーからしたら、もう少し描写があったりストーリーに絡めて欲しいところである。 中盤以降の息切れ感 上述の通り、最後までユニーク、シュール、カオスな作品なのだが、館そのものの仕掛けで言うと後半は前半ほどのぶっ飛びは見られなくなる。 三の館までは本気で殺しに掛かってくるトラップ、思わず吹き出すギミックであっと言わせてくれる一方、四の館以降はかなり大人しく、ヘンな仕掛けはあっても謎解き自体は普通のものが多い。三の館までの勢いを以降も期待すると拍子抜けする。丁度、三の館をクリアするとDISC2に移行するので、ぶっ飛んだ館はDISC1に集中しているという形に。 ダメージトラップも三の館までは複数用意されていたのが、四、五の館は一つずつしかない。六の館、本館に至っては館内のダメージトラップ自体はゼロ。 特に最後の本館は突入前と脱出時こそ色々ぶっ飛んでいるが、肝心の内部についてはここまで辿り着いたプレイヤーの意表を突くようなものは無く、いつにない平凡な謎解きとなる。館自体も、本館という設定故か他館のような特徴的なテーマの無い(*13)、至って普通の洋館である。 ぶっ飛んだ要素自体はあっても、ボスラッシュのある海底洞窟など館の謎解きとは別に配置されたものとなる。ゲーム全体で見れば混沌ぶりが最後まで保たれているのが救いではあるが。 総評 怪しい館を探索して謎を解く、というありふれたゲーム性に奇才・志茂田景樹のセンスによって唯一無二の味付けが為された珍作。 天然、悪質な遊び心、意外な生真面目が同居したともされる作風は、世界観やストーリーのみならずゲーム全体に行き渡っている。 故に「謎解き好きなら誰にでも勧められる」などとはとても言えないが、ぶっ飛んだノリを楽しめる人、 一風も二風も変わった謎解きゲームに興味がある人は手を出してみてもいいかもしれない。 余談 二の館の劉備、関羽、張飛の人形の前に置かれた蓄音機を動かすと音楽が流れるが、実はこれは『三國志』(一作目)のタイトル曲のアレンジである。 主人公曰く、「いつ聴いてもいい曲だなあ」との事で、しかも体力も回復する。 本作は元々は光栄が過去に発売した『EMIT』と同様の英語学習ソフトとして企画されていた。 そこで原作担当として志茂田景樹を招いた(*14)のだが、彼の要望であっさり企画は変更され、この通り全くの別作品となったのだと言う。 2000年にはドリームキャストで続編の『七つの秘館 戦慄の微笑』が発売された。 しかし原作者は関わっておらず内容も全くの無関係。ゲーム内容も『バイオハザード』風のアクションアドベンチャーとなった。詳しくは当該記事を参照されたし。 主人公とヒロインの声優は続投しており、ヒロインは名前の読みこそ「レナ」から「レイナ」へと微妙に変わっているが表記は同姓同名、主人公は名前は違うが本作のデフォルト名字「飛鳥」が採用されている。しかし特に関連性は無い。 YouTubeのゲームカテゴリの中に、続編の『戦慄の微笑』はあるのだが何故か本作は存在しない。 そのため、本作の動画を上げる場合は当該ゲームが選択できず、実際に上がっている動画ではやむなく『戦慄の微笑』が選ばれているのが実情である。 Wikipediaの方でも、記事が存在する英語版の方では記事名が「Nanatsu no Hikan」なのに内容は完全に『戦慄の微笑』の記述だったりと、続編とは何故か色々と混乱を招く事態となっている。
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—―機関って一体何なんだ 彼の質問は余りにも意外で、しかも漠然とし過ぎていて彼が何を意図しているのかがわからない。今は旅行先の話だったはずだ。 「お前等の機関はハルヒのご機嫌取りの為に島を丸ごと用意できる。そこにほぼ新築のお屋敷も用意できる。海外旅行の為の費用を全員分捻出して、現地で身に危険が及ばないよう色々手配もできる。必要となる費用は直接的なものだけじゃない。根回しにはかなりの時間と労力と費用を必要とするはずだ」 僕の戸惑いを他所に、彼は先ほどの状態から堰を切ったように話始めた。僕は、彼が何を訊きたいのか探るべく耳を傾ける。 「余計な人が入らないように交通規制をかける。口止めをする為に口止め料を払う。安全を確保するために警備体制も確保する。現地の有力者に根回しをする。他にも色々やることはあるだろう。一体どれくらいの費用を使うのか、俺には検討も付かない」 「そういえば、生徒会長を擁立してその地位に就けるには国会議員の選挙活動に必要なくらいの費用、つまるところ数千万から億単位の金を使ったんだったか」 彼の質問が具体性を帯びてくる。 「我らが公立の北高にはお前以外にも機関の人間が多数いるなら、教師にも間違いなくいるだろう。機関が結成された時から何年もかけて根回しをしてきたわけではないだろ?ということは公的なところにもかなりの影響力を持っているってことだよな。生徒会選挙のときも、学校や生徒会を傀儡にすることを黙認してもらうために、県議や市議、教育委員会等に秘密裏に働きかけていたからこそ、数千万からの費用が使われたんだろ?」 これは・・・できれば訊かれたくない、知られたくないことだ。今まで触れてくることはなかったのに、何故今頃になって・・・ 「どうなんだ?公権力にも影響力を持っているんだろ?警察を含めた行政機関、政治家を含めてだ」 途切れた。どうやら僕に回答を求めているようだ。 「・・・ええ。そうでなければあれくらいの活動はできませんからね」 今更否定できることではない。 「なら、億単位の金を簡単に動かせる資金源は一体どこにあるんだ?まさか、お前の同士の超能力者や機関の中にどっかの王族や石油王がいるわけじゃないんだろ」 明らかにレールを敷かれたやりとりだ。 「貴方もご存知のように、鶴屋家のような資産家から投資を受けていますよ」 そうか、と言わんばかりの相槌を目でしてくる。 「そうだったな。だが鶴屋さんの家はほんの一部なんだろ。他にも似たようなところから援助をしてもらっているわけだな。億単位の金を動かせるくらいだ、かなり大規模な援助活動なされてるんだろうな」 「そしてその資金を元に、あちこちに根回しができるってわけか。いや違うな。金だけじゃ限界もあるし、時間もかかるはずだ。資金力で影響力を行使できだけではなくて、公的な力を持った人達からも資金ではない形で多くの協力を得ているんだな」 彼のボードゲームの強さを見れば、こういうやりとりは彼の本領と言えるのだろうか。 「僕は末端の人間なので、あまり詳しくは分かりませんよ」 釘を刺すも、 「お前の性格で5年余りも全く何も知らない身を良しとしてきてるはずはないだろ。しかも、俺が思うにお前は機関の中でもかなり重要な存在だ。何せ超能力者で、しかもハルヒの身辺に近づいている上にハルヒの信頼も厚いわけだからな。他の能力者の中でもオンリーワンだろ。何も知らないなんてことはあり得ない」 釘を刺し返される。初めの戸惑いがちに話始めた彼の雰囲気はもう無い。完全に追求の構えだ。 「続けるぞ。ここからが本題なんだが」 もう予想は付いている。 「機関の本当の目的はなんだ?」 予想が付いていただけに次の応えるべきことも用意している。できるだけ自然に、迷うこと無く応える。 「以前にお話しましたように、世界の安寧と平和のため、我々は努力しているのですよ」 「違うな」 彼も予想済みと言わんばかりの即座の強い口調での否定。ここまでくれば、彼に否定されることも予想済みだ。 「お前も小さい頃は世界を救うとか悲劇のヒーローとか英雄とか、そういったものに憧れを持っていたことがあるはずだ。・・・まあ、お前はある意味実現しているが」 これは予想外だった。何を言い出すんだ彼は・・・ 「普通の人間はそれを実現することはないし、歳を取ればその憧れは消え、現実に沿った夢へと変わる。地位とか名誉とか金と言ったものだ。俺は人より賢くないから、そんなことは他人から見た知人の夢という程度にしか思えないが、そう志向する人間が大勢居ることは理解できる。俺だって頭が良かったら野心の一つも持ったかもしれない」 こういう切り口で来るわけか・・・ 「そういうことでしたら心外ですね。貴方は既に世界の命運を握る鍵としての生を送っているではありませんか」 彼はお得意の仕草を取ってみせた。 「でだ、潤沢な資産を所有して俺の色眼鏡ではお歯黒をしてそうな連中や、雲の上に鎮座まします権力を持った先生方がスポンサーとして集まって、やっていることが世界平和への慈善事業に対しての無償協力なんてことはないだろう?」 ・・・本当に嫌な切り口だ。誤魔化し切ることができるだろうか。 「映画撮影の時だったかな、お前が言ったことがある。ハルヒを巡る組織の駆け引きは機関や朝比奈さんの一派だけではないと。水面下では多くの組織が謀略とか暴力とか面倒な事の総力を挙げての生き残り合戦をしているとな」 「そんなこと言いましたっけ」 それに類することは確かに言ったが、一字一句同じではないわけだから、しらばっくれても別に嘘をついているわけではない。 「その他の組織にもスポンサーが付いているんだろうな。じゃないとお前等の機関と張り合うなんて不可能だからな」 しかし、彼は僕が否定してもそれでも構わないと言わんばかりに話し続ける。 「機関は、お前が言うには超能力者の全員を擁しているって話だ。ハルヒの近辺に一番近づいている組織でもある。一番条件的には美味しいはずだ。それなのに他の組織を援助するってのはおかしな話だよな」 「まあ理由は簡単だ。スポンサー同士の何かを巡った対立関係があるからだろ。慈善事業とは関係の無いな。そして、組織にとって、活動資金を提供してくれるスポンサーの意志は絶対だ。援助を打ち切られたらどうにもならないからな」 「待って下さい。我々の目的はあくまで世界の安寧です。それはスポンサーも同じです。ですから大義名分のある我々の機関には多くの協力者や資金が集まるし、勢力も強くなるのは自然の道理です」 自分たちは潔白だと言い張りたい。しかし、この流れからして、それはもう無駄だということは自分でも分かっている。 「野心を持った人間には非常に魅力的な話だよな」 …今の彼には程度の低い言い訳などは何の効果もない。 「願望を実現する能力、世界を如何様にも変容せしめる能力、そんな能力を持った少女の存在を知って、世界平和に対しての無償投資で済むはずが無い。そんなことで財界人や権力者が動くなら世の中もっと良い形で変わっててもいいよな。投資ってのは何らかの対価あっての投資だ。第一、スポンサーの意志が純然たる慈善事業ならスポンサー同士の争いがそうも起こるはずがないだろ」 僕が言い張ればただの水掛け論に終わらせることができるかもしれないが、明らかに追いつめられているのは僕の方。変に虚勢を張っても暗に肯定するのと同じだ。僕達の関係は壊れ、SOS団の関係も壊れてしまい、日々の安寧も壊れてしまうかもれしない。 「もう一度訊く。機関の目的はなんだ?」 しかし、彼がこんなことに首を突っ込んでくるのは一体何故だ。下手をすれば身に危険を及ぼす可能性があることくらいわかっているだろう。自分は彼女にとっての鍵で、絶対手を出してこないという確信があるからか。何よりこんな話をして、僕と、SOS団での関係が崩れる可能性は考えていないのか。それとも、僕に対しての信頼故か? 「素晴らしい想像力です。ですが、空想の域を出ることはできないですね」 言い始めてしまったと思った。こんな返答は雰囲気が悪くなるだけじゃないか。 「その空想が的を射ているものかどうかは別として、そこまで考察しているなら貴方には貴方自身の見当というものがあるでしょう。先に拝聴したいものです」 僕は明らかに自分の首を絞める流れを作ってしまったのではないか。しかし、追求を逃れる為にどう返答すればいいか、そう即座に良い案も浮かぶはずもない。 彼は少し間を置いて、不機嫌そうに話始める。 「別にここまで来て改めて説明することでもない気がするが、いずれはハルヒの能力を手に入れたい、利用したいと考えているだけだろう。今は未確認のことが多いし、他の協力関係にある組織との兼ね合いからできるだけの平穏と現状維持を目標にして、その間にせっせとハルヒの観察と能力の研究に勤しんで、いずれハルヒの能力を利用するための算段をする」 「そして、一方では協力関係に無い組織からの介入を一切許さず、ハルヒとお前等の言う鍵である俺を独占するために抗争を繰り返す。こんなところか」 僕がここで応えるべき模範解答は何なのか、それは分からない。しかし、過程は別として、僕のやるべき選択肢は多くはない。話を反らすか、何とか煙に巻いてしまうこと、しらを切ること。それもできるだけ奇麗な終わり方に持っていく必要がある。後に彼に疑義を抱かれることになり、信頼関係が壊れることがあれば、それこそ最低の失策だ。 「そう言えば貴方には『機関』と呼称される組織の、正式な名称や生い立ちを教えていませんでしたね」 まずは会話の主導権を握らなくてはならない。これはいつものボードゲームではない。僕の得意とする言葉の駆け引きだ。 「・・・『機関』じゃないのか?」 食い付いてくれた。 「ええ。正式な名称は『新機関』と言います。」 「からかってるのか?」 我ながら自分らしい思いつきだが、まずは時間を稼がなくてはならない。 僕はゆっくりと、話しながら反らしどころを思案する。 「そんなつもりはありません。『ノヴム・オルガヌム(新機関)』というベーコンが出した本の題名が由来です。フランシス・ベーコンはイギリス経験論の祖と言われる哲学者で・・・」 「古泉」 彼に遮られる。 「はいなんでしょう?」 「そういう話は苦手だ。回りくどくない、手短な説明を頼む」 「・・・承知しました」 彼がこういう話が苦手なのは百も承知のことだ。だからこそ、こういった話を長引かせて煙に巻こうという気持ちもあっただけに、出鼻を挫かれた。 「ベーコンは、4種のイドラ…偏見とでも言えるものの存在があるせいで、人間は本当の知性を得られていないと考えていました。その4種は、自分の種族・属性と言った自分に当てはめてしまう枠組み、自分の育った環境という視野を狭くする箱、概念が先攻して存在しているために起こる錯覚、知識人の言を正しいと思い込んでしまう権威主義的・依存的な人間的弱さの四つを指します」 「涼宮さんの能力は、人間としての能力を遥かに越えるものですし、一般常識が通じないものであるし、社会的に許容されるものでも、どんな科学理論が通じるものでもありません。そして、分けも分からず突然その事実を知ってしまった我々は、とにかく驚きを持って彼女の能力を受け入れることを余儀なくされました。」 「まああの奇想天外摩訶不思議アドベンチャーな言動も含めてな」 それはそうだと強く納得した様子で彼が苦笑しながら頷く。彼はどこまで行っても彼でしかない。これは当たり前のことだが、少し気が楽になる。 「全くですね」 僕は得意の表情で返す。 「ベーコンは、それら4つの偏見を完全に排除し、ありのままの自然に服従しなければ人類はより高い・真の知性へと到達することができないと考えました。機関の設立も同様のものです」 「つまり、涼宮さんのことをありのまま受け入れ、涼宮さんの世界に服従するというものです。集まった我々は ―といっても僕は途中参加ですけどね― 少しずつ組織としての体裁を作っていきました。そして、誰がいつ付けたのかは知りません。トップ層のちょっとした洒落っ気だったのか、名付けられていた名称が『新機関』。それをいつの間にか誰もが『機関』と呼ぶようになりました。もっとも、この理由は後付けによるものではないかと僕は思っていますが」 彼は黙って耳を傾けている。だんだん僕のペースになってきている。僕はゆっくりと喋りながら反らしどころを思案する。 「新機関の目的は二つ。かくして一同に会した超能力者たちは、その与えられた能力を使い、彼女の能力の一部分としての理性の行使者として働きました。世界の平和を守るためという共通認識は多くの構成員が持ち、彼女を神のように崇拝する者達も数多くいました」 僕の経験上、人を欺く場合は、真実をできる限り織り交ぜるのが肝要だ。直感的に人は嘘を見抜く本能のようなものを備えているからだ。特に今の彼のように内に据えた一本の芯がある場合に、殊にその力が発揮される。 「そしてもう一つの目的は、彼女の能力の解明です。真の知を求めて彼女の能力を研究する。本当にそれだけのものでした。たったそれだけの、真っ当な目的を持って機関の活動が開始されました」 それを少しでも誤摩化す為には真実を織り交ぜ、彼が予想し、求めている答えを織り交ぜながら話す事で納得させることが一番いい。なるべく長く話をすることで会話の主導権を握り、彼が僕の話を納得し易い会話の流れを作り上げ、その上で話を反らし彼を丸め込む。 「しかし、平穏を保つ為には、ただ閉鎖空間を消滅させるだけでは意味がありません。お分かりと思いますが、もっと根源的なところでメスを入れる必要があります。その帰結として、我々は彼女自身の生活に干渉することで平穏を保つという形で活動範囲を拡大することに踏み切ることになったのです。しかし、その為には機関が社会的に力を持たなくてはならなくなりました」 ここからが勝負だ。僕ならできるはずだ。 「古泉、もういいぞ。後は大体想像が付く」 …は? 「もういいぞ。そこから新機関がどう変容していったのかというのは、想像に難くない」 面食らっている僕に対して彼が繰り返した。 「・・・そうですか」 完全に向こうのペースに戻された。まったく、その手腕はもっと別のところで使うべきじゃないのか。 「あー、えっと、今更呼び方は変えんぞ。大した違いもないしな・・・それで、機関が変容してきたことは分かったが、結論はどうなんだ。今の機関の目的はなんだ」 だめだ・・・ 「貴方の仰る通り、現状維持です。現状は、それぞれが涼宮さんの近くに切り札を持ち、互いに牽制することで均衡は保たれています。まあ均衡と言ってもTFEI端末達を交えて均衡も何もないですよね。力に差があり過ぎますから」 こうまで硬い決意で向いてきている今の彼から言い逃れる事はできない。 「言ってしまうと彼らの中で主流になる派閥が変わらない限りは大丈夫と言った方が正確かもしれませんね。彼らが現状維持を望む限り、他の勢力が何をしようと無駄と言えますからね。重要な事はTFEIの目的がなんなのかですね」 TFEIに話を流そうとしても—― 「そうかもしれないが、当然、それを良しとする機関や未来じゃないんだろ。いつ出し抜こうかと人間なりの知恵を絞って機会を窺っているはずだ。しかし、人間の知恵で長門の親玉に勝てるはずが無い。結局そこはハルヒの力を利用するしかないんだろうな」 ——すぐ振り出しに戻される。 いつも彼としている手詰まりボードゲーム状態だ。 「それで、機関の本当の目的はなんだ?現状維持の先に何を求めているんだ?」 それにしても彼も人が悪い。自分の中で既に答えが出ているのに、敢えて僕の口から言わせようとするのは、どうしてどうして人が悪いと言わざるを得ないじゃないか。もう終わりでいいじゃないか、僕はもう投了しているのだから。 …せっかくならここまでもいつものボードゲームならよかったのに。 僕のそんな甘い願望を余所に、彼の追求は止まらない。 「どうなんだ?」 いやだ。口に出したくない・・・ 「・・・僕の願いは世界とSOS団の平穏です」 しばしの間を置いた後、僕が重い唇を動かしてようやく口の端に上せる事ができた言葉はこれだけだった。答えにもなっていないばかりか、なんの誤摩化しにもならない・・・ こんなくだらない返答しかできない自分が情けない。 しかし、再度追求してくるかと思われた彼の対応は、意外にも「そうか」の一言だった。僕が言い辛くしていることで察してくれたのだろうか。口に出さなくて済むようにしてくれたのは彼なりの優しさなのか。 「・・・それで、その平穏は守られそうなのか?」 力なく閉口している僕に対して、彼は穏やかな口調で問いかけてきた。一変した空気に僕は戸惑いを禁じ得ない。 「いや、いいんだ。済まない」 ますますもって戸惑いを禁じ得ない。 「俺が一番訊きたかったことは機関の動向じゃあないんだ」 またしても発せられたのは意外な言葉。 「一番訊きたかったのは、機関ではなく、お前自身がどう考えているかどうか・・・機関の目的なんてものは想像すれば何となく分かる。機関やその周りの勢力図については・・・知りたくもあるがどうでもいい」 ——まあ、珍しく狼狽するお前を見れたのは僥倖だったがな。 多少無理のある笑みを乗せながら彼はそう付け加えた。気づけば彼自身も俯き加減で酷く力ない表情をしている。もし誰かが端から見ていたなら、追い詰められていたのはどっちなのか判断に迷うところだろう。 「もし機関や、未来、宇宙人どもが今の方針を変えるなりして今の平穏がぶっ壊されて巻き添えを喰らうことになったとしても、俺は別にそうなってしまった自分の境遇を呪う気もないし、後悔もないと思う。それだけSOS団ってのは俺にとって大きいし、何よりただの一般人の俺にはどうにも抗いようがないからな。まあ悪あがきは当然するが」 僕が何も言わないのを確認して彼が続ける。 「もしそうなったとしても、お前等に文句を言ってもそれぞれ任務を背負った組織の一員という立場である以上、まあ悔しいし複雑な気分だが仕方がないことなんだと思う。それは分かってる。だが、だからこそ確認したい。お前がSOS団をどう思っているのか」 これまでの話は、彼なりに遠まわしに訊きだそうとした結果だったのだろうか。 確かにこんな話を単刀直入に訊くのは勇気がいる。恥じらいもあるだろうが、何より返ってくる応えが期待通りのものではなかった場合を考えるなら、気軽に訊けたものではないだろう。 「確認するが、お前の機関から与えられた任務は、ハルヒの観察と報告だったな」 僕が短く「ええ」と返すのを確認すると、穏やかになったと思った彼の姿勢はまた追求の構えを見せた。 こういう事を訊いてくる以上、彼には彼の決意があるのだろう。 「さっきも言ったが、お前が機関の中で占める位置は絶対的なものだと俺は思ってる。超能力持ちで、ハルヒの隣にその身を置いて、ハルヒからの信頼も厚い。いかに機関が根回しを得意としても、その位置にお前以外の人間をこれから据えるのは困難だろう。機関にとっては、お前の役割は、もうただの観察なんて程度のものじゃない。お前は他の対立組織との間で機関の優位性を差別化する上で絶対必要なものになっているはずだ」 「機関の組織体制がどうなってるかなんて俺には知ったこっちゃないが、機関内でのお前の将来は約束されているようなもんなんじゃないか?最重要な役割を担って、超能力も持ってる。頭だっていい。後々の組織内での発言力が低いままであるわけがない」 少し間が空く。 雰囲気で分かる。彼の問いの核心はここからなのだろう。 「そんなお前に訊きたい。世界中の権力者にコネクションを持ち、潤沢な資金力を持ち、超常の力で世界を如何様にもできるようになるかもしれない組織内で、将来の地位を約束されているお前はどんな夢を描いているんだ?…やはり他人から見た知人の夢を描いてるのか」 「…お前が閉鎖空間でいつも共に戦っている戦友達には及ばないだろうが、俺とお前との間にもそれなりの友誼はあると感じている」 「…でも正直俺は怖い。今感じる平穏が、水面下・雲の上での争いの中で意図的に作られているばかりではなく、身近な存在によってまで意図的に作られているものなのかどうか。日常の全てのやりとりもその調整のためにされていることなのか…」 信頼されているのかどうなのか少し残念な気もするが・・・ 「夢とか馬鹿みたいなこと言ってて恥ずかしいんだからさっさと応えてくれないか」 彼の気持ちもよくわかる。実は周囲の人間関係が全て操作されての結果だとしたら、僕だったらどう考えるだろうか。 彼は、僕自身が機関の行動原理に従って動いているのか、SOS団の一員として帰属意識を持って行動しているのかを聞いている。だとしたら、僕の回答に迷いはない。彼は真摯に自分の不安を、想いを、打ち明けてくれている。僕は友人として、それに応えなければならない。 「雪山で言ったことがありますよね。もし長門さんが危機に陥るようなことがあれば、機関の意志に反してでも貴方に協力する、と」 「ああ、覚えてる。一度だけっていう制限付きだったがな」 いつもと変わらない皮肉のようで、彼の一言一言から彼の気持ちが滲み出ているのが分かる。 「あれが僕の心からの本心です。制限については、状況によっては一度に限ったものとは思っていません。それでも敢えて制限を付けたのは・・・僕にも優先順位があるからです」 ——優先順位がある その僕の言葉に対して、彼の表情は明らかな変化を見せた。さっきまで会話の主導権がどうとか考えていたのが馬鹿らしくなるほどに彼の心境の動きが手に取るように分かる。しかし、そんなことは僕にとってももうどうでもいい。 「誤解を恐れず言えば、僕にも野心はあります。でもそれは、貴方が言うところの能力のある人の夢というようなものとは形を異にします。そんなものは僕の予定表にはありません。基本的に貴方の意に反するものではありませんし、SOS団の意に反するものでもありません。誓います」 「そうか・・・」 彼は力なく短く応える。 「僕が望むのは世界の平穏、SOS団の平穏、これは間違いのないことです。未だに小さい頃の世界を救うヒーローに憧れているわけではありませんが、毎度命の危険のある閉鎖空間に赴くのには、容易ならざる決意があるからです」 肝心なところを誤魔化したこんな言葉で僕の気持ちが伝わるかどうかはわからない。しかし、かと言って多くを語るわけにはいかない。 「同様に、僕が機関に所属し続けることも、SOS団に所属し続けることも、容易ならざる決意があるからです。そしてその決意の所在は、繰り返しになりますが決して貴方の意に反するものではありません」 だからこそ、僕は精一杯の気持ちを込めて応えなければならない。 「僕はSOS団の副団長ですから」 しばしの間が空き、やがて彼は、僕の真意を探るように、真直ぐと僕の眼に視線を合わせてきた。しかし、その目は言葉通り真直ぐだ。いつもの彼なら、気色悪いと一言吐き捨てるような状況だ。 ・・・通じたのだろうか。 「・・・『容易な決意』なんてものがこの世に存在するのか、俺は知りたいね」 彼はお得意の仕草と溜息とともに皮肉めいた言い方をした。こうやってお得意の仕草をとりつつ小さな揶揄を込めながら相手の意思を肯定するのはいつもの彼だ。 いつもの調子に戻った彼が時計を見ながら言う。 「そろそろ姫様がお待ちかねの時間だ。戻ろうぜ。合宿先については宿題ということにしといてくれ」 待ち合わせ時間にはまだあるが、確かに彼女なら既に彼を待ちこがれている時間だ。それにこの上ない話の切り方だ。こういう長けたものがあるなら、それを他のところで使ってくれれば僕も楽ができるのに。 「分かりました。貴方の貯金も底を突きそうですし、遅刻はよろしくありませんからね」 それなら僕も流れに合わせるだけだ。 「なっ!?まさか俺の預金残額まで把握してるのか!?」 「さて、どうでしょう」 僕はいつも以上にわざとらしいまでの得意の表情を使う。 「冗談じゃないぞ!最低限のプライバシーは守ってくれ!」 「少しくらいは我慢してください」 僕のスマイルと彼のやれやれが交錯する、何のことはない平穏・・・ ・・・・・ ・・・ ・ 一つの野心、一つの決意 3 へ メニューへ
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二つの決意◆o7DW0ESrOc 「はぁ」 …面倒な事になってしまった。 しがない一教師である僕が、目が覚めたら僕の生活に縁も何も無い殺し合いに巻き込まれてしまっていた。 聖職と呼ばれる教師がこんな事言うのもなんだが、どうして僕なんだろうか。 まったく、夢なら覚めてほしい、というのはこういう時を示すんだろう。 と、僕は肩を落としながら歩いてたのだけどね。まぁいいや。 「ところで…これはどうしようか」 そう呟いた僕の手の平に収められた黒く輝く鉄の塊。 いわずと知れた、拳銃らしい。 素人目にもよく分かった。 本気で、殺し合わせる気なんだなぁ、と。 話は変わるけど、その中に食べ物やなんか知らないけどロープとか、探検家が持ってそうな道具がぎっしり入ってる袋を押し退け見ると、『参加者名簿』っていうのを見つけた。 薄っぺらい紙だったが、なんとなく見てみたらどうやら僕が殺し合う相手らしく、その中に芳賀さんを始めとする僕の受け持つ生徒が沢山居たのだ。 で、よくよく見たら音信不通になっていた国坂も居たし。 会ったらちょっとあいつに説教してやらなきゃいけないな。 そういえば昔、仮にこういう状況で教師がやるべき事は一体何なんだ、て先輩である祝先生に聞いた事あったなぁ。 その時は酒飲んでたし、祝先生も酔ってたけど、確かこう言っていた記憶がある。 『教師ならば、生徒を守れ。ただし、自分の命を無駄にはするな。死んだら、損をするだけだ』 そう、笑いながら話してくれた記憶がある。 何処かその言葉には安心感があって、そしてなにより、正義感があった。 同じ様に殺し合いに巻き込まれているその祝先生は、どうしてるのだろうか。 その言葉を実行してるのだろうか。 …完璧には言えないが、おそらく生徒達を助ける為、辺りを走り回ってるだろう。 「…だったら、僕もそうしなきゃいけないじゃないか」 まったく、聖職というのを忘れていた。 僕の役目は、『生徒の安全の確保』。そして『ここからの脱出』だ。 正直な話、生徒全員を助ける事は難しいだろう。 だが、こうも考えられる。 『他の参加者を殺せば良いじゃないか』と。 僕は支給品で拳銃を得た。 くじで行くなら大当たりの一等商品。 使い慣れてる訳じゃない。でも、ハリセンとかよりは戦える。 頭を撃ち抜ける。胸を撃ち抜ける。眼を撃ち抜ける。 いとも簡単に人を殺せる兵器。 なんだ、思ってたより案外使うのは簡単じゃないか。 「…正直、人は殺したくない。 でも、僕が出来る事はこれぐらいだろうしね」 弾は、最初から入ってるらしい。 予備弾は無いみたいだけど、そもそも入れ方知らないし、なるべく無駄遣い禁止って事で。 「んじゃ、行きますかね。ぼっつらぼっつら」 そう言うと、僕は目覚めた場所らしいドームを後にする。 ところで祝先生。 僕が基本、参加者殺しまくるんで、なるべく死なないで下さいよ。 だって祝先生。貴方の言葉の中に『他人の命』は無い。 弱肉強食って言葉あるし… 自分が生かせたい人の為、自分が生きる為には、他の人を殺しても仕方ないですよね? ◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ドーム内の一角にある小さな部屋で、小説家である神無月静香は困惑していた。 突然誘拐されたと思ったら訳が分からない手紙を渡され、やれ殺し合いをしろなどと言われたからだ。 今日はうるさい編集者が来て、やっと完成した新作小説、『昼は長いし走れよ小亀』の原稿を取ってくる日だというのに、こんな訳が分からないところに呼ばれて、最悪原稿を落としてしまうかもしれないからだ。 更に、この殺し合いで死んでしまい、原稿を落とし、挙げ句の果てに突然の失踪とされてしまうと、あの編集者がまたうるさく言うだろう。 静香としても、常連の本屋の店主である三条瑠歌、居候してる電波美少女(と、彼女が思っているだけである)、加藤清正を残して死ぬ事は出来ない。 三条は良い。大人だから。自分が死んでも大人だから慣れてるはず。 けれど清正は、例え電波っ娘と言えど、住む場所が無くなったら、あの少女は悲しんで飛び降り自殺してしまうかもしれない。 …どうすればいいか、少し静香は考えてみた。 (…う~ん、清正ちゃんがこの殺し合いに呼ばれてるのは流石に無いとしても…清正ちゃん自殺したらあたしもなんかやだからなぁ… あ!そうだ!こういう見方もあったわ!) ――神無月シュミレーションその①―― 私が死ぬ ↓ 清正ちゃんが悲しむ ↓ 清正ちゃんが飛び降りて命を絶とうとする ↓ たまたまそれを見たイケメンが、颯爽と現れる。(清正ちゃんは可愛いから100%助けに向かう) ↓ イケメン「やめろー!死んじゃダメだー!」 ↓ 清正ちゃん「助けてくれてありがとう!結婚して下さい!」 ↓ 二人は結婚した。スイーツ(笑) ―――― 「って、なぁんだぁ!心配する事無いじゃない!」 困惑を投げ捨て、急激に喜びへと感情を変える静香。 超展開?いいえ、神無月シュミレーションの力です。流石はシュミレーションだ。なんとも無いぜ。 しかし、これで居候をなんとかする事が出来た。 残るは自分だが、果たして何をするべきか。 普通に考えるならば、やはり優勝だろう。 …しかし、静香の頭上に疑問符が浮かんだ。 (ってありゃ?もしかして私が生き残っても、あの手紙が嘘ついて私達が殺し合った後もしかしたらこの世界が滅びるかもしれないし、 生き残っても独身で三十路越えた女一人だけだったら○○○も出来なくて一人滅びるだけだし… それによくよく考えたなら世界が滅びる形なんて、アンタが決める事じゃないし) 頭を抱え、どうしようも無くなった様に落ち込む静香。 思い出してみれば自分は凡人。殺し合ったら、間違いなく自分は死ぬ。 だからといって、生き残っても意味が無い。 「…どうすれば良いのかなぁ…ハッ!そうだ!」 ―――神無月シュミレーションその②――― まずは何か巻かれてる首輪をどうにかして外す。 ↓ 参加者の中から主催を突き止め、倒し、土下座させる。 ↓ やったねしずかちゃん!元の世界に帰れるよ! ↓ 原稿落とさない、清正ちゃん平気。世界?多分だいじょーぶ。だいじょーぶ。 ↓ 私大勝利! ―――――― 「イヤッホォォォ!この手があったわ!私マジ天才!」 立ち上がり、大声を上げる静香。 ちなみにここ周辺には殺し合いに乗った相澤猛が居たのだが、仮にあと数分、相澤猛がこの建物から出るのが遅れたならば、最悪命を落としていただろう。 だがここは運が良かったのか、なにかある訳でもなく、ただ静香の声が響くだけ。 「そうと決まれば早く仲間探しね!よーし!私、頑張っちゃうぞー!」 しかし、どうやら遠回しに行われていた勝負は、静香に軍配が上がったらしい。 静香はそんな事知った事無いらしいが。 「よーし!いざ、しゅっぱーつ!」 そうまた叫んだ静香は、部屋を飛び出し、また猛とは違う裏口がある方向へと向かうのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 小説家はイカれた決意をし、教師は狂った決意をする。 二つの決意は、似てる様で似ていない。 ただ間違いなく言える事は、彼等は二人とも、まったく違う方針を取ったという事だ。 天使が微笑み、悪魔に刺されるのはどちらか? ゲームはまだ、始まったばかりだ。 【一日目・深夜/B-5 ドーム外】 【相澤猛】 【状態】決意、落ち着き 【装備】グロック17(15/15) 【所持品】基本支給品、とある男の探検セット 【思考】 1、生徒の為、殺し合いに乗る。人は殺したくないけど、仕方ない。 2、祝先生、国坂正義は殺さない。 【一日目・深夜/B-5 ドーム裏口付近】 【神無月静香】 【状態】テンションMAX、決意 【装備】無し 【所持品】基本支給品、不明支給品0~2 【思考】 1、殺し合いを止め、原稿を落とさない様にする 2、首輪を取りたい 【備考】 ※手紙を嘘だと判断しました ※中身を確認していません。 ※二人は別方向から出ました。 05 幸運のお地蔵様 時系列順 07 不運<アンラッキー> 05 幸運のお地蔵様 投下順 07 不運<アンラッキー> 相澤 猛 [[]] 神無月 静香 [[]]