約 3,524,402 件
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3548.html
『ゆっくり地獄山』 27KB 虐待 制裁 群れ ゲス ドスまりさ 自然界 虐待人間 15作目 anko3408 まりさのおしごと の設定を一部反映させております 男はいつものように、必要な物資を持って山へと足を踏み入れた。 重い荷物ではあるが、男の表情は喜色満面に輝いている。 季節は初夏。 緑鮮やかな山は、清々しい空気が充満していた。 梅雨さえ乗り切れば、何とかなるだろうな。などと男は考えながら歩く。 二十分も歩くと、そこへ辿り着いた。 男の足音を聞きつけたのだろう、そのゆっくりの群れたちは一斉に騒ぎ立て始めた。 人間が来たことへの恐怖ではない。 人間が来たことへの憎悪でもない。 「にんげんざん! にんげんざあああああああああああああん!」 「ごろじでぐだざい! れいぶだぢをごろじでぐだざい!」 「まりざだげでもおねがいじまず! ぐずのまりじゃをごろじでぐだざい!」 「おねがいじまずううううううううううううう!」 良い声だ。必死になって希望に縋るその様は、男をゆっくりとさせる。 一際大きな影……ドスまりさが、精一杯に体をうねうねさせて叫ぶ。 「にんげんざん! どずはぐずでず! どうじようもないぐずでず! だがら! だがら! どずをごろじでぐだざい! ぼうだえられまぜん! おねがい! おねがい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛でずがらあ゛あ゛!」 男は無言で、平たい岩の上に腰掛けると美味そうに冷たいお茶を飲み始めた。 冷やしたキュウリをポキンと折ってマヨネーズをつけて丸かじり、更におにぎりを もぐもぐとのみ込んでいく。 恨めしそうに、ゆっくりたちがそれを見つめている。 「うああ……おなが……おながずいだよお……」 「むーじゃむーじゃざぜでえ……ざぜでよお゛……」 「ぞんなのどう゛だっでいい……ごろじで……ごろじでえ゛……」 昼飯を食べ終わった男は、一匹一匹ゆっくりをチェックしていく。 一匹のありすが、苦悶と安堵の入り混じった表情で死んでいた。 男はそれを掴み、ドスまりさの元へと運んでいく。 ドスが絶望に満ちた表情を浮かべた。 「いやだ……いやでず……ぼねがい゛……もう゛……い゛や゛……」 男は無言でドスまりさの歯が一本もない口を開いて、強引に喉へと詰め込んでいく。 「おべええええ! ぼべ! おぐ……ぶぶぶ……! ぶび!」 餡子を吐き出そうとすると、男がそれをがっしりと押さえつけた。 漂う死臭、土とカスタードの入り混じった味、全てがゆっくりできない不快さだった。 他に死んだゆっくりはいないらしい。 安心して、男は一人一人に命の糧であるオレンジジュースを大量にスプレーして回る。 飲ませるのではない、あくまで降り注ぐだけだ。 この場合、ゆっくりは栄養を確保することはできるが空腹はほとんど満たされることがない。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっくち、ゆっくち、ゆっくち……ひひひひひ……ゆっくち、 ゆっくち、ゆっくぢ……!」 非ゆっくり症を発症したまりさに、ゆーくりーむを味わわせることなく無理矢理のみ込ませる。 発狂防止剤が中枢餡の機能を正常に戻させた。 「ゆ、ゆ……ゆぐ……ゆっく、り……」 男が満面の笑みで、そのまりさを見つめていた。 まりさは愕然とした表情で、ああああああ、と意味のない言葉を叫び続けた。 「ぼうずごじで! ぼうずごじでえいえんにゆっぐぢでぎだのに゛!」 他に非ゆっくり症を患いそうなゆっくりはいないようだ。 男は全員の頭をぽんぽんと軽く叩き、軽くなったリュックサックを背負った。 「まっで! まっでぐだざい! おねがいじまず! ごろじで! ごろじでぐだざい! ぼうゆっぐぢぢなぐでいいでず! なんでぼ! なんでぼじまずがらあ゛あ゛!」 ドスまりさの懇願に、男は一度も振り返ることなく――その場を立ち去った。 ゆっくりたちは追いかけない。 追いかけることができないのだ。 あんよを焼かれた訳ではない。 そもそもこの群れのゆっくりたちは皆――――――地面にあんよがついていないのだ。 『ゆっくり地獄山』 マンネリあき ドスまりさは、すっきりを解禁したことが正しかったのだと確信した。 先代ドスまりさの教えは間違っていたのだ。 だって、群れのゆっくりが作ったおちびちゃんたちは……こんなにゆっくりしているのだから! 「ゆっち、ゆっち、ゆっちぃ……」 「ゆゆ~ん! おちびちゃんはほんっとうにほんっとうにかわいいよおお!」 「ドス、ドスみてよ! おちびちゃんが、おちびちゃんがぴょんぴょんできるように なったんだよおおお!」 「ゆふふ。よかったね、れいむ!」 「ドス、ありすのおちびちゃんたちをみて!」 「ちょかいは!」 「どちゅ、ちょかいは!」 「ちょかいは~」 「ゆふん。ありすのおちびちゃんもほんとうにゆっくりしてるねっ!」 「ゆっくち、ちょかいは!」 群れのゆっくりたちが、次々とおちびちゃんを見せにやってくる。 その度に、ドスまりさのゆっくりは際限なく高まっていく。 「ゆふふ。ぱちゅりーがまちがっていたよ! やっぱりドスのやったことはただしかったんだね!」 すっきり制限を廃止すると幹部会議で告げたとき、真っ向から反対したぱちゅりーは、 彼女を慕う一部のゆっくりたちと共に、別の山へと旅立っていった。 彼女は相変わらず先代の教えを守り、すっきり制限をしているのだろう。 きっと、ゆっくりできていないんだろうな。 そんなことをドスまりさは考えた――が、ゆっくりしていないゆっくりのことを考えるのは ゆっくりできないと、目の前のおちびちゃんたちに意識を集中させた。 そもそも、先代は何故すっきりを制限したのだろう。 人間さんが怖いから、と言っていたような気がする。 ドスまりさも、人間についてはぼんやりとしか記憶がないが、大した大きさでもない癖に やけにゆっくりできてない存在だったことだけは覚えている。 ゆっくりできていない。 この世の全てはゆっくりのために存在すると考えるドスまりさには、それだけで生きる権利は ないと思うのだ。 群れの皆は、ゆっくりしている。 彼らの群れを脅かす敵は今のところ、存在しない。 群れを出て行ったぱちゅりーの代わりにサブリーダーに就任した『ぼせい』ゆたかなれいむが、 不安そうな表情でドスまりさに報告した。 「ドス、さいきん『かり』でとれるごはんさんがすくないよ! しょくりょうこのごはんさんも、 びちくぶんがなくなっているよ!」 「ゆゆ!? ど、どうして!?」 「れいむにはわからないよ! でも、ごはんさんがすくないとゆっくりできないよ!」 ヒント:おちびちゃんはたくさんごはんをたべる 「ゆぅ……そうだ! いいことおもいついたよ! にんげんにけんじょうしてもらえばいいんだよ!」 昔、先代ドスまりさに聞いた話である。 群れの食料が枯渇し、このままでは全滅もやむなしという状況に陥ったとき、人間が野菜を 差し出してくれたのだと。 先代ドスまりさは「だからにんげんさんには、かんしゃしなければいけないんだよ!」と 言っていたが、ゆっくりしていない人間がゆっくりに奉仕するのは当たり前である。 ドスはその後半部分は都合良く解釈して、「人間がゆっくりに野菜を与えた」という事実のみに 集中していた。 「ドス! にんげんって、あのゆっくりしてないいきものでしょ? そんなれんちゅうが、 ごはんさんをけんじょうしてくれるの?」 「だいじょうぶだよ! だって……ドスは、ドスなんだから!」 答えになってないのだが、歴代サブリーダーの中でトップクラスの餡子脳であるれいむには、 その言葉はさながら天啓のように響いたらしい。 れいむはキラキラした瞳でぴょんぴょんと飛び跳ねた。 「そうだね! ドスはドスなんだもん!」 「じゃあ、さっそくドスはいってくるよ! そのあいだは、れいむ! むれをまかせたよ!」 「わかったよ、ドス! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ドスはその重い図体をぴょんぴょんと跳ねて、山を降りていった。 れいむは群れのゆっくりたちに、ドスが人間にご飯を献上させにいったことと、食料はこれで 大丈夫であることを通達した。 群れのゆっくりたちは大喜びで、「もうびちくしなくてもいいよね!」とばかりに、溜め込んで いた食料を貪り食った。 そして、二日が過ぎた。 「ゆう……ドス、おそいよお。きっと、にんげんがわがままをいっているんだね」 サブリーダーであるれいむもまた、人間に関しては遠い彼方の記憶しかない。 ただ、とてつもなく――ゆっくりできない存在だったことだけは覚えていた。 もう少しだけ頭が良くて、もう少しだけ記憶を餡子に留める努力をしていれば、きっと彼女は 理解しただろう。そして、ドスの暴挙を止めさせようとしたかもしれない。 だが、れいむはゆっくりがゆっくりすることこそが義務と信じるゆっくりである。 ……野生の群れでも、賢い群れや人間・動物たちと関わりを持つゆっくりの場合、 「世界はゆっくりできないことだっていっぱいある」という認識を持つことができる。 だからこそ、「にんげんさんもゆっくりしていってね!」と口にすることができるのだ。 皆でゆっくりすれば、きっとゆっくりできるようになる。そう信じて。 愚かな群れ、そして脅威が存在しなくなった群れは、この言葉の解釈が違う。 「ゆっくりしていってね」とは「自分たちゆっくりのために、ゆっくりさせてね」という 確認の意味合いを持つようになる。 動物も、人間も、「ゆっくり」という価値観が前提にあって行動すると考える。 そして、自分たち種族が「ゆっくり」という名前を持つ――つまりそれは、「ゆっくりしている 存在だからゆっくりなのだ」と思い込むようになる。 いつの世も、ある程度の知能を持って社会を構築した生物はそのような考えを持つらしい。 「○○人こそが、人類を導くに足る存在である。自分たちの人種以外の人間は、劣等人種である」 というように。 だが、ゆっくりと人間とで決定的に違うものが一つある。 答えは簡単、『暴』という名の力だ。 「れいむ! れいむー!」 慌てて飛び跳ねてきたありすを、れいむは厳しい表情でもみあげを叩いた。 「れいむじゃない! れいむはさぶりーだーなんだよ! さぶりーだーってちゃんとよべって いつもいってるでしょお!」 「ご、ごめんねさぶりーだー」 「まったく……で、どうしたの?」 「にんげんが、こっちにくるんだよ! どうしよう!」 「ゆゆ。おそかったね、きっとにんげんがごはんをけんっじょうしにきたんだよ!」 「ゆわあ……ほんとに!?」 「さぶりーだーがうそをつくはずないでしょお! れいむのところにつれてきなさい!」 「ゆっくりりかいしたよ、れい……『ギロリ』……さぶりーだー!」 やや頭の弱いありすは、ぴょんぴょんと飛び跳ねていった。 「まったく、さすがにんげんだけあってゆっくりしていないね! こんなにまたせるなんて!」 普通ゆっくりしている方が待たせると思うのだろうが、この場合基準はあくまでれいむにある。 れいむがゆっくりせずに待っていたのだから、相手がゆっくりしていないのだ。 やがてありすが、人間を案内してきた。 人間の数は一、二……たくさんだ。 れいむはドスがいるだろうと思っていたが、なぜか姿が見えなかった。 もう少し観察力があれば、二人の人間がえっさほいさと白いスーツに包まれた何かを担架で 運んでいることが分かったのだろうが……。 やがて、先頭に立って歩いていた白衣の人間がれいむの前に立った。 「ゆっくりしていってね、にんげん! ごはんさんをもってきてくれたんだね!」 「ごひゃん、ごひゃん!」 「ごはんさんをゆっくりちょうだいね! すぐでいいよ!」 「ゆっくち、ゆっくちぎょはん!」 「ゆわぁ……あまあましゃん、くれりゅの?」 れいむの言葉を聞きつけたのだろう、わらわらとゆっくりたちが人間の下へと集まってくる。 「クソ。やっぱり赤ゆが増えてやがる……」 白衣の男の隣にいた人間が、ぽつりと呟いた。 れいむが耳ざとく聞きつけ、心底呆れかえった表情で告げた。 「そこのにんげん! おちびちゃんがふえたからどうだっていうの! かわいいかわいいてんしのようなおちびちゃんがたっくさんいたら、とってもとってもゆっくり できるんだよ!? にんげんはそんなこともしらないんだね! むちはこわいよ!」 「げらげらげら! おちびちゃんがふえたらにんげんはゆっくりできなくなるんだぜ!? まさしくけっかんせいぶつっ、なのぜ!」 「とってもとかいはなおちびちゃんたちをみてゆっくりできないなんて、まさしくいなかものね!」 「むきゅ! ぱちゅはしってるわ! こういうせいぶつをかとうしゅ、とよぶのよ!」 「かちょうちゅ?」 「そうよ、おちびちゃん! いもむしみたいに、ゆっくりできないせいぶつのことよ!」 「ゆっち! にんげん、かとうちゅ!」 「かとうちゅ! かとうちゅ! にんげんはかとうちゅ!」 その場にいた人間の殺気が膨れ上がる中、白衣の男だけはニヤニヤと笑いながら応じる。 「さて、サブリーダーのれいむさん。先代のドスが決めた掟に、すっきりの制限がありましたね?」 「ゆ……?」 すっきりの制限。 確か――確か、そんなこともあった気がする、とれいむは思った。 「これを破って、沢山のおちびちゃんを作ったのはゆっくりできることなんですか? 先代のドスの教えを破って、ですよ?」 「ゆ……」 実は、ゆっくりとはそれなりに保守的である。 特にドスまりさが決めた掟は、余程のことがない限りは破られはしない。 ドスまりさに従っているだけで「ゆっくりできた」ことが記憶に残っているからだ。 ドスがいなくなった後、群れが比較的よく保たれているのはそのことが大きく関係している。 だから、掟を破るということはゆっくりできないことなのだ。 これをゆっくりの論理で乗り越えるためには、一つの儀式が必要だ。 それはこの山の持ち主――白衣の人間の隣に居た男にとって、境界線であった。 その線を踏み越えれば、『博士』の言う通りにしようと、男は決めていた。 れいむは餡子脳で考えに考え、結論を出した。 「ゆっくりわかったよ! せんだいのドスはね、げすだったんだよ!!」 れいむがドヤ顔で告げた瞬間、男は嘆息した。 博士が笑顔のまま、問い掛ける。 「ほう。先代のドスがゲスだったため、掟を作ったのですか」 「そうだよ! だっておちびちゃんはこんっなにゆっくりできるからね! ゆっくりできるおちびちゃんをにんっしんさせなかったドスは、とってもゲス だったんだよ! ゆふふ、れいむかしこくってごめんね!」 「そうか……せんだいはゲスだったんだぜ……」 調子よく合わせることしかしないまりさが、そう呟くと群れは一斉に先代ドスへの 不満を噴出させた。 そう。「とってもゆっくりできるおちびちゃん」を作らせなかった先代ドスは、 ゲスであり、そんなゲスの下にいた自分たちも当然ゆっくりできていなかっただろう。 そんな解釈が、餡子脳でなされてしまったのだ。 「むきゅきゅ! ぱちゅりーはまえから、せんだいドスはゆっくりさせてくれないと おもってたわ!」 「そうね! あのドスはとかいはじゃなかったわ! なんであんなドスがりーだーだったの かしら!」 「せんだい、げしゅ!」 「せんだいドスは、げしゅだったんだね!」 「ゆゆん! さすがおちびちゃんはかしこいね! そう、せんだいドスはドゲスだったんだよ! おちびちゃん、りかいしてね!」 「「ゆっくちりかいちたよ!」」 博士の笑みは、ますます深くなる。 男の拳は強く強く握り締められる。 だが、先代ドスを非難することに合理的な解釈を得たれいむは、気付くことがない。 「サブリーダーのれいむくん。最後の質問です、では今のドスはゆっくりしていますか?」 「ゆふふ、あたりまえでしょお!? くずのせんだいとちがって、いまのドスはとってもゆっくり してるんだよおお!?」 「ほう……例えば、怪我をしていたら?」 「ちょっといたいいたいさんになったくらいで、ドスがゆっくりしてないはずないでしょお!?」 「おさげが千切れていたり、髪の毛がむしり取られていたら?」 「…………………………………………………………ゆ?」 そのとき、初めてサブリーダーのれいむは博士の笑顔を見た。 笑顔を浮かべているはずなのに、中枢餡がゆっくりできないと警告を発していた。 「片目が抉り出されていたら? あざが残るくらいに、人間たちに殴られ、蹴られていたら? 肌を震動させて突き出てきたペニスを、カンナでガリガリ薄く薄く削られていったら? 歯を一本抜いて、その度に爪楊枝で歯茎に当たる部分を突き刺されてグリグリされていたら? ハンダゴテであにゃるとまむまむをじっくりじっくりはんだ付けされていたらどうします? それでも、ゆっくりしていると言えるんですか?」 「に、にんげん? なに……いって、るの……」 博士は笑顔のまま、パチンと指を鳴らした。 背後にいた男二人が頷き、シーツを捲って担架から『それ』を放り捨てた。 「ゆ゛……ゆるじで……ゆるじでぐだざい……いだいの……いやでず……」 全員が、転がって落ちた物体が現リーダーのドスまりさであることを理解するのに、 三分を要した。 「「「ゆあああああああああああああああああああああああああ!? な゛ん゛な゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」」」 「今言った通りのことをしてあげたドスですよ。あ、一つ言い忘れてました」 男が二人、ドスまりさを強引に立たせた。 が、そのあんよは地面に着くことがない。 あんよの部分から、頭の部分まで、太い木が突き刺さっているのだ。 「こうやって、樫の木で作った杭で体を貫通させてみました」 「どぼじで! どぼじでごんなごどおお!」 「……当たり前だろうが、このボケども」 「なにがあだりばえ………………ごびょおおお!?」 博士の隣にいた男が進み出て、れいむを勢いよく蹴り飛ばした。 岩壁に叩きつけられたれいむの口から、砕けた歯がポロポロと飛び散った。 「いだい! いだい! れいぶの! れいぶのはが!」 キラキラした真珠のような、あるいは青空の白い雲のように美しい自慢の歯が、 見事に砕け散っていた。 ちなみに、人間からすると「北陸の冬空並みに真っ黒な歯」という感じに見えたが。 全身を走り回る激痛のせいで、悶えて尻をぷりんぷりんとセクシーに動かす(少なくとも れいむだけはそう思っている)ことしかできない。 「ふざけろこの馬鹿。あのドスはなぁ……」 博士がまあまあ、と男を押しとどめる。 「とりあえず、まずはやることをやってからにしましょう」 そう言って、博士たちは運んできた荷物から……細いものから太いものまで、沢山の 杭を取り出した。 「ゆ……ゆゆ……?」 もしこのとき、ゆっくりしないで全力で逃げるということができれば、数が少ない人間は追い切れずにゆっくりできたかもしれない。 だが、ドスまりさはひたすら人間に謝罪し、サブリーダーは体の痛みに打ち震えている今、彼らに 指示する者は誰もいなかったのだ。 初動の遅さが、群れの運命を決めてしまった。 「それでは早速――てい」 博士が、ラムネスプレーを手当たり次第にかけまくった。 たちまちゆっくりたちの目がトロンとしたものに変わり、 「ゆっくりおやすみするよ!」 などと言って、ぐーぐーと眠り始めた。 「……おい、糞れいむ」 先ほど彼女を蹴った男が、自身の痛みを嘆くだけのれいむのもみあげを引っ張り上げた。 「ゆがあ!? やべろ! にんげんごどぎが!」 「うるせえ」 パン、と空いた手でれいむの頬を叩く。 「ひっ! いだい! どぼじでごんなごど……!」 「お前は最後だ。お前の群れの連中がどうなるか、最初から最後まで全部見届けろ」 群れの連中がどうなるか? れいむはもみあげの痛みに泣きながら、恐る恐る群れの仲間たちを見て――絶叫した。 「な、な、なにごれえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?」 れいむも、まりさも、ありすも、ぱちゅりーも、子ゆっくりも、赤ゆっくりも、皆が次々と 杭に突き刺されていた。 「ゆぅ……ゆぴー………………ぐびぇ!?」 呑気に眠っていたれいむが、そっと持ち上げられると杭にあんよから突き刺さった。 ゆっくり、慎重に――中枢餡を避けつつ、脳天まで杭を貫かせていく。 「いじゃい゛! やべで! やべでぐだざい!」 「やめ……やめでろ゛お゛! ぐぞにんげんっ!」 「お前さあ、さっき先代ドスのことゲスって言ったよな?」 「ぞれがどうじだあ゛あ゛!」 「こうなるから、先代のドスはすっきり制限をしていたんだぜ?」 「……………………ゆ゛あ゛あ゛!?」 「俺はな、この山の持ち主だ」 「なにいっでるの! ごのやまはゆっぐりの゛ゆっぐりぷれいず……ひべ!」 自分たちのゆっくりプレイスであると説得しようとした途端に、殴られた。 「黙って聞け。俺はな、この山にお前等を住まわせてやってるだけだ。 ゆっくりだって、生き物だ。俺は躍起になって排除しようとは思わなかった。 先代ドスは、賢かったしな。 すっきり制限にも同意したし、たまに俺のとこに助力を乞いにやってくるときもあった。 知ってるか? お前たちが怪我をすると、ドスが治してくれていただろ?」 それは、ゆっくりできることだから覚えていた。 ドスが持ってきた、あまあまの薬。「にんげんさんがくれたんだよ! みんな、 にんげんさんにかんしゃしてね!」と言っていた気もする。 「あれは、ドスが俺に頼んだんだよ。オレンジジュースを少しでいいから下さいってな。 毎回毎回誠心誠意頼み込むし、お礼も欠かさなかった。山菜や食用のキノコを 持ってきてくれたんだよ、あのドスはな」 「ドス……が……」 「あいつとはよく、茶を飲みつつまったり……ゆっくりしたさ。お前等みたいな頭が悪い連中を、 ゆっくりさせることに全力を費やす様は、出来の悪い子供を持った親みたいだった。 でもな、アイツはいつも笑っていたぜ? 群れのみんなと、そして人間さんともゆっくり できて、ドスは幸せだってな」 ぎり、ともみあげを更に強く引っ張る。 「ちぎ! ちぎれりゅ! やめで!」 「で、アイツが死んだときもお前等がちゃんと泣いていたから。だから、このまま そっとしてやろうと思ったさ。ところが、だ……お前さっき、なんつった? 先代のドスのことを、何て言ったんだよ、おい」 「ゆ……ど、どすは……」 「ゲスって言ったよなあ? アイツのことを、ゲス呼ばわりしたよなあ? 先代のやったことをすっかり忘れた、とかなら俺もまあ納得したさ。 お前らの記憶保持力は弱いからな。だが……お前たちは覚えていた上で、ゲス呼ばわりしたな、 あいつの苦労を忘れて、都合良い解釈だけをしたな。れいむ、それだけは、ゆっくりとして やっちゃいけないことだった」 男は、すっきり制限を解禁したことを先代ドスの教えが忘れられたのではないか、 と思ったのだ。 それならば、群れのゆっくりたちを適当に痛めつけて掟を教え込むだけで済んだ。 だが、こいつらはあのドスの教えを知っていた上で馬鹿にした。 ゲスと断定して、誤魔化そうとした。 それだけは、絶対に許さない。 絶叫が先ほどから鳴り止まない。 成体ゆっくりが全て杭に刺されると、次は子ゆっくりと赤ゆっくりの出番だ。 男の手が無造作に子ゆっくりを掴んだ。 「やめちぇね! まりしゃ、ゆっくちしたいんだじぇ! ぷーすぷーすさんは ゆっくちできないんだじぇ! やめちぇ、やめちぇ……いやじゃあああああああ!」 悲鳴をあげながら、子まりさが刺された。 「ゆっくちとかいは! ありしゅはゆっくりしたとかいはなゆっぐりなの! だがらにんげんざん、だずげでね! ありしゅだけはだずげでね!」 「……」 男は無言で、子ありすを慎重に竹串に刺していく。 「やべちぇえええええ! いじゃい! いじゃいよおおお!」 子ありすは涙を流して尻をもるんもるんと振る。 「かとうしゅのにんげんのくしぇに、なまいきだよ! れいみゅ、ぷくーするよぷくー! ぷくー……! ぷしゅるるる、やめじぇ! れいみゅのほっぺたつままにゃいで! ゆんやああああああああああああ! おとうしゃん! おかあしゃんだじゅげでえええ!」 ぷくー、をしていた子れいむも竹串に突き刺さった。 そして、とうとう赤ゆっくりたちの出番がやってきた。 サブリーダーであるれいむと、ドスまりさが絶叫する。 「やべであげでね! ゆっぐり゛やべであげで! あがじゃん! あがじゃんだげは ぶーずぶーずじないでね! おねがいじまずうううう!」 「どずがゆるざないよ゛! ゆっぐりじだ! がわい゛い゛おぢびじゃんをいじめる゛のだげは ぜっだいに…………」 男がミドルキックを、ドスの腹部に叩き込んだ。 「ひべぎゃあ!? ず、ずいまぜん! ずいまぜんでじだ! なまいぎいいまじだ! でぼ! おぢびじゃんだげば!」 「あっはっは。ドスまりさくん、それは駄目です。不公平でしょ? こういうことは、ちゃあんと 平等に、綺麗に、公平に、真っ当に、一切合切きちんとやらなくちゃね」 博士は笑いながらそう言って、器用に赤ゆっくりたちを細く長い針で突き刺していく。 「ゆっじゃああああ! いじゃいよおお! ゆんあー! ゆんあーーーー!」 そうして、三百匹はいた群れのゆっくりたちが、全て杭に突き刺さった。 中には、一本の杭にまとめて三匹突き刺さっているものもいる。 誤って中枢餡を刺し貫かれて一瞬でゆっくりした者もいたが、九割以上のゆっくりは、 まだ痙攣しながら生きていた。 「さあ、ドスまりさくん。これが貴方の選択の代償というやつです。 人間が貴方たちに食料を献上する? 先代が口を酸っぱくして教えていたことを、何一つ 学ばなかったんですねえ、君は。まあ、過酷な時代を生き抜いた世代と、安穏として暮らしていた 世代とでは、餡子の質が違いますか」 「ゆ……が……」 「でもまあ、安心してください。ここから先、僕たちはあなたたちに何も危害を加えませんよ。 それどころか、望み通りに食料を与えてもあげましょう。ただし、君たちはそこから一歩たりとも 動けませんけどね」 あはははは、と楽しそうに笑う博士を見つつ……ゆっくりたちは一斉に叫んだ。 「「「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」」」 それから、二ヶ月が過ぎた。 雨が降れば、溶けてゆっくりできると思ったが甘かった。彼らはちゃんと、防水のビニールシート をその区域に被せていた。 最初の頃は、蟻に生きたまま食われる赤ゆっくりや子ゆっくりたちが続出した。 「やめるんだじぇ! ありじゃんはゆっくぢむこうにいくんだじぇ! やめじぇ、やめじぇ……ゆんやあああああ! まりちゃのあんこしゃんがだべられりゅうう!」 「おぢびじゃあああん! おぢびじゃああああああああん!」 山の持ち主はこれを防ぐため、防虫スプレーをゆっくりたちに掛けて回った。 「ぷしゅぷしゅさんはぐざいよ! ゆっぐりでぎないよ!」 そんなクレームは黙殺された。 非ゆっくり症に追い込まれたゆっくりがいた。 だが、彼らには非ゆっくり症を防止するためのゆーくりーむが与えられた。 それも、躾用として販売されている「無味」タイプのもので、あまあまの味すら期待できない。 ゆっくりたちは、老衰を別にすれば餡子が半分以上漏れるか吐き出さない限り死ぬことはない。 餡子を吐き出すようなゆっくりにはゆーくりーむで精神の安定が図られている今、ゆっくりたちは 死ぬことすらできずに、あんよから脳天まで突き刺さる強烈な痛みに悶え苦しみ続けた。 すーやすーや? すーりすーり? そんなことはもちろん不可能だ。 ある日。 子れいむが、とうとう我慢できずに泣き叫び始めた。 「おがあじゃん! おがあじゃん! いだいよ! いだいよ! しゅーりしゅーりしたいよ! しゅーりしゅーりしだいよ! ゆんやああああ! ゆんやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「おぢびじゃん! おぢびじゃん! まっででね! いま、そじらにいぐがらね! ゆ、ぎ…… ゆぎぎぎぎ……!」 ぶち、ぶち、ぶちぶちぶち! 耳障りな音を立てて、親れいむが杭から離れた。 「おぢびじゃん……いま……いぐがらね……」 「ゆっくりまってるよ! ゆっくり! ゆっくり!」 親れいむは、ボロボロの顔でにっこり笑っておちびちゃんの前に立って、すーりすーりしようと 顔を近づけた――が。 「ゆ……べ……」 「おかあ……しゃん?」 子れいむには見えていなかった。 親れいむの背中は、強引に杭から離れたせいで完全に引き裂かれていた。 そこから漏れた大量の餡子のせいで、彼女は永遠にゆっくりしてしまったのだ。 「おかあしゃん……しゅーりしゅーりしてね……しゅーりしゅーりだよ……おかあしゃん? おがあじゃん……おが……ゆ……あ……ゆんやああああああああああああああああああああああ!」 男はその死体を蹴り飛ばして、子れいむに告げた。 「お前が我が侭言わなければ、お前の母さんは死ななかったのにな」 「ぞんな……ぞんな……ぞんなあ゛あ゛!」 子れいむはあっという間に廃ゆっくりとなってしまった。 時折、竹串の痛みに震えながらぶつぶつと呟くだけだ。 ボロボロのドスが懇願する。 「ぼねがいじまず……ごろじでざぜでぐだざい……」 サブリーダーのれいむも涙を流しながらお願いする。 「れいむがまぢがっでまぢだ……せんだいどすは……ずごいゆっぐりでず……。 だがら……ぐずのれいぶだぢを……ごろじで……」 他のゆっくりたちも後に続く。 「おねがい……おねがいいいい……」 「もうやだあ……じにだい……じにだいよお……」 「づらい……づらい……いぎるのやだあ……ゆっぐりもじだぐない……もう、 じぬだげでいいんでず……」 もう、ゆっくりすることすらどうでもいい。 今の彼らには、ただ死ぬことだけが望みだった。 だが、男は告げる。 「駄目だ。お前たちが全滅すると、他の群れがやってくる。そうするとアレだ、 その……また一から人間との力関係を教えるのが、めんどくさい」 男はあっさりと、彼らの切なる望みを「面倒」の一言で切り捨てた。 「ぞんなあ゛……めんどぐざいっで、ぞんなあ゛……」 ドスまりさは理解していた。 これが「復讐」「制裁」「怒り」からやったものならば、まだいいのだ。 いつか怒りが頂点に達してトドメを刺してくれる、いつか怒りが和らいで許してくれる。 だが、面倒臭いというのは致命的だ。 面倒である限り、彼はとことんまで自分たちを生かし続けるだろう。 男は言う。 「梅雨どきはちゃんと、一人一人に防水加工をしてやる。れみりゃやふらんは追い払ってやる。 冬は、お前等が死なない程度に温かくするか、冬眠したくなるほどに寒がらせてやる。 お前ら、野生ゆっくりにしては幸運だぞ。年寄りになって死ぬまでゆっくりできるんだからな!」 男は笑う。ただひたすら、笑い続ける。 その笑いを聞きながら、ゆっくりたちは意識が遠のくのを感じていた。 ● ● ● ここは、ぱちゅりーが長を務める小さな群れ。 珍しいことに、今日は山から山へと旅をするゆっくりたちが客ゆっくりとして来訪していた。 広場に集まり、群れたちは旅ゆっくりたちの『えきさいてぃんぐ』な話に聞き入っていた。 「あんよからあたままで、ぷーすぷーすされてて……ずっとそこにいるんだぜ。 あのゆっくりできるはずのドスもなんだぜ!」 「わかるよー。ころして、ころしてってさけびつづけるんだよー! こわいよー!」 「ありすもきいたわ。にんげんさんにさからって、そんなばつをゆっくりえいきから あたえられたんですって!」 「れいむはえいきじゃなくて『はかせ』ってにんげんさんがやったってきいたことあるよ!」 「みょん! 『はかせ』はまっしろいしにがみだってきいたことあるみょん!」 話を聞く群れのゆっくりたちの表情は、恐怖のせいで青白くなっていた。 「ゆわあああ……きょわいよ……」 「ゆゆゆゆっぐりするんだぜ、おぢびじゃん……」 「まりさこわがりすぎだよ! ね、ねえ……おさ? こんなの、うぞだよね?」 「むきゅ。とにかく、こわいおはなしよね……」 (かれらのいう『はかせ』があの『はかせ』だとしたら……むきゅ。そうぞうもしたくないわね) ……旅ゆっくりたちの間で、伝説のように語られている話がある。 とてもゆっくりできそうな、とある山。 そこには、地獄に堕ちたゆっくりたちが姿を現すのだという。 「ころして、ころして、ころしてください」 と、彼らを監視する鬼に泣いて懇願するのだという。 だがしかし、鬼はその願いを聞き届けず。 そのゆっくりたちは、永遠に地獄の底で苦しむのだという――――。 <あとがき> 最初に群れから出て行ったぱちゅりーは、準レギュラーの彼女です バニラあき様、勝手ながら「ゆーくりーむ」の設定をお借りしました。 ありがとうございます。 感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1304613952/ 過去の作品 anko3216 愛するでいぶ anko3238 ゆ虐思考 anko3257 赤ゆ十連発(前編) anko3263 赤ゆ十連発(後編) anko3271 手を触れずに殺害せよ anko3274 子ゆっくりのゆん生が終わるまで anko3300 何もしない 赤ゆ編 anko3312 れうこくろりぐる anko3342 テンプレ的自滅シークエンス anko3358 くらくなるまでまってね! anko3368 ぷりぷりもるんもるん anko3428 子まりさと仲良し家族 anko3446 まりさ一家の転落ゆん生 anko3478 ぷーすぷーすぷーす! 挿絵:
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4465.html
『おててを上げて渡りましょう』 9KB 観察 日常模様 育児 野良ゆ 子ゆ よろしくお願いします 「はい、みんなー」大きな人間さんが、人間さんのおちびちゃんたちに向かって言う。「一列に並んで、おててをつないでねー」 「はーい、せんせー!」 人間さんたちが仲良くおててをつなぎはじめた。そうやって、みんな一緒に道路を渡るのだ。 おぼつかないおちびちゃんの面倒を大人が見るのは当然のことで、とてもゆっくりできる。 それはゆっくりだろうと人間さんだろうと変わらない。 いつもはそう考えているれいむだが、今日は違った。 「どうちてしょんなこちょいうのおおおお!?」 れいむのおちびちゃんが泣きながら叫んだ。 いつもの散歩の帰り道、いつもの横断歩道。 「もういちどいうよ! おちびちゃん!」あえて厳しい声で言う。「おかあさんはさきにいっちゃうよ! ひとりでおうちにかえるよ!」 「ゆええええん! おかあしゃああああん!」 「おちびちゃんはいつまでもそこでないてるといいよ! ぷんぷん!」 突き放すように言い、れいむはおちびちゃんに背を向けた。 「ゆえええんっ! おかあしゃんっ! そっぽむかにゃいでにぇっ!? まりしゃのほうをむいちぇにぇっ!?」 縋ってきたおちびちゃんを、もみあげで払う。「はなしてねっ!」 おちびちゃんがびくっと体を硬くするのが、気配でわかった。 れいむの体も硬直する。 おめめをぎゅっと瞑り、「ごめんね! ごめんね、おちびちゃん!」と声には出さず謝った。 「ゆええええんっ! ゆええええんっ!」 目の前の横断歩道を、人間さんのすぃーが通過した。 信号は赤のまま。 「まだだよー。青になったら、みんなで道路を渡るからねー」 人間さんが言った。 「せんせー、ゆっくりがいる! ゆっくりがいる!」 人間さんのおちびちゃんが、れいむたちに気づいた。こっちを見てはしゃいでいる。 れいむが「ゆっくりしていってね!」と挨拶すると、たくさんの「ゆっくりしていってねっ!」という元気な声が返ってきた。 みんなとてもゆっくりした、いい子たちのようだ。 「ゆっくりで遊んでいい?」 「ゆっくりで遊びたーい!」 そんな楽しそうな声に、『せんせー』と呼ばれている大きな人間さんは、、 「はいはい。みんなー、ふざけたりしないでねー。道路で遊んだら駄目だよー?」 れいむと『せんせー』のおめめが合った。少し困ったような笑顔。 この『せんせー』がおちびちゃんたちを気遣っているのがよくわかる。実にゆっくりした人間さんだ。 れいむのおちびちゃんが、今より小さかった時のことを思い出す。 あの頃は、おちびちゃんをれいむのおつむに乗せてこの横断歩道を歩いていた。 そのたびに「おかあしゃんのおつむのうえは、とっちぇもゆっくちちてるにぇ!」と喜んでくれたのを覚えている。 つい先日までは、もみあげでおちびちゃんのおさげを引いて渡っていた。 足取りもしっかりしてきて、もうおちびちゃんもおちびちゃんじゃなくなってきたのだと、嬉しいような寂しいような、複雑な気持ちになりもした。 愛するおちびちゃんの成長を日々感じながら、れいむは考える。 おちびちゃんには、そろそろ一人でこの横断歩道を渡れるようになってもらおう。 れいむの力を借りなくても、自らのあんよで、立派に大地を踏みしめて歩んでいってもらおう、と。 おちびちゃんを強く立派なゆっくりに育てる。――永遠にゆっくりしてしまった最愛の夫、まりさにそう誓ったのだ。 れいむとおちびちゃんが訓練を開始したのが一昨日。 その日は「まりしゃこわいよ! おかあしゃんといっちょがいいよ!」と、れいむのもみあげを放さなかった。 怖いのはよくわかる。普段歩いている歩道の隅ではなく、人間さんのすぃーが行きかう道の真ん中に出なくてはいけないのだ。 しかし、そんなことを言っていては街中では生きていけない。 二日目の昨日は、少し厳しく、強引に横断歩道の上に押し出してみた。 すると「いやじゃああああ! こわいよおおおお!」と泣き叫んで手がつけられなくなってしまった。 とは言え、れいむの言うとおりにできないのが心苦しかったのだろうか。おうちに帰るまで「ごめんにぇ! ごめんにぇ!」と謝ってくれた。 そんなおちびちゃんの姿に胸を締め付けられながらも、れいむは心を鬼にしようと決意した。 だから今、れいむは、おちびちゃんに背を向け続ける。 「ゆわああああん! おがあじゃっ……おがあじゃあああああんっ!」 背中に突き刺さるような泣き声を聞くと、まだおちびちゃんには早かったのだろうか、自分は間違っているのだろうかと、決意が揺らぐ。 れいむは体をぷるぷると振るった。 自分達は野良ゆっくり。 いつ何時、何が起こるかわからない。れいむは明日にもまりさの元へ行くことになるかも知れない。 ならば、おちびちゃんに何を教えるにも早すぎると言うことはないはずだ。 信号が青に変わった。 人間さんのすぃーが1台、横断歩道の前で停止した。 「それじゃ、みんなで横断歩道を渡るよー。まっすぐ歩こうねー」 「はーい、せんせー!」 人間さんたちが道路を横断しはじめた。 片方のおててをみんなでつないで、もう片方のおててはお空に向けている。何ともゆっくりした姿だと思った。 よし、れいむも行こう。 ここは人間さんのすぃーの往来も少なく、なおかつ比較的短い横断歩道だ。 おちびちゃんがいつも歩いている速さなら、十分すぎるほど余裕はある。信号が点滅する前に渡りきれる。 大丈夫だ。 「ゆっ! あおになったよ! ゆっくりわたるよ! ぜんぜんこわくないよ!」 その言葉に「おちびちゃん! おかあさんについてきてね!」という意志を込めたつもりだ。 歩道から横断歩道へ。 人間さんたちと同じように、片方のもみあげを上げてみる。 「ゆっ! ゆっ! ゆっ! おかあさんは、おうだんほどうをわたるよ!」 「ゆええええんっ! おがあじゃんっ! まりじゃをおいでいがないでええええっ!」 「き、きこえないよっ! おかあさん、お、おちびちゃんのこえなんかきこえないよっ!」 「おがあじゃんっ! ゆっぐ……ゆっぐ……! おがあじゃああああんっ! おがあじゃああああんっ!」 あまりに悲痛な叫びに、思わずれいむはあんよを止めた。横断歩道をちょうど半分くらい渡ったところだ。 人間さんたちが、仲良くおててをつないで、ゆっくりとれいむの横を通過していく。 「はーい。まっすぐ歩いてねー」 『せんせー』は横断歩道の途中に立って、とことこと歩く人間さんたちを見守っている。 一瞬だけ『せんせー』とおめめが合い、すぐに逸らされた。 涙が出てきた。 もう駄目だ。訓練はまた今度。泣いているおちびちゃんを助けてあげよう。 よくがんばったね、ごめんねと、おつむをなーでなーでしてあげよう。 「おちびちゃっ……!」 歩道を振り返ったれいむは見た。 「ゆっぐ……! ゆっぐ……! おがっ、おがあじゃん……!」 おちびちゃんが、歩道から離れ、横断歩道を歩いていた。 いつもより若干遅めのペースながらも、一歩一歩、ゆっちゆっちと、確実にれいむの元に近づいてきている。 「まっちぇにぇ! ゆっぐ……ゆっぐ……まっちぇにぇ!」 「おちびっ……ちゃっ……!」 左右のもみあげで口元を抑えて嗚咽を堪える。 「ゆっぐぢ……ゆっぐぢ! ゆっぐ、ゆっぐ!」 「がんばっで……おぢびぢゃっ……がんば……でえ……」 おちびちゃん。 可愛い可愛いおちびちゃん。 「まりざあ……。おちびぢゃんをみでる? おぞらのゆっぐりぷれいすがら、おちびぢゃんをみでる? ばりざああああ……!」 れいむとまりさの愛の結晶は、こんなに逞しく成長してくれた。 怖いのだろう。心細いのだろう。 おめめをうるませながら、しゃくりあげながら、それでも懸命に横断歩道を渡るおちびちゃん。 そんな勇姿を見せられて、お母さんであるれいむが泣いていては格好がつかない。 「……ゆっ!」涙がこぼれないように体を仰け反らせ、れいむはつとめて明るく言った。「そのちょうしだよ、おちびちゃん! がんばってね! がんばってね!」 「ゆっぐぢ! ゆっぐぢ! おがあじゃん! まりじゃ……まりじゃ、がんばりゅよ!」 「がんばってね! がんばってね!」 おちびちゃんの向こうに見える信号を確認する。まだ青だ。 本当はおちびちゃんに寄り添って応援し続けてあげたいが、それでは訓練にならない。 せめておちびちゃんが悲しく辛い思いをしないように、楽しく歩こう。 楽しく、ゆっくりと。 「おちびちゃん、みてみて! ぴこぴこするよ!」 れいむはもみあげを上下に動かしながら、さらに後ろに――おちびちゃんの進行方向に――向かって飛び跳ねる。 とたんに、おちびちゃんのおめめが輝き始めた。 「ゆわあ……。おかあしゃんのぴこぴこは、とってもゆっくちできりゅよ!」 少しだけおちびちゃんの足取りが軽くなったようだ。 その調子、その調子。 「こんどは、のーびのーびするよ!」 体を伸び縮みさせながら後ろへジャンプ。 するとおちびちゃんは、 「まりしゃもまりしゃも! のーびのーびしゅるよ! のーびのーび!」 「ゆふふ! おちびちゃん! あんよがとまってるよ! ゆっくりまえにすすもうね!」 「ゆっ? まりしゃ、うっかりちてたよ! ゆっくち! ゆっくち! ゆっぎゅうっ」 「……ゆっ?」 れいむには何が起きたのかわからなかった。 目の前にはあんよ。人間さんの大きなあんよだ。 その下に、おちびちゃんの小さな体。 おちびちゃん自慢のお帽子のふちから、ゆっくりと餡子が、そして潰れたおめめが流れ出している。 つまり今、おちびちゃんは、れいむの目の前で、人間さんの大きなあんよによって踏み潰されたのか。 「……ゆ、ゆ?」 れいむは震える体を頑張って動かし、そのあんよの主を見た。 それはあの『せんせー』だった。 『せんせー』は、怒っているような笑っているような、不思議な表情をしている。 れいむはおめめを閉じた。 泣いて、笑って、横断歩道をゆっちゆっちと渡っていたおちびちゃん。 そうだ。さっきの無残な姿は、れいむの見間違いだったのかも知れない。 おちびちゃんは怪我ひとつなく、「ゆっくち!」と元気に―― おめめを開いて、おちびちゃんを確認する。 人間さんのあんよの下に、だらしなく広がった金色の糸と、赤黒い染み。 見間違いなどではなかった。 「お、おちびちゃ……」 れいむがそう呟くと、『せんせー』があんよをどけた。少し慌てている風だった。 「おちびちゃんっ!」れいむは慌てておちびちゃんに飛びついた。「おかあさんが、ぺーろぺーろしてあげるよっ!」 もみあげとお口を使って、潰れたお帽子を脱がす。 金色の髪が黒い餡子に埋まっているのは、これはおつむが割れてしまっているからだ。 ――駄目だ。考えては駄目だ。 とにかく治療しなくては。ぺーろぺーろして、おちびちゃんの傷を癒してあげなくては。 「ぺ、ぺーろぺーろっ!」舌がおちびちゃんの傷に触れる。 まず、甘いと思った。 気が狂うほどの甘さだ。 「ぺーろ、ぺー……ろ……」 おちびちゃんの中身はこんな味だったのかと思うと同時に、ソレを舐めている自分に気づく。 れいむのおつむの中が爆発した。 「うわああああああっ! れいむのおちびちゃんがああああああっ!?」 「せんせーがゆっくり潰したー!」 「ずるーい! ぼくも潰したーい!」 「道路で遊んじゃ駄目なんだよー!」 「あのれいむのもみあげ、もいでもいい?」 園児たちがが口々に拗ねたように言うと、 「や、これはその、違うの」保育士の若い女性は顔を赤くして、少し早口で言った。「あんなふざけた三文芝居見せられたら、つい……じゃなくて」 弁解するように続ける。 「ええと……ど、道路でふざけて遊んでると、このゆっくりみたいになっちゃうからね! みんなも事故には気をつけようね!」 (了) 作:藪あき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1084.html
「そ~らたかいたかーい♪」 「おねーしゃんしゅごーい♪」 「おねーしゃんだいしゅきー♪」 「だすげでえええええ!」 一年で最も過ごしやすいと言われる秋の昼下がり。まりさが妹たちと遊んでいると、友達のれいむの助けを求める声がした。 「ゆゆ!れいむどうしたの!けがしてるよ!」 「れいむおねーしゃんだいじょうぶー?」 「いちゃいのいちゃいのとんでいけー!」 「むきゅん!まりさはおちびちゃんたちをさがらせてね!」 傷つき餡子が流れ出しているれいむを介抱していると、長のぱちゅりーの指示が飛んだ。 指示どおりに妹たちを遠ざけて、囲いとなりだした集団へと戻ると、驚くほど白くなったれいむが息絶えるところだった。 「れいむぅぅ!」 「もっとゆっくり……したかっ……た……」 「どうじてえええ!」 「むきゅー……、れいむはいいつけをやぶってにんげんのところへいったのよ」 ぱちゅりーによるとれいむが話した事情は以下の通りだった。 群れの中でも問題児のまりさが人里で野菜を食べようと誘った。自分ともう一人のれいむがそれに乗った。 野菜を食べていると人間がやってきていじめた。自分は、もう一人のれいむが手助けしてくれたおかげで逃げられた。 捕まっている二人を助けてほしい。 誘ったとみられるまりさは群れのルールを守らず、悪知恵が働き行動力旺盛な、ゲスと呼ばれる部類のまりさだった。 規律ある集団生活には有害だが、未踏の危険地帯を開拓していくことで、問題児ながらも若ゆっくりからは人気があった。 いいところもあったが、人間に捕まってはしょうがない。自業自得だ。群れのメンバーに諦めムードが漂う。 「れいむは?れいむはどうするの!?」 紛らわしいがここで問題にしているのは捕まっているほうのれいむである。まりさはそちらのれいむが好きだった。 「むきゅん。ざんねんだけどあきらめるしかないわ。せめて……このむれにどすがいたら……」 人間には同じように「れいむ」と聞こえるのだが、きちんと意図を汲み取って答えるぱちゅりー。 なにがしかのアクセントの違いがあるのかもしれない。 「そんな……みんながたすけないなら、まりさだけでもたすけにいくよ!」 「むきゅん!だめよまりさ!にんげんはおそろしいのよ!」 制止も聞かず、まりさはそう言って人里へと向かう。 『人里は餡外魔境』 (まっててねれいむ。まりさがだいすきなれいむをたすけてあげるからね!) 頭に広がるは成功のイメージ。人間は自分たちを食べたりいじめたりすると聞く。 だから食べられる前に、まりさたちが木の実を巣の奥に溜め込むようにして閉じ込められているれいむを、助け出すつもりだった。 捕まっているれいむをこっそり逃がして、頬ずりをして無事を喜び合う。 れいむもまりさのことを見直して、人気者のまりさよりも自分のことを好きになってくれる。 『れいむ!もうだいじょうぶだよ!』 『まりさ!』 『こっそりついてきてね!』 『ぶじににげられたよ!ありがとう!』 『れいむにはまりさがついてるからあんしんだよ!』 『まりさ……』 『れいむ……』 そこには根拠のない自信と、れいむをデートに誘いだせたゲスまりさへの嫉妬があった。 坂を下り茂みを越え、動き始めたれみりゃから隠れながら里についたのは、日が暮れようとする時分だった。 黒々と闇が落ちた村の外れに、赤々と灯る松明。その明りの下、男たちが丸い物を蹴りまわしている。 目を凝らしてもよく見えず、 「そろ~り、そろ~り」 と小声で言いながら近づくまりさ。 「ゆぎゃあああああああ!」 蹴りまわされるものの正体を見極める前に、身を引き裂くような絶叫を耳にしてそちらを向いた瞬間、視線が釘付けになった。 自分と同じ顔をしたものが足を焼かれている。ブスブス焦げる匂いが風に乗って流れてくる。 これはゲスまりさが 「ごめんなさい!ごめんなさい!にんげんさんのものだってしらなかったんですぅぅ!」 一度は殊勝に謝っておきながら、 「まりさはおいしくないんだぜ!たべるんならこっちのれいむにするんだぜ!」 許されないと知った瞬間に仲間を売ったことに対する、調理を兼ねた制裁である。 「ばりざがわるがっだでずうううう!あやばるがらばりざのあ゛んよ゛やがないでぐだざいいい!」 「何が悪かったのかなー?」 「にんげんざんのおやざいだべでごべんなざいいい!」 「分かってねえなあ」 「ばりざのおぼうしがああああああ!?」 相手をしていた男は、ゲスの帽子を取ると手にしている松明にかざした。優美なぐらい緩やかに燃え上がる。 悪知恵が働くとはいえ、知能の絶対値が低いので人間には即行でばれる。 「かえすよ」 「ゆぎゃああああああ!あづいいいいい!」 緋色に輝く帽子を頭にのせると、ゲスは大声をあげてとても喜んだ。 「こいつもこんなもんでいいよな?」 「おう、いいよ」 「何か」を蹴っていた男たちが蹴っていたものを鉄板の上に置く。赤々と照らし出されたのは変わり果てたれいむの顔で。 (あくまでもゆっくり視点で)整っていた顔は間断なくめり込んだ足で歪み、砂糖菓子で出来たリボンはところどころ欠けている。 「あづいいいいい!ゆっぐりでぎないいいい!」 「ん?そいつは?」 「あ?なんだお前」 男たちが気づいてまりさを掴み上げた。 「飼いゆっくり?」 「バッジないから違うだろ」 「まりざああ!ばりざとがわるんだぜええ!」 「ま……りさ?……!だずげでえええええ!」 「あ、知り合い?」 まりさは答えない。答えられない。 「みでないでざっざどだずげろおおおお!」 「だずげないならまりざなんがゆっぐりじねええええ」 男の一人が二匹の餡子を掬い取って、OKサインを出した。 「甘みは十分だから全体焼こうぜ」 「けど片方足で蹴ったからそのまんま食いたくねーよ」 「じゃあこいつらに子供産ませてそれ食おうぜ」 「折角手間かけたのにもったいなくないか?それ」 「ストレス解消になったからいーじゃん。それに赤ん坊のほうが旨いらしい」 「どうやって産ませるんだ?」 まりさは目の前の光景を受け入れられずにいた。 変わり果てた姿の人気者のまりさとれいむ。信じられないほど痛そうな仕打ちと嫌な臭い。 助けにきた自分を罵倒する、優しかったはずのれいむ。 「「せーのっ」」 鉄板から引きはがされた二匹が、人間の手で強制的に擦りつけられる。 「すっぎりじだぐないいい!」 「ずっぎりじだらしんじゃうううう!」 「あはは間抜け!」 「いっそこうしたほうが楽じゃね?」 「だはははは!」 男たちはゆっくりの悲鳴なぞ頓着せず、手に持って擦り合わせるのも面倒なので、股に挟んで腰使いの真似などをして笑い転げる。 「い゛や゛だあああ!もっどゆ゛っぐり、じだいいいい!……ゅっゅっ」 「もうゆるじでええええええ!……ゅっゆぅぅ」 「うわ汚ね!」 焦げた二匹の体が粘液で包まれ、今までの苦悶の声から甘く、押し殺したような声に変わる。 「れいむ……れいむ……」 まりさはそんな二人を呆然と見ている。嫌悪感が湧くのに、目を逸らせない。ぬるぬるのれいむ。聞いたことのない声。 「「んほおおおおおおおおおおお!すっきりー!」」 嬌声を上げて二匹は絶頂に達した。見る間に茎を生やし黒ずんでいく。 それを見た瞬間、まりさの何かが切れた。 「いやだああああ!おうぢがえるううう!」 「うおお!?」 おとなしかったゆっくりが突然暴れ出したので思わず取り落とす男。その隙にまりさは灯りの届かない闇へと消えて行った。 「もったいねー」 「うっせ」 「誰か醤油持ってない?」 男たちはあえて追わず、出来立ての赤ちゃんに舌鼓を打った。 まりさが逃げ去ったのは、帰るには見当違いである、村の方向だった。 「ゆ゛ぅぅ……、ゆっぐ……、ゆっぐ……」 泣きながら物音におびえ、目についた隠れられそうな物影に飛びこむ。 「あんなのれいむじゃないよ……あんなきたないのれいむじゃないよ……」 年長のれいむはまりさにとって憧れの存在だった。優しくてきれいだったのに。大好きだったのに。 「ゆー……だれかいるの?」 「ゆゆ!?」 声がしたほうを振り向くと、皮の張り、毛づや、その他どこをとっても素晴らしい、成体の美れいむがいた。 月明かりを浴びたその姿はたおやかで、まりさは一目で心を奪われてしまう。 「ここはおにいさんのおうちだよ。わるいこはゆっくりしないででていってね」 「まりさはわるいこじゃないよ!」 「じゃあゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 「ゆー、おねえさんはとってもきれいだね!」 「おにいさんがとってもかわいがってくれるからだよ!」 「ゆ!にんげんはこわいよ!れいむが……れいむがあああああ!」 「なかないでね、なくのやめてね。まりさがかなしいとれいむもかなしいよ」 そう言って美れいむは泣きだしたまりさの涙を舐めとる。その親愛の情がうれしくて、いい匂いにどきどきして。 「ゆー……くすぐったいよ」 「まりさはわらってるほうがかわいいよ!」 そう言って頬を擦り合わせる。まりさは先程の光景を思い出して体が強張るが、それも伝わってくる優しさがほぐしていく。 「れいむ……」 「なぁーに?」 「まりさはれいむのことがだいすきだよ」 このれいむこそがほんとうのれいむなんだ。まりさがすきだったやさしくてきれいなれいむはこのこなんだ。 このことおうちにかえろう。これからはふたりでおいかけっこしたり、ちびちゃんたちにおうたをうたったり、ひなたぼっこするんだ。 「れいむもまりさのことがすきだよ」 すりすりすりすり。 伝わってくる振動が、変わった。 「くすぐったいよれいむ~♪」 「……ゅ……ゅぅ……」 「……れいむ?なにか……へんだよ?」 さっきも聞いた声、れいむが出すとは思えなかった声。 「れいむにまかせてね。れいむがきもちいいことおしえてあげるね」 「やめて、やめてね。なにかまりさのからだおかしいよ?」 「れいむといっしょにすっきりー♪しようね」 「!」 実はこのれいむはHENTAIお兄さんに売り込むべく調教されていた、百戦錬磨のエロれいむだったのだ。 「いやだああああ!ずっぎり、ごわいいいい!」 「だいじょうぶだよ。とてもゆっくりしたきぶんになれるよ」 「どぼじでごんなごどするのおおお!?ぎれいなれいむがぞんなぎだないごどしちゃだめでしょおおお!?ごんなのゆっくりじゃないよおおおお!」 「すっきりをわるくいうこにはおしおきだよ!ちょっとほんきだすね!」 当然、その価値観も通常と違い、性行為に対して羞恥心がなく、ゆっくりできる最高の手段だと思い込んでいる。 「ゆふぅ……!」 駆け抜ける快感突き抜ける有頂天。れいむの愛撫で、急速に自分の中で何かが育っていく。 「じぬううう!すっぎりじだらしんじゃうううう!」 「こんなにおおきいのにまりさはなさけないね!」 れいむは取り合わない。人工的な環境で鍛えられたため、成体かどうかの微妙な差異は分からないのだ。 そのため、単なる快感への怯えと判断して更なる刺激を与えていく。 「ごわいよおおおおお!おがあざああああん!」 「「すっきりー!」」 茎を生やして黒ずんでいくまりさ。いくつかの実をつけるも熟しきるには至らない。 「あ゛あ゛あ゛あ゛まりざどおじてえええええええ」 変わり果てたまりさに号泣するれいむ。 「うー醤油醤油」 そこに飼い主である男が戻ってきた。 「おに゛いいざあああん!まりざが、まりざが、すっきりじだらじんじゃったあああ!」 「ん?そいつさっき入り込んだゆっくりか?仲間も黒ずんだし、まだ子供だったんだろ。 未熟なうちにすっきりしたら、産まれる子に餡子とられて死ぬよ」 「ながよぐゆっぐりじだがっただけなのにいい!」 れいむは声を張り上げて泣いた。 翌日。日差しの柔らかな草原で、子ゆっくりが保育役のゆっくりに問いかける。 「まりしゃおねーしゃんまだー?」 「おちびちゃんたちゆっくりきいてね。まりさとはもうあえないよ」 「そんなのうしょだよ!」 「うしょつかないでね!ぷんぷん!」 「ぷかぷかうかんであそぶーってやくしょくしたもん!」 「まりしゃおねーしゃんはいっちゅもやくしょくまもるよ!」 責任感が強く世話好きで、いつもニコニコしていたまりさ。そのまりさが約束を破るはずがない。 「ゆっくりりかいしてね……」 悲しげな説明も耳にせず、その日一日、子ゆっくりたちはまりさの帰りを待ち続けた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2951.html
『ゆっくりまりさのサプライズ 前編』 29KB 愛で 思いやり 愛情 自業自得 差別・格差 育児 番い 飼いゆ 赤ゆ ゲス 都会 現代 愛護人間 うんしー まりさのゆん生転落劇その1 CAUTION!!CAUTION!!CAUTION!! ※人間がゆっくりを虐待しません ※前編のみ愛護人間注意 ※書いた人:おおかみねこあき CAUTION!!CAUTION!!CAUTION!! 『ゆっくりまりさのサプライズ』 誕生日と言えば誰にでも訪れる年に一度のイベントだ。 無邪気な子供ならばプレゼントやケーキに胸を弾ませるところだろうが、 20代の半ばも過ぎれば特段面白い事が起こる訳でもないし期待することもない、 そんな僕の出生の日を出汁にして一杯引っ掛けようと提案したのは付き合いの長い幼馴染の友人だった。 仕事を早々と切り上げ、友人と合流し飲み屋を何件もハシゴして自宅に戻る頃には日付が変わる一歩手前の深夜、 少々遅くなってしまった事を後悔しつつ僕は足早に玄関の扉を開けると、 「おにーさんっ!おたんじょうびおめでとう!!」 開かれた扉から、すぐさま飛び込んできた聞き覚えのある甲高い声、 思わずおののいて一歩後ずさってしまうがその声の主が僕の飼いゆっくりであるまりさだと気付いてホッと胸を撫で下ろした。 まさか飼いゆっくりであるまりさに誕生日を祝う言葉が贈られるとは思いもせず、 驚きと感嘆を覚え、主人想いなまりさを撫でてやろうと僕は壁の照明スイッチを押した。 そこには――。 「ゆゆっ!あかるくなったよ!!ゆ!じじい、きょうかられいむがごしゅじんさまだよ! こんなにかわいいれいむをかいゆっくりにできるじじいはかんしゃしてごほうしするんだよ!! あまあまもたくさんよういするんだよ!!」 「れいみゅにもあみゃあみゃしゃんをちょうだいにぇ!きゃわいくっちぇごめんにぇ!!」 「ゆぅ、なんだかまりしゃねみゅいよ……すーやすーやしちゃいよ……」 想像を絶する光景が広がっていた。 ニコニコと夏の向日葵を彷彿とさせる明るい笑顔のまりさの横に、憎たらしく貧相な捻くれ顔をこちらに向ける成体のれいむ、 腹の部分がどっぷりと膨れ妙なくびれを外輪に現しているその風貌と、汚らしい言葉使いから察するに所謂『でいぶ』と認定される種であるのが分かる。 そして2匹の前にプチトマトより一回り大きな赤ゆっくりサイズのまりさとれいむがそれぞれ1匹づつ、 元気に跳ね回っているれいむとうつらうつらと重い瞼を必死に起こして佇んでいるまりさが並んでいた。 僕はいつの間にか我が家に上がり込んでいるゆっくりたちの姿とその分かり易すぎる経緯を想像して言葉を失った。 「おにーさん、しょうかいするよ!まりさのおよめさんのれいむとおちびちゃんだよ!!」 僕の内部で渦巻く懸念など露知らずまりさは嬉しそうにでいぶと子供達を紹介し始めた。 「きょうはおにーさんのたんじょうびだから、まりさはおにーさんのためにゆっくりできるおちびちゃんをつくったよ! おにーさんみてみて!ゆぅーん、おちびちゃんはとってもゆっくりできるよ!!」 しかめっ面の僕とは対照的に赤ゆっくりと頬を擦り合わせ、幸せそうにすーりすーりして顔をにやつかせるまりさ。 (そうか、そうだったのか……ここのところ毎日ご飯を食べ終わった後に外出していたがこういう事だったのか……) はぁーと大きく溜め息をついて、最近のまりさの様子を思い返した。 誕生日の話題を出したのは約一ヶ月くらい前のことだったか、その時のまりさは何か言ってなかっただろうか、そうだあれは確か。 『まりさとってもいいことをおもいついたけどおにーさんにはひみつだよ!ゆふふ、たのしみにしててね!』 あれはフラグだったのか、選りにも選って誕生日という特別な日にこんな気持ちにさせてくれるとは。 がっくりと項垂れた僕はまりさの家族とやらに視線を落として舌打ちすると、靴を乱暴に脱ぎ捨て大股でゆっくりたちを跨ぎ台所に向かった。 残されたまりさは称賛や賛美の言葉を仄かに期待していたのか無反応な僕を見て不思議そうに小首を傾げて唸り、 不愉快を上塗りした表情のまま足音重く響かせ背を向ける僕の姿を追ってトコトコと足早に付いてくる。 「ゆぅ……おにーさん?……どうしたの?まりさのおちびちゃんをみてね、とってもゆっくりできるよ……」 僕が怒っているのに気付いたのだろう、まりさは上目遣いに様子を伺いながら引き攣った笑顔を浮かべている。 帰宅が遅くなったお詫びにまりさと翌日に食べようと思いコンビニで購入した、エクレアとチーズケーキの入った袋をテーブルに乱暴に置き捨て、 棚に置かれたコップを手に取り水道の蛇口を捻る、水を張ったそれを片手で持ったまま居間に入るとソファーに体重の全てを預けた。 キュッと喉を絞って水を飲み干し酔いを醒まさせる、ふと視線を横にやれば台所と居間を繋ぐ境のガラス戸から僅かに顔を覗かせたまりさが佇立している。 「どれいとのつらあわせもおわったかられいむはすーやすーやするよ!くそどれいはあしたかられいむをゆっくりさせるんだよ!!」 「ゆーん、まりしゃもうねむいよ……しゅーやしゅーやしゅるよ……」 空気を読んでいない、ある意味で最もゆっくりらしいでいぶと赤ゆっくりたちは勝手に僕の愛用の座布団の上を陣取ると、3秒で鼾をかき始めた。 あまりの傍若無人っぷりに捻り潰したくなる衝動をぐっと堪えて僕は未だに押し黙ったままガラス戸の向こうで立ち尽くすまりさを手招きして呼び寄せた。 「お、おにーさん?……」 恐る恐る近寄ってきたまりさを僕はひょいと掴み挙げると、居間のローテーブルに乗せた。 普段からローテーブルには乗り上げてはいけないと教え込んでいるので、まりさは不安げにきょろきょろと辺りを見回して落ち着かない様子だ。 僕はジッとまりさの寒天の瞳を凝視して、率直になるべく平静を装うよう心掛けて尋ねた。 「どうして子供なんか作ったの?」 「ゆっ?おにーさんきいてね!おにーさんのたんじょうびにあわせたさぷらいずさんだったんだよ! まりさはこのひのためにがんばってれいむとすっきりー!しておちびちゃんをつくったんだよ! でもおにーさんなんだかぷんぷんしてるよ……おにーさん、どうしてなの?」 無垢で穢れを知らない円らな瞳が僕を注視してうるうると湿り気を帯びる。 想像通りの回答を聞かされて泣きたいのはこっちの方だと内心で悪態も吐きながらも、僕はまりさを叱り付ける気になれなかった。 それには訳がある、まりさとの付き合いは長くまりさがどういう性格なのか良く分かっているからだ。 まりさはサプライズだと言ったがその言葉に恐らく偽りはない、僕との信頼関係は厚く本意で喜ばせたいと思ったのだろう。 お帽子の銀バッジが示す通り知性は他の個体と比べれば良く素行も大人しい性格なのだが、まりさは致命的に要領が悪い、 張り切れば張り切るほど空回りするタイプであり、今回の一件も、 『他ゆんとのすっきりは駄目』という約束を『僕を喜ばせたい』一心から、優先順位が切り替わってしまった事で生まれた結果なのだろう。 思い込んだら前しか見ない純粋さこそがまりさの一番のチャームポイントであるが、今度ばかりは挽回できる失敗という訳にいかない。 とにかく先々の事を考えなければならない、いや、まずはまりさと話を進めるのが先決か。 「僕が怒っているのはまりさが約束を破ったからだよ、まりさ、僕は野良ゆっくりとすっきりーしちゃ駄目だって何度も教えたよね?」 「ゆぅ……まりさもいけないとおもったんだよ!でもおにーさんをいちばんゆっくりさせるにはおちびちゃんしかないとおもったんだよ!」 まりさにとっては苦肉の策だったようだ、過ぎた愛情が愚行を促したかと思えば可愛いものだが……。 「……まりささえ居てくれれば僕は十分ゆっくりできるよ、他のゆっくりなんて必要ないんだよ」 「どおじでっ!?おにーさんっ、どうしてそんなこというの?まりさのおちびちゃんはとってもゆっくりできるんだよ!」 「どうして……か、そうだなぁ……前にやってたCMを見た時、まりさは自分の子供が欲しいって言ったよね、その時に僕が言った言葉は覚えてる?」 ちょっと前に携帯電話のCMにマスコットキャラクターとしてゆっくりの一家が起用されていた時期があった、 まりさと一緒にそれを見ていた時、まりさは切望する眼差しで番と子供が欲しいと願い出た事があり、 そんなまりさに僕は育児の大変さを諭し、人間とゆっくりの関係を説いた上で内に抱いた期待を手放すよう促したのだ。 「いいかい、人間にとって多過ぎるゆっくりは毒なんだ、まりさ1匹分のゆっくりなら人間はとってもゆっくりできるけれど それ以上のゆっくりは僕ら人間を病気にしてしまうかもしれないんだよ」 これはゆっくりを飼う人間側の世話の大変さを訴えた比喩である、 衣食住の用意にそれなりに金銭面で負担が掛かる事をまりさが理解できる様に説明するよりも、この方が手っ取り早く刷り込むのが容易なのだ。 僕の言う病気の例えは、ゆっくりの世話に掛かる肉体及び精神面の負担の重さを大袈裟に訴えたものである。 無論世の中にはゆっくりの一家を丸々飼うだけの余裕がある人々も居るだろうが、 あくまで僕の尺度で説明しなければ都合よく考えてしまう餡子脳が良い方へ良い方へと解釈してしまうので省略せざるを得ない。 「そんなことないよ!おちびちゃんがいればおにーさんはきっといっぱいゆっくりできるよ!」 それでもまりさは自分の意見を曲げようとしない、僕は半ば呆れながらも違う切り口でまりさを説き伏せる。 「仮にゆっくりできたとしてもだ、まりさとれいむとおちびちゃんを僕はどう養っていけばいい?」 「ゆっ……やしなう?」 「そうだよ、まりさは知っているね。僕がお外で仕事……じゃなくて狩りをするのが下手なんだ、 どんなに頑張っても、どんなにゆっくり出来てもまりさのご飯を用意するのが精一杯なんだよ」 「じゃ、じゃぁ、おちびちゃんのごはんさんは?」 「当然用意できない」 「それじゃあゆっくりできないよ!!」 声を荒げて泣きべそを掻くまりさ、実際には生活を切り詰めさえすればまりさも子供達も含めた餌の用意ができない訳ではない、 意地悪な諭し方ではあったがまりさに事の重大さを理解してもらう為にあえてそう突っ撥ねたのだ。 「そう、だから僕は何度も言ったんだよ。野良ゆっくりとすっきりーしちゃ駄目だって……まりさ、分かってくれたかい?」 「ゆぐっ……ゆぐっ……おにーざんっ……まりざっ、わるいごどしじゃっだの?……」 目元から頬、あんよを掛けて一筋の砂糖水を垂れさせながらまりさは漸く仕出かした事の重さを見知したようだ。 泣き崩れて唇を噛んでいるまりさを見ていると、僕はどうしても感情に任せて怒声を張り上げる事ができなかった。 もう彼是1年程の付き合いになるまりさに情を見出すのは当たり前だ。 身勝手な行動だったとは言え罵倒して潰すなんて真似は当然できかねない。 「とにかく今日はもう晩い、僕が解決策を考えておくからまりさは休みなさい」 「おにーざんっ……ごめんなざいっ……まりざはっ……!」 「分かった分かった、大丈夫だから心配しなくていいよ」 そっとまりさを持ち上げローテーブルから床に置いてやると、僕は立ち上がり居間の電気を消して部屋を出て行く、 どっと疲れが滲み出し、風呂に入るのも省いて僕は寝室に入りベットに横たわった。 思考は未だにフル回転している、これからの事を考えると目まぐるしく色々な予測が過ぎっていく。 (……はぁ、なんて誕生日だったんだ……もう疲れ果てたよ……) 僕の憂鬱と同調するかの様に、夜は闇は徐々に更けていった――。 ――――――――――――――――― 「ゆびぇえ”ぇえ”え”え”え”んっ!!おちょーじゃん、うんうんしゃんとっち”ぇよぉおおお!!!」 翌朝は最悪の目覚めだった。 寝室にまで響く赤れいむの泣き声に僕はまどろんだ夢の中から強制的に引き起こされた。 上着は脱いだもののシャツとズボンはそのままで眠ってしまった為、締め付けられた感覚が強く妙に身体が重い。 上瞼の筋肉に動け動けと何度も命令をする傍ら、起き上がった僕はボリボリと後頭部を掻き毟りながら居間に入室する、そこには。 「お、おにーさんっ!まりさのおちびちゃんがたいへんなんだよっ!」 「ゆっくちしないじぇとっちぇよぉおお!!!うんうんしゃんがくちゃいよぉおおお!!!!」 視線を落とせば、カーペットの上で赤れいむがうんうん塗れになっていた。 近くに捻り出したうんうんの粕が散乱していることから、上手く用を足せず身体にうんうんを引っ付けてしまったのが伺える。 赤れいむの横にはオロオロと困惑した顔で右往左往するまりさが僕に救済を求める視線を送っている。 一方もう片方の親であるでいぶはこの騒音にも関わらず未だに座布団の上で涎を垂らして熟睡していた。 「……うんうんか……どうしたの?うんうんの処理は親の務めだよ……」 「まりさはなんどもおしえてるのに、おちびちゃんはてっしゅさんをつかってくれないんだよ!」 まりさの言葉を聞いて僕の眉が無意識にぴくりと動いた。 テッシュ?そんなものが赤ゆっくりに使いこなせる筈がない、一体どういうつもりなんだ。 「おちびちゃん、まりさをみならってね!ゆかにしいたてぃっしゅさんをおしりにあわせてすーりすーりするんだよ!」 「そんなことじぇきないにきまっちぇるでしょぉおおお!!ゆっぐりじないでうんうんしゃんとっちぇよぉおおお!!!!」 「もんくをいわないでね!まりさのいうとおりにしてね!!」 赤れいむの喚き声に半ば激昂気味にまりさは床に敷いたティッシュを押し当てようとしている。 そんな乱暴な姿のまりさを見て僕は慌てて押し止めた。 「ちょっと待ったッ!まりさストップッ!!赤ゆっくりはティッシュなんて使えないよ!」 「ゆっ!?そうなの?じ、じゃあどうすればいいの?おにーさん……」 「親の舌でうんうんを舐めて取り除いてあげるんだよ。まさかとは思うけど……まりさ、知らないの?」 「うんうんさんをなめるなんてきいたことないよ!そんなきたないことできるわけないよ!!」 僕は愕然とした、まりさにはまるで親として本来持つべき知識がなかったのだ。 飼いゆっくりとしてよく教育された成果とも取るべきかもしれないが、まりさの餡子には育児のカテゴリーが欠如しているらしい。 よくもまぁこんな状態で子作りを決心をしたものだ、無計画にも程があると、胃に僅かな痛みを感じながら僕はまりさに問い質す。 「いいかい、まりさがおちびちゃんだった頃、誰がうんうんを処理してくれたのかゆっくり思い出してごらん」 「ゆっ……ゆぅー……」 珍しく額に皺を寄せ餡子の中に詰まった思い出探しをするまりさ、その顔が徐々に青くなっていくと唇を震わせながらまりさは顔を上げた。 「ゆっ!!ま、まりさのおかーさんも、まりさの、まりさの……うんうんさんをなめ……なめてたよっ……」 「そういうことだよ。分かったられいむの身体を優しく舐めてあげるんだよ」 顔面蒼白で眉をくの字に折り曲げてまりさは僕と赤れいむを交互に見渡すと、 新聞紙をくしゃっと丸めたように表情を歪ませ、まりさは唐突にあろう事かわんわんと泣き始めた。 「まっ、まりざにはでぎないよぉお!!!うんうんざんをなめるなんでいやだよぉおおお!!!!」 「ゆべぇええええぇえぇええん、ゆっきゅりしないじぇれいみょのうんうんざんをなめちぇよぉおおお!! れいみゅをゆっきゅりさせないぐじゅおやはゆっきゅりしないじぇちねぇ!!!」 まりさの駄々に僕はげんなりと溜め息を吐いて首を垂れる。 同様に赤れいむのストレスは臨界点近くにまで到達しているらしく、そのシグナルとなる親に対する暴言が飛び始めている。 僕はティッシュを右手に持つと空いた左手で赤れいむを持ち上げ丁寧に体中を拭き取ってやった。 ようやくうんうん地獄から脱した赤れいむは徐々に落ち着きを取り戻し、さっきまでの表情を一変させ暢気な阿呆面を小麦粉の表面に浮かび上がらせた。 「ゆっきゅりしゅっきりー!!」 「……はぁ、これで一つ選択肢が消えたか」 僕は今後のまりさとでいぶ、そしてその子供達の行く末を幾つかの選択肢として案を講じていた。 その一つが家族を纏めて飼いゆっくりにする事、昨日はまりさに辛く当たったが飼い主である僕も、 野良ゆっくりとすっきりするのは駄目だとまりさにしっかり教育を施せなかった非に当たる部分があるのではと思い直し、 金銭的に少々厳しくなるものの飼い主の責任を履行すべく、まとめて引き取る道を選択肢に加えたのである。 しかし親としての自覚が欠如したまりさの潔癖具合を見てそれが無理だと確信してしまった。 僕は仕事があり日中は家を空けているので、その間、赤ゆっくりたちの世話はまりさとでいぶに任せるしかない、 だが親であるでいぶの体たらくは無論のこと、まりさもうんうんの処理を碌にこなせない様であれば、 僅かなハプニングで命を落としかねない貧弱な赤ゆっくりの面倒を見るなど到底不可能な話だ。 不幸な結果に終わるのが目に見えている以上、この選択肢は除外するしかないようだ。 「さて、どうしたものか……」 ソファーに腰を下ろし思案を巡らせていると、寝ていた赤まりさも起きたようで赤れいむと一緒になって姉妹は遊び始めた。 僕は目覚めのコーヒーを啜りながら、はしゃぎ回っている赤ゆっくりを横目に他の選択肢を模索していく、 既に幾つか案を搾り出したがどれもこれもパッとしないものばかりだ。 最初に考えた案は『平時でも面倒が見れる人に飼ってもらう』ことだった。 しかし銀バッジゆっくりでも手頃な値段で買える時代に、野良のでいぶとその子供を育てようなんて物好きは滅多にいないだろう、 携帯電話のアドレス帳と睨めっこしても該当しそうな知人や友人が到底見つかるとは思えないので却下する他なかった。 次に考えた案は『家族全員を森に連れて放つ』ことだった。 元々でいぶは野良のゆっくりであるし、赤ゆっくりもまだ舌を肥えていない、飼いゆっくりとしての生活に慣れきったまりさには辛いかもしれないが、 森住まいの野生ゆっくりが作る群れの一員に加えてもらえば、他のゆっくりの手を借り子育ても狩りによる食料確保も難しい話ではなくなるだろう。 これが一番妥当かと思えたが残念ながら穴があった、どうも最近の法改正でゆっくりを自然に帰す事が軽犯罪にあたるようになったらしく、 理由は諸説あるが、森のあちこちに巣を作って荒らし尽くす無法者っぷりが目に余り、その絶対数を増やさせない為の措置としてのようだ。 近年、自然保護団体が富士の樹海の入り口に立てた自殺志願者向けの看板『東京で死ね!森を汚すな!』と一緒になって 『ゆっくりは潰して持ち帰れ!森を汚すな!』と殴り書きされた文字が並んで立っているほど問題は深刻化しているらしい。 法律に触れて前科者になるのも然る事ながら、人様に不快な思いをさせる訳にはいかないのでこの選択肢も除外するしかなかった。 そしてたった今考えた案は『でいぶを加工所送りにして新しい親ゆっくりを買う』ことだ。 飼う事を前提にして、どちらも子育てに不向きとあらばいっその事、 でいぶを加工所で処分してもらい、育児に積極的なゆっくりをまりさの新しい番にさせるという我ながら胆略的な発想から生み出した案だ。 僕が幾ら愛で派のお兄さんとは言え、このでいぶにまで愛着を持つ程のお人好しではない、 口も悪くゲス化しており尚且つ『でいぶ』とダブル役満状態のこれよりも、 温厚なゆっくりありすか母性の強いゆっくりれいむを新たに新調すれば赤ゆっくりたちの未来は開けたものになるだろう。 だがよくよく考えてみれば、少なくとも赤ゆっくりたちにとって、どんなにでいぶだろうと産みの親に変わりはない訳で、 子供達の為とは言え都合で親を取り替えるのは聊か横暴が過ぎるのではないかと、どうしても思い悩んでしまう。 「うーん……」 僅かに額が熱気を帯びるくらい思索にふけていた僕は、呑み干したコーヒーのカップをローテーブルに置いて溜め息をついた。 ふと横を見れば赤ゆっくりの姉妹に混じってまりさも一緒にピンポン玉を追い掛けている。 「ゆびぇええん、おちょーしゃんばっかりじゅるいよぉおお!!」 「れいみゅにもぴんぽんしゃんちょうだいよぉおおお!!!」 「まりさのかれいなどりぶるをみてね!ゆっくりしゅーとするよ!!」 泣きじゃくって必死にピンポン玉を追い掛けている赤まりさと赤れいむを他所に、まりさは一匹でボールを独占し転がしている。 そのまりさの顔は心底楽しそうに笑っているものの赤ゆっくりに対して手加減をしピンポン玉を渡してやる気配りの無さが、まりさの心持の無さを如実に現していた。 飼っている当時は気にもしなかったが親になり子を持ったまりさを傍目から見ていると、まりさは随分と幼稚な姿をしているんだと感じ取れてしまう。 本当にどうして子供なんて作ってしまったのか、目を伏せて肘で頭を支えながら僕は項垂れた。 (そういえばいつだったかテレビのドキュメンタリー番組で飼いゆっくりをどうしても手放さないといけなくなった飼い主の話をやっていたっけ。 こんな風に彼が悩み抜いて出した結論はなんだったか、あっ、そうか。) 僕はノートパソコンを取り出すと該当のページを開いて要項を閲覧していく、流すように読んでは今の現状と照らし合わせ僕は大きく頷いた。 これなら家族を引き離す事無く当面の問題は片付くだろう、まりさには少々辛い思いをさせてしまうかもしれないが……。 「まりさ、ちょっと話があるんだが」 「ゆっ!おにーさん?どうしたの?」 なるべく丁寧にまりさにも納得出来るように僕は一つの案を提示した――。 ――――――――――――――――― まりさを買う時に付属した透明な箱にでいぶと赤ゆっくりたちを入れ、3匹を押し込んだ箱を抱えた僕と足元に寄り添うまりさは玄関の前に立っていた。 透明な箱に入ったでいぶは揉み上げをピコピコと上下させ、たっぷりと蓄えた顎や頬の肉を盛大に歪ませ、憎たらしくこちらに向けて何か訴えている。 赤ゆっくりたちは『お空を飛んでるみたい』とでも言っているのだろうか、姉妹で顔を合わせて楽しそうに笑っていた。 「まりさ、そろそろ行くよ」 「ゆー……」 一方まりさは玄関の前で立ち尽くし我が家を惜しむ様に見上げては、その瞳を潤ませていた。 無理もない、もうここに戻ってくる事はないのだから、だがいつまでもこうしては居られない。 僕はまりさの視線に合わせる為に膝を折ると、目尻に涙を溜め込んだまりさと眼を合わせた。 「名残惜しいのは分かるけど、もう出発しないと……ね。まりさ?」 「……わかってるよ……」 庭の花壇に咲き誇るパンジーとビオラの花々がまりさの視線の先にあった。 それは夏の中頃に僕とまりさとで植えたものだ、今では立派に黄と紫の色々が風に靡いて揺れている。 まりさは最後にもう一度だけ家屋を見渡しくるりと振り返った。 「さぁ行こうか」 「……ゆぅ」 でいぶと赤ゆっくりを詰めた透明な箱を持ち、リュックサックを背負い僕は歩みを進める。 まりさも僕の背中を追い、力なく跳ねて後に続く。 (本当にこれでよかったのだろうか……) 目的の場所を目指して進む僕は拭いきれない気持ちを抱え込んだまま徐に空を見上げる、雲が遥か高くに浮かんだ秋の景色が見える。 僕は最終確認の意を込めて再び自問を繰り返す。 ただ単純に物を考えれば以前の生活に戻す事を優先し、赤ゆっくりとでいぶ共々加工所に引き取ってもらえば良い話だった、 だがまりさは僕の誕生日を祝って赤ゆっくりを作ったと言った、偶然ではなく必然としてこの世に生を受けた赤ゆっくりたちを 僕らの都合だけで処分するのはどうしても納得できない、心情や感情の問題ならば非情になりきれない飼い主である僕の責任かもしれないけれど。 正直言ってまりさを手放すのは惜しい、だがそれ以上にまりさの子供達を無為に殺してしまうのがもっと惜しい。 やはり何度思い直してもこれ以上に最善の策は浮かばない、赤ゆっくりには親の存在が絶対に必要だし、 まりさの幸せだけを考え家族を引き離す訳にもいかないし、『まりさと家族』の為にはこれしか方法がない。 ふぅっと息を吐いて視線を元に戻す、暫く無言のまま僕とまりさは歩き続けるとついに目的の場所に辿り付いた。 簡素な金網で囲われた緑地、中央に真新しい噴水が建っているここは近所の森林公園だった。 奥をぐいぐいと進んでいくと、開けた広場を見つける、そこには大勢のゆっくりが袋に空き缶を詰め込んでいる最中だった。 「あら、にんげんのおにーさん。こんにちわ、ゆっくりしていってね!」 1匹のゆっくりありすが僕に気付くと、軽く会釈して微笑んだ。 彼女のカチューシャには薄汚れた『街バッジ』が装着されている。 「こんにちわありす、いつもご苦労様。唐突にすまないけどここの長を呼んで来てくれないかい?」 「わかったわ、ちょっとまっててね」 ありすは僕の足元から顔を半分だけ覗かせたまりさを一瞥して、広場の中心に走っていった。 暫く待っていると、輪の中から数匹のゆっくりが現われて僕の前に姿を現す、 その中から街バッジと連なって長と描かれたバッジを帽子に付けたゆっくりぱちゅりーがおずおずと一歩前に踏み出した。 「むきゅー、ぱちゅりーがここのおさよ。おにーさん、なにかごようかしら?」 「悪いんだけど、まりさと……まりさの家族をここの仲間に加えてもらえないかな?」 僕が最終的に導き出した打開案は、まりさとでいぶ、赤ゆっくりたちを近くの街ゆっくりの一員にしてもらう事だった。 ここのゆっくりたちは役割を分担して仕事に従事しているので、何か困っても周りのゆっくりに手助けしてもらえるだろうし、 NPO法人が彼らを援助しており衣食住の不安は無く、街に巣食う野良ゆっくりとして見做されず処分されない等の利点があった。 定員に余裕がある事が大前提ではあるものの、銅バッジなら当ゆんと番まで、銀なら番と子供2匹まで、 金なら番と子供4匹まで、プラチナなら無条件という家族単位で条件が科せられるが、 幸いにもまりさは銀バッジで赤ゆっくりも2匹と条件をクリアしているので問題なかった。 「まずはばっじさんをみせてほしいわ」 流石は長というだけあって、ぱちゅりーはルールに順ずるべくバッジの提示を求めた。 僕は予めまりさの帽子から抜いておいた銀バッジを取り出すと、手の平にそれを載せてぱちゅりーに見せつけた。 「むきゅー、たしかにぎんばっじさんだわ。わかったわ、ちょうどおへやのあきもあるからだいじょうぶよ」 「そうか、すまないね……ほら、まりさ。これからここでお世話になるんだからご挨拶しないとね」 「ゆっ!?……」 足元に隠れていたまりさがおっかなびっくりに前に出る、広場の中心にいたゆっくりたちも野次馬心からか僕達を囲う様に続々と集まってきていた。 大勢のゆっくりの視線を浴びて、まりさは不安げに声を絞り出した。 「まっ、まりさは、まりさだよ……ゆ、ゆっくりよろしくね……」 まりさの覚束ない挨拶が終わるのを見計らい、僕は持っていた透明な箱の蓋を開けて中のでいぶと子供達を外に放ってやった。 どてんと顔面から着地したでいぶは顔を真っ赤にしてわなわなと震え上がりながら僕に向かって体当たりしてくる。 「くそどれいっ!!れいむをこんなうすぎたないところにつれてきてなんのつもりなの?ゆっくりしないでれいむをおうちにもどすんだよ!!」 僕はすかさずデコピンを額に食らわせると、でいぶが「ゆぎぃっ!!」と軽い悲鳴を挙げてのた打ち回った、 手加減はしたつもりだが、まるでサッカー選手のオーバーアクションのようにでいぶは痛みを訴えた。 「ゆぎいぃいい!!きゃわいいでいぶのびーてぃふるなおかおになにずるのぉおお!?ばいしょうせいきゅうするよ!!けーさつさんにつきだすよぉおお!!!」 「もう一発、てゐッ」 「ゆびぃいい!!!」 何度か押問答を繰り返しようやく静かになったところで、僕はでいぶの頭を軽くこついて街ゆっくりたちの方を向けさせた。 「お前を飼ってやることは出来ないけど、ここでの生活は保証されるんだから大人しく街ゆっくりにしてもらいなさい そもそも野良のお前が街ゆっくりにさせてもらうのはかなりの幸運なんだぞ、そこんとこ理解したら親としての責務をしっかり果たすんだよ」 「……く、くそどれいのぶんざいで……」 「まだデコピンが足りないかい?」 「ゆ、ゆひっ!?でこぴんさんはゆっくりできないよ!れいむはゆっくりりかいしたからやめてね!」 僕とでいぶのやり取りを見て顔を引き攣らせている街ゆっくりの面々に気にも留めず、でいぶは大柄な態度で前に出るとぶっきらぼうな挨拶を投げた。 「れいむはれいむだよ!うすぎたないところでれいむはふまんだけど、しょうがないからゆっくりさせてもらうよ!!」 続いて赤れいむと赤まりさも定型文の挨拶を済ませると、僕は改めて長ぱちゅりーに頭を下げた。 「すまないね、見ての通りまりさは僕との約束を破って子供を作ってしまってね…… 如何せん子供の世話も碌に出来なくて仕方なくここに連れて来たんだけど、どうにか面倒を見てやってくれないかい?」 「むきゅー、あんしんしておにーさん、ぱちゅりーがいちゆんまえのまちゆっくりにしてみせるわ!」 「ありがとう、感謝するよ……それからお詫びと言ってはなんだけど良かったらこれも使ってくれないか?」 背負っていたリュックを地面に置きジッパーを開いて僕は中身を取り出した。 長ぱちゅりーの前に並べたのはまりさのお遊戯道具や冬の衣類、餌皿に余ったお徳用ゆっくりフードなどだ。 次々と出てくる贅沢品の数々に街ゆっくりたちは感嘆の声を漏らし生唾を飲んでは食い入る様に見つめていた。 「これで全部かな、どれもまりさのお古なんだけどこの群れで活用してくれれば嬉しいよ」 「す、すごいわ!このぴんぽんだまさんはおちびちゃんたちのきょうゆうのゆうぐにできるわ! なんてことなのっ、すぃーまであるのね!これであきかんあつめもらくになるわ!!ふわふわさんもたくさんよ!! おにーさん、こんなにたくさんのものをもらっちゃっていいのかしら!?」 興奮気味に息巻く長ぱちゅりーを他所に僕は僅かに表情を曇らせると困ったように小さく微笑んで頷いた。 「ああ構わないよ」 今回の一件がこの結果に収まった以上もう僕はゆっくりを飼うつもりはない、言い換えれば飼い主としての資格がなくなったとものだと自覚している。 残しておいても処分が決まっている物ならばこうして有効活用してもらった方がいいだろう。 「さっそくむれのみんなにはこばせるわ!みんなーあつまってちょうだい!」 「まって!!まってよぉおお!!」 唐突に声を荒げたのはまりさだった、物凄い勢いでピンポン玉を長ぱちゅりーから奪うとスィーに乗せ、背に隠すように立ちはだかった。 「これはまりさのぴんぽんさんだよ!!まりさのすぃーさんもわたさないよ!! ぜんぶぜんぶまりさのものなのにどうしてこんなことするの!?ひどいよぉおおお!!」 「む、むきゅー……」 困惑する長ぱちゅりーを尻目に、周囲のゆっくりから自分の宝物を引き離そうと あれだけ駄目だと教えたぷくーっをして警戒するまりさ、僕は溜め息混じりにまりさをひょいっと持ち上げると顔を合わせた。 まりさの寒天の眼には砂糖水の涙が溜まっていて、それが滴り落ちないように堪え唇を歪めてプルプルと震えている。 「……まりさ、駄々を捏ねて僕を困らせないでくれ。もうまりさは特別じゃないんだ、これからは皆で助け合って生きていかなくちゃいけないんだよ……」 「そんなのしらないよ!!まりさのたからものはまりさのものだよ!!どおじでっ……どおじでっこんな……ゆぅううっ……」 「まりさ……」 「もうまりざはいやだよっ!!こうえんさんになんかすみたくないよぉお!!おにーさんといっしょがいいよぉおおお!! こんなところじゃぜんっぜんっゆっくりできないよぉおお!!なんでまりざがこんなめにあわなくちゃいけないのぉおおお!? もうおちびちゃんなんかいらないからまりさをおうちにかえしてよぉおおお!!!」 まりさの言葉に辺りは沈黙し、でいぶの横で笑っていた赤ゆっくりたちが表情を失くしてまりさを見上げた。 おちびちゃんなんかいらないから――。 その言葉が僕の鼓膜を刺激し発言の意味と重さを脳が理解した後、大きく右手を翳して僕は無意識にまりさの頬を叩いた。 パァンッ――。 周囲に乾いた音が響く、頬を赤くしたまりさはずれた視線を元に戻すと僕をまじまじと見つめて押し黙った。 あまりにも無責任なその態度に僕は嘗て一度たりとも出さなかった掌の手をまりさにぶつけてしまった。 嫌な感触が右手に残る、それでも僕はまりさを諭すため言葉を紡ぐ。 「まりさが親にならなかったら誰があの子たちを守るんだ!?自分の幸せの為ならまりさはあの子たちを見殺しにするのか!? もうまりさはあの子たちの親なんだぞ!!いい加減に自覚しないかッ!大人になれまりさ……いつまでも子供のままじゃいけないんだよ……」 「……ぶった……ぶったよっ!!おにーざんがまりざをぶったよぉっ!!おにーざんなんがだいっぎらいだよぉおおお!! ゆぶえぇえええんっ!!おにーざんなんがしんじゃえばいいんだよぉおおお!!!ゆうぇえ”え”え”え”んっ!!!!ゆぐぅっう!!!!」 「……」 「もうおにーざんのおがおなんがみたぐないよ!!おにーざんはまりさのことがきらいなったんだよ!! かいぬじのくぜにっ!!ひきょうものだよっ!!!おにーざんはひきょうものだよぉおお!!!!ゆぅううううっ……!!」 まりさの訴えに対して僕には反論の余地がなかった、幾ら言い訳を重ねたとして、こうして捨てる事実に変わりはない。 卑怯とは的を得た言葉だ、僕は僕自身の責任を放棄してまりさに厄介ごとの全てを押し付けようとしているのだから。 高まった感情が急激に冷やされていく感覚を覚えながら、泣き喚いて顔中に皺を寄せたまりさをそっと地面に置いた、 察した長ぱちゅりーが僕の顔色を伺いながら近寄って来る。 「にんげんのおにーさん……」 「とんだ醜態を晒してしまったようだ、すまなかったね……まりさの事、くれぐれも頼むよ。 飼いゆっくり生活が長くて精神的には幼いけど根はいい子なんだ、色々迷惑を掛けるかもしれないが大目に見てやって欲しい、 僕の不手際をこうして押し付けて本当に申し訳ないけれど……」 「ぱちゅりーにはわかるわ、おにーさんはとってもいいにんげんさんだわ……どうかきにやまないでゆっくりしてほしいわ」 「そうかい?……お世辞でも嬉しいよ……さて、もう行くよ。これ以上ここに居ても別れが辛くなるだけだからね」 僕は立ち上がると、まだ泣き止まないまりさを見下ろした。 帽子の鍔で顔を隠していて表情は伺えないが、頬から顎下に掛けて砂糖水の涙が筋をなぞって落ちているのだけはしっかりと視認できる。 「まりさ、今まで楽しかったよ……沢山の思い出をありがとうね……」 「ゆぐっ……ゆぐぅ……」 まりさは答えない、こんな別れ方をするつもりはなかったがまりさがこちらを見てくれないのでは仕方がない。 沈んだ気持ちのまま僕は身体を公園の出入り口に向けると、すっかり重くなった足を動かして歩き始めた。 街ゆっくりたちとの距離が20メートルほど離れたところで、唐突に甲高い声が上がった。 「まってッ!!やっぱりおにーざんとわがれだぐないよっ!!まりざをゆるじでっ!!おにーざんっ!!!おにーぃいざんっ!!!」 聴こえてきたのはまりさの擦り切れた声、思わず足が止まりそうになった。 (今止まったら駄目だッ……僕一人じゃ赤ゆっくりの面倒は見切れない……こうする事が一番正しいんだ、足を緩めるなッ!!) 「まってよぉおお!!おにーざんっまりざを、まりざをすてないでよぉおお!!いいこにするからっ!!おにぃいいざんんっ!!!」 まりさの声が僅かに近く感じる、追って来ているのだろう、僕は距離を詰められないように小走りに公園を出て行く。 まだまりさの泣き声が聴こえる、僕は目を細め俯くも決して振り返らず家路を目指して歩を進める、 もう二度とゆっくりを飼わないと心に誓いながら……。 ※中編に続きます
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1970.html
* 『ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね』のブルーシートまりさが主役。リクエストがあったので。 * 前作にも増して虐成分少なめ。まあ、より前作を味わうためのおまけですんで。 『ゆっくりのみるゆめ』 D.O 「ゆっくりしちぇっちぇにぇ!!!」 ここは商用ゆっくりの総合製造工場、通称「餡工場」。 ここは銀バッジ付以上のような『愛玩用』ではなく『商品用』ゆっくりが日夜生産され続けている。 今回の主人公であるゆっくりまりさもこの工場内で産声を上げた。 「はーい『!』3つ。」 まりさは両親から「ゆっくりしていってね」と返されることもなく、所定のベルトコンベアーに振り分けられた。 赤まりさの等級区分はその活発さの度合いで決められている。 まりさ=活発 れいむ=母性(笑) ありす=都会派(笑) その個性が際立ってこそ購入者も満足するのだ。 まあ具体的には、生まれて第一声のあいさつが元気なほどよりマシな将来が用意されており、 『!』が3つ以上で廉価飼いゆ、2つ~1つで各種ゆっくり商品の生体部品、元気がなければ餡子となる。 「ゆぴっ!ゆぅ、にゃんだかねむきゅなっちぇきちゃよ。すぴーすぴー。」 廉価飼いゆにえらばれた赤ゆたちはあにゃるから睡眠薬入り茎ペーストを注入され、 真空パックに封入後各店舗へと送られる。 こうして彼女たちの命は1匹50円で飼い主に握られることとなるのである。 「ゆぅ、ゆっ?ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」 「うわーい!赤まりさだー!ゆっくりしていってね」 「どうだ、M太。元気な赤まりさだろー。」 「うん!すっげー元気!とーちゃんありがとー!」 「むほぉぉおおお!M太はかわいいなぁ!よーしよしよしよし×300。 M太の欲しいものならなんっっっっっっだって買ってあげるからなぁ。」 「ほーら。ごはんやるからな。あぁ、とーちゃん、邪魔。」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおお?」 「ゆっくりしちぇいっちぇにぇ!!!ゆっくりしちぇいっちぇにぇ!!!」 こうしてまりさは溺愛お父さんとM太の家で育てられることとなった。 数日の間は。 「とーちゃん!この『卓上水上まりさ』っての欲しい!買って!」 「んあ?赤まりさは?」 「飽きた。」 「むほぉぉおおお!そんな冷血のM太もかわいいなぁ!よーしよしよしよし×500。」 「おにーしゃん、やめちぇにぇ。おいていきゃにゃいでにぇ。 まりしゃなにかわるいこちょしちゃならあやまるよ?まっちぇにぇ。まっちぇ・・・まっちぇぇぇぇええええ!!!」 こうしてまりさは3日間も食事を忘れられた挙げ句、 家から遠く離れた林へと捨てられた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆぅ。むーちゃむーちゃ、ちょっとちあわちぇー。」 まりさは自分でも集めることができる唯一の食糧、雑草を食べて生き延びる。 草や虫など食べられない大抵の飼いまりさであれば、ここで儚いゆん生を終えていた事であろう。 だが、飼い主のあまりに雑な飼育が、結果として彼女の命を救うこととなった。 彼がこの数日間で与えられた食事と言えば、試供品のゆっくりフード『ミラクルベジタブル』一食分と水のみ。 そもそもこの商品にしてから、野菜の姿を残しつつ風味と食感を完全に除去したという、奇跡の名にふさわしい虐待用品である。 事実上体内に注入されていた茎ペーストのみで生き延びていたまりさは舌が肥えることとは無縁だったのだ。 「なんじぇ?まりしゃにゃにかわるいこちょしちゃにょ? おとーしゃん、おきゃーしゃん。さびちいよぉ。しゃむいよぉ。」 「むきゅ?おちびちゃん一人でこんなところにいちゃあぶないわよ?」 「わきゃらにゃいよ。おとーしゃんもおきゃーしゃんもいなかっちゃんだよ。 おにーしゃんもまりしゃをおいちぇどっきゃいっちゃったんだよ。」 「むきゅーん。大体事情はわかったわ。まだこんなに小さな赤ちゃんなのに。 まりさ、お外はあなたみたいな子供が一人でいると危ないわ。ぱちぇのところにいらっしゃい。」 まりさが林で生活を始めて4日目、初めて言葉を交わした相手は、体高50?を超える一匹の老ぱちゅりーだった。 「むきゅん。このキノコさんはゆっくりできるわ。こっちの木の実さんは殻をとらないとゆっくりできないわね。」 「しゅごーい。ぱちぇおにぇーちゃんはものしりだにぇ。」 「おねーさんなんてよばれたのは久し振りね。こんなおばーちゃんなのに。むきゅむきゅ。」 「おうちはゆっくりにとってごはんとおなじくらい大切なのよ。 雨さんも風さんも、太陽さんからも守ってくれるのよ。」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「山のゆっくりは、穴をほっておうちをつくるけど、そうするとお引越しが大変ね。 できれば人間さんの置いて行った箱さんや布さんを使って作る方がいいかもしれないわ。」 「ぱちぇおねーちゃん。」 「何かしら?」 「なんではじめてあったときひとりだったの?」 「長をやっていた群れから追い出されたのよ。」 「なんで?ぱちぇおねーちゃんはこんなにゆっくりしてるのに。」 「若いドスが来てね。年寄りは引退しろって。 皆のために厳しくしていたけど、自分の娘にまで出て行けと言われた時はちょっと悲しかったわ、むきゅん。」 「・・・・。」 まりさがぱちゅりーから生きていく知識を吸収し、子ゆっくりとなったころ生活に転機が訪れた。 「ふむ、あれが報告のあった巨大ぱちゅりーか。これは珍しいね。」 「湯宇川教授、準備できました。」 「むきゅん。人間さんの気配がするわ。」 「にんげんさんはゆっくりできないよ!ぷんぷんっ。」 「そんなこと言っちゃだめよ。人間さんもゆっくりも、ゆっくりできる相手もいればできない相手もいるの。 でもね、もしもお話しすることがあっても絶対に近づいちゃだめよ。 喧嘩になりそうだったり、反対にいきなりあまあまをくれたりする人に出会ったら、 おうちも宝物も、全てを捨ててでも逃げるのよ。それが生き延びるコツね。」 「むぎゅぅぅううう。まりさ、おうちの裏口から逃げてね!振り返っちゃだめよ!」 「ぱちぇおねーちゃん!いっしょににげてね!もうひとりはいやだよ!」 「・・・おねーさんは一人でならば逃げられるわ。でもあなたがいたら足手まといなのよ。わかったら急いでね。むきゅ。」 「・・・ゆっくりりかいしたよ。」 「ここから太陽さんが顔を出す方にしばらく行ったところにありすとちぇんの群れがあるわ。 ぱちぇの親友なの。お互い生きてそこで落ち合いましょう。」 「おねーしゃん・・・」 「?」 「にんげんさんからにげて、またあえたら、おかーさんってよんでいい?」 「むきゅ、むっきゅーん。これは意地でも逃げきる理由ができたわ! さあ、もう行って!人間さんが来ちゃうわ!」 「むっきゅー!ぱちぇはこっちになんていないわよー!」 「でかいって言ってもしょせんゆっくりか。自分から声出して場所を知らせてくれてるよ。」 「ふむ。そうかね。まあ、そこまでして守りたいものなんて大体予想がつくがね。」 「はぁ。(相変わらずわけわかんねえなあ。まああの巨乳の考えてることなんてどうせ理解できねぇけど。)」 そして、ぱちぇは二度とまりさの前に姿を現すことはなかった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ありす。よろしくおねがいし、・・・するんだぜ。」 「大変だったわね、まりさ。これからはこのむれでゆっくりしていってね。」 「「「「「「わかるよー。」」」」」」 まりさはこれ以来『だぜ』まりさとなった。 だぜまりさは飼いゆや町ゆの間ではしばしばゲスの代名詞として敬遠される。 だが本来は、まりさ種の中でも特に活力とたくましさに優れた個体が生まれつき発現する個性である。 まりさは、もっと強く、たくましく、 大切なゆっくりを守れるような大人になりたいと願い、『だぜ』を語尾に付けるようになった。 「みんなもこの、ほぞんのきくきのみさんをあつめたほうがいいんだぜ。 ざっそうさんもいざってときにはたべられるんだぜ。ほして、おふとんにもできるんだぜ。」 「まりさすごいわー。とってもとかいてきね。」 「ばったさんをつかまえるには、いとさんにみじかいきのえださんをつけてそっとひっぱるんだぜ。」 「ばったさんがかってにくっちゅいてきちゃよー。まりしゃおにぇーちゃんしゅごーい。」 老ぱちゅりーはいなくなったが、その教えはまりさの中に生き続けていた。 いつしかまりさは群れの中心となり、彼女の知識と指導によって十分な食料を集めることができた群れは、 ほとんど被害を出すことなく冬を越えることができた。 ありすから長の座を譲り受けたのはそうして、群れの誰もがゆっくりしていた春のある日だった。 「まりさ。これからもむれのみんなをおねがいね。」 「これからは、まりさがむれのみんなをゆっくりさせるのぜ。みんなもゆっくりてつだってほしいのぜ。」 「まりしゃおにぇーしゃんははとっちぇもときゃいはなおさにぇ。」 「「「「「「わかるよー。」」」」」」 「さーて、んじゃ今日の作業始めんぞー!」 「「「ゆゆっ?」」」 「ほい、チェーンソーよこせ。」 「へいへーい。」 「んじゃ離れてろよ。『ギュァァァァアアアアアン』」 元長ありすとちぇんのとてもゆっくりしたおうち、大きな洞を持った大木が見る間に切り倒された。 あまりに突然の出来事、群れの誰一人として何が起きているのか理解できたものはいなかった。 「このでっけえ木さえどかせりゃ後はあっという間よぉ。とっとと切り株引っこ抜くぞぉ!」 「へいへーい。」 その周囲でも次々と木が切り倒されていく。 人間たちが手をつけていないのは、まりさたちが集会をしていた広場だけだった。 そして、元長ありすのおうち、大きな切り株が丸ごと引っこ抜かれたところで、 ようやくまりさたちは事の重大さに気がついた。 「ゆぁぁぁっぁあああああああ!なにやってるのおにーさぁぁああん! こんなのまったくとかいはじゃないわあああああ!!」 「何ってお前、家建てるんだよ、家。」 「そこはありすとちぇんのあいのすなのよぉぉおおおお! かえしてぇぇぇえええ!もとにもどしてぇぇぇええええ!」 元長ありすは、長まりさ、いや、これまで群のだれもが見たこともない取り乱し様だった。 このおうちは、ありすの親の親の親の代から長女に代々受け継がれてきた大切なおうち。 ありすのゆん生の思い出、そして今は亡き夫である、先々代長ちぇんの温もり、ありすのすべてが詰まっていたのである。 ありすは、ぽよん、ぽよん、と、効果などありようもない体当たりを繰り返して抗議していた。 「かえしてぇぇぇえええ。おねがいよぉぉ、かえしてよぉ・・・。」 「おーい新入りぃ。お前ちょっと杭よこせ。」 「へいへーい。」 「かえしてぇ・・・。かえ『ざくり』・・・・・・。」 ありすはなんの躊躇もなく、あっさりと殺された。 「おーい、お前らぁ。作業中止。ゆっくり駆除先にやっちまうぞぉ!」 「「「へいへーい。」」」 そして、建設作業員にとっては通常作業のひとつ、ゆっくりにとっては大虐殺が始められた。 まりさはそのころすでに、群れの縄張りからはるかに離れた民家の裏に逃げ隠れていた。 ありすが人間に大声で抗議を始めた瞬間、老ぱちゅりーの声が餡子の底から蘇ったのだ。 『おうちも宝物も、全てを捨ててでも逃げるのよ。それが生き延びるコツね。』 まりさは民家の裏に縮こまり、地面に顔を突っ伏して震えていた。 「やじゃぁぁぁあああ!やめちぇにぇ、や『ぞぶり』・・・」 春になり一番最初に群れに誕生した赤まりさが死んだ。 「ゆぁぁぁあああああぁぁぁ。いや『ぐさり』・・・」 秋に一緒にバッタを採った、群れ一番の美ありすが死んだ。 「わがらにゃ『ぶさり』・・・」 元長ありすの娘、まりさと並ぶ次代の長候補だったちぇんが死んだ。 どすり・・・ぶすり・・・ずぶり・・・・・・。 「親方ぁ。これどう処分するんすかぁ?」 「まったく今時ぁゴミもそこらにゃ捨てらんねえ。ごみ袋に放り込んで持って帰るんだよ!」 「「「へいへーい」」」 「ぱちゅりーおがあぢゃぁん、どうぢだらいいのぉ。おがあぢゃんならどうぢだのぉ。」 その日の夕暮れ、群れのゆっくりぷれいすには、ゆっくりの気配を感じさせるものは何一つ残されていなかった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 数日後、まりさは小さなビルの並ぶ街中に居た。 群れに居た時から、人間さんと会ったことは一度や二度ではない。 これまで人間たちは、稀にいたずら(あにゃるにストローを差し込んで空気を吹き込む程度)をしてくるくらいで、 あそこまで徹底的な虐殺をおこなったことなどなかった。 では何故? まりさは気づいた。 群れを潰した人間さんは皆同じ服装をしていた。 まりさは、その日から作業服の人間さんがいない場所を探し求め、気がつけば街中にたどりついていた。 「ここのゆっくりたちは皆ゆっくりできてないんだぜ。」 街中では、人間さんたちはゆっくりに手を出しては来なかった。 むしろ汚いものに触れないように、避けて通るくらいである。 狩りの成果を奪われたり、怪我を負わされる危険を感じるのは、むしろ同族のゆっくり達の方に対してであった。 「このおべんとうさんはちぇんのものなんだねー。わかるー!」 「つべこべいってないでれいむにそのごはんをちょうだいね!」 「ふぎゃぉぉおおおおお!」 「ゆがぁぁぁあああああ!」 「はーい、お前たち両方ゴミ箱へGO!」 「「どぼぢ」」ポイポイッ まりさとしては不思議だが、町ゆは植栽の周りに生える野草などは意外と食べない。 まりさとしては競争相手がいない以上ありがたい話ではあったが。 これは、町ゆの多くが元飼いゆっくりであったため、野草を食べ物と認識できなかったことによる。 まりさは、おそらく人間さんのご飯には、周りの草花ではゆっくりできなくなる毒が入っているのだろうと理解していた。 いつ、どれだけ手に入るかわからないご飯を求めてさまよう町ゆ達は皆、死んだような濁った眼をしている。 やはり、人間さんには極力関わらない方が良い。 しかし、れみりゃ達捕食種が出没するような本物の自然の中で育っていないまりさには、本当の山奥で生き延びる自信はなかった。 結局、危険と折り合いをつけてでもここで生きていく道しか残されてはいなかったのだった。 まりさは、雑居ビル2件に挟まれた、人間では通り抜けできない空間を選び、おうちをつくる。 雨さんにも他のゆっくりの攻撃にも負けない頑丈な木箱を商店の裏から、 雨さんを完全に防ぐ青いシートを公園のごみ箱から、 水や食料を保管する鍋、皿、クッション。 ゆっくり達も寝静まる夜、誰にも見られることのないように作業は続けられた。 そして気づく。 かつて老ぱちゅりーに教わった知識は、山で暮らすためのものよりも街中で暮らすためのものがはるかに多かったことに。 おそらくぱちゅりーは、ゆっくりたちの相食み争うこの街中で生きて、 ついに街中で隠れることもできなくなるほど大きくなった末に山へと移り住んだのであろうことに。 「ぱちゅりーおかあさん。おかあさんはどうやってこんなところでゆっくりしたゆっくりになれたんだぜ?」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そしてある日、まりさのゆん生にとって重要な出逢いがやってきた。 いつもどおり太陽が顔を出す前から食糧確保に励んでいたまりさは、 ゴミ捨て場にぞんざいに放り捨てられていた一匹のれいむと出会ったのだった。 あんよは7割方焼きを入れられており、たとえ回復したとしても這い歩くのがやっとであろう。 リボンはたばこを押しつけられて穴だらけ、もみあげは力任せに引きちぎられていた。 まむまむの位置には刃物を刺した跡が無数にあり、舌も半分ほどの長さしか残されていない。 これ以上無いくらいに、ゆっくりしていないれいむだった。 なのに何故あれほど惹きつけられたのだろうか。 ここまで酷い虐待を受けながらも、他の町ゆと異なり、その瞳に理性の輝きを宿していたから? それとも、彼女がおくちからそっと出した、おそらく生まれて間もないであろう一匹の赤まりさを丁寧に介抱する様が、 あの老ぱちゅりーと自分自身の姿に重なったから? 「れいむ。しゃべれるのかだぜ。そっちのまりさもだいじょうぶかだぜ?」 「だぃ・・じょぶ。・・ゆっく・・・ていt・・ね。」 「ゆ・・くち。」 「にんげんさんにやられたんだぜ。よかったらおうちまでおくるんだぜ?」 「も・・なくなtt・・た。に・げんさ・にこわさr・・て」 「そうかだぜ。ならまりさのおうちにくるんだぜ。そのおちびにもかいほうがひつようなんだぜ。」 「れいむの、旦那のまりさや他のおちびちゃんはいないのかだぜ。」 「?」 「辛いこと聞いてすまないのぜ。でも、このおちびちゃん以外は助からなかったのぜ?」 「れいmは、けっこnもすっきりーもしtことないよ?」 「?このおちびちゃんは?」 「ゆっくりできないにんげんさんのところに、おちびちゃnがいっぱいいたの。 すてらrそうになったとき、おくちにひとりだけかくせたんだよ。」 「じ・・・じぶんがしんじゃうかもしれないときに、じぶんのでもないおちびちゃんをたすけようとしたのかだぜ・・・。 よくそんなことができたんだぜ・・・。」 「だって、おちびちゃnはゆっくりできるんだよ?」 「でも、まりさは『おうちも宝物も、全てを捨ててでも逃げるのよ。』って教えられたのぜ? じゃないと生き残れないって言われたのぜ。」 「でも、おちびちゃんは、たからものよrゆっくりできるよ?」 「ゆっ。」 「ゆぁーはははは!!!れいむは凄いのぜ。 まりさなんて目じゃないくらい強いゆっくりなのぜ!! まりさなんて今までずっと逃げて逃げて全部捨ててきたのぜ! ぱちゅりーも、ありすも、ちぇんも、おちびちゃんたちも。 ゆふぅぅうう、ううぅぅぅぅぅうううぅぅぅ・・・」 まりさは笑いながら泣いていた。 これまで自分は、何一つとして守ってこれなかった。 それは、絶対に無理だと思ったから。 自分は死ぬわけにはいかないと思っていたから。 だが、このれいむは、多くの犠牲を払いながらも、ただ一つだけ、 この、だれの子供とも知れない赤まりさだけは守り通すことができたのだった。 そしてぱちゅりーも、おかあさんも全てを犠牲にしながら自分を守り抜いてくれた。 だが自分は・・・ なぜまりさが泣いているのかわからないれいむは、自分の怪我のことも忘れてオロオロしていた。 そして、自分が助けられたという事実すらよくわかっていない赤まりさは、 「おにぇーしゃんはしゅぎょいにょ?」などと首を(?)かしげていた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 奇妙な共同生活が始まった。 餡子のつながりもなく、年齢も育ちもバラバラ。 その上一匹は全身ズタボロ。 だが、まりさは、トラウマと街での生活の中ですっかり鋭くなってしまった目つきを、 ボロれいむと赤まりさに対するときだけは少しほころばせるようになっていた。 そして数日が経ったころ、突然破局は訪れた。 「それじゃあ、狩りに行ってくるよ!」 「いってらっしゃい、まりさ。」 「まりしゃおにぇーしゃん、いっちぇらっしゃーい!」 「ゆ!それじゃあおそうじはじめようね!」「ゆっくち!」 まりさは毎早朝、日の出よりずいぶん早くから狩りに出かける。 大抵は植栽の周りに生える、タンポポやシソなどの採集になる。 人間でもしばしば食用とするこれらの野草ならば、 残飯による味覚汚染を受けたれいむでも食べられるのだ。 そして、留守番は動くことができないれいむが引き受けることになっていた。 「ゆーん!きれいになったn「やあ、れいむちゃん。おひさしぶり!」」 ビルの隙間の前には、れいむの体をズタズタにした張本人、虐待お兄さんが立っていた。 「いやー。探したよー。 だってさぁ、れいむちゃんを捨てた後、家に戻ったら赤ちゃんが一匹減ってるんだもん。 あの赤ちゃんさぁ。 ぼくが、ゆっくりプラネタリウムを作ろうと思ってかき集めた大事な大事な赤ちゃんなんだよー。 わし座のアルタイルって知ってる? あれにするつもりだった、きれいな形の赤まりさだったんだよー。 さぁ。出てきてお話ししようねぇ。」 「おきゃーさ「ゆぁああああああああ!!!!」」 れいむは、赤まりさがまだ虐待お兄さんに見つかっていないことを察知して、 赤まりさがしゃべりだす前に口の中に隠したあと、緊急避難用にと掘っていた穴の中に放り込んで、お皿で蓋をした。 「ゆぅぅぅううう!ゆぅぅぅうぅぅうぅうううう!」 「?しゃべれないの?馬鹿なの?まあ、どっちにしても君の体に聞いてみるだけだからいいけどね。」 そういうと、虐待お兄さんはおもむろに取り出したマジックハンドをれいむに向けた。 「ゆふーん。今日も収穫は上々なのぜ!」 れいむと赤まりさの喜ぶ顔を思い浮かべながら帰路についていたまりさは、しかし 甘い夢の終わりを悟った。 おうちのあるビルの隙間の前には、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべた人間さん。 そして、その足元には、 親指ほどの大きさの破片に丁寧に分解された饅頭と、れいむのリボンが置かれていた。 「ふぅ。確かにしゃべってたと思ったんだけど、結局悲鳴ひとつあげなかったなぁ。プライド傷ついちゃったよ。」 逃げなければ。まりさの中枢餡はそう告げていた。 しかし、まりさの中枢餡以外のどこかから命令を受けたあんよは、その人間さんに向かって走り始めていた。 「ゆぅぅううううううう!!!」 「え?あれっ?」 不意を突かれた虐待お兄さんは、ゆっくりに股の間を抜けられるという屈辱を受けた。 そしてまりさは、一切迷うことなく赤まりさが隠された穴へと駆け抜けた。 「ゆっがぁぁぁっぁああああああ!!!」 まりさは止まらない。何故れいむに閉じ込められたか分からず、 ベソをかいていた赤まりさを帽子の中に放り込み、再び人間さんの足元へと駆ける。 「2度も抜けさせるかっ!この糞饅頭がぁ!」 だが、まりさは無謀に突っ込むことなく、 おうちの入口あたりに隠してあった延長コードを虐待お兄さんの足元へと放り投げた。 「えっ?うわっ!」 乱雑に絡み合った延長コードに足を取られて転ぶ虐待お兄さん。 そのわきを、まりさはゆっくりにあるまじき速度で駆け抜けていく。 排水溝の中をくぐり、ビルの隙間を抜けて、公園を横切り、まりさはひたすら駆けて、駆けて、駆け抜けていった。 「なんてこった・・・。ゆっくりに翻弄されるとは・・・。」 まりさが疲れ果ててあんよを止めたとき、町には朝日が射し始めていた。 「ゆぅ。りぇいみゅおにぇーちゃんはどうちたの?」 「れいむおねーちゃんは・・・れいむおかーさんは、まりさを精いっぱい守ったんだよ。」 「ゆぅ?れいみゅおにぇーちゃんはおきゃーしゃんにゃにょ?おっかちいにぇ!」 「おかしくないよ、おかしくなんてないんだよ・・・。」 まりさは、それからしばらくの間、困った顔をしている赤まりさにすーりすーりし続けていた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 数日後、まりさの住んでいたビルには、 あの恐ろしい、ありすたちを虐殺したのと同じ、作業服を着た人間さんたちがやって来ていた。 虐待お兄さんが、その財力にものを言わせてビルごとまりさたちのおうちを叩き潰してやろうと動いたのだった。 よほど屈辱的だったのだろう。 「これはゆっくりしていられないんだぜ。おちびちゃん、明日の朝は暗いうちにおひっこしするのぜ。」 「ゆーん。ゆっくりりかいしちゃよ。」 「・・・なかなかひとつの場所でゆっくりさせてはもらえないもんなんだぜ。 まりさにももう少しだけ運があったらよかったのに、苦労をかけるんだぜ。」 「おちょーしゃん。」 「?」 「まりしゃはとっちぇもゆっくちしちぇるよ。 おおきくなっちゃらおきゃーしゃんみたいにつよくて、おとーしゃんみちゃいにやさしいゆっくりになりちゃいよ。」 まりさをまっすぐ見つめる瞳はまるで、かつて老ぱちゅりーと見上げた星の輝き。 ビルの隙間で暮らすようになってから見ることのなくなって久しいその光に、 まりさは多くの大切なものとともに失ったかつての自分自身の姿を確かに感じた。 「さぁ、おちびちゃん。明日は太陽さんが出る前にお引越しをしなきゃならないから、早くすーやすーやしてね。」 「ゆっくちわかったよ。おとーしゃん。」 この世界は、ゆっくりに対してあまりにも厳しい。 この赤まりさも、ただひたすらに純粋であり続けることはおそらくできないだろう。 しかしながら、せめて一度、ただ一度でいいからこの赤まりさを心の底からゆっくりさせてあげたい。 それが報われることのなかった自分達の生涯を救う、唯一つの方法であると信じ、まりさは束の間の眠りにつくのだった。 ゲス度を下げるほど悲劇度は増す。でも爽快感は低下。難しい。 ※ちなみに、anko215.txtの登場ゆっくり達には一通り裏設定が存在しています。 水飲み場のゲス、便所ちぇん、小学校ゆうかりん。誰だって、それぞれの過去や葛藤を持って生きています。 などと色々邪推してみるのもSSの楽しみ方なのでしょうか。 実は「ゆうかりんのご奉仕授業」というタイトルで、小学校ゆうかりんのストーリーも掲載予定だったんだけども、 逃れることを許されない過酷な性的虐待、 校長から連日受ける性奴調教を軸として、 数学教師の緊縛SMプレイ→体育教師の青姦スカトロ浣腸プレイ →高学年生の好奇心に任せた壮絶な輪姦と続き、 全校集会での露出放尿プレイあたりまで受けながらも誇りを失わないゆうかりんは夏を迎える、 などと書いたあたりで、 「これ、ゆ虐じゃないんじゃね?」と思ったのでお蔵入りとしました。ていうかご時世的にやばい。 まあ、そんな背景があったということを念頭において、 彼女の言動を読み直していただけたら幸いです。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2545.html
『いのちはたいせつ 中篇』 35KB 虐待 日常模様 引越し 家出 共食い 番い 飼いゆ 野良ゆ 姉妹 子ゆ ゲス ペットショップ 愛護人間 虐待人間 独自設定 うんしー 続きです 中編です。 先に前編をお読みになるようお願いします 11 「どごおおおおおおおおおおおお!? がばいいでいぶのおじびじゃんどごにいっだのおおおおお!?」 朝日がようやく顔を出し、うっすらと明るくなり始めた早朝 親れいむの鳴き声でにおねーさんは飛び起きた 「ど、どうしたの? れいむちゃん落ち着いてね!?」 「なんなのれいむ・・・おちびちゃんがおきちゃ・・・ゆわああああああああ! おちびちゃんがいなぐなっでるううううううううううううう!!!!」 「ええっ!?」 れいむの額からはおちびちゃんがたわわに実った茎がなくなっていた 昨日の夜寝る前までは確かに生えていたのに、いまは根っこから引き抜かれて跡形もなくなっている 「ゆんやあああああああ! れいむのおじびじゃああああああああああん!」 「どういうことなの!? まりさなんにもわかんないよ!! おねーさんおじえでよおおおおおおお!!!」 「私に聞かれてもわからないよぉ! ねえぱちゅりー何か知って・・・あ」 ぱちゅりーの住んでいるゆっくりハウスをみると、中にはおちびちゃんの実った茎が牛乳瓶に挿してあった 実ゆっくり達は安らかな笑みを浮かべてゆっくりと眠っている どうやら命に別条はないようだ 「ねぇ! ぱちゅりー! これはいったいどういうことなの!?」 「むきゅわわわわぁ・・・ おねーさんゆっくりおはよう」 「欠伸なんかしてないで答えてよ! これはどういうことなの!?」 「むきゅん、そうせかさないでほしいわ。 いまからちゃんとせつめいしてあげるから・・・ おねーさんはあんこがおやからおちびちゃんにうけつがれるのはしっているかしら」 「・・・知ってる。 図書館で借りた本にそう書いてあった」 「ならはなしがはやいわ おやからうけつがれたあんこはおやの“きおく”がはいっているの その“きおく”をうけつぐと、おやとおなじようなせいかくのゆっくりにそだつわ あのれいむとまりさは、もはやかんっぜん!にげすかしてしまっているわ そんなおやからあんこをうけついだりしたら、うまれたじてんでげすになっちゃうのよ そうなったらもうどんなにべんきょうしてもむだ・・・ じぶんかってにかんがえて、わがままばっかりいう、げすなゆっくりにしかそだたないわ だから、おやからあんこをうけつがない“くりーん”なじょうたいでおちびちゃんをそだてるひつようがあったの」 「だからってなんで茎を引き抜いたりしたの? おちびちゃんが死んじゃったら元も子もないでしょう?」 「むきゅー。 おねえさんはべんきょうぶそくね・・・ひつようなちしきがまるでたりていないわ」 「・・・・・・ギリッ!」 「くきさんはね、べつにおやのひたいにはえてなくてもいいのよ くきさんのねっこがあまあまにつながっていればおちびちゃんはちゃんとそだつの おねーさんにかってきてもらったがむしろっぷさんをたっぷりすっておちびちゃんたちはごきげんよ!」 「へーそーなんだー・・・ でもお母さんから切り離されたらゆっくりできないんじゃないかなぁ! ねぇ、そうおもわないのかなぁ!!」 「・・・おねーさん? どうかしたの? ちょっとおかしいわよ?」 おねーさんは両手の拳をギリりと握りしめて歯を食いしばっていた 両目でぱちゅりーの瞳を射抜くように見つめ、わなわなと身体が震えている 一目見ればそれは怒りを抑えているという様子だと解るだろうが、ぱちゅりーも所詮はゆっくりなのかそのことに気付いていなかった 「おなかさんがいたいの? はやくといれにいったほうがいいとおもうわぁ・・・」 「べつにトイレに行きたいわけじゃありませんから」 「ならどうしたっていうの? まさか、といれにまにあわなかったとか・・・」 「そういうわけではありません。 心配しないでも結構です」 「・・・むきゅん? おねーさん、おしゃべりのしかたがへんよ?」 「いつも通りなのでどこもおかしくありません」 「・・・そう、ならいいけど」 おねーさんは怒っていた 見下したような態度で話すぱちゅりーに論破され怒りが沸点に達してしまった 勿論ぱちゅりーには見下すとかその気はなかったが、プライドを酷く傷つけられたおねーさんにはそう思えたのだ 今まで積み重ねてきた不満がぶり返して苛立ちばかりがつのってゆく 「その子たちの世話は全部任せますのでよろしくお願いします 私がやってもどうせゲス化させてしまいますからね」 「むきゃ! さっきからなんなのかしらそのたいどは まるでしらないひとにはなすみたいなしゃべりかたをしているわ」 「さっきも言いましたけど別に何でもないです。 気にしないでください」 「・・・もういいわ。 ぱちぇはすきにやるからごはんとうんうんのおせわだけしてちょーだい」 冷たい態度をとるおねーさんに愛想を尽かしたぱちゅりー 二人の間には深い溝ができてしまった 12 「それじゃあおちびちゃんたち! ふくっしょう!してちょうだいね!」 「「まりしゃはにんげんしゃんのいうこちょをききましゅ!」」 「「れいみゅはにんげんしゃんをゆっくちさせましゅ!」」 新たに生まれた四匹の赤ゆっくりがぱちゅりーの授業を受けている 同じ言葉を復唱させるぱちゅりー式の勉強法だ 柵を隔ててその隣では・・・ 「お外に勝手に出たら人間さんのすぃーに轢かれてゆっくりできなくなるんだよぉ! ゆっくり理解できたかなー?」 「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」 「もういいのじぇ! そんなことよりはやきゅあみゃあみゃほしいのじぇ!」 おねーさんが自作の紙芝居で先に生まれた姉達に授業をしている 中には話を聞いていないのもいたが、おおむね上手くいっているようだ こうして二つに分けられて教育を受ける赤ゆっくり達 どちらの授業もそれなりの効果があり、姉グループも妹グループも少しずつおねーさんの言うことを聞くようになっていた 一部を除いては・・・ 「きょうはみんなじぇぼーりゅしゃんぢぇあしょぶんだじぇ! いっしょにあしょびたいこはこっちにくりゅんだじぇ!」 「ゆわーい! まりしゃも! まりしゃもぼーりゅしゃんであしょぶー!」 「れいみゅもー!! れいみゅもにゃかまにいれちぇー!」 「あ、ちょっとまってよ! 遊ぶのは勉強がおわってからでしょ!?」 いつものように授業をはじめようとすると、例の癇癪まりさが勝手にボールを持ち出して遊び始めたのだ 慌てて止めに入るがちょこまかと動きまわってなかなか捕まえられない そのすきに他の赤ゆっくりも遊びだしてしまい、姉グループは完全に授業崩壊を起こしてしまう 「いくのじぇー! ぱしゅぱしゅ! こっちへぼーりゅをよこしゅのじぇー!」 「ゆっくちりかいしちゃよ! ゆっくちいいい!」 「ちょっと! お願いだから言うこときいて! ねぇ、ってばぁ!」 ボール遊びに夢中になっている赤ゆ達にはおねーさんの言葉は通じない 元気いっぱいに跳ねまわっている様子は本来あるべき姿を取り戻したかのようだ なかでも癇癪まりさは生き生きとボールを蹴って他の赤ゆを先導している 「みんにゃまりしゃのかちゅやくをみちぇるのじぇ! しょーれ! ちょりぷりゅうりゅちょらぐれーちょまぎゅなみゅしゅーぱーしゅーとっ!!!」 ぽーん 緩やかな放物線を描いて飛んでいくボール その先には・・・ 「むぎゃん! ちょっと! いまぼーるさんをきったのはどこのだれかしら!?」 ボールはぱちゅりーの顔面に直撃した 顔にはまあるくボールの後がくっきりと残っている 「ゆわーい! ぱちゅりーのくしょびゃびゃあをしぇいっしゃい!したのじぇ~!」 「ゆわぁ! まりしゃしゅごいにぇ! まりしゃもまりしゃみちゃいになりちゃいよ!」 「れいみゅも! れいみゅもびゃびゃあにしぇいっしゃいしちゃい!」 歓声を上げる姉グループのメンバーに調子に乗っておどける癇癪まりさ ぱちゅりーがキッと睨みつけるとバカにした顔で一斉に舌を出した 「びりょびりょびりょびりょびゃ~! くやちかっちゃらここまじぇくるのじぇ~!」 「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃ! まりしゃこわ~い! ぱちゅりーしぇんしぇいがおこっちゃうよ~」 「ゆぷぷぷぷ! にぇえにぇえ、れいみゅをしぇいっしゃいすりゅにょ? やれりゅもんにゃらやっちぇみりょー!」 「さすがはまりさのおちびちゃんだね! とってもゆっくりしてるよー!」 「おちびちゃん! もっとだよ! あのばかぱちゅりーをせいっさいしてみんなをゆっくりさせてね!」 親ゆっくりが褒めるてさらに調子に乗る癇癪まりさ ぱちゅりーの方へ歩み寄り、お尻を向けて左右に振った 「ほーりぇほりぇ! まりしゃのあんよをぺんぺんしちぇみりょー!」 にくったらしく挑発する癇癪まりさ おねーさんが守ってくれると勘違いでもしているかのような大胆な行動だ しかし、それが単なる妄想に過ぎなかったことに気づかされることになる ぶすり! 「ゆぅ・・・? なにがおこっちゃのじぇ? あんよしゃんが・・・ゆぴいいいいいいいいい! までぃじゃのっ! までぃじゃのがぼじぎゃのよぼにゃあんよじゃんがああああああああああ!!!」 「むっきゅん! これですこしははんっせい!してくれるかしら?」 痛みに耐えかねて泣きながらのた打ち回る癇癪まりさ あんよにはつまようじが深々と刺さっている 言うまでもなく、それを突き刺したのはぱちゅりーである おねーさんは何もしないでその光景をじっと見ていた 「おねーさん! どんなきょういくしているのかわからないけど じゅぎょうのじゃまをするようなことはさせないでちょうだい!」 「・・・・・・ごめんなさい」 ぱちゅりーが怒鳴っても、おねーさんは無表情に謝るだけだった 13 「ゆんやあああああああ! いじゃいのじぇええええええええ!」 「だいじょうぶだよおちびちゃん! きっとよくなるからね! ぺーろぺろ!」 「ぺーろぺろ! ぺーろぺろ! ゆぎぎぎぎ・・・それにしてもあのげすぱちゅりー・・・ かわいいおちびちゃんをこんなめにあわせるなんて、れいむゆるせないよ!」 「ぺーろぺろ! まりさもだよ! いつかせいっさいしてぜんごろしにしてやる!」 「おどおおおじゃああん!? おぎゃあああじゃあああん!? べーろべろずるんだじぇ!? まりじゃまだいぢゃいのじぇ!!」 「ご、ごめんねおちびちゃん! ぺーろぺろ!」 「ぺーろぺろ! ぺーろぺろ!」 ゆっくりハウスの中では親ゆっくりが癇癪まりさの足を治そうと必死にぺーろぺろしている 傷はさほど深くないのだが、あんまりにも痛そうに騒ぐため可哀そうに思えてしまうのだ 「いじゃいいいい・・・ いじゃいいいよおおおおおお・・・ ゆ? どぼじでべーろべろやめじゃうのおおおおおおおおおおお!?」 「ごめんねおちびちゃん・・・ もうまりさはげんっかい!だよ・・・」 「れいむもべろさんがかろうしすんっぜん!だよ・・・ ゆっくりりかいしてね」 「ゆぎぎぎぎ・・・ これもじぇんぶあのげしゅぱちゅりーのしぇいなんだじぇ! ぜったいいちゅかふくっしゅう!してやるのじぇ!」 以前からぱちゅりーを快く思っていなかった癇癪まりさ 制裁しようにも親ゆっくりは当てにならず、おねーさんは何もしてくれなかった 抑えようのない憎しみがやり場をさがして迷走する 「じぐじょおおおおおお! どうじゅれびゃふぐじゅうでぎるのじぇえええ!」 小さな中枢餡をフル稼働して復讐する手立てを考える 考えあぐねた果てに恐ろしい結論へと達してしまった 「ゆっふっふ。 いいこちょをおもいちゅいたのじぇ・・・」 不気味に笑う癇癪まりさ 彼女が復讐のターゲットに選んだのはぱちゅりーではなくその教え子だった 砂糖水で育った妹達は両親の餡子を受け継がなかったものの 一応親であるためれいむとまりさにはよくなついたが、ぱちゅりーの息がかかった妹達を両親はどこかやっかみがっていた これを制裁して無きものにすればぱちゅりーへの復讐が果たせるうえに、家族の中の邪魔者も始末で来て一石二鳥 両親もおねーさんもきっと褒めてくれるだろう 英雄として両親から褒められる光景を頭の中に浮かべながら爪楊枝を咥えた 「ゆぴー・・・ ゆぴー・・・」 「まりしゃ・・・ がんびゃりゅ・・・ ゆぴー」 「れいみゅにょ・・・ れいみゅにょあみゃあみゃ・・・」 「ゆぴー・・・ もうちゃべらりぇにゃいよ・・・」 安らかに寝息を立てて眠っている妹達に忍び寄る そんなアホずらでいられるのも今のうちだ 癇癪まりさは一番近くにいた赤まりさのあんよをひと思いに突き刺した 「ゆぴぃ? ・・・ゆ、ゆんやあああああああああああああああああ!」 「みちゃか! まりしゃはちゅよいのじぇ! さいっきょうなのじぇ!」 「どびょちちゃにょ・・・? ゆ? まりしゃおねーしゃん!? なにやっちぇりゅにょおおおおおおおお!?」 「おまえもしぇいっさい!しちぇやりゅのじぇ! ぷーすぷす!」 「ゆびいいいいいいいいい! れいみゅにょあんよしゃんがああああああああああああ!」 「やめちぇえええええええええ! ぼびょじじぇごんにゃこちょすりゅにょおおおおおおおおお!?」 「まりしゃおねーしゃん! ゆっくちしてよおおおおお! ゆっくちゆっくちいいいいい!」 「ぢゃまりぇぢゃまりぇ! おまえちゃちのしぇいじぇまりしゃはいちゃいいちゃいしちゃんのじぇ! しょのむくいはうけちぇもりゃうのじぇ! ぷーすぷす! ぷーすぷす!」 「「ゆんやああああああああああ!!」」 泣き叫びながらうねうねと蠢く妹達 何とか攻撃から逃れようと逃げ回っているが、あんよをぷーすぷすされているので這ってしか動けない お家の中を追い立てられ逃げ場を失った妹達は角に集まって震えている 「ゆっふっふ! これぢぇもうにげりゃれないんだじぇ!」 「「「「ゆんやあああああああ!」」」」 「お、おちびちゃん!? なにやってるの!?」 「やめてあげてね! いもうとたちがこわがってるよ!」 ようやく事態に気付いた親達が慌てて止めに入る 癇癪まりさは咥えていた爪楊枝を放そうとしない むしろ待っていたと言わんばかりに両親の方へと駆け寄ってゆき、涙を浮かべて訴えた 「こいちゅりゃはおちょーしゃんちょおきゃーしゃんをえいえんにゆっくりさせようちょしちぇちゃのじぇ! ぱちゅりーにせんっのう!されていいなりになっちぇしまっちゃのじぇ!」 「ゆゆ!? それはほんとうなの!?」 「ほんっとう!なんだじぇ! しんっじちゅ!は、いちゅもひとちゅなのじぇ!」 「ならしかたないね! せいっさい!もやむなしだね!」 「「「「どびょじぢぇじょんにゃごじょいうにょおおおおおおおお!?」」」」 いったんは疑ったものの、自信満々に言う姉の言うことをあっさりと信じてしまう親まりさ 親れいむもそれに迎合して庇うようなことは一切しなかった そんな両親を見て絶望する妹達 全てが癇癪まりさの計画通りに動いたというわけだ ぱちゅりーを除いて・・・ 「あなたたちいったいなにをしてるの!?」 「ゆん!? かってにひとのおうちにはいってこないでね! ふほうしんっにゅう!でこくそするよ!」 「かわいいれいむのおちびちゃんになんのよう!? ゆっくりしないででていってね!」 親ゆっくり達がぱちゅりーを中に入れまいと立ちふさがったが強引にそれを突破 目の前では今まさに癇癪まりさによって妹達の処刑が始まろうとしていた 「ばかなことはよしなさい! このゆっくりごろし!」 「ゆぴいいいいいいいいい!? いじゃいのじぇええええええええ!」 癇癪まりさをもみあげで引っ叩き、妹達から無理やり引き離す 助けられた妹達は一斉にぱちゅりーへと泣きついた 「ゆええええええん! こわかっちゃよおおおおおお!」 「しぇんしぇええええええ! ありがちょおおおおおおおお!」 「いいのよ、せんせいがまもってあげるからあんしんしてね・・・」 優しく声をかけてなだめる様子は本当の親子であるかのようだった 14 「おねーさん!? おねええええさああああん!!」 「え、なに!? どうしたの?」 「どうしたのじゃないでしょおおおおおおおおお!?」 「とりあえず落ち着いて頂戴! 落ち着いてゆっくり話してね」 興奮するぱちゅりーの背後には四匹の赤ゆが震えながら寄り添っている ぱちゅりーが指導を担当していた妹グループの赤ゆ達だ 「おねーさんのぐるーぷのわるがきまりさがこのこのこたちをさつっがい!しようとしたのよ!」 「ええ!? それ、ほんとうなの!?」 「ほんとうかどうか、あのばかおやたちにきいてみるといいわ!」 ゆっくりハウスのでは頬を赤くはらして泣き叫ぶ癇癪まりさを両親がぺーろぺろしてあやしている 他の兄弟達は頬を膨らませてぱちゅりーに向かって威嚇行為をとっており その場は軽くパニックを引き起こしていた 「ねぇ、あなた達・・・ ぱちゅりーの言ってることって本当なの?」 「ゆううううううううう!? なにいってるの!? おちびちゃんはせんっのう!されてげすになったおちびちゃんから まりさたちをまもってくれようとしたんだよ!?」 「そうだよ!!! このおちびちゃんは“えいゆん”だよ!? とくべつなおちびちゃんなんだよ!?」 「はやぎゅぞのぐじょばじゅりーをじぇいじゃいじろおおおおおおおおおおお!! いましゅぐでいいのじぇえええええええええええええええええええええええ!!」 両親と癇癪まりさの言っていることを聞く限り、妹達を癇癪まりさが殺そうとしたのは事実のようだ 妹グループの怯えようを見れば、どちらが先に手を出したかは一目瞭然だ 「・・・むきゅん。 これでわかったでしょう わかったらはやく“ぎむ”をはたしてちょうだい・・・」 「・・・・義務?」 「そう・・・ そのげすまりさをつぶして“ぎむ”をはたすのよ」 「・・・・・・つ・・・ぶ・・・す?」 「そうよ、まさかことばのいみがりかいできないのかしら? ころすってことよ」 「・・・・・・なに言ってるの?」 ゲス化したとはいえ、おちびちゃんである癇癪まりさを潰せと、さも当たり前のようにのたまうぱちゅりー おねーさんは眉間にしわを寄せる 「なにってるの?じゃないでしょう!? げすかしたのならとうっぜん!そのむくいはうけるべきよ!」 「報い?当然? 一体何を言ってるの?」 「ほんっとう!におねーさんはあんこのうなのね! いいわ、できないならぱちぇがやるだけよ!」 爪楊枝を口に咥えるぽちゅりー そのまま泣き叫ぶ癇癪まりさの方を向いて、吹き矢を吹くような要領で爪楊枝を飛ばす 爪楊枝は癇癪まりさの眉間に音もなく深々と刺さった 「ゆわあああああああ! おじびじゃあああああああああん!」 「どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおお!?」 「ゆ? にゃんにゃのじぇこりぇ・・・?」 大騒ぎする両親とは対照的に、何が起こったか判らず落ち着いている癇癪まりさ 当たり所が良かったのか絶命するには至らなかったようだ 「なんてことするの!? 正気なの!?」 「むきゅん! ぱちぇはしょうきよ! って・・・ なにをしようとしているの!? やめなさい!!」 「ゆ・・・ゆんやああああああああああ!? まりしゃのおかおににゃんちぇこちょしちゃのじぇえええええええええええ!?」 ぱちぇりーを無視して癇癪まりさの額に刺さった爪楊枝を引き抜く 額から異物を取り除かれた癇癪まりさは、自分が何をされたのかに気付いて喚きはじめる 「おねーさん!! そんなことしてないではやくそいつをつぶしなさい! どうなってもしらないわよ!?」 「ねぇ、ぱちゅりー。 どうしてそんなこと言うの?」 「どうしてって・・・とうぜんでしょ? わるいことをしたらそのばつをうけるのはにんげんさんでもいっしょでしょうに・・・」 「うん、そうだよ。 でも謝って反省すれば許してあげてもいいんじゃないかなぁ?」 「あやまる?ゆるす? おねえさんはあまあますぎてへどがでるわ! このげすちびはかぞくをころしてじぶんがゆっくりしようとしたのよ!? あやまってゆるされるようなれべるじゃないわ! さっさとつぶすべきよ!」 「ねぇ、ぱちゅりー? どうしてそんなに簡単に殺すなんて言えるの? 同じゆっくりでしょ? みんな一生懸命生きてるんだよ? かけがえのない命なんだよ?」 「そいつはそのかけがえのないいのちをふみにじろうとしたのよ!? おねーさんがいくらべんごしてもそのつみはきえないわ!!!」 「ごめんね、ぱちゅりー。 私はあなたに何を言われてもその子を殺す気はないから・・・」 「・・・そう、それがおねーさんのだしたけつろんなのね わかったわ、それならぱちぇにもかんがえがあるわ!」 ぱちゅりーはそう言って妹グループのおちびちゃんを全て頭の上に乗せると、玄関の方へと跳ねて行った 「ぱちぇはこのこたちとここをでていくわ。 あとはおすきにどうぞ、ぶりーだーのおねーさん」 「・・・ここを出て行ってご飯はどうするの? 寝る場所は? 捕食種だってでるよ?」 「どうぞくごろしをかばうおねーさんといっしょにいるよりははるかにあんぜんだわ」 「・・・・・・そう」 「ぱちぇからのさいごのおねがいよ、このとびらさんをあけてちょうだい」 「うん、これでいい?」 「ありがとう。 おねーさん、ゆっくりさようなら」 ドアを開けると、ぱちゅりーはそのまま飛び出して行ってしまった おねーさんは姿が見えなくなるまで見送ったが、ぱちゅりーが振り返ることはなかった 15 「すみません・・・虹川というゆう医はいますか?」 「虹川先生はただいま診察中でして・・・」 「妹が訪ねてきたと伝えてもらっていもいいですか? 緊急で話したいことがあって・・・」 「・・・わかりました、おかけになってお待ちください」 おねーさんは兄が務めているゆっくりクリニックへとやって来ていた ぱちゅりーが家出したことを伝えるためだ 兄は大学を出てゆっくり専門の医者であるゆう医になった おねーさんと同様、彼もまたゆっくりが好きでたまらない愛で派の人間だったのだ そんな兄が誇らしくもあり羨ましくもあった ゆっくりに携わる仕事に就くのはおねーさんにとって夢であり、先にそれを果たしてしまった兄に少しでも早く追いつきたかった 「・・・何の用だ。 今は勤務中だ、手短にすませろ」 診察を終えた兄が診察室に顔を出した 白衣を着てメガネをかけたまじめそうな風貌 普段のふざけた態度とはかけ離れたまじめで落ち着いた雰囲気 ぱちゅりーを家に連れてきた時とは、まるで別人のようだ 「ぱちゅりーが・・・ ぱちゅりーが家出しちゃったんだ・・・」 「なんだ、そんなことか それなら加工所に問い合わせてバッチのナンバーを照合してもらえ。 控えは一緒に渡してあっただろ?」 「そうじゃなくて・・・ぱちゅりーとは喧嘩しちゃって・・・」 「だからなんだ。 あれの飼い主はお前だ、歯向かったなら従わせろ」 「・・・できないよ。 私なんかよりずっとゆっくりのこと知ってて、プライド高くて・・・」 「できないじゃない、やるんだ それくらいできないでブリーダーになんてなれるはず無いだろ」 「どうすればいいの? 皆言うこと聞かないし、勉強させてもすぐ忘れるし・・・ もう、何をどうすればいいかわからないよ・・・」 「都合のいい時だけ人を頼るのはやめろ お前一人でやると言ったんだから最後まで責任を持て、義務を果たせ」 「・・・責任? ・・・義務?」 「次の診察があるからもう行く 今後、職場に私用で押し掛けるのはやめろ。 迷惑だ」 「あ、ちょっと! まってよ!まって・・・」 兄は何も答えずに行ってしまった (なんで人前だとそんなに冷たいの? どうして他人みたいな態度をとるの?) その背中に無言で問いかけるものの、答えは当然返って来ない 16 おねーさんの家を出て行って数日後 ぱちゅりー達は近くの公園で寝泊まりしていた 穴があいたり崩れかけたりしている野良ゆの段ボールハウスが並ぶ中、一つだけま新しいお家がある 段ボールの上に雨よけのビニールシートが被せられ、地面に枝でしっかりと固定されている ゆっくりが作ったとは思えないような立派なつくりだ その中から、ぱちゅりーがひょこりと顔を出す 「むきゅん、おそとにでてもだいじょうぶそうね」 そう言ってぱちゅりーがお外に出ると四匹の赤ゆっくりがずーりずりと後に続く お家を出た当日は不安で泣きやまなかったものの、ようやく外の世界に慣れ始めてきている 厳しい授業の甲斐あってか、素直に言うことを聞いて勝手な行動をとるものは一匹もいなかった 「それじゃあ、おちびちゃんたち! きょうもごみひろいをするわよ!」 「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」 ぱちゅりーは公園のゴミ拾いや雑草の除去などボランティア活動に精を出している 野良となった今、このおちびちゃん達を飼いゆっくりにするには人間を頼るほかない だが、通りすがりの人間におちびちゃんを飼いゆっくりにしてほしいとせがんでも良い結果は得られないだろう ならば人間が目を引くような行動をして注目を集めるしかない 一見賢そうな行動に思えるがそれ以外に方法が無いのだ 選択肢のないぱちゅりーのとった苦肉の策である 「おちびちゃんたち! みんなできょうりょくしてこのあきかんさんをはこんでね!」 「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」 公園の遊歩道の脇には空き缶が何個も捨てられている それを一つずつ運んで山積みにするのだ 非力なゆっくり、それも赤ゆっくりからしたら想像を絶する重労働である 「もうまりしゃはへちょへちょだよ・・・」 「もうぢゃめ・・・れいみゅうごけにゃい・・・」 「いったんきゅうけいにしましょう! いまぱちゅりーがごはんをよういするからまっててちょうだい!」 赤ゆ達は空き缶を運んで二~三十センチほど進むと直ぐにばててしまう ぱちゅりーは無理をさせずにこまめに休憩をとり、その間に雑草を引っこ抜いて口に含む 何度か咀嚼して柔らかくなったものを休憩中の赤ゆ達に与えるのだ 「ぺっぺ! さあ、たんとめしあがれ!」 「「「「むーちゃむーちゃ・・・ それなりー・・・」」」」 微妙な表情で雑草を食べる赤ゆ達 雑草はそれほどおいしい物ではない、だが食べれないわけではない 残念そうに食べてはいるものの文句を言わずに完食した 「ぱちゅりー! ゆっくりしていってね!」 「むきゅん? まりさ? ゆっくりしていってね!」 この公園の群れの長であるまりさが話しかけてきた ぱちゅりーがこの公園に住むことを快く受け入れてくれた善良なまりさだ 「きょうもせいがでるね! はやくかいぬしさんがみつかるといいね!」 「そうね・・・でもげんじつはそんなにあまくないわぁ・・・」 「だいじょうぶだよ! ぱちゅりーみたいなかしこくてゆうっかん!なゆっくりならすぐにかってもらえるよ」 「ぱちぇがかってもらってもいみがないのよ・・・ このこたちのかいぬしがみつかるまでのらをつづけるつもりよ・・・」 「ぱちゅりーはやさしいんだね・・・ さすがは“えいゆん”だよ」 「むきゃ! ぱちぇは“えいゆん”でもなんでもないわ! はずかしいからそのはなしはやめてちょうだい!」 ぱちゅりーがこの公園にやってきた初めの晩 野生のれみりゃが群れを襲撃した 泣いて逃げ惑うだけで抵抗しようともしない野良ゆ達が次々と餌食になっていく中 ぱちゅりーは全く動じずに細かい枝を口で飛ばしてれみりゃを返り討ちにしたのだ といっても、偶々目玉に当たって驚いたれみりゃが逃げ出しただけなのだが・・・ 「まりしゃもおおきくにゃっちゃら、ぱちゅりーしぇんしぇいみちゃいに“えいゆん”になりゅよ!」 「れいみゅもがんばっちぇしぇんしぇーになりゅ! しぇんしぇーになっちぇゆっくちすりゅう!」 「もう、あなたたちったら・・・」 叶いもしないような将来の夢を語りだした赤ゆ達を、ぱちゅりーは呆れながらも何処かゆっくりした表情で見ていた 「ゆふふふふ。 ぱちゅりーはおちびちゃんたちがだーいすきなんだね まりさのかわりにむれのおさをやってほしいくらいだよ!」 「むぎゃん! またそんなことをいって・・・ ぱちぇにはにがおもすぎるわ・・・」 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああ!!!」 「「ゆん!?」」 長まりさと話していると、公園の静寂を悲鳴が切り裂いた その声は転んでけがをしたとか言うレベルではなく、もっと悲惨なことが起きたことを知らせている 「まりさはようすをみてくるよ! ぱちゅりーはおちびちゃんとおうちへひなんしてね!」 「ゆ、ゆっくりりかいしたわ!」 長まりさの言った通り、おちびちゃんを連れてお家に向かうぱちゅりー お家に到着しておちびちゃんを中に入れるとすぐにまりさの元へと向かう わざわざ助けにいく義理などないのだが、数日間とはいえ生活を共にしたことでぱちゅりーには連帯感が生まれていた 「うぎゃああああああああ! やべろおおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼつぶずなああああああああああああああああ!」 群れの中心部から長まりさが叫ぶ声が聞こえた 三人の人間が長まりさのお家を踏みつぶしたり蹴ったりして遊んでいる そのうちの一人が長まりさのおさげを掴んでぶらぶらとゆすっていた 17 「すみません・・・ちょっといいですか?」 「はい、なんでしょうか?」 おねーさんは近くのゆっくりショップに来ていた 手に抱えているケースの中には癇癪まりさを除く四匹の赤ゆっくり達が入っている 赤ゆっくりとはいっても子ゆっくり手前まで成長しておりテニスボールより少し小さいくらいの大きさだ 「この子たちを買い取ってほしいんですけど・・・」 「あ、はい。 もしかしてブリーダーの方ですか?」 「ええっと・・・一応・・・」 「はい! ではいまからこの子たちの評価をさせていただきますのでしばらくお待ちください!」 金髪にピアスをした店員はさわやかに微笑んで赤ゆっくりの入ったケースを持って行った おねーさんは椅子に座って腰掛けて足をぶらぶらさせながら店内を見渡す ケースの中には金や銀バッチをつけたゆっくりが入っていて、値札には十万・二十万と言った値が付けられている 一方柵の中に放し飼いになってる銅バッチのゆっくりには一匹あたり五千円とかなり値に開きがある この違いはしつけの違いなのだろうか? それとも血統がいいのか? そんなことをおねーさんんが考えていると、奥からさっきの金髪ピアスの店員と小太りでバーコード禿げの中年男性が出てきた 中年男性の付けた緑色のエプロンには店長と書かれたネームプレートが付けられている 「どーも。 わたくしがこの店で店長を務めさせていただいている山田というものです」 「あ、どうも。 私は虹川っていいます」 「虹川さん・・・結論から申し上げてあなたの育てたゆっくりをこちらで買い取ることはできません」 「・・・・・・なぜですか?」 「わかりませんかね。 まぁ、解らないから質問してるんでしょうね・・・」 「はぐらかさないではっきり言ってもらえますか? 腑に落ちません」 山田はやれやれと言った感じでかぶりを振り、おねーさんの目を見て言った 「・・・腐った生ごみの受け取りを拒否するのに理由が必要ですか?」 「生ごみ? どういうことですか!?」 「どういうこともなにもないですよ。 あんなゲス化したのを持ってこられてもこちらとしてはいい迷惑なんですよ というより、あれは庭飼い用なのに室内で飼育してゲス化したようですがどうしてそんなことをしたんですか?」 「・・・それは」 「理由なんてありませんよね? どうせそちらの方が元気そうだからなんてどうしようもない理由で選んだんでしょう あなたはまだスタートラインにすら立つことのできないレベルだということなんですよ」 「ブリーダーの資格ならちゃんととりましたけど!? よかったら認定証みせましょうか!?」 「必要ありません。 そもそも資格なんて適当に勉強すれば誰だって受かりますからね あなたに足りないのは知識うんぬんではなく、ゆっくりに教育を施すだけの能力が無いということなんですよ 要は大人になり切れていない子供のままだっていうことです」 「・・・・・・・」 「私の方から言えるのはそれくらいです。 では」 そう言って山田と名乗った男は店の奥に行ってしまった 残されたおねーさんに金髪の店員が優しく声をかける 「しかたないよ、失敗は誰にでもあるからゆっくり頑張ってくださいね」 「・・・・・ありがとうございます」 「よかったら一匹当たり千円で引き取りますけどどうですか?」 「え!? いいんですか?! ええっと・・・いま領収書を用意しますね!」 「ああ、違うんです。 そう言うことじゃなくて・・・引き取るっていうのは千円で処分しますよってことなんですよ」 「しょ・・・ぶん・・・」 「うん、ゆっくりは特殊外来種生物として国から指定されているでしょ? だから一度登録したら処分するには色々手続きが必要なんですよ 潰して生ごみとして捨てることもできなくはないんだけど、最近色々五月蠅くなってきてね・・・ それを代わりに代行する手数料ってことで本当は三千円かかるんだけどおまけして千円ってことで」 「どうして・・・どうして処分するんですか?」 「どうしてって・・・ゲス化したら飼ってても意味ないでしょ? あ、もしかしてまだ認定受けてなかった? だったら早めに処分しておいた方がいいよ! もし成体まで育っちゃったらバッチつけなくちゃいけないし、付けないまま飼っててもそれはそれで罰金だからね」 「・・・どうして どうして簡単に処分なんて言えるんですか!? ゆっくりが大好きなんですよね!? だからこういう仕事してるんですよねぇ!? じゃあなんでそんなに簡単に処分なんて言えるんですか!? ねぇなんで!!」 おねーさんは涙を浮かべて店員に詰め寄る 店員は頭を掻いて目をそらした 「ははは、確かに処分なんて可哀そうなことできないって、そう考えていた時期が俺にもありました でも結局それってただのエゴなんだよね。 可哀そうだからとか言ってたら商売にならないって 気持ちは分からなくもないけど、そんなこと言ってたら金バッチのゆっくりなんて育てられないよ ブリーダーを目指すんならもっと現実を見なよ・・・」 「・・・でも、生きてるんですよ? かけがえのない命なんですよ? それを処分するなんて・・・・」 「ったくもーめんどくせーなあああああああああああああああああああ!!!!」 丁寧に受け答えしていた金髪の店員は態度を豹変させた 眉を吊り上げて威嚇するような目つきで睨みつけてくる 「なにが命だよ!? さっきから聞いてたら綺麗事ばっかりぬかしやがって!!! 大体ゲス化させてそいつらのゆん生台無しにしたのてめーだろうがよおおおおおおお!!! 自分がしたこと棚に上げて偉そうに御託並べてんじゃねーぞゴラァ!!!!!」 「・・・・・あの、その、すみません!」 「今更あやまってんじゃねーよ!!! もうそいつらには加工所で死ぬかお前に殺されるかしか選択肢がねーんだよ!! よくもまぁぬけぬけと“かけがえのない命”だなんてぬかせるな!? っばーーーーかぁ!!!」 「・・・・・うぅぅ ごべんばばいいいいいいいい!!」 「泣いて謝るくらいなら死ね! 腹切って死ね!」 「おい、お前なんてこというんだ・・・」 山田が戻って来て金髪の店員を落ち着かせる まだ何か言おうとしていたが、頭をひっぱたいて黙らせていた 「わるかったな、こいつは一度こうなると手がつけられないんだ。 すまん」 「ばだじごぞごべんばばいいいいいいいいいい!!」 「ああ、もう泣くな泣くな・・・ 悪かったよホントに」 「うわあああああああああああああん!!!」 おねーさんは泣いた 今までため込んでいたものを全て吐きだすかのように、泣いた 18 「やべべぐばばびいいいいいいい! どっでぼゆっぐぢぢだおぢびじゃんなんでずうううううううう!」 「ちゅぶれりゅううううううううう! じんじゃうううううううううう!」 「ぴゃぴゃああああああああ! ちゃしゅけちぇええええええ!」 顔面を涙でぐしゃぐしゃにした長まりさが必死に懇願している 番であるありすは既に潰されており、地面にはカスタードのシミができていた 人間は長まりさの子供の子まりさと子ありすを足蹴にして、今にも潰してしまいそうだ 「こんなゴミ饅頭のどこがかわいいんだよw」 「なんにもできねーくせに粋がってんなよ! 下等生物のくせに何言ってんだよ! なぁ?」 「だなだな!」 人間達は学生服をだらしなく着ていて、みすぼらしい身なりをしている どうやら近くの学校の生徒が授業をサボっているようだ 「むきゅぅ・・・ どうしたらいいの・・・? ぱちぇにはわからないわ・・・」 ぱちゅりーは賢かったので止めに入って行っても無駄なことは理解していた 木の陰から隠れて様子を窺っていたのだが、その木は姿を隠すにはあまりにも細すぎた 「ぱちゅりいいいいいい!? までぃざどまでぃざのおじびじゃんだじぼだずげでねええええええええ!?」 「むぎゃ! よけいなことを・・・」 「おん? あそこに一匹隠れてるな」 長まりさのせいで見つかってしまったい、人間がのそのそと近寄ってくる 追い詰められたぱちゅりーは最後の手に出た 「まちなさい! このきんばっちさんがめにはいらないのかしら!?」 「あん? なんだこいつ・・・いっちょまえにバッチなんか付けてやがる」 「どうせ捨てられたんだろw 潰しちまってもだいぢょーぶw」 「むぎゃん! なんてむちなのかしら! ・・・いいわ、つぶしなさい! そのかわり、ごじつおくられてくるせいきゅうしょにめをしろくろさせるといいわ!」 「はー・・・ 饅頭にしては頭が回るみたいだな。 こいつの言ってることほんとかもしんねーぞ」 「まじかーw じゃあ、この金髪饅頭共潰したらけーるかw」 「だなだな」 危機が回避されてホッとしたのもつかの間 長まりさが信じられないことを言った 「まっでね!? ぞのばじゅりーにはばっぢざんのづいでないおじびじゃんがいるんだよ! までぃざのおじびじゃんじゃなぐでぞっじのおじびじゃんをつぶじでね!?」 「むぎゃあああああああああ! どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおお!?」 「ほ~ で、そのおちびちゃんはどこにいるんだか教えてくれよ」 「あっじのじまじまのじーどざんのやねのおうじだよ! でぎだばっがりのぎでいなおうじだよ!」 「・・・んじゃ、そっちいきますか」 「だなだな」 「むぎゃあああああああああ! ごのうらぎりぼのおおおおおおおおお!」 「わるくおもわないでね! のらのせかいはひじょうなものなんだよ!」 長まりさは人間におさげを掴まれたまま、へらへらと笑っている 既に生き残ったつもりでいるようだ 「にんげんさん! やくそくどおりおちびちゃんをたすけてあげてね! すぐでいいよ!」 「やくそくぅ? 何言ってんだてめぇ・・・」 「ゆ? だってぱちゅりーのおうちをおしえたらゆるしてくれるんでしょ? うそはよくないよ!」 「そもそもてめーとそんな取引をしたつもりはねぇ。 おい、やっちまえ」 「だなだな!」 リーダー格の人間が合図をすると、おちびちゃんを踏みつけていた人間が少しずつ体重をかけ始める 既に息絶え絶えの子まりさと子ありすは尋常ではない悲鳴をあげた 「おどうじゃあああああああああ! おどじゃ! だじゅげでええええええええええ! まりじゃじぬ! じんじゃ!う! ぐるじ! じぬうううううううううううう! ゆぎぃ! ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 「びゃびゃああああああああああああああ! だじゅげぢぇえええええええええええ! あでぃじゅじにぢゃぐにゃい! もっどゆっぐぢ!もっどもっど!ゆっぐぢいいいいい! ゆぎゃああああああああ! ぎゅごごごおご! ごべべべおげええええええええ!」 頬が張り裂けんばかりに膨れ上がり、両目は今にも飛び出しそうな勢いでせり出している 一文字に結んだ口からは中身が歯と歯の間から漏れ始めた 「おでがいでず! どっでもゆっぐぢぢだおぢびじゃんなんでず! がげがえのないいのぢなんでず! だっだびどづのいのぢだんでずうううう!」 「でたwかけがえのない命w お前らが言うと薄っぺらく聞こえるんだよなーw」 「一ついいこと教えてやるよ。 かけがえのない命だなんてもともと人間にとっちゃぁ無意味な言葉なんだよ」 「どぼじででずがああああ!!! までぃざにばわがりばぜん!」 「それはなぁ・・・ お前らみたいなアホとバカが自己満のために使う言葉だからだよ」 「どぼいうごどでずがあああああああああああ!?」 「犬や猫が虐待されれば可哀そうって言うくせに、保健所でガス室送りにするし 花を踏みつぶしたら怒られるけど、雑草を引っこ抜きゃあ褒められる 命は大切だって言っておきながら蚊やゴキブリは平気で殺す 自殺するなって言う割には、いじめは止めねーリストラはする ここまで矛盾してんのに“かけがえのない命”なんてキリッって言える奴はただのバカかアホだろ? ようするにお前らみたいな奴が人間にもいるってことだ そーゆー奴らが使うような言葉だから、薄っぺらくしか聞こえねえってわけだ」 「おおーw すげえな、ちょっと俺感動しちゃったよw」 「そうか? 適当に言っただけだぞ?」 「ぞれがばでぃざだじどがんげいあるんでずがあああああああ!?」 「いや、ねーよ。 もういいだろそいつら潰しちまえ」 「だなだな!」 「おどじゃ! おどうじゃああああああああ! までぃじゃじにだぐにゃよおおおお! ぐるじ! ぐるじいいいい! ゆぴょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! ゆぎゅおおおおおぎゅうおおおおゆぎょおおおおおおおおおおお『ブチぃ!』・・・」 「やぢゃやぢゃ! ありじゅばじばばぜになっぢぇ! ゆっぐぢ!じゅりゅんぢゃもん! ゆっぐじ! ゆっぐじいいいいいい! あでぃじゅはゆっぐじいいいいいいいいい! おごおおお! げっぇげっぇえっ! あでぃ!じゅ! ぢょがいは『ブチョ!』・・・」 破裂寸前の子まりさと子ありすはさらに圧力をかけられてあっけなく爆ぜた 地べたには餡子とカスタードの小さな花が新たに花開いた 「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! までぃざのおじびじゃん! おじびじゃんがああああああああああああああ!!! どっでぼゆっぐぢぢでだのにいいいい! どぼじでごろしちゃったのおおおおお!?」 「うるせーな! そいつさっさと黙らせようぜ!」 「だなだな!」 「はいよーw 死ね!このウジ虫w」 「やめでね!? までぃざをごろざないでね!? までぃざはあだらじいおよべざんどおじびじゃんづぐっでゆっぐぢ『ベシャア!』ゆっぐ・・・じ・・・」 長まりさを掴んでいた人間は勢いよく近くの看板に叩きつけた 勢い余っておさげがちぎれてしまい長まりさの顔面がぴたりと張り付く その身体はピクリともせずにずるずるとずり落ちていって、看板には餡子のラインが縦に引かれた 「はぁーすっきりした! じゃあ早速つぎいこーぜ!」 「だなだな!」 「むきゃん! まちなさいあなたたち!」 ぱちゅりーは人間の後を必死に追う 何もできないと知りながら 後編へ続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1542.html
『初めてのゆ虐 1』 「うめぇなこいつ」 「や…やべぢぇにぇ!!!れいみゅはだべぼのじゃ…ゆぎゃああああ!!!!!!!」 「やっぱ赤ゆは美味いな」 「やべるんだじぇ!!!まりちゃをたべにゃいぢぇええええ!!!!!!」 定例の野球試合を終えた後虐待お兄ちゃん達は赤ゆっくりを肴に酒盛りをしていた。 「なぁ、お前らの初体験ってどうだったよ?」 「初体験?」 「いきなりそのネタは無いだろ」 「違う。お前らが想像してるやつじゃない。ゆ虐だよ。お前らが最初にやった虐待ってどんなだったか知りたいのさ」 この野球チームはメンバー全員が虐待鬼意山と呼ばれる人達で虐待ネタは豊富だ。 「最初はどうしてやったかなぁ…」 「え~っと…」 「じゃあ俺から話して良い?」 「どうぞどうぞ」 「えっとねぇ…」 【虐待お兄ちゃんの初体験】 この村に引越してきたばっかの頃だったなあ。近所に挨拶しに行ったら 『この辺りは都会と違ってゆっくりが煩いからちゃんと対策しときな。引越し祝いに箱あげるよ』 って加工所製の箱貰ったんだ。家帰ったら早速ゆっくりがいたよ。確か親れいむと親まりさ、子ゆっくりと赤ゆっくりが合わせて3匹だったかな。 『どぼじでおうぢにはいれないのおおお!!!!??』 『おかしいんだぜ!!いしなげたのにがらすさんがわれないんだぜぇ!!!』 だとさ。俺の家って相当金かけてるからゆっくり程度じゃ侵入できないよ。あ、お前らもガラスくらいは都会の住宅と同じやつにしときな。 それだけで全然違うから。で、俺が近づいたら 『ゆ!!こ…ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!!!』 『じじいはでていってね!!!』 『しょうだ!!しょうだ!!』 『かわいいれいむにあまあまさんちょうだいね!!』 だって。今だったら慣れてるけど引越した当初で知らなかったからカチンときたんで親まりさを殴り殺したよ。 『ゆぎゃああ!!!!い…いだい!!!!や…やべ…ゆびゃ!!!!ご…ごべ…ごべんなざいいい!!!』 『ま…まりざああああ!!!』 『おかあさんぎゃああ!!!!』 何発か拳骨で殴った後髪とか目とか舌とか手当たりしだい鷲掴みにしては引き千切ったね。 『れ…れいむはにげるよ!!!』 『おかあしゃんがかってにやったことだからね!!!れ…れいむはかんけいないよ!!』 『まりちゃもにげりゅうううう!!!』 調子いいこと言って逃げようとしたんで捕まえて箱に入れたよ。多分こいつら巣が狭くなったから新築の俺んちをおうちにしようとしたんじゃね? 『おうぢがえじでええええ!!!!!!!!』 『でいぶはどうなっでもいいでずがらおちびぢゃんだげはがえじでえええ!!!!!!』 『みゃみゃあああああ!!!!!!!うわあぁあぁあああん!!!!!!』 一斉に喚くから五月蝿いの何の。引越して直ぐに騒音とかで近所迷惑は勘弁して欲しいから地下室に連れて行ったよ。今考えてみれば地下室を 虐待部屋にしたのもこれのせいだったのかな。最初はとりあえず作っただけだったしね。 『ゆるじでぐだざいいい!!!!!』 『こわいよおおおお!!!!!!!』 『おうぢがえじでえええええ!!!!!!』 どうやって遊んでやろうかと考えてたらいいこと思いついたよ。引越の荷物整理してたら釣り道具が出てきてさ。いつかまた釣りもするだろうと ここに持ってきてたんだ。それで遊んでやろうと釣り道具を持ってきたんだ。 『きょわいよおおお!!!!!!だじゅげ…ゆ!おしょらをとんでりゅみちゃい…』 箱から赤れいむを掴んだら助けてもらえるとか勘違いしてたな。 『お…おにいしゃん!!おうちはいってごみぇんな…ああああああああ!!!』 『あかぢゃんをいじめないでええええ!!!!!!』 何したのかって?赤れいむの舌を引っ張ったの。で、舌に釣り針を刺して釣り糸を持ってみたら 『いひゃいよおおおお!!!!!!!!!!ひいいいいいいい!!!!!!』 『あがぢゃあぁあん!!!おでがいじまずう!!!!ゆるじでぐだざいいいい!!!』 いい反応だったよ。 『た…だずげでええ!!いやああああ!!!ま…まりさはわるくないんだぜ!!!いじめるんならいもうとにするんだぜ!!』 『どぼじでそんなごどいうのおおお!!』 『こっちぐるなあああ!!!!いやあああ!!!!!じにだぐないい!!!だずげでえええ!!!!』 そういや当時のゆっくりって今のゆっくりとちょっと違うよな?子まりさを掴んで釣り針を目のまん前に近づけたら 『いやああああああああ!!!!ゆるじでぐだざいい!!!!ごべんなざいい!!ごべんなざいい!!!』 ゆっくりゆっくりゆっくり針を近づけたよ。近づくたびに良い声で歌ってくれたよ。 『おがあざんたずげでよおおお!!!!ゆびゃっ!!!いだい!!いだいい!!!いだいよおおお!!!!!』 目に突き刺してぐりんとねじ込んだね。あの感触は最高だった。もう1個目玉が空いてたから新しい釣り針も目に付き刺したよ。 『おべべがあああ!!!!まりざのおべべがあああ!!!!!みえないよおおおお!!!!いだいよおおお!!!ああああああ!!!!』 『れいむをみすてたばつだよ!!!ゆっくりくるしんでね!!!!』 『どぼじでぞんなごどいうのおお!!!!しまいでじょおおお!!!!お…おにいさん!!!ゆるじでぐだざいい!!!』 やっぱり昔のゆっくりって今と違うわ。勿論残りの子れいむにも刺したよ。 『いだいよおおおおおお!!!!!!!!!!!ゆぎゃああああああ!!!!おがあざんだずげでええええ!!!!』 どこか穴が無いかなと体中を調べてたらあにゃるとまむまむがあったな。あにゃるから刺してまむまむから針先を出そうとしたけど そこまで釣り針が大きくなかったからそれは諦めて2つ刺しといた。 『ひいいいいい!!!!!!いだいよおおおお!!!!』 『おべべがああああ!!!!おがあざんどごおおおお!!!!!!???いだいよお!!!だずげでえええ!!!!』 『ひあああああああ!!!!いあいよおおお!!!!!おああはあんん!!!はふへひぇええええええ!!!!!!』 『ゆぎゃあああ!!!!あがぢゃんがああ!!!!おちびぢゃんがああああ!!!ごごがらだじでえええ!!!!』 初めて聞いたカルテットも良かったね。何だかこれやってると釣りがしたくなってきてね。とりあえず練習でもするかと釣竿持ってきて まず舌を刺した釣り針に糸通して箱の中の親れいむの前に吊るしたよ。 『ひゃひゅひぇええええええ!!!!ぃひゃいひょおおおおお!!!!!!』 『ま…まっででね!!!!いばだずげるがらぁ!!!!』 こっからも面白くてね、親れいむが飛び上がって助けようとするの。それに合わせて糸を引くの。 『どぼじでとどがないのおおおお!!!!!???』 また糸を下ろして飛び上がったところを 『ゆべし!!!!ゆうううう!!!!とどがないよおおお!!!!!ゆえええぇええぇえええん!!!』 流石に可哀想になったから糸を下ろしてやったよ。僕っておりこうちゃん。 『とどいだよ!!!!あがぢゃん!!いまだずげであげるからね!!!!』 さてどうやって助けるんだろうね? 『あがぢゃんがまんしでね!!!すぐとってあげるがら!!!!』 おいおい、赤ゆのリボンを引っ張り始めたよ。それじゃ… 『ひゃああああああ!!!!!いいいいいいいい!!!!!!ゆひゃああああ!!!!!』 予想通り。針刺したところから舌が裂けちゃったよ。何だっけ?スプリットタンとか蛇舌って言うんだっけ? 『いひゃいよおおおお!!!!ひはぎゃ!!!!!ひぇいひゅのひひゃひゃあああああああ!!!!』 『ゆああああああ!!!!ご…ごめんね!!!!』 どんどんいこう。お次は目玉に針が刺さってる子まりさだ。 『いだいよおおおお!!!おがあぁざあぁあん!!!!だずげでえええ!!!ごれどっでええええ!!!!』 『ゆ!!お…おちびぢゃあぁん!!!!いまだずげるよ!!!!おがあざんにまがせでね!!!!』 ギリギリ届くぐらいのところに吊るしたんだ。親れいむがどうやって下ろすのか知りたくてね。 『おべべがああ!!!!おべべがあああ!!!いだいよおおおお!!!』 『ゆ!ゆ!ゆ!ゆああああああ!!!どぼじでおちでごないのおおおおお!!!??』 そりゃお前掴む術が無いだろ。飛び上がって頭突きしてるだけじゃ駄目だって。というわけで少しだけ下ろした。 『いだい!いだいい!!!やべでええええ!!!ちぎれるうううううう!!!!』 『お…おねがいだがら…がまんじでね!!!だずげるがらあああ!!!!』 千切れるって?ああ、親れいむは子まりさの髪を咥えて引っ張ってるんだよ。簡単に助かって欲しくは無いからこっちも微妙に力込めたけどね。 『ひいいいい!!!いだいい!!あだまがいだいよおおお!!!ゆぎゃっ!!!おべべがあああ!!!おべべがああ!!!!』 『ゆううううう!!!!!ゆううううう!!!!ゆううう!!!!……ゆっ!!!!!』 『ぎゃああああああああああ!!!!!!!!』 やったね、れいむ。片方の釣り針が取れたよ。その代わり子まりさの髪が少し抜けちゃったね。あと目玉が抉れちゃってるけど。 『おべべぎゃああああ!!!!!おべべぇぇぇ!!!!!!!!!!!いだいいいいいいい!!!!!!』 『ご…ごべんねえええ!!!!まりざのきれいながみがあああああ!!!!!』 え?そっちなの。ああそうか、そっちからじゃ目玉がどうなってるのか分からないのか。もう片方も同じように引っ張ってたよ。 勿論髪千切れてるし目玉も抉れちゃってる。 『なにもびえないよおおおおお!!!!!!!!!おがあぁざあぁぁん!!!!!!!!おがあざあぁあん!!!!!!!!』 『い…いだいのいだいの…どんでぎぇええええ!!!!すりすりぃ!!!ゆるじでね!!!ごべんね!!!』 あーあ。子まりさの目から黒い涙が溢れてるよ。多分餡子が混ざってんじゃね? 『おがあぁあぁあああざぁあぁん!!!!!!!!!!!!!!!おろじでえええええええ!!!!!!!』 『い…いまおろじであげるがらあぁ!!!!!』 忙しいなこの親子。最後に子れいむ。ちょっとまた悪いこと考えちゃってね 『ゆううう!!!!!!!!!ゆううう!!!!!!!!』 『ひっばらないでええええ!!!!!!!いだいよおおおお!!!!!!!!』 『ゆべしっ!!!!』 『あだまがあああ!!!!!あだまがいだいよおおお!!!!!』 『ゆあああああ……あんごがみえぢゃっでるよ…こ…こんどこぞ…こんどこそおろじであげるがらあああ!!!!!!』 『いだいい!!!いだいいいい!!!!』 『ゆううう!!!ゆうううう!!!!ゆうううう…ゆびゃっ!!!!』 『ひいいいいいいい!!!!!!!』 『ながみがみえぢゃっでるよおおおお!!!!どぼじでおぢないのおおお!!!??』 相当深く刺さってるから髪引っ張るだけじゃ釣り針は抜けないと思うがなぁ。ああ、また髪抜いちゃったよ。 『おねがいだがられいむはゆっくりしないでおちでぎでね!!!!』 『おろじでええええ!!!!!いだいよおおおお!!!!』 また髪が抜けたな。髪は少しだけ残ってるけどもう咥えられないね。どうするの? 『ゆんしょ!!ゆんしょ!!!ゆううううう!!!!』 『ゆああぁああぁあああん!!!!!!!ゆええええぇえぇえん!!!!!』 『ゆぶっ!!!!!!!!!!』 あーあ、リボンほとんど千切っちゃったよ。 『おがあざあぁああん!!!!!どぼじでおろじでぐでないのおおおお!!???』 『ごべんねええ!!!!ごべんねえええ!!!ばがなおがあz……ゆ?』 可哀想だからこいつ助けてあげようね。やっぱり僕っておりこうちゃん。 『い…いだぐないよ!!!!あ…ありがどおおお!!!!!ありがとおお!!!おにいさん!!!』 じゃあお母さんの側に置いてあげるね。 『おかあさん!!れいむたすかったよ!!!!ゆっくりしていってね!!!』 『ゆ?みたことないこがいるよ』 『おかあさん!!れいむだよ!!れいむ!!!!』 『れいむのれいむはもっとかわいいよ!!はげてなんかないよ!!』 『どぼじでぞんなごどいうのおおお!!!おがあぁざあぁん!!!すりすりしでよおおお!!!!』 『ちかづかないでね!!』 『ゆびゃっ!!!!!ゆ…うう…ゆえええぇええぇえええん!!!!!!ゆえええぇえぇええええん!!』 おいおい、こいつを禿饅頭にしたのはお前じゃないか。飾りが無くなると識別できなくなるって本当だったんだな。 「最後この親子どうしたの?」 「親れいむの頭を刳り貫いて中に入れてから燃やしたよ」 「都会ってゆっくりはあんまり暴れてないのか?」 「数も大きさもここいらより劣ってるよ。人間に会ったら大抵は蹴り殺されるからそんなに見かけないな」 「次は俺の初体験でいいかな?」 「どうぞどうぞ」 【エヌ氏の初体験】 俺は火攻めだったな。俺も家帰ったらいたよ。確か親れいむと子れいむが3匹。最近で言うところのシングルマザーってやつか? 『ゆ!!ここはれいむのおうちだよ!!!でていってね!!!』 『つうこうりょうをはらってね!!!』 だとさ。俺んちの門の前で。門から先に進めないのに何やってたんだろうね?最初は無視して家の中に入ろうとしたらさ 『ゆ!あいたよ!!』 『おじさんありがとう!!』 『きょうからここがれいむたちのおうちだよ!!』 ふざけるな。でもまだ俺我慢してたんだよ。家の中入ってゆっくりが入ってくる前にドア閉めたらドンドン五月蝿いの。 『いれてね!!ここはれいむのおうちだよ!!』 『おじさんはでてってね!!!!』 俺もカチンときたわ。とりあえずお湯でもかけて溶かしてやろうかと台所行ったらサラダ油が目に入ってさ。これ使うことにしたよ。 サラダ油を瓶の中に入れてチャッカマン持って外出たよ。 『ゆっくりしないでおうちかえしてね!!!』 『ぷくぅ~』 無視して庭出てトングを取り出した後に 『お前ら水飴はいらないか?甘いぞ』 って言ったら 『ゆ!みずあめさんはゆっくりできるよ!!』 『おじさんありがとう!!!』 『お…おちびちゃんまって!!!』 どうやら親れいむは気付いてたみたいだな。子れいむがみんなこっち来たから仕方なく来てくれたよ。 『あまあまさんはやくちょうだいね!!』 『れいむがさきだよ!!』 まずトングで1匹掴んで親れいむが来るのを待ってたんだ。 『ゆゆぅ~おそらをとんでるみたい♪』 『いいなあ』 だとさ。このままトングで押し潰してやろうかと思ったけどね。 『おじさん!!そのこをはなしてね!!!』 親れいむが近くまで来たんでまずれいむを瓶の中の油に突っ込んだよ。 『ゆゆ~ん。これがみずあめさんだn…ゆびゅぎゅぐゆぐうううう…』 『おちびぢゃあああん!!!』 油をよく染み込ませてから取り出して地面に置いてさ 『ゆっぐりできないよ!!!うえ…べどべどずるうぅ…』 『あやまってね!!!おちびちゃんにあやまってね!!』 『はやくれいむをみずあめさんのところにつれてってね!!』 チャッカマンで点火。 『ゆぎゃあああああ!!!!!!!!!あづいよおおおお!!!!!!!』 『ゆぎゃああ!!おねえぢゃんぎゃああああ!!!』 『こわいよおおお!!!!!!』 『ああああああ!!!!れいむのかわいいこどもがああ!!!!』 パニックだったな。燃え盛る子れいむをトングで掴んで親れいむのそばに近づけたよ。 『ぎゃあああああああ!!!!!!』 『おちびぢゃあああん!!!!ゆ!!!!あづっ!!!あづいよお!!!!!!』 酷い親だね。子供から逃げるんだぜ。可哀想だからすりすりしてあげたよ。 『ほぅらすりすりぃ~すりすりぃ~』 『だずげでえええ!!!!あづいいよおおおお!!!』 『あづっ!!!やべで!!!!れいむがもえぢゃうよおおお!!!!』 ホントに酷い親だったよ。どんどん遠ざかるんだぜ。最初の1匹は1番小さかったやつだからすぐ燃え尽きちゃったけどね。 『ぼういやだああ!!!おうぢがえるうううう!!!』 『ばっでええええ!!!!!でいびゅもがえるううう!!!!』 『まっでえええ!!!!ゆ!!!!おそr…ゆああああああ!!!!はなじでえええ!!!!はなじでえええ!!!!』 逃げ遅れた子れいむゲット。残りの餓鬼は逃げてたけど親は腐っても親だな。こっち振り向いて何か叫んでたよ。 『ゆぎゃ!!!いやあ!!!!やだあああ!!!!じにだぐないい!!!!じにだぐないい!!!』 同じように油に漬けてから点火 『おがあざんだずげでええええ!!!!!!あづいよおおおお!!!!!!』 『ゆ!!!!ゆうう!!!!!お…おにいざん!!!!けじでええ!!!!ひをげじでええええ!!!!』 火を消せばいいんだね。 『それそれそれ』 『あぢいい!!やべ…やべでええ!!!!れいむをもやざないでえええ!!!!』 親れいむに擦り付けて火を消そうとしたんだけど逃げようとするから足で押さえつけた。 『どげでええ!!!!はなじでえ!!!あづう!!!あづい!!あづい!!!』 『もうちょっと強く擦り付けないとな』 『ほっべがいだいよおおおお!!!!あづいよおおお!!!!やだあああ!!!』 まぁ結局火が消えた頃には子れいむは真っ黒に焦げてたけどな。親れいむの頬も真っ黒。 『おちびぢゃんがぁ…ほっべもいだいよぉ…』 あれ?もう1匹いたはずなんだがな…。庭をうろちょろしたら門の前にいたよ。 『あいでよおおおお!!!!!あいでえええ!!!!でいぶをごごがらだじでよおおおお!!!!』 ちゃんと閉めといて良かったわ。 『ゆ!お…おそらをういてる………ゆぎゃああああ!!!!!!!』 『よっ!』 『どぼじでにんげんざんがいるのおおおおお!!!!!おろじでえええ!!!!おろじでえええ!!!!』 リボンを摘んで親れいむがいる所まで連れてった。 『ゆうう!!!おちびぢゃああぁあぁん!!!!!』 『おがあぁさああぁああん!!!だずげでえええ!!!じにだぐないよおおおお!!!』 『おねがいだがらゆるじでええええ!!!おちびぢゃんはなじでえええ!!!』 無視無視。こいつも油に漬けてから地面に下ろして点火っと。 『ゆぎゃああああ!!!!じんじゃうよおおおお!!!!あづいよおおおお!!』 『お…おにいざあぁん!!!!げじでよおおお!!!!げじでええ!!!おちびぢゃんがじんじゃうよおおお!!!』 知ってるか?火って酸素が無いと消えちゃうんだぜ。 『ゆががががががああああああ!!!!!!!いいいいいいいい!!!!!』 というわけで親れいむの口を目一杯広げてから 『あああああああああああ!!!!!!!!!!…ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!!!!!!!!!!!』 燃え盛る子れいむを口の中に入れて口を閉じる。 『ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!!!!むうううううう!!!!!うううううううううう!!!!!!!』 気持ち悪ぃ…涎と涙垂れまくってたし。手袋つけときゃよかったな。 『ぶぶぶぶぶぶっ!!!!!!ううううううう……』 あり?泡吹き始めたぞ。消えたかな? 『びゃあああああああ!!!!!!!!ぼうぇええええええええええ!!!!!!!!!!』 親れいむの口からコロンと真っ黒な饅頭が出てきたよ。まぁ……火が消える前に燃え尽きちゃったか。 『おちびぢゃああああぁあぁあぁあん!!!!!へんじじでええええ!!!へんじじでよおおお!!!!』 「この親れいむはどうした?」 「油全部ぶちまけてから燃やしたよ。でも餓鬼全滅したショックか騒いでくれなかったからあんま面白くなかったな」 「ありがちなパターンだな」 「最初はそんなもんだよ」 「お前はどうだ?」 「俺がこの道進んじゃったのってお前のせいだったな」 「俺のせいかよ!?」 「何やったんだよ」 「確か蔵の整理してたんだよな…」 【アイ氏の初体験】 『お!こんなのがあったぞ!』 お前と蔵の整理してたんだよな。そしたら餅つきの臼が出てきてさ。杵もちゃんと2つ出てきたな。 『ん?なあ、お前いつかゆっくりを虐めてみたいって言ってなかった?』 『言ったけど。まぁそんなに簡単に出来るもんじゃないよ。手ごろな大きさのゆっくりが見つからないしわざわざ山で捕まえるのもね…』 『どうせなら今やらない?』 『今?』 『ほれ、そこに手頃なゆっくりがいるぞ』 蔵から出した段ボール箱にゆっくりが入ろうとしてたんだよ。 『ゆ!こんなところにおうちがあるよ!!』 『おきゃあしゃん!ここをりぇいみゅたちのゆっくちぷれいちゅにしようよ!!』 『れいむがいっちば~ん』 近くに人間がいるのに無警戒だったよ。何でだあれ? 『ゆ!にんげんがいるよ!!』 『ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!!!ゆっくりしないででていってね!!!』 『でちぇいっちぇね!!!』 『あまあまさんちょうらいね!!』 『…やるか?』 『やろう』 臼の中にゆっくりを入れてってあと水も用意してな 『せまいよ!!』 『れいむにひどいことしないでね!!れいむはしんぐるまざーなんだよ!!!かわいそうなんだよ!!!』 『おねえちゃんりぇいみゅをちゅぶしゃにゃいでにぇ!!!』 『ここからだしてね!!!ゆっくりできないよ!!』 ま、もう分かったと思うが餅つきやろうとね。 『ゆぴ!!』 『つべちゃいい!!!!』 『おみずさんはゆっくりできないよ!!!ゆ…ゆっくりしないでここからだしてね!!』 少量の水をかけてから 『じゃあつくぞ』 『あいよ!!それっ!!』 『ゆべ!!!!』 『いじゃいい!!!』 『いもうどがあああ!!!!れいむのいm…ゆぎゃ!!』 『ぼえっ!!!!』 『いだいよ!!ゆぎゃあ!!!!や…やべd…ゆびぇっ!!!!!』 杵越しに伝わる感触は良かったよ。小さいやつから潰れてくんだ。 『だずげでえええ!!!!ゆびゃっ!!!!!こ…ここかr…ぎゅえっ!!』 『ぼういやd…ぎゃあああ!!!おうぢがえr…びゃっ!!!!』 『や…ぎゃっ!!!!やべ…ぎゃっ!!!おちびぢゃんがつぶれr…ぶべっ!!!!!』 最終的には親れいむがかろうじて生き残ってたな。生き残ったってもぐちゃぐちゃに潰れててすぐ死んじゃったけど。 「そんなこともあったなぁ」 「ゆっくりつきはいいな」 「今度やらない?妊娠してる個体なんか最高だぞ」 「試したのか?」 「ああ。ブチブチっていう感触がたまらなかった」 「なぁ、俺の初ゆ虐はビデオに撮ってあるんだけど…。ちょっと取りに帰っていいか?」 「おお!」 「いいよ。待ってるからさ」 「お前が取りに行ってる間に何か作っとくよ。ほれ、ゆ虐話を聞いてたせいかこいつらさっきよりも美味くなってる」 肴の赤ゆは皆白目を剥いて痙攣していた。話の内容が相当こたえたのだろう。 「じゃ、すぐ戻ってくるから」 つづく by 虐待おにいちゃん このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/901.html
かわいいゆっくりゲットだぜ!!5(湖畔) 俺設定、れみりゃの捕食設定があり2匹います。主人公のゆっくりのれみぃと届け物のだめりゃ wiki設定と2次設定を基にした頭の可哀相な⑨ゆっくりとかでます。 原作キャラが登場します。 前に注意された事の実験に一部のゆっくりが漢字を使います。⑨と子ゆっくりは漢字を使えない設定です それでよければどうぞ読んでください できれば⑨話にしたかったが諦めて本文開始 現在、私は知人から返却されたれみりゃ種を飼い主に返すための旅に出ている。 2つのてっぺんがある帽子をかぶり短い手足と狐のような9本の尻尾と耳をはやしたゆっくりらん(75cm胴体付き) 緑色の帽子とネコミミと茶色の髪の毛と2本の尻尾が生えたソフトボールぐらいのゆっくりちぇん 背中には黒い小さな悪魔のような羽をもつゆっくりれみりゃ(胴体付き)75cmと1メートル2匹だ それと先ほど旅の一行に加わった美しい短い金色の髪、紅い瞳、白い肌、頭に赤いリボンをつけた肉まんぐらいのるーみあだ。 私達が休憩場所を離れてから30分もすると霧に覆われた湖が見えてきた。 ここのどこかの島に紅魔館があるのかと私は感慨にふけっていた。 幻想卿でのこんな冒険は初めてだった。 人間の里以外では妖怪の山ぐらいにしか行った事がなかったので今回はいい経験になったと思う。 そんな時に話し声が聞こえてきた 「なんでかえるがみつからないのよ!」 「ちるのちゃん、まだ春じゃないから蛙はいないわ」 「う……あたいってばおなかぺこぺこね…」 「早くるーみあちゃんを見つけてお家に帰りましょうよ」 3月のこの時期に蛙がいないのは常識だろうと思いそちらを見てみた。 そこには20cmぐらいの大きさのゆっくりが2匹いた 水色の髪で青いリボンに背中に氷の羽のはえた⑨のゆっくり 緑色の髪で黄色いリボンに背中に羽のはえたゆっくり。 あの二人も記憶にある大妖精と氷精チルノにそっくりだ。 「おかさーんたちなのだー。ゆっくりしていってね」 そういってるーみあが2匹のゆっくりのほうへ飛んでいった ということはあの二人がゆっくりちるのとゆっくりだいちゃんかと考えていると2匹も返事した 「「ゆっくりしていってね」」 「る-みあ、あんたどこにいってたのよ」 「おかーさんにいわれてひとりだちしたのだー」 「あたいは、そんなことはいってないわよ」 「ちるのちゃんがまた⑨なことをいっている」 どうやらあのちるのというゆっくりは頭があまりよくないようだ。 とりあえず、私たちは2匹に自己紹介を開始した 「あたいはちるの、さいきょーよ!」 「初めまして、あたしはゆっくりだいようせい…通称だいちゃんと申します」 ちるのというゆっくりは大声で子供が自分は強いんだと主張するような感じで叫んだ。 だいちゃんのほうは丁寧な世話好きという印象を受けた 私はお近づきのしるしにと残っていたおむすびを渡した。 2匹は「むしゃむしゃ、しあわせー」と嬉しそうに食べてくれた。 だが疑問が残るこの2匹は成体の大きさではない。 なのに何故るーみあの親代わりをしたのだろうか。 「そんなのきまってるでしょう。あたいがさいきょーだからよ!」 「私たちるーみあちゃんのお母さんにお世話になったんです。そのお礼にと思って頑張ったのです」 大ちゃんのほうは言葉も丁寧だなと感心した。 私はこれからの問題を聞こうと質問をした。 「君たちは紅魔館の場所を知ってるかい?」 「さいきょーのあたいにまかせなさい」 「はい、知っています。あっ、ちるのちゃんそちらは逆方向よ」 …とりあえず大ちゃんに任せれば大丈夫だろうと信用する事にした。 だが、私はこの時にいたるまで大切なことを忘れていた。 湖の島にあるという事は湖を渡らなければいけないのだ。 そして、湖を渡る手段を何も考えていなかった。 ここまできて変えるのも癪だがどうするかと悩んでいるとちるのがでてきた 「あいはさいきょーよ! あんたをあのしままではこんであげるわ!」 いや、無理だろうとツッコミをいれたくなった。 ちるのは私が知っている成体ゆっくりよりも一回りは小さいのだ。 到底、人間を運べるわけが無い。だが気持ちだけは嬉しいよと答えた。 「だめりゃ、君だけであの島まで飛んでいきなさい」 「うー♪ うー♪ さくやにあえるんだどぉー♪」 だめりゃは嬉しそうに腰を振りながら踊っている。 正直、ここまで来たのだからあの島に渡ってみたいという気持ちが強い。 だが、湖を渡る方法が思いつかないでいるとれみぃがはなしかけてきた。 「かいぬしさん、さくやにあいたいんだどぉー?」 「ああ、出来ればゆっくりの愛好家として話してみたいかな」 「なら、れみぃたちにまかせんるんだどぉー」 そういうとれみぃはゆっくり達が話しはじめた そして飛べるゆっくり全員で私たちを順番に運んでくれるといってきた 確かに1匹なら無理でも5匹なら運べるかもしれないな。 「本当に任せていいんだね」 「わはー、まかせるのだー」 「あたいはさいきょーよ! まかせなさい !」 「任せてください」 「「だいじょうぶだどぉー」」 5匹は自信満々にうなずいた。これならば信頼できる だが結果は…非常だった。いや常識の範囲内だろうか 冷たい、マジ冷たい、ゆっくり5匹の力では私を抱えて飛ぶ事はできなかった。 3月のこの時期に両手を万歳の状態で体の首の当たりから下を水の中で45度に曲げた状態で両手を引きずられていった。 ポジティブに頭が濡れなかったのでよかったと考えた。 だが体中が寒さで痛いのは気のせいではないだろう。 『ゆっくりを信じた結果がこれだよ』と口の中でつぶやいた 「あたまいがいはかざりだからだいじょうぶよー! あたいっててんさいね!」 ちるのの声が聞こえるが私はそれどころではなかった。 島にたどり着くと私はとりあえず着ていた服を絞ったが冷たいままだ。 燃やすものが無いかと周りを探したが見つからずあきらめた。 霧でよく見えないが遠くに何か赤い洋風の建物が見える。 全体的に紅い色調をしていて時計台があり、館の前の道も一面の紅になっている巨大な洋館。 あれが吸血鬼が住むという館…それよりも寒くて死にそうだ。 何か温まるものがあるかもしれないと屋敷に近づいていった。 「zzzz……。」 そこには、緑の中華風の服を着た紅い髪で、星に「龍」の文字が書かれた帽子を被った長身の女性が門の横にいた。 昼食後の昼寝――シエスタをしているのだろうか門に寄りかかって寝ていた。 私はとりあえずその人物に話しかけた。 「お休みのところを申し訳ありませんが、何か服を乾かす道具を貸していただけませんか?」 「zzzz……はっ、お屋敷に何か用かしら、人間!?」 穏やかな中に威圧を含めた女の声。長年の修行を重ねたものだけが持つ何かをかんじた。 だが昼寝からさめたあとだと威厳は半減した。 それよりも体が寒い・痛い、速く乾かさないと死ぬかもしれない。 「何か服を乾かす道具を貸していただけませんか? 私は人間の里に住むものです。あとこれを見てください」 「何ですか?この汚い緑のリボンは?…!!」 私はだめりゃについていた『迷子ふだ 紅魔館 メイド長 十六夜 咲夜』 と書かれたリボンを門番に渡した。 「少々、お待ちください。」 「それよりも寒くて死にそうなんです。何か体をふくものをください」ガクガク、ブルブル 「仕方ないわね」 彼女は懐からタオルのようなものを投げてくれた。 私は急いでからだの濡れている部分をふいた。 服は冷たいが先ほどよりかは幾分かマシな気がした。 そして、タオルについているほのかなかおりに気付いて年甲斐もなく照れた。 だが体中が寒くてガクガク、ブルブルと震えが止まらない。 「うんうん、わかるよー! おにいさんはさむいんだねー」 後ろを振り向くとちぇんと他のゆっくり達がきていた。 どうやららんとちぇんと荷物は普通に運んでもらえたようだ。 可哀相だからとゆっくりたちが体を押し付けてきて暖めてくれた。 中が肉まんのれみりゃはホカホカで他のゆっくりよりも暖かった ゆっくり達がやるからこれが本当の『おしくらまんじゅう』だ。 その時だった1人のメイドさんが目の前にいきなり現れた だめりゃとれみぃ(以下れみりゃ達)をみると「「さくや♪ さくや♪」」と嬉しそうに泣いてる。 その女性もれみりゃ達をみて涙を流してる 女性が良し良しとなだめると、れみりゃ達は咲夜さん(?)の片腕ずつにギューと抱きついた。 そんなれみりゃを、咲夜さんは温かくギュッと背中に手を回して両手で抱きしめる。 ガクガク、ブルブル(寒くて歯をかじかんでる) 年齢は10~20歳程だろうか、背は高めで銀髪にカチューシャと緑のリボン、白と青のメイド服を着ている。 記憶にあるぞ…だめりゃをゆっくり屋に預けた時にあったメイドさんだ。 咲夜さんの両ほっぺたを"すりすり"しあう、れみりゃ達。 !! 咲夜さんが鼻血を出しているが大丈夫か・・・いろんな意味でガクガク、ブルブル、 「お取り込み中すみませんがガクガク、ブルブル(歯がかじかんで言葉が出ない)」 「あなたがれみりゃ様を連れてきてくださったのですか?」 「はい、そうです。」ガクガク、ブルブル 「とりあえず、お風呂の用意をしておりますのでお入りください」 「ありがとうございます」ガクガク、ブルブル 「どうぞこちらです。」 そういうメイドさんは私の家よりも大きいと思われる浴場に連れて行ってくれた。 体を洗い終わってでるとびしょ濡れだった服が新品のように綺麗になり乾いていた。 どうやったのかと聞くと「悪魔のメイドですから」と答えられた。 答えになっていない気がするのは気のせいだろうか…名前を確認するとやはり咲夜さんだった 「申し訳ないのですが隣の館に移動してもらってもよろしいですか?」 「構いませんがどうしてですか?」 「それはレミリアお嬢様に関係あります」 咲夜さんの話をまとめて聞いてみるとれみりゃ達が住んでいるのはここではないそうだ。 だめりゃがあまりにもゆっくりした日々を謳歌してしていたのが原因だ。 ガラス窓は壊すは、皿などの食器を割るは、気にいらない食べ物を捨てるわなどを行い。 館の主の前で駄々をこねてる時に遭遇したために怒らせてしまい、追い出せと命じられた。 困った咲夜さんが門番に隣に作らせたのがこうまかんと呼ばれる建物だ。 ゆっくり達の住むこうまかんとはいったい… そう思いながら紅魔館を出て少し歩くといつの間にか湖を渡って隣の島にいた。 そしてそこにあったものは? いつものやつ 「今回はゆっくりゲットできなかったぜ」 「さすがちるのだぜ。⑨はだてじゃないんだぜ。あやうく凍え死に…ハックション」 「頭に星のついた緑の帽子をかぶり赤い髪のゆっくり。誰だ?」 『じゃぉおおおん』 ナレーション】 「こうして、主人公の旅はまだまだ続く。続くったら続く。」 byゆっくり博士 【あとがき】 作者名無しです。 先日は私の浅慮な行動がご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。 紅(だめりゃお届け)編を書き終えたあとで進退はきめようと考えています。 その時は、天狗メモみたいな感じでその後のあらすじをあげときます それと長身の女ゆっくりゲットだぜ!!5(湖畔)は題名間違いしたので 編集された方が削除依頼してくれました 間違えて読まれた方に謝罪します。申し訳ありませんでした。 次もかわいいゆっくりゲットだぜ!! 書いたもの かわいいゆっくりゲットだぜ!! 1~5 外伝1 頭以外は飾りって、ジオングでもそこまでいわないだろw -- 名無しさん (2009-04-07 11 15 12) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/2041.html
ゆっくりいじめ系1914 楽園~まりさの場合(外伝)より続く ※俺設定注意 presented by [498] 「な に を し て い る の っ ! ?」 突然の怒鳴り声に驚いて目を覚ます11匹の姉妹達。目を開けると、藁と羽毛の寝床から憤怒の形相でこちらを睨み付けるれいむの姿が見えた。 少々騒いだところで目を覚ますれいむではない、だがこのときれいむは悪い夢を見ていた、最愛のまりさがレイパーありすに犯される夢、あのときと同じシチュエーションの夢を見ていたのだ。悪夢にうなされ目を覚ましてみると、そこに居る筈の子れいむが見当たらない。 寝ぼけて布団から出て行ったのだろうか?あの子は体が弱い、柔らかい布団の中で寝かせてあげないと体に障る。辺りを見回して我が子の姿を探すれいむ、それは意外な場所で見つかった。姉妹全員が固まって眠るその中心、長女と三女の子ありすに挟まれ、子れいむは安らかな寝息を立てていた。 端から見れば仲睦まじい姉妹の触れ合いだが、れいむに限りそうは見えなかった。ふと、子ありすが子れいむ側に寝返りを打つ、丁度『すーりすーり』をしているような体勢だ。 瞬間、れいむに電流走る。 直前まで見ていた夢も影響し、れいむにはそれが、子ありすが子れいむを犯し殺そうとしているように見えた、子ありすが『あのありす』と重なって見えてしまったのだ。焼付いたイメージはもう離れない、我が子が危ない、れいむはゆっくりらしからぬ大声を上げた。 姉妹達は焦っていた、いつもは起きる事のない時間にれいむが目覚めてしまったからだ、しかも姉妹達の真ん中には子れいむが居る。 10匹の姉妹達は子れいむとの接触をれいむから禁じられていた、子れいむと自分達とで受ける『おべんきょう』の内容が違うから、というのがその理由だったが、実際はれいむによる忌み子と我が子の隔離が目的だった。 無断で一緒にお昼寝していたとなればお仕置きは必至。怯える姉妹達の中、最初に口を開いたのは子れいむだった。 「ゆ…おとーしゃん、おこらにゃいでね!けほっ、けほっ……れいむがしらにゃいうちにおねーちゃんのとこでねてたの!」 「お…おちびちゃん……?」 「きっちょねぼけてころがっていったんだよ!けほっ…でもれいみゅあんよがいたくなっちゃったから、おとーしゃんのとこにもどれなき ゃったの!だきゃらおねーちゃんたちにおねがいちていっちょにおねむちてたの!」 「………………」 咳き込みながら必至に姉達を弁護する子れいむに、姉妹達は心配しながらも安堵の表情を浮かべる。止むを得ない理由があるなられいむも怒らないだろう……ちょっと残念だが、揃ってお昼寝は暫く控えなければ……。だがれいむから返ってきた言葉は姉妹達の予想を斜め上行くものだった。 「そう…それじゃあしかたないね!」 「ゆぅ…ゆぅ……、そうだよ、おねーちゃんたちはわるくないよ!だかりゃ……」 「あのくそがきどもに、そういえっておどされたんだよね?わかったよ…… いまたすけてあげるからねえええええぇぇぇっ!!!」 「ゆ、ゆううぅぅっ!!?」×11 硬い筈の、動かすだけで痛い筈の底部無理やり伸縮させ、尺取虫のような挙動で姉妹達へ猛然と向かっていくれいむ、水分の無くなってひび割れているいる箇所からは、少量だが餡子が漏れていた。 れいむに見竦められ、動く事の出来ない姉妹達。しかしあと少しで届く、というところで、ドアを開いて『あの男』が乱入してきた。 バンッ! 「ゆ!?」 今度は全員で驚いて見せるゆっくり一家、振り向くとそこに箱に入ったまりさを抱える鬼畏惨の姿があった。 「ゆ、ゆっくりじゃましないでね!おにいさん!れいむはいまからおちびちゃんをたすけるんだ……か…ら?」 「お…おかあしゃあああああんっ!!」×11 「ゆ、ゆ??れいむもおちびちゃんたちもどうしたの?」 まりさを見つけて焦るれいむ。不味い、非常に不味い……別にこの糞餓鬼共にどう思われようと知った事ではないが、まりさに『おべんきょう』や体罰の事を知られてしまうのはよろしくない……最悪のタイミングだ、どうしたものか……れいむが姉妹とまりさを見比べてあたふたとしている。そんな心の動きを察したのか、鬼畏惨がれいむに近づいて耳打ちをする。 「れいむ、安心して良いよ、まりさは今来たばかりだ、ここで起こった事は知らないし、僕から言う事も無い。」 そう言うと鬼畏惨は突然部屋の端から透明な板を引っ張り出してきて、何やら組み立て始めた。 姉妹達はと言うと、透明な箱に閉じ込められているまりさに向かって一斉に泣きつき始めた。事態がよく呑み込めないまりさと、姉妹達が告げ口するのではないかと気が気でないれいむ。暫くやいのやいのと騒いでいた一家だったが、いきなり鬼畏惨がれいむを掴んで放り投げた。 「ゆゆ!?おそらをとんでるみtゆべしっ!」 投げられた先は、先程から鬼畏惨が作っていた透明な板で出来た囲いの中だった。囲いの大きさは2m四方、高さは人間の腰ぐらいまである、跳ねる事の出来ないれいむでは脱出可能な高さではない。 次に鬼畏惨は、まりさに泣きつく姉妹達を子れいむを除き、まりさを入れたのより若干大きいサイズの透明な箱の中に詰めていく。 「ゆぎゅっ、しぇまいよぅ…」 「ゆっ、まりしゃ、ありしゅのうえではねにゃいでね!」 「ありしゅおさにゃいでええ!まりさのぽんぽんいちゃーよぉっ!」 「ゆえーん!くりゅしいよー!!」 「おかーしゃんたちけてえええ!」 「ゆうう!おにーさん、おちびちゃんたちをだしてあげてね!くるしんでるよ!」 「心配しなくても直ぐに出してあげるさ。」 鬼畏惨は箱詰めの姉妹達を抱えると、囲いの中のれいむの目の前に置いた。箱が隔てているとはいえ、目と鼻の先にれいむが居る状況にガタガタと震える姉妹達。まりさの手前、なんとか取り繕おうとして姉妹達に作り笑いを浮かべてみせるれいむだったが、その引き攣った笑い顔は姉妹達に更に恐怖を与えた。 「れいむ、子供達はひとまず置いといて、ちょっとコレを見てくれないか?」 「ゆ?」 あらかじめ用意して置いたビデオデッキとモニタをれいむに見える位置に配置する鬼畏惨。 「これはまりさの『おつとめ』様子を記録したものだ。」 「ゆ、『おつとめ』…の?」 ポケットからテープを取り出し、ビデオデッキにセット、再生。画面に映し出されたのは、笑顔で食事をするまりさとありすだった。『むーしゃ、むーしゃ、しあわせ?♪』と見るからに美味しそうなご馳走を仲良く頬張る二匹。え…?あのありすは……なんでまりさと……?どうして…?そんなれいむの想いをよそに映像は流れ続ける。 まりさの頬に付いたハチミツを舐め取るありす。 それに頬を赤らめて俯くまりさ。 ソファの上ですーりすーりする二匹。 そのまま寄り添って寝てしまう二匹。 起きたら笑顔で挨拶、そして語らう二匹。 『ねえまりさ、あのれいむのこと、すき?』 『そんなわけないよ!』 『そう…じゃあありすのことは?』 『ゆうん♪だいすきにきまってるよお♪せかいでいちばんあいしてるよ♪』 そんな会話を最後に映像は途切れた。最後の方は音声の繋ぎ合わせなのだが、れいむにそんな事分かる訳もなく、歯を食いしばり、涙を流しながら震えていた。 まりさは口をパクパクさせて青ざめていた。何か言おうとするが、焦りと緊張で上手く言葉にできずオロオロするばかり。姉妹達はまりさとれいむの異様な雰囲気になにかゆっくり出来ないものを感じ、押し黙っていた。 そんな中、沈黙を破ったのはれいむだった。 「どおおおしてえええええ!?どおしてれいぱーありすとまりさがなかよくしてるのおおおおお!?」 「ゆっ!?れ、れいむ、それは……」 「うらぎったね!れいむのきもちをうらぎったね!?れいむはまりさがまいにち『おつとめ』がんばってるってしんじてたから、れいむもがんばっておちびちゃんのおせわしてたのにっ!!なのにっ!!まりさは!まいにち!あんな!ゆっくりしたおへやで!おいしそうなごちそうたべながら!れいぱーありすとうわきしてたんだ!!!うああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「ち、ちがうよ!!れいむ、まりさはうわきなんて……」 「じゃあさっきのはなんなのおおおおお!!?」 二匹の様子を見て少々不満そうな鬼畏惨。 上々な出来だが、れいむの姉妹達へのヘイトがいまいち足りない、どうしたものか……。ふと、足元に変な感触を感じ見下ろしてみると、鬼畏惨に擦り寄ってくる子れいむの姿があった。 「ゆぅ…ゆぅ……おにーしゃん、おねーちゃんたちをこっちにもどしてね。あそこにいたらゆっくりできにゃいよ。」 姉妹達を心配して、れいむから遠ざけるよう鬼畏惨にお願いする子れいむ。 そうだ、コレがあったじゃないか。鬼畏惨は子れいむを掴みあげると、他のゆっくりから見えないように、子れいむの後頭部から中枢餡子を狙って注射器で微量のカプサイシンを注入する。 「ぴぎょ!よよよよよよよよよよよよよ!!」 少量とはいえ、中枢餡子を辛味に蝕まれた所為で変な声を上げ始める子れいむ。鬼畏惨はそんな子れいむを囲いの中、れいむの真後ろに置いた。 「よし。 おーいれいむ、ちょっとこっちみてくれないか?」 「ゆ!?おにーさんはだまっててね!いまれいむはまりさと……」 「れいむの『おちびちゃん』が大変な事になってるんだ。」 「ゆ、おちびちゃん!?」 れいむが振り向くと、そこには顔を真っ青にして白目を剥き、小刻みに震えながら餡子を吐く我が子の姿があった。 「お……お、おちびちゃん!?どうしたの!?」 「お、お、お、おと…しゃん……なん…か……びり…びり…すりゅよ………ごふっ。」 「しっかりしてね!おとーさんがぺーろぺーろしてあげるからねっ!!!」 「ぴ……ぎゅ………」 「あああああんこさんでてきちゃだめえええええ!!もどってね!あんこさんゆっくりおちびちゃんのおくちにもどってねええええ!?」 我が子の吐いた餡子をどうにかして口から戻そうとするれいむだったが、子れいむの吐く餡子によってそれを阻まれる。ゆっくり、ゆっくりと体内の餡子を失っていき、気が付けば子れいむは床に顔だけ張り付いたような姿になっていた。平べったい顔から浮き出た二つの眼球がれいむの方を向く、れいむにはそれが『おとーしゃん、たちけてね…』と訴えているように見えた。一分後、子れいむは残った中枢餡子を吐き出し、苦悶の表情のまま絶命した。 れいむは物言わぬ皮となった我が子を見つめ、顔の穴という穴から体液を流し続けていた。なんでれいむのおちびちゃんがこんな目に遭わなきゃならないの……っ!? そんな悲しみに暮れるれいむに囁く鬼一匹。 「やあれいむ、なんで君の子供が死んだのか分かるかい?」 「ゆ゛あ゛…あ゛、あ゛……わがらないぃ、わがらないよお゛お゛お゛……どぼぢでえ?どぼぢででいぶのおぢびぢゃんがああああ………せっがくうばれだのにいぃ……はじめてのあがちゃんだったのにいぃ………。」 「ふむ、れいむの子は体が弱かったよね?だから元気になるよう、れいむはれいむに他の姉妹より多くごはんをあげてたよね。」 「ゆ゛!れ、れいむ…そんなことしてたの!?」 「だ、だって!!おちびちゃんはからだがよわかったんだよ!?ごはんはほかのこよりいっぱいあげなきゃだめでしょおおお!?」 「そのごはんを食べてなかった、としたら?」 「……ゆ?」 れいむは鬼畏惨を見て首をかしげる。そんな筈は無い、最初の方こそ残してはいたが、寝て起きるとおちびちゃんにあげたごはんは全部無くなっていたのだ、食べてないなんて筈が…。 困惑するれいむに、鬼畏惨は姉妹達を指差しながら言った。 「君が子供にあげたごはん、君が寝てる間にあの姉妹が食べてたみたいなんだよね、殆ど全部。」 「ゆ、ゆゆうぅぅ?!?」×10 確かに姉妹達は子れいむの餌を食べた。しかしそれは子れいむが言い出した事であり、更に言うならその餌は元々姉妹達が食べる筈のものだったのだ。仮にそうでなかったとしても、れいむは子れいむが食べ切れなかった分は捨てていたので、その捨てる筈だった物を姉妹達は口にしていたのだ。どっちにしても、姉妹達が子れいむの餌を食べた事は咎められような事ではないし、まして子れいむの死因になどなりはしないのだ。 だがれいむはそう思わなかった。 子れいむは体が弱い、だから大量のごはんが必要、それを姉妹達が食べた、だから子れいむは姉妹達の所為で死んだ。 れいむの頭の中ではそんな論理展開がなされていた。 子れいむの死を自分達の所為にされて固まっている姉妹達をれいむが睨み付ける。その顔は、先程姉妹達に向かって行ったときものとは比べ物にならない程、憎悪で歪んでいた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!お゛ま゛え゛だぢはごろずっ!!い゛っびぎの゛ごら゛ずごろ゛じでや゛る゛!!!」 「いやああああ!」 「きょわいよおおお!」 「おきゃあしゃあああん!」 「ぴいいい!?ゆっくちちていってね!ゆっくちちていってね!ゆっくちちていってねえええ!?」 「たちけてえええ!」 「ゆーっ!ゆーっ!れいむやめてね!!まりさのおちびちゃんたちだよっ!おねがいだからやめてねえっ!!?」 「うるざいっ!!れ゛いぷまのこどもも゛!うらぎりぼの゛のばりざも!みんなゆっぐぢでぎなぐじでや゛る゛う゛う゛う゛う゛!!!」 「どぼぢでそんなごどいうのおおおおおおお!?」 姉妹達を踏み殺そう、喰い殺そうと透明な箱に体を打ちつけ続けるれいむ。姉妹達は相変わらず泣き叫んでいるが、まりさは透明な箱で姉妹達が守られている事に気づくと、今度は鬼畏惨に姉妹達を助けるよう懇願しだした。 「おにいさん!まりさのおちびちゃんたちをたすけてあげてね!」 「…………」 「あのままじゃれいむにゆっくりできなくされちゃうよ!おねがいだからたすけてね!」 「………そうだな、今は大丈夫でも、あのままじゃ箱が壊れたとき子供達が危ないね。」 嘘だ。あの加工所製の透明な箱は、例え鬼畏惨が力の限り蹴ったとしても壊れはしない、まして底部が不自由なゆっくりの体当たりなど効く筈もない。だがそこはゆっくり補正、鬼畏惨の言葉も加わった事で、まりさの目には鬼気迫るれいむの攻撃で今にも箱が壊れそうになってるように見えた。 「ゆうううっ…!おねがいしますっ!どうかこどもたちをたすけてくださいいいいいっ!!」 「…………」 「とってもいいこたちなんですっ!すごくやさしくて!あたまもよくて!おうたもじょうずで!ゆっくりしたこたちなんですううう!!!おねがいしますっ!なんでもしますっ!あのこたちをたすけてあげてえええええ!!!」 「っん素晴らしいっ!!その言葉を待っていた!!」 「ひゅぐっ!?」 「まりさ、今君は『何でもする』と言ったね?」 「ゆ、い、いったよ!おちびちゃんたちをたすけるためならなんでもするよ!ほんとだよっ!!」 「わかった、実は子供達を助けるにあたって、ひとつ選択をしもらいたいんだ。 ああ、『えらぶ』って事だよ」 「『えらぶ』んだね?ゆっくりりかいしたよ!で、まりさはなにをえらべばいいの!?ゆっくりしないでおしえてね!!」 「簡単さ、『れいむを殺して子供達を助ける』か『子供達を見殺しにしてれいむを生かす』か……さあ、ゆっくりえらんでいってね!」 「……ゆ?………ゆ!?ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!?」 一拍置いて言葉の意味を理解するまりさ。鬼畏惨は更に追い討ちをかけるように言葉を続ける。 「ああ、そのままにしておいても子供達も何匹か生き残るだろうけど、それじゃツマンナイからさ、まりさがどっちも選ばなかったら頃合を見て全員潰すから。」 「いやああああ!!!おねがいだからたすけてあげでえええ!!!」 「うん、だからどっちを?」 「そんなのえらべないいいいいい!!!」 「じゃあみんな潰すけど、いいんだね?」 「ぞれはだめええええ!!!たすけてあげでええええ!!!」 「堂々巡りだな……じゃ、選びやすいようにしてあげるよ。」 そう言うと鬼畏惨は囲いの中に入って行き、姉妹達が入っている箱を、蓋を開けてれいむの前でひっくり返した。 顔から地面に落ちたり、他の姉妹が上に乗っかったりして、大半が動けないでいる。そんな姉妹の中で、頭から落ちて逆さまになったまま動けない子ありすにれいむが近づいていく。 「だめえええ!!おちびちゃんにげてえええ!!」 「ゆっきゅ?」 「ゆっくりしんでねえええぇぇぇっ!!!」 底部が上を向いてる子ありすをれいむが噛み千切る、丁度、口の真ん中から下半分を失うような形だ。上顎だけピクピクと動かし、目はキョロキョロと周りを見回している、暫くして自分の体が半分無くなった事に気づき、痛みと恐怖で涙を滲ませる子ありす。れいむは半分になった子ありすを咥えると、囲いの隅に放り投げた。 「とどめなんかさしてあげないよ!!れいぱーありすはそこでずうううぅぅぅっと!くるしみながらしんでねっ!!!」 「ゆああああん!ありしゅううううう!!」 「まりじゃのいもうとがあああああ!!!」 「おかあしゃあああん!たちけてねええええ!」 「まりしゃはしにたくにゃいよ!ゆっくちにげりゅよ!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でいぶや゛べでね゛え゛え゛え゛!!!ばりざの゛ごどもごろざな゛いでえ゛え゛え゛え゛!!!」 そして始まる小さな逃走劇。底部が不自由なれいむの移動速度では、全力で逃げる子ゆっくりを捕まえる事はまず出来ない。だがそれも広い空間での事だ、2m四方の囲いの中では大回りに移動する事が出来ない。姉妹達は迫り来る恐怖から全員で固まって逃げていた、こうなると、壁を背にしたとき壁側の子ゆっくりは初動が遅れる事になる、そして遅れた者の中から次の死者が出るのだ。 二匹目の犠牲者も子ありすだった。れいむはここでもありすを重点的に狙っていた。 この子ありすはれいむに押さえつけられ、身動きを封じられた。 「やめちぇえええ!!ありしゅのあんよだべにゃいでえええええ!!!」 まず押さえつけずに済むよう、底部を食いちぎる。 「いぢゃあ゛あ゛よ゛お゛お゛お゛!!!ありじゅのおべ、おべ、おべべがあ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 次に舌で両目を抉り、眼球がカスタードに繋がった状態で咀嚼する。 「んぐぉ!?ん…!ん…!んばばばば!!!」 最後に口内を口の部分ごと食いちぎる。 目を抉られ、口を縦長に食いちぎられた所為で、子ありすはまるで絵画『叫び』のような見た目になっていた。 三匹目は子まりさ。子ありすを捕まえようとしたのだが、先頭集団に居る子ありすを捕まえるのは困難だった為、近くでのそのそと動いていた姉妹の中で末っ子の子まりさに標的を変えたのだ。 「まりさににてるからってちょうしにのらないでねっ!!おまえもれいぱーのこだよっ!しんでもれいむにわびつづけてねっ!!!」 「あよ、あんよ゛!あんよはやめぢぇえ゛え゛え゛え゛!!!」 子ありすと同じように動きを封じるれいむ。 「までぃじゃのおぼうぢがあ゛あ゛あ゛あ゛!!?がえぢでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 子まりさの帽子を目の前で引き裂いていき、『おまえにはもうひつようないよ』と冷たく言い放つ。 「おぶぉっ!やべちぇええええ!!まりじゃのきれいなかみもってがないでえ゛え゛え゛え゛!!!」 今度は上から圧し掛かり、髪の毛を頭皮ごと引き千切る。 「ゆおおおお!?まりじゃのおはだが!!おべべがあ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 引き千切った頭皮から、まるでリンゴの皮を剥くように螺旋を描いて子まりさの皮を剥ぐ。瞼を失った眼球がぽろりと落ちて、れいむに踏み潰された。 最初の子ありすとは逆に、口の部分だけ残し餡塊となった子まりさ。わずかな大気の動きだけでも激痛なのだろう、しきりに痛みを訴えている。 四匹目の犠牲者が出たところで鬼畏惨が泣き喚くまりさに声をかけた。 「どうする?まりさ。」 「ゆああぁぁ……おちびちゃぁん…れいぶぅ……どぼぢてええぇぇ……?」 「やれやれ、まだ決められないのかい?最初にも言ったけど、決められないなら全員潰すよ?」 「ゆぃぃっ!?それはだめえええええ!!!」 「……まあ僕としては、子供達を残す方をお勧めするけどね。考えてもみなよ、仮にれいむを生かしたとして、まりさにどんな得があるっていうんだい? ま り さ の 子 を 殺 す よ う な ゆ っ く り な ん だ よ ?」 「……っ!?」 実際のところ、最初にれいむの手に掛かった子ありす以外はまだ生きていた。と言っても回復は絶望的で、中枢餡子のおかげで辛うじて意識が保っていられるという状態であり、とても『生きている』とは言い難い状態だった。 おちびちゃん……まりさのかわいいおちびちゃん………望んだすっきりじゃなかったけど、それでも大切に育ててきたまりさの子供達………。一緒にゆっくり出来る時間は少なかった、だからこれからすーりすーりもぺーろぺーろも沢山してあげるつもりだった………。けどもう4人も殺されちゃった…………。どうして?まりさはただみんなでゆっくr「おー、五匹目。喰っとる、喰っとる。」 「ゆ゛!?あ……あ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「まりさが早く選ばないからだぞ??……ゆっくりした結果がこれだよ!ってやつだね。」 まりさが囲いの方を見ると、子まりさがれいむに丸ごと噛み潰されている最中だった。れいむの口の中で必至に助けを乞う子まりさ、れいむは姉妹達に見せ付けるように、ゆっくりと歯で圧力を加えていく。みちみちと皮の裂ける音が聞こえ、圧迫された餡子が子まりさの目から口からまむまむから少しずつ溢れてくる、そして張力の限界を迎えた顔が、音を立てて口から一文字に裂け、押し出される形で子まりさの中身が外へひり出された。 もうゆっくりしている暇など無い!まりさの心は決まった。 「……おにいざんっ!ばりさはおちびぢゃんだちをえらぶよっっ!!!」 「決まったか。確認するけど、子供達を助けるんだよね?」 「そうだよ゛っ!!まりざはまりざがうんだおぢびちゃんたちをまもる゛よっ!!」 「わかった、それじゃあ子供達を助けるとしよう。」 鬼畏惨が囲いへ向かうと、れいむが6匹目を捕まえようとしているところだった。鬼畏惨はれいむを掴み上げ、殺戮ショーを強制中止させる。 「じゃまするなああああああ!!!ころさせろおおおおおおおお!!!」 「おお狂気狂気、お楽しみのところ悪いんだけど終了な、しゅーりょー。」 「ゆっ…ぐ……?」 「ゆぅ、たすかっちゃの?」 「ゆ!もうだいじょーぶだよ!」 「ゆっきゅいできるよ!」 「ゆえぇぇ……でもいもうちょがあぁ…おねーちゃんがああぁぁ……」 姉妹達の死に涙を流す子供達、殺戮が終わっても残るのは地獄だった。子供達の事はひとまず捨て置き、掴んだれいむをまりさの入った箱に叩きつける鬼畏惨。 「ゆべっ!」 「ゆひいぃっ!れいむう!?」 透明な箱の外側に張り付いたれいむに小さく悲鳴を漏らすまりさ、憎悪に歪んだその顔は、『楽園』に来た頃のれいむとは完全に別のものへと変わっていた。 鬼畏惨はれいむを箱から引っぺがすと、箱のまりさと向き合うように押さえつける。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!はなせえええ!!あいつらぜんぶゆっくりできなくしてやるううううう!!!」 「ああ、あ……れい……む……」 「さあまりさ、良く見ておくんだよ? 君が『選んだ事』を、ね」 to be continued...⇒
https://w.atwiki.jp/heiwagun/
★★★★★お知らせ ちびちゃと平和軍ウィキへようこそ! どうも、ウィキ管理人のERISUです 此処ちびちゃと平和軍はちびちゃとで活動していまーす そもそもちびちゃと平和軍とは ちびちゃと平和軍とはちびちゃとで平和を願うちびちゃと住民の方です 平和軍に入りたい方 一樹さんに聞いてくださいね えぇーっと まあ、僕はちびちゃと平和軍のウィキの管理人だけなので 平和軍についてはまだそんなに知りません☆ ってことで宜しくお願いします 見てきた人はコメントどうぞ☆ はぁいーw 平和軍一樹です。 -- itsuki (2011-03-19 16 56 42) ちゃーっす。リーダーでーす。蒼兎でーす。入りたかったら話しかけてくださいねー。 -- 平和軍 蒼兎 (2011-03-19 18 05 17) おおー蒼兎~☆ -- itsuki (2011-03-19 18 06 15) 平和軍のリーダーは蒼兎で―――――――――っす!!! -- itsuki (2011-03-19 18 20 19) 入りました -- 小川君 (2011-03-19 18 21 14) 小川君ようこそ平和軍へ ←誰やねん -- itsuki (2011-03-19 18 21 44) よろしく -- 小川君 (2011-03-19 18 22 50) 平和一番 -- 小川君 (2011-03-19 18 23 16) 小川君。一樹ですよー 平和一番!!!! -- itsuki (2011-03-19 18 24 47) 平和軍だけど、そこまで平和じゃねえなw喧嘩師ばっかだしw -- 蒼兎 (2011-03-19 18 25 55) 実際今もとめてねーなーッw -- itsuki (2011-03-19 18 27 04) もとめてない??? -- 小川君 (2011-03-19 18 27 37) どういう意味? -- 小川君 (2011-03-19 18 27 50) も、止めてないなーってことwスマソ! -- itsuki (2011-03-19 18 29 20) そういう意味か!わかったw -- 小川君 (2011-03-19 18 29 45) 小川君、移動しない?ごめんこんなとこで -- itsuki (2011-03-19 18 30 46) いいよw -- 小川君 (2011-03-19 18 31 30) はっぱへGO-w -- itsuki (2011-03-19 18 32 08) エラーしまくってるな、ってかお前らだけでしゃべりすぎだろ -- 蒼兎 (2011-03-19 18 33 31) スマソ 蒼兎冗談きつい! -- itsuki (2011-03-19 18 34 41) ホント冗談きついw -- 小川君 (2011-03-19 18 35 50) ERISU~載せてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー -- 小川君 (2011-03-19 18 48 26) 一樹>了解!蒼兎ねー -- ERISU☆ (2011-03-20 08 56 24) 小川>ん、いいけどスクリーンショット撮らないとw -- エリスううぅぅぅ@三沢 (2011-03-20 08 57 08) 今木ー2にいるよ~ -- 小川君 (2011-03-20 11 48 08) 今日は -- 小川君 (2011-03-20 11 52 55) 夜にどこかにいると思う -- 小川君 (2011-03-20 11 53 11) 今もいるけどw -- 小川君 (2011-03-20 11 53 54) イエ―イ小川君! -- itsuki (2011-03-20 12 04 12) OK!できれば今撮りに行きマース -- ERISU@三沢 (2011-03-20 12 10 42) でけwww -- itsuki (2011-03-20 12 31 35) ERISU,おれ今いるからとってよ、俺もとってよw -- 蒼兎 (2011-03-20 19 22 45) 平和軍の出没地(集合場所)は、葉っぱで決定!! -- 蒼兎 (2011-03-20 19 55 10) OK -- itsuki (2011-03-20 20 11 21) きました -- 小川君 (2011-03-20 20 15 47) イエ―――――――――――――――――――――――イ -- itsuki (2011-03-20 20 16 10) 平和軍とか喧嘩を好まないんでしょwwエロス喧嘩師なのにこんなのやっちゃっていいのかよ。まぁ、こんな軍すぐつぶれるけどな。 -- るんと (2011-03-20 21 24 58) るんと>いや、俺はこのウィキの管理人だけあって平和軍の活動はちょっと・・・うん^^; -- ERISU (2011-03-21 12 59 08) 明日の7時無理だよwwwww m(__)m -- itsuki (2011-03-21 20 52 23) {平和隊ってなんだ?どうせ、こんな軍なんてそこ等の喧嘩師に潰される程度の勢力なんじゃないのか?所詮其の程度っつーことだよ粕。あのな、御前らみたいに平凡な喧嘩師より劣化してる奴らが軍結成して、どうなるんだよ?教えてやるけど、御前らが結成して蔓延っても勢力的には徒爾ね。精々必死こいて跋扈してれば?www -- マヤ (2011-03-23 06 52 00) 一樹のリア友だけど平和軍、入りたいなぁ・・・ -- ♪亜美♪ (2011-03-23 18 31 08) いきなり、すんませんw -- ♪亜美♪ (2011-03-23 18 31 44) 平和軍は確かに勢力がない!だからつぶれる!っていうか活動してない! -- ERISU (2011-05-02 17 12 07) 今頃 軍 なんて・・・・w -- 蛇丹生性格 (2012-08-07 11 09 05) いもいもいもいも -- baka (2012-10-04 16 37 38) 蒼兎にもう一度あいたいです -- 一樹 (2015-03-27 02 05 33) 名前 コメント