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『存在価値』 38KB 虐待 調理 野良ゆ 赤ゆ 捕食種 加工場 現代 以下:余白 『存在価値』 序、 静かな夜。生暖かい風が森の木々をざわつかせた。夜空を漂う雲が今宵の月を見え隠れさせる。 中規模程度の森の端に沿って小さな県道が走っていた。二車線すらない細い道。そこを二条の光が移動していく。運搬用のトラックだ。 舗装はされているものの、ところどころ穴が開いていたりするせいで走行中のトラックがガタガタと揺れる。 トラックのエンジン音で何も聞こえないが、コンテナの中にはすすり泣くたくさんのゆっくりたちがいた。 月明かりに照らされたコンテナの側面には黒塗りのペンキで「虹浦町保健所」との文字が見える。 積載されているのは、町で捕まえられた野良ゆっくりたちだ。或いは捨てられた飼いゆっくりたち。 「ゆっくりぃ……ゆっくりぃ……」 「おきゃーしゃん……、きょわいよぉ……しゅーりしゅーりしちぇぇ……」 「どぉして……こんなことにぃ……」 虹浦町には野良ゆっくり回収ボックスというゴミ箱があった。 その中に押し込められていた野良ゆっくりたちは、自分たちをそこから出してくれた保健所の職員に対して泣きながら感謝したのだ。しかしまた、今度は大きな箱の中。 野良ゆっくりたちは自分たちの境遇を嘆き悲しんだ。 生まれた時から野良ゆっくりで、町で静かに暮らしていただけだと言うのに人間たちは皆、自分たちを捕まえる。 どんなに謝っても、何も悪い事をしていないと主張しても聞き入れて貰えない。それどころか、その場で潰されてしまう仲間たちもいた。 しかし、どれだけ己の不遇を呪おうとも、それをどうにかする力は雀の涙ほども持ち合わせていない。 性質の悪い事に、野良ゆっくりたち自身もそれを十分に理解しているせいで尚の事救いが無いと言えた。 「ねぇ……これから、ありすたちはどうなるの……?」 「むきゅー……わからないわ」 トラックの中で交わされる会話。こんなやり取りがコンテナの中で延々繰り返されていた。 (れいむは……しってるよ) コンテナの一番奥。隅っこで壁に頬を押し付けていた一匹のれいむが心の中で呟く。 そのれいむは同乗している野良ゆっくりと比べて小奇麗な身なりをしていた。黒い髪にはまだ艶があり、顔にも泥や埃が付着していない。 (れいむたちは、きっと……“かこうじょ”につれていかれるんだよ……) ゆっくり視点で見ればなかなかの美ゆっくりであるれいむだったが、それに対して声を掛けるようなゆっくりは一匹としていなかった。 れいむの赤いリボン。それが半分近く破られている。それだけで、周囲のゆっくりにとってれいむはとてつもなく惨めな姿に映っているのだ。 泥にまみれ、生ゴミの匂いが纏わりつき、目玉を片方失っていても尚、れいむの姿を見て嘲笑するゆっくりたちがいる。 「おお、あわれあわれ……」 「ゆぷぷ……あれじゃ、こいびとさんもみつからないんだぜ」 そんなゆっくりたちの誹謗中傷はどこ吹く風と言った様子で、れいむが静かに目を細めた。 (おにいさん……れいむのこと、きらいになっちゃったの……?) 飼いゆっくりだったれいむは、ある日突然捨てられた。 れいむは虹浦町に住んでいたわけではない。そこから三十キロ近くも離れた虹黒町で、飼い主と幸せな生活を送っていたのだ。 目を閉じればすぐに思い浮かべることのできる「お父さん」と「お母さん」と「お兄さん」。みんな、とてもれいむを可愛がっていた。 それなのに、幸せな生活はいきなり終わりを告げたのである。 必死に知りたくもないことを教えられて、叩かれたり蹴られたりしながら死ぬような思いで取得した銅バッジ。加工所の事もその時に得た知識だ。 そんな大事な銅バッジを命よりも大切なリボンごと破られて毟り取られた。何がなんだかわからなかった。涙も出なかった。ただ、ただ呆けている事しかできなかった。 それから、れいむは車に乗せられた。いつも「家族みんな」でお出かけするのに使っていた自家用車。 れいむは少しだけ安心した。バッジがなくても一緒にいてもらえるのだと。 家族は河川敷に車を止めるとれいむを堤防の下に向けて転がした。草の上をころころと転がるのが気持ち良かった。何度もこうやって遊んでもらっていたのだ。 だから、今日もたくさん遊んでもらえると思い込んでいた。 しかし、いつまで経っても堤防の下に家族はやって来ない。 れいむはずっと待っていた。日向ぼっこをしたり、草を食べたり、虫を追いかけたりしながら暇をつぶしていた。 それから数時間。 夕日が山の向こうに沈んで行くのを見ながら、ようやくれいむは気付いたのである。 ――自分は、捨てられたのだ…… と。 れいむはペットショップで虐待と言っても過言ではない程の学習を強要させられた。 自分のしたいことは何一つさせてもらえず、毎日毎日ゆっくりできない日々を強いられ、泣きながら眠りにつく日々。 そうまでして頑張って、ようやく与えられた幸せも呆気なく失ってしまった。 自分に幸せを与えたのも人間ならば、それを奪ったのもまた人間だった。 れいむは必死になって考えた。 ――自分にとっての生きる意味とは何なのだろうか。自分の価値とは何なのか。 無論、そんな高尚な言葉を使って物事を深く考えていたわけではないが、餡子脳でれいむなりにそのニュアンスに近しい事を考えていたのである。 だから。 これから行くことになるであろう“加工所”で殺される前に……どうしても、知りたいのだ。 どうしても……。 そして、願わくば……自分が今日まで生きてきた理由を誰でもいいから自分に教えてほしかった。 一、 某日。早朝。 夜中のうちに搬入された野良ゆっくりたちとれいむは殺風景な白い部屋の中に入れられた。 緊張と空腹で疲弊しきった野良ゆっくりたちは、部屋の隅っこで一塊になって震えている。 れいむはその輪の中に入れてもらえなかった。もう片方の隅っこで一匹俯くれいむ。飾りのあるなしの隔たりは余りにも大きいものだった。 それから、コツーン……コツーン……という足音が扉の向こう側から聞こえてきた。 一斉に身構える野良ゆっくりたち。互いの頬を更に強く押し付け合った。成体ゆっくり、子ゆ、赤ゆ問わず泣きながら震えている。 ここがどういう場所かはわからずとも、何か嫌な予感だけはひしひしと感じているのだろう。 不意に部屋の扉が開く。 臆病な赤ゆが一匹、「ゆぴぃ?!」と飛び上がった。 一斉に部屋の中に入ってきた人間に目を向ける野良ゆっくりたち。れいむも、久しぶりに見た人間をぼんやりと眺めていた。 「多いな……。まったく、潰しても捨てても勝手に生えてくるゴミとか本当にタチが悪い……」 白衣を着た加工所職員が面倒臭そうに、用紙が挟まれたバインダーを取り出して、連れてこられたゴミの数を種別ごとに記入していく。 「ま、まりさたちは……」 「あ?」 「まりさたちは、かってにはえてこないのぜ……っ! ごみんさんでもないのぜっ!」 「だから何だ?」 「あ……あやまるのぜっ! ひどいことをいうにんげんさんは……あやま……ゆひぃぃぃぃ?!!」 生意気な口を利いたまりさに向けて一直線に歩み寄る職員。すぐにまりさのお下げを掴んで宙釣りにした。 お下げが千切れようとしているのか、ミチミチ……という不快な音が聞こえる。まりさは身を捩らせて苦痛に泣き叫んでいた。 そのまりさを床に向けて思い切り叩きつける。 まりさの顔面が床に激突した瞬間、まるで水風船が勢いよく弾けるように中身の餡子を四方八方にぶち撒けて爆散した。 飛び散った餡子が目を丸くして微動だにできない野良ゆっくりたちの顔にべちゃべちゃとかかっていく。 静まり返る部屋の中。 職員の声だけがやたらと大きく聞こえる。 「ゴミだし、勝手に生えてくるよ……。お前ら、ゆっくりなんていくらでもな……。ったく、数字が変わっちまったじゃねぇか」 まりさ種の項目に書いてあった数字を消しゴムで消して、消した数字から一匹減らした数字を新たに書く。 「どぼ……じで、ごんな゛ごど……」 「おい、そこのゆっくり」 「ゆ゛ッ!?」 潰される、と思ったのだろう。目をぎゅっと閉じて顔を下に向ける野良ゆっくりの一匹。 「喋るな。ゴミは喋らない」 「~~~~っ」 分かりました、と言うように口を真一文字に結んで額を地面に何度も打ち付ける。 一連のやり取りを見た野良ゆっくりたちはぼろぼろと涙を流しながら、小刻みに震えていた。泣き叫びたい気持ちを必死に抑える。声を出したら殺されるのだ。 職員は用紙に記入したちぇんとぱちゅりーの数字を鉛筆の後ろでコツコツと叩きながら溜め息をついた。 「チョコと生クリームが不足気味だったんだがな……」 それぞれ二、三匹ずつしかいないちぇんとぱちゅりーをじろりと睨み付ける職員。 それから近くにいた薄汚いれいむを思いっきり蹴り飛ばして壁にぶつけた。壁と濃厚なちゅっちゅをしたれいむが、「ゆ゛っ、ゆ゛っ」呻きながら痙攣を起こす。 「大して需要のない餡子は毎回、毎回、馬鹿みたいに持って来られるってのによ……」 職員が部屋を出て行く。 ガタガタと震える野良ゆっくりたち。どれ一匹として声を上げようとしない。ただ、ぽろぽろと涙を流すのみ。 しばらくして職員が別の男をつれて部屋に帰ってきた。 その男が大きな袋の中にちぇんとぱちゅりーを掴んで投げ込む。ちぇんとぱちゅりーであれば、成体、子などのサイズは関係ないらしい。 「むきゅぅぅぅぅん!! いや、いやよっ! たすけてちょうだいっ!!」 「わからないよーー!! こわいんだねぇぇ!!」 袋の中からちぇんとぱちゅりーの悲鳴が聞こえてくる。野良ゆっくりたちは皆、一様に俯いたまま歯をカチカチと鳴らしていた。 そんな残りの野良ゆっくりたちには目もくれずに部屋を出て行く男。ちぇんとぱちゅりーの悲鳴がだんだんと遠くなっていき、最後には何も聞こえなくなった。 しばらくして今度は別の男が部屋に入ってきた。今度は泣き叫ぶありすを手当たり次第に袋の中へと投げ込んでいく。 「とりあえず、ホワイトチョコはまだいいかな……。残りは全部、ミキサーにかけてゆっくりフードにするか……」 職員の言葉の意味がわからない野良ゆっくりたちは「ゆ? ゆゆ?」と互いの顔を見合わせている。 それから、職員が思い出したように呟いた。 「れみりゃにやる生餌を忘れてたな。何匹か持って行くとするか……」 “れみりゃ”という単語に何匹かの野良ゆっくりが反応する。それだけで目にじんわりと涙を浮かべるモノもいた。 職員が入り口の扉とは別の扉に手をかけてそれをゆっくりと開けると、すぐに中の電気をつけた。 そこは殺風景な小さな部屋。その中央には焼却炉を彷彿とさせるような機械が設置してある。 それを見た途端、一匹のありすがカタカタ震えて涙を流した。 「いや……ゆっくりできない……」 ありすの消え入るような声を聞いて、周りの野良ゆっくりたちがありすと同じ視点へと移動する。 そして。 「ゆ、ゆ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!!」 「ゆ゛ぎぃぃぃ……っ! ゆっぐ……でぎ、な……っ、あ゛……ぁあ゛ぁ゛っ!!!」 その機械から放たれる強烈な死臭。人間には決して感知できないにも関わらず、鼻を持たないゆっくりたちはこの“ゆっくりできない臭い”を激しく嫌悪する。 それはフェロモンの一種であるとする研究者もいれば、残留思念の様なものであるとする研究者もいた。 理屈はともかく、目の前の機械から放たれる死臭に野良ゆっくりたちは、まるでおぞましい悪霊でも見ているかのように全身を震わせた。 職員が慣れた手つきで機械の中央付近にある小窓のようなものを開く。それに合わせてよりいっそう強くなる野良ゆっくりたちの悲鳴。 全ての赤ゆは漏れなくしーしーを漏らしていた。目はどこを見ているのかわからない。或いは、宙を漂うゆっくりの亡霊でも見えているのだろうか。 そこから始まる淡々とした作業。 職員は、れいむの揉み上げを、まりさのお下げを、ありすの髪を乱暴に引っ掴んで次々と機械の中に放り込んでいった。 「ゆぎゃあぁぁ!! だじで!! だじでぇ!! お゛う゛ぢがえ゛る゛う゛ぅ゛ぅ゛ッ!!!」 「い゛や゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!! じに゛だぐない゛ぃ゛ぃ゛!! れ゛い゛む゛、もっどゆっぐりじでたい゛よ゛ぉ゛ぉ゛!!」 外観に比べて機械の内側は狭い造りになっていた。 どうやら内部は中身を刳り抜かれた円柱のような形になっていて、その中心に巨大な柱が立っているようだ。 後から後から野良ゆっくりが放り込まれるものだから、内部はだんだんとすし詰めのような状況に変化してきている。 そんな時、一匹のありすの頬に鋭い痛みが走った。 「いた゛ぃぃ!! ありすの゛どがい゛はな゛お゛がお゛がぁぁぁ!!!」 「つ゛ぶれ゛る゛……どいで、ね……どいでねっ!! れ゛い゛む゛、あんよ゛が……い゛だいよ゛ぉ゛っ!!!」 柱。床。壁。その三カ所には巨大な刃が取り付けられていた。それらは全て内側を向いており、その三カ所に密着している野良ゆっくりたちの皮を切ろうとしているのだ。 加工所特製の巨大なジューサーミキサー。いや。ゆっくりミキサーとでも言うべきだろうか。 ここで挽き肉ならぬ挽き饅頭にされた野良ゆっくりたちは様々な製造工程を経て、固形のゆっくりフードへと生まれ変わる。 職員の動きを見ながら、れみりゃの生餌用に選ばれた五匹の野良ゆっくりは怯えていた。 その中には元・飼いゆっくりのれいむの姿も見える。 職員がおもむろに機械のスイッチをオンにした。 「ゆ?」 「ゆかが……ゆっくり、うごきはじめたよ……?」 真っ暗で何も見えないが床が回転し始めているは理解できた。そして、少しずつ両側の壁が内側に向けて迫ってくる。 「え゛ぎゅぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ッ?!! れ゛い゛む゛……づぶれ゛ぶりゅあ゛ぁ゛ぁ゛ッ?!!」 柱と壁の中央付近にいた野良ゆっくりたちが同胞たちによって押し潰されて絶命した。 柱や壁に頬がくっついていた野良ゆっくりたちは、鋭利な刃が少しずつ体内へ潜り込んでくるという恐ろしい感触に、この世の物とは思えない叫び声を上げている。 やがて、中央の柱が時計周りに。周囲の壁が反時計周りに回転し始めた。その回転速度が徐々に上がっていく。 そこからはもう何が何だかわからなかった。 皮が千切れ飛んだ。流出した中身がまるで命を得たかのように所狭しと暴れ回る。弾け飛ぶ目玉。涙か、しーしーか、涎か……とにかく大量の液体。 それらが全てが一つになって、また滅茶苦茶に引っ掻き回されていく。 ほとんどゲル状にまで変質してしまった大量の野良ゆっくりたちの成れの果てが、ミキサーの中で無言のままダンスを踊り続けていた。 回り、飛び、くっついては離れてを繰り返し、また勢いよく爆ぜる。 野良ゆっくりたちの絶叫は轟音に掻き消され、流した涙はどれのものとも分からぬ皮や中身によって埋め立てられる。 機械は程なくして停止した。もう、何も聞こえない。不気味なまでの静寂。 外側からは見えないが、体をぐちゃぐちゃに引き裂かれて中身を全て流出させてしまった野良ゆっくりたちが、ペースト状になって機械の底に溜まっていた。 死ぬ最後の最後まで足掻き苦しんだのだろう。新たな死臭が生かされた命に語りかけてくる。 気丈に仲間たちの最期を見つめていたれいむも、中身を吐き出しそうになるのを必死に抑えながら無言で泣き続けている。 その傍らでまりさは白目を剥いて気を失っていた。 「お前らは全部れみりゃに食わせる。良かったな。今、死んだ連中より少しだけ長く生きることができて。……ゆっくりすることができて、か?」 「ゆひっ……ゆひぃ……」 顔を横にふるふると振って厭だ嫌だイヤだと必死にアピールする野良ゆっくりたち。 どれだけ泣かれても、叫ばれても、嫌がられても、それで職員の気持ちが揺らぐ事はないのだ。職員歴十五年。十五年も職員はこうしてゆっくりを殺し続けてきた。 「ゴミの言葉に耳を貸すほど優しくないんだよ、俺は」 振り返らずに言葉だけ発する。今度は倉庫の扉を開けてそこから約一メートル四方のアクリルケースを取り出した。それを備え付けてあった台車に載せる。 職員が野良ゆっくりたちに近づくと、それだけで数匹がしーしーを漏らした。自分たちが何をされるか分からないのが恐ろしくてたまらないのだろう。 逃げようとするがあんよが動かない。それどころか何も考えることさえできなかった。 れいむも職員に訊きたいことがあったが訊くことができないでいた。喋っただけで殺されるかも知れない。それがれいむの言葉を詰まらせる。 どれもが何かを言いたそうだった。しかし、何を言うでもなく一匹ずつアクリルケースの中に入れられていく。 もちろん、れいむもその中に入れられた。 ガラガラと音を立てて進む台車の上は、コンテナの中ほど乗り心地は悪くなかったが、生きた心地がしなかった。 二、 台車に載せられたれいむたちは、職員によって開けられた扉の向こう側へと進み、新たなフロアへとやってきた。 「んっほぉぉぉ!!! まりさの……まむ、ま……ずっぎ……もう、い゛や゛……ずっぎり゛じだぐ……ゆぅぅ……ず、ずっぎり……じぢゃ……」 「ゆぎゃぁぁ!! あでぃずぅぅ!!! もうやべでぇぇ!! までぃざ、もう゛、ちびちゃんうみ゛だぐな゛ぃぃ……ゆぁぁ……す、すっぎ……」 「「ずっぎりぃぃ!!!」」 こんなやり取りがフロア全体から聞こえてくる。 れいむたちは自分たちの目を疑った。 台車に載せられたものと同じようなアクリルケースがフロア全体に敷き詰められている。 アクリルケースは二匹につき一箱となっているようで、傍から見れば透明のロッカーか、或いはカプセルホテルを彷彿とさせた。 「ゆああぁぁ……まだ、ぢびぢゃんがうばれぢゃう゛ぅぅぅ」 「まりさぁ……ごべんなざい、ごべんなさいぃぃい!! ありず、からだがいう゛ごどをぎいでくれ゛ないの゛ぉぉ……」 先程、すっきりー!を行っていたまりさの額からにょきにょきと茎が生えて、そこに赤まりさと赤ありすが実る。 まりさはうつ伏せのような姿勢でアクリルケースの一番手前に固定されているようだった。しかも、尻はありすに向けて突き出すような形になっている。 茎は、アクリルケースに開けられた小さな穴から外側に向かって伸びていた。まりさの額はその小さな穴に合わせて固定されているようだ。 「ちびちゃん……っ!! ゆぐぅ……ひっく、がわいい゛よぅ……ゆっぐりでぎる゛よぉ……」 泣きながら笑うまりさ。 れいむたちにはまりさのこの行動が理解できなかった。 あんなに可愛いちびちゃんを見て、どうして涙を流す必要があるのかと。この地獄でも新しい命を芽吹かせることができる。素晴らしいことではないのだろうか。 不意にどこからともなく、やはり白衣を着た男性職員が現れる。 まりさはその男性職員の姿を見て、顔をぐしゃぐしゃにしながら力の限りに叫び声を上げた。 「お゛でがい゛じばずぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!! ぢびぢゃんをごろざな゛い゛でぐだざい゛ぃ゛い゛ぃぃぃい!!!」 「――――!?」 台車の上でれいむたちが驚愕の表情に変わる。 まりさを後ろから犯し続けていたありすも、ぼろぼろと涙を流していた。先ほどの興奮が未だに醒めぬのか、頬を染め、舌を垂らし、虚ろな瞳で男性職員を見つめている。 「ゆんやぁぁ! おきゃーしゃん、にんげんしゃんが、こっちにくりゅよぅ! たしゅけちぇにぇ!!」 「ぢびぢゃん……ごべんね……ごべんねぇ……」 「お、おきゃーしゃ……?! なにをやっちぇりゅにょ?! はやきゅ、にげちぇにぇ!」 「ときゃいはじゃにゃいわぁぁ! ありしゅたち、ゆっくちできにゃえびゅぇッ?!!!!」 「う、うわあああぁぁぁぁ!!!」 赤ゆは、茎からぶら下がっているだけの存在だ。 自分で身を守ることはおろか、動くことすらできない。母親ゆっくりが動かなければ、その場から離れられないのだ。 だから、赤ありすは呆気なく潰されて死んだ。僅か十秒弱の命。ただ、親指と人差し指で挟まれて潰されただけ。生まれてきて自分の身に起きたのは、たったのそれだけ。 初めての挨拶もできず、食べることも、笑うことも、眠りにつくこともできずに、赤ありすは死んだ。 同じ茎に実っていたもう一匹の赤ありすも同様にして殺された。 茎に残った二匹の赤まりさが絶句してガタガタ震えている。茎に実ったばかりでどこにそんな水分があるのかと問うほどに、涙としーしーを無様に垂れ流していた。 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!! あ゛でぃずのどがいはな゛ちびぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「何回目だよ、その反応。いい加減慣れろよ。うるせぇ糞ゆっくりが」 「ひどいよ゛ぅ……ひどずぎる゛よ゛ぉ……。ちびちゃん、なんに゛も、じでな……わる゛い゛ごどだげじゃなぐで……な゛ん゛に゛も゛じでな゛い゛のにぃぃぃ!!!」 まりさがぎゅっと瞼を閉じて全身を震わせながら泣く。 ありすはうわ言のように「ごめんね、ごめんね」と繰り返していた。 ここは、食用ゆっくりの養殖部屋。このアクリルケースの中に入れられた二匹一組のゆっくりは、赤ゆ製造機だ。 アクリルケース内の床はスイッチ一つで小刻みに振動し、中に入ったゆっくりをあっと言う間に発情させる。 まりさ同様の姿勢で固定された各種ゆっくりの後ろには常にありすが入れられており、興奮状態になったありすがもう一匹を犯して子供を作るという仕組みだ。 良く見れば“受け側”のゆっくりの頬には全てチューブが突き刺さっている。あのチューブから常に栄養が送られてくるため、何度すっきりー!しても疲れることがない。 結果、栄養不良で死ぬこともできず、毎日ひたすら望まぬすっきりー!を繰り返し、実った赤ゆは目の前で潰されるという凄惨な毎日を過ごす羽目になっているのだ。 まず、ここで実った赤ありすの九割が生まれると同時に潰される。 ありすは他のゆっくりよりも性欲が強いということで、常に“責め側”のポジションだ。すっきりー!を繰り返せば、赤ありすが溢れてしまうことになる。 だから、赤ありすは間引くのだ。そうすることによって、残ったありす種以外の赤ゆに多く栄養が行き渡る。つまり、成長速度が速くなるのだ。 もちろん、ありすを養殖するためのアクリルケースも存在しており、そこでは赤ありす以外の赤ゆが生まれてすぐに潰される。 日進月歩でゆっくりの研究は続いているが、未だに人工的なゆっくりの繁殖に成功した例はない。 だが、こうして一度に発情させて一度にすっきりー!させて、一度に赤ゆを実らせれば意外と採算は取れるものである。 アクリルケースの数は総数で三百箱を数えるほどだ。二匹ずつ赤ゆを養殖したとして、一日に六百匹もの赤ゆが“生産”されることになる。 大体、母親ゆっくりの額に茎が実ってから三時間ほどで栄養供給が安定してくるのか、赤ゆは「ゆぴぃ」と眠りにつく。 その頃合いを見計らって、母親ゆっくりから茎を引き抜き、それを今度は砂糖水の中に突っ込むのだ。 大量の茎が刺された砂糖水の入った容器を見ると、まるで生け花ならぬ生け赤ゆとでも表現できそうな様子だ。 「や゛べでぇ゛ぇ゛ぇ゛!!! れ゛い゛む゛のおぢびぢゃん、づれでいがない゛でぇぇぇぇぇ!!!!」 今度は別のゆっくりが悲痛な声を上げた。 先程、すっきりー!が終わったばかりのアクリルケース列とは、別の列から聞こえた絶叫である。 こちらの列の茎に実った赤ゆは三時間が経過して安定期に入ったのだろう。 数人の職員が手分けして茎を指で触ったり、赤ゆの頬をぷにぷにしたりして完全に安定しているかどうかを判別する。それは彼らの熟練した赤ゆの観察眼が成せる技だった。 「おきゃーしゃあぁぁん!!! たしゅけちぇぇぇぇ!!! れーみゅ、はにゃれちゃくにゃいよぉぉぉぉ!!!!」 「にんげんざん゛ん゛ん゛ん゛!!! お゛でがい゛じばずぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!! ゆっぐりじだごにぞだででみぜばずがら゛あ゛ぁ゛ああぁ゛!!!」 「育てなくていい。お前らはガキを造り続ければそれでいいんだよ」 「どぼじでぞんな゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?」 「こんなの育てて誰が得するっていうんだよ。お前らが馬鹿の一つ覚えみたいに“ゆっくりできる”とか言うだけじゃねーか」 「おいコラ新入り。いちいちゆっくりの話を聞くんじゃない。そんなことより一本でも多く茎を抜け」 「す、すいませんっ」 こうやって新人はたまにゆっくりの言葉に反応してしまう。 しかし、ゆっくりを生き物だとは決して思ってはいけない。ここにいるのは赤ゆを造るためだけの道具なのだ。 メンテナンスは週に一回行われている。とは言っても、二匹の後頭部に注射器を突き刺してオレンジジュースを流し込むだけの簡単な作業ではあるが。 一本、また一本……と茎が引き抜かれるたびに母親ゆっくりが絶叫を上げる。 ワンパターンな反応。いい加減慣れろと言われても慣れるわけがないだろう。 無理矢理子供を作らされ、生まれた傍から半分が潰されて、三時間後には茎ごとどこかに連れていかれる。 「ゆ、ゆひっ、ゆふへ……ぱ、ぱぱぱ、ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽーーーーーー!!!」 「う、うわぁぁぁ!! まりさ! まりさ! しっかりしてよぉぉぉ!!!!」 中にはこうして発狂してしまうゆっくりも当然ながらいた。それを見つけた職員がすぐに内線で別の部署と連絡を取る。 「はい。三十六番のまりさ、発狂しました。こちらで処分しておきますので替えのまりさを用意してください」 それから気が狂ったまりさは職員によってあっと言う間に処分され、替わりに別のまりさがすぐにアクリルケースの中に入れられた。 こちらの列の茎の回収が全て終わったのだろう。 職員の一人がスイッチを押して、床を小刻みに振動させる。そこから始まる醜悪な性の営み。 無数のゆっくりの喘ぎ声と、互いの皮がぶつかり合う乾いた音がフロア全体に響き渡る。 そして、そこかしこから「すっきりー!」という絶望に染まった絶頂から漏れ出す歓喜の声が上がり始めた。 「も゛う゛……ずっぎり、じだぐない゛……。ぢびぢゃん……う゛み゛だぐ、な゛い゛……ゆぐっ、ひっく……」 泣こうが喚こうが、ゆっくりたちは子供を作り続ける。眠ることすら許されず、ただひたすらに。 れいむたちは台車の上で泣いていた。こんな理不尽は話があるものか、と悲しみに打ち震えていた。 そんなれいむたちに、台車を押し始めた職員が優しく語りかける。 「な? お前らは勝手に生えてくるだろ?」 生えては引き抜かれを繰り返す赤ゆの実った茎を横目で見ながら、ゆっくりたちは言葉を失って俯いた。 しかし、れいむだけはぽそりと呟いた。 「かってには、はえてこないよ……」 「あ?」 「あのはこのなかにいる、ゆっくりたちががんばってるから……っ! かけがえのないちびちゃんたちがうまれるんだよっ!!! そんないいかたしないでねっ!!!」 「れ、れいむ……」 泣きながら叫ぶれいむを見ながら、台車に載せられたゆっくりたちが涙を流す。 職員はそんなゆっくりたちのくだらない茶番に声を出して笑った。それに対してれいむが威嚇を始める。この地獄のど真ん中で泣きながら頬を膨らませた。 「かけがえのない命があんなにポンポン生まれるわけねーだろ。饅頭の癖に命がどうとか夢見てんじゃねぇよ」 それっきり、れいむは黙りこくってしまった。何を言っても自分たちの言葉は通らない。それを理解して、また何か反論しようという気にはならなかった。 無情にも繰り返される母親ゆっくりと赤ゆの絶叫を後方に聞きながら、れいむたちはようやくこの場所から次のフロアへと移動をさせられた。 三、 台車に載せられたまま、加工所の更に奥へと入っていく。 透明な壁で仕切られた長大な部屋を分断する中央の廊下部分を進む職員と野良ゆっくり一同。 周囲を見渡した野良ゆっくりたちが再び息を呑む。 「あ゛づい゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ!!!」 「あ゛ん゛よ゛が……ゆ゛っぐり゛でぎな゛ぃよ゛ぉ゛ぉお゛おおぉ゛!!!!」 壁からゆっくりが五匹ずつ一列に整列した状態で下ろされる。それぞれの頭は金属製のアームで挟まれ身動きができないようになっていた。 下ろされた先は黒い鉄板。鉄板はゆっくりたちのあんよを焼くためのものだ。あんよは、機械的に十五秒間ずつ高熱で一気に焼き上げられる。 垂れ流される涙としーしーがジュワジュワと音を立て蒸発していくのを見れば、あの鉄板がいかに高温であるかが理解できるだろう。 鉄板の上でゆっくりたちは自分たちの顔の皮が引き千切れるのではないかと思うほどに、身を捩らせていた。しかし、それ以上の動きは頭のアームが許さない。 まさか自分の顔を引き千切るわけにもいかないので、抵抗はすべて虚しく、最後には並んだ五匹が五匹ともあんよの機能を完全に喪失させられるのである。 この仕掛けは壁に六ヶ所設置されており、大体三十秒間隔で三十匹のゆっくりが同時にあんよを焼かれる仕組みとなっていた。 十五秒間が過ぎると、アームは再び放心状態……或いは完全に意識を失っているゆっくりたちをその傍らで流れているベルトコンベアへと移動させる。 無言のまま、ベルトコンベアの上を流れて行くあんよが炭化したゆっくりたち。 中には、あんよを徹底的に焼き上げられても必死に周囲の職員に助けを求めるゆっくりもいた。 「だずげでぐだざい゛ぃ゛ぃ゛!! あ゛ん゛よ゛がう゛ごがな゛い゛ん゛でずぅ゛ぅ゛ぅ゛!!! ばでぃざは、も゛っどゆ゛っぐり゛じだい゛んでず゛ぅ゛ぅ゛!!」 「お゛でーざんっ!! あ、あぁぁ゛っ!! お、お゛に゛ぃ゛ざん゛っ!! だずげ……む、むじじないでぇ゛え゛ぇ゛ええぇえ!!!」 もちろん、誰も耳を貸さない。雑音にいちいち答えてやるほどこの職場は暇な場所ではなかった。中には耳栓をつけて仕事をしている者もいる。 ベルトコンベアの先には分岐点があり、そこには二人の職員が立っていた。 れいむ種、まりさ種、ありす種、ぱちゅりー種、ちぇん種、みょん種。それぞれ専用のベルトコンベアが用意されているのだ。 職員は一緒くたにベルトコンベアに載せられたゆっくりたちをを種類ごとに分けていくために配置されている。 「あ゛でぃずのぎゅーでぃぐる゛ながみ゛のげざんがぁあぁっ!!!」 「までぃざのお゛ざげざんが、ぢぎれ゛る゛の゛ぜぇぇぇぇ!!!!」 丁寧に扱う必要はなかった。それぞれが髪を掴まれて別のベルトコンベアに載せられていく。 ゆっくりの状態など、この後関係なくなるのだ。とりあえずは“中身を仕分けできればそれでいい”のである。 それぞれの種族ごとに流されていくベルトコンベアの先にはトンネルのようなものがあった。そのトンネルの入り口には赤い光が見えた。 トンネルの中は暗い。この先に何があるか分からない。恐ろしくてたまらないのだろう。ベルトコンベアの上でちょろちょろとしーしーを漏らすゆっくり。 程なくしてそのトンネルの中に入っていく。赤い光にゆっくりが触れた瞬間、音を立てて機械が動き始めた。 「ゆひぃぃぃっ?!!」 勢いよくしーしーを前方に発射させる。動かぬあんよを呪いながら、顔の部分だけを少しでも後ろに後ろにと持っていくが無駄な抵抗だった。 「がひっ!??」 いきなり。頭頂部に何かが突き刺さったかと思えばそれがあんよを貫いて貫通した。 瞳孔が開く。全身から汗が噴き出すのを感じた。眩暈。吐き気。まるで脊髄にナイフが刺さったかのようような衝撃と虚脱感。 体全体が小刻みに震える。身を捩らせようとすることもできなかった。瞬きをするだけで全身に痛みが走る。 そして。 「ゆ゛べばあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ??!!!」 貫通していた何かが体内で二つに分かれて一気に拡がった。突き刺さっていた底部が勢いよく引き裂かれ、顔を真っ二つにされる事でそのゆっくりは死んだ。 行き場を失った餡子がぼとぼととその真下に設置してあったトレイに落ちて行く。 他の場所でも同様に、カスタードや生クリームが次々とトレイに載せられていった。 このエリアは“ゆっくりの中身を抉り出して食用品として回収”していくための場所。だから、髪が千切れようがあんよが炭化していようが関係ないのである。 ベルトコンベアに載せられたゆっくりは、その中身にしか価値を見出されないのだ。いや、見出されるだけマシというものかも知れない。 「か、かわいそうなんだぜっ! みんな、いやがってるのぜっ!! やめてあげるのぜぇっ!!!」 先程のフロアでのれいむの勇気にほだされたのか、台車に載せられたまりさが涙ながらに叫んだ。 その声を聞いて、加工所内にいたゆっくりたちが同じように声を上げる。 「だずげでぇ゛ぇ゛ぇ゛!!! れ゛い゛む゛、い゛ぎでい゛だい゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」 「ゆっぐりじだいだげな゛のに゛ィィィイィィ!!!」 「ごんな゛じにがだはいや゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!! ずぎな゛ゆっぐりどい゛っじょに、え゛いえ゛ん゛にゆっぐりじだいよ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 「どぼじでごんな゛ごどずる゛の゛ぉぉお゛ぉ゛!! み゛ん゛な゛、なんに゛も゛わる゛いごどじでないの゛にぃいぃぃ゛い゛いぃぃぃ!!!!!」 絶望の合唱。心の底から絞り出されるかのような強い懇願。 それでも、与えられるモノと言えば、焼かれて、貫かれて、引き千切られて。そんな苦痛と、決して穏やかであるとは言えない凄惨な“死”のみ。 このエリアで加工されるゆっくりは、全て加工所産のゆっくりである。ここで殺されるためだけに生まれてこさせられて、今日まで生かされてきただけの存在。 それ故に野良ゆっくりのような不衛生さは皆無だ。 今、れいむたちを載せた台車がある渡り廊下と生産ラインの部屋が完全に仕切られているのは安全衛生のためである。職員たちも白衣にマスク、帽子、滅菌手袋と完全装備だ。 阿鼻叫喚の地獄の中、台車が移動を始める。 「だずげでぇぇぇ!! れいむぅぅぅ!!! だずげでよぉぉぉ!!!」 ベルトコンベアを流れるゆっくりと目が合ったれいむが助けを求められた。しかし、どうすることもできない。 そのゆっくりはずっとれいむの事を見ていた。れいむも、目を逸らすことができなかった。 結局、お互いの姿が見えなくなるまで、二匹はずっと視線を合わせていた。 うなだれたままのれいむたちを載せた台車がすぐ隣のフロアへと移動する。 そこでもまた、甲高い悲鳴がれいむたちを迎えた。 「ゆんやあぁぁぁぁ!!! やじゃ、やじゃ、やじゃあぁぁぁぁ!!!!」 「やめちぇにぇっ!! やめちぇにぇっ!! ゆっくちできにゃいよぉぉぉぉ!!!!」 先程のフロアは、成体ゆっくりの食品加工を行う場所だった。対してこのフロアは、赤ゆっくりの食品製造場所だったのである。 このフロアには先ほどのベルトコンベアのようなものはないが、代わりに内部がホテルの厨房のような作りをしており、壁には無数の調理器具が掛かっていた。 室内は熱気に包まれており、ここで働く職員たちは額にうっすらと汗を浮かべている。 フロアの一画には巨大な鍋が設置してあった。傍らには大量の赤ゆが生きたまま入った透明なボウルが見える。その中の赤ゆたちは喉を枯らさんばかりの勢いで泣いていた。 おもむろに職員の一人がそこに近づく。その姿を見た赤ゆたちはボウルの中で一斉にしーしーを噴射した。ボウルが職員によって持ち上げられると、悲鳴は更に大きくなった。 れいむたちは台車の上からその様子を固唾を飲んで見守っていた。これから起こるであろう何かに対して嫌な予感だけが餡子脳裏をよぎる。 そして、その嫌な予感は見事に的中した。 巨大な鍋。 れいむたちからは見えないが、中には油の海が広がっており、それは十分すぎるほどに加熱されていた。そこに、ボウルの中の赤ゆがぼちゃぼちゃと放り込まれる。 「ゆ゛っぎゃああ゛あ゛あぁ゛ああ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁッ!!!????」 鼓膜を突き破らんばかりの勢いで、上げられる凄まじい絶叫。 台車に載せられていたありすは、おそろしーしーをぷしゃぁぁ……と漏らしていた。他のゆっくりも開いた口が塞がらない。頬に涙が伝う感触だけを感じていた。 ジュワアァァ……という音と共に、絶命した赤ゆたちが一匹、また一匹と油の海面に浮かんでくる。ぴくりとも動かない。既に死んでいるのだろう。 職員は皮がこんがりと狐色に揚げあがった赤ゆを一匹ずつ掬い、キッチンペーパーと新聞紙の敷かれた場所に並べて行った。 ここから様々な製造工程を経て、加工所産のお菓子として人気の高い“揚げ赤ゆ”が市場に並ぶ。 眩暈がするような凄惨な光景を見続けていた台車の上のれいむたちが虚ろな表情に変わっていった。 「だしちぇにぇっ!! しゃむいよぉぉぉ!!!! もうやじゃあ、れーみゅ、おうちかえりゅぅぅぅ!!!!」 れいむたちが声のした方向へと振り返る。 そこにはステンレス製の巨大な冷凍庫のようなものが置いてあった。これは、赤ゆを瞬間冷凍して、冷凍食品に加工するための機械である。 使い方は簡単で指定された数の赤ゆを内部に放り込み、スイッチを入れるだけ。 一瞬で凍結した赤ゆたちはそのまま物言わぬ冷凍饅頭となり、各家庭の電子レンジで再び目が覚めるのだ。目が覚めたところで、その先に未来はないのだが。 冷却作業が終わったのか、冷凍庫の扉が開けられる。凍りついた赤ゆたちを次々に回収していき、袋の中に詰める作業が始まった。 更に他の場所に目を向けると、今度は三匹ほどの赤ゆが生きたまま袋の中に入れられていた。 「くりゅぢぃよぉぉ!!!」 小さな袋の中で赤ゆたちがぎゅうぎゅう詰めにされている。その袋の口に掃除機のチューブのようなものが当てられていた。 職員がその掃除機のようなもののスイッチを入れる。 刹那、袋は一瞬にして圧縮され、内部の赤ゆも苦悶の表情を浮かべたまま動かなくなった。赤ゆの真空パック、である。 滝のように涙を流し、涎を撒き散らして、しーしーを所構わず噴射しながら、赤ゆたちは泣きに泣き叫んでいた。 誰も助けてくれないことを呪いながら。自分たちの置かれた境遇を呪いながら。 自分たちをこの世に産み落とした母親ゆっくりを呪いながら。 「さっき生まれたガキ共も、半分はここで死ぬんだよ」 「…………」 「ここで死ななかった連中も、大人になってから食べ物に加工される。……あぁ、さっき見せたな。あんよを焼かれてたゆっくりがそれだよ」 「…………なんなの?」 「ん?」 「にんげんさんたちにとって、れいむたちゆっくりは……なんなの?」 れいむが職員と目を合わせないようにしながら、恐る恐る言葉を紡いだ。台車の上のゆっくりたちは、完全に意気消沈してしまっており、無言のまま動く気配がない。 職員はれいむの問いかけに、「クク」と喉を鳴らして嗤った。 「さっきも言っただろ。勝手に生えてくるゴミだよ。お前らは」 「…………あんまりだよ…………」 「あんまり? 失礼なヤツだな、お前は。生きてるうちは何の役にも立たないお前らに俺たち加工所職員は価値を与えてやってるんだぜ?」 れいむの揉み上げがぴくん、と動いた。 悲しみを通り越して、沸々と怒りが湧き上がっていく。あまりにも理不尽な物言いに、れいむはこの人間が憎らしくてたまらなくなった。 「お前らゆっくりはな。死んでからやっと世の中の役に立てるんだ。路地裏で野垂れ死ぬ連中よりも、よっぽど生きた意味があると思わないか?」 「れいむたちが、いきるいみは、れいむたちがさがすよ……。にんげんさんたちにみつけてもらうものじゃないよ」 「そう言ってお前らゆっくりは何をする? せいぜい、ゴミを漁って街を汚し、死んでも誰も片づけないからやはりゴミが生まれるだけじゃないか」 「……ゆぐぅ……っ!!」 「さ、行くぞ。これから、お前らに生まれてきた意味を与えてやる」 そう言いながら職員は台車を押し始めた。台車は更に奥へとやってきたようだ。 職員が陽気な声で呟く。 「終点だよ」 部屋の中は真っ暗だった。れいむたちがアクリルケースの中で不安そうにきょろきょろと周囲の様子を伺う。 そして。 「うー☆ うー☆」 台車の上のゆっくりたちが一斉にしーしーをぶちまけた。 四、 職員が部屋の電気をつけるとそこには四匹のれみりゃがいた。どれも張り付いたような笑顔のまま、自由気ままに空を飛び回っている。 れみりゃたちは「うっうー☆」と言いながら、職員の下へと集まってきた。 その様子を見てれいむたちがアクリルケースの中で目を丸くする。 自分たちと同じようにれみりゃも人間が怖いはずだ。そう思っていた。 しかしどうだろうか。れみりゃは地面にあんよをつけて職員の足に頬を摺り寄せている。しゃがみ込んだ職員はれみりゃの頭を優しく撫でた。 ここはゆっくりの加工所。 この部屋に連れて来られるまで、ゴミ同然に弄ばれる数多の命を見てきた。どれ一匹、慈悲の言葉をかけられることなくただ淡々と潰されていた同胞たちの姿。 それなのになぜ。何故、目の前のれみりゃは人間を恐れず、また人間はれみりゃに対してこうも好意的なのだろうか。少しも理解が追い付かない。 「どうして、れみりゃも自分たちと同じゆっくりなのに、こんなにも扱いが違うのかっていうような顔をしてるな」 職員の言葉にれいむたちの表情が変わる。自分たちの考えていたことをピタリと言い当てられて戸惑っているようだった。 「体で教えてやるよ」 そう言ってアクリルケースの上に手を伸ばす職員。 ありすの金髪が乱暴に鷲掴みされて持ち上げられた。あんよをくねらせながら悲鳴を上げるありす。漏れ出たしーしーが滴のように床へポタポタと落ちていた。 「い、や……。と、とかいはじゃ……」 「そら、れみりゃども! 餌だぞ!」 ありすの言葉には一瞬たりとも耳を貸さずに右手に持っていたありすをれみりゃたちの中に放り込んだ。 顔面から床に叩きつけられたありすが、二度、三度とバウンドしてようやくその動きを止める。そして、ありすが泣きながら顔を上げようとしたその時だった。 「ゆ゛ぎゃあ゛ぁ゛!! い゛だい゛ぃぃい゛ぃ゛!!!」 四匹のれみりゃが一斉にありすに飛び掛かる。その鋭い牙がありすの皮に突き立てられて、あっという間に引き裂かれていく。カスタードが弾けるように宙を舞った。 ぶちぶちと引き千切られる髪の毛。カチューシャはとっくに毟り取られて近くに放り捨てられていた。 舌を絡めるような艶めかしいキス……ではなく、れみりゃがありすの舌に噛み付いてそれを引き抜きながら租借していく。 ありすは瞳孔を開き切ったまま、その目尻からカスタード混じりの涙をぼろぼろと流していた。 れみりゃがありすの唇を剥ぎ取る。そのまま、ありすの口を横に側頭部付近まで引き裂いた。 もはや、吐き出されているのか、漏れ出しているのか、それすらも分からないほどにありすの体内から流出していくカスタード。 「かひーーーっ、こひゅっ……ひっ、ひゅー、ひゅっ、……ッ!!!」 声は出せない。ありすの口は完全に破壊され、音を発することができなくなっていた。 目はずっと台車の上に載せられたアクリルケースに向けられている。助けを求めているのだろう。求めているつもりなのだろう。 ありすは、その二つの目玉をれみりゃに抉り出されて食べられるまで、アクリルケースを見つめていた。 それから激しい痙攣を起こし始めるありす。やがてその痙攣は止まり、今度はれみりゃがありすの体内を貪ることで残された皮が生き物のように蠢く。 「ゆげろぉぉぉッ!?? ゆ゛ぉ゛え゛ぇ゛ぇ゛ッ!!!」 「う、うわあぁぁぁ!!! あ゛でぃずがあ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」 目の前で繰り広げられる残酷で凄惨な弱肉強食の現実に、アクリルケース内のゆっくりたちは嫌悪感から中身を吐き出したり、叫び声を上げたりした。 ありすの残骸の上で羽をぱたつかせるれみりゃが嬉しそうにアクリルケースを眺めている。 その中のゆっくりたちは歯をカチカチと鳴らして震えていた。 今、ありすがれみりゃに捕食されるまでどれくらいの時間があっただろうか。短い時間ではないということだけは、どのゆっくりにも理解できた。 痛いのか。熱いのか。苦しいのか。泣きたくなるのか。中身を吐くのか。動けなくなるのか。 わからない。 “死”の感覚はわからない。今際の際にならねばわからない“死”の感覚にゆっくりたちは怯えた。恐怖であんよを動かすことができない。 「にんげんさんのいう、れいむたちがうまれてきたいみをおしえてくれる、っていうのはこういうことなの……?」 れいむが呟いた。れいむは震えていなかった。“死”を覚悟して受け入れたのだろう。穏やかな表情でアクリルケースの中から職員を見上げていた。 「ああ、そうだよ」 職員が平然と答えながらアクリルケース内のゆっくりを次々とれみりゃたちの元へ放り投げた。 れいむは動かない。綺麗な放物線を描いて、床に叩きつけられ、それかられみりゃたちに食い散らかせる仲間を見ながら、なおも職員に質問を続けた。 「にんげんさんたちのごはんになるか、れみりゃたちのごはんになるか……。れいむたちは、そのどっちかにしかなれないの?」 「何かになれるだけマシだろう」 「じゃあ、どうして、れみりゃは……れいむたちとおなじゆっくりなのに、にんげんさんにごはんさんをたべさせてもらえるの?」 「れみりゃは、お前らみたいなゴミを無償で食べてくれるからな。例えるなら、お前らが害虫でれみりゃは益虫なんだよ。……ああ、わからないか」 ぐちゃぐちゃに引き千切られていく、かつてゆっくりだった物。 れいむはそれをぼんやりと眺めていた。 あんなぐちゃぐちゃの姿になるまでは、ゆっくりしようと一生懸命頑張っていたのだろう。 必死になって食糧を探してゴミを漁り、死に物狂いでおうちを作って街の景観を損なわせたのだ。 れいむは一つの答えにたどり着いた。 (れいむ、ゆっくりりかいしたよ……) れみりゃたちがアクリルケースの中のれいむに向けて「うー☆」と合唱を始める。れいむを食料として欲しているのだろう。 (れいむたちみたいなゆっくりがいきようとすることが……にんげんさんたちにめいわくをかけちゃうんだね……) れいむのあんよが宙に浮いた。片方の揉み上げを掴まれ宙釣りにされる。 (……だから、にんげんさんたちにとって、れいむたちはいきてちゃいけないんだ……) 放り投げられたれいむがれみりゃによって滅茶苦茶に食い荒らされていく。 生きる意味などなかった。この世界で自分たちが生きて行くことの価値は見出せない。どこに行っても疎まれる。 それをゆっくりと理解した。釈然としない気持ちはあったけれども、それを覆すような力も知識も何もない。 れいむの存在した証が……体が、少しずつ失われていく。 薄れゆく意識の中でれいむは静かに呟いた。 ――れいむ、うまれてきてごめんね La fin 『存在価値』をゆススメに登録する
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『はじめてのしいく』 17KB 愛で 現代 愛護人間 お願いします。 anko2611 ゲスゆっくり奮闘記1 anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2 anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3 anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4 anko3456 れいむのゆん生 anko3458 まけいぬとゆっくり anko3461 ゆっくりに生まれて anko3484 ゆっくりブリーダー anko3489 休日とゆっくり anko3652 ドスについて anko3715 ゆっくりに餌を anko3729 はじめてのぎゃくたい 「」ゆっくりの台詞 『』人間の台詞でお願いします 誤字脱字失礼します HENTAIというジャンルに当たると思われます 『ま、まだ届いてないよね……』 春の日差しの中、小走りで駅から現在の自宅であるマンションに向かう私。 春とは思えない気温の高さに、背中に汗をかきながら進む私は今年大学生になったばかり。 そんな私は一人暮らしを始めるにあたって、あるペットを飼おうと決めていた。 昔から興味があって、でも実家にいた頃は親の反対により飼えなかったペットを。 マンションの自室の前についた私は、まだぎこちない手つきで部屋の鍵を開ける。 ちょうど私と同じタイミングで帰ってきたらしい隣人の、同い年らしい男の子に軽く挨拶をして、私は中に入る。 郵便受けを軽く確認して、まだ目当てのものが配送されていないことを知り軽く息を吐く。 羽織った前開きのパーカーを脱いで、ブラトップだけになる。 ボトムのジーンズに一瞬手をかけて、これから配達の人が来るのを思い出してとめる。 『我ながら良く出来たよね、うんうん』 私は、自分の部屋に目向ける。 向かって右の壁にベッドとテレビ。 部屋の真ん中には、小さな机。 そして左側のベランダ近くには、1メートル四方の犬などを入れる折りたたみ式のサークルが設置されている。 そこには、猫のベッドの様なものに、犬の餌入れ皿、白と黒の陰陽を表すボールなどが置かれていた。 これから届くペットの為のもの。 私は小さな胸が跳ね上がるほどドキドキするのを隠せずに、口元をニマニマさせてしまう。 そして、軽快に響く電子の呼び出し音。 『はーい!』 私は狭い部屋で、かける様に玄関に向かう。 『はいはい、お待たせしました!』 『あ、そんなに急がなくても平気ですよ』 玄関を開けると、配送のお兄さんが大きな段ボールを抱えて待っていた。 一瞬胸元に視線が来たけど、見られて恥ずかしがるほど無いので気にせず受け取り、サインをする。 そして爽やかな笑みを浮かべて去っていったお兄さんの背中を見送り、部屋に戻る。 少々重い段ボールをえっちらおっちら室内に運び込み。 『さぁて、まずは段ボールをぬぎぬぎしましょうねぇ♪』 自分でも引くような台詞を吐きながら、段ボールを開封する。 スイカが二個入りそうな段ボールのガムテープをはがし。 プチプチの梱包材をどかし、白いシートを剥がす。 見えてきたのは、発泡スチロールの小さな箱と大きなゆっくりフード2袋、更にオレンジの液体の入ったボトル2本。 そして、飼育説明書。 『うん、全部入ってるね……じゃあ、メイン、いっちゃいますか♪』 ブツブツ呟きながら、私は、発泡スチロールの箱を手に取り、ずっしり来るそれを開ける。 『う、うぉぉおおおおお、ゆ、ゆっくりだぁ♪』 中には、ゲームキューブほどの大きさの、黒髪に赤いリボンのゆっくりれいむが寝ていた。 私は、夢にまで見たゆっくりを飼う事が出来た感動に小躍りしてしまい。 直ぐに恥ずかしくなって、咳払い一つ。 そして、寝ているれいむをそっと部屋の隅につくったサークル、そこのゆっくり用のベッドに寝かせる。 「ゆぴぴ、れいむは、かわいい、んだよ、ゆぷー」 『くっはぁぁああ、可愛いぃぃいぃいぃい!!』 寝言がもはや可愛い。 私は小躍りしながら、跳ね回り。 とりあえず起きるまでは説明書でも読んで待つことにした。 ……。 …………。 『まぁー、大体書いてあることはネットと一緒ねー』 ビスケットを頬張りながら、片膝を立てて飼育説明書を読む。 内容は、普段利用してるゆっくり愛でサイトで聞いた話と大体一緒だった。 この飼育セットもそこで勧められて購入したものだから、事前に一通り聞いてある。 ここのゆっくりは実に可愛らしいとして有名らしい。 値段の割りに頭も良く、そして可愛らしい。 初心者にお勧めとのこと。 「ゆ、ゆゆ!? ゆっくりおきるよ!!」 『キター!!!』 れいむの可愛らしい声に反応して、私は飛び跳ねるようにして飼育書を放り出して立ち上がる。 そして巣に近付く。 最初の挨拶は〔ゆっくりしていってね!〕だ。 私はこれを言うのを楽しみにしていた。 何度動画観て鼻血を出しかけたことか知れない。 その願望が今叶おうとしていた。 唾を飲み込み、軽く息を吐き。 小さな胸を軽く叩き気合を入れる。 『ゆっくり 「ここをれいむのおうちにするよ!!」 していって、ね……?』 私の声にかぶせるように、れいむが何やら叫んだ。 『え? なんて?』 「ゆゆ!? なんでクソにんげんが れいむのおうちにいるの!? ゆっ、わかったよ、れいむのどれいになりたいんだね! いいこころがけだよ! まずはあまあまからだよ! そしたらびゆっくりをつれてきてね! そしたらしんでいいよ!!」 『え、え、えー? えー?』 ……なに、言ってるの? さっきまでの寝ていたときとは丸で違う、ふてぶてしい顔とイラつく笑みを浮かべたれいむは、休み無く私に暴言をぶつけてきた。 理想が崩れていくのを聞きながら、私はフラフラと頭を振る。 「なにしてるの!?! まずはあまあまだっていってるでしょクソどれい! さっさともってこいぃぃぃぃいいい!!!」 『え、えっとね、れいむ、私は、奴隷じゃなくてね、その……そう飼い主! 貴女の飼い主なの、ほら言ってごらん? おねーさんって』 「クソどれいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!」 『…………』 どうやら言葉が丸で通じないらしい。 私は痛みすら発しだす頭を抑えながら、飼育説明書を読む。 もしかしたら、何かしなくちゃいけないことをしなかったのかも知れない。 『…………別に、なんもない、よね?』 何度も読み返しても、何か特別な処置をしなくてはいけないという要項はなかった。 『じゃあ、あれが、愛で用のゆっくり、なの?』 「なにじでるんだぁぁぁぁぁああ!! あまあまよごぜぇぇぇぇぇえええ!!」 サークルの壁に鬼気迫る表情で体当たりを繰り返すれいむを見て、私は顔をしかめる。 『どうしたら、良いんだろう、これ……』 私は大きく溜息をついた。 ……。 …………。 結局私はれいむを飼っている。 返品ということさえ思いつかずに、気付けば期間外になってしまっていて。 それから私の生活はグチャグチャだ。 『れいむ! なんでトイレでしないの!? 片付けるの私なんだよ!?』 「そんなのしらないよクソどれい!! さっさとかたづけてあまあまもってこぉぉい!!」 『きゃぁぁぁ!!! なんで本がグチャグチャなの!?』 「それはあんまりおもしろくなかったよ! こんどはもってちゃんとしたおもちゃもってきてね!!」 『あ、あれ? ここにおいといた私の下着は、って、あんた! なにしてるの!?』 「ゆん? うるさいよ!! れいむはどれいのくされまむまむくさいしたぎに、こうきなれいむのうんうんをつけてあげてるんだよ!!」 『れいむぅぅぅぅうう!!!!』 「クソどれいぃぃぃい!!!!」 とまぁ、こんな感じになってしまった。 最初はれいむをサークルの中で飼って、なんとか躾けようとしていたんだけど。 れいむはサークルから出させと喚き散らして、それの五月蝿さで管理人さんに注意されてしまった。 だからサークルの入り口を開けてあげたら、今度はれいむは好き勝手に私の部屋を荒らしだした。 どれだけ言い聞かせてもまったく言うこと聞かなくて、色々な意味でもう限界だった。 ……。 …………。 『ん、れいむ、は寝た?』 深夜、れいむの後片付けで疲れた私は、ベッドにもぐりこむ。 薄暗闇の中で、れいむが寝ているのを確認して、そっと腰を浮かせて、パジャマ変わりのハーフパンツを下ろす。 下着も下ろして、枕元に用意しておいた厚手のタオルを手に取り股を通すように股間に押し当てる。 そのタオルと、股間の間に利き腕とは逆の手を潜り込ませる。 『んんっ、ふっぁ、んむっ、ぅっぁ……』 声を押し殺しながら、れいむに背中を向けるように丸まりながら自慰をする。 一人暮らし前は親の目のあったのもあったけど週に一回くらいだったけど。 れいむを飼いだしてからは、毎晩の日課になってしまっていた。 指で軽く擦るだけの稚拙な自慰行為。 だけど、まだ私にはそれで十分で。 一番敏感なそこを包皮の上から、ゆっくりゆっくり擦る。 滲み出る汁をバスタオルが吸収していく。 指が早く動くに大して、額に汗も浮く。 大きく出そうになる声を、枕を顔に押し当てて耐える。 そしてゆっくり絶頂を迎える。 『はっぁ、ふぅぅ…………私、変態みたい、毎日、毎日』 顔に押し当てた枕をどかして、新鮮な空気を吸い込む。 自己嫌悪に陥りながら、私がそっと布団をどかす。 股間に押し当てたバスタオルを抜きとり、まだ敏感なそこを軽く拭いてから、洗面所に向かう。 『明日こそ、れいむをビシッと躾けないと……これは、れいむのストレスのせいなんだから』 私は額に汗で張り付いた髪を流しながら、そう呟いた。 「…………」 ……。 …………。 『ん~、最近れいむが言うこと聞いてくれるようになったなぁ』 大学から帰り、となりの男の子に挨拶をして室内に入ると、れいむは特に部屋を荒らした後もなく、寝息を立てていた。 ここ数日、れいむが部屋を荒らしたり癇癪を起すことがなくなってきていた。 実に嬉しいことだ。 『私の躾が功をなしたのかなぁ、今度バッジ試験でも受けさせてみよっかなぁ』 ニコニコ笑いながら、私は冷蔵庫から出したウーロン茶を飲む。 「ゆぴー、ゆぷぷ、ゆぴー」 『…………』 私はそっとサークルを覗き込み、れいむが寝ているのを確認する。 『れいむー、起きてる?』 「ゆぴっ、ゆぷぷ、ゆすぷー」 私の声にピクリとも反応しない。 どうやらしっかり寝ているらしい。 『よし……』 私はそろそろと移動する。 そしてカーテンを締めて、玄関の戸締りも確認する。 『たまには、堂々としたいし、ね……うん、れいむの躾成功記念だし』 誰かに言い訳するようにそう言うと、ズボンと下着を下ろして壁に背中を預けながらゆっくりしゃがみこんだ。 れいむが悪さをしなくなってから、れいむのストレスを言い訳に自慰を出来なくなった私は、少々ムラムラしていた。 別に言い訳しなくてもと思うけど、まだ私としては自慰を悪いことと頭のどこかで考えていたので理由がないと罪悪感があった。 それでも、何日もの間毎日していせいでか、身体が味を覚えてしまい、れいむが良い子になってから少ししなかったらどうにもムズムズした。 それを何とか理性で押させていたけど、我慢は身体に悪いし、れいむ躾成功記念と言い訳して自慰をすることにした。 『ふっぁ、んっ……』 昼間から隠れもせずするなんて初めてのことで、最初はドキドキとしていたけどしばらくしていると慣れてきたのか普段より感じてしまう。 開放的な気持ちに良いながら、声を出しながら自慰を続ける。 気付けば靴下以外の、下半身から衣服が消えていた。 脚をパタパタ動かしながら、自慰に耽る。 一番敏感な部分をずっとずっと刺激して、もう少しで絶頂――。 「ゆふぁ、ゆっくりおきるよ!!」 『っ!?!?』 れいむの声に、どこかに飛びかけた精神が一気に身体に戻る。 咄嗟に下半身丸出しのままトイレに飛び込んだ。 『はぁ、はっぁ、ひっぁ、びっくりした……』 便座に座り込んで息を整える。 『…………』 上り詰めていった気分が霧散していくのを感じながら、そっと股間に手を這わせて。 「ゆっ! ゆゆ! かわいいれいむがかわいくたべるよ!」 『え? あ、やば、お菓子だしっぱだっけ!』 結局自慰を再開することなく、私はれいむの元に走った。 ……。 …………。 『…………ん、ん?』 その日の夜、寝ていたときに何かもぞもぞと動く感触があった。 まだ半分以上寝ぼけていた私は、大して気にもせず、睡眠欲に従っていたが。 僅かに下半身が涼しくなって、更に涼しくなって。 何か生暖かいものが触れて、完全に目が覚めた。 『ひっ……』 幽霊? 変質者? どっちでも最悪。 私はガクガクと震えだす身体と、カチカチなりだす歯を押さえられずにいた。 『ひぃっ!!』 それでも、生暖かい何かは私の太もも辺りを這い回り、粘っこい何かを押し付けてきて。 『やめ、こ、こわ、い』 ガクガク震える手で、何か鈍器でもないか探るが、枕元には何もなく、唯一あったのは携帯電話のみ。 その携帯電話を掴んで震えていたとき、生暖かい何かが私の一番敏感な部分に触れた。 『ぃひっぁい!?』 嫌悪感が背中を駆け上る。 噴出すように出た涙に押されるように、私は思い切り布団を跳ね除け、携帯電話の光るディスプレイをライト代わりに向ける。 そこには……。 「ぺーろぺーろ、げろまず……ゆ?」 『れい、む? なに、してるの?』 布団を上げた先。 私の足の間。 そこに寝ているはずのれいむがいて、ディスプレイの光に反射してヌラヌラ光る長い舌を私の股間に伸ばしていた。 『…………』 「…………」 『…………』 「……ぺーろぺーろ」 『ちょ、ちょっと、れ、れいむっ、やめっ!』 僅か目線を合わせた沈黙して、直ぐにれいむは伸ばした下で私の敏感な部分を舐めだした。 れいむと解ったからか、未知への恐怖がなくなったからか、さっきまで不快感でしかなかったものが微かな快感に変わった。 安堵したせいか、私がゆっくりを好きだからか、過去に一度だけ親戚の家で自分の秘所にマーガリンを塗って犬に舐めさせた経験のせいか。 私は、れいむの舌で快感を得てしまっていた。 それが我慢ならず、私はれいむに手を伸ばす。 『っく、っぁ、やめなさ、ぃひぎっぁ!??』 しかし、伸ばした手は、情けない叫びと共にびくんと動きを止める。 れいむが、その歯で私の一番敏感な部分を甘く噛み出した。 かつての犬と自分以外誰も触れたことのない場所。 そこを犬と違い、明確に目的を持った動きでれいむが刺激をする。 『ゃえ、てっ、れいむっ、そこ、んんっぁ! か、かまない、でっ!!』 れいむに伸ばそうとした手は、何もない空中を掴むように何度も握り離す。 やわやわと歯の上を転がすように刺激されて、背中にピリピリと電気のような快感が走る。 自分でするのとは丸で違う、どこかもどかしくて、それ以上に容赦のない、痛みすら感じる快感。 「ゆゆっ、れいむしってるんだよ! クソどれいがまいばんひとりすっきりーしてるって!」 『な、なにを!?』 私のそこをアマ噛みしながらなのに、れいむはしっかりと発音して告げる。 「すっきりーしてくれるあいてのいない さびしいどれいは いっつもよるになると ひとりすっきりーしてるんだよ! れいむうるさくてねむれないんだよ! クソどれいはかわいくないから いつまでたってもひとりすっきりーしてて、れいむのあんみんさんに めいわくだよ!!」 れいむの馬鹿にしきった、悪意ありありな台詞に頭に血が上る。 『あ、あんたんねぇ!』 カッとなり、今までのこともあり私は手を振り上げる。 しかし……。 『んっくぅ!!?』 「まだクソどれいはじぶんのたちばがわかってないの? ほんとうにバカだね!」 れいむが強めに、そこを歯で押しつぶした。 痛みと眩暈するような快感に手足から力が抜けて、振り上げた手も落ちる。 『やめ、て、ぇっ!!』 私の声に反応するように、歯の上で敏感な部分を刺激する。 涙が噴出し、手足が思うように動かない。 「ゆっふっふっふ、もしクソどれいが れいむになにかしようとしたら、そしたらこのまめさんをおもいっきり かみかみするからね!」 『ひっ……』 今でさえそこそこの痛みが走るそこを、噛まれる。 その想像に、怯えてしまう。 ゆっくり相手に、私は脅迫を受けていた。 「わかったらそれでいいんだよ! クソどれいはれいむがきょうっいくしてあげるよ!!」 『なにを、いって、ぃんぎっぁ?!』 れいむが、そこに吸い付いてきた。 今まで感じたことのない衝撃に、目の前がチカチカする。 手足は出鱈目に動いて、歯がカチカチと鳴る。 私はその日、明け方までれいむの、ゆっくり如きの口で絶頂を繰り返し与えられた。 れいむは私の汁でふやけかけたけど。 ……。 …………。 「クソどれい! さっさとあまあまだよ! あさはシュークリームさんってきまってるんだよ!!」 『う、うん、ちょっと、待っててね、今出すから』 れいむにされてから、二週間。 完全に私はれいむの支配下にいた。 れいむの言うことを聞いて、れいむに従う。 私の生活はれいむの奴隷だった。 冷蔵庫に向かう私にれいむがニヤニヤ笑いながら近付いてきて、ぴょんと跳ねる。 れいむに命令されてはいてるスカート、そこから伸びる糸をれいむは咥えて引っ張った。 『ぃぎっぁ!?!?』 糸を引かれた瞬間、私は腰を引いて無様に足をガクガク揺らす。 れいむの咥えた紐、その先端に取り付けられた挟む力の弱いピンチは私の一番敏感なそこに取り付けられている。 そこを引っ張られたのだがら、目の前が真っ白になる。 これはれいむが考えた、私への簡単お仕置き器具。 4日前から家ではつけることを厳命されている。 れいむが好きなときに私にお仕置きできるようにと。 『れい、む、は、はなし、て、えぇぇぇ!!』 「これはおしおきだよ! クソどれいがノロノロしてるからおしおきだよ!」 れいむは紐をクイクイ引っ張り、刺激を与えてくる。 私はその刺激から逃れようと、脚を曲げて腰を落として、最終的には床に這い蹲る姿勢になってしまう。 『ぃ、ぐぅぅ、や、めて、ほんと、だめ、なの、マジで、ぇっ』 「ゆふん! これくらいにしてあげるよ! さっさとよういしてね!」 『はっぁ、はぁ、はっ、んっ』 れいむが飽きたのか糸が開放される。 開放されても、しばらくはじんじんと痺れる感覚に脚が震えてしまう。 でも、無理にでも立たないとまたれいむにお仕置きされる。 私はフラフラの脚で、立ち上がって冷蔵庫をあけた。 『私、ゆっくり飼うの、向いてないの、かなぁ……』 「まだ!? またおしおきされたにの!?」 『え、あ、ご、ごめん! 直ぐ持ってく!』 溜息つく間もなくせかされて、私は慌てて、シュークリームを持って走った。 ……。 …………。 『あっ、く、んっ、は、はっぁ、んんっ!!』 「ほら、さっさとあるいてね! れいむがさんぽしてあげてるんだから!」 『う、うん、あっぁ、ぃっぁ!?』 休日の天気の良い午前。 私は、シャツにカーゴパンツのラフな格好で公園のへの道を歩いていた。 れいむは私の一歩前をぽよんぽよん跳ねる。 そのれいむは口に糸を咥えて、その糸は私のズボンの裾に消えていた。 いつものお仕置き糸を長くしたもので、当たり前に先端につけられたピンチは私の敏感な部分を刺激していた。 一ヶ月前は小さかったその部分も、度重なる自慰とれいむからの刺激でか最近僅かに大きくなった気がしている。 そこを刺激され、まるで犬がそうされるように、れいむにリードされながら歩く。 真っ赤な顔を伏せ、人とすれ違うときにドキドキしてしまう。 もしバレたら、ゆっくりを使ってえっちなことをする変態と思われてしまう。 なので、必死に平静を装いながら歩いた。 公園についたら、休憩としてベンチに座っていたら。 マンションので隣に住む男の子と鉢合わせてしまった。 最初はまずいと思ったけど、男の子は私と同じくれいむを連れていた。 それでついつい話し込んでしまった。 彼のれいむは、私の、会話の隙を見て糸を引っ張ってくるのとは違い。 可愛く純粋で、私の理想に見えるゆっくりだった。 それを羨ましく思っていると、また糸を引っ張られた。 男の子の前で無様な姿を晒さないように耐えていたところ、いつの間にか彼のれいむがいなくなっていた。 それを指摘すると、彼は慌ててれいむを探しに公園の奥へ消えていった。 それから10分ほどして、また彼を見かけたけど。 彼は叫び悶える、まりさとありすを掴んで、荒い足取りで私には目もくれず去っていった。 私は何となく、そのときの男の子の目が印象に残った。 ……。 …………。 隣の男の子とは、あれ以来大して交流もなく私は大学3年になった。 『…………』 そして、れいむが死んだ。 昨日の夜まで、私を虐めていたれいむが、死んだ。 ゆっくり寿命から見て、普通くらい生きたんだと思う。 異様に大きくなってしまった、れいむにだけ弄られ続けた股間のその部分を軽く触りながら。 恋人も、大して友達も作れず。 ただれいむと過ごした今日までを薄っすら思い出して。 冷蔵庫に大量に詰まったお菓子を思い出して。 私は呆然と、ただ呆然と呟いた。 『私、ゆっくり飼うの、向いてないなぁ……』 あとで聞いた話だけど、私が買ったゆっくり飼育セット、その販売会社はかなり評判が悪いらしい。 でも、私が行っていたサイトにはかなりの業者がいて、そこで初心者を騙してに売りつけるらしい。 入ってるゆっくりが希望と違うなんて当たり前、種族まで違ったり、中には一時期流行った性玩具ゆっくりや、ゲスまで来ることがあるらしい。 まぁ、私にはもう関係のない話だけど。
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『ありふれたつまらない疑問』 25KB 観察 自業自得 日常模様 群れ 野良ゆ ゲス ドスまりさ 現代 虐待人間 独自設定 あつがなついと変なことばかり思いつく 気ままあき ゆっくりは何故ゆっくりできないのだろうか? 俺は時々そういうことを考える……何故ならば疑問だからだ。 ゆっくりはどうしてもゆっくりできない。彼女たちが求めるものは人間とそう大差ないというのに。 「おでがいじまずぅぅぅっ!でいぶたちをかいゆっぐりにじでぐだざいぃぃぃっ!」 「もうのらはいやなのじぇぇぇっ!おにゃかすいちゃのじぇぇぇぇっ!」 「きゃわいいれいみゅをゆっくちしゃせちぇぇぇぇっ!ゆんやぁぁぁ!ゆんやぁぁぁぁぁっ!」 街の歩道のすみっこでゆっくり親子が悲痛な叫び声を上げている。 親でいぶのリボンになにか引きちぎられた跡がある所を見るに、 元飼いゆっくりがおちびちゃんを作ったことで怒った飼い主に捨てられ 野良生活に適応できず飼いゆ生活に戻ることを夢見て道行く人間に懇願……といういつものパターンだろう。 「でいぶはもときんばっじのかいゆっぐりでじた!ごはんざんにもんぐいいまぜん! おといれもきめられたばしょでできまず!だがらでいぶをかってぐだざいぃぃっ! せいしんっせいいっ!にんげんざんをゆっぐじざぜまずがらぁぁぁぁっ!」 もちろん通行人たちはでいぶ親子になんか目もくれない。 もうみんなわかっているのだ……このでいぶは人間をゆっくりさせる気などさらさらないという事に。 今はただ腹がすいてひもじいから安いプライドを捨てて下手に出ているだけ。 本当に欲しいのはあまあまと快適なゆっくりプレイスと美ゆっくりだけ。ただそれだけ。 それさえ手に入れれば元の飼い主相手にしたように手の平を返して新しい飼い主を奴隷呼ばわりするだろう。 ……何故ならゆっくりは反省する事ができない生き物だから。 「ゆんやああああああっ!どぼじてでいぶのおはなしをだれもきいてぐれないのぉぉぉぉっ!?」 「まりちゃしゃまがおにゃかすいちゃっていっちゃるでしょぉぉぉっ!」 「いいかげんにちないとれいみゅおきょりゅよ!ぷきゅー!」 通行人にことごとく無視されている内にたちまちゲス気質をあらわにするおちびちゃんたち。 この様子だと飼いゆのでいぶが野良のゲスまりさを引き込んで勝手にすっきりー!をしてできた子供だろう。 そのゲスまりさがこの場にいないという事は元の飼い主に潰されたか、 もしくはでいぶにこき使われた挙句に過労死したか……いずれにしろロクな末路ではなかったはずだ。 「もうがまんのげんっかいなのじぇ!まりちゃをゆっくちしゃせないげしゅにんげんにゆっくちち」 ぐしゃっ 無視され続けたことに逆上したまりちゃが通行人の方へ飛び出していき……そしてあっけなく踏み潰された。 踏み潰したのはイヤホンで音楽聴いている学生だ。 おそらく音楽に夢中でまりちゃが叫んでいたことも、足元に飛び出してきたことも、 そして踏み潰した事にも気がついていないに違いない。 「ゆっ?…………ゆぎゃあああああっ!でいぶのかわいいおちびじゃんがぁぁぁぁっ!?」 「れいみゅのおねえちゃんがぁぁぁぁっ!」 「ゆがあああっ!でいぶのおちびじゃんをごろじたげすにんげんはゆっくりしないですぐでてぎでねぇぇぇっ! ぞじだらしゃざいとばいっしょうっをせいきゅうするよぉぉぉぉっ! あばあばをでいぶにたくさんよこしてねぇぇぇぇっ!もちろんたくさんでいいよぉぉぉぉっ!?」 「はやきゅよこちゃないとれいみゅがぷきゅー!ちゅるよっ!」 これだ。自分の子供が殺されたというのにあまあまの方が大事なのかと言いたくなる物言い。 一見怒り嘆いてるように見えるが実際でいぶは子供の死を悲しんでなどいない。 考えている事はどうやって人間からあまあまをたくさんせしめる事ができるか?だ。 死んだ子供など、もはやでいぶにとって路上のゴミ同然なのだ。 子供が殺されたというのに考える事は自分のゆっくりだけ。自分さえゆっくりだけできればそれでいい。 その為に理不尽にも子供を人間に殺されたかわいそうなでいぶという悲劇のヒロインを装っているだけなのだ。 こういう俗物すぎる所もゆっくりが人間に見捨てられる原因の一つといえよう。 「はやくでてごいぃぃぃっ!ゆっくじごろじのぐぞにんげんんんっっ!でいぶにどげざしてあばあばよこぜぇぇぇっ! ぞじだらでいぶたちをかいゆっぐりにじろぉぉぉっ!でいぶはかわいぞうなんだぞぉぉぉぉっ!!」 「はやきゅちてにぇ!どれだけれいみゅをまたしぇればきがしゅむのぉぉぉっ!?ばきゃなの?ちぬのぉぉぉ!?」 歩道の隅っこでいつまでもいつまで醜く顔を歪ませて叫び続けるでいぶ親子。 俺はその様子を見て場を離れた。もうあの野良親子はダメだろうと思ったからだ。 下手に出ていれば万に一つぐらいの確率でお人よしに拾われる可能性もあったが、 親子揃ってゲス気質を剥き出しにした時点でその万に一つの可能性も消えた。 ゲスの行き着く先などたかが知れている。 「ゆっ?ようやくでてきたねこのゆっぐりごろじ!ぐぞに……に、にんげんさん!?でいぶになんのようなの!? も、もひかんのにんげんさんはなんかゆっぐりでぎないよっ!や、やべてね!やべてね!? ゆんやあああああああっ!でいぶおうちかえるぅぅぅっ!?」 「れ、れいみゅきゃわいいでしょ?だきゃらぎゃくたいちないでにぇえ?ぎゃくたいちないでにぇぇぇぇっ!?」 「ヒャッハァ――ッ!ゲスでいぶどもを虐待だァァァァァっ!」 ほらな。ゲスゆっくりに引き寄せられるのはお人よしの愛で人間ではない……虐待鬼意惨だけだ。 虐待鬼意惨。ゆっくりに対して悪意しかもたない人間。 幼稚園児以下の知能しかもたないゆっくりをあの手この手で嵌めて痛めつけて虐め殺すことに喜びを見出す人間。 まあ虐待する事がいけないと言うほど俺はゆん道主義者じゃないが……ただ疑問なのだ。 他の生き物ならば殺されることはあってもこうまで執拗に痛めつけられ虐待されることはないはずだ。 何故ゆっくりだけが人間にここまで虐待される……? 「ゆっへっへっ!おいそこのくそにんげんっ!そのてにもったごはんさんをまりささまによこすんだぜぇぇぇっ!」 とあるスーパーの前でこれまた野良と思われるまりさが、ちょうど店から出てきた主婦相手に恐喝をしていた。 ゆっくりは……主にまりさ種は己を最強だとなんの根拠もなく思い込んでいる。 最強。その仮初めの称号がまりさ種のアイデンティティーのすべてである。 まあ最強という言葉に憧れるという気持ちはわからんでもない。 人間の男ならば誰しも最強に憧れることがあるだろう。 だがほとんどの男はやがて上には上がいることを思い知りその妄想の具現化を諦める。 自分が最強だと生まれてから死ぬまで本気で思い続けるのはまりさ種だけだ。 誰と出会っても、いい年した成体になっても、ボロクソに負け続けても、 死ぬような目にあって惨めに命乞いしたとしても、いやたとえ殺されたとしても。 それでも自分は最強だと自負する。負けたのは卑怯な手段を使われたからノーカウントなのだと。 最強のという幻想の中にひたすら逃げるのだ。ここまでくるともう一種の宗教にしか思えない。 「おい!どこにいくのぜぇぇぇっ?さいっきょうのまりささまにおそれをなしてにげるきなのかぜぇぇぇっ!?」 恐喝された主婦は野良まりさなどまるで相手にせず、 さっさと駐車場に停めてある自分の車にいき荷物を積み込んだ。 野菜だの肉だの一週間分はあると思われる量を買い溜めしたのだろう大きな袋を四つもぶら下げていたのだ、 さっさと重い荷物から解放されたかったに違いない。 「ゆひぃ……ゆひぃぃぃっ……ま、まつのぜこのくそばばあぁぁぁ……!」 積み終えたその頃になってようやく野良まりさが息を切らせつつ駐車場にやってきた。 車に辿り付いた時にはもう主婦は車に乗り込んでエンジンをかけている。 野良まりさは軽自動車の前にいくと勝ち誇った顔をして挑発を再び繰り返した。 「ゆふんっ!すぃーにのりこんだのかぜ?たかがすぃーにのったていどで さいっきょうっのまりささまにかてるとでもおもったのかぜ? おおっおろかおろか!そんなわけないのぜぇぇぇぇっ!でもまりささまはかんだいだから、 ばばあがすぃーにのったままでまりささまとたたかうことをゆるしてやるのぜ!」 ブロロロロ……! 「ゆふふっ!みえる!みえるのぜ!めをとじればまぶたのうらがわさんに、 まりささまのさいっきょうっあたっくでふっとぶばばあとすぃーのすがたが! さあじゅんびはいいのかぜ?まけたらどげざしてあまあまをよこすのぜ! そう!いまここからはじまるのぜぇぇぇっ!まりささまのさいっきょうでんせつが……ぶびゃっ!?」 「あら…?なにか轢いたかしら?」 野良まりさは発進した軽自動車の前輪に轢かれ一瞬で潰されて死んだ。 車内の窓をすべて閉めきって冷房をつけてた為、主婦は当然まりさのセリフなんぞ聞こえていなかった。 まりさが勝手に一人で盛り上がって勝手に一人相撲をして死んだだけだ。 誰にも相手にされず。戦うことすらさせてもらえず。 車が走り去った後の駐車場に残されたのは轢かれてアスファルトにこびりついたまりさの皮と餡子のみであった。 と、俺はその様子を駐車場の外から見ていたのだが…… そのとき近くでゆっくりのものと思われる不快な笑い声が聞こえてきた。 どこから聞こえてくるんだと辺りを見渡してみたら、 すぐそこの物影に野良まりさが3匹ほどいてニヤニヤほくそえんでいる。 「ゆぷぷ!ばかなのぜあのまりさっ!なにがさいっきょうっなのぜ?たかがすぃーごときにつぶされる さいっじゃくっがそんなことばをいうのはひゃくねんはやいのぜ!」 「まったく、ゆっくりしていないまりさはよわいよわいなのぜ!おなじまりさとしてはずかしいのぜ!」 「ゆっくりしているまりさだったらあんなすぃーなんてしゅんっさつっなのぜ!」 「「「よわっちいまりさはまったくゆっくりできないのぜぇぇぇっ!げらげらげらげらっ!!」」」 ゆっくりしている自分なら勝てる。負けるのはゆっくりしていないから。 これほど状況分析がまったくできてない感想というものは他の生き物ではちょっとないだろう。 ゆっくりしていようがいまいが軽自動車に轢かれたら死ぬというのに。 だがこの反応は自身の「強さ」をゆっくりの基準とするまりさ種に相応しいものともいえる。 死んだゆっくりは弱い、ゆっくりできない奴だと見下し、自身の強さ?に酔いしれる…… まりさ種は死ぬまでそうやってゆっくりしようというのだろう。もっとも… 「フーッ!」 「ゆっ?のらねこがなんのようかぜ!これはまりささまがみつけたなまごみさんなのぜ!」 「ミャーオ……シャーッ!」 「やるのかぜ!さいっきょうっのまり…ゆぎゃああああっ!まりざのおべべがぁぁぁっ!」 「ニャアッ!」 「やべでええええっ!ばりざのびはだをひっががないでぇぇぇぇっ!?」 「おかざりがぁぁぁっ!まりざのおぼうじざんやぶがないでぇぇぇぇっ!」 「うごきがはやすぎるよぉぉぉぉっ!どぼじでくそねこにがでないのぉぉぉっ! ばりざはゆっくじじでるんだよぉぉぉぉっ!?ゆっぐじじでいるゆっぐりはつよいんだよぉぉぉぉっ!?」 もう行くかと歩きはじめた俺だが、突然背後から悲鳴が聞こえたので思わず振り返ってみた。 すると車に轢かれたまりさを見て馬鹿笑いをしていた三匹の野良まりさが野良猫の襲撃にあっている。 ふむ……恐らくこの三匹は野良猫の餌場(ゴミ捨て場)を荒らしたのではないだろうか? 猫の爪で片っぱしから引き裂かれた野良まりさどもの帽子の中から生ゴミが出てきて地面に散乱したからだ。 猫だって野良となれば生き抜くのに必死だ。自分の餌場を荒らす者に容赦はしないだろう。 「ウニャアッ!フゥゥゥ――――ッ!」 「もういやじゃ!おうちがえるぅぅぅっ!ゆぎゃっ!」 「やべでよぉぉぉっ!なんでごんないじわるずるのぉぉぉぉっ!?ばりざたちだっでいぎで」 「ニャッ!」 「ゆぎぃぃぃっ!ずびばぜん!ずびばぜんっ!もうくちごたえしないからひっかくのやべでぇぇぇぇっ!」 野良猫に容赦はない。人間と違って言葉も通じないから命乞いも抗議も通用しない。 ただひたすら小さな爪で全身をひっかかれ、帽子を引き裂かれ、髪の毛に噛み付かれてぶちぶち引き抜かれ、 肉球パンチやキックでころころ転がされる。 人間が見たら猫がゆっくりとじゃれあっている微笑ましい光景に見えるかもしれない。 だが当のまりさ達にしてみれば遊んでいるどころの騒ぎではない。 強い野良猫に暴力でもって一方的にいたぶられているだけだ。 「そろーり!そろーり!くそよわなまりさたちがくそねこにやられているすきにせんせんっりだつっするのぜ! これはにげるんじゃないのぜ!せんりゃくてきてったいっなのぜっ! あとでむれのみんなをひきつれてくそねこをせいっさいっするのぜぇぇぇぇぇっ!」 一匹だけ無傷な野良まりさが他二匹が野良猫にいたぶられている隙に逃げようとする。 だがそんなトロい逃亡を見逃すほど猫はノロマじゃない。 たちまち大声で好き勝手なことを言いながら逃げる野良まりさに気付いて襲いかかった。 「ウゥゥゥ――ッ!ニャンッ!」 「ど、どぼじでごっちぐるのぉぉぉっ!?や、やべでね!ばりざにひどいごとじないで……ゆんやああああああっ!」 後はもう見るまでもないと思い俺は背を向けて歩き出した。 まりさ種が盲信する「最強」のなれの果てとは大抵こんなものだ。 彼女らが求める最強はいつも妄想の中だけにある……現実には存在しないものなのだ。 「ゆゆーん!きゃわいいまりちゃがゆっくちうまれりゅよ!」 「せかいじゅうのみんなでれいみゅのたんじょうをしゅくふくちてにぇえ!」 「あみゃあみゃをいっぴゃいよういちて、れいみゅたちがうまれりゅのをまっちぇちぇにぇ!」 自販機で缶コーヒーを買って公園で一息ついていたら、赤ゆっくり特有のキンキン声がどこからか聞こえてきた。 どこから聞こえてくるのだろう?とその辺を歩きながら公園内を見渡してみたら なんとゴミ箱の中から聞こえてきた。俺は思わずゴミ箱を覗いてみたのだが…… そこには汚いなにかがが無造作に捨ててあった。 それは元れいむ……だったのだろうか?ゴミ箱の中にはゆっくりのなれの果てと思われるものが捨ててあった。 全身に打撲の跡があり、片目は潰れ、髪の毛やお飾りも引きちぎられている。口から餡子を吐いていた。 恐らく人間にやられたものだろう……これはどう見てももう死んでいる。 虐待鬼意惨にやられたのか、それともれいむの方から人間につっかかって返り討ちにされたのか…… その詳細はわからない。わからないが母体がすでに死んでいるのにもかかわらず 頭に生えた茎からまりちゃとれいみゅが合わせて三匹ほど生れ落ちようとしていた。 「ゆぴっ!……ゆっくちちていっちぇにぇえ!」 「ゆっ?おかあしゃん?おとうしゃんどこにいるにょ?ゆゆっ?く、くちゃいぃぃぃぃっ!?」」 「ゆえええん!おにゃかちゅいたぁぁぁぁっ!くちゃいのやらぁぁぁぁぁっ!! はやきゅきゃわいいれいみゅにあみゃあみゃをたべしゃせちぇにぇぇぇっ!たくしゃんでいいよっ!?」 俺は赤ゆどもが誕生したとたんにゴミ箱を覗くのをやめてすぐ近くのベンチに腰掛けた。 なぜって野良ゆっくりとは関わり合いになりたくないからだ。 どうせ目を合わせればあまあまよこせだのゆっくりさせろだのと命令されるだろうし。 のんびり缶コーヒーを飲んでいると最初はお父さんお母さんだのとビービー泣き喚いていたが、 すぐに少ない体力が尽きたのかブツブツ呟くだけになってきた。 そんなに腹がすいているのなら母親のなれの果てでも食べたら?と思うのだが、 れいみゅのセリフから考えるにどうも死臭が酷くて食べるどころの話ではないようだ。 「どぼじでぇ……どぼじておとうしゃんもおかあしゃんもいないのじぇぇぇぇ……」 「おなきゃかすいちゃ……くちゃいのやりゃ……あみゃあみゃたべちゃい……」 「にゃんでだりぇもれいみゅをゆっくちしゃせちぇくれにゃいにょ……?こんにゃのりふじんりゃよぉぉぉっ……」 それにしてもなんでゆっくりさせてくれないの、か。 ゆっくりならば誰もが自分は世界中から祝福されて産まれたとか、特別な存在だとかそういう事を言う。 そして人間ならばその言い草にピキィ!とくる人は多いだろう。 しかしどうしてなのだろう?どうしてゆっくりの誕生はごく一部の例外を除いて誰からも祝福されないのだろうか。 どうして人間は赤ゆっくりの言動行動ごときにこうまで心をかき乱される程のイラつきを覚えるのだろうか? そう問われれば人は理由なんかいくらでもつけるだろう。 言葉使いがムカつくだとか、キリっとしたドヤ顔が気に入らないだとか、 頭がバカのくせに態度がでかいのが癇に障るとか、身の程をわきまえずに奴隷呼ばわりするとか…… いくらでも理由はあるはずだ。だがそれでも俺は思うのだ。赤ゆにイラつくというその感情は…… もっと言葉では言い表せない別の……何かが根底にあるのではないかと。 理屈抜きに人間をイラだたせる「何か」がゆっくりにあるのではないかと。 ひとつ分かっている事はゆっくりという種は基本的に単独では生きられない種族だということだ。 弱肉強食のこの世界にあって弱いという事は致命的だし、 何故か絶滅はしないが繁殖力もとりわけ高いというほどでもない。 野性の群れを見れば一目瞭然だろう。ゆっくりが自活しようとしてもその愚かさ非力さゆえに 短いサイクルで興亡を繰り返していることがよくわかる。 ゆっくりは……そう誰か強者の庇護を受けてはじめて満足に生きることができる脆弱な存在なのだ。 その強者とは誰か?もちろんこの惑星の支配者である人間しかいない。 ゆっくりという種族は人間の庇護を受けなければ生きていく事も、ましてやゆっくりする事もできないのだ。 なのにゆっくりはこんなにも本来守ってもらうべき存在である人間に嫌われている。 それも嫌われている主な理由というのがはっきりとした理屈ではなく曖昧な感情的な何か。 よくわからないがとにかくゆっくりは見ててムカつくという理不尽。 だから俺は思う。ゆっくりはどこかでボタンをかけ間違えたのではないか……?と。 本来ゆっくりは人間に愛され庇護されるべき存在になるはずだったのではないか? だがいつかどこかで人間となんらかのすれちがいが起きたのではないか? そのすれちがいとは具体的にどういったものなのかは俺にもわからない。だが何かが起きた。 きっとそれはほんの少し何かがズレただけの些細なことに違いない。 だがそれだけで充分だったのだろう。結果人間はゆっくりのやる事なす事にいちいちイラつきを感じるようになった。 愛らしいとか、ゆっくりしているとか、かわいいとか、そんな事はほとんど思わなくなってしまった。 やがてゆっくりは人間にとってうっとおしい害獣や敵として認識されるようになった。 その命は紙のように薄くなった。無造作に群れごと滅ぼされる虐殺も当たり前になっていった。 そして……今ではもう通常種のゆっくりは虐待鬼意惨と一部の愛で派を除いてほぼ誰にも相手にされなくなったのだ。 「ゆぴぃ……ゆぴぃぃぃ…」 「もっちょ……ゆっくち……ちたちゃかっ…ちゃ……」 「……」 ……と、ぼけーっとそんなことを考えているうちにゴミ箱の赤ゆっくりたちは永遠にゆっくりしつつあるようだ。 誰からも祝福されず、なにも与えられず、なにも教えられず、なにも理解しようともせず、 なにも得られず、何も残さず無意味に生まれそして死んでいく。 あの赤ゆっくり達の死に様はゆっくりという種そのものを象徴しているといっていいかもしれない。 俺は飲み終わった缶コーヒーを缶専用のゴミ箱に放り投げると公園を後にした。 「えーと。きょうのおかいものはたくさんあるのぜ!じゃがいもさんに、にんじんさんに、おにくさんに…… ゆっ?ばんごはんさんはかれーさんなのかぜ?」 公園を出てしばらく歩いていると、買い物メモをもってブツブツ言ってる胴付きまりさに出会った。 身なりは清潔そのもの、黒帽子に金バッジが燦然と輝いているところを見るに当然飼いゆっくりなのだろう。 胴付きゆっくりは通常種であっても希少種と並んで人間に特に愛されるゆっくりだ。 ……ゆっくり、特に通常種は人間の庇護を失った。だからもう自分たちの力のみで生きていかなくてはならない。 だが自然環境はゆっくりにとってあまりにも苛酷である。 それでも生きていかなくてはならないがあまりにもゆっくりできない生活を強いられる。 そのゆっくりできない状況を打破したいという思い込みの強さからか、 ごく稀にゆっくりの中でこの状況に合わせて進化……というか突然変異した種が2ついる。 その1つがこの胴付きゆっくりだ。 胴が生やして人間に近い容姿になり、人間に近付こうとするゆっくりの変異種。 胴付きになると思考もゆっくり寄りから人間寄りになるのか、 人間のルールをよく理解し、番を欲しがったりするとかしなくなるらしい。 ゲス化も稀であり、飼い主にとって理想的なまでに善良な個体が多いのだそうだ。 飼い主が男性の場合は特によく懐くようで時としてHENTAI行為をする仲にすらなるらしい。 胴付き化はまさにゆっくりが人間の寵愛を取り戻そうとする願望の表われといえるのではないだろうか? 俺にはそう思えてならない。 そして突然変異した種の2つめは…… 「にんげんさんはどすのむれにおやさいをちょうだいね!たくさんでいいよ!」 「「「「「ちょうだいね!」」」」」 ……男が物思いにふけっているちょうどその頃。 どこぞの山あいの村にドスまりさとその群れのゆっくりが山から降りてきた。 そして畑で働いている村の人間達に野菜を差し出せと要求する。 ドスに率いられたゆっくりの数は40~50体ほど。ドスと共に来たのは成体ばかりなので 群れに残してきた非戦闘員の家族を含めると総数はだいたい100~120体ぐらいの群れであろうか? ドヤ顔決め込んでいるゆっくり達とは裏腹に、村の男たちは冷めた目でドスとその群れのゆっくりどもを見ている。 「ゆっ?なにしてるの!どすはおやさいがほしいっていったんだよ!」 「むきゅきゅっ!しかたないわよどす!にんげんはあたまがわるいいきものなんだから!」 「おおっあわれあわれぇぇぇっ!これだからくそにんげんはゆっくりしていないというのぜぇぇぇっ!」 「ゆふんっ!どうでもいいからさっさとでいぶにおやさいよこしてね!ぐずはきらいだよっ!」 「ちぇんはおなかすいてるんだねー!わかれよぉぉぉぉっ!」 「ゆっくりしているおやさいはとかいはなありすにこそふさわしいわ!」 ドスまりさ。ゆっくりをゆっくりさせてくれる存在として崇められているまりさ種の突然変異種。 なぜドス化するのかは胴が生えるのと同じで今だにその原理は明らかにされていない。 ただ俺は……ドス化もゆっくりがゆっくりしたいという願望の表われなんじゃないかと思っている。 ゆっくりは人間という絶対的な強者の庇護に代わる、新たな拠り所が欲しくなったのではないだろうか? 父親のように偉大で……力強く……頼りがいがあってそしてゆっくりさせてくれる、そんな大きな存在を。 ドスまりさはその条件をすべて満たしているといっていい。 ドスまりさが出現した場合ドスが群れの長を務る場合が多いのだが、 群れのゆっくりがゆっくりしている度合いが他の種が長をしている群れのゆっくり達とでは全然違うらしい。 群れの長というよりは群れのゆっくりみんなの父親……それがドスまりさという存在なのだろう。 父親みたいな存在だから群れのゆっくりはみんな自分のおちびちゃんのようなものでかわいい。 出来の悪いゲスがいても困ったものだといいつつも余計にかわいく思うのかもしれない。 ドス化したまりさがゆっくりをゆっくりさせようと強烈に思うのは大体こんな所ではないのだろうか。 だがかわいいかわいいと群れを甘やかしてゆっくりさせてばかりいると 群れ全体が身のほど知らずのゲスとなるわけで……当然ドスも単なる親バカになる。 「むれのみんながおやさいをたべたいといっているんだよ!はやくもってこないとどすすぱーくをうつよ!」 「いいからどすすぱーくをうっちゃいなさいよどす!おやさいをひとりじめするいなかもののにんげんに ちからのさをおもいしらせてやるべきだわっ!」 「そうだぜぇぇぇっ!やっちまうのぜぇどすぅぅぅぅぅっ!」 「くそにんげんをひとりやふたりころさないとばかだからおやさいをさしださないんだねー!わかるよー!」 「ゆゆっ!むれのみんながそういうんならどすはいぞんないよ!むーしゃ!むーしゃ!いくよ!どすすぱー……」 「うっるせぇぇぇぇっ!!」 「ゆぼぉっ!?」 ドススパークの発射体制に入って身動きできないドスの身体に、若いお百姓さんがいきなり鍬を突き立てた。 そのまま農耕で鍛えた膂力でドスまりさの無駄にでかい身体をを鍬でめった刺しにする。 「黙って聞いてりゃ好き勝手抜かしやがってよぉぉぉ!夏野菜の収穫で忙しいこの時期に来るとは舐めてんのかてめえ!」 「ゆぎぃ!ゆぎゃぁぁぁっ!お、おばえぇぇぇっ!どすにこんなことしてただですむと」 「やっかましぃぃぃぃっ!仕事の邪魔なんだよォォォォっ!早く死にやがれぇぇぇぇっ!!」 「ゆげごっ!?」 若い農業技術者さんは軽くジャンプして、ドスまりさの脳天に鍬をどすっ!とばかりに突き立てた。 そのまま体重かけて落ちながらつき立てた鍬を力任せに真下に振り下ろす。 そして鍬がガスッ!と地面に突き刺さった時には……ドスまりさは脳天から目、口、そしてぺにまむに至るまで 縦一文字に皮と餡子と各機能がごっそりと鍬によって削りとられていた。 「ゆっ……げ……ぐ……も、もっど……ゆ……」 ドサァッ! ドスまりさは鍬で削り取られた傷から餡子を大量に出したのちに地面に倒れて死んだ。 群れのゆっくりたちはドスがまさにあっという間に殺されたことをまだ理解できていないのだろう みな一様に唖然とバカ面下げてただただ見ているだけだった。 ちなみに他のお百姓さんたちはドスのことなんかまったく気にせずに農作業を続けている。 と、年配のお百姓さんがいましがたドスを葬り去った若い男に声をかけた。 「おい吾郎……お前がそいつ殺ったんだから責任もって残りもちゃんと全部殺しとけよ?」 「しょうがねーなあ。糞忙しいってのにまったくもう……」 若い男は鍬をぶんぶん振り回しながら群れのゆっくり達に近づいていく。 ここまできてようやくゆっくりどもはあれだけ絶対的な存在だと思い込んでいたドスがあっさり殺されたこと、 そしてドスを殺した人間がいま自分達を皆殺しにしようとしている現実をようやく把握した。 「ど、どぼじでどすがしんでるのぉぉぉぉっ!?」 「むきゅぅぅぅっ!ありえないわ!ありえないわ!どすはだれにもまけないそんざいなのにぃぃぃぃっ!?」 「どすはやくたたずだったんだねー!わか……わきゃらにゃいよぉぉぉぉぉっ!!」 「な、なにがどうなったのぉぉぉぉっ?でいぶのおやさいはどうなったのぉぉぉっ!?」 「よお糞饅頭ども。俺さこれからお前らを皆殺しにするつもりだけどー」 「「「ゆゆっ!?」」」 「まあ心配すんな。お前らが群れに残してきた連中も後でちゃーんと全ゆんブッ殺してやるからな」 「「「ゆっ?ゆゆゆゆゆっ……!?」」」 「群れがある場所はさとっくに知ってンだよ。ドスが長になったと聞いたときうまく群れを治めるかと思って あえて手を出さなかっただけでな。わざわざ駆除すんのもめんどくさかったしさあ…… まあいいや。さーて、んじゃいくぞー?俺忙しいんだから余計な手間はかけさせるなよなー。 とっとと一撃でみんなきれいに死んでくれや」 「「「「「ゆ、ゆ、ゆ、ゆんやあああああああああああああっ!!?」」」」」 とある路地裏で野良れいむの親子が全身をハリネズミのように何十本もの焼き鳥の串で刺されて死んでいた。 虐待鬼意惨によってじっくり時間をかけて生き地獄を味わされた末に死んだのだろう。 その顔にはこの世のものとは思えないほどの苦悶と絶望があった。 とある野良ゆっくりの群れで奴隷として働かされているまりさ達がいた。 この三匹のまりさはかつて群れのえいゆんと呼ばれていたが野良猫に黒帽子も片目も髪の毛もなにもかも奪われた。 以後ゆっくりできないゆっくりとして群れのみんなに軽蔑され暴力による虐めを受け、 誰もが嫌がる汚物処理のような仕事ばかりをさせられている。 当然毎日まったくゆっくりできていなかった。 公園のゴミ箱の中で死んだ赤ゆっくりたちは清掃業者にゴミ袋ごと回収されて廃棄物処分施設行きとなった。 赤ゆっくりたちはゴミとして生まれ、ゴミとして死んで、ゴミとして処理された。 胴付きゆっくりのまりさは暇さえあれば飼い主の家でお手伝いをしていた。 誰に命令されたわけでもない。常に動くことが好きな胴付きまりさはお手伝いをしていればゆっくりできた。 誰かの役に立っているという実感が胴付きまりさの生きがいだった。 掃除、洗濯、買い物から庭の草むしり、簡単な料理までなんでもやった。 おかげで飼い主との関係は非常に良好であり死ぬまでゆっくりさせもらったという。 とある山にドスまりさの群れがあった。今はもうない。 人間の若い男ひとりにドスまりさから生後1分の赤ゆっくりまで、たった3時間たらずで全ゆん殺されてしまった。 その若者は鍬ひとつでゆっくりの殺害から巣の埋め立てまでなんでもこなす、まさに群れ潰しの達人であった。 そしてしばらくはこの地に群れを作ろうというゆっくりは現れないだろう。 何故なら男は殺したゆっくりの死臭つきお飾りを周囲にまんべんなくバラまいておいたのだから…… 結論として……ゆっくりは弱い。ゆっくりがゆっくりできないその理由はこの一言に尽きるだろう。 ゆっくりが自分の大言壮語を実現できるほどの力さえあればゆっくりはゆっくりできるようになったはずだ。 だがそれはできない。何故ならゆっくりは弱いから…… さらに他者の力を借りようにも人間に嫌われている。 そして人間を騙す知恵もないから虎の威を借りる狐にもなれない。 いっそ人間に完全服従するか、もしくは先ほどの胴付きまりさのように ゆっくりの立場を人間より下に置いて共存の道を選べばまだゆっくりできる目も少しは出てくるだろうに、 無駄に高いプライドが邪魔してそれさえもできない。 弱く、愚かで、中途半端な精神構造。他生物を支配もできなければ共生もできない。 だからゆっくりできない……どこまでいっても。考えてみれば至極当たり前のことだった。 なんかグダグダと色々難しく考えてしまったが結論はたったひとつのシンプルな答えだったようだ。 疑問に一応満足できる答えを得て満足した俺は、足元で「あまあまよこしてねー!」と ぎゃーぎゃー言っている野良ちぇんを蹴っとばすと、飼いゆのすいかが待つ我が家に帰ることにした。 今夜は思う存分あいつと酒盛りして気持ちよく酔っぱらうとするかなー。 今まで書いたもの anko3367人間に飼われるというのは… anko3370野良ゆは人間に関わってはいけないという話 anko3379親の罪は anko3401たすけあい anko3410世紀の凶悪立てこもり事件 anko3416選んだのはお前だ anko3440ぷくー!をしてみた anko3479この世はでっかいゴミ捨て場 anko3486胴つきさんはゆっくりできない anko3501胴つきさんはゆっくりできるね! anko3503じゃまもの anko3509ゆっくりいーたー anko3522野性のゆっくりとゆっくりしてみた anko3526気持ち悪い! anko3534ゆっくりしているゆっくり anko3537野性のゆっくりとゆっくりしてみた2 anko3545霊園の野良ゆ対策 anko3570自画自賛 anko3582親と子の契約 anko3585賢いゆっくり anko3605ゆっくりできるモノを分け合う
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『かいっだん・貮燭目』 5KB 小ネタ 現代 良くあるタイプの普通の怪談 さて、みなさん。 これから私がするお話。 実話、です。 ただし、私の体験ではないし、ここにいる誰かの体験でもない。 でも……そう。ここにいるうちの何人かは、その人のことをよく知っているはずよ。 そして彼女が嘘をついたり、適当な作り話をするような人物ではないことも、よく知ってるはずだわ。 これは私が彼女から直接聞いた、お話。 彼女は転職を機に、引っ越すことにしたのね。 不動産屋をいくつも回って、駅と商店街に近くて昼間はにぎやかだけど、夜は静かでオートロック付き。 そんな都合のいい物件を探して探して。 今までより通勤時間はふた駅ぶん余分にかかるけど、そのぶん家賃は予定より安上がりな部屋を見つけたのね。 一も二もなく飛びついて、その日のうちに契約と引っ越しの段取りを済ましたそうよ。 まあそういうわけで、無事引っ越しも終わり、荷ほどきだのなんだのとしてる間に夜が来て。 今日は疲れたから早めに休もう。 そう思って、軽い食事とシャワーをすませてベッドにもぐり込んだのが、10時半くらいかな。 ふ、と。 目が覚めて。 手元の時計をみると、ちょうど真夜中12時ちょうど。 まだいくらも寝てないのに、そんなことを考えて、ぼんやり時計を見ながら寝ぼけ眼をこすっていると。 玄関の方から、ゆっくりの鳴き声が。 ああそうかこのせいか、と。この鳴き声のせいで目が覚めたのか、と。 たぶん住人の誰かが飼ってたゆっくりにお仕置きして外に出してるかなんかだと、その時は思ったそうよ。 そしたらそのうちに、ドアに何かがぶつかる音が。 まあ、何かっていうか、ゆっくりよね。 あいてねっ! どあさんあいてねっ! そんな風に鳴きながら、部屋のドアにぶつかるゆっくり。 ちょっとなんで私の部屋なわけ? 飼い主の部屋を間違えるなんて餡子脳にもほどがあるでしょ? そう思い つつも。 でももうだいぶ睡魔に負けかけてるし、他人の飼いゆだったりしたら面倒だし。 ここはあえてスルーで、と決め込んで睡魔に身を任せることにしたそうよ。 それでも夢うつつにゆっくりの鳴き声は聞こえるわけ。 おにーさんがそこにいるんだよっ! だからどあさんははやくあいてねっ! どあさんはゆっくりしないであけええええええっ! ゆぐううううううこのくそどああああああああああああっ!! ゆがああああああはやくあけええええええええええええええええっ!! いるんだよっ! おにーさんがそこにいるんだよおおおおっ! あいてくれないとれいむがゆっくりできないでしょおおおおおおっ! ああ、飼い主が出てきたなー。そりゃこんだけ騒いでたら出てくるよなー、なんてぼんやり考えながら、もう だいぶ意識が遠のいてるんだけど。 ほら、なんて言うの? 睡眠学習? 妙にそのゆっくりの鳴き声だけは思い出せるらしくって。 やべで、やべでねっ! れいむおがおがいだいいだいだよっ! やべでねっ! ふーみふーみはゆっぐりでぎないよっ! いだっ! げらないでっ! ゆっぐりざぜでっ! いぎゃっ! あがっ! ぎっ! あああああああっ! びごびござんっ! れいむのっ! まっがでっふりる ざんがびらびらっじでがばいいきゅーどでゆっぐりじだびごびござんっ! あああああっ! なおっでっ! なおっでっ! なぎゅべぼごおおおおおおっ! やだっ! ぬがないでっ! れいぶのぎゅーぢぐるぎらぎらのづやづやづべづべのぎでいながみのげざんっ! いぢゃいっ! やべでやべでやべええげええええええっ! こんな時間に廊下でハードな躾とは勇者だなあ、なんて思いつつ、そろそろひとこと静かにやれって言いに いった方がいいかな、なんて思ってたら。 ちゅぶぶぶぶぶうううううううううううっ!! 唐突に静かになって。 あー、潰しちゃったか。まぁ、人の飼いゆなんて気にしても仕方ないし。 そう思いながら眠りに落ちて、朝までぐっすりだったらしいわ。 それでね。 翌日の夜。 また。 真夜中に、目が覚めたの。 あいてねっ! どあさんあいてねっ! そんな鳴き声と、部屋の扉にぶつかる音。 えっ、なにそれちょっと待ってよ、って。 昨日のは何? 夢? って。 そう思うのも無理はないかもしれないわね。 でもそのすぐ後から、 おべべええええええええっ! やだっ! やだやだやだやべでやべでぐりぐりやだあああああっ! れいぶの おべべぐりぐりやべでええええっ! ぬいでっ! ぬいでぐだざいぬいでぐだざいおべべのぼうざんをぬいでぐだああああおぐにいでないでえええ ええええええっ! きのうと同じような、もはや躾でもなんでもない虐待が繰り返されるの。 もうさすがに近所迷惑だろう。そう思って、ベッドから起きあがろうとすると。 ちゅぶぶぶぶぶうううううううううううっ!! 唐突に静かになって。 なんだかなあ、って思いながら、それでもここはやっぱりひとこと言ってやるべきだ、と。 ドアから頭をつきだしてマンションの廊下を見渡すんだけど。 虐待の痕跡はおろか、ゆっくりが潰された跡形もなくて。 廊下の奥で切れかけた蛍光灯がちかちかと瞬いているだけで。 ジー、カチッ。 ジジー、カチッ。 その音以外は、静謐そのもので。 廊下はきれいに乾いていて。 どこかでドアの閉まる音もしない。 誰かの足音さえ聞こえない。 断末魔の悲鳴が聞こえてから、彼女が廊下に顔を出すまでは三十秒もかかっていないはずなのに。 総毛立つ、って言うのよね。わかるかしら? やばいやばいこれ絶対やばい絶対何かある何かいる! 明日絶対業者に文句言ってやる! 真夜中ってことも忘れて大きな音を立ててドアを閉める。 大きく息を吸って。 下を向いて。 息を吐き出す。 息を吐こうとして。 足下。 ドアの内側。 視界の片隅に映る。 無惨に潰れたゆっくり。 思わず二度見したときにはもう何もなくて。 ……夜が明けるとすぐ彼女は引っ越しをしたわ。 これで私のお話はおしまいよ。 あんまり怖くなかったらごめんなさいね。 あら? どうしたのあなた? ――わかっちゃった――、みたいな顔して。 あきしまいが本気を出す前にもう一本怪談を書いておきたかった。 書いたモノ anko3400 自販機 anko3403 WP anko3459 自販機 The day before yesterday anko3496 かいっだんっ
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『ひまわり』 1KB 現代 風が吹いてきた。 海からの風は潮を含んで重い。 ゆうかは麦わら帽子を片手で押さえながら海のむこうを見る。 沖に浮かんだ風車がゆっくりと回り始めている。 この丘から見る風車は、まるでゆうかの手のひらにおさまりそうなほど小さく見えるが、それは実際にはとてつもなく大きいのだ。 ――ゆうかのいちばんおおきなひまわりよりも? ――もちろんよ。それどころか、この丘に並んでいるどの風車よりも大きいのよ―― ゆうかは足下に視線を動かす。 ゆうかが育てたひまわりが、土を貫いて緑色のたくましい茎を伸ばしている。 ゆうかのいる丘から海まで育つ、たくさんの、たくさんのひまわり。 見上げれば、まるでいくつもの太陽のように咲く大輪の花。 そのもっと上、もっとずっと上には、大きな大きな風車が回っている。 ――ほんとうにしんじられないわ、こんなにおおきなゆうかのひまわりよりも、こんなにこんなにおおきなふうしゃさんよりも、うみのうえのふうしゃさんのほうがおおきいなんて! ゆうかは目を閉じる。 目を閉じて、太陽に向かって顔を向ける。 そうしていると、ゆうかは、自分がひまわりになったように思うのだ。 閉じた目蓋を通して、太陽の光が見える。はじめは黄色く、赤く、やがて花火がはじけるように。 ゆうかは太陽に向けた顔をおろす。 太陽に向けた顔をおろして目をあけてからも、ゆうかの目の前には太陽の光がしばらく残っている。 ゆうかは丘を挟んだ海の反対側を見る。 景色のかすんで見えなくなるあたりまでびっしりと並べられた黒いパネル。 ゆうかにはその上で、ちかちかと花火が光っているように見える。 ゆうかの目の中から太陽の花火が消えていく。 やがて、黒いパネルの間の隙間を、ゆっくりと、自動車が走ってくるのが見える。 ――あのすぃーは、おねえさんね! ゆうかはいつもの場所まで丘を降りる。 自動車がいつもの場所までやってきて、止まる。 自動車のドアが開き、白ずくめの服を着こんだ人間が降りてくる。 ――おねえさん! ――おねえさん……? 駆け寄ってくるゆうかに、白ずくめの人間はマスクの下から怪訝な声で応える。 ――ああ、前の担当者のことか。彼女は、もうここには来ないんだ…… ――…… 風が吹いてきた。 海からの風は潮を含んで重い―― ―――――― (おしまい)
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『れいむと俺』 4KB 愛で 変態 飼いゆ 現代 ぺにまむ 初投稿です。HENTAIです。いじめないです。ごめんなさい。 一匹の子れいむを拾った。 公園で他のゆっくりにいじめられていた所をヒャッハーしながら助けたのだ。 その子れいむはお飾りも綺麗で肌ももちもち、ゆっくりでいうところの美ゆっくり…のはずだが。 そんな事もあり、気になったので連れ帰った訳だ。 気を失っているのでオレンジジュースをかけ、目を覚まさせる。 「ゆっ……ゆ?!ここどきょ?…!!…に、にんげんしゃん……」 「ゆっくりしていってね」 「ゆっ!!ゆっくりしちぇいっちぇね!!!」 とりあえず挨拶を済ませた。 「あの…れいみゅは……どうちてここにいるにょ?」 「俺が連れてきたんだ」 「ゆゆ?れいみゅなんかを……?」 「いじめられていたようだが、何があったんだ?」 「ゆ……」 そういうと俯いてしまった。 俺は恐怖心を与えぬようそっとれいむの頭を撫でた。 「もうお前をいじめるやつはいないぞ。大丈夫だ」 「ゆん………れいみゅは…れいぱーのこだったにょ……。だきゃらゆっくちしてにゃいって……」 「ふむ。親はどうしたんだ?」 「みゃみゃは…れいみゅが出来たからしんじゃっちゃの……。れいみゅだけしにゃずにのこっちゃの……。ぴゃぴゃ(れいぱー)はせいっさいされちゃよ」 「ほう、腐らずに生まれ落ちたのか」 「ゆっ…ゆぐっ……れいみゅは…うまれちぇ…ゆぐっ……こにゃければ…ゆっ…ゆぐっ…」 なんという善良なゆっくり。 こいつなら飼ってもいいかな。 「なぁれいむ。俺の飼いゆっくりにならないか?」 「ゆっ?!れいみゅが…?れいみゅでいいにょ…?」 「あぁ、これからよろしくな」 「…っ…ゆっ……ゆえええええええん!!ありがちょう!おにーしゃんありがちょうううう!!」 そうして俺とれいむの生活が始まった。 時が経つほどれいむは賢く、良い子になっていった。 そしてつい最近金バッジを取得した。元野良とは思えないほどの自慢のゆっくりだ。 俺はそんなれいむがとても可愛かった。 そしてれいむも俺に存分甘えてきた。 …そしてとある日曜日… 「おおおおおおおおおにいさああああん!!!」 朝早くかられいむがバタバタと俺の部屋にやってきた。 「おにいさん!!おきてね!!れいむに…れいむに…!!」 ゆさゆさとお兄さんの体を揺らしながら訴えるれいむ。 「う…やめ……どうした?れいむ…」 「れいむにどうさんがはえてきたんだよ!!」 「は?!」 俺は飛び起きてれいむの姿を確認する。 そこには、胴付きれいむが居た。…………………………すっぱだかで。 「なんで服着て無いんだ?」 「しらべたんだよ!からだを!」 ちろりと全身を見ていると俺は股間に違和感を感じた。 …………朝勃ちしとるがな…。 「あー…あとで見てやるからちょっとあっちへ行っててくれ…」 「ゆ?どうしたの?おにいさん。ぐあいわるいの?」 「いや、なんでもないんだ。ただ…」 「ゆゆ?」 れいむは俺の膝に乗っかってきた。 その位置やヴぁい。 「ゆっ…なにかあたってるよ?」 「…っ…れいむ、あっちへ行っててくれ…」 「ゆっ!せっかくどうつきさんになれたからおにいさんにいっぱいすーりすーりするんだもん!!」 そう言いながら俺の背中に手を回し、腰を動かした。 「すーりすーり♪すーりすーり…すーり…すー…り…ゆふん」 れいむは顔を紅潮させた。全身すりすりにより発情したのだ。 「おにいさん…れいむね、おにいさんのことだいすき…だから…」 「れいむ…まりさじゃなくていいのか?」 「ゆんっまりさはすきじゃないよ!!れいむがすきなのはおにいさんだけ!!」 「そうか…」 そろそろ我慢の限界の俺は、れいむのまむまむに手を伸ばした。 ぬるっ びしょびしょと言っていい程ぬるぬるだった。 「お…おにいさぁ…ゆぁっ」 右手中指でぐちゅぐちゅとかき混ぜた。 ぐちゅぐちゅと音がなる度ぽたぽたと粘液が落ちていった。 程よくほぐれてきたところで俺は自分のモノを取り出した。 「ゆわぁ…おにいさんのおっきい…」 「本当にいいんだな?れいむ」 「ゆん…おにいさんだいすき…」 れいむの入り口はとても狭かった。 めりめりと聞こえてきそうな程…。少しずつ少しずつ俺のを咥えていった。 れいむのナカはあんこがうねっており、キツキツの締め付けでとても具合が良かった。 ゆっくりと時間をかけ全てを挿入した。 「れいむ、ゆっくり動くからな」 「ゆふっ…ゆんっ!おにいさんの…すきにしていいよっ…!」 俺はゆっくりと動いた。引き抜いたモノにはねっとりと粘液がついていた。 それをゆっくりと…次第に早く出し入れした。 「ゆっっゆあっ!ゆふっ!おにいっっさっ!ゆぁっ!だぃす…っ…きっぃっ!」 「俺も好きだよっれいむっ」 じゅぷっじゅっぐぷっじゅぷっ お互い徐々に高まっていく。 「ゆぁっ!ゆっゆふっ!おっ…おにいさっ…!れいむ…すっきぃっしちゃっ…ゅあっ!」 「出すぞっ!れいむのナカにっ!出すぞっ!!…っ…でるっ!!!」 「すっきりぃぃぃーーーーー!!!」 れいむのナカから引き抜くと後を追って白い液体がどろりと溢れてきた。 「ゆふっ…ゆふ…ゆふ…」 「れいむ、大丈夫か?」 「ゆんっ…ゆふ…だいじょうぶだよっ!」 「またやろうか」 「おにいさんのえっちっ!」 そうして俺とれいむの新しい生活が始まった。 あとがき ごめんなさい。 えっちぃのが書きたかっただけなんです。
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『幸せなら』 4KB 小ネタ 群れ 希少種 思い付きをそのまま あるところに野生のゆっくりたちが住むゆっくりプレイスがあった。 実や花を付ける植物は多く、危険な動物もいない。冬が短ければ、梅雨も短い。 この理想的なゆっくりプレイスでゆっくりたちは毎日幸せに暮らしていた。 ある日のことだ。 その群れに旅ゆっくりが来た。 胴付きのゆっくりみすちーだった。 ゆっくりみすちーといえば、人間的に音痴ぞろいのゆっくりの中でずば抜けた歌唱力を持つゆっくり。 このみすちーもその例に漏れず、とてもゆっくり出来る歌声を持っていた。 歌声もすごいが、ゆっくりたちが驚いたのはその歌のバリエーションの多さだった。 みすちーがこの群れに来てからみすちーのコンサートは毎日行われたが、その度に違う歌が披露された。 通常一つの「おうた」しか持たないゆっくりにとってこれはとても驚くべきことで、ゆっくり出来ることだった。 話によれば、このみすちーは昔会った人間さんに歌を教わり、今はゆっくり出来る歌を広めるために旅をしているらしい。 みすちーは、毎日歌を歌った。 群れのゆっくりたちはその歌を聞くときが一番幸せでゆっくり出来た。 自分の歌が一番と言い張り、他のゆっくりの歌を鼻で笑っていた歌姫れいむも、みすちーの歌でゆっくりした。 れいむはみすちーを自分よりすごく歌が上手だと褒め称えた。 今まででは考えられない事だった。 素行と口が悪く、このままでは将来ゲスになると心配されたまりさも、みすちーの歌でゆっくりした。 まりさはお行儀良くみすちーの歌を聴いて、歌が終わったらみすちーにお礼を言った。 今まででは考えられない事だった。 れいぱー予備軍で、「とかいはのあい」を無理矢理振りまこうとしていたありすも、みすちーの歌でゆっくりした。 発情するような事はなくなり、代わりに真心を込めて歌を歌った。 今まででは考えられない事だった。 自分の知識が全てで、歌を何の役にも立たないと馬鹿にしてきたぱちゅりーも、みすちーの歌でゆっくりした。 歌を馬鹿にするのをやめて、下手ながらもみすちーを真似て歌うようになった。 今まででは考えられない事だった。 みすちーは日が傾いても歌を歌った。 れみりゃやふらんが近づいてきたが、みすちーの歌を聴くとゆっくりした。 みすちーどころか、他のゆっくりを襲う事もなく、仲よさそうに親愛のすりすりをした。 今まででは考えられない事だった。 こうして群れのゆっくりも、そうじゃないゆっくりも、大人も子供もみんなみすちーの歌でゆっくりした。 みすちーのコンサートは三日続いた。 四日目の朝。みすちーは次の群れを目指して旅立つ事になった。 群れのみんなが引きとめたが、みすちーの意思は変わらなかった。 ならばとみすちーの旅立ちを祝うために、盛大な宴が行われた。 「みんなありがとう! おれいに、みすちーがいちばんしあわせになれてゆっくりできるおうたをうたうね!」 みすちーはそう言ってこの群れでの最後の歌を、手拍子交じりに歌い始めた。 「しあわせならてをたたこう♪ しあわせならてをたたこう♪ しあわせならてをたたこうよ♪ ほらみんなでてをたたこう♪」 手を叩きながらこの歌を歌うみすちーは、誰の目から見ても幸せそうでゆっくりとしていた。 最後の歌を終えたみすちーは、群れから差し出された食料を持って旅立っていった。 みすちーが旅立った次の日、ゆっくりたちはみすちーの歌を歌っていた。 みすちーほど上手ではなかったが、みんなでそろって歌うおうたはとてもゆっくり出来た。 ゆっくりたちが覚えられたのは特にゆっくり出来た二つ三つだけだった。 ゆっくりたちが最後に、「いちばんしあわせになれてゆっくりできるおうた」を歌い終わったとき、ある小さなれいむが言った。 「れいみゅたちにはたたくおてちぇがにゃいよ?」 この発言に群れのゆっくりたちは皆ざわめきあった。 あのとてもゆっくりしたおうたは幸せなら手を叩こうといってるのに、ゆっくりには叩く手が無い。 それはつまり、ゆっくりにとって幸せになれないという意味だった。 群れのゆっくりたちはなんとか手を叩こうとした。 あるれいむはもみあげを叩こうとしたが、届かなかった。 あるまりさはゆっくり同士でぶつかって手を叩く代わりにしようとしたが、痛いだけだった。 あるありすとぱちゅりーは手を叩く代わりになる装置を作ったが、つまらない音しか出なかった。 誰も手を叩けなかった。 誰も幸せになれなくなった。 ごはんを食べた。 手を叩けないから幸せになれなかった。 夜中にぐっすりと寝た。 手を叩けないから幸せになれなかった。 おちびちゃんが生まれた。 手を叩けないから幸せになれなかった。 理想的なゆっくりプレイスでゆっくりできるおうたもあるのに、ゆっくりたちは手が叩けないだけで幸せを失った。 幸せを失い、ゆっくり出来なくなって生きる意味を喪失した事を理解したゆっくりから順々に死んでいった。 こうして、ゆっくりプレイスからまた一つの群れが消えた。 今日もみすちーは歌う。 みんなを幸せにするために、幸せを奪う悪魔の歌を。 「しあわせならてをたたこう♪」 ########################################## ただの思いつきの話でした。 今まで書いたもの anko2458 どっちが本当? anko2461 街中の狩人 anko2480 たいせつにするということ anko2509 神は饅頭の信徒を裏切るか? anko2587 れいむ種に対する概論 anko2820 魔法使いのお姉さん anko2993 加工所駆除課のお仕事
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『お兄さん検証中』 38KB 虐待 ギャグ 小ネタ 愛情 実験 都会 透明な箱 現代 愛護人間 虐待人間 5作品7本目 *注意書きをよく読んでから、読むか考えて頂けると幸いです。 ・考察コメディ物(のつもり)です。 ・コメディ前提で読んで下さい。 ・死ぬゆっくり、死なないゆっくりが出てきます。 ・他作者様の設定を使った部分があります。 ・他作者様の設定の否定をしているわけではありません、ネタになりそうだなと思っただけです。 ・括弧表記は『人間』「ゆっくり」です。 ・ゆっくりの知能は感じの有無で表しています。 ・ちょっとだけHENTAIあり。 ・作者はanko2370『虐待の無い世界の鬼意山』 anko2386『ゆっくりしていない二匹の旅(上)』 anko2387『ゆっくりしていない二匹の旅(下)』 anko2417『四匹の子ゲス(前編)』 anko2418『四匹の子ゲス(後編)』 anko2738『一斉駆除の現場』 を書いた者です。感想板で先に過去作をあげてほしいとのお声がありましたので、書かせていただきます。 ・武求! 以上の事を踏まえても「読んでも良い」と思われた方、どうぞごゆっくりとお楽しみ下さい。 突然だが俺は現在、おうち宣言をしたゆっくり一家を次の瞬間には捕獲し、心が折れるまで殴った後、謎の技術の結晶として有名な “透明な箱”に入れて、これからどのような“ゆ虐”の限りを尽くそうか考えている。 ゲス発言が絶えないと思われた三分前が嘘のように親子とも許しを請うている。 勿論、窓ガラスを割られて侵入されたなんて間の抜けた話ではない。 窓を開けておいてわざと侵入させたのだ……だから、制裁ではなく虐待である。 親れいむ、親まりさ、子ゆが3、赤ゆが5といった、少々多めではあるが、スタンダードゆっくりファミリーだ。 赤ゆはこれから淘汰されて、減る予定だったのだろう。 「さてと、これからお前達を虐待する!」 「「ゆぎゃああぁぁぁぁぁ!! ゆるじでぐだざいぃぃぃぃ!!」」 「「「なんなのそのせんっげんはぁぁぁぁぁぁ!!」」」 「「「「「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」 「そこのぱちゅりーたすけてねぇぇぇぇぇぇぇ!」 親れいむが、褪めたとも、残酷とも取れない、そもそも興味はないが視界に映っているので目線だけは追ってましたといった表情で、 その家族を机の上から見つめる、我が家の飼いぱちゅりーに気づき助けを求める。 しかし、本気で興味がなかったのだろう、親れいむが三回ほど先ほどの台詞を繰り返し、他の家族も同調し始めた所で、やっとれいむ 達が自分に話しかけているのだと気付いたらしい。 「むきゅ?……いや、無理よ、ぱちぇはぱちぇなのよ、れいむやまりさほど体力は無いし、二匹に無理なモノはとてもとても」 ぱちゅりーは自分が下に見られることも構わず、熟々と嘘八百を並べ、「諦めなさい」と締めくくった。 実際の所、うちのぱちゅりーは強い。 腕っ節とかではなく根性があるというのか、俺が虐待鬼意山を始めたばかりの頃、テックニックも経験も足らず虐待に失敗した個体で、 以降気に入って飼っている。 何せ、生まれたときから俺に出会う迄の10ヶ月の間に、生まれる前から何故か親の呪詛を胎教に育ち、生まれ落ちても先代ゲス長の 子供と呼ばれ群で迫害され、所属した10群と12のゆっくりプレイスは悉く壊滅(開発、天災、ゲスの襲撃、鬼意山など)し、街でも 一斉駆除の憂き目に遭い、俺の所に転がり込んできたときには、極で且つ強度の“死にたがり”になっていた奴だ。 もはや本ゆんが死神的な何かを持っているのかもしれない。 足を焼き、目を抉り、皮を半分溶かし、れいぱーに襲わせ、無理矢理出来た子供も目の前で潰し、遂に身体がパックリと割れ生クリー ムがいざ漏れるという時も 「むきゅ~……これで死ねるのかしら……?」 と、ため息をつくばかり。 心を折らず、死にたがっているモノを殺す事に何の興奮も抱けない俺は、こいつ俺の求める形で屈服させるために、そのころは友人に 薦められて悪い遊びに軽く手を出している位の“ゆ虐”に友人以上にどっぷり浸かり、その為に当時の仕事をクビになり、現在は市役所 の特殊生物対策課駆除係という、一応は公務員といったレベルの底辺な仕事に就き(あるだけましだが)、こいつの目の前でこいつが恐 怖を感じる“虐待とは何なのかを探る虐待”を別のゆっくりで続け、そしてぱちゅりーに何の感慨も恐怖も興味も抱かせずに多くのゆっくり が無駄に命を落とすのである。 やはり、死神かもしれない。 ……まあ、こちらは全部俺の責任なのだが。 今では気心の知れた同居ゆんとして生活しているため、ペットとして登録した。 かなり順当に銀バッチまで取り、金やプラチナも夢じゃないと思ったが、本ゆんが要らないといったので銀止まりだ。 まあ、ペットは家族だが人間ではないし、これを一緒にするとどんな動物のペットでも良くないので、力関係の誇示のためにも俺が必 要を感じたら取らせるだけだ。 そんな事を思いながら、透明の箱から赤まりちゃを取り出し、あんよを切り落として円盤状の板に貼り付ける。 「ゆんやぁぁぁぁぁ!! いじゃいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「「おぢびじゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」」 「「「ゆわあぁぁん!! いもうぢょがぁぁぁぁぁ!!」」」 「「「「おねいじゃぁぁぁぁぁ!!」」」」 有難味を一切感じない立体音響の中で、俺はゆっくり達にその円盤状の板――ルーレットを見える位置に設置する。 『この巨大なユーギャックホイールが、今日のゆっくりの運命を決める~!!』 実際、そんなには巨大ではないけれど。 「お兄さん、ジャン○ルTVのクッキングホイールはただのルーレット、ルーレットマンが付いてるのは『だいじょう○だぁ』の人間ルー レットよ」 『あれ、岡○とか貼り付けられてなかったっけ?』 「「じゃあなんでおぢびぢゃんのあんよぎっだのぉぉぉぉぉぉぉ!!!?」 『ごめん、間違いだ、誰にでも有る、気にするな!』 「「なっとくできるわけないでじょおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」」 「「「「「「「ゆんやぁぁぁぁぁ!! おがおぎゃごわいいぃぃぃぃ!!」」」」」」」 俺のサムズアップ爽やか笑顔に対して、親ゆっくりは罵声を浴びせるばかりだ。 ていうか、俺の笑顔で泣き出してる子ゆ達、失礼だろ。 『まあ、虐待することに変わりはないし……よっ』 俺がまりさの付いたままのルーレットを軽く弾いて回転させる。 ベアリングに気を遣ったので良く回る。 「ゆぎょぎょぎょ!! ひゃやいよおおおぉぉぉ!! ゆっぎゅりざぜウボァァァ!!」 「「おでぃぶぅいゃぢゃあああああぁぁぁぁぁん!!」 まりさが餡子を吐いたあたりでルーレットが止まる。 そこに示された虐待内容は…… 『……水攻め』 「水攻めね」 今回ルーレットに書き出した斬新且つ革命的なゆ虐の中で、なんかマスが余ったから書いたオーソドックスな外れの目が出てしまった。 『なんだよ、こんなんすぐ溶けるだけじゃんかぁ……これならただの饅頭を水に沈めた方がまだ有意義だぜ』 「何一つ有意義さが見出せない喩えね……その行為の何が面白いのかしら?」 『だって、ゆっくりって異常に溶けるの早k……』 俺はあることに気付いてしまった。 1:赤ゆと市販の饅頭比べ「お水編」その1 『ぱちゅりー先生! ゆっくりは溶けるのが早すぎると思います!』 「むきゅ! 誰が先生か! まだ二歳よ! ……でも、ゆっくりはお饅頭だから水に溶けるわよ」 『…………本当にそれが理由か?』 「むきゅ?」 俺が掌の上に赤れいむを乗せる。先ほどまで「りぇいみゅちゅよいんぢゃよ! ぷきゅううぅぅぅ!!」などとふざけたことを言って いたので、皮膚に傷を付けないようにデコピンしてはジュースを掛け、再び屈服させた。 『お前、のーびのーびしろ』 「ゆうぅん……にょーびにょーび……」 『なぜ饅頭が伸びる!?』 これは寧ろぱちゅりーに叫んだのだが、赤れいむがおそろしーしーを手の上でしたので、気分的に不愉快なのでリボンを破っておく。 何か喚かれる前に、口を押さえる。 『饅頭の皮は基本蒸してあるはずだ! 伸びるはずもない! 生の小麦粉の生地ではない! なのに小麦粉を塗りつければ傷が癒え、そ れでいて食らいつけば旨いかどうかはともかく饅頭の確かな食感!』 「むきゅ、そうn……なんで今、味について言及したの? まあいいわ、そうね、でも伸びているときは身体が大福になってるって聞い たことがあるわ」 『大福に小麦粉塗るのか! あれ表面餅だぞ! 米だ米! 小麦から米に変わる上に、生の小麦粉塗り込んで傷治るってなんだよ!』 「なら、オレンジジュースなんて饅頭に一切合切関係ないのに普通に使っt……むきゅ、オーケー、判った、余計なこと言わないから睨 まないでちょうだいな」 俺のメンチ切りに、ぱちゅりーは冷静だが、背後のゆっくり家族が「ゆっくりできない」だの騒いでいやがる。失礼な。 確かにゆっくりに嘗められないように、頭を大きく見せるためにアフロにしてから、『アロハでアフロの鬼瓦』と呼ばれ、たびたび職 務質問で職業を聞かれるようになったが……そんな泣くこと無いだろ、主に顔が怖いとか言うな! こっちが泣くわ! なんだよ職業の 訊き方が暴○団orその他って! 「で? 結局何がしたいのかしら?」 『うむ、饅頭とゆっくりの違いを検証していきたいと思う!』 俺は100円ショップで買った饅頭と大福、及び加工所の作ったゆっくり饅頭を取り出した。 「「「ゆぅうう!! あまあまだぁぁぁぁぁ!!」」」 『黙れ、殺すぞ』 「お兄さんは本気よ」 「「「ゆっくりりがいじまじじゃああああああああ!!」」」 ……俺が登場したり喋っただけでゆっくりが驚いたり怖がったりするのはアフロのせいだと思いたい。 アフロになる前からだけど。 あと、ぱちゅりー余計なこと言うな、事実だけど。 早速水槽に水を張ったモノに敷居を作り、ゆっくりが暴れたときの影響が出ないようにする。 そして、その上に、赤れいむ、饅頭、大福、加工所饅頭を吊し、同時に落下できるようにする。 重さ、大きさもほぼ同じ饅頭が、今、地獄へ向けて落下する……内訳は4分の1だが。 『食べ物を知的欲求のために粗末にすることをお許し下さい、南無南無……』 「むきゅ、お兄さんは命を粗末にすることを悔い改めなさいな」 『そこはもう諦めたので、地獄に行ってから後悔します! ガ○ゾーンの横の辺りで』 「ガデさんは光○郎は待ってても、お兄さんは待ってないわよ」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! おがあぢゃぁぁぁん!!」 「「おぢびぢゃあああぁぁぁぁん!!」」 ちびや親れいむ、まりさの叫びを無視して会話と作業を進める俺たち。 『それでは、3、2、1、ゆんやー!』 「むきゅ、ゆんやー」 ぱちゅりーが紐を引くと、同時に赤れいむと饅頭の足場が無くなる。 「ゆんやああぁぁぁ!! おしょりゃ……! がぼっ! おみじゅしゃ……ゆっきゅ……でぎ! がぼ!」 早速溺れだす赤れいむと、静かに沈む大福、以外と浮かんでいる饅頭と加工所饅頭。あ、でも沈み始めた。 「れいみゅ! ちにたくないよ! おみじゅしゃんしぇーしゃいしゅ! げぶ! ぶきゅぅぅぅぅぅぅ!!」 赤れいむはぷくーをした為浮かんでいる。これは思わぬ僥倖であろう。しかし、無意味にケツとあんよを振り回していたため―― 「れいみゅのあんよしゃんぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 赤れいむの底の部分が溶けて破れてしまった。そこからあんこが流出していく。更に、ぷくーを止めて叫んだため、沈み始める。 「あんこしゃん! でていかないぢぇにぇ! がぼぼ……! お、おびょれりゅぅぅぅ!! げばぼ!」 暫くすると大量の餡子の塊が、赤れいむの身体から流れ出ようとし始め、赤れいむの顔は痩せこけてしまい、目玉の片方は餡子に引き ずられて陥没、片方は皮に残って飛び出していた。 「もっぢょ……ゆっぎゅ……」 ずるん! でかいうんうんでもするように、餡子の塊が水中に出て、水に溶けた。 「「おでぃびぢゃあああああああ」」 「「「いもうちょぎゃあああああ」」」 「「「おねえぢゃあああああああ」」」 あ、ルーレットの赤まりさだけは、すでに自分が忘れられてることで暗くなってる。いや死んでるのかアレ。 さて、結果は――大福は水槽の底に鎮座したまま、饅頭はやや表面がボソボソと溶けている箇所もあるが溶けきるには三日はかかりそ うな状態……いや、かき混ぜでもしない限りは暫くこの形状のままだろう。加工所饅頭は、未だに静かに沈下している最中だった。 勿論溶けて等いない。 赤れいむが水に溶けた程度で、水中の糖分が飽和(水溶液にはなっていないが)するほど狭くもない。 この結果をひとしきり眺めた後、ぱちゅりーに尋ねる。 『ぱちゅりー……どう思う?』 「……単に暴れたからって可能性もあるわ。検証材料が必要ね……最低二回」 『なぁに、ほぼ同条件の残弾は三個ある』 「「「ゆひぃぃぃぃ……!!」」」 2:赤ゆと市販の饅頭比べ「お水編」その2 市販の饅頭など、先ほどと同じラインナップの菓子三つを準備する間、先ほど水に沈んだ饅頭をぱちゅりーに食べさせ、水でグズグズ になった赤ゆは、親ゆっくりに食べさせた。 ぱちゅりーは多少水越しに付いた死臭でまいるほどヤワではない。 しかし、親ゆ二匹は今にも吐き出しそうになるのを耐えている。 『さて、饅頭に穴を空けたぞ、擬似あにゃるだ』 「締まらないわねぇ……」 『確かに括約筋ならぬ、あにゃる括約餡がないから閉まらないな』 上手いこと言ったつもりかという、ぱちゅりーの冷たい視線を浴びながら俺は秘蔵のアイテムを取り出す。 『ぺけぺけん! ピンクロ~タ~(×3)!』 お、今のセルフSEと物真似はかなり似てたぞ! ぱちゅりー! つっこみ処だぞ! と、期待しつつぱちゅりーに視線をやると、 「彼女無し童貞のお兄さんが、なぜ三つもローターさんを持っているのかって事には……つっこんだ方が良い?」 『再起不能になるから止めて下さい!』 言葉のナイフを振り下ろされた。 『まあいいや、擬似あにゃるにローターを突っ込んで……ええのんか~? ええのんか~?』 「なんか、もう……お兄さん気持ち悪すぎて、お兄さん自体が可哀想になってきたわ」 『現実に引き戻すなよ! 客観的に見ないことで、折れやすいナイーブハートを支えてるんだから!』 なんにせよ、暴れるゆっくりを擬似的に再現した、“ぶるぶる饅頭”が完成した。 これで、赤ゆとの差を見極めるのだ。 『正確にゆっくりの動きを再現したわけでもないんだが』 「ある程度は仕方ないわよ、それが再現できる技術力がお兄さんにあったら、どれほど奇人でも、技術職から窓際公務員補佐(非正規雇 用)なんてジョブチェンジしてないはずよ」 『すっぴんじゃないだけましでしょぉぉぉぉぉ! どうしてそんな事言うのぉぉぉぉぉ!!』 早速先ほどと同じように、赤まりさを水槽の上にセットする。 「ゆんやぁぁぁぁ!! おかーしゃぁぁぁん!」 「「おちびぢゃぁぁぁぁぁん!!」」 この家族の子供、いつも助けを求めるの母親だな……と、父親役の親まりさに同情しつつ、気付いていないようなのであえて口には出 さない。本来なら其処を突いて家族崩壊を狙っても良いが、実験には邪魔だ。 『お、そうだ、帽子取り上げとかないと』 「ゆわぁぁぁん!! おぼうししゃんがにゃきゃったらぷーきゃぷーきゃできにゃいぃぃぃ!!」 おお、「ゆっくりできない」じゃなくて、浮かべないことを考えてたのか。なかなか危機回避能力が高いな。人間宅侵入に加わった時 点で無用の長物だが。 『それでは3、2、1、ゆんやー!』 「ゆんやー」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁ!!」 水に落ちる菓子と赤まりさ。すると…… 「まりしゃの……すーぴゃー……ごーきゅごー……がぼぼ!」 水槽の水を飲む気だコイツ……。しかも、最近とんと聞かなくなった宣言をしてから。 「たいみゅ、はj……ごぼ……ごーきゅごーきゅ」 しかも、途中で諦めやがった。 しかしながら、当然水槽の水は飲みきれる量ではなく。 「ごーきゅ、……ごぶ! しーしーで……りゅ……うんうんも……がぼ!」 中身が水っぽくなった赤まりさは口とあにゃるとしーしー穴及びまむまむから、黒っぽい水を吐いて、皮だけになった。 『意外と浮かんでたけどな……』 「沈むことより、水を飲む苦しさが勝ったからじゃない?」 『……意識しなければ沈まないのかよ』 俺の言葉にぱちゅりーは暫し思いに耽り。 「まあ、思い込みの力……って事で」 『そんな“だいたい守矢のせい”みたいに言われてもなぁ』 3:赤ゆと市販の饅頭比べ「お水編」その3 今度の赤れいむは口を早速小麦粉で塞いだ。 すでに、蒸し上げた饅頭皮になっている。和菓子屋に謝れ。 こいつは親ゆっくりに、いつのまにかグズグズになってしまった饅頭と赤ゆっくりを混ぜたモノを与えている最中、泣いている親に対 してあまあま寄越せとか、ゲスだの罵ったあげく。 「おねーしゃんたちもあまあまをひとりじめしにいったんぢゃね! じゅるいよ!」 と、目の前で起きた惨劇を忘れて生きていこうとしていたので、折角だから本ゆんの望み通り、姉たちと同じ場所に連れて行った。 最初は文句がありそうだったが、水槽の上に来た時点で何か思い出したのか、泣きながらゆっくり流の土下座をしていた。 まあ、問答無用で落としたけど。 『ゆんやー!』 「ゆんやー」 「……っ……!」 ……悲鳴も上がらないので、ただ観察するだけである。 『おお、ぶりんぶりん動いてる、生理的嫌悪感を催すなぁ』 「でも、市販の饅頭さんの表面の方が先に剥がれたわ……細かい振動だものねぇ」 『大福は変な亀裂があにゃるから……擬似あにゃるはダメかな……』 「……」 『……』 本当に見ているだけである。 『おい、死にたがりのむきゅう』 「お兄さんとぱちぇがジュビロ信者に殺されても文句がないなら、その呼び方で良いわ」 『“バリ○ッチ”しようぜ』 「あからさまに人数が足りないわよ、“数字”で良いじゃない、親指とぱちぇの二房の髪の毛で出来るわよ」 『でもリズムは“バ○チッチ”な』 「むきゅ」 そんなこんなしている内に、赤れいむは溶けた。 一部が破けると、一瞬で解かれ溶けた。 皮も形を残さず。 『うむ、他の饅頭類はまだ形を残しているのに』 「擬似あにゃるさんより根性無しね」 「「おでぃびぢゃぁぁぁああん……」」 4:赤ゆと市販の饅頭比べ「お水編」その4 最後の実験は赤ゆを動けないようにして水に落とす実験だ。動かない普通の饅頭のことは最初の実験で判っているので、赤まりさだけ を手に取る。 「やめちぇね! まりしゃつよいんだよ!」 いつもなら適当に聞いてやって、ぷくーさせたりして心をへし折るのだが、今の俺には実験が優先され、赤まりさの戯言など右から左、 何処吹く風である。 ゆ虐お道具箱にしている煎餅の一斗缶から待ち針を取り出す。 「ゆ! ……やめちぇね! ちくちくしゃんをまりしゃにちかぢゅけにゃいぢぇにぇ!」 『プスッとな』 「ゆ”!!」 中枢餡のほんの僅かを削るように針を刺す。 「まりしゃのおきゃらだがうごかにゃいんだじぇ」 目から涙は流しているが、筋肉代わりの殆どの餡子が動かなくなり、動けない処か声に抑揚が無く、無感情な音が響くだけだった。 そんな無表情赤まりさを水槽に乗せる。 『3、2、1、ゆんやー!』 「ゆんやー」 「ゆんやあ」 水面でも水底でもなく、水槽の中間くらいに浮かんでいる。 『……チッチッチッチバ○ッチッチ、3』 「むきゅ」 バリッチッ○開始数秒で赤まりさが溶けた。 『うおぉぉぉぉぉ! 早ぇ!? どんだけ俺にバリッチッ○チやらせたくねぇんだよ! 賢者も戦略練れねぇだろ、こんな短時間じゃ!』 「お兄さん、伏せ字の使い方が間違ってるわ」 『俺がミドリ○タZならキレてるな!』 「お兄さん、伊○院さんはオペラ座の大○人さんのナビゲーターよ」 まあ、一頻り結果が出たので、咳払い一つの後に結果を述べる。 『結果発表!』 「どんどん、ぱふぱふ」 『今回の実験結果!』 「だららららららららららららららら……」 『それは!』 「ダン」 全くやる気は伝わってこないが、効果音をちゃんと入れてくれるぱちゅりーに感謝しつつ、すでにお互いに判りきったことを言う。 『ゆっくりは、饅頭以上に溶けやすい!』 「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」 『この結果をどう思われます、ぱちゅりーさん』 「思い込みの力ね、溶けると思い込んでるから余計に早いのよ」 …………。 『……もう思い込みを理由にしとけばゴ○ゴムの仕業レベルで的中するんじゃない? それ』 5:実験前に用意しよう さて、こうなってくると、いくつか疑問に感じたことを実践してみたくなるが、健全な赤ゆが居なくなったため、次に使えるのは子ゆ となる。詰まるところソフトボールサイズだ。そんな市販の饅頭は余り見かけない。 中華まんという手もあるが、何となく違う気がする。 『というわけで、今練った生地で包んだ餡子を蒸し焼いきにして、ソフトボールサイズの饅頭作ってます!』 「むきゅぅ、どうでも良いことにのみ使われる努力と労力と情熱……か」 『そんなこと気にしていたら鬼意山は務まらないぞぱちゅりー! 精進せよ!』 「目指してないし、女の子なのよ一応」 饅頭が出来上がる前に、使えそうな物がないか、お隣の実験鬼威惨の所へ相談に行く事にしている。 「お隣の音形さんね」 『そうだ、オトナリさんだ。ぱちゅりーも行くか』 「むきゅ。ぱちぇも疑問があるのよ。連れて行って」 俺はぱちゅりーを頭に乗せると、庭から垣根を跨いでお隣に侵入する。 こうしないと、飼いゆ狙い鬼異山対策と野良ゆ侵入対策のトラップに引っかかってしまうのだ。 途中でゆっくりを大量に潰してから配達に来た郵便屋さんが網に掛かっていたのは良い思い出である。 『おーとなーりくーん、あーそーぼー!』 『小学生か! 開いてるから入れー』 部屋に入ると、胴付きやら、希少種やら、首無しやら沢山居る。 更にキャタピラ付き、パラボラ付き、頭三つ付きの犬型きめぇ丸など、珍種と改造ゆっくりのオンパレードだ。 丁度、新種のゆっくりの調整が終わったらしい。 『おう、良く来たな、新品を見に来たか』 『それもついでに頼む』 ついでかよ、と言いつつ嬉しそうにれいむを台の上に乗せる。 こいつに協力を要請する場合は、コイツの“作品”を見なければ、交渉が始まらない。 「むきゅ、おとなりのお兄さん、そのれいむはなぁに?」 「れいむはれいむだよ。ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね」 『こいつはな、中途半端に知能を高めたシリーズ第12弾“音痴なくせに歌が好きだが、自分の音痴さが理解できてしまいゆっくりでき ないれいむ”だ』 『「うわー嫌がらせが地味ー」』 俺とぱちゅりーは同じ感想に至ったらしい。 しかし、俺らの発言は無かったかのように音形は話を進める。 『本来、ゆっくり――主にれいむは人間の音程とは違った感覚を持っている上、それでいて歌が好きなわけだが、その中で仲間内からも すこぶる音痴と評判のれいむに、みすちーやぷりずむなんちゃらの聴覚器官の餡子を移植したのが、このれいむだ!』 『すると、自分の歌声が不快に感じるって訳だな』 「ざっつらいと」 『お前が言うのかよ』 れいむはふんぞり返っている。とてもゆっくりできていないとは思えない。 『なんか自信満々だぞコイツ』 『うむ、先ほど妙案が浮かんだそうだ』 「むきゅ、聞いてみたいわ」 「ゆふん! せつめいしてもいい?」 二人と一匹が頷く。 「たしかにれいむはじぶんのおうたさんではゆっくりできなくなったよ、けれど、だれかにきかせるまんぞくかんがなくなったわけじゃ あないよ!」 『そんなジャイ○ンリサイタル理論嫌だなぁ』 「ゆふん! まだおわりじゃないよ! でも、あいてがふかいになっちゃたら、おたがいゆっくりできないよね? でもおうたはうたい たい! だから、じょうたつできないなら、ごまかすほうほうをつかうんだよ」 「どうやって?」 れいむが胸に当たるであろう部分を大きく張る。 「へたなのが ぜんてい のおうたにすればいいんだよ! さっそくうたうね」 『梅酒のCMソングもまともに歌えないのにか?』 『まさか本当にジャ○アン歌う気じゃあないだろうな、あれ、TVで再現してるから意外と普通の歌d……』 「ときをこえーろ! そらをかけーろ! このほーしのためー!」 『テメェ! 饅頭! 表に出ろぉぉぉ!! ぶっ殺してやる!!!!』 「落ち着いて、お兄さん、れいむにしては音が取れてるわ」 『原曲を綺麗に再現してるな、改造にこんな盲点があるとは』 怒り狂う俺を横目にれいむの歌を褒める一人と一匹。 『テメェら、BLA○K馬鹿にしてんのかぁ、ゴラァ!』 『良いじゃないか、翌年には同じ主役に汚される番組だ』 『てめっ……R○ディスってんじゃねぇぞ! てつ○馬鹿にすんな! ステーキに○Xのマーク書いてくれたんだぞ!!』 俺はしばしエキサイトし、極度に恐がりのゆうかにゃんに変なトラウマを植え付けるまで暴れた。 ~小休止~ 『だからさ……俺の青春って言うか、俺のディスティニーだったんだよ……』 「うんうん、お兄さん、落ち着いたかしら」 「わかるよー、お兄さんは太陽の子に勇気を貰ったんだねぇ……」 俺は自分ちのぱちゅりーと、さとりの特性を持った“本当によくわかってしまうちぇん”に慰められて漸く落ち着きを取り戻した。 『で、お前何しに来たんだっけ?』 潰れたれいむを回収しながら、音形が聞く。 『ああ……今ビデオカメラ壊れてるから、記録係が欲しくて、“記憶力の良いれいむ”貸してほしくて、今どこの公園にいる? それと も死んだ?』 『いや、番が死んで裏の空き地に戻ってるよ』 『そうか、ぱちゅりーは何か用があるんだろう?』 「むきゅ! 胴付きの構造に詳しくて、ぱちぇレベルにも判りやすく説明できるゆっくりは居る」 これは遠回しに“音形、てめぇに聞くと蘊蓄長くて意味わかんねぇから代先用意しろよ”という意味合いで、音形の解説を暗に断って いる。 『それなら同じく裏の空き地に流れてきたまっちょりーが居るよ』 「むきゅ! 聞いてみるわ」 『ほんじゃなー』 6:実験前に用意しようⅡ 裏の空き地と言うが、空き地ではなく音形が実験ゆっくりを飼っている私有地を空き地風に整えているだけである。いくつかの場所に 音形宅への抜け道があり、また、空き地中央に人間大のドスがおり、中枢餡をいじられ生きたいという欲求と、ドススパークのエネルギ ーを利用した謎の自爆技で、不法侵入した虐待お兄さんにアッツアツの餡子をばらまく瞬間が最高にゆっくり出来るという認識により、 常に恐怖と武者震いを続けている。ちなみに先代ドスもモヒカンに地味に重傷な火傷を負わせたが、私有地に火炎放射器と釘バットを持 ち込んだ何とも間抜けなモヒカンは、あわれその場で御用となった。 まあ、所有者はその場のゆっくりが全滅しても、その結果を書き残すだけだろうが。 俺はある段ボールの入り口らしき部分を叩く。 「ゆ? あ、人間さんは、私を改造した音形さんのお隣のお兄さんだね、七ヶ月と三日ぶりだね、元気だった」 段ボールから顔を出したのは、先に述べた記憶力の良いれいむ。 基本的に実験は野良として街に放たれるのだが、時たま番が死んだり子が死んだり、子が巣立ったりで此処に戻ってくる。 公園の群れなどでは、知恵袋の伝説のれいむ として持て囃されてはいる。膨大な記憶から様々な死亡フラグを回避する術を知っている ――否、覚えているからだ。 しかし、教えたゆっくりがそれを活かせるかどうかは別の問題。 歩く死亡フラグのゆっくりが、れいむの知識を忘れるのも茶飯事なら、れいむの知らないパターンで死ぬ場合も多い。 その度にその知識と共に、死んだゆっくりのことも忘れられなくなるのである。 その為、れいむは疲れ切った顔をしている。 『今年はみょんと番になったんだっけ?』 「みょんはフラフラした動きの人間さんのスィーに轢かれたよ――飲酒運転さんっていうんだって、人間さんもゆっくりできない物らし いね、スィーも電信柱さんにぶつかってたよ」 『ちびは?』 「今年は何とかふたりだけだね……ゆカビが身体の中から進行するなんて、れいむ初めて見たよ、食べてた草が悪かったらしいけど、食 べさせた112種類の草さんの中で、その後も食べた35種類を除いた77種類に原因があるんだろうけど……それでみょんに似たおち びちゃん以外、7匹みんなね……ゆカビが原因なのは2番目のまりさとの5回目の子供全員と、最初のありすとの3回目の子供の次女と 五女以来だから焦っちゃたよ」 ……記憶力が良すぎるのも考え物だな。今現在、れいむは死んだおちびちゃんとやらは、それぞれどんな特徴があって、どんな性格で、 何が好きで、どんな趣味があったか話しているので、気が済むまで聞いてやっている。 「ところで人間さんは何か用?」 『うん、これかられいむに死ぬゆっくりの様子を見て欲しいんだ』 「……それは後々役に立ちそう?」 『どうかな? 人間にはこんな酷い奴が居るって具体例にはなるんじゃない?』 「判ったよ」 刃向かっても得がないのを知っているのも時には損だな。 そう思ってぱちゅりーの居る方を見ると……なんだありゃ、熊か? 熊を殺す柔術家か? 柔道着を着込んだ何かが立っていた。 「武求ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 そいつが雄叫びを上げた。 「良いわ! その向上心! でももっと熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉ!! 無究ぅぅぅぅぅ!!」 「むきゅううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 そいつはウチの可愛いぱちゅりーにダブルバイセップス・フロントからサイドチェスト、更にラッドスプレット・バックからアドミナ ブル・アンド・サイの四連続コンボを見せながら、何か指導している。 お願いだから変なこと教えるなよ。 すでにその爽やかさが突き抜けてキモい事この上ないが、それも突き抜けて一周回って爽やかな笑顔と、気持ちの悪い筋肉のしなやか な躍動が、PTAだったらヒステリー起こしそうなくらい教育に悪そうなんだから(憶測)。 「武に心を求めるのよ! この世に究極など存在しない! 夢のように爽やかなれ! 夢級ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 「むきゅううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 もう何言ってるのか全然判らないけど、一応聞いてみる。 『あの……キミが、いえ、貴女がまっちょりー?』 「无九? そうよ私が『うートイレトイレ! うほ! 良い美少年! 盛りの付いた拳闘士』略して『もりけん(笑)』のぱちゅりーよ」 こいつもゆっくりなのか。 HENTAIの理想型“胴付き”にカテゴライズされるのか。 っていうか、近くで見たら道着に『Z○Nの安トークライヴ』って書いてあるけど。 「ぱちゅりーが私に、胴付きの事を聞きたいらしいのよね! だから、教えていたの!」 『はぁ』 「胴付きなんて思い込みってね!」 『思い込みの力って“ハ○ヒの能力のせい”ってレベルで便利な言葉だな。』 「だってお兄さん、胴付きの中身は餡子、パチェに至っては生クリームよ!」 そこで気付く。 ハッとした俺の手を自らの上腕に当てるまっちょりー。 「見ろやこの筋餡!」 『か……かっちかちだ……!』 いや、表面が硬質化していたとして、しかしこの重さと体格を支えるにはまず骨格が必要になる筈。 しかし、ぱちゅりーの中身はありすのカスタードクリームより形状維持力は高いが、きめ細かく潰れやすい生クリームだ。 「むきゅううう!!」 ウチのぱちゅりーもそこに気付いて驚愕している。 「さらに、ぱちぇにはサブミッションは基本的に利かないわ!」 『「なんだってぇぇーーー!!?」』 「ぱちぇの中には、骨の継ぎ目も筋肉の境もない。つまり……!」 まっちょりーの腕がぐねぐね動き、指も腕も関節部が曲がってはいけない方向に曲がり、関節がない場所も曲がり、また元に戻った。 「関節など! 存在しない!」 王者の技が――利かないとでも言うのか……っ! 「まあ、そのまま捻り殺しに掛かれば良いだけなんだけど」 『ですよねー』 7:お空を 『密林玄翁!』 「お兄さん、今日はジャ○グルTV推しなの?」 家に帰ってきた俺とぱちゅりーは、れいむと共にあの家族の子ゆっくりをシーソーの端に足焼きと口塞ぎ、中枢餡を一部破壊し、先ほ どと同じように動けなくして置いたものや、つるされた子ゆっくり等を見ていた。 『残り容量の問題もあるからサクサク行くぜ!』 「メタい!」 最初の子ゆっくりの横には同じ大きさの饅頭。シーソーのこちら側を勢いよく叩けば同じ方向に飛ぶはずだ。 『そいや!』 子ゆっくりと饅頭が同じように飛ぶ。悲鳴が聞こえないのが難点。 地面に落下すると、饅頭は潰れて餡子が僅かばかり砕け散ったが、とんだ子ゆっくりはのまりさは、完全に爆ぜて、水っぽい餡子の跡 が残った。 『……これは、体内の水分……砂糖水のせいか』 「むきゅ、砂糖は餡子から出るのよ、脳内麻薬みたいに糖はぱちぇ達の中で増えるし、水分は普通の饅頭より多めでも、これじゃ水風船 よ」 どちらかと言えば、血しぶきのイメージに近い気もするが、ぱちゅりーは兎も角、手伝ってくれるれいむに変な知識を植え付けたくな い。 『れいむ』 「まりさの方がお饅頭さんより平均して2センチ下をとんでた位だよ」 高さ衝撃による物でも無いらしい。 確認するため、ロボピッ○ャに饅頭と子まりさを詰めて、自宅の生け垣とは別のコンクリートブロック塀に向かって発射する。 饅頭は爆散。 子まりさは黒い染みとなってしまった。ビチャって音と共に。 『よし、次だ!』 吊された子れいむと同じ大きさの小麦粉を蒸しただけの塊。重さは明らかに小麦の方が軽い。それを子れいむには頭に乗せたりして覚 えさせている。 更に、小麦粉の塊を何度か子れいむの目の前で手から落として見せ、速度を覚えさせる。 そして、つるしてあるロープに、同時に切れるように鋏を当てる。 『いくぞ、3、2、1、ゆんやー!』 基本的に重さが違っても同じ形状サイズの物は同時に落ちるという。しかし、実際は風圧、重量の差、掛かるべき力などの要因で結果 は変わってくる。 それでも、今回は子ゆっくりが落ちても痛くないであろうマットの上で、しかも150センチ程度という高さから落としたので、そこま で違いは出ないはずだが、子れいむは高速飛行物体のように落下した。 自分は小麦玉より重いという思い込みからか小麦玉の5倍は速いであろう落下をした。 そして、赤ゆでも潰れない条件で爆ぜた。 ぎりぎり致命傷には至らなかったのか、口が開き。 「れいむのあんよじゃんぎゃなぐなっぢゃっだぁぁぁぁぁぁぁぁ!! おがぁぁじゃぁぁぁぁん!」 と、喚いている。 無くなったのはあんよじゃなくて、下半身の表面とギリギリ致死量にならない餡子だ。 『うっさいわ。密林玄翁』 「ゆぎゅ!」 子れいむを完全に潰した。 『ぱちゅりー先生、どう思う?』 「先生ちゃうわ。むきゅ、思い込みの力その物ね」 「ゆん、そうだね」 『なんか、ミノフ○キー粒子レベルで便利な言葉だな』 8:蹴り飛ばす 「ぼうおうぢにがえらじでぐだぢゃいいいぃぃぃぃぃぃ!!」 泣き喚くまりさを縁側に置く。勿論ボールを固定するリングに乗せて動けないようにして。 成体サイズなので、この場合は蹴りだろう。 ほぼ同じサイズ同じ重さ、飴細工の髪と白玉の目をいれた、俺特性成体サイズの勿体ない饅頭を横にセットする。 「ゆゆ!? 変わっだまりざなんだぜぇぇぇ!! ゆっぐりじでいっでね!」 『これからお前を外まで蹴り飛ばす。生きていたら逃げても良いぞ』 「ほんどでずがぁ!? ありばどうございまずぅぅぅぅぅ!」 俺は先ほどの空き地に狙いを付けて、蹴り込む準備をする。 どうか、まりさの落ちる先に、罪のない改造ゆっくりがいないことを祈って。 『せいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』 「ゆぷぎゃ!? おそらっ……げぺらっ!」 数メートル飛んで空き地に落下したらしい。ボール固定用の輪っかを持って行かれたのはちょっと勿体なかったか。 続いて自分で作った饅頭にシューt…… 『ゆがぁ!!』 ゆっくりみたいな悲鳴をあげてしまった。 全然飛ばねぇ! そりゃそうだよ、バスケットボール大の中に餡子がぎっしり詰まってるんだもん。 持った感じも重い感じがしたけど、まりさは苦もなく持てるのに、こいつはずっしり来といて、同じ重さだもんな。 訳判らん。 親指のつま先から血が出ているって事しか、今は理解できない。 縁側の上にポテッと転がったまりさモドキ饅頭を睨みながら、ぱちゅりーに向き直る。 「思い込みよ」 聞く前に答えられた。 『そん……ぁな……ATフィー○ドみたぃな……』 「ゆぅぅ! お兄さん、無理してお決まりの突っ込み入れなくて大丈夫だよ!」 れいむ、優しいなお前。 さて、思うところの実験はし尽くし、逆にこれ以上実験を続けるならゆっくりの頭数が足りない。 なぜか、こういった事をしている最中に、別のゆっくりが家に来たと言うことはあまり無いし、話としても聞いたことがない。それも ゆっくりならではの思い込みか。 こうなれば、元親れいむも邪魔なだけなので、コイツも空き地に放り込むことにする。 「でいぶをだじゅげでぐだざぁぁぁぁぁぁぁぃぃいいい!」 『わかった。向こうの空き地に放り込んでやるから、好きに生きろ』 「ありがどうごじゃいまずぅぅぅぅぅ!! やさしくなげでねぇぇぇぇぇぇ!」 いちいちむかつくことを言うよなコイツ。 ここから塀の向こうまでゆっくりを投げ込んだ回数は数知れない。失敗などまず起きない距離だ。 ただ、向こうには改造された捕食種もいるから、その後の事は知らない。 『ほらよ!』 「ゆぎゃぁ!!」 『「「!?」」』 俺と二匹は驚きを隠せないといった表情で全員顔を見合わせる。 れいむは、まるで重い物を腕力のない人間が投げたときのような不可思議な軌道を描き、尚且つ拘束でブロック塀にぶつかり、速度に 見合わない餡飛沫をあげて爆ぜたのだ。 まさか、今までの家族のルール無用の(一方的な)残虐ファイトっぷりを見て、自分の末路を無意識下で認識してしまったのだろうか。 つまりこれは―― 『……ぱちゅりー』 「ぱちゅりー?」 「…………思い込みよ」 『もう、ゲッ○ー線みたいな物だと思っとけば良い?』 9:つまるところ ゆっくりの周りの不思議は、ゆっくりの思い込みに依存する形になっているのだと推測し、全国の虐待お兄さんと、ゆっくり対策グッ ツ販売業者には悪いが、少しでもゆっくりの害に遭っている人間と、そこから始まる誤解で死ぬゆっくりを減らすため、全国の制裁鬼意 山など有志を募ってある実験を試みたのである。 様々な群れのゆっくり、街中、公園、路地裏、山村、山中問わず、――本当に様々な所でほぼ同時期に三ヶ月単位で実験を行った。 それは、ゲスゆを差し出させ、それを群れの前で実験道具にするというものだ。 群れにしてみれば、ゲスは一年通してどんどん生まれ、ゆっくりできない“せいっさい”を他者が買って出てくれるのだから、渡りに 船と言わんばかりにソイツらを差し出してきた。 それで、群れの目の前で3つの事をしてみせるのである。 一つ目はゆっくり対策用の強化ガラスに石を咥えて突撃させるのである。 自信満々で突撃したゆっくりは、中枢餡を咥えていた石が中途半端に刺さり、苦しんだ後絶命する。 二つ目は生のお野菜の恐怖を教える。 大根おろしを先に辛い物だと認識して嘗めさせ悶絶、その後大根を嬉々として丸かじりしている所に大根おろしの製造方法をみせるの である。 また、ゆっくりが自分より強固だと認識している“けっかい”や段ボールに人参などを良い角度で落とす(ポイントは先に段ボールを 水でしならせたり、底面をくんでいない状態にしておくこと)。これで、けっかいや段ボールを壊すほど野菜が堅いと認識させた上で、 ゲスの頭に人参をぶっ刺したり、歯を折ったりする。 三つ目は落ちている人間のあまあまは恐ろしいと認識させる。 ゲスでは無いゆっくりに普通のお菓子をあげ、ゲスにはフィルム会社の作った美容薬品のゼリーを与える。 ゲスは旨そうに口に含んだ後「うめ! めっちゃぱn……これあまあまにゃのにどくはいっちぇる!」と良いながら悶絶する。 人間のあまあまが、ゆっくりできるとは限らないと教える。 まあ、これは増長する余地を大きく残しているが、飼いゆがお菓子を食べられなくなったら、それはそれで哀れ。 だからといって、ゆっくりを過剰保護する気もないので、そこら辺は虐待鬼意山でやりたい人が居ればやればいいと思う。 基本週末で有志が全国で一斉に行い、暇のある奴は週に何回か行ったのだろうが、それでも予想より遙かに早く、二ヶ月もしない内に 結果が現れだした。 別に強化ガラスで出来ているわけでもない家の窓ガラスで死んでいる野良ゆ。 畑に降りるゆっくりが減り、居ても野菜の一つを囓った時点で死んでいる。 ゴミを荒らすゆっくりが減った。最大の目的が無くなったために、意欲が沸かないのだろう。 全部が全部、全く害が出なくなったわけでもないが、なるほどゆっくりの思い込みを利用した結果が出たわけだ。 これは、生まれたときからゆっくりが“加工所”という言葉を拒絶したりするのに気付いて考えた方法だった。 なにせ、ペット用ゆっくりは加工場生まれも多く、親から引き継いだ記憶だとしたら、野良で生まれた者で駆除などを生き延びたゆっ くりの記憶に寄る物だとしても、異常なまでに数が多いと思ったからだ。 しかし、加工所の売り上げに響くようなことをして、生活などを狙われないか気にしていたのだが、各市町村からの表彰など、警察や 消防からも表彰され、金一封だけでかなりの額になり、それをゆっくり駆除にこれまで貢献した加工所と今回のことで被害に遭った皆様 にと、幾らかを自分の手に残してばらまくと、一応は問題なく済んだらしい。 加工所は別のゆっくり被害用の商品開発に着手し、所長なる人物から手紙で“これ以上はNG”といった旨の連絡を貰って手打ちは済 んだらしい。それ以上に人間に物乞いをするゆっくりも増えたので、そちらの対策グッズが飛ぶように売れているらしい。 流石、商人はタダでは起き上がらない。 あと、過激愛護団体や逆恨みの鬼意山未満の虐待派が、逆恨みして家に乗り込んでくる事があるが、予想は付いていたので、予め音形 に頼んで、家にアル○ックなど目じゃないセキュリティーを手元に残った金で作って貰った。 半年前も基地外じみた、意味不明の博愛主義を叫ぶ金属バットを持った博愛という言葉からかけ離れた姿の人物が、ネットに捕まった まま警察に連行された。 しかし、とある愛護団体がその逮捕者から裏付けを取って、なんやかんやの罪状で構成員全員逮捕と相成ってからは、随分と平穏にな った。 それと、うちにも幾らか変化があった。 あの記憶力の良いれいむが我が家の一員になったこと。 なんと、蹴り飛ばしたまりさがれいむの家を着地で潰したらしく、その日の夜は雨。 仕方なくれいむを家に入れたまま、雨は一週間続き、いつの間にか胴付きになっていたれいむは我が家の家事手伝いになった。 胴付きになったからと言って、れいむに対する対応は変わらないが、ぱちゅりーはしきりにうらやましそうに質問を繰り返している。 胴付きに憧れがあるらしいが、れいむには掃除・片付けなどを手伝って貰う以外は変わりないので、記憶力の方が絶対的に役立つ。 そして、あのまりさ。 数日後に、以前所属していた公園の群れを引き連れて来たので、報復に来たかと思いきや。俺を救ゆん主だと言い始めた。 なんとあのれいむはでいぶで、俺が初っぱなに心を折るまで群れの暴君だったらしい。 そんな雰囲気、今回の話の何処からも感じなかったが、父親のまりさを子供に奴隷として教え込んでいたというのは思い当たる節があ る。アイツらは母親にしか助けを求めなかったから。 そして、俺を殺す気だったそうだ。ゆっくりに殺せるかと笑いかけたが、まりさが“枝さん”と称して取り出したコンバットナイフは 少々肝が冷えた。もちろんまりさの意向通り処分。 なんとも都合の良い展開だ。これもお前らの思い込みか? まりさは空き地で助けてくれた、はくろーけんテクニックが凄いと評判の改造尺八みょんと番になり、毎日お盛んらしい。 新長のありすは俺を天国に行けるといったが、まあ、地獄で受ける刑罰が軽くなるくらいはあるかもしれんな。神ならぬ俺には判らな いが。 今日もどこかでゆっくりの思い込みによる面白い出来事が起きているかもしれない。 「そもそも加工所の謎技術の透明な箱って……もしかして」 気付いてはいけないこともあると、ぱちゅりーの言葉を無視して俺は今日も部屋の窓を開けっ放しにした。 10:胴付きになりたいわけ(ちょっとだけHENTAI) 『ぱちゅりーはどうして胴付きになりたいんだ?』 「むきゅ……だってお兄さん、ぱちぇは中がクリームだから、お口もまむまむも、あにゃるも一緒だなっていうから……」 まあ、何といじらしい事。気にしていると思わなかったよ、マジごめん。 「でも、お師匠様にクリームの無限の可能性を教わったわ! お口でも今まで以上にお兄さんを喜ばせるわ!」 師匠ってまっちょりーか。アイツ余計なこと教えやがって。 その晩、俺は心の中で叫んだ。 まっちょりーGJ! 「武究! ごっどぶれす・ゆー!」 アトガキ: いざとなったら武究に頼る事にしてます。途中まで考えてたゆっくり発電所ネタが不謹慎で使えなくなったから……。 音形出てきたあたりから別の話やし。 鬼意山が童貞発言は、人間に対してと言うことです。 DX怪人ファイルは無し! 武究!
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『どうでもよかったりする』 1KB 小ネタ 4byte氏リスペクト! 「えー、では今日の講義はこれで終わります。それと、次週の講義までにレポートを書いてきて下さい。 はいはい、不満そうな顔をしない、声を出さない。この授業をあなたが進んでとったんですから仕方の無いことです。 えー、レポートの内容はゆっくりについてです。……どうしてそんな顔をするんですか? 確かにゆっくりは現代社会の嫌われ者で、時に私達の生活を脅かす害獣です。 ですが、皆さんは不思議に思いませんか?ゆっくりの中身は甘味です。それが自立した思考を持ち、動き回り、更に人語を解するのですよ? 彼等は正に生命の神秘……。私はそんなゆっくりという神秘にあなた達に少しでも触れてもらいたいと思い、今回の課題を出したのです。 えー、話しが長くなりましたが、レポートはA4形式で、枚数は自由です。ゆっくりの特徴だろうが生態だろうが、趣味、趣向でも何でもいいので書いてきて下さい。 えー、以上です。帰ってよろしい」 次の週、私はゆっくりwikiの内容をまんまコピペした状態でレポートを提出した。 返ってきたレポートの評価はA+だった。 後書き すみませんでした!どうしても3300の内にもう一作は上げたく、超短編に走りました……。 次はしっかりした作品を書くことを誓います。 あと、前作の挿絵ありがとうございました。改めてお礼を述べさせていただきます。 書いたものはこちら http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3404.html ご意見・感想はこちら http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1304737576/l50
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『ゆっくりつみをあがなうよ!(後編)』 21KB 虐待 制裁 改造 お家宣言 子ゆ ゲス 虐待人間 17作目 『ゆっくりつみをあがなうよ!』(後編) マンネリあき ● ● ● 「あ……が……ぎ……!」 「ゆああああああ! やべろ! やべで! やべでぐだざいいいい!」 今、マンネリ君がやっているのはゆつぶしという虐待だ。赤ゆなら指、子ゆっくりなら手で 柔らかく、そして力強く、押し潰す。 ベテランになると、「どれくらいの力が限界で、どれくらいの力なら耐えられるか」が大体 分かるという。 「ちゅぶ……れりゅう……やべじぇ……ちゅぶれりゅううううう! いじゃいよお……いじゃいよおおお……まりちゃ……ちゅぶれりゅううう……!」 息も絶え絶え、という感じで子まりさが声を出した。 「ちねっ、ちねっ、ゆっくりしないでしねっ、しねえええええええ!」 「おにいさんっ! なんでもするから、まりさをはなしでねええええええ!」 「れいむだぢなんにもじでないよおおおおおお! おにいざんにひどいごどじでないいいい!」 普通、こういう時は足焼きから開始するが青年は敢えてそのままにしておいた。 彼らはあぐらをかいて座る青年に、何もできない。 やるとすれば、涙を流して訴えかけるか、ぽゆんぽゆんと体当たりする程度だ。 ゆっくりは凶器になるようなものさえ持っていなければ、どれほどぶつかったところでどう にかなるものでもない。 青年はそのままにすることで、ゆっくりたちに無力さを思い知らせていたのだ。 泣いても、 怒っても、 ぷくーしても、 たいあたりしても、 噛みついても、 自分たちは無力だ。 「いじゃい……いじゃっ、じゅぶれりゅっ!」 「やめてほしいかー?」 「やべ……でっ……ちゅぶ……!」 「やべでぐだざい! やべでぐだざいいいいい!」 「どうしても?」 「どうじでもだよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」 「んー、そうか。だったら『じぶんたちはゆっくりしてないゆっくりです』『せかいでさいて いのげすです』『せいさいしてくれてありがとうございます』って言えば止める」 「「「「いやじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」」」」 四匹が一斉に暴れ出す。ふーん、と詰まらそうに青年は呟いてゆつぶしを再開した。 「ゆぎゃあ゛! いじゃい! いじゃいよおお! じゅぶれ! ちゅぶれりゅううう!」 「やめでぐだざい!」 「言ったらやめる」 「いいだぐありまぜん゛!」 「じゃあ続ける」 「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「まりざああ! まりざあああ! じんじゃうよおおおお! れいむだちのがわいい、がわい いてんしちゃんがしんじゃうううううう!」 れいむの泣きつきに、まりさは苦悶ののーびのーびをした後、心底苦痛だという表情を浮か べながら、囁いた。 「ま……まりざは……まりざは、ゆっぐりじでないゆっぐりでず……」 「はい、もっと大声で!」 「ゆっぐりじでないゆっぐりでず!」 「れいむは……ゆっくりしてない……ゆっくり……だよ……」 「次は子れいむ。ほれ、言え」 「ゆんやあああああ! いやじゃああ! ゆっくりじでないゆっぐりなんがじゃない! れいみゅは! れいみゅはゆっぐりじでるううう!」 「あーあ、子れいむのせいで子まりさは苦しむんだなあ」 青年がそう言いつつ、子まりさが潰れるギリギリまで力をこめた。 もう片方の手で子れいむを捕まえ、彼女に無理矢理その様を見せつける。 「れいみゅううう! いっでええええ! いっでよおおおおお! まりじゃちゅぶれりゅうううううううううううううう!」 子れいむはもみあげをぴこぴこさせて、いやだいやだと泣き叫ぶ。 ゆっくりにとって『ゆっくりしてない』と認めることは、死ぬほど辛いことだ。 しかも、それを言葉にするとなると尚更だ。 人間ならば、世界に向かって自分の恥ずかしい秘密を声高に叫んでいると例えればいいのだ ろうか。 ゆっくりとは、なまじ言葉を使うが故に、その言葉に弄ばれる生物なのだ。 「おちびちゃあああああん! いっで! いっでええええ! ゆっぐりじでないっでいっでえ ええ!」 「おちびちゃん! おねがいだがらあ゛あ゛あ゛! いっでえええ! いえ゛え゛え゛え゛え ゛え゛!」 「ゆ、ゆっ、ゆっ、ゆぐっ、ゆぐぐっ、ゆぐぐぐぐっ……れ、いみゅはあ゛あ゛……ゆっぐり ……じでない゛……ゆっぐ……ぢ…………」 「声が小さいなー。お前も潰すぞ?」 「ゆっぐぢぢでないゆっぐぢ! ゆっぐぢぢでないゆっぐぢいいいいい!」 現金なもので、自分に害が及ぶと分かった途端にこのざまである。 「あー、まあいいだろう。これからも、俺が言えと言えばすぐに今の三つを復唱しろ。 今のお前等の頭なら『忘れる』なんてことはまずないからな」 「ゆえええん……ゆえええええん!」 「ゆぐっ、ゆぐっ、ゆぐぅっ……!」 泣きじゃくるまりさ一家に、青年はにこやかに告げた。 「あ、そうだ。とりあえず今日はお前らのおさげともみあげ、それから髪の毛毟るから」 「「「「……ゆ?」」」」 「いじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 ぶちぶちぶちっ! 親まりさのおさげを、青年が一気に引っこ抜く。 それから、長い間の野良生活で薄汚くなった髪の毛を適当に――落ち武者に見える程度に、 毟り取った。 「ぢゃんどいっだでじょおおおお! ゆっぐりじでないゆっぐりっでいっだああ!」 「それはそれ、これはこれ」 「それもこれもないよおおおおおおおおおおおおおおお! いぎ! やめじぇ! やめじぇ! れいむのもみあげさん! もみあげざん! がわいいがわいいもみあげざんん!」 親れいむのもみあげを両方とも引き千切り、更に黒いつやつやした髪の毛を毟る。 どさくさ紛れに、おかざりも適当に引き千切っておいた。 「「おがあああじゃんがきょわいよおお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」」 「大丈夫大丈夫。お前らもお仲間になるんだから」 「い……じゃ……いじゃいっ……まりじゃの! まりじゃのしゅてきなおしゃげ! おじゃげ えええええ! ちぎっちゃやだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ゆっぐぢぢでるおさげざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!」 ぷち、ぷち、ちぎっ! 子まりさのおさげは、簡単に引っこ抜かれた。髪の毛も同じように毟られ、ミニ落ち武者が 誕生した。落ち武者というよりは……落ち騎士?(金髪だし) 「こっちは落ち武者だなあ」 「れいっ……ゆぐっ……れいみゅの……もみあげしゃん……もみあげしゃん……」 落ち武者と化した子れいむを見ると、もみあげをぺろぺろしていた。 いや、子れいむだけではない。家族全員、他の誰かを労るでなく、ひたすら自分のおさげと もみあげをぺろぺろしていた。 「こらこらお前等。そんなことしても無駄だって、ムーダ!」 「ゆ゛う゛! かえしでえええ! まりざのずでぎなずでぎなおさげざん! がえじでよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」 「れいむのだれもがゆっどりずるもみあげもお゛お゛お゛お゛お゛お゛!」 「「かえしちぇえええええええええええええ!」」 「しょうがないなあ、だったら返してやるよ。……天に」 青年はそう言ってもみあげとおさげを集め、透明な箱に入れるとチャッカマンで火をつけた。 家族は絶叫し、透明な箱に体当たりするが砂糖細工の髪の毛はあっという間に燃え尽きた。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「じゃ、明日なー」 青年が立ち去ってからも、家族は呆然と自分の髪の毛があった場所の黒焦げを見つめていた。 翌日。 「俺だ。お前等ゆっくりしてないだろうな?」 「ゆっぐりじでまぜん゛!」 「ゆっぐりじでないでず!」 「ゆ……ゆぐ……ゆっぐぢ……ぢで……ない……」 「ゆぐ……」 青年は昨日の言葉を再び、何度も何度も執拗に復唱させた。 「ゆっくりしてないゆっくりです」 「せかいでさいていのげすです」 「せいさいしてくれてありがとうございます」 どれもこれも、最高にゆっくりしていない言葉である。 ゆっくりたちにとっては、それを言わされるだけで多大なストレスだろう。 「今日は、すーりすーりを禁止します」 青年はそう言って、彼らのもちもちとした柔らかな頬にニスを塗り始めた。 「ゆがああ! ぐざいいいい! ぐざいよおおおおお!」 「ゆぎっ……れいぶの……もちもちしたおはだざん゛……ゆっぐりよぐなっでねえ!」 「すーりすーり……すーりすーり……」 「すーりすーり……ゆああああああああああん! すーりすーりできないいいいい!」 全身にニスを塗りたくられ、ゆっくりにとってもっとも落ち着く行為である『すーりすーり』 ができなくなった一家は、泣いて泣いて泣きじゃくった。 昨日までは 「おちびちゃんはとってもとってもゆっくりしているよ!」 「おとうしゃんもおかあしゃんもとってもとってもゆっくりしているよ!」 と言い合って、すーりすーりをすることで落ち着くことができたのに。 肌を触れ合わせても、あるのはただゴツゴツツルツルした感触だけだ。 こんなもの、すーりすーりとは言えない。 「お、そうだ。ぺーろぺーろでゆっくりする可能性もあるな。 舌も切り取るから」 青年はそう言って、彼らがぺーろぺーろできないように、舌も切り取った。 おちびちゃんが泣いているとき、親はぺろぺろと涙を掬ってやれたのに。 そんなこともできなくなった。 そして次の日。 「お前等ゆっくりしているか?」 「……ゆっぐ……ゆっぐり……じでない……ゆっぐりでず」 「お前等はゲス? それともゆっくりか?」 「……ぜがい……ざいでいの……げす、ですぅ……」 「俺に何か言うことがあるよな?」 「……しぇいしゃい……じでぐれで……ありがちょう……ごじゃい……みゃす……」 「よしよし。お前等はゲスで、ゆっくりしてないゆっくりだ。 お前たちから生まれた子供も、やっぱりゲスでゆっくりしてないゆっくりに育つ だろう。……だな?」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「だから、今日はお前等のまむまむとぺにぺにを完全破壊します」 青年はそう言って、笑顔でハンダゴテを取り出した。 まりさ一家は、再び絶望的な表情を浮かべた。 「あぢゅううううい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛! まりじゃのべにべ に! まりじゃのゆっぐりじだべにべに! やがないでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!」 「ほーれほーれ。ぐーりぐーり」 「あぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」 じゅうじゅうと餡子が灼かれていく。突き立っていたぺにぺには、見る見る内に黒く焦げて、 燃えかすになって消えていく。 そのままぺにぺにがあった箇所にハンダゴテが突っ込まれ、体の内部から灼かれるという地 獄の苦痛を彼らは味わっていた。 親子どちらも関係なく、ただただひたすら絶叫して涙を流し、うんうんとしーしーを垂れ流 すだけの生物に成り果てる。 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! れいみゅ、ゆっぐぢぢだあかじゃんうむのお゛お゛お ゛お゛お゛お゛お゛お゛! うまぜでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 「まりじゃまだどう゛でい゛ざんなんだよ! ずっぎりじだいいいい! ずっぎりじでがらに じでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!」 もちもちした肌を触れさせあうすっきりもできなくなった今、彼らには事実上妊娠する、子 供を生むということができなくなったのだ。 「じゃ、また明日なー」 青年がそう言って、ドアを閉めると唯一の安息の時が訪れる。 「ゆ……ゆ……ゆっぐり……」 「ゆぐ……」 「ゆぐぢ……」 「ゆ゛……」 まりさ一家はどちらからともなく力なくすーりすーりをした。 もちもちした、柔らかな感触はない。 それでも、最愛の家族が傍にいるというだけでゆっくりできる。 「どうじで……ごんなごどに……」 「れいむたち……ゆっくりしたいだけなのに……」 「ゆっくちちたいよぉ……」 「ゆっくちちたいにぇ……」 「「「「ゆううあああああ……」」」」 一斉に泣き出し始めた。 ゆっくりできることが、残酷な人間のせいでどんどんと奪われている。 毎日毎日が、絶望のどん底にいるのだ。 「ごめんね……むのうな……まりざで……」 「ごめんねぇ……おぢびじゃん……」 「ゆ……ゆっぐぢ……ゆっぐぢ!」 しゃっくりのように、子れいむがゆっくり、と叫んだ。 一家はそれがてっきり「みんなゆっくりしようね!」という意味合いだと思って、 少しだけゆっくりした気分で微笑んだ。 「ゆっくち! ゆっくち! ゆっくち!」 「ゆふふ……おちびちゃん……うん……ゆっくり……しようね……」 「すーりすーり……してあげるよ……」 親まりさと親れいむはすーりすーりし始めた。 子まりさも笑顔で、次は自分もとせがむ。 「ゆっくち、ゆっくち、ゆっくち!」 「ゆふふ……かわいいかわいい、てんしのような……おちびちゃんだね……」 「ゆっくち、ゆっくちぃぃぃぃ!」 「おちびちゃん……?」 一家が恐る恐る、すーりすーりを止めて子れいむを見た。 子れいむの顔は、ゆっくりしているとは思えないほど――醜く歪んでいた。 翌日。 「お、最初は子れいむからか。博士ー。非ゆっくり症になりましたよー」 「意外に遅かったですねー。やはり家族が揃っているとなりにくいみたいですね」 「はがぜざん! おにいざん! おぢびじゃんをだずげであげでね゛!!」 「ゆっくぢぢがいえなぐなっだのおおおお! どうにかじでえええええ!」 「れいみゅうう! れいみゅううう! ゆんやああああああああああ!」 「ゆっくち! ゆっくち! ゆっくちいいいい!」 ゆっくりが、ゆっくりをできない状況に長期間置かれるとかかる恐ろしい病気。 それが『非ゆっくり症』である。 この病気には諸説あるが、一般的には『体内の餡子が長期ストレスにより硬直化し、中枢餡 を痛めつける』ために起こるものと考えられている。 中枢餡はちょっと傷つけられるだけで、ゆっくりという生物に致命的な打撃を与える、人間 で言うなれば心臓と脳を兼ね備えた臓器のようなものだ。 普段は、多少の衝撃ならば周囲の柔らかい餡子によって痛みを防ぐことができる。 だが……非ゆっくり症になったゆっくりは、それができなくなる。周囲の餡子が極度のスト レスで硬化してしまい、中枢餡を押し潰すようになってしまうのだ。 その痛みは想像を絶するものであり、心を折る虐待鬼意山は、ゆっくりを非ゆっくり症にす ることを一つの目標とするほどだ。 そして今、子れいむは非ゆっくり症にかかってしまった。 こうなれば、中枢餡を破壊するまで餡の締め付けは止まらない。 一日もつかもたないか――の話なのであるが。 「皆さん、この子れいむを見てください。苦しそうですね。 これが、非ゆっくり症と呼ばれるものです。 皆さんも一度くらい聞いたことありますよね?」 博士は苦しそうに痙攣する子れいむを手に載せて、そう尋ねた。 親たちは泣きながら頷いた。 自分たちには縁遠い病気だね、などと笑っていたのがつい昨日のように思い出せる。 「非ゆっくり症にかかったゆっくりは、一般的に寿命は残り一日程度だそうです」 「「「ゆんやあああああああああああああ!」」」 「でも、幸い皆さんは大丈夫ですよ。ほら、餡子を入れ替えるときにちゃんと対策を取ってお きましたから」 「たい……さく……?」 「ええ。あなたたちの中枢餡――つまり、一番大事な餡子さんに、薄いゴムの膜を張っておき ましたから」 非ゆっくり症になって死んでしまうのは、中枢餡が硬化した餡に押し潰されるからである。 ならば、最初から押し潰されないようにしてしまえばよい。 人間が押せば簡単に潰れるが、非ゆっくり症の圧力程度ならば問題なく防げるだろう。 「でも……でも……おちびちゃんは……くるしんでるよ……」 「ええ、中枢餡が押し潰されていることに変わりはありませんから」 一家は、苦しんでいる子れいむさえも理解してしまった。 賢い餡子のお陰で、分かってしまった。 「まりさ……たち……ずっと……こんなふうに……くるしむ……の……?」 博士は満面の笑みで頷いた。 「はいっ、ご名答!」 その表情に、その笑顔に、まりさ一家は絶叫した。 だが、それでも彼らの絶望は終わらない。 「じゃ、今日はあんよを焼くぞ。それと、今日から餌は全部食べさせないから」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」 「なにぞれえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛! な゛に゛ぞれ゛! な゛に゛ぞれ゛な゛に゛ぞれ゛な゛に゛ぞれ゛な゛に゛ぞれ゛!」 「じゃ、博士。手伝ってくださいねー」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! まりざの゛! まりざの゛あんよじゃん゛ ゆっぐりうごいでねえ゛え゛!!!」 「れ゛い゛む゛の゛びわぐのあんよざんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「ゆんやあああああああああああ! ゆんやあああああああああああ! まりちゃのあんよさん! かけっこがとくいでちぇんにもまけないあんよじゃん! おねがいだがらうごいでえええええええええええええええ! ゆ……ぐ……ゆっぐぢ! ゆっぐぢゆっぐぢゆっぐぢいいいいい!」 「ゆっくぢいいい! ゆっくぢいいいいい!」 あんよを油を敷いたフライパンで徹底的に、こんがりと焼かれた一家は、どれほど体を伸ば しても動くことができなくなった。 この時点で、子まりさは脱落した。 自慢のあんよが動いてくれない、という事実が過大なストレスを与えたのだろう。 「じゃあ、今日から餌はこれな」 そう言って、青年と博士がカテーテルを背中に刺し込んだ。 「いぎゃい!」 「なに……ごれ……」 「ゆっぐぢ! ゆっぐぢ! ゆっぐぢ!?」 「ゆぐ! ゆぐぢ! ゆっぐぢ!」 青年と博士は懇切丁寧に説明した。 この管から餌が流れ込んで、自動的に餡子の中に入っていくのだと。 ただし、これは味も素っ気も全くない。というより、空腹を満たすことすらないのだと説明 された。餓死、という選択肢が必然的に失われたのである。 「どぼじで……どぼじ……ゆっぐり!? ゆっぐり! ゆっぐり、ゆっぐり、ゆっぐり!」 親れいむがとうとう脱落した。 もう、あのカチカチのすーりすーりすらできない距離まで離された挙げ句、あんよを焼かれ て一歩も動くことができず、唯一の楽しみのむーしゃむーしゃすら奪われたのだ。 非ゆっくり症になるのも致し方ないと言えよう。 (いだい!? 「ゆっくり」っていうど、からだがいだい! あんござんがいだい! どぼじで! どぼじでええええええええええええ! いだいよおおおお!) 「みんなあ゛あ゛あ゛! ゆっぐりじでね! ゆっぐりじでねえええええ!」 「ハッハッハ、無理だってまりさ。 ほれ見ろ、どいつもこいつも非ゆっくり症で地獄の苦しみを味わっているんだって」 「ゆあああああああああああああああ! れいぶ! おぢびじゃん! ゆっぐりじでるよおおおおお! ゆっぐりじでるんだあああああああ!」 「してないって。ほら、俺には分かるぜ。こいつらが何を言いたいのか分かる。 殺してくれ、だ」 「れいぶは! おぢびじゃんば! ぞんなごどいばない! がんがえない゛!」 「お前はもう、すーりすーりもできない、ぺーろぺーろもできない。 すっきりーもできない。おちびちゃんを産むこともできない。 あんよを動かすことすらできない。お前は、もう、何にもできないんだぜ? あ、そうそう。今日からうんうんとしーしーはそこで垂れ流しだから」 そう言うと同時、まりさのあにゃるからうんうんが垂れ流された。 カテーテルから流れ込む餌は、満腹の満足感を与えることなく、下痢気味のうんうんとなっ て垂れ流される。 「ぐじゃい! ぐじゃいよおおおおお!」 「ずーっとこのままだ」 「やだあ゛あ゛! ゆっぐりじだいいいいい! ゆっぐりずるんだああ゛あ゛!」 「頑張りますねー。それじゃ、トドメを刺しましょうか」 博士はそう言って、部屋にあったスクリーンを引っ張り出した。 部屋を薄暗くして、DVDプレイヤーの映像を映し出す。 女性の綺麗な声で、ナレーションが開始した。 「とてもゆっくりしている、野生のゆっくりさんたち」 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり!」 映像は、野生のゆっくりたちが思い思いにゆっくりしている様だった。 結婚した夫婦の神聖なすっきり。 生まれた天使のように可愛らしいおちびちゃんたち。 危険のないゆっくりプレイスで、すくすく育つおちびちゃんたち。 優しそうな人間さんに遊んで貰い、美味しい芋虫やバッタを食べてとっても満腹。 やがてすくすく育ったおちびちゃんは、番のゆっくりを探し始める。 美ゆっくりのれいむを射止めたまりさが、皆に祝福されて結婚。 おちびちゃんを産んで、そのおちびちゃんが成長して――。 この映像が延々と繰り返される。 いつからか、まりさの絶叫が「ゆっくり!」に変わっていた。 まりさは分かってしまったのだ。 もう、自分たちにこのゆっくりは届かないのだと。 永遠に、自分たちは地獄の底でもがくしかないのだと。 せめて、何もかも忘れることができればいいのに。 賢くなったまりさは、苦痛も優しい思い出も忘れることができなかった。 そして――非ゆっくり症を発症してしまった。 「ゆっぐり! ゆっぐり! ゆっぐりいいいいいいいいいい!」 「ゆっぐり、ゆっぐり、ゆっぐり!」 「ゆっぐぢ! ゆっぐぢ! ゆっぐぢいい!」 「ゆぐ! ゆぐぢ! ゆぐぢいいいいい!」 ● ● ● あれから三年が経ち、香里は間もなく小学生だ。 「ゆうかー! ランドセルだよー!」 香里は喜び勇んで飛び跳ねる。 「ふふふ。かおりちゃんとらんどせるはとってもにあってるわよ!」 「やったー!」 飼いれいむの子供を捜すのは、そう難しいことではなかった。 何しろ販売していたのは自分の会社だし、何より一千匹近いゆっくりを育てたからだ。 系列の販売店に行けば、三体に一体は彼女に育てられた優秀なゆっくりだった。 その中から、彼女はゆうかを選び出した。 飼う際に、ゆうかはこう言った。 「れいむおかあさんのこどもとして、はじないようにするわ!」 希少種であり、賢さも当然ながら体力という点で捕食種並みのゆうかなら、 あの悲劇は起こらないと思ったからだ。 幸い、香里もゆうかにすぐに懐いてくれた。 「さ、もう明日もあるんだから。お休みなさい」 「はーい! おやすみなさい、れいむ!」 「おやすみなさい、れいむおかあさん!」 二人揃って、生前のれいむを映した写真に一礼する。 写真の中で飼い主に抱きかかえられたれいむは、穏やかな笑みを湛えていた。 あれから三年が経ち、まりさ一家は未だに生きていた。 「いやー……まさかここまで生きるとは思いませんでした」 「死んだのは親れいむだけ。それも老衰ですからね」 「親まりさはあと一年持つか持たないかって程度でしょうが……。 子ゆっくりはどうなんでしょうね。あと五年もつかもしれないなあ」 「ゆ……く……り……」 「ゆぐ……」 「ゆ、ぐ……」 生き残った三匹はしーしーとうんうんのせいで、下半身部分が溶けてドス黒く汚れ、最早 「ゆっくり」と呼べる生物ではなくなっていた。 汚らしいはぐれメタル……とでも言うべきか。 それでも時折痙攣し、慣れることのない苦痛を訴える。 非ゆっくり症を発症して以来、彼らは眠ったことすらない。 「防腐剤と防水加工を施したお陰で、どうにか上半身の原型は保ってますが……」 「まあ、ここまで来たら頑張って貰いましょうか」 「じゃ、今日のゆっくりビデオを見せるぞー。ほら、お前らがおうち宣言したとこの家、 どうだー、幸せそうだろ? ホームビデオを頼み込んで譲って貰ってきたんだぞー。 飼いゆっくりの教材に使うって言ってな。今からでも勉強してみるか?」 幸せそうな人間の家族とゆうかを見ても、まりさたちは何の反応も見せなかった。 憎悪も、悲しみも、絶望も、希望も、まりさたちには何もない。 流す涙も、もう残ってはいないのだ。 あるのはただ苦痛、痛み、痛み、痛み、痛み、痛み……。 まりさたちは、老衰でまったくもってゆっくりできないままに死んだ。 <あとがき> 今更ですが、挿絵を描いてくださる皆々様。本当にありがとうございます。 なんか「永遠にゆっくりさせずに苦しませる」ってパターンを四作ほど繰り返してきたので、 次はそろそろスッキリブチ殺す予定。 また、ラムネの設定は「anko3532 工作ゆ虐」のものをアレンジさせて戴きました。 こっそりお礼。 途中で※があったネタは、バレを避けるために一番下にこっそり書いておきます。 感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1304613952/ 過去の作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3403.html anko3216 愛するでいぶ anko3238 ゆ虐思考 anko3257 赤ゆ十連発(前編) anko3263 赤ゆ十連発(後編) anko3271 手を触れずに殺害せよ anko3274 子ゆっくりのゆん生が終わるまで anko3300 何もしない 赤ゆ編 anko3312 れうこくろりぐる anko3342 テンプレ的自滅シークエンス anko3358 くらくなるまでまってね! anko3368 ぷりぷりもるんもるん anko3428 子まりさと仲良し家族 anko3446 まりさ一家の転落ゆん生 anko3478 ぷーすぷーすぷーす! anko3495 ゆっくり地獄山 anko3286 ゆっくり病院 精神科より戴いたネタです。ありがとうございました!