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爆炎の使い魔 番外編~平行世界では~ 夜の校舎裏で二つの影が対峙していた。 「私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール・・・。 誇り高きヴァリエール家の子女・・・。 パイプを吸うやつは近寄らせない、ワインは嗜む程度・・・。 夜11時には床につき、必ず8時間は睡眠をとるようにしている・・・。 寝る前に暖かいミルクを飲み、30分ほど予習と復習をしてから床につくと、 ほとんど朝まで熟睡よ・・・。赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに、 朝 目を覚ませるの・・・。」 「それがどうした?『ゼロ』のルイズ。 まさかそんなくだらないことを言うためにわざわざ呼び出したのかい?僕はまたてっきり愛の告白かと。」 「私は常に心の平穏を願って生きている人間、ということを説明しているのよ・・・。 貴方はいつも私をゼロと呼び馬鹿にしている・・・。わざわざ私の目の前で、ね・・・。 それがどれだけ私にストレスを与えているか理解できるかしら・・・?」 「そんなの僕だけじゃあないだろう・・・? 使い魔呼び出せたからって・・・調子に乗ってンじゃあないぞ!!ゼロのルイズ!!」 「そうね・・・確かに貴方だけじゃあないわ・・・今貴方がここにいるのはたまたまなのよ。 たまたま・・・貴方が一番最初に殺される・・・それだけのコトよ。」 「何をワケのワカンネーことを言っている!?君は頭脳がマヌケか!? この僕が!直々に!教育してやろう!」 プッツンした彼は杖を振り上げた。 「焦らないで・・・。私の使い魔・・・キラークイーンと言うのだけれど・・・。 ちょっとした特殊能力があるの・・・。」 「この状況でおしゃべりかい?ずいぶんとヨユーじゃないか!」 「いえ・・・貴方に私のキラークイーンの特殊能力を教えようと思ったの・・・。 だって・・・どーせ貴方は既にキラークイーンによって始末されてしまっているもの・・・。」 「僕が・・・既に始末されている・・・だって?」 「ええ・・・キラークイーンの特殊能力・・・ それは・・・キラークイーンは触れたものはどんな物でも爆弾に変えることが出来る・・・。」 彼の背後に佇む半透明の異形!!それは彼女達の争いが始まった直後から存在していた! 「こ、こいつはっ!?」 「たとえ杖だろーと・・・フフ・・・なんであろーと・・・。」 カチッ! ボグオォォン! 「グベラッ!!?」 「これで・・・また一歩・・・平穏に近づいた・・・ワネ、ウフフ。」 「うっ・・・うぅ・・・。」 「一発では・・・死ななかったのね・・・。」 「なにを・・・されたんだ?僕は・・・一体? どぉーなってるんだぁー!!?た、た助けてくれェー!!」 「だめだめだめだめだめだめだめ! 貴方は死ななくてはならないの・・・。誰一人として・・・ このキラークイーンの能力を知る者はいてはいけないの・・・。 ああ、それと・・・他にも私のことを大っぴらに馬鹿にする連中がいたわよね? 彼らについて聞いておきたいのだけれど・・・。貴方の取り巻き連中の他には誰がいるのかしら?」 「知・・・知ら・・・ない・・・。」 「知らないってことはないでしょう・・・いいかしら? しゃべらなければね・・・貴方の恋人も・・・始末するわよ。」 「なん・・・ッだ・・・と!!ぼ、僕の『ケティ』と『モンモランシー』をッ!!」 「早くしゃべりなさいよ。貴方がしゃべれば何もしないわ・・・モタモタしてると誰かここに来るかもしれないじゃない! 名前だけでかまわないわ・・・早く、ホラ!」 「させ・・ない!この・・・『青銅』のギーシュ・グラモンを甘く見るなッ!!」 ドォン! 「貴方!まだ・・・動かせたの!?青銅を!キラークイーン!!」 。 「いない・・・ワルキューレね・・・あんなボロボロだったのに杖を使えるなんて・・・。」 「誰でもいい・・・ルイズは・・・危険だと・・・伝えなければ・・・。」 「ところで・・・聞こえているかしら、ミスタ・ギーシュ?」 「なん・・・だ?いや大丈夫、位置まではバレていないはずっ!あれは罠だ!」 「貴方は今・・・位置まではわからないハズだ・・・そう考えているのでしょうね・・・。 正解よ。確かに私には貴方がどこにいるのかわからない。そして・・・今が昼だったら・・・ 私の負けだったでしょうね・・・。」 「落ち着け、ギーシュ・・・あれはハッタリだっ!僕は校舎にたどり着ければいいんだ!それだけなんだ!」 「でも今は真夜中・・・他に出歩いている人なんて・・・いないわ。 体温があるのは・・・貴方と私だけ・・・フフッ・・・シアーハートアタックッ!!」 ギャルギャルッ!! コッチヲミロ~!! 「ッ!?なんなんだ!一体!!僕の手がっ!!」 ヲイ・・・コッチヲミロッテイッテルンダゼ 「こ、こいつはッ!コイツはっ!!うわあああああっ!」 ガボオォッ!! 「あごォッ!!」 カチッカチッカチッ・・・カチリ チュドォオオォン!! 「やれやれ・・・ね。まあ・・・地道に探すことにするわ・・・。 私には・・・力があるのだから・・・もう誰にもゼロだなんて呼ばせない・・・。」
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「……一体、これはどういう事だ?」 場所は『女神の杵』亭の中庭。 かつては貴族たちが集まり、トリステインの王が閲兵を行ったという練兵場跡で、ワルドはDIOと向かい合っていた。 しかし、ワルドが決闘に備えて緊張した趣であるのに対し、DIOはいつもと変わらない佇まいである。 何よりの違いは、DIOの放つ空気だった。 決闘などする気など全く感じられない、緩かな雰囲気。 その代わりに、DIOの隣に立つ一人の少女が、全身に闘気を纏わせているではないか。 これでは、まるで少女の方が決闘に臨むかのようである。 「ワルド、来いって言うから来てみれば、そのメイドとチャンバラする気なの?」 思ったことをそのまま述べたのは、ルイズであった。 彼女はこの決闘の介添え人として、ワルドに呼び出されたのであったが、 早い時間に起こされた彼女は、機嫌がよろしくなかった。 遊んでる場合じゃないでしょうが……と、じと目で呟くルイズに、ワルドは慌てて否定した。 「いや、ルイズ待ってくれ。これにはちょっとした事情が……!」 「うむ、子爵の言う通り。やむにやまれぬ事情があるのだ」 ワルドの台詞を横取りする形で、DIOが言った。 上手い言い訳が思いつかないワルドにとっては、ありがたい横槍と言えた。 しかし、DIOに出しゃばらせるのは癪と思うワルドは、即座に抗議の声を上げた。 「使い魔君……レディを代理に立てた挙げ句自分は高みの見物とは、紳士としてあるまじき振る舞いだぞ。 君には、男としての名誉を尊ぶ精神が無いのか?」 『名誉を尊ぶ』などという建て前が、ワルドの口から出た途端、ルイズは吹き出しそうになってしまった。 あのDIOが、そんな使い古された常套文句にいちいち反応するなんて有り得ないと、痛いほどに分かっていたからだった。 それを証明するかのように、DIOは薄く笑った。 猫がネズミをいたぶる時のような彼の笑みの意味を、ルイズはこれまたよく分かっていた。 「勿論これにはきちんとした理由がある。 私としても、子爵と剣を交えるのはやぶさかではないのだが、生憎と、今の私は療養中の身なのだ。 子爵が退室した後に思い出したのだが、過度に飛んだり跳ねたりする真似は絶対にするなと、 私は医者にキツく言われていたのだよ」 本当に悲しそうな顔をして、釈明を始めるDIO。 嘘八百とはこの事ね、とルイズがぼやいた。 しかし、その声は小さく、その場にいた者に聞かれることはなかった。 DIOの説明は続く。 「しかし、それでは折角私の部屋に出向いてまで決闘を申し込みに来てくれた子爵に対して、礼を失することになってしまう。 そこで、彼女を代理に立てるという形で、子爵の礼に最大限応えようという結論に達したわけだ。 断腸の思いだった。 私の腕前を子爵に披露することが出来ない無念を、『紳士的に』理解してくれると有り難いな、子爵。 だが、安心してくれ。 代理とはいえ、彼女の腕前は確かだ。私が保証する」 「しかし、う………むぅ…」 立て板に水を流したようなDIOの説明に、ワルドはすっかり閉口してしまった。 これでは、当初の計画における目的が、十分に達成できない。 今無理やり場の流れを変えようとしても、白々しく映ってしまい、ルイズの心証を悪くしてしまう。 最早ワルドに選択の余地はないのだが、それでもワルドは諦めきれなかった。 目の前に悠然と佇むあの男、どう見てもそんな重傷患者には思えない。 ワルドはそこを突いてみることにした。 「り、療養中といったね、使い魔君……。 ならば、今この場でその証拠を見せることは出来るかい?」 ワルドの最後の足掻きに対して、DIOは無言で己の首筋を見せつけた。 自然と、その場にいた人間の視線を集めることになる。 そこには、まるで一度切り落とした首を無理矢理肉体(ボディ)と繋ぎ合わせたような生々しい傷跡が、くっきりと刻まれていた。 「船の爆発事故に巻き込まれた時の傷だ。 似たような傷が、体中至る所にある」 やや忌々しげに傷の説明を加えるDIOに、ワルドはとうとう諦めた。 こうなった以上、自分にとって出来る限り最善の結末を迎えることを狙わうしかないと、ワルドは自分の心を切り替える。ルイズがいる手前、無様な姿だけは決して見せられない。 「うう、む…………仕方あるまい。 レディ相手に杖を振るというのも気の進まない話だが……」 内心の決心とは裏腹に、取り敢えずの躊躇いを見せるワルドに対して、シエスタは律儀に答えた。 「余計な心配でございます。 DIO様はわたくしに『一切を任せる』と仰いました。 従って、子爵様。大変畏れ多いことですが、わたくしをDIO様と思ってお相手をなさって結構でございます」 そう言いつつ、シエスタは懐から何やら取り出して、己の両拳に嵌めた。 今回は剣は使わないらしい。 金属で作られているのであろうソレは、昇りきった朝日の光を照り返し、ギラリと危険な輝きを放っている。 一見すると連なった四連の指輪のようにも思えるが、どうやらアレが彼女の武器のようだ。 魔法衛士隊隊長であるワルドですら、見たことの無い一品である。 拳で握り込む物であるらしいことだけは見て取れた。 だが彼に限らず、魔法を使うメイジ達には、ソレが何なのかを知る機会など皆無であっただろう。 ソレは魔法の使えない平民の武器であった。 ソレは、人々から煙たがられるゴロツキ達にとって、また、拳で語る漢達にとっての心強い味方。 その名をメリケンサックといった。 一度それを手に嵌めれば、使い手のパンチ力を反則的なまでに引き上げてくれる素敵アイテムである。 ましてやシエスタは、『固定化』の魔法をかけられた壁を素手で破壊する腕力の持ち主(ワルドは知らないが)。 そんな彼女がメリケンサックを嵌めたとなれば、その威力たるや、五臓六腑に響き渡るだろうことは想像に難くない。 運悪く脳天を直撃でもすれば、彼の頭蓋は地面に落としたワイングラスにも負けないくらい粉々に砕け散るだろう。 だが、彼女の怪力を今一つ実感することが出来ないワルドは、 どこか現実感の無い視線をシエスタに投げ掛けるだけである。 そんなワルドをよそに、シエスタは何度かメリケンサックの微妙な位置調整をした後、 両の拳を胸の前でガツンガツンと叩き合わせた。 見るからに闘志全開、意気揚々、殺る気満々という風情であった。 それもそのはず、彼女は自分の主の敵になる者は、例えお遊びであっても微塵の容赦もしないのである。 軽やかなステップと共にファイティング・ポーズを取ったシエスタは、視殺戦をワルドに仕掛けた。 真っ向から殺気を向けられて、相手が本気だとわかると、ワルドの顔が徐々に厳しいものになっていく。 「……なるほど、言うだけの事はあるな。 気迫だけはなかなかのものだ」 それは魔法衛士隊隊長としての、そして歴戦の戦士としての顔であった。 腰に下げてあった愛用の杖をやおら引き抜き、フェンシングの構えのように前方に突き出す。 「いざ、尋常に勝負といこう!!」 ワルドの掛け声を合図に、シエスタが地面を蹴り、流星のようにワルドに接近した。 (早い! ……が、直線的だな。 昨日の剣の使い方といい、やはりド素人か!) 凡そ華奢な少女の肉体では出せないほどのスピードにワルドは内心驚愕したものの、 長年の経験を生かし、顔色一つ変えずに迎え撃った。 ―――そう、迎え撃ってしまったのである。 得意げな顔をして杖を構え、衝撃に備えるワルドの姿を見て、ルイズは思わず叫んでいた。 「ワルド! 避けなさぁあああぁあい!!!」 だが、一足遅かった。 金属と金属がぶつかる鈍い音が響き渡り、火花が散った。 。 初合の勢いを殺しきれなかったのか、シエスタはバランスを崩して転倒してしまった。 ズザザーッ! と激しい砂埃をあげながら地面を滑るシエスタを、ワルドは油断無く見やる。 初撃をスマートに受け流す事が出来たとばかり思い込み、口端を吊り上げずにはいられなかった。 だが、転倒したシエスタに追撃を加えるために杖を振ろうとした時、彼は自分の右腕に起きた変化に気がついた。 ピクリとも動かない上に、右肩から先の感覚が全くないのだ。 恐る恐る自分の右腕を見る。 「おや?」 あらぬ方向にねじ曲がった右腕が、杖を握ったまま風もないのにぶらぶら揺れていた。 余りに想定外な出来事に、ワルドはどこか他人事のような顔をした。 しかし、徐々に右腕から走り出してくる激痛に、ワルドの意識は容赦なく現実に引き戻された。 「うおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおお!?!?」 すれ違いざまのシエスタの一撃は、杖による防御を無視して、ワルドの右腕を破壊していたのであった。 見慣れたはずの自分の腕が、目も当てられない醜い姿に変わり果ててしまえば、誰だって叫び声をあげるだろう。 それは、王宮ではいつも冷静沈着で通っているワルドですら例外ではなかった。 「あのバカ……どういう技なのか見切れないのかしら」 技も何も、実際の所シエスタは、ただ力任せにぶん殴っただけである。 別にワルドがとんでもなく浅慮だったというわけではない。 むしろ、右腕粉砕という程度で済んだワルドの肉体のタフネスを誉めてやるべきだった。 常人なら腕を吹っ飛ばされていたに違いないのだが、そんな言い訳はルイズには通用しない。 喉よ裂けろとばかりに叫ぶワルドに冷たい視線を送りながら、ルイズは呆れ半分、怒り半分と感じで呟いたのだった。 to be continued……
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ベッドに寝転びながら考える。 何故自分にはもう一つ腕があるのか考える。こんなことを考えるのはもう何回目だろうか。 いつも答えは出てこない。 わかっていることといったらあまり使いたくないということだけだ。 あの腕がどういったものなのか確かめるために色々実験した。 まず握り拳ほどもある石を粉々に握り潰せる、木の一部分を掴みその部分だけを抉りとることが出来る。 それに動きも速いし他人には見えない。いいじゃないか、凄く便利だ。使いたくない理由にはならない。 ならば何故使いたくないか、答えは感覚だ。 腕を発現させると何かがピッタリと嵌った感じがする……いや、嵌りすぎている。さらに自分の中の何かが曖昧になるような感覚。 それが怖い。自分自身の確固たる自我の一部だけでも曖昧になるのは恐ろしい。 どうしてそういう風になるのかはわからない。だから使いたくないんだ。 幽霊の時には勿論こんなものは無かった。だが生き返ったことにより発現したということは、もしかしたらこれは生前に持っていた力なのかもしれない。 結局考えても答えは出ないので思考を打ち切る。 別のことでも考えよう。 たとえば……そう、ガンダールヴのこととかだな。 ガンダールヴ、メイジの始祖ブリミルの使い魔で世間一般でいう伝説の使い魔、わかっているのはありとあらゆる武器を使いこなしたことだけ、以上。 終わってしまったな。ほかに特に考えることが無い。 疲れているのに眠気が無いのは不便なことだ。どうして眠たくないんだろうな?とりあえず眠くなるまでボ~っとしとくか。 そういえば忘れていたがデルフは初めて会ったときに私のことを使い手と呼んでなかっただろうか? たしか呼んでいたはずだ。前に質問しても何も答えなかったんで忘れていたな。 使い手というのはきっとガンダールヴのことだろう。 ということはデルフはガンダールヴのことについて何か知っていることになる。一体何を知っているというのだろうか? 聞かなくてはならないな。しかし聞いたとしても答えるかどうかが心配だな。前は答えなかったし。 答えなかった時はとりあえず脅してみるか。 ベッドから体を起こしベッドの脇に立てかけてある剣を引き寄せ剣を抜く。 「どおしたよ相棒?何にも無いのに抜くなんて珍しいじゃねえか。別にいつも抜いてくれないからっていじけて拗ねてるわけじゃねえさ」 声からして拗ねてるように聞こえるぞ。 「聞きたいことがあってな」 「聞きたいこと?何でも聞いてくれよ。なんたっておめえは俺の相棒だ。何でも答えてやらあ」 多分頼りにされているのと喋れることが嬉しいのだろう、声が弾んでいる。 「そうか、じゃあ『ガンダールヴ』。という言葉を知っているな」 知っているということを前提に聞く。 「初めて会ったときにお前は私のことを『使い手』と呼んだな。それは『ガンダールヴ』ことだろう?それについて詳しく聞きたいんだ」 「あ~……」 何か考え込んでいる様子だ。 「デルフ、お前を買ったときに私は『使い手』のことを聞いたな?あの時お前は答えなかった。だがもう話してくれてもいいだろう?」 「……言っても怒らねえ?」 ガンダールヴって何か怒るようなことなのか? 「ああ」 「偉そうに使い手とか言ってたけど、ぶっちゃけて言えば俺も相棒が何の使い手か何て知らねえんだわ」 そう言いながら笑うデルフをおもいっきり壁に叩き付けた。
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相手の船が貨物船に近接し、相手の船員が乗り込んでくる。 「空賊だ!抵抗するな!…おや、貴族の客まで乗せてるのか」 ルイズたちを下品に舐めるように見る。 「こりゃあ別嬪だ、どうだい、俺らの船で皿洗いでもやらねえか?」 男は下品に笑う。 「下がりなさい、下郎」 「驚いた、下郎ときたもんだ!」 男は大きくのけぞって笑う。 「おいてめえら、こいつらも運びな、身代金もたんまり貰えるだろうさ」 数人の男が無言で武器を奪い取り、船倉に押し込まれる。 「やれやれ、空賊に襲われるとはついてないな」 ワルドが呟く。 貨物船の船員たちと一緒に狭い部屋に詰め込まれた一行。 「急いでるのに…」 貨物船の船長がガハハと笑う。 「おい、娘ちゃんたち、あんたらも急ぎなのかい?」 「ええ、そうよ」 「だとよ、野郎ども。このバカな空賊どもは俺らの船に乗り込んだつもりらしいが…」 船長は口の中から工具を吐き出し、右手の義手を器用に外す。その義手の中から拳銃が出てくる。 「俺らをわざわざ案内して乗り込まれたってことを教えてやろうじゃねーか!」 船員が歓声をあげる。 一行はポカンと口をあける。 ダービーはトランプをいじって、特に興味は示していない。 船員が工具を受け取り、扉の鍵をこじ開けようとすると、ワムウが横に立ち、扉を蹴り飛ばす。 「な、貴様ら何を…」 ワムウが頭部に一撃を加え、見張りの男二人は一瞬で床に沈む。 「兄さんもやるねえ!」 船員が笑い、倒れた見張りの男の道具を拾い上げる。 「野郎ども!まずは武器庫を襲うぞ!この型の軍船ならおそらく甲板の直下部あたりにあるはずだ!」 船長が船員を率いて、走り出す。 ワムウたちもそれに続く。 「脱走だァーーッ!奴らの脱走だ!」 脱走に気づいた空賊員が叫び、直後に船長に撃たれる。 走りながらワムウが船長に尋ねる。 「船長室はどこだ?」 「なんでそんなこと尋ねるんでい、お兄さん?たぶんそこの階段をあがって大広間を片っ端から探せば見つかると思うが」 「頭を潰してくるのが手っ取り早いだろう」 ワムウは進路を変え、階段を上がっていく。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよワムウッ!」 ルイズが追いかけようとするがワルドが制する。 「君は杖も無い、足手まといになるだけだ。彼なら空賊くらい敵じゃあないはずだ」 ワルドはスピードを元に戻し、ルイズの手を引きながら船長を追いかける。 船員は武器庫とプレートのある部屋の扉を蹴破る。 中に居る空賊は驚いて銃を向けるが、その引き金を引くよりも早く銃弾が空賊の肩を貫く。 「野郎ども、杖と武器を片っ端から集めろ!」 船長は銃で撃たれた空賊の襟首をつかみ、拘束しようとして相手の顔をまじまじとみる。 「お、おめー…アルビオンの兵士になったんじゃねーのか!シャチ!」 「…ってことは…貴方たちは王党派なのね?」 船長の息子であったその兵士は空賊に扮した王党派だということを話し、彼らは一息つく。 が、ルイズだけは一息をつけなかった。 わなわなと震え、その兵士に詰め寄る。 「あの筋肉バカを止めてこないとッ!船長室はどこなの!?」 「え、えっとここが地下ですから…階段を二つあがったフロアの奥に居るはずです」 「わかったわ、ありがとうね!」 ルイズは感謝の言葉もそこそこに、杖をひっつかんで部屋から駆け出す。 ルイズは船長室に行くまでにかなりの人間に会うことになり、一々説明することになると思ったのだがそんなことはなかった。 通路の兵士は倒れ、武器を折られ、呻き声を漏らし、積み上げられていた。 「何なんだあいつは…」 「助けてくれ…助けてくれ…化け物だ、畜生…」 「ザミエル…ザミエル…ザミエル…」 「落ち着いて素数を数えるんだ…」 日ごろの『教育』の成果かどうかはわからないが、とりあえず死者は見当たらなかった。 もっとも、ルイズはワムウが相手を見当たらないようにできることなどは百も承知であった。 おそらく船長室の真下に来たであろう、船の上からは叫び声が聞こえ、床が何度もきしむ。 「しょうがないわね、弁償代はワムウ持ちよ!」 ルイズは上に杖を振り上げ、船の天井を吹っ飛ばす。 いきなり大穴が空き驚いたのか、ワムウが上から覗き込んでくる。 「どうした、ルイズ」 「どうしたもこうしたもないわよ!その人たちは敵じゃないからやめなさい!」 ルイズの心からの叫びであった。 「ハハハ、間一髪助かったよ」 アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーは、気にしなかったように笑う。 「彼があと10人アルビオンにいたら、貴族派に負けていたことはなかっただろうね」 「ほ、本当にすみませんでした!」 ルイズが平謝りする。 「ほら、ワムウあんたも謝るのよ!」 「いや、いいんだ、試すためとはいえ、空賊などと名乗ったんだから反撃されるのは当然だ。 あの戦い振りは驚嘆に値するよ、君の使い魔だけでなく、君の父上もね」 皇太子は近衛兵であったシャチに声をかける。 「ま、誠にすみません!」 若い兵士は地面に手をつける。 「いいといっているんだ、それより君の傷は大丈夫かね?」 「はっ!数日のうちには完治すると思います!」 「そうか、では大事にな」 「失礼しました」 彼を見送った後、ウェールズはこちらに目を向ける。 「それで、トリステイン大使殿はどういったご用件かね?」 「アンリエッタ姫殿下より、密書を言付かって参りました」 ワルドが頭を下げる。 「ふむ、それで君たちは?」 「僕はトリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵と申します。そしてこちらが 姫殿下より大使の大任をおおせつかった、ラ・ヴァリエール嬢とその使い魔、そして友人たちです」 「なるほど、してその密書とやらは?」 ルイズはポケットの裏側を切り裂き、縫いこんだ密書を取り出し、一礼してウェールズ皇太子に渡す。 皇太子は真剣な面持ちで手紙を読み進め、途中で顔を上げる。 「姫は結婚するのか?あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い…従妹は」 ワルドが無言で頭を下げ肯定する。 皇太子は最後の一行まで丹念に読み終えると、こちらに微笑んだ。 「了解した。姫はある手紙を返して欲しいということなのだな、そのようにしよう。 しかしながら、今その手紙はニューカッスルの城にあるのだ。多少面倒だが、ニューカッスル城までご足労願いたい。 シャチ、『イーグル』号の案内を頼む」 『イーグル』号は大きく迂回し雲の中を慎重に抜けていく。 ウェールズは向かうべき城の正面から砲撃を行う巨大な船を忌々しげに見つめる。 「あれが貴族派の艦?」 ルイズはシャチに尋ねる。 「ええ、かつての我々のアルビオンズ第一艦隊旗艦、『ロイヤル・ソヴリン』号です。 もっとも、奴らは我々を最初に破った地、『レキシントン』号と呼んでいますがね」 「そう、あの艦の反乱から全てが始まった、我々にとっては悪夢のような艦さ。『レヴァイアサン』号も 『ドレッドノート』号も奪われ、『ヴィクトリー』号は大破。残った船はこの『イーグル』号だけさ」 ウェールズ皇太子が話に割り込んできた。 「この『イーグル』号ではあの艦と殴り合いなどはとうてい不可能さ、だからこうして空賊に扮してこそこそと 通商破壊をするしかなかった。もっとも焼け石に水だがね。だからこうして雲中を通り、 大陸下からニューカッスルに近づく。そこに我々しか知らない隠し港があるわけだ」 艦はアルビオン大陸の下に入り込み、光がささなくなる。 シャチによれば薄々大陸の下に我々の隠し港があることは気づいているということだが、 視界もない大陸の下で座礁や衝突、同士討ちや奇襲の危険を犯すことを考えているのか、 それともこの程度の艦が一隻あったところでどうということはないと考えているのか、あるいはその両方か。 兎にも角にも、この隠し港だけは攻撃を受けていないということであった。 暫くの航海の後、真上に直径三百メイルほどの穴が空いている場所にでる。 「一時停止」 「一時停止、アイ・サー」 「3ノントで上昇」 「3ノントで上昇、アイ・サー」 ほぼ同じ速度でアルビオン兵士が乗り込んでいる貨物船も追従する。 「まるで空賊ですな、殿下」 「まさに空賊なのだよ、子爵」 岸壁に接岸した艦からルイズ達は降りると、背の高い年老いたメイジが近づいてくる。 「ほほ、これはまた、大した成果ですな。殿下」 「喜べ、パリー。硫黄だ、硫黄!」 ウェールズの言葉に集まった兵士が歓声をあげる。 「おお、硫黄ですと!これで我々の名誉も守れるというものですな! 先の陛下よりお仕して六十年、こんな嬉しい日はありませぬぞ、殿下!」 泣き崩れならが笑う臣下にウェールズも応じて笑う。 「ああ、これで王家の誇りを叛徒どもに示しつつ、名誉の敗北をすることができるだろう」 「栄光ある敗北ですな、この老骨、久々に武者震いをいたしますぞ。して、ご報告なのですがその叛徒どもは 明日の正午に城攻めを開始するとの旨伝えてきました。殿下が間に合ってよかったですわい」 「そうか、間一髪とはこのことだな!」 一しきり笑いあったあと、パリーは一行に顔を向ける。 「して、その方たちは?」 「トリステインからの大使達だ。重要な用件で、王国にお見えになられたのだ」 パリーはなるほどといった顔つきで頷き、こちらに微笑む。 「これはこれは大使殿、私めは殿下の侍従を仰せつかっておりますパリーでございます。 遠路はるばるようこそ、このアルビオン王国へ。この有様で大したもてなしはできませぬが、 今夜ささやかな祝宴が催されますゆえ、ぜひとも出席くださいませ」 こうして、老メイジは頭を下げ、去っていった。 「では、ついて来たまえ、僕の部屋に案内しよう」 To be continued.
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アルヴィーズの食堂。一日の勤めを終えた貴族たちが会話を楽しみ和やかな雰囲気で夕食を取る最中 ルイズは唇を尖らせ、不満気な表情で前の席に座る者を見つめていた。 「それで『土くれ』のフーケって盗賊なんだけど…」 「貴族の家ばかり狙うなんて大胆ね。怖くないのかしら?」 「フーケもメイジよ。たぶん没落した貴族ね」 ルイズはトリッシュと楽しげに会話をするモンモランシーを見て嫉妬していた。 苛立ちを紛らわそうとサイトを蹴ろうと思ったが、主人の命令を聞かないダメな使い魔を躾けようと食事抜きで 部屋で留守番させていた事を思い出して尚更苛立った。 (なによ!朝だって!お昼だって!色々喋ってくれたのにっ!!) ルイズはトリッシュに構って欲しくて何とか話しかけようとしているのだが、学院に入学してから一年が経つも 友人らしい者は一人も出来ず、周りには魔法が使えない事をからかってくる者か陰口を叩く者しか居なかった。 そんな者たちに寂しいからと言って自分から話しかける事などルイズのプライドが許さない。 その結果、同年代の子と何を話せばいいのか解らないのだが、それでも何とかして友人関係を築きたい、 落ちこぼれの自分を馬鹿にしないトリッシュと仲良くなりたいと思っていた。 (う~なにかキッカケがあればいいのよ…それなら私だって…) 何か話すキッカケが無いかと色々と考え、ある事に気が付いた。 (そうだ!すっかり忘れてたわ) 包帯の巻かれた自分の手を見て、朝も昼もトリッシュは手を怪我した自分を気遣って食事を手伝ってくれた事を 思い出してルイズはニンマリと笑い、ナイフとフォークを使ってメインディッシュに取り掛かる。 既に傷は治っているのだが、構って貰えたのが嬉しかったのでルイズは包帯をそのままにしておいたのだ。 (うふふ。これに気付くなんて私って天才じゃないかしら) 頭の中でトリッシュにあ~んされる光景を浮かべながら牛ヒレのステーキにナイフを突き刺した。 カチャカチャと音を立てて肉を切る。トリッシュは気付いていない。 今度はぎこちなくナイフとフォークを操ってみる。トリッシュは気付かない。 両方やってみる。やはり気付かない。 (音が小さかったかしら?) ガチャガチャと音を鳴らしながら肉を切る。気付いてくれない。 ナイフとフォークを頭の上で鳴らしながらチラチラ見てみる。全然気付いてくれない。 肉におもいっきりフォークを突き刺す。ステーキを載せた皿が割れて漸くこちらを見てくれた。 「ちょっとルイズうるさいわよ!食事くらい静かにしたらどうなの!」 トリッシュじゃなくてモンモランシーが反応した。 「うるさいわね!私は手を怪我してるのよ!お皿くらい割れるわ!!」 モンモランシーに怒鳴り返してルイズはトリッシュをチラチラ見る。何故か首を傾げていた。 「怪我、もう治ったんじゃないの?」 (なっ!なんで知ってるのよ!?) 動揺するルイズを見てモンモランシーがニヤニヤ笑う。 「彼女の傷を治したときに見といたのよ。ザンネンね~」 「なな、なんで余計なことしたのよ!べっ別に甘えたいなんて思ってないんだから!」 「あら?甘えたかったの?胸と同じで子供みたいじゃない」 赤面して混乱の極みに達したルイズが喚きたてるのを見て、トリッシュは自分が子供の頃を思い出した。 母親が身を粉にして働いていたとき、トリッシュはそんな母親に構って欲しくて悪さばかりしていたのだが、 それでも構ってくれない母親に自分が愛されていないのだと思い始めて、段々と悪さが非行までエスカレートして、 最後には同級生に麻薬を売り付けていたゴロツキの顔をナイフで刺して警察に捕まった。 捕まった自分を引取りに来た母に泣きながら頬を叩かれて、それで初めて自分が愛されていた事を知ったのだ。 自分より年上と知らないトリッシュはルイズがまだまだ甘えたい年頃と思い、その願いを叶えてあげることにした。 「私のは手を付けてないから良いわよね?」 「良いの?ホントに?!」 そう言ってトリッシュが肉を切り分け始めたのを見て、漸く構ってもらえるとルイズの顔が明るくなる。 しかし、モンモランシーのニヤついた顔を見てプライドを刺激されたルイズはそれを拒否した。 「べっ別に頼んでないんだから!勝手な事しないで!」 「はい、あ~ん」 フォークに刺さった肉がルイズの口元に運ばれる。先程まで妄想していた事が現実に起こっているのだが、 母親譲りの気位の高さが災いして逡巡する。 「どうしたのよ?食べないならいいけど」 「ちょ、ちょっと待ちなさい!食べないなんて言ってないわ!」 「じゃあ、あ~ん」 「アアア、アンタがどうしてもって言うから食べるんだからね!」 引き下げられるフォークを見て、結局誘惑に勝てなかったルイズは何故か睨んでいるモンモランシーの前で 赤面しながらフォークに齧り付いた。 「見てられないわ…私、部屋に戻るから」 そのやり取りに呆れたモンモランシーが食堂から立ち去るが、ご機嫌なルイズはそれに気付かない。 「そう言えばマリコルヌはどうしたの?」 「ああ、昼間のことで学院長に呼び出し喰らったわ」 「なに?アイツ何かやったの?」 うるさいマリコルヌが居なくて清々していたルイズであったが、話題がないので共通項であるマリコルヌの事を 何となく聞いてみたが、トリッシュが落ち着いた様子でとんでもない事を口にして聞かなければ良かったと後悔した 「大変じゃないの!どうするのよ?!」 「ヤバイんだったらこんな所で食事してないわ。きっと大丈夫よ」 突然の事で驚いたが、考えてみれば昼間起こった事ならとっくに処分が下されている事だろう。 それに話しによればミス・ロングビルが何とかすると言っていたのだ。何とかなったんだろう。 そう思い込むようにして不安を打ち消し、ルイズはトリッシュと楽しく食事を続けた ルイズがトリッシュと楽しく食事を取っているその様子をキュルケが遠くの席から見守っていた。 「ふう~ん。ルイズにも友達ができたみたいね」 この一年間、ルイズが一人で食事を取っているのをキュルケは不憫に思っていたが、プライドが邪魔をして食事に 誘えないでいた。もっとも誘ってもルイズは着いてこなかっただろうが。 「あ~ん」 横からタバサが大きめに切られた牛ヒレのステーキをキュルケに差し出していた。 「はいはい、二度も引っ掛からないから」 タバサの左手に隠されたはしばみ草が刺さったフォークを取り上げて皿に置くと、代わりにワイングラスを手に取る。 「好き嫌いは良くない」 「ダメダメ。嫌いなものは食べない主義なの」 親友の忠告を無視してキュルケはワインを口に含み、舌で転がすように味わって突然顔が歪んだ。 「フフ…はしばみ草の凝縮汁は……旨かろう…」 キュルケが盛大に吐き出し、アルヴィーズの食堂に虹が描かれた。
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使役魔法。通常の動物1体を使い魔として契約し、意のままに操ることができる。 契約は使い魔か術者かどちらかが死ぬまで維持される。 もし契約が切れた場合は、新たな使い魔と契約することができる。 キャラクター作成の時点で、すでに契約した使い魔がいることにしてもよい。 使い魔は1人1体に限られる。 (adroad alternate 魔法の項より引用) 愛でてよし 使ってよし アドロードにおいて主従の逆転は珍しい事ではない むしろ使い魔>主人がデフォかもしれない
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「・・・ズ。ルイズーッ。起きてよ。もうこれしか氷が無いけど元気になってよ!」 「・・・キュルケ・・・ここは?」 塔の中みたいだけど、みんなは?そして、プロシュートは? 「塔の一階よ。さあ早く戻りましょ、タバサが時間を稼ぐのにも限界があるわ」 キュルケが上に行こうと階段に進む。 「・・・いかない」 「なんですって?」 キュルケが足を止め振り返る。 「もう・・・どうでもいいわ」 キュルケがわたしを鋭く睨みつける。 「プロシュートは・・・わたしの事なんかどうでもよかったのよ」 「このままだと、ここにいる全員が死んじゃうのよ。 それでもいいって言うの?」 うるさいわね・・・。 「もう、どうだっていいのよ。わたしの知ったことじゃないわ」 キュルケは黙って、わたしを見つめ続ける。 「そう・・・。ルイズ、あなたにとってプロシュートは一番じゃ無かったのね」 「・・・なんですって」 これだけは聞き捨てならない。 「あなたにとって本当に彼が一番なら、あんな操られている奴の言う事なんか 気にしないわ。なのにそれを信じて不貞腐れて、それこそ生きていた彼に 対する侮辱だわ」 ! 「フハッ、フハハハハハハハハッ。何を腑抜けていたの、わたしはッ!!」 そうよ!プロシュートがあんな事、言うはずが無い! まったく、それを鵜呑みにして落ち込んでいた自分が恥ずかしいわ。 「立ち直ったようね」 キュルケがニヤニヤと笑みを浮かべていた。 「わたしを励ましてくれたの?」 いつも見ていて腹が立つ笑みも気にならない。 「まさか!思った事を言ったまでよ」 そう、その不敵な態度こそキュルケよ。 「行きましょうか。プロシュートを倒しに」 わたしは杖を顔の前に掲げた。 「ええ、行きましょうか。プロシュートを倒しに」 キュルケも続けて杖を掲げた。 「「杖にかけて!」」 わたしたちは上に戻るために階段を上る。 「キュルケ、走っちゃだめよ」 「ええ、わかってるわ」 踊り場に一人の老人が倒れていた。 「放っておきなさいよルイズ。プロシュートを倒せば全員助かるんだから」 この服に薔薇の杖・・・ 「ギーシュじゃないの?」 「あらホント生きてたのね、プロシュート相手に」 そんな気はしたけどホントに生きていたのね・・・そういえば・・・ 「ねえキュルケ。わたしはプロシュートに掴まってたと思うんだけど、 どうやって助かったのかしら?」 「ギーシュが大変だわ!すぐ氷で冷やさないと」 あからさまに話を逸らしたわね。 「ちょっと答えなさいよ!すごく重要な事よコレ」 キュルケは顔を逸らし自分の体を抱きしめる。 「・・・・・・よ」 「何?よく聞こえないわ」 「体当たりよ、体当たり!文句ある?」 は? 「いや、無いけど、よく助かったわね」 「そうね彼も『えっ?』て顔してたわ。もうあんな真似、二度としないわ」 「ありがとうキュルケ。でも体当たりとわね」 「だって、しょうがないじゃないの。私の『火』はプロシュートの『力』と相性が 悪すぎるんですもの」 「確かにそうね。フフッ、いや馬鹿にしてんじゃ無いのよ」 「き・・・君たち・・・僕を忘れないでくれたまえ」 ギーシュが擦れた声で助けを求めてくる。 「えっ?ああ、そうね」 わたしは溶けてちっぽけになった氷の欠片をギーシュに押し当てた。 シュパアアアアァ 「ふう、助かったよルイズ」 若返ったギーシュがポーズを取り髪をかき上げた。 なんだか髪が薄くなってるのは気のせいかしら? 「わたしたちと別れてから何があったの?」 ギーシュが腕を組み天井を見上げる。 「・・・そう、僕は時間稼ぎの為ワルキューレたちに武器ではなく盾を持たせた。 なにしろ兄貴は傷がすぐに治るのだからね、倒そうなんて思わなかったさ」 「適切な判断ね」 「その後は、ワルキューレがブッ飛ばされて僕もそれに巻き込まれ窓から 転落・・・レビテーションで何とか助かったと言う訳なのだよ」 「ふーん」 よく見るとギーシュの顔や手には切り傷がいくつもあった。 「そして君たちと合流しようと走っていたら気を失ってしまったというのだよ。 いや、体温を上げてはいけない事をすっかり忘れていたよ」 はっはっは、と声をあげて笑うギーシュ・・・あんた凄いわ。 「さて、今から兄貴を止めに行くのだろう?『対策』とやらは分かったのかね?」 「ええ任せてよ!プロシュートを倒してみせるわ」 「ほお、オレを倒すと言うのか?」 プロシュートが上から勢い良く飛び降り目の前に着地した! 「くっ!」 マズイ!こんなに近くじゃ呪文を唱える時間が無い! 「えいっ」 わたしもプロシュートと同じ様に踊り場から飛び降りる。 わたしに続きキュルケとギーシュも一緒に飛び降りてきた。 「少しでいい、時間を稼いでちょうだい」 「うむ、わかった!」 ギーシュが薔薇の杖を振るうと一体のワルキューレが出現する。 だけど、グレイトフル・デッドの一撃であっけなく胴体に穴が空く。 わたしは、その隙に呪文を唱える。 体の中に波が生まれてきた。 はじめての感覚・・・これがリズムが生まれるってやつなの。 その波がさらに大きくうねりだす。 「ディスペル・マジック」 プロシュートは咄嗟に掴んでいたワルキューレを目の前に差し出した。 ワルキューレが鈍い光に包まれ元の花びらに戻っていく。 「防がれた!」 「もう一度だ、ルイズ!」 ギーシュが叫ぶと同時に杖を振るう。 しかし、今度は何も起こらなかった。 「精神力が足りないってヤツか?追い詰められたムダなあがぎしやがって」 プロシュートは、こちらに向かって飛び降りる。 「いいえ兄貴。魔法は成功しています・・・『油』を連金する事は」 「何ッ!!」 プロシュートが着地した途端ズルリと滑りスッ転んだ。 やるじゃないギーシュ。プロシュートに一杯喰わせるなんて! 「何をしているッ。もう一度だ、ルイズ!」 気を取り直して呪文を唱える。 「忘れたのかッ!オレにはグレイトフル・デッドがあるという事をッ!」 グレイトフル・デッドが、わたしに迫る。 「ディスペル・マジック」 狙いは倒れているプロシュート本人。しかしグレイトフル・デッドが目の前に 立ち塞がり防御の姿勢をとった。グレイトフル・デッドは鈍い光を放つがその まま、わたしは掴まりプロシュートも立ち上がった。 「掴んだッ!これで学院のヤツ等は皆殺しだ!!」 「やはりガードしたわね・・・いや、あなたは動けなくてガードせざるをえな かった・・・未確認の情報・・・スタンドのダメージイコール本体のダメージ だということを。まったく、ギーシュの簾金した『油』に救われたわ」 プロシュートの体から以前ワルドに斬られた傷が浮かび上がる。 「バカな!」 プロシュートの体から力が抜け前のめりに倒れていく。 「ルイズゥゥゥッ! ゴバッ!!」 プロシュートを倒した。 体が軽くなっていくのが分かる。 グレイトフル・デッドが解除され、みんな助かった。 なのに何故わたしは泣いているの? わたしは偽りの命の炎が消え動かなくなったプロシュートの側に立った。 開いたままの目を閉ざそうと手を翳したとき心底信じられないものを目にした。 「・・・ルイズ?お前か?」 弱弱しく、消え入りそうな声だったが、まぎれもなくプロシュートの声であった。 「プロシュート・・・ごめんなさい、わたしのせいであなたを死なせてしまった」 「違うな・・・オレは、お前のダメージが自分のダメージになる事を知っていた。 それを承知で・・・お前を守りきれなかった・・・オレの責任だ・・・」 なんで・・・なんでそんな事が言えるの?わたしを責める事も出来るのに・・・ 「違うわ。わたしがあなたの言うことを聞いていたら・・・魔法を使わなければ!」 「・・・ルイズ・・・『たら』『れば』は・・・無しだぜ・・・」 「?・・・何?何が言いたいのプロシュート!」 「『たら』『れば』・・・そんな言葉は使う必要は無いんだ・・・ なぜなら、オレやオレ達の仲間は常に・・・殺るか、殺られるかだ・・・ そこには・・・『たら』『れば』・・・もしもの話は存在しねえ・・・ だから・・・後悔しないように自分自身の全てを懸けて・・・戦うんだ・・・ ルイズ・・・お前も・・・そうなるよなぁ・・・オレの言ってる事わかるか?・・・ ええ・・・おい」 心で理解できるけど・・・それを納得しろというの?・・・ 「・・・わかったわプロシュート。もう後悔しない!全てを受け止めるわ! それが、わたしの『覚悟』よ!」 「・・・それで良い・・・それで・・・ゴブッ」 口から大量の血を吐き出した。もう、ここまでなの・・・ 「ルイズ・・・オレはお前を襲った時・・・実験と言ったが本当は陽動だ・・・」 陽動? 「・・・新生アルビオンの艦隊が・・・タルブ村方面からトリステインを襲う」 「信じられない・・・だって不可侵条約が結ばれているのに」 「・・・忘れるな・・・ヤツ等は革命を起こした・・・連中だぜ・・・」 じゃあ、わたしたちは何の為に手紙を取り戻したって言うの? プロシュートの死は? オリヴァー・クロムウェル・・・あのクソ野郎・・・ 「・・・どうやら・・・ここまでのようだ・・・意識がヤバクなってきた・・・」 「待ってプロシュート!待ってよーッ」 「・・・アリーヴェデルチ!(さよならだ)」 「プロシュート?・・・プロシュートオォオオオオォ」 ポフッ ポフッ ポフッ 妙な音がしたので振り返るとワルドが拍手をしていた。 「ワルドッ!」 「まさか、ここまで上手く事が運ぶとはな。しかも始祖の祈祷書まであるでは ないか。そうかルイズ、君が巫女に選ばれたのだね。おいおいおいおい 何なのだこれは、あまりにも出来すぎているではないか!」 上機嫌に饒舌なワルドに違和感を覚える。 「状況が理解できて無いの?陽動は失敗したわよ」 「ハハハ。陽動など無くとも特に支障は無い。僕の本当の目的は君だよ 僕のルイズ」 どうも話が噛み合わない。 「何を言ってるの、生獲りも失敗に終ったわ」 「生獲りでは無い。僕の思惑は君の成長にあったのだよ。 なぜ襲撃に、この場所が選ばれたのか。なぜ君は襲撃と同時に目が覚めた のか。なぜ最初に逃げた時、彼は上に行ったのか。そう全て僕の手の中に あったのだよ。命を懸けた戦いが君を成長させると信じて」 「そんな・・・そんな事の為に皆を巻き込んだっていうの?」 「その通りだよ僕のルイズ。さて、すまないがそこを退いてくれないか 彼に用があるのでね」 「一体何の用?プロシュートは死んだわ。もうそっとしてあげて」 「閣下に再び命を与えてもらう。彼には、まだまだ働いて貰わなければ ならぬのでね」 プツン 「ワルドォォォオォォォォオォッ!!」 「ファイアーボール」 キュルケの呪文がワルドを襲う。しかしワルドは突然の炎を杖を使いキュルケ に撥ね返す。自分の炎を浴びたキュルケは気を失ってしまった。 「スクエアの僕に不意打ちなんぞ効くか」 何事も無かったかの様にワルドはこちらに向き直した。 「ワルド、お前、お前、お前ーッ!」 「どうやら素直に退く気は無いようだね」 「当たり前よ。お前は絶対に許さない!」 「よかろう。ならば決闘だ、表に出たまえ。」 マントを翻し表に向かうワルドの後を追うわたしをギーシュが止める。 「無茶だルイズ。相手は魔法衛士隊の隊長なのだよ」 「ねえギーシュ。貴族の資格って何なのかしら?」 「こんな時に何を・・・魔法が使える事に決まっているじゃないか」 「違うわギーシュ、魔法を使える者を貴族と呼ぶんじゃない。 敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶのよ!」 「ワルド。生獲りに拘っていたお前が決闘だなんて、どうゆうつもりよ?」 「別に殺してしまっても再び命を与えれば良いのだ。 君が手に入る予定に変りは無い」 「・・・もはや、お前に何も言うことは無いわ」 以前ギーシュとプロシュートが決闘した広場で、わたしとワルドが決闘する事 になるなんて。 「ルイズーッ!」 上からシルフィードに乗ったモンモランシーが声をかけてきた。 「モンモランシー、タバサ、無事だったのね」 シルフィードからモンモランシーとタバサが降りてきた。 「はいこれ、大切な剣なんでしょ。もう老化の心配は要らないのよね?」 「ありがとうモンモランシー。ええ心配ないわ」 モンモランシーが差し出したデルフリンガーを受け取る。 「よう貴族の娘っ子。今からあのメイジとやり合うのかい?」 「ええ、その通よデルフリンガー。皆は手を出さないで、これは決闘なのよ」 わたしは、この場にいる全員に告げ、皆から離れワルドと対峙する。 「さっそく始めましょうか。もたもたすることも無い・・・ 一瞬でカタをつけてあげるわ」 「ああ・・・君は、その『剣』を使うのかい?」 わたしはデルフリンガーから手を放す。 「おい、貴族の娘っ子!?」 「当然!『杖』を使うわッ!祖先から受け継ぐ『杖』ッ!それが流儀ィィッ!!」 わたしは杖を構える。 デルフリンガーが地面に倒れた瞬間が合図となりワルドが詠唱を開始する。 なるほど、だから外に出たのね。わたしの使う呪文は決まったわ。 ウル・スリサーズ・アンスール・ケン・・・ 「ヤベーぞ貴族の娘っ子『カッター・トルネード』だ!」 知ってる。 ギョーフー・ニィド・ナウシズ・・・ 「死ぬぞ、貴族の娘っ子!」 あれじゃ死なないでしょ。 エイワズ・ヤラ・・・ これだけでは勝てないので使える呪文がないか片手で祈祷書を開く。 浮かび上がる呪文『エクスプロージョン』(爆発)。 今の気持ちをそのまま表す呪文・・・気に入ったわ。 ユル・エオー・イース! 「祈祷書を読み上げての決闘とは舐められたものだな僕のルイズ!」 馬鹿の相手は必要ナシ。 「『ディスペル・マジック』」 ワルドのカッター・トルネードが鈍い光を放ち消滅した。 「??なにが起きたと言うのだ?僕のスクエア・スペルが?」 「わたしが何から何まで親切に教えると思うの?」 「君の系統『虚無』は命を操る系統では無いのか?」 ワルド、お前は情報に踊らされる節があるわね。 「お喋りは、ここまでよ」 わたしは呪文を詠唱する。 エオルー・スーヌ・フィル・ヤンサクサ 「もう一度カッター・トルネードを・・・だめだ同じ結果に・・・ それに精神力も・・・ならば、ユビキタス・・・」 ワルドも呪文の詠唱を始める。 オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド ディスペル・マジックを唱えた時とは比べ物にならない力のうねりを感じる。 この呪文・・・直感だけど何かヤバイ・・・わたしは詠唱を中断した。 しかし五体に分身したワルドの中心に光が生まれ、どんどん広がっていった。 「こ・・・この光はッ・・・うおおおおお・・・」 呪文を止めた・・・はずなのに・・・どうして? 光が収まると、ワルド達の姿は無かった。 「勝ったの?」 「いいや、勝つのは僕だよ」 後ろから声をかけられた。 ボロボロのワルドが一人、目だけはギラギラと輝いていた。 「サイレント?」 いつの間に後ろに回り込まれたというの? 「不正解、単に気配を消しただけだ。これで僕の勝利は確定した!」 「へえ、どうしてかしら?」 「簡単な事だ。この『距離』なら君の詠唱より僕の攻撃の方が早い」 「なるほど完璧な作戦ね。不可能という点に目をつぶればね。情けないわね だからトリステイン貴族は口だけだって言われるのよ『マンモーニ』のワルド」 ワルドの言葉を鼻で嗤う。 「『閃光』のワルドだッ!」 顔を真っ赤にしながらワルドが一直線に跳躍してきた。 「もらった!ブッ殺してやる。くたばれッ、ルイ・・・」 「ウル・カーノ」 目の前の爆発がワルドを襲う。 「ぐはッ!?」 「『ブッ殺してやる』。そのセリフは終わってから言うものよ、ワルド」 煤だらけのワルドは倒れたままピクリとも動かなかった。 「勝った!」 わたしは杖を掲げ宣言する。 「凄いじゃないかルイズ!スクエアのメイジに勝つなんて」 「すごく立派よ、ルイズ。もう、貴女を馬鹿になんて出来ないわね」 ギーシュとモンモランシーが、わたしの勝利を共に喜ぶ。 「喜ぶのはまだ早いわ。新生アルビオン艦隊を何とかしないと」 早くタルブ村に行かないと。 わたしはキュルケに膝枕をしているタバサに目を向ける。 「ねえタバサ、わたしに借りがあるって言ってたわよね。シルフィードで タルブ村まで連れて行ってくれない?」 タバサは無言で、わたしの後ろを指差した。 何事かと思い振り返るとワルドの姿が無かった。 「空」 タバサが呟く。 上を向くとグリフォンが飛んでおり、その足にワルドを掴んでいた。 「ファイヤーボール」 爆発はグリフォンの手前で起こる。思ったよりもスピードが速い。 「逃した・・・使い魔の方が、よっぽど優秀じゃない」 人の事いえないか・・・ 「今、ワルドの事は良いわ。タバサ、タルブ村まで連れて行ってちょうだい」 「わかった」 ギーシュが前に出てきた。 「僕も行くよルイズ」 「ギーシュはこの事を姫さまに知らせてちょうだい。」 「そ、そうか。わかった、任せたまえ」 「お願いタバサ」 タバサは頷くとシルフィードに命令する。 「タルブ村まで」 オリヴァー・クロムウェル・・・今まで好き勝手にしてくれたけど 今度はこちらがお前を利用する番よ・・・ わたしの・・・いや、わたしたちの栄光の為に 偉大なる使い魔 完
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伝承やファンタジーにおいて、もっぱら魔法使いや魔女が使役する 絶対的な主従関係で成り立つ魔物、精霊、動物などのこと。西洋版式神といった感じ。 術者の近くにいる小動物を催眠状態にして使ったり、 異世界から召喚、竜の牙など触媒から創造する、 護符や宝石に封じておいた魔物を開放するなどの手段で登場する。 名前の通り、術者自ら行うまでもない些細な用事(伝言、届け物、留守番、偵察、戦闘等)を代行する。 目的によっては一時的に術者の能力の一部を与える場合もある。 いずれの場合も使い魔が術者以上の力を発揮する描写はあまり見られない。 作品にもよるが、使い魔は知性や感情を持たないとされることが多い。 その場合は単一の簡単な命令しかこなせないが、術者の命令を忠実に実行し決して背く事はない。 東方永夜抄ではこの「使い魔」がシステムの一部に組み込まれており、 従来作における高速⇔低速移動の切り替えは人間操術⇔妖怪操術の切り替えになっており、 妖怪操術時は通常ショットのほかに使い魔によるショットで攻撃する。 冥界組になってはどっちも使い魔によるショットあり。 また、人間操術時は敵の出す使い魔にショットを当てられるが、妖怪操術時はショットが当てられない。 ニコニコRPGでは妖精の技として出てくる。 ちなみにこの人も使い魔を使う。
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キュルケは唇をぐいぐい押し付けてくる。唇を離そうとするが力強く、なおかつ巧みに唇を押し付けてくるので 離れない。力ずくで引き離すしかないようだ。 そう考え実行しようとすると、ドアのほうから凄い音がした。 ドアのほうを見るとネグリジェ姿のルイズがいた。キュルケは気づいているだろうがキスをやめようとはしない。 ルイズはわざわざ蝋燭を1本1本蹴り飛ばしながら私たちのほうに近づく。 「キュルケ!」 ルイズが怒鳴りつけてくる。 キュルケはその声を聞くとようやく私とキスをやめる。今だけはルイズに感謝しよう。 ルイズがキュルケを怒鳴りつけるが、キュルケはそれを軽くいなす。 早くここから出よう。 「来なさい。ヨシカゲ」 ルイズが私を睨んでくる。今行こうとしてたところだ。 腰を上げようとする。しかしキュルケが私の腕を掴み引き寄せる。 「ねえルイズ。彼は確かにあなたの使い魔かもしれないけど、意思だってあるのよ。そこを尊重してあげないと」 確かにそうだ。だから私の腕を離してくれないか? そう思いながら腕を引き離し、ドアのほうへ歩いていく。 「あら。お戻りになるの?」 キュルケが悲しそうに言ってくるが無視し部屋を出てルイズの部屋に戻った。 「まるでサカリのついた野良犬じゃないのよ~~~~~~ッ!」 部屋に帰って早々ルイズに怒鳴られる。ここまで怒鳴られたのは数日ぶりだな。うれしくは無いが…… しかし野良犬とはね。今日まで嫌々だが言われたことをこなして来てこの言い草か。 「そこにはいつくばりなさい。わたし、間違ってたわ。あんたを一応、人間扱いしてたみたいね。 ツェルプストーの女に尻尾を振るなんてぇーーーーーーーーーー!犬ーーーーーーーーーーーーー!」 わけがわからない。なぜこんなに怒っているんだ。どうやらキュルケが関係あるようだが。 ルイズは机の引き出しから何か取り出してきた。鞭だ。立派な革製で叩かれたら痛そうだな。 「ののの、野良犬なら、野良犬らしく扱わなくちゃね 。いいい、今まで甘かったわ。乗馬用の鞭だから、あんたにゃ上等ね。 あんたは、野良犬だもんねッ!」 ……今回ばかりは腹に据えかねるな。腰に吊ってあるデルフリンガーを抜く。 「久しぶりに抜いてくれたな。相棒」 デルフリンガーが早速声を掛けて来る。相棒って私のことか?初めて聞くぞ。 「な、何よ?」 さすがに剣を抜かれたのには唖然としたのだろう。今まで自分の言う事に従ってきた人間が反逆したのだから当然か。 剣を抜いたまま1歩1歩近づいていく。ルイズはさすがに私が本気だということがわかったのだろう。顔を青くして後ろに後ずさる。 しかし覚悟を決めたのだろう。鞭を振り上げ私を叩こうとする。 しかしデルフリンガーで鞭を切る。案外切れるじゃないか、錆びてるくせに。 「ななな、何よ!何か文句であ……」 何か言おうとしていたみたいだがそれより早くルイズに近づき腕を首に当て壁に押し付ける。 「カハァッ!」 ルイズをそのまま締め上げる。ルイズが首を閉める腕を外そうとするが外れない。所詮は少女の力だ。外れるわけが無い。 ルイズの顔を覗き込む。ルイズの瞳には涙が浮かんでいる。 「使い魔の調教に失敗したな」 顔を覗き込みながら淡々と告げ、さらに締め上げる。 暫らくして腕を退かすとルイズはそのまま床に倒れこんだ。 14へ