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『ジグゾーパズル(後編)』 29KB 制裁 思いやり 愛情 お家宣言 家族崩壊 親子喧嘩 番い 野良ゆ 赤ゆ ゲス 透明な箱 現代 以下:余白 『ジグゾーパズル(後編)』 三、 「はい、これ。一応、丸飲みしてたみたいだからなんとか描いてある絵はわかるよ」 「ありがとう」 少女は親れいむに飲み込まれたピースを少年に渡した。少年は受け取ったピースを大事そうに箱の中へと戻す。 満身創痍の親れいむは、親まりさにぺろぺろと舐めてもらいながら透明な箱の中だ。常時怯えて震えている赤ゆ二匹もそれとは別の透明な箱に閉じ込めてある。 少女はとりあえず親れいむの腹の中にあったパズルのピースを摘出する作業を終えて、今は荒らされた室内の掃除を始めていた。 幸いにして大きな被害はラジオくらいのものだったが、そのラジオも七、八年使ってきた思い出の品だ。テレビよりもラジオが好きな母親に、父親が買ってきてくれたもの。 まさか、それが野良ゆっくり如きに壊されるとは思いもしなかった。 少女としても腹は立つが、今は亡き夫の忘れ形見の一つを無下に壊された事を母親が知ったらどんな気持ちになるか想像に難くない。 この事は後から気が付いた。先にこの事を知っていたら、勢い余って一匹ぐらいは衝動で殺してしまったかも知れないと少女が拳を固く握る。 おうち宣言をされて野良ゆっくりの相手をするのも疲れるが、一番堪えるのは荒らされた部屋の片づけをしている時であろう。 ただ散らかされるだけでなく、泥や土埃を部屋中に撒き散らされるのだ。 これが空き巣や自然災害などであれば犯人がこの場にいない為、なんとなくだが諦めがつく。しかし、おうち宣言の場合は大抵犯人である野良ゆっくりが残っているのだ。 後で殺すなり保健所に送って処分するなりしても、野良ゆっくりが荒らした部屋を野良ゆっくりの前で片づけるという絵面は精神衛生上、よろしくないものがある。 「片づけ、終わりそう……?」 「お姉ちゃんを馬鹿にするな、弟よ。大丈夫。掃除と洗濯は、お母さんよりも上手な自信があるから」 「手伝ってあげられなくて、ごめん……」 「……え?」 「僕さ、やっぱり役に立たないよな……。家に入ってきた野良ゆっくりも追い返せないで、パズルも壊されて、ピースも飲み込まれて。全部、僕が不甲斐ないせいでこんな事に なってるのに、全部、姉ちゃんにやってもらってるんだ。だから……」 「だから、何よ?」 「やっぱり僕は……」 「はいはい。ネガティブ思考禁止条例発令です」 「姉ちゃん……」 「あんたがいないと最高に悲しむ人間が最低二人はいるの。後ろ向きな事言ってる暇があったら、さっさとパズルを完成させなさい。お母さんに見せるんでしょ? 自分はここ にいる、っていうことを……少しでもたくさん証明したいんでしょ? だったら頑張る頑張る」 少女は少年の部屋の中に撒き散らされた餡子や砂糖水などを雑巾で拭き取りながらそう言った。少年が気付かれないように目頭を押さえる。 パズルを組み上げること。いつしかそれは少年にとって自己の存在をアピールする手段の一つとなっていた。 少年が親れいむの体内から摘出されたパズルのピースを摘み上げて無言で頷く。それを横目で見ていた少女も気付かれないように口元を緩めた。 それから少年は一言も口を利かずにパズルへと向き直った。少女も特別声をかけない。こうなった少年に何を話しかけても無駄だ。返事は絶対に返ってこない。 (集中しちゃったな。ある程度片付いたし、私もそろそろ自分の“作業”に戻るとするか……) 少女が何も言わずに部屋を出て行く。扉を音がしないように閉めたが、たとえ音がしたとしても少年は気付かなかっただろう。 雑巾とバケツを洗面所に置いてきた少女がリビングに戻って来ると、透明な箱の中に入れられた親まりさ、赤れいむ、赤まりさが口々に罵声を浴びせ始めた。 その中で唯一、親れいむだけは少女に対する恐怖心が刷り込まれているのか、ガタガタ震えて箱の隅に頬をぴったりとくっつけている。 親まりさが、親れいむの事をチラリと見ながら叫び声を上げた。 「みるのぜ!! くそばばあがひどいことをしたせいで、れいむがこんなにこわがってるんだぜっ!!! しねっ!! くそにんげんはすぐしねっ!!!!」」 「おきゃーしゃんをいじめりゅくしょばばぁは、しぇーしゃいしちぇやりゅよっ!!!」 「まりしゃ、じぇったいにゆるしゃにゃいのじぇっ!!! ばきゃなにんげんしゃんは、ゆっくちしにゃいで、しんでにぇ!!!」 「フフ……。れいむ、私が怖い?」 少女が氷のような笑みを浮かべて、親れいむと親まりさが入った箱に顔を近づける。親れいむは、ちょろちょろとしーしーを漏らしながら、 「こ、こないでねっ!!! こっち、こないでねっ!!!」 後ずさりをするように、少女の顔を見つめたまま後ろへと這っていく。 親まりさが顔を真っ赤にしながら少女の事を罵った。子供が口喧嘩をするように次から次へと言葉をまくし立てる。それら全てが、少女の耳には届かない。 少女はクスクス笑いながら透明な箱から親まりさを取り出した。 両頬を抱えられて持ち上げられた親まりさがあんよをぶるんぶるんと振り回してその拘束から逃れようとする。 しかし、基本的に球形をしているゆっくりが一度持ち上げられてしまえば、そこからの抵抗はまるで無意味。体をぐねぐね動かしたところで少女の手は振り払えないのだ。 少女はあらかじめ用意していた“道具”の真上に親まりさを持ってきた。 最初はこれが何をするための道具か野良ゆっくりたちには分からなかったが、ようやく遅れて理解したようである。 机の上にセットされているのは長方形の肩をしたステンレス製の板。板の中央には長さ二十センチほどの極太の針が垂直に聳えており、その根本の周りは緩やかに凹んでいる。 凹んでいる“それ”はゆっくりのあんよの形に合わせて作られたものだ。 「これはね」 一言少女が呟くと同時に、最大径二センチはある針に親まりさの底部をゆっくりと突き刺していった。 「ゆ゛っぎゃぁあぁああぁあああぁぁぁッ!!!!」 「こうやって使うのよ」 それから、ズブリ……ズブリ……と、焦らすように親まりさの体内へ極太の針を挿入していく。 親まりさは顔面蒼白になり、額からダラダラと汗を流し、弱々しいしーしーを漏らし始めた。 「い゛だい゛の゛ぜぇぇぇ!!! ぬ゛いで!! ぬ゛い゛でよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」 「嫌よ。抜いてあげない」 “だぜ口調”がすっかり失われてしまうほどに親まりさは激痛に顔と体と心を歪ませていた。 対して親れいむは歯をカチカチと打ち鳴らして凍えるように震えていた。さらに赤ゆ二匹は放心状態のままカタカタ震えるだけのピンポン玉と化した。 目の前で家族が悶え苦しむ姿を見るのは精神的に辛いのだろう。今にも気が狂いそうになる残りのゆっくりたちを尻目に、少女はどんどん親まりさを針の根本へと沈めた。 やがて、親れいむのあんよがステンレス製の板の底にジャストフィットした状態で止まる。 この道具の目的は使用者によって大きく変わるが、ゆっくりの拘束具として使われるのが一般的だ。 ゆっくりを動けなくさせたい。そうするためにはあんよを使い物にならないぐらいに焼き焦がす、いわゆる“あんよ焼き”がセオリーだ。 しかし、それではせっかく恐怖心を植え付けたゆっくりがそれ以降、無様に逃げ回る姿を楽しめなくなってしまう。 そのために生み出されたのが、この簡易拘束具というわけだ。 透明な箱には監禁できても、自由までは奪えない。ゆっくりをゆっくりできなくさせるためだけに造られた道具の種類は実に豊富で、想像以上の需要を得ていた。 結局のところ、大多数の人間がゆっくりをストレス解消の道具としてしか見ていないという証明でもある。 「う゛ごげな゛ぃ゛の゛ぜ……い゛だい゛んだぜ……ゆっぐりぃ……ゆ゛っぐり゛ぃ゛……」 「ねぇ、まりさ?」 身動きの取れない親まりさの左頬を平手で勢いよく叩きまわしながら少女が優しく問いかけた。パァン、パァン、パァンと乾いた音が激しく何度も響く。 「さっき、何て言ったか覚えてる?」 「い゛だい゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 「答えてよ」 今度は持っていた包丁を親まりさのこめかみの辺りに深々と突き刺す。親まりさは白目を剥いて痙攣を起こしていた。 少女が溜め息をつきながらオレンジジュースを垂らす。意識を取り戻した親まりさは「ゆ゛ひぃ、ゆ゛ひぃ……」と情けない声を上げた。少女が包丁を引き抜く。 「ひぐぅぅッ!?」 「さっき私がそこの糞饅頭の中から取り出した道具を見て何て言ったか覚えてるか、って聞いてんの」 「ごべんな゛ざいぃぃ!! も゛う゛じばぜん゛んん!!!」 「……はぁ?」 「ばでぃざだぢがわる゛がっだでずぅ!! だがら、ばでぃざだぢをお゛う゛ぢにがえじでぇぇ!!!!」 「ここがお前らのおうちなんでしょ? 死ぬまで居ていい、って言ったじゃない。二度も言わせないで」 「ゆひぃぃ!!! だずげでぐだざいぃぃ!!! おでがいじばずぅぅぅ!!!!」 「――――質問に答えろ!!!!!」 少女の凄まじい怒号に野良ゆ一家が一斉にしーしーを噴射した。放心状態だった赤ゆたちも意識を取り戻して、即座にしーしーを発射させる。 少女の視線は重く、暗く、それでいて鋭い。その目に睨まれているだけで精神が崩壊してしまいそうなほどの眼力だった。 「……って、いいました……」 「聞こえない。もう一回」 「ごみ、っていいました……」 「覚えてるなら最初からそうやって素直に答えなさいよ」 そう言いながら親まりさに往復ビンタをかます少女。既に親まりさの顔はあちこちが腫れ上がっており、一見すれば不細工なジャガイモのような姿になっている。 親れいむは泣きながら震えていた。言いたいことはたくさんあるはずだ。しかし、先刻の摘出手術からの恐怖か少女に逆らうことができない。 「さっき、お前がゴミって言ってた一欠片が、どれだけ大事なものかを体で教えてあげるわ」 「どういう……こと、なのぜ?」 「こういうことよ」 少女は途切れ途切れにしか喋ることのできない親まりさの側頭部に包丁を突き刺して、そのまま縦一直線に切り裂いた。 もう何度裏返ったか分からない親まりさの目玉が再び引っくり返る。お下げがびくびくと震え、頭の帽子がパサリとテーブルの上に落ちた。 赤ゆ二匹は「やめちぇよぉぉぉ」などと叫んではいるが、箱の奥で互いに身を寄せ合い、そこから一歩も動こうとしない。叫ぶことができた勇気を称えてやるべきだろう。 少女は先ほど切り裂いた場所から四センチほど離れた場所にもう一度包丁を突き刺し、同じように真っ直ぐ包丁を落とした。 親まりさはびくびくと痙攣を起こして白目を剥き、中身の餡子を大量に吐き出しながら気を失った。 少女が面倒くさそうに親まりさの頭頂部に包丁を突き立て、ぐりぐりと掻き回して穴をほがすと、そこから直接オレンジジュースを注入した。 意識を取り戻した親まりさが絶叫を上げた。その声は二つの透明な箱をビリビリと震わせるほどのもので、その声量に親れいむと赤ゆ二匹が目を見開いて涙だけ流した。 家族である親まりさがこの世のモノとは思えない叫び声を上げているのが恐ろしいのだろう。見慣れた家族が狂った化け物のように鳴き声を上げるのが恐ろしいのだろう。 少女はそんな野良ゆ一家のくだらないママゴトは気にも留めない様子で、やはり四センチ間隔で親まりさの顔を切り裂いていった。 ぐるりと一周して、顔面部分は手を加えていないものの、親まりさの顔は酷いものに変わっていた。 涙の痕がまるで干からびた川のように両頬に刻まれている。目玉が何度も何度も引っくり返ったせいで瞼がめくれ上がるかの如く浮き出ていた。 だらりと垂らした舌には一切の水分が含まれておらず、ナマコの干物のような異形の物体が口の中から吐き出されているかのようだ。 「ばけ……もにょ……」 「ち、ちびちゃぁあぁんッ!? どぼじでぞんな゛ごどい゛ぅ゛の゛お゛ぉ゛!?? まりさおかーさんだよっ!! わかるでしょぉぉぉ!?」 心無い赤ゆの一言に、親れいむが受け入れがたい現実を無理矢理受け入れて、泣きながら悲痛な声を上げた。 誰がどう見ても、化け物と呼ぶに相応しい。金髪とお下げがなければ、どんなゆっくりも“これ”を同族だとは思わないだろう。 親れいむはありったけの勇気を振り絞り、額を床に押し当ててまるで土下座をするような体勢で少女に懇願した。 「お゛でがいじばずぅ゛ぅ゛ぅ゛!!! ばでぃざをだずげでぐだざい゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「あらあら。死ねだの、何だの私には散々言っておいて、いざ自分たちが殺されかけたら命乞い?」 「ゆぐうっ……」 「それから、まりさを助けられるかどうはれいむ? お前次第だよ」 「なにを……いってるの……?」 「私がさっき、お前の体の中から取り出した物があったでしょう? あれはね。とても大事な物だったのよ。あれが一つないと完成しないものがあるの」 「わ゛かる゛よ゛う゛に゛せつめ゛い゛してよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 「説明するよりも、実際にやってみた方が良いと思うの。だからちょっと待っててね」 「ゆ? ゆゆゆ?」 少女は、親まりさの顔の皮の一部をまるでミカンでも向くようにどろりと剥がした。約四センチの親まりさの皮が剥かれ、そこから中身の餡子が見える。 親れいむは絶叫を上げた。赤ゆ二匹も、また気を失ってしまった。このまま非ゆっくち症で死ぬのではないかと思うほどに二匹の精神はズタズタにされている。 ぺろりと垂れ下がる親まりさの皮は、あんよの手前辺りで止まっている。あんよを残して少女は剥かれた親まりさの皮を包丁で切って分離させた。 「がひっ……こひっ……!!!」 中身の餡子を外気に晒された親まりさは、それがよほど苦しいのか声にならない声を絶えず漏らし続けた。 少女が親まりさの中身にそっと息を吹きかけると、「ひぎいぃぃぃゃぁあぁぁあぁあぁぁ」と金切り声を上げる。染みるのだろう。 余興にと用意していたタバスコを一滴だけ中身の餡子に垂らした。それだけで親まりさは身動きが取れないにも関わらず、爆発したかのような凄まじい痙攣を起こす。 白目になりかけた親まりさに今度はオレンジジュースを垂らした。無理矢理現実に引き戻された親まりさが力の限りに泣き喚いた。 少女が切り離した親まりさの皮をハサミを使って適当なサイズに切り分けて行く。 「や゛べでぇ゛ぇ゛ぇ゛!!! ばでぃざのお゛がお゛があ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」 泣きじゃくりながら大声を上げるのは親れいむ。 親まりさは自分の剥ぎ取られた皮が細かくバラバラに切られていくのを見て言葉も出ない様子だった。そんな親まりさの底部付近からどろりと餡子が垂れ始める。 少女はそれを親まりさの中に戻すと、今度は筆を使って水に溶いた小麦粉を先ほど切り開いた皮から覗く餡子に薄化粧を施すように塗っていく。 筆の先端が触れるだけでも激痛が走るのか、親まりさは何度も何度も体を跳ね上げようとした。しかし体は満足に動かない。当然、防御行動を行うこともできない。 少女はいつ発作を起こして死んでもおかしくない親まりさに圧さ五ミリ程度の薄い小麦粉の膜を作った。 「あんまり激しく動かないほうがいいわよ。これが固まるまでは大人しくてしてなさい」 「……ッ!!!」 少女の言葉に親まりさが何か言いたそうに眉を動かした。 「おでがい゛じばずぅぅぅ!!! も゛う゛やべであげでぐだざいぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!!」 親れいむの悲痛な叫び声には一切耳を貸さず、少女は実に淡々と作業を続けた。 まるで花びらのように垂れる切り裂かれた親まりさの皮。幾つかある皮の花弁のうち一つは切り落とされ、その代わりに薄い小麦粉の膜が張られた。 少女がその作業を複数回繰り返す。目視で死にそうになったと判断したらオレンジジュースを投与することで無理矢理に命を繋げてやった。 そうして出来上がったのは、底部付近と口周りの皮だけを残した醜悪なおはぎ。人体模型のような姿になった親まりさは目玉だけを右に左に動かしていた。 餡子を支える皮の役目を果たしているのは、極めて薄い小麦粉の膜。突けばすぐに破れて中身が漏れ出しかねない水風船のような状態の親まりさ。 親まりさも理解しているのだろう。暴れれば、この小麦粉の膜が破れ、次の瞬間には出餡多量で死んでしまうということを。だから、全身を小刻みに震わせるのが限界だ。 親れいむは親まりさの花弁が一枚ずつ切り離される様を視界に入れるたびに中身を吐いていた。今はぐったりして箱の隅に寄りかかっている。 少女は丁寧に細かく切った親まりさの顔の皮に、今度は厚さ一ミリ前後の小麦粉の膜を、焼く前の陶器に釉薬を塗っていくように薄く延ばしていた。 やがて、小麦粉の釉薬を塗られた親まりさの皮が一つ、また一つと積み上げられていく。それはまさに少年がパズルを作る際に色分けして積んでいた山の様である。 「はい。完成」 ――まりさパズル。 キャンパスの役目を果たすのは親まりさの中身とそれを優しく包む薄い小麦粉の膜。ピースは、先程まで親まりさの顔の一部だった皮。 少女は、親まりさの全身を使って即席の立体パズルを作り上げたのだ。 そして、それを組み立てるのは親れいむの役目である。 少女はぼんやりとした表情のまま動かない親れいむを透明な箱から外に出すと、二、三発殴って正気を取り戻させた。 呻き声を上げる親れいむの口に無理矢理オレンジジュースを流し込むと、程なくして顔に生気が戻って来る。 「いい、れいむ? この砂時計の砂が全部下に落ちるまでにまりさを元に戻してあげられなかったら、お前の子供を一匹殺すわ」 「どぼじでぞんな゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」 少女は大きな砂時計を自分の部屋から持ってくると、それをテーブルの上に置いた。この砂時計は中身の砂が全部落ちればちょうど十時間になる。 ゆっくりを相手に時間の説明をするには砂時計や水時計が一番手っ取り早い。時計の針がどうとか、何時間後にとか言っても理解する知性は持ち合わせていないのだ。 その点、砂時計を遣えば馬鹿なゆっくりにも容易にタイムリミットを設けることができる。 少女は一分、三分、十分、一時間……と実に様々な時間を示す砂時計を所持していた。 少女が自身を“砂時計マニア”と言ってまで家族に趣味を偽っていたのは、当然この使用目的と自分が虐待お姉さんであることを隠し通すためだったのである。 「子供を一匹殺したあとは、こうやってもう一回砂時計をひっくり返してあげる」 「ゆぁ……ゆぁぁあ……」 「それで、また砂が全部下に落ちたら、もう一匹の子供も殺すわね」 「ゆんやあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」 親れいむが子供のような声を上げる。 少女は親れいむの目の前で二、三度拍手をして笑いながら言った。 「ほらほら、さっさとパズルを完成させなさい。まりさも子供も助けたいんでしょ? ――だったら頑張る頑張る」 四、 親れいむは必死の形相で目の前の“まりさパズル”に取り掛かった。 しかし、“まりさパズル”の難易度は極めて高い。何しろ、素材が親まりさの皮しか使っていないため、全てのピースが同じような肌色一色なのだ。 さらに立体的な構造をしているおかげで平面的な構造のパズルと違って、ピースの傾き加減や組み上げる順序にも頭を働かせなければならない。 更に、親れいむのピースを嵌める手段が口で拾って、口で組んで行くということしかできないため、圧倒的に時間が掛かる。 少女は確信していた。 このパズルを“二十時間以内”で完成させることなど絶対に不可能である。 「おきゃーしゃん!! ゆっくちがんばっちぇにぇ!!!」 「ゆっゆっ、おー! えいえい、ゆー!!」 透明な箱に閉じ込められた二匹の赤ゆが懸命に親れいむに声援を送っていた。 先程悪夢から目覚めたばかりの赤ゆたちにも、少女は懇切丁寧にこの“ゲーム”のルールを説明した。 そして、一時は再び現実という名の悪夢に苛まされていたのだが、「親れいむが親まりさを完成させれば自分たちも助かる」という事を理解してご覧の有り様である。 親れいむは親まりさの皮の一部を口で咥えることにも抵抗を覚えているらしく、何度も餡子を吐きそうになりながら作業を続けた。 「……ぎゃあああぁぁぁッ!!!!!」 「ゆあああぁぁ!!!! ごめんねっ、ごめんねっ!!! まりさ!!!」 親れいむが口に咥えた親まりさのピースを嵌めようとすると、中身の餡子に刺激が伝わるのだ。厚さ五ミリ程度の薄膜くらいでは中身に直接触られているのと大差ない。 大声を上げた親まりさは小刻みに震えながら必死に口を噤んだ。あまり大声を出すと、膜が破れて中身が流出して死ぬ。凄まじい拷問だった。 親れいむは自分の隣に置いてある砂時計を見ながら蒼ざめた表情を浮かべた。既に砂は四分の三ほど下に落ちてしまっている。 それだというのに、“まりさパズル”のピースはまだ一つも嵌められていない。 まずは残された底部の形状をヒントにピースの山から“正解”を探し出さなければならないのだが、その正当確率は百二十分の一である。 少女が暇潰しに親まりさの皮で作ったピースを数えると全部で百二十ピースもあったのだ。「気合を入れてバラバラにしすぎたかな」と舌を出す。 その後も、“まりさパズル”は一向に完成する気配を見せないまま、既に砂時計の砂は半分ほどが下に落ちていた。 ルールを理解しているのか、箱の中に閉じ込められた二匹の赤ゆたちも徐々に覇気がなくなり、次第に涙目に変わっていく。 「お、おきゃーしゃん……」 「…………」 「ゆ、ゆっくちしにゃいでがんばっちぇにぇ!!!」 「…………っ」 「なにやっちぇりゅのじぇっ!!! さっきかりゃ、じぇんっじぇんすすんでないのじぇっ!!!」 「ゆぎぎぃぃぃ!!! うるさいよ!!! しずかにしてね!!! しゅうちゅうできないよっ!!! ぷっくぅぅぅぅぅぅ!!!!!」 「「ゆっぴゃあぁぁぁッ??!!!」」 親れいむが箱の中の赤れいむと赤まりさに渾身の力を込めて威嚇行動を行う。 その余りのプレッシャーに、二匹の赤ゆは後ろ向きにぴょんっ、と飛んでちょろちょろとしーしーを漏らした。 「子供に文句言ってる暇あるの?」 「……ゆぐぅッ!!!!」 少女の物言いに心底腹を立てているのだろう。親れいむは歯を食いしばりながら、親まりさのピースを咥えて嵌めて戻して嵌めてを繰り返した。 「~~ッ!!! っ!!! ――――っ!!!!」 叫び声を上げることのできない親まりさが苦悶の表情を浮かべていることに気付いた親れいむがキリッとした表情で親まりさに声をかける。 「だいじょうぶだよっ!!! まりさはれいむがかならずたすけてあげるからねっ!!!」 (ちがうんだぜぇぇ!!! れいむぅ、もっと、そろーりそろーり、やってほしいんだぜ……ゆ゛ぎゃあぁぁぁ!!!! い゛だい゛ぃ゛ぃ゛!!???) その気持ちを声に出して伝えることができない。 徐々に苛立ち始めた親れいむは親まりさのピースを乱暴に扱い始めた。そのせいで、先ほどから親まりさに激痛を与えてしまっている。 悶える親まりさは息も絶え絶えに親れいむの事を見つめていた。必死になって愛で訴えようとするもその思いは儚くも届かない。 少女はおもむろにジューサーミキサーを取出し、砂時計の横に置いた。 必死にパズルを続ける親れいむはそれに目も暮れず、ピースの山と親まりさの間を行ったり来たりしている。 それに反応したのは赤れいむと赤まりさだった。 「ゆぇ……?」 「なんなのじぇ……?」 少女はどこからか取り出したミカンの皮を向いて中身を丸ごと一個ミキサーの中に投げ込んだ。 不思議そうに二匹の赤ゆが少女の手の動きとミキサーの中のミカンを覗き込む。「なにがはじまりゅにょ?」と小首を傾げるような仕草でミキサーを見つめていた。 少女が前触れもなくミキサーのスイッチを入れる。 すると突然、いかにもゆっくりできなさそうな音が周囲に響き渡り、ミキサーの中が一瞬でオレンジ色に染まった。 あまりに突然の出来事に赤れいむと赤まりさは目を丸くしてきょとんとしている。 少女がミキサーを止めると、その中にはぐちゃぐちゃになったついさっきまでミカンだったものが入っていた。それに氷と砂糖、蜂蜜を足して再びスイッチオン。 二度目の轟音が響くと同時に赤ゆ二匹は理解した。 「やめ……ちぇ、よぅ……」 カタカタ震える二匹の赤ゆ。砂時計の砂が全部下に落ちた時、自分たちがどういう方法で殺されるのかを理解して、その顔を絶望一色に染めた。 あんな事をされたら死ぬ。間違いく死ぬ。赤ゆ二匹は恐怖で引きつった顔に大粒の涙を流し、ぷるぷると顔を横に振った。 一度目の砂時計の砂はもう残りわずか。結局、少女は十時間近く不眠不休で野良ゆ一家の傍にいたのである。 「ゆんやあぁぁぁ!!! おきゃーしゃあぁぁぁん!!!! はやくしちぇよぉぉぉぉぉ!!!!」 「おにぇがいなんだじぇっ!!! まりしゃ、しんじゃうのじぇえぇぇぇえぇ!!!!!」 信頼し合っていたはずの野良ゆっくり親子の絆は一瞬にして崩壊した。 赤ゆたちは我が身可愛さに実の母親ゆっくりを口汚く罵倒し、不平不満を繰り返す。 対して助けようとしている赤ゆに罵詈雑言の限りを浴びせられた親れいむは顔を真っ赤にしながら大声で怒鳴り散らした。 「ゆっがああぁぁぁぁ!!!! うるさい、っていってるのがわからないのぉぉぉぉ!? ばかなのっ?! しぬのぉぉぉぉッ!??」 「……死ぬよ」 「ゆ?」 少女が親れいむに声をかけた。親れいむが恐る恐る少女の方へ振り返る。 少女の手には砂時計。その中身の砂が、全部下に落ちてしまっている。タイムリミットである“最初の十時間”が経過したのだ。 親れいむ、赤れいむ、赤まりさが息を呑んで黙り込んだ。 少女は透明な箱の中に手を伸ばすと、赤まりさを摘まんでひょい、と持ち上げた。 「おしゃらをとんじぇ……ゆ゛びゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛!!! やじゃ、やじゃ、やじゃあぁぁ!!! まりしゃ、しにたくにゃいのじぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「ゆんやー! れーみゅのいもーちょがぁぁ!!!」 「うわぁぁぁぁ!!! や゛べでぐだざい゛!! お゛でがい゛じばずぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!」 親れいむがテーブルの上でずりずりと右往左往する。 赤まりさは顔をくしゃくしゃにして泣きながら、親れいむを見下ろした。見つめ合う二匹の親子。互いに言葉が出ない。 少女は赤まりさをミキサーの中に入れた。 ミキサーのガラス壁の向こうで赤まりさが俯いたまま、ポソリと呟いた。 「おきゃーしゃん……」 「ち、ちびちゃ……」 「――どうしちぇ、ゆっくちさせちぇくれにゃかったのじぇ?」 ――ブチブチブチィィィィグチュグチュグチュグチャァァァァァァ!!!!!! 「う゛、う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!」 刃が高速回転する音。赤まりさの柔らかい皮が引き千切られて爆散する音。絡まった髪の毛を一瞬で毟り取る音。中身の餡子が液状化するまでシェイクされる音。 全ての音が合わさって一つとなり、赤まりさの断末魔の悲鳴も掻き消して、餡子色に染まったミキサーの内部はそのまま見えなくなった。 親れいむが滝のように涙と汗としーしーと涎と良く分からない汁を垂れ流す。瞳孔を開き、干からびた舌を口外に出して、ガタガタガタガタ震えていた。 赤れいむは一瞬で意識を失ったらしく、仰向けに倒れたまま揉み上げをしならせてピクリとも動かない。 少女がわざとらしく大きな音を立てて、砂時計をもう一度ひっくり返した。 その音に反応して親れいむがさらさらと落ち始める砂時計の砂を視界に入れる。両方の揉み上げがピンと伸びた。 「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!!」 泣きながら親れいむが再度パズルと向き合う。 あーでもない、こーでもないとゆんゆん唸りながら単純作業を繰り返す。永遠とも感じられるほどの長い時間、繰り返す。 そのとき。 親れいむが置いた親まりさの皮が底部の端っことぴったりくっついた。 「――――っ!!!」 「……あら、正解だったみたいね」 底部と同じ断面を持ち、親まりさの中身と同じ輪郭を持ったピースは綺麗に本来あるべき場所に戻された。 それを見た親れいむが歓喜の声を上げる。残り百十九ピースもある親まりさの皮の欠片に再び顔を突っ込んだ。 理由は分からないが、親まりさのピースは次々と嵌めこまれていった。やたらと調子がいい。パズルをやっていれば、そういう事はたまにある。 親れいむははまるで親まりさのピース一つ一つに手招きされるように、積み上げられた皮の欠片の山から選んだピースを咥えていった。 (なかなかどうして。頑張るわね) しかし、それも長くは続かない。 残り四十ピースほどになったあたりで親れいむの動きは再び沈黙してしまった。横目で砂時計を見る。もう、砂はほとんど残っていなかった。 「に゛ん゛げん゛ざん゛ん゛っ!!! だずげでぐだざい、お゛でがい゛じばず゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!!」 親れいむはもう何度目かもわからない謝罪を再び叫んだ。 少女が気絶しっぱなしの赤れいむを掴んでミキサーの中に入れる。親れいむは、ミキサーのガラス壁越しに、何度も最愛の我が子の名を呼んだ。 やがて、砂時計の砂が全て落ちる。 少女は一切の情け容赦なくミキサーのスイッチを入れた。 親れいむの目の前で赤れいむは先ほどの赤まりさ同様に餡塊となりその命の灯を一瞬で消した。 「ゆっくり……ゆっくりぃ……ゆっ、ゆっ、ゆぅ……ちびちゃん、ちびちゃん……」 うわ言のように呟きながら親れいむが親まりさのピースを咥えてパズルを再開した。せめて、親まりさだけでも助けようと言うのであろう。 残り少なくってきたピースを少しずつ埋めて行く。最後の最後になってようやく要領を掴んできたようだ。 少女はさすがに眠気の限界が訪れたのか、自分の部屋で泥のように眠り続けていた。 親れいむがずっと“まりさパズル”を組み立てているのか、リビングからは親れいむがテーブルの上を這う音が聞こえてくる。 翌朝。 「ゆあああぁぁぁ!!!!!!」 親れいむが絶叫を上げた。 目にクマを作り、寝癖のついた髪のまま少女がリビングへとやってきた。 親れいむはテーブルの上で気が狂ったように暴れている。やがて、少女の姿を見つけると、激昂しながらその咆哮を彼女に向けて上げた。 「ばでぃざのお゛がお゛のがげら゛ざん゛を゛がえ゛ぜぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!!」 少女が“まりさパズル”を見る。親まりさはほとんど完成していた。しかし、左目の下に一ヶ所、埋まっていない場所がある。 当然だ。最初から、少女は“まりさパズル”のピースを一つだけ抜いていたのだ。つまり、親れいむがどう足掻こうと、赤れいむと赤まりさを救うことはできなかった。 しかし、この行為にこそわざわざこんな無駄に手の込んだ仕掛けを作った理由がある。 もともとは、親まりさと親れいむが、少年の作りかけていたパズルを壊し、ピースを一つ飲み込んでそれをゴミ呼ばわりしたことから始まった一連の流れ。 少女が親まりさの最後の欠片を取り出して、親れいむに見せた。 それを見た瞬間、親れいむがぼろぼろと涙を流す。大事な大事な親まりさの最後の一欠片。それが組み合わさって、ようやく親まりさは親まりさになる。 そこまで考えてから、親れいむはハッとした様子で少女を見上げた。 ――ふざけるなぁぁぁぁ!!! そんな、ごみをひとつとるためだけに……あんなひどいことをしたのぜぇぇぇ!? しねっ!! ゆっくりできないくそばばあはしねっ!!! 同時に親まりさが少女に対して叫んだ言葉を思い出す。 あの時と、状況が逆転していることに親れいむは気付いたのである。 そして、たった一つしかない“欠片”を自分たちはどうしたか。 「がえ゛じで、ぐだざい゛……お゛でがいじばず……」 親れいむがぼろぼろ泣きながら哀願してきた。 少女がクスリと笑う。親れいむは何度も何度も「お願いします」を繰り返した。喉が枯れて、言葉を上手く発することができなくても、 「お゛で、が……じば……」 繰り返し続けた。 少女は親まりさの最後の一欠片をテーブルの上に置いた。親れいむが「信じられない」とでも言いたげな表情で少女を見上げる。 「返してあげるわ」 「――――ッ!!!!」 目の前に置かれた愛しい親まりさの最後のピース。それを目の前にして親れいむは静かに泣いた。そして、声にならない声で呟く。 「ありがとう……ございます……」 親れいむがピースを咥えて、それを親まりさの左目の下に嵌めた。 “まりさパズル”の完成である。 「まりさっ!!! まりさっ!!! ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!!!」 親れいむが感極まって泣きながら親まりさの名前を呼んだ。しかし、親まりさは無言のままピクリとも動かない。 「まりさ! れいむ、がんばったよっ! がんばって、まりさをもとどおりにしてみせたよ!! ほめてねっ!! ほめてねっ!!!」 しかし、親まりさは動かない。 「まり、さ……?」 親れいむがようやく異変に気付いた。親まりさの頬に恐る恐るすーりすーりをする親れいむ。 二匹の頬が触れた瞬間、親れいむは思わず後方に飛び退いた。 「つめ、たい……?」 「当然でしょ」 「どうして……?」 親れいむはカタカタと震えながら、親まりさをぼんやりと見つめた。 「れいむ?」 少女が親れいむに語りかける。親れいむは今にも消え入りそうな顔で今度は少女を見つめた。 「自分たちの中身である餡子に、あんな乱暴に皮を何度もぶつけられれば……そりゃ中身が傷ついて……死んじゃうわよね?」 “まりさパズル”が完成しない事に焦り、苛立ち、ピースを乱暴に貼り付けては剥がしてを繰り返していた親れいむ。 中身の餡子に息を吹きかけられただけでも想像を絶する激痛が親まりさを襲っていたというのに、親まりさそれ以上の刺激を二十時間近くずっと与え続けられていたのだ。 それも大好きな大好きな親れいむに。 親れいむは気付いていなかったのだろう。 少女が砂時計を再度ひっくり返した時点で、既に親まりさが息絶えていたということを。 「れい……むが……。れいむ、のせいで……まりさが……ちびちゃんたちが……」 親れいむがテーブルの上でぐらつく。そして、しばらくうずくまって「ゆんゆん」と唸っていたかと思えば……。 「ゆひっ……ゆっくり……っ。ゆっくきゅきゅ、ゆっくりぃ? ゆっくりぃ! ゆぴぴぴぴぴぴぴ……」 すぐに発狂した。 廃ゆになってしまった親れいむはテーブルの上で延々と言葉になりきれていない雑音を漏らし続けていた。 少女がひと思いに親れいむをハンマーで叩き潰す。 テーブルの上にはついさっきまで動いていた饅頭が、巨大な破れ饅頭と化して横たわっていた。 五、 「完成したの?」 「うん。姉ちゃん、この写真、どこで撮った写真か分かる?」 「……子供の頃、家族で登山に行った時の写真だね。お父さんも、いる」 完成した二千ピースのパズルを見て少年と少女が思わず目を細めた。 そのパズルに描かれていた景色は幼いころ、少年が登りたいと言っていた山に家族で登山をしたときの写真だった。 少女が目に涙を浮かべて、パズルの中の父に人差し指で触れる。 「……完成できて、良かったね」 「うん」 「お母さんからのメッセージ。絶対忘れちゃダメだよ?」 「――うん」 背後には澄んだ色をした火口湖。遥か地平線の彼方に続く色彩鮮やかな森の絨毯。 急峻な崖と、露頭した岩肌。「山頂」と書かれた立札。 中央に映る四人の人物。少年。父親。母親。少女。 そして、その頭上に書かれた母親からのメッセージ。 ――どんなに離れていても、私たちの心はずっと傍に。 玄関のチャイムが鳴った。 少年と少女が互いの顔を見合わせる。それから笑い合って、少女が玄関へと駆け出した。 少年がこれまで見ていた世界は、幾つものピースが欠けた世界だった。 その欠けた世界を埋めようと、少女が、母親が、必死になって少年の為のピースを見つけてきてくれて、一つ、また一つとそれらを少しずつ少年に渡してくれた。 (いつか、僕も……姉ちゃんとお母さんに、足りないピースを……見つけてきてあげられるかな……。見つけてこれると……いいな) それぞれが誰かにとってたった一つしかない大切なピース。 失くされてしまうことなく、奪われてしまうことなく、在るべき場所に嵌まる為に、自分という存在を見失わないようにする事。 それが自分にできる精一杯の“生きていく”という事だと、少年はようやく気付くことができた。 ジグゾーパズルに書かれた母親からのメッセージを何度も何度も読み直して、少年はとても清々しい顔で笑った。 La Fin
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『隻眼のまりさ 第三話』 17KB 戦闘 群れ 例によって続きです。どうぞよろしく。 初めましての方は初めまして 他の作品を見てくださった方はありがとうございます。 投稿者の九郎です。 タイトルどおり前作の続編です。 ――――――――――――――――――――――――――――― ――――某日、日の出―――― ここはいつものゆっくり達が住む集落。 まだ日が昇ったばかりでゆっくり達はまだ夢の中。 ただし、現在広場にいるゆっくりを除いてだ。 隻眼のまりさは早めに目を覚ましていた。 早起きをしてトレーニングをしていたのだ。 「ゆ゙っ…ゔっゆ゙ゔゔ………!!」 まりさは直立姿勢から比べて大きく右に傾いていた。 斜めに立っていると言った方が正しいかもしれない。 足である底面全体を地面につけるのではなく 足と側面である場所ギリギリのところに力を集中し 不安定な姿勢で立っていた。 「ゆっ!あっ!うわ!!」 バランスを崩し横にコロンと転がってしまった。 ふぅ、と一息つくと今度は足の左側に力を込めて身体を左に傾ける。 「ぐっ…ゆ゙っ…ゆ゙ゆ゙っ………!!」 これは、あの時のきめぇ丸の状態を必死に思い出して考えた 隻眼のまりさの新しいトレーニング方法だった。 あの時、きめぇ丸はものすごく横に傾いた状態で平然と立っていた。 自分が真似してみると、ものすごく辛い。 人間で言えば片足立ちで横に重心をずらしているようなものだ。 まりさはただ走るだけのトレーニングでは限界と考え とにかく新しい方法を試しているのだ。 「よっ!わっ!ぐぐぐぐ……!!」 バランスを崩しそうになったが何とか踏みとどまった。 以前ぱちゅりーに強くなるのにどうしたらいいか、と 聞いたことがあったのだがその時人間さんは 様々な方法で身体を鍛えているそうだが その方法のほとんどが手足を使ったものばかりなので 今のまりさに真似できるものではない。 だが一つだけ、鍛えたいところがあるなら その部分を使い続ければいいということだけは はっきり分かっている、と。 「ぬ゙っ…ゔっ…ふぅ……」 今度は自発的に力を抜いた。 ここで無理をして狩りのほうに影響が出ても困るので 体力全てをつぎ込もうとは思っていなかった。 まあ要するに、走るのが速くなりたければ 足を使い続けて強化するしかないということだ。 そこにあのきめぇ丸を真似してみた結果が今のトレーニングだった。 ――――同日、朝方―――― 集落のゆっくり達が起き始める時間だ。 仕事始めと言ってもいい。 「あ、まりさ!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっく…おはよう!」 まりさの試行の二つ目。それはゆっくり断ちだった。 あの日感じた違和感が形となっていたのは『ゆっくり』という 単語であったことに気が付いたのだ。 自分は速く走りたいんだ、ゆっくりじゃなく。 これがどのような結果を生むのかは、或いは何も起きないかもしれないけど ゆっくりすることを至上とするゆっくりという種のとっては壮大な試みだった。 場合によっては集落から追放なんて事態もありうると 考えたまりさはこのことについては誰にも相談していない。 実際、他人を罵るときに『ゆっくりできない』なんて物言いがあるくらいだ。 その単語を発することをやめるなどと言い出せば何が起こってもおかしくない。 だが、断ってみて気が付いたのだが別にゆっくりという言葉を発しなくても 『おはよう』とか『こんにちは』とか代用できる単語はあるし ゆっくりしなくても食事や狩りは出来る。 「じゃあゆ…じゃなくて、早く『ぶりーふぃんぐ』に行くよ!」 『ゆっくり○○するよ!』などと言葉を発して行動するのが多いゆっくりだが だからこそ逆にこの隻眼のまりさが気付くことができたことなのかもしれない。 「むきゅ?早いわね。もう来たの」 「うん。ドスは?」 「まだ寝てるわ…」 ドスの洞窟に行ってみるとぱちゅりーがすでに動き回っていた。 ぱちゅりー種は身体が弱いと聞くし、実際斜向かいに住んでいる 親ぱちゅりーは家にこもりがちなのだが 集落の参謀を務めるこのぱちゅりーは肉体労働こそしないものの 大声を出したりするとても元気なぱちゅりーだ。 さすが子育ての上手いと言われた前村長が育てただけのことはある。 「おはよー!!ゆっくりしていってね!!!」 「おはよう」 幼馴染のまりさの一匹が洞窟へやって来た。 今度はゆっくりと言いかけることもなく挨拶ができた。 「ぱちゅりー!今日は何をすればいいの?」 「待ちなさい。皆で聞かないと駄目よ」 それからしばらくして。 「むきゅ、それじゃあ『ぶりーふぃんぐ』を始めるわ」 皆がぱちゅりーに注目いつもの光景だ。 だが、隻眼のまりさにとってはここで一つの問題にぶつかった。 そういえば、みんなと走れというのがリーダーの言葉であり 自分の守ってきた行動理念だ。 だが、今のまりさは一人で走ろうとしている。 そのことを誰かに相談すべきではないか? 自分ひとりの考えで行動することがどういうことか分かっているのか? 「じゃあ今日はあなたが皆を連れて虫さんのいっぱいいる 森に行ってね」 「え?ああ…うん…」 「どうしたの?まりさ」 「なんでもないよ」 ぱちゅりーの言葉に反応するのが送れたためか 横にいたまりさが少し心配そうに声をかけてくる。 そうだ、自分は何も皆から離れようというわけではない。 いつも通り仕事をこなして、いつも通り行動し その合間に自分が気付いたことを試していくだけだ。 そこには問題はない。 それにまりさ自身分からない領域に踏み込もうというのだ。 他者に理解してもらえるなどと初めから思っていない。 やれるだけのことをやって自分が満足すればそれでいいのだ。 隻眼のまりさはそのように自己弁護して自分を納得させた。 「じゃあドスは、私と『ばりけーど』のために使う 資材を探しに行くから」 「ゆっくり理解したよ」 以前までなら何気なしに使っていた表現に 我知らず嫌悪感すら覚えるようにまでなっていたことには 目をつぶりながら。 ――――同日、昼前―――― 「ま、まってよー!!まりさー!!」 「れいむは疲れたんだねー、わかるよー」 「こんなに早いなんてとかいはじゃないわ!」 隻眼のまりさは集落の若いゆっくり達を連れて狩りをしていた。 「大丈夫!まりさは遠くへは行かないよ! 皆が離れてきたらまりさが自分から戻ってくるからー!!」 まりさは左右ジグザグにぴょんぴょん飛び跳ねながら大きな声で答えた。 これはまりさが戦闘スタイルを見直す意味で考えた 新しいフットワークだった。 ゆっくりの戦闘スタイル、というよりは唯一の攻撃手段は体当たりだ。 場合によっては噛み付き攻撃もするが通常種には れみりゃのような鋭い牙も中身を吸い出すような器用な真似はできない。 加えて、体当たりによる攻撃は直線的だ。 昔から破れかぶれに真っ直ぐ突進して痛い目にあったなどという 例は数え切れないほどあった。 「ゆっ!ほっ!やっ!!とうっ!!」 そこでまりさが考案した左右の高速シフトだ。 早朝のトレーニングで鍛えた左右への力の強化が活きてくる動き。 れみりゃの直線的な動きはれみりゃの周りを回ることで回避するという 方法が考案されていたがそれだけでは攻撃に移れない。 が、左右への動きが可能ならば回っている最中に 突然真横に飛んで体当たりしたり 場合によっては直線の攻撃は避けながら接近が出来る そんな攻防一体の戦闘スタイルだった。 これを思いついたきっかけもやはりあのきめぇ丸だった。 あんなに速い奴の攻撃を目で見て避けるなんて不可能だ。 だからこそ全く止まらずに左右に移動し続け的を絞らせない作戦。 「蝶がいたよ!」 木の根元に生えている花に大きな蝶が止まっていた。 まりさは蝶の正面に回りこみ、花ごと噛み付くつもりで飛び掛った。 「はっ!!」 接触寸前に蝶が横へ飛んだ。 まりさは蝶野位置を横目で捉えると 「えいっ!!」 横っ飛びで木に体当たり。 蝶を挟み込む要領で潰して仕留めた。 この行動には、連続攻撃の意味合いもある。 攻撃位置への移動、そして連続でジャンプをすることで 外れた対象に方向転換することなく着地の瞬間真横や真後ろに向かって再び攻撃ができる。 今仕留めた蝶もそうだが、動く敵には攻撃し辛いし 自分が縦横無尽に動けるのならば回避行動も攻撃行動もとりやすいという 利点を併せ持っていた。 「いたたたたた…蝶々は…それなりー」 あまりにうまくいったため調子に乗って思い切り体当たりをしてしまった。 木と衝突した身体がちょっと痛かった。 ――――同日、昼過ぎ―――― 太陽が真南を通過する頃、一行は目的の狩場で狩りをしていた。 隻眼のまりさはというと、木の枝をくわえては下ろしている。 「これは大きいかな…こっちは細いかも…」 ここでまりさが行っているのは武器の選定だ。 戦闘において、敵に止めを刺すには必ず二匹以上での連携が不可欠だ。 というのも、ゆっくりの死亡条件である中身の喪失という条件を ゆっくりの身であるまりさが満たすには、相手の頭部を潰すしかないのだ。 そして頭部を潰すには囮役となり敵の攻撃を回避する役 敵を倒すか止まった敵に一撃を加えてフィニッシュに持っていく もう一匹がどうしても必要。 それが必要なのもゆっくり同士で相手を損傷させるのが 困難であることに起因する。 そこでまりさが取った方法の一つがみょん種のやっている 木の枝を使った戦闘方法である。 だが、みょん種が特別強いというわけではない。 問題は致命打を与えるかどうかということ。 一対一でならともかく、多数対多数の戦闘で 木の枝を使って攻撃を仕掛けたとて、一匹にダメージを与えるだけで 殺すことはできないし、刺した棒を再び武器として使うには 抜いてから再び構えないといけない。 だからまりさは使い捨てで使える木の棒を選定しているのだ。 長すぎると取り回しが悪いし持って戦うにしても邪魔になる。 そして実際使うに当たって基本的には口にくわえて 体当たりの攻撃力を増大させるのが目的。 故にインパクトの瞬間折れることがないもの つまりは真っ直ぐであり、鋭く、なおかつくわえるグリップ部分が 太めになっている枝がベストなのである。 「っ!つっ!!」 口にくわえたまま例のステップを敢行。 一通りステップを踏んでみた結果、一本いいものを見つけた。 実戦で使ってみるまで使い勝手は分からないが 役に立たないのであれば捨てて戦えばいいのだ。 「まりさ、何してるの?」 「ん、別に…」 ありすが近づいてきた。 元々誰かに話すつもりはなかったし このありすに話しても理解できるとは思えなかった。 「最近まりさ、かっこよくなったわよね…」 「え?そ…そう…?」 なんだか様子がおかしい。 このありすはこの夏独り立ちをしたばかりで 越冬に向けての食料集めが難航してるという話を聞いた。 今回の狩りにどうこうしたのもそれが理由だ。 「なんて言うのかしら…変わったというか強くなったというか… 前のまりさと今のまりさは全然違う…」 「…………?」 なにやら身の危険を感じ始めた隻眼のまりさ。 が、仮にも集落の一員だ。 いきなり攻撃するわけにもいかない。 ともかく、話してみないことにはどうにもならない。 「ありす、狩りの調子はどう? 越冬に向けて秋のうちにたくさん食料を集めないと大変だよ?」 「まりさ…私とずっとゆっくりして!!」 ありすの唐突な言葉。 『自分とゆっくりして』はゆっくり達に共通する求愛の言葉だ。 そう言えばこのありすはまだ番がいなかったな、と頭の片隅で考える一方 隻眼のまりさは今回も『ゆっくり』という言葉に反応した。 「いやだよ!ありすとゆっくりするつもりなんかないよ!!」 ついつい怒鳴ってしまった。 今のまりさはゆっくりするつもりなど全くない。 ありすのゆっくりして、がまりさにとっては嫌悪感を感じさせる 言葉以外の何者でもなかったのだ。 ちなみに否定したのはゆっくりすること、なのだが ありすにとっては致命的な言葉。 そしてその一瞬の感情の爆発は 「まりさあああああああああああああああああ!!! つんでれなのねええええええええええええええ!!!」 ありすをレイパーとして覚醒させる起爆剤となってしまった。 「うわあああああああああああああああああ!!!」 飛び込んできたありすをバックステップで緊急回避。 危なかった。 今回自分が考えた戦闘スタイルがなければ こんな回避方法は取れなかっただろう。 そして自分が考えた方法が決して間違いでなかったことを 感じさせるには十分だった。 「まりさああああああああああああああ!!!」 そこでまりさは一つのことを考え付いた。 自分は武器の選定を誰にも話すつもりはなかった。 故に、ここには誰もいない。 そして、今自分の下には丁度いい枝が一本だけ。 レイパーと化して他のゆっくりを死なせた者は 例外なく制裁か追放だ。 だからこそ、このありすで模擬戦闘を行おうという考えに至った。 「まりさあああああああああああああ!!! すっきりしましょおおおおおおお!!!!」 「……っ!!!」 真っ直ぐ突進してくるありすを今度はサイドステップでかわす。 目を見開き涎をたらすありすは今までのすました ありすのイメージとはかけ離れている。 髪の毛を振り乱して突進してくる様はれみりゃとは 違う恐怖心を煽られる。 「どぼじでにげるのおおおおおおおおお!!??? どっでもぎもぢいいのよおおおおおおお!!??」 まりさに回避されたありすがこちらに顔を向けてきた。 顔面から地面に激突したありすはさらにひどい顔になっている。 正直直視したくない。 まりさは連続でバックステップを踏んで距離をとる。 「まりさあああああああああああああ!!!!」 それしか言えないのか、と冷めた感情を持ちながら サイドステップで接近。 「まりさああああああああ!!! やっどうげいれでぐれるのねえええええええええ!!」 冗談じゃない。 まりさの心はますます冷え切っていく。 すれ違う瞬間、まりさはカウンターチャンスを見ていた。 ゆっくり同士が衝突する場合、顔面から正面衝突するより 人間で言うショルダーチャージの要領で斜めから 当たるほうが有利だ。 その方が顔面が痛くないし側面のほうが凹凸が少なく頑丈 なおかつ痛みが少ないので手加減なしで体当たりが可能だ。 「どぼじでよげるのおおおおおおおおおおお!!!!」 連続で突っ込んでくるありすを最小限のサイドステップで回避。 まりさの回避運動が闘牛士のように冴え渡る。 普通のゆっくりなら背を向けて逃げてしまうため なりふり構わない突進をしてくるレイパーに体力差で 捕まってしまうのだが 今のまりさは最低限度の動きで回避しているのだ。 このペースで行けばありすのほうが先に力尽きるのがオチだろう。 「ばりざ!ばりざ!ばりざ!ばりざああああああああああ!!!」 ありすの顔はもう先ほどと同じゆっくりとは思えないほどに変貌していた。 その場ですっきりするつもりで仕掛けてきたのだろう。 連続しておあずけを食らって頭がおかしくなったのかもしれない。 が、ありすの熱が高まれば高まるほどまりさの心は冷え切っていった。 そして冷え切るのと同時に、これまでにない昂ぶりも感じていた。 ゆっくりしていた頃には考えられない。 冷めれば冷めるほど、冷静な回避ができた。 高まれば高まるほど、強力な攻撃が出せる予感がした。 「…!!」 そうか、と隻眼のまりさは唐突に気付いた。 これが戦闘だ。 ゆっくりにとって制裁やゲスの攻撃など単なる暴力だ。 相手がまともに抵抗しないように数や力だけで圧倒する 単純なものではない。 確実に、残酷に、相手の命を奪うことに特化した 命、誇り、信念をかけた戦い。 「ま…………まり…………………まりざぁ……… まりざああああああああああああああああああ!!!」 「うわああああああああああああああああああ!!!」 隻眼のまりさは全身に力がみなぎるのを感じた。 それは、不思議な感覚だった。 カウンターを発動するときの緊張感じゃない。 突進するときのがむしゃらさでもない。 最後の力を振り絞って向かってくるありすに まりさは、全力の攻撃を仕掛けていた。 ――――同日、夕刻―――― 隻眼のまりさは連れて行った狩りに行った皆と共に 集落へ帰還していた。 …件のありすをのぞいて。 「じゃあ、結局見つからなかったの?」 「うん、遠くに狩りに行ったのかもしれないし 気付いたらいなくなってたんだよ。 一人立ちしてからまだ狩りになれてなかったからかも…」 嘘だ。 ありすはまりさが殺したのだ。 「ごめんね。 まりさがしっかりしていなかったから…」 「仕方がないわ。 いくらまりさでも全部のゆっくりを見張ることなんてできないわ」 あの後、まりさが集合をかけて皆を集めた時 ありすは当然戻ってこなかった。 皆で少しだが辺りを探してみたが 地面に埋められたありすの死骸を 他のゆっくりが発見できるはずもなく やむなく集落に戻ってきた、という形を取ったのだ。 現在ブリーフィングでその旨を報告しているところである。 「ありすの家族は?」 「あのありすは一人だったし、おかあさんとおとうさんも もう死んじゃってるから…」 「…そう、わかったわ まりさ、今日は大変だったわね。 日が暮れるからもう休みましょう」 「分かったよ」 そう言ってぱちゅりーは自分の部屋であるドスの 洞窟の横穴に入っていった。 ――――同日、日没―――― まりさは、あの時のことを思い出していた。 『うわああああああああああああああああ!!!』 『まりさあああああああああああああ!!!ぎゅぶぇっ!!!』 いつものカウンターとは全く違う感覚。 木の枝をくわえて突進してくるありすに対して 交差法での体当たり。 それだけのはずだったのだが あの時の体当たりは全く違うものだ。 なぜならば、体当たりのヒットしたありすは見事に 『バラバラに砕け散って』死んだのだ。 その直後、我に返ったまりさは急に別の意味で頭が冷えていき 大変だ、どうしよう、と焦りに焦った。 だが少ししてからだったら埋めてしまおう、と思い 武器の候補として集めていた木の枝を使って ありすの死骸を地面に埋めてやり過ごした。 ありすがレイパーに名って襲ってきたと言えば 理解が得られるかもしれないが 何よりまりさはあの状況、あの感覚を 誰かに説明する気になれなかったのだ。 ゆっくり殺しの汚名を着せられることでもなく ただあの時の一瞬の感覚と 戦いの中で得たものをごたごたのせいで失くしてしまうことが まりさにとっては一番の損失だった。 そしてまりさはこの一件ではっきりと分かった。 自分を縛っていたのはゆっくりだ。 ゆっくりしていたらあのありすに襲われていただろう。 そして、ゆっくりしていたらあの感覚は得られなかっただろう。 もう二度とゆっくりするものか、と思いつつ 隻眼のまりさは倫理や、秩序、規範 そしてゆっくりとしての概念や矜持を捨ててでも この先にあるものを見てやる、と意識を新たにしながら眠りについていた 続く あとがき まず最初に、掲示板での様々なコメントありがとうございました。 下げた頭が上がらないというのはこのことです。 あれほどの反響が得られるほどこの作品が読まれていたことを そして続いて欲しいという言葉を嬉しく思います。 感想を一通り読ませてもらいましたが 全ての意見の中でおおよそ共通するのは 『評価されたきゃ完走しろ』というのがありました。 人気がないのであれば投稿自体が邪魔になってはいないかとも思っていたのですが 僭越ながら続けさせてもらおうという思いを新たにしました。 本当にありがとうございます。 加えて、感想を下さいなどということをあとがきに載せた事 本当に申し訳ありませんでした。 ご迷惑になっていなければいいのですが。 まあこの話題はこれくらいで。 この作品の特徴ですが ゆっくりがゆっくりらしくない 心理描写が多すぎ の二つを含むところはテーマ上変わらず続いていくので ご了承ください。 これからは私は九郎ver.2とまでは行きませんが 九郎ver.1.01位の気持ちでやっていきたいと思います。 お気に召しましたら、今後もどうぞよろしくお願いします。 最後に、この作品を読んでくださった全ての方に無上の感謝を。 私がここに投稿させて頂いた作品一覧 anko3052 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 anko3053 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 前編 anko3054 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 後編 anko3060 ゆっくり駆除業者のお仕事風景3 anko3061 隻眼のまりさ プロローグ anko3075 隻眼のまりさ 第一話 anko3084 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 幕間 anko3091 隻眼のまりさ 第二話 anko3101 ゆっくり駆除業者のお仕事風景4
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『ゆっくりブリーダー』 18KB 愛で 観察 愛情 赤ゆ 愛護人間 独自設定 うんしー 失礼します。 anko2611 ゲスゆっくり奮闘記1 anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2 anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3 anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4 anko3456 れいむのゆん生 anko3458 まけいぬとゆっくり anko3461 ゆっくりに生まれて 「」ゆっくりの台詞 『』人間の台詞でお願いします 誤字脱字失礼します 『よぅし、今日から俺もゆっくりブリーダーだ!』 一人で暮らすには少し広めのマンションの一室で、青年は両手を突き上げ宣言した この青年は以前はとあるゆっくり愛護組織【ゆーりんらぶ】に所属していたが 活動の一環で飼いゆっくり野生ゆっくりに触れ、自分でもゆっくりを育てようと心に決めた 組織内でも、彼はゆっくりの扱いに長けていると良く褒められていたのもブリーダーになろうと決めた要因の一つだろう 彼は一年に及ぶ試験勉強を経て、ついに先日第二種ゆっくりブリーダーの免許を得るいたった いきなり二種の取得には知人のブリーダーに止められたが、青年は自分の目標の為に二種を選んだ ここで、説明しておくと 今や社会に食い込むほどに膨らんだゆっくり産業には、多くの資格やルールが設けられている 元はバッジの区分程度で、ブリーダーには資格の必要はなかったけれど 偽バッジの横行、捨てゆっくりなどが問題になり今ではゆっくりを育てるのにも免許が必要な時代になっていた ゆっくりブリーダーには、基本的には一種二種三種の3つが存在している 三種 基本種(れいむ まりさ ありす ぱちゅりー)を店で販売されている、処理済み(ゆっくりとしての知識を流し、育てやすくしてある)子ゆっくりから育てられる 二種 基本種、準基本種(ちぇん みょん)を店で販売されている処理済み赤ゆっくり もしくは一種のブリーダーが販売している飼育用赤ゆっくりから育てられる 一種 基本種、準基本種、捕食種(れみりゃ ふらん)、準希少種(さなえ らん めーりん)を赤ゆっくりから育てられ 育てたゆっくりを高配させ、赤ゆっくりを作らせることも出来る 他のブリーダーに飼育用の赤ゆっくりを販売出来る そして試験を受ければ各種の希少種の飼育免許の取得も可能 と、こんな感じである 上に行けば行くほど飼育出来る種類も増えるし、何よりゆっくりショップに卸したときの値もバッジが一緒でも変わってくる 他にも様々なルール、様々なゆっくり職があるのだが、それは機会があったら説明して行くことになる この青年は二種のブリーダー、つまり基本種や準基本種を赤ゆっくりから育て上げることが出来るのだ 基本的には二種三種は、他から手に入れたゆっくりを育てるのが基本だ この青年も組織のツテで、某一流ゆっくりブリーダーから、金バッジを取るにいたったゆっくりの赤ちゃんを安値で買っていた 安値でも、店で買うよりやや割高だが餡統の正しいゆっくり、しかも銀バッジ以上を取得した場合はそのブリーダーの名前を出しても良いとまで言われてる 駆け出しのブリーダーにとっては、一流ブリーダーの餡統ゆっくりを育てるほうが率が良いのだ 試験はそれなりに難しいが、三種辺りならそこそこ簡単に取れてしまうので、世にはゆっくりブリーダーは溢れている 様々なブリーダーにより育てられたゆっくりを、客が選ぶ基準は希少種でもない限りやはり外情報だろう 同じバッジ同じ種類でも、無名のブリーダーより名のあるブリーダーの方を選びたいのは心情だろう そして一種のブリーダーから赤ゆっくりを飼い育てることの出来る二種のブリーダーは、高めの料金を払ってでもそちらを選ぶものが多い 何故なら、買い取るときの条件として【銀バッジ以上なら名前を出しても構わない】とつけられることが多いのだ 一種ブリーダーから買い取った赤ゆっくりを育て、試験を受けさせ、銀バッジを取得させたら 【一種ゆっくりブリーダーの○○さんのゆっくり】と情報を付けられるのだ それだけで値段も高くなるし、人気も上がる もちろん条件に金バッジ以上もいるし、無条件もいる 逆に名前を出すのを全面禁止している人もいる 名前を出したゆっくりがゲス化などしたら、被害を被る事もあるからだ 二種ブリーダーに名前を出して貰えば、一種のブリーダーも名前が売れるしとそれぞれ良い部分もあるので 一種ブリーダーの殆どは赤ゆっくりの販売を行っている もちろん、一種ブリーダーから買うことによるデメリットもあるのだが、後に回そう この青年もそんな一人から赤ゆっくりを買ったのだ 駆け出しのブリーダーは店販売の処理済みゆっくりが良いとされるが、青年は自分の目標の為に一種ブリーダーからの買取を選択した その赤ゆっくりは現在青年が用意したゆっくり飼育スペースで目覚めのときを待っている 青年が住むマンションの一部屋、倉庫代わりに使われていた部屋を片付け、そこを飼育スペースにしていた 部屋に入って正面にあるベランダに続く窓の真ん中を中心に、間仕切りで二つに区切られたそこ 向かって右にはゆっくり用のベッドや遊具、玩具が置かれ その反対側には、壁の低い位置にホワイトボードが取り付けられ、小さなテレビなどが置かれ、教材らしくものが置かれていた 青年はこの部屋で飼育を完結させるつもりなのだろう ゆっくりブリーダーの知識本も書かれている【ゆっくりにあまり広いスペースを与えない】を実践した結果なのだろう 片方をゆっくりの遊び場、片方を勉強場所と分けているのも、これまた知識本の【同じ場所で教育と遊びをさせない】を実践した結果なのだろう 青年は扉をあけて、部屋に入るとベッドなどの置かれた方に向かう そしてそのベッド、猫用のベッドのようなふかふかのそれを覗き込む そこには―― 『うわ、可愛いなぁ』 すぅすぅとわざとらしい寝息を立てる赤ゆっくりが4匹 れいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりーの基本種四匹が眠っていた 青年が一種ブリーダーから買い取った、金バッジゆっくりの赤ちゃんだ そろそろ目覚めるのか、赤ゆっくりはまん丸の身体をころころ揺らしている 青年はそれをニヤニヤしながら眺めて、ふと思い出したように部屋を出る 向かった先は台所 その冷蔵庫から、タッパーを取り出し蓋を開ける 中には、ゆっくりの茎が入っていた 基本的には赤ゆっくりが最初に食べるご飯である 『飼育書には食べさせない方が良いってあったけど、違うよなぁ、これが最初の味覚を作り、そのゆっくりの人生を作ることになるんだよ』 青年はそう呟き、部屋に戻る 青年の呟き通り、知識本には【赤ゆっくりに茎を食べさせてはいけません】と書かれていた しかしこの青年は、独自の飼育計画を持っているらしく、それを拒否していた というか、青年は飼育環境の辺りだけを読み、後は適当に流し読みしていた 自身がゆっくりの扱いに長けているという自身がそうさせていた 青年が目指すのは、今現在の飼いゆっくりとは一線を画す 人間のパートナーとなり得るゆっくりであった その為には、真にゆっくりである必要があるというのが彼の考えだ 『飼いゆっくりだけ見てゆっくり好きとか言ってるやつらは、野生のゆっくりと触れ合ったことないんだろうなぁ』 自身の経験を思い出し、野生ゆっくりの、ゆっくりらしい生き方を思い出していた 『今の飼いゆっくりなんて、本当に人間の奴隷でしかないよな』 青年は意思を新たに、これから飼いゆっくりに革命を起こす気持ちでブリーダーとしての一歩を踏み出す 『よし、頑張るぞっ……っと、そろそろ起きちゃうよな』 タッパーから出した、茎を片手に飼育部屋に戻る そしてベッドを覗き込むと、丁度一匹、赤れいむが目覚めるところだったようだ 「ゆぅ、ゆ? ゆぅ、ゆゆ?」 『ぅおぉ、かっわいいなぁ……』 まん丸の赤れいむは、まだ未熟な揉み上げで自分の目を擦る 何度も擦る内に、どうやら目がさめてきたのか 下半身を震わせ不器用に転がっていた身体を直立させた そして周囲を不思議そうにキョロキョロ見回していた 「ここは、どこなの? ゆぅ?」 普通のゆっくりならばここで「ゆっくり~~」など、自分の行動を叫ぶのだが、この赤ゆっくりは一種ブリーダーの手で処理をされていた ここで説明をまた入れよう 処理済みゆっくりとは何か、ということである 前述には育てやすくした、書いたが それはどんなことをしたかと言うと、まだ赤ゆっくりが実ってる状態の茎を親から抜き取り とある液体に茎をつけるのだ これにより、親からの記憶の継承を少なくし、液体の効果でゆっくりの本能を消し去る 店で売られている飼育用ゆっくりにはその処理がされている 処理をしなければ売ってはいけないことになっているのだ しかし、一種ブリーダーからの買取飼育ゆっくりについては、この処理をしなくても良いとされている 青年が買ったブリーダーは処理をするタイプであったが、その処理も店のものに比べると大分雑である してあるだけ良いのであり、ほとんどのブリーダーは処理なんかしていない これが一種ブリーダーから買うデメリットである ゆっくりの本能が残っているということは、そのまま育て難いということになる それでも、それなりに良質な餡統であれば、教育はし易い あくまで易いであるが 処理されたゆっくりであっても、育てる内に消し去ったはずの本能は当たり前に目覚める 大体子ゆっくりくらいには、どんな処理ゆっくりも本能に目覚めてしまう それまでに如何にしてゆっくりをゆっくり以外のものに教育するのがブリーダーである その為の基礎知識として【ゆっくりしていってねを言わない】というものがある これを言うと、ゆっくりはまるでどこかにアクセスしたかのようにゆっくりの本能を取り戻してしまう しかし、外部からこれを言われない限り処理ゆっくりはそれを思い出すことはない だからブリーダーは決して【ゆっくりしていってね】を言わずに、子ゆっくりまで育て自発的に言うようにさせるのだ 雑ではあるが処理されたこの赤ゆっくりたち、そして起きたれいむは起きてから騒ぐことも泣くこともせず、キョロキョロ周囲を伺っていた 餡統の良さが伺える仕草である、未知たいして泣き喚くのではなく、ここがどこであるかを調べようとしているのだ 実に優秀である しかし、【人間のパートナー足りえる、ゆっくりらしいゆっくり】を目指す青年にとってはどうにも気に入らない 【ゆーりんらぶ】が運営する自然公園で出会った野性ゆっくりのように、可愛らしい仕草をもっと見せて欲しい そう願い、青年は言ってはいけないことばをかける 『ゆっくりしていってね!』 「ゆぅ?!」「「「ゆっ!?」」」 青年の言葉に、れいむはおろか、寝ていたまりさ、ありす、ぱちゅりーまで反応する 全員一斉に、自分たちを見下ろす青年を見つめ、プルプル震えながら、眉毛をキリッとさせ口をあけた 「「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」」」」 『あー、可愛い、やっぱりゆっくりはこうじゃなくっちゃなぁ……』 赤ゆっくり舌足らずな声に、青年は身を震わせる さっきまでは成ゆっくりと変わらない喋り方をしていた赤れいむも、一気に赤ゆっくり特有の舌足らずになっていた これが本能を呼び覚まされた効果である 「りぇいみゅはりぇいみゅだよ! ゆっくちぃ!」「まりしゃはまりしゃなんだじぇ!」 「ありしゅはありしゅよ! みんにゃときゃいはにぇ!」「むっきゅぅ! ぱちぇはぺちぇよ!」 れいむはさっきまでのゆっくりらしからぬ知性的な仕草は消え去り、きゃっきゃ騒ぎながら皆と挨拶をしていた 『うんうん、これがゆっくりだよなぁ……今の飼いゆっくりにはこれがないよなぁ、まったくゆっくり好きなのるなら一回くらいは野生ゆっくりと触れ合うべきだよなぁ』 青年は自分の育成方法を成功すると判断して満足げに頷く ゆっくり愛護組織【ゆーりんらぶ】の運営する自然公園での、素直で明るいゆっくりたちを思い出し、彼女たちのようにのびのび育てようと心に誓う 「ゆぅ、りぇいみゅ、おにゃかすいちゃよ……」「しょういわりぇりぇば、しょうね」 「ぱちぇもよ、さっきからおにゃかが、むきゅ」「ごはんたべちぇいのじぇ……」 『おっと、危ない危ない』 青年が思考にふけっていると、赤ゆっくりたちは空腹を訴え泣きそうな顔をしていた 慌てて手にもったゆっくりの茎を4つに千切り、柔らかくなるまで指で潰す 『野生思考のブリーダーは失敗が多いって聞くけど、そいつらは茎の食べさせ方知らないんだろうなぁ』 かつて組織運営の自然公園にて、そこに住まうゆっくりに教えられた通りに茎を柔らかくしてやる 『赤ゆっくりはまだ噛む力弱いからな……よし、こんなもんかな? ほら、みんなご飯だぞー!』 「「「「ゆわぁぁい! ぎょはんぎょはん!」」」」 青年は潰した茎を未だにベッドにいる赤ゆっくりたち一匹一匹の前に置いて行く 「ゆっくちたべりゅよ! む~ちゃむ~ちゃ! ちあわせぇぇええ!!」 『あっ、こら駄目じゃないか!』 一番最初に茎を置かれたれいむは即座にそれにかぶりつき、汚らしく食べかすを零しながら租借していた 青年は次のありすに置こうとした茎を引っ込め、れいむを叱る 「ゆゆ!? いきにゃりおっきにゃこえだしゃにゃいでにぇ!」 『れいむ、まだ皆にご飯行き渡ってないのに食べちゃ駄目だろう?』 青年の中には、ゆっくりの食事風景は自然公園でみた、皆で一斉に「ゆっくりいただきます!」と言ってから食べ始めるのが当たり前であるとあったし 何より、その方が可愛いし、ゆっくりらしいと青年は考えていた 『れいむ、ご飯はね、皆で一斉にいただきますするものなんだよ』 「しょんにゃのしらにゃいよ! りぇいみゅはおにゃかしゅいてりゅんだよ! む~しゃむ~しゃ!」 『あ、こら!』 青年の制止も気にせず、れいむは再び茎を食べ始める それを見て、青年は手を伸ばそうとするが 「おにゃかへっちゃのじぇぇぇええ!!」 「ありしゅの ちょかいはにゃ ごはんはまだなのぉおお!!」 「にゃんでれいみゅだけ たべちぇるのぉおおお!!」 まだ茎を貰えてない3匹のゆっくりが騒ぎ出した 本能を呼び覚まされ、そこいらにいる一山いくらの知能の赤ゆっくりになりさがった彼女らは、人間の道理なんか知ったこっちゃない ゆっくりらしく、欲望に忠実に騒ぐ 『あ、あ、あ、ちょ、ちょっと待ってよ、今から 「む~ちゃむ~ちゃ! しゃーわせぇぇ!!」 あぁ! れいむ、だから食べちゃ駄 「ぽんぽんぺこぺこしゃんなのじぇぇぇええ!!」 も、あ、あ』 好き勝手に動く4匹のピンポン玉饅頭に青年は、目を回す どこから手をつけて良いものか解らず、おろおろとする この青年、実は赤ゆっくりとハッキリ触れ合ったことはあまりなかった 組織運営の自然公園では、外で遊べるくらい育った赤ゆっくり子ゆっくりしか見たことなかった 生まれたばかりの赤ゆっくりについては、動画でゆっくりの子育てを見たことあるくらいだった 一般的に赤ゆっくりは捕食種の生餌として以外は販売されておらず、赤ゆっくりと触れ合うには自分で飼っているゆっくりに子供を生ませる他ない 青年は今までにゆっくりを飼いたいとは思っていたが、資金面の不安から飼えずにいた つまり、真の意味で生まれたての赤ゆっくりと触れ合ったことがなかったのだ その為それぞれ好き勝手する赤ゆっくりに対処できない 『え、あー、み、みんな、落ち着いて、まずは落ちつい 「ゆげっぴゅ! ゆゆ? りぇいみゅ うんうんしちゃくなっちゃよ!」 え? あ、こ、こら』 とりあえず全員を落ち着けて、改めて食事にしようとすると 一人食事をしていたれいむが、茎を半分ほど食べたところで排泄をしようとしていた 当たり前にベッドの上で 「うんうんしゅりゅよ!!」 そう宣言すると、れいむはその小さな身体を達磨のようにころんと寝かせ、揉み上げをわさわささせながら、底部を突き出す そのまま何度か尻を左右に振ると、ピタッと動きを止める 「でりゅよ! たくしゃん!! ゆぅぅん!」 底部の、背中側の一部に小さな穴が生まれ、そこから黒い塊、老廃物と判断された餡子がミチミチと出てくる 人間の小指の先ほどもありそうなものを排泄すると、れいむは寝転んだまま口を開き叫んだ 「しゅっきりぃぃいいい!!!」 『…………』 青年は動きを止めて、もう思考停止状態に陥っていた その間も他の三匹は好き勝手に喚いて、食事を要求していた 一人食事と排泄を終えたれいむは、寝転んだ身体を揺すながら器用に起き上がり そして、自分が出したばかりの排泄餡をその身体で踏みつけた 「ゆ? ゆゆ? にゃに、こりゃ、ゆぅ?! うんうんだよぉおおおお!! くしゃいよぉおお! きちゃにゃぃいいいいい!!!」 自分が踏んだものが排泄餡だと知ると、れいむは涙を流しながらベッドを転がりまわった それにより、ふかふかのベッドにれいむの排泄餡が付着していく 「おにゃかすいちぇの、ゆ? ゆゆ!? ゆべっぇ!?」 更に、出鱈目に転がり近くにいたまりさを弾き飛ばし、それでもまだ転がる 「くしゃいぃいい!! きちゃにゃぃいいい!!」「ゆぎょ!?」 次はありす そして 「はやくぱちぇにぎょは、むっきゅぅ?!」 ぱちゅりーも弾き飛ばした それでも回転を続けるれいむは、転がり疲れてベッドの端で身体を震わせ泣き出した 「どうちて、どうちてりぇいみゅがこんにゃ、めにぃ……」 「いちゃい、のじぇ……」 「ありしゅの、とかいはな、おきゃおが……」 「む、むきゅ、ぅげぇ」 目覚めて僅か数分で、赤ゆっくりは皆瀕死の様相を晒していた 青年は深く呼吸をして、まずはれいむを叱りつけ それから食事を再開させよう、と決めた 心を鬼にするつもりで、彼はれいむに視線を向け声を出す 『れい 「にゃんでこんなこちょしゅりゅのおおぉおおおお!? りぇいみゅがなにしちゃっていうのぉおおおおお!!」 む、ぅ……え?』 叱ろうとした相手からの突然の糾弾に青年は動きを止める 「にゃにだまっちぇるのぉおお?! れいみゅはゆっくちしてただけにゃんだよぉお!? それなのにどうちてこんにゃことされにゃいといけにゃのぉおおおお!!!?」 鬼の形相で「ふしゅーふしゅー」と唸る小さな饅頭に、青年は気おされていた 赤ゆっくりはおろか、成体でもこんなに風に怒るゆっくりは初めて見たからだった 正確には以前、ゆっくりの愛で動画を観てるときに手違いで虐待動画を観てしまい、そのときに子を殺され叫ぶまりさを観たことがあった その状態に今のれいむは近かった 青年はどうしたら良い解らず、ベッドに茎を投げ入れ部屋を出た …… ………… 『よし、気を取り直して今日からしっかりしないとな』 一晩寝て、どうにか気持ちを切り替えた青年は飼育部屋に入る 『みんなゆっくりおはよう!』 声をかけながら、ベッドを覗き込み絶句した 排泄餡がそこらに溢れ、砂糖水の染みもそこいら中に 更にはぱちゅりーが生クリームを吐いて、真っ黒になり死んでいて ベッドの隅では、身体に痣をつけたまりさとありすが、瀕死のところで震えていた 中心部分では、食べかすをそこら中に撒き散らし、醜く肥えたれいむが寝ていた 『な、な、ん、なに、こ、れ……』 ある程度【ゆっくりという生き物】について知っている虐待家飼育家であれば一目で解っただろう 茎を独り占めしたれいむが糞尿撒き散らし、茎を食べようとしたまりさとありすに攻撃を咥え、空腹とストレスでぱちゅりーは死んだ それだけである しかし、青年は今目の前で起きてることを信じられなかった 青年はゆっくりを知らなさ過ぎた 彼が触れ合ってきたゆっくりは、所詮は人の手でそうなるように仕向けられたゆっくりたちばかり 本当の野山を駆け回るゆっくり、街中を這いずり回るゆっくりを彼は知らなかった 人間に従順な、青年の言う【人間の奴隷】としてのゆっくりしか知らなかったのだ 茎を渡せば、皆仲良く分けて食べると信じていたし 自分のいる場所の近くで排泄なんかしないと思っていたし 仲間に暴力なんて振るう訳ないと確信していた それらが全てぶち壊された 青年は知らなかった 【野生思考のブリーダー】のほとんどは彼のように、人間の管理する自然公園などに住む従順なゆっくりを見てその道を選ぶことを 青年は知らなかった、何故知人がいきなり二種を受けるのを止めたのか それは、試験の難易度より【ゆっくり】という生き物に慣れることが先決だと解っていたから ゆっくり、我がままで自分勝手で気分屋で直ぐに暴力に訴え出る それを教育して、巷に出回っている飼いゆっくりまでにする苦労は計り知れない まずは子ゆっくりから飼育して、徐々に慣らしていかないと、ゆっくりの実態を目にしたときに絶えられない 特に愛護組織所属の愛で派そうだ 彼らが目にするゆっくりの常識とまるで違う姿に、絶望し時には虐待家へ転向する人までいる それほどまでにゆっくりは醜い 『…………ああぁぁあぁぁああぁあぁぁあああああ!!!』 「ゆぅ? なんなのうるしゃい、よぉおあ?!」 青年は叫ぶと、ベッドを持ち上げ、そのままマンションを飛び出し、走り走り、ゴミ置き場まで来ると 感情に任せて、そのベッドをゴミ置き場に投げ捨てた 『はっぁ、はぁ、はあ、違う、あんなの、あんなのゆっくりじゃない、あんなの……』 ブツブツ呟きながら歩く青年の前に、ゆっくりの親子が現れた 小汚い野良ゆっくりの、れいむと小まりさだ 「ごめんね、おちびちゃん、おかーさんがかりがへたで……まりさが、いればもっとおいしいものたべられたのに」 「ゆゆ、いいのじぇ! まりしゃはおかーさんといっしょにいられれば それでいいのじぇ!」 まだ少し赤ゆっくり言葉が残るまりさの言葉に、親れいむは涙ぐむ 青年は、それを見て青年は自分がゆっくりに偏見を持って接していたことに気が付いた 野良でも野生でも飼いでも、ゆっくりはゆっくり 人間のように色々な性格があるのは当たり前だと、青年は思い至り 自分がしてしまった、感情に任せた行動を恥じた 今からでも遅くはない、ベッドを拾って帰ろうと想い その前に、それを気付かせてくれたれいむとまりさにと青年は、ポケットに入っていた飴を取り出した 『なぁ、二人とも、これ一個しかないけど、どうかな?』 「ゆゆ? にんげんしゃん、それはなんなのじぇ?」 『これは甘い、そうあまあまだよ』 「「あまあま!?」」 青年の言葉に、二匹は身体震わせる 野良では決して入手出来ないあまあまを目の前にしたのだから当たり前だろう 二匹とも目を輝かせ、涎を垂らす 『でも、一個しかないから、ごめんな、まりさにあげるよ、はいあ~ん』 「はやくたべたいのじぇ! あ~んなの 「れいむがたべるよ!!」 ゆびゅるべ!?」 『は……?』 まりさの口に、飴を入れようとした瞬間 さっきまで母性を示していたれいむが、まりさを踏み潰した 「はやくちょーだいね! まりさはいなくなったからそれはれいむのだよ! さっさとちょうだいね! すぐわたせこのどれぃいいい!!」 『…………』 青年は無言で立ち上がると、れいむの口に飴を放り投げ 涎を垂らし、醜い顔で飴に喰らい付こうとしたれいむの顔面を、これ以上ない威力で蹴りぬいた これ以降、青年がブリーダーをやったという記録はない
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『楽しいゆ虐合宿 その2』 16KB 愛で いじめ 虐待 自業自得 差別・格差 嫉妬 妬み 希少種 透明な箱 現代 虐待人間 独自設定 続きです。 この作品は教授あきの作品です。 「anko3693 楽しいゆ虐合宿 その1」の直接的な続きですので、そちらを先にお読みください。 希少種が優遇されています。 かなりご都合主義です。 お兄さんが玉の輿に乗っています死ねばいいのに お兄さんが滅茶苦茶愛されていますくたばればいいのに 以上の点に違和感を覚えた方はご遠慮下さい。 あの後、あのれいむ達はジュースを使った俺のれいむよりと同じくらい生き延びた。 双葉さんは例の踏み台を早々に与え、燃えている板を撤去させるように提案した。 なるほど、確かに火種そのものを退けてしまえば燃えることはない。 れいむの方も、最後のオチビという事で熱いのを我慢して3枚除去する事に成功した。 そして最後の4枚目を掴んだ所で、なんと双葉さんがれいむを後ろから蹴っ飛ばし、箱の中に突き落とした。 5匹の子れいむは全て潰れ、自身も4枚目の板の上で生きたまま焼け死んでしまった。 「なかなかに考えましたね……」 「ふふふ、お粗末さまです」 俺も少しアドバイスを出したが、殆どが彼女のアイディアである。 ちなみに、れいむに指示を出している時も笑顔だったが、一番いい笑顔はれいむを蹴り飛ばした時のものだった。 表現しづらい様々な感情を交えた笑顔だった。 例えるなら、天使のような悪魔の笑顔。 双葉さんが去勢したれいむの虐待も終え、次の虐待をすることにした。 「次は少し多いゆっくりを使ってみましょう」 準備が一番面倒なものは黒岩さん達にお願いして組み立ててもらっている。 あとは、使うだろうと思って用意してきたゆっくりをもってくるだけだ。 彼女に少し待ってもらい、車に積み込んだ俺の荷物からゆっくりを持ってきた。 「おまたせしました」 「その子は……ゆっくりもこうでしょうか?」 「もこたんインしたお!」 「その通りです」 希少種の一種である“ゆっくりもこう”である。 「次の虐待のキモとなるゆっくりです」 「ああ、そうそう。頼んでおいたゆっくりって持ってきてもらってますか?」 双葉さんに聞いてみた。 「頼んでおいたというと……けーねですね。黒岩」 「はっ、ここに」 黒岩さんが一匹用の透明な箱を持ってきた。 中には、他のゆっくりとは明らかに別格の扱いを受けているゆっくりけーねがいた。 ブラッシングや風呂などのケアを済ませており、ゆっくりが言う処の『美ゆっくり』に仕上げてある。 「そういえば、どうしてけーねは虐待用ではなく、道具なのですか?」 不思議そうに首をかしげる双葉さん。まぁ、言いたいことも分かる。 ゆっくり虐待が目的なのに、愛玩用のゆっくりを連れてくるというのはおかしい。 「別にいてもいなくてもできますが、まぁ、虐待用ゆっくりに対する嫌がらせにはなりまして」 そう。今回の、引いてはこの合宿において、けーねの出番はこれしかないだろう。 だが、お願いしたということは、つまり出番があるということだ。 「はい、こちらが今回の虐待の舞台となります」 黒岩さんにお願いしてして、今回使う装置をセッティングしてもらった。 十数頭は入る透明な箱が2つ置かれている。 片方はなにもない空の箱A、もう片方は食べ物やゆっくり出来そうな物がたくさんある箱B。 それぞれの箱は、園芸用のビニールトンネル(畑などで見る半円形のアレ)でつながっている。 ビニールトンネルは、箱Aからだいたい2メートル程直進した後、Uターンして箱Bに繋がるという形だ。 ついでに箱Bの上から布をかぶせておく。これで、外から中の様子をうかがい知る事は出来ない。 「ではさっそく、箱Aの方に今回使うゆっくりを入れましょう」 黒岩さんにセッティングしてもらっている間に、今回使おうと思ったゆっくりを選別しておいた。 他のゆっくりとは別の透明な箱に入れてある。 まりさとみょん、ちぇんの3種で、どのゆっくりも成体になったばかりである。 「今回使う3種は、基本種の中でも戦闘能力に優れている部類のゆっくりです。まぁ、あくまでゆっくりの中で、ですが」 「まりさ種もですか? みょん種とちぇん種はわかりますが……」 「まりさは戦闘力があるというより、闘争心が強いゆっくりですね。あと、強さを求める欲求も強いです」 “かりのめいっじんっ”や“さいっきょうっ”と名乗る事が多いのはこのためだ。 「今回欲しかったのは、何か大きな事をしてビッグになりたい、と思うゆっくりです。 まぁ、そういう訳で放り込みます」 透明な箱を箱Aの上でひっくり返す。当然、ゆっくりは箱Aの底に叩きつけられる。 「ゆんっ! ばかなくそにんげん、まりささまになにをするんだぜ!」 「わからないよー。むのうなどれいのかんがえなんてわからないよー」 「ちーんぽっ! たんしょーほうけーい!」 各種で似たような文句があがった。 「あら? としあき様のは大きいわよ?」 「なに言ってるんですか! というより、いつのまに!?」 なんだかんだ言って、まだ行為に及んではいない。 「いつのまに、ですわ。安心してください、私はまだ処女です」 どうやら“深窓の令嬢”という単語の意味を調べ直す必要がありそうだ。 「さて、お前らは優れているゆっくりかな?」 「ゆ? あたりまえなんだぜ! まりささまこそせかいでいちっばんっゆっくりできるんだぜ!」 箱Aのゆっくりの中でも、特に威張り散らしていたまりさが胸(?)を張った。 “優れている”と聞いて、“ゆっくりできる”と返してきたが、ゆっくりだから仕方が無い。 「それが本当なら、俺たちの目の前で証明してもらおうか」 そう言って、ビニールトンネルに火をつけた。 トンネルは一瞬で燃え上がり、あっという間に炎の道が出来上がった。 「本当にお前らが優れているならば、この道をすすめる筈だ」 「そんなことできるわけないんだぜ! めーらめーらさんはゆっくりできないんだぜ!」 「ほう? つまりお前は出来ないという訳だ」 「できるわけないんだよー! わかれよー!」 まぁ、そんな事を言うだろうとは思っていた。 当たり前だ。流石にゆっくりとは言え、火がゆっくり出来るものではない事は分かる。 そして、いくら勇猛果敢(笑)とは言え、自ら火の中に突っ込む程馬鹿ではな「ゆぷぷ! ばきゃだじぇ!」……あるぇ? 「けっきょく、こいちゅらはゆっきゅりできにゃいくじゅなんだじぇ!」 口調が幼いが、まりちゃではない。 「これが“足りないゆっくり”なんですか? 写真で見たよりは普通のゆっくりですが……」 「いえ、これはれっきとした成体ゆっくりです。親から甘やかされて育った為、精神が幼いままなんです」 例えばまりさつむりだとそうなりやすい。そういう場合、群れから役に立たないとして村八分にされる事が多い。 「きょんなめーりゃめーりゃしゃんなんちぇこわくないんだじぇ!」 「そ、そうか……その前に全ゆん、隣りを見ろ」 若干哀れみつつ、箱Bの布を取っ払う。 「あれが見えるだろう。あの大量の食べ物に、ふかふかなベッドが」 『ゆ、ゆわあああ!』 「あれは人間でも滅多に食べられないあまあまだ。ベッドも、人間用の高級羽毛を使用している」 それがどれだけゆっくりしてるかわかるか、と箱Aのゆっくりに問いかける。 「あの箱はこのトンネルの先と繋がっている。つまり、この炎のトンネルをくぐり抜けられれば、あれはそいつのものだ」 「ゆ、ゆ、ゆわああああああ! ありぇはまりしゃのものじゃああああああああ!」 突然、例のまりさがトンネルに突っ込んだ。 「めーりゃめーりゃしゃんなんちぇこわきゅ……やめちぇえええええ! まりしゃのぶりゃんどもののぼうしさんがああああああ!」 案の定、まりさの帽子に火が燃え移る。 「うんぎゃあああああああ! やめちぇにぇ! まりしゃのびはだしゃんをもやさないでゆんやああああああああ!」 「…………」 「…………」 『…………」 場にいる全員が言葉を失った。 あの双葉さんでさえ、あまりの事に呆然としている。 「ま、まぁ、とりあえず、誰か行け」 『ふざけるなあああああああああああああああああああ!」 そりゃそーだ。 「まぁまぁ」 そこで、双葉さんが口を挟んだ。 「冷静に考えてみなさいな。あのまりさはゆっくりしていましたか?」 『ゆ?』 「ゆっくりできなかったから、あれだけ苦しんで死んだ。そういうことです」 優しく語りかける双葉さんの言葉に、ゆっくり達がやる気を見せ始めた。 あともう一押しだ。 「なら、もこう。お前行ってみろ」 準備しておいたもこうを箱Aの方に放り込む。 「ゆん! もこたんインするお!」 あの馬鹿まりさのせいで出番を奪われかけたが、もこうをトンネルに進ませる。 「ゆふふ、ばかなゆっくりだよ! めーらめーらさんにやかれてしぬだけなんだぜ!」 「むだじになんだねー、わかるよー」 「ずるむけ、えーいず」 ゆっくり達が口々にもこうの死を予想し、馬鹿にした。 「もこたんインしたお!」 何事もなく、もこうは箱Bに到着した。 『どうしてえええええええええええええええ!』 馬鹿にしていたもこうが、ゆっくりプレイスに到着した事に箱Aのゆっくり全ゆんが驚愕した。 「さて、無事に向こうに着いたもこうにはプレゼントをやろう」 用意していた小さい箱の中から、例のけーねを取り出してもこうの隣りに置いた。 「ゆっくりしていけ!」 「もこたん、ゆっくりしていくよ!」 もこう種とけーね種は相性がいい。おまけにけーねは最高級のケアによって美ゆっくりとなっている。 「向こうについたら、お前ら好みの美ゆっくりをくれてやる! さあ、誰が挑戦する?」 「ゆゆん! あんなゆっくりしてないゆっくりにできたんだから、まりささまにだってできるんだぜ!」 「めーらめーらさんにやかれるまえにはしりぬければいいんだねー、わかるよー」 「びっくまらぁ!」 もこうという成功例が現れて、二匹目のドジョウを得ようとトンネルに殺到する。 「ゆんぎゃあああああああああああ! あちゅいいいいいいいい!」 「やめろよおおおおおおおおおおおおお! に゛ゃ゛! ぢぇんのゆっぐりじだじっぼがあああああああああ!」 「ちーんぽっ! ちいいいいいいいんぽおおおおおおおおおお!」 当然の如く、阿鼻叫喚が繰り広げられる。 「……すごく、ゆっくりできます」 隣りで双葉さんがうっとりしていた。 中にはカーブを曲がりきり、半分以上進むゆっくりもいる。 その頃になればゴールのゆっくりプレイスが見え出して、余裕が出始める。 「ゆへへ、あともうちょっとで……ゆ? どうしてまりさのあんよさんうごかないの?」 ただ、そこにいたるまでにまりさの底面は完全に焼け焦げていた。 「うごいてね! あともうっちょっとで……うごいてね! うごいてね! うごくんだぜえええええええええ!」 まりさはゆっくりプレイスを目の前に、絶望して焼き死んだ。 「ゆ~ん、けーねはすっごくゆっくりしてるよぉ~」 「もこうもゆっくりしているぞ」 箱Bの方ではもこうとけーねが新婚夫婦のように寄り添ってゆっくりしていた。 それを見ていた箱Aのゆっくり達は、 「ゆがああああああああ! まりささまもゆっくりさせろおおおおおお!」 「らんしゃまといっしょにゆっくりしたいんだあああああああ! わかれよおおおおおおお!」 「ぬれまんこおおおおおおお! くりとりすうううううううう!」 嫉妬に燃えていた。 「おいくそどれい! まりささまをむこうまでつれていくんだぜ! あそこはまりさのゆっくりプレイスなんだぜ!」 「いや、だから、トンネル通れば向こうまで行けるって言ってるだろ。行けよ」 「いいからはやくむこうまでつれていけえええええええええ!」 「らんしゃまああああああああああああ!」 「ちいいいいいいいんぽおおおおおおおおおお!」 残ったゆっくりはまりさ1匹、みょん1匹、ちぇん1匹。 こいつらは、自分から動こうとせず、誰かにゆっくりさせてもらおうとする寄生ゆっくりだ。 「……とまぁ、こうなってしまうとこいつらは動きません」 「どうするのですか?」 「簡単です。動かざるを得なくします」 箱Aのトンネルの入り口の反対側からガソリンを注ぎ込む。 もっとも、トンネルは相変わらず燃えているのでそんなに多くはいれない。 せいぜいコップ一杯くらいだ。 「あとは……燃やしますか?」 「はいっ!」 やりたそうにしていた双葉さんが、マッチに火をつけてガソリンの上に落とした。 「……ゆ? ゆ、ゆわあああああああ! なんでめーらめーらさんがこんなところにいいいいいい!?」 箱Bの方しか見てなかったまりさ達が、突如現れたガソリンの炎に驚愕した。 「ゆ、ゆっくりにげ……れないいいいいい!」 行くも炎、戻るも炎、留まるも炎である。 「に、にんげんさん、たすけてください!」 「たすけてね、わかってよー!」 「ちーんぽ! でかまらー!」 駄ゆっくりが助けを求めてくるが、それに構うつもりはない。 「駄目だ。ほら、トンネルを抜ければゆっくりプレイスなんだぞ?」 突き放しつつ、希望を与える。 「向こうに行けばあまあまさんに、ふかふかさんに、美ゆっくりだぞ? らんさまも用意してあるぞー?」 「らんしゃま! らんしゃまぎゅああああああああああああああああ!」 らん種に異常なまでの執着を持つちぇんが、トンネルに特攻しようとするが、当然そのまま燃え尽きた。 ちなみに、らんがいるのは本当だ。ただし、虐待用のらんであるが。 「みょんよ」 「ちーんぽ? まーんこ!」 助けてもらえると思ったらしく、嬉しそうにぴょんぴょん飛びはねた。 「いや、助けないよ?」 「ちんぽー!」 「だが、これを見ろ」 ポケットの中からある物を取り出し、みょんに見せつける。 「加工所の高級はくろーけんとろーかんけんセットだ。お前にとって、とってもゆっくりできるよな?」 「ペニスうううううう!」 「向こうまで辿りつけたら、くれてやろう」 「ちんぽー、ペニスー!」 ゆっくり出来る武器がもらえると、みょんは勇んでトンネルに飛び込み、 「どおおおおおてええええええええええええええい!」 酷い断末魔と共に炎の中に消えた。 「に、にんげんさん」 最後に残ったまりさが、とても気味悪い笑顔で俺たちに媚びを売ってきた。 「助けません」 「そ、そんなこといわずに……」 「駄目です」 「お、おねがいなんだ「嫌です」どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおお!」 自分の思うようにならず、理不尽だと自分勝手に嘆く。 「ねぇ、まりさちゃん」 「おねーさん? おねがいなんだぜ、まりさをたすけてほしいんだぜ」 マリア様もかくやという笑顔で、双葉さんはこう言った。 「まりさちゃん――――――もう燃えてるわよ?」 「ゆ?」 既にまりさの帽子は完全に燃え尽きて、体の半分が炎に包まれていた。 「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「あぁ、なんていい悲鳴。ちょっと濡れちゃいました」 俺は、なにも聞いてない。 「もこうちゃんが虐待のキモって、こういう意味だったんですね」 2つ目の虐待を終えて、双葉さんが合点がいったようだ。 「ええ。もこうは炎に耐性があるどころか、自分で出した炎を制御出来ます。あと、不老不死説もありますしね」 中枢餡さえ破壊されなければすぐに復活する異常な程の治癒力を持っている。 別名ふしちょうゆっくりである。 「それで、次はその子を焼くんですか?」 「焼きません!」 「そうですよね。炎に耐性があるんだから、焼いても……あ、それってつまり焼き放題!」 「違います。それに、こいつは加工所の忘年会で貰った俺の飼いゆです。虐待に使っても、虐待するつもりはありません」 「もう、冗談ですよ」 まったく冗談を言ってる顔には見えないのだが。 このまま話を進めると、もこうが火炎地獄行きになりそうなので、解説をすることにする。 「実は、通常種は希少種をゆっくりとして認識していますが、特殊能力がある事を知らない事が多々あります」 「なるほど、それで自分たちにも出来ると勘違いしたんですね」 もこうの炎耐性の事を知っていれば、あのゆっくり達はトンネルを潜ろうとはしなかっただろう。 「ゆっくりにとってゆっくりできるという事は、優れているという意味です。 双葉さんが『あのゆっくりが死んだのはゆっくりできないから』と言っていましたが、まさにその通りです。 そして、実はあの時点で、まりさ達はもこうの事を自分たちよりもゆっくりできてないと思っていました。 しかし、無理だと思っていたら、自分たちよりもゆっくりしてないゆっくりが出来てしまった」 「もこうちゃんにできるなら、自分にもできる――そういうことですね」 彼女の結論に、俺は肯定の意を込めて頷いた。 「もこうにも出来る試練で、今自分が見ているゆっくりプレイスが手に入る。 そう考えた結果、火がゆっくりできないものだと知っていたのに、火の脅威を軽く見るようになりました」 実は大したことがないと思い込んだため、あのように自分から炎渦巻くトンネルに飛び込んでいったのだ。 「ところで、けーねはどうしますか?」 「あー」 すっかり忘れていた。 もうこれでもかとゆっくりしていた。 ゆっくりするどころか、けーねの頭に茎が生えていた。 「なに妊娠させとんじゃああああああああ!」 「ゆげっ!」 箱Bの中からもこうをとりだして、地面に叩きつけた。 びっくりした! まさか希少種同士でこんなに早く妊娠するとは……。 「あらあら。でも仕方がないですし、このけーねは私が飼うことにします」 「えっ?」 予想外のところから、もこうに助け舟が入った。 「としあき様がゆっくりを飼っていらっしゃるのなら、私も飼うことにします」 箱からけーねを取り出して、2つの肉まんの前まで持ち上げて頭を撫でた。 「大丈夫なんですか?」 「大丈夫です。としあき様に育て方を教えてもらうでしょうが」 慈母のように優しく茎のついたけーねを抱きしめる。 ところで、けーねの茎についている赤ゆはもこう種4とけーね種2である。 ……赤ゆが成長したところで焼くつもりだ、この人。 「それに丁度いいじゃありませんか。私ととしあき様が結婚すれば、自動的にこの子達は夫婦になるのですから」 「あは、あはは……」 マリア様の微笑が怖い。 おまけ 「そうそう、忘れてた」 「ゆ? ゆがっ!」 もこうに緑色の液体を無理やり飲ませる。 「にっがっ! じみににっがっ!」 「あれだけあまあま食ったからな。ちゃんとリセット茶を飲んでおけよ」 「にがいっ! でもあまい! だけどやっぱりじみににがいっ!」 リセット茶。加工所で発売している躾用飲料だ。 致死量寸前の苦味に、ほんの少しの甘みを加えた飲み物で、甘いものを食べ過ぎて肥えた舌を元に戻すお茶だ。 大抵のゆっくりには効果があるが、これで駄目なら諦めたほうがいい。 「けーねはオチビちゃん産んでからね?」 「ゆ゛!」 あとがき お姉さんいい性格してるなぁ、と思いました。 ついでに、いい具合にアホになってるなぁ、とも思いました。 きっと本当にお兄さんの事が好きなんだと思います。 とりあえずお兄さんは死ねばいいと思います。 読了、ありがとうございました。 今までに書いた物。 anko3561 ゆっくりぱるすぃ anko3586 ゆっくりしけんするよ anko3592 ゆっくり燃えつきろ anko3638 ゆっくり剣道道場 anko3642 とよひめと桃の恨み anko3651 ハウスキーパーみょん anko3663 オチビちゃんは…… anko3690『ゆっくり』とは anko3693 楽しいゆ虐合宿 その1
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『冬の日の水上まりさ』 5KB 不運 自業自得 飼いゆ 加工場 現代 タイトルに水上まりさとありますが、便宜上のもので、水上でも大丈夫なただのまりさと考えてください 『ゆっ…ここはどこなのじぇ…?』 ある朝、まりさが目覚めた。 『ゆゆっ!?おぼうしがないのぜ!おぼうしさん!いじわるしないででてくるのぜ!!』 『ゆふぅ~…あんよのしたにあったのぜ…ここはおみずさんのうえなのぜ?』 安堵も束の間、風がまりさを襲う。 ビュッ! 『ゆっ!!しゃ、しゃしゃ、しゃむいのぜ~!!!くそかいぬしははやくだんぼうさんをだすのぜ~…』 ガクガクガク 『そ、そうなのぜ!まりさはあのくさりにしばられたつまらないいえからどくっりつっ!したのぜ!!』 『まりさはひろいせかいでけんしきをひろめて、このよのはしゃとなるのぜ!せいふくおうなのぜ!!』 『もうくそかいぬしはいないのぜ!まりさをしばりつけたたくずはいつかどれいにしてやるのぜ!!』 『ゆっ!?あのにんげん、こっちをみてるのぜ!!まりささまをただでみようなんてゆるされないのぜ!!』 『いませいさいしにいくのぜ!!どれいいちごうにしてやるのぜ!!でも、かげんできないかもしれないのぜ~~?』 『ゆ~へっへっへ!!ないてわびてもおそいのぜ!!いまきのえださんをつかってそっちに…』 まりさは帽子の中からオールを取り出した。 『ゆっ!そこでまってるのぜ!!』 カツンッ!カツンッ! 『ゆっ…?』 動かない。 カチンッ!!カチンッ!! 『どうしてすすまないのぜ!?おみずさんはいじわるしてるのぜ!?』 ガガンッ! 『いいかげんにしないとぷくーっ!するのぜ!? もうおこったのぜ!!ぷくーっ!!』 水面は何も言わない。 『どうしちぇいじわりゅしゅりゅのじぇー!!まりちゃはしゅしゅみちゃいだきぇなのじぇー!!』 まりさは泣き喚く。 「なにやってんだ?あいつ…」 公園のベンチで、男が小さな池の上で泣き叫ぶまりさを見ていた。 このまりさは飼い主への反抗が酷くなり、ついに我慢の限界を迎えた飼い主にラムネで寝かされ、池の中に放置された。 奇跡的にれみりゃにも襲われず夜を越えた魔理沙だったが、現在は真冬だ。 池には氷が張り、動けなくなって今に至る… 「なんか突然泣き始めたし…」 早朝、散歩をしていた男がまりさを見つけた。 まりさの言うところの「どれいいちごう」候補が彼である 少しして、男はまりさが動けなくなっているのは把握した。 「どんだけ馬鹿なんだよ…」 彼はゆっくりが好きではなく触りたくはないが、虐待が好きという訳でもない。 このまま死なれたら少し寝覚めが悪いので、助言をしてやることにした。 『ゆぇぇえええん!!!たすけちぇおにいしゃぁぁぁん!!』 元の飼い主に助けを求めるまりさ。そこに… 「おい、お前」 『ゆううぅうう!にんげんしゃん!まりしゃをたすけちぇええ!!』 「水が固いんだったら、上に乗れば出られるんじゃないか?」 『ゆっ…?』 『ゆぅううっぅう!!そうなのぜ!!そうすればでられるのぜ!!』 腐っても元飼いゆっくり、理解は早かった。 『にんげんさん!!ありがとうなのぜ!!かんしゃするのぜ!!』 「別に構わないよ。じゃあ、達者でな。」 男はそのまま公園を立ち去っていった。 まりさは男をせいっさいっすると言ったことは完全に忘れていた。 『そうとわかればおりるのぜ!!まりさのかがやかしいみらいへのいっぽがいまふみだされるのぜ!!』 ピョンッ!と跳ねるまりさ 『……ゆゆ~?』 『ゆんぎゃあああああ!!ちゅめたいのじぇ~!!!』 まりさが飛び乗ったのは氷上。冷たいに決まっている。 それに我慢弱いゆっくりであるまりさに耐えられるはずはない 『ちゅ、ちゅべ、ちゅ、ちゅべたいのじぇ~~!!だれかにゃんとかしゅるのじぇ~!』 転げまわるまりさ 『はやく、むこうがわへ、いくのぜ、…どぼぢであんよしゃんうごきゃにゃいにょ~~!??』 氷の冷たさでまりさのあんよは凍傷のような状態になった。 それに氷と言っても、少なからず水分は乗っている。転がったまりさの体は溶けかかっていて、もう動かない。 『ゆぐっゆぐっ…まりしゃのぼるとさんすらりょうがするしゅんっそくのあんよしゃんが…』 身動きの取れないまりさ。我慢できない痛みと冷たさを受けながら、ただただ泣くばかりだった。 しかし、まりさに降りかかる苦難はそれだけではすまなかった 日が昇る。今日は比較的暖かい日であった。 『にゃんかぽーかぽーかなのじぇ………ゆゆ!?どぼじてからだがおみずさんにつかってるの~!!』 つまり、氷はすぐに溶ける。 小さくなった氷は、まりさの体重を支えるには心許ない 『ゆっぷ、ちゅめた、ちゅべたい!おみずさんはゆっくりできないぃ~!!!』 順調に氷は溶けて行った。本日は快晴である。 『ゆぎぇ、あんよしゃん、とけちゃだみぇ、もう、ぴょんぴょん、できなく、なるのじぇ』 もう、まりさの体は半分水につかっている 『ゆびゃ!おみずさん!あやまるのじぇ!!ごみぇん、なしゃい、なのじぇ!たすけちぇ、うっぷ、ほしいのじぇ!!』 口に水が入っていく 『(どぼじでごんなごどに…!)』 まりさはじぶんのゆん生を思い返す。 ペットショップで生まれバッジ教育を受けたことを。 売れ残って処分寸前だったところをに飼い主に飼われたことを。 飼い主が自分を可愛がってくれたことを。 飼いゆとしてのルールに嫌気がさして反抗を始めたことを。 躾をされているとき、噛み付いたことを。 飼い主の家を荒らして物を壊したことを。 そして、そのときの飼い主の悲しそうな顔を… まりさは自分の過ちに気付いた。自分がやってはいけないことを、恩を仇で返したことを。 『ごびぇんなしゃい、おにいしゃんごびぇんにゃしゃい!!はんしぇいしちゃのじぇ、まりちゃをたすけちぇぇぇ!!』 だが、気づくのが遅すぎた。 もし今飼い主に掬われても、まりさの体は救える状態ではない。 『(ごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざい…)』 まりさは誰にも聞こえない懺悔をしながら、沈んでいった。 その顔は、とてもゆっくりできないものであった… 広い世界を見て、世の支配者になることを志したまりさ。 広い世界に出ることなく、小さな池すら支配出来ず、その一生を終えた。 ‐完‐ 近年のゆっくりの飼い主のモラルは低下する一方です。 捨てるならきっちり潰す。または加工所に連絡しましょう。 過去の作品 anko3815 はだかのれみりゃ anko3817 みにくいれみりゃのこ anko3826 れみりゃのカリスマ教室 anko3863 ランプの精 挿絵:
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『選んだのはお前だ』 26KB 自業自得 育児 追放 家族崩壊 同族殺し 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 自然界 現代 うんしー 6作目。古典文学はゆっくりできるね!先人たちに感謝感謝だよ! ゆっくりを飼うというのは難しい。 たとえ躾や教育をしっかりしたとしても、ふとしたきっかけですぐにゲス化したりする。 ゲスにならなかったとしても、ほんのちょっとした事が致命傷になるのがゆっくりという生き物だ。 だから飼い主は備えなければならない。 ゆっくりを飼う者はゆっくりの習性……そのアキレス腱について…… それでも奮戦空しく、もし「そのとき」が来たのならば決断しなければならない……! たとえそれが長年、家族として暮らしてきた仲であろうとも。 飼い主としての義務を果す為に……非情の決断をしなければならない。 「ゆゆ~ん♪おちびちゃん、ゆっくりしていってね~~♪」 「……ゆっ?あっ!おかえりなさいおにいさん!みてみて!まりさにおちびちゃんができたんだよ!」 「かわいいおちびちゃんだよぉ~♪あたらしいかぞくができてゆっくりできるね!」 「おちびちゃんといっしょにこれからも、もっともっとおにいさんをゆっくりさせてあげるからね!」 「だからおちびちゃんのために、れいむにあまあまちょうだいね!」 「いますぐでいいよ!もちろんたくさんだよっ!」 ……俺が家に帰ると、俺の飼いゆっくりである銀バッジのまりさが出迎えてくれた。 だがそれはまあいいんだ。それは……問題は頭から茎を生やした見ず知らずの汚いれいむもいるということだ。 さっきのセリフから考えるに、うちのまりさが野良れいむを家に連れ込んで勝手にすっきりー!したということか? で、ちびができたから甘い物よこせと……よしOK、だいたい状況は把握できた。 「ゆ~?お兄さん、なんでおへんじしてくれないの?まりさはあかちゃんのためにあまあまをもってきてって……ゆぎゃっ!!?」 俺はまりさを平手でぶん殴った。 とはいっても充分、力を加減しているが……それでもまりさは床をごろごろ転がっていった。 「ま、まりさぁぁぁ!?」 「ゆ……ゆぐっ……!?い、いたぃぃぃぃぃっ!!な、なんでぇぇぇ!?どぼじでごんなごとずるのぉぉぉぉ!!?」 「まりさ…なんで野良と子供を作った?」 「……ゆっ!?」 「見たところ無理矢理れいぽぅされたわけでもないようだが。どうしてこんな事をした?答えろまりさ」 頼むまりさ。お決まりの言い訳だけはしないでくれ。なにかの間違いであってくれ。 俺は心の中で必死になにかに対して祈った。だがその祈りはあっさり裏切られた。 「だ……だっておちびちゃんはゆっくりできるんだよぉぉぉぉ!? あかちゃんをみせれば、おにいさんもよろこんでくれるとおもったんだよぉぉぉぉっ!? いいことをしたのになんでばりざをぶつのぉぉぉ!!ねえなんでぇぇぇぇ!?」 ………はあ~~~~~~…………… 俺の人生でかつてこれほどまでに深い溜息をついたことが他にあっただろうか? 今まで飼い主として愛情注いでまりさを躾てきた事のすべては無為で…徒労で…無駄……無駄だったというのか……? 「へー……俺が喜んでくれると思ったってぇ……?嘘をつけっ!単にお前自身が子供を欲しがっただけの話だろうがっ!」 「ゆひぃ!?」 「なあ……俺は今までさんざん野良と子供を作ってはいけないとまりさに言ったぞ? それがゆっくりを飼う為には、どうしても守らなきゃいけないルールだからってちゃんと説明したよな? それでお前もゆっくり理解したよ!といつも返事してたじゃねえかっ!」 「ぞ、ぞれはぞうだげどぉぉぉ……!」 「それをこんな汚い野良れいむなんかを連れ込みやがって……やっていい事と悪い事の区別すらできないのかお前はっ!?」 「れ、れいぶをわるくいわないでね!れいぶとまりざはまさにうんっめいっ!のであいだったんだよ!」 「運命だぁ……?どう運命だってんだ言ってみろ」 「ま、まりさはまいにちひとりでさびしくおるすばんをしていたよ!そんなとき、おにわにあらわれたのがれいむだったんだよ!」 「要するにその野良が俺の家の庭に忍び込んできやがったってわけか」 「れいむはおなかをすいてたよ!だからまりさはごはんさんをわけてあげたよ!」 「おい野良に餌付けすんなってバッジ試験のときにさんざん教えただろうがよ」 「いっしょにごはんをたべたら、ふたりのあいだにあいがめばえたんだよ!だからあいのあかしをつくったんだよ!」 「食欲を満たしたから次は性欲を満たしただけの話じゃねーか。それのどこが愛だアホらしい」 くそ……聞けば聞くほど腹が立つ。 まりさに開けられないように家の窓や戸に全部カギをかけてから仕事に行けばよかった。今さら後悔しても遅いが…… 一方まりさは言うだけ言ったからか、どや顔で偉そうにふんぞりかえっていやがる。 「わかったおにいさん?まりさとれいむはうんっめいっのであいでむすばれた、とくべつなかっぷるなんだよ!」 「ゆゆ~んまりさ~♪」 「ふたりはとくべつなんだから、うまれてくるおちびちゃんもとくべつなんだよ!だから……」 「だからその野良とガキも俺が飼えっていうのか?」 「そうだよ!」 「…………なあ、ひとつ聞かせてくれまりさ。お前が本気でその野良れいむを好きだと言うのなら…… なんでおとなしく俺の帰りを待たなかった?」 「ゆっ?ゆゆっ?ど、どういうこと?」 「まりさ。お前は俺が野良を嫌っているという事をよーく知ってるはずだ。 今までこの家を乗っとろうと、のこのこやって来た野良どもを駆除する光景を何度も見ているからな。 とぼけているが野良と子供を作ってはいけないという事も理解している。だから聞きたいんだ…… なんで俺が帰ってくるまで待って、駄目元でも野良れいむも飼ってくれと2人で真剣に俺に頼み込もうとしなかった?」 「ぞれは……だ、だっで……お、おにいさんはのらはゆっくりできないっていうがら……たのんでもむりだとおもって……」 「だから既成事実さえ作ってしまえば、なし崩し的に俺が認める……認めざるをえないと考えたんだな? 子供さえできればこっちのものだと思ったんだろ?」 「な、なんでわがるのぉぉぉぉ!!」 「バカだなお前。本当にバカだ。もし蹴られようが怒鳴られようが土下座しようが誠心誠意、命をかけて頼み込んだならば 俺だってもしかしたら心が動いたかもしれなかったのに」 「ぞんなぁぁ……い、いまさらそんなこというなんてずるいよぉぉぉ……」 「そうやって苦難に立ち向かうよりずる賢くごまかす方を選ぶとはな。お前には失望したよ、まりさ」 「ち、ちがうよぉぉぉぉっ!まりさはぁぁっ!まりざはぁぁぁぁっ!!」 「まりさ……お前は親になれる器じゃない。番を、子供をもつ責任というものがまるでわかってないみたいだ」 「ぞんな!ぞんなごとない!ばりざはりっぱなおどうざんになるんだぁぁぁっ!!」 あれほどムカついてたのに急速に怒りの感情が収まってきた。次に湧き上がる感情はまりさに対する憐れみと悲しみだけだ。 もういいい……まりさの返答がもう少しマシなものだったならば、れいむと赤ゆの追放とお説教だけで済まそうと思ってた。 ……がもう無理だ。観念しよう。俺は飼い主の義務を果すしかないようだ。 「……はっきり言うまりさ。俺はその野良れいむも赤ゆも飼わない」 「ぞ、ぞんなっ!?」 「そこの野良れいむは茎ごと今すぐ潰す」 「やべでね!ぞんなひどいごとじないでねっ!?」 「仕方ないだろ、ゆっくりを飼うためのルールは絶対なんだ。飼い主の俺であっても抗うことはできないんだよ」 「ひどいっ!ひどいよぉぉぉ!ぞんなのひどいぃぃぃぃっ!!」 「もう一度言うぞ……飼いゆっくりは野良ゆっくりと子供を作ってはいけない、それが飼いゆの絶対のルールだ」 「やだぁ!やだぁぁぁ!ぞんなのゆっくりできないっ!まりさはおちびちゃんがほしいっ!ほしいっ!ほしいぃぃぃぃ!!」 「そうか。ならば……まりさは俺の飼いゆっくりをやめてもらう」 「おちびじゃんがだめなんでぞんなのいやじゃぁぁ!いや・…………ゆっ?」 「まりさ。お前は、今日から、野良だ」 俺はピタッと泣き止んで呆然としているまりさの帽子から銀バッジを外した。 そういえばこいつ取らせるのもずいぶん苦労したよなあ……俺は未練を断ち切るようにバッジをゴミ箱に投げ捨てた。 「な、なんでぇぇぇぇっ!?どぼじでばりざのばっじさんとっちゃうのぉぉぉ!がえじてね!がえしでねっっ!!」 「まりさ。これからお前を捨てる」 「がえじ……ゆゆうっ!?」 ことあるごとに子供のようにみっともなく泣き叫んで駄々をこねるまりさだったが…… ことここに至りさすがに事態の深刻さを感じとったのか、信じられないという目で俺を見上げる。 ちなみの野良れいむはまりさの後ろ、少し離れた場所からこちらに対して不安そうに様子をうかがっていた。 「まりさを……すてるの?」 「ああ」 「かいゆっくりをすてるのはだめなんだよ……?ほうりつさんできんしされてるんだよ……?」 「飼いゆっくりの最低限のルールも守れない奴にそんなことを言う資格はない」 「ま、まりさがいないとおにいさんはゆっくりできないよ?そんなのいやだよね?」 「俺のことは心配すんな。お前と違って自分の面倒は自分で見れるからな。それより自分の心配をしたらどうだ?」 「ひ、ひどいよぉぉぉ……まりざは、いままでいっぱいおにいさんをゆっくりさせてあげたでしょぉぉぉ? なのになんでまりざをずてるなんてひどいこというのぉぉぉ?」 「おいおい俺だってお前の衣食住の世話をして、さんざんゆっくりさせてやったじゃないか。ギブアンドテイクだろ?」 「ぞれは……で、でぼ!でぼぉぉぉ!」 「やれやれ。もっとはっきりと言わないと分からないか……いいかまりさ。俺がお前を捨てると選んだわけじゃないんだ」 「……ゆっ?」 「お前だ。お前が選んだんだ。お前自身が飼いゆっくりをやめることを選んだんだ。他の誰でもないお前が決めたことなんだ」 「ゆ……ゆっ?ゆゆっ!?」 「俺がまりさを捨てるんじゃない。まりさが俺を捨ててその野良れいむを選んだんだよ」 「な、なにをいっでるのぉぉぉ!まりざはおにいざんにゆっくりじでもらおうと……」 「それは禁止されたことをあえて破る自分を正当化するために、自分に対してそう言い聞かせただけの単なる言い訳だろ。 俺の為だなんて嘘っぱちだ。全部まりさが自分の為だけにやったことだ」 「ゆぐぅぅぅ!?」 「だからさ……俺も、野良れいむも、赤ゆも、全部欲しいなんてそんな都合のいい要求は通らないんだよ」 「俺か?野良れいむとそのガキか?どちらか一方をとるしか選べない。他に選択肢はない。 せめて子供をこさえる前に深く考えて踏みとどまっていれば、もう一つの選択肢があったものを……」 まりさが思い描いていた調子のいい未来……それは容易に想像がつく。 それはこの野良れいむを番にして、たくさんの子供を産ませて、その子供たちに囲まれて、 俺に生活の世話をさせて、この家で何不自由なくいつまでもゆっくりと暮らすという都合のよすぎる妄想だ。 俺という他者、それも今まで家族として共に生活してきた者を踏み台にした身勝手な未来像。 だが俺はそんな吐き気のするまりさの妄想など認めない。 なぜならそこには俺の意思だけがすっぽりと抜け落ちているからだ。その夢物語にはまりさと野良れいむの意思しかないからだ。 ふう、もう諦めろ俺……すでに答えはまりさが出したんだ。 その夢物語は実現しない。現実はこうだよとちゃんと教えてあるにも関わらず、 まりさは自分に都合のいい妄想が実現すると勝手に思い込んだ。そして決断した……もっとも愚かな決断を。 だがどんなに浅慮で浅はかで愚かな選択であっても、それはまりさ本ゆんが選んだことなんだ。 ならば本人の意思とやらを尊重しようじゃないか。 「出て行けまりさ。今すぐこの家から出て行くんだ。まりさは本日ただいまこのときから野良ゆっくりの仲間入りだ」 「な、な、な……なにいってるのぉぉぉぉ!?ここはまりざのおうちでしょぉぉぉぉぉっ!!?」 「違うここは俺の家だ。俺が毎年税金納めて維持している俺の家だ。お前は単に住まわせてもらってただけの居候だ」 「ち、ちがうよぉぉぉ!ごごはまりざのおうちでっ!ごのおうちにあるものはぜんぶぜんぶ…」 「俺の物だ。ここには俺が買ってきたものしかない。まりさが自分の力で手に入れた持ち物なんてこの家には何一つないんだ」 「ゆ、ゆぐぐぐぐぅぅぅ!ゆぐぅぅぅっっ……!!」 「ま、まりさぁ……どうしたのぉ?このおうちでれいむとくらすんじゃなかったのぉ……?」 「……まりさ。最後に選択肢をひとつやる。どちらかひとつだけ選べ」 「ゆっ?ゆっ?そ、そのせんたくしさんをえらんだら、まりざをすてるのをやめるんだね!ゆっくりりかい」 「俺は捨てたお前をこの場で潰すか、それともどこかへ捨てるかのどちらかをしなきゃならん。お前はどっちがいい?」 「ぞ、ぞんなのえらべるわげないでじょぉぉぉぉ!!?」 「じゃあ潰すか。俺はその方がいいと思うぞ?どうせ甘ったれのまりさじゃこの先とても生きては…」 「つ、つぶされるなんでやだよぉぉぉぉぉっ!ばりざじにたぐないぃぃぃぃっ!!!」 「わかった」 俺はラムネスプレーを取ると、まりさと野良れいむにさっと吹き付けた。 瞬く間にまりさと野良れいむは眠りにおちる。 まりさは生きること……すなわち捨てられる方を選んだ。 だから眠らせてこれから郊外の自然公園にでも捨ててこようと思う。 飼い主としては本来ルール違反だが最後の最後だ。大目にみてほしい。 こんなバカでも俺にとっては大事な家族だったんだから…… 「おにいさぁぁぁんっ!どこにいるのぉぉぉぉ!?いじわるじないでぇぇぇ!ばりざをおうちにかえしてよぉぉぉぉぉっ!!」 「まりさぁ……もうむりだよぉ。あきらめようよぉ……」 気がつくとまりさ一家はどこともしれぬ林の中にいた。 ラムネによる眠りから覚めて最初は「ゆっ?ゆっ?」と寝ぼけて辺りを見回していたまりさだったが、 意識が覚醒するとともに飼い主とのやり取りを思い出す。 たちまち青くなってまだ近くにいるであろうお兄さんに必死に呼びかけた。辺りを探しまわった。 野良なんて冗談じゃない、こんな所じゃゆっくりなんてできるわけがないとばかりに。 だがいくら泣きながら必死に叫んでも、お兄さんは一向に現れず……まりさは渋々ながらお兄さん探しを諦めることにした。 まりさは捨てられたのだ。 その現実感はまだなかったが、ともあれ生きる為にまず住居の確保をしなくてはならない。 だが幸運なことに住まいはすぐに見つかった。 少し離れた所で、れいむが木の根元にちょうどいい穴を見つけたのだ。 室内育ちのまりさは洞窟に住むのを嫌がったが他に住めるところがない以上仕方がない。ここに居を構えることになった。 「じゃあつぎはごはんさんをみつけないといけないね!れいむはあかちゃんがいるからうごけないよ! まりさ、かりにいってきてね!」 「わかったよれいむ!まりさ、あかちゃんのためにいっぱいのあまあまさんをとってくるからね!」 30分後、まりさはなんの収穫もなく泣いて巣に帰ってきた。 「れいぶぅぅぅ!どこにもけーきさんやちょこれーとさんがおちてないよぉぉぉ!?なんでぇぇぇぇっ!?」 「………」 結局……野良生活に長けたれいむがまりさの付き添いで狩りにいき、まりさにどれが食べられるもので どれが食べられないものかをレクチャーする羽目になった。 先が思いやられる事ではあるが幸運なことにこの自然公園は餌が豊富であるため、さしたる苦労もなく充分な量の餌が確保できた。 「れ、れいむ?これが……ごはんさんなの……?」 「そうだよまりさ!ここはすごいよっ!おいしいくささんにいもむしさんやばったさんがたくさんいるよ! れいむこんなごちそうたべるの、うまれてはじめてかもしれないよ!」 「そ、そう……?」 「じゃあさっそく、むーしゃむーしゃしようねまりさ!むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「むーしゃ……むーしゃ……しあわせー………」 れいむの手前こんなもの食べられないとは言えず、仕方なく草や虫を食べるまりさ。 ゆっくりフードや菓子の味に慣れてしまったまりさの舌には到底あいそうもない食事。 途中何度も吐きそうになった。ただひたすら不味かった。だがこの食事に味に慣れなければならない。 そうだまりさはお父さんになるのだから…… (おちびちゃんさえうまれれば、のらせいかつでもゆっくりできるようになるはずだよ! だっておちびちゃんはゆっくりできるんだから!ぜったいにまりさをゆっくりさせてくれるはずだよ!) そう。それだけがまりさの心の支えであり、飼い主に捨てられたショックを誤魔化すための最後の防衛線であった。 こうしてまりさは生まれてくる子供を心の支えに毎日慣れない狩りをする生活を始めることとなった。 とはいえ、れいむのレクチャ―を受けたとはいえ室内育ちのひ弱さである。 不器用で要領も悪いから毎日すり傷だらけで帰ってくる。そこまでしてもとってきた餌の量が少ないのでれいむに怒られる。 知識不足から毒が入ってるものを食べかかって、れいむに慌てて止められた事も一度や二度ではない。 それでもまりさはがんばった。子供のために。子供にゆっくりさせてもらう為に。 そしてまりさ達が捨てられてから数日後……ついにれいむは出産の時を迎えたのであった。 「ゆゆっ!あかちゃんがそろそろうまれそうだよ!」 「おちびちゃん、ゆっくりうまれていってね!」 茎に実った4匹の赤ゆがぷらんぷらん揺れる。そして……一番先端にいた赤れいむが、 下に敷いたまりさの帽子の上にぽとんと落ちた。 「ゆっくちちていってねぇ!れいみゅはれいみゅだよ!」 「ゆわぁぁぁ~~~!とってもゆっくりしたおちびちゃんだよぉぉぉっ!」 「ゆっくりしていってね!まりさはまりさだよ!」 こんな調子で四匹の赤ゆは全員無事にこの世に生を受けた。内訳はまりちゃ×2、れいみゅ×2である。 まりさは今までの苦労がすべて報われたかのようにゆっくりした。赤ゆ達を見てこれ以上ないほどゆっくりした。 だってかわいいのだ、赤ゆがこんなにかわいいものだとはまりさは知らなかった。 それも自分の餡子を受け継いだ子と思えばなおさらゆっくりできるというものである。 「おちびちゃん!まりさとすーりすーりしようね!すーりすーり!」 「ゆゆ~ん♪おちょうしゃんくすぐっちゃいのじぇ~」 「からだがよごれちゃってるよ!いまおとうさんがぺーろぺーろしてあげるよ!」 「ゆー♪ゆっくち!ゆっくち!」 「うふふ!まりさったらおおはしゃぎだよ!よほどおとうさんになれたのがうれしいんだね!」 「もちろんだよ!まりさこれからもがんばるよ!おちびちゃんたちのためにもりっぱなおとうさんになってみせるよ!」 「そのいきだよまりさ!れいむもおうえんするからね!」 新しい家族の誕生に決意を新たにするまりさ。 だが……皮肉な事にまりさがゆっくりできたのはこの日が最後であった。 「まりさぁ……ごはんさんが足りないよ。もっとたくさんとってきてもらわないと、おちびちゃんがおなかをすかせちゃうよぉ」 「ゆぇーん!おにゃかすいちゃあー!」 「まりちゃ、おにゃかぺーこぺーこなんだじぇぇぇぇっ!!」 まりさ一家の食糧事情が一変した。 そりゃあ食べ盛りの赤ゆが一気に四匹も増えたら大量の食料が必要になってくるのは当然だ。 この自然公園は前述のとおり餌そのものは豊富である。 だが狩り担当である親まりさの狩りの腕がいまだ充分に上達していないので家族全員が満足できるだけの量をとってこれないのだ。 「あさからずーとかりばかりでつかれたよ!まりさ、きょうはもうかりにいきたくないよ!」 「でもぉ……」 「そんなにいうんなられいむがかりにいけばいいでしょ!れいむはまいにちまいにち、おちびちゃんとあそんでばかりでいいよね!」 「ゆゆっ!?」 「こそだてなら、まりさにだってできるよ!だからこうたいだよ!こんどはれいむがかりにいってきてね!」 「ゆぅ……それもそうだね。じゃあれいむがかりにいってくるよ!まりさおちびちゃんたちをよろしくね!」 まりさの逆切れ的提案にもかかわらず、その提案に一理あると思って狩りに赴くれいむ。 野良生活が長く、まりさよりも狩りの腕にも長けている自分がいけば餌をたくさん取れると判断したからだろう。 ちなみに言うがこのれいむは世に言うゲスではない。 善良で、慎み深く、バカだが、子供に対しては底無しの母性をもつ本物の「れいむ」だ。 もしバッジ試験を受けさせたら銀は当然、金バッジの取得すらも夢ではないだろう。 まこと、まりさごときにはもったいないよくできた嫁である。 もしまりさが子作りを踏みとどまって説得路線でいっていれば飼い主のお兄さんがれいむの資質に気付いたかもしれない。 そうしたら二匹揃って飼いゆになれてただろうが……まあ今さら言っても仕方ない。 「さあおちびちゃんたち!おとうさんとゆっくりしようね!」 「ゆっ?でもごはんしゃん……」 「ごはんさんは、いまれいむおかあさんがとりにいってるよ!もうすぐむーしゃむーしゃできるから、 それまではおとうさんとゆっくりしようね!」 「ゆーん♪ゆっくちりきゃいしちゃよ!」 「ゆっくちちゅるのじぇ!」 まりさは赤ゆの世話なんて正直たいしたことないものだと思っていた。 適当に遊んでやればそれでいいのだと。だがその甘すぎる認識はすぐに改められることになる。 「ゆー!れいみゅ、うんうんしちゃくなっちゃよ!」 「ゆゆっ?や、やめてね!うんうんするのなら、といれさんでしてね!べっどさんでしな……あああああああっ!?」 「すっきりー!……ゆっ?ゆええええん!なんりぇうんうんしゃんがあるにょぉぉぉ!くちゃいいいいいい!」 「なにいってるのぉぉぉぉ!?いまじぶんでしたからうんうんさんがあるんでしょぉぉぉ!?」 「ゆっくち!ゆっくち!まりちゃたちはおそとをぼうっけん!するんだじぇ!」 「だ、だめだよぉぉぉ!おちびちゃんだちがおそとにいくにはまだはやすぎるよぉぉぉ!」 「だいっじょうぶなんだじぇ!まりちゃたちはさいっきょうじゃからにぇえ!」 「いいからべっどさんにもどってよぉぉぉぉ!」 「ぴょんぴょんちゅるよ!(びたんっ!)ゆえええええん!ころんじゃっちゃよぉぉぉ!おきゃおがいたいぃぃぃ!」 「ま、まっててね!いまぺーろぺーろしてあげるからね!」 「ゆぇぇぇぇん!おちょうしゃんはやきゅしちぇえ~~~~~!」 「はやくうんうんさんどこかにやっちぇ!くちゃいいいいいいっ!!」 「おちょとはもうすぐなのじぇ!ゆっくち!ゆっくち!」 「びえええええん!はやくぺりょぺりゅしちぇぇぇぇぇっ!!」 「ど、どぼじでええええええ!?どぼじてみんながっでなごとばかりずるのぉぉ!?みんなゆっくりしてよぉぉぉぉぉっ!!」 赤ゆっくりは小賢しい程度の知能、身の程知らずなまでの好奇心、そして脆弱な身体と三拍子揃ったやかましい生き物だ。 ほっておけば今見たように、思い思いに好きなことばかりしてとても面倒など見れたものではない。 赤ゆは燃費が悪くすぐ腹をすかせるくせにやたらと行動したがる。それがやっかいだ。 ならどうやって赤ゆたちを育てればよいのか? よくある手段としては赤ゆたち全員一諸でなにかをさせるのが一番だろう。それも赤ゆ達が楽しんでやれるものがいい。 その代表格がれいむ種がよく使う「おうた」である。 ゆっくりはみんな「おうた」を聞くのも「おうた」を自分で歌うのも好きである。 だから親となったれいむは練習と称して赤ゆたちに「おうた」を歌わせたり、自分で歌って聞かせたりするのだ。 「おうた」を練習したらだんだん赤ゆ達は疲れてくる。疲れをとるためにごはんを食べ睡眠に入る。 眠りから覚める頃にはたいてい父親が狩りから戻ってきているだろう。 「おうた」を聞かせて、赤ゆ達を心身ともにリラックスさせてやれば聞き入って思い思いに勝手な行動をとることはないだろう。 そう「おうた」というのはまったく子育ての為にあるのだ。 いかにも母性が強いれいむ種向きの特技であると言わざるをえない。 さて……そういった事情は当然知らないまりさ。 赤ゆ達の制御ができずイライラがつのり、泣きぐずるれいみゅに腹を立てておもわず三つ編みでぶったところを、 ちょうど狩りを終えて帰宅した親れいむに見られてさんざんに怒られた。 この事からまりさに子育ては難しいとれいむに言われた。またまりさ自身もそう思ったので 今後一切まりさは子育てに関わらず、家事と子育てはれいむ、まりさは狩りという元の役割分担に戻った。 だが根本的な問題はなにも解決していなかった。 「まりさぁぁぁ!おねがいだからもっとごはんさんをとってきてよぉぉぉっ!!ごのままじゃおちびちゃんたちがぁぁぁっ!」」 「ゆぴぇぇぇん!おにゃかすいちゃ!おにゃかすいちゃぁぁぁぁ!」 「まりちゃ……もうげんっかいなんだじぇ……」 「むーちゃむーちゃちたいよぅ……」 「う、うるさい!うるさいぃぃぃ!ばりざいっしょうけんめいやってるでしょぉぉぉこれいじょうはむりなんだよぉぉぉっ!!」 まりさは毎日朝から昼まで狩りをし続けた。だがそれでも満足いく食料はとってこれなかった。 日に日に衰弱していく赤ゆ達。別に故意に意地悪しているわけじゃない、まりさの能力ではこれが限界だというだけだ。 親れいむは、できることならば自分で狩りにいきたかった。 でもまりさに留守を任せることはできない。 だからどうしても食料調達はまりさを頼るしかない。 でもそのまりさは今ぜーはーぜーはー言いながらおうちでへたりこんでいるのだ。 「……ちね」 「ゆっ……?おちびちゃんいまなにを」 「こじょもをゆっくちちゃちぇないくずおやは……いましゅぐちね……!」 「ゆっ?ゆゆゆっ??」 「まりちゃたち、なにみょわりゅいことちてないのに……どぼじでごんなめにあわなくちゃいけにゃいにょじぇ……?」 「そうじゃよ…おちょうしゃんはげすりゃよ……!」 「お、おちびちゃんたちぃぃぃ!どぼじておとうさんにぞんなごというのぉぉぉ!?おとうさんにあやまってねぇぇぇ!」 「おかあしゃんうるちゃいよ!げすをげすといっちぇにゃにがわりゅいにょ!」 まりさは赤ゆ達のあまりといえばあまりの暴言に頭の中がまっ白になった。 ゲス?自分がゲス? 子供達のために毎日、必死に公園を駆けずり回ってごはんさんを集めている自分がなぜゲスと言われなければならないのだ? 思えばお兄さんに捨てられてからというものの、ほとんどゆっくりできたことはなかった。 毎日不味いごはんさんを食べて、すきま風が入ってくる寒いおうちで苦労ばかりしてきた。 そこまでして家族に尽くしてきたというのにその子供達からゲスと呼ばれる始末。 なぜだ?なぜ…… 「げすおとうしゃんはしゃっしゃとあみゃあみゃもっちゃきょい!」 「こどみょをうえさせるなんてゆっくちちてないのじぇ!」 「くーじゅ!くーじゅ!」 「ゆっくちちね!ゆっくちちねえ!」 ああ……そうか。こいつらだ。この糞ガキどものせいでまりさはゆっくりできなかったんだ。 こいつらを作ったせいでお兄さんに捨てられた。 こいつらを育てるためにまりさはゆっくりできなくなった。 こいつらだ。こいつらが全部悪いんだ。こいつらさえいなくなれば……まりさはまたゆっくりできるんだっ!! 「おやのわるくちをいうくそちびはゆっくりしねえ!」 「ゆっ!?にゃにこのくそおや!もんくでみょ……ゆびゃ!」 まりさは近くにいたまりちゃにのしかかり、たった一撃で押し潰した。 突然の出来事に他の赤ゆ達、そして親れいむも唖然としている。 怒りが収まらないまりさは即座に次のちびを潰そうと飛び跳ねる。 「だれのせいでまりさがゆっくりできなかったとおもうんだぁぁぁ!!」 「ゆぴっ!?」 「おばえだちのぜいで!おばえだちのぜいでえええええっ!!」 「や、やべ……ゆぷっ!!」 「じね!じね!おばえらなんがもういらないっ!くそなまいぎなちびなんがもういらないぃぃぃっ!!」 「ゆぎゃ!も……もっちょ……ゆっくちちたか……」 「ま、まりざああああああああっ!やべてよぉぉぉ!!お、おちびじゃんだちをごろざないでぇぇぇぇっ!!」 「うるざぃぃぃっ!!れいぶもどうざいだぁぁぁ!まりざのずるごとにいちいちもんくいっでえええええええっ!」 「ゆぎゃっ!?」 今まで我慢に我慢を重ねてきた反動だろうか。 赤ゆを潰すだけではあきたらず、まりさは愛するれいむをも体当たりでつき飛ばした。 壁に叩きつけられたれいむは思わず少量の餡子を吐いてしまう。 すかさずまりさはれいむの上に飛び掛った。何度も跳ねてれいむに確実なとどめを刺そうとする。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりしないでいますぐしねぇぇぇぇ!!」 「ゆぐっ!ゆぐっ!ゆっ………ゆっ……………ゆっ……」 「はあ、はあ……」 飛び跳ねるたびにれいむの息遣いが弱々しいものになっていく。 もうほとんど息遣いが聞こえなくなった時点でまりさはれいむの身体から降りた。 れいむはもう死んだと思ったのだ。だが…… 「ゆっ……ゆっ……どぼじで……どぼじで…ごんなごとに……」 「まだいきてたの!?いますぐとどめをさしてあげるね!」 「……でもしょうが……ないよね…」 「…ゆっ?」 「…れいぶが……まりざを……えらんだんだ…もの……まりざと…ずっど……ゆっくじじだいって……れいむがじぶんで……」 「ゆゆっ!!?」 「しょうがない……よね……れいぶが……まりざ…えらんだ……がら……」 「ゆ、ゆ、ゆあぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?!!」 まりさは夢中になってれいむにトドメを刺した。 愛する者に我が子も、自分の命も、すべてを奪われたれいむ…… だが何故かその死に顔はこれ以上ないほど安らかなものであった。 一方まりさは先ほどの激情はすっかり消え、ただひたすらガタガタと震えていた。 れいむの最後の言葉でまりさは思い出してしまったのだ。飼い主がまりさを捨てたときに言った言葉の数々を…… お前だ。お前が選んだんだ。(この結果は)他の誰でもないお前が決めたことなんだ 「ちがうっ!ちがうぅぅぅ!れいぶとおちびちゃんがげすだっだから!だからばりざはじがたなくっ!」 苦難に立ち向かうよりずる賢くごまかす方を選ぶとはな。 「ぞんなっ!ぞ、ぞんなごとないっ!ばりざはいっしょうけんめいがんばっだ!がんばっだんだよぉぉぉぉっ!」 お前は親になれる器じゃない。番を、子供をもつ責任というものがまるでわかってない。 「だっで……だっで……ばりざじゃ、あれいじょうのごはんさんがみつけられないんだよぉぉぉ。どうしろっていうのぉぉぉ!!」 あのときは立派なお父さんになるんだ!と豪語したまりさ。 だがその結果はどうだ?家族の食い扶持の面倒ひとつ見られず、家族の罵倒に逆切れして全員殺しただけだった。 もうまりさは逃げられない。自分が選んだ未来から。自分が選んだ結果から。 「ちがうよぉぉぉっ!ちがうちがうぅぅ!まりざはただっ!ただゆっくりじたがっただけだよぉぉぉぉ!!」 まりさは半狂乱になって巣を飛び出した。 泣き叫びながら自然公園内を滅茶苦茶に走り回る。ときには転げ回った。 だから……足元に気付かなかった。大きく鋭くとがった石が落ちていたことに。 「ゆぎっ!?い、いたぃぃぃぃぃ!ば、ばりざのしゅんそくのあんよさんがぁぁぁぁっ!?ゆんやああああああああああっ!!」 尖った石をふんずけて、あんよに大きな切り傷を負ったまりさ。 切り傷からは大量の餡子がどろっと流れ出ていた。 動く事が出来ず、あまりの痛さにむせび泣くまりさであったが……残念な事にまりさには泣く時間さえ与えられないようだ。 近付いてくる……黒い兵隊たちが……餡子に釣られてまりさの足元へ近付いてくる。 「ゆっ?ゆゆっ?や、やべでね!ありざんはゆっくじじないでむごうへいっでね!おねがいだがらごっちごないでね! ゆぎゃぁぁぁぁっ!?ばりざのあんこさんたべないでぇぇぇぇぇっ!!」 黒い兵隊……蟻はまりさの懇願にも関わらず、餡子を捕食しては巣に持ち帰る作業をはじめた。 まりさがどんなに泣いて叫んでも蟻はやめないだろう。何故なら蟻にも家族がいるから。大量の食料が必要だから。 まりさは容易に死ねない。身体中の餡子を根こそぎもっていかれ中枢餡に蟻の牙が届いたときにようやく死ねる。 それまでは無限に続くと感じる激痛に、まりさはただただ後悔の念とともに泣き続けるだけだ。 「……ゆっ!!……も……もっど……ゆっくじ……じたがっ………」 遂に中枢餡を食べられ、ようやく永遠にゆっくりしたまりさ。 だがぺらぺらの皮だけとなったその表情にゆっくりとしたものはなにもない。 そこにあるのは後悔、焦燥、悲しみ、ありとあらゆる悲痛な感情。 これがまりさが選択した結果である。他の誰でもないまりさ自身が望みそして選んだ末路なのだ。 今まで書いたもの anko3367人間に飼われるというのは… anko3370野良ゆは人間に関わってはいけないという話 anko3379親の罪は anko3401たすけあい anko3410世紀の凶悪立てこもり事件
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『睡眠体勢矯正器』 5KB いじめ 虐待 観察 いたづら 実験 番い 透明な箱 虐待人間 続きものです 「anko2966 まりさ、ちょこばななさんがだーすき!」と「anko3012 ここはれいむのおうちだよっ!にんげんさんはゆっくりしていってね!」を書いた者です。 続きます。 睡眠体勢矯正器(上) ゆっくりは、眠るときには重心を安定させ、接地面を大きくするために体の下部に内部の餡をあつめて、下半身がだらしなくなったダルマのような形になる。見てくれは実に気持ち悪く、その姿を見ていると、本当にこの不愉快生物にいいところなど一つきりとしてないのだなあ、と半ばあきらめのような気持ちで、踏み潰さざるをえなくなる。 さて、そんな不愉快な饅頭の不愉快な眠り方を矯正するために考えついたのがこの機械だ。今週ビックリどっきりメカ発進。 形状は、上に向かって辺が長いただの長方形の箱に見える。箱の中にはまるで背もたれのような金属製の板が一枚立っているだけで、ぱっと見たらフィギュアを陳列するケースのようにもみえるだろう。しかし、この箱の真価は底面にこそある。 底面は、中央の四十センチ四方の普通のアクリル部を除いて、すべてが金属でできていて、金属面の表面には電熱線が底面から五ミリほど浮かして同心円のように何重にも張られている。唯一熱の通らないのは真ん中のアクリル面だけ、ということだ。そして、その『安全地帯』の一辺に立っているのがさっき見てもらった金属製の『背もたれ』だ。もう、鋭い人にはおおよその使いかたが想像できただろう。わからない人には、これから答え合わせだ。 さて、ここに取り出したるは一匹の肥え太ったくそでい「くそにんげんおばえなにいってるだあぁぁぁ!! でいぶばでいぶじゃなああああああい!!」…………「でいぶはでいぶじゃない」とかどんな禅問答だよ。 とりあえず、人間語のような喚き声は無視して、でいぶを箱内にダンク。 「ゆぶべっ!?」 落とされたでいぶは、痛みに狭い箱内で「ゆがああああああああ! でいぶのぱーふぇくとなびぼうがああああ!」と美貌という言葉の価値が落ちるような叫びと共にしばらくのたうつと、もるんもるんとすわりのいいように体勢を立て直し、箱の外に向かいぎゃあぎゃあと叫んでいる。まだ蓋が開いているからわめきも聞こえますけど、閉じればバッチリなんで大丈夫ですはい。 「さてでいb「まだいうかくそにんげんんん!おばえなんてでいぶさばのうんうんにもおよばないくぞどれいだろうがばああああああああ!!」早いな奴隷認定。 「ゆっ”!わかっだよ!」 と、唐突に下膨れがただでさえ気持ち悪いでいぶが、なにかにおもいあたったらしい。 「ぞんなにでいぶざばのびぼうがどくせんしたいんだね! だったらとっととあまあまもってきででいぶさばをここからだせくそどれい!」 すげえよこいつある意味さ。 「あー……れいむ、とりあえず、お前そんな体勢でいいのか?」と、いいつつスイッチオン。 「ゆ? なにぐずぐずしてるの? とっととでいぶさばのいうとおりあまあまもってこないと、せいっさいっ!するyあぢいいいいいいいいいいいいい!?ゆびいいいいいいいいいいいいい!?」 電熱線に電気が通り、ただでさえ肥え太っていたでいぶの、『安全地帯』からはみ出ていた下膨れを熱を帯びたニクロム線が焼く。馬鹿な事にのたうつもんだから、頭となく顔となく体中を……ってゆっくりには顔しかねえや、とにかく、「あんよ」から「おかお」まで、かたっぱしから自分で転がってセルフ根性焼きしている。これもこれで見て面白いのだが、実験の本来の趣旨とは異なるので、いったんでいぶを引き上げようと漁師がマグロを船に引き上げるときにつかうような手鉤で、のたうつれいむの後頭部に鈎先をひっかけて……ひっかけ……むずかしいなこれ。ようやく口の端に鈎が刺さり、引き上げたところで電熱線の電気を切ればよかったことに気づいてへこむ。 あれだけ活きのよかったれいむもいまやあちこち焼け焦げ、ぴくぴくとしか動かないクソ饅頭だ。クソ饅頭は元からか。もはや弱っているのは電熱線か俺の鈎打ちのせいかわからなくなったれいむはゴミ缶に放りこんで、一緒にさらってきた番饅頭のまりさを透明な箱(予備用)から出す。 「ゆっ! やめてね! にんげんさん! やめてね!まりさなにもわるくないよ!」ん~、善良そうなまりさだ。きっと、でいぶに勝手に家に押し入られて、奴隷扱いされていたのだろう。しかし、ゆっくりごときの善良とか、人間にはなんの効用もないしね。 とりあえず、箱の中のまりさを手鉤の刃先の向いていないほうで小突き回す。「ゆ゛っ! やべでっ! やべっ! いたいよっ!やめべっ!?」あ、うっかり片目突いちった。まあ、まだ残りがあるしいいか。 いい具合にくたびれてきたところで、まりさを透明な箱から地面にほうりだす。みじめに「ゆべっ!」と鳴くまりさの髪をひっつかみ、スイッチを切ったビックリどっきりメカに放りこんでから、それをするぐらいならわざわざ一回地面にたたきつけなくても良かったんじゃね?と思いながらも、箱の中で「ゆひー…… ゆひー……」とだらしなく寝転がるまりさに訓示した。 「いいかー?まりさ。今からその箱のなかでお前は生活する」 「……やだよ、でたいよ……」 「う~ん?まりさは馬鹿な子なのかな?お前が嫌だろうがこっちはそんなこと知ったこっちゃねえんだよ?先生馬鹿な子はきらいだな」まあ、賢かろうが殺すけどな。 「で、だ」バンとケースの側面を叩いてまりさの注意を喚起する。 「お前の触れてるその線、な?あるだろ?それな、今からあっつくするから」聞いて、飛び起きるまりさ。 「やだあああああああああ!あついあついはゆっくりできないいいいいいいいい!」どこにそんな力が隠されていたのか、電熱線に触れないように体を縮こめながらも叫ぶ。まあ、目の前で元つがいがあれだけ苦しんで死んだ姿を見ていて何も思わないわけがないわけで。 「どぼじでこんなこどするのおおおおおおおお!」 「お、出たね、『どぼじで!』。まあさ、理由なんてお前には知ったこっちゃねえんだよ。今からあっつくするから、ほらほら、からだ縮こめてろ」 スイッチを入れる。「ゆひいいいいいいいいいいいいい」とまりさが体をうえにむかって「のーびのーび」させる。その姿はこれまた滑稽で、後頭部から手鉤をぶっ刺して空中で「のーびのーび」させてやりたいけど、もう予備のゆっくりはないんで我慢。 さて、商品説明は次回に続きます。 続 これまで書いた物 anko2966 まりさ、ちょこばななさんがだーすき! anko3012 ここはれいむのおうちだよっ!にんげんさんはゆっくりしていってね!
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『ドスまりさはゆっくりできない』 11KB 制裁 小ネタ ドスまりさ 希少種 人間なし 独自設定 ドスのバーゲンセール状態。 おさげあき ドスまりさ、それはまりさ種が巨大化した姿。 さらにドススパークという強力な技を使える事でゆっくり最強と呼ばれていた。 だがそんな幻想はいつまでも続かなかった。 「ゆふぅ、ゆふぅ、ゆふぅ」 ドスまりさは息を切らし目の前の敵を睨みつける。 「何?その負け犬の目は?ぜんぜんゆっくりしてないんだねー、わかるよー」 目の前の敵、ドスちぇんはドスまりさをあざ笑っていた。 「ゆぎぎぎぎ!ゆっくりしねぇ!!!」 ドスまりさはドススパークを放つ。 「遅すぎるんだねー、わかるよー」 「ゆゆぅ!?」 ドスちぇんはあっさりそれを避けた。 「どぼじであたらないのぉぉぉ!?」 「あんなスローな技に当たるやつなんかいないよー、わかってねー」 「ゆぎぎぎぃぃぃぃ!!あたれ!あたれ!あたれぇぇぇぇぇ!!!」 ドスまりさは自分の命を削りドススパークを連射する。 しかし一発も当たらない。 「ねぇ、真面目に当てる気あるのー?遊んでないで真面目に戦ってねー」 「ゆぎぎぎぎぃぃぃぃ!!!ばかにするなぁぁぁぁ!!!」 ドスまりさはドススパークを諦め自慢の体当たりを仕掛けた。 「遅すぎるんだねー」 「ゆぅ!?」 だがその体当たりは余裕で避けられてしまう。 「ドススパークも体当たりも当たらなければ意味はないんだよー、わかってねー」 「あ、あたりさえすればおまえなんかぁぁぁぁ!!!」 「素直に当たってあげるわけないでしょ?ばかなの?しぬの?」 「ゆがぁぁぁぁぁ!!!」 ドスまりさは滅茶苦茶に暴れまわるがやはり一発も当たらない。 「もう飽きたんだねー、そろそろ始末するんだねー」 「ゆべぇ!!」 ドスちぇんはドスまりさに思いっきり体当たりをした。 「い、いだいぃぃぃぃ!!!ドスのつやつやのほっぺがぁぁぁぁ!!!」 「弱すぎるんだねー、とっとと始末するんだねー」 「ゆゆぅ!?やめてねぇぇぇ!!ドスをいじめないでねぇぇぇ!!!」 「ゲスは始末しないといけないんだよー、わかってねー」 「やべっ!どぼじでっ!ドズがぁ!ドズはっ!さいっきょう!なのにぃ!」 「お前が最強?寝ぼけるのもいいかげんにしてねー、ゴミクズのくせにー」 「ちがうぅぅぅぅ!!ドスはぁ!ばりざはぁ!つよいんだぁ!!」 「はいはい、寝言はあの世でしてねー」 「ゆがぁぁぁぁぁ……ぼっど……ゆっぐぢ……じだがっ……」 やがて完全に潰れた事を確認するとドスちぇんは呟く。 「お前みたいなのがいるから人間を怒らせてゆっくりが殺されちゃうんだよー、わかれよー」 通常のゆっくりから進化するドス種。 その種類が今までまりさ種がほとんどだったのは何故か? まりさ種が他よりも優れているわけではない。 単純に他の種のドスは皆賢く人間と争う事を好まずそれぞれ単独で生活していて発見されなかっただけだ。 群れの長になるようなドスは自分は偉い、強いと勘違いするゲスだけだ。 皆を見下す事で自分がゆっくり出来るという考えである。 自意識過剰なまりさ種がまさにそれである。 たまにれいむ種やぱちゅりー種の群れも見かけるがそれらもまりさ種と同じだ。 結局自分がゆっくりする事しか考えていない。 本当に賢い個体ならばゆっくりの性根がどういうものか理解しているので群れを持とうなどとは思わない。 平和なうちは問題ないだろう、だが一度問題が発生すればそれはドスのせい、ちゃんと群れを管理しないからと責任転嫁する。 ゆっくりは自分の都合のいいように解釈するのでどんなにゆっくりさせようとしても無駄なのだ。 そんな奴らと関わっても疲れるだけ、ゆっくり出来ない、それを分かっているから大半のドス種は単独で暮らすのだ。 だが彼らの忍耐も限界だ。 ドスまりさの群れによる一方的な協定、それを拒否すれば人間に牙を向く。 そんなゲス行為で人間を怒らせ罪も無いゆっくりまで巻き添えにするドスまりさを野放しには出来ないと判断したのだ。 各種ドス達は一斉にドスまりさの始末を開始した。 元々自分が最強だと思い込んでいるドスまりさを始末するのは簡単だった。 そもそもまりさ種などゆっくりの中では弱いほうだ。 れいむ種やぱちゅりー種よりは強いがその程度なのだ。 冒頭でちぇん種にコテンパンにされたのも当然だ。 ちぇん種は身のこなしではゆっくり種の中でもかなり高いので鈍足のまりさ種では太刀打ち出来ないのも当然。 無論他の種も同様だ。 -みょん種の場合- 「なにしにきたんだぜ?しにたいのかだぜ?」 「死ぬのはそっちみょん」 シュ 「ゆ?」 目にも留まらぬ速さでドスまりさの背後へと駆け抜けるドスみょん。 その口には、はくろーけんが咥えられていた。 「ゆゆ?」 ドスまりさの視界が歪む。 「な、なにが……おきた……のぜ……」 ベチャ やがてドスまりさの上半身が下半身からずり落ちて地面に中身の餡子を盛大にぶちまけた。 幸運な事にこのドスまりさは自分の死すら気づかず痛みも感じず永遠にゆっくりした。 「せめて痛みを知らずあの世に逝くがいいみょん」 ドスみょんはそう呟くとその場を去った。 みょん種、踏み込みの速さでは他を圧倒し武器での戦闘を得意とする武闘派ゆっくりである。 -てんこ種の場合- 「そこのまりさ!てんこを苛めてね!」 「ゆゆ?へんたいてんこなんだぜ!ちょうどいいのぜ!かるくうんどうするのぜ!」 ドスまりさは思いっきり体当たりをかます。 「ゆふん!ついちからがはいっちゃったのぜ!しんでたらごめんなのぜ!」 「……なに?これ、ぜんぜんゆっくりできないわ」 「ゆ?」 体当たりを受けたドスてんこだったが何やらご不満のようでドスまりさを睨む。 「なんなのぜ!そのかお!むかつくのぜ!」 「思いっきりやりなさいよ、てんこをばかにしてるの?」 「ゆ!?こ、このくそてんこがぁぁぁぁ!!!」 ドスまりさはバカにされた事で憤慨しドスてんこを殺すつもりで連続攻撃を加える。 「どうなのぜ!?いたいのぜ!?でもゆるしてやらないのぜ!しぬまでやめてやらないのぜぇぇぇ!!!」 「……おい、てんこをなめてんのか?コラ」 「ゆ?」 ギロリ 「ゆひぃぃぃぃぃぃぃ!?」 ドスてんこの睨みを受けたドスまりさはあまりの恐怖でうんうんとしーしーを漏らす。 てんこはドMである、しかし満足出来なかった場合はドSへと変わるのだ。 「思いっきりやれとてんこは言った、聞こえなかったのか?クソが!」 「ば、ばでぃざはおもいっきりやってるよぉぉぉぉ!!!」 「これが全力?ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!こんなの全然痛くも痒くもないわぁぁぁぁぁ!!!」 「ぞ、ぞんなぁぁぁぁぁぁ!?」 「おい、てんこに痛みを与えられる技はないのか?無いならお前をぶっ殺す!」 「ゆひぃぃぃぃ!!そ、そうだよ!ドススパークなら!あれならだいじょうぶだよ!」 「ならさっさとそれをやれ、もしそれがダメだったら……わかるよな?」 「ゆ、ゆっぐりりがいじばじだぁぁぁぁ!!!」 ドスまりさは最大のドススパークを放つ。 当然チャージにも時間は掛かるがドスてんこは素直に待っていてくれた。 「ゆっくりしねぇぇぇぇぇ!!!」 最大出力のドススパークがドスてんこに直撃した。 さすがにこれなら死んだであろう、ドスまりさは安堵した。 「……くだらん技だな、ただ埃をまきあげるだけか」 「!?」 だがドスまりさが見たものは憤怒の表情で自分を睨むドスてんこの姿だった。 どうやらダメージすら与えられなかったようだ。 「もういい、死ね」 「ま、まって……」 ボゴォ!!! ドスてんこの体当たりで派手に吹っ飛ぶドスまりさ。 「あっ……がぁ……」 その一撃でドスまりさの両目は潰れ歯は砕け皮は破け中身の餡子を盛大に噴出した。 そのままドスまりさは大木に叩きつけられその衝撃で中枢餡も破壊され少しの間痙攣した後動かなくなった。 「少しは期待してたのに、所詮はまりさってことね」 ドスてんこはドスまりさの死骸に唾を吐きかけると去っていった。 てんこ種は体が頑丈に出来ており防御力ではゆっくり最強である。 しかし優れているのは防御力だけではない。 戦闘能力自体もゆっくりの中では上位に位置しているのだ。 だが自分からその力を見せる事はほとんどない。 何故ならてんこはいたぶられる事が一番ゆっくり出来るからである。 だからなるべく強そうな相手を選ぶのだが今回は選択を誤ったようだ。 -さとり種の場合- 「ゆゆ!?おま……」 「私はさとりと言います、本日はあなたを始末するためやってきました」 「どうし……」 「あなたがたの暴挙に耐えられなくなったのです」 「はなしのとちゅ……」 「話の途中に割り込まないで、ですか?すみませんね、このような性格で」 「もうおこっ……」 「怒ったのでしたら始めましょう、無駄話をするのも好きではありますが」 「ゆっく……」 「ゆっくりしねぇ!ですか?残念ですがあなた程度に殺されるほど弱くはないです」 ドスさとりは余裕で体当たり攻撃を避ける。 「ゆぐ!?ま……」 「まぐれではありませんよ?あなたの考えは手に取るように分かります」 「だか……」 「だから話に割り込むな、ですか?すみません、癖でして」 「がぁぁぁぁぁぁ!!!」 「あら、ヤケになっちゃいましたね」 自分の台詞を先読みされては誰でもゆっくり出来ない。 ましてゆっくりする事が最重要のゆっくりにこの仕打ちは相当なストレスになる。 ドスまりさはこれまでで最もゆっくり出来ない状況の中、ついにキレた。 「ド……」 「ドススパーク!!ですか?まああなたに残されたのはそれだけでしょうね」 またしても先読みされドスまりさの怒りは頂点に達した。 こうなれば最大出力のドススパークでこいつを灰にしてやる事だけを考えた。 「ふむ、単純な技ですね、こうですか?」 なんとドスさとりはドスまりさと全く同じ技を放った! 「!?」 自分にしか使えない技をあっさり使ったドスさとりを信じられない表情で見るドスまりさ。 やがて2つのドススパークが激突する! 「(ゆぎぎぎぎぎ!!)」 「……」 必死の形相のドスまりさとは対照的にドスさとりの表情には余裕があった。 「(ゆぎぎぎぃぃぃぃ!!まけないのぜぇぇぇぇ!!ドススパークはまりさがいちばんうまくつかえるんだぁぁ!!)」 「(ふぅ、まりさをからかうのも楽しいですがそろそろ終わりにしましょう)」 ゴォ!!! 次の瞬間、ドスさとりのドススパークの出力が増した。 「!?」 驚愕のドスまりさ。 自分のドススパークが押されている!? そんなバカな!? ドスまりさはその事実を認めた瞬間、大きな爆発音と共に吹っ飛んだ。 「あ……っがぁ……」 「ほう、あれをまともに食らってまだ生きていますか」 即死は免れたが見るからに手遅れと判断出来る悲惨な状態だった。 「どうですか?少しは自分の弱さを理解しましたか?」 「ど……どぼじ……」 「どうして私があなたのドススパークを使えたのか?ですか?それが私の能力だからです」 さとりの能力は相手の心を読む事とその技をコピーして自分のものにする事。 もちろん完全なコピーは不可能でオリジナルには劣る。 ならば何故オリジナルのドススパークに勝てたのか? それは単純にさとりの力がまりさよりも上だったというだけだ。 同程度の力ならばさとりが負けていただろうがさとりの力はまりさを遥かに上回っていた。 それだけである。 「……という事です、理解しましたか?」 「ち……が……ま……り」 「まりさのほうが強い、ですか?もしそうなら私が負けていました、でも結果は私の勝ちですよ?」 「どぼ……」 「どぼじでこんなことするの?ですか?あなたが今までしてきたゲス行為への制裁と思ってくれて構いません」 「ばでぃ……」 「ばでぃざ、なにもわるいことしてない……ですか?まああなたには罪の意識など無いでしょうね」 「……」 「もう喋ることも出来なくなりましたか、でもあなたの考えている事は分かります、何か言い残す事はあります?」 「……」 「もっと……ゆっくり……したかった……ですか」 ドスさとりに自分の最後の言葉を代弁してもらうとドスまりさは最後に少しだけゆっくり出来た事を感じ息絶えた。 「思えばあなたも哀れなゆっくりですね、まりさ種などに生まれなければこんな事にならなかったかもしれないのに……」 ドスさとりは最後に少しだけドスまりさの冥福を祈るとその場を去った。 その他にもドスにとり、ドスすわこ、ドスしんき、ドスびゃくれんなど様々なドス種が各地でドスまりさを狩った。 ドスまりさの駆逐でひとまずは平和を取り戻したゆっくり達。 だがしぶとさだけは一人前のまりさ種の事。 またすぐドゲスが誕生するだろう。 こればかりは仕方ない、ゆっくりとはそういうものだから。 ただまりさ種がもう少し賢くなってくれればと思うドス達であった。 おさげあきの作品 anko3553 ゲスな胴付きを制裁 anko3516 この世はゆっくりできない anko3508 まりさの素敵なゆん生 anko3378 まりちゃは最高のゆっくり anko3167 まりさはさいっきょう! anko3068 つむりとでいぶ anko3048 ゆっくりこいしとラブラブちゅっちゅ anko3013 れいむの幸せなゆん生 anko2974 白蓮のゆっくりいじめ anko2748 まりさはゆっくりできない anko2672 お飾りを操る程度の能力 anko2161 まりさには不幸がよく似合う anko2051 流行り物の宿命 anko2027 まりさと図書館でゆっくり2 anko1982 れいむはゆっくりできない anko1949 まりさと図書館でゆっくり1 anko1875 幽々子のゆっくりいじめ anko1838 まりさつむりはゆっくりできない
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『ゆうかと一人暮らし』 3KB 愛で 観察 希少種 即興にしては長くなったのでコチラに 「ここをゆうかのおはなばたけにするわ!」 昼過ぎに起きてテレビを見ていると、外からそんな声が聞こえた。 一階で小さな庭付きという物件を選んだが、洗濯物を干すしかない自分にとっては必要なかった。 むしろ何処からかゆっくりが紛れ込んでくるから迷惑、ちゃんと穴は塞いだはずなんだがな。 しかしいつものゆっくりと違いゆうかだ、見に行ってみるか。 既に宣言は終わっていたのだろう、窓から見るとゆうかはせっせと雑草を抜いていた。 自分の庭は干すに邪魔にならない所は雑草が青々と生い茂っており、草抜きなどしたことがない。 花なんてあったかなぁと思い、ゆうかが特に綺麗にしている場所を見る。 そこには色鮮やかな多くの花が、力強く咲き誇っていた。 実際のところ鮮やか過ぎて毒々しいほどであり、その一帯は雑草も大きく育っている。 いつも駆除したゆっくりを置いていた場所だった。 ゆっくりは結構土と相性がよく、一週間もすれば成ゆでも跡形がなくなり黒土になる。 その過程でちょっと匂うのだがあまり庭にはでないし捨てに出るのも面倒なのだ。 数多のゆっくり達の犠牲で良質な土壌になったのだろう。 最後に始末したゲスは宣言終える前に潰したので、種が消化されてなかったのかもしれない。 考察はさておき、ゆうかと話をしようと窓を開けた。 しかし窓を開けた音に驚いたのか、ゆうかは草を放り出して逃げ出した。 逃げ出した先は外ではなく、庭に放置した粗大ゴミの小山である。 ブルーシートをかけてあるので余計にゆっくりの寝床になりやすい。 窓ガラスを入って進入する前にここでお家宣言をしてくれるので、トラップとして置いてあるのだ。 いや捨てるのが面倒とかじゃないからね、うん。 人間が怖いのだろうか、ちょっと待っても出てきてくれなかった。 そんなに興味もなかったので、駆除の必要もなさそうだし放置しておこう。 あれー、ゆっくりがいたはずなのになーもし窓ガラス割ったら駆除するんだけどなー。 という抜群の演技力で牽制もしておいた。 ブルーシートの端がぶるぶる震えていたので効果はあると信じたい。 それからゆうかは庭にずっといる。 相変わらず花は毒々しいが立派に育っている。 時折進入してくるゆっくりを退治してくれるし、庭掃除もしてくれるので助かっている。 退治されたゆっくりは花の肥料か食料になるようだ。 ゆっくりは普段雑草しか口にしていないゆうかの貴重な食料でもある。 それどころかゆっくりが進入してこないと、花から離れないゆうかは少しずつ弱ってしまう。 野菜カス等を庭においても肥料にするので、夜に公園にいってすーやすーやとしているゆっくりを与えているのだ。 初めはゆうかに無関心だったが、緑色の髪をなびかせて働くゆうかを毎日見ていると愛着がわいてしまった。 それでも、窓を開けるとゆうかは隠れてしまうし自分も近づこうとはしない。 そんな微妙な距離のまま月日は流れて行った。 たまには外にでて種を取っていたのか、種類が変わっても毒々しい花々は秋になっても健在だった。 しかし冬が近づき、花は日に日に毒々しさを失って枯れてしまった。 花が無くなるとゆうかはどうするのだろうか。 花が萎れていくのに従ってそう思うようになっていた。 今までは新しい花が芽生えていた。もうすぐ冬だ。ここでは育つ花はない。 ゆうかは何も残さず去って行った。 役目を終えた花も処分したようで、残ったのは雑草ひとつない庭だった。 自分の生活は何も変わらない。 ゆうかとの関係は希薄だったのだから。 それでも唯一つ変わったことがあった。 ゆっくりをあの一帯に埋めるようになったことだ。 いつもより少しだけ長く感じた冬が明ける。 雑草も生え始めゆうかが、自分が肥料を与えた黒土の一帯は既に青々と茂ってきた。 戯れにすみれの種をまいていたのだが、2つだけ紫色の蕾ができていた。 毎朝花はいつ咲くかと、窓から眺めている。もうすぐだ。 今日もまだ咲いていなかった。テレビを見て出かける準備をする。 今週中には咲くだろうか、そうしたら、もしかしたら、また、 「ここをゆうかのおはなばたけにするわ!!」 あとがき 短いですが、今度は愛でをかけたはず。 感想ありがとうございました、参考になります。 anko3225 びじんのゆ~愛で~ anko3152 コンポストはゆっくりできる anko3098 対ゆ販売会
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『れいむとけいっやく!』 7KB パロディ 日常模様 野良ゆ 現代 本当にゆっくりと向き合えますか? 「にんげんさん!れいむとけいっやくしてね!いますぐでいいよ!!」 道を歩いていれば何処からか聞こえてくるゆっくりの『鳴き声』。 それが既に日常化している昨今では、誰もその声に反応する人はいない。 でも、少し珍しい『鳴き声』に僕はおもわず足を止めてしまった。 「やあ、れいむ。ゆっくりしていってね?」 「ゆ?にんげんさん、ゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり。ところでれいむ、君が言っていた契約って何の事?」 僕が足を止めた理由、それはれいむの契約という言葉だった。 普通の野良であれば、『かいゆっくりにしてくださぃいいいーっ!』ってのが常套句なんだけど、このれいむは違った。 普通とは違う、知性ある言葉を用いた。それが僕の興味を惹いたのだ。 「ゆふん!にんげんさんはけいっやくのいみもしらないの?れいむみたいにちゃんとべんっきょうしないとだめだよ!」 「教える気がないなら、帰ってもいいんだけど?」 「ゆゆっ!?じょーくだよ!?れいむなりのおちゃめなじょーくだから、どこかにいかないでね!」 契約を求める相手に偉く高圧的な態度をとるれいむに僕の足が動きかけた。所詮は路上で変わったパフォーマンスに目がいく程度の興味なのだ。 慌てて弁解するれいむだったけど、言葉と一緒にバチンッ!と投げ掛けられた下手糞なウィンクにはどう応えたものだろう。 とりあえず、話しを促してみるとしよう。 「しかたないね、にんげんさんにもわかるようにせつめいしてあげるよ!れいむのけいっやく、それはね……」 「れいむをにんげんさんのかいゆっくりにするっていうものだよ!!」 …………あー、何だ。 「ただのテンプレ鳴き声か。期待して損した……」 「ゆっふっふ。にんげんさん、はやとちりさんはやめてね」 軽く落胆していると、野良れいむが何やら言っている。 まだ何か用なのだろうか? 「早とちりって?言っとくけど、君を飼う気なんて無いよ?」 「それがはやとちりさんなんだよ。れいむをかいゆっくりにするかどうかは、れいむのはなしをさいごまできいてからにしてね!」 少し驚いた。大抵のゆっくりは断られると喚き出すと言うのに。 僕はもう少しだけ、野良れいむの話を聞いてみる気になった。 「分かった、聞かせてくれ」 「ゆふっ、はなしのわかるにんげんさんだね!だからとくべつにはなしてあげるね! れいむたちのらゆっくりは、みんなかいゆっくりにあこがれてるよ。 だからまいにちにんげんさんにかいゆっくりにしてもらえるように、おうたをうたったり、こえをかけたりしてがんばってるんだよ」 それは誰でも知っている。ついでにその頑張りのせいで命を捨てていることもね。 「でも、ほとんどのゆっくりがせいっこうしなかったよ……。 しゅんっそくのまりさも、とかいはありすも、けんじゃなぱちゅりーも、だれもかいゆっくりにはなれなかったよ……。 れいむはどうやったらかいゆっくりになれるか、たくっさんかんがえたよ。 そうしたら、れいむのずのうが、うるとらすーぱーでらっくすなかんがえにいたったんだよ!」 「ふーん。で、その考えって?」 「ゆふん!のらゆっくりはみんな、じぶんのゆっくりしかかんがえていなかったからかいゆっくりになれなかったんだよ! だいじなのは、かいぬしのにんげんさんがゆっくりをかってゆっくりできるかっていうこと!つまり……、」 野良れいむは溜めを作りそのまま、 「ゆっくりがにんげんさんをゆっくりさせてあげれば、のらゆっくりはみんなかいゆっくりになれるんだよ!!」 自信満々の顔でそう言い切った。 僕はさっきよりも驚いていた。この野良れいむが言っていること、あながち間違いではない。 人々が野良ゆっくりを飼おうとしないのは衛生的な理由などもあるが、大概がゲスで、碌な目に遭わないからだ。 野良を飼う位なら、ゆっくりショップで金を払ってバッヂ付きを飼うと言う人がほとんどだろう。 しかし、もし野良が本当に人間をゆっくりさせるのなら?野良ゆっくりの状況は少なからず変わるはずだ。 まさかそこに野良、それもれいむが気付くとは思わなかった。 そんな僕の驚きの表情を見た野良れいむは、まるで鬼の首を取ったかのような顔と声で続ける。 「れいむはもちろんゆっくりできるとうれしいよ! でも、にんげんさんもいっしょにゆっくりしてくれればもっとうれしいよ! それはとってもゆっくりできるなって、れいむはおもったんだよ!」 本当にそう思っている顔で僕に告げる野良れいむ。 そして、次に言うであろう言葉が僕は何となく予想が着いた。 「だから、にんげんさんはれいむとけいっやくしてね!」 飼いゆっくりにする代わりに、僕をゆっくりさせる、か。 それは確かに普通の野良の物乞いのようなものとは違う。互いの利害を考えた上での提案、正に契約と行って差し支えないだろう。 だがしかし、ゆっくりに出来ることなんてたかが知れている。ましてや野良ゆっくりだ、僕が本当にゆっくりした思いになれるかも怪しい。 だから僕はれいむに言ってやるのだった。 「いいよ、れいむ。僕と契約しよう」 「……ゆぅっ!?」 まさか本当に僕が契約するとは思っていなかったんだろう、思わずといった感じに驚く野良もとい僕の飼いれいむ。 あの野良ゆっくりが人間に対等な条件を求めてきているのだ。面白いじゃないか、僕は乗るね。 「に、にんげんさん。ほんとうにれいむと、けいっやくしてくれるの……?」 「あれだけ自信ありげに契約を迫った奴の言う台詞か?何度でも言うよ。僕は、れいむと、契約するよ」 しっかりはっきりとれいむに言ってあげた。すると、れいむは身体を小刻みに揺らし始め、 「や、やったよぉおおおーっ!!れいむ、かいゆっくりになったんだよぉおおおおぉおおおおっ!!」 一気に喜びを爆発させた。うん、ウザい。 「最初に言っとくけど、僕の言う事はしっかり聞いて守るように」 「まっかせてね!れいむはかいっ!ゆっ!くりっ!だからね!おにいさんのいいつけはじゅんっしゅするよ!!」 そう力強く返事するれいむだけど、おそらく幸せの波に飲まれてすぐに忘れるだろう。僕も端から期待していない。 「かいゆっくりになったからには、れいむのいだいなけいっかく!をじっこうしなきゃね! おいしいあまあまをおなかいっぱいむーしゃむーしゃして、ふわっふわくっしょんさんですーやすーやして、びゆっくりまりさとおちびちゃんをたくっさんつくるんだよ! ゆーん!れいむ、しあわせすぎてごめんねぇえええーっ!かいゆっくりでごめんねぇええええぇえええええーっ!!」 口から妄想が駄々漏れなれいむ。多分もうこいつの餡子脳の中には自分がゆっくりすることしかないんだろうなあ。 それだけ分かっているのにどうしてこのれいむを拾ったかって疑問に思う人もいるだろう。 れいむは既にゲス化の兆候もあって、僕をゆっくりさせることなんて万に一つもありえないだろうしね。 「おいおい、れいむ。僕もちゃんとゆっくりさせてくれよ?」 「わかってるよ!れいむはかいゆっくりだからね!けいっやくはしっかりまもるよ!」 簡単なことだ。 れいむが僕をゆっくりさせてくれないのなら、れいむが僕をゆっくりさせるような状況を作ってしまえばいいんだ。 契約は絶対。もし破ろうとするのなら、ちょっとぐらい強硬な手段に出て抑止しても構わないはずだ。 「ゆ~ゆ~♪れいむはかいゆっくりっさ~♪」 さて、れいむ。今の君に後悔なんて、あるわけないよね? れいむと僕の邂逅からちょうど一月が経った。れいむは望み通り、飼いゆっくり生活を満喫している。 『自分や他のゆっくりのうんうんを』お腹一杯食べ、 『小さな棘がびっしりと敷かれた』クッションに包まれながら眠り、 『れいぱーありすとの間に』たくさんの子供をつくる毎日を送っている。 でも、全然ゆっくりはしていない。 僕はというと、 嗚咽を漏らしながら食事をするれいむに癒され、 声を上げながらころころとクッションの上を転げ回るれいむに和み、 涙を流しながら子供をつくり続けるれいむの母性(笑)に感動する毎日を送っている。 僕は確かにれいむにゆっくりさせられている。 僕とれいむのゆっくりの間には、明らかに差が生じていた。 でも、僕とれいむの間で飼わされた契約には何の矛盾も違反も起きてはいない。 ただ、れいむは知らなかったんだ。 契約というものが決して対等に行われるものではないという事を……。 「ごんなのぜっだいおがじいよぉおおおおぉおおおおおっ!!!!」 ゆっくりって、ほんとバカ。 後書き 安易な契約は身を滅ぼします。現実には助けてくれるほむほむはいません、ご注意を。 さて、前回はパロネタが意外に好評だったので、即興でもう一つパロ作品をあげました。 ただ単に他に書いてた物が行き詰まったから、という理由もありますが……。 某魔法少女たちと野良ゆっくり、果たしてどちらがマシな境遇でしょうかね? 今回も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございます。 書いた物 anko3049 賢いのは…… anko3065 まりさのお家 anko3092 田舎に帰ってゲスと戯れてみた 前編 anko3126 田舎に帰ってゲスと戯れてみた 中編 anko3172 田舎に帰ってゲスと戯れてみた 後編 anko3176 ゆっくりもこけーね anko3201 そんな都合の良い設定は……