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もうひとつの 最初のマジズミ 50kb以上は携帯だと重いんだろうか。
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コルヌトゥス 角兎のコルヌトゥス 【図鑑206】 【図鑑252】 角兎のコルヌトゥス(つのうさぎのこるぬとぅす) SSR SSR-Max SSSR[覚醒] 「に、人間さんは怖いですぅ……」 「」 「わーい!と、友だちがいっぱいですぅ!」 と、友だちから聞いたですぅ。きょ、今日はわたしたちを見つけるお祭りだって。こ、怖いけど……仲良くなれたらいいなぁ……。 わ、わぁー。み、見つかっちゃったぁー。……あ、あれ?そ、その網はなんですかぁ?な、なんで追いかけてくるんですかぁー!?わ、わたしを食べても美味しくないですよぉー! コスト22成長型普通 Lv1⇒100攻撃3250⇒13000防御3250⇒13000特攻8070⇒32280特防6690⇒26760 前衛[智]兎にも角にも消費手札P 40単体使用回数 2回[必殺][敵全員][増加・HP回復][味方全員][マイナスリセット][智の構え 最大HP増加][対象HPが自身より低い 特攻無視][開始5分以内 応援効果2倍][2回] 後衛[智]響きわたる角笛消費手札P 30単体使用回数 3回[増加][味方全員][回復][味方全員][減少][敵全員][智の構え 回数消費なし・手札P全回復・ダメージ強制1][複数奥義効果][暴の構え サポスキ無効化・交代封じ][3回] サポート[智]豊穣なる獣の土地単体使用回数 制限なし[確率発動][特攻ダメージ増加][応援効果増加][最大HP増加][自身][最大HP減少][自身最大HPに応じて威力・効果増加][奥義準備時間延長効果を短縮] 【状態異常 骨折】・生存者気絶者問わず敵全員に極大ダメージを与え、気絶者を含む味方全員の全パラメータが極大アップし、更にHPが回復する。・自身にマイナス状態のパラメータがある場合、マイナス値をリセットする。・智の構え発動時、与えたダメージに応じて自身の最大HPがアップする。・対象の最大HPが自身より低かった場合、攻撃対象が次に使用する必殺・飛び道具スキルの特攻アップ値を無視する効果を与える。・抗争開始5分以内に使うと、応援効果が2倍になる。・気絶状態でも使用可能。・レベルが上がると威力と効果が増加する。 【状態異常 忘却】・気絶者含む味方全員の全パラメータが特大アップし、HPが全回復する。・更に敵全員の全パラメータが特大ダウンする。・智の構え発動時、効果は得るが残り有効回数を消費せず、自身と参戦者優先で味方後衛5人の手札Pが全回復し、次に自身が受けるダメージを強制的に1にする。・暴の構えの効果も受ける。暴の構え発動時、相手の発動したサポートスキルを3つ無効化し、ダウン対象に20秒間自ら後衛に下がることができなくなる効果を与える。・交代封じの効果は重ねがけはできない。・レベルが上がると効果が増加する。 ・一定確率で特攻ダメージと応援効果が大アップし、自身の最大HPがアップする。・更に敵前衛1人の最大HPがダウンする。・自身の最大HPが高ければ高いほど威力・効果が更にアップする。・奥義準備時間を延長する効果を受けた場合、高確率で準備時間の延長効果を5秒短縮する。・レベルが上がると発動確率と効果が増加する。 前衛[智]【役強化】きもうとかくの存在消費手札P 40単体使用回数 2回[必殺][敵全員][増加・HP回復][味方全員][マイナスリセット][智の構え 最大HP増加・確率で使用回数消費しない][対象HPが自身より低い 特攻無視][開始10分以内 生存者威力2倍・応援効果2倍][役強化 スリーカード威力1.5倍][2回] 後衛[智]【役完成】戦歌を伝える角笛消費手札P 30単体使用回数 3回[増加][味方全員][回復][味方全員][減少][敵全員][智の構え 回数消費なし・手札P全回復・ダメージ強制1][複数奥義効果][暴の構え サポスキ無効化・交代封じ][役完成 スリーカード][3回] サポート[智]語られるは幻の土地単体使用回数 制限なし[確率発動][特攻ダメージ増加][応援効果増加][最大HP増加][自身][最大HP減少][自身最大HPに応じて威力・効果増加][奥義準備時間延長効果を短縮] 【スリーカード威力1.5倍】【状態異常 骨折】・生存者気絶者問わず敵全員に極大ダメージを与え、気絶者を含む味方全員の全パラメータが極大アップし、更にHPが回復する。・自身にマイナス状態のパラメータがある場合、マイナス値をリセットする。・智の構え発動時、与えたダメージに応じて自身の最大HPがアップし、50%の確率でスキル使用回数を消費しない。・対象の最大HPが自身より低かった場合、攻撃対象が次に使用する必殺・飛び道具スキルの特攻アップ値を無視する効果を与える。・抗争開始10分以内に使うと、生存者への威力が2倍になり、応援効果が2倍になる。・気絶状態でも使用可能。・レベルが上がると威力と効果が増加する。 【使用後スリーカード完成】【状態異常 忘却】・気絶者含む味方全員の全パラメータが極大アップし、HPが全回復する。・更に敵全員の全パラメータが極大ダウンする。・智の構え発動時、効果は得るが残り有効回数を消費せず、自身と参戦者優先で味方後衛5人の手札Pが全回復し、次に自身が受けるダメージを強制的に1にする。・暴の構えの効果も受ける。・暴の構え発動時、相手の発動したサポートスキルをすべて無効化し、ダウン対象に30秒間自ら後衛に下がることができなくなる効果を与える。・交代封じの効果は重ねがけはできない。・レベルが上がると効果が増加する。 ・一定確率で特攻ダメージと応援効果が大アップし、自身の最大HPがアップする。・更に敵前衛1人の最大HPがダウンする。・自身の最大HPが高ければ高いほど威力・効果が更にアップする。・奥義準備時間を延長する効果を受けた場合、高確率で準備時間の延長効果を無効化する。・レベルが上がると発動確率と効果が増加する。 刻のイシュタリア イラストレーター NAMYO 出現日2023/09/16取得方法月兎のすごろくガチャ
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《ひとつの犠牲》 カウンター罠 対象を取らない魔法・罠・モンスター効果を無効にし破壊する。 その後、自分フィールド上のモンスター1体を破壊する。 part21-438 コメント 名前 コメント
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リンクの冒険 24-127~131・133・138 127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/07(月)21 47 27ID s6MrT1Vf 誰も、リンクの冒険かいてないんで、書いてもいいですか? 説明書に書いてあることとラストぐらいしか書くことないですけど…。 128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/07(月)23 14 29ID 1eAlG6Ad 是非どうぞ 129 :リンクの冒険:2006/08/07(月)23 47 06ID s6MrT1Vf ガノンを倒し、ゼルダ姫を救い出し、トライフォースを取り戻しましたが、ハイラルは後輩の一途をたどる一方でした。 ガノンの邪悪な心の残した力により、ハイラルの秩序は乱れてしまいました。 また、ガノンの一部の手下たちはガノンの復活を計画しています。 ガノンを復活させる鍵は、ガノンを倒したものの血、つまりリンクの血です。 リンクの血を灰になったガノンに振り掛けることにより、ガノンは復活してしまいます。 リンクはハイラルの復興に力を貸していましたが、状況はよくありませんでした。 そんなある日、16歳になったリンクの左手の甲に不思議なあざが浮き出てきました。 そのあざはまるで王国の紋章のようで、気になったリンクはインパの元にでかけます。 あざを見たインパは驚きましたが、冷静さを取り戻すとリンクを北の城に連れて行きました。 北の城には開かずの扉というものがあり、あけ方を知っているのはインパの家系を継ぐものだけです。 インパはリンクの左手の甲を扉に押し付けました。 すると錠前の外れる音がし、扉がゆっくりと開いていきます。 部屋の中央には大きな祭壇があり、そこには美しい女性が横たわっていたのです。 その女性こそ、初代ゼルダ姫です。 インパは落ち着いた口調で、ハイラルに伝わる『ゼルダの伝説』を語り始めました。 昔、まだハイラルが一つの国だったころ、偉大な王はトライフォースの力でハイラルの秩序を保っていた。 そして、王子が次の王になりすべてを受け継ぐはずだったが、トライフォースだけは不完全にしか受け継ぐことが出来なかった。 王子はその足りないものを求め、ありとあらゆるところを探したが、見つけることはできなかった。 そんな時、王の側近の魔術師が思わぬ知らせを持ってきた。 どうやら王は死ぬ前に、王子の妹の初代ゼルダ姫だけに、トライフォースについての何かをしゃべっていた。 王子はゼルダ姫を問い詰めたが、姫は決して口を割ろうとしなかった。 魔術師が、永遠に眠りつづける魔法をかけるぞ、とおどしたがそれでもしゃべろうとはしなかった。 業を煮やした魔術師は、王子に止められたにも関わらず魔法を本当にかけてしまった。 ゼルダ姫が永遠の眠りにつくと同時に、魔術師もその場に倒れ絶命してしまった。 王子は大いに嘆き悲しみ、初代ゼルダ姫をこの部屋に置いた。 また、悲劇を二度と忘れないようにと、代々王家に生まれる女の子には、かならず『ゼルダ』という名前を付けるように命じた。 インパは、ゼルダ姫の眠っている祭壇の横の台から、同じ紋章のある一本の巻物と、6つの小さなクリスタルをリンクに渡しました。 それは、偉大な王が来たるべきときのために用意しておいたものを、インパの家系が代々伝えてきたものです。 すべて古代の文字で書いてありましたが、紋章を持つリンクなら読むことが出来るらしいのです。 そこには、トライフォースを完全なものにする鍵が隠されているようでした。 130 :リンクの冒険:2006/08/07(月)23 48 37ID s6MrT1Vf 後世のトライフォースを操るものよ、そなたにはトライフォースの力を伝えよう。 トライフォースには3枚の種類がある。すなわち、力・知恵・勇気。 この3枚のトライフォースをあわせたとき、トライフォースは最大限の力を発揮するのだ。 3枚のうち、力と知恵の2枚は王国の残すから受け取るがよい。しかし、勇気のトライフォースだけは理由あって私が隠した。 トライフォースは誰でも使えるというわけではない。 悪しき心をもたぬしっかりとした人格も必要だが、生まれながらの特殊な素質も必要なのだ。 残念ながら私の生きている間に、そのような人物を見つけることはできなかった。 それで私はハイラル全土に魔法をかけることにしたのだ。 素質を持った人間が道を誤らずに育ち、さまざまな経験をつみ、ある年齢に達したとき紋章が現れるように。 しかし、もしそれまでに他の誰かがトライフォースを使えばどうなるだろうか。 使い方をあやまればさまざまな悪を産み出す。 勇気のトライフォースは、ハイラルで一番大きい島のですバレーにある大神殿に隠してある。 しかし、そこに入るにはまず、ハイラルにある6つの神殿で守護神と戦い、結界を解かなければならぬ。 守護神は、私が神殿に外敵が侵入するのを防ぐために作ったものだ。 守護神を倒したら、その奥の石像の額にクリスタルをはめこむのだ。 6つの神殿のすべての石像にクリスタルをはめ終わったとき、デスバレーにはられた結界は解け、大神殿に入ることができるようになる。 そこでそなたは、最後の守護神と戦うことになる。その守護神を倒して初めて、トライフォースを手にすることができるのだ。 恐れることなかれ、そなたならきっとトライフォースを得ることができよう。そしてハイラルの希望の光となることを願う。 巻物を読み終わり、ゆっくりと顔をあげると、インパはリンクに嘆願しました。 初代ゼルダ姫にかけられた魔法も、トライフォースを使えばきっと解けるはずじゃ。 トライフォースを完全なものにし、姫を救っておくれ。そして平和なハイラルを取り戻しておくれ、と。 リンクは無言で頷くと、祭壇のほうを一目見て部屋を後にしました。 リンクは、左手にマジカルソード、右手にマジカルシールドをもって一人旅立ちました。 そのころ、ガノンの手下たちは魔界から新たな仲間を呼び寄せ、ガノン復活に向けて動き始めようとしていたのです。 魔法を教えてもらったり、新たな技を習得したり、子供を助けたりしながらリンクは6つの神殿の石像にクリスタルをはめ込んでいきます。 そして、デスバレーにある大神殿へとたどり着き、最後の守護者を倒します。 その後、リンクの影と戦い見事打ち勝つと、勇気のトライフォースを手に入れることができました。 眠っていた初代ゼルダ姫が起きて、リンクにキスしようとしているところで幕が下りてきてEND。 131 :リンクの冒険:2006/08/07(月)23 56 46ID s6MrT1Vf 以上です。ゲーム中ではストーリーに関わるようなことは特に語られません。 133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/08(火)03 16 22ID 2hAvH+b7 リンク乙。 ガノンの部下たちはゲーム中ではどういう扱いなの?戦うのかな? あと、初代じゃなくて現代のゼルダ姫は出てこないの? 138 :リンクの冒険:2006/08/08(火)10 25 05ID mkOGQA4p 133 ガノンの手下が新しくよびだした魔物とは戦うけど、手下とは戦わない。 ガノンも、リンクが死んだときに声が聞こえるだけ。 初代じゃなくて現在のゼルダ姫は(説明書にすら)出てこない。
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413 三つの鎖 16 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/02/19(金) 22 17 30 ID hcjZui0x 病院を出るとまだ曇ってはいるけど、雨はやんでいた。 洋子さんと雄太さんは迎えに来たそれぞれの会社の人の車で帰った。 送って行こうという雄太さんの申し出に洋子さんは頭をはたいた。 「父親なら娘に気を使え」 雄太さんは肩を落として僕を見た。 「加原君。娘を頼むよ」 そう言って二人は去って行った。 僕と夏美ちゃんは病院を出てゆっくり歩いた。 「あの、お兄さん」 夏美ちゃんは僕を見た。すぐに恥ずかしそうにうつむく。 「本当にありがとうございます。お兄さんのおかげで久しぶりにお父さんとお母さんと一緒にお食事できます」 「僕は何もしていないよ」 実際、あの様子だと二人とも日本を出る前に夏美ちゃんに会いに来た気がする。そして家族でカレーを食べたに違いない。 夏美ちゃんの指と僕の指が触れる。僕は夏美ちゃんの手をつかんだ。小さくて温かい手。夏美ちゃんも握り返してくれた。 嬉しくて気恥ずかしくて頭が爆発しそうだった。夏美ちゃんの顔を見ると真っ赤だった。僕と同じことを考えているのかもしれない。 マンションまで夏美ちゃんを送った時、お昼前だった。 「お腹すいちゃいました」 朝から林檎しか食べていないらしい。 僕は冷蔵庫を確認した。牛肉、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ…。カレーの材料しかない。 仕方がない。肉じゃがにしよう。 キッチンを見回すと、流しの中に使った食器が置いてあった。洋子さんは洗わずに病院に向かったようだ。鍋は見事に空っぽだった。 僕は手早く材料を切り鍋に放り込んだ。調味料を足し、味見をしながら煮込む。 後は煮込めば大丈夫という段階で僕は火を弱めキッチンを出た。 「夏美ちゃん。後はしばらく煮込めば完成するよ」 そう言って僕は帰る準備をした。今は昼前だ。今から出ればお昼休みには学校に着く。 「あの、お兄さん。その、えっと」 夏美ちゃんが寂しそうに僕を見つめた。僕も見つめ返す。やあって夏美ちゃんは目を伏せた。 「いえ、何でもありません。今日はありがとうございました」 僕は夏美ちゃんの言いたい事は分かっていた。 今まで何度もこのマンションに来て料理を作ったけど、一緒に食べた事はない。いつも僕か梓が家の料理を作っていたから。 「お勉強頑張ってくださいね」 夏美ちゃんそう言って笑った。その笑顔には隠しきれない寂しさがにじみ出ていた。 「夏美ちゃん。今週の金曜日を楽しみにしている」 その日に夏美ちゃんのご両親も含めて初めてこの家で食事をする。 「私も楽しみです」 「お大事に」 僕はそう言ってマンションを去った。 外はいまだに曇りのまま。どんよりとした空。遠くで雷の音が聞こえる。 夏美ちゃんの笑顔を脳裏に浮かべる。明るくて見ているだけで幸せになれそうな笑顔。思い浮かべるだけで胸が温かくなる。 僕は夏美ちゃんの傍にいたい。 それでも、すぐに学校に向かったのは春子と話すためだ。物心ついたときから一緒だったいちばん身近な女の子。いつも僕の世話を焼いてくれたお姉さん。 春子の泣いた顔が脳裏に浮かぶ。僕をだれにも渡したくないと泣く春子。思い出すだけで胸が締め付けられる。僕には春子を恨む理由も権利もあると思う。説得なんて考えないで脅されている事を村田のおばさんにでも伝えればそれですむかもしれない。 でも、できない。そんな不幸な結末は考えたくない。 別に誰もかもが幸せになればいいなんて思ってない。そんなことは不可能だ。 どれだけ一緒にいた時間が長くても、どれだけ好きでも、どれだけ一緒にいたいと願っても、どんな形であれ別れは絶対に来る。 僕と夏美ちゃんにもいつか別れは来る。それは男女の別れなのかもしれないし、連れ添ったうえでの死別かもしれない。どんな形であれ、別れは必ず来る。それは僕と春子も同じだ。 春子に対して僕は以前と同じ関係を望んでいた。以前のようにお姉さんぶった春子にからかわれながらも平穏に過ごす関係。徐々に大人になり子供じみた関係は少しずつ無くなっていく。そんな普通の幼馴染。 でも、もう無理だ。僕たちは前の関係にはもう戻れない。お互いのすれ違う気持ちを知った以上、姉と弟にはなれない。例え僕がどれだけ望んでも。 それでも、脅迫し脅迫される関係で終わりたくはない。春子を恨んで終わりたくない。 僕は春子が好きだ。それは幼馴染としてであって、一人の女性として愛していない。何を言われようと何をされようと、それだけは変わらない。 春子に伝えないと。僕は春子を一人の女性として愛していないと。こんな関係はもうやめようと。 414 三つの鎖 16 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/02/19(金) 22 19 43 ID hcjZui0x そんな事を考えながら歩いていると知っている顔が近付いてくる。 遠くで雷の音がした。 「どうしたの兄さん。難しい顔をして」 梓。 なんでここに。学校は。疑問は浮かび上がるけど、口にできなかった。 「兄さん」 そう言って梓は僕に抱きついた。嬉しそうに僕の胸に頬ずりしてくる。 「ねえ兄さん」 引き離そうとした瞬間に梓は僕の耳に囁いた。 「夏美は大丈夫だったの?」 梓を引きはがすのも忘れて僕は安心した。梓も夏美ちゃんの事を心配している。 昨日、あれだけ喧嘩をしたから気まずいままかと思った。本当に良かった。 「大丈夫だったよ。もう退院した」 ここまで言って、僕は気がついた。気が付いてしまった。恐怖に背筋が寒くなる。全身に鳥肌が立つのが分かる。 なんで梓は知っている。夏美ちゃんが入院した事を。 今日の朝、僕は梓に何も言わずに屋上から病院まで来た。梓は何も知らないはず。 「平気だったんだ」 そうだ。洋子さんが学校に連絡したのかもしれない。そして夏美ちゃんの担任の先生がHRで告げた。そう考えれば納得できる。 「どうしたの兄さん」 梓は僕を不思議そうに見上げた。 「夏美が無事なのがそんなに不思議なの」 うっすらと笑う梓。背筋の寒くなるような笑み。 「階段から突き落としただけだもん。死にやしないわよ」 僕は固まった。全身の血液が凍りついたような恐怖。 梓は僕の背中にまわす腕に力を込めた。まるで逃がさないというように。振りほどこうと思えば振りほどける、はず。どれだけ技があっても梓は女の子だ。腕力は僕の方がはるかにある。それなのに振りほどける気がしない。 「ふふっ、ふふふっ。いい表情ね。兄さんのその表情、嫌いじゃないよ」 梓はうっとりと僕の頬を撫でた。梓の指が信じられない熱を帯びている。 その熱に頭が焼けそうに感じる。 「ねえ兄さん」 梓は僕に囁いた。耳元にふれる吐息が熱い。 「家に行きましょう。話したい事があるの」 僕は梓の顔を見た。梓は嬉しそうに笑っていた。その笑顔に背筋が凍る。梓は本当に嬉しそうに笑っていた。 近くで雷が落ちる音がした。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 玄関を閉めた瞬間、梓は抱きついてきた。 僕の背中に細い腕をまわし胸に顔をうずめる梓。梓の体から信じられない熱さの体温が伝わる。 「好き。大好き」 梓は幸せそうにつぶやき僕の胸に頬ずりしてくる。 僕は梓の両肩に手をかけて引き離そうとしたけど、離れない。 「梓。離れて」 「やだ。ずっとこうする」 梓は腕を離さずに僕に頬ずりを続ける。 「僕たちは兄妹だよ。こんな事をして許される年じゃない。離れて」 「関係ないわ」 梓は顔を上げた。嬉しそうな表情。梓の瞳が奇妙な光を放つ。 「兄妹だからなんて関係ないわ。兄妹でも女として愛せるし、愛される事が出来るよ」 紡がれる言葉に鳥肌が立つ。梓はなんて言った? 「僕たちは兄妹だ。男女の関係にはなれない」 「なれるわ」 僕の背中に回される梓の腕に力がこもる。 「キスだってセックスだってできるわ」 梓は腕を離し僕の頬を挟んだ。頬に梓の手の温度が伝わる。 焼けるような熱さ。梓の感情の激しさ。梓が顔を近づけるのを僕は肩をおさえて止めた。 次の瞬間、足を払われ僕は仰向けにこけた。梓がのしかかってくる。 「梓!やめるんだ!」 僕は必死に抵抗した。キスしようとする梓を引きはがそうとする。 梓は僕の腕をつかむと容赦なく体重をかけた。激痛とともに肩が外れる感触。うめき声をあげそうになるのを必死に耐えた。 「素直じゃないんだから」 415 三つの鎖 16 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/02/19(金) 22 22 07 ID hcjZui0x そう言って梓は僕のあごに手を添えた。白くて小さな手。そして僕の唇に口づけした。 「ちゅっ、んっ、ちゅっ、じゅるっ、んんっ」 僕の唇をついばむ梓。唇をはいずる梓の感触に鳥肌が立つ。 引きはがそうとまだ動く腕を伸ばしたけど、梓はその腕をつかみ容赦なくねじった。激痛が走る。 「ふふっ、すごいわね兄さん。眉一つ動かさないなんて」 梓は僕の上から嬉しそうに僕を見下ろした。 「さすがに汗はかいているわね。大丈夫?」 あまりの痛みに全身に冷や汗が出る。梓は僕の頬にふれた。熱い手。汗に冷えた頬に信じられない熱さが伝わる。 梓は僕の頬から手を離し、その手を自分の顔に近付けた。指を口に含み陶然とする。 「はむっ、ぺろっ、ふふっ、兄さんの味がするわ」 嬉しそうに指を舐める梓に鳥肌が立つ。 梓は僕の頬をはさみ顔を近づけた。振り払おうにも両腕が動かない状況では頭を振って抵抗するしかできない。しかし首を振るたびに両肩に激痛が走る。 「ふふっ、あまり動かない方がいいわよ」 梓の両手が僕の顔を固定した。振りほどこうにも激痛でこれ以上は動けない。 そのまま僕の唇をむさぼる梓。頬を染めた嬉しそうな梓の顔が僕の目の前にある。唇にふれる梓の唇と舌がおぞましい。僕の口を割り梓の舌が侵入してくる。僕は歯を噛みしめて抵抗した。 「ちゅっ、れろっ、ちゅっ、んっ、兄さんっ、口を開けてっ」 僕は必死に耐えた。そんな僕を見下ろした梓は僕の喉を容赦なくついた。あまりの衝撃に口が開く。そこに梓の舌が入り込む。 口腔を梓の舌が舐めまわす。僕の舌に絡みつく。 血のつながった妹に唇をむさぼられている現実。心地よさも快感も無い。あるのは恐怖と怖れと嫌悪。近親相姦の禁忌を平然と犯す梓に鳥肌が立つ。 僕は梓の舌を噛みしめようとした。その動きに気がついたのか梓は僕の口腔から舌を抜いた。梓の口の端から涎が僕の顔に落ちる。 「ふふっ。ひどいよ兄さん。私のキスはそんなに嫌なの」 言葉とは裏腹に嬉しそうに僕を見下ろす梓。桜色に染まった頬、嬉しそうな表情。他の男が見れば女の艶を感じたかもしれない。 しかし血のつながった妹に迫られても感じるのは禁忌にふれる恐怖と嫌悪だけ。 梓は僕のズボンのベルトを外した。 「ここはどうなのかしら」 鳥肌が立つ。激痛をこらえて僕は身をよじって抵抗した。しかし梓の手はチャックを開け入り込んだ。 剛直にふれる梓の熱い手。嫌悪感に鳥肌が立つ。 「残念ね。全然硬くなってないわ」 梓は僕の剛直をたどたどしい動きで撫でた。快感など微塵も感じない。 「やめろ梓!」 あまりの嫌悪感に僕は叫んだ。梓は嬉しそうに微笑み撫で続ける。何の反応もないのに飽きたのか、梓はズボンから手を抜いた。そのまま指を口に含みうっとりする。 「ふふっ、兄さんの味だわ」 陶然とつぶやく梓に言い知れない恐怖と嫌悪を感じた。全身に鳥肌が立つ。 「ふふっ、兄さんごめんね。今肩をはめるから」 梓は僕の肩をはめた。激痛が少しだけおさまる。 僕はすぐに起き上がり梓と距離をとった。梓はそんな僕を微笑みながら見つめた。 「兄さん。私とシよ」 恐怖と嫌悪に背筋が寒くなる。 「梓は自分が何を言っているのか分かっているのか!?」 押さえきれない感情に言葉が荒くなる。 微笑みながら梓は僕を見つめた。 「だって私もう我慢できない。好きな人が近くにいるのに何もないなんてもう無理よ」 僕は唇をかみしめた。病院服を着た夏美ちゃんが脳裏に浮かぶ。 「だから夏美ちゃんを怪我させたのか」 梓の反応は劇的だった。笑顔が消え表情がゆがむ。 「あの女の話をしないでっ!!!!!!」 叫びが空気を震わす。 梓は肩を激しく上下さして僕を見た。瞳は激情に染まっている。 「あの女が悪いのよ!!私は我慢しようとした!!家の中で誰もいないときに兄さんに甘えるだけで我慢しようとした!!それなのにあの女はこの家まで入り込んで私の前で兄さんといちゃついたのよ!!私の気持ちを知っているくせに!!」 梓の言うあの女に対する負の感情に僕は立ち尽くすしかなかった。 「兄さんに分かるの?それがどれだけつらかったか。どれだけ惨めだったか」 言葉を紡ぎながら梓は僕に近づく。恐怖に足がすくみ動けない。梓は僕の頬を両手ではさんだ。頬にふれる梓の手が熱い。梓の感情の激しさそのもの。 「分からないでしょ」 僕を見上げる梓の表情は悪鬼そのもの。そのまま梓は目を閉じ僕にキスした。僕は動けなかった。 梓は目を開け僕を見上げた。先程と違う寂しそうな表情。 416 三つの鎖 16 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/02/19(金) 22 23 59 ID hcjZui0x 「本当はね、兄さんの妹で我慢しようと思っていたの。兄さんがそれを望んで妹として愛してくれるならそれで我慢しようと思った」 そう言って梓は悲しそうに首を横に振った。 「やっぱり無理よ。私、兄さんが欲しい」 梓は僕に抱きついた。背中に細い腕が回される。締め付ける力は小さいのに、振りほどける気がしない。 「兄さん。私のものになって。私を兄さんのものにして」 抱きつく梓から伝わる体温に強い嫌悪を感じる。僕は梓の肩を押して引き離そうとしたけど、梓の腕は離れなかった。 「僕たちは兄妹だ。血のつながった兄妹だ。梓の望む事はしないし出来ない」 梓は顔をあげて僕を見た。無表情な顔の中で双眸が奇妙な光を放つ。 「あのね兄さん、私はお願いしているんじゃないわ」 背中に回された梓の腕に力がこもる。 「私はね、命令しているのよ」 紡がれる言葉に背筋が寒くなる。足が震える。 梓はそんな僕を楽しそうに見上げた。 「兄さんだって分かっているでしょ?私がその気になればいつでもあの女を処分できるわ。兄さんにしたみたいに肩を外してもいいし、なんなら殺してもいい」 僕は梓の言葉を必死に耐えた。足の震えを無理やり止める。 「そんなのは生ぬるいわね。指を一本一本折るのもいいわ。どこまで兄さんが好きと言えるか試してみるのもいいかも」 夏美ちゃんの笑顔が脳裏に浮かぶ。公園で恐怖に震える僕から庇うように背中を向けてくれたあの姿。その小さな背中は震えていたけど、逃げなかった。僕は梓の腕を振りほどき梓を突き飛ばした。 梓は僕の動きに逆らわずに転がりその勢いで立ち上がる。 「おバカな兄さん。私に勝てるはずがないでしょ」 言い終わるや梓が迫る。迫る掌底を防ごうとしたけど肩の激痛に動きが鈍る。梓の掌底は僕の顎をうつ。姿勢を崩した瞬間、視界が反転し背中から叩きつけられる。 肩の痛みにもがく僕に梓がのしかかる。腕を固定され動けない。 「ねえ兄さん。私とするのがそんなに嫌なの?」 梓は悲しそうに言った。僕は梓を見上げ激情のままに言葉を紡いだ。 「血のつながった兄妹で体を重ねるなんて、けがわらしいと思わないのか!?」 梓の顔から表情が消える。無表情に僕を見下ろす瞳に種類は分からないけど強烈な感情が渦巻く。その瞳に背筋が寒くなる。 それでも僕は視線をそらさなかった。 「…ふっ…ははっ」 やがて梓は声を押し殺して笑い出した。 梓の笑いはだんだんと大きくなる。おかしくて仕方がないというような笑い。 「ははっ、ふっ、ふふっ、おかしな兄さん、あはははっ」 何がおかしいのか。分からない。 梓は笑いながら僕を見下ろした。 「あははっ、ははっ。まあいいわ。私の言った事をよく考えてね。あの女が大切ならね」 そう言って梓は僕の上から起き上った。 僕は立ち上がり梓を見た。梓は本当におかしそうに僕を見ていた。 何がおかしいのか僕には分からなかった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 私は部屋に戻りベッドに寝転がった。扇子を取り出して顔をあおぐ。火照った顔に涼しい。 さっきの兄さんとのやり取りを思い出すと全身が熱くなる。私は唇を指でなぞった。兄さんの唇の感触がした。私は熱い吐息を吐きだした。 なんて楽しいのだろう。もう我慢する必要はない。兄さんに自分の気持ちを伝えても何の不安も無い。好きな人に好きと言い迫るのがこれほど楽しいとは思わなかった。 兄さんの悲痛な叫びが脳裏に再生される。 (血のつながった兄妹で体を重ねるなんて、けがわらしいと思わないのか!?) 思い出すだけで笑いが込み上げてくる。兄さんは何も知らないからそう言えるんだ。 兄さんは知っているのだろうか。知らないに違いない。 私と兄さんの存在自体が、近親相姦の結果という事を。 昨日の夜、私は知ってしまった。 知ってしまった。 もう我慢する必要はない。 兄妹でも、たいした問題じゃない。 兄さんの表情が脳裏に浮かぶ。愛しい兄さん。 私は必ず兄さんを手に入れる。どんな手を 戻る 目次へ 次へ
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462 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 48 27 ID yyH+Q/WN 一緒に買い物を済まし、夏美ちゃんの家に向かう。 「お兄さん。何でそんなに買ったのですか?」 不思議そうに僕を見上げる夏美ちゃん。確かに、購入した食材は作り置きを考えても一人分じゃない。 「夏美ちゃんさえ良ければ、今日の晩ご飯を一緒に食べていいかな」 口元を両手で押さえて飛び上がる夏美ちゃん。 「もちろんです!」 嬉しそうな夏美ちゃんを見ていると、少しホッとする。 「今日は記念すべき日です!」 「大げさだよ」 「だって、私の家でお兄さんと一緒に食べるのは今日が初めてです!」 嬉しそうに笑う夏美ちゃんに胸が痛む。 本当はもっと前に一緒に食べる機会があった。 雄太さん。 「お兄さん?」 不思議そうに僕を見上げる夏美ちゃん。僕は笑ってごまかした。 夏美ちゃんの家につく。 和室の仏壇の前に正座し、手を合わせる。 何があっても、夏美ちゃんを守る。 誓いも新たに和室を出た。 夏美ちゃんとおそろいのエプロンで料理する。 今日の献立は焼きそば。夏美ちゃんに教えながら料理する。 夏美ちゃんも、カレー以外の献立を覚えたほうがいい。 作り置きとしていつも通り肉じゃがも作る。 楽しそうに料理する夏美ちゃん。その姿にホッとする。 食卓でも夏美ちゃんはいつも以上に饒舌だった。明るかった。楽しそうだった。嬉しそうだった。 こんなに喜んでくれるなら、もっと早くに一緒に食事すれば良かったかもしれない。 食後、二人で並んで食器を洗う。ここでも夏美ちゃんは楽しそうだった。 お茶を入れて、リビングのソファーに並んで座る。 夏美ちゃんの制服。胸元のボタンが一つ外れている。 僕はソーイングセットを取り出した。似た形のボタンがちょうどある。 「夏美ちゃん。動かないでね」 僕は手早くボタンを縫い直した。くすぐったそうにする夏美ちゃん。 「ありがとうございます」 そう言って夏美ちゃんは僕にもたれかかった。 背中に回される夏美ちゃんの腕。 柔らかくて温かい感触。 僕の胸に頬ずりする夏美ちゃん。 「お兄さん」 僕を見上げる夏美ちゃん。不安そうな瞳。 「…抱いてください」 消え入るような小さな声。 時計を見る。もう遅い時間。こんな遅くまでいるのはよくない。 「ごめん。もう帰らないと」 夏美ちゃんの目が見開かれる。背中に回された夏美ちゃんの手が震える。 様子がおかしい。 「夏美ちゃん?」 「わ、わたし、何もされてないです」 夏美ちゃんの声は震えていた。 僕を見上げる夏美ちゃん。目尻に光るものが溜まる。 「汚れてないです。本当です」 恐る恐る僕の頬に触れる小さな手。 「その、頑張って気持ち良くします。ですから、その」 僕から視線を逸らしうつむく夏美ちゃん。 「だ、抱いてください」 僕は馬鹿だ。 あんな事があって平気なはずないのに。 それを隠して必死に元気なふりをしていただけなのに。 僕は夏美ちゃんを抱きしめた。 「知ってる。何もなかったって。だから安心して」 「わ、わたしの事、嫌いになったりしませんか」 463 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 49 22 ID yyH+Q/WN 僕は夏美ちゃんの唇をふさいだ。 柔らかくて温かい感触。啄ばむようにキスする。 「んっ、ちゅっ」 微かに身をよじる夏美ちゃん。 僕は唇をゆっくり離した。 「夏美ちゃんを嫌いになったりなんて、絶対にしない」 ぼんやりと僕を見上げる夏美ちゃん。 「愛してる」 夏美ちゃんの頬が赤く染まる。それでもなお、不安そうに僕を見上げる。 僕の頬を白くて小さな手が挟む。温かくて柔らかい。 「お兄さん」 目を閉じた夏美ちゃんの顔がゆっくり近づく。僕も目を閉じた。 唇に触れる柔らかくて温かい感触。 啄ばむようなキスが徐々にむさぼるようなキスになる。 お互いの舌を絡め、舐めつくす。 「んっ、ちゅっ、んんっ」 夏美ちゃんの息遣い。甘い香り。 僕はゆっくりと唇を離した。 「あの、お兄さん」 不安そうに僕を見上げる夏美ちゃん。僕の服を握る小さな手は震えていた。 「その、私の部屋に行きませんか」 僕は夏美ちゃんを持ち上げた。俗にいうお姫様だっこ。 「え?ええ?」 戸惑うような夏美ちゃんの声。 「お、お兄さん!おろしてください!」 手足をばたつかせる夏美ちゃん。 「どうして?」 「だ、だって、私、重くないですか?」 恥ずかしそうな夏美ちゃん。 「軽いよ。羽みたい」 そんなやり取りをしながら部屋につく。 僕は夏美ちゃんをベッドにゆっくりとおろした。そのまま押し倒す。 「いいんだね」 僕の下で夏美ちゃんは恥ずかしそうに頷いた。 お兄さんの大きな手が私の制服のボタンをゆっくりと外していく。 今でも肌を見られるのは恥ずかしい。私は視線を逸らした。頬が熱い。 ブラの上からお兄さんの手が触れる。 「んっ」 思わず声が出る。お兄さんを見上げると、目が合う。視線でいい?と問いかけるお兄さんに私は頷いた。 ブラがゆっくりと外される。お兄さんに見られているのが分かる。恥ずかしい。 お兄さんの両手が私の胸をゆっくりと揉む。 声が漏れそうになるのを必死に我慢する。 私の胸をゆっくりと優しく揉むお兄さんの手。気持ちいい。 時々、乳首を軽くつままれる。それが刺激になって体がびくりと震える。 お兄さんの方手がスカートにもぐりこみ、ショーツの上から触れる。 「あっ」 思わず声が漏れる。ショーツの上からお兄さんの手がゆっくりと撫でる。 「…んっ…あっ…きゃっ…んんっ!!」 じれったいぐらいの速さでお兄さんの手が私のショーツを上からこする。その度に我慢していた声が漏れる。 気持ちいい。恥ずかしい。まともにお兄さんの顔を見られない。 「夏美ちゃん。こっちを見て」 私は恐る恐るお兄さんを見上げた。 お兄さんの顔が近づく。私は目を閉じた。 唇に触れる柔らかい感触。 「んっ…ちゅっ…」 啄ばむようなお兄さんのキス。その間も、お兄さんの両手が私に触れる。胸を揉み、スカートの下をまさぐる。 だんだん頭がぼんやりしてくる。体がほてってくる。 ショーツの隙間からお兄さんの手がもぐりこみ、敏感な個所に触れる。 「んっ!」 464 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 50 31 ID yyH+Q/WN 思わず体が震える。お兄さんの指が膣の入り口にもぐりこむ。 すでに濡れているのが自分でも分かる。 「あっ!ああっ!」 ゆっくりと膣の入り口をかき回すお兄さんの手。恥ずかしくて気持ちいい。 いけない。私ばかり。 私はお兄さんの胸を押した。お兄さんは私から体を起こした。 「あの、今度は私がします」 ベッドを下り、お兄さんの足の間に跪く。 お兄さんのベルトをはずし、チャックを開け、トランクスからお兄さんのを取り出す。 手に触れるお兄さんのが熱い。もうすでに硬くなっている。その事が嬉しくて恥ずかしい。私で興奮してくれているんだ。 「あの、いきますね」 お兄さんは無言で頷いた。 先端をそっと舐める。お兄さんが身じろぎする。 全体をゆっくりと舐める。いつ舐めても変な味がする。 口にしながらお兄さんの顔を上目使いに見る。 何かを耐えるようにじっとしておるお兄さん。気持ち良くなってくれているのだろうか。 私の視線に気がついたのか、お兄さんは微笑みながら私の髪をすく。 「気持ちいいよ」 その言葉にほっとする。私はさらに続けた。 片手でお兄さんのをゆっくりとこする。私の唾液と先走りでべとべとになっている。 お兄さんの両手が私の肩をそっと押す。 「もういいよ。ありがとう」 お兄さんは立ち上がって服を脱ぎ始めた。 逞しいお兄さんの体。恥ずかしくなって私は視線を逸らした。 ベッドの傍にあるスキンをお兄さんは手にする。 ハル先輩の言葉が脳裏に浮かぶ。 お兄さんの心を、私に向ける方法。 気がつけば私はお兄さんの手を押さえていた。 「夏美ちゃん?」 怪訝そうに私を見下ろすお兄さん。 「あ、あの、私、今日は大丈夫な日です。ですから、その」 声が震える。私、お兄さんを騙そうとしている。最低な嘘をつこうとしている。 「ですから、今日はスキンなしで、お、お願いします」 今日は大丈夫な日じゃない。それなのに、嘘をついて、騙して、妊娠しようとしている。 お兄さんの手が私の頬に触れる。体がびくりと震える。 「夏美ちゃん。僕たちはまだ高校生だよ」 私は顔をあげた。お兄さんは真剣な表情で私を見つめていた。 「まだ子供だよ。万が一もある。避妊しないと」 お兄さんの言葉に種類の違う痛みが胸に走る。 私と子供を作りたくないのですか。 「お、お兄さんは私と子供を作りたくないのですか。わ、私は、お兄さんの子供だったら産みたいです」 「僕も夏美ちゃんに子供を産んで欲しい」 お兄さんの言葉に体が震える。 嬉しい。素直にそう感じる。 「でも、子供を産むのはそれだけの気持ちじゃ駄目だよ。僕たちは高校生だ。まだ学校に行かなきゃならない。お金もないし、収入もない。育てる事も出来ない」 お兄さんの綺麗な瞳。誠実な眼差し。 胸が、痛む。 「夏美ちゃんの気持ちは凄くうれしい。でも、今は我慢しないと」 お兄さんの言う事は正しい。私達はまだ高校生。学校に行かないといけない。収入もお金もない。子供を産んでも育てられない。 でも、そんな事は最初から分かっている。 お兄さんの心を手に入れたい。私だけを見て欲しい。 もう、いやだ。 お父さんは死んで、クラスに味方になってくれる人はいなくて、梓やハル先輩にお兄さんを奪われるんじゃないかと脅え、学校の先生まで私を…。 それでも、お兄さんさえいてくれたら安心できる。例え世界中の人が私を嫌いになっても、お兄さんが私を好きでいてくれるなら、それでいい。 お兄さんを欲しい。誰にも渡したくない。私だけを見て欲しい。私だけのお兄さんになって欲しい。 そのためだったら、何だってする。 ハル先輩だって言っていた。お兄さんのためでもあるって。 「あの、お兄さん。変な事言ってごめんなさい」 私はスキンを手にした。 昨日、針で穴をあけたスキン。 465 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 51 39 ID yyH+Q/WN 「つけますから、じっとしていてください」 包みを破り、スキンを取り出す。 お兄さんのそれにスキンをゆっくりつける。 手が震えて上手く出来ない。 「ご、ごめんなさい。緊張して」 「大丈夫だよ」 私の髪を撫でてくれるお兄さん。 胸が、痛い。 その痛みを無視してスキンをつける。外から見ると、穴があいているようには見えない。 無理もない。小さい穴だ。 「で、できました」 声が震える。 私、ひどい事をしている。 お兄さんを騙して妊娠しようとしている。 生まれてくる赤ちゃんを、お兄さんの心を縛る道具にしようとしている。 「夏美ちゃん?大丈夫?」 お兄さんが心配そうに私を見下ろす。 「すごく震えているよ」 「だ、大丈夫です」 私は立ち上がってスカートとショーツを脱ごうとした。 手が震えるせいでうまくできない。 「ご、ごめんなさい」 私の不手際のせいでお兄さんを待たせている。余計に焦って失敗する。 お兄さんは私をベッドにそっと押し倒した。お兄さんの手が私のスカートとショーツをゆっくりと脱がす。 恥ずかしい。顔から火が出そう。 お兄さんの手が私の足を広げる。 一番恥ずかしい場所が丸見えになる。 恐怖に体が震える。 お兄さんを騙そうとしている。 「ひっ!?」 膣の入り口にお兄さんのが触れる感触に思わず悲鳴を上げてしまった。 「夏美ちゃん?大丈夫」 心配そうに私を見下ろすお兄さん。 「だ、大丈夫です」 震える声しか出ない。 お兄さんはゆっくりと腰を前後させた。私の敏感な筋をお兄さんの剛直がゆっくりと撫でる。 「んっ…あっ…」 じれったい感触。お兄さんは挿れずに、ゆっくりと腰を動かす。 膣に挿れられたら、妊娠するかもしれない。 そう考えるだけで体がこわばる。震える。 もし妊娠したらと考えるだけで、恐怖に体がすくむ。 もしかしたら、お兄さん、妊娠した私を捨てるかもしれない。 だって、大丈夫な日って言ったのに、妊娠したら、きっと怒られる。 でも、これしか方法は無い。 お兄さんを手に入れるには、これしか方法は無い。 「お、お兄さん。大丈夫です。い、挿れてください」 声が震える。歯がかみ合わない。視界がにじむ。 お兄さんは体を起こした。心配そうに私を見下ろす。 「夏美ちゃん。無理しないで」 「む、無理なんかしていません」 私は体を起こした。お兄さんの顔を両手で挟み顔を近づける。 お兄さんは私の両肩をそっと押さえた。 余りの事に頭が真っ白になる。 お兄さんが、私を拒絶した。 「わ、わたし、その…」 何を言えばいいのか。分からない。 視界がにじむ。涙がこぼれそうになる。 「…夏美ちゃん」 背中にお兄さんの腕が回される。 そのまま私はお兄さんに抱きしめられた。 466 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 52 36 ID yyH+Q/WN お兄さんの胸。触れる素肌と素肌が温かい。 「無理しなくていいから」 私は恐る恐る顔をあげた。 お兄さんはにっこりと笑った。励ますような力強くて優しい笑み。 「大丈夫。そばにいる」 そう言ってお兄さんは私を抱きしめた。 温かいお兄さんの胸。 「夏美ちゃんが泣きやむまでこうしている」 お兄さんの声に視界がにじむ。目頭が熱くなる。 私、ばかだ。 お兄さんはこんなに優しいのに。 疑って。騙そうとして。 涙がとめどなく溢れる。 「お、お兄さん、そのっ、わたひっ」 お兄さんは何も言わずに抱きしめてくれた。頬を撫でてくれた。涙をぬぐってくれた。 私の涙でお兄さんの胸がぐちゃぐちゃになる。それでもお兄さんは腕を離さないでいてくれた。 「…もう大丈夫です」 私はお兄さんの胸から顔を離した。 もう涙は出ない。 顔をあげるとお兄さんはそっぽを向いた。その頬は微かに赤くなっている。 今更になってお互いに裸なことに気がつく。頬が熱くなる。 でも、私が泣いていたせいで、私もお兄さんも私の涙でべたべただ。よくこんなに泣いたのだと自分でも不思議に思う。 「あの、タオル持ってきます」 私はベッドから降りた。うう。裸は恥ずかしい。 部屋の中のクローゼットからスポーツタオルを取り出す。 振り向いて、私は言葉を失った。 お兄さんはスキンを手に呆然としていた。 ついさっきまでお兄さんが着けていたスキン。それが、破れている。 「お、お兄さん?」 私の言葉にびくりと震えるお兄さん。慌てたように私を見る。 「ど、どうしたのですか?」 「いや、外したら破けちゃって」 苦笑するお兄さん。 「もしあのままだったら、破けちゃったかもしれない。危なかった」 「そ、そうですね」 言葉が震える。 そんな私を心配そうに見るお兄さん。 「どうしたの?」 「な、何でもないです。それよりもべとべとですよね。拭きます」 私はお兄さんの横に座ってお兄さんの体を拭いた。 手が震える。暑くもないのに汗が出る。 「夏美ちゃん?突然どうしたの?」 何でもないと言おうとして言葉を失った。 ベッドの横の机。そこにスキンの包みが置いてある。 私が針で穴をあけた包み。 お兄さんを騙そうとした証拠。 「夏美ちゃん?」 怪訝そうに私の視線の先を見るお兄さん。 「な、何でもないです!」 思わず大声を出してしまった。 いけない。余計に怪しまれる。 「大丈夫です。本当です」 「これがどうかしたの?」 お兄さんは破けたスキンの包みに手を伸ばす。 心臓の鼓動が、はっきりと聞こえる。 止めなきゃ。 でも今止めると怪しまれる。 そんな事を考えている間にもお兄さんはスキンの包みを手にする。 お兄さんの表情が変わる。 467 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 54 24 ID yyH+Q/WN 手にしたスキンの包みを掲げるお兄さん。 この位置からでも見えた。 明かりに透かされたスキンの包みに、小さな穴があいているのを。 痛いほどの沈黙が部屋を包む。 「…夏美ちゃん…これって…」 お兄さんは呆然と私を見た。 私を見つめる瞳に、頼りない光が浮かぶ。 「…まさか…夏美ちゃんが…?」 否定しないと。 違うって。私じゃないって。そんなことしないって。 それなのに、言葉が出ない。 口から出るのは意味のない文字ばかり。 「…どうして…?」 お兄さんの言葉に心が軋む。 何も、分かってくれていない。 私の事を、何も分かってくれていない。 「お兄さんを誰にも渡したくないんです!!」 気がつけば私は叫んでいた。 「お兄さんの周りには素敵な女の子がいます!!ハル先輩も!!梓も!!二人とも私より美人で、 綺麗で、可愛くて、お料理できて、頭もいいです!!私が勝っているところは何もないです!!お兄 さん知っていますか!?お兄さん、人気あるんですよ!!お兄さんのほめる人、いっぱいいます!! お兄さんとお付き合いするようになってから、周りの人が言うんです!!釣り合わないって!!わた しよりもハル先輩の方が釣り合うって!!付き合っているのが間違いだって!!お父さんが殺されて 可哀そうだから付き合っているって!!そんなわたしを重く思ってるって!!いつかお兄さんがわた しを捨てるって!!みんなみんな言うんです!!違うって信じたくても、信じられないんです!!だ ってお兄さんとわたし、釣り合わないです!!お兄さんの方がずっと素敵で立派な人です!!わたし も分からないです!!何でお兄さんがわたしの恋人になってくれたか!!分からないんです!!だっ て、お兄さんの周りにはわたしより素敵な女の子がいます!!わたしなんかより、ハル先輩と一緒の 方がお兄さんの幸せになるって分かっています!!それでも嫌なんです!!お兄さんを渡したくない んです!!お兄さんの傍にいたいんです!!お兄さんの恋人でいたいんです!!だって、誰も私の傍 にいてくれません!!味方になってくれません!!お父さんは死にました!!生きていても私の傍に いてくれません!!いつもお仕事で遠くにいます!!お母さんもです!!いつもお仕事ばかりです!! そばにいてくれません!!お父さんが死んでもお仕事です!!三週間で帰ってくるって言っています けど、嘘です!!わたしの事が大切っていつも言いますけど、それも嘘です!!いつもそう言って帰っ て来ないです!!入学式も卒業式も誕生日も授業参観も三者面談も体育祭も文化祭も風邪をひいた時 も!!学校もそうです!!クラスメイトはみんな私の悪口を言います!!陰口を言います!!学校の 先生もひどいことします!!わたし、何もしていないのに!!教頭先生もです!!全部わたしのせい にしようとして!!警察の人も!!お父さんが死んでも犯人を捕まえてくれない!!ハル先輩も不安 にさせる事ばかり言います!!梓もです!!マンションまで押し掛けます!!わたし遠慮しているの に!!梓の家まで押し掛けないのに!!梓とお兄さんが一緒にいられる領域に足を踏み入れないのに!! だからお見舞いに行かなかったのに!!なのに梓はここまで来るんです!!学校でもお昼休みにお兄 さんを連れていくんです!!お兄さんとお食事できるのはお昼しかないのに!!梓はいつもお兄さん とお食事できるのに!!妹なのに!!いつもそばにいられるのに!!嫌です!!もう嫌なんです!! みんな私にひどいことします!!わたしにはお兄さんしかいないんです!!わたし、お兄さんの事好 きです!!大好きです!!愛しています!!誰よりも愛しています!!誰にも渡したくないんです!! なのに何でですか!!何で分かってくれないんですか!!何で私の気持ちを分かってくれないんですか!!」 溜まりに溜まった鬱屈が言葉となって溢れ出す。 お兄さんは何も言わなかった。黙って私の言葉を聞いていた。 それが余計に私を苛む。苛立たせる。 「何で黙っているのですか!!何で何も言ってくれないのですか!!」 視界がにじむ。もう泣かないって決めたのに涙があふれる。 お兄さんは辛そうに俯いた。 「…ごめん…」 絞り出すような声は震えていた。 その声に我に返る。 私、なんて事を。 お兄さんに、なんてひどい事を。 何の関係もないのに、お兄さんは私に良くしてくれているのに。 「ご、ごめんなさい」 無言でうつむくお兄さん。どうしようもなく傷ついた表情。 468 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 55 28 ID yyH+Q/WN どうしよう。 どうしよう。どうしよう。 どうしよう。どうしよう。どうしよう。 嫌われる。 お兄さんに嫌われる。 悪いのは私なのに。 お兄さんを騙そうとしていたのに。 それなのに、ひどい事言って。 「夏美ちゃん」 お兄さんの言葉に体が震える。 私は恐る恐る顔をあげた。 「ごめんね。何も気が付けなくて」 お兄さんは微笑んでいた。いつもの笑顔だった。 でも、分かってしまった。その笑顔の裏側で、お兄さんが泣いているのを。 お兄さんは無言で服を着た。私は何も言えず突っ立っていた。 「あ、あの」 何か言おうとして、言葉が思いつかない。 どうしようもないぐらい涙があふれる。 お兄さんはハンカチで私の涙を拭いてくれた。 それでも止まらない。涙がとめどなく溢れる。 お兄さんは私の手にハンカチをそっと握らせた。 「夏美ちゃん。今日は帰るよ。夜遅くまでごめん」 そう言ってお兄さんは背を向けた。 「戸締り、しっかりしてね。おやすみ」 部屋を出ていくお兄さん。その後ろ姿を追えなかった。 お兄さんが遠くに行く。その事に気がついて慌てて服を着て部屋を出る。 もういない。お兄さんはもういない。 嫌われた。 お兄さんに嫌われた。 部屋に戻りベッドにうつ伏せになる。 何であんなひどい事をしてしまったのだろう。 何であんなひどい事を言ってしまったのだろう。 お兄さんは何も悪くないのに。 私はお兄さんのハンカチを抱きしめた。 ベッドの上で私は一人泣き続けた。 体が鉛のように重い。歩いているだけなのに、疲れる。 脳裏に浮かぶのは夏美ちゃんの事。泣きながら喚く夏美ちゃんの声が脳裏に木霊する。 僕は馬鹿だ。 夏美ちゃんがあんなに辛い思いをしているのに、何も気が付けなかった。力になれてなかった。支えられなかった。 雄太さんとの約束を何も守れてない。 (お兄さんを誰にも渡したくないんです!!) 夏美ちゃんの悲鳴が脳裏にこだまする。 胸に湧き上がる感情。悲しみなのか怒りなのか後悔なのか分からない。 夏美ちゃんは僕を信じてくれていなかった。 僕が好きな女の子は夏美ちゃんだけなのに。他の女の子を好きになる事なんてありえないのに。 何度も言った「好き」という言葉も、夏美ちゃんは信じてくれていなかった。 僕はかぶりを振った。夏美ちゃんは悪くない。 お父さんが死んで、学校でも教師にひどい目にあわされて、精神的に追い詰められていただけ。 夏美ちゃんは悪くない。 それなのに。いや、それでも衝撃は大きい。 僕と一緒にいるために、妊娠しようとしていた。 無垢な命を利用しようとした。 いまだに信じられない。夏美ちゃんがそんな事をするなんて。 それとも、そこまでしないと信じられないのだろうか。 僕の事を、そこまで信じていなかったのだろうか。 目頭が熱い。涙が出そうになるのを必死でこらえた。 何でこんなことになってしまったのだろう。何がいけなかったのだろう。 夏美ちゃんの様子がおかしくなったのは雄太さんが死んでから。 梓が、夏美ちゃんのお父さんを殺してから。 469 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 57 03 ID yyH+Q/WN でも、梓が殺した理由は、きっと僕と関係ある。 僕が、夏美ちゃんと恋仲だから。 最初から夏美ちゃんと付き合わなければ、こんな事にならなかったのかもしれない。 そうすれば夏美ちゃんのお父さんが殺される事は無かった。 悪いのは誰で、何がいけなかったのか。 分からない。考えたくもない。 体が重い。僕は帰り道の途中にある公園に入り、ベンチに腰をおろした。 今は家に帰りたくない。梓と顔を合わせたくない。 膝の上に肘を載せ、頭を抱える。 初めて自分が裸足なのに気がついた。夏美ちゃんの家を出る時、靴をはかずに出ていったのだろうか。 僕は笑った。乾いた笑い。靴をはくのも忘れているなんて。それだけ衝撃的だったのだろうか。 座っただけなのに、立ち上がる気力がわかないほど疲労しているのが分かる。 夏美ちゃんの家から帰る時はいつも寂しかった。悲しかった。 それでも、夏美ちゃんの笑顔を思い出すだけで温かい気持ちになれた。 今ではもう、夏美ちゃんがどんなふうに笑ったかも思い出せない。 脅えた表情で僕を見上げ、不安そうに眼を伏せ、涙を流す姿しか思い出せない。 目頭が熱くなる。視界がにじむ。 堪えようとしてできなかった。涙があふれ、頬を伝う。 辛いのか、悲しいのか、惨めなのか、それすらも分からない。 一人で泣いていると、物音がした。 二種類の足音。人と、多分犬。僕の方へ近づいてくる。 僕は腰をあげて立ち上がった。公園を出よう。泣いているところを、例え知らない人にも見られたくない。それに夜の散歩をしている人を驚かせたくない。 「幸一くん」 聞き覚えのある声が僕の名前を呼ぶ。 ずっと僕の傍にいてくれて助けてくれた、大切な家族の声。 振り向いてはいけない。 振り向くと、情けない姿を見せてしまう。頼ってしまう。甘えてしまう。 それなのに足が動かない。 「幸一くんでしょ?」 僕の肩に彼女の手が触れる。温かくて柔らかい手。 「どうしたの?」 心配そうな春子の声が後ろから聞こえる。 「…何でもない」 僕の声は震えていた。震えているのを隠しきれなかった。 「何かあったの?こっちを向いてよ」 シロが足に体を摺り寄せてくる。 春子が僕の正面に回り込もうとしてきた。 「来るな!!」 春子の足が止まる。自分でもびっくりするぐらいの硬い声。 「…お願いだから、来ないで」 泣いている姿を、情けない姿を、春子に見られたくない。 振り向いたら、きっと春子に甘えてしまう。 「幸一くん」 柔らかい声が僕を呼ぶ。 背中に温かい感触。僕の前に白い腕が回される。 僕を後ろから抱きしめた春子が囁く。 「怖がらないで。大丈夫だよ。お姉ちゃんが傍にいるから」 柔らかい声。その声に自分でも信じられないぐらい安心してしまう。 「大丈夫だから。ね?こっちを向いて」 涙がとめどなく溢れる。頬を伝い涙が落ちる。 「僕はっ、ぐすっ、僕はっ…!」 「お姉ちゃんの前ならどれだけ泣いてもいいから」 もう耐えられなかった。僕は後ろを振り向いた。 春子が笑顔で僕を見上げていた。 僕は春子に抱きついた。 温かくて柔らかい感触。 春子も僕の背中に腕をまわして抱きしめてくれた。 身長差があるから僕が春子を抱きしめているみたいだけど、それでも春子は僕を抱きしめてくれた。 「こんなに大きくなったのに、相変わらず泣き虫だね」 僕の腕の中で春子は笑った。その笑顔に、沈んだ心が軽くなる。 470 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 20 58 36 ID yyH+Q/WN 「大丈夫だから。お姉ちゃんが傍にいるから」 春子は僕の背中をあやすように撫でた。子供をあやすような行動なのに、不快じゃなかった。心が落ち着いていく。 「ごめん。もう大丈夫」 僕は春子を離した。もう涙は出ない。 「よかった。お姉ちゃん安心したよ」 春子も一歩離れた。 その姿を見て思わず息をのんだ。 水色のキャミソールに白いホットパンツ。夜の闇でも眩しいぐらいの白い肌を惜しげもなくさらしている。背中まで垂れる長い髪は夜の闇にも混ざらないほど黒く、烏の濡れ羽のように艶がある。 一瞬、梓に見えた。 「?どうしたの?」 不思議そうに僕を見上げる春子。 「いや、梓みたいな格好だと思って」 「そう言えば最近の梓ちゃんはお姉ちゃんと同じ髪型だよね」 朗らかに笑う春子。その明るくて優しい笑顔だけは梓と違った。 「もう大丈夫?」 大丈夫かといわれると、そうでもない。状況は何も変わっていない。 でも、春子と話しているだけで、気分は少し晴れた。 「春子と話して元気が出た」 「よかった」 そう言って春子はにっこりと笑った。シロもわうと吠えた。 「幸一くん。明日ひま?」 明日。そう言えば、土曜日だ。 予定は無い。精々、家事をするぐらい。 「じゃあお姉ちゃんと一緒に遊びに行こうよ」 「…嬉しいけど」 「僕には夏美ちゃんがいる?」 僕の言おうとした事を口にして笑う春子。 「笑わないでよ」 「ごめんね。でもね、聞いてくれる?」 真剣な表情な春子。 「幸一くんには気分転換が必要だよ。気が滅入ったままだと、また体調を崩しちゃうよ」 確かに春子の言う通りかもしれない。 気分転換が必要なのかもしれない。 でも、春子と二人っきりで一緒にいた事を夏美ちゃんが知ると、また夏美ちゃんが悲しむ。 「お姉ちゃんは幸一くんのお姉ちゃんでしょ?」 確かにそうだけど、こういうのは理屈じゃない。でも、久しぶりに春子と出かけて遊びに行きたい気持ちもある。 どうしよう。 幸一くんは随分悩んでいる。 もう。悩まなくてもいいのに。 この公園に私が来たのはもちろん偶然じゃない。 盗聴器で幸一くんと夏美ちゃんの会話を聞いて、家を飛び出した。 シロに匂いをたどらせ、ここまで来た。 私が来た時、幸一くんは見てられないぐらい傷ついていた。 少し胸が痛んだ。私が画策したこととはいえ、ここまで傷ついている幸一くんを見ると、私も苦しく感じた。 はやく夏美ちゃんと別れればいいのに。そうすればこんなに苦しむ事もないのに。 幸一くんと夏美ちゃんは、もう終わりだろう。 これ以上付き合っても、お互いを傷つけ合うだけ。 後はほっておいても大丈夫。 シロはゆっくりと歩く。それに合わせて私達もゆっくりと歩き始めた。 「春子。リード持ってもいい?」 もう。お姉ちゃんの手よりリードの方がいいんだ。そんな事を考えながらも私は幸一くんにリードを渡した。 嬉しそうに幸一くんの周りを走るシロ。なんだか少し腹が立つ。 「春子。その指輪、もしかしたら昔あげたやつ?」 私の左手を見ながら幸一くんは言った。 気がついてくれたんだ。嬉しい。 「そうだよ。覚えてる?」 「高校受験の前だから、中三の時だったかな。梓の誕生日のお祝いに協力してくれたお礼にあげたっけ」 そう。梓ちゃんの14歳のお誕生日のお祝いをお手伝いしたお礼に幸一くんがプレゼントしてくれた指輪。飾り気のない銀のシンプルな指輪。 昔は鎖を通してネックレスにしていたけど、高校に入ってからはチェックが厳しいから外していることが多かった。 471 :三つの鎖 26 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2010/08/30(月) 21 00 26 ID yyH+Q/WN 今日は久ぶりに指にはめた。 「まだ持っていてくれたんだ」 「幸一くんがプレゼントしてくれた指輪だもん。大切にしているよ」 懐かしい思い出。指輪をはめて欲しいという私に、不思議そうな顔で左手の小指にはめてくれた。 「春子」 幸一くんは意を決したように私を見つめた。 「春子さえ良ければ、明日遊びに行こう」 私と遊びに行くだけなのに、こんなに真剣な表情をする幸一くんが微笑ましかった。 「いいよ。ちょっと遠くに行く?」 近場だと夏美ちゃんや梓ちゃんに遭遇するかもしれない。 「うん。隣町のショッピングセンターに行かない?」 「いいよ」 待ち合わせ場所などを決めながら歩く。 家に近づいたところで別れる事にした。近くまで行って、この前みたいに梓ちゃんに見られたら大変だから。 「幸一くん。おやすみ」 「春子」 幸一くんは微笑んだ。 「今日はありがとう。言葉に尽くせないぐらい感謝してる」 幸一くんって本当に単純。今日の事も裏で私が手を引いてるって知ったら、どんな顔をするだろう。 でも、そんな所も含めて好き。 「気にしないで。また明日ね」 「おやすみ」 シロが小さくワンと吠えた。 家に戻りベッドにダイブする。 夏美ちゃん、本当に惨めだった。 確かに夏美ちゃんの現状は悲惨だ。 お父さんは殺害され、クラスでは孤立し、教師まで夏美ちゃんを傷つける。 でも、幸一くんは関係ない。むしろ幸一くんは夏美ちゃんを助けようと、支えようとしている。 うんうん。違う。幸一くんも勘違いしている。 幸一くんは夏美ちゃんの支えになれてないと思っているけど、それは違う。 夏美ちゃんはできた子だ。関係のない人にあそこまであたるなんてできない。 幸一くんが夏美ちゃんにとっての支えだからこそ、あそこまで心の内を晒せた。 それは逆説的だけど、幸一くんが夏美ちゃんの支えである証。 本当に哀れな二人。 幸一くん、本当に疲れている。 もし幸一くんが疲れてないなら、私と二人きりで出掛けるなんて絶対にしない。夏美ちゃんが誤解するような行動は絶対にしない。 明日は幸一くんとデート。 胸がドキドキする。わくわくする。 今日の幸一くん、私の恰好を見て顔をひきつらせていた。 暑いからキャミにショートパンツにしたけど、梓ちゃんを連想したのかな。この格好、梓ちゃんがいつもしているのと似ているし。 明日はどんな格好をしよう。幸一くんが好む服装ってどんなのだろう。 そんな事を考えながら私の意識は眠りに落ちた。 戻る 目次 次へ
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5 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 13 25 ID Avb0HgmG 昼休みの終わる直前に春子と一緒に教室に戻った。 「こーいち」 僕に気がついた耕平が声をかけてきた。 「夏美ちゃんが来て渡しといてやって」 耕平は僕の机を指差した。そこには学校指定の鞄が置いてある。梓の鞄。 夏見ちゃんのことを思い浮かべると胸がざわつく。ついさっきまで僕は夏美ちゃんをほったらかしにして春子といた。春子を抱いた。 「幸一?どないしたんや」 耕平が不審そうに僕を見つめている。 「何が?」 僕は平静を装ってこたえた。 耕平は何か言いたそうな顔をしたけど、チャイムが鳴ったので自分の席に戻った。 春子は少しつらそうに椅子に座っていた。 椅子に座り僕はため息をついた。体が重く感じた。 帰りのホームルームが終わった。 僕は荷物をまとめて立ち上がった。僕の鞄と梓の鞄。帰って梓を看病しないと。体調は大丈夫だろうか。 教室を出ようとしたとき、後ろで大きな音がした。 机や椅子がぶつかり倒れる音。クラスメイトのざわめき。 「村田!大丈夫かいな!」 緊迫した耕平の声。 振り向くと、机と椅子が乱れた中心に春子がいた。痛そうに腰をさすっている。 「大丈夫だよ。ちょっとこけちゃっただけだよ」 春子はそう言って自分で立ち上がった。微かにふらつく足元。 周りのクラスメイトは心配そうに春子に声をかける。春子は笑顔で大丈夫というだけ。 「生徒会があるから行くね」 そう言って春子はクラスの出口に歩いた。僕のいるほうに。 春子と僕の視線が合う。足を止める春子。怯えたように一歩後ろに下がり足がもつれる。姿勢を崩し後ろに倒れる春子。僕は素早く近づき、地面に倒れる寸前の春子を抱きかかえるように支えた。 柔らかくて温かい感触。驚いたように春子は僕を見た。 「大丈夫?」 僕はそっけなく言った。春子は僕の腕の中で微かに震えている。 「おいおい。無茶したらあかんで」 耕平が心配そうに近寄ってくる。 「今日は帰ったほうがええで。生徒会には俺が伝えとくわ。幸一。村田を家まで送ったり」 「分かった」 耕平はお大事にと春子に言って教室を出た。 「春子。立てる?」 僕の腕の中の春子に言うと、春子は微かにうなずいた。桜色に染まった頬。 春子は立ち上がろうとして失敗した。ふらついて床にへたり込む。 僕は無言で春子に手を差し伸べた。春子は視線をそらして僕の手を握った。柔らかくて綺麗な手。白い滑らかな肌。 春子の手を握り、僕は一気に立ち上がらせた。ふらつく春子を支える。 「歩ける?」 「う、うん。大丈夫」 手を離して離れようとする春子。ふらつく春子を僕は腕をつかんで支えた。 「無茶しないで」 僕は春子の腕をつかんでゆっくりと歩き始めた。 「こ、幸一くん」 僕は春子のほうを振り向いた。微かに上気した頬、潤んだ瞳、恥ずかしそうな表情。 「は、恥ずかしいよ。お姉ちゃんは大丈夫だから、腕を離して欲しいよ」 顔をそらして消え入りそうな小さな声で春子は言った。 僕は手を離した。とたんにふらつく春子。僕は腕を差し出した。春子は僕の腕をつかんでふらつく体を支えた。 「ご、ごめん」 離そうとする春子の手を上から押さえた。 「いいよ。僕にも責任はあるし」 お昼休みの事が脳裏に浮かぶ。顔を真っ赤にする春子。僕の腕をつかむ白い手が震える。 僕たちはゆっくりと歩き出した。今度は春子も腕を放さなかった。 多くの生徒でごった返す校門。視線が僕たちに突き刺さる。仕方が無いかもしれない。 春子は学校では有名だ。生徒会の一員で集会やイベントで他の生徒の目に触れる機会は多い。文武両道で美人でお茶目な女の子。学年や性別を問わず人気がある。 悲しい事に僕も比較的有名だ。それもシスコンとして。加えてこの身長。妹は美人で有名。紹介して欲しいと何度頼まれたか。 春子は顔を赤くしてうつむいた。僕の腕をつかむ春子の手が震えているのがよく分かる。 「大丈夫?」 6 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 16 42 ID Avb0HgmG 「は、恥ずかしいよ」 「何が」 いつも春子はもっと恥ずかしい事をしてきた。人前で抱きついたり頭を撫でたり手を握ったり。これぐらい何ともない。 春子は恨みがましく僕を見た。その顔は面白いぐらいに真っ赤に染まっている。 「幸一君は恥ずかしくないの。お姉ちゃん信じられないよ」 そう言いつつも僕の腕を離さない春子。微かにふらつく足元。 別に恥ずかしがる事はないと思う。体調が悪いなら仕方がないし。 「家まで歩ける?タクシーを呼ぼうか」 春子は首を左右に振った。 二人でゆっくりと道を歩く。時々ふらつく春子を僕は支えた。春子は僕の腕をしっかりと握っていた。 何も言わずに僕は春子の歩けるスピードにあわせた。春子は恥ずかしそうにうつむくばかりで何も言わない。 僕の腕を握る春子の手から春子の体温が伝わってくる。温かいのにどこか頼りない温度。 春子の家について玄関まで春子を支えた。おばさんもおじさんもいない。 「部屋まで戻れる?」 僕は春子に尋ねた。春子の部屋は二階だ。この様子では階段を上がるのは難しそうに見える。 「だ、大丈夫だよ」 春子は小さな声で答えて靴を脱いだ。歩こうとした途端にこけかける。僕は春子を抱きかかえるように支えた。 「無茶しないで」 何も言わずに春子はうつむいた。微かに震えている。 僕は春子の額に触れた。びくっと震える春子。春子は切なそうに僕を見上げた。熱はないようだ。 「立てる?」 春子は立ち上がろうとして床にへたり込んだ。 僕はため息をついて春子を持ち上げた。 「きゃっ!?」 春子の背中と膝に手を差し入れ胸の前で持ち上げる。俗に言うお姫様抱っこ。 「ちょ、ちょっと!?幸一くん!?」 顔を真っ赤にして手足をじたばたする春子。 「暴れないで。危ないよ」 「は、離して」 春子は恥ずかしそうにうつむいた。 「お、お姉ちゃん重たいでしょ。大丈夫だからおろして」 梓を背負った記憶が脳裏に浮かぶ。 「確かに梓より重いかも」 「えっ!?」 春子は目を見開いて僕を見つめた。 しまった。失言した。 でも、春子の身長で梓より軽かったらおかしい。 「でも軽いよ。羽みたいだ」 呆然とする春子を抱えて僕は階段を上った。自分でもびっくりするぐらい春子は軽く感じた。 春子の部屋に入りベッドに春子を横たえた。その上に布団をかける。 「おばさんが帰ってくるまで一人で大丈夫?」 春子はぼんやりとうなずいた。心あらずというように僕を見つめる。 今までに見た事のない春子の様子に胸がざわつく。 風邪をひいた春子をお見舞いに行った事が何度かある。いつも春子は病人とは思えないはしゃぎっぷりだった。 ずっとベッドで寝ているのが暇なのか、風邪にも関わらず春子は僕と話したり、ゲームで遊んだりした。おばさんが春子を叱るまで付き合わされた。 今の春子にそんな面影はない。 不安そうに、びくびくしながらも、僕から視線を逸らさない。 僕は唇を軽くかみしめた。胸がざわつく。 「何かあったら遠慮なく連絡して。じゃあ」 梓の体調も心配だ。僕は春子に背を向けた。歩こうとした瞬間に袖に何かが引っかかる。 振り向くと春子が僕の袖を握っていた。白い手が僕の袖を必死につかんでいる。 「春子?」 春子はベッドで横たわったまま僕を見上げた。目尻に涙が浮かぶ。 目が合うと春子はびくりと震えた。 「どうしたの」 春子の目尻から涙が落ちる。 「お、お姉ちゃん分からないよ」 涙をぽろぽろ流す春子。 「どっちが本当の幸一君なの。ベッドの上でひどい事をする幸一くんが本当なの。優しい幸一くんが本当なの。分からないよ。何であんなにひどい事をした後でこんなに優しくできるの」 涙に濡れた顔で僕を見上げる春子。僕の袖を握る手は微かに震えている。 7 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 20 12 ID Avb0HgmG 春子の言葉に胸がどうしようもなくざわつく。 「僕も春子のことが分からないよ」 小さいときから僕を助けてくれた春子。梓との仲直りができたのも、夏美ちゃんと恋人になれたのも春子のおかげだ。 それなのに今は僕を脅し、夏美ちゃんを裏切る行為を強要する。 多くを与え、多くを奪った女の子。 「春子。こんな関係はもう止めよう」 春子は首を横に振った。涙が飛び散る。 「やだっ!絶対にやだっ!」 春子の目からとめどなく涙が流れる。 僕の手をつかむ春子の手。僕はそれをゆっくりと離した。 「今日はごめん」 何で僕は春子にあんなひどい事をしたのだろう。 春子は嫌がって泣いていたのに。 小さい時から何度も助けてくれて、そばにいてくれた僕のお姉さん。 どうしてこんな関係になってしまったのだろう。 春子はしゃくりあげながら僕を見つめた。 涙で濡れた頬、子供のように泣きながら僕を見上げる瞳には頼りない光が浮かぶ。 胸がざわつく。いろいろな感情がごちゃ混ぜになって胸の中で暴れる。 「お大事に」 僕は春子に背を向けた。春子の泣き声を振り切って家を出た。 頭がおかしくなりそうだった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 今日の朝、屋上で兄さんと夏美の情事を目撃した私は家に戻って兄さんのベッドの上でずっと横になっていた。夏美から連絡があったけどでる気にはなれなかった。 脳裏によみがえるのは兄さんと夏美の情事。夏美の喘ぎ声と腰をふる兄さん。悪夢のような光景。 兄さんは朝の時間、家で私といるよりも夏美といる方がいいんだ。 脳裏に兄さんが夏美を犯している光景が頭に浮かぶ。気持ちよさそうな嬉しそうな夏美の嬌声。 私はスカートに手を忍ばせ、下着の上から割れ目を触った。そのまま何度もなぞる。兄さんのベッドの上で行う自慰。兄さんに匂いに包まれ頭が熱くなる。 「…あっ…ひうっ…にいさっ…んっ…はっ…すきっ…にいさんっ…んっ…」 頭がぼんやりする。気持いい。私は快楽に耽るけど、同時に満たされない想いも大きくなるのが分かった。 「んっ…なんでっ…なんで夏美なのっ…あっ…んっ…にいさっ…んっ」 夏美といる兄さんの笑顔が脳裏に浮かぶ。私に向ける悲しそうな笑顔とは違う、嬉しそうな笑顔。 みじめだった。あまりにも。 一度は納得したはずだった。兄さんの恋人は夏美。それなのに。 私は下着に指を入れ、膣の入り口を何度もいじった。兄さんを想いながら。 絶頂に体を震わす。快感と悲しみで頭が爆発しそうだ。 私は兄さんの枕に顔を押し付けた。涙がとめどなく溢れ兄さんの枕を濡らした。私は全身汗だくだった。下着だけでなく、制服も汗で濡れている。汗に濡れた制服と下着が体に張り付いて気持悪い。 兄さんが帰ってくる前にシーツをかえて着替えないと。 そんな事を思いながらも、私は眠気に包まれた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 目が覚めたとき私は自分の部屋に寝ていた。 身を起して自分を確認する。制服だったのに私は寝間着になっていた。 今何時だろう。机の上の目ざまし時計を見ると、隣にスポーツドリンクのペットボトルがある。それを見たとたん、強烈なのどの渇きを覚えた。私はペットボトルをつかんで一気飲みした。水分が体中にしみわたる感覚が心地よい。 口を拭い時計を見る。時間はすでに夜だった。 下に降りると、兄さんはリビングでアイロンをかけていた。私の制服だ。 「梓。もう大丈夫なのか?」 私に気がついた兄さんはアイロンを置いた。 「帰ったら僕のベッドの上で制服のまま汗だくだったからびっくりしたよ」 私はあのまま寝てしまったのか。 「もう大丈夫。寝たらすっきりしたわ。お父さんとお母さんは?」 「まだ帰ってきてない。時間もまだ早いでだろ?」 確かに両親が帰ってくる時間はもっと後だ。 「もしかして兄さんが私を運んで着替えさせてくれたの?」 兄さんは恥ずかしそうに目線を反らした。頬が微かに赤い。 「いや、その、すまない」 私は頬が熱くなるのを感じた。 「もしかしたら体を拭いてくれた?」 8 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 23 20 ID Avb0HgmG 兄さんの顔がさらに赤くなった。気まずそうに頬をぽりぽりとかく兄さんが可愛すぎる。 私は兄さんに抱きついた。背中に腕をまわし思いきり抱き締める。 「ありがとう。すごく嬉しい」 兄さんは驚いたように固まる。 「兄さん。ごめんね。迷惑掛けて」 正直言うと少し恥ずかしい。寝ていたとはいえ兄さんに服を脱がされ体を拭かれたと考えるだけでまた体が熱くなる。 「梓。大丈夫?ちょっと熱いよ。まだ熱があるんじゃないか?」 兄さんの手が私のおでこに添えられる。大きくて柔らかい兄さんの手。ひんやりとして気持いい。 「横になった方がいい。後でお粥を作って部屋に持っていくから」 兄さんが私のおでこから手を離そうとするのを私は上からそっと押さえた。 「お願い…もうちょっとだけ…」 「梓?」 困惑したように私の顔を覗き込む兄さん。可愛い。 「その…手が冷たくて気持ちいい」 我ながら意味不明な言い訳。それでも兄さんは苦笑して私のおでこに手を添えてくれた。 「氷枕も持っていくよ」 兄さんの手が気持いい。おでこに触れているだけなのに。 そうだ。兄さんに恋人がいても、家の中で一番そばにいるのは私なんだ。どこに行っても兄さんは必ず家に帰ってくる。だったら兄さんが家にいる間は思いきり甘えてやる。 そんな事を考えていると誰かの訪問を知らせるチャイムが鳴った。 「僕が出るよ。梓は部屋に戻って横になって」 兄さんの手が離れる。兄さんはリビングを出て行った。 いったい誰なんだ。おかげで兄さんとの触れ合いが減った。 まあいい。私はため息をついてリビングを出た。後で兄さんが手作りのお粥を持ってきてくれるまで部屋でのんびりしておこう。そうだ。ついでに「あーん」てしてもらおう。 想像するだけでテンションが上がる。兄さんの「あーん」。だめだ。わくわくが止まらない。 それなのに。玄関から聞こえてくる楽しそうな会話に私は足を止めた。 「そうなんですか。それを聞いて安心しました」 夏美の声が聞こえる。 私はそっと玄関をのぞいた。夏美と目が合う。 「あずさー!お見舞いにきたよー!」 夏美は明るい笑顔を私に向け、大きく手を振った。元気で幸せに溢れた声。 その姿に胸がざわつく。 「鞄だけ置いてあったから心配したよ。体調は大丈夫?」 梓は靴を脱いで私に駆け寄った。兄さんは苦笑するだけで何も言わない。 何で止めないの。この家は私と兄さんの家なんだよ。なんで夏美が我が物顔で入るのを止めないの。 夏美が心配そうに私を見た。 「梓?大丈夫?」 兄さんも心配そうに私達を見る。私と夏美を。 何でなの。ここは私たちの家なのに。何で私だけじゃなくて夏美も見るの。 「えっと、梓?」 夏美は兄さんの恋人じゃない。私は外にいる時は遠慮しているのに。何で夏美は家まで上がり込むの。私が兄さんと誰にも邪魔されずにいられるのは家だけなのに。 いつまで私と兄さんの家にいるつもりなの。 心配そうに私を見る夏美を私は思いきり突き飛ばした。悲鳴をあげ尻もちをつく夏美を私は見下ろした。 「出て行って」 「え?あ、あずさ?」 「出て行って!ここは私と兄さんの家よ!」 私は感情のままに叫んだ。頭が爆発しそうだ。 夏美は呆然と私を見上げた。早く出て行け。私は夏美をさらに突き飛ばそうとした。 「梓!」 兄さんが私を後ろから羽交い絞めにした。 「なんで出て行かないの!夏美は兄さんの恋人じゃない!外でも学校でも一緒にいるじゃない!」 「梓!落ち着いて!」 「私の気持ちを知っているんでしょ!何で家まで来るの!私が兄さんのそばにいられるのはここだけなのに!」 私は滅茶苦茶に暴れた。兄さんは必死に私を押さえる。 「そんなに私に見せつけたいの!兄さんと一緒にいるのを!抱きしめてもらっているのを!キスされているのを!抱いてもらっているのを!」 足元に滴が落ちる。涙がとめどなく溢れ私の頬を濡らす。 「ずるいよ!私だって兄さんが好きなのに!ずっとそばにいたいのに!キスしてほしいのに!抱いて欲しいのに!」 梓の瞳に理解と後悔の色が浮かぶ。 「あ、あずさ。その、私、そんなつもりじゃ」 「出て行って!これ以上私から兄さんを奪わないで!」 夏美は涙をぽろぽろ落としながら後ずさった。 9 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 24 16 ID Avb0HgmG 「待って夏美ちゃん!」 「失礼します!梓本当にごめん!お兄さん、梓のそばにいてあげてください!」 靴もはかずに夏美は飛び出した。 「夏美ちゃん!」 兄さんは私をはなして靴をはく。私は立ち上がる兄さんの袖をつかんだ。 「いやっ!行かないで!」 兄さんは私を見た。いつもの困った顔ではない。焦った表情。 その表情に胸が締め付けられる。 兄さんは私よりも夏美の方が大切なんだ。 「ひぐっ…兄さん…お願い…家の中では私のそばにいて…私を見て」 私の言葉に兄さんは困ったように微笑んだ。 兄さんは袖をつかむ私の手を優しく引き離した。 「梓。ごめん」 そう言って兄さんは私に背を向けた。 私に対する優しさで満ちた言葉なのに、全然嬉しくなかった。 「温かくして寝るんだよ」 そう言って兄さんは駈け出した。 「いやっ!兄さん!兄さん!」 遠ざかる兄さんの背中に叫んだが、兄さんは振り返ること無く走り去った。 戻る 目次へ 次へ
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46 三つの鎖 22 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/06/18(金) 22 49 12 ID g/mo7HSP 三つの鎖 22 古い本のすえた匂い。 本を片手に本棚の間を僕は歩く。 探しているのは法律や裁判の判例を記した本。 集めた本を手に閲覧コーナーで本を開く。ページをめくり文字を追う。 市民図書館の閲覧コーナーはそれなりの人がいる。 小さな男の子と女の子が寄り添って絵本を読んでいる。 楽しそうに寄り添う二人の子供。兄妹だろうか。 僕は頭をふりかぶり文字に集中した。 自首しようと言う僕の言葉を梓は鼻で笑うだけだった。 梓が殺したという証拠は今のところ無い。 証拠が無いのに警察に話しても相手にされない。梓は小柄な少女だ。大の男たちを殺傷したなど、何も知らない警察が納得するはずがない。 犯行現場を調べたけど、得たものは何もなかった。仮にあったとしても、警察がつかんでいるはず。発表が無いという事は、何も見つかっていないのだろう。今なお犯人が逮捕されていない事実がそれを物語っている。 打つ手は一つしかない。 だけど、それを試みる前に他に方法が無いかと思い、法律や判例集を調べる事にした。もしかしたら、証拠が無くても証言だけで逮捕につながる可能性があるかもしれない。 しかし、本で調べる限り、証言だけで逮捕に至ったのはほとんどない。逮捕につながるには、やはり証拠が重要だ。仮に本人の自白があっても、証拠がないといけない。 証拠といっても形のあるものでなくてもいい。犯人しか知らない事実を言えば、それが証拠になる。 閉館時間まで本を読み漁ったけど、それ以上の情報は無かった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 紙袋を片手に夜の道を歩く。手にした紙袋にはケーキが入っている。 このケーキは、雄太さんが殺された日に梓が購入したお店のもの。 お店の人に話を聞いたけど、梓が来たかどうかは覚えていないとのことだった。一日に大勢の人が来るから仕方がない。 それでもレシートはある。梓があの日あのお店に行ったのは間違いない。 雄太さんは駅から夏美ちゃんのマンションに向かった。 人気の無い道。僕は同じ道を歩く。 僕は足を止めた。献花されている道。 ここで雄太さんと警察官は襲われた。 僕は再び歩き始めた。目的地は夏美ちゃんの家。 マンションの階段をゆっくりと登る。足が重い。 インターホンを押す。 『どちら様ですか?』 夏美ちゃんの声。 「夜分遅くに失礼します。加原です」 『お兄さんですか!?すぐ出ます!』 ぱたぱたという音が大きくなり、ドアが開く。 「お兄さん!こんばんわ!」 夏美ちゃんが嬉しそうに僕を見た。 「突然どうしたのですか?びっくりしましたよ」 「今日は一度も会っていないから夏美ちゃんの顔を見たくなって」 本当は心配だからだ。こうして見る限りは大丈夫そうだ。 「つまらないものだけど、どうぞ」 「ありがとうございます。あ!駅前のケーキ屋ですね。梓の好きなお店ですよ」 受け取った袋を見て夏美ちゃんは嬉しそうに笑った。 その様子に胸が痛む。 「おやおや。幸一君いらっしゃい」 「お母さん!お兄さんがケーキをくれたよ」 洋子さんは微かに笑って僕を見た。 「ありがとう。よかったら上がっていかないかい?」 「いえ、近くを寄っただけですから」 「まあまあそう言わずに。話したい事もある」 僕は洋子さんに押し切られて夏美ちゃんの家に入った。 夏美ちゃんがお茶を入れてくれた。冷たい紅茶。 洋子さんは軽く咳払いをして僕を見た。 「実は仕事を辞める事にした」 夏美ちゃんはびっくりしたように洋子さんを見た。 「そうなの?」 47 三つの鎖 22 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/06/18(金) 22 50 07 ID g/mo7HSP 「ああ。夏美の傍にいたいと思ってね」 洋子さんは微笑んだ。 「ああ、お金の事は心配しなくていい。蓄えは十分にある。それに今の私達は億万長者だからな」 僕は首をかしげた。 「実はですね、色んな人がたくさんお金をくれたんです」 「もらって困るような高価な贈り物までだ」 何でも雄太さんの知り合いの方が贈った現金や贈り物に加え、色々な国や部族(?)からの勲章や贈り物もあるらしい。勲章には年金や一時金があるものもある。贈り物で貰って困る物は会社が借り上げると言う形で保管してくれることになった。もちろんその分のお金も入る。 「私と夏美それぞれにたくさんのお金が入ってね。はっきり言って一生働かなくてもいいぐらいのお金だ」 洋子さんは事もなげに言うけど、それってすごい事じゃないのかな。 雄太さんってそんなにすごい人だったんだ。 「話がそれたな。とりあえず私は今の仕事はやめる事にした。夏美の傍にいられないからな。ただ、引き継ぎ等で3週間はアメリカに行くことになる」 洋子さんは立ち上がって僕を見た。 「私が帰るまで夏美の事をお願いしたい」 「はい。僕でよければ」 僕は迷わず答えた。 「あの、お母さん。いいの?お仕事はお母さんのやりたい事でしょ?」 「いいんだ」 夏美ちゃんの問いに洋子さんはかぶりを振った。 「今は夏美の傍にいたい。ちょうど仕事も飽きた事だしな。日本でのんびりするのも悪くないよ」 洋子さんは夏美ちゃんの頭をポンポンと撫でた。 夏美ちゃんの目尻に光るものがたまる。 「ほらほら。彼氏の前で泣いちゃだめだぞ?簡単に涙を見せる女は男に嫌われるぞ?」 洋子さんは笑いながら夏美ちゃんの頭を撫でた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 僕と夏美ちゃんはマンションの階段をゆっくりと降りる。 下まで送っていけとの洋子さんの一言で、下まで夏美ちゃんが見送ってくれることになった。 洋子さんの心づかいが嬉しい。 お互いの手が触れそうな距離で階段を下りる。 夏美ちゃんの横顔。微かに染まった頬が目に入る。 階段が終わり、くすぐったい時間はすぐに終わる。 「見送ってくれてありがとう」 夏美ちゃんは僕を見上げた。幼い子供のように頼りない光が瞳に浮かぶ。 その様子に胸が痛む。夏美ちゃんはしっかりしとした芯の強い子だ。それなのにこんなに心細い気持にさせたのは、僕の妹が原因。 「また明日。おやすみ」 何とか挨拶の言葉を口にして僕は背を向けた。 歩き出した瞬間、袖に何かが引っ掛かる。 振り向くと夏美ちゃんは僕の袖を掴んでいた。 悲しそうで心細そうな夏美ちゃんの表情。目尻に光るものが溜まる。 胸が痛む。 「お兄さん」 震える夏美ちゃんの声。 「お願いです。行かないでください」 夏美ちゃんの頬を涙が伝う。 「怖いです。お兄さんが私の手の届かない場所に行きそうな気がします」 僕の袖を掴む白くて小さな手。それが微かに震える。 夏美ちゃんは僕に抱きついた。背中に細い腕が回される。 「ひっく、お願いです、ぐすっ、行かないでください」 夏美ちゃんは顔を上げた。涙にぬれた頬。 「ぐすっ、お父さんみたいに、ひぐっ、いなくならないでください」 夏美ちゃんの言葉が胸を射抜く。 僕は必死に平静を装った。 夏美ちゃんの小さな背中に腕をまわし抱きしめた。 「大丈夫。僕はいなくならない。夏美ちゃんを一人にはしない」 「お父さんもそう言ってました」 震える声が僕の心を貫く。 「それなのに、死んじゃいました」 背中に回された夏美ちゃんの腕に力がこもる。 ささやかな力なのに、僕を締め付ける。 48 三つの鎖 22 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/06/18(金) 22 50 55 ID g/mo7HSP 僕と夏美ちゃんはお互いを抱き締めた。 「…変な事言ってごめんなさい」 やがて夏美ちゃんは腕を離した。 「おやすみなさい」 夏美ちゃんはにっこり笑って背を向けて階段を走って上った。明らかに無理をしている笑顔が目に焼きつく。 僕は何も言えなかった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 夏美ちゃんが泣いている。涙を流しながら悲しそうに。 泣かないでほしい。それなのに僕は何も言えない。 夏美ちゃんが悲しんでいる原因を知っているから。 僕の妹が、夏美ちゃんのお父さんを殺したから。 夏美ちゃんは顔を上げた。涙にぬれた瞳が僕を射抜く。 「どうして梓はお父さんを殺したのですか」 震える声が僕を責める。震える理由は怒りか悲しみか。 「ひどいです。お父さんは何もしていないのに。どうしてですか」 その理由を僕は知っている。 夏美ちゃんの恋人が僕だからだ。 「お父さんは何の関係もないです!!それなのになんでお父さんを殺したのですか!!ひどいです!!」 夏美ちゃんの悲痛な叫びが木霊する。 「どうして!?どうしてですか!?何でお父さんは梓に殺されないといけないのですか!?」 夏美ちゃんの問いかけに、僕は何も言えない。 「兄さん」 僕は跳ね起きた。 「大丈夫?」 心配そうな梓の声が脳裏に響く。 頭が痛い。 寒い。全身に冷や汗をかいている。呼吸がおぼつかない。心臓がでたらめな鼓動を刻んでいるのが分かる。 「兄さん。大きく息を吸って」 言われるままに僕は深呼吸をした。霞みがかった思考が鮮明になる。そして自分の状況が頭に入ってくる。 夢だ。雄太さんを殺したのが梓なのを、夏美ちゃんは知らない。 「兄さん。これを飲んで」 梓はペットボトルのお茶を差し出した。僕は微かに震える手で受け取り、口にした。喉はカラカラに乾いている。 「大丈夫?随分うなされていたけど」 僕は時計を見た。もうすでに父さんも母さんも家を出ている時間だ。 学校に行くなら、あまり余裕のある時間ではない。 何で起きられなかったのだろう。いつもなら目覚ましが無くても起きられるのに。 僕は顔を上げて梓の顔を見た。おろしたままの長くて艶のある黒い髪が目に入る。 梓の小さくて白い手が僕の額に触れる。柔らかくてひんやりとした感触。 「兄さん。熱があるわ」 思わず梓の手を払った。 梓は驚いたように払われた手を見た。 「…僕は大丈夫。すぐに下りる」 それだけ言うのが精いっぱいだった。 「…分かったわ」 梓はそう言って部屋を出て行った。梓の目尻に涙が溜まっているのを分かっていたけど、僕は何も言わなかった。言えなかった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 通学路を僕と梓はゆっくりと歩いた。 お互いに何もしゃべらない。食卓で梓は一生懸命に話しかけてくれたけど、僕はそれに答えられなかった。 鞄が重く感じる。中にはお弁当が入っている。梓の作ってくれたお弁当。 「あの、兄さん」 梓はおどおどと僕に声をかけた。 「体調は大丈夫?」 「大丈夫」 「そう」 ここで会話は終わる。 49 三つの鎖 22 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/06/18(金) 22 52 10 ID g/mo7HSP 僕は梓を見た。視線が合う。梓はぎこちない笑みを浮かべた。 結局、僕達はそれ以上会話せずに靴箱で別れた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 耕平は僕を見て眉をひそめた。 「大丈夫かいな。えらい顔色悪いで」 僕は苦笑した。教室に入ったとたんにこれだ。 「幸一くん」 僕を呼ぶ声。振り返ると、白い手が伸びて僕の額に触れる。 滑らかでひんやりとした感触。梓のそれと同じなのに、反射的に振り払う事は無かった。 「熱があるよ」 春子は心配そうに僕を見た。そういう春子の頬は微かに腫れている。梓の仕業。 背筋が寒くなる。全身に鳥肌が立つ。 もしかしたら、梓は春子や夏美ちゃんまで。 「幸一くん?」 春子の声が遠く感じる。 「おい!幸一!しっかりせえ!」 耕平の声が上からかぶせられる。 違う。気がつけば僕は膝をついていた。 「幸一くん。立てる?」 白い手が僕に差し出される。 無意識のうちに僕はその手を掴んでいた。春子の柔らかい手の感触にホッとしてしまう。 春子に引き上げられて僕は立ち上がった。ふらつく体を春子が支えてくれた。 「耕平君。私、幸一くんを家まで送ってくる。もし遅れたら先生に伝えといて」 「分かった。幸一を頼むで」 勝手に僕の欠席を決める二人。 「待って。僕は」 僕の言葉は春子のデコピンに遮られた。 「お姉ちゃんの言う事を素直に聞いて」 そう言って春子は僕の手を掴んで歩きだした。 足元がおぼつかない。ふらつく上半身を春子は支えてくれた。 触れる春子の体がひんやり感じる。 「こんなに熱があるのに学校に来ちゃだめだよ」 春子に礼を言いたかったけど、意識が朦朧として何も言えなかった。 少し寝苦しく感じて目が覚めた。 見慣れた天井が見える。自分の部屋の天井。 寝起きの意識が徐々にはっきりとしてくる。 春子に送ってもらって、着替えて寝たんだった。 今の時間はどれぐらいだろう。起き上がろうとして初めて布団の上に覆いかぶさる存在に気がついた。 春子だ。僕のお腹の上に頭を預けて寝ている。 静かな寝息が聞こえてくる。だらしなく涎を垂らしながら幸せそうに眠っている。 寝苦しい原因はこれか。 起こさないようにベッドから出ようとして失敗した。 春子の頭ががくんと布団に埋もれる。 「びにゃ!?」 変な悲鳴を上げる春子。もぞもぞ動き、寝やすい位置を見つけたのか再び静かな寝息が聞こえてくる。 呆れながらも僕はベッドから出た。全身がだるい。ひどい頭痛。 時計を確認すると、3時間ほど眠っていた。春子は授業に行かなくていいのかな。 「ん?んんー?」 むくりと春子は起きた。眠たそうなとろんとした瞳で僕を見る。 「こーいちくん。横になってないとだめだよ」 春子は僕の手を掴んだ。春子の柔らかくて温かい掌の感触に安心してしまう。 僕はベッドに戻された。 春子の掌が僕の額に触れる。滑らかで柔らかい感触。 「んー。全然下がってないね」 そう言って春子はスポーツドリンクのペットボトルを差し出した。 「熱が出た時には水分を補給しないとだめだよ」 僕は礼を言って受け取った。蓋をあけて口にする。体に水分がしみわたる感触が心地よい。 50 三つの鎖 22 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/06/18(金) 22 53 25 ID g/mo7HSP 昔の事が脳裏に浮かぶ。風邪をひいた時、京子さんも村田のおばさんも看病してくれたけど、二人とも忙しい人だから手が回らない時も多かった。そんな時にそばにいてくれたのは春子と梓だった。 体調が悪くて心細い時に春子はそばにいてくれた。いつもスポーツドリンクを僕に差し出してきた。 「飲んだら横になってね」 言われるままに僕は横になった。掌に柔らかい感触。春子の白い手が僕の手を握っていた。昔からそうだ。春子は僕が眠れるまで手を握ってくれた。 周りの大人たちが忙しくて寂しく感じていた状況で、春子の存在がどれだけ温かく心強く感じたか、きっと誰も知らない。 「すぐに治るから安心して」 あやすような春子に声に僕の意識は眠りに落ちた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ えー。初登場じゃないけど、一応自己紹介しとく。 私は堀田美奈子。梓と夏美のクラスメイト。 え?知らない? いやいやいや!私ちゃんと登場してるよ!?ほら、ちゃんと読んでよ! …でしょ!?全く、しっかりしてよね。 授業が終わった。はぁ。お昼休みまで長いよ。 教室を見渡すと夏美がぼんやりと頬づえついている。 うーむ。ちょっと声をかけにくい。この前、夏美のお父さんが殺されて以来、クラスのみんなは夏美と距離を置いている。 別にいじめとかじゃない。ただ、どう接したらいいか分からない。 ま、私はあんまり気にしないから普通に声をかけちゃうけど。 「なつみー。授業終わったよ」 私をガン無視する夏美。って、聞いてないっぽい。 「夏美?」 私は夏美を揺らした。綺麗な髪が微かに揺れる。ちょっと伸びた気がする。前はショートだったのに、今は肩にかかりそうな長さ。 うーん。私はちょっと長めのショートだけど、夏美の髪の毛はなんていうか綺麗だ。ちょっとうらやましい。 夏美は今気がついたように私を見た。 「あれ?どうしたの?」 なんだか夏美の様子がおかしいかも。目の焦点が合ってない感じ。まだ寝ぼけているの? 「もう授業終わってるよ」 私の言葉に夏美は飛び上がるように立ち上がった。うおっ。びっくりした。 「美奈子ごめん!お兄さんに会ってくる!」 夏美は教室を走って出て行った。どうなってるのよ。 ていうか次の授業は理科室なのに。はやく戻って来ないと遅刻しちゃうよ。 クラスの女の子が数人集まって話している声が聞こえてくる。 「お兄さんの兄さんって馬鹿じゃないの」 「そうよねー。彼氏の事をお兄さんって呼ぶって、何を考えているのかしら」 夏美の言うお兄さん。梓のお兄ちゃん。 私はため息をついた。夏美と梓のお兄ちゃんが付き合い始めてから、夏美の陰口を言う子が増えた。 ただの嫉妬丸出しの陰口。梓のお兄ちゃんは背が高くて文武両道、料理もできるし、見た目も悪くはない。モテる要素はある。今までモテなかったのは、シスコンだと思われていたから。 でも、実は梓がブラコンだっただけと分かってから人気が急上昇した。けどその時にはすでに夏美が彼女になっていた。 全く。陰口なら聞こえないように言えばいいのに。聞いても気持ちのいいものじゃない。それなのに彼女達は聞こえるような声で陰口をたたく。 「お父さんが死んだからって悲劇のヒロインを気取ってるみたいでキモイよね」 私が言うのもなんだけど、女の子の嫉妬ってホントに怖い。夏美の今の状況すら陰口の要素になるのだから。 夏美はいい子だから陰口の類に過敏に反応したりしない。それが余計にクラスの子をイラつかせているのもある。 私はため息をついて梓を探した。梓は夏美と一番の友達だ。正直、明るくて社交的な夏美と無口でいつも不機嫌そうな梓とどこが気が合うのか分からないけど。 梓はすぐに見つかった。小柄で細く、綺麗な黒い髪を背中に垂らしている。いつもはポニーテールにしているのに、最近はそのままおろしていることが多い。でも、今の髪形も似合っている。 お人形さんみたいな綺麗な髪と白い肌。女の私から見てもため息をつきたくなるような儚い美しさを持っている。 私は梓に声をかけられなかった。 梓はいつも通りの無表情だった。 でも、瞳には背筋の寒くなるような感情を湛えていた。 梓が悪口を言っている子と同じ感情。 でも、その感情の強さは比べ物にならないほど強く感じた。 戻る 目次へ 次へ
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今作には、七つの大罪武器と言われる特殊な武器がある。 ここではこの七つの武器の入手方法を紹介する。 武器名(七つの大罪) 入手方法 説明 ユリエルズ・エッジ(七つの大罪 嫉妬) マーシャル・グラウンドを5個所制圧したら、中央付近にある所にテレポートできるようになる。そこにユリエルズ・エッジがある。 左:物理攻撃右:溜めが必要な爆発・炎上効果のある遠距離攻撃 ギャローズ・ドッジャー(七つの大罪 傲慢) ランダムに現れるDEX(デックス)を7回始末すると手に入れる事ができる。 ダメージを与えるとゲージが増えゲージ満タン時ゲージがなくなるまでフルオート爆発弾 ダイヤモンド・スティング(七つの大罪 強欲) 10万で購入できる。 キル時に報奨金500ドロップ ブーム・チカ(七つの大罪 色欲) 黒髭の宝箱を5個所開ける。 当たったものを魅了し無防備でこちらに向かってくる アルマゲドン・チェア(七つの大罪 怠情) ミッションのリラックス・タイムで手に入れる 左:自動追尾ミサイル右:ダブルガトリング装備中ダッシュ不可 契約の箱(七つの大罪 憤怒) サタンの怒り度メーター2以降に出現するようになるゲンキ博士を始末すると手に入れる事ができる。(悪評度最大時に出てくるアークデュークに低確率で入れ変わる) 左:魂の吸収右:魂の放出魂を吸収すると相手が即死 残弾プラス(レジョネア・バリア付きダークインサイター不可、死体は残弾プラス)ため込んだ魂を放出し爆発攻撃 当たった敵から他の敵への追尾弾。残弾が最大の時は魂の吸収はできない戦車・装甲車以外は乗り物に乗ってても吸収可能 ラスト・サパー(七つの大罪 暴食) 3個所あるタコスにアクセスすると手に入れる事ができる。 左:爆発攻撃右:エサまき液状のエサを敵に当てるとデーモン・ハスクがその敵に群がり襲う、悪評度がある状態でもエサの方を優先がち(ダークインサイター・インプは釣られない)
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sin 七つの大罪(完全版)Blu-ray BOX 発売日:8月4日 (1)放送直前! 「sin 七つの大罪」焦らし特番 ~心理テストでキャストが丸裸! ?~【完全版】 (2)第4.5話「まさに悪魔の所業…」 (3)第10.5話「緊急特番! 門限破りの罪」 (4)ショートアニメ「懺悔録」(全19話) (5)「七つの大罪」罪の告白 電脳グリモワール!(全10話) (6)アスタロトMV完全版/PV/番宣 PKGCM集ノンテロップOP/ED ここを編集 2017年4月放送開始。2021年8月、Blu-rayBOXが発売。 http //www.7-sins.tv/ 監督 よしもときんじ 原作 ホビージャパン 原案 河原正信 ストーリーコンセプト・シリーズ構成 吉本欣司 メインライター 鈴木雅詞 キャラクター原案 Niθ キャラクターデザイン 安田祥子 総作画監督 安田祥子、小関雅、ごとうじゅんじ インダストリアルデザイン 枝松聖 プロップデザイン協力 竹谷徹平 美術監督・美術設定 益田健太 ビジュアルコーディネーター 松原貞姫 色彩設計 松原貞姫、梅本江里 撮影監督 藤田智史 モニターワークス 長谷川朋史 特殊効果 石原智美 編集 坂本雅紀 編集助手 宮崎直樹 音響監督 森下広人 音響効果 八十正太 録音調整 太田泰明 録音助手 南うんじ 選曲 吉本欣司 音楽 横山克、堤博明 アニメーション制作 アートランド プロデュース ジェンコ 脚本 鈴木雅詞 吉本欣司 松原貞姫 小鹿りえ 大久保昌弘 絵コンテ よしもときんじ 西島克彦 斎藤久 うるし原智志 梅津泰臣 石黒達也 大畑晃一 高本宣弘 夕澄慶英! 柳沢テツヤ 原博 演出 よしもときんじ 日下直義 勝亦祥視 藏本穂高 千葉孝幸 梅津泰臣 川西泰二 山口美浩 冨田剛司 野本正幸 高橋順 ながはまのりひこ 夕澄慶英! 吉田俊司 相浦和也 作画監督 安田祥子 小関雅 塚田ひろし 岡田豊広 神木はな ごとうじゅんじ 野本正幸 石動仁 神田岳 中島美子 山崎輝彦 李周炫 正金寺直子 石橋有希子 梅津泰臣 手島隼人 飯飼一幸 服部益美 朝岡卓也 斉藤香織 斉藤和也 清水勝祐 山本善哉 西山伸吾 Kim Suho 岡辰也 渡辺はるか Lee Sok Yun Hue Hey Jung Chang BumChul Choi Nak Jin ■関連タイトル sin 七つの大罪 完全版 Blu-ray BOX Blu-ray sin 七つの大罪 第一の罪 初回限定版 TVアニメ『sin 七つの大罪』 公式魔導書 淫果応報ノ書 『sin 七つの大罪』オリジナルサウンドトラック OP・EDテーマ「My Sweet Maiden / Welcome To Our Diabolic Paradise」 sin 七つの大罪 マモン 抱き枕カバー 七つの大罪 新約 邪神像 ルシファー 降臨ノ台座版 七つの大罪 サタン 憤怒の像 七つの大罪 魔王黙示録 嫉妬の章 叛傑ホットパンツノ節 sin 七つの大罪 日常黙示録 sin 七つの大罪1 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Blu-ray 魔女見習いをさがして Blu-ray「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition 初回限定生産 Blu-rayDisc付き 『ラブライブ! スーパースター!!』「始まりは君の空」【みんなで叶える物語盤】 BEM~BECOME HUMAN~豪華版Blu-ray Blu-ray 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection Blu-ray ぐらぶるっ! 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