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Q.01 : 頭は良い方がイイ? Q.02 : スポーツは万能な方がイイ? Q.03 : 料理は出来た方がイイ? Q.04 : 優しい人がイイ? Q.05 : 面白い人がイイ? Q.06 : 強い人がイイ? Q.07 : 気が利く人がイイ? Q.08 : お金持ちがイイ? Q.09 : オシャレな人がイイ? Q.10 : 歌は上手な人がイイ? Q.11 : ダンスは上手な人がイイ? Q.12 : 貴方はお姫様・王子様扱いされたい派? Q.13 : 貴方は引っ張って欲しい派? それとも引っ張って行きたい派? Q.14 : レディファーストはどう思う? Q.15 : カッコイイ人とカワイイ人ならどっち? Q.16 : タバコ吸う人はOK? Q.17 : お酒飲む人はOK? Q.18 : ギャンブルする人はOK? Q.19 : 浮気は許せる? Q.20 : 好きな人が韓国人だったらどうする? Q.21 : 白人と黒人どっちが好き? Q.22 : Sの人とMの人ならどっちが良い? Q.23 : 好きなタイプをアニメ・ゲームなどのキャラで例えると? Q.24 : 好きな人が二人出来ちゃった。貴方ならどうする? Q.25 : 好きな人の職業は? Q.26 : 理想の体系は?(身長・体重・靴サイズ~) Q.27 : 髪型は、ロングとショートならどっち? Q.28 : 髪を元の色以外に染めてる人はOK? Q.29 : オタクな彼氏・彼女は? Q.30 : では最後に、バトンを渡す人。
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?ゆっくり達の生涯『冬篭り編』(前編)? 第1話 ?ゆっくり眠れないまりさ? 「ゆゆ?♪ まりさ、はるさんはまだかな?」 「ゆ?、きがはやいよれいむ。ふゆさんはゆっくりしてるからはるさんはまだこないよ。」 2匹のゆっくりが入り口を塞いだ木の洞の中で仲良くゆっくりしている。 2匹は成長途中であり、将来は夫婦となるであろうが現在のところ非常に仲の良い友達同士と言ったところである。 巣の奥にはキノコや木の実などの食糧が大量に蓄えられており、万全の状態で冬篭りを始めた事がうかがえる。 「ゆぅ?おうちのなかはせまくておもしろくないよ・・・。」 「しょうがないよれいむ、ゆっくりはるさんをまとうね! す?り♪ すーり♪ 」 まだ子供心が残るれいむをまりさが頬ずりをしながらなだめている。 ちなみにこのやり取りは本日5回目、所詮は餡子脳なので何気ない会話などすぐに忘れてしまうのだ。 そんなやり取りが繰り返されるうちに1日が終わろうとしていた。 「ゆぅ?なんだかねむくなってきたよ、まりさおやすみぃ?・・・z z z z z 。」 「ねてればはるさんはすぐにくるよ、おやすみれいむぅ?・・・z z z z z 。」 次の日、先に目を覚ましたのはれいむであった。 意識がはっきりするとれいむはすぐに異変に気が付く。 「ゆゆ!まりさどこ!?」 隣で眠っていたはずのまりさの姿は無く、れいむは慌ててまりさの姿を探す。 しかし所詮は小さな洞の中、れいむはまりさの姿をすぐに見つける事ができた。 「ゆゆ? まりさなにやってるの?」 まりさは顔を大量に溜め込んだ食糧に突っ込みスヤスヤと眠っている。 れいむの声を聞きまりさの意識はようやく覚醒する。 「ゆぅ?おはよぉ?れいむ。きょうもゆっくりしようねぇ?。」 このまりさ、まりさ種に多く見られる高慢な態度、いわゆるゲスの素質は微塵も持ち合わせておらず相方思いの良い ゆっくりであるのだが、一つ厄介な癖を持っていた。 それは・・・。 「ゆぅ?まりさ、ゆっくりねむっててよね!もぅ、ぷんぷん!」 「ゆゆ!ごめんねれいむ、ゆっくりしてるとなんでかいつもこうなっちゃうの。」 そう、このまりさは寝相がとてつもなく悪いのである。 現在は冬篭りのため入り口はがっちり塞いでいるから大丈夫であるが、過去に何度も眠ったまま転がり巣の外で朝を 迎えたことがあった。 運が良かった事もあり捕食種に食べられずに無事ここまで成長する事ができていた。 「ゆ、そういえばあさごはんがまだだよ! はやくたべようね!」 「ゆゆ! そうだったね、はやくごはんをたべたいよ!」 れいむに責められ分の悪いまりさは朝食の話題を出し話題の転換を図った。 結果は予想通り、腹ペコのれいむはコロっとまりさの寝相についての不満を忘れ思考はご飯に乗っ取られてしまった。 「「む?しゃ♪ む?しゃ♪ ・・・・・しあわせ?♪ 」」 2匹は食後のゆっくりタイムを満喫している。 そして、れいむはどこか聞き覚えのある言葉を発するのであった。 「ゆゆ?♪ まりさ、はるさんはまだかな?」 「ゆ?、きがはやいよれいむ。ふゆさんはゆっくりしてるからはるさんはまだこないよ。」 こうして昨日と同じ様なやり取りをして何気ない一日が過ぎていくのである。 しかし、そんな平和な巣穴に不幸な出来事が襲い掛かる。 「ゆぅ?・・・ゆぅ?・・・はるさん・・・はやくき・・・ゆぅ?・・・。」 時刻は深夜、れいむは気持ち良さそうに眠っている。 まりさはと言うと毎度の如く巣穴の中をコロコロ転がりながら眠っている。・・・よく目が覚めないものだ。 「ゆぅ?・・・まりさもっとゆっぐ!」 れいむは突然体に加わった圧力により目を覚ます。 そしてれいむは自らの目を疑う光景を目撃する。 「ゆぅ?・・・だいすきだよぉれいむぅ・・・むにゃ?・・・。」 まりさは寝ぼけたまま自らの体をれいむに押し付けており、しかもどこか気持ち良さそうな顔をしている。 「ゆゆ!まりさおきて!ゆっくりねむれないよ!」 れいむが必死に声を上げてまりさを起こそうとするが目を覚ます気配はなかった。 このまりさ、寝相が悪い事に加えて一度眠ったらなかなか起きないのである。 「ゆふふふ・・・なんだかきもちよくなって・・・。」 まりさの顔は次第に紅潮し、体を小刻みに振動させ始める。 まりさの行為の意味を知っていたれいむは血相を変えて騒ぎ出す。 「や、やめてまりさ! れいむまだこどもつくりたくないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 れいむは必死にまりさから離れようとするが、きっちり押さえつけられているのに加え自らも少しずつ快楽に支配さ れ力が入らず逃れられない。 そして体をくねくねさせて抵抗するうちにれいむのリボンがほどけてしまう。 「ゆゆー! れいむのりぼん! 」 リボンがほどけ気がそれたのがいけなかった。 まりさは好機とばかりに更なる快楽を求めどんどん振動を強くしていく。・・・夢と現実の両方で。 「ゆふ・・・ゆふふふふ・・・んほぉぉおおおぉおぉおぉおお! ! ! 」 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!じにだぐない! じにだぐない! もっどゆっぐりじだいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !まだずっぎりじだぐないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 「「すっきりー! 」」 まりさは満面の笑みで、れいむはこの世の終わりに遭遇したような表情で“すっきり”を迎えた。 れいむの頭から蔓が芽を出し、涙を浮かべ絶望の表情のまま黒ずんでいく。 まりさは“すっきり”して満足したのか何事もなかったかのようにスヤスヤと眠っている。 翌日、まりさは久しぶりにれいむに起こされずに目覚めた。 「ゆっふ???! なんだかとってもすっきりしてるよ!」 軽く伸びをしてれいむの方へ目を向けるとまりさは愕然とする。 まりさの目には黒ずみ朽ちた物体が映っていた。 その物体の頭頂部からは緑の蔓が伸び先端に3つの小さな実が実っていた。 理解を超えている光景にまりさはフリーズしてしまった。 (ゆゆ? れいむはどこにいったの? なんでいないの? おうちのいりぐちはふさいでるよ? なんで? どうして?) フリーズしているまりさの目にある物が映りそれに釘付けとなる。 黒く朽ち果てた物体の横にいつも見ているれいむのかわいらしいリボンが落ちていた。 (なんでれいむのりぼんがおちてるの? ) リボンを見詰めているうちにまりさはある結論にたどり着く。 (ゆゆ!? ひょっとして・・・これって・・・) まりさの思考が間停止する。 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・) 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ ! ! ! ! ! れいむ! れいむ! でいぶう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! なんで!? どうして!? でいぶ! ゆっくりしすぎだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! おぎでよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! いやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! 」 黒く朽ち果てている物体がれいむであると理解したまりさは大声で泣き喚きだした。 もちろん自分が寝惚けてれいむとすっきりした事に気が付いてなどいない。 その時、泣き声が木霊する巣穴の中に一つの変化が訪れる。 プチッ! プチッ! ・・・・・プチッ! 朽ちたれいむに実った3匹のプチゆっくりが蔓から切り離され落下する。 地面に着地すると3匹は満面の笑みで産声を上げる。 「「「ゆっくりちていってね!」」」 プチゆっくりの産声を聞きまりさは我に返る。 まりさの目線の先ではれいむの忘れ形見である3匹のプチれいむが笑顔で飛び跳ねていた。 「れいむの・・・あかちゃん・・・? 」 声に反応したプチれいむ達とまりさの目が合う。 「「「おか?しゃ?ん、おなかちゅいたよ。」」」 この瞬間、まりさの餡子脳の大部分を占めていた悲しみが一気に喜びと母性に入れ替わった。 「ゆゆ! すぐごはんをあげるよ! まっててね! 」 まりさは急いでプチれいむ達が実っていた蔓の元へ駆け寄り食べやすいサイズに食い千切る。 「おちびちゃん! これがごはんだよ! ゆっくりたべてね! 」 「「「おか?しゃん、ありがちょ?♪ 」」」 プチれいむ達は目の色を輝かせてパクッと蔓に食い付く。 「「「む?ちゃ♪ む?ちゃ♪ ・・・ちあわせ?♪ 」」」 (ゆゆ?♪ とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだね! れいむのぶんもおちびちゃんたちとゆっくりするからね!) まりさは3匹のプチれいむを見ながらこれから始まる幸福な時間に思いをはせるのであった。 その日の夜、巣穴の中は幸福で包まれていた。 「す?り♪ す?り♪ さすがまりさのおちびちゃんだね! とってもゆっくりしてかわいいよ! 」 自分がれいむを無理やりすっきりさせたなどと夢にも思っていないまりさは、既にれいむの事など忘れてプチれいむ 達とスキンシップをはかり幸福の絶頂にいる。 「おか?しゃんくしゅぐっちゃいよ♪ 」 「いいにゃ?いいにゃ?♪ ちゅぎはれいみゅのじゅんばんだよ! 」 「ゆゆ! じゅりゅいよ! れいみゅもしゅ?り♪ しゅ?り♪ しちゃいよ! 」 4匹はとてもゆっくりとした時間を過ごしている。 しかし、幸せな時間というものは早く過ぎてしまうものである。 「ゆゆ! おちびちゃん、そろそろおねむのじかんだよ! 」 「「「まだねみゅくにゃいよ! もっちょゆっくりしちゃいよ! 」」」 プチれいむ達は大丈夫だと言い張るが既に目が何度も閉じかかっており、眠くて仕方がない事がうかがえる。 「ゆっくりねむらないとゆっくりしたゆっくりになれないよ。 おちびちゃんたちはゆっくりしたゆっくりになりたいでしょ?」 「「「ゆゆ! ゆっくりしちゃいよ! れいみゅはゆっくりねむりゅよ! 」」」 ゆっくりは“ゆっくり”と言う単語に非常に敏感であり、ゆっくりしたゆっくりを理想像とする。 故に賢い親はその理想像を利用して子供の躾に“ゆっくり”と言う単語をよく使用する。 「ゆ?、やっぱりまりさのこどもはいいこだね! おちびちゃんたちのべっどはここだよ! 」 まりさの横には落ち葉のベッドが出来上がっていた。 昼間プチれいむ達のために一生懸命作った努力の賜物である。 ベッドを見るや否やプチレイム達は目をキラキラさせる。 「「「ゆゆ?♪ とっちぇもゆっくりできしょうだよ! おか?しゃんありがちょ?♪ 」」」 プチれいむ達の賞賛を聞き、まりさは満更でもなさそうに照れている。 プチれいむ達は各々お気に入りポイントを決めると落ち葉を身にまとい眠る体勢に入る。 「おか?しゃん、おうたうちゃって?。」 「ゆゆ! れいみゅもおうたききちゃいよ?。」 「うちゃって♪ うちゃって♪ 」 プチれいむたちの期待に応えてまりさは目を瞑るとゆっくりと子守唄を歌い始める。 「ゆ?っく?り??ゆゆ?ゆ?ん?ゆゆ?ゆ?ゆ?ゆ?♪ 」 人間が聞いていたら思わず拳が飛んできそうな歌声であるが、プチれいむ達は気持ちよさそうに夢の中へ旅立ってい った。 そしてまりさも幸福で満たされた笑顔のままゆっくりと眠りについた。 深夜・・・。 コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロ「ぴぎゃ・・・。」・・・コロコロコロン・・・ コロコロコロ・・・コロコロ「ゆぎゃ・・・。」・・・コロコロコロ・・・コロコロコロリン・・・ 翌日、巣穴の中は絶望で埋め尽くされていた。 「なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! どうじでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! おちびちゃんがぶだりもづぶれてるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !?おねがいおぎでよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」 まりさが気持ちよく目覚めると2匹のプチれいむが無残にぺちゃんこに潰されていた。 ご想像通り、深夜まりさの寝相の悪さによって運悪く踏み潰されてしまった2匹である。 残念なことに貧弱な餡子脳では自らが踏み潰したなどと考えは及ばず、まりさは物言わぬ潰れた饅頭となった2匹を 眺めひたすら泣き喚く事しか出来ない。 また、運良く生き残った1匹のプチれいむも熟睡していたせいでまりさが姉妹を踏み潰したなどと思い浮かぶ事無く、 居もしない犯人に怯えながら潰れた2匹に対して涙を流すのであった。 「ゆあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん! ! ! おちびちゃんゆっぐりじずぎだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ゆっぐりできにゃいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 その日、2匹は片時もゆっくりする事ができないのであった。 夜、まりさは追い詰められていた。 この状況に至ってもまりさは自身の寝相で2匹を踏み潰したなどど微塵も思っておらず、どうやって生き残ったプチ れいむを護ろうか悩んでいた。 「ゆぅ・・・このおちびちゃんだけはぜったいまもらないと・・・。」 まりさは貧弱な餡子脳をフル回転させて打開策を考えている。 「ゆゆ! いいことおもいついたよ! 」 そしてある名案を思いつくのである。その名案とは・・・。 ※エンディング分岐です。 プチれいむを口の中に隠す → A プチれいむを帽子の中に隠す → B A:プチれいむを口の中に隠す 「おちびちゃん! おかあさんのおくちのなかにはいってね! 」 「ゆゆ?? おくちのにゃか? 」 まりさの意図を理解していないプチれいむは頭上に?マークを浮かべている。 「おかあさんのおくちのなかでねむればきっとあんぜんだよ! ゆっくりりかいしてね! 」 「ゆゆ! おか?しゃんはてんしゃいだね! ゆっくりりかいしちゃよ! 」 大きく開けられたまりさの口の中にプチれいむは勢いよく飛び込む。 「ゆゆぅ、ちょっとくりゃくてこわいよぉ、おか?しゃん。」 「ごめんねおちびちゃん、おかあさんがまもってあげるからがまんしててね。」 少し怖がっていたプチれいむであったが母親の口の中に居る安心感もあり、すぐに眠りにつく事ができた。 深夜、まりさは眠気と必死に戦いながらまだ起きていた。 2匹のプチれいむを潰した犯人を見つけるために徹夜する覚悟でいた。 「ゆぅ、ぜったいねむらないよ、おちびちゃんはまりさがまも・・・・・z z z z z 。」 しかし、遂に睡眠欲に負け眠ってしまった。 当然といえば当然の事である。 ゆっくりは三大欲求の誘惑に非常に弱いナマモノである。 自然界に生き、人間から特別な訓練を施されていないゆっくりがそれにあがなおうとするのは並大抵の行為ではなく、 まだ成体でもないまりさにとって到底無理な事である。 「ゆぅ?・・・おか?しゃんだいしゅ・・・むにゃ?。」 まりさの口の中でプチれいむは安心しきった寝顔で眠っている。 しかし、一度下り始めた幸福から不幸への下り坂はそう簡単に終わらないのであった。 プチれいむは異変に気が付き目を覚ました。 コロコロコロ「ゆゆ! 」・・・コロコロコロ「おか?じゃ! 」・・・コロコロ「もっぢょ! 」・・・ コロコロコロ「ゆっぐり゛! 」・・・コロコロコロ「ゆぎゅ! 」・・・コロコロ「ぴぎゃ! 」・・・ まりさの口の中でプチれいむは何度も壁にぶつかっていた。 理由は言うまでもなくまりさが転がりながら眠っているからである。 プチれいむは必死に悲鳴を上げてまりさを起こそうとするが、目を覚ます気配は微塵もない。 コロコロコロ・・・・・「ゆゆ?」・・・・・「とまっちゃの?」 突如まりさの動きが止まり、プチれいむも悲鳴を上げるのを止める。 しかし、口の中にいるプチれいむはなぜまりさが動きを止めたかまではわからなかった。 「ゆゆ?、やっちょゆっくりねむれりゅよ。」 プチれいむが再び眠ろうとした時異変が起こる。 「ゆぅ?・・・ゆふふ♪ おいしそうなごはんだ・・・むにゃ?。」 「おか?しゃん、れいみゅねむれにゃいよぉ。」 夢の中でまりさは大量のご飯を目の前にしている。 「ゆふ・・・ゆふふ♪ いっただっきま?す・・・むにゃむにゃ?。」 「ゆえ?ん! ねむれにゃ・ゆぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」 夢の中で食糧にかぶりつく・・・現実でも同じ様に。 プチれいむは間一髪の所でまりさの歯をかわしていた。 しかし、口の中という足場が不安定で視界も暗い中で的確な行動が取れるはずもない。 「む?しゃ♪ 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」む?しゃ♪ 「たべにゃいでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! 」しあわせ?♪ 」 翌日、まりさは溜め込んだ食糧に顔をうずめた形で目を覚ます。 昨夜まりさが見た夢はおそろくはこれが原因である。 「ゆ?っふ?ん! おちびちゃんきょうもゆっくりしようね! おくちからゆっくりでてね! 」 まりさは大きな口を開けてプチれいむに口から出るように催促する。 しかし、プチれいむが飛び出す気配はなかった。 「ゆゆ?? おちびちゃんどうしたの? 」 しかたなくまりさは口の中に感じるプチれいむであろう異物を慎重に吐き出す。 ペッ! ベチャ! まりさの目の前には唾液でベタベタになった赤いリボンが現れる。 昨日と同様にまりさの思考が停止する。 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・) ?5分経過? (・・・・・あのりぼん・・・・・おちびちゃんのだよね?・・・・・おちびちゃんはどこ?・・・・・) ?10分経過? (・・・・・ひょっとして・・・・・まりさが・・・・・おちびちゃんを・・・・・たべちゃったの?・・・・・) ?15分経過? (・・・・・あれ?・・・・・どこかで・・・・・おなじようなことが・・・・・あったよね?・・・・・) ?20分経過? (・・・・・おきたら・・・・・おちびちゃんがふたり・・・・・いなくなってた・・・・・) ?25分経過? (・・・・・れいむも・・・・・あさ・・・・・いなくなって・・・・・) ?30分経過? 貧弱ながらも餡子脳で必死に情報を整理したまりさはある結論にたどりつく。 「あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! ・・・・・ぜんぶばりざのざいなのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !? ゆぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! ごべんなざいごべんなざいごべんなざい! ! ! ぱっ! ぱっ! ・・・ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ っ ! ! ! ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ お お お お お お お お お お ! ! ! 」 普段使わない餡子脳をフル回転させたことに加え自らが犯した過ちに気が付き、それらの重圧に押しつぶされまりさ の心はついに壊れてしまった。 「ゆふふふふふふふふふふ! ゆはははははははははは・・・・・! 」 その日からまりさは溜め込んだ食料に口をつける事無く、眠ることも忘れ笑い続けるのであった。 ?春? 長い冬を乗り越える事に成功したゆっくり達が巣穴から続々と顔を見せ始める。 まりさのいた巣穴には餓死したまりさの亡骸と大量に残された食糧という矛盾した光景が広がっていた。 こうしてれいむは強制すっきりにより、プチれいむ2匹は踏み潰され、1匹はまりさに食べられ、元凶であるまりさ は何も食べずに餓死し、各々の生涯を閉じたのであった。 B:プチれいむを帽子の中に隠す 「おちびちゃん! おかあさんのぼうしのなかにはいってね! 」 「ゆゆ?? ぼうちのにゃか? 」 まりさの意図を理解していないプチれいむは頭上に?マークを浮かべている。 「おかあさんのぼうしのなかでねむればぜったいあんぜんだよ! ゆっくりりかいしてね! 」 「ゆゆ! おか?しゃんはてんしゃいだね! ゆっくりりかいしちゃよ! 」 まりさは舌を出し、プチれいむはそれを踏み台にして帽子まで到達するとゆっくりと中に潜り込む。 「ゆゆ?♪ ちょっとくりゃいけどゆっくりできしょうだよ♪ 」 「おちびちゃんはおかあさんがまもってあげるからね! またあしたいっしょにゆっくりしようね。」 プチれいむはすぐ傍に母親がいるという安心感もあり、すぐに眠りにつく事ができた。 深夜、まりさは居もしない犯人を見つけるために必死に眠気を我慢して起きていたが、結局睡眠欲に負け眠ってしま う。 「ゆぅ?ゆぅ?・・・だいすきだよ・・・・むにゃむにゃ?。」 「ゆぅ?・・・おか?しゃんだいしゅ・・・むにゃ?。」 プチれいむはまりさの帽子の中で幸せそうな寝顔で眠っている。 しかし、一度転落を始めた幸福から不幸への下り坂はそう簡単に止まる事はなかった。 「ゆぐ!」 プチれいむは突如体に加わった衝撃で目を覚ます。 「ゆぅ?ゆっくりできにゃいよ?おか?・・・?・・・・・ゆゆ!おか?しゃんがいにゃいよ! 」 現在プチれいむは地面に転がった帽子の中で横向きになっている。 まりさはと言うと帽子が脱げた事になど気づかないままコロコロ転がりながら眠っている。 帽子が傾いているためプチれいむはまりさの姿を確認する事ができず少し不安そうにしている。 「おか?しゃんをさがしゃないちょ。」 プチれいむは這うようにして傾いた帽子から脱出を図る。 「うんしょうんしょ。」・・・コロコロコロ・・・「おか?しゃ?ん! 」・・・コロコロコロ・・・ 「うんしょうんしょ。」・・・コロコロコロ・・・「どこにいりゅにょ??」・・・コロコロコロン・・・ プチれいむが帽子の入り口に到達する。 「やっちょおしょとにでられりゅよ。」 ピョンッと外に飛び出した瞬間、プチれいむの目には転がりながら接近するまりさの姿が映っていた。 コロコロコロ「ぴぎゃあぁぁ! とまっちぇぇぇぇぇぇ! 」ブチュ!・・・コロコロコロ・・・ コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロコロリン・・・ 迫り来る母親の巨体、それがプチれいむの見た最後の光景であった。 翌日、まりさは帽子が脱げた状態で目を覚ます。 「ゆ?っふ?ん! ゆゆゆ! まりさのたいせつなぼうしがないよ! どこいったの!?」 まりさは血相を変えて巣の中を見回す。 すぐに帽子を発見し安堵するが、近くに転がっているある物を見つけ表情を凍らせる。 まりさの目線の先には押しつぶされて物言わぬ饅頭となったプチれいむが転がっていた。 「あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! ・・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! おぢびぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?どうじでづぶれでるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !? ぜんぶばりざのぜいだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ごべんでえぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! ばりざがねぢゃっだがらだあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」 ついに独りぼっちになってしまったまりさは潰れたプチれいむの横でひたすら泣き続けた。 ?1時間後? 「いなくなったおちびちゃんおぶんもまりさはゆっくりするからね! 」 あっさり立ち直っていた。 幸い巣穴には1匹なら余裕で春を迎えられるであろう大量の食糧が蓄えられている。 まりさはゆっくりと春を待つのであった。 ?春? ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・ヒョコッ! 巣穴からまりさが顔を出す。 「ゆゆ?♪ やっとはるになったよ♪ これでゆっくりできるね♪ 」 まりさは尊い犠牲(?)により無事春を迎えることができた。 今となっては相方であったれいむや潰れて死んだプチれいむの事はほとんど記憶に残ってはいない。 「ゆっゆゆ?ん♪ ゆっゆゆ?ん♪ 」 まりさは希望に胸膨らませて春の森へ繰り出していった。 結局、最後までまりさは自分が原因でれいむやプチれいむが死んでしまった事に気付かなかった。 そして、当然寝相の悪さは直ってなどいない。 この先、まりさは再び気の合うゆっくりを見つけてつがいになるだろう。 そしてそのつがいとなったゆっくりはゆっくりできない生涯を送る事になるのであった。 第1話 ?ゆっくり眠れないまりさ? END 「そこまでよ! このすぺ?すはぱちぇがいただいたわ! 」 なにやら変なのがわきました。 番外編 ?がんばれゆっくりぱちゅりー2? 「むきゅ?♪ おうちがかんせいしたわ! これでふゆがこせるわ! 」 現在ぱちゅりーは自分で地面に掘った巣穴の中に居る。 決して広くはないが、体の弱いぱちゅりー種が巣穴を1匹で完成させるのは非常に稀なケースである。 「むきゅ?♪ ちかくにはたくさんしょくりょうがあるしかんぺきだ・・・。」 パラッ・・・パラッ・・・パラパラパラ・・・ドッシャ?ン 「むぎゅー! 」 突如巣穴が崩れぱちゅりーは下敷きになってあの世へ旅立った。 少し考えればわかるものだが、体の弱いぱちゅりー種が掘れる場所など柔らかく崩れやすい場所に決まっている。 完成した時はぎりぎり形状を保っていたが、中でぱちゅりーが出した声がトリガーとなり崩壊してしまったのだ。 本来ぱちゅりー種は自らの知識を活かし他のゆっくりと共生することで生き延びる種である。 自らの豊富な知識に自惚れ他のゆっくりに近づこうとしなかったこのぱちゅりーに初めから未来など無かったのだ。 (むっきゅーーー! これじゃまえとおなじじゃない! なんでぱちぇだけこんなにすこしなのーーー! けほっけほっ。) 以前にも似たような事があった気がするけどTAKE2 「むきゅ?♪ しょくりょうもあつまったしこれでふゆがこせるわ! 」 現在ぱちゅりーは老木の洞の中に居る。 洞の奥には色とりどりの秋の味覚が溜め込まれている。 体の弱いぱちゅりー種がこれだけの量の食糧を1匹で集めるのは非常に稀なケースである。 「しっかりいりぐちをふさいでっと、かんぺきだわ! 」 ぱちゅりーは完璧な計画に胸躍らせながらゆっくりと眠りについた。 ガクガクガクガクガク 大寒波が到来した翌日、ぱちゅりーは寒さに震えていた。 いかに洞の中とはいえ寒さをすべて緩和する事など不可能である。 「ざ、ざむいわ・・・も・もうだめ・・・むぎゅぅ・・・・・。」 寒さに耐えられなくなったぱちゅりーは敢え無くあの世へ旅立った。 ぱちゅりー種はゆっくり一皮が薄く、また中身が生クリームという事もあり寒さにも暑さにも弱い種である。 他のゆっくりと一緒に越冬し、肌を触れ合わせて体温を上昇させ生き延びるのがぱちゅりー種である。 自らの豊富な(ry (むきゅぅ・・・。) 中篇へ続く
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ラノで読む ※一部グロ表現あり注意 陸雄《りくお》は双葉区から離れた、とある海沿いの寒村に来ていた。 双葉大学でラルヴァ研究を学んでいる陸雄は、郷土妖怪譚や民話とラルヴァの関連性について研究レポートを書くために旅行に出たのだ。もっとも、この村は学園側に出した外出届とは別の場所だ。 たまには学園の目の届かない場所で羽を伸ばしたいと陸雄は思っていた。毎日息の詰まるような講義を受けたり、学園の目を気にして研究に励んでいても気が休まない。後で大目玉を喰らうかもしれないがこの長閑な場所にやってきてよかったと思う。 「空気がおいしいなぁ」 爽やかな潮風が頬を撫で、新鮮な空気が肺いっぱいに入ってくる。陸雄がいる場所は寒村から少し離れた海岸だ。ゴツゴツとした岩場が多く、場所も高いため崖になってしまっている。足元が不安定でちょっと怖い。でもここからの眺めはとても綺麗だ。水平線見え、雲一つない青い空が無限に広がっている。 そうして陸雄が景色を見渡していると、崖の先に人影が見えた。風になびく黒い長髪と、スカートを見てそれが女性だとわかった。 ――こんな何もないところで何をしているんだろう。 自分と同じように景色を楽しみ来たんだろうか。それとも村の人間だろうか。陸雄は考えたが、村に立ち寄らずにここへ来たため、彼女が村人かどうかは判断がつかなかった。 しかし、ふっと、見えた女の横顔を見て、陸雄は一瞬で恋に落ちた。 パッと見、陸雄より一つ二つ年下だろうか、遠くからでも美人と分かる。人形のように整った顔立ちをしており、裾の長い白いワンピースがよく似合っていて清楚な印象を受ける。崖の上に立ち、海と空を背景にしているその姿は、まるで一枚の絵画のようだった。 だがその美しさに比例するかのように、彼女の顔は寂しげで、深い悲しみを背負っているかのように思える。じっと彼女は眼下に広がる荒波を見つめていた。 まさかこの崖から飛び降りるつもりじゃないだろうな、陸雄は最悪の展開を想像し、思わず駆け寄っていた。 「早まっちゃダメだー!」 早まっているのは陸雄だった。 陸雄の叫び声にびっくりしたのか、女ははっとこっちを向いてその場にへたりこんでしまう。 「な、なんですかあなた」 「え? いやだってきみそこから飛び降りようとしてたんじゃ……」 「そんなわけありませんよ。ただ海を見ていただけです」 女は顔を赤くしながら立ち上がり、おしりについた砂をぱぱっと払った。こうして目の前から見ると、さっきよりも何倍も美人に見える。 「なんだ。俺の勘違いかぁ。だってすごくつらそうな顔してたんだよ、そりゃ勘違いぐらいするさ」 「つらそうな顔?」 女はきょとんっとして陸雄に尋ねた。 「そうだよ。なんだか寂しそうというか、人生に疲れたような顔だった。てっきり俺は身投げでもするんじゃないかと思ったよ」 「…………」 陸雄の言葉を噛みしめ、女はまたあの顔になった。不景気そうな、悲しさを感じさせる顔だ。だがどこか男の庇護欲を駆り立てるような色気があった。 「人生に疲れた……そうですね。わたしは確かに生きることに疲れています。このまま海に沈むことができたらどんなに楽か」 突然物騒なことを言いだした女に、陸雄は面食らった。 「おいおい何言いだすんだよ。生きてりゃいいことあるって。まだ若いんだから死に急ぐことなんかないよ」 熱くなった陸雄は、説得しながら彼女の手を掴んでいた。すると、彼女の顔から影が消え、くすりと笑う。 「変わった人ですね。あなた」 「い、いやあ。別に。ただこんな美人を放っておいちゃ男がすたるってもんだよ」 「あなたのような人はきっと人生が楽しいんでしょうね」 「当たり前だよ。生きてるだけで幸せさ。きみだってそうだ。人生楽しまなくちゃ」 「そう、そうね。わたしも人生を楽しみたいわ」 陸雄と女は互いに見つめ合い、どちらからでもなく、肩を並べて海岸沿いの岩場を歩き始めた。 女は名を瑠璃子《るりこ》と言った。 名前以外のことは語らなかったが、陸雄は特に彼女の素性に興味を持たなかった。それよりもこうしてこんな理想の美人と海辺を歩けるなんて夢のようだと思った。二人はこの地域のことや、陸雄の趣味のことなど他愛のない話をしてグルグルと波打つ海岸を回っていた。 瑠璃子は陸雄の話に相槌を打ち、微笑を浮かべている。出会ったばかりの男と人気の無い場所を一緒に歩くなんて変わった人だよな、と陸雄は思った。 時折見せる暗い顔を見て、やっぱりさっきここから飛び降りるつもりだったんじゃないかと陸雄は考える。だが瑠璃子の髪から漂う磯の香りが鼻孔をくすぐり、どうでもよくなってくる。 「きゃあっ!」 突然瑠璃子が小さな悲鳴を上げて倒れた。 岩場のゴツゴツした部分に足をひっかけたのか、裾の長いスカートから彼女は足をさすっている。 「大丈夫?」 「ちょっと足を捻ったみたいです」 「大変だ。ちょっと見せて」 そう言って陸雄が手を瑠璃子の足に延ばすと「いや!」と強く彼の手を拒んだ。陸雄はあっけに取られたが、確かに初対面の男が足に触れようだなんて無神経だったかもしれないと反省した。だけどスカートと靴下のせいで瑠璃子の足の肌は隠れてしまっていて腫れているのかどうかわからない。 「ごめん。でもこのままここを歩くのは危ないよ。足場が不安定だからおぶっていくわけにもいかないし……」 「そうですね。どうしよう」 「そうだ、あそこでちょっと休憩しよう」 陸雄は岩場の影にあった洞穴を見つける。狭苦しくはあるが涼しいし座り込む場所としてはうってつけだ。 「ここできみは待っててよ。村に行って人手を呼んでくるから」 洞穴に瑠璃子を連れ込むと、陸雄はそう言った。 「え? それは困ります。わたしは大丈夫ですから」 「ダメだって、無理に歩いて酷くなったら大変だよ。すぐ戻ってくるからさ」 陸雄は村へと向かおうために洞穴から出ようとした。 だがその直後、グラグラと揺れが二人を襲う。もともと足場が悪いため立っていられなくなる。 「じ、地震!?」 ぴしっと天井の岩に亀裂が入る音がする。咄嗟に行動することもできないまま、陸雄の視界は暗転した。 目を覚ました時も、視界は真っ暗なままだった。 だが気絶していたせいで暗闇になれていたのか、ぼんやりとだが周囲を見渡すことができる。周りは岩だらけでどこにも光はない。 「どうしたんだっけ……俺」 陸雄が痛む頭を押さえながらそう呟くと、誰かが自分の手を握っているのがわかった。 「よかった目を覚ましてくれて。このまま死んじゃうかと思いました」 その澄んだ声は瑠璃子のものだった。暗くても顔がすぐ目の前にあるせいか、輪郭がわずかに分かる。 「瑠璃子さん。いったい何が起きたんだ」 「どうも、さっきの地震のせいで洞穴が崩れちゃったみたいです」 「ええ!」 驚きつつも確かに岩場が崩れて出口が塞がれてしまったようだった。揺れ自体は大したものではなかったはずだが、崩れやすくなっていたのかもしれない。 もともと狭い洞穴だったがほとんど封鎖されてもっと狭くなってしまっている。その時に落ちてきた岩に頭をぶつけて気絶してしまったのだ。幸い大した怪我ではないようで、痛みも引いてきた。 「おおーい! 誰か助けてくれー!」 元気になった陸雄は助けを求めるために大声で叫んだが、岩の壁は分厚く、とても外に届いているとは思えない。反響音だけが耳に残るだけだった。そうだ、携帯電話だ。すぐに陸雄は携帯電話を取り出したが、さっきの衝撃で壊れてしまっていた。明かりもつけることすらできない。学園と距離を置いてのんびりと旅行を楽しみたかった陸雄は、GPS機能がついているモバイル手帳すら持ってきていなかった。 こんなことになるなら規則なんて破るんじゃなかったと後悔する。しかも学園側はここに自分が来ているのも知らないし、村の人間とも顔を合わせていない。誰も自分がここで閉じ込められているとは思っていないだろう。 「くそ、誰かが助けに来るのを待つしかないのか」 「どうしましょう陸雄さん……わたしが足を挫かなければこんなことには……」 「いや俺のほうこそ。無理にこんな場所に連れてきたから」 陸雄はがっくりと項垂れて深いため息をついた。どうやらわずかに隙間があるようで、空気の心配はないが岩を掘ったり崩したりして外へ出ることは不可能だ。ここには食べ物も飲み水もなく、生きていける環境ではない。 このままずっと閉じ込められていたらすぐに死んでしまうのではないだろうか。せめて自分が異能者ならどうにかこの状況を打破できたかもしれないが、陸雄は誹能力者のラルヴァ研究生だ。体力も人並みしかない。 せめてもの救いは独りではない、ということだが、それでも瑠璃子をこんな危機的状況に陥らせてしまった自分の軽率さに自己嫌悪するしかなかった。 「頑張りましょう。きっと助けがきますよ」 「そうだね。うん」 暗闇の中でも、瑠璃子が陸雄を励ますように笑いかけてきたのが分かり、彼は少しだけ希望を持った。 それから七日が経った。 閉ざされた空間のせいか夜も朝もわからないが、腕時計だけはチックタックと正確に時を刻み続けている。 七日もここに人が来ないことを考えると、救助は絶望的に思えた。もともと人気の無い場所だ。寒村に住んでいる村人ですらろくに足を踏み入れないような岩場のため、誰もここの状態に気が付いていないのだろう。 そして、陸雄の体力も限界が近づいていた。 「うう……」 空腹のあまり、もはや瑠璃子ともまともに会話すらしなくなっていた。最初は互いに励まし合うことを言いあってはいたが、次第に陸雄の心に余裕が無くなり、怒鳴り散らすようになっていった。仕方ないだろう。この極限状況で、光すらない場所で正気を保つ方が無理というものである。 そうしている間にも空腹は進み、水分もわずかにくぼみに溜まった海水を飲むしかなかった。 死ぬ。死んでしまう。 陸雄は死を身近に感じながら空腹を誤魔化すように体育座りでじっとしていた。自分の頬に触れると痩せこけてしまっているのが感触だけでわかる。今まで食べることに困ったことの無かった陸雄には耐えられないことだった。 食べたい。ただその一つの欲求だけが陸雄の頭に渦巻いている。 すぐそばに理想の女性がいても性欲すら湧かず、ただ生存本能と食に対する渇望だけが陸雄を支配していた。 じっと暗闇の中、目を凝らして陸雄は瑠璃子を見た。彼女は最初と会った時と変わらず美しい。そう、何も変わっていない。自分と同じように何も食べていないはずなのに頬はこけておらず、体も変化していないのだ。それどころか柔らかそうな二の腕が陸雄を誘っているようにも思えた。どうして自分は飢えてくる死んでいるのにこいつは平気そうなんだと、陸雄はわずかに瑠璃子に対して憎悪を抱いた。しかしそれと同時にまた別の感想を抱き始める。 おいしそうだ。きっと食んだら柔らかな触感がするんじゃいだろうかと、陸雄は瑠璃子の肌を見ながらぼんやりと考えていた。 自分がこんなところに閉じ込められたのは全部この女のせいだ。 まだ死にたくない。まだやりたいことだってたくさんあるし、こんなところで寂しく死んでたまるものか。 永劫とも思える時間の中で、グツグツと陸雄の欲望は煮えたぎっていく。 そして、八日目を迎えたある時、陸雄の理性の尾は切れた。 気づいたら陸雄は残る力を振り絞って足元に落ちていた大きな石を持ち上げ、躊躇いもなく瑠璃子の頭に振り下ろしていた。 酷い衝撃が腕に伝わり、硬い石の先が瑠璃子の柔らかな頭をぐしゃりと潰す。飛び散った血が陸雄の頬に付着し、それを舌で舐め取ると食欲をそそるような甘美な味が口内へと広がっていく。 そのせいか理想の女性であった瑠璃子の頭を砕いたことに後悔もせず、罪悪感すら抱く事なく陸雄は止まらなかった。何度も執拗に石を叩きつけ、地面に倒れた瑠璃子の腕に噛みついた。 瑠璃子の腕は思った通り柔らかく、弱った陸雄の顎でも簡単に噛み千切ることができた。初めて味わう人間の味。それは牛や豚とは違い、魚の白身に近い味がすると陸雄は思った。 だが今まで食べたどの食べ物よりも美味しいと、陸雄は久しぶりに胃の中に食べ物が入る感覚に喜びを覚える。空腹は最高の調味料とはよく言ったものだ。 一度決壊した陸雄の理性はもはや役には立たず、ただ空腹を満たすためだけに彼の身体は動いていた。 閉ざされた暗闇の中、陸雄は次々と瑠璃子の身体を食んでいった。やがて陸雄は瑠璃子の心臓にも手を触れる。 闇の中でも赤黒く光っているように陸雄に見えた。まるで食べられることを望んでいるかのように美味しそうだと、陸雄がしゃぶりつこうとした瞬間、 「ああ、やっと死ねる」 という瑠璃子の呟きが聞こえた気がした。 そんなバカな、と陸雄は瑠璃子の死体から飛び退く。確かに石で何度も頭を殴って殺したはずだ。喋るはずがない。石で死んでいなくても、今こうして瑠璃子を咀嚼しているのに生きているわけがない。 そう思ったが、陸雄の手に収まっている心臓はわずかに脈打っていた。だがそれもすぐに弱まり、完全に脈は止まる。陸雄は不気味に思ったが、気のせいだと己に言い聞かせてそのまま瑠璃子の心臓にかぶりついた。瑠璃子の心臓を食べると、まるで全身に生気が一瞬にして戻ってきたような感じがした。さっきまで死にそうだったにも関わらず、今はもうほとんど平気だ。 「ははは。こんなことなら早くこうすればよかったんだ……」 陸雄は瑠璃子の太ももを味見しようと、彼女のワンピースを引きちぎって素肌を露わにさせた。だが、その瑠璃子の下半身を見てぎょっと声を上げる。 「な、なんだよこれ」 闇の中でもはっきりとわかるほど、瑠璃子の脚はびっしりと鱗で覆われていた。しかも靴を脱がすと足ではなく尾ひれのようなものが出てくる。 瑠璃子はラルヴァだったのだ。 「これは、前に文献で見た人魚とそっくりだ……」 通りで足を見せたがらなかったわけだと陸雄は納得する。足の鱗が見られたくないから執拗に足に触れられるのを拒んだのだ。 陸雄はショックを覚えたが、むしろ相手がラルヴァであったほうが、人間を食べたということよりも罪悪感が少ないと思った。 「そうだ、俺はラルヴァを食べただけだ。怪物を殺しただけだ……俺は人殺しでも人食いでもない……」 だから問題ない。生きるために魚の化け物を食べたって構わないだろう。 そうして陸雄は瑠璃子を少しずつ食べて救助が来るまで生きぬいてやろうと心に決めた。 それから数え切れないほど長い年月が過ぎ去った。 陸雄は忘れていた。人魚の肝を食べた人間は、不老不死を得るということを。 彼の望み通り死から逃れることはできた。だがそれは死よりも辛いことである。狭苦しい光すら届かぬ孤独な空間に、陸雄は死ぬことすらできずにずっと座っていた。 不老不死を得たと同時に精神も壊れることがなくなってしまったが、いっそ発狂してしまった方がどんなに楽だったかわからない。 「みんな、どうしてるんだろう。今の日本は、双葉学園はどうなってるんだろう……」 自分がいた双葉学園が今どうなっているのかを、ただ暗闇の中想像することだけが退屈を紛らわせる陸雄の唯一の遊びである。 ――俺はいつまでこんな暗い所で、独りで生きていかなくちゃいけないんだ…… 陸雄がここに閉じ込められて二千十九年の夏から百年の月日が経っていた。 助けは未だ来ない。 (了) トップに戻る 作品保管庫に戻る
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世界を 元気に。くらしを 理想に。 色 出演者 備考 黄色 大坂なおみ 水色 - 緑色 少女(小宮山莉渚)
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〜ゆっくり達の生涯『冬篭り編』(前編)〜 第1話 〜ゆっくり眠れないまりさ〜 「ゆゆ〜♪ まりさ、はるさんはまだかな?」 「ゆ〜、きがはやいよれいむ。ふゆさんはゆっくりしてるからはるさんはまだこないよ。」 2匹のゆっくりが入り口を塞いだ木の洞の中で仲良くゆっくりしている。 2匹は成長途中であり、将来は夫婦となるであろうが現在のところ非常に仲の良い友達同士と言ったところである。 巣の奥にはキノコや木の実などの食糧が大量に蓄えられており、万全の状態で冬篭りを始めた事がうかがえる。 「ゆぅ〜おうちのなかはせまくておもしろくないよ・・・。」 「しょうがないよれいむ、ゆっくりはるさんをまとうね! す〜り♪ すーり♪ 」 まだ子供心が残るれいむをまりさが頬ずりをしながらなだめている。 ちなみにこのやり取りは本日5回目、所詮は餡子脳なので何気ない会話などすぐに忘れてしまうのだ。 そんなやり取りが繰り返されるうちに1日が終わろうとしていた。 「ゆぅ〜なんだかねむくなってきたよ、まりさおやすみぃ〜・・・z z z z z 。」 「ねてればはるさんはすぐにくるよ、おやすみれいむぅ〜・・・z z z z z 。」 次の日、先に目を覚ましたのはれいむであった。 意識がはっきりするとれいむはすぐに異変に気が付く。 「ゆゆ!まりさどこ!?」 隣で眠っていたはずのまりさの姿は無く、れいむは慌ててまりさの姿を探す。 しかし所詮は小さな洞の中、れいむはまりさの姿をすぐに見つける事ができた。 「ゆゆ? まりさなにやってるの?」 まりさは顔を大量に溜め込んだ食糧に突っ込みスヤスヤと眠っている。 れいむの声を聞きまりさの意識はようやく覚醒する。 「ゆぅ〜おはよぉ〜れいむ。きょうもゆっくりしようねぇ〜。」 このまりさ、まりさ種に多く見られる高慢な態度、いわゆるゲスの素質は微塵も持ち合わせておらず相方思いの良い ゆっくりであるのだが、一つ厄介な癖を持っていた。 それは・・・。 「ゆぅ〜まりさ、ゆっくりねむっててよね!もぅ、ぷんぷん!」 「ゆゆ!ごめんねれいむ、ゆっくりしてるとなんでかいつもこうなっちゃうの。」 そう、このまりさは寝相がとてつもなく悪いのである。 現在は冬篭りのため入り口はがっちり塞いでいるから大丈夫であるが、過去に何度も眠ったまま転がり巣の外で朝を 迎えたことがあった。 運が良かった事もあり捕食種に食べられずに無事ここまで成長する事ができていた。 「ゆ、そういえばあさごはんがまだだよ! はやくたべようね!」 「ゆゆ! そうだったね、はやくごはんをたべたいよ!」 れいむに責められ分の悪いまりさは朝食の話題を出し話題の転換を図った。 結果は予想通り、腹ペコのれいむはコロっとまりさの寝相についての不満を忘れ思考はご飯に乗っ取られてしまった。 「「む〜しゃ♪ む〜しゃ♪ ・・・・・しあわせ〜♪ 」」 2匹は食後のゆっくりタイムを満喫している。 そして、れいむはどこか聞き覚えのある言葉を発するのであった。 「ゆゆ〜♪ まりさ、はるさんはまだかな?」 「ゆ〜、きがはやいよれいむ。ふゆさんはゆっくりしてるからはるさんはまだこないよ。」 こうして昨日と同じ様なやり取りをして何気ない一日が過ぎていくのである。 しかし、そんな平和な巣穴に不幸な出来事が襲い掛かる。 「ゆぅ〜・・・ゆぅ〜・・・はるさん・・・はやくき・・・ゆぅ〜・・・。」 時刻は深夜、れいむは気持ち良さそうに眠っている。 まりさはと言うと毎度の如く巣穴の中をコロコロ転がりながら眠っている。・・・よく目が覚めないものだ。 「ゆぅ〜・・・まりさもっとゆっぐ!」 れいむは突然体に加わった圧力により目を覚ます。 そしてれいむは自らの目を疑う光景を目撃する。 「ゆぅ〜・・・だいすきだよぉれいむぅ・・・むにゃ〜・・・。」 まりさは寝ぼけたまま自らの体をれいむに押し付けており、しかもどこか気持ち良さそうな顔をしている。 「ゆゆ!まりさおきて!ゆっくりねむれないよ!」 れいむが必死に声を上げてまりさを起こそうとするが目を覚ます気配はなかった。 このまりさ、寝相が悪い事に加えて一度眠ったらなかなか起きないのである。 「ゆふふふ・・・なんだかきもちよくなって・・・。」 まりさの顔は次第に紅潮し、体を小刻みに振動させ始める。 まりさの行為の意味を知っていたれいむは血相を変えて騒ぎ出す。 「や、やめてまりさ! れいむまだこどもつくりたくないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 れいむは必死にまりさから離れようとするが、きっちり押さえつけられているのに加え自らも少しずつ快楽に支配さ れ力が入らず逃れられない。 そして体をくねくねさせて抵抗するうちにれいむのリボンがほどけてしまう。 「ゆゆー! れいむのりぼん! 」 リボンがほどけ気がそれたのがいけなかった。 まりさは好機とばかりに更なる快楽を求めどんどん振動を強くしていく。・・・夢と現実の両方で。 「ゆふ・・・ゆふふふふ・・・んほぉぉおおおぉおぉおぉおお! ! ! 」 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!じにだぐない! じにだぐない! もっどゆっぐりじだいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !まだずっぎりじだぐないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 「「すっきりー! 」」 まりさは満面の笑みで、れいむはこの世の終わりに遭遇したような表情で“すっきり”を迎えた。 れいむの頭から蔓が芽を出し、涙を浮かべ絶望の表情のまま黒ずんでいく。 まりさは“すっきり”して満足したのか何事もなかったかのようにスヤスヤと眠っている。 翌日、まりさは久しぶりにれいむに起こされずに目覚めた。 「ゆっふ〜〜〜! なんだかとってもすっきりしてるよ!」 軽く伸びをしてれいむの方へ目を向けるとまりさは愕然とする。 まりさの目には黒ずみ朽ちた物体が映っていた。 その物体の頭頂部からは緑の蔓が伸び先端に3つの小さな実が実っていた。 理解を超えている光景にまりさはフリーズしてしまった。 (ゆゆ? れいむはどこにいったの? なんでいないの? おうちのいりぐちはふさいでるよ? なんで? どうして?) フリーズしているまりさの目にある物が映りそれに釘付けとなる。 黒く朽ち果てた物体の横にいつも見ているれいむのかわいらしいリボンが落ちていた。 (なんでれいむのりぼんがおちてるの? ) リボンを見詰めているうちにまりさはある結論にたどり着く。 (ゆゆ!? ひょっとして・・・これって・・・) まりさの思考が間停止する。 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・) 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ ! ! ! ! ! れいむ! れいむ! でいぶう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! なんで!? どうして!? でいぶ! ゆっくりしすぎだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! おぎでよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! いやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! 」 黒く朽ち果てている物体がれいむであると理解したまりさは大声で泣き喚きだした。 もちろん自分が寝惚けてれいむとすっきりした事に気が付いてなどいない。 その時、泣き声が木霊する巣穴の中に一つの変化が訪れる。 プチッ! プチッ! ・・・・・プチッ! 朽ちたれいむに実った3匹のプチゆっくりが蔓から切り離され落下する。 地面に着地すると3匹は満面の笑みで産声を上げる。 「「「ゆっくりちていってね!」」」 プチゆっくりの産声を聞きまりさは我に返る。 まりさの目線の先ではれいむの忘れ形見である3匹のプチれいむが笑顔で飛び跳ねていた。 「れいむの・・・あかちゃん・・・? 」 声に反応したプチれいむ達とまりさの目が合う。 「「「おか〜しゃ〜ん、おなかちゅいたよ。」」」 この瞬間、まりさの餡子脳の大部分を占めていた悲しみが一気に喜びと母性に入れ替わった。 「ゆゆ! すぐごはんをあげるよ! まっててね! 」 まりさは急いでプチれいむ達が実っていた蔓の元へ駆け寄り食べやすいサイズに食い千切る。 「おちびちゃん! これがごはんだよ! ゆっくりたべてね! 」 「「「おか〜しゃん、ありがちょ〜♪ 」」」 プチれいむ達は目の色を輝かせてパクッと蔓に食い付く。 「「「む〜ちゃ♪ む〜ちゃ♪ ・・・ちあわせ〜♪ 」」」 (ゆゆ〜♪ とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだね! れいむのぶんもおちびちゃんたちとゆっくりするからね!) まりさは3匹のプチれいむを見ながらこれから始まる幸福な時間に思いをはせるのであった。 その日の夜、巣穴の中は幸福で包まれていた。 「す〜り♪ す〜り♪ さすがまりさのおちびちゃんだね! とってもゆっくりしてかわいいよ! 」 自分がれいむを無理やりすっきりさせたなどと夢にも思っていないまりさは、既にれいむの事など忘れてプチれいむ 達とスキンシップをはかり幸福の絶頂にいる。 「おか〜しゃんくしゅぐっちゃいよ♪ 」 「いいにゃ〜いいにゃ〜♪ ちゅぎはれいみゅのじゅんばんだよ! 」 「ゆゆ! じゅりゅいよ! れいみゅもしゅ〜り♪ しゅ〜り♪ しちゃいよ! 」 4匹はとてもゆっくりとした時間を過ごしている。 しかし、幸せな時間というものは早く過ぎてしまうものである。 「ゆゆ! おちびちゃん、そろそろおねむのじかんだよ! 」 「「「まだねみゅくにゃいよ! もっちょゆっくりしちゃいよ! 」」」 プチれいむ達は大丈夫だと言い張るが既に目が何度も閉じかかっており、眠くて仕方がない事がうかがえる。 「ゆっくりねむらないとゆっくりしたゆっくりになれないよ。 おちびちゃんたちはゆっくりしたゆっくりになりたいでしょ?」 「「「ゆゆ! ゆっくりしちゃいよ! れいみゅはゆっくりねむりゅよ! 」」」 ゆっくりは“ゆっくり”と言う単語に非常に敏感であり、ゆっくりしたゆっくりを理想像とする。 故に賢い親はその理想像を利用して子供の躾に“ゆっくり”と言う単語をよく使用する。 「ゆ〜、やっぱりまりさのこどもはいいこだね! おちびちゃんたちのべっどはここだよ! 」 まりさの横には落ち葉のベッドが出来上がっていた。 昼間プチれいむ達のために一生懸命作った努力の賜物である。 ベッドを見るや否やプチレイム達は目をキラキラさせる。 「「「ゆゆ〜♪ とっちぇもゆっくりできしょうだよ! おか〜しゃんありがちょ〜♪ 」」」 プチれいむ達の賞賛を聞き、まりさは満更でもなさそうに照れている。 プチれいむ達は各々お気に入りポイントを決めると落ち葉を身にまとい眠る体勢に入る。 「おか〜しゃん、おうたうちゃって〜。」 「ゆゆ! れいみゅもおうたききちゃいよ〜。」 「うちゃって♪ うちゃって♪ 」 プチれいむたちの期待に応えてまりさは目を瞑るとゆっくりと子守唄を歌い始める。 「ゆ〜っく〜り〜〜ゆゆ〜ゆ〜ん〜ゆゆ〜ゆ〜ゆ〜ゆ〜♪ 」 人間が聞いていたら思わず拳が飛んできそうな歌声であるが、プチれいむ達は気持ちよさそうに夢の中へ旅立ってい った。 そしてまりさも幸福で満たされた笑顔のままゆっくりと眠りについた。 深夜・・・。 コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロ「ぴぎゃ・・・。」・・・コロコロコロン・・・ コロコロコロ・・・コロコロ「ゆぎゃ・・・。」・・・コロコロコロ・・・コロコロコロリン・・・ 翌日、巣穴の中は絶望で埋め尽くされていた。 「なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! どうじでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! おちびちゃんがぶだりもづぶれてるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !?おねがいおぎでよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」 まりさが気持ちよく目覚めると2匹のプチれいむが無残にぺちゃんこに潰されていた。 ご想像通り、深夜まりさの寝相の悪さによって運悪く踏み潰されてしまった2匹である。 残念なことに貧弱な餡子脳では自らが踏み潰したなどと考えは及ばず、まりさは物言わぬ潰れた饅頭となった2匹を 眺めひたすら泣き喚く事しか出来ない。 また、運良く生き残った1匹のプチれいむも熟睡していたせいでまりさが姉妹を踏み潰したなどと思い浮かぶ事無く、 居もしない犯人に怯えながら潰れた2匹に対して涙を流すのであった。 「ゆあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん! ! ! おちびちゃんゆっぐりじずぎだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ゆっぐりできにゃいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 その日、2匹は片時もゆっくりする事ができないのであった。 夜、まりさは追い詰められていた。 この状況に至ってもまりさは自身の寝相で2匹を踏み潰したなどど微塵も思っておらず、どうやって生き残ったプチ れいむを護ろうか悩んでいた。 「ゆぅ・・・このおちびちゃんだけはぜったいまもらないと・・・。」 まりさは貧弱な餡子脳をフル回転させて打開策を考えている。 「ゆゆ! いいことおもいついたよ! 」 そしてある名案を思いつくのである。その名案とは・・・。 ※エンディング分岐です。 プチれいむを口の中に隠す → A プチれいむを帽子の中に隠す → B A:プチれいむを口の中に隠す 「おちびちゃん! おかあさんのおくちのなかにはいってね! 」 「ゆゆ〜? おくちのにゃか? 」 まりさの意図を理解していないプチれいむは頭上に?マークを浮かべている。 「おかあさんのおくちのなかでねむればきっとあんぜんだよ! ゆっくりりかいしてね! 」 「ゆゆ! おか〜しゃんはてんしゃいだね! ゆっくりりかいしちゃよ! 」 大きく開けられたまりさの口の中にプチれいむは勢いよく飛び込む。 「ゆゆぅ、ちょっとくりゃくてこわいよぉ、おか〜しゃん。」 「ごめんねおちびちゃん、おかあさんがまもってあげるからがまんしててね。」 少し怖がっていたプチれいむであったが母親の口の中に居る安心感もあり、すぐに眠りにつく事ができた。 深夜、まりさは眠気と必死に戦いながらまだ起きていた。 2匹のプチれいむを潰した犯人を見つけるために徹夜する覚悟でいた。 「ゆぅ、ぜったいねむらないよ、おちびちゃんはまりさがまも・・・・・z z z z z 。」 しかし、遂に睡眠欲に負け眠ってしまった。 当然といえば当然の事である。 ゆっくりは三大欲求の誘惑に非常に弱いナマモノである。 自然界に生き、人間から特別な訓練を施されていないゆっくりがそれにあがなおうとするのは並大抵の行為ではなく、 まだ成体でもないまりさにとって到底無理な事である。 「ゆぅ〜・・・おか〜しゃんだいしゅ・・・むにゃ〜。」 まりさの口の中でプチれいむは安心しきった寝顔で眠っている。 しかし、一度下り始めた幸福から不幸への下り坂はそう簡単に終わらないのであった。 プチれいむは異変に気が付き目を覚ました。 コロコロコロ「ゆゆ! 」・・・コロコロコロ「おか〜じゃ! 」・・・コロコロ「もっぢょ! 」・・・ コロコロコロ「ゆっぐり゛! 」・・・コロコロコロ「ゆぎゅ! 」・・・コロコロ「ぴぎゃ! 」・・・ まりさの口の中でプチれいむは何度も壁にぶつかっていた。 理由は言うまでもなくまりさが転がりながら眠っているからである。 プチれいむは必死に悲鳴を上げてまりさを起こそうとするが、目を覚ます気配は微塵もない。 コロコロコロ・・・・・「ゆゆ?」・・・・・「とまっちゃの?」 突如まりさの動きが止まり、プチれいむも悲鳴を上げるのを止める。 しかし、口の中にいるプチれいむはなぜまりさが動きを止めたかまではわからなかった。 「ゆゆ〜、やっちょゆっくりねむれりゅよ。」 プチれいむが再び眠ろうとした時異変が起こる。 「ゆぅ〜・・・ゆふふ♪ おいしそうなごはんだ・・・むにゃ〜。」 「おか〜しゃん、れいみゅねむれにゃいよぉ。」 夢の中でまりさは大量のご飯を目の前にしている。 「ゆふ・・・ゆふふ♪ いっただっきま〜す・・・むにゃむにゃ〜。」 「ゆえ〜ん! ねむれにゃ・ゆぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」 夢の中で食糧にかぶりつく・・・現実でも同じ様に。 プチれいむは間一髪の所でまりさの歯をかわしていた。 しかし、口の中という足場が不安定で視界も暗い中で的確な行動が取れるはずもない。 「む〜しゃ♪ 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」む〜しゃ♪ 「たべにゃいでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! 」しあわせ〜♪ 」 翌日、まりさは溜め込んだ食糧に顔をうずめた形で目を覚ます。 昨夜まりさが見た夢はおそろくはこれが原因である。 「ゆ〜っふ〜ん! おちびちゃんきょうもゆっくりしようね! おくちからゆっくりでてね! 」 まりさは大きな口を開けてプチれいむに口から出るように催促する。 しかし、プチれいむが飛び出す気配はなかった。 「ゆゆ〜? おちびちゃんどうしたの? 」 しかたなくまりさは口の中に感じるプチれいむであろう異物を慎重に吐き出す。 ペッ! ベチャ! まりさの目の前には唾液でベタベタになった赤いリボンが現れる。 昨日と同様にまりさの思考が停止する。 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・) 〜5分経過〜 (・・・・・あのりぼん・・・・・おちびちゃんのだよね?・・・・・おちびちゃんはどこ?・・・・・) 〜10分経過〜 (・・・・・ひょっとして・・・・・まりさが・・・・・おちびちゃんを・・・・・たべちゃったの?・・・・・) 〜15分経過〜 (・・・・・あれ?・・・・・どこかで・・・・・おなじようなことが・・・・・あったよね?・・・・・) 〜20分経過〜 (・・・・・おきたら・・・・・おちびちゃんがふたり・・・・・いなくなってた・・・・・) 〜25分経過〜 (・・・・・れいむも・・・・・あさ・・・・・いなくなって・・・・・) 〜30分経過〜 貧弱ながらも餡子脳で必死に情報を整理したまりさはある結論にたどりつく。 「あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! ・・・・・ぜんぶばりざのざいなのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !? ゆぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! ごべんなざいごべんなざいごべんなざい! ! ! ぱっ! ぱっ! ・・・ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ っ ! ! ! ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ お お お お お お お お お お ! ! ! 」 普段使わない餡子脳をフル回転させたことに加え自らが犯した過ちに気が付き、それらの重圧に押しつぶされまりさ の心はついに壊れてしまった。 「ゆふふふふふふふふふふ! ゆはははははははははは・・・・・! 」 その日からまりさは溜め込んだ食料に口をつける事無く、眠ることも忘れ笑い続けるのであった。 〜春〜 長い冬を乗り越える事に成功したゆっくり達が巣穴から続々と顔を見せ始める。 まりさのいた巣穴には餓死したまりさの亡骸と大量に残された食糧という矛盾した光景が広がっていた。 こうしてれいむは強制すっきりにより、プチれいむ2匹は踏み潰され、1匹はまりさに食べられ、元凶であるまりさ は何も食べずに餓死し、各々の生涯を閉じたのであった。 B:プチれいむを帽子の中に隠す 「おちびちゃん! おかあさんのぼうしのなかにはいってね! 」 「ゆゆ〜? ぼうちのにゃか? 」 まりさの意図を理解していないプチれいむは頭上に?マークを浮かべている。 「おかあさんのぼうしのなかでねむればぜったいあんぜんだよ! ゆっくりりかいしてね! 」 「ゆゆ! おか〜しゃんはてんしゃいだね! ゆっくりりかいしちゃよ! 」 まりさは舌を出し、プチれいむはそれを踏み台にして帽子まで到達するとゆっくりと中に潜り込む。 「ゆゆ〜♪ ちょっとくりゃいけどゆっくりできしょうだよ♪ 」 「おちびちゃんはおかあさんがまもってあげるからね! またあしたいっしょにゆっくりしようね。」 プチれいむはすぐ傍に母親がいるという安心感もあり、すぐに眠りにつく事ができた。 深夜、まりさは居もしない犯人を見つけるために必死に眠気を我慢して起きていたが、結局睡眠欲に負け眠ってしま う。 「ゆぅ〜ゆぅ〜・・・だいすきだよ・・・・むにゃむにゃ〜。」 「ゆぅ〜・・・おか〜しゃんだいしゅ・・・むにゃ〜。」 プチれいむはまりさの帽子の中で幸せそうな寝顔で眠っている。 しかし、一度転落を始めた幸福から不幸への下り坂はそう簡単に止まる事はなかった。 「ゆぐ!」 プチれいむは突如体に加わった衝撃で目を覚ます。 「ゆぅ〜ゆっくりできにゃいよ〜おか〜・・・?・・・・・ゆゆ!おか〜しゃんがいにゃいよ! 」 現在プチれいむは地面に転がった帽子の中で横向きになっている。 まりさはと言うと帽子が脱げた事になど気づかないままコロコロ転がりながら眠っている。 帽子が傾いているためプチれいむはまりさの姿を確認する事ができず少し不安そうにしている。 「おか〜しゃんをさがしゃないちょ。」 プチれいむは這うようにして傾いた帽子から脱出を図る。 「うんしょうんしょ。」・・・コロコロコロ・・・「おか〜しゃ〜ん! 」・・・コロコロコロ・・・ 「うんしょうんしょ。」・・・コロコロコロ・・・「どこにいりゅにょ〜?」・・・コロコロコロン・・・ プチれいむが帽子の入り口に到達する。 「やっちょおしょとにでられりゅよ。」 ピョンッと外に飛び出した瞬間、プチれいむの目には転がりながら接近するまりさの姿が映っていた。 コロコロコロ「ぴぎゃあぁぁ! とまっちぇぇぇぇぇぇ! 」ブチュ!・・・コロコロコロ・・・ コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロコロリン・・・ 迫り来る母親の巨体、それがプチれいむの見た最後の光景であった。 翌日、まりさは帽子が脱げた状態で目を覚ます。 「ゆ〜っふ〜ん! ゆゆゆ! まりさのたいせつなぼうしがないよ! どこいったの!?」 まりさは血相を変えて巣の中を見回す。 すぐに帽子を発見し安堵するが、近くに転がっているある物を見つけ表情を凍らせる。 まりさの目線の先には押しつぶされて物言わぬ饅頭となったプチれいむが転がっていた。 「あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! ・・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! おぢびぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?どうじでづぶれでるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !? ぜんぶばりざのぜいだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ごべんでえぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! ばりざがねぢゃっだがらだあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」 ついに独りぼっちになってしまったまりさは潰れたプチれいむの横でひたすら泣き続けた。 〜1時間後〜 「いなくなったおちびちゃんおぶんもまりさはゆっくりするからね! 」 あっさり立ち直っていた。 幸い巣穴には1匹なら余裕で春を迎えられるであろう大量の食糧が蓄えられている。 まりさはゆっくりと春を待つのであった。 〜春〜 ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・ヒョコッ! 巣穴からまりさが顔を出す。 「ゆゆ〜♪ やっとはるになったよ♪ これでゆっくりできるね♪ 」 まりさは尊い犠牲(?)により無事春を迎えることができた。 今となっては相方であったれいむや潰れて死んだプチれいむの事はほとんど記憶に残ってはいない。 「ゆっゆゆ〜ん♪ ゆっゆゆ〜ん♪ 」 まりさは希望に胸膨らませて春の森へ繰り出していった。 結局、最後までまりさは自分が原因でれいむやプチれいむが死んでしまった事に気付かなかった。 そして、当然寝相の悪さは直ってなどいない。 この先、まりさは再び気の合うゆっくりを見つけてつがいになるだろう。 そしてそのつがいとなったゆっくりはゆっくりできない生涯を送る事になるのであった。 第1話 〜ゆっくり眠れないまりさ〜 END 「そこまでよ! このすぺ〜すはぱちぇがいただいたわ! 」 なにやら変なのがわきました。 番外編 〜がんばれゆっくりぱちゅりー2〜 「むきゅ〜♪ おうちがかんせいしたわ! これでふゆがこせるわ! 」 現在ぱちゅりーは自分で地面に掘った巣穴の中に居る。 決して広くはないが、体の弱いぱちゅりー種が巣穴を1匹で完成させるのは非常に稀なケースである。 「むきゅ〜♪ ちかくにはたくさんしょくりょうがあるしかんぺきだ・・・。」 パラッ・・・パラッ・・・パラパラパラ・・・ドッシャ〜ン 「むぎゅー! 」 突如巣穴が崩れぱちゅりーは下敷きになってあの世へ旅立った。 少し考えればわかるものだが、体の弱いぱちゅりー種が掘れる場所など柔らかく崩れやすい場所に決まっている。 完成した時はぎりぎり形状を保っていたが、中でぱちゅりーが出した声がトリガーとなり崩壊してしまったのだ。 本来ぱちゅりー種は自らの知識を活かし他のゆっくりと共生することで生き延びる種である。 自らの豊富な知識に自惚れ他のゆっくりに近づこうとしなかったこのぱちゅりーに初めから未来など無かったのだ。 (むっきゅーーー! これじゃまえとおなじじゃない! なんでぱちぇだけこんなにすこしなのーーー! けほっけほっ。) 以前にも似たような事があった気がするけどTAKE2 「むきゅ〜♪ しょくりょうもあつまったしこれでふゆがこせるわ! 」 現在ぱちゅりーは老木の洞の中に居る。 洞の奥には色とりどりの秋の味覚が溜め込まれている。 体の弱いぱちゅりー種がこれだけの量の食糧を1匹で集めるのは非常に稀なケースである。 「しっかりいりぐちをふさいでっと、かんぺきだわ! 」 ぱちゅりーは完璧な計画に胸躍らせながらゆっくりと眠りについた。 ガクガクガクガクガク 大寒波が到来した翌日、ぱちゅりーは寒さに震えていた。 いかに洞の中とはいえ寒さをすべて緩和する事など不可能である。 「ざ、ざむいわ・・・も・もうだめ・・・むぎゅぅ・・・・・。」 寒さに耐えられなくなったぱちゅりーは敢え無くあの世へ旅立った。 ぱちゅりー種はゆっくり一皮が薄く、また中身が生クリームという事もあり寒さにも暑さにも弱い種である。 他のゆっくりと一緒に越冬し、肌を触れ合わせて体温を上昇させ生き延びるのがぱちゅりー種である。 自らの豊富な(ry (むきゅぅ・・・。) 中篇へ続く
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以下の事項を頭の中で想像する 以下の事項を頭の中で想像する。 やりたい人以外にはオススメできない ジャンル ホラーオカルト系 総合評価 レベル3 コメント所 名前 コメント タグ あなたに霊感はありますか? 恐怖
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使用人の朝は早い。布団の外へ差し出した手に触れる、外気のあまりの冷たさに驚く。ウンディーネデーカンの月も半ばに差し掛かったというのに、冬の寒さは一向に衰えを知らない。 ガイは意を決しベッドから滑り降りると顔を洗う為、洗面所へ向かった。 今日は買出しの仕事がある。使用人の仕事も四年ともなれば大分板について来たもので、様々な仕事がガイにも回ってくるようになった。 厨房へ向かい、朝食を済ませると中庭へ向かう。先に起きていたらしい同郷の庭師がガイに気付いた。挨拶にガイも軽く手を上げて返す。 「お早いですな、ガイラルディア様」花壇に手を差し込んだままペールが言った。周囲に人の目がない事を確認してから、ガイは老人に近付く。 「ルーク様でしたら朝の礼拝かと。買出しついでにお迎えに行って差し上げるくらいで丁度良いでしょう」 口元に浮かぶ微笑は穏やかですらあるというのに、言葉に含まれる意味合いを思うと酷薄さすら感じさせる。そんな老人の様子に、ガイは自然と笑みを溢した。この屋敷に来てからというものの、そんな風に笑いあえるのはこの老人をおいて他にいなかった。 それから他愛のない言葉を交わしあい、老人の昔話が本格的に長くなる前にガイは買出しに向かった。 エントランスではいつものように、使用人達が朝の清掃をしていた。挨拶をすれば返されて、それは故郷にいた頃と何ら変りのない生活のように思えた。けれどそれは酷く遠い、酷く残酷な日常でしかなかった。立ち並ぶ柱の中央に飾られた宝剣に目配せをし、ガイは扉をくぐった。気をつけてね、と日頃から仲の良いメイドが声を掛けてきた。返事をしようかとも迷ったが、結局上手く笑顔を作れる自信がなかったので、聞こえなかったふりをした。 朝の礼拝を終えた人々が教会から出てくるのが見えた。小さな「主殿」は、奥の礼拝堂を貸し切っている筈なので、もう暫らくは掛かるだろう。これなら一度屋敷に荷物を置いてから、再度出迎えに来るくらいの余裕はありそうだ、とガイは思った。 今朝早くに定期連絡線で、ダアトを経由して来たマルクトの物資が仕入れられた所為か、いつものこの時間に比べると集合商店の中はかなりの人込みになっていた。その間をすり抜けるようにして、器用にガイは覚書きに記された品物を購入していく。両手に合わせて三つ袋を抱えて、残りの荷物は後で屋敷の方へ届けてもらえるよう算段をつける事に成功した。両手に余る程の荷物だったが、ガイはそれを危なげなく抱えて歩く。見張りの兵士が気をつかって扉を開けてくれた。それにガイは礼を言うと会釈し、そのまま集合商店を後にした。 屋敷前へ直通の昇降機に向かう途中、林檎を落とした。その拍子にずり落ちそうになる紙袋を慌てて抱え直したところで、通り掛かりの男が石畳に転がった林檎を拾い上げた。男は十代後半ほどに見えたが、大柄な体躯とローレライの教団服とが、随分と落ち着いた印象を与え実年齢を曖昧にしている。 「あ、あの……」と口早にガイは礼を言う。「すみません、有難うございます」 男は少し驚いたような顔をして、それからすぐに微笑んだ。そんな男の笑顔に理由のない懐かしさを感じ、ガイは思わず俯く。 「家のお使いか?偉いな」 男は林檎を紙袋へ戻しながら言った。 「あ、いえ!俺はファブレ家の使用人で……あ」 頭を振った拍子にまたしても林檎が落ちた。足元を紅い玉が転がって行く様を、ガイも男も言葉を無くして目で追った。 居た堪れなさに閉口していると、そんなガイの様子に堪り兼ねたかの様に男が笑い出した。そしてそれから再び林檎を拾い上げ、袋の中へ戻すとそのままガイの腕から袋を二つ抜き取った。 「手伝おう」 「『神託の盾(オラクル)』の騎士様に、そんな事はさせられません!俺が怒られてしまいます」 ガイは突然軽くなった両腕と、男の唐突な行動に困惑した。必死に紙袋を返してもらおうと試みるが、男はただ笑うばかりだ。こんな事なら無茶をせずに、二袋に留めておけば良かったろうか、と数分前の自身をガイは呪った。 「久しぶりに笑えた気がした。これはほんの礼だ。気に病む事はない」 そう言って笑う男の顔がどうしようもなく淋しげで、それでいて何処か過去を懐かしむようであったからガイはそれ以上何も言えなくなる。 自分自身とこの男との印象が重なった所為かも知れない。遠い昔、まだ自分が陰謀も裏切りも知らずただ幸せであった頃、兄の様に、影の様に付き従っていてくれた使用人に、この男の笑顔が何処か似ている気がしたからかも知れない。 昇降機に向かって歩き出す男の後を追う。屋敷の前で荷物を返され、男と別れてからガイは名前を聞くのを忘れたな、と思った。 屋敷に戻ってすぐに、エントランスでペールに出くわした。土に汚れた軍手もそのままに、ガイを待っていたようだ。 午後からの客人を公爵家総出で出迎えなくてはならないらしい。紙袋を受け取ると、ペールは教会へ行くよう促す。ガイは後から届く荷物があることだけを伝えると、今来た道を引き返した。 階段を下りてすぐに、教会の前に目的の人物を見つけた。 公爵子息、ルーク・フォン・ファブレは深緋の髪を肩口に掛かる程度まで伸ばしている。何度か公爵夫人に髪を切るよう勧められていたが、結局そのままで来ているようだ。特に手入れをしているといった話を聞いた事はない。長さも疎らで前髪も目元に掛かっていたが、不思議と鬱陶しさは感じさせられない。 ガイの姿を見止めると、彼は「ガイ!」と嬉しそうに顔を綻ばせ駆け寄って来た。年はガイより四つ下だったと記憶している。並ぶと、頭一つ分と少し低いところでルークの赤毛が揺れた。 「悪い悪い、ちょっと遅れたか」 「平気。ガイ忙しいのに、いつもごめんね」 一転して、ルークの表情が少し曇る。またこれか、とガイは思いながら苦笑いを浮かべる。 貴族だろうと使用人だろうと、彼は心をくだき過ぎる。そんなルークを見る度に、ガイは少しの罪悪感と、そこから来る苛立ちを覚えた。 「ばーか、気にすんなって。あんま暇な使用人ってのも、格好がつかねぇからな」 「それに朝は免除されてるし」と付け加える。 「とはいえ、目と鼻の先の教会を行き来するのにわざわざ送り迎えを付けて、その上教会の内院貸し切るっていうのも結構、過保護な話だと思うけどね、実際」 貴族の子息らしからぬ気安さで、肩を竦めルークが言う。言いながら、それでも顔に浮かぶのは屈託のない年相応の笑みだった。 「それはまぁ、なぁ」 曖昧に笑みを浮かべて、ガイは適当な相槌を打った。 ルークの言うことはいつも正しい気がした。発せられる言葉の端々に、幼いながらも王族としての知性と教養とが見え隠れした。そこには誠実さこそあれど嫌味はなく、育ちの良さを感じさせる。人の上に立つべく育てられた、理想像ともいうべき姿なのだろう。そしてガイは、それを少しの羨望と、昏い情念の篭った目で見つめる。 「そう云えばさ、今日面白いことに気付いたんだ」 「また、か」 ルークの考えは面白い。自分より年下だというのに、時折真理をつくような難しいことも言う。言葉は年相応に拙いが、聡い子供だった。 「うん。あのね……」 「まあ、お前の言うことは難しくて、俺にはよく解かんねぇんだけどな」 言い掛けたルークの言葉をガイは遮った。ガイをそうさせたのは、煩わしさというより嫉妬だった。 遠い昔に、故郷と共に死んでしまった己の影を、彼の中に見つける度ガイは堪らなく辛い気持ちになる。もしかしたら今も自分は、こうして何の憂いも陰りもなく笑っていられたのかも知れない。何の恨みも憎しみも知らず、世界を美しいものだと捉えられていたのかも知れない。ガイがルークに抱く感情は、いつだって憐憫を孕んだ憎悪だった。 「そっか」 大して気にした風でもなくルークはそう言って笑った。ガイがこうしてルークの言葉を遮るのは初めてではなかったからかも知れない。 そして理不尽にも、ガイはそんなルークの態度に苛つく。言い掛けた言葉を飲み込み、自身を抑制する凡そ子供らしからぬ態度を、ガイは不快に思う。まるでガイのつまらぬ嘘や虚勢などお見通しなのだと、嘲られているように感じられるからだ。 遠くで教会の鐘が鳴る。今日も良い天気だ。 昼食を終え暫らく経った頃、屋敷の中が少し騒がしくなった。夫人に手をひかれながら、不満そうなルークが応接室に消えて十五分後のことだった。例の客人が来たのだろう、と思ったがガイには特に興味の惹かれる事ではなかった。一度だけ中庭からエントランスの窓の方に目を向け、またすぐに手元に戻す。今のガイには上流階級の社交よりも、花壇の害虫駆除の方が重大な任務だった。 一通りの作業を終えると、後は薬を撒くだけですから、と庭師に言い渡された。土いじりは昔から嫌いではなかったので、多少の名残惜しさを感じながらガイは中庭を後にした。 手を漱ぎながら、空いた時間をどう潰したものか、と考える。結局やる事もないので、ガイはエントランスへ向かった。怪しまれるかとも思ったがこの屋敷で心安らぐ場所など、そう多くはない。 飾られた宝剣を仰ぎ見た。金色の柄にはホド独特の文様が細工され、隼をあしらっている。真っ直ぐに伸びた刀身は細身で、蒼く輝いている中に、古代イスパニア文字で書かれた預言が薄く浮かび上がっている。 その剣の名を、心の中で唱えた。優しい呪文のように、それはガイの胸に広がる。決心を新たに迷いを拭う。それでも、矢張りガイはまた揺れる。その繰り返しだ。 応接室の扉が開き、教団服に身を包んだ男が数人出て来た。慌ててガイは柱から離れ部屋の隅に寄る。頭を下げ、視線は床に落とす。どうやら話は長く続くようで、合間に休憩が入ったらしい。公爵の案内で、そのまま中庭へ向かったようだ。一息ついて、それから改めて顔を上げる。そしてまだ部屋の中に人が残っている事に気付き慌てて再度頭を下げようとして、とどまった。 エントランスの丁度中央に、その柱はある。白亜の柱に飾られた宝剣は、かつてホドの地を収めていた領主の首級と共にファブレ侯爵が持ち帰ったものだ。それを、一人の男が見上げていた。 ローレライの教団服を着たその男は、つい数時間前に会ったあの男だった。その横顔から、感情は読み取れない。けれどガイはそれに一つの確信を抱く。無感動な眼差しは、いつも自分が剣に向けるものと同じだったからだ。 男が、ガイに気付いた。すぐに今朝方会った子供なのだと思い当たったようで、柔らかな笑みを浮かべてこちらに近付いてきた。 「また会ったな」 言って笑う男に、ガイは何と声を掛けて良いのか分からなかった。握り締めた拳が、汗で滑る。目の奥が熱い。反射的に俯くガイを、男は怪訝そうに見つめている。しゃがみ込んで、顔を覗きこまれる。 「どうした?」と訊かれ、頭に手を乗せられる。堪らなくなって、ガイの目から涙が溢れる。涙と一緒に、言葉も溢れた。 「ヴァン……!」 男の顔から笑みが引いた。驚きに目が見開かれて、彼は言葉を失う。そんな彼とは対象にガイは嗚咽と共に、今度こそ明確な意志を以ってを吐き出した。 「ヴァン、デス……デルカ……ッ」 こんなところを人に見られたらどう言い訳をして良いか判らないというのに、ガイは感情を抑えられなかった。六年、その歳月全てが台無しになるかも知れない。それでも、とガイは男の名を呼んだ。呼んで、ただ泣きじゃくった。男は言葉を失ったまま、それでもガイを抱きしめた。 「ガイラルディア様!」やっと紡がれた男の言葉は震えていた。ガイはただ泣きながら頷いた。 </>
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087 溢れ出る気持ちは誰のもの? ◆BEQBTq4Ltk ――もしも、またみんなと一緒に笑えたら。 それはとっても嬉しいなって―― 島村卯月が目を覚ましたのは放送よりも前だった。 彼女は運が良い。寝過ごしては大事な情報が手に入らないから。 「……ひっ」 寝起きの彼女が真っ先に取った行動は歯磨きでも洗顔でもない。 普通の少女に似合わない挙動で腕を首に回した。 首輪の金属がひんやりと掌に伝わる中、彼女は何回も手を擦っていた。 「ある……ある……」 触っても物足りない。 右拳を握り、首輪を含め自分の首を島村卯月は殴り始めた。 「ひぐっ……ある……」 衝撃により呼吸が出来なくなる時もあるが、彼女は構わず殴り続ける。 メトロノームのように何度も一定に、機械のように何度も何度も何度も……。 「ある……あ、る……」 やがて疲れたのか、拳を解きだらしなくベッドに右腕を降ろす。 疲労したのは右腕だけではなく、彼女の瞳は黒く濁っていた。 睡眠を取った人間の瞳とは思えないそれは、数時間前の悲劇が焼き付いてる。 セリュー・ユビキタス。 島村卯月が殺し合いの中で一番最初に出会った参加者である。 その笑顔の輝きは人一倍で、正義感溢れる強い女性だった。 その強さは人間を殺せる程の覚悟を持っていて、島村卯月とは別次元の存在。 「あるよ……りんちゃん……みおちゃん……わた、私」 輝かしい笑顔を持っている女性はセリュー・ユビリタス以外にも知っている。 同じ仲間であり親友である渋谷凛と本田未央を始めとする少女達。 アイドルの理想像を共に目指す島村卯月にとっての宝物。 でも、セリュー・ユビリタスの笑顔は悪魔のようだった。 「私は……首、あるよ……」 セリュー・ユビリタスが生命を奪った南ことりには首がない。 あぁそうだ。南ことりは死んだ。 誰が殺した、それはセリュー・ユビリタスだ。 セリュー・ユビリタスはどんな人間だ。 恐怖に怯えている島村卯月を励ました強い人間だ。 近くの見回りも率先して行った勇気在る人間だ。 その強さの源は何処から来る、それは人間を殺すことの出来る覚悟と倫理観だ。 覚悟を持っていれば、倫理観が常識を逸脱していれば人を殺せるのか。 ならば南ことりはセリュー・ユビリタスと同じ人種なのか。 違う。彼女――南ことりは普通の女子高生だった。 運が悪かった。殺し合いに巻き込まれた時点で彼女の運命は大きく変わってしまった。 大切な仲間を守るために。 仲間と共に叶える夢と自分のためだけに叶える夢。 道の選択を悩んでいた南ことりの背中を押し、腕を引っ張ってくれた存在。 その存在を始めとする仲間を――守りたかっただけ。 「ことりちゃん……私は生きてるよ……」 セリュー・ユビリタスに首を切断された女性の名前を呟きながら、首を触る。 触るよりも絞めるに近いその動作はまるで自分の生命を確かめているようだった。 生きている、自分は南ことりと違って生きている。 生きているという当たり前の感覚が今の島村卯月にとってどれ程嬉しいものなのか。 顔こそ笑顔ではないが、生命在ることを彼女は人生の中で一番喜んでいた。 「嬉しい……っ、私、ちょっと疲れてるか……な」 自分が壊れそうだ。 死体を、それも生首を初めて目撃した島村卯月の感情は大きく歪み始めている。 生きている、が当たり前ではなく、選ばれた人間だけ。 生存が彼女の中で肥大していき、嬉しいと小言を漏らすほどに膨れていた。 だが否定したい。 自分ではないようで。 嬉しいと言葉を漏らす自分が自分ではないようで。 生命の実感を真摯に受けている自分が、もう戻れない道を歩んでいるようで。 「――ひっ」 突如流れるノイズが彼女の心を圧迫する。 ベッドから身体を動かしはしないが、視線は扉の向こう側を見つめている。 誰かが部屋に来たと思ったが、実際は放送に係る音声のノイズであった。 思えば上条当麻なる男性が殺された時、広川が何かを言っていたような気がする。 誰に言われたわけでもなく、島村卯月は自然とバッグの中から名簿と地図と筆記用具を取り出していた。 ☆ 「ことりちゃん……」 死者を読み上げる広川。 彼が一番最初に宣告を告げた名前は島村卯月が知っている南ことり。 数時間前まで生を帯びていたその存在を思い出しながら、名簿に線を引いていく。 禁止エリアを塗り潰すよりも心労が溜まる作業だ。 ――人間の死を作業と捉えていいのだろうか? 「……首は、ある……」 何度目か解らないが、首に手を伸ばし生命を実感する。 私は生きている、夢じゃなくて、現実で生きている。 現実逃避したい現状から逃げずに、自分に何度も何度も言い聞かせるように首を触る。 「美遊・エーデルフェルト、知らない。浦上、知らない。比企谷八幡、知らない。 佐天涙子、知らない。クロメ、知らない。クマ、知らない……」 告がれていく名前を復唱しながら名簿に取り消し線を増やしていく。 数時間の間にどれだけの人間が死んだのか。 改めて考えると、目覚めた時、近くにセリュー・ユビリタスの姿は無かった。 彼女は何処かで南ことりの時と同じように他の参加者を殺していたかもしれない。 「渋谷凛、知らない」 復唱しながら取り消し線を引く。 同じ行動を起伏無しに何度も繰り返す姿は正確無比のロボットのようだ。 弱音を吐くことも無ければ強がることもない。 プログラムされた記号を只管に何度も繰り返す冷たくて悲しい機械のように。 「モモカ・萩野目、知らない」 「星空凛……あっ、ことりちゃんの友達……」 南ことりが死ぬ前に。 まだ己を隠していた頃、語ってくれたスクールアイドルの仲間。 アイドルグループの存在は知らなかった。 部活の一環として活動する彼女達と同じ舞台に立てれればいいな、そう思っていた。 「あれ……星空凛ちゃんはもう潰してある」 星空凛の名前が記載されている欄に取り消し線を引こうとした時、既に引かれていた。 名前を復唱しながら線を引いていたため、間違いをすることは無いはずである。 不思議に思いながら、呼ばれていく名前に線を引いていく。 結果として十六人の名前が呼ばれ、引かれた線は十五。一人足りない。 名簿をもう一度見渡すが、線の数は十五。 しかし足りない理由はすぐに解った。 「渋谷凛……凛ちゃんの名前が呼ばれた時、間違って星空凛ちゃんの名前に線を引いたんだ」 「トイレ、行ってきます」 誰に言ったかも解らずに、バッグを持って島村卯月は立ち上がった。 ☆ 水を流すのは何度目だろう。 吐きすぎて胃から固形の物は出て来なくて、気持ち悪い液だけが出て来ます。 凛ちゃんの名前に気付いた時、時間が止まりました。 私だけが世界に取り残されたみたいで。 でも、実際は凛ちゃんだけが世界から除外されてたみたいなんです。 信じられないと思いました。でも、受け入れるのは早かった。 ことりちゃんの名前が呼ばれた時点で、この放送に嘘はないと思いました。 だってことりちゃんは私の目の前で死んだから。 死んだから……素直に思える私が私じゃないみたいで気持ち悪い。 「なんでこんなことになったんだろう……」 もう、涙も出て来ません。 たくさん泣いて、たくさん吐いて。 凛ちゃんはもういない。私は、島村卯月はもう二度と渋谷凛に出会えない。 ニュージェネレーションズはもう二度と、あの笑顔で舞台に立つことが出来ない。 どこで間違ったんだろう。 最初にセリューさんに心を許したのが悪かったのか。 ことりちゃんの暴走を止められなかったのが悪いのか。 私には解りません。 プロデューサーならどうするんでしょうか。 未央ちゃんならどうやったのかな。 私だから駄目だったのかな。誰か教えてください。 8 :名無しさん:2015/07/23(木) 22 06 26 ID 3h.TAs0.0 どうすれば凛ちゃんを助けれたのかな。 高い山の頂上に咲く花のようにかっこいい凛ちゃん。 孤高を気取る訳でもなくて、心優しい友達思いの凛ちゃんが大好きです。 誰が凛ちゃんを殺したんだろう。 知りたい、いや、知りたくない? 知ってどうするんだろう……私にも解りません。 「追い掛けるのはできないよ……ごめんね凛ちゃん」 私も死にたくなってバッグに入っている糸で死のうとしました。 首を吊ろうにも糸は細くて、巻き付けた首から血が出る程鋭利だったので、やめました。 説明書みたいな紙を読むと、とても頑丈なので、服の下に纏いました。 「これから……」 服を来た所で、私はどうすればいいんだろう。 トイレを出て、うがいを済まして顔を洗いました。 試しに鏡の前で笑顔を作っても、悪魔が笑っているような……本当の笑顔じゃ無い気がします。 凛ちゃんが死んだこと、信じられません。 でも放送が嘘だなんて思えません。 私は何を信じればいいんでしょうか。 今頼れる人間、それはセリューさんだけです。 あの人は人間を殺せる怖い人で、でも、私に危害を加えない人でもあります。 ひ弱な私は彼女に頼るしかありません。 「セリューさん……外にいるのかな……?」 だから私はセリューさんを探すために外に向かおうと思います。 この選択が正しいか間違っているか何て解りません。 そもそも今の自分が誰かなのも解りません。 目が覚めてから首を触っている時、島村卯月が別人に変わっているようでした。 ことりちゃんと自分を比べた時、島村卯月が別人に変わっているようでした。 壊れた機械のように放送で呼ばれた名前に線を引いた時、島村卯月が別人に変わっているようでした。 凛ちゃんの名前を無意識で飛ばした時、私は島村卯月でした。 自殺を図った時、私は誰だったのでしょうか。 凛ちゃんの死を現実だと認識した時、私は何を考えていたのでしょう。 私には解りません。 でも、どうすることも出来ません。 今は悪い魔法に掛けられていて、魔法が解けたら全部夢のように消えてくれれば。 それはとっても嬉しいなって。 こんな時に、こんな事を考えてしまう私は本当に島村卯月でしょうか。 【D-4/イェーガーズ本部内/一日目/早朝】 【島村卯月@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]:悲しみ、セリューに対する依存、自我の崩壊(極小)、精神疲労(大)、『首』に対する執着、首に傷 [装備]:千変万化クローステール@アカメが斬る! [道具]:ディバック、基本支給品、賢者の石@鋼の錬金術師 [思考] 基本:元の場所に帰りたい。 0:どうすればいいのかわからない。 1:セリューとの合流。 2:助けてもらいたい。 3:凛ちゃんを殺したのは誰だろう。 4:助けて。 [備考] ※参加しているμ sメンバーの名前を知りました。 ※渋谷凛の死を受け入れたくありませんが、現実であると認識しています。 ※服の下はクローステールによって覆われています。 ※自分の考えが自分ではない。一種の自我崩壊が始まるかもしれません。 ※『首』に対する異常な執着心が芽生えました。 ※無意識の内にセリューを求めています。 ※彼女が所有している名簿には渋谷凛を除く、第一回放送で呼ばれた名前に取り消し線が引かれています。 【千変万化クローステール@アカメが斬る!】 ナイトレイドの一員であるラバックが所有していた糸の帝具。 用途は罠、索敵、防御、攻撃など多種多様な万能で豊富。 とっておきの一本と呼ばれる界断糸は強度、鋭さ共に通常の糸を遥かに上回る。 奥の手は存在するが原作では未登場である。 時系列順で読む Back 汚れちまった悲しみに Next 端緒 投下順で読む Back 亀裂 Next 邂逅 賢者の意思/意志 036 やはり私の正義は間違っているなんてことは微塵もない。 島村卯月 098 正義の戦士たちよ立ち上がり悪を倒せ
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《理想使徒エルドラド》 U 光文明 (5) 進化クリーチャー:エンジェル・コマンド 4000 ■進化:光のクリーチャー ■W・ブレイカー ■いづれかのプレイヤーが呪文を唱えた時、相手のクリーチャーを1体タップする。そのクリーチャーは次の自分のターンの始めまでアンタップしない。 作者:リース族 フレーバーテキスト 光のエネルギーを溜めるアークノアに、危機を感じたスカーレットゼロは、そのエネルギーを破壊するよう虚構魔獣に命令した。しかしそこに現れたのは、ボロボロの状態ながらも強い意志を目に宿したAlterミネルヴァ....もといマスティア達だった 収録 DMXU-03 「伝説の復活編 第3弾 激突!!次元超獣最終決戦」 評価 名前 コメント