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ルイズ達一行は盛大な宴の最中に居た ラ・ロシェールでの傭兵の奇襲、アルビオンへと向かう船上での空賊の襲撃を切り抜けたルイズ達は 王党派最後の拠点であるニューカッスル城にまで辿り着いていた (何かある度にディアボロが再召喚される羽目になったのは言うまでもない、だがお陰で誰一人欠ける事無くここまで来れていた) だが辿り着いた時にはすでにニューカッスル城は5万を数える貴族派の軍勢に包囲されており、 貴族派の宣言した総攻撃により落城そして王党派の滅亡は避けられ得ぬものとなっていた ゆえに王党派は勝利が得られぬのならば、華々しき敗北によって義務を果たし名誉を守らんとすべく決戦を挑もうとしていた 宴は死を覚悟した者達の別れの宴なのだ 「名誉ってそんなに大事なものなの? 愛しい人を残してまで死を選ぶことに価値があるの? 分からない、全然分からないわ」 ウェールズ王子の死の決意に翻意を促すも退けられ、気落ちしたルイズは傍らに立つディアボロに問い掛ける 「他国の侵略を防げなかった無能としてはそれしか縋る物が無かったということだ、意地もあるだろうがな」 「意地?それに侵略って、内乱の筈でしょ」 「己が犠牲になれば貴族派はトリステインに対して開戦する理由を得られない、 それが愛する女に出来る唯一の事だとでも考えているのだろう、無駄な事だ 物資の流れからして貴族派に外国が介入していることは明らかだ、その行動方針も含めてな」 ディアボロは今まで得た情報から導き出した推論を馬鹿にした態度で語る 「じゃあ殿下にそのことをお伝えすれば…」 「それこそ無駄だ、意固地になるだけだろう」 「どうしろっていうのよ!」 「普段私にしている様に命令して見れば如何だ」 「命令…、そうか国王陛下なら…」 ディアボロの皮肉から閃いたルイズはすでに部屋に下がったアルビオン国王ジェームズ一世に謁見すべくその場を駆け出した 国王の部屋を前にしてルイズは弾む息を抑えていた 首尾よく国王を説得出来たなら、ウェールズ王子の命を助ける事が出来る アルビオンの滅びを止める事は出来ないが、悲しみを一つ減らす事が出来る 私はその為に此処に来た その為の行いを止める事は困難から逃げる事を意味する、それは貴族である事の否定だ それだけは嫌だ 困難に立ち向かいけして逃げない者こそ貴族なのだから そう考えながら扉を叩こうとしたルイズを呼び止める声がした 「ルイズ」 ルイズが振り向いた先には婚約者がその姿を見せていた 「ワルド、どうしたの」 「明日この城の聖堂で結婚式を挙げよう 立会人はウェールズ王子にお願いしてある、快諾して頂いたよ なにそんな大仰なものじゃない、気持ちを確かめ合うといった程度のものだ 正式な結婚式はトリステインに戻ってから君の両親の前でやりたいからね」 それだけ言うとワルドはルイズの返事を待たずに与えられた部屋へ戻っていった ルイズはしばし呆然とワルドが歩いていった先を眺めていた 予告された総攻撃の刻限が迫る中、ニューカッスル城の聖堂には美しき花が咲いていた 花の名はルイズ、花嫁の衣装を身に着けたルイズは見る者にため息を突かせぬには居られぬ程美しかった 「まさかルイズに先を越されるとわね」 「綺麗」 「馬子にも衣装だな」 3人の参列者は当初王党派最後の船に乗り城を離れる筈だったが、タバサの風竜に乗れば良いという事でこの場に残っていた 式は結婚の宣誓まで進んでいた 立会人を務めるウェールズがワルドに尋ねる 「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド 汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とする事を誓いますか」 「誓います」 ワルドの返事を確かめ、続いてルイズに尋ねる 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 「殿下」 唐突にウェールズの言葉をルイズが遮った 「私はこれ以上この式が進む事を望みません」 「ルイズ、何を、何を言っているんだ?」 動揺を顕わにしたワルドがルイズに詰め寄る 「ワルド、貴方は今回の旅の目的を知っている筈よね、それに掛ける私の思いも でも貴方はそれを無視したわ、私の事を愛していると口で言いながら何か他の目的の為に動いているかの様に」 きっぱりとルイズが告げる 「だからワルド、私は貴方との結婚を望みません」 ルイズの言葉を受けたワルドはよろめく様に一歩下がる 「ルイズ、僕のルイズ、君がそんなことを言うなんて有り得ない、君は僕のものなんだ 君の力は、まだ眠っているだけの力は、誰よりも素晴らしいものなんだ、それは僕の為に」 「私の心も体も力も私の意志の下にあるわ、私が共に在りたいと願うのは私の意志と共に在ってくれる人 貴方の事をそうだと思っていたけれど違ったわ、貴方は自分の事しか考えていないもの、だから嫌、絶対に嫌」 決定的な拒絶を受けたワルドは顔を俯かせ低い声で呟いた 「そう確かに僕には僕の目的があった、君とは異なる3つの目的がね 一つ目は君だ、君の持つ力は何時か僕に必要になる筈だった 二つ目はアンリエッタ王女の手紙、レコン・キスタにとって絶好の材料だからね 三つ目は」 そこまで言うとワルドは杖を引き抜き閃光の二つ名に恥じぬ速度で呪文を唱えると後ろに立つウェールズに向かって突き刺した 「ウェールズ王太子の命!」 だが、 (手応えが無い!?) 杖はウェールズに突き刺さるどころか何も無い空間を虚しく灼いていた ウェールズの姿を求めて周囲を見回すと王子はルイズと共に凄まじい速さでワルドから離れていた (違う、二人が動いているのではない、これは自分が…) 自分の身に起きている事態を把握すべくワルドは自分の体が向かっている方向に顔を向けた すると参列者の席に座るルイズの使い魔の顔が見えた (イ、イカン、このままでは) ズッキュゥゥーーン! ■今回のボスの死因 ワルドのエアニードルに貫かれて死亡 ■おまけのワルド 花嫁と濃厚な間接☆キッス
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51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 00 34.31 ID gckj6eAy0 __ _, ´ `丶、 / \ / , / / / ヽ `ヽヽ l l j __ // ,イ 、ハヽ }! ハ l l 「 j_从7ヽハ !七大 ` } リ }/ | l Vf゙仡圷/ jl ノィアト、ヘ// / j l l V_ ソ ´ V リ /jイノ , ハ ヘ. ` , l ! / / l ヽ ー ‐ .厶 |ハ // ∧ 弋ト 、 __ , r<7 l ヽ 「我が名はルイズ・フワンソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール / / / ∧ Vー、 Kヽ{ ヽ ヽ 五つの力を司るペンタゴン。この物に祝福を与え、我の使い魔となせ」 / /./ /¨} ,__∧_j_l ハ \ }/ ,′ l { / / / ヾ ☆Y ハ X { V r / / \__j 入xぅ/ \ ヽ l { / / V //∠ , } ! j/ / ! ∧V _二} ヽ / / / { 〈 l / | j/ -ーソ ノ / / / |ヽ \ l /∠/j rテ 〃 ( ヽ , . / / 、__jノ ∧{ / ,/ { _/ ハ `ー彡 / 〃 、__ > / ;> ´ /! ∨ヘ ヾ \ < _ ヽ {{ =ァ 彡< / { く{ ヽ ヽ ユ=― ´ 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 03 36.57 ID gckj6eAy0 / \ / / . . ..丶 / / / / \ . ... . . . . ヽ ./ / l . .l / \ . .ヽ丶 . `、 . . . . ハ l l | .!.{ . .{ ._{_, ._ヽ 斗 ト . ,. . .l . . . . , . .} | | l. l厶. イヽ .ヽ . ..ハ. l_}ヽ..}ヽ| . . . . . } / i i V _ヾ{z=k ハ.. . / ィ戈 〒ヾl . . ./∧ ノ ∧. ヽ ,ィf戈. ノ! }. / V≧ソ / / K . . .ヽ 「ん……」 / . / ハ . ,` ヘ≧= ´ ´ ̄ イ . . . .| . .ヽ . .} / .. . / . . ヘ. ヘ . . ! . . . .l . . . . / / . . / . . . . ム . . 、 , ′ . ∧ . . . .{ ヽ . . { . . ./ .l . .ト、 ´’ イ . . . . ./ ヽ_ . . ヽ、 )ノ . .ヽ . . .j ! . l. > 、__, ィ ´ / . . . . ./ `ヽ . . . .  ̄ `ヽ , -一 . . / .∧ } . . V | 〉く ./ . / l . . . . . . . . } / . . . . / . . .{ \/ . . .l Ⅳ⌒ヽ// / / ヽ . . . . . . ., . / . . . . / . . . . .l / . . . } マ=マ / /. . ヽ ∧ . . . . . / { . . . / . . . . . . ./ . . . .人 弋7 { . . . . ヽ___ / l . . . . / `ヽ . . . ヽ . . ./ . ./ ヽV∠-ヘ . . . . . \ ! . . . .{ ノ . . .} . .{ .. . . ./ / ヘ . . . . . ヽ. | . . . . ゝ __ノ! ヾニ二 人 . / . .ヽ . . ./ ∧ \ . . . . . . .j | . . ヽ . _ノ 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 05 42.08 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! 「何をする貴様! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! 俺のファーストキスを奪いおって! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ 許さんぞ!! 後悔するがいい!! \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ 貴様には地獄を見せてやる!!」 ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 09 21.51 ID gckj6eAy0 , イ \ / \ \ / ヽ , | { l | _ 〉 、 | |/ ,、ヽ / \ { / ヽ∨  ̄≧ュ、 〉 __,. , 「ずいぶんと気性の荒い使い魔だが、ちゃんと契約はできたようだねミス・ヴァリエール { ノ r リ  ̄´ 斤ォー / 人間の使い魔というのは聞いたことがないが、しっかりと世話をするんだよ」 ∧ヽゝ ヽ  ̄ー ├ー |ゞ′、/ , \| | ヽ、__ノ !、__ノ _ / l l } / / ヾ ヽ __ ー / ノ ` ー- 、 \ < _ / / \ ヽ __ / _ -──  ̄  ̄/ ̄ 7 、 -─ / / ` ─- 、 / / >ー───── 、 / / / / 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 11 39.66 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! 「この俺が世話をされるだと? ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! ふぅん。ここまでくると怒りを通り越して呆れるわ! . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ ……む? なんだ!? 左手が……! ぐぅぅぅ!?」 \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 14 44.55 ID gckj6eAy0 __ _, ´ `丶、 / \ / , / / / ヽ `ヽヽ l l j __ // ,イ 、ハヽ }! ハ l l 「 j_从7ヽハ !七大 ` } リ }/ | l Vf゙仡圷/ jl ノィアト、ヘ// / j l l V_ ソ ´ V リ /jイノ , ハ ヘ. ` , l ! 「すぐ終わるわよ。待ってなさいよ / / l ヽ ー ‐ .厶 |ハ 『使い魔のルーン』が刻まれて……って……えぇ!? // ∧ 弋ト 、 __ , r<7 l ヽ ちょっとあんた!? なによそれ!?」 / / / ∧ Vー、 Kヽ{ ヽ ヽ / /./ /¨} ,__∧_j_l ハ \ }/ ,′ l { / / / ヾ ☆Y ハ X { V r / / \__j 入xぅ/ \ ヽ l { / / V //∠ , } ! j/ / ! ∧V _二} ヽ / / / { 〈 l / | j/ -ーソ ノ / / / |ヽ \ l /∠/j rテ 〃 ( ヽ , . / / 、__jノ ∧{ / ,/ { _/ ハ `ー彡 / 〃 、__ > / ;> ´ /! ∨ヘ ヾ \ < _ ヽ {{ =ァ 彡< / { く{ ヽ ヽ ユ=― ´ 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 17 41.26 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! 「これは……デュエルディスク!! / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! 馬鹿な! 何故これが俺の腕に! ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! 本社の金庫に保管してあるはずだぞ!」 . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 19 40.32 ID gckj6eAy0 , -‐ ´ ` ー、 / `ー-、 ,‐´ 、 `ヽ、 f‐ | ヽ ヽ ヽ / ー、 ヽ_ / ヽ ヽ ヽ\ ヽ / } _ l ヽ ヽ/! ヽ i ヽ i l / / ヽ l、 ヽ l ハ/f-f、 }l l、 |リ l l l_l_lr- {_ゝヽ ヽ |//fc リ /! /リ l |. . } l ハ、=ゞ==リ / ムソ /イ 〈 「でゅえるでぃすく? ノ l. . l イ /´七C、ム/ .. lゝ、ヽ、 なんなのよそれ! ていうかルーンはどうしたのよ!?」 `ー-´ _-‐!. . ヾ l 弋ソ .. .. }l  ̄ ー----- f´ ヽ. . ヽ、 ,__ -= /ヽ、 . . . _-―‐´、 ヽ. . . ヽ、 /  ̄ノ/! ヽ、 . . . ヽ ヽ、 \ . . . ヽ、_ー‐ニ‐´ !. . ヽ、 . . . . .ヽ、ヽ ヽ、_ ヽ、! ヽフニイ / /ヽ . . ヽ . . ./ヽ、ヽ `ー-ヽ. . ヽl ll l / ヽ、. . ヽ . . . i ヽ \ }. . } l 7 | / }. . . } . . l \ `ヽ、 /. . . . , ヽTl / / /. . / . . .l \ \/. . . . /`ヽ、/ /. . . / . ./ ヽ/. . . . / / l| /. . . ,-‐´ 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 22 32.59 ID gckj6eAy0 , イ \ / \ \ / ヽ , | { l | _ 〉 、 | |/ ,、ヽ / \ { / ヽ∨  ̄≧ュ、 〉 __,. , 「落ち着きなさい、ミス・ヴァリエール { ノ r リ  ̄´ 斤ォー / よく見たまえ、彼の左手にはちゃんとルーンが刻まれている ∧ヽゝ ヽ  ̄ー ├ー |ゞ′、/ おそらくそのアイテムは使い魔の特殊能力に関連しているんだろう , \| | ヽ、__ノ !、__ノ さぁ、これで全員の契約が終わったな。よし、じゃあみんな教室へ戻るぞ」 _ / l l } / / ヾ ヽ __ ー / ノ ` ー- 、 \ < _ / / \ ヽ __ / _ -──  ̄  ̄/ ̄ 7 、 -─ / / ` ─- 、 / / >ー───── 、 / / / / 90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 25 18.88 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! 「くっ……はずすこともできんとは / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! おい貴様、ルイズと言ったな ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! もう一度だけ説明するチャンスをやろう . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ これはいったいどういうことだ」 \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 28 33.58 ID gckj6eAy0 _ __ /´ `ヽ_ , -‐ `ヽ / \ . / / ヽ l / ,′/. / .〃 . .丶 丶 . .ヽ l l l l | l . .l . .ト、/ . . { . . .ヽ. \ .j .! │ l lハ l. . |. ..!. .{\八 . . .ヽ ,__匕厶} │ l ヽ∧ . ! . 从7tーゝヽ . イヘ ノ│ l ヽ、 「なんでこんなに偉そうなのよこの平民……! jハ>ハ `‐ j /  ̄ / リ `ヽ、 ……まぁいいわ、説明してあげる | } ´ 、 / / . . \ 私はあんたのご主人様なんだからね」 _ ノ ゝ , `マZ三)′ 厶;._ } / `ヽ┐ . . . . /> ´ / ヽ . / / ) {_, }. . . . / / _ -ヘ . . . . .∨ { ┐r /. . .〃 /_ -‐ ´ ヽ . . . / 入 / ̄ ̄`V / l | . . . ト、 / . .Y / ̄ ̄ヽ . . . . ./ l l . . . . . . .\ ヽ . .レ l-‐、__{ l { . . . . . . . . . \ ) .l \ \ l ヽ . . . . . . . . . . . ヽ / . .ヽ ヽ ヽ l } . . . . . . . . . . . . } 95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 29 39.62 ID gckj6eAy0 -――- 、 , ‐ ´ \ / 、 ヽ |l l /〃 ヽ ヽ} | l , \ .ljハ トkハ 从斗j │ ハ \ l∧}ヾソ V ヾソ ! ! ヽ \ \ __ __ リ.人 v‐┐ / ト、 ヽ ヽ {心下ヽ / >ゝ- <{ Vl } } ゝ<}ノ \ ( Y Y ! ヽヘ { { ~説明中~ 7´ ̄ ) ) ∨ __ ヽ } \ \丶、 / / /ィ ´ヽ ノ / ヽ ヽ `ヽ ! ≦∠__ノ | /ハ / ゝ、 `、 リ ノ | . . l __ヾ\ ≧ 、ヽ { l_ . . / v l \ ヾ  ̄ , }> ヽ. V | ! l∧ Vリ i `ドー rL.」 厶 ! l j ̄ 7 ├‐ ト、 ! \ / / ! ! `、 ! `/ /ー‐‐┤ 「¨¨ ヽ / ,′ / ! ! レ ´ ┴‐┴━━━ゝ-┴ 97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 33 07.67 ID gckj6eAy0 ,. -‐ 、. /  ̄`~` ‐ 、 / ` ` ‐、 / `‐、 / \ , \ / ! \ / l ! | i . / , │ l l ! | │ / /./ | │ l 、 | | | , | .l ! . / / /l ! l | | | \ !|l | / | | ! 「ふぅん。なるほど魔法世界というわけか / / ./ ! | l l | | ヽ. ヽ\ \ ヽ. ヽ. |│/ヽ| ! l ! よかろう、納得してやる ` ‐ 、| l ヽ. ヽ.ヽ. ! l\\`‐、ヽ、\ヽ.| レ /ヽヽl ! ! ふぅん、俺も遊戯のせいでオカルトに耐性がついてしまったな . `‐、| 、ト、__\ 、 ヽ. l トーz、-‐ラ フヽ!|!/_,ゝヽ }. |│ よし、女。このあたりの地理を把握する。着いて来て説明するがいい」 \ヽl\`ー ヽ、\ヽ ∨ー`‐← ||!-、-、 /! |│ ヽト. ´ ̄ジヽN` -ゝ |! リ /|.| | | ! \ _iー | |.| | | |\. \ r‐== ヲ |  ̄`~` ‐ - 、 | ` ー-ヽ、 V r -‐ / .| | | `‐、 `ー- ./| , -.、 | | `‐、 / .| { {lll}} f{! _ _,,. 、-‐ | `エ´-─ー| ` ー ゞ ´ ヽ` ー- |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| / 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 37 07.17 ID gckj6eAy0 , -‐ ´ ` ー、 / `ー-、 ,‐´ 、 `ヽ、 f‐ | ヽ ヽ ヽ / ー、 ヽ_ / ヽ ヽ ヽ\ ヽ / } _ l ヽ ヽ/! ヽ i ヽ i l / / ヽ l、 ヽ l ハ/f-f、 }l l、 |リ l l l_l_lr- {_ゝヽ ヽ |//fc リ /! /リ 「ちょっと!? 待ちなさいよ!! l |. . } l ハ、=ゞ==リ / ムソ /イ 〈 勝手に決めるんじゃないわよ!! ノ l. . l イ /´七C、ム/ .. lゝ、ヽ、 あんたは! 使い魔で! 私が! ご主人様なんだからねぇーーーーー!!!!!! `ー-´ _-‐!. . ヾ l 弋ソ .. .. }l  ̄ ー----- f´ ヽ. . ヽ、 ,__ -= /ヽ、 . . . _-―‐´、 ヽ. . . ヽ、 /  ̄ノ/! ヽ、 . . . ヽ ヽ、 \ . . . ヽ、_ー‐ニ‐´ !. . ヽ、 . . . . .ヽ、ヽ ヽ、_ ヽ、! ヽフニイ / /ヽ . . ヽ . . ./ヽ、ヽ `ー-ヽ. . ヽl ll l / ヽ、. . ヽ . . . i ヽ \ }. . } l 7 | / }. . . } . . l \ `ヽ、 /. . . . , ヽTl / / /. . / . . .l \ \/. . . . /`ヽ、/ /. . . / . ./ ヽ/. . . . / / l| /. . . ,-‐´ 110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/02(日) 20 43 19.70 ID gckj6eAy0 第一話 ~最悪の使い魔~ 終了 予告 第二話 ~瀬人の花嫁?~ / \ / `ヽ 丶 / . ノ , ヽ / / / . . / ヽ . ヽ ヽ V l l. .| / . ./.;イ ヽ ... . l. . . | .. l l ! |. .| . l . \!/ l . { . . .|ヽ . }ヽ . j . .! | . | ヽハ l .| ! . . jV\{ 八 . . .l } /_,j;ィト .l . l . | 「なんで私がこんな目にあうのよ! ヽ从 . iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V . .jl . | それにあいつってばいつも勝手なことばかりして! \ト小._V;zソ ノ/ V;;_z1 / . . . ハ . . 八 あぁ! 使用人のメイドとなにやってるの! リ } . , .. / . . . /. .ヽ . . ヽ あんたは私だけに仕えてればいいのよーー!!」 _..ノ/八 / . . . /. . . . .\ . . \ , -‐´ / . . >,.、 ´ ヽ ィ′ . . . ハ;.__ . . . . \ . .  ̄`丶、 〃 . . / . . . . . ノ ¨ ヽ、_ , ィ≦7 . . ./ ´ ヽ. . . . .` ー- 、 . ヽ l . ./ . . . . . ;. イ\ ノ} /`∨ . . . { ゝー、. . . . . . . ヽ . } {. / . . . . . / } Vx1_/ { . . . ヽ ∧. . . . . . . } . . ,′ 〃 . . . ./ j/  ̄ ̄ ヽ入 . . . . .\ ヽ. . . . ./ . / { . . . .{ | / \ . . . . .\ ) . / .;イ 前へ トップページ 次へ
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「言ってる事は……よくわかったよ… だけどはっきり言わせてもらう…」 ”彼”、いや…『パンナコッタ・フーゴ』の顔には興奮気味なのか 玉のような汗が浮かんでいるし、唇もブルブル震えている。 目も躊躇いがち。心ここにあらずと言った様子だったが ついに決心した彼は、目の前の少女と向かい合って叫ぶ。 「ど~して!ぼくが君の下着を洗わなくちゃならないんですかーッ!?」 彼の手には小さな布が握られていた…。 『紫霞の使い魔』 第二話 【使い魔フーゴ;主人からの第一指令】 「やっぱり理解してないんじゃないの!?案外頭が鈍いのね、あんた!」 ネグリジェ姿のルイズがベッドに腰掛けて 怒鳴り散らす。 「わかっていますよ!ここがぼくの居た世界じゃないことは!」 フーゴの指さした先には地球ではありえない『二つの月』…。 しかも、『草原』においても人が宙を浮く様を見せつけられてしまったのだ。 無いと信じていた『鏡の世界』に引きずり込まれたこともあったので ここが『魔法の世界』だと認める事はできた。受け入れたくはなかったが…。 「あんたのいう『ぼくの居た世界』のほうがわからないけどね…。 ま、いいわ。続けなさい…」 上から見下すような態度に心の天秤が傾くが、まだ耐えられた。 「それでっ!貴女達が『魔法使い』だという事も! ぼくが『使い魔』になったのも 帰る方法も無いことも、理解できました!!」 彼の『左手』には奇妙な文字が描かれていた。契約の印『ルーン』。 『珍しい形』といわれたが、そんなことは些細な事。 ”フーゴ”が”ルイズ”の『使い魔』になった証であることが重要なのだ。 使い魔は死ぬまで変えることができない。 つまり、彼が帰れるとすれば『物言わぬ屍』になってから…。 帰還計画は遙かに絶望的である。 「なーんだ。よくわかっているじゃない…。偉い…偉い…」 やるきの欠片もない、だらけた拍手を送るルイズ。 送られた方のフーゴは当然イイ気がするわけない…。 その証拠に、こめかみがピクピク動き始めている。 「けれども!何でそれが君の洗濯物を洗うことになるんですか!!」 しかし、理性が必死に殺意を押さえてくれたおかげで 『まだ』会話を続けることができた。 「そこまで解っていて何で『消去法』ができないのかしら?」 ルイズは、『やれやれだぜ…』と言いたげな様子で指を折り曲げながら話し始めた。 「あんたみたいな露出狂じゃあ 1,『主人の目となり耳となること』はできなかったし 2,『主人の望む物を探してくること』もできそうにないし 3,『主人を敵から守ること』は絶対不可能だわ! というよりもそんな格好しているあんたの方が 圧倒的に『女性の敵』よッ!この変態男!」 フーゴの手が痙攣でも起こしたかのように震え始め、 その閉じられた口の裏で、歯が両顎に押しつぶされかけながらも 彼はじっと耐えて聞いていた。 「そんなあなたでも掃除、洗濯みたいな雑用ぐらいはできるでしょ! それぐらいやって貰わなくちゃ、わたしが困るのよッ!」 突然だが、時限爆弾が目の前に置いてあると仮定してほしい…。 そこには お決まりの『赤』と『青』、二本のコードがある。 残り時間は刻一刻と削られていく…。 早くどちらかを切らなければならない。 普通は爆破コードがどれなのか不明なのだが 今回はわかっている! 『赤』を選べば爆発し、『青』を選べば爆弾解除。 そう聞けば、大体の人は『青』を切るだろう…。 でも自分が『狂気の爆弾犯』だとしたら…? 『切れ!』というのならば当然『赤』を切るしかないッ! 己の中の殺意が囁くままに… そう!『いつものフーゴ』ならば間違いなく『赤』を選ぶはず! だが彼は… 「り…了解しました…。ご主人…様」 『青』を選んだ! (そうだ…耐えるんだ…。元の世界に戻るとしても! このままこの世界に残るとしても! しばらくはここで生活していくしかないんだ…。そのためにも この『忌まわしき自分の欠点』は乗り越えなければならないッ!) 「やっとわかったようね…。」 ルイズが優越感に満ちた笑みをうかべた。 「じゃあ洗濯物はまかせたわ。 あんたの寝床は…この毛布で充分ね。 あと、朝はちゃんと起こすこと!いいわね!」 「…了解しました」 その言葉を聞き、ルイズは満足げにベッドに潜る。 彼女が小さな指をパチンと鳴らすと、辺りは闇に包まれた。 フーゴも毛布を被って床へ横になり この昂ぶった心を落ち着ける事にした… が、無理だった。しばらくすると『怒り』は収まりつつあったが 代わりに『不安』という感情が浮かび上がってきた。 自分のことではなく、仲間に対する『不安』…。 彼らには『亀』があるが、敵に見つからないという保証は …無い。今も危険と隣り合わせで過ごしているのだ。 果たして、今も無事でいるのだろうか? そう考えると異世界にいるとはいえ…いや、絆を断ち切ったといえ 『平和な夜』を過ごしている自分が嫌な奴のように思えてきた…。 ふと、ベッドの方を向くと『新しいボス』が寝息を立てているのが見えた。 まだ中学生くらいなのだろうか?とても小柄で華奢な体つきをしている。 もはや彼女への『怒り』は湧いてこなかった…。 彼女にしてみれば召喚されてきたのが『ただの人間』だったのだ。 機嫌が悪いのも仕方がないことだろう…。 そもそも初めて出会ったばかりで、うち解けあうほうが無理な話。 こういうのは少しずつ分かり合っていくものだ。 (『死』か『殺』の狭間で悩んでいたぼくに この子は『生』の道を開いてくれたのだ…。 この世界で新たな繋がりをつくっていくためにも! そして、この『新しいボス』から『信頼』を得るためにも! 『使い魔』として、できる限りのことをしよう…!) そう考えたフーゴは暗闇の中から起きあがり、洗濯物を抱えて部屋を後にした。 To Be Continued…
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歓声と怒号の飛び交うヴェストリの広場。 ルイズとヴィリエが対峙する。 まずはルイズが口を開く。 「開始の合図はどうするのかしら?」 「いつでもよろしくてよ、魔法の使えないゼロのルイズに先制攻撃されたところで私の勝利は変わりませんから」 余裕綽々と答える。 「あら、それじゃあお言葉に甘えておきたいところだけれども…魔法が使えない、は訂正して貰わないとね」 詠唱の短い、コモンマジックを唱える。詠唱は短いが、威力は十分である。 ヴィリエの手前に大穴が空く。 圧倒的にヴィリエムードであった広場はざわめく。 「確かにゼロかもしれないけれど、あなたくらいを吹っ飛ばすくらいの威力はあるわ」 ルイズも負けじと余裕を見せる。 「ゼロのルイズに魔法の侯爵をされたとあっちゃあラインメイジの名が廃れるわね」 しかし、ヴィリエは余裕の姿勢を崩さず、杖を構え、長々と詠唱した。 そして、彼女は2人に増えた。 「これが『偏在』。どう、驚いたでしょ?詠唱が長すぎるから実戦で使えるのはトライアングルの上くらいからだけれど、あなた相手の1対1の決闘なら十分使えるわ」 そう言って偏在を戻す。 しかし、ルイズは挑発に乗らなかった。 「風の魔法の講義、ありがとう。でもミスタ・ギトーの授業で十分でしたわ、じゃあ始めましょうか…… 開始の合図は……貴女がコイントスをして、そのコインが地面に落ちたら詠唱を始める、これでいい?」 「ええ、構わないわ。ただ、手加減はするつもりないの」 ヴィリエは一瞬話すのを止めて、また話し始める。 「この世で最も大切な事は『名誉』であると私は考えているの。すなわち最も忌むべき事は『侮辱』する事と考えているわ。 私たち貴族は平民と違って、金や利益のため、あるいは、劇場や食堂の席を取られたからといって、人と争ったり、命を賭けたりはしないわ。争いは実にくだらんバカのする事。 だけれども、!『侮辱する』という行為に対しては、命を賭ける。殺人も、ブリミル神は許してくれると思っている! ……あなたが決闘を受けた以上、負けたときの仮にも貴族なんだから貴族らしく覚悟くらいはしておきなさい」 観客がざわめく。 食堂の関係者数人は憎憎しげに見つめ、一部の生徒はそうだそうだと野次を飛ばしている。 「あなたこそね、さあ始めましょう」 ルイズは数歩歩き、コインを投げて渡す。 そして、両者が杖を構え、ヴィリエがコインを右手に持つ。 ヴィリエがコインを弾いてトス! コインが高々と空中を舞う。 コインが上がった瞬間! ヴィリエはルイズの意外な行動に驚いていた! なんとルイズは、ヴィリエに向かって突っ走っていった! コインをトスしたために左手だけで杖を持っていたため、杖を構えるのが遅れる。 そして、後ろでコインが地面にあたり甲高い音を鳴らしたときには ヴィリエはルイズのタックルを受け杖を落としていた。 「私の勝ちよ、ミス・ヴィリエ」 ルイズはそう宣言した。 * * * 「な、納得いかないわ、卑怯よ!開始の合図の前に突っ込んでくるなんて!」 「私は、こう言ったのよ『貴女がコイントスをして、そのコインが地面に落ちたら詠唱を始める』 合図の前に走ってはいけないなんて一言も言ってないわ」 ヴィリエは歯軋りをする。 「それだけじゃないわ!コインを自分でトスすればいいのに、わざわざコインを渡すためを装って近づいて、そして相手の片手をコイントスで塞いで注意がコインに言っている間に…」 「なんとでも言うがいいわ。普通にやってたら風のラインメイジ相手にはやればやるほど不利になることはわかってる。 でも、なんにも覚悟も戦術もない、偉そうな口上叩いて余裕ぶっていた相手ならペンタゴンだって私でも倒せるわよ。 負けたからにはあんたのいう、貴族らしくシエスタを許しなさいよ」 ルイズは片膝のヴィリエを見据えて、いや睨んで、そう述べた。 「わかったわ、あんたがなんでそこまであのメイドに肩入れしてるかはわからないけど…貴族らしく約束は守るわ」 それを聞いてルイズは背を向けて去っていく。 しかし、 「でも…あんたは許さないわ……それに、杖を落としたら負けなんて聞いてないわ!エアカッ…」 しかし、その詠唱は止められる。 観客席から乱入してきた2つの物陰に殴られて。 「負けは負けだ、油断するならそれくらいのハンデ与えても十分戦えるようになってからするんだな」 「おーおー、俺も同じ意見だぜ。気が合うな、亜人さん」 ルイズは、ぽかんと口を開ける。 「えーと…ワムウと…あなたは確か……料理長さん?」 「ああ、料理長マルトー、以後お見知りおきをな」 「許さんぞ平民!ジワジワとなぶり殺しにしてくれる!平民の方は逃がさんぞ!覚悟しろッ!」 起き上がったヴィリエが憤怒の表情でマルトーを睨む。 「あんたがどこの貴族だかは知らんが、決闘後に背後から狙った、なんて知れたら貴族の力は使えるのかねえ?」 しかしマルトーは屈しない。 そのセリフを聞いて、ヴィリエは杖を構える。 「決闘なんていうまどろっこしいことはもう終わりよ!ルイズとその使い魔はともかく、平民一人くらい、家の力がなくても…」 マルトーはなにかを取り出しそれを注入する。 すると彼のオーラが変わりだす。 バルバルバルバル!! これがッ! これがッ! これが『ドーピングコンソメスープ』だッ! ウォォォーーム!! 「もしかしてお前、まだ自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?」 ヴィリエは、杖を落として逃げた。 * * * ヴィリエが逃げるのを見て、ギーシュとキュルケが手を合わせる。 「しあわせぇ~~~~~っ!」 「私たち金持ちっ………! 億万長者………!」 こっそりと逃げようとする胴元。 それをギーシュがタックルで倒し、押さえ込む。 「嘘だ…夢だろ…これ…夢に決まってる…!」 「ところがどっこい…夢じゃありません!これが現実です!」 「ぐにゃ~~~~」 その日から数日間、ギーシュの羽振りが異常に良くなるが、70スゥくらいなんてすぐ飛んでいくものである。 半分だけでも実家に送れたのは幸運だっただろう。 * * * 「あ、ありがとうございました…」 決闘が終わり、広場を離れて厨房に来ている。 普段の料理長の姿に戻ったマルトーにルイズは礼を述べる。 「なあに、いいってことよ、『我らが杖』よ!俺たちがかばうはずのシエスタをわざわざこんな騒ぎまで起こして守ったんだ! その辺の貴族は嫌いだが…外見や服装だけじゃねえ、あんたは精神的にも貴族だ!気に入ったぜッ!」 周りのコックなども同意見のようで、しきりにうなずいている者も多かった。 「さーて、戦勝祝いだ!おい!1924年物のシュタインベルガーをもってこい!」 ルイズは厨房奥の部屋に案内され、そこの席に座らされる。 すると、料理が運ばれてくる。ヨダレずびっ!なくらい美味しそうだ。 料理に手をつけようとすると、シエスタが厨房に入ってくる。 「ミス・ヴァリエール!大丈夫ですか!」 実際はかすり傷一つしていないのだが、まるで今夜が山だと言われたかのような慌てぶりだった。 「だ、大丈夫よシエスタ、そんなに慌てないでよ」 「で、でもミス・ヴァリエールが私なんかのために決闘を申し込んだなんて気が気じゃなくて…」 「そうやって自分を卑下しないの。ほら、マルトーさんがすごい上等そうなワインを下さったから、一緒に飲みましょう?」 「え、い、いいんですか?ミス・ヴァリエール?」 「前から思ってたけど、そのミス・ヴァリエールっていうのやめてよ、ルイズでいいわ」 「そ、そうですか……じゃあルイズさん、乾杯……」 グラスが鳴る。 「さっ、俺たちも飲みますか。ワムウさんもどうです?」 「少々用があるんでな、その分今日の主役にでも飲ませてやってくれ」 ワムウは食堂から出て行った。 「ひ…ひと思いに宝石を…とっていってくれ」 NO NO NO 「あ…ありがね全部?」 NO NO NO 「りょうほーですかあああーーッ?」 YES YES YES 「もしかして借金ですかァーーッ!?」 YES!YES!YES! ”OH MY GOD” 追記。質素な生徒が一人増えたそうです。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1504.html
モンモランシーが牢獄のように頑健な造りの荷馬車から攫われた女の子達を外に出し治療する中、トリッシュとマリコルヌが尋問すると言って、捕まえた男達を連れて消えていった藪の中から時折聞こえる。 悲鳴の様な唸り声に耳を塞ぎつつ、サイトは周辺に男達の仲間が居ないかを警戒する。 「あの……ありがとうございます。お蔭で助かりました」 おずおずと礼を言う、トリステインでは珍しい黒髪の少女にモンモランシーは優しく微笑んでそれに答える。 「ううん、気にしないで。あなたも酷い目に遭ったわね」 「いえっ!あ……あたしは大丈夫です!怪我も治してもらいましたから!」 そう言って少女は顔に手を遣る。モンモランシーの手当てにより男に殴られ腫れ上がっていた頬は後も残らず元通りに治っていた。 「おい、ちょっとこれ見てくれ」 「なに?どうしたの」 周りを見張っていたサイトがモンモランシーの傍に近づき、手に持った棒切れを差し出す。 「これって……杖じゃないの!どこで拾ったのよ?!」 「御者台の近くに落ちてたんだ。たぶん、あの男のじゃないか?」 トリッシュが下っ端の男の相手をしている間にマリコルヌとサイトは馬車の影に隠れながら、御者台に乗っていた眼つきの鋭い男の不意を突いて捕らえる事に成功した。 この杖はそのときに男が使おうと取り出して落としてしまった物なのだろう。 「危なかったわね。魔法を使われる前に捕まえられて良かったわ」 「ああ、そうだな」 モンモランシーの呟きに短く答え、サイトは攫われた少女達を見る。 彼女達の年齢はバラバラで、自分と同じくらいの年頃の少女も居れば、サイトの感覚からすれば小学校高学年か、中学一年程度のまだ子供と言ってもいいような年端の行かぬ少女もいる。 その内の、おそらくは一番幼い少女と目が合った。 その少女はサイトを怯えた表情で見詰めて震えながら近くの少女に縋り付く。 サイトは手に持った、トリッシュから渡された剣を怖がっているのだと思い、それを馬車の影に隠してから少女を安心させようと出来る限り優しく微笑む。 「ひっ…いや……いやああああああ!!」 「お…おい!どうしたんだよ?!」 突然叫びだした少女に驚き心配になったサイトが駆け寄ると、少女は虚ろな目でボソボソと呟きだした。 少女が呟くその言葉を聞いたサイトの顔が情けなく歪む。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 ただそう言っていれば許されるとでも言うように、抑揚もなく呟き続ける少女に近づこうとしてサイトは立ち止まる。怯えさせているのは自分だ。 「ごめん、あっちに行っててくれないかな?」 黒髪の少女がサイトの脇を通り、虚ろな目をして呟き続ける少女の傷ついた心を癒すように優しく強く抱きしめる。 「わりぃ……」 掛ける言葉が見つからず搾り出すようにそれだけを言うと、サイトは少女から見えないように馬車に隠れる。 少女が男達から受けた仕打ちを思い、サイトは静かに怒りを滲ませた。 「きゃあああああああ!!」 暗い藪の中から女性の悲鳴が聞こえる。知っている限りでは藪の中に女性は一人しか存在しない。 「今の声って……まさか…トリッシュ?!」 「アイツしかいねぇだろ!オレが行く!お前はここで待ってろ!!」 サイトは隠していた剣を手に取り、疾風の如き速さで林の中へと駆け出した。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」 慌ててモンモランシーも後を追おうと走りかけ、ハッと後ろを見る。 そこには少女達が怯えた顔でモンモランシーをジッと見詰めていた。この子達を残してはいけない。 「あの……行って下さい。あたし達なら平気ですから」 黒髪の少女がモンモランシーの気持ちを察して囁きかける。 モンモランシーは行くかどうか悩んだ。トリッシュは取りあえずは無事だろう。 あの男たちは人攫いだ。『商品』となる彼女を殺すとは思えない。そう思いたくない。 しかし、メイジのあの男が予備の杖を持っていてそれを使って反撃してきたのなら、『商品』にならないマリコルヌとサイトでは殺されるだけだ。 あの男が風のメイジなら音も無く殺す事は可能だろう。マリコルヌも風のメイジだが頼りない。 ギーシュのヴェルダンデの方がまだマシだ。同じデブでも向こうの方が可愛いし。 マリコルヌは死んでも良いがトリッシュの事が心配だ。あの男達なら平気でどんな酷い事だってするだろう。 心配そうに自分を見る彼女達を見詰める。最悪の場合、彼女達を守れるのは自分しか居ない。 『そんなに心配なら私が様子を見てこようか?』 「だれっ?!出てきなさい!!」 どこからか声がしてモンモランシーは杖を取り出し、水の系統特有の生命エネルギーを感知する魔法を使い周囲を警戒するが誰かが隠れている様子はまるで無い。 「あの……どうしました?」 「みんなを馬車に乗せて!」 周囲を警戒しつつモンモランシーは黒髪の少女に指示を出し、地面に置いていた鞄を拾い肩に掛ける。 その肩から下げた鞄から何かがもぞもぞと這い出して地面に着地する。 それは彼女の使い魔であるカエルのロビンだった。 「あああ、あなたいつの間に?!」 『君が随分慌てていたんでね、心配になって着いてきたわけさ。まあそんな事はどうでも良い。私が様子を見てくるから君はいつでも逃げられる様に彼女達を馬車に乗せて待っていろ』 「ちょっと私に命令しないでよ!あなたの御主人様なんだからね!!」 カエルと言い合いをするモンモランシーを見て黒髪の少女が途方に暮れていると林の中からトリッシュが慌てた様子で駆け出してきた。 「モモモ、モンモランシー!お水!水を頂戴!!早く!早くしてっ!!」 「え?!わ、わかったわ!」 慌ててルーンを唱えて杖を振ると、杖の先端から水が溢れ出した。 空気中の水蒸気を液体に戻す水系統の初歩の呪文だ。 トリッシュはその水で手を浸しハンカチで削らんばかりに擦り始める。 「トリッシュ待ってよー!置いてかないでくれーっ!!」 顔に青痣を作ったマリコルヌとサイトが捕まえた男達を担いで林の中から姿を現した。 「ちょっと何があったの?教えなさいよ」 馬車の傍でしゃがんで落ち込んでいる二人にモンモランシーが話しかけると ポツポツとマリコルヌが喋りだした。 「いや、それがね……」 マリコルヌによると、尋問の最中に男の垂らした涎やら鼻水がトリッシュの手に掛かり、悲鳴を上げながら それをハンカチで拭いたが、ネバネバしたそれらは逆に手の全体に広がりパニックに陥ってしまった。 マリコルヌがトリッシュを落ち着かせようと近づいたら、汗臭いやら脂ぎって気持ち悪いと罵られながら顔を蹴り飛ばされ、駆けつけたサイトが混乱しているトリッシュの肩を掴んで落ち着かせようとして 臭いやら汚いやらと言われながら肘打ちを喰らってサイトが怯んでいる隙にトリッシュが駆け出して現在に至るのだという。 「まあ…気持ちは判るけど少し落ち着いたら?」 「汗臭くて脂ぎってるとか服が汚れて洗ってない犬の臭いがするのよッ!生理的にダメなのよォーーーッ!」 嫌悪感を露に未だ混乱しているトリッシュを座らせて、モンモランシーはマリコルヌ達を見る。 「どーせ僕はデブさ。太っちょさ。能無しの肥満体さ」 「はいはい犬ですよ。野良犬ですよ。汚らしい雑種ですよ」 言葉の刃で斬り付けられた二人は仲良く蹲って自傷行為を繰り返していた。 静かに泣き濡れる彼等の心は魔法でも癒せない。 二人が立ち直るのを待たず、モンモランシーは少女達を馬車に乗せると自らは御者台に座る。 その隣には黒髪の少女が手綱を持って腰掛けていた。 「それじゃ気をつけてね。それからこれ、役に立つと思うから」 「ええ、ありがとうモンモランシー」 ポーションの入った鞄をトリッシュに渡して、モンモランシーは来た道を帰っていった。 少女達を近くの街道警備隊に保護して貰う為には貴族が居た方が良いと考えた結果、仕方なく彼女が同行することにしたのだ。 これからする事を考えるとマリコルヌ達では不安もあったが、少女達だけで行かせる訳にも行かなかった。 それに男達から聞きだした彼らの雇い主であるモット伯の事を説明する必要もあった。 そうすればモット伯が司法の手により裁かれるのは明白だが、貴族の屋敷を捜査する為にはそれなりの手続きが必要であり、その間にシエスタに危機に陥っては自分達が来た意味が無い。 結局は屋敷に乗り込んで救い出すしか手は無いのだった。 「それじゃ行きましょ。ええと…」 隣の少女に声を掛けて、まだ名前も知らない事に気付く。 「あっ!あたしジェシカです」 家に帰れる喜びなのかハツラツと答えるジェシカが手綱を繰って馬車を走らせる。 少女達と悪党二人を乗せた馬車の頭上に雲が立ち込め、双月が怪しげに瞬いていた。 To be continued…… 18< 戻る
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宝探しでギーシュが買ってきた地図は五つ。 いちいち細かく言うのも面倒なのでダイジェストで行こうと思う。 まず一つ目。竜の金貨だ。 これは五つ集めると自分が一人増えるらしい。 どういうことなのかは分からない、偏在みたいなもんか? 竜の金貨があるのはダイナソー陸地と呼ばれる場所だ。 陸地ってのは土地名に使うには正しくない気もするが細かい事は気にしないでおく。 そのダイナソー陸地に着き、地元住民から情報を集めていたらとんでもない事が分かった。 竜の金貨はもう無いのだ! 地元住民のYさん(仮名)が言うには突如現れた赤い帽子のひげ男が『便利だから』と全部とって行ってしまったらしい。 もう無い物を手に入れる事ができるわけも無く、だが次に行くには時間がないのでその日はダイナソー陸地に泊まった。 一日目終了。 二日目。 二つ目は青眼の白龍。 これは龍の形の彫刻とかじゃなくて青い目の白い龍を召還できるお札らしい。 キュルケが言うにはこの秘宝は考えられるとしたらサモンサーヴァントを応用したマジックアイテムらしい。 だがサモンサーヴァントには色々と制約があるため、そんなものはまず存在しないとも言っていた。 だが実際に存在しているのだ。この場合は未知の技術か真っ赤な嘘かのどちらかだろう。 それも実際に見てみればハッキリする。 その青眼の白龍が祭られている神殿に着いた。 だが中には何も無かった。 あるのはただの破壊の跡。 鋭い爪によって抉られただろう壁。 堅い尾によって倒れたと思われる柱。 この傷跡をみればここで龍が暴れただろう事を想像するのは容易かった。 少し離れたところにある壁には何か文字が書かれていた。 近くにいたギーシュが読み上げる。 『これが青眼の白龍か!ウワハハハー!すごいぞーカッコいいぞー!』 どうやらこの龍を手に入れたヤツはどうしようもないヤツらしい。 ギーシュが続きを読む。 『龍を一度戻したらもう出て来なくなってしまったのですがどうすればいいのでしょうか? 分かる人は教えてください。もちろん報酬は出します。 レコン・キスタ総司令官 オリヴァー・クロムウェル』 おれ達は次の場所へと向かった。これはほっといても良いや。 三つ目はブリーシンガメン。 これは首飾りらしい。 これがある寺院はオーク鬼が住み着いていたのでそれを倒す必要があり、 それを終わらせ、中を調べてみたのだが見事なまでに何も無かった。 ギーシュはブリーシンガメンを使ってワルキューレを強くするつもりだったらしくちょっと落ち込んでいた。 「やっとクラスチェンジできると思ったのに…」 まあまあ、スターランサーの方が使い勝手は良いしさ、そっちにするチャンスだと思えよ。 四つ目は退魔の剣らしい。 コレを抜けるのは真の勇者だけだ! みたいなことが地図には書いてあるのだが…これは宝の地図と言うよりは観光パンフレットだ。 その証拠に剣が祭られてる神殿には金を払えば普通に入れるし台座に刺さってる剣を抜く事だってさせてくれた。 だがおれにもキュルケにもタバサにも抜けなかった。 それにしてもおれが何も言われず挑戦できたのには驚いた。 最後にギーシュがチャレンジ。 どうせ抜けないと分かっていてもこういうのはワクワクするらしく顔を輝かせている。 そんなギーシュを見ることもなく次の相談をするおれ達。 全く関係ない人たちと思われても仕方ないくらいのスルーっぷりだ。 おれ達がもう遅いし今日はここに泊まろうと決めたところでギーシュが台座から降りてきた。 だが様子が変だ。 表情がポルナレフのAAみたいになっている。 「あ…ありのまま今起こった事を話すよ!」 台詞までそのままだった。 「僕は剣を抜いたら七年後の世界に飛ばされていてその世界は大変な事になっていて僕がそれを救ったんだ!」 ハイハイワロスワロス。 二日目終了。 三日目。 五つ目にして最後は竜の羽衣。 これを身に着けたものは空を飛べるらしい。 だがはっきり言って必要ない。 だって自力で飛べるもん。紙飛行機みたいに舞うだけだけど。 それでも売れば金になる。 そしておれ達は竜の羽衣があるタルブの村までやってきた。 タルブの村はだだっぴろく綺麗な草原があり、のんびりとした所だ。 おれはこの草原の匂いを嗅いだ事があるような気がする。何故かは分からないが。 これが最後でかつ戦闘も無さそうと言う事でみんなもリラックスしている。 おれは使いそうにないデルフを外し、シルフィードに預けた。 キュルケはこうも言っていた。 「ルイズも来れば良かったのに…」 最近のキュルケはルイズの心配をしている。確かにちょっと様子が変だからな。 おれも昨日の夜キュルケに色々と聞かれたのだが、おれはそこまで気にするほどの話じゃないだろうと思っている。 で、おれが他のヤツに相談したらどうだ?と聞くと 「『自分』にも相談したんだけどやっぱり使い魔である貴方も無視できないでしょう?」 と言われた。なるほど、正論だ。 さてそんな風に気分転換に丁度良いタルブの村だが、おれ達は休暇や観光で来たのではなく冒険に来たのだ。 とりあえず話を聞くために人間を探す。 丁度道の向こうから女が来たのでそいつに話を聞こうと近づく、 おれ達貴族が近づいたのを見て、大名行列みたいに脇にそれ頭を下げる。 素朴な感じで明らかに村娘といった娘だが、かなり胸がデカイ。 そして何故だかおれはこいつがメイド服を着ている姿を思い浮かべてしまうのだ。 その理由はすぐに分かった。草原の匂いの謎と共に。 「よう、シエスタ」 その女はシエスタだった。 メイド服を着ている姿を思い浮かべるのもいつも着ているのだから当たり前。 そして草原の匂いはおそらくここがシエスタの故郷だからだ。 匂いってのはそいつが何処に住んでいるかと、何処で育ったかで違ってくる。 だからシエスタの匂いとこの草原の匂いが重なり、前にこの草原の匂いを嗅いだように感じたのだ。 で、次がこの推理をした名探偵イギーへのシエスタの反応。 「イギーちゃん!?」 『ちゃん』付けだった。 いつもはおれが使い魔だからか『さん』なのに。 きっと今までも心の中ではそう呼んでいたに違いない。 シエスタに会ってからの話は早かった。 おれ達が竜の羽衣を探していると言ったら、それはシエスタの家にあるものだがインチキで名前だけの秘宝だと言う事を教 えてくれた。 それでもここまで来たのだし、一応見ておくことになり、 寺院にある実物を見たのだが、これがビックリ! 飛行機だった! 「まったく、こんなものが飛ぶわけないじゃないの」 キュルケが言い、ギーシュも頷く。 「これはカヌーか何かだろう?それに鳥のおもちゃのように、こんな翼をくっつけたインチキさ。」 「……」 そして相変わらず本を読んでるタバサ。 誰一人としてこれが飛ぶとは思ってないらしい。この馬鹿共が、科学を舐めるな。 ちょっと説明しようとも思ったが、今はもっと情報が欲しい。 おれはシエスタに話しかける。 「シエスタ」 「何?イギーちゃん」 「これについてもっと教えてくれ」 シエスタへの質問の結果、これはシエスタのひいおじいちゃんの物で、そのひいおじいちゃんはこれで飛ぶ事ができなかっ たという事が分かった。 そしてひいおじいちゃんのお墓があると言うのでちょっと見せてもらう事にした。 タルブ村の共同墓地の一画に他の白い石でできたものとは違う、黒い石のものがあった。 それがシエスタのひいおじいちゃんの墓だった。墓石には墓碑銘が刻まれていた。 「ひいおじいちゃんが死ぬ前に自分でつくったそうよ。異国の文字で書いてあるから、 誰も銘が読めなくって。なんて書いてあるんだろうね?イギーちゃん」 さっきからちゃん付けが定着してしまっている。言葉遣いももう友達へのものだ。 「海軍少尉佐々木武雄、異界ニ眠ル」 「え?イギーちゃん読めるの?」 「まあな」 話す事や書く事はできないけど読んだり聞いたりなら六ヶ国語は軽い。 承太郎や花京院、それにアブドゥルと一緒にいたせいか日本語とアラビア語も何とかなる。 寺院に戻ると四人が待っていた。…四人? 「おお!イギー君!」 まばゆく輝くハゲ頭、コルベールだ。何でここにいるんだ? コルベールはかなり興奮している。 「竜の羽衣について君は何か知っている、いや解っているらしいね!?」 多分キュルケ達から話を聞き、そしてそう思ったのだろう。 「是非教えてくれ!」 何でおれが…と前のおれなら思っただろうが、 コルベールとはちょっとした協力関係にあるし、これだって立派な機械だ。 これを応用したものを作るとしても作るのはコルベールだ。知識はあったほうが良い。 そんな訳でキュルケとタバサとギーシュとシエスタは今日泊まる予定の、 そしてコルベールが泊まっている(持ち主の家だかららしい)シエスタの家まで案内され、コルベールとの二人きりでの飛 行機講座は開かれた。 飛行機に触れると左前足のルーンが光り、この飛行機の情報が頭に流れ込んでくる。 そして飛行機が飛ぶ原理やこの飛行機の名前はおそらく『ゼロ戦』で今は燃料がないこと等、今わかっている事や推理した ことを話す。 一通りの事を話し終え、日も暮れてきたところでとりあえず今日は終わりにしようって所でコルベールが口を開いた。 「君は確か異世界から来たといっていたね?」 「ああ、異世界から来た」 コルベールは少し考え、話し出した。 「もしかしたら、君は元いた世界に帰れるかもしれない」 コルベールがこの『竜の羽衣』の存在を知ったのはある伝承からだそうだ。 そしてその伝承によると竜は二匹いたらしい。 その竜は日食と共に現れ、一匹は日食へと消えた。 これはつまり日食が何か関係してるという事。 ゼロ戦に乗って日食に飛び込めば…帰れるかもしれない。 「まあ、証拠なんて一つもありませんがね。けれど、可能性は高いと思われます」 元の世界に帰る。 それは、つまり、あいつらにまた会えるかもしれないという事だ。 しみったれたじいさんが車を運転しながら馬鹿話をして、 そのじいさんのケチな孫がそれを聞き流して、 マヌケなフランス人がそれに笑い、 胡散臭い占い師がそれを聞きながらひょろっちい高校生の事を占ったらヤバイ結果が出て、 その横でおれはガムを食べる。 何が楽しいのかなんて今も分からないけど、楽しかった時を過ごせる。 また、あいつらに会いたい。 これは自分がずっと諦めていた事。 でも諦めきれないから無意識の内に別の目標を作った。 それをする事によって忘れられるように、 『国を作る』そんな事犬にできる訳ないよな、常識的に考えて。 最初は神になるとか言ってた事も会ったけどそれだって本気じゃない。言われた側だってただの誇張表現だと思ってるだろう。 それにおれが帰ることで一つの可能性も伝えられる。 確かアブドゥルと花京院もおれと同じく死んだはずだ。 だがおれはこうしてここに生きている。それは普通にはありえない事だ。 だから花京院とアブドゥルも同じように異世界に飛ばされてるのかもしれない、 もしかしたらハルケギニアの平行世界でルイズの使い魔をやってる可能性だってある。 SPW財団ならこの謎について解明しようとするだろう。 それがもし、上手く行ったのなら。 また、あいつらに会えるかもしれない。 これは嬉しい事だ。 だが、おれは何故だか沈んだ気分でシエスタの家に向かった。 家に入るとシエスタの弟達がやってきた。全員まだ小さい。 そしてそいつらはおれを見て 「犬だ」 一人がおれの体を撫で始めた。 「止めろ」 「喋ったよ」 もう一人なで始めた。だから止めろ。 「可愛いね」 三人目。 「でも元気ないよ」 「じゃあ元気付けよう」 残りも含めて全員でおれの体を撫で始めた。 「おい止めろ!」 だがそう言ってもガキ共はおれの言う事を無視しておれを撫で続ける。 「ああ!もっとやさしく」 一人が胸の方に手を伸ばしてくる。 「そこはダメ!ダメッ!ダメッ!ダメッ!」 何本もの手がおれを撫で回す。 「ああ!やさしくして やさしく!」 トドメとばかりに全員が同じリズムで撫でてくる。 「うああああ!ダメッ!もうダメ~ッ!」 To Be Continued…
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使い魔 本家に記載されていない、ポストマンの使い魔の情報補足分です。 使い魔についてユーザー間で追記補正してください。 (製作中のページです。 追記方法は記事最下部のEditThisPageをクリック、 または、最上部の@wikiメニューの「編集」からページが編集できます。) 皆伝について ■ 皆伝させた側のモンスターの技は、消えても覚え直すことが出来ます。 このとき、教える技が他からの伝授技の場合は 本来覚える技を即獲得可能(一体撃破でOK)。 ただし直前500の倍数経験値で技を獲得していた場合は 次の500の倍数経験値まで獲得できません。 ↑は数回確認しただけです。要検証。複数空きがあるときとか。 元々技を覚えない番号の場合は空欄のまま。 うまく利用すれば技の整理も可能。 ある程度の数の経験値8000以上の使い魔が必要。 ■ 重複する技は伝授できません。 例外として、皆伝させて未獲得状態ならば伝授は可能。 その後経験値を上げれば本来の技も獲得できる。 ■ すでに技がある番号の場合上書きされます。 本来の技を覚え直したい場合は、他の使い魔に伝授する必要があります。 同じ技を同番号に上書き伝授は不可なので、技の整理時には注意。 ■ 他の人から贈られた使い魔でも可能。 贈る場合は4000、伝授してもらう場合には8000の経験値が必要。
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「ない。ありえない。ディ・モールト(本当に)ありえない。」 高価そうなアンティークが飾られた部屋。 メローネはルイズとこの部屋で二人っきりであった。 しかし!事もあろうにメローネは!こんなディ・モールト(とっても)いい状況でッ! ・・・現実逃避の真っ最中であった。 普段冷静で理屈で動いている者ほど、自分の理解の範疇を超えた物事に遭遇すると それを認めることはできないものである。 「ないないないないナイナイナイナイナイナイ こんなバカなことがあってたま・・・・」 そのとき彼の目に飛び込んできたのは・・・二つの月であった。 ゼロの変態第二話 使い魔暗殺者(ヒットマン)メローネ! 部屋に帰ったメローネがルイズから聞かされたのは、だいたい次のようなことであった。 ・ここはハルケギニア大陸トリステイン王国のトリステイン魔法学院。 ・そこの2年生恒例の『サモン・サーヴァント』の儀式の時メローネは召喚された。 ・使い魔を送り返す魔法なんて無い。少なくにもルイズは知らない。 ・ちなみにここには身分制度がある。 ・貴族(メイジ)は魔法が使える。平民は魔法は使えない。 ・だから貴族が上ッ!平民が下だァァ!! その他諸々のことである。 「・・・信じるしかないようだな。ここが『異世界』だということを・・・。」 信じたくないという顔をしながらメローネはつぶやいた。 「それよりあんたの言ってることの方が信じられないわよ。 だいたい証拠でもあんの?」 「・・・これじゃ証拠にならんか?」 メローネは自分のパソコンを見せた。スタンドパワーで動いているのでここでも使える。 その事だけが彼にとって救いだった。 「たしかにこんなものここにはないけど・・・。」 (だからって怪し過ぎよッ!ただのド田舎モンにきまってるわ!) ルイズがものすごい怪しんでいる一方、メローネの頭は冷静さを取り戻していた。 元々頭脳派のメローネである。冷静さを失ったらただの変態である。 (帰れないとなると、ここで生活するしかないな・・・ 言語すらわからんこの世界では俺ひとりでは・・・きっと暮らせない。 やはり使い魔になるしかないのか・・・) (それに・・・俺はあのとき新入りが作った蛇に噛まれて死んだはずだ・・・ となるとこの女・・・命の恩人という訳か・・・) そしてメローネが出した結論は・・・ 「・・・なるよ。」 「へ?」 「なると言ったんだ。お前の使い魔に。」 「えっ?あっ、そ、そう。や、やっと自分の立場が理解できたのね。」 さすがのルイズも急に話しかけられのでびっくりしている。 「で、使い魔って何をすればいいんだ?」 「ま、あんたにできそうなのは掃除洗濯その他雑用ってとこかしら。 どうせ戦いとかは無理でしょ?」 「ま、まぁ無理だな・・・。」 スタンドのことは言わないでおこう。厄介ごとになるかもしれない。 「じゃ、明日から仕事してもらうから。」 「ヲイ、ちょっと待て。・・・何してる?」 目の前で女の子が服を脱ぎ始めるのである。誰だってそー言う。彼だってそー言った。 「何って・・・寝るから着替えるのよ。」 「・・・・・・わかった。・・・俺はどこで寝ればいい?」 ルイズは黙って指さした。・・・床を。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(毛布があるだけマシか・・・?)」 「あ、あと明日になったらこれ洗濯しといて。」 メローネに下着を投げつけるとルイズはベッドに潜り込み、指を鳴らしてランプを消した。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 メローネは理性を保つので精一杯だった。いろんな理由で。 「やめといた方がよかったか?」 メローネはこれから訪れるであろう受難の日々を想像し、ジャッポーネのゲームなら いろいろオイシイ展開になってるのにと思い、おとなしく寝た。
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「ところで、いつ出発する?」 ブチャラティが気絶したアンリエッタをルイズの寝床に運びながら一同に質問した。 彼は王女の背面から腕を回して胴を掴むと同時に、膝の下に差し入れた腕で足を支えている。 俗に言うお姫様抱っこだね。 「本当なら今すぐにでも出発したいところだけど、姫様をこのままにしておくわけにもいかないし……」 ルイズはしばらく考えた後、二人に答えた。 「あなた達にも何かと準備があるでしょう? 出発は明日早朝にしましょう。姫様がおきるまで私が気をつけておくわ。あなたたちは自分たちの用意をしておいて。 朝、日の出の時間に正門前に集合ね」 「わかった」 「ルイズ、君も今日は早めに休むんだぞ」 「ええ、あなたたちもね」 ルイズの部屋を出た直後、露伴が口を開いた。 「ブチャラティ、今日はここで分かれよう。僕はこれからすることがあるんだ」 「どうした? 俺も手伝おうか?」 「いや、手伝いは必要ない。二人の人に、僕のマンガが長期休載になるかもしれないことを知らせておきたいんだ」 露伴はルイズに召喚されたその日から、トリステイン学院内でマンガの連載を開始していた。 「その二人とは誰だ? 場合によって話さないほうがいいかもしれないな」 「まず、一人目はコルベール。彼には出版ギルドへの仲立ちをしてもらっているからな」 学者肌のコルベールは技術書や学術書に目がなく、気に入ったものがあると金目に糸目をつけずにその本を買う癖があった。そのため、トリステイン学院を出入りする本商人にとって、彼と知己を得る事は大変に重要なのであった。 露伴はこのコルベールの人脈を介してトリステイン国中の出版ギルドに渡りをつけ、 それらのギルドの出版能力をすべて審査した。 その結果、露伴はギルドの中で最も有能と思われた『トリスタニア出版ギルド』とマンガの出版の契約を交わしていた。 ちなみに露伴の原稿は、毎週の早朝学院から早馬によってトリスタニアの活版印刷の職人のもとへ持ち出される。 この早馬の便もコルベールがオールド・オスマンを口説き落として(というか辟易させて)露伴の原稿のためだけに新設された便なのだった。 「彼なら秘密を守るだろう。問題ない」 ブチャラティは少し考えた後、落ち着いて太鼓判を押した。 彼ならば生徒の身を第一に考えるだろうから、このような大変な話を外部に漏らすハズはない。ブチャラティはそう考えての結論だった。 「二人目はタバサだ」 「どーしてここにタバサが出てくんだ?」 デルフリンガーの柄の上に、『?』マークが点灯した。ブチャラティも同じ反応だ。 「実は、彼女に僕のマンガのセリフ入れを手伝ってもらっている」 岸部露伴は、文字に関してはコルベール先生に教わっているので、学術的な文語的表現については熟練しているが、セリフなどの日常的な言い回しなどは、とてもではないが書きこなせるレベルには達していない。 なので、毎日空いた時間にタバサと図書館で落ち合い、彼女と一緒に、マンガらしく口語的でわかりやすいセリフを考えているのだ。 さすがの露伴も、彼が旅行中に、タバサに図書館で待ちぼうけを食らわせるのは気が引けた。 「じゃあしばらく取材するとか何とか、適当に言いつくろえばいいんじゃねーか?」 「そうだな。デルフの言うとおり、彼女には任務の内容は話すべきなでないな」 「それもそうだな」 二人と一振りの剣は別れを告げ、ブチャラティは男子寮の方角へ、デルフを持った露伴は教員寮にむかって別々に歩き出した。 その会話から二時間後。梟がどこか遠くで鳴いている。 岸部露伴は悩みながら女子寮の廊下を歩いていた。 今はもう深夜だ。よく考えたらタバサはすでに眠っているんじゃあないか? 今回の密命の件をコルベールに打ち明けると、奴は思ったよりもはるかに強硬に、 ルイズをアルビオンに行かせるなと反対した。 あのコッパゲ野郎め。デルフと二人がかりで何とか説得することに成功したが、今度は命を粗末にするなと何度も念を押してくる。まったくうんざりする。 酒を口に入れながらの話だったから話の内容はどんどん長く、くどくなっていくし。 僕はデルフを残してこっそりと部屋を出たが、コルベールのあの様子じゃあ今でもデルフを相手にクダを巻いてるだろうな。 こんなことなら、コルベールよりも前にタバサの部屋に行くべきだったな…… 起こすか? いや、手紙か何かを部屋の前に置いて行くか? そのようなことを考えながらタバサの部屋の前に到着すると、彼女の部屋から明かりが廊下に漏れている事に気がついた。 「おや、おきているのかな?」 「眠れない。あなたのせい」 部屋ををノックした露伴は、ドアを開けたタバサに開口一番、こういわれた。 彼女は腕を組み、体を震わせている。確かに今のタバサは薄い水色のワンピースを一枚着ただけの薄着だが、寮の中は、魔法でどんな季節でも快適なように設定されているはずだ。実際、露伴は薄着だが寒さを感じてはいない。 どうやら彼女は寒くて震えているわけではないらしい。 「なんでだ?……ってオイ!」 タバサが勢いよく露伴に抱きつく。その目には、おびえの感情が見て取れる。 露伴は、タバサの部屋の前の廊下で、当惑の声を上げるハメになった。 「あれ」 タバサは露伴に抱きついたまま、自分の室内を指差した。 彼女が指差した部屋の中の机の上には、先月にでた『ピンクダークの少年』が半開きに、読みかけのページを下にして放置されていた。 その巻は『ウインドナイツ・ロットの幽霊』の話がメインであり、少年を中心に人気のある、怪談ものの話だった。 「もしかして君、幽霊が苦手なのかい?」 露伴は、タバサの少し赤く充血した目を見つめてみた。 「いわないで」 彼女も、彼のかなり当惑した目を上目遣いに見据えた。 彼女の心の底からこみ上げているだろう、恐怖におびえるさまが、日ごろの無感動な態度と明確なコントラストを生じている。 タバサも年頃の女の子なんだな。 そう思った露伴は微笑みながら自然にタバサの頭をなでていった。 ワシワシワシワシワシワシワシ ワシワシワシワシワシワシワシ 「ん…」 タバサの体の震えが徐々になくなっていく。 それと同時に、彼女の頬に少しずつ赤みがさしていった。 「ちょっとは落ち着いたかい?」 「……うん」 タバサはうれしそうに返事した。彼女の心に安心感が芽生えたようだ。 露伴は本題に入ることにし、タバサに向かってやさしく語りかけた。 「話がある、僕はこれからしばらく取材旅行に出かけようと思ってるんだ」 「だから、明日からは君が図書館に手伝いに来てくれても誰もいない。このことを君に伝えに着たんだ」 「………そう」 わずかに語尾を落として返事したタバサは、目をつぶって露伴にささやいた。 「なら、代わりにもっとして」 「なにを?」 「なでるの。頭」 一瞬惑った露伴であったが、そのようなことであるのなら、と思い直し、素直にタバサの言うとおりにすることにした。 ワシワシワシワシワシワシワシ ワシワシワシワシワシワシワシ 「ん…………?」 露伴にとっては静寂の中、タバサの脳内で聞きなれた声が響き渡った。 一般にメイジと使い魔の感覚は共有できる。それを利用して、タバサの使い魔のシルフィードが自分で声を囁き、タバサにそれを聞かせているのだ。 というか、よく見ると廊下の窓の外から水色のうろこがチラリと見えている。 露伴の背中に面した位置にある窓なので、彼は気づいてはいないようだ。 オネーサマ、キャーナノネ!!!! タバサが突然露伴に抱きつくのをやめ、ドアの近くにある自分の杖をとった。 ……ゴメンナサイナノネ… タバサは元の場所に杖を置いた。 「どうしたんだい?」 「なんでもない。杖が落ちそうだっただけ」 「そうか」 窓の外の青色はもう見えなくなっている。タバサは露伴の正面に改めて向かい、 目を静かに閉じた。 ワシワシワシワシワシワシワシ ワシワシワシワシワシワシワシ 露伴の手の動作は、タバサが「もっと」を十回言い、彼女が満足するまで続いた。 「もういいか?」 「……うん」 満足してベッドに戻ろうとしたタバサは、何かを思いついたのか、露伴のほうに振り返り、声をかけた。 「ひとつ、質問」 タバサは露伴に話しかけながら彼の両手を握った。露伴との位置は、彼になでてもらっていたときよりも少しだけ距離がある。 心なしか、彼女は詰問するような口調だ。 「なんだい?」 「『ブルーライトの少女』……」 ギクウッ! 露伴は自分の動揺を気取られまいと、目をタバサからそむけながら返答した。 「ソレガ、ドウカしたのかな?」 タバサは露伴の顔が見られるところまで自分が移動し、露伴の目を正面から見据えて質問した。 「セリフを考えたのは誰? この『ウインドナイツ・ロットの幽霊』の話も」 「私はやっていないし、あなたが考えたにしては口語的過ぎる」 「それはギーシュだよ! 初期は彼にやってもらっていたんだ!」 露伴の首筋から一筋の汗が流れ落ちる。幸いタバサはそれに気づいていないようだ。 「そう」 タバサは安心したのか、露伴の手を離し、自分のベッドに向かった。 「もう、寝る」 「そ、そうか。おやすみッ!」 「おやすみなさい」 逃げるように部屋を出た岸部露伴は、タバサの独り言を完全に聞き逃していた。 「他の女子ではない……」 トリステイン学院が日の出を迎える頃…… 鶏の鳴き声がどこからか聞こえてくる。 早朝、朝もやが視界を狭いものにしている時刻。トリステインの正門前に、三頭の馬が待機していた。 ルイズたち一行は出発の準備を終え、これから乗馬してアルビオンに向けて旅立とうとしている。 「さてと、出発しましょうか」 ルイズがみなに向かって呼びかける。 彼女の話しかけた先には、ブチャラティと、デルフリンガーを持った岸部露伴がいつもの様子で立っていた。 その様子から、彼らに緊張した様子は見られない。二人とも落ち着いている。 「ルイズ、君は、昨晩あまり眠れなかったようだな、大丈夫か?」 ブチャラティの心配にもルイズは気にすることもなく答えた。 「大丈夫よ、ブチャラティ。姫様が気を取り戻すまで看病を続けていただけで、その後はグッスリよ。自分でも驚いているわ。今から国の運命をかけた使命が待っているって言うのにね」 「その分なら大丈夫な様だな」 ブチャラティは内心安堵した。彼は今回の任務で、ルイズが必要以上に気負いずぎているのでは、と一抹の不安を抱いていた。彼はひとつの懸念がなくなったことを内心で喜びつつ、ルイズに確認した。 「これからまずどこに向かう?」 露伴が自分の馬の鞍の位置を細かく直しながら、背後にいるルイズに話しかけた。 「まず、ラ・ロシュルの港街へ向かい、そこからアルビオンの船に乗るわ」 ルイズが手馴れた様子で馬にまたがりながら露伴の質問に返答する。 「私は姫様の代行だから、途中の馬車駅で馬の交換ができるわね。そう考えると… 無理をすれば、ラ・ロシュルの街まで二日でつけるかもしれないわね」 「そうか」 そう返事したブチャラティは、まだ十分に馬を乗りこなせないので、露伴に手綱捌きを教わっていた。 「基本姿勢は手綱をゆるく、水平に保つんだ。後は、曲がりたいとき、自分の行きたい方角へ手綱を寄せればいい」 「本当にそれだけで良いのか?」 「ああ。この馬は調教されているから、速度は前の馬にあわせてくれるだろうしな。 君は列の先頭に出ない限りこれで馬を操れるはずだ」 「なんだか不安だな。ところで露伴、お前なんで馬に乗れるんだ?」 「これくらいは漫画家としては常識の範囲内さ。マナーといってもいいかな?」 ブチャラティは少し離れたところにいるルイズに気づかれないように、彼女に背を向けた位置に移動し、馬のことを教わる振りをしながら露伴にそっと話しかけた。 「ところで、アンリエッタ王女の『使い魔』の件だが…正体はスタンドか?」 「多分な…」露伴はあいまいに答える。彼の口調には罪悪感は微塵もないが、その返答は心底答えにくそうであった。 「多分? お前は彼女を本にして見たはずだろうが」 「その部分は読んでない」 「Cosa?(何だと?)」 「だから、読んでない。知らない」 「テメーッ!王女のスリーサイズだの初潮の日だの読んでる場合じゃねーだろッ! 一番重要な情報を読んでねーじゃねーかッ!」 思わずチンピラ時代の口調に戻るブチャラティ。 「やあ、君t」 「うるさいな!第一あの時誰かさんが邪魔しなければ読めていたんだよ!」 「つーか最初に『能力』を見ろッ!!」 「『能力』は見たさ!『水』系統のトライアングルクラスだよ! でもメイジに『スタンド』があるなんて普通思わないじゃあないか! 意識して探さない限りあの時間では探せないっての!」 「嘘付けッ!」 「あの…」 「そいつはおでれーた。お前ェはあの時王女にそんなことしてたのか! すげぇな、ロハン」 「デルフ!今はそんな事いってる場合じゃねーだろッ!」 「うわッ!ヒデ!俺も会話に参加したいのにさ…」 だが、この喧騒も彼女の一言で打ち切られることになる。 「ふ~ん……姫様に…………そんなこと……してたんだ…」 「お~い……」 「あんたたち…『プライバシー』って言葉…知らない?」 露伴とブチャラティが振り返ると、そこにはピンクの髪の鬼がいた。 ルイズの周りに、何か鬼気迫る危険なオーラが渦巻いている。 「ウフフフフフフフフフ…………『平民』には何を言ってもわからないのかしら?」 ルイズが杖を振り上げながら何やらブツブツと呪文を詠唱している。 詠唱時間の長さから、それなりに大物の魔法のようだ。 しかし、彼女がどんな魔法でも失敗するという事実はかわらない。 変わるのは、爆発の規模だ。 そして、長い詠唱の後、彼女の光り輝く杖が渾身の力をこめて振り下ろされるッ! 「「ヤバイッ!!」」 まさに振り下ろされる瞬間。 二人は今まで口論していたのが疑問に思われるほど、両者タイミングぴったりに杖の振り下ろされる方向からそろって身をかわした。 「ドォブゥッハァ!!!」 あたりに響き渡る壮絶な爆音。 ブチャラティと露伴には被害はなかったが、少し離れたところに穴が開いている。 その爆心地には、見慣れぬ貴族の青年らしいメイジが半分黒焦げで倒れていた。 意識はとうに吹き飛んでいるようだ。 「大変! 傷薬を!」 正気に返ったルイズが男の元に向かい、手馴れた手つきでその男の治療をしていく。 ほっと一息ついたブチャラティは、傍らにいる露伴に話しかけた。 「おい露伴、ルイズのあの手つき。妙に手馴れてないか? まるで何度も他人の火傷を手当てしたことがあるみたいだ……」 「みなまで言うな。君の言いたいことはわかってるさ…… まッ、なにはともあれ、 ルイズの関心がそれたことだし、これで一安心だな」 「なわけあるかッ!」