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第十七章-第三幕- 兵は神速を尊ぶ 第十七章-第二幕- 第十八章-第一幕- 未だにイグジスター識別装置を完成させきれないまま、 アンリ姫とアイゼンカグラを迎えたローザとヴァジェスは、 カイトの指揮の下、全員集合を待つウォルフ王子達の元へ急ぐ。 数時間もすると、既に人気の無い廃墟が見えてきた。 「……あれか、旧グラード・シティとやらは……ひどいな、これは」 ヴァジェスは着陸態勢に入りつつ、その惨状に唸る。 建物はボロボロ、人気という人気はまったく無いに等しい。 「お待ちしていましたよ」 と、物陰からこっそりウォルフ王子が姿を見せる。 後ろにはエナやマリーなども一緒にいた。 「おう、待たせて悪かったな。だが味方が更に増えたぜ!」 と、ヴァジェスを指差すローザ。 「……あなたは? まさか!?」 「ちっとは勉強家もいるか」 驚愕するマリーに、頷くヴァジェス。 「頭が高いですよ! このお方を誰だと思っているのです!? かの二代目竜王ヴァジェス=バハムートの ご子息にして、現竜王です! どれだけ長い間、勇者軍を守ってきたと思っているのです! 平伏なさい、今すぐに!! 早く!!」 慌てるウォルフ王子。それに従う一同(ローザ達は除く)。 「やめれ。俺ぁそんなつもりでわざわざしゃしゃり出たんじゃねぇ。 カレン家を守るのは確かに俺の宿命みたいなモンだが、 今回のイグジスター討伐には俺自身の事情も絡んでいやがるんだ。 それにそう気を遣われちゃあせっかく城から降りて来た意味がねぇ。 勇者軍の無礼講気質はいつもの事だ。今更気になるかよ」 と、少し意地悪そうに笑うヴァジェス。 「そ、そうですか……では、ご厚意に甘えさせてもらいます。 とにかくこれで全員が揃ったわけですね……アンリ姫、さては既に?」 アンリ姫が持っている小さな物を見つめてウォルフ王子が尋ねる。 「機材としてはほぼ完成形に近いのじゃ。 イグジスターと一戦交えれば、すぐに完成するのじゃ」 「ですか。それは幸い」 安堵するウォルフ王子。これで市民達を落ち着けさせ、 防衛体制を確固たるものにする事が出来るだろう。 「じゃが、これはわらわの力だけではないのじゃ。 そなた達が故郷から叩き出した 純血者と呼ばれる者達の助力なのじゃ」 「え……?」 エナが心底驚愕する。彼等にそんな度量があったとは思わなかった。 「以前王子が言ったとされるとおり、 人に塗れて世界を知ったのであろう。 彼等は実に協力的に技術開発に勤しんでくれたのじゃ。 おかげで、随分早くここまでこぎつけられたのじゃ。 わらわ達は、またロブの深謀遠慮に助けられておるのじゃな。 こうして、彼等が更正した様を 遠慮なく見せてもらってるのじゃからな。 無論、決定打は王子の鶴の一声であろう」 「そうですか……それは何より」 ウォルフ王子のわだかまりが、これで一つ消えた事になる。 「そうして出来たこのマスターハードを何としても守らねばならぬのじゃ。 これに解析したデータを挿入する事で、このハードは完成するのじゃ」 「分かりました、では大事に持っていて下さい。 さあ、まずはロブを救出しましょう!!」 ウォルフ王子とカイトの指揮で編成が急がれ、 シェルターに避難した市民を残して出立。 勿論、イグジスター嫌疑の晴れぬ グロフィスも檻の中で、そのまま同行させる。 一時間ほどであっという間にクロカゲによる案内は終わり、 森林のド真ん中に建っている地下施設を発見するに至った。 エリックがグロフィスを警戒しつつ、更に周囲に気を張り巡らせる。 「……!? この気配は殺気じゃないのか!?」 「ええ!?」 レオナが驚いた時にはもう遅かった。 擬態相手を求めてだろうか。今までに無い数、 それこそローザを襲った時を遥かに上回る、数千という数の 原型イグジスターが茂みに紛れて接近してきていた。 「くっ、ロブの救出を目の前にして……! エナさん、貴女が突撃してロブの救出をしてきて下さい!」 ウォルフ王子の指示が飛ぶ。 「ええっ、ヒーラー一人でですか!?」 「メンバーを三人まで連れて行く事を許可します、急いで!」 「えーっと、んーっと、じゃあ頭脳労働担当カイトさん!」 「はいはい」 ゆらりとエナを護衛するように近付くカイト。 「それから道案内にクロカゲさん!」 「分かった……!」 出たり消えたりを繰り返し、 投擲でイグジスターを牽制しつつのクロカゲ。 「それからアタッカー担当で、マリーさん!」 「ジーニアスの誇りにかけて!」 一気に突撃するマリー。 それら三人を連れて、エナは半ば強引に イグジスターの群れを突っ切る。 勿論ソーサーは常に動いており、イグジスターを切り刻んでいる。 エナ、カイト、クロカゲ、マリーの四名は施設内に突入した。 ウォルフ王子とエリックはグロフィスの檻を入り口の蓋代わりに使う。 これで、施設内への直接侵入を防ごうというのだ。 「総員、グロフィスの入った檻を死守! エリックさんを軸に戦います! アンリ姫とヴァジェス王は遠距離砲撃、 レオナさんはナノ・マシンで撹乱! 私が指揮、ローザがアタッカー、 アイゼンカグラさんは空中支援と偵察!」 「了解!」 全員の声が唱和する。 「勇者軍特務戦技教導隊指導要項31番<背水之陣>! 侮るなよ、イグジスター共……! 貴様等にも教えてやる! 俺達勇者軍の恐ろしさをな……!!」 絶対に退けない状況にあって、エリックはいよいよ覚悟を決めた。 イグジスターを必ず滅ぼし、息子がそうであったなら 必ず我が手で討つ、という覚悟をである。 既に千匹以上のイグジスターが交戦を開始しているが、 誰もが抗う事をやめるなど、考えもしていなかった。 そう、獄門の如き戦いは今ようやく始まったのだ。 そしてエナやマリー達は必死に駆けていた。 何の手がかりが無いながらも、ロバートに再び会うため。 勇者軍の勇気を、知を、力を、愛を、夢を、そして絆を 魔神王教団及び、イグジスター双方に叩きつけるために。 「待っていて下さい、ロバートさん…… どんな怪我をしていても、私の魔法で……!!」 緊迫の眼差しで、エナ達は必死に駆ける。 兵は神速を尊ぶのだ。故に彼等は兵器神速を掲げ、駆ける。 それはあたかも。それしか知らぬ獣の如くに。 <第十八章-第一幕-へ続く>
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扉がゆっくり開かれる。 数年前、自分達がずっと目指していた場所だ。 魔王城……… クリム「来たか……アロン」 アロン「魔王クリム……この気迫、ここからでも伝わる力……」 アロン「復活したのか……魔力が」 クリム「そうだ」 クリム「貴様が……ゆ、勇者とおっぱじめて、スクイーズで奴が生えてる時に搾り取ってな」 アロン「お、おう……」 クリム「そんなことはいい!奴は……勇者ミルヒラッテはどうした!!」 アロン「あー……その、勇者様はね」 アロン「産休」 クリム「な……き、貴様!!なんて事……」 クリム「ええい!もうなんでもいい!!貴様1人でも我があの世に送って……」 〜1時間後〜 クリム「んおおおおおっ!!」パンパンパン アロン「もちろん魔王のMストーンは持ってきておいたよ」 クリム「んっ、ううっ………か、体が言うことを聞かな……」 クリム「何故……力は、我の方が……」 びゅっ!!びゅるるっ!! クリム「うああっ!!」 クリム「中に……中に入る度力が抜けて頭から何かが抜けて……」 アロン「魔王と言えど女性型モンスター、1度Mストーンを作っておけば無力になる……」 アロン「そして、魔力が復活した以上放置も出来ない、近くに置いておく」 アロン「だから!」 ずぷっ! クリム「んんっ!!?きゅ、急に奥に……子宮が刺激されて………」 つん クリム「お”お”っ」 ずっ、ずぷぷ……… ぐりぐり…… クリム「ん”お”お”っ……子宮ぐりぐりするなっ……活性化して……卵子が………」 クリム「お、おい貴様は………まさか!!」 アロン「そうだ………アルテマーラはもう発動している」 クリム「よ、よせ!!やめろ!!我はダメだ!お前、勇者まで孕ませておいてこの我までも!!」 クリム「何にしても我はだめだ!あっ、いやっ!激しく動かないで!!」 パンパンパンパンパンパン!! クリム「イクッ!!イキながらピストン狂いして………」 ビュルルルルルッドプッドプッ!! クリム「あああっ!!入るっ!!黒い精子が受精する!妊娠するっっ!!」 クリム「らめええ!!」 アロン(今どきらめえとかいうひと居るんだ………) ……… クリム「き、貴様!貴様!なんてことをしてくれる!!」 アロン「早っもう腹膨らんでる!勇者様と同じレベルじゃん!」 クリム「責任取ってもらうぞ!」 アロン「当然だ!お前を好きにさせない為に少々手荒い手段を取ったんだからな」 クリム「手荒すぎるわ!!勇者というものがありながら……!!」 アロン「お前だって自分の魔力の為に勇者様を襲ったんだろ!」 クリム「そ、それに!我があれだけ忠告したと言うのに!それをあっさりと!」 クリム「いや……うう、魔王である我にやるなと言わなかったのも悪いとは思うが」 アロン「だがこれで……終わったんだ」 クリム「………これで終わったと思うな」 クリム「否、お前に降りかかるのは地獄だ!」 クリム「…………折角だ、見た方がお前も理解するだろう」 ……… アロン「ただいまー、皆帰ったよ」 アロン「あれ?皆どこだ?」 クリム「今にわかる」 トパーズ「………」 アロン「トパーズ?一体どうし……え!?」 トパーズ「マスター……ナゼダカキュウニ……デキチャイマシタ♡」 アロン「な、なんでゴーレムのトパーズが妊娠してるんだ!?」 ゴブ子「お、おい!!アロン!!きさまぁ!!」 アロン「ゴブ子!?ゴブ子まで………」 ゴブ子「わらわ達だけではない!何故か突然お腹辺りがうずいたと思ったら……着床しておった」 ゴブ子「クミルの奴は寝ておるから気付いとらんがすぐに分かる、エミリーはもう産む体勢してる!」 アロン「な、なんで!?」 アロン「俺がアルテマーラを使ったのは魔王だけなのに!!」 クリム「………我が魔王だからだ」 クリム「女性型モンスターの魔力と精力は魔王とそれに連なるサキュバスの遺伝子に通ずる」 クリム「ヒエラルキートップである我がアルテマーラで黒い精子を受けて着床すれば……」 クリム「女性型モンスターの中に残ってる精子は滅多に死なん、生き残ったものも反応して黒化して………」 クリム「子供を宿す、魔王を継ぐというのはそういうことだ」 アロン「え、魔王を?え?」 クリム「な……何を!?まさかそんな事も気付かずこんな手を使ったのか!?」 クリム「魔王の我を孕ませれば当然お前は夫として魔王を継ぐことになる!」 クリム「性の手段に頼りすぎて脳まで猿になったか!?」 アロン「…………」 アロン「やってしまった………?」 クリム「もう遅い!!見ろ!」 ざわざわ…… アロン「………!!」 レプラコーン「なんかアロンのことを考えてたら妊娠しちゃって……♡」 リザードマン「人間のオス……♡まさか本当にこんな……」 キラービー「初めてよ……こんな形でキラービーの子を産むことになるなんて………」 アロン「…………」 クリム「貴様、やはりただ母乳を取っただけで終わってなかったようだな!それもここまで!!」 クリム「一体何種類の女性型モンスターと肉体関係を持った!!」 クリム「こうなったらからには貴様は責任持って!!」 クリム「今まで売り物にしてきた女性型モンスターの分全種類と結婚してもらうからな!!」 アロン「え……」 アロン「え!?」 かくして、『ミルクバー』は店主……否、魔王アロンと大量の妻達による1つの国。 『ミルクバーバリアン魔国』へと発展する羽目になり。 勇者と魔王が共存させられてモンスターと人を繋ぐ新たな架け橋に……なる……?かもしれない。 これはいずれ訪れる確定した『最終回』の話 【モンスターミルクバー】 『END』
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備考 作品内に出てきた説明と電撃G sMagazineに記述されているKEYWORDまとめ 考察は考察ページでお願いします。 KEYWORD 戦装束 神樹の力を宿す勇者の衣装。まとう者の身体能力を格段に引き上げ、神の力で専用武器以外でもバーテックスへの攻撃を有効にする。ただし、戦う覚悟と意志が無ければ、装着することができない。 生大刀(いくたち) 無数の武器、の名を持つ神器の一種。冥府に由来する刀である。 若葉が用いるのはそのものではなく、平安期のごくありふれた刀に生大刀の霊力を宿したもの。 一目連 友奈が切り札として呼び出した精霊で、勇者パンチを暴風の如く繰り出せる。劇中で初めて使用された精霊でもある。 演武 勇者たちの戦闘技術を、一般の人に披露する催し事。気恥かしいという理由で、友奈と杏は出演を辞退。 大葉刈(おおはがり) 千景の専用武器、折りたたみ式の大鎌に宿る神の霊力。かつて農耕を司る地の神の一人が、怒りのままに死した友人の喪屋を切り捨てるという暴挙に出た。その際に使われた武器に由来する霊力であり、大鎌は死者すらも冒涜する、呪われた刃となる。 切り札 勇者が神樹の記録にアクセスして精霊を召喚し、その神の力を顕現させる技術。一時的に戦闘能力は跳ね上がるが、肉体に大きな負担がかかる。 三年前の悲劇 この世界の人間なら誰もが知っている、バーテックス襲撃の日のこと。天から降り注ぐ無数の化物に、人類はなすすべなく蹂躙され、住む場所を追われていった。この当時、若葉とひなたは修学旅行で島根に来ていたが、襲撃時にそれぞれが勇者と巫女の力に覚醒。2人は多くの人々を連れて、安全であった四国まで逃れることに成功している。だが、修学旅行で仲の良くなった若葉の同級生たちは無残に殺されており、この出来事が若葉の心を復讐の念に縛り付けていた。 白鳥 長野の一部地域を単身守護していた勇者。若葉と定期的に通信でやり取りをしていたが、戦況が悪化し、通信不能となる。その後の消息は不明。 神樹 土地神そのものだと言われる、地上全ての記録を蓄積した樹木。バーテックスの襲撃に対し、時を止め、ほぼすべてのものを樹木に変える樹海化を行う。 精霊 勇者が、神樹が蓄える記録にアクセスして召喚する神の力。自らに力を顕現させることで、一時的に戦闘能力が跳ね上がる。その分肉体的負担も激しい、戦闘における切り札的存在。 大社 バーテックス対策の全権限を握る機関。神樹や敵の力の解析、勇者や巫女への指導等を行う。負傷した際の病院の手配など、最前線で戦う少女たちへのサポート体制は万全。神樹の力を研究し、科学や呪術を用いて、勇者の戦装束を作りだした。 高松市 香川県の一都市。四国一の都会であると同時に、多くの天然温泉が湧く、温泉地としても知られる。 天空恐怖症候群 三年前のバーテックス襲撃により、空を見ることに恐怖を覚える精神的な病。症状は4段階のステージがあり、ステージ4では発狂、自我の崩壊にまで至る。 七人御崎 千景が切り札として呼び出した精霊。七人の同時存在を瞬時に作る。その七人が同時に殺されない限り、新たな存在が生まれ続け、本当の死は訪れない。 バーテックス 天から降ってきた、異形の化物の総称。人間を率先して狙い、口のような器官で喰らい尽くす。個体同士で融合し、さまざまな形へと進化することが可能。 (『タカヒロ氏が斬る!』によると味と触感は、『味のない弾力に富んだイカ』らしい) 丸亀市 勇者と巫女の拠点、丸亀城が存在する市。古くからの城下町である市街地には、バーテックスの出現以降、四国外から逃れてきた人々も多く住んでいる。 丸亀城 勇者と巫女が住まう寮のある、香川県の平山城。内部が改築され、6人が通う学校として使われている。 巫女 土地神の声を聞く特殊な力を持つ者のこと。ひなたがこれに当たり、その力で勇者たちを導く。神の声である信託は、言語ではなく象徴と暗示によって伝わる。 源義経 若葉が切り札として呼び出した精霊。八艘飛びにより、空中における桁外れの機動力を得ることができる。 勇者専用アプリ 勇者たちのスマホに入れられたアプリ。起動すると、それぞれ専用の戦装束を身につけることが可能。また、勇者やバーテックたちの現在地を、リアルタイムで表示するサポート機能もある。 勇者ゲーム バーテックスに見立てた、白い布袋を投げ合いながら、相手陣にある旗の奪取を目指すゲーム。というと聞こえはいいが、実態は陣取りの要素を加えた、ただの枕投げ。 雪女郎 杏が切り札として呼び出した精霊。クロスボウから吹雪を起こし、バーテックスを凍らせた。劇中で一度しか使用されなかった。 輪入道 球子が切り札として呼び出した精霊。旋刃盤を人が乗れる程の大きさにまで巨大化させ、自在に操ることが可能になった。 作品内の解説 天空恐怖症候群 上空から襲来したバーテックスへの恐怖により起こる、精神的な病。病状の重さによって4段階にステージが分かれる。 ステージ2からステージ3。ステージ3からステージ4と、病状が悪化していく。 ステージ1 空を見上げるのを恐れて外出を嫌う。 ステージ2 バーテックス襲来時のフラッシュバックが起こり、精神不安定となる。日常生活に支障を来す。 ステージ3 フラッシュバックや幻覚が頻繁に起こり、薬を手放せなくなる。働くことや外出することができなくなる。 ステージ4 自我の崩壊、記憶の混濁、発狂が起こる。ステージ3からステージ4へ至るまで、それほど時間はかからない。
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勇者の書序章 『よくきた勇者よ、これから行われるスナイポのなかで お前は人間として大事な何かをなくす可能性がある その覚悟があるものだけこの本を開くがよい』 勇者の書第1章 『全力で釣られろ!それもVIPクオリティ!』 勇者の書第2章 『包丁は切るためにあるのではなくさされるためにある』 勇者の書第4章 『ペットボトルは最新式のコンドーさんである』 勇者の書第5章 『卵は食べるためではなく、爆発させるためにある』 勇者の書第7章 『勇者がEDを作るのではない。EDが勇者を作るのだ』 勇者の書第9章 『人間の極みに挑む行為それはアナリスクである』 勇者の書第10章 『生き残る為に鬼畜は必須ではない.だがイケメンは必須だ』 勇者の書第11章 『鉄は熱いうちに打て……意味:マンコみたらとにかくやっとけ』 勇者の書第12章 『鬼畜がイケメンとはかぎらない、しかしイケメンはすべからく鬼畜だ』 勇者の書第13章 『勇者とは人の道を外れ、茨の道を突き進むからこそ勇者なのだ』 勇者の書第23章 『おなかすいた』 勇者の書第31章 『オナニーとは…虚無感を得るための過程である』 勇者の書第45章 『男は姿を表にだすものではない 影ながら支える男がかっこいいのではないか』 勇者の書第51章 『ピザがデブを喰うのではなく。デブがピザを喰う』 勇者の書第79章 『やれないマンコはただの豚だ』 勇者の書第96章 『死は恐れるに値しない、本当に恐れるべきはクオリティーを裏切ることなのだ』 勇者の書第99章 『何が起こっても自己責任。だがその先にこそクオリティがある』 勇者の書第最終章 『お前は人間として大切な何かを失ったが、vipperとして大切な何かを手に入れた』 勇者の書外:石田〇一純愛の章 『古来日本にはよばいと見合いしかなかった. そこに洋風の文化がはいってきたことにより恋愛なんて感情が生まれてしまったんだ。 つまり、男は好きな奴と好きなときにヤるのが本来あるべく姿なんだ』
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第二十七章-第二幕- 悪意、再び 第二十七章-第一幕- 第二十七章-第三幕- 勇者軍は、魔王城を擁する無人島群に到着した。 久しぶりにじっくり休んで、しっかり体調を整える事が出来た勇者軍は、 そこに集まっている多種多様な生物の群れに改めて見入っていた。 こうして見ると、魔神王の作り出した ナインサークルというものは壮観である。 「えっほ、えっほ、えっほ」 金属部品らしきものを元気一杯に運んでいるドワーフ達。 何やら愛嬌もあるが、荘厳な雰囲気も思わせる。職人魂というものか。 「おーらよ!」 「おし、もうちょい右だー!」 その横ではジャイアントやサイクロプスといった巨人の仲間が、 人間が乗り込むために作る ライディング・アーマーを組み立てたりしている。 サイズ的に、まさにちょうどいい割り振りと言っていいだろう。 「あはははははは」 「そーれっ」 その横では、水の精霊や風の精霊達が大地に恵みを与えて、 食料品のサイクルを早めていたりする。 たまにぴょこっと姿を見せる大地の精霊も礼を述べたりする。 そのまた横では人間が兵舎を組み立てたりしていてせわしない。 ストレスなどを魔族が、連携による 高揚感などを神族がツマミ食いしつつ、 竜族や竜王であるヴァジェスなどと協議を交わしていたりする。 怪物族も作業に参加しており、主に建造物の建築に当たっていた。 サバイバビリティが高いだけに、まさしく適任である。 「うーむ、カオスな」 その異様な光景にウォルフ王子が唸るも、 ロバートやカイトは意にも介さない。 「何がカオスか。この程度の事は 過去の歴史で幾度となく繰り返された。 ……まあ正直、ここまで大規模な連携だと 前例が少ないかもしれんが」 「だね」 ローザはローザで料理を振る舞っていたりして しっかり手伝ってしているし、 マリーは教官代わりに、他の種族に戦闘技能を叩き込んでいる。 ウォルフ王子も先程までは協議に参加していた身だが、 特に変わった技能も持たないロバートとエナ、そしてエリックが 置いてけぼりを食らっている感じがあった。 「ううむ、正直退屈になってきたところだ」 「ですよねー」 エナはポメをそっと地面に降ろしてやる。 「ほら、妖精族のみんなと遊んでくるといいですよ」 「にゃうー」 同じく暇を持て余している妖精族の子供達に向かってポメを放つエナ。 ごろごろじゃれて、どうやら楽しそうなので、それはそれで良い。 「しかしこうやって険阻の地で耐えるというのもしんどいわな、おっさん」 「待つのも仕事だ、という場合があろうからな」 「ですねー」 エナも同意し、三人はせめて食料調達に貢献でもしようと、 慣れない釣竿を垂らしてくっちゃべっているのであった。 「お、釣れたか」 ざばっ! 豪快にエリックが釣り上げたのは あんまりおいしそうには見えない青い魚。 こういう島ならよくいるだろう熱帯魚だと思われる。 「これ、食えんのか?」 「知らん」 そう言いつつ、エリックはクーラーボックスに魚を放り込む。 「お、俺もかかったか」 「わぁー、みんな早いですねー。私も頑張らないと」 ざばんっ! これまた派手にロバートが釣り上げたのは機雷だった。 「ってオイ!」 ずばごん! 「くっ!?」 接触信管が反応し、爆発する機雷。 正直距離があるとはいえ、 なびきマントでとっさに二人を庇わなければ、 ロバート共々、軽傷ぐらいは負っていたかもしれない。 「なんでこんなモンがあるんだよ!? 魔王達が仕掛けたのか!?」 「いえ、ちょっと待って下さい!」 怒鳴り込もうと意気込むロバートを制止するエナ。 異様に巨大な黒い影が水中に見えたからだ。 それは次第にしぶきをあげて浮上する。 ざっばぁぁぁぁぁぁぁあん! 「なにっ、潜水艦!?」 そう、結構なサイズの潜水艦が水中から静かに接近していたのだ。 ビーッ! そして手持ちのイグジスター識別装置に反応がある。 それはすなわち、この潜水艦が今イグジスターに襲われているか、 あるいは既に全滅して、完全に乗っ取られているかだ。 レア・ケースだと言っていいだろう。まったく想定外だ。 しかも脱出封じとばかりに機雷をばら撒いたのはこの潜水艦らしい。 「ハッチが開くぞ!」 エリックが警告する頃には、ローザもマリーもみんな来ていた。 魔王だけは本陣死守という事で控えてもらっているが、 イグジスターが来るなら全力応戦しなければならない。 「ぎぎぃぃぃぃッ!」 ハッチが開くと同時に、多数の擬態、原型問わず、 イグジスターが出てきた。かなりの数だが、 数万という凶悪な単位ではない。せいぜいが千というところだ。 やはり潜水艦という乗り物に乗る数としてはそれが限界なのだろう。 ウォルフ王子はまず万一のための脱出ルート確保を急ぐ。 「すみませんが、マーメイド、ウンディーネ、 その他水を得意とする方々は水中に潜り、 周辺に張り巡らされた機雷の全除去をお願いします!」 その指示に精霊族や亜人族が一斉に動き出す。 「ちいっ、イシターがいれば……!」 ヴァジェスは今ここにはいない妻の名を呼び、そして嘆く。 彼女は水竜。竜形態でいさえすれば、水中は彼女の領域だった。 「一人たりとも犠牲者を出すな! エリミノイド、出撃!」 兵器工場から出来立てのエリミノイドが多数リリースされる。 「よし、続けてオートタレット、設置開始!」 自動設置砲台が大地の妖精などの手によって設置される。 このオートタレットはイグジスター識別装置を内蔵しており、 高精度のオートガトリングガンとして、 周囲のイグジスターを薙ぎ散らす。 乗り物にはダメージを与えたくなかったので、 戦車を持ち出すよりは適切だろう。 「ようし、竜族、亜人族、続けぃ!!」 ヴァジェスの指揮で巨大さを活かした、 丸呑みなど許しもしない戦術で イグジスターは少しずつではあるが、叩き潰され始めた。 「神族、魔族を予備戦力として温存、続けて怪物族、続け!」 ロバートの指揮によって、空中戦を得意とするグリフォンなどが続く、 「よし、俺達も出るぞ!」 エリックの指示でエナやマリー、ローザなども動き出す。 たちまち、多数のイグジスターが叩きのめされ、藻屑と消える。 「まだ切り札は残ってる……ガンシップ、リリース!」 カイトの指示によって、兵器工場から 自動飛行攻撃船、ガンシップが放たれた。 こちらも識別装置を積んでおり、イグジスターのみを攻撃する。 元はエリミノイドと同じく、禁断の非人道兵器だったものであるが、 こうして味方に付けば、恐ろしく有能な遺産であった。 ナインサークルの技術と理論、実力と知恵が総結集され、 天の時、地の利、人の和さえも内包した 難攻不落の要塞と化した魔王城に、 わずか千いくらで乗り込んでくるなど、愚の骨頂であった。 だが、そんな中、イグジスターの片隅に女性の姿が見えた。 「大した粋がりようだ。下位種の分際でな」 「手前ェ、エッセ=ギーゼンか!? なんで生きている!」 そう、姿形はまさしく魔神王教団教皇エッセ=ギーゼンそのものだ。 だが彼女は死んだはずだ。以前の激戦によって。 「そうか、君達がこのボディの持ち主を始末したのか。 だが遺体を埋葬しなかったのは迂闊だったな。 これほどのボディ、そう得られるものでもない。幸運だった。 では、イグジスター五滅将が最後の一人、 エッセ・イグジスター、今後の禍根を 絶たせてもらいに、参る!」 エッセ=ギーゼンはイグジスターに遺体を丸呑みにされていたのだ。 「力を解放する。カース・プレデター!」 呪文を使い、周囲に漂う討たれた擬態イグジスターの 元の身体の持ち主、その怨霊を味方に付けるエッセ・イグジスター。 まさしくやり口が以前と同じ、悪夢の再来である。 「本当にイグジスターに成り下がってやがったか、畜生め!」 モノが霊的攻撃だけに、亜人族や妖精族、怪物族の多くが 手に負えず、たちまち多数の兵士が攻撃を受けて倒れ伏す。 その勢いに乗り、イグジスターもサイズ的にちょうど良さげな 人間達を呑もうと、隙を伺っては狙ってくるため、 勇者軍一同はそちらの処理に忙殺されてしまっている。 「ふははははは! 無様な醜態を晒しおる、 手が少々足りぬぐらいでそのうろたえよう、無様な!」 「黙りやがれ! 手前ェ、今度こそ粉微塵に消し飛ばしてやる!」 ロバートは凶暴性を剥き出しにし、 一直線にエッセ・イグジスターに向かう。 「体術もこなせる、甘く見ないことだ……! 手をこまねいたまま、自軍が消耗するさまだけ見ていれば良い!」 この悪趣味さ、流石はエッセをベースにしているだけの事はある。 性格までそっくりで本当に反吐が出る、とロバートは考える。 だが追い込まれているのは事実で、決定打を出す機会が見えない。 戦況を打開するだけの何かを待望しつつ、 ロバート達はエッセ・イグジスターの卓越した技量と戦術一つに、 思いがけず翻弄されつつあった…… <第二十七章-第三幕- へ続く>
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魔王「おい聞いたか。今日このクラスに転校生が来るそうだ」 錬金「そうなんですか?ヒロト先生、そんなこと言ってましたっけ?」 竜子「リュリルちゃんバカ先生と仲いいもんねー」 魔王「う、うむ///」 姫君「は!リュリルさんが一方的に付きまとってるだけでは?」 竜子「ローラさん!」 魔王「………なんだと貴様」 姫君「言っておきますわ。今期も学級委員長になってヒロト先生のお役にたつのはこの私の仕事ですわ!!」 魔王「クラスより担任優先に考える委員長などみんなもういらぬだろうよ!!」 姫君「あら、なら貴方はずっとなれませんわね!!」 魔・姫「うぬぐぐぐぐ………」 中華「………で、転校生の話は?」 忍者「おう、スッゲェかわいこちゃんだぜ!!」 中華「知っているのかリューマ!」 忍者「俺のかわいこセンサーをナメるなよ!キリッとしたヅカ系だったぜ! うーん、中性的な魅力ハァハァ」 くの「………」ピュンピュン 忍者「痛!お、おいクルミ!チョークは投げるもんじゃない……痛い!しかも服が白くなる!!」 くの「………………」ピュンピュン 勇者「おーい、みんな席につけー」 令呪「あ、ヒロト先生だ」 歌姫「おはよーございまーすぅ」 勇者「おはよう。今日はみんなに新しい仲間を紹介するぞー」 忍者「ウオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!!!」 くの「………………………」ピュンピュン 勇者「ブレイズさんだ。仲良くするよーに」 槍子「………………あは」 一同『?』 槍子「あはっはははははははははははは!!!よろ死くねェェェ!!!!」 ・ ・・・・・・・・・・・・・ 一同『は、羽が生えているゥゥーーーッ(かたっぽだけ)!!!!』
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第一章-第三幕- 禁忌の領域 第一章-第二幕- 第二章-第一幕- ロバート達は、叩き伏せた誘拐犯から引き出した情報を元に、 セート・タウンから三キロほど離れた位置にあるとされる 林の中の研究施設へと到達した。 「あの……」 「何だ」 遠慮がちに語りかけてくるエナの言葉を軽く受けるロバート。 「作戦とかはあるんですか?」 「無い。強行突破でコントロールルームを叩き潰す」 「そ、そんな無茶な……」 「これぐれぇで怯んでたら話にならねぇ。遅れるな」 「あ、はい!」 勇み足のロバートに必死にエナが追いつこうとする。 衛兵らしき者がいたが、ロバートはお構いなしだ。 「つぇいッ!」 「なっ……ぐわ!」 どごす、ばきっ! 反撃態勢も取らせず、衛兵を叩き伏せる。 一方でエナもそこら辺にあった石ころを念動力で動かし、 更に衛兵三人を叩きのめしていたりする辺り、有能ではあった。 「このまま突破だ」 ばがんッ! 正門を叩き割り、ひたすら直進するロバートとエナ。 やってくる衛兵は根こそぎ叩き伏せて口封じをしつつ、 必要な情報は随時聞き出しながらそこかしこを歩く。 結構な広さではあるが、歩いて回れない事はない程度だ。 広さは小さめのショッピングモールぐらいだろうか。 階段らしき物を見つけたので、地下へ降りてみると、 老若男女、いるわいるわの拉致された人々である。 「ひぃぃぃ!」 よほどひどい拉致され方でもしたのだろうか、 軽くない怪我をしている者も多数いて、 ロバート達を見るなり、怯えだす。 だがロバートは慌てず騒がず、銃を抜いて発砲。 速やかに鍵を破壊して牢をこじ開けた。 「出ろ。命が惜しかったら早く失せることだ」 「た、助けてくれるのか?」 「自分の足で歩け、甘ったれるんじゃない。 そんな迂闊さだから、そういう風に捕まる」 心当たりでもあるのか、誰も特に反論はしない。 「だが出て行く前に答えてもらう。俺達はここをぶっ潰すが、 他に拉致された被害者は誰もいないのか?」 「い、いる! もう人数は集まったからって、 さっき早速誰か女が連れて行かれてた! 阻止するつもりなら早くしないと間に合わないぞ!」 「場所の特定……は無理か。急ぐぞ」 「はい!」 事ここに至ってはエナも躊躇してはいられない。 勝手に逃げていくついでに衛兵や拉致犯などを ボコボコに叩いている民間人を放置して、 ロバートとエナはもう一名の被害者を探索しだした。 ずずん! と、凄まじい振動が施設自体を襲う。爆発音だ。 あちこちで機器が火花を吹いており、施設自体の崩壊が危惧される。 「まずいな。奴等、自爆スイッチでも押したか!?」 「早くもう一人の人を探さないと!」 もう探していないのは研究設備とコントロールルームぐらいのものだ。 押収した地図を頼りに、研究設備を目指すのだった。 すると、槍を両手に暴れ周り、機器を破壊して 警備兵や施設の上役らしき人物やらを追いかけ、小突き回している ロバートよりやや年上の女性らしき人物を確認した。 謎の槍の女性は、ロバート達に会うなり睨みつける。 「よくもやってくれたッスね! あんた達も関係者ッスか!?」 「違います!」 何故か異口同音に返答するロバートとエナ。 するとあっさりと敵意を解く。正直迂闊でもあったが、 一人でこれだけの暴力を振り撒いている辺り、只者ではなかった。 「じゃあこんな犯罪組織に何の用ッスか?」 「俺達ぁ……まあいい。ここの連中のやり口が気に食わないんで、 わざわざぶっ潰しにやって来てやったんだ。無事で何よりだが」 「いや、そうでもないッスよ。薬で眠らされて、 軍事用のジャミングナノマシンを注入されたみたいッス。 あたしの意思で自由に操れるらしいとかってほざいたから、 本当に操ってみたらここの機器が勝手に暴走したッス」 つまりこの施設崩壊は彼女のせいだったりした。 「って無事じゃねぇし! 生きてたのが不思議だなオイ!」 思わずロバートもツッコむ。 「とにかくこっから逃げるッスよ、物好きな人達!」 「お、おう!」 「きゃーッ!!」 彼女の言う撹乱用ナノマシンのせいだろうか、 周囲の機器が爆発し始めたりしている。 もはや脱出に一刻の猶予もならない状況だった。 で、脱出中。 「走れーッッ!!」 「はぁ、はぁ、はぁ!」 必死に走るロバートとエナに平然と並走する槍の女性。 「あ、あたしレオナっていうッス。よろしくッス」 「今ですか!?」 エナも思わずツッコんでしまった。 ずどーん! どうやら自家発電の動力炉が爆発したらしい。 ものの見事に周囲一帯はクレーターと化している。 関係者は我が命こそ大事と、我先に逃げ出したりしていた。 もはやこの研究の再開は不可能だろう。 何はともあれ、決定的な被害者を一人許してしまったものの、 一応一件落着といっていい状態になった。 「で、あんた達は結局誰ッスか?」 「……ロバート=ストレンジャーだ」 「エナ=ギャラガーです」 「ほえー、あんた達があの勇者軍ッスか。 眼福眼福ッスよ。勇者軍には随分やんちゃな子がいるッスねー」 「……お前ほどじゃねぇよ」 幾分かげんなりしながら応じるロバート。 これならこの女性だけは助けなくても大丈夫だっただろうと思うと、 何とも言えない気分になった。が、反逆ぶりは悪くない、とも思った。 「どうせ孤児な上に拉致られて行く当てもないから、 せっかくの機会だし、あたしも勇者軍に置いて欲しいっス。 可愛いし、あたし潤い担当になるッスよー」 ピンク色のボブカットは確かに独特の愛嬌はあるが、 どちらかというとムードメーカーかな、と内心エナは思った。 流石に口に出すほど空気が読めないわけではないが…… 「……まあいいだろう。俺と徒党を組むには いい反逆ぶりだったからな。名前を訊こう」 「レオナっていうッス」 「いや苗字は?」 「あたし、元々戸籍にも載ってない孤児っスもん。 どうしても姓があるのがいいなら、 ここの組織に付けられたコードネームを使ってやるッス」 「コードネーム?」 エナが訊き返してくると、何故かカッコ良さげなものを 披露するかのように、自慢気に宣言するレオナ。 「レオナ=タブーフィールダー。ランスファイターやってるッスよ」 「タブーフィールダー……禁忌の領域の主、というところか」 「ナノマシンを操れるッスからね。イメージ悪いけど」 「上等だ。貴様もエナと共に勇者軍に組み込んでやる。 ただし半ばお尋ね者なのは覚悟しておくんだな」 「こっちこそ上等ッス。名目上助けに来てもらってるし、 あんたのために戦ってやるッスよ」 と、何故か嬉しそうに語るレオナ。 よほど徒党を組む相手が出来たのが嬉しかったららしい。 「で、これからどうするッスか?」 「まずはしばらく、セート・タウンでの滞在を続ける。 ことの顛末が無事に進むか見届けておきたいからな。 しゃしゃり出た以上は、ある程度の責任が生じる。 もっとも……誉められる事はした覚えがあるが、 今回に限っては責められる事をした覚えは無いぞ」 「ええ……まあ。あ、朝日ですよ」 本当に明朝までに決着が着いたようだった。 「もう寒くもなかろう。マントを返せ」 「あんっ」 やや乱暴にマントを毟り取るロバート。 その勢いにエナはよろけるが、 一見乱暴に見えても、しっかり支える辺り、 ロバートの本性が隠れているように、エナには思えた。 「……ウォルフ達に俺を追う動きがまったく無いのも気になる。 どのみちセート・タウンで情報が集められるのなら、 それに越した事は無いはずだ。行くぞ、二人とも」 「はい、行きましょう」 「おうっ!」 三人になったロバートの反逆集団は、 士気も高まり、一旦、ただの農業地帯へと戻った 平和なセート・タウンへ戻っていくのだった。 一方、ウォルフ王子の住むアーム城には 新たなる脅威が接近しつつあるとも知らずに…… <第二章-第一幕-へ続く>
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◆ 戦争や紛争、これらは全てビジネスだ。一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。数が神格化するんだ Wars, conflict - it's all business. One murder makes a villain; millions a hero. Numbers sanctify. ――チャールズ・チャップリン『殺人狂時代』 ◆ 夢を見ていた――死骸の夢だ。 殺す。ただ殺す。悪魔を斬り、天使を撃ち、神を穿つ。 旅路の夢、と言い換える事も出来たかもしれない。 だがそれは、旅すると云うにはあまりに剣呑すぎた。 殺す。彼は、殺し続ける。殺したいから殺すのではなく、望まれたから殺す。 英雄の称号の代わりに背負った無限大の屍山血河を果てしなく己が背後に広げながら、擦り切れる事も知らずに歩む記録が少女の心へ絶えず流れ込んでいた。 見方によっては、それはそれは華々しい光景。 人の世を冒す魔性を、大上段から聖なる不自由を押し付ける神性を、悉く蹴散らして鏖殺する。 その姿に見出すべき普遍の概念は、きっとヒロイズム。爽快なまでに清々しい、人類の為に立ち上がった少年英雄。 万雷の拍手と喝采で以って迎えられ、遥か後世にまで叙事詩として伝えられるべき極上の英雄譚(サーガ)に他なるまい。 彼の前では、きっと誰もがそうだった。 光を見る。希望を抱く。必ずや彼ならばと目を輝かせる。 誰もが想いを託し、未来を託し、彼の重荷を無邪気な瞳で増やしていく。 彼は、神などに非ず。 魔の力を宿して生まれた麒麟児にも非ず。 彼は、どこにでも掃いて捨てるほどいる“ただの人間”でしかなかった。 だというのに彼には、その運命を背負えるだけの素質があった。彼は勝ち続ける。勝ち続けてしまう。いっそ敗北に膝を折り、泥を舐めながら死に折れることが出来たなら、こんな目に遭い続けることはなかったろうに。 たかだか悪魔の数体を殺しただけならば、人は彼に何の期待もしなかったろう。 しかしその数が数体から数十体、果てには数百数千と積み重なっていったなら? その答えを、少女は知っていた。 積み上げた成果は実績になる。 積み重ねてきた実績は信頼を生む。 やがてそれが当たり前になっていき、そして――いつかは無責任な信仰に変わるのだ。 守って貰えることが当たり前になる。 全てを任せ、戦わせることを常識と考え疑わないようになる。 信用を裏切れば罵倒の声を臆面もなく投げ付けて無能呼ばわりをし、かと言って勝ち続けたところで寄せられる信心が緩むことはない。 少女は――郡千景という人間は、それに耐えられなかった。 命を懸けて戦った者達のことを安全地帯から好き放題に罵って蔑む、そんな人間の醜さを前にして壊れた。 ひび割れを放置して使い続けていた器が、ほんのわずかな衝撃を受けて微塵に砕けるように。 長い年月をかけて緩んできた大山が、嵐の夜に土砂崩れを起こすように。 当たり前のように、少女は壊れた。 その果てに辿り着いた幕切れについて語る必要はないだろう。今、千景がこの冬木という電脳の街に存在していること。そして、その手に握られている『黒い羽』が壊れた少女の顛末を物語っている。 結論を言えば、千景は貫けなかった。 現実を前に膝を折り、輝きを失って散華した。 そんな彼女は今、夢を通じて自分の……いや。 神樹に選ばれ世界の為に戦ってきた、全ての少女達のIFを見ていた。 「……あなたは」 彼は壊れなかった。 彼は、死ななかった。 本当に最後の最後まで、ずっと剣を握って戦い続けた。 愛も友も人間的な幸福なんか全て全て捨てて捨てて、ただ只管に求められる役割に徹し続けた。 「あなたは、負けなかったのね」 彼は――、負けなかった。 殺す。応える。死を以って応える。背負う。進む。 それはきっと、勇気なんて上等なものではなかったに違いない。 求められたから応えた。それしかなかったから、貫いた。 ただそれだけ。ただそれだけで、彼は――どれほどの苦痛にも別れにも打ち克ち続けたのだと千景は悟る。 羨ましい、とは思わなかった。 むしろ抱いた感情はその真逆。 手前勝手な期待、人間扱いしないこととイコールの信頼。 それを終身浴び続けながら、壊れることも出来ずに歩み続けるなんて。 挙句死んだ後でさえも自分のあり方に囚われ続け、そうあることを求められ続けるなんて――ああ、それは。 それは、なんて…… 「哀れむ必要はない」 かわいそうな人、と言いかけたところで声がした。 「それは無駄な感情だ」 少年の言葉は、あまりにも端的だった。 それを聞いて千景が思ったのは、擦れている、という感想。 捻ねているのでも、ましてや拗ねているのでもない。 彼を彼たらしめるものは、事此処に至るまでに全て擦り切れてしまったのだとそう分かった。 ――分からない筈がない。郡千景は、その生き方が意味する過酷を知っているから。 「……一つ、聞いてもいいかしら」 世のため人のために戦う人間は、いつしか同じ人間として認識されなくなっていく。 何もしなくても戦果を持ち帰ってくれる存在にして、自分達が流すべき汗と血を代行してくれる機械として扱われる。 失敗した人間を罵り、否定するのは悪でも。 不良品の機械に悪態をつき、蹴りつけることは誰にだって出来る。 郡千景は、それに気付いてしまった。 守ろうとしていた世界の醜さを目の当たりにしてしまった。 そんなものは言い訳だと分かっている。現に千景の世界には、それでもと心を保ち続けた人がいた。 でも、千景はそうはなれなかった。 千景は弱い人間だったから。 身を粉にして戦って尚勝たなければ否定される現実が、文字通り命を燃やして戦った者達が罵倒される世界が――許せないと思ってしまった。 千景が戦っていた時間はわずかだ。それでも、あれほどの地獄と失望を見た。 であれば。この彼が歩んできたその生涯は、どれほどの地獄で満ちていたのか―― 「辛くは、なかったの」 「別に」 千景の問いに、サーヴァントは答えた。 またしてもごく端的な回答だったが、本当にそれ以外の言葉など必要なかったのだろうと分かる無感動がそこにはあった。 「そうするしかなかったから、そうしただけだよ」 その答えを聞いて、郡千景は確信する。 自分は、何がどうあってもこんな風にはなれない。 こんな恐ろしい生き方なんて、何度人生をやり直したって出来るわけがない。 世界の全部を背負わされながら表情一つ変えることなく歩み切る、救うことはあっても救われることは決してない無間地獄。 決して明けることのない、光輝で満ちた暗夜のような生涯。 擦り切れながら、失いながら、奪われながら……それでも敵を殺し続けた冥府魔道。 ――こんな風になんて、なれるものか。いや、誰だってなっちゃいけない。 なっていい筈がない。これは、これは、こんなものは……人間の生き方では、ない。 そこまで考えて、脳裏に一つの顔がよぎった。 自分に刃を向けられながら、それでも自分を守ろうとしたあの少女。 ずっとずっと嫌いだったけれど、同じくらい好きで憧れていた女の子。 目の前の少年とは似ても似つかない。 性別も、見た目も、口調や言動だってそうだ。あの子はこんなに寡黙ではなかった。 でも、きっと。 こういう生き方を選べる人間が居るとすれば、それは―― 「……あなたになれそうな人を、一人知ってる」 きっと、彼女のような人間なのだろう。 自分の身の丈以上の何かを背負ってしまえる人物。 他人の為に、理屈を超えて自分を投げ出せる人物。 ああ、と千景は思う――やっぱり最初から、自分には向いていなかったのだ。 世界(みんな)の為に戦うなんてこと。 自分一人の幸福も守れない自分には、どだい荷が重かったのだ。 「そうか。それは」 郡千景は、落伍者である。 勇者でありながら、守るべき人に刃を向けた。 果たすべき使命に背を向けて、並び立つべき仲間へ殺意をぶつけた。 その末に命を落とし、死に際に握り締めた一枚の羽に誘われて望んでもいない死後の世界に辿り着いてしまった。 この世界は、いずれ滅ぶだろう。 千景達、世界の外から来た者達の存在によって燃え尽きる。 皮肉なものだ。勇者であれず死んだ自分が、今度は世界の敵だなんて。 聖杯は、あらゆる願いを聞き届けてくれるのだという。 であれば、自分は。愚かな落伍者は、そしてこの“英雄”を呼んでしまった自分は――どうすればいいのだろうか。 「気の毒なことだ」 郡千景のサーヴァントは、無銘。 名前などとうの昔に擦り切れ果ててなくなった、ヒトを救うだけの機械。 一切の人間性を捨てて“世界”に奉仕し。 何もかもを失った今も、“人々”の安寧と繁栄を願い続ける奴隷。 人は彼を無自覚な悪意のもとにこう呼んだ。 望めば望んだだけの勝利を持ち帰ってくる彼のことを―― 英雄(ザ・ヒーロー)と、そう呼んだ。 郡千景は思う。 やはり、自分は勇者などではなかった。 彼を見て、その名を名乗り続けられる者などそうはいないだろう。 それこそ――"彼女"でもない限りは。千景が殺してでもそう成りたかった、あの勇者でもない限りは影すら踏めはすまい。 堕ちた勇者は英雄を呼ぶ。 愚者として死んだ少女は、今も迷路の中にある。 “黒い羽”は彼女にとって祝福か、それとも嘲笑か。 ――勇者が死んで、■■が生まれた 【クラス】 ライダー 【真名】 ザ・ヒーロー@真・女神転生 【ステータス】 筋力:B 耐久:B 敏捷:A 魔力:C 幸運:E 宝具:A 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 騎乗:EX 純粋な騎乗の技能を意味しない。 悪魔を駆り、英雄として時代を駆る者。 騎乗スキルに照らし合わせた場合Aランク相当。 【保有スキル】 ザ・ヒーロー:EX 『英雄(ザ・ヒーロー)』。 斯くあれかしと無貌の民々に望まれた存在。 人の属性から外れた存在と戦闘を行う際に全ステータスが1ランク上昇する。 死に瀕すれば更にもう1ランクの向上を得られる。勝利することを願われ続ける存在。 A+ランクの戦闘続行スキルをも内包する。 心眼(真):A 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 単独行動:A マスター不在でも行動できる能力。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 【宝具】 『悪魔召喚プログラム』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1 悪魔の召喚を可能とするPCプログラム。 本来悪魔の召喚には高度な知識と莫大な霊力、そして難解な魔法陣の構築や生贄の準備が要求される。 その障壁に対し、プログラムに召喚の儀式をエミュレートさせるという形でショートカットを用意したのがこの宝具。 簡単なコンピューターの操作能力さえあれば、誰にでも悪魔の召喚を可能にする極めて画期的かつ革新的な代物。 『ヒノカグツチ』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大補足:1 炎神火之迦具土神の名と力を宿す秘剣。神剣とも。 刀そのものが極めて高い神性を宿しており、スキルとは別口で人以外の属性を持つ者に対して特攻を発揮する。 【人物背景】 英雄(ザ・ヒーロー)。 望まれるままに進み続けた、かつて少年だった何か。 【サーヴァントとしての願い】 『ザ・ヒーロー』 【マスター】 郡千景@乃木若葉は勇者である 【マスターとしての願い】 私は―― 【能力・技能】 『勇者』に転身することが出来る。 千景は生前、神樹によって勇者の力を剥奪されていたが、この世界ではその力が戻されている。 【人物背景】 勇者と呼ばれていた者。 世界の醜さに耐えられなかった少女。
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第八章-第二幕- 再会の義姉 第八章-第一幕- 第八章-第三幕- 勇者軍主力部隊はストレンジャー・タウンの ジルベルト宅から、宝剣ストレンジャーソードを入手し、 亜人王タイタン名義の無差別全方位救難信号を受けたことと、 同時にスプレッダー成体の反応を確認した事によって、 速やかに移動を行う事になったのだった。 一方の亜人族の里では、阿鼻叫喚と絶望の嵐が吹き荒れていた。 ほとんど奇跡といってもいいが、亜人族特有の身体能力の高さから、 ケンタウロスにも、ジャイアントにも、 ワーウルフにも、ミノタウロスにも 一切死者は出ていない模様だったが、 それでも壊された建造物の破片で 多数の重傷者が出ており、しかもインフルエンザウィルスに感染した かなりの人数が呻き声をあげている有り様であった。 そして広大な亜人族の里を今なお 蹂躙するスプレッダーを防ぐべく、 インフルエンザウィルスに感染し、 動けない亜人王タイタンに代わって、 二人の女傑と、その側近が奮闘していた。 一人は亜人王令嬢にして時期筆頭最有力候補ミゼラブル=タイタン。 もう一人は現勇者軍総帥養女にして、ワーキャット族長でもある ラティシア=ラヴィニットであった。ミゼラブルを護衛している ミノタウロス族長、バーンガスト=シーリアルに 元ワーウルフのヒョウガ=グリッドフィードも スプレッダーの成体相手に、やはりというべきか、 流石というべきか、諦める様子は無い。 しかし残念ながら、火力不足は否めない。救援も望めない。 既に亜人族の戦力はズタズタにされたに等しいのだから。 「バーンガスト! ヒョウガ!!」 そして今なお、ミゼラブルを守るために二人の英傑が 倒れる寸前になろうとしていた。長い時間戦っているが、 それでもスプレッダーを倒すどころか、傷が増えるばかりだ。 ミゼラブルは歯を食いしばり、二人に撤退命令を出す! 「二人とも、もういいです! 退いて下さい! 里は潰されても 再建は可能です! それに、私達二人で倒せないと 決まったわけでもありません。そうですね、ラティシア!?」 「ラティシアと、ミゼルがいるなら、なんとかなる!」 マクスフェル戦線当時と比べ、すっかり成長したラティシアも 虚勢を張って言ってのける。 「すまねぇ、姫さん方! 後を任せるぜ!!」 「再建は可能でもお前達は必要だ……無理をするな!」 バーンガスト、ヒョウガ両名は撤退した。 ミノタウロスのバーンガストはともかく、 ヒョウガには老いという敵も付き纏うという年齢だ。 厳しいのは事実である。 だが、あの七大戦線を生き抜いてきた者達をもってしても、 これほどの苦戦を強いられ、敗北を喫しようとしている事に、 ミゼラブルは素直に絶望を感じつつあった。 里の三分の一を犠牲にしてでも総員に 避難命令を出すべきかもしれない。 そんな考えが頭をよぎったが、ラティシアが激励する。 「ラティシアもミゼルもロードだ! ロードが諦めるな!」 「これは私達の最後の戦いになるかもしれない……それでも、 ラティシアは私に付き合ってくれますか?」 「当たり前だ! ここはラティシア達の故郷だ。一緒に守るぞ!」 ラティシアは武器を手に取り、爪を剥き出しにして構えた。 既に二人ともかなり消耗し、傷も少なからず負ってはいたが―― それでも、諦める事は出来なかった。 「行くぞ、ミゼル!」 「はい! うおおおおおおおおッ!!」 二人して進行中のスプレッダーめがけて走り出したその時だった。 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!」 スプレッダー成体は、前に立ちふさがった 二人に対して何をするかと思えば、 電気ケーブルを引き千切り、それを身体に巻きつけた。 すさまじい電流がスプレッダーに蓄電され、スプレッダー自身が 自らを軸に、放電を開始した。凄まじいエネルギーが二人を襲う。 「うああああああッ!!」 「あううッ!?」 二人が倒れる。まさかこんな技まで持っているとは。 なんとかよろけながらも立ち上がるが、もはや万策尽きた。 体力もまともに残っていないでは、轢き潰されて死ぬのが関の山か。 (すまない……エリシャ……ノエル……!) (お父様……ッ!!) 二人して死を覚悟し、今すぐ轢き潰されようかという瞬間だった。 がぎぎぃぃいん!! 甲高い音と共に、多脚の一本が問答無用に切断された。 ラティシア=ラヴィニットはそれを成し遂げた剣の輝きに、 人の業の器の面影と、新たなる世代の幕開けを見た。 「ジルベルト! シエル!!」 ラティシアは二人の名前を呼んだ。 (無事……じゃないけど生きてて良かった!) 「お姉ちゃん、やっぱりここにいたのね!!」 「来てくれるだなどと期待していなかった! 心底助かったぞ!」 三者三様の反応にて、再会を、瞬間、喜ぶ。 しかしその暇も無く、後ろからリゼル、メイベル、 コンラッド、ジーク、ソニアが到着。 「メイベルも来たのか!?」 一応、ケヴィンを通して、数回ほど 面識のあったメイベルに対しても、 ラティシアは驚いた。まさか前線に 出てくるとは思わなかったのだろう。 脚の一本を両断され、もがくスプレッダーを尻目に、 メイベルは訊いた。 「ラティシアさん……なんで私だって分かってるんです?」 「アーマー着てても、匂いで分かる!」 自らの怪我も忘れ、ラティシアはニカッと笑った。 一方のミゼラブルの方にはユイナ姫、ライナス、テディ、 レイリア、エイリア、シルヴィアが到着。 「レイリアさん、エイリアさん! 来てくれたんですね、ユーリさんも!?」 流石にユリシーズらしき人物の姿にはミゼラブルも驚いた。 しかし、それはライナス。ユリシーズの孫なのだ。 「祖父を御存知なのですか?」 「あ……そうか。年齢的におかしいですもんね。はい、知ってます。 察するに、ジーニアス家直系の方ですよね?」 「そーだよー、彼はライナス=ジーニアス。お孫さんだよー」 と、レイリアが明るくフォローする。 「そんな事やってる場合じゃないでしょ!」 エイリアが激怒する。スプレッダーがもがくのをやめ、 再度進行を続けようとしていたからであった。 「ヒールシューター!!」 シエルと、シルヴィアの呪文が唱和し、 ミゼラブル、ラティシア共に立ち上がった。 「よし、動けるぞ、ありがとう、シエル!」 「お姉ちゃん達のためだもの、これぐらい当然なんだから!」 シエルは我が意を得たりとばかりに、テンションを自ら上げる。 「助かります!」 ミゼラブルも勢いを増した。 「お姉ちゃん……亜人族なのに?」 ソニアが事情を理解していないのか、訝る。 ユイナ姫が戦いながらではあるが事情を説明する。 「あのラティシアさんという方は、ジル君のお母様の養女なんです。 ですから、戸籍上は、あの方はジル君とシエルのお義姉様ですよ」 「そうなんだ」 合点がいった顔で、ソニアも気迫を強める。 「だったらますます許せなくなってきたわね、スプレッダー! 私の大事な人の身内を傷付けた罪を一つ加えさせてもらうわよ!」 ソニアは勢いの波に乗り、総力戦へと加わった。 数、質共に勇者軍主力部隊は以前の比ではなくなっていた。 「ぐぉぉぉぉぉぉぉん!!」 スプレッダー成体は再度、電気ケーブルを引き千切り、 それを身体に巻きつける事によって帯電を始めた。 ばぢッ! そして放電。しかしジークがそこに立ちはだかる。 「雷の相手なら任せろ!!」 一身に電流を受けるが、軽くのけぞる程度で収まった。 守護精霊における耐性というのは、それほどに強固なのだ。 「うむ! ぬるいな!!」 ジークはニヤリと凄んでみせた。 「うむ! じゃねぇだろうが!!」 コンラッドが先行し、弓による乱射を叩き込む。 リゼルの攻撃魔法や、テディのハンマーなどがそれに続いた。 「安心するがいい! これからが本番だ!」 ジークはスプレッダーによって 流し込まれた電流をそのまま帯電させ、 更に魔力を注ぎ込み、増幅させた。いわばスプレッダーのおかげで 奇しくもパワーアップしたような状態になっていたのだ。 ジークはユイナ姫を勝手に愛馬チトセから降ろした。 「ひゃッ!?」 「すまん、一分ほど借りるぞ!」 「後で返して下さいよ!?」 ジークは騎乗すると、チトセのスピードに任せて疾走する。 そのままの勢いで斧を叩き込み、甲殻へと食い込ませた。 「奥技! ボルトコンダクション!!」 ばぢばぢばぢッ! スプレッダーの放った数倍もの電流と電圧が、斧から直接 スプレッダー成体の体内へと流し込まれ、大きく痙攣するスプレッダー。 そのあまりの電力に、攻撃を加えていた 主力部隊も慌てて離れたほどだ。 「ひゃッ!?」 一番近くにいたメイベルも感電してはかなわないとばかり、 何故か近くにいた四匹の仔猫達を抱えて高速離脱する。 (どうも地味に攻撃を加えていたらしいのだが) 痙攣したのを好機と見て取ってか、 ジルベルトとライナスが先頭に立ち、 かたやストレンジャーソードで、かたや『疾風剣』の連続使用で、 多脚のことごとくを容易く切り裂いてしまった。 最後の一本は、二人で十字斬りとばかりに斬り捨てた。 すたん! ジルベルトとライナスは近くに着地した。 ぱんッ! 身長差故に、少々無理があるが、二人は無言でハイタッチをする。 そして、ジルベルトの意志を受け、シエルが伝達する。 「お姉ちゃん! トドメよ!!」 「分かってる! デスヴォイスシャウトを食らえ! うぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!」 強烈な重低音から、極端な高低音へと移行しつつも、 ミゼラブルは絶叫した。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ! そのあまりの超音波に、端末の通信機能が一時遮断され、 地盤に影響を及ぼし始めた。若干の地割れと共に、 スプレッダーが痙攣しながらも更にもがき苦しみ始めた。 データによるとスプレッダー成体の聴力は 人間のそれを大きく凌駕する。 そのスプレッダー成体にとってはたまらない威力であろう。 なにせ、誰一人、この音波攻撃スキル『シャウター』の前には 耳を塞がずにはいられないのだから。 更には物理的な破壊力となり、なんと尾殻まで破壊し始めた。 「うおおおおおおッ!!?」 声量――否、声圧に苦しむのはスプレッダーだけではなかった。 怒りの声がダイレクトに脳に響く。頭痛までしてきた。 「ぬおおおおッ! 頭が痛い!?」 たまたま一番近くにいたテディがのたうち回っていたが、 彼の悲鳴などとっくにラティシアの声量でかき消されていた。 息が続かなくなり、いい加減声を止めた頃には、 既に甲殻の大半が割れたりしており、流石のスプレッダー成体も 度重なるダメージで虫の息となりつつあった。 「ミゼル、幕引きだ!!」 「分かってる、ラティシア!!」 ミゼラブルが跳躍、幼生体より遥かに大きなコアを目視した。 しかしそのコアさえも、大きな損傷を受けており、限界寸前だった。 「無情拳・画龍点睛撃!!」 がごん!! ミゼラブルの鉄拳が飛ぶ。 この一撃によって、コアに更にヒビが入った。 ミゼラブルの構えが変化した。 「お父様の技の真似なんて出来たことなかったけど……今なら!!」 ミゼラブルの全体重が拳に乗り、魔力が込められ、放たれる。 「亜人族筆頭専用最終奥技!!」 ミゼラブルの目に光が宿る。それこそが一撃の証だ。 「怒号拳! タイタァァァンパァァァァァァァンチ!!」 あまりにも愚直で、しかしそれ故に恐るべき破壊力の怒号の拳が、 コアどころか、その下にある筋肉組織ごと破壊する。 「おおおお……おぉぉん…………!!」 世界中を悩ませたスプレッダーのボスであろう成体は、 ここ、亜人族の里にて駆逐されたのであった。 「やった! やったわ! ジルベルト君!」 ソニアは手放しで喜び、ジルベルトを抱きしめた。 「ずるいですよ、ソニアさん!」 ユイナ姫までくっつきにかかり、ジルベルトはワケも分からず 真っ赤になって困り果てた。 「こらこら、青少年をびっくりさせるな」 と、ラティシアがジルベルトとシエルをまとめて抱きかかえる。 半ば奪い取るような形であった。身内だという主張かもしれない。 (姉さん……) 「お姉ちゃん!」 抱き合う三人を他所に、シルヴィアがラティシアのシャウターによって 一時通信遮断された端末の復旧作業にかかっていると、 リゼルが血相を変えて近寄ってきた。 「シルヴィアさん……これは……!?」 「……敵、ですかねぇ?」 と、二人が警戒色を示したところで、全員に再び緊張が走る。 「敵だと!? スプレッダーの幼生体か何かか!?」 今回大活躍のジークも、慌てて身を乗り出し、 一箇所に集められた全員の端末を見る。 「ミゼル! あの怪獣の成体じゃないなら、どうとでもなる! 今のうちに、ある意味今度こそちゃんと皆を避難させてくれ!」 ラティシアの指示に、ミゼラブルが困惑する。 「ラティシアはどうするの!?」 「勇者軍、またラティシア、助けてくれた! だから、またラティシア、恩を返してから戻ってくる!」 「……分かった。止めない。行ってらっしゃい!!」 ミゼラブルは被災者を改めて避難させるために、ここで別れた。 「で、反応は一体何なんだ!?」 コンラッドが苛立って端末を見る。 「反応は人間大。ただし相当数の数がいます。 まっすぐスプレッダー成体の死骸に向けて動いています。 進路予測上、残り三十分以内で我々と接触しますね」 と、冷静にリゼルが分析した。 「です」 無駄な一言をシルヴィアが付け加えるのは無視して、 ユイナ姫が結論を出した。 「ウィルスユーザーズ、ですね。恐らく大部隊なのでしょう。 ビーム・カーテン改部隊を避難させて下さい。 除去には時間が必要です。 ビーム・カーテン改を破壊されては元も子もありませんから」 「よし、俺が伝える!」 テディの鳩がまたやってきて、情報の伝達を行うようである。 実に便利なのは皆が認めるところであった。 一方のシルヴィアとリゼルはスプレッダー本体から抗体のための サンプルを懸命に採取していたが、 それも数分で終わったようである。 となれば、後はウィルスユーザーズからこの成体の死骸を 奪還されないために防衛し、その後除去すれば一連の騒動に 一応の決着は着くだろう、という結論に至ったのであった。 勇者軍とスプレッダーを取り巻くウィルスユーザーズとの戦いは、 修羅場へとステージを移そうとしていた。 <第八章-第三幕- へと続く>
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※ヴァナの英雄さんの汚い忍者はこちらから 汚い勇者とは、オレンジの頭の中で作られたキャラクターのようです。さすがきたない 鈍色トカマク探検団の団長を務める。さすがきたない 汚い忍者のネタであったり 設定 名前:池田 トカマク 年齢:20代前半 種族:人間 能力:生物を召喚する魔法。(主にラオしゃンロん) 能力値:20/30/30/20(頻繁に変わります。汚いなさすが勇者きたない) 主な武器:魔法、罠、爆弾 他人に決して努力している所をってか、努力しない人。面倒臭がりや 『鈍色トカマク探検団』の名前の由来は灰色が好きだからだそう。 団長ではあるが、頼り無いので殆どベルカさんが団の指揮を執っている。 ラオに頼ったり、罠を使ったり、仲間になる振りをして爆破したり、仲間に頼ったりと、かなり汚い戦い方をする。 それでも好かれやすいのか、彼を嫌う奴は少ない。 悲鳴は「ぴゃー」とちょっと変わっている。 イトーヨカドの三階に『能力の館』が出来た時に、 「俺が核融合操れたらもっと楽に敵倒せるんじゃね?ww」と思い、無断で『能力の館』に入った次の朝、 魔法の本が枕元に置いてあって、そこで生まれて初めて努力して魔法取得に成功。 ついでに、ラオしゃンロんは軽トラック並みの大きさである。モンハンのとはまったく違う。犬みたい。 バトロイの世界でも、汚い戦法で頑張っている。 「召喚!ゆけ、ラオしゃンロん!!」←ラオしゃンロん大好き 「ひー!!ゴメンナサイ、ゴメンナサイ!!!」←汚いなさすが勇者きたない 「ぴゃー!だ、誰か回復よろしくっ」←回復系の魔法を使える人がいません。 「よーし、全員!目標物を倒せー!!!」 %teki「ちょww勇者きたない」←自分では手を出さない汚いな 「はい、皆お疲れー焼肉でも食い行こうよ!勿論、お前らの奢りで」←結局は、ベルカさんが払うようで。汚いな 「ぴゃー!!」←やっぱり悲鳴おかしいよ? 「皆ー俺ちょっと眠いから、後任せた」 %teki「ちょww勇者きたない」←汚いなさすが勇者きたない ベルカさんには 池田、モヤシ、穢れ野郎 と呼ばれている。 メマリには 団長、勇者さん、汚い勇者 と呼ばれている。