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【登録タグ L ひらの 初音ミク 曲】 作詞:ひらの 作曲:ひらの 編曲:ひらの 唄:初音ミク 曲紹介 「らるら、らるら、らるらりら。」 歌詞 ここには何もないからね La.Lu.La. どんなに探したって 見つからない どこにあるの? 僕の答え 見つからないの? 顔を上げてごらん 道は続いてんだ どこまで続くんだ? 辿り着いた場所に 僕の答え 見つかるのだろうか? それは分かんないさ だから振り返んだ 歩いてきた軌跡 それがいつも君を 励ますメロディー 君には僕が見えますか? La.Lu.La. 僕には僕が見えないです 僕は上手く 笑えてますか? 隠さないで どうか聞かせて欲しい 一緒に行きませんか? 笑って歩きませんか? 辿り着かなくても 靴の踵鳴らし 歩いて行こう 答えなんかないさ だから愛するんだ 二つ並ぶ足跡 それがずっと僕等 奏でるリズム コメント 作成乙! これはもっともっと評価されるべき -- 名無しさん (2011-05-22 09 41 33) 名前 コメント
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298 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/22(水) 09 07 23 ID 6ub2saBA 妹ものが書けるということはもしかして俺には姉もいけるんじゃね? あれ?高鳴るリビドーが抑えられないんじゃね?と思って妄想 弟「お姉ちゃーん♪勉強おせえて~♪」 姉『うわっ、キモっ………』 弟「………」 姉『………』 弟「…ゴホン、いやね、今月やばいんですよ。全然分からんのです(勉強が)」 姉『だからってなんで私が勉強教えなくちゃいけないんよ。わけわかんね』 弟「…無事今度の試験を乗り切る事が出来たら弟君から金一封という噂が」 姉『何してんの速く勉強道具出しなさい!(0.2秒)』バンバン! 弟「うわぁ…」 姉『てめぇ引いてる暇あったら勉強道具だせっつってんだろうがぶちころすぞ』 弟「しばし待たれい、今持ってくるわ」 勉強開始からウン十分後… 弟「だりぃ、ねみぃ、おやすみ…」 姉『こいつ…ここまで馬鹿だったとは……』 弟「わっかんねーんだもんよー何これ?何かの呪文?これ唱えて何呼び出すの?魔王?」 姉『私の金だよ』 弟「金の亡者マジパネェ …あー、何かこう姉ちゃんが『いい点取ったらご褒美あげちゃうぞ☆』的な事言ったら やる気出て100点とか取れたりするかもしれない…」 姉『100点取ったら私の初めてあげちゃうぞ☆?(////)』 弟「おk、任せろ。今のうちに覚悟しておけ。 テスト返却日が貴様の膜との今生の別れとなるだろう…」シャキーン! 姉『やれるものならやってみろ。お前の馬鹿さ加減は分かっている』 弟「っふ…滾るエロスのパワーを知らんらしい…」 なんだかんだでテスト返却ー 姉『何…だこれは……テスト点数全て…3桁だと…?』 弟「っふ…はりきりすぎちまったZE! さぁ、約束は憶えているな?もう後戻りは出来んぞ姉よ」 姉『そっちこそ忘れるなその前に金出せや金さぁさぁ』 弟「チッ…憶えていやがったか…ほらよ!もってけ泥棒!」ポイッ 姉『ぐだぐだ言ってねぇでさっさと出すもん出しゃいいんだよウヘヘ ………しけてんな』 弟「なんか最後あたり教わった憶えがないんでそんくらいが妥当だろ」 姉『あの発言が仇となったか……』 弟「さぁ、今度はこっちの番だ!貴様の初めてとやらを頂くぞ!」 姉『あー(////)…ね、ねぇ、恥ずかしいから目…瞑っててくれる……?』 弟「よーしばっちこーい」パッチリ 姉『……ちゅっ』 弟「………ん?それだけかい?お姉様?」 姉『ふん、ちゃんと「初めて」のキスをくれてやったぞ!文句はあるまい!』 弟「なんという落とし穴。これは間違いなく姉の作戦勝ち ………でもまぁ嬉しかったのでいいです」 姉『う、嬉しいとか言うなこの馬鹿っ!ばーかばーか!』 弟「ふははは!なんと言おうが俺の勝ち組は確定的に明らか」 姉『うっさいばーかばーか!(//////)』 結論・姉のキャラが壊れた
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★★★ そもそも、男爵は諸島の支配者だが 街に税などは設定されていない ★★★ ぱちんと指を鳴らすと、景色の全てが男爵の背後に吹き飛んでいった。 体感速度によって一瞬平行感覚が乱れ、少し足がふらりとしたが倒れるほどではない。 男爵はハンモックから降りた、というより景色はハンモックごと背後に吹っ飛んだ。 そして君たちは豪奢な絨毯の上に立つ。 男爵の後ろには繊細なタッチで立たれた風景画、風になびく草原とハンモックが吊られた樹。 そう、今まで君たちは男爵と共にその絵画の中の世界にいたのだ。 ざわざわと騒がしい街の人々。見渡してみるとなるほど、今いるこの場では少々手狭のようだ。 どうやら男爵は来客全てを収容するための場所として絵画を使用したらしい。ちなみにタイトルは君には読めなかった。 ツナとシュリンプはスカートに未だにパンと果物を山積みにしている。 既に食料は行き渡っているようである。もう誰も取りに来ようとしない。 男爵がツナへ手を伸ばしパンを二つ掴み取る。ふかっとした焼きたてのパン。小麦の匂いが香ばしい。 すっと男爵が手をかざすと、二人のスカートから食材が消えた。掴み挙げる手を離してスカートを下ろす。 ぱんぱん、小麦の粉を払い落とす、果汁が滲んで染みになる。 男爵がパンを食いちぎる、むしゃむしゃごくん。 食糧の問題はとりあえずは問題ないだろう。館には被害がないし、備蓄は十分ある。 次の問題点は倒壊した建物の瓦礫の撤去と下敷きになっているであろう人々の救出作業だけだ。 でもそれって、男爵じゃなくて街の住人で何とかすべき事柄な気がするのだけれど。 男爵に嘆願しに来る暇があるのなら、街の自警団とか保安員などに助けを求めるのが先ではなかろうか。 ある程度頼りにされることは致し方ないとしても、食料をある程度融通してやってもいいが、それもずっとというわけにもいくまい。 財産を失った等と言われても赤の他人だ、どうこうしてやる義理もない。 男爵にとって街とその住人は、軒下に猫が住み着いたようなモノだ。 だが猫のように可愛らしく愛嬌があるのならエサもやるが、世の中そんなに甘くない。 ちなみに猫とは猫である、君の世界で言うキャットのことである。断じて『ネコ』ではない。 『ネコ』という魔獣がいるのである。そのうち目にする機会もあるだろう。白と黒とつがいの魔獣で。 ともかく、際限なく施しを与えてやるほど男爵はお人好しではないのだ、が。 男爵は残りのパンを口の中に押し込み、ハムスターのようにもごもごしながら決断したようだ。 街を元に戻す程度、男爵ほどの実力があればさほどの労力にすらならない。 今回はパンを融通してやったが、どうせそのうちその要求はエスカレートするに決まっている、それならば最初から最高を与えるに限る。 「喜べ諸君。君達の望む通り街を襲撃のあった前まで戻してやろう」 すると被災者達はわぁっと快哉を上げた。 「だがその作業はちょちょいとできるモノではない、ある程度下調べをしないといけないのでな。せっかく来たのになんだがコレから街へ向かおう」 もちろん、徒歩で。 中略。 徒歩というのはさすがになかった。 最初から最高を与えるのであれば、彼らを歩かせては街に着くまでに非常に時間がかかる。 結果、男爵は魔法で浮遊移動を行った。君たちも一緒である。 総勢100を超える人間がぷかぷかと宙に浮いたまま移動する光景はなかなかシュールだった。 「で、何故貴様まで付いてきた」 「さぁ……なんでだろう」 愛想笑いで苦笑するのはマイルスだ。 「貴様にはメイド諸君の治療を任せていたはずだが?」 ぽりぽりと後頭部を掻いてマイルスはばつが悪そうにする。 「治療を行うにしても街の現状を把握するのは必要なことさ。あたしはさっきも街には来たけれど見落としがあるかもしれないしねぇ」 ふぅん、と男爵は適当に相槌を打った、あまり興味がなさそうだ。 街の現状はなかなかひどいものだ、火災よりも天山大剣が放った悪魔の輪による破壊の被害が大きい。 ちょっと通りがかりの倒壊した建物に、男爵が手をかざす。全ての瓦礫が宙に浮く。 「今のうちに大事な物を確保しておけ」 吐き捨てるように男爵は建物の前でなにもせず呆然としていた家主に言った。 ぽかんとする家主だったが、男爵はあくびしながらあくまでも無関心な様子だった。 「要らないのか? ならば下ろすが、よいな」 男爵がそう言うと家主は慌てて家の中に飛び込んでいった。 そんな滑稽な様子を見ながら男爵は少し笑っていた。 「今解除してみたら彼はどうなるだろうか。少し興味が沸いてこないか?」 君に投げかけられた言葉だった、君は男爵の目を見た。男爵の目は本気だった。 君は、絶対にやめてくださいと言った。男爵は笑っていた。 「ちなみに私は蟻を潰すのが好きなのだが。君はどう思うね?」 君は察した、首を振って好きじゃないですと言った。男爵はその答えを予想していたようで薄ら笑いだけを浮かべる。 家主が出て来たのを確認して男爵はかざしていた手を下ろす、と同じくして浮いていた瓦礫が音を立てて地面に転がる。 「さて、どうしたものか?」 どうって、なにが? 視線を巡らせる、倒壊した建物はざっと見た限りで数十を超える。 しかもそれは見える範囲の話だ。一つ一つやっていくのは少々手間がかかる。 そして、もう一つ今のを見ていた人たちが我も我もと縋り付くかのように懇願してきた。 「まぁ待て。瓦礫の下に取り残されている者はいないか!」 男爵が声を上げると、挙手が上がった。 「こっちです!」 男爵がその声の方へ歩こうとしたが、すがりつく街の人たちがその邪魔をした。 君は男爵が舌打ちしたのを明らかに見た。突然浮き上がる街の人たち。 まるで路傍のいしっころを蹴っ飛ばしたかのように、道の両側へ吹き飛んだ。 魔法使いでもあり魔術士でもある男爵の進行を邪魔するなど愚かとしか言いようがない。 「ううう」「ギギギ」 受け身も取れず地面に転がり、身体を打って呻いている人たち、慌てる乞食は貰いが少ないとはまさにこのことだろう。 くやしいのう、くやしいのう。 呻く街の人たちを尻目にしながら、君は男爵の後を追う。マイルスも一緒だ。 「ここです!」 これはひどい。二階建てだったはずの建物は二階が一階になり屋根が消滅している。 道向かいの家に突き刺さっている木材がこの家の木材の一部のようだった。 「みいちゃん!助けが来たよ!しっかり!」 声を張り上げて瓦礫の下に呼びかける青年。 「あぁどうしよう。もう声を出す元気もないみたいです。さっきまで返事をしてくれたのに……っ」 「私の館に来るまでの間に力尽きたのではないか?」 街から館までは徒歩で一時間ほどかかる。館から街に来るときは男爵の魔法ですぐだったが、人命救助の場合はこの時間は致命的だ。 「縁起でもないことを言わないでください!いくら貴方でもぶっとばしますよ!」 「ほほう……やってみるか?」 面白いオモチャを見つけた子供のように男爵の目が細くなった。彼は「ひぃっ」と縮こまった。 男爵が彼に向かって手をかざす。その手の先に魔法陣が浮かぶ。 「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 「ふん、なんだつまらん」 ぱしゅんと軽い音を立てて男爵は何かを発射した。それは青年の横をすり抜けて建物を貫通する。 「ふむ、喜べ、生きているようだ」 魔術で中に生命反応があることを確認したようだ。どうやらそんな便利な術も使えるらしい。 「ほ、本当ですか!ありがとうございます!ありがとうございます!」 何故か何度も礼を言う青年だった、どうやらさっきの恐怖で頭の中が混乱しているようだ。 ふっ、と男爵は魔法を鼻で笑って発動させた、瓦礫の全てが持ち上がる。 「あぁっ、みいちゃん!」 青年は一心不乱に瓦礫の中に飛び込んだ。可愛い娘の無事を願い、その元気な姿を探す。 「みいちゃん!よかった!無事だったんだね」 「にゃーーーーーっ」 そしてみいちゃんこと、猫のみいちゃんは瓦礫の山の中から飛び出し、飼い主である青年に飛びついた。 「……なんだ猫か」 猫ならしょうがない。よかった、瓦礫に押しつぶされて今際の際に立たされている可愛い女の子はいなかったんだね。 「それが貴様の娘か」 「はい!うちのお姫様です」 どうやらオスのようだが、幸せそうなのでコメントは控えた方がよさそうである。 たかが猫ならそんなに急ぐ必要はなかったのではないかと男爵は思っているようだ。 当然だ、たとえその人がどんなにその猫を大事に思っていようと、人命などに比ぶべくもないのだから。 とりあえず君たちはその場をあとにする。みいちゃんの救出が終わったのならばその場に用はない。 君は男爵を見る、なにやら考え事をしているようだ。 「貴様ら、他に瓦礫に閉じこめられているヒトはいないか! 猫などを家族と思う気持ちはあるだろうが。まずはヒトの救出を最優先にする!」 ヒトとは、亜人種を含めた上での男爵の呼びかけだ。 たとえばベルウッドなどの半獣、メイドにはいないがねこみみやいぬみみやエルフといった人間に近い姿形をした者どものことを指す。 ちなみにローズマリーは草人で、リードマンはゴーレム、インデックスは人形だ。彼女たちはヒトとは違う。 遠巻きに見ていた街の人たちはお互い顔を見合わせる。 ざわ……ざわ……どよ……どよ……、ざわ…ざわ…ざ‥ざわ……ざわ。 ざわめきとどよめきが町中に広がる。男爵の呼びかけは人々の言葉を伝言ゲームのように伝わっていく。 「静かに」 そして男爵は指を鳴らすと、町中の音が一切消えた。 まさに無音、針を落とした音や、隣の人間の鼓動の音ですら聞こえてしまいそうなほどの静寂。 「咎めるわけではない、正確な情報が欲しいだけだ。いないのか?」 しーん。 男爵の眉が顰められる。 「いないんだ。男爵」 口を開いたのは、マイルスだった。 「いない? どういう事だ」 「さっき、素材が足りないって報告に言ったよね? ロベルタの修復に素材が足りないって。だからあたしは無心に行ったんだ。天山大剣とナパームの襲撃で、街は壊滅的な被害を受けてる。だからあたしもロベルタの修復はすぐにできると思っていた。素材はいくらでもあると思ったんだ。いくらでも確保できると思ったんだ」 男爵はあからさまに不快そうに表情を歪めた。 「予測は付いてる、はっきり言え」 「うん。今回の襲撃。いや、災害でのこの街の死者はゼロなんだ」 『次の話へ』
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……戦況は混乱を極めていた。 バーサーカー、カルキを殲滅したラーヴァナは戦いを求め、ヴィマナを駆って冬木市へと侵攻しようと目論む。 これだけ派手なことをすれば、他の隠れているサーヴァントも牙を剥くに違いない。 その中に余を満足できるものがいればいいのだが。 そんな風に思っているラーヴァナの前に一人の騎士が立ち向かう。 「まてい!魔王よ! 貴様の狼藉、もはや許し難い! 邪悪の前に膝を屈するなかれ、正義を躊躇う事なかれ! この騎士王であるライダー、ドン・キホーテが相手する!」 その強大なステータスに、放たれる凄まじい重圧感。これは並の英霊などでは断じてない。 だが、そんなものは些細なことでしかない。 その邪悪に立ち向かおうとする意思。 敢然と邪悪と闘わんとする正義たる気高き誇り。 そのライダーの威風堂々たる姿は魔王ラーヴァナですら畏怖させた。 「く、くくく……! 面白い、面白いぞ!この余を畏怖させるとは! 貴様こそ、余を満たせるかもしれぬな……。 だが、ここではあまりに舞台が整っておらぬ。 それではせっかくの楽しみが損なわれてしまうからな。 ここはいったん引こう。さらばだ!」 ライダー……ドンキホーテの活躍により、一度はラーヴァナは退けられたが、 ラーヴァナはライダー、ドンキホーテとランサー、ヴラド以外全てのサーヴァントを葬っていた。 そして、最後の第八番目のサーヴァント、英雄王ギルガメッシュがついに動き始めた。 古い英雄にとって天敵であるドンキホーテの欺瞞能力、『我、騎士道を邁進す(ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ)』 だが、その能力も、ギルガメッシュの宝具《偽り破る真実の鏡》とルールブレイカーによって打ち砕かれていた。 「吾輩は……吾輩はもうダメだ……。 騎士道など……騎士など……どこにも存在しない……存在しないのだ……。」 そう呟きながら地面に膝をつくライダー、ドン・キホーテ。 そこに存在しているのは、ラーヴァナにさえ畏怖された英雄狂ではなく、ただの夢破れた老人にすぎなかった。 「愚かな道化め。道化が騎士王を名乗るとはその罪、万死に値する。 大人しく―――!!?」 膝をついたライダーにむかって剣を振りおろそうとしたギルガメッシュに対して、魔力弾の砲撃が襲いかかる。 それは、巨大な空中戦艦、プシュパカ・ヴィマナから放たれる支援砲撃である。 ヴィマナの上で腕を組んで下を見下ろしているラーヴァナはライダーに向かって叫ぶ。 「どうした!立て!立つがいい!英雄狂よ! 屈するのか?貴様は屈するのか!?余を畏怖させた英雄が……たかが幻想が破れたぐらいで屈するのか! ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャよ!―――真の騎士よ!」 ぴくり、とその言葉に膝をついていたライダーの肩がふるえる。 「ステータス?宝具?戦闘能力の高さ? くだらぬ……全てくだらぬ! 最も大事なのは正義たらんと、騎士であろうとするその意思だ! ふるえながらも邪悪に立ち向かおうとするその気高き誇りだ! そう!魔王を滅ぼすのは、いつだって勇気あるものたちだ!!」 そうライダーに向かって叫んだラーヴァナは、ぴらりプシュパカ・とヴィマナから飛び降りると、 通常の人間なら瞬時に心臓が止まりそうなほどの邪眼めいた視線で英雄王を睨みつける。 「英雄王よ。真の騎士であるこやつを愚弄するとは……もはや許さぬ!」 英雄の頂点に立つ英雄王は神代の魔王に向かって怒気をむける。 「王を詐称する愚か者が我に意見をいうか。 たわけが。王を名乗るその不遜、己の死で購え。」 「よかろう、英雄王よ。相手になろう。 だが心せよ。魔王を倒せるのは勇気あるものたち……勇者だけだ! 王ではない!邪悪に立ち向かう気高き意思が無き高慢たる王に……余は殺せぬ!」 「黙れ!出し惜しみはなしだ……。食らうがいい!天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」 かつて混沌から天地を切り離したその剣が発生する暴風は、擬似的な空間断層すら引き起こす。 その暴風による空間断層に耐えられる存在はない。 だが、とっさにラーヴァナの前にヴィマナが舞い降り、己の盾になる。 ヴィマナはその機体の三分の一を砕かれながらも、まだ機能は停止せず、その暴風を食い止める 全てを素粒子へと打ち砕く死の暴風はラーヴァナを粉微塵にし、 周囲の10mの地面すらも完全に抉りとり大きなクレーターを作り出す。 もはや、ラーヴァナのいた痕跡は、足首の一部分だけにすぎない。 ヴィマナの強靭な装甲はエヌマ・エリシュですら軽減したのだ。 『なるほど。乖離剣エアか。確かに凄まじい威力だ。素晴らしい威力だ。 さすがに天地を切り開き、混沌から秩序をもらたした剣だ。』 「―――!!?」 その空中から響き渡る声に、さすがの英雄王も狼狽する。 なぜなら……その声は今彼が打倒した敵そのものだったからだ。 『だが……その剣は神が振るった神剣! そして、貴様はランクこそ下がっているが最大の神霊適性を持つ英霊!! それでは余は殺せぬ……。殺せぬわ!王では余は殺せぬわ!!』 そう、ギルガメッシュが振るう乖離剣エアは、かつて知恵の神がウルリクンミの両足を切り落とした 天地を切り離した神剣である。 最高位の神エアが振るった神剣に、ランクこそBに下がっているものの、最大の神霊適正を持つ英雄王。 その攻撃は耐神性を持つラーヴァナに通用するか。 その答えは、今やほぼ完全に肉体を再生しつつあるラーヴァナ自身が答えそのものだ。 「英雄王よ。貴様の敗因はただ一つ。貴様は乖離剣に頼りすぎた。それだけの話だ。」 ……もはや分かり切った結末を語ることはない。 光り輝く英雄王は、漆黒の魔王に飲み込まれるだけなのだから。 その間に脱出したライダーと士郎。 だが、もはやライダーには戦う力が残っていないことは、本人が一番知っていた。 「どうするんだ? ライダー。もうアンタの宝具は使えない。なら……。」 「いいや、サンチョ、いや、少年よ。 それでも、吾輩は騎士なのだ。 騎士たるもの、強大な邪悪を見過ごすなかれ。虐げられるものを見過ごすなかれ。 ……吾輩は偽物の、ただの道化だ。それでも、その誓いだけは、嘘でも偽物でもない。」 ああ。そうか。この人は狂ってなどいなかったのだ。 ただ、真実の誇り高き騎士であらんとしていただけなのだ。 ……そんなものは、最早どこにもないというのに。 そして、いま再び風車に突撃したように、彼は風車よりはるかに巨大な敵に立ち向かおうとしている。 「ならば、私が貴様に力を貸そう。英雄狂よ。」 その瞬間、どこからともなく大量の蝙蝠が空中より飛来し、ざざざざと一か所に収束する。 そこに存在していたのは、蝙蝠の塊ではなく、一人の血塗られた杭を持つ長身の男だった。 ランサー、ヴラド・ツェペシュ 串刺し公として恐れられた彼がついに本格的に参戦したのだ。 「……串刺狂。何故、そなたは吾輩に力を貸すのだ?」 「理由だと?そんなものは一つだけだ。 奴は、ラーヴァナは悪だ。私は悪の存在を許すことはできぬ。断じてな。 あのような邪悪によって犠牲にされる市民を見捨てるわけにはいかぬ。」 そう、かつてヴラドは征服王メフメト2世の侵略に対して、 大軍に対して立ち向かった経歴のある英霊だ。 ならば、メフメト2世よりはるかに無慈悲で残忍な殺戮を行うであろう魔王ラーヴァナを放置できるはずもない。 その意思だけは、疑う余地はなかった。 そして、とうとうヴラドとラーヴァナの戦いが始まった。 英雄王の最後のハルペーによる攻撃によって彼の胸には大きく傷が走っているが、そんなことは問題で花い。 しかし、神代の魔王と恐れられた ラーヴァナと、中世の英雄であるヴラドでは、神秘の蓄積が違いすぎる。 まともに戦っては勝ち目はない。 だが、彼の固有スキル:軍略D+は不利な情勢やゲリラ戦を行うときにも有利な補正を得られる。 何とか、敏捷で勝るヴラドは必死の回避により、筋力Aの膨大な破壊力を持つラーヴァナの攻撃を回避し、 手にした長槍のような血塗られた魔杭で剣や矛の一撃をそらしていく。 だが、ついに、ウラドの左腕の傷からまるでパイルパンガーにように突き出された血液で構成された魔杭がラーヴァナの腕を貫く 「喰らえ!『餓え渇く鮮血の粛杭(カズィクル・ベイ)』!!」 ヴラドの宝具、餓え渇く鮮血の粛杭 それは、この杭で傷つけられた者の血液を媒介とし、次なる杭を生成する。 魔杭によって傷つけられたラーヴァナの血液は鋭い無数の杭と化し、ラーヴァナを体内より爆裂させる。 体内から生えた杭によってハリネズミのようになった彼はそれでも動じない。 「なるほど。串刺狂よ。確かにそなたは吸血鬼の属性は持っているが、同時に人間としての属性も持っている。 それならば、余を多少なりと傷つける事もできよう。だが……。」 伝承上で語られる吸血鬼の能力を再現する能力があるとはいえ、 彼は本来何の因子も持たないただの人間であった。 それならば、ラーヴァナの宝具「羅刹王」は発動しない。 だが……。 「愚か者め。人である事を捨て去り、魔へと堕落した半端者が余に勝てるか! 貴様と余では、魔としての純度が違いすぎるわ!!」 だが、しょせんそれは再生速度が遅くなるというだけの話。 もはやヴラドは通常の人間ではなく、吸血鬼としての属性が付与されている。 それに後天的に吸血鬼としての属性を付与された中世の人間であり半魔と呼べるヴラドと、 神代の時代に魔王と恐れられたラーヴァナでは魔としての純度があまりに違いすぎる。 同じ属性ならば、より純度が高い方が勝利するのが絶対の法則。 ヴラドでは、ラーヴァナには決して敵うはずがない。 そして、ラーヴァナの無慈悲な一撃はヴラドの心臓を貫く。 だが、心臓を貫かれながら、彼は不敵な笑みを浮かべた。 「確かにな……。もはや人から外れた私の攻撃は貴様には通じない。だが……。」 「だが……貴様の行動を封じることはできる!」 その瞬間、ラーヴァナは気づいた。 彼の足元。そこには彼自身が流した血。 そして、ヴラドがこっそりと地面に流し続けた大量の血によって彼の地面は血の海になっていることを。 「吼えろ!『餓え渇く鮮血の粛杭(カズィクル・ベイ)』!!」 その瞬間、ラーヴァナの地面の血の海から大小無数の鋭い杭が飛び出て 彼の腕を、脚を、胴体を、顔をあらゆる場所を串刺しにする。 心臓を貫かれ、肉体を失いながらも、宝具を維持するため必死で肉体を維持しながらヴラドは叫ぶ。 「行け!ライダー!見せてみろ!貴様の誇りを私に見せてみろ!」 その瞬間、今まで隠れていたライダーがロシナンテに跨り、ランスを構えながら、 串刺しにされ、身動きの取れないラーヴァナに突撃する。 「騎士たるもの、悪を前に膝をつく事勿れ、正義を前に果たさざる事勿れ。 我こそは騎士ドンキホーテ! 騎士道を為す者! 魔王よ!吾輩の槍の前に倒れるがいい!!」 「第七のマスターが令呪の名の下に命ずる。 ライダー!奴の心臓を貫け―――!!」 瞬間、士郎の令呪の力により、ライダーはまさしく彗星となった。 ペルレフォーンとほぼ同じ速度でロシナンテは大地をかける。 そのランスを構えて突撃する姿に、杭に刺し貫かれて身動きが取れない魔王は再び恐怖を覚えた。 「プシュパカ・ヴィマナ支援砲撃要請!撃てぇ!!」 プシュパカ・ヴィマナから放たれる無数の魔力弾や魔力レーザー。 そして、ラーヴァナは力づくて腕の部分の杭だけ破壊し、弓を引き絞り撃ってくる強弓。 一本目の矢がライダーの兜を破壊し、もう一本が鎧を破壊し脇腹に深く突き刺さる。 魔力レーザーはライダーの左腕を切り落とし、魔力弾が右肩の鎧を破壊し、ロシナンテの脇腹を大きくえぐる。 それでもなお、ライダーには致命傷を与えられない。 ライダーの固有スキル:錆び付いた英雄譚(ラスト・ファンタズム) それは、英霊が近代より古いものであればあるほど、アロンソ・キハーナに対する行動のファンブル率が上昇する。 さらに幸運:A+の力により、彼の攻撃は全て致命傷には至らない。 そして、ヴラドが完全に消え去る寸前、杭によって身動きの取れないラーヴァナの心臓をライダーのランスが貫く。 英雄王のハルペーによって胸に大きな傷を負っていたラーヴァナでは、その攻撃に耐えうるはずもない。 それを見て、ヴラドは満足そうに無言で消え去り、ラーヴァナも心臓を貫かれながら満足そうに高笑いする。 「く……くくはははは……ははははは! 貴様が、貴様こそが余の死か……。 最高だ、お主は最高だぞ、英雄狂。 そうだ。化け物を滅ぼせるのは人間だけだ。魔王を殺せるのは勇者だけだ」 ラーヴァナの宝具「羅刹王」は純然たる人間には通用しない。 そして、ドンキホーテは妄想に生きたただの人間でしかないのだ。 さらに、サーヴァントは心臓を破壊されれば消滅する。それは宝具の加護を失ったラーヴァナであろうと例外ではない。 「感謝する魔王よ。我が妄想物語に付き合ってくれて。」 「何を……いう……。そなたの信念は、妄想などでは……ない。 胸を張れ……。そなたこそが、魔王を倒した騎士なのだから……。」 「礼をいうぞ……。余を救ってくれて……。そなたこそが……真の……騎士……、」 ラーヴァナは風になった――― ドンキホーテが無意識のうちにとっていたのは『敬礼』の姿であった―――――― 涙は流さなかったが 無言の男の詩があった――― 奇妙な友情があった―――
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* 壁にもたれながら立っていた。ここにいる理由はない、これといって見当たらない。だか強いて理由をつけるとするなら、通路の改修をたしか来月あたりから行うだとか事務局のほうから通達があった、だからその前に一度傷み具合を見ておく必要があると思えた。それだけの話だった。 俺が立っていた場所は、饐えたにおいをはなつ地下から、ぬうと地上へむけて伸びた回廊で、埃くさい、土くさい、よどんだまま動かない空気、深く吸ってしまうとおのれの体まで、この嫌なにおいをはなってしまうように思う。気に入らない。俺は浅く呼気をくりかえす。どうしてこうまでよどんでいる。いっそ縦穴をぶち抜いて、なまぐさくて酸い、なんとも言えないにおいを、暢気な顔をして上を歩く連中の鼻先に、どうだこのざまはと香水よろしくまき散らしてやればいいのだ。目をむき、顔をしかめ、鼻をおおい、どうしたことだと慌てふためくさまは、きっとたいそう愉快だろう。だがここの空気を動かす人数はほんの僅かで、ぎらぎらとした目を光らせ出てゆくばかりだ。俺のように足を止めるものはいない。だからきっと誰も気づかない。鈍いのだ、許される鈍さがときに俺はいやになる。 いやならここを通らねばいい。回廊を通らねばならぬ決まりはない。 たとえばふっとそのあたりの裏口から出立していっても、誰も気に留めやしない。ヴァチカンはスキャンダルになれている。メディアに叩かれることになれきっている、いっこうに構わないのだ。ただ、人目を避けるという意味で、機関員はよく地下通路を利用する。とくに復路は最大限に利用している。なぜなら戻るやつらの全身は、バケツをひっくり返したようにしとどに濡れている。そうしてへばりついている。血と、肉と、それから臓腑や、臓腑におさめられた吐瀉。ぼたぼたと垂らして意気揚揚に凱旋する。薄汚い人間ども。それから薄汚い人間にもおとる化け物ども。 始末書を書く苦労よりは、通路へ足を運ぶ手間をえらんだ。 そうか、と俺は気がついた。ここに満ちているのはそれだ。まるでなってない連中の体は、体といううつわを消しても、ぶかっこうにうつし世に残っている。においになってしがみついている、だからこんなにいやなにおいなのだ。 体のすみずみ、爪の先から毛細血管にいたるまで、できそこないのそいつらのにおいが染みつくこころもちがして、俺は頭を振る。いやだ。頭を振った拍子に抱えていた紙の束がずるとこぼれて、どさどさと床に散った。ああ畜生。俺は毒づき、舌打ちをし、しようもなく拾いはじめる。こんなことになるのだったら機関室から直接やってこないで、一度書庫にでも行くべきだった。へまをした。せめてクリップで止めるなり、封筒に入れておくなりすべきだった。せっかく揃えたページがまるで台無しだし、とりとめもないメモならともかく、書庫から持ち出した秘匿ファイルのたぐいは、面倒なまでに事務のチェックが入る。汚れただの、折れ曲がっただの、なんくせつけられるのは気に食わない。 紙というやつは束ねると重い。えらく重い。重いくせにひとひらひとひらは、うまく風に乗せるとやけに軽くて、足元にも、すこし離れた場所にも、そうしてもっとずっと離れた場所にも、裏に表にばらばらになって、書類は散った。糞。腰をかがめて拾う。 すくい上げては手に束ね、拾いあげては胸に抱えしていると、ミレェの穂をひろう農婦のような、そんなこころもちになった。むしゃくしゃささくれた頭がわずか冷える。あれはいい。暗い色調の農婦どもも、淡々とひろうように見えて実はあの頭巾の内側で辟易していたかだとか思うと小気味よかった。だが同じミレェなら、俺は晩鐘のほうがいい、色数がすくない分あちらこちらに目を奪われずともすむからいい、あの絵の前で他になにも考えずに一日ぼうとしていることができたなら、どんなにそれは有意義な時間となるだろうか。そんなことを思いながら拾いあげていた俺の耳に、回廊をこちらへやってくる足音があった。 足音がやってくることはわかっていた。だから俺はいたくもないこんな場所で呼吸をして、あまつさえ落ち穂の農婦のまねごとをしている。 うっそりと近づいてくる貴様、顔をあげ姿を見止めなくても俺には判る、片手に着替えと必要最低限の身の回りの品をいれた革鞄、色は黒い、黒はなにしろ一番汚れが目立たないからとそう言っていた貴様の声が蘇る。それに同じ黒のカソック。それに外套。 いつもと変わらない貴様の姿かたち。 次の任務地が、ヴァチカンとまるで正反対に位置する国だということも、俺は知っている。なにしろ俺が、俺自身が、この懸案を圧倒的かつ速やかに解決するために、貴様を投入することを許可した人間だったからだ。襲われた聖堂。ステンドグラスはご丁寧に一枚、一枚、打ち砕かれ、あらわになった教壇の上に馘られた司祭の頭蓋、こちらへむけてポォズ。はい、お客様、笑顔で。切りとられた映像が郵送されるサーヴィス付きだった。 雑魚だ。自己顕示欲の強い百にも満たない雑魚の群れだ。 新興宗教テロリストどもに、十三課きっての切り札を投入するのもいかがなものかと意見もあったが、そもそも人員がない。動けるものはみな別の場所へ出払い、基本的にやつらは仕事をやりおえたと判断するまで連絡してこないのが常だったから、そもそも任務地変更の指示もできない。残った手持ち札は孤児院で偽善の笑みで完璧に固めながら、おのれの出番はいまかいまかと爪をとぎ燻っていたそいつだけで、だからそいつを使うのは必然でもあったのだ。使い勝手の悪いジョーカー。持っている分には有利でも最後まで持ちつづけると負けになる。そう言うものなのだ、そういうルールなのだ、だからこのあたりで一度場に出してゲームを読みなおす必要があった。 近づいてきた貴様が俺の手前で足を止めた。足を止め黙っている、俺が顔をあげ声をかけるのを見越している、見ているくせに口を噤んでうかがっている。腹立たしかったのでむきになって俺は拾いつづけた。声などかけるか。こちらから発してなどやるものか。俺は、こうして、書庫から借りだした文書を拾いまとめるのに忙しいのだ。 ややして貴様が長い息を吐き、身をかがめるのが判った。 俺と同じように貴様も紙を拾いあげる、大きな背をかがめて意外に器用な手つきで貴様も農婦になって落ち穂を拾う、莫迦だな、貴様のような大女がいるものか。おのれの口元がゆるむのが判る。おかしかった。 にやにやしはじめた俺を怪訝な目でちらと貴様がうかがうのが手に取るように判る、いい気分だ、実に愉快だった。だから俺は顔をあげ貴様を見てやった。 反逆者ユダの名を冠した俺たちの機関の聖堂騎士。武装神父。 俺が思った通りの恰好で、俺が思った通りの鞄をもって、もう片手に拾いあげた書類、俺の方へと差し出す。なにかご用ですか、次に貴様はきっとそう言うだろうと思った。 「なにかご用ですか。」 ああやっぱりな、貴様が思った通りの言葉を発し、俺は俺の予想が当たったことに半分満足して愉快になり、予想通りの言葉に、ここで待っていてやった俺に対してその言い草はなんだと、もう半分はひどく不愉快になった。顔をしかめて別に、と返す。別に貴様に用があって、こんなところにいたわけじゃあ決してなかった。 貴様に用事なんてない、俺は単に貴様の鞄が見たかったから、ふとした好奇心だとか言うやつでそれ以外の理由はない、貴様の鞄は着替えを詰めこんでぱんぱんに膨らみ、留め具が躍起になって押さえつけている。それだけの荷物をもって貴様は出かけるのだな。どれだけゆくのだ。ひと月か。ふた月か。それとももっと長いのか。 「――機関長?」 変更点でもあるかと俺は聞かれて肩をそびやかす。そうして、そんなものあるわけがないだろうと吐き棄てた。俺の計画も、指示も、いつでも完璧だったろう、間違ったことがあったか。 「では、なぜ、」 「俺がここにいるとまずい理由でもあるか?」 逆に俺は貴様に聞いた。 「それとも、久方の出がけに、俺がいちゃあ縁起が悪いとでも貴様がいうタマか。ゼロか、百か、我々十三課にあるのはそれだけの話だし、そもそも貴様に、情緒もへったくれも必要ないのは俺がよく知っている。かくあれかし、だ。晴れの任務だ、始末書の一枚減らす努力でもしながら、せいぜい気張ってやってこい。」 「然り、然り。」 否、否とつづけながら貴様が笑った、素直ではないとそんなことを言う。 「殊勝に見送りにでも来てくれたかと期待したが。」 「莫迦な。」 何故。俺が。そんなことをしなけりゃならない? 唐突にこちらへ伸ばされかけた腕に、俺は必要以上に驚いて飛びのいた。なにかと思った、どうしたことだ、なにをされることかと思った、ぎょっとなった俺の前に所在なさ気に揺れる紙の束。貴様が拾い上げた麦の穂。ああ、そう言えば俺がぶちまけたのだった。 「貴様のでかい図体がないと思うだけで、しばらくせいせいとする。」 受け取りながら俺は言った。鼻に皴が寄る、おかしな顔をしている自覚はあった。だがこの場合、笑ってやればよいのか、まともに嫌がらせの顔をしてよいものか判らなかった。どうせしばらく見ないのだ、できれば貴様をいっとう不快にして立ち去りたいものだがと俺は思う。 はあ、とたよりない声で貴様がこたえた。このやっかいな上司をどうしたものかと思案しているのが判る、だから俺はロザリオを寄越せといった。 「え?」 「貴様のロザリオを寄越せと言っているんだ。戻るまで没収させろ。」 「……意味が、さっぱり判らないが、」 「はやく。」 歯をむき出して威嚇してやると、やれやれといった調子で貴様がうなじに手をかけ、胸元へぶらさげていた十字の紐をほどき、俺へと差し出す。たいして文句もなく貴様が従ったことに、俺は一挙に気分がよくなって、代わりに俺の十字を貸し出してやろうといった。 「なければ祈ることもできないだろうが。」 壊すな。汚すな。傷をつけるな。どれを違えても罰則ものだからな。言って俺も十字を外し、いぶかしむ貴様のてのひらに握らせようと差しだす、すると貴様が不意に身をかがめ、つけてはくれないのかと言った。 「え?」 聞き返すのはこちらの番だった。 だがすぐに貴様の意図を読む、駄々をこねる俺への当てこすりか、思えてむっとなった。どうして俺が貴様にロザリオをあててやらねばならないのかと、だが面白そうにこちらをうかがう貴様の気配によかろうというこころもちがむくむくと湧き起こる、俺にできないと思っているんだろう、貴様はそうして俺を不快にさせて楽しんでいるんだろう、だとしたらそれは失敗に終わったぞと莫迦にしてやるつもりで、俺は十字を貴様の首にかけた。 身をかがめてもなお大柄な貴様の首は俺の上にあって、まったく、なにを食ったらこうも成長するのかと俺は思う。再生者だからこそ大きいのか、骨格からして違うのか、それともこれは生まれつきだとか言うやつだろうか。 首の後ろで固結んでやる俺の耳元に、不意になまあたたかななにかが一瞬触れたような気配があって、俺はぎくりとして貴様を見る、貴様の目を真正面からまともに見る。今のはなんだ、何をしやがった。睨んだ貴様は飄とした顔で、おやどうかしましたかと言った。 「……なんでもない。なにもない!」 かっとおのれの頬に血がのぼるのが判る。本気で殴り掛かりたいとも思えたが、殴りかかって勝てる相手ではないことも知っていた。こいつは俺をからかっておかしがっていた、この先何十日、慌てふためいた俺を思い出してはほくそ笑むんだろう、世界地図の裏側から、俺のみっともない態をなんどもなんども繰り返して悦に入るんだろう。 「ほかに、なにか?」 「……とっとといけ!」 片手で顔を覆って俺は怒鳴る。怒鳴り散らす。せっかく拾った紙の束が、水泡に帰してすべてまた足もとやら、柱の影やら、壁際まで滑り飛んでいったけれど、そんなことはもうどうでもよかった。 よい子には土産を買ってくるからな。背中越しにそいつは言った。だめだ、これはもう殺ろう、しんから思えて俺はすざまじい目付きで貴様を見る、見ようとする、だが既に冷たい金属音をひびかせて、地上への出口がゆっくりと閉じる、軋みながら閉じる、貴様の背中はもうそこにない。畜生。残ったのは使い込まれてくすんだ色、忌ま忌ましい貴様の胸に先ごろまでかけられていたロザリオひとつのみだった。 (*Rosarium :ロザリオ) next --------------------------------
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169 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/11/23(木) 20 11 49 そこに現れたのは、一昔前に流行した『ボディコン』と呼ばれるファッションに似た露出度の高い服装の、流れるような長紫髪の人外だった。 相手が人間ならば、その扇情的な服装は欲情を誘うであろうが、相手から放たれる人間とは桁違いの魔力には、そんな気さえ失わせる力があった。 さらに此処に揃う人外魔境において尚、遠坂と人外が乗ってきた幻想種が異彩を放つ。 それはファンタジーの中に出てくる天馬そのものだ。 完全に限りなく近い馬体。流麗でいて、圧倒的な速度を生み出すであろう力強さに、柳のようにしなやかなバネを合わせもつ比類無き筋肉。何者も見透かすかの様なその聡明な瞳。闇を切り裂く、シミ一つ無い白き馬体。背中に生えるは天を駆ける翼。 人間など比べるのも烏滸がましい幻想生物。 それを乗りこなす相手に欲情するような余裕は有り得ない。 天馬に跨り颯爽と現れた遠坂は、実に優雅な振る舞いで馬から飛び降りた。 「―――嘘。なんで生きてるの?」 まるで信じられない物を見たかの様な表情で、俺が死んでいなければおかしいかのな如き口調だ。 「―――これが貴様達の疑問に対する答えだ。」 なんと答えて良いのか迷っていた俺など意に介さず、少女が圧倒的暴力を持って遠坂の疑問に答えた。 両の手では数えきれぬ武器達が空に浮かぶ。 一つ一つが目眩を起こす程の概念を宿し得る宝。 一振りで山すら断ちそうなそれらが、 遠坂達に向かい、一斉に放たれ襲いかかる。 ―――――――駄目だ、止められない。 辛うじて紫髪の女性は反応出来たようだが、とても遠坂を救うには至らない。 あの恐ろしいまでに速かった槍兵ですら生き残れるか怪しい。 マスター、と叫び紫髪が闇夜を駆ける、が無駄だ。致命的に遅い。 ――――遠坂が死ぬ。正義の味方(オレ)の目の前で。 だが俺に出来ることは何もない。 だから…………だから力の限り叫んだ。 「―――――――――――――――止めろぉぉお!アーチャー―――――――!」 途端に手の甲に焼けるような痛みが走る。 痛みの先に有ったのは、先日出来たミミズ腫れと思っていたモノだった。 輝きを放つと、やがて痛みが消えて、その鮮やかな色合いが一部黒く淀んだモノへと変わる。 気が付くと遠坂達の命を奪おうとしていた武具は全て停止していた。 「…………令呪を使ってまで。いったい何のつもりだ、雑種」 170 名前: 381 ◆3WmQZKDzxM [sage] 投稿日: 2006/11/23(木) 20 16 06 選択肢 無謀と勇敢 「遠坂達に危害を加えると言うなら俺が相手だ。」 疑問の氷解 「……君は一体何者なんだ?」 微笑む悪魔 「衛宮君、説明お願いできるかしら?」 怒れる邪眼 「敵を排除します」 ―――――――――――――――テレッテレー♪ 突然ですが、上記の選択肢以外に、このスレ内での各キャラの人気を調べたいと思います。 投票の仕方はポイント制。 一位、3ポイント 二位 、2ポイント 3位、1ポイント という形式で行いたいと思います。 この結果は作品に反映されます。 人気の高いキャラには活躍する場が与えられ、人気投票下位のキャラは最悪出番が無くなる恐れが有ります。 締め切りは、最後の投票から24時間経過した時点とさせて頂きます。 エントリーは以下のキャラです。 1.ペガサス 2.遠坂凛 3.間藤桜 4.アルトリア・ペンドラゴン 5.クー・フーリン 6.メドゥーサ 7.言峰綺礼 8.葛城宗一郎 9.佐々木小次郎 10.エミヤシロウ 11.ヘラクレス 12.黒アルトリア・ペンドラゴン 13.黒エミヤシロウ 14.ギルガメッシュ(ロリ少女) 15.ギルガメッシュ(ギル姉) 16ギルガメッシュ(慢心王) 上記に名前が無いキャラは投票対象外となります。ご注意下さい。 ※隠し選択肢はありません
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724 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2011/10/04(火) 00 28 36.14 ID Goum04Xg 「大体、クラスメイトだけで合コンって盛り上がりに欠けるべ……。見知った相手に恋愛感情がm―…」 「シャラーーップ! 葉隠くん! 超高校級の女の子との合コンなんて滅多に体験できるものじゃありませんよ!」 「あなたもそう思うわよね? 苗木くん?」 「(何で僕!?) ははは……。そうだね……」 「静粛に諸君! では第一回! 超高校級ダンガンコンパを開催するッ!! 司会進行役は僭越ながら私、石丸がやるとしよう」 「チッ、何で俺まで参加しなくちゃならねえんだよ」 「まぁまぁ、大和田君も一緒に楽しもうよ! 僕も男らしいところ見せられるように頑張ろうっと!」 「はぁ、Cランクに達するかどうかの殿方との合コンだなんて、憂鬱ですわ……」 「きいぃいいぃ。どうせ皆して私に注文係を押し付ける気なんだわ。そしてその隙に私の百夜様を寝取る気ね!」 「誰が貴様のだ。フン、まぁいい。下民共の戯れに付き合ってやるとするか。感謝しろ」 「この合コンでカップルが複数出来るべ! 俺の占いは三割当たる!!」 ダンガンコンパ 続かない うん、SSにするってかなり難しいんだね。しかもエロも上手く書けそうにないや しかしこいつらクセが強いなw 大勢出すと話が纏まる気がしねえやw
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/13899.html
【検索用 かみさまのもり 登録タグ 2011年 VOCALOID か ブンガP 初音ミク 曲 曲か】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ブンガP 作曲:ブンガP 編曲:ブンガP 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『神様の森』(かみさまのもり) アルバム『スピニング・ロータス』からのシングルカット。 ミクの声はAppend DARKを使用している。 神様の森というのは、自然のままにいきる人たちの社会を意味します。伝統的な人のつながりです。時代とともに変化せざるをえない、こういった社会の中で、どうやって生きていったらいいのか、混乱の中を勇気を持って進んでいくにはどうしたらいいのか、それが主なテーマです。(作者ブログより) 作者ブログにて曲解説が掲載されている。 歌詞 (作者ブログより転載) なにかが なにかが起こっているよ 何かが どうしよう どうしよう 涙が止まらないよ なにが 何が起こっているの? 子供たちが泣いている カミサマ どうなってしまったの? 父さんは狩にでかけたまま 獲物の姿を忘れてしまったの 帰り道を知っているはずなのに どうして帰ってきてくれないの? 母さんが石になったよ 呪いが放たれたんだ 言葉の魔法が壊れそうだ 早く 早く帰ってきて 涙が止まらないよ 森が消えてゆく 神様のくれた森 夜が来る前に火を起こしておいて きっと気付いてる 少しの間旅に出るよ どこかに残されてる火種わけて貰いに行く みんな 風が呼んでる 私は旅に出るよ 聴こえてる 歌声が いい歌だ いい歌ね みんな聞いて 聴こえてる 祖神様はどうしてた? そう、どうしてた? 昔の暮らしはどうだった? どんなだった? 夜があけるまで誰と過ごせばいい? 寒い夜をどうやって越えるの? みんな 私は行く みんな 何処かちがう場所にいくよ 声のない言葉が交わされたんだ 言葉の魔法が壊れてゆくんだ 呼んでる 呼んでるよ 朝の風が 歌を運ぶ 呼んでる 呼んでるよ 歩き出そう 夜明けの星 歩こう 歩き出そう 歩き出そう 風に向かい・・・ コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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……戦況は混乱を極めていた。 バーサーカー、カルキを殲滅したラーヴァナは戦いを求め、ヴィマナを駆って冬木市へと侵攻しようと目論む。 これだけ派手なことをすれば、他の隠れているサーヴァントも牙を剥くに違いない。 その中に余を満足できるものがいればいいのだが。 そんな風に思っているラーヴァナの前に一人の騎士が立ち向かう。 「まてい!魔王よ! 貴様の狼藉、もはや許し難い! 邪悪の前に膝を屈するなかれ、正義を躊躇う事なかれ! この騎士王であるライダー、ドン・キホーテが相手する!」 その強大なステータスに、放たれる凄まじい重圧感。これは並の英霊などでは断じてない。 だが、そんなものは些細なことでしかない。 その邪悪に立ち向かおうとする意思。 敢然と邪悪と闘わんとする正義たる気高き誇り。 そのライダーの威風堂々たる姿は魔王ラーヴァナですら畏怖させた。 「く、くくく……! 面白い、面白いぞ!この余を畏怖させるとは! 貴様こそ、余を満たせるかもしれぬな……。 だが、ここではあまりに舞台が整っておらぬ。 それではせっかくの楽しみが損なわれてしまうからな。 ここはいったん引こう。さらばだ!」 ライダー……ドンキホーテの活躍により、一度はラーヴァナは退けられたが、 ラーヴァナはライダー、ドンキホーテとランサー、ヴラド以外全てのサーヴァントを葬っていた。 そして、最後の第八番目のサーヴァント、英雄王ギルガメッシュがついに動き始めた。 古い英雄にとって天敵であるドンキホーテの欺瞞能力、『我、騎士道を邁進す(ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ)』 だが、その能力も、ギルガメッシュの宝具《偽り破る真実の鏡》とルールブレイカーによって打ち砕かれていた。 「吾輩は……吾輩はもうダメだ……。 騎士道など……騎士など……どこにも存在しない……存在しないのだ……。」 そう呟きながら地面に膝をつくライダー、ドン・キホーテ。 そこに存在しているのは、ラーヴァナにさえ畏怖された英雄狂ではなく、ただの夢破れた老人にすぎなかった。 「愚かな道化め。道化が騎士王を名乗るとはその罪、万死に値する。 大人しく―――!!?」 膝をついたライダーにむかって剣を振りおろそうとしたギルガメッシュに対して、魔力弾の砲撃が襲いかかる。 それは、巨大な空中戦艦、プシュパカ・ヴィマナから放たれる支援砲撃である。 ヴィマナの上で腕を組んで下を見下ろしているラーヴァナはライダーに向かって叫ぶ。 「どうした!立て!立つがいい!英雄狂よ! 屈するのか?貴様は屈するのか!?余を畏怖させた英雄が……たかが幻想が破れたぐらいで屈するのか! ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャよ!―――真の騎士よ!」 ぴくり、とその言葉に膝をついていたライダーの肩がふるえる。 「ステータス?宝具?戦闘能力の高さ? くだらぬ……全てくだらぬ! 最も大事なのは正義たらんと、騎士であろうとするその意思だ! ふるえながらも邪悪に立ち向かおうとするその気高き誇りだ! そう!魔王を滅ぼすのは、いつだって勇気あるものたちだ!!」 そうライダーに向かって叫んだラーヴァナは、ぴらりプシュパカ・とヴィマナから飛び降りると、 通常の人間なら瞬時に心臓が止まりそうなほどの邪眼めいた視線で英雄王を睨みつける。 「英雄王よ。真の騎士であるこやつを愚弄するとは……もはや許さぬ!」 英雄の頂点に立つ英雄王は神代の魔王に向かって怒気をむける。 「王を詐称する愚か者が我に意見をいうか。 たわけが。王を名乗るその不遜、己の死で購え。」 「よかろう、英雄王よ。相手になろう。 だが心せよ。魔王を倒せるのは勇気あるものたち……勇者だけだ! 王ではない!邪悪に立ち向かう気高き意思が無き高慢たる王に……余は殺せぬ!」 「黙れ!出し惜しみはなしだ……。食らうがいい!天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」 かつて混沌から天地を切り離したその剣が発生する暴風は、擬似的な空間断層すら引き起こす。 その暴風による空間断層に耐えられる存在はない。 だが、とっさにラーヴァナの前にヴィマナが舞い降り、己の盾になる。 ヴィマナはその機体の三分の一を砕かれながらも、まだ機能は停止せず、その暴風を食い止める 全てを素粒子へと打ち砕く死の暴風はラーヴァナを粉微塵にし、 周囲の10mの地面すらも完全に抉りとり大きなクレーターを作り出す。 もはや、ラーヴァナのいた痕跡は、足首の一部分だけにすぎない。 ヴィマナの強靭な装甲はエヌマ・エリシュですら軽減したのだ。 『なるほど。乖離剣エアか。確かに凄まじい威力だ。素晴らしい威力だ。 さすがに天地を切り開き、混沌から秩序をもらたした剣だ。』 「―――!!?」 その空中から響き渡る声に、さすがの英雄王も狼狽する。 なぜなら……その声は今彼が打倒した敵そのものだったからだ。 『だが……その剣は神が振るった神剣! そして、貴様はランクこそ下がっているが最大の神霊適性を持つ英霊!! それでは余は殺せぬ……。殺せぬわ!王では余は殺せぬわ!!』 そう、ギルガメッシュが振るう乖離剣エアは、かつて知恵の神がウルリクンミの両足を切り落とした 天地を切り離した神剣である。 最高位の神エアが振るった神剣に、ランクこそBに下がっているものの、最大の神霊適正を持つ英雄王。 その攻撃は耐神性を持つラーヴァナに通用するか。 その答えは、今やほぼ完全に肉体を再生しつつあるラーヴァナ自身が答えそのものだ。 「英雄王よ。貴様の敗因はただ一つ。貴様は乖離剣に頼りすぎた。それだけの話だ。」 ……もはや分かり切った結末を語ることはない。 光り輝く英雄王は、漆黒の魔王に飲み込まれるだけなのだから。 その間に脱出したライダーと士郎。 だが、もはやライダーには戦う力が残っていないことは、本人が一番知っていた。 「どうするんだ? ライダー。もうアンタの宝具は使えない。なら……。」 「いいや、サンチョ、いや、少年よ。 それでも、吾輩は騎士なのだ。 騎士たるもの、強大な邪悪を見過ごすなかれ。虐げられるものを見過ごすなかれ。 ……吾輩は偽物の、ただの道化だ。それでも、その誓いだけは、嘘でも偽物でもない。」 ああ。そうか。この人は狂ってなどいなかったのだ。 ただ、真実の誇り高き騎士であらんとしていただけなのだ。 ……そんなものは、最早どこにもないというのに。 そして、いま再び風車に突撃したように、彼は風車よりはるかに巨大な敵に立ち向かおうとしている。 「ならば、私が貴様に力を貸そう。英雄狂よ。」 その瞬間、どこからともなく大量の蝙蝠が空中より飛来し、ざざざざと一か所に収束する。 そこに存在していたのは、蝙蝠の塊ではなく、一人の血塗られた杭を持つ長身の男だった。 ランサー、ヴラド・ツェペシュ 串刺し公として恐れられた彼がついに本格的に参戦したのだ。 「……串刺狂。何故、そなたは吾輩に力を貸すのだ?」 「理由だと?そんなものは一つだけだ。 奴は、ラーヴァナは悪だ。私は悪の存在を許すことはできぬ。断じてな。 あのような邪悪によって犠牲にされる市民を見捨てるわけにはいかぬ。」 そう、かつてヴラドは征服王メフメト2世の侵略に対して、 大軍に対して立ち向かった経歴のある英霊だ。 ならば、メフメト2世よりはるかに無慈悲で残忍な殺戮を行うであろう魔王ラーヴァナを放置できるはずもない。 その意思だけは、疑う余地はなかった。 そして、とうとうヴラドとラーヴァナの戦いが始まった。 英雄王の最後のハルペーによる攻撃によって彼の胸には大きく傷が走っているが、そんなことは問題で花い。 しかし、神代の魔王と恐れられた ラーヴァナと、中世の英雄であるヴラドでは、神秘の蓄積が違いすぎる。 まともに戦っては勝ち目はない。 だが、彼の固有スキル:軍略D+は不利な情勢やゲリラ戦を行うときにも有利な補正を得られる。 何とか、敏捷で勝るヴラドは必死の回避により、筋力Aの膨大な破壊力を持つラーヴァナの攻撃を回避し、 手にした長槍のような血塗られた魔杭で剣や矛の一撃をそらしていく。 だが、ついに、ウラドの左腕の傷からまるでパイルパンガーにように突き出された血液で構成された魔杭がラーヴァナの腕を貫く 「喰らえ!『餓え渇く鮮血の粛杭(カズィクル・ベイ)』!!」 ヴラドの宝具、餓え渇く鮮血の粛杭 それは、この杭で傷つけられた者の血液を媒介とし、次なる杭を生成する。 魔杭によって傷つけられたラーヴァナの血液は鋭い無数の杭と化し、ラーヴァナを体内より爆裂させる。 体内から生えた杭によってハリネズミのようになった彼はそれでも動じない。 「なるほど。串刺狂よ。確かにそなたは吸血鬼の属性は持っているが、同時に人間としての属性も持っている。 それならば、余を多少なりと傷つける事もできよう。だが……。」 伝承上で語られる吸血鬼の能力を再現する能力があるとはいえ、 彼は本来何の因子も持たないただの人間であった。 それならば、ラーヴァナの宝具「羅刹王」は発動しない。 だが……。 「愚か者め。人である事を捨て去り、魔へと堕落した半端者が余に勝てるか! 貴様と余では、魔としての純度が違いすぎるわ!!」 だが、しょせんそれは再生速度が遅くなるというだけの話。 もはやヴラドは通常の人間ではなく、吸血鬼としての属性が付与されている。 それに後天的に吸血鬼としての属性を付与された中世の人間であり半魔と呼べるヴラドと、 神代の時代に魔王と恐れられたラーヴァナでは魔としての純度があまりに違いすぎる。 同じ属性ならば、より純度が高い方が勝利するのが絶対の法則。 ヴラドでは、ラーヴァナには決して敵うはずがない。 そして、ラーヴァナの無慈悲な一撃はヴラドの心臓を貫く。 だが、心臓を貫かれながら、彼は不敵な笑みを浮かべた。 「確かにな……。もはや人から外れた私の攻撃は貴様には通じない。だが……。」 「だが……貴様の行動を封じることはできる!」 その瞬間、ラーヴァナは気づいた。 彼の足元。そこには彼自身が流した血。 そして、ヴラドがこっそりと地面に流し続けた大量の血によって彼の地面は血の海になっていることを。 「吼えろ!『餓え渇く鮮血の粛杭(カズィクル・ベイ)』!!」 その瞬間、ラーヴァナの地面の血の海から大小無数の鋭い杭が飛び出て 彼の腕を、脚を、胴体を、顔をあらゆる場所を串刺しにする。 心臓を貫かれ、肉体を失いながらも、宝具を維持するため必死で肉体を維持しながらヴラドは叫ぶ。 「行け!ライダー!見せてみろ!貴様の誇りを私に見せてみろ!」 その瞬間、今まで隠れていたライダーがロシナンテに跨り、ランスを構えながら、 串刺しにされ、身動きの取れないラーヴァナに突撃する。 「騎士たるもの、悪を前に膝をつく事勿れ、正義を前に果たさざる事勿れ。 我こそは騎士ドンキホーテ! 騎士道を為す者! 魔王よ!吾輩の槍の前に倒れるがいい!!」 「第七のマスターが令呪の名の下に命ずる。 ライダー!奴の心臓を貫け―――!!」 瞬間、士郎の令呪の力により、ライダーはまさしく彗星となった。 ペルレフォーンとほぼ同じ速度でロシナンテは大地をかける。 そのランスを構えて突撃する姿に、杭に刺し貫かれて身動きが取れない魔王は再び恐怖を覚えた。 「プシュパカ・ヴィマナ支援砲撃要請!撃てぇ!!」 プシュパカ・ヴィマナから放たれる無数の魔力弾や魔力レーザー。 そして、ラーヴァナは力づくて腕の部分の杭だけ破壊し、弓を引き絞り撃ってくる強弓。 一本目の矢がライダーの兜を破壊し、もう一本が鎧を破壊し脇腹に深く突き刺さる。 魔力レーザーはライダーの左腕を切り落とし、魔力弾が右肩の鎧を破壊し、ロシナンテの脇腹を大きくえぐる。 それでもなお、ライダーには致命傷を与えられない。 ライダーの固有スキル:錆び付いた英雄譚(ラスト・ファンタズム) それは、英霊が近代より古いものであればあるほど、アロンソ・キハーナに対する行動のファンブル率が上昇する。 さらに幸運:A+の力により、彼の攻撃は全て致命傷には至らない。 そして、ヴラドが完全に消え去る寸前、杭によって身動きの取れないラーヴァナの心臓をライダーのランスが貫く。 英雄王のハルペーによって胸に大きな傷を負っていたラーヴァナでは、その攻撃に耐えうるはずもない。 それを見て、ヴラドは満足そうに無言で消え去り、ラーヴァナも心臓を貫かれながら満足そうに高笑いする。 「く……くくはははは……ははははは! 貴様が、貴様こそが余の死か……。 最高だ、お主は最高だぞ、英雄狂。 そうだ。化け物を滅ぼせるのは人間だけだ。魔王を殺せるのは勇者だけだ」 ラーヴァナの宝具「羅刹王」は純然たる人間には通用しない。 そして、ドンキホーテは妄想に生きたただの人間でしかないのだ。 さらに、サーヴァントは心臓を破壊されれば消滅する。それは宝具の加護を失ったラーヴァナであろうと例外ではない。 「感謝する魔王よ。我が妄想物語に付き合ってくれて。」 「何を……いう……。そなたの信念は、妄想などでは……ない。 胸を張れ……。そなたこそが、魔王を倒した騎士なのだから……。」 「礼をいうぞ……。余を救ってくれて……。そなたこそが……真の……騎士……、」 ラーヴァナは風になった――― ドンキホーテが無意識のうちにとっていたのは『敬礼』の姿であった―――――― 涙は流さなかったが 無言の男の詩があった――― 奇妙な友情があった―――
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186 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/04/11(金) 11 52 15 ID ??? 学園昼休み中 ジュドー「get up get up! Hu~♪(ゲーラッ、ゲーラッ! ポ~~~~ゥ♪)」 ポゥ 「コラアァッ、またそうやって私をバカにしてええっ!」 ジュドー「やべ、ポゥ先生がまた泣いた。まさか見てたとは。それ逃げろ~」 カミーユ「いい加減にしろっ、お子様か!(ゴンッ)」 ジュドー「むぎゅ~」 ポゥ 「ちょっと生活指導室まで来なさい!(これじゃあ、副担任以下の見習い教師だ、ウゥッ)」 ルナマリア「ジュドーがやってた歌と踊りって、何?」 メイリン「たしか、ずっと昔のカリスマ歌手が唄ってたのだった気がする。 えっと、マヒロー・ガリクソンって人の、スレッガーって曲だったかな」 ルナマリア「へえ、詳しいのね」 カミーユ「全然違うだろ……。メイリンって情報のエキスパートじゃなかったのかよ」 ハマーン「大人を、それも教師を泣かせるとは。大した根性だよ、ジュドー・アーシタ」 ジュドー「なんでハマーン先生の補習を受けさせられてんだ。しかもなんか、スッゲー生き生きしてるし」 ハマーン「そこっ、さかしいぞ!」 ジュドー「うわ、危ねー。……なにも出席簿を投げることないだろ!」 ハマーン「ほう、口答えを……まだするかっ!」 ジュドー「イテテ、チョークがファンネルのように飛んできた。……どうなる、ジュドー」 ハマーン(まさかふたりきりで補習ができようとは。ポゥ先生には今度ご馳走しなければ。 それにしても……。あぁ、この胸の高鳴りを見抜かれたくなくて、つい手が出てしまう) 翌日。 ジュドー「ポゥポゥポゥ~♪ 鳩ポゥポ~~~~~ウッ!!」 ポゥ 「またおまえかあああっ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・」 ハマーン「そうか、それほど私と時を共にしたいか。 さあ、私の胸に飛び込んでくるがいい、ジュドー・アーシタ」 ジュドー「なんでまたハマーン先生が出てくるんだよ……。て、嬉しそうに両手を広げんなっ」 187 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/04/11(金) 12 11 57 ID ??? シーマ「ジュドーの坊やは何だかんだ言いながら、わざとハマーンの補修を受けるよう行動しているように見えるよ」 ハマーン「つまり?」 シーマ「所謂ツンデレだね。ジュドーがあんたのものになる日も近いよ」 ハマーン「そ、そうか。それは楽しみだ」 シーマ「ところでコウの事なんだけどねぇ……」 ハマーン「あれは何だかんだと言いながら、最終的にシーマの誘いを受け行動を共にしている」 シーマ「つまり?」 ハマーン「所謂嫌よ嫌よも好きのうちだ。コウが貴様のものになる日も近いだろう」 シーマ「や、やっぱりそうかい? いやぁ、楽しみだねぇ」 ジュドー「ううっ、なぜか悪寒が……」 コウ「僕も急に寒気が……」