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「ゆ、唯先輩…ですよね…?」 「?」 こんにちは、毎度お馴染み中野梓です。突然ですが大変です。唯先輩が幼児になってしまいました! 「……」ジーッ 「え、えっと…」 「だっこ!」ギューッ 「うぇっ!?あっ、ちょ…あぶな…」 「おねえちゃーん♪」 か…かわいい。何がどうしてどういうわけでこうなったのかはわからないけど、とにかくかわいい! 熱を帯びたかのように赤く染まったほっぺはぷにぷにで、いつも以上に積極的に抱きついてくるその体は折れてしまいそうなくらいに華奢でやわらかくて。 何よりも、その笑顔が私の心をきゅんきゅんと惑わせるのだ! 「ま、まぁ、しばらくはこうしててもいいよね。山で迷ったら下手に動くよりじっとしてた方がいいらしいし。…あ、山は関係ないか…」 「ねぇねぇおねえちゃん!」 「は、はい?」 「わたしね、ゆいっていうんだよ。おねえちゃんは?」 「え?私は梓ですけど…名前忘れちゃったんですか唯せ…」 いや待てよ?こんなちっちゃな子に敬語使ったり先輩付けで呼ぶのっておかしいよね。 ここは自然に、自然に… 「わ、私はね、梓っていうんだよ、ゆ…唯…ちゃん!」 「あ、あず…あ、あ…あずにゃん!」 「あら…」 よほど私のあだ名が体に染み付いているのか、ちび唯先輩は何度教えても私をあずにゃんと呼んだ。 まぁ嫌いな呼び方ってわけじゃないし、いいんだけど。…かわいいし。 「あずにゃん、わたしおなかすいた!」 「あ、確かムギ先輩が持ってきてたクッキーがここに…あった!はい、食べていいよ」 「わーい!いただきます♪サクッ」 「どう、おいしい?」 「うん♪おいしいからあずにゃんにもあげる!はい、あーん!」 「あ、ありがとう…あーん」 「おいしい?」 「うん…おいしいね♪」 「ねー♪」 なんだか、妹ができたみたいな感じ…えへへ、こういうのなんかいいかも。 「あずにゃん?」 「ん?もっと食べたい?」 「ちゅっ♪」 「んにゃっ…!な、な…?」 「えへへ♪しってるあずにゃん?だいすきなひとにはね、ちゅーするんだよ♪」 「え…だ、だいすきって…私を?」 「うん♪わたし、あずにゃんだいすきっ!」 「そ…そっか。私も…だいすきだよ、唯ちゃん」 「じゃありょーおもいだ!これでけっこんできるね!」 「けっ…!?」 「わたしおおきくなったら、あずにゃんのおよめさんになる!」 「あ…あはは、ありがと…///」 な、なにどぎまぎしてんだろ私。相手はこんな小さな唯先輩なのに。…いや、唯先輩だからなのかな…? 「じゃあもいっかいちゅーしよ?ちかいちゅー!」 「誓いのキスだね。…わ、わかった」 「せんせーい!わたし、ゆいは!」 「宣誓はちょっと違うような気もするけど…ま、いっか」 「あずにゃんのことを、いっしょうしあわせにすることをちかいます!あずにゃんはちかいますか?」 「ち…ちかいます」 「じゃあちゅーします!ちゅー♪」 「…///」 「ふぅ!あれ、あずにゃんまっかだよ?」 「あ、あったかいからだよ。あはは」 や、やば。本当にドキドキして、幸せな気分だ… 小さい唯先輩でこんなだったら、元の姿だったら…って、な、なに真面目に考えてんだわたし!? 「あずにゃーん♪」 「あはは…まぁなんでもいっか♪唯ちゃんは大きくてもちっちゃくてもあったかいんだから♪」 おしまい テンポいいし面白い -- (鯖猫) 2012-10-26 06 47 23 いいね。 ここでキスシーンを三人が目撃! -- (あずにゃんラブ) 2013-03-07 01 24 30 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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『初めてのゆ虐 1』 「うめぇなこいつ」 「や…やべぢぇにぇ!!!れいみゅはだべぼのじゃ…ゆぎゃああああ!!!!!!!」 「やっぱ赤ゆは美味いな」 「やべるんだじぇ!!!まりちゃをたべにゃいぢぇええええ!!!!!!」 定例の野球試合を終えた後虐待お兄ちゃん達は赤ゆっくりを肴に酒盛りをしていた。 「なぁ、お前らの初体験ってどうだったよ?」 「初体験?」 「いきなりそのネタは無いだろ」 「違う。お前らが想像してるやつじゃない。ゆ虐だよ。お前らが最初にやった虐待ってどんなだったか知りたいのさ」 この野球チームはメンバー全員が虐待鬼意山と呼ばれる人達で虐待ネタは豊富だ。 「最初はどうしてやったかなぁ…」 「え~っと…」 「じゃあ俺から話して良い?」 「どうぞどうぞ」 「えっとねぇ…」 【虐待お兄ちゃんの初体験】 この村に引越してきたばっかの頃だったなあ。近所に挨拶しに行ったら 『この辺りは都会と違ってゆっくりが煩いからちゃんと対策しときな。引越し祝いに箱あげるよ』 って加工所製の箱貰ったんだ。家帰ったら早速ゆっくりがいたよ。確か親れいむと親まりさ、子ゆっくりと赤ゆっくりが合わせて3匹だったかな。 『どぼじでおうぢにはいれないのおおお!!!!??』 『おかしいんだぜ!!いしなげたのにがらすさんがわれないんだぜぇ!!!』 だとさ。俺の家って相当金かけてるからゆっくり程度じゃ侵入できないよ。あ、お前らもガラスくらいは都会の住宅と同じやつにしときな。 それだけで全然違うから。で、俺が近づいたら 『ゆ!!こ…ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!!!』 『じじいはでていってね!!!』 『しょうだ!!しょうだ!!』 『かわいいれいむにあまあまさんちょうだいね!!』 だって。今だったら慣れてるけど引越した当初で知らなかったからカチンときたんで親まりさを殴り殺したよ。 『ゆぎゃああ!!!!い…いだい!!!!や…やべ…ゆびゃ!!!!ご…ごべ…ごべんなざいいい!!!』 『ま…まりざああああ!!!』 『おかあさんぎゃああ!!!!』 何発か拳骨で殴った後髪とか目とか舌とか手当たりしだい鷲掴みにしては引き千切ったね。 『れ…れいむはにげるよ!!!』 『おかあしゃんがかってにやったことだからね!!!れ…れいむはかんけいないよ!!』 『まりちゃもにげりゅうううう!!!』 調子いいこと言って逃げようとしたんで捕まえて箱に入れたよ。多分こいつら巣が狭くなったから新築の俺んちをおうちにしようとしたんじゃね? 『おうぢがえじでええええ!!!!!!!!』 『でいぶはどうなっでもいいでずがらおちびぢゃんだげはがえじでえええ!!!!!!』 『みゃみゃあああああ!!!!!!!うわあぁあぁあああん!!!!!!』 一斉に喚くから五月蝿いの何の。引越して直ぐに騒音とかで近所迷惑は勘弁して欲しいから地下室に連れて行ったよ。今考えてみれば地下室を 虐待部屋にしたのもこれのせいだったのかな。最初はとりあえず作っただけだったしね。 『ゆるじでぐだざいいい!!!!!』 『こわいよおおおお!!!!!!!』 『おうぢがえじでえええええ!!!!!!』 どうやって遊んでやろうかと考えてたらいいこと思いついたよ。引越の荷物整理してたら釣り道具が出てきてさ。いつかまた釣りもするだろうと ここに持ってきてたんだ。それで遊んでやろうと釣り道具を持ってきたんだ。 『きょわいよおおお!!!!!!だじゅげ…ゆ!おしょらをとんでりゅみちゃい…』 箱から赤れいむを掴んだら助けてもらえるとか勘違いしてたな。 『お…おにいしゃん!!おうちはいってごみぇんな…ああああああああ!!!』 『あかぢゃんをいじめないでええええ!!!!!!』 何したのかって?赤れいむの舌を引っ張ったの。で、舌に釣り針を刺して釣り糸を持ってみたら 『いひゃいよおおおお!!!!!!!!!!ひいいいいいいい!!!!!!』 『あがぢゃあぁあん!!!おでがいじまずう!!!!ゆるじでぐだざいいいい!!!』 いい反応だったよ。 『た…だずげでええ!!いやああああ!!!ま…まりさはわるくないんだぜ!!!いじめるんならいもうとにするんだぜ!!』 『どぼじでそんなごどいうのおおお!!』 『こっちぐるなあああ!!!!いやあああ!!!!!じにだぐないい!!!だずげでえええ!!!!』 そういや当時のゆっくりって今のゆっくりとちょっと違うよな?子まりさを掴んで釣り針を目のまん前に近づけたら 『いやああああああああ!!!!ゆるじでぐだざいい!!!!ごべんなざいい!!ごべんなざいい!!!』 ゆっくりゆっくりゆっくり針を近づけたよ。近づくたびに良い声で歌ってくれたよ。 『おがあざんたずげでよおおお!!!!ゆびゃっ!!!いだい!!いだいい!!!いだいよおおお!!!!!』 目に突き刺してぐりんとねじ込んだね。あの感触は最高だった。もう1個目玉が空いてたから新しい釣り針も目に付き刺したよ。 『おべべがあああ!!!!まりざのおべべがあああ!!!!!みえないよおおおお!!!!いだいよおおお!!!ああああああ!!!!』 『れいむをみすてたばつだよ!!!ゆっくりくるしんでね!!!!』 『どぼじでぞんなごどいうのおお!!!!しまいでじょおおお!!!!お…おにいさん!!!ゆるじでぐだざいい!!!』 やっぱり昔のゆっくりって今と違うわ。勿論残りの子れいむにも刺したよ。 『いだいよおおおおおお!!!!!!!!!!!ゆぎゃああああああ!!!!おがあざんだずげでええええ!!!!』 どこか穴が無いかなと体中を調べてたらあにゃるとまむまむがあったな。あにゃるから刺してまむまむから針先を出そうとしたけど そこまで釣り針が大きくなかったからそれは諦めて2つ刺しといた。 『ひいいいいい!!!!!!いだいよおおおお!!!!』 『おべべがああああ!!!!おがあざんどごおおおお!!!!!!???いだいよお!!!だずげでえええ!!!!』 『ひあああああああ!!!!いあいよおおお!!!!!おああはあんん!!!はふへひぇええええええ!!!!!!』 『ゆぎゃあああ!!!!あがぢゃんがああ!!!!おちびぢゃんがああああ!!!ごごがらだじでえええ!!!!』 初めて聞いたカルテットも良かったね。何だかこれやってると釣りがしたくなってきてね。とりあえず練習でもするかと釣竿持ってきて まず舌を刺した釣り針に糸通して箱の中の親れいむの前に吊るしたよ。 『ひゃひゅひぇええええええ!!!!ぃひゃいひょおおおおお!!!!!!』 『ま…まっででね!!!!いばだずげるがらぁ!!!!』 こっからも面白くてね、親れいむが飛び上がって助けようとするの。それに合わせて糸を引くの。 『どぼじでとどがないのおおおお!!!!!???』 また糸を下ろして飛び上がったところを 『ゆべし!!!!ゆうううう!!!!とどがないよおおお!!!!!ゆえええぇええぇえええん!!!』 流石に可哀想になったから糸を下ろしてやったよ。僕っておりこうちゃん。 『とどいだよ!!!!あがぢゃん!!いまだずげであげるからね!!!!』 さてどうやって助けるんだろうね? 『あがぢゃんがまんしでね!!!すぐとってあげるがら!!!!』 おいおい、赤ゆのリボンを引っ張り始めたよ。それじゃ… 『ひゃああああああ!!!!!いいいいいいいい!!!!!!ゆひゃああああ!!!!!』 予想通り。針刺したところから舌が裂けちゃったよ。何だっけ?スプリットタンとか蛇舌って言うんだっけ? 『いひゃいよおおおお!!!!ひはぎゃ!!!!!ひぇいひゅのひひゃひゃあああああああ!!!!』 『ゆああああああ!!!!ご…ごめんね!!!!』 どんどんいこう。お次は目玉に針が刺さってる子まりさだ。 『いだいよおおおお!!!おがあぁざあぁあん!!!!だずげでえええ!!!ごれどっでええええ!!!!』 『ゆ!!お…おちびぢゃあぁん!!!!いまだずげるよ!!!!おがあざんにまがせでね!!!!』 ギリギリ届くぐらいのところに吊るしたんだ。親れいむがどうやって下ろすのか知りたくてね。 『おべべがああ!!!!おべべがあああ!!!いだいよおおおお!!!』 『ゆ!ゆ!ゆ!ゆああああああ!!!どぼじでおちでごないのおおおおお!!!??』 そりゃお前掴む術が無いだろ。飛び上がって頭突きしてるだけじゃ駄目だって。というわけで少しだけ下ろした。 『いだい!いだいい!!!やべでええええ!!!ちぎれるうううううう!!!!』 『お…おねがいだがら…がまんじでね!!!だずげるがらあああ!!!!』 千切れるって?ああ、親れいむは子まりさの髪を咥えて引っ張ってるんだよ。簡単に助かって欲しくは無いからこっちも微妙に力込めたけどね。 『ひいいいい!!!いだいい!!あだまがいだいよおおお!!!ゆぎゃっ!!!おべべがあああ!!!おべべがああ!!!!』 『ゆううううう!!!!!ゆううううう!!!!ゆううう!!!!……ゆっ!!!!!』 『ぎゃああああああああああ!!!!!!!!』 やったね、れいむ。片方の釣り針が取れたよ。その代わり子まりさの髪が少し抜けちゃったね。あと目玉が抉れちゃってるけど。 『おべべぎゃああああ!!!!!おべべぇぇぇ!!!!!!!!!!!いだいいいいいいい!!!!!!』 『ご…ごべんねえええ!!!!まりざのきれいながみがあああああ!!!!!』 え?そっちなの。ああそうか、そっちからじゃ目玉がどうなってるのか分からないのか。もう片方も同じように引っ張ってたよ。 勿論髪千切れてるし目玉も抉れちゃってる。 『なにもびえないよおおおおお!!!!!!!!!おがあぁざあぁぁん!!!!!!!!おがあざあぁあん!!!!!!!!』 『い…いだいのいだいの…どんでぎぇええええ!!!!すりすりぃ!!!ゆるじでね!!!ごべんね!!!』 あーあ。子まりさの目から黒い涙が溢れてるよ。多分餡子が混ざってんじゃね? 『おがあぁあぁあああざぁあぁん!!!!!!!!!!!!!!!おろじでえええええええ!!!!!!!』 『い…いまおろじであげるがらあぁ!!!!!』 忙しいなこの親子。最後に子れいむ。ちょっとまた悪いこと考えちゃってね 『ゆううう!!!!!!!!!ゆううう!!!!!!!!』 『ひっばらないでええええ!!!!!!!いだいよおおおお!!!!!!!!』 『ゆべしっ!!!!』 『あだまがあああ!!!!!あだまがいだいよおおお!!!!!』 『ゆあああああ……あんごがみえぢゃっでるよ…こ…こんどこぞ…こんどこそおろじであげるがらあああ!!!!!!』 『いだいい!!!いだいいいい!!!!』 『ゆううう!!!ゆうううう!!!!ゆうううう…ゆびゃっ!!!!』 『ひいいいいいいい!!!!!!!』 『ながみがみえぢゃっでるよおおおお!!!!どぼじでおぢないのおおお!!!??』 相当深く刺さってるから髪引っ張るだけじゃ釣り針は抜けないと思うがなぁ。ああ、また髪抜いちゃったよ。 『おねがいだがられいむはゆっくりしないでおちでぎでね!!!!』 『おろじでええええ!!!!!いだいよおおおお!!!!』 また髪が抜けたな。髪は少しだけ残ってるけどもう咥えられないね。どうするの? 『ゆんしょ!!ゆんしょ!!!ゆううううう!!!!』 『ゆああぁああぁあああん!!!!!!!ゆええええぇえぇえん!!!!!』 『ゆぶっ!!!!!!!!!!』 あーあ、リボンほとんど千切っちゃったよ。 『おがあざあぁああん!!!!!どぼじでおろじでぐでないのおおおお!!???』 『ごべんねええ!!!!ごべんねえええ!!!ばがなおがあz……ゆ?』 可哀想だからこいつ助けてあげようね。やっぱり僕っておりこうちゃん。 『い…いだぐないよ!!!!あ…ありがどおおお!!!!!ありがとおお!!!おにいさん!!!』 じゃあお母さんの側に置いてあげるね。 『おかあさん!!れいむたすかったよ!!!!ゆっくりしていってね!!!』 『ゆ?みたことないこがいるよ』 『おかあさん!!れいむだよ!!れいむ!!!!』 『れいむのれいむはもっとかわいいよ!!はげてなんかないよ!!』 『どぼじでぞんなごどいうのおおお!!!おがあぁざあぁん!!!すりすりしでよおおお!!!!』 『ちかづかないでね!!』 『ゆびゃっ!!!!!ゆ…うう…ゆえええぇええぇえええん!!!!!!ゆえええぇえぇええええん!!』 おいおい、こいつを禿饅頭にしたのはお前じゃないか。飾りが無くなると識別できなくなるって本当だったんだな。 「最後この親子どうしたの?」 「親れいむの頭を刳り貫いて中に入れてから燃やしたよ」 「都会ってゆっくりはあんまり暴れてないのか?」 「数も大きさもここいらより劣ってるよ。人間に会ったら大抵は蹴り殺されるからそんなに見かけないな」 「次は俺の初体験でいいかな?」 「どうぞどうぞ」 【エヌ氏の初体験】 俺は火攻めだったな。俺も家帰ったらいたよ。確か親れいむと子れいむが3匹。最近で言うところのシングルマザーってやつか? 『ゆ!!ここはれいむのおうちだよ!!!でていってね!!!』 『つうこうりょうをはらってね!!!』 だとさ。俺んちの門の前で。門から先に進めないのに何やってたんだろうね?最初は無視して家の中に入ろうとしたらさ 『ゆ!あいたよ!!』 『おじさんありがとう!!』 『きょうからここがれいむたちのおうちだよ!!』 ふざけるな。でもまだ俺我慢してたんだよ。家の中入ってゆっくりが入ってくる前にドア閉めたらドンドン五月蝿いの。 『いれてね!!ここはれいむのおうちだよ!!』 『おじさんはでてってね!!!!』 俺もカチンときたわ。とりあえずお湯でもかけて溶かしてやろうかと台所行ったらサラダ油が目に入ってさ。これ使うことにしたよ。 サラダ油を瓶の中に入れてチャッカマン持って外出たよ。 『ゆっくりしないでおうちかえしてね!!!』 『ぷくぅ~』 無視して庭出てトングを取り出した後に 『お前ら水飴はいらないか?甘いぞ』 って言ったら 『ゆ!みずあめさんはゆっくりできるよ!!』 『おじさんありがとう!!!』 『お…おちびちゃんまって!!!』 どうやら親れいむは気付いてたみたいだな。子れいむがみんなこっち来たから仕方なく来てくれたよ。 『あまあまさんはやくちょうだいね!!』 『れいむがさきだよ!!』 まずトングで1匹掴んで親れいむが来るのを待ってたんだ。 『ゆゆぅ~おそらをとんでるみたい♪』 『いいなあ』 だとさ。このままトングで押し潰してやろうかと思ったけどね。 『おじさん!!そのこをはなしてね!!!』 親れいむが近くまで来たんでまずれいむを瓶の中の油に突っ込んだよ。 『ゆゆ~ん。これがみずあめさんだn…ゆびゅぎゅぐゆぐうううう…』 『おちびぢゃあああん!!!』 油をよく染み込ませてから取り出して地面に置いてさ 『ゆっぐりできないよ!!!うえ…べどべどずるうぅ…』 『あやまってね!!!おちびちゃんにあやまってね!!』 『はやくれいむをみずあめさんのところにつれてってね!!』 チャッカマンで点火。 『ゆぎゃあああああ!!!!!!!!!あづいよおおおお!!!!!!!』 『ゆぎゃああ!!おねえぢゃんぎゃああああ!!!』 『こわいよおおお!!!!!!』 『ああああああ!!!!れいむのかわいいこどもがああ!!!!』 パニックだったな。燃え盛る子れいむをトングで掴んで親れいむのそばに近づけたよ。 『ぎゃあああああああ!!!!!!』 『おちびぢゃあああん!!!!ゆ!!!!あづっ!!!あづいよお!!!!!!』 酷い親だね。子供から逃げるんだぜ。可哀想だからすりすりしてあげたよ。 『ほぅらすりすりぃ~すりすりぃ~』 『だずげでえええ!!!!あづいいよおおおお!!!』 『あづっ!!!やべで!!!!れいむがもえぢゃうよおおお!!!!』 ホントに酷い親だったよ。どんどん遠ざかるんだぜ。最初の1匹は1番小さかったやつだからすぐ燃え尽きちゃったけどね。 『ぼういやだああ!!!おうぢがえるうううう!!!』 『ばっでええええ!!!!!でいびゅもがえるううう!!!!』 『まっでえええ!!!!ゆ!!!!おそr…ゆああああああ!!!!はなじでえええ!!!!はなじでえええ!!!!』 逃げ遅れた子れいむゲット。残りの餓鬼は逃げてたけど親は腐っても親だな。こっち振り向いて何か叫んでたよ。 『ゆぎゃ!!!いやあ!!!!やだあああ!!!!じにだぐないい!!!!じにだぐないい!!!』 同じように油に漬けてから点火 『おがあざんだずげでええええ!!!!!!あづいよおおおお!!!!!!』 『ゆ!!!!ゆうう!!!!!お…おにいざん!!!!けじでええ!!!!ひをげじでええええ!!!!』 火を消せばいいんだね。 『それそれそれ』 『あぢいい!!やべ…やべでええ!!!!れいむをもやざないでえええ!!!!』 親れいむに擦り付けて火を消そうとしたんだけど逃げようとするから足で押さえつけた。 『どげでええ!!!!はなじでえ!!!あづう!!!あづい!!あづい!!!』 『もうちょっと強く擦り付けないとな』 『ほっべがいだいよおおおお!!!!あづいよおおお!!!!やだあああ!!!』 まぁ結局火が消えた頃には子れいむは真っ黒に焦げてたけどな。親れいむの頬も真っ黒。 『おちびぢゃんがぁ…ほっべもいだいよぉ…』 あれ?もう1匹いたはずなんだがな…。庭をうろちょろしたら門の前にいたよ。 『あいでよおおおお!!!!!あいでえええ!!!!でいぶをごごがらだじでよおおおお!!!!』 ちゃんと閉めといて良かったわ。 『ゆ!お…おそらをういてる………ゆぎゃああああ!!!!!!!』 『よっ!』 『どぼじでにんげんざんがいるのおおおおお!!!!!おろじでえええ!!!!おろじでえええ!!!!』 リボンを摘んで親れいむがいる所まで連れてった。 『ゆうう!!!おちびぢゃああぁあぁん!!!!!』 『おがあぁさああぁああん!!!だずげでえええ!!!じにだぐないよおおおお!!!』 『おねがいだがらゆるじでええええ!!!おちびぢゃんはなじでえええ!!!』 無視無視。こいつも油に漬けてから地面に下ろして点火っと。 『ゆぎゃああああ!!!!じんじゃうよおおおお!!!!あづいよおおおお!!』 『お…おにいざあぁん!!!!げじでよおおお!!!!げじでええ!!!おちびぢゃんがじんじゃうよおおお!!!』 知ってるか?火って酸素が無いと消えちゃうんだぜ。 『ゆががががががああああああ!!!!!!!いいいいいいいい!!!!!』 というわけで親れいむの口を目一杯広げてから 『あああああああああああ!!!!!!!!!!…ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!!!!!!!!!!!』 燃え盛る子れいむを口の中に入れて口を閉じる。 『ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!!!!むうううううう!!!!!うううううううううう!!!!!!!』 気持ち悪ぃ…涎と涙垂れまくってたし。手袋つけときゃよかったな。 『ぶぶぶぶぶぶっ!!!!!!ううううううう……』 あり?泡吹き始めたぞ。消えたかな? 『びゃあああああああ!!!!!!!!ぼうぇええええええええええ!!!!!!!!!!』 親れいむの口からコロンと真っ黒な饅頭が出てきたよ。まぁ……火が消える前に燃え尽きちゃったか。 『おちびぢゃああああぁあぁあぁあん!!!!!へんじじでええええ!!!へんじじでよおおお!!!!』 「この親れいむはどうした?」 「油全部ぶちまけてから燃やしたよ。でも餓鬼全滅したショックか騒いでくれなかったからあんま面白くなかったな」 「ありがちなパターンだな」 「最初はそんなもんだよ」 「お前はどうだ?」 「俺がこの道進んじゃったのってお前のせいだったな」 「俺のせいかよ!?」 「何やったんだよ」 「確か蔵の整理してたんだよな…」 【アイ氏の初体験】 『お!こんなのがあったぞ!』 お前と蔵の整理してたんだよな。そしたら餅つきの臼が出てきてさ。杵もちゃんと2つ出てきたな。 『ん?なあ、お前いつかゆっくりを虐めてみたいって言ってなかった?』 『言ったけど。まぁそんなに簡単に出来るもんじゃないよ。手ごろな大きさのゆっくりが見つからないしわざわざ山で捕まえるのもね…』 『どうせなら今やらない?』 『今?』 『ほれ、そこに手頃なゆっくりがいるぞ』 蔵から出した段ボール箱にゆっくりが入ろうとしてたんだよ。 『ゆ!こんなところにおうちがあるよ!!』 『おきゃあしゃん!ここをりぇいみゅたちのゆっくちぷれいちゅにしようよ!!』 『れいむがいっちば~ん』 近くに人間がいるのに無警戒だったよ。何でだあれ? 『ゆ!にんげんがいるよ!!』 『ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!!!ゆっくりしないででていってね!!!』 『でちぇいっちぇね!!!』 『あまあまさんちょうらいね!!』 『…やるか?』 『やろう』 臼の中にゆっくりを入れてってあと水も用意してな 『せまいよ!!』 『れいむにひどいことしないでね!!れいむはしんぐるまざーなんだよ!!!かわいそうなんだよ!!!』 『おねえちゃんりぇいみゅをちゅぶしゃにゃいでにぇ!!!』 『ここからだしてね!!!ゆっくりできないよ!!』 ま、もう分かったと思うが餅つきやろうとね。 『ゆぴ!!』 『つべちゃいい!!!!』 『おみずさんはゆっくりできないよ!!!ゆ…ゆっくりしないでここからだしてね!!』 少量の水をかけてから 『じゃあつくぞ』 『あいよ!!それっ!!』 『ゆべ!!!!』 『いじゃいい!!!』 『いもうどがあああ!!!!れいむのいm…ゆぎゃ!!』 『ぼえっ!!!!』 『いだいよ!!ゆぎゃあ!!!!や…やべd…ゆびぇっ!!!!!』 杵越しに伝わる感触は良かったよ。小さいやつから潰れてくんだ。 『だずげでえええ!!!!ゆびゃっ!!!!!こ…ここかr…ぎゅえっ!!』 『ぼういやd…ぎゃあああ!!!おうぢがえr…びゃっ!!!!』 『や…ぎゃっ!!!!やべ…ぎゃっ!!!おちびぢゃんがつぶれr…ぶべっ!!!!!』 最終的には親れいむがかろうじて生き残ってたな。生き残ったってもぐちゃぐちゃに潰れててすぐ死んじゃったけど。 「そんなこともあったなぁ」 「ゆっくりつきはいいな」 「今度やらない?妊娠してる個体なんか最高だぞ」 「試したのか?」 「ああ。ブチブチっていう感触がたまらなかった」 「なぁ、俺の初ゆ虐はビデオに撮ってあるんだけど…。ちょっと取りに帰っていいか?」 「おお!」 「いいよ。待ってるからさ」 「お前が取りに行ってる間に何か作っとくよ。ほれ、ゆ虐話を聞いてたせいかこいつらさっきよりも美味くなってる」 肴の赤ゆは皆白目を剥いて痙攣していた。話の内容が相当こたえたのだろう。 「じゃ、すぐ戻ってくるから」 つづく by 虐待おにいちゃん このSSに感想をつける
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ほんのりと俺設定注意 車を走らせ馴染みのコンビニへと向かう。 途中ゆっくりが飛び出してギリギリかすめて通過。セーフ。 車が汚れなくて良かったとひと安心。 駐車場でに着いてドアを開けると不快な熱い外気、と、 「ゆっふ!ゆっ!ゆーふっ!!」 不快な声が耳に響く。 店の前に設置しているゆっくり専用ゴミ箱から聞こえてくる。 その前を通りすぎる際にゴミが話しかけて来た、 「ゆっ!?おにいさん!れいむをたすけてねっ!」 無視。 「どぼじでむしするのぉ!?」 自動ドアから店の中に入る。冷房が効いていて最高の環境だ。 お目当ての弁当と飲み物を買ってから週刊誌を立ち読みする。 そのあと、気に入った雑誌を追加購入して店を出た。 「おにいさん!かわいいれいむをたすけにきてくれたんだねっ!」 (まだ居るのかよ……。) れいむは、ゴミ箱の淵をもみあげで掴み踏ん張っている。 体は半分穴に埋もれていて、自力での脱出は厳しそうだ。 「れいむはとってもゆっくりできるんだよーっ!」 滅茶苦茶必死の形相。凄く暑苦しい。 全然ゆっくり出来て無いじゃん。 「はやくたすけてねっ!このままじゃおちちゃうよっ!?」 唾を撒き散らし喚く。 こんなゆっくり誰も助けたいとは思わない。 「かわいいおちびちゃんをみせてあげるから れいむをたすけてねっ!」 「…おちびちゃんはどこに居るんだ?」 「おにいさんのあしもとにいるでしょうっ!おめめがみえないのっ!?」 足元? 下を見ると確かに居た。 虫の息だったが。 「おちびちゃんたちはかわいいでしょっ!?ゆっくりれいむをたすけてねっ!」 「可愛くないから助けなくていい?」 「どぼじでぞんなごどいうの゛ーーっ゛!?」 号泣。本当に暑苦しい。 下に落ちている赤ゆを摘みあげれいむに見せる。 驚愕の眼差しの後、「ひどいことするにんげんはゆっくりしねっ!」と喚きだす。 ただ拾っただけだっつーの。 「れいむ口開けて。」 「ゆっ!そうだねっ!れいむのおくちのなかにゆっくりかくれてねっ! やばんなにんげんさんはゆっくりできないよっ!」 赤ゆ達を放り込む。 勝ち誇った顔がまたムカツク。何も好転してねーよ。 「おちびちゃんたちをきずつけた いしゃりょうをせいきゅうするよ!」 チラチラと手に下げた袋を見ながら催促をして来る。 口に赤ゆ詰め込んで流暢に喋るその無駄な技術。何げに凄くね? 「はいはい。わかりましたー。」 「なかなかいいこころがけだよっ!」 戯れにパックのジュースを飲ませてみた。れいむは至福の顔でとろけている。 普段口に出来ない甘みに感動しているようだ。 ゴックンと喉?を大きく鳴らす。 「もっといしゃりょうをちょうだいねっ!こんなんじゃたりないよっ!」 大口を開けて追加を要求する。 そこで先程放り込んだ物体が無いことに気づいた。 「……赤ゆは?」 「ゆゆっ?」 口を閉じて、もごもごと動かした後、れいむは固まった。 信じられない…。と言う顔をして、また口中を舌で探る。 いや、居ないから。明らかにお前が飲んだから。 「うっ!うわぁぁぁぁぁぁぁっ゛!!?あかちゃんがぁぁぁっ!」 「あーあ。お前アホだろ?」 「じゅーすをいっぱいおぐぢにいれるからでしょぉぉぉっ゛!?」 また言いがかりですか。 もう付き合いきれん。というか暑いからそろそろ帰りたい。 「ゆっくりはんせいしたなら れいむをひろってかわいがってねっ!? いっぱいかわいいあかちゃんうんであげるよっ!かんしゃしてねっ!?」 自信に満ち溢れた声を張り上げる。 可愛いからジュースを貰えたし、ゆっくりプレイスにも連れて行ってくれる。 お嫁さんといっぱいすっきり~っ!してあかちゃんを作るよっ! 都合の良い妄想で未来を作り出している最中に、人間の手がゆっくり迫ってきた。 それを見てれいむは最高の笑顔で声を張り上げる。 「れいむをゆっくりさせてねっ!にんげんさん!」 薄暗い穴の底で蠢く物体が二つ。 ゆっくり出来る環境では無い事は確かである。 臭い,狭すぎる,暑い。まさに地獄。 「ぐぞにんげん!れいぶをおどしだなーーーーっ!?」 油断していたれいむはあっさり落ちた。 箱の中で運悪く逆さまに落ちて身動きが取れなくなっている。 「ゆ゛ーーっ!ぜっだいゆるざないよーーーっ!!」 マヌケな姿で強気に吼える。 体を震えさせ起き上がろうと試みるが、スペースが狭すぎて思うようにいかない。 そこで不安からちょっと弱腰になってしまい、 「いまたすけてくれたらゆっくりゆるしてあげるよっ!」 あっさり和平交渉に入った。 「きこえてるんでしょぉぉぉぉっ!おみみがわるいのっ!?」 『…ユッ』 「かわいいれいむがこまってるんだよっ!ばかなのっ!?」 『ユフッ。コフーッ!』 「しぬのっ!?……ゆっ!?じゃましないでねっ!せなかがあついよっ!」 れいむは背中に熱い風がかかるのが気になった。 人間さんを説教してる時に邪魔するなんてゆっくりできないよ! さらに声を張り上げて話を続けようとした時、 『アマアマッ!イタダキマァァァスッ!』 後頭部に鋭い痛みが走った。 次は頬っぺたが引っ張られる感触。 そしてブチブチと千切れて何かの口に収まる。 「いだいーーー~っ゛!どぼじでっほっべざんがいだいのっ゛!?」 髪ともみあげが無理矢理毟られ 頬からは餡子がボタボタと床に落ちる おりぼんが軽快な音を立てて砕けた 硬い物がれいむの体を削り取っていく 『ウッメッ!メッチャウメーーー~ッ!!』 「やべでーーっ!?ゆっぐぢでぎない゛ぃぃぃぃっ゛!!」 許しを願っても全く辞める気配を感じない。 自分の餡子が急激に減っている事が嫌でもわかる。 このままではれいむが死んじゃう! にんげんさんっ!にんげんさんっ!おねがいっ! 「にんげんざん゛っ!だずげでっ!れいぶだべられぢゃうよっ!」 『ムーシャ!ムーシャッ!!』 「おでがいだがらっ!ゆっぐぢざぜでーー~っ!?」 『ウンメッ!マジパネェッ!!』 「うっ゛ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁ!?」 このゴミ箱は水流式ではない。 コンビニでは回収作業が定期的に行われるので、投下式を設置していた。 この最新のゴミ箱は、転倒防止機能と這い上がりが出来ない構造に作られている。 回収作業を容易に行える様に、箱の底には棘状の突起物は無い。 その為、生きたまま投入されるゆっくり達は、そのまま底で生存する確率が高い。 餌の代わりに他のゆっくりを共食いして、生き残るのも珍しい事ではなかった。 そして、れいむはゴミ箱に居た主の糧となり死んだ。 食われる少し前にジュースを大量に飲んだ為なのか、 生命維持活動が活発になってしまい、なかなか絶命する事が出来なかった。 どこまでも不幸なれいむである。 「やっぱり野良は可愛く無いな。」 残りのジュースを飲みながら結論を述べた。 あの自信満々な声で喚いているのを聞いていたら、いつの間にか突き落としていた。 野良は人をイライラさせる何かがある。 やっぱり躾が行き届いて可愛いゆっくりの方が良い。 「そのあまあまをまりさによこすんだぜっ!」 「まりさっ!かっこいいっ!」 「ぴゃぴゃ!ぎゃんばれっ!」 「いちゃいめみりゅまえに こうちゃんしてにぇっ!」 とか思ってるとまた野良ゆっくりだよ。 全然ゆっくりできない。 「さっさと…」 「はいはい。ゆっくりゆっくりーっ。」 ポイポイと捨てる。 手際のよさに呆気を取られ、親達は何の反応も見せずゴミ箱の中へと消えた。 「…ぴゃぴゃとみゃみゃがぁー~っ!?」 「うぅ?にゃんでぇぇぇぇっ゛!?」 煩く騒ぐ赤ゆも例外なく放り込む。 片方の赤ゆを放り込んだ所で、残りの1匹が、 「…お、おにいしゃんのこじょもになりゅよ!」 早い、早いよ!裏切りが。 この赤ゆは優秀だ。生き残る術を知っている。 「ゆゆー~ん!きゃわいく…。」 でも残念ながらゴミ箱にIN! 汚いし可愛くも無い。それに簡単に家族見捨てるのは良くないよ? みんなに会わせてやるから謝ってきな。 片道キップでの送迎になっちゃったけどね。 ……すっごくガタガタ揺れてるよ。喧嘩でもしてるのか? まぁ、なにはともあれゆっくり仲良くしていってねーっ。 家族の幸せを適当に願いつつ帰宅する事にした。 「ゆあっ゛!?ゆっぐぢやべでっ!まりざはづよいんだよっ! あ゛ぁー~っ゛!?」 「れいぶはおいじぐないよっ!だべるならおちびぢゃんをたべてねっ!?」 「「ぢょぼじでじょんなごぢょいうにょー~っ゛!?」」 『ムーシャ!ムーシャッ!シッ…シアワセーーー~ッ!!!』 「「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?」」 食欲旺盛にモリモリと食らう。 親ゆの大半を食らった後、隅に逃げた赤ゆを追い詰めていく。 「りぇいむはおいちくにゃいよ!おにぇちゃんのほうがおいちいよ!」 「いみょうとのほうがまろやきゃでおいちいよ!だきゃら……ゆびゃぁ!?」 「ゆっふゅふゅ!れぇいみゅはえりゃばれたんだにぇ!しゅーりりゅーりすゆよ! ゆ…?おくちしゃんあけてにゃにするの?」 一口で絶命した。……ら幸せだったのに。 紙一重で生きていたが擦れ声を上げたのは大失敗。再度大きな口が迫ってくる。 もう一度容赦なく噛まれる恐怖を味わいながら、赤ゆは天に召された。 租借しながら狂ったように歓喜の声を上げ続ける主。 環境のストレスから食べる欲求のみが色濃く表面化して、完全に壊れていた。 この主も夕方の回収を待たずに死ぬだろう。今からまだまだ暑くなる。 じっくり蒸されてこの世にお別れをするのは時間の問題だ。 ひと時の幸せを求めて哀れな主は腹に同胞を詰めていく。 帰り道の途中で路上に転がる、ゆっくり家族の変り果てた姿が視界に入った。 (さっきのが餌を狩った後に戻ろうとして轢かれた。のかな?) ゆっくりの固体判別は難しい。 外見個性が乏しすぎる。 そこに加えて現状はただの餡子の塊が数箇所に点在するのみ、 詳細な判別はほぼ不可能。 「こういうのは誰が片付けるんだろ?」 疑問を呟きながら、塊を避けるのは対向車が接近してる為にちょっと厳しいと判断する。 洗車を覚悟しながら、愛車で餡子に新しい轍を刻み込み走り去った。 終 「れいむとまほうのいた」 「金バッチ品質保障証」 「まりさは優秀な劇団員」 「ぬし」 このSSに感想をつける
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家族を作るということは、ゆっくりにとって最上の生存目的である。 人間と同じく、身体的精神的な快楽を求めて生きるのがゆっくりだが、 その中でも、つがいを見つけて子供を作り、家族で団欒する幸福は、 大多数のゆっくりにとっては、ゆん生において何よりもゆっくりできる至高の幸せだ。 愛しい夫と、妻と、愛の結晶である子供を成し、 互いに愛を確信しながら、身を寄せ合って共に生きる。 少なくとも、あまあまも玩具も知らない野生のゆっくりにとっては、 それ以上のゆっくりは想像できないのが通常だ。 飼いゆっくりを訓練する際も、 「家族を作る」という目的意識を「人間をゆっくりさせる」にすり替える過程において、 大多数の時間と労力が費やされる。 実際のところは、こうしたゆん生観の大転換が成功するほうが稀であり、 ほとんどのゆっくりが、ゆっくりとしての本能を捻じ曲げることに失敗して他の用途に回される。 ゆっくりショップに並んでいるような、多種の生物である人間の幸福を望み奉仕するゆっくりのほうが異常な洗脳饅頭なのだ。 それでさえ、多くは飼われているうちに種族の本能がぶり返して自分の子供を作ろうとし、 その結果人間に「ゲス」と呼ばれ、処分されることになる。 それほどにゆっくりにとって、自分で作る家庭とはかけがえのないものなのだ。 今、両親にとってその家庭は地獄そのものだった。 自らの手で、せせら笑いながらゆん生をズタズタにしたわが子が、 家族から離れて佇み、いつも氷のような視線で自分たちを見つめていた。 帽子と左目のない、全身傷だらけの子まりさは、 いつも意思とは無関係にうんうんとしーしーを垂れ流し、そこらに打ち棄てていた。 「おちびちゃん……きれいきれいしようね……」 垂れ流される便を、両親はかいがいしく処理した。 丹念にぺーろぺーろして床の便をかき集めて庭に捨て、子まりさの体表にこびりつく汚れを舌で落とした。 かつて赤ゆっくりだったころにもそうしてあげていたものだが、 「お前らが原因なんだから当然だ」というように、無表情でされるがままになっている子まりさの介護は、 とてもかつてのように心楽しいものではなかった。 両親のどちらかが近づくたびに、子まりさはナイフのような言葉で心をえぐってきた。 「やっちょころしちぇくれりゅの?」 「きょんどはみぎのおめめもとりゅの?」 「ぷーすぷーすしゃんはもうあきちゃの?」 その度に、両親は何度も何度も詫びるのだったが、子まりさは聞きもしなかった。 ただ死を望むばかりだった。 食事は日に二度、お兄さんが持ってきてくれた。 持ってくるのは二度だが、ゆっくりは通常、日に四、五回ほど食事をする。 充分な量の食事を、両親がきちんと配分して分配した。 もちろんのこと、子まりさにも平等どころか、むしろ多めに分配した。 持っていくたびに、生きる気力のない子まりさに両親は頭を下げて何度も食事するよう懇願し、 もはや家族を責め立てることにしか生き甲斐を見出していないらしい子まりさは、そうしてようやく口をつけるのだった。 楽しかるべき家族の食事はもはや団欒のときではなく、 こちらを睨みながら隅で佇んでいる子まりさに気兼ねしながら耐える苦痛のときでしかなかった。 自分達でずたずたにした我が子の前で、呑気に「しあわせーっ」などと叫ぶことなどできるはずもない。 食事時に「しあわせ」と発声できないことは、ゆっくりにとって想像以上のストレスである。 憎悪の篭った視線に射られながら口に運ぶ食事に味はなかった。 必死に詫び、乞い、なだめ、すかし、 両親は子まりさを家族の輪に入れようとしたが、 「またぷーすぷーすしゃんすりゅの?」 「まりちゃをこんにゃにしちゃゆっくちたちと、にゃにをしゅればいいにょ?」と言われては、 それ以上強いることもできなかった。 確かに、ゆん生がめちゃくちゃになるほどの暴行を受けた相手に囲まれ、さあ仲良くしろなどとは言えない 子供たちも、最初の頃こそ子まりさに詫びて泣いていたが、 子供は正直なもので、はっきりと口にこそ出さないものの、 時間がたつごとに便にまみれて臭気を放つようになった子まりさを疎んじる素振りが見えはじめた。 今では親以外、子まりさを食卓に誘う気配は見えない。 それどころか、言葉の端々に不穏なものが見え隠れしはじめた。 「じびゅんでこにゃいっていっちぇるんだから、あんにゃのほっといちぇいいのに……」 「おきゃーしゃん、まりちゃのごひゃんしゃん、おおしゅぎにゃい? どうしぇじぇんぶたべにゃいよ」 「おわっちゃこちょはしょうがにゃいよ!もういいきゃら、れいみゅたちだけじぇゆっくちちようよ!!」 そんな些細な失言にも、両親は強くたしなめ、叱りつけた。 善悪の道理の感覚がまだまだ薄く、贖罪の覚悟がない子供たちは、 両親のそんな叱責を窮屈に感じ、常時ふてくされ気味の態度で、 両親と子まりさから離れて子供たちだけで遊ぶようになっていった。 ベランダの隅から憎悪の視線を向けてくるうんうんまみれの子まりさ。 食事の時以外は両親から離れ、逆側の隅で身を寄せ合ってぼそぼそ喋っている子供たち。 子まりさに対して詫び、他の子供たちを叱りつける以外の会話はほとんどなくなった両親。 あんなに仲睦まじかった家族が、どうしてこんな事になってしまったのか。 夜毎に両親は身を寄せ合い、涙した。 誰を恨むこともできない、全面的に自分たちのせいであり、 あの子まりさがいる限り、家族のゆん生には贖罪しか残されていなかった。 当然、そこに一片のゆっくりもあろうはずはない。 あの時、お飾りのないゆっくりをあれほどに苛めなければ。 せめて目を潰さなければ、ぺにぺにを潰さなければ、まだ子まりさは許してくれたのかもしれない。 いや、きっと許してくれた、あんなにゆっくりできるいい子だったから。 親のまりさとれいむは歯噛みし、涙にくれて後悔しながら、 今は遠い彼方のものになってしまったゆっくりを偲ぶばかりだった。 しかし、それでも救いはあった。 少しずつバラバラになっていく家族の中で、 末っ子の子れいむだけが、根気強く家族を繋ごうとしていた。 姉妹たちに煽られて仕方なしに流されていた末れいむだったが、 この状況に耐えられなかったようで、必死に改善の努力をしはじめた。 両親と一緒になって、子まりさの排便の面倒を見ようとした。 ゆっくりできないうんうんの臭いは末れいむにとって涙が出るほど辛いものだったが、 誠意を見せたい一心で、懸命に口の中にうんうんを詰め込んで運搬した。 両親は止めたが、子れいむは毅然として言った。 「おねーしゃんはもっちょもっちょゆっくちできにゃいよ!! れいみゅのしぇいだきゃら、れいみゅがゆっくちできにゃくてもいいんだよっ!!」 子まりさは何も言わなかったが、 末れいむが自分の世話に参加するようになってからは、両親を責め立てる口数が心なしか減っていった。 姉妹たちと遊びながら、末れいむはこまめに子まりさの方にも顔を出した。 今日はこんなことを話した、こんな面白いことがあった。 返事をしない子まりさに向かって、末れいむは懸命に楽しい話をした。 他の姉妹も、強いて赤れいむを止めようとはしなかった。 通常、こうした目立った単独行動に出る仲間がいれば、 何も行動しない自分たちの後ろめたさを糊塗するために、 「いい子ぶっている」という理屈で攻撃性を剥き出し、苛めの標的にするケースが多いのは人間もゆっくりも同じだ。 しかし、元々性根が家族思いのこの姉妹にはそのようなことはなく、 引け目を感じながらも、子まりさの元に跳ねていく末れいむを黙って見送るにとどまった。 「あのにぇ、あのにぇ、きょうはにぇ、れいみゅおねーしゃんがね……」 「………れいみゅはゆっくちちてていいにぇ」 「ゆっ!?ゆゆっ、ゆっくちちてりゅよ!!まりちゃおにぇーちゃんも…」 「まりちゃのおめめとぺにぺにをつぶちて、みんにゃとゆっくちちちぇ、たのちいよにぇ」 「ゆぐっ…………」 ごく稀に子まりさが口を開いたかと思えば、辛辣な皮肉だった。 その度に末れいむは涙を浮かべて黙り込み、すごすごと引き下がるのだが、 それでも次の日には、また子まりさの元へ跳ねていく。 「おにぇーしゃん、しゅーりしゅーりちていい……?」 「……………」 「……しゅーり、しゅーり………ゆっくち、ゆっくちぃ……」 懸命になって子まりさを元気づけようとする子れいむを、両親は涙を浮かべて見守っていた。 あんなにゆっくりしている子がいれば、子まりさの心の氷もいつか溶けるのではないか。 この家族も、いつか、いつかきっと昔のようにゆっくりできる。 子まりさの心を氷で閉ざしたのはいったい誰なのか、 それは努めて考えないようにし、両親はかすかな希望にすがった。 「しゅーり、しゅーり……ゆぅ、おにぇーしゃんのおはだしゃん、ゆっくちしちぇるにぇ………」 「ゆっくちしちぇにゃいよっ!!」 子まりさが叫んだ。 「こんにゃにきじゅだりゃけでっ!!うんうんまみりぇのおはだしゃんが、ゆっくちしちぇるわけにゃいでしょっ!!」 帽子を捨てて以来初めて、子まりさが感情を剥き出しにしていた。 鬱屈した感情を正面からぶつけられ、末れいむは涙をこぼし、悲しげに目を伏せ、それでも答えた。 「ゆっくち………しちぇるもん……… まりちゃおにぇーちゃんの、おはだしゃん………きじゅだりゃけでも、うんうんでも……ゆっくち、しちぇるもん」 「うしょつくにゃ!!うしょちゅき!! だっちゃられいみゅもぷすぷすしゃれてみちぇよ!!ぺにぺにしゃんつぶちちぇよ!!おかじゃりしゅててよ!!」 「ゆ、ゆ………?しょんにゃ………」 「できにゃいよにぇ!!しょんにゃゆっくちできにゃいこちょ、じぇったいできにゃいよにぇ!! しょんにゃゆっくちできにゃいきゃらだになっちゃら、もうだりぇもいっちょにゆっくちちてくれにゃいもんにぇ!! まりしゃのこちょもゆっくちできにゃいっておもっちぇるくちぇに、ちらぢらちいよっ!!」 「………おにぇー、しゃん………」 末れいむはうなだれ、しばらく黙っていたが、 やがてゆっくりを向きを変えて家に向かっていった。 「もうきょにゃいでにぇっ!!」 子まりさは捨て台詞を吐いたが、その目には何日ぶりかの涙が浮かんでいた。 「おぢびぢゃん!!なにじでるのおおぉぉ!!?」 「やべでっ!!やべでね!!ゆっぐりがんがえなおじでね!!ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛だべえええええ!!!」 ボール箱で作られた我が家のほうから悲鳴が聞こえてきた。 何事かと子まりさが顔をあげると、あの末れいむが家族の制止を振りほどいてこちらへ向かってきているところだった。 その口には、あのぷすぷすさんが咥えられていた。 急速に冷めていく感情を視線に込め、妹の歩みをじっと待つ。 ぴょんぴょんと跳ねながら目の前にたどり着いてきた妹の顔とぷすぷすさんを交互に見て問う。 「しょれが、れいみゅのこちゃえ?」 「ゆっ!しょうだよっ!!」 「………わかっちゃよ。もう、どうでみょいいよ。はやきゅしちぇにぇ」 「ゆっ?ゆーっ、れいみゅ、できにゃいよ」 「……いましゃらにゃにいっちぇるの?」 「れいみゅ、じびゅんをぷーすぷーすできにゃいよ。おにぇーしゃん、おにぇがいにぇ!」 「ゆ?」 子れいむはそう言い、ぷすぷすさんを差し出してきた。 この妹は何を言っているのだ? 自分をぷすぷすして殺すのではなかったのか? それどころか自分に向かって、己を傷つけてくれと頼んでいる。 「れいみゅ、おにぇーちゃんといっちょがいいきゃら。 おにぇーちゃんといっちょにゆっきゅりしちゃいきゃら、ぷすぷすしちぇにぇ。 いっぴゃいぷすぷすしちぇ、おめめちょぺにぺにをちゅぶしちぇね」 「…………!!」 キラキラと目を輝かせ、笑顔で末れいむはぷすぷすさんをもう一度自分のほうに押しやってきた。 こいつはわかってない。 ぷすぷすさんがどれほど痛いのか、赤ちゃんを生めなくなることがどれほどの絶望かわかってない。 だから気軽にこんなことが言えるのだ。 思い知らせてやる。子まりさはぷすぷすさんを取り上げた。 しかし、できなかった。 ぶるぶる震えるぷすぷすさんの先を末れいむに向けながら、どうしてもあんよを踏み出すことができなかった。 「……おにぇーちゃん?どうしちゃにょ?」 「……………………」 「………なんぢぇ、ないちぇるの?」 「おぢびぢゃああああああん!!!」 両親が、姉妹たちが、駆け寄ってきていた。 「やべでっ!!おぢびぢゃんはいいがら!! ばりざおぢびぢゃんっ!!でいぶを、でいぶをぷすぷすしでねえええ!!」 「ごべんねっ!!ごべんねっ!!いままできづかなくてごべんねっ!! おどうざんが、いうべきだったのに!!おとうさんが!!ごうじでづぐなうべぎだっだのに!! ゆ゛ぐっ、おぢびぢゃっ!!おどうざんをずぎにじでいいよ!!ごべんねええええ!!」 「おねえじゃーっ!!でいびゅをぷずぷずしちぇえええ!!」 「ばりじゃも!!ばりじゃもおおお!!!」 家族全員が、子まりさに向かって腹を突き出す。 そして口々に、自分を傷つけてくれ、お前と同じようにしてくれと願った。 それを聞くうち、子まりさの口からぽとりとぷすぷすさんが落ちた。 「………お、とーしゃ………おきゃー………しゃ………」 「ハイハイハイ、ご立派!!お見事!!!」 お兄さんの声がした。 「いやあ、すばらしい家族愛でした。スバラシイッ! 償いのために、自らの体を差し出す自己犠牲の精神。ウツクしい。マネできない。 君たちのうるわしすぎる愛情に、お兄さん、涙がとまらないよ」 目元をハンカチで押さえながら、お兄さんは震える声で褒め称えてくれた。 お兄さんの前に並ぶ家族は、互いに視線を交わしながら「ゆふふ」と笑いあう。 子まりさも、まだ表情は硬かったが、一応は両親の傍に並んでいる。その傍らで末れいむがすーりすーりしていた。 「お帽子をなくして、傷だらけになってゆっくりできなくなった子まりさに対して、 決していじめたりせず、分け隔てのない愛を注ごうとする君たちの心根はホンモノだ。 認めざるをえないようだね………今の君たちは、弱い者苛めなどしない、本当にゆっくりしたゆっくりだ!」 「「「ゆゆーっ!!」」」 お兄さんに認められ、一同は満面の笑顔でもみあげやお下げを上げてガッツポーズをした。 「約束どおり、君たちを苛めることはもうしない。 こんな美しい家族を苛めるなんてできるはずがないじゃないか。 明日、森に返してあげよう。沢山のあまあまもお土産に持たせてあげよう。 今日はもう遅いから、あと一晩だけそこでゆっくりしていってくれ」 「ゆっくりりかいしたよっ!!」 「おにいさん、ありがとう!!」 「お礼なんて。むしろお礼を言うのは僕のほうさ。 こんなに心温まる家族愛を見せてもらってとってもゆっくりできたんだからね!」 「ゆーっ!それほどでもあるよっ!」 「おちびちゃん、それをいうなら「ないよっ」でしょ!ゆふふ」 試練を乗り越え、家族たちはこのうえなくゆっくりしていた。 これで家に帰れる。しかも沢山のあまあまを携えて。 子まりさはこんな体になってしまったが、そのおかげで、家族たちのつながりはより強固なものになったのだ。 子まりさを囲んで、これから沢山ゆっくりしよう。愛を交わそう。 両親のれいむとまりさは、万感の思いを込めて頬を交わした。 その夜は、久しぶりに子まりさを家に迎えて、みんなで語り合ってからゆっくりと眠った。 子まりさはまだ口数が少ないが、たっぷり時間はある。ゆっくりと仲直りしよう。 両親は寝る前に、子まりさと、そして末れいむを特別いっぱいぺーろぺーろしてあげた。 皆が寝静まった頃、親まりさはただ一匹、空のお月様を見上げていた。 お月様はまんまるさんだった。それは、今の自分たち家族を象徴しているようだった。 「ゆっくりしていってね………」 親まりさは穏やかな笑みを浮かべて、お月様に挨拶をした。 「「「ゆっくちおきちゃよっ!!」」」 「ゆふふ、おちびちゃんたちはおねぼうさんだね!」 ボール箱の家の中で、目を覚ましたおちびちゃんたちをぺーろぺーろしてあげる。 くすぐったそうに笑うおちびちゃんたちの表情に陰はない。 子まりさは強張ってはいるが、抵抗はしない。 この家で暮らすのも今日で最後だ。 終わってみれば、雨風はしのげるしご飯はお兄さんが持ってきてくれるしでなかなか快適な家だったが、 やっぱり、自分達で狩りをしてこそのゆっくりできる家族だ。 森へ戻れば、沢山の仲間達がまた迎えてくれるだろう。心配をかけちゃってごめんね、ぱちゅりー。 家族は箱を出て並び、お兄さんが出てくるのを待った。 出立が待ち遠しい。 帽子の内側を払ったりしながら、どれだけあまあまを運べるかの胸算用をする親まりさを見て、 親れいむが「ゆふっ」と笑った。 そうこうするうちに引き戸が開いた。 全員がそちらに向き直り、お兄さんに朝の挨拶をする。 「「「「「ゆっくりしていって「じゃおーん!」 「「「「「「ゆゆっ?」」」」」 出てきたのはお兄さんではなかった。 人間さんの頭部に合わせて見上げていた視線を、床すれすれに下げる。 「じゃおーん!じゃおーん!」 少しだけ開けられた引き戸の隙間から現れ、 鳴き声を上げながらこちらに跳ねてくる小さなゆっくり。 「ゆゆっ!ぐずのめーりんがいるよっ!!」 ――――――― 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆーっ!!めーりんはゆっくりしてないね!!ぐず!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「れいみゅのぷーすぷーすによいしれちぇいっちぇね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「それしかしゃべれないの?ぐず!!のろま!!ゆっくりしね!ゆっくりしね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆーん!おちょーしゃん、ちゅぐにきょろしちゃもっちゃいにゃいよっ!! まりちゃ、いっぴゃいあちょびちゃいよ!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆゆっ、そうだね!おとうさんうっかりしちゃったよ!! ことばもしゃべれないのろまはたっぷりあそんであげないとね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ちゃべれにゃいにゃらおくちにゃんかいらにゃいよにぇ~~? ゆーっ!こうぢゃよ!!ゆーっ!!ゆーっ!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 ゆっくり共が、小さなゆっくりを取り囲んで罵詈雑言を吐き、執拗に痛めつけている。 傷を負ったあの子まりさを除き、八匹全員がリンチを楽しんでいた。 親れいむが子めーりんのもみあげを噛んで持ち上げ、びたんびたんと床に叩きつける。 執拗に口を狙っていた。 「ゆっ!ゆっ!ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」 「ことばもしゃべれないぐずめーりんなんかしかいにはいってこないでねっ!! こどものじょうそうっきょういくっにわるいよ!!」 「「「ぐーじゅ!!ぐーじゅ!!」」」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「おめめしゃんぷーす!ぷーす!!ゆっくちくるちんでいっちぇね~♪」 「じゃおーん!じゃおーん!」 子めーりんの両目に爪楊枝が差し込まれ、砂糖水したたる眼球が一気に両方ともえぐり出される。 眼球でサッカーをしながら子ゆっくり共はゆきゃきゃと歓声をあげた。 ふと、親まりさが気づき、爪楊枝を咥えて子まりさのもとへ跳ねていった。 「ゆっ!おちびちゃんもいっしょにあそぼうね!!」 「…………やぢゃ」 「ゆーっ?どうして?とってもたのしいよっ!!」 「………いじみぇて、たのちいの?」 「ゆん!とってもたのしいよ!!おちびちゃんもいっしょにあそぼうよ!!」 「………まりちゃ、やぢゃ。いぢめちゃく、にゃいよ」 「ゆゆぅ?どうしてぇぇ?! おとうさんも、おかあさんも、おちびちゃんといっしょにあそびたいよっ! みんなでいっしょにあそぶからゆっくりできるんだよっ!!」 「そうだよ、おちびちゃん!」「「おにぇーちゃん!」」 親れいむと姉妹たちも、子まりさに駆け寄って必死に誘う。 「ね、いっしょにあそびましょう?おちびちゃんにも、ゆっくりしてほしいの」 「………………たのちくにゃいもん」 「ど、どうして?まえはあんなにたのしく………」 「まりちゃ、やぢゃ!なんかやぢゃ」 「ゆぅぅ………ね、いもうとたちも、おねえちゃんとあそびたがってるよ」 「ゆーっ!おにぇーちゃん、いっちょにゆっくちちようよ!!」 「いぢめ、やぢゃ……わるいこちょだよ……」 「ゆー、れいむ………」 「ゆ、そうだね………かんちがいしちゃったんだね。 ね、おちびちゃん。ゆっくりよくきいてね。 もちろん、よわいものいじめはゆっくりできないことだよ。 おぼうしがなくてゆっくりできないゆっくりだって、いじめちゃいけないよね。 おとうさんもおかあさんも、とってもはんせいしてるんだよ。 でもね、おちびちゃん。むずかしいかもしれないけど、よくきいてゆっくりりかいしてね。 あのね、ぐずのめーりんはれいっがいっ!なんだよ。 のろまで、ことばもしゃべれないめーりんが、だれをゆっくりさせられるの? いきててもめいっわくっしかかけないでしょ?じゃあなんのためにいきてるのかな?かんがえてみようね。 ね、おちびちゃん。あれはいきものじゃないの。おもちゃなの。 めーりんがやくにたつことといったら、みんなのおもちゃになることだけじゃない? だから、めーりんをおもちゃにしてあげることは、とってもゆっくりできることなんだよ!!」 「ゆーっ!!しょうだよっ!!」 「おにぇーちゃん!!いっちょにあちょぼ?」 「ね、おちびちゃん………」 「…………やぢゃ!!やぢゃやぢゃやぢゃああ!!ごわいいいいいぃぃ!!」 「お、おちびちゃん…………」 ついに泣き出した子まりさを囲み、オロオロしだす家族。 僕はそこで出ていくことにした。 「おい、お前ら」 「「「「ゆゆっ?」」」」 一斉にこちらを向き、にぱっと満面の笑顔を浮かべて挨拶してくる。 「「「「ゆっくりおはようっ!!ゆっくりしていってね!!!」」」」 あの時と同じだった。 全く後ろめたさのない、真っ直ぐな瞳。 自分達のする事に一片の疑問ももたず、家族愛に自己陶酔して満ち足りた表情。 吐き気がした。 「いいお目覚めだな」 「ゆーっ!!やっともりにかえれるひだよっ!!きぶんそうかいっ!!だよっ!!」 「あー、その件だけどな、取り消しだ」 「ゆ?……………ゆゆゆゆゆゆゆううぅぅぅぅ!!!?」 不穏な台詞に、ゆっくり共が叫ぶ。 「なんでっ!?なんでなんでなんでええぇぇ!!?やくそくがちがうよおおぉ!?」 「おにーさんっ!やくそくまもってねっ!!うそつきはゆっくりできないよぉ!!!」 「僕は何も約束を破っていない。 言ったはずだ、お前らが弱い者苛めをしないゆっくりになったら、ってな」 「そうだよっ!!まりさたち、もうよわいものいじめなんてしないよっ!!」 「れいむたちをうたがってるのおぉ!?」 「じゃあ、それは何だよ?」 両目をえぐり出され、やはり全身に爪楊枝を突き立てられている子めーりんを指差す。 そんな姿でも、まだ「じゃおーん」と鳴き続けている。 「ゆゆっ?」 きょとん、と子めーりんを見つめる家族。 二回目ともなるとすぐに僕の発言が飲み込めたようで、すぐに難詰してきた。 「ゆゆーっ!!まさか、おにーさんっ!!これもよわいものいじめっていうきなのおぉ!?」 「当たり前だろ………」 「いいがかりだよおぉ!!むちゃくちゃだよおおおぉ!!! こんなのまでいじめちゃいけないのぉ!?なかよくしなきゃいけないのおおぉ!!? だったらっ!!いしさんだっておはなさんだってうんうんとだってなかよくしなきゃいけなくなっちゃうよぉ!! おにーさんっ、きょくたんすぎるでしょおおおぉぉ!!?」 「極端かい?」 「じょうっしきっ!!でかんがえてね!! いじめはよくないけど、こんなのまでだいじにしてたら、ゆっくりいきていけないよっ!!!」 「僕だって生類哀れみの令を発布したいわけじゃない。 同じゆっくりを、苛めるなと言うのが、どうしておかしいんだ?」 「ぐずめーりんなんかゆっくりじゃないでしょおおおぉ!?」 「こんなのゆっくりじゃないよっ!!ごみくずだよ!!! ことばもしゃべれないで、じゃおじゃおいってるだけのごみく――」 僕はそれに被せていた帽子を取り上げ、本来の――末れいむのリボンを取り付けてやった。 「ゆえっ?」 状況を認識するまでに十数秒。このとろさでよく野生で生きているものだ。 いや、死亡率はそうとう高いらしいから妥当か。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!」 「………あ゛………あ゛………あ゛…………あ゛………………!!!」 「おでえぢゃあああああああーーーーーーーーーっ」 あとは前回の再現だった。 末っ子れいむの惨状にながながと悲鳴を上げ、パニックを起こし、嘆き、詫び、 ぺーろぺーろできないだのおにいさんなおしてくださいだのと連呼した。 「どうしてわからないんだ、お前らは」 「ゆぐじでっ!!ゆぐじでぐだざいいいいいい!! ばりざが!!ばりざ!!まだいじべばじだああああ!!いじべでじばいばじだああああああ!!!」 「でいぶをごろじでぐだざいいいい!!おじおぎじでぐだざいいいいいい!!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 両目を失ってぴくぴく痙攣している末れいむを持ち上げ、見せ付ける。 「いいか。お前らがこいつをめーりんだと思ったのは、この帽子があるからだな」 緑色の小さい帽子を、もう一方の手でひらひらさせる。 ペットショップで購入した子めーりんの帽子を、ちょっと拝借してきたものだ。 「そして僕が細工した。こいつの口をテープでふさいだんだ」 末れいむの口に貼り付けたマスキングテープを、慎重に引き剥がす。 どうにか唇を破らずに済んだが、執拗に攻撃された口内は歯茎がずたずたに砕け、 ほとんど全て粉砕されたらしい歯の破片が大量に、きらきらと光りながらこぼれ出した。 「……ゆ゛……ぐ…………ゆ゛げぇ……」 「あ゛………あ゛………あ゛あ゛あ゛あ゛…………あ゛………お゛……ぢび、ぢゃ……」 「じゃおーん!じゃおーん!」 めーりんの帽子をひっくり返し、中に仕込んでおいた超小型のボイスレコーダーを見せる。 「じゃおーんの鳴き声は、このレコーダーに記録してループ再生させたものだ。 それだけで、お前らはこの黒い目黒い髪の、しかも我が子をめーりんだと思い込み、虐待した」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ………ごべ………ごべんだざ………」 「ぐずのめーりんはれいっがいっ!だってな? 喋れないからゆっくりできない、だから苛めてもいい。そう言ってたな。 じゃあ、もう喋れないこのれいむも潰していいわけだ。さ、いっくぞー」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!! ぢがいばずっ!!ぢがいばずううううう!!!べーりんもいぎでばずっ!!ゆっぐじでぎばずうううう!!! じゃべれだぐでぼいぎでる、おなじゆっぐじでずううううううううごべんだざああああいいいいいい!!!!」 「でいぶをごろじでぐだざい!!おでがいじばず!!ぜいっざいじでぐだざい!!おでがいじばず!! でいぶはいぎるがぢのないげずでずっ!!おぢびぢゃんは!!おぢびぢゃんはあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「いい加減にしろよ、お前ら」 僕に帽子を投げつけられ、びくんと震える家族。 「弱い者苛めはゆっくりできない。ただし帽子のないやつは「れいっがいっ」。 で、子供を苛めてしまい、反省したと思ったら今度は喋れないやつは「れいっがいっ」。 今回のことでもうめーりんは苛めないのかもしれんが、また理由つけて他の「れいっがいっ」で遊ぶんだろう。 髪の色が変だ、目の色が変だ、喋りが変だ、飾りが変だ、いくらなんでもこいつは、いくらなんでもこいつは。 なんとか理由を見つけて苛めを楽しむわけだ、本っ当に苛め好きだなあ、お前ら。 人間の中には虐待お兄さんってのが少なからずいるが、 お前らゆっくりは全員が虐待趣味抱えてんだなあ。まったく、頭が下がるよ」 「………ゆ゛ぐっ………………う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ……………!!!!」 「詰みだよ、お前ら。たっぷり時間をかけて制裁し、惨たらしく殺してやる。全員な………あ、一匹だけは助けてやる」 「ゆ゛っ!!?」 満身創痍の妹を見つめながら震えている傷だらけの子まりさを取り上げてやる。 「こいつだけは助けてやる。こいつはめーりんを見ても苛めなかった。 自分の身にならなきゃわからなかったとはいえ、なかなか立派なものだ。 こいつだけはもはやゲスじゃない。助けてやろう。 あ、そこの末れいむも検討の価値はあるかな?」 「ゆ゛っ………あじがっ……おに、おにいざ……」 「何だよ」 「おねがい、じばず………ほがの、ほかの………おぢびぢゃんも………」 「駄目だ。見てなかったのか?大喜びでぷーすぷーす。弱い者苛め大好きゲスゆっくりだ。制裁すべきだな」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おでがいじばずおでがいじばずおでがいいいいいいい!!! おぢびぢゃんだげは!!ばりざだぢがぜんいんぶんぜいっざいざればず!!おぢびぢゃんだげはああああ!!!」 「いくら子供思いの親アピールされたって、こいつとそいつをここまで痛めつけたのお前らだしなあ」 「あ゛ーーーーーーーーーーっ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーーーっ!!!!」 完全に八方塞がり、しかも全面的に自分達で退路を断ったその状況に追い込まれ、 両親はもはや泣きながら絶叫するしかないらしかった。 ――――――― 「…………ゆっくり……おはよう……」 目覚め、家族を見回してから挨拶する。 返事は返ってこない。 ただ、疲れきった視線がひととき自分に集まるだけだ。 今日も目覚めてしまった。 もっと長く眠っていたかった。 眠りのまどろみから浮き上がった今、また現実をその目に映さなければならない。 「ゆぅ…………」 親れいむだけが、呻きで反応を返した。 それきり家族の視線は離れ、別の一点に改めて集中する。 「はふっはふっ!!うっみぇ!!まじうっみぇ!!ぱにぇぇ!!」 「まじやべっ!!うみぇっ!!とみゃんにぇっ!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 家族が食い入るように見つめるその先では、二人の子ゆっくりが山盛りのあまあまに顔を埋めている。 ベランダには一日かけても食べきれないような量のあまあまが山積みになっていた。 クッキーやチョコレートやプリンを食べ散らかし、一口ごとにあまりの旨さにうれちーちーを漏らす子まりさと末れいむ。 かたや左目とまむまむを失い、かたや両目を失った状態だったが、 極上のあまあまの快楽に脳髄を痺れさせた今、もはや悲壮感は全くなく、 この世の栄華を極めたがごとき恍惚の表情を浮かべていた。 末れいむの砕けた口と歯はお兄さんが再生していた。 「こいつにはお前らにたっぷり言いたいことがあるだろうからな」、それが理由だった。 少しでもあまあまが減れば、お兄さんがすぐに追加する。 二人は昼夜の区別なく、のべつまくなしにあまあまを咀嚼する。 一方、残りの家族は、狭い水槽に閉じ込められていた。 透明な壁が四方を遮る空間に八人のゆっくりがみっちりと詰め込まれ、ほとんど動く余地はない。 あの日から、食事は一切与えられなかった。 唯一、子まりさと末れいむのうんうんとしーしー以外は。 「ゆぷー☆きゃわいいまりしゃがうんうんしゅるよ!!」 「れいみゅのしゅーぴゃーうんうんちゃいみゅだよっ!!きゃわいしゅぎてごみぇんにぇ!!」 子まりさと末れいむはそう宣言すると、わざわざ家族のいる水槽まで這いずっていき、 水槽に向けて尻を上げた。 透明な壁に向かって、二人のしーしーが叩きつけられ、うんうんがひり出される。 子まりさの方は常時うんうんとしーしーを垂れ流している状態だが、 意識して排出すると、こうして勢いよく噴出すのだった。 「おい、どれい!!ごみくじゅどみょにごひゃんしゃんをめぎゅんであげちぇにぇ!!」 「はい、ごしゅじんさま」 二人の傍に常時侍っているのは、ゆっくりさくやだ。 舌ともみあげでスコップと雑巾を器用にてきぱきと使い、専用の容器にうんうんとしーしーを集めていく。 「やしゃちいれいみゅのほどきょしだよっ!!ありがちゃくおもっちぇにぇ!!」 「なんちょかいえ!!ごみくじゅ!!」 二人の罵声に涙を浮かべながら、それでも家族は答えた。 「「「「あり………がどう、ございば……ず………」」」」 「ゆふんっ!!ゆっくちちてにゃいよ!! しょんにゃきょきょろのこもっちぇにゃいおりぇいで、ほどきょしはあげられにゃいよっ!!」 「どれい!!ごひゃんしゃんはぬきぢゃよ!!しゃげちぇにぇ!!」 「ゆ゛あああああ!!ありがどうございばず!!ありがどうございばず!! ばりざざまとでいぶざまのおがげで、ぎょうもごみぐずだぢはゆっぐじでぎばずっ!!!」 家族の懇願を聞きながら、二人の子ゆっくりはにやにやと笑みを浮かべる。 「しょんにゃにうんうんにゃんてたべちゃいにょ?ゆぷぷぅ~~☆」 「うんうんずきのごみくじゅにゃんてゆっくちできにゃいにぇ~~☆」 「ゆ゛ぐう゛う゛う゛う゛ぅ……………!!」 ひとしきり罵倒され、嘲笑され、それをじっと黙って耐えてからようやく食事が与えられる。 さくやが水槽の上部からうんうんとしーしーを一緒くたにして流し込み、 極度の空腹を抱えた家族がそれにかぶりつく。 「うんうんたべちぇるよ!!ごみくじゅがうんうんたべちぇるよぉ!!ゆぴゃぴゃぴゃぴゃ!!」 「くちゃいくちゃい~~♪こんにゃすがちゃでよくいきちぇられりゅにぇ~~☆」 始めの頃は、子供たちが泣き、怒り、反抗したが、 少しでもこの二人に逆らおうものなら、お兄さんの制裁が行われた。 『お前らに怒る権利があるのか、え? 弱い者を苛めて喜ぶゲスのゴミクズに、なんの権利があると思うんだ? こいつが子供を作れないのは誰のせいだ?こいつの目が見えないのは誰のせいだ? お前らがこいつらに向かって、いったいなにを要求する権利があんだよ。言ってみろ』 『ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ごべんだざい!!ごべんだざい!!ごべんだざい!!ごべんだざい!!』 『お前らが自分で言った通り、本当のゴミクズに生きる価値はない。 そんなゴミクズはせめて他のゆっくりのオモチャになったほうが幸せなんだろ? 幸せって言えよ、コラ』 『ゆぶぎゃばああああ!!じ、じあばっ!!じあばぜぇ!! ごんだごびぐずでだのじんでぐれでっ、あじがどっ、ごじゃばじゅうう!!がんじゃじばじゅうううううやべぢぇえええ!!!』 家族の体には、多くの傷が刻み込まれている。 ぷすぷすさんで刺された傷、あつあつさんで焼かれた傷、ぺちぺちさんで皮が破れるまで叩かれた傷。 体表がでこぼこになるほどに傷だらけになった家族は、 今日もお兄さんの制裁に怯えている。 ベランダには数々のゆっくりできる玩具が転がっており、 奴隷としてお兄さんがあてがったゆっくりさくやが、子まりさと末れいむの世話をなにからなにまでしてくれる。 ふかふかしたクッションに横になりながら、二人はさくやの子守唄を聞いて寝息を立て始めた。 うんうんを咀嚼しながら、家族は枯れる気配のない涙をまた一筋流した。 〔続〕
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このごろなんかメールおくってね!みたいなのがいっぱいいてうざったい・・・ -- ピソリーノ (2011-02-23 20 21 49) この頃暇・・・・・ -- なすび (2011-02-23 21 09 04) わかる!! -- ピソリーノ (2011-02-23 21 20 01) 今日ちびちゃとでパパゲーナにあいました☆ -- ピソリーノ (2011-02-27 12 04 24) ぴそりーのにあいたいな -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-02-28 19 32 55) うちも!だけど今、アメーバにはまってる1 -- ピソリーノ (2011-03-02 21 18 24) ええ ちびチャとやってよ・・・・・・・・・・・・ -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-03-04 21 47 40) ぱらっぱっぱっぱ~あいらーぶに。 -- るんと (2011-03-09 18 16 36) るんとさんみにきてくれたの -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-03-09 18 29 39) ウルトラ臨終さんにあいました~~~ -- キングツルリーナ3世 (2011-03-15 18 16 48) 荒らし魔 (2011-03-17 00 55 58) wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww (2011-03-21 06 35 53) wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww (2011-03-21 06 36 04) さっきちびちゃとやったら「ナンパ男」って人に声かけられた -- あ (2011-05-03 11 44 08) おーーーーーーーーーーーーーーーーーいまたきたよーーーーーーーーー -- パパゲーナ5号 (2011-07-14 19 48 28) 名前 コメント
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『マスタードを少しだけ2』 12KB いじめ 日常模様 野良ゆ 子ゆ ゲス 現代 独自設定 前回露骨過ぎると言われたので今回はかなりぼかしてみました ※俺設定注意 ※シリーズ「マスタードを少しだけ」 辛口の短かい話です。 ※作者は長月 ※社会風刺、政治批判、毒の効いた皮肉を含みます。実在の人物、団体とは関係ありません。 4th episode どこかで見た笑顔 「ゆゆっ!!やっとあけてくれたね!!」 何やら玄関のほうから音がするのでドアを開けたら一匹のぶくぶくに太ったゆっくりれいむがいた。 小汚くバッジもないので野良だと分かる。どうやらこいつがドアに体当たりしていたらしい。 「・・・・なんか用か?」 「れいむはめぐまれないおちびちゃんのためにこのみをささげるじあいっにみちたゆっくりなんだよ!!これをみてね!!」 そう言ってれいむは2匹の子ゆっくりを見せる。2匹ともガリガリにやせておりお飾りもない。 「おねがいでしゅ・・・まりしゃにごはんをめぐんでくだしゃい・・・」 「れいみゅきのうからなにもたべてないんでしゅ・・・」 「かわいそうでしょ?だからこのこたちにごはんさんをあげてね!!たくさんでいいよ!!」 ああ、なるほど。こいつ物乞いか。最近この手のゆっくりは多い。 どうせかわいそうなおちびちゃんの為なんて言ってるが実際に餌をやれば後で自分が食うつもりだろう。子ゆっくり達にはおこぼれ程度。でなければ野良がここまで太れるはずがない。 まぁこんなみえみえの手でも餡子で家の玄関を汚したくないから潰す人間は少ないし、庭先で喚かれるとわずらわしいからと餌をやる人間はかなりいる。 失敗してもせいぜい追い出されるだけ。 それにこのでいぶはともかく利用されている子ゆっくり達はかわいそうと思うものは多いだろう。 そう考えるとローリスクハイリターンの中々いい方法だ。ヘドが出るが。 「ゆゆ!!はやくしてね!!おちびちゃんがかわいそうでしょ!!」 ふてぶてしい表情で喚くれいむ。その顔が見ていて本当に腹が立つ。 それにしてもこの糞でいぶの顔どっかで見たことあるな。どこでだろう? 「なにしてるの!!?れいむはおなかをすかせたおちびちゃんのためにいそがしいんだよ!!ひるまっからごーろごろしてるにーとっのおにいさんとはちがうんだよ!!」 なおもれいむは口汚く喚き続けている。俺が平日の昼間家にいるのは別にニートだからではないのだが。 つーか良く今まで生きてこれたなこいつ。 まぁいい。そうまで言うなら見せてもらおうじゃないか。このれいむのじあいっ(笑)て奴を。 「ちよっと待ってろ・・・」 俺はある物を取りに行くため家に戻った。 1時間後 「ゆぎゃあああああああ!!!!やべてぇええええええ!!!!」 「おいおい。お前恵まれないお腹をすかせたおちびちゃんの為にその身を捧げるじあいっ(笑)に満ちたれいむ様なんだろ。だったら頑張ってその身を捧げてくれよ。うちのお腹をすかせたゆゆこ達の為にな。」 「いやだぁああああああ!!!そんなのむりぃいいいいいい!!!!」 そう泣き叫ぶれいむの下腹部にはたくさんの子ゆっくり達が群がっている。 「こぼにぇー。」 「うまいにょかー。」 「うー・・うみゃい・・・」 ちなみに全員捕食種だ。俺が育てた自慢のゆっくり達である。 そう俺はブリーダーお兄さん。平日の昼間にこうして家にいるのは断じてニートだからではないのだ。 あの後俺は家にラムネを取りに行きれいむに飲ませた。そして寝ている間に小汚い体を洗いあんよを焼いておいたのだ。 こうしてれいむはうちの捕食種子ゆっくりの生餌となった。 下のほうから少しずつ食べられていくれいむ。ぶくぶくに太ったこいつなら1週間は持つだろう。 「いだいいだいいだいいだいぃいいいいい!!!!!しんじゃう!!しんじゃうぅうううう!!!」 なんとか動かせる口から上を動かしぐねぐねと動き続ける。わさわさと動き続けるもみ上げと相まって公害レベルにうるさいしうざい。 「あーうるせぇな・・・ご近所から苦情が来るだろうが。」 俺はホッチキスを手に取るとれいむの口をパチンパチンと閉じる。ついでに目障りなもみ上げも切っておく。これでれいむにできるのは涙を流すことくらいになった。 えっ?こいつが連れてた子まりさ達はどこへいったかって? 子まりさ達は犠牲になったのだ・・・あそこにいる母体用ゆゆこの食欲の犠牲にな・・・ こうして万事一件落着したわけだがひとつすっきりしないことが残った。 「うーん・・・誰だったかなぁ・・・」 あのれいむが誰かに似てると思うのだがそれが思い出せないのだ。 いつまでも唸っていてもしょうがない。TVでも見よう。 俺はリモコンでテレビの電源を入れる。やっているのはニュースのようだ。 「ああ・・・こいつか。」 画面に映ったある人物を見て俺はやっと疑問が氷解する。 そいつはあのでいぶと同じ、偽善に満ちたいやらしい薄笑いを浮かべていた。 5th episode 本当のやさしさ 大学から帰る途中、商店街を歩いていたら路地裏からゆっくりありすとまりさが飛び出してきた。 「おねがいじますぅううううう!!!あでぃすのおちびちゃんたずけでくださいぃいいい!!!」 「おちびちゃんがおおけがしちゃったんですぅうううう!!!」 藁にもすがる思いといった感じで俺に助けを求める2匹。ふと路地裏を見れば子ありすが白目をむいて横たわっている。 「ゆ・・・いじゃい・・・いじゃいよ・・・」 恐らく通行人でも踏まれたのだろう。靴後がはっきりとその体についている。 既に泣き叫ぶ元気もなく、ただ断続的に痙攣し続けているだけだ。治療しなければ長くはないだろう。 「あでぃすたちはとかいはにあこがれてやまからきたんですぅううう・・でも・・・まちはぜんぜんゆっぐいできなくで・・・」 「たぐざんいたおちびちゃんたちもみんなしんじゃって、このこしかのこってないんですぅうううう!!!だから・・・だから・・・」 必死に懇願し続けるありす達。今は10月の末。多分町に妙な幻想抱いて山から降りてきたゆっくり達だろう。 クリームを吐きながら力なく泣き続ける子ありすのことがよっぽど大切と見える。 そんなありす達を無視し俺は子ありすを手に取り 「ゆ?たすけてくれるの?」 「ありがとうおにいさ・・・」 グチョ そのまま握りつぶした。そのまま子ありすだったものを路地裏のゴミ箱に投げ捨てる。 「ゆぁあああああ!!!!あでぃすのとかいはなおちびちゃんがぁあああああ!!!」 「どぼじでぇえええええ!!!どぼじでそんなひどいことするのぉおおお!!!」 「やかましいんだよ!!!このくそ饅頭どもが!!!」 「「ゆゆ!!」 いきなり怒鳴られ、いすくむ2匹。通りを歩いている通行人たちもなんだなんだとこっちを見ている。 ガスゥ 「ゆべ!!いだいぃいいいいい!!!!」 まだショックで動けないまりさに俺はサッカーボールキックをお見舞いしてやった。 「何が都会派だ!!人間様の領域に踏み込んでんじゃねえよ!!」 「まりざぁあああああ!!!どぼじで・・・どうぼじでそんなことするのぉおおおお!!!ありすたちなにもわるいことしてないでしょおおおおお!!!」 「何がどうしてだ!!手前らくそ饅頭どもは存在そのものが迷惑なんだよ!!とっとと町から出ていかねえともう一発食らわせるぞ!!」 「ゆ・・・ゆびぃいい・・・」 俺の剣幕に押され最早声も出ないありす達。まりさに至っては蹴られたショックもあってしーしーを漏らしてガタガタ震えている。 「ちよっと止めなさいよ!!!」 その時路地裏に俺達以外の声が響いた。 声の主は女性だ。スーツを着て年齢は20代半ばと言ったところか。 「いい年して弱いものいじめなんかして!!!貴方恥ずかしくないの!!」 見れば他の見物している連中も俺に対して非難めいた目をしている。下手すりゃ警察なりゆりんぴーすなりに通報されそうな雰囲気である。 これはこの場を離れたほうがよさそうだ。 俺はささるような視線を受けながらその場を後にした。 ありす達にはそのお姉さんが女神様に見えた。 とかいはに憧れ町へ降りてきたもの噂のようにあまあまも食べられず大きなおうちも手に入らず、人間さんはありす達を邪魔者あつかい。 しかも悪いお兄さんに見つかり最後のおちびちゃんまで殺され、つがいのまりさまで暴力をふるわれてしまう。 そんな不幸なありす達に現れた幸運の女神様。 「もう大丈夫よ。悪いお兄さんはいったから。」 そう言ってお姉さんはバッグの中からめろんぱんとかいうあまあまをくれた。 「「し・・しあわせー!!!」」 それは子供を全て失い意気消沈しているありす達を癒すのに十分な甘さだった。 つらいこともあったし怖い人間さんも多いけどこうして自分達をゆっくりさせてくれる人もいる。 町へ来て以来いいことなんて一つもなかったけどもう少しがんばってみようかな。 そうありすは思った。 「あいつら・・・もう駄目だろうな・・・」 俺は町の雑踏の中つぶやく。あいつらと言うのはもちろんあの2匹のゆっくり達の事だ。 言っておくが俺は虐待お兄さんでもなければ、弱いものをいたぶって憂さをはらすような人間でもない。 むしろ俺はあの2匹を救ってやりたかったのだ。たいしたことも出来ないくせに恩着せがましい言い方ではあるが。 あそこで子ありすを助けてやるのは簡単だった。 どこかそこらのスーパーやコンビニでオレンジジュースでも買ってきて子ありすにかけてやればいい。多少クリームを吐いて弱っていたようだがそれもついでに駄菓子でも買ってきて食べさせれば回復するだろう。 そうすれば俺は子ありすの命の恩人だ。それこそ世界を救った救世主のごとくあの2匹は感謝し、賛美するだろうし、俺も気分良く路地裏を後にできただろう。 しかし俺はあえてそれをしなかった。 それではあの2匹を救えないから。 それでは何も解決しないから。 もしあの子ありすを助ければあの2匹はこう思うだろう。 あのお兄さんはおちびちゃんを助けてくれた。優しい人間さんだ。 ゆっくりできない人間さんも多いけど、ゆっくりできる優しい人間さんもたくさんいて、困ったときには助けてくれる。 だから町はゆっくりできる所なんだ、と。 こうなるともうおしまいだ。ゆっくりは自分にとって都合のいい、ゆっくりできる記憶を優先して覚えるという習性がある。 仮にその後いかに俺が町は危険でゆっくりできない場所だと説明し、元いた山へ帰るよう説得しても「町はゆっくりできる」と記憶した2匹は帰ろうとしないだろう。 そしてそんな甘い考えのゆっくりが生き残れるほど野良の世界は甘くない。1週間と持たず、一家全員物言わぬ万頭になること確実だ。 それに町のルールが分からない2匹が畑あらしやおうち宣言してしまう可能性もある。そうなれば他人にも迷惑をかけることになるのだ。 だからこそ俺は心を鬼にして子ありすを握りつぶし、まりさ達に怒鳴りつけ、暴力もふるった。 町はゆっくりできない所と教えるため。 人間はゆっくりできない存在だと教えるために。 そうしなければあの2匹に「町はゆっくりできない。だから山に帰ろう」と思わせることができないからだ。 足手まといな子ゆっくりさえいなければ山へ帰ることも比較的容易になるだろうし、必要となる食料も少なくなるので今からでも冬ごもりの準備も可能になる。 子守をしていただろうありすとともに頑張ればなんとか成体2匹が冬ごもりできるくらいの量はどうにかなるだろう。 勿論それでも100%確実に生き残れるわけではないが、加工所や先住の野良ゆのいる町にいるより遥かに生存率は上がる。 だがそれも失敗だ。あの余計な正義感を出したOLのせいで。 どうせあの手の人間は飼いもしないくせに、その場限りの施しをして満足するタイプだろう。そんなことしても人間、ゆっくりどちらにも不幸な結末しか待ってないのに。 もうあのありす達が山へ戻ることはない。そして他の山を降りたゆっくり同様悲惨な末路を辿ることになることは馬鹿でもわかる。 優しさとは決して言われるまま乞われるまま施しを与えることではない。 時には鬼、悪魔と罵られ一生恨まれることになっても、それが相手のためなら憎まれ役をやることも必要なのだ。 「はっー・・・・」 吐くため息が白い。もうすぐ冬が来るからだろう。 俺は夕闇に包まれつつある町の雑踏をただ歩き続けた。 後書き 4th episode どこかで見た笑顔 あえて最後にTVに映った人物は書きません。皆さんのご想像にお任せします。 5th episode 本当のやさしさ 「夕暮れと信じる者の幸福」 「ゆっくりまりしゃと聖夜のシンデレラガール」に出てきた無責任系偽善お姉さん三度再登場。(わかり辛いですけど)時系列としては「夕暮れと信じる者の幸福」の1ヶ月ほど前になります。 ちなみに出てきたありすは「夕暮れと三日月」で死に掛けていたありすです。 面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。 ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 今まで書いた作品 anko259 ゆっくりちるのの生態(前編) anko268 選ばれしゆっくり anko279 新種ゆっくり誕生秘話 選ばれしゆっくり番外編 anko292 ゆっくり見ていってね anko304 またにてゐ う詐欺師てゐの日々 anko313 VS最強のゆっくり 史上最低の戦い anko333 夢と現実のはざまで anko350 あるまりさの一生 anko385 ゆっくりを拾ってきた anko425 ゆっくり Change the World(出題編) anko448 ゆっくり Change the World(出題編2) anko484 ゆっくり Change the World(解答編) anko497 あるゆっくりできない2匹の一生 anko542 てんこがゆっくりするSSさん anko558 あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ anko577「餡子ンペ09」ゆっくりを愛でてみた anko613「餡子ンペ09」れいむと幸せを呼ぶ金バッジ anko633「餡子ンペ09」としあき博士のれいぱーありす矯正計画 anko735「餡子ンペ09」あるてんこの一生 メスブタの群れ anko764「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編) anko791「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(後編) anko932 誰も救われない話 anko1022 あるババ・・お姉さんの結婚 anko1057 もらうぞ anko1127 めすぶた祭り anko1224 あるちるのの一生 ずっと続いていく物語 anko1500 ある愛でお兄さんの午後 anko1530 「餡子ンぺ10春」どうして・・・ anko1629 「餡子ンぺ10春」ゆっくりというのは anko1638 とてもかわいそうなでいぶ anko1672 奇跡のドス anko1713 まりさときゃっしゅさん anko1775 ゆっくりしたおちびちゃん anko1836 希少種になる薬 anko1877 幸せまりさ一家 anko1898 となりにいるのは anko2000 最高のゆっくちプレイス anko2104 「餡子ンぺ10夏」代償 anko2116 「餡子ンぺ10夏」あるおりんの一生 わんわんおじいさんと一緒 anko2262 野良まりさと野良おじさん anko2308 どこへいったんだ anko2452 夕暮れと三日月 anko2687 夕暮れと信じる者の幸福 anko2747 ゆっくりまりしゃと聖夜のシンデレラガール anko2760 夕暮れと戻れないあの頃 anko2792 マスタードを少しだけ anko2830 しあわせーなてんこ
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『二択』 8KB 虐待 家族崩壊 虐待人間 失礼します。 『二択』 過去作 anko4445 anko4449 anko4452 anko4456 anko4461 anko4464 勢いで書いた部分が大きいので、読み辛いと思います。それでもよろしいという方は、どうぞ。 「ゆっくりしていってね!」 私が公園のベンチで一休みしていると、そんな声をかけられた。 足元を見下ろすと、そこにはゆっくりの一家。 「はいはい、ゆっくりしていってね」 私は取り敢えず返事を返してやる。込められた感情は、珍しいな、が3割、面倒だなあ、が7割くらいだ。 珍しい、と言っても、この一家そのものはまりさとれいむの番に、数匹の赤ゆっくりという一般的な構成だ。 ただ、この公園に住んでいるゆっくりは基本的に人間を恐れているから、非常時に一か八か『あまあま』をもらおうとするもの以外は人間には近づこうとすらしない。 だから、声をかけてきたこの一家が物珍しく感じたのである。 「ゆっ! にんげんさんは、ゆっくりしてるにんげんさんだね!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 そんな私の内心を知ってか知らずか、返事がもらえたことに喜ぶ一家。 そして、 「ゆっくりしてるにんげんさんは、まりさたちにあまあまちょうだいね!」 それが当然というように、そう宣った。 こいつらは、あれか。ただの馬鹿か。 おそらく、返事をしてくれるような人間だったら、あまあまをくれるに違いないと思ったのだろう。 そこには、何の警戒心もない。 最近では珍しいレベルの餡子脳である。 取り敢えず、その甘すぎる考えに現実を見せてやろう。 「れいむ、まりさとそのおちびちゃん達、どっちが大事かな?」 「ゆ? にんげんさん、なにいってるの? そんなことより、あまあまちょうだいね!」 「何言ってるのもなにも、言葉通りだよ。答えてくれたら、あまあまをあげることを考えなくもない。どっちが大事?」 れいむは、困ったように傍らのまりさを見た。 するとまりさは、微笑みを浮かべ、れいむに頷きかける。 れいむはすぐに私に向き直り、 「ゆっ! まりさもれいむも、おちびちゃんのためならゆっくりできないことでもがまんできるよ! だから、おちびちゃんのほうがだいじだよ!」 自信に満ちた表情で、言った。 「そっか」 私は、れいむに対して笑みを返し、 「じゃあ、まりさはいらないね?」 まりさを思い切り踏み潰した。 「………………ゆ?」 顔にまりさの餡子を付けて、残された一家が呆けた表情を浮かべた。 たっぷりと時間を置いて、 「ばりざああああああああああああああああああ!?」 「「「「「おとーしゃあああああああああああああああん!?」」」」」 一家は、面白いくらいに揃った叫び声を上げた。ただし、別に面白くはない。うるさいだけだ。 「どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおお!?」 すぐに、れいむの叫びは私への抗議へと変わる。 「どうしてって……まりさもれいむも、おちびちゃんのためならゆっくりできないことでも我慢できるんだよね?」 「そんなこといまはかんけいないでしょおおおおおおおおお!?」 「いや、あるよ。だって――」 まりさが大事だったら、おちびちゃんの方を潰してたから。 「…………ゆ?」 私の言葉を聞いて、れいむがぽかん、と口を開ける。 「なにそれえええええええええええ!?」 「いやあ、何それもなにも、人前に出てくるようなゆっくりは潰すのがマナーだしさあ」 言いながら、私は赤ゆっくり達を拾い上げる。 「「「「「おしょらをとんぢぇるみちゃい!」」」」」 「ゆ、はなちてにぇ! かわいいれーみゅがいやがっちぇるよ!」 「おちょーしゃんをころちたくしょにんげんは、ゆっくちちないであやまっちぇにぇ! ぷきゅううううう!」 「ゆんやあああああああ! きょわいいいいいいいい!」 私の手の上で、勝手気ままに騒ぐ赤ゆっくり達。 赤れいむが二匹に、赤まりさが三匹だ。 「おちびちゃんをかえしてねええええええ! いやがってるでしょおおおおおおお!?」 そう要求するだけで何もしないれいむの前に、私は右手に赤れいむ、左手に赤まりさを乗せ、突き出してやる。 「ゆっ! にんげんさん、はんせいしたんだね! そしたら、しゃざいとばいしょうとしてあまあまちょうだいね!」 この後に及んでもまだそんな発言をできるれいむにやや感心しながら、 「まりさ似のおちびちゃん達とれいむ似のおちびちゃん達、どっちが大事?」 もう一度、訊いてやった。 「「「「「ゆううううううううううううう!?」」」」」 驚きの叫びをあげたのは、赤ゆっくり達だ。 れいむは、口をぱくぱくさせているだけである。そろそろ、そういう反応も見飽きてきた。 「早く答えないと、みんな潰すよ?」 だから、取り敢えず急かしてやる。 「ゆ、おきゃーしゃん! まりちゃをたしゅけちぇね!」 反応が一番早かったのは、他よりやや大きな赤まりさだ。 「おきゃーしゃ! れーみゅぎゃきゃわいきゅにゃいにょ!?」 「げしゅのれーみゅにゃんかほっといちぇ、しゃっしゃとまりちゃをたしゅけちぇね!」 それに続き、他の赤ゆっくり達も命乞いを始める。 もう一方のネガキャンをするやつがいるあたり、将来が不安になる――まあ、こいつらに将来なんて無いが。 「さあ、どっち?」 言いながらさらにずい、と手を突き出すと、れいむは砕けるのではないかと思うくらい歯を食いしばりながら、 「れいむににた……おちびちゃんだよ……」 小さな声で、そう言った。 「ゆわーい!」 その言葉を聞き、単純に喜ぶ赤れいむ達。 「ごべんね、おぢびぢゃん……ごべんねぇ……」 「ゆ、おきゃーしゃ、どうちて……」 それと、れいむの泣き顔を交互に眺めながら、赤まりさ達は呆然としていた。 「いやあ、残念だったねぇ、君達」 その赤まりさ達に、私は話しかける。 「でも、仕方ないよ。だってれいむお母さんは、まりさに似てる君達より自分に似てるおちびちゃんの方が可愛いんだから。」 「ゆっ! ちが――」 「違うんなら、どうして『たくさん』いる赤まりさを選ばなかったのかな?」 「ゆぐっ!」 痛いところを突かれ、れいむは押し黙る。「ぼせい」を持つれいむらしい反応だ。 「やっぱり、君達はいらないんだってさ」 「ゆ、おきゃーしゃ、まりちゃは……いらないのじぇ?」 「…………っ」 れいむの沈黙を肯定と取った赤まりさたちは、 「こにょ、くじゅおやあああああああああああ!」 「……ゆっくち! ゆっくち!」 「おきゃー、しゃ」 三者三様の反応を返した。 れいむは目を閉じ、そこから顔を逸らす。 「君達がまりさに生まれたばっかりに、赤れいむ達とずいぶん差が付きましたぁ。悔しいでしょうねえ!」 「ゆ、きゃわいいまりちゃをゆっくちゆるちちぇ――」 そして、左手を、閉じた。 ぐしゃり、という感触がして、左手の上は静かになった。 「ゆ、にん、げん、さん」 何かを言おうとするれいむに、 「さて、どっちのおちびちゃんが大事?」 空いた左手に片方の赤れいむを載せ換え、間髪入れず、私は問う。 「ゆ、あ、もう、やべで……」 「どっち?」 私が詰め寄っても、れいむはがたがたと震えるばかりだ。 そんな時、 「いもーちょをたしゅけちぇにぇ!」 言葉を発したのは、右手の赤れいむだった。 私を含む全員の目が、そこに集まる。 「れいみゅはおねーしゃんだから、いもうちょをまもりゅよ! ぢゃから、いもーちょをたしゅけちぇね!」 キリッという効果音が聞こえそうな表情で、おそろしーしーを漏らしながら、もう一度赤れいむが言った。 「だってさ。それでいい?」 投げやりに私がれいむに聞くと、 「ゆ、おぢびぢゃん、だずげであげられなぐで、ごべんねぇ……。おぢびぢゃんみだいなりっばなおぢびぢゃんにあえで、れいぶば……」 安いお涙頂戴を見せられて不快だったので、取り敢えず右手の赤れいむをそのまま落とした。 「ゆっぎゃああああああああああああああああ!? いぢゃいいいいいいいいいいいいいい!」 即死はしなかったものの致命傷を負い、赤れいむが今日一番の悲鳴を上げる。 「おちびちゃ、すぐにぺーろぺー――」 本能的なものなのか、動こうとするれいむ。 その目の前で、 「ゅぴっ」 私は赤れいむを潰し直した。 すると、れいむは一瞬硬直して、 「おちびちゃん! すぐよくなるからねっ! ぺーろぺーろ!」 すぐにぺーろぺーろを始めた。 潰す前の時点でも無駄だっただろうが、死体にまでやっている姿を見ると、滑稽を通り越して哀れにすら思えるのが不思議である。 「じゃあ、れいむ」 何か、気持ちが萎えてしまったので、私はそろそろ切り上げることにした。 「れいむの『おりぼんさん』と最後のおちびちゃん、どっちが大事?」 「……!」 れいむは、何度も何度も声を出さずに口だけを動かしていたが―― 「おりぼんざん、だよ……」 赤れいむと赤まりさで選ばせた時よりいくらか早く、その結論を出した。 「へえ? どうして?」 「おりぼんざんがなぐなっだら、ゆっぐり、でぎないよ……」 「おちびちゃんがいても?」 「ゆ……ぞう、だよ……」 覚悟を決めた表情で、れいむは言い切った。 「だがら、れいむば、おりぼんざんのぼうが、だいじだよ……」 私は、その言葉を、待っていた。 「じゃあ、れいみゅちゃん。おりぼんさんの方が大事な、嘘つきのれいむお母さんとれいみゅちゃん、どっちが大事?」 潰した一家の残骸をゴミ箱に捨てて、私は元のベンチへと戻ってきた。 そこには、赤れいむだけが残っている。 それを拾い上げ、私は歩き出した。 「ゆ、にんげんしゃん、れいみゅをかいゆっくちにちてくりぇりゅにょ?」 「そうだねえ……」 私は赤れいむの問いに対して、 「れいみゅちゃんは、あまあまいっぱい食べてゆっくり過ごすのと、前と同じように家族と暮らすの、どっちがいい?」 さらに問いを返した。マナー違反? ゆっくり相手だし構わないだろう。 「ゆっ! れいみゅは、あんにゃげしゅとくらすより、あみゃあみゃいっぴゃいたべられるほうがちあわちぇー! ぢゃよ!」 予想通りの答えに、 「そっか」 私は短い応答の言葉を返す。 「まあ、何て答えても、結末は一緒だけどね」 そして、手のそれをゴミ箱に放り込んだ。 後書き もっとじっくりと描写できるようになれば、より良いものが書けるようになるとは思うんですが。難しいです。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。 それから、感想版にて『台風の目』を考察してくださった3038様、ありがとうございます。
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生物ゆっくり うんうん乱舞 俺設定多め ゆっくりが群れを成して住む森の中。 日中天高く昇る陽が森の木々に光を注ぐ。 その光を浴びる樹齢60年はあろうかという大木の根元にぽかりと開けられた穴。 その中から森のざわめきに混じるような、調子はずれの歌声が。 「ゆ~ん♪ゆ~ん♪ゆっくりしていってね~♪」 この穴の主、ゆっくりれいむの歌がその正体だ。 このれいむが昼間から暢気に引きこもっているのには訳がある。 このれいむはゆっくりまりさの子を宿した為、無理をして子供の生育に影響を与えないようにと、まりさに言い包められたからである 今は胎教としてなのか暇を持て余してなのかは分からないが、一匹でゆっくりと歌っている。 「おうたがおわったらおひるねでゆっくりするよ…」 そして歌い終わると独り言なのか胎教なのか分からない呟きを残し、れいむはまぶたをそっと閉じた。 「…?…!?」 れいむの眠りは雑音で妨げられる。 しかしそれを不快には思ってはいない。 「ゆゆん…まりさのおかえりだね…」 まりさはいつも家に入る前にれいむの事を呼ぶのが慣習になっていた。 バリケードを施された巣の奥ではまりさの呼びかけは雑音にしかならないので、今回の雑音も当然まりさが来たものだと思っている。 仰向けに寝ていたれいむは底部を器用によじる事で身を起こし、巣のバリケードまで這って行く。 しかし 「まり…」 と呼びかけようとしたところでれいむは口を噤む。 表から聞こえる声が、愛しのまりさのそれではないと思えたからだ。 さらには同類であるゆっくりの声にも似ていない、聞いたことのない異質のもの。 一人身ならば、持ち前の好奇心で積極的にコンタクトを図るのだが、子を宿したれいむは慎重さを身につけていた。 (まりさじゃないならゆっくりさせないよ…) 物音を立てずにそっと外の様子を窺うように聞き耳を立てていると、突然ばさがさっと乱暴にバリケードがはがされる。 「ゆうううん!?」 「お、当たり!」 「リーチ一発じゃん!」 れいむの眼前に飛び込んできたもの、それは二人の人間だった。 「れいむ一匹だけか?妊娠していたら番待ちするんだがな」 その言動からゆっくりを捕らえる事を目的としているのは明らかだ。 そんな人間の邪な目的を察してか、 「ゆっくりできないよ!」 さっと踵を返して巣の奥に素早く引き篭もる。 「お、結構素早い」 「あれつかうか」 「だな」 れいむが敏感に危険を察しても余裕のある人間達。 ゆっくりの巣の出口が一つしかない事も、その巣の深さも熟知している口ぶりだ。 人間が手にした一つの道具。 野生動物を絡め取る時に使う、長柄の先に鉄製のワイヤーの輪が付いた道具だ、 その輪をれいむへ被せようと手探りだけで棒を動かす。 「ゆっくりできないひもがきたよ!ゆっくりしないででていってね!」 頼まれてもいないのに現状を実況してくれるれいむ。 そのおかげで人間は巣を覗き込まなくても手探りだけで捕まえることが出来る。 「ゆゆぅ!ひもさんはゆっくりはなれてね!れいむのおりぼんさわらないでね!すりすりしないでね!」 これでれいむが輪にかかったことを確信した人間は、手元の紐をグイッと引き絞る。 するとれいむにかかった輪が、孫悟空の緊箍児のように締め付けた。 「ゆい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!」 強烈な痛みで苦悶の声を上げるれいむ。 これもまた人間側には都合のいい合図になり、手にした棒を手繰り寄せる。 強烈な力で引き寄せられ、徐々に近づく人間達の下卑た笑みを目にしたれいむは、気が動転したのか妙な事を口走る。 「うんうんするよおおおおっ!かわいいれいむがうんうんするよおおお!」 わざわざ排泄の合図をすると、本当に宣言通りにれいむの顎下から餡子がひり出されてきた。 その様を見て顔をしかめる人間達。 「うわ…汚物かよ…」 「あちゃ…森の中なら大丈夫だと思ったんだけどなぁ」 「どうする?」 「いいよ、このまま捕まえるさ。後のことは帰ってからにしようぜ」 一旦れいむを引きずり出す手を止めていた人間だが、気を取り直すと再びその手を動かし始める。 しかしその動きは手を止める前に比べると少し遅い。 れいむの醜態に気が乗らなくなったのだ。 「うんうんしてすっきりしたよ!もっとうんうんするよ!」 しつこいアピールにすっかり興醒めした人間は、用意したずた袋へ乱暴にれいむを放り込む。 「うんべっ!?」 「おいおーい、あまり雑にあつかうなよぉ」 「いいんだよー!グリーンだよー!」 「あっひゃっひゃっひゃ!つまんね」 「…」ぼすっ 「ゆぎょお!」 部活帰りのサッカー少年のように袋に入れたれいむを蹴りながら、二人の人間は山を降りていった。 主の片割れを失った巣の中に、一つ残されたれいむのうんうん。 ところがうんうんと思われたそれが突然ぶるぶると動き出すと、中から一匹のゆっくりまりさが出てきたのである。 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇえ!」 それもれいむのうんうんを貪りながら。 れいむは人間に捕まった時に一つ決心をしていた。 「れいむはもうおしまいだよ!まりさはゆっくりがんばってね…でもあかちゃんはゆっくりさせるよ!」 自分の事はどうなっても良い、しかし子供だけは何とか助けたいと必死に知恵を絞った結果、とんでもないことを思いつく。 「うんうんのなかにあかちゃんをかくすよ!うんうんならにんげんさんもほしがらないよ!」 思ったことをその場ですぐに実行出来てしまうのは、流石と言うべきか呆れると言うべきか。 この無茶苦茶な適応力があったからこそゆっくり達は過酷な環境で生きてこられたのだろう。 それはともかくれいむの思惑はまんまと成功し、れいむとまりさの一粒種は人間の魔手から逃れることが出来たのである。 そしてこのれいむが計算づくだったのかどうかは分からないが、もう一つ赤まりさにとって良い事が。 それはまりさを包むうんうんだ。 ご存知の通りゆっくりのうんうんの正体は餡子。 目の前でうんうんとして排出されれば忌避するのだが、赤ゆっくりとしてれいむの体内で眠っていたまりさはうんうんとして排出された事など知りもしない。 それにうんうんとして排出はされたが、したくもないのに出したうんうんは、れいむの体の一部を無理やりひり出したもの。 正確にはうんうんと呼ぶべき代物ではないのかも知れない。 ナマコが緊急時に肛門から内蔵を吐き出すのに近い行為だろう。 何はともあれ、れいむの番のまりさが帰るまでの間、この赤まりさが食べ物に困る事態は避けられたのである。 「おなきゃいっぱいだから、まりしゃはおねむだよ…」 そして空腹を大量の餡子で満たした赤まりさは、暫くの間すやすやと安らかに眠っていた。 れいむが誘拐されてから数刻後、番であるまりさが帽子の中に食料を抱えて帰還してきた。 「れいむのまりさがかえったよ!…おおおおおっ!おうちがたいへんだよおお!」 乱暴に散らかされたバリーケードを見て最悪の事態を想像し、一瞬で顔を青ざめさせるまりさ。 「れいむうううううう!」 愛するれいむの安否を確かめるために巣に飛び込むと、一匹の小さなまりさを見つける。 「ゆゆっ!?なんでれいむじゃなくて、ちっちゃいまりさがまりさのおうちでゆっくりしているの!?」 れいむが必死の思いで託した赤まりさだとは知る由も無いまりさ。 お家に余所者が紛れ込んだと思うのは当然だろう。 「ゆ…ゆゆぅ…」 凄い剣幕で問いかけるまりさに言葉を詰まらす赤まりさ。 まりさの問うた「おうち」が何であるかを理解していないのも一因だが、初めて見るゆっくりから詰問されたのだから怖気づいても仕方が無い。 まりさはそんな煮え切らない態度の赤まりさに強い敵意を持ってしまう。 れいむが居なくなった隙にこの赤まりさが乗っ取ったのと思い始めたからだ。 勝手にお家を乗っ取る不届きなゆっくりは、暴力で追い出されることも多いのだが、しかしまりさも鬼ではない。 赤子であるのはそのサイズを見れば明らかなので、大人の威厳を持って追い出そうと圧力を掛けるのだ。 「ここはまりさとれいむのおうちなんだよ!ちっちゃいまりさはじぶんのおうちにかえってね!」 赤まりさから見れば巨人ともいえるサイズをぷくーと膨らませる事で更に大きく見せるまりさ。 「にゅぅえええええ!まりしゃのおかあしゃんはどこいっちゃったにょおお!?おとうしゃんはどきょなにょおお!?」 しかし赤まりさはその姿に怯むのではなく、保護者を求めてを嘆きだした。 生まれてすぐにあまあまを口にして忘れていたのだろうが、目の前に大人のゆっくりが現れた事で、自分が未だ母にも父にも対面していなかった事を思い出したのだ。 「ゆっうーっ!まりさがゆっくりできないから、ちびまりさはゆっくりでていってね!」 噛み合わない会話に痺れを切らしたまりさが体当りで赤まりさを押し出そうとした時だった。 「…れいむ!?…れいむのにおいがするよ!」 居ない筈のれいむの存在を匂いで感じ取ったまりさは体当りを中断する。 れいむが一日中篭っていたのだから、巣の中でれいむの匂いがするのは当然なのだが、まりさは目の前の小さなゆっくりからより強い匂いを感じ取ったのだ。 「…このちびちゃんかられいむのにおいがするよ…」 れいむから生まれたばかりの赤まりさ。 うんうんに包まれた生まれといえど、餡から皮までれいむから分け与えられた物なのだから、れいむの要素を強く引き継ぐのも当然だろう。 そしてまりさは赤まりさが自身の分身である事に気付くと同時に、れいむが帰らぬ存在になってしまった事に気付いてしまう。 悲しみに押しつぶされそうになったまりさだが、目の前の赤まりさかられいむの最後の願いを強く感じ取ると気を強く持ち直した。 「…おちびちゃんのおかあさんはもういないよ…でもおとうさんはまりさだからゆっくりしていってね!」 「ゆゆぅっ!?まりしゃのおとーしゃんはまりしゃなの!?」 「そうだよ!だからいっしょにゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしちぇいっちぇにぇ!」 こうして二匹のゆっくりは、奇跡的な邂逅を遂げたのだ。 れいむを失う悲劇に見舞われたまりさ親子だが、これからはれいむの分までゆっくりするだろう。 と思われたが… 「にゅぅええええ!にぎゃいよおおおお!」 「おちびちゃん、これはおいしいごはんだよ?むーしゃむーしゃしようね!?」 「むーちゃむ…おえっ!に゛がい゛い゛い゛い゛い゛!むーちゃむーちゃしたくないよぉ!!!」 今しがた親まりさが持ち帰った虫や草を口にした赤まりさは、味の不快感に我慢が出来ずに一つ残らず吐き出してしまった。 「ゆうううん!?おはなさんはむーしゃむーしゃできるでしょお?」 「むー…え゛え゛え゛え゛え゛…ゆっきゅりできにゃいよぉ…」 この赤まりさが普通のゆっくりが食べる物を受け付けなくなったのも理由がある。 答えは単純、生まれてすぐに上質のあまあまをたらふく口にしてしまったから。 結果赤まりさの舌は肥えた物になり、森の恵みだけでは満足できない体になってしまった。 れいむの機転は一見赤まりさを庇護したかに見えたが、結局赤まりさを不幸な環境に産み落としただけだった。 「ゆっ!?ゆぎょ!?おごっ!おびょぼぼぼぼ…」 「ゆううううう!おちびちゃん!しっかりしてぇ!?」 「…もっちょ…ゆっきゅり…ちちゃかっちゃよ…エレッ」 れいむが無理して産んだ未熟な体だった事も一因だろうが、体に合わなくなった物を無理して食べてしまった所為で、一日と経たずに幼い命は失われてしまった。 「れいむもおちびちゃんもいなくなっちゃったよ…」 完全に独りぼっちになったまりさ。 ひとり巣の中で悲しみに暮れていると、まりさヘ向かって声を掛ける者が現れた。 「お、もう新しいのが入っているな」 「これだけ広いと他のゆっくりが放っておかないんだろうな」 「…ゆぅ?」 おわり 一部のヤスデは卵を糞に包んで産むと知って思いついた。 このSSに感想をつける
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生物ゆっくり うんうん乱舞 俺設定多め ゆっくりが群れを成して住む森の中。 日中天高く昇る陽が森の木々に光を注ぐ。 その光を浴びる樹齢60年はあろうかという大木の根元にぽかりと開けられた穴。 その中から森のざわめきに混じるような、調子はずれの歌声が。 「ゆ~ん♪ゆ~ん♪ゆっくりしていってね~♪」 この穴の主、ゆっくりれいむの歌がその正体だ。 このれいむが昼間から暢気に引きこもっているのには訳がある。 このれいむはゆっくりまりさの子を宿した為、無理をして子供の生育に影響を与えないようにと、まりさに言い包められたからである 今は胎教としてなのか暇を持て余してなのかは分からないが、一匹でゆっくりと歌っている。 「おうたがおわったらおひるねでゆっくりするよ…」 そして歌い終わると独り言なのか胎教なのか分からない呟きを残し、れいむはまぶたをそっと閉じた。 「…?…!?」 れいむの眠りは雑音で妨げられる。 しかしそれを不快には思ってはいない。 「ゆゆん…まりさのおかえりだね…」 まりさはいつも家に入る前にれいむの事を呼ぶのが慣習になっていた。 バリケードを施された巣の奥ではまりさの呼びかけは雑音にしかならないので、今回の雑音も当然まりさが来たものだと思っている。 仰向けに寝ていたれいむは底部を器用によじる事で身を起こし、巣のバリケードまで這って行く。 しかし 「まり…」 と呼びかけようとしたところでれいむは口を噤む。 表から聞こえる声が、愛しのまりさのそれではないと思えたからだ。 さらには同類であるゆっくりの声にも似ていない、聞いたことのない異質のもの。 一人身ならば、持ち前の好奇心で積極的にコンタクトを図るのだが、子を宿したれいむは慎重さを身につけていた。 (まりさじゃないならゆっくりさせないよ…) 物音を立てずにそっと外の様子を窺うように聞き耳を立てていると、突然ばさがさっと乱暴にバリケードがはがされる。 「ゆうううん!?」 「お、当たり!」 「リーチ一発じゃん!」 れいむの眼前に飛び込んできたもの、それは二人の人間だった。 「れいむ一匹だけか?妊娠していたら番待ちするんだがな」 その言動からゆっくりを捕らえる事を目的としているのは明らかだ。 そんな人間の邪な目的を察してか、 「ゆっくりできないよ!」 さっと踵を返して巣の奥に素早く引き篭もる。 「お、結構素早い」 「あれつかうか」 「だな」 れいむが敏感に危険を察しても余裕のある人間達。 ゆっくりの巣の出口が一つしかない事も、その巣の深さも熟知している口ぶりだ。 人間が手にした一つの道具。 野生動物を絡め取る時に使う、長柄の先に鉄製のワイヤーの輪が付いた道具だ、 その輪をれいむへ被せようと手探りだけで棒を動かす。 「ゆっくりできないひもがきたよ!ゆっくりしないででていってね!」 頼まれてもいないのに現状を実況してくれるれいむ。 そのおかげで人間は巣を覗き込まなくても手探りだけで捕まえることが出来る。 「ゆゆぅ!ひもさんはゆっくりはなれてね!れいむのおりぼんさわらないでね!すりすりしないでね!」 これでれいむが輪にかかったことを確信した人間は、手元の紐をグイッと引き絞る。 するとれいむにかかった輪が、孫悟空の緊箍児のように締め付けた。 「ゆい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!」 強烈な痛みで苦悶の声を上げるれいむ。 これもまた人間側には都合のいい合図になり、手にした棒を手繰り寄せる。 強烈な力で引き寄せられ、徐々に近づく人間達の下卑た笑みを目にしたれいむは、気が動転したのか妙な事を口走る。 「うんうんするよおおおおっ!かわいいれいむがうんうんするよおおお!」 わざわざ排泄の合図をすると、本当に宣言通りにれいむの顎下から餡子がひり出されてきた。 その様を見て顔をしかめる人間達。 「うわ…汚物かよ…」 「あちゃ…森の中なら大丈夫だと思ったんだけどなぁ」 「どうする?」 「いいよ、このまま捕まえるさ。後のことは帰ってからにしようぜ」 一旦れいむを引きずり出す手を止めていた人間だが、気を取り直すと再びその手を動かし始める。 しかしその動きは手を止める前に比べると少し遅い。 れいむの醜態に気が乗らなくなったのだ。 「うんうんしてすっきりしたよ!もっとうんうんするよ!」 しつこいアピールにすっかり興醒めした人間は、用意したずた袋へ乱暴にれいむを放り込む。 「うんべっ!?」 「おいおーい、あまり雑にあつかうなよぉ」 「いいんだよー!グリーンだよー!」 「あっひゃっひゃっひゃ!つまんね」 「…」ぼすっ 「ゆぎょお!」 部活帰りのサッカー少年のように袋に入れたれいむを蹴りながら、二人の人間は山を降りていった。 主の片割れを失った巣の中に、一つ残されたれいむのうんうん。 ところがうんうんと思われたそれが突然ぶるぶると動き出すと、中から一匹のゆっくりまりさが出てきたのである。 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇえ!」 それもれいむのうんうんを貪りながら。 れいむは人間に捕まった時に一つ決心をしていた。 「れいむはもうおしまいだよ!まりさはゆっくりがんばってね…でもあかちゃんはゆっくりさせるよ!」 自分の事はどうなっても良い、しかし子供だけは何とか助けたいと必死に知恵を絞った結果、とんでもないことを思いつく。 「うんうんのなかにあかちゃんをかくすよ!うんうんならにんげんさんもほしがらないよ!」 思ったことをその場ですぐに実行出来てしまうのは、流石と言うべきか呆れると言うべきか。 この無茶苦茶な適応力があったからこそゆっくり達は過酷な環境で生きてこられたのだろう。 それはともかくれいむの思惑はまんまと成功し、れいむとまりさの一粒種は人間の魔手から逃れることが出来たのである。 そしてこのれいむが計算づくだったのかどうかは分からないが、もう一つ赤まりさにとって良い事が。 それはまりさを包むうんうんだ。 ご存知の通りゆっくりのうんうんの正体は餡子。 目の前でうんうんとして排出されれば忌避するのだが、赤ゆっくりとしてれいむの体内で眠っていたまりさはうんうんとして排出された事など知りもしない。 それにうんうんとして排出はされたが、したくもないのに出したうんうんは、れいむの体の一部を無理やりひり出したもの。 正確にはうんうんと呼ぶべき代物ではないのかも知れない。 ナマコが緊急時に肛門から内蔵を吐き出すのに近い行為だろう。 何はともあれ、れいむの番のまりさが帰るまでの間、この赤まりさが食べ物に困る事態は避けられたのである。 「おなきゃいっぱいだから、まりしゃはおねむだよ…」 そして空腹を大量の餡子で満たした赤まりさは、暫くの間すやすやと安らかに眠っていた。 れいむが誘拐されてから数刻後、番であるまりさが帽子の中に食料を抱えて帰還してきた。 「れいむのまりさがかえったよ!…おおおおおっ!おうちがたいへんだよおお!」 乱暴に散らかされたバリーケードを見て最悪の事態を想像し、一瞬で顔を青ざめさせるまりさ。 「れいむうううううう!」 愛するれいむの安否を確かめるために巣に飛び込むと、一匹の小さなまりさを見つける。 「ゆゆっ!?なんでれいむじゃなくて、ちっちゃいまりさがまりさのおうちでゆっくりしているの!?」 れいむが必死の思いで託した赤まりさだとは知る由も無いまりさ。 お家に余所者が紛れ込んだと思うのは当然だろう。 「ゆ…ゆゆぅ…」 凄い剣幕で問いかけるまりさに言葉を詰まらす赤まりさ。 まりさの問うた「おうち」が何であるかを理解していないのも一因だが、初めて見るゆっくりから詰問されたのだから怖気づいても仕方が無い。 まりさはそんな煮え切らない態度の赤まりさに強い敵意を持ってしまう。 れいむが居なくなった隙にこの赤まりさが乗っ取ったのと思い始めたからだ。 勝手にお家を乗っ取る不届きなゆっくりは、暴力で追い出されることも多いのだが、しかしまりさも鬼ではない。 赤子であるのはそのサイズを見れば明らかなので、大人の威厳を持って追い出そうと圧力を掛けるのだ。 「ここはまりさとれいむのおうちなんだよ!ちっちゃいまりさはじぶんのおうちにかえってね!」 赤まりさから見れば巨人ともいえるサイズをぷくーと膨らませる事で更に大きく見せるまりさ。 「にゅぅえええええ!まりしゃのおかあしゃんはどこいっちゃったにょおお!?おとうしゃんはどきょなにょおお!?」 しかし赤まりさはその姿に怯むのではなく、保護者を求めてを嘆きだした。 生まれてすぐにあまあまを口にして忘れていたのだろうが、目の前に大人のゆっくりが現れた事で、自分が未だ母にも父にも対面していなかった事を思い出したのだ。 「ゆっうーっ!まりさがゆっくりできないから、ちびまりさはゆっくりでていってね!」 噛み合わない会話に痺れを切らしたまりさが体当りで赤まりさを押し出そうとした時だった。 「…れいむ!?…れいむのにおいがするよ!」 居ない筈のれいむの存在を匂いで感じ取ったまりさは体当りを中断する。 れいむが一日中篭っていたのだから、巣の中でれいむの匂いがするのは当然なのだが、まりさは目の前の小さなゆっくりからより強い匂いを感じ取ったのだ。 「…このちびちゃんかられいむのにおいがするよ…」 れいむから生まれたばかりの赤まりさ。 うんうんに包まれた生まれといえど、餡から皮までれいむから分け与えられた物なのだから、れいむの要素を強く引き継ぐのも当然だろう。 そしてまりさは赤まりさが自身の分身である事に気付くと同時に、れいむが帰らぬ存在になってしまった事に気付いてしまう。 悲しみに押しつぶされそうになったまりさだが、目の前の赤まりさかられいむの最後の願いを強く感じ取ると気を強く持ち直した。 「…おちびちゃんのおかあさんはもういないよ…でもおとうさんはまりさだからゆっくりしていってね!」 「ゆゆぅっ!?まりしゃのおとーしゃんはまりしゃなの!?」 「そうだよ!だからいっしょにゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしちぇいっちぇにぇ!」 こうして二匹のゆっくりは、奇跡的な邂逅を遂げたのだ。 れいむを失う悲劇に見舞われたまりさ親子だが、これからはれいむの分までゆっくりするだろう。 と思われたが… 「にゅぅええええ!にぎゃいよおおおお!」 「おちびちゃん、これはおいしいごはんだよ?むーしゃむーしゃしようね!?」 「むーちゃむ…おえっ!に゛がい゛い゛い゛い゛い゛!むーちゃむーちゃしたくないよぉ!!!」 今しがた親まりさが持ち帰った虫や草を口にした赤まりさは、味の不快感に我慢が出来ずに一つ残らず吐き出してしまった。 「ゆうううん!?おはなさんはむーしゃむーしゃできるでしょお?」 「むー…え゛え゛え゛え゛え゛…ゆっきゅりできにゃいよぉ…」 この赤まりさが普通のゆっくりが食べる物を受け付けなくなったのも理由がある。 答えは単純、生まれてすぐに上質のあまあまをたらふく口にしてしまったから。 結果赤まりさの舌は肥えた物になり、森の恵みだけでは満足できない体になってしまった。 れいむの機転は一見赤まりさを庇護したかに見えたが、結局赤まりさを不幸な環境に産み落としただけだった。 「ゆっ!?ゆぎょ!?おごっ!おびょぼぼぼぼ…」 「ゆううううう!おちびちゃん!しっかりしてぇ!?」 「…もっちょ…ゆっきゅり…ちちゃかっちゃよ…エレッ」 れいむが無理して産んだ未熟な体だった事も一因だろうが、体に合わなくなった物を無理して食べてしまった所為で、一日と経たずに幼い命は失われてしまった。 「れいむもおちびちゃんもいなくなっちゃったよ…」 完全に独りぼっちになったまりさ。 ひとり巣の中で悲しみに暮れていると、まりさヘ向かって声を掛ける者が現れた。 「お、もう新しいのが入っているな」 「これだけ広いと他のゆっくりが放っておかないんだろうな」 「…ゆぅ?」 おわり 一部のヤスデは卵を糞に包んで産むと知って思いついた。 このSSに感想をつける
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『愛された果てに』 40KB 観察 家族崩壊 現代 独自設定 失礼します。 anko2611 ゲスゆっくり奮闘記1 anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2 anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3 anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4 anko3456 れいむのゆん生 anko3458 まけいぬとゆっくり anko3461 ゆっくりに生まれて anko3484 ゆっくりブリーダー anko3489 休日とゆっくり anko3652 ドスについて anko3715 ゆっくりに餌を anko3729 はじめてのぎゃくたい anko3730 はじめてのしいく anko3794 まりさとの勝負 anko3843 野球部のゆっくり anko3855 ゆっくりと会話してみた anko3932 ゆっくり観察日記 anko3933 ゆっくりと子供 anko3953 しんぐるまざーの朝は早い anko4016 虐められるためのゆっくり anko4094 普通の人とゆっくり 「」ゆっくりの台詞 『』人間の台詞でお願いします 「ゆっくりおきるよ!」 朝のまだ早い、やや薄暗いだろう時間の、ある大きな群れ。 そこに所属する一匹のまりさが巣の中で声をあげた。 木の根元に作られた広く、またすべすべの巣の中、奥のベッドで寝ている番のれいむに、その子供たちを見ながら彼女はニッコリ笑う。 一家の長として、これから狩に向かう彼女は家族の寝顔を見て、それをエネルギーに頑張ろうとしているのだ。 それと同様の光景は、周囲に乱立する木の根元にある巣で数多く見られている。 それらを朝の日課を終えたのか、広い群れの敷地の木の根元からぞろぞろと父親役だろうゆっくりが出てくる。 まりさ種が一番に多く、次にみょん種、ちぇん種など活発なゆっくりが続き、れいむ、ありす、ぱちゅりーなどもチラホラ見られた。 まりさは、近隣のゆっくりたちに声をかけながら食事を探すために跳ねながら移動していく。 「きょうっも! おいっしい! ごはんっさん! たっぷり! あってね!」 疲れるだろうに、まりさはゆっくりらしく自分の考え行動を大声で喋りながら跳ねていく。 街中の、惨めに這いずって、黙々とゴミを漁るゆっくりとは対照的な伸び伸びとして姿。 他のゆっくりも同じように声をあげ、皆笑顔で飛び跳ねながら狩に向かっていっていた。 まりさはしばらく跳ねて、いつもの狩場にたどり着いた。 既に、そこには何匹ものゆっくりがいて狩を開始しているようだった。 早い者は、既に十分な食料を得てこれから巣に戻って家族とゆっくり過ごそうとしている者もいる。 「ゆっ! まりさも いそがないと!」 それを見て、まりさは同じく狩を始める。 「きょうっも おいしいごはんさんがたくっさんだよ! まりさはかりのたつゆんだね!」 目につく限りの食料をどんどん帽子に詰め込んでいき、ほんの短時間でまりさの帽子と口の中は食料で埋め尽くされていた。 通常の野生ゆっくりの数倍の食料を手にしたまりさは、笑顔のまま巣に向かって跳ねだした。 「ゆふふ、きょうも たっくさんごはんとれたよ! これで、れいむもおちびちゃんも おおよろこびだよ!」 相変わらずの不思議饅頭、口を閉じたまま喋ってニヤニヤ気味の悪い笑顔を浮かべていた。 そして、自分の巣に飛び込むようにして入る。 「ゆ! ゆっくりただいま!」 「ゆ! まりさおかえりなさい!」 「「おちょーしゃん! おきゃえりなしゃい!」」 まりさの声に、既に起きていて朝のうんうんの真っ最中だったらしい子供と、その手伝いをしていたれいむが声を返した。 大き目の葉っぱの上に、うんうんをさせていたれいむは、それを舌で器用に丸めると巣の奥に開いた穴に落とした。 「ゆふふ、きょうもしっかりうんうんできたねおちびちゃん」 「ゆっ、それはえらいね! たくさん うんうんして どんどんおおきくなってね!」 「「ゆ! わかっちゃよ! しょれよりごはんにしちぇね!」」 毎日うんうんするのは健康と成長の証、親からそう言われて育ったまりさとれいむは、子供のうんうんに笑顔を浮かべて頷きあう。 二匹の子まりさ子れいむは、褒められたのは嬉しいけれどお腹が空いているのが優先なようで、涎を垂らしながらまりさを見つめていた。 「ゆ! ごめんねおちびちゃん、ついわすれちゃってたよ! すぐにごはんにしよーね、れいむおさらをよういしてね!」 「ゆっくりりかいしたよ! ゆっしょゆっしょ」 まりさの声に、れいむ巣の奥から大きめの葉っぱを持ってきた。 「ゆっぺ! ゆふふ、きょうもおいしいごはんがたっくさんだよ!」 「「ゆ、ゆわぁぁああ!! おいちちょー! おちょーしゃんしゅごーい!!」」 口の中のご飯を葉っぱに吐き出すと、子供たちは目を輝かせうれしーしーまでしながら喜んでいた。 それに「ゆふゆふ」笑いながら満足したまりさは、帽子の中の食料を奥の食料庫に放ってから戻る。 しっかり躾をされているのか、その間も子供たちは涎を垂らしながらも、ご飯には口を着けず待っている。 子まりさは、お下げを振り回しながら「ゆわゆふ!」と目を輝かせて涎を垂らしていて。 子れいむは、もみ上げをピコピコさせながら、何故か底面を持ち上げもるんもるんと振っていた。 「ゆわぁ、おちびちゃん とってもぷりてぃーだよぉ hearts;」 「まりさもおなじきもちだよ! さ、あんまりおちびちゃんをまたせたら かわいそうだから ごはんにしようね!」 親子四匹で大きな葉っぱに乗った山盛りの食料を囲む。 二匹の子供は、今か今かと涎を垂らして、二匹の親はその可愛さに頬を緩ませていた。 そして。 「それじゃ、ゆっくりいただきます!」 「「いちゃじゃきまーーす!! はむ! ぐちゃぐちゃ! はぶ! ぱにぇ! これ! はんぱねぇ!」」 汚れるのも構わず、大量の食料に頭から突っ込んで尻を振りながら貪って行く二匹を、両親は優しく見守る。 「ほんとにゆっくりしてるね!」 「まりさのおかげだよぉ、おいしいくささんに、きのみさんに、おちびちゃんが だいすきなちゃいろさん、こんなにたっくさんとってきてくれたから……まりさは ほんっとうにじまんのだんなさんだよ!」 「ゆふふ、それほどでもないよ、まりさはれいむたちが いるからがんばれるんだもん」 二匹は身体を寄せて、親愛を表す優しいすーりすーりを繰り返す。 寒さを凌ぐのではなく、性欲の発散でもない、お互いの頬をゆっくり優しく、暖かさを確かめ合うような行為を、最愛の子供を見ながら繰り返した。 「「ゆげっぴゅ! みょう いらにゃいよ! ゆっぷ!」」 山盛りの食料の一部を貪り切った二匹は、食べ進んだ所で食べかすだらけの体を仰向けにして、膨らんだ腹を見せつけながら動きを止めた。 「ゆふふ、たっくさんむーしゃむーしゃしたね! おちびちゃん、ぺーろぺーろしてあげるよ!」 「ゆひゃひゃ! くしゅぐったいよ!」「れいみゅも! れいみゅもしちぇね! すぐでいいよ!」 れいむは、二匹の身体についた食べかすをその長い舌で舐めとっていく。 その姿を見ながら、まりさは幸せに浸っていた。 優しい妻に、可愛い子供の成長、これ以上の幸せはないと信じて笑みを浮かべる。 「ゆふふ、みんなゆっくりしてるね……」 これまでの自分のゆん生を振り返って、苦労を思い出すと涙が出そうになるが、まりさは父親としてそれを飲み込む。 子供の頃の姉妹の死、何回も経験した越冬、おうち作りの苦労、れいむとの熱愛、狩の辛さ。 様々な記憶が、今の幸せに繋がっていると思うと、感情が震えだしていた。 「まりさ? どうかしたの?」 「ゆっ!? な、なんでもないよ……おちびちゃん、ねちゃった?」 「うん、みて、かわいいねがおだよ……」 静かになったまりさを心配して、れいむが声をかけてきた。 それにビクッと反応して、目線をれいむに向けると、彼女はお腹を一杯にして眠りだした子供二匹を優しく見つめていた。 まりさたちは、食事をしたら直ぐにご飯あとのすーやすーやを始めるのは、大きくなる秘訣だとそう教わっていた。 まりさは、ずーりずーりと底面を静かに這わせて、草のベッドで眠りにつく子供たちの頭をお下げでそっと撫でる。 「ゅ、ゅぴぴ、れーみゅの、こんしゃーとに、あちゅまってくれて、ゆぷぅ」 「ゆぴー、ゆぷー、まりしゃ、ちゅいにどしゅになっちゃの じぇぇ、ゆぴぴぅ……」 寝言を漏らしながら、幸せ一杯の寝顔を見せている二匹を、まりさとれいむは満面の笑顔で見つめる。 「かわいいね、おちびちゃん」 「うん、れいむも そうおもうよ」 しばらくその幸せをかみ締めるように、寝顔を堪能した二匹は、静かに子供の食べた後の食事を開始した。 時より、ベッドの方を見て、夫婦で微笑みあったりしていた。 食事を終えて、余った食料をれいむが色々分別するのを見ながらまりさは外を見つめる。 「……れいむ! まりさ ちょっとおさんぽしてくるよ!」 「ゆ! わかったよまりさ、おひるにはかえってきてね!」 「ゆん! あたりまえだよ、それじゃあ おちびちゃんをよろしくね!」 れいむに子守を任せると、自慢の帽子を一番格好良いと思っている角度で被って巣の外に出る。 「ゆっゆ~ん! きょうもいいてんきだよ!」 朝の狩では急いでいて感じる暇もなかったけれど、今日も空は青空で心地よい暖かさだった。 「そろそろなつさんがくるんだね」 まりさは夏が好きだった、暖かいし、何よりまりさが生まれたのは3回前の夏。 子供が生まれたのは秋の終わり、そう考えると秋も好きだなと、まりさは考えていた。 「むきゅ、まりさ、こんにちは、おさんぽかしら?」 「ゆ? おさ! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね」 暖かい森の中を進んでいたら、まりさの所属する群れの長であるぱちゅりーが声をかけてきた。 この長ぱちゅりーは、10回以上のの越冬を経験した頼れる長だった。 「まりさ、おちびちゃんはげんきかしら?」 「げんきだよ! きょうもごはんさんたーっぷりたべて いまはすーやすーやタイムのまっさいちゅうだよ!」 「それはよかったわね、おちびちゃんがおとなになるまでのにねんかん、しっかりそだててあげるのよ?」 長の言葉にまりさは笑顔で、自信に満ちた笑顔で頷いた。 「とうっぜんだよ! まりさがそうしてもらったんだから、まりさもおちびちゃんをたいっせつにそだてるよ!」 まりさの言葉に満足したのか、長はニコニコ頷いて、ゆっくりとその場を後にした。 その後ろ姿を見送ってから、まりさはまた進み出した。 周りには、もう季節を一回りして子ゆっくりサイズになったゆっくりたちが声をあげて走り回って遊ぶ姿が見える。 それを横目に見るように、親ゆっくりが複数集まって世間話をしたりもしていた。 「ゆふふ、みんなゆっくりしてるね」 その光景に笑顔を浮かべながら進み、ちょっと開けた池がある場所に出た。 「ゆっ、こんなとこまできちゃったんだね」 まりさはうっかり遠出してしまったことに驚きながらも、ゆっくり池に近づく。 この池にはにとり等が住む他に、群れの皆の大切な水分補給の役目を担っているのだ。 歩きつかれたまりさは、池に近づいて水を飲むと、しばらくその場で休憩を始めた。 「……ゆっ、そろそろかえるよ! おちびちゃんとごはんにしなくちゃね!」 十分ゆっくりりたのか、思い立って直ぐにぴょんぴょん跳ねて巣に向かう。 周りにも同じように、跳ねて巣へ戻ろうとするゆっくりが何匹もいた。 そのゆっくりに負けないように跳ねて、まりさはれいむと子供の待つ巣に向かった。 「ただいま! ゆっくりかえったよ!」 「ゆっ、まりさおかえりなさい」 「「おちょーしゃん! おきゃえり! おにゃきゃしゅいたよ!」」 巣に戻ると、れいむと遊んでいた可愛い我が子が出迎えてくれた。 相変わらず食欲旺盛な子二匹だけど、それがまた可愛らしく感じられるのか、まりさは明るい笑顔を見せた。 「れいむ、またせちゃったみたいだから、さっそくごはんさんにしよーね」 「わかったよ、ちょっとまっててね!」 「ぎょはんだよ! まぃちゃのむーしゃむーしゃタイムだよ!」「れいみゅのむーしゃむーしゃだよ!」 まりさの声に、二匹は直ぐに涎を垂らして、また嬉しーしーを漏らしながら震えていた。 「まったく、おちびちゃんはくいしんぼうさんだね! ゆふふ」 「ゆっ、みんなごはんだよ!」 れいむが朝のように大き目の葉っぱに、食糧庫に保存しておいたものを持ってきた。 一番多く取れて、保存の利く茶色いものがメインに、乾燥した山菜なども乗せてあり、それなりに彩りがある。 「それじゃあ、ゆっくりいただきます!」 「「いちゃじゃきましゅ! はぐむぐ! むーしゃむーしゃ! ぱねっぇ! こりゃむっちゃぱにゃい!」」 食事が開始されれば朝の焼きまわしだ。 尻を振り乱しながら、お下げともみ上げをピコピコさせて、全身で食糧に突っ込んで食べるだけ食べたら眠る。 理性と対極に位置してそうなその姿を、親二匹は笑顔で見つめていた。 我が子が成長するに必要な栄養を全力で摂取しているのだから、当然のように幸せなのだろう。 「「おちびちゃん、いっぱいたべて、いっぱいおっきくなってね!」」 …………。 ………………。 「いたいよぉおおおぉお!! れーむのあんよがいたいよぉおおおおお!!」 「ゆ、ゆぁ、ゆわぁあああ!! お、おちび、おちびちゃんがぁああ!!」 「れ、れいむ、おちついて! まずはおちついてね!!!」 一冬越えた春先、もう外に出られるくらい大きくなった二匹の子供の内、子れいむが転んで底面、あんよを切る大怪我をしてしまった。 ゆっくりにとって足の怪我は死活問題、即座に死ぬ危険はないけれど、治さなければ一生の問題になってくる。 れいむは、それを解っていて大声でうろたえていた。 その姿に、自分だけはしっかりしなくてはと、まりさは語調を強くしながら叫ぶと、どうしたら良いかを考える。 そして、直ぐに思い至ったのか、ハッと息を呑んだ。 「おさに、おさにきけば なおすほうほうが きっとわかるのぜ!!」 「ゅ、ゆう?」 「おさはなんでも しってるのぜ! まりさがいまからおさにきいてくるから まってるのぜ!!」 まりさはゆっくりしないで、巣の外に出た。 外はもう暗くなっていたけれど、関係ない。 どこからか「う~う~」と、れみりゃの声が聞こえて来たけれど、大切な子供の為に危険も顧みず走り出した。 「おちびちゃん! まっててね、いま まりさ、が……ゆぴぃ、ゆぷ~」 ……。 …………。 「ゅ? ゆっくりおきるよ! ……ゆ?」 翌朝、いつもみたいに巣の中で目を覚ましたまりさは、不思議な気分に包まれた。 「ゆぅ?」 しかし、それが何だったかは思い出せなかった。 ただ、何か妙だなぁ、と思っただけで直ぐに忘れ、いつものように寝ている家族に見て笑いそして狩にでかけた。 「まりさはかりのたつゆんだから、きょうも たっくさんごはんとってくるよ!」 そっと見たベッドの中の子れいむ、まりさに向けているあんよの一部が薄っすら色が変わっていたが彼女はそれに気付かないで跳ねていった。 いつものように狩に向かう皆の流れに乗って狩場に向かうと、いつものようにご飯を口と帽子につめて、来た道を引き返す。 家につくと、何やら中から声が聞こえてきた、どうやら家族が起き出したようだ。 「ゆっ、ただいま!」 「おちびちゃん、ほんっとにだいじょうぶ? どこかへんなとこはない?」 「ゆぅ? なにいってるのおきゃーしゃん、れーむどこもいたくないよ?」 「おとーしゃん、おかえりなのぜ! まりさもそろそろかりにいきたいのぜ!」 まりさの声に反応したのは子まりさだけで、れいむと子れいむは何やら話していてこちらに気付いていないようだった。 しばし、そろそろ狩に行きたい言う野球ボールくらいの大きさになった子まりさと話してから、れいむと子れいむに声をかける。 「れいむ、いったいどうしたの?」 「ゆ、まりさ……」 「おかーしゃんが、さっきかられーむにだいじょうぶ? だいじょうぶ? ってきいてくるんだよ! れーむどこもいたいいたいじゃないのに」 れいむは心配そうな顔で、子れいむをチラチラ見ながら、子れいむはちょっと不機嫌そうな顔でまりさを見てきた。 「れいむ、おちびちゃんがどうかしたの?」 「まりさ、なんだね、おちびちゃんが いたいいたいだったきがするんだよ でも おちびちゃんはだいじょうぶっていうし」 不確かながら、何やら不安を感じているらしいれいむを、まりさは優しくぺーろぺーろした。 「ゆふふ、れいむはやさしいね でも、おちびちゃんは れいむがまもって くれてるから きずひとつないよ」 「ゆぅ~ん、まりさぁ、ありがとうね、れいむ あんっしんしたよ! ぺーろぺーろ」 まりさの行為でれいむは安心したのか、不安そうな顔を引っ込めて笑顔を浮かべた。 れいむが自分の心配をしなくなったので、子れいむはまりさが取ってきた食糧の前で食事の合図を今か今かと待っていた。 それは子まりさも同じらしく、チラチラ親を見ながら涎を垂らす。 「ゆっ! れいむ、そろそろごはんさんにしようね! おちびちゃんがまってるよ!」 子二匹に気付いたまりさは、れいむに声をかけてゆっくり這いずって朝食を始めた。 それからしばらく平和な春が過ぎて、異変は夏に起きた。 そろそろまた秋が訪れてるちょっと前、子ゆっくり二匹が巣立ちをする目前の時期だった。 毎朝のように狩に出かけたまりさは、狩場に起きている最近の変化に声を漏らした。 「きょうも くささんがないよ……ゆん、さいきん ずっとだよ でもちゃいろさんが たくさんあるから だいじょうぶだね!」 ここ数日、普段持ち帰っていた山菜や、木の実などが丸っきり姿を消していたのだった。 その代わりに大量に置かれていたのは、普段は草よりやや大目くらいにある茶色い食べ物。 とりあえず他にないし、それは甘くて美味しいので持ち帰って皆で食べることにした。 「ゆ! かえるよ!」 声をあげて跳ねだした、周りには他のゆっくりも元気に巣に戻っているところだった。 まりさは、その波に乗るように負けぬように跳ねながら、また微妙な違和感を覚えた。 「ゆ…………きのせいだね!」 何だか、少し周りのゆっくりが少ない気がしたけれど、まりさは気にせず家路を急ぐことにした。 「ただいま! きょうも ちゃいろさんがたっくさんだよ!」 「「やったー! おとーさんありがとー!」」 「まりさ、おつかれさま!」 巣に戻れば、もう大分大きくなって巣立ち目前の子二匹と、新たにお腹に子を宿したれいむが迎えてくれた。 いつものように葉っぱにとってきたものを置いて、残りを保存する。 そうしてから、皆で朝の食事を始める。 もう頭から食糧に頭を突っ込むこともなくなった子れいむと子まりさと同じタイミング食事を始める両親は、二匹に巣立ちについて色々と教えているようだった。 巣の作り方、番の見つける基準、子育ての仕方、それらを思い出話と交えながら楽しそうに語っていく。 「ふたりとも まりさの じまんのおちびちゃんだから とってもゆっくりした かぞくをつくれるよ!」 「「ゆん! ありがとうおとーさん!」」 食事を終えると、子ゆっくり二匹は友達と遊びに外に跳ねていった。 既に二匹には意中のゆっくりがいるらしいので、目的はどちらかと言うとそちらだろう。 まりさは、二匹が跳ねていった巣の出口を皆がら息を吐く。 「もう おちびちゃんも すだちのじきなんだね」 「そうだね、まりさ……このおちびちゃんも きっとゆっくりしたこにそだてようね」 まりさの声に聞いて、れいむは揉み上げで自分の膨らんだ腹部を撫でる。 大分大きくなり、そろそろ生まれる新しい我が子に、慈愛の笑みを向けていた。 それは、まりさも同じで、優しい視線でれいむの中の我が子を撫でるように見つめる。 「まりさと れいむのこなんだから きっとゆっくりしたこになるよ!」 「ゆふふ、そうだね」 二匹は寄り添い、次の生まれてくる子供のことを熱心に話し合った。 それから数日経ち、相変わらず山菜が取れない日々が続き、秋になったある日二匹の子供は両親にこう切り出した。 「おとーさん、おかーさん、まりさとれいむははなしが あるのぜ」 「ゆん……わかってるよ」 「ゆぐっ、ゆぐ、ゆあーん! ゆあーん!」 子まりさの真剣の表情から内容を察したまりさは重く、そして嬉しく受け止めて。 れいむは、内容を察した上で寂しさから声をあげて泣いていた。 子れいむ、子まりさも何かに耐えるように身体を震わせ目に甘い涙を浮かべながらも笑顔を浮かべて話し出した。 「れ、れいびゅと、ま、まりじゃは、ひ、ひとりだち、するよ!」 「いばばで、ぁりがぼうなのぜぇ!!」 「ゆん、ゆん……こちらこそ、だよ」 「ゆわぁぁあん! やだよ! やだよぉおお!! いっちゃやだよぉおお!!」 涙を流さぬようにする三匹の分も泣くように、親れいむは大声で泣き続けた。 それでも、時間は残酷に過ぎて行く。 子れいむの番になるちぇんが迎えに来たところで、子まりさもこれから番になるありすと迎えに行くと言うので巣を出て行った。 れいむは最後の最後まで二匹にすーりすーりを繰り返して、二匹が巣を出てからもずっと大きな声で泣いていた。 「ゆん、れいむ すーりすーり、だよ」 「ばりざぁぁあああ!! おちびちゃんが、おちびちゃんがぁああ!!!」 「ゆん、だいじょうぶ、きっとすぐに かわいいおちびちゃんをつれて あいさつにきてくれるよ、ゆん」 泣きじゃくるれいむを、まりさはずっと優しく優しくあやし続けた。 その日まりさは、泣きつかれたれいむをぺーろぺーろして、一筋だけ涙を零すと、れみりゃの声を聞きながら眠りについた。 ……。 …………。 ………………。 「ゅ? なんだか、さむい、よ? ゆぅ?」 まりさが目を覚ますと、そこは見たこともない場所だった。 今まで住んでいた森の中と違う、暗く鬱葱と草が茂り、ジメッとした地面の上にまりさはいた。 「どこ……ここ……」 呆然としながら、まりさは周囲を見回すと直ぐ後ろには番のれいむが寝ていた。 頬に涙の跡をしっかり残したれいむの身体を、まりさは自分のお下げで優しく揺する。 「れいむ、れいむ! おきてね!おきてね!」 「ゅ、ゆうん、なに、まりさ、もうかりはおわったの? ゆ? ゆ? なんで、れいむおそとにいるの」 寝ぼけ眼を揉み上げで擦っていたいたれいむは、自分がいる場所を認識して目を覚ました。 まりさと同じく周囲をキョロキョロ見回してから、不安そうな顔を見せる。 「ま、まりさ、こ、ここ、どこ? なんだか ゆっくりできないよ……」 「まりさも、わからないのぜ……むれのもりとは なんだかちがうみたいだよ」 まりさは言いながら、群れのあった森を思い出す。 柔らかく歩きやすい地面に、綺麗で巣になる木、綺麗な草花に、爽やかで暖かい風。 そのどれもがここにはない、地面は硬くごわごわしていて。 捻じ曲がって、どこか化け物みたいで途方もなく大きな樹木、どこか攻撃的に尖った草花、ジメッとして青臭い風。 どれもこれもがまったく自分の常識外だった。 しかし、泣きそうなれいむを前に自分まで泣く訳にはいかないと顔を引き締める。 「ま、まずは だれかさがそうね! ここがむれのどこか わからないと おうちにかえれないからね!」 そして、努めて明るくまりさは振る舞い、れいむに声をかけた。 その姿に、れいむは少し安心したのか小さめの笑顔を見せて頷き、浮かんでいた涙を揉み上げで拭い消した。 「そ、そうだね! はやくおうちにかえってごはんにしようね! じゃないとおなかのおちびちゃんもおなかをすかせちゃうよ!」 「ゆん! じゃあ、いこ、んゆぎゃぁぁぁあぁああ!?!?!」 「ば、ばりざぁぁぁあ!?!」 一声気合で、一歩跳ねたまりさは大きな声をあげて転げまわった。 「い、いだい、いだいいぃいいい!! あんよがいだいぃいいいぃいいい!!!」 「まり、まりさ、お、おちつ、おちつ、ゆわぁぁあん!! ゆわぁぁああん!!」 今まで見たことがないくらいの動揺を見せてまりさに、れいむは落ち着かせようとするが、直ぐに自分の限界が来て泣き出してしまった。 まりさの跳ねた先には、やや大きめの小石が転がっていて、その上に乗ってしまったのだ。 その鋭い痛みにまりさは声をあげて、涙を流して転げまわる。 転げまわる度に、硬い地面や石、痛い草に身体を傷つけられて更に声をあげ続ける悪循環。 まりさのゆん生では味わったことのない痛み、それが全身を支配していた。 まりさのこれまでは、こんな石を踏んだこともなければ、こんな痛い草に触れたことも、ごわごわの土に触れることもなかった。 何故なら、まりさは室内で飼われていたゆっくりなのだから。 ――――。 ――――――。 ある都市の中心に立てられた、屋内型森林公園。 かなりの広さと、行き渡った設備は一ヶ月の内に四季を再現する、少し寂れていた街の活性に繋がっている施設だった。 その施設の名前は〔ゆふぁりパーク〕名前の加減から想像出来る通りの、ゆっくり園と呼ばれる場所だった。 ゆっくり園とは、屋内に土を敷き、草花を植えて、野生のゆっくりの生活を街に再現するという触れ込みの、ゆっくりの動物園のような場所だった。 ゆっくりに人気に肖り、日本中に数多くのゆっくり園が出来ていたが、ここはそれとは規模も施設も桁違いだ。 収容ゆっくり数は、通常のゆっくり園が一つの群れに相当する150~300に対して、驚きの2300匹。 通常種だけでなく、希少種、捕食種まで完備されている。 しかも、普通のゆっくり園ではないような四季の整備により、より野生のゆっくりの生活を見れるという触れ込みで、週末になれば日本中から多くの人が詰め掛けていた。 柔らかい土を引いて、小石一個でも取り除いて、芝生を敷いたり、ゆっくりの肌を傷つけない草花を植えて、いつでも快適に暮らせる環境を整えてあった。 一週間ごとに季節が変わり、知らず知らずにゆっくりたちは一ヶ月を「いちねん」と呼んでいた。 基本的に内部のゆっくりは自分たちが建物の中にいるとは考えてない、人間と接触は0になるようにされていたから。 夜になれば、れみりゃの声をスピーカーで流して、巣に戻らせてからラムネスプレーが全域に撒布されて、例外なく睡眠状態にして、その間に園内の掃除や、調整、傷を負ったりしたゆっくりの治療などを秘密裏に行う。 一般客が通るのは、床からほんの2mほどの位置を蜘蛛の巣のように通されたアクリル製の通路だ。 この通路には仕掛けが施されていて、ゆっくりが見上げてもそこに人がいるとは判断されない作りになっていた。 ゆっくりにとっては見えないというのは認識出来ないと一緒であるために、いくら喋ろうが気付くことはない。 これにより、人間と関わらない本来のゆっくりの姿を楽しめるという風に言われていた。 巣も全て、木を模したオブジェでその内部は、それぞれオブジェに設置されたモニターを通じて通路から確認出来るようになっていた。 巣の奥にはうんうんを捨てる穴があり、そこに放り込まれると最終的に全ての巣から集まり捨てられる仕組みになっていた。 ゆっくりが集まるポイントも人工的にいくつも作られていて、そこにはアクリルの大き目のラウンジ状態になっていて多くの人が集まる。 そんなゆふぁりパークの一日は、まずは係員が広大な敷地の指定されたポイントに、餌となるゆっくりフードと、山菜など野山でも取れるだろう食料を置くところから始まる。 大きな木の板の上に、それらを置いておけば、あとはゆっくりが〔狩り〕をしにやってきて勝手に持っていく。 餌やりが終わると開園で、しばらくすると起き出したゆっくりの狩り風景を見ることが出来る。 そして入場客を案内したり、モニターでどこかでゆっくりが問題を起こしていないかを観察する。 危ないものがないゆっくり園ではそうはないが、ゆっくりは弱いので怪我をすることは多々ある。 なので、怪我をしたゆっくりを発見したらその程度によって対処する。 即座に治療が必要なら、その区画にラムネスプレーを噴射して対処。 それ以外は夜になってから、治療を行う。 そして、四季の代わりによって変化するゆっくりの生活を入場客に説明する姿をちらほらと確認出来た。 このゆふぁりパークは、ゆっくり愛護団体により運営されていて。 〔野生本来のゆっくりのゆっくりらしい生活を見れる!〕という触れ込みによる多くの客を呼んでいたが。 施設のコストと、来場客からの入場料が徐々に釣り合いが取れなくなっていった。 それに伴い、野生のゆっくりが狩りをしてとれるだろう山菜や木の実など、手がかかるものを出せなくなり、ゆっくりフードだけを与えるようになっていき。 ゆっくり好きから支援などもあったが、終に財政が破綻してしまった。 残ったのは大量も大量のゆっくり。 希少種、捕食種などは他のゆっくり園や、希望者に引き取られていったが、通常種の扱いに困ってしまった。 1700近い不良債権たるゆっくりたち。 普通なら加工所行きだけれど、まかり間違ってもゆっくり愛護団体の施設、それだけはなしとされた。 しばらくは〔野生のゆっくり〕という触れ込みで里親を探したり、ペットショップに持ち込んだりもしたが。 ただゆっくりしただけで、躾も何もされてないゆっくりを飼いたがる人も、売りたがるペットショップもそうそうなかった。 種ゆや、生餌としてならという申し出もあったけれど、施設の人は怒りを露に断った。 『あなたたちはこんな可愛いゆっくりに、良くそんなことが出来ますね!』と。 怒っても何してもゆっくりの行き先は見つからない。 ゆっくりフードはまだ在庫はあったがそれもいつかは尽きてしまう。 もう加工所に頼むしかないのか、となったときに誰かが言い出した。 『あの、前に人間が育てたオランウータンを森に返すとか、見たんですけど』 その言葉に、施設の面々、愛護団体は名案と大いに賞賛した。 『ここのゆっくりは野生の環境で育てて来たんだ、野生に返しても生きていけるはずだ!』 殺すことはしない、自分では世話出来ないから誰かに押し付けたいけど相手がいない、だから捨ててしまえ。 そんな思考回路で、こっそりと大量のゆっくりが手分けして各地の山や森に捨てられた。 それぞれの心の中は、野生に返してやると言う崇高な使命で埋め尽くされていた。 それを大義名分に、野生ではありえない優しい空間で、異常な空間でしか生きてこなかったゆっくりを、厳しく辛い本当の野生に返したのだった。 ……。 …………。 「ゅ……れいむ、ごはんさん、とってきたよ」 「ゆ……これっぽっち、なのぉ?」 まりさが野生に返されて早数日。 今までの世界とはまるで違う生活に、二匹は傷つき疲弊しきっていた。 ふかふかで柔らかくて、いくらでも跳ねれた地面。 いつでも爽やかで暖かかった空気。 有り余るくらい取れた大量の食糧。 そして、快適な巣。 そのどれもが存在しなかった。 あの日、痛みから何とか起き上がったまりさは、泣いてるれいむを宥めて、進みだした。 奇しくも街中のゆっくりのように、無言でずーりずーりと底面を這わせての移動だった。 それもまるで鑢の上を歩くように激しい痛みを与えてきたけれど、跳ねて進めばどんな目に合うか解らないので仕方がない。 しかし、歩けど歩けどかつての群れにたどり着けない、と言っても痛みで悶えたり、慣れない本当の地面で疲れたりで50mも進めていなかったのだが。 段々暗くなり、異様な寒さに餡子が芯まで冷え切りそうになったまりさは、泣きつかれたれいむの為に巣を作ることにしたのだが。 かつての巣作りは、木のオブジェの根元に立てかけられた枝を外すだけの作業。 それしか巣の作り方を知らないまりさは、大きな木の根元を舐めたり、お下げで叩いたりするしかなかった。 「おでがいでずぅううぅう!! きさん! ばりざにおうぢをくだざいいいい!!」 そんな声と、必死に土下座する声が森に響いていた。 しかし、そんなことで巣が出来るはずもなく、まりさはれいむに謝って木の根元で身体を寄せ合って眠った。 季節は本当の秋、作られた秋ではない寒さと豊穣の季節、外で寝るには寒すぎた。 二匹は、いつまでも泣きながら身体を擦り合わせていた。 そして今にいたる。 相変わらず木の根元を拠点にしている二匹だったが、その生活はギリギリを通り越してアウトだった。 まりさは、体中傷だらけ泥だらけで、痛みで泣くから涙の跡が頬に染み付いて、そこに更に泥などがついて怪しい化粧のようになっていたし。 髪はぼざぼさで、今まで傷一つなく大事にしてきた帽子はヨレヨレ、栄養不足で頬はこけて、寝不足で隈が出来ている。 れいむは狩りにいかない分まだましかと言われればそうでもない、まりさに巣作りを任せられたれいむは、木の根元で日がな懇願したりしているので疲労が限界に達していた。 腹に子を宿しているのもあり、頬がまりさよりもこけている。 以前は、朝に狩りに行き、大量の食糧を取ってきていたまりさだけれど、今では一日中這いずり回って、僅かな、しかも苦くて硬い草をとってくるだけになっていた。 「ごめん、でも ぜんっぜんごはんさん なくて……」 「ゅう、これじゃ、おちびちゃんがゆっくりできないよ……」 申し訳なさそうに頭を下げるまりさから目を逸らして、れいむは自分のお腹を見つめた。 「まりさは かりのたつゆんじゃなかったのぉ? ひもじいよう……」 「っ!」 意図はあったのかなかったのか、まりさに対して責めるような言葉を向けた。 その言葉に、まりさは唇をかみ締めて震えだした。 「れ、れいむこそ、おうちはまだできないの? もう、なんにちたってるとおもってるの?」 そして、まりさは自分で思っていた以上に強く、非難するようなことを言ってしまう。 言ってから、少し罪悪感を覚えたけれど、毎日毎日必死に狩りをしているのは自分なのだからと正当化しようとしていた。 しかし、れいむはまりさの言葉にワナワナと震え、歯を食いしばった。 「こんな、こんなニガニガさんしかとってこれないまりさに なんでれいぶがせめられないど いげないのぉおおおぉおお!!!」 「ゆひっ……!」 涙を流して叫び、びたんびたんと身体を暴れさせるれいむに、まりさは息を呑んで一歩引く。 「ぼう! ごんなぜいがついやだよぉおおぉおおお!!! おながすいだよぉおお!!」 「れ、れいぶ、れいぶぅ! ごめんね、ごべんねぇぇえ!!」 「「ゅ、ゆわぁぁぁぁああんん!!」」 二匹はまるで輪唱をするように声を合わせて泣き続けた、疲れ果てて眠ってしまうまで。 朝、どちらともなく起き出した二人は、お互いの愛情を再確認しようとザラザラの肌ですーりすーりを繰り返していた。 そして、ぽつりぽつりと話し出した。 「おちびちゃんは ゆっくりさせてあげなきゃね、れいむ」 「そうだね、まりさ、あったかいおうちで、おいしいごはんをむーしゃむーしゃさせたいね」 「ゆん、そうだね、おちびちゃんはゆっくりできるもんね、がんばろう……かりに、いってくるよ」 「いってらっしゃい、れいむも おうちをつくれるように がんばるね」 二匹は、これから生まれる子供の為に、頑張ろうと誓い合って、それを糧に動き出した。 まりさは食糧を、れいむは住居を。 それぞれ必死で求めることにした。 しかし、必死になっても、野生知識0の二匹では何も出来ることはなく。 まりさは口や舌を傷つけながら、硬い草を少量とって来て、れいむは木に対する懇願を続ける、ただそれだけだった。 なるべくれいむに優先的に食事をさせて、生まれてくる子供の栄養に回すようにさせていた。 流石にまだ慣れはしないし、今まで甘いゆっくりフードを食べていたので苦い草なんか受け付けないけれど、食べなければ死ぬので二匹は必死に食べて暮らしていた。 そして、予定よりかなり遅れて、ついに子供が出産のときを迎えた。 今日ばかりは暗い表情を消して、二匹は新しい我が子の誕生に笑顔を浮かべる。 「ゅぎぎぎぎ、う、うばれる、よぉお!!」 「れいむ! がんばって! おちびちゃんはまりさがうけとめるよ!」 体中に気持ち悪い汁を浮かべて踏ん張るれいむの前で、まりさは帽子を咥えて構える。 これから飛び出る我が子を受け止めるために、そしてそのときは来た。 「ゆっ、ゆっ! ゆっぽぉおぉおおお!!」 「しぇかいいち ぷりぷりてぃーなれーみゅがこうっりんしゅるよぉおおお!!」 尊大な声を合図に、子れいむがまりさの帽子に飛び込んできた。 「ゆ、ゆわぁぁぁああ!! てんしさんのたんっじょうだよぉおお!!」 「ゆぎぐ……あ、あれ? もうひとりおちびちゃんがいるきがしたのに……」 涙を流して誕生を喜ぶまりさとは対象的に、れいむは不思議そうにない首をかしげていた。 れいむは、子供は二匹いると考えていたのだけれど、生まれたのは子れいむ一匹、お腹に残っている様子もなかった。 「ゅう……ゆっ、ふしぎなこともあるんだね! おちびちゃーん、れいむがおかーさんだよ!」 直ぐにその不思議を餡子の隅に追いやると、バカ面下げて生まれた子れいむに近寄っていった。 「ゆげっぴゅ、おきゃーしゃん! おとーしゃん! ゆっくちしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 生まれて初めての挨拶をしてくれた子れいむに、二匹は全力の「ゆっくりしていってね!」で返す。 「まりさのおちびちゃん、とっても、とぉってもかわいーよぉお!!」 「ゆぅぅん! かんっどうてきだよぉお!!」 「げっぴゅ、れーみゅきゃわいい?」 「「とうっぜんだよぉおおお!!」」 この森に捨てられ、もとい野生に返されて久しぶりのゆっくりを全力で堪能していた。 それも長くは続かなかったのは当然極まりないけれど。 ……。 …………。 「しゃっしゃと さいしょのあみゃあみゃもっちぇこぉおぉおおおい!! このクズおやどもがぁぁぁああ!!」 「お、おちびちゃん、お、おちついてね! おちついてね!」 子れいむ誕生から数日。 れいむは必死に子れいむを宥めようとしていた。 この子れいむ、何故だか苦い草はまだしも、まだましな草などを優先的に食べさせているのに、どれも食べては吐き出すを繰り返していた。 そして、食べさせたことなどない筈の「あまあま」をしきりに要求してくるのだった。 ほとんど食事を取らない取れない状況に、未だに巣はない、自分をゆっくりさせない親に子れいむは簡単にゲスの兆候を見せている。 れいむとまりさがいたような、満たされた空間ではゲスは生まれない、何故ならゆっくりで満たされているので、それ以上を求めないからだ。 そして、他の者も自分と同レベルのために、向上する意欲も生まれない。 だから、ゲスは存在しなかった。 そのために、この子れいむは二匹が始めて出会うゲスだった。 ゲスと言っても可愛い我が子、ゲスを知らないこともあるし、ゆっくりさせてあげられてない自覚もあったので二匹は精一杯頑張っていた。 まりさは、気絶するくらいまで頑張って狩りをして帰って、子れいむに罵られて。 れいむは、まりさが帰るまで子れいむの癇癪を受け止めながら木に「おうぢをぐだざいぃいいい!」と頭を下げる日々。 「おでがい、じばず、きさん、おうぢぃ……」 「しゃっしゃと! あみゃあみゃもってこい! ゲスクズゴミカスおやぁぁぁ!!」 必死に木に頭を下げるれいむの身体に、子れいむは何度も体当たりを繰り返していた。 肉体的なダメージはなく、ただただ心が痛いその行為にれいむは枯れない涙を流していた。 「れい、む……ただ、いば」 「ゆぅう、まりさ、おがえりなざい……」 大分暗くなった頃に、帽子にも穴が開いてボロボロのまりさが帰ってきた。 お互いに目を合わせて、収穫がなかったことを理解して落胆する。 そんな二人の悲哀をぶち壊すように、子れいむは声をあげた。 「ゆきゃきゃ! ゆっくりできないクソおやがかえってきたよ! きょうこしょはあみゃあみゃとれたにょ!? まともに かりもできにゃいの!? このむのー!!」 「ゆぎっっ!!」 かつては、自分のことを「かりのたつゆん」と称したまりさである、狩りについて貶されるのが何よりゆっくり出来なかった。 たとえ、それが用意された場所でしか得られない称号であっても、その事実を知らない限りでは一生「かりのたつゆん」だったのだから。 それでも、平和にゆっくりしたゆん生を送ってきたまりさは怒りという感情の置き場を知らずに、ただ我慢するだけだった。 「ごめん、ごめんね、おちびちゃん、すくないけど、これたべてね……れいむ、はなしがあるよ」 「ゆん?」 どうにか手に入れた柔らかい草や木の実を子れいむに渡すと、れいむを呼んで話をする。 「もう このきさんは まりさたちにおうちをくれないみたいだから ここをいどうしよう、どうにかしてむれにかえろう!」 「ゆっ! …………ゆん、そうだね、ここにいたらおちびちゃんもゆっくりできないしね」 まりさの提案にれいむは頷いた。 子れいむは「げろまじゅ! こんにゃのしかとってこれないむのーはしね!」と、食べては吐き出して、一番美味しい部分だけを食べていた。 そんな我が子の姿をしばらく眺めてから、れいむとまりさは明日の移動の為に、吐き出された草をもそもそ食べだした。 「ゆきゃきゃ! こにょクジュはへんったいだね! れいみゅのつばしゃんがついたのがだいしゅきなんだから! きみょいよ!」 「「……むーしゃむーしゃ」」 笑われながらもそれに耐えて、どうにかして群れに帰りたいと二匹は無言で涙を流した。 「ゆゆ? にゃににゃいてりゅの? れいみゅがこわかったの? ゆぷぷ! なさけにゃいね! ゆぷぷ、ゆぷぷ!」 「「…………」」 ……。 …………。 「ゆへ、ゆへぇえ、まだ、つかないの、お」 「ば、ばりざ、そろそろ、おちびちゃん、かわるよ……」 次の日、起きてから直ぐに二匹は行動を開始した。 近場にある枯れ草などを食べてから、子れいむを頭に載せて必死に森の中を進んでいく。 交互に子れいむを運んで、ぐずる彼女をあやしながら、群れに帰ることを夢見て進む。 どこがゴールかも解らず、つい先日までぷにぷにだったあんよをガチガチのまっくろにして、綺麗だったお飾りをボロボロにしながら必死に必死に這いずり回っていき。 「「ゆ、ゆわぁああぁああ!!」」 「ゆ? にゃんにゃの?」 三匹がたどり着いたのは一面の野菜野菜野菜。 中にはかつて餌として与えられていたものもあり、久しぶりにゆっくりした食事が取れると二匹は涙を流して喜んだ。 寝ぼけている子れいむを、まりさは頭から下ろすと自信に満ちた大声で話す。 「みて! おちびちゃん! これがきょうのごはんさんだよ! たっぷりたべてね!」 「ゅ、ゆわぁああ!! こりぇじぇんぶれーみゅの!?」 「「ゆふふ、おちびちゃんゆっくりしてるね!」」 目を輝かせて、野菜の群れに飛び込んだ子れいむを二匹は幸せそうに見つめていた。 子れいむはとりあえず手ごろな野菜に齧り付いては、違う野菜にと食べながら移動していく。 「まぁまぁ! これめっちゃまぁまぁ! さいしゃのあみゃあみゃにはまけるけど、めっちゃそれなりぃ!」 子れいむは「それなり」を連呼しながら、どんどん食ながら進む。 その姿に笑みを浮かべていた二匹も、そろそろ自分もと久しぶりの満足いく食事を始めた。 「「むーしゃむーしゃ! しあ 「にゃにやってるにょぉおお!!」 ゆ?」」 二匹が食事を始めたら、野菜を掻き分けて子れいむが鬼の形相でやってきた。 「お、おちびちゃ……」 「いま! にゃにをやってちゃの!?」 「む、むーしゃむーしゃ、だよ? どうしたの、おちびちゃん?」 あまりの形相に怯えながら、二匹はそう告げた。 その言葉に、子れいむは怒りを露に震えて叫びだす。 「これは! じぇんぶれいみゅのだよ!? おまえら みたいなむのーなクズに いっこでもわけてあげりゅと おもったにょぉおお!?!?」 「「ゆ!?」」 確かにさっき「こりぇじぇんぶれーみゅの」とか言ってはいたが、まさか本気とは思わず二匹は固まる。 「れーみゅをゆっきゅりさせにゃかったばちゅだよ! そこでれーみゅのむーしゃむーしゃタイムをみててね! たべたかったら さいしょのあみゃあみゃもっちぇこい! このクズ!」 口の周りに野菜クズをつけたまま、生みの親たる二匹を大声で怒鳴りつけて行く。 そのあまりにもあまりな態度に二匹は硬直してしまっていた。 そして、れいむは前から気になっていたことを恐る恐る聞くことにした。 「お、おちびちゃん? まえからいってる、さいしょのあまあまって、なに? れいむ、あまあまなんかあげたおぼえない、よ?」 子れいむがことあるごとに引き合いに出してきた「さいしょのあまあま」その存在がふと疑問になり、れいむは質問した。 その言葉に、子れいむはあからさまにれいむを小馬鹿にした表情を作り、語りだした。 「ゆふぅ、まっちゃく ゆっきゅりしてにゃいおやは あたまだけゆっくちしちぇってるんだね! れいみゅがうまれるまえに おまえのぽんぽんの なかにおいてあっちゃしゃべるあみゃあみゃだよ! れーみゅのこちょをおねーちゃんとかよぶ ずーずーしいあみゃあみゃだよ!」 「…………」 「ゆ、どーゆーこと? れいむ? れいむ?」 れいむは子れいむの言葉と一緒に、生んだときを思い出していた。 「そうだよ……ふたり、いたんだよ……」 「ゆ?」 ぶつぶつ呟くれいむを、まりさは心配そうに覗き込んだ。 まりさは理解出来ていなかった、何故なら腹に子を宿したのれいむだったから。 そして、れいむはしっかりと理解した、してしまった。 栄養が足りなくて、この子れいむは一緒に生まれるハズだった妹を食べたのだと。 想像すらしていなかった禁忌の同属食いに、この態度。 平和に暮らしていた、作られた森で生きていれば一生知らなかっただろう怒りがれいむを支配していた。 「こ、ごのぉおおぉおおおおおぉおお!!!!」 「ゆぴ?」 「れ、れいむ? どうしたの? どうしたのれいむ!?」 怒りを叫びに変えて、大地が震えるように声を弾き出した。 今まで喧嘩すらしたことのなかったれいむは、怒りをどうしたら良いか理解出来ずに、涙と声で発散していた。 「ゆぅ、きみのわりゅいゆっきゅりだね れーみゅはむーしゃむーしゃにもどりゅよ! ゆぴょ!?」 大声で叫び続けるれいむを見限って、子れいむは再び野菜を食べに行こうとして何かにぶつかった。 「にゃ、にゃにしゅりゅの!? れいみゅのきゃわいしゃに しっちょしにゃいでね!」 『ったく、これから収穫だってのに、ざっけんなよ、協定はどうしたんだよ糞ゆっくり!』 子れいむがぶつかったのは、れいむの叫びを聞いてやってきた畑の持ち主の青年だった。 この畑がある村は、まりさたちがやってきた森にある群れと協定を結んでいた。 もちろん相互の理解なんてものはなく、人間が仕方なく住まわせてやっているレベルで、用もなしに森から出たゆっくりは直ぐに潰されるし野菜に手を出すなんてもっての他だ。 無論、まりさたちは群れのゆっくりではないけれど、人間にはそんな違いはわからない。 これから収穫の野菜のいくつかを駄目にされたのだ、純粋に腹立たしいに決まっている。 「にゃにいっちぇるの! しゃっしゃとれーみゅにあやまっちぇね!」 「ゆぐがぁぁぁぁああぁああああ!!」 「れいむ?! れいむぅ!!」 彼の前では、子れいむが憤り、れいむが叫び、まりさがオロオロしていた。 青年は前からゆっくりが大嫌いだったが、協定の為に山狩りなどは出来ないでいたし。 森の群れのゆっくりはそれなりに優秀で、森から出ることはなかった。 しかし、今回野菜を食べられたことでゆっくりを根絶やしに出来ると青年は歪んだ笑みを浮かべていた。 ……。 …………。 「ゆぎゃぁぁっぁああああ!! やべでぇっぇええ!! ゆるじでぇぇぇえええ!!」 「ゆるす! わけが! ないのぜ! おまえたちの! せいで! あやうく! むれが!!」 森の中にある群れの広場で、まりさが群れゆっくりたちに何度も体当たりをされていた。 あの後、青年が皆に話して群れのゆっくりを呼びつけたのだが、三匹が群れのゆっくりではないと解った為に、駆除の思惑は外れてしまった。 その腹いせにれいむは青年に踏み潰され、まりさと子れいむは群れに引き渡され、せいっさいの真っ最中だった。 何とか人間に目をつけられないように暮らしていたのに、余所者のせいで駆除されそうになったのだから群れの怒りは相当のものだった。 まりさは帽子を引きちぎられ、足を棒で裂かれた上で袋叩きにあっている。 子れいむは、というと。 「だしぇぇぇぇぇぇええ!! れーみゅをこんにゃくしゃいとこにいれちぇ ただですむとおもっちぇるにょ!?」 群れのうんうんを集める穴に放り込まれて、一生そこでうんうんを食べて暮らせと命じられていた。 子れいむは、そんなことは出来ないと大きな声で鳴いてはいるが、それは群れのゆっくりを楽しませるだけで。 「ゆぴゅ!? く、くしゃいぃい!! やめちぇ! うんうんしにゃい、ゆげぇぇえ!!」 「ゆぷぷ! あのゲスちび、ゆっくりしてないね!」 今もまた、子れいむ目掛けてうんうんが放られた様だった。 まりさはまりさで、ずっと暴行を受けてもはや意識が朦朧としていた。 そんな彼女の前で、大きなまりさと、ありすが何やら話をしているようだった。 「さいきん よそものがふえたのぜ」 「しかも、いなかものばっかりね、どーゆーことかしら?」 二匹の話すとおりに、最近森に見たことないゆっくりが増えてきたのだった。 もちろん、ゆふぁりパークで捨てられた、もとり野生に返されたゆっくりたちだ。 この森には、まりさたち以外にも何家族か捨てられていて、その何匹かがこの群れに着たり、村に行ったりしていた。 群れに来たゆっくりは、「かりのたつゆん」を名乗っていたくせに、まったく狩が出来ず、しかも巣も作れないし、何も出来ない能無しばかり。 そして、村に出たゆっくりのせいでこの群れが疑われて、今回のような駆除の原因になりそうになったりしていた。 長であるありすは大きくため息をついて、ボロボロのまりさを見つめる。 「どこのいなかからきたのかしら? このいなかものは」 野生に返されたゆっくりたいは、その大半が死に絶えて、残りは各地で様々な被害を起こしていた。 畑荒らし、人間に喧嘩を売る、子供のお菓子を狙う、住居侵入。 人間とうまくやっている群れの崩壊、野生ゆっくりとの諍いなど等。 数え上げたらキリがないほどの被害を出していた。 そんな被害の引き金ともなった愛護団体は、そ知らぬ顔で捨てゆっくりの問題に噛み付き、非常識な飼い主、虐待趣味について言及して 『ゆっくりを捨てるな! ゆっくりに愛を!』と歌っていた。