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『ゆっくり観察日記』 15KB 観察 小ネタ 現代 失礼します。 anko2611 ゲスゆっくり奮闘記1 anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2 anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3 anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4 anko3456 れいむのゆん生 anko3458 まけいぬとゆっくり anko3461 ゆっくりに生まれて anko3484 ゆっくりブリーダー anko3489 休日とゆっくり anko3652 ドスについて anko3715 ゆっくりに餌を anko3729 はじめてのぎゃくたい anko3730 はじめてのしいく anko3794 まりさとの勝負 anko3843 野球部のゆっくり anko3855 ゆっくりと会話してみた 誤字脱字失礼します 観察開始 『初日』 今日からゆっくりの観察に日記をつけようと思う その記念すべき最初の日だ まずは観察の場の説明から入ろう 観察の場、などと言っても何てことはない 大安売りで売っていた発育停止を施されて、成体になっても赤ゆっくりの半分程度の大きさにしかならないゆっくりを大量に購入した このミニサイズのゆっくり、一時期流行ったのだけれど、卵ポーロ程度のゆっくりは躾けるにしても体罰は難しく直ぐにゲス化してしまうので、最近ではめっきり見なくなっていた まぁ、それは置いといて買ってきたミニサイズのゆっくりは全部で20 子が出来れば小さな群れに匹敵するサイズだろう そのゆっくりたちが住むのは、縦横1m、高さは50cmほどの大きな水槽 その水槽の底面のおよそ5分の4には、柔らかい土がしかれている、この土はゆっくりのうんうんやしーしーを分解してくれる優れものだ そして残りの一部分、水槽の隅にはザラザラした砂と硬い土が敷かれた区画がある これは後々役に立つだろうと睨んでいる 水槽の内部にはマジックミラーのように、外からは見えるが中からは外が見えなくなるシートを念入りに張っておく そして、水槽の真ん中より左よりを横断するように、幅5センチもない小さな擬似的な川を作る 半分に切った配管と、モーターを組み合わせて緩やかに水が流れ続ける ミニゆの子供だと危ないが、成体ならまずおぼれることなく水を手に入れられるレベルだ 念の為に、数箇所に橋のように板を渡しておく 川を挟んで右に木のオブジェ群、川向こうには水槽の隅に砂の地帯となっている それが完成したら、柔らかい土の方には根元が太く、下に穴があいた木のオブジェを植え込む これがミニゆっくりの巣だ、この木のオブジェを適当にとりあえず12個柔らかい土に設置 川を挟んだ地域の柔らかい土にも3つほど植え込む 砂と硬い土の区域にはガチャガチャのカプセルの片割れにカッターで入り口をつけたものを配置 そして次に、ミニゆ達の食事となる「理論理屈は解らないけど1日1回霧吹きで水をあげればグングン育ってゆっくりが食するに適した謎の苔」を随所に植え込む ゆっくり観察テラリウムに必須の謎アイテムだ、キノコタイプもあったけど売り切れだったので苔にしてみた それらを柔らかい土の、そこらに適当に植えてから着床させる薬品を霧吹きでかけて そしてビービー弾や、半分に折った綿棒、小さな螺子、おはじきなどゆっくりが興味を惹きそうなものを適当にバラまき 大き目の石や、川に使うので余った配管の半分をトンネルのようにおいたり、指人形を置いたりして、これで一通りは完成だ 最後に蓋をする、この蓋には6時間サイクルで1日が過ぎるように3時間ごとにライトが昼モード夜モード切り替わるようにしてある 夕暮れなどは再現出来ないが、ゆっくりにはこれで十分だろう 狭い世界だ、昼は短いほうがストレスの感じは少ないだろう この水槽ではこれより人間の1日で、ゆっくりは4日経過する仕組みになった もちろん防音の箱なので、蓋からは指向性スピーカーが伸びていて、内部の音を拾ってくれる 手動だけど、操作すれば聞きたいゆっくりの会話なども拾うことは可能だ 指向性と非指向性の切り替えも出来る これにて完全に完成した では、ゆっくりの日々を観察してみよう 夜モードからライトが切り替わった それに反応するようにゆっくりたちは「ゆぴゆぴ」鳴いて起きだした 水槽の隅に適当に放置して置いたゆっくりたちは、1匹の声に反応して連鎖式に起きていく 気付けば20匹全員が起きていた 店員さんに包んで貰ったので買ったのでれいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありすはそれぞれ5匹づつなっていた スピーカーからは混乱する赤ゆ言葉がひっきりなしに聞こえてくる 赤ゆだけではなく、各自買おうか迷ったけど余計なことになりそうでやめた そうこうしている内に、1匹のまりさが1歩前に出た そして近くにあったおはじきの上に飛び乗り、みんな落ち着けと叫んでいた やはり、この様な場合ではまりさ種のリーダーシップは強いのだろう 落ち着けと叫びながらも言葉の端々に「直ぐに親が来てくれる」と根拠のない不安の言葉が出ていた まぁ、まだ赤ゆ、その程度だろう しかし、他のゆっくりたちも顔も見たことないハズの親を信じて安心しだした 皆一様にゆっくりと、その場で親を待つ体勢になっていく だが、そんな平和も一時のもの 30分もしない内に、1匹のれいむがお腹が空いたと駄々をこねて、その場でゴロゴロしだした 周りのゆっくりはそれを止める術もないので、おろおろしながら見ていた すると、また1匹また1匹とゆっくりたちは転がりだす それを見ていた他のゆっくりは、転がらない代わりに声をあげて泣き出す 随分とカオスな状況になっていた 転がっていたゆっくりも疲れ泣き出し、全員が「ゆぐゆぐ」と声をあげることも出来ないくらい疲労した頃に、1匹のぱちゅりーが声をあげた 泣いていても仕方ない、と 自分たちもゆっくりプレイスを作ろう、と 少ない体力を振り絞って、大きな声で宣言した その言葉に他のゆっくりは1匹、また1匹と泣き止み、ぱちゅりーを見つめた 全員の視線が集まったのを感じてか、ぱちゅりーは大きな声で「ゆっくりプレイスを探しにいく」と叫んだ それに呼応するように、ゆっくりたちも声をあげた まぁ、探すと言っても、今いる場所から少し進めば木のオブジェタイプの巣がいくつもあるし 近くには苔も生えている、探すなどと大それたことでは間違ってもない それでも、ゆっくりたちは世紀の大仕事のように、一丸となって這っていく 進むこと10分ほど、赤ミニゆの集団は、1個目の木のオブジェにたどり着いた あまりの遅さに、ちょっとイライラしてしまった まぁ、卵ポーロサイズでは仕方ないだろう オブジェのサイズから、1個のオブジェに今のサイズなら5~6くらいは入るだろう 周りのもいくつもオブジェがあるのだがら、どうやら取り合いが始まったらしい 最初にオブジェに潜り込んだまりさ種、それに続くように数匹が入ればもう満杯だ 入れないゆっくりは涙を流しながら騒いで、既に入っているゆっくりの髪を引っ張ったりしている 身体の弱いぱちゅりー種はそれを遠巻きにみていたが、やがて1匹が近くに同じものがあることに気付いた そして、それを独占することなく、ぱちゅりーは皆に声をかけた いわく「お家は周りに沢山ある」と その言葉を聞いて、争っていたゆっくりたちは木のオブジェをそれぞれ見つけてやっと1息をついていた ゆっくりたちは1つのオブジェに限界まで入って身体を寄せ集めて、眠りだした ゆっくりの習性なのかも知れない 12個設置したオブジェは、半分以上が使用されなかった 空腹もあったのだろうけど、今は涙を流して眠りだした まだライトが夜に変わるには時間があったけれど、まぁ、良いのかも知れない 『5日目(水槽内での)』 時間が出来たので、水槽を覗き込んで見る 切り替えライトのカウンターを計算してみて、どうやら水槽内では5日が経っていたようだった 水槽内では、ゆっくりたちは木のオブジェの設置されている辺りで跳ね回ったり 集まって何やら話したりしていた 見たところゆっくりの食事用に植えた苔はしっかり食べているらしかった ちょっと大目の植えすぎたので、まだゆっくりたちが気付いていない部分では苔はかなりの成長しているようだった サイズはまだ1円玉程度の、どうやっても死んでしまいそうな大きさだった それでも、どうやらそれなりに生きているようだった まだ良いとこ子ゆっくり程度なのに、中には遊ぶだけじゃなく、離れた場所まで苔を取りにいって、口に含んでオブジェに何度も運び込んでいるゆっくりもいた まぁ、そのオブジェの直ぐ近くにも苔が生えているのに気付かないのはゆっくりならではだろう 少し目が疲れたが、数を数えたところ3匹減っているようだった カメラなどを仕掛けていないので、いつどうやって死んだかは分からなかったが、直ぐに原因は解った ゆっくりたちの会話に「川は怖い」という言葉が多く出ていたので、擬似の川を確認したところ、まりさ種の帽子が2つと、れいむ種のりぼんが延々と流れ続けていた どうやら、川に落ちてとけて死んだらしい 一旦モーターをとめて、お飾りを取り除き、水も交換しておく 水分を補給できずに全滅なんてことになっては困る 怖いというのは、ゆっくり特有の死臭もその1因だろうから、これで少しは改善されただろう 見ていれば、特に秩序もないのか、そこらで排泄をして、好き勝手苔を食べている 一部の苔は、ほとんど食い尽くされている そして、無くなった苔を見てゆっくりたちは騒いでいる 他にもいくつも苔の生えている場所はあるのに 何より、どうして無くなったかを、しっかり把握出来ていないのだろう ぱちゅりー種も何となく理解できているけれど、それを言葉の出来ないのか、れいむ種の「どうして苔がなくなったの?」と詰め寄られて唸っていた 若干先行きが不安になってところで、ライトが夜に切り替わった 切り替わると直ぐにゆっくりたちは、それぞれオブジェに入って眠りだした オブジェは8割ほど使われているようだった まだギュウギュウで寝ているものもいるが、中には既に2匹で暮らしだしているゆっくりもいた 『7日目(水槽内での)』 相変わらず、木のオブジェの地域を出るゆっくりはいない しかし、川に近寄って水を得ているのを見ると、川への恐怖心は薄れているみたいだ それでも、橋を渡る者はいまだ出ない 皆木のオブジェの周りで手に入るガラクタを集めるの必死らしい どうやら、ガラクタを持っているのステータスらしく、1匹のまりさ種はBB弾、折った爪楊枝、おはじき、小さなネジなどを持っているのを他のゆっくり自慢していた それに対してゆっくりたちは羨望の眼差しと、嫉妬の視線を向けていた 自慢げなまりさに1匹のれいむが「自分にも渡せ」と、交渉とも言えない交渉を始めた そこらにまだまだ落ちているものなのだけれど、探すのは困難なのかも知れない それはさておき、いきなり自分の物を渡せと入れたまりさは、それを突っぱねた しかし、それでもれいむはとまらず、大きな声で喚く 周りはオロオロとそれを見守るだけだった 拒否を続けるまりさに、れいむは体当たりを仕掛けた まりさはそれを偶然か実力か、綺麗に避けて直ぐに反撃に乗り出した こちらも体当たりでれいむを攻める 自分から攻撃を仕掛けたくせに、れいむは泣きながら「何故こんなことをするのか?」と問うていたが、まりさは「ゲスは制裁だ」といきり立ち、れいむが動かなくなるまで体当たりを続けた 死んだかのように見えたが、れいむは小刻みに身体を揺らしていた 痛みで身体を動かせないのだろう まりさは、自慢げに息を吐くと見ていたゆっくりたちに 「同じ目に合いたくなければ、自分の物に手を出すな」と告げて、ガラクタを回収して寝床にしているらしい気のオブジェに戻っていた まりさがいなくなりしばらくしてから、数匹のゆっくりが、ぼろぼろのれいむに近づいて声をかけ、身体を舐めだした それのおかげか、それとも時間の経過か、れいむは涙に顔をグチャグチャにしながらも立ち上がった そして、周りに「何故自分を助けなかった?」と、怒声を浴びせ駄々をこねだした 慰めていたゆっくりは、その態度に愛想をつかしたの、1匹また1匹と離れていった それにまたれいむは叫ぶが、慰めるものはいなかった 『12日目(水槽内での)』 水槽内で若干の変化が見られだした 今までは、どのゆっくりも分け隔てなく交流していたのに、どうにもグループが出来ているようだった 集まって遊んで、集まって苔を採集に行き、集まってゆっくりする 17匹のゆっくりが、4のグループに分かれているようだった 巣の近隣関係から、グループを掛け持ちしているものもいるようだったが、巣の距離が遠いグループでは交流自体がほとんどなくなっているようだった 巣については、空きは2つだけで残りは何らかの形でゆっくりが住んでいた 3匹のペアが1番多く、1匹で住むものもいた 少し前にまりさ種に突っかかってやられたれいむ種がそうだった それと、ぱちゅりー種が1匹で住んでいたが、良く他のゆっくりが訪ねてくるようだった 相談役の様な立ち位置になっているようだった そろそろ、ゆっくりの内情にも変化が大きくなっているようだった 二匹で暮らしているゆっくり数ペア、これはしばらくしたら何らかのアクションを起こすことになるだろう 『19日目(水槽内での)』 ちょっと目を離していたら、中は結構様変わりしていた 木のオブジェは全て埋まり、そこかしこに、最初にこの水槽に放り込んだ時のようなサイズのゆっくりが転がっていた どうやら、ライトの切り替えによる思い込みでか急成長したゆっくりたちは、自分の子供を生んだららしかった 数匹を除いて、残りは番になってそれぞれ2匹ほどの子供を成していた 種の問題で、2匹程度しか子供が出来ないらしい 成体になっても良いとこピンポン玉の半分程度、しかし子供の大きさは1円玉より少し小さいくらい 明らかにサイズが釣り合わないのだ、2匹で限界 それ以上はどうしても作れないらしい まぁ、それでも結構な量が増えていた 数えるのは疲れるので止めたけれど、水槽内のゆっくりの総数30は超えているだろう 木のオブジェは全部15、もう少ししたら問題になるのは目に見えていた 『22日目(水槽内での)』 子供は生まれたことで、苔の消費が多くなってきたので増量をしておく ついでに、川を流れるゆっくりの死骸を取り除く 赤ゆっくりが流されたみたいだ これだけ増えても、まだ川を越えることはしないらしい 確認したら、例のれいむを除いて全てのゆくりが番になっているようだった 16匹が番になり、それぞれ2匹で巣を使う そして、れいむが1つの巣を使う これにより12の巣の内、9が埋まることになった 適当に住んでいたころよりも、空きが出来ていたが、赤ゆっくりが大きくなる頃には巣の限界を超えるだろう 相談役のぱちゅりーは、ありすと番になり、子供の熱心に何かを教えていたが 内容は、実にどうでも良いことだった まぁ、危険も何もないこの世界〔水槽〕では教えることもないのだろう チラシの切れ端を「古文書」と呼び、出鱈目な内容を教え込んでいた まりさ種は総じて子供の「狩りの仕方」を教えていた 狩りといっても、苔を取ってくるだけの行為なのだが、それが如何にも危険であるように言いながらレクチャしていた まぁ、ぱちゅりーの古文書解読よりかは将来役に立つことだろう れいむ種は何故か、特技とは言えないけれど特性とも言える「おうた」を教えることはなかった これについては、後日調べてみたところ ミニサイズゆっくりは歌う機能を持っていないらしい やはり少量の餡子では機能は取捨選択しなければいけないのだろう まぁ、ミニサイズゆっくりの言語能力が通常のゆっくりと大差ないところを見ると、ゆっくりが如何に無駄かが解るというものだな 子育て風景を見ながら、そう感じた 『23日目(水槽内での)』 木のオブジェが設置されている、居住区で騒ぎが起きていた オブジェの感覚がやや広い、いつの間にか広場扱いされていて、子ゆっくりが遊ぶに適したそこで、例のれいむが怒りを露にしながら子ゆっくり数匹を怒鳴っていた 一回り程度大きな成体のれいむに怒鳴られるのは怖いのは、子ゆっくり数匹は震えて身体を寄せ合っていた 話を聞いていくと、苔を採取して帰るれいむにこの子ゆっくりたちは遊んでいてぶつかったらしい それがれいむの怒りを買ったらしく、叱責を受けることになった この子ゆっくりの親は近くにおらず、他の親ゆっくりも例のれいむを嫌煙してるらしく、近づこうとしない しかし、声に気付いたのか、誰かからか知らされたのか親であるゆっくりが駆けつけてきた 全部4匹、番2組だ 内の1匹は、れいむをボコボコにしたまりさだった 4匹はれいむを宥めたが、れいむは怒りを納めない まりさは忘れていたのだろうけど、れいむはボコボコにされたの覚えていたらしく 「子供もまともに育てられない」「親に似て子供もゲス」と散々に罵り出した 子供が迷惑をかけたを感じていた親ゆっくりが下手に出ていたので得意げに暴言を吐くが、流石に頭に来たのか親ゆっくりのれいむが口を開いた 「誰ともゆっくりしてもらえない奴が大きなことを言うな」と、例のれいむが気にしているところを深く抉った それに追従するように、番であるぱちゅりーも反論し まりさと、その番のありすも反論を開始する 主に「番がいない」「嫌われている」といった部分を狙っての反論に、れいむは歯を食いしばって唸る そして、子供の頃の焼き回しのように、飛び掛ったれいむは4匹に死なない程度のボコボコにされた その際に、リボンが少し千切れてしまい、このれいむは以降「ゆっくり出来ない」と言われ続けることになった 『38日目(水槽の中での)』 元からいたゆっくりから生まれた子ゆっくりが独り立ちする時期になった これによって、住居問題が浮上した 川のこちらにあるオブジェ12が全て埋まってしまい、それでもまだ巣を持てないゆっくりが数匹いた ならば親の元にでも居れば良いと思うが、周囲が独り立ちした中で親元にいるのは恥ずかしいことらしかった これにより、勇士により開拓隊が結成されることになった 目指すは川の向こう、まだ見ぬ世界、ということらしかった 出発した開拓隊は、1回の野宿の末に川の向こうの地域にたどり着き 新しい木のオブジェ、向こうには無かったガラクタ、そして砂の地域を発見にいたった 『40日目(水槽の中での)』 新しい巣の発見により、住居問題一挙挙に解決、とまではいかなかった 発見された巣は3つ、これでもまだ僅かにだけれど足りなかったの 一応、砂地の巣も発見されたけれど、そこに住みたがるゆっくりはいなかった そして、例のれいむに白羽の矢が立った そんな良い物でもなかったけれど、れいむは「ゆっくり出来ない」という理由で住んでいたオブジェを追い出されて砂地に追放された 抵抗するれいむだったが、ボコボコにされて砂地に放り込まれてしまった 砂地には近くに苔の生える場所もないので、とても生きるのに苦労する場所だった れいむは悔しさに涙を浮かべ、歯を食いしばりながらもそこで生きていくことになった 巣の問題がぎりぎり解決したことにより、ゆっくりとした空気が流れ出していた しかし、追放されたれいむの目にはしっかりとした復讐の炎が灯っていた それに気付くゆっくりはいなかった これからこの水槽内は最盛期を迎えるけれど、所詮は有限の世界、崩壊は近い こちらからの手を加えることはない、ただ見て、ただ繁栄させれば、いつの日か、ただ滅びていく それを見るのが今から楽しみでしょうがない
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『あるドアとゆっくり』 6KB 虐待 小ネタ 飾り お家宣言 現代 人間なし お暇な時にでもどうぞ 注意書き *誤字脱字があるかも知れませんがご容赦を *出てくるゆっくりは酷い目に遭いますが死にはしません 『あるドアとゆっくり』 ここは、とある静かな山中に建てられた良い感じに寂れたホテル 不況の煽りを食らって、既に廃業しており今は人間の出入りは一切無くなってしまった 後は、景気が良くなり再び人間の手によって再建されるか雨風に晒され風化し山に住む動植物達の住処となるだろう 「ゆゆ!こんなところにまりささまにふさわしいごーじゃすなおうちがあるのぜ!!」 そんなホテルの裏口にこの山に住んでいるらしい成体のまりさが茂みから出てきた 大きく頑丈そうでとてもゆっくり出来そうなこのホテルを自分の家にしようとまりさはドアの前で声を上げた 「ごしゅじんさまのまりささまがかえってきたのぜ!ゆっくりしないでなかにいれるのぜ!!」 いつの間にかこのホテルの主人気取りのまりさだったが、只の外開きのドアがゆっくりに命令された程度で開くはずは無い 「ゆ?まりささまがめいっれいしてるのぜ!さいっきょうのまりささまがほんきでおこるまえにさっさとなかにいれるのぜ!」 自分の思い通りにならないドアを睨みつけながら脅迫するまりさだったがそれでもドアが開く気配は無い 「しかたないのぜ!きょうのところはこのくらいでかんっべんしてやるのぜ!かんっだいなまりささまにかんしゃするのぜ!」 実は腕っぷしに自信が無いまりさは捨て台詞を残し、あっさりと他の出入口を探す為にドアの前から移動を始めた ギィィ・・・ 「ゆ?」 まりさがドアから3歩程離れると、まるでそれを待っていたかの様に成体のゆっくりが出入り出来る位にドアが開いた 「ゆゆ!やっとまりささまのいだいさにきがついたのぜ?ゆっくりしすぎなのぜ!こんかいはゆるすけどつぎはないのぜ!」 自分の願いが聞き入れられてドアが開いた事に上機嫌になったまりさは、ドアに悪態をつきながらホテルの中に入ろうとするが ギィィィ・・・・・バタン まりさが後1歩でホテルの中に入れそうになった所でドアは閉まってしまう 「ゆ?・・・・・どぼじでどあざんがしまってるのぜえええええ!!!ひらくのぜ!まりささまがなかにはいってないのぜ!!」 ホテルに入り損ねたまりさは必死にドアに開くように命令をするが、ドアは先ほどと同じく沈黙したまま佇んでいる 「どぼじでひらかないのぜええええ!!!ゆんやああああ!もうおうちかえるううううう!」 ギィィィ・・・・ 期待を裏切られたまりさが涙を流しながらポヨンポヨンとドアから離れると再びドアはまりさが入れる位開いて動きを止めた 「ゆゆ!?はんっせいしたのぜ?まりささまにいじわるしたのをはんっせいしたのぜ?つぎにしまったらほんきでおこるのぜ!」 どう考えてもドアが閉まるであろうフラグを立てながら、再度ホテルへの侵入を試みるまりさだったが ギィィィ・・・・・バタン やはりドアは後1歩の所で閉まってしまう 「なんなのぜええええ!!!もうほんきでおこったのぜ!!!まりささまのぷくーをくらうのぜええええ!ぷくーっ!!!!」 「どうなのぜ!まりささまのほんきのぷくーは!!ひざまずいてないてあやまればゆるしてやるのぜ!」 ドアの暴挙にキレたまりさは本気(笑)のぷくーを決め、ドヤ顔でドアに跪いて泣いて謝る事を勧めるのだが バンッ! 「ゆべっ!!」 無機物のドアがそんな事をするはずも無く、突如として開いたドアに顔面を強打されて弾き飛ばされてしまう 「ゆぎゃあああ!!!まりさのどんなゆっくりもみりょうするいけっめんなおかおがあああああ!!」 ギィィ・・・・バタン ドアはその様子を見て満足したかの様にゆっくりと閉まり、何事も無かったかの様に静かに佇んでいる 「ゆぎぎぎ、もうゆるさないのぜ!せいっさいなのぜ!まりささまをゆっくりさせないげすはぼっこぼこにしてやるのぜ!!」 「いくのぜ!はいぱーうるとらあるてぃめっとごーじゃすまりさあった『バンッ!!!!』ゆごばっ!!」 痛みから復活したまりさがドアに制裁宣言し、助走を付けて飛び掛かった瞬間にドアの完璧なカウンターがまりさの顔面に炸裂した 「ゆびゃああああ!!!おかおがいだいい!まりさのおかおがまんっべんなくとってもいだいいい!!!」 ギィィ・・・・バタン 顔面を強打して帽子が脱げた事にも気が付かずにのた打ち回るまりさを尻目にドアはまりさの帽子を挟むように閉まってしまう 「ゆひー、ゆひー、どぼじでまりざざまがごんなめにぃぃ!ゆ!?ないのぜ!まりささまのすてきなぼうしさんがないのぜ!!」 もがいていたまりさが頭上の異変に気付き、脱げてしまった帽子を探す為に周囲を見回してドアに視線を移した 「どこなのぜ!!どこにいったのぜ!!ゆ!!どぼじでまりさのすてきなぼうしさんをどあさんがもってるのおおおお!」 ドアに自分の帽子が挟まれている事に気が付いたまりさは帽子を取り戻す為に痛みが残る体に鞭を打ってドアに近づいていく 「まりさのぼうしさん!まりさがゆっくりせずにたすけてあげるのぜ!それとどあさんはぜったいにうごくんじゃないのぜ!!」 まりさはドアを牽制しながら帽子に近づき、ドアが動かない事を確認すると帽子の外に出ている部分を咥えて力いっぱい引っ張る 「はなすのぜ!!くそどあはまりさのすてきなぼうさんをはなすのぜ!!こうなったらまりささまもぜんっりょくでいくのぜ!」 帽子を離そうとしないドアに負けじとまりさは全力(笑)で帽子を引っ張ると ビリビリビリビリ 「ゆ!やっともどってきたねまりさのぼうしさ・・・・ゆんやあああああ!どうしてぼうしさんがやぶれるのおおおおお!!」 ゆっくりのお飾りは人間が手で簡単に千切れるほど脆い、そんな脆いお飾りを全力で引っ張れば当然破れてしまう 「なおってね!まりさがぺーろぺーろしてあげるからゆっくりしないでぼうしさんはなおってね!」 ドアに尻を向けた状態で破れた帽子を直そうと必死で舐めているまりさだったが、ドアはそんなまりさの尻を容赦無く襲う バンッ!!!!! 「ゆびゃあああああああああ!!まりさのぷりちーなおしりがあああああああ!!もうやだああああ!おうちかえるううううう」 全力で開いたドアに尻を強打されたまりさは、悲鳴を上げながら茂みへ逃げ帰り再び戻ってくる事は無かった ギィィィ・・・・・・・・・バタン まりさが帰るのを見届けたドアは静かに閉まり、ホテルは元の静けさを取り戻した ここはとある山中にある廃ホテル、人間の手によって再建される可能性は低く 後は雨風に晒され風化し山に住む動植物達の住処になるだろうが、このドアがある限りゆっくりは住み着く事は出来ないであろう あとがき 暑さと湿気でモチベーションが上がり難いので短めのSSで気分転換です ドアが勝手に開く理由はとっしー達のご想像にお任せしますw ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(あるあきスレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1292297462/ あるあきの今まで書いた物 anko1826 『殴る』 anko1842 『伝える』 anko1862 『蹴る』 anko1989 『ある日の午後』 anko2040 『加工所in宮城』 anko2238 『ある山で』 anko2269 『ある公園で』 anko2492 『ある秋のゆっくり』 anko2581 『ある赤い目のゆっくり 前編』 anko2670 『ある赤い目のゆっくり 後編』 anko2834 『ある男の気分転換』 anko2871 『加工所in宮城 2』 anko2942 『ある幸せなゆっくり』 anko3024 『ある騒がしい午後』 anko3297 『ある遊びとれいむ一家』 anko3454 『ある選ばれたモノ達』 anko3473 『あるすーぱーむーしゃむーしゃたいむ』
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※俺設定注意 ※希少種優遇あり。 「申し訳ありません、お客様。当店ではもう取り扱っていないんですよ。」 そう店員の胴付きてんこに頭を下げられる。帽子にはプラチナバッジ。最近はやりのゆっくり店員と言う奴らしい。 「まいったな・・・ここにないとなるとどこにも置いてないだろうしな・・・」 俺は思わず渋柿を食ったような顔になる。朝から10キロ以上歩いた結果がこれだよ!!って気分だ。 「本当に申し訳ございませんお客様・・・・かわりといってはなんですがてんこをいじめてうさをはらしてください!!めすぶたっていってください・・・ハァハァ。」 「いや・・・遠慮しておくよ・・・」 やたら興奮して迫ってくるてんこから逃げるようにして自動ドアから俺は店を出た。 「餡子ンぺ10夏」代償 作、長月 「はー・・・これでこの辺のゆっくりショップ全滅だよ・・・」 店を出た俺は大きなため息をつく。ここは家からは遠いが一番大きく品揃えのいいゆっくりショップだ。それでないということはもうどこにも売ってないということだろう。 ついこないだまで子供のおこづかいでも買えたアレがここまで入手困難になるなんて・・・ うちで待っている可愛いあいつの落胆する声が聞こえてくるようだ。 「・・・します・・んさん・・・」 ん?本当に何か聞こえてきたぞ。 「おねがいします。にんげんさん。」 俺は声のするほうを向いてみる。そこには薄暗い路地裏に一匹のれいむがいた。 そのれいむはバッジもなく全身薄汚れているので一目で野良とわかる奴だった。今時野良ゆっくりとは珍しい。昔は野良も大勢いたが、今は加工所の徹底した一斉駆除で野良ゆなどほとんど見かけなくなった。 「おねがいします。にんげんさん!!おちびちゃんをたすけてください!!」 そう叫ぶれいむの足元には一匹の傷だらけの赤れいむがいる。このれいむの子供なのだろう。 「うわ・・・こりゃひどい・・・」 そのれいむを一言でいえば「かわいそう」だった。 全身傷だらけな上、リボンもボロボロ。おそらくろくなものを食べていないのだろう。頬もこけて息も絶え絶えで今にも死にそうである。 「おねがいします!!れいむにできることならなんでもしますから!!おちびちゃんをたすけてください!!」 涙を目にため必死に頭をこすり付けて頼むれいむ。本ゆんには土下座のつもりなのだろう。 「このおちびちゃんはしんだまりさとのあいだにできたさいごのおちびちゃんなんですぅう!!!このこがしんだられいむはいきていけませんんん!!たすけてくれるなられいむのおりぼんでもいのちでもなんでもさしあげますから・・・」 「ああ、いいよ。」 「ぞんなごといわないで・・・え・・・。」 きょとんとした顔のれいむ。あまりにあっさり自分の要求が聞き入れられて拍子抜けしたのだろう。 「あ・・ありがどうございまずぅうううううう。」 「いいよお礼なんか言わなくて。ちょうど今オレンジジュース持ってるし。」 俺はペットボトルのふたを外し、オレンジジュースをなみなみとかけてやる。 「・・・ゆ?」 赤れいむは意識を取り戻した。傷もふさがったのでもう大丈夫だろう。飼いゆ用に買っておいたオレンジジュースが役に立った。 「おなか空いてんだろ?ほら、これ食っていいぞ。」 「むーちゃむちゃ、ち、ちあわせー!!!!」 俺は買い物袋からゆっくり用クッキーを取り出し赤れいむに与える。恐らく生まれてこの方ろくなものを食べてこなかったのだろう。赤れいむ涙を流して飛び上がって喜んでくれた。 「んーまだ身なりがきたないな。ちょっと待ってろ。」 俺は一旦さっき入ったゆっくりショップに戻り、赤れいむ用の替えリボンを購入する。最近は加工所の技術も上がり、安価でゆっくりの飾りをつくることができるようになった。世の中便利になったものである。 ちなみに会計のときさっきの店員てんこが「お客様・・・・てんこのまむまむからでるピーチネクターがただいま試飲サービス中です。飲んでいかれませんか・・・・ハァハァ。」とか言っていたが無視してきた。 早速先程の路地裏まで戻り、赤れいむに新しいリボンをつけてやる。ついでなので持っていたウェットテイッシュで体を拭いてやると見違えるほどきれいになった。 「ゆゆーん。ぴきゃぴきゃのおりぼんしゃんだよ!!」 「おちびちゃんよくにあってるよ。」 ゆっくりにとってお飾りは命の次に大切なもの。それが新しくなったのが相当嬉しかったらしい。 親子で涙まで流して喜んでいる。 「ありがとうございます、おにいさん!!おにいさんはおちびちゃんのいのちのおんじんです!!」 「いやいやお礼なんていいよ。」 「いいえ、いわせてください!!れいむこんなにやさしくされたのはじめてなんですぅううう!!!」 「いやほんとにいいってば。」 俺はそう言いながら赤れいむをそっと掴み 「それじゃあこの赤れいむ貰っていくからね。」 そのまま買い物袋の中へ入れた。 「・・・・え・・・」 思わずれいむは固まってしまう。袋に入れられた赤れいむも同様だ。 「さっきなんでもするって言ったよな。だったらこの赤れいむくれよ。見たとこ野良ゆっくりであるお前に他にやれるものなんてないだろうしな。おりぼんがどうとか言ってたけど雑巾は間に合ってるから(笑)」 「え・・・でも・・」 「いやー、こちらとしてもほんと助かったよ。俺、子ふらん飼ってるんだけど玩具にする生餌用の赤ゆっくりがどこにも売ってな くてねー。店の人の話によると最近法律が変わってバッジの付いた成体ゆっくりしか販売できなくなってるらしいんだよ。 なんか愛護団体の圧力が激しいとかで。捕まえようにも野良ゆっくりなんて加工所の一斉駆除のおかげで今はほとんどいないし、 どうしたもんかと思ってるところにお前らが来てくれたんだよ。見たところ虐め・・・もとい遊びがいのある顔だし、ふらんの奴 もきっと喜んでくれると思うんだ。おっともうこんな時間か。この赤れいむは俺が責任もって生かさず殺さず長生きさせるから安 心してくれ。じゃあな、れいむゆっくりしてけよ!!」 それだけ言うと俺は足早にその場を立ち去る。ふらんの喜ぶ顔が眼に浮かぶようだ。 後でなにかれいむが言ってるようだが気にしない。恐らくお礼がしたりないのだろう。 「いやー、いいことをした後は気持ちがいいな!!」 すがすがしい気分で俺は家路についた。 後書き いつもご愛読ありがとうございます。長月です。 本作のテーマは「赤ゆ、捕食種、玩具、愛で」短い小ネタにしてみました。 面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。 ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLも書いておきますので。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 今まで書いた作品 anko259 ゆっくりちるのの生態(前編) anko268 選ばれしゆっくり anko279 新種ゆっくり誕生秘話 選ばれしゆっくり番外編 anko292 ゆっくり見ていってね anko304 またにてゐ う詐欺師てゐの日々 anko313 VS最強のゆっくり 史上最低の戦い anko333 夢と現実のはざまで anko350 あるまりさの一生 anko385 ゆっくりを拾ってきた anko425 ゆっくり Change the World(出題編) anko448 ゆっくり Change the World(出題編2) anko484 ゆっくり Change the World(解答編) anko497 あるゆっくりできない2匹の一生 anko542 てんこがゆっくりするSSさん anko558 あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ anko577「餡子ンペ09」ゆっくりを愛でてみた anko613「餡子ンペ09」れいむと幸せを呼ぶ金バッジ anko633「餡子ンペ09」としあき博士のれいぱーありす矯正計画 anko735「餡子ンペ09」あるてんこの一生 メスブタの群れ anko764「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編) anko791「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(後編) anko932 誰も救われない話 anko1022 あるババ・・お姉さんの結婚 anko1057 もらうぞ anko1127 めすぶた祭り anko1224 あるちるのの一生 ずっと続いていく物語 anko1500 ある愛でお兄さんの午後 anko1530 どうして・・・ anko1629 ゆっくりというのは anko1638 とてもかわいそうなでいぶ anko1672 奇跡のドス anko1713 まりさときゃっしゅさん anko1775 ゆっくりしたおちびちゃん anko1836 希少種になる薬 anko1877 幸せまりさ一家 anko1898 となりにいるのは anko2000 最高のゆっくちプレイス
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『ゆっくりと会話してみた』 7KB いじめ 小ネタ 現代 失礼します。 anko2611 ゲスゆっくり奮闘記1 anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2 anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3 anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4 anko3456 れいむのゆん生 anko3458 まけいぬとゆっくり anko3461 ゆっくりに生まれて anko3484 ゆっくりブリーダー anko3489 休日とゆっくり anko3652 ドスについて anko3715 ゆっくりに餌を anko3729 はじめてのぎゃくたい anko3730 はじめてのしいく anko3794 まりさとの勝負 anko3843 野球部のゆっくり 「」ゆっくりの台詞 『』人間の台詞でお願いします 誤字脱字失礼します 『あー、晴れてるなぁ』 そこそこ良い天気の休日の午後。 公園のベンチに、青年がどかっと座って空を見上げていた。 そんなまったりした空気をまとうベンチに、一匹の饅頭が這いよっていた。 赤いリボンに黒髪の、薄汚れた饅頭が。 青年の足元に来た饅頭、ゆっくりれいむはキリっとむかつく表情をして口をあけた。 「にんげんさん、ゆっくりしていってね!」 『…………はぁ?』 声をかけられた青年はそこでやっとれいむの存在に気付いたのか、呆れた顔で空を仰いでいた首を地面に向ける。 そしてそこで見た予想通りの汚饅頭の姿を認識して、良い気分が台無しだと言わんばかりに首を振った。 その様子が気に入らないのか、れいむはムッとした表情を作り再度口を開いた。 「ゆっくりしていってね!」 元気な声ではなく、頭にキンキンと響く嫌な音。 その音は実に人間を不快にさせる、ある種のアンチリラクゼーション。 言葉の内容とは真逆のそれを人にたたき付けながら、れいむは得意げな表情でまたキリッとした表情を見せる。 『…………ちっ』 青年は一瞬れいむを潰そうと考えたようだが、靴がお気に入りのそれだと思い直し舌打ちをした。 そして青年はどうせ暇だし、と考えゆっくり口を開いた。 『なんで?』 「ゆ?」 返事をしてくれると信じきっていたれいむは予想外の言葉にポカンとしていた。 ゆっくりの常識では「ゆっくりしていってね!」には「ゆっくりしていってね!」と返すのが当たり前で当然。 それが出来ないゆっくりは、ゆっくり出来ないゆっくりという最低の汚名を被る事になる。 ゆっくり至上主義のゆっくり界では犯罪者に等しい不名誉だ。 野良ゆっくりのれいむは「にんげん」という物をそれなりに理解していた。 にんげん=ゆっくり出来ないという簡単な図式ではあるが。 それなのに、ゆっくり出来ない人間である青年に声をかけたのさっきまでの青年が実にゆっくりしていたからだった。 〔ゆっくりしているにんげんさん〕だったから、ある程度認めてやり挨拶をしてあげた、それがれいむの思考だった。 それ故、れいむの餡子内では「しょせんにんげんさんは にんげんさんだね ゆっくりできないよ」と見下し思考が始まっていた。 挨拶も返せない奴はゆっくり出来ない、そんなの当然だと言わんばかりに自分たちの常識を押し付けながら顔をしかめる。 そんなことは知ったもんかと、青年はまた口を開く。 『なーんで、ゆっくりしなきゃいけないんだよ、おい』 「はぁ?」 その言葉に今度はれいむが呆れたような、事実呆れた声を出す。 このにんげんさんは一体何を言ってるのだろうか。 ゆっくりし過ぎて餡子が馬鹿になったのだろうか。 れいむはそんなことを考えながら、若干哀れみの感情を込めながら口を開いた。 「あのね、にんげんさん、いい? ゆっくりはね、すっごくたいせつなんだよ、ゆっくりできないとダメなんだよ? りかい、できるよね?」 理論も何もない説明をして、いい気になってる饅頭一匹。 その哀れみの視線を受けても青年は表情を変えず、つまらなそうなどうでも良さそうに口を開く。 『ゆっくり出来ないよダメってことはお前、駄目じゃん』 「ゆ!? なにほざいてるのぉおお!! ゆっくりしたれいむのどこがダメだっていうの!?!?」 まさかの言葉に、れいむは目を見開き歯茎をむき出しにして青年に食ってかかった。 ゆっくりしている自分が、挨拶も返せないゆっくりしてない人間に馬鹿にされた。 許しがたい屈辱だ。そんなことを考えているれいむはギリギリと歯を食いしばり怒りを露にするが。 青年はそんなことは気にしないで、むしろ若干その様子をニヤニヤしながら見て再び口を開く。 『じゃあ、ゆっくりってどんなことだよ? あ、ゆっくりはゆっくりだよ、とか餡子すかすかな台詞はいらんから』 「ゆ!?」 青年に言われてれいむは動きを止める。 ゆっくりというのは決まった形はない概念的物体である。 しかしそれを説明出来るほど、饅頭の餡子は高性能ではない。 餡子の中にあるのは「ゆっくりはゆっくりだよ」の一言である。 それでも無い餡子絞って、れいむは考え口を開いた。 「ゆ、ゆっくり、はなねぇ、おいしいごはんをむーしゃむーしゃすることだよ!」 『でもさ、ご飯とってくるのって疲れない? お前たち風に言えばゆっくり出来ないよな?』 「ゆ?」 必死に出したれいむの答えを、青年は簡単に挫いた。 「ゆゆ、ごはんさんは、ゆっくりしてる、よ?」 『そりゃそうなんだろうけどさ、ご飯取るのってゆっくり出来ないよな? その辺にホイホイある訳でもないだろうし』 「…………」 そう言われてれいむは考える。 普段の狩りの様子、それはこそこそ遠くのゴミ置き場まで這いずって向かい、必死にゴミ袋を破って、人間から隠れながら帰る。 その行為は実にゆっくり出来ない。 ゆっくり出来るご飯を食べるのに、ゆっくり出来ない狩りをする。 ただそれだけの代償と結果のバランスなんだけれど、れいむにはとても不気味に感じられた。 普段は意識もしない、と言うか。 ゆっくり出来ないことは直ぐに忘れてしまうので、意識するに至らないのだ。 それ故に、そこを突かれてれいむの餡子はグルグルと迷宮状態に至っていた。 『な、どうなんよ? ゆっくり出来ないことしなきゃ食べられないご飯って、ゆっくりしてる?』 「…………ゆっくりしてないよ」 れいむは呆然としながら認めてしまった。 そこで青年は続ける。 『じゃあ、お前らのゆっくりってゆっくり出来ないことなんだな、へぇ』 「ち、ちがうよ! かんちがいしないでね! さっきのはたまたまだよ!」 何が〔たまたま〕なのか解らないけど、れいむは妙な言い訳をして慌てふためいた。 『じゃあ、何がゆっくり? ゆっくりって、何?』 「ゆっ! ゆっくりはね みんなでいっしょにおしゃべりしたり あそんだりすることだよ!」 れいむは再びキリっとした表情を見せながら告げた。 しかし青年はあっさり返す。 『お喋り? 遊ぶ? それってさ疲れない?』 「ゆ? ゆっくりできるよ! たのしいよ!」 『いや、そうなんだろうけどさ、終わってから疲れるでしょ? お腹空くでしょ?』 「すくよ! みんなであそんだあとは たくさんむーしゃむーしゃするよ!」 『てことは、狩り、だっけ? するんでしょ』 「するよ! ごはんさんなくなったら ゆっくりできないからね!」 『てことは、ゆっくり出来ない狩りをしなくちゃいけないってことは、ゆっくり出来ないんじゃない?』 「ゆ!?」 青年の誘導的な説明の帰結に、れいむはビクッと身体を震わせ硬直する。 そこに追い討ちをかけるように青年の言葉が降ってくる。 『皆もさ、ゆっくり出来ないことをれいむにさせて喜んでるんじゃない?』 「…………」 れいむはすっかり意気消沈していた。 『それで、ゆっくりって、何?』 「ゆぅ…………ゆ! ゆっくりは、ゆっくりはねぇ!」 れいむは餡子に一筋の光が差したように顔をあげた。 自信に満ちた表情で口を開く。 「ゆっくりはね! けっこんして すっきりー! して おちびちゃんをつくることだよ!」 キラキラ光る目で見つめられた青年は苦笑しながら口を開く。 予想通り過ぎて言葉も出ないと言わんばかりに。 『結婚するってことはさ、違うゆっくりと一緒に住むんだよね?』 「そうだよ! かっこいいしろいスィーのまりさがいいよ!」 『てことは、家が狭くなるでしょ?』 「ゆ? そ、そうだよ?」 『それってゆっくり出来ないんじゃない? 狭い家で、相手を気にしながらなんて。はぁぁ、ゆっくり出来ない』 「で、でも! けっこんしないと すっきりーできないんだよ!」 『そっか、でもそのすっきりーってさ、凄く疲れるんだよ? その辺走り回るよりずっと疲れるんだけど、それってゆっくり出来ないんじゃない?』 「ゆ、ゆぅ、でも、でも、すっきりーしないと、おちび、ちゃんが」 『おちびちゃん、ねぇ……』 青年はどう〆ようか少し考えてから口を開いた。 理論的にか、道筋的にかどちらにするかを考えた。 〔おちびちゃんが増えて、忙しくなり、自分が食べる分も減る、それはゆっくり出来るの?〕 〔家を狭くして、疲れるすっきりーをしてまで出来たおちびちゃんって、本当にゆっくり出来るの?〕 どちらにするか考え、ゆっくりゆっくり口を開いた。 『ねぇ――――』 ……。 …………。 ………………。 公園に一匹の変わり者のゆっくり出来ないれいむがいた。 美味しいご飯さんの為に狩りをすることもなく、その辺の雑草を食んで。 友達とお喋りして、遊んでゆっくりすることなく、お家の中でじっとしていて。 素敵なゆっくりと結婚して幸せになることなく、ずっと独り身で。 愛し合った相手とすっきりーしておちびちゃんを作ることなく、ずっと子無しで。 ゆっくり出来ないことをすることなく、それなのにゆっくり出来ないで。 そんなれいむがいた。
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『わけあり おまけ』 16KB 愛で ギャグ 変態 独自設定 変態表現アリ、anko1943のおまけです 注:この作品にはお下品な表現やHENTAI的表現が多数含まれています、苦手な方はそれをご了承の上読み進んでください。 この作品はanko1943 わけありの続編にあたり、また『ゆなほ』シリーズの流れをくんだものとなっています。 単品でも楽しめるとは思いますが、それまでのお話を読んでいただければより楽しむことが出来ると思いますので是非どうぞ。 ----------------------------------------------- 前回までのあらすじ! 毎夜毎晩恋に焦がれるこの俺の元に舞い降りた天使、その名も素敵、ふらんちゃん。 しかしこのふらんちゃんはとってもとってもシャイガール。 俺の少々過剰な熱烈アピールにウブな彼女はお顔がまっかっか。 夢にまで見たちゅっちゅライフを送るための俺と彼女のハートフルいちゃラブストーリー… だったんですよ!? 「う~!うっうっう~♪」 ふらんちゃんは今、ひらひらのスカートに包まれた可愛いお尻を俺に向けて、腰に手を当てふりふりと左右に振っている。 『ど~だどー?ここらへぇーんに、かりすまぱうあーがたまってきたどー!』 ふらんちゃんが身体を動かしながら一心不乱に見つめているのは『ぷりてぃれみりゃのかりすまれっすん』という名前の子供向け番組だ。 自らをお姉さんと名乗る胴付きれみりゃが出演していて、今ふらんちゃんがやっているのは、 その中のコーナーの一つである『れみりゃのかりすまだんしんぐ』の振り付けだ。 テレビの中のれみりゃのゆったりとした腰振りに合わせて、ふらんちゃんが実に楽しそうにふりんふりんと腰を振っている。 正直今、俺はこの瞬間のためだけに生まれてきたと言っても過言ではないね。 ふらんちゃんはお尻ふりふりダンスに夢中でこちらに気付いていない。 それをいいことに思い切り頬を緩ませ、時に涎を垂らしながら全力でふらんちゃんのお尻を鑑賞する権利が俺にはあった。 あっ、ぱんてら頂きましたー!ありがとうございますッ!!! 「にいさまー、ふらんじょうずにできたー?」 「あぁふらんちゃん、とっても可愛かったよ、ドゥフフフフ」 「うー?」 ふらんちゃんがこちらを向いた瞬間、出来る限り平常を装うも、溢れる笑みを抑えることは難しい。 あー、鼻血でそ。 あのお風呂場での一件直後、ふらんちゃんと俺の仲はそれはそれはサイアクだった。 一方通行の愛というやつがこれほどまでに辛いとは正直思わなかった。 その日一日は枕を涙でぐしょぐしょにしてしまった俺だが、 そんなことでふらんちゃんとのいちゃいちゃを簡単にあきらめられるほど、俺はあきらめのいい漢ではなかったのだ。 次の日から俺は涙を呑んで股間のやんちゃボーイを封印することを決め、 紳士そのものの態度でふらんちゃんの良い飼い主のお兄さんを演じ続けた。 いつしかそれが呼吸するように自然に行えるようになったとき、俺とふらんちゃんの仲は完成していた…。 ふらんちゃんは俺のことを兄様なんて呼んでくれるし、いつも可憐な笑顔を俺に向けてくれる。 しかし…心にどこか空しい風がふくのを感じていた。 おい俺!本当にそれでいいのかい!? ふらんちゃんに好かれるだけ好かれてさ、確かにそれは重要だよ、いいことさ! だけど、だけど… いちゃいちゃが無いでしょッ!!!! 朝お着替えの時にパンツで興奮し、笑顔で勃起して昼はいいだけちゅっちゅして、 お風呂に入ってらぶらぶして、夜はしっぽりする…あの頃のピュアな野望はどこにいったの!? 俺は…俺は悲しいよ!もっともっと使ってくれよおおおおお!!!! と、息子さんが俺に熱いメッセージを送りつけてくる… そうだよね、そうなんだよね、これだけ高感度UPしたんだもん、とっくに攻略済みだよね! ね!? 「ふーらんちゃん!」 「う!?」 俺はテレビを見終えてソファーでゆっくりしているふらんちゃんの隣に座って、そのちっちゃな身体をひょいと抱き寄せた。 いわゆる女の子の香りというやつだろうか、甘い匂いがふわりと俺の鼻腔をくすぐり、久々に封印を解かれた野獣はすぐにビンビンになってしまう。 しかしまだそれを悟られるわけにはいかない。 「ん~、すーりすりすり」 「う…うぅ…やめてにいさま…」 口ではやめてといいながらも、頬を染めるふらんちゃんはどうやらまんざらでもないご様子。 イケる!これはイケるぞ!と思った俺はふらんちゃんをゆっくりとソファーの上に押し倒した。 そしてさわさわとふらんちゃんの身体を服の上から撫でていく。 「きゃは!くすぐったーい!」 さらさらの生地にくすぐられて、ふらんちゃんが笑う。 お父さんお母さん、今日俺はついにチェリーを卒業するよ! 万感の思いを込めて、俺はズボンのチャックを下ろし、滾る欲棒を露出させた。 するとどうでしょう、あんなに可愛かったふらんちゃんが、ゴミムシを見るような目でこちらを見つめているではありませんか! ゾクッ!こ、これって快感!? いやいや、まずい、非常にまずい。 このままでは折角の積み重ねがまた無駄になってしまう。 それだけは避けねば、でもふらんちゃんといちゃいちゃしたい、 っていうかすっきりドールなんだから一発くらいヤらせろよ畜生! あぁでも可憐なふらんちゃんとはやっぱり和姦第一だよネ! などと一瞬のうちに思考がぐるぐると回転し、俺は錯乱状態に陥ってしまう。 そしてパニクった俺の灰色の脳みそがはじき出した答えが、コレだった。 「ぐ…ぐわっぁああああ!!」 「うぅ!?」 俺はちんこを掴みながらソファーから転げ落ち、床の上をごろごろとのたうちまわる。 それを見てふらんちゃんは、心配そうな目でこちらを見下ろしていた。 これはチャンスだ、この隙を突いて俺はふらんちゃんにも分かりやすいように今の俺の状況を解説した。 「うわー痛い!すごく痛いよー!ふらんちゃんたすけてー!お兄さんのぺにぺにがまっかに腫れてるんだ! これは悪い魔物がとりついちゃったからなんだよー!お兄さんにはどうすることもできないいい!ふらんちゃんやっつけてー!」 「う?うぅ?」 ふらんちゃんはあまりの突然の出来事に目を白黒させている。 俺は助けを求めるため、具体的な説明をすることにした。 「ふらんちゃんおねがいだー!悪魔はここにいる!具体的に言うと踏んでくださいお願いします!」 「う、うん!」 ふらんちゃんは素直ないい子だ… ソファーからぴょんと飛び降りたふらんちゃんは、仰向けになって寝ている俺の股の間に立ち、天高くそそり立つ肉棒を見下ろしている。 「あんよでふめばやっつけられる?」 「お願いします!」 ふらんちゃんは俺の答えを聞いて笑顔になって、実に素直に、俺を助けるためにとひょいと上げた足を俺の竿めがけて振り下ろした。 「うー☆」 「ああああああありがとうございますっ!!!!」 走る電撃、迸る快感。 なあんだもっと早くこうしていればよかったんだよウフフアハァ。 「あっ、ふらんちゃ…おふぅっそこ、もっとっ…イェァ!」 「んっしょ!んっしょ!いたいのとんでった?」 ふらんちゃんは俺の言ったことを忠実に実行して、かわいい靴下あんよで俺の竿を容赦なくぐにぐにと踏みつけている。 しかし以前のように勢いがついているわけではないその刺激は、軽めのふらんちゃんの体重も相まって実に甘美なものだった。 俺は余計なことを考える暇も無く、あっけなく一発目を発射してしまう。 上を向いた肉棒から発射されたヨーグルトは、当然のように俺の顔にも降り注いだが、ふらんちゃんの足の快感の前にはそんなことは些細なことだった。 「も、もっとやってもらってもいい?」 「うー!まかせてー!わるいこをやっつけるー!」 一度の射精程度では萎えないほどの禁欲生活を送っていたので、俺は調子にのってふらんちゃんに悪魔退治を追加注文することにした。 二回目は少々持久力もついて、ふらんちゃんのあんよの動きを楽しむ余裕が出てきた。 「あー、ふらんちゃんもうちょっと先のほうが特に痛いなぁー、そこに悪者がいるきがするー」 「ここ?」 「あふぅっ!」 俺が指定したとおりにふらんちゃんは足を滑らせる。 そのままぐいんぐいんと踏みつけられると、早くも俺は第二弾が装填される気配を感じてしまった。 (…おや?) 今まで俺はすらりと伸びる太ももの向こうにちらちらと見えるぱんてぃに夢中だったのだが、 二発目の余裕でふらんちゃんのいろいろなところを視姦していたところ、ふらんちゃんのある変化に気付いた。 ふらんちゃんは俺の股間の鬼退治を足でしながら、顔を紅潮させ、時折指でぷにぷにとほっぺたをつまんだり、さすったりしていたのだ。 「ふらんちゃん、何してるの?」 「う?」 言われてから自分がそうしているのに気付いたのか、ふらんちゃんはハッとなって手を下ろす。 しかしまたしばらく立つと自然に頬に手が伸びて、もちもちのほっぺを自らもみしだいていた。 ふらんちゃんとのある意味今までに無い理想的なコミュニケーションを、数で表すなら5回くらいこなした後、 俺はお礼の意味を込めてふらんちゃんに冷蔵庫で冷やしていた特製プリンをご馳走してあげる。 「ぷりぃ~ん♪」 ふらんちゃんは実にご満悦だ、ふらんちゃんがプリンに夢中になっている間、 俺はある疑問を確信に変えるため、パソコンを使ってある調査を行った。 「はっは~んふむふむほほぉ~ん、つまりもしかしてもしかするとそういうことなのかい?」 ゴェゴル先生による情報はあまりに膨大で、正直答えを導きだすのは面倒だから途中でやめてしまったが、 手がかりのようなものを掴めたような気分になることはできた。 後はこれを実行に移すだけ… 賢者モードな俺は実に清清しい気分だったので、あまり深く考えずにとりあえずやってみることにした。 その日の夜、お風呂でふらんちゃんを綺麗にしてあげた後、自分の身体をいつもより念入りに洗う。 そして風呂から上がって、俺は細心の注意を払いながら、少しだけ生えてきていた顎髭をツルツルになるまで丁寧に剃った。 可愛いパジャマに身をつつんだふらんちゃんを連れてベッドインし、電気を消すと俺はふらんちゃんを抱きしめて、愛情たっぷりに囁いた。 「ふらんちゃん、俺とすっきりしよう」 その発言を聞いたふらんちゃんは、ビクリを身を固めて、わなわなと身体を振るわせ始めた。 「う…う~!やー!」 「そんなこと言わないで、俺はふらんちゃんが大好きだから、ふらんちゃんとすっきりしたいんだよ」 「うー…」 ふらんちゃんは俺の真剣な態度に顔を赤くして目をそむけてしまう。 俺は思い切ってふらんちゃんの唇を奪った。 「!!!」 舌なぞ入れようものなら確実に噛み切られるので、名残惜しいがそれは自重して、 唇をすぼめたままふらんちゃんの唇や頬にちゅっちゅっと何度もキスマークをつけていく。 「や!やぁ!」 ふらんちゃんがあげる抗議の声を無視して、俺は舌を使ってぺろぺろとふらんちゃんの頬を舐め上げた。 腕の自由が利くので、ふらんちゃんの上半身を出来るだけ優しく押さえつけ、 布団の中のおかげでふらんちゃんの足技もそれほど脅威ではない。 俺が執拗にふらんちゃんの頬を責めていると、ふらんちゃんの息は上がっていき、 声に勢いは無くなり、だんだんと身体からも力が抜けていった。 「にぃ…さまぁ…」 あー、しおらしいふらんちゃんめちゃ可愛い服引き裂いてれいぽぅしてぇ… と邪な考えが過ぎってしまうが、俺はそれを理性で押さえつけてふらんちゃんの頬に、 つるつるに仕上げた自分の頬をぴったりとくっつけ合わせた。 「!!」 ふらんちゃんがビクリを身を震わせる、どうやら何か思うところがあるらしい。 「すーりすーり、すーりすーり」 俺はそうはっきりと発音して、俺の唾液で湿ったふらんちゃんのやわらかほっぺにすりすりと頬ずりをした。 「うあああ!!」 ふらんちゃんはじたばたと手足を動かして、俺から逃れようとする。 しかし俺はがっちりとふらんちゃんの身体をホールドして逃がさない。 「すーりすーり!すーりすーり!」 俺は自分とふらんちゃんに言い聞かせるように、すーりすーりと何度も繰り返しながら頬を行ったり来たりさせた。 「うっ!うぅっ!」 ふらんちゃんは頬が擦れあう度に身体をふるわせて、頬には熱いと感じてしまうほどの熱を帯び始めていた。 「すーりすーり!すーりすーり!」 「う…あっあっ…うあああああ!」 「すーりすーり!すーりすーり!」 「んんんんんんんっぅぅぅうううう!!」 執拗に頬ずりを続けていると、ふらんちゃんはギュッと目を閉じて、なにやら手をもぞもぞとさせ始めた。 「すーりすーんほおおお!!」 ふらんちゃんのおててが滑り込んだのは、なんと俺のパンツの中だった。 「んー!んふー!もげー!もげちゃええ!」 息を荒くしながら、ふらんちゃんが俺の頬ずり攻撃への反撃として俺の興奮しきっていたボウヤをしごき上げる。 本人はおそらくちんこもげろ!のつもりなのだろうが、力の入っていないそれはもはや愛撫以外の何者でもなかった。 「みなぎってきたあああああ!!!すりすりすりすりすりすりすり!」 「うわああああああ!!す…す…」 ふらんちゃんは俺の怒涛の頬ずりになすすべなく攻め立てられ、もはや限界は近いようだ。 俺も正直こんなサプライズご褒美があるとは思っていなかったので、 ふらんちゃんの手コキを味わいながらも、丹精込めてラストスパートすりすりをキメにかかった。 「あああああたまらんすりすりすりすりうぉおおっほすりすりすり!!」 「す…す…すっきりいいいいいいいいい!!!!」 ふらんちゃんはそう叫ぶと同時に身体をぎゅっと萎縮させ、まるでイッたかのようにビクビクと何度も身体を痙攣させた。 ぎゅっと握り締められたおてての刺激で俺の一物も限界を向かえ、 布団の中でふらんちゃんのパジャマのお腹の上にびゅるびゅると勢いよく白濁液をぶちまける。 「ふー…ふー…」 ふらんちゃんは身体を弛緩させてぐったりとしたまま、眠りに落ちていってしまった。 「ふぃー、きもぢえがったー…」 俺は乱れた布団をはいで、ティッシュでベトベトになった俺の股間やふらんちゃんのほっぺとパジャマをふく。 本当はお互いプレイの余韻で汗まみれなので、着替たほうがいいとは思うが、 そんな気力も無く簡単に済ませて布団を整えると、俺もふらんちゃんと一緒に深い眠りに落ちていってしまった。 次の日、少しだけ早起きした俺は実にさわやかな気分でふらんちゃんの寝顔を見つめていた。 「あぁ、至福…」 ふらんちゃんのお顔はあまりに可愛い、実際ふらんちゃんがうちに来てからほぼ毎日ガン見していても飽きないほどだ。 そして昨日俺はふらんちゃんとついに一線を越えることに成功した、これ以上の喜びがあるだろうか、いやない(反語) しばらくそうして見つめていると、ふらんちゃんのまぶたがぴくりと動き、大きなあくびと共にふらんちゃんが目を覚ました。 「おはようふらんちゃん」 「んー…」 正直目覚めた瞬間どんな猛攻を受けるかとハラハラしていたのだが、その心配は無用だったようだ。 寝ぼけているのかふらんちゃんはぼーっとしていて、俺のほうをぼんやりと見ているだけだ。 ふらんちゃんはわりと朝に弱い、そのことはふらんちゃんとの生活の中でちゃんと把握している、大勝利である。 寝ぼけ眼のふらんちゃんを着替えさせてあげて、ソファーに座らせて朝食の準備をして、テレビをつける。 「はい、あーん」 「あー…」 俺が料理をふらんちゃんの口元に運ぶと、ふらんちゃんが口をあけ、放りこまれた食べ物をむぐむぐと租借する。 すっかり甘やかしモードだが、これも俺の趣味の一つとなりつつあるので、嫌なことなど何一つありはしない。 ふらんちゃんが口に入れた分を食べているうちに自分の分の朝食をかきこんでいると、テレビのニュースが速報を伝えていた。 「ん~?なになに、ゆっくり専門ペット業者社長逮捕、インターネットを使った詐欺で、胴なしゆっくりを胴つきとして販売、不当な利益を得ていた…」 俺はふらんちゃんをちらりと見る。 昨日試したあの方法は、いわゆる胴なしゆっくり特有のすっきり方法について解説されたサイトから参考にしたものだ。 人間でいうところのセックスに当たるものが、ゆっくりには二通りあって、ぺにぺにまむまむと呼ばれる生殖器での交尾と、 頬をすり合わせるだけのすっきり行為があり、それぞれちゃんと子供を妊娠することが出来るらしい。 俺を足コキしてくれていた時に興奮したふらんちゃんが手を頬にこすり付けていたので、もしやと思い試してみたが、結果は既に出ているとおりだ。 ふらんちゃんがうちにやってきた時の箱は既に処分してしまったが、もしかすると今テレビでスクープされている業者のものだったのかもしれない。 「でもま…」 俺がテレビを眺めていると、ふらんちゃんはいつのまにかお口をあんぐりとあけて、俺のスプーンを待ち構えていた。 「どうでもいいよね、そんなこと」 俺がスプーンをふらんちゃんの目の前にもっていくと、ふらんちゃんはぱくりと食いついて、再びもぐもぐと口を動かす。 「ん~?」 「なんでもないよ」 ふらんちゃんが胴なしで、胴つきに改造されて出荷されていたからといって、何が問題だろうか。 少なくとも俺とふらんちゃんはこんなにもらぶらぶちゅっちゅで愛し合っている、それで十分だと俺は思う。 「ねぇねぇふらんちゃん、昨日のすっきり気持ちよかった?」 意地悪心をだしてそう聞くと、ふらんちゃんは顔を真っ赤にして俺の胸をぽこぽこと殴りつけてくる。 「うーーーーー!!!!」 「はははは、ごめんごめん、ほっぺにご飯粒ついてるよ」 「う?」 一瞬の隙を突いて、頬にキスをすると、ふらんちゃんは真っ赤な顔をさらに真っ赤にして俯いてしまった。 「愛いやつよのぅ」 今はゆっくりのすっきりでも、たとえふらんちゃんを買う時に思っていたようなえっちを出来なくても、それでもかまわない。 もちろんこれからどんどん仲良しして、出来るところまで行きたいと思ってしまうのが漢心というやつだが、焦る必要はない。 だって俺とふらんちゃんは、こうして出会うことが出来たんだから。 「ねぇねぇふらんちゃん、また悪霊がおちんちんにとりついちゃったよー、今度はお口でぺろぺろしてくれたら治る気がするなぁ」 「もうっばかっ!ちんこもげろ!!」 終わり。 ----------------------------------------------------- と、いうわけでanko1943 わけありのおまけでした。 ついにらぶらぶちゅっちゅに成功したふらんちゃんとお兄さん、これからもっと幸せになってもらいたいものですね。 ところで近作を書くにあたり、前作のわけありを読み返してみたところ、 自分にはありえないくらいテンションの高い作品だったということが分かり、驚いたと同時に、 これ本当に続きかけるのかよ…とも思ってしまいました。 しっかり続き物として書けたでしょうか、なんとなくいいかんじになったんじゃないのかなぁと個人的には思うのですが、 う~んどうでしょう。 あと深夜一発書きだったのでところどころ細かいネタが仕込まれています。 見返すと直したくなるようなきがするので、見返さず投稿しましたので見つけたら笑ってやってください。 それではまた次回作で会いましょう。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3413.html
『可哀想なゆっくり』 34KB 制裁 自業自得 飼いゆ 野良ゆ ゲス 希少種 現代 17作品目。少し真面目になって書いてみました。 注意書きです。 1 希少種が出ます。 2 酷い目にあうゆっくりと、そうでないゆっくりがいます。 それでもOKという方のみ、どうぞ。 「ぴゃあぁぁぁぁっ!?やめてえぇぇぇぇっ!!」 ……そこは、とある街中の、とある一軒家。 その一軒家のリビングの中に、甲高い悲鳴が響き渡った。 「やめてえぇぇぇぇっ!!なんでこんなことをするのおぉぉぉぉっ!?」 「うるせぇ……!」 そのリビングでは、一人の青年が、一匹のソフトボールサイズのゆっくりれいむを踏み付けていた。 そのれいむは、顔面のあちこちが腫れ上がっていて、歯もボロボロに折れていた。 「……もう一度聞くぞ。あれは、お前がやったんだろ?」 青年は、床の一ヶ所を指差した。 ……そこには、饅頭の餡子や皮が散乱しており、その傍にズタズタに踏まれて潰された、赤ゆっくりの帽子が転がっていた。 その帽子には、飼いゆっくりの証である、銀バッジが付いていた。 「ちがうよおぉぉぉぉっ!!れいむはなんにもわるくないんだよおぉぉぉぉっ!!ほんとうだよおぉぉぉぉっ!!しんじてよおぉぉぉぉっ!!」 「黙れ、この糞饅頭が……!」 れいむは青年に必死にそう訴えたが、青年は全く信用していないようだった。 「なんでぇ……?なんで、れいむばっかり、こんなめにあうのぉ……?」 れいむは、青年に全く信じてもらえない事が、とても悔しかった。 今思えば、自分はとても不遇な立場にあった。 自分は何も悪くないのに、いつも自分が悪者扱いで、蔑みの眼差しで見られていた。 どうして、こうなってしまったのか。 れいむは涙をボロボロと流しながら、自分の不幸で短いゆん生を思い返していた。 ~回想開始~ (ゆぅ……、ゆぅ……) れいむは今、これからの幸せなゆん生を夢見ていた。 「ゆっ……!もうすぐうまれそうだよ!」 自分の下の方から、母親の声が聞こえていた。 れいむは今、母親のゆっくりの頭から生えている茎に実っていた。 (ゆ……、ゆっくちうまれりゅよ……) れいむがそう思ったのと同時に、れいむの体がプルプルと震え、やがてポトリと地面に落ちた。 「ゆ……」 れいむが目を開けると、目の前に、自分と同じれいむ種の、母れいむがいた。 「ゆぅ……!おちびちゃん、ゆっくりしていってね!」 母れいむはれいむの誕生に嬉し涙を流しながら、れいむにそう言った。 (ゆっ……!おきゃーしゃんに、とっちぇもゆっくちした、あいしゃつをしゅるよ……!) れいむは母れいむに対し、生まれて初めての挨拶をしようと、口を開き、大きく息を吸い、そして……。 「ゆゆ~ん!きゃわいくっちぇ、ごみぇんにぇ~!!」 自信に満ち溢れたドヤ顔で、そう挨拶した。 決まった。 とてもゆっくりした挨拶が出来たと確信したれいむは、そう思っていた。 ……が。 「ゆぅ……?おちびちゃん、なんか、おちびちゃんのあいさつは、すこしへんだよ?」 母れいむの対応は、れいむが予想していたものと全く真逆のものだった。 「ゆっ……?」 「おちびちゃん、あいさつはこうするんだよ。……ゆっくりしていってね!……ほら、やってみて」 「ゆ……?にゃんで……?にゃんで、れいみゅのこと、へんっていうにょ……?」 自分の挨拶で、歓喜の涙を流してすりすりしてくれると思っていたれいむは、母れいむにそう聞いた。 「れいみゅ、とっちぇもきゃわいいでしょ……?にゃんで……?」 「おちびちゃんはとってもかわいいよ!でもね、そのあいさつはゆっくりできないんだよ。ゆっくりりかいしてね?」 「ゆ……、ゆっくち、りかいしちゃよ……」 れいむは、母れいむのその返答に釈然としないものの、可愛いという事は認めてもらったので半ば良しとした。 「ほら、おねーちゃん!おねーちゃんも、かわいいいもうとにあいさつしてね!」 母れいむは、れいむの後ろを見ながらそう言った。 「ゆ……?おねーちゃん……?」 一体誰の事を言っているのか分からなかったれいむは、後ろを振り向いた。 ……そこには。 「ゆぴー!」 元気に跳ねている、一匹の、赤まりちゃがいた。 ……が、れいむはその赤まりちゃを見て、こう言った。 「ゆっ……!?にゃんにゃの、こいちゅ……!?じぇんじぇん、ゆっくちしちぇにゃいよ!?」 その赤まりちゃは、髪の毛やお下げがかなり短く、帽子も小さく、口元から涎を垂らしており、目も焦点が合っておらず、何よりバカの顔付きをしていた。 「おちびちゃん!じぶんのいもうとに、そんなことをいっちゃだめだよ!」 「ゆっ……!?れいみゅのいもうちょ……!?」 れいむは母れいむのその言葉が信じられなかった。 ……こいつが、自分の妹? れいむから見て、全くゆっくりしていない赤まりちゃが、自分の妹だという事実が信じられなかった。 「このおちびちゃんはね、ちょっとだけふじゆうなんだよ。だから、へんだとか、そういうことをいっちゃだめだよ?」 「ぴー!」 ……そう、この赤まりちゃは、いわゆる『足りないゆっくり』であった。 体格は普通の赤まりちゃと大差無いものの、中枢餡に異常をきたしており、言語障害や運動障害が現れていた。 そして、この赤まりちゃは、本当はれいむより先に産まれたのだが、母れいむの判断で、姉と妹の立場を交換したのだ。 足りないゆっくりの赤まりちゃを、姉として扱うには無理があると思っての判断だった。 「ゆうぅぅぅぅ……!」 その事を知ってか知らずか、れいむは納得出来ずにいた。 「ほら、おねーちゃん、いもうとにあいさつしてね?」 「ゆ……、よ、よろちくにぇ、まりちゃ」 「ゆぴゃー!」 母れいむに促される形で、れいむは妹まりちゃに渋々と挨拶した。 ……そしてこの日から、れいむのゆっくり出来ないゆん生が始まった。 ……食事の時。 「はい、おちびちゃん、ごはんだよ!」 「むーしゃ……、むーしゃ……」 「むく、むく……」 れいむは母れいむが食べやすいように一度噛み砕いた食べ物を咀嚼していた。 そして、妹まりちゃは、母れいむから口移しで食べ物を食べていた。 「ゆっ!!おきゃーしゃん!れいみゅにもあーんしちぇにぇ!」 「ごめんね、いまおちびちゃんにたべさせているとちゅうなんだよ。おねえちゃんは、おちびちゃんがたべおわるまでまっててね」 「むく、むく、ゆぴゃぴゃー」 「ゆぅ……!」 ……しーしーの時。 「おちびちゃん、しーしーしようね!」 「ぴゃー、ちー、ちー」 「ゆぅ……!」 赤ゆっくりは自分でうんうんやしーしーを排泄する事が難しいので、親にまむまむなどを舐めてもらって手伝って貰って、排泄を行っていた。 れいむは今、とてもしーしーがしたかったが、母れいむが妹まりちゃのしーしーの介助に時間がかかって、なかなか出来なかった。 「ゆっ!!おきゃーしゃん!はやきゅれいみゅもちーちーしちゃいよ!」 「ごめんね、おかあさん、おちびちゃんのしーしーのてつだいをしているんだよ。だから、おねえちゃんはもうすこしまっててね」 「ぴー」 「ゆうぅ……!」 ……就寝の時。 「ゆー、ゆーゆー」 「ゆーぴゃーぴゃー」 「しゅーや、しゅーや……、ゆぅ……!」 夜寝る頃になると、母れいむは子守唄のようなものを妹まりちゃに聞かせて、寝付かせていた。 れいむはさっさと寝たかったが、その歌のせいでなかなか寝れずにいた。 「ゆっ!!おきゃーしゃん!れいみゅははやきゅねちゃいんだよ!しょのへんにゃうたをやめちぇにぇ!!」 「ごめんね、おちびちゃんはこもりうたをうたわないとなかなかねれないんだよ。だから、ねむるまでまっててね」 「ぴゃぴゃー」 「ゆうぅぅぅぅっ……!」 ……れいむは全くゆっくり出来ない日々を送っていた。 母れいむはいつも妹まりちゃに付きっきりで、『お姉ちゃんだから、後でね』と言われてきた。 『我慢してね』とは言われていないものの、何であんなゆっくり出来ない奴なんかを優先するのか、分からなかった。 れいむにとって、妹まりちゃは『妹』では無く、ただ単純に『目障りな奴』としか見えていなかった。 そして何より、自分の暮らしている家から、自由に外へ出る事が出来なかった。 れいむ達はどこかの空き地の段ボールハウスで暮らしていたが、れいむは外の世界を知らなかった。 れいむは母れいむに外へ出かけたいと何度もせがんだが、母れいむは『そとはとてもきけんだから、おおきくなるまででちゃだめ』と言って、れいむが外へ出る事を許さなかった。 遊びたいざかりの年頃のれいむにとって、薄暗くて狭い段ボールハウスで、しかも目障りな妹まりちゃと一緒に一日を過ごす事は、れいむにとってかなりのストレスとなっていた。 ……そして、二週間後。 「ゆっ、それじゃ、おちびちゃんたち!おかあさんはたべものをさがしてくるからね!」 「ゆっ、いってらっしゃい、おかあさん!」 「ぴぴゃー!」 母れいむはれいむと妹まりちゃにそう言うと、食べ物を探しに外へ出かけた。 そして、段ボールハウスに残されたのは、れいむと妹まりちゃだけとなった。 「ぴゃぱぱー!」 「……」 妹まりちゃは、相変わらず奇声を発しながら体を震わせており、その様子をれいむは黙って見ていた。 ……そして、れいむはいきなり、妹まりちゃを揉み上げでバシリと叩いた。 「ぴいぃっ!?」 「いつもいつも、ぴーぴーうるさいよっ!!」 妹まりちゃは何故叩かれているのか分からず泣き出したが、それでもれいむは妹まりちゃを叩くのを止めなかった。 「おまえなんか、れいむのいもうとじゃないよ!おまえがいるから、れいむはちっともゆっくりできないよ!」 「ぴいぃぃぃぃっ!!ぴいぃぃぃぃっ!!」 「ゆっくりできないゆっくりのくせに!なんでいきてるの!?ばかなの!?しぬの!?おまえはばかなんだから、さっさとしんでね!」 「ぴゃあぁぁぁぁっ!!」 ……この二週間の間で、れいむは一つのストレス解消法を見つけた。 それは、母れいむがいない間に、妹まりちゃを虐める事だった。 全くゆっくり出来ない、役立たずで目障りな存在の妹まりちゃを虐める事に、れいむは全く罪悪感などは感じていなかった。 むしろ、それが当たり前とさえ考えていた。 「れいむはおおきくなったのに、おまえはぜんぜんおおきくならないね!やっぱりばかはせいちょうしないね!」 「ぴゃぱあぁぁぁぁっ!!」 れいむは子ゆっくりサイズまで成長していたが、妹まりちゃは産まれた時と、大きさが殆ど変っていなかった。 妹まりちゃは発育にも異常をきたしていたが、れいむはその事実を知らず、たとえ知っていたとしても、態度は変わらなかっただろう。 れいむにとって、妹まりちゃの価値観は、『目障りな奴』から『ストレス解消道具』に変わっていたのだった。 「しね!しね!やくたたずのぐずは……、ゆっ、もどってきたよ……」 れいむがチラリと外の様子を見ると、母れいむが口の中に食べ物を入れて帰って来たので、れいむは妹まりちゃを叩くのを止めた。 「ぴゅうぅぅぅぅっ!!ぴゅいぃぃぃぃっ!!」 「おちびちゃんたち、ただい……、ゆっ!?どうしたの!?おちびちゃん!?」 「お、おかーさん、またまりちゃがぐずりだしちゃったよ……、れいむ、なきやまそうとしたんだけど……」 「ゆっ、おちびちゃん、いいこいいこ、なかないでね……」 「ゆぴゅいぃぃぃぃ……」 母れいむは、泣き続ける妹まりちゃを必死にあやしていた。 (ゆふふっ!とりあえず、すっきりー!したよ!) れいむは妹まりちゃが喋れない事を良い事に、母れいむにデタラメを言っていた。 そして、妹まりちゃの体に叩いた跡が残らないように、毎回力加減をして妹まりちゃを叩いていたので、母れいむに虐めの事を気付かれずに済んでいたのだ。 「ぴいぃ……、ぴいぃ……」 妹まりちゃは、涙を溜めた目でれいむを見ていたが、れいむの心は全く痛まなかった。 それどころか、かえって怒りが込み上げてきた。 (……おまえがわるいくせに、なんでれいむをわるもののようなめでみるの!?わるいやつはせいっさいっしてとうぜんでしょ!?ばかなの!?しぬの!?) 自分は可哀想で全然ゆっくり出来ていないというのに、何故そんな目で自分を見るのか。 れいむには、それが分からなかった。 ……そして、己のゆん生を大きく変える出来事が起きようとしている事もまた、れいむには分かっていなかった。 ……ある日の事。 「ぴゃややあぁぁぁぁっ!!」 「ゆふふっ!ゆっくりできないゆっくりをせいっさいっするのは、とってもたのしいね!」 れいむはいつものように、母がいない間に、妹まりちゃを虐めて楽しんでいた。 ……が、その日はいつもと違っていた。 「ぴ……、ぴいぃぃぃぃっ!!ぴいぃぃぃぃっ!!ぴいぃぃぃぃっ!!」 「ゆぅっ!?」 いつもはただ叩かれて泣き叫んでいるだけだった妹まりちゃが、急にその場で何度も跳ね、お下げを振り回し始めた。 耐え重なる暴力への訴えか、それとも防衛本能からの行動か、理由は分からなかったが、妹まりちゃはいつもとは違っていた。 「こいつうぅぅぅぅっ!!じぶんがわるいくせに、ぎゃくぎれするなんて、とんでもないげすだよっ!!」 妹まりちゃの行動に腹を立てたれいむは、さらに揉み上げで妹まりちゃを叩こうとした……、が。 「ぴゃいやあぁぁぁぁっ!!」 ベチッ! 「ぴゃあっ!?」 妹まりちゃのお下げが、れいむの顔に当たってしまった。 「ゆ……、ゆ……」 今まで感じた事の無い、痛み。 それがゆっくり出来ない奴によって引き起こされた、痛み。 「ゆ……、ゆがあぁぁぁぁっ!!このくそまりさがあぁぁぁぁっ!!おねえちゃんにぼうりょくをふるいやがってえぇぇぇぇっ!!」 それにより、れいむの逆上は有頂天へと達した。 「このげすがあぁぁぁぁっ!!」 れいむは怒りに身を任せ、赤まりちゃに体当たりをした。 「びゅぽおぉっ!?」 自分より一回りも二回りも大きいれいむの体当たりを受けた妹まりちゃは弾き飛ばされ、段ボールの壁にぶつかった。 「せいっさいっしてやるうぅぅぅぅっ!!」 れいむはその場で飛び跳ね、妹まりちゃを押し潰そうとした、その時。 「なにしてるのぉっ!!」 「ゆんやぁっ!?」 後ろから何者かに髪の毛を噛まれ、後ろへと引きずられた。 「おねえちゃん!?いもうとにいったいなにをしているの!?」 「ゆっ!?」 ……そこにいたのは、食べ物探しから帰って来た、母れいむだった。 「ゆ……、こ、これは……」 「おかあさんはみていたよ!おねえちゃんがいもうとにたいあたりをしていたところを!……なんでこんなことをしたの!?」 「ゆ……、ゆぅ!れ、れいむは、なんにもわるくないよ!?こいつが、れいむにいたいおもいをさせるから……!」 バシッ! 母れいむに問い詰められ、そう言い訳をしたれいむの頬を、母れいむが揉み上げで叩いた。 「ゆびゃあぁっ!?いだいぃぃぃぃっ!!」 「……おねえちゃん。きょうは、ばんごはんはぬきだよ。じぶんがなにをしたのか、ちゃんとはんせいしてね」 母れいむはそう言うと、妹まりちゃの体を舐め始めた。 「おちびちゃん……、いたいのいたいの、とんでいってね……」 「ぴゃあぁ……、ぴゃあぁ……」 「お、おかあさん!れいむのほっぺもいたいよ!れいむにも、ぺーろぺーろしてね!」 れいむは母れいむにそう言ったが、母れいむはその言葉を無視した。 それかられいむは母れいむに再度ぺーろぺーろするよう言ったり、泣き喚いたり、癇癪を上げたりしたが、母れいむは無視する事に徹底していた。 (ゆうぅぅぅぅっ……!?なんでぇ……!?なんでれいむが、こんなめにあうのぉ……!?なんでれいむがおこられなきゃいけないのぉ……!?) れいむには、その原因が全く分かっていなかった。 (ゆぅ……!れいむは、とってもかわいそうだよ……!ぜんぜんゆっくりできないよ……!ゆうぅ……) そしてれいむは、暴れたり、泣いたりした事により疲れ果て、やがて眠ってしまった。 ……夜。 「ゆ……」 れいむが目を覚ますと、昼間でさえ薄暗い段ボールハウスの中がさらに暗くなっていた。 「ゆぅ……、ゆぅ……」 「ぴぴゃー……、ぴゅぴー……」 そして、少し離れた場所で、母れいむと妹まりちゃが身を寄せ合って寝ていた。 「ゆ……!」 その光景を見て、れいむの心に再び憎悪の炎が燃え上がった。 その憎悪の対象は、やはり妹まりちゃだった。 (こいつのせいで……、れいむは、おかあさんにおこられたんだよ……) れいむはじりじりと這いながら、寝息を立てている妹まりちゃに近付いた。 (こいつさえいなければ……!こいつさえいなければ……!) れいむは妹まりちゃを睨みつけながら、少しずつ距離を縮めていった。 (こいつは……、とんでもないげすだよ……!れいむがかわいそうなのは、ぜんぶ、こいつのせいなんだよ……!) ……そして、とうとうれいむは妹まりちゃのすぐ傍まで到達した。 (れいむをいじめる、こんなげすは……!) そして、れいむは大きく口を開け……。 (れいむが、ころしてやるよぉっ!!) 妹まりちゃの頬を、食い千切った。 「ぴゃあぁぁぁぁっ!?」 「ゆっ!?」 妹まりちゃは突然の鋭い痛みに悲鳴を上げ、その悲鳴を聞いて母れいむが目覚めた。 「お、おちびちゃん!?いったいどうし……、な、なんでおちびちゃんのほっぺがちぎれてるのぉっ!?」 「ぴゅぴゃあぁぁぁぁっ!!ぴゅぴいぃぃぃぃっ!!」 母れいむは何故妹まりちゃがこんな惨たらしい姿になっているのか訳が分からず、何か傷口を塞ぐものが無いかと周りを見回し、そして、見てしまった。 「うっめ!こいつ、めっちゃうめぇ!まじぱねぇ!」 れいむが何かを美味しそうに咀嚼している姿を。 ……そして、れいむの頬に付いていた、餡子も同時に。 「ゆっ!おかあさん!おかあさんもいっしょにこいつをころ」 「……でていけ」 「……ゆ?」 れいむのその言葉の先を、母れいむの静かで、ドスの効いた声が遮った。 「お、おかあさん?いったいなにを」 「いもうとをころそうとするげすなんて、おかあさんのこどもじゃないよ」 「な、なんで!?なんでそんなことを」 「でていけえぇぇぇぇっ!!このげすがあぁぁぁぁっ!!」 「!?」 母れいむの怒りの形相を目の当たりにしたれいむは、確信した。 ……本気で、殺されると。 「ぴ……、ぴいぃぃぃぃっ!?」 目の前の死への恐怖から逃れる為に、れいむは必死に跳ねて段ボールハウスから逃げ出した。 目から涙を、体中からは汗を、まむまむからはしーしーを、色々と水分を垂れ流しながら、必死に逃げ出した。 「なんでえぇぇぇぇっ!?れいむはなんにもわるくないのにいぃぃぃぃっ!!」 れいむは叫びながら、一度も振り返る事無く、夜の世界へと逃げ出した。 「ぴいぃぃぃぃっ!!ぴいぃぃぃぃっ!!」 「おちびちゃん……!しなないでね……!」 ……段ボールハウスに残されたのは、傷の痛みに泣き叫んでいる妹まりちゃと、妹まりちゃの傷口を備蓄の葉っぱなどで必死に塞ごうとしている母れいむの二匹だけとなった。 ……十分後。 「ゆうぅぅぅぅっ!!ゆうぅぅぅぅっ!!」 あれかられいむは、母れいむから少しでも遠ざかろうと、必死に跳ねていた。 涙も、汗も、しーしーも、全て出しきったが、それでもれいむは必死に跳ねていた。 「ゆ……、ゆうぅ……」 ……が、やがて体力の限界が来て、れいむは跳ねるのを止め、ずりずりと這っての移動に切り替えた。 「こ、ここはどこなのぉ……?」 れいむは這いながら、キョロキョロと周りを見回した。 コンクリートの壁。 アスファルト。 街灯。 時折れいむの横を通る、乗用車。 それら全てが、れいむが初めてみる物だった。 ……そして、すぐ近くにある雑木林を見つけた。 「ゆっ……!あ、あそこにかくれるよ……!」 れいむはその雑木林の中へ入っていった。 前へ進むたびに、葉っぱや木の枝がチクチクと体のあちこちに刺さるが、そんな事を気にしている場合では無かった。 そして、比較的周りに葉っぱや木の枝が無いスペースを見つけると、そこで体を休ませた。 「ゆうぅ……。れいむは、ゆっくりできないやつを、えいえんにゆっくりさせなくしようとしただけなのに……。いったい、なにがわるいの……?」 れいむはホロリと涙を流しながら、ボソリと呟いた。 「ゆっ……!そうだよ!れいむはなんっにもわるくないんだよ!!わるいのはぜんぶ、あのまりさなんだよ!」 そしてれいむは何度目になるか分からない責任転換をし始めた。 「そうだよ!おかあさんだって、れいむをころそうとした、とんでもないげすだよ!あんなくそばばあ、れいむのおかあさんなんかじゃないよ!」 とうとうれいむは母れいむまで罵倒し始めた。 「まりさも、くそばばあも、どうしてみんな、れいむをわるものあつかいするの!?ゆっくりできないゆっくりをせいっさいっすることは、ただしいことなのに!!」 一度湧きあがった怒りや不満感はなかなか収まらず、れいむはしばらくの間、妹まりちゃや母れいむの悪口を言っていた。 ……が、跳ねて移動した疲れが徐々に出てきて、れいむは再び睡魔に襲われた。 「ゆぅ……。とりあえず、れいむはす~やす~やたいむにはいるよ……。ねるすがたも、かわいくてごめんねぇ……」 そしてれいむは、比較的安全な場所に隠れたと判断し、眠りにつくのだった。 ……数時間後。 「……ゆ、ゆゆ~ん……、よくねたよぉ……。ねおきすがたも、かわいくてごめんねぇ……」 あれから数時間程寝ていたれいむは、雑木林の隙間から差し込んでくる太陽の光の眩しさで目が覚めた。 どうやら、昼過ぎまで寝ていたようである。 そして、目が覚めるのと同時に、空腹感がれいむを襲った。 「ゆぅ……。おなかがへったよ……」 昨日から何も食べていなかったので、当然と言えば当然である。 「とりあえず、ここからでるよ……」 いつまでもここにいても意味が無いと思ったれいむは、その雑木林を抜ける事にした。 そのまま来た方向へと戻っては、母れいむに見つかると思ったので、反対側へ進む事にした。 ……れいむが雑木林を抜けると、目の前には大きな建物があった。 それは、どこにでもあるような、ありふれた一軒家であった。 「ゆうぅぅぅぅっ!!とってもおおきなおうちだよぉっ!!」 れいむは産まれて初めて見る、とても大きな家に感動して、しーしーを漏らした。 「ゆっ!そうだ!ここをれいむのおうちにするよっ!!れいむはかわいそうなんだから、こういうおうちにすむくらい、とうぜんだよね!」 自分は今まで不遇な立場にあったのだから、これ位は良い思いをしても当然だ。 そう考え、れいむはその家の方へと跳ねていった。 れいむがベランダの方まで来ると、目の前にガラスが立ちはだかっていた。 「ゆうぅっ!!とうめいなかべさん!れいむをいれてね!ぐずはきらいだよ!……どぼぢでいれてくれないのおぉぉぉぉっ!?」 れいむは窓ガラスに自分を中に入れるよう命令したが、そんな事で窓ガラスが開く訳が無かった。 「いれろおぉぉぉぉっ!!かわいそうなれいむをいれ……、ゆっ!?」 痺れを切らして、窓ガラスに体当たりをしようとしたれいむは、家の中のあるものを見て、固まってしまった。 「こぼにぇー……」 家の中のリビングで、一匹の赤ゆっくりがスヤスヤと寝ていた。 ……その赤ゆっくりは、ゆっくりゆゆこだった。 そして、その帽子には、銀色に光るバッジが付いていた。 (な、なんなの?あのゆっくりは……。なんで、れいむのおうちのなかにいるの……!?) れいむの頭の中では、この家は既に自分の家という事になっており、赤ゆゆこはすっかり侵入者扱いされていた。 (ゆぎいぃぃぃぃっ!!れいむのおうちにかってにはいりやがってえぇぇぇぇっ!!そっこくおいだしてやるうぅぅぅぅっ!!) れいむは何とか家の中に入ろうとしたが、窓ガラスは体当たりでは壊れそうになかったので、どうすれば良いものかと餡子脳を悩ませた。 ……すると、ある事に気付いた。 「ゆっ!こんなところに、すきまがあるよ!」 見ると、窓ガラスは僅か数センチ程開いており、鍵はかかっていなかった。 れいむは窓ガラスの隙間に、頭を突っ込ませ、何度も頭を振りながら、無理矢理隙間から侵入しようと試みた。 れいむの体は、段々と隙間の中に入っていき、そして……。 「ゆうぅぅぅぅっ!!ここはれいむのおうちだよおぉぉぉぉっ!!」 リビングへと侵入したれいむは、赤ゆゆこに対し大声を上げた。 「こ……、こぼにぇ!?」 れいむの大声で目覚めた赤ゆゆこは、突然の侵入者に対し、驚きを隠せなかった。 赤ゆゆこが驚き、竦みあがってる内に、れいむは赤ゆゆこの方へと跳ね、どんどん距離を縮めた。 「こいつうぅぅぅぅっ!!おうちせんげんするまえに、せいっさいっしてやるうぅぅぅぅっ!!」 れいむは目を血走らせ、赤ゆゆこに体当たりをかました。 「こぼにえぇぇぇぇっ!?」 赤ゆゆこは弾き飛ばされ、コロコロと向こうへ転がっていった。 ……その際に、赤ゆゆこの帽子が落ちてしまった。 「ゆうぅぅぅぅっ!!げすのぼうしなんか、めざわりだから、こうしてやるよっ!!」 れいむはそう言うと、赤ゆゆこの帽子の上に乗っかり、その場で何度も跳ねた。 それにより、赤ゆゆこの帽子は徐々に潰され、あちこちが破けていった。 「こぼにえぇぇぇぇっ……!」 赤ゆゆこは涙を流して泣き叫んだが、れいむの頭の中は『ゲス』の帽子を踏み潰す事で夢中だった。 「ゆふぅ~!いいことしたあとにかくひとあせって、いいものだねぇ!」 ……そして、ゆゆこの帽子は完全にひしゃげてしまった。 れいむの心の中は、正義感と達成感で満たされていた。 「こ……、こぼにえぇぇぇぇ……」 赤ゆゆこは、以前は自分の大切な帽子だった布切れを見て、再び泣き声を上げた。 ……赤ゆゆこのその姿を見たれいむは、苛立ちがピークに達した。 「なんでないてるのおぉぉぉぉっ!?なきたいのはこっちなんだよおぉぉぉぉっ!?れいむのすてきなおうちにふほうしんにゅうしたくせにいぃぃぃぃっ!!」 赤ゆゆこの泣き叫ぶその姿が、妹まりちゃと重なったからだ。 「どいつもこいつもおぉぉぉぉっ!!れいむのことをいじめやがってえぇぇぇぇっ!!」 れいむの頭の中は、赤ゆゆこに対する怒りで一杯だった。 そしてれいむは赤ゆゆこを噛み殺そうと、大口を開けて跳躍しようとした、その時。 「ゆっ!?」 れいむはあるものを見つけ、飛び跳ねようとしたのを止めた。 ……自分から少し離れた場所に、小皿に盛られた、美味しそうな饅頭があったのだ。 それは、赤ゆゆこの為に用意されたおやつだった。 「ゆ……、そういえば、おなかがすいていたね!さきにはらごしらえをするよ!」 昨日から何も食べていなかったれいむは、一旦赤ゆゆこに対する怒りを忘れ、饅頭を食べる事にした。 「ゆふふっ!れいむはこれから、すーぱーむ~しゃむ~しゃたいむにはいるよ!それがおわったら、おまえのばんだからね!」 「こぼにぇ……」 れいむは赤ゆゆこにそう言うと、饅頭の近くまで跳ね、大口を開けて、その饅頭に喰らい付いた。 「む~しゃむ~しゃ!うめぇ!これめっちゃうめぇ!まじぱねぇ!あのくそまりさより、てらうめぇ!」 れいむは饅頭の餡子やら皮やら、あちこちに飛ばしながら、口汚くその饅頭を食べていた。 ……数分後。 「げっぷぅ~!たべるすがたもかわいくてごめんねぇ~!」 饅頭を食べ終えたれいむは、心身共に満足した。 「ゆっふっふ!はらごしらえもおわったことだし、こんどはせいっさいったいむにはいるよぉ!」 食後の軽い運動とばかりに、赤ゆゆこを制裁しようと、赤ゆゆこのいた方を見た、……が。 「ゆうぅぅぅぅっ!?どぼぢでいないのおぉぉぉぉっ!?」 そこに赤ゆゆこの姿はなかった。 れいむはリビングの周りをあちこち見まわしたが、赤ゆゆこはどこにもいなかった。 「にげたなあぁぁぁぁっ!!なんてひきょうなげすなんだあぁぁぁぁっ!!」 しばらくあちこちを探して、ようやく逃げたと気付いたれいむは、怒りと悔しさから叫び声を上げた。 「ころしてやるうぅぅぅぅっ!!みつけたら、そっこくころしてやるうぅぅぅぅっ!!」 れいむは赤ゆゆこに対する殺意を剥き出しにし、赤ゆゆこを探すべく、他の場所へ移動しようとした。 「寝惚けた事言ってんじゃねぇぞゴラァッ!!」 ……が、その第一歩を踏み出す前に、何者かに背中を思い切り蹴り飛ばされた。 「ゆびゃあぁぁぁぁっ!?おそらをとんでべびゃあっ!?」 れいむは顔面から壁に激突した。 「チッ……、窓ガラスが開いてたのか……」 「びいぃぃぃぃっ!?でいぶのうづぐじいかおがあぁぁぁぁっ!!でいぶのまっじろなはがあぁぁぁぁっ!!」 壁に当たった際に、顔面を強打し、歯も何本か折れてしまった。 「だれだあぁぁぁぁっ!!でいぶにごんなごどをするげすはあぁぁぁぁっ!!」 れいむは転げ回りながら、そう叫んだ。 「べっ!?」 「俺か?俺はなぁ……」 その何者かは、転げ回るれいむの体を、足で踏み付け、そして、こう言った。 「この家の主人なんだけどさぁ……?」 ~回想終了~ 「二階で昼寝してたらさぁ、何か下の方が騒がしいと思って降りてみたら、廊下でゆゆこが泣いてたのさ。……お前、ゆゆこに何した?」 「れ……れいむは、おうちせんげんしようとしたげすを」 「お家宣言してんのは手前ェだろうが糞饅頭が!ここは俺とゆゆこの家なんだよ!!」 青年はそう言うと、れいむを持ち上げ、床に叩き付けた。 「ばびゃあぁぁぁぁっ!?」 「何も悪くないだぁ?勝手に人様の家に入って、ゆゆこを酷い目に合わせて、何が自分は悪くないだゴラァッ!!」 「れ……、れいむはとってもかわいそうなゆっくりなんだよおぉぉぉぉっ!?だから」 「可哀想だから何だ!?不法侵入や殺しが許されんのか!?他の奴を酷い目に合わせる事が、許されるって事なのか!?」 「あたりまえでしょおぉぉぉぉっ!?かわいそうなゆっくりは、しあわせにならなきゃいけないんだよおぉぉぉぉっ!?なんでそれがわからないのおぉぉぉぉっ!?」 「……」 れいむのその言葉に、何故か青年は黙り込んでしまった。 「かわいそうなゆっくりをひどいめにあわせるげすは、せいっさいっされなきゃ」 「あぁ、そうかいそうかい。分かったよ、お前の言いたい事は。可哀想な奴は、幸せにならなきゃいけない。……そういう事だろ?」 「ゆっ!そ、そうだよ!だかられいむのやったことは、ただしいんだよ!」 「……そうかい。だったら、俺も正しい事をやらせてもらうよ」 青年はそう言うと、れいむの揉み上げを掴み、持ち上げた。 「い、いだいぃぃぃぃっ!!はなぜえぇぇぇぇっ!!でいぶのきゅーてぃくるなもみあげさんが、ちぎれるだろうがあぁぁぁぁっ!!」 れいむは必死に抗議したが、青年はそれを無視し、台所へと言った。 「今、『代わり』を用意するからな、待ってろよ、ゆゆこ」 「こ~ぼにぇ~」 テーブルの上には、先程の赤ゆゆこがいた。 そしてテーブルには、一枚の皿が置かれていた。 「はなじでえぇぇぇぇっ!!」 「もうすぐ離してやるから、待ってろよ糞饅頭」 青年はそう言うと、流し台まで行き、れいむを水で洗い、まな板の上に置いた。 「ゆっ!?な、なにする」 そして暴れようとするれいむを押さえ付け、れいむの髪の毛をリボンごと掴み、思い切り引き抜いた。 「はぎゃあぁぁぁぁっ!?でいぶのさらさらへあーがあぁぁぁぁっ!!げいじゅつてきなおかざりがあぁぁぁぁっ!?」 青年はれいむの叫び声を無視し、再び残っている髪の毛を毟る作業へ戻った。 「はぎっ!?いぎっ!?ゆぎゃあぁぁぁぁっ!?」 何度も髪の毛を毟られる度に、れいむは悲鳴を上げた。 ……そして、れいむの髪の毛は一本も無くなり、れいむはハゲ饅頭と化した。 「ゆぐぎいぃぃぃぃっ……」 「まだ終わりじゃねぇぞ?」 青年はそう言うと、今度はガスコンロの上に大き目のフライパンを乗せ、火を付けた。 「なっ、なにする」 「これしかねぇだろうがよ!」 青年はれいむを持ち上げると、れいむをそのままフライパンの上に乗せた。 「あぎゃあぁぁぁぁっ!?あづいぃぃぃぃっ!?でいぶのかもしかのようなあんよがあぁぁぁぁっ!?」 れいむは必死にウネウネと体を動かしたが、青年に頭部を押さえつけられていたので、ほとんど効果が無かった。 ……そして、れいむの底部は完全に焼け焦げた。 「あづいよおぉぉぉぉっ!!どぼぢでごんなごどするのおぉぉぉぉっ!?」 れいむは青年が何故こんな事をするのか分からなかった。 「……なぁ、れいむよぉ。……ゆゆこを見て、どう思うよ?」 「ゆうぅぅぅぅっ!?」 急に青年はれいむにそんな事を尋ねた。 「ぼうしがない、みじめなくそゆっくりにきまってるでしょおぉぉぉぉっ!?」 「……そうだよなぁ。大切な帽子が無いなんて、可哀想だよなぁ。……その帽子を潰したのは、お前だよな?」 「たしかにれいむはぼうしをふみつぶしたけど、それがなんだって」 「まだ分からないか?俺が言いたい事が」 「なんだっていうんだあぁぁぁぁっ!?」 「じゃあ分かるように言ってやる。ゆゆこは大切な帽子を失くした『可哀想』なゆっくり、お前はその帽子を潰した『悪い』ゆっくりなんだよ」 「ゆっ!?」 「『可哀想』なゆっくりは幸せになって、『悪い』ゆっくりは制裁されなくちゃいけない。……お前が言った事だろ?」 「あ……、あぁぁぁぁっ……!?」 「お前は、お前が駄目にしちまった饅頭の『代わり』になってもらって、ゆゆこに食べられるんだよ」 「や……、やべでえぇぇぇぇっ!?そんなのゆっぐりできないぃぃぃぃっ!!ゆるじでえぇぇぇぇっ!!」 ここに来て、青年が何をやりたいのかようやく理解したれいむは必死に泣き叫び、命乞いを始めた。 「お前はゆゆこに食われて制裁されて、ゆゆこは腹一杯になって幸せになれる。丸く収まるって訳だ」 「やだあぁぁぁぁっ!!やだやだやだあぁぁぁぁっ!!れいむ、かわいそうなのにいぃぃぃぃっ!!なんでこんなめにあうのおぉぉぉぉっ!?」 「そりゃ、悪い事をしたからさ」 そう言って青年はれいむを持ち上げると、今度は顔面をフライパンに押しつけた。 「ぎゅぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶっ!?」 れいむの口や飴細工で出来た歯が、熱によって焼かれ、溶け、あっと言う間にれいむの口は焼き潰された。 「……!!……!?……!……!!」 青年はフライパンを持ち上げると、テーブルの皿の上に、あちこちを焼かれたれいむを乗せた。 「ほらゆゆこ。腹一杯食べろよ?」 「こ~ぼにぇ~!」 赤ゆゆこは目を輝かせ、待ってましたとばかりにれいむの背中に噛み付いた。 「!!?!?!!!」 「はふっ!はふっ!こぼにぇ~!」 れいむは赤ゆゆこに背中を何度も噛まれ、その度に激痛に襲われ、涙を流した。 青年が口を潰したのは、いちいち叫び声を上げられてはうるさいと思ったからだ。 そんなれいむとは対照的に、赤ゆゆこは幸せそうな笑顔で、美味しそうにホクホクの餡子を食べていた。 「美味いか?ゆゆこ。次は赤ありす達を用意しておくからな。お前はカスタードが大好きだからなぁ」 「こぼにぇ~」 「……!!……!!」 れいむが必死に痛みに耐えている横で、青年と赤ゆゆこは楽しそうに笑っていた。 ……十数分後。 「すぅ……。すぅ……」 「……!!」 「……」 赤ゆゆこが、子ゆっくりサイズのれいむを全て食べきれる訳もなく、赤ゆゆこはれいむを食べ残したまま、スヤスヤと眠っていた。 それとは対照的に、れいむは背中の大部分を食いつくされ、中から飛び出た餡子が空気に触れ、それによる激痛で涙を流していた。 そして、青年はそんなれいむを静かに、黙って見ていた。 「……何かさぁ」 「……」 「今のお前を見ていると、確かに可哀想だなって思ってきたわ」 「!」 青年のその言葉に、れいむの表情が変わった。 「ゆゆこも十分満足しただろうし、もう良いや。この家から出してやるよ、お前」 「ゆぴ……、ゆぴ……」 「ゆぅ……、あんこさんがでなくなったよ……。よかったよ、おちびちゃん……」 そこは、とある空き地の、とある段ボールハウスの中。 その中には、あの母れいむと妹まりちゃがいた。 あれから母れいむは、妹まりちゃの手当てを寝ずに行い、その結果、餡子の流出を食い止める事が出来た。 幸い餡子自体はそれほど失わずに済んだので、安静にさえしていれば命の危険は無かった。 「ゆ……、ゆぴ……」 しかしそれでも、傷口を葉っぱで塞いでいるその姿は、やはり痛々しいものであった。 「……おちびちゃん……。……まりさ……。ごめんね……」 母れいむは目の前の妹まりちゃと、今はもういない、自分の番のまりさに向かって謝った。 母れいむにはかつて、同じ野良であるまりさに一目惚れし、一緒にゆっくりしようと誓い、番同士になった。 母れいむの頭の上に、新しい命が宿った時には、共に涙し、喜んだ。 まりさは母れいむと子供の為に、必死になって食べ物探しに勤しんだ。 ……が、ある日突然、まりさは帰らぬ身となった。 ゴミ袋から得た生ゴミや食べ残しを持ち帰る際に、車に轢かれてしまったのだ。 母れいむはその事故に立ち会った訳でもなく、そのまりさの死体を見た訳でもないが、いつまでもまりさが帰ってこない事で、悟ったのだった。 これで自分はしんぐるまざーになってしまった訳だが、母れいむはその事を言い訳にする気は無かった。 まりさの分まで、自分が頑張る。 そう心に決め、今日まで頑張って来た……、つもりだった。 ……あの時、何故、『あの子』に『自分で考えろ』と言ってしまったのか。 何故、それが悪い事なのか、一から聞かせるべきだった。 そうすれば、こんな事にはならなかった筈だ。 「……おちびちゃん……」 母れいむの頭の中で、様々な思いが渦巻き、次第に目元に涙が溜まり……。 「……ゆー、おきゃーしゃん、なかにゃいで」 その涙がこぼれ落ちる事は、無かった。 「お……、おちびちゃん……?」 「ゆ、ゆー」 「しゃ……、しゃべれるの……?おちびちゃん……?」 「ゆー、ゆぴー、お、おきゃーしゃん」 妹まりちゃは、たどたどしいながらも、必死に自分の口で、初めて母れいむを『お母さん』と呼んだのだ。 れいむに頬を噛まれた際の痛みが、ショック療法となったのかもしれない。 それとも、時間が経てば少しずつ改善出来る状態だったのかもしれない。 あるいは、ただ単に成長が遅かっただけなのかもしれない。 その理由は分からなかったが、母れいむにとって、そんな事はどうでも良かった。 「ゆ……!な、ないてないよ!おかあさん、ないてないからね!」 「ゆー、よかったー」 「お、おちびちゃん、おなかすいたでしょ?お、おかあさん、たべものをさがしてくるから、まっててね!」 母れいむはそう言って、段ボールハウスを飛び出した。 「ゆー、いってらっしゃい」 妹まりちゃの言葉を背に受けながら。 そして、折れかけていた決意が再び蘇り、そして、新しい誓いを立てた。 あの子の一生を、不幸なまま、終わらせない。 それがどれだけ大変な事であるか、それを理解したうえでの誓いだった。 (まりさ……、おちびちゃん……、れいむ、がんばるよ!がんばるからね!) そう思いながら、母れいむはいつもの狩り場である、ゴミ捨て場へと向かったのだった。 ……同時刻。 あれから青年はれいむの食いかけの部分を再び焼き潰し、袋に入れてどこかへ出かけた。 ……そして、青年が辿り着いたのは、青年がよく利用しているゴミ捨て場だった。 「なぁれいむ。俺は外に出すとは言ったけど、自由にするとは言ってないからな?」 青年は袋の中のれいむに話しかけた。 「……!!」 れいむは、青年の言葉に対し、怨みが込められた眼で青年を睨みつけた。 「もしかしたら、他の気の良いゆっくりが、お前を拾って何とかしてくれるかもな。……そうだな、ゆっくりショップで、ゆゆこの帽子を買ってから帰るか」 青年はれいむの入った袋を、ゴミ袋の山へと投げ捨て……。 「じゃあな、『頭』が可哀想なれいむちゃん」 そう言い残し、ゴミ捨て場を後にした。 「……!!」 袋の中のれいむは、青年の後ろ姿を、ただじっと睨みつけていた。 (……れいむは……。れいむは、かわいそうなんだよ……!だれか……!れいむをたすけてね……!) れいむはこの状況になっても、まだ何とかなると思い、諦めていなかった。 (くそまりさ……!くそばばあ……!はやくかわいそうなれいむをたすけろぉ……!!) そして、かつては殺そうとし、そして見捨てられた家族に助けを求めた。 (だれでもいいから……!かわいそうなれいむをここからだせえぇぇぇぇっ!!) どう考えても、れいむのゆん生はとっくに詰んだも同然なのだ。 それはれいむにも分かっていたはずだが、れいむはその事を理解したくはなかった。 自分の一生が、不幸なままでは終われない。 その気持ちが、れいむのゆん生への執着心への原動力となっていた。 ……そして、その気持ちが天へと通じたのか、外側から、何者かが袋を噛み千切ろうとしていた。 (やった!やったよ!れいむはたすかるよ!やっぱり、かわいそうなれいむはさいごにはしあわせになれるんだね!かちぐみでごめんねぇ!) ……そして、袋が完全に破れ……。 「ゆっ!?やったよ!きょうはおまんじゅうさんがあったよ!!」 END あとがき 私がSSを書く際に気を付けている事は、出来るだけシンプルな内容にまとめようとする事です。 今のところ、シンプルにまとまった事が一度もありません。 来週からテストがラッシュでストレスがマッハでヒャアってなりそうなので、もしかしたらしばらくはSSの投下は無理っぽさそうです。 出来れば、小ネタか何か書きたいなーと思っています。 ご意見、御感想、お待ちしています。 作者:ぺけぽん 感想用掲示板はこちら http //jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/ ミラーはこちら http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/1.html 今までに書いたSS anko1656 クズとゲス anko1671 うにゅほのカリスマ求道記 anko1767 あなたは、食べてもいい○○○○? anko1788 そんなの常識ですよ? anko1926~1928 二人はW ~Yは二度と帰らない~ anko2079 しんぐるまざー anko2750 無意識だから anko2786 ともだち anko3189 おちびちゃんは大切だよ! anko3210 バクユギャ anko3221 根本的な間違い anko3249 お兄さんは興味が無い anko3261 それぞれの願い anko3319 好みは人それぞれ anko3330~3331 HENNTAI達の日常~メスブタの家出~ anko3343 HENNTAI達の日常~駄メイドの休日~
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3971.html
『音楽隊』 31KB 不運 調理 現代 れいむのうたをきけー! かすがあきです。 善良な固体が酷い目にあいます。 それほど酷い虐待の描写はないと思います。 よろしければ読んでください。 音楽隊 春。深い深い山の中にも、暖かな日差が差し込む。 「まったりのひ~♪ゆっくりのひ~♪すっきりのひ~♪♪」 亜成体のれいむが歌っている。 「ゆ~ん。おちびちゃんは とっても おうたが じょうずだね。 おかーさん、ほれぼれ しちゃったよ!」 「ありがとう、おかーさん。でも おちびちゃんは もうやめて。れいむは もう おとなだよ。」 誉められたことに対し、テレながらも、子供扱いされたことに抗議をするれいむ。 「ゆふふ。おちびちゃんは いつまでも おちびちゃんだよ。 だって おかーさんの おちびちゃん だもん。すーりすーり。」 「ゆぅ……おかーさん…すーりすーり」 母子は仲良くすーりすーりを始めた。 「ゆ、ずるいのぜ、おとーさんも すーりすーり するのぜ!」 子れいむの歌に聞きほれていた父まりさもすーりすーりに混じり、一家は仲良くすーりすーりをする。 「さ、おちびちゃん。きょうから おそとにでるのぜ!」 「そうだね、もう はるさん だもんね。おちびちゃん。おそとで おともだちを いっぱい つくろうね。」 「ゆん!れいむ、がんばるよ!はじめての おそとで いっぱい ともだちを つくるよ! おそらの ゆっくりぷれいすにいる いもうとのぶんも がんばるよ!」 この地方のゆっくりは年2回、夏と冬に繁殖をする。 夏は食料が豊富なため、赤ゆっくりの生存率が高まり、 冬ごもりの最中は、巣から1歩のでないことで、外敵から身を守れ、赤ゆっくりの生存率が高まるのからだ。 但し、各家庭、子供は2匹までという掟があり、実ゆっくりの段階で間引いている。 この家庭の場合、姉れいむと妹まりさがいたが、越冬中に、妹まりさがゆ風邪にかかり、死んでいる。 (妹まりさが好奇心にまけ、愚かにも雪のなか巣から飛び出したことが原因で、ある意味自業自得だが。) れいむは群れでの生活にもすぐに慣れ、また人気者であった。 「むきゅ。れいむは うたがじょうずだわ」 「とっても ゆっくりできるのぜ」 「れいむの うたは とっても ゆっくりできるよ。わかるよー」 それも全て歌という特技があったからだ。 実際、れいむの歌は(ゆっくり感覚で)最高に上手い。 「ゆゆ~ん。とうっぜんだよ!れいむには ゆめが あるんだから! ゆめに むかって まいにち れんしゅうを しているんだよ!」 名声に自惚れることなく、れいむは歌を歌いつづける。 れいむの夢とは、ユレーメンの音楽隊にはいることだ。 ユレーメンの音楽隊。 越冬中に、母れいむから聞いた話だ。 母れいむの、父(まりさ)の、母(ぱちゅりー)はかつて飼いゆっくりだった。(れいむから見れば曽祖母にあたる。) そのため、人間の童話をいくつか憶えており、その話を自らの子供に教えていたのだ。 もっとも、ゆっくりは餡子脳のため、名称や話の顛末はゆっくりにとって都合のよいように改変されて伝わっているが。 ちなみに、れいむが教わった(憶えた)話としては、 歌の上手いゆっくりれいむが、仲間とユレーメンという街の音楽隊に入るため、旅にでる。 しかし、道に迷い中々辿り着けず、空腹になり困る。 ちょうど、人間の家を見つけ、仕方なく、人間の家にはいり、事情を話したところ、食事にありつけた。 食事のお礼に歌を披露する。 あまりに上手い歌に感動した人間が、れいむたちをユレーメンに連れて行く。 れいむたちはユレーメンで音楽隊に入り、成功し、とてもゆっくりしたゆん生を過ごした。 という話である。 ------------------------------------------ 「うたの れんしゅうの まえに、ゆっくり かりを するよ!」 夢のために練習を怠らないれいむだが、旅のため、狩りも行っている。 (体を鍛えることと、旅の最中の食料集めのため) れいむがこれほど夢のために頑張るのは、死んでしまった妹まりさのためでもある。 ユレーメンの音楽隊にはいるのは姉妹の夢だったのだ。 死んでしまった妹のためにも、れいむはユレーメンの音楽隊にはいることを餡子に誓っているのだ。 「ゆ!ちょうちょさん!ゆっくり、れいむに たべられてね!ゆ!?」 蝶を狩っている最中に、れいむはある音に気が付いた。 「なんだか ゆっくりする おとさんが きこえるよ!」 れいむが音のほうにむかって歩くと、そこには亜成体のまりさがいた。 「ぴーぴー♪ぴーぴー♪だれなのぜ!?」 口笛を吹いていたまりさが、れいむに気がついた。 「れいむだよ。ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!れいむには ずかしいところを みられたのぜ。」 口笛を吹いていた所を、見られたのが恥ずかしかったのか、まりさは帽子を深く被る。 「ねぇ、まりさ、とっても ゆっくりできる くちぶえさん だったよ!すごいよ!」 「ほ、ほんとうかぜ?ゆっくりできたのかぜ?」 「ゆん!とっても ゆっくりできたよ!」 「う、うれしいのぜ!まりさは ゆれーめんの おんがくたいさんに はいりたくて くちぶえさんを れんしゅう していたのぜ」 「ほんとう!れいむも ゆれーめんの おんがくたいさんに はいるんだよ!」 「なかまなのぜ!いっしょに れんしゅうを するのぜ!」 「ゆん!」 2匹は仲良く練習を始めた。 ちなみに、この2匹は従姉妹にあたり、まりさもユレーメンの音楽隊の話を知っている。 もっとも主人公は歌の上手いれいむから、口笛の上手いまりさに変更されているが。 「ゆん!とっても ゆっくりできたよ!まりさ!」 「ほんとうだぜ!れいむの うたと、まりさの くちぶえさんが みごとに こらぼさん していたのぜ!」 2匹は一緒にユレーメンに行くことを約束した。 翌日、れいむとまりさは一緒に狩りをしていた。 「ゆ?れいむ、れいむ。」 「な~に?まりさ?」 「なんか、ゆっくり できる おとさんが きこえないのかぜ?」 「ゆん?ほ、ほんとうだ!いってみようよ!」 「いってみるのぜ!」 2匹が音のほうにむかって歩くと、そこには亜成体のぱちゅりーがいた。 「どん♪どん♪どんどん♪むきゅ、だれ?」 太鼓(人間が捨てていったコーヒーの空缶)を枝で叩いていたぱちゅりーが、れいむたちに気がついた。 「れいむだよ。ゆっくりしていってね!」 「まりさだぜ。ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!むきゅ。れいむたちには はずかしい ところを みられてしまったわ。」 太鼓を叩いていた所を、見られたのが恥ずかしかったのか、ぱちゅりーは頬を染めた。 「ねぇ、ぱちゅりー、とっても ゆっくりできる おとさんだったよ!すごいよ!」 「むきゅ、ほんとうかしら?ゆっくりできたの?」 「ゆん!とっても ゆっくりできたのぜ!」 「むきゅ。おせじでもうれしいわ。 ぱちゅは ゆれーめんの おんがくたいさんに はいりたくて たいこさんの れんしゅうを していたのよ。」 「ほんとう!れいむたちも ゆれーめんの おんがくたいさんに はいるんだよ!」 「なかまなのぜ!いっしょに れんしゅうを するのぜ!」 「むきゅ!ええ。いっしょに れんしゅうを しましょう。」 3匹は仲良く練習を始めた。 ちなみに、このぱちゅりーは、れいむたちの再従姉妹にあたり、 ぱちゅりーもユレーメンの音楽隊の話を知っている。 もっとも主人公は歌の上手いれいむから、太鼓の上手いぱちゅりーに変更されているが。 「ゆん!とっても ゆっくりできたよ!ぱちゅりー!」 「ほんとうだぜ!れいむの うたと、まりさの くちぶえさんと ぱちゅりーの たいこさんが みごとに こらぼさん してたのぜ!」 3匹は一緒にユレーメンに行くことを約束した。 翌日、3匹は一緒に狩りをしていた。 「むきゅ?れいむ、まりさ。」 「な~に?ぱちゅりー?」 「どうかしたのかぜ?」 「むきゅ、あっちのほうから、だれかの こえが きこえるわ。」 「ゆん?ほ、ほんとうだ!いってみようよ!」 「いってみるのぜ!」 3匹が音のほうにむかって歩くと、そこには亜成体のアリスがいた。 「とっかいは♪とっかいは♪あら?だれかしら?」 鼻歌を歌いながら、ダンスをしていたアリスが、れいむたちに気がついた。 「れいむだよ。ゆっくりしていってね!」 「まりさだぜ。ゆっくりしていってね!」 「ぱちゅよ。ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!れいむたちには はずかしいところを みられたわ。」 ダンスを踊っていた所を、見られたのが恥ずかしかったのか、アリスは目をれいむたちから逸らした。 「ねぇ、ありす、とっても ゆっくりできる だんすさん だったよ!すごいよ!」 「ほ、ほんとうかしら?ゆっくりできたかしら?」 「ゆん!とってもゆっくりできたのぜ!」 「う、うれしいのわ!ありすは ゆれーめんの おんがくたいさんに はいりたくて だんすさんの れんしゅうを していたのよ」 「むきゅ!それは ほんとうかしら?ぱちゅたちも ゆれーめんの おんがくたいさんに はいるのよ!」 「なかまだね!いっしょに れんしゅうしよーよ!」 「ええ!」 4匹は仲良く練習を始めた。 ちなみに、このアリスは、ぱちゅりーの従姉妹にあたり、れいむとまりさの再従姉妹にあたる。 アリスもユレーメンの音楽隊の話を知っている。 もっとも主人公は歌の上手いれいむから、ダンスの上手いアリスに変更されているが。 「ゆん!とってもゆっくりできたよ!ありす!」 「ほんとうだぜ! れいむの うたと、まりさの くちぶえさんと ぱちゅりーの たいこさんと ありすの だんすさんが みごとに こらぼさんしてたのぜ!」 4匹は一緒にユレーメンに行くことを約束した。 4匹は同じ夢を見、同じ夢をかなえる為、一緒に練習をし、一緒に狩りをした。 そして、備蓄食料がたまり、ついに旅立を決意した。 「さぁ、みんな、あしたは ゆれーめんに むかって たびだつのぜ!」 4匹の旅立ちに反対する声も多かったが、4匹は夢を諦めることができなかった。 いや、1匹ならば諦めていただろう。 だが、仲間がいたからこそ、4匹は練習にも準備にも精をだすことができ、 反対するゆっくりを説得もできた。 「ねぇ、れいむ。おれいを いわせて ちょうだい。」 「ゆ?おれい?」 「そう、おれい。いくら とかいはな ありすでも、 れいむが いなければ ここまで がんばれなかったわ。」 「そうなのぜ、れいむが いちばん ゆめに むかって まっすぐなんだぜ!」 「むきゅ。そうね。れいむが いたからこそ ぱちゅたちも がんばれたのよ。」 「そ、そんなこと ないよ。 れいむは ただ おそらの ゆっくりぷれいすに いる いともとと やくそく しただけだよ。 ゆれーめんの おんがくたいさんに はいるって。」 「やくそくしたからって、ここまで がんばれるのは とっても とかいはなことよ、れいむ。」 「みんな………みんな でゆれーめんにいこうね!おやすみだよ!」 れいむは恥ずかしくなり、それだけをいうと、家へと走り出した。 そんなれいむを、残った3匹は笑顔で見ていた。 翌日、旅立ちを祝福しているかのような晴天のもと、4匹は旅立った。 めざすは、ユレーメンの街。 ------------------------------------------ さて、当然だが、4匹はユレーメンがどこにあるのかを知らない。 この話の大元である4匹の曽祖母である、ぱちゅりーはすでに、亡くなっている為、場所を聞けなかったのだ。 (仮に存命だとしても、曾祖母であるぱちゅりーは場所を知るはずもないが。) とはいえ、そこは餡子脳のゆっくり、山をおりればなんとかなると信じて疑わないのだ。 人間の足でも2日程かかる距離、ゆっくりとっては果てしなく長い旅の末、 一向は1件の民家を見つけた。 窓から中をのぞき見ると、1人の老人が静かに本を読んでいた。 この民家は、山の麓で1人で農業を営む老人の家である。 「どうする、まりさ、あの にんげんさん、ゆれーめんを しっているかな?」 「おはなしだと、まりさたちの おんがくに かんどうした にんげんさんが ゆれーめんに つれていって くれるはず だけど、どう なのかぜ?」 「むきゅ。あの にんげんさんは なにか こわそうなかおを しているわ。 ほかの にんげんさんのほうが いいかも しれないわ。」 初めて見る人間に、少し怯えるぱちゅりーに、皆、同意見だ。 4匹が属していた群れは山の頂上付近にあったため、人間との接触はほぼ皆無なのだ。 (そのため、ぱちゅりーの太鼓は大変な貴重品である。) 「でも、きょうは もう たいようさんが しずんでしまうわ。とかいはとしては のじゅくさんを さけたいのだけど。」 すでに何日も野宿をしているため、野宿を避けたいというありすの考えにもまた、皆、同意見だ。 そして、一向は決断をした。民家にはいるという決断を。 ------------------------------------------ 老人は独りだった。 長年連れ添ってきた妻は3ヶ月前に逝ってしまった。 夫婦に子供は残念ながらできなかった。 妻は苦しまずにポックリと逝ったので、まぁ、よかったかなと思っているが、 やはり一人暮らしは寂しいものだ。 寂しさを紛らわすため、以前は読まなかった本を最近よく読むようになっていた。 もっとも、実用をかねての、料理本が多いのだが。 「ドン、ドン!」 料理の本を読んでいると、ドアからノックの音が聞こえてきた。 「珍しいな、こんなところに客人か?」 一人暮らしだと独り言が多くなるなと思いながら、老人はドアに向かって尋ねる。 「どちらさまですか?」 「ゆっくり ごめんだよ。れいむたちは ききたいことが あるんだよ。おねがいだから あけてほしいよ。」 なんだゆっくりか。老人は客人がゆっくりだとわかり、落胆した。 農業を営む者にとってゆっくりとは単なる害獣(害饅頭?)にすぎない。 勝手に畑にはいり、そして荒らしていくものだ。 しかし、ドアの外にいるゆっくりは、聞きたいことがあるという。 興味がわいた老人はドアを開けることにした。 「ほう。これはこれは、ゆっくりが何のようかな?」 通常ゆっくりは家族単位で行動するため、亜成体が4匹でいることは珍しい。 老人は初めて見た光景に少し驚きつつ、尋ねる。 「にんげんさん。あけてくれて ありがとうだよ。れいむたち、ききたいことが あるんだよ。」 老人はれいむたちから、事情を聞いた。 ゆっくりの説明は要領をが悪く、時間がかかったが、暇な老人はそのことを気にしなかった。 「なる程。事情はよくわかった。しかし、ユレーメンとはまた遠いところを目指しているのだな。」 「ゆ!にんげんさん!ゆれーめんを しっているのかぜ?」 「ああ、しっているよ。ちょうど今度ユレーメンに行く予定があるところだよ。」 「むきゅ。これは すごい ぐうぜんさん だわ。まさに うんめいさん ね!」 「とかいはな にんげんさん!おねがい!ありすたちを ゆれーめんに つれていって。」 「ゆっくり おねがいするよ。れいむたちを ゆれーめんに つれいって ほしいよ。 おれいに れいむたちに できることならなんでもするよ。」 「ああ。いいよ。ただし、私がユレーメンに行く日は3日後だから、 それまで家でまってもらうことになるが、それでもいいかい?」 「ゆっくり りかいしたよ!」 「そうか、それじゃぁ、もうすぐ日が暮れている。中にお入り。」 「みんな、旅疲れで汚れているね、洗ってあげよるよ。」 家にはいった4匹に、老人は提案する。 れいむたちは、身体の汚れを気にしていたので、喜んで受けいれた。 「ゆ?どぼじでばりざのおぼうじざんをどるのぜ!?」 「いやいや、シャワーをあびるのに、これがあるとじゃまだろ?」 「で、でぼぉぉおおお!!!!」 「綺麗になったら、返してあげるから。私を信じて。」 初めての暖かいシャワー(瞬間湯沸機)に当初、お飾りを外した4匹は抵抗した。 しかし、気持ちよさに次第に抵抗をやめた。 綺麗になり、お飾りを返されたれいむたちは透明な箱(ビックサイズ)にいれられた。 「ほら、夕飯にこれをお食べ。」 そう言いながら、老人は、野菜クズを渡す。 「にんげんさん。だいじょうぶなのぜ!まりさたちは ちゃんと ごはんさんを もってきているのぜ!」 欲望に忠実なゆっくりにしては珍しく、食料の提供を断るまりさ。 「ははは。いいんだよ、まりさ。しょうらいの大スターにご飯を上げれたなんて、中々できないからね。 自慢の種にしたいから、食べておくれ。」 「そ、そう いわれたら しかたないのぜ……」 「むきゅ。なかなか かしこい にんげんさんね。」 「とっても とかいはなにんげんさん。ありがとう。」 「それじゃぁ、ゆっくりいただいきます。」 老人に説得され、4匹は食事を始める。 「むーしゃむーしゃ……し、しあわっせーー!!」 これまで食べたことのない野菜の味に驚く4匹。 「にんげんさん!とってもおいしいよ!ありがとう!」 野菜クズが全部なくなり、感謝を述べるれいむ。 「おれいに、れいむたちの おんがくを きいてっていね!」 れいむたちは、老人に自慢の音楽とダンスをみせた。 老人は何も言わずに、それを見ていた。 それからの3日間。 れいむたちは今まで経験したことのない幸せを味わっていた。 今まで食べたことのない、とても美味しい、野菜。 1日中狩りもせずに、好きな音楽や踊りの練習ができ、じつにゆっくりしている。 「さぁ、みんな。明日はユレーメンに行く日だから、今日はご馳走だよ。」 旅立ちの前日、野菜クズを食べ終えた4匹に老人は白い塊を渡す。 「むーしゃむーしゃ……し、っしっしっしっしあわっっせーーーーー!!!」×4 白い塊は甘く、4匹は喜んで食べた。 その夜。4匹はユレーメンに到着することで興奮して中々眠れず、おしゃべりをしていた。 「みんな、もう夜も遅いから眠りなさい。明日起きれなかったら、置いていくよ?」 あまりの騒音に、老人が4匹を諭す。 「ゆっくりりかいしたよ!おやすみなさい。にんげんさん!!」 4匹は喋るのをやめ、眠りにつく。 その顔は希望に満ちた、実にゆっくりした寝顔であった。 ------------------------------------------ 「にんげんさん!たいようさんがのぼったよ!きょうはゆれーめんにいくひだよね!?」 「ああ。そうだよ。でも、ユレーメンに行く前に、身体を綺麗にしようね。あと、お化粧もしないと。」 「ゆっくりりかいしたよ」×4 この3日間で4匹は老人のことを完全に信頼しており、大人しくお飾りを預け、シャワーを浴びた。 そして、透明な箱(1匹用)にそれぞれ入れられた。 「い!!いたい!!!つめたい!?」×4 透明な箱の底は冷やされており、あまりの冷たさに、一瞬痛みを感じた4匹が声をあげる。 「ええと、重曹を加えた薄力粉に、グラニュー糖、塩と牛乳、卵を加えて、混ぜ合わせるっと。よしできた。」 ぶつぶつ言いながら、大きなボールをかき混ぜる老人に、パチュリーは尋ねる。 「にんげんさん。それがぱちゅたちのおけしょうになるの?それより、このはこさんはつめたいわ。 それに、はやくおかざりをかえしてっっておそらとんでるー!?」 ぱちゅりーの質問にこたえず、老人はぱちゅりーをもちあげる。そして、先程のボールにぱちゅりーをいれる。 「に、にんげんさん!?こ、これ、なんだかきもちわるいわ!?っわわ、またおそらとんでるー!?」 全体に、黄色液体が付着したぱちゅりーを老人は金鋏でつかみ、何も言わずに大きな鍋につける。 「!?!?!!!!っぎゃぁぁあああああ!!!ああぁばばばああぁあぁぁああああ!!!」 鍋から大きな悲鳴があがる。ぱちゅりーが激痛から暴れる。 鍋の中は、190度に熱された油がたっぷりと入っおり、それがぱちゅりーを容赦なく痛めつける。 口内に入った油を、悲鳴とともに吐き出そうとするぱちゅりーだが、その努力はコンロに、油が多少飛び散る程度で終わる。 「こんなものかな?」 ぱちゅりーのことなど気にしていない老人は、そうつぶやくと、ぱちゅりーを鍋からあげた。 「ぶぅぅむぶぅぅぶぶぶぶぶぅぅうう!!」 油で口が焼かれた為、ぱちゅりーは痛みを訴えることができない。 その目はすでに蒸発しており、なにもみえていない。ぱちゅりーはただ身体を震わすことしかできない。 「っぶぶぶっぶっぶっっっぶ!!?!?!?!!?!!!???!!?!?」 そんなぱちゅりーを、老人は再び鍋につける。 今度は、160度に熱された油だ。 先ほどの高温の油で、すでに身体の自由を失っているぱちゅりーだが、必死で熱から逃れようともがく。 しかし、どれだけもがいたところで、鍋から逃れることはできない。 「さて、こんなものかな?」 こんがりキツネ色になったぱちゅりーを老人は鍋からあげ、キッチンペーパーの上に置く。 「どらどら?」 金鋏で、ぱちゅりーをつつくが、反応はない。すでに事切れているようだ。 「ふぅむ。どうやら揚げ過ぎたようだな。」 残念そうな老人に、れいむたちが叫ぶ。 「ばわぁぁぁあぁあああああああ!!!ば、ばぢゅりーがぁぁぁああ!!?」 「な、なにをじでるのぜぇぇぇえぇええ!?!?!!」 「いやぁぁぁああああ!!ど、どぼじでぇぇえぇええええええ!!!」 叫ぶ続ける3匹を無視し、老人はぱちゅりーを包丁で切る。 クリームは熱で溶けているので、ほとんど空だった。 ぱちゅりーの皮膚だったものと、揚げる前につけられた生地に、クリームが溶け込み、甘い甘い香りが部屋に広がる。 「おお、美味いな。」 ぱちゅりーだったものを一口食べた老人が声にだす。 亜成体の大きなぱちゅりーだが、高温と低温の2度揚げのお陰で、外は綺麗に、中までしっかりと火がはいっているのだ。 「いやぁぁぁああああああ!!」 「たべるなぁぁぁぁあああ!!」 「あ゛ぁぁぁあぁあああ!ば、ばぢゅりぃぃぃ!!!」 揚げぱちゅりーを頬張る老人に抗議する3匹に老人は、 「お前らも食べるか?」 とのんきに聞いてくる。 「たべるはずないでしょ!このいなかものぉぉぉおお!!」 「そうか、そうか。だったら、次はお前さんを食べよう。」 揚げぱちゅりーを半分ほど食べた老人がアリスをもちあげる。 「や、やめなさい!やめなさい!や、やめってぇぇぇぇええええええええええ!!」 アリスの身体を固定し、老人はアリスの髪を抜く。 「揚げた髪も不味くは無かったが、どうも硬くてダメだな。お前さんは禿にしてから揚げてあげよう。」 アリスは激痛から、そして老人から逃れようとするが、動けない。 「ど、どぼじでぇっぇえぇえ!?ど、どがいはな あんよさんがぁぁぁぁあ!」 透明な箱の底は氷点下までひやされており、 ゆっくりの歩行機能を奪っているのだが、そんなことはしらないゆっくりである。 動かない足を必死に動かそうと無駄な努力をする。 「よし、綺麗になったぞ!」 「あぁぁぁあぁぁぁああああ!あ、ありずの、とがいばながみのげざんがぁっがああぁあぁぁぁあ!!」 「さて、次は、生地をつけて。」 泣き叫ぶアリスをボールにいれ、生地をつける。 そして、金鋏でもちあげ、高温の油に近づける。 「い、いやぁぁぁあああ!!!あ、あづいぃぃぃぃいいいいい!! ちかづげないでぇぇぇぇぇええええ!!やだやだだやだぁぁぁああ!!! やああぁぁっぁあああばばばあばぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!!」 ぱちゅりーの時とは逆に、顔から油にいれる老人。 「さっきは、悲鳴で油が少しこぼれたからなぁ……まずは口から揚げたほうがいいのだろう。」 先ほどの失敗を教訓にした老人である。高温の油の鍋からアリスを取り出し、低温の油の鍋にいれる。 「今度は、さっきより短い時間で……」 先ほどより短い時間で取り出し、金鋏でアリスをつつくと、アリスが少し動いた。 「おお!成功だ!どらどら、中身は?」 老人は、包丁でアリスを切る。中枢餡をさけるため、真ん中をさけてゆっくりと包丁を入れる。 痛みがあるのだろうか、アリスの身体はビクンビクンと微かに震えている。 切り口からは、解けたカスタードクリームが流れ、ぱちゅりーのお陰で充満していた甘い香りがさらに強くなる。 老人はスプーンで熱々のカスタードクリームをキツネ色に変色したアリスの皮膚にのせ、頬張る。 「うん。うまい!さっきのよりも濃厚だな。」 カスタードを掻き出しながら、老人はあるものを見つける。中枢餡だ。 スプーンが中枢餡にふれると、アリスの身体はビクンと動く。 「ははは。これが中枢餡か。こうやって見るのは初めてだな。つつくと身体が動くのは痛いからかな?それとも、単なる反射か?」 老人はアリスの反応がおもしろいのか、何度も中枢餡をつつく。 そして、スプーンで中枢餡をひっかき、口に含む。 「うん。やはりここが一番美味いのか。さて、次は…」 中枢餡を失ったアリスを放置し、老人がれいむたちのほうを向く。 「に、にんげんさん!」 「ん?どうしたんだい、まりさ?」 「お、おねがいだぜ。ま、まりさは どうなっても いいから、れいむを たすけて あげて ほしいのぜ!」 「ま、まりさ、なにいってるの!にんげんさん!れ、れいむを たべてね。だから まりさは にがして あげてほしいよ!」 2匹はゆっくりとは思えない行動をとる。同じ夢を見て過ごした大事な仲間だからだろうか、互いに互いをかばい合っている。 そんな2匹を老人は持ち上げる。そして、今朝まで過ごしていた大きな透明な箱にいれる。 「私の食べ残しを全て食べれたら、まぁ、考えてあげよう。ほら、お前さん達のお仲間だよ。」 そう言い、老人は、ぱちゅりーとアリスをいれる。 どちらも半分程残っており、熱を持っている。れいむたちの鼻腔(?)に死臭と甘い香りが同時にはいる。 「そ、そんな……ぱちゅりーや ありすは たべれないよ!」 涙目で訴えるれいむに、老人は、 「ならお前さんと、まりさ、2匹とも今この場で殺そうか?」 と冷たく言い放つ。 「に、にんげんさん。や、やくそくなのぜ!」 「ああ。約束だ。」 「れ、れいむ。だいじょうぶなのぜ。まりさがぜんぶたべるのぜ!」 「ま、まりさ……」 「………むーしゃむーしゃ……ごっくん………」 まりさはかつての仲間を食べ始めた。全てはれいむを助けるために。 「おやおや、同族喰いとは浅ましいことだな。さ、私は畑仕事にいくか。夜までに全部食べておけよ?」 「わ、わかったのぜ……」 老人はれいむたちを残し、仕事に出かけた。 残されたまりさは黙々と食べつづける。 「ま、まりさ。れ、れいむも たべるよ……」 「だめなのぜ!どうぞくぐいは おきてやぶり なのぜ!おきてやぶりは ゆっくりできないのぜ!」 「で、でも、まりさだけが ゆっくりできないのは、れいむ、ゆっくりできないよ。」 「れいむ。ありがとうなのぜ。でも、いいのぜ。まりさが ぜんぶたべれば、れいむはたすかるのぜ。 れいむは いっぴきでも がんばってゆれーめんに いくのぜ!」 「まりさ。どぼじで ぞんなごど いうの?ゆれーめんに、いっじょにいごうよ……」 泣き出すれいむにまりさは首(?)を振る。 「あのにんげんさんは、きっと どうぞくぐいをした ゆっくりを せいさい するのぜ。 だから、もう まりさは せいさいされる うんめいさん なんだぜ。 でも、れいむは まだたすかるのぜ。れいむだけでも ゆめを かなえて ほしいのぜ。」 「ばりざぁぁあ………」 「れいむは ないちゃだめなのぜ。それよりも うたってほしいのぜ。 まりさ、れいむの うたを ききながらなら、どんな つらいことでも できそうなのぜ!」 「わ、わがっだよ……ばりざ……れいむ……う、うたうね…… ま゛っだりのび~♪ゆ゛っぐりのひ~♪ずっぎりのひ~♪♪」 れいむの涙声の歌を声援にし、まりさは、再び食べ始めた。 ぱちゅりーとありすは、この世のものとは思えない程甘くなっている。 しかし、同族である、いや、それ以上に仲間であるまりさには、その甘味から『しあわせー!』はでてこない。 ただただ、嗚咽感との戦いであった。 夕方、老人が帰宅した。 「おや、本当に全部食べたんだな。どうだい?うまかったろ?」 「はぁ……はぁ……に、にんげんざん……ま、まりさが、ぜんぶ たべたのぜ……」 自分とほぼ同じ量の食事をしたまりさは茄子のような形をしている。 苦しいのか、肩(?)で息をしながら、老人と話す。 「そのようだね。やれやれ、同族喰いとは、ひどい奴だ。」 れいむは、『にんげんさんがさせたんでしょ!?』と、怒鳴ろうとしたが、 それよりも先に、まりさが叫んだ。 「そうなのぜ!まりさは ひどい ゆっくりなのぜ!でも、たべたのは まりさだけ なのぜ!れいむは たべてないのぜ! だ、だから、まりさを せいさいしても いいから、れいむは たすけるのぜ!やくそくだったのぜ!」 「そうだな。じゃぁ、まりさを制裁するか。」 老人はまりさを再び小さな透明の箱に移す。 「んぎぎぎぎっっっっっぎいい!!!」 そして、まりさの金髪の髪を抜き、禿にする。 禿になったまりさに、老人は、霧吹きをかけ、表皮を湿らし、胡麻をふりかけりる。 湿りで粘着力を増したまりさの柔肌に胡麻が付着する。 まりさは何も言わない。れいむを助けるために自分の命を捨てる覚悟をしたのだ。 最後は格好よく、逝きたいと考えているのだ。 れいむは何も言わずに、まりさを見つめる。 まりさの想いを無駄にしないため、そして、まりさの最期を見届けるために。 胡麻だらけになったまりさを金鋏でもちあげり、老人は煮えたぎる油の中にいれる。 「んんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 死を覚悟していたまりさは激痛にも悲鳴をあげず、ただただ、耐える。 「今度はさっきとは逆に、低温から徐々に高温にっと……」 そんなまりさのことを一切気にすることなく、鍋の火加減をする老人。その姿は楽しそうだ。 数分後、老人は鍋からまりさを取り出す。まりさは茄子のような形の中華胡麻団子になっていた。 老人はまりさを包丁できりわけ、そして食べる。 「おお。やっぱり餡子のほうがうまいな。それに胡麻がまた餡子によくあっていて、本当に美味い!」 まりさに舌鼓をうつ老人に、れいむが尋ねる。その目は真っ赤になっている。 「に、にんげんざん!ど、どぼじで、どぼじで ばりざだぢを だべるの?」 老人はまりさを食べながらこたえる。 「ん?いやな、お前さんたちがここに来たとき、ちょうどゆっくり料理の本を読んでいたんだ。 いや、たすかったよ。まさか食材のほうからでむいてくるとはな。」 「ば、ばりざは ごはんざん じゃないよ!!」 「お前さんからしたらな。でも、人間からみれば、ゆっくりは十分食材だよ。まぁ、私はあまり食べていなかったがね。」 これまでも老人は何度かゆっくりを食べたことがある。畑を荒らしたゆっくりをだ。 しかし、味が悪く、どちらかというと、嫌いな食材だった。 しかし、先日、 暇つぶしに読んでいた料理の本に、ゆっくりの下ごしらえが書いてあり、 試してみようと思った矢先に、れいむたちが老人の元に来たのだ。 ちなみに、下ごしらえは、 ①野性のゆっくりをつかう際は、捕獲後、3日ほど新鮮な餌を与え、体内の餡子を入れ替えると味がよくなります。 ②ゆっくりは幸せを感じている状態から、不幸になると味がよくなります。ですので、3日ほど、ゆっくりの好きにさせます。 ③非ゆっくり症が発症すると、味がおちます。調理の前に、非ゆっくり症を抑える薬を飲ませましょう。 たったこれだけのことだが、これで、ゆっくりの味は格段によくなるのだ。 「ふう。美味かった。こんな美味いゆっくりは始めてだ。」 まりさを完食した老人が満足そうに言う。 「さて、れいむ。まりさとの約束だ。これからどうする?」 「れ、れいむは……ゆれーめんに いくよ。 ゆれーめんで おんがくたいさんに はいるよ。みんなとの やくそくだから……」 「そうか。でもね、れいむ。ユレーメンなんて街はないんだよ。」 「ゆ?…………ど、どぼじで ぞんな うぞを いうのぉぉぉぉぉおおおお!!」 老人の言葉に、れいむは泣き叫ぶ。 「ははは。まぁ、おそらくブレーメンのことなんだろうけどさ。 でもさ、仮にブレーメンにたどりつけたとして、君じゃぁ、音楽隊にははいれないね。」 「………」 「だって、君、歌が下手だもん。君だけじゃないね、君たちの音楽やダンスを何度かみたけど、あれは酷かったよ。 殺意がわいてくるほどのものだったからね。」 「う゛…う゛そ゛た゛ぁぁぁぁぁぁああああああああああ!! で、でいぶだぢは、ぶれで いづも じょうずだっで ぼめられでだんだぁぁぁああ!」 「ゆっくりの基準でなんてどうでもいいよ。大切なのは人間の基準出だろ。 音楽隊の客は人間なんだから、人間にとって不愉快なだけのゆっくりの歌なんてダメに決まっているだろ?」 「うぞだ、うぞだ、うぞだぁぁぁlぁぁあああ!うぞだ、うぞだ、うぞだぁぁぁlぁぁあああああああああああああ!!!!」 れいむは自分が信じてきたものを全て否定され、狂いそうになるが、薬がそれを抑える。 老人は、精神的に苦痛を味わい、甘味を増したれいむも食べようと思っていたが、止めることにした。 まりさとの約束は『考える』だけなので、別にれいむを殺しても構わないのだ、甘味と油分で気持ち悪くなってきたからだ。 「うぞだ、うぞだ、うぞだぁぁぁlぁぁあああ!でいぶだぢは、ゆれーめんにいぐんだ! おんがくだいざんに はいるんだぁぁぁあああ!!!!!!!!ゆれーべんんんんん!!!!!!っんごごごご??」 うるさいれいむに、老人はラムネを無理矢理食べさせる。 途端、眠りにおちるれいむ。 老人は甘味と油でもたれた腹をさすりながら、調理道具の片付けをし、眠りについた。 当分、甘いものは食べたくないと思いながら。 ------------------------------------------ 数日後、れいむは街にいた。 まりさたちが死んだ翌日、老人がれいむを街の駅前に放置した。 当分ゆっくりを食べる気にならなかったが、ただ潰すのも、つまらない。 ゆっくり如きの分際で、夢を語るれいむを老人は憎らしく感じていた。 そこで、れいむに、自信の力では夢は実現できないことを実感させようと思っての行動だ。 「もし、お前さんの歌が本当に上手ければ、スカウトがくるだろう。 音楽隊に、はいれるかどうか、自分の力を試してみるんだな。 ほら、これは私からの餞別だ。ま、頑張りなさい。」 れいむの前に、僅かな菓子をいれた空き缶を置いた老人は、れいむから離れる。 「だいじょうぶだよ。ここで れいむが うたを うたえば、 すかうとさんが きて、おんがくたいさんに いれてくれるよ。 ぜったい だいじょうぶだよ。みんな、みててね!」 仲間を失い、音楽隊にはいることはできないと言われた れいむは、 目に涙を為ながら、つぶやき、そして、歌い始める。 当然だが、スカウトはこない。それどころか、誰も見向きもしない。 いや、正確には、駅前で物乞いをしている他のゆっくりは、 その美声に聞きほれており、何匹かは声をかけた。 しかし、れいむは、ゆっくりの相手などしなかった。用があるのは、スカウトの人間だけなのだ。 どれだけ歌ってもスカウトはこない。いや、人間が足を止めることすらない。 当然だ、れいむの歌、つまりは雑音を聞きたがる酔狂な人間などいるはずもない。 それでもれいむは歌い続ける。 老人からもらった餞別を食べ尽くし、どれだけ空腹になっても。 すでに薬の効果はきれ、いつ非ゆっくり症を発症してもおかしくない状態であったが、 れいむは死んでしまった妹、仲間、そして、夢のために、必死で歌い続ける。 そして、ついに、れいむの前に1人の人間が立ち止まった。 その人間は作業服を着ており、手には大きなゴミ袋をもっていた。そう、加工所の職員だ。 そんなことは知らない れいむは言う。 「すかうとさん。さすがに ゆっくりしすぎだよ。 れいむを ゆっくりしない でおんがくたいに いれてね!」 人間はれいむの相手などせずに、れいむをゴミ袋にいれる。 袋の中には、先客が沢山いたが、れいむは気づいていない。 「やったよ、みんな。れいむは ゆれーめんの おんがくたいさんに はいったんだよ!」 そう言うれいむの顔は達成感に満ちていた。 ------------------------------------------ 老人に事情を話した後の、アナザーストーリーです。 ゆっくりが幸せになるのが嫌いな方は読まないで下さい。 れいむたちから事情を聞いた老人は優しい声で言う。 「残念だけど、ユレーメンなんて街はないよ。 でも、音楽隊になりたいなら、いいところを知っているから、明日つれていってあげよう。」 老人はれいむたちを、もてなした。 もてなした理由は、1人暮らしでさびしいかったのもある。 農業を営む老人であったが、れいむたちは畑を荒らしたわけでもなく、善良な固体だと感じたこともある。 しかし、なによりも、夢に向かって輝いている、れいむの目が気に入ったことが大きな理由である。 れいむたちは、今まで食べたことのない人間の食事に喜び、そして、ぐっすりと眠りについた。 翌日、老人は4匹をつれて将来世話になる予定の老人ホームに行く。 そして、職員に事情を話し、4匹を渡した。 4匹は老人ホーム利用者や、提携している保育園などで、音楽やダンスを披露することになった。 拙い歌や演奏、ダンスであったが、老人や園児には好評である。 れいむたちは、ユレーメンにはいけなかったが、幸せである。 大好きな音楽で生活でき、とてもゆっくりしているのだ。 ある日職員が、ユニット名をつけてはどうかと提案してきた。 4匹は迷うことなく、即座にこたえた。『ユレーメンの音楽隊』と。 あとがき 生クリームを包んだスポンジケーキを 揚げたものを食べたことがありますが、 私には甘すぎてだめでした。 過去作品 anko3893 穏やかな日常、或いは嵐の前の静けさ anko3901 穏やかな日常、少し増えた賑やかさ 前編 anko3902 穏やかな日常、少し増えた賑やかさ 後編 anko3903 孤独なぱちゅーが共に過ごすもの anko3904 名物 anko3907 こなさん anko3913 006受け入れた anko3917 ゆっくりによる経済
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『くらくなるまでまってね!』 38KB 虐待 不運 共食い 群れ 自然界 現代 虐待人間 独自設定 10作目 野生ゆっくりが旅をすることは滅多にない。 彼らは一旦『ゆっくりプレイス』を決めたら、余程のことがない限り移住を考えたりなどしないのだ。 それでも移住を考えたとしたならば、それは『余程ゆっくりできない』ことがあったのだと思われる。 まりさの率いる群れは、非常にゆっくりできないことが起きたために、群れから離れた。 彼に付き従うのは、三百匹ほどのゆっくりたち。 辛い辛い旅の途中、何度も何度も永遠にゆっくりしかけたまりさたちだが――。 群れが百匹ほどまで減ったとき、とうとうゆっくりできそうな山に辿り着いた。 見たところ食料も水も豊富にあり、れみりゃやふらんといった捕食種の姿も見受けられなかった。 まりさは感動に打ち震えながら宣言した。 「ここをまりさたちのゆっくりプレイスにするよ!」 そうして、まりさたちは遂に安住の地を手に入れたのだった。 『くらくなるまでまってね!』 「ゆっくち、ゆっくち!」 「ゆゆ~! まりしゃはあんよがしゅんっそくだにぇ!」 幼馴染みの赤まりさと赤れいむがかけっこしている。二匹はそれぞれ父親と母親が亡くなっており、生き残っ た親たちが協力して子育てしていた。 「ゆふふ。れいむ、おちびちゃんたち本当にゆっくりしているわね」 赤まりさの父親であるありすが目を細めてそれを見やる。 「ゆーん。ほんとうだよっ。まりさも、ゆんごくできっとゆっくりみまもってくれてるね……」 親ありすと親れいむはそう言いつつ、他の赤ゆ、子ゆたちを見やる。 みんな、みんな、これまでの苦労を忘れるようにゆっくりしていた。 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 のんびりさんな子れいむが、切り株の上でお昼寝してたいようさんっ、のひかりを味わっている。 「かりのれんしゅうなんだじぇ! ちぇんもついてくるんだじぇ!」 「わかりゅー! わかりゅよー! かりさんなんだにぇー!」 やんちゃな子まりさが、赤ちぇんを子分にして散歩している。 「ゆ~……ゆっくち~♪」 「ゆっくち~♪」 「ゆっくちーっ!」 「ゆ、ゆくっ、ゆくちーっ」 「ゆふふ。おちびちゃんのおうた、とってもときゃいはね!」 子ありすが、赤ゆたちのうたをもっとゆっくりできるように指導している。 「お……おあーあん!」 「ゆんゆん。おかあさん、だよっ」 「お……おきゃ……あん」 「ゆーんっ。だいぶゆっくりできるようになったよ、あとひといきだね!」 親れいむが、言葉の練習をしている。あの様子では、三日もすればおかあしゃん、と言えるレベルに到達でき るだろう。 「ゆーん! きょうもゆっくりプレイスはほうっさくっ、だぜ!」 親まりさが意気揚々と、帽子に食料を詰め込んで帰ってきた。 「おとうしゃん、おかえりなさいっ」 「おとーちゃっ、ゆっくち!」 「ゆー、ゆゆーっ」 三人の赤ゆたちが、たちまち戻ってきた父親に駆け寄ってくる。 「ゆゆーん。おちびちゃんたち、いいこにしてたぜ?」 「ゆっくちいいこにしてたよ!」 「ゆふん! ゆっくりいいこにしていたおちびちゃんたちには、あとですーりすーりしてあげるのぜ!」 「ゆわぁぁ……ゆっくち! ゆっくちー!」 「ゆーっ、ゆゆーっ」 親まりさは食料庫へと向かっていく。その大きな背中を、赤ゆたちは尊敬と愛情のこもった眼差しで見つめ続 けていた。 「まりしゃ、おとうしゃんみたいになるじぇ!」 「ゆーっ、ありしゅも! ありしゅもちょかいはなおとうしゃんになる!」 「ゆ、ゆーっ、ゆーっ」 その光景をぼんやり見つめていた親れいむと親ありすは、自身の腹がぐぅと鳴るのを感じてはっと空を見た。 もうそろそろ、むーしゃむーしゃタイムの時間だ。 「とかいはのおちびちゃんたちは、ゆっくりあつまってね!」 「ゆっくりごはんさんのじかんだよ! おちびちゃん、だいしゅうごうっ」 「ゆわわーい! ごはんしゃーん!」 赤ゆたちが喜び勇んで集まってくる。全員の足元に、葉っぱさんとごはんさんが平等に載せられる。 きちんと教育されているのだろう。涎を垂らす赤ゆはいても、手を出すようなゆっくりはいない。 親れいむと親ありすが、彼らの前でせーので叫ぶ。 「ゆっくりいただきます、だよ!」 「「「「「ゆっくちいただきましゅ!」」」」」 楽しい楽しいすーぱーむーしゃむーしゃタイムの時間である。 美味しそうにご飯を食べる赤ゆたち。 彼らはすぐに大きくなって、立派な若者となってこの群れに貢献してくれるだろう。 親たちはそんな未来を思い描き、餡子がほっこりと温かくなっていく。 そして、リーダーまりさは番であるぱちゅりーと寄り添いながら、その光景を眺めていた。 「ゆっくりしてるね……」 「ゆっくりしているわ……」 「ゆ……ぐすっ」 「むきゅ。まりさ、またないているのね」 「ごめんね、ぱちゅりー……だって、だってうれしくてうれしくて……」 二人の子は、旅の途中で永遠にゆっくりしてしまった。だから、今は群れの子供たちがそのまま二人の子供で あるといってもいい。 「それにしても。あのぱちゅりーはゆっくりできなかったわね……」 ぱちゅりーが突然、苦々しい表情で呟いた。 「ゆ、やめようよぱちゅりー。あのぱちゅりーのことをいうのは……」 彼らがこのゆっくりプレイスにやってきて間もなくのことだった。突然、別の群れのリーダーであるというぱ ちゅりーと彼女の部下らしいゆっくりたちがやってきたのだ。 リーダーまりさは、近々挨拶に行こうと思っていたので喜んで彼女を歓迎した。 「ゆ! ぱちゅりー、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね。まりさ、このむれはどれくらいのゆっくりがいるの?」 「ゆ、たーくさんだよ!」 「……そう。たくさんゆっくりがいるのね。このやまさんのごはんがたりないくらいにね」 「ゆうう!? なにいってるの! こんなゆっくりプレイスみたことないよ! ごはんさんもたーくさんあるよ! みてわからないの!」 見て分かってないのは、当然リーダーまりさの方である。 どうもゆっくりとは、ある程度社会的な文化を持っている癖に数字関係が極めて能力的に不得手らしく、ドス まりさですら山の資源の限界を見誤るのはしょっちゅうだ。 だからこそ、大量に増殖したゆっくりは山にとって害獣扱いなのだが……。 もちろん、このリーダーまりさも分からない。彼が自覚できる可能性がわずかにあるとすれば、山の資源を全 て食い尽くしてからだろうが、それでは遅い。 ぱちゅりーは、冷たく言い放った。 「このやまさんからでていって。さもないと、ゆっくりできないことになるわよ」 「……それは、ちからづくっでおいだすっていうこと?」 「ゆっくりできないけど、しかたないわ」 その言葉に、不安そうにリーダーを見つめる群れのゆっくりたち。 まりさは決意した。このかけがえのないゆっくりプレイスを守ろうと。 旅の途中で亡くなったゆっくりたちのためにも! 「おいだせるものならおいだしてみてよ! まりさのぷくーをみても、そういえるならね!」 そう言って、まりさは得意のぷくーを加減なしにやった。かつて、野良犬すら怯えさせたというぷくーに、群 れのゆっくりたちや、ぱちゅりーに従ってきたゆっくりたちも息を呑む。 ただ一人、相手のリーダーぱちゅりーのみがそれを冷めた視線で受け流すと、 「ちゅうこくしたわよ……」 とだけ言い残して立ち去っていった。 あのときの視線を、言葉を思い出すとリーダーまりさはひどくゆっくりできなくなってしまう。 「むきゅ。かんがえすぎよ、まりさ。あのぷくーをみて、りーだーぱちゅりーはおびえたのよっ。 こんなゆっくりプレイス、ひとりじめにしたくなるのもしかたないものねっ」 「……そうだね、まりさのかんがえすぎだね」 まりさは苦笑した。そして、食べかすをぺーろぺーろしてあげる親ゆっくりたちの愛情溢れる行為を見て、ま たゆっくりするのだった。 「りーだー、りーだー!」 「ゆゆ? どうしたの、おちびちゃんたち」 食事が終わった子ゆたちが、こちらに集まってくる。どうしたのだろう、と思っていると一匹の子れいむが前 に進み出て言った。 「りーだー、いつもゆっくちありがとう!」 「ゆふん。それほどでもないよ、おちびちゃんたち」 「れいみゅたち、いつもがんばってくれりゅりーだーに、なにができりゅのかきゃんがえてみちゃよ!」 「ゆ……?」 まりさは親ゆっくりたちに視線を移した。彼らはこのことを知っているらしく、ゆっくりした笑顔を浮かべて 子供たちを見守っていた。 「じゃからね……れいみゅたち、おうたをうたうよ! りーだーのためにゆっくりできるおうたをうたうよ!」 「……」 子れいむがくるりとこちらに背を向けた。もみあげを振って、合図する。 「しゃん、はい!」 「ゆっくち~♪ ゆっくちちてりゅよ~♪ りーだーまりしゃは~♪ とってもゆっくちしてりゅんだ~♪」 「ま、まりさの……おうた……?」 子ゆたちは思い思いにまりさを讃える歌を歌う。 無論、技術的には拙い部分もあるが……おうたはこころだ。 「ゆ……ゆぐっ……ゆぐぐっ……ゆっくりしてるよ……みんな、ゆっくりしてるよお……!」 まりさは感動のあまり、ぼろぼろと涙を流していた。 ぱちゅりーが苦笑しつつ、もみあげで拭いてくれるが、涙が後から後から止まらなかった。 「まりしゃ~♪ まりしゃ~♪ りーだーまりしゃ~♪ つよきゅてしゅごいりーだーまりしゃ~♪」 「ゆっくり……ゆっくりぃっ……」 リーダーまりさは、この日のことを終生忘れまいと誓った。 たとえ、この先何があっても……この日のことを思い出すだけで、きっとゆっくりできるだろうと。 そして、確かにまりさにとって絶対に忘れられない日となった。 「お、博士ー。ここにいましたよー」 「おや、お歌の途中でしたか。これは失礼、まりさくん」 唐突に乱入してきた、二人の人間にとって。 ……絶対に、忘れられない日となった。 「「「「「……」」」」」 誰も彼もが、ぽかーんとした様子で二人の人間を眺めていた。一人はどことなく退屈そうな雰囲気を醸し出す 青年、もう一人は白衣のままの中年親父だ。 「に……にんげん、さん?」 ようやく立ち直ったリーダーまりさがおずおずと尋ねる。 彼らは人間に出会ったことなどないが、餡子の遺伝でこの種族が人間ということだけは理解できている。 「はい、そうですよ。いやあ、すいませんね。歌の途中で」 「ひーふーみー……」 「な、なにかごよう? ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ。すぐにでていってね」 「まあまあ、ちょっと待ってくださいね」 博士という男はそう言うと、ゆっくりたちの手の届かない木の上などにカメラを設置し始めた。 「ごじゅう、と。ああ、ちゃんと頭数揃ってますね」 「よろしい。では打ち合わせ通り、まず子ゆっくりたちからにしますよ。僕は赤ゆ、君は子ゆ」 「了解ーっ」 「ゆ? ゆゆ? あの、ここはまりさたちのゆっくりプレイスだから……」 「に、にんげんさん! まりさのおはなしきいてね! とかいはじゃないわ!」 「そうだよ! りーだーのおはなしきいてなかったの!? ここはゆっくりたちのゆっくりプレイスだよ! に んげんさんはすぐにでていってね!」 「そうだそうだ!」 「わかるよー! すぐにでていくんだねー!」 親ゆっくりたちの抗議の嵐もどこ吹く風と、博士はリュックサックからティースプーンを取り出した。 この状況に至っても、まりさたちは博士たちに手を出そうとはしなかった。彼らの周囲には、未だ驚愕に凍り ついている子ゆっくりたちがいる。 彼らの居る前で、餡子臭い戦いなど起こしたくはなかった。 「にんげんさんっ! これいじょうこのゆっくりプレイスにいるなら、まりさがとっておきのぷくーをするから ね! にどはいわないよ!」 リーダーまりさの言葉に、親ゆっくりたちに戦慄が走る。 あの野良犬をも退けた、究極のぷくーを見せれば人間さんたちもたちどころに退散するはず……そんな風に思 っている。 「え? あ、どうぞどうぞ」 なのに、博士はあっさりとそう言った。 舐められた、と思ったまりさは怒り狂って叫んだ。 「なめるなああああ! ぷっっっっっくううううううううううううううううううううううううう!」 リーダーまりさの究極ぷくーが、人間たちに炸裂した。 その見事な――美しいとすら感じるぷくーに、人間たちは恐怖で身動きも取れないだろう。 そう思いつつ、親ゆっくりたちは人間に視線を移した。 どんな風に怖がっているのか、どんな風に怯えているのか、そう期待しつつ。 博士は特に何の反応も見せていなかった。というか、ぷくーそのものを見ていなかった。 何故なら、彼は別件で忙しかったからだ。 「ゆびっ! ゆびぃぃっ!? なにしゅるのじぇええ!?」 赤まりさが博士の手に捕まっていた。博士は問答無用で、ティースプーンを目にあてがってくるりと回転させ る。白玉の目がスプーンの中にすっぽりと入る。 それを二回繰り返すと、赤まりさをそっと地面に置いてすぐに別の赤ゆを捕まえていく。 「ぷくーっ! ぷくーーーーーーーーーーーーっ! ぷ、くー…………………………」 「……」 「……」 「……」 「……」 「……」 「……」 「「「「「おちびちゃんに、なにしてるのおおおおおおおおおおおおおお!?」」」」」 「気付かれましたよー。ここからが本番です!」 「あいよ! ただいま、二十匹目!」 子ゆっくりたちは、あまりといえばあまりの状況に完全に思考停止していた。何しろ、すぐ隣の――今まで仲 の良かった友達が、目を抉られて戻ってくるのだ。 しかも、彼らは異常なまでに手際が良かった。 赤ゆっくりに六秒、子ゆっくりに四秒程度しかかかっていない。 五十匹の子、赤ゆっくりたちは既に六割以上が目を抉られていた。 「よ……よぐもおおおおおおおおおおおおおおおおおお! せいっ、さいしてやるうううう!!」 ぽよんぽよんと、親れいむが駆け寄って博士の背中にどんとぶつかった。だが、博士は特にダメージを受けた 様子もなく、ひたすら必死になって赤ゆの目を抉り続けている。 「そ、そうだよー! せいさいだよーっ!」 「いなかもののにんげんめえええええ!」 「ぷくーっ、ぷくーーっ!」 親ゆっくりたちは、やがて思い思いに攻撃を開始した。突撃するもの、罵倒するもの、ぷくーで威嚇するもの、 様々であるが、当然ながら効果があるはずもない。 「よいしょ、よいしょ! まりさのたいあたりをくらうんだぜええ!」 「わかるよー! ちぇんのこうそくあたっくでえいえんにゆっくりするんだねー!」 ぽよん、ぽよん、と心地良いとすら思える衝撃。 博士と青年はそれに構うことなく、一心不乱に目を抉り続けた。 「むきゅ! みんな! おちびちゃんをおくちのなかにいれて、ひなんするのよ!」 ようやく、リーダーまりさの番のぱちゅりーが、ある程度中身のある策を打ち出した。 ……が、時既に遅し。 「終了!」 「こちらもです!」 「「「「「ゆわあああああああああああああああああん! おべべがあああああああああああ!」」」」」 「お……おちび……ちゃん……おちびちゃあああああああああああああああああん!」 「うぞよ! うぞよごんなのおおおお! とかいはあああ! とかいはあああああ!」 「わがらないよおおおお! ぜんっぜんわがらないよおおおおおおおおおおおお!」 「むきゅうううううううううううううう! どうして! どうしてこんなごどおおおおおおおおおお!」 「ま……まりさの……ぷくー……みて……みてなかったの……?」 おかしい、おかしいよ。 まりさのぷくーをみたのに、どうしてふたりともにげないの? 「構ってる暇はないですよ。さあ、次は親です!」 「よっしゃ! ほらつかまえたーっ!」 「ゆゆ! やめでね!? れいむのこうきなおめめさん……あいじゃああああああああ!」 「ゆんやあああああああああああああああああああああああああああ!? やべろ、やべろおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおお!」 「終わり、はい次!」 「に、にげるよおおおお! ゆっくりにげ……」 「逃げたらおちびちゃんがゆっくりできなくなりますよー!」 その言葉に、その「おちびちゃん」という言葉に。親ゆっくりたちも、親でないゆっくりたちも、縛り付けら れてしまった。 痛みに震える子ゆっくりたちは、博士の周囲を決して動こうとしなかった。その間も青年が、どんどんどんど んと親ゆっくりたちの目玉を抉り出していく。 子ゆ、赤ゆたちと違って多少乱暴でも壊れはしない。そう教えられた青年は、先割れスプーンをぶすりと目玉 に突き立て、ぐるりと回転させるという作業をひたすら繰り返した。 取れてなくとも、まあ問題ない。要は見えなくなっていればそれでいいのだし、最後にチェックして改めてほ じくり返せばいい。 「ま、ま、ま、まりさ……に、にげましょうっ、にげましょうっ」 「だ、だめだよっ。まりさは、まりさはりーだーでっ」 おろおろしているだけの、まりさとぱちゅりーにようやく二人の目が向いた。 「これで最後ですね。さて、と」 「おそらをとんでるみたい!」 博士がぱちゅりーをひょいと抱え上げた。一瞬の出来事で、まりさは止めることもできなかった。 「ぱ……ぱちゅりいいいいいいいいいい! やべでぐだざい! やべでぐだざい! ぱちゅりーのおめめはとっ てもきれいなおめめなんです! ほうせきみたいにきらきらしているんでず! だがら! だがらあああ!」 「例外はなしよ、と」 さくっ、さくっ。 「ゆ……ゆ、ゆ……ゆあああああああああああああああああああああああああああ! ぱちゅりー! ぱちゅり いいいいいいいいいいい!」 「おめめえええええ! ぱちゅりーのおめめがあああああああああああああああああああ! むきゅううううう ううううううううう!」 ぱちゅりーの姿を間近で見たまりさは、ゆげぇっと餡子を吐き出しかけた。 きらきらした、宝石のようなぱちゅりーの目。そこには今、ぽっかりと穴が空いている。白い生クリームがち らちらと見えるのが、何とも気持ち悪かった。 「さて、リーダーのまりさは……どうしようかなあ」 博士と青年は、まりさを見下ろしつつ考え込む。まりさは、今一生懸命にぱちゅりーの目にぺーろぺーろをし ていて、二人のことを忘却の彼方へと追いやっていた(馬鹿なゆっくりは、都合の悪いことに遭遇すると現実逃 避をしたがる)。 「抉らずに、彼一人に群れの世話をさせるというのも面白いと言えば面白いんですが……。 まあ、今回は群れの殲滅が目的ですし。狩りをさせない方向が一番でしょう」 「了解っす。いやー、楽しみですねー」 青年はそう言いつつ、まりさを抱え上げ――。 「ぺーろぺーろ……おそらをとんでるみたい!」 「じゃ、まりさ。これでむれのみんなとお別れだ。よく目に焼き付けておけよ」 「ゆ? ゆゆ? ……ゆ……ゆっくりできないぃぃぃ! やべで! やべでええええええええええええ!」 さくっ。 さくっ。 ――かくして、まりさ率いる百匹の群れは。一匹残らず両目を抉られたのである。 ● ● ● リーダーまりさが、必死の思いで見つけたゆっくりプレイス。 そこは今、地獄と化していた。 「ゆえええん……おとうしゃああん……」 親ゆっくりを呼ぶ子ゆっくり。 「おちびちゃあああん! おちびちゃん、どこなのおおおおお!」 子ゆっくりを呼ぶ親ゆっくり。 「ゆああああん! もうやじゃ! もうやじゃあああああ! ゆっくちちたい! ゆっくちちたいよおおお!」 ただ喚き散らす赤ゆっくりたち。 「じゃ、食料は全部持っていきますから。頑張ってねー」 「やめでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!! がんばってあつめたんでず! ゆ゛っぐり゛じないでがんばっであづめだんでずううううう!」 「どぼじでえええ! どぼじでごんなごどずるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!?」 「え、そりゃまあ……趣味ですかねえ」 「趣味だなあ」 のほほんとしたトーンで博士と青年が答えた。 「びどい゛ぃぃぃっ! ひどい゛よぉぉぉぉ! あんまりだよおおおおお!」 「ゆっぐぢざぜでよおおおお!」 「むきゅう……えれえれえれ……」 「あ、食料発見。結構溜め込んでましたねえ」 「ビニールに入れてと……じゃ、帰りますか」 そうして、散々暴虐を振りまいた人間たちはそれ以上何をするでもなく立ち去った。 後に残されたゆっくりたちは、ひたすら泣いた。 だが、泣いても泣いても助けが来るはずもなく、自分たちで立ち上がるしかなかった。 そして、最初の悲劇が起きた。 「ゆぐっ、ゆぐっ…………ゆ? うんうんちたくなったのじぇ……」 「れいみゅもうんうんちゅる……」 先ほど食べたばかりだったせいか、赤ゆや子ゆたちがうんうんしたいと言い出した。 「ゆゆ! ま、まってねみんな! ちゃんとおといれに……」 「おといれどこにありゅのおお!?」 「まってね! まってね! だめだよこんなとこでうんうんだしちゃあああ!」 赤ゆたちがいたのは、皆が寝泊まりしている洞窟のちょうど真ん前なのだ。 こんなところでうんうんされては、大迷惑だ。 「じゃあどこでじゅるのおおお!? ぎゃまんできないいいいいい!」 「うんうんでりゅよ! いっぱいでりゅよ!」 「でりゅでりゅううう! どんどんでりゅううう!」 ぷりゅ。 ぷりゅぷりゅ。 ぷりゅぷりゅぷりゅぷりゅううううう! 赤ゆたちが次々とうんうんを始めた。だが、赤ゆたちは歌を歌うために密集していたのだ。 すると、当然うんうんは隣り合った赤ゆたちにつくことになる。 「ゆ……くちゃいいいいい! れいみゅにうんうんついちゃったあああああ!」 「ちょかいはじゃないわあああああああああ!」 「やめるんだじぇえええ! まりちゃのかがやくおうごんのきんぱちゅにうんうんが ついちゃうんだじぇええええええええええ!」 「ゆああああん! ゆっぐりぃぃ! ゆっぐりぃぃぃぃっ!」 「くちゃいいいい! くちゃいよおおおお!」 「ど、ど、どぼずればいいいのおおお! びえないいい! びえないよおおおお!」 世話役の親れいむと親ありすはただおろおろするだけだ。 「お、おちびちゃんたち! い、いまそっちにいくからね!」 意を決した一匹の親まりさが、ぴょんぴょんと勢いよく駆けていく。 ……このように「自分の行為の結果を予測できない」というのも、愚かなゆっくりの特徴である。 「ゆっくりはねるよ! ゆっくりはねるよ! ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり!」 「おとうしゃん! おとうしゃあん! まりちゃはここだじぇ、まりちゃはここだじぇえ!」 「おとうしゃああああん! ゆっくち! ゆっくちいいいい!」 父親が来ると知った赤まりさと赤れいむは、必死になってもみあげをぴこぴこと動かしていた。 彼らは親に何があったのか、知らないのだ。 「まりさあああ! れいむうううう!」 親まりさは勢いよくジャンプして――。 「「おとうしゃああああん!」」 赤まりさと赤れいむは必死になってそちらへ向かって――。 ぶちょっ。 「ゆぐぢ!?」 ぼりゅっ、と親まりさの巨体が赤まりさと赤れいむを押し潰した。 「ゆゆ!? おちびちゃん! おちびちゃんたちおへんじしてね!」 「ゆ……ゆぐぢ……いじゃい……いじゃいよおおお……」 「ゆべ……ゆべえええ……」 「ゆゆ? どうしておちびちゃんのこえが、したからきこえてくる……」 親まりさは、ようやく気付いた。 「う、うそだ……うそだよ……へんじして! ねえ、へんじしてよれいむ! まりさ! ゆっくりおへんじしで ねえええええええええええ!?」 「いちゃい……しゅごく……いちゃいよぉ……」 「おちょーしゃ……たすけちぇ……おちょーしゃ……」 だが、声はやはり下から聞こえてくる。 それも、とてもとてもゆっくりしてない苦しい断末魔の声だ。 「ゆがああああああああああああああああ!? いやじゃあああ! いやじゃああああ!」 「ゆ……ぐ……」 「お……ちょ……」 赤ゆたちは何が起きたのか最後まで分からぬまま、悶えに悶え苦しんだ。 「う……うそだ……うそだ、うそだ、うそだ、うそだああああああああああ!」 そして、親まりさは崩壊した。 「うああああ! おちびちゃん! おちびちゃあああああん!」 第二の悲劇が始まった。 錯乱した親まりさが、手当たり次第に飛び跳ね回ったのである。 「ゆべ!」 「ちゅぶ!?」 「ゆぐぇ!?」 「わがらにゃ!」 「まりさあああ! やめでえええ! おちびちゃんたちが! おちびちゃんたちがあああ!」 リーダーまりさが、目の前で起こっている事態に気付いて、ようやく止めに入った。 親まりさはおちびちゃんの名を呼びながら、他のおちびちゃんたちを次々と踏み潰していく。 「やめろおおおおおおおお! まりさああああああ!」 親ゆっくりたちが、止めに入ろうとするのを感じ取ったぱちゅりーが必死になって止める。 「むきゅうううう! みんなとまってええええ! よけいにひがいがでちゃうわああ!」 「でもっ! でもおおおおおおおお!」 「ぜったいにうごかないで! ぜったいよ! まりさ!」 ぱちゅりーは番のリーダーまりさに呼びかける。彼は意を決して枝を咥えた。 「まりざあああ! はねるのをやめでねええええ!」 そう言って叫び、跳躍して手当たり次第に空中で枝を振り回した。 何たる幸運か、枝がずぶりと親まりさの頬に突き刺さった。 「いじゃい!?」 「ゆっくりしないでじんでねええええ!」 リーダーまりさは泣きながら、何度も何度も枝を親まりさの頬に、まむまむに、あにゃるにと突き刺していく。 「やべっ……やべでっ、やべでえええ!」 「やべないよおおお! あばれなくなるまでやべないいいいいい!」 ざくっ! ざくっ、ざくっ、ざくっ! 「もっと……ゆっくぢ……じだがっ……」 親まりさの動きが、ようやく止まった。 「ゆ……び……」 なお、今の攻撃で一匹の子ゆっくり(最初に進み出たあの子れいむである)が、リーダーまりさの下敷きにな ったが見えないために誰にも気付かれなかった。 「いい、みんな。じっとしててね。みんなをどうくつさんにあんないするから、それまでぜったいにうごいちゃ だめよ!」 ぱちゅりーがそういって、ゆっくりとはいずりながら洞窟と思しき方向へ向かっていく。 「ゆっくり……ゆっくり……」 「ゆっくぢ……ゆっくぢ……くじゃいいい……」 「もう……やじゃ……ゆっくぢ……」 「どうちて……どうちてこんなめに……」 潰れた死体が周囲に転がり、噎せ返るような餡子臭とうんうん臭に囲まれた赤ゆたちはただひたすら泣いた。 「ゆ、ついたわ。みんな! ここよ、ぱちゅりーのこえがするほうへきなさい!」 「おちびちゃんたちから、ゆっくりしないでいそいでね!」 先ほどの騒動でさすがに懲りたのか、まず子供たちを優先することにした。 「ゆぐっゆぐうう……」 「ぎぼぢばるいよぉぉ……うぇぇ」 体の弱い一部の赤ゆは、とうとう餡子を吐き出し始めていた。 非ゆっくち症の初期段階までもう間もなくだろう。 「ずーりずーり……ずーりずーり……」 「ゆっくちちたいよおお……やずみだいよおおお……」 「ゆゆ! やすんじゃだめだよ! ゆっくりしないでね!」 「ゆっくちちたい……ゆっくぢぢたいのにいい……」 「きょわいよおお……なんにもみえないよおお……」 「おめめしゃん……れいみゅのゆっくちちたおめめしゃんがあ……」 「どぼじでゆっぐぢできないのおお……」 絶望の怨嗟。 赤ゆたちは、ただ這いずっているだけなのに度々餡子を吐き出し、洞窟に辿り着くまでに何匹かは 永遠にゆっくりしてしまっていた。 「……つぎは、おやのみんなよ……。ぴょんぴょんしないで、ずーりずーりしてもどってきてね」 暗い声で、ぱちゅりーが言った。 その声だけを頼りに、親ゆっくりたちも洞窟へと這いずり移動する。 途中で、親たちが悲鳴をあげた。 「くじゃいいいい! うんうんとしたいのにおいがするうううう!」 「ゆっくりできないいいいい!」 「ゆっぐりじだいよおおお! どぼじでええ! どぼじでええええ!」 悪戦苦闘しながらも、親ゆっくりたちも洞窟へと逃げ込んだ。 だが。 この先、することはなにもなかった。 「ゆぐっ、ゆぐっ、ゆぐうっ……おちびちゃん、どこおお……」 声だけを頼りに子供を捜し求める親ゆっくりたち。 幸運な親子は、どうにか合流することができたが大半の子ゆっくりたちは、先ほどの一件で死亡していた。 それでも諦めきれずに、親ゆっくりたちはひたすらずーりずーりと周囲を彷徨っている。 「ゆぅ……ゆぅぅぅ……!」 「いや……もっとゆっくりしだいよおお……」 「さっきまでゆっくりじでだのにいいい……」 がたがたと、親ゆっくりたちも恐怖と絶望に震えるしかない。 目が見えない。 野生に生きるゆっくりにとって、これは絶望的だった。彼らは人間と一緒で、基本的に視覚で物事を認識しよ うとする。幼い頃から目が見えなかったならともかくとして、突然盲目になってしまえばただただパニックにな るだけだ。 (どうしよう、どうしよう、どうしよう……) リーダーまりさは必死になって打開策を考えるが、何も思いつかない。 まず、狩りに出かけられない。 目が見えないために、芋虫や木の実を採集することができないからだ。 狩りに出かけられないどころか、外に出ることも難しい。 ゆっくりを標的にする野生の動物に出会ったら最後、全員食い殺されてしまう。 (なんにもおぼいづかないよおおおおおおお!) まあ、簡単に言ってしまえば。 積んでいたのである、完全に。 「みんな……ゆっくりして……ねむりましょう……」 「そうだね……」 「あしたになれば……ゆめだよね……これ……」 「うん……いやなゆめだったね……」 ――そして、一日が過ぎる。 翌日。目が覚めたリーダーまりさはのんきにこう言った。 「ゆ? まだくらいくらいさんだね!」 「まりさ……ちがうわ……」 「ゆゆ? ぱちゅりーももうおきたの? まだよるだから、ゆっくりねてて……ねて、て……」 寝惚けていた意識がハッキリしたのだろう。 リーダーまりさはガタガタと震え始めた。 「ゆ? ゆうう? あれは、ゆめだったんじゃないの? こわいこわいゆめさんだったんだよね。 そうだよね、そうなんだよね? そうだっていっでよおおおお! ゆんやあああ!」 「むきゅ……ゆめじゃないのよ……」 「ゆんやあああああああ! いやだよおお! いやだよおおお! ゆめさんなんだよ! これはゆめさんなんだよおお!」 「……まりさあ……れいむたち、どうすればいいの……?」 「わがらないよお……」 「ゆめだ……これはゆめ……」 ぶつぶつとそっぽを向いて現実から逃避するリーダーまりさ。 ぱちゅりーは痛ましい思いを抱きつつも、ひとまず彼に代わって指示を出した。 「むきゅ……と、とにかく。しょくりょうをもってきてもらうわ」 ぱちゅりーの指示で、何人かの親ゆっくりたちが洞窟を恐る恐る出て行った。 「ゆっぐり……こわいよお……」 「ひっ。い、いまありすのかおになにかさわったわっ」 「やだ……あるぐのごわいよおおお!」 声を頼りに洞窟に戻るのとは訳が違う。洞窟から食料庫まで、移動しなければならないのだ。 おまけに、彼らは餡子脳。 ぱちゅりーは自分が道順を覚えているから、大丈夫だと思ったのだろうが……。 「しょくりょうこさんはどごなのおおおおお!」 「ゆっぐりじないでおへんじしでねえええええ!」 このざまである。 結局、彼らは洞窟からどんどんと離れていって戻ってこなかった。川に落ちたり、崖から落ちたり、怖くて一 歩も動けなくなったりしてしまったのだ。 ――二日目。 「おにゃか……すいちゃよ……」 「おにゃか……ぺーこぺーこ……」 「もっとゆっくち……ちたかったよお……」 「ゆっくり……おなかが……」 「むーしゃむーしゃしたいよお……」 「だれがぁ……だれが、ごはんざんを……ちょうらい……」 赤ゆっくりも、子ゆっくりも、親ゆっくりも。 皆、餓えに餓えていた。 「ゆめ……ゆめだよおお……ふへへへ……これはこわいゆめさんなんだ……! ゆめなんだあああ!」 そんな中、現実から逃避しているリーダーまりさの言葉が、遂に親ゆっくりたちの餡子に火をつけた。 「うるさいよくずリーダー! おちびちゃんみたいにぎゃあぎゃあわめかないでね!」 「そうよ、このいなかもの!」 不意に、ぱちゅりーたちの背後からそんな声が飛び込んできた。 今まで言われたことのない悪口雑言に、リーダーまりさは愕然とした。 意識がたちまち現実に帰還し、混乱したままリーダーまりさは叫ぶ。 「どっ、どぼじでっ、どぼじでぞんなごどっ! まりざりーだーなんだよ!?」 だが、親ゆっくりたちの怒りは収まらない。 ただでさえ、餓えで苛立っているのだ。 「はあああ!? ここをゆっくりプレイスにしたのはリーダーでしょおおお!? だかられいむたちがこんなめにあってるんじゃないのおおお! ゆっくりりかいしろよおおお!」 「そうよおおおお! ありすたちほんとはこんなばしょいやだったのよおおおおお!」 「わかるよー! りーだーはむのーなんだねー!」 「そうだぜ! りーだーのせいでおちびちゃんは……おちびちゃんはああああああああああ!」 顔が見えないせいか、今までリーダーを慕っていた親ゆっくりたちは言いたい放題だ。 方々から聞こえてくるそれに苛立っていた親ゆっくりたちも、リーダーに罵倒を浴びせまくる。 まあ、昨日から全く食事が取れてないことと、子ゆっくりと死に別れてしまってナーバスになったということ もあるのだろうが、それでもこの手のひら返しっぷりは酷いものである。 「やめ……やめて、みんな……むきゅ……『ドンッ』……いだいっ!」 ぱちゅりーが止めようとしたが、怒り狂った親ゆっくりたちは声のした方へ飛びかかった。 「あたった! あたったよお! りーだーのつがいのぱちゅりーをせいっさいするよおおお!」 「とってもとかいはだわあああ! せいっさいしてあげるからねえええ!」 「むきゅ! やめてっ、やめてえぇっ!」 「ぱちゅりーーー! ぱちゅりいいいいいい! うわあああん! やめで! やめでねえ! おねがいだがらやべでええええええええええええ!」 ぼすん! ぼすん! ぼすん! 親たちの攻撃に耐えきれず、ぱちゅりーの脆弱な皮が千切れる。 「いだいいいいっ! むぎゅ……むきゅうううう!」 「ぱちゅりいいいい! だずげであげる! だずげであげるがらあああああ! ゆっくりまっでね! ゆっぐりいいいいい!」 リーダーまりさは見当違いの方向へと飛び跳ねていく。 「むきゅ……まり……さ……」 だが、現実は無情である。 ぱちゅりーは親ゆっくりたちに押し潰され、生クリームを飛び散らせた。 「ぱぢゅりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 親ゆっくりたちは、ぱちゅりーの欠片を貪った。 「ゆ! むーしゃむーしゃ……しあわせええええ! あまあまだよおおおお!」 「やべで! やべでね! ばぢゅりーむしゃむしゃしないでね! おねがいだからあああああ!」 「うるさいよ! むのうりーだー!」 「そうよ! ありすたちはおなかぺーこぺーこなのよ! むーしゃむーしゃ……しあわせええ!」 「そん、な……ゆんやああああ! やだあああ! もうやだよおおおおおおおおおお!」 「ゆゆ! あまあましゃん! まりちゃたちにもあまあましゃんちょうらい!」 「れいみゅにも!」 「ありちゅにもおおお!」 その赤ゆ・子ゆたちの懇願に、親れいむがぱちゅりーの欠片を口に運ぼうとする。頬袋にでも入れて、渡すつ もりなのだろう。 「ゆ、ちょっとまってね……」 だが、いくられいむが舌でぱちゅりーを探しても土の味しかしなかった。 「どぼじでぱちゅりーがもうないのおおおおおお!」 親ゆっくりたちが一斉に群がってむーしゃむーしゃしたのだ。 ぱちゅりー一匹程度では、たちまち食い尽くされてしまうのは当たり前である。 「「「「「……」」」」」 全員が、ニタリと口を歪ませた。食料の心配をする必要はもうないのだ。 目の前に、たっぷりとあまあまがあるのだから。 「ゆっくりれいむ(まりさ)(ありす)(ちぇん)にたべられてねええええええええええええええ!」 壮絶な食べ合いっこが始まった。 「ゆっぐじ!? いだい! いだいよおおおお!」 「あまあま! あまあまあああああ!」 がぶりと、まりさの歯がれいむを食い千切る。 「むーしゃむーしゃしあわせ……いぎゃあ!? まりさのあんよがあああ! おうごんのあんよさんがたべられ たあああああ!」 「むーしゃむーしゃ……とかいはなあまさだわああああ!」 そんなありすの頬を、ちぇんが食い千切る。 「わかるーーー! わかるよおおおお! このあまさはただごとじゃないよおおお!」 「うぎゃああああ! ありすの! とがいばなありずのおがおがあああああ! せかいいちのびゆっくりありずのおがおおおおおおおおおおおおお!」 「うるさいのぜ! れいぱーみたいなかおしているくせに……むーしゃむーしゃ! しあわせえええ!」 赤ゆ、子ゆたちは耳に聞こえてくる親たちの言葉が信じられず、身を寄せ合ってぶるぶると震えていた。 「ゆ……ゆぴぃ……きょわいきょわいのじぇ……」 「ちょかいはじゃないわ……ゆびいぃ……」 「ゆっくちちてよおお……みんな、ゆっくちちてよおお……」 そんな赤ゆたちの声を、れいむが聞いた。 「ゆふふ、ゆっくりしているおちびちゃんのこえがきこえたよ!」 「ゆ……しょのきょえは……れいむおばしゃん?」 「しょうよ、れいむおばしゃんよ!」 「れいむおばしゃん……たちゅけてよお……ゆっくちちたいよぉ……」 赤ゆたちは、今まで自分を育ててくれた保母役の親れいむに訴えかける。 もし目が見えたならば。もし明るい場所だったならば。 彼女のゆっくりしていない笑いが、見えたであろうに。 「おちびちゃんたちは……ゆっくりしないで、れいむのごはんさんになってね!」 一度同族のあまあまの味を覚えたものは止まらない。 目が見えないというストレスが、狂奔を加速させていく。 ぶちっ! 「いぎゃあ!? やべで! れいみゅのあんこしゃんちゃべちゃだめえええ!」 「ゆんやあああああ! れいむおばしゃんやめでええええ!」 「ゆびびび……もうやじゃ! もうやじゃあああああああ!」 「ゆふふふふ! あーまあーましあわしぇぇぇぇぇっ!」 「まあれいむ! ひとりじめなんてとかいはじゃないわ!」 「わかるよー! ちいさいほうがおいしいんだねー!」 同じく、親ありすや親ちぇんが子ゆっくりと赤ゆっくりの虐殺に参加する。 かちかちと歯を打ち鳴らしながら、赤ゆと子ゆは親ゆっくりたちに懇願する。 「こ……こりょさないで」 「ちゃべないで……おにぇがいだから……たべちゃやだよぉ……」 「お、おいちくないよ……れいみゅ……おいちくないよ……」 「たちゅけて……ゆっくちちたいよ……たちゅけて……」 親ゆっくりたちはその懇願を聞いても、ただ笑うだけ。 もしただ餓えているだけなら、目が見えていたならば。ゆっくりたちは己のゆっくりしてないことに気付いて 理性を保っただろう。 目が見えない彼らは、そんな「ゆっくりしてないこと」から解き放たれてしまったのだ。 「「「ゆんやああああああああああああああああああ! だべだいでえええええええええ!」」」 「「「いちゃじゃきますうううううううううううううううううう!」」」 「も、もうやめようね! みんな、がんばろう! ゆっくりしていってね!」 リーダーまりさがすすり泣きを止めて、みなを止めようと立ち上がる。 だが、その時には全てが終わっていた。 「ゆ……び……」 「ちょか……いは……」 「いだい……ずごく……いだいよぉ……」 「しんじゃう……れいむ……しんじゃううぅ……」 「ゆゆ! れいむおきて! ありすたって! みんなでがんばろうよ! みんなでゆっくりしようよ!」 ぱちゅりーの忠告も忘れ、飛び跳ねるリーダーまりさは次々と彼らにトドメを刺していく。 「ゆべ!」 「うぼ!」 「ちょか!」 「ばぽっ!」 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくりいいいい!」 やがて、声をあげることのできるゆっくりが一匹残らず居なくなった。 「どぼじでおへんじじでぐれないのおおおお! りーだーのまりさがよんでるでしょおおおお!」 「……むきゅ。まりさ、あなたのむれはぜんめつしたわ」 まりさは洞窟の入口を振り返った。 「そのこえ……あのぱちゅりー?」 番ではない。この冷たい声は、別の群れのリーダーぱちゅりーに違いないとまりさは確信した。 「そうよ。まりさ、あなたのむれはもうないわ」 「ゆゆ! なにいっでるの! いきでるよ! みんないぎでるよお!」 「いいえ。しんでるわ。ぱちゅりーのめには、はっきりみえてるもの」 「しんで……るの……? みんな、みんな、ゆっくりしちゃったの……?」 「あなたもたくさんゆっくりさせたみたいね。あんよにかすたーどやあんこがこびりついてるわ」 「ゆああああ! なにいっでるのおおお! まりざはぞんなごどじない! じないいいいい!」 「まりさ。これはりーだーのあなたのせきにんよ」 「ちがうちがうちがううう! こいつらがばるいんだああああ! ごいづらが! むのうだがら!」 「ううん、それいぜんのもんだいよ。ぱちゅがいったでしょ? このやまさんは、まりさみたいなおおきなむれ がくらせるほどのしょくりょうがないって」 「………………ゆ?」 じたばたとお尻をくねらせていたまりさが、ぴたりと動きを止めた。 「どういう……こと?」 ぱちゅりーが、冷たく凍るような声で告げる。 「このやまさんには、ぱちゅりーのむれがやっとくらせるだけのしょくりょうしかないの。 それでもすっきりーせいげんをして、にんげんさんにかんりしてもらって、やっとくらせるくらいなの。 それをこえたら、いっせいくじょっされるのよ」 「じゃ、じゃあ……じゃあ。あのにんげんさんはっ、あのにんげんさんはっ!?」 「はかせのあくしゅみにつきあわされたあなたたちはきのどくだとおもうわ。 でも、まりさはちゅうこくをきかなかったから……しかたないわね」 ぜんぶ、このぱちゅりーの、しわざ? 「ゆ……ゆがああああああああああああ! じねっ! じねえええええええ!」 まりさは怒り狂って飛びかかった。だが、所詮は目がないゆっくりの一撃。 ぱちゅりーはあっさりとそれを避けた。 「ゆがあああああ! どごにいっだああああ! せいっさいじでやるよおおおお!」 ぱちゅりーはそれを気の毒そうに見たあと、ゆっくりと静かにその場から離れていった。頭の帽子には、まだ わずかに残っていた食料庫の食料が詰め込まれている。 「むきゅ。すこしのしょくりょうでも、えっとうにはだいじなのよね……」 ぱちゅりーは冷たい空気を感じて空を見上げた。もうそろそろ、雨が降りそうだ。急がなければ。 「ゆがああああ! どこだあああ! どごにいるんだあああああ!」 まりさは手当たり次第に暴れ回り、草むらに突撃した。やがて、その頬にぽつりと冷たい雨粒が落ちた。 「ちべた! ゆ…………ここ、どこ?」 興奮が冷めてしまえば、過酷な現実が待っていた。 ぽつり、ぽつり、ぽつり。 「あ、あめさん……あめさんはゆっくりできないよ!」 帰らなきゃ、帰らなきゃ、帰らなきゃ! あれ? でも――。 「おうぢどごおおおおお! おうぢがえるよおおおおおお! まりさおうぢにがえりたいんだよおおお!」 絶叫しながらまりさは走り出した。 だが、分からない。上下左右どこを見ても真っ暗だ。 なのに、雨だけは冷たく降り注いでまりさの帽子を濡らす。まりさのあんよを濡らす。 「やじゃあああ! まりさのあんよさんじっがりじでええええええ!」 ずべっ、とあんよの皮が剥けた。あんよの皮はゆっくりの中でも丈夫な方だが、跳躍に酷使される分、水に濡 れれば剥がれやすくなる。 「あんよざあああん! うごいでねえええええ! ゆっくりじでないでうごいでねええええ! うごげえええええええええ! うごいでよおおおおおおお! りーだーのまりさがうごいでっていっでるでしょおおおおおおおおおお!」 とうとう、濡れすぎた帽子から水が中に滴り落ち始めた。 まず、髪の毛が溶け始める。 「ゆび! まりさのかみのけさん、とげないでねっ! おにぇがいだからどげないでええ!」 次に、頭の皮がずるりと剥ける。 すると、餡子に直接雨の刺激が伝わることになる。 人間でいうならば、頭蓋骨を開かれて直接脳を弄くり回される感じだろうか。 「ゆびゃあああああああ! まりざのあんござん! あんござんがああああああ! おぼぼおおおおおお! おっぴょおおおおおお! いじゃじゃじゃおおじょうおうおじょおおおおおお!?」 この頃になると、溶けてない部分を探す方が難しい。 どろどろ。 どろどろと、全身が少しずつ溶けていく。 人間ならば、硫酸の雨粒を少しずつ受けているような……まさに地獄の苦しみだ。 「ゆびょおおおお! いじゃいいい! いじゃいよおおおおお!」 生まれて初めて味わう苦痛だった。 生まれて初めて味わう絶望だった。 どうしてこんな痛い想いをしなければならないのか。 まりさの心は、次第に壊れていく。 「おかああしゃああああん! おどうじゃあああん! まりちゃ! まりちゃがわりゅいきょでちたあああ! おにぇがいじゃから、ゆるちてえええええええええ!」 とうとう幼児退行してしまったまりさだが、それで雨が止むはずもない。 「いちゃいいいい! おかおもあんよもあたまもぜんぶいじゃいいよおおおおおおおおお!」 「やべでえええええ! あんよざんうごいちぇよおおおおおお!」 「ま……まんまあああああ! ぱんぱあああああああ! まりちゃあああ! まりちゃいじゃいいじゃいでちゅううううううううううううううううううううううう!」 そうして、餡子が雨でドロドロになり頑丈な中枢餡が雨で少しずつ削れていく苦痛を存分に味わいながら、リ ーダーまりさは死んでいった。 彼らの絶望は、冷たく光るカメラだけがただ無慈悲に捉え続けていた。 <あとがき> 十作品到達。 特に問題なければ、マンネリあきとでも名乗るよ。 このリーダーまりさは、治世の能臣、乱世のボンクラ。 過去の作品 anko3216 愛するでいぶ anko3238 ゆ虐思考 anko3257 赤ゆ十連発(前編) anko3263 赤ゆ十連発(後編) anko3271 手を触れずに殺害せよ anko3274 子ゆっくりのゆん生が終わるまで anko3300 何もしない 赤ゆ編 anko3312 れうこくろりぐる anko3342 テンプレ的自滅シークエンス 挿絵:
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『ゆっくりいーたー』 23KB パロディ 自業自得 変態 戦闘 野良ゆ ゲス 独自設定 うんしー ずっと前から書きたかったネタ。今さら感あるけど3DSで発売記念ということで ぐうぅぅぅぅ~~~~~………… 「腹が……へった……」 むかーしむかし……といってもせいぜい50年と少しくらい前の昔。 世間では冷戦と呼ばれていたそんな時代。 ソ連領内のとある森で、あるアメリカ人の兵隊さんが餓えて倒れていました。 彼はソ連軍の極秘兵器の破壊と要人救出、そして敵要人の暗殺という特殊任務を遂行する為に ひとりで敵地に単独潜入した工作員です。 現地で支援してくれる部隊はなし。たったひとりの力でソ連の兵隊さんに見つからないように隠れつつ進み 極力戦わないで任務を遂行しなければならないのです。 すごいですね。まるで日本のニンジャみたいです。 さて……そんな工作員で兵隊ののお兄さんもさすがに空腹には勝てないのか、さっきから元気がありません。 彼は蛇でも兎でもカエルでも平気で生で食べてしまう見境いのない人なのですが、 そんな彼の目から見てもこのあたりの森にはどうにも食料となりえるモノがないようです。 「こんなことなら……ちゃんと動植物をキャプチャーしておけばよかったな。先を急いだばかりに……クソッ!」 重大な任務を果さなければならないというのに、ここで餓死でリタイアじゃ泣くに泣けないでしょう。 しかし天は兵隊さんを見捨ててはいなかったようです。 耳を澄ますといかにも不快で能天気な声がすぐ近くから聞こえてくるじゃありませんか。 見ると黒い帽子と赤いリボンをつけた饅頭みたいなのが、ぽよんぽよんと飛び跳ねていました。 「ゆーん!きょうはたいっりょうっなのぜ!おいしいくささんやいもむしさんがたくさんとれたのぜ!」 「すごいよまりさ~♪さすがれいむのまりさだね!れいむもはながたかいよ!」 (……?なんだ……あれは……?) 「…ゆ?れいむみるのぜ!あそこにじめんさんにはいつくばってる、ゆっくりしていないにんげんがいるのぜ?」 「ゆ~?なんなのあのくそじじいは?顔にどろさんをぬっててゆっくりできないよ!」 顔の泥とはどうやらフェイスペイントのことを言ってるようですね。 「わかったのぜ!あのじじいははいつくばってまりささまたちにどげざしているのぜ!」 「ようやく、くそにんげんがみのほどをしったんだね!ゆっくりしていないかとうせいぶつにしてはじょうできだよ!」 「じゃあじじいはさっさとあまあまをもってくるのぜ!」 「もってきたられいむのうんうんをたべさせてあげてもいいよ!どれいにもしてあげるよ!」 「「げらげらげらげらっ!」」 (ま、まずいっ……!) 兵隊さんはバカ笑いを始めた饅頭どもにさっと近づくと、まず黒帽子饅頭の脳天にグサっとナイフを一突き! 黒帽子は「ゆっ…?」と小さくうめくとそのまま静かになりました 「……ゆっ?ゆううううううっ!?どぼじてばりざが」 「静かにしろっ……!」 さらに騒ぎ立てようとした赤リボンの大きな口の中にすかさずナイフをグサっと刺しました。 赤リボンは目をぐるんぐるんさせましたが、すかさず二度三度とナイフを刺すと絶命したのかこれまた静かになります。 やれやれ危ないところでした。どこに敵兵がいて目を光らせているのか分からないというのに。 不思議生物どもが大声で騒ぎ立てたらせっかく隠れているというのに見つかってしまいます。 (それにしても……こいつらはなんだ?生き物なのか……?というより…………これは喰えるのか?) 生き物に詳しくない兵隊さんには不思議生物のことなど何もわかりません。 なら知っている人に聞くのが一番です。 兵隊さんは無線機のスイッチを押しました。彼には無線で後方からサポートしてくれる専門家たちがいるのです。 生物と医療に詳しい彼女ならなにか知っているかも…… 「ゆっくりをキャプチャーしたみたいね」 「ゆっ………くり?」 「ゆっくりは主に日本に生息している饅頭生物よ。ゆっくれいしていってね!と挨拶する所から そう名づけられたらしいわ。皮は小麦粉で中身は餡子……でも一口にゆっくりと言っても種類は豊富なの。 中身がカスタードのありす種とか生クリームのぱちゅりー種、チョコレートのちぇん種とか色々いるらしいわ。 ある程度の知能もあって日本語を話すことができるの。人間と意思疎通ができる唯一の生物よ」 「……」 「赤リボンがれいむ種、黒帽子はまりさ種というの。この2種はありふれたゆっくりでよく番になるらしいわ」 無線に出た医者の女性は別に驚いた様子もなく、饅頭……ゆっくりについて兵隊さんに説明しました。 「饅頭なのに……生き物なのか?」 「そうよゆねーく。面白いでしょ?」 「面白いか……?にしてもゆっくりとやらは主に日本に生息しているんだろう?なんでソ連に?」 「研究用として日本から連れてこられたのが逃げ出して野生化したんじゃないかしら? ゆっくりは食用、ペットなどの愛玩用、そして虐待用と幅広い利用用途があるから」 「……虐待?」 「ええ。ゆねーくもアレを見ていてムカっときたでしょ?」 「まあ……少しは」 「ゆっくりは生物として底辺に近い強さしかもたないのに、なにかと人間を見下したり不快にさせる言動行動をとるの。 それに腹をたてた人がゆっくりを虐待するようになったらしいわ。意外と癖になるらしいとか」 「……」 次々とその生態が明らかにされる饅頭生物……ゆっくり。それにしても彼女は博識ですね。 もしかしたら彼女もゆっくりの虐待が趣味の虐待お姉さんなのかもしれません。 「で、そのゆっくりとやらはウマいのか?」 「聞くと思った……」 「それが一番重要だろう!で、味の方はどうなんだ?」 「お饅頭だからね。一応はおいしいらしいわ」 「そうか!」 「でもゆねーくがキャプチャーしたそれは成体のようね。成体は中身がパサパサしていて味はいまいちって話よ」 「君はさっきウマいと言ったじゃないか!?」 「そのままじゃ不味いけど成体でも苦しめてから食べると美味しくなるらしいの。 でもそれじゃ手間がかかりすぎるわね。同じゆっくりでもどちらかというと子ゆや赤ゆの方が美味しいらしいわ」 「こゆ?あかゆ?」 「ゆっくりの子供に赤ちゃんのこと。子ゆっくりと赤ゆっくり。特に生まれたてが一番美味いらしいわよ ゆっくりの巣を見つけるようなことがあれば探してみたら?」 「そうしてみよう」 「じゃあね」 ゆねーくは無線機を切り、任務に戻ることにしました。 とりあえず必要な情報は仕入れられたのでよしとします。 話によるとゆっくりは一応食べられるようなので……ゆねーくは思い切ってまりさを食べてみました。 「んぐっんぐっんぐっ………ふむ……それなりー…」 案の定あまり美味しくはなかったようです。 それでも二匹食べて半分くらいは腹を満たしたし、ここは贅沢はいってられないでしょう。 少し元気になったゆねーくは再びずーりずーりと周囲を警戒しながら地面を這って移動を開始しました。 しばらく進むと……どこからかまたしても不快な大声がします。 ゆねーくはその声のほうへ向かいました。思わぬ拾い物ができるかもしれません。 ……声は木の根元の横穴から聞こえてきました。 「ゆーゆーゆー、ゆっくりのひ~♪まったりのひ~♪すっきりーのひ~~♪」 「ゆっくちのひ~♪」 「きょうはとっちぇもとかいはなひ~~♪」 「ゆゆーん♪ありすのおちびちゃんたち、おうたがとってもじょうずね!みんなりっぱなとかいはだわ!」 「さすがさいっきょうっのまりさのおちびなのぜ!みんなゆっくりしているのぜ!」 どうやらまりさ種とありす種の夫婦が木の根元に巣を構えているようです。 それに加えて子ゆが……3匹、赤ゆが2匹といった家族構成でしょうか。 ゆねーくはしばらく巣の中を観察していましたが……おもむろに巣に腕をつっこむと赤ゆを1匹摘み上げました。 「ありしゅはちゅばしゃをてにいれちゃわ!」 「ほう……これが赤ゆという奴か。小さいな……」 「ゆっ?ゆうううううう!?どぼじてありずのおちびちゃんがいなぐなっでるのぉぉぉぉぉっ!?」 「ゆんやぁぁぁ!まりちゃのいもうちょがきえちゃっちゃよぉぉぉ!?」 「ありしゅはみたわ!おうちのなかになにかがはいってきて、おそとにいもうちょをもっちぇっちゃったのよ!」 「おうちのちょと……?ゆんやああああ!ゆっくちできにゃいくちょにんげんがいりゅわぁぁぁぁっ!?」 「ぐ、ぐぞにんげんのしわざなのかぜ!?おいくぞじじい!さっさとばりざのかわいいおちびをかえすんだぜ! かえしたらそくざにしねっ!」 「ありすのとかいばなおちびちゃんをかえしなさい!このぐず!」 「かえちゃないと、さいっきょうっのまりちゃがきょわいきょわいぷくーをちゅるんだじぇ!」 「いにゃかにょの!ゆっくちちね!いにゃかにょの!ゆっくちちねっ!」 「とりあえず食べてみるか……ぱくっもぐもぐもぐ………」 「おしょらとんでりゅ…ゆぎゃ!?」 「どぼじておちびちゃんをたべちゃうのぉぉぉぉぉっ!!?」 「ゆんやぁぁぁぁ!ゆっくちできにゃいぃぃぃぃ!」 「……ウマいじゃないか!もっと喰わせろっっっっ!!」 赤ありすは大変な美味だったようです。 自然界じゃ甘味はめったに手に入らないから余計に美味しく感じられるのかもしれませんね。 ゆねーくは他の赤ゆ子ゆにも手を伸ばし夢中で喰らいました。 「やめちぇええええ!まりちゃはおいちくな……ゆべっ!?」 「きょんにゃのときゃいはじゃにゃいわぁぁぁぁ!ゆぎゅぎゅぅぅぅぅっ!!」 「うめっ!これはめっちゃうめぇ!まじぱねぇなっ!」 「や、やべろぉぉぉぉ!ありずのとかいばなおちびじゃんをたべるなぁぁぁぁ!」 「いいかげんにやめないとまりさ、ぷくーするのぜ!ぷくぅぅぅぅ!どうだぜ?こわいのぜ? こわいこわいでおそろしーしーをちびったらさっさと…」 「赤ゆもいいが子ゆも美味い!また食べたいなっ」 「どぼじてごっじみないのぉぉぉぉ!?」 「なにやっでるのよこのぐぞばりざぁぁぁ!ざっざとぐぞじじいをぜいっざいっじろぉぉぉぉ!!」 「ふう……満腹だ。残りはお持ち帰りするか」 「ゆぴぃっ!?」 「ゆっ!すーやすーやするわっ!?」 とりあえず赤ゆ全部と子ゆ2匹まで食べて満足したゆねーく、残りを麻酔銃で眠らせてキャプチャーしました。 麻酔弾にはなぜかラムネ成分も混合されていたので野性のゆっくりはすぐに眠ってしまいます。 用意周到ですね。初期装備を用意したスタッフはこうなることを予測していたのでしょうか。 ゆねーくは眠らせたゆっくり親子をバックパックに収めると、またずーりずーりと移動を開始しました。 「ぬう……」 ゆねーくは森の中で動くに動けませんでした。 何故なら多数の敵兵がパトロールをしていて、かつその警戒網を突破できそうな隙がないのです。 強行突破もやむなしか……とゆねーくが拳銃とナイフを構えたその時。 バックパックからなにやら不愉快極まりない寝言が聞こえてくるじゃありませんか。 「ゆぴーゆぴー……ゆうぅぅぅん……まりさはさいっきょうっ……なのぜぇ……ゆぴぴー……」 「……」 ゆねーくはこの重大な局面でのん気に居眠りこいているまりさに思わずピキィ!となりました。 バックパックからまりさを取り出し、せえい!とばかりに投げ捨てます。 まりさは放物線を描いて空中を飛んでいき……敵兵の近くで地面と熱いちゅっちゅをしました。 「ゆべっ!?」 「ん?誰だ……!」 「い、いたいぃぃぃぃっ!おもにおかおがいたいぃぃぃ!どぼじてばりざがごんなめにぃぃぃぃっ!?」 「なんだ……ゆっくりか。驚かせやがって」 「おいぐぞじじぃぃぃっ!はやくがわいぞうなばりざざまにあばあばをもっでごぃぃぃぃっ!もっでぎたら ゆっくりしないでそくざにしねぇぇぇっ!」 「……」 「ぎいでいるのがぁぁぁごのくずぅぅぅっ!つかいすてのこまのぐせにこうきなばりざざまをむしずるなぁぁぁっ!!」 「ッ!うるせえぇっ!!」 「ゆぎゃっ!?」 おおっと、野性のまりさの暴言に我慢強いソ連の兵隊さんもさすがにブチ切れたようですね? 泣き叫ぶまりさを思いっきり蹴りまくっています。 「ゆげっ!ゆぎょぉぉ!や、やべろおおお!ぐぞじじいごときがばりざざまになにしやがるんだぁぁぁっ!!」 「やかましぃぃぃっ!黙って聞いてりゃ好き放題いいやがってっ!誰が使い捨ての駒だこの糞饅頭がぁぁぁっ!」 「ゆごげっ!?ず、ずびばぜんでじだ!ばりざがわるかっだでず!だからゆるし……ゆがぁ!?」 「死ね!死ね!糞饅頭がっ!死ねぇぇぇっ!!」 「ゆんっ!?ゆっゆっゆっゆっ………」 「おいお前!配置を離れて何をしているッ!」 「あっ!?す、すいません!野性の糞饅頭の悪口についカッとなってしまいまして……!」 「……ああ虫の息のこいつのことか。まあ気持ちは分かるがな……俺もたまに潰したくなるし。 だが程々にしておけよ。いつここに例の侵入者が来るかわからないんだからな」 「はっ!」 「パトロールを続けるぞ」 しかしパトロールを再開した時にはもう、ゆねーくは警戒網を突破して先へと進んでいました。 それもこれも偶然とはいえ囮となって敵兵の注意を引きつけてくれた野性まりさのおかげです。 まったく敵兵に蹴られて餡子吐き出して死んでくれたまりさは英雄ですね!傍目にはただの犬死ですけど。 しかしゆねーくの役にたったのは事実です。 (……ふむ、あのやかましさは使えるかもしれん。ただの食料で終わらせるのではなく色々と試してみるか……) そう思いながらゆねーくは先を急ぐのでした。 「……これでよし。随分マシな食料が手に入ったな」 敵の中継基地の食料倉庫に侵入したゆねーく。携帯できる食料の補給に成功しました。 あれから行く先々で野性のゆっくりをキャプチャーしていますが、餡子ばかりだと栄養が偏ってしまいます。 たまには食いでのある蛇の肉やカロリーメイトも欲しいところ。 とりあえず倉庫から盗れるものだけ盗って…… (あとは敵兵の注意をひきつけ、かつ弱体化させる為にこの食糧倉庫を爆破し……) ……ようとしてTNT爆弾を取り出そうとしたゆねーく。しかしその手が止まります。 しばらく考えたのち……爆弾をしまい、代わりにバックパックから捕獲したゆっくりを取り出して 5~6匹食糧倉庫に放り投げてから倉庫のドアを閉めて出て行きました。 そして一時間後……二名の兵士がその倉庫のドアを再び開けようとしています。 「やれやれ腹がへったな」 「さっさと倉庫から食料もって戻ろうぜ。他の連中もきっと腹をすかせて……」 「むーしゃむーしゃ!じあわぜぇぇぇぇっ!」 「これうめぇ!まじぱねぇ!」 「こんなにたくさんのごはんさんがあればあんしんよね!ゆっくりしたおちびちゃんをたくさんつくりましょぉぉぉっ!」 「ずっきりぃぃぃぃ!」 「けんっじゃなうんうんをするわ!むっきゅりー!」 「げーぷ!くっちゃくっちゃなのじぇ!まりしゃはすーやすーやちゅるのじぇ!」 「う、うばれるぅぅぅぅっ!!」 「ゆっくちちたれいみゅがうみゃれるよ!せかいじゅうのみんなでしゅくふくしちぇにぇ!」 「ゆゆっ!ここはでいぶたちのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりしていないくそじじいはさっさとでていってね!」 「でていきぇ!くーじゅ!」 「ぷくぅぅぅぅっ!!」 なんということでしょう。食料倉庫中にゆっくりが所狭しと蔓延しているじゃありませんか! 食料は食い荒らされ、うんうんがまき散らされ、腹がいっぱいになったことで次は性欲を満たそうとしたのか、 醜いすっきりー!の乱交パーティー。そして世にも醜悪な出産と、地獄絵図が倉庫内の至る所で行われていました。 「な、な、な……なんだこれはぁぁぁっ!?」 「でていけといってるのぜくそにんげん!まりささまがせいっさいっするのぜ!」 「むきゅ!ゆっくりしていないくそじじいをこらしめてやりなさいまりさ!」 「れいむのまりさのさいっきょうっのたいあたりをくらってさっさとしんでね!すぐでいいよ!」 「え、HQ!HQ!応答してくれっ!」 「こちらHQ!」 「こちらパトロール!食料倉庫にゆっくりどもが侵入した!備蓄していた食料は全滅だ!」 「な、なんだとぉぉぉ!?増援部隊をそちらに送る!そいつらを殺せ!いいか楽には殺すなよ! 死んだ方がマシというくらいに徹底的に苦しめてから殺すんだッッッ!」 「了解ィィッ!」 「ゆあ~~ん?このくそにんげんは、いったいだれとおはなしているのかしらぁ~~?」 「きっとまりささまのたいあたりさんをくらって、あたまがおかしくなったのぜ!」 「ゆぷぷ!ゆっくりしていないくそにんげんはあたまがかわいそうなんだね!でいぶがどれいに……ゆべぇ!?」 「オラァ!糞饅頭ども覚悟しろやぁぁぁぁっ!!」 「食いモンの恨みは万国共通で恐ろしいってことを思い知らせてやんよぉぉぉぉっ!!」 ただちにソ連の兵隊さんたちはゆっくりの駆除を始めました。 死なない程度に蹴り飛ばし、お飾りを破壊し、髪の毛をむしって、赤ゆはせめて食料の代わりにと食べて餓えをしのぎ。 殺さないように、生かさないように、最大限の苦痛を報いとしてゆっくりどもに与えるのでした。 「「「「「ゆ、ゆんやぁぁぁぁ!ゆっくりできないぃぃぃぃぃっ!!」」」」」 「……うまくいったようだな」 食料倉庫から少し離れた場所で……ゆねーくは会心の笑みを浮かべていました。 あの時ゆねーくは「爆弾がもったいない」と思ったのです。 爆発音で逆に警戒が厳しくなってヤブヘビになるかもしれないとも考えていました。 キャプチャーしながらゆっくりの生態や考え方がだんだん理解できるようになったゆねーくは、 「ゆっくりを食料倉庫に放り込めば爆破するのと同じ効果があるのではないか?」と思いつき実験してみたのです。 効果はてきめんでした。 敵兵は腹をすかせて注意力が低下、戦闘力もガタ落ちです。 こうなればしめたもんです。餓えている敵兵の前に捕獲したゆっくりを放れば…… 「でいぶはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!くそにんげんはでいぶにあまあまをちょうだいね!」 「しょ……食料だァァ!」 「ゆっ?な、なにするきなの?やべてね!でいぶにちかづく……ゆぎゃああああああっ!?」 「うめえ!まじぱねぇ!ありがてえ!ありがてええええ!」 「いだいぃぃぃっ!?や、やべろおおおお!でいぶをたべるなあああっ!ゆぼぉぉぉ!?お、おねがでずたべないでくだ」 お腹をすかせたソ連の兵隊さんは身がたっぷりのでいぶを食べるのに夢中のようです。 その横をダンボール箱がのそのそと歩いていることも気付かずに…… ゆっくりはもはやゆねーくにとって単なる食料にあらず。立派な兵器として戦闘にも使われるようになりました。 敵の精鋭部隊であるゴリラ部隊の兵士との戦闘でも…… 「どこに隠れたゆねーく!出てきて俺と戦えッ!」 隠れたゆねーくを探すゴリラ部隊兵士。そのとき!敵兵士の視界の片隅に迷彩服を着たゆねーくの姿がッ! 敵兵士はそれを見て余裕で迎撃体勢を整えます。 「そんなカムフラージュで俺の目を欺けると思ったか!死ねっゆねー………ぐッ!?…………ぬううッ!」 ターンッ! パンッ! まったく同時に2つの銃声が鳴り響きました。 銃声のひとつは相手の頭部を。もうひとつの銃声は相手の心臓の位置をしっかりと撃ち抜いています。 「ぐぅッ……!」 「……ッ!」 「……お前の敗因は2つ。ひとつは予備の迷彩服を着せた囮を俺だと一瞬誤認したこと。ふたつめは……」 「も、もっと……ゆっくりしたかった…………にゃん…」 「ふたつめは囮が胴つきゆうかにゃんだと認識した時、お前は撃つのを一瞬ためらったことだ」 「さ、さすがは……ザ・ドスの教え子……ぐはっ!」 ゴリラ部隊の兵士はゆねーくの迷彩服を着せられた胴つきゆうかにゃんの頭を 二瞬の躊躇のあとに正確に撃ち抜きました。 しかし同時に後ろに回りこんでいたゆねーくはゴリラ部隊兵士の心臓を正確に撃ちぬいていたのです。 胴つき希少種の価値をも考慮に入れた恐るべき戦略と言えるでしょう。 こんな調子でゆねーくはゴリラ部隊のベテラン兵士たちを次々と撃破していきました。 もはやダンボールとともにゆっくりはゆねーくにとってなくてはならないアイテムになりました。 なにしろ敵兵の前に捕獲したゆっくりを放り投げれば、たちまち敵の目を引いてくれるのだから便利なものです。 「ゆっくりしていってねー。ちぇんはちぇんだよー!」 「お、善良ぽいなお前。飴なめるか?」 「あめさん!?あめさんはゆっくりできるんだねー!そいつをさっさとよこしてねー!わかれよくずー!」 「なんだよゲスじゃねえか!(ぐしゃっ!)」 「ゆっへっへ!このようさいさんはゆっくりできるんだぜ!ここをまりさのゆっくりぷれいすにす」 「グロズニィグラードでおうち宣言すんな!(ぐしゃっ!)」 「あたい、おようふくなくしちゃった!さむいよどうしよう!」 「ど、胴付きちるのちゃん?お兄さんとあそこの暗い隅っこでHENTAI行為をしようね!ハアハア……」 「でいぶはしんぐる」 「ヒャッハー!虐待だぁぁぁぁっ!!」 「ゆんやあああ!ぎゃくたいそびえとじんさんはゆっくじでぎないぃぃぃぃっ!?」 とまあ、中にはHENTAIお兄さんや虐待鬼意惨もいるようですが。 とりあえずそれぞれゆっくりに夢中になって、こちらの警戒をおろそかにしてくれるのでやりやすいったらありません。 そんなこんなでゆねーくは大要塞グロズニィグラードへの単独潜入に成功。 要人救出には失敗するものの、極秘兵器の爆破には成功した……ように見えました。 「ゆねぇぇぇぇくっ!まだだぁぁぁぁっ!!」 「失敗した!?核搭載型高速戦車シャゴホッドで追いかけてくるぞっ!」 「鉄橋へ向かいましょう!あそこにはC3爆薬が仕掛けてあるから……」 「狙撃して鉄橋ごと落とすというのかッいいだろうッ!とばせ!追いつかれたら終わりだ!」 「しっかり捕まってて!ゆねーく!」 「まァァァァてぇぇぇぇぇっ!!逃がすものかァァァァァっ!!」 ゆねーくにさっきボコられた大佐が破壊をまぬがれた戦車シャゴホッドで、 現地でゆねーくに協力している諜報員のお姉さんが運転するサイドカー付きバイクを追いかけていきました。 当然サイドカーにはゆねーくが乗っています。 「お、おい……大佐が要塞の外にいっちゃったぞ?俺たちはどうするんだ?」 「バカ!俺たちも追いかけるんだよ!奴らを取り逃がしたら俺たちの命はないんだぞっ!」 「あるだけのバイクを出せ!フライングプラットフォームもだ!全員で追いかけてなんとしても始末するんだッッ!」 「はっ!!」 こうしてソ連の兵隊さんたちは全員ゆねーくを追いかけて要塞を出発しました。 大佐がシャゴホッドで暴れたせいで要塞内はあちこちボロボロで壊れまくり廃墟になりかかっています…… しーんと静まり返るグロズニィグラード……と、その要塞内に小さな影がひとつ、ふたつ…… ひょこひょこと姿を現しました。 「ゆっ?」 「ゆゆっ?」 「……くそにんげんはみんないなくなったのぜ?」 「いなくなったようだねー!ほんとうにゆっくりしていないかとうせいぶつどもだったよー!」 「げらげら!くそにんげんはせいぜいにんげんどうしでころしあえばいいんだみょん!」 「おおっおろかおろか!」 「にんげんはまったくゆっくりしてないね!せんそうばかりしているにんげんはゆっくりしているでいぶをみならってね!」 「それじゃあここをありすたちの、とかいはなゆっくりぷれいすにしましょう!」 「みんなでおうちせんげんをしようね!」 「むきゅ!いいわ!せーの……」 「「「「「「ぐろずにぃぐらーどさんを、ここにいるゆっくりぜんゆんのゆっくりぷれいすにするよっっ!!」」」」」」 「ゆ~ん♪かんっぺきっにおうちせんげんがきまったよ~~♪」 「きょうからこのようさいさんはまりささまたちのおうちなのぜ!」 「さっそくごはんさんがおいてあるおうちをさがしましょう♪」 「へいきしょうはちぇんのおうちにするんだねー!わかってねー!」 シュゥゥゥ…… 「おうちのひとりじめはゆっくりできないよ!ちぇんはばかなの?しぬの?」 「そうだぜ!そもそもぐろずにぃぐらーどさんはぜんぶまりささまのおうちなのぜ!」 「はあああ?ふざけるなよまりさー!ゆっくりしねよー!!」 「けんかをするなんてとかいはじゃないわ!やめなさいあなたたち!」 シュゥゥゥゥゥゥ……! 「みょーん♪ごはんさんをみつけたみょん!そくせきらーめんさんだみょん!ゆっくりたべるみょん!」 「ゆがあああ!でいぶのごはんさんをよこどりするげすはしねぇぇぇっ!」 「みょんっ!?」 「うみぇえ!らーめんしゃんめっちゃうみぇえ!ぱねぇぇぇ!」 「うんうんちゅるよ!ゆっくちー!」 「どぼじでみょんがみつけたごはんざんをたべるんだみょぉぉぉん!?はくろーけんをくらえだみょん!」 「ゆびゃあ!?も、もっちょゆっくじ…」 「おちびじゃぁぁぁぁんっ!?でいぶをしんぐるまざーでなくしたみょんはじねぇぇぇっ!」 「おばえがじねみょぉぉぉぉんっ!!」 シュゥゥゥゥゥゥッ!!! 「て、さっきからしゅーしゅーうるさいよ!」 「なんなんだぜ!しゅーってすごいおとさんがだんだんおおきくなって、ゆっくりできないのぜ!」 「……むきゅ?あれなにかしら……おそらさんからこちらになんかがとんで」 「ゆ…」 ドゴオオオオオオオオオンッッッッ!! その時。グロズニィグラードにきのこ雲があがり要塞は跡形もなく吹き飛びました。 小型核砲弾による攻撃です。当然ゆっくりたちも要塞と共に永遠にゆっくりしたのでした…… そしてちょうどその頃。要塞から離れたところにある花畑で…… ひとりの中年女性が小型核砲弾を発射し終わった無反動砲を地面に落とすとポツリと言いました。 「綺麗でしょ?命の終わりは……切ないほどに。命は最後に残り香を放つ……餡子臭い残り香をね」 「ザ・ドス!」 さてこの任務を終えたあと……ゆねーくはビックドスという称号で呼ばれる偉大な兵士となりました。 後年、彼がアメリカ特殊部隊の司令官になったとき、決まって新兵にこう話したといいます。 「単独潜入任務で重要なことは現地で手に入れた物資をいかに有効に活用するか、だ。 特にダンボールとゆっくり、この2つを制する者が任務を達成できる!そもそもダンボールというのは……」 と、少々ダンボールについて熱く語りすぎるのがうっとおしがられたようですけどね。 めでたしめでたし…… ……むきゅ。ざ・どすはみごとににんむをまっとうしたようね! まったくにんげんのくそばばあのくせに、ここはあぶないからひなんしろとうるさいやつだったわ! ……ぐろずにぃぐらーどはひつようなぎせいだったわ。 むきゅきゅきゅ!それにしてもこれで……ええ。 このあたりいったいのむれがきょうどうでごはんさんをびちくしているそうこ…… 「けんじゃのいさん」はぶじ…………ぱちゅのものに。 ええ、そうよれいむ。この「いさん」があれば「けんじゃ」をさいかいできるわ! にしのおやまのどすも、ひがしのおやまのくいーんありすもきづいてないようね! ぱちゅがこのあたりのむれぜんぶに、ようさいさんへひっこしをすすめたすぱいさんであることに! じゃまなほかのむれのゆっくりはぜんゆん、ばくはつさんでえいえんにゆっくりしたわ! あとは「けんじゃのいさん」をつかってむれをおおきくして、 しゅういのむれをすべてせいふくする「けんじゃけいかく」をすたーとするわ! ほうふなごはんさん、おおきなゆっくりぷれいす、あっとうてきなちから…… それらはもりのけんじゃであるぱちゅにこそふさわしいの! ……ゆ?どうにもかぜさんがつよいようね。 ゆゆっ?ぐろずにぃぐらーどさんのほうがくからゆっくりできないとっぷうさんがふいてるわ!? むきゅううううう!?や、やべてね!とっぷうさんはふくのをやべ……おそらをとんでいるみたい! ……ゆべっ!も、もっとゆっくじじたが……… ちなみにゆねーく達には預かり知らぬことですが。 水面下でグロズニィグラード周辺のゆっくりの群れ同士で戦争が行われてたようです。 策略に策略を重ねて最後に笑うはずだったのはとある群れの長ぱちゅりーでしたが…… 小型核砲弾爆発の際の突風でそのへんの木に叩きつけられて生クリーム吐いて死にました。 その群れのゆっくりも全ゆん死にましたとさ。まったくザ・ドスの忠告を聞かないから…… まあこれは歴史の闇に葬り去られるというより もともと誰も知らないので気付かれもしなかったという本当にどうでもいい事でした。 今度こそ本当にめでたしめでたし♪ でっでっでっで――――――んっ! 今まで書いたもの anko3367人間に飼われるというのは… anko3370野良ゆは人間に関わってはいけないという話 anko3379親の罪は anko3401たすけあい anko3410世紀の凶悪立てこもり事件 anko3416選んだのはお前だ anko3440ぷくー!をしてみた anko3486胴つきさんはゆっくりできない anko3501胴つきさんはゆっくりできるね! anko3503じゃまもの
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『えいきをちょっといじめてみた』 4KB 愛で 小ネタ いたづら 赤ゆ 希少種 ぬるいじめ 希少種ぬるいじめ 「よ、よいじょ・・・」 おどおどした様子で、ゆっくりえいきが上目づかいに俺を見ている。 まだ生まれたばかりの、赤ゆのゆっくりえいきだ。 こいつは先ほど友人からもらっきた子だ。 先日、友人が飼っているえいきが子どもを産んだのだが、 生まれた子どもが思っていた以上に多かったらしく、 里親を探していたのでもらったのだ。 えいきとの親睦を深めるため俺は、えいきの頭上にアメをちらつかせてみた。 『ぱぁ』と顔を輝かすえいき。 「じぇんこーよ♪じぇんこーよ♪」 アメに向かってピョンピョン跳ねるえいき。 どうやら欲しいらしい。 アメをえいきの目の前まで運ぶ。 「し、しりょ~~♪」 目をキラキラさせながらアメを見つめるえいき。 口からよだれが少し垂れている。 俺はえいきが食いつこうとしたところで、アメをさっとえいきから遠ざけると、 アメを食べた。 「ゆぎゃーん!!」 この世の終わりのような顔をするえいき。 「ちけい!!ちけい!!」 えいきが顔を真っ赤にしながら『死刑』を連呼し出した。 死刑なんてみだりに使っていい言葉ではないのでお仕置きすことにする。 えいきに軽くデコピンをする。 「くりょっ!?」 ころころと転がるえいき。 最初は何が起きたのかわからず惚けた顔をしていたが、 デコピンされたところが痛くなったのか泣き出した。 「くりょおおおおおおお!くりょおおおおおお!」 大泣きするえいき。 少しやりすぎたかなと反省。 俺はえいきが喜ぶかと思って買っておいた、パンダのぬいぐるみを見せてみた。 「ゆっ?」 パンダに気付くえいき。 「あっ♪ぴゃんだしゃんきゃわいい♪」 喜ぶえいき。 先ほどまで泣いていたのがうそのようだ。 それよりお前しゃべれたのか。 とにかく機嫌が直ったので良かった。 ついでに、同じく買っていたシマウマのぬいぐるみを見せてみた。 「ゆっ?」 シマウマに気付くえいき。 「しみゃうみゃしゃんははっきりちてにゃああああああああい!!」 いきなり悲鳴を上げるえいき。 そのまま気絶してしまった。 さすがにこれは予想外だった。 いったい、シマウマさんの何がいけなかったのだろうか。 しま模様だろうか。 とりあえず、これが俺とえいきが出会った日の出来事だ。 あれから少し時が流れた。 俺は今自室で寝ている。 外からは、朝の陽ざしやスズメのさえずり、そして・・・ 「やめでええええええええれいぶをはなじでえええええええ!! れいむのまむまむさんにへんなのいれないでええええええええええ!! だすげてまりざあああああああああああああ!!」 「やべろおおおおおお!!ばりさのでいぶにざわるなああああああああ!!」 「「おぎゃあああしゃああああああああああん!!」 「ハッハッハ、今日も元気だ♪朝れいぽぉだ♪」 お隣のれいぱーお兄さんに襲われるゆっくりたちの悲鳴が入ってくる。 最悪だ。 二度寝しよう。 と思っていたらえいきが起こしに来た。 「おにいさんおきてくださいね!あさですよ!」 俺を起こそうとするえいき。 面倒くさいのでたぬき寝入りすることにした。 「おにいさんあさですよ!おきてください!」 えいきが胸に乗って来た。 息苦しい。 「おきてくださいね!おにいさん!おにいさん!」 しつこく呼びかけてくるえいき。 俺は半分意地になってたぬき寝入りを続けた。 「・・・・・・」 急に静かになった。 どうしたのかと思いうっすらと目を開けてみると、 頬を赤くしたえいきが、目を閉じて、俺の唇にちゅーしようとしていた。 俺は跳ね起きた。 「くろおおおおおおおおおおお!?」 転がるえいき。 「ふわ~~あ、いやーーよくねた。あーよくねた。 すがすがしい良い朝だ。おはようえいき」 「どうしておきちゃうんですかああああああああああ!!」 叫ぶえいき。 だって、ペットとちゅっちゅする気なんてないもん。 完 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 八手あき 以前書いたもの anko1354 捨てゆを拾ってみた anko1358 焼き芋を買ってみた anko1366 ゆ虐戦隊!!ヒャハレンジャー!!! anko1377 みんなのうた 大きなドスまりさ anko1386 ごめんなさい anko1398 カスタードキムチ鍋 anko1405 ぜんこーしてみた anko1417 みんなのうた むらむら anko1440 やまめに出会った。 anko1455 虐隊見参!! anko1499 壊れるまで anko1591 けーねとちょっとSなお姉さん anko1655 まりさをゆっくりさせてあげた anko2286 赤ゆを虐殺してみた anko2358 帰ってみたらなずーりんが anko2564 れいむをゆっくりさせてあげた anko2651 赤バッジ青バッジ anko2799 畑さんでゆっくりしようね anko2800 我が家のゆっくりたちをいじめてみた anko3353 たーみれいぱー anko3636 未熟ゆ遊び