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「家に帰ったら何しようか、東郷さん」 「やりたいことはいろいろあるけど、まずは勉強よ、友奈ちゃん。明日提出の宿題、まだ終わってないでしょ」 「あー、ばれてたか。もう少しなんだけど、わからないところがあってね。手伝ってくれる? 東郷さん」 「もちろんよ」 神世紀300年秋。授業が終わった友奈と東郷は二人で自宅への帰路についていた。 東郷は車椅子で生活しているので、登下校には福祉サービスの車を利用することが認められている。 だが、最近は友奈の慣れもあり、坂道を登る登校時はともかく、下校時は二人だけで帰ることが多くなっていた。 なにしろ二人は帰宅部。特にこれといってやることがないのだ。 そう、帰宅部。 昨年度末まで二人は勇者部という部に所属していた。 一年先輩の犬吠埼風が創設したその部は、勇ましい名前とは裏腹にいってみれば地元に密着したボランティア活動を主とした部活だった。 勇者部ですごした時間は充実していた。 しかし、その時間も風の突然の転校で幕を下ろした。 引越し間際、最後に風と会ったときのことを二人はよく覚えている。 突然の転校にを謝っていた。だけど、その時の風の表情をどう表現すればよいのか、二人は今でも図りかねていた 喜び、決意、戸惑い、不安。それらが綯い交ぜになったあの顔が忘れられなかった。 『勇者部のこと、ごめんね。二人には一年間、ううん、三年間無駄にさせちゃったかもね』 そんなことをいう風の顔は、なぜか少し嬉しさが混ざっていたように今では思える。 『そんなことありません。この一年間のこと、私は忘れません。来年も勇者部は存続させます』 『そうですよ、私も楽しかったです。お元気で。またどこかで会いましょう。風先輩』 東郷と友奈の言葉に笑顔で応えた風だったが、凄惨とも言える何かの決意を帯びた笑いだった。 東郷にはあの笑顔が、死地に赴く者のそれのように思えてならなかった。 一度だけ、友奈とこのことについて話そうとしたことがある。 でも、できなかった。話を向けようとしたときに、友奈にとめられたのだ。 『その話はやめよう、東郷さん。風先輩とは必ずまた会えるよ』 友奈にはいつもの笑顔がなく、東郷は友奈も自分と同じ思いであることを悟った。 新年度が始まり、二人は部の勧誘活動したのだが、新入部員は入らなかった。 讃州中学では部活動は部員が三人以上であることが原則であり、勇者部は廃部が決定した。 廃部が決定し、実は二人はほっとしていた。 風の最後の表情を思い出しながら、勇者部の活動を続けることに心のどこかで気まずさを感じていたのだ。 あの部活には何か思いもよらない秘密があったのかもしれない。そう思えた。 帰宅途中の二人は 八百屋の前を通りがかる。 買い物途中の主婦が集まって井戸端会議をしていた。 会話が聞こえてくる。どうやら、またどこかで山火事があったらしい。 ずいぶん広範囲に渡って起こった山火事は、あろうことか、神樹様の近くで起こったらしい。 思わず二人とも眉をひそめる。 今年の春から、こういった火災や事故などが頻発している。 神世紀300年、という区切りのよい年だからだろうか、末法思想、というのが初夏に流行した。 旧世紀に存在した宗教と関連付けられるそれは瞬く間に四国全土に広がり、そしてあっという間に沈静化した。 今ではそれを語る人はいない。書籍もない。ネット上でも情報が完全に消されていた。 興味がわいた東郷は調べようとしたが、友奈が全力で止めた。 怖いから、やめよう、東郷さん。怯えた友奈の表情は真剣そのもので、東郷は友奈に絶対やらないと誓ったのだ。 友奈と東郷が二人だけの時間を少しでも多く持とうとしているのは、この不穏な空気が原因かもしれなかった。 やがて友奈と東郷は自分達の家に着いた。 二人は家は隣同士。昔のつきあいではなく、中学に上がる時に東郷が引っ越してきたのだ。 二人だけではなく、両親同士も仲がよい。よいご近所づきあいだ。 だが、両家とも最近大人が家を空けることが多い。それだけが少し気がかりだ。 今日も家に誰もいない予定で、二人は東郷家で過ごそうとあらかじめ決めていた。 二人が門をくぐろうとしたちょうどそのとき、二人の端末から同時に警報が鳴った。 先ほど聞いた山火事のような事故が近くであったのだろうか。慌てて端末を取り出そうとする二人。 端末をほぼ同時に取り出す。最近新しくなったそれは親からプレゼントされた物だ。 御揃いのデザインの端末はやはり同時に警報を出していた。 端末の画面を見た二人は驚いた。 『樹海化警報』 液晶に大きく映ったそれは、二人には意味の分からない言葉だった。 どう操作しても警報は鳴り止まない。 周囲を見渡した二人は二度目の驚きに見舞われた。 総てのものが静止していた。 空を飛ぶ鳥も、風に舞う葉も、写真に写っているかのように動きを止めている。 愕然とした二人を更なる驚きが襲った。 海の向こう、神樹様の作り出した壁を越えて、虹色の何かが進入してきていた。 友奈は慌てながらも門の扉を閉め、東郷を連れて玄関を開け、中に入る。 この行動が正解なのかはわからない。だが、友奈の本能は『あれ』がよくないものだと告げていた。 「友奈ちゃん、なんなの、あれ、私、怖い」 「大丈夫。東郷さんは私が絶対守るから」 そういって友奈は東郷を抱え込むように抱きしめる。 東郷も友奈をすがりつくように抱きしめた。 強い決意の言葉とは裏腹に友奈の体は震えていた 怯える二人は同時に何者かの声を聞いた。 『目覚めなさい、勇者よ』 その声を東郷は以前何処かで聞いたことがあるような気がした。 家の中にいても感じる、全てを塗りつぶすような光が周囲全てを白色に変え、二人が気がついたときには世界は一変してた。 見慣れた風景も、何もかもが変わっていた。 極彩色に彩られた木の根のような何が這い回る世界。 根自体が発光しているからだろうか、周囲は明るかったが、空は黒一色で固められ、太陽も星もなかった。 友奈と東郷はこの日この時、自分達の日常が終わったことを知った。 <結城友奈は勇者であるハードモード 第一話 Aパート 完>
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第二十六章-第一幕- 逆撃の勇者軍 第二十五章-第三幕- 第二十六章-第二幕- ライナス、リュミエルと合流後、 ザン共和王国民政部ライディング・アーマー、 『ホークマンEXエディション』に搭乗するメロウ=クミンを 撃退後、進路を崩壊したヴェール・シティへと向けた 勇者軍主力部隊であった。 「……水路の見取り図をもらったのだが、 随分と長々と続く下水道だな。 こんな所まで来ることになるとは思わなかったぞ」 と、いきなりジークはぼやいた。 こちらは勇者軍主力部隊からやや離れた距離にいる、 ジークと愛馬エンテ、それにシエルと、 彼女が一時的に保護しているバスクの愛馬、 ヴィッセルの編成で動く遊軍であった。 彼等はあれ以降、ジークの治療もそこそこに、 必死に見取り図を入手し、そこを辿って下水道の 最終到達点の一つであるヴェール・シティに向かっていた。 もし流れに流れてくるならこの位置にいる可能性があったし、 そうでないならないで、いよいよ地下への突貫も考えなくては ならないだろう、と二人は考えていたからである。 無論、ヴェール・シティが壊滅状態なのは知っていたが、 地下にある下水道まで丁寧に破壊し尽されているとは 到底思えなかったし、事実シェルターに民間人も 篭ったままだと聞くので、行く価値はあるはずであった。 「ねえヴィッセル。お前のご主人を見つけないと、ね?」 「ひひぃぃん」 シエルが優しく問いかけてやると、ヴィッセルは応じた。 ここしばらくの旅で、随分シエルにも懐いてくれた。 傷を治療してやったのが大きかったのかもしれないが。 「……しかし、気になる」 「何がよ?」 ジークは頭をばりばり掻いて悩みだした。 「民間人だ。確か勇者軍メンバーが救援に入ったおかげで、 無事に退避できた者がほとんどのようだが、 例の『FSノア49』とやらが撤退した後でも 民間人が出てきたというニュースはとんと聞かない」 「復興計画を立てに行った人も民間人じゃないらしいしね。 それは確かに気にならなくもないかしら」 そして、二人はヴェール・シティの入り口に立った。 と、いきなり人型機動兵器の襲撃を受けた。 「例のエリミノイドとやらか!?」 ジークは斧を早速構える。 「なるほど……答えは単純だったわけね。 完全制圧されてるから、篭るより他、手は無いってこと?」 シエルは乗馬しながらの戦闘は出来ないので、 ヴィッセルを少し遠くへ退避させ、徒歩で戦闘準備をする。 その間の攻勢はジークが上手く防いでくれている。 どうやら怪我もすっかり治っているようだ。 「うむ、数が多いようだな。不利か?」 斧が思ったより通らないのを見て、ジークがぼやく。 「不利ね。主力部隊がもうじき来る、とも聞いたけど、 ここからお兄ちゃんにテレパスが届くかしら……? まあ、本人がアンテナを立ててないと意味無いけど」 シエルは駄目もとで念じようとした。 (シエルー! ちょっと待ってー! 今行くのー!) なんと、向こうから送られてきた。 今までは受信しか出来なかったはずなのだが。 (これは……お兄ちゃんの能力が……肥大化しているの?) しかし、これで勝機は充分にある。 「ジーク! お兄ちゃん、すぐ近くまで来てるみたい。 少しの間だけ、凌いでちょうだい! フォローを!」 「良かろう。任せろ!」 意気軒昂のジークが大暴れを始める。 「プラズマブラスター!!」 シエルも攻撃呪文で援護を始めた。 ほどなくして、ジルベルト率いる主力部隊が駆けつけた。 「シエルぅー!」 何やらメイベルのスカーレット・アーマー並みに ごつい鎧を着た兄らしき者がばたばた走ってきた。 続くのはライナス、ユイナ姫など多数の人員。 何故か見慣れない妖精族までいる。 「お兄ちゃん! よね?」 (手伝うのー!) 練習用に使っていたボールをサイコキネシスで動かす。 実戦で使うのは初だったが、撹乱の役に立つはずだ、と確信し、 ジルベルトは強く念じる。 (念動集中!) ボールは素早く、鋭い軌跡を描いて動き回る。 不規則に動くそのボールを、エリミノイドが追いかける。 「サイコキネシス!? いつの間にそんな技を!」 シエルも、ジークも驚愕した。 彼女達の知っているジルベルトはそこまで有能ではなかった。 マキナ戦役のことは聞いていたが、こうもまざまざと 成長ぶりを見せつけられるとは予測もしていなかった。 「ふはははははははは! そう来たか! 流石は我が兄貴殿だ! ならば我々も張り切るか! ひとつやるとするぞ、シエル!!」 「ユニゾンアタックね。即席だけど、いいわ! プラズマバスター!!」 とりあえず電撃魔法をジークに浴びせるシエル。 ジークはそのプラズマバスターを全て受け止め、 体内で自分のパワーとする。敵陣の真ん中に立ち、 即席のユニゾンアタックを最大出力で炸裂させる。 「ボルトコンダクション・バスターショット!!」 通常のボルトコンダクションは敵に直接電流を 流し込む技だが、それが長射程を帯びた。 敵陣を一直線に貫き、多数のエリミノイドを破壊する。 「バスターショットって何よそれ!?」 シエルが訊いてくる。 「ソニアが奥技のアレンジをしてみせたと 報告書にあったのでな。真似をしてみた!」 「ああ、そういう事ね」 あっさりとシエルは納得した。 「ひょっとして、私が何か流行を作ったのかしら?」 「かもね」 嬉しそうなソニアをルシアは軽くスルーした。 「野郎に続け! 俺等も遅れを取るな!」 コンラッドの指示で、全員がいつも通りに暴れる。 既に勝手知ったるエリミノイド程度では、 本気を出した勇者軍の相手ではなかった。 「…………!」 ライナスが、端末への通信に気付いた。 『こちらライナス=ジーニアス! 誰だ!?』 『俺だライナス! テディ=カレンだ!! 戦闘中で忙しいようでちょうど良かった。 近くへ来ているので加勢をさせてもらおう!』 『近くにいるのか!? それは助かる!! ちょうど君を迎えに行こうと考えていたところだ!』 『なら願ったり叶ったりだな。 ドルカス、ヴァジェスと一緒に行くぞ、待ってろ!』 『君が来る前に終わらせてがっかりさせてあげるよ! せいぜい急いで来ることだね、テディ!』 このタイミングに嬉しい増援である。 完全制圧された影響なのか、エリミノイドの数が いつもより遥かに多い。どうやらあらかじめ 相当の数のエリミノイドが配備されていたらしく、 これでは待ち伏せに遭ったに等しいと言える。 シエルとジークが加わったとはいえ、楽ではなかった。 「って、見て下さい、あれ、あれ!」 フローベールが指差す空には浮遊円盤。 FSノア49ではない。サイズ的にかなり小さいからだ。 絵に描いたような空飛ぶ円盤だ。どうやらあれも FSノア49に配備されている兵器なのであろう。 実際に浮遊円盤は、機銃をもって攻撃してきた。 「増援!? いや、これも配備済みのものか!」 ここに来ての新兵器にコンラッドも驚いた。 制圧した都市に対して、ここまでの周到な設備を 投入してくるとは、誰も予想していなかったからだ。 「これはただの無差別破壊ではないですね。 例えて言うなら……いえ、例えなくても、侵略でしょう」 ユイナ姫が持論を述べた。恐らく正解だろう。 だが、FSノア49にそんな明確な目的があったとは 誰も想像していなかった。それだけに盲点だったのだ。 久々に対面したシエルとジークを加えて、 ようやくFSノア49の目的を掴み取った勇者軍主力部隊だが、 テディ、ドルカス、ヴァジェスの到着までは、 どうやら物量差によるジリ貧を強いられそうであった。 既にただの瓦礫の山であるヴェール・シティの中で、 味方しか守るものの無くなった戦いは、 果たして希望を生む事が可能となるのか。 その結論は、勇者軍の手に今、委ねられている。 たとえ、民政部の真意がどこにあろうとも―― <第二十六章-第二幕-へ続く>
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第二十一章-第三幕- 膠着打破 第二十一章-第二幕- 第二十二章-第一幕- エリミノイドと呼ばれる禁断の非人道蹂躙人型機動兵器を用いて、 勇者軍と直衛兵達はスペースポートから イグジスターを押し出しつつあった。 しかし既に八千以上のイグジスターを片付けたというのに、 更に五千ものイグジスターが襲来してくるという事もあり、 疲労もあって味方の士気は下がり放題になってしまっていた。 「やむを得ん! 作業を強行で続行させろ! イグジスターが輸送艦に到達する前に何としても作業を完了させ、 発射直後にこのスペースポートを放棄し、総員撤退する!」 ロバートの指示により、緊急で作業員が動き出す。 少々無理はあるだろうが、強引にやれば出せなくもない。 ただし作戦に無理が生じるので味方の犠牲は更に増えかねない。 そんな苦渋の決断だったが、宇宙にイグジスター識別装置が 届かない方が余程後で問題になる。やむを得ない。 そうこうしているうちに第四波、イグジスター約五千ほどが ロバート達を扇状に包囲し始めた。確実に殲滅するつもりだ。 「エナ、ソーサーをまだ動かせるだけの力があるか!?」 「はい、まだやれます……!」 「なら大きく動かせ、陣形に対して円形状に全部水平機動だ! それで敵の進撃スピードを少しでも遅らせれられれば上出来!」 「念動干渉……! 高速機動!」 エナのソーサー十五枚全部が円形にグルグルと回る。 イグジスターは構わず進撃してくるが、流石に無謀なのか 多数のイグジスターが接近も出来ずに切り刻まれていく。 それでもかなりの数のイグジスターが強引に突っ切って、 ロバート達の集団に向けて攻撃を仕掛けてくる。 ソーサーやその範囲外で戦っているエリミノイドが討ち漏らした 少々の敵を袋叩きにするだけの作業になったが、 数が数の上、疲労の蓄積もあってなかなか上手くいかない。 「ちいッ……大技を出すか!?」 しかし今大技を放てば虎の子のエリミノイドが多数破壊される。 兵力の損耗を避ける点では、それはやめておきたかった。 となれば後はジリ貧一択である。非常にもどかしい話だった。 前の戦争でだいぶ減らされた人命を可能な限り尊重するとなると、 そういう作戦しか取れないのが現状である。 勇者軍並みのスペシャルな人材でもいれば話は別だが たった二人では攻勢にも出辛い。正直言って、 人命尊重しながら防衛出来る必要最小人数だと言える。 まったくもって鬱陶しいにも程がある敵だと言える。 ザザッ――! その時、ロバート達の通信機に何らかの通信が入る。 管制塔から発せられるチャンネルとは別のものだ。 「周波数を合わせてみるか……」 応戦しながらも合わせると、声が聞こえてきた。 限りなく小憎らしく、小賢しく、小うるさい声だが、 限りなく信頼を置くことが出来る、聞き慣れた声でもあった。 「ロブ! そこにいるんだろう!? 状況は把握済みだ! あと数十秒の間、陣形を崩すな! やってのけてくれ!」 「ウォルフか! 何かするんだろ!? 遠慮は要らん、やれ!」 「了解!」 直後に少数の爆撃機が低空低速飛行で飛来する。 「爆撃するつもりか! 味方の人型兵器に出来るだけ当てるな!」 「分かった、やらせてみよう! ピンポイント爆撃! 味方に当てないで!」 ズドンズドンズドンズドン! ウォルフ王子の指示が飛び、爆撃機は熱源反応を頼りにして イグジスターのみに絨毯爆撃をかけつつ、その反動と衝撃で浮上。 軽くなった爆撃機は大きく弧を描いて見事に離脱していった。 滑走路を犠牲にした戦法だが、現状では最上の策である。 原型イグジスターには爆撃機の機動から逃れる程のスピードは無いし、 投下爆弾の火力に耐えうるほどの耐久性も持ち合わせていない。 何より対空攻撃能力に乏しいため、仮に対応出来ても迎撃出来ない。 数を頼みとしているだけに一発辺りのダメージも殊更大きく、 重火器、あるいは広域魔法による攻撃は非常に効果的だった。 絶対数が多い故に効果が目立ちにくいが、これは厳然たる事実だ。 「第二射! これで爆弾を放り尽くしなさい!」 ズドンズドンズドンズドン! Uターンして更にもう一斉射加えてから去る爆撃機。 これでかなりの数のイグジスターが消滅したと思われる。 腕利きのパイロットのせいでエリミノイドへの損害は微小である。 「助かったぞ、ウォルフ! 悪くねぇ反逆だ!」 謝意を示すロバートに、ウォルフ王子は更に告げる。 「これで終わりだと思わない事です! 王政部と民政部の協力した姿を、垣間見てもらいます! パラディン、ナイト、ソルジャー部隊、突貫! エリミノイドが狙っていない敵から優先して駆逐を!」 「おおおーッ!」 意気上がるザン共和王国の王政部、民政部連合軍。 騎士達による蹂躙が更にイグジスターを踏み躙る。 「踏み砕け、ターミネーター!」 ウォルフ王子も斧を手に、愛馬にまたがり自ら突撃。 一番多くの敵を一方的に蹴散らしていった。 「も、もう限界です……」 ソーサーによる守りの布陣もエナが疲れ果てては限界である。 「エナ、倒れるな! 攻撃はいいから、せめて立っていろ! ここからは攻めの布陣! 俺と、苦楽を共にした クソッタレな最高の野郎共の出番だ! 挟撃するぞ、攻めろーッ!」 「突撃ぃぃぃぃぃッ!」 直衛兵の叫びと共に、守っていた兵士達も前に出る。 「こちら管制塔! 作業が終了! 作業員退去完了! 輸送艦の出発までのカウントダウンを開始! 残り80秒!」 「80秒だと!? ぬるい! その間に敵を殲滅してみせろやぁ!」 ロバートの声に応じて更に攻めの手を激しくする連合軍。 確かに言葉の通り、あっという間に駆逐されていくイグジスター。 そして進むカウントダウン。 「カウント10」 管制塔の冷静な声が淡々と事実のみ告げる。 「9、8、7、6、5、4、3……」 「見つけたぞ……こいつで最後だぁーッ!」 ロバートはタングステンソードを構え、踏み込む。 「輸送艦、行けぇーッ! 俺の咆哮が祝砲代わりだってんだオラぁー!」 ズバン! 一撃でイグジスターを両断すると同時に、 輸送艦のカウントが終了し、数隻の艦艇が順繰りに出向する。 これ以上敵の増援も来ないようで、打ち止めである。 「ふぅ……ふぅ……ふぅ……!」 息を整えつつ、ロバートはきちんと直立し直す。 その傍らにはいつの間に寄ってきたのか、エナとポメの姿もあった。 「見たかイグジスター共が! これが俺の! 俺達の反逆だ!! そう簡単に人間が殲滅できるだなどと思うんじゃねぇぞ! クソが!」 剣を高く掲げて、堂々と宣言するロバートに、頷くエナとウォルフ王子。 エリミノイドが一列縦隊で綺麗に帰っていく中、 勇者軍メンバー、予備役部隊、直衛兵、民政部の連合軍は まさかの防衛成功に、鬨の声をあげ、勝利を喜び、 そしてまた戦死者の魂を悼むのであった。 <第二十二章-第一幕- へ続く>
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登録日:2012/05/14(月) 21 25 56 更新日:2024/06/07 Fri 19 36 05NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 GGG OP ガガガ 主題歌 勇者シリーズ 勇者王ガオガイガー 勇者王ガオガイガーFINAL 勇者王誕生! 地球温暖歌 楽曲 歌わずにはいられない 歌詞の大半が“ガ” 田中公平 神曲 米たにヨシトモ 遠藤正明 『勇者王誕生!』はアニメ『勇者王ガオガイガー』及びそのシリーズのOP曲。 作詞:米たにヨシトモ氏(同アニメ監督) 作曲:田中公平氏 歌手は【アニソン界の若獅子】こと遠藤正明氏であり、遠藤氏の当たり曲。 TVシリーズ第1話のサブタイトルにもなっている。 ■概要 言わずと知れた熱血ロボットアニメ「勇者王ガオガイガー」を象徴する一曲。 それを製作するにあたって米たに監督が「アニメ本編と一体化した歌」を考えたのが始まり。 作曲の田中氏と監督、その他大勢のスタッフの協力により本曲は完成した経歴を持つ。 特徴は、なんと言っても「アニメソング」らしいストレートな熱い歌詞。 本作が放送されていた97年当時は歌詞と番組の内容が全く関係ないようなタイアップの主題歌も珍しくなかった中で、 「サイボーグ」「超人合体」「ディバイディングドライバー」「ゴルディオンハンマー」など数々のキーワードをふんだんに盛り込んである。 「勇者王ガオガイガー」は視聴率などは割と不遇な方であったが、 遠藤氏の力強い歌声による「ガガガ、ガガガ」の連呼は当時の少年達の耳に強烈なインパクトを残し、「あの主題歌だけは知ってる」という者も少なくなかった。 尚、当初の予定では『ガ』の数を400個を想定して歌詞を作ろうとしていたらしい(実現していたら大変なことになっていたことだろう)。 また、この曲はいわゆる詞先(歌詞を先に製作し、それに曲を付けるという順序)で作られている。 そのせいもあり、七五調のシンプルで堅実な歌詞に反して「どうしてこの歌詞にこんなメロディを付けようと思ったんだ」と言いたくなるほど複雑な音程やリズムになっている。 素人がカラオケで歌いこなすには難しい曲である(*1)。 実際、オリジナルの歌手である遠藤正明も初めてこの曲を紹介されたときはあまりの難しさに頭を抱え、 作曲者の田中公平も「どうしても歌いこなせる歌手が見つからなかったら、仕方ないから自分で歌おう」と思っていたという(*2)(*3)。 歌詞は3種類が存在。「TVアニメVer.」、後述するOVA「神話Ver.」、覇界王「御伽噺Ver.」の3つである(プロトタイプであるデモテープを含めれば四種類だが遠藤氏が歌っていないので割愛)。 歌詞が似ていることや、コーラスが付いた別バージョンがあるなどで非常にややこしく、 歌っている遠藤氏はライブでこの曲を歌う際、歌詞を間違えることがある(まぁお約束みたいなモノなのでそこはご愛嬌)。 ちなみに後述するアルバムの時点で遠藤氏は「そろそろ止めましょう」と告げていたという。残念だが、増えるんだなぁ、これが この曲は 俺が歌う為に生まれて来たのだと思う この曲は 俺にしか歌えないのだと思う そんな 宿命さえ感じる しかし いったい いくつ俺は ヴァージョン違いの歌詞を おぼえるのだろうか? 余談だが、同じタカラ版権で主人公がサイボーグのロボットアニメ、 『鋼鉄ジーグ』の主題歌も歌詞の約8割がバンババンとダンダダンで埋め尽くされた熱血ソングだったりする。 ■各バージョン ■勇者王誕生! TVシリーズで使用されたバージョンであり記念すべき第一号。通称「無印」。 『ガ』の数は124個。 曲の歌詞、映像はともに本編の内容にマッチしており、今OPを見ても十分にカッコいい。 ただし一部が猛烈に点滅するので真っ暗な場所で見るのはお勧めしない。 通信カラオケのDAMでは映像つきで収録されているので、勇者なら歌おう。 高らかに歌い上げられている「ディバイディングドライバー」が必殺技でも武器ではなく、市街地の被害(と、作画の手間)を減らすための道具であることは有名。 田中氏も「作曲の時点ではどんなものか全く解らないまま遠藤さんに叫ばせました」とのこと。そして歴史は繰り返す 他には、スタッフの大半が「ゴルディオンハンマー」を「ゴールデンハンマー」だと思ってたらしい。 実際金色になるけど。 番組前半では1番、後半からは2番の歌詞のTVサイズが使用された。 映像もそれに合わせて一新されている。 このOP映像の変更は話が進むにつれ少しずつ行われており、全部で8種類存在する。 最終回で1番の歌詞、ラスボスの新規カットを加えた最初期の頃の映像に逆戻りしたのは、燃える要素のひとつ。 ■勇者王誕生!~神話(マイソロジー)ヴァージョン~ 続編OVA「勇者王ガオガイガーFINAL」に使用されたバージョン。 作中に合うように前半は『闘う勇者王』、後半は『新たな勇者王』が登場するなど、 歌詞の変更やイントロのアレンジ等があり、以降の派生ヴァージョンはこれをベースにしている。 ちなみにOPとして使われたのはOVA 第2話から第6話まで。 第1話では挿入歌としての使用、7話は後述の究極、8話はピアノバージョンが使用されている。 さらにTV放送する際は、後述する「集大成ヴァージョン」にこれまたOP枠をもっていかれた。 前半モチーフのガオファイガーも作中ではやや扱いが悪い点もある。というか唯一「ぼくらの勇者王」になれなかった…… 『ガガガォ、ファイティング、ガオガイガー』と歌うとかっこよく歌える。 ■究極神話(きゅうきょくマイソロジー)ヴァージョン 『神話ヴァージョン』の後半歌詞に「GGG少女歌激部隊」によるコーラスが付いているのが特徴。 監督曰く『子供番組っぽさを出したかったから』とのこと。その目論見は大成功していると思う。 OVA第7話OPとして使用された際はネタバレを防ぐため、後半歌詞の最終兵器の部分はカット。 映像の方も、代わりにジェネシックとガオファイガー(とガオガイガー)が握手する絵に変更された(CD版ではきちんと聴けるためご安心を)。 ■完璧絶叫(パーフェクトぜっきょう)ヴァージョン 『無印』と『究極神話』をフルで繋げ、さらに「絶叫」の名の通り、勇者ロボ全部の武器や必殺技などのセリフを取り入れた究極の勇者王ソング。 要所要所で凱兄ちゃんや勇者ロボが熱くシャウトしてくれる。 「ディバイディングドライバー」の辺りも使っている本人が叫んでいる。 カラオケではCROSSOやDAM等の機種には入っているため歌うことは可能。 ただし、2曲分の長さなので8分以上ある上、「メイン」「コーラス」「セリフ」のパートがあるため最低3人はいないと歌えない。 まぁ、勇者である諸君なら歌えるであろう(きっと……) 実はCDで聞くと、歌詞よりセリフの方が音量が大きい。ちなみにベターマンのあの人も登場する。 ???「勇者なら歌え!!!」 ■集大成神話(ギャザリングマイソロジー)ヴァージョン こちらは通常の『神話ヴァージョン』に「スリージーズ2005」(アニメ出演者達)コーラスとパーカッションが入っているもの。 サビが始まるとどこからともなく「ガガガガガガガガガ…」というコーラスが聞こえてくるため、これまでにない迫力がある。 全曲中コーラスを含めると『ガ』の数が一番多い曲。offボーカルでも歌として成立できる気がする。 第一話ではネタバレ全開の画像を使用した特別版が流れ、また公式MADともいうべき特典動画もある。 ガオファイガーからジェネシック・ガオガイガー……そして四体のガオガイガーによるヘルアンドヘヴン。 最後を締めるのは一号ロボ『ガオガイガー』という、一号ロボを大切にしたいという願いが存分にこもった動画となっている。 ……一体レプリジンがいるとか突っ込んじゃダメ ちなみに初代勇者王誕生!の女性バックコーラスが歌詞変更されてない部分だけ流用されている。 例えば『舞い上がれ』の『上がれ』に勇者王誕生!の『立ち上がれ』の『上がれ』を流用している他、 『闘う勇者王』に『ぼくらの勇者王』の勇者王を流用している。 ■-extra- 『FINAL』のサウンドトラックvol.1に収録されたボーナストラック。歌詞はテレビ版と共通。 歌手はベターマンのED『鎮 -requiem-』で知られる※mai。当時の宇多田ヒカルと新人賞を争った(嘘)とも言われ、 米たにヨシトモ監督が「健康のため聴きすぎに注意」と警告するほどの歌唱力は必聴(上手いとは言っていない)。 なお、※とかmaiとかついているが、米たにヨシトモとは一切関係が無い(大嘘ォ)。 「歌ってみた」とか「職権濫用」とかは言ってはいけない。 ■ピアノソロ・ヴァージョン 日本人ピアニスト「島健」氏の演奏によるヴァージョン。 OVA最終話に使用されたヴァージョンであり、物語の最後を締めくくった。 さて、多くの種類が存在する本曲であって視聴するのは大変そうだが、 2005年に発売された「ガ王~勇者王誕生!10連発!!~」を購入すれば全曲聴けた(カラオケ版等を除く)ので心配は無用だ。 また、謎の吟遊詩人の歌う「-extra-ヴァージョン」など変り種もあるため聴いてみる価値ありである。 カラオケ版にナレーションの小林氏による歌唱指導のセリフが付いた「歌唱指導ヴァージョン」なるものも存在。 最初は息継ぎの指示など無難なことを言っているが、段々と「酸素を1000リットル補給せよ」などと無茶ぶりを淡々と要求し、最終的には自分も歌い出すというなかなかシュールな出来栄えとなっている。 歌唱力よりも腹筋が鍛えられるかもしれない。 ちなみにプロトタイプである作曲家の田中公平氏が歌うデモテープ版も存在。貴重な作曲者本人の歌声を聞くことができる。 一部の歌詞が異なっており、特にディバイディングドライバーがプロテクトシェードになっているというのは面白い。 「空、間、湾、曲・・・プロテェーク・シェエエエエエエエエエエド!!」 ……「全曲聴けた」という事で、実はその後に発表されたヴァージョンも存在する。 ■パチンコ Ver. SanThreeのパチンコ『CR勇者王ガオガイガー』で新たなバージョンが登場した模様。 具体的にどこが変わったかは、パチンコを打ったことがないのでわかりません(苦笑) アニメは描き下ろしのようだ。 ■Present of the Voice Ver. 遠藤正明のアルバム『Present of the Voice』に収録されたヴァージョン。 歌っている本人すら想像出来なかったまさかのアコースティックアレンジ。 ■御伽噺(ジュブナイル)ヴァージョン 「御伽噺」と書いて「ジュブナイル」と読む。 『覇界王 ~ガオガイガー対ベターマン~』の漫画版第1巻特装版同梱ドラマCDにショートバージョンが収録され、 その後、フルバージョンが『ベターマン』のBlu-ray BOX特典CDに収録された、いわば『ガオガイガー対ベターマン』のOPとしての「勇者王誕生!」。 『ガ』の数は109個。 『FINAL』のバックコーラスを全部盛りにしたような「お祭り感」がコンセプトで「究極神話」と「集大成神話」のコーラスが使用されており、 1番の場合は主に、歌詞の一部がガオガイゴーに変わっているほか、天海護や戒道幾巳、ベターマンの主題歌を意識した歌詞(*4)、 「勇者王誕生!」派生バージョンで初めてJジュエルとヘル・アンド・ヘブンが歌詞に採用される、などの違いがある。 なんかどう考えてもネタバレ枠としか思えない歌詞がフルバージョンにはあるのは内緒 大体、本編のネタバレでした カバー ■勇者王誕生!パラパラVer. 石田燿子が歌うパラパラバージョン。 ■勇者王誕生!-神話ヴァージョン-ユーロビートVer. 石原慎一が歌う『神話ヴァージョン』をユーロビート調にアレンジしたもの。 これはこれでいい曲なのだが、特撮作品で熱い歌を歌っていた石原氏が歌っているためか「普通に歌っているバージョンも聞きたかった」という声もある。 ■いでよ ガイアレオン 『トミカヒーロー レスキューファイアー』の挿入歌でガオガイガーとは一切関係ない。 だが、同じ遠藤正明氏が歌っているうえ、ガイアレオンのモチーフがライオン。 さらに歌詞に『ガ』や『ガガガ』が存在するため、良くネタにされる曲。 最後に監督より一言。 勇者なら歌ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 個人的に神話ヴァージョンは一番は集大成、二番は究極が好き。 -- 名無しさん (2013-07-14 00 33 01) 作曲者の田中公平氏本人が歌った試作品のデモテープはバリエーションのひとつに入らないのかな?(ちなみに、田中氏はボーカリストとしての訓練も受けた経験があるため歌は結構上手い) -- 名無しさん (2013-07-14 02 21 12) 田中さん、キングゲイナーの仮歌も歌ってたよな。歌手としても食っていけそう -- 名無しさん (2013-09-09 23 51 03) 一度、完璧絶叫を一人で歌おうとやってみたけど、無理でした… しかも喉が酷い事になった… 俺は勇者になれない… -- 名無しさん (2013-11-03 03 00 09) デモテープだとプロテクトシェードなんだよなwディバイディングドライバーもそうだが、無印一番の武装は全部武器じゃねぇのか -- 名無しさん (2013-11-03 07 02 14) ガガガガガガガイアレ~オ~ン♪ -- 名無しさん (2013-12-04 12 56 59) 集大成神話ヴァージョンを最初に聴いたときの衝撃が忘れられない… -- 名無しさん (2014-07-25 23 07 33) 監督も何気に歌上手いんだよな(笑) -- 名無しさん (2014-11-23 15 11 06) 最初は通常、集大成神話ヴァージョンは最後に聞いた方がいい気がする。 -- 名無しさん (2015-10-18 11 55 21) 「歌詞は普通に七五調なのに曲は違っててなんか歌いにくい」って誰かが言ってたな -- 名無しさん (2015-12-23 19 17 23) 5つ↑、確かに武器じゃないよな。ディバインディングドライバーは武器として代用出来なくは無いかもだけど基本的に闘技場を作る装備だし、プロテクトシェードは盾、スパロボでスターガオガイガーの追加武器として扱われているガトリングドライバーも実は武器じゃないからな(BXでようやく本来の使われ方になったが武器欄がヒジョーに寂しい事に・・・・・) -- 名無しさん (2016-05-09 07 21 06) ガで加速ってのがニコ動に有るけど、タグ通りに腹筋が光になるw -- 名無しさん (2016-10-28 09 21 07) いつかガガガ対ベターの御伽噺(ジョブナイル)ヴァージョンもいつか作られて欲しいなぁ。一番の装備シャウトはヘルアンドヘブンとか -- 名無しさん (2017-02-04 19 28 49) ↑そういえばヘルアンドヘブンはガオガイガーを代表する技だけど完璧絶叫ヴァージョンくらいでしかないのか。まあ、ヘル・アンド・ヘブンって叫びにくい気もするけど -- 名無しさん (2017-02-04 19 44 55) ちなみにヘルアンドヘブンは歌詞に無い。後ゴルディオンハンマーも(歌詞製作時点ではどんな武器か知らなかった事もあるが)実際は「鋼鉄粉砕」ではなく「物質昇華」 -- 名無しさん (2017-11-01 15 51 23) 楽譜を見るとシャープだらけ。都合七回も転調する。そのため大概ガガガッで音を外す -- 名無しさん (2018-02-01 09 50 04) 破界王編も加わるとガオガイゴーの歌詞も加わるんだよね、そして2番(通した仕様なら6番)はあるのか・・・ -- 名無しさん (2019-08-02 12 30 24) 2つ↑、ガオガイゴーがヘルアンドヘブンを担当するみたいだ -- 名無しさん (2019-08-02 12 31 08) 空間歪曲ディバイディングドライバー、鋼鉄粉砕ゴルディオンハンマー、剛腕爆砕ブロウクンファントム、神罰降臨ゴルディオンクラッシャー、超力結集ヘルアンドヘブンってところか。後はゴルデイオンダブルハンマーか -- 名無しさん (2019-08-15 11 40 47) 超全一体ゴルディオンアーマー……絶対この世にまだ存在してねぇ…… -- 名無しさん (2020-02-14 21 40 20) 1話のサブタイトルでもある -- 名無しさん (2020-02-22 22 06 15) 勇者なら歌えええッ!!!て監督なんだ・・・ -- 名無しさん (2020-09-06 01 25 42) ゴルディオンアーマーやファイナルガオガイガーをネタバレだろ!と思っていたが、二番の歌詞が全部ジェネシックとの最終決戦以降のネタバレとか想定してなかったわ…w -- 名無しさん (2021-02-03 21 46 31) スリージーズ2005って声優さん達なの!? -- 名無しさん (2021-10-24 19 45 33) 「ガ」で加速する勇者王誕生 って動画があるけど、最終的に曲が崩壊して腹筋が光になるw -- 名無しさん (2022-01-23 18 08 05) ↑3 Gフィンガー「解せぬ」 -- 名無しさん (2022-02-03 15 01 14) 七五調のおかげで「ギザギザハートの子守歌」や「にっぽん昔ばなし」と歌詞・メロディを入れ替えて、ある程度歌えちゃったりする -- 名無しさん (2023-06-10 15 27 46) ↑3今見てきたが、ほんとにガしかいってねえのがよくわかる、初っ端からどんどん音速で駆け抜けてったよ(褒め言葉)やっぱ凄えな勇者王() -- 名無しさん (2024-05-26 13 29 42) 名前 コメント
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魔王「お嫁にしてくださいっ!」 1 :創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 21 18 08 ID b+/IBlRu 騎士「……はぁ」 魔王「聞いてました? 私の一世一代の大告白!」 騎士「え、ええ。まあ……」 魔王「お答えは!?」 騎士「あの……順当、かどうかはともかくとして、普通魔王の相手は勇者では?」 魔王「そうですね! でも、勇者さんって良い噂聞かないじゃないですか。だから、騎士道精神溢れる高潔なお方にお願いしようと思ったのです!」 騎士「は、はぁ……」 騎士(私は女なんだけどな……) … ⇒ 続きは現行スレにGO! ⇒ … 現行スレ 魔王「お嫁にしてくださいっ!」 http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1292329144/ 前スレ 魔王「お嫁にしてくださいっ!」 http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1249042688/ ページ最上部へ
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勇者の故郷等の噂を全てひっくり返したような性格 高圧的な態度をとりながらも、ものすごい勢いで世話を焼く 死ぬほど家庭的で、休日や勇者一行が来訪する日には必ず3食とおやつまで出す もてなしを頑張りすぎた結果、家計が火の車 姫とはメル友。故郷では魔王にさらわれたことになっているが、実際は姫が家出しただけ 何故かデザイナーズマンションのようなところに住んでいる。 最近になって勇者が対抗心を燃やし始め、毎年事あるごとにもてなし合戦が繰り広げられる 流石の魔王も、勇者がイベリコ豚のハムを送ってきたときは戦慄した(神官・談) ポテチ食った手でコントローラー触る事はいやなようだ だからといって「カーペットで拭くでない!」 幼女の様な姿はとらない 桃鉄はが好き 桃鉄は99年でしか遊ばない 部下の悪魔神官と共に割烹着を着ている -- 名無しさん (2008-10-16 22 20 36) 名前 コメント - 今日のアクセス数を表示します - いままでのアクセス数を表示します - 昨日のアクセス数を表示します
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そこは、深い、深い、人里離れた森の奥。その場所を知る人間はその場所を「聖なる森」と呼んでいた。百年前に魔王を倒した勇者が使っていた聖剣が安置されているという事実が、その場所が聖なる森と称されるゆえんだった。 その森の最深部、聖剣の元に俺がたどり着いたのは、獣道のような道を藪を掻き分けながら丸2日経った頃だった。 「ん……あったあった、あれかー、聖剣」 石の台座に突き刺さっている聖剣が姿を現した。誰が手入れしているわけでもないのに台座の付近には大きな植物が茂ることも無く、かつ聖剣の刃にサビのひとつもうかがえない。自分の腰に帯びている剣も名剣のはずだったが、その剣を見た瞬間にかすんでしまうほど聖剣は神々しかった。 「よし……」 この聖剣を手に入れ俺は魔王を倒すんだ。と意気込んで台座の正面へ歩み、俺は聖剣の柄をぐっと握り締めた。手の中に妙なぬくもりのある聖剣。光っているわけではないのだがどこか眩しい、そんな不思議な感覚。 「っ……」 腰に力を入れて、一息に剣を台座から抜き放った。鉄と石の擦れる音は一瞬で、抵抗もなく抜けた剣を俺はしげしげと眺めた。これがあれば魔王も倒せる。今までの相棒だった腰の剣に手を伸ばし、ご苦労様と外したところですぐ左に妙な気配を感じて顔を上げた。 「つぎの勇者はおまえか?」 「あぁ」 突然そこに現れたのは、妙に高価そうな金色の繊維で編まれたローブに身を包んだ少年だった。年の頃は俺と同じぐらいだろう。筋骨隆々とまでは言わないが大柄なそいつは、めんどくさそうに頭をぼりぼりと掻いていた。俺は生返事だけを返しておく。 「じゃ、また魔王退治? しっかし人間も魔族も飽きないな~」 少年は眠そうにあくびをひとつしてローブのフードを脱いで、たった今聖剣を腰に帯びた俺をじろじろと見てきた。 そこでふと、聖剣には守護精霊が居るという話を思い出した。聖剣の行く末を見守る守護精霊、名前からしてその辺に居る小型精霊の類かと思っていたがまさか人間サイズとは予想外だった。 「えっと、聖剣の守護精霊……だよな?」 「そう。俺、聖剣の守護精霊」 「は、はぁ……」 俺はなんとなく妙なおまけがついてきた聖剣を再度眺めて、少し気の抜けた返事を返した。するとおもむろに近づいてきた守護精霊は俺の背中を少し強めに叩き、正面に回りこんで言った。 「はいはいしゃんとする! どうせやることは魔王を倒すだけなんだ」 「魔王を倒すだけって……あんた簡単に言ってくれるなよ!?」 俺の使命、天命とも呼べる目的を“だけ”と言われ、頭に血が上りそうになる。守護精霊といったってたいしたことが出来るわけじゃないだろう、と荒げた声のまま言葉をぶつけた。 「簡単簡単。ちょいちょいーっと経験積んで魔王城行って魔王倒してはい。しゅーりょー」 俺の怒りのこもった声を聞いても悪びれることなく軽いふうに守護精霊は言った。 「ってことで、早く森を出るぞ」 「ちょ……待て、お前、そんな簡単な問題じゃな――」 いきなり俺と肩を組み、そのまま守護精霊は森を出ようと俺を急かした。なんなんだこいつは。あの残虐非道、強靭強大な魔王を打ち倒すのは並大抵のことじゃないんだぞ。そう思った瞬間、妙な感覚に襲われた。 一瞬視界がぼやけ、妙に動悸が激しくなったかと思えば、どこか思考がぼやけるが、すぐにそれも収まった。 「――いんだぞ大体、お前は魔王の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるんだっ!」 俺の心の中をその甲高い声が代弁してくれた。と思ったら自分の口からその甲高い声は出ていた。 何なんだコレは、幻術の類か。 それになぜだか息苦しくなり、着ている甲冑が倍の重さのように感じた。まさか敵が!?と、回りを見渡しても誰も……。 「あ」 すぐ隣から聞こえた声。間の抜けたその声は守護精霊の声だ。表情も間の抜けたものになっている。 「まさか……お前、童貞?」 「あ、ああ……そうだけど」 そんな無礼なことを聞いてくるのを聞いて、頭にきながらも正直に返事をするあたり自分は律儀だった。そしてその返事をした声は女の声だった。 もう間違いない。俺は女の声、いや、女になっていた。 「……このヘタレ野郎」 「待てよ、俺、何で女になってるんだ!?」 ヘタレと言われたことについては反論する気も起きず、ただ現状俺より詳しそうな目の前の守護精霊に問うだけだった。 「実はこの世界、15歳のとき童貞の男は…女になるんだ」 「15……って、で、でもそんなことがあるはずが……俺はそんなことになった奴を見たことはおろか聞いたこともないぞ!」 あまりに荒唐無稽な話だった。だが守護精霊は声を荒らげる俺を気にもとめず説明を続けた。 「それは簡単。お前さんの先祖に聞いたが、この世界の人間は13歳までには大抵妻を娶るんだってな。若い盛りに夫婦生活が無いなんて、ありえないだろ?」 「だ、だからって……」 それは、勇者の家計に代々伝わるある掟を、今までの勇者が破っていたという証明だった。ショックのあまり頭を落とす。 「大体、お前勇者の癖になんで童貞なんだよ」 「家の掟に『勇者は魔王を倒すまで無垢であれ』というのがあるんだ……俺は、それを守っていた」 「嘘だろ……お前の家の勇者達、先代も先々代もそれ以上前もどっかのお姫様や、宿屋の娘やパーティーの僧侶とか、よろしくやりまくってたぞ……聖剣を手に入れてからだけでも」 先代たちがそんなに掟を破ってふしだらな行為に及んでいたなんて、と俺は衝撃を受けた。勇者という自分の使命を疑いたくなったが、そこを疑ってしまっては俺の人生は一体なんだったのだろうかと虚しくなってしまうだけなので無視する。 そして、俺はある重大な事実に気づいた。 「このままじゃ、魔王なんて倒せないぞ……」 とある鍛冶屋街で手に入れた自慢の黒鎧が重すぎて動けないのだ。筋力が落ちたどころの騒ぎではない。試しに一歩踏み出そうと足を 上げようとした瞬間のことだった。 「ぅわ!」 「おっと」 バランスを崩し転びそうになったところを守護精霊に支えられ助けられた。なんだか癪に障る。 とりあえず防具を肩当から外していき、簡素な布の服のみになると、改めて自分が女になったことがわかる。 頭ひとつ分は低くなった身長、妙に細くなった腕や腰回り、柔らかくなった足に、胸にある圧倒的な脂肪……乳房。それと顔を覆う長髪、鼻につく匂いまでどこからどう見ても女だった。 そこまで確認して、守護精霊を睨みつけて俺は言ってやった。 「ありがとう。で、さっきお前何て言った? 『ちょいちょいーっと経験積んで魔王城行って魔王倒してはい終了』……だっけか」 「あ、あー。こりゃ、時間掛かりそうだなぁ」 ばつの悪そうな顔をして頭を掻く守護精霊を横目で見ながら先ほどまで腰に帯びていた聖剣も一度外し、再び持ち直してみるとずしりと重く、とても扱えそうにない。構えようと切っ先をあげると腕が震える。こんなことでは、ゴブリンとも渡り合えそうに無い。 「聖剣、重くて構えることすらできないし、剣も無理、防具も無理、魔法も……」 呟いていて気づいた。肉体は弱体化してしまったが、魔法は使えるはずだ。取り合えず思いつくままに呪文を唱えてみる。 「ラ○デイン」 俺の言葉に呼応するように突如雷雲が轟き曇天になり、天から一筋の光が目の前の木に降り注いだ直後、爆音が俺の耳を打った。俺は事前に耳を塞いでいたが、静まってみると隣に居た守護精霊はひっくり返っていた。 「わーお、すごい威力。前はギ○モみたいな小さい雷雲しか呼び寄せれなかったのに」 「……やってくれるな」 若干声を震わせながら彼は起き上がった。意外とタフだ。きっと守護精霊だから人間と同じようにはいかないのだろう。 「でも、魔法だけじゃ……魔王を倒すことはできない」 威力の上がった魔法。しかし俺は絶望していた。剣ひとつ満足に振れない体で魔王と渡り合えるか? そんなことは言うまでもなかった。 「おっと、忘れてもらっちゃ困る。今手に入れた聖剣があれば魔王なんて楽しょ――」 「聖剣を扱えない勇者に価値なんてないっ!!」 俺はその場に崩れ落ちた。こんなどこぞの姫様のような細腕でどうにか出来る魔王なぞ存在しない。もう俺は存在価値も無いのだ。やれることは一刻も早く次の子孫を産み、育て上げることだけだった。地面に叩きつけた拳、ひ弱な皮膚は裂け血がにじむ。鈍いその痛みは罪の償いにもならないだろう。噛み締めた唇から血の味がした。 「お、おい……落ち着けよ!」 「うるさい!」 気遣うように近づいてきた守護精霊を片腕で振り払うように押しのける。すると地面に転がる聖剣が目に入り、さらに後悔に駆られた。 「お前、そんな簡単に諦めるな。勇者だろ! 聖剣は、持ち主に応じて姿を変える!」 守護精霊がそう俺に告げた時だった。聖剣のあった場所にはいつの間にか、細身のマシェットが転がっていた。マシェットは茂みなどを歩くときに使う木払いの刃物。長さも60cmほどで少々心もとない。 だが、それでも。それを拾い上げ握ってみると先ほどと同じ、聖剣を握った感覚があった。 「これ……は?」 「これがお前の聖剣だな……確かに聖剣には見えない貧相さだけど、女でも扱える」 その剣は、こぢんまりとしていたものの、やはり聖剣なのか威厳はあった。軽く振ってみると、先程とは違い剣にいなされることもなく綺麗に振ることができた。 「はは……憧れの聖剣がこんなナイフもどき……残念だ」 そう言いつつも。嬉しかった。先程の喪失感もどこ吹く風と消えていく。 「贅沢いうなよー。使えるだけでよかったと思ってくれ」 守護精霊は自慢げにそう言った。その頭を小突いてやる。 「いてっ! なにするんだよ!」 「うるさいバカ、こんな機能があるなら最初から言えよバカ」 「バカって言うな、普通抜いた瞬間変わるんだよ!」 「じゃあ自慢げに言うなバカ!」 そんな小突き合いをしばらくして、俺はまた気づいた。 「待て、これじゃ、勇者が居なくなってしまわないか」 「はぁ?」 「よく考えてみろ。女になっただなんて誰が信じると思う? きっと魔物の仕業だとされて俺は良くて牢屋行き、悪ければ火あぶりの刑だ」 と、自分で言っていて恐ろしくなりつつも、ふと俺は閃いた。 「いやまてよ、そうだ……こんなところにいい勇者様がいるじゃないか」 俺は守護精霊を眺めつつ、近くに転がっている防具も見て。 「よし、そのローブ俺によこせ。代わりにお前はその鎧着ろ」 「おい、待て、俺が勇者!? そんなの無理に決まって……」 慌てる守護精霊のローブを引っ張りながら俺は説明を続けた。 「どうせもう大都市を回るわけでもない。その辺の村やましてや魔族の領土に入ったら人間に会うかも怪しい。勇者がどんな顔してようがバレない」 「わかった、わかったから! 自分で脱ぐからちょっと待て!」 守護精霊は俺の目を見て観念したのかそう言って、おもむろに金のローブを脱いだ。その下からは金の腰巻だけになった少年の体が出てくる。俺はあまり気にせず、渡された金のローブを受け取る。すると絹をも超えるような滑らかさの布地に舌を巻いた。 「うお、なんだこのローブ。めちゃくちゃさらさらじゃねぇか、お前これを渡したくなかったんだな!?」 「どこの精霊が好き好んで人間の鎧なんか着たがるかよ」 ぶちぶちと不満そうに文句を垂れる守護精霊を横目に俺は先程からうっとおしい自分の髪と格闘していた。とりあえず聖剣で散髪するのは気が引けたので道具袋の中の、へんな塔で拾った使いみちの分からない糸で髪を後ろでひとまとめにする。だぼだぼになった元のぬののふくを適当に紐で縛ってサイズを調整してから、金のローブを纏った。ついでに拳の傷を薬草とボロ布で巻いておく。 「ほら着たぞ。こんなので勇者に見えるのか?」 「見える見える、ほら剣も持って、これで立派な勇者だ」 「そ、そうか? しっかし、長年守護精霊やってるがこんな役割は初めてだな」 まんざらでもなさそうな守護精霊を適当に調子に乗せておく。どこからどう見ても勇者その人だ。悔しいがやはり守護精霊だけあって品格がただよってやがる。とりあえず俺は聖剣を腰に差し、道具袋を掴んで持ち上げようとして、持ち上がらなかった。 「よし“勇者様”この道具袋持って」 「はぁ? なんで俺がそんなこと……」 守護精霊がまた文句を垂れるので、袋から財布だけ抜き取りながら手短に説明する。 「重くて持てないからだよ。それに今からそっちが勇者、俺が守護精霊だ。そんなもの持って労働している姿なんてイメージに合わないだろう?」 「単に楽したいだけじゃないのか?」 「いいから、少しでも早く魔王を退治してお役御免になりたいんだろうお前?」 「はぁ……しょうがないなぁ」 しぶしぶ守護精霊は荷物を担いだ、それを見てから俺はもと来た道の方へ歩きながら今更ながらの自己紹介をする。 「俺はリアン。勇敢かつ誠実な勇者だ」 と、自分が自己紹介をしてからまだ守護精霊の名前を聞いていないことに気づいた。 「守護精霊、お前には名前はないのか?」 そう聞くと、守護精霊は少し悩むように首をかしげてから言った。 「んー、名前なんてないんだ。歴代の勇者は普通に『精霊』とか呼んでたから」 「そっか。まあこれからは俺の名前を使ってくれよ。勇者リアン様」 「俺がリアンになるのはいいが、そっちはどうするんだ?」 「ナイラでいいよ。普通に綴りの逆読みだからひねりが無いかもしれないけど」 そういうことで、俺は新たなる名前を得た。故郷にいる両親には、魔王を倒してももう会うことはできないだろう。俺は一抹の寂しさを感じながら守護精霊改め、リアンに話しかけた。 「とりあえず、この森を抜けて近くの村へ行こう。聖剣があるとはいえ、このまま魔王城を目指したところでどうにもならないだろうし。策を練らないと……」 「わかった。それはそうとして、この道具袋重すぎないか?」 「気のせいだろ、たいしたものは入ってないよ」 嘘だった。実はこの道具袋王様の支給品の中では最も役立つもので、何でも大量に入る魔法の道具袋。しかし重さは減らしてくれないので、俺の性格もたたってかものすごい重量になっているのだが、それを捨てていくワケにもいかない。俺はとぼけることにして。先を急いだ。 「それよりナイラ……ナイラ?」 「あ、あぁ。何だ?」 「口調、直さないと後々不便じゃないか?」 「えぇ……いいだろべつに」 「良くない。せっかく女になったんなら最悪女の武器を駆使することも考えろ。俺にこんなことさせておいて自分だけ楽するのは無しだぞ」 背後の荷物を指し示しながら恨みげにリアンは俺をジト目で見てくる。その気迫に押されて俺はしょうがなく、応じておくことにした。 「……ちっ、しょうがねぇなぁ」 「言い直し」 「……わかったよ。しょうがないね」 「よろしい」 かくして俺たちはひとまずの目標として近隣の村を目指すこととなった。魔王を倒すにはまだまだ遠い道のりであるが、その道のりを確実に一歩、俺たちは踏み出したのだった。 <つづく>
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551 小ネタ「このロリコンめ!」 ◆6AvI.Mne7c sage 2009/03/09(月) 04 34 27 ID OpS1OC3H 「ふへへ、かわいいな~」 ぼくは、前に卒園した幼稚園のアルバムを、ニヤニヤしながらながめている。 ニヤニヤしている、というのは、ねえちゃんに言われてから気づいたんだけど。 なぜかねえちゃんは、ぼくがこのアルバムを見るのを嫌がる。 でもこのアルバムには、ぼくの思い出と、僕の大好きな女の子たちの写真がある。 だから、ねえちゃんに隠れて、このアルバムを見ているんだけどね。 そんなことを考えていた時、ぼくが隠れていた部屋の、ふすまが開いた。 「ただいまあ、愛してるよお、私のおとう―― ねえ、おとうと。何をしているのかな? かな?」 甘やかすような声が一転、『ぜったいれいど』の低い声になり、部屋に響く。 おそるおそる、ぼくはふすまのほうを振り向いた―― そこには、ぼくのねえちゃんが、コワイ顔をして立っていた。 今年で二十歳になるねえちゃんは、とてもカッコよくて、とても美人だ。 学校でも、何十人という男の子に告白されているって、うわさを聞いた。 けれど、ねえちゃんはソレを全部おことわりして、ぼくにかまってくる。 そして、ねえちゃんはしきりに、ぼくに「私のこと、好き?」と聞いてくる。 ぼくは、ねえちゃんも好きだけど、10才手前くらいの女の子のほうが好きなんだ。 「またアナタはそんなものを見てるのね……! ねえ、知ってるの? ううん、いつも言っているよねえ! そんなガキ共のことを好きなヤツの事を、ロリコンって言うのよ!」 いつものねえちゃんの小言。でも今日はなぜかゆるせなくて、ぼくは口答えした。 「べ、別にぼくが幼稚園のアルバムを見たって、いいじゃないか! これには、ぼくのだいすきな女の子たちの写真がのっているんだ! それを否定するなんて……ぼくの宝物を否定するなんて…… そんなイジワルなことばっかり言う、ねえちゃんなんて、だいっきらいだ!!」 そしたら、ねえちゃんは急におとなしくだまりこんでしまった。 ちょっと悪いことをしたかな、と思って、ねえちゃんのほうを振り向いた。 ちがう、だまってなんかいない。ねえちゃんは、ぶつぶつと何かしゃべっている。 「アナタは私を見てればいいの。アナタは私が大事に育ててきたの。 アナタは私のものなんだから。アナタは私が大人にしてあげるの。 アナタは、私が……私の……私が……」 その言葉が聞こえたとたん、ぼくのカラダに一気にトリハダが立った。 まずい、このパターンになると、ねえちゃんは―― 「おとうとの、ばかあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」 すさまじいスピードでくりだされる、張り手。平手打ちなんてもんじゃない。 ねえちゃんの細い手が、恐ろしいほどの重さを乗せて、ぼくに迫ってくる。 よけられる――いや、むり――死! ――しぬまえには、『そうまとう』っていって、まわりがゆっくりみえるんだって。 ほんの少し前に、近所の女の子に教えてもらった言葉を思い出す。 ―――パアアァァァァァァァン!! とんでもない痛み。とんでもない音。ぼくのからだが浮き上がる。 そしてそのまま、となりにある本棚に、いきおいよく叩きつけられた。 そんなぼくをながめて、ほんの少しおろおろしながら、ねえちゃんは叫ぶ。 「この……この、ロリコンめっ!!」 ――あのね、ねえちゃん。ぼくはまだ、7才なんだよ。 ――幼稚園児くらいの女の子に、ドキドキしたっていいじゃないか。 そう心の中でつぶやきながら、ぼくは意識を失った。 ――目を覚ましたら、またハダカのねえちゃんが、ぼくを脱がせて添い寝してるのかなあ。
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第二十八章-第三幕- 事前のガス抜き 第二十八章-第二幕- 第二十九章-第一幕- 勇者軍、魔神軍、そして各ナインサークルロードとそれらの率いる軍で 全種族同盟『生命連合』を発足し、魔王城にて一致団結が始まった。 作戦内容は活路を見出すまでの徹底篭城戦。 天の時、地の利、そして人の和を総結集して挑む戦いになる。 そんな中、疲労回復中のため、荷物運びにも参加せず、 何故か座布団など敷いて茶をすするマリーに、一人の男が目を付けた。 「OH……なかなかナイスな佇まいでいやがるZE!」 そして話しかけて来るアフロの男。暑苦しく、チャラい。 「なんだ、貴様は? 新手のナンパか?」 「そうツンケンしなくてもいいじゃねぇかYO。 俺は魔神軍メインメンバー、ラケル=エフォート。 今は仲間だ、よろしくやろうZE!」 変なポーズを取りつつ、握手を求めてくるラケル。 その手をべしっと手で打ち払い、無言で無視する。 「OHOOOO! つれない嬢ちゃんだねー。 名高い勇者軍メインメンバーの割に器が小っちゃいYO!」 また変なポーズである。 「人とまともに会話がしたいのなら、 そのふざけた髪型をきちんと整髪してからにしてもらおう」 「NO! これは天然パーマだYO! もし切っても、伸びたら元に戻るZE! 学生でも天パは違反にならねんだZE! ざんねーん!」 何故か両方の人差し指で自分のやたらデカいアフロを指差すラケル。 「……黙れ。憩いのひと時を煩わすなら、今ここでねじ伏せるぞ」 三節棍を持ち出し、ラケルを威嚇する。 「HAHAHAHA! 上等じゃねぇの! エキシビジョンマッチだ。ここに集まった奴等に、 俺達魔神軍と勇者軍が共闘する意味、そして実力てのを 存分に見せ付けてやろうじゃん、AHA!?」 「ふん……では十分後、ここへもう一度来い。 必要は無いかもしれんが、準備時間ぐらいはくれてやる」 優雅に座っていた座布団から立ち上がり、 愛馬ステファンに騎乗するマリー。 「OK! HERE WE GO! YAHOOOOO!!」 何かふざけたテンポを取りながら一度離れるラケル。 どうやら素直に準備をしに行くようだった。 「で、何故こんなにギャラリーが集まっておるのだ?」 十分後、草地に再び現れたマリーと愛馬ステファンは、 異様なギャラリーの数を警戒していた。 「言ったろ。エキシビジョン・マッチだって。 みんなここに来てから働き詰めなんだZE? ちっとぐらい凄いの、面白いの見たって罰は当たらんYO!」 「ジーニアス家の力は見世物ではないが、いいだろう。 今一度、勇者軍と魔神軍の重みの差を現実にして、 見せつけてくれる……ジーニアスの誇りにかけて!」 ハンデだ、とばかりに愛馬を降りる。 「ステファン、いい子だからちょっと待っていろ」 「HA! ハンディキャップのつもりかYO!?」 「違う。馬上ではこの武器が使いにくいだけだ」 そう言うと、マリーは三節棍を自由自在に振り回す。 映画顔負けの動きで、実に見事だった。 「はいっ、それじゃあ始めましょう! ラケルさん、マリーさん、いいっスか?」 何故かレフェリー役になっているレオナ。 「いいZE!」 「いつでも……って貴様が審判か!?」 いきなりノリツッコミを返す間にレオナが手を振り下ろす。 「……っファイトぉ!!」 「HA!」 マリーが余所見をかましている間にラケルが急接近する。 「早い!?」 退避を諦め、マリーはステップで距離だけ調整し、 すぐに応戦体勢に入る。ラケルの拳の一撃が届こうとする。 「ふんっ!」 マリーが三節棍で応対するが、両方の勢いは相殺された。 「疾風!」 「HAHAHAHAHA! 流石だZE!」 凄まじい三節棍と拳の応酬がまったく互角の戦いを繰り広げる。 一撃がぶつかり合う度に衝撃波が飛び、小型の生き物を吹き飛ばす。 油断していると人間まで吹き飛びそうである。 「ちいっ、こいつ、只者ではない……スピードで私を上回る、だと!?」 「くっ、なんてPOWERなんだ……化けモンだNE!」 互いに相手の方が勝る部分を見つけ、素直に驚愕する。 両者の技能がほぼ互角なら、相手に劣る部分を 的確に突かれた方が負ける。そんな戦いになってきた。 「ぬううううう!」 「HAHAHA!」 マリーの一撃は重く、ヒットした箇所にダメージを大きく与えるが、 ラケルの身のこなしが軽く、思った以上に当たらない。 ラケルの一撃は巧みで、マリーより多くの箇所にダメージを与えるが、 パワーが足りず、決定打になるような攻撃が入らない。 そうなるように狙った攻撃に限って、マリーは確実にガードしている。 「ちいっ!」 マリーは一度大きく距離を置くが、ラケルは即座に追撃をかける。 「一瞬の隙をやるのが時間の無駄だZE! ブレイクスピナー!」 ラケルはブレイクスピンをかけつつ、何故か一気に前進してくる。 衝撃でつむじ風が起こっている。 「力押しなら決して負けぬ! トルネードジャンパー!」 マリーが竜巻を呼び出し、ラケルのつむじ風とぶつかり合う。 「げぇっ、なんでこったい!」 初めて動揺らしきものを見せるラケルだが、 それほど動じている風でもなく、すぐに手を地面につける。 「JUCK KNIFE!!」 手の動きだけで跳躍し、そのまま竜巻の中に突貫。 マリーに蹴りを叩き込みに来た。 「ジーニアスの名を軽く見るなぁぁぁぁッ!」 竜巻の中に入ったならこっちのもの、とマリーも負けじと跳躍、 そのまま三節棍の一撃を叩き込もうとした。 ガゴンッ! 空中で鈍い音を立て、双方の技が不発にとどまり、 両方とも手で着地する羽目になってしまったが、 即座に起き上がり、再攻撃態勢を整え、すぐ動く。 「つぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」 「ヒィィィハァァァァァァ!!」 片方は怒号を、片方は奇声をあげての突撃。 「そこまで!」 だが、その両者の間に割って入る者が二人。 勇者軍からはロバート、魔神軍からはイノが止めに入った。 「ガス抜きにしてはやり過ぎになる。止めやがれ、マリー」 「ラケル、あなたもよ。これ以上は怪我の元になる」 その一瞬の早技に戸惑いつつ、二人は武器を納めた。 「……ふ、見事にやってくれたものだ、アフロ」 「ラケルだYO!」 抗議するラケル。 「とはいえ、確かにな。正直重みってモンも分かったZE! 改めてよろしく頼むZE! マリーさんYO!」 やたらと暑苦しく握手を求めてくるが、 今度はマリーも拒絶せず、しっかりと握り返した。 「いいだろう。元々勇者軍のカウンターとして機能する貴様等だ。 こうして共闘する機会は二度と無いかもしれん。 その間だけなら、よろしくしてやらんこともない。 ……いや、すまない。言い方が悪いようだ。 ラケル、それから魔神軍。よければ今は力を貸してやってくれ」 「HO! 勿論だYO! 絶対に勝つZE!」 わあああああああああああああ! 歓声と賞賛の声が周囲のギャラリーより巻き起こる。 世に名高い勇者軍の実力を間近で、しかも味方として 見られた幸運もさながら、それに追従以上の戦いを見せる 魔神軍をも、新時代の猛者として受け入れる賞賛の声だった。 それは確かにガス抜き以上の意味を持っており、 たとえイグジスター相手でもこの力があれば、という ささやかな希望を味方に見せるだけに相応しいものである。 「通信施設より連絡……? 何でしょうかねー?」 魔王城の通信施設より緊急連絡が突然入り、 いつの間にかこっちに来ていたノーラが応答する。 「はい、こちら魔神軍ノーラ=アドミラブル」 「我……勇者軍……ホムラ=クロカゲ…… ナインサークル……味方……遠近問わず 離島に集結……続々と拠点を建造中…… 発信源……亜人王タイタン……!」 「了解でっす!」 元気良く応対し、通信を切る。 「だそうですよ、ゲイルさん」 「うむ、続々と対応が出来つつある。至極結構にござる」 相変わらず間違ったサムライ語を展開するゲイル=ウィッシュ。 勿論同様の内容を勇者軍も聞いており、 いよいよ決戦ムードが魔王城を擁する無人島群を包み、 否が応にも周囲のテンションは上がるしかなかった。 「ようし、ガンシップ、エリミノイド、戦艦、順次リリース!」 そして兵器工場から、怪物王の声と共に、 随時無人兵器群が出発していく。 これらの活躍を待つ、という新たな戦いが始まったのであった。 <第二十九章-第一幕- へ続く>
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第十二章-第一幕- 解決する疑問、新出した疑問 第十一章-第三幕- 第十二章-第二幕- 新たにフローベール、バスク、 そして天馬ベアトリスと馬のヴィッセルを加えて、 勇者軍主力部隊は重要拠点のひとつである バイオレット・ヴィレッジへと向かった。 この拠点が重要拠点に指定される理由はいくつかある。 ジャパニーズ・チルドレンと呼ばれる旧時代の 『日本』という国の国民の直系の子孫達が残るという、 旧文明のわずかな残滓が残っている事による。 分かりやすく言えば文化遺産だとか 天然記念物だとかそういう扱いなのだ。 更に加えて、エドウィン=ストレンジャー総帥の時代に 勇者軍に加わったバイオレット・ヴィレッジ村長、 バイオレット=アーリア及び その子孫が住む村という事になるのも理由の一つ。 加えて言えばアーリア家は、かの有名な 『十三英雄』の家系の一つであり、 『十三英雄』自体も勇者軍とは協力・同盟関係にあったことからも、 決して無視していい土地ではないと言える。 そうした文化的な諸々をさておいても、 ここにはフレイデッド・タワーという 観光名所兼訓練施設があり、歴代村長の考えるユニークな仕掛けは 勇者軍予備役や、サブメンバー昇格したての人間の訓練に 著しく好影響を与えているという実利的な意味合いも含まれている。 ただの一つの村に過ぎなかったバイオレット・ヴィレッジの 地位をここまで向上させたのも、それによって狙われるのも…… そう、良くも悪くも勇者軍と関わったことによると言っていい。 そして、そのバイオレット・ヴィレッジを統括するのが バイオレット=アーリアの息子、ワイマール=アーリアなのだが、 もちろん彼は村長職が忙しいので、出撃は不可能。 しかし彼には息子の名義で育てている一人の男がいる。 そんな情報がここ最近、勇者軍の間で有名になっていたのだ。 ゼクウ=ユウキ少佐。現在19歳で男性。 バイオレット=アーリア前村長の補佐官にして夫、ラング=ユウキが 第二子を儲けられなかった事により、彼の意思で、 彼のクローン体として生まれた人間である。 もちろん今更ラングの息子というわけにもいかなかったので、 戸籍上はワイマールの甥で、 かつ養子という扱いにされているようである。 ……という情報とにらめっこしているジルベルトだったが、 彼にはもう一つの思案もあった。 (レイリアさんとエイリアさんと、猫達に共通点――あるのかなあ?) どうしてもそれが気になってしょうがなかった。 「なあに? ジルベルト君。お悩み?」 と、ソニア。 『レイリアさん達と猫が同列視されてる理由が分からないのー』 ジルベルトの問いには、いきなりバスクが身を乗り出した。 「うーん、推論でしかないですけど、あれじゃないですかね。 レイリアさんとエイリアさんって人は会った事無いですけど、 猫は遺伝子調整動物だからって狙われたんだったら、 敵は遺伝子工学を敵視してるんじゃないでしょうか」 この推論に、全員ぴたりと足を止める。 「……猫達はそれで説明がつくとしても、 レイリアさんとエイリアさんは 別に遺伝子調整を受けて生まれたわけじゃないわよ?」 「それに彼女達の扱うナノ・マシンは医療工学技術であって、 遺伝子調整技術とは何の関係も無いのでは……?」 と、ルシアとメイベルがとりあえずツッコミを入れておく。 「……いえ、そうとも言えないですよ。ナノ・マシンはそれ自体が 遺伝子調整を可能とする可能性を持っています。 要するに遺伝子の配列の直接操作ですね。 もし敵がそれも嫌っているとしたら、納得はいきます」 すると、キョウカも頷く。 「そう言えば勇者軍もDNAクローン体の培養を 認可していますし、惑星アース国際平和機構も、 遺伝子操作技術を否定はしていません。 国際法で明文化しない限り、 それは肯定しているのと同じですから」 なるほど、と全員が頷く。そしてそれにフローベールが続く。 「だったらアーム城と惑星アース国際平和機構は攻めておいて、 妖精の森に特定の相手へのピンポイント攻撃を 行ったという理由も分かります。陽動部隊はともかく、 レイリアさん達だけが狙いなら、いないと分かれば、 無理に妖精王の城を狙う必要もありませんし」 「どうやら間違いないようだな」 ふんっ、と得意げに鼻を鳴らすバスク。 急に不安げに飼い猫のあんみつを抱き寄せるメイベル。 「どうしましょう……せっかく早産を乗り越えて一匹、 生き残ったのに、そうやって寄ってたかって 殺されてしまいそうだなんて……可哀想……」 ソニアが思案して、名案を思いついた。 「名案と呼べるかどうかは分からないけど、 いちいち守るのも厳しいから、キョウカ王妃に 預かってもらいましょう。キョウカ王妃と同位置の 一箇所にまとめておけば、守る際の手間は激減するはず。 理論上は生存率がこれでかなり上昇するはずよ」 「あ、そうですね!」 メイベルが喜ぶ。 「ふふ、それにこの六人がいるのなら、 そう負けたりしないのでしょう? なぜなら勇者軍はそれ自体の個が一騎当千なのですから。 六人いるのなら、六騎当六千ですよね」 どこか頼もしげにしょうもない事をのたまうキョウカ王妃。 「六騎当六千って……また随分と大きく出ましたね」 半ば呆れてフローベールがツッコむ。 「これは私のセリフではございませんわ。ジル君。 あなたのお母上が、昔、似たような事を言っていました」 (ふーん) 自分の知らない母の一面を垣間見て、 ジルベルトは神妙な面持ちになる。 そんな顔を見て、キョウカはまた笑うのだった。 そしてまた進軍は再開するが、しばらく歩いていると、 明らかにキョウカ王妃の息が荒くなってくる。 どうやら相当に疲労が溜まっているようだ。 「……キョウカ王妃、大丈夫ですか?」 「す、すみません……少々……SPに持たされた荷物が重くて……」 キョウカはこの旅が始まる前に、SPに荷物を持たされていた。 本来彼女が持つべき専用品であり、彼女を守る盾―― アースシールド。惑星アースの名を冠する最高峰の盾である。 惑星アース以外にも各惑星の最高責任者を守るための防具が 各惑星に点在しているのだが、 アースシールドはそのうちの一つである。 彼女が脱出に成功したのも、このアースシールドがあればこそだった。 だが、盾としては破格の防御力の代償に、かなりの重量があり、 旧時代の人間と同じ程度の体力しか無いキョウカの膂力では、 持ち上げて運ぶだけでも恐ろしいほどの重労働だった。 本来は自分が使わなきゃならない防具だからと、頑張る姿を見て、 勇者軍メンバーも敢えて持つのを止めるようには言わずにいたが、 あまりにしんどそうで見ている方が辛い。 というより放置していたら、あと数十分もあれば昏倒するであろう。 「メイベル、持ってあげなさい」 「はい。貸して下さい、キョウカ様」 ルシアの指示で、アースシールドを受け取るメイベル。 流石はアースシールドより遥かに重い重量の鎧を 軽々と着こなすメイベルである。 さっさと持ち上げると、通常の盾同様に 前に構えて見せた。見事である。 「ふぅ~……文字通り肩の荷が降りましたわ」 キョウカはめいっぱい伸びをして、解放感に身を任せる。 「メイベルさん、やっぱりそれはあなたに預けます。 イザという時は、それでみんなを守って下さいね。 いっそその方が、私自身も安全でしょうから」 「はい」 メイベルの鉄壁の防御が更に厚くなった。真紅の雌鹿は 鉄壁を超越して、今ここに絶壁と化したのである。 「色が気に入らないですね……」 と、メイベルはどこから取り出したのか、ラッカースプレーで 勝手に元々青いアースシールドを着色し始めるが、 どうも着色料は一切固着しないらしく、 塗料を無駄遣いしただけに終わったのは余談である。 足取りも軽くなった中、勇者軍は更に バイオレット・ヴィレッジを目指し北上を続けた。 と、いきなりその目の前に黒装束…… 否、忍者装束の人物が姿を現した。 発見から接近まで、コンマ約6秒。ジルベルトの眼前に出てきた。 そして鎌を取り出してやはり即座にジルベルトに斬りかかる。 「!」 ジルベルトは前回の戦いの後、結局まだ捨てていなかった、 効力の切れたプラズマブラスターの書を 瞬時に盾にするために放り投げ、身を引く。 さくっ。 プラズマブラスターの書に鎌がさっくりと刺さった。 命拾いをしたようだ。最後の最後まで役に立つ魔道書である。 無言で臨戦態勢に入るジルベルト。剣を抜いた。 次いでフローベール、ソニア、ルシア、 バスク、メイベルの順に構える。 だが、敵かもしれないニンジャは 特にそれ以上攻撃は加えなかった。 「良」 とだけ言い残し、勝手にニンジャはその場から立ち去った。 どうやら様子見ついでにからかわれたのだと、 今更に気付くジルベルト。 『強かった~……』 「ジル君、お知り合いですか?」 と、びっくりした状態から やっと正気を取り戻したキョウカ王妃が尋ねる。 『知らない。けど敵意は感じなかった。 良くかわした、見事だ、って思ってたみたい』 と、メールでジルベルト。 「なるほど、だから『良』なのね。 さっぱり意味分からなかったけど」 「フローベール、俺達は遊ばれているのか?」 「知らない。試されたのかもしれないけどね」 謎のニンジャは引き上げたが、 とりあえずバイオレット・ヴィレッジはもうすぐ。 これ以上足を留めるわけにもいかなかった。 いよいよゼクウ=ユウキとの対面が待ち構えているのだから。 勇者軍は急がなければならない。来たるべき敵の襲来に備えて―― <第十二章-第二幕-へと続く>