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情報ネットワーク概論[P] 学年 2年 時期 前期 時間 水曜3限 教員 坪井 教科書情報 情報ネットワークの仕組みを考える 教科書番号 71 教科書販売価格 \2520 備考 必要性 選択肢 投票 5 (0) 4 (0) 3 (0) 2 (0) 1 (0) コメント 名前 コメント 分類 2年前期 水曜3限
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情報ネットワーク概論[Q] 学年 2年 時期 前期 時間 水曜3限 教員 上田裕巳 教科書情報 情報ネットワークの仕組みを考える 教科書番号 71 教科書販売価格 \2520 備考 必要性 選択肢 投票 5 (0) 4 (0) 3 (0) 2 (0) 1 (0) コメント 名前 コメント 分類 2年前期 水曜3限
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教科書にのせたい! ※A・B枠は隔週で前後交代 (2011.04~) A枠(ローカルスポット含む)1 00"…P G 0 30"…週替2社5/10、6/21、7/26 ユーキャン 5/10 森永乳業 6/21、7/26 マツダ B枠(ローカルスポット含む)0 30"…meiji 明治、ニトリ、大塚製薬+週替1社5/10~7/26 アース製薬
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欧州評議会・性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する条約(2007年) 原文英語(平野裕二仮訳〔日本語訳全文PDF〕)チャイルドフレンドリー版(PDF、英語) 解説:平野裕二「ヨーロッパで子どもの性的搾取・性的虐待に関する新条約が誕生~日本でも求められる包括的視点~」〔PDF〕(2007年執筆) 目次 前文 第1章-目的、差別の禁止の原則および定義第1条-目的 第2条-差別の禁止の原則 第3条-定義 第2章-予防措置第4条-原則 第5条-子どもに接して働く者の採用、訓練および意識啓発 第6条-子どもの教育 第7条-予防的介入のプログラムまたは措置 第8条-一般公衆を対象とする措置 第9条-子ども、民間部門、メディアおよび市民社会の参加 第3章-専門の公的機関および調整機関第10条-調整および連携のための国内措置 第4章-被害者に対する保護措置および援助第11条-原則 第12条-性的搾取または性的虐待の疑いの通報 第13条-ヘルプライン 第14条-被害者への援助 第5章-介入のプログラムまたは措置第15条-一般的原則 第16条-介入のプログラムおよび措置を受ける者 第17条-情報および同意 第6章-刑事実体法第18条-性的虐待 第19条-児童買春に関わる犯罪 第20条-児童ポルノに関わる犯罪 第21条-ポルノ的パフォーマンスへの子どもの参加に関わる犯罪 第22条-子どもを堕落させる犯罪 第23条-性的目的での子どもの勧誘 第24条-幇助または教唆および未遂 第25条-裁判権 第26条-法人の責任 第27条-制裁および措置 第28条-加重事由 第29条-過去の有罪判決 第7章-捜査、訴追および手続法(以下、CoE 子どもの性的搾取・虐待条約(2))第30条-原則 第31条-一般的保護措置 第32条-手続の開始 第33条-時効 第34条-捜査 第35条-子どもの事情聴取 第36条-刑事裁判手続 第8章-データの記録および保管第37条-有罪判決を受けた性犯罪者に関する国内データの記録および保存 第9章-国際協力第38条-国際協力のための一般的原則および措置 第10章-監視機構第39条-締約国委員会 第40条-その他の代表 第41条-締約国委員会の職務 第11章-他の国際文書との関係第42条-国際連合の子どもの権利に関する条約ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する同条約の選択議定書との関係 第43条-その他の国際文書との関係 第12章-条約改正第44条-改正 第13章-最終条項第45条-署名および発効 第46条-条約への加入 第47条-領域的適用 第48条-留保 第49条-廃棄 第50条-通告 前文 欧州評議会の加盟国およびこの条約の他の加盟国は、 欧州評議会の目的が、加盟国間におけるさらなる統一を達成することであることを考慮し、 すべての子どもが、その未成年者としての地位によってその家族、社会および国に対して要求されている保護措置に対する権利を有していることを考慮し、 子どもの性的搾取、とくに児童ポルノおよび児童買春、ならびにあらゆる形態の子どもの性的虐待(海外で行なわれる行為を含む)が子どもの健康および心理社会的発達にとってきわめて有害であることを認め、 子どもの性的搾取および性的虐待が、とくに子どもおよび加害者の双方が情報通信技術(ICT)をますます利用するようになっていることと関わって国内的にも国際的にも憂慮すべき割合に達してきており、かつ、このような子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつこれと闘うためには国際協力が必要であることを認め、 子どものウェルビーイングおよび最善の利益はすべての加盟国が共有する根本的価値であり、かついかなる差別もなく促進されなければならないことを考慮し、 第3回欧州評議会国家元首政府首班サミット(ワルシャワ、2005年5月16~17日)で採択された行動計画が、子どもの性的搾取に終止符を打つための措置の策定を求めていることを想起し、 とくに、子どもおよび若年成人の性的搾取、ポルノおよび買春ならびに人身取引に関する閣僚委員会勧告R(91)11号、性的搾取からの子どもの保護に関する勧告Rec(2001)16、ならびに、サイバー犯罪に関する条約(ETS No.185)(とくにその第9条)および人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約(CETS No.197)を想起し、 人権及び基本的自由の保護に関する条約(1950年、ETS No.5)、改正欧州社会憲章(1996年、ETS No.163)および子どもの権利の行使に関する欧州条約(1996年、ETS No.160)に留意し、 また、子どもの権利に関する国際連合条約(とくにその第34条)、子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春に関する選択議定書、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、とくに女性および子どもの取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書、および、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する条約にも留意し、 子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに関する欧州連合理事会枠組決定(2004/68/JHA)、刑事手続における被害者の地位に関する欧州連合理事会枠組決定(2001/220/JHA)、および、人身取引との闘いに関する欧州連合理事会枠組決定(2002/629/JHA)〔日本語訳PDF〕に留意し、 この分野における他の関連の国際的文書およびプログラム、とくに第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(1996年8月27~31日)で採択されたストックホルム宣言および行動のための課題、第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(2001年12月17~20日)で採択された横浜グローバル・コミットメント、第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議準備会議(2001年11月20~21日)で採択されたブダペスト・コミットメントおよび行動計画、国際連合総会決議S-27/2「子どもにふさわしい世界」、ならびに、第3回サミットで採択されかつモナコ会議(2006年4月4~5日)で正式に開始された3か年計画「子どものための、かつ子どもとともに進めるヨーロッパの構築」を正当に考慮し、 加害者が何者であれ性的搾取および性的虐待から子どもを保護し、かつ被害者に援助を提供するという共通の目標に効果的に寄与することを決意し、 あらゆる形態の子どもの性的搾取および性的虐待との闘いの予防的、保護的および刑事法的側面に焦点を当て、かつ具体的な監視機構を設ける、包括的な国際文書を作成する必要があることを考慮し、 次のとおり協定した。 第1章-目的、差別の禁止の原則および定義 第1条-目的 1.この条約の目的は、次のとおりである。 a.子どもの性的搾取および性的虐待を防止し、かつこれと闘うこと。 b.性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもの権利を保護すること。 c.子どもの性的搾取および性的虐待に対抗する国内的および国際的協力を促進すること。 2.この条約は、締約国によるその規定の効果的実施を確保するため、特定の監視機構を設置する。 第2条-差別の禁止の原則 締約国によるこの条約の規定の実施、とくに被害者の権利を保護するための措置の享受は、性、人種、皮膚の色、言語、宗教、政治的その他の意見、国民的もしくは社会的出身、国民的マイノリティとのつながり、財産、出生、性的指向、健康状態、障害またはその他の地位等のいかなる事由による差別もなく、確保される。 第3条-定義 この条約の適用上、 a.「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。 b.「子どもの性的搾取および性的虐待」には、この条約の第18条から第23条までにおいて掲げられている行動を含む。 c.「被害者」とは、性的搾取または性的虐待の対象とされたすべての子どもをいう。 第2章-予防措置 第4条-原則 各締約国は、あらゆる形態の子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつ子どもを保護するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第5条-子どもに接して働く者の採用、訓練および意識啓発 1.各締約国は、教育、保健、社会的保護、司法および法執行の部門ならびにスポーツ、文化および余暇活動に関わる分野において子どもに日常的に接する者の間で子どもの保護および権利に関する意識啓発を図るため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、1に掲げられた者が、子どもの性的搾取および性的虐待、それを特定する手段ならびに第12条第1項で述べられている可能性について十分な知識を有することを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.各締約国は、職務遂行が子どもとの日常的接触を意味する職に就くための条件において、これらの職に就こうとする者が子どもの性的搾取または性的虐待の行為について有罪判決を受けたことがないことが確保されるようにするため、その国内法に一致する方法で、必要な立法上その他の措置をとる。 第6条-子どもの教育 各締約国は、初等中等教育期間中の子どもが、性的搾取および性的虐待の危険性ならびに自衛手段に関する、その発達しつつある能力に適合する情報を受け取ることを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。適当な場合には親と連携しながら提供されるこの情報は、セクシュアリティに関する情報のより一般的な文脈の中で与えられるものとし、かつ、リスクの高い状況、とくに新しい情報通信技術の利用をともなう状況に特段の注意を払う。 第7条-予防的介入のプログラムまたは措置 各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を行なってしまうのではないかと恐れる者が、適当な場合に、犯罪実行の危険性を評価しかつ予防するための効果的な介入プログラムまたは介入措置にアクセスできることを確保する。 第8条-一般公衆を対象とする措置 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待の現象ならびにとりうる予防措置についての情報を提供する、一般公衆向けの意識啓発キャンペーンを促進しまたは実施する。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪を広告する資料の配布を防止しまたは禁止するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第9条-子ども、民間部門、メディアおよび市民社会の参加 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待との闘いに関する国の政策、プログラムその他の取り組みの策定および実施に、子どもがその発達しつつある能力にしたがって参加することを奨励する。 2.各締約国は、民間部門(とくに情報通信技術部門、観光旅行産業部門および銀行金融部門)ならびに市民社会に対し、子どもの性的搾取および性的虐待を防止するための政策の立案および実施に参加し、かつ自主規制または共同規制を通じて内部規範を実施するよう奨励する。 3.各締約国は、メディアの独立および報道の自由を正当に尊重しながら、メディアに対し、子どもの性的搾取および性的虐待のあらゆる側面に関する適切な情報を提供するよう奨励する。 4.各締約国は、適当な場合には基金を創設することも含め、性的搾取および性的虐待を防止しかつ子どもをこれらの行為から保護することを目的として市民社会が実施するプロジェクトおよびプログラムに資金が提供されることを奨励する。 第3章-専門の公的機関および調整機関 第10条-調整および連携のための国内措置 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待からの保護、その防止およびこれとの闘いを担当する諸機関、とくに教育部門、保健部門、社会サービス機関ならびに法執行機関および司法機関との間で国レベルまたは地方レベルでの調整が行なわれることを確保するため、必要な措置をとる。 2.各締約国は、次の機関を設置しまたは指定するために必要な立法上その他の措置をとる。 a.子どもの権利を促進しおよび保護するための、独立した、権限ある国または地方の機関。その際、これらの機関に対して具体的資源および責任が与えられることを確保するものとする。 b.子どもの性的搾取および性的虐待の現象を観察しおよび評価することを目的として国または地方のレベルに設けられ、かつ市民社会と連携して活動する、データ収集機構または担当部署。その際、個人情報保護に関わる要件を正当に尊重するものとする。 3.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待の防止およびこれとの闘いを改善するため、権限ある国の機関、市民社会および民間部門間の協力を奨励する。 第4章-被害者に対する保護措置および援助 第11条-原則 1.各締約国は、被害者、その近親者およびこれらの者のケアに責任を負ういかなる者に対しても必要な支援を提供するために、効果的な社会プログラムを確立しかつ分野横断型の体制を設置する。 2.各締約国は、被害者の年齢が確定されておらず、かつ被害者が子どもであると考える理由があるときは、被害者の年齢の確認を待たず、子どもに対して提供される保護および援助の措置が当該被害者に与えられることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第12条-性的搾取または性的虐待の疑いの通報 1.各締約国は、子どもに接して活動することが求められる一定の専門家に対して国内法で課されている守秘義務の規則により、これらの専門家が、子どもが性的搾取または性的虐待の被害者であると考える合理的理由があるいかなる状況についても子どもの保護に責任を負う機関に通報する可能性が妨げられないことを、確保する。 2.各締約国は、子どもの性的搾取または性的虐待が行なわれていることを知っているまたはそのように善意で考えるいかなる者に対しても当該事実を権限ある機関に通報するよう奨励するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第13条-ヘルプライン 各締約国は、電話またはインターネットによるヘルプラインのような、相談者に対し、たとえ秘密裡にであってもまたは相談者の匿名性を正当に顧慮しながら助言を提供する情報サービスの設置を奨励しおよび支援するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第14条-被害者への援助 1.各締約国は、身体的および心理社会的回復の面で被害者を短期的および長期的に援助するため、必要な立法上その他の措置をとる。この項にしたがってとられる措置においては、子どもの意見、ニーズおよび関心事が正当に考慮される。 2.各締約国は、国内法で定められた条件のもと、被害者への援助に携わっている非政府組織、その他の関連の団体またはその他の市民社会関係者と協力するための措置をとる。 3.親または子どもを養育する者がその子どもの性的搾取または性的虐待に関与しているときは、第11条第1項を適用してとられる介入手続において以下の可能性も考慮する。 a.加害者とされる者を退去させること。 b.被害者をその家族環境から分離すること。当該分離の条件および期間は、子どもの最善の利益にしたがって決定されるものとする。 4.各締約国は、被害者に近しい者が、適当な場合には治療的援助、とくに緊急心理ケアから利益を受けられることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第5章-介入のプログラムまたは措置 第15条-一般的原則 1.各締約国は、子どもに対する性的性質の再犯を予防しかつそのおそれを最小限に留める目的で、国内法にしたがい、第16条第1項および第2項に掲げられた者を対象とする効果的な介入のプログラムまたは措置を確保しまたは促進する。当該プログラムまたは措置には、国内法に掲げられた条件にしたがい、手続中のいずれの時点でも、刑務所内外でアクセスできるものとする。 2.各締約国は、国内法にしたがい、権限ある公的機関(とくに保健ケア・サービス機関および社会サービス機関)ならびに司法機関、および、第16条第1項および第2項に掲げられた者の事後対応に責任を負うその他の機関との間のパートナーシップその他の形態の協力の発展を確保しまたは促進する。 3.各締約国は、適切なプログラムまたは措置を発見する目的で、国内法にしたがい、第16条第1項および第2項に掲げられた者がこの条約にしたがって定められた犯罪をふたたび行なう危険性およびこの点について考えられるリスクの評価を行なえるようにする。 4.各締約国は、国内法にしたがい、実施されたプログラムおよび措置の有効性の評価を行なえるようにする。 第16条-介入のプログラムおよび措置を受ける者 1.各締約国は、国内法にしたがい、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を理由として刑事手続の対象とされた者が、被告人の権利および公正かつ公平な裁判の要件を害しまたはこれらに反することのない条件のもとで、かつ、とくに無罪推定の原則に関わる規則を正当に尊重されながら、第15条第1項に掲げられたプログラムまたは措置にアクセスできることを確保する。 2.各締約国は、国内法にしたがい、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を理由として有罪判決を受けた者が、第15条第1項に掲げられたプログラムまたは措置にアクセスできることを確保する。 3.各締約国は、子どもの性的行動の問題に対処する目的で、国内法にしたがい、性犯罪を行なった子ども(刑事責任年齢に達していない子どもを含む)の発達上のニーズに応じる形で介入のプログラムまたは措置が開発されまたは修正されることを確保する。 第17条-情報および同意 1.各締約国は、国内法にしたがい、第16条に掲げられた者であって介入のプログラムまたは措置の提案を受けた者が、当該提案の理由について十分に情報を提供され、かつ、事情を十分に承知したうえでプログラムまたは措置に同意することを確保する。 2.各締約国は、国内法にしたがい、介入のプログラムまたは措置の提案を受けた者が当該提案を拒否できること、および、有罪判決を受けた者の場合には拒否がどのような結果につながりうるかについて知らされることを確保する。 第6章-刑事実体法 第18条-性的虐待 1.各締約国は、故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.国内法の関連規定にしたがって性的活動に関する法定年齢に達していない子どもと性的活動を行なうこと。 b.次のいずれかの場合に子どもと性的活動を行なうこと。威迫、有形力または脅迫が用いられるとき。 子どもとの信頼関係、子どもに対する権威または影響力を有すると認められている立場(家庭内におけるものを含む)が濫用されるとき。 とくに精神的もしくは身体的障害または依存の状況を理由として子どもが置かれている特別に脆弱な状況が悪用されるとき。 2.1の規定の適用上、各締約国は、当該年齢に達していない子どもと性的活動を行なうことが禁じられる年齢を決定する。 3.1aの規定は、未成年者同士の同意に基づく性的活動の規制を意図したものではない。 第19条-児童買春に関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.売春目的で子どもを募集し、または子どもを売春に参加せしめること。 b.子どもを威迫して売春させること、または当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること。 c.児童買春を利用すること。 2.この条の適用上、「児童買春」とは、金銭その他のいずれかの形態の報酬または対価が与えられまたはその供与が約束された状況で、子どもを性的活動のために用いることをいう。このような供与、約束または対価の提供が子どもまたは第三者に対して行なわれるかどうかは問わない。 第20条-児童ポルノに関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.児童ポルノを製造すること。 b.児童ポルノの提供を申し出、またはその利用を可能にすること。 c.児童ポルノを頒布しまたは送信すること。 d.自己または他人のために児童ポルノを取得すること。 e.児童ポルノを所持すること。 f.情報通信技術を通じ、情を知って児童ポルノにアクセスすること。 2.この条の適用上、「児童ポルノ」とは、現実のもしくは擬似のあからさまな性的活動に従事する子どもを視覚的に描写したあらゆる資料または子どもの性器を主として性的目的で描写したあらゆる表現をいう。 3.各締約国は、1aおよびeの規定の全部または一部を、次のポルノ的資料の製造および所持について適用しない権利を留保することができる。 当該ポルノ的資料が、実際には存在しない子どもの擬似描写または写実的画像のみによって構成されているとき。 関与する子どもたちが第18条第2項を適用して定められた年齢に達しており、かつ、当該画像がその同意を得ておよび自分たち自身の私的利用のみを目的として製造および所持されるとき。 4.各締約国は、1fの規定の全部または一部を適用しない権利を留保することができる。 第21条-ポルノ的パフォーマンスへの子どもの参加に関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.子どもを募集してポルノ的パフォーマンスに参加させ、または子どもをそのようなパフォーマンスに参加せしめること。 b.子どもを威迫してポルノ的パフォーマンスに参加させること、または当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること。 c.子どもが参加するポルノ的パフォーマンスの場に情を知って出席すること。 2.各締約国は、1cの規定を、子どもが1aまたはbに一致する形で募集されまたは威迫された場合に限って適用する権利を留保することができる。 第22条-子どもを堕落させる犯罪 各締約国は、第18条第2項を適用して定められた年齢に達していない子どもに故意にかつ性的目的で性的虐待または性的活動を目撃させることを、たとえ参加を強要しない場合でも犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 第23条-性的目的での子どもの勧誘 各締約国は、成人が、第18条第2項を適用して定められた年齢に達していない子どもに対し、情報通信技術を通じ、第18条第1項または第20条第1項aにしたがって定められたいずれかの犯罪をその子どもに対して行なう目的で会うことを故意に提案することを、このような提案後に実際に会うことにつながる実体的行為が行なわれたときは犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 第24条-幇助または教唆および未遂 1.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の遂行を幇助しまたは教唆することを、当該幇助または教唆が故意に行なわれたときは犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の未遂が故意に行なわれたときはこれを犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.各締約国は、2の規定の全部または一部を、第20条第1項b、d、eおよびf、第21条第1項c、第22条ならびに第23条にしたがって定められた犯罪に適用しない権利を留保することができる。 第25条-裁判権 1.各締約国は、次のいずれかの場合において、この条約にしたがって定められたいかなる犯罪についても裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.当該犯罪が自国の領域内で行なわれるとき。 b.当該犯罪が自国を旗国とする船舶内で行なわれるとき。 c.当該犯罪が自国の法令に基づいて登録された航空機内で行なわれるとき。 d.当該犯罪が自国の国民のいずれかによって行なわれるとき。 e.当該犯罪が自国の領域内に常居所を有する者によって行なわれるとき。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪が自国の国民のいずれかまたは自国の領域内に常居所を有する者に対して行なわれる場合に当該犯罪について裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとるよう努める。 3.各締約国は、署名時または批准書、受託書、承認諸もしくは加入書の寄託時に、欧州評議会事務総長に宛てた宣言により、この条の1eに掲げられた裁判権に関する規則を適用しない権利または特定の場合もしくは条件においてのみ適用する権利を留保する旨、宣言することができる。 4.この条約の第18条、第19条、第20条第1項aならびに第21条第1項aおよびbにしたがって定められた犯罪の訴追のため、各締約国は、1dに関わる自国の裁判権が、当該行為がその遂行地において犯罪とされていなければならないという条件に服させられないことを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。 5.各締約国は、署名時または批准書、受託書、承認諸もしくは加入書の寄託時に、欧州評議会事務総長に宛てた宣言により、第18条第1項b第2インデントおよび第3インデントにしたがって定められた犯罪に関わるこの条の4の規定の適用を、自国民が自国の領域内にその常居所を有している場合に限定する権利を留保する旨、宣言することができる。 6.この条約の第18条、第19条、第20条第1項aおよび第21条にしたがって定められた犯罪の訴追のため、各締約国は、1dおよびeに関わる自国の裁判権が、被害者からの申告または犯罪実行地である国からの告発がなければ訴追を開始することができないという条件に服させられないことを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。 7.各締約国は、容疑者が自国の領域内に所在し、かつ容疑者の国籍のみを理由として他の締約国に当該容疑者の引渡しを行なわない場合においてこの条約にしたがって定められた犯罪についての裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとる。 8.この条約にしたがって定められた犯罪が行なわれたとされる場合において、二以上の締約国が当該犯罪についての裁判権を主張するときは、関係締約国は、適当な場合には、訴追のためにもっとも適した裁判管轄国を決定するため協議を行なう。 9.この条約は、国際法の一般規則を損なわないかぎりにおいて、締約国がその国内法にしたがって行使するいかなる刑事裁判権も排除するものではない。 第26条-法人の責任 1.各締約国は、個人としてまたは法人の機関の一部として行動するいずれかの自然人であって当該法人内部で指導的地位にある者が、次のいずれかの権限に基づき、かつ当該法人の利益のためにこの条約にしたがって定められた犯罪を行なう場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.法人の代表権。 b.法人のために決定を行なう権限。 c.法人内部で管理を行なう権限。 2.すでに1で規定されている場合とは別に、各締約国は、1に掲げられた自然人による監督または管理の欠如により、法人の権限に基づき活動する自然人が当該法人の利益のためにこの条約にしたがって定められた犯罪を行なうことが可能になる場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.法人の責任は、締約国の法的原則にしたがって、刑事上、民事上または行政上のものとすることができる。 4.法人の責任は、犯罪を行なった自然人の刑事上の責任に影響を及ぼすものではない。 第27条-制裁および措置 1.各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪が、その重大さを考慮に入れた効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁によって処罰されることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、第26条の規定にしたがって責任を負うものとされる法人に対し、効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁が科されることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。当該制裁には、刑罰としてのまたは刑罰以外の金銭的制裁を含むものとし、かつ、その他の措置、とくに次の措置を含むことができる。 a.公的な給付金または補助金の受給資格を停止すること。 b.商業的活動を行なう資格を一時的または恒久的に停止すること。 c.司法的監督のもとに置くこと。 d.裁判所による解散命令を発すること。 3.各締約国は、次の目的のために必要な立法上その他の措置をとる。 a.次のものの押収および没収について定めること。この条約にしたがって定められた犯罪を行なうためまたはその便宜を図るために用いられる物品、文書その他の道具。 当該犯罪から生じる収益または当該収益に相当する価額の財産。 b.この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を行なうために用いられるいずれかの施設を、善意の第三者の権利を侵害することなく、一時的または恒久的に閉鎖できるようにすること、または、加害者に対し、犯罪が行なわれた過程で生じた子どもとの接触をともなう職業上の活動もしくはボランティア活動を行なうことを一時的または恒久的に禁ずること。 4.各締約国は、加害者に関して、親としての権利の喪失宣告または有罪判決を受けた者の監視もしくは監督のような他の措置をとることができる。 5.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の被害者を対象とする予防プログラムおよび援助プログラムの資金とするため、この条にしたがって没収された犯罪収益または財産を特別基金に配分することができる旨、定めることができる。 第28条-加重事由 各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪に関わる制裁の決定において、次の事由を、当該事由がすでに犯罪の構成要件の一部となっている場合を除き、国内法の関連規定に一致する形で加重事由として考慮できることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.当該犯罪が被害者の身体的または精神的健康を深刻に損なったこと。 b.当該犯罪に先行しまたは並行して拷問または重大な暴力行為が行なわれたこと。 c.当該犯罪がとくに脆弱な状況にある被害者に対して行なわれたこと。 d.当該犯罪が、家族構成員、子どもと同居している者または子どもに対する権威を濫用した者によって行なわれたこと。 e.当該犯罪がともに行動する複数の者によって行なわれたこと。 f.当該犯罪が犯罪組織の枠組みのなかで行なわれたこと。 g.加害者が過去に同じ性質の犯罪を理由として有罪判決を受けていること。 第29条-過去の有罪判決 各締約国は、制裁の決定において、この条約にしたがって定められた犯罪に関わって他の締約国が言い渡した終局判決を考慮できるようにするため、必要な立法上その他の措置をとる。 CoE 子どもの性的搾取・虐待条約(2)へ続く 更新履歴:ページ作成(2011年7月28日)。
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長門さんが、9組に教科書を借りに来てから二日たった。 今日の1時間目はあれから初めての日本史である。 僕の机の上には、一昨日の放課後、部室で長門さんに返していただいたそのままの日本史の教科書が。 やっぱり、長門さんは僕の落書きを見てしまったのだろうか。 僕がした落書き。 それは、戦国時代末期の歴史が記されたページの隅にいつも使っているシャープペンで長門有希、情報統合思念体、TFEI端末と書いたものを同じシャープペンで塗りつぶして消したものの斜め下に、〝長門さん〟と、書き残してしまったもの。 ああ、勘違いを招きそうだ。 激しく勘違いを招きそうだ。 長門さんが気を悪くしないといいのだけれど……。 あの落書きは、元はと言えば、歴史オタクで時代小説オタクの日本史教師のせいだ。 いや、全てを先生のするつもりはないのだけれど……。 しかし、トリガーになったのは、確実にあの日本史教師と、長門さんの読んでいた本のタイトルだったことに間違いはない。 教師が授業集になぜか、授業とは関係あるのかないのか分からないトリヴィアとも言える無駄話を展開するのはどこの学校でも同じであろう。 あの日、長門さんが僕に教科書を借りに来た日の二時間目の授業でもその現象は起こった。 時代小説オタクらしく、今現在教科書で授業しているあたりの時代が舞台の時代小説について延々と20分語りつくし始めたのである。 まぁ、授業に関係ないとは言い切れないし、好きな人にとってはこの上なく楽しい話題なのだろうと、最初はあまり気にも留めていなかった。 正直、週に4回ある日本史Bの時間のうち、三回に一回はこういうパターンになるのがこの教師の特徴だ。 今更、文句を言ったってしょうがないし、第一、試験範囲までは滞りなく進むのだから問題は無い。 正直、時代小説にあまり興味がない自分にとっては退屈ではあるけれど。 問題は、その日の雑談にも近い時代小説語りに出てきた作品名の中に、聞き覚え、否、見覚えのあるものがあったからだ。 大して、センスのいい題とも、自分の好みに合うと思えるものでもなかったので題名自体はハッキリ覚えていないけれど、確かにそれは、長門さんがいつものように文芸部部室の窓際で寡黙に読み進めていたSFもののハードカバーに紛れて、もはや長門さん専用になってしまった白いミニテーブルに鎮座していた唯一の文庫本のタイトルと同一のものだった。 長門さんが文庫本、しかも時代小説とは珍しい、とぼんやり失礼ながら盗み見ていたのでよく覚えていた。 そんな方向に思考が一瞬でも傾くと、退屈していた脳みそが一気に傾いた方向に倒れてしまうというのが人間というもので、あの時の僕もそんな人間に過ぎず、耳が日本史教師の時代小説語りをシャットアウトし始め、脳内思考を全く違う方向へと押しやって行った。 長門さんのことだ。 長門さんは読書家だ。 それは、この学校唯一の文芸部部員であるという事実だけで充分その証明になっているだろう。 あ、そういえばある種、長門さんは兼部状態になるのかな。 でも、SOS団は学校非公認の団体なので、やはり学校側からの彼女の扱いは文芸部部長でいいのだろうか。 SOS団の大切な団員であることは、例え学校を出たとしても変わりはしないだろうけれど。 あ、そういえば、僕や〝彼〟、朝比奈さんや涼宮さんは帰宅部扱いになるのかな。 ……何はともあれ、長門さんだ。 彼女が読書好きなのは、情報統合思念体がそう彼女を創ったからなのだろうか。 それとも、読書は、彼女が勝ち取った彼女自身の趣味なのだろうか。 長門有希、情報統合思念体が創りだした、TFEI端末。 僕たちとは違う存在。 朝比奈さんもこの時代の人間でないというところを考えなければ、基本的にはただの地球人である。 しかし、長門さんは……。 そこまで考えてハッとした。 教科書を見ると、やはりというべきか、なんと言うべきか、思考に合わせ勝手に手が動いたのだろう、 自分でも「ペン習字くらいやった方がいいじゃね?」と言いたくなるような、汚い筆致で長門有希、情報統合思念体、TFEI端末。 と、三連の語句が並んでいた。 これではまるで、今の今まで散々世話になっている大切な仲間のことを、余所者の、人間じゃない、ロボみたいに思っているような書き方じゃないか。 端末って。 そんな。 今の今まで、「機関」が使用している言葉だからと鵜呑みにし、平然と使っていたが考えれば考えるほど失礼な話である。 長門さんは、たしかに世間一般から見れば(このことに関して世間一般などという言葉が適用されるかは怪しいが)宇宙人と呼ばれる存在であるが、 それ以前に僕や、SOS団の皆からすれば、SOS団の団員であり、大事な仲間であり、大切な友人でもある。 それなのに、僕は、なんていう―― 僕は慌てて、それをいまだ手中にある愛用のシャープペンでぐりぐりと塗りつぶした。 何で消しゴムで消さなかったのかと、今になって後悔している。 まさか、長門さんが僕に教科書を借りにくるとは思ってもみなかったのだ。 しかも、塗りつぶした少し下に、今度は長門さん、などと書いた上で。 この〝長門さん〟には、僕からの、親愛の意味が込められてるはず、である。 しかし、これも、本来に本人に見せるつもりはさらさらなく、僕自身の自己満足のようなものだ。 事実、この字を無意識ではなく、意識的に書き終えたときに僕は何かしらの満足感と高揚感、原因不明の鼓動の高鳴りを感じた。 なぜか、気恥ずかしさも感じたのだが、それは、今はどうでもいい。 問題は、長門さんがこれをみて不快に思わなかったかだ。 知人に借りた教科書に自分の名前が落書きされていて、しかも、その右上に情報統合思念体だの、TFEI端末だの走り書いたのを塗りつぶしてあるなんて、何かしらの誤解を受けそうだ。 断じて今現在の僕は、長門さんを敵視したり、自分たちとは違う異質でおかしな存在だとは思っていない。 むしろ……。 いや、本当にこれはどうでもいいことだ。 他のページには全く落書きがない僕の教科書のたった一つの落書き。 他のページにない分、さぞや目立っただろう。 長門さんは、僕に失望しただろうか。 運良く、彼女が受けた授業範囲とずれていて、彼女の目に留まらなかったら万々歳なのだけれど、 僕が当たっている日本史教師と彼女が当たっている日本史教師は同一人物なので、そうは上手く問屋は卸さないだろう。 そういえば、教科書を返してもらって以来、僕と長門さんは全く会話をしていない。 やはり、嫌われてしまっただろうか。 おそるおそる、教科書を開ける。 件のページを確認するためだ。 もし、何かしらの反応があったとしたらどうしよう。 なくても、この先、長門さんが僕と目すらあわせてくれなくなったらどうしよう。 そう思うと、手が震えた。 消しゴムや修正液で消されていたら、立ち直れないかもしれない。 p.156 長門さん。 あった! 反応はどうだろう。 消しゴム等で消されていない分マシだろうか。 否、完全無視を決め込むという意味での放置なのかも……。 ゆっくりと視線を長門さんの名前の周囲をなぞる。 しかし、なぞるほどの必要はなかった。 反応はすぐ隣にあったからだ。 しかし、これは、一体…… 長門さん 古泉一樹 縦書きに乱暴な字で書かれた彼女の名前の隣に、プリントアウトしたみたいに綺麗な明朝体(今度から、長門さんの字をお手本に字を書こう)でこれまた縦書きに書かれた僕の名前。 そして、その上に鎮座するように堂々と書かれた少し歪な90度、45度、45度の直角二等辺三角形、二人を分かつように縦に引かれた一本線。 あ、相合傘!? しかも、ご丁寧に名前はシャープペンで書かれているのに、傘の部分はボールペン。 一体どういう風の吹き回しだ。 思わず、教科書を持ち上げマジマジとそれを確認する僕。 すると、持ち上げた教科書からぴらりと何かが舞い落ちた。 ノートの切れ端のような小さな紙が机上に一枚。 『隣の席の山田みさきに教えてもらった、図面上で傘を共有した相手と長期に渡り良好な関係を築いていけるという出来るというまじない。 私は、あなたと良好な関係でいたいと望む。 あなたは?』 山田! 6組にも山田! なんですか、この学校の山田姓の人間はみんなおせっかいという法則でもあるんですか。 大体、おそらくだが、長門さんは「良好な関係」の意味を絶対に誤解している! いや、嫌われるよりは随分いいし、嬉しくないわけではないのですが。 いやしかし、これは、本人に言及するべきなのだろうか。 今回は僕だからよかったものの、もし他の、例えば〝彼〟にこんなことをした日には、また閉鎖空間……。 いや、それ以上に、僕や〝彼〟以外の彼女の事情を知らない男子が相手なら確実に誤解を招く。 それは危険だ。 しかし、それ以上に危険なのは自分自身の周りであることを僕は失念していた。 あまりの事態に、頭がいっぱいになって背後に近づいてくるもう一人の山田姓の人間の存在に、気が付かなかったのだ。 なにやら肩口に人の気配。 恐る恐るそちらを見ると、一昨日と同じようにニヤニヤした雰囲気を纏う、うちのクラスの山田君がいた。 か、顔が近い! ああ、いつも〝彼〟が言っているのはこういうことなんですね、これからは自重しよう。 うん、そうしよう。 「相合傘だな、古泉。」 「えっと、何かの間違いだと思います。 長門さんはあれで結構世間知らずなので、きっと友情のおまじないか何かと勘違いされているものと思われ……」 「だったら普通、涼宮たちの名前も書くよな。 しかも、メモの方にはあなたと、って書いてあるよな。」 「えっと、でも、しかし……。」 「おおーい! 皆見ろよ! 古泉の教科書に長門からのラブメッセージだぜー!!」 僕の教科書と先ほどのメモを高々と頭上に上げ、クラス中に聞こえるような声で高らかに周囲の視線を集める山田君。 何言っちゃってくれちゃってるんですかぁああ!? 理系クラスはただでさえ男女比が大きく男子側に傾いていて、そっち系の話題があまりないから、かっこうのネタにされるじゃないですか! っていいますか、今現在されてるし! クラス中から浴びせられるニヤニヤとした視線。 ああ、もうこれで一週間はからかわれることが決定しました。 もう、どうにでもしてください。 しかし、そのときの恥ずかしさと焦りで顔を真っ赤にしていた僕は予想もしていなかった。 この数日後に起きたちょっとしたトラブルが原因で、件の日本史の教科書が、僕と長門さんの間を行き来することになるとは。 <続く……かもしれません>
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このページでは血液内科研修医におすすめの本・教科書をご紹介します。 レジデントマニュアル系 【血液病レジデントマニュアル・・・おすすめ度★★★★★】 血液内科のレジデントマニュアルとしては王道の本です。 白衣のポケットに一冊忍ばせるならばこれでしょう。第二版になり、ますます洗練されました。 ベッドサイドで実際に必要なことがコンパクトに、内容純分に、かつ幅広く網羅しています。 何か一冊だけ購入するならばこれで決定で良いでしょう! <画像クリックでamazonに移動します> 【血液内科ゴールデンハンドブック・・・おすすめ度★★★☆☆】 白衣に入れる系統の書籍ではセカンドチョイスです。 シンプルでとてもまとまった本ですが血液病レジデントマニュアルと比べるとやや内容量が物足りない印象があります。 血液病レジデントマニュアルと相性が合わなかったときに。 <画像クリックでamazonに移動します> 【がん診療レジデントマニュアル・・・おすすめ度★★★★☆】 血液疾患だけではなく固形腫瘍の網羅しているがん全体を対象としたレジデントマニュアルです。 血液疾患に関して章が多く割かれており、もちろん血液疾患についてだけみれば血液病レジデントマニュアルより内容量は少ないですが 腫瘍内科をローテートする予定や固形がんに興味がある場合におすすめしたい本です。 <画像クリックでamazonに移動します> 【今日の治療指針・・・おすすめ度★★★★☆】 もうおなじみ今日の治療指針ですが、この本の血液疾患はまとまっていて、完結でわかりやすいです。 また最近の動向を専門ではない医師がわかるように書いてあって重宝します。 血液疾患のためだけに購入する必要はないかもしれませんが、外来、他科でも幅広く使えるので 今更ですがおすすめです。 <画像クリックでamazonに移動します> 教科書系 【血液専門医テキスト・・・おすすめ度★★★★★】 医師になってからの血液領域の教科書として王道の一冊です。 血液領域について一通り、基本的なことから発展的な内容まで詳しく書いてあります。 鉄欠乏性貧血から骨髄移植まで、とてもわかりやく書いてあります。 教科書的一冊の購入を考えているならばこれでしょう。 <画像クリックでamazonに移動します> 【血液造血器疾患学・・・おすすめ度★★★★☆】 学生に向けてかかれた教科書ですが、とてもわかりやすく書いてあります。 内容的にはベッドサイドには向いていませんが基礎の復習にはもってこいでしょう。 <画像クリックでamazonに移動します> 【血算の読み方・考え方・・・おすすめ度★★★★★】 個人的にはとてもおすすめの本です。 血液内科に行く気はないけど、レポート上の症例が必要でローテートしていて、正直興味がもてない方もいると思います。 そんな時は血算の勉強をしてみませんか。内科である限り、血算の知識はずっと必要なものです。 はじめて私が読んだとき、今まで大していかに自分が考えないで血算を読んでいたか、どれだけの情報をすくいきれずにいたか、愕然としました。 とにかく読みやすく、内容も充実しており、おすすめです。 <画像クリックでamazonに移動します> 【しみじみわかる血栓・凝固・・・おすすめ度★★★★★】 凝固は苦手意識を持つ方も多いとは思いますが,非常にわかりやすく,イラストで噛み砕いてくれています. 基礎を学びたい時に最もわかりやすい本ではないでしょうか. 凝固に関する本としては革命的です. <画像クリックでamazonに移動します> 【血液内科クリニカルスタンダード・・・おすすめ度★★★★☆】 分類が難しい本です。 レジデントマニュアルと教科書の中間に位置するような本と言えるでしょう。 白衣のポケットに入らないサイズですがベッドサイドでも使え教科書としても使える本です。 どちらかといえばややベッドサイドよりでしょうか。おいしいとこ取りしたい時に。 <画像クリックでamazonに移動します> 【血液疾患の治療・・・おすすめ度★★★☆☆】 最新の治療がアップデートされて書籍化されています。 血液内科にすすまない場合はマストバイではないでしょう。 <画像クリックでamazonに移動します> 骨髄穿刺が読めるようになりたい! 【血液細胞アトラス・・・おすすめ度★★★★★】 マルク(骨髄穿刺)を本格的に読めるようになりたい場合の王道の本はまずこれでしょう。 血液・骨髄の正常像はもちろんのこと、各疾患の画像も多数掲載されており、説明もとてもわかりやすいです。 また、写真も大きくて見やすいです。 <画像クリックでamazonに移動します> 【ウィンドローブ臨床血液学アトラス・・・おすすめ度★★★★☆】 これも血液像・骨髄像を読めるようになりたい場合おすすめです。 自分のまわりでは血液細胞アトラスの次に持っている人が多いと思います。 血液細胞アトラスと比して画像より文字数が多いような印象です。 <画像クリックでamazonに移動します> *免責事項* 以上は全て個人の意見であり、このサイトは特定の商品の販売を促進したり、評価を下げることを目的としていません。
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「日本史の教科書が、なくなった?! 長門さんのがですか?」 僕の素っ頓狂な声がコンクリート地が見え隠れする廊下に響く。 ああ、いけない。 今まで築き上げたイメージが。 涼宮さんや彼が聞いてなきゃいいんだけど……。 「そう。 あなたに教科書を借りた翌日、もう忘れないように鞄に入れて登校し、ロッカーに入れた。 しかし、今より5分56秒前に廊下に固定してある生徒用ロッカーから日本史の教科書を取り出そうとしたら、教科書がなかった。 昨日、13時16分46秒に世界史の教科書を取り出した際には確かにあったにも拘らず。」 相合傘事件が勃発した日の翌日。 長門さんは、再び9組の教室に現れた。 またよりにもよって廊下側の席の山田くんに僕を呼ばせて。 ああ、背中に刺さるニヤニヤとした視線。 昨日あれから散々からかわれたっけ……。 皆、口では羨ましいだの何だの言ってたけど、本当は慌てふためく僕を見て楽しんでいたに違いない。 普段、涼宮さんが求めるイメージに沿った古泉一樹を徹底していると、どうしてもほころびが出来た際にこうやってからかわれる。 僕だって人間だ。 完璧な人間なんかいるもんか。 慌てる時は慌てるさ。 恥しい時は恥しい。 いや、僕のことはどうでもいい。 長門さんが物を無くすなんてか考えられない。 そういうことに関しては、と、言うか、すべてのことに関してしっかりしていらっしゃる方だ。 そりゃ、ついこの間のようなついうっかりをしでかすことも無いとは言えないが、 しかし、そう簡単に、本人曰く、うかつ。な状況に陥ってしまう人ではないことを、僕が証明する。 必要ならば、〝彼〟や涼宮さん、朝比奈さんだって頷いてくれるだろう。 なのに、長門さんの北高指定の日本史の教科書が忽然と姿を消したというのである。 「次の授業は日本史。 また、教科書を貸して欲しい。 だめ?」 「教科書をお貸しするのは一向に構いませんが……。 どうしたのでしょう、教科書が急になくなるなんて。 教科書に足が生えるわけもありませんし……。」 「生やすことは、不可能ではない。 情……なんでもない、禁則事項。」 今明らかに、教科書に情報操作で脚を生やすことはたやすいって言おうとしましたね。 で、ちょうど僕たちを真横からニヤニヤした空気を纏いながら眺めている山田君の視線に気が付いて言うのをやめた。 さきほど、あなたをうかつな人ではないと言いましたが、前言撤回が必要なようです。 冗談を言うようになってから、少しずつではありますがお喋りになってきましたよね。 もちろん、以前の長門さんと比べたら、ですが。 ちなみに、長門さんのジョークが山田くんの耳に入ったような気配は無く、相変わらず、彼はニヤニヤと僕たちを見つめている。 本人的には見守っているつもりなのだろう。 そしてそれは、僕の背中にニヤニヤした視線を突き刺す他のクラスメート達にも言える。 少々ウンザリした気持ちで山田くんの方をもう一度視線を移すと、彼は急にニヤニヤの顔を潜めて、ちょっと眉間に皺を寄せた。 〝彼〟といい、山田くんといい、眉間に出来た皺が似合う男というのは少し羨ましいものである。 いや、そんなことはどうでもいい。 問題は、その眉間に〝彼〟の様な皺を寄せた山田くんの次の一言だ。 「なぁ、それって盗まれたんじゃね?」 …………。 三点リーダ。 絶句というよりも、ぽかーんという方が正しい。 それは、長門さんも同じらしくあまりお見掛けすることのないぽかんとした表情をしている。 盗むって、皆持ってる教科書を、何故? 「いや、お前らみたいな真面目ちゃんには分からんかもしれんが、結構あるんだぞ。 教科書の盗難。 とにかく誰でもいいんだ。 困らせてやろうってやつ。 うちのロッカー、生徒が変なもん隠さないように鍵無いだろ。 誰でも簡単に空け閉め出来るから、盗みやすいんだ。 かと言ってロッカー使わないわけにもいかないから、学校側も放置だし。」 僕が真面目ちゃんかどうかは疑わしいが、全くもって理解できない話である。 他人の教科書を盗んで一体何の役に立つというのだ? 困らせたところで、良心が痛むだけだろう。 「世の中にはな、悪いことと分かっていながら、そのスリルが忘れられない人間もいるんだよ。 それがいつしか、罪悪感が快感になるらしい。 俺にも理解は出来んがな。 もしかしたら、好きな子ほど虐めちゃうとかいう馬鹿がやったのかもしれんし。」 好きな子ほど虐めちゃうって、小学生ですか。 「盗まれたって、この学校の生徒にですか?」 「それしかいないだろ? センコーとかだったら問題だよな。 さすがに部外者ってことはないだろうし。 ま、まだ盗みと決まったわけじゃないけどな。 もしかしたら、誰かが勝手に借りてるとか、間違えて他の奴がもってっちゃったとか、そんなんじゃねーの?」 さっきのシリアスムードはどこへやら、にっこりと軽口を叩く山田くんにいっしゅん唖然としながらも、僕は長門さんの方を見た。 僕をきょとんと見返す長門さんを見ていると、ほんのちょっとだけ、困った時はどんな顔をするんだろうな、などと考えてしまう。 はッ! だめだだめだ、それじゃいるかどうかすら怪しい馬鹿と同じじゃないか。 むしろ僕としては、困った顔より楽しそうな顔の方が……いや、それこそどうでもいい。 「長門さん。 これから、どうします? 教科書が無ければ不便でしょう?」 「暫く探して見つからなかったら、新しいものを購入しようと思う。 しかし、教科書自体の発行部数が限られているため、入手困難。 注文しても数週間は掛かるらしい。 もしよければ、新しい教科書が届くまで、私のクラスで日本史の授業がある際には教科書を貸して欲しい。」 だめ? と、仰りながら首を傾げる長門さんにNO、と言える方がいたとしたら、ぜひお会いしたい。 勿論僕はそんな非情、もしくは下心の皆無な人間でもないので、ついつい頷いてしまった。 それが、クラスの人間の大半のニヤニヤを増大させるとも知らずに。 そして、この選択が、のちのち僕の高校時代の甘酸っぱい一ページに彩を添えると言うことにも、僕は考えもしなかった。 <続く>
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http //mainichi.jp/life/edu/news/20090410ddm041040082000c.html 教科書検定:つくる会教科書・合格 市民団体「不採択を」 08年度の教科書検定で「新しい歴史教科書をつくる会」が主導し自由社が発行する中学社会科(歴史的分野)の教科書が合格したことを受けて、歴史問題や平和、教育関係などの市民グループ34団体が9日、東京都内で記者会見し、教科書の不採択を訴える共同アピールを発表した。 つくる会の教科書について「太平洋戦争が侵略戦争だったことを認めず、アジア解放に役立った聖戦と美化している」と批判。「日本国憲法の理念を敵視する考え方を一方的に子どもに注入するような教科書は許されない」と主張している。 一方、つくる会の藤岡信勝会長は同日、記者会見で「伝統と文化の尊重や愛国心などを明記した改正教育基本法を踏まえて編集した。新学習指導要領の方針も先取りしている」と話した。【加藤隆寛、井上俊樹】 沖縄戦ニュース
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子ども手当一問一答より。 Q 子ども手当は在日外国人の子どもが海外に居住する場合にも支給されるのですか。 児童手当では、過去30年間にわたり、日本人の海外に居住する子どもと同様、在日外国人の子どもが海外に居住する場合にも支給されておりました。 平成22年度の子ども手当においては、その支給要件を踏襲しましたが、その確認の厳格化を図りました。また、平成23年度以降の子ども手当については、子どもにも日本国内居住要件を課すことを検討します。児童手当制度においては、1981年の「難民の地位に関する条約」の加入に当たり、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の趣旨も踏まえ、他の国内関係法と同様、国籍要件を撤廃しました。それ以来、国籍にかかわらず、親等が日本国内に居住している場合には、その子について監護が行われ、かつ、生計を同じくしているという支給要件に該当するときは、その子が国外に居住していても、支給対象となっています。 平成22年度の子ども手当については、このように1981年以来約30年間にわたり実施してきた児童手当の支給事務の仕組みを踏襲して実施することとしていますが、子どもが国外に居住する場合については、支給要件の確認の厳格化など、地方公共団体と連携を図り、以下のような運用面での強化を図っています。少なくとも年2回以上子どもと面会が行われていること。 親と子どもの間で生活費、学資金等の送金が概ね4ヶ月に1度は継続的に行われていること。 来日前は親と子どもが同居していたことを居住証明書等により確認すること。 これらの支給要件への適合性を判断するために、提出を求める証明書類について統一化。 日本国内に居住している翻訳者による日本語の翻訳書の添付を求め、その者の署名、押印及び連絡先の記載を求めること。 なお、国外に居住している子どもに手当が支給されることについては、平成23年度に向けた制度の検討の中で、支給対象となる子どもに日本国内居住要件を課すことを検討します。 因みに、細かい条件を設けずに無条件で支給するのはやっぱり日本だけなの? Q 諸外国の子ども手当においては、その国に居住する外国人の子どもが海外に居住する場合の取扱いはどうなっていますか。 A 例えば、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンについては、親がEEA諸国(欧州経済領域(欧州30カ国))出身者であって、子どもがEEA諸国に居住しているときは、手当が支給されます。加えて、国外での滞在が一時的である場合など、子どもが国外に居住しているときも支給される場合があります。なお、日本人が外国に居住する際には、当該国が定める要件に該当する場合には、手当が支給されます。 -- (名無しさん) 2010-05-30 19 15 12
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「日本史の教科書が、なくなった?! 長門さんのがですか?」 僕の素っ頓狂な声がコンクリート地が見え隠れする廊下に響く。 ああ、いけない。 今まで築き上げたイメージが。 涼宮さんや彼が聞いてなきゃいいんだけど……。 「そう。 あなたに教科書を借りた翌日、もう忘れないように鞄に入れて登校し、ロッカーに入れた。 しかし、今より5分56秒前に廊下に固定してある生徒用ロッカーから日本史の教科書を取り出そうとしたら、教科書がなかった。 昨日、13時16分46秒に世界史の教科書を取り出した際には確かにあったにも拘らず。」 相合傘事件が勃発した日の翌日。 長門さんは、再び9組の教室に現れた。 またよりにもよって廊下側の席の山田くんに僕を呼ばせて。 ああ、背中に刺さるニヤニヤとした視線。 昨日あれから散々からかわれたっけ……。 皆、口では羨ましいだの何だの言ってたけど、本当は慌てふためく僕を見て楽しんでいたに違いない。 普段、涼宮さんが求めるイメージに沿った古泉一樹を徹底していると、どうしてもほころびが出来た際にこうやってからかわれる。 僕だって人間だ。 完璧な人間なんかいるもんか。 慌てる時は慌てるさ。 恥しい時は恥しい。 いや、僕のことはどうでもいい。 長門さんが物を無くすなんてか考えられない。 そういうことに関しては、と、言うか、すべてのことに関してしっかりしていらっしゃる方だ。 そりゃ、ついこの間のようなついうっかりをしでかすことも無いとは言えないが、 しかし、そう簡単に、本人曰く、うかつ。な状況に陥ってしまう人ではないことを、僕が証明する。 必要ならば、〝彼〟や涼宮さん、朝比奈さんだって頷いてくれるだろう。 なのに、長門さんの北高指定の日本史の教科書が忽然と姿を消したというのである。 「次の授業は日本史。 また、教科書を貸して欲しい。 だめ?」 「教科書をお貸しするのは一向に構いませんが……。 どうしたのでしょう、教科書が急になくなるなんて。 教科書に足が生えるわけもありませんし……。」 「生やすことは、不可能ではない。 情……なんでもない、禁則事項。」 今明らかに、教科書に情報操作で脚を生やすことはたやすいって言おうとしましたね。 で、ちょうど僕たちを真横からニヤニヤした空気を纏いながら眺めている山田君の視線に気が付いて言うのをやめた。 さきほど、あなたをうかつな人ではないと言いましたが、前言撤回が必要なようです。 冗談を言うようになってから、少しずつではありますがお喋りになってきましたよね。 もちろん、以前の長門さんと比べたら、ですが。 ちなみに、長門さんのジョークが山田くんの耳に入ったような気配は無く、相変わらず、彼はニヤニヤと僕たちを見つめている。 本人的には見守っているつもりなのだろう。 そしてそれは、僕の背中にニヤニヤした視線を突き刺す他のクラスメート達にも言える。 少々ウンザリした気持ちで山田くんの方をもう一度視線を移すと、彼は急にニヤニヤの顔を潜めて、ちょっと眉間に皺を寄せた。 〝彼〟といい、山田くんといい、眉間に出来た皺が似合う男というのは少し羨ましいものである。 いや、そんなことはどうでもいい。 問題は、その眉間に〝彼〟の様な皺を寄せた山田くんの次の一言だ。 「なぁ、それって盗まれたんじゃね?」 …………。 三点リーダ。 絶句というよりも、ぽかーんという方が正しい。 それは、長門さんも同じらしくあまりお見掛けすることのないぽかんとした表情をしている。 盗むって、皆持ってる教科書を、何故? 「いや、お前らみたいな真面目ちゃんには分からんかもしれんが、結構あるんだぞ。 教科書の盗難。 とにかく誰でもいいんだ。 困らせてやろうってやつ。 うちのロッカー、生徒が変なもん隠さないように鍵無いだろ。 誰でも簡単に空け閉め出来るから、盗みやすいんだ。 かと言ってロッカー使わないわけにもいかないから、学校側も放置だし。」 僕が真面目ちゃんかどうかは疑わしいが、全くもって理解できない話である。 他人の教科書を盗んで一体何の役に立つというのだ? 困らせたところで、良心が痛むだけだろう。 「世の中にはな、悪いことと分かっていながら、そのスリルが忘れられない人間もいるんだよ。 それがいつしか、罪悪感が快感になるらしい。 俺にも理解は出来んがな。 もしかしたら、好きな子ほど虐めちゃうとかいう馬鹿がやったのかもしれんし。」 好きな子ほど虐めちゃうって、小学生ですか。 「盗まれたって、この学校の生徒にですか?」 「それしかいないだろ? センコーとかだったら問題だよな。 さすがに部外者ってことはないだろうし。 ま、まだ盗みと決まったわけじゃないけどな。 もしかしたら、誰かが勝手に借りてるとか、間違えて他の奴がもってっちゃったとか、そんなんじゃねーの?」 さっきのシリアスムードはどこへやら、にっこりと軽口を叩く山田くんにいっしゅん唖然としながらも、僕は長門さんの方を見た。 僕をきょとんと見返す長門さんを見ていると、ほんのちょっとだけ、困った時はどんな顔をするんだろうな、などと考えてしまう。 はッ! だめだだめだ、それじゃいるかどうかすら怪しい馬鹿と同じじゃないか。 むしろ僕としては、困った顔より楽しそうな顔の方が……いや、それこそどうでもいい。 「長門さん。 これから、どうします? 教科書が無ければ不便でしょう?」 「暫く探して見つからなかったら、新しいものを購入しようと思う。 しかし、教科書自体の発行部数が限られているため、入手困難。 注文しても数週間は掛かるらしい。 もしよければ、新しい教科書が届くまで、私のクラスで日本史の授業がある際には教科書を貸して欲しい。」 だめ? と、仰りながら首を傾げる長門さんにNO、と言える方がいたとしたら、ぜひお会いしたい。 勿論僕はそんな非情、もしくは下心の皆無な人間でもないので、ついつい頷いてしまった。 それが、クラスの人間の大半のニヤニヤを増大させるとも知らずに。 そして、この選択が、のちのち僕の高校時代の甘酸っぱい一ページに彩を添えると言うことにも、僕は考えもしなかった。 <続く>