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『好みは人それぞれ』 21KB 愛で 虐待 差別・格差 飼いゆ 赤ゆ ゲス 捕食種 希少種 ペットショップ 現代 14作品目。ジャンル付けに頭を悩ませる今日この頃です。 注意書きです。 1 希少種がちょこっと出ます。 2 このSSは前作『anko3261 それぞれの願い』の外伝SSですが、前作を知らなくても十分読めると思います。 それでもOKという方のみ、どうぞ。 そこは、どこにでもあるような普通のゆっくりショップ。 ゆっくりショップには、名前の通り、ゆっくり関連の商品が販売されている。 普通のゆっくりや希少種のゆっくり、ゆっくり用の玩具や食品など、様々だ。 そんなゆっくりショップに、一人の客がやって来た。 その客は、外見は二十代位の、優しそうな青年だった。 青年が入口の前に立つと、自動ドアが開き、中から若い店員が出迎えた。 「あ、いらっしゃいま……、何でお前がここに居るんだ?」 青年の顔を見るなり、店員がそう尋ねた。 「お客様に対してお前呼ばわりは無いだろう。そういうお前こそ、何でここに居るんだ?」 店員の問い掛けに、青年はそう返した。 「俺は一週間前からここでバイトしてるんだよ」 「俺はここのお客様。それにしても、今度はゆっくりショップか。お前色々と転々としすぎじゃないか?」 「自由人と言えよ。まぁ立ち話もなんだから、お客様、中へどうぞってね」 青年と店員は、フレンドリーに会話しながら、中へと入って行った。 ……何故この店員は、こんなにも青年に対して馴れ馴れしい態度を取っているのか。 実はこの店員は、青年の幼馴染であり、友人でもあった。 青年の方は普通にとある会社の社員として働いているが、店員こと友人は、定職に就いていなかった。 『俺の知らない天職が、この世にあるはずだ』と言って、過去に十数回の転職を経験している。 まるで、どこぞのアニメのフリーターのお兄さんである。 「あれ?そういや、ここバイト募集してたっけ?」 「あぁ、店長の話だと、前いた若い店員が不真面目で、自分から辞めたから空きが出来たからだとさ。まぁ、そのお陰で働けるんだけどな」 「ふーん」 「ところで、今日は何を探しているんだ?」 「あぁ、ゆっくりを探しているんだ」 「そういや、お前の家にはゆっくりがいたんだっけな。新しく別のゆっくりを買うのか?」 「まぁな。……三日前に、突然死んじまったから、さ」 「……あ、悪い」 不味い事を聞いてしまったと思った友人は、青年にそう謝った。 「気にすんなよ。生き物には寿命があるもんさ。……ただなぁ、何の前触れも無く、ポックリ逝っちまったのはなぁ……」 「そうか……」 「良い奴だった。……いや、好きだった、と言った方が良いかな」 「……」 「今日は、そいつの代わりになりそうな奴を探しに来たんだよ」 「……よし!分かった!友人のよしみで、お前だけに一割引きのサービス価格で売ってやる!」 「いや、さすがにそれは悪いよ」 「と言うのは立て前で、毎月2の付く日は一割引きデーなんだよ」 「俺のちょっとした感動を返せ」 「まぁまぁ。取りあえず見てけよ」 友人にそう言われ、青年は店内を見回した。 「うーん……、今月はちょっとキツいから、財布に優しい値段のヤツが欲しいな」 「そういう専用のコーナーならあるけど、質や血統書とかは、あんまし保障出来ないぞ?」 「まぁ、一応見てみるよ」 青年の了承を得た友人は、青年を店内の中央の『ゆっくりコーナー』へと案内した。 「ゆゆっ!!にんげんさん、まりさをかってほしいのぜ!」 「とかいはなありすと、いっしょにゆっくりしましょう!」 「おにいさんとゆっくりしたいんだねー、わかるよー」 『お手頃ゆっくりコーナー』では、名前の通り五百円から千円位の価格のゆっくり達が販売されていた。 ゆっくり達は透明なケースの中に入れられており、青年の顔を見るなり、色々とアプローチをかけてきた。 「へぇ、確かにお手頃な値段だ。前来た時には、こんなコーナーは無かったからな」 「店長の話だと、最近店の売り上げが下がり気味でさ、商品もピンかキリの二つしか無かったから、中間を取り入れてみたんだとさ。そうしたら、売り上げが少し伸びたらしい」 「やっぱどこの店でも、店長は頑張っているんだなぁ。……けどなぁ、今俺が欲しいのは、赤ゆなんだよ」 「あ、そうなのか?」 「なのに、このコーナーには赤ゆっくりがいないぞ?何でだ?」 「うーん、このコーナーは『手軽』をモットーにしてるんだよ。赤ゆから育てるって客はほとんどいなかったから、赤ゆは対象外なんだよ」 「……ちなみに、血統書付きの赤ゆとかは、いくらだ?」 「少なくとも、お手頃ではないな」 友人の説明を聞いた青年は、深くため息をついた。 「……やっぱ、キリの方から探すか」 「良いのか?キリの方は、かなり劣悪だぞ?」 「見ないよりも、見た方が良いさ」 青年はそう言うと、店内の隅の『ゆんやーコーナー』の方へと足を運んだ。 「くそじじいぃぃぃぃっ!!まりささまをかうんだぜえぇぇぇぇっ!!」 「れいむはゆっくりしたいんだよっ!!さっさとれいむをゆっくりさせてねっ!!」 「じじいはみたところ、いなかものだけど、まぁがまんしてあげるから、ありすをかいなさいっ!!」 『ゆんやーコーナー』では、これは売り上げの事など眼中に無いのではと思いたくなる位の価格のゆっくり達が販売されていた。 ゆっくり達は、先程のゆっくり達と同じように、透明なケースの中に入れられており、青年の顔を見るなり、罵倒と挑発が入り混じったようなアプローチをかけてきた。 「……やっぱ駄目だ、こいつら。売り物じゃなかったらすぐに潰したくなるわ」 「従業員の俺はこいつらの世話もしなくちゃいけないから、ストレスがマッハだぜ」 「まぁ、とりあえず赤ゆを見るか。もしかしたら、って事もあるし」 「無いと思うけどなぁ、俺は」 青年は僅かな望みを賭け、友人は半ば諦めながら、赤ゆメインの『ゆっくち~スペース』を眺める事にした。 「従業員のお前に言うのもなんだけどさ、俺、この『ゆっくち~』の部分だけで、もうヒャハりそうなんだけど」 「言うな。全部店長が名前を付けてるんだよ」 「お前らの店長の顔を一度見てみてぇよ。……そうだな、このコーナーの中でマシって言える赤ゆはいるか?」 「それなら何匹かいる。色々と問題有りだが、ギリギリの飼いゆ候補が。ただ、返品受け付けとか、色々と保証は出来ないぞ?それでも良いのか?」 「まだ駄目だって決まった訳じゃないし、見てみた方が良いと思う」 「……そっか。ほれ、あっちのケースの中。一匹ずつ販売してるから、見てみろ」 友人が指差した先には、四つの透明なケースがあり、中には一匹ずつ、赤ゆが入っていた。 「んじゃ、見てみますか」 青年はそう言うと、一番目の箱の中を覗いた。 「ゆっ!にんげんしゃん!ときゃいはなありちゅにめをちゅけるにゃんて、いいせんしゅにぇ!」 箱の中には、赤ありすがいた。 ケースの表側には、『性格難、躾・去勢無し、レイパー因子やや弱、五十円』と表記されたシールが貼られていた。 「チェンジ」 「ゆっ!?」 青年は赤ありすを見るなり、そう即答した。 「にゃんでえぇぇぇぇっ!?にゃんでありちゅはだめにゃのおぉぉぉぉっ!?」 「いや、だって、俺、『ありちゅ』嫌いだし」 「……ゆ?」 「なんかさぁ、お前ら『ありちゅ』って、都会派とか田舎者とか、飽きる位に連呼してるじゃん。それが嫌なんだよ」 「にゃ、にゃにいっちぇりゅの!?ありちゅは、しょーしんしょーめいの、ときゃいはよ!?」 「じゃあ聞くけど、都会派って何?説明してくれよ」 「ゆぎゅっ!?と……、ときゃいはは……、ときゃいは、よ……」 青年のその問い掛けに、赤ありすはたじろぎなら、そう答えた。 「意味も分からんのに、都会派言ってる時点で、他の赤ゆと大差無いって事じゃん。馬鹿の一つ覚え見たいに、何度も何度さぁ」 「ゆ、ゆぎゅう……!」 「何より、将来レイパーになりかねない奴なんて飼いたくないんだ。だから、チェンジ」 「べ……、べちゅにいいわよ!いにゃかものにゃんか、こっちからねがいしゃげよ!」 とうとう赤ありすは、青年に対して負け惜しみを言い始めた。 「あ、そうそう、お前、あと二日以内に買い手見つからなかったら、飼いゆ候補失格って事で、元の食用『む~しゃむ~しゃスペース』に戻すから」 友人がしれっと赤ありすにそう言うと、赤ありすは驚愕の表情のまま、数秒固まり、やがて恐ろし~し~を漏らし始めた。 「し……、しょんにゃのいやあぁぁぁぁっ!!にんげんしゃあぁぁぁぁんっ!!ごめんにゃしゃいぃぃぃぃっ!!ありちゅをかっちえぇぇぇぇっ!!」 「次見てみるか」 「そうだな」 青年と友人は赤ありすをスルーして、二番目の箱の中を覗いた。 「ゆっへっへ!にんげん!まりちゃをかうんだじぇ!」 箱の中には、赤まりさがいた。 ケースの表側には、『性格ややゲス、躾無し、帽子傷有り、五十円』と表記されたシールが貼られていた。 「チェンジ」 「ゆっ!?」 青年は赤まりさを見るなり、そう即答した。 「にゃんでにゃのじえぇぇぇぇっ!!にゃんでまりちゃはだめにゃのじえぇぇぇぇっ!?」 「いや、だって、俺、『まりちゃ』大嫌いだし」 「……ゆ?」 「なんか『まりちゃ』ってさ、自分は強いって妄想抱いているってイメージ強いんだよな。それがすごく嫌なんだよ」 「ま、まりちゃはさいきょーなのじぇ!?とっちぇも、ちゅよいのじぇ!?」 「じゃあ聞くけど、お前れみりゃやふらんを瞬殺出来る?」 「あ、あたりまえ、にゃのじぇ……」 青年のその問い掛けに、赤まりさは目を反らせながらそう答えた。 「んなもん無理に決まってんだろ。ただの赤まりさが、捕食種に勝てる訳無いじゃん。もう嘘吐き確定みたいなもんだろ」 「ち、ちがうのじぇ!!まりちゃは、さいきょーにゃのじぇ!!」 「最強なら人間に媚びる意味は無いだろ?つまり、お前に俺は必要無いって事だ。だから、チェンジ」 「ち……、ちにえぇぇぇぇっ!!まりちゃにしょんなこというくちょじじいは、ちにえぇぇぇぇっ!!」 とうとう赤まりさは、青年に対して死ねと言い始めた。 「お前客に死ねなんて言ったら、即刻飼いゆ候補失格って言ったよな?それじゃあお前は捕食種ゆっくり『た~べちゃうぞ~コーナー』の餌決定な」 友人はそう言って、箱の天井部分の穴に手を入れて、赤まりさを鷲掴みにすると、赤まりさはジタバタと暴れ始めた。 「は……、はなしゅんだじえぇぇぇぇっ!!まりちゃはしょんなところにいきたくにゃいんだじえぇぇぇぇっ!!くしょじじいぃぃぃぃっ!!たしゅけるのじえぇぇぇぇっ!!」 「それじゃ俺、次見てみるよ」 「ああ、俺はこいつを別のケースに入れるから」 別のコーナーへと行った友人を一瞥した後、青年は三番目の箱の中を覗いた。 「ゆゆ~ん!きゃわいいれいみゅをかいゆっくちにしてにぇ!」 箱の中には、赤れいむがいた。 ケースの表側には、『性格ややでいぶ、躾無し、飾り傷有り、五十円』と表記されたシールが貼られていた。 「チェンジ」 「ゆっ!?」 青年は赤れいむを見るなり、そう答えた。 「にゃんでえぇぇぇぇっ!?にゃんでれいみゅはだめにゃのおぉぉぉぉっ!?」 「いや、だって、俺、『れいみゅ』テラ嫌いだし」 「……ゆ?」 「俺さ、お前みたいに自分は可愛いですよって、気持ち悪い位媚びてる『れいみゅ』は、本当にすげぇ嫌いなんだよ」 「にゃんでしょんなこというにょ!?れいみゅ、こんにゃにぷりちーにゃのに!」 「いやいや、全然可愛くないし。……じゃあさ、お前、どこが可愛いの?具体的に、説明してくれよ」 「ゆっ!?……れ、れいみゅは……、ぜ、ぜんぶだよ!!ぜんぶ、きゃわいいんだよ!?」 青年のその問い掛けに、赤れいむは汗だくになりながらそう答えた。 「それが答えなら間違いなく不正解だな。つーか、『きゃわいい』とか、『ぷりちー』とか聞くと、すげぇイライラしてくる」 「れ、れいみゅは、ぷり、ちー……」 「まぁ一番の理由は、『れいみゅ』ってフレーズが、気に食わないって事なんだよな。だから、チェンジ」 「しょ、しょんなことにゃいよ!?れいみゅ、しゅっごくきゃわいいんだから!」 とうとう赤れいむは青年に少しでも気に行ってもらおうと、ウネウネと体をくねらせ始めた。 「おい、れいむ、ついさっきお前を買いたいって、虐待鬼威惨から予約の電話が来たぞ。今からマッハで取りに来るそうだ。人間に買われるぞ、やったな、れいむ!」 いつの間にか戻っていた友人が、親指を立てながら赤れいむにそう言うと、赤れいむはワナワナと震え始めた。 「い……、いやぢゃあぁぁぁぁっ!!れいみゅ、しょんなひとに、かわれたくにゃいぃぃぃぃっ!!にゃんでえぇぇぇぇっ!?にゃんできゃわいいれいみゅが、こんやめにあうのおぉぉぉぉっ!?」 「うーん、どれもこれもイマイチだな。次で最後か」 「お前結構好き嫌いが激しい奴だったんだな。多分給食でセロリとかパセリとか残してたろ」 友人の言葉を聞き流しながら、青年は最後の箱の中を覗いた。 「むきゅ!にんげんしゃん!ぱちぇをかっちぇにぇ!」 箱の中には赤ぱちゅりーがいた。 ケースの表側には、『性格やや良、躾最低限済み、体力並み、ストレス耐性低め、百円』と表記されたシールが貼られていた。 「うーん……」 「お?初めて悩んだな」 ここに来てようやく、即答でチェンジと言い続けてきた青年が初めて悩み出した。 「うーん……、こいつは他の赤ゆと比べると、質は良いんだよなぁ……。それに、俺、元々赤ぱちゅりーが目当てみたいなもんだったからなぁ……」 「は!?それ先に言えよ!何だったんだよ今までの流れは!茶番じゃねぇか!」 「いや、一応全部見て回りたかったんだよ。悪かったな」 「……まぁ良いけどさ。で、どうすんだ?買うのか?」 「うーん……、体力は普通そうなんだけど、ストレスに弱そうだからさ、どうしようか悩んでるんだよ。前のぱちゅりーも、生クリーム吐いて死んじゃったからさ」 「む……むきゅ!にんげんしゃん!おねがい!ぱちぇをかって!」 「ん……?」 「ぱちぇ、からだはよわいけど、にんげんしゃんを、ゆっくちさせちゃいの!」 「……ぱちゅりー。俺を、ゆっくりさせてくれるか?」 「むきゅ!ゆっくちさせてみるわ!」 「……よし!分かった!俺、お前を買うよ!」 「むきゅ!?に、にんげんしゃん!ありがとう!」 「会計するのにわざわざレジに行くのも面倒だから、一割引きで、九十円くれよ」 「ああ。何か、付き合ってもらって悪かったな」 「良いさ。俺とお前の仲だろ?それじゃあ、お買い上げ、どうもありがとうございました。またお越し下さい……ってね」 青年は友人に九十円を払うと、赤ぱちゅりーの入ったケースを抱え、笑顔で店を後にした。 (むきゅきゅ……、うまきゅいったわ……) 赤ぱちゅりーはケースの中で、内心ほくそ笑んでいた。 (ぱちぇのえんぎのまえには、にんげんしゃんも、ころっとだましゃれたわにぇ……) ……そう、この赤ぱちゅりーは、青年や友人を含む店員に対して、演技をしていた。 表向きは純情そうな態度を取っていたが、内心では人間を見下していた。 赤ぱちゅりーは人間に従う事で、自分の立場が良い方向へと向かう事を知っていた。 だからこそ、あの劣悪な商品の中で、比較的まともな評価を得ていたのである。 そして何より、青年は赤ぱちゅりー種を探していた。 つまり、他の赤ゆに対しては相当辛口な評価を付けていた青年も、自分には甘くなると踏んだのである。 結果、赤ぱちゅりーは青年に購入してもらう事に成功した。 「ぱちゅりー、お前は大切に育てるからな」 「むきゅ!おにいしゃん、ありがちょう!」 (むきゅきゅ……、しぇいじぇいぱちぇのために、はたらいちぇにぇ……) 赤ぱちゅりーはこれからの輝かしい未来を確信し、ニヤリと笑った。 ……二週間後。 今日は日曜日だったので、青年はリビングのソファーに横になり、くつろいでいた。 窓から差し込む温かい太陽の日差しを浴びて、うつらうつらとなりかけていた。 ……その時、玄関の方から、チャイムが鳴る音が聞こえてきた。 「……ん?誰だ?」 青年は立ち上がり、玄関へと向かい、ドアを開けた。 「うー。おとなりさん、これ、かいらんばんです」 目の前には、回覧板を手にした胴付きのゆっくりふらんが立っていた。 このふらんは、青年の近所の家主の飼いゆっくりだった。 なので、青年はふらんの事を良く知っていた。 「あぁ、ふらんちゃん、どうもありがとう。君の飼い主さんに頼まれたのか?」 「うー、おにいさん、かぜひいちゃったから、ふらんがかわりにきました」 「あー、そっか。……ふらんちゃん、ちょっと家に上がりなよ。飼い主さんに渡したい物があるんだ。それに、うちのゆっくりも、ふらんちゃんに会いたがっていたし」 「うー……、いいんですか?」 「ああ、良いさ。丁度暇してた所だし」 「うー、それじゃあおじゃまします」 青年はふらんをリビングへと案内して、ふらんにソファーに座るように言うと、廊下の方へと向かった。 「おーい、ふらんちゃんが遊びに来たぞー」 青年がそう言うと、廊下の方からドタドタと走ってくる音が聞こえてきた。 「ふらんちゃあぁぁぁぁんっ!!てんことあそびましょおぉぉぉぉっ!!」 ……廊下の向こうからやって来たのは、胴付きのゆっくりてんこだった。 このゆっくりてんこは、数ヶ月前に、青年があのゆっくりショップで購入した飼いゆっくりだった。 購入した際は普通のゆっくりなのだが、一ヶ月後に、急に胴付きへとクラスチェンジを遂げていた。 理由を聞くと、『より高度のSMプレイに耐えられる為に進化した』との事らしい。 さすが、ゆっくり界一のメスブタっぷりである。 そして、てんこは何故か、両手にハエ叩きを持っていた。 「うー……、て、てんこ、こんにちは……」 「あいさつはぬきにして、このはえたたきさんで、てんこをたたいてね!どこかもげるくらいでいいよ!」 「うー……、こ、こう?」 「そんなんじゃだめ!てんこのまむまむは、ぜんぜんきゅんきゅんしないわ!」 「う、うー!これくらい!?」 「あひゃあぁぁぁぁっ!!いいわぁっ!!やっぱりふらんのてくにっくは、いちりゅうねえぇぇぇぇっ!!」 てんことふらんは近所同士だが、仲良くなったのはつい最近だ。 ふらんの友達は、一緒に住んでいるめーりんだけだったが、以前ふらんが今日と同じように回覧板を届けに来た際にてんこと知り合い、今に至る。 ふらんが青年の家に遊びに来る際には、こうしてハエ叩きでビシバシ叩いてもらっていた。 ……まぁ、ふらんの方はあまり乗り気では無いのだが、断ると自分で勝手にヘブン状態になるので、仕方なくやっている、と言った感じだ。 「お、おにいさんも、てんこをたたいてねえぇぇぇぇっ!!」 「3Pか!?3Pが良いのか!?このいやしんぼのマゾヒストめ!」 やがて青年も乱入し、3PのSMプレイが始まった。 「あひいぃぃぃぃっ!?もっとおぉぉぉぉっ!!もっとやってえぇぇぇぇっ!!いっそのこと、まむまむもたたいてえぇぇぇぇっ!!」 「ハハッ!!テンションも上がって来た事だし、二刀流でやるか!そうらっ!!お前が泣くまで、手を休めないぞっ!!」 「うー……、もうやめたい……」 この狂乱騒ぎは、てんこがしーしーこと、ネクターを漏らすまで、続く事になるのだった。 「はぁ……、はぁ……、てんこ……、まんぞく……」 「うー……、つかれた……」 SMプレイが終了し、てんことふらんはそれぞれ別の意味で息が絶え絶えだった。 「あぁ、そうだ、すっかり忘れていた!飼い主さんに渡したい物があったんだった!ちょっと待っててくれ!」 青年はそう言うと、台所へと向かった。 「えーと、あったあった、これが無いと始まらない」 青年は流し場の調味料が置いてあるケースから、タバスコや七味唐辛子、ワサビなどを取り出した。 そして、その場にしゃがみこみ、下の棚を開けた。 ……棚の中には、透明な箱が一つ置いてあった。 そのケースの上の部分には穴が開いており、その穴の中から、茎のようなものが出ていて、茎の先端に丸い実のような何かがいくつか実っていた。 青年はその実を全てむしり取ると、箱に向かってこう呟いた。 「毎日ご苦労様、ぱちゅりー」 ……箱の中には、成体サイズのぱちゅりーが入っていた。 そのぱちゅりーはあんよ、まむまむ、あにゃる、口の部分が焼き潰されていた。 ぱちゅりーは目から涙をボロボロこぼしながら、青年を睨んでいた。 「いやぁ、ぱちゅりーのおかげで毎日ゆっくり出来るよ。こうして、大好きな生クリーム饅頭を食べられるんだから」 そう言って青年は、手に持っていた実……、実ぱちゅりーを一つ頬張った。 「……!……!!」 ぱちゅりーは何かを言いたそうに体を揺さぶるが、狭い箱の中、あんよが焼き潰され、大して動く事は出来なかった。 「それにしても、ふらんちゃんからこの事を教えてもらって、本当に良かったよ。加工所産の精子餡を注入するだけで、こんなに実るなんてね」 「……!!」 「ただ、最初のぱちゅりーは失敗したなぁ。成体サイズのぱちゅりーをそのまま買って、あちこち焼き潰したのは良いけど、口を十分に焼き潰してなかったから、隙間から生クリームを吐き出して死んだんだよなぁ」 「……!……!!」 「まぁ今はこうして、ちゃんと焼き潰しているから問題は無いけどさ。……俺さ、れいむやまりさやありすは嫌いだけど、ぱちゅりーは大好きなんだ。だって、美味いから」 「……!」 「例えゲスでも、内心俺の事を馬鹿にしても、何の問題も無し。美味けりゃそれで良いのさ。まぁお前は良い奴みたいだから、そこは心配してないけど」 「……」 「お前は大切に育てるよ、ぱちゅりー。絶対に死なせたりしない。前のぱちゅりーも、美味くて好きだったけど、お前はすごく美味い。赤ゆの頃からたっぷり栄養摂らせた甲斐があるしな」 「……」 「明日も頼むぞ、ぱちゅりー。俺をゆっくりさせてくれよ?」 青年はそう言うと、棚を閉め、リビングへと戻って行った。 「……」 暗い棚の中、一匹残されたぱちゅりーは、ただ涙を流しているだけだった。 どうして、こんなことに。 今も昔も、そしてこれからも、ぱちゅりーはそう考える事になるのだが、その答えは、出る事は無いだろう。 「ふらんちゃん、この実ぱちゅりーを飼い主さんにやってくれ。すごく甘くて美味いから。てんこと仲良くさせてもらっているお礼も兼ねて、さ」 「うー、どうもありがとうございます。おにいさんもよろこびます」 「ふらんちゃんもここで食べなよ。まだ沢山あるからさ」 「はぁはぁ……、おにいさん、てんこはいつものとっぴんぐがいいわ……」 「何だ?今度は食べ物の事でおねだりか?全く、お前は遠慮知らずのメスブタだなぁ!」 「あひぃっ!?もっとののしってぇっ!!」 「とっぴんぐ……?」 ふらんが首を傾げると、青年は実ぱちゅりーにタバスコをかけた。 「みゅきゅっ!?」 普通のゆっくりにとって、辛味は劇薬である。 実ぱちゅりーは突然の辛味からくる激痛とショックから、エレエレと口から生クリームを吐き出そうとした。 ……が、青年は実ぱちゅりーが生クリームを吐き出す前に、大きく口を開けて待機していたてんこの口の中に、ポイっと投げ入れた。 「あ……、あひゃあぁぁぁぁっ!!これよこれぇっ!!やっぱりたまらないわあぁぁぁぁっ!!」 「うーっ!?てんこ、だいじょうぶ!?」 「なまくりーむのとろけるあまさと、たばすこのぴりりとしたからさが、ぜつみょうなはーもにーをかなでているわあっ!!」 「えーと……、なにいってるの?」 「わけがわからないくらいにおいしいってことよおぉぉぉぉっ!!おにいさんっ!!こんどはますたーどとわさびをとっぴんぐしてね!ちしりょうでもかまわないよ!」 「おいおい、俺とふらんちゃんの分が無くなるだろうが。さて、俺も食べますか」 青年はそう言うと、別の実ぱちゅりーに先程と同じようにタバスコをかけて、それを頬張った。 「うーん、美味い!てんこ用のトッピングを試しに食べてみたら、意外とイケるんだよなぁ、赤ぱちゅりーと辛味って」 「うー……、めーりんだったらよろこんでたべるかもしれないけど、ふらんはちょっと……」 「あー、さすがに普通のゆっくりは食べられないだろうな、死んじゃうし」 「おとなりさんにこういうのもなんだけど、そういうたべかたは、とてもこせいてきだけど、あんまりやらないほうがいいとおもうよ……?」 ふらんは遠慮がちに、実ぱちゅりーを頬張りながらそう言った。 オブラートに包んだような物言いだが、率直に言うと、『ないわー、その食べ方』といった感じだろう。 「良いさ良いさ、人の目なんて気にしない。だって……」 青年はそう言うと二個目の実ぱちゅりーに七味唐辛子をかけながら……。 「好みは人それぞれなんだからさ」 そう言って、七味まみれの実ぱちゅりーを頬張った。 END あとがき 今回は前作『anko3261 それぞれの願い』の外伝SSを書いてみました。 前作を知らなくても読めるように悩みながら書きましたが、少々補足を付け加えたいと思います。 1 今回の主人公は、前作の冒頭辺りでゆっくりてんこを購入したお兄さんです。 2 ふらんの飼い主は、前作に登場していた青年です。 3 ふらんは飼い主の青年が、ゆっくり達から実ゆっくりを採取する方法を知っていたので、教える事が出来ました。 私が気付いていないだけで、まだ説明不足な点がある可能性があるので、前作を読んでいただければ、大体すっきりーするのではと思います。 これからも、時間があればちょくちょく書いていきたいと思います。 ご感想、お待ちしています。 作者:ぺけぽん 感想用掲示板はこちら http //jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/ ミラーはこちら http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3252.html 今までに書いたSS anko1656 クズとゲス anko1671 うにゅほのカリスマ求道記 anko1767 あなたは、食べてもいい○○○○? anko1788 そんなの常識ですよ? anko1926~1928 二人はW ~Yは二度と帰らない~ anko2079 しんぐるまざー anko2750 無意識だから anko2786 ともだち anko3189 おちびちゃんは大切だよ! anko3210 バクユギャ anko3221 根本的な間違い anko3249 お兄さんは興味が無い anko3261 それぞれの願い
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『かいっだんっ』 5KB 小ネタ 現代 是非前口上をよく読んでいただいて、ですね あ、俺の番? ゆっくりってさぁ。 あいつら四六時中、ばかなのしぬの、とか言ってるくせに、いざ自分が死ぬって時にな。死ぬ以外のルートが 残ってないってことにようやく気づいてさ。 んで、そういう手遅れ状態になって初めて死にたくないだの助けて何でもしますだの、ごべんなざいまぢざが ぢょうじごいでまぢた、とか言い出すけど。 たまに諦念混じりに、のろいごろぢでやる、とかいってくるのがいるだろ? まあどっちにしても駆除するん だけどさ。 ゆっくりに呪われたらどうなるか、誰か知ってる? 俺が話すのはそういう話。 あ、言っとくけど。 この話おもしろくならないから。 だってほら、俺まだ生きてっし。 ああ、だからこれはつまり俺の体験談で、実話なんだ。 俺が借りてるアパートの部屋は1階にあって、ドア開けたらすぐ駐車場になってんだけど。その駐車場の隅に 自販機があんのな。 あの日はバイトも講義もなくて、起きたのは10時くらいだったかな。コーヒーでも飲もうと思って、小銭だ け持って部屋を出たわけ。 ほんの2、3分のことだからってんで鍵はかけてないし、そもそもちゃんとドアを閉めたかも覚えてないけど、 ほら。一人暮らしの貧乏学生から盗るもんなんかねえじゃん? そんな感じで高を括ってたらさあ。 やられましたよ、おうち宣言。 いやお前ら笑うなって。 やられたことある奴ぁわかるだろうけど、ハンパねえぞあのビキりぐあい。 ホントあんなもんをかわいがる奴らの気が知れねえって。 速攻ボコって便所にたたき込んで流してやったんだが。 ……いやいやお前なに言ってんの。持ち上げて落とすが基本とか言われても別に俺虐待お兄さんじゃないし。 一般人一般人ただの一般人。いやマジで。 まあ。 進入されてすぐだったからたいして被害もなくて、そのときは終わったんだけどさ。 その日の夜に。 出たんだよ。 寝床に入って、眠ってるのか起きてるのかよくわからない瞬間あるだろ? その時に、聞こえたんだ。声が。 にんげんさぁん・・・ にんげんさぁん・・・ どぉして・・・れいむを・・・ころしたのぉぉぉ・・・? もうさすがにびっくりしてさ。 跳び起きたんだよ。 朝のことがあったから寝ぼけて夢でも見たのかと一瞬思ったんだが。 やっぱり、聞こえるんだ。 にんげんさぁん・・・ にんげんさぁん・・・ 声と、ゆっくりが跳ねる音と、ドアか何かにぶつかる音が。 よく聞くと、トイレの方から。 さすがにやべぇってんで、電気を点けようとしたんだけど。 点かない。 何度やっても点かない。 もう焦って焦って。 何かないかと思ってあっちこっち探るんだけど、暗くて何も分からなくて。 そしたら。 トイレのドアが。 バァンッッ! 叩きつけるように開く音がして。 やっとあいたよぉ、にんげんさぁん・・・ ぺとん・・・ぺとん・・・ 暗闇の向こうからゆっくりの足音が・・・ そのころになるとようやく目が慣れてきて、枕元に携帯があるのがなんとか分かって。 パニくりながら携帯のライトを点けて、音のする方に向けたんだ。 玄関につながる廊下にライトの薄い光が当たった瞬間。 音が、しなくなった。 しばらくそのままでいたと思う。 やっと落ち着いてきて、部屋の電気を点けたんだけど。今度はちゃんと点くんだよ。 そのまま一睡もせずに電気を点けたまま朝まで廊下を睨んでた。 朝になって、もう大丈夫だろうと思って。 トイレのドアを開けたら。 え? ああ、そう。ドアは閉まったままだった。だからあの音。なんでドアの開く音がしたのか。 で、まあ。ドアを開けた。 そこに。 トイレの壁に。 ゆっくりの姿のシミが。 日本画の幽霊画ってあんじゃん? ちょうどあんな感じでゆっくりを描いて、その絵を図工の成績が5段階の 3くらいの小学生が真似した感じの。 …無性に腹が立って。 俺は昨晩こんなのにビビってたのかと思うと。 思わず油性マジックで目玉に刺さる釘を描き込んでた。 で、その日の夜の寝入りばなに、また。 声がした。 にんげんさぁ・・・いぢゃいいいいいっ! れいむのおめめがいぢゃあああああ! みえなっ! みえなああ あああ! だぢゅげっ! だぢゅげでっ! ゆんやああああああっ! れいむおうぢがえるううううう! …何かが暴れ回る音と悲鳴がして、静かになった。 正直そんなことになるとは思ってなかったからさ。結構強力なフラッシュライトとか用意してたんだけど。 部屋の電気点けて、いちお念のためフラッシュライトも点けて、そーっとトイレに近づいてドアを開けたんだ。 そしたら。 俺が落書きを描き足した壁にはもうシミはなくなっててさ、釘だけが空中に浮かんでるシュールな感じになっ てんの。 おや、っと思って。 反対側の壁を見たら。 シミがあるんだよ。 小学生が真似して描いた幽霊画ふうのゆっくりの姿のシミが。 それでも昨日はホントにうらめしそうな表情だったんだけど、その時は、こう。 ぷくー って、ふくれた感じで。 もう速攻コンビニに走って、赤い油性マジック買ってきてさ。 ゆっくりの足を炙る火を描いて、足を真っ黒に塗りつぶしてやった。 その日の夜は。 にんげんさぁ・・・ゆあ、あ、あ! あ! あぢゅいいいいいいい! や、やべでっ! やべでっ! れいむ のあんよざん! あぢゅ! ゆぎゃああああああ! あぢゅ! あぢゅ! やべっ! あぢゅっ! うごいでっ! あんよざんうごいでねえええええっ! やべでやべでやべでやべでやべでええええええ! あぢゅいあぢゅい じんぢゃうううううう! だぢゅげでえええええええゆんやあああああでいぶおうぢがえるううううう! しばらくうるさかったけど、すぐに静かになってさ。 翌朝確認したら、トイレのシミ。昨日のまま同じ場所にありやがんのな。 今度は動けなかったんだなーとか思って。 よく見たらなんか泣いてるっぽいし。 まあそれから毎晩毎晩同じような悲鳴がするんだけど、正直もう慣れたってゆーか。 最近なんかシミも薄くなってきた気がするし。 いや、だから最初に言ったじゃんよ。おもしろくねえって。 ただまあ、たまたま携帯のライトが点いたから良かったけど、見つけられないでいたらどうなってたかな、っ て。 そう思うとどうよ? 少しはゾクってしねえ? しねえ? あっそ。 書いたモノ anko3400 自販機 anko3403 WP anko3459 自販機 The day before yesterday
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『名物』 9KB 調理 日常模様 都会 粒餡のほうが好きです。 かすがあきと勝手に名乗っているものです。 よろしければ読んでください。 名物 目をあけると、いつもと違う部屋にいた。隣を見ると、酒の瓶や缶が散乱している。 「お?おきたか?二日酔いにはなってないよな?」 ああ、そうか。僕は寝ぼけた頭からだんだんと状況を思い出した。 「うん。大丈夫。君は?」 「俺も平気だよ。しっかし、昨日はずいぶんと飲んだな…」 本当だ。まったくこれほど飲むのは社会人になってからは初めてだろうか? 「鈴木、朝メシ、いかない?」 「うん。いこう。でも、その前にトイレっと…」 僕の名前は鈴木。さっき声をかけてくれたのは、鬼頭で、大学時代からの友達だ。 大学を卒業し、別々の会社に就職して、はや4年だが、いまだ交流は続いている。 鬼頭は元々愛知県の出身のためか、名古屋営業所に転勤になったのが半年前。 「たまには遊びにこいよ。名古屋まで。」 と誘われ、ほいほいと昨日遊びに来たのだ。 昨日は日曜日で、日中は名古屋観光をし、夜は居酒屋で酒を呑み、 深夜は鬼頭の部屋で酒を呑んだ。 ちなみに、鬼頭は所属している会社の独身寮に住んでいる。 なんでも、実家から名古屋にある営業所までは遠いそうだ。 地理にうとい僕は愛知県も意外と広いんだな、と思った。 「朝食に、食べさせたいものがある。」 と言う鬼頭につれられて、街を歩く。時計を見ると、すでに9時30分だった。 この時間、社会人や学生は歩いておらず、商店もまだやっていないので、街は静かだ。 やっぱり平日に休むのは気分がいい!(二人とも有給を使っている。) じつにゆっくりしている。 「ゆっくりしていってね!」 れいむに声をかけられた。無視だ。僕たち雑談をしながら歩く。 「ゆっくりしていってね!」 立ち去る僕たちに、れいむは声をかけ、見送る。 「ゆっくりしていってね!」 ありすに声をかけられた。無視だ。僕たち雑談をしながら歩く。 「まったく、あいさつも かえせない なんて とんだいなかものね!」 立ち去る僕たちを、ありすは小バカにした。 「ゆっくりしていってね!」 パチュリーに声をかけられた。無視だ。僕たち雑談をしながら歩く。 「むきゅ!もりの けんじゃである ぱちゅを むしするなんて とんだ おばかさんね!!」 立ち去る僕たちに、ぱちゅりーは罵声を浴びせた。 「ゆっくりしていってね!」 まりさに声をかけられた。無視だ。僕たち雑談をしながら歩く。 「じじい!さいっきょうの まりささまに あいさつを かえさない なんてゆるさないのぜ! せいっさい してやるのぜ!でも あまあまを さしだせば とくべつに ゆるしてやってもいいのぜ!!」 立ち去る僕たちに、制裁すべく、跳びはねるまるさ。だが、僕たちの歩く速度には追いつけない。 信号が赤のため、歩をとめる。 「なぁ、なんかゆっくりに遭遇する確立がずいぶん高くない? しかもだんだん生意気になっていくし。せっかくのゆっくりした気分がだいなしだよ。」 僕は素直な感想を鬼頭に言う。 「そりゃお前、冒険が進むにつれて雑魚モンスターのレベルもあがっていくものだろ?」 「なんだそれ、まるでドラ○エだな。じゃぁ、1匹も潰していないのは、逃げつづけているからか?」 くだらない話をしているところで、さっきのまりさが追いついた。信号はまだ赤だ。 「まつのぜえぇぇぇぇええ!! にげるなぁぁぁぁああ!!くそにんげん!!よわっちぃ じじいども!! さいっきょうの まりささまが せいっさいしてやるのぜ!」 「どうやら回り込まれたようだよ。」 「本当だ。じゃぁ、戦うか。」 鬼頭はそう言うと、まりさの帽子をとりあげる。 「ゆ!?やめるのぜ!まりさのおぼうし かえすのぜ! いまなら まだ ゆるして やるのぜ?さっさと かえすのぜ!」 「バギ○ロス!」 鬼頭はそう言うと、息を汚い帽子に吹きかけながら帽子を破いた。懐かしい言葉だな。 「ゆがあああああああああぁぁぁぁぁぁあああ!? ばりざのおぼうしがあああぁぁぁぁぁっぁぁああああああああああああ!!! ゆっぐじでぎないいいいいいぃぃぃいい!!!」 絶叫をあげるまりさだが、僕は無視して、鬼頭に聞く。 「あれ?メ○じゃないんだ?」 「火を使うと消えるまでみてないといけないじゃん?あ、信号変わった。」 僕たちは再び歩き始めた。ビリビリに破いた帽子をまりさの目の前において。 「なおっでね、ばりざのゆっぐりじたおぼうじざん。 ゆっぐじなおっでね、ぺーろぺーろ…… どぼじでなおらないのぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!!」 残されたまりさは、帽子を舐めつづけていた。 横断歩道のそばでそんなことをしていれば、そのうち潰されるだろうに。 後で知ったことだが、この通りは駅へと抜ける通りのため、通行者が多い。 そのため、沢山の野良ゆっくりがこの通りで、物乞いをするらしい。 通勤、通学時間が終り、歩いている人間が少ないため、エンカント率が上がっていたようだ。 あのまりさだが、恐らく、人間からお菓子等を貰えたことで、人間との力関係を勘違いしたのだろう。 虐待派でなくとも、煩い野良ゆっくりは潰す人間ばかりだというのに、 ゆっくりというのは、どこまで餡子脳なのだろうか。 横断歩道を渡り終えた先にある小さな喫茶店に入る。 鬼頭はなれた足取りで、奥へとはいり、適当なテーブルにつく。 「なぁ、こっちって喫煙室のほう?」 途中、パーテーションがきられていたので、喫煙禁煙で区切っているのだろう。 鬼頭はタバコを吸わないが、僕は愛煙家なので、吸っていいかを聞く。 「いや、この店は全席禁煙。」 全席禁煙の喫茶店なのに、部屋を2区画にわけているなんて、変な店だな。 そんなことをおもっていると、人のよさそうなマスターがお冷とオシボリをもってきた。 「いらっしゃい鬼頭さん。」 「ちわっす。マスター。コーヒー2つお願いします。」 「はい。コーヒー2つですね。」 マスターは注文を復唱すると、厨房のほうへといった。 「おい、鬼頭。朝食なのに、コーヒーだけか?」 「ああ、この辺じゃ、朝のコーヒーには無料でモーニングがついてくの。」 「無料で?そりゃ、期待できないな……」 「まぁ、黙ってまってろって。」 コーヒーのいい香りが鼻腔をくすぐる。 「やめっちぇぇぇええ!れいみゅのあんよがぁぁあ!」 そしてゆっくりの悲鳴が耳に入ってきた。 「はい。コーヒー2つです。」 マスターがテーブルに注文したものを置く。 「な?すごいだろ?」 「うん。すごい。」 モーニングの内容は、 コーヒーと、サラダと、目玉焼きと、ボイルされたソーセージ、 トーストされたパン、 それと、マーガリンと、逆さまに固定され、足の皮が綺麗に剥がされた食用赤ゆっくり(れいむと、まりさが2匹づつ)である。 これで300円?安すぎる。 「トーストと、マーガリンにゆっくりはおかわり自由ですから、ご気軽に声をかけてください。」 さらにおかわり自由?すごい。毎朝通いたい気分だ。 店が空いているのは、時間のおかげで、毎朝混んでいるとのことだ。僕もこの店に通いたい。 「さ、食べようぜ。」 鬼頭はパンにマーガリンをぬり、そして、小さなスプーンで、まりさの中身=餡子をすくい、パンにぬる。 「いっだいいいい!!ば、ばりざのあんござんががぁぁぁ!! っがっきゅっぼっげえげげっぁぁああああ!?」 スプーンですくっている間、まりさが悲鳴をあげる。 残っているゆっくりたちは、歯をガチガチならして、涙を流してる。 「おいおい、なんでパンに餡子なんてぬるんだ?」 鬼頭の奇行に声をあげる僕。 「ははは。これが、名古屋名物、小倉餡トーストだ。」 「小倉餡トースト?」 「そ。食パンに、バターかマーガリンをぬって、その上に小倉餡をのっけたやつ。」 「なにそれ?まずそー」 顔をしかめる僕に、鬼頭がパンを一口食べて言う。 「そんなことないって、うまいって!ほら、アンパンと一緒だろ?試してみろよ。」 これか、食べさせたいものって、この小倉餡トーストのことだったのか。 ちょっと気持ち悪いが、まぁ、せっかくだからと僕はパンにマーガリンをぬり、そしてれいむを手にとる。 「や、やめちぇっぇぇぇぇぇえええええ!れ!れいみゅのあんこしゃん!とりゃにゃいでぇぇぇえええええ!」 パンに餡子か……ちょっと怖いな……もし不味かったらというか、不味いだろうから、少しだけにするか。 そんなことを思いながら、僕は餡子を少しすくう。 「ばあああああ!!!!じ!い゛だい゛いいいいいいい!!!! いっだいよぉぉぉおおお!! ああああっあんこっさんぎゃああああああ!じぬぅぅううううう!!」 中枢餡まで達しなかった為、れいむは悲鳴をあげ続けている。 僕は、餡子をパンの端にすこしのせ、そして、食べる。 「………あ……意外と美味しい。」 「だろ?」 鬼頭がニッコリと笑っている。うん。マーガリンの塩気と甘い餡子がパンに意外なほどあっている。 「ところでさ……」 僕はコーヒーを一口飲みんでから鬼頭に聞く。(このコーヒーも美味しい。) 「ゆっくりがうるさくない?」 「え?お前、ゆっくりの悲鳴嫌いだった?」 「別に好きでも嫌いでもないけどさ。好きな人がいるの?」 「ゆ虐趣味の人と、ゆっくり専門の料理人。」 「僕はどっちも違う。鬼頭は好きなのか?」 「俺も特別に好きというわけではないが、悲鳴があったほうが、新鮮な気がしていいと思わないか? ほら、活き造りや、残酷焼きみたいでさ。」 「それは何か違わないか?」 そんな会話をしながら、僕はれいむの残った餡子をすくい、パンに塗る。 「ぼぅやだ!おうちがえるぅぅぅう!!………ひ!やだ、やだやだ!やめちぇ!!! れいみゅのあんござん 食べにゃいっでえええぇえぇえぇ!!! いっじゃぁああああああ!?やめりょぉぉぉぉおおおおおお!!!! っゆっぴぃやぁぁあああぁぁがぎゃぁあぁぁああああああ!!??…………」 れいむは、悲鳴のあと、静かになる。 中枢餡を一気にすくわれたためか、辞世の句はなかった。 「まぁ、その声が嫌いなら、今度この店来るときは、表のほうの席にすわろうぜ。 あっちなら、口が焼かれて、喋れないゆっくりがでてくるからさ。」 なるほど。この店の中の区分けはそうなっているのか。 喫煙と禁煙の席をパーテーションで区切るのではなく、ゆっくりの声の有無で区切ってあるのか。 恐らく、こちら側の席は防音処理がされており、ゆっくりの悲鳴は、もう片側の席には聞こえないのだろう。 「ま、どっちでもいいけどね。ゆっくりの声があろうがなかろうが、僕はそれほど気にしないよ。」 まぁ、ゆっくりの悲鳴など、街にいればイヤでも聞こえてくるのだから、気にしないといえば、気にしないのだが。 「に、ににににんげんさん!おぉぉねが……た、ったったたちゅけてぇぇぇぇぇええ!!」 残ったゆっくりたちが命乞いをする。まったく、食用なんだからそんなことは無意味だというのに。 大体、僕が食べなければ、廃棄食材として捨てられ、死ぬに決まっている。 奇跡的に生き延びれても、足をなくしたゆっくりなんて生きていけるはずがない。 むしろここで食べてあげたほうが、苦しみが少なくていいものだろうに。 僕はゆっくりの相手をすることなく、残ったゆっくりたちの餡子をパンに塗り、食べる。 「いや、しかしこれ本当に美味しいな。」 「だろ?おかわり頼むか?」 「もちもん。」 新しいトーストされたパンと、ゆっくりたちがくる。 泣き叫けび、命乞いをすものもいるが、当然無視する。 それにしても小倉餡トーストか。材料費も安いし、調理も簡単だし、今度、家でもやってみようかな。 僕は、恐怖で甘くなった餡子を、パンにたっぷりぬって、小倉餡トーストを食べ始めた。 あとがき 小倉餡トーストは実在します。 そして、私の好物です。もし機会があれば、食べてみてください。 過去作品 anko3893 穏やかな日常、或いは嵐の前の静けさ anko3901 穏やかな日常、少し増えた賑やかさ 前編 anko3902 穏やかな日常、少し増えた賑やかさ 後編 anko3903 孤独なぱちゅーが共に過ごすもの
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『げすまりさ』 10KB 虐待 観察 小ネタ 思いつき 「ぜっぜっぜ~、ぜぜぜのぜ~」 部屋の中心で、変な歌を歌いながらぽいんぽいんと跳ねている黒い帽子を被った生首饅頭がいる。 こいつはゆっくりまりさというやつで、先日近所の公園にいたのを拾ってきた。 「ゆっくり~のぜ~」 声も丸っこい体つきも、一見すると可愛いもんだが、こいつは紛れも無くゲスというやつだ。 それを分かっていて俺はこいつを拾ってきた。 それはこいつの見事なまでのゲスっぷりに感心さえ覚えてしまったからだ。 「ゆふ~、きょうもじゅうぶんゆっくりしたのぜ、じゃあおにいさん、まりさはかりにいってくるのぜ」 「あぁ、いってらっしゃい」 俺が家の窓を開けてやると、そこからまりさは元気よく飛び出して、ぽいんぽいんと跳ねていってしまう。 拾った、と言っても俺はあいつをペットにしたわけではない。 あいつが俺を楽しませる代わりに、雨風しのぐ場所を提供してやっている、という程度だろうか。 なので基本的にはあいつは自分で食料を調達しにいくし、それがあいつの元々のライフワークなので、 俺が食料を与えてやらないことに関しては、あいつは何一つ文句を言わない。 楽しませる、と言ってもまりさが何か特別なことをするわけではない、俺が勝手に楽しんでいるだけだとは思う。 けれどそれがお互い全く損が無いということで、俺達の関係は実にうまくいっていた。 コツン、コツン。 しばらく本でも読みながら待っていると、窓のほうから小さな音がした。 見るとまりさが庭の適当な小石を口に含み、プッと吐き出し窓にぶつけている。 どうやら狩りが終わったらしい。 俺が窓を開けてやると、まりさのあとに続いて、バスケットボール大の丸々と太ったれいむが部屋に侵入してきた。 みるとその額には茎が生えていて、そこには5つの小さな実ゆっくりが実っていた。 おそらく出来たてほやほやだろう。 「ゆゆ~ん!まりさはさいっこうっのだんなさまだね!」 「ゆふん、ほめるなぜ」 汚らしい顔のれいむは、まりさに頬ずりしながら自分達の世界を作っていた、おそらくれいむには俺のことなど見えてはいない。 「こんなひろいゆっくりぷれいすとにんげんのどれいまでついてるなんて、れいむだいまんぞくだよ」 汚物饅頭がなにやら人の神経をわざと逆なでするような発言をしているが、所詮糞袋の戯言、気にすることじゃない。 「あー、れいむ、おにいさんはどれいじゃないのぜ、そこだけははっきりさせとくのぜ、じゃないとまりさまであぶないのぜ」 まりさは身の程をきちんとわきまえているので、俺のほうを伺いながられいむをたしなめる。 「大丈夫だ、気にするな」 俺が言ってやると、まりさはほっと息をつく。 「それにしても、今日はずいぶん上玉だな」 「そうなのぜ、まりさはかりのめいじんだからねっ!」 まりさは俺の賛辞を素直に受け取って、ゆふんと胸をはった。 「ゆっくり~まったり~れいむはぷーりち~」 あれから小一時間ほど経過して、れいむは部屋の隅においてある、 以前俺がまりさにくれてやった使わない毛布に陣取って、小うるさいBGMを奏でていた。 まりさはというと、れいむに付き合ってれいむのそばでにこにことしているだけだ。 恐らくここにくるまでにれいむを満足させてきたのだろう、れいむは飯だなんだと喚くことも無くゆっくりと過ごし、 額の子供達もすくすくと成長しているようだ。 「おにいさん、おにわのくさをもらってもいいのぜ」 「あぁ、雑草なんていくらでも持ってけ、そうだ、生ごみいるか?」 「ありがたいのぜ」 俺が窓を開けてやるとまりさは再び外にでて、奔放に生えている草を毟って部屋のれいむの前に運び、 実ゆの丁度真下にくるように敷き詰めていった。 俺がキッチンの三角コーナーに溜まっていた生ごみを皿に載せてもっていってやると、まりさがそれを受け取ってれいむの前に持っていく。 まりさがなにやられいむに話しかけると、れいむは笑顔で舌を伸ばして生ごみを口に運んでいった。 「むーしゃむーしゃ!しあわせー!」 口の端から食いカスを飛ばしながら、れいむは実に旨そうに生ごみを平らげていく。 野良生活では手に入りづらい新鮮な生ごみは、やつらにとってはご馳走なんだろう。 れいむが食べ終えるころには、まりさは草のベッドを完成させていて、れいむは涎を垂らしながら夢の世界に旅立っていた。 それからまりさはれいむに付きっ切りであれやこれやと世話をやいていった。 次の日、朝目覚めると、れいむの茎には実ゆの重みでだいぶしなっていて、 実っている実ゆはもうほとんど赤ゆサイズになっていて、今にも生まれそうな状態だった。 「ゆゆ~ん!れいむのあかちゃん!ゆっくりうまれるよぉ~!とってもかぁわいいよぉ~!」 れいむは一人感動に打ち震え、目に涙を浮かべながら感動の瞬間を今か今かと待ちわびていた。 近くで見守るまりさの表情は少し疲れているようにも見えた、俺が寝ている間にも、 れいむが騒いだりしないように満足させることに力を入れていたのだろう。 そして。 ぷよん、ぷよんぷよん… 「ゆにー!」「にゅっ、ゆー」「ゆ~」「ゆち、ゆぶう」「ゆー!」 「ゆわぁ~おちびちゃんゆっくりうまれたよー!ゆっくりしていってね!」 『ゆっきちちちぇちぇにぇ!』 どうやら生まれたようだ、5匹の子ゆっくりは全てまりさの作った草のベッドに着地し、元気な産声をあげた。 れいむは猫なで声を出して赤ゆに頬ずりし、まりさはふぅと息を吐いている。 コーヒーを飲みながらしばらくその様子を見守っていると、まりさがのそりと動き出した。 「じゃ、れいむばいばいなのぜ」 「ゆ?」 きゃいきゃいと騒ぐ子ゆと戯れていたれいむが、まりさの不思議な言葉に怪訝な表情を浮かべる。 次の瞬間、まりさは予備動作もなしに、れいむのもみあげを噛み千切った。 「ゆぎゃあああああああああああ!!!!!!!」 「うごいちゃだめなのぜ、だいじなおちびがつぶれちゃうのぜ」 まりさは子ゆっくりを守るように身体を移動させながられいむの身体を一口また一口を噛み千切り、飲み下していった。 「うーん、やっぱりおとなはあんまりおいしくないのぜ」 「なななななななにじでるのぉぉぉお!?」 頬や口元の傷口から餡子を垂れ流しながら、れいむは必死にまりさを止めようとした。 しかしまりさが止まるはずはない、なぜならまりさは元々これが目的だったのだから。 「まりざはでいぶのだんなざまでじょおおぉおお!?どぼぢでごんなごどずるのおおお!?」 「あー、そんなこともいったかもしれないのぜ、ぜんぶうそだぜ、ごめんのぜ」 「うぞだああああああ!!!うわああああああ!!!」 れいむは自分を喰いに来ているまりさという、自分の中で全くわけの分からない状態に錯乱し、 身体を思い切りよじってその場から逃げようとする。 「もう、だからうごいちゃだめっていってるのぜ、ききわけのないれいむなのぜ」 残念ながらそんなれいむが至って冷静極まりないまりさに敵うはずもなく、 まりさは背中を向けるれいむに後ろからジャンプしてのしかかり、全体重をかけてあっさりとれいむを踏み潰してしまった。 ぶしゃっ!と汚らしい音を立てて、れいむの身体に空いていたいくつもの穴から、れいむの中身がまき散らかされる。 「が…ひゅ…も…ゆ…」 れいむはたいした断末魔を上げることも出来ず、そのまま息絶えた。 「うわ、おにいさんごめんのぜ、あとでちゃんと片付けるのぜ」 「あぁ、そうしてくれ」 まりさは一度こちらを向いて申し訳なさそうにしてから、今度は笑顔で、今の状況を見て怯えきっている子供達のほうに向き直った。 子ゆたちは、それぞれパニック状態に陥り、口から餡子を吐き出す者や泣き叫んでおそろしーしーを垂れ流している者もいた。 「おちょーちゃぁ…」 「そうだぜー、おとうさんだぜ~」 まるで子供をあやす様にまりさは笑顔でゆっくりと子ゆに近づいていく。 「ど…ちて…」 親の殺し合いを見せ付けられてしまった子供の素直な疑問に、まりさはとても真っ直ぐに、残酷に答えをくれてやった。 「どうしてもこうしても、おまえたちもれいむもまりさのごはんなのぜ、ゆっくりたべられてね」 『ゆぴゃああああああああ!!!!』 子ゆ達は泣き叫び、逃げようとするやつもいたけれど、所詮生まれたてで、 はたから見ていてもそれは逃げているというよりはのた打ち回っているだけというような状態だった。 俺はそばに置いてあった箸立てから箸を一本取り出して、まりさのそばに投げてやった。 「お、さんきゅーのぜ」 まりさはそれを咥えて、一匹一匹子ゆを串刺しにしていく。 その箸さばきはなれた物で、殆ど一突きで子ゆ達は声を上げる間もなく絶命していった。 俺とまりさが出会ったとき、こいつはまさにこの狩りの真っ最中だった。 あの時は木の枝を使ってやっていたが、うちに来てからは箸を一本かしてやると、 まりさはその頃を再現するようにこうして鮮やかな箸使いを見せてくれるのだ。 「いやー、うんどうしたらおなかへったのぜ、いただきまーす、むーしゃむーしゃ、うん、うめっ」 まりさは仕留めたばかりの子ゆを一匹まるまま口に入れると、実に美味しそうにむしゃむしゃと租借した。 残りの4匹はまりさの毛布のそばに固めておいてある、どうやら保存食にでもするつもりらしい。 「これだけあればしばらくもつのぜ~」 「それはよかったな、それも片付けといてくれよ」 「まかせるのぜ、あんまりおいしくないけどがまんするのぜ」 俺がれいむの残骸を指差すと、まりさは普段と変わらぬゆっくりとした動きに戻って、ぺろぺろと床を舐め始めた。 仕事から戻ってくる頃には綺麗になっているだろう。 まりさにしっかりやるようにと釘をさして、俺は家を出た。 またまりさは、あの食料達がなくなると、狩りへ出かけるのだろう。 逆らうと殺すと言っているわけではないが、まりさは人間の俺には敵わないことを自覚しているようで、 決してでしゃばったり無駄に逆らったりすることは無い。 まりさは俺の歪んだ趣味を満たす楽しいショーを見せてくれ、俺はまりさに快適な宿を提供する。 まさに理想的な共存といえるだろう。 まりさが次はどんな獲物を捕らえてきて、どんな殺しを見せてくれるのか、俺は今から楽しみでしょうがない。 終わり。 ------------------------------------------------ 思いつき小ネタです。 ゆっくりぬいぐるみの、なんとなくげす~んとしたまりさの顔を見てたら思いつきました。 無理に餌取りに行くよりその辺にあまあまいくらでもころがってるじゃん? という考えにいたって餡黒面に堕ちてしまったイケまりさのお話でした。 ゆっくりが泣き叫びながら死ぬのを見るのが大好きなお兄さんと出会って幸せに暮らしています。 まさに理想ですね、ああまりさ欲しい。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3067 わけあり おまけ 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。
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『秋の風物詩』 5KB いじめ 虐待 小ネタ 不運 子ゆ 現代 独自設定 7作目です。小ネタ、かな。 (い、いちゃい、いちゃい、おもにしたさんがいちゃい) (な、なにきょれぇぇぇぇ) 『秋の風物詩』 子まりさが目を覚ますと、そこは水色の世界だった。 (にゃに?おしょら?おしょら、おしょらだぁぁ) 雲1つ無い大空。それが眼前に広がっている。 何が起きたのか全く分からない。 (じぇ、じぇんじぇん、きょえがでにゃいよ、したさんがいちゃくてきょえがでにゃい!) 子まりさはあまりの驚きに泣きたかった。叫びたかった。 しかし声を出すことができない。 (お、おにぇがいだきゃら、まりしゃのしたしゃん、ひっぱらにゃいで・・・) そう、子まりさは舌を引っ張られているのだ。 誰に? 何で? 子まりさには分からない。 分からないが、舌が伸びきってしまい、痛くて声が出せない。 (やじゃやじゃ、まりしゃ、こんにゃのやじゃぁぁぁ) まりさは大粒の涙をこぼした。 涙の粒は頬を伝・・・うことなく、後頭部へと流れていった (にゃ、にゃにきょれ?まりしゃ、しゃかだち、ちてりゅにょ?) 正確には逆立ちではなかった。 子まりさは上を向いていた。 (おにぇがい、やめちぇ、やめちぇ!だりぇきゃ、まりしゃをおきょして!おとうしゃん、おきゃあしゃん、どきょぉぉぉぉ) いくらお願いしても、誰も助けようとしてくれない。 親ゆっくりの姿も見あたらない。 親?親ってだれだっけ? (にゃんで、にゃんでまりしゃ、きょきょにいりゅにょ?いちゃい、いちゃい、いちゃいよぉぉ) 子まりさは全くワケが分からない。 そういえばいつから眠っていたのかもよく分からない。 ただ目が覚めたら、痛みで声も出ないほど舌をひっぱられ、身体は上を向いていた。 (いちゃい、いちゃい、いちゃい!り、りぇいみゅ、ぢぇん、たしゅけちぇぇぇ) 眼球を動かして左右を見ると、両隣には子れいむと子ちぇんが同じように上を向いて舌を出し、涙を流していた。 助けを求めるが、それらも動かない。同じようにただ涙を流してふるふると震えているだけだ。 (ゆゆ、ゆーらゆーらしゅるよ!ゆーらゆーらするちょもっといちゃいぃぃぃ) 子まりさは突然揺れ始めた。 秋空の下、さわやかな風が吹く。 その風に吹かれて・・・ (ゆぅぅぅ、まりしゃの、まりしゃのおぼうちしゃん、まっで、まっで、まっでぇぇぇぇ) (にゃんで、あんよしゃん、うごきゃないのぉぉぉ) 風に吹かれて、子まりさの帽子が飛んでいった。 子まりさは帽子を追いかけようとあんよをうねうねと動かすが、何の反応もない。 (ゆぅぅぅ、したしゃんがかわきゅぅぅ・・・なんにゃのぉぉぉ) 風に吹かれ、舌がだんだん乾いてきた。 痛みに加え、ザラザラとした不快な感覚がつきまとう。 (もうやじゃ、やじゃ、やじゃぁぁぁぁ!ゆっぐりできにゃい、できにゃいよぉぉぉぉ) もうお分かりかと思う。 子まりさは舌で吊されているのだ。 青く透き通った秋空の下、意味も分からないまま。 「パンっ」 (ゆひぃぃ、にゃに?きょわいよぉぉぉ) 子まりさの背後で、突然破裂音が鳴った。 ゆっくりは突然の大きな音などを怖がるが、特に破裂音は自身の身体が破裂するのを想像するのか、特に怖がる。 (きょわい、いちゃい、やじゃぁぁぁぁぁ) ドドドドドド 今度は地面を揺るがす音が響いてくる。 (ゆわぁぁぁぁぁ、なに、なに、にゃにぃぃぃぃ?にゃんなにょぉぉぉぉ!?) 子まりさは怖くてたまらない。 痛い、怖い、ゆっくりできない。 そればかりを思っていた。 「ドン、ガリっ、ブチブチブチブチ・・・」 (ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁ) 突然、頭に何かが当たったと思うと、それは子まりさに食い込み、下へと引っ張った。 子まりさの舌がちぎれていく。 (ゆべべべべべべ、まりしゃのしたしゃんがぁぁぁぁ) 子まりさは体中をかけめぐる衝撃のまっただ中に居る。 (やべで、やべで、まりしゃのこと、たべにゃいじぇぇぇぇぇぇ) まりさは、何者かに襲われ、食べられていることを理解した。 (やじゃ、やじゃ、まりしゃ、いちどもゆっぐりちてにゃいよ!ゆっぐりちたい、ゆっぐりちたいぃぃぃぃぃ) 子まりさは、生まれてからそれなりに経っている大きさだが、一度もゆっくりした記憶がなかった。親の顔も、どこで育ったのかも覚えていない。 (もうやじゃ、どうしちぇ、まりしゃがこんにゃめに) 子まりさがそう思ったところで、意識が途切れた。 中枢餡を何者かに噛み砕かれ、死んだのだ。 この子まりさは、加工所で生まれた。 生まれた直後にラムネを吹きかけられ、意識の無いまま成長促進剤で育てられ、真空パックで販売される、最も安価なタイプのゆっくりだ。 これらの食用ゆっくりは、パックを開けてしばらく経つと目を覚ます。 そんな子まりさに、親や育った場所の記憶など無いのも当然だ。 『以上、2年生による、パン食い競争でした』 パチパチパチパチパチ・・・・・ 放送が鳴り響き、拍手が巻き起こる。 『なぁ、なんでパン食いなのにゆっくりなんだろうな?』 『こっちの方が安いからじゃない?バリエーションもあるし』 『安全なんだってさ。のどに詰まっても溶けるから』 『へぇぇ、そうなんだ。あ、お前、何ゆっくりだった?おれ、れいむだった』 『おれはちぇんだった。しっぽ長くてうざかった』 『れいむもうざいよ。もみあげが動いて食いにくいし』 『食いやすいありすとみょんは女子用だしな。』 『おれ、ぱちゅりーだったよ。食う前にクリーム出して死んでたから食いやすかった』 『マジで?いいな。おれはまりさだった。あれも帽子が邪魔で食いにくいんだよ。』 『え?おれもまりさだったけど、帽子無かったぜ。』 『マジかよ、ずりー。』 パン食い競争で走った2年生は、口々に笑い合い、秋の運動会を楽しんでいる。 ゆっくりが使われる理由は、小学生達が言っているとおり、安価でバリエーションがあり、さらにのどを詰めにくいからだ。 舌でぶら下げるのも、ひもで吊ると泣き叫んで教育に悪いというクレームが来たため、こうなった。 他には殺してからぶら下げることもあるようだが、傷を付けるとそこから餡子が漏れるし、傷を付けずにゆっくりを殺すのは意外と難しい。 中身を吐けば食べるところがなくなってしまう。 また、先に殺すと鮮度が悪く、あまりおいしくないということもある。 実際、こうして舌で吊らされたゆっくりは甘みが増してそこそこ旨いのだ。 子ゆっくりの舌吊りという料理としても有名だ。 『次は、6年生による、1000mリレーです。』 パチパチパチパチパチ・・・・・ 運動会は何事もなく、続いていく。 過去作 anko3758 おいわい anko3805 消える声 anko3811 ゆっくりキャンプするよ anko3814 あるドスの受難 anko3823 ゆっくりとしたむれ anko3839 おいしいご飯
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『子まりさと仲良し家族』 20KB いじめ 虐待 改造 家族崩壊 野良ゆ 現代 虐待人間 うんしー 割と汚い話 12作目 「ゆんやああああああ! はなして! はなしてよおっ! ゆっくりできないよお! ゆっくりさせてよおおお!」 多分、この子まりさは世界一ツイてないだろう。 そして俺は大変にツイている。 例によってマンネリを打破するため、新たな虐待を編み出した直後に窓を開いて 「そろーり、そろーり! にんげんさんにみつからないようにおかしをたべるよ! そろーりそろーり!」 などと侵入してきたのだから。 背中を摘んで、じっくりと子まりさを観察する。 子まりさは怯えながら、大声で叫んだ。 「ま、まりさにてをだしたらおとーさんがだまっていないよ! おとーさんはとってもゆっくりしたゆっくりなんだからね! おとーさんのたいあたりには、ねこさんもまいったまいったするんだよ!」 「ほう……」 「お、おかあさんだってゆっくりしてるんだよ!? とってもじょうずなおうたで、まりさといもうとたちをぐっすりすーやすーやさせてくれるんだよ!」 「妹は何匹?」 「ええと……いち、にい……た、たくさんだよ!」 「ふむ。つまりお前はお父さん、お母さん、そして妹が大好きなんだな?」 「とうっぜんだよ! そんなゆっくりしてるかぞくがいるのに、まりさにいたいいたいことしちゃだめだよ! ゆっくりできなくなるからね!」 「友達はいるか?」 「たっくさんいるよっ! まりさはもってもてなんだよ! わかる? まりさも、れいむも、ありすも、ちぇんも、みょんも。みんなみーんな、 まりさのことがだいっすきなんだよ!」 ふふん、と得意気な顔が何ともはや苛立たしい。苛立たしいが、先のことを考えて胸をときめかすことにする。 「本当かなあ? まりさ、嘘ついてないか?」 「ま、まままままりさがうそをつくわけないでしょ!? ばかなの!? みんなゆっくりしてるよ!」 「ほむほむ(同意の頷き)。よく分かった。じゃ、お前の群れに連れて行って貰おう」 「いいよ! まりさがゆっくりしてるってわかったら、あまあまちょうだいね!」 「別に構わないぞ。食べきれないほどのあまあまを分けてやろう」 「ほんとお!? ゆわーーい! あまあま! あまあまあああ!」 「ゆっくりしているゆっくりだと、証明できたらな……」 俺は道具を鞄に入れ、子まりさを手のひらに載せて出発した。 『子まりさと仲良し家族』 マンネリあき 群れのところに向かいながら、子まりさの話を聞く。 この子まりさ、元々は末っ子。二人の姉れいむがいたらしい。 ところが、姉二人は雨で溶けてあっさり死亡。 相当に溺愛されて育ったようだ。 ゲスではないから、悪意はない。ただ、とことんまで欲望に忠実で我が侭なのだ。 ……それ、ゲスよりタチ悪くね? 「あまあまさんたべさせてよおおお! まりさおなかぺーこぺーこだよ!」 「あ、ほら! あそこにお花さんがあるよ! まりさをゆっくりおろしてたべさせてね!」 「けむしさんは、とげとげがないとおいしいよ! にんげんさん、けむしさんのとげとげをなんとかしてね!」 俺の返答はただ一つ。 「知らん」 だ。こう言って無視しておけば、その内飽きが来る。 「ちょっととまってよ! ゆっくりしていたみのむしさんみてみたいよ!」 「おはなさんをありすにあげたいからおろしてよ!」 「あまあまさんをはやくちょうだいね! さっきやくそくしたでしょ!?」 「知らん、知らん、知らん!」 子まりさを潰さないという、忍耐力を極限まで試される行為に俺は何とか耐えきった。頑張った俺。 後で自分へのご褒美として、あまあまを食べよう。 「ここだよ!」 公園か……小ささから考えて、あまりここに人間は来ないんだろうな。 よく見れば、あちこちに段ボールが転々と置いてある。 連中の巣だろう。 見た感じ、花壇の手入れもちゃんとしている。どうやら、雑草や虫を主に食べて生活しているらしい。 「みんなあああ! まりさだよおお! かわいいまりさがかえってきたよおおおおおおおおおお!」 その馬鹿デカい声に、段ボールから次々とゆっくりたちが這い出してきた。全員、慌てているようだ。 「もう、またまりさのトコのまりさ!?」 「ゆうううっ! なんどいえばわかるの! よるにおおごえだしちゃ、にんげんさんにめいわくでしょ!?」 「ほんっとうにばかなまりさだね!」 「ゆゆ!? まりさばかじゃないよ! ばかっていうほうがばかなんだよ! だから、れいむおばさんはばか なんだね!? ゆぷぷぷぷ、れいむおばさんのばーか!」 ばかと言われたれいむが、眉を吊り上げかけたが、すぐに俺の顔を見て口を開けた。 「に、にんげんさんだあああああああああああああああ!」 その言葉に、一斉に野良ゆっくりたちが避難しようと、段ボールの中に潜り込む。 「あー、ちょっと待て! いいから全員出てこい! さもないと……か・こ・う・じょ……だぞ?」 「「「かこうじょいやあああああああああああああああああああ!」」」 出たり入ったりと忙しいことだが、ともあれ野良ゆっくりたちが這い出してきた。 ひーふーみー……二十匹ってとこか。成体十に子が十。並びから判断するに番が三組、片親が四組か。 「これで全部か?」 「ま、まって。おちびちゃんたちはあんよがよわくて、まだそとにでられないの」 この野良の群れを代表するゆっくりらしい、ありすが前に進み出た。 「んー……まあ、それは勘弁してやるか」 ややこしいし、時間掛かりそうだし。 「さて。この子まりさ、お前等の群れの仲間らしいが本当か?」 ありすたちは気まずげに顔を見合わせ、恐る恐る頷いた。 「……そ、そうよ。そのまりさが、にんげんさんになにかしたの?」 「まあ、まずは両親。ちょっと前に出てこい」 「まりさ! れいむ!」 「い、いないよー? あれれ? よんでくるよー!」 「全員いるんじゃなかったのか、おい」 「ご、ごめんなさい。ありす、かずが10までしかかぞえられなかったの」 そう言えばこいつらは算数に弱いんだった。 「ゆう……れいむはゆっくりおひるねしてるんだよ」 「まりさもだよ……ちぇんはゆっくりあとでね……」 そんな呑気な返答。 俺だけでなく、周囲のゆっくりたちも「ビキィ!」と来たらしい。 「いいからはやくこい! わかれよー!!」 ちぇんが苛立って、どすんと段ボールに体当たりを噛ませていた。 「な、なに? なんなの? ゆっくりしてね、みんなゆっくりしてね?」 「ゆうう……まりさがびゆっくりだからって、そんなにみつめられちゃこまるよ……」 全員から強く見つめられ、おっかなびっくりという感じでれいむとまりさが進み出る。 そして、俺の手に載せられた子まりさを見て、ようやく目を見開いて絶叫した。 「ゆあああああああああああ! どぼじでにんげんさんがまりさのまりさをつかまえてるのお!」 「ゆっくりはなしてね! すぐにはなしてねえええ!」 「そうだよ! れいむたちのたいせつなたいせつなおちびちゃん。さっさとかえしてね!」 「ぷくーするよ、まりさ!」 「そうだね、れいむ。いっせーのーでー……」 「「ぷくーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」 ほう、なかなかの度胸である。子まりさが愛されているというのは、本当なようだ。 ……周囲の野良ゆっくりは、凄く醒めた表情で見つめている。何やってんだこの馬鹿、という感じだ。 ぷくー、が人間には効果がないということを知らない野良ゆっくりはほとんどいない。 にも関わらずぷくー、か。 こいつら相当の馬鹿か、あるいは……。 「まあ聞け。この子まりさ、俺のゆっくりプレイスに侵入しやがったんだ」 「ゆうう!? まりさ、そんないなかものなことをしちゃだめだって、あれほど……!」 「ゆあああああああん! おこらないでよおおおお! だってあまあまさんほしかったんだもん! あまあまさんがみえたんだもん! あまあまさんたべたかったんだもん!」 尻をぷりぷりもるんもるんと揺さぶって、自己の正義を主張する子まりさ。 こいつの尻を摘んで潰せば、どんなにか気持ちいいだろうなあ。やらないけどさ。 「ゆゆ!? そうだったのまりさ! だったら、とうっぜんだねっ! かわいいまりさには、あまあまをあげなくちゃだめだよ、にんげんさん!」 「そうだよ! れいむたちはあまあまをなかなかあげられないから、かわりににんげんさんがあまあまを さしだすべきだよねっ! すぐでいいよ!」 ……うーむ。 「ありす。よくこいつら今の今まで生きてきたな……」 「みっか」 「?」 ありすは重苦しい溜息を吐き出し言った。 「このかぞくがむれにはいったのは、みっかまえ。それまでは、おやまさんのほうにすんでいたんですって」 「あー……なる」 この街に住む野良ゆっくりと野生ゆっくりとで、決定的に違うのは人間に対する態度である。 度々人間に狩り立てられる野良は、人間がどれほど恐ろしい存在か、よく理解している。 餡子の本能に刻み込むレベルで、人間に逆らってはならないと学習しているのだ。 野生は違う。これまで「ゆっくりすること」を常に最優先事項に置いていた彼らは、野良ゆっくりが おっかなびっくりと生きていることなど、歯牙にも掛けずに人間の家へ侵入し、好き勝手に漁りまくる。 「ちなみに子ゆっくりたちに聞いておきたいんだが、この子まりさがもてもてってほんとうか?」 「ゆ……さいしょはとってもゆっくりしているとおもったんだけど……」 「ゆっくりできてないことばっかりするし……れいむ、あまりすきじゃないよ……」 「ゆゆ? なにいってるの? まりさはとってもゆっくりしてるってほめてくれたでしょ?」 なるほど。この子まりさ、転校生の如く最初にモテたことだけを記憶に残しているらしい。 その後、馬鹿だと見破られて態度が冷たくなったことは、全く記憶に残していないらしい。 何ともゆっくりらしいゆっくりである。 「ゆゆう……おちびちゃんはとってもゆっくりしてるよお」 「そうだね! まりさのよさがわからないなんて、ゆっくりしてないよね!」 この一家は善良かもしれない。 だが愚かだ。 そして屑だ。 あと、馬鹿で、アホで、間抜けで、しょうもない。 地獄への道は、善意で敷き詰められているのである。 さて、それでは待望の虐待開始である。 ゆっくりぎゃくたいされてね! 「おい、まりさ。れいむ。お前等ゆっくりしてるか?」 俺が子まりさの家族にそう声を掛けると、彼らは渋い表情で答えた。 「ゆ……ちっともゆっくりできないよ。まちさんはゆっくりできるっていってたのにね」 「すっごくゆっくりしたプレイスをみつけても、ありすたちにゆっくりできないってとめられちゃうんだよ。 ひどいよね!」 「ああ……」 ありすが再び溜息をつく。馬鹿な部下を持つと苦労するよな、分かるよー。 「じゃ、お前等をゆっくりさせてやろう。この子まりさを俺の家によこしてくれたお礼にな」 ゆっくりさせてくれる。 その一言に、親まりさと親れいむは目を輝かせた。 「ゆっくりできる!? ゆっくりできるの!? ゆわああい! やったね、れいむ!」 「やっぱりゆっくりしようとしているゆっくりには、ゆっくりできることがまっているんだね! ありすのいうことなんて、うそだったんだね!」 「ゆっくりしてないありすだから、しょうがないよ! まりさたち、ゆっくりしていてごめんね!」 ありすはもう、応じる気力もないようだ。 群れの連中も、しらけた目で彼らを見つめている。 「じゃ、後ろを向いてくれ。それから、目をつむれ」 「「ゆっくりりかいしたよ!」」 「まりさは!? ねえ、にんげんさん! まりさはゆっくりさせてくれないの!? やだあ! ゆっくりさせてよおおお!」 「後でさせるからな」 そう言って、子まりさ用の透明な箱に入れると親の正面に配置した。 「ゆんやあああ! おとうさああん! おかあさああん! ひとりでゆっくりさせないで、 まりさもいれてよおおおおおおおお! おいてけぼりはゆっくりできないよおおお!」 「だいじょうぶだよ! れいむたちがゆっくりできれば、まりさもゆっくりできるからね!」 「そうそう。おちびちゃんは、ゆっくりまっててね!」 俺はバックの中から、その道具を取り出した。 千枚通しと、それから携帯用のコンロだ。ベンチでコンロに火をつけて、千枚通しを火で炙る。 「ゆ……」 「お前等全員、ちゃんとここに居て見てろよー。いいなー?」 群れの連中に念押し。これで、誰も逃げだそうとはしないだろう。 さて、かなりの高温で火が通ったことを確認すると、俺は後ろから、れいむの目と口に軽く触れた。 「ゆゆ?」 「じっとしてろよ……」 さて、諸君。 「廃ゆ」「狂ゆ」を見たことがあるだろうか。 あまりの恐怖や痛みによって、正気を失ってしまったゆっくりたちの総称である。 これは、中枢餡が関係している。 中枢餡が傷つくと、彼らは想像を絶する痛みを覚えるが、それを完全に修復させないままだと、 中枢餡の一部が餡子に流出してしまうのだ。 人間で言うならば、頭の脳の一部がどこか別の部分に移動した感じだろうか。その小さな破片脳が働き出すと、 ゆっくりたちは例外なく発狂する。 これを人為的に行うのが、今回の虐待である。 目と口の中間地点……ここを背中から、六十度の角度で――――刺す! ずっぷり。 「ゆびょ!?」 じゅう、という饅頭の皮と中の餡が焦げる匂い。 中枢餡まで一気に到達した千枚通しの針は、熱で中枢餡を崩しつつ、ばらばらに散らばらせてしまう。 「ゆ……ぴょ!? ゆぴょぴょぴょよおおおおおおおおお!? ゆぴっ、ゆぴぴぴぴ!?」 よし成功! 「ゆゆ? れいむ……どうしたの? ゆっくりできたの?」 「ゆびょおおおおお!? ゆぷぷぱぱぱぱあぽぽぽぺぺぺぺぺ!」 「れいむ、いったいなにをいって――(ずっぷり)――よよよぼぼぼぼぼいびびびびぷぷっぺえぺぺぽおお!?」 続けて、まりさの中枢餡も損傷成功。 これで無事に親れいむと親まりさは「狂ゆ」になった。 見よ、このキモ可愛らしさを。 二人とも、おさげともみあげを上下に振り回し、口からは涎を垂らし、 目はぐるぐると狂ゆ独特の回転を見せている。 言語として解釈できそうにない鳴き声は非常に甲高く、上下にのびのび、横にゆらゆら、 まるでダンシングフラワーのようだ。 子まりさが呆然と親ゆっくりを見つめている。 「おとう……しゃん? おかあ……しゃん?」 「どうだ、面白いだろう。子まりさ? これで、こいつらはゆっくりプレイスに行けたんだぞ?」 「う……うそだよおおお! こんなの、ぜんっぜんゆっくりしてないよおおお! ゆっくりしてない! おとうしゃんとおかあしゃんがゆっくりしてないいいいい! ゆんやああああ! やだやだやだもとにもどしてよおおおおおおおおお!」 子まりさが、透明な箱の中で暴れまくる。 俺はそれを無視して、まず両親ゆっくりをベンチの下に隠す。 そして、段ボールから子まりさの妹たちを掴んで再びベンチへと戻ってきた。 「「「おそらをとんでるみた~い♪」」」 「ゆ! まりさのいもうと! それ、まりさのいもうとだよ! はなしてね! ゆっくりはなしてね!」 「じゃ、続けてこいつらにもゆっくりプレイスに行って貰うことにしよう」 「ゆ……ゆんやあああああああああああああ! だめ! だめ! だめだよおおおおお! ゆっくりプレイスにつれていかないでえええええ!」 子まりさの必死の抗議を余所に、妹の赤ゆっくりたちは全員がきゃっきゃと喜び合っている。 「ゆっくりプレイスにつれていってくれるってほんちょ? れいみゅ、いきちゃ~い!」 「まりちゃもいく~」 「れいみゅも! れいみゅもちゅれてってよおおお! ゆんやああああ!」 子まりさだけがひとり、じたばたと暴れ狂う。 それを見た赤ゆっくりたちが、ゆぷぷぷぷと笑って言った。 「まりしゃおねえしゃん、うりゃやましいんだにぇ!」 「たまにはれいみゅたちも、ゆっくちしたいにぇ! おねえしゃんはゆっくちぎゃまんしてにぇ!」 「ゆっくちしたいよ! ゆっくち! ゆっくちい!」 「よーし。じゃあ、目をつむってなー」 俺は千枚通しではなく、刺繍に使うような普通の針を手にした。それをペンチで挟んで、コンロで炙る。 「「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!」」」 「やべでええええええええええええええええ! ゆっくりぷれいしゅにつれていきゃないでええええ!」 中枢餡を――――――――「ゆぴ!?」 焼いた針で―――――――「ゆぴょ!?」 貫いて―――――――――「ゅくち!?」 はい、おしまいっと。 「ゆああああああ! まりさの! まりさのかぞくがああああ! みんなゆっくりできなくなったよおおお!」 子まりさが泣いてぴょんぴょんと暴れている。 「ゆぴょ~!?」 「ゆび、ゆびびび!」 「ゆぷぷぷぷぷ!」 「ゆっぴょ! ゆっぴょお!」 「ぷぽおおおお! もおおおお!」 両親と、妹のゆっくりできない大合唱。群れの連中も、さすがに顔をしかめていた。 「いやいや、ゆっくりしてるじゃないか。ほら、こんなに楽しそうなんだぜ?」 「どこがなのおおおお! ゆっくりしてないよおおお! こんなのいやだあああ! ゆんやああああ!」 残る作業はあと一つ。 俺は子まりさを箱から出すと、もるんもるんする彼のあにゃるをそっと指で叩いた。 「ゆゆ!? やめてね! あにゃるさんにいたずらしないでね!」 「とりあえず、うんうんを出せ。話はそれからだ」 「…………や、やだよお! こんなひとまえでうんうんははずかしいよお!」 「いつも全裸であにゃる丸出しの癖に今更何を言うかお前は。いいから、うんうんしろ」 指で何度も突っついていると、次第に腹部の餡子が蠕動を始めた。 古い餡子が、あにゃるに向かっているのだ。 「ゆ……やだ……はずかしいよお……やだ、やだ、やだあああああ! うんうんしちゃう! しちゃうよおおおおおお! しゅっきりいいいいい!」 刺激を受けたせいだろう、あにゃるから結構な量の餡子が飛び出してきた。 ありすたちが公開脱うんうんショーに、大変イヤそうな表情で少し距離を取った。 「しゅ……しゅっきりい……でも……うんうんだすとこみられちゃ……はずかしいよお……」 「大丈夫大丈夫。お前の家族が食べてくれるってさ」 「ゆ? たべる? にんげんさん、ばかなの? うんうんはたべられな――――――――」 子まりさが絶句した。 うんうんの匂いを嗅ぎつけた家族たちが、ゆぴょーーー! と奇声をあげながら、自分がひりだしたうんうん を貪り食っているのである。 「わ、わからないよ……」 「と、とかいはじゃないわ……」 「あのまりさたち……うんうんを……むーしゃむーしゃしてるよお……」 子まりさが羞恥で泣きながら叫んだ。 「やめでええええええええええええええ! まりさのうんうんさんむーしゃむーしゃしないでええええ! それはごはんさんじゃないよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 そう。狂ゆの面白いところは、コレだ。うんうんの悪臭など気にもせず、恐らく本能から、うんうんが食べら れるもの(実際食べられるのだ。古い餡子とはいえ、栄養価もそれなりにある。人間が食べる分には、もちろん 問題がない)と判断して、喜んで食べるのである。 子まりさが絶叫して、「ゆっくりしている」家族を止めようとする。 まあ、コイツはしばらく放置してと……。 「おい、ありす」 「な、ななななななんのごようですかにんげんさん!」 敬語になっていた。若干のーびのーび状態になっているのは、直立不動の証拠だろう。 「お前たちには別の頼みがある。あのまりさ一家を世話してやって欲しい」 「ゆ!? で、でも……」 「安心しろ。見ての通り、あいつらはもうごはんさんを必要としない。 うんうんだ、うんうんを渡せば勝手に生き延びてくれる」 「あ……」 「子まりさだけは、一人で生きていけるまで手伝ってやれ。適当にな」 「わ、わかったわ。みんな、りかいしたわね! これからさき、うんうんはみーんなあのまりさたちのごはんさ んになるわ!」 「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」 「ゆんやああああああああああ! やめでえええええええええ!」 ――三日後。 俺は公園に群れの様子を見に来ていた。お昼の長閑な時間帯ということもあってか、野良ゆっくりたちは思い 思いにゆっくりしているようだ。 「ゆゆ!? お、おにいさん。ゆっくりしていってね……」 「おう、あいつらはどうだ?」 ありすが案内すると、そこには――。 「おちびちゃん! ここでうんうんするんだよ! うんっ、うんっ……すっきりーっ!」 「わかったじぇ! うんうんしゅるよ…………しゅっきりーっ!」 れいむ親子が、揃ってうんうんをひりだしていた。 「やめでええええ! まりさのおうちのまえでうんうんしないでええええ!」 うんうんまみれの子まりさが、泣きながら飛び出してきた。 だが、子まりさを突き飛ばすように両親と赤ゆっくりたちが飛び出す。 そう、今や彼らは公衆便所だった。ゆっくりできないうんうんさんは(場合によってはしーしーさんも)、 全部ここにひり出せば、彼らが処理してくれるのだ。 「ゆぴょぽよぴょぴょおおおおお!」 「ゆぴぴっ! ゆびっ!」 「ああああああみょおおお! あみょおおお!」 「ゆぼおお! ゆぶ! ゆぶぶうう!」 「ゆぴゃああああ! ゆぴゃ!」 五体のゆっくりたちは争うようにうんうんを舐め取り、頬張る。 その様は、あまりに醜く……ゆっくりと幸せそうだった。 「さ。おちびちゃん、うんうんゆっくりになりたくないなら、いいこにゆっくりするんだよ?」 「ゆっくりりかいしたよ!」 おまけに、教育にも効果覿面。 どんな我が侭な子ゆっくりでも「うんうんゆっくりにされちゃうよ!」と言えば、一発で大人しくなるらしい。 「ゆんやああああ! もうやだ! やだよおおお! ゆっくりしたい! ゆっくりしたいよおおお!」 「お、そうか。なら、お前もやるか?」 そう言って針をちらつかせた途端、子まりさはまた一層激しく泣き出した。 「やだああああ! それもやだああああ! ゆっくりできないいいいいい!」 「そっかー。じゃあ、ゆっくりせずに頑張ってな! お前もうんうんを家族のために出してやれよ!」 そう言いつつ、俺はうんうんまみれの子まりさを使い捨ての手袋で握り、あにゃるを家族に突き出してやった。 ぷりぷりもるんもるん防ぎのために、やや真ん中から下を押さえ込んでいる。 「ゆびょ!」 親まりさのうんうんだらけの舌が、子まりさのあにゃるをぺろぺろと舐める。 本来は、うんうんを上手く出せない赤ゆっくりたちに親がやる優しく美しい光景のはずなのだが――。 「やべでええええ! まりしゃのあにゃるぺろぺろしないでええええええええ!」 いやあ、醜い。子まりさは羞恥と不快さで心底絶望した表情で、涙を流している。 痛みはないが、生半可な痛みより精神的に「来る」虐待だ。 親まりさと親れいむは、あにゃるだけでなく、あらゆる部分についたうんうんをぺーろぺーろと舐めている。 頬、腹、あんよ、そして――口のそば。 「やべ……うええええええ! うえええええええええええ!」 げーげーと、餡子を吐き出す。ゲロ餡子にも、赤ゆっくりたちが殺到する。 まだ薄い足の皮が破れてしまうことすら、気にも留めていないらしい。 ゆっぴょおと奇声をあげながら、ゲロを食べる。 「やだああ……やだよおお……まりさのかぞく……おとうさん、おかあさん、いもうちょ……かえしてよおおお」 子まりさの訴えは、誰にも届かない。 ありすたちの群れはうんうんに悩むことがなくなり、 野生ゆっくりであったまりさ一家に悩むこともなくなった。 俺は俺で、子まりさの心をヘシ折ったことでゆっくりしている。 「頑張れよ、ゆっくりできる仲良し家族全員でな」 「ゆ……ゆ……ゆ……ゆんやああああああああああああああああああああああああ!」 俺は最後にそう囁いて、子まりさにトドメを刺した。 <あとがき> 多分、ロボトミー的な処置。 感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1304613952/ 過去の作品 anko3216 愛するでいぶ anko3238 ゆ虐思考 anko3257 赤ゆ十連発(前編) anko3263 赤ゆ十連発(後編) anko3271 手を触れずに殺害せよ anko3274 子ゆっくりのゆん生が終わるまで anko3300 何もしない 赤ゆ編 anko3312 れうこくろりぐる anko3342 テンプレ的自滅シークエンス anko3358 くらくなるまでまってね! anko3368 ぷりぷりもるんもるん 挿絵:
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『ちらんし寿司』 10KB 調理 11作目 式神あき すっかり暑くなってきましたね。 ガキの時分はこんな日にでも脂でぎっとぎとのあっついラーメンや豚カツだってもりもり食べられたもんですが、この年になるとさすがに胃袋が受けつけやしませんな。 暑い日にこそ熱いものを、と言ってカレーなどを薦められることもありますが、やはりそうそう食指が動くもんでもありません。 だからと言ってそうめんや冷麦ばかりで過ごしていては野菜不足で夏バテは乗りられません。 ここは一つ、さっぱりした寿司などでがつんと栄養をつけたいところですな。 そういうわけで、今日はちらんし寿司の作りたいと思います。 まず材料が無くっちゃ話になりません。 調達へ出かける前に下準備をしておきましょう。ちらんし寿司作りは一日仕事になるのです。暇人の道楽ですな。もうこの時点で夏バテ解消メニューとしては最低でしょう。 干し椎茸を水に浸けて戻し、短冊切りにしたにんじんやかんぴょうなどと一緒にだし汁で煮しめましょう。 材料に煮汁がしっかり含まれたら粗熱を取り、鍋からタッパーなんかに移して冷蔵庫に入れておきましょう。 煮物は冷えてからの方が味が染みて深みが出るんですな。 下準備が終わったら、メイン材料であるゆっくりらんの調達と参りましょうか。 とは言ってもゆっくりらんなんぞ、スーパーの食料品売り場の食用ゆっくりコーナーに置いているわけがありませんな。 仮にも一応希少種なんでね。 当然、ペットショップなんぞ話になりませんな。十万も二十万もする可愛い可愛いペット用ゆっくりを誰が食べられましょうや? かと言って手近な野良ゆに手を出しちゃいけません。 夏バテを解消する前に食中毒で死にますぜ。 野良のゆっくりらんは頭がいいんで、人間様ァにエラい迷惑をかけますな。なんでボランティアと趣味を兼ねて捕獲したのが一匹います。こいつをちょいとバラして説明致しましょう。 包丁を使うのも汚いですな。ゴム手して、もう素手で頭ァから割いて真っ二つにちぎってしまいやしょう。 よっ、と。 ホラ、見えますでしょう。これが野良らんの中身ですわ。 酢飯の一粒一粒がやや黒味がかっておりますのが見えますでしょう? これはね、カビや車の廃棄ガス、泥水なんかを分解しきれずに蓄積された汚れですな。 都会の野良ゆは汚いと言われるゆえんですわ。 もっとも、この汚い物質を撒き散らしているのは我々人間様ァですがね。人間様ァに捨てられて、命縮められるような毒物に冒されて、捕まったら殺されて……考えてみればこいつもかわいそうなもんです。 出かける前に手の一つでも合わせておきましょう。死体はゴミ袋行きですけどな。 さて、スーパーもダメ、ペットショップもダメ、野良もダメとなったらもう一つしかありませんやな。 野生ですな。 野生のらんを捕まえるのには、餌が必要です。 こいつはペットショップで買っておきましょう。 わかるよー。 はい、ゆっくりちぇんですな。一匹千円の銅バッジ。生後一ヶ月です。 これくらいの適当なお値段ですと、じっくりいたぶってちょっとした高級なお菓子のつもりで味わうのも悪かないですが、今日の目的はちらんし寿司一択なんで、クーラーボックスにでも閉じ込めて狩場に行くとしましょう。 狩場は近所の山ですな。 ある程度入ると車から降りて、山ん中入っていきましょ。 迷子にならんようにね。 それから、クーラーボックスの中に入れていたちぇんを出して、目ン玉にでも指ィ突っ込んでやりましょ。 らんしゃまああああああ。 ええ、まあこうやって勝手に呼び出してくれるわけですな。 歯ァの一本一本でも抜きながら、山中に響くような大声で言いましょう。恥ずかがってはいけやせん。それではいつまでたっても捕まえられやしませんからね。 らんしゃまー、出てこないとこのちぇん殺すー。 なんてことを言えば、しばらくしたらまぁ一匹はゆっくりらんが出てきますでしょう。 ちぇええええええん。 おぉ、来た来た。 あぁ。 残念ながら成体ですな。 ああ、はい。成体はね。やっぱり味が今一つ落ちますな。 米が硬いんですわ。 そのくせ無駄に量が多いんでね。食べきれやしません。せっかく殺すことになる命、全部食べてやらんと失礼ってものでしょうや。 仕方ないんで、やってきたらんにも一つ言いましょう。 ちぇんを助けたくばー。お前のおちびちゃんをよこせー。 ってな感じですな。 もちろんらんは嫌がりますわな。けどちぇんの銅バッジがここで生きますな。 いい感じにゲスでございますから、いたぶってやったらゆっくりらんに助けろ助けろと初対面だというのに厚かましくも頼みこんでくれるわけですわ。 まぁこれで大抵のらんは落ちて、渋々子ゆっくりのらん種をくれますわ。 意気揚々と帰りたいところですが、その前に捕獲しなかった成体らんにラムネでも飲ませておきましょう。 ちぇんを利用して釣った手口がバレて、他のらんに広まると厄介ですからな。 この山は私だけの狩場じゃありませんからね。みんなが楽しく狩れる山であってほしいもんです。人間さんもマナーを忘れてしまったらゆっくりと変わりませんな。 手に入れた子らんはクーラーボックスの中に入れて逃げ出さないようにしましょう。 用済みになったちぇん種は潰してよろしいです。目の前で残虐に潰してやると、子らんの旨味も増すんでおすすめですがあんまり派手にやりすぎると、ショックのあまり酢飯ィ吐くんで、何事も加減ですわな。 なんで子らんを手に入れたのかといいますと、やっぱり季節ものですからね。 ちらんし寿司にするのに一番美味いこのくらいの子らんは、今年の春先に生まれて育ったやつなんですな。 若々しく、瑞々しく、米粒一つ一つに色艶があって実に美味い。 また、ほどほどの大きさなんでほどほどの量なのが嬉しいですな。 余った分は冷凍庫で保管できます。子らんはもし余ったとしても、冷凍庫に収まるくらいの量なのが何より助かるんですな。 さて、まず家に帰ったら、らんの尻尾を一つもいでしまいやしょう。 よーく水洗いして、毛を抜き取ったらそのまんま食べてみましょう。 はい、これがその個体の基本の稲荷寿司としての味ですわ。 これを基準に、あまり内部の米に傷がつかない程度に、好きなように虐待してください。 九回試食する間に、理想の味になったと考えたら虐待をやめて、バラし作業に入りましょう。 まず、おぼうしを取りましょう。 それから口を開かせて、下唇に包丁の切っ先をあてがいます。 らんは暴れるでしょうが、ラムネで眠らせるのは控えたいところでございます。せっかくの天然ものの味の質が落ちます。できるだけ自然に、新鮮な痛みを与えながら皮を切るのがコツですわ。 けれど初体験の一発で誰でも綺麗に剥けるもんでもございやせんから、不安に思うのならラムネの使用もよいでしょう。 さて、次に唇を切って、下までまっすぐ包丁を下ろし、まむまむ、あにゃる、あんよ、背中、頭と一周まるっとしてしまいやしょう。 切れたら今度は、皮が破けないよう慎重に両側から引っ張って中身の酢飯だけの状態にしてやってください。 できたら眼ン玉は取らないほうがいいでしょう。自分の皮が剥がされる様子をその目で見て、剥がれた皮をその眼で見た時に増す味の深みは、他に例を見やしません。 皮剥ぎが終わりましたら、酢飯の塊になったらんを桶に移します。無ければ大きめのボウルで。 ここで目ン玉は取ってしまいましょう。 それからさっくりとしゃもじを入れて、軽く切るように混ぜ合わせます。 もちろん、団扇でぱたぱた扇いで冷ましながらね。炊きたて飯よりずっと温度は低いとはいえ、なんだかんだでこれなきゃ酢飯を作っている気分にはなりません。 この時、できるだけ中枢餡を傷つけないよう気をつけてくださいませ。 らんが身じろぎ一つできないくらいばらされたら、タッパーに詰めていた具を酢飯の中に入れ、しっかり混ぜます。 途中で邪魔に感じたら中枢餡をどけて、トドメを刺すと良いでしょう。あんまり長く中枢餡を入れておくと、死臭が出てしまいますんで。 これであとは器に盛って錦糸卵と刻み海苔を乗せればちらんし寿司の完成です! けどせっかくらんの皮があるんですから、稲荷寿司も一緒に作りましょうか。 とは言っても本来稲荷寿司の油揚げは袋状になってますな。らんの剥ぎ取った皮でそのまま稲荷寿司を作るとなれば、ちらんし寿司の飯を全部放り込み直さなきゃいけません。 ここは一つ、稲荷寿司という名前の油揚げの巻き寿司としましょうか。 剥ぎ取った皮を綺麗に帯状に切りまして、飯を乗せてくるくると巻くわけですな。 余った皮は冷凍保存にでもして、うどんにでも乗っけると良いでしょう。 今回は関西風の混ぜ込み式ちらんし寿司を紹介しましたが、新鮮な海の幸を手に入れやすい場所では関東風の具材乗っけ式のちらんし寿司も良いでしょう。 具材を混ぜない分、より本来のゆっくりらんの酢飯の味が楽しめます。まぁごまかしが効かない分、乗っける具材もお高めになりますしらんを痛めつける度合いもダイレクトに味に出ますんで、これはこれで難しいのが困りもんですな。 それじゃ、いただきます。 anko2009 anko2010 足りないらんと足りすぎるちぇん(前後) anko2227 anko2228 保母らん(前後) anko2295 ブリーダーお兄さんの一日 anko2356 anko2357 浮気(前後) anko2402 飛び魚のアーチをくぐって anko2422 anko2423 ねこっかぶりと太陽に向く花(前後) anko2645 野良ゆ生活はゆっくりできるね!!! anko2646 anko2647 らんしゃまとちぇんの楽園(繁栄編)(衰退編) anko3284 今日からちぇんを飼う貴方へ anko3385 anko3386 ちぇんはがんばった(飼いゆ編)(野良ゆ編) 名前はやっぱり式神あきで。拉致あきも迷ったけど。 あと、音だけ思いついて勢いでやった今回は短いので、スレ投下したのをオマケに。 ちなみにこういう使いにくい俺設定は自動的に淘汰されてゆくさだめにある。 一般に猫は暑さに強く寒さに弱いといわれるが、猫っぽいゆっくりであるところのちぇんは逆である なぜってちぇんの中身を思い出してほしい。そう、チョコレートだ チョコレートの軟化点は28°。融点は36°あたりといわれ、真夏になれば簡単に越えてしまう気温である ちぇん種の耐熱性を調べたレポートをかいつまんで紹介しよう 気温28°の環境に一時間置かれた場合、ちぇん種は命の危険を覚えてらん種を呼ぶが、身体が多少軟らかくなる程度で済む 30°を越えなければ外傷を負って軟化したチョコレートが漏れない限り、死ぬことはない……と言いたいところだがストレスで一日置けばやっぱり死ぬ 35°を越えた環境に置けば、大体30分前後で眼窩からチョコレートの涙を出す 一時間経過で眼球が流れ出る。この頃には口腔内にも体内から逆流してきたチョコレートでいっぱいになり、なんどもチョコ吐を繰り返す 一時間半経過でらんの助けを呼ぶために声帯を震わせることもできないほどにチョコが体外へと流れ出る この頃には自らの流したチョコレートで皮がふやけており、もはや身動き一つ取れなくなる 二時間経過。思考に最低限必要なチョコもなくなり、意識は混濁。わずかな痙攣を時折繰り返すのみとなる 二時間十五分で生体反応停止。蘇生が間に合うとしても一時間半まで。それ以上を越えると治療は不可能と判断して良い あなたは都会の野良ちぇんを夏場に見かけたことがあるだろうか? まずないだろう。ちぇん種にとって越夏は普通のゆっくりにとっての越冬並み、あるいはそれ以上に難しい わずかなビルの合間合間の涼しい場所を求め、ちぇん種同士が殺し合い熾烈なおうち争奪戦が繰り返される 都会でなくとも悲惨なもので、融点ギリギリの環境でじっと気温が下がるまで耐えているちぇんに ちょっと興味を持った子供などが抱き上げただけで脆くなった皮が破け、子供に消えないトラウマとチョコレートで染めた手を残し臨終するだろう 木陰の多い山間部の野生などでは比較的生き残りやすいが、それでも夏場の活動時間は気温の低い夜間に限られ捕食種に喰われることも多い 飼いゆにしても留守中エアコンのリモコンを知らずに落として電源を切ってしまい サウナ状態となった部屋をマーブル状に汚すまで這いつくばって助けを請い、飼い主に消えないトラウマとry いずれにせよ真夏はちぇんにとって隣り合わせの灰と青春である
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『理由.TXT』 1KB 小ネタ 誤解 日常模様 飼いゆ 希少種 現代 愛護人間 TXTあき 『理由』 TXTあき 「おい、どうして うどんげを捨てたんだ?俺の家の前で泣いていたぞ」 俺がそう友人に尋ねると、友人は濁った目で一度俺を見てからうつむき、ぽつりぽつりと話し出した。 「あいつはさ……。いつもゲラゲラ笑っていてさ……。仕事で失敗して落ち込んだり、嫌なことがあってもあいつの笑う姿を見ていたらさ……。なんか悩むのが馬鹿らしくなってきて、ずいぶん気分が楽になると言うか、精神的に助けられるというか……。とにかく、俺はあいつの笑う姿に助けられてきたんだ」 うつむきながら話す友人の表情は良く見えないが、その顔から涙のようなものが一滴、二滴と地面に落ちたのが見えた。 俺は困惑しながら 「いいゆっくりじゃないか。それなのにどうして捨てたんだ。かわいそうに、行くところがなくて俺の家の前でゲラゲラ泣いていたんだぞ。若干分かりづらかったけど」 とさらに問いかけると、友人は 「確かについカッとなって追い出してしまったことは悪かったと思ってる。だけど、これからもアイツと一緒に暮らしていけるかどうが自信ないよ……俺……。」 と力なく答えた。 「なにがそんなに気に入らないんだ?どうしてそんなことを言うんだ?」 俺は友人がうどんげを捨てた理由が更に分からなくなり、友人を問い詰める。 友人はうつむいたまま、話し続ける。こころなしか話すスピードが上がってきたように感じた。 「あいつは、いつも笑っていたよ。同じうどんげ種を飼っている人からも『こんなに笑ううどんげは珍しいですね。きっと飼い主さんと一緒いるのが楽しくて堪らないのでしょうね。うらやましいなぁ』ってよく言われたよ。俺はちょっといい気分だったよ。俺はゆっくりに好かれるいい飼い主だってね。」 友人はゆっくりと顔を上げながら、なお話し続ける。 「……三日前に胴が生えた。」 「ああ。お前自慢しに来たもんな。うどんげ連れて」 友人は、涙を浮かべた目で俺を真っ直ぐに見つめながら言った。 「そして今日までの三日間で気付いてしまったんだよ。」 「何に?」 「あいつ……笑うときは、いつも俺の顔を指差して笑ってやがる!」 おしまい 挿絵:
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『ゆっくりに餌を』 6KB 小ネタ お願いします。 anko2611 ゲスゆっくり奮闘記1 anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2 anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3 anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4 anko3456 れいむのゆん生 anko3458 まけいぬとゆっくり anko3461 ゆっくりに生まれて anko3484 ゆっくりブリーダー anko3489 休日とゆっくり anko3652 ドスについて 「」ゆっくりの台詞 『』人間の台詞でお願いします 誤字脱字失礼します 公園の隅にある段ボール。 その中に住むのはゆっくりれいむ。 他のゆっくりが狩に奔走するなか、そのれいむはゆったりと惰眠を貪っていた。 そしてその惰眠を打ち破るように、段ボールの外かられいむに声をかけられた。 『れいむ、いる?』 「ゆゆ!? このこえは!」 聞こえてきた幼い女性の声、その声に反応してれいむは精一杯の速度と、出来る限りの笑顔を浮かべて外に出る。 そして、期待通りそこにいたまだ10歳程度の、半そでハーフパンツの活動的な服装の女の子を見つけて、更に笑顔を向け口を開く。 「おねーさん! きょうもきてくれたんだね!」 開いた口の端からは涎が零れていた。 その姿をクスクス笑いながら、少女は片手に持ったビニール袋から小分けにされたゆっくりフードを取り出してみせる。 『ほら、れいむ今日も持ってきたよ』 「ゆゆ! きょうもごはんさんありがとう!!」 れいむは、毎日の様にゆっくりフードを持ってきてくれる少女に、本当に感謝していた。 野良として育って、独り立ちして直ぐにこの少女と出会い、それから毎日ゆっくりフードを貰って生きていた。 既に野良としては生きていけないレベルになっていたけれど、少女もれいむも気にしない。 ずっとこの関係が続くと思っていたから。 『はい、じゃあどうぞ』 「ゆわーいおねーさんありがとー!」 少女は袋を開けて、れいむの前に置く。 れいむはそれに笑顔でかぶりつこうと口を開けて……。 『こらっ! ゆっくりに餌をあげちゃ駄目じゃない!!』 「ゆゆ!?」 『え?』 突然、少女に大きな声がかけられた。 その声の大きさに、れいむも咄嗟に食べようとしていたのをとめて声の方向を見る。 少女はバツの悪そうな顔して立ち上がり、声の主から目線をそらす。 『もう、公園にゆっくりが住み着いて大変なんだから、餌をあげたら困るのよ……』 声の主、30代後半程度の髪を茶色に染めた、おばさんもといお姉さんは、箒とチリトリを片手にゆっくり近付いてきた。 その顔は怒っているというより困っている、といった感じであった。 『……え、えーっと、このゆっくりは、貴女のじゃないのよね?』 『は、はい、野良の、です』 『そ、そう……』 お姉さんは、声をかけてはしまったがどうしたもんかと言った様子で。 少女は、怒られているといった感じでビクビクと俯いていた。 そんな二人をれいむは交互に見ながら、何かひっかかる物を感じていた。 『えっと、一応ね、あ、怒ってるんじゃないからね? おばさん全然怒ってないから、ね?』 『ぇ、はい……えっと』 少女があまりにも暗い雰囲気を出しているのをどうにかしようとしたのか、お姉さん(自称おばさん)は明るい声を出す。 そこで、やっと少女は僅かに顔をあげて、お姉さんに視線を合わせる。 手は、持ったビニール袋をぎゅっと握り締めている。 『えーっとね、その、公園にゆっくりが増えると、その困るの、あ、別に貴女が悪いとかじゃなくて、その意識の問題の話だからね?』 『はい……』 『貴女がゆっくりにも優しい女の子だってのは解るわ、おばさんそーゆー心大事だと思うし』 『そんな、別に……』 うんうん頷くお姉さんに、少女は微かに頬を赤らめる。 相変わらずれいむは何やら考え込むように呆けていた。 そして何かを気付いたかのように、目を見開いた。 『でも、ね、ゆっくりに餌をあげて公園に住み着かれると、その困っちゃうの、あ、私隣のマンションに住んでるんだけど、 持ち回りで公園の整備やってるの』 「えさじゃないのよ! ごはんさんだよ!」 『そうなんですか、あ、それなのに、ゆっくりに餌あげて、そのごめんなさい……』 「お、おねーさん!? なにいってるの!? ごはんさんでしょ!?」 『あ、あ、あー! 良いの、良いの、いや良くはないけど、その貴女だってわざとゆっくりに餌をあげてた訳じゃないんでしょ?』 「きいてるの!? れいむがたべるのはごはんさんだよ! えさじゃないよ!!」 『はい、その、ゆっくりって飼ったことなくて、友達に、あ、おばさんと一緒のマンションに住んでる友達が、公園のゆっくりいるって言ってて』 二人は不器用に、お姉さんは明るく身振りを加えて、少女は視線を申し訳なさそうに外しながらポツポツと話す。 『あ、そーなの、それでかぁ……』 お姉さんは納得したように頷き、片手の箒でれいむを示す。 『この手の野良ゆっくりに餌をあげると、その、ここでいつでもご飯貰えるって思って公園に住み着いちゃうの、そうなると色々困ったことになっちゃうのよ』 「ゆっがぁぁぁぁああぁぁああ!!! きげぇぇぇぇぇえええ゛!! えさじゃないっていってるでしょぉぉおおぉおおお!!!」 『ご、ごめんなさいっ』 『あ、ち、違う違う! 責めてない、ぜぇんぜん責めてない! おばさんの愚痴よ、愚痴! 気にしないで!』 お姉さんは素直に謝る少女を可愛く思えてしまい、申し訳なさそうに震える肩にそっと手を当てて目線を合わせる。 『っ!』 『誰でも間違いはあるし、それに貴女がしたのは可哀相なゆっくりに餌をあげて助けようとした尊いことなの』 「ご! は! ん! えさっていうなぁぁあぁぁぁぁあ!!」 『本当ならゆっくりでも優しくしてあげなくちゃいけないのかも知れないけど、ゆっくりは花壇荒らしたり赤ちゃんに怪我させたりすることがあるから 出来たら公園にいて欲しくないの、だから、そのゆっくりに餌を上げるの、これっきりにしてくれない? おばさんのお願い♪』 「ゆぎぎぎぎぎぎぎ!!!! えさじゃない えさじゃない えさじゃない!!!」 お姉さんの優しい声と、ウインクつきのお願いに少女は小さく頷く。 流れ出した涙にお姉さんは一瞬驚き、直ぐにそっと指で拭ってあげる。 『時間とらせちゃってごめんね、良かったら家にあがっていって? 家にも貴女くらいの子いるから、良かったら ゆっくりに餌をあげる楽しみとっちゃったんだから、お詫びさせて』 「なんどいったらわかるのぉぉぉぉぉおおお!!!? ごはんさんでしょぉぉぉぉおおおお!!!!」 優しい言葉に少女がまた無言で頷き、二人揃って歩き去った。 残されたのは、叫び疲れたれいむと、空けられたゆっくりフード。 「ゆふぅ! ゆふぅぅ!! ゆっくりできなにんげんさんだったよ! なんでごはんさんを えさなんてよぶの!」 揉み上げをわさわささせながら、れいむは二人の背中を睨み付け。 「ゆー、なんだかおなかがへったよ! ごはんさ 『あ、ゆっくりの餌回収しなくちゃ、ちょっと待ってて?』 ゆ?」 お姉さんは思い出したように振り返り、今まさにれいむが食べようとした〔えさ〕を箒とチリトリで片付ける。 『これで良し、餌あるとゆっくり勝手に増えるからねー』 「ゆ、ゆゆ?」 お姉さんはれいむを無視して、少女のところに早足で戻る。 「れいむの、ごはん、さんは?」 呆然としていたれいむは、咄嗟に少女の方に視線を向ける。 くしくも少女も、れいむの方を向いた。 「おねーさん! ごは 『ごめんねれいむー! もう餌持ってこれないけど、ごめんねー!』 んさ、ん……」 れいむは呆然とした表情で、今度こそ視界から消えた二人の方をずっと見つめていた。
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『ある群れの越冬方法』 10KB 観察 越冬 捕食種 希少種 自然界 独自設定 少し変わった越冬の話です ゆっくりの群れ、と一言でいってもその形態は様々である。 ただゆっくりが集まっただけの群れ、長がいる群れ、ドスが治める群れ、 厳しい掟で縛られた群れ、選民思想を持つ群れ、人間と共存関係にある群れなどなど。 これはそんな数多くある群れの一つ、山の中にある少し変わった群れのお話。 ある群れの越冬方法 季節は秋の中頃。 落葉樹は葉を散らし、本格的な冬の到来が間近となっていた。 この時期になると野生のゆっくりは大量の食料を巣の中に集め、冬篭りに備えるのが普通である。 だが、山の中のとある群れのゆっくりたちは、そんなのとは無縁であるかのように、思い思いにゆっくりしていた。 そんな群れの中を、一風変わったゆっくりが跳ねている。 「あたい!」 青い髪に、背中に特徴的な羽を持つゆっくり…『ちるの』と呼ばれる種類だ。 ちるのは野生ではめったに見ることはない珍しい種類…俗に言う『希少種』のゆっくりである。 体は普通のゆっくりよりも小さく、成体になっても普通の子ゆっくりと同程度の大きさにしかならない。 しかもめーりんの頑丈な皮膚やもこうのぼるけいのなどといった特殊な能力を持たず、見た目相応非常に弱い。 そのため、ちるのは外敵がいない穏やかな環境でしか生きられないといわれている。 「ゆ!こんなところにばかのちるのがいるのぜ!」 「ほんとだよ!なんでばかなちるのがここにいるの!?」 「あたい?」 そんなちるのに目をつける数匹のゆっくりがいた。 親と思われる成体れいむと成体まりさ、そして子ゆっくりであるれいむとまりさが三匹ずつの、合計八匹の家族だ。 この一家は最近群れに入ったばかりの新参者である。 おそらく子供の数が多いのを出しにして、群れの恩恵に預かろうとしているのだろう。 「おちょーしゃん!あいちゅいじめちぇいいのじぇ?」 「もちろんだよおちびちゃん!ちるのでいっぱいあそんでね!」 「ゆゆーん!やったのじぇ!ばかにゃちるのはまりしゃのたいあちゃりでぼきょぼきょにしちぇやりゅのじぇ!」 「まりしゃもやりゅんだじぇ!」 「れいみゅもれいみゅもー!」 「??」 子ゆっくりがちるのに体当たりをしようとしたその時。 「むきゅ!あなたたちなにしようとしてるの?」 群れの長であるぱちゅりーが止めに入った。 「ゆゆ!おさ、いいところにきたのぜ!おさもいっしょにちるのをいじめるのぜ!」 「ちるのをいじめるのはゆっくりできるよ!おさもやろうよ!」 長ぱちゅりーも誘ってちるのを虐めようと言い出す一家。 しかしぱちゅりーは渋い表情をすると、一家を咎めるように怒鳴りつける。 「ちるのをいじめるですって?そんなことできるわけないでしょう!」 「「「「「「「「ゆゆ?」」」」」」」」 長の言葉に呆然とする一家。 騒ぎを聞きつけた周りのゆっくりたちも集まってくる。 「ゆゆ?どうしたの?」 「このいっかがちるのをいじめよう、っていいだしたのよ」 「ゆー!?いきなりなにをいいだすの!?」 「ちるのはれいむたちのともだちだよ!いじめるなんてゆっくりできないよ!」 「ぷくー!」 「ちるの、だいじょうぶ?なにかいたいことされた?」 「? あたい!へいき!」 周りのゆっくりたち全てが、一家を非難し、ちるのを庇った。 そんな群れのゆっくりたちを、一家は呆れたような目で見ている。 「ゆ…なにいってるのぜこいつら?」 「ちるのといっしょにいるからばかがうつっちゃったんだね…」 「「「「「「おおあわりぇあわりぇ」」」」」」 ちるのは弱いうえに深く考えることがないためゆっくりの中でも特にバカだというのが、ゆっくりの間では常識になっている。 そのため普通のゆっくりがちるのと出会ったら、ゆっくり出来ないとして虐めるケースがほとんどだ。 そういうゆっくり全体の視点で言えば、一家の方が普通でこの群れのゆっくりの方が異常、と言えるだろう。 「むきゅ、あなたたちはしんいりだからしらないでしょうけど… ちるのをいじめるとゆっくりできなくなるからやめたほうがいいわよ」 『……ぷ』 長ぱちゅりーの忠告を聞いて、一家は馬鹿にしたような笑い声を上げる。 「「「「「「「「げらげらげらげらげらげらげら!」」」」」」」 「どうしていじめちゃいけないのぜ?ばかをいじめるとゆっくりできるのぜ!」 「こいつらみんなばかだね!ばかなゆっくりはしんだらいいよ!」 「「「しんじゃほうがいいのじぇ!ゆぴゅぴゅ!」」」 「「「ばーきゃばーきゃ♪」」」 ひとしきり群れのゆっくりたちを馬鹿にした後、一家は帰っていった。 一家が見えなくなった頃、幹部のありすが長ぱちゅりーに話しかける。 「おさ、あのいっかをことしの『ふゆごもり』にさんかさせないほうがいいとおもうわ」 「むきゅ…そうね、ぱちぇもそうおもっていたところよ…… みんなそういうことよ!あのいっかに『ふゆごもり』のことをいってはだめよ」 『ゆっくりりかいしたよ!』 ぱちゅりーの言葉に群れのゆっくりは一同に返事をした。 そして…冬が訪れた。 例の一家は食料を十分溜め込んだと判断し、早々に結界を張って冬篭りを始めた。 「ゆふふ!みるのぜ!しょうりょうがこんなにあつまったのぜ! 「すごいよまりさ!これだけあればえっとうもらくしょうだね!」 「「「「「「おちょーしゃんしゅごーい!」」」」」」 「ゆふ、それほどでもないのぜ!」 家族に褒められて、得意げな顔をする親まりさ。 確かに巣の中には食料が山のように溜まっている。 「ゆふふ、じつはあのばかたちのおうちのなかをのぞいてみたんだけど…あいつらぜんぜんしょくりょうためてなかったのぜ」 「ゆゆ!そうなの!えっとうまえなのにしょくりょうをためないなんてどうしようもないばかだね!」 「そうなのぜ、だからあいつらえっとうできずにしんじゃうのぜ。ざまーみろなのぜ!ゆひゃひゃひゃ!」 本当は覗くだけではなく食料をちょろまかそうとしていたのだが、群れのゆっくりたちの貯蓄は不自然に少なかったため、たいして量を奪い取ることが出来なかった。 だがそんなことを一家は疑問に思わず、ただ群れがバカだからという答えで納得していた。 巣穴の中には群れのゆっくりたちを馬鹿にする笑い声が響き渡っていた。 一方―― 群れのゆっくりたちは全員、群れの中心にある広場へ集まっている。 寒々とした風が饅頭皮を撫で、震えるゆっくりが多い。 それでもゆっくりたちは何かを待つかのように、その場に留まっていた。 「…むきゅ、そろそろね」 長ぱちゅりーがそうつぶやくと、不意に近くの地面が盛り上がる。 地面の下から出てきたのは、一匹の巨大なゆっくりだった。 「くろまくー!」 ゆっくりれてぃ。 ドスと同じくらいに体が大きく、冬にしか活動しないという特徴を持つゆっくりだ。 雪の中の草花や虫、越冬中のゆっくりなどを食べる捕食種であることも知られている。 『ゆっくりしていってね!!!』 「むきゅ!れてぃ、ことしもよろしくおねがいするわ』 「くろまくー」 群れのゆっくりたちが一斉にれてぃに挨拶すると、れてぃは独特な長い舌を使って次々と群れのゆっくりを飲み込み始めた。 だがゆっくりたちは抵抗する素振りも見せず、ただ黙って為すがままにされている。 いや、飲み込んでいるのではない。 よく見ると、れてぃがゆっくりを口の中に入れる度に、両側の垂れた頬が少しずつ膨らんでいく。 「あたい…」 「むきゅ、そんなさびしそうなかおをすることはないわちるの。はるになったらまたあえるんだから」 「…またあえる?」 「ええもちろんよ。それじゃまたね、ちるの」 れてぃが最後に長ぱちゅりーを口に入れると、ちるの以外の集まったゆっくりは全員、れてぃの体内へと収まった。 最初はだぶだぶに弛んでいたれてぃの頬は、今は風船のように大きく膨らんでいる。 れてぃの頬はハムスターの頬袋のようになっており、普通は食べ物を溜め込む時などに利用される。 今回、れてぃは群れのゆっくりを頬袋に入れたのだ。 なぜそんなことをしたのか? 実はれてぃの体の中は冷たく、甘い不凍液で満たされている。 そのためゆっくりがれてぃの体内に入ると、少しずつ体温が低下していき、完全な冬眠状態に移行することが出来るのだ。 完全な冬眠状態に入ったゆっくりは、冷凍保存された饅頭と同じような状態になり、エネルギーの消費が極力抑えられる。 れてぃ自身が吐き出したり死んだりしない限り、ゆっくりは常にこの状態が保たれる。 れてぃの頬袋は、ゆっくりが冬眠するのに最適な環境となっているのだ。 しかし、地面に掘った穴に篭るといった一般的なゆっくりの越冬方法だと、昼と夜の気温差が激しいせいで完全な冬眠状態に移行するのが難しく、 余計なエネルギーを消費してしまう。 冬篭りの際に大量の食料を必要とするのも、それら無駄に消費したエネルギーをまかなうためだ。 また、急激な温度低下で餡子組織が破壊されて凍死してしまったり、捕食種や野生生物に襲われて食べられてしまったりといった危険もあり、 この方法で無事越冬できる個体は全体の四割にも満たないと言われている。 その点、れてぃの体内での越冬なら外敵に襲われる心配もなく凍死する可能性もない。 れてぃ自身にトラブルが起きない限り、越冬の成功率は100%を誇る。 まさにゆっくりにとって理想の越冬方法と言えた。 「くろまくー」 「え?みんなとなかよくできたかって?」 「くろまく」 「うん!みんなあたいとあそんでくれたよ!」 れてぃはちるのの様子を見て満足そうな表情をすると、ちるのと一緒にどこかへ跳ねて行った。 そもそもこの方法はれてぃとゆっくりたちの間に信頼関係がなければ成り立たないものであり、ゆっくりの常識から見れば不可能なものだ。 なぜなら、ちるのと仲が良いれてぃは、ちるのを虐めるゆっくりを嫌うからだ。 群れのゆっくりがれてぃの体内を利用した越冬が出来るのは、群れがちるのを仲間の一員として扱っていたからだ。 この群れでは、春から秋にかけて群れのゆっくりがちるのの面倒を見る代わりに、れてぃに越冬に協力してもらうというギブアンドテイクの関係を取っている。 なぜこの群れのゆっくりはちるのと仲が良いのか、どうやってれてぃの体内での越冬方法を思いついたのか。 それに答えられる者は少なくともこの場にはいないし、群れの最長齢の長ぱちゅりーですら覚えていない。 ただ一つだけ言えることは… 何らかの要因で信頼関係が壊れるか、れてぃが死ぬか、ちるのがいなくなるかするまで、この関係は続くだろうということだ。 その頃、『冬篭り』に参加出来なかった一家は… 「「むーしゃむーしゃしあわせー!」」 「「「「「「むーちゃむーちゃちあわちぇー!」」」」」」 食料がたくさんあるのをいいことに、節約することも考えず好き勝手に食い散らかしていた。 そもそもいくら食料が大量にあるとはいえ、六匹もの食べ盛りな子ゆっくりを抱えている時点で一家は詰んでいた。 まだ一日も経っていないのに、すでに食料は全体の十分の一も減っている。 せめて子ゆっくりが一匹か二匹だけだったら何とかなったかもしれないが、後の祭りである。 この一家に訪れる末路は、親が子を喰らい、子供同士で食い殺しあうお決まりの共食い地獄だろう。 だがこの一家はそうはならない。 「ゆゆ?なんかいりぐちがさわがしいのぜ!」 不意に結界を突き破って、触手のようなものが入り込んでくる。 「ゆぎゃああああああああ!なにこれええええええええ!?」 「こ、ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!かってにはいってこないで…ゆわあああああ!」 触手はれいむを捕らえると巣の外に引きずり出す。 「おそらをとんでるみた、ゆひいいいいいいいいい!?」 「ゆゆゆ!?なんなのぜえええええ!?」 れいむの絶叫を聞いてただ事ではないと感じたまりさは、巣穴の更に奥へと移動する。 その際餡子を分けた我が子を入り口の方に突き飛ばした。 「まりさはしにたくないんだぜ!おちびたちはぎせいになってね!」 「「「「「「「ゆ!?にゃにいっちぇりゅにょおおおおおおおお」」」」」」 しかし奮闘空しく、まりさは触手に捕まり巣穴から引きずり出されてしまう。 「おぞらをとんでるみだ…」 「くろまくー」 「れ、れてぃだああああああああああああ!」 触手と思われたのはれてぃの長い舌だった。 永い眠りから覚めたれてぃは相当飢えており、食べられるものを手当たり次第に探し回っていた。 「ゆひいいいいいいいいいいい!まりさをたべないでえええええええええええ! ゆ!そうなのぜ!まりさよりむれのやつらをたべればいいのぜ!」 「……」 「あのばかたちはたべていいからまりさはみのがしてほしいのぜ! ってどぼじではなじでぐれないのおおおおおおおお!? いやあああああああああじにだぐないいいいいいいいいいいいい!!」 まりさの懇願を無視してれてぃはまりさを飲み込む。 まりさが最後に見たものは、頬袋の入り口から見えるゆっくりした表情で眠った群れのゆっくりの姿だった。 後書き 短編にするつもりが予想以上に手間取ってしまいました 今回は観察系です 他の作家さんのネタを使わせてもらったりちょっと独自設定を入れたりして、 こんな越冬方法があったらいーなーって気持ちで書きました それではまた会いましょう 過去の作品 anko3412 親の心子知らず anko3430 子ありすと都会派な人形