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〒376-0044 群馬県桐生市永楽町5-10 ☆TEL 0277-47-3810 ☆営業時間:9 00-24 00(午前0時) ☆最寄り駅 JR両毛線・桐生 ☆行き方 桐生駅北口を出て、ロータリーを突っ切ると「桐生駅前」という交差点がある。それを右に曲がり、次の信号を左。 大きなデパートです。徒歩5分。 ☆担当者:日配担当者 丸茂さん(まるも) Upd2011/1/16(日)
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浮遊大陸とでも言うのだろうか、それがアルビオンを最初に見たおれの感想だ。 空にが地面が浮かんでいるのだ。飛行船が必要なのも頷ける。 「アンリエッタからの手紙は城にあるんだ。悪いけどご足労願うよ」 そう言われてはこっちもそうするしかない。 ちなみにルイズの返答は「分かりました」だった。あの変な状態は終わったらしい。 城に着き手紙を返してもらうためにウェールズの部屋に行く。 その間にあった会話によるとウェールズはこの内乱で名誉のために負けるつもりらしい。 バッカじゃねえの?名誉なんか捨てて逃げればいいのに。 部屋の中はとても質素だった。 ウェールズは机の引き出しから小箱を取り出し、自分のネックレスについている鍵で箱を開けた。 中には手紙しかなかった。アレがアンリエッタからの手紙だろう。 さて、どうやってアレを奪い取ろうかな。 なるべく穏便に、かつバレないように済ませたい。 アレが何らかの手札となる力を持っていてもまだ戦力が足りない。 なので犯人として疑われるのはマズイのだ。 今はまだ力を蓄え、ある程度対抗できるようになってからあの手紙は意味を持つ。 そのためにも『いつの間にか無くなっていた、それも何処で無くしたか分からない』という状況が一番良い。 「殿下は姫様と恋仲であらせられたのですね?」 「昔の話だ」 「トリステインに亡命なされませ!」 「それはできない」 さっきからルイズとウェールズの話は堂々巡り、終わらせたのはノックの音だった。 「パーティーの準備が整いました」 パーティー?いいね、おれも参加しよう。 パーティーはかなり豪勢だった。 理由としては、 敵は明日の正午に攻撃を開始する。だがこちらには勝ち目が無い。 だから今日最後のパーティーを開くことにしたのだそうだ。 そして明日には死ぬのだから全部使っちゃおうという考えらしい。 実に良い。死ぬ気のないおれにとっては実に良い。 だがそう楽しんでもいられない。今がチャンスだからだ。 おれはパーティー会場を抜け出し、ルイズの部屋へ直行する。 そしてルイズの鞄から例の手紙を抜き出す。 持ちにくいだろうとの配慮でウェールズが封筒に入れてくれたのだが、これがおれにとってのチャンス。 目的の方を少し折り曲げてデルフの鞘の隙間に入れる。 この前気づいたのだが鞘にはそれくらいのスペースがあるのだ。 そしてちょろまかしてきた別の封筒をルイズの鞄に入れて、ミッションコンプリート。 さあパーティー会場に戻ろう。 ルイズの部屋を出てパーティー会場に意気揚々と戻る途中でウェールズに出会う。 「おや?君は、ヴァリエール嬢の使い魔の犬じゃないか。こんな所でどうしたんだい?」 ウェールズに会ったが大丈夫。普通に言い訳が出来る場所だ。 「えーと、ちょっと夜風に当たろうと思ったんだが道に迷っちゃって」 「ああ、そうなのかい?僕もそうしようと思ってたんだ。ついて来ると良い」 やぶへびだった。 まあいいや、なんとなく気になる事もあるし聞いてみよう。 ウェールズの案内でテラスに出る。 「ふー。やはりここは風が気持ち良いな、でもここの風を感じるのもこれが最後だと思うとちょっと感慨深いね」 「よく笑えるな」 会話を楽しむ気はないのでいきなり直球を投げる。 「え?」 「明日死ぬのによく笑えるなって言ったんだ。怖くないのか?」 これが聞きたい事。明日死ぬなんて事になったら普通ではいられないのにコイツは笑っている、それが分からない。 「そりゃ怖いよ。死ぬのが怖くないわけないだろう?」 「なら何故逃げない?」 「守るべきものがあるからさ」 「名誉とか誇りとかか?捨てちまえよそんなもん」 「そういう訳にはいかない。王族である以上これは義務なんだ。それにもう逃げる場所なんて無いしね」 コイツはさっきのルイズとの会話を忘れたらしい。 「トリステインがあるだろ」 「それをすると貴族派がトリステインに攻め込む理由を作ってしまうだろう?そんな事はしたくない」 その言葉でおれは何でコイツの何が気になったのかが分かった。 ―――同じなんだ。 コイツとおれは同じ事をしている。正確にはおれの取った行動と同じ事をしようとしてる。 自分の大切な者のために自分の命を捨てる。おれは仲間でウェールズは恋人。 それをなんとなく感じたから話をしてみようと思ったんだ。きっかけは偶然だったけど。 そしてコイツの気持ちがおれには分かってしまう。 だからおれにはコイツを止められない。 「どうしたんだ?」 おれの感情の変化を感じたのかウェールズが心配そうに聞いてきた。 「いや、なんでもない……アンタの気持ちは分かった…存分に死んで来い」 これしか言えない。 だって無理矢理亡命させる事は、おれにとってあの時ポルナレフを見捨てる事に等しいからだ。 何もできない自分が情けない。 「…分かった。明日は存分に戦って死ぬ事としよう」 察してくれたようでおれには何も言ってこない。 その顔には誇りと覚悟と満足があった。 あの時の自分を見れたとしたらこんな顔なのだろうか。 そんな考えを打ち破る音がした。戦闘の音だ。 「この音は!?」 ウェールズも気づいたらしい。 「パーティー会場からだ!行くぞ!」 どうやら敵は明日の決戦予告なんて守る気は無かったらしい。 おれたちは会場に向かった。 会場では白い仮面をつけた男にルイズが捕まっていた。 「イギーか…」 倒れているギーシュが状況を説明してくれた。 パーティーを楽しんでいたら、いきなり仮面の男×4が窓を突き破って突入してきて城の人間を殺し、 今は他の三人はどこかに行き、残った一人がルイズに手紙の在り処を聞いている。 キュルケとタバサは外で一緒に攻め込んできた兵士の相手をしているらしい。 なるほど。つまりおれ達はアイツを倒して脱出しなくちゃいけないって事か。 おれはデルフリンガーを鞘から抜き、戦闘体制に入った。 To Be Continued…
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#contents *使い魔の入手の仕方 [#qc40920d] 下記の3つの方法で入手できます。 +トカマクと分かれた後、アーメイから貰う。 (プッチバットorインプ。どちらを貰うかはランダムだが、アーメイと戦闘する前に貰ったペットを捨ててアーメイに話しかけると再びもらえる。) +該当モンスターカードを入手しアルバムに登録した後、瀕死の状態までHPを減らした状態で種族ごとに対応したカードで捕獲する。 同種のモンスターでも個体差があり、残りHPが0に近いほど捕獲成功率が上がる。 ([封印術師]の場合、スキル[精霊の盟約]で捕獲率がupします。) +他のPCから買う(トレード)。 表示例:[76315.100 900G](VIT STR DEX QUI MND HP 価格) *Lv1使い魔の捕獲 [#kcc3bee8] 現在判明していること(間違っている内容もあるかもしれない) -特定の使い魔のLv1を捕獲する場合、多数の出現マップがあってもLv1が出現するマップは決まっている -マップ内には敵の出現傾向があらかじめ設定されており、同一マップでも地域ごとで遭遇する敵の構成や数が変化する -Lv1の使い魔は本来出現する敵がLv1に置換されていると思われる -このことからLv1は特定座標ではなく、Lv1が確認されているマップで遭遇率の高い地域を探すことで見つけやすくなる -ただし、Lv1が出現するときの敵の構成は決まっている? -出現傾向は固定マップでもランダム生成ダンジョンでも歩き回ることで把握できる -Lv1はランダム生成ダンジョンでも発見できる *使い魔を手放す [#l2bfc7e6] +ペットショップで売却する。 --ファンブルクの南地区[99,63]にあります。 ---銅カードモンスター:販売価格=80+Lv*8 Gold ---銀カードモンスター:売却価格=80+Lv*16 Gold ---金カードモンスター:売却価格=80+Lv*40 Gold +他のPCに売る(トレード)。 表示例:[76315.100 900G](VIT STR DEX QUI MND HP 価格) *使い魔の数 [#f1427c16] 最大5匹まで保持できます。 そのうち戦闘(battle)に参加できるのは1匹、散歩(walk)させられるのは1匹です。 この2匹は違っても構わない 例. battle→インプ walk→ゴブリン *使い魔の忠誠度 [#f1427c16] 詳しくは分からないがPCよりレベルが低い方が忠誠度が高く、PCの魅力に関係する。 レベルは差ではなく比が関係しているようです。(PCがLv6とLv5の時で 1Lv↓のペットの忠誠度/PCの魅力 が違う) 忠誠が低いとマップに置けないので注意。60ならできることを確認しています。 更に低いと戦闘に参加させられないようです。 しばらく一緒に戦っていると60くらいに跳ね上がることがある。(原因不明) *その場に出す [#bf6676f7] ITEM→PETを開いて、 field にチェックを入れましょう。~ その場に最大5匹まで出すことが可能です。 名前にレベルやステータス、値段を書いて売買する場合によく用いられます。 *散歩させる [#c43df17b] ITEM→PETを開いて、 walk にチェックを入れましょう。~ あなたの後を憑いて歩くようになります。 ※多くの人が出すとサーバー及びクライアントに負荷がかかる可能性があります。~ 必要の無いときはOFFにしておくと、皆が幸せになれるかもしれません。 *戦闘に参加させる [#pf550df2] ITEM→PETを開いて、 BATTLE にチェックを入れましょう。 戦闘であなたと共に戦います。 -戦闘に出せるLvは、自Lv+5までです。 *指示を出す [#ybecbdd1] 戦闘中コマンドウィンドウで「ガンガン攻撃」の左右にある△をクリックして、任意の指令にできます。 |~♂キャラ指示|~♀キャラ指示|~行動| |CENTER |CENTER |CENTER |c |ガンガン攻撃|ガンガン攻撃|打撃・スキル攻撃を続けます| |↓↑|↓↑|| |俺を助けろ|私を助けて|| |↓↑|↓↑|| |何もするな|なんにもしないで|防御し続けます| |↓↑|↓↑|| |おまえに任せた|あなたに任せた|| |↓↑|↓↑|| ||チャッカリいくの|| |↓↑|↓↑|| ||言うこと聞いて|PLが対象・スキル等を指示します| |↓↑|↓↑|| |慎重にいけ|慎重にいこう|| |↓↑|↓↑|| |ガンガン攻撃 br;(以下ループ)|ガンガン攻撃 br;(以下ループ)|| #br *スキルを覚えさせる [#adce3fae] -どのスキルを覚えるかは、現状実際に試してみるしかありません。 (スキルの本?は売却価格が購入価格より下回る場合があります。) -ステータスが足りない場合、「能力が足りない」と表示されます。 LvUpかBP振りでステータスを上昇させれば、習得可能です。 -各モンスターのスキル習得情報は[[ color(Navy){こちら}; モンスター/アルバム]]から *コメント [#f829a810] 使い魔に関する情報をお待ちしています。 #pcomment
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51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 00 34.31 ID gckj6eAy0 __ _, ´ `丶、 / \ / , / / / ヽ `ヽヽ l l j __ // ,イ 、ハヽ }! ハ l l 「 j_从7ヽハ !七大 ` } リ }/ | l Vf゙仡圷/ jl ノィアト、ヘ// / j l l V_ ソ ´ V リ /jイノ , ハ ヘ. ` , l ! / / l ヽ ー ‐ .厶 |ハ // ∧ 弋ト 、 __ , r<7 l ヽ 「我が名はルイズ・フワンソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール / / / ∧ Vー、 Kヽ{ ヽ ヽ 五つの力を司るペンタゴン。この物に祝福を与え、我の使い魔となせ」 / /./ /¨} ,__∧_j_l ハ \ }/ ,′ l { / / / ヾ ☆Y ハ X { V r / / \__j 入xぅ/ \ ヽ l { / / V //∠ , } ! j/ / ! ∧V _二} ヽ / / / { 〈 l / | j/ -ーソ ノ / / / |ヽ \ l /∠/j rテ 〃 ( ヽ , . / / 、__jノ ∧{ / ,/ { _/ ハ `ー彡 / 〃 、__ > / ;> ´ /! ∨ヘ ヾ \ < _ ヽ {{ =ァ 彡< / { く{ ヽ ヽ ユ=― ´ 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 03 36.57 ID gckj6eAy0 / \ / / . . ..丶 / / / / \ . ... . . . . ヽ ./ / l . .l / \ . .ヽ丶 . `、 . . . . ハ l l | .!.{ . .{ ._{_, ._ヽ 斗 ト . ,. . .l . . . . , . .} | | l. l厶. イヽ .ヽ . ..ハ. l_}ヽ..}ヽ| . . . . . } / i i V _ヾ{z=k ハ.. . / ィ戈 〒ヾl . . ./∧ ノ ∧. ヽ ,ィf戈. ノ! }. / V≧ソ / / K . . .ヽ 「ん……」 / . / ハ . ,` ヘ≧= ´ ´ ̄ イ . . . .| . .ヽ . .} / .. . / . . ヘ. ヘ . . ! . . . .l . . . . / / . . / . . . . ム . . 、 , ′ . ∧ . . . .{ ヽ . . { . . ./ .l . .ト、 ´’ イ . . . . ./ ヽ_ . . ヽ、 )ノ . .ヽ . . .j ! . l. > 、__, ィ ´ / . . . . ./ `ヽ . . . .  ̄ `ヽ , -一 . . / .∧ } . . V | 〉く ./ . / l . . . . . . . . } / . . . . / . . .{ \/ . . .l Ⅳ⌒ヽ// / / ヽ . . . . . . ., . / . . . . / . . . . .l / . . . } マ=マ / /. . ヽ ∧ . . . . . / { . . . / . . . . . . ./ . . . .人 弋7 { . . . . ヽ___ / l . . . . / `ヽ . . . ヽ . . ./ . ./ ヽV∠-ヘ . . . . . \ ! . . . .{ ノ . . .} . .{ .. . . ./ / ヘ . . . . . ヽ. | . . . . ゝ __ノ! ヾニ二 人 . / . .ヽ . . ./ ∧ \ . . . . . . .j | . . ヽ . _ノ 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 05 42.08 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! 「何をする貴様! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! 俺のファーストキスを奪いおって! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ 許さんぞ!! 後悔するがいい!! \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ 貴様には地獄を見せてやる!!」 ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 09 21.51 ID gckj6eAy0 , イ \ / \ \ / ヽ , | { l | _ 〉 、 | |/ ,、ヽ / \ { / ヽ∨  ̄≧ュ、 〉 __,. , 「ずいぶんと気性の荒い使い魔だが、ちゃんと契約はできたようだねミス・ヴァリエール { ノ r リ  ̄´ 斤ォー / 人間の使い魔というのは聞いたことがないが、しっかりと世話をするんだよ」 ∧ヽゝ ヽ  ̄ー ├ー |ゞ′、/ , \| | ヽ、__ノ !、__ノ _ / l l } / / ヾ ヽ __ ー / ノ ` ー- 、 \ < _ / / \ ヽ __ / _ -──  ̄  ̄/ ̄ 7 、 -─ / / ` ─- 、 / / >ー───── 、 / / / / 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 11 39.66 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! 「この俺が世話をされるだと? ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! ふぅん。ここまでくると怒りを通り越して呆れるわ! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ ……む? なんだ!? 左手が……! ぐぅぅぅ!?」 \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 14 44.55 ID gckj6eAy0 __ _, ´ `丶、 / \ / , / / / ヽ `ヽヽ l l j __ // ,イ 、ハヽ }! ハ l l 「 j_从7ヽハ !七大 ` } リ }/ | l Vf゙仡圷/ jl ノィアト、ヘ// / j l l V_ ソ ´ V リ /jイノ , ハ ヘ. ` , l ! 「すぐ終わるわよ。待ってなさいよ / / l ヽ ー ‐ .厶 |ハ 『使い魔のルーン』が刻まれて……って……えぇ!? // ∧ 弋ト 、 __ , r<7 l ヽ ちょっとあんた!? なによそれ!?」 / / / ∧ Vー、 Kヽ{ ヽ ヽ / /./ /¨} ,__∧_j_l ハ \ }/ ,′ l { / / / ヾ ☆Y ハ X { V r / / \__j 入xぅ/ \ ヽ l { / / V //∠ , } ! j/ / ! ∧V _二} ヽ / / / { 〈 l / | j/ -ーソ ノ / / / |ヽ \ l /∠/j rテ 〃 ( ヽ , . / / 、__jノ ∧{ / ,/ { _/ ハ `ー彡 / 〃 、__ > / ;> ´ /! ∨ヘ ヾ \ < _ ヽ {{ =ァ 彡< / { く{ ヽ ヽ ユ=― ´ 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 17 41.26 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! 「これは……デュエルディスク!! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! 馬鹿な! 何故これが俺の腕に! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! 本社の金庫に保管してあるはずだぞ!」 . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 19 40.32 ID gckj6eAy0 , -‐ ´ ` ー、 / `ー-、 ,‐´ 、 `ヽ、 f‐ | ヽ ヽ ヽ / ー、 ヽ_ / ヽ ヽ ヽ\ ヽ / } _ l ヽ ヽ/! ヽ i ヽ i l / / ヽ l、 ヽ l ハ/f-f、 }l l、 |リ l l l_l_lr- {_ゝヽ ヽ |//fc リ /! /リ l |. . } l ハ、=ゞ==リ / ムソ /イ 〈 「でゅえるでぃすく? ノ l. . l イ /´七C、ム/ .. lゝ、ヽ、 なんなのよそれ! ていうかルーンはどうしたのよ!?」 `ー-´ _-‐!. . ヾ l 弋ソ .. .. }l  ̄ ー----- f´ ヽ. . ヽ、 ,__ -= /ヽ、 . . . _-―‐´、 ヽ. . . ヽ、 /  ̄ノ/! ヽ、 . . . ヽ ヽ、 \ . . . ヽ、_ー‐ニ‐´ !. . ヽ、 . . . . .ヽ、ヽ ヽ、_ ヽ、! ヽフニイ / /ヽ . . ヽ . . ./ヽ、ヽ `ー-ヽ. . ヽl ll l / ヽ、. . ヽ . . . i ヽ \ }. . } l 7 | / }. . . } . . l \ `ヽ、 /. . . . , ヽTl / / /. . / . . .l \ \/. . . . /`ヽ、/ /. . . / . ./ ヽ/. . . . / / l| /. . . ,-‐´ 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 22 32.59 ID gckj6eAy0 , イ \ / \ \ / ヽ , | { l | _ 〉 、 | |/ ,、ヽ / \ { / ヽ∨  ̄≧ュ、 〉 __,. , 「落ち着きなさい、ミス・ヴァリエール { ノ r リ  ̄´ 斤ォー / よく見たまえ、彼の左手にはちゃんとルーンが刻まれている ∧ヽゝ ヽ  ̄ー ├ー |ゞ′、/ おそらくそのアイテムは使い魔の特殊能力に関連しているんだろう , \| | ヽ、__ノ !、__ノ さぁ、これで全員の契約が終わったな。よし、じゃあみんな教室へ戻るぞ」 _ / l l } / / ヾ ヽ __ ー / ノ ` ー- 、 \ < _ / / \ ヽ __ / _ -──  ̄  ̄/ ̄ 7 、 -─ / / ` ─- 、 / / >ー───── 、 / / / / 90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 25 18.88 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! 「くっ……はずすこともできんとは / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! おい貴様、ルイズと言ったな ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! もう一度だけ説明するチャンスをやろう . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ これはいったいどういうことだ」 \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 28 33.58 ID gckj6eAy0 _ __ /´ `ヽ_ , -‐ `ヽ / \ . / / ヽ l / ,′/. / .〃 . .丶 丶 . .ヽ l l l l | l . .l . .ト、/ . . { . . .ヽ. \ .j .! │ l lハ l. . |. ..!. .{\八 . . .ヽ ,__匕厶} │ l ヽ∧ . ! . 从7tーゝヽ . イヘ ノ│ l ヽ、 「なんでこんなに偉そうなのよこの平民……! jハ>ハ `‐ j /  ̄ / リ `ヽ、 ……まぁいいわ、説明してあげる | } ´ 、 / / . . \ 私はあんたのご主人様なんだからね」 _ ノ ゝ , `マZ三)′ 厶;._ } / `ヽ┐ . . . . /> ´ / ヽ . / / ) {_, }. . . . / / _ -ヘ . . . . .∨ { ┐r /. . .〃 /_ -‐ ´ ヽ . . . / 入 / ̄ ̄`V / l | . . . ト、 / . .Y / ̄ ̄ヽ . . . . ./ l l . . . . . . .\ ヽ . .レ l-‐、__{ l { . . . . . . . . . \ ) .l \ \ l ヽ . . . . . . . . . . . ヽ / . .ヽ ヽ ヽ l } . . . . . . . . . . . . } 95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 29 39.62 ID gckj6eAy0 -――- 、 , ‐ ´ \ / 、 ヽ |l l /〃 ヽ ヽ} | l , \ .ljハ トkハ 从斗j │ ハ \ l∧}ヾソ V ヾソ ! ! ヽ \ \ __ __ リ.人 v‐┐ / ト、 ヽ ヽ {心下ヽ / >ゝ- <{ Vl } } ゝ<}ノ \ ( Y Y ! ヽヘ { { ~説明中~ 7´ ̄ ) ) ∨ __ ヽ } \ \丶、 / / /ィ ´ヽ ノ / ヽ ヽ `ヽ ! ≦∠__ノ | /ハ / ゝ、 `、 リ ノ | . . l __ヾ\ ≧ 、ヽ { l_ . . / v l \ ヾ  ̄ , }> ヽ. V | ! l∧ Vリ i `ドー rL.」 厶 ! l j ̄ 7 ├‐ ト、 ! \ / / ! ! `、 ! `/ /ー‐‐┤ 「¨¨ ヽ / ,′ / ! ! レ ´ ┴‐┴━━━ゝ-┴ 97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 33 07.67 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! 「ふぅん。なるほど魔法世界というわけか / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! よかろう、納得してやる ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! ふぅん、俺も遊戯のせいでオカルトに耐性がついてしまったな . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ よし、女。このあたりの地理を把握する。着いて来て説明するがいい」 \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 37 07.17 ID gckj6eAy0 , -‐ ´ ` ー、 / `ー-、 ,‐´ 、 `ヽ、 f‐ | ヽ ヽ ヽ / ー、 ヽ_ / ヽ ヽ ヽ\ ヽ / } _ l ヽ ヽ/! ヽ i ヽ i l / / ヽ l、 ヽ l ハ/f-f、 }l l、 |リ l l l_l_lr- {_ゝヽ ヽ |//fc リ /! /リ 「ちょっと!? 待ちなさいよ!! l |. . } l ハ、=ゞ==リ / ムソ /イ 〈 勝手に決めるんじゃないわよ!! ノ l. . l イ /´七C、ム/ .. lゝ、ヽ、 あんたは! 使い魔で! 私が! ご主人様なんだからねぇーーーーー!!!!!! `ー-´ _-‐!. . ヾ l 弋ソ .. .. }l  ̄ ー----- f´ ヽ. . ヽ、 ,__ -= /ヽ、 . . . _-―‐´、 ヽ. . . ヽ、 /  ̄ノ/! ヽ、 . . . ヽ ヽ、 \ . . . ヽ、_ー‐ニ‐´ !. . ヽ、 . . . . .ヽ、ヽ ヽ、_ ヽ、! ヽフニイ / /ヽ . . ヽ . . ./ヽ、ヽ `ー-ヽ. . ヽl ll l / ヽ、. . ヽ . . . i ヽ \ }. . } l 7 | / }. . . } . . l \ `ヽ、 /. . . . , ヽTl / / /. . / . . .l \ \/. . . . /`ヽ、/ /. . . / . ./ ヽ/. . . . / / l| /. . . ,-‐´ 110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 43 19.70 ID gckj6eAy0 第一話 ~最悪の使い魔~ 終了 予告 第二話 ~瀬人の花嫁?~ / \ / `ヽ 丶 / . ノ , ヽ / / / . . / ヽ . ヽ ヽ V l l. .| / . ./.;イ ヽ ... . l. . . | .. l l ! |. .| . l . \!/ l . { . . .|ヽ . }ヽ . j . .! | . | ヽハ l .| ! . . jV\{ 八 . . .l } /_,j;ィト .l . l . | 「なんで私がこんな目にあうのよ! ヽ从 . iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V . .jl . | それにあいつってばいつも勝手なことばかりして! \ト小._V;zソ ノ/ V;;_z1 / . . . ハ . . 八 あぁ! 使用人のメイドとなにやってるの! リ } . , .. / . . . /. .ヽ . . ヽ あんたは私だけに仕えてればいいのよーー!!」 _..ノ/八 / . . . /. . . . .\ . . \ , -‐´ / . . >,.、 ´ ヽ ィ′ . . . ハ;.__ . . . . \ . .  ̄`丶、 〃 . . / . . . . . ノ ¨ ヽ、_ , ィ≦7 . . ./ ´ ヽ. . . . .` ー- 、 . ヽ l . ./ . . . . . ;. イ\ ノ} /`∨ . . . { ゝー、. . . . . . . ヽ . } {. / . . . . . / } Vx1_/ { . . . ヽ ∧. . . . . . . } . . ,′ 〃 . . . ./ j/  ̄ ̄ ヽ入 . . . . .\ ヽ. . . . ./ . / { . . . .{ | / \ . . . . .\ ) . / .;イ 前へ トップページ 次へ
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「貴様・・・一体・・・?」 ワルドが呟く。 “遍在”を壁の中から貫いた腕は、ずるずる不快な音を立てながら全身を現した。 「よお、久し振り・・・うお?」 今殺したはずのワルドが跡形も残らず消滅し、目の前にもう一人ワルドが居る。 しかも何故か足元にルイズが倒れている。 何がなんだかわからねえ。 「なんなんだよ・・・おまえは・・・? それによお、ルイズはなんで倒れてるんだあ。」 ワルドは歪んだ笑みを浮かべ、距離をとりつつ首を捻った。 「何を言っているんだ、ガンダールヴ。主人の危機が目に映ったのではないのか? ・・・いやそんなことより、貴様こそ何者だ、何処から出てきた?」 ワルドが見えたのが印のせい?・・・なんつう不快な能力だ。 「オレが何者かなんて、こっちが知りたいぐらいだぜ。 それとよお、別にオレはルイズを助けにきたわけじゃねえ。」 セッコはワルドに劣らぬ残忍な笑みを浮かべた。 「何だと!」 「オメーをオレの視界から消すためだああああああああああ!」 猛烈な勢いで跳んできたセッコを、ワルドはまるで羽でも生えているかのように飛び退ってかわす。 「ちっ、相変わらず常識外れの速度だな、ガンダールヴ」 ワルドは軽口を叩きながら神経を集中させた。 「なめてんのか?おっさん。」 ワルドはそれには答えず、杖を振り、呪文を発した。 “ウィンド・ブレイク”の猛烈な風が後方からセッコを襲う。 セッコはそれを振り向きもせずに横に跳んで受け流し、ワルドに向き直った。 「やはりこの規模では当たらんか、やはり多少威力を犠牲にしてでも・・・」 一人で納得したワルドは、後ろに下がりつつ気合を込め、もう一度杖を振った。 部屋の半分を占めるほど巨大な“エア・ハンマー”が弾け、セッコを吹き飛ばす。 「うおあああああ!」 「さすがにこれはかわせまい・・・おや?」 風が収まった後よく見ると、セッコを叩きつけるはずだった壁に穴が空き、当のセッコ自体も何処へ行ったものか見当たらなかった。 いくら自分が優秀なスクウェアだとは言え、エア・ハンマーに石の壁をぶち破る威力があるはずがないし、この程度で“ガンダールヴ”がくたばる訳もない。 「これは一体?」 ワルドの戦士としての本能が警鐘を鳴らす。 これは危険だ。“ガンダールヴの印を持つ何か”は、どこへ行ったのだ? そういえば、最初こいつは壁の中からいきなり攻撃してきたのではなかったか? “本体”で索敵するのは危険極まりない。 「ユビキタス・デル・ウィンデ・・・」 一つ・・・二つ・・・三つ・・・四つ・・・本体と合わせて、五体のワルドが周囲に展開された。それらは少しずつ散開しつつ、周囲を警戒する。 「そんな・・・魔法もあるのか・・・うぐぐ・・・やっぱ・・・桟橋では・・・オレが正・・・おああ・・・」 突如、地の底から響くような声が聞こえてきた。 「やはり逃げたわけではなかったか、ガンダールヴ。 しかし、風のユビキタスを、意思と力を持つ[遍在]を展開したからには、僕の負けはない。 五対一、単純な算数の問題だな」 それにしても、一体どこにいるんだ? 五対の目と耳を持ってして、確実に近くにいる敵の正確な位置が判らないなど、そんな馬鹿なことが・・・ 「・・・それ・・・は・・・どうかな・・・あ・・・」 再び、低く響く声が聞こえる。五対の耳が、発生源を探った。 「なぬ、床下・・・!?」 どういうことだ、ここは一階だ。 何らかの魔法か?“ガンダールヴ”は杖を持っていたか? ワルドの感覚では、魔力の流れを特に感じない。 その時。 「き、貴様!」 一体の遍在が、地に足を取られた。 慌てて飛び上がろうとするが、沼に沈むように滑らかに引き込まれているというのに、埋まった部分がまったく動かせない。 「グヒ・・・何匹いようと・・・一対一だ・・・グヘヒホ・・・」 胸の辺りまで“埋まった”ところで、地中から現れた剣が遍在を両断した。 「おでれーた・・・すげーじゃねーか相棒!こりゃ俺様も本気出さなきゃな、頑張って思い出すからちょっと待ってな!」 同時にカタカタカタ、と陽気で不愉快なインテリジェンスソードの声がする。 「まさか本当に地中にいるとは思わなかったぞ、だがそれならそれでこちらにも考えがある!」 言ったものの、ワルドはどう対応したものか考えあぐねていた。 石壁や地面の中を自在に移動し、あまつさえ人を引きずり込むなど、土の先住魔法としか思えない。 ・・・そういえば、こいつの鎧は頭を隠すようなスーツ型ではないか。 もしもエルフの戦士、しかも“土”属性だとしたら、これほど“風”である自分にとって厄介な相手もいない。 考えている間にも、“ガンダールヴ”はわずかな床の隆起を伴い、正確に一体を狙ってくる。おそらく目は見えてないというのに、全く迷いがなく、動きが早い。 かわすこと自体はそこまで難しくないのだが、こちらから攻撃するいい方法が思いつかない。 まるで海上で鮫にでも追われている気分だ。 いまだ気絶したままのルイズをちらりと見る。人質を取るか? 現れたときの笑みを思いかえし、考え直す。 あれは“守る”ことより“敵を殺す”ことを優先する者の目だ。 文字通り墓穴を掘りかねない。 逃げて、レコン・キスタ軍に任せるか? いや駄目だ、ルイズはともかく地中を自在に移動するこいつは、必ず大規模戦闘を逃げ延びるだろう。 その上こいつは現時点で自分を相当嫌っている。 もし討ち漏らそうものなら、鍵も、壁も、どんな警備も役に立たない、史上最悪の暗殺者となって延々と追ってくるに決まっている。 そんなことになっては一生枕を高くして眠れないだけでなく、下手をするとレコン・キスタ幹部全員の命も危ない。 それ以上に、自分がまだ傷ついてもいないのに敵を放置して逃げるなど、このジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドのプライドが許さない。 なんとか今ここで仕留めなければ。 くくく・・・逃げねえんだなあ、おっさんよお。そのプライドが命取りだぜ。 さて、どうやってグチャグチャに潰してやろうかなあ。 う・・・? 「う・・・うおあああ?」 「どうした相棒!」 「なんだ?!なんでだッ?!」 「おい!」 「お・・・音がよお・・・地上の音が突然聞こえなくなった・・・ぐあ・・・」 ダメだ、一旦出るしかねえ! 「オメー何をしたああああ!」 仕方なく地上に出てきたセッコに、それが判っていたかのように準備されていた“ウィンド・ブレイク”が激突した。 圧迫にセッコの体が悲鳴を上げる。 「うぎああああ!」 少し手前で、ワルド“達”が残忍な笑みを浮かべている。 「やはり、音だったか」 「ぐぐ・・・何を・・・」 「なあに、ちょっとここらの床に[サイレント]をかけさせてもらっただけさ。 だが、効果覿面のようだな、ガンダールヴ!僕の場所がわからなければ、地中を進む能力は役に立つまい」 なんてこった、魔法ってなんでもありかよ畜生。 うう、なんか前もこんなことがあった気がするぜ・・・ 「一体は不覚を取ったがまだまだ四対一だ、ゆっくりと始末してやる!」 「うわあああ、来んじゃねー!」 セッコは“ウィンド・ブレイク”や“エア・カッター”を何とかかわしながら転げまわった。 「無様だな、ガンダールヴ」 くくく、と笑いつつワルドが優雅に跳ねる。 ちょっと作戦が成功したからってナメやがって、オレはこんなところで死にたくねえ・・・ そんな時、デルフリンガーが叫んだ。 「おい、やっと思い出したぞガンダールヴ!」 「なんだデルフリンガー、黙ってろよお!」 「いや懐かしいねえ、そうだよ、ガンダールヴだよなあ」 「何言ってやがんだ!オメーまで混乱してんじゃねえよおおおおおあああ」 そんなことを言っている間にも、エアカッターがセッコの頬をかすめる。 「本当に、嬉しいねえ、こんなんじゃいけねえ!こんな格好じゃな!」 叫ぶなり、デルフリンガーの刀身が光りだす。 「「な、何だ!?」」 セッコとワルドの声が重なった。 光が収まると、デルフリンガーは今まさに砥がれたかのような立派な姿となっていた。 「その桁外れの頑丈さといい、全く不思議な剣だな。とはいえ剣では魔法を受けられまい!」 落ち着きを取り戻したワルドのウィンドブレイクが再び飛んでくる。 「俺を構えろ!」 「何言ってやがんだ、気でも狂ったかあああああ!」 「いいからさっさとしろ!」 あまりの剣幕に、仕方なくセッコは避けずにデルフリンガーを構えた。 「もし痛かったらへし折ってやるからなあ畜生!」 なんと、風がデルフリンガーに吸い込まれていく。 「見たか、これがほんとの俺の姿さ相棒!6000年が長すぎて、すっかり忘れてたぜ!」 「そんな大事なこと忘れてんじゃねえぞおおお!」 「言いっこなしだ、相棒だっていろいろ忘れてるじゃねえか!でも、安心しな。 ちゃちな魔法は全部、俺様が吸い込んでやるよ!この[ガンダールヴ]の左腕、デルフリンガー様がな!」 ワルドが興味深そうに剣を見つめた。 「やはり、ただの剣ではなかったか。だが、この状況までは変わるまい!」 四方に散開したワルドは、打撃を交えた絶妙な連携で攻撃してくる。 「おい、もっとなんかねえのかよ、ジリ貧だぜえええ!」 「ないね!」 デルフリンガーが即答する。 「くそ!・・・ん、何だあ?」 再び、視界にセッコの目ではない何かが映った。 「え、セッコじゃない!」 始祖ブリミル像の傍で失神していたルイズが、目を覚まし叫んでいた。 うおっ、これは!これなら音が聞こえなくてもいけるじゃねえか! 「ルイズよお、なんもしなくていいから、しっかり、ワルドを見ろおお!」 「何言ってるんだ相棒!」 襲い来る魔法と突きを無視して、セッコは再び地面に“飛び込んだ” ワルドが怪訝な顔になる。 「む、なぜまた地中に・・・いくらなんでも物にかかった[サイレント]までは消せまい?」 ヒヒヒ、使い魔って便利だなあ。 よく見えらあ、こりゃ音で探すより快適だぜえ! 「なるほど、そりゃ盲点だったぜガンダールヴ!確かにまだ娘っ子の命は危機だな!」 デルフリンガーが笑うように話す。 「そこだああああ!」 魚のように地面から飛び出してきたセッコは遍在を一体切り裂き、滑るように再び潜った。 ワルドが叫ぶ。 「何故だ!音はもう無いというのに・・・ハッ!」 その直感はさすがというべきか、ワルドは直ちにルイズを“ウィンド・ブレイク”で吹き飛ばした。 したたかに壁にぶつかったルイズがまた気絶する。 地中にいたセッコの視界は当然のように閉ざされた。 「うわああああああ!」 「またなんだ相棒」 「また・・・また見えなくなりやがった・・・」 「そりゃ娘っ子がやべえんじゃねえのか、早く出ねえと相棒もあぶねえぞ!」 うう、なんて最悪な日だ・・・ 地上に再び飛び出すと、残り三体となったワルドが冷たい目でセッコを見ていた。 「なんという厄介な奴、だがもう貴様の行動は見切った!」 ワルドは新たに呪文を唱え、杖を青白く光らせた。 「[エア・ニードル]だ。杖自体が魔法の渦の中心、これは吸い込めまい。 ・・・そして貴様、剣術は完全に素人だな?早く気づくべきだった。 剣の勝負で、しかも三対一ならいくら早かろうと僕の勝ちさ」 うぎ・・・ぐぐぐ・・・これは・・・やべえ・・・ 「あ、が、そばに来るんじゃねーーーー!」 「はは、はははは!大人しく死ねガンダールヴ、不快な土使い!」 「ヒィーーーーーー!よ、寄るなァー!」 壁をぶち破って礼拝堂の外に飛び出し、逃げ回るセッコをワルド達が追いかける。 「少しだけ僕のほうが上手だったというところか? できることならきみはルイズごと僕の部下にしたかったがね、実に残念だよ!」 言いたい放題言いやがってぐああ・・・ し、仕方ねえ、逃げるしか。うあー、ルイズはどうしよう? 「おい、相棒、何を逃げ回ってんだ」 「見れば判るだろうがよお、潜れねえし、オレは剣は苦手なんだよ・・・」 「落ち着け、相棒は負けねえ」 「どう見たってやべえだろ!」 デルフリンガーがしつこく話しかけてくる。ワルドも追ってくる。 うぜえ、こっちは命があぶねえってのに・・・ 「まあ聞けって」 「なんだよぉーーー」 「このデルフリンガー様が見たところ、相棒の本当の力は地中に潜ることでもねえし、よく利く耳と目でもねえ」 「はあ?」 「多分素手でもあれぐらいの奴には負けねえ」 「なんだそりゃ!」 「・・・相棒の本当の強みは、ケタ外れのパワーとスピードだ」 「おあ?」 「今の相棒は得意技を封じられてビビってんだよ、落ち着け!そんな能力使わねえでも! もし[ガンダールヴ]の力がなかろうとも!心を震わせて!本気を出せば!ワルドのヤロー程度ぶちのめせる!」 「本当かよぉ・・・」 「ああ、このデルフリンガー様が保障してやる。逆に考えるんだ相棒。 [地面に潜れない]んじゃねえ。[潜るまでもねえ]とな!」 その少し前。 礼拝堂の奥で気絶していたルイズの隣の地面がぼこっと盛り上がった。 茶色の生き物が這い出してくる。それに続いてひょこっとギーシュが顔を出した。 「こら!ヴェルダンデ!どこまでおまえは穴を掘る気なんだね!ってええ、ルイズが!ルイズが倒れてる!」 「ちょっとギーシュ、落ち着きなさいよ」 続いてタバサとキュルケが顔を出す。 キュルケはルイズの胸に手を当てた。呼吸はしている。 「命に別状はないみたいね」 ヴェルダンデがルイズの手に体を寄せて鼻をならしている。 「そりゃよかった。そうか、ヴェルダンデは水のルビーの匂いを追いかけていたのか。それにしても、この惨状は一体・・・」 よく見ると、近くに金髪の男も倒れていた。こっちは胸からどす黒い血を流し、事切れている。 「これ・・・もしかして王家の礼装じゃない?本当に何があったの?」 キュルケが呟く。 その時、タバサが二人の服を引っ張った。 「なによ、タバサ?」 「なんだね?」 タバサが破壊された壁の向こう、城の中庭を指差した。 ギーシュとキュルケの声が重なる。 「「何故子爵とセッコが?」」 「あれは、どう見ても殺し合いよね、どっちに加勢すればいいのかしら?」 「様子見」 「ここからじゃよく判らないな、近くに行ってみようか」 タバサがギーシュを杖で殴った。 「危険」 「いてて・・・判ったよ。ん、ヴェルダンデ?その死体に何かあるのかい?」 キュルケが目ざとく何かを見つけた。 「まあ、立派な宝石」 「ほお・・・」 よくわかんねえが、少しだけ、落ち着いたぜ。 確かによお、あんないけすかねえ奴から逃げ回るなんて、ぞっとしねえよなあ。 「どうした、覚悟を決めたか?ガンダールヴ」 ワルドが薄笑いを浮かべ近づいてくる。 ああ、覚悟は決めたぜえ、てめえなんぞに殺されてたまるか。 「おい、デルフリンガーよお。」 「なんだ相棒」 「オレも少し、思い出したぜ。オメー、頑丈さに自信はあるかあ?」 「もちろんだ相棒」 「上等おおおおお!」 ワルドを、殺してやる、グチャグチャに潰してやる、跡形ものこらねえぐらい。 「そうだ!心を震わせろ!」 セッコの体中に力が漲った。 全身に力を込め、能力も全開に・・・隅々まで! 「うげぇまたその力かよ相棒!気持ちわりい!」 「よかったなあ、溶けなくてよ。」 「6000年の時を生きた伝説の剣である俺様をなめんな、うぇっぷ」 「な、何だこれは?!足元が崩れる!」 ワルドが、今日何度目かわからない驚愕の表情を浮かべた。 「ええい、なんだかわからんが死ねガンダールヴ!」 飛び掛ってきたワルド達をじっと見る。確かに、こいつら動きが遅えな。 にやりと笑ったセッコはデルフリンガーを握り締め、思い切り地面に叩き付けた。 石畳に叩きつけられたデルフリンガーが叫ぶ。 「いでえ!おい相棒、敵は前だろ!」 「けけっ、よおく前を見てみろ。」 「おでれーた・・・」 泥水が大量に流れるような音を立てて石畳がうねり、波となってワルド達を弾き飛ばした。 本体の盾となった遍在が、また一体岩に呑まれて消滅する。 「確かによ、潜る必要なんてなかったなあ。」 飛び退きながらワルドが毒づく。 「くそ、こんなことなら昨日のうちにでも殺しておくんだった・・・」 本体で呻きつつも、上空に逃れた最後の遍在はセッコを刺し貫かんと急降下してきた。 「遅えええ、おせえぞおおお!」 セッコはそれを正面から弾き、切り裂いた。デルフリンガーが合いの手を入れる。 「そうだ相棒!おめえは強い!」 「さあ、死ねえ、今すぐ死ね、グヘヒホハァーーーー!」 矢の様に突っ込んできたセッコの斬撃を、あくまで冷静なワルドはそよ風の動きで受け流す。 「実に危なかった。しかしやはり素人、攻撃するときは隙ができるようだな」 ワルドがその一瞬、まさにここしかないというタイミングで突きを繰り出す。 しかしセッコは、剣を手から離し、なんと素手で“エア・ニードル”を纏った杖を弾いた。 その瞬間セッコの左手が空気の振動で削れ、傷口から血が噴き出した。 「ぐぐ・・・いてえ・・・だが、捕えたぜ・・・」 セッコの右手が、ワルドの左手を掴んだ。 「何だ、武器を捨てるとは笑止、いまさら命乞いかね?」 「クヒ、オレは、別に、ヒヒヒ、まあ死ね!」 「こ、これは、ぐああ!」 その瞬間、ワルドの左腕が溶け崩れた。 叫び声を上げながら残った右腕で杖を振り、“フライ”で空へと逃げる。 腕の付け根、肩ギリギリまでが泥状に溶融し、骨まで崩れている。 不思議と痛みが少ないのが更に恐ろしい。 わずかでも退避が遅れていれば、おそらく頭もなかっただろう。 「この閃光がよもや遅れを取るとは・・・なんという・・・ええい、まあウェールズを殺せただけでよしとしよう。 ・・・もうすぐここは戦場になる。だが聞け!土使いのガンダールヴ、貴様は必ずこの手で仕留めてやる、さらばだ!」 ・・・こいつを殺すまでは、地上では眠れないな。 そんなことを考えながら、ワルドは飛び去った。 「おい、相棒、俺を放り出すなって言ったろ!」 足元でデルフリンガーが喚いている。 「おああ?ああ、すまね。」 「な、やっぱり大丈夫だったろうがよ」 「うぐ、逃がしちまったけどなあ・・・ところでよ、なんか異常に疲れてるつーか、感覚が鈍いつか、なんなんだこれは?オメーのせいか?」 デルフリンガーは、ちょっともったいぶってカタカタ揺れてから口を開いた。 「ああ、相棒、あまり力入れすぎると、[ガンダールヴ]として動ける時間が減るから気をつけろ。その印は、主人の呪文詠唱時間を稼ぐために、あるいは魔法が効果を発揮している間、その防御のための力を供給するもんだからな」 「ふうん、不便だなあ。」 「相棒ぐらいのパワー、スピード、スタミナがあるなら、いざというとき以外はフルパワー出さない方が安定するかもな?」 「うあ・・・ちくしょう、先に言えよお。」 「忘れてたんだよ!そういえば、娘っ子のところに行かなくていいのか?」 「うげえ、忘れてたぜ!」 セッコはひょこひょこと礼拝堂のほうに向かった。 「・・・なあ、何でオメーらがここにいんだあ?」 倒れたルイズのまわりに、ヴェルダンデ達が座り、セッコを見ていた。 「僕らはフーケたちを片付けた後、シルフィードに頑張らせて、さらにヴェルダンデで穴まで掘って追いかけてきたんだよ!」 ギーシュが胸を張って解説する。 「それでなんで場所までわかるんだよ?」 「ヴェルダンデがその、[水のルビー]の匂いを辿って来たのさ。なんせ、とびっきりの宝石好きだからね」 「なんだそりゃ・・・その宝石はそんなにすげえのか?それとも、ヴェルダンデが異常にすげえのかあ?」 誇らしげなギーシュに対してセッコは首を捻った。 キュルケが横から口を挟む。 「多分、その両方ね。そういえば、凄いといえばそこの死体がつけてる指輪も凄そうよ」 そう言って、ウェールズを指差した。 「ん?これは確か[風のルビー]つったけな?こうするとよお。」 セッコはウェールズの指から指輪を取り、ルイズがはめている水のルビーに近づけた。 宝石同士が共鳴し、虹色の光が舞い散る。三人は目を丸くした。ヴェルダンデが更に興奮し、荒い息を吐いている。 「ねえ、じゃあこの死体ってもしかして・・・」 「もしかしなくても殺されたウェールズだろ。」 「「「・・・」」」 「殺されたって一体誰に?それよりあなた何でワルド子爵と戦ってたのよ?」 「いや、おっさんが、ワルドがウェールズを殺して、ルイズを殺しかけたんだぜえ。」 「まさかと思うけど、子爵が裏切り者ってことかい?」 ギーシュが震えた。 「今そう言ったじゃねえか馬鹿。おっと話は後だ、ワルドの話だとそろそろここは戦場になるらしいぜえ。この穴通っていきゃ帰れるんだよな?」 「それはやばいわね、この穴ちょっと長いのよ。急がなきゃ・・・ところで、この[風のルビー]はどうしようかしら?」 「貰っとけ貰っとけ。どうせ置いてっても、敵の誰かの懐に入るだけだあ。 聞く限り、アルビオン王家はそこの死体で断絶らしいしよお。」 セッコ以外の三人が沈痛な表情を浮かべた。 「じゃあ、[トリステイン王国大使]ルイズのポケットにでも入れておこうかしらね」 その時、外から爆音が聞こえてきた。 「急ぐ」 タバサが皆を急かした。 「なあ、タバサよお。シルフィードに五人と一匹も乗れるのかあ?」 「滑空するだけなら。というか無理にでも乗る」 「無理にって・・・まあタバサ、ダメそうなら私がレビテーションで補助するわよ。さあ、急ぎましょ」 「なあギーシュ、ルイズを担げよ。」 ギーシュがあからさまに不満そうな顔でセッコを見た。 「いや、使い魔の君がやることだろ?」 「馬鹿、オレはワルドと戦ってへとへとなんだよ、怪我もしてるし。[レビテーション]だっけ?それ使えるんだろお?」 「わかったわかった、しっかり恩に着たまえよ?」 ギーシュはルイズを引っ張って穴に潜った。続いて、キュルケとタバサが入る。 ヴェルダンデとセッコも穴を塞ぎつつ深く降りていった。 ウェールズ、オメーも脳がマヌケだったなあ。戦争前に見知らぬ他人を信じて殺されるなんてよぉ。 オレみたいに、自分だけを信じとけばよかったのにな。 ・・・でもまあ、守るものがある、だっけ? 確かに、仲間がいるってのは便利だし、悪いことじゃねえのかもなあ。 ヴェルダンデが掘った穴は、アルビオン大陸の真下に続いていた。 落ちかけた五人と一匹をシルフィードが何とか受け止める。 風竜はさすがに重いのか多少ふらついてはいるが、魔法学院に向かって羽ばたいた。 風竜の上、ルイズは風を切る音で目を覚ました。 ここは? 爽やかな風が頬を撫でる。 風竜の背びれを背もたれのようにして、ギーシュとキュルケがわたしの肩を支えている。 もっと頭に近い部分にはタバサが座り、前を向いている。 そしてその巨大な杖にはセッコが引っかけられていびきを立てていた。 ・・・竜の口に銜えられているあれは何かしら?考えないようにしよう。 ああ、これは夢じゃない。確かにわたしは生きている。 確か、裏切り者のワルドに殺されかけて、気づいた時にはセッコが戦っていたわ。 でもまたすぐに吹き飛ばされて、その後わたしは・・・ そう、あの憧れだった子爵はもう二度と戻ってこない。 それを思うと、ルイズの頬に一筋の涙が伝った。 わたし達が助かったってことは、きっとセッコは勝ったのよね。 でもきっと王軍は負けただろう。ウェールズ皇太子は死んでしまったし。 本当にいろいろなことがあった。ありすぎるぐらい。 王女に伝えなければいけないことも多すぎて、考えると頭が痛くなった。 いいや、今は何も考えないことにしよう。本当に風が気持ちいい。 その時。 「あら、おはよう」 薄目を開けて辺りを伺ったのをキュルケに気づかれたらしい。 「お、おはよう、ツェルプストー」 「何をそんな慌ててるのよ?」 「おおかた、まだ夢だと思っているんじゃあないかな?」 「そんなことないわよ!・・・わたし、助かったのね」 「夢ねえ、なら現実に戻してあげなくちゃね」 そう言って笑ったキュルケはルイズの頬をつねった。 「痛い、痛いって!起きてるって言ってるじゃない!」 ルイズの叫びとキュルケ達の笑い声が何もない空に広がった。 「それにしても、あんたよく生きてたわね」 一転して、キュルケが真面目な顔になった。 「どういうことよ?」 ギーシュが横から答える 「君は首を絞められた後があった。状況的に死んでいてもおかしくなかったよ。 ・・・それにしても、セッコは凄いな。少しだけ戦っているのを見たけれど、あの[閃光]ワルド子爵より素早かったぞ。しかも、土属性の魔法を使っていた」 「生きてたんだから素直に喜びなさいよ。それより、そんなの聞いてないわ。 あの馬鹿、まだわたしに何か隠してたのかしら」 「魔法じゃない」 いつの間にかセッコを引き摺りながら傍に来ていたタバサが呟いた。 三人が首をかしげる。 「あれみたいな能力がある。多分それの応用」 タバサがシルフィードに銜えられ、恨めしげにこっちを見ているヴェルダンデを指差した。 ギーシュはなぜかぺこぺことモグラに向かって頭を下げた。 「へえ、すごいわね」 キュルケが感心したように頷く。 タバサは杖からセッコをルイズの膝の上に降ろすと、また前の方に戻って本を広げた。 “レビテーション”が掛かっているらしく、重さはほとんど感じない。 疾風のように空を飛ぶシルフィードのせいで、強い風が頬をなぶる。 斜め上に見えるアルビオン大陸はもうだいぶ小さくなっていた。 膝の上のセッコに視線を移す。 それにしてもいい気なもんよね、こんな気持ちよさそうに眠っちゃって。 おそらく二十歳は超えていると思うのに、その雰囲気は年下の少年のようだ。 その寝顔を見ていると、悲しい出来事で傷ついたルイズの心に温かい何かが満ちた。 きっとこいつが戦いに戻ってきた理由は、ワルドがむかつくとか、イーグル号に乗り遅れたとか、どうせそんな下らない事なんだろう。 でも助けてくれてありがとう、セッコ。あんたは大した奴よ。 無意識にルイズの手がセッコの頭を撫でた。 母親が子供に、子供が子犬にするかのように。 「良おし、よしよし・・・よしよしよし・・・よし・・・」 To be continued…… 戻る< 目次 続く
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キュルケとタバサは、 ルイズがレビテーションも使わずに見事地表に到達してみせたことに対して、 激しく引いていた。 2人とも何も口にせず、 ただシルフィードがバッサバッサとはばたく音しかしない。 「……………………」 「……………………」 おそらく、考えていることは一緒なのだろうが、 それを口に出すのは、何というか ……とてもルイズに対して失礼な気がして、憚られた。 しかし、その気まずい沈黙をキュルケが破った。 「………………ねぇ」 「…………………?」 「人間って、こんな高い所から飛び降りても、 動けるんだ………」 「………………さぁ」 下ではルイズが、 ゴーレムをあっさりと倒したDIOと何やら話をしていた。 これからフーケを拘束する手順でも確認しているのだろうか。 そう思い至ったら、今まで呆けていたキュルケの心に、 メラメラと自尊心の炎が燃え上がった。 自分達は、ほとんど何もしてない。 ルイズを助けるためにゴーレムと一戦したが、 ほんの3、4合だけ、交えただけだ。 これではまるで、ルイズ…ヴァリエール家とDIOが主役で、 自分たちは引き立て役みたいに見えはしないか。 そんなこと、ツェルプストー家の血を引くキュルケが 許すはずがない。 ゴーレムを失ったとはいえ、 フーケはまだやられてはいないだろう。 イタチの最後っ屁くらいのことはする可能性が十二分にある。 それなら、自分たちがそこをやってしまえばいい。 ルイズよりも先に、フーケを捕らえるのだ。 何だか横取りするみたいだが、 それはツェルプストー家とヴァリエール家では日常茶飯事だから問題ない。 フーケを捕まえれば、美味しいところも取れるし、 フーケに対する意趣返しにもなるし、 何よりルイズはさぞ悔しがるに違いない。 油揚げをさらわれて、 顔を真っ赤にして地団太踏むルイズを想像して、 キュルケはウキウキしてきた。 善は急げと、キュルケはタバサに話しかけた。 「タバサ、私たちも降りるわよ!! ヴァリエールなんかに手柄を独り占めさせてたまりますかってぇの! GOよ、GO!」 バタバタと急かすキュルケに、タバサは普段と変わらない無表情で頷いた。 タバサ自身もそうするつもりだった。 今、あの2人をフリーにしておくのは、危険だと思ったからだった。 タバサの脳裏に、ブルドンネ街での出来事がフラッシュバックした。 (無駄無駄…) あの時のルイズの威圧感に、 珍しくタバサは逃げの一手を打った。 自分たちの知らないところで、 何かとても恐ろしい事が進んでいるのではという不安が、グルグルと渦を巻く。 目の前でやきもきしているキュルケは、 ルイズに対する対抗心や、功名心でフーケと戦おうとしているが、 それに比べて、ルイズはどうだろう。 名誉だとか、貴族としての誇りだとか ……そんなものよりも、もっと俗っぽくて、 大きな野望の為に杖を振るっているような印象を受けた。 その姿勢が微かに自分と重なって、 タバサはルイズに対して、奇妙な親近感も覚えていた。 タバサはシルフィードに、降下の指示を出した。 シルフィードがきゅいと主に応じて、ゆっくりと高度を下げていく。 半分ほど下がったところで、キュルケが疑問の声を上げた。 「……あら、ルイズの使い魔がいないわ。 どこ行ったのかしら? トイレ?」 ……………いない? それを聞いて、ゾワッと身の毛がよだつ感覚が、 タバサを包んだ。 今まで積んだ経験が、やかましく警報を鳴らす。 このまま降下することは、非常にマズいことだと直感で確信し、 タバサは1も2もなく上昇の指示をシルフィードに出した。 シルフィードは忠実に主の命令に従って、下降を止めた。 ――――しかしそれも失策だった。 一時的にだが、シルフィードの体が低空で停止してしまったのだ。 「失礼、お嬢様方」 突如、その場にはいないはずの、 第三者の声がして、2人は弾かれたように後ろを振り向いた。 ルイズがいなくなったことで出来たスペースに、 1人の男が腰を掛けていた。 脚を組んで、綺麗な紅い瞳で2人を見つめているその男は、DIOだった。 いつのまにか、そしてどうやってか、シルフィードに乗り込んでいたのだ。 いきなり積載人数が3人に増えたことに驚いたのか、 シルフィードの体は硬直してしまった。 DIOが瞬間移動らしき技を使える事は、 2人は先ほどのゴーレムを見て重々承知したが、 こうして音もなく背後に迫られると、改めて脅威を感じざるを得ない。 しかし、彼は現在ルイズの使い魔であり、 自分たちサイドであるはずだ。 まさか襲ってくるなんてこと、 あるはずがない………。 DIOに対する恐怖が、そのまま微かな甘えにつながり、 キュルケに間違った行動を取らせた。 キュルケは少々キョドった調子でDIOに話しかけた。 「な………何か用なわけ? あんた、御主人様を1人きりにしちゃ 危ないんじゃないの?」こっそりと距離を取りつつそう言うキュルケに、 DIOは静かに笑って、立ち上がった。 風竜の背中は、凹凸があってバランスが取りにくいにもかかわらず、 身じろぎすることなく、しっかりと両足で立っている。 その腰には、デルフリンガーが下げられているが、 鞘に入れられていて、沈黙を保っている。 ブロンドの髪が、風に吹かれてフワフワ揺れる。 キュルケを見下ろすDIOは、 キュルケから視線を外さずにゆっくりと背中に手を回して……………… "ズジャラァアァア!!" と、どこからともなくナイフの束を取り出した。 まさに魔法のズボンだ。 ジャラジャラと金属の擦れる音を鳴らせながら、 これ見よがしにナイフを握った手を揺らすDIOを見て、 キュルケの顔から、一気に血の気が引いた。 「あ………………まじ?」 その光景に、かつての決闘の折りのギーシュの末路が連想され、 キュルケはゴクッと唾を飲み込んだ。 「突然で不躾だが…私と一曲お願いできるかな、 ミス?」 フフフ…と妖しく微笑む様は、一見冗談めかしたようにも思えるが、 放つ殺気が、これは冗談ではないということを 雄弁に物語っている。 突如牙を剥いたDIOに、 キュルケはすぐさま杖を向けようとしたが……それよりも先にタバサが動いた。 タバサが高速で詠唱を行い、杖を振っていた。 次の瞬間、質量を持った風がキュルケ越しにDIOを襲い、 DIOはシルフィードの上からドカンと吹き飛ばされた。 「エア・ハンマー……!」 空中に投げ出されたDIOが、木の葉のように落下していく。 タバサはそれをじっと眺めていた。 「…ありがと。 助かったわ」 しかしタバサはキュルケに答えなかった。 下の森へと姿を消してゆくDIOを見て、 タバサは周囲に視線を巡らせる。 果たして、森へ墜落したはずのDIOが、2人の目前の宙に浮かんでいた。 瞬間移動だ。 気付いたと同時に2人ともが詠唱を行うが、 DIOはそれを許さなかった。 「視界が効くからな……空にいられては困る。 そら、そんな魔法より、 レビテーションとやらを唱えた方がいいぞ」 からかうように忠告をした後、DIOが軽く手を振った。 DIOの体から『ザ・ワールド』が浮かび上がり、 シルフィードの顎を強打した。 鋼鉄をも粉砕する『ザ・ワールド』の一撃で 脳をシェイクされたシルフィードは、白目を剥いて気絶した。 今度は、キュルケ達の方が木の葉のように落下する番だった。 2人とも大慌てで自らにレビテーションをかけ、 そのあと、タバサがシルフィードにもレビテーションをかけた。 ゆっくりと地面に降り立った2人は互いに背合わせに構え、 隙をなくす。 すると、時間的にはまだ宙にいるはずのDIOが、 木の陰から姿を現した。 不可解な現象を疑問に思う暇もなく、 2人は攻撃魔法を詠唱した。 最初に詠唱が完成したキュルケの『フレイム・ボール』が、 唸りをあげてDIOに飛来した。 しかしDIOは、飛んでくる炎の玉を避ける仕草すら見せず、 パンパンと手を二度打った。 すると、炎の玉がDIOの体をすり抜けた。 DIOが一瞬で2人の方へと移動したからだ。 炎の玉は、虚しく空気を裂きながら、 森の奥へと消えていった。 キュルケはその光景に唖然としたが、 惚けている暇などもちろんない。 「ラグース・ウォータル・イス・イーサ・ ハガラース……」 再び詠唱を始めるキュルケの隣で、 タバサが呪文を完成させて、杖を回転させた。 大蛇のような氷の槍が何本も現れ、 回転を始め、太く、鋭く、青い輝きを増していく。 「"氷槍(ジャベリン)"!!」 タバサの声と共に、トライアングルスペルであるジャベリンが、 DIOに襲いかかった。 それを見て、DIOは手を軽く振る。 『ザ・ワールド』が、DIOの体から浮かび上がり、 両の拳の壮絶なラッシュで、ジャベリンを迎え撃った。 「えぇい、貧弱!貧弱ゥ!」 拳と氷の槍が交差する。 『ザ・ワールド』によって亜音速で繰り出される拳の弾幕は、 ジャベリンを1本も後ろに通すことなく、 その全てをガラスのように粉々に砕いた。 トライアングルスペルが真正面からあっさりと破られ、 流石のタバサも動揺を隠せない。 攻撃の手が緩まったその一瞬の間をとって、 DIOがタバサに話しかけた。 「面白い魔法だ。 お前のような攻撃をする者を、私は1人知っている。 ………死んだがね。 もちろん私が殺した。 お前もあいつのようになりたいかな?」 タバサは聞こえない振りをした。 今や敵となったDIOの言葉など、聞くだけ無駄だと思ったからだった。 すぐに次の魔法を唱え始めるタバサだったが……… 「…やはり君は彼に似ている。 彼もそうだった。 心にぽっかり穴が開いていて、 決して満たされることがない。 心から望むものを、手に入れていないからだ。 ………違うかな?」 DIOの、心の隙間をつく言葉にタバサの詠唱が止まった。 ピンで止められたみたいに、 タバサは微動だにできなかった。 「私はそれを君に与えてやることができる。 …教えてくれ。 お前が欲しい物は……何だ?」 ―――私が、欲しい、物…………。 タバサはDIOの目を見た。 優しげな紅い瞳が、タバサを見返した。 その慈愛に満ちた眼差しに包まれて、 タバサは微かな安心を感じ始めてしまっていた。 まるで、母に抱きしめられているような安らぎを。 この人なら…………… 私の望みを叶えてくれるのではないか…? そう考えてしまうほど、 DIOの言葉は不思議な魅力に溢れていた。 ぱったりと攻撃の手を休めてしまったタバサを、 キュルケが叱責した。 「タバサ!! 何やってるの!!!」 キュルケが再びフレイム・ボールをDIOに放った。 しかし、やはりそれは瞬間移動によってかわされてしまう。 戦場で攻撃を躊躇するなど、 普段のタバサではありえないことなのだが、 キュルケの叱責をうけてもなお、 タバサは詠唱を再開することはなかった。 挙げ句の果てに、ぺたんと座り込んでしまい、 考えごとをするように沈黙している。 攻撃するのがキュルケだけになってしまい、 その結果、攻撃の間の隙が大きくなってしまった。 その隙を縫って、 DIOがゆっくりと近づいてゆく。 やろうと思えば、瞬時に距離をゼロにすることだってできるだろうに、 DIOは何故かそれをしない。 まるで時間稼ぎをしているようだった。 しかし、徐々に徐々に距離が縮まっていく様は、 逆にキュルケの神経に負担を掛ける。 それがさらなる隙につながり、ついに2人はDIOの射程圏に入ってしまった。 約8メイル。 まずい、と思う暇なく、 『ザ・ワールド』が現れた。 まさしく幽霊のような、 軌道を読ませない動き方でキュルケに迫った『ザ・ワールド』は、 その拳でキュルケの杖を弾き飛ばした。 「くっ…!」 杖を握っていた手に、鈍い痛みが走り、 キュルケは苦悶の表情を浮かべた。 「杖が無ければ、メイジはかくも無力だな。 我が『ザ・ワールド』の敵ではなかった」 もはや警戒する必要すらなくなり、 DIOはスタスタとキュルケに歩み寄った。 タバサはその傍で座り込んだままだ。 「なんで、いきなりこんなこと………! わけわかんないわよ!!」 理由もなく、突然襲いかかられたことに対する怒りから、 キュルケは怒声を張り上げた。 「残念ながら、私には答える必要がない。 ……雷に打たれたと思って、諦めるんだな」 キュルケの言葉をそう受け流し、 DIOはとどめをさすべく『ザ・ワールド』ではなく、 自分自身の手を振り上げた。 それを見たキュルケは、 直ぐに襲いかかるだろう痛みに備えて、体を硬直させた。 ―――そのとき、遠くから何かが爆発する音が聞こえた。 すると、DIOの左手のルーンがぼぅっ…と怪しい光を放ち始めた。 その光が輝きを増すにつれて、DIOが苦痛に身を捩る。 「……ッ! 良いところで茶々を入れるか…!! ………わかった。 すぐにそっちに行けばいいのだろう、ルイズ」 忌々しげな口調でブツブツと呟きだしたDIOに、 キュルケはただただ狼狽した。 暫くしたあと、DIOがキュルケに向き直った。 「『マスター』が呼んでいる。 残念ながら、ここまでだ。 もう少しだったが……まぁいい、収穫はあった」 チラリとタバサに視線を向けてそう言ったDIOは、 最後とばかりにナイフの束を取り出して、優雅に一礼した。 「途中でおいとまさせてもらう、私なりのお詫びだ。 遠慮なくとっておいてくれ」 DIOはパチンと指を鳴らした。 すると、DIOの姿が忽然と掻き消えた。 キュルケは、いきなりDIOが姿を消した事にも驚いたが、 目の前に広がる光景には更に驚いた。 何と、幾本もの鋭いナイフが、2人めがけて飛来してきていたのだ。 「ひぃぇ!?」 キュルケは情けない悲鳴を上げた。 "ドバァアー!" と、凄まじい勢いで接近するナイフを見て、いつぞやのギーシュのように、 ハリネズミになってしまう自分の姿が想像される。 しかし、そのナイフは2人に到達することはなかった。 キュルケの隣から発生した風の壁が、 ナイフを弾き飛ばしたのだ。 「ウィンド・ブレイク…」 力のない詠唱は、タバサから発せられたものだった。 魔力は精神力。 今、精神的に沈んでいるタバサでは、 いつものような烈風は起こせなかったが、 それでもナイフを弾き飛ばすには十分であった。 ガチャガチャと音を立てて落下していくナイフを見て、 安堵のため息をついたキュルケは、隣に座り込んでいるタバサを見た。 力の込もっていない瞳が、虚空を見つめていた。 タバサの杖が、コロンと転がった。 「タバサ……?」 キュルケの呼びかけに、タバサは虚ろな目をキュルケに向けた。 「………なさい」 「…え?」 「……ごめんなさい」 キュルケに視線を向けてはいるが、しかし、 キュルケではない誰かを見ているような視線で、 タバサはそう呟いた。 キュルケは一瞬、 あのとき詠唱を止めてしまったことを謝っているのかとも思ったが、 どうも違うようである。キュルケはひとまず、タバサに手を差し出して、 彼女が立ち上がるのを助けた。 しかし、立ち上がってからもタバサはただ、 ごめんなさい…と繰り返すだけだった。 それが誰に向けた謝罪なのか、 キュルケにはようとして分からなかった。 to be continued……
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ここは・・・?学院のわたしの部屋。 「忠誠には、報いるところがなければなりません。」 部屋の中央で姫さまがプロシュートに左手を差し出していた。 姫さま?なんで? 「お手を許す・・・そんな事は出来ないさ!ただし、お前がだ・・・ 『アンリエッタ』」 プロシュートは、そう言い終わると姫さまの左手を両手で握り締めた。 「グレイトフル・デッド!」 「きゃああああぁ」 「きゃああああぁ」 わたしはベッドから勢いよく身を起こした。 学院の寮じゃない、宿の部屋だ。 夢か・・・、姫さまが・・・姫さまが。 落ち着け、落ち着けルイズ。プロシュートは姫さまにキスしたじゃない。 あんな事してないわ。 わたしは部屋を見渡すとワルドはもう居なかった。 テーブルの上に一枚の手紙が置いてあった。 『錬兵場で待つ ワルド』 何かしら、わたしは身支度を素早く済ませると錬兵場に向かった。 わたしが錬兵場に着くとワルドとプロシュートが立っていた。 「ワルド、来いって言うから来てみれば、何をする気なの?」 「彼の実力を試したくなってね」 魔法衛士隊の隊長とプロシュートが戦う・・・ただで済むはずが無い! 「もう、そんなバカな事はやめて。今は、そんな事してる時じゃないでしょう?」 「そうだね。でも、貴族というヤツは厄介でね。強いか弱いか、 それが気になるともう、どうにもなららくなるのさ」 そんなこと、気にしなくて良いじゃない。わたしはプロシュートに話し掛けた。 「やめなさい。これは、命令よ」 「ああ、そうだな」 プロシュートは立ち去ろうと背を向けた。 「今、なんといった?」 ワルドがギロリと睨むとプロシュートがチラリと顔だけ振り返り答えた。 「断ると言ったんだ」 プロシュートは、わたし達を残し一人で去っていった。 「臆したか、あの男は?」 ワルドは呟くが、それはないわね。 まったく、敵の襲撃より仲間同士のいざこざの方が気になるなんて、 思ってもみなかったわ。 その夜、一階の酒場でギーシュたちは酒を飲んで騒ぎまくっている。 その場にプロシュートは居なかった。部屋に残ってるのかしら? 部屋を訪ねるとプロシュートはベランダで月を眺めていた。 「プロシュート」 わたしが声を掛けるとプロシュートが振り向いた。 「なんだ?」 「よく断ったわね、てっきり受けるとばかり思っていたわ」 わたしは、思い切って言ってみた。 「お前がヤメロッつったんだろーが」 「それはそうなんだけど」 プロシュートが手合わせを断るなんて思わなかった。 「まっ、命を懸けずに戦うなんて無意味だからな」 「無意味なの?」 プロシュートの戦いに対する考え方に思わず聞き返した。 「ああ、そうだ。本当の強さってのは、追い詰められ命を懸けた時に 初めて発揮されるもんだぜ」 本当の強さか・・・。 「うお!」 プロシュートが叫んだ。視線を追うと岩でできた巨大な ゴーレムが立っていた。 巨大ゴーレムの肩に誰かが立っている。その人物は長い髪を、風に たなびかせていた。 「フーケ!」 わたしたちは同時に怒鳴った。 「プ、プロシュート!ど、どうしてココに?」 フーケが震えながら叫んだ。 「そりゃこっちの台詞だぜフーケ。 オメー、ムショにぶち込まれてたんじゃねえのか?」 プロシュートはフーケを鋭く睨んだ。 「はい。そ、それはですね、こちらの方が革命に一人でもメイジがいると 仰いまして、わたしが今ココにいるわけです。はい」 フーケが体を横にずらすと暗くてよく見えなかったが白い仮面をつけた 黒マントのメイジが立っていた。 プロシュートが質問を続ける。 「俺達を襲ってきた傭兵は貴族に雇われたと言っていたな、その貴族は お前だったのか?」 「え?えっ?あっ!」 あのトライアングルのフーケが小動物の様に怯えている。 「つまり、お前は敵っつーワケだな」 「違います!」 フーケは力の限り叫んだ。 「違います、違います、何も知らなかったんですぅ」 ここから見ても分かるほどの見事なうろたえっぷりだ。 「・・・・・・・」 仮面の男がフーケに話し掛けるが何を言っているのか聞こえなかった。 フーケが男に言い返す。 「裏切る?革命にも参加しよう、エルフにも喧嘩を売ってやるさ。」 エルフですって!?貴族派は何をしようっていうの? 「だけど・・・だけど、その男だけは別なのよー」 「・・・・・・」 「何も無いわ!私は絶対にあの男には勝てない!」 プロシュートと二度と戦いたくない。その気持ち、嫌というほど良く分かるわ。 二人の揉め事を見ながら、プロシュートが話しかけてきた。 「ルイズ、ヤツ等から話を聞くか?傭兵より詳しく話を聞けそうだ」 その瞬間、フーケが言い争いをピタリと止め此方に叫んだ。 「知りません!何にも知らないんです!本当なんです!私が知っている事は、 今ここの一階を雇った傭兵で襲うことだけなんです!」 何ですって、みんなが危ない。 「プロシュート、下に行くわよ」 「ああ」 わたし達は部屋を出て、階段を駆け下りた。 宿の一階は修羅場だった。ギーシュ、キュルケ、タバサにワルドが 魔法で応戦しているが、数の差で傭兵が圧倒している。 「状況は?」 プロシュートは近くにいたタバサに尋ねる。 「外、傭兵たくさん」 タバサが簡潔に答える、その後をキュルケが引き継ぐ。 「奴等は魔法の射程外から矢を射かけてきているわ。こちらに魔法を 使わせて精神力が切れたところを見計らい、一斉に突撃してくるわよ。 そしたらどうするの?」 プロシュートの後ろに薄っすらとした人型が・・・グレイトフル・デッド! 「なるほど『射程距離』か、オレなら余裕だな」 「ダーリン?」「兄貴?」 「オレの能力を無差別に使い、ヤツ等を無力化した後、皆殺しにしてココを 突破する!」 男も女も赤ん坊でさえも老いる、身の毛がよだつ光景が思い出される。 うろたえるなルイズ、自分の使い魔に怯えるメイジなんていない。 「ちょっとまってダーリン。今、無差別って言った?」 抜け目の無いキュルケが気づいたようね。 「ああ」 「それって・・・ゴクリ・・・わたし達も、て事?」 「そうだ、すぐに済ます。我慢しろ」 「お願いダーリンそれだけは止めて!それだけは!」 キュルケは一瞬で想像したのだろう、フーケの様に老いる自分の姿を。 「放せ!纏わりつくな」 何時も余裕の態度を崩さないキュルケの取り乱しようをみると、 なんだか凄く気分が良いわ。わたしってちょっと嫌な奴かも・・・ いやいや、相手はあのツェルプトーだから良しとしよう。 「わたし達、わたし達でなんとかするからそれだけは」 「よし!それでいこう」 ワルドは低いが響く声で言った。 「いいか諸君。このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ、 成功とされる」 タバサが本を閉じ、ワルドの方を向いた。自分とキュルケと、ギーシュを 杖で指して「囮」と呟いた。 それからタバサは、わたしとワルドとプロシュートを指して「桟橋へ」と呟いた。 「時間は?」ワルドがタバサに尋ねた。 「今すぐ」と、タバサは呟いた。 「聞いてのとおりだ。裏口に回るぞ」 言い終えるとワルドは裏口に向かった。 「え?え?ええ!」 「今からここで彼女たちが敵をひきつける。せいぜい派手に暴れて、 目だってもらう。その隙に、僕らは裏口から出て桟橋に向かう。以上だ」 「で、でも・・・」 わたしはキュルケたちを見た。キュルケが赤髪をかきあげ言った。 「ま、仕方ないかなって。あたしたち、あなたたちが何しにアルビオンに 行くのかすら知らないもんね」 ギーシュは薔薇の造花を確かめ始めた。 「うむむ、ここで死ぬのかな。どうなのかな。死んだら、姫殿下と モンモランシーには会えなくなってしまうな・・・」 タバサはプロシュートに向かって頷いた。 「行って」 「わかった、いくぞルイズ!」 「ちょ、待ってよ」 酒場から厨房に出て、わたしたちが通用口にたどり着くと、酒場の方から派手 な爆発音が聞こえてきた。その後もっと大きなフーケの怒鳴り声が聞こえてきた。 「誰がおばあちゃんだ!小娘が!泣かす!殺す!いわす!」
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前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 広瀬康一はネアポリスの抜けるような青空を仰いだ。 「いい天気だなぁ・・・」 今彼はイタリアでの用事をすませ(ついでの観光もすませ)ネアポリス駅行きのバスを待っている。バス停にいるのは康一だけだ。 観光名所だという町外れの教会を見てきた帰りである。 人通りが少ないのはシエスタ(イタリアではみんなそろってお昼寝をするらしい)の時間帯だからだろうか。 少々トラブルはあったが、パスポートも帰ってきたし、旅費もまだ十分ある。 康一はこれからフランスも見て回って、最後にパリのディズニーランドに寄って帰る予定だった。 そこまで考えて康一は由花子のことを思った。 「由花子さん、あんまり大騒ぎにしてないといいけど・・・」 由花子に「イタリアへ汐華初流乃という人物を探しにいってくる。」と話したところ、なぜか烈火のごとく反対されたからだ。 あまり人には話さないように、と承太郎さんから言われていたので、しつこく問い詰めてくる由花子に、康一は正直げんなりしてしまった。 結局最後には自分もついていくと言い張る由花子から逃げるようにイタリアにやってきたわけだが、あの由花子さんのことだ。今頃仗助くんたちに当り散らしていることだろう。(由花子はパスポートをもっていなかったので連れて行くわけにもいかなかったのだ。) そこでふと康一は自分の左手に何かの気配を感じて振り返った。 そこにはいつのまにか、巨大な楕円形の鏡のようなものがあった。康一がこのバス停に来たときにはこんなもの無かったように思ったのだが。 「さっきまでこんなのあったかなぁ。」 オブジェかなにかだろうか。康一は鏡に映る自分の顔を覗き込んだ。 鏡に映る自分は二年前から何も変わっていない気がする。 もうすぐ18歳になるというのに康一の身長は157cmのまま一向に伸びる気配を見せない。 仗助くん(180cm)や億泰くん(178cm)と比べてずっと身長が低いのは今更気にしていないが、恋人の由花子さん(167cm)より10cmも低いのは我ながらどうかと思う。 二人連れ立って歩いているとよく店員さんに「ご姉弟ですか?」と言われる。 映画館に行ったときなど、一度何も言わないでいるうちに小学生料金のチケットを渡されてしまった。 そうした勘違いにブチ切れる由花子さんを宥めるのはもうデートの定番になってしまっていた。 ちなみに由花子さんは逆に、高校生だといっても信じてもらえないことが多いくらい大人びているから、カップルと見てもらえないのはしかたないのかもしれない。 康一は人差し指で軽く、鏡の自分の顔が写っている部分を拭ってみようとした。もうこれでイタリアを後にするという状況で、広瀬康一は少々油断していたのだ。 だから、表面を撫でるだけだったつもりの指が一瞬のうちに手首まで飲み込まれてしまったのには心の底から驚いた。 「こ、これは・・・!?」その瞬間手首から全身へと走るように電撃のような衝撃が走った。 「が、は・・・っ!もしかして・・・これは『スタンド攻撃』!?」 康一は意識を手放すまいと気力を振り絞りながら、鏡から手首を抜こうとした。 しかし、鏡はものすごい力でずるずると康一の体を引きずり込む。 とっさに残った左腕でバス停のパイプをつかんで踏ん張るが、今にも離してしまいそうだ。 「ACT3!この鏡を攻撃しろぉぉぉ!!」 「S.H.I.T!」 康一の叫びと共に現れた人影が、鏡を殴りつける! だが、ACT3と呼ばれた人影の拳も鏡に触ることは出来ずに沈み込み、逆にずるずると鏡の中へ引きずりこまれていく。既に両腕を肩まで飲み込まれて身動きもとれない。 「ダ、ダメデス。コイツ、触レナイノニ・・・マジに(Ass Fuckin)『ヘヴィ』ナパワーデス・・・!引キ摺リ込マレマス・・・」 「く、くそっ!どうなってるんだ・・・僕にはこの鏡は壊せないッ!!『本体』を叩くしか・・・」 どこかに『本体』がいるはずだ・・・!康一はこの鏡をあやつっている『スタンド使い』を探そうと首をめぐらせたが、やはり、周りには人影一つ見られない。 「近くに本体もいない・・・!それなのにこのパワーは、遠隔自動操縦型か・・・?」 だとしたら状況は絶望的だ。一人で脱出はできそうにない、本体も見当たらない、そして何よりいつも自分を助けてくれる仲間はここにはいなかった。 せめてこいつのことを誰かに知らせなければ・・・。康一は叫んだ。 「承太郎さーん!」 だがその時既に、ACT3はもう頭部まで鏡に飲み込まれてしまっていた。それまでとは比べようもない衝撃が走り、ついに康一は抗すべくも無く意識を手放した。 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
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怒りという攻撃的な感情は、恐怖という守備的な感情を容易く塗りつぶしてしまう。 ギーシュがこういう行動に出ることは百も承知だったのか、 ルイズはとっくに杖を構えていた。 呪文など、ギーシュのビチグソ発言と同時にほぼ終了させている。 今のギーシュは忘我状態であり、彼が操るワルキューレも動きが直線的だ。 これは最初から決闘などではなかった。 ルイズの憂さ晴らしという名の出来レースであった。 だが、ギーシュのワルキューレ達がその間合いに入る前に一陣の風が舞い上がり、 ワルキューレを吹き飛ばしてしまった。 「誰だッ!」 ギーシュは激昂してわめいた。 もう少しであの憎きビチグソを、こうしてああしてヘラヘラアヘアヘ……etc. な所だったに! という具合だ。 ギーシュの喚き声に応じるように、朝靄の中から一人の長身の貴族が現れた。 立派な羽帽子に、立派な髭、それに精悍な顔つきをした若者だ。 その顔を見て、確かアンリエッタの行幸の供をしていた人物であると、 ルイズは思い出した。 思い出した途端、ルイズは驚きの声を上げた。 「ロードローラー……!!」 勿論、彼の名前はロードローラーなどでは断じてない。 彼の名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 れっきとした人間であり、貴族であり、子爵であった。 ルイズは先日のショッキングな夢を、まだひきずっていた。 「貴様、神聖な決闘を冒涜するか!」 ギーシュはすっと薔薇の造花を掲げたが、ワルドはギーシュよりも素速い動作で杖を引き抜き、薔薇の造花を吹き飛ばした。 主の指示を伝える媒体を失い、二体のワルキューレは音もなく土に還った。 「水を差して申し訳ないと言いたいところだが、残念ながら貴族同士の決闘は禁じられている。 紳士ならば、そこの所をよく理解してくれ」 長身の貴族は帽子を取り、一礼した。 「女王陛下の魔法衛士隊が一つ、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ。 姫殿下より、君達に同行することを命じられてね。 君達だけではやはり心もと無いらしい。 かといって、隠密の任務であるゆえ、一部隊つけるわけにもいかない。 そこで、僕が指名されたってワケだ」 文句を言おうと口を開きかけたギーシュは、相手が悪いと知ってうなだれた。 魔法衛士隊は、全貴族の憧れである。 それはギーシュも例外ではなかった。 しかし、ルイズのした事はどうにも腹に据えかねるようで、 ギーシュは不満げな顔をしたままだ。 ワルドはそんなギーシュの様子を見て、首を横に振った。 「すまない。 婚約者が危険な目にあっているのを、見て見ぬ振りは出来なくてね」 それを聞いたギーシュは、有り得ないといった表情でルイズを見た。 あのルイズが! 魔法の使えない『ゼロ』が! 魔法衛士隊隊長と、婚約しているとは。 そういうところは、腐っても公爵家三女ということかと考えると、 ギーシュは何だかやり切れない思いだった。 その当のルイズはというと、俯いて何やらブツブツ呟いている。 目が虚ろだ。 冷静になって考えてみると、ルイズはやはり恐怖の対象以外の何者でもなかった。 しかし、ワルドはそんな事はお構いなしといった風にルイズに駆けより、 人懐っこい笑みを浮かべた。 「久しぶりだな、ルイズ!」 しかし、ワルドの呼びかけにも、ルイズはその顔を上げることはなかった。 俯いたままのルイズを、ワルドは恥ずかしがっているのだと思い、抱えあげた。 その時初めてルイズはワルドを見たが、その目はまだ光を取り戻してはいなかった。 「相変わらず軽いな君は! まるで羽のようだね!」 「……へ? あ、あぁ、そうですね。 テントウ虫はお天道様の虫です。 幸運を呼ぶんです」 支離滅裂な返答に、ワルドはようやくルイズの異変に気が付いた。 「ル、ルイズ? 僕のルイズ?」 ワルドはルイズの体を二、三度揺らした。 そのおかげか、いろんな意味で頭がコロネになりかけていたルイズが現実に舞い戻った。 「…………ハッ!? ミ、ミスタ・ワルド!! いつのまに!?」 ルイズは、突如目の前に現れたワルドに目をぱちくりさせた。 ルイズがまともな反応を返してくれたことに、ワルドはひとまず安堵のため息をついたが、 やがて寂しそうな顔をした。 「ルイズ、随分と他人行儀じゃないか。 昔のようにワルドと呼んでくれないのかい? 悲しくなってしまうよ」 ルイズは取りあえず自分を下ろすようにワルドに目で訴えた。 ワルドはルイズを地面に下ろし、帽子を目深にかぶった。 ワルドの寂しそうな声を聞いても、ルイズは何故かワルドをワルドと呼ぶ気にはなれなかった。 それは、ルイズ自身にとっても不思議な感覚であった。 例え過去の人物であったとしても、ワルドはルイズにとって憧れの人であり、 ルイズはそんなワルドを信頼していた。 しかし……心の中の何かが、過去に囚われるなと言っているのだ。 あらゆるものに勝利し、あらゆるものを支配しろと声高に命令してくる。 その対象は、目の前のワルドですら例外ではない。 どうしてこんなことを考えているのだろうとルイズは思索しようとしたが、 そうしようとすると、決まって頭がボーっとしてくるのだった。 ルイズはとうとう、ワルドの願いを無視することにした。 「ミスタ・ワルド。 同行するものを紹介します。 使い魔のDIOと、ギーシュ・ド・グラモンです」 ルイズは交互に指さして紹介した。 シエスタをワザと除外していたルイズだが、シエスタは全く意に介していないようだった。 ルイズはまた少し苛ついた。 ルイズの冷たい態度に、ワルドは少し傷ついたような顔をしたが、 直ぐに真面目な顔つきになると、DIOに近寄った。 「君がルイズの使い魔かい? 人とは思わなかったな」 礼儀正しく話しかけたつもりのワルドを、DIOは一瞥した。 最初こそしげしげと見つめていたDIOだったが、 やがて興味を失したのか、ふいと視線を逸らした。 「僕の婚約者がお世話になっているよ」 「全くだな」 DIOの皮肉に、ワルドは気まずそうな笑みを浮かべた。 その隣で、ルイズが鬼のような顔をしていた。 いつものように爆発するかと思いきや、ワルドが隣にいるからか、 ルイズは躊躇しているようだった。 DIOは、そんなルイズにつまらなさそうな顔をした。 大方の顔合わせが終わると、ワルドは口笛を吹いた。 すると、上空からグリフォンが現れ、一行の目の前に着地した。 鷲の頭と上半身に、獅子の下半身を持った幻獣であった。 「おいで、ルイズ」 ワルドはひらりとグリフォンに跨ると、ルイズに手招きした。 ルイズはDIOとシエスタを交互に見て、しばらく考える仕草を見せた。 やがて顔を上げ、ルイズはワルドに答えた。 「嬉しい申し出ですが、遠慮させていただきますわ。 もう馬も用意してしまったことですし」 誘いが空振りに終わってしまい、ワルドはますますもって寂しそうな顔をして、ガックリとうなだれた。 ルイズは構わず馬に跨った。 そして、対抗心丸出しの顔をシエスタに向けた。 だが、シエスタはやっぱり澄ました顔だ。 DIO以外のことなど、眼中にないようにも見える。 認められていない。これはルイズにとって我慢ならないものであった。 ルイズは、『ゼロ』と呼ばれてきたこともあり、他人から認められないということに対して強いコンプレックスを抱いていたのだ。 ましてや相手が平民ともなれば……何をか言わんやである。 (絶ッッッ対! ギャフンと言わせちゃるッ!!) メラメラと目に炎を燃え上がらせるルイズを、 先程の不機嫌もどこへやら、DIOは如何にも楽しそうに眺めていた。 その内にワルドも気を取り直したようである。 用意も整い、さあいざ出発かという空気が流れたが、そこに思わぬ人物が現れた。 朝靄の向こうから、一人の女生徒が姿を現したのだ。 立派な金髪を縦ロールにしている、 見た目だけで気位が高いとわかる少女だった。 靄が濃いせいか、誰だかはっきりせず、ルイズは怪訝な表情を浮かべた。 小走りで一行に近づいてくる少女の正体にいち早く気が付いたギーシュが、 目を見開いて驚きの声を上げた。 「モ、モンモランシー……!」 ギーシュの言葉で、ルイズはようやく少女の正体が思い出せた。 『香水』のモンモランシー。 ギーシュの二股事件の被害者のうちの一人である。 最近立ち直ったと聞いたが、どうやら本当だったらしい。 そのモンモランシーがここに姿を現したということは…… ギーシュは彼女とよりを戻したということだろうかと、ルイズは推測した。 こんなモグラ好きのどこがそんなにいいのかねぇ、と思ったが、 ルイズには全く関係ないことだったのでどうでもよかった。 「あぁ、モンモランシー! やっぱり僕の身を案じてくれているんだね! でも心配しないでくれ! つらい任務だけれど、君のその気持ちさえあればきっと乗り越えられるさ!」 パタパタと駆け寄ってくるモンモランシーに、ギーシュは有頂天だった。 今は太陽の明けきらぬ早朝であり、まだ少し肌寒い。 しかし、彼女は貴族の証であるマントを身につけておらず、 制服の上にストールを羽織っているだけだ。 息遣いも少し荒いようである。 その様子から、彼女がよほど慌てて来たのであろうことが窺えた。 感激の余り腕を広げて迎えるギーシュに、モンモランシーは駆け寄って……… ……その横を通り過ぎた。 「……なんですと?」 想像していたのとは異なる展開に、 ギーシュは間の抜けた声を出しつつ振り返った。 そこには、馬に跨るDIOと、そんなDIOを不安げな顔で見上げるモンモランシーの姿があった。 「「な、何ですとォォオオオッッッ!?」」 何故か、ギーシュの叫びとルイズの叫びがシンクロした。 そのシンクロっぷりにお互いともがビックリして、 二人は顔を見合わせた。 そんな二人の驚きをよそに、モンモランシーは息を整えながらDIOを見つめた。 その瞳は、かつてない何かを秘めて熱く潤んでいた。 「あ、あの、窓の外を見たら、あなたがいるのが見えて……。 それで私、居ても立ってもいられなくなっちゃって、その……」 言葉に窮すモンモランシーを、DIOは馬上から静かに見下ろした。 「えと……どんな任務に行くかは、聞かないわ。 言えないものね。 私、あなたを困らせたくない。 でも……でもね、何日か会えなくなってしまうのでしょう?」 「そうだな。 正確な日数は分からないが、暫くはこの学院を離れることになる」 モンモランシーは今にも泣きそうな顔をした。 それを見たDIOは、懐を探って小さな何かを取り出すと、モンモランシーに放って寄越した。 慌ててモンモランシーが両手を差し出すと、それは彼女の両手の上にポトリと収まった。 それは鍵であった。 小さいながらも、金属製で、綺麗な装飾が施された物である。 恐らくは、というより十中八九ルイズの部屋の鍵だ。 それを悟ったルイズは、いつの間に合い鍵なんて作りやがったのだと、一瞬キレそうになったが……やめた。 なんというか、独り身の人間には入り込めない雰囲気が漂っているのだ。 これが……これがラブ臭か! と、ルイズは鼻を押さえて戦慄した。 どこかの妖精のように、くっさーー! と言いつつ割り込んでやりたかったが、 生憎とルイズは空気の読める女の子であった。 DIOの意図が分からず、鍵を受け取ったモンモランシーは数瞬それを見つめた後、 キョトンとした顔でDIOを見上げた。 「私がいない間の留守を任せていいな、モンモランシー?」 DIOの言葉の意味を知ると、モンモランシーの顔がパァッと輝いた。 手の上に光る鍵をそっと握りしめて、モンモランシーは大事そうに胸に抱いた。 DIOに信用されているという事実が、彼女の胸をより一層熱く高ぶらせるのであった。 「あ、あたりまえでしょう! この私が留守を預かるからには、大船に乗ったつもりでいなさいよ!!」 素直に嬉しいと言えばいいのに、 モンモランシーは真っ赤になってそっぽをむいた。 モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。 生来の気位の高い性格がわざわいして、 彼女は肝心な時になかなか素直になれない子であった。 そんな二人のやりとりを無理矢理見せつけられているルイズは、 呆然として開いた口が塞がらなかった。 気分はもう、『何このラブコメ?』といった感じだ。 やはりワルドのグリフォンに乗らなくて正解だった。 DIOをとっちめられなくなってしまうではないか。 プルプルと身を震わせる一方で、ルイズはチラッと隣を見てみた。 ルイズの横では、目の前の現実についていけていないギーシュが 石像のように固まっていた。 復活した使い魔のヴェルダンデが、鼻を擦り寄せて慰めているが、 ギーシュは固まったまま動かなかった。 終わったわね、とルイズは誰にも聞こえないように呟いて、馬に跨った。 人間、罵られたり叩かれたりするうちが華であるとは誰が言った言葉であろうか。 何が辛いって……無視されることより辛いことはない。 モンモランシーは、ギーシュに一瞬たりとも視線をくれていなかった。 DIOだけを真っ直ぐに見つめている。 この事実が、ギーシュの心を滅多打ちにするのであった。 まぁ、浮気をしたのがケチのつき始めであろう。 「ミスタ・グラモン、出発でございます」 錯乱しているギーシュを見咎めて、シエスタが急かした。 「モ、モンモモンモモモモンモランシー……」 しかし、今のギーシュにそんな事が耳に入るはずもない。 「……出発でございます」 「もんもらんしいぃいい!!」 「出発でござ…………当て身!」 「もんもぐぶるぁっ!!」 シエスタのメガトンボディーブローが、ギーシュの鳩尾に炸裂した瞬間であった。 手加減はしているだろうが、その威力は折り紙付きだ。 それを見たルイズは顔をしかめて、Oh,my God……! と呟いた。 低いうめき声を残してあえなく気絶したギーシュを、 シエスタは軽々と肩に担いで馬に跨った。 ギーシュの馬も引いていってやるつもりのようだ。 それを確認して、DIOは手綱を握った。 「では、出発だな」 DIOの馬が駆け出すのを皮切りに、ルイズが後に続く。 その次をシエスタが進み、最後の最後でようやくグリフォンが駆け出した。 見る見るうちに一行の後ろ姿が遠のいてゆき、 やがて朝靄の向こうへ消えてしまった。 「……気をつけて」 一行の姿が見えなくなった後、 モンモランシーは胸の前で両手を組み、一行の旅の無事を心から祈った。 そんな彼女の手の中では、DIOから渡された鍵が小さく輝いていた。 to be continued…… 53へ 戻る 55へ
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小屋の外から叫び声がする。ルイズたちの声だ。 小屋の窓越しに全長30メイルにも達しようとするゴーレムの姿が見えた。 「何だとッ?!」 「僕はミス・ロングビルが『杖を振る』のを確認してないぞ?」 「フーケはロングビルじゃなかったのか?」 「と、とにかく『破壊の杖』はこれです! 早く脱出しましょう!」 ミス・ロングビルはそういいながら『M72ロケットランチャー』を手に取り、外に出て行ってしまった。 「あ、ああ!」 「そうしよう!」 出て来たとたん、土のゴーレムは三人を執拗に攻撃しだす。 「ロハン!皆を連れて学院に逃げろ! こいつは俺が足止めする!」 「分かった!行くぞ!ロングビル! この状況じゃどこにフーケがいるか分からん!」 「は、はい!」 (さっき『薪に似せた杖』を投げるフリをして振った… まだ、『私がフーケである事実』はまだバレてないようね… それに『露伴』と『ブチャラティ』を引き離した! 危なかったけど計画通り!) 露伴はロングビルと共にタバサ達と合流した。 「あれすごく強いわロハン! 私の炎も、タバサの竜巻も効かないわ!」 「退却」 「ああ、そうしよう。『破壊の杖』はロングビルがGetした」 「ルイズは?」 「あ、あれ?…」 「!あそこ」 ルイズはブチャラティのすぐ後ろにいた。 つまり、ゴーレムのすぐそばである。 巨大なゴーレムの顔に小さな土煙が上がる。 どうやらルイズの魔法のようだ。 「ブチャラティ!!ルイズを頼む!」 「アリアリアリアリアリアリアリ!!!!!!」 「拙いな…!俺の『スタンド』との相性は最悪だ…」 ブチャラティはそうつぶやいた。 先程から、ゴーレムの両足を 『スティッキィ・フィンガーズ』全力で細切れにしているが、土でできた『ゴーレム』は『切断』していく端から再生していく… 「『足止め』する分にはいいんだが…」 ふと、目の端に仲間の姿が映る。 「何ッ!」 ロハンとミス・ロングビルは無事にキュルケたちに合流できたようだ。 問題は、ルイズだ。こちらに走ってくる! 杖を振りかざしながらもこちらに走ってくるのをやめないッ! 「こいつと戦うつもりなのかッ!」 間一髪。 ブチャラティはルイズとゴーレムの間にわが身を入れることができた。 「お前もロハンたちと逃げろ!」 「いやよ!こいつを倒せば、誰も私のことを『ゼロのルイズ』と呼ばないでしょ!」 「何を言っている!いまはそんな場合じゃない!」 スティッキィ・フィンガーズでゴーレムの攻撃を解体しながらしゃべったため、ブチャラティに、少しずつ、だが確実に飛石のダメージがたまっていく… 「だって、ヒック。悔しくて…私…」 「くッ…マズイ… ここはルイズだけでも逃がさなくては…」 「ブチャラティ!!ルイズを頼む!」 「こいつを受け取れ!」 露伴が何かを投げた。 「飛んで飛んで飛んで飛んで…♪」 「回って回って…♪」 「落ち~るぅぅ~~♪」 そのまま露伴が叫ぶ。 「君のそのルーンは武器を持ち、主人を守る意思を持ったときに、又は、心を振るわせたときにその真価を発揮する!」 「おそらく『スタンド』もパワーアップするはずだ!」 今度こそ露伴達は走り去ってゆく。 ブチャラティは『デルフリンガー』を拾った。 右手で握ると、『ローマで体験した精神入れ替わり直後の感覚』にいた感覚だ。 (あの時は、『スタンド』の能力がパワーアップしていた…) (こらならいけるッ!!) 後ろに隠れているルイズに左手を差し出す。 「分かった。俺一人では正攻法でこいつを倒すのは困難だ。 ルイズ。力を貸してくれ。『二人で』あのゴーレムを倒そう」 「…分かったわ!」 ルイズは、差し出されたブチャラティの手を握る。 ブチャラティのルーンが光り輝いていく… そして二人が叫ぶ。 『『スティッキィ・フィンガーズ!!』』 『『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!!!!!』』 あれほど修復を繰り返していたゴーレムがあっという間に崩れていく… ルイズは実感していた。 (私一人では『ゼロ』だけど、「使い魔」いえ、『仲間』と一緒なら何でもできる!) (今ならそんな気がするわ!) バ―――――z______ン! 『『アりーヴェ・デルチ!!』』 あと、十歩。 そこに行けば、乗ってきた荷車に到達できる。 学院に「救援」を要請できる… 「そこに止まりなさいロハン!それにミス・ツェルプストー!」 声の先には、タバサの喉元に杖を突きつけたミス・ロングビルがいた。 不意に当身でも食らわせられたのか、タバサは気を失っているようだ。 あと、五歩。 だが、立ち止まらざるを得ない。 「まずミス・ツェルプストー。あなたは杖を捨ててもらいます」 「…あなたが『土くれのフーケ』だったのね…」 キュルケは杖を草むらに放り投げた。 「そしてロハン。あなたはこの『破壊の杖』の使用方法を教えなさい。 あなた、『宝物庫』でこの使い方を知っているような話し方をしていたでしょ?」 「僕が話すと思っているのかい?」 「ええ、『この子の命』と引き換えならね…」 「……分かった。『諦めた』。話そう」 「ロハン!…」 「いいか、よく聞け。 まず、リアカバーを引き出して、インナーチューブをスライドさせる。 照尺を立てた後、照準を合わせてトリガーを引くんだ。 最大射程距離は1000メートル。10メートル以内は信管が作動しないからな。 ついでに言っておくが、後方45度、25mにはバックブラストが行くから注意が必要だ。どうだ、簡単だろ?」 「?」 「?何言ってるの?」 ミス・ロングビル、もとい、『土くれのフーケ』は戸惑っているようだ。 「この子の命が惜しくないの?私に分かるように説明しなさい!」 「分かった。まず、そこの、そう。それがリアカバーだ。 それを引き出して…」 露伴が指で指し示しながらフーケに近づいた。 「待って!それ以上近づくんじゃあねーわよ!」 フーケの杖を持つ手に力がこもる。 「分かった。もう近づかない。 すでに一歩『射程内』にはいったからな…」 「?」 『ヘブンズ・ドアー』! 『タバサ達を攻撃することはできない』! 「う、動けない!」 突然、フーケが身動き一つできなくなる。 「もう大丈夫だ。キュルケ。こいつを縄でぐるぐる巻きにしてやれ」 気絶したタバサをお姫様抱っこしながら、露伴が言う。すでに勝利したような表情だ。 「は、はい!」 キュルケはフーケの杖を取り上げ、用意していたロープで縛り上げた。 「何したのよ!答えなさい!」 「僕が『諦めた』といったのは『ブチャラティに僕の能力を隠し通す事』だ」 「あの男、ゴーレムと戦っている最中にも周囲に気を配っている… 本当に戦闘経験豊富なやつだな…」