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ドンキホーテが展開する個人商店の集まりだ。 自分で店をやりたい人の願い、その願いを叶えるためにドンキホーテが用意した場所で個人商店を経営するのだ。 商店街だから個人商店の集合体だ。
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宝探しでギーシュが買ってきた地図は五つ。 いちいち細かく言うのも面倒なのでダイジェストで行こうと思う。 まず一つ目。竜の金貨だ。 これは五つ集めると自分が一人増えるらしい。 どういうことなのかは分からない、偏在みたいなもんか? 竜の金貨があるのはダイナソー陸地と呼ばれる場所だ。 陸地ってのは土地名に使うには正しくない気もするが細かい事は気にしないでおく。 そのダイナソー陸地に着き、地元住民から情報を集めていたらとんでもない事が分かった。 竜の金貨はもう無いのだ! 地元住民のYさん(仮名)が言うには突如現れた赤い帽子のひげ男が『便利だから』と全部とって行ってしまったらしい。 もう無い物を手に入れる事ができるわけも無く、だが次に行くには時間がないのでその日はダイナソー陸地に泊まった。 一日目終了。 二日目。 二つ目は青眼の白龍。 これは龍の形の彫刻とかじゃなくて青い目の白い龍を召還できるお札らしい。 キュルケが言うにはこの秘宝は考えられるとしたらサモンサーヴァントを応用したマジックアイテムらしい。 だがサモンサーヴァントには色々と制約があるため、そんなものはまず存在しないとも言っていた。 だが実際に存在しているのだ。この場合は未知の技術か真っ赤な嘘かのどちらかだろう。 それも実際に見てみればハッキリする。 その青眼の白龍が祭られている神殿に着いた。 だが中には何も無かった。 あるのはただの破壊の跡。 鋭い爪によって抉られただろう壁。 堅い尾によって倒れたと思われる柱。 この傷跡をみればここで龍が暴れただろう事を想像するのは容易かった。 少し離れたところにある壁には何か文字が書かれていた。 近くにいたギーシュが読み上げる。 『これが青眼の白龍か!ウワハハハー!すごいぞーカッコいいぞー!』 どうやらこの龍を手に入れたヤツはどうしようもないヤツらしい。 ギーシュが続きを読む。 『龍を一度戻したらもう出て来なくなってしまったのですがどうすればいいのでしょうか? 分かる人は教えてください。もちろん報酬は出します。 レコン・キスタ総司令官 オリヴァー・クロムウェル』 おれ達は次の場所へと向かった。これはほっといても良いや。 三つ目はブリーシンガメン。 これは首飾りらしい。 これがある寺院はオーク鬼が住み着いていたのでそれを倒す必要があり、 それを終わらせ、中を調べてみたのだが見事なまでに何も無かった。 ギーシュはブリーシンガメンを使ってワルキューレを強くするつもりだったらしくちょっと落ち込んでいた。 「やっとクラスチェンジできると思ったのに…」 まあまあ、スターランサーの方が使い勝手は良いしさ、そっちにするチャンスだと思えよ。 四つ目は退魔の剣らしい。 コレを抜けるのは真の勇者だけだ! みたいなことが地図には書いてあるのだが…これは宝の地図と言うよりは観光パンフレットだ。 その証拠に剣が祭られてる神殿には金を払えば普通に入れるし台座に刺さってる剣を抜く事だってさせてくれた。 だがおれにもキュルケにもタバサにも抜けなかった。 それにしてもおれが何も言われず挑戦できたのには驚いた。 最後にギーシュがチャレンジ。 どうせ抜けないと分かっていてもこういうのはワクワクするらしく顔を輝かせている。 そんなギーシュを見ることもなく次の相談をするおれ達。 全く関係ない人たちと思われても仕方ないくらいのスルーっぷりだ。 おれ達がもう遅いし今日はここに泊まろうと決めたところでギーシュが台座から降りてきた。 だが様子が変だ。 表情がポルナレフのAAみたいになっている。 「あ…ありのまま今起こった事を話すよ!」 台詞までそのままだった。 「僕は剣を抜いたら七年後の世界に飛ばされていてその世界は大変な事になっていて僕がそれを救ったんだ!」 ハイハイワロスワロス。 二日目終了。 三日目。 五つ目にして最後は竜の羽衣。 これを身に着けたものは空を飛べるらしい。 だがはっきり言って必要ない。 だって自力で飛べるもん。紙飛行機みたいに舞うだけだけど。 それでも売れば金になる。 そしておれ達は竜の羽衣があるタルブの村までやってきた。 タルブの村はだだっぴろく綺麗な草原があり、のんびりとした所だ。 おれはこの草原の匂いを嗅いだ事があるような気がする。何故かは分からないが。 これが最後でかつ戦闘も無さそうと言う事でみんなもリラックスしている。 おれは使いそうにないデルフを外し、シルフィードに預けた。 キュルケはこうも言っていた。 「ルイズも来れば良かったのに…」 最近のキュルケはルイズの心配をしている。確かにちょっと様子が変だからな。 おれも昨日の夜キュルケに色々と聞かれたのだが、おれはそこまで気にするほどの話じゃないだろうと思っている。 で、おれが他のヤツに相談したらどうだ?と聞くと 「『自分』にも相談したんだけどやっぱり使い魔である貴方も無視できないでしょう?」 と言われた。なるほど、正論だ。 さてそんな風に気分転換に丁度良いタルブの村だが、おれ達は休暇や観光で来たのではなく冒険に来たのだ。 とりあえず話を聞くために人間を探す。 丁度道の向こうから女が来たのでそいつに話を聞こうと近づく、 おれ達貴族が近づいたのを見て、大名行列みたいに脇にそれ頭を下げる。 素朴な感じで明らかに村娘といった娘だが、かなり胸がデカイ。 そして何故だかおれはこいつがメイド服を着ている姿を思い浮かべてしまうのだ。 その理由はすぐに分かった。草原の匂いの謎と共に。 「よう、シエスタ」 その女はシエスタだった。 メイド服を着ている姿を思い浮かべるのもいつも着ているのだから当たり前。 そして草原の匂いはおそらくここがシエスタの故郷だからだ。 匂いってのはそいつが何処に住んでいるかと、何処で育ったかで違ってくる。 だからシエスタの匂いとこの草原の匂いが重なり、前にこの草原の匂いを嗅いだように感じたのだ。 で、次がこの推理をした名探偵イギーへのシエスタの反応。 「イギーちゃん!?」 『ちゃん』付けだった。 いつもはおれが使い魔だからか『さん』なのに。 きっと今までも心の中ではそう呼んでいたに違いない。 シエスタに会ってからの話は早かった。 おれ達が竜の羽衣を探していると言ったら、それはシエスタの家にあるものだがインチキで名前だけの秘宝だと言う事を教 えてくれた。 それでもここまで来たのだし、一応見ておくことになり、 寺院にある実物を見たのだが、これがビックリ! 飛行機だった! 「まったく、こんなものが飛ぶわけないじゃないの」 キュルケが言い、ギーシュも頷く。 「これはカヌーか何かだろう?それに鳥のおもちゃのように、こんな翼をくっつけたインチキさ。」 「……」 そして相変わらず本を読んでるタバサ。 誰一人としてこれが飛ぶとは思ってないらしい。この馬鹿共が、科学を舐めるな。 ちょっと説明しようとも思ったが、今はもっと情報が欲しい。 おれはシエスタに話しかける。 「シエスタ」 「何?イギーちゃん」 「これについてもっと教えてくれ」 シエスタへの質問の結果、これはシエスタのひいおじいちゃんの物で、そのひいおじいちゃんはこれで飛ぶ事ができなかっ たという事が分かった。 そしてひいおじいちゃんのお墓があると言うのでちょっと見せてもらう事にした。 タルブ村の共同墓地の一画に他の白い石でできたものとは違う、黒い石のものがあった。 それがシエスタのひいおじいちゃんの墓だった。墓石には墓碑銘が刻まれていた。 「ひいおじいちゃんが死ぬ前に自分でつくったそうよ。異国の文字で書いてあるから、 誰も銘が読めなくって。なんて書いてあるんだろうね?イギーちゃん」 さっきからちゃん付けが定着してしまっている。言葉遣いももう友達へのものだ。 「海軍少尉佐々木武雄、異界ニ眠ル」 「え?イギーちゃん読めるの?」 「まあな」 話す事や書く事はできないけど読んだり聞いたりなら六ヶ国語は軽い。 承太郎や花京院、それにアブドゥルと一緒にいたせいか日本語とアラビア語も何とかなる。 寺院に戻ると四人が待っていた。…四人? 「おお!イギー君!」 まばゆく輝くハゲ頭、コルベールだ。何でここにいるんだ? コルベールはかなり興奮している。 「竜の羽衣について君は何か知っている、いや解っているらしいね!?」 多分キュルケ達から話を聞き、そしてそう思ったのだろう。 「是非教えてくれ!」 何でおれが…と前のおれなら思っただろうが、 コルベールとはちょっとした協力関係にあるし、これだって立派な機械だ。 これを応用したものを作るとしても作るのはコルベールだ。知識はあったほうが良い。 そんな訳でキュルケとタバサとギーシュとシエスタは今日泊まる予定の、 そしてコルベールが泊まっている(持ち主の家だかららしい)シエスタの家まで案内され、コルベールとの二人きりでの飛 行機講座は開かれた。 飛行機に触れると左前足のルーンが光り、この飛行機の情報が頭に流れ込んでくる。 そして飛行機が飛ぶ原理やこの飛行機の名前はおそらく『ゼロ戦』で今は燃料がないこと等、今わかっている事や推理した ことを話す。 一通りの事を話し終え、日も暮れてきたところでとりあえず今日は終わりにしようって所でコルベールが口を開いた。 「君は確か異世界から来たといっていたね?」 「ああ、異世界から来た」 コルベールは少し考え、話し出した。 「もしかしたら、君は元いた世界に帰れるかもしれない」 コルベールがこの『竜の羽衣』の存在を知ったのはある伝承からだそうだ。 そしてその伝承によると竜は二匹いたらしい。 その竜は日食と共に現れ、一匹は日食へと消えた。 これはつまり日食が何か関係してるという事。 ゼロ戦に乗って日食に飛び込めば…帰れるかもしれない。 「まあ、証拠なんて一つもありませんがね。けれど、可能性は高いと思われます」 元の世界に帰る。 それは、つまり、あいつらにまた会えるかもしれないという事だ。 しみったれたじいさんが車を運転しながら馬鹿話をして、 そのじいさんのケチな孫がそれを聞き流して、 マヌケなフランス人がそれに笑い、 胡散臭い占い師がそれを聞きながらひょろっちい高校生の事を占ったらヤバイ結果が出て、 その横でおれはガムを食べる。 何が楽しいのかなんて今も分からないけど、楽しかった時を過ごせる。 また、あいつらに会いたい。 これは自分がずっと諦めていた事。 でも諦めきれないから無意識の内に別の目標を作った。 それをする事によって忘れられるように、 『国を作る』そんな事犬にできる訳ないよな、常識的に考えて。 最初は神になるとか言ってた事も会ったけどそれだって本気じゃない。言われた側だってただの誇張表現だと思ってるだろう。 それにおれが帰ることで一つの可能性も伝えられる。 確かアブドゥルと花京院もおれと同じく死んだはずだ。 だがおれはこうしてここに生きている。それは普通にはありえない事だ。 だから花京院とアブドゥルも同じように異世界に飛ばされてるのかもしれない、 もしかしたらハルケギニアの平行世界でルイズの使い魔をやってる可能性だってある。 SPW財団ならこの謎について解明しようとするだろう。 それがもし、上手く行ったのなら。 また、あいつらに会えるかもしれない。 これは嬉しい事だ。 だが、おれは何故だか沈んだ気分でシエスタの家に向かった。 家に入るとシエスタの弟達がやってきた。全員まだ小さい。 そしてそいつらはおれを見て 「犬だ」 一人がおれの体を撫で始めた。 「止めろ」 「喋ったよ」 もう一人なで始めた。だから止めろ。 「可愛いね」 三人目。 「でも元気ないよ」 「じゃあ元気付けよう」 残りも含めて全員でおれの体を撫で始めた。 「おい止めろ!」 だがそう言ってもガキ共はおれの言う事を無視しておれを撫で続ける。 「ああ!もっとやさしく」 一人が胸の方に手を伸ばしてくる。 「そこはダメ!ダメッ!ダメッ!ダメッ!」 何本もの手がおれを撫で回す。 「ああ!やさしくして やさしく!」 トドメとばかりに全員が同じリズムで撫でてくる。 「うああああ!ダメッ!もうダメ~ッ!」 To Be Continued…
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「ところで、いつ出発する?」 ブチャラティが気絶したアンリエッタをルイズの寝床に運びながら一同に質問した。 彼は王女の背面から腕を回して胴を掴むと同時に、膝の下に差し入れた腕で足を支えている。 俗に言うお姫様抱っこだね。 「本当なら今すぐにでも出発したいところだけど、姫様をこのままにしておくわけにもいかないし……」 ルイズはしばらく考えた後、二人に答えた。 「あなた達にも何かと準備があるでしょう? 出発は明日早朝にしましょう。姫様がおきるまで私が気をつけておくわ。あなたたちは自分たちの用意をしておいて。 朝、日の出の時間に正門前に集合ね」 「わかった」 「ルイズ、君も今日は早めに休むんだぞ」 「ええ、あなたたちもね」 ルイズの部屋を出た直後、露伴が口を開いた。 「ブチャラティ、今日はここで分かれよう。僕はこれからすることがあるんだ」 「どうした? 俺も手伝おうか?」 「いや、手伝いは必要ない。二人の人に、僕のマンガが長期休載になるかもしれないことを知らせておきたいんだ」 露伴はルイズに召喚されたその日から、トリステイン学院内でマンガの連載を開始していた。 「その二人とは誰だ? 場合によって話さないほうがいいかもしれないな」 「まず、一人目はコルベール。彼には出版ギルドへの仲立ちをしてもらっているからな」 学者肌のコルベールは技術書や学術書に目がなく、気に入ったものがあると金目に糸目をつけずにその本を買う癖があった。そのため、トリステイン学院を出入りする本商人にとって、彼と知己を得る事は大変に重要なのであった。 露伴はこのコルベールの人脈を介してトリステイン国中の出版ギルドに渡りをつけ、 それらのギルドの出版能力をすべて審査した。 その結果、露伴はギルドの中で最も有能と思われた『トリスタニア出版ギルド』とマンガの出版の契約を交わしていた。 ちなみに露伴の原稿は、毎週の早朝学院から早馬によってトリスタニアの活版印刷の職人のもとへ持ち出される。 この早馬の便もコルベールがオールド・オスマンを口説き落として(というか辟易させて)露伴の原稿のためだけに新設された便なのだった。 「彼なら秘密を守るだろう。問題ない」 ブチャラティは少し考えた後、落ち着いて太鼓判を押した。 彼ならば生徒の身を第一に考えるだろうから、このような大変な話を外部に漏らすハズはない。ブチャラティはそう考えての結論だった。 「二人目はタバサだ」 「どーしてここにタバサが出てくんだ?」 デルフリンガーの柄の上に、『?』マークが点灯した。ブチャラティも同じ反応だ。 「実は、彼女に僕のマンガのセリフ入れを手伝ってもらっている」 岸部露伴は、文字に関してはコルベール先生に教わっているので、学術的な文語的表現については熟練しているが、セリフなどの日常的な言い回しなどは、とてもではないが書きこなせるレベルには達していない。 なので、毎日空いた時間にタバサと図書館で落ち合い、彼女と一緒に、マンガらしく口語的でわかりやすいセリフを考えているのだ。 さすがの露伴も、彼が旅行中に、タバサに図書館で待ちぼうけを食らわせるのは気が引けた。 「じゃあしばらく取材するとか何とか、適当に言いつくろえばいいんじゃねーか?」 「そうだな。デルフの言うとおり、彼女には任務の内容は話すべきなでないな」 「それもそうだな」 二人と一振りの剣は別れを告げ、ブチャラティは男子寮の方角へ、デルフを持った露伴は教員寮にむかって別々に歩き出した。 その会話から二時間後。梟がどこか遠くで鳴いている。 岸部露伴は悩みながら女子寮の廊下を歩いていた。 今はもう深夜だ。よく考えたらタバサはすでに眠っているんじゃあないか? 今回の密命の件をコルベールに打ち明けると、奴は思ったよりもはるかに強硬に、 ルイズをアルビオンに行かせるなと反対した。 あのコッパゲ野郎め。デルフと二人がかりで何とか説得することに成功したが、今度は命を粗末にするなと何度も念を押してくる。まったくうんざりする。 酒を口に入れながらの話だったから話の内容はどんどん長く、くどくなっていくし。 僕はデルフを残してこっそりと部屋を出たが、コルベールのあの様子じゃあ今でもデルフを相手にクダを巻いてるだろうな。 こんなことなら、コルベールよりも前にタバサの部屋に行くべきだったな…… 起こすか? いや、手紙か何かを部屋の前に置いて行くか? そのようなことを考えながらタバサの部屋の前に到着すると、彼女の部屋から明かりが廊下に漏れている事に気がついた。 「おや、おきているのかな?」 「眠れない。あなたのせい」 部屋ををノックした露伴は、ドアを開けたタバサに開口一番、こういわれた。 彼女は腕を組み、体を震わせている。確かに今のタバサは薄い水色のワンピースを一枚着ただけの薄着だが、寮の中は、魔法でどんな季節でも快適なように設定されているはずだ。実際、露伴は薄着だが寒さを感じてはいない。 どうやら彼女は寒くて震えているわけではないらしい。 「なんでだ?……ってオイ!」 タバサが勢いよく露伴に抱きつく。その目には、おびえの感情が見て取れる。 露伴は、タバサの部屋の前の廊下で、当惑の声を上げるハメになった。 「あれ」 タバサは露伴に抱きついたまま、自分の室内を指差した。 彼女が指差した部屋の中の机の上には、先月にでた『ピンクダークの少年』が半開きに、読みかけのページを下にして放置されていた。 その巻は『ウインドナイツ・ロットの幽霊』の話がメインであり、少年を中心に人気のある、怪談ものの話だった。 「もしかして君、幽霊が苦手なのかい?」 露伴は、タバサの少し赤く充血した目を見つめてみた。 「いわないで」 彼女も、彼のかなり当惑した目を上目遣いに見据えた。 彼女の心の底からこみ上げているだろう、恐怖におびえるさまが、日ごろの無感動な態度と明確なコントラストを生じている。 タバサも年頃の女の子なんだな。 そう思った露伴は微笑みながら自然にタバサの頭をなでていった。 ワシワシワシワシワシワシワシ ワシワシワシワシワシワシワシ 「ん…」 タバサの体の震えが徐々になくなっていく。 それと同時に、彼女の頬に少しずつ赤みがさしていった。 「ちょっとは落ち着いたかい?」 「……うん」 タバサはうれしそうに返事した。彼女の心に安心感が芽生えたようだ。 露伴は本題に入ることにし、タバサに向かってやさしく語りかけた。 「話がある、僕はこれからしばらく取材旅行に出かけようと思ってるんだ」 「だから、明日からは君が図書館に手伝いに来てくれても誰もいない。このことを君に伝えに着たんだ」 「………そう」 わずかに語尾を落として返事したタバサは、目をつぶって露伴にささやいた。 「なら、代わりにもっとして」 「なにを?」 「なでるの。頭」 一瞬惑った露伴であったが、そのようなことであるのなら、と思い直し、素直にタバサの言うとおりにすることにした。 ワシワシワシワシワシワシワシ ワシワシワシワシワシワシワシ 「ん…………?」 露伴にとっては静寂の中、タバサの脳内で聞きなれた声が響き渡った。 一般にメイジと使い魔の感覚は共有できる。それを利用して、タバサの使い魔のシルフィードが自分で声を囁き、タバサにそれを聞かせているのだ。 というか、よく見ると廊下の窓の外から水色のうろこがチラリと見えている。 露伴の背中に面した位置にある窓なので、彼は気づいてはいないようだ。 オネーサマ、キャーナノネ!!!! タバサが突然露伴に抱きつくのをやめ、ドアの近くにある自分の杖をとった。 ……ゴメンナサイナノネ… タバサは元の場所に杖を置いた。 「どうしたんだい?」 「なんでもない。杖が落ちそうだっただけ」 「そうか」 窓の外の青色はもう見えなくなっている。タバサは露伴の正面に改めて向かい、 目を静かに閉じた。 ワシワシワシワシワシワシワシ ワシワシワシワシワシワシワシ 露伴の手の動作は、タバサが「もっと」を十回言い、彼女が満足するまで続いた。 「もういいか?」 「……うん」 満足してベッドに戻ろうとしたタバサは、何かを思いついたのか、露伴のほうに振り返り、声をかけた。 「ひとつ、質問」 タバサは露伴に話しかけながら彼の両手を握った。露伴との位置は、彼になでてもらっていたときよりも少しだけ距離がある。 心なしか、彼女は詰問するような口調だ。 「なんだい?」 「『ブルーライトの少女』……」 ギクウッ! 露伴は自分の動揺を気取られまいと、目をタバサからそむけながら返答した。 「ソレガ、ドウカしたのかな?」 タバサは露伴の顔が見られるところまで自分が移動し、露伴の目を正面から見据えて質問した。 「セリフを考えたのは誰? この『ウインドナイツ・ロットの幽霊』の話も」 「私はやっていないし、あなたが考えたにしては口語的過ぎる」 「それはギーシュだよ! 初期は彼にやってもらっていたんだ!」 露伴の首筋から一筋の汗が流れ落ちる。幸いタバサはそれに気づいていないようだ。 「そう」 タバサは安心したのか、露伴の手を離し、自分のベッドに向かった。 「もう、寝る」 「そ、そうか。おやすみッ!」 「おやすみなさい」 逃げるように部屋を出た岸部露伴は、タバサの独り言を完全に聞き逃していた。 「他の女子ではない……」 トリステイン学院が日の出を迎える頃…… 鶏の鳴き声がどこからか聞こえてくる。 早朝、朝もやが視界を狭いものにしている時刻。トリステインの正門前に、三頭の馬が待機していた。 ルイズたち一行は出発の準備を終え、これから乗馬してアルビオンに向けて旅立とうとしている。 「さてと、出発しましょうか」 ルイズがみなに向かって呼びかける。 彼女の話しかけた先には、ブチャラティと、デルフリンガーを持った岸部露伴がいつもの様子で立っていた。 その様子から、彼らに緊張した様子は見られない。二人とも落ち着いている。 「ルイズ、君は、昨晩あまり眠れなかったようだな、大丈夫か?」 ブチャラティの心配にもルイズは気にすることもなく答えた。 「大丈夫よ、ブチャラティ。姫様が気を取り戻すまで看病を続けていただけで、その後はグッスリよ。自分でも驚いているわ。今から国の運命をかけた使命が待っているって言うのにね」 「その分なら大丈夫な様だな」 ブチャラティは内心安堵した。彼は今回の任務で、ルイズが必要以上に気負いずぎているのでは、と一抹の不安を抱いていた。彼はひとつの懸念がなくなったことを内心で喜びつつ、ルイズに確認した。 「これからまずどこに向かう?」 露伴が自分の馬の鞍の位置を細かく直しながら、背後にいるルイズに話しかけた。 「まず、ラ・ロシュルの港街へ向かい、そこからアルビオンの船に乗るわ」 ルイズが手馴れた様子で馬にまたがりながら露伴の質問に返答する。 「私は姫様の代行だから、途中の馬車駅で馬の交換ができるわね。そう考えると… 無理をすれば、ラ・ロシュルの街まで二日でつけるかもしれないわね」 「そうか」 そう返事したブチャラティは、まだ十分に馬を乗りこなせないので、露伴に手綱捌きを教わっていた。 「基本姿勢は手綱をゆるく、水平に保つんだ。後は、曲がりたいとき、自分の行きたい方角へ手綱を寄せればいい」 「本当にそれだけで良いのか?」 「ああ。この馬は調教されているから、速度は前の馬にあわせてくれるだろうしな。 君は列の先頭に出ない限りこれで馬を操れるはずだ」 「なんだか不安だな。ところで露伴、お前なんで馬に乗れるんだ?」 「これくらいは漫画家としては常識の範囲内さ。マナーといってもいいかな?」 ブチャラティは少し離れたところにいるルイズに気づかれないように、彼女に背を向けた位置に移動し、馬のことを教わる振りをしながら露伴にそっと話しかけた。 「ところで、アンリエッタ王女の『使い魔』の件だが…正体はスタンドか?」 「多分な…」露伴はあいまいに答える。彼の口調には罪悪感は微塵もないが、その返答は心底答えにくそうであった。 「多分? お前は彼女を本にして見たはずだろうが」 「その部分は読んでない」 「Cosa?(何だと?)」 「だから、読んでない。知らない」 「テメーッ!王女のスリーサイズだの初潮の日だの読んでる場合じゃねーだろッ! 一番重要な情報を読んでねーじゃねーかッ!」 思わずチンピラ時代の口調に戻るブチャラティ。 「やあ、君t」 「うるさいな!第一あの時誰かさんが邪魔しなければ読めていたんだよ!」 「つーか最初に『能力』を見ろッ!!」 「『能力』は見たさ!『水』系統のトライアングルクラスだよ! でもメイジに『スタンド』があるなんて普通思わないじゃあないか! 意識して探さない限りあの時間では探せないっての!」 「嘘付けッ!」 「あの…」 「そいつはおでれーた。お前ェはあの時王女にそんなことしてたのか! すげぇな、ロハン」 「デルフ!今はそんな事いってる場合じゃねーだろッ!」 「うわッ!ヒデ!俺も会話に参加したいのにさ…」 だが、この喧騒も彼女の一言で打ち切られることになる。 「ふ~ん……姫様に…………そんなこと……してたんだ…」 「お~い……」 「あんたたち…『プライバシー』って言葉…知らない?」 露伴とブチャラティが振り返ると、そこにはピンクの髪の鬼がいた。 ルイズの周りに、何か鬼気迫る危険なオーラが渦巻いている。 「ウフフフフフフフフフ…………『平民』には何を言ってもわからないのかしら?」 ルイズが杖を振り上げながら何やらブツブツと呪文を詠唱している。 詠唱時間の長さから、それなりに大物の魔法のようだ。 しかし、彼女がどんな魔法でも失敗するという事実はかわらない。 変わるのは、爆発の規模だ。 そして、長い詠唱の後、彼女の光り輝く杖が渾身の力をこめて振り下ろされるッ! 「「ヤバイッ!!」」 まさに振り下ろされる瞬間。 二人は今まで口論していたのが疑問に思われるほど、両者タイミングぴったりに杖の振り下ろされる方向からそろって身をかわした。 「ドォブゥッハァ!!!」 あたりに響き渡る壮絶な爆音。 ブチャラティと露伴には被害はなかったが、少し離れたところに穴が開いている。 その爆心地には、見慣れぬ貴族の青年らしいメイジが半分黒焦げで倒れていた。 意識はとうに吹き飛んでいるようだ。 「大変! 傷薬を!」 正気に返ったルイズが男の元に向かい、手馴れた手つきでその男の治療をしていく。 ほっと一息ついたブチャラティは、傍らにいる露伴に話しかけた。 「おい露伴、ルイズのあの手つき。妙に手馴れてないか? まるで何度も他人の火傷を手当てしたことがあるみたいだ……」 「みなまで言うな。君の言いたいことはわかってるさ…… まッ、なにはともあれ、 ルイズの関心がそれたことだし、これで一安心だな」 「なわけあるかッ!」
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モット伯の屋敷が焼け落ちてから数週間が経過したが、大きな動きはなかった。 王宮としても現在はアルビオンへの対処に頭を悩ませなければならないのでそんな一メイジ、それも悪評が立ちまくりなやつなどどうでもよかったのだ。 領地で働いている平民には事故だと知らされ、もうしばらくすれば複数の領主がその土地を分割する手はずになっていた。 「運がよかったわね」 「そうですね。お尋ね者になってしまえば僕も困ってました」 マチルダと花京院はトリステインとゲルマニアの国境付近にある街の酒場で食事をしていた。二人が顔を合わせるのは久しぶりのこと。 マチルダが屋敷から盗み出した宝石などの貴重品を闇市場で金に替えて分配すると、二人組がどうたらこうたらと手配をされた場合に備えて別々に行動していたのだ。 それも杞憂だった、ということだが。 「さて、無事に再会したのを祝したところで、これからどうする?」 「個人的に、行きたいところがあるんですが」 「どこだい?」 「魔法学院、というところです」 マチルダはあからさまに嫌そうな顔をした。そんなところに行けば水が襲ってくるからである。仮にンドゥールが興味なかったとしてもオスマン当たりなどの実力者に発見されれば手痛い目にあうかもしれないのだ。 勘弁願いたいところである。いくら運命に身を任せたといっても急すぎる。 「とりあえず、理由を聞いてくれませんか?」 「ああ。言ってみな」 「この数週間、そこらの書店を見て周り、この世界にやってきた原因を僕なりに調べていました。それで有力なものが見つかりました」 「なんだい?」 「サモン・サーヴァント、というものです」 マチルダは、そういえばンドゥールもルイズの使い魔であったなと思った。 目の前の男もどこぞのメイジがやったそれの失敗で召喚された可能性は大いにある。 「僕の考えはどうですか?」 「……ああ。正しいと思うよ。ま、どこの阿呆がやってくれたのかは知らないけどね」 「いえ、あのまま死んでいた僕を助けてくれたのだから感謝してますよ」 笑っていた。 マチルダは自分も昔、使い魔召喚の儀式を一人で行ったことを思い出した。失敗したが。 「でもねえ、あんた、学院に行ってどうするの? まさか図書館に入らせてくださいって頼んで、やすやすと入らせてもらえると思ってる?」 「駄目でしょうかね」 「そりゃもちろん。だってこの前、盗みが入ったんだもの。注意深くなるに決まってるじゃないか」 「本人が言いますか」 マチルダがかっかと笑った。彼女はすでに花京院に自分の素性を話している。というよりも『土くれ』のフーケなんですか、と、尋ねられたので肯定しただけだが。手配書のまんまであるため気づいて当たり前だった。 「ですが、それでも駄目もとで尋ねてみます」 「仕方ないねえ……」 花京院は放っておいたとしても一人でいくだろう。マチルダとしてもンドゥールにもう一度顔を合わせて自分の感情を整理させておきたい。そこまで考え、マチルダは最初から決まってるじゃないと心の中で笑った。 「いいわ。明日にでも行きましょう」 「ありがとうございます」 二人は馬を駆り、整備されている街道を走っていった。急ぐ旅でもないため村や街に立ち寄り、時には亜人を退治して金を稼いでもいた。 そして出発してから数日後の夕暮れ、タルブという村に二人は着いた。亜人退治のために訪れたわけではない。単に休息のために立ち寄っただけである。 なんでも、変わった料理があるらしいので、ものはついでと食いたくなったのだ。 マチルダが。 「いやしんぼッ! このいやしんぼめッ!」 「お黙り! 別にいいじゃないのさ。そう急ぐもんじゃないだろ」 「まあそうですけどね。それに、景色もいいですし」 二人の視線の先には草原が広がっている。ところどころ朱に染まった花が咲き乱れ、風が吹くと草が波打っていた。 花京院がその光景を眺めながら笑みを浮かべ、語りはじめる。 「この世界に来る直前も旅をしていたんですが、過酷なところばかりでした。海中、砂漠、飛行機は落ちるし……」 「ひこうき?」 「空を飛ぶもんです。ここにはありません」 竜かなにかかしら、と、マチルダは思った。 花京院はかすかな笑みを浮かべてこう付け加える。 「それでも楽しかったものです」 「なんだか羨ましいね。ほら、さっさと宿を探すよ」 マチルダは草原から離れ、村に入っていった。花京院もあとに続く。 タルブの村はこれまで何度も訪れた農村と同じものだった。果樹園があり、畑があった。 手入れを欠かしたことがないのだろう。いまにも収穫できそうに膨らんだ果実があった。 小さな喜びを積み重ねている村の歴史が想起できた。花京院が仕事帰りの人間に声をかける。 「すいません。どこか泊まれるようなとこはないですか?」 「ん、なんだ、あんたら旅人か? それなら村長のところにいけばいいぜ」 「ありがとうございます」 二人は礼をした。 村長に話をすると、快く招いてくれた。商人をいつも泊めているらしく、離れの客室は立派なものだった。しかし、マチルダは一つだけ不満があった。 「なんで布団が一つなんだい」 「まあ男と女の二人旅ですからね。そう勘違いされるのも仕方ないでしょう」 「あんたと恋仲になったつもりはないんだけどね。飯時にでも言うか。で、これからどうする? 寺院でも見に行くかい?」 寺院というのは本来、始祖ブリミルを祭るものであるがこの村ではちっと違うとのことだ。 いや、ブリミルを崇めることには変わりないが、大昔にふらっとやってきてそのまま 居ついた人物が妙な寺院を建て、『竜の羽衣』と呼ばれる御神体を飾っているとのことだ。 興味は引かれる。 花京院は外を見た。夕日がまた落ちていない。 「そうですね。行ってみます。マチルダさんはどうします?」 「あたしも行くさ。ノリアキ」 村長にすぐ戻ると言いつけ、外れの寺院に向かった。 その寺院は村長の言葉通り、妙な形をしていた。丸木で組み立てられた門に石ではなく板と漆喰で作られた壁、木の柱、白い紙と綱で作られた紐飾り。 一般的なものとは大きく変わっている。 「確かに珍しいねえ。どういう流れでこんな形を取ってるんだろうね」 ブリミルを祭るとはいえ、始祖が降り立ってから数千年が経過しているため地方や国ごとに形は変わっている。 とりわけここ最近のものは新教徒などというものが出てきたため古い寺院と形が大きく変わっているところがあった。 しかし、この目の前のものをマチルダは見たことがない。可能性があるとしたら東方かと、彼女が頭を悩ませていると隣の花京院が地面に崩れ落ちた。 「急にどうしたんだい」 「……あまりに驚いて、その、腰が抜けました。すいません」 マチルダの手を借り、花京院が立ち上がる。彼は額に大粒の汗をかいていた。 「戻って休むかい?」 「いや、それには及びません。中の御神体を見てみましょう」 「わかったよ」 花京院は別に体調が悪くなったようではなかった。マチルダは気に掛けながらも寺院に近づいていった。 ところが、彼女はある奇妙なことに気づく。門がゆれているのだ。それも風に。 脳裏にある男の影が過ぎった。 すぐさま杖を引き抜く。精神を戦闘のできる状態にまで引き上げる。 「ノリアキ、スタンドで中を探って」 マチルダの強い声に、花京院はすぐさま『法王の緑』を出現させる。 しゅるしゅると身体をひも状にして中へ伸ばしていく。 「誰かいる?」 「いえ。ですが痕跡があります。ついさっきまで誰かがここにいました」 「そう。ノリアキ、スタンドを戻して」 マチルダは周囲を見やる。誰もいない。気のせいだったかと思いかけたとき、視界の隅に見覚えのある帽子を被った男がいた。そいつは草原の近くにある森の中に隠れるように走っていった。 なぜあいつがここにいる。マチルダは、背筋に冷たいものを感じ、即座に走り出していた。 「ついてくるんじゃないよ!」 マチルダが森の中に入り、歩き回るうちに日は完全に落ちてしまっていた。それでも彼女が見た人影は見つかっていない。見間違い、だったとは思えない。 寺院の中から吹いた風、あれは間違いなくあの男のものだったのだ。 しかし、どうやら完全に見失ってしまったようであった。彼女はひとまずタルブに戻るべきかと踵を返した。その目前に、男はいた。 「久しぶりだな。マチルダ」 「やっぱりあんただったんだね。ワルド」 男、ワルドは木の幹に背を預けている。右手に影に溶け込む黒の手袋をしていた。 あれはおそらく義手だ、と、マチルダは当たりをつけた。 彼女は杖先を向け、全身にじわりと殺意の熱を伝導させる。 体と心を構えた。 「いまさらこの国に何の用だい」 「下見だ。近々侵攻作戦が行われるのでな」 「へえ。ま、あたしは全然興味ないけどね。勝手にやってたらいいさ。でも、わざわざ顔を出したってことはそれだけじゃないんだろ?」 「話が早くて助かる」 ワルドは杖を抜いた。 「マチルダ。レコン・キスタに来い。我らには優秀なメイジが必要だ」 「いやだね。貴族やらなんやらは懲り懲りだよ」 「そうか」 風が襲い来る。強風ではなく暴風、木をへし折りマチルダを軽々空に舞わした。彼女はそれでも慌てない。宙を舞いながらしっかりとワルドを見つめ、魔法を唱えた。 ワルドのそばにゴーレムが生まれ、土の拳で殴りかかった。それは顔面に命中、したが、彼は霞になった。風の遍在。 マチルダは地面に着地し、身体を思い切り捻った。 肩に痛みが走る。血が飛ぶ。歯を食いしばり蹴りを見舞う。 「――さすがだなマチルダ」 「それはどーも。あんたのせこさに敵いはしないけどね」 マチルダは肩を押さえる。即座に反転したおかげで傷は浅い。 彼女の目の前には脇腹を押さえているワルドがいる。最初から背後に隠れ、遍在で攻撃させたのだ。だがマチルダも経験は豊富。相手の能力がわかっていればどういう作戦を立ててくるかも想像がつくもの。本物が顔を見せるとは砂粒ほども思っていなかった。 「やはりお前の力は欲しい。魔力だけではなくその判断力。レコン・キスタに入れ。 お前ほどのものであればそれなりの地位に着ける」 「いやだっつってんでしょ」 「お前の意見は聞いていない」 杖が唸りを上げて迫った。マチルダはそれを避けながら詠唱を始める。 だが、ワルドもそれは同じ。 『エア・カッター』 『ゴーレム』 ワルドの魔法をゴーレムで防ぐ。錬金が甘かったため簡単に真っ二つになったがその隙にマチルダはナイフを投げた。 「ちい!」 外したマチルダ、かろうじて避けたワルドが発する。 「姑息だな」 「そうさ。あんたみたいにね」 「そう言われれば、もっと卑怯な手を使うことにしよう」 マチルダを暴風が襲う。砂が巻き上げられ、地に踏ん張ることもできなくなり空を飛ぶ。 フライで体勢を変え地上に降り立とうとするが、彼女の視界に杖を差し向ける四人のワルドが見えた。 「マッズイわね、こりゃ」 風が幾重にも重なりマチルダに襲い掛かる。無数の刃に切り裂かれ、細かい傷がつけられる。愛用のコートもずたボロだ。どうにかレビテーションで着地をするも、畳み込むように魔法が向かってきた。殴られ切られ、弱い電撃を浴びせられる。杖は離していないが詠唱する暇がない。このままでは、なぶり殺しにされてしまう。 ちくしょう―― 「ぬおあ!」 急にワルドの悲鳴がした。魔法も止む。 マチルダは痛む身体を起こした。見ると、ワルドの遍在が一体消し飛んでいた。そして彼らが睨むその方向には、深緑の男が立っていた。この短い旅で親交を深めた、花京院。 「やはり、きたか」 ワルドが呟く。 花京院は黒眼鏡を外し、懐に収める。 「まるで予測がついてたようですね」 「そうさ。だから、お前の相手も用意している」 地より水が突き上げた。 「これは……」 それは花京院へ向かう。蛇のような不規則な動きで襲い掛かる。しかし、マチルダの知るものよりはるかに速度が遅い。花京院も『法皇の緑』で宝石を打ち出し水を散らした。 「遅いぞ」 「すいませんね。いや、ちょっと準備に手間取りまして」 そう言って、もう一人姿を現した。顔の半分が火傷に覆われている。マチルダと花京院にも見覚えがあった。先日仕置きをしてやった水のメイジである。 名前は、モット。 「なんであいつが生きているんだい」 「ああ、彼は予備の杖を地下に隠しておいたのだよ。それでも、あの火災で気を失っていたようだがね」 詰めが甘かった。マチルダは悔いるが、遅い。 「よくもまあ、あっさり仲間になったもんだね。女を渡してやるとかいったのかい?」 「ああ。性格は誰よりも醜いが、力だけはある。モット殿、そっちの男は任せましたぞ」 「おお!」 モット、すでにレコン・キスタに魂を売った男は花京院を森の奥に引き寄せた。彼にとって予想外だったのは水を使った攻撃をいとも簡単に打ち払われること、それだけだ。 作戦はすでに進行している。 人がいい、その弱点を突く。 「エメラルド・スプラッシュ!」 緑の像から宝石が打ち出される。モットは俊敏さが皆無のため氷を盾にしてそれを防ごうとする。しかし、なにぶん数が多いため二つほど身体に当たってしまった。 しかし彼も水のトライアングル、すぐさま治癒は完了する。 と、続けざまに宝石が飛んできた。魔法使いではない。詠唱を必要としないのだから厄介な相手である。まともにやりあえば力押しされて今度こそ殺されるか再起不能にされてしまう。だが、モットはただの悪党ではない。腐った悪党であった。モットは物陰に隠していたものを引っ張り出した。 「貴様……」 花京院が攻撃を止めて怒りをもらす。モットの腕の中に、裸の女がいた。 その人物はモットの毒牙にかからずにすんだものだった。 「わかってるだろうなあ。お前が動いたら、この女を見るも無残な姿に変えてやる」 「人質とは、随分汚い手を使う」 「なんとでもいえ。俺を舐めてくれた代償だ。お前たちはぜっっったいに、許さん! 出て来い!」 モットの声に応じ、木の陰から武器を持ったものが何人も出てきた。着ている服から傭兵などではなく農民だというのがわかる。しかし、タルブの村のものではなかった。 彼らの中に、姉を救ってくれと懇願してきた少年がいた。彼は顔面に大きな痣がついている。 「……ごめん、にいちゃん。俺は、」 少年の瞳には涙が溜まっていた。恩人に刃を向ける、そのことがどれほど辛いことか。 そして、己に逆らってきたものたちが苦しむさま、それらがどれほどモットに心地よいものか。 「いいか! さっきの使い魔を出すんじゃないぞ! 出したら即刻この女を殺してやるからな!」 花京院はおとなしくスタンドを消した。 「やれ!」 少年とその親であろう者たちは襲い掛かった。慣れていない武器をふるって花京院を殺そうとした。しかし鍬やカマとは使い勝手が全然違ううえ心が拒否をしている。この男を、恩人を殺したくないと。 標的の身のこなしもあって、いつまでたってもこの戦いは終わりそうになかった。だが、モットはここで一つのゲームを提案する。 懐から短い蝋燭を取り出した。 「いいか。これにいま火を点ける。この蝋燭が溶けきって、それでもまだ毛ほどの傷も男になかったら、この女の胸をえぐる」 「人間、ではないな。罪悪感はないのか」 「ざいあくかんんん~? 虫けらどもにそんなものが湧くか! お前たちはただ俺を楽しませればいいのだ!」 甲高い、醜い笑いがこだまする。 「さあ、スタートだ!」 火をつけられて女の家族はもう心の枷を外した。一心不乱で花京院に襲い掛かる。 何よりも大事なのだ。かけがえのないものなのだ。そのためには罪をも犯す。 涙を流し、喚き、剣を振るった。しかし、花京院にはそれでも当たらなかった。 かすりもしなかった。 「おいおい、当たってあげたらどうなんだ?」 「断る。貴様の思い通りにはならない」 「聞いたか? お前たちの姉がどうなってもいいんだとよ。ほら、早く殺してしまえ」 モットはそういうが、花京院は軽々と避けていく。少年たちは何度も当たってくれと泣き叫んだ。 やがて時間が進み、ろうが溶けきろうとしていた。そのときになって、ようやく花京院は己の足を止めた。 「観念したようだぞ! はやくやれ!」 女の家族たちは武器を握り締め、彼を囲んだ。にげようとしなくなったので心の火が急速に勢いを弱めたようだった。 「ほらほら時間がないぞ。早くしないか」 憎い男の声がした。できることならあの人物を切り刻みたい。みなそう思っていた。 しかし、できない。無力であるから、力がないから言われたとおりにするしかない。 じりじりと、女の弟である少年が花京院に近寄っていった。ナイフの切っ先を向ける。 「――ごめん」 少年のナイフは当たるどころかかすりもしなかった。花京院はすっと彼を避けて歩みだした。拍子抜けしたモットだったが、すぐに水を花京院の目の前に突き出した。 「なんのつもりだ? この女がどうなってもいいのか?」 「いや、よくない」 「なら後ろに下がれ。下がって狩られろ!」 「それはやめておく。痛いのは嫌だ」 「ふざけてるのか!」 「ふざけてない。僕は、たんに貴様の思い通りになるのが嫌なのだ。貴様みたいな小物に従わせられることが。誇りがあるからな」 「誇りだあ? お前みたいな平民がなにを言っているのか。そんなものを口にしていいのは貴族だけだ。俺のような、魔法を使えるメイジだけだ!」 花京院は笑った。 「なにがおかしい」 「おかしいさ。こんなことをしておいて、まだ自分に誇りなんてものがあると思い込んでいるんだからな」 馬鹿にした笑いだった。見下された笑いだった。 それはモットの怒りに薪を注ぎ足す行為だった。 「もう……もういい。お前たちは、泣け。泣き喚け。絶望に身をよじろおおおお!」 花京院の眼前にあった水がモットに飛び掛った。それは女を、身動きのできぬ女を狙ったものだった。 刃はやすやすと肉を突き刺した。 「なあ、なあああああ、なんんでえええ水が俺を刺したんだよおおおおおおおお!」 モットの手から杖が落ち、彼の身体を突き刺していた水は形を成さずに地面に流れた。押さえが外れたためその上に血が流れ落ちる。 人質になっていた女は、モット自身が直前に放したので無事だった。花京院は彼女を抱えて少年たちに向かって歩いていった。 そして大柄な体格をしたもの、恐らく父親に渡した。 「さて、おまえをどうするかだが、どうなりたい。モット」 「ひ、ひぎいい、痛いんだ。痛いんだよおお。な、治してくれええ。杖を取ってくれるだけでもいいからよおおおお」 「そうか助かりたいか」 花京院はモットのところに戻った。 「何も知らないままではかわいそうだ。せめてもの情け、どうして水がお前を突き刺したか、それぐらいは教えてやる。僕のスタンド、法王の緑は紐状になることができる。そして人の身体の中に侵入して操ることができる。僕はお前の意識だけを残し、身体を操った。 さて、それで、これからどうすると思う?」 「た、助けて、助けてくださいいいい。いのち、命だけは、命だけはああ……」 「お前はいままでそう懇願してきたものを助けてきたか?」 いいや、痛めつけて悲鳴を奏でさせた。 「や、やめて、やめて、やめてくれえええ」 「だめだね」 花京院はモットに背を向けた。 「絶望に身をよじり、死ね」 言葉が終わると、モットの中で何かが切れた。彼の人生はここで終結した。 花京院のもとに少年がやってきた。痣だらけの顔には、またしても涙が流れていた。だけど言葉は、生まれてこなかった。謝罪をするべきだ。 礼を言うべきだ。 でも、彼の口からは何も出てこなかった。 「俺、俺……」 花京院は布を当てる。 「その顔、君はあの男に殴られたものだろう?」 縦にうなずいた。片目がつぶれていて腕や足にも傷がついている。 「よくやった。敵わなかったが、それでも君は、この『世界』と戦ったんだ。 誇りに思えばいい。貴族でもないし、魔法も使えないけれども、君は立派だよ」 「……」 「それじゃあね。僕はあの人のところにいかないといけない。今回は駄目だったかもしれないけど、生き残ったんだ。次こそ、いつか危ない目にまたあったとき、守ってやればいい。がんばれ」 「……がんばる」 ぽんぽんと少年の頭を叩き、二人は別れた。 ワルドは改めて杖を構える。花京院とモットは少し離れたところで戦いを始めていた。 「さて、お前の頼みの綱は切れたぞ。フーケよ、まだ下らんか」 「当たり前じゃないか!」 マチルダは地面の土を蹴り上げた。それは魔法で鋭利な刃と化しワルドを襲った。 不意を突いたおかげでいくつか掠めるが軽傷だ。 勢いと重量が足らない。 「どこまで刃向かうつもりだ?」 「そうさね。どこまでもか、ね」 風の拳に殴られる。胃液を吐く。血が出ないことから内臓は大丈夫のはずだ。 打撲ぐらいにはなってたりするかもしれなかったが。 ワルドが近寄り、マチルダを見下ろした。感情のこもっていない瞳。 「お前は、なぜ頑なに拒否をするのだ」 「わからないのかい?」 マチルダは立ち上がる。ふう、ふう、と、荒い呼吸を繰り返す。全身から血が流れ、顔も土に塗れている。圧倒的な敗北、それを前にしている。それでもなお、彼女は以前戦った少年のように強く気高い視線を向けた。 「あんたってさあ、一つのためになりふりかまわず、どんなことでもするでしょう。 どんな汚いことでも、ね」 「ああ。もちろん」 マチルダは笑う。 「だからさ。こんな盗人で、どうしようもないあたしだけど、大切なもんがあるんだよ。 もし、あんたたちに与して、そういうことをして、そこそこの地位を得て、金を得たところで、その大切なもんはきっとあたしから遠ざかっていくんだよ。だから、あんたの仲間になっちゃいけないのさ。だから、あんたたちに――」 マチルダは後ろに下がった。 「負けやしないんだよ!」 杖を振り魔法を使う。その呼びかけに応じ、彼女の足元から大型のゴーレムが生まれ出てきた。 「ふん。くだらん感傷だ。マチルダ、お前には失望した」 「結構だね! やっておしまい!」 命令を受け、ゴーレムは腕を振るった。木々をなぎ倒しワルドを狙う。だがその質量のため動きは遅い。ワルドも風の扱いは一流、蝶のように避け魔法を放つ。それは直撃しないもののマチルダに新たな傷を作っていく。 さらにワルドの遍在も四体に戻り、彼女をペンタゴンのように囲んでしまう。 逃げ場所は、ない。 「まずはその煩わしいゴーレムからだ!」 五人のワルドが同時に魔法を放った。五つの風がゴーレムに食らいかかり巨体を揺らす。破壊力を逸らすこともできず、ゴーレムは粉みじんに砕け散る。土が地面へ降り注いだ。 ワルドはここで気づいた。マチルダがいない。彼女はゴーレムの破壊に乗じてその身を隠したようである。 逃げた、わけではない。土を被り息を殺しているのだろう。ワルドの顔に笑みが浮かんだ。心底滑稽だといわんばかりの。 彼は魔法を使った。風が周囲の土を巻き上げていく。マチルダごと巻き上げてしまいそうな暴風だった、が、彼女は地面に蟻のように張り付いていた。 「無様だな。マチルダよ」 そう言ってワルドは歩み寄る。マチルダはうつぶせになって睨み上げていた。 その瞳にまだ諦めはない。用心をする。 「なにか、まだあるのか?」 ワルドがすぐそばに近寄り、見下ろした。瞬間、マチルダは身体を捻りワルドの身体を剣で切り上げた。錬金で作り上げた剣を地面に埋もれさせていたのだ。 しかし、 「惜しいな。それも遍在だ」 そう言い、ワルドはマチルダの腕を剣杖で貫いた。 「ああ、あああああ!」 「ふむ、妙齢の女の悲鳴か。モットが喜びそうだが、俺にとってはただうるさいだけだ」 マチルダの腹を踏んだ。彼女は息がつまり、悲鳴も止んだ。 ワルドは杖を引き抜いた。 「さて、最期の勧誘だ。レコン・キスタに入れ」 勝敗は決した。兎が虎に勝てぬように、トライアングルはスクウェアには何があろうと勝てはしないのだ。 ワルドはそう思っていた。 マチルダは見上げた。 「あんた、あんたが――………」 「聞こえん。大きな声で言え」 マチルダはつばを飲んだ。 「………あんたが、やったんだ」 「はあ?」 「不思議に、思わないかい?」 「なにをいっている……」 ワルドは気づいた。この最期のときにおいて、マチルダの瞳に絶望というものがないということを。 マチルダは続けた。 「あんたが巻き上げた土。あれは、どこに――」 ワルドは聞けなかった。己の絶叫と、痛みで。 彼の肩に一本の剣が突き刺さっていた。杖が落ちる。 「――な、なんだこれは!」 続けて遍在にも剣が突き刺さり、消えていった。ワルドは上空を睨んだ。空には、信じがたい光景が広がっていた。 剣、ナイフ、それが宙に浮いていた。種類はそれだけだ。だがその数は、空を覆わんばかり。 それほどの無数の刃が彼らに向けて落ちてきていた。 「は、はは、さしずめ『ソード・レイン』っていったところかね」 ワルドはこの土がどこから出てきたのか、すぐに勘付いた。 「貴様、俺が巻き上げた土に錬金を――」 「正解。あたしの風だけじゃ心もとなかったからね。あんたのを利用させてもらった、よ!」 懐のナイフでワルドの足を刺した。 「逃がしはしない。この雨を、受けきりな!」 「よせ! 剣を変えろ! お前も死ぬぞ!」 「それもいいんじゃないかい?」 「そんな! そんな馬鹿な! この俺が、こんなところで――」 ワルドの声が途絶えた。喉を貫かれたからだ。さらに続けて全身を刃が貫く。 剣と血の雨が降った。 マチルダはワルドを蹴っ飛ばした。 彼女の身体には無数の傷がつけられていたが、大きなものは一つもなかった。 自身が作り上げた剣やナイフは当たりはしたが、深くはならなかったのだ。これは運がよかったというのではなく、盾を使ったからだ。 ワルドという肉の盾を。 もはや物言わぬ死体を見下ろし、マチルダは呟いた。 「こういうとき、なんていうのかね」 「正義は勝つ、でいいのでは?」 その声に振り向くと、花京院が立っていた。満身創痍のマチルダと対照的に無傷である。完勝したようであった。 「そっちはどうだったい?」 「少々疲れました」 「あたしはもう動けないぐらいだよ」 花京院が手を差し出した。マチルダはちょっと考えたものの、土と血で汚れたままの腕を差し出した。そのとき、花京院は予想外の行動に出た。 「ちょちょ、ちょっと!」 「どうしました?」 「どうしましたじゃないよ! なんでかかえる必要があるのさ!」 その通り、花京院はマチルダを立たせたのではなく俗に言うお姫様抱っこをしたのだ。 二十を過ぎてこんなことをされては彼女も恥ずかしい。だが、いくら叫んでも彼は彼女を降ろそうとはしない。 「動けないっていったのはあなたじゃないですか」 「それはそうだけど、あたしゃいい年だよ。ちょっとキツイ……」 「我慢してください」 やがてマチルダも体力がないので暴れることをやめ、花京院に身を預けることにした。 しかし、最期に一つ。 「あたしなりの敬意だよ」 魔法を使い、ワルドの体を土に埋めた。墓標はない。 「ああ、もうこれでスッカラカンだ。とりあえず眠るから、説明は頼むわ」 「わかりました」 マチルダは花京院の首に顔をうずめ、静かに眠りについた。
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使い魔 契約した使い魔。召喚獣と違い、魔法陣の中ではなく美緒の部屋で生活している。 勝手に出歩いたりもするが、美緒が呼べば使い魔契約によって 問答無用でワープしてくる。呼び出しに魔力を使わないので負担が軽い。 美緒は『召喚獣』とひとくくりにして扱う事が多い。 ルナリア 種族:吸血鬼 外見年齢:17歳 容姿 蝙蝠羽を生やした赤髪赤目の吸血鬼少女。黒いリボンで括ったサイドポニーと 自己主張の激しいアホ毛がポイント。露出高め。蝙蝠に変身もできる。 美緒ほど大きいわけではないが、バストは充分豊か。 むしろ、全体のバランス的に言えば美緒よりナイスバディと言える。ほどよい肉付き。 備考 能天気吸血鬼。行き倒れているところを拾ってもらった恩返しをするために契約した。 自由奔放で天真爛漫、主人が居るとは思えない程の一人歩きっぷり。 面白い事、楽しい事が大好きで、幼い少女のような振る舞いが目立つ。 しかし時折魔族らしい一面を見せる事もあり、底の知れない部分も垣間見える。 吸血鬼らしく日光に弱い。灰になってしまう事はないが、魔力等はかなり弱まる。 (E~F組の魔術師と互角程度) 楽しむことだけを考えて迷いなく戦うが故に、意外と戦闘能力は高い。 +ひっさつわざ 使える技。必殺かどうかは定かでは無い。 ウェイブサーチ 超音波を利用した高性能レーダー。物探しや追跡のお供に。 ピンヒールシューティングスター 靴のかかとに魔力をこめて蹴る。痛い。 ルナティックチャーム 適当にウインクして魅了する。本人曰く才能。 さして効果が強いわけではないが、なんとなくルナリアの味方になりたくなる。 ブラッディクロー 指先に魔力の爪を形成する。硬いし痛い。 ・割とどうでもいい気がする設定 学校内を散歩するのが趣味、というか生活の大半は学校徘徊(寮も含む)。 無論個人のプライバシーなぞおかまいなし。蝙蝠状態だと99%バレない。 そのおかげでやたらと情報通で人脈もある。隠密行動にかけては忍者級。 本人としては、単に好き勝手やってるだけ。多大な情報も人脈も全部副産物。
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ドンキーコンガ 機種:GC 作・編曲者:小沢純子、自営山 開発元:任天堂、ナムコ 発売元:任天堂 発売年:2003 概要 ドンキーコングシリーズの音楽ゲーム。 コンガというタルの楽器を叩いてリズムを取るゲームで、『太鼓の達人』で知られるナムコとの共同開発。 ゲームデザインやサウンドはナムコのスタッフが担当した。 後にこのコンガを使ったアクションゲーム『ドンキーコング ジャングルビート』が発売された。 続編として『ドンキーコンガ2 ヒットソングパレード』と『ドンキーコンガ3 食べ放題! 春もぎたて50曲♪』がある。 収録曲はラテン音楽からアニメソングまで、小さなお子さんから大人まで楽しめる曲がいっぱい。 コンガに合うような、トロピカル・ジャズアレンジされた曲もある。 サウンド担当の1人である自営山(Jesahm)氏は、ジャズテイストの曲を作るのを得意としているのでどれもアレンジは本格的。 収録曲 曲名 作・編曲者 補足 順位 ドンキーコンガ メインテーマ 曲セレクト スーパーマリオのテーマ ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」の地上BGM モンキーラップ ゲーム「ドンキーコング64」のOPテーマ 風のららら アニメ「名探偵コナン」OPテーマ またあえる日まで アニメ「ドラえもん」EDテーマ カービイ! アニメ「星のカービィ」OPテーマ ハム太郎とっとこうた アニメ「とっとこハム太郎」OPテーマ アドバンス・アドベンチャー アニメ「ポケットモンスターアドバンスジェネレーション」OPテーマ THE GALAXY EXPRESS 999 アニメ「銀河鉄道999」テーマ曲 COLORS 桃色片思い 明日があるさ Fly high SHAKE 恋のダンスサイト ミニモニ。ジャンケンぴょん! DESIRE ―情熱― 明日への扉 テレビ「あいのり」OPテーマ Love Somebody テレビ「踊る大捜査線」 EDテーマ We are the ONE ~僕らはひとつ~ テレビ「爆竜戦隊アバレンジャー」EDテーマ ひょっこりひょうたん島 テレビ「ひょっこりひょうたん島」 OPテーマ 愛のうた ゲーム「ピクミン」CMソング 伝説のスタフィー ゲーム「伝説のスタフィー」CMソング 森のくまさん アメリカ民謡 クラリネットをこわしちゃった フランス民謡 大きな古時計 ラ・バンバ メキシコ民謡 マンボNo.5 マシュ・ケ・ナダ ハンガリー舞曲 トルコ行進曲 オクラホマ・ミキサー アメリカ民謡
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怒りという攻撃的な感情は、恐怖という守備的な感情を容易く塗りつぶしてしまう。 ギーシュがこういう行動に出ることは百も承知だったのか、 ルイズはとっくに杖を構えていた。 呪文など、ギーシュのビチグソ発言と同時にほぼ終了させている。 今のギーシュは忘我状態であり、彼が操るワルキューレも動きが直線的だ。 これは最初から決闘などではなかった。 ルイズの憂さ晴らしという名の出来レースであった。 だが、ギーシュのワルキューレ達がその間合いに入る前に一陣の風が舞い上がり、 ワルキューレを吹き飛ばしてしまった。 「誰だッ!」 ギーシュは激昂してわめいた。 もう少しであの憎きビチグソを、こうしてああしてヘラヘラアヘアヘ……etc. な所だったに! という具合だ。 ギーシュの喚き声に応じるように、朝靄の中から一人の長身の貴族が現れた。 立派な羽帽子に、立派な髭、それに精悍な顔つきをした若者だ。 その顔を見て、確かアンリエッタの行幸の供をしていた人物であると、 ルイズは思い出した。 思い出した途端、ルイズは驚きの声を上げた。 「ロードローラー……!!」 勿論、彼の名前はロードローラーなどでは断じてない。 彼の名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 れっきとした人間であり、貴族であり、子爵であった。 ルイズは先日のショッキングな夢を、まだひきずっていた。 「貴様、神聖な決闘を冒涜するか!」 ギーシュはすっと薔薇の造花を掲げたが、ワルドはギーシュよりも素速い動作で杖を引き抜き、薔薇の造花を吹き飛ばした。 主の指示を伝える媒体を失い、二体のワルキューレは音もなく土に還った。 「水を差して申し訳ないと言いたいところだが、残念ながら貴族同士の決闘は禁じられている。 紳士ならば、そこの所をよく理解してくれ」 長身の貴族は帽子を取り、一礼した。 「女王陛下の魔法衛士隊が一つ、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ。 姫殿下より、君達に同行することを命じられてね。 君達だけではやはり心もと無いらしい。 かといって、隠密の任務であるゆえ、一部隊つけるわけにもいかない。 そこで、僕が指名されたってワケだ」 文句を言おうと口を開きかけたギーシュは、相手が悪いと知ってうなだれた。 魔法衛士隊は、全貴族の憧れである。 それはギーシュも例外ではなかった。 しかし、ルイズのした事はどうにも腹に据えかねるようで、 ギーシュは不満げな顔をしたままだ。 ワルドはそんなギーシュの様子を見て、首を横に振った。 「すまない。 婚約者が危険な目にあっているのを、見て見ぬ振りは出来なくてね」 それを聞いたギーシュは、有り得ないといった表情でルイズを見た。 あのルイズが! 魔法の使えない『ゼロ』が! 魔法衛士隊隊長と、婚約しているとは。 そういうところは、腐っても公爵家三女ということかと考えると、 ギーシュは何だかやり切れない思いだった。 その当のルイズはというと、俯いて何やらブツブツ呟いている。 目が虚ろだ。 冷静になって考えてみると、ルイズはやはり恐怖の対象以外の何者でもなかった。 しかし、ワルドはそんな事はお構いなしといった風にルイズに駆けより、 人懐っこい笑みを浮かべた。 「久しぶりだな、ルイズ!」 しかし、ワルドの呼びかけにも、ルイズはその顔を上げることはなかった。 俯いたままのルイズを、ワルドは恥ずかしがっているのだと思い、抱えあげた。 その時初めてルイズはワルドを見たが、その目はまだ光を取り戻してはいなかった。 「相変わらず軽いな君は! まるで羽のようだね!」 「……へ? あ、あぁ、そうですね。 テントウ虫はお天道様の虫です。 幸運を呼ぶんです」 支離滅裂な返答に、ワルドはようやくルイズの異変に気が付いた。 「ル、ルイズ? 僕のルイズ?」 ワルドはルイズの体を二、三度揺らした。 そのおかげか、いろんな意味で頭がコロネになりかけていたルイズが現実に舞い戻った。 「…………ハッ!? ミ、ミスタ・ワルド!! いつのまに!?」 ルイズは、突如目の前に現れたワルドに目をぱちくりさせた。 ルイズがまともな反応を返してくれたことに、ワルドはひとまず安堵のため息をついたが、 やがて寂しそうな顔をした。 「ルイズ、随分と他人行儀じゃないか。 昔のようにワルドと呼んでくれないのかい? 悲しくなってしまうよ」 ルイズは取りあえず自分を下ろすようにワルドに目で訴えた。 ワルドはルイズを地面に下ろし、帽子を目深にかぶった。 ワルドの寂しそうな声を聞いても、ルイズは何故かワルドをワルドと呼ぶ気にはなれなかった。 それは、ルイズ自身にとっても不思議な感覚であった。 例え過去の人物であったとしても、ワルドはルイズにとって憧れの人であり、 ルイズはそんなワルドを信頼していた。 しかし……心の中の何かが、過去に囚われるなと言っているのだ。 あらゆるものに勝利し、あらゆるものを支配しろと声高に命令してくる。 その対象は、目の前のワルドですら例外ではない。 どうしてこんなことを考えているのだろうとルイズは思索しようとしたが、 そうしようとすると、決まって頭がボーっとしてくるのだった。 ルイズはとうとう、ワルドの願いを無視することにした。 「ミスタ・ワルド。 同行するものを紹介します。 使い魔のDIOと、ギーシュ・ド・グラモンです」 ルイズは交互に指さして紹介した。 シエスタをワザと除外していたルイズだが、シエスタは全く意に介していないようだった。 ルイズはまた少し苛ついた。 ルイズの冷たい態度に、ワルドは少し傷ついたような顔をしたが、 直ぐに真面目な顔つきになると、DIOに近寄った。 「君がルイズの使い魔かい? 人とは思わなかったな」 礼儀正しく話しかけたつもりのワルドを、DIOは一瞥した。 最初こそしげしげと見つめていたDIOだったが、 やがて興味を失したのか、ふいと視線を逸らした。 「僕の婚約者がお世話になっているよ」 「全くだな」 DIOの皮肉に、ワルドは気まずそうな笑みを浮かべた。 その隣で、ルイズが鬼のような顔をしていた。 いつものように爆発するかと思いきや、ワルドが隣にいるからか、 ルイズは躊躇しているようだった。 DIOは、そんなルイズにつまらなさそうな顔をした。 大方の顔合わせが終わると、ワルドは口笛を吹いた。 すると、上空からグリフォンが現れ、一行の目の前に着地した。 鷲の頭と上半身に、獅子の下半身を持った幻獣であった。 「おいで、ルイズ」 ワルドはひらりとグリフォンに跨ると、ルイズに手招きした。 ルイズはDIOとシエスタを交互に見て、しばらく考える仕草を見せた。 やがて顔を上げ、ルイズはワルドに答えた。 「嬉しい申し出ですが、遠慮させていただきますわ。 もう馬も用意してしまったことですし」 誘いが空振りに終わってしまい、ワルドはますますもって寂しそうな顔をして、ガックリとうなだれた。 ルイズは構わず馬に跨った。 そして、対抗心丸出しの顔をシエスタに向けた。 だが、シエスタはやっぱり澄ました顔だ。 DIO以外のことなど、眼中にないようにも見える。 認められていない。これはルイズにとって我慢ならないものであった。 ルイズは、『ゼロ』と呼ばれてきたこともあり、他人から認められないということに対して強いコンプレックスを抱いていたのだ。 ましてや相手が平民ともなれば……何をか言わんやである。 (絶ッッッ対! ギャフンと言わせちゃるッ!!) メラメラと目に炎を燃え上がらせるルイズを、 先程の不機嫌もどこへやら、DIOは如何にも楽しそうに眺めていた。 その内にワルドも気を取り直したようである。 用意も整い、さあいざ出発かという空気が流れたが、そこに思わぬ人物が現れた。 朝靄の向こうから、一人の女生徒が姿を現したのだ。 立派な金髪を縦ロールにしている、 見た目だけで気位が高いとわかる少女だった。 靄が濃いせいか、誰だかはっきりせず、ルイズは怪訝な表情を浮かべた。 小走りで一行に近づいてくる少女の正体にいち早く気が付いたギーシュが、 目を見開いて驚きの声を上げた。 「モ、モンモランシー……!」 ギーシュの言葉で、ルイズはようやく少女の正体が思い出せた。 『香水』のモンモランシー。 ギーシュの二股事件の被害者のうちの一人である。 最近立ち直ったと聞いたが、どうやら本当だったらしい。 そのモンモランシーがここに姿を現したということは…… ギーシュは彼女とよりを戻したということだろうかと、ルイズは推測した。 こんなモグラ好きのどこがそんなにいいのかねぇ、と思ったが、 ルイズには全く関係ないことだったのでどうでもよかった。 「あぁ、モンモランシー! やっぱり僕の身を案じてくれているんだね! でも心配しないでくれ! つらい任務だけれど、君のその気持ちさえあればきっと乗り越えられるさ!」 パタパタと駆け寄ってくるモンモランシーに、ギーシュは有頂天だった。 今は太陽の明けきらぬ早朝であり、まだ少し肌寒い。 しかし、彼女は貴族の証であるマントを身につけておらず、 制服の上にストールを羽織っているだけだ。 息遣いも少し荒いようである。 その様子から、彼女がよほど慌てて来たのであろうことが窺えた。 感激の余り腕を広げて迎えるギーシュに、モンモランシーは駆け寄って……… ……その横を通り過ぎた。 「……なんですと?」 想像していたのとは異なる展開に、 ギーシュは間の抜けた声を出しつつ振り返った。 そこには、馬に跨るDIOと、そんなDIOを不安げな顔で見上げるモンモランシーの姿があった。 「「な、何ですとォォオオオッッッ!?」」 何故か、ギーシュの叫びとルイズの叫びがシンクロした。 そのシンクロっぷりにお互いともがビックリして、 二人は顔を見合わせた。 そんな二人の驚きをよそに、モンモランシーは息を整えながらDIOを見つめた。 その瞳は、かつてない何かを秘めて熱く潤んでいた。 「あ、あの、窓の外を見たら、あなたがいるのが見えて……。 それで私、居ても立ってもいられなくなっちゃって、その……」 言葉に窮すモンモランシーを、DIOは馬上から静かに見下ろした。 「えと……どんな任務に行くかは、聞かないわ。 言えないものね。 私、あなたを困らせたくない。 でも……でもね、何日か会えなくなってしまうのでしょう?」 「そうだな。 正確な日数は分からないが、暫くはこの学院を離れることになる」 モンモランシーは今にも泣きそうな顔をした。 それを見たDIOは、懐を探って小さな何かを取り出すと、モンモランシーに放って寄越した。 慌ててモンモランシーが両手を差し出すと、それは彼女の両手の上にポトリと収まった。 それは鍵であった。 小さいながらも、金属製で、綺麗な装飾が施された物である。 恐らくは、というより十中八九ルイズの部屋の鍵だ。 それを悟ったルイズは、いつの間に合い鍵なんて作りやがったのだと、一瞬キレそうになったが……やめた。 なんというか、独り身の人間には入り込めない雰囲気が漂っているのだ。 これが……これがラブ臭か! と、ルイズは鼻を押さえて戦慄した。 どこかの妖精のように、くっさーー! と言いつつ割り込んでやりたかったが、 生憎とルイズは空気の読める女の子であった。 DIOの意図が分からず、鍵を受け取ったモンモランシーは数瞬それを見つめた後、 キョトンとした顔でDIOを見上げた。 「私がいない間の留守を任せていいな、モンモランシー?」 DIOの言葉の意味を知ると、モンモランシーの顔がパァッと輝いた。 手の上に光る鍵をそっと握りしめて、モンモランシーは大事そうに胸に抱いた。 DIOに信用されているという事実が、彼女の胸をより一層熱く高ぶらせるのであった。 「あ、あたりまえでしょう! この私が留守を預かるからには、大船に乗ったつもりでいなさいよ!!」 素直に嬉しいと言えばいいのに、 モンモランシーは真っ赤になってそっぽをむいた。 モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。 生来の気位の高い性格がわざわいして、 彼女は肝心な時になかなか素直になれない子であった。 そんな二人のやりとりを無理矢理見せつけられているルイズは、 呆然として開いた口が塞がらなかった。 気分はもう、『何このラブコメ?』といった感じだ。 やはりワルドのグリフォンに乗らなくて正解だった。 DIOをとっちめられなくなってしまうではないか。 プルプルと身を震わせる一方で、ルイズはチラッと隣を見てみた。 ルイズの横では、目の前の現実についていけていないギーシュが 石像のように固まっていた。 復活した使い魔のヴェルダンデが、鼻を擦り寄せて慰めているが、 ギーシュは固まったまま動かなかった。 終わったわね、とルイズは誰にも聞こえないように呟いて、馬に跨った。 人間、罵られたり叩かれたりするうちが華であるとは誰が言った言葉であろうか。 何が辛いって……無視されることより辛いことはない。 モンモランシーは、ギーシュに一瞬たりとも視線をくれていなかった。 DIOだけを真っ直ぐに見つめている。 この事実が、ギーシュの心を滅多打ちにするのであった。 まぁ、浮気をしたのがケチのつき始めであろう。 「ミスタ・グラモン、出発でございます」 錯乱しているギーシュを見咎めて、シエスタが急かした。 「モ、モンモモンモモモモンモランシー……」 しかし、今のギーシュにそんな事が耳に入るはずもない。 「……出発でございます」 「もんもらんしいぃいい!!」 「出発でござ…………当て身!」 「もんもぐぶるぁっ!!」 シエスタのメガトンボディーブローが、ギーシュの鳩尾に炸裂した瞬間であった。 手加減はしているだろうが、その威力は折り紙付きだ。 それを見たルイズは顔をしかめて、Oh,my God……! と呟いた。 低いうめき声を残してあえなく気絶したギーシュを、 シエスタは軽々と肩に担いで馬に跨った。 ギーシュの馬も引いていってやるつもりのようだ。 それを確認して、DIOは手綱を握った。 「では、出発だな」 DIOの馬が駆け出すのを皮切りに、ルイズが後に続く。 その次をシエスタが進み、最後の最後でようやくグリフォンが駆け出した。 見る見るうちに一行の後ろ姿が遠のいてゆき、 やがて朝靄の向こうへ消えてしまった。 「……気をつけて」 一行の姿が見えなくなった後、 モンモランシーは胸の前で両手を組み、一行の旅の無事を心から祈った。 そんな彼女の手の中では、DIOから渡された鍵が小さく輝いていた。 to be continued…… 53へ 戻る 55へ
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男の小屋。 外から大きな足音が聞こえる。 タバサが外のゴーレムを見つけ、全員小屋から出て、臨戦体制に入る。 男はいきり立つ。 「あれがフーケとやらかッ!あのような木偶人形我が重機関砲で穴だらけにしてみせるわァアアアッ!」 「やめた方がいい、弾の無駄」 「ゴーレムに多少穴開けたところで数秒で元通りよ」 二人が止める。 「シルフィードなら待機させてる、私が本体を狙う」 「上空からタバサが魔法で本体を狙うから、私と貴方とミス・ロングビルでゴーレムの動きを止めるわよ」 口笛を鳴らすと上空から風竜が飛んでくる。それにタバサは杖を持って飛び乗り、ゴーレムの斜め下の森を旋回し始める。 「くらえッ!重機関砲ゥウウウウッ!スカッとするぜーッ!!」 キュルケはルーンを唱え、炎を飛ばす。 魔法と弾丸がゴーレムの脚部を襲う。 穴が空き、修復のために動きが止まる。 そこを森から急上昇したシルフィードとタバサ。 タバサ得意の氷の矢が正確にフーケに突き刺さる。 「やったわ!」 しかし、そのフーケの影は土となり、崩れる。 シルフィードの真下から石礫が飛来し、直撃する。 「きゅいきゅいーーッ!」 数キロ離れた地点に滑空しながら落ちていく。 「つ、土人形!?どういうこと、あんな精巧に動きまでする人形はスクウェアでもそう…」 「うおォォォォォオオオッ!」 シュトロハイムの脚が崩れる。 鉄でできていた二つの義足は水銀に錬金されていた。 「なんだかわからないけど…あのフーケの人形は囮だったのね…ミス・ロングビル、気をつけて…」 錬金の射程距離は長くは無い以上、その辺りに潜んでいると考える。 その時! 杖を持ったフーケが飛び出してくる。 とっさにファイヤーボールを放つが、それは土人形であった。 後ろから石礫が飛んでくる。 「その程度のちゃちな細工じゃ『微熱のキュルケ』は止められないわよッ!」 あらかじめ攻撃が来ることは予測していたため、さっと身を避けようとする。 しかし、それをミス・ロングビルが後ろから羽交い絞めにして抑えつける。 「あ、貴方も土人形だった…」 キュルケは正面から石礫を受け、嗚咽を漏らす。 羽交い絞めにされたままのキュルケは暴れる。 「は、放しなさいよッ!」 「嫌よ、だって貴方を食べちゃいたいから…」 ロングビルの土人形は歯を立てる。 しかし、ロングビルの胴体が粉々になる。 「はあ…はあ…錬金なんて慣れないもの使わせないでよ…とっとと出てきなさいよ…」 フラフラで杖を構えるのすらおぼつかない。 しかし、表情を変え、気丈であろうとし、杖を構える。 「出てこないなら…炙り出すだけよッ!」 杖を構え森に火を放つ。 乾いていた木はあっという間に燃え上がる。 「ぬう、貴様なにをしているゥウウウウッ!正気か貴様ァアアアアッ!」 上半身だけの男が叫ぶ。 「見てのとおりよ、森に火をつけて本体をあぶりだすのよッ!森中燃やせばいくらなんでも出てくるでしょうッ!」 森から煙が立ち昇る。 その煙の中からのそり、と杖を構えフードを被った女が出てくる。 「森中に…火つけなくて済んだわね……この距離なら、その怪しい土人形も、ゴーレムも関係ないわ…」 杖を構え、ルーンを唱える。 「食らいなさい!私の『ファイアーボール』ッ!」 しかし、その炎弾はフーケの手前で弾かれる。 「なにがこの距離ならだって?」 薄緑色の魔人のような人形が姿を現す。 「願い事を言えッ!」 「な、なによこれ…」 「俺の名はジャッジメント…この『土くれのフーケ』の使い魔かなにかだと思ってもらえればいい… 私は立ち向かうもの…スタンドと呼んでいる」 「こ、来ないでッ!」 「いいだろう、だが願い事は今日は2つまでだ。主の機嫌がお前のせいで悪いのだからな…Hail 2 U!」 タバサとルイズの土人形ができる。 「キュルケ」 「キュルケ」 二人が迫ってくる。 「ひッ!や、やめて…」 キュルケは杖を構え、たじろぐ。 「逃げないで」 「キュルケ、いくら仲悪いからって言っても魔法なんか私に放たないわよね?」 二つの土人形がキュルケに迫る。 「やめてえええッ!」 キュルケが悲鳴をあげる。 が、それはフーケの石礫の直撃を受け、遮られる。 「やれやれ、かなり手間取っちゃったね」 フーケは上半身だけの男を見据える。 「貴様ッ!この体を戻しやがれェエエエッ!」 「あら、まだ喋れたの?なかなか不死身ね。あなたのその胴体だけはかなり強力な『固定化』がかかっているみたいだし… やっぱり近づくのは危ないわね……じゃあ、私のゴーレムの拳で潰されてもらおうかしら、破壊の杖の使い方なら聞き出したしね」 巨大なゴーレムが近づき、フーケがその肩に乗る。 そして、数歩近づき、ゴーレムの拳を振り下ろす準備ができる。 「覚悟はいいかしら?辞世の句があるなら聞いてあげてもよろしくてよ?」 「土くれのフーケ………ヨーロッパの格言にこんなのがある。『カップを唇まで近づけても、こぼすことはよくある』」 小屋の前に少女と少年が立っていた。 「やれやれ、遅いぞ若きヒーローども、脚さえあれば俺一人でもやれたと思うがなァアアアッ!」 「あんた達はッ!?死んでいたはずッ!」 「運が悪かったわね、私たちがワムウの主人と決闘の相手で」 「彼が本気で殴ってきたら気を失わないなんてことありえないからね、少なくとも殴る軌道が僕にも見えたしね」 ルイズとギーシュが立っていた。 「なぜ!心音は服の中になにか挟むなりしていくらでも誤魔化せるとは思うけれど、脈が止まっていたのは…」 「転がっていた石ころをわきの下にはさんで動脈を圧迫すると手首の脈が止まるのよ、まさかここまで綺麗に決まるとは 思わなかったけれどね、ミス・ロングビル」 「僕も青銅の板を錬金してわきに石を挟めなんていわれたとき何をするかわからなかったよ。もっとも、死んだと思って声をかけたのは うかつだったね、土くれのフーケ」 正体がバレたとはいえ、フーケは表情を崩さない。 「あら、そんなこと言っていいの?隠れていれば生きて帰れたかもしれないのに…口封じしなきゃいけないわね!」 フーケはゴーレムの上から杖を構える。 二人もゴーレムに向けて杖を構える。 「ギーシュ、私の言った作戦は覚えてるわよね!ゼロとドットじゃまともにやっちゃ勝てないんだからね!」 「わかってるさッ!僕だってこんなところで死ねないよ!」 ギーシュが杖を振り、叫ぶ。 「ワルキューレッ!」 To be contined...
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生きること、そして死ぬこととはなんだろうか。 死とは生命活動が不可逆的に止まる事だ。だがそれ肉体的な死でしかない。 肉体的に死んだとしても精神、もしくは魂がそこに残る。それが幽霊だ。幽霊にはちゃんとした意識がある。 何故わかるかって言うと自分が幽霊だったからだ。つまり実体験ってやつだ。 死んだ後でもはっきりとした自意識を持つのにそれを死んでいるというのだろうか? 植物状態の人間は意識が無いのに生きているというのだろうか? 精神的な死とは何だろう?あの世に行くことだろうか?しかし幽霊だったときでさえついぞあの世があるなんて確認できなかった。 それに人間全員が全員死んだからといって幽霊になるわけでもない。彼らの魂はどうなったんだ?死んだのか?ならどうして精神的に死んだんだ? 『生と死の法則』はどんなのなんだ?それがわかれば私は……私はどうするんだ? パートⅢ 使い魔は手に入れたい これは夢だ。すぐにそう判断することが出来る。何故なら私はまたあの白い空間にいるのだから。 さすがに三回も来ればこれが夢だとわかる。しかし私が起きた時この夢を覚えていないのは確実だ。2回とも覚えていなかったからな。 今回もどうせ覚えていないだろう。 そう思いサビの聞こえない歌を聴きながらぼやけた人影に近づいていく。そしてその人影の反対側からも誰かが近づいてくるのがわかる。 そして私たち、二人の『吉良吉影』は再び対峙した。 「また会ったな」 『吉良吉影』に話しかけてみるがなにも返事は返さない。 「突然わかったんだがこの人影って『キラークイーン』っていうらしいぞ。自分でもどうしてわかったのかわからないけどな」 やはりなにも返してこない。 「この曲も『キラークイーン』っていうらしい。やっぱりどうしてわかったか知らないけどな」 しかし彼が何も返さなくても喋りかける。特に意味は無い。暇なだけだ。 どうしてここに『吉良吉影』がいるかわからない。自分が作り出した幻かもしれないしもしかしたら生前の私なのかもしれない。 でも今生きているのはこの私なのだ。私のはずなのだ。生前の私だとしてもでしゃばらないで欲しい。 「銃を持っていたのはお前だったんだな」 黙っていた『吉良』が突然喋り始める。 「銃?」 「『キラークイーン』の右腕のことだ。お前がサビだけが聞こえないという時点で気づくべきだった」 何を言ってるんだ? 「サビは簡単にあらわせば弾丸だ。しかしサビにいくためにはそこにつながる歌が無いといけない。つまりサビ以外が銃なんだよ。弾丸は銃がなきゃただちっぽけな鉄だからな……」 そう言うと突然私に向かって勢いよく手を伸ばしてくる。しかしそれは見えない壁によって遮られる。彼の表情は怒りで満たされていた。 「その銃は、『キラークイーン』は私のものだぞ!私のスタンドなんだぞ!どうして貴様なんかが持っている!答えろ!」 その姿を見ながら思う。この『吉良吉影』は本当に私の死ぬ前の人間なんだろうと。 だからこそ答える。諦めさせるために、邪魔な存在を消し去るために。 「私が『吉良吉影』だからだよ」 「な……に……?」 『吉良』の表情が驚きに染まる。 それを見ながら私は帽子を目深に下げた。 体がだるい。まるで全身に鉛でも付けているようだ。目を開ける気も起きない。 このままもう少し寝てしまおうか。しかしどうして寝ているんだろうか?ふむ、寝た覚えが無いな。 そうだ。そういえばアルビオンでワルドと戦ったんだ。そして……その後どうなったんだ?デルフ、デルフに聞けばわかるはずだ。 目を開けろ、体を起こせ。 その思いだけを胸に目を開け起き上がる。 目がぼんやりする。頭を振りかぶり目をこする。そしてあたりを見回す。 ここは何処だ? 「ヨシカゲ!」 「うおっ!?」 横から大声で突然叫ばれさらに体に衝撃が走る。 起きていきなりこんなことがあったら誰だって驚くに決まってる。横を向くと誰かが抱きついていた。 桃色がかった髪にさっきの声、ルイズか。 「よかった起きて。……このまま目が覚めなかったら……グスッ!わたし自分が許せなかった……」 「は?」 これは誰だ!? 「本当に……グスッ!生きててよかった!」 え?何この状況?
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草案 カビゴン:サンチョ・パンサ 体格重視 ブニャット:ドゥルネシーア・デル・トボーゾ アルセウス:司祭 ボスゴドラ:ニコラス親方 ズルズキン:ヒネス・デ・パサモンテ どろぼう必須 チャーレム:シデ・ハメーテ・ベネンヘーリ ジャローダ&ドレディア:公爵夫妻 個性イタズラがすき フーディン:学士 -- (ユリス) 2012-09-07 17 03 54 ↓追加しました。 -- (フック金田) 2012-09-07 18 04 24