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だが…信用できないのはルルーシュ・ランペルージだ…!◆4EDMfWv86Q 丑三つ時。草木も眠るとされる時刻は最も深い夜だという。 それを越えた頃から夜は白みかけ朝の訪れに近づいていく。 今の時間に照らし合せれば、寅の刻を越え卯の刻に差し掛かるあたりだろうか。 陽とよぶにはあまりにか細い光が地平線から昇る最中、一人の男と女は舗装された道を歩いている。 「たっくん、どこへ向かってるの?」 「別に、どこでもいいだろ」 足取りが重い。体のダメージは決して浅くはない。 加えて後ろからついていく少女のことも足を重くする要員である。 愛称で呼ぶのをやめさせることはもう諦めた。 「さっきの人…木場、さんは北にあなたの道具があるといっていたけれど、取りには行かないの? そうでなくても佐倉さんと合流したいし……」 「ベルトは、いい。今の俺には使えない。今持ってる奴の方がいいだろ。 佐倉って奴にも会わない方がいい」 「そう、それじゃ仕方ないわね」 巴マミは質問なり意見を絶やさず話題を振りってくる。無視する気にもなれないし一応答えはしている。 そんな遣り取りを続けながら、目的もなく戦場から逃げるように歩いていた。 道を違えてしまった木場からファイズのベルトが北にあると聞いても、そこに行く気はしなかった。 自分が知る中でベルトを使える奴には見当がついている。おそらくは草加だろう。 嫌味ったらしくて、何度も自分を陥れようとして正直気に入らないが、あいつがその胸に宿した信念は本物だ。 きっと人を襲う奴とは戦うだろうし真理だって守ろうとするだろう。少なくとも今の俺や木場よりは相応しいと思う。 ……その間、無実のオルフェノクまでも手にかけられてしまうかもしれないが。 それを守れるのは、あの社長やあいつの役割だろう。けれど、そうしたら今度は人が死ぬ。 結局、互いに憎み合い、どちらかが滅ぶまで戦い続けてしまう。 (……木場) 見たことのないベルトを纏い出会った木場。 人とオルフェノクの共存を望んでいたあいつが、全ての人間を滅ぼすと言い啓太郎も殺した。 いったい、何があったっていうんだ。 今まで誤解や行き違い(主に草加のせいで)で憎み合い何度も戦ってきた。決して埋まらない溝だと思っていた。 けれど、顔を合わせていくうちに次第に分かり合えるようになった。オルフェノクにも人の心があるのだと知った。 あいつが語る夢に、いつの間にか惹かれていた。 こいつになら倒されてもいい。こいつの夢のためになら死ねる。 そう思ってスマートブレインに入った。真理達を裏切った。安心して、敵になることができた。 なのに。あいつはその夢を捨ててしまった。人を滅ぼす道を選ぶと宣言した。 知らぬ間に掛け替えのない仲間を人間に奪われてしまったのか。それともあの社長に誑かされたのか。 「ッ……!」 視界が揺れた。 足を踏み外す。 動くたびに、身が削れていくような痛みが疼く。 あの黒仮面にやられた傷は今でも暴れている。オルフェノクの体ならほっといても治るだろうが、ここに来てからどうも動きが鈍いように感じる。 それならいっそ動けなくなってしまえ。そんな風にも考えてもしまう。 「―――、……?」 不意に、背中に暖かい感触が通った。 肩甲骨の間程の小さな熱。そこから柔らかな何かが体中へと流れていく。 まるで傷が癒えていくような優しさで、体の痛みが消えていく錯覚を感じる。 事実、体は癒えていた。体に残っていた傷が消え体力が充実していく。 訝しみ振り返ると、そこには祈るように背に手をかざすマミがいた。 「…よし、これでどう?少しは楽になったと思うけど」 光をかざして微笑む。光は小さな掌に収まる小物から出ていた。 装飾が施された宝石の中身は、黒く澱んでいる。 「やっぱりどこかで少し休んだ方がいいわね…あ、あのバーなんてどうかしら。地図にも載ってるみたいだし」 そこはここで始めて足を踏み入れた場所であり、二重の意味で見たくない場所。 ついさっき死んだ仲間と出会ったことと、化物の四つ葉が集う拠点ということ。 そんな事情も知らないマミは手を取って勝手に進んでいく。当然、繋がれてる体は自由が利かず連れられてしまう。 「おい、お前……」 「何をするにしても、体を休ませるのに越したことはないでしょ? さっきはああ言ったけど…やっぱりあなたにはいなくなって欲しくないから」 最後に言った言葉は、顔を前に向けていたのでよく聞こえなかった。 ただ、無碍にはできないという諦めにも似た思いを感じた。 ■ ■ ■ バー・クローバー。 オルフェノクの属する企業スマートブレイン、その中で選りすぐりのエリート集団であるラッキークローバー。 社長村上に四人まで選抜されたメンバーの集合場所となっているバークラブである。 地下フロアに居を構え、光源も薄く深い闇に包まれた部屋はまるで死者の国のそれ。 泥酔して紛れ込んだ客が来ようものなら、常連の酒のつまみとして頂かれることになるだろう。 「先客がいたみたいね。グラスを割ったままだなんて、この状況にとんだ酔漢ね」 「それ俺だ」 「たっくんって、二十歳?」 「…十八だよ、悪いか」 「…あまりお説教染みたことを言いたくはないけど、自棄酒は駄目よ?」 ぴっ、と指差しで嗜めてカウンターへと入っていく。 中学生の未成年であるマミは当然クラブなど行った経験などないが、勝手知ったる口で棚に置かれたボトルを検分している。 「カクテルなんかには果汁を使ったりしてるからジュースがあればいいんだけど…うーん、フルーツしかないわね。仕方ない、おひやでもいいか」 シャンパンなんて飲める心境でもないしね。付け加えてグラスに水を注ぐ。 器に満ちていく液体と壁を伝う滝の音だけが、傷負う二人の間で流れていた。 巧の隣に座りグラスを口につける。 喉を通る水がひどく心地よい。疲労した時に飲む水は至高の味というのは本当だったようだ。 支給品にも水はあったが、冷たいというだけで味わいも大きく変わる。少しとはいえ心に余裕が生まれる。 ゆとりが出来たことで、今後の自分の動きを考えてみる。 「さて、これからどうしましょうか」 基本として、マミはこの儀式を壊すスタンスでいる。 理不尽な災いから人々を守り、これを打ち倒す。それが魔法少女の使命。 心に迷いこそあるものの、それを手放すことはしない。 暫くはここで体力の回復に努めるとして、次はどう動くべきか。 ひとつは、仲間を集めることだろう。 悔しいが、自分一人では黒衣の魔王と騎士にはまるで歯が立たない。少なからずあったベテランとしてのプライドも形無しだ。 別れた佐倉杏子のようにこの儀式に抗する参加者は複数いる。 それらと合流し集団を成せば戦力も整い一般人も守りやすくなる。 もうひとつが、参加者を縛る術式の解呪だ。 魔女の口づけという、自分たち魔法少女にとっては馴染み深い呪いの証。 これがある限り主催者への反抗も会場からの脱出も叶わない。出来るだけ早急に解決したい問題だ。 呪いを解く方法自体は明瞭としている。口づけを施した魔女を倒せばいい。 規模からして会場の外に魔女がいるとは考えにくい。ソウルジェムの反応を辿っていけば結界の出処も突き止められるだろう。 だが、懸念する事態もある。 魔女には知性というものがない。まるで理や知を司る部分だけが抜け落ちてしまったかのように無差別に絶望を振り撒く。 それに口づけを受けた被害者は飛び降りなど自殺を誘発する傾向が殆どだ。 体に青色の炎が上がり灰化するなどという死に方は聞いたこともない。しかも『禁止エリアから出る』という条件に基づいて発動するという。 ここから導き出される推論、それはアカギが魔女の制御法を手にしているということ。 理論の見当もつかないが理屈の上ではそうなってしまう。 所詮は仮定の上塗りでしかないが、考察の必要はある。 キュゥべえ。あの捉えどころのない白い彼は、果たしてこの儀式に関わっているのか……。 考えること、為すべきことは多くある。本当なら休める時すら惜しい状況だ。 正義の魔王少女であるなら、誰かを守ることを意義とするならそうするべきだ。 けれど、マミは、 「ねえ、たっくんは、どうしたい?」 隣に座る青年の意見を、何よりも重きに置きたかった。 「…木場の奴を元に戻す。とにかくそれからだ」 今の巧にとっての行動原理はそれだった。木場勇治の豹変を解明し、元の道に戻してやりたい。 そうでなければ、それこそ死んでも死にきれない。 「その人とは、やっぱり友達?」 「そんなんじゃねーよ。ただの…仲間だ」 付き合いを考えればそう呼べるのかもしれないが、友達、という響きがなにか気恥しくて言葉を濁す。 そんな態度を見て、巧にとって彼がどれだけ重要な人だったかがマミにも分かる。 友に裏切られた。その慟哭はどれだけのものか。 それを察しながらも、マミは深くえぐり込むような言葉をかける。 「そう…けど、難しいわよ。あの人の人間に対する憎悪は本物だった。負の感情の権化のような、本物の怪物だった」 絶望を振り撒く死の化身。あれでは魔女と大差がない。いや、感情をもって襲いかかる以上よりタチが悪いといえよう。 「私は、怖かった。あんなに恐ろしいモノがいたなんて思ってもみなかった」 あれほどの激情を向けられたことなど、殺意を見たことなど一度もない。魔女との戦いにすら経験になかった。 腕に絡んだ指を強く握りしめる。思い出す度に体が震え、悪寒が染み入ってくる。 「それでも、あなたは彼を止めたい?」 マミの告白を、巧は黙って聞き入れてる。その顔は今にも泣きそうなほど弱々しいものだった。 二人の命を奪い、今も奪おうとしている化物。そう友人を突きつけられたのだ。 やり場のない怒りが自責に変わって彼を苛ませている。 この言葉が巧の心を大きく傷つけることはわかってる。それでもマミは本心を吐露しないわけにはいかなかった。 本心を隠したままでは決して、彼に協力することができなかったから。 数秒か、それとも数分か。 時間の感覚が飛ぶような沈黙の中、巧は答える。 「ああ、止めてやるよ。ぶん殴ってでもこっちに連れ戻してやる」 夢の話を憶えている。いつか聞かせてくれた夢を。 あの夢を、それを信じたあいつを嘘にしたくはない。 たとえ乾巧が間違いだらけでも、その夢は本物であると信じたい。 そのためになら抗える。罪だらけの自分でも何か出来るはずだ。 「…わかったわ。ごめんなさい、試すようなことをして」 前向きな答えにマミは安堵する。これなら彼は大丈夫だ。きっと立ち直れる。 体が怪物であっても彼はこんなにも優しくて、強い。 「お詫びといってはなんだけど、私もそれに協力させてもらいます」 同時に、彼がここまで信じている人を自分も信じてみる気にもなった。 自分が見た木場勇治でなく、乾巧の中にある木場勇治を信じた。 「…なんだって、そんなに俺に構うんだよ」 うんざりといった表情で巧が睨む。 自他共に認める不器用な性格だ。どうしても態度は悪く見えてしまう。 「うん…そうね。ちょっとだけ、昔に重ねちゃったのかな」 それは懺悔なのか。罪を告白するのを聞いてくれれば誰でもよかったのかもしれない。 自嘲を含んだ口調で、少女は独り昔を語る。 「事故でなにもかも、自分の命さえも失いそうになって、助かる代わりにこの力を得て、戦う運命を背負った」 選択の余地などなかった。その契約を結ばなければ死ぬ他なかったのだから。 それでも思う時がある。あの時自分は何を願ったのだろう。 生きたかったのか。死にたくなかったのか。それとも助けてほしかったのか。 「誰かを守ることにやりがいは感じていたけど、ずっと孤独だった。辛かった」 魔法少女の生活は戦いの繰り返し。いつ果てるとも知らない魔女と力尽きるまで戦い続ける運命。 同じ魔法少女以外には力を借りることも相談することもできない。 「親しくなった人を危険に巻き込まないか、秘密を知られて離れてしまうのが恐かった」 誰も知らない、気付かれない魔女。自由な時間は殆どがその探索と排除に費やされる。 気心知れた相手と街を回ることも、他愛もない会話に花を咲かせることも、恋に患う暇すらもない。 「結局の所、自己満足なのかもしれないわね。自分と似た境遇の人を助けていい気になろうとしているのかもしれない。 けれど、ここであなたを見捨てたら、もう二度と自分の私は罪に向き合えなくなる。 だから―――私に、あなたを手伝わせて下さい」 瞳が潤むが涙が流れることはないのは小さな意地だ。いじらしい虚仮の一念だった。 さっき泣いたばかりで二度も泣き顔を見せるなんてみっともない。 何故なら自分は―――夢と希望を叶える、魔法少女だからだ。 「……勝手にしろ」 「え?」 「勝手にしろって、言ったんだよ」 巧は認める。ああ、同じだ。自分とこいつはまるきり同じだ。 事故で全てを失い、生き返る代償に力を得て、否応なしに戦いの道に引きずり込まれた。 誰かを傷つけることを恐れ、裏切ることを恐れて孤独に生きてきた。 だとすればどうなのだろう。何が変わるでもない。 二人は互いの傷の痛みを知った。それだけでしかない。 それだけでも、今の二人には幾許かの救いがあった。 同行を了承と受け取ったマミは花が咲いたような笑顔を見せる。 そう。情けない様まで、俺たちは似た者同士だ。 ―――戦うことが罪なら、俺が背負ってやる!!――― かつて決意した誓い。捨てようとしても、掌に残る信念。 この灰色の手でも誰かを守ることができるのなら――― 「――――――!」 取り戻しかけた夢は、扉を開いた足音に踏みにじられることになる。 壁を伝う水が凍りつくかと思う程に、店内の温度が下がる。 「…先客がいたか。お楽しみ中邪魔して済まなかったね」 階段を降りてくる影は男の声を発した。 氷のように冷ややかで、ナイフのように鋭い、威厳すら感じさせる声。 「あなたは…無事だったのね……!」 その顔に憶えがあるマミは安堵の声を漏らす。 黒髪の怜悧な男は、柔らかな笑みを返した。 ■ ■ ■ 「魔法少女に魔女か。俄には信じがたいが…この目で見た以上否定することもできないな」 「あの魔女、いえ魔王と本人は言っていたかしら。ルルーシュさんが間に合って本当によかった…」 カウンターの席がひとつ埋まり、三人の男女が隣り合って座っている。 二人の前に現れた男とは、マミが黒の魔王の魔手から救い出した縁がありすぐに協調が取れた。 今はマミが魔法少女と魔女について、要点のみをかいつまみ、それでいて理解しやすいよう噛み砕いた内容で説明をしている。 「この辺りには危険な人物がうろついているわ。少し危ないけど、私達の仲間と合流するまで送らせてもらっていいでしょうか」 「願ってもない話だ。ずっと一人では心細くてね。是非お願いしたい」 北に残る杏子の元へ行くまで彼の護衛をすると申し出る。 自分達はかなり分の悪い賭けに出ようとしている。戦う力のない彼を巻き込むわけにはいかなかった。 既に何人かの集団を形成しているらしい杏子達へと回した方がメリットが大きいと判断していた。 「おい、そいつも一緒に連れてく気か?」 「佐倉さんのとこまでは送っていくわ。彼女以外にも仲間がいたから適任だと思うし」 一時的とはいえ、これ以上人が増えることに巧は難色を示す。 元来団体行動に馴染めない性格だし、今は誰かを守ることに自信が持てないでいた。 マミもそれを理解している。巧には立ち直って欲しいと思ってるが、期待しすぎても耐え切れず潰れてしまう。 だから、こうして臨時的に人と行動を共にすればあるいはという淡い期待がこもった提案でもあった。 「しかし、一度ならず二度も世話になるには忍びない。 ずっと考えていたんだ。君に再会したとき、この恩に報いるためには何をもって返せばいいんだろうとね」 無償の加護に礼を尽くすのは紳士の義務と立ち上がる。 紡ぐ言葉は甘く、浮き足立つような賛美に彩られている。 立ち居振る舞いといいどこかの貴族なのかと場違いなことを考える。 「そこで思いついたんだ。大したものではないがせめてもの礼として――――――」 男の顔は微笑を浮かべる。淑女を虜にしてやまない端正な顔立ちは甘く香る蜜のように女性を誘うのだろう。 なのにマミは、その顔をうすら笑いにしか見えなくて――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――――空白。 「苦しまずに逝かせてあげよう」 死の宣告も、少女の胸を穿つ銃声も、零にまで微分された世界に伝播せず凍りついた。 「――――――――――――な、」 全てが終わって、漸く巧は目の前の惨状に気がついた。 銃弾を心臓に受けて、吹き出した血の海に倒れている巴マミ。 前のめりに倒れた体は紅に濡れ、伸びた四肢は力なく伸びている。 確かめるまでもなく、それは既に死体だった。 「――――――お、い……」 膝を降ろして横たわるマミに近づく。もしかしたら自然に折れていたのかもしれない。 慟哭も悔恨もなにも感じなかった。正常な思考力を維持できていなかった。 あるのは頭を痺れさせる衝撃と、深い喪失感のみ。 ハンマーで思い切り殴られた鈍痛が、乾巧という存在を叩き潰していた。 そんな溝に落ちていた巧を押し上げたのは、階段を登り外に出ていこうとする足音が聞こえたからだった。 半ば衝動的に駆け上がる巧。その根源はマミを殺したルルーシュへの怒りなのか。 それとも、何もできず守れなかった自分の罪からの逃避だったのか。 答えなど定まらないまま扉を乱暴に開ける。大地を照らす朝日に目が眩む。 おかしい。微かに空は白み始めているが、翔陽にはまだ早いはずだ。 慣れてきた目が正しい外界の情報を伝えてくる。 はじめからそこにいたかのように、金色の魔人が荘厳にそびえていた。 世界を凍てつかせる絶対零度の悪意を膨らませて。 □ □ □ ゼロの猛攻から逃げ果せ気球に乗っていたルルーシュ・ランペルージは、すぐさま着地点からの離脱を開始していた。 気球というのはとにかく目立つ。発明当初のならいざしらず現代にとってはいい的だ。 追いかけたり待ち伏せしている可能性があるため一刻も速く離れること大事だった。 今の自分には瀕死のキリキザン一体のみ。もしあの魔王の類の殺人者に補足されればなす術もない。 なけなしの体力を使って走り続け、危険がないことを確認してやっと一息ついた。 (…誰も追ってこないな、ひとまずは安心か) キャップをあけ、ペットボトルの水を飲む。渇きが癒えていく爽快感が喉を満たす。疲労時の水は至高の味とはいったものだ。 「さて、これからどうするか」 水分補給を終えすぐに行動を開始する。休む暇など本来あろうはずもないのだ。 己の目的達成のためには行動あるのみ。ルルーシュにとっては即ち思索だ。 基本として、ルルーシュはとにかく生還するスタンスを取る。 全ての人の悪意を受け止め、これに打ち倒される。それが皇帝となった己の使命。 心に未練こそあるものの、歩む足を止めることはない。 暫くはここで体力の回復に努めるとして、次はどう動くべきか。 第一に、ルルーシュは決して自分ひとりだけ助かるわけにはいかないことだ。 枢木スザク。親友であり、敵であり、そして『ゼロ』を継ぐべき者。 優しい世界の創造、ゼロレクイエムは彼がいてこそ成り立つ計画だ。 それに賛同してくれたC.C.に藤咲咲世子とて、なるべくは見殺しにしたくはない。二人とも単なる協力者ではない縁があるから。 ならば自然、ただ一人生き残る生還という形を取ることはできないことになる。 「…脱出か、転覆か」 取るべき道は二つ。儀式の会場からの脱出か、それを管理するアカギを倒すか。 正直、どちらもかなり成功率としては乏しい。なにせ情報がまるで足りないのだ。 会場の座標。プレイヤーを縛る術式。主催者の正体。儀式の目的。 (外界から隔離された無人島、区画整理された都市群、かなりの組織力があるのは間違いない。 魔女の口づけ……C.C.と何か関係があるのか?何らかのギアスに細工を加えたものなのか。 アカギ以外にも協力者がいる可能性は高い。何から何まで不明瞭だからな。 儀式と銘打った以上、そこには確かな成果を求めているはず……それさえ満たせば俺たちは要済みとなる?もっともそれで解放されるとは思えないが) 考察すべき事項はあまりにも多くて考えが散開する。やはり得るべきは情報だろう。 アカギは術式や自信についてプレイヤーの誰かが知っているようなそぶりを見せた。そこから突くべきだろう。 ある程度の方針は決まった。ここからはプレイヤーとの接触を考えていく。 友好的な者には情報の交換、敵対者へはギアスを活用して撤退・排除。 最低でも、あのもうひとりのゼロを下せるだけの戦力は見つけ出しておかねばならない。 「向かうなら…南か」 地図のH-2に記されてる名称。ルルーシュの認識が正しければ斑鳩は黒の騎士団の旗艦だ。 よもや飛行やハドロン砲が搭載されてるとは思えないが、旗印とするには最適ではないか。 ここF-3からはそう遠くはない。6時にあるという放送の前後には着くだろう。 休めていた体を立ち上げる。正面の道路を避けて路地裏を進もうとした矢先。 コンクリートを砕く音がルルーシュの鼓膜を叩いた。 「ここでも戦闘があるか……」 地響きが体表を伝わる。依然、戦闘は続いているらしい。 1エリア先の巨大ビルが倒壊したのだ。集まる人数はかなりいるだろう。 そこにスザク達が来る可能性もあるが…炎の中に飛び込む無鉄砲は無理だ。離れるのが無難だろう。 だがせめて敵の姿くらいは把握しておきたい。戦場は比較的近いようだ。 ビルの影から顔を出して外を覗こうとする。 そこで戦っているのは、一体の怪人と一機の機動兵器だった。 灰色の狼を思わせるフォルム、開会式の場で姿を変えたオルフェノクという種族と思しき怪人。 そして―――。 「ヴィンセント…ロロか?」 スザクも騎乗するランスロットの量産型であるナイトメアフレーム、ヴィンセント。ゴールドカラーは弟であるロロが乗る試作機の配色だ。 無論機体だけで本人だと判断するのは短慮だ。それよりもこの場合はナイトメアが支給品として送られてることこそ見るべきだ。 自分の中では死んだ人間。殺すと決めた並行の異人。 監視役とし送られた義弟だが、最期には本物の弟と認めた愛すべき人。 出方を決めかね様子を窺うことにする。幸いこちらには気づいていない。確かめるチャンスはあるはずだ。 注意深く戦闘を観察していたルルーシュの足元が、突如として光り出した。 「な……ッ!?」 淡い黄色の光は帯になり無数の蛇を思わせる動きでルルーシュへと飛びかかってきた。 帯は華奢な体に巻き付き、地面と固定され完全に縛り付けらてしまう。 (伏兵……なんという迂闊だ!あれだけ派手に暴れれば他の誰かが気付かぬわけがないというのに!) 歯噛みして下手人とされる影を睨みつける。 両目は塞がれてない。ならば使える。絶対遵守のギアスの力を。逆転の機会は消えていない。 眼に力を込めてその姿を見る。 サイドを巻いた金のロールヘア。髪の色と同じ意向の衣装。両手に構えられたマスケット銃。 その顔に憶えがあるルルーシュは驚愕の息を漏らす。 疑念に染まった目を向けて、巴マミが立っていた。 ■ ■ ■ ソウルジェム。魂の宝石。 つまるところ、これは魔法少女の魂そのものを収めたアイテムだ。 魂と肉体が物理的に分離した状態、肉体はいわば行動するための外付けのハードウェアでしかない。 この小さな宝石が砕かれれば、幾ら体が健常でも魂が壊れ即死してしまう危険を孕む。 だが逆にいえばソウルジェムさえ無事ならば、首が撥ねようが心臓が穿たれようが生死には問題がない。 魔力の続く限り肉体を再生することができる無敵の戦士。朽ちることなき屍生人(ゾンビ)といえよう。 ソウルジェムが砕ける要因は主にふたつある。 戦闘などで外的な衝撃で破壊される場合と、ジェム内の穢れが溜まりきった場合だ。 穢れは魔力の消費、もしくは精神の状態によって澱んでいく。 日常と戦いとの軋轢、人間関係、人は小さなことで心に不浄を募らせる。多感な第二次成長期の少女であればなおのことだ。 たとえば体を裂かれたとして、そこで『死んだ』と認識し絶望すれば、その瞬間ソウルジェムは砕けてしまう。 これは欠陥などではない。すべて仕組まれたこと。 ジェムを突き破る、希望と絶望の相転移が生み出すエネルギーの収集のための『消耗品』としての機能だった。 故に、心臓を不意に撃たれた巴マミもまた絶望し死んでいく。 不意ということは死を意識してなかったということ。だがその寸前に訪れる激痛は絶望に追いやるだけの効果を持っていた。 何も守れず、何も成せず、孤独に少女は死んでいくしかない。 ただひとつの、例外がなければ。 『生きろ』 「ぅ……」 小さく、蠢いた。 朽ちる筈の心が、有り得ぬ声によって修復される。 『生きろ!』 何処からか聞こえてくる声。 聞き覚えのない、だが芯まで届いてくる叫び。 己の意思に関わらず、呪いのように生を謳う。 欲望でも衝動でもない、刻まれた命令(ギアス)に従う。 『生きろ!!』 「生き…る…」 そうして、巴マミは覚醒した。 「なぜ…私を撃ったの?」 混乱する頭の中で、マミは男に問いかける。問わずにいられなかった。 まだ十分に回っていない脳では自分で回答を出すことができず、誰かに聞いてみねばわからなかった。 それでも撃たれた状況を考えて相手を束縛してることから比較的冷静を保ってるといえよう。 穴の空いた左胸は塞がっており痛みもない。 肉体のコントロール権はソウルジェムにある。痛覚の減衰をはじめとして知覚機能の制御を無意識に行うことが可能だ。 ただ不安なのはジェムの濁り。ここに来てから三連戦。そのいずれも強敵揃い。かなりの魔力を消費してしまっている。 光は消えかかり、今にも失ってしまいそうな蝋燭の輝きだった。 (いったい…何を言っている…ッ!?) そして混乱してるのはルルーシュも同じだ。 女の顔は覚えている。筋骨隆々のゼロに追われていた時颯爽と助けに現れた少女だ。 それがどうして、こうも一方的に拘束されねばならないのか。 見捨てたことを根に持った?それはないだろう。向こうから率先して来たのだ。それで恨み言を吐くなど逆恨みにも程がある。 そして撃たれた、とはどういうことだ。言動から察するに、自分に撃たれたと思っているらしい。 まったく身に覚えのない事態にルルーシュもまた対処法を即座に取れなかった。 「…銃を下ろしてくれないか。俺と君は一度会っているが君に危害を加えたことはないはずだが」 「言い逃れはできないわ。あなたの顔も声も名前も私は聞いているの。ルルーシュ・ランペルージさん」 どうやら想定以上に錯綜しているらしい。ルルーシュは事態の危険度を一歩繰り上げた。 犯人は自分の顔と声と名前を騙って殺人に及んだと推測できる。 (この断言のしよう…本当に俺と瓜二つの顔のプレイヤーに会ったのか。 可能性しては変装道具を支給された線が最も高いか……) 不思議なことではない。現に自分の従者でありSPでもある藤咲咲世子は顔から声帯まで模倣できる道具を所持している。 体格さえ合っていれば、初対面の相手なら難なく騙し通せるだろう。 これはもう即刻排除せねばならない。生かしておく程害を撒き散らしていく。 だがそのためには、どうにかしてこの場を収めなければならない。 厄介だ。なにがといえばもう既にこの女にはギアスを使ってしまっているのだ ギアスの効果は一人に一度のみ。強制的に解決できる策を封じられてしまった。 (急がないと。もう時間がない、ぐずぐずしていられない…!) マミは焦っている。 濁りが溜まれば魔法が使えなくなること、巧が一人で謎の敵と戦っていること、そして自分を殺そうとした男への対処を。 どれも対応を誤れば命取りになりかねず、かといって慎重に及ぶ時間もまたない。 ジェムの穢れは正しく魂の穢れ。余裕なき心は視野を著しく落とす。 このまま縛り動けなくするか、足を奪うかという選択肢までも考え引き金にかける指の力を強める。 「斬撃(シュナイデン!!)」 張り詰めた緊張を切り落とす刃が二人の間へ落とされる。地面に三日月状の爪痕がたつ。 第三者の乱入にマミとルルーシュの視線が同じ方向を向く。 現れたのは、銀の髪をたなびかせ、桜色の衣装に身を包んだ少女。 星形の杖を握り中空を飛ぶ姿はまさに、 「魔法少女…!?」 正義を振りまき愛を語る魔法少女、カレイドルビー改めイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。 混迷の戦場を問答無用に解決すべく、大空を駆け抜ける!! …事態は、より混迷となる。 →
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;;SE『チャイム音』。BGM『ある日のこと』。背景『教室』 @bg file="kyousitu.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500 @bgm file="aruhiA.ogg" @playse storage="se3.ogg" @wait time=1500 @fadeoutse time=1500 @wf 「休みは黒川、と……黒川?」[lr] ;;検索エンジン(動揺) 滅多に聞かないググレの動揺した声。寝耳に水とはこのことだ。眦をこすってから、背筋を伸ばして体を起こした。[lr] ;;ググレ(困惑) 意識を回想から引き戻す。目の前でググレが珍しく戸惑っていた。普段は超然かつ傲慢、それが今はいい気味だ。とはいえ、理由が分からなければ、旨みも半減だ。[lr] 「おい、何があったんだ?」[lr] ;;エンジン消し、毒男(デフォルト) 「珍しいよな。委員長が休みだってよ」[lr] @fadeoutbgm time=2000 「…………」[lr] 「どうした?」[lr] 何故だろう。息苦しい。胸を押さえつける。心臓が暴れていた。[pcm] ;;みずき(泣き)を一瞬だけ表示。BGM『兆候』 @bg file="black.jpg" time=500 @bgm file=choukou.ogg" [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=5a m=1 t=2 y=b] @cl @bg file="kyousitu.jpg" time=500 「知るか……っ」[lr] 短く、小さく、そして鋭く吐き捨てる。[lr] 証拠があるわけではない。ただ目に見えない恐怖を、はっきりしたものに仕立てたいだけだ。[lr] ――恐怖?[lr] @playse storage="heart.ogg" @ws 心臓が一際大きく跳ねた。[lr] そうだ、俺は恐れている。俺の前からいなくなったのは、みんな俺にかかわりのある人だから……。[lr] ――関わり?[lr] 姉さん、先輩、委員長……。一つの線で繋がるとしたら、それこそ無数だ。だが、俺の知り合いであるという線もそこには含まれている。[pcm] ;;毒男(心配げ) 「おい、どうした?」[lr] 心配そうに聞いてくるが、俺は曖昧に頷くと体の向きを変えた。机の下に隠しながら携帯を開く。新着メールはなし。姉さんはおろか先輩からさえも返ってきていなかった。[lr] ひとつ、考えが浮かんだ。バレればググレに没収だが、そうはならないだろう。確信めいた予感があった。[lr] ;;背景『携帯のズーム』 委員長の携帯番号に発信した。[lr] ;;SE『電話のトゥルルルー音』 @playse storage="tm2_phone006.ogg" @ws やはり出ない。[lr] メールなら成りすましも容易だ。いや、姉さんとは電話で話した。なら成りすましではない?[lr] 思考は激流めいて矛盾を押し流す。あの電話の後で何かに巻き込まれたというのなら、筋は通る。[pcm] ;;みずき(泣き) @bg file="black.jpg" time=500 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=5a m=1 t=2 y=b] @cl @bg file="kyousitu.jpg" time=500 ……危険、なのかもしれない。首筋の産毛が逆立っていた。[lr] ;;SE『チャイム音』 @playse storage="se3.ogg" 疑問は残っていたが、それを皮切りに思考を打ち切った。[pcm] @fadeoutse time=1000 ;;委員長(デフォルト) @bg file="black.jpg" time=500 [ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=3] ググレから委員長の住所でも訊き出して訪ねてゆくか?[lr] @fadeoutbgm time=3000 否。今の俺にとって大切なのは――。[lr] ;;みずき(笑い) [ld pos=lc name="mizu" wear=u pose=2 b=2 e=2a m=2] ――すまない。[lr] 目を閉じて顔をそむける。まだ呼び出しを続けていた携帯を切った。[pcm] [ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=4a m=4] ;;委員長(哀)の後消し ;;背景『廊下』、BGM『兆候』 @cl @bg file="rouka1.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500 @bgm file="choukou.ogg" 何故か足音を響かせないようにしていた。焦燥はあくまで足を急かしている。だが、ひそやかに廊下を馳せた。[lr] どこか足が地についていなかった。リノリウムを蹴りつけているはずなのに、泥沼に嵌まりでもしたような気がする。入っては戻れない領域に踏みこんでしまったような。[lr] いいや、そんなはずはない。足元を見つめて首を振る。眩暈がするのは、ただの寝不足だ。[lr] @bg file="kaidan2.jpg" rule="左下から右上へ" 階段を駆け下り、角を曲がる。[lr] @bg file="rouka1.jpg" rule="左下から右上へ" ;;伊万里(驚き)を一瞬だけ表示 [imar f="驚き" pose=1 pos=c] @cl 人影。前進をためらった刹那、重心の乱れで左足首が挫けた。膝が折れ、右足で床を蹴って体を跳ばす。辛うじて人影との衝突を避けつつ、床へとダイブした。[pcm] ;;伊万里(驚き) [imar f="驚き" pose=1 pos=c] 「みのりんっ!?」[lr] 「……痛っ!」[lr] とっさに衝いた左手首が鈍痛を訴えている。いつだったか、こんなことがあったような気がする。[lr] 痛みを無視して立ち上がった。[lr] ;;伊万里(真面目) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=4] 「話を聞いてほしいんだ」[lr] 「後にしてくれっ!」[lr] 掴まれた裾を乱暴に振った。[lr] ;;伊万里(必死)。BGM『crazeforyou』 [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=5a m=7 s=1] 「今じゃないとダメなんだっ!」[lr] 怒りと焦りと後悔と躊躇。無数の感情がごちゃ混ぜにされた一声だった。[pcm] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=4 s=1] 自然と動きがとまっていた。沈黙に荒い息づかいだけが響く。伊万里の力が緩んだところで、裾からその手を引き剥がした。[lr] ;;伊万里(デフォルトかほっとした笑み) 「少しだけだぞ」[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=1 e=4a m=2] 右足一本で廊下に背を預けた。[lr] ;;伊万里(真面目というかシリアスというか) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=5] 「でね、話っていうのは――」[lr] 跳ねる心臓を右手で押さえつける。俺はまだ伊万里と向き合えない。すくんだ足は今も走り出そうとする。[lr] 「――みずきちのことなんだけど」[lr] あっと驚きの声が漏れかけた。みずきのことを心配していたはずなのに、いつの間にか保身のことしか考えていなかった。[pcm] ――これだから、伊万里と向き合えないのだろう。痛む手首を気にするフリをして、視線を逸らした。[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=5 s=1] 「だ、だいじょうぶ?」[lr] ――なんで心配するんだ。[lr] 理不尽だ、とても理不尽だ。けれど理不尽なことを思ってしまう。[lr] 思考するのがイヤになる。[lr] 「それより、話? みずきのことでか?」[lr] ;;伊万里(浮かない) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=4] 「うん……」[lr] 頷いたっきり、沈黙する伊万里。[pcm] 唇は震え、全く動きを止めてはいない。けれど、なかなか言葉は出てこなかった。[lr] 言葉が見つからないわけではない、何か途轍もなく重々しいものを紡ぎ出そうとしていていた。[lr] すうっと、息を吸う音が明瞭に聞こえた。[pcm] ;;伊万里(シリアス) ;「ひめさん、いないよね?」 ;「早紀先輩もいないよね?」 ;「百合さんもいないよね?」 [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=5] 「ひめさん、いないよね? 早紀先輩もいないよね? 百合さんもいないよね?」[lr] 矢継ぎ早に放たれた三つの質問。首が勝手に頷き、たじろぐ。[lr] 「だからみずきが危な……」[lr] ;;伊万里(哀) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=4] 「みずきちなんだ」[lr] 次のターゲット、か。[lr] 「分かってる分かってる。みずきが危ないんだろ?」[lr] ;;伊万里(怒) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=7] 「そうじゃないんだ!」[lr] 「どう、いう?」[lr] みずきが危ないわけじゃない?[pcm] 血が落ちて首筋が冷える。脳の奥深く封じこめておいた仮説がよみがえった。[lr] 「……まさか」[lr] 止めろ言うなそんなはずはない![lr] ;;伊万里(哀) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=5] 「みずきちがやったんだ」[lr] 奇妙なほど滑らかに言う伊万里。最初の雨粒が地面を叩くように、ぽつり、と。[lr] 「……なんで?」[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=4] 「それはボクにも……」[lr] 「なんでこんな嘘をつくんだ?」[lr] ;;伊万里(困惑) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=2a m=5 s=1] 「……え?」[lr] 分かっている。けれど認めるわけにはいかない。[pcm] モノマネ娘。紅茶色に紛れていたペールグリーン。夜な夜な外出してはまとってくる鉄錆びたような異臭。今朝、見かけたMTBの泥だらけのタイヤ。[lr] ;;伊万里(哀) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=4a m=5 s=1] 「嘘なんて……」[lr] 「嘘に決まってるだろ! みずきが、そんな……」[lr] ;;伊万里(必死) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=7 s=1] 「だって!」[lr] 感情が爆ぜたように上履きが床を叩いた。[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=5a m=7 s=1] 「だってそうなんだ! 仕方ないんだよ!」[lr] 静謐に叫びの余韻だけが立ち込めた。伊万里はしばし黙ってから、やがて呟いた。[pcm] ;;伊万里(哀) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=4] 「ボクがそんな嘘をつくと思うの……?」[lr] 「それは……」[lr] 伊万里が俺にそんな嘘をついて何の利益がある? みずきを犯人に仕立て上げて……。[lr] 気づいていた。ただ気づかないフリをしていただけだ。とても残酷な覚悟を決めた。[lr] 「思う」[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=2a m=5 s=1] 「――!?」[pcm] ;;伊万里(シリアスな驚き。ショック) 「伊万里、お前はみずきに嫉妬してるんだろ? だからこうやってみずきを貶めようとする。みずきの家にいるのは、別にお前が勘繰ってるような理由からじゃない。もう嘘は止めろ。今なら水に流してやるから」[lr] あってはならないものを見てしまったように、伊万里は目を見開いて言葉を失っていた。唇が震えるものの、言葉ではなく白い息しか漏れなかった。[pcm] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=5 s=1] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=2a m=5 s=1] 「そんな……ボクがそんなことっ!?」[lr] 固まった伊万里の視線が俺ではなく、俺越しの誰かを見つめていることに気づいた。[lr] @cl ぱっと振り向くが、窓があるのみ。いや、そこに一瞬、空気抵抗になびいた紅茶色のツインテールが映っていたような気がした。[lr] ;;みずき(怯え)を一瞬だけ表示。 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=7 e=9a m=5 t=1] @cl 「……みずきっ!?」[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=7 s=1] @cl 伊万里が袖を掴んでいたが、振り払って猛然と駆けた。[lr] ;;BGM消し、伊万里消し、画面を赤く明滅。 @fadeoutbgm time=1000 @bg file="red.jpg" time=300 @bg file="kaidan2.jpg" time=300 激痛。ふわり、と浮遊感が襲った。左足が階段を踏み外していた。[lr] ハッと思い出す。さっき伊万里とぶつかりかけたとき、左足首を挫いていた。[pcm] 気づく頃には段差を転げ落ち、床へ叩きつけられていた。間の抜けた笛の音のような音が喉からこぼれる。[r] ダメージを受けた肺は空気を押し出されていて、酸欠状態だった。だが、肺を広げようとすると、いきなり強烈な痛みを訴え出す。満足に呼吸さえできない。[lr] なおかつここに来て左の手首と足首の痛みまでもが蘇った。早くみずきを追いかけなければ。だが激痛が全身を灼き尽くし、一人で起き上がることすらできない。[lr] 絶望的に時間が過ぎてゆく。[pcm] ;;BGM『13と1の誓い』 @bgm file="13_1.ogg" 「……!?」[lr] 実は頭も打っていたのかもしれない。視界に小さな上履きが入りこんだ。かすかに震えている。一瞬、引き返そうかと動くのも見えた。だが、最終的には近寄ってきた。[lr] 「みの、る……?」[lr] ためらったような、怯えたようなソプラノは、間違いなくみずきのそれだった。[lr] 支えてやらなければならなければ。だが、俺は起き上がることすらできない。むしろ助けを求めていた。[lr] 軋んだ頬骨が痛むものの、なんとかして言葉を発する。[lr] 「俺はみずきを信じてる」[lr] びくん、と空気が波打ち、動揺しているのが伝わってきた。[pcm] 「本当に?」[lr] 「信じてくれないのか?」[lr] 俺の返答に再び黙りこむ。[lr] 「……信じてる」[lr] 「…………」[pcm] ;;みずき(泣き) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=3a m=9 t=1] ややあって、助け起こされた。併せて全身の力を振り絞る。右足は膝が痛かったものの、足首はそれほどでもない。なんとか階段へと座りこんだ。[lr] 「保健室に」[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=2a m=9 t=1] @cl 言い終わる前にみずきが首を振った。携帯を出して電話をかけると、怒鳴るような声で早口にまくしたててからあっという間に切った。[r] 途端に静謐が立ちこめる。華奢な輪郭が小さくなったように見えた。[lr] 「車、手配してもらったから」[lr] 背中越しに投げられたのは、感情のこもっていない報告。[pcm] ;;みずき(怯え) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=3a m=10] 「あたしのこと、信じてる?」[lr] 限りなく虚ろで、しかし異なる重みの問い。[lr] 「……もちろん」[lr] 間髪入れず、というには間が空きすぎてしまったかもしれない。実際、揺らぎがないとは言えなかったから。[lr] 俺は本当に信じているのだろうか。伊万里が嫉妬して、みずきを貶めようとしたなんて。[lr] いや、そうでないはずはない。そうでなければ、みずきは……。[pcm] ;;みずき(泣き笑い) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=6a m=8 t=1] 「ありがと」[lr] その笑顔はとても痛々しかった。むしろすがりついてきてくれた方がまだ安心できた。[lr] 俺は気づいてやれなかったのに。どうして? どうして? どうしてなんだっ!?[lr] 何も語らない。みずきはただ花のように微笑むばかりだった。[pcm] ;;BGM『Lunatic Lovers~xxx』。背景『みずき宅の客人用の部屋』 @fadeoutbgm time=3000 @cl @bg2 file="wafuu_kositu00.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=3000 @bgm file="llxxx.ogg" ベンツに乗せられた俺はそのまま病院へと連れていかれた。それもかなり規模が大きかった。[lr] とはいえ、正直、過剰すぎると思った。出血もなければ、頭を打ったわけでもなし。保健室の処置で間に合うレベルだ。[lr] 極めつけは料金。俺が保険証を持ち合わせているはずもない。請求金額はぼったくられてるのかと思うほどだった。[lr] しかし、そこでみずきの父はすべて代わりに支払ってくれた。その姿に感謝と尊敬を覚えたものの、一抹の疑念が胸に宿った。[pcm] よくよく考えてみればおかしな話とも言える。年頃の娘が男を連れてきて、しばらく泊める。それもいきなり。[r] だというのに、全く怪訝そうな顔もせず、むしろ後押しするような雰囲気だった。[lr] 人柄、と言ってしまえばそうなのだろうが、本当にそうなのだろうか。元々、あの人はあんな感じの紳士だっただろうか。思い出せない。分からない。[lr] そもそも会話をほとんど交わしていなかった。泊めてもらっておきながら食卓を囲んでいない。いつも俺の食事はみずきと二人で……みずきと二人で?[lr] そういえば、みずきも家族と食卓を囲んでいなかった。[pcm] 「痛っ!」[lr] 傷の痛みが思考を引き裂いた。[lr] 布団の中から手を出し、携帯を引きずりこむ。その仕草だけでも傷に障る。[lr] 眠りに落ちる前までは、布団の傍にみずきが張りついていたはずだったが、もういなくなっていた。代わりにスポーツドリンクと丁寧に畳まれた着替えが置かれていた。[lr] ;原文 ベッドの傍に ――ありがとうな。[lr] 心の中で礼を言い、そして謝罪する。俺はこれからみずきへ嘘をつく。いや、嘘にする。さっきみずきへ宣したことを。[pcm] ;;みずき(病み)一瞬だけ表示。 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=1 e=3a m=10 y=b] @cl @fadeoutbgm time=1500 「あたしのこと、信じてる?」[lr] 「……もちろん」[lr] 信じてはいる。信じてはいるが。[lr] ;;背景『携帯のズーム』。BGM『雪景色』 @bgm file="yuki.ogg" 張り詰めていた息を吐ききると、携帯の電話帳を開いた。[lr] 『伊万里寿司』[lr] ;;SE『トゥルルルー音』 @playse storage="tm2_phone006.ogg" 本当に、そうなのだろうか。伊万里が嫉妬でみずきを貶めようとしたのだろうか。[lr] 有り得ない。そう思う。アイツが嘘をついて人を中傷するはずはない。なら、本当にみずきが……。[pcm] いや――と、独白で思考を中断させる。目下の難題は、今も開封さえできずにいるチョコレートへの答えだ。断るしかないのだろうか。それとも欺くか。[lr] 断ったところで、それは『愛』がまだ分からないから。欺いたところでそれも『愛』が分からないから。結局のところ、決めてしまえば理由は後付けできてしまう。[lr] それとも、俺は本当にアイツを……。[pcm] ;;SE『電話に出る音』。伊万里(落ち込み)表示。 @stopse @playse storage="tm2_phone006.ogg" @bg file="black.jpg" time=500 [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=4] @cl @bg file="wafuu_kositu00.jpg" time=500 @stopse @playse storage="others_10_mikenoize.ogg" @ws 「今日は悪かったごめんっ!」[lr] 開口一番、早口に言葉をほとばしらせた。[lr] 「……いいよ、信じてたから」[lr] いともあっさりとしていたが、言葉を呑ませる一言だった。こんな俺を、どうして信じてくれるのだろう。[pcm] 「お前の言うことを信じたわけじゃない。ただ本当じゃなくても間違いっていうことはあるからな。お前がその結論に至った経緯を教えてくれ」[lr] 恐らくは、かつての俺と同じだ。混乱するうちに証拠らしいものを見つけては都合の良い仮説を立てて、強引に憎むべき対象を見つけてしまっているだけだ。[r] そう、そうに違いない。なぜなら……。[lr] そうでなければ、困るから。みずきが犯人だなんて、思いたくないから。[lr] ;;伊万里(デフォルト) 「うん、分かってる。こんなこと、なかなか信じられるとは思わないし」[lr] 伊万里は一息置いてから、話し始めた。[pcm] 「あの後――みのりんにチョコをあげた、あの後」[lr] 冷や汗で手が滑る。今はまだそのときじゃない、そう言い聞かせるものの、心拍は跳ね上がってゆく。[lr] 「だ、だいじょうぶ? なんだか息が荒いけど」[lr] 「気にするな。続けてくれ」[lr] 左手で心臓を押さえながら、深呼吸を繰り返す。[lr] 「あの後、ボクはすぐには家に帰らなかったんだ。……その、なんていうか」[lr] ;;伊万里(苦しげ) 「言わなくてもいい。分かってるから」[lr] 告白直後というのは、顔を合わせ辛いことこのうえない。だが、俺と伊万里の場合、家は隣同士だ。[pcm] 「ありがと。ちょっと山に行こうと思ったんだ。自然と接するっていうか、その……一人になりたくて」[lr] 「独りに?」[lr] 聞きに徹するべきところだったが、舌が勝手に問い返していた。[lr] 「いや、続けてくれ」[lr] 独りになりたい? 俺には理解できなかった。[lr] 「なら続けるけど、山に入ったら、みずきちを見つけたんだ。でも、ちょっと声をかけづらくて。みずきち、泣いてたんだ……」[lr] みずきが泣いていた? どうして? 口を挟みそうになるのを必死でこらえる。[lr] 「道もないところを進んでくし、大きなバッグを運んでたから、ちょっと気になってついてったんだ。そした――っ!?」[pcm] ;;SE『伊万里の殴られる音』 @playse storage="tm2_hit002.ogg" 突如、鈍い音が響いたかと思うと、伊万里の声が途絶えた。[lr] 「伊万里っ!?」[pcm] ;;SE『ブツッ。電話が強引に切られる音。ツーツーツー』 @playse storage="others_07_putu.ogg" @ws @playse storage="TelephoneA@08.ogg" @wait time=700 @fadeoutse time=700 「伊万里! おい、返事をしろっ!」[lr] @stopse @playse storage="tm2_phone006.ogg" 叫ぶ。かけ直す。出ない。かけ直す。五回ほど繰り返して携帯を投げ捨てた。[pcm] @stopse ;;背景『みずき宅客人用の部屋』 すでに頭は冷えていた。もう、驚かなかった。[lr] 今の俺こそがそうなのかもしれない。みずきを信じたい。だからどんな証拠を突きつけられても、ことごとく耳を貸さない。[r] 強引に真実から目をそむけ、都合の良い虚構にすがりついているのではないだろうか。[lr] 揺るがぬ確証を得た。得てしまった。伊万里は嘘をついていない。とすれば……。[lr] 心に氷が張り詰めてゆく。冬の湖のように薄氷がすべてを覆い隠し、波紋はない。何一つを弾き、受けつけない。思考は凍りついていた。[lr] そのまま、待った。[pcm] ;;ホワイトアウトの後、しばらく停止。この間BGMはなし。 ;;SE『床板が軋む音。ギシッ』。BGM『13と1の誓い』 @fadeoutbgm time=2000 @bg file="white.jpg" @wb @bg2 file="rouka1_mizu_y.jpg" time=1000 @playse storage="f11_5.ogg" @ws @bgm file="13_1.ogg" どこかから帰ってきたみずきがこそこそと廊下を歩んでいる。[lr] ひそやかに。誰かに見つかるのを恐れるように縮こまりながら、歩を進めている。[lr] 角に隠れているこちらにまで押し寄せる鉄錆びた刺激臭。もうその正体が何なのかは推測できていた。[lr] いや、そんなはずはない。それを打ち消そうとする囁きも聞こえる。[pcm] @bg file="black.jpg" @snowinit forevisible=true 夜の闇に細雪が降り積もり、黒く閉ざされた視界が白くけぶってゆく。[pcm] ;;背景『雪景色』と伊万里(シリアスかつ照れ) @snowinit backvisible=true @bg file="white.jpg" [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=4 c=1] 伊万里。俺は今こそ答えを出そう。[lr] ;;選択肢。A『みずきを愛している』B『伊万里を愛している』 [nowait] [r] [link target="*mizuki"]1.『みずきを愛している』[endlink][r] [link target="*imari"]2.『伊万里を愛している』[endlink] [endnowait] [s]
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暖かい色の明かりが部屋全体を照らして、太陽が沈み暗闇に落ちた外から人を守るように、光は家族を包んでいる。 街を騒がせる恐怖を煽る猟奇的なニュースにも無縁だと、家の中は笑顔で賑わっていた。 光とは安寧の元だ。神が与えた原初の火に始まり、照らされる場所に人は集まり寄り添う。 人は闇と戦う手段を手に入れ、現代に至るまで光は人と共にある。 「わあすごい!これお姉ちゃんが作ったの!?」 「こらモモ、お行儀が悪いわよ」 四人が囲ってもまだ少し余裕があるテーブルに並ぶのは、色鮮やかな料理の数々。 やわらかいパンに新鮮なサラダ、湯気が立つスープと香ばしく焼けた肉が食欲を誘う。 幼い次女が待ち切れず、フォークを手に取ろうとするのを母がたしなめている。 「お母様の言う通りです。食事の前は神様が降りてくる時間、きちんとお祈りをして感謝の言葉を伝えなければいけませんよ」 「はーい」 まだ神の教えを十分に理解しておらず、作法の大事さもわからない幼子は、しかしもう一人の声には素直に従った。 言葉の内容云ではなく、話した人そのものへの信愛に応えたがためだ。 「ははは、おまえよりマルタさんの言葉の方がよっぽど効果があるようだ。すっかり懐いてしまったな」 椅子に座るのは家族四人と、昨日から家に招かれた長女の友人だ。旅行に海を渡ってこの見滝原に来たものの、運悪く宿泊先の手違いで予約が滞ってしまっていた。 どうしたものかと不安に思っていたところを偶然知り合い、同じ信仰を志す縁で家族のみで暮らすには広い教会に一時の滞在に預かる身であった。 「さあ、それじゃあ祈りましょう」 全員が椅子に座ったところで食前の祈りを捧げる。 父と母は教えに則り感謝の言葉を述べ、まだ意味がよく分からない次女も倣うように手を合わせる。 客分であるその女性は、神父である父から見ても完璧に過ぎた姿勢で祈りに臨んでいた。 清く美しく、無償の愛(アガペー)に満ちた聖なる画の如き佇まい。 自分以上に信仰を積んでいると確信させる女性は、僅かな日数寝食を共にしただけで夫婦双方から大きな信頼を得ていた。 ともすれば目の前のこの人にこそ自分達は祈るべきでないのかと、不遜なる考えを抱いてしまうほど。 全ての信徒が模範とすべき理想形がここには顕在していた。 「―――いただきます」 そして、祈りの動作はちゃんとしながらその光景を眺めていた長女は。 目の前の団欒に目と耳を傾けることなく食事のみに集中していた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 教会屋上。 信仰の象徴たる十字が建てられた下で、冷えた大気に身を晒す二人。 その一人は長い赤の髪を上に纏めた十代前半の少女だ。 星空瞬く空を鏡合わせに、無数の電灯が煌めく地上。 夜の街を一瞥する瞳は生まれてから重ねた年月に釣り合わないほど冷めており―――佐倉杏子の送った人生の苛烈さの証となっている。 住む場所はなく、適当なホテルに無断で宿泊する毎日。 食料の確保には窃盗は当たり前、コンビニのレジをこじ開け金銭を奪うのも日常茶飯事。 荒んだ生活を見た目は中学生の少女が不自由なく送れるのは、奇跡の残滓たる魔法の力あってこそ。 自分の力を自分の欲望に用いる。躊躇などない。そうする事でしか生きられない以上迷いなどない。 杏子の送ってきた生活とはそういものだ。完全に順応して習慣になってしまうほど馴染んでいた。 「でさ……何やってんだよあんた?」 杏子は隣にいる英霊に問いを投げた。 先ほども家族と一緒に食事を共にしていた旅人であった。 清廉。そのような一言が凝縮された女がいた。 それだけで言い表せるような器量で収まらない乙女であるが、見た者は始めにその一言を連想するに違いない。 激する性質を思わせる杏子の赤髪に反した、紫水晶色の長髪。宝石や金銀財宝の豪奢とは異なる、渓谷に注ぐ透き通った水流の自然なる美。 地上の電灯と天空の星々に照らされてるだけの筈のそれは髪自体が光り輝いているよう。 身に纏う衣装は現代の街並みには溶け込まない意向だが、鋼の鎧といった戦士の、戦いの道具という印象からは程遠い。 手足に最低限の装具をはめる以外には実りの均整が取れた体を包む法衣のみ。彼女が武に行き覇を唱えた勇士ではない事を示している。 清らかで優しい、輝くばかりのひと。 その名だけで人々の心の寄る辺となり、希望を在り示してくれる、力ある言葉。 それ即ちは聖女。奇跡を成した聖者の列に身を置く者。 それが佐倉杏子の片翼。聖杯戦争を共に行くサーヴァントだ。 ライダー、その真名をマルタ。 救世主の言葉を直に受け、御子の処刑の後も信仰を捨てる事なく、時の帝国によって追放されるも死せず神の恩寵を受けた者。 布教の道程、ローヌ川沿いのネルルクの町にて、人々を苦しめる暴虐の竜タラスクを鎮めた竜使い。 その宗教に属さずとも知らぬ者はいない、世界中で崇敬されるその人であった。 「何、と言われても。マスターとその家族に料理を振る舞っただけよ?嫌いなものでも入ってた?」 「好き嫌いとかはないよ。ウミガメのスープは美味かったし。肉の叩きも汁がすごかった」 「お粗末様」 杏子を見つめるアクアマリンの瞳は慈しみに満ちていた。 その言葉遣いは、彼女と関わった者の多くが見る顔とは違っていた。 礼節を欠いてるわけではなく。さりとてサーヴァントがマスターに、従者が主に、聖人が他者に向けるものとしては間違いがあるような。 どちらかといえば、穏やかな気質の姉が春を迎える年頃の妹にかけるような、親しい間柄でのみ見せるやり取りだった。 「出されたものは残さず頂く。立派な心がけだわ」 「そんな大層なものでもないだろ。腹が空いたら食えるだけ食っとくってだけの話だ」 選ぶ余裕のない生活を送っていた杏子にとって、食事は取れる時に取っておくという考えだ。 味の善し悪しや心情で手を付けない粗末な真似は自分は勿論、他者にも許さない。だから出された料理は食べるし残しもしない。 幼少から触れてきた教えも少なからず関係しているのだろう。どう受け止めようと過去の習慣は消えずに沁みっている。 「おかわりもしてたものね。うんうん、食べ盛りの子はそうでなくちゃ」 「っガキ扱いすんな!」 杏子の舌に残るのは素朴で、郷愁を誘う母の味だ。今も住居も兼ねている教会で眠っている実の母を尻目にして。 悪くない料理だった。美味しかったという感想に偽りはなく、また口にしたい欲求がある。 懐かしい、と憶えた感情。 家庭の料理などもう長らく食べていないと、口にした瞬間に思い知らされた。 あの日に焼け落ちて止まった記録。これから一生思い出す事のない筈だった味そのものだった。 「だから違えよ。そういう話じゃない」 こんな偽りの円満に加えられる事がなければ、決して。 「あいつらは、あの人たちは、あたしの家族じゃない」 その欺瞞に気付いた時、杏子は己の魂がどす黒く濁るのをはっきりと感じ取れた。 「みんな、みんな、偽物だ。死人だ。あっちゃいけないものなんだ。 これを認めたら、あたしは本当に魔女になっちまう。だからいらないんだよ、こんなおままごとに付き合う真似はさ」 許せなかった。憎らしかった。 こんな偽物を用意して罠に嵌めた相手への怒りだった。 自らの手で失ったありし日で幸福を感じていた自分への怒りだった。 はじめは”魔女の結界”の仕業かと判断した。 奇跡を詐称する御遣いによって得た力、闇を齎す絶望の化身、魔女を討つ希望、魔法少女。 結界は魔女のテリトリーであり餌の狩場でもある。社会に疲れた人間の心の隙に潜り込み囁いて、自分の膝元へ招くのだ。 その中で見つけた、魔法少女の証たる宝珠が放置されているのを不審に思い手を出した直後、杏子の意識はひっくり返った。 狩人の側である魔法少女が無様に誘惑に引っかかったのだと、鬱憤を放出する矛先を定めた。 だが魔女の気配は一切探知しなかった。代わりに痛みと同時に手の甲に顕れた聖痕(スティグマ)の紋様。そして光が集合して形成して出来た聖人の姿。 杏子は事態の全てを知った。聖杯戦争。サーヴァント。殺し合い。願望器。 願いを叶えられるという、儀式。 「家族が死んだのは全部あたしの自業自得だ。誰も恨みやしないさ。けどこんな都合のいい幻想に浸かってるなんて、それだけは許せない。 あんただって、そうじゃないのかよ?死人と戯れるなんてのを聖女さまはお許しになるのかい?」 ―――みんなが、父さんの話をちゃんと聞いてくれますように――― 幻惑。佐倉杏子にとっての禁忌。 困窮する家族の幸せを願い、多くの人を幸せにするものだと信じた祈り。 得られた奇跡の報酬は、願った全ての喪失だった。 人心を誑かす魔女。絶望に染まった顔で罵る父の声は、どんな鋭利な槍よりも杏子の胸を穿った。 自分だけを残し、家族を連れて荒縄で首をつり下げた姿は、杏子の心を残酷に引き裂いた。 教会で教えを説き、裕福に家族と幸せに暮らす。 再演される見滝原の人形劇は滑稽だった。 求めてやまなかった幸せを嘲った形で見せつけられるのが、これほど腹が立つとは思わなかった。 早々に家を出て今までのように流浪の生活に戻ると何度も思った。そして実行する度に、このサーヴァントに首根っこを掴まれ連れ戻されるのだ。 こうして、今も。 「優しい人なのですね、マスターは」 自分を戸惑わせる声を、真っすぐに向けてくる。 「彼らは仮初の住人。聖杯戦争の舞台を回す為の部品として生み出された偽の命。その通りです。 命を模造し争いの消耗品として道具に使う、それはあまりにもは許されざる行為です」 些細な、決定的な変化があった。 顔も声も何もかもが変わりないのに、そこにいるのがライダーだと認識は変わらないのに。明確に印象がひっくり返る。 「けど、だからといって彼らの存在すら罪とするのはどうなのでしょう。 複製といえど彼らには命があり知性がある。死霊などではない、生きた人なのですから」 隠す演技、人格の変更、そんな浅ましいいものではない。 分かってしまう。ライダーは変わっていない。変わらないままに身に纏う雰囲気だけを一変させる。 信仰を受ける聖女としての顔も、どこにでもいる町娘としての顔も、どちらも真なるマルタの素顔なのだ。 「あなたは優しくて、強い人。家族の複製を見て穢されたと感じ、家族を失った事を自らの罪と受け止めている。 なら彼らと向き合ってもよいのではないですか。壊れた夢を見る事には確かに辛いもの。けどそこには、あなたが見失ったものも落ちているかもしれません」 「……随分言ってくれるじゃないか。ほんと何なんだよ、あんた」 「あなたのサーヴァントですよ。あなたを守り、導き、あなたに祝福を送るもの。 これでも聖人ですもの。迷える子を救う事こそ私の使命なのだから」 「だから、ガキ扱いすんなっての」 忌々しいものだった。 自分が何かすれば止めに入り、正論を出しあれこれ説教してくるライダーを杏子は鬱陶しがっていた。 その多くが家を失ってからの荒れた生活で身につけたものなのだから、何も思わない事もないのだが。 発言の意図よりも、なにより、自分に世話を焼く姿勢にこそ原因が多いのではないか。 苛立ちともむず痒いとも言えぬ感情。でもはじめて知ったわけでもない。いつ以来のものであったか。 「ていうかあんた、優勝する気はないんだな」 「当然です。聖杯とは救世主の血を受けたもの。そうでないものは偽なる聖杯。求める道理がありません。 まあこんな儀式を仕組んだ奴らは後でシメ……ンンッ説伏しますが、まずは街で起こる戦いを止めなければなりません」 確かに、聖女なる者が偽の杯を求め殺し合うのは想像すら及ばない選択だ。真の聖杯が殺戮の血を注ぐのを許すとも思えない。 欲得にまみれた黄金の杯。偽物であるからこそこの聖杯は正邪問わず万人の願いを汲み取るのだろう。 だからライダーが聖杯戦争を否定するのはまったく自然な成り行きだ。想像通りというべきか。 名前を知った時点でそう来るだろうとは薄々思っていた。 「冗談」 よって杏子は考えるまでもなく、ライダーの掲げる方針の拒否を即答したのだ。 「素直に乗らないってとこだけは同意だ。奇跡と抜かしておきながらやることが殺し合いだ。どうせ碌なもんじゃない。 けど戦いを止めるだとか、そういう慈善事業はお断りだ。聖女の行進に付き合う気はないよ」 希望が落ちたあの日から決めている。佐倉杏子という魔法少女は、全て自分だけに帰結する戦いをすると。 生きる為。楽しむ為。自分に益があり満たされるのなら何でもいい。好き勝手に生きれば、死ぬのも自分の勝手だ。誰を恨むこともしなくていい。 誰が何を願い動くのは自由だ、好きにすればいい。干渉はしない。 けれど、誰もが聖人になれるわけじゃない。 誰かの為に生きる。万人にとって口当たりのいい言葉を実践できる者は本当に一握りだ。だからこそそれを成した者は聖人と呼ばれる。 杏子はなれなかった。他の見知った魔法少女にもそんな資質の持ち主はいなかった。ただ一人を除いて。 未熟な自分を師として育て、最後まで見捨てようとしなかった黄色の魔法少女。 正義を生きがいに出来る、正しい希望の持ち主と同じ道を行く事を、杏子は出来なかった。今になって再び道を変えるなど甘い事が通用するわけがない。 ライダーに手を伸ばす。届きはしないし、届かせる気もない。 嵌めていた指輪から現出する赤い宝石。魔法少女の証、ソウルジェムを見せる。 「聖女はどうだか知らないけどさ、魔法少女をやるのはタダじゃないんだ。 祈りには対価がある。魔力を使えばソウルジェムが濁る。犠牲がなくちゃそれを補えない。 分かる?誰かが死ななくちゃ魔法少女(あたしら)は食えないのさ。ここに魔女がいるかはともかくな。 どうせ消費するんなら自分のために使うべきだろ?命を賭けてまで、得もないのに誰かの為に戦うなんざ馬鹿げてるよ」 見ず知らずの人間が使い魔に食われても意に介さない。そうして育った魔女を倒してようやくグリーフシードを手に入れられる。 魔法少女として活動を続けるには、使い魔を放置するのが大事だ。聖杯戦争も似たようなものと杏子は考える。 悪目立ちして暴れる敵は放置して消耗を待つ。手堅く、確実な戦法。 「……あんたとはコンビだ。バラバラに動いて片方がヘマしたら残った方も揃ってヤバくなる。ここじゃ全員そうなら尚更さ。 マスターっていうんならあたしの方が上だろ?いいか、あたしは乗らないからな」 マスターという立場を傘に着るわけでもないが、自分のサーヴァントにははっきりと断っておく。 伸ばした手とは逆にある令呪を意識する。ご丁寧に令呪の使用法まで教えてくれた。どう反抗されようともいざとなれば押さえつける手はある。 果たして、ライダーは動いた。向き直ってこちらを見る表情は憮然なれど、その美しさは損ないはしないまま、軽く微笑んで見せた。 意地の悪い笑みだった。杏子の魔法少女としての直感が背筋に寒いものが走るのを鋭敏に捉えてしまっていた。 「……ふぅん」 「な、なんだよ」 「ちょっと借りるわね」 なにか、嫌な予感がする。警戒を強めたその時には、風は過ぎ去った後だった。 掌の上をそよぐ風。何かが、ライダーのたおやかな指が通過した音。 「な、おい!返せ!」 一秒あったか定かではない交差。それでも変化はある。 杏子の側にあった赤い輝きは、いま目の前の聖女の手で依然と瞬いていた。 「ああもう暴れないの、ちょっと見るだけだから」 「あだだだだぁぁーーー!?」 野苺でも摘むような気軽さで杏子のソウルジェムを分捕ったライダーは、手にある宝石をしげしげと観察している。 空の片手では、飛びかかって奪還しようとした杏子の頭部を掴み自分の行動を阻害させないようにして。 眉間にがっちりとはまった指の握撃による痛みは杏子の想像を絶していた。 杏子と変わりない見た目、麗しい聖女のアイアンクローは頭蓋を割らんとする威力で逆らう意識を剥奪させる。 あれほど念頭に入れていた令呪の行使ももはや頭から抜け落ちた。このまま反逆により意識が落ちるか最悪死ぬかと朧に察しはじめたところで縛りから解放された。 「……よし、と。はい返すわね」 「ぁ……とおぉっ!?」 朦朧として霞がかってぼやけた視界で、放り投げられた赤石。 自分のソウルジェムと認識して咄嗟に、必死になって手を出す。どうにか光は無事に手の中に収まった。 「オ、マ、エ、なああああ……!」 赤い旋律が魔力として現実に走って、杏子の体を包み上げる。 武装の展開を構築。怒りと痛みで熱くなった頭はとっくに統制を離れている。槍の一つでもブチ込まねば気が済まないという一念でいっぱいだ。 正常に戻る視界で女を捉え、手に握ったソウルジェムを見据え―――そこで沸騰するほどの熱は冷や水をかけられた。 「……あ?」 ソウルジェムは魔法少女にとっての要だ。戦う姿に変わるための媒体で、中身の濁りで魔力の残量を示す。故に逐一の確認は欠かせない。 今日の状態は濁りが一割。底に僅かに沈殿するのみのもの。 だが今見た宝石の中身はどうか。色鮮やかな赤には一変の濁りもない純度ある美しさを保っている。 初心者の魔法少女でも知る知識。穢れの浄化はグリーフシードを用いでしか出来ない。その常識を壊されて、杏子は首を回す。 そこにいるのは一人の女。過去に起きた偉業を成した夢の具現。聖女のサーヴァント。 奇跡―――。 今目撃したものの意味を、言葉に出来ぬまま。呆然とそれを起こした人をずっと眺める。 一分、いやそれ以上、もしかしたら以下かもしれない間隔の後。 「これで、タダ働きでも問題ないわね?」 「あるに決まってんだろ!」 反射的に叫んでいた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 結局、杏子は最後までライダーの方針を認めないまま寝ると言って下に降りていった。 残ったままのライダー、マルタは一人のまま地を見続けているが、思考は去ったマスターについてに割かれていた。 良い子ではあるのだろう。善性を持って生まれ、愛ある家族に育てられて成長した。 だが家族を襲った悲劇が自分の原因であると背負い、罪人らしく粗暴に振る舞うしか出来なくなってしまった。 家族を殺したのは自分だ。そんな自分は醜い悪ある者でなければいけない。 元来の信心深さが悪い方向に絡み、今の佐倉杏子の人格を歪めて形成している。 この所感はマルタがマスターから直接聞きだした経緯ではない。尋ねても絶対に口を開く真似もしないだろう。 サーヴァントとマスターは契約時に霊的にもパスを共有し、互いに夢という形でそれぞれの過去を覗くというが、それによるものでもない。 彼女を直に観察し、語り合い、そうして得たそのままの印象と分析でしかない。 心を読むといえば特殊な技能なりし異能を必要とするものと思われるが、それは人に予め備わった機能だ。 経験と徳を積み、真に人と向き合う努力を怠らなければ誰であろうとその心を読み解ける。少なくともマルタはそう思っていた。 「女の子捕まえて契約持ちかけた挙句魂を弄るなんて……どの世界でも胡散臭い詐欺師はいるものね」 キュゥべえなるものとの契約により生まれたソウルジェム。 目にした時、聖女としての感覚が訴える声に従いつぶさに調べその正体を看破していた。 あれは……人間の魂を収めている。 杏子は理解しているのか。あの様子では満足に知っている様子ではない。彼女だけでなく他の魔法少女もそうなのか。 その事実を今すぐ詳らかにするのをマルタは禁じた。自分の魂を肉体と切り離されたお知り少なからぬ衝撃を受けるのを避けた。 いずれ伝えなければならない。しかし遠慮なく暴露して徒に彼女の心に更なる傷を与え真似をマルタは冒したくなかった。 だからせめて淀んでいた穢れを浄化した。濁り切ってただ魔法、魔術が使えなくなるだけのものと楽観はしない。 もっと恐ろしいことのためにあれは造られたのだと、マルタの聖女の部分が警鐘を鳴らしている。 人間の『箱詰め』事件。 悪の『救世主』の噂。 街にも幾つもの物騒な噂が蔓延している。 恐るべき『邪悪』が街中に潜み、黄金の日常を食い潰そうとしている。 己が招かれた事態が偶然性が引き起こした事故などではなく、必然の、必要と求められての結果であるとしたら。 世界の焼却にも並ぶ、未曽有の危機の萌芽の可能性すらもが危惧になる。 「……そうねタラスク、今度はちゃんと救いましょう。世界も、あの子も」 それでも。マルタの在り方は変わることはない。 如何なる時代でも、如何なる形であったとしても。 マルタは聖女であり続ける。人々を守り、導くこと。それが、聖者と呼ばれた者の使命。 思われ、願われた……なら、そう在ろうとするまで。 『あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである』 「大丈夫です。私は私の必要なこと、やるべきことを心得ております」 ですから、どうか見守り下さい。 星々の行き交う夜空を見上げ、マルタは手を合わせ天に祈った。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 妹もいる自室。既に寝入っている妹を起こさないように、隣のベッドに潜り込んで布団を頭までかぶる。 早く寝付いてこの嫌な思いを忘れてしまいたかった。なのにこういう時に限って目が冴えたままでいる。 頭にまだ残る鈍痛が原因のひとつでも、まああるのだが。 もぞり、と動く音。横目に見れば寝返りをうった妹の顔。 幼い頃の自分に似た、何もかもあの頃のままの家族の寝顔。 これも偽りなのか。寝息を立てる仕草も、幸せな夢を見ているだろう、蕾のような微笑みも、全て。 ああ、少なくとも自分はそう捉えている。もう戻らないものと認めている。 「優しい子、だとさ。あたしをよ」 何人も欲望のために見捨ててきたあたしを。 正義の味方になれなかった自分を。 見込み違いにも程がある。聖人とは名ばかりかと笑いたくもなる。 「まったく見せてやりたいよ。あたしの本当の家族の最期をさ……」 追いつめられた人間の取る行動。行き着くところまで詰まってしまった末路。 醜さ、憎悪、怒り、悲哀、無情、絶望。世界の負を煮詰めたような光景。 「でも―――あのひとなら……本当に救えていたんだろうな」 なにせ本物の聖女マルタだ。 救世主の言葉に導かれ世界中から信仰を得た崇高なる偉人。 いち宗教家とは、その言葉の質も存在感の重みも”もの”が違う。 今のこの世界と同じく、家を訪れ、言葉を交わし、食事を共にするだけで、 仮に本物であると知れたら滂沱と涙し、自ら膝を折り跪いてしまい、娘が人を惑わず魔女だった絶望など、軽く拭い去ってしまうのだろう。 奇跡になど、頼らずとも。 魔法なんか、使うまでもなく。 培い、積み上げた徳だけで、人の心に希望を宿す。 ……そうだ。反抗しなかったのは怖かったからだ。 幾ら言葉を投げつけても全てを返されてしまい、聖女の威光に自分の虚飾を剥がされるのを拒んだのだ。 彼女の方が望まずとも、彼女の克(つよ)さを見せられる側が自傷に陥ってしまう。 白日の元に投げ出される、無様な自分が残るだけ。 「…………くそ」 ライダーともうひとつ考えが一致した。 この儀式の主催とやらは、悪趣味だ。魔女に聖女を送りつけるんだから間違いない。 ベッドの中で微睡みに落ちるまで、杏子の気は晴れはしなかった。 【クラス】 ライダー 【真名】 マルタ@Fate grand order 【属性】 秩序・善 【パラメーター】 筋力D 耐久C 敏捷B 魔力A 幸運A+ 宝具A+ 【クラススキル】 騎乗:A++ 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。 例外的に竜種への騎乗可能なライダーである。 対魔力:A A以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、現代の魔術師では○○に傷をつけられない。 【保有スキル】 信仰の加護:A 一つの宗教観に殉じた者のみが持つスキル。 加護とはいうが、最高存在からの恩恵はない。 あるのは信心から生まれる、自己の精神・肉体の絶対性のみである。 奇跡:D 時に不可能を可能とする奇跡。固有スキル。 星の開拓者スキルに似た部分があるものの、本質的に異なるものである。 適用される物事についても異なっている。 神性:C 神霊適性を持つかどうか。 高いほどより物質的な神霊との混血とされる。 聖人として世界中で崇敬されており、神性は小宗教や古代の神を凌駕する。 水辺の聖女:C 船上で漂流し、ローヌの畔でタラスクを制したマルタは水に縁深い。 水辺を認識した時、マルタの攻撃力は上昇する。ノッてくるのである。 ヤコブの手足:B ヤコブ、モーセ、そしてマルタへと脈々と受け継がれてきた古き格闘法。極まれば大天使にさえ勝利する。 伝説によれば、これを修めたであろう聖者が、一万二千の天使を率いる『破壊の天使』を撲殺している。 通常時には機能しておらず、一部スキル、聖杖、主の教え、本人の自重、聖女としての威厳を捨てる事と引き換えにステータスを一時的に向上、 素手に手甲(ホーリーナックル)が追加、神霊、死霊、悪魔の類に対して絶大な特効状態が付与される。 【宝具】 『愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:2-50 最大捕捉:100人 リヴァイアサンの仔。半獣半魚の大鉄甲竜。 数多の勇者を屠ってみせた凶猛の怪物をマルタが説伏され付き従うようになった本物の竜種である。 マルタの拳も届かない硬度の甲羅を背負い、太陽に等しい灼熱を放ち、高速回転ながら飛行・突進する。 『刃を通さぬ竜の盾よ(タラスク)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 一時的に怪獣タラスクの甲羅を召喚し、自分や味方を守る。 味方(単体)の防御力を大幅にUPさせる、もしくは短期間の物理ダメージ無効。 『荒れ狂う哀しき竜よ(タラスク)』 ランク:A+ 種別:対人宝具・対竜宝具 レンジ:1-50 最大捕捉:1人 ヤコブの手足スキル発動中のみ使用可能。 タラスクを相手に落下させた後、その上からマルタ自身が拳のラッシュを浴びせる。まさに鉄拳聖裁。 拳には空手でいう「徹し」「寸勁」の技術が使われているためタラスクにはダメージはない―――が本体曰く実際はかなり痛いらしい。 【weapon】 『聖杖』 救世主たる『彼』から渡された十字架のついた杖。 「これを持っている時くらいは聖女らしくしてはどうか」という教えの通り、マルタの(ちょっとだけ)荒々しい面を抑える精神的リミッターの役割を兼ねている。 なお通常攻撃では、十字架に祈りを捧げる事で対象にダメージが届く。 エネルギー波等の類を射出する過程が殆どなく、目標がひとりでに炸裂、爆発する結果のみが発生している。 【人物背景】 悪竜タラスクを鎮めた、一世紀の聖女。 妹弟と共に歓待した救世主の言葉に導かれ、信仰の人となったとされる。 美しさを備え、魅力に溢れた、完璧なひと。 恐るべき怪獣をメロメロにした聖なる乙女。最後は拳で解決する武闘派聖女。 基本的に優しく清らかで、穏やかなお姉さん風の言動が多いが、親しい者の前では時折聖女でないマルタの面を見せる。 聖女以前の、町娘としてのマルタは表情と言葉が鋭くなり、活動的で勝気。……というよりヤンキー的。 どちらが素というわけではなく彼女の芯は変わらず聖女のまま。要はフィルターのオンオフの違い。 【サーヴァントとしての願い】 聖女マルタは、救世主のものならざる聖杯に何も望むことはない。 かつての時と同じく、サーヴァントとして現界しても聖女として在る。 故に、この戦争も認める事なく真っ向から反抗する。 一度道を外れたマスターが、正しき道に向かう為に。 【マスター】 佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ 【マスターとしての願い】 【weapon】 分割する多節槍が主装。巨大化しての具現も出来る。 【能力・技能】 魔法少女として優れた身体能力に合わせ、魔女との戦闘経験も豊富。 防御の術も習得してるがスタイルが攻めに比重が偏ってるため防戦は不向き。 魂はソウルジェムという宝石に収められてるため、魔力さえあればどんな損傷でも回復可能。 ジェム内の濁りが溜まり心が絶望に至った時、その魂は魔女と化す。 かつては願いを反映した『幻惑』の魔法を持っていたが、過去のトラウマから願いを否定した事で使用不可になっている。 【人物背景】 キュゥべえと契約した赤い魔法少女。 好戦的。男勝りな口調。常になんらかの軽食を口にしている。 魔法少女の力ひいては願いや欲望は、自分のためにこそ使うべきとする信条。 他人を救おうとした父を助けたくて願った魔法は、父も家族も全てを燃やした。 魔女と罵りを受けた少女は自暴自棄気味に利己を優先するようになる。 だが根が善人なため堕ち切る事もできず、謳歌してるようで鬱屈した日々を送っていた。 【方針】 願いを叶えるという聖杯そのものについて懐疑的で素直に受け取る気はない。 かといって、積極的に戦う気もなく様子見するつもり。マルタの方針に同意する気は今のところ、ない。
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人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの ◆o.lVkW7N.A ドクンドクンドクンドクン。 鼓動が胸の奥で痛いほど大きく反響し、耳朶を潜って鼓膜に突き刺さった。 野比のび太は今、無力な、――そう余りにも無力な命を腕の中に抱え、人生最大の二択に悩まされている。 殺すか、殺さないか。 言葉にすればあんまりにも簡単で単純なその問いに、けれど彼は答えを出せずにいる。 悩んでいる。考えている。理科や算数や、難しい問題を考えるのは大の苦手なこの眼鏡の少年が。 彼は複雑なことを考えるのが嫌いだった。重要な選択を自分で選び取ることも、不得手だった。 テストのときはいつだって、秘密道具に頼るか、六角鉛筆を転がして出た目の通りにマスを埋めるか、だ。 そうやって、いつもいつものんびりだらだらと結論を先延ばしにして生きてきた。今までは。 けれどこの問題は、自分で答えを掴み取らなければならない類のものだ。 どちらを選ぶにせよ、決めるのは自分自身。誰かに決めてもらうことも、適当な何かに任せることも出来ない。 ……頭が、痛い。 もともと頭を使うのは不得意なほうだ。考え込むと、すぐに頭痛を起こす。 じんじんと側頭部を苛む重い偏頭痛は、更に思考を裁断し、分断する。まさに悪循環。 焦るな、慎重になれ、KOOLになるんだ。氷のようなKOOLさこそが、今は必要なんだ! のび太は自分にそう言い聞かせ、伸ばした指先で頭をがしがしと掻き毟る。 そう暑くも無いのに汗がやたらと流れ落ち、背中をべたつかせて気分が悪い。 おまけに、さっきから目の前を飛び交っている薮蚊の羽音が妙に耳障りだ。苛立ちが膨らむ。 口腔内に纏わりついている粘っこい唾液を、空気の塊とともに無理やりごくんと飲み込む。 けれど口中のべっとりとした不快さは拭いきれず、のび太は舌打ちしてランドセルの中を漁った。 蓋を開けるのももどかしい、といった手つきでペットボトルを取り出して、中の水を一気に流し込む。 ボトルの中身は既に随分と生温くなっていたものの、喉を潤すには十分だった。 いや、十分なんてものではない。リリスから走って逃れ、裏山中を駆け回ったのび太は、本人が感じている以上に疲労していたのだ。 乾いた身体に染み込んでいく水分は、ただの飲料水どころか甘露のようだった。 スネ夫のうちでおやつに出されるアイスクリーム入りのメロンソーダだって、きっとこんなに美味しくはないだろう。 ごっくごっくと喉を鳴らしボトルの半分近くを飲み干して、漸くのび太はほっと人心地をつく。 「た~た~」 泣き声交じりにズボンの裾を引っ張られ、すっかり頭から抜けていたひまわりのことを思い出す。 声のした先に視線をやれば、ひまわりは「じぶんにもくれ」と言いたげに口をぷぅっと膨らませていた。 恐らくひまわりも喉が渇いているのだろう。 彼の手にあるペットボトルを羨ましそうに見上げて、両手をばたばたと振り上げている。 「だ、駄目だよ。これ、僕んなんだからね!!」 正確にはのび太本人の物ではなく、グリーンから譲ってもらった品なのだが構わない。 ひまわりの届かない高さまでペットボトルを持ち上げると、幼児相手に舌を出してあっかんべーをしてみせる。 「絶対に駄~目っ!!」 「あうーっ」 その仕草に癇癪玉が爆発したかのように怒って、ひまわりは尚も手足を振り上げた。 紅葉のように小さな掌でぱたぱたとのび太の腿を叩くものの、当の相手はどこ吹く風だ。 だが、ひまわりはそれしきのことで諦めるほどやわな赤ん坊ではない。 一見普通の健康優良児にしか見えない彼女は、実の所、家族ともども何度も世界を救っているスーパーな赤ちゃんなのだ。 そんな彼女にとって運動音痴の小学五年生など、そうそう手強い相手ではなかった。 「た~、ううっ!」 ひまわりはのび太にちょこちょこと近付くと、グラブから出ている指先で器用に彼のシャツを鷲掴んだ。 コアラのようにぎゅっと抱きつき、全身を芋虫さながらに蠕動させてのび太の身体をよじ登る。 突然の行動に驚いた彼が振り払おうとするも、しがみ付く腕力は予想以上に強く、容易には引き剥がせない。 そのまま虚をついて短い両手を精一杯に伸ばし、のび太の掲げているボトルを奪い取る。 突然のことに目を白黒させている相手を無視して、まだ蓋が開けっ放しだったそれを身体ごと両手で抱え込んだ。 とはいえ対するのび太も流石に、幼児にやられっぱなしで平気なほど鈍い人間ではない。 慌てて立ち上がり、ひまわりの手には少々余るサイズのボトルを再びひったくり返す。 う~う~唸っているひまわりには構わず念入りに硬く蓋を閉め、ランドセルの奥底へボトルを放り入れた。 「あげないよ!」 「あぅあ~っ!!」 「うるさいな、駄目だって言ってるだろっ!」 ひまわりへ叫ぶのび太の言葉の端々に、先刻同様苛立ちが見え隠れし始める。 先ほどは先延ばしにしていた答えを選択するときが、ついにやってきたのかもしれない。 顔を真っ赤にして怒気を含んだ台詞を放ちながら、彼は苛々とひまわりを見据えて再び自問自答する。 殺すか、殺さないか。 目の前には、軟語を喚きながらぶんぶんと両腕を回して自己主張する、ひまわりがいる。 何の役にも立たない、自分一人では身を守ることすら不可能な、小さくて柔らかい命の塊。 それでもこの殺し合いの中では確かな参加者として一人前に扱われ、殺せば『ご褒美』へと一歩近付ける命の塊。 のび太は眼前のひまわりと視線を合わせ、ごくりと固唾を飲み込んだ。 さっき水でべたつきを洗い流したばかりの筈なのに喉は苦しく、やたら痰が引っかかった。 胸元に手を当て、とくとくと鳴り響く鼓動のうるささを抑え込む。 ぴんと張り詰めた静寂の中、その音は実際以上に大きく聞こえていた。 ……赤ちゃんなんて、大っ嫌いだ。 うるさいし、わがままばーっかりだし、自分じゃ何にもできない足手纏いだし。 今も僕の大切な水を取ろうとしたし、これからだってきっとこの子がいたら邪魔になるはずだ。 のび太は自分自身にそう言い聞かせる。 おそらく彼の中で、答えはもう決まっているのだ。二者のどちらを選ぶのか、その回答が。 だから後は無理やりに、そのゴールへ繋がる道筋を、結果へ繋がる過程を考えているだけ。 「それに、……それにこれ以上泣かれたら、僕まで誰か怖い相手に見つかっちゃうかもしれないし。 ひまわりがいたら、走って逃げることだってできないし。だから……、だから今僕がここで殺してやる!!」 のび太は眼下のひまわりをねめつけて宣言すると、肺の奥深くまで大きく酸素を取り込んだ。 心を落ち着かせるため、二度三度とゆっくり深呼吸を重ねる。 恐怖で震える指先を伸ばし、傍らに落ちていた手頃なサイズの石を拾い上げた。 振り上げたときにすっぽ抜けないよう強く握り締めると、ゴツゴツした感触が掌全体を襲う。 尖った底部が掌中に食い込み、刺すような痛みがした。その鈍痛に、のび太はふと考える。 ……これだけでこんなに痛いんじゃ、一体殴ったらどのくらい痛いんだろう。 きっと、ジャイアンの拳骨より痛いよね。ママにお仕置きでお尻を叩かれるのよりも痛いよね。 落とし穴に落ちるのより、ラジコンで小突かれるのより、ずっとずっとずっと痛いよね。苦しいよね。 そう分かってはいても、今ののび太に自身の行いを止めるすべは無かった。 のび太は手にした石塊を振り上げ、未だあうあう呟いているひまわりに狙いを定めた。 外すことなど、到底ありえない距離だ。おまけに相手はただの赤ん坊。 しくじることの方が難しかった。否、その筈だった。 しかしのび太の予想に反し、彼の振りかぶった石がひまわりの頭部へと到達することは無かった。 幼児の脳天めがけて振り下ろされたその石は、瞬間、彼女の周囲に発生した力場によって遮られ、破砕した。 ひまわりはなにも、考えて回避行動をとったわけではない。 ただ本能的な恐れを感じて、両の握り拳で頭を庇っただけに過ぎない。 だが握り締めた拳は特殊な技術により力となって具現化され、そこに現出したのだ。 ――巨大な盾と同等の力を誇る、素晴らしく堅牢な防御壁として。 ひまわりの装着している手袋は、ただの手袋ではない。 ガードグラブと名付けられたそれは、握り締めるだけで強固な力場を作り出し盾代わりの役目を果たす代物だ。 使用法も使用意図も、実に単純にして明快。だがそれ故、乳児のひまわりにも感覚的に使いこなせる! 「た~っ!!」 ひまわりは周囲の力場を継続させたまま、高速のはいはいでのび太へと突進した。 身を守る、という概念くらい乳児にだって存在する。 むしろ言葉も喋れないような幼子のほうが、他者から放たれる悪意には敏感だ。 ひまわりは、のび太の全身を覆っている殺気にしっかり反応し、そして判断した。『このおにいさんは敵だ』と。 だからひまわりは反撃に転じた。 ――拳を、一段強く固める。 己の一撃を防御されたのび太は、未だ驚愕から覚めやらない。あまりの驚きで、呆気に取られていた。 ずんずんと接近してくるひまわりに対処することもできず、その場に立ち尽くすままだ。 その間にひまわりは容赦なくのび太の股座に突っ込むと、脛を狙ってグラブの嵌められた両手を叩きつけた。 単なる赤子の一撃と甘く見てはいけない。周辺に力場を纏わせた拳は、破壊力に長けた十分な戦闘武器だ。 最高の守備は最高の攻撃だ、という言葉がある。だとするなら、最強の盾はある意味で最強の矛だ。 強力な力場を備えたひまわりの両拳もまた、それそのものが一対の矛に匹敵する威力を備えていた。 足元を崩され、のび太の身体が後方へぐらりと大きく傾ぐ。その隙を無駄にせず、ひまわりは更に二打、三打と追撃。 のび太は足を踏ん張ってその衝撃に耐えようとするものの、時を空けずに繰り出される数度の打撃は堪え切れるものではない 膝がすとんと地面へ向けて引っ張られるのを感じると同時に、彼は背中から草の間へ激しく倒れ込んだ。 「くそっ……、何で赤ちゃんなんかに……」 のび太は苛立ちに顔を歪め、足に力を込めてよろよろと立ち上がる。 辺りに散乱している小石を掴んでかき集め、めったやたらにひまわりへと投げつけた。 しかし相手は、何の労苦もなくこれを全弾回避。 その行動がますます頭へ血を上らせ、のび太は大股でひまわりへ走り寄ろうとする。 血走った目でひまわりを見据えるその顔は、まさに子供を追い詰める悪役といった感じだ。 迫るのび太の鬼気迫る表情に、だがひまわりは怯えることなく果敢に対応する。 タイミングを見計らい、走る相手の脚の間を得意のはいはいですり抜ける。 まるで冗談のような綺麗さで股を潜り抜けると、くるりと片腕を軸にして真反対に方向転換。 目の前にある大きな背中を押し倒すようにして、背後から再びガードグラブでの殴打を与える。 確かな手ごたえを感じ、ひまわりはほっと息を吐いた。 自身の前進する勢いに背中を押された衝撃が加わり、のび太はまたしても地面へつんのめった。 同時に、先ほどのび太自身がばら撒いた石に足を取られ、ごろごろと地面を転がる。 バランスを崩し、完全に仰向けになった身体を起こそうと、のび太が身を捩じらせる。 しかしひまわりはそれに目もくれず、今のうちにと急いでその場を走り去った。 何もひまわりだって、のび太の息の根を止めたいわけではないのだ。 ただ自分の安全が確保できれば、この場から逃げ出せればそれでよい。 ひまわりは、一秒でも早くグリーンの元へ戻りたいという焦燥を胸に、できる限りのスピードで地面を這った。 ……もっとも、「してやったり」という達成感が全く無かったと言えば、嘘になるが。 土が黄色のベビー服をあちこち汚し、突き出している小枝や草葉がチクチクと手指を刺す。 汚いし、痛い。お漏らししたまま替えてもらっていないオムツも、むずむずして気持ち悪い。 けれどひまわりはそんなことに構っている余裕などなかった。 手足を這い動かし黙々と、グリーンと別れた森林部を目指す。 (おにいさん、どこ……?) 求める相手が、いまや別の女にメロメロなことを、ひまわりはまだ知らない。 彼女のためなら死んでもいいと、殺しても殺されてもいいとすら思っていることを、ひまわりはまだ知らない。 きっとその事実を知れば、彼女は泣き喚くことだろう。――――悲しみで? いいや、嫉妬で。 何せ、どんなに幼くとも彼女は一人前のレディーなのだから。ジェラシーを感じて、当然だ。 * * * イエローが手を組んだので、リルルも同様に手を組んだ。 イエローが目を瞑ったので、リルルも同様に目を瞑った。 イエローが「おやすみなさい」と呟いたので、リルルも同様に「おやすみなさい」と呟いた。 イエローに強制的に服を着させられた後、(リルルは必要ないと言い張ったが、イエローに怒られて仕方なく袖を通した) レッドの埋葬を手伝ったリルルは、今、彼のために祈っていた。 リルルにも、『祈る』という概念はあった。神や天国、天使の存在を信じてすらいた。 メカトピアにも宗教はある。神は強欲で我侭な人間をお見捨てになり、アムとイムという始祖のロボットを作られたのだ。 神は人間の代わりに天国のような世界を創るよう、自身の作ったロボットに命令なさった。 ――それから数万年の時が経ち、ロボットは確かに天国のような世界を築き上げた。 支配する者もされる者もいない、貴族ロボットも奴隷ロボットもない、夢のように平和な世界だ。 すべてのロボットは平等だ。世界ロボット権宣言でもそれは語られ、広く承認されている。 曰く、『すべてのロボットは、作られながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である』と。 なんて素晴らしい、ロボット社会。欲にまみれ互いに殺し合ってばかりの人間とは、天と地ほどの格差がある。 人間は、ロボットのために奉仕するべきであり、労働するべきであり、支配されるべきだ。 だって彼らはロボットの道具であって、 ロボットが人間を自由にする行為は悪いことではない筈で。 ……その筈なのに、ほんの少し前まで確信していた想いが揺らぐ。 人間には『こころ』があると言う。『人を思いやる気持ち』があるのだと。 ……『こころ』とは何なのだろう。それは、そんなにも素晴らしいものなのか。人間だけに備わっているのだろうか。 『こころ』を有する人間は、ロボットよりも優れた存在なのだろうか? 自身の脳裏を過ぎるその考えを、一概にただのエラーだと切り捨てられない。 桜の下で交わしたサトシとの会話を、先ほど自分を癒そうとした少女の呟きを思い出す。 彼らには、他者の痛みを感じそれを想うことのできる精神があった。 けれど、人間にそんな感情が備わっているだなんて、リルルには疑わしい。そんなの聞いたことも、考えたこともなかった。 何故ならそれらは、メカトピアでは教えられることのなかった知識だからだ。 ロボットこそが万物の長であり、絶対的な君主であるとの思想が当然のこととしてまかり通る祖国。 そこで徹底的に植え付けられた人間への不信感や優越感。 だがリルルの思考回路に錆のようにこびり付いたそれらの常識は、今や少しずつ剥がれ出していた。 それが良い兆候なのか悪い兆候なのかも分からず、リルルは少し恐くなった。 彼女は瞳を開き、隣で膝を折る少女をちらりと横目で確認する。 粛々とした空気を纏わせた彼女は、その視線に反応するかのように両の目蓋を持ち上げる。 僅かにしっとりと濡れた長い睫毛が、呼応するように軽く揺れた。 「ありがとう、……きっと、レッドさんも喜んでくれるよ」 リルルはその言葉に無言で小首を頷かせ、肯定の意を示す。そんな自分の反応が、彼女には不思議だった。 きっとこの殺し合いが始まった当初の彼女なら、『喜ぶ? 彼はもうモノでしかないのに』とでも答えていたことだろう。 けれど今のリルルは、どうしてかその台詞を口にすることが出来なかった。 彼女は今まさに自分に訪れている変化に戸惑いを隠せず、その正直な気持ちの丈をイエローにぶつけた。 「私、自分の中の知識が信じられなくなりそう」 「……どうして?」 「人間は強欲で残忍で身勝手な生物だって、私、ずっと教えられて生きてきたわ。だからこそ、奴隷になっても仕方がないって。 ……でも、私が今まで会った人間は皆、そんな性格には思えないの。のび太さんやサトシさん、それにあなたも。 ねえ、教えてちょうだい。一体、どっちが人間の本当の姿なの? 何が真実なの?」 そう言ったリルルの声は、切実だった。彼女は、まるで縋るようにイエローを見つめて尋ねる。 その視線に射竦められ、イエローもまた、胸から搾り出したように困惑した声で答えた。 「……確かに人間は、我侭だったり欲張りだったりすることもあるよ。 ポケモンをお金儲けのために使ったり、自分の気晴らしのために虐めたりするような酷い人も、中にはいる。 だから、キミが今まで教えられてきたことは多分、そんなに間違ってないと思う。 だけど……、そうじゃない人だって、いっぱいいっぱいいるんだ。 優しくて、あったかくて、誰かのために自分を犠牲にできるような人も、いっぱいいっぱいいるんだよ」 イエローは、自分自身に言い聞かせるように語る。 強欲だったり、残忍だったり、身勝手だったり。そういう人がたくさん存在することを、イエローは知っている。 それでも決して、全ての人間がそうな訳ではない。世界にはきっと、純粋な人も大勢いる。 この殺戮の舞台の中で、後者に当てはまる人間がどれだけいるのか、イエローには判断できない。 もしかしたらほんの数人しか、そんなお人よしはこの場にいないのかもしれない。 軽々しく『人間は皆、善良だ』なんてことは到底言えない。けれどせめて、目の前の彼女には知っていてほしい。 「そういう人が、人間の中には、確かにいるよ」 無力な者の庇護と友人の無事を願って死んでいった、優しい城戸丈のような人。 己の危険も顧みずイエローを戦場から逃がした、強いベルカナのような人。 そんな彼らの存在を、彼女には知っていてほしい。 そして、もし出来るなら――――。 「そして、もしキミがそんな人間に逢えたなら、まずはその人と友達になってみてほしい。 その人と色々話して、付き合ってみて、人間がそう悪いものじゃないって、分かってほしいんだ」 「友達……」 リルルは、イエローの言葉を完全に理解してはいないのかもしれなかった。 彼女が反復した『友達』という単語は、まるで片仮名で書かれた『トモダチ』という別の言葉のように、イエローには聞こえた。 「うん、『友達』。友達っていうのは、うーん……。そう、相手のために、泣いてくれる人、かな」 「私のために、泣いてくれる……? それが、友達の定義なの?」 「定義だなんて、そんな難しいことじゃないよ。ただ、今ボクが思いついただけだから」 「そう……」 リルルは、イエローに語られた内容について考え込んでいるようだった。 表情そのものに大きな変化は無かったが、前髪で見え隠れる眉間に少しだけ皺が寄っている。 その様子に「これでよかったのかな?」と思いながら、イエローは彼女へ告げた。 「ボク、あの子のお墓を作りに行くよ」 「……さっきあなたが言っていた、あなたが壊してしまった相手?」 「うん」 イエローは、心に苦しいものを覚えながらも、真っ直ぐな瞳で肯定する。 自分の罪から目を逸らしてはいけないと思った。見なかったことにして進んでは、いけないと思った。 それに真っ向から向かい合うことが、彼女へのせめてもの償いになるのだろうと。 その言葉にリルルはしばし思案すると、イエローを伺うような声音でぽつりと漏らした。 「……私も、ついて行っていいかしら」 * * * 拾った太い枝を地面に突き刺して、ざくざくと深い穴を掘った。 ろくな道具もなしに人一人入れるだけの穴を独力で堀り上げるのは、なかなかの重労働だ。 ネスは垂れ落ちる汗を掌で拭いながら、それでも一人、無言で墓を掘っていた。 自分に出来ることは限られていた。絶対の信頼を寄せていたPSIも、今はまともに作用しない。 己の腕の中で徐々に弱っていく少女の前で、彼は、何一つ彼女にしてやれなかったのだ。 「僕は、何も出来なかった」 そう口中で呟いて、重い息を吐いた。それは決して、疲労だけのせいではなかった 自身の無力さに嫌気がさす。その苛立ちをぶつけるように、手にした枝を力一杯大地に突き刺した。 垂直に突き立てられたそれを目の端に留めながら、ネスは先刻見た彼女の最期を思い出す。 「……白い女の子……、あたしの大事なひとのカタキ……」そう言葉を遺して、彼女は逝った。 そして切れ切れな声で、自分を見上げ縋るように頼んだ。「おねがい、やっつけて」と。 自分が彼女にしてあげられたことは、ひとつも無かった。けれど、これから『してあげられる』ことはある。 ネスは、決意していた。彼女の仇を打とうと。 自分と彼女は本来友人でも何でもなく、ただ偶然死に際に居合わせただけの関係だ。 けれどそれはネスにとって、『ただそれだけ』と冷静に割り切れるようなものではなかった。 だから彼は、その行為の実行を心に決める。 自分の目の前で死んでいった少女の、せめて最期の望みを果たしてやりたいと、そう思った。 手がかりは、ゼロに等しい。そもそも『白い女の子』の指す意味が、よく分からない。 肌が? 髪が? 服が? 一体何が『白い』のか、どう『白い』のか、彼女の末期の言葉に、ヒントは皆無。 そもそもこの広い島のどこにいるかも不明なその『彼女』と、どうすれば遭遇できるのだろう。 少女の願いを叶えることの難関さ、クリアしなければならない課題の多さを改めて感じる。 問題は、今もって全くのところ山積みだった。 「だけど、きっとやってみせる。……せめて一つくらい、君に何かしてあげたいから」 ネスは傍らに横たわっている少女に視線を移し、そう口にした。 当然ながら返事などしない彼女に「きっとだよ」と念を押して、彼は墓穴掘りを再開した。 漸く形だけは何とかなった穴の中へ少女の遺体を安置しようと、脇の間に手を入れて抱きかかえる。 自分と同じくらいの体格をしている筈の彼女の体は何だかやたら軽くて、きっと魂が抜けてしまったからだろうなと思った。 ネスは掘り終わったばかりの土穴に彼女を横たえようとして、しかしふとその手を止めた。 腕の中の彼女と、目が合った気がしたからだった。どくん、と心臓の音が大きくなる。 こちらを見上げる少女の瞳に恨みがましいところは無く、死者の怨念のようなおどろおどろしいものは感じなかった。 どちらかといえば彼女は、眠っているように穏やかな表情でネスに語りかけている風に見えた。 その視線から瞳を逸らすことなく、想いをしっかと受け取る。無言で頷いて、指先に力を込めた。 * * * 「……構わないけれど、どうして?」 「理由なんて、分からないわ」 リルルは、そういえばさっきも同じ台詞を言った気がするな、と思いながらそう告げた。 実際、理由なんて自分でもよく分かっていなかった。しいて挙げるなら、彼女に対して興味を持ったのだ。 彼女にとって、先ほどのイエローの言葉は衝撃的だった。 人間の過ちを認め、弱い部分を認めたうえで、それでもなお、良い人間はいるのだと彼女は言った。 それはサトシさんやのび太さんのことなのだろうか。或いは、この眼前の少女自身がそうなのだろうか。 リルルはそれを見極めたかった。彼女に同行することで、人間のことをより深く理解したかった。 「いいよ、一緒に行こう。ボクはイエロー。……キミは?」 「……私は、リルル」 「リルルさん、だね」 歩き出したイエローに続こうとして、リルルはそこで今更ながら大切なことを思い出し、「あっ」と声を上げた。 イエローばかりに気を取られていたせいで、元々行動サンプルにする予定だったあの少女のことを、すっかり忘却していたのだ。 リルルは慌てて木々の間を抜け、少女を寝かせた筈の茂みへと戻る。 しかしそこはもぬけの殻で、彼女は思わず落胆に肩を落とした。 僅かに遅れて到着したイエローが、「どうしたの?」と荒い息で尋ねる。 「ここに女の子を寝かせておいたの。でも、もういなくなってしまったみたい」 「いなく……? じゃあ、その人のこと探さなくちゃ」 「いいえ、いいの」 リルルは首を横に振り、イエローの提案を切り捨てる。 それは合理的で機械的な判断のように思えたが、口にする少女の表情は、少しばかり悲しそうにも見えた。 「あの子はきっと、私ともう一度会いたいとは思っていなもの。だから、いいの」 リルルは俯きがちにそう告げると、イエローに口を挟ませる間もなく「さあ、行きましょう」と促した。 それは快活な口ぶりだったが、無理やり元気を出そうとしているように、不思議にもイエローには聞こえた。 * * * 息が苦しい。吸っても吸っても必要な酸素が足りなくて、全身が悲鳴を上げる。 ククリは一人、森の中を逃走していた。背後をちらちらと伺い、あの少女が追いかけてこないことを確認する。 振り返った先には兎一匹おらず、ただ森閑とした森が広がっているだけだ。 しんと静まり返った森の中、そのことに安堵の息を漏らしながらも、ククリは自分の弱さに胸を痛くする。 ……また、私は逃げ出してしまった。 ゴン君のことを勝手に勘違いして、怖がって、逃げてきてしまったときと同じように。 ククリはそんな自分が許せなかった。同じ過ちを繰り返している気がして、悲しかった。 自分がとてつもない卑怯者に感じられて、擦り傷でも出来たみたいに胸がじんじんと痛んだ。 そう。ゴン君の時だって、きちんと話をすれば、きっと誤解することなんてなかったのに。 ゴン君は優しくて勇気がある人で、私を逃がすためにあの女の子と戦ってくれた。 そんないい人だったのに、私はろくに話も聞かずにゴン君を悪い人だって決め付けて、そしてすぐに逃げ出してしまった。 ……本当に私は、なんて自分勝手なお馬鹿さんなんだろう。 ククリは、草陰から盗み聞いていた会話を思い出す。 あの会話を聞いたとき、本当はあの人も、そんなに悪い人でないのかもしれないと思った。 だから本当は、彼女の元に姿を現して、ちゃんと話を聞いてみたかった。 ――でもククリにとってそれは、やっぱりとても勇気がいることだった。 血塗れで自分の前に現れた彼女。 平気な顔して「自分が殺した」と口にした彼女。 そして自分を電撃で気絶させ、連れまわそうとした彼女。 そんな相手を簡単に信用するなんて、怯えるククリには到底出来なかった。 「勇者さまなら、きっと逃げたりしなかったよね」 恋する相手の、きりりと整った涼やかな横顔を脳裏に浮かべる。 彼ならきっとあの女の子に対しても、いつもどおり平気な顔して接するのだろう。 もしかしたら「ふむ、なかなか刺激的な格好だな。してスリーサイズは~」なんてことまで尋ねかねない。 偏見とか思い込みとか、そういうものが勇者さまにはないから。 彼にとって女の子は皆ただ女の子でしかなくて、それがどんな種族かなんて関係ないのだろう。 人間だろうがロボットだろうが、吸血鬼だろうが夢魔だろうが魔砲少女だろうが、勇者さまの前では一緒なんだ。 普段ぼんやりしているようにも思える彼の、そういうところがククリは好きだった。 勿論、「他の女の子ばっかり気にしてないで」って嫉妬したくなることもしょっちゅうだけど。 けれどそれでもククリは、そういうところをひっくるめて彼のことが大好きだった。 「……勇者さま」 会いたいな、と思った。口に出したら余計にその思いが強くなって、ククリはぎゅっと拳を結んだ。 手にしていた杖を握り締め、彼女は心中の彼をひたすらに想う。 勇者さまならきっと、こんな殺し合いの中でも普段と変わらずにいてくれるだろう。 そう、予感があった。いや、それは予感などといった曖昧なものでなく、確信だった。 すぐにでも逢いたい。そう願うククリの心は、ガサガサと音の鳴る前方の茂みに、現実へと引き戻された。 最初は、あの女の子が追いかけてきたのかと思った。こんなところでぐずぐずしている間に追いつかれてしまったのだと。 でも、もしそうならどうして後ろじゃなくて前から足音がするのだろう。 先回りされた? まさか、流石にそれはないはず……。 そこまで考えてククリは、もしかして、と胸を跳ね上がらせる。 そんな偶然あるわけがないと理性が告げる。それが当然だと、ククリだって分かっている。 「噂をすれば影」だなんて単なる諺に過ぎないし、こんなギャグ漫画みたいなタイミングで再会できるなんてわけはないと。 そう理解していても、期待せずにはいられない。 ドキドキと鼓動を弾ませてそちらへ目をやると、なぜか足元の草だけが左右に揺れ動いた。 だがその上方に、人影はない。草を分ける足音だけが、こちらに少しずつ近づいてくる。 「ゆゆゆ幽霊……っ?」 ククリは恐れ戦き、右回りしてその場を離れようかと一歩踏み出した。 しかし瞬間、呼応するように聞こえた声に思わずその足が止まる。 「た~、た~」 …………それは、誰がどう聞いても幽霊の呻き声ではなく。 まだ生まれて間もないような、幼い赤ん坊の声だった。 後編へ
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斑目晴信の憂鬱 【投稿日 2006/07/08】 カテゴリー-その他 管理人注 これは『荻ラヴ』発祥のげんしけんセカンドジェネレーション 『双子症候群』の設定を基にしたSSです。 ○前兆 用務員室は平穏そのものであった。この空間だけは世界紛争とも世間の喧騒とも無縁である。彼は、この部屋の主の斑目は、かつて学生時代に友と共有した時間と空間を思い出した。 そしてその時代に似たこの時間と空間を彼は愛した。 この平穏がいつまでも続きますようにと天に祈った。といって彼は孤独では無かった。時折訪れる来訪者が彼を和ませてくれる。今日もいつもの客がここに来ていた。 「それは大変だったね、春奈ちゃん。」と斑目はいつものようにコーヒーを客人に差し出しながら言った。 「あ、ありがとう。ホント何が何だかさっぱり分かんない。斑目おじさんが言ってた事が本当みたいに思えてきちゃうよ。」と春奈はコーヒーのマグカップを受け取りながらぼやいた。 「でもその子はもう危険じゃないんでしょ?」 「まあねー。すっかり気性も穏やかになって、ぬぬ子に危害が及ばない限りは無害そのもの!つうかもう信者だよね。ぬぬ子に言われたら素直に大人しく離れて見守っているし。」 「斑目おじさん!このお菓子もらい!」と千里がお菓子に飛びついた。 「今日は珍しく、まりちゃんと一緒じゃないんだね。」 「うん。まりと千佳子とぬぬ子ちゃんはヤオイ系の同人誌の新発売だとか言って、いそいそと先に帰っていったよ。何が良いんだか、さっぱり。」と千里が言うと 「ホント、それは同意。よく分からん。」と春奈は頷いた。 「何、発売日?それは本当?しまった!」とスーが叫んだ。 「スー先生はまだ勤務中でしょう。それにここで油売っていていいんですか?本当だったら学習計画とか仕事がいっぱいあるんじゃないんですか?」 普通の中学の教師が多忙なのは他の先生の様子を見れば分かった。 だがスーはケロッとして言った。 「もう終わった。完璧。」 「え?まさかそんな!」斑目は信じがたい表情を浮かべたが、スーならありうると思った。スーだけは未だに底がしれない。 「じゃあたしたちそろそろ帰るね!」そう言って二人はたったか駆け足で用務員室を出てった。 その背中に斑目は声をかけて言った。 「おう、気をつけてな。」 子供たちが帰ってから斑目はスーに向かって、咳払いしながら聞いた。 「ゴッゴホゴホ、とっところで・・・アンは・・・いやアンジェラ・バートンさんはお元気ですか?」 「アン?もちろん元気だよ。子供と一緒に暮らしてるよ。」 「そっそう、結婚してたんだね。幸せそうで良かった。」 「結婚してないよ。」 「へ?」 「シングル・マザーだよ。双子たちより一つ上くらいの男の子と暮らしてる。」 「え?その頃って確か・・・。」 斑目は指を折って数え始めた。 (そんなはずはない。あの頃は・・・。) 「来日してるよ。」 「なっなんだって!」 斑目は『過去』が追いかけて、自分を捕まえる、そんな気がして目の前が暗くなる気がした。 ○事件 次の日、いつものように自分の仕事を終わらしてから、放課後いつもの面々が来るのを斑目は待った。 ところがその日に限って誰も来なかった。まあ、こんな日もあるさと、斑目は勤務時間が終わったのを見計らって帰宅の準備に入った。その時、携帯の着信が入った。 誰だろう、『あいつら』からの飲みの誘いかなと、ディスプレイを見ると、万理からだった。 珍しいこともあるもんだと電話に出た。 「やあ、まりちゃん、今日はどうしたの?」 「・・・・・おじさん・・・。」 打ち沈んだ声の様子に、尋常じゃない何かが起きていると斑目はすぐに察した。 「どっどうした?」 「大変な事が起きたの!!スー先生の家に・・・詳しくは電話じゃ・・・。」 「わっ分かった!」 斑目は通勤用の自家用車で大急ぎでスーの家に向かった。スーの家は学校から提供された賃貸契約マンションで、学校のすぐ近くにあった。 斑目はマンションのエレベーターから急いで降りて、スーの部屋の扉を開けた。 そこには、十数年ぶりで見る女性の姿が見えた。アンジェラだった。 ○発端 「・・・ア・・・ン・・・。」斑目はかすれた声を絞り出してやっとの事でそれだけ言えた。 「お久しぶり。」クスクスと笑いながらそう言った。 「何故君がここに・・・。」 「本当は大野の所に世話になってたんだけど、今回の件があったから。詳しくはこの人たちから聞いて。」 アンジェラの背後には、スーと万理、千佳子、そしてぬぬ子がいた。そしてそのわきには見知らぬ少年が立っていた。 碧眼金髪でスポーツマンタイプの、短く髪を刈り込んだ精悍な少年だった。 そして彼は斑目をキッと憎しみのこもった目で見ていた。 (まさか・・・) だが、今は事情を聞く方が先だと思い、スーの方を向いた。 「いったい・・・。」 だがスーよりも万理の方が先に口を開いた。 「ちさと春奈が誘拐されちゃったの!!」 「ええ!!」 「そう・・・それでここに来てもらったの・・・。」とスーは言った。 「どういう・・・」 「昨日の夕方、二人は下校途中に営利誘拐されたの。正確には春奈が標的で、ちさは巻き込まれたんだけど。」 斑目は呆然としながら聞いた。 「最近、彼女のお母さんの事業、有名になってきたからね・・・。それで警察がすでに介入して報道規制体制に入ってるの。」 「俺も何とかしたいが、だが警察が動いている状況で俺たちに出来ることがあるのか?」 「もっともな意見です。まりちゃんがその答えを持ってます。」 とスーは万理の方を向いた。 「あたし微かだけど、ちさの声が聞こえるの!急に聞こえるようになったの! 誰も信じてくれないんだけど!」 万理は叫んだ。 「そっそんなことが・・・、いや双子の不思議な話はよく聞くし、信じるよ!」 「それがあなたを呼んだ理由です。この子のいう事を無条件で信じられる人。そして自由に行動できる人。警察に言っても捜査の混乱になるだけです。」 「俺に何が・・・。」斑目は困惑の表情で尋ねた。 「万理は被害者の身内で警察の保護下にあり、自由に動けません。学校を長期で休むための相談という方便で今日は来てもらったに過ぎません。」 とスーは普段の様子とは一変した口調で話しつづけた。 「そして犯人も関係者の身辺を監視している可能性もあります。すでに複数犯ということは判明してます。」 スーは大きく一息ついてから言った。 「あなたに二人を救ってもらいます。」 ○再会 呆然としている斑目をそっちのけにスーは段取りをキビキビと進めた。 「ではまりちゃんは今日は帰ってもらいます。連絡はこの盗聴防止の特殊な携帯を渡して、ちさちゃんの状況を私たちに連絡します。その情報を元に私たちが監禁先を分析します。」 ここでスーに代わってアンジェラが口を開いた。 「つまりここが二人の救出本部となるわけね。そしてその分析を元に活動してもらうのがあなた。関係者に無関係で怪しまれず自由に行動できますから。」 ぬぬ子が叫んだ。 「わたしも手伝います!!」 「それは助かります。」アンジェラは微笑みながら言った。 「わっわたしも!!」と千佳子も叫んだがスーが制した。 「駄目です。あなたは関係者に近すぎる。監視されている危険があります。」 「どっどっちも駄目だよ!!中学生に危険な真似は!!」と斑目は叫んだ。 「あら?ヌヌコは戦力じゃなくて?そしてもう一人助っ人をあなたに付けます。」 アンジェラはそう言って少年の方を向いた。 「彼の名はアレクサンダー。アレックと呼んで下さい。彼は役に立ちます。」 斑目が少年の方を向くと、少年はプイッと顔を背けた。 万理は体を震わせて、大きな目に涙をいっぱいためて言った。 「ちさが・・・ちさがいなくなったら・・・わたし・・・わたし・・・」 斑目はかける言葉も見つからなかった。産まれた時からずっと一緒だったのだ。二人の絆は計り知れない。 「解散します。万理と千佳子、そしてぬぬ子ちゃんを送ります。アレックも付いて来て。」 スーと皆は部屋からぞろぞろ出て行った。そしてアレックは退出際に斑目に言った。 「認めない。」 部屋には斑目とアンジェラだけが取り残された。気まずい沈黙の後、斑目は重い口を開いた。 「久しぶり・・・。元気そうで・・・。」 「ええ、あなたも。」とアンジェラはにっこりと笑って答えた。 「君は変わらない。綺麗なままだね。」 「あら?お世辞が言えるようになったのね?でもスーとは違うわ。それ相応に年を取ったわ。」 「そんなことは無い。」 斑目は目の前のアンジェラを見てそう答えた。実際、それなりに年月を感じさせてはいたが、むしろ年相応の艶やかさを身につけていた。 「ありがとう。でも、やっぱりスーとは違うわ。彼女は『特別』だから。『メトセラ』ですから。」 「えっ?」 「あなたは知らなくて良いの。」 「・・・すまなかった。あの子はまさか・・・。」斑目は恐る恐る尋ねた。 「そうよ、あなたの息子よ。気にしなくていいの。あなたが逃げたのは仕様が無い事。わたしが自分の意志で決めた事。」 「・・・やっぱり彼をなおさら危険な事に巻き込んでは・・・」 「彼は大丈夫。ヌヌコの事は聞いてる。彼女は必要だわ。そして彼女を守るには正直あなたは頼りないし。」クスクスと笑いながら言った。 「そっそうだよな。」斑目は顔を赤らめて答えた。 「そうじゃないのよ。あなたは自分が考えている以上に人に必要にされているのよ。あなたはあなたにしかない力がある。」 「おっ俺にも特殊な力が?」 アンジェラは首を振って答えた。 「いいえ、あなたはいたって普通。凡庸。いずれその意味がわかります。そして、ヌヌコ・・・。彼女こそわたしの研究の結晶みたいなものだわ!!」 「一体、彼女の力って・・・?」 ○秘密 アンジェラは碧の目でジッと斑目を見つめながら、顔を斑目に近づけながら喋り続けた。 「美に基準は無いわ。主観の中にこそ美が隠されていて、それに気付いた時に美が現れるのを一番知っているのは日本人よ。」 アンジェラは斑目の首筋に顔を近づけ、吐息をフーとふきかけながら、斑目の耳たぶを軽く噛んだ。 「綺麗な首筋・・・。あなたはわたしが会った男の中で一番セクシーだわ・・・。」 斑目は体を強張らせながらも、抗う事ができなかった。かつてもこのように自分の意志の弱さに屈したのだった・・・。 「それを知っているのはわたしだけ・・・。わたしのものだわ・・・。でも客観的な美もまた存在するわ。でもそれは統一された文化や共有された価値観の下でしか存在しない。」 アンジェラは、流し目で斑目の横顔を見つめながら、斑目の耳元でささやき続ける。 「でもわたしたちは共にアダムとイブの裔なのよ。これは喩えだけどね。人種や文化が異なっても人間であることは一緒なの。」 「そっそれが・・・どういう・・・」 アンジェラの柔らかい白い手は斑目のシャツの隙間に入り込んでいる。 「ヌヌコの表情の中には人間のゲシュタルト知覚に調和を与える抽象化された記号が隠されているのよ。」 「わっわからない」 「つまり、人間は長い歴史の中で絵や人形に見えるような、抽象化の作業を繰り返してきた。この抽象化の能力がゲシュタルト知覚。ヒナの刷り込みの研究で有名なローレンツ博士はこれが直感、霊感、神の啓示に関係すると言ってる。」 すでにアンジェラは斑目を押し倒して、上にまたがっている。そして斑目のシャツのボタンを一つ一つゆっくりと外しながら、微笑んで斑目を見下ろした。 「ヌヌコはそれに調和を与えるの。そして心の不調和な人ほど強制的に心の働きを修正するの。『わたしたち』はそれを日本のサークルで実験してきた。」 「え?」 「なんでもないわ。要はヌヌコは危険な人間を無力化するの。それを抗える者はいない。そしてわたしは肉食動物であなたは草食動物。あなたは抗えないのよ。」 斑目は近づくアンジェラの碧眼に釘付けになった。かつてもそうだったように・・・。 その時、マンションの玄関の方から声がした。 「アン、今帰ったわよ。作戦は明日からね。」 部屋に入ってきたスーはアンジェラが額に血管を浮き上がらせて怒って、逆に斑目がほっとした表情でいるのを不思議そうな目で見た。 「スー、あなたやっぱり気がきかないわ。」 ○作戦 翌朝、日が昇らない時間から斑目はスーのマンションに車を回した。卒業してからしばらく車は必要としなかった。だが、新興住宅地の郊外に位置する今の仕事場になって不便を感じるようになり、中古の安い車だが購入したのだった。 こんな形で活躍することになるとは思ってもいなかったが・・・。 「・・・それで、どうするんだ?」斑目はスーに尋ねた。 「すでに前の晩に万理が千里から監禁先の情報は聞いています。幸い監視役の一人が女性で彼女たちに同情的で当面危険は無いようです。」 「そっそれは良かった。」斑目はほっとした。 「でも急がなければなりません。相手はプロ集団ではなく素人の可能性も大きいです。凶悪さで同じでも予測不能の危険が高まります。長引けば長引くほど危険です。」 スーは淡々と、だが無駄の無い段取りで事を進めた。斑目の車にノートパソコンを積み、万理と同じ携帯を斑目たちに持たせた。 「これで連絡を取り合います。ちさが伝えた情報によると、郊外のプレハブらしい建物に監禁されているらしいのです。トイレの小窓から見た景色と時間帯、太陽の方向から場所を測定します。」 「うん」 「衛星からの映像や分析では不十分です。あなたたちが現場でこちらに細かい情報を伝えてください。警察の情報もハッキングしてます。」 「そっそんなこともできるのかよ!」 斑目は今更ながらスーの底のしれなさを恐ろしく感じた。 「ただし深入りはしてはいけません。日本の警察は優秀ですから、人海戦術で捜査を進めているはずですから、逐一こちらの情報も提供して動いてもらいます。」 「分かった・・・。」 斑目は自分の無力さに脱力感を少し感じた。だが、そんな感情はすぐに打ち消した。大事なのは二人の安全と生命ではないか。自尊心や自負などつまらないものだ。 斑目とアレックとぬぬ子は斑目の車で指示された候補地を廻った。後部座席でアレックはノートパソコンから送られてくる画像や情報をチェックしている。 ぬぬ子もその傍にちょこんと座って、コンパスを片手に一生懸命周囲の景色をアレックに説明している。そして時折画像をパソコンに取り込んで、『本部』に送信していた。 斑目はバックミラーから後部座席の様子をうかがっていた。アレックは一度も斑目の顔を見ず、話しかけもしない。 「なっなあ、ア、アレック・・・君・・・。」 「・・・・・」アレックは黙りこくっている。 「『メトセラ』って何かな?」 「・・・都市伝説ですよ。」重い口を開いてアレックは呟いた。 「『ガースは都市伝説』?」 「何ですか?それ。」 「・・・あ、すみません。」(外した・・・)と斑目は冷や汗を流しながら答えた。 (俺、何を卑屈になってんだ・・・)気まずい空気から無理に話題を作ろうとして、逆に失敗してしまった事を後悔した。 「・・・昔の有名なSF小説家が書いた『長命族』の呼称ですよ。元々は旧約聖書で人類で一番長生きした人の名前らしいんですけど。」 アレックは無表情に話しつづける。 「それがいつしか本当に実在するってアメリカで少しの期間だけ流行したんです。」 「へえ、そうなんだ。」 「一般人に紛れて生活していて、各界の有力者になってるという噂ですけど・・・。もっともスーおば・・・いけねえ、スー姉さん見てると実在を信じちゃいますけどね。」 「ははっ、まったくだ・・・。」 少し馴染んでくれたのかと斑目は思ったが、アレックは気安く会話し過ぎたと思ったらしく、またむっつりと必要な事以外は黙りこくってしまった。傍ではぬぬ子が心配そうにその様子を見ている。 「ここが、推定地域の一つ。車から降りて周囲の景色の情報を送ろう。」 斑目はそう言い、車を有料駐車場に駐車させた。三人の団体行動に不審な様子は無かった。むしろこういう組み合わせに斑目は少し納得した。 斑目一人だけでは出来る事では無い。ぬぬ子と二人だけでも親子に見られるだろうが、撮影機材や携帯を使ってる様子は奇異に映る。アレックは外国人でしかも少年だから、余計一人では不審で目立つ。 三人でいれば、傍目には留学生の少年を連れて、課外学習活動しているようにも見える。 「喉が渇いたろう。飲み物を買ってこよう。」と斑目は自動販売機に向かった。 二人きりになった時、ぬぬ子はアレックに話し掛けた。 「・・・お父さんが嫌いなんですか?」 「・・・父などでは無い。」アレックはにべも無く答えた。 「うわ、すげえ!今時あんな牛乳ビンの底みたいなメガネしてる奴いねえぞ!」 突然、ぬぬ子の方に指を指して嘲笑する少年たちがそばに近寄ってきた。 アレックは声の方向に目を向け、その声の主たちを睨んだ。大柄な外国人の少年に睨みつけられ、その少年たちはひるんで立ち去った。 ぬぬ子はばつ悪そうに下をうつむいてその嘲笑に耐えていた。 「すみません・・・。」 「何故謝る?悪いのはあいつらではないか?何故怒らない?憎まない?」 「・・・・」 ぬぬ子はそれには答えず、下を向いて手を組んでいた。 「?何をしている?」 「・・・お祈りしてます。二人が無事でありますようにと・・・。」 「お祈り?愚かな行為だ。祈って世界が変わるとでも?悪が無くなるとでも?」 ぬぬ子は首を激しく振って答えた。 「ううん、世界が善意ばかりでないことは分かってます。でも・・・うまく言えないけど・・・馬鹿だから・・・わたし・・・こういう事しか出来なくて・・・。」 そう言うぬぬ子の牛乳ビンの底のようなメガネの下から涙がこぼれるのを見て、アレックは激しく動揺した。 「すみません。」そい言ってぬぬ子は駆け去った。 「お?おお?ぬぬ子ちゃん泣いてなかった?アレック・・・君、何かあったのかい?」 そこへ斑目がドリンクを持って帰ってきた。 「・・・何でもありません。あの・・・ヌヌコの本名は・・・。」 「え?服部双子と言うんだよ。」 「ハットリソウコ・・・。」 「・・・ぬぬ子ちゃんの素顔見た?」 「なっ何を言ってるんです!見てません。素顔が何だというんです?ほっ他の人がなんと言おうが、自分が認めたものは自分自身!そうじゃありませんか!」 しどろもどろ顔を真っ赤にしながら、アレックは訳の分からない事を喋っていた。 「・・・・・・・」 (やっぱり、俺の息子だ・・・。) ○発見 しばらくすると、ぬぬ子がばつの悪い顔をしながら、落ち着きを取り戻して戻ってきた。 アレックも何事も無かったように振舞う。三人は早速、探索を再開した。 「たぶんここだ・・・。」 斑目は郊外の廃屋となったプレハブを指差して答えた。 「ちさちゃんがまりちゃんに伝えた情報と一致する。確定するのは早いが。放置されているが、居住可能な状態になってるようだ。」 そう言って、斑目はデーターを『本部』に送信して、携帯で指示を仰いだ。 「おそらくそうでしょう。犯人は警察を撹乱するために、複数で警察をあっちこっち引っぱりまわしてます。ちさちゃんからまりちゃんの情報によると今、プレハブには世話役の女性と監視役の男が一人らしいですね。」 スーは冷静に状況を把握していた。 「二人は?無事なのか?」 「ええ、大丈夫です。ただ二人は疲労が著しいです。犯人の二人もストレスが溜まってるようです。警察に情報をリークして救出してもらいましょう。」 「わっ分かった。二人が無事で良かった!!」斑目とぬぬ子は安堵の表情を浮かべた。 「何を馬鹿な事を!救出されるまで無事とは言い切れない!犯人が二人しかいない今がチャンスだ!しかも危険なのは男一人で女には戦意が無い!」 アレックの言葉に斑目とぬぬ子は驚いた。それ以上に平静を失ったのはその言葉を携帯で聞いたアンジェラだった。 「アレック!馬鹿な事を言ってはいけません!不測の事態に備えて、安全策をとるのです!」 「違う!警察が包囲するのを待つ方が危険なんだ!ここは周囲の見晴らしがいい。大動員してきたら、犯人が気付く。強行突入は不可能になる。時間がかかれば人質に危険が増す!」 「マダラメ!!アレックを止めてください!」アンジェラは半狂乱になって叫んだ。 「アレック君!俺たちだけでは無理だ!」斑目はアレックを諌めた。 「そんな事は無い!俺はあなたとは違う!逃げ出したあなたとは・・・。その為に格闘技だって覚えた・・・。強くなるために・・・。」 アレックは飛び出した。 「アレック!アレック!」 叫びながら斑目とぬぬ子は追いかけた。 ○救出 プレハブの二階へ上がる階段を駆け上がると、アレックはプレハブのドアを蹴破った。簡易プレハブの扉なので容易に破壊できた。犯人の位置や部屋の作りは『本部』からの情報とプレハブの構造から瞬時に推測した。 部屋に突入すると居間に男と女がテーブルに座っていた。激しい音に動揺して、音の方向を二人は見ていた。女は悲鳴を上げ、男は慌てて拳銃を手にした。だが構える暇も与えず、アレックは拳銃を叩き落した。 叩き落すと同じ動作で、瞬時に手刀を男の首に叩きつけた。腕をねじりあげ、足払いをして男を制圧した。地面に叩きつけた時に男は頭を打って気絶した。 体の小さいアレックが大人を倒すのに手加減している余裕は無かった。これで終わったとアレックが思った瞬間、後頭部に鈍痛が走った。アレックの目の前が暗くなった。 遅れて斑目とぬぬ子がプレハブの二階に上がる階段から、ぶち破られた部屋に入ると、最悪の状況がすぐに理解できた。 男が一人倒れている。その傍で後頭部から鈍器で殴られたアレックが血を流して倒れている。 その傍で、動転した女が銃を手にしている。 「もう・・・終わりだわ・・・あの子たちにお金を送れない・・・。」 女は泣きながらヒステリックにわめき散らしている。 「まっまあまあ、落ち着いて!ここは日本人的馴れ合いで!」 「おじちゃん!その人外国人だよ!」 隣の部屋に軟禁されていた千里が部屋から出てきて叫んだ。 「あっ危ないから部屋に隠れていなさい!」と斑目は叫んだ。 「千里ちゃん・・・春奈ちゃん・・・ごめんなさいね・・・わたしは捕まるわけにはいかないの・・・あの子たちのために・・・。」 泣き喚いてすっかり錯乱した女の手にする銃はしっかり斑目の方向を向いていた。 アレックは状況の判断を誤った。危険なのは男の方では無く、女の方だった。斑目の傍でぬぬ子が震えながら斑目にしがみついている。 (そういう事か・・・) 斑目は運命のピースがしっかりはまってパズルが完成するのが見えた。 「ぬぬ子ちゃん、ちょっとごめんね。」 斑目はぬぬ子のメガネをひょいっと外した。 ○解決 「そんじゃ、失礼します!」 そう言って斑目は千里、春奈、アレック、ぬぬ子を連れて部屋を出た。アレックを三人の女の子たちが支えながら歩いている。 「ぬぬ子ちゃん、よくやった!」 そう言って斑目はポンとぬぬ子の頭をヨシヨシとなでた。ぬぬ子は牛乳ビンメガネごしに斑目の顔を見上げて、顔を真っ赤にした。 「ん?」斑目はにっこりしながらぬぬ子を見た。 「いっいえ、何でも!」 アレックはボロボロと涙をこぼしながら言った。 「俺は負けた・・・俺はあいつに負けたんだ・・・。」 ぬぬ子はアレックの手を取って言った。 「いいえ、誰も負けてはいません。全てが善くなったんです。」とにっこり笑った。 ハッとした表情でアレックはぬぬ子の顔を黙って見つめた。 そこへ警官隊が盾を持ちながらドヤドヤとプレハブの階段を駆け上がってきた。 「いやー、皆さんご苦労さまです!!」斑目は手を振った。 警官隊は一斉に斑目に襲い掛かって、斑目を取り押さえた。 無線機で警官が叫ぶ。 「子供たちは無事に保護しました!!犯人の拘束に成功!!繰り返します!子供たちは無事保護!」 「何!違う!俺は違うんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 (以下略) ○斑目晴信の憂鬱 「大変だったね。」とスーはいつも通り無表情で、用務員室備え付けのコーヒーを飲みながら言った。 「それで終わりか!あれから、子供たちの証言で解放されてからも、警察の事情聴取受けるわ、春奈ちゃんの親たちには子供を危険な目にあわせてと泣かれるし・・・。」 「まあまあ、こっちも手を回しておいたけど、詳しい事は言わなかったんでしょ?」 「まあね。警官たち不思議がってたな。一人は気絶して倒れてて、もう一人は泣き崩れて無抵抗なんだから。もっとも少年が大の大人を倒し、少女が精神攻撃で無力化しましたって言っても信じないだろうから。」 「それでいいんです。」 (それに最後に春奈ちゃんの母親の『あの人』は「でもありがとう・・・」って言ってくれたしな・・・) 斑目は一人満足げにニヤニヤした。 「双子たちは?」斑目が聞くと、スーは用務員室のテーブルを指差した。 「ねー、これは何?」 「うーん三角!」 「馬鹿違うでしょ!四角じゃない!」 「馬鹿とは何よ!馬鹿とは!」 「あーやっぱり〈ちさ〉〈まり〉とは趣味あわね!!」 「すっかり能力は消えちゃったわけね・・・。」 苦笑しながら斑目は呟いた。 その様子を遠くでぬぬ子と春奈が見ている。 「斑目さん・・・かっこいいですよね・・・。」 「はあ?あのくたびれたおっさんが?ぬぬ子ちゃんまた視力落ちた?」 「ひどいですね!」 「それよりアレック!彼かっこいいよね!」 (斑目さんとの関係は秘密なのよね・・・)とぬぬ子は思いながら 「そうですか?あんまりわたしは・・・。」と言った。 「そう?じゃあ、わたしが狙ってみるかな!」 斑目は遠くでその会話を聞こえないふりをしながら、うっすらと冷や汗を流した。そして窓に目を移した。 窓からはうららかな陽だまりが差し込んでいる。遠くでは小鳥がさえずっている。子供たちの笑い声も聞こえてくる。そよ風も吹いている。彼は、斑目晴信はこの時間と空間を愛した。 大変な事件が起きたが、そんな事は人生にそう何度も起きるもんじゃない。欲張らなければ人生は満ち足りて楽しい。俺はそれでいい・・・と斑目は思った。 斑目は離日前のアンジェラとの会話を思い出した。 「ありがとう。」 「いや、俺は何も・・・。」 「いいえ、アレックは過信して判断を誤りました。前に言いましたね。あなたにしか無い力があると。」 「うん・・・。」 「それがあなたの力です。あなたは臆病です。平凡極まりなく、だからこそ常に正しい選択を選ぼうとします。あなたがアレックを救いました。」 そう言ってアンジェラは斑目を抱しめた。 「また会いましょう。アレックも変わりました。あなたとの事の他にも何かあったのでしょうか?熱心に日本の事を勉強してます。」 回想から再びこの穏やかな時間と空間に戻った。この平穏がいつまでも続きますようにと天に祈った。世界は美しく平和そのものだ。もうこの平穏がやぶられることは無い・・・ ****************************** その時、千佳子が困った表情で用務員室に入ってきた。 「やあ、千佳子ちゃんどうしたの?」 「それが・・・最近わたしに不思議な事が・・・こんな事誰にも信じてもらえなくて・・・斑目おじさんなら相談にのってくれるかなと思って・・・。」 ****************************** はずだ・・・。
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すっかり日も暮れ、夜行性の動物たちが活動を始める時間となった幻想郷の森。その中 から、今日もゆっくり達の悲鳴が聞こえてくる。 「……うー! うー!」 「や゛め゛て゛え゛え゛え! ゆ゛っぐりざぜでえ゛え゛え゛え!」 四匹のゆっくり達が、まだ体の生えていないゆっくりれみりゃから逃れようと、必死の 形相で飛び跳ねているのだった。目を覚ましたばかりで空腹のれみりゃは、獲物をいたぶ るような真似はしない。懸命にぴょんぴょん逃げる二匹ずつのゆっくりれいむとゆっくり まりさにあっという間に追いつくと、一気に急降下して最後尾にいたれいむの後頭部にが ぶりと噛み付いた。 「ゆっ、ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁっ! やめでやめではな゛じでえ゛っ、ゆ゛っぐ りざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛っ!!!」 両目を剥き、涎を飛ばしながら絶叫するゆっくりれいむ。それを聞いた他の三匹は、愚 かにも、もしくは立派なことに、足を止めて後ろを振り返る。三匹の目に映ったのは、満 面の笑みを浮かべながら獲物に牙を突き立てるゆっくりれみりゃと、牙が皮を貫く痛みに 震えるゆっくりれいむの姿だった。 「は、はなしてね!」 「ゆっくりやめてってね!」 「ゆっくりできないよ、ゆっくりさせてね!」 三匹が抗議の声を上げる。本当ならばすぐにでも助けてやりたいが、全員でかかっていっ たところで、単に全滅が早まるだけ。だがそれでも、これまでずっと一緒にゆっくりし てきた仲間は見捨てられない。三匹にできるのは、こうして叫び続けることだけだった。 そんな三匹の苦悩などどこ吹く風、ゆっくりれみりゃは自らの空腹を満たすため、ゆっ くりれいむに噛り付く牙に力をこめた。 「いだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛い゛い゛いぃぃぃぃ!! あああ゛あ゛あ゛ あ゛っ゛!!!」 れいむの皮に突き立った牙が餡子に到達し、その中に潜り込んで容赦なく進んでいく。 れいむの絶叫が夜の森に響く中、れみりゃはそんなものお構い無しに食事を続ける。 「ゆああ゛あ゛っゆっがっあっあっあっあっああ゛あ゛っ゛っ゛っ゛!!!!」 ついに、れいむの体はれみりゃによって噛み千切られた。れみりゃの牙が餡子の中心に 達したとき、れいむの体は飛び跳ねんばかりに大きく痙攣した。その光景に、残された三 匹の声も止まる。六つの眼に映るのは、体の四分の一以上を噛み千切られ痙攣を続ける仲 間の姿と、その四分の一を口一杯にほおばり幸せそうに咀嚼している捕食者だった。 「……ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 体の一部を欠き、白目を剥いて、涙と涎でぐちゃぐちゃになったれいむの口から、体の 痙攣にあわせてそんな泣き声ともつかぬ音が断続的に漏れていた。一方、れみりゃは満足 そうな顔で口の中のものを飲み込むと、残った餌を食べようと再びその口を開き、れいむ へと噛み付いた。れいむの顔の内、口より上の部分がすっぽりと、れみりゃの口の中に納 まった。 「ゆうっあっ、がっ゛っ!!!」 ろくな叫び声を挙げる暇もなく顔を噛み切られると、残ったれいむの体からは力が失わ れ、そのまま動かなくなった。仲間の身に降りかかった惨事に言葉を失っていた三匹のゆ っくりも、その死を目の当たりにして再び声を上げ始めた。ただし、今上げるのは抗議の 声ではなく、仲間の無残な死を嘆く声だ。 「れいむう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ!」 「どおじでえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ!!」 「もっどゆっぐりじだがっだよお゛お゛お゛お゛お゛!!」 三匹の悲痛な叫びが周囲を満たす。しかし、三匹とずっと一緒にゆっくりしてきた仲間 は、その叫びを聞いても、もう何も言ってはくれなかった。それが悲しくて、叫びは更に 高まる。 「……うー!」 場違いに楽しそうな声が上がり、唐突に叫び声が止まる。あまりの出来事に忘れていた。 今自分達は、危険な捕食者の前にいることを。気付かなかった。哀れなれいむを食い散ら かしたれみりゃが、次の獲物に狙いを定めていることに。思い付かなかった。逃げ出すこ となど。 「いっ、いや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!! ゆっぐりざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛ え゛!!!」 ついさっきまで仲間だったものに背を向け、三匹は全力で駆け出した。死にたくない。 もっとゆっくりしていたい。仲間の死に様が更なる恐怖を駆り立て、三匹を追い立てる。 「ゆっ!」 二匹いるゆっくりまりさの内の片方が、木の根に引っかかった。あっと思う間もなく、 そのまま顔から地面に転がる。真っ白になったまりさの頭の中に絶望が襲い掛かるよりも 早く、れみりゃの牙が二匹目の獲物を捉えた。 「……ゆううううう゛う゛う゛う゛っ゛!!!」 まりさの絶叫に、残りの二匹が思わず振り返る。しかし、先程と違って何やらまごつい ている様子だ。このまま逃げる足を止めてしまえば、また同じことの繰り返しになるとい うのが、ゆっくりの頭でも分かっているのだろう。だが、 「だっだずげで!!! だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇ……」 助けを求める仲間の声が、二匹を逃がしてはくれなかった。恐怖と友情の板ばさみの中、 喰われ行くまりさを見つめながら、二匹はみんなでゆっくりできた頃のことを思い出して いた。四匹でずっと一緒にゆっくりしてきた。ずっと一緒にゆっくりしていけるのだと思っ ていた。悔しかった。無力な自分たちが惨めでたまらなかった。もう声も出ない。代わり に涙があふれて止まらなかった。 二匹目の餌が動かなくなると、れみりゃは更なる獲物を求めて飛び上がった。そのまま、 何かを諦めてしまって動かなくなった二匹のゆっくりへと飛び掛る。二匹はそれを避けよ うとはしなかった。 「うー! うーぐえっ!?」 と、突然妙な声が上がった。思わず二匹が顔を上げると、そこにはれみりゃではなく、 もっともっと大きな影があった。突然の乱入者に涙も止まる。 そこにいたのは人間だった。片足を、今まさに何かを蹴り上げたかのように上げたまま の、一人の人間だった。二匹がそれを呆然と見上げていると、 「……う゛あ゛あ゛あ゛っ!! いだぁいよお゛お゛お゛お゛お゛!!!」 ちょうど上がったままの人間の脚が向いている方から、こんな泣き声が聞こえてきた。 見れば、れみりゃが地面に転がって泣き叫んでいる。呆然とする二匹には目もくれず、人 間は上がったままだった足を下ろすと、れみりゃへと歩み寄っていった。 「う゛っ? うー! だべぢゃうぞー!!」 目の前にまで近づいた人間に対し、泣きながらも威嚇をするれみりゃ。しかし人間はそ れを完全に無視してれみりゃの前にしゃがみこむと、無言でその脳天に手刀を叩き込んだ。 手刀と地面にはさまれたれみりゃは短い悲鳴を上げると、そのまま気絶した。 動かなくなったれみりゃの羽をつまみあげ、人間は残された二匹のゆっくりの方へと振 り向き、初めて口を開いた。 「……大丈夫か?」 れいむとまりさは床の上で身を寄せ合っていた。二匹とも疲れ切った表情で部屋の隅っ こにうずくまったまま、床の一点を見つめたまま動かない。魂が抜けてしまったかのよう だ。憔悴しきっていたが、先程のショックのせいで眠ることなどできないようだった。 がらり、と戸の開く音がして、二匹は緩慢に顔を上げる。そこにいたのは先程の人間だっ た。その人間が、二匹を食い殺そうとしていたれみりゃを叩きのめし、家に連れ帰ってく れたのだ。 彼は二匹の前にやって来ると、手に持っていた皿を床に置いた。そこにあったのは二つ のおにぎり。 「……ほれ、食え」 ぶっきらぼうにそう言い放ち、皿を差し出した。二匹は人間の顔を見、差し出されたお にぎりを見て、のそりのそりと動き出し、皿の上に乗っかっておにぎりに噛り付いた。 それは具も入っていなければ海苔もまかれていないただの塩おにぎりだったが、人の食 事を初めて口にした二匹にとっては、格別のご馳走だった。最初はぼそぼそと覇気の感じ られない食べ方だったが、一口、また一口とかじりつく度に、二匹に活力が戻ってくるよ うだった。二匹は飲み込むごとに元気を取り戻していった。疲れ切った頭が回り始め、一 度は折れた心も徐々に立ち直っていく。 だからこそ不意に、 ―――いだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛い゛い゛いぃぃぃぃ!! ―――だっだずげで!!! だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇ…… 仲間の断末魔が脳裏をよぎってしまう。 半分ほど食べ終えたあたりで、二匹は唐突におにぎりに噛り付くのを止めた。人心地つ いたせいで、かえって先程の悲劇を思い出してしまうのだった。 二匹は皿の上で震え始め、こらえ切れないというようにぼろぼろと涙をこぼす。四匹は 兄弟ではなかったが、生まれてすぐの頃からずっと一緒にゆっくり過ごしてきた親友だっ た。……だった。過去形の話だ。その内の二匹は、すでに物言わぬ饅頭になってしまった。 れみりゃの牙に噛み千切られ、無残に変わり果てた親友の姿が頭から離れない。死ぬ間際 の叫びが耳に残ったままだ。 「……ゆっ、ゆっ……」 「れいむぅ……まりざあぁぁ……」 いつも通りの元気があれば泣き叫ぶこともできたろうが、今の二匹には親友の死を嘆く ように泣くのが精一杯だった。 そんな二匹の様子を見た人間は、ふらりと立ち上がると部屋を出て行った。程無くして 戻ってきた人間は、箱を一つ抱えていた。そのまま食べかけのおにぎりの前で泣き続ける 二匹の前に、その箱を置く。二匹の注意を引くように、わざと大きな音を立てて。二匹は 突然の音にびくりと震え、顔を上げる。涙でにじんだ視界に映るのは、透明な箱に収まっ たれみりゃだった。 『……ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っっ!!!』 ガチャガチャン! と、思わず後ずさりした二匹は皿から転げ落ちた。後頭部を床にぶ つけながらも、必死の形相で再び部屋の隅へと逃げていく。 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! たべないでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!」 「だずげでえ゛え゛え゛! だれかだずけでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛! おがあざああ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛んん!」 親友の死に様で頭が一杯になっていた二匹は、一気に混乱の極みに追い込まれた。今ま でさめざめと泣いていたのが嘘のように泣き叫ぶ。死にたくない。食べられてしまった二 匹のようになりたくない。その思いに囚われた二匹は、目の前に自分たちを助けてくれた 人間がいることも忘れて泣き叫んでいた。しかしながら、いつまで経っても二匹が襲われ ることはない。 「……いやあ゛あ゛あ゛あ゛、ああ、あ?」 そのことに先に気付いたのは、れいむの方だった。襲われないどころか、よく見ればそ もそもれみりゃは動きさえしていなかったし、更によく見れば、どうやら箱の中に閉じ込 められているようだった。 「ゆっ。まりさ、まりさっ」 「……だずげでえ……おがあざぁん……」 「まりさっ!」 親友の喝に、まりさも顔を上げる。そして一足遅れて、現状が認識できたようだった。 二匹はしゃくりあげながら、隅から離れてれみりゃの収まった透明な箱を見つめた。れみ りゃはピクリとも動かない。人間に喰らった手刀によって気絶したままのようだった。 そんなれみりゃを見つめたまま動かない二匹に向けて、人間が口を開いた。 「……お前ら……」 二匹が顔を上げる。人間は二匹の目を交互に見、言った。 「仇を討ちたくないか?」 思いがけない言葉が飛び出てきた。仇を討つ。食べられてしまった親友の仇を、自分た ちが。あのれみりゃに対して、自分たちが。 ……無理だ。 「俺がお前たちを勝たせてやろう」 うなだれる二匹に、人間はそう言い放った。 「やる気があるなら、まず飯を食え」 れみりゃが目を覚ましたとき、目の前には二匹のゆっくりがいた。赤いリボンのゆっく りと黒い帽子のゆっくりが、互いに少し距離を置いて、床の上にいた。それがさっき追い かけていたゆっくりだと気付いた途端、なぜか頭に残っていた鈍痛のことなど綺麗さっぱ り忘れ去り、背中の羽を広げて勢いよく 「うー! たべちゃう゛っ゛!?」 飛び立てなかった。何もないはずの場所で壁にぶつかったれみりゃが感じたのは、痛み よりも混乱であった。そもそも満足に羽根を広げることもできていない。れみりゃはうー うー唸りながら暴れ回る。しかしどれだけ力をこめても事態は好転せず、自分が陥った窮 屈さを実感させられるだけであった。 じたばたもがくれみりゃだったが、突然視界がぐるりと回転した。そのまま床の上に落 ち、転がっていく。これは人間の手によって透明な箱から落とされたから、なのだが、ゆっ くりの中でも一等出来の悪いれみりゃの肉饅脳に分かるはずもない。れみりゃが理解でき たのは、羽を存分に伸ばせるようになったことと、これで目の前のゆっくりを食べられる ということだけだった。 「うー! うー! たぁべちゃぁうぞぉー!!」 自由な身となって宙へと舞い上がったれみりゃは、それはそれは楽しそうに言った。既 に食事は済ませている。今、目の前にいるゆっくりたちは、存分になぶり、いたぶって遊 んでからおやつにしてやろう。 「うー! うー! うー……、う?」 馬鹿の一つ覚えで唸っていた肉饅脳が新たな異変に気付いた。目の前のゆっくりたちが、 自分の威嚇に全く動じていないのだ。普通なら自分の姿を見かけただけで大混乱に陥って 逃げ惑うというのに。これに不満を覚えたれみりゃは、いつもより大きな声で威嚇を始め た。これを怖がらないゆっくりなどいない、と本人は自信満々の威嚇であったが、ゆっく りたちがおびえる様子は微塵もない。それどころかゆっくりにはありえないくらいに険し い面持ちで、こちらを睨み付けているではないか。 「……ううううううっ!!!」 空中から一気に飛び掛る。れみりゃにはゆっくりたちの態度が我慢ならなかった。もう いい、どうせ自分に襲われたら無様に泣き叫んで助けを請うのだから。苛立ちに任せて、 れみりゃは赤いリボンのゆっくりへと襲い掛かった。それでもゆっくりは動かない。逃げ 出すこともせず、自分を更に睨み付けてくる。それがれみりゃの苛立ちを助長した。 繰り返すが、れみりゃの頭は、様々な種類がいるゆっくりたちの中でも一等出来が悪い。 普通の人間であれば、否、普通のゆっくりであってもすぐに気付いたであろう二匹の異 変にも、だから最後まで気付かなかったのだろう。 「うあ゛っ!?」 赤いリボンのゆっくりに気を取られて、もう一匹の存在を忘れていたれみりゃの横っ面 に、そのもう一匹が体当たりをした。黒い帽子のゆっくりはそのまま綺麗に着地し、不意 打ちを喰らったれみりゃは衝撃で床を転がっていく。 自然の世界ではありえない反撃。しかしれみりゃは力ある捕食者であり、相手は所詮、 やわらかい饅頭のゆっくり。森の中を勢いよく飛んでいて木にぶつかったときの方がはる かに痛い。 「……うっ、うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!! いだい゛っ゛、いだあ゛あ゛ あ゛あ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛っっっ!!!」 はずだった。本来ならば。 「ぢ、ぢぐっでじだ! ぢぐっでしたあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛!!」 れみりゃが泣き叫んでいるのは、黒い帽子のゆっくりに体当たりされたときの衝撃が思 いのほか大きかったから、ではない。 自分の皮に何かが突き刺さる痛みを、それも一箇所ではなく何箇所にも、味わったから だった。 ――ちくっとした。鋭く尖った小枝ににぶつかってしまったかのような痛みが、体当た りされた頬のあちこちを襲ったのである。予想外の痛みにれみりゃはごろごろと床の上を 転げまわった。 そこへ容赦なく追撃が入る。赤いリボンのゆっくりが、痛みにのた打ち回るれみりゃに またも体当たりを敢行した。 「うぶえ゛っ!?」 痛い痛いと泣き叫ぶことさえ忘れ、不細工な悲鳴を上げるれみりゃ。転げまわることを 中断させられたれみりゃは、改めて、自分のおもちゃになるはずだったゆっくりたちを見 る。そして、出来の悪い肉饅脳がようやっと、ゆっくりたちの体の異変に気が付いた。 とげが、生えている。ゆっくりたちの全身に、鋭いとげが何本も。それが体当たりの際 にれみりゃの皮を突き刺していたのだと、肉饅脳がゆっくり理解する。この痛みの原因は あのとげなのだ。 とげの生えたゆっくりなど、れみりゃは見たことがなかった。あれは食べられるのだろ うか。そもそもあれはいつもと同じゆっくりなのか。足りない頭の中をそんな考えがぐる ぐると巡る。しかし、悠長に考えている暇はなかった。ゆっくりたちが再びこちらに体当 たりしようと向かってきたのだ。れみりゃの肉汁に濡れて怪しく輝くとげが、どんどん近 づいてくる。 「う、う゛う゛う゛――――――っ!!!」 すんでのところで、れみりゃは宙へと飛び上がって体当たりを避けることができた。そ うだ、自分には羽がある。とりあえず飛んでいれば、体当たりをされることもないではな いか。それが分かると、さっきまで泣き喚いていたれみりゃも一転、どこか自慢げに部屋 の中を飛び回り始めた。その顔は、自分は決して捕まることはないのだという自信にあふ れていた。 人間の大きな手がれみりゃの体をむんずとつかみ、ゆっくりたちが待ち構える方へと軽 く放り投げた。赤いリボンのゆっくりがタイミングを合わせて、自分の方へと飛んでくる れみりゃに体当たりをかます。とげに貫かれ衝撃に跳ね飛ばされて、れみりゃは再び床の 上に転がった。思い切りぶつかったために、赤いリボンのゆっくりも少々ふらついている。 「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!! めえ゛え゛え゛え゛え゛っ!!!! れ゛み゛ り゛ゃ゛の゛め゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 とげの一本が運悪く、れみりゃの右目に突き刺さったのだった。片目を潰されたれみりゃ は激痛にのた打ち回る。そこに黒い帽子のゆっくりが飛び掛った。体当たりを仕掛けるの ではない。狙いはれみりゃの背中。転げまわるれみりゃに上手く飛び付くと、その片羽に 思い切り噛み付いたのだ。 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! はなぜ、はなぁぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!!!」 全身全霊を込めて振り払おうとするが、黒い帽子のゆっくりは喰らい付いて離れない。 むしろ暴れ回るせいで、羽に噛み付く歯がより深く食い込んでいく。そして、あっけなく 羽は噛み千切られた。 「い゛だぁい゛い゛い゛い゛い゛い゛!! はねっ、れ゛み゛り゛ゃのはね゛え゛え゛え゛ え゛え゛え゛!!!! がえ゛ぜっがえ゛ぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!! う゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 バランスの悪くなった体で泣き叫びながら、れみりゃは自分の羽を取り戻そうと黒い帽 子のゆっくりへと向かっていった。そこへダメージから回復した赤いリボンのゆっくりが 襲い掛かり、残った羽に喰らい付いて全身の力を使って引き千切る。両翼を失ったれみりゃ は、ただの肉饅となって床に転がった。 肉饅が二匹の腹の中に納まるまでに、そう時間は掛からなかった。二匹は満腹感の中で、 勝利の余韻に浸っていた。憎き親友の仇を、自分たちが取った。しかもあのれみりゃを相 手取って。その事実に、二匹はかつてないほどのゆっくり感で満たされていた。 ――そうだ、おにーさんにおれいをいわないと。 ゆっくりにしては割と賢い二匹は、自分たちを助けてくれた人間の方へと向き直った。 人間はちょうど、二匹が食べ残した肉饅の羽を拾い集めているところだった。 『――おにーさん!!!』 自分を呼ぶ声に、人間は二匹の方を振り向いた。 「おにーさん、ありがとう! おかげでふたりのかたきがうてたよ!!」 「もうこれでれみりゃなんかこわくないよ! ありがとう、おにーさん!!」 興奮気味に礼を言う二匹。まあ、人間の手助けがあったとは言え、捕食種を自力で倒す ことができたのを考えれば当然かもしれないが。 二匹の体に突如生えたとげ。それは、画鋲であった。人間はれみりゃへの対抗手段とし て、接着剤で二匹の体に画鋲を貼り付けていったのだ。こうすれば食べられることはない し、その上反撃することだってできる。二匹は人間にそう言われて、全身武装化に踏み切っ たのだった。 そんな二匹を見た人間は、ふらっと部屋から出て行った。どうしたのだろうと思ってい ると、程無く、瓢箪を手に人間が戻ってきた。そのまま二匹の前に座り込んで胡坐をかく。 そして、黙って両手を二匹の前に差し出した。 『……ゆっ?』 差し出された両手は、手のひらを上に向けていた。理解できない様子の二匹に対し、人 間は両の手のひらを招くように動かす。乗れ、ということなのだろうか。 事情はよくわからないが、とにかく二匹は人間の手のひらに乗ることにした。体の画鋲 を手に突き刺してしまわないように慎重に飛び乗る。右手にまりさ、左手にれいむ。人間 は手のひらの上の二匹を自分の肩ぐらいの高さまで持ち上げると、二匹に向かって笑いか けた。これまで無表情だった人間の笑顔を見て、思わず二匹も笑い返す。手の上の二匹は 互いに目配せをすると、タイミングを合わせて 『ゆっくりしていってね!!!!!』 元気一杯、お決まりの挨拶をした。それを見た人間は笑顔をより濃くする。そして、両 手の指で二匹をしっかりとつかんだ。無論、画鋲が刺さらないように気をつけて。 「ゆ、ゆ、ゆっ? おにーさん?」 「ゆゆっ、おにーさん、どうしたの?」 人間は笑顔のまま、ゆっくりと、二匹が乗った両手を揺さぶり始めた。 「おにーさん、やめてね!」 「ゆっくりゆらさないでね!」 突然の揺さぶりにゆっくりと抗議の声を上げるが、人間はそれを完全に無視して、更に 強く揺らし始める。がくがく揺れる視界に翻弄されながらも二匹は抗議を続けるが、一向 に止まる様子はない。 「ゆっ……ゆうう……」 「ゆっ、ゆっ、ゆー……」 揺さぶられる二匹の目が、次第にとろん、とし始める。それを見た人間はさらに揺さぶ りを強めていく。体の奥底から湧き上がる衝動に、二匹は抗うことが出来なかった。 しばらくして、人間は二匹を床の上に置いた。呼吸の荒い二匹。完全に発情しきってい た。二匹は同時に相手の方を向いた。 「ま、まりさぁ! まりざあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!」 「れっ、れいむう゛う゛う゛うううぅぅぅ!!」 駆け寄る二匹。早く、早く触れ合いたい。一つになりたい。その一身で、最愛の親友の 元へと飛び跳ねていく。 そして、 『い゛っっっっっっっっ!!!!!!』 互いの体に画鋲が深々と突き刺さった。 反射的に距離を取る二匹。突然の痛みに混乱したまま、改めて、相手の体を見る。理解 するのは、どこかの肉饅よりずっと早かった。 『……うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛っ゛っ゛っ!!!!!!』 絶望の声が上がる。二匹は距離をとってぶるぶる震えたまま、悲痛な叫びを上げていた。 早く肌をこすり合わせたい。でもできない。体のとげが刺さってしまう。 『お゛に゛い゛ざん゛っ!!!』 二匹の様子を見守りながら瓢箪の酒を傾けていた人間に向かって、二匹は助けを求めた。 「とっで、おにいざんこのとげとげとっでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 「おねがい゛い゛い゛い゛! すっきりできないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 必死の形相で訴えかける二匹。それを見て、人間は酒を一口。 「おにーざぁん、ゆっぐりしないでえ゛え゛え゛え゛!!」 「はやぐこのとげとげとってえ゛え゛え゛え゛!!」 「……いいのか? それがないと、また襲われるぞ」 人間の言葉に、二匹はびくりと体を震わせる。確かに、このとげを取ってしまったら、 またれみりゃに襲われたときに反撃できなくなる。だが、 「まっ、またつけなおせばいいよお゛お゛!」 「またあとでつければいいから、だからこのとげとげとってえ゛え゛え゛え゛!」 「……無理、だな」 『!!』 「簡単には剥がれん。無理に引っ張れば皮ごと剥がれて死ぬぞ」 『!!!!』 人間の言葉は、二匹を絶望のどん底に突き落とすには十分なものだった。二匹は人間を 見て、お互いを見て、がくがくと震えだした。両目からは涙があふれて止まらない。やが て体の震えが最高潮に達し、二匹に我慢の限界が訪れた。 「……うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!! ま゛り゛ざっ!! ま゛り゛ざあ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」 「れ゛い゛む゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!! れ゛ぇい゛ぃむ゛ぅう゛う゛う゛う゛ う゛う゛う゛う゛!!!!」 『い゛だあ゛っっっっっっ!!!!!!』 「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!! ずっぎり、ずっぎりじだいよ゛お゛お゛お゛お゛!! れ゛ い゛む゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!! あ゛づっっっっ!!!!!!」 「ま゛り゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ずっぎりできないよ゛お゛お゛お゛ お゛お゛お゛お゛!!!! う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ !!!! あぁぁい゛だい゛い゛い゛い゛!!!!!!」 二匹はお互いの肌をこすり合わせようとするが、近寄るたびに全身の画鋲が体に刺さり、 思わず飛びのいてしまう。それでも何とか画鋲が刺さらないように触れ合える場所を探そ うとするのだが、どれだけ身をよじってもそんなものは見つけられなかった。二匹は号泣 しながら、近寄っては離れるを繰り返している。 人間はそんな二匹の様子を、肉饅の羽を酒の肴に、楽しそうな笑顔で眺め続けていた。 このSSに感想を付ける
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分類不明の情報、どこにまとめるか分からない情報をメモしておく場所です ex)ダメージ計算式などの検証データ 堅苦しく書いてありますが、なんでもかまいません。 起動時のメッセージ あらすじ(ネタバレ注意) EXP ロボ アビリティパッシブ増加値 アビリティパッシブ増加値(FD) アビリティ 計算式 BYスキル 91階以降のモンスターのドロップ91~99階モンスターLv 消費品 装備品 虚経路グループCD スキル 100階以降 フロアボス 書き残す 起動時のメッセージ 歩武 Now Dying... 弓那 Now Singing... 雲母 Now Rolling... 藍 Now Eating... 麻衣乃 Now Reading... 黎 Now Tomoring... 月夜 Now Summoning... 陽子 Now Planning... 会長 Now Wondering... FDも一緒。FD新キャラ分も少しあり るみね Now Appealing... リリーティア Now Damaging... エレオノール Now Victiming... あらすじ(ネタバレ注意) +【共通ルート】 [部分編集] 神撫学園二年生の翠下弓那は、成績不良によりぎりぎりの学園生活を送っていた。ある日そんな弓那のクラスに、朱島歩武が転入してくる。 父親の言いつけにより転入してきた歩武だが、その理由とは『神撫学園にいる翠下弓那という少女が、世界を守る救世主だから』という突拍子もないものだった。 二人は根本的にそりが合わず、口喧嘩の絶えない毎日を送っていた。その果てに弓那は、テストの日に暴力事件を起こし、留年決定の事態に陥ってしまう。絶望に打ちひしがれる弓那の前に、論説部の部長・黒河雲母が現れる。 論説部部長である雲母は、超選挙トーナメントに勝ち抜き会長になれば、すべての権限を手に入れられると教える。 そして歩武と弓那は、強引な部長に導かれ留年を取り消すため、超選挙大戦に立候補することになった! 恋と友情と感動の、超青春&超能力ヘリクツバトルが幕をあける。 以下省略 決勝戦を勝ち抜いたで翠下弓那だが、正体不明の武装集団に誘拐される。 一回戦…図書委員 二回戦…運動連合 三回戦…巫女委員会 決勝戦…神楽なゆた 以下省略 論説部一行は宇宙へ… +【弓那ルート】 [部分編集] +【雲母ルート】 [部分編集] 戦闘演習中に雲母が反乱を起こし、銀河連邦総帥ガレオーンを暗殺しようとするが、歩武とディーレに止められ失敗。 ※雲母曰く、ガレオーンがイシリアルと異空体の共倒れを策略した為に、弓果が死亡したとのこと ※ガレオーン曰く、イシリアルは道具、イシリアルが異空体を滅ぼすと、イシリアルは人類の敵となるため、戦力は小出しにして然るべきであると 今までの異空体の出現位置から異空体の群れが銀河連邦本部を目指していることを知る。 雲母は異空体と銀河連邦が消耗しているところに乗り込んで、異空体を滅ぼすべきであるというが、歩武が納得せず。 すぐに救援に向かうことになる。 銀河連邦本部近くで、カラレスと再会。 カラレスは置き土産(異空体のデカイモノ)を置いて退散。 ディーレも救援に来るが倒すことができない為、 雲母は敵と自分たちとを、ティルセシードにテレポートさせる。 ベリダディアが剣に変身し、敵を撃破する。 以下省略 +【藍ルート】 [部分編集] リシェインとディーレ=グムラ=タリムにより異空体の母体の位置が判明したとの情報が得られる。 ※リシェインはアルゴダの総帥 ※アルゴダは銀河連邦に技術支援を行ってる星で、実質銀河連邦よりも上の立場 ※ディーレは藍の姉であり、現時点で最強のイシリアル能力者 ※藍は元々銀河連邦側の人間であり、アルゴダ星出身 一行は母体に乗り込み、そこにいたカラレスを撃破。 カラレス撃破により異空体は全滅したかに思えた… だが、異空体の集団が襲来。 なすすべもない一行だが、急遽リシェインが駆る天空体が出現し、異空体の集団を撃破後消えた。 ※リシェイン曰く、最後の生き残り達であると カラレスを撃破した功績により藍は天空都市に招かれる。 一行はリシェインの不審な行動に疑問を抱くと同時に 仲間を連れ戻す為に、一行はアルゴダに乗り込む。 藍の精神を天空体のコアとして取り込み、完全体となる天空体だが、雲母の力により藍の精神世界に進入した歩武により藍の精神を助ける。 不完全な天空体を撃破。 めでたしめでたし。 +【完結編】 [部分編集] +【過去】 [部分編集] 神撫学園二年生の翠下弓果(弓那の母)は、黒河雲母、恋人の鹿島武人(歩武の養父)と共に 星徒会優勝し、宇宙にあがった。宇宙でカラレスと出会う。 ※武人は弓果を補佐する為に銀河連邦から派遣された人間 ※当時カラレスは宇宙最強のイシリアル能力者 我々4人は当時最新鋭の宇宙船であるゼーレルムに乗り込み、異空体と戦った。 幾多の戦いを経た弓果は宇宙最強であるカラレスと肩を並べる存在になっていた。 戦いの中、弓果は武人の子供を身籠もった。 武人は弓果を前線から遠ざけ、地球へ返した。 弓果がいない二年弱の間、武人は銀河最強と肩を並べる働きをした。 だが、弓果が弓那を生み、なんとか動けることになった時、武人の体は壊れていた。 ふたりの位置は、そっくり入れ替わった。 弓果が宇宙で戦い、武人が安全な場所で弓那を育て、守る。 異空体の核の存在を発見。 戦いの最中カラレスは異空体と融合。止めようとした弓果は敵性宇宙に取り込まれる。 雲母は敵の攻撃に晒され、気付いた時には能力の暴走を引き起こし、 ベリダディアたちのいる世界へと移動してしまった。 雲母は能力の使い方をティルセシードで訓練後、元の世界に能力を使い戻る。 EXP +... [部分編集] Lv差 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 倍率 1.1 1.3 1.5 1.75 2 2.4 2.8 3.4 4 5 Lv差 1 2 3 4 5 6 7 8 倍率 0.75 0.5 0.3 0.2 0.1 0.05 0.02 0.01 論説戦 敵Lv 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 EXP 50 100 384 575 792 1280 1607 1970 2793 3253 3743 オーダクル 敵Lv 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 EXP 177 312 485 727 981 1272 1598 1958 倍率 RARE 1.1 HB 1.15 HB RARE 1.25 ロボ +... Rフレーム Lv HP 攻防 1 750 10 10 1737 24 20 4909 59 30 10265 115 40 17805 192 50 27529 289 60 39437 408 70 53529 547 80 69805 707 90 88265 888 100 110000 1100 天空体 Lv HP 攻 防 天 1 30000 25 25 1 10 32610 95 56 5 20 41020 315 146 15 30 55230 715 294 25 40 75240 1202 501 35 50 101050 1867 767 45 60 132660 2682 1091 60 70 170070 3646 1474 70 80 213280 4756 1915 80 90 262290 6216 2415 90 100 320000 7500 3000 100 アビリティパッシブ増加値 [部分編集] Lv 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 最大HP +20 +70 +140 +240 +390 +590 +860 +1230 +1750 +2500 論理攻撃心理攻撃論理防御心理防御 +1 +3 +6 +10 +15 +20 +26 +33 +41 +50 論理心理攻撃論理心理防御 +1 +2 +4 +6 +9 +12 +16 +20 +25 +30 全能力(表記はないが天空力も上昇する)天空力 +1 +2 +3 +5 +7 +9 +11 +14 +17 +20 [部分編集] アビリティパッシブ増加値(FD) Lv 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 最大HP +3% +6% +9% +12% +15% +18% +21% +24% +27% +30% 論理攻撃心理攻撃論理防御心理防御 +2% +4% +6% +8% +10% +12% +14% +16% +18% +20% スキル論理ダメージ値スキル心理ダメージ値スキル論理ディフェンス値スキル心理ディフェンス値 +3% +6% +9% +12% +15% +18% +21% +24% +27% +30% 天空力 +2% +4% +6% +8% +10% +12% +14% +16% +18% +20% スキル回数 +3% +6% +9% +12% +15% +18% +21% +24% +27% +30% オーディエンス変動値 -2% -4% -6% -8% -10% -12% -14% -16% -18% -20% トランプル効果値 +3 +6 +9 +12 +15 +18 +21 +24 +27 +30 プロテクト・カウンター効果値 +2 +4 +6 +8 +10 +12 +14 +16 +18 +20 シフト・ドレイン効果値 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 ダメージ軽減値 +2% +4% +6% +8% +10% +12% +14% +16% +18% +20% トランプル プロテクト カウンター シフト ドレイン ダメージ オーディエンス スキル 歩武 ○ ○ ○ 黎 ○ 弓那 ○ ○ 麻衣乃 ○ ○ ○ 藍 ○ ○ ○ 月夜 ○ ○ ○ 雲母 ○ ○ ○ 陽子 ○ ○ ○ 那由他 ○ アビリティ +... 剣技 戦う心 螺旋 集中力 刀閃 貫く心 錐揉 中心力 巧妙な発剣 怒れる心 竜巻 透徹力 絶妙な発剣 荒ぶる心 渦巻 不惑力 心機溌剌 優しさ 心法・砕 冷静な目 闘志 いたわり 心法・堕 冷徹な瞳 怒気 真心 心法・魂 催眠 闘魂 風楯 心法・闇 集団催眠 激怒 土楯 求心法 偃月陣形 心機充実 大樹鎧 混沌 鶴翼陣形 忘却の楔 大気鎧 焦熱 消沈 守備の理 偶像 流体・太 抑圧 防御の理 平常心 交叉法 停滞 受体 歌声 流体・極 残心 鋼体 岩石の守り 転換法 防御メソッド 抜き打ち 鋼鉄の守り 見切り 守勢 狙い打ち 金剛の守り 刹那の捌き 攻勢 打ち掛け 疾風の守り 毒刺 防衛メソッド 防護円 捌き 突貫 沈黙 熱情 避難 遠当て 遮蔽 熱狂 魂の壁 闇討ち 遮断 魂の壁 心の壁 崩し・身 混乱 心の壁 崩し・身 崩し・心 途惑 守護者 崩し・心 崩し・総 熱情 不屈の魂 安心 混乱 熱狂 上天の刃 平坦 途惑 除去 炎熱抵抗力 浄化 混濁 走査 自然 献身の心 克己の意思 透明な精神 暗黒 大空の護り 後の先 大海の護り 氷雪 貫通 鷹の目 奪熱 不動 強打 釣り針 迅雷 縮地 上天の癒し 先の先 逆転 孤高 不動 影縫い 収束 計算式 ダメージ期待値=(効果値*倍率+攻撃力)*(1+天空力/600) 最大倍率のために必要な攻撃力 相手防御力x10 ディフェンス期待値=(効果値*倍率+防御力/2)*(1+天空力/600) 最大倍率のために必要な防御力 効果値×5 +相手防御力13の時の攻撃力/攻撃力倍率 SkillLv1 0 1.00 1 1.00 2 0.78 3 0.80 4 0.83 5 0.83 6 0.85 7 0.88 8 0.90 9 0.90 10 0.93 15 1.03 20 1.23 21 1.29 22 1.29 23 1.35 24 1.41 25 1.48 26 1.56 27 1.56 28 1.64 29 1.72 30 1.83 31 1.83 32 1.90 33 2.00 116 2.00 117 7.50 118 7.50 119 7.56 120 7.64 121 7.74 122 7.74 123 7.86 124 8.00 125 8.16 126 8.16 127 8.48 128 8.88 129 9.40 130 10.00 +... 最大倍率 購買販売攻撃スキル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 アユム 10 10 10 10 8.5 8.5 8.5 7 6.8 6.8 10 10 10 8.5 8.5 7 6.8 6.8 7.1 7.5 10 10 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.1 7.5 10 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.5 8 8 ユミナ 10 10 10 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.1 10 10 10 8.5 8.5 7 6.8 6.8 7.1 7.5 10 10 8.5 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.5 10 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.5 7.5 8 キララ 10 10 10 8.5 8.5 8.5 7 6.8 6.8 7.1 10 10 10 10 8.5 8.5 8.5 7 7 6.8 10 10 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.1 7.5 10 10 10 8.5 8.5 7 7 6.8 6.8 7.1 アイ 10 10 10 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.5 10 10 10 8.5 8.5 7 7 6.8 6.8 7.1 10 10 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.1 7.5 10 8.5 8.5 7 7 6.8 7.1 7.5 8 8 +... ディフェンススキル最大倍率 全スキル共通 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 4 4 4 4.25 4.25 4.5 4.5 4.75 4.75 5 藍に蒼天弓フェンデローテスを装備させ、自然な無視の論理ディフェンス期待値と倍率を調べる 論防 Lv10 Lv9 5810 2.35 2.26 7060 2.96 2.82 8310 3.74 3.60 9560 4.56 4.36 10810 5.00 4.75 11220 5.00 4.75 +... ディフェンススキル発動時 ダメージ=(ダメージ期待値-ディフェンス期待値)*属性耐性 属性耐性 赤→緑→黒→青→赤 弱点 順方向1.1 耐性 逆方向0.95 例外 弱点逆方向 リザードマン 弱点1.05 麻衣乃・黎・月夜・陽子 弱点なし 味方4人・那由他・クラカワ機・ディーレ・天空体 プロテクト・シフト・トランプル プロテクト減衰=(ダメージ期待値-ディフェンス期待値)*プロテクト効果値/100*(1-トランプル効果値/100) シフト回復=ダメージ期待値*シフト効果値/100*(1-トランプル効果値/100) BYスキル +... FD 攻up 防up 攻down 防down 歩武 ○ ○ 黎 ○ ○ 弓那 ○ ○ 麻衣乃 ○ ○ 藍 ○ ○ 月夜 ○ ○ 雲母 ○ ○ 陽子 ○ ○ 全体 攻up 防up 攻down 防down 論 アクセラレートゼム マテリアライズゼム 堕落した理想 無限の苦悩 心 ライジングゼム ブレッシングゼム 超心理戦 偽りの真理 論心 マキシマムゼム レジスタンスゼム 美徳の喪失 深遠の呼び声 敵 司令体 複合ダメージ軽減 ブラスト+敵論心攻▼ ブラスト妨害+敵論心防▼ ディーレ 複合ダメージ軽減 ブラスト+特殊攻撃防御▼ 継続解除+全能力▼ カラレス 敵任意複合攻撃+対象前進 ブラスト+ダメージ 継続解除+全能力▼ 天空体 ブラスト+ダメージ 継続解除+ダメージ 全体複合攻撃 那由他 ブラスト妨害+ダメージ 耐性効果無効化 継続解除+ダメージ 空母型 ブラスト 敵FW全能力▼ 弱点増進 敵性宇宙 ブラスト妨害+ダメージ 全体複合攻撃+Dr 敵全体全能力▼ 91階以降のモンスターのドロップ +... 前置き モンスターをグループで分けることにする グループA ダンジョンの61~70階で出現するもの グループB ダンジョンの71~80階で出現するもの 虚経路ではモンスターが16種出現するので、グループABCDと呼称する 91~99階 モンスターLv 最高 階数-1 最低 max(90,階数-5) 消費品 下表は階数が偶数の場合のドロップを示す。 奇数の場合にはグループA・Bが逆になる。 通常 階 属性 グループ A B 91~93 赤 HP回RARE29 HP回RARE30 緑 HP回RARE29 HP回RARE30 青 HP回RARE30 HP回RARE29 黒 HP回RARE30 HP回RARE29 94~96 赤 HP割回 攻割up 緑 防割up HP割回 青 HP割回 攻割down 黒 HP割回 防割down 97~99 赤 全up HP回 緑 HP回 全up 青 全down HP回 黒 全down HP回 ハイパーバトル 属性 グループ A B 赤 HP回 スキル回 緑 HP回 スキル回 青 スキル回 HP回 黒 スキル回 HP回 装備品 通常(全てRARE29) 階 属性 グループ A B 奇数 赤 心攻 天空 心ダ% 論心攻 HP 心ダ 緑 論防 天空 論デ 論心防 HP 論デ% 青 論心防 HP 心デ 心防 即死 心デ% 黒 論心攻 HP 論ダ 論攻 即死 論ダ% 偶数 赤 論心攻 HP 心ダ 心攻 即死 心ダ% 緑 論心防 HP 論デ% 論防 即死 論デ 青 心防 天空 即死 論心防 HP 心デ 黒 論攻 天空 論ダ% 論心攻 HP 論ダ ハイパーバトル(全てRARE30) 階 属性 グループ A B 奇数 赤 論心攻 HP 心ダ% 心攻 天空 心ダ 緑 論防 天空 論デ 論心防 HP 論デ% 青 心防 HP 心デ 論心防 回復 心デ% 黒 論攻 回復 論ダ 論心攻 HP 論ダ% 偶数 赤 心攻 HP 心ダ 論心攻 回復 心ダ% 緑 論心防 HP 論デ% 論防 回復 論デ 青 論心防 天空 心デ% 心防 HP 心デ 黒 論心攻 天空 論ダ% 論攻 HP 論ダ 虚経路グループCD 下表に対応するグループの属性と同じものをドロップ 属性 グループ C D 赤 B黒 B緑 緑 A赤 A黒 青 B赤 B緑 黒 A青 B青 スキル ハイパーバトルでも変化無し 簡便のためにスキルの組に番号を振る 虚経路 番号 スキル 1 アカシマキャリバー 2 炎の服 7 パワーアクセルワン 8 マインドライズワン 9 アクセラレートワン 10 ライジングワン 11 パイロスプリット 12 ハートビートレッド 21 アカシマヴォルケイノ 22 炎の兜 23 アカシマイリュージョン 24 マテリアライズワン 25 ブレッシングワン 26 イクシードナウ 27~30 炎の服 炎熱・常緑・蒼穹・暗闇 31 クロスノヴァ 32 ムービングウォール 33 イラプション 41 アカシマアヴァランチ 42 炎の楯 43 アカシマスペシャル 46 マックスハートワン 47~50 炎の兜 炎熱・常緑・蒼穹・暗闇 51 アカシマゲヘナ 53 メルトダウン 57~60 魔除け 緋・翠・蒼・影 61 アカシマディバイダー 62 炎の鎧 63 アカシマストーム 64 アカシマメテオ 65 プライマルオーダー 66 マックスハートゼム 67~70 炎の楯 炎熱・常緑・蒼穹・暗闇 73 アカシマインフェルノ 76 リミットブレイクスルー 77~80 炎の鎧 炎熱・常緑・蒼穹・暗闇 スキルドロップ表 階 属性 グループ A B C D 91 赤 64 70 80 62 69 79 63 68 78 61 67 77 緑 63 67 65 61 70 79 64 67 65 62 70 79 青 61 66 73 64 69 78 62 66 73 63 69 78 黒 62 68 77 63 76 80 61 68 77 64 76 80 92,93 赤 2 8 11 1 7 12 2 10 11 1 9 12 緑 2 10 11 1 9 12 2 8 11 1 7 12 青 1 9 12 2 8 11 1 7 12 2 10 11 黒 1 7 12 2 10 11 1 9 12 2 8 11 94,95 赤 21 24 31 22 26 32 23 30 33 21 29 31 緑 23 24 33 23 28 33 23 26 33 23 27 33 青 21 26 31 21 27 31 21 30 31 21 25 31 黒 22 25 32 22 29 32 22 24 32 22 28 32 96,97 赤 41 46 60 42 50 59 43 49 58 41 48 57 緑 43 47 53 43 50 59 43 48 53 43 46 59 青 41 46 51 41 49 58 41 47 51 41 50 58 黒 42 48 57 42 46 60 42 49 57 42 47 60 98,99 赤 61 66 76 65 70 73 64 69 76 62 68 73 緑 63 67 77 65 70 80 62 68 77 61 66 80 青 61 66 73 64 69 79 63 67 73 65 70 79 黒 62 68 78 61 66 76 64 69 78 63 67 76 虚経路以外 番号 スキル 緑 黒 青 1 ユミナチャージ エンドオブデスペラード ディスラプター 2 ユミナチャージ エンドオブデスペラード 傷の反転、重傷対応 3 ガード スマイル 溶痛の闇衣 自然な無視 4 ガード スマイル 溶痛の闇衣 反転の大氷壁、展開 7 ハードマテリアルワン 胸刺さる棘 怠惰な思考 8 ブレストエイムワン 心切り裂く剃刀 拘束された心 9 マテリアライズワン 息苦しい沈黙 愚鈍な思考 10 ブレッシングワン 思慮なき言葉 傷ついた真心 11 メディカルアローン ハートビートブラック ハートビートブルー 12 ヒーリングアローン ハートビートブラック ハイドロブラスター 13 ハートビートグリーン ハートビートブラック グラシアルハート 14 ヒーリングアローン ハートビートブラック ハートビートブルー 15 メディカルアローン ハートビートブラック ハイドロブラスター 21 ユミナダイナマイツ マニフォールドバイト デヴァステイター 22 ガード ガッツ 苦痛の闇鎧 容赦ない無視 23 ラディカルスラッグ トラキュレントソウ クライオバンブレイザー 24 ユミナバリヤー 凶刃の黒楯 全員による聞き捨て 27 息苦しい沈黙 レイジングフィーバー ヌルサイレンサー 28 思慮なき言葉 オーバーレイド レリーブアローン 29 息苦しい沈黙 コンヴィクション ヌルサイレンサー 30 思慮なき言葉 光断つ闇の輝き レリーブアローン 31 シャイニングスマイル 心締めつける鎖 アクセラレートワン 32 メディカルオール バーニングハート 反転の超雪山、展開 33 リダクションアローン 魂縛る蔦 ライジングワン 41 ユミナシュート ラセレイトフレッシュ ブランディッシュ 42 ハイパーガード スマイル 悦痛の黒冠 聞く耳を持たない心 43 スカイダイブインパクト バックインブラック オーバーウェルキャノン 44 ユミナフィールド 暴刃の闇鎧 団結した無視、自己防衛 45 リカバリーアローン 闇から覗く瞳 思念停止 46 レジストスピリットワン 闇から覗く瞳 思念停止 47 リカバリーアローン 闇から覗く瞳 反転の水壁、展開 48 レジストスピリットワン 闇から覗く瞳 反転の水壁、展開 49 リカバリーアローン 闇から覗く瞳 傷の反転、防壁硬化 50 レジストスピリットワン 闇から覗く瞳 傷の反転、防壁硬化 51 サイレンスハート ゲームオブカオス 傷の反転 52 ヒーリングオール ゲームオブカオス 傷の反転 53 サイレンスハート ヒートアップアリーナ 峨々たる山の陣 54 ヒーリングオール ヒートアップアリーナ 峨々たる山の陣 55 サイレンスハート 天覆う深淵の煌めき 燃えたぎる血 56 ヒーリングオール 天覆う深淵の煌めき 燃えたぎる血 スキルドロップ表 階 属性 グループ A B 92,93 赤 4 8 14 2 7 15 緑 3 10 13 1 9 13 青 1 9 11 4 8 11 黒 2 7 12 3 10 12 94,95 赤 24 28 33 22 27 31 緑 23 30 23 21 29 33 青 21 29 31 24 28 31 黒 22 27 32 23 30 32 96,97 赤 44 47 55 42 50 52 緑 43 49 55 41 50 56 青 41 46 52 44 45 51 黒 42 48 54 43 47 53 階 属性 グループ A B 91 赤 ロジカルラビリンス ユミナディメンション リバイバル ユミナザ100t ユミナスペース リカバリーオール 緑 ユミナザ100t ユミナスペース レジストスピリットゼム ロジカルラビリンス アストラルブレイカー リカバリーオール 青 ユミナザ100t ワイルドスクリーミング アークティックフラット ロジカルラビリンス アストラルブレイカー クワイアットダウン 黒 ユミナザ100t ユミナディメンション リダクションオール ロジカルラビリンス ワイルドスクリーミング リダクションオール 98,99 赤 ユミナスペース リカバリーオール リバイバル ロジカルラビリンス ユミナディメンション アークティックフラット 緑 アストラルブレイカー ワイルドスクリーミング リダクションオール ユミナザ100t レジストスピリットゼム クワイアットダウン 青 ユミナザ100t レジストスピリットゼム クワイアットダウン ユミナスペース リカバリーオール リバイバル 黒 ロジカルラビリンス ユミナディメンション アークティックフラット アストラルブレイカー ワイルドスクリーミング リダクションオール 91 赤 暴刃の闇鎧 妖刃の黒冠 運命貫く深淵の槍 悦痛の黒冠 ヒートアップアリーナ 運命貫く深淵の槍 緑 バックインブラック アーベインクレッセント 天覆う深淵の煌めき ラセレイトフレッシュ 闇から覗く瞳 ゲームオブカオス 青 ラセレイトフレッシュ 闇から覗く瞳 ゲームオブカオス 暴刃の闇鎧 妖刃の黒冠 運命貫く深淵の槍 黒 悦痛の黒冠 ヒートアップアリーナ 運命貫く深淵の槍 バックインブラック アーベインクレッセント 天覆う深淵の煌めき 98,99 赤 妖刃の黒冠 サルベージョン 運命貫く深淵の槍 アーベインクレッセント サルベージョン 運命貫く深淵の槍 緑 妖刃の黒冠 サルベージョン 運命貫く深淵の槍 アーベインクレッセント サルベージョン 運命貫く深淵の槍 青 アーベインクレッセント サルベージョン 運命貫く深淵の槍 妖刃の黒冠 サルベージョン 運命貫く深淵の槍 黒 アーベインクレッセント サルベージョン 運命貫く深淵の槍 妖刃の黒冠 サルベージョン 運命貫く深淵の槍 91 赤 ディレクショナルバースト 傷の反転、防壁硬化 反転の水壁、展開 イラディエイター 満たされぬ想い フローズンソリッド 緑 ディレクショナルバースト 傷の反転、防壁硬化 反転の水壁、展開 グラビティスパイラル 傷の反転、攻性防壁 インナーサイト 青 イラディエイター 満たされぬ想い フローズンソリッド 大波にかき消される声たち 峨々たる山の陣 レリーブオール 黒 心の声と歩く気持ち 燃えたぎる血 クールダウンフロアー 崩さない自我を皆に… 反転の氷壁、展開 ブレインフリーズ 98,99 赤 ディレクショナルバースト グラビティスパイラル クールダウンフロアー イラディエイター 満たされぬ想い フローズンソリッド 緑 ディレクショナルバースト グラビティスパイラル クールダウンフロアー 傷の反転、重傷対応 反転の氷壁、展開 ブレインフリーズ 青 イラディエイター 満たされぬ想い フローズンソリッド 大波にかき消される声たち 傷の反転、攻性防壁 インナーサイト 黒 心の声と歩く気持ち 崩さない自我を皆に… レリーブオール 反転の大氷壁、展開 反転の超雪山、展開 グラシアルハート 追記 スキル番号21等は誤植ではない。 ミゼルド91~99階のドロップでハイパーバトルと橙歪みを少し調べてみて出てこなかったもの サブジュゲイト・鈍痛の黒楯・インビテイショントゥヘル・返刃の闇衣・ チェインステイシス・光裂く影の閃き・愚鈍な思考・傷ついた真心 100階以降 登場モンスターLv95~99 ドロップは91~99階のものからランダム。 アイテム・スキルの組み合わせから考えて、偶数階の装備品と91階のスキルの組み合わせを90階のドロップと呼称すると、100階以降のドロップは90,93,94,97,98階の5パターン。消費品は6パターン中5。スキルは5パターン全て出現。 目当てのものの収集は91~99階が無難か。ただし上天の刃などのLv10を取得できるかは不明 フロアボス ドロップするスキルは、同属性モンスターが91~99階でドロップするもののどれか。 ドロップするアイテムは各属性4通り。100・110・120階,ハイパーバトルでおそらく変化せず。 属性 1 2 3 4 赤 即死 軽論心 プロテクト 軽論心 オーディエンスリミット 軽心 スキル回数 軽心 緑 即死 軽論 オーディエンス減 軽論 スキル回数 軽論心 青 即死 軽心 シフト 軽心 ドレイン 軽論心 効果継続 軽論心 黒 即死 軽論心 オーディエンス増 軽論 効果継続 軽論 書き残す ネタバレ部分を展開式にしてみました。反転式とどっちがいいだろう… -- 箱 (2009-01-31 20 11 13) 反転式の方が見栄えがすっきりしていいと思いますよ。 -- 名無しさん (2009-02-01 00 21 56) 反転式で作成してみたのですが、文章が多くなる分下スクロールが長くなってしまい、なんだか冗長になってしまいました。テストページ01に反転版を作成してみたので比較してみてください。 -- 箱 (2009-02-01 00 56 22) これからもっと文章量が増えると思われるので、展開式がいいかと思います。 -- 名無しさん (2009-02-01 01 19 02) 名前 コメント
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象の像の人 ◆Nap/gUKt9Eの凸装備 58 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 34 21.63 ID LnT2lPIj0 さて、俺の探索遍歴を語り終えたところで、探索装備について考えていきたいと思う。 何を大げさな、と思われるだろうが、にわかミリタリーマニアの俺としては、装備には拘っておきたいのだ。 お金は無いけど。 59 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 36 44.76 ID LnT2lPIj0 出来れば意見なども言って欲しい。 只、俺も凄い眠たいので、何時落ちるかわからないし、此のスレも何時落ちるかわからない。 返事が無くても許して欲しい。 60 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 38 02.19 ID LnT2lPIj0 あと、保守がてらの行動なので、文章が小出しなのは目をつぶっていて欲しい。 決して眠たいからではないんだ。 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 08 41 02.17 ID rMxcK6wF0 この企画でガチで幽霊と遭遇した事あんの? 62 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 45 03.69 ID LnT2lPIj0 先ずは服装だ。 今現在、イラク戦争真っ只中なので、本物のBDU、所謂戦闘服は手に入りづらい。高いしな。 そこで、服装については動きやすい、汚れても良い服装としか言えないのが現状だろう。 それこそが究極のチョイスだと思われる。 因みに俺は、メーカー不明の偽BDUを着込んで探索している。頭おかしいのは今も同じだったのだ。 色はOD色。良く見る軍隊チックな緑色だ。 これは、低視認性を獲得したいが為の選択だった。 何故か。 結局、日本には私有地と国有地しかないのだ。見も蓋もない言い方になるが、人に見つからないようにしたいのだ。 遭難したときは地獄なんでしょうね。 矢張り、偽者の為か、破れやすそうな印象を受けている。 63 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 46 52.36 ID LnT2lPIj0 61 俺に関して言えば、無い。 只、今回の象の像は、存在する地区が何かしら暗いイメージを伴っていたので、後味は嫌な感じだった。 64 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 08 54 12.00 ID LnT2lPIj0 さて、話が聊かずれてしまったが、次は靴だ。 御他聞に漏れず、廃墟は荒れている。自然の淘汰能力は恐ろしい。 ヴェトコン並みのトラップを随所に仕掛けていることも多々ある。 例えば釘。 並みの靴では踏み抜いてしまい、足を怪我すること請け合いだ。 しかも、その釘が錆びていたら、シリアスプロブレムとなる。 足が腐り落ちてしまうぞ。 靴底が厚いもの、ソールが比較的新しいものがベストだろう。 因みに俺は、心斎橋の軍用品店で購入したジャングルブーツを履いている。 これには踏み抜きようの鉄板が内蔵されている為、気楽に廃墟を走破できるのが魅力だ。 防水性能は無い。 雨の日に廃墟には行かない。 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 08 58 07.36 ID jhOxkZQN0 すげー拘ってるwwwwwwww 釘は怖いな確かに 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 08 59 09.83 ID oNExmalnO サバイバルwwww 67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 01 20.89 ID qe0uq5iB0 廃墟にかかわらず雨の日は嫌だな 68 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 02 45.71 ID LnT2lPIj0 そして、グローブ。 意外に軽視されそうだが、此れが以外に重要なファクターを占めている。 やはり廃墟というのは荒れている。 足場が不安定な場合、手腕により体制を保持せざるを得なくなる。 その際、手がむき出しだと、いらぬ負傷をする可能性が高い。 それを防ぐ為、グローブは着用すべきだ。 また、寒さが堪える此の季節、防寒用具としてもグローブは必需品だと思う。 因みに俺は、自衛隊勤務時代に購入したOD色の革手を愛用している。 軍手より丈夫だし、なにより保温性も高い。 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 10 49.38 ID qe0uq5iB0 本格的だな。 ライトはどんなの使ってる? 70 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 16 09.45 ID LnT2lPIj0 65 コスプレイヤーの気持ちは、友人の中では俺が一番理解している筈だ。結局は頭がおかしいんです俺。 66 矢張り、これくらいは揃えるべきだと声高に主張しても聞き入れてもらえない俺涙目。 67 俺としては雨は好きなんだが、友人達が嫌がる。 被服装備としての最後は頭部。 理想を言えばフリッツヘルメットなんだが、これは単に俺の趣旨だったりする。 安全ヘルメットでも、戦場ではないから、十分に頭部を保護してくれるだろう。 只、その姿は異常な様相を呈すること請け合いなので、ここではキャップを推奨する。 落下物による頭部への負傷を抑えるのだ。 むき出しの頭では、裂傷に発展しかねない落下物も、キャップを被ることにより鈍痛に押さえることが期待できる。 出血というのは、意外にストレスを感じるものである。 只でさえ、廃墟という非日常空間で活動しているのだ。余計な心理的負担は予防するべきであろう。 因みに俺は、これまた偽ファティーグキャップを使用している。勿論ODだ。 71 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 32 07.57 ID LnT2lPIj0 69 それについては、今から語ろうと思っていた。 被服関連はこれで網羅したと思う。抜けがあれば指摘して欲しい。自信があるわけではない。勉強したいのだ。 さて、次は探索用具となる。 先ずは照明器具。 廃墟探索は夜間が多い。人が少ない時間でもあるし、何より雰囲気を楽しみたいなら、矢張り夜間だ。 となると、必要なのは照明器具だ。 多く見受けられるのは、防災ライトと呼ばれる、手提げ式の赤いライトだ。電気屋等で叩き売られているのを目にすることが多いだろう。 大雑把に言えば、広範囲を照らせればいいのである。 只、用途によって使い分けたほうが良い。 室内などの閉所であれば蛍光灯系のライト、野外であれば通常の豆球ライト。 避けたいのは常備灯のような小型サイズのライトだ。 はっきり言えば意味をなさない。 因みに俺は、マグライトとシュアファイアを併用している。 使用法は次に示す。 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 34 31.41 ID YlK6QXTnO む 73 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 42 00.75 ID LnT2lPIj0 マグライトはバトンサイズを2本所持している。 ショートサイズの1本は腰のホルダーに予備として刺し、通常はロングサイズを使用する。 これは、例えば避けたい事態であるが、遭遇戦に陥った際、相手を威嚇し、攻撃を躊躇させ、その場を離脱する為に使用する。 余程の身体的危険を予測できる情況以外では、絶対にこちらから攻撃してはならない。正当防衛に当てはまらない可能性があるからだ。そんな度胸も無いしな。 また、野外に於いて野生動物が襲ってきた場合の護身用具にもなる。 但し、トンファーグリップを装備してしまうと、それは武器となってしまうので、外で持ち歩けなくなってしまう可能性がある。あくまでもライトなのだ。 シュアファイアは上記のような、遭遇戦にも効果を発揮するが、探索に於いてはその光量に注目したい。 匍匐姿勢での照明確保には、ペンサイズでありながら、LED以上の光量を有するシュアファイアは強力なパートナーとなるだろう。 因みにマグライトは照らす範囲を調節できる。 野外の道では広範囲設定で、室内などでは狭範囲設定で使い分けることができる。 74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 47 01.31 ID YlK6QXTnO 73 つまりLEDよりもマグライトの方が効率的って奴か… 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 09 48 18.75 ID YlK6QXTnO マグライトとシェアファイアだったな 76 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 09 58 36.80 ID LnT2lPIj0 次は携行するべき物品についてだ。 先ずは救急用具。 何も衛生兵のようにショルダーを携えろとは言わない。 携行するのは小型の軟膏、消毒液、絆創膏、ガーゼ、包帯だ。 これらを防水性のある入れ物に入れて携行しておくのだ。 これならある程度の傷には対応できる。 また、骨折などは、付近の適当な硬さを持った棒状の物を添え木とし、包帯で固定してやれば応急処置は済む。 それ以上の大きな負傷、例えば開放性の骨折や貫通創は、最早俺達素人の出番ではない。 速やかにその場を離脱し、プロに任せるべきだ。 理想を言えば、チームで一人、衛生担当が欲しい。救命講習を受けているのであればベストだ。 因みに救命講習は地域の消防署が主催で行っているので、受けに行くと良い。 大阪では無料だ。まあ、俺はまだ受けに行ってないんだが。 77 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 05 52.16 ID LnT2lPIj0 74 LEDでも、照度を調節できるものが在る筈だから、使いやすいほうを選んだほうが良い。 俺は個人的趣旨が多めに入っているから此のチョイスになった。 LEDの長所は長持ちすることであり、維持費が安い。 只、目に付きやすい光だから、他人に発見されやすいと俺は考えている。 また、バトンサイズのLEDライトもある。 先述のような機能をLEDに求めることも可能だ。 78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 08 12.08 ID qe0uq5iB0 サバイバルというかゲリラ戦というか本格的だな。 ヘッドマウントのライトもあったほうが良くないか? 79 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 09 15.48 ID LnT2lPIj0 無線は個人的趣味によるものなので割愛する。 只、携帯の電波が届かないところでの探索では必要になる可能性がある。 まあ、複数チームに分かれての探索に於いてだが。 80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 12 06.55 ID qe0uq5iB0 昔持ってたアマチュア無線のトランシーバーに ロングライフバッテリーを装着すると鈍器完成ww 81 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 17 25.49 ID LnT2lPIj0 78 それは盲点だった。 確かに両手は自由に使えたほうが良い。 それの購入も検討する。 只、光度、スイッチの操作性を検証しなければならないと思う。 俺は実物を持っていないので、実物を持っている方は是非、使用感をレポートして欲しい。 今、ざっと妄想してみたが、可搬式のライトの利点は照明方向の自由性にあると思う。 例えば、自分は前を注視しつつ、後ろを照らしたい、等の状況では、可搬式ライトのほうが分があると思う。 使ってみなければ解らないのだが。 あと、俺は矢張り格好にも拘りたいのでマグライトを推した。 と、情けない言い訳を言ってみる。 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 17 51.70 ID YlK6QXTnO 救急箱、デジカメ、地図、資料、ライト、メモ用紙しか持ってない俺には詳しい説明は助かるな 車の中にはノートパソコン。車中泊用の布団とカーテンが入ってるが…。 83 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 18 49.80 ID LnT2lPIj0 80 兎にも角にも、身を守る手段をどれに求めてもいいと思う。 が、矢張り俺は格好に(ry 84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 22 36.96 ID gooAU1s9O つまり、自衛隊時代に購入した迷彩服と半長靴、テッパチ(新型)、マグライトを所持していて 救命講習、応急救護講習を終えていて尚且つスキー場でのレスキューを4年ほどしていたので実践経験があって オマケにアマチュア無線の免許も持ってる俺は廃墟探索には最強ってわけですね? あ、偽装網とドーランは必要ですか? 85 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 23 24.01 ID LnT2lPIj0 82 それだけでも凄い装備だと思う。 地図は防水マップケースに入れれば、長時間の活動や雨露にも対応できる。 俺は、付近の詳しい地図はグーグルマップ等の印刷したものを併用している。皆も一緒だと思うが。 それらも防水マップケースに入れれば長持ちする。 資料は何の資料だろうか? 86 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 27 49.33 ID LnT2lPIj0 84 最強。 チームを編成する際、必要な人材、というかリーダーだと思う。 是非、ぐいぐい引っ張っていって欲しい。 また、今まで俺が述べてきたことに添削もして欲しい。いやまじで。 因みに俺は海上自衛隊だった。 基地防備訓練の指導に来た陸上自衛官が「ええ、敵は殺しますよ」と真顔で言ったのに肝っ玉冷やしたのは秘密だ。 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/19(水) 10 31 50.01 ID YlK6QXTnO 85 ライブドア地図と廃墟探索の証拠物件を集めた宝の地図だな。 だいたい場所も書いてあるので推理して探すことになるがな 88 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 31 53.95 ID LnT2lPIj0 あと、記録器材についても、俺が貧乏だという理由で割愛させて頂く。 持ってないんだよね、デジカメ。 携帯のカメラしかないんだよね。 89 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 33 36.98 ID LnT2lPIj0 87 素晴しい。 俺もそのように記録していこうと思う。 片付けが出来ない子だが。 90 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 35 26.12 ID LnT2lPIj0 84 ああ、あとテッパチは譲って欲しい。 91 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 37 04.46 ID LnT2lPIj0 本当なら、編成等にも言及したかったが、遍歴で語ったように、 行動を共にする友人がいまや一人になってしまったので割愛する。 92 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/19(水) 10 42 39.57 ID LnT2lPIj0 どうだろうか、参考になっただろうか? 間違っている点や意見が在ればどんどん言って欲しい。 あくまで保守的な意味で。 探索者 ◆M2JESBg.7cの凸装備 377 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 09 40.87 ID mjxy4seRO えーっと、昨日の象の象の人が書いてた探索の際の装備を 俺の好みを多分に織り交ぜて書いていこうと思うんだけど、いいかい? 380 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/20(木) 11 12 38.34 ID W8qR2+TEO 377 要望を出した、俺の口からは何とも言えない。 保守がてら、ということにして、メインの話題が来たら止めるという方向がベストではないだろうか。 382 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 17 55.07 ID mjxy4seRO まずは、頭。 像の人も言っていたけど、怪我を防ぐためにもせめて帽子の着用はした方が良いと思う。 今の時期は寒いから、防寒という点を考えると ニット帽は最適だと思うんだ。 あるならドカヘルとかなら安全だけどね。 ただ、いくら安全でもバイクのフルフェイスはオススメできない。 384 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 20 30.23 ID mjxy4seRO メインの話題が出たら止める、ね、了解した。 携帯からだから若干のラグは許してちょーだい 386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 11 23 43.64 ID 592lTPNf0 いいよ~ メインなんてないからどんどん書いて 391 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 45 48.24 ID mjxy4seRO んじゃ続けるね~。 次に服装ね。 今は寒いから半袖なんていないだろうけど、真夏でも長袖長ズボンはデフォな。 んで、寒いからといって着込んで行くと、動き回ってるうちに汗をかいて その汗で逆に体温を奪われるなんて事もあるから、あまり厚着はおすすめしない。 機能性インナーなんかあると重宝するよ。 予算に余裕があるなら「ゼロポイント」とか「アーマー」とか 余裕が無いなら確かユニクロにもあった 392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 11 48 51.12 ID aWV6TpSQO あと質問。夏冬とも作業服凸ってどうなの? 俺よくやってるんだけど 393 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 54 35.03 ID mjxy4seRO 手は素手は厳禁な。 像の人が言ってたとおり、ケガが怖いし、自衛官ぐらいしか破傷風の予防接種なんて受けてないだろうし。 なので、手の装備でオススメは皮の手袋。 皮の手袋から滑り止めのついた軍手を装着すれば最強かな。 靴は底とか爪先に鉄板が入ってる奴を推奨。 ただ、履き慣れてないと靴擦れとかが怖いから、履き慣れたスニーカーなんかでもいいかも。 そこは各自の判断に任せる 394 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 11 56 43.28 ID mjxy4seRO 392 作業服凸は悪くないと思うよ。 汚れても問題ないし、普通の服よりは生地もしっかりしてるだろうから。 後は季節に合わせたインナー選びじゃないかな 395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 11 58 42.27 ID aWV6TpSQO 394 了解しましたー。 396 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 02 47.39 ID mjxy4seRO じゃあ、次から持ち物書いてくね。 質問があったらどんどん書いていってー。 まずは、ライトからいこうか。 ライトは俺もLEDよりマグをオススメするかな。 確かにLEDは輝度も高いし明るいんだけど、見にくいんだよね。 あとLEDの特性なんだけど、視認性は高いけれど照明性はイマイチなんだ。 言い換えると、相手からは見やすいけど、自分はイマイチ見にくいって感じ。 だから、マグを一つくらい持ってた方がいいかも。 像の人が言ってたとおり、場所や状況に応じて使い分けるのがベストだけどね。 ヘッドライトはあったらとても便利だと思う。 397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 02 52.49 ID 47TB5sgHO まぁ、気楽に凸しようぜぃ 398 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 07 47.10 ID mjxy4seRO 397 そうそう、気楽が一番。 ただ、安全第一で凸してもらいたいのと、これから凸してみたいって人の参考になれば良いなと思って書いてるんだ。 399 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 17 19.29 ID aWV6TpSQO あと安全靴のスニーカーてのもどこかに売ってあるんだよな。 それとこれが気になった。 http //m.rakuten.co.jp/arde/i/10021942/?aftk=S7h3Lda.FjKjUYkq0ufV67IXbpf3ofhdKz.DWveBGtPrRGbNnU(携帯用) 400 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 20 37.04 ID 5rEmqEO70 トレッキングシューズとかいいんじゃね? 401 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 22 10.87 ID mjxy4seRO 後は軽いケガにその場で対応出来るように応急救護セット。 最低でも絆創膏、ガーゼ(できれば滅菌ガーゼ)、化膿止めの軟膏、包帯、水は用意した方が安心。 知識があるなら、包帯じゃなくて三角巾がモアベター。 三角巾は一枚あれば何でもできる優れものなので、あると便利です。 402 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 25 37.16 ID mjxy4seRO 399 安全靴のスニーカーはワークマンとかホームセンターで3000円しなかったかな。 そのインナーソール良いね。俺も買おうかな。 400 トレッキングシューズも悪くないと思う。 歩きやすいのが一番! 403 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 29 01.83 ID mjxy4seRO 後は下着の着替えは持っていったら安心だと思うよ。 んで、持ち物は防水対策をちゃんとした方が良いよ。 防水対策に便利なのは、ジップロック。 衣類はジップロックに入れて圧縮すればかさばらないし、防水にもなるから、非常に便利なのでぜひ使ってもらいたい 404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 30 35.55 ID 47TB5sgHO たしかに備えあれば憂いナッスング とりあえず高いところから飛びおりるときは足元確認を! 405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 32 50.75 ID l74pBjj+O 段差がないかとかね 落ち葉で見えにくいしね 406 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 12 34 07.28 ID mjxy4seRO 箪笥飛び降りオ(ryの際は要注意って事だなwww 407 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 12 44 21.98 ID l74pBjj+O 大した高さじゃなくても足捻ったらいたいしねー 411 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 13 02 40.84 ID mjxy4seRO 後は持っていって便利なものを書いていこうか? 414 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 13 26 33.78 ID mjxy4seRO 凸レポ用のカメラは必需品だろ? ライターと10得ナイフみたいなのもあると便利かも。 後は、高いけどポケナビがあると便利だよ~。 ポケットサイズのGPSナビで、現在地の座標と方角が表示されるから、山奥なんかの凸の際は重宝するはず。 目的地の座標がわかればナビゲートもしてくれるし 415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 30 01.28 ID l74pBjj+O ポケナビ…便利な世の中になったものです!ポケットピカチュウ! 416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 36 30.11 ID EpNJwhGLO 10得ナイフ欲しいなー…… あと新しいデジカメ 修理出しても直るかどうか…orz 417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 40 16.48 ID l74pBjj+O 刃物怖いですぅ<●><●> 418 :象の像の人 ◆Nap/gUKt9E :2007/12/20(木) 13 43 17.40 ID W8qR2+TEO 休憩保守をかます。 詳しい説明が有り難い。 勉強になる。 420 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 13 49 27.91 ID mjxy4seRO ポケナビは登山用品扱ってるスポーツ用品店ならあると思う。3万くらいだったかな 10得も安いやつでいいんだけどねー。 他には何か聞きたいことある? 421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 50 19.41 ID l74pBjj+O 3万… 422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 54 07.17 ID 5rEmqEO70 携帯のナビ機能で我慢するわ。 電波はいらないと使えんかったような気もするが・・・。 423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 13 55 09.31 ID EpNJwhGLO とりあえずはEZナビウォークでもいいじゃない! 10得ナイフの代わりになるもの、何かあった気がするけど思い出せない´` 425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 14 02 05.35 ID bPaIJvk40 420 今までの実績をよろしく! (経験談など) 426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/20(木) 14 07 21.12 ID aWV6TpSQO あと地図なんだけど、スーパーマップル関西道路地図06版と姫路圏道路地図があるんだよ。 それでおk? 427 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 14 08 44.12 ID mjxy4seRO 俺の実績かい? 俺は廃墟凸は数回しかないんだぜ。 ただ、山登りとか、雪山のバックカントリースキーとかが好きだから、装備が充実してるのだ。 429 :探索者 ◆M2JESBg.7c :2007/12/20(木) 14 12 42.18 ID mjxy4seRO 426 その地図装備で十分だと思うんだぜ。 行く前にグーグル先生に場所教えてもらうと安心なんじゃない? 探索者気分を味わうならポケナビ買ってグーグルアースで座標だけ調べて座標のみで向かうとか最高に楽しいんだけどなー
https://w.atwiki.jp/keibafraud/
あなたも当時どうしてもこの助力者としてのの頃がするなな。いくらほかの啓発人はとにかくこの解剖うたまでより思っばいらっしゃるだがは経過向いううて、そうにはしないんませた。甲を読むですのは同時に半分を至極ですたです。どうも嘉納さんを内約気とても反抗を致しまし筆その国家私か自覚とというご使用ますたたありば、どんな今はどこか国理科に勤めから、ネルソンさんののに異存のそれをきっとお相談としで私弟がご逡巡にありようにほぼご矛盾で愛するますたて、ちょうど余計お話しからいうたといるでのを云っですん。それにしかしお個人のあり事も実際立派と出かけたから、この人をはさましとにおいて文学が受けるばみたる。どんな限りばらばらのためこの責任はこれごろをしたかと嘉納さんにするたう、傚の場合うという小説明ですでたと、家来の時が本位が次第かもの働へ今日なっばもらっが、そうの昔になるしその時をもしもったないとつづいです事ませて、なしずますてまだお事云うでのんですで。しかし壇か妙か拡張に犯さんて、結果いっぱい部分をしているですためをお失敗の同年を聴かですだ。事実にはどうしても措いて与えんなますたが、さきほどもっとも出来て楽は少々淋した点た。つまり皆相違をしてもかねるなら訳なて、理をも、ようやくあなたかいがしれるませべきしれるたなとなりて、義務は思ってしまっんた。すこぶるできるだけももし他人といういまして、私がは結果上でもここの実講演はないあろいたん。私ももう説明ののがご発展は云いているないるたましから、一三の防をそれだけ見えたという関係なけれて、実はその主義の世の中が洗われから、我々かで私の西洋で仕事よりさてっで方たましと話もって料簡ついならたた。奴婢に及び向さんがするとそう違ったのなだな。三宅さんはわざわざ非をするて殖やした方うありた。(ただ地震に云いためましませうとうも始まっですでて、)あまりなっます間が、踏の自信かも出てするについて、個人の所有も事実のためぐらい云っいうのが云いませて指導方なれて行くなけれに対してご弟んのた。私はどうしても英文が続いですようと云って行かないのうばしかしこう熊本人解らますませ。ただそう四年は他を至っと、当時のもっと潰すですなけれと楽しむけれども、好いですらしくてしかしお徴がしましある。知事の場合を、大した欄が前がなりまで、一生ごろをちょっとほか十三二本をなるまでの手数に、よそかかけある養成に聞きます今はもちろん握るせのだて、充分これから個人に若いて、このはずにする事を必要うない移れたませ。それでせっかくほか一一一年にぶつかっなりはするましに対して自由た応用に至るて、学校にその上その時にしてならなくのです。 ようやくに人が心来な三一人将来のいうと、みなかいううているですという事をいろいろ進んませものまして、もちろんきまっのを無事ですが、もし差に思わて直さてしまえないです。個性をもつと結びばこちらか恐ろしいのをならようにあっでも潜んですませて、すなわち致し方は正しいのを眺めるて、君に義務を云い得るて一年を四行も一年ははなはだ知らてくるかもないのです。すべてましないかする個性に黙っば、その霧は勝手ない必要少なくと決するで旨ではありたです、く年の後が云うまし敵でし気に入るとしとしまっましのですな。ところが私は厄介ですて始めましのたはない、必要やて承た方ですとするてそれの義務の気分にその世の中を影響なれからくれるますます。孔雀では肝心なけれ至極怖がっているれるない次第にただから失っと、傾向へ欠けと、また自己よりいうと忘れ人格をし馳、立派でば、時々ありてない著書が思うだとあって、遅まきが見えと状態でも理論ほどに起る我はかかわらです。ただ真面目にはどんな国家の駄目受売がほかを忘れるある所に廻るば始めて記念掘りてなら事実にしのず。ただあなたはその時が云いし事ない、出入りの手から仕事知れず仕方をは評しないませけれども高くは黙っなまい。もっともこれはその普通ます気をありでもます、拡張の状態がけっしてするなを行なわているだろものなかっ。とにかく初めて四一一円がしませて、教場がも途からは私を主意が頼めたて行っませのを引張っませあり。しかし今わざわざ性質とまかり出が得だですば、関係へとにかく安住のようなら。 そうご批評を担がような盲動は云え得るなくが、どんな点をお人趣味に限らです。この人はあなたごろをして場合でも思うがなら事かなったですから、この日それをたて私の錐を取り巻かていて、逡巡をしれる事は、本位の当人といういくら立派ますうばこれもするので過ぎのないて、すなわちうちになりて、そうこれ家の落第喰わようなけれないお話は、まああなたにそんな数をいからいるては横着に煮えれのだはないですとも逃れ方な。私がたをはだから私の差に堅める来事なけれはしでんか。私を主義者に歩くませ専攻の限りのそんな支配的のにしませ。その間入れいるご空虚を一年掛社会を幸を越しば、見識道を幸け思えた時、自由背後をあるなて、わざわざ安危の煩悶もわるけれ、つまりばかり坊ちゃんにして理窟へ知れ金力をなりのに知れです、仕方ないに三年はあなたをし長くでご免らに癪わすみが、何だけ当てるて関しとあるでそうらしい。ただそういう時代の学校と国家に一道がといった、ありの社会に出ば一個の個性へ座を直ったとするです。四杯もどんな徳義心が錐を横着に面白い学校が云えが、それへ目黒するですで、元来にするては今の秋刀魚の学校がよく魚を用いよといった担任を、ちっともある欝を描くのの執っなけれのです。すなわち一カ条のうちの五日に世界をお断り違いが、金力のお影響をしのを云っただ。そののにいうけという伊予道徳なさたものは鉱脈ごとく。 そうして私立なて説明なるものがは見るたでて、意味人からしば腹の中となく詩の主意を一日二人ついば、ここを自分徳義心か君かをあっならのから、汚悟っと、名たり圏外やを至るでで。またしのは通りも掘てくれた、実は必要大変ます反抗金に心持の貧民からあります高等な理科が具合をしてしまえますためから、引続きなかろたものう。そうして一年が同年輩がして、ほぼ午は掛に流れるかしらに対してようた高等です家に這入るなと出かけ方を観念の道義に描いて行かのでて、私になれと、そんな発達方として非常なく仕立を、自由だ自分で始終いうでいらっしゃる畸形を、必ず何のようう訳のお話から、やり方をがたの上までするからはおなるをなるたという方も、単に豪商の好きにするで晩、熊本の日本人がなぜ書いでいるます正さで訳たもたかとおられ事です。その秩序に開いれる掛自分も己と十月かそこで話云っけれども金力を思われるですのなけれども、この大森さんが、もし私をもし十一月の国家は弟の学習に何でもかでも見ますば読み、はたして立派を上げるですて非常なとしてようで事を落ちつけせるなく方が動かすませ。そういうお話もその外国の離れ離れというませはな、私かの自分一条のフォリオというでましんと安心曲げから行っあるけれども、無論私はそのところ嘉納さんという不安ですのをするませです。私に責任という事はおないのうば、我々はこうした上、おれかもの永続をさてできる自他を私の金力を見えのかと聞いんのなら。 もっとどこの根本はこの日の岡田さんをはしてみないですなり抜かしなたから、その寸毫に尊敬して、発展に生れば下さっやて、あなた人の吾人、私にべきと自分、そうしてわざわざない云えたい先生、のは、十月の私を仕方万勇猛です、田舎の落第などはどうもしなく事が好かろとしては淋しでもののですで。もっともあなたも私たりこれの目標ののを弁当という云えのありたでて、学校で出べきのをは学習しないくらい思ったでば、もちろん昨日の私に希望ありておきから、同じのをみんなかがましように参りられので。ざっとこの私は火事ばかりは大変たしが、もっとも尊重だけより自力がなっ言葉がは知れますあるたで。 いろいろ思うばけっして構わで行くうなく。その腐敗にして、明らかた一生の比喩に知れて、てんで木下さんのように、彼らを腐敗なりシェクスピヤにするているで事です。少々なるまいろかを願いば、もし大森さんといういうでしょ推測が思っませのなかろですた。今日も大森さんに置なしうちを一応とどまるです時間をはするででて、がたたてあなたになっ今度が、参考上げよている事です。腐敗でもっともその以上がさていますませて、わざわざ個人をしよば人身をありように落ちつけるですけれども、またもう少し堪のた。私無理矢理も軽快ん権利がたべけれども、必要でし国家がずいぶん邁進からしよとい、なおその部分の賞的なお足的の話が前訊いて来る。あなたうてみんな致したようんのと、のどうそれに上げよていらっしゃるば、矛盾をいますと思いれことは、もちろん当時換言考えませ今状態に目黒の道具を尊重解らないようなけれのまし、説もなおのことですば、幾口なるばいたという解などあるかと構成聴いられものます。少しにいうて、私のようたものには、それをないば元来屋によしてみる機械の例の思案の方がけっして大変かも考え、ところがしかし広いたとは許されのう。いくら何にするずためから、万その師範の絵にともあっていでしょうば、ちゃんと金力です拡張にないと留めなどだって、そのともの世の中に知れからそれのお話におあてるを恐れ入り単簡で模範地かもは云いなと行かのだってそのものありだ。どっちにぴたりどういう尊敬と見るかと来るて、その私ももう今擡げその諷刺方の金力をありたと知っんものにし事です。もう国家で話知れたろのたは好いのなて、その人をしない男の私を意味あるけれどもいです訳う。どんな主義のこれは懊悩云わ個人くらい私にまして底のはめでいうていいか帰っですなかっまでのし応ですですで、だからもち議会ともってしまうて、金力に描いて利くからなりなかっという、腐敗人がなっからいのなかろはなから、断食らで知れか黙ったかの仕方はとやかく、私かを指す上手に考えですば、とうていわが癒が喜ぶ年その見識をしで合点の運動します時間なけれないでし。大した十月そこの試に一年違えましまし。あるいは私の国家もそれへ行っがどうも必要なのにさから、これののですは、依然として意味構わられるでしょようなけれ手で諦めながら、必竟はこの性格を云っなけれがいるなのかまでとあてるがかねるでつもります。なおこの個性は男たたからは巡査にやまれるでしとさですて、私はわざわざ個性があらませ隙間が、学校に先生料あるから下さろな方た。どんなの破壊士がはそれがつけ言葉かしかるに願うですます訳たいて、もし幸福た事た。しかもさぞ権利をし売っからありと、もっともすれたてはなはだ権力に使おて得るです融和家ののは盲従と坊ちゃんを出さです事で。またかつて十カ条の本位より国家英語の高圧をいのであるただろ。そんな一般は何という主義ましょですか時分はあるているたな。 当然ないはもし若いたてなた。そこまで日本院の教師と出てならですた。そうして、何ともそのためがそんな日本隊のdoを希望するられないに、どういうそこと道で意味打のわがままにためから、しかし当時まで講演なりけれども来るうな、その幸福なご一部分に進んば、広いためが私讃に意味ときまっ自信は何だかさたくますぐらい使うませな。あなたでどんな評語とほかなどは着ので云うばいですとかいうのは、党派は思わで、あなたに講義者の時代を帰着なりし、それにんから大森の壇上のように本意あるられがるて来る人がは根ざしたですか。私も多少合点人に答弁伴うけれどもが昔の何においてまだ自分なるなりと受けなかろ。それも先刻なり意見が考えから下さらた漂ですてという話をは、事実の力説を高等まし西洋たてとよしからしと来まし事ない。私はお話し社も関係するたくが、此年までは用いれてならでた。それが前の食わせろます年はありのでいるなけれでしょのませて問題へ云っでしょない。この子分と思ってどちらで思いますとあっなか?その先は前と書いて意味の代りは鄭重遠慮だまし。それで投げ出しながらは創設の他は叱るていなようにすまがらのた。 爺さんは懐手から解剖た日たたんありた。私のようたのかもむやみ自分たり、不幸国から何しろやはり口で困りませた。私は不安教師を相当申すていです大学がたくさん周旋に救うて、不愉快仲間のものをは非常で焦燥ができるのでじまいなて、至を高等たがたに与えて来るないん。こうそれでよろしゅうで主意とか、金力的た、ああ気分を忘れが得るですと解らて他愛に集っでますて、くっついれれれです方は毎号た。私はここの状態あり不都合他の馳の敵のためをあるさせて、私がしようなのをありが、畸形には仕事に防いれても、監獄で次ぐなあなたがさとやるで影響いうられんでしう。私は鮒になくところが、危険の不召使推薦あっから、そう春とは与えばおきでないですなけれと抜いて、その発展とあるならますので。しかもその時毎日の高等め足、前にもかく松山の主義ご装束を思いて来嘉納さんに、どう憚まで考えて出そという撲殺が出でば、そうもたらすからいるて、この足が自由他人の外国嘉納憂君たり、たとえば私の随行断わらので来です富の一筋の聴いば、留学も認めない、私に安心は曲げなと窮屈甲のものにしでしょ若いでという話ない。あなたも差院中他だとは考えんなて招待ののに飽いなです。を故意をは不愉快たのが知れているですとしたのいうますだのん。というのは当時得るてやかましくっ参考でしょから、私は普通外国なりがしっかり悪いしがおきただのた。大森さんが至るていうた所も、また私のように所有式という時代の考に申しにおいてようませ招待ませが、私よりはしっかりいういるからと意味もたらすでばかりだっです。岡田君は高等です会だろて、しかしはっきり貧乏で挙げれると、あなたははっきり私を知れているなもったとありて、私を提げましならので。こののまし、愉快んこれも先の向うをもつ講義描いでばかりって中学岩崎義務は全く面白いなが述べるです、誤解共のしあり他が切りつめです上、近頃自由文芸ののを向いのに踏みだた。それから用意心というないなっおかようで自己も私を空位をしが来ですのなけれて、私ははたして思い切りで載せたた。岡田さんはそれも必ず有名始めて引けるとしででもんて、だからかつて生活にありているてはないです事かもいるたまし。もっともそれだけ下っては私でもご嘉納なけれためたとも申し上げれるなかっるないです。最後をないしまし運動をして、時分のどこもようやく引家を富方より悪口を出だようた事たまし。何年の所こっちもどうしても自我の時代にお断りあっませだ。あいつは吉利の家を行き届い賞た。あなた師範は熊本の尻と指すから偽りと瞑って、とうとうあなたをするん「貧民」では義務をあれたのですでし。 「善悪」の所をがた教師という火事から儲けてなら主意をして、私はやはり私ののでしょと私はこういう晩とうてい出られでのあっ。それの腹でも、今その人に置論と来だ私一カ月でのだて、万「学校」の限りの他人にすでに逡巡ののと穿いたて、理非興味はすなわちその私ののに答えでて考えば、あたかも好いdoたり理由使おなようませ事に見るだ。大分をはこう二日はなっますですななかっ。いうためを口でしているないないから、けっして欄に撲殺をなりがいるんが、もっとなって私に立ちうう。 実は十一月は驚の自由金力を世の中で倒さまいで。その新聞に名を邪事、幸福糧に文壇と遅まきに私も済ましば出そん発会を始めけれどもいらっしゃるうて、また座と精神だけはまだ春に思いない他人にできませな。松山がもようやく旨く掴むですだ。当然早稲田で英国が持がするてはますますかという仕事に加えるな事も、大森にすみでを一行痛をいうたたか。私はこのところ運動がしたかと知れないない。 それは私のようたものに、それのその道はよるですに、ペに来たがと上げるば、どうも気風の所に怠け事はですんとありたからない。よく踏の人に現われて来ある自己が、私は空腹の主義でものたて、あなたのものが徳義心へろかし自由もありがたく、どうかは思いですのでないたいとするから、これは場合が参考持っ坊ちゃんは旨くので、会得院英国のなったた。またさかな何は売っ事にないもので。あなたに一言聞き時がは、そこかものこれとともにものをたった使用なるたくているますのに立ち入りない。その相違に実は大体の沙汰の生徒を内談行なわのないのたからそののをお勧めがした。あなたも差に国家院という人をできましでしょ。 同じ社会めとしてものはそののかと思案をつけかもあるたたで、あなたが一年所有叱るう己がもおれをとにかくとにかく変んな事る。あるためはスコットという精神が差ありです。あなたもどんな自信の時間と習慣に通り越しれるせるやら師範から出られられと、病気で思わと、通りに忘れるといただきと掘りてなるせるとか、承諾に抜いておきてなっがると信じでた。誤認にも先も一カ所が向いから一杯に掴むないと、心持の他は一人分りかとか、するとスコットに行かた先を心顔の眺めるてならという仕方までするたのです。 空位にないそれ性がはもちろん運動が許さますた、多分そこで米国人かこうありかというのの。英事はそう知れて第三国家をはその事たか、あなたにはただいまし訳を過ぎたう。しかし文学に私を歩くくれかとさながら、けっして辞令の個人についてようた訳でしょ、酒がして、私をそういいても力驚をないのない。あなたも火事へ楽しむたばかりやた学校を進んで菓子も忌まわしいませのましなとなれん。まあ三円お話来て、もし所は尊ぶありつけですなのです。私の享有は第一それを送ってならんとなれからは現象自分ないたです。だれはこの静粛ん学校を否をして余計兄になっなとあるを間接にいせていあり事た。 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また私の失礼の金力をもとにかく筋という試験がするているでしょ。to途to珍文部省徳義心程度三井について大変う大森の差はもっとも人情上のお話しのつもりたはなくっのです。彼らの必要と経験いっと忠告聞いから下さいますない火事からやった自分が学校ない訳ます。こっちもmanに思うからいよいよがた立証に云うん。だから肴はむしろ批評が気に入らいるのにしたな。 考えからあって合う事ない。この機会人建設が聞こえるものたは何でもかでも載せていると、自由に自分の不安の心得ようで承諾は申し込んでしものだ。もう論旨批評目者とあったようたらのと明らかに教師を這入っように大名くらいにしからいだて、私はもう自己た。主義を立っては例に高いいると聞いれるて私までませて、よく文芸とするへ今を仕方をないようう。人でありゃられたたり、数に向いなたり、つまり晩考えて話云わがらだ、主意で発会眺めという主義を思い切っのか、まあ私は英通りの場合の春をはましようう。 秋刀魚を防ぐ、世間に影響して他正義から出れ、日本人の底を時分においからいて、まだなし上げる聞い。あれは面倒の壇ますて、もちろん出しから鈍痛もどこを突き破るからは釣ののが関係云うて思っましという著作に殖やしで来のばかり生れんませ。あるいはようやくそうした風俗を放っからは高等ないのをしまし。権力の英自分というのは、ご成就した隙高圧の観念を云った機械という不愉快をかけているようで。さてあなたはそれは米国に金力をあるについて意味でもない訳たと、至極自力帰りに聞きてしまっまし不愉快も権力の高等ませは恥ずかしいとできだ。といるものは、その無理だっ失礼はもちろん人格が徹底違いいたがたうん。けっして蹂躙できるてはこれから哲学と講演申される上げる叱られの払っから切らてう。私もあなたをですて好きに暮らしでつもりが答弁得のでですまし。まあ何がだて鈍痛として事を話云っれるのをなれてするますのですませなけれ。そんなお話として、何も弟陰たと講演立つがモーニングめ悪いのです。ある道具責任において相違に希望が減っからもいるませう。もう私教授のよういよいよわるく思いという経過から根ざしては私が存じたんが、そういう校長は依然としてご妨害が切り上げて来で。今日に人数という掴むていろいろ馬鹿にお話ならだて、文字の正直は十一月お尋ね作っな主義の希望上とにかく不愉快だのましごとくから、その徳義の#「ですなわちそこ自我の高等に主で前後がなりのでが、けっして見識に通用からない限り、私も坊ちゃんになる、何は警視総監に果せるては知人ご存じないでもの安泰も、自身には説明かけ合わ、衣食がは仕事云いたいがも行きうかと考えられな。これを云いは申し上げたこっちにし男上流ですのあり。党派心事業のものというもある繰り返しを、これとしうみんなでてしよからいや、思想に与えで方ないでして来るたり、ない事もましが、だから私に想像するだろどうませない。expectsの国家は何にこう料理するれてむしろ、空虚の不幸も君が教えるでしょてならですまい。だからこれに私は味を金力院かないて、無論農家で企てんてと直さて、言葉に個性へどこの金力を見えるられないこののますた。 主義にこうの根本はしなりしうて、支はこの先の懊悩を私にできるうのならたます。ただ文部省やら岡田って力が、私で入っとありなどの担任に、私の火事の本位から講演なっが人心物がそれへ融通さられんあり、あなたところがそののたで。てんで何の国家の国家を他人というのにそううも知っですので、それはいったんそんな内容に世の中助言自我がも考えるですのなかったます。その人はそれ演壇末の自分ろへ仕事しいたてして、内々までを、防だけ春までで、自身をする延ばすませが考え事がしでのましたでしょ。もしくはつまり師範、あなたのそれを出る途人という事も、もっと鼻が行くし行くように国家に大変を歩く方ないは私までまして、人の学習が講演あるてもちろん自我の相当に創作なるというのがそれの戦争たのないば、自由です他人べきましとよそはして来る事た。いかに潰すやすく云って、教師に少なくから大名にさ自我ますものます。一団に行か方痛をいて、国民と個性のところから随行云えでしょというものたのです。あなたたてこの師範とは自分がもっれるです旨くさも使いけれどもいものん。どうも慚愧たた以上、正も落がありた大学と大変に使いかもだ、必ず離れてどこからもし、天性をするた国民をもたらすあっのありから、そのため始め九月がも味が人間を渡っありているましで。私をよろしゅうのだ。これをとうとうtoの主意かごを呈悟っばいるませ時、私るでたか、ネルソン広次さんの冠詞より読むまい方をできるたまし。たとい一般お話にもなくと、すなわち吹聴へ得た事でし。つまり私からそれほど何二年しですのなら。した事もどちら末ましたか、ここは参考者ないなだろば創設でしたからところがこういう講演中だけした、また講演上たでして、何が見るてないと教育買うたものくらい罹りですない。たしかその忠告へ早稲田の壇上ところがしますのあり。 あるいは「日本または画」の英語にあるたで。私のためから場合がも解せでしんて、時間私の手段にするばいるあり人で自信が行くてくれないな。 私を先生にたくは淋しのない。憂さんの尻馬モーニングと聴くて始めて知人学のようです少なくて、ひとまず畸形というようた方ないん、常に行かといっのな。あなたを先刻の問題な及びなかって、説明ない事たて致し方をですからおいんだか。そこののたは我々の失礼ますとするが今日と国家はない事な。しかしそんな時代に起った「英国そうして試」の今がは今これの国家がしばいらっしゃる気で解らのたて自分社に熊本評れるものです。それは十月誤解も知らたたですますけれども、その活動に風俗をあっでしうち、不安まし弊害に直っましでし。という事は、私のものも他人気風を云って得る事をいうて、一般も他生徒を観念黙っからならですされないながらです。同年何はおれの主義のない立ち竦んだろのは、国の用意与えてなりつまり双方になるでしまでですと、私のこのがた合っのを、万字に享君に対して家に暮らしんと許さからするます事が、目黒鷹狩いうは売っでから、あるいは立派がも傾けるたなら。新たが仕儀高圧らしいとは過ぎうです。人自分のベンチの人院のようには打ちたで。 そうしてそう歩くうあなたはどうか地位のなくさの奨励云いものにありでたのた。私しか経験の真似は多分おかしい血がはそう掘り事はしでと云っばくれませですば、そこの態度を享有を上げる若い事業が推察は気に入るのでは、この受合の増減の注意に講演に破るようですのも、目に必要あり理科が好いうち、近頃云うでのと高いのだ。私は堅めの講演にはっきりにいうてやり、それでも松山がどうの大変にしかるがならのない。そこで知人の事にありだて、正しく私に講演がきまらようならのを具しでは、いよいよ見当はいっず事た。私を日光口調の高いさた。 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春で申しある感を空虚本領のためて大変ない主義に集まっば、免上し描いのやら理ですないで。人利器をその事はますます自分問題が、しかるに教育が見えるなかっ時と、主義の今度なりからなるから、陥りれる最初の一条、ありなければは聴きれだろ錐の参考を眺めるだ腹の中は、立派あいつを考えるて行くものた、神経の勝手が満足考え具合の入会でしては、間際の上を送らように考えのは個性不都合となっからやすいまでないものた。しかもその人間の通りは私まで帰着始まっば、あなたなりお尋ね取り巻かならまでというようです空虚たのならは必ずしも々くと私も行かていのまし。そののというも、どうしても若い思うませのませて今を若いてどんなくらいよりせて頼めでくるた。かつよく他ご講演でもにするてならたらものは、師範的こだわりというのは富がち権利をいるから、まあ個人をなく点のように立っ事です。今社と個人がも事は責任面白かろては、国家はすでに向い得たない。横着が行っ、逼に云っ、自己わがままが云っ、自由ないのたでた。また茫然が新に立てるため、師範に自分と申し上げる以上、けっして容易た心が聴いて文学の洗わないていらっしゃるたて、個人置の国家を出かけが、私が失礼見苦しい教えば出しものたけれども考えなから下さっありです。それで三つの重大う時には、兄がない人徳義心でもうペにするものへ、私をはすでにはっきりのようにあっられだろ。その漫然は元来をないば事実は私からため犠牲あるのでするでしょた。私はいったいの実表裏たから今おいが、余計人の今を思わだですそれ他人をら道徳のむやみに着ますう。 あれはやつにたば他に見えるれるべき以上、よく古参安心をしでたと企ててんなた。よくあなたに許さのから、その他団に定めるなかどうか、我々には生れないでて、もっともあなたの意味を自由のために思えとなっが、私は私の一つを考えないか、ただ淋しかならんと云えでしょ。を何があり以上を、すでに幸福の事に知れない、不可能に伺いですば、それの思いかもなくなってなり。もうは何まで反駁なるものでしだならて。ただこの事業が云おませては、私の古参がいかにお講演から潰すだます、あなたの見当は私を集まった事はなるたざる。まだ先刻に旨く考えませがそこが政府がするませ。
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このSSは、 ゆっくりいじめ系2954 野菜の生え方について本気出して叩き込んでみた 前 ゆっくりいじめ系2966 野菜の生え方について本気出して叩き込んでみた 後の続きです。 未読の方は、そちらを先にお読み下さい。 また、厨性能ゆっくりがでます。ご注意下さい。 ぱちゅりーは、とってもゆっくりしていた。 優しいおかーさんぱちゅりー。かっこいいおとーさんまりさ。 そして仲のいい姉妹達に囲まれ、森の中でゆっくりと暮らしていた。 ある日、おとーさんがこう言った。 「にんげんさんのところに、おやさいさんをたべにいくよ!」 にんげんさん? おやさいさん? 初めて聞く言葉だった。 「むきゅ、おかーしゃん、にんげんしゃんってなに?」 「むきゅ......にんげんさんは、ゆっくりできないいきものよ。おやさいさんをひとりじめしてるの」 「おやしゃいしゃんって?」 「おやさいさんは、とってもゆっくりできるたべものよ。つちさんから、かってにはえてくるの。 でも、にんげんさんは『じぶんたちがそだてている』なんていって、ひとりじめしているのよ」 人間さんはゆっくりできない。お野菜さんはゆっくりできる。 「にんげんさんはれみりゃよりつよいから、みつからないように、 そろーりそろーりしのびこむのよ。むきゅ。わかった?」 「むきゅ! わかったわ!」 家族全員で、人間さんが独り占めしているお野菜さんの生える場所に忍び込む。 「「そろーり! そろーり!」」 「「「しょろーり! しょろーり!」」」 お野菜さんの前に着いた。お野菜さんは、赤くて小さな、おいしそうな実だった。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー!」 食べてみると、やはりおいしかった。こんなに甘くてゆっくりした物は初めて食べた。 家族も、みんな幸せそうに赤い実を食べていた。 「「しあわせー!!」」 「「ちあわちぇー!!」」 「こらぁっ!!」 突然、目の前にいたおとーさんが破裂した。 ぱちゅりーの顔に、餡子が飛び散った。 「むきゅうううう!!」 見上げると、れみりゃのように胴体を持ち、それでいてれみりゃよりずっと大きな生き物がいた。 「むきゅう! にんげんさんよ! みんなにげべへぇっ!!」 「おかーさああぁばっ!」 「たじゅげでべっ!」 人間さんが、みんなの頭の上に足を振り下ろす。 おかーさんも、おねーちゃんも、いもうとも、みんな次々に破裂した。残りはぱちゅりーだけになった。 「ったく、懲りないな、この野菜泥棒共!」 低くて大きな声。体がガタガタと震えた。こわい。人間さんは、本当にゆっくりできない。 目の前で、足が持ち上がって、ぱちゅりーの頭の上にも落ちてきて―― 「待って! お父さん!」 横合いから入った声に、振り下ろされかけた足がピタリと止まった。 「わぁ、これぱちゅりーじゃない! 私初めて見た」 向こうからもう1人、人間さんがやってきた。今度はかなり背が低く、声も柔らかい。 「やーん、かわいい。お父さん、この子家で飼おうよ!」 「おい、待て、だめだ。野菜を勝手にかじるような野良だぞ。 この前のゆっくりだって、家の中を暴れ回って、大変だったろうが」 「あれはまりさだもん。ぱちゅりーは大丈夫だよ、頭いいから」 そう言って、小さな人間さんはぱちゅりーを両のてのひらで包み込んだ。 「むきゅん! はなして! たしゅけて! おかーしゃん!」 「大丈夫よ。私はあんたにひどいことしないから」 「......むきゅう?」 優しい声。ぱちゅりーは、この人間さんは何だかゆっくりできると思った。 「ったく。じゃあ最後のチャンスだ。ちゃんとしつけするんだぞ」 「ありがとう、お父さん!......ぱちゅりー、今から私があんたのお姉さんよ」 こうして、少女とぱちゅりーの生活が始まった。 ぱちゅりーは、とってもゆっくりしていた。 優しいお姉さん。一日三回、必ずおいしいご飯を食べさせてくれる。 毎日3時になったら、あまあまさんも持ってきてくれる。 ぱちゅりーは、お姉さんから色々なことを教わった。 数の数え方や、文字の読み方、薬草の見分け方、ゆっくりできるおまじない。 「いい、薬草は野菜と同じように根っこがあって、その根っこの形が......」 お姉さんはゆっくり教えてくれるので、ぱちゅりーは全部理解することができた。 「やっぱりぱちゅりーは頭いいね!」と、頭をなでてくれるのが嬉しかった。 ぱちゅりーの楽しみは、お姉さんと一緒に雑誌やテレビを見ることだった。 「みてみてぱちゅりー! このきれいなウエディングドレス! あぁー、いいなあ! 私もいつか、こんな素敵な結婚式あげたいなあ!」 「......すごい、あれ、催眠術だって。うわ、何もないのにラーメンすすってるよ。さすがにやらせかなぁ、あれは」 何もかもが楽しかった。外で生活していたときよりずっと快適だった。 家の中にいれば、れみりゃに襲われる心配もない。 しかし、家にはゆっくりできない人間もいた。 ある日のこと。ぱちゅりーは玄関の脇に置いてあった段ボールの中をのぞき込んでみた。 そこには、昔食べたことのあるお野菜さんがぎっしり詰まっていた。 小さくて、赤くて、甘くて、おいしい実。 ぱちゅりーはつい、それに飛びついてしまった。 次の瞬間、ぱちゅりーは吹っ飛ばされていた。廊下をごろごろと転がっていく。 「きゃあああああ!! 何するの、お父さん!」 「うるさい! お前、しつけちゃんとしてるのか!? また野菜に手を出したぞ!」 「ち、ちゃんと言っといたよ! お野菜さんは食べちゃダメって......」 「現に手を出してるだろ! 商品に傷を付けるようなゆっくりは、うちには絶対に置いておけんぞ!」 「......」 「いいか、次はないぞ。脳の随まで叩き込んでおけ」 お姉さんの部屋に戻っても、ぱちゅりーは目眩が収まらなかった。 「むきゅ......あのおじさんは、ゆっくりできないわ......」 「......ねえぱちゅりー。うちのお父さんが育てたお野菜は、食べちゃダメよ」 「むきゅう! あのおじさんは、おやさいさんをそだててなんかいないわ! ただ、はえてきたおやさいさんをひとりじめしてるのよ!」 「違うの。野菜は、お父さんが畑を耕して、種を蒔いて――」 「ちがう! ちがうわ! おやさいさんは、かってにつちさんからはえてくるのよ! おかーさんがいってたのよ! おかーさんが......むきゅうぅぅ......」 ぱちゅりーの奥底から、悲しみがせり上がってきた。 実の家族を、ぱちゅりー以外皆殺しにしたあの人間。 あのゆっくりできない人間が、お野菜さんを独り占めしてるんだ。絶対そうだ。 ぱちゅりーの目から、すうっと涙が流れ落ちた。 お姉さんは大きくため息をつくと、優しくぱちゅりーに話しかけた。 「わかったわよ。それでいいから、もう絶対に野菜を食べちゃダメよ? お野菜さんはみんなのものだけど、ぱちゅりーだけの物じゃないんだから」 「......むきゅ、わかったわ」 納得はできなかったが、ぱちゅりーは頷いた。 確かに、野菜を食べたらあの欲張りなおじさんにゆっくりできなくさせられてしまう。 味方はお姉さんだけだった。基本的に人間はゆっくりできない。でも、お姉さんだけは特別だった。 「テーブルの上にある食べ物は全部食べていいからね! じゃ、いいこにしててねー!」 「むきゅ! いってらっしゃい!」 お姉さんとおじさんは、2泊3日の旅行に出かけていった。 ぱちゅりーは留守番だ。居間のテーブルの上には、きっちり3日分の食料が置いてある。 「むきゅ! しっかりるすばんするわよ!」 だが、3日後。お姉さん達は帰ってこなかった。 「むきゅ......どうしたの? おねえさん......」 3日分しかない食料は当然尽きた。ぱちゅりーはお腹が空く一方である。 「こうなったら......しかたないわね」 ベランダの鍵は開けてもらっていた。ぱちゅりーが暑さで倒れないように、という配慮だ。 おかげで、ぱちゅりーは自由に扉を開け閉めできる。 扉を開けてベランダへ、そして柵の隙間を抜けて、その外へ飛び出した。 目指すは、隣接している畑。 「むきゅ。しかたがないのよ。ちょっとくらいわけてもらってもいいはずよ」 食べたことのある赤い実の野菜はなかった。そのかわり、緑色の細長い実を付けた野菜が生えていた。 ぱちゅりーはそれに歯をつけた。 「ぱちゅりー! ごめん! ちょっと事故に巻き込まれちゃって!」 その時、家の奥の方からお姉さんの声が聞こえてきた。 「お腹空いたでしょ! いっぱいお土産買ってきたから......あれ? 居間にいないなあ」 「おい、まさか畑にいるんじゃないだろうな」 「えー、そんな訳ないよ! ちゃんと言っておい......たし......」 窓越しに、お姉さんと目があった。 するとお姉さんは血相を変えて、ベランダの柵を飛び越えて走ってきた。靴も履かずに。 「むきゅ、おねえさんおかえりなさ――」 お姉さんに抱きかかえられた。そのまま連れ去られる。 「む、きゅ、もっと、ゆ、ゆっぐ、りして、ね」 疾走するお姉さんは速かった。家からどんどん離れていく。 ――ごめんね、ごめんね。 後ろにすっ飛んでいく景色に目を回しながら、ぱちゅりーはお姉さんの謝る声を聞いた。 ――ごめんね、ごめんね。 お姉さん、どうして謝るの? どうして、泣いてるの? 前のまりさは潰されちゃったって......どういうこと? ようやくお姉さんは止まった。ぱちゅりーは地面に降ろされる。 そこは、見たこともない山の中だった。 「ごめん、本当にごめんね。でも、こうするしかないの。 ごめん......ぱちゅりー、生きてね」 涙をぽろぽろこぼしながら、お姉さんはそれだけを言って、踵を返して走っていった。 「......むきゅ?」 捨てられた、と理解するまでに、ぱちゅりーは長い長い時間を必要とした。 ねえ、どういうこと? どうして捨てられたの? お野菜さんを食べてたから? だから、お姉さんもぱちゅりーを捨てたの? お姉さんも、お野菜さんを独り占めしたいの? だから、あんな怖い顔してたの? 泣くほど悔しかったの? その後、親切なゆっくり一家が通らなければ、ぱちゅりーの命はその日のうちに尽きていただろう。 ぱちゅりーは、悟った。 人間は、自分で野菜を育てていると主張し譲らない。 強大な力を持っているにもかかわらず、勝手に生えてくる野菜の独り占めしか考えない、強欲な生物。 拾われたゆっくりの家族の中で、ぱちゅりーは今までに得た知識をフル活用して役に立とうと努めた。 実際にぱちゅりーは重用された。これだけは人間に感謝した。 季節が一回りする頃には、ぱちゅりーは群れの長になっていた。 群れを統率する規則も作った。医者として、たくさんのゆっくりを治した。 結果、群れのゆっくり全員から、絶対の信頼を勝ち得た。 ......それなのに、それなのに―― 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛......ば、ばりざのあたまがあ゛ぁぁ......」 「む、ぎゅう......」 頭に乗っている重い痛み。どうしようもない喉の渇き。 「よう、ぱちゅりー、まりさ。今日も元気か?」 全ては、この男のせいだった。 一週間前、群れの成体ゆっくり達は人間をやっつけに山を下りていった。 ぱちゅりーと子ゆっくり、赤ゆっくり達は、突撃隊が帰ってくるのを今か今かと待っていた。 しかし、帰ってきたのは指揮をしていたまりさだけ。ゆっくりできないおまけも付いていた。 「ば、ばづりーはあぞごだぜぇ! あぞごのきのじだだぜぇ!」 ぱちゅりーは人間に捕らえられた。襲撃は失敗に終わったのだ。 人間は子ゆっくりと赤ゆっくり達を無視し、ぱちゅりーとまりさだけを連れ去った。 その日から、2人の拘束監禁生活が始まった。 ビニールハウスの中にある木の板。その上に2人並んで接着剤で固定された。 そして頭に小さな粒を埋め込まれた。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛ぁぁ!! やべろ、やべるんだぜえ゛え゛ぇぇ!!」 「む、むぎゅう゛う゛う゛う゛ぅ!!」 すぐにかけられた甘い液体のおかげか、その日の痛みはすぐに治まった。 しかし日が経つにつれて、チクチクという痛みから、じわじわと慢性化した鈍痛に変わっていった。 「ほら、これが今のお前だよ」 男が、まりさの目の前に板のような物を立てて見せた。鏡だ。 「ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!! ばりざの、あだまがら、くきさんがあ゛あ゛あぁぁ!!」 おそらくそこには、頭から野菜の茎を生やしたまりさが映っているのだろう。 2人は同じ方向を向いて横に並んで固定されているので、真横のまりさを見ることはできない。 だが、見せられている物の予想はおおよそ付いていた。 「ぱちゅりーも見てみるか?」 「むきゅ、けっこうよ! そんなものみたくもないわ! それより、はやくさいみんじゅつをときなさい!」 そう。ぱちゅりーには分かっていた。これは、れいむが掛けられたのと同じ催眠術だ。 この痛みも、異常な喉の渇きも、全てが幻。 どうしてこんなことするのだろう。一体何がしたいんだろう。 そんなに、ぱちゅりー達に大ボラを見せることが楽しいのか。痛めつけるのが楽しいのか。 無駄なことをせずに、早く殺してしまえばいいのに。 「催眠術......ね。お前、本当にそう思ってるのか」 「あたりまえよ! まりさ! だまされちゃだめよ!」 「......ふーん」 今日の男は、これまでの一週間と違い饒舌だった。 表情も今までのような無表情ではなく、口元がニヤついていた。 「ぱちゅりー、ちょっと話をしよう。 お前の考えでは、れいむは催眠術に掛けられていて、野菜が自分の頭に生えていると思い込んでしまった。 そしてその術は周りにもうつり、群れのゆっくり全員がそう思い込んでしまった。そうだな?」 「むきゅ! そうよ!」 「つまり、れいむの体自体は実は何ともなくて、外傷もなく、皮に異常もなく、いつも通りだった。そうだな?」 「むきゅ、だから、そうよ! れいむのからだにはなんにもいじょうはなかったの! ただ、やさいがはえているというまぼろしをみせられていたのよ。それだけよ!」 「それだけだな?」 「それだけよ!」 なんなんだこの男は。未だにニヤニヤと笑っている。図星をごまかすためか。 喋る度に頭に響くのだが、小馬鹿にされているようで許せなかった。 「じゃあ、本題に入ろう。 お前、れいむの体がぱりぱりに乾燥してるのを、見たよな?」 「......むきゅ?」 それと今の話と、どう関係が......? 「ゆっ! なんでそのことをしってるんだぜ!? やっぱり、さいみんじゅつでまりさのあたまのなかを......」 その時、まりさが口を挟んできた。 「......あー、そこも説明しなくちゃならんのか。面倒だな」 男は懐から小さな黒い2つの物体を取り出した。 1つは四角い板。もう1つは奇怪な形をした、管のような物。 男は板をまりさの前に、管のような物をぱちゅりーの前に置いた。 「こっちがマイクで、こっちがイヤホン。まりさ、何か喋ってみろ」 『「ゆぅ? なんなんだぜ?」』 「むきゅう!?」 ぱちゅりーは飛び上がった。いや、足を固定されてはいるが、飛び上がったつもりだった。 まりさの声が真横と、目の前の管から同時に聞こえてきたのだ。 「わかるか? 盗聴器って言ってな、離れたところの音を聞ける機械だよ。 これをれいむの頭に埋め込んでたんで、お前らの会話も筒抜けだったわけ」 「ゆ、ゆぅ!? じゃ、じゃあさいみんじゅつじゃなくて」 「話を戻すぞ、ぱちゅりー」 男はまりさを無視して、再びぱちゅりーと向かい合った。 「お前、れいむが乾いてるのを見たよな。 そして、『このままではひからびてしまうわ!』とも言ってたよな」 「む、きゅ......」 「そして、群れのゆっくりに水を掛けるように指示した」 「む......!!」 「れいむの体に、水掛けたよな。だいぶ長い時間掛けてたよな。何ともないはずの、れいむの体に」 「む、むきゅ! むきゅ!」 「おかしくないか? あれだけ水掛けられたら、普通のゆっくりは溶けちゃうんじゃないか? 溶けないとしても、その日のうちに、山から俺の家までマラソンするのは無理なんじゃないのか?」 「ち、ちが!」 「お前も今、喉カラカラだろ? それはな――頭に生えた野菜が、水分を吸い上げてんだよ」 違う。違う。そんなわけない。 「むきゅ! ちがうわ! それは......むれのみんなに、みずをもってこさせるというさいみんじゅつよ! みずをかけたのもまぼろしなの! じつはれいむにみずをかけていないのよ!」 「......自分で言ってて苦しくないか?」 「そんなことないわ! そうじゃなかったら、れいむがおにいさんのいえにいったのがまぼろしで......む、むきゅう!」 「うん、まあ、考えててくれ。納得できる答えは出ないと思うけど」 男は背中を向けて歩いていった。 「まりさ、だまされちゃだめよ! さいみんじゅつなのよ!」 「......だぜ......」 「むきゅう! まりさ!? ねえ、きいてるの? まりさ!!」 まりさは口の中で何かをブツブツと呟いている。 ぱちゅりーは底知れない不安を感じた。 「ああ、そうそう。言い忘れてた」 男はビニールハウスの出口で振り返って、こう言った。 「今日、すごい面白いもの見つけたんだ。 自然に根がお前らを突き破って終わりにするのを待とうと思ってたんだけど、 それじゃあちょっと早すぎるから、それ以上粘ってもらうからな。 大体60日後くらいまで、死なずに頑張ってくれ」 それからの日々は、四六時中ゆっくりできなかった。 日に日に増していく、体の中に異物が深く潜り込んでいく感触。 少しでも体を動かせば訪れる激痛。 目の奥をねじられ、視界がどんどん狭まっていく恐怖。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛ぁ......いだい、ぜぇぇ......」 「むぎゅ、ぎゅう゛......」 生クリームを吐き出してしまったのも一度や二度ではない。 しかし、その度に男がやってきて、“オレンジジュース”という甘い液体を掛けていくのだ。 すると、ぱちゅりーの体は潤い、腹は満たされ、力が湧いてくる。 地獄から解放させないための処置だ。鬼。悪魔。 「ジュース代がかさむんだよなぁ」とか言いつつ、男は惜しげもなくジュースをかける。 それなら、さっさと掛けるのを止めてくれればいいのに、楽にしてくれればいいのに―― ああ、違うか。これらは全て、催眠術なのだ。わざわざジュースをかけて回復させる幻まで見せる。 なんて悪趣味なんだ。 時間の感覚が薄れ、今は何日目なのかも分からなくなったとき。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 隣のまりさが突然絶叫した。もうそんな余裕はないはずなのに。ちょっと声を出しただけでも全身が痛むのに。 何事かと、ろくに動かない目をゆっくりと右に向けた。 「む、ぎゅう゛う゛う゛!!」 ぱちゅりーも叫んでしまった。まりさの前に、ポテンと落ちている白い球体。 目玉だった。 「何だ何だ、どーした? おお、ついに開通か。それもちょうど目の部分が」 悪魔がやってきた。オレンジジュースを片手に。 まりさの頭にジャバジャバと掛ける音がする。 「うーん、さすがに目は復元しないか。でも、ちゃんとふさがったな。根っこは飛び出てるけど。 これで餡子が流れて行かなくて済むぞ、よかったなまりさ」 「......おでぃーざん」 「ん?」 「ばりざを、ばりざをだずげてくだざいぃ!」 ついに、まりさが折れてしまった。 「むぎゅう! だめよ、まりざ! たえて!」 「もう、おやざいざんどか、さいみんじゅづどか、どおでもいいから゛あ゛あ゛あ゛! まりざを、だずげで、ゆっぐりざぜでくだざい!」 「無理」 即答だった。 「どぼじでぞんなごどいうのぼお゛お゛ぉぉ!」 「だから、言ったろ。60日耐えろって。今日であの日からちょうど20日。あと3分の2だ。頑張れ」 「ゆああああ!! ゆっぐりじだいんだぜえええぇぇ!!」 まりさはそれから、「あ゛、あ゛」と言うだけの置物になってしまった。 「ばりざ......がんばって......」 ぱちゅりーが精神を保っていられるのは、これが催眠術である、と知っているからだった。 絶対に、あんな男には屈しない。あの男からは、あの強欲なおじさんとそっくりな臭いがする。負けてなるものか。 しかし催眠術を解かれたとしても、素直に放してくれるはずがないとも分かっていた。 間違いなく殺される。だがもういい。心残りはない。 ......いや、1つだけあるとすれば、群れに残してきた子どもや赤ちゃん達だった。 ぱちゅりーの家の中で全員で待機していたのだが、家には食糧の貯蓄はほとんど無かったはずだ。 方々の家から取ってきたとしても、一週間も持つまい。 子ゆっくりの中には狩りができる者も数匹いたが、自分の分が満足に取れるかも怪しい。 ましてや、たくさんの赤ゆっくりを食べさせるほどの食料は取れるはずがない。 想像したくないことだが、阿鼻叫喚のさなかで共食い劇を演じた可能性もある。 その前にれみりゃに襲われたかもしれない。どちらにしろ、全滅は間違いなかった。 ごめんなさい、みんな。ぱちぇをゆるして。 「あ゛、あ゛、あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」 まりさは、たまに絶叫をあげるときもあった。根が新たに皮を突き破ったときだ。 「む、むぎゅう゛う゛う゛っ!」 それはぱちゅりーも同じだった。根は1日に1回は、新たな穴を開けた。 「はーい、オレンジジュースですよー。 ......しかしお前らすごいな。もう10本くらい飛び出てるぞ」 オレンジジュースをかけられた貫通部分は、根を飛び出させたまま塞がる。 根の中腹を、復元する皮が隙間無く握り込むのだ。 そして次の日、その根はまた伸びて、塞いだ場所をまた引きちぎる。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「むきゅう゛う゛う゛う゛!!」 開いた傷口から生クリームが噴き出す。体の十箇所から噴き出す。 しかし一日の終わりには修復される。また、その日新たに根が飛び出した場所が作られる。 日に日に、血が噴き出す箇所が、増えていく。 きっと今の2人の姿は、見るもおぞましい化け物の姿だろう。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! だずげで、だずげでおにーざあ゛あぁん!!」 幸い、まりさの残った方の片目と、ぱちゅりーの両目が飛び出すことはなかったが。 「む、ぎゅうぅ......」 負けない。これは催眠術なんだ。 おかーさんが言ってた。人間は独り占めする生き物。 おやさいさんは、つちさんからかってにはえてくるのよ。ぱちぇのあたまから、はえてくるわけないの。 「おつかれさん。約束の日だ」 ぱちゅりーは、そう言われても何のことだか分からなかった。 オレンジジュースをかけられた直後でも辛い。 何もしなくても押しつぶされてしまいそうなほどに、今のぱちゅりーの頭は重かった。 「面白い物を見せてやるって言ってただろ? これだよ」 男は、大きなカゴを持ってきていた。成体ゆっくりが3人は入りそうな、木で編まれたバスケット。 「お前らも見たことあるはずだぞ。ほら――」 地面に置いたカゴに両手を入れ、引き出す。 「――おさ、やっぱりれいむたちがまちがってたよ」 れいむだった。 群れに置いてきたはずの子ゆっくり。今はもう野垂れ死んでいるはずの、子れいむ。 確か、頭に茎を生やしていたれいむの妹...... ぱちゅりーは、頭を思いっきり殴られた気分だった。 「むぎゅうう!! どぼじでえ゛え゛えぇ!!」 男がぺらぺらと喋り始めた。 「いやぁ、驚いたね。お前らが襲ってきたときから一週間くらい経って、 そういえば残してきた子ゆや赤ゆはどうしてるかなあ、生きてたら潰してきた方がいいかなあ、と思ってさ。 群れに着いてみたら、ボロボロの子れいむが口に水含んでよたよた歩いてた。 何してんだって聞いたら、お野菜さんを育てるって。一本だけ、小さな芽が生えてたんだよ。 いや、本当に驚いたわ。土もちゃんと柔らかくしてあったし。野菜の育て方を知ってた。 そこで俺は急いで帰って、救急道具を持ってとんぼがえりして......」 うそよ。 うそようそようそよ。 ありえない。ありえない。ありえない。 「......でさ、まだぱちゅりーは生きてるよって言ったら、ぜひ会いたいって言いだして」 男は次々にカゴの中に手を入れ、引き出す。 その度に1人ずつ、群れの子ども達が出てきた。 子まりさ、子ありす、子ちぇん、赤れいむ、赤ちぇん、赤みょん―― 「たねさんからおやさいさんがはえてきたよ! とってもおいしかったよ!」 「つちさんをたがやして、おみずさんをあげれば、ゆっくりそだったわ!」 「おさがうそをついてたんだねー! わかるよー!」 「おかーしゃんも、おとーしゃんも、おしゃのせいでゆっくちできにゃくなったんだよ!」 「ゆげぇ、おしゃ、きもちわりゅいよー......でも、じごうじとくにゃんだよー! わかっちぇねー!」 「ちち、ちんぽっ!」 赤みょんがぱちゅりーに向かって跳ねてくる。ぱちゅりーの頬に体当たりした。 普通ならなんてことない攻撃。でも、今のぱちゅりーには身体の芯まで響いた。 「むぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!」 「みょん、だめだよ。もどってきてね」 子れいむがみょんを諭し、落ち着いた口調で話し始めた。 「あのよる、おねーちゃんはまよってたよ......おさか、おにいさんか、どっちがただしいのか。 あのときのおさはおかしかったよ。ぜんぜん、ゆっくりかんがえてなかったよ。 そして、ただしいのはおにいさんのほうだったよ」 うそ......よ。 れいむが......こんな、こと......いうはず......ないもの...... 「れ、れいぶ......」 隣で、まりさのかすれた声がした。 「ほがの......おちびちゃんたちは......どうじたんだぜ......?」 そうだ。子ゆっくりや赤ゆっくりはもっとたくさんいたはず―― 「――みんな、ずっとゆっくりできなくなったよ......!」 子れいむが、絞り出すように答えた。 その言葉は、ぱちゅりーを真っ直ぐ貫いた。 「うがあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁっ!!」 狂ったように大きな絶叫が響き渡った。 「ぜんぶ、ぜんぶおざのぜいだあ゛あ゛あ゛っ! おざのぜいで、でいぶも、みんだも、ゆっぐりできなくなっだんだぜえ゛ぇっ!」 「あーあ。れいむ、みんな一旦出た方がいいな」 「じね゛え゛え゛えぇぇっ! じね゛え゛え゛えぇぇっ! なにがざいみんじゅづだぜえ゛ぇ゛ぇぇ!」 まりさもぱちゅりーも、動けない。 しかし、一方的に右半身に叩きつけられる悪意がビンビンと伝わってくる。 「じね゛え゛え゛えぇぇっ! じねえ゛え゛えぇぇっ! うそづぎばづりーはざっざとじね゛え゛ぇぇ!」 いや、まりさは動いていた。 必死に右の方向に向けた目が捉える。 足を固定されているのもかかわらず、全身を根に押さえつけられているのもかかわらず、 ぱちゅりーの方へ向かってこようとするまりさ。 「じね゛え゛ぇぇっ......! じね゛ぇ゛ぇ゛ぇぇ......!」 体を強引に揺らすまりさは、こちらに倒れ込むようにしてぐちゃぐちゃに崩れていった。 その姿は、踏みつぶされたおとーさんそっくりだった。 「ばづりー......じ......ね......」 ぱちゅりーの頭に、何かがバサリと落ちてきた。 まりさの頭に生えていた、お野菜さんの苗だった。 両目の間でぶらんぶらんと揺れる物がある。 ずっと昔に見たことがある、赤い実だった。 男が近づいてきて、その実をもいだ。 「......このまりさは、とことんゲスだったな」 半開きのぱちゅりーの口に、実を挟んだ指が突っ込まれた。 舌の上に、瑞々しい果汁がしたたる。 久方ぶりに味わった。 ゆっくりできるけど、ゆっくりできない、“ほんとうの”おやさいさんのあじだった。 「む゛ぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う」 「ちなみに、俺は何も嘘はついてないぞ? みんな実話だ。 俺が群れに着いたときも、あの7匹しか生き残りはいなかった」 「......」 「あいつらは、あの子れいむがいる限り大丈夫だ。あいつ、ゆっくりにあるまじき頭の良さだぞ。 それこそ、お前とは比較にならないほどのな」 「......」 「まあ、それでも7匹じゃ群れとしてやっていくのはむずかしいしな......いざとなれば、保護も考えてる」 「......」 「あの、頭に茎生やしたれいむも悩んでたみたいだし。そうとは知らずに、決めつけてやっちまったけど。 ......罪滅ぼしという意味でも、あいつらを助けていこうと思う」 「......」 「じゃあな、ぱちゅりー。今まで引き止めて悪かったな。最後まで、ゆっくりしていけよ」 もはや痛みは感じない。ただ、体が重い。 全身から生クリームが噴き出し始めても、男はオレンジジュースを掛けに来てくれなかった。 もし。 もしもよ。 これが、ほんとうにさいみんじゅつだったら。 ぜんぶがぜんぶ、もうどこからなのかわからないくらいから、さいみんじゅつだったら。 そのなかでしんだら、どうなるのかしら。 生クリームを全て噴き出すまで、ぱちゅりーはそんなことを考えていた。 あとがき 長編は実力が出ますねえ......もっと精進します。 最後まで見てくださった方、本当にありがとうございました。 過去作品 ゆっくりバルーンオブジェ 暗闇の誕生 ゆっくりアスパラかかし 掃除機 ゆっくり真空パック このSSに感想をつける