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第28話「鳥籠の守護者《スクールディフェンサー》 中編」 11月1日 一七六支部でのATTとのやり取り、加賀美、葉原の説得を終え、綺羅川は稜と狐月が搬送された病院へと向かった。その足取りは妙に落ち着いていた。 ATTの蒲田から命に別条は無いと聞かされて安心しているのもあるが、それ以前に“回数を重ね過ぎて慣れてしまった”ことが彼の落ち着き様の主な要因だろう。 稜が何度も世話になっている病院。彼がケガをする度に綺羅川は病院に出向し、事情を聴く。そのため、この病院に行くのは慣れていて、医師や看護師の間では顔パスが利いてしまう。顔を合わせる度に「また神谷くんがケガをしたんですね?」とほぼ確定事項のように聞かれる。 最近は同じく生徒が大ケガして何度も入院するという“どう見ても幼女にしか見えない年上の教師”とも知り合いになり、談話室で互いの苦労を語りあったりする。 彼が1階ロビーに入ると、既に看護師が彼を待ちうけていた。 「神谷くんなら、今丁度、2回の手術室でオペが終わったところです。第4診察室で先生がお待ちですので、詳細はそちらで」 「あ…ああ」 迅速な対応はありがたいが、ここまで完璧にこなされると逆に気味の悪さを感じた。 エレベーターに乗って言われた診察室に向かい、レントゲンを見せられながら稜と狐月の手術を担当した医師から詳しい話を聞いた。 今回も顔馴染みのカエル顔の先生が治療を担当してくれた。綺羅川からすれば、神の様な存在。本当に彼には頭が上がらない。 冥土返しが言うには、狐月は腹部の打撲と脳震盪でそれほど重いものではなく、稜の方は全身の打撲、それによって肋骨が折れていた。折れた肋骨が心臓や肺に刺さらなかったのは奇跡だろう。それと全身を切り刻まれた跡があり、相手がどのような武器を使ったのかは分からず、本人達が目覚めないことには真相は闇の中だそうだ。 とりあえず、命に別条は無く、後遺症の心配も無い。2、3日ほど安静にしていれば問題は無いと冥土返しは語った。 「はぁ~。とりあえず、一安心か」 綺羅川は心の底から安堵し、通路にある診察室前のベンチに腰かける。 「後は始末書とか、外の親御さんへの説明とか、理事会への召喚とか…まぁ、俺の仕事か。なんかもう慣れちまったなぁ~。いや、慣れちゃいけないんだけどさ」 綺羅川は独り言を言いながら、これからする仕事を整理し、学校に戻ろうとベンチから立ち上がった。「ん~」と声を出しながら身体を上下に伸ばしてリラックスする。そして、「よし」という掛け声と共に彼は踏ん切りを付けた。 「先生?」 綺羅川を呼ぶ聞き覚えのある―――というかほぼ毎日聞く女子の声に彼が振り向いた。 綺羅川の視線の先にいたのは稜の恋人、風川正美だった。 「午前中しか授業は無いのにそれを抜け出すなんて風川は悪い生徒だなぁ」 綺羅川は少し憎らしい表現を交えながらそう言った。彼なりに彼女の緊張を解してやろうと考えたのだろう。だが、むしろ彼女を緊張させてもらった。 風川はオドオドとした態度で目を泳がせながら、「あっ。いや、その…すみません」と雫を零す様な声で答えた。 「冗談だよ。俺も授業は全部自習にして仕事も全部他の先生に押し付けてきたからな。お互い様だ」 その言葉で風川も緊張がほぐれた。 「あの…それで稜は!?」 「大丈夫だよ。命に別条は無いし、2,3日したら動けるようになるってさ」 「そっかぁ…。良かった~」 力が抜けて風川が腰から崩れ落ちる。綺羅川は慌てて彼女を支える。 「落ち着いたなら休憩室に行こうか。ちょっとした長話もあるし」 病院の談話室、温かな雰囲気を醸し出す展望レストランのような場所で綺羅川と風川は向かい合って座り、小さなテーブルを囲んでいた。 テーブルの上には綺羅川の奢りで紙コップのジュースとコーヒーが1つずつ。 「神谷がケガするのはいつものことなんだが、まさか今日は授業を抜け出してやって来るとは思わなかったよ。お前は神谷と真逆の手のかからない優等生だと思ってたから」 「すみません…。酷いケガって葉原さんからメールを貰ったので…」 「いや、だから謝らなくて良いって。俺だって娘が大ケガしたって聞いたら、仕事全部放り投げて病院に飛んでいく」 風川はその言葉に真顔で「え?娘さんいたんですか?」と返した。 正直言って、彼女の反応に傷付いた。 娘がいることを直接風川に言った事は無いが、まさか娘がいるとまったく思われていなかったことに傷ついた。自分はそんなに甲斐性のない大人に見えるのかと。 「あの…ちなみに奥さんは…」 「別居、離婚調停、娘の親権を巡って裁判中」 綺羅川の頭の高度が徐々に落ちて行き、ついにはテーブルに突っ伏せた。明るさと元気が特徴の彼の全身から負のオーラ、負け犬オーラ、人生負け組オーラが溢れ出る。エリート校の教師とは思えないあまりにも惨めな姿だった。 風川は彼の心を傷つけ、更に傷口に塩を塗ってしまう結果となった。 「ええええ…えっと、そそそそその、す、すみません。な、何か悪いこと聞いてしまって…」 「うん。良いよ…。娘が味方であることが唯一の救いだ。でも離婚は現実、あいつとの幸せな日々は幻想、俺があいつのことをちゃんと理解してやれなかったのが悪いんだ」 「あの…先生…」 あまりにも惨めな姿を見ていられず、風川は何とかして綺羅川を励まそうとする。このまま延々と不幸話を語られるのは彼女にとっても綺羅川にとっても良いことではない。 「風川、お前は神谷のことをちゃんと理解しているか?」 「!?」 突然だった。いつものふざけたような態度は何処へ行ったのか、真面目なトーンの声で綺羅川は風川に語りかけた。 「その…実ははっきりと答えられないんです。たまに彼が何を考えて、何を見ているのか分からなくなる時があります。それに…ちょっと怖いんです。目の前に私がいるのに、私じゃない何かを見ている様な目が…」 「じゃあ、お前が分かる範囲で神谷を語ってみろ」 「稜は正義感が強くて、そのためならどんな無茶もします。私がどんなに心配しても素知らぬ顔で何度も戦って傷つきます。あと、ぶっきらぼうだけど実は優しくて、クールぶってるけど心の中では色んな感情が燃え滾っていて、我慢でき無くて…自分を抑えて“自分とは違う何か”であろうと無理をしているような…そんな感じがします」 風川が稜の理解している部分を挙げる度に彼女の手が震え、甲に涙がポタポタと落ちる。 「なんか…悲しいです。“自分”があるのに、それを否定するような生き方が…」 風川には1年以上前の記憶が無い。親の顔も友の顔も覚えていない。自分がどこで生まれたのか、その生誕は祝福されたのか、それとも恨まれたのか。それすらも分からない。 何よりも自分が何なのか一番理解できなかった。 だから、彼女は稜が羨ましかった。彼には自分には無い記憶がある。親がいる。友がいる。“自分”がある。そして、それを否定するような彼の生き方が悲しかった。 「お前、あいつの研修時代のことは知ってるか?」 「いいえ。稜も加賀美先輩もその話題になるとすぐに逃げるので…」 「そっか…あいつの過去を知らないで、そこまであいつを理解できているなら、お前はかなり察しが良いよ。それにしてもあの馬鹿野郎。風川に話してなかったのか」 「あの…どういうことですか?」 「まぁ、とりあえず涙拭け」 綺羅川がスッとハンカチを出し、正美はそれで涙を拭う。 風川は涙を拭い終え、綺羅川も深呼吸して落ち付いた。 「風川。落ち付いて聞いて欲しい」 綺羅川の真面目な問い掛けに正美は首を縦に振る。 「お前と同じように俺もあいつは自分を否定していると考えている。本当は自分の正義や感情のままに生きたいのにそれが出来ない。誰もあいつのことを否定しないのにあいつが勝手に自分のことを否定している。どうしてだか分かるか?」 「もしかして…“過去”のことですか?」 「ああ。あいつは重大な過去を背負っている。人生を左右させ、あいつの人格形成にも大きく影響した重い過去だ。俺と加賀美は何年もあいつをその重荷から解放させようと努力した。だが、駄目だった。まだ足りない“何か”があるんだ。もしかしたら、その“何か”はお前が持っているんじゃないかと思っている」 「私が……?」 「ああ。いきなりな話で悪いと思っている。俺の考え通りだったら、神谷の人生を左右する重大な責任をお前に追わせることになってしまう。本当は、こういうのも教師の仕事なんだろうけどさ。けど、あいつのお前を見る目を見てると、どう考えてもこれに至ってしまう。だから、お前には酷な話かもしれないが、しっかり聞いて欲しい。 “あいつがお前に弱音を吐いた時。それはあいつが今まで保って来た精神の平衡が崩れた時だ。その時のお前の選択があいつの全てを決める。” 正美は押し黙った。なんて答えれば良いのか分からなかった。 「恐いのなら逃げても良い」 それから沈黙が空間を支配する。綺羅川は答えを待っていた。 彼としては逃げて欲しくなかった。しかし、彼女にも逃げる権利がある。一人の人生を左右する重い選択をする責任を押し付けるのは教師として、一個人として良い気分ではなかった。 「―――――――――せん」 「ん?」 「逃げたくありません。私が助けを求めた時、稜は逃げずに戦ってくれました。それなのに稜が助けを求めた時に私が逃げてどうするんですか?」 綺羅川に向けられた強い眼差し、それは15歳の少女とは思えない力強さと決意を秘めていた。神谷稜の危うい強さとは違う。心の芯からの強さ。 「…後悔しないな?」 「逃げた方が後悔します」 綺羅川は安堵して、大きく息を吐いた。 「なんか湿っぽい雰囲気になったな。ちょっと神谷関連で面白い話でもするか」 「面白い話?」 「ああ。面白い話だ。お前、固地債鬼って知ってるか?」 突然、今までの話とは無関係の固地の名前が出たことに風川は困惑した。 「あ…えっと、風紀委員の“悪鬼”でしたよね?稜や加賀美先輩からちょっと話を聞いたことがあります」 「そうか。実は固地とはちょっとした知り合いなんだ。映倫と国鳥ヶ原の風紀委員の行動範囲がちょくちょく被っていて、向こうの風紀委員とエンカウントすることが多い。そういった関係で映倫と国鳥ヶ原の風紀委員同士、けっこう知り合いが多くてな。俺もそれ関連で固地と知り合いになった」 「は…はぁ…」 「“悪鬼”なんて異名が轟くぐらいだからな。どんな奴か興味本位で話かけてみたんだが、意外と面白い奴だった。毒と棘と嫌味を交えながら事の本質をズバリと問答無用に言い捨てる。年下とは思えないくらいにあいつの心眼は凄まじかったな。そんでだ。ちょっと自然に話の流れに乗って、『神谷稜ってどう思うよ?』って聞いたら、あいつ、俺の期待以上にズバズバと神谷のことを言いまくりやがった」 「それで…その固地さんは稜のことを何と…?」 風川は緊張した面持ちで続きを催促する。固地のことは2人から聞いているが、良い噂は聞いたことが無い。そのため、どんな罵詈雑言が彼の口から飛んだのか恐ろしかったのだ。 『風紀委員をヒーローごっこだと思っている勘違い野郎。自分も他人も騙し続ける偽善者』 「そんな!酷いです!」 風川は憤慨し、テーブルを叩いた。 「落ち着けって。言っただろ?あいつは毒と棘と嫌味を交えて言葉を発するって」 「それでも酷すぎます!その後は!?フォローか何かあったんですか?」 「いや、『俺が語るのはここまでだ。担任なんだからこれ以上は言わなくても分かるだろ?』って…」 「先生のアホ――――――!!」 「しーっ!しーっ!ここ病院!病院だから!」 周囲から視線が集まる。さすがに騒ぎ過ぎたことを風川も理解して、まわりに「すみません」と言いながら静かに着席した。 「あいつもガキだから間違えることもあるが、ここまで酷評するのは確実性に絶対の自信があるからだ。参考のつもりで頭の片隅に置いといてくれ」 「ちょっと腑に落ちませんが…分かりました」 一度叫んで色んなものを発散したのか、彼女は少し明るくなっていた。頬を膨らませて怒りを表現するその様は可愛いの一言に尽きる。 「それと、もう一つ長話がある」 綺羅川はそう言うと、足元に置いていたカバンから大きな茶封筒を取り出した。 「ブラックウィザード残党の事件、あの“自称”二代目リーダーの事件の後、警備員が逮捕した残党や自称二代目に事情聴取したんだが、どうもブラックウィザードの連中の証言が怪しくてな。学校で探偵を雇って、お前の過去を色々と調べてもらった。その調査結果が昨日の夜に届いたんだ」 「えっと…その…怪しいってのは?」 「お前、自分の経歴がどうなっているかは分かるか?」 「ええっと、はい。『置き去りで10年前に太陽の園に預けられて、1年前に事故で脳を損傷して記憶喪失、その後、能力の強度が急上昇して研究所を転々とするも “研究価値なし”と見なされ、ブラックウィザードに売り払われた』ってことぐらいは…」 「ああ。チャイルドデバッカーが映倫に提出した書類、身体検査《システムスキャン》の履歴、学園都市のデータベースでもそれは裏付けがされていたんだが、どうもこの探偵の調べだと『データベースと人間の証言に矛盾が存在する』らしい」 「矛盾…ですか」 「ああ。これはお前に関することだからな。お前が目を通すべきだ」 そう言って、綺羅川は茶封筒からクリップで留められた書類の束を渡した。 風川はそれを受け取った。とりあえず、既に分かり切っている調査の趣旨、調査の概要については省略する。 調査報告 まず、端的に結果を述べるとすれば、現在の映倫中学が把握している風川正美の経歴は全て虚偽である。また、本当の彼女の経歴についても真相は闇の中であり、情報封鎖、隠蔽工作の精度・規模からして、大企業レベルの組織がバックにあると考えられる。 まず、彼女の経歴で最も古い「太陽の園」への在籍について述べる。データベースや職員の証言では『風川正美は存在していた』ということになっていたが、独自の調査でそれが嘘であることが判明した。証言した職員たちは風川正美の映倫中学編入直前に大量の支援金を受け取っていたことが判明。風川正美はいたと証言する為に渡されたお金であることは明白である。 その支援金の出所を辿った結果、学園都市内の14社の実在しないダミー企業、海外の3つの実在する金融機関を通して送金されたところまでは分かったが、それ以前は高度なマネーロンダリングによって辿れなくなり、調査は不可能となった。 また、同じ世代であろう太陽の園出身の学生達に尋ねたところ、全員が口を揃えて風川正美の存在を否定した。 次に彼女の記憶喪失の切っ掛けとされる1年前の無能力者狩りとスキルアウトの抗争について述べる。調査の結果、記憶喪失となった抗争は実際に起こっており、当時のニュースでも巻き込まれた少女が重傷を負ったとされている。しかし、抗争に参加していたスキルアウトチームの証言によると、少女を重傷に追い込んだのは発火能力者であり、少女は全身に火傷を負って搬送された。風川正美の経歴のそれとは全く異なり、無論、彼女の身体に火傷の跡など存在しなかった。 記憶喪失の切っ掛けとなった事件が嘘となると、その後の能力の急激なレベルの上昇についても事実である可能性が低くなる。 ここまで彼女の経歴が全てが虚偽であることが証明されてしまった。 その後の彼女の記憶にもある入院生活、研究所のたらい回し、ブラックウィザードの所属における彼女の証言は裏を取ることができ、記憶のあるうちの彼女の証言は信頼できるものだと判明した。 彼女が転々とした研究施設を彼女の記憶を基に調査した結果、複数の施設が候補として挙げられた。(施設の詳細については添付されているリストを参照) これらの研究施設では風川正美を引き取った履歴、彼女に対して行ったAIM拡散力場計測データなどが意図的に消されていたが、専門の業者の手ですぐに復元ができた。 (復元データは添付されているUSBメモリを参照) 1年前より後の隠蔽工作は1年より前の隠蔽工作より著しくレベルが下がっており、最初に述べた大きな組織は1年前の記憶喪失以降は関与していないと考えられる。 (省略) 以上 調査報告 探偵稼業《シェリングフォード》 「これって…要するに…」 「ああ。お前の過去は再び闇の中だ。しかも、あの探偵稼業をお手上げときたものだ…」 自分の過去の全てが偽りだったことに風川は落胆する。それは表情ですぐに分かった。 「朝、校長と話をしてな。この事実をお前に言うか、例え偽りでもお前に“過去(ルーツ)”を与えたままでいるべきかで話し合った。俺はお前なら残酷な真実でも受け入れてくれると信じて、校長もそれに納得してくれた」 「先生。それは買い被り過ぎですよ…」 「いや、買い被りじゃない」 綺羅川の炎が滾る眼差しが風川に向けられる。 「風川。お前は強い子だ。神谷のことから逃げようとしなかったし、記憶喪失で自分が何者でどうしてここにいるのか、わけが分からないまま俺や神谷、他のみんなを信じてくれた。他人を信じて委ねるってのも、けっこう勇気がいるんだぞ」 「…やっぱり、先生は買い被り過ぎだと思います。でも、ありがとうございます」 少し流れは無理やりだったが、綺羅川は彼女を励まし、その笑顔を取り戻させる。 「お前の過去についてだが、学校でも人脈を駆使して頑張ってみるさ。常盤台の方にもコネがあるからな」 「え?あるんですか?」 ガタンッ! 風川の反応に綺羅川が思わず椅子からずり落ちた。 「お前なぁ…俺は一応、映倫の教師だぞ…。エリート校の教師だぞ…。あと、娘も常盤台だぞ…」 「ああ…。お母さんに似たんですね」 「お前は俺に恨みでもあるのかぁー!?」 「ごめんなさぁーい!」 その後、2人は駆け付けた看護師に怒られ(綺羅川は助走をつけて殴られた)、正座させられたのは言うまでも無い。 * * * * 夜の第五学区の裏通り。 スキルアウトの溜まり場、喧嘩通りと呼ばれる黒い噂の絶えない路地裏に警備員が集まっていた。専用の車が数台止まり、事件現場に黄色のテープを張って人が通れないようにする。 現場を見て、警備員たちは唖然としていた。 そこにあったものは何もかもが捻じ曲げられ、壁や地面も波のようにうねり、表面のコンクリートやアスファルトが剥がれ、かさぶたの様に捲れ上がる。外部から何かしらの力で無理やり壁や地面を捲ったため、壁の中を通るパイプや壁や地面のコンクリート片が辺りに飛び散っている。 複数の警備員やロボットが現場検証を行い、証拠になりそうなものを回収する。 その光景を眺める2人の男女の警備員。 「酷ぇな。どんな武器を使ったらこんなことが出来るんだ?」 そう男に尋ねる女の警備員は片手に持った袋からビーフジャーキーを出して、口に頬張りながら尋ねた。 170センチと日本人女性としてはやや高めの背丈に黒髪短髪、色黒っぽい肌と、その容姿は快活な印象を持たせる。その印象通り、彼女は筋肉質な体型だ。余談だが、胸もそこそこ大きい。 上下に赤いジャージ を着ており、持っているアイテム(ビーフジャーキーの袋)のせいか、部屋着のまま飛び出して来た感が拭えない。 彼女の名は唐茶話菖蒲《カラサワ ショウブ》 第五学区にある風輪学園高等部の教師兼警備員である。 「さぁ…これは銃器でどうこう出来るものではないでありますな。能力、念動力者だと考えて間違いないでありますな」 尋ねられた男は軍隊口調で答える。 唐茶話より少し高い背丈。ずんぐりむっくりとした肥満体型を警備員の制服で無理やり押し込めている。坊主頭でいつも肌は滴る汗で嫌にテカテカしており、“さえないオタク”を絵に描いたような男だ。 彼の名は酉無沢雄《トリナシ タクオ》 同じ第五学区にある成瀬台高校の教師であり、警備員。そして学園都市防空隊の隊員でもある。 2人は警備員としては今日は非番だったのだが、唐茶話は現場が自宅に近いから、酉無は彼の学校の生徒が巻き込まれたということで学校で残業中のところを呼び出された。 「唐茶話殿。不機嫌でありますな?」 「当たり前だろ!こっちは同期と楽しく飲んでたのに電話一本で問答無用に呼び出されたんだよ!?」 「それは…災難でありますな」 「ああ。災難だ。本当に災難だよ。…あ、憐を店に置いてきてしまったけど…まぁ、ほどほどに抑えていたから大丈夫か」 (唐茶話先生の基準で考えると、同期の方は歩くのがやっとの泥酔状態でありましょうな…) 「――――で、これの捜査は私らが担当することになるのか」 「そうでありましょうな。ブラックウィザード絡みなら、第七学区からの増援も考えられるでありますが、犯人の目的が分からないことにはどうしようもないであります。“ブラックウィザード残党だけ”ならともかく、一緒に我が校の界刺まで狙う目的が分からないでありますから。何か犯人に繋がる手掛かりでも…」 そう思って酉無は周囲を見渡した。現場検証に入った警備員が一か所に集まっていた。 「どうしたでありますか?」 酉無が尋ねると、現場検証をしていた警備員の一人が袋を持って来た。現場に散らばるコンクリート片の一つが密封されている。 「ただの破片じゃないか」 「自分にもそう見えるであります」 「いえ、こっち側を見て下さい」 鑑識の警備員が破片をひっくり返した。反対側にくっきりと残っていた複数の婉曲した黒い線。それを見た途端、2人はこれが靴の足跡の一部であることが分かった。 「捲れ上がったアスファルト一部が外部から与えられた圧力で液状化して、靴に付着。それが破片を踏んで跡が残っていたみたいです。同じものが他にも複数発見されていますので、靴の照合は1日もあれば可能です」 「案外、事件解決は早い様だな」 「靴を照合できれば、販売店、売買履歴を辿れば1週間もかからないでありますからな。それに形からして、これはメンズのミリタリーブーツでありますな。種類によっては3日以内に犯人を特定できる可能性もあるでありますな」 「問題は、犯人特定後だな。お前のところの生徒って確か光学操作系のレベル4だろ?しかもかなり修羅場慣れした奴だと聞いてるぞ。そいつを倒した超危険人物を私達で捕らえられると思うか?」 「やるしかないでありますよ。場合によっては、駆動鎧や大型駆動兵器の導入、広域催涙ガスの使用も視野に入れなければならないであります」 「はぁ~。やっぱり面倒な事件だな」 唐茶話が大きく溜息をついた時だった。 「―――――おやおや、随分とキナ臭い話をしているねぇ?」 背後から聞こえたしゃがれた女性の声に2人は驚き、そして振り向いた。 紫色の和服に身を包み、白髪まじりの黒髪で穏和な表情を浮かべている、そんなおばあちゃん一歩手前の女性がいた。 鎖部桜子《クサリベ サクラコ》 彼女も警備員の一人であり、数多くの不良生徒を更生させた功績から「学園都市の祖母」と呼ばれる女性だ。 「鎖部殿でありますか。ご無沙汰しているであります」 「右に同じく」 2人が直立し、鎖部に敬礼する。教師からも敬意の眼差しを持たれる彼女は教師たちから「学園都市の母」とも見られている。 「鎖部先生がなぜここに?」 「ゲーセン行くついでに、2人にちょっとした悪い報せを伝えにね」 「悪い報せでありますか…」 「そう。被害者の成瀬台の生徒のえ~っと…名前は何だったかしら?」 「界刺です。界刺得世」 「そう。その界刺くんなんだけどね。事件に巻き込まれる前、軍隊蟻のリーダーと接触していたわ。会話の内容は分からないけど、仲が良さそうにも喧嘩してそうにも見えたらしいわ」 「軍隊蟻のリーダー、長点上機学園の樫閑恋嬢か。これで捜査の幅が狭まって楽になったな。軍隊蟻の線で調べれば…」 「いえ、その逆でありますな」 解決がすぐ目の前に見えた喜びをガッツポーズにして表す唐茶話を酉無は否定した。 唐茶話は「は?」と目を丸くし、握った拳を解いた。 「軍隊蟻は警備員の上層部と癒着関係であります。もしこの事件の真相が彼らにとって都合の悪いものだとすれば、すぐにウチの上層部を通して圧力をかける可能性が高いであります」 「いやいや待て。軍隊蟻はスキルアウトだろ?学生のチンピラ集団がどうして警備員の上層部とズブズブの関係になれるんだよ?」 「軍隊蟻は以前、寅栄瀧麻がリーダーだった時代から一部の風紀委員・警備員とは癒着関係であります。軍隊蟻は元々、他のスキルアウトチームとの抗争をメインとして活動していた組織であり、窃盗や人的被害の出る犯罪には非常に消極的な組織であります。リーダーの寅栄の人望もあってか個人レベルで治安維持組織とはコネがあり、時には規則や時間の関係で動きが制限される彼らの代わりに動くことで黙認してもらう、いわば共生関係であったとも言えるであります」 「いや、だとしても上層部は流石に無理だろ。コネですら難しいぞ」 「そうでありますな。寅栄がリーダーだった頃なら接触することすら無かったでありますが、樫閑がリーダーとなった6月以降は話は別であります。元々、長点上機は在学中の生徒を企業や研究所に派遣しており、樫閑もその才能から夏休みの間は軍需関係の企業や研究所に派遣されていたと考えられるであります。その中には警備員に装備を提供している企業もあり、そこから警備員の上層部にコネを作ったと考えられるであります。後は彼女の口八丁でしょうな。何を交渉材料にしたのかは分からないでありますが…」 「はぁ~。よく分からねえが、軍隊蟻はお偉いさんと仲良しってことなのか。じゃあ、犯人が軍隊蟻でないことを祈るしかねえな」 罰が悪い思いをした表情を浮かべながら、唐茶話は袋をひっくり返して残りのビーフジャーキーを一機に頬張る。 「けどまぁ…軍隊蟻だったら、それはそれで引き下がるわけにはいかない。ちょっとばかし、大人の恐ろしさってのも教えないとな」 袋を握りつぶし、決意を見せた唐茶話を見て酉無は少し安堵した。 「ところで鎖部殿。界刺と樫閑が接触したとは、どこからの情報でありますか?」 「亀の甲より年の功じゃよ」 そう笑みを浮かべながら、鎖部はゲーム用の指貫グローブを装着して去っていった。 * * * * 翌日 11月2日 昼下がりの一七六支部。昨日の事件が嘘だったかのように支部の中は静かで、通常業務へと戻っていた。 今、支部にいるのは加賀美だけで、彼女も支部のパソコンでニュースをしながらコーヒーを啜っているだけだった。ほぼ留守番・電話番のようなものである。 先日まで多忙な日々を送っていたため、今日は支部のメンバーの半分近くが休暇を取り、残ったメンバーは神谷と斑の穴埋めでパトロールに、鏡星はパトロールついでに2人のお見舞いに行くそうだ。 「成瀬台の風紀委員も大変だなぁ~」 ――――と独り言を呟きながらマウスをスクロールして記事の続きを読む。 事件の記事は昨晩のブラックウィザード残党と界刺の一件だ。被害者についての情報はあまり語られておらず、ブラックウィザード残党はスキルアウト、界刺のことについては一切触れられていなかった。 (……あれ?この事件も警備員が主導となって捜査…まさか、またATT?いや、でも手口は稜と狐月のそれとは違うみたいだし…) 加賀美がニュースサイトと睨めっこしていると、デスク脇に置いていた彼女のケータイが鳴る。 出る前に誰からの着信か確認する。 (正美ちゃん?…どうしたんだろう?) 風川から電話が来るとすれば、十中八九は稜のことである。 「加賀美よ。どうしたの?」 加賀美が電話に出た。すぐに聞こえたのは啜り泣く風川の声だった。 「ひっぐ…加賀美さん…稜が…稜が…」 「どうしたの?落ち着いて」 そうは言っているが、加賀美も椅子から飛び上がりそうな気持だった。風川がここまで涙を流すほど、酷いことが稜に起きたということだ。 「稜が…稜が病院を抜け出しちゃいましたぁぁぁぁぁ」 最後のセリフを言い切って、正美はもう何も話せないぐらいに慟哭した。 その声を電話口で聞かされた加賀美は凍りついた。同時に心の中で怒りの炎が燃え滾る。 「あんの馬鹿野郎ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」 それは神谷稜の愚行への憤怒、それが彼への罵倒の言葉と共に支部内に響き渡った。
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散り行く者への子守唄 ◆Wf0eUCE.vg 不死の少女を消し去り、世界を一色に染め上げた光が消える。 同時に、紅蓮を放った白銀の竜はその役目を終え静かにその姿を隠した。 そして、残ったのは戦場の名残。 目に映るのは、削り穿たれた大地。 鼻をつくのは、焼け焦げた風の匂い。 耳を打つのは、先の乱戦が嘘のような静寂。 そして、その中心には力なく横たわる赤毛の少女一人。 残された者たちが見守る中、少女が今静かにその息を引き取ろうとしていた。 その光景に、取り残された者たちは語るべき言葉を持たず。 ただ心中で失われしモノたちに想いを馳せる。 鴇羽舞衣は自らの手で奪ったモノ、失われたモノの重みを噛み締め。 スパイク・スピーゲルは何もできなかった、自身の不甲斐なさに歯噛みし。 小早川ゆたかは度重なる喪失に心揺れながらも、強い決意でそれを堪えた。 誰も動かず、時が止まってしまったように沈黙する世界。 それを打ち破り動き始めたのは、横たわる赤毛の少女と最後に言葉を交わした金色の王だった。 ギルガメッシュは横たわる結城奈緒が完全にこと切れたのを見届けると、それまで向けていた視線を少女から外し周囲に向けた。 そして辺りをぐるりと一瞥し何かに気づいたのか、紅蓮の相貌を僅かに細める。 「ん? 王ドロボウの姿が見えんな。それに、あの小娘が持っていた我の財も見当たらん。 ヤツめ……まったく、手間をかける。 王ドロボウはともかく我の財はこの手に納めておかなければならん。致し方あるまい、迎えに出るか」 言って、心から面倒だと言わんばかりの態度で溜息を一つ。 そのままギルガメッシュは何の未練もない足取りで、歩を前へと進めた。 ■鴇羽舞衣―――――――――想い 「――――ま、待って」 だが、ギルガメッシュが踏み出した直後、その背後に静止の声がかけられる。 少女の呼びかけに動きを止めた王は振り返りもせず、声の方向に視線だけで応えた。 王の双眸に捕らえられたのは、巨竜を召喚せしめ、不死者を殺した少女、鴇羽舞衣の姿だった。 茜色の髪をした少女を射抜くのは驚くほど冷たい真紅の瞳。 その瞳に捉えられただけで、全身が凍てついてしまいそう。 「奈緒ちゃんを……このままにしておくつもり?」 極寒の視線にも負けず舞衣はハッキリとそう告げた。 その舞衣が見つめる先には、先の戦いにおいて力尽き物言わず力なく横たわる少女。 舞衣にとっては同じHiMEという運命を背負わされた戦友でもある。 野晒しのまま、自身の生み出した血だまりに沈む姿はあまりにも哀れだ。 「そうだが、それがどうした?」 事も無げに放たれたその答え。 舞衣を見つめる瞳と同じくにべもない。 あまりに冷たいその答えを聞き、舞衣は信じられないようなモノを見る目で男を詰めた。 舞衣は奈緒とギルガメッシュがどんな関係だったのかは知らない。 けれど、ギルガメッシュについて語っていた奈緒からは温かみのようなものが確かに感じられた。 だというのに、この男の態度からはそういった感情が一切見て取れない。 そう思えば、自然と奥底から怒りのような感情が湧きあがってきた。 「それがどうしたって……あなたねえッ! あなたこそ、どういうつもりよ! こんな状態のまま奈緒ちゃんを放っておくだなんて。 あなたは……奈緒ちゃんの事、大事に思ってたんじゃないの?」 怒りとともに、そうであってくれという願いをこめた問いかけ。 だが、それを受けたギルガメッシュの反応は冷ややかだ。 「奈緒は我の家臣として悪くない働きをした。その功績も価値もこの我がしかと認めよう。 だが、それがどうしたというのだ? いかな価値があろうとも、死んでしまえばそれまでだろう?」 怒りにも似た舞衣の感情は届かない。 ギルガメッシュは傍らに横たわる奈緒を見向きもしない。 金色の王は少女の死に対してあまりにも淡泊だ。 「……ちがうわ、それまでなんかじゃない」 「何が違う。 死には等しく価値はない。無価値なものに送る手向けもあるまい? 女。貴様が喚いたところで何が変わるわけもあるまい?」 「確かに何も変わらないかもしれない。 でも何も変わらなくても、いなくなってしまった人たちのために、できることがあるはずよ」 何もできないなんて悲しいことがあるはずがない。 散っていった彼らのために、何かできることがあるはずだ。 舞衣はそう信じている。 「は。ならばどうする? 泣くか? 嘆くか? いっそ死ぬか? それに何の意味がある。たとえ七日七晩涙に暮れようとも死者は蘇りなどせん。 死者への弔いなど時間の無駄だ、捨て置け」 ギルガメッシュは破顔しながら、舞衣の言葉否定する。 「ちがう! 無駄なんかじゃない!」 そんな英雄王の言葉を打ち消すように舞衣は叫んだ。 死んでしまったら無価値だなんてそんな価値観はどうあっても受け入れられない。 その人がいなくなってしまえば、想いも消え去ってしまうというのか? 死んでしまえば想いも死んでしまうのか? それはちがう。 「―――そうだ。無意味なんかじゃない。 例えあなたの言うとおり、死が無意味なものだったとしても、残されたものは無意味じゃない。 その人がいなくなっても、その人と過ごした想いは残る。 だから、その想いのために、できることはあるはずよ」 万感の思いを籠めて舞衣は告げる。 例え何があったとしても。 その人と過ごし、抱いた想いは決して消えない。 悲しみはどうしようもなく胸に残る。 けれど、同時にその人への想いも強く胸に残る。 例え、死に意味はなくとも、その人が残したものには意味がある。 なつきや会長、奈緒ちゃん達と共に風華で過ごした思い出は消えない。 一時ではあったがシモンたちと出会い感じた想いも消えない。 そして彼を想ったこの心は、今だってこんなにも熱くこの胸に燃えているのだから。 この想いを無駄になんかできるはずがない。 互いの視線が交わる。 舞衣は死者を尊ぶべきものと訴え。 ギルガメッシュは死者を無価値と断じた。 絶望的なまでの認識の違い。 互いの主張は交わらない。 「――――いや、そいつの言うとおりさ、舞衣」 平行線をたどる主張の応酬に、斜め横から声が割り込んだ。 向けた視線の先に立っていたのは宇宙を駆ける賞金稼ぎ、スパイク・スピーゲル。 色違いの瞳で向けられた四つの瞳を見返しながら、まるで夢でも見るような声でスパイクは言った。 「死んじまった女のために、出来る事なんてないさ――――」 ■スパイク・スピーゲル――――醒めない夢 言い争う二人の間に割って入ったスパイクから告げられた言葉は、以外にも舞衣を否定し、ギルガメッシュを肯定する言葉だった。 「どれだけ弔ったって、死んじまった奴のためになんかなりゃしねえさ。 あるのは生き残ったやつの自己満足だけだ」 スパイクはレッドドラゴンに所属していたころから、死んでいく人間なんて腐るほど見てきた。 組織を抜け賞金稼ぎになってからも、ここに来てからもそれは同じだ。 欲望のまま死ぬ人間がいた。 理想のために死ぬ人間もいた。 愛のために死んだ人間もいた。 夢を見たまま死んでいった人間もいた。 どいつもこいつもみな、自分勝手な理由で死んでった。 死んじまった以上、そいつらが報われることはない。 「けどな、だからこそ必要なんだ。 生きてるやつが死んじまったやつに踏ん切りをつけるためにな。 弔いってのはそういうもんだ、あんたは違うのか、ギルガメッシュ?」 死んだ人間を忘れないために。 あるいは、死んだ人間を忘れるために。 弔いとは、そのために必要な儀式だ。 過去と死者のためではなく、未来と生者のために。 「愚問だな。死者への弔い? 過去との決別? 笑わせる。 たとえ何があろうとも、それはすべて己が行動の果ての結果にすぎん。 まったく、貴様らのような雑種どもは、そのようなものに縋らねば前にも進めぬとは、愚かしいな」 スパイクを見下すようにギルガメッシュは告げる。 平等なる王は、死者も生者も等しく嘲笑っていた。 「……じゃあなにか? お前にとって、これまでのことも、今奈緒が死んだのも、ただの結果だってのか?」 「当然だ。どのような結末であれ受け入れられずして何が王か」 堂々とギルガメッシュは断言する。 あまりにも迷いのないその態度に、スパイクは苛立ちを隠せず、奥歯をギリと噛み締める。 「……浮かばれねえな。 確かに奈緒は、生意気で、跳ねっ返りのクソガキだったさ。 けどな、テメェみたいなやつに追いつこうとしてあいつは逝っちまった。 俺には、それが気に喰わねえ」 そう言って、スパイクは怒りと苛立ちの混じった目でギルガメッシュを睨み付ける。 対するギルガメッシュは告げられた言葉を噛み締めた後、氷を張り付けたような無表情を崩して、初めて人間らしい感情を露わにした。 「ク――――ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」 高らかに轟く嘲笑の声。 それは愉悦。 心の底から愉しげに、ギルガメッシュは一人愉悦に浸っていた。 「この我と並ぶ!? なるほどそうか! アレもずいぶんと身の程をわきまえぬ願いを持ったものだ! ならば、この結末も当然の末路であったということか!」 周囲の状況も一切意に介さず、礼節も尊厳も弁えぬ態度でギルガメッシュは笑いを上げる。 そのあまりに突然な態度の変化に、スパイクは訝しむというより理解できないといった表情でギルガメッシュを見据えた。 「……何がおかしいってんだ?」 ただ己のためだけに笑い続けるギルガメッシュは、割り込んだ疑問の声に、初めてそこにいることに気づいたような態度で視線を向けた。 「よいか、人にはそれぞれ身の程というものが存在する。 この我に並び立とうなど身の程知らずも甚だしい、愚者の所業だ。 それを弁えず、己が領分を越える願いを持てば滅びは必然であろう?」 まるで、死んで当然だったと言わんばかりの傲慢な言に、 思わずスパイクはギルガメッシュに迫り、その肩に掴み掛かる。 だが、眼前に迫ったところで、掴み掛かるべき片腕がないことを思い出した。 それで激昂した頭が冷えたのか、スパイクは大きく舌を打ちながらも、後方に引き下がった。 「お前は大事なもんがなにも見えてねえ、夢の中で踊ってる裸の王様さ。 夢なら一人で見な、ギルガメッシュ」 そして離れ際、スパイクはギルガメッシュを睨み付けながら吐き捨てるようにそう告げた。 それに対し、ギルガメッシュが返すのは同じく吐き捨てるような笑み。 「は。何を言うか。 夢を見ているのは貴様のほうではないのか?」 全てを見透かすような真紅の瞳が互い違いの色をした瞳を見据える。 自分の心中を指されたような言葉にスパイクは息を呑む。 だが、それも一瞬。 すぐさま落ち着きを取り戻し、どこか達観したような声でギルガメッシュに告げる。 「――――そうさ、俺はずっと醒めない夢でも観ているつもりだったんだ」 いや、その声は目の前のギルガメッシュに語られたものではなかった。 遠くどこかに思いを馳せるように、夢でも見るようにスパイクは言葉を紡ぐ。 「事故で片目を失ったあの日から俺は、失った目で過去を見て、もう一方で現在を見てた。 目に見えてるものだけが現実じゃない、そう思ってた」 ふと夢から覚めても、また夢の中。 玉葱を剥き続けるようにどこまでも夢。 いつまでも現実に辿り着かない。 事故で片目を失ったあの日からずっと、そんな醒めない夢を見続けていた。 だから、殺し合いなんて馬鹿げた事態も。 紙使いなんていう訳のわからん能力を使う女も。 この世の終わりみたいに暴れまわる巨大ロボットだってそうさ。 不思議なことなんて何もない。 夢を見てるんだ、醒めない夢を。 そう思って、怠慢に目の前の事態を受け入れながら他人事のように生きてきた。 本当の俺は死んじまって、今の自分は死んじまった自分が見てる長い夢みたいなもんだと。 ずっと、そう思ってたんだ。 「けど――――夢は、いつの間にか醒めちまってた」 あるドラ猫がいた。 その猫は好きでもない飼い主達に飼われながら、100万回死に100万回生き返って100万回生きた。 猫は死ぬのが怖くなかった。 あるとき、猫は自由な野良猫だった。 そいつは一匹の美しい白猫に出会った。 白猫と一緒に幸せに暮らし、猫は初めて生きたいと思った。 やがて月日が経ち、白猫は歳をとって死んじまった。 ドラ猫は100万回泣いて、そして死んだ。 猫はもう、生き返らなかった。 意味のない夢は終わりだ。 醒めない夢の終わりに、残ったのは現実だけだ。 みな死んだ。 リードマンも。 カレンも。 ヴァッシュも。 Dボゥイも。 シータも。 ニアも。 かがみも。 奈緒も。 ジェットも。 エドも。 ビシャスも。 「もう夢なんて見ちゃいねえさ。 俺が今、見てるのは現実だ」 死んじまった猫はもう生き返らない。 片腕がもげちまったこの傷も。 みんな死んじまったのも。 どれもこれも現実だ。 戻ることはない、一度きりの現実だ。 一度きりだから明日を願う。 過去と現在を見つめていた瞳は未来を見たいと願っていた。 言いたいことを言い切ったのかスパイクは大きく息を吐く。 そしてギルガメッシュに背を向け、そのまま横たわる結城奈緒の元まで近づいていった。 「――――さて。とりあえず穴でも掘るか、手伝えよ舞衣」 ■小早川ゆたか―――――――悲しみを越えて スパイクと舞衣は黙々と穴を掘っていた。 そんな二人の姿を興味なさ気にギルガメッシュは見送る。 そして、体力的な面を考慮してか、スパイクに声をかけられることのなかった少女、小早川ゆたか。 結果二人取り残される形になった。 「あなたは――――」 それまで沈黙を保っていた少女が声を上げた。 墓穴を掘る二人を見つめ立ち尽くすギルガメッシュの様を見て、思わず疑問が口をついていた。 「――――あなたはそれで、悲しくないんですか?」 そのままでは辛いのではないかと、少女は王に問うた。 「なにを言うかと思えば。馬鹿らしい。 そんな下らん感情は我の中にあるはずもなかろう」 王は涙を流すどころか、悲しむ素振りすら見せない。 それはおそらく強がりや虚勢の類ではないのだろう。 ギルガメッシュはあらゆる負の感情とは一切無縁だった。 だが、目の前で親しい人間が死んでしまって。 それが、悲しくないはずがない。 「わたしは、とても悲しいです」 少なくともゆたかは悲しい。 思い出すだけで、また胸にポッカリ空洞が空いたような虚しさが到来する。 先輩と後輩の間柄とはいえ、ともに日常を過ごしたかがみが目の前で消失したのは酷く堪えた。 小早川ゆたかが過ごしてきた世界は、平和な世界だった。 変わらぬ日常で、昨日と明日のわずかな変化を楽しみながら生きる平和な世界。 もちろん世界に争いがなかった訳じゃない。 小さな争いは絶えなかったし、遠い異国の地では人々は戦争に明け暮れていた殺し合い。 救いの手が行き届かないまま、病気で死に絶える人も多くいる。 それはゆたかだって知っている。 いや、彼女だけじゃない、誰だって知っていることだ。 だがそれも、彼女達にとっては遠く彼岸の出来事だ。 紙面や映像で知ったことを実感することもないまま、理解したつもりになっていた。 人は死ぬ。 誰だって誰かが死ねば悲しい。 それが親しい人間ならば尚更だ。 そんな、当り前のことすら知らなかったんだ。 言葉だけでわかってるつもりになっていただけだ。 ここに来るまで、そんなことすら知らなかったんだ。 たくさんの人が死んでしまった。 姉のように慕っている人がいた。 頼れる力を持っている人がいた。 強く憧れを抱いている人がいた。 全てが喪われ、弱い自分は今にも泣いてしまいそうで。 だけど、どれだけ悲しくとも、泣くことは許されなかった。 立ち止まることなど許されるはずもなかった。 なぜなら彼女の手もまた、悲しみを生み出してしまった。 彼女はそれに報いなければならない。 失ってしまったものは戻らない。 彼らの代わりは誰も成せない。 彼女にはそんな力もない。 だけどせめて、最大限自分できることはやらなくてはならなかった。 立ち止まるわけにはいかない。 歯を食いしばり、涙を堪えて、ただひたすらに前に進む。 それが彼女にできる精一杯の誠意だった。 「ふん。人を降ろしつまらぬ罪罰に迷うか。 よいか小娘。そんなものは捨ててしまえ、その手の苦しみは見ていて楽しくもない。 幼童ならばそれらしく、我の威光に目を輝かしていればよい」 その様子をつまらなさげに見ていたギルガメッシュは、ゆたかの強がりを一言に切り捨てる。 彼の言うとおり強がりをやめて、背負っていたものを彼に任せれば楽になれる。 それは本当なのかも知れない。 ギルガメッシュはひたすらに強く、その強さは一切の歪みを見せない。 おそらく、彼は彼女のみならず、この世全ての悪すらたやすく背負ってしまうだろう。 それでも、 「いいえ、捨てません。 私も、私にできることをしたいと思います」 この会場において最弱である少女は、最強である王に告げた。 それでも譲れぬ咎がある。 楽じゃなくても、やらなくてはならないことだ。 これまでどおり、おっかなびっくりやっていくしかないのだろう。 ゆたかはギルガメッシュに一礼して、スパイクたちの元に駆け寄っていった。 そして、最後に少し振り返る。 少女の目に映るのは独り立ち尽くす黄金の王。 何事にも動じないその強さは、憧れるといえば憧れるし。 大切な人の死を悲しむことすらできない強さは、悲しいといえば悲しかった。 ■ギルガメッシュ―――――――朋友(とも)へ 三名との問答を終え、取り残されたギルガメッシュは呆れたように大きくため息をついた。 たいした道具もなく人一人埋めるとなれば、それ相応に時間もかかろう。 結論として、これ以上は時間の無駄と悟ったのか。 ギルガメッシュはスパイク達を置き去りにして、一人王の財宝を持つジンの元に向かおうと早々に踵を返した。 度重なる問答にも、一切その価値観を動かすことなかったギルガメッシュ。 その心中は常人には理解しがたい。 だが、もとよりギルガメッシュは彼らの理解など必要としていないし、全てに秀でた王は他者など必要としなかった。 この舞台で多くのモノが失われた。 それは英雄王とて例外ではないだろう。 言峰綺礼。 聖杯戦争における契約者。 愉悦を知らぬ哀れな迷い子であったが、戯れに愉悦を説いてみればなかなかに面白い男となった。 十年の付き合いになるがそれなりに退屈はしない男だった。 だが、散り際などこんなものだろうと思うところもない。 衝撃のアルベルト。 戯れとはいえ彼の英雄王に地を舐めさせた男も逝った。 もう借りを返すことが叶わないというのは些かながら口惜しい。 真なる英雄王の力を見せるに相応しい男であると思ったが、死んでしまったのなら所詮それまでの男か。 藤野静留。 ヴァッシュ・ザ・スタンピード。 この場にて家臣の契りを交わした二人も散った。 散り行く者達。 彼を残して去り行く人々。 些細なことだ。 どれもこれも一瞥するにも値しない。 別段珍しいことでもないのだ、たいした感傷もない。 王道とは孤高の道だ。 王とはすなわち超越者である。 超越者であるが故に、誰も王に並び歩むことは叶わない。 超越者であるが故に、誰も王を理解することは叶わない。 そして、神の子として生まれ、覇道を約束された彼は生まれながらにして孤高であった。 孤高とは孤独であるということ。 王は常に独り、誰にも理解されぬままその王道を歩み続けていた。 ――――だが、ただ一人例外がいた。 彼を理解し、彼と並び、彼と歩んだ朋友は後にも先にもただ一人。 泥より作られて人と成った身でありながら、神の子の隣に並び立とうと背を伸ばした愚かなる道化者。 だが身の程を弁えぬその傲岸は、当然ながら天上の神々の怒りに触れ、男は神罰によって命を落とす。 泣き濡れながら息絶える彼の末期を、英雄王は今も忘れない。 なぜ泣くのか、とあのとき問うた。我の傍らに身を置いた愚かさを、今になって悔いるのか、と。 そうではない――と、彼は答えた。 『この僕の亡き後に、誰が君を理解するのだ? 誰が君と共に歩むのだ? 朋友(とも)よ……これより始まる君の孤独を偲べば、僕は泣かずにはいられない……』 そうして男が息を引き取るのを看取ったとき、唯我独尊の王は理解した。 ――人の身にあって人を超えようとしたこの男の生き様は、王が蔵に蓄える財の全てと比してもなお、貴く眩いものだった、と。 そしてまた、彼に並び立とうとして死に行った者が一人。 ヒトの領分を超えた悲願に手を伸ばす儚くも眩しき愚か者。 その破滅を愛してやれるのは天上天下にただ一人、このギルガメッシュをおいて他にない。 そんな人間が再び現れたことが、ギルガメッシュにとってたまらなく愉快だった。 王はまたしても貴きモノを喪った。 だからといって、それを悔やむつもりは毛頭ない。 なぜなら、王が己が道を疑ったのならば嘘になる。 悔やんでしまったのならば、王を信じその道をたどった従者は何のために散っていったというのか? ならば、王の成すべきことは変わらず、己が王道を突き進みその果てに螺旋王を誅す。これに尽きる。 結果、何が失われようと、何が救われようともそれは英雄王の興味の外だ。 見上げれば太陽は時期頂点に達しようとしていた。 大地を恨めしげに照らす太陽の傍らには朧気に霞む月。 僅かに肥大したその姿を認め、英雄王が舌を打ち踏み出そうとした足を止める。 いささか無駄話に時間をとられすぎたようだ。 定期放送の時間がすぐそこまで迫っていた。 終わりは近い。 まだ為すべき事は多い。 弔いなどに無駄な時間を割いている暇はない。 一刻も早く目的を果たし勝利せねばならない。 王は悔やまず。 王は退かず。 王は媚びず。 王は省みない。 それが英雄王の王道だ。 英雄王の顔に皮肉気な笑みが浮かぶ。 そして、天から流れてくる声。 ギルガメッシュはすべてを聞き逃さぬようその声に耳を傾けた。 【C-6/市街地/二日目/昼(放送直前)】 【ギルガメッシュ@Fate/stay night】 [状態]:疲労(大)、全身に裂傷(中)、身体の各部に打撲、黄金鎧型バリアジャケット [装備]:乖離剣エア@Fate/stay night、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、 [道具]:支給品一式、クロちゃんマスク(大人用)@サイボーグクロちゃん 、黄金の鎧の欠片@Fate/stay night [思考] 基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。月を目指す。【天の鎖】の入手。【王の財宝】の再入手。 0:ひとまず足を止め放送を聴く。 1:王の財宝回収のためにジンと合流する。 2:菫川ねねねに『王の物語』を綴らせる。 3:“螺旋王へ至る道”を模索。 4:頭脳派の生存者、 異世界の情報、宝具、それらに順ずる道具を集める(エレメント、フォーグラーに興味)。 5:目障りな雑種は叩き切る(特にドモンに不快感) 6:全ての財を手に入れた後、会場をエアの接触射撃で破壊する。 7:月に何かがあると推測。次に月が昇った時、そこに辿り着くべく動く。 【備考】 ※螺旋状のアイテムである偽・螺旋剣に何か価値を見出したようですが、エアを手に入れたのでもう割とどうでもいいようです。 ※ヴァッシュ、静留、ジンたちと情報交換しました。 ※ギルガメッシュのバリアジャケットは、1stがネイキッドギル状態、2ndがクロちゃんスーツ(大人用)、3rdが黄金の鎧です。 2ndを展開する意志はなくなりました。強敵に会った時にのみネイキッドのバリアジャケットを展開しようと考えています。 ※会場は『世界の殻』『防護結界』『転移結界(確率変動を発生させる結界)』の三層構造になっていると推測しました。 ※会場の形状は天の方向に伸びるドリル状であり、ドーム状の防護結界がその内部を覆っていると推測しました。 ※会場のループについて認識済み。 会場端のワープは、人間以外にも大出力攻撃を転移させる模様です。 ※マッハキャリバーによるウイングロード展開を習得。カタパルト代わりに使用可能(ちょっと飽きた)。 ※マッハキャリバーから詳細名簿の情報を少し聞いたようです (少なくともガッシュ、ヴィラル、シャマル、スカー、ねねねについて大まかに知ってます)。 【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】 [状態]:疲労(大)、心労、左腕から手の先が欠損(止血の応急手当はしましたが、再び出血する可能性があります) 左肩にナイフの刺突痕、左大腿部に斬撃痕(移動に支障なし) 、腹部に痛み [装備]:ジェリコ941改(残弾0/16)@カウボーイビバップ [道具]:支給品一式×4(内一つの食料:アンパン×5、メモ×2欠損)ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程) スコップ、ライター、ブラッディアイ(残量100%)@カウボーイビバップ、風水羅盤@カウボーイビバップ ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書@トライガン、防弾チョッキ(耐久力減少、血糊付着)@現実 日出処の戦士の剣@王ドロボウJING、UZI(9mmパラベラム弾・弾数0)@現実、レーダー(破損)@アニロワオリジナル ウォンのチョコ詰め合わせ(半分消費)@機動武闘伝Gガンダム、高遠遙一の奇術道具一式@金田一少年の事件簿 水上オートバイ、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等) テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード 、ナイヴズの銃@トライガン(外部は破損、使用に問題なし)(残弾3/6) デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7 [思考] 1:奈緒を弔う 2:ウルフウッドを探す(見つけたあとどうするかは保留) 3:カミナを探し、その後、図書館を目指す。 4:ルルーシュにニアの伝言を伝える。 5:テッククリスタルは入手したが、かがみが持ってたことに疑問。対処法は状況次第。 6:全部が終わったら死んだ仲間たちの墓を立てて、そこに酒をかける。 [備考] ※ルルーシュが催眠能力の持ち主で、それを使ってマタタビを殺したのではないか、と考え始めています。 (周囲を納得させられる根拠がないため、今のところはジン以外には話すつもりはありません) ※清麿メモの内容について把握しました。 会場のループについても認識しています。 ※ドモン、Dボゥイ(これまでの顛末とラダムも含む)、ヴァッシュ、ウルフウッドと情報交換を行いました。 ※シータの情報は『ウルフウッドに襲われるまで』と『ロボットに出会ってから』の間が抜けています。 【鴇羽舞衣@舞-HiME】 [状態]:背中にダメージ、全身に擦り傷、顔面各所に引っ掻き傷、引っ張られた頬、首輪なし、全身に軽い切り傷 疲労(大)、バリアジャケット [装備]:薄手のシーツ、ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS [道具]:支給品一式、釘バット、X装置、ゲイボルク@Fate/stay night [思考]:皆でここから脱出 0:奈緒のために墓を作る 1:何としてでも皆を守る [備考] ※螺旋力覚醒 ※失った高次物質化能力を取り戻しました。 ※舞衣のバリアジャケットは《炎綬の紅玉》鴇羽舞衣@舞-乙HiME。飛行可能。 【小早川ゆたか@らき☆すた】 [状態]:発熱(中)、疲労(極大)、心労(中)、軽い脳震盪、左腕骨折、罪悪感、螺旋力覚醒 [装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS [道具]:支給品一式 、ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!! [思考] 基本-みんなで帰る 1:スパイクと舞衣を手伝う 2:舞衣がDボゥイを好きなのかどうか気になる [備考] ※自分が螺旋力に覚醒したのではないかと疑っています。 ※再び螺旋力が表に出てきました。 ※ねねねと清麿が生きていることに気がつきました。明智の死を乗り越えました。 ※舞衣との会話を通じて、少し罪悪感が晴れました。 時系列順に読む Back Soul Gain Next 第六回、あるいは“ゼロ”の放送 投下順に読む Back Soul Gain Next 第六回、あるいは“ゼロ”の放送 275 柊かがみの憂鬱 Ⅳ ギルガメッシュ 281 十人十色 275 柊かがみの憂鬱 Ⅳ スパイク・スピーゲル 281 十人十色 275 柊かがみの憂鬱 Ⅳ 鴇羽舞衣 281 十人十色 275 柊かがみの憂鬱 Ⅳ 小早川ゆたか 281 十人十色
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「あー、混乱する」 休息所として勝手に利用させてもらっていた家からようやく出た途端にこう呟いたのは、他でもない立香であった。 無理もなかろう。黒幕の正体、セイバーの真名、それらに迫る話をしていたさなかに、佐々木小次郎が行方不明という報が上がったのだから。 とはいえ、だからといってここで歩みを止めていては解決する問題も解決しない。 故に立香は英霊と共に歩を進め続けるのだが、 「セイバーの真名が絞られたのはいいよ、凄い収穫だ。ただなぁ……やっぱりヨーゼフ・メンゲレ? あれが困る」 どうしても、愚痴だけは止められなかった。 『すまないね、立香君。やはり開示する情報量が多すぎたな。こちらも〝小出しに小出しに〟とは思ったんだが、いざ本番となると、口がね』 「いや、それはいいんだ。ただまぁ俺みたいな普通怪獣からしてみりゃ、メンゲレの話だけでもかなり頭を使っちゃう感じなんだよなぁ。 だってのに、そこにきて今度は小次郎が行方不明とか……間が悪すぎるんだよ! 甘いもの欲しいなー! 飴ちゃん持ってくるべきだったー!」 立香は頭をがしがしと掻きながら、まだまだ口を開き続ける。 「そもそも〝行方不明〟っていうのが怖いんだよなぁ。なんかまた敵の術中にはまっちゃいましたって感じでさぁ。 例えばほら、アガルタで〝登場人物の一人〟にされたりとか、平行世界で〝英霊剣豪〟にされたりとか……色々あったじゃん、色々と。 ああ、オルレアンではバーサーク・サーヴァントってのもあったよなぁ。やっぱり霊基とか弄られて敵に回ってくんのかなぁ。あぁー、超不安」 『おいマスター。大将はうじうじすんなって言ったばかりだよな?』 するとトサカに来たのだろう。再びモードレッドが通信に乱入してきた。 「分かってるって、モードレッド。だけどやっぱ過去の事件が頭によぎるのだけは止められないっていう話でもあるわけよ、実際。 だからむしろここは、何が来ても驚かないよう今までを振り返って今の内に愚痴ってストレス発散する、って手段に出た俺を褒めて欲しいね」 『相変わらず、口から生まれたみたいな奴だな、お前は……』 『ですがモードレッドさん。実際に先輩のメンタル値は安定してきています。手段はどうあれ、結果が出せるのなら……』 『あー、はいはい。分かった分かった。にしてもマジな話、よくこれで人理修復出来たもんだって改めて思うぜ』 「安心してくれモードレッド。割と自分でもそう思ってる」 『何一つ安心出来ねぇ……』 ともあれ、また本気で叱りに来たわけでもなかったのだろう。 彼女は大きな溜息をつくと、立香に『せめて戦うときくらいは格好良く立ってろよ。それが義務だ』と言い残し、再びマイクから離れていく。 だが立香はへこまない。むしろ愚痴ることに加え、こうした他愛のない会話を交わしたおかげで、かなり不安が取り除かれていると感じていた。 確かな手応えを感じ、最後に残ったひとしずく分の不安を吹き飛ばすようにその場で大きく伸びをすると、 「よっし、じゃあ……本格的に、世界を救うとするか!」 後ろを歩くケツァル・コアトルと燕青へと振り返り、先程まで纏っていたうじうじした雰囲気を脱ぎ捨てて高らかに言った。 ケツァル・コアトルは「ええ」と優しく答え、燕青は「その意気だ、マスター」と愉快げに口角を上げる。 怖れを全て取り除けたわけではない。だがしつこいようだが、ここで歩みを止めていてはどうにもならない。故に立香は進むのだ。 『しかし水を差すようですまないが、ここから動くとなるとどこへ向かうべきかが重要になってくるな』 「ああ、そこなんだよな」 だがここで、ダ・ヴィンチが口を開く。内容は至ってシンプルであり、なおかつ真っ先に考えるべきことであった。 そもそも立香達はまだ敵の根城を突き止めていないのだ。このまま適当に進んだところで、当然だが事態は進展しない。 故に、考える必要がある。読んで字の如く〝方向性〟をだ。 「ちなみにダ・ヴィンチちゃん、俺らってさ……今どこにいんの?」 『ああ、失念していたよ。君達の現在地はコロンビア。南米大陸の北部だな。加えてその町自体も、コロンビアの中でも北に位置している様だ』 立香の質問に、ダ・ヴィンチは素早く解答する。 するとここで燕青が「ほうほう、成程ねぇ」と、したり顔で話し始めた。 「マスター、姐さん。この大陸はかなり広い。にも関わらず、俺達は到着してすぐ……それこそまさに〝息つく間もなく〟戦う羽目になった。 しかもあの武装した子ど……ホムンクルスだけじゃなく、二騎ものサーヴァントとも出会うおまけつきだ。これが何を意味するか、解るか?」 探偵の推理ショーじみた言葉に、立香は「いや……?」と顎に手を当てる。 一応、考えてはみるのだがさすがにすぐには思いつかない。結局、立香は両手を挙げて素直に「降参」と宣言した。 一方でケツァル・コアトルとダ・ヴィンチは察しが付いたようで、各々で〝なるほど〟という旨の相づちを打つ。 そうした光景を一通り眺めて満足したらしい燕青は、片手の人差し指を立てて「いいかぁ?」とウィンクすると、 「俺達は大陸の端っこにいる。それも北に位置する国の更に北部にだ。だってのに俺達はあろうことか〝サーヴァントと〟交戦した。 サーヴァントは敵さんにとっては最高戦力であるはずだ。なのにそんな大事な連中が、なんと同時に二騎も出てきたっていうじゃないか! それならもう自然と相手の狙いは絞られる! そう、敵さんは〝戦力を北に集中させてる〟のさ。恐らくは北アメリカの占領を考えてな!」 実に大胆な話をぶちかましてきた。 「って、待て待て待て燕青。じゃあむしろ、ここが本拠地に近いから二騎もサーヴァントが来たって可能性も高いんじゃないか? しかも数が多いのはサーヴァントだけじゃない。ホムンクルスだってそうだった。まるで津波みたいに押し寄せてきてたじゃんか」 ほぼ反射的とも言える勢いで立香は反論する。 「確かにそう考えるのも悪くはないな。だがそうなると〝出てきたサーヴァントは二騎だった〟という事実が奇妙に映ってくる。 ほぉら、考えてもみろよマスター。もしも俺達が本当に本拠地近くに来ちまってたとしたら、敵さんには戦力をケチる理由が全くない。 梁山泊のやり方が異常だって言われりゃそれまでだが、少なくとも俺が敵さんの立場だったら、迷わず〝ありったけの戦力で潰す〟な!」 だが燕青の話は途切れなかった。 「ええ、燕青の言う通り! たった二騎……本拠地を護らせるために出撃させる数としては、あからさまに少なすぎマース!」 「更に付け加えようか。百歩譲ってあの二騎が〝俺達カルデア組に対する斥候だった〟と考えた場合、今度は新しい違和感が生まれてくる。 もうマスターも気付いてるだろう。そう……ホムンクルスの数だ。斥候役として動かすにはあまりにも多すぎる。はっきり言ってお粗末だ」 「た、確かに……」 「だから俺達がやるべきことは〝南下〟だ。そうすればいずれ本拠地も見つかるだろうし、同時に敵さんは北米攻略を企む場合じゃなくなる。 俺達が黒幕目指して移動するだけで、相手の予定が乱れちまうわけだな。そうなれば一石二鳥。この状況下では、かなり有効的だと思うがね」 それどころか説得力が増したと感じ、立香は圧倒されてしまう。 「故に我が主……どうか、ご検討いただければ」 そういうわけで、そのまま従者ムーヴに移った燕青に対し、立香は「じゃあそうしようか」と迷わず答えた。 だがそれは同時に、ある一つの悩み事を発生させる返事でもあった。 ずばり、移動手段である。 「でもどうするよ? さすがに南米大陸を徒歩で縦断コースだけはマジで勘弁したいんだけど?」 「あら? でも私、聞いたわよ。マスターは英霊達と共に、あの北米を横断して悪を討ったって!」 「あれは〝結果的にそうなっちゃった〟だけで、望んでやったわけじゃないんだよなぁ……」 「北米横断! ひえぇ、事実は小説よりもなんとやら、か」 「お前それ荊軻さんへの持ちネタだろ。雑に使うな雑に」 大きな溜息を零した立香は「まぁ、現代だから車くらいはありそうなのが救いか」と辺りへと視線を向ける。 だがすぐさま視界に自動車が入るほど、特異点は甘くない。 「仕方ない。探すか」 「だがマスター。見つかったとして、誰が運転するんだ?」 「何言ってんだ燕青。そこに騎乗スキルEX持ちの素敵なお姉さんがいるじゃんか」 「あぁ……でも姐さんの騎乗って言われると、リング上でカウント取ってもらうイメージしかないんだが」 「大丈夫よ、燕青。アーサー王がバイクに乗る時代だもの。だったら神様が車の一台や二台運転したところで何も問題ありまセーン!」 「理論武装してるぅ」 というわけで三人は、車探しのために町の中を注意深く徘徊するのであった。 ◇ ◇ ◇ 「マスター、姐さん、来てくれ! 良さそうなのが見つかったぞ!」 「マジで!? どれどれ……おぉー、燕青やるぅ!」 「だろぉ? あからさまに頑丈そうなのに加えて荷台付き。色も悪目立ちしない黒ときた。なかなかの上物だと思うがね?」 「ええ、いいわね。機構もシンプルそうだし、大陸縦断には丁度よさそう……だけど、鍵はあるのかしら?」 「ああ。車の近くに落ちてたからその心配はない……問題があるとすれば〝どうして近場に落ちてたのか〟ってところなんだが」 「……燕青。その鍵、差し込む部分の色が絵の具で塗ったみたいに赤黒いけど、人がいない町でそんなになってるってことは、つまり……」 「まぁ想像通りだろう。恐らく、こいつの元の持ち主が逃げようとしたところで運悪く敵さんが……」 「二人とも、それ以上の追求はやめましょう。解りきったことをわざわざ口にすることなんてないわ」 「……そうだな。悪かったよ、ケツァ姉」 「はい。じゃあそういうわけで……ごめんなさい、元の持ち主さん……車、お借りするわ。どうか私達を見守っていて……」 といった会話を交わしてケツァル・コアトルがハンドルを握ってから、どれほど時間が経っただろうか。 立香一行は燕青が提案した通り、ありがたくレンタルさせてもらった自動車で南下を続けていた。 運転席には勿論ケツァル・コアトルが、そして助手席には立香が座り、燕青は荷台で腰掛けたまま辺りを警戒している。 鍵の問題が解決した理由も〝アレ〟だったせいだろう。随分と重苦しい雰囲気が充ち満ちた移動だな、と立香は感じていた。 おかげで、視界に入っては消え去っていく建物に対しても何の感慨もわかない。 「誰かこの車のトリビア教えてくれー」 というわけで、精神的な負担を軽減するために立香はカルデアへと通信を飛ばした。 その声にすぐさま応えたのはマシュであった。 『先輩方が乗っている車についてですか?』 「まぁ、暇つぶしにな。トヨタのマークがあったから、作った会社はそりゃトヨタなんだろうなってのは解るんだけども」 『なるほど。退屈を吹き飛ばせるかどうかは、この私にかかっているわけですね……では……』 「え、もう語れんの? 早くね?」 『モニタリングしていますからね。移動手段に用いたもののデータも、念のため把握しておくのがスタッフの務めです』 毎度毎度凄ぇな……立香は素直に感心する。 そして頑丈そうなビルが視界を横切った直後、マシュによるトリビア披露タイムが始まった。 『まずその自動車の名は〝ハイラックス〟です。先輩が仰る通り、というよりもエンブレムが示す通り、トヨタ自動車が開発しました。 名の由来は英語で〝高級な〟や〝優れた〟といった意味のHighに、更に〝贅沢な〟や〝豪華な〟という意味のLuxuryを合わせた造語です』 「ハイラックス……そんな名前だったのか、こいつ」 「あら、動物の名前じゃないのね?」 ケツァル・コアトルも雰囲気に耐えきれなかったのだろう。 彼女もマシュの話に相づちを打った。 『元々の設計思想が〝乗用車と肩を並べられる程の豪華なピックアップトラックを目指す〟というものでしたからね。 ですがこのハイラックスを知った人々が注目したのは、豪華さだけではなく……燕青さんも仰っていた〝頑丈さ〟でした。 道路事情の悪い発展途上国や、険しい道を進まざるを得ない趣味を持つ方々から歓迎されていた事実がそれを証明しています』 「へぇ。それじゃ燕青の見立ては間違ってなかったのか」 『また、BBCで放送されているイギリスの自動車番組〝Top Gear〟では、この車がどこまで頑丈なのかを試す回がありました。 身体を張る実験車となったのは、イギリス向け仕様の四代目ハイラックスの中古車です。皆さんが乗ってらっしゃるものと近いですね。 そんな中古車に対し、まずは〝階段を下らせて木に激突させる〟というジャブを放ったのを皮切りに、番組は悪ふざけを続けていきます。 車体を海中に五時間沈め、解体用の鉄球をぶつけ、小屋に体当たりさせ、最後には高層ビルの屋上に放置し、そのビルを爆破解体させました』 「うっそだろオイ」 笑いをこらえきれないのか、ハンドルを握るケツァル・コアトルの両肩が震えている。 だがそんなことはお構いなしというように、マシュは言葉を続けた。 『結果、車がどうなったかというと……なんと、その場で基本的な工具による修理を行っただけでエンジンがかかりました! それどころか自走してスタジオに到着するという偉業までも達成し、出演者達から大きな拍手を受けるというおまけつきです!』 「マジかよ! 中古車でそれって……おいおい、どうなってんだこの車」 『ですがその頑丈さ故に、軍隊やテロリストに重宝される……という、いかんともしがたい問題も生まれてしまっています。 事実〝チャド内戦〟ではハイラックスなどのピックアップトラックを、政府軍と反政府軍の両者が戦闘車両として改造し、争いました。 そのため、チャド内戦には〝トヨタ戦争〟という、関係者の皆さんにとっては不愉快の極みであろう呼び名を付けられてしまっています』 「長所と短所は表裏一体、ってわけか」 『ええ。また、世を騒がせているイスラム過激派組織〝ISIS〟もハイラックスを使用していますね。 その為、アメリカのテロ対策局が米国トヨタに対し、自動車の入手経路に関する説明を求めたこともあります』 「そりゃそうもなるか……まぁでも、そういう戦いで使われるほど丈夫な車を手に入れられたってわけだから、俺達は運がいいんだな」 突然真面目な話になったので、ケツァル・コアトルの肩の震えが止まる。 このままでは暗い話が続きそうだ。そう考えた立香は前向きに相づちを打つのだが、 『ええ。ですから道中は幾分か安心出来るとは思います……と、そういった具合でこの話は締めたかったのですが……』 「……マシュ?」 『敵性反応を多数確認……その内の一つはサーヴァントです!』 「なんだと!?」 「ああ、もう! 災難の連続ね!」 ケツァル・コアトルは急ブレーキで強引に車を停止させると、すぐさま外へと飛び出した。 続いて荷台から跳躍した燕青が車の真正面に着地して構えを取ると、立香も自分なりに辺りを警戒しながら助手席から降りる。 「敵性、って言ってたな……小次郎じゃありませんように小次郎じゃありませんように小次郎じゃありませんように小次郎じゃありませんように」 彼は念仏を唱えるかの如く、小次郎が敵として襲来する未来を勝手に想像して怖れるのだが、果たしてそれは杞憂であった。 ケツァル・コアトルが持つ豪華絢爛な盾が、迫り来る一本の矢を見事に防いだからである。 この時点で立香達は同時に「なるほど、アーチャー!」と叫ぶ。すると微かに「そうだよーっ」と返事が聞こえてきた。 高い声だ。恐らく相手は声変わり前の少年、またはいたいけな少女の姿をしているのだろう。 「バルベルデのアーチャー……とかでいいかな。うん、それでいいやっ」 やってきたのは前者であった。 例によって男女一組のホムンクルスを連れているが、アーチャーを名乗る少年の身長は彼らとそう変わらない。 遂にホムンクルスだけに留まらず、子どものサーヴァントまで登場ですかい……と、立香は辟易した。 だが気分を害されるのはここからだ。今度はアーチャーの背後から現れた複数のホムンクルスが、即座に立香達の周囲を取り囲んだ。 彼らの装備はマチェットに軽機関銃と、相変わらずの少年兵スタイルである。 「相変わらず、ゴージャスなお迎えだな……」 なお、二人一組のホムンクルスの方には動きがない。 装備こそ他と同じだが、セイバーとアヴェンジャーについていた者達と同じく〝マスター業に専念する〟腹づもりなのだろう。 どうもこの辺りの役割分担は徹底されているようだ。ならば、こちらもそうするだけである。 「燕青。長引くと面倒だ。マスターを処理しよう。いけるか?」 「当然いけるよぉ。そもそも、丁度そう進言しようと思ってたところだ」 「そうなると、私がマスターを護るわけね。解ったわ」 「ごめんな、ケツァ姉。またつらい思いをさせるけども……」 「またそんなことを言ってると、今度こそモードレッドに蹴られちゃうわよ」 「……だな。なら二人とも、頼んだ」 非常に簡易的かつ単純な作戦――作戦というにもお粗末な感はあるが――を立てた立香は、邪魔にならないよう立ち位置を修正する。 そうこうしている内に、ホムンクルス達はじりじりと距離を詰めだし、アーチャーは血液のように赤い弓を屋根の上で構える。 その所作はとても美しく見えた。いや……今回の場合、所作だけを褒めるのはとんでもない間違いだろう。 そもそもこのアーチャーの風貌自体が、とてつもなく美しいのだ。同じ男性から見ても〝素直に色気を感じる〟と立香が評価する程に、である。 褐色の髪は絹のようにさらさらだと遠目でも解るし、その青い瞳でじっと見つめられれば、うっかりすると釘付けにされてしまうかもしれない。 同性愛者じゃなかったはずなんだけどな……と、立香は心中で呟き自嘲した。戦闘中にこんなことを考えてしまう自分の救えなさも含めてだ。 「じゃあマスター、姐さん。お先ぃ」 などと考えている間に、まずは燕青が予定通りにアーチャーの背後に立つホムンクルスへと肉薄する。 どちらがマスターなのかは判別出来ていないが、あの燕青のことだ。目ざとく察知し、即座に処理するに違いない。 そうなると問題は立香自身とケツァル・コアトル、ということになる。 出来る限り受け身の態勢は避けたいところだが、それは諦めた方がいいだろう。 ケツァル・コアトルの心情を考えれば、後手に回ってしまうのは必至だろうからだ。 「……ごめんなさいね」 と思っていたが、ここで意外や意外……最も近くにいたホムンクルスに対し、ケツァル・コアトルは自分から間合いを詰めた。 そして相手を一撃で仕留めるやいなや、周囲の敵をも倒していったのだ。反撃させる暇も与えずに、である。 驚きのあまり硬直する立香だが、いかんいかんとすぐに正気に返る。戦闘中に呆けるなど、あってはならない。愚の骨頂だ。 「嬉しい誤算、ってやつか……」 誰の耳にも入らないよう、立香はぼそりと呟く。 まさかあのケツァル・コアトルが、自ら子どもを倒しにかかるとは思わなかった。 ここにきて完全に割り切った、ということなのだろうか? 「……いや、楽観視は危ないな」 しかしよくよく思い出してみれば、先程ケツァル・コアトルは突撃の際、ホムンクルスに〝ごめんなさいね〟と一言添えていた。 やはり何かしら無理はしているということなのだろう。割り切ったのではなく、深く考えないように努めているだけなのかもしれない。 だとしたら、長期戦は危険だ。このまま長引くとケツァル・コアトルのストレスは許容範囲を超え、いずれ思わぬ痛手をくらうことは必至である。 やはりマスターを狙う作戦は正解だったな……と、立香は声に出さずに心中で独りごち、燕青へと視線を向ける。 「成程ぉ。マスターなのは、そっちか!」 早くも燕青は狙うべき相手を見定めたらしい。彼は地を蹴って跳躍すると、アーチャーの後ろに控える少女へと迷わず肉薄した。 当然〝そうはさせない〟とでも言うようにアーチャーが割って入るが、接近戦の鬼である燕青の前ではまさに読んで字の如く無力。 燕青は屋根の上に辿り着いた瞬間に勢いを付けて回し蹴りを放ち、弓を構えようとしていたアーチャーをあっという間にダウンさせた。 そして得物に手を伸ばした少女の腕を力強く掴むと、 「劇終だ」 マチェットを奪い取り、そのまま彼女の首を切断した。 「そしてアンコールもさせない」 更に燕青は血に塗れたマチェットの刃先を、やっとこさ立ち上がったアーチャーに向ける。 クラススキル〝単独行動〟を警戒しての行動だろう。さすがは燕青、抜かりはない。 「さぁ死ね! 我が主のために! 太阳姐のために! 他でもない、この俺の手で!」 起き上がった相手に向かって、燕青は容赦も躊躇もなくマチェットを振りかぶった。 終わりだ。ケツァル・コアトルの守りが固いこともあって、立香は燕青の勝利を確信する。 ならば後は、うっかり自分が死なないように立ち回るだけのこと。 立香は自衛に集中するため、燕青から視線を外そうとした。 だが、その瞬間……彼は理解に苦しむ光景を目にすることとなる。 「……燕青?」 なんと、王手をかけていたはずの燕青が、何故か動きを止めてしまったのである。 まさか何かしらのスキルを打ち込まれたのでは……という不安が立香を襲う。 だが本当に訳が分からなくなる事態が発生するのはこれからだった。 「はぁ!?」 事態を目撃した立香は、まるで逆ギレでもしたかのようにガラの悪い声を上げてしまう。 だがこのような反応をしてしまうのも致し方ないだろう。 何故なら……あの燕青が〝アーチャーの回し蹴りをノーガードで受けてしまった〟のだから! 「おい、燕青! 燕青っ!?」 アーチャーが意趣返しを放ったのは、まだ理解出来る。 だが燕青が防御も回避も出来ずに攻撃を受け、挙句に〝建物を挟んだ向こう側へと吹き飛ばされる〟というのは、理解不能極まりなかった。 立香は「くそっ!」と叫ぶと、アーチャーを注視したままカルデアに通信を飛ばす。 隙が生まれるリスクは承知している。だがマシュやダ・ヴィンチにすがりたいという思いは止められなかったのだ。 「誰か答えてくれ! あの男の子、マジでアーチャーなのか!? あいつ嘘ついてねぇだろうな!?」 『先輩! 厄介なことに嘘はつかれてません! あの子はアーチャーのサーヴァントです!』 「燕青はどうなった!?」 『死んではいないが動きがない! 軽い脳震盪を起こしていると見た!』 「ああもう! 何が何だか!」 そして予想通り、事態は更に悪化していく。 一時的にでも邪魔者を消し去ったアーチャーが、立香に向けて弓を構えたのだ。 「……って、ちょっ、待て待てアーチャー! 一旦タイム!」 「ごめんね、それ無理っ! というわけで……」 否、ただ構えているだけではない。 「……宝具、発動」 アーチャーは、こちらを確実に仕留める気であった。 宝具の開帳を宣言した彼は、まずは矢を持たずに弦を弾く。 すると突如として、絵にも描けないほどに美しい真っ赤な花弁が無数に発生した。 色からして桜ではないものの……〝花吹雪〟と表現しても差し支えはしないだろう。 そんな美麗な花弁は小さな渦を描きながらアーチャーの手元へと集い、粘土のようにくっつき合ってゆく。 やがて完成したのは、先が尖った細長い棒状のもの。そう、真紅の矢であった。 「『血風を貴女に(セサス・アイマ・アネモス)』」 果たして宝具は、容赦なく放たれる。 本能的に死を察知したためか、立香は急激に時間の進みが遅くなる感覚に襲われた。 幾多もの花弁によって作り出された矢が、その身を散らしながら迫り来る。 当たったら死ぬのは確実なので、絶対に避けなくてはならない。頭では解っている。だが出来なかった。 当然だ。本当に時間の進みが遅くなったわけではないのだから。 「マスターっ!」 すると、全てを察したのであろうケツァル・コアトルが視界の外から現れ、立香の眼前に立ちはだかった。 花弁の矢はケツァル・コアトルの胸に突き刺さり、背中から顔を覗かせ……やがて矢の形を失うとただの花弁へと戻る。 おかげで立香は死ななかった。立香の命を断つかと思われた矢は、女神の身によって確かに阻まれたのだ。 だが、 「うん。やっぱり、お姉さんならそうするって思ったよっ!」 「……まさか」 「これで用心棒は全滅。キャスターさんが言ってた〝将を射んと欲すればうんぬんかんぬん〟は、大成功だね!」 ケツァル・コアトルを宝具で排除する。それこそが本当の目的だったらしい。 恐ろしきかな、バルベルデのアーチャー。立香達は見事、彼の掌の上で踊らされてしまったのだった。 「それじゃ、今度こそこれでお終い。入れ墨のお兄さんの言葉を借りるなら……」 今度はごく普通の矢を手にしたアーチャーが、構えていた弓を引き絞る。 それを見た立香は焦るあまりに、眼前でうつぶせに倒れているケツァル・コアトルの身を揺すった。 だが反応はない。彼女は虚ろな目を開いたまま、倒れ伏すのみだ。 奇妙なことにその身体には風穴が空いておらず、出血すらしていないというのに。 「げきしゅー、だねっ!」 立香が戸惑う中、勝利を確信したらしいアーチャーは無邪気な声音でそう宣言した。 「いいや、幕引きはさせん!」 するとその直後、アーチャーの背後へと跳躍した燕青が相手の顔面をぶん殴り、攻撃を中断させた! まるで〝ヒーローは遅れてやってくる〟という法則をその身で示したかのようである。 「ぎゃあっ!」 回避に失敗したアーチャーは落下こそしなかったが、代わりに明後日の方向へと矢を飛ばしてしまう。 またも命を拾った立香は、燕青が無事だったこともあって「よっしゃ!」と喜びの声を上げた。 と、そこまではよかったのだが、再び立香の表情は曇る。またもケツァル・コアトルがやられている以上、未だに戦況は不安定なのだ。 「退くぞマスター!」 「だよな! 了解!」 燕青も同じことを考えていたようで、急いで撤退の準備を始めた。 まずはケツァル・コアトルが倒しきれなかった少年兵スタイルのホムンクルス達を処理するため、牙を剥く。 幸いにも敵の数は少なかったので、倒しきるまでさほど時間はかからなかった。 「マスター! 運転手はアンタだ!」 「マジで!? 無免許だぞ俺!」 「俺だって騎乗スキルないんだ! なら戦えない方が運転して、戦える方が追っ手を警戒するしかないだろう!?」 「ロジカルです!」 続いて燕青は意識不明のケツァル・コアトルを回収して跳躍し、車の荷台に乗るとすぐさま寝かせ、自身は戦闘態勢に入る。 こうなったらやぶれかぶれだ。立香は「揺れるぞ!」と言いながら運転席に滑り込み、刺さったままのキーを回す。 そして両親の見よう見まねでまずはバック走行にチャレンジ。見事に成功させると、そのまま勢いよくハンドルを切った。 すると荷台の最後部が建物にぶつかったらしい。宣言通り、車全体が大きく揺れた。 「どわっ!? 大丈夫か!?」 「俺も姐さんも心配ない!」 『それより急げ、立香君! 狙撃されるぞ!』 「ああ!」 不安に苛まれながらも、拙いなりに車の向きを変える。 これでようやく前を見て進めるようになったので、立香はギアを変えて思い切りアクセルを踏んだ。 オートマチック車だったのが幸いし、スピードは勝手に上がっていく。 しばらくしてからバックミラーへと視線を移すと、アーチャーは見えなくなっていた。 単に遠いから見えなくなったのか、それとも身を隠しつつ追ってきているのか、念のために確認を取る。当然、カルデアにだ。 「アーチャーはどうなった? こっちからは見えなくなったけど」 『先輩の進行方向とは真逆の方角に移動し、程なくしてロストしました。狙撃を諦め、撤退したと考えて間違いないでしょう』 「そっかぁ……解った。ありがとな」 答えを聞いて安心した立香は一旦ブレーキを踏んで停止させると、安堵の溜息をつきながらシートベルトを装着した。 「無免許運転に衝突事故、シートベルトは無着用……ああ、前科持ちになっちまった!」 そして嘆く。 大忙しだ。 『まぁ、不可抗力だ。見なかったことにしておくよ。そもそもサーヴァントだって無免許だしね』 「確かにそうだけどもよ……あーあ、俺も無頼漢デビューか……」 『だがマシュはちゃんと教習所に通いたまえよ?』 『はい、ダ・ヴィンチちゃん。平和を取り戻したら、そのときにでも……』 「あー、ところで二人とも。ここら辺に敵性反応ってある?」 『ないね』 「了解」 ダ・ヴィンチの返答に感謝し、立香は再びアクセルを踏む。 そして「燕青。ちょっと向こうに丈夫そうなビルがあるよな? あそこに停めるぞ」と言いながら速度を上げた。 唐突な提案だったが、燕青は気にしていない様子で「あぁ、それは助かる」と返答すると、 「積もる話もあるからな」 と、極めて真剣な声音で付け加えた。 「……やっぱりな」 立香も、短く答える。 相手を責めるつもりは毛頭無いのだが、自然と声は低くなっていた。 BACK TOP NEXT 第4節:りつかクンは助けられてしまった! 南米瞋恚大戦 ダス・ドゥリッテス・ライヒ 第6節:欧州より愛を込めて
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Elebits part28-156~170 156 :Elebits:2007/02/05(月) 19 53 31 ID BUpESzXh0 ・エレビッツ世界の特徴 遥か昔、巨大な雷と共に現れた不思議な生き物、 エレビッツが全てのエネルギーを賄っている為、 化石燃料や核に依存しない文明社会となっている。 ・エレビッツとは 形状や色、特性などによって数種に分類されるが、 共通の性質として実体化したマテリアル体、 形状に囚われず機器に同化して動かす事の出来る エネルギー体、そしてその中間である発電体に変化し、 生活の様々に利用されつつ人類と共存している生命体。 ちなみに単体を指す場合は「エレビット」と呼称する。 ・キャプチャーガン キャプチャーレーザーという光線を発する銃器の形をした道具。 主な用途はエレビッツの捕獲だが、 レーザーを当て続けた物体を「つかむ」事が可能。 またエレビッツを捕獲しエネルギーを蓄えると 動かせる重量が大きくなったり、機器に電力を与え稼動させたり もできる。精密機器らしく、壊れ易いのが欠点。 ・登場人物 【カイ】 主人公。エレビッツ研究者を両親に持つ10歳の少年。 研究に明け暮れる両親に余り構ってもらえず、 寂しさを募らせる内、いつしか両親を自分から 引き離す元凶としてエレビッツを嫌うようになった。 【エド】 カイの父親。世界的なエレビッツ研究者として有名。 キャプチャーガンを発明したのも彼である。 かなりのエレビッツ愛好家でもある。 【アナ】 カイの母親。エドと共にキャプチャーガンを製品化させ、 やはり世界的に高い評価を受けるエレビッツ研究者。 絵本を書く事が趣味。カイの相手をしてやれない事を 気に病んではいるらしい。 ある嵐の夜、空を引き裂くような落雷が起きた。 それと同時に停電で部屋が真っ暗になり、 街中に何か異変が起きているようだ。 エドとアナは異変の原因を探る為に出かけてしまい、 取り残されたカイは不機嫌になる。 気晴らしに好きなテレビ番組を見ようとするが、テレビもつかない。 カイはそこで、テレビを見られるのもエレビッツのおかげだという エドの言葉を思い出し、今テレビが見られないのは 落雷後様子のおかしいエレビッツのせいだと決め付けてしまう。 そしてカイはエドに内緒でキャプチャーガンを持ち出し、 今までの恨みを晴らすべく、家にいるエレビッツを一匹残らず 捕まえてやろうと行動を開始するのだった。 157 :Elebits:2007/02/05(月) 19 54 09 ID BUpESzXh0 まず手始めに、自らの城である子供部屋を一掃しようとするカイ。 机や棚の上で大人しく眠っているエレビッツ達を容赦なく 光線で捕らえていくカイ。次第にキャプチャーガンのパワーも増し、 テレビやパソコン、玩具などを起動させ、中に潜むエレビッツ(※)を 追い出しまた捕らえる。 この繰り返しにより、ただでさえ余りきちんと片付いているとは 言えない子供部屋に、混沌の嵐が吹き荒れる事になったのであった。 子供部屋のある二階の廊下や物入れ、トイレの便器から吹き出した エレビッツも律儀にキャプチャーしつつ、カイが狙いを付けたのは、 両親の部屋であった。エレビッツ研究者にエレビッツが沢山いると 思ったのか、何か大人の世界を垣間見られるのを期待したのかは 知る所ではないが、ずかずかと寝室に踏み込むカイ。 ベッドをひっくり返しても、一般的な家具調度品しか見当たらないのだが、 確かにエレビッツは沢山いた。主にエドの趣味であろうプレイヤーや ラジオなどの電化製品が多い為だ。更に寝室からドア一つ開ければ そこは書斎。エドとアナの研究資料が色々とある、 まあ言わば聖域とも言える部屋なのだが、今のカイにそのような事を 慮る余裕などあるはずも無い。今、この時から惨劇は起こる…。 ※電化製品を稼動させると、エレビッツが大量に出てくるという ゲームシステムになっているのです。 158 :Elebits:2007/02/05(月) 19 55 04 ID BUpESzXh0 眼前には夢のような光景が繰り広げられていた。但し悪夢だが。 ガラスの像が砕け散り、トロフィーが舞い上がる。 棚にある全ての資料や本ばかりか、壁に掛けられた絵や 怪しげな仮面までもが床に散乱し、机でパイ生地のように潰された エレビッツに放たれるキャプチャーガンの閃光が空を裂く。 最早カイはエレビッツを狩り出す為に手段を選ばなくなっていた。 普段は怒られるので触らない仕事用PCを勝手に起動させ、 何のデータが入っているのかも分からないディスクを 躊躇いも無くシュレッダーに投入する。 それらも用済み次第投げ捨てられ、部屋の隅で無残な姿を晒している。 部屋の中で竜巻が舞い踊ったが如き惨状の中、エレビッツの姿も 殆ど無くなった事で、ふと我に返ったカイ。 「ずいぶん散らかしちゃった」などとのん気に考えていると、 エドから電話がかかってきた。 話の内容は、世界で何かが起こっていて、そのせいでエレビッツに 異変が起きているらしいという、意味があるのか無いのか分からない ものだったが、それよりもカイを落胆させたのは、念の為キャプチャーガンを 携帯するようにと告げた直後、エドが一方的に電話を切ってしまった事だった。 自分が心配ではないのか、やはりエレビッツの方が大事なのか。 嬉しいはずの父親からの電話で、逆に憂鬱な気分になったカイの耳に 階下からの物音が響いてきた。 「一階にもエレビッツがいるんだな?」 エレビッツへの恨みを増したカイは家中のエレビッツを根絶やしにすべく、 階段を下るのだった。 159 :Elebits:2007/02/05(月) 19 55 36 ID BUpESzXh0 一息ついて気が静まったのか(※)、キッチンとリビングでは なるべく物を壊さず静かにエレビッツを捕まえるカイ。 さすがに一階には家電製品が多く、その分エレビッツも沢山いるが、 慣れてきたのかキッチンでは捕獲の片手間にトーストを焼きコーヒーを入れ、 チキンをオーブンで程よく調理した上、おやつのポップコーンまで作って、 今後の夜間活動に対する準備もばっちりである。 ただ気になるのは、リビングに変な気配が漂っている事だ。 エレビッツの様子も今までとは違う感じだ。 カイが自分の事を棚に上げ、何かに怯えているみたいだ、 などと考えていると、突然これまでに見た事も無いエレビットが現れた。 ガラス質の蒼い体色と、目にも止まらぬ素早い動き。 敏捷さで知られるブルーエレビッツを髣髴とさせるが、 体も大きく能力は桁違いだ。その上分身までして、 カイを挑発するように、それぞれが疾風の如く飛び回る。 ブルーとは違うのだよ、ブルーとは! こんな代物を放ってはおけない。 カイはこれまでに蓄えたキャプチャーガンのエネルギーを開放し、 未知のエレビットに立ち向かう!後の事など考えない!それが男の子だ! ※本当は「物を壊すな」「大きな音を立てるな」などの ゲーム的な制限がかかっているだけだったりする。 160 :Elebits:2007/02/05(月) 19 56 07 ID BUpESzXh0 蒼いエレビットとカイの闘いは熾烈を極めた。 何しろ相手は俊敏だ。瞬きする間に位置を変え、物陰に潜む。 対抗するカイはキャプチャーガンのパワーを全開、 ピアノすら紙屑の如く宙に舞わせる威力をもって、 障害物(一般的に言う所の家具)を蹴散らし、蒼いエレビットを追う。 さっきまでの静けさはどこへやら。端から見れば凄まじい破壊行為 としか思えない光景がリビングに展開されていた。 蒼いエレビットの分身体は、キャプチャーレーザーを浴びると 外装がパリンと割れて半透明の中身(?)が露出する。 非常に視認し難いそれに再度レーザーを当ててやっと消滅されられるのだが、 最後の一体になると繰り返し分身し、しかも分身体の数がその度に増す。 但し分身する毎に体が小さくなる為、内包するエネルギーの減少は明らかだ。 つまり、いつかは分身する事ができなくなる。 死闘を繰り広げる事数分、最後の一体をレーザーが捉えた時、 もう分身は起こらなかった。カイの勝利である。 光の泡が散るように姿を消していくエレビット… そして蒼い光がキャプチャーガンに吸い込まれた後に残ったのは、 ごく普通の、一体のブルーエレビットだった。 脚が速く、人間が自分を探すのを楽しむという、ちょっと趣味の悪い エレビッツではあるものの、こんな風になってしまうなんて… 世界を包む異変を、漠然とではあるが感じ始めたカイであった。 161 :Elebits:2007/02/05(月) 19 56 38 ID BUpESzXh0 ブルーエレビット変異体の出現後、微妙に攻撃的になったエレビッツ達。 オモチャとは言え、大砲や戦車の中に入り込み、カイに対して反撃に 出るようになった。異変のせいなのか、カイの所業が腹に据えかねたのか…。 それはともかく、大事なキャプチャーガンを壊されてはたまらないので、 カイも負けじと次々にエレビッツを捕まえまくる。 そしていつしか、戦場(?)は戸外へ。更に街中へ…。 街へ出てみると、そこは人影も無く全ての建物が停電している為 暗く静まり返っている。自動車や信号、建設現場の重機なども エレビッツを動力源としているので、やはり状況は同じだ。 人目が無いのをいい事に、信号を勝手に点灯させたり ショップの看板を点けてみたり、消火栓を引っこ抜いてみたりするカイ。 そうして集めたエレビッツのパワーを使い、しまいには 組み上げたばかりの鉄骨を崩し、重機をひっくり返し、パトカーを放り投げる。 気が付けば、広場の時計台もどこかへ消えてしまっている。 見られていなければ、何をしてもいいという法は無い。 これはやはり、両親の放任教育がいけないのであろう。 カイはある意味被害者なのだ。 「その他の被害者」の事はこの際忘れるとして、 カイ自身はなんだか怖くなり、家に帰る事にした。 と言っても自らの行いに恐怖した訳ではなく、 単に嫌な予感がするというだけの話ではあるが。 だがその時、これまでに無かった大きな異変を、カイは目にする事になる。 162 :Elebits:2007/02/05(月) 19 57 28 ID BUpESzXh0 様々な物が浮いていた。地面に固定されている物以外は全て。 別にカイが先程放り投げた分がまだ落ちて来ていないとか、 そういう話ではなく、文字通り地球の重力から解き放たれているのだ。 チョコマカと走り回っていたエレビッツ達も、所在なさげにふわふわとしている。 これまでエレビッツへの恨みから周囲が見えなくなっていた(という問題だろうか…) カイだが、この異常現象を見てしまった今、自らが思っていたよりも 遥かに事態は大きなものだと感じていた。全部エレビッツのせいだという 見解自体は変わらないのだが、どうしたら良いものか… 「そうだ!パパの秘密のお部屋に行けば何かわかるかも!」 カイは書斎にエドの隠し部屋があるのを知っていた。 そこに行けば、エレビッツに関する秘密の情報が手に入ると考えたのだ。 意外と、子供に隠し事をするのは難しいものである。 …ところでカイ君、この無重力状態の中、平然と歩き回っているキミは一体… 書斎の隠し部屋は至極簡単に見付かった。何せ本棚のその部分だけに 「ここは開きますよ」と言わんばかりに段差が付いているからだ。 隠しているつもりなのか、そもそも隠す気があったのか、 単に扉に本を収納してデッドスペースを活用しているだけなのではないか。 などと色々考えてしまうが、ともかく隠し部屋の中に入ってみる。 そこでカイが目にしたのは、何に使うのか分からない怪しげな機械と 壁に貼られたエレビッツに関する資料だった。 機械の事は全く分からないので、せいぜい通電してエレビッツを 吐き出させるぐらいだが、資料の方はどうにか読める。 それによると、エドは最近発見された特殊なエレビットを研究していたようだ。 空を飛ぶエレビッツとして一般に知られるオレンジエレビッツ。 実はオレンジエレビッツは空気力学とは無関係に重力を 操って飛んでいるらしい、というのは研究によって分かっているが、 稀に力が暴走して変異し、周辺の重力にも影響を及ぼす程の能力を得る事があるという。 エドとアナは、この特殊なエレビットにスカイエレビットと言う呼び名を付けた。 ならば、この異常現象はそのスカイエレビットとやらの仕業だろう。 そう断定したカイは、さっさと捕まえて事態の収集を図ろうとするが、 肝心の相手がどこにいるかがさっぱり分からない。 結局もう一度、物が浮いている自宅から、物が浮いている街中へ スカイエレビットを探しに出て行かざるを得ないカイなのだった。 163 :Elebits:2007/02/05(月) 19 58 08 ID BUpESzXh0 スカイエレビットを求めて、「エレビッツ御殿」と呼ばれる 自宅を出て住宅地を進むカイ。相変わらず無重力状態が続いている。 浮いている物については、繁華街と比較して大物が少なく、 目立つのは乗用車ぐらいだが、その分エレビッツは捕まえ易い。 それよりもカイに取って幸運だったのは、この無重力状態が、 カイが暴れ回った痕跡を全て消してくれる事だった。 家中の物が散乱していても、トレーラーがひっくり返っていても、 建設中の鉄骨が倒壊していても、みんなエレビッツのせいなんだ! …という訳で、これまで同様に消火栓を抜きまくり、電話ボックスを 放り投げながら掃討を進めていくと、遠くに何やら羽ばたく物が見える。 前回行った、時計台のある公園の辺りだ。これはもしや…? 公園へ駆けつけると、そこには大きな耳を羽ばたかせ、 四つに分かれた尻尾をプロペラのようにクルクル回して飛ぶ オレンジ色のエレビットがいた。これがスカイエレビットに違いない。 さあ、物体を操るエキスパートはどちらなのか、対決だ! ふわふわ漂うスカイエレビットは、光るバリアでキャプチャーレーザーを 跳ね返し、周辺からオレンジエレビッツを吸い寄せ、そのエネルギーを黒い球体に 変えて飛ばし、攻撃してくる。先に闘った蒼いエレビットのような敏捷性は無いが、 このままでは手出しが出来ない。 と、良く見るとスカイエレビットには小型の分身体(?)が二体付いていて、 どうやらそれがバリアを形成しているようだ。ならば、とレーザーを分身体に 当てて掴み、地面にぶつけてみる。…効いている。これでバリアを消せれば! カイの思惑通り、二体の分身体を消滅させられたスカイエレビットは バリアを形成できなくなり、直接レーザーを当てる事が可能になった。 だが、これでカイが一方的に有利になった訳ではない。 追い詰められたスカイエレビットは頻繁に瞬間移動を行うようになり、 更に重力を操る力を利用して小型の竜巻を発生させ、 より激しい攻撃を仕掛けてくる。 こうなったらカイも必死だ。二連発、三連発と放たれる竜巻を かいくぐりながら、レーザーで掴んだスカイエレビットを振り回し、 公園の石畳へ力任せに叩き付ける。絵的には結構酷いが気にしてはいられない。 何度かばちんばちんやっている内に、さしものスカイエレビットも 限界に達したのだろう。蒼いエレビットと同様に幾筋かの光に分解され、 キャプチャーガンに吸収されていった。 …そしてまた、ありふれた一匹のオレンジエレビットが残った。 164 :Elebits:2007/02/05(月) 19 58 53 ID BUpESzXh0 家で遭遇した蒼いエレビットも、今回のスカイエレビットも、 正体は普通に人間と暮らしていたエレビッツだった。 それがどうして、姿形が変わるまでに暴走してしまったのか。 しかも、元に戻ったエレビットのキョトンとした様子から見て、 暴走中の記憶は無いのだろう。一体何が起こっているのか。 考え込んでいるカイの耳に、奇妙な声が響いてきた。 まるで誰かが泣いているような、そんな声。 と同時に、カイが散々苦労して灯して来た街の灯りが次々に消える。 更に、眼前に大量の、これまで見た事もない数のエレビッツが現れ、 一つの場所に向けて移動を始めた。もう大行進と言っていい程だ。 異変は、まだ終わっていなかったのだ。 カイは、エレビッツ達が向かっている方向に覚えがあった。 いつも窓から見ていた。家族三人で行きたかった。 でも、行けなかった場所…。 大きな観覧車が目印の、遊園地。 無数のエレビッツは、そこを目指して大行進をしていのだった。 集結するエレビッツを追って、とうとう遊園地に来てしまったカイ。 昼間は賑わい、人々の笑顔が絶えないであろうその場所も、 今は人の気配も無く、灯りも落ちて何やら不気味さを醸し出している。 カイに取っては、空からほの蒼く照らす月の光だけが頼りだ。 何気なくキャプチャーガンを月(※)に向けて撃ってみると… …掴めた。取りあえず忘れる事にしよう。 さて、遊園地には続々とエレビッツが集まっているようで、 自宅の周辺では見かけなかったイエローエレビッツも混じっている。 こいつらは普段大人しいものの、時折周囲のエレビッツを 取り込んでクマのような姿に巨大化する。そうなると性格が豹変し、 辺りの物を手当たり次第に投げ付けてくる。 その中にはベンチやコーヒーカップ(遊園地サイズ)も含まれており、 危険極まりない。 そんな巨大で重たい代物をバラ撒くばかりか、あまつさえ命ある者を狙って 投げ付けるとは、何と言う凶悪な所業!親の顔が見たい! まあ、彼らに取っては遊びの一環なのかも知れないが、 猛獣にじゃれ付かれる様なもので、迷惑な話である。 …そんなこんなで、深夜の遊園地を混沌に巻き込みつつ 物語は佳境に入ろうとしていたのであった。 ※作り物だと思いたいが…750tという数字が微妙。 ちなみにビューワで見ると球体なので、書き割りでない事は確か。 165 :Elebits:2007/02/05(月) 19 59 35 ID BUpESzXh0 望まぬ形で来てしまったとは言うものの、来る事は望んでいた遊園地である。 園内には夢の国に相応しい、数々のアトラクションが用意されている。 異変によって動力は落ちているものの、キャプチャーガンを使えば それらを稼動させる事も充分に可能である。 幸いエレビッツが大集結している為に、エネルギーには事欠かない。 やはりこうなるとカイも10歳の子供である。 エレビッツ捕獲よりも様々に用意された仕掛けで遊ぶ方に 気が行ってしまうのは仕方が無い。 スーパーライドやメリーゴーランドなどの乗り物系を 動かしてみたり、輪投げ、ボウリング、巨大スロット諸々を 堪能してしまった。 しかし、これはカイが子供だから許される(倫理的に、ではない)行為だろう。 夜中、誰も居ない遊園地で、一人アトラクションで遊ぶ姿… 10歳の少年ならばイタズラと冒険心で片付けられるが、 もしもカイが10年早く生まれていたら、それはそれは痛々しい… いや、そんな事はこの際どうでもよろしい。 問題は、巨大ツリーの辺りに漂う、圧倒的に妙な気配だ。 そろそろ現れるタイミングだとは思っていたが、三体目の変異体に違いない。 カイ君、遊んでいる場合ではないですぞ。 どこから湧いたか黄色い悪魔。 上から地響きを立てて落ちてきたそれは、色といい姿といい、 明らかにイエローエレビッツ…略してエロビッツが暴走したものだろう。 それと同時に巨大ツリー(勿論作り物)に実った卵だか果実だかが落ちて、 中から殻を被ったエロビッツが現れた。変異体はそれを吸収して 更に身体を巨大化させている。 …樹に生る?気にはなるが、もうエレビッツの理不尽な生態に 構っている暇は無い。今まさに変異体がクマまっしぐらに突進して来るからだ。 愛い奴だ。しっかと受け止めてしんぜよう…という訳にもいかない。 なんせカイは10歳の華奢な少年であり、何よりキャプチャーガンを 壊されてはたまったものではない。 ひらりと身をかわすと、変異体は勢い余って壁に激突して自爆。 脳震盪でも起こしたのかフラフラとしている。 こうなると、反射的にトリガーを引いてしまうのは戦場に生きてきた者の定めか。 キャプチャーレーザーで抱え上げた巨体を、どべしゃと地面に叩き付けると、 衝撃で、吸収されたエロビッツが数体バラバラと変異体から分離される。 …べ、別にアンタに敵意があった訳じゃないんだからね! ただ単に条件反射でやっちゃっただけなんだから! と言っても相手は敵意剥き出しで頭上にエネルギー弾とか溜めているし、 もう後の祭りである。所詮は修羅の道行きか……。 166 :Elebits:2007/02/05(月) 20 00 06 ID BUpESzXh0 例によってショワショワと縮んだ変異体は、これまで通り普通の イエローエレビッツに戻り、チョコチョコと四方に散っていった。 見事な大勝利であるが、カイの心は晴れやかにはならなかった。 これまでを見た限り、少なくともエレビッツ達に悪意は無い。 暴走してしまったエレビッツも、何か理由があって暴走したのかも知れない。 そう考えると、あれほど憎んでいたはずのエレビッツも何だか可哀想だ。 そんな感傷に浸っていると、突如カイの携帯電話が鳴り出した。 電話は両親からだった。家に戻ってみるとカイがいなくなっていたので、 慌てて電話をかけてきたらしい。まあ、家の中がアレだし心配しなかったら 本当の人非人なのだが、それは置いといて今のカイに取っては喜ばしい。 アナによると、先程の巨大な落雷から何者かが生まれ、 それがエレビッツの異変の原因になっている可能性があるという。 そう、まさに今カイがいるこの遊園地が落雷の場所にして、 異常の発生地点という事になるのだ。 何故家で待っていなかったのか、カイが今夜の出来事を頑張って (都合の悪い所はかいつまんで)説明すると、エドは叱りもせずに、 キャプチャーガンの横に付いているボタンを押してみろと言う。 言われるままにボタンを押すと、キャプチャーガンが眩い光を放つ。 なんと キャプチャーガンが パワーアップした! これで身を守れという事なのだろう。アナも二人ですぐに迎えに行くから 無理せずそこで待っていなさいと言う。その声は、とても優しく、とても嬉しかった。 涙が出そうになったが、カイは舌の先を噛んでそれを我慢した。 今泣いてはいられない。もう決めたのだ。待っていたら遅すぎる。 キャプチャーガンに宿った新たな力。 両親からの贈り物を手に、そして決意を胸に、カイは遊園地の奥へと走り出す。 エレビッツを捕まえる為ではなく、助け出す為に。 ※これ以降、ステージクリア条件の表記が、「つかまえろ!」から 「助けろ!」に変わります。芸コマですね。 167 :Elebits:2007/02/05(月) 20 00 54 ID BUpESzXh0 決意を新たにしたカイは、エレビッツを助けるべく、 物をひっくり返し投げ飛ばし、アトラクションや自販機を勝手に作動させ… …あれ? なんか今までとやっている事が変わらないような。 いや、そうではないのだ。今はもう、エレビッツを捕まえている訳ではない。 彼らをおかしくしている悪い奴の影響を受けないように、 「強制的に保護」しているのだ。そこら辺、お間違いの無い様に。 ところが、そんな親切も中々伝わらないようで、 エレビッツの抵抗も激しくなるばかりだ。 バリアを張って高速移動し、自ら光弾を撃って攻撃してくる グレイエレビッツの姿もグンと増え、それどころか生意気にも 狭い場所に砲台陣地を構築して、うっかり踏み込んだカイに 集中砲火を浴びせてくるなど、小癪な真似が目立つ。 しかし、それも既にカイに取っては僅かな足止めに過ぎない。 エドの助言によりこれまでに比べて強化されたキャプチャーガンを もってすれば、砲台を引っこ抜いて無力化するなど容易い事だ。 目指すは遊園地の中でも一際目立つ観覧車。 さっきから聞こえる鳴き声からして、そこに全ての元凶が 存在するのは間違いないだろう。もう一息だ。 それにしても、背後に広がる惨状はどうしたものか。 F5クラスの竜巻が直撃しても、これほどの被害をもたらすかどうか。 キャプチャーガンは研究機材としては、余りにも過剰な能力を持つ。 エドアナ夫妻は裏で軍需産【検閲により削除】 168 :Elebits:2007/02/05(月) 20 01 25 ID BUpESzXh0 遂にたどり着いた観覧車の下で、それは待っていた。 まぶしく光るオバケ(カイ曰く)が集まってきたエレビッツを 次々に吸い込んで巨大化していく。このまま放ってはおけない。 ただでさえ街中の機能が停止している今、何とかしなくては。 恐ろしげな声を上げるオバケ。カイにはそれがどこか悲しげにも聞こえる。 しかし躊躇っている暇は無い。これが最後の決戦だ! オバケ(仮)はどうやら吸い込んだエレビッツの能力を使えるようで、 ブルーのスピード、オレンジの飛行能力、グレイの攻撃能力… …レッドの気弱さは無いようだが、ともかく様々な戦法でカイを翻弄する。 当然レーザーを直接当てても効果が無いので、どうにかして隙を作らねば。 ところが待っていても一向に隙を見せてくれない。さあどうしよう。 と、周囲に何個か置かれている青銅製の花籠が目に留まった。 子供一人ではとても持ち上がりそうもない重量感ある一品だ。 しかし、カイの手にはパワーアップしたキャプチャーガンがある。 物は試しだ。花籠を掴んで、勢い良くオバケ(仮)をしばき倒す。 衝撃で吸収されたエレビッツがバラバラと飛び散った。 こうなれば、もうこちらのものだ。いくら相手が複数の力を使えるとは言え、 所詮は一度撃破してきた能力だ。…ふっ、所詮人真似では私は倒せんよ! という事でガンガンとオバケ(仮)を追い詰めていくカイだが、 最後の最後で思いもよらぬ事態が待ち構えていたのだった。 169 :Elebits:2007/02/05(月) 20 02 06 ID BUpESzXh0 カイの猛攻で後が無くなったオバケ(仮)は空中に浮かぶと、輝く光球と化した。 こうしたエネルギー体になる事で、エレビッツは機械と同化して操れるのだが… まさか観覧車を回してどうにかなるものでもあるまい、と思っていたら、 なんと柵で囲われた地面が二つに割れて、下から巨大な人型ロボットが せりあがって来た。これは遊園地のアトラクションなのだが、 強大なエネルギーを持つオバケ(仮)が同化したら… と思っている間に光球はロボットの胸部に吸い込まれてしまった。 そして…巨大ロボがずんずんとこちらに迫り始めた。 まさか、巨大ロボ戦う事になるとは。このシチュエーションにも驚きだが、 一体どうやってこんな代物を退治したものだろうか。 あれではレーザーは勿論、たかだか花籠をぶつけた程度では無力だろう。 何らかの手段を使い、オバケ(仮)とロボを切り離せば…。 考えろ。これまでの経験から、必ず答えは導き出せるはずだ。 その前にロボにやられなければ。 レーザーを直接当てても駄目。物をぶつけても駄目。 巨大ロボという強固な鎧の防御は、完璧に思えるが… …ん?確かに相手は巨大で頑丈かも知れないが、 所詮は遊園地のアトラクションでしかない。 よく見ると胸部のカバーは何本かのネジで固定されているに過ぎない。 もしかして…! ロボの右フックをかいくぐって、ネジの一本に狙いを定めトリガーを引く。 放たれたレーザーはカイの狙い通り、ネジの先端を掴む事ができた。 そこですかさず手首をぐりぐりっと捻ると、狙い通りネジの頭が飛び出してきた。 やった!キャプチャーガンの特性を見事に活用した超戦術だ! 最終決戦がネジ回しという、冗談のような絵面はともかく、 カバー周縁部の四本を引っこ抜いて、とうとう最後に残った真ん中の大きなネジを ……ぐるぐるぐるぐるぐる…… ばかんとカバーが外れると同時に、ロボが力無く膝を付き、 胸部から光球が吐き出された。遂に勝った。カイはエレビッツ達を助けたのだ。 170 :Elebits:2007/02/05(月) 20 02 38 ID BUpESzXh0 光球が弾け、無数の光の粒が舞い散る。その一つ一つが吸収されていたエレビッツ達だ。 そして…最後に残ったのは、たった一匹のエレビットだった。 これが、雷から生まれ、街全体を巻き込んだ大きな異変の原因だと言うのだろうか。 震えている、ただの小さなエレビット。 カイには理解できた。こいつは自分と同じなのだと。 生まれたばかりで仲間もおらず、たった一人で寂しくて怖くて… カイはもう、エレビッツを嫌いではなかった。 必要なくなったキャプチャーガンを置くと、カイは震えるエレビットを そっと手の平に乗せた。エレビットは何だか嬉しそうな様子を見せた。 そこへ大慌てで両親が駆けつけた。心配そうに声をかけるエドと、 一人にした事を謝りつつカイを抱きしめるアナ。 ちょっと痛かったが、それも今のカイにとっては優しく暖かいものだった。 元オバケのエレビットを見せると、二人は突如として研究者の顔に戻り、 あーだこーだと驚くやら専門用語を連発するやら、すっかり新種の エレビットに夢中になってしまった。 しかし、そんな両親を見てもカイは以前のような寂しさを全く感じなかった。 だって、もう一人ではないのだから。 気が付けば、もう夜が明けていた。 一夜の冒険ももう終わりだ。さあ家に帰ろう。家族“四人”で。 ---後日--- エドとアナによって「ゼロ・エレビット」と名付けられたエレビットは、 ゼロと呼ばれ、カイと仲良く暮らしている。 しかし、研究を申し出てもカイに断られてしまう為、 詳しい事はまだまだ不明だそうな…。 お し ま い
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【死国 格納庫】 高速艇を作り終えた直後の祐一郎、シュトロハイム、アドラーの三人も、WB組の別働隊である雷電と烈海王の襲来を受けていた。 「防御の上から切られ……ぐああああああああああああああッ!!!」 迫る雷電の白刃に対し、アドラーは防御の構えを取った。 しかし、アドラーの受けは通用せず、防御した腕ごと切断され、その直後に十数個の細切れになったアドラーは格納庫の床にばら蒔かれた。 【アドラー@エヌアイン完全世界 死亡確認】 「アドラー!?」 「よくも同志をォ!! おのれ雷デェェェェェン!!!」 祐一郎達の前に現れたのは、甲板で暴れている四人組とは別行動で潜入していた雷電と烈海王の二人だ。 「クッ、なぜここまで侵入できたんだ!?」 如何様な潜入ルートを通っても多数の監視カメラや、無数の高性能センサーによってすぐに艦の頭脳であるデューオに伝わるようになっている。 そのはずなのに、雷電達はそれらを全て素通りして誰にも悟られることなく格納庫までやってきたのは何故か? そんな祐一郎の質問に雷電は答える。 「これさ」 「ダンボール箱?!」 意外ッ! それはダンボールッ!! 「ダンボールを舐めてはいけない。 こいつのカモフラージュ率と俺の潜入技術が合わされば、全ての兵士は見張りもろくにできない無能になる。 ちなみにこのダンボールは元は精密機器が入っていた箱で、外部からの電波の干渉を受けない仕組みになっている。 となれば、高性能なセンサーも無意味というわけさ」 「そんな盲点があったとは……」 「祐一郎ーッ、そんなことはどうでもいい!! 今、必要なのは早いところアドラーを殺したこいつらをぶちのめすだけだ!! さっきから外も騒がしいしな!!」 紫外線照射装置を取り出し、唸り声と共に放とうとするシュトロハイム。 「喰らえェェェ!! 紫外線照――」 「遅えよ」 だが、紫外線が放たれるより早く、雷電の刀によってバラバラに解体されてしまった。 あと、数瞬避けるのが遅ければシュトロハイムも共に解体されていたところだ、 「なぁにいいいいいいいいいい!? た、太刀筋が前より鋭くなってやがる!! 貴様はいったい!?」 雷電の太刀捌きは以前よりも早くなり、威力もその分だけ増している。 よく見ると、雷電から血のように赤いオーラが放たれている。 目つきや太刀捌きも、まるで殺戮を楽しんでいるような雰囲気を醸し出していた。 「俺のもう一つの名前はジャック・ザ・リッパー。リベリアの白い悪魔とは俺のことだ」 その強さの正体は、リッパーモードと呼ばれる人斬りの本性を呼び覚ますことで攻撃力を高めた雷電のもう一つの素顔である。 今の雷電は分厚い装甲すらバターのように斬ることができ、その要領でアドラーを防御の上から切り裂いたのだ。 おそらくサイボーグであるシュトロハイムの装甲といえど、切り裂きジャックの刃を受け止められないだろう。 「切り裂きジャックだと!? 上等だッ!! ナチスドイツの軍人魂を見せてやるぜェェェ!!!」 しかし、それを知って怖気づくシュトロハイムではなく、強敵を前にして逃げる素振りを見せはしなかった。 一方、交戦状態に入ったシュトロハイム達の横では、祐一郎と烈海王が戦いを繰り広げていた。 先手は祐一郎。握力シュトロハイムの3倍の強烈なパンチが繰り出される。 ところが、烈海王の前にはスカスカとよけられてしまう。 「サイボーグパァァンチッ!! サイボーグパァァンチッ!!」 「威力はありそうだ……だが、技量が足りていないなッ!!」 「クッ、当たらない! まるで羽に打ち込んでいるみたいだ!」 中国武術の技量については、世界を探した所で彼に勝ちうる人間など見つかるか分からないと呼ばれるほどの烈海王。 そんな烈海王の前では、ただの威力のあるパンチなど避けることは容易い。 おまけに祐一郎さんは元々格闘技とは無縁のホワイトカラー。 技量面では雲泥の差があり、烈海王相手に技巧ではまず勝ち目のない相手であろう。 そうこうしている内に、祐一郎の顔に烈の拳がめり込んだ。 「ぐはぁッ!」 「貴様を放っておく、私は一向に構わんッッッ!!! ……わけがなかろうッ!!! 祐一郎、貴様は私が倒すッッッ!!!」 「これは強敵だな……だが、僕も息子と世界のためには引けないんでね!!」 お互いに譲れぬ正義のために、シュトロハイムと雷電、祐一郎と烈海王の死闘が始まる…… 【死国 甲板】 「砲台は全て破壊したな」 「そのようだ。これで市街地とWBへの援護はできまい」 「あとは私達が陽動に出ている分、烈さん達が内部を制圧してくれると良いんですが」 甲板の上で破壊の限りを尽くした四人。 彼らは別行動を取っている雷電達の陽動であり、暴れた分だけ拳王連合の目を甲板に向けさせ、手薄になった内部を雷電が制圧する作戦なのだ。 アルベルトに至っては拳王をおびき寄せる目的もあるのだが…… 「しかし、まさか美鈴の気功が効くとはな」 「ええ、生き物みたいに損傷を自力で治しているところを見て、もしやと思っていましたが、回路に気を流したら修復が収まりましたね」 「警備が厳重かと思えばダンボール一つで侵入できたり、色々と奇っ怪極まりない船だな……」 デューオの言っていた回路を狂わせる謎のエネルギーは美鈴の気功である。 祐一郎の技術が高度すぎて、もはや生き物と謙遜ない域にまで作られた戦艦・死国。 だが、美鈴はそれを逆手に取り、自身の気を操る程度の能力で、死国に気を流し込んで回路を狂わせたのだ。 一度、気を流し込まれたら最低ニ時間は復旧できないであろう。 「さて、お嬢様達も今頃元気に戦っ――」 「危ない! 美鈴!!」 「え゛」 ラーメンマンの警告も虚しく、紅美鈴の胴体に超高速で飛んできた野球ボールが直撃し、上半身と下半身に分断させた。 ちぎれ飛んだ上半身はそのまま海に落ち、美鈴の意識とともに沈んでいった…… 【紅美鈴@東方project 死亡確認】 「美鈴がやられた!?」 「貴様らは……!」 仲間が殺されたことを悲しむ暇もなく、ラーメンマン達が野球ボールが飛来した方向を見ると、そこには大量のデカオをバックにしたラオウ、平等院、MEIKOの三人がいた。 「MEIKOボールの味はどうだ? 餓鬼ども」 「敵は滅ぼす……」 「うぬら、この拳王たる俺の船に手を出したからにはそれなりの覚悟があるのだろうな?」 ある種作戦通りに、拳王軍を支える大戦力が三人の前に現れたのであった。 両者の間では今にも激戦が始まりそうな中、その前にアルベルトが質問を挟む。 「貴様が拳王と呼ばれる男、ラオウか」 「いかにもだ」 「ワシはかつて貴様達拳王軍と野球で勝負して滅ぼされた十傑衆チームの生き残り、衝撃のアルベルト!」 「十傑衆チームだと?」 「滅ぼされた十傑衆と首領であるビック・ファイア様のためにも、報復として貴様はワシの手で討つ!」 「面白い。うぬとは全力を持って戦ってやろうではないか!」 「ラーメンマン、ジョンス! 手出しは無用だぞ!」 拳王ラオウと衝撃のアルベルト。一つの対戦カードがまず決まり、二人は拳を構える。 「なら俺はこいつを倒す」 「亡くなったデュークのためにも、この船を沈めようとする輩は滅ぼす……!」 平等院鳳凰とジョンス。続いて二つ目の対戦カードが決まった。 「アタシはこの弁髪のクソ野郎を……ぐふお!?」 三つ目の対戦カードはMEIKOとラーメンマン……かと思いきや、MEIKOの体がガクリと揺れ、膝を着かせた。 緑間との戦闘で負った怪我がまだ治りきっておらず、そんな状態でMEIKOボールを投げたので肉体の負担がピークを迎えたのだ。 「MEIKOおばさん無理すんなよ」「ここは俺達に任せてくれ!」 「まておまえら、アタシはまだまだ戦えるわ! 邪魔するならぶっ殺すぞ」 MEIKOはデカオ軍団を押しのけてラーメンマンと戦おうとするが、ダメージを負いすぎた体では押しのけきれず、逆に取り押さえられてしまった。 そしてデカオ軍団はラーメンマンと対峙する。 「MEIKOおばさんの投球はヘルヘイムとの戦いまで取っておくべきだ」「そのためにも今回ばかりは俺達も戦うよ」 「なんだか、姿が全員そっくりで妙ちくりんな小僧達が出てきたが……よかろう。 美鈴の仇でもある拳王連合の所属である以上は、子供とて容赦はせんぞ」 「望むところだ!」「熱斗のためにも負けないぞ!」 三つ目の対戦カードが出来上がったところで、いよいよ死国の甲板にて大激戦が開始された! 【大阪 市街地南側】 死国で激闘が繰り広げらている中、市街地もまた戦いの渦中にあった。 砲撃から逃れるべく東西南北に散開した熱斗組の面子と、追撃するWB組の市街地攻撃班。 まず南側において、交戦が始まった。 「貴様は吸血鬼か!? 吸血鬼なら波紋使いとして見過ごすわけにはいかないな!!」 「こいつら見てると、よくわからない苛立ちを覚えるのは、このディオだー!」 「フフフ、貴方達となら楽しい弾幕ごっこができるかもね?」 「なぜかわかりませんが、あの喧しい奴から因縁的なものを感じます、お嬢様」 南側に逃れたダイアーとディオ、そんな彼らを追ってきたレミリアと咲夜。 波紋使いと吸血鬼、パロディとパロディ元の因縁の戦いが始まる! 【大阪 市街地西側】 西側に逃れたのはクロえもんと紫龍、そしてのび太のバスターガンダムだ。 「あの船はドラえもんを殺した奴の仲間だな?! だったら轟沈させてやるぞぉ!!」 クラウディウスに続くように急襲を仕掛けてきたWBは、あまりにも襲撃のタイミングが合いすぎていたため、のび太は先に討ったクラウディウスはWBの仲間であったと解釈し、勘違いの復讐心に囚われていた。 そして怒りのままにビームランチャーをWBに向けて撃ち放とうとするが、MSの足元からファイズ、ウィザード、オートバジンといった仮面ライダー達が射撃攻撃を加えてくる。 「こ、こいつら邪魔を……!」 攻撃はPS装甲で全て弾かれるが、それでも砲撃の妨害くらいにはなるのだ。 「ホワイトベースは撃たせないぞ!」 「……硬えな。フォンブラスターじゃラチがあかねえ。 クリムゾンスマッシュで一気に決める、苗木とオートバジンは援護しろ」 「はい! 乾さん!」 生半可な攻撃はPS装甲に守られたバスターに通用しないと見抜いた乾は、必殺技のライダーキックでバスターを粉砕しようとする。 しかし、そこへ紫龍が迫り、ファイズがライダーキックをバスターへ繰り出すより早く、小宇宙を燃焼させた必殺のアッパーカットを放とうとする。 「廬山昇龍覇!!」 「なに!?」 「乾さん!!」 技発動直前の膠着状態で動けないファイズに紫龍の一撃を避ける術はなかった。 苗木は反応の遅れによって迎撃が間に合わない。 乾巧、万事休すと誰もがこの時思った。 『!!!』 「オートバジン!?」 紫龍のアッパーが直撃する寸前でオートバジンが主人である乾を押しのけて庇った。 しかし、それによって代わりにオートバジンが技の直撃を受ける形になり、バラバラに吹っ飛んで大破炎上したのだった…… 【オートバジン@仮面ライダー555 大破炎上】 「オートバジンが!」 「俺を助けてくれたのか……すまねえ」 最後まで自分に尽くしてくれたバイクには、乾と言えど感謝の念を禁じ得なかった。 逆にオートバジンを破壊した紫龍には仮面越しに怒りの目を向けるのだった。 「チッ、機械人形に邪魔されたか。だが、次はこうはいかない。 あのガンダムに指一本触れさせないためにも、俺がお前達の相手になってやる」 「上等だ。今おまえが壊したバイクの分も、俺がおまえをやっつけてやるよ」 「乾さん、僕もお手伝いします!」 ダブルライダー(片や支給品)と聖闘士(支給品)の戦いは切って落とされた! 「よし、紫龍さんが邪魔者を引きつけてくれた。 このまま一気にあの船……って、警報が鳴ってるぞぉ!?」 仮面ライダー達が紫龍の相手をしている隙に、こっそりWBを墜とそうとするのび太。 だが、仮面ライダーに続いて第二の刺客がのび太の乗るバスターに急速接近していた。 「おまえの相手は僕だぁーーー!!」 それは出来杉の乗るデュエルガンダムだった。 バーニアを吹かして高速接近し、ビームサーベルを引き抜き、バスターを真っ二つにしようとする。 バスターはすんでのところで回避し、引き撃ちでビームランチャーをデュエルに放った。 ところが、ビームは見えない壁に阻まれるように弾かれてしまった。 「ビームが弾かれたぞぉ!?」 「ビームを弾くIフィールドだ! 物理攻撃を弾くPS装甲の弱点であるビームだってもう効かない! ビームも実弾も効かないなら、おまえの正確な射撃だって形無しさ!」 ※ミノフスキー粒子で通信機使用不可、外部スピーカー未使用のため、互いの声が聞こえません。 出来杉は苗木達が持ってきたパーツにIフィールド発生装置があったため、デュエルに組み込んだのだ。 それすなわち、デュエルは物理攻撃もビームも効かず、ほぼ絶対的な防御力を手にしたと同義である。 月が出てないのでサテライトキャノンも使用できず、状況はのび太にとって不利と言える。 それでもドラえもんを奪ったWBへの復讐心(勘違い)を抑えきれないのび太は戦いの道を選ぶ、 「こいつを倒さなきゃ、ドラえもんの仇の船を沈められない!! どこかに勝機はあるハズ、だから絶対こいつに勝つぞぉ!!」 だが激昂して周りが見えなくなっているのび太はまだ気づいていない。 ――バスターガンダムの残りのエネルギーと弾薬が半分を切っていることに。 「おい! なんで俺を狙うんだよ!」 「おまえと戦うと俺が生き残るって占いで出てたんだべ!」 隅っこの方ではクロえもんとビーストこと葉隠が、バットと剣を鍔迫り合う戦いが地味に繰り広げられていた。 【大阪 市街地北側】 新城と風魔、そしてサーベルタイガーの千早が遠くから死国とWB組の戦闘を伺っている。 「ホワイトベースは間に合ったか……任務完了だな」 『クラウディウスは残念だったな』 「まあ、最初から彼ではバスターに勝てないことは承知の上の作戦だった。 激昂したバスターのパイロット・野比のび太に無駄撃ちさせて、弾薬とエネルギーを削ぐのが目的だったしね。 これで死国とWBのパワーバランスは五分と五分になっただろう」 『つまりクラウディウスは最初から捨て駒だったのか?』 「いや、クラウディウスの死は、あくまで計算の一つとして考えていただけさ。 ロードビヤーキーの回避能力なら勝てはしなくても逃げられるとも思ったし、ああも一方的にやられる確率は低いと思っていたからね」 『死も計算のうちとは恐ろしい男だ。 だがベイダー卿やデウス隊長もその程度の被害は込みで作戦を我々に与えただろうし、戦果も十分だろう。 あとは大尉が上手くやっていればいいが……』 「市街地でWB組と戦列を共にしているところからして少なくとも正体はバレてないだろう。 それよりも、ここもそろそろ危険だ。帰還しよう」 デイパックからどこでもドアを取り出し、特務機関員達は九州ロボへ帰還しようする新城と風魔。 しかし、ドアを開けようとする寸前にヴァンガードカードが手裏剣のように飛来し、ドアに突き刺さった。 二人がカードが飛んできた方向を見ると、そこには熱斗組の一員である上条がいた。 見つかってしまい焦る新城。 (クソッ、見つかった! 最後の最後で気を抜いてしまったか?) 『遠くから我々を伺う者の気配が感じていたが、お前達は何者だ!』 「!! おまえの持っているそれは……シャロのデッキじゃないか!!」 『しまった!!』 なんとか一般人を装うなり、この場をやり過ごそうとした新城達だったが、風魔の懐からはみ出ていたシャロのデッキである「ロイヤルパラディンデッキ」を発見され、それがシャロ殺害の証拠となってしまい、会話でやり過ごすことは不可能になった。 「さっきシャロの死体を見た時、あるはずのデッキがなかった。 つまりデッキを盗んだ奴がシャロやエスパー伊東を殺した犯人ということだ。 おまえ達だな? 仲間を殺したのは!!」 「……くッ」 『新城、こうなっては仕方ない――抹殺あるのみだ』 上条とは交戦止むなし、と判断した新城は仮面ライダータイガに変身し、風魔は手裏剣を構え、千早は威嚇する。 『武器を手にとった……ということは犯人はこいつらで間違いないようだ』 「よくも仲間を! 絶対に許さねえぞ!」 『それよりも状況をよく見てみるんだな』 「僕達は千早とデストワイルダーを含めれば二人と二匹。 君は孤立無援でナビを入れても二人。数の上ではこちらが有利だ!」 「くっ……」 実際に数の上では新城達が有利であった。 上条は幻想殺しという全ての異能を打ち消す右手を持っているが、ならば物理攻撃主体で攻めればいいということ。 幻想殺し抜きでも異様な身体能力を持ってはいるが、虎を殴り殺せるほどのパワーまでは持っていないだろうし、少なくとも新城達では絶対に倒せない理不尽級の力は持っていない。 味方はシャドーマンしかおらず、上条もこれは自分に圧倒的不利な状況であると理解している。 ――何事も起こらねば。 「シャドーマン!! あれをやるぞ!!」 『あれとは……クロスフュージョンか!』 「あの姿になれば、こいつらに勝てるかもしれない。 いや、この俺ジョジョとシャドーマンで絶対に勝つ!!」 『この前まではともかく、我らは今や一心同体。承知した、いくぞお館様!』 「おう!」 クロスフュージョンの成功条件は「シンクロチップとナビと心を通わせること」。 上条とシャドーマンは、互いに信頼できる域に達しており、条件はすでにクリア済みだ。 そして上条はシンクロチップをPETにプラグインさせる。 「『クロスフュージョン!!』」 「なんだと!?」 『一体何が始まるというのだ!?』 新城と風魔が、上条の突然の行動に驚いた次の瞬間には、上条の姿は変貌していた。 その身にシャドーマンとよく似た、忍者の如きフォルムのアーマーが纏われる。 違いはマスクの部分に「幻 殺」の二文字が書かれていることくらいか。 そして、融合が完了して生まれた一人の忍は―― 「『ドーモ、マーダー=サン。イマジンスレイヤーです』 「イ、イマジンスレイヤー……?」 自身をイマジンスレイヤー(幻想殺し)と名乗り、丁寧にオジギをした。 呆気に取られる新城だったが、このオジギは戦う前に必ずやらないと大変シツレイに当たるという忍者の掟があるのだ。 『ドーモ、イマジンスレイヤー=サン。風魔小太郎です』 「君もやるのかい!?」 同じ忍者として風魔小太郎もついでにオジギした。 互いのオジギが終われば、いよいよ戦闘開始の合図である。 「『俺達を倒す。オヌシ達のそんな幻想はぶち殺すべし、マーダーに慈悲はない』」 どことない胡散臭さに反して、イマジンスレイヤーの放つオーラはかなりのものだ。 それは新城や風魔も察し、数のゴリ押しだけで勝てる相手ではないと感じさせ、身構えさせた。 イマジンスレイヤー、その実力はいかに? 【大阪 市街地東側】 熱斗、ロックマン、翔鶴の光三兄妹が逃れたのは街の東側である。 ここでもやはり、戦闘が勃発している。 それも実力者同士の衝突である。 『「お前達を熱くやっつけるぞオオオ!!」』 (決着をつけようぜ光熱斗! 俺が勝って、おまえの首をゆうかりんにプレゼントしてやるぜ!) 既にクロスフュージョン済みの修造とヒートマン、大尉とビーストマンが現れた! 「戦うしかない! クロスフュージョンでいくぞロックマン!!」 『うん!!』 クロスフュージョンした相手にはクロスフュージョンと言わんばかりに熱斗とロックマンは融合し、ロックマンのアーマーを纏った熱斗が現れた。 「『クロスフュージョン完了! さあ、どこからでもかかってこ……』」 息を巻いた熱斗だったが、次の瞬間、吐き気と頭痛と立ちくらみが熱斗を襲う。 さっきの頭に作った傷による出血が原因で肉体に悪影響が出ているのだ。 (『熱斗! やっぱりさっきの怪我がまずかったんじゃ……このままだと危険だ。クロスフュージョンを解除しよう』) (待ってくれ兄さん。 どちらにせよこいつらは俺達を逃がしちゃくれない! 戦わなくちゃ、俺達だけじゃなく翔鶴だって危ないんだ。 奴らに勝つにはクロスフュージョンの力がいる! だから融合を解除しないでくれ) (『熱斗……わかったよ』) いきなり押し黙ってしまった熱斗に、心配そうに声をかける翔鶴。 「どうしたのですか熱斗さん! 彩斗さん!」 「『いや、大丈夫だよ翔鶴さん。その辺の小石につまづいただけだ』」 「そう……なら良いんですが。 ともかく援護なら任せてください! 先程も言いましたが、大切な兄であるあなた達を死なせたくありません」 「『うん、援護は任せたよ翔鶴さん! 三人でこの場を切り抜けて、兄妹揃って生き残ろう!』」 「ハイ!」 気を取り直した熱斗がロックバスターを構え、その横で翔鶴は弓を構えた。 裏の王にして最強のネットバトラー、熱斗&ロックマン(彩斗)。 熱斗と彩斗の妹の艦娘、翔鶴。 太陽より熱き男、修造&ヒートマン。 クッソ不気味に暗躍する人狼、大尉&ビーストマン。 ネットバトラー達の、熱い大熱戦の火蓋は切って落とされた! こうして、様々な思惑のもとに二大勢力の死闘の幕が開かれた。 果たして勝利を手にするのは拳王連合とWB組のどちらか? どちらがより多くの屍を構築するか? 生き残るのは誰か? それは神のみぞ知る。 【二日目・8時30分/大阪市街地】 ※簡易状態表の左横のマーク(☆○●★)は所属している勢力を表しています ☆=拳王連合軍 ○=ホワイトベース組 ●=特務機関員 ★=その他 【東側】 ☆【光熱斗@ロックマンエグゼ】状態:頭部出血・ロックマンとクロスフュージョン中/思考:ロックマンと翔鶴と共に大尉と修造を倒す ☆【ロックマン(光彩斗)@ロックマンエグゼ】状態:HP減少(小)・熱斗とクロスフュージョン中/思考:熱斗と翔鶴と共に大尉と修造を倒す ☆【翔鶴(光翔鶴)@艦これ】状態:損傷軽微/思考:熱斗とロックマンと共に大尉と修造を倒す ○【大尉@HELLSING】 状態:健康・ビーストマンとクロスフュージョン中/思考:熱斗と決着をつける ○【ビーストマン@ロックマエグゼ3】状態:健康・大尉とクロスフュージョン中/思考:ロックマン達を倒す ○【松岡修造@現実】 状態:健康・ヒートマンとクロスフュージョン中/思考:熱斗達を熱く倒す ○【ヒートマン@ロックマンエグゼ2】 状態:健康・修造とクロスフュージョン中/思考:ロックマン達を熱く倒す 【西側】 ☆【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】 状態:ダメージ(小)/思考:のび太を助ける、ビースト(葉隠)をどうにかしたい ☆【野比のび太@ドラえもん】状態:激昂・バスターガンダムに登場中・弾薬消費(中)/思考:デュエルガンダムを倒す、WBを轟沈させる ☆【龍星座の紫龍@聖闘士星矢】状態:ダメージ(小)・疲労(小)/思考:のび太を助ける、ファイズ(乾巧)ウィザード(苗木)を蹴散らす ※支給品扱い ○【出来杉英才@ドラえもん】状態:デュエルガンダムに搭乗中/思考:バスターガンダムを倒す ※デュエルガンダムにはIフィールド@機動戦士ガンダムが搭載されています ○【乾巧@仮面ライダー555】状態:健康、555に変身中/思考:紫龍・バスターガンダムを倒す ※支給品扱い ○【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】状態:疲労(小)、ウィザードに変身中/思考:乾さんを援護する ○【葉隠康比呂@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】状態:健康、ビーストに変身中/思考:占いで生き残るとでたのでクロえもんを狙うべ! 【北側】 ☆【上条当麻@とある魔術の禁書目録】 状態:ダメージ(小)、怒り、シャドーマンとクロスフュージョン中/思考:怪しい男達(新城・風魔)を倒す ☆【シャドーマン@ロックマンエグゼ】 状態:ダメージ(小)・上条とクロスフュージョン中/思考:怪しい男達(新城・風魔)を倒す ●【新城直衛@皇国の守護者】 状態:健康、タイガに変身中/思考:上条を倒して本部に帰還する ●【風魔小太郎@戦国BASARAシリーズ】状態:健康/思考:上条を倒して本部に帰還する 【南側】 ☆【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】 状態:ダメージ(中)、焦り/思考:デューオがいない時に敵に狙われて焦るのはこのディオだー! ☆【ダイアー@ジョジョの奇妙な冒険】状態:健康/思考:吸血鬼とメイド(レミリア・咲夜)を倒す ○【レミリア・スカーレット@東方project】 状態:健康/思考:ダイアー達を倒す ○【十六夜咲夜@東方project】 状態:健康/思考:ダイアー達を倒す、お嬢様は命に変えても守る 【上空(ホワイトベース艦内)】 ○【十神白夜@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】 状態:健康/思考:愚民達(味方)を指揮して拳王連合を倒す ※アイギス、ホライゾンに仕掛けられたウィルスに気づいていません ○【腐川冬子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】状態:健康/思考:白夜様に従い、操舵を頑張る ※支給品扱い ○【アイギス@ペルソナ3】 状態:ホワイトベースに接続・ウィルス感染中/思考:味方を援護する ○【ホライゾン・アリアダスト@境界線上のホライゾン】状態:ホワイトベースに接続・ウィルス感染中/思考:味方を援護する 【二日目・8時30分/大阪・死国】 【艦橋】 ☆【琴吹紬@けいおん!】 状態:左手骨折/思考:皆さんのためにも死国のシステム復旧を急ぐ ☆【川崎宗則@現実?】 状態:健康/思考:とりあえず悪魔将軍を応援する ☆【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー】状態:健康/思考: 契約外なので戦闘はパス ☆【デューオ@ロックマンエグゼ4】 状態:HP満タン/思考:死国のシステム復旧を急ぐ ※美鈴に気功を流されたことによって死国の迎撃装置と自己修復装置が一時的に麻痺しています ※テラカオス・ディーヴァがカオスロワちゃんねるに書き込んだレスをまだ見ていません ☆【悪魔将軍@キン肉マン】 状態:ダメージ(小)/思考:暴走した春香と優を始末する ☆【ハクメン@BLAZBLUE】 状態:ダメージ(小)/思考:暴走した春香と優を始末する ★【高山春香@桜Trick】状態:テラカオス化進行、暴走/思考:優ちゃん以外を皆殺しにして、優ちゃんとイチャつく ★【園田優@桜Trick】状態:テラカオス化進行、暴走/思考:春香以外を皆殺しにして、春香とイチャつく ※テラカオス化進行によって百合力を戦闘力に変えられます。現在はキン肉マンに次ぐパワーを発揮できます。 【甲板】 ☆【ラオウ@北斗の拳】 状態:健康/思考:アルベルトを倒す ☆【平等院鳳凰@新テニスの王子様】 状態:健康/思考:ジョンスを滅ぼす ☆【MEIKO@VOCALOID】 状態:ダメージ(大)、戦闘続行不可/思考:戦いたいが……クソッ ☆【大山デカオ@ロックマンエグゼ】 状態:大量/思考:ラーメンマンを倒す ○【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ】状態:健康/思考: ラオウを討つ ○【ジョンス・リー@エアマスター】状態:健康/思考:平等院を倒す ○【ラーメンマン@キン肉マン】状態:健康/思考:デカオを倒す 【格納庫】 ☆【光祐一郎@ロックマンエグゼ】 状態:ダメージ(小)/思考:烈海王を倒す、熱斗達が心配 ☆【ルドル・フォン・シュトロハイム@ジョジョの奇妙な冒険】 状態:紫外線照射装置破損/思考:同志を殺した雷電をこの手で殺す ○【烈海王@範馬刃牙】状態:健康/思考:祐一郎を倒す ○【雷電@METAL GEAR RISING】状態:リッパーモード解禁/思考:シュトロハイムを殺し、祐一郎も殺す ※リッパーモードを解禁したことにより攻撃力が大幅に上がっています 【大阪 近海】 WBの砲撃を喰らったシグナムは、生きていた。 流石は今まで幾多ものカオスロワを生き抜いてきただけであり、首輪さえなければメガ粒子砲の直撃も大したダメージにならず、軽い火傷と一時的な脳震盪による気絶だけで済んでいる。 しかし、爆発の衝撃で死国の外に這い出されてしまい、今は全裸で海面にぷかぷかと浮いている。 さらにレヴァンティン含む支給品も全て喪失。 PETも爆発のショックと海水による内部浸水で破壊されている。 無論、PET内部にいたネットナビであるカーネルが無事でいるわけもなく、今までミステリーデータで貯めた財産ごと消滅したのだった。 【カーネル@ロックマンエグゼ 消滅確認】 生き残ったシグナム自身もこのままでは、サメの餌になるか、ズガン師ルーファウスと同じく溺れて死ぬ運命が待っている。 強き者も死ぬときは死ぬ、それがカオスロワ故に。 しかし、ここで天の助けか悪魔の導きか、ユラユラと海面を漂うシグナムの前にワープゾーンが突如として現れた。 ワープゾーンはかつて美樹さやか達を大阪へと転送したものと同じものである。 行き着く先はどこか不明だが、ここに入らなければどのみち死が待っている。 そして、気絶したシグナムの裸体は吸い込まれるようにワープゾーンに入っていき、ワープゾーンもすぐ後に消滅するのだった。 シグナム――人知れずに戦線離脱。 【二日目・8時30分/不明】 ☆【シグナム@リリカルなのはシリーズ】 状態:気絶、ダメージ(小)、全裸、支給品喪失/思考:気絶中 ※出現したワープゾーン(4955話参照)に吸い込まれて、どこかへと飛ばされました
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登録日:2022/04/19 Tue 22 30 59 更新日:2024/06/24 Mon 18 49 59NEW! 所要時間:約 14 分で読めます ▽タグ一覧 エア相撲 スクネ スクネマン バキシリーズ バキ道 二代目 二代目野見宿禰 刃牙シリーズ 力士 古代相撲 四股 宿禰の杜 相撲 第二代野見宿禰 野見宿禰 骨掴み 宿禰とは何者なのか…!? 第二代野見宿禰(だいにだいのみのすくね)とは、バキシリーズ第五部『バキ道』から登場するキャラクター。「二代目野見宿禰」と呼称される場合もある。 ●目次 概要 人物 実力 劇中での戦いVSビスケット・オリバ VS路上の大関 VS範馬刃牙 VS零鵬 VS範馬勇次郎 VS零鵬(2回目) VSジャック・ハンマー 余談 概要 相撲をテーマにしている『バキ道』におけるメインキャラクターとして位置づけられる。 ただし、その存在自体は第四部『刃牙道』の最終話にて新シリーズへの予告的に示唆されていた。 角力の始祖とも呼ぶべき存在の野見宿禰の二代目を名乗り、古代相撲を受け継いでいる青年。 歴代宿禰が挑戦を続けた石炭の完全なダイヤモンド化に成功し、二代目の野見宿禰として認定された。 刃牙の世界では野見宿禰は世襲制で270代以上が続いているが、「宿禰」の名前を許されたのは初代含めて2名しかいない。 実際は「宿禰」は当時の朝廷に仕える者への官職名なので「宿禰」の称号を持つ役人はたくさんいたし、個人名として重要なのは「野見」の方である。 出雲にある宿禰の杜と呼ばれる山奥で暮らしていたが、相撲界で揉めた末に業界の改革を試みた貴乃花金竜山によって表社会へと連れ出される。 ただし、宿禰は金竜山の導きではなく「宿禰とは何者なのか」を知るために自分の意志で故郷から出たと自認している。 山奥から現代社会へと出てきた宿禰は、徳川光成の世話を受けながら地下闘士や現代相撲の力士と関わっていくことになる。 人物 体格は210cm・250kg強という巨漢で、力士故に脂肪と筋肉で身体は異様に盛り上がっている。 基本的には敬語で話して戦う相手にも低姿勢で忠告を行うなど、ぱっと見の雰囲気は礼儀正しく大人しい人間性に思える。 しかし、言動の節々には己への自信とそれ故に他者を見下す価値観も滲み出ており、悪意のあるような様子で他者を煽る行動を取ることも少なくない。 一方で対戦相手を全く見下しているという訳でもなく、それなりにリスペクトや優しさを見せることもあるのだが、何というか上述の性格もあってそういう部分は真に受けにくい印象を受ける。 他者に煽られても怒ることはない…が、刃牙に憐みのような言動をされた際にはそれまでの態度を一変して激昂して口調も変化していた。 ここから察するに煽られることは良いらしいが、憐みや情けと言う行動をされた場合は「力士への大罪」と捉えて許すことが出来ないと考えられる。 相手の骨を利用する戦闘スタイルもあってか、他者を身体的に破壊することに対しても一切躊躇がない。 ビスケット・オリバや大関への対応を見るに殺害に至りかねない行為は流石に避けているが、刃牙に対しては明確な殺意とも解釈できる感情を見せていた。 あえてフォローするならば、身体の破壊を試みた相手に関しては宿禰側も何らかの大きな痛手を負わされている(*1)ため、破壊行為は基本的に報復で行っていて楽しんでいる訳ではない…はず(*2)。 礼儀正しそうに見えて傲慢さを秘めているという性格は、ある意味「良くも悪くも色々な意味でスケールの小さくなった刃牙のような人間性」とも分析できる。 範馬勇次郎のことは認識していたが、山奥の生活が影響してなのか世間と比べると理解がやや遅れている一面も。 他者を葬ることを闇に沈めと表現するなど、言動にも厨二病独特なセンスがあるのも世間離れしていた影響なのだろうか…。 世間離れをした生活を送っていながらも女性に対する関心は強いらしく、作中では若い女性と恋愛関係を結んでいる。 周囲に見せつけるかのように手に彼女を持ち上げながらデートし、それを恥ずかしがる彼女の反応も楽しんでいる雰囲気だった。 自身を連れ出した金竜山に対しては恩を感じているようで、彼の相撲に対しても「綺麗な相撲」と高く評価している。 一方で、初代野見宿禰の墓が廃れていることを理由に、大相撲に対しては鉄槌を下そうと考えていた。(*3) 宿禰の名前を受け継いでいるのだが「我ひたぶるに力比べせん」という言葉を使うなど、宿禰に敗れた当麻蹴速をリスペクトしている節がある。 刃牙の蹴りを受けた際にも蹴速を思い出していたので、リスペクトすべき対象であると同時に強敵のイメージでもあるのかもしれない。 実力 力士を自負していることから相撲で戦うが、ルール無用の古代相撲がベースなので殴打や蹴り技も積極的に使う。 シリーズ最強クラスの握力を持ち、石炭を握力でダイヤモンドに変えるという『範馬刃牙』時点の勇次郎でも難しいパワーを見せている。 その握力を用いて敵対者の骨格を「廻し」に見立てて骨を直接掴んで投げる特技があり、これによって多くの戦士の骨を粉砕した。 握力の破壊力は重量に換算すると100トンにも及ぶとも評されている。 一方で渋川剛気の合気に関しては初見では突破できておらず、後に合気を怪力で突破した巨鯨との力関係は不明慮な部分もある。 巨体な身体に反して身動きも軽く、最早実質的に飛行していると言わんばかりの驚異的なジャンプ力を見せていた。 特に201kgの体重があるジャック・ハンマーに頸動脈を噛み付かれた状態かつ腕も殆ど機能していない中、足だけで大ジャンプするという力業も見せた。 「打たれると分かっている力士は倒れない」と本人が評するように、攻撃に対する耐久力に関しても非常に高い。 顔面への攻撃の直撃や鼓膜の破壊などのダメージを受けても、宿禰のポーカーフェイス寄りな性格も相まって全く通じている様子を見せない。 オリバやジャックのパンチも勢いを付けた額によって防ぐという芸当も見せており、オリバの拳を逆に粉砕するという硬さを発揮した。 また、「エア相撲」とでも呼べる刃牙のリアルシャドーの相撲版的な練習を行う習慣がある。 横綱・零鵬の存在を具体的に想像できるレベルのイメージ能力を持ち、「四股が足りない」とまで分析していた。 現実の人物だけではなく、一般的に考えられない巨大な力士を想像で作り出すことも可能。 エア相撲以外の日々のトレーニングは、四股という相撲においては基本中の基本の稽古…なのだが、これがまたとんでもない規格外。 四股は驚異的な開脚の長時間の維持と地響きを起こす威力を見せており、宿禰曰く「邪気を払って清めた大地で安心して生物が成長できる(要約)」という効果で徳川邸の池の鯉が異様に大きく成長するという事態を起こした。 また、摺り足に代わるトレーニングとして宿禰は腰を深く落とした状態で動かないという、站樁に近いような稽古も行っている。 劇中での戦い VSビスケット・オリバ 徳川邸でサンドバッグを破裂させている最中、宿禰の噂を聞いて刑務所から飛び出して来日したオリバが出現。 廻しを付けて力士の姿で臨戦態勢のオリバを見て、その筋肉質な身体を予想外にも酷評してオリバを煽る宿禰。 なんとも救いがたく――痩躯な力士もいたものだ 互いに挑発する中で相撲対決が始まるが、オリバのフルパワー突進や廻しを掴んだ持ち上げも封じ、逆に振り回すなどパワー面で優勢を見せる。 ちなみに、オリバのパワーを封じた理由は「逆三角形の肉体は三角形が重要な角力の相撲で通用しない」との理論らしい。 自身のアイデンティティを否定されたばかりか劣勢なオリバは、指摘を認めながらもフリーファイトを持ち出して屁理屈反論を展開。 その話を聞いてフリーファイトを承諾して仕切り直そうとした宿禰だったが、語っている最中に顔面に強襲的なパンチ。 どや顔で煽るオリバだったが、ダメージもなければ不意打ちに怒ることもなく、逆に謝罪を始める宿禰に対して不機嫌になるオリバ。 オリバの不機嫌にも動じない宿禰はぶちかましで突っ込み、金剛力士像の構えでパンチを放ったオリバの拳を額で粉砕。 宿禰は世界一の厚い筋肉を超えてオリバの肋骨を掴み、絶体絶命に持ち込んだことから決着を提案する。 それを拒否するオリバは最筋力姿勢でパワーを入れようとするが、異様な音と共に肋骨が人体が梯子から落ちた時のような勢いで完全粉砕して自爆。 骨を一気に失ったオリバの肉体を床に叩き付けた宿禰は、オリバの手当ての指示と同時に板の間でなかったら死んでいたと忠告。 オリバは宿禰に対して怒号を投げかけようとするが言葉を発する力も残っておらず、哀れにも肉体を僅かに震わせるだけだった。 VS路上の大関 夜の街の路上で名称不明の大関と対面し、多くの観衆が集まる中で大関が試合を承諾したことで戦闘開始。 コンクリートの地面でオリバを大きく上回るパワーのブチかましを大関に仕掛けられるが、それを耐え切ったことで精神的優位に立つ。 ブチかましを耐えた後に大関の肩甲骨を掴み、片手で持ち上げた後に肉体を投げ飛ばした。 地面がコンクリートのために絶命の危機に陥る大関だったが、宿禰は寸前で頭を支えてそれは回避させるのだった。 圧倒された末に命を救われる恩情を掛けられ、プライドを傷つけられ憤る大関の平手打ちを受ける宿禰だったが、「打たれるとワカってしまえば力士は倒れない」と諭す。 動揺して呆然としている大関を置いて立ち去ろうとする宿禰の目の前にお台場での一件から自身のファンを名乗る女性が現れると、夜の街に彼女を連れて行って姿を消した。 大関との騒動は後日、大日本相撲協会及び嵐川理事長に衝撃を与え、地下闘士と力士のチーム戦に発展することになる。 VS範馬刃牙 徳川によって地下闘技場に連れてこられた宿禰は、地下王者である刃牙と激突する。 宿禰は刃牙を「露払い」と煽りながらも、銃弾と表現してその強さを高く評価する様子を見せた。 胸を貸すポーズで煽る刃牙にブチかましで突進を試みる宿禰だったが、左ハイキックを顔面に受けたことで刃牙を「蹴速」と連想。 その強さに刃牙を兄弟子と認定して改めて謙虚な姿勢を見せて再度ブチかましを行い、今度は右ハイキックを受けながらも耐え切ってトランクスを掴んだことで柵まで押し切る。 しかし、実際にはハイキックが効いていたことで軽い脳震盪の症状を引き起こしており、その様子を刃牙に煽られてしまう。 挑発された宿禰は謙虚な態度を一転させて激怒し、「力士を哀れむ大罪」を闇で償わせよう(殺意?)として全力で投げ飛ばす。 その投げも刃牙に軽く対応されると、必殺技であるトリケラトプス拳を見せられるが、激突の末に背後に投げ飛ばされるも何とか対応した。 そこで徳川の介入で試合は終了となり、試合を観戦していた地下闘士メンバーを見た宿禰は全員を力士と認識した。 VS零鵬 地下戦士VS大日本相撲協会力士代表の試合では、大将戦として現代相撲の最高傑作・零鵬との対戦が決定する。試合前には金竜山への感謝の意を示した。 試合前に観客に向けて四股のパフォーマンスを披露し始めた零鵬を見ると、宿禰はそれを鼻で笑うかのような様子で足を180度以上に開いた四股を見せる。 その四股の迫力は力士チームの面子も眺めており、ベテランの猛剣ですらもその迫力には困惑する勢いだった。 試合前の会話ではエア相撲を理由に零鵬の四股の不足を指摘するが、笑われた末に「エアの四股」をやると煽り返されての試合開始となった。 金竜山から3分以上粘った末の長期戦という作戦プランを提示されるが、1分以内に終わらせるとして却下した。 両者立ち合いの構えで相撲勝負になるが、最初の激突では不意を突く零鵬の張り手が宿禰の頬にぶちかまされる。 そして、張り手の威力で一瞬動揺した隙に肘でカチ上げられてしまい、まわしを取られたことで不利な体勢になる。 最初の張り手で鼓膜を破壊されるという痛手を負った宿禰だったが、鼻を摘まんで耳から出血することで零鵬の目元付近に血を浴びせ、報復を宣告。 オリバを破壊した肋骨掴みによる「アバラ投げ」で返し、零鵬を地面に叩き付けて沈黙させることに成功した。 それでも意地で何とか立ち上がった零鵬の様子を見て、宿禰は試合前の決意に反して1分で終わらなかったことを理由に煽り半分な雰囲気で褒める。 そして、立ち上がった直後の零鵬に対して肩甲骨の下に手を入れて掴み、再度頭を地面に叩き付けることで完全に沈黙させて勝利した。 VS範馬勇次郎 横綱を撃破した後に勇次郎への興味を口にし、徳川から不意討ちもOKな相手だと聞いた宿禰はやる気を見せる。 徳川の手引きで地下闘技場にて異常性癖がカミングアウトされた勇次郎を待っていたが、いざ姿を見せた相手は異様に激怒しており、その姿にハブを思い出していた。 勇次郎に名前を名乗って拍手を持ち掛けるが、呼び出されたことに不機嫌な勇次郎に顔を掴まれて投げ飛ばされる。 立ち去ろうとする勇次郎に物言いの如く呼び止めて蹲踞の構えを取り、ぶちかましに見せかけた奇襲のキックを浴びせる。 柵まで勇次郎を蹴り飛ばすことに成功したが、消力を連想させるかのように攻撃を受け止めたことで全く効いていなかった。 唖然とする宿禰は勇次郎に反撃への備えを忠告されると、顔面に右ストレートを浴びてKO。 しかし、吹き飛ばされながらも立った姿勢を保つことに成功しながら気絶しており、それを見た勇次郎から再戦を認める言葉が出るのだった。 回復後に柵にもたれかかって呆然とした様子となり、「あんな生物がいたのか」と振り返るのだった。 VS零鵬(2回目) 勇次郎に完敗したことで、自身の上の存在を噛みしめながら大雨の中で帰路に付いていた宿禰。 そんな自身の元に変装した姿の零鵬が登場し、再戦の意図を読み取った宿禰は橋の下でリベンジマッチを受ける。 肋骨に大ダメージを受けている零鵬を見た宿禰はそれを指摘するも、怪我の内に入らないと強気な様子を見せる零鵬に対して止めた方が良いと言わんばかりにフォローする。 零鵬から四股に関する煽りをネタにした自虐入りの発言を返されると、宿禰はそれを根に持っていると解釈して嘲笑うかのような表情を見せた。 煽った瞬間に顔面にパンチを連続で浴びせられ、足に蹴り技を受けたことで姿勢を崩す。 更に追撃の左横蹴りを仕掛けられるも転がって回避し、零鵬が怪我をしながらもまだ動けることを評価しながらも、突進してくる零鵬の負傷した胸に強烈なキックをぶち込む。 零鵬の負傷していた肋骨の更なる破壊と胸骨の粉砕に成功し、酷く吐血しながら倒れる零鵬を背に「よく殴られる日だ……」と一日を振り返るのだった。 VSジャック・ハンマー お持ち帰りに成功した女性とデートを楽しんでいた最中、現れた加納典明から話を聞いてジャックと試合を組むことに。 その後、ジャックは徳川邸にて食事の最中に宿禰の四股の振動を聞き、試合前に両者は対面する。 ジャックの姿を見て零鵬以上と評価しながらも、奇襲をしない理由が人目が欲しいという理由だと聞いた途端にガッカリだと言い放って精神面を煽りまくる。 煽る最中に放たれたパンチに頭突きで防御した後に張り手を浴びせてダメージを与えるが、その瞬間に噛道によって左手の小指を奪われた上に食われたことで生涯の欠損が確定する。 力士の命綱の小指を試合前に奪ったジャックに激怒して試合中止を考える徳川だったが、ジャックの自論に応じて宿禰は試合開催を承諾。 試合当日の試合前、ジャックに噛み付けないと煽るが内心ではその技術力に高く感心し、強者との試合に喜びを見せる。 試合開始直後から突進を見せる宿禰だったが、左肩付近に噛み付かれて周辺の肉片を奪われてしまい、続けて放った右前蹴り上げも噛み付きのカウンターによって踵を損傷する。 肉片を奪われたことに怒りの様子を隠せない宿禰は、かつて自身が撃破したオリバの金剛力士像の構えを使って反撃を開始。 低空姿勢での突進を見せたかと思いきや、不意を突く右パンチと張り手でジャックに連続のダメージを与える。 続けて組みに向かった宿禰はジャックの骨を掴むが、対するジャックも肩口に噛み付いたことで両者一撃必殺の体制に突入。 先に宿禰が必殺技である肋骨を掴んでのアバラ投げを放とうとするが、事前に僧帽筋を嚙まれて破壊されていたことで対策をされて封じられてしまう。 必殺技に失敗しながらも何とかジャックを突き放すことには成功するが、直後に高速の動きでキックやジャブを連続で受けてしまった宿禰は完全に追い込まれていた。 それでも何とか立ち上がった宿禰はジャックと打撃の攻防戦を繰り広げ、その最中に出雲でのエア相撲を思い出して自身の準備不足を反省していた。 打撃の最中に挟まれる高速の噛み付きに押されている宿禰だったが、この期に及んで上から目線でジャックを認めながら噛み付き覚悟で組み付いた。 そして案の定頸動脈を噛み付かれる致命傷を負うが、噛み付かれながらも大ジャンプして空中からジャックを投げ飛ばして地面に叩き付ける。 ジャックが倒れたことで徳川から勝利判定を受けようとした瞬間、実際にはジャックに大きなダメージは入っておらず、逆に宿禰の出血についに限界がきて倒れてしまう。 こうして試合は宿禰の敗北が確定。担架で運ばれていく宿禰を見送ったジャックからは「最初に投げ技を受けていたら決着だった」と内心でリスペクトを受けていた。 しかし、実際のジャックは観客に派手なパフォーマンスを行う程度には体力が溢れており、内心の声とは言ってもリップサービスが含まれていた可能性は高い。 余談 零鵬戦の時期に急に肌が浅黒く描かれるようになるというデザインの変化が起きている。突如のデザイン変化に困惑する声は多かったが、これは零鵬とは力士同士の対戦になることからぱっと見の作画では区別が付きにくいために変えたとする説が出ている。ただし、零鵬戦後も肌が浅黒いデザインは引き続き採用されている。 第五部のキーパーソンのはずなのだが、前シリーズのキーパーソンだった宮本武蔵と比べると総合的な戦闘力では劣っていると見られる描写も多い。第五部は全体的に設定の派手さや表現が抑えられているデフレ気味な雰囲気もあるので、その影響を受けている部分も否定はできないが。刃牙との交戦も早かったことから、そもそも武蔵のような所謂「シリーズボス」というポジションで描かれていない節もある。 バキ道第18話「結髪」において、結髪をするだけで13ページを費やした(全20ページ)ことはネタにされている。 ジャック戦では金剛力士の構えを使いながら敗北したため、シリーズにおける「金剛は負けフラグ」という説を補強する結果になった。 Wiki篭り関 改めて「追記・修正」を… △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] こいつ登場当初はバチバチの泡影の影響を感じさせるスピリチュアルな求道者的キャラだと思ってたんだが、むしろ相撲編全体に漂う痛み分けというか、勝ち負けとはなんなのか?という問いの為に作られてる感もする。 -- 名無しさん (2022-04-19 22 38 56) 良くも悪くも青さが抜けきれてない印象を覚える。 -- 名無しさん (2022-04-20 00 28 15) かませ犬にされたオリバは泣いていい -- 名無しさん (2022-04-20 01 04 16) まさか一応の主人公に対して一応の章ボスなのにたった一度の無効試合で終わるとは思ってなかったわ -- 名無しさん (2022-04-20 02 20 15) アライjrの二の舞になりそう -- 名無しさん (2022-04-20 08 38 59) さては飽きたなコレ… -- 名無しさん (2022-04-20 12 34 32) ゆうえんちに出てきた龍金剛の方が強そう -- 名無しさん (2022-04-20 13 36 53) 初代の話に出てくる頃の相撲の原型は今の相撲とは全然違うというベタなネタを避けて(知らなかっただけかもだが)普通のスモトリにした結果、個性も引っ張り所も行き詰まった感じ。他にもスモトリ出して今さら相撲アゲされてもなーって感じだったし。 -- 名無しさん (2022-04-20 14 50 13) 噛ませ(ジャック)の噛ませ(宿禰)の噛ませにされたオリバが報われん -- 名無しさん (2022-04-21 00 50 30) 握力凄いもすでに花山という -- 名無しさん (2022-04-21 05 29 22) ↑途中になった。花山という人気キャラが既にいるし、アピールも手でダイヤが作れると言われてもふーんとしか。 -- 名無しさん (2022-04-21 05 31 11) 板垣先生に是非を問うな -- 名無しさん (2022-04-21 17 59 13) そもそも掴んで握りつぶせば終わるのに、なんでわざわざ投げようとするのか?「現代相撲とは違う、なんでもアリの古代相撲」と言ってるのに舐めプに走ってる謎 -- 名無しさん (2022-04-21 18 22 28) ↑それやると尚更花山薫になるし… -- 名無しさん (2022-04-21 20 38 40) 勇次郎の両刀の話が出てからの対戦だった為、これ勇次郎にわからされるんじゃだの宿禰はメスガキだった?とか言われてて草生えた -- 名無しさん (2022-04-21 20 40 51) ↑3殺傷力過剰すぎるからねそれやると。武蔵が舐めプしてたのと同じ理由、つまり作劇の都合 -- 名無しさん (2022-04-22 04 14 04) まぁひたすら強いこいつに既存ファイターが挑んでは返り討ち→刃牙戦で〆っていうピクル編以降味しめたワンパターンから脱却したのは良かったと思うよ。こいつが武蔵ポジじゃなかったからこそ久しぶりに渋川先生や独歩ちゃんの白星見れたんだし -- 名無しさん (2022-04-23 14 01 47) やはり「力士の命」である小指を失ってしまったのはネック過ぎる… -- 名無しさん (2022-04-23 14 50 33) ジャックに焦点が当たった現在、再登場したら酷い目に遭う確率が特大。アライjrが独歩や渋川にお礼参りされたように・・・ -- 名無しさん (2022-04-23 21 45 33) アライもジャックに負けてからがケチのつき始めだったな…… -- 名無しさん (2022-04-26 04 23 22) ……今週でケハヤの子孫が出て来たんだが(しかも勇次郎の噛ませになりそう)。マジにスクネの扱いどうなるんだろうね。飽きっぽい作者の寵愛も無くなった今、再登場あったら間違いなく酷い目にあうぞこれ -- 名無しさん (2022-04-28 22 25 22) 再登場してもマシな未来がない今、猿空間に消えたほうがいいと考えられる -- 名無しさん (2022-05-04 04 07 47) 初代野見宿禰の話になるのだが、今の相撲を行った最初の人物であり、刃牙ワールドでは現代にまで続く相撲界最強の漢なのだが…地味に、「墓(古墳)に土で出来た人形を守衛として置こう」と提案した人でもあるんだとか。つまり、古墳に埴輪を入れるという文化を作った人らしい。 -- 名無しさん (2022-05-13 16 45 50) ↑4 個人的な感想だが、当代蹴速が本格的に動き出す前に初代宿禰を蔑ろにしていた現代相撲界への粛正と箔付けをやりたかった感が強くなったな…結果的に箔付けの方は失敗していると言わざるをえないが。 -- 名無しさん (2022-05-24 16 59 02) ケハヤの子孫が勇次郎の噛ませになってて草。いやもう本当スクネもケハヤもこっからどうすんだよっていう -- 名無しさん (2022-05-24 18 20 35) 今まで出てきた敵よりずっと礼儀正しくてまともだと思うが、なんで魅力ないとか不快とか言われんのかね -- 名無しさん (2022-07-19 22 37 22) ↑ああいう慇懃無礼なキャラとかアライjr筆頭に結構いたけど……?魅力が無いのは、握力百トン(これも微妙)と相撲取り以外の要素が全くでなかったからだし -- 名無しさん (2022-07-19 22 47 46) ↑8 日本書紀の埴輪起源の伝説ね。ウィキペの「土師氏」「埴輪」「野見宿禰」も参照。考古学では3-4世紀までの焼き物が起源。 -- 名無しさん (2022-08-08 12 13 57) 垂仁を実在天皇と仮定すれば3-4世紀じゃね?ということなんだけど、そうすると人型埴輪発祥の5世紀に間に合わない。支配域の規模からしても、権力者の副葬品としての利用は大陸の影響だろう。 -- 名無しさん (2022-08-08 12 16 42) 蹴速のwikiは無いけど誰か作らんの? -- 名無しさん (2023-03-07 19 08 54) 次回作は宿禰の娘出てこないかな バキ「だってコイツ、宿禰の娘だもん」 -- 名無しさん (2023-04-07 17 44 51) 鳴り物入りで出てきたら最終的にジャックとバキの噛ませにされるっていうアライjrと全く同じ末路に… -- 名無しさん (2023-04-29 21 10 03) 負けちゃった… -- 名無しさん (2023-04-29 21 36 51) 勇次郎から評価されてライバルポジになったと思ったらジャックに噛まれ(直訳)かつて倒した強敵にもリベンジで負かされ主人公に惨敗…と完全にアライJrじゃん春成の2秒より健闘したとか無理に評価した方が良いのか? -- 名無しさん (2023-04-29 22 07 59) 春成より頑張れた理由がバキとのファーストコンタクトまでめちゃくちゃ時間かかってたせい(動きが信じられんくらい遅かったせい)だから下手すると春成より評価できねぇ…… -- 名無しさん (2023-04-30 13 24 26) まあ大相撲に鉄槌は下せたし(震え声 -- 名無しさん (2023-05-03 13 46 11) 正面からの殴り合いでオリバに勝った刃牙が「宿禰と真っ向勝負などできるはずもない(技術使えば秒殺可能)」って言ってるあたりパワーキャラとしては本当にトップクラスなんだろう -- 名無しさん (2023-05-13 23 11 35) 一般人よりノロノロで草 -- 名無しさん (2023-05-13 23 28 07) 多分見切り発車で出したんだろうな。 -- 名無しさん (2023-06-10 20 14 33) 宿禰は礼儀正しいって言っても相手より自分が上っていう前提の礼儀正しさみたいのがあるからな、だからすぐキレて粗暴になったりするしその落差で下手なチンピラより悪印象あるんだと思う -- 名無しさん (2023-10-15 19 49 30) 報告にあった違反コメントを削除しました。 -- 名無しさん (2023-12-06 18 38 40) 報告にあった荒らしコメントを削除しました。 -- 名無しさん (2023-12-24 05 42 22) 初代を生き写した無骨な益荒男がよかったって声も聞く………まあ武蔵みたいに途中で乱心してたかもしれんけど -- 名無しさん (2024-03-20 09 00 12) ↑4 元々バキシリーズって慇懃無礼なキャラがかなり多い漫画ではある -- 名無しさん (2024-05-06 20 38 58) 彼とけっくんは何で出てきたのか不明なキャラだった。 -- 名無しさん (2024-05-06 20 42 07) 唐突な加納典明登場wどんなコラボだよ -- 名無しさん (2024-06-24 18 13 44) 武蔵より盛られるかと思ったけどそんなことなかった。けっくん含めて -- 名無しさん (2024-06-24 18 20 28) ↑武蔵はピクルの後であってもネームバリューで良くも悪くも押し通せたんだろうけど、古代相撲は初代描いた時点で熱尽きたんだろうな………って感じ -- 名無しさん (2024-06-24 18 49 59) 名前 コメント
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登録日:2016/02/17 Wed 06 47 46 更新日:2024/04/28 Sun 10 09 46NEW! 所要時間:約 39 分で読めます ▽タグ一覧 お約束 アイテムの場合は妨害あり スーパー戦隊シリーズ スーパー戦隊シリーズの○○項目 バルバエキス 一覧項目 中には最初から巨大化する奴も 巨大 巨大化 巨大化アイテム 巨大化要員 巨大戦恒例 怪人 戦隊悪役 所要時間30分以上の項目 死亡フラグ 特撮 芋長の芋羊羹 巨大戦――それはスーパー戦隊シリーズの歴史上、無くてはならないイベントである。 【概要】 元々戦隊側の巨大メカは秘密戦隊ゴレンジャーの頃から登場していたが、専ら移動用か敵要塞・戦闘機との交戦に使われるのが多かった。 しかし、バトルフィーバーJ以降に巨大ロボが登場してからは一変。 一度倒されるか追い詰められた等身大の怪人が何らかの要因で巨大化し、戦隊側も巨大ロボで応戦するというパターンが誕生した。 遡れば東映特撮はジャイアントロボ(東映版)や大鉄人17で巨大戦のノウハウを蓄積し、ジャッカー電撃隊とバトルフィーバーJの間に放送されたスパイダーマン(東映版)では日本の視聴者向けの派手な演出として「等身大ヒーロー+巨大戦」の形式を発明した。 巨大化のパターンは戦隊ごとによって違うものの、たいていは以下の4通りに分けられる。 幹部又は首領自らが巨大化させる 巨大化アイテムで巨大化 怪人が自力で巨大化 巨大戦専用マシンを召喚 巨大化後は基本的に等身大と同じ姿だが、中には姿形が変化する存在も。 演者である女優の素肌が露出したセクシー系の怪人など、巨大戦には不向きなデザインの怪人がよく巨大化後に姿を変えるが、姿を変えた怪人は凶々しさが増すためパワーアップとしてもわかりやすい。 ボウケンジャーやハリケンジャーではこの巨大化のパターンが幹部ごとに違うという演出がなされている。 それではここからは各項目ごとに詳しく解説していこう。 【パターン】 1.幹部又は首領が自ら、或いは専門職の部下を使用して巨大化させる 大地に眠る悪霊達よ…ドーラ〇〇に、力を与えよ! オルグシードよ!消えゆかんとする邪悪に、再び巨大なる力を……!ハァッ!!鬼はー内!福はー外ーっ!! ドーザ・ウル・ウガロ! 妖術・肥大蕃息の術! スーパー戦隊シリーズで一番多い巨大化パターン。 本拠地又は現地にいる敵組織の幹部又は首領が怪人に何らかのパワーを与えて、再生(もしくは復活)させてから即座に巨大化させる方法である。 幹部によってはこの能力によって存在意義をアピールしている者も多い。 しかし幹部の状態によっては巨大化させることが出来ず、怪人がそのまま倒されることもあるようだ。 (バンドーラは空腹のあまり怪人を巨大化できなかったことがある) 中には「巨大化担当幹部が死んでいたので怪人が倒されても巨大戦ができず、自分も敗れた首領が切り札として移動要塞で巨大戦を始めたらそれを破壊され全滅。」という、 組織崩壊の原因になってしまったジャシンカ帝国(科学戦隊ダイナマン)の惨事もある。(旧仕様の進化獣では「自動で巨大化」だったことも含めて皮肉な展開である) また、このパターンの特徴として、巨大化の対象を問わない物もいる事が挙げられる。 つまり、その気になれば敵怪人以外にも戦闘員や一般人、場合によってはヒーローでさえ巨大化する事が可能なのだ。 2.巨大化アイテムで巨大化 こうなったら…。本当は抹茶ケーキの方が好きなんだけど、えぇぃ…!芋羊羹だ! バルバンの魔人は、バルバエキスを飲む事で巨大化する。だがそれは、自らの命をも縮める、 まさに最後の手段でもあるのだ! 闇の世界の力よ、最後の力を! アミアス・アミアス・アミクロス! 災魔復活! サンギョウカクメーイ! 2番目に多いパターン。 1.と似ているが、事前に渡された専用の巨大化アイテムを怪人が使用するか、幹部が倒された怪人に与えることでその怪人が巨大化するというもの。 爆弾やドリンク、果ては芋羊羹なんて変わり種も。 しかし度々戦隊側にそのアイテムを奪われる、もしくは破壊されるなどの妨害で巨大化できず、そのまま倒されるというパターンも存在する。 基本的に怪人の体質に依存するものが多く、一般人などには使えない、あるいは使っても効果がない場合が多いのが特徴。 3.怪人が自力で巨大化 ビッグバン・プログレス! 超進化獣○○シンカ! 臨技! 邪身豪天変! こうなったら大きくなってやる! 驚いてるだろうねぇ、アナザーアース人… 怪人が自らの力で瀕死の状態から復活し、様々な能力、もしくは体質で巨大化するパターン。 エネルギーを大量に吸収する 自らの技で巨大化する 一度倒されても自動的に発動して巨大化する など作品によっては様々である。幹部の能力もアイテムも必要ないので、妨害される心配が少ないというメリットがある。 「普通の怪人は1.か2.だが、幹部格やボスキャラは自力で巨大化できる」というパターンもある。 4.巨大戦専用マシン/怪人を召喚 弟よ~!(妹よ~!) リフレッシュパワー! (ゴルリン転んで)人生いろいろでございます。 敵メガゾード、転送反応あり! 闇エナジーが満ちた!行け、邪面獣! 等身大で登場した怪人自身は巨大化せず、専用の巨大メカやロボット・怪人、倒された怪人の姿をコピーしたロボットが代わりに戦うパターン。 その都合上、等身大の怪人が倒されることが必須ということも。 メカは怪人によって様々な改造が施されている場合もあり、同じ種類のメカでも大幅に性能が違うことがある。 このタイプを利用する怪人は少ないが、導入は『バトルフィーバーJ』であり何気に戦隊の歴史では一番最初に考案されたパターンだったりする。 バイオマンの敵組織・新帝国ギアは怪人自体が存在せず、 ビッグスリーが呼び寄せる巨大ロボ・メカジャイガンおよびネオメカジャイガンが巨大戦を務め、バイオロボがそれを迎え撃つというパターン。 デカレンジャーでもこれを踏襲。回によっては巨大化することもあったが、 基本的にはアリエナイザーがエージェント・アブレラから購入した巨大メカ・怪重機を駆り巨大戦に移行するというものになっている。 ファイブマンに登場した銀帝軍ゾーンの巨大エイリアン・ゴルリンは、なんと怪人の能力をコピーしようとしたら、 岩に躓いて転び、脳震盪でそのまま倒れてしまったため、巨大化が出来なくなってしまうという珍事が起きた。 ゴーバスターズのヴァグラス側のメガゾードはメタロイドが誕生するとすぐにその能力をコピーし、 (時間差や出現する場所の誤差はあるものの)怪人と同じ場所に現れるという方法で出現するため、 「等身大の怪人の相手をしつつ、巨大戦を同時進行で行う」という手順が取られている。後にキラメイジャーの邪面獣でも同様の手法がとられた。 ちなみに仮面ライダーやアメコミ映画のように「ヒーロー同士の対決」があまりないためなのか、戦隊ロボ同士の対決はレアな部類に入る。 番外編 巨大化した怪人がパワーアップする 怪人の中には巨大化すると等身大の頃よりパワーアップする者も存在する。 例えばシンケンジャーのフダガワラは巨大化すると両腕の板が等身大の時より大きくなり、攻防一体の武器として機能する。 またゴーオンジャーのオイルバンキは巨大化している最中に、 ヒラメキメデスによって改造された強化形態「第二次サンギョウカクメイ」でエンジンオーやガンバルオーを苦戦させている。 最初から巨大 怪人の中には新帝国ギアのメカジャイガンや邪命体エヴォリアンのギガノイドの様に元々巨大サイズの敵も存在し、登場後そのまま巨大戦に入ることになるパターンもある。 また、そういった怪人たちは自らの力を制御することで等身大になり、大ダメージを受けると本来の巨大な姿に戻ることもある。 魔法戦隊マジレンジャーの冥府神がその最たる例と言えよう。 量産型巨大戦要員 侍戦隊シンケンジャーで大ナナシ連中や切神が登場したのを皮切りに、時折巨大化に対応した戦闘員や、量産型巨大怪人、搭乗型の量産型巨大ロボットといった使い回しの効く巨大戦要員も登場するようになった。 主に巨大化した怪人に取り巻きとして使役されるか、「今週の怪人はシナリオ上倒すわけにはいかないが、玩具販促のために巨大戦をやらねばならない」といった事情のある時に代理として登場し、 等身大戦闘員と同じく戦隊ロボに斬られて強さをアピールするのが仕事。 【巨大化の変遷と一覧】 ▷ 70~80年代 黎明期故か巨大化方法で色々と思考錯誤の多い時代と言える。 見栄えの良さと分かりやすさを兼ねているためか、全体的に何らかのエネルギーを光線状にして倒れた怪人に照射し巨大化を行う作品が多い。 黒十字城(秘密戦隊ゴレンジャー) 極めて特殊な例で、基本的には「要塞戦」に該当するのだが、最終回のみ敵首領の黒十字総統の首を刎ねた後、 「切られた頭部が黒十字城に変化し巨大化、これにゴレンジャー側は自軍メカで特攻」という巨大戦の原型のような展開になった。 ただ、黒十字城は最終回以前から登場しており、この時も黒十字城内に戦闘員が出てくる場面があるので、本当に巨大化だったのかはっきりしない。 (ゴレンジャーは「黒十字総統の正体は、黒十字城」「自分の頭脳を機械に植え付けてしまった」と言っているので「基地との合体」パターンともとれる。) 悪魔ロボット(バトルフィーバーJ) 「弟よ~!(妹よ~!)」 サタンエゴス「我が子よ!我が兄弟よ!我が命は不滅! 兄弟力を合わせ、バトルフィーバーを倒せ!」 ケニア「また出やがった!」 スーパー戦隊シリーズにおける記念すべき初巨大化……と言いたいところだが、 厳密に言うと今作の場合、秘密結社エゴスが生み出したエゴス怪人の弟或いは妹として作られた、 エゴス怪人と同じ姿の巨大ロボット「悪魔ロボット」が出現するため、怪人自体は巨大化しない。 エゴス怪人との違いは、額に付けられた結晶体の有無(ロボット側に結晶体がある)。 エゴス怪人が倒される前に呼ばれケースも多く、等身大戦と巨大戦が同時進行で行われることもある。 …が、大抵はジャパンの「兄貴から先にやるぞ!」の掛け声と共に速攻でペンタフォースを発動されてしまい、救援のはずが実際は半ばエゴス怪人の死亡フラグという、なんとも難儀な存在となっている。 同作で唯一巨大化したのは首領のサタンエゴスで、最終回で特に説明はなく座ったままの姿勢で巨大化している。 細胞操作(電子戦隊デンジマン) 「ゆ~る~さ~ん~!」 今作で初めて戦隊怪人は直接巨大化するようになる。 ベーダー一族が生み出したベーダー怪物は身体の細胞を自由に組み換える事で巨大化やミクロ化する能力を持っており、 これを利用して巨大化する。 デンジブーメランを食らって巨大化→巨大戦で倒される、というのが基本パターンだが、 デンジブーメランの前に巨大化して巨大戦→等身大に戻って逃げるも、デンジマンに追いつかれてデンジブーメランでトドメ、というパターンもある。 巨大化システム(太陽戦隊サンバルカン) 「巨大モンガー!」 機械帝国ブラックマグマの本拠地「鉄の爪」からの指令電波を受けることでシステムが起動し、 機械生命体内部の歯車が高速回転。そして上記の叫び声を上げながら巨大化するというシステム。 巨大化の原理は企画書によると、材料の「超重量金」がエネルギーを与えることで形状記憶合金のように変形(というか膨張)するという裏設定があるが、 本編では超重量金は第13話のアイアンモンガーの原料として出てくるぐらいで、これが巨大化システムと関与しているのかどうかについてちゃんと説明していない。 (アイアンモンガーの超重量金自体はレーザーを当てると大きくなり、重量も明らかに増している描写があったが。) 体内の内部メカ描写は『ロボット110番』のガンちゃんの流用。 バルカンボールを食らってから巨大化するのが基本パターンだが、 登場早々にモンガーが巨大化して、サンバルカンロボとの対決を望んだ例もあった。 コング(大戦隊ゴーグルファイブ) 「○○コング出動!」 「リフレッシュパワー!」 暗黒科学帝国デスダークの科学者が作り上げた戦闘用巨大ロボ。 合成怪獣が敗れると本拠地デストピアから出撃し、 『リフレッシュパワー光線』で敗れた合成怪獣を蘇生させた上で体内に転送した後、 蘇生されたモズーがコングを操縦して戦うという若干回りくどい手法を取る。 当初は幹部のザゾリヤ博士とイガアナ博士が個々にコングを設計・製作し、 お互いを戦わせて、強い方を実戦に投入するというこれまた色々めんどくさい方法を取っていたが、 結局5話以降からは、作戦に投入されるモズーとほぼ同じ外見(*1)のコングが作られるようになった。 最終回の一つ前では幹部のデスギラー将軍がコングを奪って自ら操縦して戦った。 この巨大ロボに乗り込んで戦う手法はデカレンジャーの「怪重機」を思わせる。 なお、エゴスのパターンと同様、首領の総統タブーのみ最終回で実際に巨大化して対決している。 ビックバン・プログレス/ビックバン・ビーム(科学戦隊ダイナマン) ビックバンプログレス ――進化獣が生命の危機に陥ると、細胞が巨大増殖し、急速に進化して超進化獣となる―― ――これをビッグバン・プログレスという!―― 「ビッグバン・プログレス! 超進化獣○○シンカ!」 有尾人一族ジャシンカ帝国の進化獣が過大なダメージを受けることによって生命の危機を感じると、 ビックバン・プログレスと呼ばれる細胞が急速に増加する現象を起こし巨大化。 上記の叫び声を上げながら「超進化獣」へと変貌する。 この頃から巨大化のシークエンスが凝り始めてくる。 ビッグバンビーム カー将軍「ビッグ・バン・ビーム!」 カー将軍がメカシンカと同時に開発した、メカシンカ復元・巨大化光線およびその照射装置。 メカシンカは機械要素があるためか自力で巨大化はできず、倒されると共にに発生する地割れによってメカシンカの残骸が地底に落下。 その残骸に対し、カー将軍の号令でグランギズモからビームを照射。残骸となったメカシンカを「超メカシンカ」に再生巨大化させる。 しかし使用するにはカー将軍の声紋と指紋を認証する必要があるため、彼以外にこの装置を使用する事は不可能。 作中でも、第49話で彼が死亡してからはメカシンカは巨大化しておらず(同話のコンピュータードラゴンはカー将軍が死ぬ間際に巨大化させて間一髪で間に合っている)、 このため最終回では最後のメカシンカが倒された後、ほぼ同時に自分も敗れて撤退した新しい帝王メギドは移動要塞グランギズモで出撃してきたのだが…。 メカジャイガン/ネオメカジャイガン(超電子バイオマン) 新帝国ギア総統・ドクターマンが製造する巨大ロボット。 南極にある本拠地「ネオグラード」から、輸送カプセルに乗って飛来する。 『バイオマン』では等身大のゲスト怪人枠は登場せず、代わりにこのメカジャイガンがゲスト怪人枠として毎週登場する。 メカジャイガン ドクターマン「メカジャイガン・○○カンス、出撃!!」 番組初期から中期にかけてに登場した巨大ロボ。 名前は「~カンス」で統一され、動物モチーフのものが多い。 ネオメカジャイガン ドクターマン「ネオメカジャイガン・○○メガス、出撃!!」 メカジャイガンのパワーアップ型としてドクターマンが製造。名前は「~メガス」。 外見は兵器モチーフの無機質的な機体が増え、火力・装甲・出力共に大幅強化された。 更に大幹部であるビッグスリーが直接乗り込み操る有人機になっている事が最大の変更点と言える。 機内にはメラージュ戦闘機が搭載されており、敗れたビッグスリーがこれに乗って脱出するのがお約束。 なお、『バイオマン』では首領や幹部を含めても最終回まで一切巨大化する敵はいなかった。 ギョダーイ(電撃戦隊チェンジマン) 「ギョッダ~イッ!ギョギョギョギョギョギョギョギョーッ!」 ギョダーイ星の生物で、大星団ゴズマの一員。 口内にある単眼から放つ光線を倒された宇宙獣士に照射することで、対象を巨大化させる事ができる。 対象の生死を問わず蘇生・巨大化させられる(*2)という便利なスペックを誇るが、 照射する度に体力を大きく消耗してしまうという欠点を持つ。 そのため無駄な体力の消費を避けるべく、普段は母艦ゴズマード内で寝てばかりいる。 宇宙獣士が倒れる度に母艦から駆り出され、光線照射後ヘトヘトになりながらさっさと円盤で母艦に帰っていく姿はどこか哀愁漂う。 なおこの能力はギョダーイの種族が持つ能力であり、それゆえにゴズマに乱獲されているという。 エネルギー生命体クラーゲン(超新星フラッシュマン) レー・ワンダ「クラァァァゲェェェェェンンン!!」 サー・カウラー「クラーゲン!……ハックション」 改造実験帝国メスの獣戦士が倒されると幹部達に呼び出されてラボーから飛来。 単眼から放つビームを照射することで倒された獣戦士を再生巨大化させる。 エネルギー照射後はパワーダウンによって手の平サイズにまで縮小してしまう。 その後は地面を這いずって幹部の肩に乗って帰ったり、奇声を発してコソコソと逃げたりするなど、どこか愛嬌があって可愛らしい。 最終回でクラーゲン自体が最後のデウス獣戦士ザ・デーモス(最初から巨大)に改造されてしまったので出てこない。 エネルギー獣オケランパ(光戦隊マスクマン) 「ケラケラケラケラ、オケランパ~!」 「ふぅ~、やれやれ……」 地底帝国チューブの地帝獣が敗れると地中から出現。 頭部付近の甲殻が開いてエネルギーを照射する事で地帝獣を巨大化させる。 基本的には幹部達に呼ばれて現れるが、自分から勝手に出てきて巨大化を行う事も(*3)。 最終回では出てこず(一つ前の回では無傷のまま撤退)、首領のゼーバはマスクマンの攻撃を逆手に取って巨大化している。 大型エネルギー砲・ギガファントム(超獣戦隊ライブマン) ガードノイド・ガッシュ「ギガファントム……!」 武装頭脳軍ボルトの頭脳獣が敗れると何処からともなくガードノイド・ガッシュが現れ、 敗れた頭脳獣に対してエネルギー砲「ギガファントム」からカオスファントムエネルギーのビームを照射することで頭脳獣を再生・巨大化させる。 頭脳獣が敗れる度にライブマン達の後方に音も無く現れ、ライブマン達をビームの衝撃で毎回ぶっ飛ばしながら頭脳獣を巨大化させるのは、劇中での恒例行事である。 本来は頭脳獣以外の生物は巨大化できないが、オブラーの開発した装置と併用する事で、恐竜の子供を生きたまま巨大化させて操った事があり、 装置を破壊すると恐竜は元に戻ったが、無理な巨大化によって寿命が縮み、死亡してしまった。 暴魔再生巨大化光線(高速戦隊ターボレンジャー) 敗れた暴魔獣が暴魔百族の幹部陣が放つ光線を浴びることで再生・巨大化する。 幹部によって光線の出し方には差異がある。 バリエーションは以下の通り 暴魔博士レーダ:笛を奏でることで出現するアンモナイトのような幻影から 姫暴魔ジャーミン:口から放つ蛇状のエネルギー体から 暗闇暴魔ジンバ:口から放つジンバの頭型のエネルギー体から かっとび暴魔ズルテン:法螺貝を吹き鳴らし放つエネルギー体から 流れ暴魔ヤミマル:口笛と共に肩に出現する蜘蛛・ヤミクモから→兜から(*4) 流れ暴魔キリカ:リング状の大型手裏剣から 暴魔大帝ラゴーン:触手の先端から ▷ 90年代 光線式が多かった70~80年代と比べ巨大化方法が個性豊かなものになっている。 ネタ的にもインパクトの強い巨大化が多いのも特徴か。 巨大化獣ゴルリン(地球戦隊ファイブマン) 「ゴルリーン、〇〇号!!」 ――ゴルリンは細胞活性エネルギーを放射吸収することによって、自らの体を核にして銀河闘士を巨大銀河闘士に再生復活させることができるのだ―― 銀帝軍ゾーンの巨大改造エイリアンで、のっぺりとした白色の巨人。 幹部の掛け声と共にどこからともなく走ってきて、敗北した(主に瀕死の)銀河闘士を取り込み、上記解説の様に巨大化再生させる。 銀河闘士以外でも合体でき、13号が銀河植物シドンデモン、36号は重機と合体してビックガアロンになってたが後者は素ではなく改造強化された個体。 劇中では1~37号まで登場。なお、黒ゴルリンほどではないが銀河闘士を取り込まなくても戦うことは可能で、 6号と21号がで戦闘しており、顔からビームを撃ったりしていた。 取り込む前に銀河闘士が死亡してしまった場合は巨大化させられない。 一度、銀河闘士が死亡寸前だったため焦り過ぎて岩に転んで巨大化に失敗した事があり、 ビリオン「ゴルリンも走れば岩につまづくか」 ドルドラ「おのれ!」 ザザ「人生いろいろでございます」 というやり取りは色々と有名。 ちなみに、転んでしまったゴルリン12号は以後出てこなかった(次回は13号)ので脳震盪で死亡したようである。 初代艦長シュバリエは戦闘力に特化した黒ゴルリンを「カモン!」と召喚するが、こちらは再生・巨大化能力を持っていない。 次元虫/バイオ次元虫(鳥人戦隊ジェットマン) 次元戦団バイラムの次元獣は寄生している次元虫の能力で巨大化できる。 そのため、たとえ次元獣が敗れずとも巨大化が可能。 次元獣が爆発した後、寄生していた次元虫が剥がれ落ち、エネルギーを放出して次元獣を再生巨大化させる。 ただし欠点として寄生している次元虫が死ぬと巨大化できない。 ちなみに戦闘機や家といった、最初から巨大な物体に次元虫を寄生させた場合、最初から巨大な次元獣が誕生する。 ドーラセプター(恐竜戦隊ジュウレンジャー) バンドーラ「大地に眠る悪霊達よ……!ドーラ〇〇に、ハァッ!力を、与えよーっ!!」 魔女バンドーラが月面にあるバンドーラパレスから投げる杖。 これを地球目がけ投擲し、地球の地表に突き刺さると同時に杖から放たれる赤い電撃で地割れを起こして悪霊達を呼び覚まし、 その力で敗れたドーラモンスターを再生巨大化させる。 ただし、殆どの場合倒される前に巨大化させることが多かった。 ドーラモンスターの生死を問わず巨大化できたり、 人間の子供や妖精といったドーラモンスター以外の存在であろうと巨大化させられるハイスペックな手法だが、 使用するにはバンドーラの力が全てなため、バンドーラの体調によってはドーラセプターを投げられず巨大化させられないことも。 ネオグリフォーザー「天空に眠る我が主よ!このネオグリフォーザーに力を与えよ!!」 ちなみに「獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦 さらば永遠の友よ」に登場したネオグリフォーザーは、自力で宇宙からドーラセプターを飛来させて巨大化した。 マイティ・モーフィン・パワーレンジャーにおいても「Magic wand! Make my monster glow!(魔法の杖よ!モンスターを巨大化させよ!)」の決め台詞と共に巨大化アイテムとして用いられており、ファンの間では怪人の巨大化の総称として「make my monster glow」が用いられることも多いとか。 巨大化爆弾(五星戦隊ダイレンジャー) ザイドス少佐「こうなったら一気に潰してやるぅ!巨大化ばくだぁぁん!」(チリーン)「こっちだぁぁぁぁ!」 ゴーマ怪人が所持する銀色の球体型爆弾。 手榴弾の如くピンとなっている小さい球体(上部)を抜き、足元に投げ付けて爆発させ、そのエネルギーを吸収して巨大化する。 ダイレンジャーの攻撃により誘爆したり、うっかり足元に落としたはずみで爆発するなど、使用者の意思に関係なく効果が発動するケースもあった。 また起爆は手動という性質上、起爆する前に死ぬと巨大化できない。 ただし他者がゴーマ怪人の死体に巨大化爆弾をぶつける事で強制的に再生巨大化させる事は可能で、その場合はゴーマ怪人は意思を持たずに凶暴化する。 妖怪エネルギー(忍者戦隊カクレンジャー) 「こうなったら、大きくなって踏み潰してやる!」 妖怪が活動していくのに必須なエネルギーであり彼らの本質。 カクレンジャーに敗北した妖怪が黒雲を呼び起こし、黒雲からマイナスエネルギーで出来た落雷を浴びる事で巨大化する。 巨大化システム(超力戦隊オーレンジャー) アチャ「コチャ、行きやすよ!」 コチャ「ハイハイ! 任せんしゃ~い!」 「アチャ~!」「コチャ~!」「アチャ~!」「コチャ~!」 「巨大化エネルギー注入!」 「おっきくなってね~!」 マシン帝国バラノイアの執事アチャが執事コチャをハンマー投げの要領で戦闘不能状態のマシン獣まで投げ飛ばし、 投げ飛ばされたコチャがマシン獣の体内にエネルギーを注入する事で巨大化させる。 高度な科学力を持つロボット集団なのに、なんで巨大化時だけアナログな方法なんだと突っ込んではならない。 当初は存在しておらず、巨大マシン獣の形式も最初から巨大なバラソーサーや、バラブレインが生成した巨大分身体バラセパレートなど統一されていなかったが、 オーレンジャーロボ出現を受けたバッカスフンドの命により、第8話にてアチャとコチャが改造を(無理矢理)受けて能力を獲得した。 プロセスそのものはさほど特殊ではないが、敵組織側が戦隊ロボに対抗するために後から巨大化方法を確立というパターンはシリーズ全体で見てもかなり珍しい。 「芋長」の芋羊羹(激走戦隊カーレンジャー) 「変なのが芋羊羹買ってった~!」 戦隊シリーズの中でも最も異色且つ有名かもしれない巨大化アイテム。 見た目は普通の芋羊羹であり、実際に作中の和菓子屋『芋長』で作られ、普通に店頭販売している。 宇宙暴走族ボーゾックの発明家グラッチが、この芋羊羹が自分達を巨大化させる事に偶然気付き、以降ボーゾックの荒くれ者の巨大化アイテムとなった。 購入は大抵グラッチが実費でやっている。 コンビニの芋羊羹だと逆に小さくなってしまい、賞味期限切れの芋羊羹だと一時的には巨大化するも、すぐに元に戻って腹を壊してしまう。 詳しくは当該項目を参照。 巨大化ウイルス(電磁戦隊メガレンジャー) ビビデビ「ビービデービビー! 巨大化ウイルス注入~、ガブッ!」 第3話で邪電王国ネジレジアのDr.ヒネラーに改造されたビビデビが得た能力。 敗れたネジレ獣に噛みつくことにより、ビビデビの姿をしたウイルスをネジレ獣の体内に注入しネジレ獣を巨大化させる。 ネジレ獣が焼き尽くされて灰だけにされても、ビビデビがその灰を吸い込んで、ウイルスと共に吐き出せば再生巨大化が可能。 バルバエキス(星獣戦隊ギンガマン) 「バルバエキス!」 ――バルバンの魔人は、バルバエキスを飲む事で巨大化する―― ――だがそれは、自らの命をも縮める、 まさに、最後の手段でもあるのだ!―― 宇宙海賊バルバン所属の魔人達が所持する巨大化アイテム。 これを飲み干すことで肉体を巨大化させる事ができるが、強靭な肉体を持つ魔人でさえ寿命を縮めるという文字通りの劇薬。 容器が軍団ごとに異なるがいずれも効能は同じ。 詳しくは当該項目を参照。 再生カード/ゴレムカード(救急戦隊ゴーゴーファイブ) 災魔一族の呪士ピエールが所持するカード型の巨大化アイテム 死んだサイマ獣の肉片にカードを投げつけ、呪文を唱える事で死んだサイマ獣を復活させる。 一度死ななければ巨大化出来ないため、巨大戦に参加させるためだけに幹部から殺された奴もいる。 カードによって呪文や復活後の効果にバリエーションが存在する。 再生カード 「闇の世界の力よ、最後の力を!アミアス・アミアス・アミクロス!」 「災魔復活!!」 ――死せるサイマ獣はピエールの再生カードにより巨大な死霊として復活する―― ――巨大サイマ獣は破壊本能のみに従い、1万倍の力を発揮するのだ!―― 最も多く使用した巨大化アイテム。死んだサイマ獣を死霊に変えて復活させる。 詳しくは当該項目を参照。 ゴレムカード 「大魔女の祈りよ、更なる力を!アミアス・アミアス・アミゴレム!」 「災魔転生!!」 ――ゴレムカードは死せるサイマ獣の肉体を分子レベルで再構成し、更に強力な能力を加えて、生き返らせるのだ!―― 物語中盤で出てきた巨大化アイテム。死んだサイマ獣の肉体を再構成し、強化・蘇生させる。 その特性故か枚数が非常に少ない希少アイテム。 詳しくは当該項目を参照。 ▷ 00年代 CGが本格的に定着し、2000年代の映像技術を存分に使用した迫力ある巨大化シーンが増えてきた。 バリエーションの豊かさも更に広がっている。 巨大化抑制シール(未来戦隊タイムレンジャー) 「圧縮冷凍なんて、されてたまるかよぉ!」 「バカバカバカ!どうしてくれんのよ、こんな身体になっちゃって!もう泥棒もできない~!」 ギエン「フフフ。さあ、行って来いノヴァ。愉しませてくれよ……」 ロンダー囚人の身体に貼られた特殊なシール状の巨大化アイテム。圧縮冷凍前に予め囚人の身体に貼られている。 圧縮冷凍刑を受けた者は、圧縮冷凍から解凍されると、反動で体組織が20倍に膨れ上がり巨大化してしまう「リバウンド」という現象が起きてしまう。 このリバウンド現象を抑えるために取り付けられるアイテムが「抑制シール」であり、厳密には巨大化アイテムというよりは体質による巨大化に近い。 大抵の囚人は、再逮捕から逃れるための最後の悪足掻きとして自分で剥がしているが、大ダメージを受けた衝撃で剥がれてしまう事も。 リバウンドすることを嫌う囚人もおり、そういった囚人はリバウンドしてしまった場合、特に暴れる事無く圧縮冷凍を受けている。 ギエンはこの性質を悪用。自身が開発した兵器を敢えて圧縮冷凍し、意図的に兵器を巨大化させる行為を実行していた。 巨大化の際、シールを剥がした跡から細胞組織が膨れ上がっていき巨大化するシークエンスが挿入される。 オルグシード(百獣戦隊ガオレンジャー) ツエツエ「オルグシードよ!消えゆかんとする邪悪に、再び巨大なる力を……!ハァッ!!」 「鬼はー内!福はー外ーっ!!」 倒され緑の泡状の残骸と化したオルグ魔人の肉体に、ツエツエが自身の杖の先からオルグシードを放出。 放たれたオルグシードは残骸に付着することで蔦となって急成長、その蔦が絡まり合い新たな肉体を構築することでオルグ魔人を巨大化・復活する。 鬼が豆まきで巨大化という皮肉の効いた設定が秀逸。 なお、Quest.18ではデュークオルグ・狼鬼も右掌からオルグシード(彼はウルフシードと呼称)を放出することができる事が確認されている(*5)。 ちなみにこのオルグシードは食べても巨大化でき、作中でヤバイバが自分で食べたり、猛獣使いオルグやオルゲット兵に無理矢理食べさせたりして巨大化している。 この場合は時間経過で元のサイズに戻る模様。 詳しくは該当項目にて。 コピージャイアント/再生巨大化の術の巻物/デッ仮面/宇宙忍法・巨大身の術(忍風戦隊ハリケンジャー) 宇宙忍群ジャカンジャの場合、各上忍によって巨大化の手法が異なるため、バリエーションは全戦隊中トップクラス。 共通点として巨大化とその説明は全て四の槍ウェンディーヌが行っている。 該当項目も参照されたし。 コピージャイアント 「私の可愛いコピージャイアントは破壊されたクグツ忍者の能力を全て写し取り、更にパワーアップして再生する事ができるのよ」 五の槍サーガイン配下用の巨大化アイテムであり、ウェンディーヌが所有する巨大ロボット。 コンパクト型携帯端末によってセンティピードからロケット形態で射出され、現地に到着すると同時にロボット形態に変形。 破壊されたサーガイン配下のクグツ忍者の残骸からデータをスキャンした後、自身に反映する事で再生巨大化させる。 21世紀版ゴルリンのような巨大化アイテムである。 再生巨大化の術の巻物 「私、ウェンディーヌのバズーカで呪文を込めて打ち出せば、一度倒れた者の全てを形作り巨大化。最大のパワーを発揮することができるのよ」 二の槍チュウズーボ配下用の巨大化アイテム。 サーガイン配下に使用されたコピージャイアントの存在に危機感を覚えたチュウズーボが必死に対抗策を模索する中、 石版に書かれた古代ジャカンジャ呪文を発見。宇宙忍法・呪文写しで巻物に書き写して完成させた巨大化アイテム。 ウェンディーヌが巻物をバズーカに入れて発射。 瀕死の中忍に到達すると、巻物に書かれた呪文が発動して中忍を取り込み再生及び巨大化させる。 海外版『パワーレンジャー・ニンジャストーム』では怪人の軍団制がオミットされたため、巨大化法はこれに一本化された。 デッ仮面 「私が投げたデッ仮面は、やられた中忍の細胞を集めて、仮面に合った大きさに巨大化させちゃうらしいのよ。あ~~、肩凝った……」 六の槍サタラクラ配下用の巨大化アイテム。 その名の通り巨大な仮面で、ウェンディーヌがハンマー投げの要領で投げつける。 投擲されて飛来したデッ仮面は中忍の細胞を吸収し、巨大化再生を行う。 なお宇宙一小さい種族出身の中忍バンパ・イヤーンが敗れた際は、 その身体のサイズ故に、ウェンディ―ヌはバンパ・イヤーンが完全に巨大化するまで2回もデッ仮面を投擲する羽目となった。 心なしか、説明もやや不機嫌そうである。 宇宙忍法・巨大身の術 「虫ケラ共がいつまでもチョロチョロと……邪魔はさせん!」 「宇宙忍法・巨大身の術!」 七の槍サンダールが披露した、自身の肉体を巨大化させる宇宙忍法。 他者を信用していないサンダールを反映するかの如く、唯一ウェンディ―ヌはこの術に関わってはいない。 ジャメーバ菌を含む雨(爆竜戦隊アバレンジャー) リジェ「あ、死んだ……あ、生き返った!あの雨の中にジャメーバ菌が入ってて、その力で巨大化するんだよね!」 ミケラ「驚いてるだろうねぇ、アナザーアース人……」 倒され無数の破片となった邪命体エヴォリアンのミケラが作ったトリノイドの残骸の中から出てきた「生命の実」が昇天。 実が空中で黒雲と化し、周囲にジャメーバ菌を含んだ雨を降らせる。 雨を浴びたトリノイドの残骸は溶けて混じり合うようにモザイク状に融合・再構成され、トリノイドを再生巨大化させる。 なお再生は自動で行われており、いわばトリノイドの特異体質とも言うべき巨大化方法である。 ちなみに劇場版「アバレサマーはキンキン中!」に登場したヘキサノイドのハナビキニキビーナスは、3種ではなく6種合成した影響なのか、巨大化できなかった。 これ以外にエヴォリアンには「ギガノイド」という怪人もいるが、こちらは最初から巨大サイズで生まれる。 怪重機(特捜戦隊デカレンジャー) レイン星人 エージェント・アブレラが製造・販売・レンタルしている巨大戦闘用ロボットの総称。 商品であるために同型のシリーズ機が複数に渡り登場している。 派生機は色違いだったり武装が一部変更されたマイナーチェンジ版だったりと様々。 アリエナイザーが操縦している場合、怪重機ごとデリートの許可が下りる。 『デカレンジャー』本編では様々な惑星の宇宙人が登場する上、アリエナイザーは個別で犯罪を侵す場合も多く、共通した巨大化の方法がない。 自力で巨大化できるアリエナイザーも何人かいたが、巨大戦はほとんど怪重機で行なわれる。 ちなみに初期の頃「巨大化保険」なる物をアブレラが扱っている説明があり、本編でもジューザ星人ブライディが実験台にされていたが、 人気がないらしく、本編では最後までこれに加入したアリエナイザーは出なかった。 魔導陣(魔法戦隊マジレンジャー) ウルザード「ドーザ・ウザーラ」「ドーザ・ウル・ウガロ!」 メーミィ「ドーザ・メザーラ」「ドーザ・メル・メガロ!」 対象となる地底冥府インフェルシアの冥獣や冥獣人の真下に魔導陣を展開し、上記の呪文を唱える事で巨大化。 ウルザードは冥獣、メーミィは冥獣人の巨大化を担当している。 なお、一時期、ウルザードの魔法力で練成したウーザフォンを与えられていたバンキュリアが、ウルザードの魔法で冥獣人を巨大化させていたが、元々どちらも巨大化できたのか、メーミィの練成により可能になったのかは不明。 呪文の効果は以下の通り。 「ドーザ・ウザーラ(メザーラ)」:対象の再生、 「ドーザ・ウル(メル)・ウガロ(メガロ)」:対象の巨大化 『非公認戦隊アキバレンジャー シーズン痛』ではプリズムAに対抗すべく八田三郎から託されたウーザフォンにより、マルシーナが魔導陣を使用。 超アキバレッドを巨大化させた。 影忍法・オオガミの術/邪悪竜/***(轟轟戦隊ボウケンジャー) 本作では複数の敵組織が各自勝手に行動しており、共同戦線を張る事も対立する事もある。 巨大枠の投入方法も各自違い、等身大から巨大化するものと最初から巨大なものが混在している。 影忍法・オオガミの術 幻のゲッコウ「古き魂達よ、ツクモガミに宿らん……。影忍法・オオガミの術!カァーッ!!」 ダークシャドウの長「幻のゲッコウ」が、敗れたツクモガミに向けて無数の札を飛ばして貼りつけ、ツクモガミを巨大化させる術。 ネガティブシンジゲートの面々では珍しい、お決まりの巨大化パターンである。 邪悪竜 ジャリュウ一族の長「創造王リュウオーン」が、蟲毒の様に殺し合わせたジャリュウの生き残りに自身の力を注入し進化させた個体。 更にリュウオーンが銃で放ったエネルギーを注入されることで巨大化するパターンが多い。 肉体を捨てる 「ガイ様… レイ様。 ヒョウガは、肉体を捨てます!」 アシュが行う巨大化方法。 一度巨大化すると、二度と元の大きさに戻れなくなる。 その他――最初から巨大なもの巨神:ゴードム文明が用いる古代兵器。 クエスターロボ:クエスターが用いる巨大ロボ。 大邪竜:ジャリュウ一族が用いる巨大なサイボーグ恐竜。ジャリュウやリュウオーンが乗り込み操縦する 邪身豪天変/幻身豪天変(獣拳戦隊ゲキレンジャー) 「リンギ! 邪身豪天変!」 「ゲンギ! 幻身豪天変!」 臨獣殿および幻獣拳の拳士が使用する臨気によって自身の身体を巨大化させるリンギ。 名称は違うが、基本的な性質は二つとも全く同じ。 違いは、巨大化に用いる力が「臨気」か「幻気」かの違いと思われる。 本来は激獣拳にもこれに相当する激技「倍倍分身拳」が存在するが、ゲキレンジャーは初出動の時点でまだこれを習得しておらず、 代わりに3人で1人の巨大拳士に融合変身する獣拳合体を編み出したため、劇中ではマスター・シャーフーが一度使ったのみ。 ビックリウムエナジー/ドッキリウムエナジー(炎神戦隊ゴーオンジャー) ビックリウムエナジー ケガレシア「ビックリウムが満ちるでおじゃる!」 蛮機獣「サンギョーカクメーイ!!」 蛮機族ガイアーク製の緑色の液体状エネルギー物質。 蛮機獣の体内に搭載され、活性化させて体内に循環させることで、上記の掛け声と共に蛮機獣を巨大化させる効果がある。 蛮機獣にとっても人間にとっても大量に摂取すると命の危険を伴う非常に危険な劇薬でもある。 また、中には改造を受けて「第2次産業革命」を起こしたオイルバンキ、ビックリウムエナジーを抜かれて巨大化できなかったハッパバンキ、産業革命の始まりは紡績機の発達からであることに起因して「元祖産業革命」を起こしたボーセキバンキなどもいる。 ドッキリウムエナジー 「チョーサンギョーカクメーイ!!」 「ビックリウムエナジーの発展版」と称される、総裏大臣ヨゴシマクリタイン一派が開発した赤色の液体状エネルギー。 終盤に登場し、直接経口接種する事で身体を活性化させ、上記の掛け声と共に肉体を巨大化させる。 二の目(侍戦隊シンケンジャー) 丈瑠「油断するな、アヤカシは命を二つ持っている。 今のは一の目だ。すぐ二の目が出るぞ!」 自身が死ぬと自動的に発動する、外道衆のアヤカシ達が持つ第2の命。 発動するとその肉体を巨大な姿に変えて復活させる特殊能力。発動する際には爆発の炎や煙が巻き戻るように怪人へと収束する。 基本的には等身大と同じ姿で復活するが、フタガワラのように姿が大きく変化する場合がある。 他のアヤカシから命を分け与えられる事で、二の目の状態で敗れても更なる異形となって復活する「三の目」という裏技もある。 (当然命を分け与えた側は以後巨大化することはできない) チノマナコは偶然手にした仮面ライダーディエンドのディエンドライバーを手にしたことで「シンケンジャーの世界最初の仮面ライダー」となったため、アヤカシの能力を失い巨大化されなかった。 ▷ 10年代 巨大化方法は過去の戦隊の要素を踏襲しつつ 映像技術の発達によってよりダイナミックな巨大化の演出が行われている。 ビービ虫/ビービネイル(天装戦隊ゴセイジャー) ブレドラン「ビービ虫!」 ブレドランが様々な生物の負のパワー(毒、病、悪意)を練り上げて作った不気味な使い魔。 ブレドランが指を鳴らすと巣から6匹が飛び出て飛来。 対象の身体に噛み付き、魔法陣のような模様を展開することで対象を巨大化させる。 派生として、槍状に変化した状態でマトロイドに突き刺さり、マトロイドを巨大化させる「ビービネイル」がある。 劇中描写されただけでも宇宙人、UMA、ロボット、ヘッダー、護星天使となんでも巨大化させることのできる、なかなかの万能アイテム。 他にも木偶人形に取り憑かせ戦闘員である魔虫兵ビービを生み出したり、繭を作りシンケンレッドを閉じ込めて悪堕ちさせるなど、 巨大化以外にも多くの用途がある。 巨大化ビーム(海賊戦隊ゴーカイジャー) インサーン「まさか、こんな田舎の星でこれを使うとは思わなかったけどね……」 宇宙帝国ザンギャックの開発技師インサーンが地球侵攻開始直後、開発に成功した特殊光線。 ギガントホースの艦首から2台の砲塔を展開し、銃型の発射装置の引き金を引くことでビームを照射。行動隊長やスゴーミンを巨大化させる。 1度倒された後に巨大化した場合、行動隊長の能力によっては「固有能力が失われ、等身大よりも弱体化してしまう」という珍しいタイプの巨大化アイテム。 多くの場合は開発技官インサーンが使用するが、ワルズ・ギルなどが使用する回もあり誰でも使える模様。ただし、インサーンの死後はザンギャックの大艦隊が到着したため使用されることはなく、最終回でギガントホースとともに破壊された。 メガゾード(特命戦隊ゴーバスターズ) 「敵メガゾード、転送反応あり!」 亜空間内で建造されるヴァグラス陣営が保有する大型ロボット。 基本的に スピードタイプの「α」 パワータイプの「β」 強化バトルタイプの「γ」 他タイプに寄生して転送される「δ」 の4パターンが主に登場するメガゾードである。 素体にマーカーも兼ねたメタロイドのデータを取り込み、取り込んだデータを基にした武装や機能を装備された後、 ヴァグラスの本拠地の在る亜空間から現実空間へ転送されてくる。 転送までの手順から出現には若干のタイムラグがあり、なおかつそのラグも幅が激しい。 なお、「メガゾード」とは本来『ゴーバスターズ』における人型巨大ロボットの総称であり、ゴーバスターエース等の人型バスターマシンもこれに該当する。 また、用語としてはパワーレンジャーシリーズにおける戦隊ロボの総称の逆輸入である(*6)。 デーボスの復元水/超増殖細胞(獣電戦隊キョウリュウジャー) デーボスの復元水 ラッキューロ「ちょーっと助けてあげるよ。スクスクジョイロ~!」 キャンデリラ「私達は元々、巨大なデーボス様の細胞から生まれた存在♪」 ラッキューロ「復元水でさ、大きくな~れ!」 デーボス軍の楽しみの密偵ラッキューロが持つスクスクジョイロの中の不思議な水。 デーボスの細胞から生まれた者に浴びせる事で体細胞を活性化させ、巨大化させる力を持つ。 また少量を振り掛けることで武器の修復・強化も行えたりする万能アイテムでもある。 逆に、復活水を瞬時に吸い取り巨大化したデーボモンスターを縮小させるアイテム「シュクシュクボール」もある。 ちなみに、デーボス由来でないもの(人間や植物など)にとっては、ただの水でしかない。 飲んだり振り掛けたりしても一切効果はなく基本的に無害である。 超増殖細胞 物語終盤で登場した巨大化アイテム。 デーボスが、過去に滅ぼした星々のどこかで取り込んだと推測される細胞。 当初はクローンデーボスの量産のために使用されたアイテムであったが、 後に首領・蝶絶神デーボスを筆頭とする一部の幹部陣の体内に組み込まれた事で、彼らは復元水無しで巨大化を行う事が可能となった。 当然ながら、以降はスクスクジョイロや復元水は無用の長物と化してしまい、これによりラッキューロはカオスから直々にリストラを告げられることとなった。 闇暴走(烈車戦隊トッキュウジャー) シャドーラインのシャドー怪人が持つ、一度倒されると体内の闇の力が暴走して再生巨大化する現象。 アヤカシの『二の目』と同様の一種の特異体質であるが、 発動すると周囲の闇を取り込んでしまうため、状況によっては周囲の闇が大幅に失われてしまうことも。 妖術“肥大蕃息の術”(手裏剣戦隊ニンニンジャー) 「妖術、“肥大蕃息の術”!」 『い』ー! 「い」の口をした牙鬼軍団の家紋に表示した「五トン妖シュリケン」を小槌にセットし、 小槌を振るう事で一度倒された妖怪を再生巨大化させる術。 基本的には牙鬼軍団の小姓である十六夜九衛門が使うが、小槌と五トン妖シュリケンがあれば、誰にでも使用できるお手軽な術である。 なお『ニンニンジャー』の劇中では、上記のようにアイテムによる巨大化以外にも、 弓張重三の「射法・肥大蕃息」の他、晦正影や一部の上級妖怪が小槌に頼らず自らの妖術で巨大化するパターン 巨大妖怪オボログルマに幹部が乗り込み操縦することで巨大戦を行うパターン そもそも本来の姿が巨大な首領・牙鬼幻月 …と、色々なパターンの巨大化方法が登場した。 コンティニューメダル(動物戦隊ジュウオウジャー) ナリア「ジニス様の細胞から抽出したエネルギーです。(チュッ)無駄遣いせぬよう励みなさい」 「サンキュー、ナリアー!!」 デスガリアンオーナーのジニスの細胞から抽出されたエネルギーを宿す「コンティニューメダル」を、ナリアが敗れたプレイヤーの身体にあるコインの投入口に課金投入することで復活・巨大化する。 投入口を持たない者にも、食べるなどして体内に摂取させれば使用可能。 1人に複数枚のメダルを一度に投入することで、その相手の巨大化と能力のパワーアップを果たせる「チェーンコンティニュー」という派生パターンもある。 巨大化はジニスのエネルギーが作用しているため、ジニスから直接エネルギーを流し込まれた場合でも巨大化可能。 キョダインロウ(宇宙戦隊キュウレンジャー) 「ヒカエオロー!!」 宇宙幕府ジャークマターに属するダイカーン以上の者に「ジャークマターの権威の証」として与えられているアイテム。 所有者が倒れると砕け、キョダインロウ内に蓄えられたエネルギーが解放されて肉体を巨大化させる。 実は所有者の生態感知がキョダインロウから行われており、所有者がキョダインロウにデータとしてインプットされたダメージ許容量を超えると巨大化するような仕組みが施されている。 上記のシャウトは巨大化の際の叫び声。 大きくなれ/Gros calibre(快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー) ドグラニオ「ゴーシュ。若い野心にもう一度チャンスを」 ゴーシュ「可愛い私のお宝さん。○○を元気にしてあげて」 ギャングラーの凄腕ドクター、ゴーシュ・ル・メドゥの持つルパンコレクション。 ゴーシュが自身の金庫にこのアイテムを格納することで全身のアンプル状のパーツが可動し、左腕に蓄えたエネルギーをギャングラー怪人の金庫の破片に放つことで巨大化させる。 金庫を複数持つ怪人の場合、それら全てに1発ずつ撃ち込む必要がある。 ちなみに、このルパンコレクションのデザインはゴーゴーファイブに登場した、テイルインジェクターが元になっている。 生命エネルギー吸収/巨大魔強化(騎士竜戦隊リュウソウジャー) 生命エネルギー吸収 人間のマイナス感情によって生み出される怪物・マイナソーは宿主となった人間の生命エネルギーを吸収して成長し、どんどん大きくなる。 一度生み出されてしまえば自動的に巨大化し続け、最終的にはドラゴンのような姿の完全体となる。 また、生み出した人間を痛めつけたり、目の前でゴミを散らかしたりすることで、マイナス感情を加速させて巨大化を促すことも可能。 しかしこれ以外の巨大化の方法はないため、等身大で倒されたマイナソーが復活して巨大化することはない。 巨大魔強化 ドルイドン族の一部の幹部が持つ巨大化手段。幹部によって方法は異なる。 タンクジョウは地震や火山のエネルギーを溜めた球体型カプセルを自身に装填することで瞬時に巨大化する。このカプセルは自爆やガスの散布にも使用できる。ガンジョージもこれに似たカプセルを用いて巨大化や自爆を行うが、エネルギーを溜める必要はない。 ガチレウスは右胸の弱点に強い攻撃を受けることで自分の意思に関わらず発動する。全身が琥珀に似た硬い殻に包まれた状態でエネルギーを溜め、一定量のエネルギーが溜まると巨大化する。その性質上ガチレウスが強くなるほど巨大化にかかる時間も短くなる模様。 ヤバソードは自力で巨大化が可能。エラスからエネルギーを受け取っているものと思われるが1回目の巨大化にはそのような描写はなく詳細は不明。 また、イレギュラーな方法として、ワイズルーは描いた絵を実体化するグリモワールマイナソーに巨大な自分の絵を描くことで巨大戦に参加した。 ボージン魔(獣電戦隊キョウリュウジャーブレイブ) ホムラス「おのれ、人間の分際で!我らネオデーボスの力を見よ!ボージン魔、発進!!」 ネオデーボス軍基地から射出される巨大ロボ。 字幕版では「サシン魔」と呼称される。 飛行形態からロボ形態へと変形、通常はネジに似た頭部をしているが地球に到達した際に変形。 それぞれ四神をモチーフとしており、ビャクボージン魔(白虎)=格闘戦型、セイボージン魔(青龍)/砲撃戦型、スサボージン魔(朱雀)/接近戦型、プレーンボージン魔(玄武)/セイとスサの武器を装備と、頭部ごとに戦闘パターンが異なる。 話数が少ないせいか、数が足りないのが欠点。 終盤では総帥デイザルスに従う六魔王も自ら巨大化し、キョウリュウジャーブレイブに襲い掛かった。 ▷ 20年代 邪面獣(魔進戦隊キラメイジャー) クランチュラ「行け、邪面獣!」 闇の帝国ヨドンヘイムの誇る巨大生物。 ヨドンヘイムに生息する闇獣(やみじゅう)という生命体に、邪面を被せる事で邪面獣となる。 邪面獣ジャグチヒルドンのように、「邪面獣+(モチーフとなった邪面)+(闇獣)」の名前で呼ばれる。 邪面師の集めた闇エナジーにより、クランチュラがヨドンヘイムから地球への転送ゲートを開き、送りこんでくる。 その性質上、邪面師と直接的な関係は無いのだが、邪面師はヨドン皇帝と闇の契約を結んでおり、邪面師が倒されると、その生命力が保険として闇エナジーに補填される。 その為、キラメイジャーが直接倒さなくてもガルザが始末する形で邪面師が倒されれば同時に出現する事が多い。 その一方で、闇エナジーさえあれば邪面師が登場せずともいきなり投入される他、地球で成長させるために、小さいまま送り込まれる個体も存在する。 闇獣の種族は以下の通り。 種族 特徴 ヒルドン ヒルのような軟体と触手を持つ闇獣。触手の振動によって、空中に浮遊する事が可能。 リガニー ザリガニのような硬質な皮膚を持つ闇獣。トゲのついた表皮を使って突進する、攻撃的な性格。 シェルガ タニシのように渦巻いた殻を纏った闇獣。重く安定し、防御力に富んだボディを持つ。 バスラ ブラックバスのようにヒレを持つ闇獣。闇獣としてはスマートな体格で、素早い動きを得意とする。 ダガメス タガメのような鋭利な鉤爪と、2つの首を持った闇獣。2つの邪面を着けることが可能。 ゴモリュウ コウモリダコのような胴体を持つ闇獣。闇獣の中でもひときわ巨大であり、戦闘力も他の闇獣とは一線を画する実力を持つ。使用にはヨドン皇帝の許可が必要となる。 該当項目も参照されたし。 クダイテスト&トジルギア(機界戦隊ゼンカイジャー) クダイテスト「お呼びですか~?クダイテスト参上!」 キカイトピア王朝トジテンドの巨大戦闘員「クダイテスト」が 平行世界を封印した「トジルギア」が破損した際に解放されたパワーを吸収して「ダイワルド」へと変貌する。 もともと巨大なロボットに能力を付与するという点ではゴーバスターズのメガゾードに近い。 なお、今作では巨大化するのは味方側の方である。 ヒトツ鬼ング(暴太郎戦隊ドンブラザーズ) 蟾ィ螟ァ蛹 蟾ィ螟ァ蛹 蟾ィ螟ァ蛹(巨大化 巨大化 巨大化) ヒトツ鬼が倒されたときに欲望が暴走して誕生する存在。 脳人達が住まう現実世界と重なり合った異世界「脳人レイヤー」と重なり合うことによって巨大化する。 ヒトツ鬼が倒されても欲望が暴走しなかった場合には出現せず、等身大戦で終了する。 シュゴッドソウル(王様戦隊キングオージャー) 昆虫型機械生命体「シュゴッド」の自我の中核を担うアイテム。 地帝国バグナラクの構成員がこれを食べることで、「異常成虫」と呼ばれる巨大化状態になる。 シュゴッドによって効力が異なるようで、第22話で三大守護神とゴッドタランチュラのソウルを食べたダイゴーグは、150~200mにまで巨大化した。 バグナラク某所にはソウルを抜かれたガーディアンシケイダーの亡骸が山積みにされており、宇蟲王ダグデド・ドゥジャルダンの命を受けたグローディ・ロイコディウムがこれを利用してチキュー各所を襲う事件「神の怒り」を引き起こした。 ちなみに、序盤では巨大化の原理が判明しておらず、金色の何かを食べる描写のみなされていたが、ダイゴーグが巨大化する際にようやく明かされた。 ギャーソリン大暴走体(爆上戦隊ブンブンジャー) ブンドリオ「溜め込んでたギャーソリンが暴走してる!苦魔獣はハイウェイ空間を通って巨大化するんだ!」 大宇宙侵略大走力団ハシリヤンの怪人・苦魔獣が倒されると宙に散る、赤いモヤのようなエネルギー「ギャーソリン」。 これをヤイヤイヤルカーが取り込み、ハイウェイ空間を通る事で苦魔獣がサイズアップ。 ヤルカーが現実世界に戻って吐き出すことで巨大な姿となって実体化する。 ただし、この時ヤルカーは我を忘れた状態であり、初発動時は元に戻った後に困惑していた。また、同僚のデコトラーデやイターシャはこの能力を知らなかった。 また、ギャーソリンは本来ハシリヤンが集めているものであり、発動するとせっかく集めたそれらが全て無駄になってしまうため、敵にとっては発動されるとむしろ都合が悪いという珍しいパターン。 なお、幹部のマッドレックスはヤルカーをギュッと絞って無理矢理貯めてたギャーソリンを吐き出させ、ハイウェイ空間を介さず直接巨大化した。 このように敵怪人の巨大化は戦隊になくてはならないものになっている。 しかしその反面、この要素は怪人の死亡フラグ、敗北フラグとしても有名である。 等身大の時は戦隊を押していたのに、巨大化したらロボの必殺技で逆転勝利というのは良くあること。 中には前述のバルバエキスのように使用したら死亡が確定するものや、 侍戦隊シンケンジャーに登場するアヤカシの二の目のように死亡して初めて巨大化できるなんてパターンも。 ただし例外も多く存在しており、巨大化してロボに倒されても生き残る怪人もちらほら。 そういった怪人は妙に人気が高く、得てしてファンから愛される傾向にある……かもしれない。 追記・修正は芋長の芋羊羹とバルバエキスを摂取しながら、 ビービ虫とオルグシードを体に取り込んだ後、スクスクジョイロの水を浴びてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\巨大化/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] コメント欄が長くなってきたのでリセットしました -- 名無しさん (2016-07-24 21 00 34) 芋長の芋羊羹とバルバエキスを練り込んで作ったコンティニューメダルwww -- 名無しさん (2017-01-04 20 14 06) 打ち出の小槌という万能巨大化アイテムwww -- 名無しさん (2017-01-12 20 11 33) ここ近年、自我を消した上で無理やり巨大化させるケースが増えてきたね -- 名無しさん (2017-01-22 14 52 08) ニコニコの配信で現行戦隊と過去の巨大化アイテムを混ぜたコメントをよく見るけどジュウオウジャー カーレンジャーの「ジニス様の細胞から抽出した芋羊羹」は腹筋に悪かった -- 名無しさん (2017-01-25 06 58 46) ↑ボーゾックのみなさん「何それ食いたくねぇ」 -- 名無しさん (2017-02-19 12 51 36) 今度は印籠か…w -- 名無しさん (2017-02-19 13 31 57) ↑もっとひねりくわえたものなかったのかねぇ… -- 名無しさん (2017-02-20 22 59 31) モチーフが幕府だし名前も巨大と印籠で上手い感じじゃない? ヒーロー側が「控えおろう」って言われるのはちょっと新鮮かもw -- 名無しさん (2017-02-21 06 34 24) ジャークマターはこの項目の2に該当するから等身大戦で未然に阻止されるケースもありそうだな -- 名無しさん (2017-02-21 09 06 07) 中盤で巨大ロボの出番がある回は巨大化しないことも多いよね -- 名無しさん (2017-04-23 08 36 43) 漫画の封神演義で「最後に巨大化した悪者は、絶対に勝てないものだよ!!」とか出てたなあ。 -- 名無しさん (2017-04-23 08 49 16) キュウレンジャーの巨大戦は結局、②キョダインロウでの「ヒカエオロー!!」、③自分で巨大化する(?)「デスワーム」、④ダイカーンやツヨインダベーが搭乗する「モライマーズ」があるから、登場するダイカーンが1体でも3VS3ができるようになってるね。 -- 名無しさん (2017-08-16 10 56 27) 等身大戦で倒されて爆発しても巨大化の方法の都合上身体がバラバラになるのとならないのがあるんだよね -- 名無しさん (2017-09-13 22 14 24) マイナソーは実質項目の3でOK? -- 名無しさん (2019-04-15 11 12 44) マイナソーは確かに3だと思うけど、成長して巨大化ってのは今までありそうでなかったタイプやね。 -- 名無しさん (2019-05-02 22 27 40) ドルイドン幹部は「巨大魔強化」もできる。タンクジョウは自由に、ガチレウスは左胸の弱点を攻撃されることで巨大化。 -- 名無しさん (2019-12-28 15 46 01) 若本さん「ボーゾックの荒くれ者たちは、芋長の芋羊羹を食べる事で巨大化する!しかし、コンビニの芋羊羹だと逆に小さくなり、賞味期限の切れた芋羊羹だと、ラスボスすら下痢を起こして、苦しむ事態に陥ってしまうのだ!!」 -- 名無しさん (2019-12-28 19 10 53) キラメイは久々の④タイプ。ロボットではなくて生物というのは初めてかね。 -- 名無しさん (2020-03-15 13 42 59) 邪面獣は邪面師とは別だけど巨大戦専用マシンではなく生命体だからなぁ -- 匿名 (2020-05-19 18 45 15) 邪面獣を追加、及び20年代として新しく枠を作りました。内容やクランチュラ台詞、リンクの追加など、遠慮なくいじってください。 -- 名無しさん (2020-05-25 20 10 40) ゼンカイジャーも4かな -- 名無しさん (2021-04-03 18 01 25) ビービ虫をかわいいと思ったのは俺だけだろうか -- 名無しさん (2021-06-24 08 00 57) ナリアのブーストコンティニューと通常のコンティニューの違いが未だにわからない -- 名無しさん (2021-07-05 22 46 01) ジニス様の細胞から抽出した芋ようかんをエグゾスに食わせたら、戦隊史上最凶最悪の破壊神が誕生しそうだ -- 名無しさん (2021-07-10 03 15 04) 映画の敵は独自の巨大化法を持つ場合がある -- 名無しさん (2022-01-19 18 27 30) ↑3 強化の差でしょ -- 名無しさん (2022-01-28 21 23 55) 巨大化の要因が脳人レイヤーによるものかヒトツ鬼ングの体質かまだはっきりしないけど一応 -- 名無しさん (2022-03-15 23 09 52) 全作品を見たわけでは無いけれど、見た中ではわざわざライブマンの後方に出現してビームぶっ放すギガファントムが一番印象に残ってる。 -- 名無しさん (2022-05-04 04 53 13) 令和では初の自身巨大化タイプかな>怪ジーム -- 名無しさん (2023-03-05 19 56 17) 巨大化のメカニズムがいまだ明かされないバグナラクだが、何かを食べさせることで巨大化するらしい。 -- 名無しさん (2023-03-20 00 01 50) アレ(芋羊羹) -- 名無しさん (2023-03-20 00 05 53) まだ3話目とはいえ、巨大化の方法が秘匿するのって珍しいな。分かっているのは食べ物ということだけか。巷ではレインボージュルリラ説もあるが…。 -- 名無しさん (2023-03-20 14 19 32) 巨大化の出番そのものが遅いパターンはいくつかあったが、巨大化することがわかっているがそのアイテムが秘匿されてるってのは珍しいかも -- 名無しさん (2023-03-23 21 22 37) 今週の放送でシュゴッドソウルを食べて巨大化していたと判明 -- 名無しさん (2023-07-30 14 52 32) 巨大化アイテムが既に玩具化されていたとは -- 名無しさん (2023-07-30 15 02 03) こうなるとやっぱりレインボージュルリラって -- 名無しさん (2023-07-30 15 07 46) レインボージュルリラが細かくなったシュゴッドソウルの可能性出てきてないかね? -- 名無しさん (2023-07-30 15 12 25) ところでバグナラクが巨大化の時に食うシュゴッドソウルってどこから調達したんだろう。デミシュゴッド捕まえて抜き取ってる? -- 名無しさん (2023-08-07 15 19 22) ハイウェイ空間に突入したヤルちゃんを阻止すれば巨大化、できなければギャーソリンが宇宙のハシリヤン本隊に届けられてしまう…って解釈してるけど、合ってるのかな -- 名無しさん (2024-04-09 18 25 28) ヤルカーの巨大化させる能力は何らかの理由で知らない内に後天的に得てしまった物と思うけどどうなんだろうか?それなら他の二人が初めて観たような反応したことにも説明つきそうだし -- 名無しさん (2024-04-11 19 56 09) 名前 コメント
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23スレ目 修正 79 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 12 29 43 ID /NGobWPZ 76 思念体なしで使える根拠が無いのが問題だったはずだが 80 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 12 35 48 ID kAEPiSq9 79 情報操作能力は長門固有のものとして考察。と言うよりこの能力が借り物だとか 情報統合思念体と接続していないと使えないとかいう描写がそもそもないので。 こう書いてあるから、いいんじゃねーの? 81 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 13 08 34 ID /NGobWPZ 雪山?かどこかで接続が切れた時に弱体化したから 接続が切れたら全能力が落ち込むか否かみたいな議論が解決してなかったような 長門議論は割とスルー気味だったから自信はないが それに朝倉が出来たから長門も出来るとか論外なんだけど 随分都合よくテンプレ作ってる感じがする 82 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 13 14 39 ID kAEPiSq9 ハルヒは一度も読んだことないが 朝倉は長門のバックアップなのでその能力はおそらく長門の劣化コピー。 よって長門もこれらの技が使用可能かと。 これなら普通ありじゃない? 84 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 13 29 37 ID ++Pwrz1g バックアップである事は確実で能力が共通である事は推測? 85 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 13 32 31 ID /NGobWPZ まず劣化コピーっていう根拠が薄い。解ってるのは朝倉の能力を長門が上回ることだけ それに他の端末が出来ることが上位の端末にも出来るっていう根拠もない AができることならBも出来るってのを認めさせようとしたら 種族、流派的に必ず同一の能力、特性(ウロコが堅いとか火を吹けるとか)があると明言されていないと無理 86 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 13 33 21 ID M3T7wjiN 戦法で不可視遮音フィールド展開しながら世界改変てなってるけど フィールド張りながらやってないよな。朝倉を止めにいくのもフィールドといてたと思うけど。 87 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 15 24 08 ID VLakj2VC 73 攻撃の射程は教室ひとつ分は硬いので少なくとも30メートル以上。 物体の材質変更は少なくとも教室1つ分なので20m以上。 高校の教室は三十メートルも無い、八メートル前後程度だ ~アメフトグランドから観客席の距離なので50~200m以上 アメフトのフィールドは 長辺120ヤード(約109.73メートル)、短辺53ヤード1フィート(約48.78メートル)の長方形 200メートルはないだろ 結局初手は動作ロックと時間凍結のどちらからするんだ 氷柱は天井がないとできないし、槍や杭も周囲に机や椅子がないとできないだろ 幽霊などには「呪文」→情報生命体の活動凍結 幽霊に効くかわからない 不可視遮音フィールドの説明がない 88 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 16 32 07 ID H0A47Va7 毎回同じこと言われてるぞ。本当に直す気あるのかと言いたくなるんだが。強引に出したいだけにしか見えん 89 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 16 47 13 ID NwWymwEt 87 幽霊には不思議パワーなら効くんじゃないのか? 90 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 16 54 08 ID NwWymwEt 87 あと、教室は斜めの幅なら10mは超えるみたいだな。30mは無いがw 基本的に縦9.1mX横7.19mで65.429平方mになっているらしい。 氷柱は天井無しなら出来ないだろうけど、 槍や杭は長門の後ろに机や椅子が転がってる状況で参戦すれば良いんじゃないか? 他は、確かに。 91 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 17 03 36 ID C/6z6Do7 73 崩壊因子をどうやって仕込んだかも解らないのに仕込んだ時の結果を書かれても困る。あと朝倉のは以下略 74 不可視遮音フィールド、無呼吸行動は防御力欄に入れるもんじゃないと思う 75 前六行とそれ以降、書き方統一して欲しい。あと明らかに無意味なの削った方が良くないか? 「特定の人間のコピー~」なんて何に使うんだよ。相違付加可能って説明も。 92 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 17 07 06 ID A9rIy3Cb 時間凍結はどこでもやれるかどうか不明だから却下だったはずだが 93 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 17 18 22 ID M3T7wjiN 89 情報操作って不思議に分類されるか? これって高度に発達した科学って奴なんじゃないか。 90 教室の中での位置関係が判らない。 斜めに陣取って端と端なら10m越えるけどさ。 不定な場合に最大値はとれないだろう。 そういや素早さにワープと反応以外に行動の早さもいる希ガス。 94 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 17 41 33 ID /Xa0bAOc 93 科学でも空間攻撃とかは幽霊でも効く扱いだったよね? 科学なら効かないという問題でもないだろうし、 実体が無い相手に通用した実績があれば十分だと思うけど。 95 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 18 05 37 ID BPz9Qnmv ヘイズの悪夢再び。 96 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 18 08 57 ID /NGobWPZ 空間攻撃も切断以外は扱いが微妙だったような 97 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 18 10 17 ID esok0mwh 78 ドラゴンアタックがギリギリ長いが飛び道具だしまず関係ないだろう。 他は関係ナシでいいな。多分そのあたりだろう。 ハルヒを読んでない身なので詳しくつっこめない。 とりあえず前から言われてる 87を直して欲しい。 もし槍や杭を使うために 90にするならその時のスペックだけだから多分全能使えなくなるんじゃ。 後は時間凍結とかの特殊能力が対戦相手に使用できる根拠。 個人的には動作ロックの対象を書いて欲しいな。そこまでしか止められないから。 さて、ちょっと長いのを投下する。 22スレ目 593 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 37 03 ID vPVKvTTy 長門修正版投下。統合思念体を付加してみた。 【攻撃力】 長門有希の攻撃力 素の戦闘力だと男子高校生一人を数m蹴り飛ばすだけの脚力がある。 また後述する情報操作能力により以下のような攻撃が可能。 教室の天井を目にも止まらぬ速さで氷柱状に変形させて攻撃。氷柱の数はまるで林が出来たかのように見える数。 「呪文」を唱えることなく天井をちらりと見るだけで発動可能で、残像が残るほどの高速移動でなければよけきれない。 情報連結解除:相手をきらきら光る砂のようなものに分解。分解完了まで数秒かかる。 崩壊因子をあらかじめ仕込めば同様の能力を持った相手に干渉されても教室丸ごと分解可能。 発動時には相手に触れる必要がある。 なお長門の仲間の朝倉涼子にも同じような能力があり、こちらがやったのは以下のとおり。 情報操作能力は長門>朝倉なので長門はこれらの技も使えるものと思われる。 空気を凝縮して常人には視認不可能な速度で攻撃。一瞬チャージした後は次々に連射可能。当たれば一発で黒板を粉砕する威力。 机を杭に変形させて突き刺す攻撃。常人に気づかれないほどの短時間でダース単位の数を生成・発射可能。人体を軽々貫通する威力。 腕を2倍以上に伸ばして突き刺す攻撃。人体はおろかコンクリの壁も貫通可能。 情報統合思念体の攻撃力 攻撃描写なしのため不明だが、そもそもサポートキャラ扱いなので必要なし。 【防御力】 長門有希の防御力 ナイフを素手でつかんでも平気。人の頭をぶち抜くレーザーを手のひらに受けても当たった部分が焦げるだけ。 先述の朝倉の空気凝縮攻撃&杭攻撃を情報連結解除で次々に分解して無効化。 これを腹や胸にダース単位で食らって血まみれになっても行動可能な上、数秒で自己再生も可能。 不可視遮音フィールドを展開。展開は瞬時に可能。 50mプールを泳ぎきる程度の時間ならばならまったく無呼吸で普通に行動可能。 情報統合思念体の防御力 情報生命体なので物理的に存在しているわけではない。よって物理攻撃は無効と思われる。 またいかなる光学的観測でも視認することはできない。 防御力そのものは大きさ相応かと。 594 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 39 36 ID vPVKvTTy ってミスった。最初のとこが欠けてるしorz 【作品名】涼宮ハルヒシリーズ 【名前】長門有希 with 情報統合思念体 【属性】情報統合思念体主流派のTFEI端末with宇宙規模の情報生命体 【大きさ】154cm で、防御力以下はこっち 【素早さ】 長門有希の素早さ 「よもや瞬間移動としたとしか思えない動き(長門本人の解説でもおそらくワープ) 」が使用可能。 200mトラックを使ったリレーで使ったところを見ると最大移動可能距離は50~100m。 反応速度は本物のレーザー発射に反応して身代わりになったりしていたので光速対応レベル。 情報統合思念体の素早さ そもそも時を超越した存在なので素早さと言う概念が通用するかどうか。 【特殊能力】 長門有希の特殊能力 情報制御:物体の情報そのものを書き換えることで分子の結合を変えたり物体の動きを制御する。 発動時には超高速で「呪文」を唱える。(詠唱時間はかなり短く、人の耳には言語としては聞き取れない。) 分子の結合をいじると言ってもガラス窓がコンクリートになるなど原子の種類ごと変えている可能性あり。 これを応用すると以下のようなことが可能。 相手の動きを完全ロック。相手に触れることなく「呪文」なしで瞬時に発動。 滞空中の相手の落下タイミングをいじることで後遺症の残らない脳震盪を起こし、相手の持って異能力を消去。 時間凍結:流体結合情報を凍結させる。この間戦闘力はそのままだが他時空への移動はできない。 作中では客間1室に人間2人を入れた状態で3年間時間を停めた。 思索活動だけで全地球上のイヌの脳全てをメモリ領域として使用する規模の情報生命体の活動を凍結。 自重をほぼ完全に0にする。反重力か何かの可能性あり。 なお情報操作が可能な距離は最長でアメフトグランドから観客席の距離なので50~200mぐらいか。 595 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 43 21 ID vPVKvTTy ナノマシン注入:相手に噛み付いてナノマシンを注入。噛み付き自体は甘噛みのようなもの。 ナノマシンの効果は「目から出るレーザーの無効化」 「次元振動周期を移送変換し重力波に置き換える作用をもつ力場を対表面に発生(=単分子振動カッターを無効化)」 「対情報操作用遮蔽スクリーンと防護フィールドを対表面に発生(=世界改変に巻き込まれない)」 の3つが確認されている。なおこれらのナノマシンの効果は自身に適用する場合噛み付く必要なし。 世界改変:涼宮ハルヒ(無自覚全能存在)から奪った能力の意識的行使。作中で行ったこととしては、 大勢の記憶や記録の改竄。 過去に死亡した存在の復活。 宇宙規模の存在である自分の上位存在(情報統合思念体)の消去。 など、少なくとも任意全能クラス。 発動時間は長くても十秒程度。遠くの時間からでも観測される大きな時空震(詳細不明)が発生する。 その他位相がずれただけの異空間の検知・進入、上位の存在の作成した異空間からの脱出など。 情報統合思念体の特殊能力 情報統合思念体は宇宙中の英知そのものなので下手に常人がアクセスすると、 たとえ端末を介したその一端に触れただけでも、数時間茫然自失してしまう。 世界改変:端末に力を貸し与えた上で行う。先述した世界改変で変えられた世界を元どおりにした。 この際に自分自身も創造しているため改変能力は全能クラス。 ただし改変にかかった時間が不明なので考慮外。 596 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 44 35 ID vPVKvTTy 【その他】並外れた演算処理能力、8/17~31間の15498回ループ(全記憶を保持)に耐えられる精神。 【長所】素早さと動作ロック、時間凍結、世界改変。 【短所】描写不足による射程距離の小ささと火力不足。 【戦法】基本はは動作ロックor時間凍結→氷柱や槍、杭で攻撃or情報連結解除。 これで倒せそうにない相手(デカい奴とか防御堅牢な奴)はワープで距離をとって不可視遮音フィールドを展開→世界改変で相手を消滅。 幽霊などには「呪文」→情報生命体の活動凍結 【備考】長門有希と情報統合思念体が切り離された場合、情報操作は一切使えないものとする。 なお接続を切るには全能存在が長門本人を時の流れの違う異空間に閉じ込め負荷をかけるぐらいのことはしなければならず、 位相のずれただけの異空間や別時空などでは普通に接続を維持可能。 597 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 45 28 ID 2btFNV7b 592 相手の耐久力は分かるの? 分からないなら、人間相手だと初手は常人が戦闘不能くらいになる攻撃しかできなさそうだけど 593 参戦キャラの条件 「姿形が解る」又は「実態がほぼ完全に判明している」を絶対条件とする 598 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 46 51 ID T2DTNLXe ちょwwwおまw 前回、出した時から何も進展してないだろ。谷川厨自重しろよ。 599 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 53 52 ID hE9sEKke ハルヒキャラをそんなに強くしたいのかw 600 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 54 23 ID ogRKLZJL 594-596 情報操作の射程を一緒くたにするのはどうだろう? 魔法なんかも種類が違えば射程は別個に描写とるし。 あと特殊能力の接触無しでのロックって朝倉がやったことだろう。 601 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 13 56 25 ID 3Ptlf2Ny 情報統合思念体は詳細に不明点が多いから無しになったんじゃ? 長門有希のテンプレの途中に、情報統合思念体のテンプレを散りばめるなんて読みにくい 長門と情報統合思念体をそれぞれ別にまとめて出したらどうよ 【その他】の欄なんか別に作らなくても、【防御力】【特殊能力】【備考】のどこかに入れればいいじゃん 602 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 14 30 07 ID T2DTNLXe 600みたいな指摘が何度目だ?何で直らない。直す必要がないなら、その事を説明すべきだろ。 ちゃんとレス読んでるのか?過去ログも読め。 603 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 15 07 48 ID 3Ptlf2Ny 【属性】情報統合思念体主流派のTFEI端末 TFEI端末じゃ長門が何なのか、本読んだことない人は理解できんだろ 不可視遮音フィールドの詳細 ナノマシン注入 :~なおこれらのナノマシンの効果は自身に適用する場合噛み付く必要なし この文章の流れだと、まるで長門に発射されたレーザーや分子振動カッターも無効に出来るようにも読めてまぎらわしい 氷柱は天井が無いから出せない(参戦地形を屋内とかにすればできるかな) 槍、杭は、机とか椅子が周囲にないから出来ない 基本はは動作ロックor時間凍結→氷柱や槍、杭で攻撃or情報連結解除。 結局、動作ロックと時間凍結のどっちから攻撃開始するんだ?次も氷柱と情報連結解除のどっち 「or」を入れたら戦法として書く意味が無い 朝倉の能力は全て使えるとしているが 種族や武器とかの共通能力があって、それを上位キャラが使える、というはありと思うけど 世界一の魔法使いだから、別の下位の魔法使い達の魔法が全て使えて 下位の魔法使い達がしていた戦闘方法(戦法)を全て使える、とかは無しと思うんだが 604 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 16 05 01 ID Kabq0Rza 前とたいして変わらんし、指摘されてるとこも直せないなら、直すな。余計わかりにくくなる。 21スレ目 74 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/03(日) 16 08 45 ID 50v4HUbi 73 時間凍結は戦闘で使ったわけでないから 微妙みたいなこと前から言われてるぞ 75 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/03(日) 16 14 31 ID ISw97BDY 72-73 能力が共通である説明がないから、朝倉が出来る事でも出来ない扱いにしないと駄目だ。 76 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/03(日) 17 31 02 ID vpPzWLMI 74 時間凍結も情報操作でやったことだから「呪文」オンリーで発動可能だろ。 というかそんなこと言ってたら長門はほぼ戦闘不能になるぞ・・・。 75 もともと朝倉は長門のバックアップだから情報操作のスペックも似たようなものじゃないか? パトロンの情報統合思念体が二人のスペックを大きく変えて創造する意味もないだろうし。 77 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/03(日) 17 41 22 ID lvfSm0c4 76 違う違う。それはそうなんだけど、テンプレにそれ組み込まなきゃだめって話。 簡単でもいいから、情報統合思念体と端末(長門たち)だけでも世界観として載せたほうがいい。 絶対原作知らない考察人は疑問レス付けるんで、手間減らしとして頼む 78 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/03(日) 18 37 45 ID ISw97BDY 同種族でも能力共通の説明がなければ駄目なルールだし それがされてないから長門自身のやったことで作るべきだ 79 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/03(日) 18 44 03 ID 50v4HUbi 78 同意。ほかのやつもさんざん細かく言われてきたんだし 267 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 22 10 11 ID m3bIeovA 長門有希の統合思念体がルール1-1にひっかかるはどうなったの? 268 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 22 16 18 ID YnbWpl8k フランクは超高速ぐらいからか。 長門は分かんね、何かまた物言いが付いて議論されそうだし。 269 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 22 17 15 ID 6eG7Q5Bm 長門は 74-79の突っ込みが修正されてからかな? 270 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 22 19 46 ID MxYXk/jR 長門は作り直そうかと思う、朝倉の描写抜きで。 統合思念体のバックアップを受けている明確な描写はない。 行動に際して許可申請してたりするけど。 271 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 22 23 57 ID m3bIeovA 433 名前:イラストに騙された名無しさん :2006/07/22(土) 14 38 23 ID YN7OaUs4 実は428と同じような意図で書いたのだが言葉が悪かった。 ともかく長門についてなんだけど 統合思念体から切り離されて弱体化っていうのが雪山でのことしか見つからんのよな。 このときに戦闘してないから何がなにやらさっぱり不明。 しかも、詳細不明ながら統合思念体に匹敵する相手に負荷をかけられて純粋に切り離された状態とは言い難い。 長門 with 統合思念体 とかいう考えもあったけど思念体がテンプレ作れるほど情報がないのでダメポ。 434 名前:イラストに騙された名無しさん :2006/07/22(土) 16 04 20 ID q91UKmH+ withにしても統合思念体をどうこうできないみたいだから無理だろ。 でも1-1っていっても、長門と思念体って他人か? 思念体の一部って認識なんだが。 でもそうすると一行目に戻って結局ダメかw 修正行きかな こんな感じで何か言われてるけど 274 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 23 04 56 ID MxYXk/jR 雪山でのことは、切り放されたからか 負荷をかけられたからか不明なんだ。 こう言う場合、このスレではどう判断すべきだ? ちなみに高熱でもうろうとした状態になって倒れたが 閉じた空間を突破する仕掛けは作れた。戦闘行為は一切してない。 285 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 02 14 54 ID eiusXHCd 長門 『統合思念体の加護下にある状態』で出せば良いんじゃね? これ、そういう一つの状態と見て良いだろう。 別に統合思念体の方から勝手に何かしてくれるわけでもないし。 288 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 14 04 12 ID g3JOPV8t 285 力を借りている可能性があれば駄目なんじゃ?思念体の力を強制的に使える根拠があれば平気だろうけど。 307 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14 47 55 ID oHoCdvuk とりあえず長門は朝倉の攻撃が使えるかどうかってことでこじれてるってことでいいのか? あの二人の使う情報操作能力は同じものにしか見えんが・・・。 それと思念体の扱いなんだが、長門の能力は思念体経由って訳でもないだろ。 思念体との接続が切られた状態でも思念体と同等レベルの存在と情報戦やってるし 同期機能封印のときも「自分の」能力の封印みたいなことを言ってたし。 308 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14 51 10 ID ZO+vAvDM じゃあ、思念体との接続が切られた状態でやったことのみテンプレに書けば? 309 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14 52 25 ID zClazOse ロードスの魔神王なんて別の魔術師と同系統の魔法を使えるはずで 魔力もより大きいとされていて、設定的にも上位の魔法が使えるはずだが やったことしかできない 20スレ目 292 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/20(日) 15 20 48 ID 18EzAnlp 世界改変は? 発動時間や対象の問題は解決したと思ったけど。 293 名前:289[sage] 投稿日:2006/08/20(日) 15 59 08 ID acRhdXom 世界改変はハルヒから奪った能力だしいまいち効果不明だから省いた。 そのほうが長門そのものスペックが出せていいと思ったんだが。 294 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/20(日) 17 03 16 ID 18EzAnlp ハルヒを普通の人間にする。 ハルヒと古泉を別の学校に通わせる。 近隣の女子高を共学にし、学校の1クラス分を丸々そちらに移した。 関係者の記憶を改竄。 以前倒した自分と同類の朝倉涼子を復活させた。 自分より上位の存在の情報統合思念体を消し去った。 自らの記憶を改竄。 効果はこんなところか。 やったことに共通性はないし、規模的にも宇宙(銀河だっけ?)レベルの情報統合思念体を どうにかしているから、任意全能かそれに近い能力はあると思う。 能力を奪うのも一方的な収奪はルール的に問題なかったはず。 317 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/20(日) 21 24 29 ID jwvzuhfj とりあえず長門の世界改変用追加テンプレを参考までに作ってみた。 294を一般化しただけなんだが。とにかく 294にThx。 世界改変:奪った涼宮ハルヒ(無自覚全能存在)の能力を行使する。作中で行ったこととしては、 ・涼宮ハルヒを普通の人間にする。 ・大勢の記憶の改竄。 ・過去に死亡した存在の復活。 ・銀河規模である自分の上位存在の消去。 など、少なくとも銀河任意全能クラスである。 発動時間は長くても十秒程度。遠くの時間からでも観測される大きな時空震(詳細不明)が発生する。 こんなもんか。発動時間が長めなのは作中であんなに改変したからだろうが、作業あたりの時間がわからんし。 火力が補えるってことで、ロックまたは時間凍結のコンボから使えるか。 間違いなんかがあったら適当に改稿してください。俺は追加の如何は今のテンプレ作者に任せるが。 318 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/20(日) 21 30 15 ID J3Koc+cD 時間凍結は戦闘で使用したわけでないから 微妙みたいに言われてた思うが。使ったタイミングも分かりづらいし 498 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/23(水) 10 45 49 ID GfjO+r82 491 それの正体って、宇宙生命体の群体じゃなかった? もったいないがアウトな気も線でもない 289 亀レスだが 長門は追加情報を待ったほうがいい、特に速さについては10キャラ考察分に匹敵する「光速定義」が待ち構えてる ・・・・と思ったがルール修正用の案が立ち消えしたり、チョコチョコ話されて忘れられるのも 効率が悪いと思われるのでキャラではないが点プレでも作るか? 【名前】適当にどうぞ、修正案01でも改正案ver1.21でも 【内容】重要、できるだけわかりやすく(いくつかに箇条書きしたほうがわかりやすいかも) 【長所】修正により解決される問題を挙げる、現在あがっている問題は 「作者がレーザー=光速を考えていない場合」問題が大きいためこれの修正は入れたほうが望ましい その他、わかり易い、考察が楽等の利点も 【短所】修正により発生するデメリットをあげる (何キャラかは考察しなおさなければならない、特定の世界が有利(不利)になりすぎる等) 数キャラの再考察ぐらいなら問題はないが、できるだけ抑えた方が良い 799 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/27(日) 22 43 07 ID s1jbYqnS 498 超遅レスだが 【長所】修正により解決される問題を挙げる、 現在あがっている問題は「作者がレーザー=光速を考えていない場合」 問題が大きいためこれの修正は入れたほうが望ましい 作者がどう考えているかっていう憶測は最強スレには一切関係ない。 (銃弾の速度知らないだろうとか落雷の速度知らないだろうとか言う推測も一切無関係) 作中から読み取れる描写や設定からレーザー回避なら光速回避になる。 806 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/27(日) 23 47 07 ID E9Fuc8S5 まとめサイトの長門光速議論読んだけど、 「涼宮ハルヒの暴走」の方でみくるビームについて 「恐るべき殺人光線は光速でもって空間を横切り~」 って解説が入ってるのには触れられてないのね。 807 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/27(日) 23 57 03 ID s1jbYqnS 光速って明言されてるなら話は早いな。 808 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/28(月) 00 00 32 ID 2XqvIJzD 今までの議論は何だったのよ 809 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/28(月) 00 06 48 ID REypaTAE 俺はハルヒ知らんから参加してなかったが 今まで議論してたのがなんかアホらしいな
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虐待ハウス 22KB 虐待-普通 悲劇 理不尽 現代 虐待人間 虐待ハウス。 ゆっくりを虐待を商売とする店 錆びついた扉が開けられる。 夜10時。 人気も少なくなってくる時間帯。 出来るだけ店"らしくなく"装われた部屋の一角に、一人の男が佇んでいた。 上には上品なジャケットを羽織って年相応の体裁を整えながらも、下半分は見るからに安物で揃えている。 金が無いから間に合わせで着ているというよりは、明らかに着替えてやって来たという印象であった。 しばらく待った男はもどかしそうに、カウンターらしき台を小突いた。 「何か御用ですか?」 これまた生活感あふれる、お世辞にも綺麗とは言えない格好をした若者が奥のドアを開け、男を出迎える。 それでも言葉使いは丁寧で、また客の男が気を悪くしたような素振りを見せることもない。 「分かっているだろう?ゆっくりだ」 「もちろんでございます。○○様、お待ちしておりました」 ゆっくり。副詞。 奇妙だがそれは隠語でも何でもなく、ただ彼が扱っている商品の名前。 秘密は厳守、絶対に隠匿すべきという物でも無いのだが、最近では「ゆっくり」の保護を叫ぶ人々も多い。 だからこそ、店は敢えて古びたアパートのような内装・外装を残している。 余計ないざこざは誰だって避けたいものだ。 そもそもここに来る人々にはブランド物を買う店のような「洗練された雰囲気」は必要ないのだ。 彼らが買うのは嗜虐心を満たす行為そのもの。 法を犯すものでは無いとは言え、それは決して万民に受け入れられることの無い娯楽。 薄汚れ、コンクリートで固められた無機質な部屋こそ、それをするに相応しい。 「いつもの」 客の男が代金をカウンターに置きながら注文を出す。 彼は常連だった。 幾度となくこの店に通えば、好みは定まってくる。 また店側も、客の趣向を熟知している。 この店のたった一人の店員、経営者である若者は客の男からジャケットを預かり、カウンター裏のハンガーにかけると 「少々お待ちください」と男に告げて階段を降りていった。 このアパートの上層階はほとんど利用されていない。近隣への騒音を考えてのことである。 男はそのボサボサの髪を掻き上げながら階段を下り、単調な廊下を歩み、無造作に一つの扉を押し開いた。 「おうたをうたうよ ゆー……♪ゆゆー……♪」 「ゅー」 そこにはいた。 丸い体をした生き物達がおおよそ5匹ほど。 ご存じ、ゆっくり達である。 黒い髪に赤いリボンを揺らしているものと、金色の髪に帽子をかぶっているもの。 それぞれの大きさはまちまちであるが、おおよその分類はその二種類で出来ている。 そしてどれもが、悲しみに暮れているのか、それともただ何も考えていないのかどっちともつかないような顔でそこに鎮座していた。 「ゆ…」 「……」 無表情のまま、壊れたラジオのように調子外れな歌を歌っていた黒髪のゆっくり、ゆっくりれいむは息を飲んで押し黙った。 部屋の中では一番体の大きいと思われるゆっくりれいむ。二週間前くらいから、何故か歌うようになり始めた。 大きな体に身を預け、その歌に聞き入っていた小さな金髪のゆっくりまりさも、扉の方を確認するとビクッと身を固めた。 部屋が凍りついた。 微かな歌以外には何の会話も交わされていない静かな部屋だったが、店の男が入るなり確実に空気が変わった。 扉の前で立ったままの男を、あるものは見ないように、あるものはチラチラと窺いながらも、皆が皆意識していた。 所々黒ずんだ饅頭色の肌に冷や汗が滲む。 何度にも及ぶ非道な行為によって付けられた傷跡。 いくら小麦粉で表面上は修復されようにも、その餡子・心に刻みつけられた記憶までは拭い去れない。 「…ゆっ」 「ゆっ!」 「ゆっ ゆっ」 その状況を楽しむように観察していた男が歩を進め始めると、ゆっくり達は一層緊張の度合いを強めた。 先ほどの小さなゆっくりまりさは、おもむろにゆっくりれいむの腹にめり込んで震えている。 逃げられないと分かりながらも、他のゆっくり達はジリジリと後退し、壁に寄り添う。 ピタリと壁に背中を当てて、ゆっくり達は銃の的になったかのように恐怖の色を浮かべた。 「……ゆっ!!!」 何かに驚いたような、大きな声が響いた。 同時に、声の主以外のゆっくり達は一気に安堵した。 それがつかの間の平和であって、死ぬまで傷めつけられるだけの生と決まっているとしても、安心してしまう。 安心しても表情は一切変わらず、茫然としたままのゆっくり達。 それはまるで人形のよう。 安堵のため息などといった、自ずと出てくるちょっとした感情表現はとっくの昔にみな失っていた。 他のゆっくりを思いやる心が残っているわけもなく、ただ少しでも苦しみから遠ざかったという喜びだけが生きがいとなっていた。 「ゆっ…ゆっ…!」 当の本人。男が現れるまで歌っていた大きめのゆっくりれいむは、今、男の腕の中で震えていた。 周りのゆっくり達と違い、こちらは泣きだしそうな笑うような、アンバランスかつ繊細な表情で宙を見つめている。 「ゅー! ゅー!」 「ゆ…ゆ…」 男の足元を回る、ここでの生活も二週間間あまりで、まだゆっくりらしい感情を保っている小さなゆっくりまりさ。 彼女がゆーゆー泣きつくのも聞こえず、れいむはただ己の心を平静に保つのに必死だった。 「仕事だ」 「ゆ゛ぅっ!!」 男がれいむの頬を手で打った。 ビシッ!と快音が鳴り、れいむの目には溢れんばかりの涙が滲む…はずだった。 普通のゆっくりなら。 「ゆっ…! ゆっ…! ゆっくりっ!」 泣けば酷く痛いことをされる。 それだけが餡子に刷り込まれていて、れいむの中の恐怖心を抑えさせていた。 実際のところ、これから客に出す商品に酷く手荒な真似をすることは滅多にないのだが、れいむがそれを知る由もない。 無言のまま、男はれいむを抱えて部屋を出る。 部屋には、閉められた頑丈な扉に縋って泣くゆっくりまりさと、人形のように薄ら笑いを浮かべるゆっくり達が残された。 ● ○ □ 「こちらですね」 「ああ」 客の男は、自分の方に視線を合わせて震えるゆっくりれいむを見て、満足げな顔をした。 ゆっくりれいむもまたそれを見て「ゆっくりしていってね!」とぎこちなく笑った。 笑顔とは言っても、れいむ種ゆっくりの笑顔とは眉をキリッとさせた、人を小馬鹿にするような表情のことである。 彼女らには、これが最上の笑顔と認識されている。 人間とゆっくりの諍いの元となる要因の一つである。 「ゆっくりしていってね!!!」 しかし、ここには諍いは生まれない。彼らはこの瞬間から、金銭契約で結ばれたに等しい。 それにこのゆっくりれいむは男の大のお気に入りだった。そしてゆっくれいむは、とりわけこの男が嫌いだった。 「では、ごゆっくりお楽しみください」 店員の手渡す鍵とゆっくりれいむを受け取ると、男は階段を下り始めた。 先ほど登って来たのと同じ階段、しかし行きつく先はさっきまでいた所とは違う場所。 それをれいむはよく知っていた。 先の部屋よりもいっそう重々しい扉が開けられ、れいむは男よりも先に部屋に投げ込まれる。 硬いコンクリートの床に身を打ち付け、少し弾みながら壁の間際まで転がるれいむ。 並みの成体ゆっくりなら泣いて痛みを訴えるような衝撃にも、れいむはうめき声一つ上げなかった。 それどころか、起き上がるなり絵に描いたような笑顔で「ゆっくりしていってね!!!」と叫んで跳ねるゆっくりれいむ。 「ゆー! ゆっくり…していってね!!!」 「いつもながら思うが…よく調教されている」 男は呟き、はやる気持ちを抑えながら後ろ手に扉を閉めた。 このゆっくりれいむを含めた、先ほどの部屋のゆっくり達は皆あることを教え込まれている。 「ゆっくりしていってね!!!」 「いいねぇ」 苦痛・不安・怯え。それらを表に出そうものなら、さらなる苦痛を与えられる。 常日頃からそうして調教され、ゆっくり達は客の前で、とびきりの人懐っこさを強要されている。 一度店の男の手に取られた瞬間から、笑顔を作らなければならない。逆に、普段はどう過ごしていても構わない。 それでもゆっくり達が普段の生活でまともな精神状態を保てるわけもなく、その結果があのボーッとしたゆっくり達である。 彼女らは完璧な「ゆっくりしていってね!!!」と引き換えに、色々なものを失ったに違いない。 いや、そうでもしなければ正気を保てなかったのかもしれない。 このゆっくり達が正気、と呼べるならの話ではあるが。 「ゆっくりしていっでっ!!!!」 「いいなぁ」 言い終わる前に男の蹴りが顔面にめり込み、吹っ飛ぶゆっくりれいむ。 男は"こういったゆっくり"が好きだった。 人間の恐怖を知らない純朴なゆっくり達を虐待するのも好みだったが、 耐えがたい苦痛を与えられながらも壊れたように笑うゆっくりの姿が、自分は特に好きなのだとここに通う内に知った。 そして気がつけば、このゆっくりれいむばかり指名して通い詰めるようになっていた。 精神的にも強く、並大抵の苦しみには笑って耐えるタフなゆっくりれいむが好きだった。 成体ゆっくりにしても一回り大きい巨体もまた、ぞんざいに扱えて都合がよかった。 大きいゆっくりは表面を覆う皮も厚く、ボロボロになり難いのだ。 「ゆっぐ!!!」 「ちゃんと言えよ」 壁に寄せた靴先でれいむの気道を塞ぐ。 突き刺された顎下。その周囲がドーナツ状に盛り上がる。 ゆっくれいむはひーひーと苦しそうな声を洩らしながらも、笑顔を取り繕っていた。 当然ながら常軌を超えた仕打ちに涙は流れる。それでも顔は笑顔のままだった。 「ゆっぐ!!ゆっぐ!!ゆっぐ!!ゆっぐ!!ゆっぐ!!ゆっぐ!!」 「言えよ」 足でずるりとれいむを引き寄せ、踏みつけ始める男。 れいむは男が足を上げる度に、彼の為にしっかり言いなおそうと必死に呻いた。 目を瞬かせて涙を飛ばしながら、痙攣したように定められた台詞を言おうとするゆっくりれいむに、男は笑いを堪えきれなかった。 男の足元が緩み、その隙からするりとゆっくりれいむが体を逃がした。 「ゆっくりしていってね!!!」 「いい子だ」 男から解放されたゆっくりれいむはでんぐり返って台詞を言うと、すぐさま男の足元に纏わりついてきた。 顔を強張らせながらも、れいむは男に笑顔を向ける。 先ほどまで自分を痛めつけていた、その張本人が目の前にいるというのに、れいむは馴れ馴れしく男の周りを跳ねまわった。 「ゆっゆっ」 反応が無いのを見ると、今度は頬を男の脚に擦りつけ始める。 強い親愛の情を示す、ゆっくりの行動の一つだった。 男はまた、れいむの一連の"心にもない"行動を、いやらしい笑みを浮かべながら無言で眺めていた。 「ゆっくりー♪ っ?」 「ゆ゛!」 突然、フッと足の支えを失ってバランスを崩すれいむの体に、またもや硬い靴先がめり込む。 もんどり打って、起き上がったれいむの顔は一部裂け、黒っぽい餡子が滲んでいた。 それでもれいむはニコニコ跳ねて男の元に戻って来た。 「ゆっくりしようよ!」 「こっちにおいで」 男はれいむに答え、にこやかな笑顔で誘った。 客を満足させようとひたすら媚びる娼婦のように、れいむは懐っこく男の足に体を擦りつけた。 その度に男はれいむを思い切り蹴り、部屋の隅まで飛ばした。 多少傷がつこうともお構いなしだった。店によると、餡さえ残っていればほぼ完全に治すことが出来るらしい。 ゆっくりってのは便利なものだ。 「ゆ゛~っぐりじよう~ね゛っ!」 れいむが脳震盪を起こしたようにふらふらになり、呂律が回らなくなってくると、男は蹴るのを止めた。 もちろん可哀想になったから、とか流石にやり過ぎた、などと思ったわけではない。 男は単純に時間を置きたかった。 れいむはしばらく舌を噛みながらも「ゆっくり~」と言っていたが、 意識が戻って来ると体をブルブルッと振って男の方に向き直った。 「いっしょにゆっくりしようよー」 「ああ、ゆっくりしよう。だからおいで」 男はうやうやしく手招きをしてれいむを誘った。 れいむはそれに喜び、否、喜んだふりをしながら跳躍しようとした。 「ゆっくりー」 「おいで」 れいむは少しも進んでいなかった。 怖い。 きっとまた蹴られる。 本格的に震えが止まらなくなり、笑顔とは裏腹にれいむはその場に凍りついた。 「ゆっくりしようね」 「来いよ」 男の口調が強いものに変わる。 れいむは男が自分の非礼に憤怒していると思った。 今すぐ男の元に駆けつけなくては。 そう思うのだが、増長する恐怖が、逆にれいむの足を動けなくさせていた。 怖くて怖くて、れいむはいつの間にか歯を打ち鳴らしてガタガタ震えていた。 笑顔のまま。 「俺の言うことが聞けないのか」 男はいらついたように言い放つと、れいむを頭の上から踏みつぶした。 かかとに力を籠め、先ほどとは違って容赦の無い様子であった。 大きなリボンを付けた後頭部を上に向け、顔面を下にしてペシャンコにされるれいむ。 れいむの体の一部が、力いっぱい握られた風船のように膨らむ。 体が押し潰されながらも、れいむは頭の中に謝罪や友好的な言葉を思い描いた。 口は体躯と一緒に床に押し付けられ、一句としてれいむが言葉を発することは出来なかった。 「いたいからやめて」とも「なかよくしよう」とも言えなかった。 ただ、全身の皮膚を襲う膨圧から来る激しい痛みに、今は耐えるだけ。 「…ぐ………」 プッ! 行き場を失った餡子が口に溢れ、ププッ!と甲高い音と共に床に噴出する。 先ほどの傷口も開き、餡が染み出ていた。 れいむは自分の温かい餡子が体から溢れていくのを、肌で直に感じた。 ゆっくりは自らの餡子が体外に出ていくのを極端に恐れる。 体のほとんどが餡子で構成されているゆっくりにとって、それだけ餡の流出が死活問題だからである。 れいむもまた、そこに死を僅かながら感じていた。 ただ、れいむが一般的なゆっくりと違ったのは、意外と冷静にその状況を見ていたということである。 ―死にそうになるまでやられる。でも死にはしない。毎日この繰り返し。 れいむにとってこれは日常だった。 されど日常茶飯事であっても、その苦しみには死ぬまで慣れそうにもなかった。 「分かったか 逆らえばこうなるんだ」 「ゆ゛ーっ! ゆ゛ーっ!!! ゴホッ!! コホッ!! ゴボッ!!! ゆ゛ーっ!!」 男は戒めには十分だと判断し、れいむを解放した。 歪になっていたれいむの体が少しずつ元の形を取り戻し、球形に戻っていく。 れいむはゴロンと仰向けになり、苦しそうに餡を吐き散らしながら転げ回った。 壁に頭をぶつけ、床をのたうちながら、れいむがまともに呼吸できるようになったのは数分経ってからだった。 「ゆ゛っ ゆ゛っ ゆーっ!!」 「どうした?一緒にゆっくりするんじゃないのか?」 「ゆ゛っくりー!! じでっでね゛!!!」 涙が止まらなかった。 笑顔が曖昧に崩れながらも、れいむは「ゆっくりしていってね」と言おうとした。 泣きじゃくる子供のように嗚咽が言葉を遮ってしまい、上手く言えなかった。 腫れた全身が悲鳴を上げている。 潰され、代わりに引き裂かれるように伸ばされた全身の皮から、激痛がやって来る。 痛みでもって入念に教え込まれてきたはずなのに、実際にはいつまでも痛みを乗り越えることが出来なかった。 それもそのはず、店の男はいい塩梅に躾の手加減をしていたのである。 完璧に正気を失ったゆっくりを作っても面白くない。 耐え忍びながらも、いざという時には痛みに負けてしまうゆっくりが客には好まれる。 はなかられいむに勝ち目は無かった。 「ゆっぐぃ! じよーっ! よ゛っ…!」 「……」 「ゆ゛っ! っぐりじでっ!! いっでで!!!」 れいむは涙をとめどなく流しながら、笑顔を作ろうと必死だった。 口元だけでも、目元だけでも、自然な笑いになるようにれいむは顔に力を入れる。 れいむは気付かなかったが、意識すればするほど、彼女の顔は不自然に歪んだ。 笑顔の努力をすればするほど、その顔は絶望の表情に似てきた。 男はこのれいむの滑稽で健気な様を、黙って見守っていた。 何度見ても飽きない、れいむの心の中での葛藤。 その繊細で、ともすれば容易く壊れてしまいそうな悲痛な面持ちを、男は悠長に眺めていた。 この遊戯に制限時間は無い。 ゆっくりの餡が少なくなって危篤状態になった時、それが終了なのである。 逆に言えば、客は瀕死になるまでゆっくり達をじっくりと痛めつけることが出来る。実際、ほとんどの客がそうする。 そして翌週にでもやって来て、何食わぬ顔で同じゆっくりを虐待する。ゆっくり達はそれを抵抗せずに受け入れる。 彼女らは分かっている。拒めばそれが終わりであることを。 だから、彼女らは拒めない。 「ゆっー? ゆ゛ゆ゛ーっ!! やだー!!!」 「さあ本番だ」 そう、これからだった。 十分に堪能したのか、男はれいむを掴み上げ、部屋に無造作に置かれていた大きな置物にあてがった。 置物。それはただの木製の円錐。 先が少し丸められ、ゆっくりの体が"むやみに"傷つかないように配慮されたそれは、店の男の自作物。 彼は自分の店に来る客が色々な方法で虐待を楽しめるよう、こういった用具を幾つか用意していた。 また、欲求不満な客がゆっくりの体で再生が遅い場所、例えば目や髪を直接傷つける虐待をしように、という役割もある。 どちらにせよ、この器具達は店のゆっくりにとって畏怖の対象だった。 「ゆっ! ゆっ!!」 器具の先端でなぞられ、ゆっくりれいむの底部に陥没が出来てきた。 陥没の先は穴となり、点のように内部の餡子が透けて見えるようになって来る。 ゆっくりは水分過多の場合や、有害物質を取り込んだ時などにここから餡や水分の排出を行う。 本来、そういった生命に関わるような危険状態になった時しか開かないのだが、該当箇所を刺激してやることで僅かに開く。 僅かに開きさえすれば、十分。 裏返して穴を確認すると、男はれいむを円錐の頂点に突き立てた。 「ゆぎぎぎぎぃぃぃぃいいい!!!」 まるでメリメリと音を立てるかのような勢いで、円錐がれいむの底部から侵入していく。 餡の排出にしか使わないはずの小さな穴は、既に直径3cm程にまで広げられていた。 もう一息、男が力を加えると、れいむの体は更にずり下がった。 器具の断面に書かれた線と数字でおおよその直径を確認する男。 れいむの底に開けられた穴は、既に直径5cmほどに達していた。 底穴の縁が、内にめり込むような形で押し広げられているのが見てとれる。 「ゆ゛ぅぅぅっー!!!! ゆ゛うううううー!!!! いだいいだいじんじゃう」 れいむが訴えるのも聞かず、男はれいむの観察を続けた。 「いやだ」と言いながらも、口角だけは上げて涙を流す。 もう笑顔が体に染みついてしまったのだろう。幾度となく虐待されたゆっくりはこうなる。 そして、この手の客は心までズタボロになったゆっくりこそが最高の顔を見せてくれるという。 「だずげでよおおおおおおおおおおお!!!! やだ!! れいむの あんよやぶれちゃうよ!!!」 男はれいむと器具を放置したまま、至福の一時を味わっていた。 こうしてれいむが暴れれば暴れるほど、重い体が円錐にのしかかっていく。 もともとは小さな排出穴を利用しているため、れいむの体に大きな傷がつくこともない。 穴がどんどん開かれる。そして苦痛が増す。それだけの話なのである。 「ゆぐううううううううう!!! れいむのなかに何かはいってくるよぉ! だずげでぇ…たすげで」 実にゆっくりを虐待するのに適した用具だ、と男は思う。 なに、柔らかいゆっくりの体だ。全体がひしゃげようが、潰れようが、こいつらは生きる。 置物の先が頭を突き破る直前まで続ければいい。 前などは径25cmまで行った。そこで口から餡を盛大に吹き始めたので、慌てて中止した。 25cm。直径40cmほどの成体ゆっくりの、実に半分以上もの大きさの穴が開いたのである。 そこまで行くと"穴"と言うよりは、底部が真っ二つに裂けていると言った方が正確だ。 今度は何センチまで行くだろうか?どんな顔をするだろうか? 男は興奮を隠しきれずに更にれいむの体を押し込んだ。また数センチ、穴は広がり、れいむは苦しげに呻いた。 穴はようやく10cmに達しようとしていた。 10cmの穴。 れいむにとってそこは、飲み過ぎたお水、排泄餡を出すだけの穴。 今は逆に異物が侵入してきて、穴を遡っていく。れいむの底部は熱を持って、ジンジンと疼いていた。 穴を抉りながら、体の中に異物が侵入してくるのを感じる。 その存在を確かに感じる度、れいむは自分の底部の穴の状況を想像して、震える。 「れいむの れいむの…」 ゆっくりの"穴"は本来1cmにも満たない。 それが10倍にも広げられていれば、いくら柔らかいゆっくりの体でも軋んで痛烈な痛みを覚える。 もがけば余計にめり込んで来ることは薄々分かっていながらも、 身勝手にやって来る痛みは、二通りの方法でれいむに動くことを強要させる。 反射的な体のビクつき。 体は異物を拒否している。 れいむが意図する・しないに関わらず、体の振動は大きくなっていき、異物が体を侵すのを早める。 逃れようという試み。 仮に一回この器具から逃れたとして、れいむに何が出来るだろうか? 目の前には男がいる。すぐに捕まえられて再び円錐の上だ。 それ以前に試みは十中八九失敗し、余計に苦しむ羽目になるだろう。 それでもれいむは冷静でいられない。 今すぐに、一刻でもこの苦悶から抜けだしたいと切に願っている。 飛び跳ねて、ここから少しでも離れて体を癒したい。 そう刹那的に思い、足である底部を使って跳躍の動作を試みる。べらぼうに体を波打たせる。 まるで底なし沼。 れいむが暴れるほどに、れいむの体は器具を飲み込んでいく。 いや違う。それはまるで木の円錐が、れいむの体を飲み込もうとしているようであった。 「どぼじでえっ! どぼじでっ! くるしい! ぐるじいよお!」 「そんなに暴れるからだ」 男は器具に突き刺さったれいむの周りを、腕組みしながら愉快そうに回っていた。 れいむが跳ねる度に、確かにその鈍重な体は少し浮く。 だが、その反動でメリメリとずり下がっていく。 ラインチャートのように上昇と下降を繰り返しながら、ジリジリと体が崩壊へと向かっていく。 「ゆぎいぃぃあああああああああああ!!!!」 唸るような悲鳴をあげるれいむ。 20cm。 ついに体の半分もの大穴が開くと、今度は体内を占める器具の影響が出てくる。 既にれいむの顔はパンパンに膨張している。 時折苦しげに唸ってはいるが、もはや声をあげることすら辛いに違いない。 「ゆ゛!!! ゆ!!!!゛ ゆ゛ぅ゛!!!!」 底部は過大に変形させられ、その他の部分は破裂しそうなぐらいにまで膨張。 顔の輪郭がみるみる押し広げられ、眉・目・口、各パーツの距離が広がっていく。 蹴られた時の傷口が再び開き、餡子が飛沫のように飛び出す。 れいむの体は内側から壊されようとしていた。 突然、弾かれるように餡を吐く。 気持ちが悪いからではなく、行き場を失った餡子が、潰された時にように体から逃げていくのだった。 これを見た男は、すかさずガムテープを使って口を塞ぐ。 22cm。前とほとんど同じ進行状況だが、二の舞は踏むまい。 ここからはれいむはもちろん、両者とも無言であった。 23cm れいむは苦しそうに蠢いている。 息を吸えなくとも即死するゆっくりではないが、激しい状況下で呼吸を整えられないのは体にこたえるのだろう。 25cm 男は数字を見て、静かに喜んだ。 いける。まだいける。 27cm カッと見開かれたれいむの目から、大量の黒いものが流れ始める。 餡子だ。本来なら口から出るはずの餡が目から飛び出そうとしている。 液状化した餡は絶えず流れ、れいむの頬を伝って滴り落ちる。 れいむは今までになく激しく暴れる。 暴れると、体の一部が異常なまでに盛り上がって決壊する。 体に入った小さな亀裂が線を結び、大きな傷口となって餡が噴き出す。 餡を振りまきながら、れいむの体は少しずつ崩れおちていく。 29cm ようやく円錐の頂点がれいむの頭部に到達し、わずかに隆起させていた。 もうここまで来ると突き刺さったゆっくり、と言うよりもまるで元からそういうオブジェのようである。 餡、即ち血の涙を垂れ流して、れいむは死線を彷徨っていた。 ほとんど意識は無かった。 自分の体が大量の熱を持っていることをれいむは感じていた。 そして熱や痛覚と共にやって来る、おかしな感情が身を侵そうとしているように、れいむには感じられた。 れいむはそれに身を任せないように、ただ生きるために、静かに心を閉ざした。 男が動かなくなったれいむに手を当てる。 まだ生きている。気絶もしていない。 もうここまで来るとただの余興だ。 最後の一息。 男が全体重をかけてれいむを押し込む。 れいむはガムテープの裏から「クホッ!」と大きく息を吸い込むと、ピクリとも動かなくなった。 男は焦ったが、れいむの体がまだ温かさを保っているのが分かると一安心してれいむを器具から外しにかかった。 円錐を飲み込んでいた穴からボトボトと餡が落ちた。 形がすぐには戻らない。 ボロボロの楕円形になったれいむを抱えて、男は店員になじられる覚悟を決めた。 部屋を出る際に、男はまだ口のガムテープを剥がしていなかったことに気がついた。 端をつまんでビッと剥がす。 口元は、最高の笑顔のままだった。 ● ○ □ 「くそっ こっちの手間も考えろってんだ」 文句を言いながら、店の男はひとまずれいむの修復を終えた。 役目を終えた時のれいむはすでに息も絶え絶えで、体も悲惨な状態だった。 オレンジジュースに漬け込み、小麦粉を何回にも分けて塗すことでれいむはほぼ元の形を取り戻した。 「こりゃ、しばらくは出せないな」 完全に治癒し、酷使に耐えうるようになるまでに数日はかかるだろう。 多少の追加料金を男からせしめたものの、それだけでは補えない損失だった。 扉を開け、れいむを離してやる。 れいむはバインバインと跳ねて部屋の真ん中に陣取った。 小さなまりさが、それに寄り添った。 それから四日後の昼。 重傷を負ったれいむの様子を見に部屋に入った男は、ちょっとした異変を感じた。 変化を探すために注意深く見てみると、れいむの居る場所の近くに、積もった砂のような黒っぽい物体がある。 近づいて見て、男にはその物体が何なのか分かった。 黒い帽子を頭に載せたそれを、男は汚そうに摘みあげた。 虐待を繰り返された末にこうして弱っていくのは、案外よくあることである。 まりさのようにまだ精神が未成熟な子ゆっくりの場合、ストレスのあまり突然死んでしまうことすらある。 実に脆いゆっくりだった。心身ともに衰弱しているのだろう。もう使い物にならない。 まりさ種は比較的少ないので、代わりを用意する必要がありそうだ。本当に手間をかけさせてくれる。 成体にもなれば、多少のことには動揺しない人形になれるのだが。 男は、単調に歌っているゆっくりれいむを見やった。 こちらの具合はもう大丈夫そうだ。さっそく今日から働いてもらうとしよう。 「ゆー…♪ ゆゆー…♪」 ゆっくりれいむはいつものように、いつもと変わらず、呑気な歌を歌っていた。 ただ変わったのは、傍で聞いてくれる者が居なくなったということだけだった。 続く 【あとがき】 久々すぎてちょっと感覚がズレてます。 なんか愛が足りないです。ゆっくりは好きだけど、虐待への愛が足りない。 いつになるか分かりませんが、次ではもう少し好きなことやってみたいと思います。 あと大分遅くなってしまいましたが、前作、前々作で挿絵を書いてくださった方本当にありがとうございます 自分の想像した話が画像化されるなんて、作者冥利に尽きます。 【過去作品】 ふたば系ゆっくりいじめ 482 死体 ふたば系ゆっくりいじめ 214 ルームランナー 挿絵 byめーりんあき トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 虐待を受けたれいむが回復して、何もしてないまりさが死んだのかw なんと不思議饅頭www この店、よく潰れないな。(経済的な意味で) -- 2018-03-06 05 49 30 饅頭って凄いんだな -- 2017-01-14 01 37 13 3))天才 -- 2014-09-18 17 28 04 体とほぼ同じぐらいに広がったあにゃる・・・ -- 2014-09-18 17 26 43 もう三角錐が虐待道具にしか見えない -- 2011-11-14 17 44 26 わかった。ゆっくりは人間のストレスのはけ口になるために人間にストレスを与えるのか!! -- 2011-10-20 01 49 41 こんなに三角錐が凄いと思ったことはない…! -- 2011-01-11 21 21 44 なんて頑丈なれいむなんだ… -- 2011-01-09 04 01 30
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前 「おねえさん! いたいの、とんでった?」 目を細めて、愛嬌のある顔で問いかける子れいむ。 しかし、少女は何も答えない。彼女の相貌は、不気味なほど無表情だった。 ただ、大きな黒い瞳だけが、ギラギラと異様な輝きを放っている。 「ゆぅ……おねえさん、だいじょうぶ?」 情け深い子れいむは、もしかしたら先程の体当たりで、 少女が動けなくなるほどの大怪我をしてしまったのではないかと不安になった。 思っている事がすぐ表情に出るゆっくりらしく、小さな唇がへの字に折れ曲がる。 だが、その心配は杞憂にすぎなかった。 少女は緩慢な動作で上半身を起こすと、憂いを含んだ顔の子れいむに手を伸ばす。 それはまるで、獲物に忍び寄る大蛇を連想させるような、ぬらりとした動きだった。 そんな奇怪な動きでも、少女が再び動いたと言う事実は、優しい子れいむを安心させた。 ほっと安堵の息を吐くと、精一杯の笑顔を作って、差し迫る少女の手に声をかける。 「おねえさん! うごいてもだいじょうぶ? さっきはごめんね! いっしょにゆっくちしようね!」 子れいむが少女に期待する返事は特別なものではない。 たった二文字の簡潔な言葉。ただ一言、『うん』と言って欲しい。 そして、一緒にゆっくりしたい。子れいむの願いは、それだけだった。 その胸中を読み取ったのか、少女は二文字の短い言葉を返した。 肯定を意味する『うん』とはまったく意味の違う、凄惨な言葉を。 「死ね」 少女は能面のような顔で子れいむを掴み上げると、あらん限りの力で地面に叩きつける。 一回目で、子れいむの前歯は粉々に砕け散った。 「おびゅぐっ!? お、おねえざ……?」 二回目で、子れいむの右目は破裂した。 「ぎゅいっ!! や、やめ……で……どう……じ……で……」 三回目で、子れいむの額が割れ、中から餡子が噴出した。 「ゆぶゅ……ぐぅぇ……いっしょ……いっしょに……ゆっく……ち……」 四回目で、子れいむの顔面は、固体の判別が不可能なほどグチャグチャになった。 「ゆ……ゅ……ゅ……」 五回目で、子れいむは悲鳴を発しないボロ雑巾になった。 少女はそのズタボロの雑巾に唾を吐きかけると、茫然自失のゆっくり家族の前に放り捨てる。 そして、ダラダラと出血している自分の手を見ながら、地獄の底から響くような低い声で呟いた。 「……あーあ……血が出ちゃったじゃない……」 先程まで、自分達の完全勝利に酔いしれていたゆっくりファミリーは状況の急転について行けず、 大きな目をぱちくりさせながら、「ゆ!? ゆ!?」と喚いている。 少女はそんなゆっくり達を尻目に立ち上がり、お尻についた砂を軽くはたいて落とすと、 右手の裂傷から流れる血をベロリと舐めとる。それから少年の方を見やって、抑揚の薄い声で無心した。 「ねえ……こいつら全員、私が殺してもいいでしょ?」 「おい、独り占めはずるいぞ」 「お願い」 露骨に嫌そうな顔をする少年に、少女は血濡れの右手をかざす。 少年はそれを見て、諦めたように小さく溜息をついた。 「はぁ……仕方ないな、分かったよ」 「ありがと」 少女は微笑を浮かべると、まりさ達に向き直る。 これから始まるパーティーが、嬉しくて仕方が無いといった表情だ。 「まりさ……あなた、赤ちゃんを返せって言ったよね……」 はっと我に返り、毅然とした表情で少女を睨みつけるまりさ。 三ヶ月前はただ怯える事しか出来なかった事を思えば、大変な成長である。 勘違いとはいえ、一度は人間に勝利した事が、まりさに大きな自信を与えているらしい。 「そ、そうだよ! ゆっくりかえしてね!」 「……じゃあ、お望みどおり返してあげる」 そう言うと少女は、まりさの下唇を足で踏みつけた。 「ゆぶぇっ!? や、やめでぬびゅえ!?」 困惑して文句を言おうとするまりさ。だが、その言葉を最後までつむぐ事は出来なかった。 少女の血濡れの右手に、上唇をしっかりと掴まれてしまったからだ。 新鮮な血の味がまりさの口内に広がっていく。 「んんんんん!? んん!? んむうぅうううう!?」 無理な体勢で口をこじ開けられ、苦しげなうめき声をあげるまりさ。 少女はそんなまりさを見てニタリと笑うと、既に火が消えていた赤ちゃんれいむの死骸と、 大量の水を吸ってぶよぶよになった赤ちゃんまりさの死骸を、大きく開かれた口の中に放り込んだ。 「んぶぅぎゅんんんん!? んんん!! んぶゆゅうぅうううう!!!」 口内に愛しい我が子の死体を入れられて、平静でいられる親などいない。 まりさは舌を使って懸命に赤ちゃんの死骸を吐き出そうとする。 ところが、もう少しと言うところで、少女に口を押さえられてしまう。 「んんむぶぐぅ!? ぶぐぅゆぅゅぅうううううぅぅぅうううう!?」 「どう? 自分の子供は美味しい?」 『美味しい?』と聞かれても、口を押さえられているのだから、答えられるはずが無い。 赤ちゃん達を無理やり食べさせられる嫌悪感と、死骸が喉に詰まる苦しさで、涙を流しながら必死に首を横に振る。 「んぶぅっ! んぶぅっ! びゅぎゅぅゆぅゅぅゔゔゔううぅぅぅうううう!」 「言いなさいよ! 『むーしゃ! むーしゃ! しあわせー♪』って! ほら! ほら!」 少女はまりさの口を、左手で押さえたまま、 血まみれの右手で、黒帽子ごと脳天を何度も殴りつける。 その一撃ごとに、上歯と下歯が乱暴に噛み合わされ、口内の死骸はバラバラに砕かれていく。 死骸から漏れ出した餡子の味が、まりさの口内に広がっていった。 甘いけど甘くない。美味しいけど美味しくない。 出来る事ならば、絶対に味わいたくなかった、甘味。 『おとーしゃん! ゆっくちちていってにぇ!』 『おとーしゃん! だいちゅきだよ!』 まりさの心に、生前の赤ちゃん達の可愛らしい笑顔が浮かぶ。 その暖かい思い出が、強烈な嘔吐感となってまりさを襲う。 「ん゙ぐぇびゅっ! ゆ゙ぶぶゅぅっ! お゙ぶぎゅぅゆ゙ぅゅぅゔゔうぅぅぅうぇうぇうぇう!!!」 しかしながら、どんなに子供達を吐き出そうとしても、唇はがっしりと押さえられてしまっている。 まりさは助けを求めて、パートナーであるれいむに視線を送る。 「ゆぅー! やめてね!」 それに答えるように、真っ青な顔をしたれいむが少女の前に躍り出た。 れいむは、どんなに直訴したところで、この悪魔が拷問を止めない事など分かっていたが、 それでも叫ばずにはいられなかった。『我が子を無理やり食べさせる』という惨い仕打ちを、 黙って見ている事など、出来なかった。 「やめてね! まりさにあかちゃんたべさせないでね!」 額にたっぷりの汗を浮かべて、ぴょんぴょん飛び跳ねるれいむ。 眉は八の字に垂れ下がり、隻眼は今にも溶けてしまいそうなほど潤んでいる。 その哀切極まる容貌は、少女の嗜虐心をたまらなく刺激するものだった。 彼女はまりさを乱暴に放り捨てると、視線をれいむに移す。ターゲット変更だ。 「ゆぶぅぇぇぇええええええ! おぅえぇぇぇええええええ!」 ようやく解放されたまりさは、グチャグチャのミンチになった赤ちゃんを、 泣きながら必死に吐き出している。その姿が癇に障ったのか、少女はまりさを思い切り蹴飛ばした。 「ゆびゅぅぅぅううううう!?」 「汚いわね。向こうでやってよ」 吐瀉物を撒き散らしながら転がっていったまりさに、 少女は吐き捨てるような調子でそう言うと、れいむを見下ろして歪んだ笑みを浮かべる。 「……ねえ、れいむ。あなた、さっき面白い事言ってたわね」 「ゆゆっ!? おもしろいこと?」 頭上に大きな疑問符を浮かべて、小首をかしげるれいむ。 悪魔達がやって来てから、面白い事など何一つ無い。 「……あんた、さっき反省しろって言ってたよね? ねえ、言ってたよね?」 「い、いったよ! でも、それはおねえさんがひどぅぶぎゃぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!」 れいむの言葉が途中から絶叫に変わる。 三ヶ月前に右目を潰されて、ぽっかりと開いたままの穴に、少女が右の拳を突っ込んだのだ。 「饅頭の分際で人間に命令するな」 そう言うのと同時に、左手でれいむの頭を抑えて、どんどん右拳をねじこんでいく。 ブチブチと右目(もう目は無いが)の穴が広がり、少女の右手は肘までれいむの体に埋まってしまった。 遠目に見れば、大きなポンポンをつけたチアガールに見えない事も無い。 「いだいいい゙い゙! いだいいい゙い゙い゙!! ぬ゙い゙で!!! ゆっぐりじないでぬ゙い゙でぇ!!!」 「本当に痛いのはこれからだよ」 無慈悲で悪辣な笑みがれいむに注がれる。 少女はれいむの体内で手を握ったり開いたり、肘から先を大きく動かしたりして、 ゆっくりにとっての内臓ともいえる餡子を、滅茶苦茶に引っ掻き回す。 暖かい餡子が皮の中を行ったり来たりするくぐもった音が聞こえる度、れいむは気が狂いそうになった。 一寸法師に腹の中から刺された鬼なら、少しはれいむの気持ちを分かってくれるだろうか。 「ゆぎゅ゙ぐあ゙ぁぁぁあ゙あ゙ぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙!!!!! ゆがぎゅぐぐゔががが!!!!!!!」 「生きたまま、餡子を掻き乱される気分はどう? あはっ! もう聞こえてないか!」 その通りだった。 雷鳴が荒れ狂うような凄まじい激痛に悶えるれいむには、 少女の声はおろか、自分の悲鳴さえ聞こえていなかった。 れいむの餡子脳を支配するのはたった一つの感覚、『苦痛』だけだった。 「あ゙ぐがががあ゙あ゙ぅあ゙ぅあ゙あ゙っぁあ゙ぁぁあ゙あ゙っあ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁあ゙あ゙あ゙!!!!!!!」 「あんたの悲鳴も、いい加減聞き飽きたわ。耳障りだから死ね」 少女は大量の餡子を掴んで、れいむの体から右手を引き抜く。 握りこぶしの隙間から、黒光りする餡子がボタボタこぼれ落ちた。 そのまま拳を振り上げ、引きつけを繰り返す瀕死のれいむに、とどめを刺そうとする。 だが、その拳に、突然チクリとした痛みが走った。 れいむの処刑を止めさせようとした子まりさが、全力で噛み付いていたのだ。 『窮鼠、猫を噛む』ならぬ、『窮ゆっくり、悪魔を噛む』である。 「ゆゆぅー! おかーしゃんをいじめないでね!」 れいむを殺す絶好のタイミングを邪魔されて、露骨に舌打ちする少女。 自分の右手に噛り付いている子まりさを、鬼の形相で睨みつける。 「……こいつ、鬱陶しいわね。そんなに死にたいなら、あんたから殺してあげる」 その身震いするような恐ろしい目つきに、子まりさは竦みあがった。 あわてて噛み付くのを止めると、底部から地面に降りる。 それは、十点満点の綺麗な着地だったが、 降りたところが、周囲に比べてかなり傾斜していたので、 子まりさは、あさっての方向にコロコロと転がっていった。 「ゆぅー!?」 自分の意思を離れて回転する体に困惑する子まりさ。 だが、回転する事で餡子脳が良い具合にシェイクされ、 明敏になったのか、子まりさは良いことを思いついた。 「ゆゆっ! ゆっくちまわって、ゆっくちにげるよ!」 跳ねるのではなく、転がって逃げる。 一見、馬鹿馬鹿しい方法だが、それは素晴らしい発想だった。 手足が無く、丸い体のゆっくりならではの高速移動方法だ。 子まりさはでんぐり返しを繰りかえし、ゴロンゴロンと音を立てながら、少女から逃げる。 お気に入りの黒帽子が地面と擦れて、形が歪むのが嫌だったが、今は緊急事態だ。我慢するしかない。 「こいつ、待ちなさいよ!」 猛スピードで自分から遠ざかって行くお饅頭に、少女は怒声を浴びせる。 予想外の事態に戸惑っている事が、険しい表情から見て取れた。 「このっ! 待ちなさいって言ってるでしょ!」 少女の必死な声を聞いて、子まりさの心に少しだけ余裕が生まれた。 人間よりも素早く移動できるという事は、大変なアドバンテージだ。 「ゆっゆゆ! これなら、おねえさんにもつかまらないよ!」 笑顔でそう言った直後、子まりさは大変な事に気がついた。 回転の勢いがつきすぎて、自分で進行方向をコントロールする事が出来なくなっていたのだ。 「ゆ? ゆゆぅー!? ま、まがれないよ!? どうちてえ!?」 だが、その疑問に答えてくれる者はいなかった。 子まりさの眼前に、赤茶けた洞窟の岩壁が、無情に迫る。 「ゆー! ゆゆー! とめてね! だれかとめてね!」 泣きそうな顔で、必死に助けを求める回転饅頭。 その願いは、結果的に叶った。子まりさが岩壁に衝突する、という最悪の形で。 「ゆびゅうっ!?」 愛らしい大きな瞳から、閃光と火花が散る。 軽い餡子脳震盪を起こした子まりさは、泥酔者のような動きでよろめいた。 「ゆぅ~ゆぅ~。おほしさまが、まわってるよ……」 しばらくして、徐々に意識がはっきりしてきたのか、 水を被った犬そっくりに、ぷるぷるっと首を振ると、大きく息を吐く。 かなりの速度で激突したわりに怪我が無かったのは、不幸中の幸いだった。 「ゆぅゆぅ……。はやすぎて、こわかったよ……。やっぱり、ゆっくちがいちばんだね!」 身をもって『ゆっくりする事』の素晴らしさを痛感した子まりさ。 これからは、二度と転がって移動したりしない。そう思った。 巣の外を移動するときに 誤って池などに落ちてしまったら、大惨事になることは必至だからだ。 しかれども、子まりさに再び『巣の外を移動するとき』があるかどうかは、怪しかった。 「てこずらせてくれたわね……。あんたは特別に、たっぷり可愛がってあげなくちゃね……」 子まりさが前後不覚の状態になっている間に距離を詰めたのだろう、 額に汗を浮かべ、柳眉を逆立てた少女が、傲然と子まりさを見下ろしていた。 その視線には、多種多様のネガティブな感情が含まれていた、憤怒、害意、嘲り、そして殺意。 毒蛇と毒虫と毒草を一つの鍋で煮込んだような禍々しい色の瞳に、 言い知れぬ恐怖を感じた子まりさは、身を翻して少女から逃げようとする。 「ゆうぅー!? こ、こっちこないでね!」 「もう逃がさないよ」 「ぴゅっ!?」 小さな悲鳴を上げて転んでしまう子まりさ。 長く伸ばした金髪の後ろ髪を踏みつけられ、身動きが取れなくなったのだ。 この時点で、子まりさの運命は決まった。苦しんで死ぬか、悶えて死ぬかだ。 「ゆぅー! ゆぅー! はなしてね! ゆっくちはなしてね!」 子ゆっくり独特の、可愛らしい言い方で嘆願するが、 その稚拙な言葉遣いが、少女を余計にイラつかせたようだ。 彼女の額に浮き上がった大きな血管が、怒りの強さを如実に物語っていた。 「『ゆっくち』って何よ? 『ゆっくり』でしょ? その言葉遣い、死ぬほどムカツクのよ!」 少女は右足で髪の毛を踏みつけたまま、左足で子まりさの頬に靴のつま先をぶち込んだ。 ぶちぶちっと嫌な音をたてながら、子まりさ自慢の金髪が頭皮ごと半分ちぎれる。 「あびぎゅぅぅうううううううう!!」 「ねえ? 勝てると思ったの? 人間に勝てると思ったの? ねえ!? ねえ!? ねえ!?」 激しく詰問しながら、靴のかかとを子まりさの目玉に押し付けてグリグリと踏みにじる。 寒天のように脆くて柔らかい眼球に、アウトソールの蛇腹が容赦なく食い込んだ。 「ゆぎゅぅあ! いぢゃい! いぢゃいい! ……あぎゅっ!?」 子まりさが、驚愕の色を含んだ悲鳴を発する。 眼球が圧力に耐え切れず、ブチュリと音を立てて破裂したのだ。 直後、全身を駆け巡る悪寒と激痛により、洞窟が崩れそうなほどの大絶叫を張り上げる。 「ゆぎゅ゙ぐぎぃあ゙ぁぁぁあ゙あ゙ぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁあ゙あ゙あ゙!!!!!!」 右目が潰れたのを確認した少女は満足気に微笑むと、左目を踏みつけた。 今度は圧力を加えるのではなく、手加減しながら何度もコツコツと蹴りつける。 成体ゆっくりに比べて柔らかい子ゆっくりの眼球は、一蹴りごとにプリンのように形を歪ませた。 「ご、ごめんなちゃい! ゆるちてね! ゆるちぶぎゅえ!」 「許すわけないじゃない」 子まりさの謝罪などおかまいなしに目玉を蹴り続ける少女。 そういう目的の為に作られた機械のように、ひたすら蹴る、蹴る、蹴る、蹴る、蹴る。 「ゅぎっ! ぎゅっ! ぎゆぅっ! いぎっ! ぎっ! ぃぎっ! ぎぃ!」 二十六回目の蹴りで、子まりさの眼球の耐久力は限界を超えた。 水風船を割ったような音が洞窟に響き、左目の残骸が地面に四散する。 「いぎゃあ゙あ゙ぁぁあぐあ゙ぁぁぁあ゙あ゙ぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 子まりさは、これで永久に光を失った。 日輪の力強い輝きも、風に揺れる草花の美しさも、二度と見る事は出来ない。 「みえないよ……なにも、みえないよ……。こわいよ……ゆっくちできないよぉ……」 痛々しい子まりさの姿を見て、少女は何かを思いついたのか、踏みつけていた髪から足をどけた。 とりあえず自由の身になった子まりさは、満身創痍の体で、ふらふらと両親に助けを求める。 「おとーしゃん……どこなの? おかーしゃん……たすけてぇ……」 両親の暖かい頬を求めて、洞窟内をさまよう子まりさ。 だが、目の見えぬ悲しさか、小さな段差で転んだり、 壁にぶつかったりするだけで、一向に目的の場所にはたどり着けない。 寂しさと悲しみと疼痛で、子まりさはとうとう大声で泣き出してしまった。 眼窩の窪みから、餡子交じりの黒い涙が、はらはらとこぼれ落ちる 「ゆぅぁぁああ~ん! ゆぅぁぁああ~んあんあん! ゆっくちしたいよぉ!」 その時だった。子まりさの頬に、暖かい感触が伝わってきた。 生まれた時から、何度もすり寄せて来た、柔らかな物体。それは、れいむの頬だった。 「ゆゆっ!? おかーしゃん!?」 少女が、死にかけのれいむを捕まえて、子まりさの頬にくっつけてやっていたのだ。 もちろん善意からの行動ではない、子まりさに最高の苦痛を与える為だ。 しかし、そんな邪悪な思惑など知らない子まりさは、 れいむの頬に、火傷しそうなほど激しく頬を擦り付ける。 「おかーしゃん! おかーしゃん! こわかったよぉ!」 「……ゅ……ゆ……ちび……ちゃん……?」 これこそ、母子の情愛が引き起こした奇跡なのだろうか。 体内の餡子をしっちゃかめっちゃかに掻き乱され、ほとんど植物状態になっていたれいむが、 子まりさの頬の温もりで、おぼろげながらも意識を取り戻したのだ。 隻眼から涙の雫をこぼしながら、必死に言葉をつむごうとする。 「……ちび……ちゃん……ゆっくり……して……ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙!!!!」 それは、突然の変化だった。 蚊の鳴くような声だったれいむの囁きが、 まるで、昆虫の羽音のような奇怪な音になったのだ。 最愛の母親が発する、あまりにも異常な絶叫に、子まりさは困惑した。 「おかーしゃん!? どうちたの!? おかーしゃん!?」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙!!!!」 子まりさがどんなに呼びかけても、喉を震わせて怪音を発し続けるれいむ。 目の見えない子まりさには、何が起こっているのか、まったく分からなかった。 そんな子まりさに、胸焼けしそうな甘ったるい声で、少女が話しかける。 「まりさ、私ね。今、あなたのお母さんで遊んでるの」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙!!!!」 「ゆゆっ!?」 少女の言葉は、子まりさをさらに悩ませた。 こんな奇声を発する遊びなど、聞いた事がない。 それに、お母さん『で』遊んでいるとは、どういう事だろう。 お母さん『と』遊んでいるの間違いではないのか。 「ねえ。何して遊んでると思う?」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙!!!!」 「わ、わからないよ! なにしてあそんでるの?」 子まりさはそう質問してから、 れいむの声に混じって、奇妙な音が聞こえる事に気がついた。 グッチャグッチャ……ヒューン……ベチャ! それは、非常に生々しい音だった。 子まりさはその音を聞いて、何故だか分からないが、とても嫌な気持ちになった。 グッチャグッチャ……ヒューン……ベチャ! 「ねえ。何して遊んでると思う?」 少女が先程の質問を繰り返した。 小さな餡子脳をフル回転させて、少女の言う『遊び』の内容を考える子まりさ。 だが、どんなに考えてもまったく分からないので、早々にギブアップを宣言する。 「わからないよ! こうさんするから、こたえをおしえてね!」 少女はその言葉を待っていたかのように、大声で答えを教えてやった。 「あんたの母親の頭を引き裂いて、中身をそこら辺にばら撒いてるのよ!」 グッチャグッチャとれいむの頭の中から引きずり出した餡子を、 子まりさの目の前にヒューンと投げつける。 ベチャ! 飛び散った餡子の雫が、子まりさの頬に小さな斑点を作った。 音の正体を知った瞬間、声にならないうめきを上げ、カタカタと震えだす子まりさ。 その振動は、足の裏から黒帽子のてっぺんまで緩やかに伝わっていく。 「ゆ……ゆぅあぁぁ……そんなの……ひどい……ひどいよぉ……」 子まりさの弱々しい態度に、少女は拍子抜けしたようだった。 もっと盛大に泣き叫ぶのを期待していたのだろう。 「あれ? どうしたの? 『やめてね!』とか言わないの?」 そう言われても、子まりさはめそめそと泣くだけだった。 かけがいの無い家族を次々に殺された挙句、視力まで奪われた幼い体は、もう疲れきっていたのだ。 「ふん、つまんないの。それじゃ、もうれいむを殺そうっと」 少女は小さく舌打ちすると、ほとんどの餡子が無くなったれいむの体を踏み潰そうとした。 『殺す』という悪意溢れる言葉に、ぐったりとしていた子まりさが敏感に反応する。 「ゆ!? そんなのだめだよ! おかーしゃんをころさないでね!」 「だったら命乞いしてよ。上手に出来たら、私の気持ちも変わるかもよ?」 「ゆぅ……いのちごい……」 『命乞いしろ』と言われても、幼く、語彙の少ない子まりさは、どうすればよいのか分からない。 だがこのままでは、悪魔に母親が殺されてしまう。必死に知恵を絞った結果、 子まりさが導き出した方法は、『母親の良いところを一つずつ列挙していく』事だった。 「おかーしゃんはね、とってもやさしいんだよ!」 「ふぅん……」 「それからね、すっごくおうたがじょうずなんだよ!」 「へぇ……そうなんだ」 「まりさがねるときは、おやすみのちゅうをしてくれるんだよ!」 「ふぁ~あ、そう……」 「あとね、あとね……」 「ごめん、もう飽きたからいいや」 楽しそうに母親の長所を言い立てる子まりさにそう吐き捨てると、 少女は渾身の力を込めてれいむの脳天に拳を振り下ろした。 ボグシャアッ! カンシャク球が爆発したかのような炸裂音が、洞窟内に轟く。 目玉の無くなった子まりさでも、れいむが死んでしまった事はすぐに分かった。 『ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙』という鳴き声が聞こえなくなったのもあるが、 先程までは確かにそこにあった、暖かな生命の存在感が、完全に消失してしまっていたからだ。 「ゆぁ……ゆあぅぁ……おかぁ……しゃん……おか……しゃ……」 子まりさの胸中で、母親との暖かい記憶を映した走馬灯が、 楽しげな音楽と共にくるくると回りだした。それは、とても幸福な幻影だった。 まだ母親の胎内にいる時に、毎日朝晩『ゆっくりうまれてね!』と声を掛けてくれた事。 自分が生まれた時、ニッコリと微笑んで『ゆっくりしていってね!』と言ってくれた事。 姉妹達と喧嘩した時、きつく叱られて泣いてしまったが、その後優しく慰めてくれた事。 初めて歌を一緒に歌った時、上手くリズムをとれない自分に、調子を合わせてくれた事。 どの思い出も、決して忘れえぬ、素晴らしい宝物だ。 これからも、そういった宝物がどんどん増えていくはずだった。はずだったのに……。 深い悲しみに呼応するかのように、突然、走馬灯に映される記憶が一変した。 そこに映し出されたのは、今日一日で起こった、地獄絵図の模様だった。 ただ微笑んで挨拶しただけなのに、燃え盛る炎で焼き殺された赤ちゃんれいむ。 仮死状態から蘇生し、必死に呼吸しているところを踏み潰された赤ちゃんまりさ。 その二人の死骸を無理やり口の中に放り込まれ、何度も何度も殴られた父親。 思いやりの心で、少女を治療しようとしたのに、地面に叩きつけられて死んだ姉。 そして、走馬灯の最後に映しだされたのは、映像ではなかった。 そこには、真っ黒なキャンバスに血のような赤い文字で『ボグシャアッ!』と書かれていた。 それを見た瞬間。子まりさの精神をギリギリ正常な地点に繋ぎ止めていた鎖が、音を立てて崩れ落ちる。 「ゆフっ♪ ユふっ♪ ゆっヒゅ♪」 子まりさは、空っぽの眼窩を突然あらぬ方向に向けて、ニヤニヤと笑い出した。 幼い体には酷過ぎる、執拗な肉体的、精神的拷問により、とうとう心が壊れてしまったのだ。 沖に打ち上げられた魚のようにビチビチと跳ね回りながら、トーンの安定しない声で喚く。 「オかーアしゃん♪ マりサとぉー♪ あーソびマっしょー♪」 母の名を呼びながら、あまりにも痛ましい姿で洞窟内を跋扈する子まりさ。 硬い岩壁に何度もぶつかり、少女に蹴られた傷口から餡子が飛び出しても、決して跳ねるのを止めない。 ゆっくりにとっての生命そのものとも言える黒塊を、そこらじゅうに撒き散らしながら跳梁し続ける。 「ゆヒっ♪ ユほっ♪ ゆっヒょひょ♪」 やがて、餡子が漏れすぎたのか、子まりさは飛ぶ事が出来なくなった。 その代わり、その場でぐるぐる回転しながら、今度は歌を歌いだした。 「ゆ~♪ ゆ~♪ ゆっくり~♪ ゆっく~り~し~ていってね~♪」 それは、悪魔達がやってくる前に、れいむと歌っていた曲だった。 母親と、姉と、夜遅くまで何度も何度も練習した、大好きな歌。 心は壊れても、子まりさの体はその歌を忘れていなかったのだ。 陽気で楽しい歌声が、洞窟に悲しく響く。 「み~んな~♪ ゆ~っくり~し~ていってね~♪」 少女は、ヘラヘラと笑いながら歌い続ける子まりさをしばらく観賞した後、 だらしなく開きっぱなしになっている口腔に、トゥ・キックをぶち込んだ。 小さな歯がバラバラに砕け散り、可愛らしい舌がグチャリと潰れる。 「んぶぐゆぅぅゅぅうううううぅ♪」 「あははははははははは! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」 発狂した子まりさの悲惨な姿を見て、倒錯した悦楽が頂点に達したのだろう。 少女はけたたましい声で哄笑した。もう先程のように狙いを定める事もなく、 ありったけの力を込めて、思いつくままに子まりさの顔面を蹴りまくる。 「あはっ! あははははっ! あはははははっ! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ねえ!」 「ゆぎゅ……ゆぎゅぅ……おが……しゃ……♪」 小さくて幼い饅頭ボディが、そのような激しい蹴撃に耐えられるはずがなく、 あっという間に、子まりさはもの言わぬ餡子と皮の残骸に成り果てた。 だが少女は、子まりさが絶命してからも蹴るのを止めようとしなかった。 もはや何だか分からない物体になりつつある子まりさの死骸を、 奇声を発しながら狂ったように蹴り続けた。 五分ほど経過し、少女は冷静さを取り戻したのか、蹴るのを止めて肩で大きく息をする。 その様子を見て、今まで黙って成り行きを見守っていた少年が声をかけた。 「落ち着いたか? 血を見ると逆上する癖は直したほうが良いぞ」 「はぁ……はぁ……ごめん。頭に血が上っちゃって……でも、もう大丈夫だよ」 「そうか、それは良かった」 「はぁ……はぁ……後は、まりさだけだね。殺さなきゃ……殺さなきゃ……」 少女は額の汗を拭いながら、先程転んだ時に地面に落ちてしまったカバンを拾い上げると、 中から禍々しい銀色の輝きを放つ物体を引っ張り出した。それは、包丁だった。 「まりさなら、洞窟の外に逃げていったぞ」 「えぇ!? なんで捕まえなかったの?」 獲物をみすみす逃がした事をさらっと答える少年に、少女は憮然とした眼差しを向ける。 血濡れの右手に包丁を携えたその姿は、子供とは思えない威圧的な迫力があった。 「迂闊に動くと、俺までお前に殺されそうだったからな」 冗談なのか本気なのか分からない顔でうそぶく少年。 だが、先程の少女の狂った暴れぶりから察すると、それも十分ありうる事かもしれなかった。 それでも、少女にとっては思いも寄らない指摘だったのか、真っ赤になって抗議する。 「もう、そんな事するわけないでしょ! どうするの? 皆殺しにするつもりだったのに」 「心配ない。まりさの行き先は分かってる。自分を助けてくれる人の所だ」 「本当? どこなの?」 「それは……」 続く